運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-26 第82回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月十四日(金曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  住宅宅地問題に関する小委員       大塚 雄司君    野中 英二君       松野 幸泰君    渡辺 栄一君       中村  茂君    吉原 米治君       北側 義一君    渡辺 武三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  住宅宅地問題に関する小委員長 野中 英二君  中小建設業振興に関する小委員       塩谷 一夫君    谷川 寛三君       中島  衛君    渡辺 紘三君       福岡 義登君    渡部 行雄君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  中小建設業振興に関する小委員長                 福岡 義登君 ————————————————————— 昭和五十二年十月二十六日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君    理事 渡辺 武三君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    住  栄作君       谷川 寛三君    中尾 栄一君       中島  衛君    松野 幸泰君       渡辺 紘三君    井上  泉君       伊賀 定盛君    下平 正一君       吉原 米治君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         農林大臣官房企         画室長     佐野 宏哉君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         通商産業省機械         情報産業局電子         政策課長    伊藤 寛一君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     沢田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 十月十五日  辞任         補欠選任   古川 雅司君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     古川 雅司君 同月十七日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     松本 善明君 同月十八日  辞任         補欠選任   松本 善明君     瀬崎 博義君 同月二十一日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     瀬崎 博義君     ————————————— 十月二十二日  東京北砂五丁目公団住宅家賃改善に関する  請願不破哲三紹介)(第二四三号) 同月二十四日  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(西  村章三紹介)(第四七二号)  同(安藤巖紹介)(第五五九号)  同(荒木宏紹介)(第五六〇号)  同(伊藤茂紹介)(第五六一号)  同(浦井洋紹介)(第五六二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第五六三号)  同(草川昭三紹介)(第五六四号)  同(小林政子紹介)(第五六五号)  同(権藤恒夫紹介)(第五六六号)  同(柴田睦夫紹介)(第五六七号)  同(鈴切康雄紹介)(第五六八号)  同(瀬崎博義紹介)(第五六九号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五七〇号)  同(田中美智子紹介)(第五七一号)  同(津川武一紹介)(第五七二号)  同(寺前巖紹介)(第五七三号)  同(東中光雄紹介)(第五七四号)  同(不破哲三紹介)(第五七五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第五七六号)  同(正森成二君紹介)(第五七七号)  同(松本善明紹介)(第五七八号)  同(松本忠助紹介)(第五七九号)  同(三谷秀治紹介)(第五八〇号)  同(宮地正介紹介)(第五八一号)  同(安田純治紹介)(第五八二号)  同(薮仲義彦紹介)(第五八三号)  同(山原健二郎紹介)(第五八四号)  同(吉浦忠治紹介)(第五八五号)  同(吉原米治紹介)(第五八六号)  公営住宅法改正等に関する請願有島重武君  紹介)(第四七三号)  東京北砂五丁目公団住宅家賃改善に関する  請願有島重武君紹介)(第四七四号)  同(佐野進紹介)(第五五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日日本住宅公団総裁澤田悌君理事沢田光英君、理事有賀虎之進君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大塚雄司君。
  5. 大塚雄司

    大塚委員 一昨日、五十二年度の補正予算が成立を見たわけでありますが、これから順次質問をいたすに先立ちまして、特に現状認識を要するとも思いますので、まず、住宅金融公庫総裁に、補正予算の中にあります貸付枠十万戸の消化について危ぶまれるような向きもなきにしもあらずでありますが、特にその点を一つ。  さらには、最近の都市住環境が大変悪くなっておることは御承知のとおりですが、この十万戸の融資によって建ってくるであろうそれぞれの住宅が、あるいはミニ開発的なものもあろうかと思いますけれども、環境良好な住宅が建つように誘導しなければならない。そういう観点も含めまして、消化についての自信のほどと、その点についてどういう手だてをなさるか、まずお伺いをしたいと思います。
  6. 大津留温

    大津留説明員 私、今月一日付をもちまして住宅金融公庫総裁を拝命しました大津留でございます。よろしくお願いします。  ただいまの御質問でございますが、十万戸の追加に対してこれが順調に消化できるか、その見込みはどうかということでございますが、今月の十七日から受け付けを開始いたしました申し込み状況は、いま途中でございますけれども、順調に申し込みがございまして、恐らく締め切り時におきましては、七万五千戸の一般住宅貸し付けに対しまして十万戸を超す申し込みがあるんじゃないかと推測されます。  それから次の、この住宅建設がいわゆるミニ開発などの住環境を悪化させるような建て方をするんじゃないかという御指摘でございますが、そういう懸念がありはしないかということを私どもも常に心配しております。しかし、この住宅建設都市計画法建築基準法その他の建築関係法令に適合した建築に対してのみ融資されますので、審査に当たりましてはそういう点を十分審査いたしまして、いわゆる弊害の生ずるようなことのないように一層配慮してまいりたいと思います。
  7. 大塚雄司

    大塚委員 続きまして住宅公団総裁にお伺いをしたいと思いますが、御承知のように、公団空き家の問題で大変頭を悩ましてこられたところであります。要は、住宅政策都市計画整合性についてかなり問われるところもあると思うのでありますが、戦後三十年、郊外開発かあるいは都心開発かというような論議のある中で、今後この住宅供給はどういう方向を志向していくべきかというようなことを踏まえまして、あのような事態が今後起きないようにするためにはどういう方向を志向するべきか、御所見がありましたらひとつお述べをいただきたいと思うのであります。
  8. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 お答えに先立ちまして一言ごあいさつ申し上げますが、十月一日に就任いたしました澤田でございます。何分よろしくお願い申し上げます。  ただいまの御指摘のように、住宅公団は現在非常にむずかしい局面に立っております。そのときに就任いたしまして、その責任の重大性を痛感いたしておるのでございますが、御指摘のように、未入居住宅問題あるいは長期保有土地の問題あるいは家賃改定の問題等重要問題を多数抱えておるわけでございますが、一つ一つにつきまして全公団を挙げてその解決に努力してまいりたいと存じております。今後の心構えといたしましては、国民住宅に対しまする需要、ニーズを徹底的に調査いたしまして、それに即応するような姿勢で前進をしてまいりたいと存じます。  住宅あるいは宅地供給についての公団の使命はますます重要であると私は感じております。全力を挙げて努力するつもりでございますので、よろしく御鞭撻をお願い申し上げます。
  9. 大塚雄司

    大塚委員 公庫総裁からは、ともかく環境良好な住宅を供給するために努力をされる、また公団総裁からも、国民ニーズをよく調査してこのような空き家等が起きないような御努力をされると前向きに御答弁をいただいたのですが、要は、私は、公庫公団の実際の事業部門というよりは、何といってもやはり国土庁の近く発表されるであろう三全総という大きな土台の上に立って建設行政適確に行われていくことが基本であろうと思うのであります。  そこで、国土庁の方にその三全総につきましてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  十一月一日答申予定、そして閣議決定、かなり煮詰まっておると思うのでございますけれども、その中身につきまして若干私調査をいたしましたけれども、いわゆる旧全総、新全総、三全総と比較をいたしますと、新全総と三全総相違といいますか、余り大きな相違点というのはないような感触でおるわけです。もちろん新全総におきましても、今回定住構想というような打ち出し方がされておりますけれども、これ以上大都市集中をさせない、そして地方開発するという基本的な方向は変わっていないようでありますが、ここで閣議決定前でありますけれども、大筋のいわゆる新全総と三全総相違点についてお答えいただけましたらお願いをいたします。
  10. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、昭和四十四年につくられました新全国総合開発計画見直し作業と五十年の十二月閣議決定されました三全総概案といういわゆる長期展望作業、この二つを基礎にしてこれまで三全総作業を進めてまいったわけでございますが、八月の末に国土総合開発審議会に、国土庁試案としていま審議をしていただいている段階でございます。十一月の一日にさらに審議会を開いていただいて、政府試案を諮問して答申をいただきますならば、できるだけ早い機会に閣議決定したい、こう考えておるのでございます。  三全総の概要でございますが、期間としては大体十カ年という期間を考えております。それから、経済前提は五十年代前期経済計画に沿いまして、昭和五十年代を六%平均成長に見まして、六十年代はそれよりも低い成長前提としております。そこで、この開発方式でございますが、第一次計画の場合は拠点開発方式だったのでございます。第二次、いわゆる新全総においては大規模プロジェクト方式をとっておるのでございますが、三全総人口定住構想というものを開発基本といたしまして、全国に二百ないし三百の定住圏をつくろうというのがその構想でございます。  そこで、新全総とそんなに変わりはないじゃないかということでございますが、新全総は御案内のとおり全国交通通信ネットワーク形成ということが第一でございます。それから、工業全国的な再配置、新しい地方都市建設というのが軸になっておりまして、それで日本列島改造をする、あわせて過疎過密を抑制しようというのが目標のようでございますが、三全総は、先生案内のように、水資源、食糧、エネルギー、いわゆる国土資源有限性というものを基礎にし、さらには安定経済成長というものを基本にして、国際情勢変化あるいは国民意識変化等社会経済の推移を前提にしながら、新しい文化的な人間居住の総合的な環境形成を図るために定住構想をつくるということでございまして、総合的な環境というのは、いわゆる自然環境だとかあるいは生活環境を総合的に調和のとれた環境をつくろうということでございます。そこで、これを実現するためには、まず地方に雇用の場をつくらなければいかぬということ、それから住宅あるいは生活圏の確保あるいは文化、医療の水準を高めるということを基本的な目標といたしているわけでございますから、そういう点において新全総との大きな開きがあるのじゃないか、かように考えております。
  11. 大塚雄司

    大塚委員 いまお話がありましたように、余り変わりがないじゃないかという部分につきましては、新全総は言うなれば百八十キロで走る新幹線であって、今度の三全総の方はややスローダウンをしながらもやはり定住圏をつくっていくということは、大都市集中を避けると同時に地方開発をする、そういう基本的な構想は新全総と余り変わりない、私はこういう意味で申し上げたわけです。  そこで、新全総、三全総も含めまして、特に私はこの総合開発計画というものの位置づけというのが大変に問題だと思うのであります。これが、ある意味では指標的なものなのか、実際にこれは計画として実行する土台になるものであって、それではそれにはどういう手だてがあるのか。確かにある意味ではお題目的な感じがしないでもない。むしろ私は、この計画というものは着実に実行されるという方向を見出すことがいま一番大事であって、そういう意味から、あるいは精神規定的なものの域を出ないのだとか、それからまた地方公共団体意見など聞きますと、あれは国がつくったものだからわれわれは国から言ってくれば協力すればいいのだというような認識の程度であって、どだい計画というものは、むしろ地方公共団体を初めとする最近の住民パワーのああいう動きを見ましても、もっと下から積み上げてくるという姿勢がないといかぬと思うのでありますが、何かいままでの総合開発計画は国と各省と連合してつくりまして、そしてそれを下へ流すというような傾向がなきにしもあらず、どうやったらこれが実際に実行できるかという点につきまして、まあ指標というような方向なのか本当に計画として定着をさせる方向なのか、その辺の御決意のほどを伺いたいわけであります。
  12. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 三全総策定に当たりましては都道府県の知事さんあるいは市町村長のアンケートをちょうだいいたしまして、それを基礎にしながら参考にしながらこの三全総策定作業を進めてございます。三全総が幸いにし国総審答申をいただきますならば、閣議決定いたします。この閣議決定は、私はある意味では開発の憲法のような姿をつくるのじゃないかと思いますので、関係省庁がこの三全総の向かう方向について目標について十年間積極的に進んでまいりますならば、必ず私は日本過疎過密状況が解消されまして、住みよい文化的な人間居住の総合的な環境がつくられるものと思うのでございます。  そこで、具体的には三全総がつくられますと、いわゆる北海道開発計画であるとか沖繩開発計画であるとかあるいは首都圏近畿圏中部圏等地方開発計画がございます。この開発計画を三全総に沿うた改定をいたします。さらに、何としても地方公共団体の協力をいただかなければなりません。ですから、これまでと違いまして地方公共団体が積極的に主体になっていただく、そうして地方公共団体が進められた一つ計画に対して政府が御援助を申し上げるという形が、私はこの三全総をより一層促進させる基礎になるであろうと考えますので、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  13. 大塚雄司

    大塚委員 指標ではなくて、もちろん計画を実行するものであると……。  そこで私は、最近この十年間くらいの住民パワーの実態というものを検討する必要があると思うのであります。いまもうどんな事業もその壁にぶつかりまして、公共事業が進まない。その背景には、もちろん住民意見を尊重するという姿勢は大事ですけれども、あるいはその計画決定する段階で十分に住民の納得をとっていない。特にたとえば成田空港もそうですし新幹線もそうでございますし、それから一つの小さな建築を取り上げましても、ともかく事業化して予算をつけてからとまっている期間というのは大変に長いわけであります。しかもいま行政整理を含めて財源を大事にしなければならぬときに、たとえば用地を取得して、そして事業が進まないままにいたずらに金利がかかっているような土地なんというようなものは、もう大変膨大にある。その累積をしたら何兆円というものになろうかとぼくは思うのですが、こういうものは一気に解決できないにしましても、欧米の都市計画などを見ますと、とにかくそういう支出が伴わない、計画段階十分意見を尽くして、そして事業化をするときには全く事業だけにするということが、本来の都市計画事業であるというふうに私は思います。どうもわが国の場合には、計画は、システムだけはちゃんとしますけれども、さて事業化すると反対に遭う。こういうものを解消することがないと、せっかくの三全総も、地方公共団体を中心にしておやりになるというけれども、実行できないのではないか。そういう意味におきまして、都市計画法とかいろいろな事業法もありますけれども、都市計画決定というものをもっと権威あるものにし、そしてそれがもう二度と改正はできないというところまで煮詰めて、それから予算をつけていくというような習慣をつける必要があると思ううのでございます。その件につきましては建設省関係が深いのでございますが、そんなことにつきまして御見解がありましたらひとつお答えをいただきたいと思います。
  14. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  都市計画と三全総なりあるいは住民パワーとの関係でございますが、まず三全総との関係につきましては、現在の都市計画法では十三条の条文がございまして、上位の計画がある場合には都市計画はこれに適合するようにしなければいかぬということで、その中の一つとして全国総合開発計画が載っておりますので、これが決まりました暁には当然これに従って都市計画を進めていくということになろうかと思います。  そこで、先ほど、たとえば住民意見をうまく都市計画の中に取り上げていくべきではないか、こういうお話でございますが、現行都市計画法では、前の都市計画法と違いまして、御存じのように案の段階公聴会を開きますとか、あるいは案の段階で縦覧をして住民意見を聞いて、さらにそれを都市計画地方審議会にかけて決定をする、非常に丁寧な手続をやっておるわけでございます。したがいまして、その限りにおきましては都市計画は権威があるものというふうに考えております。  ただ、いかんせん情勢がいろいろ変わってまいります。たとえば人口も非常にふえてくるあるいは土地利用も変わってくるあるいは業種別就業人口中身も変わってくるということになりますと、いたずらに前の都市計画をいつまでも固守しておるということになりますと、かえって硬直的になりますので、現在は五カ年ごとに都市計画基礎調査をいたしまして一応見直す、こういうことで情勢変化におくれないようにしょっちゅう都市計画を見直していこうというような体制になっておるわけでございます。
  15. 大塚雄司

    大塚委員 局長の御答弁で、確かに、私は住民意見を吸い上げるシステムがないとは言っていないのですけれども、どうもそれがセレモニーだけなんですね。たとえば都市計画地方審議会にかけるまでの段階でまず住民意見を聞かなければいけない、それからまた都市計画決定したもの、これがいまの法律ではオールマイティーではないと思うのですね。もちろん変更もできるし、またその都市計画決定をしたものを事業化する段階で実際に反対が起きている事実を、すべてがそうですから、もう少し都市計画決定というものを、事業に入る直前でもう反対ができないところまで煮詰めるような、これはなかなかむずかしい問題だと思うのですが、現行法で確かに形はありますけれども、あるいは運用が悪いのか行政指導か悪いのか、ともかくどこに行きましてもそういう事態ばかりですよ。だから事業が進まないし、今度予算を幾らつけても、さっき公庫総裁は倍率がたくさんあるとおっしゃったけれども、ぼくが大変不安を持っているのはその辺に問題があると思うのです。こういうものを進めていくのにはどういう手だてを考えるか、建設省でどんなことをお考えになっているのか、お伺いをしたいわけです。
  16. 中村清

    中村(清)政府委員 都市計画事業に限って申し上げますと、法律では必要があれば事前公聴会を開くというようなことになっておりますけれども、たとえば市街化区域あるいは市街化調整区域、いわゆる線引きをする場合には必ず公聴会を開きなさいというような指導もいたしておりますし、できるだけ住民の方々の御意見を伺って事前調整を済ませて、後の手続は余り重きを置かないといいますか、むしろ前段階でほとんど実質的なことは終わっているということにできるだけするように、公共団体指導いたして、おります。
  17. 大塚雄司

    大塚委員 この問題やりましてもなかなか平行論でだめだろうと思うのですが、時間がありませんので、特に、いま一番大事な住宅政策方向についてお尋ねをしたいわけであります。  郊外開発都心開発かということについては、もう三十年来のいろいろな課題であります。私は二十年ぐらい前でしたでしょうか、自分の書いたものにもあるのでありますけれども、郊外をどんどん開発していくということは、結果においてはいわゆる直接的公共公益施設のほかに、鉄道であるとか病院であるとか学校であるとか、そういうような直接的でないものの投資が多くなる。都心の再開発は非常に金がかかるけれども、郊外は戸当たり単価にすれば大変安い。しかし、そういうところに水が流れるようにやっていくと、将来必ず問題があるということを言ったことがあります。事実いまそういう事態になりました。しかし、景気回復もやらなければいかぬ。しかも郊外公団にしては未利用地、民間では大変な市街化調整区域土地を取得して持っておる。こういうものをふるい起こすということが一つの景気回復だという、理論といいますか意見も私はわからないではないのですけれども、さて都市づくりという大きな観点から、たとえば三全総を踏まえての考え方からしますと、これ以上郊外住宅をつくっていくことがいいのかどうかということは、私は大変疑問を持たざるを得ないわけであります。  ともかくそういう観点から、市街化調整区域を外して市街化区域にするというような方向もぼちぼち出だしているのですけれども、これは大変基本的な問題で、郊外をやるべきか都心をやるべきかという両論をある程度方向づけしませんと、また未来に大きな公共負担を強いられる結果になって、決していい環境のものはでき上がらない。そういう観点から、郊外開発都心開発かという二つの意見に対して、これからどっちを志向していくべきかということについて御意見をいただければありがたいと思うのです。
  18. 中村清

    中村(清)政府委員 郊外開発か市街地の開発か、これは非常にむずかしい問題だと思います。どちらか一方に偏しましても非常に問題があると思います。私どもは両々相まってということでなければいけないと思いますが、先ほど市街化区域、いわゆる線引きのお話が出ましたけれども、たまたまいま線引きの見直しをやっておる時期でございますので、御参考までにその状況を申し上げたいと思います。  実は線引きにつきましては全国で約三百十くらいの都市計画区域、現に線引きをいたしております。そこで、先ほど申し上げましたように、大体五年ごとに都市計画基礎調査をやっておりますから、それに基づきまして変更の必要があれば速やかに変更しろということになっておりますけれども、昭和四十六年以前にいわゆる市街化調整区域、線引きをいたしましたものにつきまして、これは約二百八十区域ほどございますが、現在見直しをいたしております。見直しの際の基本的な考え方なりあるいはバックグラウンドといたしましては、前回のいわゆる線引きをいたしました際、前提といたしまして人口のフレームを想定しておりますが、そのときと現在とで人口の想定規模がそう変わっていない、余りふえていないという状況が背景に一つございますのと、市街化区域の中で農地、山林、いわゆる将来開発可能地といいますか、そういうのが相当残っております。したがいまして、私どもの想定といたしましては、今後見直しをするにしてもそんなにたくさん市街化区域の中に入ってくるということにはならぬであろう。現在約二十八区域ほどすでに線引きの見直しを終っておりますが、大体の傾向といたしましては数%程度市街化区域に入っておる。従前の市街化区域プラス数%、そういう感覚でございます。
  19. 大塚雄司

    大塚委員 見直しを幾らされましても、現実の姿からしますと、住むスペースということは別としまして、戸数につきましては大体充足はできた、今度は質的向上だという、住宅政策の転換が迫られておるわけです。ところが、依然として公営住宅は何戸建てなければいかぬとか、そういうことが一つ住宅政策だという長い歴史があるものですから、ついそうならざるを得ない。そうすると、土地がないということになれば、安いところで簡単に建てられそうな、しかも戸当たり単価が大変安くできるようなところをつい選びがちなことはわかるのですけれども、ともかくいま東京の問題で言えば、いわゆる二十三区の中とか、あるいはその少し周辺あたりでも、マンションを建てようとしますと日照問題で建たない、反対に遭う。それで結局ミニ開発になる。都市としてはあるまじきことがずっと続いておるわけですよ。そういうことを考えますと、私は郊外開発をいかぬとは言いませんけれども、将来、公団空き家の二の舞のようなことが民間でまた行われるということになったら、これは国家的損失になる。既成市街地の中で環境の劣悪なところもずいぶんあるし、しかも防災という観点からしましても、生命を守ることも大事だし、財産を守ることも大事だということになれば、やはり既成市街地でのいわゆる改造、再開発というものをやって住宅供給をしていくということを考えていかなければいかぬのじゃないか。しかし、そういうことになると大変むずかしいというので、これは建設省は直接やっておられないからなんですけれども、地方公共団体みんなこれは避けて通るわけですね。しかし、そうだけれどもノルマは果たさなければならないというので無理をする。  最近では、御承知のように公営住宅の払い下げという問題も一つの大きな課題になっていますね。公営住宅の払い下げというのは、特に鉄筋でなくて木造の方を言うと思うのですが、あれも、払い下げれば恐らくそのままミニ開発と同じような状況で続いていってしまう。土地の有効利用ができない。そういうことも踏まえながら、どういう道を選ぶべきかということ、いわばこれからは郊外開発じゃなくて、既成市街地の整備をしながら環境をよくし、そして防災対策をやっていくんだという一つの柱と姿勢を持たないと、これは言うべくしていつになってもできない。  それは特に新全総と三全総を見ても、都心部における高層立体化というのが新全総に書いてありますし、また三全総にも、表現はちょっと違うけれども同じことが書いてある。しかし、具体的に何をやるかといったら、再開発法という法律でやります。あるいは総合設計制度だとか特定街区だとかいう制度はあっても、実際に運用されないのです。もっともっとやればいい環境のものはできるし、多少戸当たり単価が高くても、二時間も通勤にかかるところよりは多少高くてもそういうところに住んで、若い人たちのエネルギーを十分仕事に反映をしていくということも一つ方向だと思うのですね。そういう手だてが大変少ないのですが、その辺について、もっとこういうことをやればできるのだというようなものがないのかどうか。まあ、前回もやって努力をしますということと、そういう方向でやりますということはわかるのですよ。しかし、住宅金融公庫の融資にしても、なるべくなら共同のものには大きなメリットを与えるとか、それから都市計画諸法の中で、たとえば共同化をしたら容積の割り増しをやるという総合設計制度だとか、特定街区の制度をフルに活用すれば、皆さんはそっちの方を選ぶはずなのですね。そこへの誘導が大変にまずいと思うのですけれども、その辺どうでしょうか。
  20. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ただいま先生お話にございましたとおり、確かに従来、住宅につきましては絶対量が不足した時代がございました。その時代には確かに戸数主義と申しますか、そういうところに重点を置いたことは事実でございます。しかし、最近におきましては、これも先生お話にございましたように、特に第三期五カ年計画等におきましては、すでに住宅戸数が世帯数を上回りました四十八年の住宅統計調査、それから今後の住宅需要の動向、国民の要望等を踏まえまして、住宅の質の向上に重点を置いて作成しております。したがいまして、それを着実に実行する。その際に当たりまして、先生おっしゃいますように、都心郊外かという問題もございますけれども、市街化区域内の開発でございますと、当然私どもは両面の保護が必要であろうと考えております。御指摘のとおり、そういう場合に都市計画と十分な整合性を持たなければならぬということは当然でございまして、その同じ趣旨が、閣議決定によります今度の五カ年計画を推進するためにとるべき施策の中に明瞭に書いてございます。そのような方向で今後努力してまいりたいと考えております。  それから良質な民間住宅の援助については、先生おっしゃいますように、公庫の応援等を大いにいたすわけでございます。特に特定街区だとか総合設計等を積極的に進めろということでございますが、現在までのところ、特定街区では五十一年の三月末に五十五街区でございます。それから総合設計も、六月末でとりますと百一件という状況でございまして、必ずしも多くはないわけでございます。  今後、これからの制度の積極的な活用策といたしまして、いままでもやっておりますけれども、通常の容積率制限以上の一定の容積の緩和を認める。それから日本開発銀行、住宅金融公庫等の政府系金融機関による融資をふやしていく。それから、特に特定街区につきましては、特別土地保有税を免除するということがもうすでに始まっております。これも今後の税制の中で御検討いただくわけでございますけれども、総合設計につきましても、五十三年度税制改正では、特別土地保有税の免除を私ども要望しておるわけでございます。なお、総合設計につきましては、十一月一日から施行いたします改正建築基準法の中でも、従来のばらばらのものをまとめまして明瞭な位置づけをいたしまして、今後推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  それから公営住宅の払い下げの問題等もございましたけれども、過去におきます公営住宅の払い下げ方針を、昭和五十年に過去の通達を一切廃止をいたしまして、現在新しい通達一本にいたしております。その思想といたしましては、大都市等におきましては、大都市地域の市街化区域の中では原則としてまず建てかえを検討する。それから、その場合にもやはり公営住宅の管理計画をつくっていただく、そしてその計画の中でいろいろなものを進めてもらう。それ以外の都市につきましては、原則として地方公共団体の皆さんの御意見を尊重するというスタイルでまいっております。  それで、大都市で特に建てかえをまず第一に検討すべきだと申しますのは、土地の高度利用を念頭に置いておるからでございます。したかいまして、最近そういうようなことにつきまして、東京、大阪等では一件も払い下げは行われておりませんけれども、払い下げを受けたい皆さんの方から最近大臣のところにも陳情がございまして、われわれで土地の高度利用を図りたい、そのための払い下げはどうかというような提案もございます。こういうものについては、現在前向きに検討しておるところでございます。
  21. 大塚雄司

    大塚委員 方向としてはよくわかりますが、最近東京都内で、筑波移転の跡地だとか、そういうようなものの利用について各種各様の方がいろいろな陳情をしておりますね。これも相当な巨額をかけてせっかく移転をし、またそのほかにも工場跡地などの買収をしてずいぶん空地ができたのですが、この跡地利用がどうもある意味では、都心住宅をというと、そこへ住宅を建てたらいいじゃないかというような御意見もかなりあるわけです。少なくとも緑をふやさなきゃいかぬ、環境をよくしなければならぬという意味では、住宅を建てるなんというのはもちろんのこと、せっかく移転したところへまた同じようなものを持ってくるのはとんでもない話で、どうもそういう意味での利用計画が個々ばらばらで、その跡地だけにスポットを当てて物を判断する傾向がなきにしもあらずです。  そういうものも踏まえまして、結局はやはり既成市街地の密度の低い木造住宅部分の、しかも相当老朽化した、安全を図らなければならぬところというのは東京じゅう至るところにある。大阪にも至るところにある。そういうところでいま局長がおっしゃるような制度、補助金を出す、あるいは税制によって援助をする、あるいは官民一体の再開発をやるというような方向で、どうしても特定街区や総合設計が業務施設に使われてきたということをここでやめなきゃいかぬ。むしろそうじゃなくて、住宅地でもってそういうモデルを一つか二つ、住宅公団もそういうことをお考えでしょうから、これこそ目玉になるようなものをつくり上げて、これが本当の都市づくりの住宅供給の姿だというものをつくれば、国民は納得して、なるほど、そういうことに転換しようじゃないかというコンセンサスが生まれてくると思うのですね。  ところがどうもそういうことが、いままで三十余年たって、いまだにマンションが建とうとするとそれが反対されてつぶれて、そこが今度は三十坪か五十坪に切られて、そうしていわゆる建て売りが建つ。こんなことをしていれば、東京が本当によくなるのかじゃなくて悪くなることはもう目に見えるようである。しかも防災上の観点からすれば、こんなに人口過密なところにいわゆるたき火のつけ木になるような住宅をまだまだ建てている。もう二十一世紀になろうというのに、これは余りにも方向が違うんじゃないかと私は思うのですね。  そこで私は、そういうようなことを誘導していくという観点からすれば、むしろさっきの基地跡地だとかあるいは移転跡地とかいろいろありますけれども、そういうところでやるんじゃなくて、多少時間はかかってもそういう既成市街地の木造住宅部分の中でやれば、恐らくそこに住んでいた方が、小さな箱庭のような庭に住んでおる人たちが広大なオープンスペースを得、多少立体化をしますから、住むところは上になるかもしれぬけれども、それだけ容積が伸びて戸数がふえる、そして、容積が伸びた分でそういうオープンスペースとか公共施設の一部を負担していけば、そんなにお金がかからなくても住宅供給ができる。郊外にどんどん建てていって、将来また何百億という投資を強いられるようなことをやるよりは、そういう二とを一刻も早くやるべきだという見解を私は持っておるわけなんですが、その点について、もう一度お答えいただきたい。
  22. 国塚武平

    国塚政府委員 ただいま筑波研究学園都市建設に伴います移転跡地のお話がございましたので、私から状況を簡単に御報告いたします。  御案内のように、昭和五十四年度概成を目途といたしまして、現在筑波研究学園都市の研究諸施設の建設を進めておるところでございます。先生仰せになりましたように、移転機関の跡地利用の問題がございまして、跡地のある移転機関数は二十七ございまして、跡地面積は三百四十ヘクタールでございますか、現在、大蔵省におきまして国有財産中央審議会の中に筑波移転跡地小委員会を設置いたしておりまして、そこで先生が仰せになりましたような趣旨に適合する形で利用方針を定めていくということで検討を進められております。  私ども、昨年首都圏基本計画策定いたしましたが、その中におきましても、この移転跡地の利用につきましては、先生がおっしゃいましたような趣旨に基づいて、都市環境の改善なり安全の確保に配慮して定めるようにいたしておりますので、今後ともそういう方向努力してまいりたいと考えております。
  23. 伏木和雄

    伏木委員長 答弁は、簡単にお願いします。
  24. 大塚雄司

    大塚委員 私は跡地利用のことは一つの例として持ち出したので、お伺いしているのは違うのです。  もう時間がありませんから端的に、できればひとつ建設大臣、長官から、最後に締めくくっていただきたい。  もうすでにアメリカのニューヨークでは、HQゾーニング、ハウス・クォリティー・ゾーニングというのかあるのですね。中高層住宅街をつくるために、ともかく東京の特定街区あるいは総合設計と同じように、一つの区域でそういう理想的な建築をする場合にはインセンティブゾーニング、おみやげをやってやる制度もやっています。この大東京でそういうような例をぜひひとつやってほしいということも申し上げておるわけなんで、やはりこれからは公団空き家の例もいい例として——私は公団とか建設省が悪いとかいいでなくて、政治家自体がこれからの住宅政策をどうするかという大きな観点から考えれば、大都市の非常に環境の悪いところをよくしていくことに力点を置くべきだと思うわけです。そんなことも踏まえまして、最後に両大臣に締めくくって御答弁をいただけましたらありがたいと思います。
  25. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先生はこの方の体験者であって、私はよくあなたのお気持ちがわかる。現在のままに放置していいのか、私はそれでいいという考え方を持っておりません。したがって、ただいまの持ち家住宅にいたしましても、東京、大阪、その他都市を将来もこのままで置くわけにいかないだろう。やはり高層住宅によって確保されなければならない。  なぜならば、私がいまここで申し上げるのはおかしいけれども、全国土の三十七万平方キロメートルを一〇〇としますと、山地、山岳地帯、それから火山だとか火山のふもとだとか全部合わせて七六%がとられてしまう。残りがわずか二四%である。その二四%の中に農地がとられている。河川にとられていっている。そういうようなわずかしかない人間の住む平地の中において、このままの姿で行けるとは考えていないのです。そこで本当に思い切った将来の構想はいまわれわれが企画をしていかなければならない、あらゆる角度から考えていかなければならないと思うのでありまして、ぜひひとつ深い御体験を持っているあなた方が中心になってそういうような大構想を立てていただきたい。われわれはそういうふうに望んでおりますし、私たちもそうしなければならぬという考え方を持っておるものでございます。
  26. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 三全総の中にも、またそれを受けての首都圏整備計画の中にも、先生の御指摘の面が十分織り込まれておるのでございます。ですから、これまでの市街地をより再開発することが非常に重要だと思うのでございます。  現に、亀有のあの地域が高層化されることによって、その周辺に緑と広場ができたということなど、またそこに住まっている方々の生活内容も非常に豊富になっていることなども見てまいりますと、都市近郊の開発も必要でございますけれども、それ以上に既存の市街の都市開発を大きな関心を持って見ていかなければならない。そのためには調整に対しての大きな努力計画性が必要であるということは御指摘のとおりでございますので、今後一層努力をしてまいりたいと考えております。
  27. 大塚雄司

    大塚委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  28. 伏木和雄

    伏木委員長 これにて大塚君の質疑は終了いたしました。  続いて、瓦力君。
  29. 瓦力

    ○瓦委員 今日、大変長い不況下にあるわけでありまして、かつての一過性のような不況と違うわけでございます。さきの八十国会におきましても公共事業施行促進の問題について当委員会でもいろいろ議論のあったところでございます。同僚議員の渡辺委員質問に対しまして、建設大臣は確信を持ってお答えをするということで、上半期の契約率七一・六%を達成することをお約束されたわけでございますが、この効果につきまして大臣にお伺いをしたいと思います。  昨日、上期は七四・一%の契約率と非常にすばらしい成績を上げたという評価でございますが、この感想も含めて大臣からお伺いをいたしまして、内容につきましては官房長から若干伺いたい、かように存じます。
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 建設省の所管事業の上半期の契約率は目標が七一・六%でございましたけれども、七四・一%で二・五%上回っており、きわめて順調な歩みをしていると考えております。この結果、公共工事の前払いとか、保証実績が大きく増加していること、また官公庁の建設工事の受注額か大中小とも増加している。最近は、セメント、アスファルト、こういうような資材、特にまたダンプカーのようなものまでも、市場の一部の建設資材とかこれを運搬するものが非常な売れ方をしているということでございまして、私はこの姿を見て、まあまあ自分たちが考えている方向づけがいまやっと乗ってきたなというように考えておるところでございます。さらにこれらにつきましては、この工事の促進に対して全力を尽くしてまいるつもりでございます。
  31. 瓦力

    ○瓦委員 恐らく大臣の心境とすれば、昨日の日本シリーズみたいなもので、河埜のようなホームランは大変厄介な情勢でございますから打てないが、福本のように確実に送ってはおるというような御心境ではなかろうかと思うわけであります。  さらに公共事業につきましてはその効果が上がるように御配慮を賜りたいとお願いを申し上げまして、官房長にお尋ねをいたしますが、大臣の御答弁に加えて、内容について御答弁をいただきたい。
  32. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 前倒しの契約促進につきましては、いま大臣からお話申し上げましたように、七四・一%の目標を上回る契約を得たわけでございまして、これは目標率に対して二・五%上回っております。さらに、昨年の上半期の契約は六七・四%でございますので、それをさらに六・七%上回っておるわけでございまして、われわれといたしましては、今回の補正措置により、現在の目標の対象予算現額は四兆二千八百億が四兆六千六百八十億にふえたわけでございますか、さらに年度内の完全消化を目指して努力をするつもりでございます。  さらに、大臣からお話ございましたように、前払いの保証実績も、八月におきまして前年同月比四八・二%増、九月で三八・四%増となっておりますし、また官公庁の建設工事の受注を見ましても、大手四十三社八月で前年同月比四二%増、中小四百六十五社、これは七月までしかできておりませんが、二九・四%増というふうに大幅な伸びを示しております。  また、資材につきましても、セメントにつきましては、九月速報で前年同月比で七・二%増、小形棒鋼で八月速報で、八月期で一一・四%増、アスファルトにつきましても一三・八%増となっておりますので、建設工事の着工及び資材の荷動きにつきましては、予想どおりの動きを示しておると考えております。
  33. 瓦力

    ○瓦委員 さて、先般補正が成立をしたわけでございますが、追加の公共事業、これがこれから進んでまいるわけでございますけれども、予測される経済効果に加えて、前倒しでやってまいったわけでございますので、また問題点も多少持っておるかと思いますが、この状況についてお尋ねをしたいと思います。
  34. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 今回補正予算が成立をいたしまして、また十月の初めに決定されました総合経済対策が動いてまいるわけでございます。まずその効果についてのお尋ねでございますが、最初に所管事業から御説明申し上げたいと存じます。  建設省関係の、今度補正によりまして追加されました公共事業は、事業費にいたしまして四千四百七十七億円でございます。これは当初予算の当省所管公共事業に占める用地補償比率が二五%であるのに対しまして、今回の補正に係る用地補償比率は五・四%でございまして、純粋の事業に投入をされていくという意味において、非常に効果の高い事業が行われるものと考えております。  さらに、補正予算による当省所管の公共事業に必要な資材の所要量でございますが、セメントが約百六十四万トン、鋼材か約四十七万トン、木材が約十八万トンでございまして、さらにこれによって雇用される労働者の延べ数でございますが、約千四百四十万人目と見込まれておるわけでございます。  このように公共事業の実施によりまして直接に資材需要が増しますし、労働者の雇用量もふえてくる、その意味の直接的な効果が非常に大きいものと考えております。  なお、総合経済対策二兆円の実施による経済効果でございますが、経済企画庁の試算によりますと、年度内に大体一兆五千億か一兆六千億の需要創出効果が見込まれまして、これによりまして経済成長率六・七%は確実に達成されるというふうに言っております。  なお、この二兆円の効果は五十三年度にも及びまして、五十三年度まで見ますと、五十三年度前半までに約三兆円の需要創出効果があるというふうにされておるわけでございます。  なお、前倒しによる問題点という御指摘でございますが、確かに所管公共事業につきまして前倒しの結果、下半期の建設業の受注量が若干減るという問題がございます。当初われわれが補正予算を組むに当たりまして、前年度の下半期の工事量よりも上回る事業量を確保したいというような感覚で折衝をしてまいりました。それはあくまでも七一・六%ということを前提としておったわけでございますが、七四・一%に達しましたので、結果としては若干前年度より落ち込むことになると考えられます。ただし、これを九月から考えてまいりますとかなりの増になるというふうに考えておる次第でございます。
  35. 瓦力

    ○瓦委員 官房長に要望をいたしておきますが、大変まだ景気も行き先不安な状況にあるわけでありまして、この公共事業の波及効果というものに多く期待をしておるわけでございます。用地費比率とかいろいろ足を引っぱるものがあるのではないか、小さい工事ばかりで大きいものが動いていないとか、いろいろさきにも議論があったわけでございますが、細心の注意を払ってその効果が上がるように注意深く指導をお願いしたい、かように存じます。  続きまして道路局長にお尋ねをいたしますか、都市周辺におきまして道路につきましての若干の議論があるといたしましても、この「社会資本の整備に関する世論調査」という総理府調査を拝見いたしますと、やはり道路に対する要望が非常に強いわけでありまして、われわれ、どちらかといいますと過疎地におる者にとりまして、この道路の問題というのは非常に関心が深いわけであります。  いよいよ八次の道路整備、これに取りかかるわけでございますが、まず現況に対する認識と、また道路に対する性格づけというものをしっかりしていかなければならぬときではないか。かように申しますのは、さきに行われましたIRFですか、また少しその問題につきましては後で勉強させていただきたいと思いますが、いろいろこうした問題も議題として持ち上がっておるようでございまして、道路の問題に対する認識についてひとつお伺いをしておきたいと思うわけでございます。お願いいたします。
  36. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  道路についての認識ということでございますが、まず整備の現況についてちょっと触れさせていただきたいと思います。  御承知のように、日本の道路というのは、第一次の道路整備五カ年計画昭和二十九年にスタートをいたしましてからここ二十二、三年の間、急速な伸びで整備されてまいってきたわけでございます。二十年前の状況と申しますと、国県道でも舗装延長かわずか一万キロに過ぎなかったような状況でございまして、その後五カ年計画を拡大改定を繰り返しながら第七次まで約三十兆ぐらいの投資をいたしまして、一応日本の道路というものは、当時の状況から見ますとかなり改善されたということは言えようかと思います。しかしながら、振り返ってその質的な面を考えてみますと、いままでの道路整備というのは、モータリゼーションの非常に爆発的な進行に追われて、道路が、とにかく車を通すスペースだけを何とか確保しようということで、車道の整備を中心にやってきた。それから舗装をなるべく延ばそうということで、舗装を進めてきた。そのために、舗装も場所によっては非常に簡易舗装的なものがほとんど大部分であるというような状況でございます。  そういうようなことを考えまして、概括的に見ますと、やはり質的な面、量的な面を考えまして、日本の道路の整備の水準は欧米の先進諸国の道路水準から考えますと、ようやくその半分の状況というふうに考えていいんじゃないかと思っております。これはどうしてかといいますと、やはり欧米諸国はこの自動車時代を迎えての車を通すための道路整備をすでに五十年前から始めておるわけでございまして、それに対して日本は戦後十年間、もうほとんど荒廃した道路の維持管理に追われて、ようやく三十年代に入って本格的な整備に入ったということで、その間スタートの点で三十年のおくれがあるわけでございます。したがいまして、この道路の歴史の差というものが道路のストックの差ということでそのままあらわれてきて、現状はそれがまだ半分まで解消していないというような状況ではないかと思います。  また、都会周辺においてかなりよくなったということでございますが、これも二十年前に比べるとかなり改善されたという点を相対的な意味で評価されているということだと思いますが、現実に数字を見てみますと、国県道の十六万キロの幹線道路のうち、その三〇%に相当する区間は、朝晩の渋滞で大変な混雑をしているというような状況でございます。日本の幹線道路というのは、全国の交通量の七〇%以上をこの幹線道路で支えているわけでございますが、その幹線道路がまだ半分も大型車が満足にすれ違えないというような状況は、この一事をもってしても道路整備の水準がどのくらいであるかということがわかるわけでございまして、そういうようなことから、ここ四、五年の道路予算全体が非常に抑えられたことの反動といたしまして、現時点では先生指摘のように、道路整備に対する強い要望が非常に大きく出てまいっております。  われわれはそういう事情を一応受けとめまして、次の第八次の道路整備計画ではおくれたこの道路整備をぜひ立て直すと同時に、従来にも増して環境対策あるいは歩道の整備、交通安全というような質的面に重点を置きながら道路整備の新しい計画をスタートさせて、地域住民の皆様の御期待に沿うように持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 瓦力

    ○瓦委員 三十年代の道路の必要性、四十年代、五十年代とこうやってまいりまして、いま局長が御指摘のように、生活環境の整備もひっくるめてひとつまた道路というものについて意欲を燃やしておられる、こうしたことを率直に受けとめるわけでございますか、この幹になる道路網、幹線も大事ではございますけれども、市町村道の整備というのは若干これはおくれておるということを指摘をしたいわけでございます。改良率が二四%というようなところにございますし、また舗装率を見ましても、欧米諸国に比ぶれば、これはもう格段に低いわけでございますので、市町村道の整備について局長からひとつ意欲を持って答弁を願いたい、かように思います。
  38. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、市町村道の改良率はまだ二四%ということでございまして、国道、県道等に比べて非常に低いわけでございます。道路整備は、御承知のように全体の道路網としては百七万キロあるわけでございますが、そのうちの八五%に相当します九十万キロが市町村道ということでございます。市町村道の整備、これは延長か長いだけになかなか大変なわけでございますが、道路整備の姿勢としましては、ちょうど大木の幹から大枝、小枝それから葉枝に至るまでの姿に相当するような姿で、幹の方からだんだんやっていくような形で従来道路整備が進められてきた。これはまた幹線道路の整備というのは、先ほど申し上げましたように七十数%の交通を支えているものですから、こちらの方から整備が先になるのはこれはやむを得ないわけでございますが、なかなかそっちの方の整備に追われて、市町村道の整備にまで手が回らなかったというのが実情ではないかと思います。  そういうようなことで、最近は特に市町村道の整備を、延びとしては延ばしてまいってきておりますが、第八次の道路整備五カ年計画策定に当たりましても最重点に取り上げて、諸施策を講じているところでございます。また五十三年度の要求においても、重点事項の一環として、日常生活の基盤となります幹線的な市町村道につきましては重点的な整備を進めることといたしまして、特に集落の生活基盤確保に必要な事業につきましては、新たに地方債を活用するというようなことによりまして、これに対する利子補給制度というような一つの新しい考え方を取り入れて要求いたしておりまして、これによって市町村道に対する整備のいままでの枠を大きく広げてまいりたいということで考えておりまして、この結果第八次の五カ年計画では、平均の延びが七次に比べて一・五であるのに対しまして、市町村道事業に関しましては二・五倍まで広げていくというようなことを考えておりますし、五十三年度の要求につきましても、市町村道の延びが一・七六ということになりまして、平均の一・二四よりもかなりオーバーしております。こういうことで、今後とも重点的に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 瓦力

    ○瓦委員 ぜひ、今度の緊急市町村道債の利子補給にも踏み込んでいただくわけでございますので、ひとつ市町村道につきましても格別の配慮を賜りたい。  先ほど来局長から財源問題について、財源が押さえられたり、なかなか経済動向によって思ったように進まなかったりした経緯をお話しになったわけでございますが、予算委員会の背景に、特定財源をめぐって若干エネルギー対策であるとか、また総合的な交通運輸対策について使うべしというような議論も出てまいっておるわけでございまして、これらの事業量を抱えますと局長、財源問題については格別の心配もあろう、われわれもこれを達成せしめていくためには、何とかしてこれは支えていかなければならぬ問題だというぐあいに考えておるわけでございますか、局長のこの財源に対する御心配についてひとつ率直に伺っておきたいと思います。
  40. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生指摘のように、道路の財源はガソリン税が中心財源になっておりまして、過去二十年間このガソリン税を大事に使いながら道路整備をここまで延ばしてまいってきておるわけで、その結果欧米諸国に比べてちょうど半分ぐらいの水準に追いついたというような状況だと思います。こういうようなことで今後もこのガソリン税、特定財源という制度を大事に守りながら道路整備を進めて、将来の生活基盤となる道路を一応の水準に持ち上げていきたいということが、われわれの正直な願望でございます。道路の特定財源は、御承知のように受益者負担という考え方から、道路の利用者に特別の負担を求めているものでございまして、そういう御理解の上で使っているというふうにわれわれは認識しております。  道路整備の現況は、先ほど申し上げましたように、一般国道、都道府県道等の幹線道路すらようやく四十数%の整備率に達したところでございまして、また質的な面でも、歩道の整備とか環境対策といったようなものが非常におくれておりまして、こういうものの一層の充実を図るわけでございまして、そういうようなものも含めまして八次の五カ年計画二十八兆五千億円の中で国費所要額は十兆になりますが、そのうち三兆というものはガソリン税、重量税等の特定的な財源以外に求めなければならぬ状況でございまして、そういうような実情から、今後ともこのガソリン税を大事に使って道路整備の水準を上げてまいりたいと考えているわけでございます。
  41. 瓦力

    ○瓦委員 これは大臣に決意を伺っておかなければならぬと思うのですが、先ほど来の局長答弁を聞いておりましても、まだまだこの八次の道路整備にかけての問題を抱えておるわけでございまして、財源の確保ということについて閣内でもいろいろ議論のあるところであろうというぐあいに思いますが、この問題につきまして多年取り組んでこられて人望の厚い長谷川大臣がこの聖域侵すべからずということでがんばっていただきたい、かように思うわけでございまして、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  42. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げたように、幹線道路でさえも四〇%、したがって市町村道になりますとまだ二四%という哀れむべき状態であります。こういう状態の中で、ガソリン消費税によって御負担をいただきながらこれまでやっとやってきたのでありまして、これをいま他に回すということはわれわれは考えておりませんし、またやってはならないと考えます。私もいままで石油というものとかれこれ二十七、八年取り組んでまいりました。今日になれば三十年以上取り組んでまいりました。そのときにも常に言っている。国が必要として民間業者に命ずる場合は国が負担をするのが当然ではないか、なぜそれを拒むのだ、そうなったならばなぜ国はこれを命じたのだというふうに私は言ってきております。たまたまこの場に立ってみて、まさに私はいまもその気持ちは変わっておりません。石油というものの備蓄、貯油をさせるということになれば、国の命令でさせるということになれば、これは国が負担をするのが当然の義務でなければならぬというふうに考えます。私どもの方の特別税にまで手を出してそれを補うということは、私は許しがたいことだ、こういうふうに考えております。
  43. 瓦力

    ○瓦委員 大変頼もしい大臣でございますから……。  次に河川局長にお尋ねをいたします。  水の問題でございますが、この水需給の問題というのは私も大変関心を持っておりまして、分科会等においても質問をしてまいったわけでございますが、日本は雨量に恵まれる国でございます。よって自由財であるというような感覚で水をとらえておるわけでございますけれども、よく見てみますと、一人当たりではどうしても水の量が少ないわけでございます。まだまだ水の量は必要になってまいります。よって経済財であるというような考え方を持っていかなければならぬというぐあいにも考えておるわけでございますが、この水需給の見通しについて局長に御答弁をお願いしたいと思います。
  44. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいますように、水資源というものは非常に限られた資源でございます。と同時に、われわれ国民の生活にとって欠くことのできないものでございまして、建設省としましても五カ年計画また毎年の予算においても非常に重点を置いてやっておる次第でございます。  それで今後の水需給の見通しの問題でございますけれども、まず現状を申し上げますと、昭和五十年現在におきまして水の総需要量というのは年間八百五十億トンでございます。そのうち約四十億トンが暫定水利権といいますか渇水時には水がなくなるという状況でございます。すなわち渇水時には四十億トン水が不足するというのが現状でございます。それで今後の水需要の動向でございますけれども、経済の安定成長あるいは水使用の合理化によりまして需要の伸びはやや鈍化しております。しかしながら、やはり生活水準の向上、そういう観点からしましても依然として増加はしていくというふうに考えられる次第でございます。それからさらに、最近の地下水の過剰くみ上げによりまして各地で地盤沈下が生じておる次第でございまして、これに対処するためにもどうしても地下水を河川水、いわゆる表流水に転換していかぬといけないという次第でございます。これらのことを総合して検討してみますと、昭和六十年までに新しく必要となります河川水は百八十ないし百九十億トンと推定されます。  では、このような水需要の増大に対してどういうふうに対処していくかということでございますけれども、建設省としましては、一つは広域的にまた計画的に重点的に水資源開発を推進しておる次第でございまして、第五次治水事業五カ年計画におきましても、約四十億トンの水資源開発を実施したい。それから昭和六十年に対しましても約百七十億トンの水を開発したいというふうに考えてございます。  このように水資源開発を一生懸命やっておる次第でございますけれども、限られた水資源を有効に活用していくということでソフトな水資源対策も必要になってくるわけでございます。水使用の合理化、節水あるいは下水の再利用、さらに地下水につきましても、過剰にくみ上げるから地盤沈下するのでございますけれども、これを地下水涵養ができないか、そして地下水も貴重な水資源として活用していきたいというふうに、総合的な水資源対策によって今後とも対処してまいりたいというふうに考えてございます。
  45. 瓦力

    ○瓦委員 ダム建設のリードタイムというのは大体十年はかかるであろう、そしてダム建設というのも非常にやっかいな問題があるわけでございまして、いま局長お話のように五十年から六十年と、そうしますと、これは長期の見通しというよりももう身近な問題というぐあいにとらえていかなければならぬわけでございますが、どうも参考としてちょうだいしておりますが、このダム建設と供給量の確保について、まだ甘さがあるのではないかなあという心配が実はしてならぬわけでございます。よって、これから水問題について相当早目に手を打っておく必要がありまして、水源地域に対する手だて並びに関連するいろいろな問題につきまして、水資源開発公団ですか、こちらの方にもっと機能を持たせていくべきではなかろうか。多少、需要と供給の中でこれから先の供給について不安を感じておるわけでございますが、その点につきまして局長お答えを伺っておきたいと思います。
  46. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいますように、やはり水資源というものは十年先じゃなくて十五年あるいは二十年先、長期の見通しか必要だと思います。そのためには、まず第一点としまして、着工した水資源ダムを早く完成させるということで、地域住民の理解あるいは公共団体の理解を得られることが第一だと思います。そのために、水特法などによりまして水源地域の対策というものの万全を期しておるという次第でございます。  それで、今後の問題でございますけれども、やはり建設省としましては、一九九〇年というものを目指して水需要の実態把握あるいはその供給対策、そういうものを現在鋭意検討しておる次第でございます。
  47. 瓦力

    ○瓦委員 時間も相当経過をいたしましたので、省エネルギーの問題で住宅エネルギーの問題について二、三問質問をさせていただきたいと思います。  さきの八十国会におきまして当委員会でもそういう質問がなされたわけでございますが、今度私もアメリカへエネルギーの勉強にちょっと行ってまいりまして、非常に大胆な政策を講じておる、日本エネルギー源に恵まれないわけでございますので、これは積極的に取り組んでいかなければならぬ課題であるということを、身をもって感じたわけでございます。  現在手元にある資料を見ますと、民生用に使う比率というのは日本は先進国に比べまして低いわけでございますが、これから先を考えますと、どうしても民生用に使われる分野というのは広がってまいるわけでございますので、まず民生用のうち住宅用のエネルギー、これの消費の現状というものについて、資料がございましたらお示しをいただきたいと思います。
  48. 山岡一男

    ○山岡政府委員 手元に昭和五十年のわが国の全エネルギー使用量がございます。これは石油換算をしたものでございまして、三億六千七百万トンというようなことが出ておりますが、その内訳を見ますと、産業用部門が五七%、それから輸送部門が一二%、民生部門が一九%、その他が一一%となっております。民生部門が約二割を占めておるというのが現状でございます。これは住宅や一般建築が使うものを民生用と称しておるわけでございますが、諸外国は、いま先生おっしゃいましたとおり西ドイツ、イギリス、フランス等は約三二%、アメリカも三一%というようにいずれも三割強ということでございます。それから見ると、かなり低い割合になっております。  ただ、住宅エネルギーの消費は、民生用エネルギーの中では約六割を占めております。その民生用エネルギーの中の六割を占める住宅エネルギーの中の内訳はどうかといいますと、暖冷房用が約四割、それから給湯用が約三割というような数字になっております。これは近年のルームクーラー、セントラルヒーティング等の普及に見られますような生活水準の向上によるものだと思います。したがって、こういうことで生活水準は今後もどんどん高まっていくだろうということでございまして、今後も暖冷房用、給湯用等を中心に住宅用のエネルギーの必要な増加はますます高まってまいりまして、次第に欧米諸国のような消費構造に近づくのではないかというふうに考えております。
  49. 瓦力

    ○瓦委員 必要なことはお認めになっておられるわけでありますが、なかなか技術的な面で開発しようとすると——五十二年度には一千四百万の研究費しか使っておられないわけでございます。これで多くのものは期待できるであろうかということになりますと、まだまだこれは力を入れていかなければならぬ分野である。五十三年度におきましても、断熱材の利用であるとか、こういったことにつきましてさらに研究を進める措置を講じていかなければいかぬと思うわけでありますし、またアメリカのような形というのはなかなか困難といたしましても、私もこれも余りコンクリートで、断熱材で、二重のガラス窓でということになってエネルギーを使い過ぎるようになってもいかぬなという不安も多少ございますが、しかし、ソーラーハウスとかいろいろなことで研究の余地がまだあるわけでございますので、研究費の増額を期待したいわけでございます。また局長にはその意欲をもう少し持っていただくという意味で、もう時間がございませんので、そのあたりの御答弁をちょうだいして、終わりたいと思います。
  50. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在のところでは、たとえば北海道におきまして北海道防寒住宅建設等促進法というのができておりまして、公庫融資の場合の断熱基準の策定をしておりまして、償還期間の優遇、それから融資限度額の引き上げ等の措置を一部とったのがございます。それから工業住宅につきまして性能認定制度というのをやっておりますけれども、その中に断熱性能、保温性能等につきまして一級から五級のクラス分けをいたしておりまして、民間の方々がお使いになる場合に、省エネルギーの観点からも選択できるというようなことを進めてまいっております。  しかし、これでは十分でないわけでございまして、現在のところ建設省におきましては、建築審議会に「住宅等の建築物における省エネルギー対策の推進方策について」ということで諸般の問題について鋭意御検討を願っております。今後はこの答申を受けまして、これはなるべく早くいただくということにいたしておりますが、融資や減税等の優遇措置なども含めまして、具体的な措置を進めてまいりたいと思っております。  具体的に今後来年度等の問題につきましては、やはり予算の要求段階でございますので、各省折衝の上で予算を作成して御審議をいただくということに相なるわけでございますけれども、住宅関係につきましては金融公庫で割り増し融資をいたしたいと考えております。それから住宅以外の大規模建築物等の省エネルギー化の促進のためには、開発銀行、沖繩開発公庫、中小企業金融公庫等にそれぞれ最優遇金利による融資を行いたいということで御要望をお願いしております。それから税制上におきましても、住宅関係におきまして所得税、法人税、不動産取得税、それからいまの住宅以外の大規模建築物等につきましても、法人税、所得税等の特別償却等の税制措置も講じたい。さらに先生おっしゃいましたような省エネルギー計画策定だとか、それから研修だとか、それからいろいろな新しい省エネルギー化、防寒住宅開発だとかいうようなものの勉強代も相当額を要求させていただいておりまして、前向きに取り組むつもりでございます。
  51. 瓦力

    ○瓦委員 答申はいつごろ出ますか。
  52. 山岡一男

    ○山岡政府委員 お願いしております答申の期限といたしましては、一応三月ごろをめどということでお願いしております。
  53. 瓦力

    ○瓦委員 終わります。
  54. 伏木和雄

    伏木委員長 これにて瓦力君の質疑は終了いたしました。  続いて、吉原米治君。
  55. 吉原米治

    吉原委員 私はまず、長良川の河口ぜきの建設について、国土庁長官並びに建設大臣に対してお伺いをいたします。  長良川は、御存じのようにウ飼いで国民に知られているとともに、また水害多発地帯としても有名でございます。この長良川の河口に治水のためせきをつくるということでございますが、一番歓迎するはずの住民が大変強く反対をしております。そこで、私ども社会党といたしましては、現地の要請もございまして、十月四日、現地調査団を組織をいたしまして実態調査をしてまいりました。現地へ出かけましてこの目で現場を見、さらに県、公団あるいは関係住民から話を聴取をいたしました。なるほどこれでは関係住民の皆さんがこぞって反対をされるはずだ、反対するのは当然であるというのが、われわれの一致した結論でございました。  そこで、反対理由の二、三の大きな問題を指摘をいたしておきますが、まず第一に、国民に親しまれているウ飼いの問題でございます。せきをつくると川の流速が大変遅くなります。したがって、稚アユが河口へ下ってくる前に死んでしまうのじゃないか、こういう問題が一つございます。二ミリかないし三ミリの稚アユ、これが流れに身を任して何も食わずに川を下るわけでございますが、現在よりも流速が約一・五倍も遅くなるようでございます。したがって、稚アユが川を下る場合、河口までの間が大変時間がかかりますので、恐らく稚アユの体力がもたぬのじゃないか、あるいは取水口に稚アユが吸い込まれるのじゃないか、さらに、せきからの落差が約一・五メートルほどあるようでございますが、そのショックに耐えられないなどの問題が実は出てまいっております。また、成長したアユが再び川を遡上して来るわけでございますが、せきによって遡上できない。計画では人工魚道をつくるようになっておるようでございますが、遡上に必要な水量は毎秒百トンの水量がないとアユは魚道を上ってこない。こういうことが関係地元漁民の間から指摘をされております。しかも取水をしておるわけでございますから、実際には遡上の条件を満たせない、こういうわけでございます。せきがアユに与えるダメージがアユの死滅につながることは、以上のような観点から、私ども素人でございますが、現地の漁民の方の意見によりますと、アユの死滅につながる、こういうことは明らかであると思います。これは現地関係者の一致する見解でございます。一方、水資源公団の方も養殖に力を入れることによってそれを認めておるような現状でございます。しかし、養殖は、現在のアユ漁を維持している三千万匹の供給が果たして可能なのかどうなのか、天然から人工に変わることによって価格がどうなるのかなどの問題をたくさん内包しておるわけでございます。もちろん味は天然アユに比較しまして人工のアユにつきましては数段落ちるということは当然でございますが、こうして見ますと、せきができることによって国民に親しまれているウ飼いとアユの味はもう親しめなくなる、こういうわけでございます。反対する住民の声は当然だと言えると思います。  第二に、公団並びに地元県の説明は治水を目的にすると言っております。河床をしゅんせつすると塩害が出る、そのためにせきをつくり、塩水の遡上を食いとめると説明をしておるのでございますけれども、住民もしゅんせつには反対はいたしておりません。当然のことでございますし、また、治水事業を長年にわたって待ち望んでいるような現地の実情でございます。しかしここで、せきは本当に取水が目的なのか、あるいはせきをつくる必要があるのかどうかという点について、住民ははなはだ疑問を持っているわけでございます。  この計画は、考えてみますと、高度経済成長期に利水を目的として策定されたものである。後に治水を目的とすると変更されたわけでございますが、現在の計画でも毎秒二十二・五トン、一日二百万トン以上の水を取水することになっております。特にこの地域は地盤沈下の激しい地域でございまして、地下水のくみ上についても、現在月に約四百万トン、毎秒に直しますと四十六・二トンという地下水を取水をしておるわけでございますが、県、公団住民から話を聞いてみますと、どうも利水が主目的のようだというのが現地並びに私どもが調査をした段階で受け取った感想でございます。  昨年の九月の水害のときも、危険水域よりはるかに低い水位で実は堤防が決壊をしておりますが、まずこの堤防の補強、改修を最優先すべきではないだろうか。塩害が起こると言われますが、県も公団も十分調査をいたしておりません。特に県では、塩害の状況は掘ってみなければわからぬという、私どもに言わせると、まさしくふざけた答弁がなされております。特に四十八年ごろに出された資料でございますが、信州大学の小泉教授がこの長良川の調査を行っておりますが、その結果は、せきは必要でない、堤防の補強、改修でしゅんせつをしても塩害は防げるという調査結果を出しております。治水事業だ、塩害防止だと言っておりましても十分な調査もしてない、あるいは住民との話し合いも十分行われていない、こういうことでは住民が納得できないのも当然であろうと思います。特に莫大な金を使うわけです。五百億とも六百億とも言われておりますが、こうした多額の経費をかけて建設する立場から考えますと、国政の一角を汚しております私どもとしましても、どうしてもこの計画には納得できない。また、取水した水の利用についても、県の説明では、まだ何も決まっておりません、こういうことでございました。これも疑わしいわけでございますか、工業用水として大部分が利用されるであろうということは衆目の一致するところでございます。  となりますと、せきの利水に果たす役割りが大変強くなってまいりますが、取水をし、利用した水のかなりの分は、今度は伊勢湾に排水されることになってまいります。ごく最近、十月二十日と記憶しておりますが、伊勢湾水理模型協議会、こういう団体がございます。これは運輸省の役人のどなたかが会長をなさっておる研究機関であるようでございますが、「伊勢湾、三河湾海水自浄作用調査報告」、こういうものが出されておりましたが、それによりますと、現在海水汚染はその自浄作用の限界をすでに超えておる、これ以上汚濁すると海か死滅するという報告をしております。長良川河口ぜきに関しての環境に与える影響の調査は行われたのかどうなのか、少なくとも私どもが現地で把握する限りでは行われておらない、こういうことになっております。十分な環境アセスメントを行うべきではないでしょうか。  私ども社会党の調査団としては、現地調査の後、国土庁長官並びに建設大臣に申し入れを行っております。調査住民との話し合いも不足しており、今後それらを十分に行うべきだ、これらのことなくして本体着工の見切り発車は行うべきではない、県、公団とも連絡をとり合い十分指導してほしい、こういうことを要請をいたしました。このとき幸いにし田澤長官にも十分御理解をいただきまして、調査もあるいは住民との話し合いも今後十分時間をかけてやっていく、見切り発車はしない、県、公団には直接連絡をし指導を行うとともに、本庁でも十分対処するとお約束をしていただきました。私はこの委員会で改めて以上のことを再確認をいたしたいと思います。ここで国土庁長官の御答弁をお願いをいたします。
  56. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 長良川の河口ぜき建設についての経緯については、先生指摘のとおりでございまして、今後私たちは、ただいま先生が御指摘になられましたいろいろな問題がございますが、第一番目には住民との話し合いを十分時間をかけなさいということでございますので、これまでも私たちは話し合いはしてまいりましたけれども、不十分だと思いますので、今後さらに話し合いを続けてまいりたいと考えております。  第二番目の、住民との話し合いがつくまで見切り発車をしないようにということでございますが、この考え方を基本にして、具体的にはやはり県といわゆる協議をして県の了解を得て進めてまいりたいと考えております。  また三番目に、県及び公団に十分連絡をして指導しなさいということでございますが、これはすでに現地に指令も出し、また指導もさせておりますけれども、今後一層その面に力を入れて、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  57. 吉原米治

    吉原委員 長官、ちょっとくどいようでございますが、三つのことを御確認をしたいと思いましてお尋ねしておるわけでございますが、一点目と三点目は長官のお答えで納得いくのです。二点目の、住民との話し合いをされないうちに、コンセンサスを十分得られないうちに見切り発車をしないということについて、若干、県と協議して進めていきたいというお話でございましたが、ずばりその精神は見切り発車をしないということだというふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
  58. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先生の考え方を十分入れて、具体的にはやはり県と協議をしなければならない問題でございますので、県と協議をして、県の御了解をいただいて、そして進めたいということでございまして、先生の意向は十分考慮しながらそれらの作業を進めてまいりますから、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  59. 吉原米治

    吉原委員 長官、余分なことはおっしゃらなくても結構なんで、見切り発車をしないということをこの間党の調査団と確約したのですが、見切り発車をしないという精神はそのままお認めになるのでございますか、そこだけ簡単にお願いしたいのです。
  60. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ですから、県の窓口を通じて、見切り発車をしないような態度で進めてまいりたいということでございます。
  61. 吉原米治

    吉原委員 大体私どもの三点の確認はそのまま長官もお認めになったようでございますので、これ以上追及は時間もございませんのでおきますが、ここで、何といいましても本体工事並びにしゅんせつ工事の所管省でございます建設大臣のお考えも、ただいま国土庁長官の方のお考え方を披瀝をしていただきましたので、あわせて聞かせていただきたいと思います。
  62. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 事業の推進に当たりましては、地元民等との十分な協議を重ねた上執行してまいりたいと考えております。
  63. 吉原米治

    吉原委員 三十分しか割り当て時間がございませんので、以上で長良川の問題については質問を終わります。  続いて、三全総に対する質問をしたいと思いますが、時間がございませんので、三全総全体にわたって質問ができません。したがって、そのうちの、人口地方定住構想の具体策についてのみしぼってお尋ねをいたします。つまり、どういう施策を講じて人口の定住化を図っていくのか、具体的にお聞かせを願いたいのであります。  三全総では、特に日本海沿岸、こういう地域の振興に当たっては、「東北から山陰にいたる長大な地域が、それぞれの特色を生かし、相互に関連し合いながら太平洋岸の地域への依存から脱却して独自の発展の経路を求める必要がある。」そのために云々ということで、三点にわたって指摘をされております。  その第一は、農林漁業の振興、工業の誘導など「雇用機会の増大に努める。」となっております。  ここで、最初に国土庁にお尋ねをしたいのですが、一方では人口の定住化を図るために農林漁業を振興させる、こう主張をしながら、一方では、つまり計画の中の——計画試案をいただいておりますが、この試案の計画書の中の、産業構造 表三、就業構造 表七、この表によって示しておりますように、第一次産業の衰退を認めておる数字がこの分析として出されております。片一方では農林漁業を中心にした第一次産業の振興をさせなければならぬ。片一方の、これから十年なり十五年を見通した段階では一体どういう産業構造になるのか、就業人口がどう変化していくのか。その分析表では逆に第一次産業の衰退を認めておる数字を掲げておられる。これは国土庁が主張される人口の定住化構想、こういうものと矛盾をしておるのではないか。矛盾してないということになりますと、私は、三全総は言ってみれば依然として工業優先の新全総の単なる延長線上で考えられた発想ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  64. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 人口定住化構想を実現するためには、先ほど大塚委員にもお答え申し上げましたが、まず雇用の場をやはり与えなければならない。それから住宅あるいは生活環境を整備する、あるいは教育だとか医療だとかあるいは文化等の水準を高める、これが基本なんでございます。  そこで、工業についてもやはり人口定住化について必要でございますので、工業の再配置幹線交通体系も必要であるということをも強調しておりますが、基本的な目標はやはり雇用の場を与える、そして教育、文化、医療等の水準を高めるということにあるわけでございます。たとえば、私の県の例をとってはなはだ失礼でございますが、陸奥湾沿岸にホタテガイというのがいま養殖されまして、これが漁民のふところを非常に豊かにしているわけでございます。青森県全体から言いますと人口が減っておりますけれども、陸奥湾周辺の漁民はむしろふえているという現象がいま現に起きているわけでございますから、農林漁業というものに積極的な姿勢をとってまいりますならば必ず人口定住化構想につながる、こういうことでございますので、農業あるいは地場産業に思い切った力を入れなければならないということを強調いたしているわけでございます。そして、それを実現するためには、やはり日本海沿岸を含めて地方開発計画がございますから、三全総策定された後に地方開発計画を見直して、それらの点を積極的に取り入れていただくというのが三全総のねらいでございます。  そこで農業人口と第一次、第二次、第三次産業の二十一世紀における人口の見通しでございますが、これは具体的には局長から答弁させますけれども、これは二十一世紀には方向として第一次産業は減るであろう、第二次産業はある程度横ばいかあるいはある程度人口は減ってまいるだろう、第三次産業がある程度人口はふえてくるだろうというようなことを相対的に明示したものでございまして、それが直接それを基礎にしながら三全総というものはこういう方向でいかなければならないということでございまして、三全総そのものが第一次産業を振興しないのだということにはつながらないということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  65. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  ただいまのお尋ねの点でございますけれども、第一次産業は昭和五十年七百三十五万人に対して三全総作業しております六十五年は四百三十万と予想しておりますから、御指摘いただきましたように第一次産業の就業者が下がるということで計画しております。  その中身といたしましては、第一次産業の生産物につきましては食糧問題が非常に重要であるという観点に立って、人口の増加と食糧水準の向上とに合わせただけのある一定水準の自給性は確保したいということで生産量を計算いたしまして、それに耐えるだけの農地として五百九十二万ヘクタールの農地を確保するということを前提として作業を進めまして、それに対応する労働力として、第一次産業プロパーとして四百三十万人ということで予測を立てておるわけでございまして、こういう形でようやくある程度第一次、第二次、第三次産業間の所得格差を若干解消することが可能になるという前提作業をしております。
  66. 吉原米治

    吉原委員 ただいまの答弁ではどうも納得がいきませんけれども、この問題だけにとどまっておりますとあとの質問ができませんので、進みたいと思いますが、少なくとも私の認識、この表を見させていただいた感じでは、そういう第一次産業の衰退を片一方では認めながら、片一方では特に裏日本といいますか、日本海沿岸に対しては農林漁業の振興、つまり一次産業の発展に力を注ぐ、こういうのは私はもう論理的に言っても矛盾をしておる。減るから減らさないように、こういう方向に三全総計画を立てておるんだというならわかるのですが、衰退をしていく方向方向として認めておきながら、片一方で振興対策を言われてもどうしても私は納得いかない。納得がいかないままに次に進んでいきたいと思います。  そこで、農林漁業の振興あるいは工業の誘導など雇用機会の増大に努めるというこの問題についてさらに質問を続けていきますが、一体どうして農業の振興を図っていくのか、明確にしてほしいのであります。抽象的なことでなしに、特に農業の振興について考えてみますと、最近特に減反政策が出てまいっております。昨年に倍します減反政策でございますが、そういった状況下ではもはや農民の死活問題になっております。不安にさらされておるのが現状でございますし、また漁業についても、御承知のように二百海里時代を迎えまして遠洋漁業は締め出しを食います。今後は沖合い、沿岸漁業に集中してくるわけでございますが、遠洋漁業から締め出された漁民の就労の場はどうして確保していくのか、また狭められた漁場をどう開発振興させていくのか、これらを明らかにしていただきたいと思うのでございます。  特に、農業についてさらに言いますと、農林省はいま昨年に倍します減反政策を打ち出しておりますが、転作作物の価格保障が前提とならなければなりませんけれども、その場合全国画一的な減反割り当てでは不適当だと思っております。比較的容易に転作でき得る地域とそうでない地域があるわけでございますから、たとえば過疎県である私の出身でございますが、島根のような地域では山間部のたな田などは転作しようにも転作できない。強硬に転作をしたとしても、いま農林省が指摘しております飼料作物にしろ、麦、大豆にしろ、いたずらにイノシシやサルなどの有害鳥獣のえさをつくるだけに終わってしまうようなことになるのではないか。したがって、各県、各地域の実情をよく検討して決定すべきだと私は思いますが、この点農林省の考え方をはっきり明示していただきたいと思います。  時間がございませんから質問だけ先に申し上げますので、逐次御答弁をお願いしたいと思います。  また、工業の誘導については、既存の地場産業の発展を阻害するものではないこと、あるいは公害や自然破壊を出さないことが前提条件でございますが、住民の雇用と所得の場を確保する、そのために必要不可欠の問題だと思っております。この問題については通産省の方でもいろいろ御努力をされているようでございますが、先日島根の知事が会長をしております過疎県十二県で構成をしております工業地方分散促進協議会、この会から陳情が出ております。恐らく当局の方にも陳情が出ておると思いますが、出ておるとすれば、この陳情の趣旨について一体どう考えておられるのか、お尋ねをしたいのでございます。特に企業がそういった対策を講じながら本当に進出してくる、あるいは分散していくという自信がおありなのかどうなのか。現在までも工業団地を造成をして企業の進出を待っておる地方自治体は全国でもたくさんございます。そういう状況下でございますので、通産省の方から工業の分散の対策としてぜひお答えを願いたいと思います。  第二に質問したい点は、全部申し上げますが、定住圏構想の実現の基礎的条件とも言える交通ネットワークづくりについてでございます。特に日本海沿岸地域における交通条件整備について、時間がございませんので、簡潔にお答えを願いたい。きょうは運輸省来てもらっておりませんので、国土庁からお答えを願いたいと思います。簡潔で結構です。  特に建設省にお尋ねしたいのは、中国縦貫道はいつごろ完成させる見通しなのか。またそれに必要な肋骨道路は完備されるのかどうなのか。これは道路局長の方からお答えを願いたい。  以上、時間がございませんので再質問はできぬかと思いますので、それぞれひとつ関係者の方の御答弁をお願いをいたします。
  67. 佐野宏哉

    佐野説明員 お答えいたします。  私ども農林省といたしましては、食糧の国内自給率を向上し、その安定的供給を確保するために、国内の生産体制を整備することを基本として政策を展開しておるところでございますが、三全総もこの私どもの考え方に即して策定をされるというふうに承知をいたしております。  それで、先ほど先生お話のございました農業の振興を図るという考え方と米の減反を進めるということが、実は矛盾しておるのではないかというような御趣旨に伺ったのでございますが、実は私ども、農業の自給率を高めてまいりますためには、現在非常に低い自給率になっております麦とか大豆とか飼料作物等、そういうものの増産を大いに図っていくということが、何と申しましても総合的な自給力を向上させていくために一番大切なことであるというふうに考えておりますので、現在需要と比較いたしまして過剰ぎみの米が生産されております水田の持つ高いポテンシャルを、そういう増産を必要とする作物の生産に振り向けていくという、私どもが取り組もうとしております米の生産調整というのは、まさに総合的な食糧自給力の向上の路線に沿うものであるというふうに考えておる次第でございます。  もちろん、五十三年度から米の生産調整の規模が非常に大きくふえることが予想されておりますので、その転作目標の配分につきましては、それぞれの地域の実情に十分配慮いたしまして適正に行いたいというふうに考えておりますか、ただ御理解を得たいと思いますのは、何しろ転作目標の面積が相当大きくふえるという事情にございますので、どの地域にとりましても、これだけ大きな転作目標を実行していただくというのは相当の御苦労をいただくということにならざるを得ないわけでございまして、うちの県ではこれ以上転作はできないというふうな御主張を各方面から伺っておるわけでございますが、必ずしもそういう意味での各県の御意見にうまくおこたえできるような割り当てになるという意味ではないかとも思いますので、その点はあらかじめ御了承をいただいておきたいというふうに思います。
  68. 有岡恭助

    ○有岡説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございました地場産業の活用、それから環境保全という点につきましては、実は本年七月に通産省といたしまして工業再配置計画というものを定めておりますが、この中におきましても、ただいまの二点については十分配意して今後の工業立地を進めていくということをうたっておる次第でございます。  なお、そういう前提のもとにおきまして、遠隔地域、過疎地域の工業立地の必要性につきましては、ただいま先生おっしゃったとおり私どもといたしましても非常に重要なものである、こういうふうに考えております。従来から関係地方公共団体経済団体等より、工業の誘導を促進をするための施策を強化するという趣旨の御要望をちょうだいいたしておりまして、私どもといたしましても、この工業誘導の施策の強化につきましてただいま検討中でございます。  具体的に申し上げますと、明年度から地元地方公共団体、立地企業等に交付されます工業再配置促進費補助金につきまして、これを拡充強化する。日本開発銀行、北東公庫あるいは地域振興整備公団等の進出企業に対します融資につきまして、優遇金利を適用するというような誘導の強化策につきまして、関係各省と折衝をいたしている次第でございます。こういった誘導策が実施されますことによりまして設備投資機運が回復いたしますと、これがインセンティブとして働きまして、かなり立地が促進できるんではないか、かように考えている次第でございます。
  69. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 山陰地域に関連する交通体系の問題でございますが、第三次全国総合開発計画の中では二つの角度から述べております。  一つの角度は、山陰地域におきます農林水産業あるいは誘致されます工業の市場との関係等につきまして、山陽地方あるいは九州あるいは京阪神地域と結ぶ幹線交通体系をぜひ急ぐことが、山陰地方定住圏を強化する一つの手段であるという点であります。  もう一つの点は、定住圏構想を申しておりまして、山陰地域のそれぞれの定住圏の中におきまして、都市と農村、漁村等を結ぶ道路体系というものを中心にして圏域内の交通体系の整備を急ぐことが、定住圏内の生活環境の水準を増加させるために必要な手段の一つであるという、二つの観点で述べております。
  70. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 高速道路についてお答えいたします。  中国縦貫道ですが、これは吹田−下関間五百四十三キロの高速道路ですが、このうち吹田−岡山県の北房まで百九十三キロ、それから西の方、山口ー下関間七十三キロが現在供用中でございまして、ちょうど半分供用されておるわけでございますが、残りの北房−山口間二百七十七キロにつきましては、現在鋭意工事を進めております。五十三年度中には、北房−三次間があく予定でございます。それ以後三次−千代田間が五十四年度、それから西の方の山口−鹿野間が五十五年度にあきまして、残ります千代田−鹿野間、これが五十七年度に供用できる予定でございまして、いずれにいたしましても、第八次の五カ年計画期間内には全線を供用できるように持っていきたいというふうに考えております。  御指摘の横断道につきましても、縦貫道が整備されますと、逐次横断道の整備に入ってまいるわけでございますが、現在中国地方の横断道といたしましては、浜田−広島線について浜田−旭間、米子−岡山線につきまして米子−川上間が、道路公団に施行命令が出されておるわけでございます。逐次整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  71. 吉原米治

    吉原委員 時間がオーバーしましたので、再質問はひとつ遠慮させていただきます。以上で終わります。
  72. 伏木和雄

    伏木委員長 吉原米治君の質疑は以上で終了いたしました。  続いて、渡部行雄君。
  73. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は質問に先立って、一言お願い申し上げておきますが、質問時間が非常に制約されております関係上討論式に問題ごとの掘り下げはとうてい不可能でございますので、最初に全体的に御質問申し上げますから、それぞれの関係する部門について大臣初め関係当局から御答弁をいただき、その後時間の許す限り質問を続行していきたいと思いますので、その点よろしくお願いいたします。  私は、今回エネルギー問題について、日本が今後将来にわたってエネルギーをどう確保し、かつ開発していくべきかという観点からではなく、エネルギーをどう節約し、かつ効率的に利用すべきかという視点に立って、以下質問を展開してまいりたいと思います。  今日、日本は、一次エネルギーの約九割、石油の九九・七%を外国からの輸入に頼らざるを得ないという、非常に憂慮すべきエネルギー供給構造になっているのであります。しかも資源有限の意識の中で、石油、天然ガスの増産限界は一九九〇年代前半に到来すると言われ、これもOPECの政策いかんによっては八〇年代の前半にもあり得るとさえ言われています。これは世界的な見方でありまして、日本においてはこのままで推移すれば昭和六十年にも深刻なエネルギー不足に見舞われると、去る九月二十日付日経新聞で指摘しているのであります。エネルギー資源開発の重要性は論をまたないところでありますが、それと同時に、省エネルギー問題は緊急欠くべからざるものとして直ちに実施に移すべき段階にきているものと思うのであります。わが国においても、石油ショック後昭和四十九年度からサンシャイン計画による研究も進められ、あるいは関係企業間でもそれぞれ独自の研究が進められておるようであります。また昭和五十三年度からは通産省が中心となってムーンライト計画をスタートさせ、ソーラーハウスや省エネルギー都市の設計に着手すると言われておりますが、これらについて通産省は、今日のエネルギー問題の現状認識とその具体的対応策をこの際明らかにしていただきたいのであります。  また、これらの対策を具体的に進めるにはどうしても立法措置を講じて、これをてこに具体的政策に取り組まなければならないと思います。  そこでこの法制化についてでありますが、これには二通りの考え方があるかと存じます。その一つは、エネルギー問題を総括的にとらえて、これを全般的に体系化した独立立法としての考え方であり、その二は、各省ごとに所管事項に関してそれぞれ立法化を進め、あるいは関連法律改定補充などにより当面の問題に対処するやり方であります。第一の一元的法体系化は理想としては十分理解できますけれども、これを推進するにはやはり一元的指導機関としてのエネルギー省というものが当然考えられるべきものと思います。これは実際的には軌道に乗せるまで大変な時間と仕事としてのエネルギーを要すると思われます。  そこで私は、第二の考え方に立って、各省各機関ができるところからどんどん取り組んで実践化していくことの方がより現実的だと思うのであります。そして全体として実態化したある時期に初めて法体制の一元化、体系化を図るとともに、行政の一元化、つまりエネルギー省の設置などを考えることの方が手だてとして妥当ではなかろうかと考えますが、通産省の所見をお伺いいたします。  次に、具体的問題についてお尋ねいたしますが、この省エネルギー対策については長期的対策と短期的対策があり、また広域的対策と個別的対策があろうかと思います。そこで、これらの対策を進める上で最も重要な問題は、対策を進める側の体制の問題とこれを受け入れる側、つまり国民エネルギー問題に対する関心と意識の問題であります。したがって、まず対策側としては、現在政府及び民間においてばらばらな形でその対策に取り組んでいるようですが、これを統合してエネルギー総合対策としての調査、研究、宣伝、教育などを進めるための官民一体とした総合機関を設置するお考えがあるかどうか。また国民の関心を強め、意識の高揚を図るため、学校教育にエネルギー問題を取り入れ、あるいは地方自治体を中心に講習会、講演会等を開催して、特に省エネルギーに関する知識を高めるべきだと思うのでありますか、いかがでございましょうか。  次に、第三次全国総合開発計画案が国土庁のもとででき上がったようでございますが、これを見ますと、エネルギーに関する記載は全部で三ページ余りであり、しかも省エネルギーに関しては約半ページ程度で、全くおざなりと言わなければなりません。この三全総計画は現在関係者が構想している問題とどうかかわっているでしょうか、国土庁長官の御所見を承りたいと存じます。  次に、省エネルギー問題でいますぐにでも取り組める問題は、何と言っても住宅やビルの省エネルギー化、つまり断熱権造化と空調設備などの設備、機器の省エネルギー基準設定等による規制だろうと思います。その点に関して建設省は次の通常国会に法案を提出すると言われておりますが、その内容と提出時期の見通しについて、建設大臣から御答弁をお願いいたします。  なお、住宅、ビル等の断熱性能を高め、冷暖房効率をよくするには天井、壁、床に断熱材を入れて熱損失を防ぐこと、ガラスやカーテン、雨戸などに工夫をこらして、窓などの開口部からの熱損失を防ぐこと、すき間風を防ぎ、外気との熱交流を防ぐことなどが主に考えられる問題だと思いますか、これらは特別に単独立法を講じなくとも、新築の建物については現行建築基準法の手直しと住宅金融公庫等に融資の特枠を設けるなどにより対処すれば、確実に実施されると思うのであります。これについて大臣の御所見をお聞かせ願いたいと存じます。  ただ、問題は、既存住宅についてどのように断熱化を普及、促進するかということでありますが、これは実施者については融資、補助、減税等の措置を講ずることや、工法の紹介指導をあわせて実施すれば、所期の目的か達成されるのではないかと存じますが、あわせて大臣の御所見を承りたいと存じます。  なお、政府のこの省エネルギー政策に協力した施工者については、アメリカ、フランス、西ドイツなどで実施しているように所得控除を当然考えるべきものと思いますが、この点については大蔵省の考え方をお聞かせ願いたいのであります。  次に、断熱による省エネルギーの効率を期待どおりに高めていくには、どうしても断熱基準と断熱材の材質の法定化が必要だと思うのであります。ちなみに北海道の例をとってみれば、現在北海道は北海道防寒住宅建設等促進法に基づいて断熱基準が設けられておりますが、現行の基準では結露防止程度のもので、いわゆる壁に汗しない程度で、省エネルギーの観点からすれば問題にならないと専門家は言っているのであります。  また、材質にいたしましても、JIS規格で指導されておられるようですが、実際にはJIS九五〇五に該当するグラスウールが標準化されているにもかかわらず、低密度のJIS外製品が出回り、市場の約二〇%を占めていると言われております。またウレタン等の石油製品も使われ、火災など高熱にさらされると有害ガスを発生して溶けてしまうのであります。これは岐阜県庁舎の火災やその他の災害で実際に証明済みでありまして、このような材質のものは火災の可能性のあるところには絶対に使用しないようにすべきだと思うのであります。  そこで、今後断熱基準を、建設省建築研究所が提案しておる数値を、暖冷房両方の実施を前提として法定断熱基準とすべきものと思いますが、いかがでございましょうか。  そこで、いよいよ住宅、ビルなど建物の断熱化、保温化を実施していく上で大きな問題となるのは、施工面でのチェックの問題と、施工そのものに相当の技能が要求されますので、この技能士の養成の問題であります。ところが、現在ではこの施工チェックも全然なされておらず、技能士の養成の方向も出されておらないようでございますが、この点について、施工チェックは各都道府県にチェック責任を義務づけるなり、あるいは官民協力してチェック機関を設置するなどの方策を講ずべきだと私は思います。  また、技能士の養成に当たっては、建築士会や建設業界などを背景として考慮してはどうかと思うめでありますが、御所見を承って、一応ここで以上全般にわたる御答弁をお願いいたします。特に答弁漏れのないように重ねてお願いいたします。
  74. 大永勇作

    ○大永政府委員 エネルギー問題につきましての現状及び将来の認識につきましては、全く先生の御指摘と同意見でございまして、世界の石油情勢につきましては、先生指摘のように各種の調査、いろいろな見通しございますが、一九九〇年前後には増産限界に達しまして、それ以降は石油の生産はふえないことになるという見通しが強いわけでございます。  総合エネルギー調査会の調査によりますと、わが国の石油需要は、現在のまま推移いたしますと昭和六十年度におきまして五・〇五億キロリットル必要でございますが、これだけの確保はとうてい困難でございますので、一方におきまして原子力でございますとかあるいは液化天然ガス、石炭といったような代替エネルギー開発を行いますとともに、石油につきましては、おおむね四億三千万キロリットル程度に輸入がとどまるように各般の対策を進めていく必要があると存じておる次第でございます。中でも、先生指摘の省エネルギーは一番の眼目でございまして、昭和六十年度におきましては一〇・八%の省エネルギーを行う必要があろうかと存じております。これは石油の量にいたしますと約八千万キロリットルに相当するわけでございます。  そこで、この省エネルギーの対策につきましては、通産省におきましては省エネルギー部会というものを総合エネルギー調査会の中に置きまして、十一月中くらいに結論を得るべく現在検討中でございますが、これは関係各省の政策に、たとえば住宅政策あるいは運輸政策といったように非常に関係が深うございますので、関係各省とも御相談しながら進めておるところでございます。これを一本の法律にするかあるいは別々の法律にするのかということは、要するに問題はいかにすれば最も省エネルギーの効率、効果が得られるかということでございますので、そういう見地から各省と御相談しながら、今後調整といいますか、進めてまいりたいというふうに考えております。  それから省エネルギーにつきましては、一般国民とそれから——エネルギー問題というのは全体がそうでございますが、対策に着手いたしましてから効果が出るまでかなりの期間がございます。ところが現状では、石油はまだ十分あるじゃないかというふうなことから、国民一般の御理解がなかなか得にくいという問題でございますので、先生指摘のように、一般国民の方にわかりやすくこのエネルギー問題の重要性、省エネルギーの重要性を訴える組織あるいはやり方というのがきわめて重要でございます。通産省といたしましては、来年度予算におきまして、仮称でございますが、省エネルギーセンターという、できますれば特殊法人を設立いたしまして、そこでもって中小企業の省エネルギーの診断、指導などに加えまして、先生指摘の省エネルギーに関します広報をあわせて行うという組織を設けたいということで、現在大蔵省に予算要求等を行っておるところでございます。  同時に、学校教育の面も最も大事であり、かつ効果的であるわけでございまして、初等中等教育あるいは社会教育におきまして、エネルギー問題、特に省エネルギー問題につきまして力点を置いていただくよう、現在文部省と御相談を重ねておるところでございます。
  75. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問にございました省エネルギー住宅の減税関係につきましては、五十三年度税制改正の御要望といたしまして、建設省から、断熱化された住宅を新築した場合あるいは既存の住宅を断熱化された住宅に改造した場合に、一定割合の所得控除を行うべきであるという御要望を受けております。私どもといたしましては、五十三年度税制改正の一環といたしまして今後慎重に検討させていただきたい所存でございますが、反面、課税の公平を確保する見地から、租税特別措置につきましては整理合理化、縮小の方向を最近続けておりますので、新規の措置につきましてはなかなか厳しい事情であるということも御理解いただきたいと思います。
  76. 伊藤寛一

    伊藤説明員 ただいまの先生の御質問の中で、都市におきます省エネルギーを進めますための省エネルギー都市機械システムにつきまして御質問ございましたので、お答えいたします。  通産省といたしまして、都市におきます省エネルギーを思い切って進めるために、単体機器をベースといたしました省エネルギー化、効率化というものに加えまして、コンピューターを中心といたしますシステム技術でございますとか情報制御技術を活用いたしまして、都市に必要なエネルギー等を総合的に供給する、こういうことの技術研究を進めてまいりたい、こういう構想を持っておりまして、ただいま来年度の予算要求で、省エネルギー都市機械システム開発につきまして調査研究を要求しておる次第でございます。
  77. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五点ばかりあったように思います。  まず第一が、住宅建築物の省エネルギー対策の推進のために建設省としては法案を準備しておるのか、その見通し、内容はどうかということでございますが、これにつきましては現在鋭意検討中でございまして、政府提案の法案の中の、いわゆる政府提出予定法案というのと検討法案という段階がございますが、検討法案という分類の中に現在入れております。中身といたしましては、現在住宅等の建築物における省エネルギー対策の推進方策についてということで建築審議会に諮問いたしております。鋭意検討を進めていただいておりますが、その結果を踏まえて法案の内容等を作成してまいりたいと考えております。通産省でも同様の法案の検討をなさっておりますので、十分連携をとってやるべきだと考えております。  二番目の問題は、たとえば新築住宅等について基準法で義務づけたらどうかというお話があったと思います。  私どもただいま、建築基準法で一律にそういうようなことについての基準を定めるのは若干問題があるのではないかと考えております。建築基準法は、御案内のとおり国内全般に及びます最低基準を定めるものでございます。特に地域、風土、気候等によりまして断熱基準等には相当差がございますので、基準法の中で最低基準を定めた場合でも条例等で付加等ができるようになっておりますけれども、そのどのあたりを最低にするのかという点も一応非常に問題がございます。さらに、新築分にすべて義務づけるという場合に、いろいろな建築資材の現在の国内生産量等から見ますと若干無理があるのじゃないかというようなこともございまして、現在さらに検討していったらどうか。  特に先ほど既存の住宅等につきましてもお話ございましたけれども、やはり新築、既設両方含めまして、われわれといたしましては当面融資の増額、これも来年度予算でございましてまだ確約できるわけでございませんけれども、公庫で割り増し融資というものを要求いたしております。それから、ただいま大蔵省から御説明ございましたような減税の要求もいたしております。それから、開発銀行、沖繩開発公庫それから中小企業金融公庫等によります融資の拡充につきましても、やはり来年度予算として要求いたしております。当面は、そういうようなものを通じまして誘導政策を進めていくのが一番必要なことではないかと現在考えております。  それから四番目といたしまして、北海道の断熱基準が低いのじゃないかというお話がございました。確かに北海道につきましては、現在住宅金融公庫の基準の中に断熱基準を定めまして熱貫流率を決めております。そして、その基準に合格するものにつきましては、融資期間の延長、それから融資額の割り増し等をやってまいっております。  しかし今後、先ほど申し上げましたように国内におきましても、国内といいますか、北海道以外の地域におきましても、融資その他を増強していかなければならない。そういう場合に、やはり材料の検討についても今後十分やらなければなりませんし、先生おっしゃいましたようなPRの徹底も必要でございます。そういう点につきまして、その中の一部といたしまして、建研の出しましたいろいろな最低基準等を基本にいたしまして法定断熱基準の中身の改善等を図ったらどうかという御提案がございましたけれども、これも十分検討をいたしておるところでございます。  それから施工面について施工士の養成、チェック機関の設置の必要というようなことがいまございましたけれども、これは全くおっしゃるとおりでございまして、建築士会等とタイアップいたしまして、そういうものを大いに活用するということが必要でございますが、同時に、大工、工務店さん等のいろいろな機関もございます。それらの各種の既存団体等も活用いたしまして十分に研修その他PRも行いたいということで、それに伴う必要な経費等も、これは行政部費でございますけれども、来年度は要求いたしております。それらの施策を通じまして十分省エネルギー住宅建築物の推進には努力してまいりたいと考えておるのが、建設省の現状でございます。
  78. 渡部行雄

    渡部(行)委員 一体大臣は眠って聞いているのですか。私が質問して、両大臣にこの部分は答弁してくださいと言っているのに、それが全然反応がないでは話にならぬですよ。
  79. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 エネルギーについて三全総の扱いが非常に薄いのじゃないかという御指摘でございますが、先生案内のように、人口定住構想実現のための五つの課題の中で「国民生活の基盤に関する計画課題」という中に、住宅、食糧、エネルギー、これを提示してございまして、特にエネルギーに力点を置いておるのでございます。  そこで、第三次全国総合開発計画は、先ほども申し上げましたが、五十年代前期経済計画に沿うてつくられておりまして、経済成長路線と産業構造を見直すという点から、省エネルギーというものを基本にしながらエネルギー需要にこたえるということの構想のもとに進めてございます。もう一つは、やはりエネルギーの一番の消費地である大都市の構造をやはり変えなければいけないということと、もう一つはピーク時におけるエネルギーの需給関係というものも調整しなければならないということをうたってございます。と申し上げますのは、大都市においては八月がやはりエネルギーの一番のピークなんですね。こういうときに、レジャーといいましょうか、バカンスといいましょうか、都市人口地方に一時期移動するというようなことなども、やはり一つ構想の中に加えてあるわけでございます。  さらに定住構想を推進するために、やはり省資源、省エネルギー型の都市あるいは住宅あるいは交通システムをつくるということの研究もいたしてまいらなければならないということを指摘してございます。
  80. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 お話しのように住宅建築物の省エネルギー対策として、私の方では、前の方にお話し申し上げたように十分にこれに対処するために、その断熱装置はどういうふうな方法がいいか。御承知のように現在北海道でもやっておりますが、北海道でやることを全土に法律をもってやるというようなことはちょっとむずかしいじゃないか。北海道と鹿児島、おのずからの相違があるというような点等もあわせまして、いま審議会にかけていろいろ、その問題をどうやったら省エネルギー対策に対する建築の方法ができるかというようなことをいろいろと審議をしていただいているところでございます。さらに、そのために今後住宅等の建築物の対策の推進方法について一層の研究を重ねて、もって答申とあわせてその法制化をやっていきたい、こういうふうに考えておるところであります。
  81. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので、詳しくは次の機会等にやっていきたいと思います。  ただ、大臣の姿勢が非常に私は不満です。ちんぷんかんぶんな答弁をして……。私の聞いたのは、十月十三日の新聞に出ておる、建設省が来年度に提案しようとする法律案というものの内容の概要についての説明とその時期の見通しについて聞いたのでございますが、全然それには触れられていない。そうして聞いていないような、北海道のことを九州に当てはめろみたいな話を答弁されたって話にならぬですよ。私はそんなこと一言だって質問してない。もっと真剣に、われわれにとってはここは真剣勝負の場なんだから、真剣にやっていただきたい。
  82. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 御答弁申し上げます。  先ほど申し上げましたように、北海道にはもうすでに法律をもって行っておりますけれども、それを国内全体に通すというわけにはいかないから、その点等も諮問の中に入れて十分検討させておるところだ、こう申し上げておるのであります。
  83. 渡部行雄

    渡部(行)委員 法案の時期はどうしたのですか。
  84. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど審議会答申を得た結果でやりたいと申し上げたわけでございまして、答申の出るのが早くとも三月ごろと実は思っております。そのころまでをめどに原案をつくっていきたいと考えております。
  85. 渡部行雄

    渡部(行)委員 以上で私の質問を終わります。
  86. 伏木和雄

    伏木委員長 以上で渡部君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  87. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  88. 古川雅司

    古川(雅)委員 建設行政の一般的な諸問題の中から、本日は道路と住宅の問題について若干質問いたしたいと思います。  最初に道路問題でありますが、建設省の国道建設計画の中で緊急最優先区間と言われているのが約三百三十カ所あると言われております。地元の事例を引きましてはなはだ恐縮でございますが、私は、きょうは、広島県の祇園バイパスと三原バイパスの二つの区間について建設省の御見解を伺ってまいりたいと思います。  最初の祇園バイパスでございますが、これは広島市北部地区の、昭和五十年現在で約二十一万五千人、この人口が旧広島市内へ通勤通学をしているわけでございまして、朝夕の通勤通学ラッシュが非常に深刻なものになってきております。現在の国道五十四号線の交通許容量、これは五十年現在の数字でありますが、大体二万台に対して、現在その三倍の六万台になっていると言われております。こういうことから、昭和四十三年から四十五年にかけまして祇園バイパスの調査が始まりまして、その構想が数々の経緯を経て今日に至っているわけであります。  そこで、お尋ねに入ってまいりますが、ことし七月二十六日に、都市計画の変更に関する建設大臣の認可がおりました。それに基づいて七月の二十九日、都市計画決定の告示がなされたわけでありますが、これは事実上、この祇園バイパス着工へのゴーサインになるのかどうか、これが一点でございます。  さらに四月の二十七日、地元白島町の地区の住民の代表の方が建設省に大臣をお訪ねをいたしまして、二千六百三十三名の署名を添えて陳情いたしました。大臣御記憶かと思いますが、この地域の住民は、かつて河川敷に住んでいたというような事情から、過去二回にわたって行政的な立ち退きを強いられております。今回、この計画どおりに道路の工事が着工されますと、三度立ち退きをしなければならないという、そうした特殊事情があるわけでございまして、大臣も地元代表の説明にはいたく同情をされまして、そういう住民の意思を無視して着工というわけにはいかないということを表明しておられたわけでございます。そういう経緯もございますので、この点については大臣からお答えをいただきたいと思います。
  89. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 祇園バイパスの件につきましては、いまお話があったとおり私から申し上げておりました。したがって、これを今回着手するという段階まではいっておりませんけれども、十分に地元住民との話し合いをつけて、そうして御協力を賜れるものならぜひ御協力を賜って行っていきたい、こういうような考え方でございます。
  90. 古川雅司

    古川(雅)委員 道路局長からも、この祇園バイパスの見通しについて、もうちょっと詳しく御説明をいただきたいと思います。
  91. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘の祇園バイパスでございますが、これは現在広島市の北部の交通が国道五十四号一本に頼っているわけで、中でも祇園町は幅員が十三メートルというようなところで、交通量が御指摘のように一日六万台にも達しているような状況でございまして、特に朝夕のピーク時には混雑をきわめているわけでございます。しかも、今後とも広島市北部地域におきます団地群の開発に伴いまして交通量の著しい増加が予想されるわけでございまして、抜本的な交通対策を迫られている状況でございます。  そこで、私どもといたしましては、広島市北部地域の抜本的な交通緩和策として、新交通システムと一体となった祇園新道を整備することを計画いたしまして、これを受けて、先ほど御指摘のように、広島県はこの七月の二十九日に新道の都市計画決定したわけでございます。  この祇園新道は、特に南部区間において、御指摘のように白島地区と既成市街地を通過することになっておりますが、この白島地区につきましては過去二回移転したということでございますが、これは実は昭和二十四年から三十年の間に戦災復興ということで復興土地区画整理事業で一遍動いておりまして、その後昭和四十一年から四十五年の間に太田川の廃川敷の土地造成事業に関連して動いておるというようなことでございますが、今回かかりますところは、一度動いた方が二度かかるということじゃなくて、この地域で二回にわたってそういうような移転が行われているということでございます。いずれにいたしましても、この事業はそういう事情で進めてまいりたいわけでございますが、当面は北部の方が、特にいまの現道の祇園大橋から北の間が十二メーターで非常に狭いわけでございまして、この間を早急に何とかしなければいけないということで、北部の方から逐次整備を進めてまいりたいというような考え方でおるわけでございます。
  92. 古川雅司

    古川(雅)委員 問題点は後ほどまとめてお伺いするといたしまして、もう一つの事例になります三原バイパスでございますが、これも建設省の国道建設計画の緊急最優先区間の一つであると私は承知いたしております。この件につきましては、現地の三原市の市議会が要望決議をいたしております。その文書の中に要約されておると思いますので、これを読み上げまして後ほどお伺いを進めてまいります。    三原新道(バイパス)建設促進に関する要望決議   最近一般国道二号線の自動車交通量は、著しく増大しているが、わけても三原市内の日交通量は、三二、〇〇〇台という能力の限界をはるかに超える状況である。   そのため関連する県・市道も混雑を極めており、都市機能はまさに麻痺寸前の状態である。これによって受ける被害は、ひとり三原市のみにとどまらず、大きくは経済・社会全般の発展を阻害しており、早急に道路行政の抜本的施策が望まれるところである。   国においては、この国道二号線の実情に照して早くから三原新道(バイパス)の建設計画され、昭和四十六年以来その実現に努力を傾けてこられたところであるが、発表されたルートに対し、住居並びに教育環境の保全などと、バイパスの機能との調整を求めた三原市の要望を受け入れてじ来鋭意技術的再検討を重ねるなかで、今日に至っている。   この間、本市議会としても、多数の市民からの陳情・請願を受け、全市的立場に立って大局的見地から三原バイパス建設促進の請願採択等努力を致して来たところである。   三原新道の計画発表以来既に数年に及ぶ今日、交通量の累増と繁雑を極めつつある現状は、も早一日も放置できない状況であると思慮する。   よって、本市議会は、全市民的願望である新道を早急に建設されるよう強く要望するものである。   右決議する。  これは昭和五十二年七月十八日の決議でございまして、すでに建設省当局に対しても御陳情申し上げているのではないかと思います。これは、いまの決議文の中にもございましたとおり、昭和四十六年以来数々の経緯を経て今日に至っているわけでございます。着工どころか正式な路線決定もできないというのが現状であります。  私も、先日来中国地方建設局にいろいろお伺いをしてきたわけでございますが、最初ことしの四月までにはアセスメントの結果を得て路線の決定ができる、それが四月を過ぎましてもできませんで、今度は八月ごろになりそうだという御説明がありました。八月が過ぎてもそれができない。十月に至りまして一体どうなっているんだとお伺いしたところが、アセスメントの方式そのものがまだ定まらないんだということでございまして、いわばその環境アセスメントの結果を踏まえてということが一つの隠れみのみたいになりまして、今日までずるずると至っているわけでございますが、この決議文の中に実情はるる述べられておりますけれども、この三原バイパスに対する着工への見通し、この点をひとつ道路局長の方から明確にお示しをいただきたいと思います。
  93. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の国道二号線の三原バイパスでございますが、これは三原市におきましてこの二号線は市街地の中心部を二車線で貫通しておりますが、その自動車交通量が一日三万一千台というようなことで、沿道の自動車騒音も夜間で七十ホンを超える区間が一部あるということで、慢性的な交通渋滞と沿道環境の悪化という事態を生じておるわけでございます。このような事態に対処するために相当前から建設省は三原バイパスとしての計画は進めておったわけでございますが、そういうことで現道の混雑解消と沿道環境の改善を図るために、昭和四十六年にバイパスの事業化を図って手をつけたということでございますが、その後いろいろ地元の沿線の皆さんからの反対がありまして、路線変更の要望が出されたために、その後かなり進捗を阻まれて、バイパスの都市計画決定も延期されてきたわけでございます。そういうようなことで、現道がそういう状況でございますので何とか早くやりたいわけでございますが、たまたま最近になりまして、御指摘のように地元では五万人からの署名でバイパスを促進しろという機運が出てまいってきておりまして、ぜひ何とか進めなければいけないというふうにわれわれは考えております。  そういうことで、今後の進め方といたしましては、まず、先ほど環境アセスメントのお話がございましたが、事実、環境アセスメントは、この三原バイパスでは一つのテストケースとしていまわれわれが取り組んでおりますアセスメント手法を取り入れながらやっていきたいという考え方でおりまして、しっかりしたアセスメントをやって、ルートについて完全な御理解をいただいた上で、ぜひ早くこのバイパスの完成をしたいというふうに考えておりますが、その前の段階に県、市、地元関係者の御理解と協力を得てバイパスの都市計画決定をまずやらなければいけませんので、早くそういう段階に持ち込みたいというふうに考えております。このバイパスの総事業費は三百七十億程度でございまして、その着工の時期とか事業の進め方等につきましては、この八次の五カ年計画で十分検討したいというふうに考えております。
  94. 古川雅司

    古川(雅)委員 環境アセスメントの結果を踏まえてということは十分理解できるわけでございますが、三原市の場合には、すでに現時点で大気の汚染については環境基準をはるかに越えているわけであります。そういう現状から考えまして、この三原バイパスの着工へのゴーサインを出すに当たっては、これは基本的な問題になると思いますけれども、いわゆる都市機能はすでに崩壊寸前であるという現実、そしてまた、片や車社会から住民、いわば弱い立場にある人たちを守っていかなければならないという現実、そうしたジレンマがあるわけでありまして、その中でそれをどう調整して着工に踏み切っていくかという決断が大きなかぎになると思うのです。この点についての見解もひとつお示しいただきたいと思います。  さらに重ねて、去る本年三月二日の本委員会の私の質問に対して道路局長は、道路整備は従来距離をかせいできたのは確かである、しかし道路の過去のストックが非常にたまっているのだ、したがってこれからの経済安定成長下の道路整備のあり方については質に重点を置くということに軌道修正をしなければならない、それは認めるというふうに御発言になりました。しかし重ねて、量的なおくれがあり、全国津々浦々からの要望、いわゆる道路整備に対する需要が根強いので、これに対応していかなければならないのだという御発言もあったわけでございます。そういう点も踏まえて、さっき申し上げました二点の調整、そしてまた冒頭に申し上げました国道建設計画の中の緊急最優先区間、伺うところによると、その中には約十二カ所にわたって組織化された住民反対運動も起こっていると言われております。来年度からスタートいたします第八次道路整備五カ年計画事業計画の選択ということについてもこの辺をどう志向していかれるのか、その点の御見解をお示しいただきたいと思います。
  95. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 三原バイパスの今後の進め方につきましては、御説明いたしましたように都市計画決定に持ち込む前にアセスメントを提示いたしまして、十分地元の御理解を得た上で進めたいというふうに考えているわけでございます。  それから全般的なお話といたしまして、バイパス事業の問題を含めた五カ年計画での質的な道路整備の対応の問題でございますが、現在バイパス事業を実施しておりますのは全国で五百四カ所ございます。そのうち国直轄のバイパスが三百三十カ所、それから一般国道、補助のバイパスが百一カ所、地方道のバイパスが四十二カ所、有料道路関係が三十一カ所ということになっておりますが、このうち比較的強い反対運動のある個所は全対の三%、十七カ所というふうにわれわれは把握しておるわけでございます。そういうことで、現状は、バイパス事業が進捗しませんのは、反対運動ということよりもむしろこの七次の五カ年計画の初めの石油ショックを契機といたしました総需要抑制策によりまして、道路投資が毎年抑えられてきた、計画を大幅に下回ったということと、逆にこの時点で建設費が急騰したという原因のために、バイパス事業がおくれておるわけでございます。しかしながら、一部において住民反対運動が発生していることは事実でございますので、やはりこういったアセスメント等をやりながら、今後は従来のような車を通すための車道整備ということだけでなくて、もっと歩道とか環境対策という質的な面に重点を置いた整備を図るよう、この第八次五カ年計画を契機といたしましてやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  96. 古川雅司

    古川(雅)委員 次に住宅の問題に移らしていただきます。  去る十月十三日、全国公団住宅居住者の総決起大会が行われました。来年七月をめどに平均五千二百円に上る家賃の値上げが計画されているということでございまして、いわゆるプール制家賃反対という要望と、また公団住宅の諸問題についての幾多の要求が掲げられたわけでございます。きょうは日本住宅公団総裁参考人としておいでをいただいておりますので、これから逐次お伺いを進めてまいりたいと思います。  日本住宅公団のずさんな経営につきましては今日大きな社会問題になっているわけでございまして、公団の全保有地の四〇%に達する千五百八十九ヘクタールの遊休地、さらに二万七千四十五戸の空き家に対しての減収、これは年間百億円にも達しておると言われております。こうした現状が、遠くて狭くて高いといういわゆる公団三悪としてきらわれている根拠でありますけれども、しかも公団の累積負債が五十一年度には四兆円を突破、五十二年度には五兆円を超える状況であると言われております。これに伴う金利でありますが、五十一年度には二千九百三十億円、五十二年度は推定約三千六百億円、これに対する一日当たり利息で計算しましてもざっと十億円近く支払うことになる。このようないわゆる第二の国鉄と言われるような公団の危機的状況を招いたのは、一つには国が住宅政策を放置してきたのか、あるいは日本住宅公団が国の言うことを聞かないでずさんな経営をしてきたのか、どちらなのか、あるいは両方なのか、これは大いに問題とするところでありますが、日本住宅公団の設立の目的である、日本住宅公団法第一条の「住宅に困窮する勤労者のために」という趣旨に立ち返って、この際抜本的な改革か求められているわけでありますが、特に勤労大衆の住宅問題の解決、入居者へのサービスの向上等基本的な方針について、建設大臣から一音所信をお伺いしたいと思います。
  97. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 住宅公団の今日までのあり方につきましては非を私たちも認めないわけにはまいらない、それは住宅公団ばかりではなくて、やはり指導する建設省にも欠陥があったということも認めなければならぬ、こういうふうに考えております。
  98. 古川雅司

    古川(雅)委員 本日は私、諸問題の一端として、一つの角度からの見方でありますが、入居者に対するサービスの実態についてお伺いを進めてまいりたいと思います。  それは株式会社団地サービスについてであります。これは昭和三十六年六月二十一日に日本住宅公団法の三十二条を一部改正いたしまして、日本住宅公団の一部出資によって設立された法人であります。時間がないのでこちらで読み上げますが、三十二条に第二項を設けまして、その中にこの団地サービス会社の趣旨をうたっております。団地居住者の利便に供するということが強調されておりますし、事業日本住宅公団が投資をすることができるということも盛られておりますが、住宅局長おいでになっていると思いますが、この点相違ございませんか。
  99. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生お話のとおりでございます。
  100. 古川雅司

    古川(雅)委員 日本住宅公団が設立当時で六〇%、現在六七%、この団地サービス会社に出資をいたしております。このようにして設立された法人でございますけれども、これはその性格から見て当然建設大臣の指導監督の義務があると私は考えるのですか、この点は相違ございませんか。
  101. 山岡一男

    ○山岡政府委員 当時公団法第三十二条の第二項を改正いたしまして団地サービスができたわけでございますけれども、団地サービスの中身につきましては、当時公団住宅の管理戸数が非常にふえてまいりまして、当時の住宅事情から公団住宅の供給の方に専念をしなければならない予算上、人員上の制約等もございましたので、何とかして皆さんのためのサービスを向上するための新しい組織か必要だ、そのためには株式会社として仕事の能率化、企業家努力によるサービスの向上を期待するということで、株式会社にしたわけでございます。したかいまして、現在団地サービスに対する直接の監督と申しますか、それにつきましては、法律に基づく監督といたしましては、公団法に基づきましてその出資をしもしくは融資をしたことについての監督というのは建設大臣でございます。さらに団地サービス直接の監督につきましては、法令上の監督ということではなくて、その出資者、先生おっしゃいましたように三分の二を出資しておるという意味の大株主としての立場で公団が監督しておるというのが現状でございます。
  102. 古川雅司

    古川(雅)委員 そうすると確認いたしますが、建設大臣はこの団地サービス会社に対して指導監督の責任はないということですね。そして、出資をしている日本住宅公団は、出資しているということでこれに責任かあるということが言えますか。
  103. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、住宅公団の投融資につきましては建設大臣が認可をいたしております。そういう意味でその認可の内容が完全にうまくいっているかどうかという意味の監督責任はあるわけでございます。ただ、日常の監督については、直接大株主としての権限で団地サービスに対しては公団が監督しておるという事情を申し上げたわけでございます。
  104. 古川雅司

    古川(雅)委員 では、建設大臣もまた日本住宅公団総裁も、この団地サービス会社が何をやっても勝手だということにはなりませんね。
  105. 山岡一男

    ○山岡政府委員 その点は当然だと思います。
  106. 古川雅司

    古川(雅)委員 では、この団地サービスの設立以来の事業規模についてお伺いをしてまいります。  第一点は、設立年度である三十六年、また翌年の三十七年、最近に至りまして五十年、五十一年度の営業収益の実績でありますが、三十六年が三千百七十八万円、三十七年か二億三千四十万円、五十年になりますと二百八十九億九千二百四十万円、五十一年度が三百四十六億五千八百八十二万円。  第二点は、現在民間企業の株の取得の割合についてでありますか、四十二年度以降になりますけれども、日本住宅公団が六七%の二億四千万円、そのほか銀行十五社か一三%、損害保険会社が二十社で一〇%、生命保険会社二十社で一〇%、この三者を合わせますと三三%で一億二千万円、こういう内容であります。  第三点は、株式の配当率でありますが、三十六年から三十八年の間が無配当、三十九年から四十四年の間か六%、四十五年から五十一年の間か八%、このような株の配当率になっております。  以上三点について相違ございませんか。
  107. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 ただいま先生お示しのとおりでございます。
  108. 古川雅司

    古川(雅)委員 事業規模の推移について、いま御指摘申し上げたとおり間違いないということでございますが、次に、一つは営業収益の実績を見ますと、公団入居者の五十四万戸に対するサービス業として、資材納入商社やあるいは建設業等との独占的な契約によってこうした収益を上げているというように理解いたしておりますが、設立された三十六年と五十一年を比べますと実に千倍以上、この三十六年にはいろいろな事情があったと思われますけれども、翌年の三十七年と比較してみましても実に百五十倍に上る収益を上げていることになります。  もう一点は、本来入居者か保証金として支出した敷金の利息によって入居者の利便、サービスを設立の目的とした法人が、今日、さきに示しましたように年株式配当八%を出しているということは、これは平たく申し上げますと、入居者のお金によって公団も利益を上げているということになるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。勢
  109. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 ただいまお尋ねの敷金等の運用益によりまして出資をいたしまして、それによって八%公団に対しましても配当があるわけでございますけれども、これは私ども団地サービスから受け取りまして、全額団地環境整備費ということで団地環境の整備に使っておるところでございます。
  110. 古川雅司

    古川(雅)委員 この実態を設立当時から非常に心配をいたしまして、衆参両院の建設委員会において、この法改正のときに附帯決議を行っております。これは内容を一々朗読するまでもありませんけれども、衆議院の建設委員会の附帯決議の中には「居住者の意思が充分反映し、且つ運営が営利に走らないよう措置する」ことというふうにはっきりうたわれておりますし、参議院の方の建設委員会の附帯決議では「機構および人事に関し慎重を期して、その経営が営利的とならない」ことというふうにはっきりと言明をいたしております。さらにそれを受けて、昭和三十六年三月二十二日の建設委員会におきまして、山中委員質問に対して当時公団の副総裁の渡邊参考人が「営利追及に走るということがないように、むしろ会社全体がもともと入居者の利便のためということでできておりますので、その本来の目的を逸脱しないようにということについては、公団としましては十分配慮して参りたい、かように考えております。」というふうにはっきり答弁をしておられるわけであります。  先ほどの利益の実態から見ましても、この設立の趣旨、それから委員会の附帯決議の趣旨を逸脱した実態ではないかというふうに考えるのでございますが、いかがでございますか。
  111. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 お答えを申し上げます。  公団は団地サービスに対しまして、先ほど来御指摘のような設立の趣旨に即応するように、公共性を十分認識して公団住宅の管理の補助機関といたしまして住民サービスに徹するように、指導をいたしておるところでございます。  営利に走っておらないかということでございますが、三分の二の出資をいたしまして、株主として、先ほどもお話が出ましたように、公団は直接の監督を鋭意行っておるところでございます。それで私どもは、いろいろ末端のサービスに御批判はございますけれども、これは基本的に営利に走ったがためとは実は考えておらないのでございます。八%の配当が高いか低いかという御指摘、これも問題のところでございまして、当初は六%でございました。それを十年たちまして、世間並みの会社から申しますと決して高い配当ではございませんが、八%に引き上げたというふうに聞いておりますけれども、ただいま申しましたような公団の性格から申しまして、八%が適当かどうかということはなお考慮の余地があろうかと存じております。  ただ、ここで私ども、実は懸念と申しますとなんでございますが、最近問題といたしておりますのは、先ほど御指摘のように、四十九年度、五十年度と売り上げが増加し、五十一年度もさらに増加したわけでございますけれども、純益から申しますと、四十九年度、五十年度は一億円以上ございましたものが、五十一年度は三千百万円に急減いたしております。これは御承知の団地における緊急センターの設置等の支出が多額に上り、今後もこれは続く見込みでございます。  こういう状況でございますし、最近のような問題がいろいろ出てきました団地サービスの経理といたしましては、むしろ配当が困難になりはせぬか、五十二年度は収支としては赤字になる懸念がある、そんなことを予想しておりますけれども、しかし、いずれにしましても御指摘の点、営利に走って収益を上げ、高率の配当をするというようなことは私ども毛頭考えておりませんし、その点については十分今後も御趣旨に沿った検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  112. 古川雅司

    古川(雅)委員 八%の配当が高率であるかないかということはまた社会的な判断にゆだねるといたしまして、非常に時間が限られておりますので、以下問題提起を続けてまいります。当然私は今回でこの質問を終わるつもりはありません。今後も機会があったら続行してまいりたいと思いますが、人事については、団地サービスの役員二十名中六人が公団関係者であります。よけいなことかもしれませんが、役員の給与を参考までに申し上げますと、月給の基本給が、社長八十六万、専務七十万五千円、常務五十五万五千円となっております。ちなみに日本住宅公団総裁の月給は九十九万円、副総裁か七十七万円、それが高いか低いかは別問題であります。  人事につきましては、先ほど申し上げました参議院の附帯決議の中にもございますけれども、天下り人事については、これまた昭和三十六年三月二十二日の建設委員会におきまして、当時の総裁である挾間参考人が「この会社の人事等が失業救済になるとか、あるいは公団のおば捨て山になるとか、ないしは建設省のなにになるというようなことは全然考えておりません。」と明確にまたお約束になっておるわけでございます。この趣旨にもこれは反しているのではないかというのが一つの問題点。  それから次に、サービスの実態について一つ申し上げておきますけれども、入居者の方が団地を転出するときに補修をするわけであります。ところが、一般には、たてまえとしては、個人的に本人が補修等の施工者を決めて修理できることになってはおりますけれども、現状は全部この団地サービスによって、また公団によって、一方的に空き家修理費の負担額の請求がなされております。しかも、その一つ一つの価格は利潤を含んだ一般のコマーシャルベースと同様であり、あるいはそれより高い場合がある。ちなみにこれを都営住宅の場合と比較してみますと、畳やふすまは一年以上、台所、天井、壁は三年以上の入居であった場合は都が負担することになっておりますが、公団の場合はたとえ一日入っても全部負担をしなければならない。これは一つの例でありますが、そのほか、駐車場の料金あるいはオリジナル商品であるとか団地向きの住宅器具など、これはすべて団地サービスがやっておりまして、むしろ入居者の利便、サービスを無視した、営利に走った経営ではないかという非難が非常に高いわけであります。この点が一つ。  さらに、利潤は追求していないという意味の御弁解か先ほどございましたけれども、これは時間の範囲内でぜひ御答弁いただきたいと思いますが、公団では、居住者から預かっている敷金はどのようなお取り扱いになっているのか。五十一年度現在で結構でございますが、敷金の年度末の残額が幾らになっているか。そしてまた、その運用利息相当額と申しますか、利息が幾らになっているか。それから、この敷金と利息についてはそれぞれ預かり金としての扱いをしているのか、あるいは収入科目に分けて入れているのか、込みで入れているのか、その辺を明確にお示しをいただきたいと思います。きょうは、その点は御答弁いただいて再質問はいたしませんけれども、今後の問題にさしていただきたいと思っております。  最後に、建設大臣から締めくくりをお願いしたいと思います。このようにして、幾つか問題点の一部を提起したわけでございますが、大臣の所感と決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 よけいなことでございますが、私の給料は九十四万円でございますので、よろしくお願いいたします。  団地サービスの役員のことにつきましては、御指摘のように、団地サービスに公団の旧役職員が入っておりますことは事実でございますが、これはある意味では、公団のハードウエアと団地サービスのソフトウエアとの密接な関係がございますので、そういう意味である程度の人間が入ることは私は差し支えないと思いますけれども、これが大方の御批判を受けるような形であってはいけないということはもちろんでございますので、今後とも十分気をつけることにいたしたいと思います。  あとは担当の理事からお答え申し上げます。
  114. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 昭和五十一年度の決算で見まして、敷金は三百十五億円ということになっております。それから、これの運用益は十四億円ということでございまして、これは私どもの経理上は別になっておりまして、貸借対照表の上でも受入保証金という中で経理いたしております。それから、この十四億円につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、団地環境整備費こういったものに使用しておるわけでございます。
  115. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 団地居住者に対して種々のサービスを業務として行う、こういうふうに公共性の非常に高い団体でありますから、直接的には公団指導監督することになっておりますけれども、御指摘のような点に改善すべき点があれば速やかにその改善を図っていきたいと考え、十分に公団指導してその措置をとらせていきたいと考えております。
  116. 古川雅司

    古川(雅)委員 終わります。
  117. 伏木和雄

    伏木委員長 古川君の質疑は終了いたしました。  次に、西村章三君。
  118. 西村章三

    西村(章)委員 まず初めに、宅地供給対策についてお伺いをいたします。  先日の当委員会住宅宅地小委員会で示されました「宅地供給の現況と問題点」によりますと、五十年度の宅地供給の総量は全国で一万八百ヘクタールでありまして、四十七年と比較をして約四千ヘクタールの減少であります。この減少傾向が続きますと、五十一年度から五十五年度にわたる第三期住宅建設五カ年計画で新規に必要とされる六万六千ヘクタールに対しまして、五万ヘクタールの確保さえ困難である、かように考えるわけでございます。この六万六千ヘクタールの宅地供給達成についての今後の見通しをまずお伺いしたいと思います。
  119. 大富宏

    ○大富政府委員 お示しのとおり、第三期住宅五カ年計画に必要な宅地の総量を、六万六千ヘクタールと見込んでおるわけでございます。六万六千ヘクタールといいますと年間に一万三千三百ヘクタール、これはミディアムグロスでございますので、グロスにすると約二万ヘクタールぐらいの土地を用意しなければならない、こういうことでございますけれども、宅地供給が四十七年度をピークに非常に落ちてまいりまして、五十年度は、お述べになりますように一万八百ヘクタールということでございます。このダウンカーブが第三期住宅五カ年計画にそのまま続くということは大変心配でございます。特に民間の宅地開発の落ち方が非常にひどいということでございますが、五十一年度の実績がまだ出ておりませんけれども、五十一年度の実績でどういう数字が出てくるか、非常に関心を持っているところでございます。  ただ、非常にいい条件といたしましては、第二期住宅五カ年計画中、公的開発はほぼ横ばいでございますけれども、五十年の九月に設立いたしました宅地開発公団が、いよいよこの第三期中には戦力を発揮するだろうと思いますし、もう一つ宅地供給に大きなウエートを持っておりますところの土地区画整理事業、これがいままでずっと上昇カーブを描いております。したがいまして、宅地供給というのは大規模になりますとやはり十年ぐらいかかるわけでございますので、いまから公的宅地開発、ことに土地区画整理事業を今後も伸ばすように指導いたしたいと思いますが、落ち込んでいる民間につきまして、関連公共公益施設なりあるいは税制なり、いろいろな阻害要因というものを一つ一つ除去いたしまして計画している宅地供給量を確保したい、このように考えております。
  120. 西村章三

    西村(章)委員 この資料を見てまいりましても、区画整理事業の供給量だけが伸びておるわけであります。しかし、これは一定の期間、年月が必要でございまして、相当以前の事業認可が今日ようやく供給された、かように見るべきだと思います。したがって、この「資料−4」をながめてまいりますと、事業認可も現在非常に減少してきた、こういう傾向があるわけでありますが、区画整理の現況と今後の供給見通しについてお聞きをしたいと思います。
  121. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  まず、区画整理の施行状況でございますが、現在の事業の着工状況を申し上げますと、合計で、地区数としましては六千三十二地区でございます。施行面積としまして約二十五万一千ヘクタール、これを現在実施中でございます。
  122. 西村章三

    西村(章)委員 次に、国土庁のこの三全総試案によりますと、いわゆる地域別の人口フレームとして、たとえば大阪圏におきましては、五十一年から六十年、これの増加人口は約百五十三万人、五十一年から六十五年に二百十一万人とそれぞれ想定をされております。東京圏の五百五十二万人、これの増加も含めまして、これらの数字というものが、それぞれの圏域での許容可能な数字であるのかどうか。これらの人口増加に伴う宅地供給の問題につきましても大変心配されるところでございますが、許容可能かどうか、まず長官の方から私は伺いたいと思います。
  123. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 御指摘のように、第三次全国総合開発計画案におきましては、東京圏の今後十五カ年間におきます人口増五百五十二万人、大阪圏におきます人口増加が二百十一万人という想定のもとに環境整備の内容を詰めておりますが、これはいずれも地元の各都道府県と相当総合的に調整した数字でございまして、ある程度の施設整備はできるということを予想してつくったものでございますが、しかし、東京圏におきましても、大阪圏におきましても、土地、水、エネルギーについて部分的にかなり供給が困難を予想されるということを想定しております。
  124. 西村章三

    西村(章)委員 非常に困難が予想されるわけでございまして、宅地供給そのものも十分用を達するかどうか疑問な点でございます。水の問題についても同様なことが言えるわけでございまして、すでに国土庁のある資料によりますと、最近でもう南関東や京阪神はすでに水の供給については限界に達しておる、こういうことすら発表されておるわけでございますが、この点についていかがお考えでございますか。
  125. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 いまおっしゃられましたように、特に水資源につきまして、夏場の非常に水の使用量の大きい日であって、しかも非常に渇水年に遭遇した場合に、相当水資源の供給が困難なときがあるのではないかということを心配しております。平常の時点においてはほぼ供給することが可能であると考えておりますが、これだけ大きな人口を予想せざるを得ないのは、御承知のように大都市人口増加か、社会増はほとんどとまりまして自然増加がここ十年あるいは十五年続かざるを得ないという前提から、人口増加が大きくなりますので、この人口増加に耐えるだけの水資源あるいは都市対策をかなり強い対策として講じなければならないと思います。
  126. 西村章三

    西村(章)委員 水資源の方もきわめて容易ならざる事態にあると思います。  そこで、一番問題なのはやはり宅地供給の問題でございまして、現在宅地供給の阻害要件いろいろと言われております。地方公共団体のいわゆる開発抑制政策、あるいは地価が高い、また農地、未利用地の転用がおくれている、こうした理由がございますが、中でも自治体が開発抑制政策をとっております最大のものは、やはり過重な公共公益施設負担、これに問題があることは明白でございます。現在この軽減措置として、国庫補助あるいは立てかえ施行、立てかえ融資制度、地方債助成制度などが実施をされておりまするけれども、造成原価に占める開発者負担額の割合というものは、これはもう公的開発で平均四五・五%、十五ヘクタール以上の民間開発では四八・八%と、五〇%近くになってきておる。これらの措置だけではきわめて不十分だ、対応できないという状態にまできておると思うのであります。建設省として、さらに何らかの対応策を具体的に検討されておられるのか。  また、来年度、聞くところによりますと、税制改正要望の中で、住宅団地建設促進臨時特別税、これの創設を挙げておられるようでございますが、これは課税対象を三大都市圏の従業員百名以上の事業所として、従業員に支払った給与総額の〇・二五%、こういう内容でございます。  本来、公共公益施設の設置といいますものは、国または地方公共団体、これの負担においてなすべきものでありまして、これらの費用を事業所や需要者に転嫁することはかなり困難があるのではないか。財源を調達するにつきまして、これ以外に何らかの対策あるいは方法というものがないのか、お尋ねをしたいと思います。
  127. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生お話のとおり、宅地開発等に伴いまして、特に関連公共公益施設の整備がきわめて重要でございます。  そのために、まず第一には、根幹的な公共公益施設につきましては、国庫補助事業をまずつけるということが第一だと思います。建設省の立場といたしましては、省内に、たとえば技監を長といたします協議会を設けておりますが、その場で十分協議をして、省内関係事業の個所づけについて連絡をとるという措置をとっております。  そのほか、各省の事業を含めまして、先生先ほどお話ございましたように、五省協定の範囲で立てかえ施行を行っております。それから人口急増市町村の国庫補助率の引き上げ、それから地方債のかさ上げと利子補給などの制度を講じてまいっております。  しかし、先生おっしゃいますように、これらの制度はいずれもまだ不十分だとわれわれ考えておりますが、大都市周辺の市町村に対しまして、特に官民の住宅団地の建設に即しまして、それらのものにかかわりを持った新しい助成事業を起こしたいということで、来年度予算といたしまして、住宅団地建設促進助成事業というのを現在要求させていただいております。今後関係方面と十分協議をして、前向きに努力したいと考えております。  それから、後でお話の出ました住宅団地建設促進税でございますけれども、先生お話のとおり、関連公共公益施設の整備の問題につきましては、本来各施設の管理者が、定められた費用負担により整備するというのが基本であるというふうに考えております。しかしながら、地方公共団体は最近財政難等から団地お断りということで、われわれ非常に困惑をいたしております。その一部を開発事業者の負担ということが恒例化をしておりまして、それが住宅価格等に大きな影響を与えるというのも事実でございます。これは一たん住民がふえますと、人口急増補正、特別交付税の交付その他の手続があるわけでございますけれども、新しく団地が落下傘のように舞いおりるという場合には特別の措置が何にもございません。このような事態を打開しますためには、まず地元市町村の関公の負担を容易にする措置が必要だということで、先ほど来の施策を講じてまいったわけでございますが、さらに、一歩を進めてどうしても負担を軽減する必要があるということでございまして、そのためには、大都市地域におきまして種々の経済活動を営んで、いわゆる集積の利益も受けておられる、しかしながら反面、その結果として大都市地域の住宅問題の主要な原因者となっているというような事業所に対しまして、一定期間を限りまして、まあそう多額でない負担をひとつしていただけないかというのが発想のもとでございます。たとえば人件費を一億円お払いになった事業所では二十五万円、四億円お払いになった場合百万円ということでございまして、私は、現在の企業の負担能力等から見まして決して多額のものでもないと思いますし、そういう意味で提案したわけでございまして、私どもといたしましては無理がある提案だとは思っておりません。したがいまして、今後関係方面と十分努力をして協議してまいりたいと思っております。
  128. 西村章三

    西村(章)委員 いま住宅局長の方から、来年度の方針として、各省のそれぞれの対策をお述べになられました。建設省関係におきましても、宅開公団住宅公団住宅金融公庫日本開発銀行、それぞれ公共公益負担のための措置として、たとえば対象施設の拡大であるとか、融資率の引き上げであるとか、税率の引き下げなど、積極的に取り組んでおられるようでございます。しかし、いずれも小規模でありまして、地方財政の負担率の引き下げが大幅に前進するとは思えないのでありますが、この措置によってどれくらいの効果が出ると思われますか。概算だけでも結構でございます。出していただけませんか。
  129. 山岡一男

    ○山岡政府委員 実は、最後に申し上げました措置につきまして現在考えておりますのは、年間の平年度化しますと三百四十億円ぐらいを考えております。
  130. 西村章三

    西村(章)委員 質問の内容が違います。  来年度、いま住宅局長から前段で申されましたいろいろな各省の施策、特に宅開公団住宅公団住宅金融公庫、それぞれがいろいろな措置をとられるという方針のようですね。対象施設の拡大、融資率の引き上げあるいは利率の引き下げ、こういうことを積極的におやりになると。これをおやりになってもなかなかこの地方の公共公益負担というものは一挙にその負担規模が下がる、こうは思われないと思うんだろうがどうだろうか、こういう質問です。
  131. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、計量的にはどれほど下がるということは私ここで申し上げられません。しかし、たとえば住宅公団でございますと、一戸当たり周辺地域で百三十七万円というようなものを現在負担をしておるわけでございますが、先ほどの措置をいろいろ講じますと、私は少なくとも七、八割は解除できるのではないかと期待しておるわけでございます。
  132. 西村章三

    西村(章)委員 次に参ります。  市街化区域内におきます農地等の宅地転用が停滞をいたしておりまして、四十七年の一万二百七十八ヘクタールに対しまして五十年は五千二百七十三ヘクタール、約五千ヘクタールと半減いたしております。これが宅地供給量全体の減少の最大の要素である、こう思われておるわけであります。現在必要なことは、建設省指摘をされておりますように、まず市街化区域内農地の宅地化を促進することにあると思います。資料によりますと、全国で百二十四万ヘクタールの市街化区域のうち二十五万三千百七十二ヘクタールが農地でありまして、うち三大都市圏のA、B、C農地は九万二千三百二十七ヘクタールであります。仮にいまこの三大都市圏のA、B、C農地を五〇%宅地化しましたならば四万六千百六十四ヘクタール。第三期計画で必要とされる三大都市圏の宅地供給量三万四千ヘクタールは容易に確保できるわけであります。政府といたしましては、これら農地のうちどの程度を宅地化しょうとされるのか、あるいはそれによってどのくらいの住宅建設戸数が見込まれるのか、お答えをいただきたいと思います。
  133. 中村清

    中村(清)政府委員 第三期の住宅の五カ年計画建設戸数が八百六十万戸、そのうち新規の宅地を必要とする戸数が約三百五十万戸ということになっております。その三百五十万戸に見合います宅地供給必要面積といいますか、これはいま御指摘の六万六千ヘクタールということでございまして、一方市街化区域の面積、いま御指摘ございましたように全部で百二十四万ヘクタールございますが、既成市街地が大体五十四万ヘクタールほどございますので、残り今後新規に宅地供給化可能地域といいますのは約七十万ヘクタール、こういうことになります。そこで全体の百二十四万ヘクタールの中で、ただいま御指摘がございましたように約二十五万ヘクタールほどの農地、それから九万ヘクタールほどの山林がございます。合わせまして約三十五万ヘクタールぐらいになりますが、問題はこういう農地、山林をいかにして早く宅地化していくかということでございます。ただいま御指摘がございましたように農転のあれが減っているじゃないかというお話でございますが、原因はいろいろあろうかと思います。私どもはちょっと責任の省ではございませんのでその具体的な原因についてはよくわかりませんが、私どもとしてやっておりますことは、たとえばそういう残っておる農地の中にも将来保存しておかなければいかぬというものもあるだろう。こういうものにつきましては、生産緑地という制度が御存じのようにございます。第一種、第二種と二つの制度がございますが、これは考え方としましては、公害とかあるいは災害の防止といったようないわゆる生活環境の確保には非常に役立つといったところで、かつ将来公共施設の用地にも適しておるというふうなところを保存しよう、こういうことでございますが、そういうもので残しておく。都市に緑を残すということもこれは非常に大事なことでございますから、そういうものが、現在指定をしております面積が約三百七十ヘクタールほどございます。  そこで、いま御指摘の、あとどういうふうに具体化していくんだというお話でございますが、御承知のように大都市地域周辺のいわゆる農地、これを早く宅地化しようということで、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法という法律ができました。その中で特定土地区画整理事業というものをやるような手だてが講ぜられております。一般の土地区画整理事業に比べまして手法も簡素化されまして、しかも中身も一般の土地区画整理事業に比べて優遇をされておるということによりまして宅地化を図ろうということでございますが、現在施行しておる面積が三十四地区で約二千七百二十三ヘクタールほどございます。  以上でございます。
  134. 西村章三

    西村(章)委員 この都市計画法の施行は四十四年の六月であります。市街化区域はこの中で「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を」促進すべき土地となっております。すでに十年近くたっておりますが、全くと言っていいほど市街化される見通しのない農地というものがやはりまだ今日相当多くあるわけであります。この際、市街化区域の中に入っておりますこういった対象農地を思い切って一遍調整区域に編入をしていくというような線引きの見通しについては、都市局長、どうお考えになりますか。
  135. 中村清

    中村(清)政府委員 線引きの見直し、これは四十六年度以前に線引きをいたしました二百八十地区につきまして、現在おおむね五年たっておりますので見直しの時期になっております。その中で、ただいま御指摘がございました市街化区域の中に入っておる農地で調整区域に戻っているというものも、実例としましてはございます。その逆で、調整区域の中から今度また市街化区域に入ってきたというものもございます。必ずしも全部現在市街化区域内にある農地を調整区域に戻すということは一概にはちょっと言えないのじゃないかというふうに考えます。
  136. 西村章三

    西村(章)委員 次に移ります。  市街化区域内に同様な意味におきまして未利用地がたくさんございます。現在一万二千三百三十四ヘクタールの未利用地があるわけでございますが、この未利用地の地目はどういう実情になっておりますか。また一定規模以上の未利用地の利用促進を具体的に検討すべきではないかと思いますが、これらの点について伺いたい。
  137. 松本作衛

    松本(作)政府委員 国土法によりまして遊休地の制度がございますが、この遊休地の制度に基づきまして一定規模以上の未利用地の状況を把握いたしましたところ、ただいま先生からお話がございましたように、市街化区域内で一万二千ヘクタールほどございますが、その中の地目別の内訳は実は集計しておりません。ただ、全国的な三十万ヘクタールについて申しますと、宅地が二%、田畑が一%、山林が七〇%、その他地目が二五%ということになっておりまして、その大部分が山林その他になっております。市街化区域内におきましても山林、雑種地等のその他地目が比較的多いかと思いますが、これらはいずれも宅地に転換し得る土地であろうというふうに考えております。  それらの土地に対してどのような措置を講じておるかという点でございますが、国土法によります遊休地の制度によりまして、国土庁といたしましては都道府県、市町村等の協力を得まして遊休地の指定を昨年来やっておるわけでございます。その結果は全国で件数にして三百九十五件、面積にいたしまして約八百三十ヘクタール程度でございまして、予想に反しまして比較的面積が少ないというような実態でございますが、これらの大部分は宅地ないしは公共用地等に活用される計画を持っておりますので、これらのものについての促進方を図っていきたい。特に公共用地につきましては、この公共用地を取得いたします市町村に対して取得費の利子部分について利子補給措置を講ずるということで、今年から予算措置を講じておるところでございます。  その他、市街化区域内の未利用地等につきましては、先ほど御質問がありました公共公益負担の問題とも含めまして、市町村のこの宅地化に対する対応というものが非常に重要でございますので、国土庁といたしましては市町村に対して土地利用転換計画というものの作成をお願いし、その土地利用転換計画の作成につきまして計画費の補助をするとかという措置も今年から講じておるところでございます。
  138. 西村章三

    西村(章)委員 いろいろと伺ってまいりましたけれども、どうもいろいろな施策がとられております割りに宅地供給というものか一向に促進されない。土地利用も完全にスムーズにいっておらないという気かしてなりません。その原因はやはり宅地対策の基本的な物の考え方、ここに問題があるのではないか。建設省の宅地対策の基本方向は従来の施策の延長線上に位置するものでございまして、いわば大都市人口増に見合う市街地形成宅地供給を確保していくというきわめて受動的なものでございます。今日土地住宅政策に多くの停滞と矛盾が発生して、きわめてその転換が迫られておるにもかかわらず、一向に新しい方向づけというものかなされてこない。いわばいま地価が比較的安定基調にあるこの際、当面の方向として大都市内の市街化区域、これを徹底的に整備をしていく、こういったような、もっと前向きの発想の転換が必要だと思われるのでありますけれども、この点につきましてお答えをいただきたい。
  139. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 市街化区域においては計画的な市街を形成してあわせて宅地供給の促進を図るために、道路あるいは公園、下水道というような基幹的都市施設の整備及び土地区画整理事業と市街地再開発事業等の市街化開発計画的に実施しているところでございますけれども、昭和五十二年度より、三大都市圏の一部の都市計画区域においては市街化区域の整備を一層効率的かつ計画的に進めるべきであるというような考え方から、市街地整備基本計画策定いたしまして、これに基づいて緊急に推進すべき事業を実施しているところでございます。また、建設省といたしましては、これら諸般の施設を総合的に活用しながら大都市圏の市街化区域の整備を促進してまいる考えでございます。
  140. 西村章三

    西村(章)委員 一口に申し上げまして、法律や手法、これはいろいろあるわけでございます。ところが、実行なし、こういうのが現状ではあるように私は考えられるわけでございます。そこで、市街化区域を徹底整備する手法といたしまして、たとえば住宅公団、これの活用が考えられると思うのであります。建設大臣もことしの二月にこういう発言をされております。公団住宅建設、宅地開発住宅の維持管理のすべてを手がけるには限界がある、手薄な管理部門を現状のままに放置をしておくと公団住宅がスラム化する恐れもある、かように指摘をされております。したがって、従来の住宅公団の集団住宅建設、これを重点とした業務というものは限界を示して、今日国民の批判も非常に厳しい。今日の住宅需要の根強いものは大都市及びその周辺地域での良好な住宅の供給であり、特に大都市の市街化区画内での宅地開発事業都市開発住宅地区改良事業の強力な実施が望まれております。  そこで、そのための措置として日本住宅公団、これを改組して大都市内の市街地開発事業を主要業務とする、私は名称はこだわりませんが、たとえば大都市整備公団といったようなものを設立して、住宅建設と宅地の造成の整合性を図る見地から、宅開公団、これに改組合併いたしまして、この改組した新公団によって大都市内の市街化区画、これの宅地化を強力に推進する。もとよりこの新公団は公共施設につきましては直接施行するものであることは言うまでもございません。そのことによりまして、市街化区域を新都市計画法本来の目的に沿わせるべきだ、かように思うのでありますが、この考え方につきまして見解を承りたい。
  141. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私も、住宅公団が無限に大きなたくさんの家を持ってその管理をするということもある程度の限度はあるだろうと思っております。したがって、今日のようないろいろなお話が出ている点についても、どうやったらばその目的をより以上よく達することができるかというような考え方は、十分毎日のようにいろいろな、つまり研究とか話し合いをしているところでございますけれども、お話しのような大都市地域における住宅の需要という点に対してこれに対応するためには、いまお話かあったようなことが重要な課題であると思うのでありまして、日本住宅公団は本来大都市地域を中心とする住宅不足の著しい地域において住宅建設事業、宅地開発あるいはまた市街地の再開発事業を総合的に実施することを主体としておるわけでございまして、これらに合わせまして設立されて運営されてきたものでありますが、しかしまた、業務が余りにも複雑多岐にわたっておるというような話もあり、機構も膨大となってきたのでありますけれども、昭和四十八年十一月の行政監理委員会答申につきましても、「住宅対策のための土地行政の機構および運営のあり方について」という趣旨に従いまして昭和五十年の九月新たに強力な権能を持った宅地開発の主体として宅地開発公団を設立をいたしまして、同公団大都市地域における大規模な宅地開発事業を専門に実施させることといたしまして、日本住宅公団住宅建設、管理を主の業務として今日に至っておるわけでございますが、宅地開発公団は設立以来ようやくまだ二年を経過をしたところでございまして、本格的事業の執行にかかる段階にまでは至っておらないと考えるのであります。いずれにいたしましても、両公団は種々相まって住宅、宅地行政の推進に当たっているところでございますが、御提案の御意見一つの御意見だと私は承っておきたいと思います。これに対しましては、今後両者の業務のあり方についても十分に検討を加えながら、また御趣旨も尊重してまいるときもあるかもしれません。
  142. 西村章三

    西村(章)委員 一つの提言でございまして、私はこれなりに大きな効果を発揮するのではないか、かように思われますので、ぜひひとつ前向きで御検討いただきたい。  またこれにつきまして住宅公団の方はどういうお考えを持っておられるか、できればお示しをいただきたい。
  143. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 日本住宅公団は、政府の宅地、住宅政策を受けまして、その実施機関として機能いたしておるのでございまして、こうしたただいまお尋ねのような機構改革について私から申し上げるのははばかられるのでございますが、あえてお尋ねでございますから申し上げますと、ただいま大臣からお話のございましたように、住宅建設と管理及びこれに関連する宅地開発を行っております住宅公団の機能、これはやはり一体不可分のものとして今後も一体的組織のもとに行うのかよろしいと私は考えておる次第でございます。
  144. 西村章三

    西村(章)委員 私は、住宅公団がいわゆる都市の改造の面で新たな活躍の場を見せてもらう方向でひとつ御検討をいただきたいと思うわけであります。  公団の問題と関連をいたしまして、最後にお尋ねをいたしますが、先ほども若干御質問かございましたが、住宅公団のプール制家賃の問題であります。公団がいまになってプール制家賃で大騒ぎをしているのはきわめておかしいと私どもは思うのでありまして、家賃の変更につきましては、公団法施行規則第十条の一号及び二号で、物価等の変動、賃貸住宅相互間の家賃の不均衡がある場合は変更できると明記されておるわけであります。要は、いままできめ細かいこれらの変更努力をせずに、今回のように一挙にしようとするところに大きな無理がある。居住者の反発というのは私は当然じゃないかと思うのでありますが、この不均衡、格差をなくすべき条文があるにもかかわらずやらなかった。そのために逆に格差というものを激しくした、この経営努力の欠如につきまして、公団としてどう考えておられますか。
  145. 澤田悌

    澤田(悌)参考人 空き家に入りました方々は別といたしまして、その他の家賃につきましては二十年間一切改定しなかったというのは、私も問題だと思います。経済人として見てもそういう感じを免れないのでございます。ただ、公団といたしましても何回かその努力はいたしたようでございます。そういうふうに聞いておりますが、情勢が許しませんで実現に至らなかった点は、努力不足という御批判を免れない点でございますが、今回それを取り上げまして、しかも公団にとりまして転換期に、いろいろなむずかしい問題が起こっておるときにこの問題を取り上げざるを得ないということは、大変むずかしい立場に立っておるわけでございますが、大方の御理解を得て、ぜひ実現をしたいと考えておるところでございます。
  146. 西村章三

    西村(章)委員 総裁御自身も問題があるとお認めになりました。今後努力をする、こういうことでございます。一つプール制家賃もひっくるめて前向きで御検討いただき、国民の意に沿うような形の中で御解決をお願いしたいと思います。  時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  147. 伏木和雄

    伏木委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十八日金曜日午前十時委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十三分散会