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1977-11-22 第82回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君       津島 雄二君    西田  司君       高田 富之君    馬場猪太郎君       春田 重昭君    安藤  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      西村 英一君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         内閣総理大臣官         房管理室長   藤井 良二君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         警察庁刑事局長 鈴木 貞敏君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    川島 鉄男君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設対策第一         課長      宇都 信義君         法務省刑事局参         事官      山口 悠介君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         農林省畜産局畜         政課長     井上 喜一君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      野崎  紀君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     中村 守孝君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院事務         総長      鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第二局長  松田 賢一君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔会計検査院所管総理府所管行政管理  庁)〕      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず会計検査院所管について審査を行います。  この際、会計検査院当局から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤会計検査院長
  3. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 このたび、会計検査院職員会計実地検査の際における行動について、国会並びに報道機関で取り上げられ、建設省関係検査のみならず他省庁検査についてまで疑惑を招くことになりましたことは、国民に、憲法上の特別機関である本院に対する多大な不信感を抱かせる結果となり、まことに遺憾であり、深く反省するところであります。  ついては、私どもはこの際、会計検査院使命重大性を改めて認識し、原点に立ち返り、新たな決意のもとに各自が自粛、自戒し、全員一致して一日も早く国民信頼の回復が得られるよう最大努力を尽くす所存でございます。  この際、会食等全面的禁止も含めて、綱紀粛正と今後の厳正な検査のあり方について抜本的な方策を決定し、事務総長より職員に対し通達せしめるとともに、受検省庁等にも連絡いたしました。  私どもといたしましては、検査報告の取りまとめを終わり次第、関係職員処置を含め、新しい方針のもとに、直ちに年度末の検査に取り組んでまいる所存でありますので、今後の検査実態をごらんいただくとともに、よろしく一層の御鞭撻をお願いする次第でございます。  それからまた、本日防衛施設庁関係のことにつきまして新聞等に報道された事態がございまして、はなはだ遺憾に存じております。本件につきましても早急に実態を調査して応分の処置をとりたい、こう存じております。  どうもありがとうございました。
  4. 芳賀貢

  5. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 ただいま院長から所信表明がございましたが、私、事務総局検査、庶務、審査、そういったものの責任者といたしまして、院内の職員に対しまして綱紀粛正につきまして通達を発しました。  このたび、会計実地検査の際の本院職員に対する受検側接待などについて、国会並びに報道機関で取り上げられた事態は、国民に、本院に対する多大な不信感を抱かせる結果となり、本院の権威の維持が重大な危機に直面しており、まことに遺憾である。  この際、このことを本院全体として深く反省し、各自が自粛自戒し、一日も早く国民信頼を回復することに全力を上げることが最大の急務であり、この非常の事態に際し、本院の使命達成について、各位の一層の努力期待するものである。  ついては、今後別に定めるところにより会計実地検査を実施することとするので、職員は、これにしたがって行動するよう強く要請する次第である。私はこういう通達を各職員に発しました。あわせまして、同日付をもちまして会計検査の実施に当たっての取り扱いということにつきまして細かく規定いたしました。  おおよそのことを申し上げますと、受検する側と会食は一切行わない、食事代はすべて自己負担にする、みやげ物は一切受領しない、受検側の車、電話、作業服の使用は公務の場合のみとする、宿泊場所の確保についてもすべて本院側で全部手配する、宿泊場所宿泊料支払いにつきましては一般疑惑を受けないような場所、もちろん会計検査院指定旅館もございますが、この指定旅館は現在三百九十余ございますが、これについても全部見直しをいたしまして、安心して泊まれる、そして受検側と一切接触を断って、ただ勤務時間においてのみ接触をする、こういうふうにいたしました。なお、支払いについては、すべて公給領収書をもらってくる、そしてその保存についても細かく決めた次第でございます。  なお、この通達を発しますと同時に、受検庁側に対しましても、各省庁はもとより、公団、公庫あるいはそれ以外の特殊法人の長、そういった方々に対しまして、本院の趣旨を御説明申し上げ、御協力をお願いした次第でございます。  本日、また新聞紙上をにぎわすというような事態を重ねて招きまして、いよいよ国民疑惑は深まる一方である。こういうふうに私ども頭を下げたところ、また上からなぐられたというような重大なショックを受けております。しかし、これからの会計検査院を見ていただきたい。それで、その決心を一日も早く固めなければ検査院は崩壊してしまう、そういう決心でございます。これは千二百名の職員が全員一致していま前進しよう、こういうところでございますので、御賢察いただきますと同時に、おわびとともに決意を述べさせていただいた次第でございます。ありがとうございました。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、総理府所管行政管理庁について審査を行います。  まず、行政管理庁長官から概要説明を求めます。西村行政管理庁長官
  7. 西村英一

    西村国務大臣 昭和五十年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は百二十九億九千四百八十三万円でありまして、支出済歳出額は百二十八億八千九百八十五万円余、不用額は一億四百九十七万円余であります。  支出済歳出額の内訳は、人件費五十五億三千五百三十三万円余、事務費等八億九千五百七十一万円余、統計調査事務地方公共団体委託費六十四億五千八百八十万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、職員に欠員があったので、職員諸手当を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  8. 芳賀貢

  9. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度行政管理庁決算検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、委員長から、このたび問題となった会計検査をめぐる受検庁接待問題等政府綱紀の問題について、行政管理庁長官所信を求めます。西村行政管理庁長官
  12. 西村英一

    西村国務大臣 私は、国家公務員国民の公僕として働いておるからには、いやしくも国民批判を受けるような行為は絶対にあってはならないと存ずる次第でございます。今回の会計検査院で起こっておりますことを考えますると、なおさらその職業柄会計検査をするという性格を有しておる役所にかようなことがあったといたしますれば、これは非常に遺憾でございます。しかし、ただいま会計検査院長からも綱紀粛正について所信を述べられましたが、私は、行政管理庁長官としても、最も行政の大事な点でございますので、今後とも私たちとしては、十分それを監視してまいりたいと思う次第でございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。林孝矩君。
  14. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ただいま、今回の会計検査院の件に関して、行政管理庁長官所信表明があったわけでありますが、行政改革という観点から考え、また行政管理庁使命役割りという点から考えて、いまの所信表明の中で一つのポイントは、監視していくという表現で長官がお述べになったわけでありますけれども、この問題が起こって非常に世間の批判を浴びて、行政の姿勢が問い直されているわけです。前回の委員会で、これは各省庁にもあるのではないかという指摘を私はいたしたわけでありますが、ただいまそのとおり防衛施設庁にもあるという疑惑発表されておるという現状です。そこで、行政管理庁長官として、今回のこの問題が起こって以来今日まで、どのようなことを考え、どのような取り組みをされてきたか、具体的に明らかにしていただきたいと思うのです。
  15. 西村英一

    西村国務大臣 いませっかく事を起こしました会計検査院並びに相手方の建設省その他でもって詰めておるところでございますので、この際私のところがその中に入ってとやかく言う時期ではないと思っております。総体的にやはり事が済みました段階で、行政管理庁としてはとるべき手を考えたいと思っておるので、この時点でいま具体的に手を、措置を何らしておらないのでございます。
  16. 林孝矩

    ○林(孝)委員 具体的には、全然この問題に対する対処の仕方を持ち合わせていないということであります。これは行政管理庁長官考え方として、現在、事件が起こって、その問題の処理を遂行中であるという配慮であるかと、私は思いますが、それではこの具体的な問題としての考え方はさておいて、一般的にこうした行政の公正、効率化というものは、行政管理庁が当然考えなければならない主管省庁であろうと私は思います。この一つの公正という面がこうしたことによって大きく崩れておった。そして、われわれ決算委員会としてここで年度別に、各省庁別決算の審議をしているわけでありますけれども、この公正ということがこうしたことにおいて過去長年にわたって果たして保たれてきたかどうかという国民疑惑は、これはきちっと明確に晴らされなければならないし、信頼を回復するための努力は当然払われなければならないと思います。  それで行政管理庁としても、今日までそうしたことが起こっておったということがわからなかったから、そういうことについて何も考えておられなかったかもしれないけれども、この具体的な事実に対しては、どうしたらいいかということでいま関係省庁がその解決に努めておるということだから、具体的なものについては口をはさまないにしても、一般論として、総体論として、行政管理庁責任役割りとして、常にこうしたことが起こらないようにする行政担当者としての対応があってしかるべきではないか、こういう意味において、長官考え方が那辺にあるのか伺っておきたいと思うわけです。
  17. 西村英一

    西村国務大臣 行政の監視をする役所であるから、もちろん行政管理庁としては重大な責任はありますけれども、いやしくも国家国民に対するかような問題は、むしろそれ以上の、やはり内閣全体のレベル考えなければならぬと思うのであります。この問題をつかまえて、行政管理庁法律を出すとか、あるいはその他の措置を講ずるとかというようなことは、これは行政の仕組み上なかなかむずかしいのではないか。いやしくも会計検査をするという役所がこういうようなことを起こしたということは、むしろ内閣それ自身の反省と、国家国民に対する措置について考えなければならぬ問題じゃないか、かように思っておりますし、また、私も国務大臣でありまする以上は、今後各省庁に対して十分注意を喚起したい、かように思う次第でございます。
  18. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私も内閣全体の問題という認識に立っておるわけであります。そこで、長官内閣を構成されておるわけでありますが、福田内閣においてこの問題に対して、今日まではどうであったかは別にして、これから閣議で、あるいは総理に対してこの問題に対する見解を表明し、また、かかる問題が起こらないようにするための意見を提言する等々のそうした用意をお持ちになっておるかどうか、伺っておきたいと思います。
  19. 西村英一

    西村国務大臣 いま具体的な、総理に対して云々ということは考えてはおりませんが、いずれ時期を見まして、昼下関係省庁でもっていろいろ詰めておるとこうでございますから、結果を待ちまして考えたいと思っております。
  20. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは次の問題に入ります。  ことしの二月ごろだったと思いますが、行政改革について五十毒年度予算案に盛り込むために、福田総理は八月までに行革具体案をまとめるよう行管庁長官に指示していたと記憶しております。おくれて九月二日に出された行政改革についての閣議了解基本方針要綱、これは具体案というものはなくてきわめて抽象的なものになっておるわけです。中央省庁統廃合については完全にたな上げされているばかりか、たえば特殊法人統廃合についても、対象として挙げられている十八法人は五十年十二月三十一日の閣議了解の線がそのまま持ち込まれているにすぎない。他の法人検討は全く外されているという内容のものでありました。そしてこのときに、十月末をめどに具体的な成案をまとめたいと長官はたしか公約をされておったと思います。ところがいまだそれができ上がっていない。伝えられるところによりますと、今月の十五日に長官福田総理と会談して、二段階手順で年内に決着をつけることにしたようである、そのように聞いておるわけであります。行政機構整理、それから行政効率化を図るために思い切った行政改革がなされるものというのが国民期待でもあったわけです。にもかかわらず、行革に対する政府取り組みがおくれにおくれ、後退後退を続けている印象をいまや与えているわけでありますが、この際、改めて行政改革についての行政改革本部長としての決意発表していただきたい。まずお伺いしたいと思います。
  21. 西村英一

    西村国務大臣 行政改革手順がおくれているという印象を与えているというお話ですが、必ずしも手順がおくれておるわけではないと私は思っておるのでございます。総理が八月までに大綱を決めようじゃないか——九月二日になりましたが、やはりあれが大綱でございます。  具体的に取り組むのには、ただぼんやり取り組むわけにいきません。やはりある一定の基準に基づいて取り組まなければならない。したがいまして、行政改革についての九月二日の閣議了解は、どうして行政改革をやらなければならぬのかという行政改革についての基本方針と、それを受けた要綱はこういうものである、こういう考え方を示したのでございまして、その考え方に基づいて一つ事項についての具体案をずっと今日まで詰めておるのでございます。  したがいまして、私はこの時点でこういうふうになっておりますよということを総理に申し上げたのが最近でございまして、少なくともいまの時点考えて、どうしてもやはり高度の政治的判断を要するものはこの段階ではまだ詰めておらない。まあいままでこれを相当に努力をいたしましたが、事務レベルでまとまるべきものはまとまっておりまするから、これは十一月いっぱいでもって決められますよ。しかし予算折衝で決めなければならぬものもあるから、これは五十三年度予算折衝の過程で決めなければならぬ。こういう三段階に分けて説明を申し上げたのでございますから、全部がまとまった段階閣議決定をすることも一つの方法でございましょうが、とりあえず第一次的に決まったものから発表してはいかがですか、こういう第一次の発表と、そして予算折衝の最後のところで第二次の発表について閣議決定した方がいいのじゃないですか、こうやっておるわけでございます。  いずれも大変むずかしい問題を控えておりますので、恐らく皆様方も非常に御期待しておったと思いますが、私ももうできる限りの努力をして皆様方の御期待に沿いたい、かように思っておる次第でございます。  しかし、いずれも法律事項でございます。恐らくこの国会で云々するわけにいきません。来年の通常国会を目指してやることでございますので、各党の皆様方の御協力を賜りたい。具体的には私もできる限りの努力をしてまとめたい、かように思っておるような次第でございます。
  22. 林孝矩

    ○林(孝)委員 高度の政治判断を必要とするものというのは一体どういうものなのか明らかにしていただきたいと思うのです。たとえば中央省庁統廃合の問題であるとか特殊法人統廃合、そうした問題がそれに当たるのかどうか内容を明確にしていただきたい。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 大ざっぱに申しまして、各省庁部局以上の問題でございます。それが一つ。もう一つ地方事務官制度の問題でございます。この二つはやはり政治判断を要すると思っておる次第でございます。
  24. 林孝矩

    ○林(孝)委員 具体的にお伺いいたしますが、省庁内部部局の課、室、官の簡素合理化を図るために五十の整理を進めていることが伝えられているわけでありますが、どのような基準で行われているのか。また地方支分部局支所出張所等について千カ所の整理要綱でうたっておりますが、これはどのような基準手順で行うおつもりかお伺いします。
  25. 西村英一

    西村国務大臣 いまお尋ねの件についてはおおむね各省との合意ができておりますが、事務当局から説明をいたさせます。
  26. 辻敬一

    辻政府委員 第一点の中央省庁の課、室、官の問題でございますが、申すまでもなくこれらのポストは、各省行政のうちで各局長のもとにありまして行政事務を処理する重要な組織構成要素であるわけでございます。最近やや漸増傾向にあることにかんがみまして、今般の行政改革においても、機構簡素合理化を推進する見地から整理を進めたいと考えているわけでございます。  具体的内容につきましては目下検討中の段階でございまして、詳細について申し上げる段階でないのでございますが、考え方を申し上げますと、主として各省庁一般課長級ポスト対象といたしたいと考えております。これが約千三百ございますが、その数につきまして五%の率、全体で約五十くらいになると考えておりますが、それにつきまして二年間をめど整理をいたしたいと考えておりまして、ただいま各省庁協議中のところでございます。  第二の地方支分部局支所出張所でございますが、これは御承知のように、従来から食糧事務所出張所でございますとか、法務局の出張所、いわゆる登記所等を中心といたしまして整理を進めてきたわけでございますが、さらにこの整理を推進する考えでございまして、大体千ヵ所をめどにいたしまして、これも各省庁協議を進めている段階でございます。それぞれの機関担当いたします行政需要の動向でございますとか、地域別配置状況でございますとか、交通通信手段現状、そういうものを考慮しながら検討を進めておるわけでございまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、各省庁と詰めましたならば、発表いたしまして、しかるべき時期に閣議決定の運びといたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、高齢職員離職促進について、先週のたしか十七日に長官は、勧奨退職年齢の一律化について政府部内で合意ができていることを表明されました。ところが藤田総務長官は、十八日、これに強く反論をされております。どういうことになっておるのか、その経緯を御説明願いたいと思います。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 定員管理のうちですが、行政改革の非常に大事なところですが、定員増減をやるとかいうようなことにつきましては、これは私の方でやっておるわけでございます。しかし、定員につきましては、やはり人事管理の面がございます。この人事管理の面は、これは総務長官の方の担当でございます。しかし、行政管理庁長官としては、それにも取り組まなければならぬから、いままで総務長官の方といろいろ相談をしまして、この行政改革要綱の中にはこういう文句でうたわれておるわけでございます。「高齢職員離職促進等人事管理上の諸問題の解決を図るたぬ段階的にこれを進めるべく、現行諸制度見直しや新しい諸施策の導入について準備を行う。」つまりだんだん国家公務員がやはり老齢化しますので、新陳代謝のためにやめていただいて新しい人を入れるということは当然でございます。その場合に、いまでは退職をしてくれという退職勧奨をしてやっておるわけでございますが、一気になかなかそれができない。総理府の方ではなかなかできない。それは各省がいまの勧奨退職年齢が非常にまちまちでございますので、一遍それを見直してずっと統一をしたいという考えがあるわけでございます。そういうことを進めて、やはり段階的にある程度勧奨年齢を統一したらどうだ、それを統一する年齢を何歳にするかということで、私は六十歳くらいじゃないかとか言ったので、それが詰めて六十歳になるか、五十八歳になるか、また行政職員にしても、行(一)の方と行(二)の方は違わなければならぬのでございまして、大体の考え方を申しましたので、総務長官と必ずしも意見の不一致を見たようなわけではございません。多少私、ざっくばらんに言ったのが、担当大臣としては非常にむずかしいところでございますので、余り言い過ぎじゃないか、こういうようなことじゃなかったかと思うのでございまして、必ずしも意見が食い違っておるわけではないわけでございます。これからひとつ研究をしていこう、こういうことになっておる次第でございます。
  29. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、政府部内で合意ができていたということではなしに、結局総務長官意見というのは、各省庁退職勧奨年齢はまちまちであるが円滑にいっている、年齢を画一化することには公務員の抵抗もあるだろう、やるとしても時期はまだまだ、五十四年度法制化考えていない、こういう発言でありますから、いま長官は食い違っていないという認識に立たれておるわけでありますけれども、それぞれの発言内容長官発言、また総務長官発言、これを比較しますと、必ずしもそこに合意ができておるというようなニュアンスではなしに、まだまだニュアンスの面でも考え方の面でも少し食い違いがある、このように私は理解するわけでありますが、正直に言ってこの定年制を導入するつもりなのかどうか、考え方だけを聞いておきたいと思うのです。
  30. 西村英一

    西村国務大臣 定年制を導入するかしないか、これは私にはわかりません。わかりませんが、結局やはり高齢者に退職してもらうからには、各省では別々のいまやり方をやっておりますから、総務長官としては各省庁責任者と話し合いをして、何歳がいいじゃないか、行(一)は何歳、行(二)は何歳がいいじゃないかと話し合いがまだできていないのです。その話し合いを明年五十三年度研究していこう、その研究に基づいて後五十四年度からずっといろいろなことを考えよう、こういうのでありまして、私は、五十四年には法律を出すのじゃないか、こう言ったのです。ちょっと言葉足らずだったのですが、出すのじゃないかというようなことであったのです。出すということは、これは私の方の担当じゃございません、総務長官のことでございますが、とにもかくにもばらばらになっておるいまの勧奨年齢を合わせろ、それには各省大臣と全部当たって合意を取りつけなければならぬのでありまして、いまそれはまだ総務長官としてはやっていないと思います。現に私にも、おまえのところは何歳か、こういう相談はまだございません。  以上です。
  31. 林孝矩

    ○林(孝)委員 わかりました。  次に、審議会を五十を対象にして整理するというのはどういう基準で行うのか。一部伝えられるところによりますと三十五に減らされているということでありますが、どうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  32. 辻敬一

    辻政府委員 審議会につきましてのお尋ねでございますが、現在各省庁審議会の数、全部で二百四十六ございます。これをただいま見直しをしているわけでございます。行政需要、社会情勢の変化に伴い必要性の乏しくなったものも中にございますし、あるいは運営の実情から見まして活動の不活発なもの等もございます。あるいはまた他の行政手段の活用によりまして対処可能なものもございますので、そういうものの廃止あるいは類似のものの統合についてただいま検討を進めているわけでございます。  具体的な内容につきましては各省庁協議中でございまして、ただいま詳細に申し上げる段階にないのでございますが、検討対象として五十審議会を考えておるわけでございます。
  33. 林孝矩

    ○林(孝)委員 対象となっている五十審議会の中で、たとえば必要性が低下したものというのは具体的に言いますとどういうものがそれに該当するか。活動の不活発なものというのは具体的にどういうものを言うのか、類似のものというのはどういうものを言うのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  34. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま検討中の段階でございますので、具体的な審議会名を挙げて申し上げる段階ではないかと思うのでございますが、すでに五月に行政改革本部で御了承をいただきました審議会の整理統合の基準がございます。第一は、社会経済情勢の変化あるいは制度、施策の安定等によりまして、特に審議会によりまして調査、審議していただくことが不可欠でなくなったもの、一般行政事務処理によって対処可能と見られるものというのが第一の考え方でございます。  それから第二は、最近の運営の実情を見まして、開催実績が不活発である、二、三年間開催実績がないのもございますし、きわめて開催実績がまれなものもございますので、そういう点が第二点でございます。  第三点といたしまして、試験委員制等委員制度の活用、あるいは関係方面から随時の意見を聴取する、各省間の連絡協議を緊密化する、一般的な行政救済制度の活用、そういうようなことでほかの一般的な行政手段によりまして対処可能と見られるものというのが第三の基準でございまして、その三つの基準に照らしまして、ただいま具体的に作業を進めている段階でございます。
  35. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その三つの基準の具体的な名前が現在発表できないということでありますが、当然のこととして検討対象となっている五十審議会の中でどれがどれに当たるかということは現在もうすでに検討されておると思うのです。そこであえてその名前を公表しろということは申し上げませんが、時期的にめどをいつごろに置いてこの問題の結論を出そうとされておるのか、それはいかがですか。
  36. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、比較的事務的に作業が進んでおりますので、できますれば今月中にも取りまとめたいと考えております。
  37. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、補助金についてでありますけれども、洗い直しの基準を明確にしてください。
  38. 山口光秀

    山口(光)政府委員 補助金の整理合理化は、常に私ども毎年予算の編成に当たりまして整理合理化に努めているところでございますが、特に五十三年度予算編成に際しましては、七月に概算要求のやり方について閣議の了解をいたしましたときから基準をつくりまして、各省にも協力を求め、積極的に整理合理化に取り組むという姿勢でやってまいっているわけでございます。  また、補助金の新規要求につきましては、これを極力抑制するとともに、やむを得ず新規を要求するような場合には、スクラップ・アンド・ビルドと申しますか、原則として見合いに既定の補助金等を廃止してくれという方針でやっているわけでございます。  具体的な補助金等の整理合理化の基準と申しますか、その閣議の了解で別紙として基準をつくっておりまして、それを申し上げますと、たとえば補助金の廃止の基準といたしましては、すでに特定の行政を奨励する目的を達したと認められるものとか、補助効果が乏しいと認められるもの、あるいは社会的経済的事情の変更により実情に合わなくなったと認められるもの、あるいは受益者負担でいいのではないか、財政負担する必要がないのではないかというようなもの、それから零細補助金、その他財政め関与すべき範囲を超えていると認められるもの等、補助金として適当でないものは廃止しようじゃないか。それからまた減額する基準もございますし、あるいは統合・メニュー化というものも図っていきたい、あるいは奨励補助金については終期の設定を行いたいというような、いろいろ細かい基準をつくって鋭意作業しているところでございます。
  39. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この作業が最終的に終結するのはいつごろになりますか。
  40. 山口光秀

    山口(光)政府委員 五十三年度予算編成の一環としてやっているわけでございますので、五十三年度予算編成の過程において行われるということでございます。したがって、編成が終わりました段階でなお計数整理等がございますものですから、若干の日にちがかかるかと思います。それから行政改革のスケジュールの中でもそういうふうに定められておるわけでございます。
  41. 林孝矩

    ○林(孝)委員 行政改革について、いまの補助金の問題、それから審議会の整理の問題、この二つについては結論を資料として要求したいと思いますので、委員長において取り計らいのほどよろしくお願いいたします。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員長 資料、いいですか。
  43. 山口光秀

    山口(光)政府委員 先ほど申し上げましたように、予算編成が終わりまして若干の計数整理の日数がかかるわけでございますけれども、恐らく予算国会にお出しするころか、あるいは多少おくれるかもしれませんが、そういう時期にまとめられますので、それは資料としてお出しできると思います。
  44. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、消費者保護行政についてお伺いいたしますが、消費者保護基本法が昭和四十三年に制定されて今日までさまざまな保護行政が図られてきたところでありますが、たとえばいまだ品質表示、苦情処理、救済体制の整備などの点で不十分な面も多いわけであります。この点に対する行政管理庁の指摘もあって、以下数点についてお伺いいたします。  まず、行政管理庁の行った品質、規格等の表示にかかる消費者保護行政についての監察の経緯、及びその結果による改善意見、これは五十二年の六月でありますが、意見の表示の大要について説明をお願いしたいと思います。また、これについて指摘した各省庁から回答を受けているかどうか。まだ受けていないのであれば、いつごろ回答を受けることになっておるか、お伺いしたいと思います。
  45. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  昭和五十一年の二・四半期に消費者保護行政監察を実施いたしております。その結果に基づきまして勧告をいたしておるわけでございます。  お尋ねの経緯でございますが、消費者生活というものが逐次向上あるいは増大というようなことになりまして、各種の商品が出ておりますが、これもまた非常に複雑多様化しておるということの結果、消費者みずからがその商品の品質とかあるいは性能とか、あるいは安全性、こういったものについて独自に判断しにくいというような要素がございます。そこで、これらにつきましては商品に正しい表示がなされるべきであるということで、各種の法令がこれらの規制をいたしておりますが、その実施状況はどのようであるか。この表示についての苦情も多々あるようであるというようなことから、その正確な表示、それから、表示されるべき商品の範囲というようなものにつきまして、消費者保護の観点から監察したわけでございます。これが経緯でございますが、その結果いろいろな問題点があろうということが認められましたので、各省庁に対して勧告したわけでございます。  少し小さな話になりますので、ある程度くくった線で申し上げますと、一つは表示義務の対象品目、この対象品目の拡大を要するのではないか、あるいは表示内容の改善をする必要があるのではないかという問題といたしまして、家庭用品品質表示法、これは御案内のとおり通産省所管の法律でございます。あるいは食品衛生法——厚生省関係の法律、あるいは農林物資規格法、こういった関係でそれぞれその商品の表示についての規制を行っておるわけでございますが、表示義務対象品目として指定されておるものがまだ拡大の余地がある、その必要があると思われるものがございまして、それらについての提案、あるいは表示事項で、商品の構造、材質、使用方法等についての表示の仕方についてまだ改善の余地があると見られるもの、そういったものについて御指摘いたしました。  そのほかでは、製造年月日の表示というものが食品関係で特に重要でございますが、これらの義務づけがなされていないもので、たとえば豆腐あるいは油菓子というようなものにつきましては品質の劣化がはなはだしいものでございますので、そういうものの製造日付がはっきり明示されるべきであるというような、こういった内容でございます。その製造月日の表示あるいは製造元がどこにあるのか。記号でなくて、一般消費者で判明できるような、都道府県名がわかるような表示とか、こういったいろいろ細部にわたる問題でございますが、そういったものを改善していくべきではないかということ。さらには、表示の制度はあってもその励行確保において劣るものがある。その励行確保を図るために国、都道府県、あるいは都道府県内部における関係部局間の連絡、こういったものを強化することによりましてその表示の励行確保を図るという必要があるのではないかということを、関係法律それぞれにあるわけでございますが、指摘いたしております。  さらに、表示制度がせっかくあるのに、これに対する周知徹底という面で欠けるところがあるということで、これは手厚いほどよろしいのでございましょうけれども行政機関にもおのずから限界がございますので、関係の業者団体の指導等を通じてその徹底を図るとか、あるいは消費者に対する啓蒙宣伝を徹底させるとかいうようなことを要請しておるわけでございます。  大要そういう内容でございますが、これにつきまして、関係省庁からは実は回答が参っております。本年の十月までの間に各省庁から全部回答が参っております。内容は、こちらからの提案に対しまして、公正取引委員会あるいは経済企画庁、通商産業省、農林省、厚生省、こういった関係省庁から、いずれもこの勧告の趣旨に沿って努力してまいりたいということの返事があります。内容につきましては、五十二年度に何品目どうしたいというような細部の回答もございますが、要するに、指摘いたしました面につきましては、いずれも対象品目の拡大とか表示内容、これの改善あるいは表示の励行確保というようなものにつきましては、具体的に品名をこちらで提示いたしましたので、それに対する対応措置を御回答いただいておるわけでございます。大宗は、先ほど申し上げましたように、こちらの提案の趣旨に沿って改善してまいりたいということでございます。
  46. 林孝矩

    ○林(孝)委員 指摘は非常に多岐にわたるわけでありますが、通産及び経企庁の事項に関するものが特に多いように思いますので、この両者を中心に伺います。  まず通産省でありますが、家庭用品品質表示法に基づいて指定した表示義務対象品目以外の商品のうちで、一般家庭に普及しながら品質の識別が困難な物あるいは取り扱い方法に注意が必要な物、また対象品目でも表示事項に改善する必要がある物として、今回の行政管理庁の指摘している物としてはどういう物が考えられますか。さらに、この指摘に対してどう改善するおつもりか、お伺いしたいと思います。
  47. 野崎紀

    ○野崎説明員 お答えいたします。  現在家庭用品品質表示法に基づきまして、繊維製品、電気機械器具、雑貨工業品、合成樹脂製品、四つのカテゴリーにつきまして合計九十六の品目について指定をしておるわけでございます。年々必要に応じまして品目の追加あるいは表示の標準等の内容についての改善というものを順次図ってまいってきたわけでございますが、今回行政管理庁からの改善意見ということで指摘された物といたしましては、指定品目を追加するのが望ましいということで、ヘアカーラーあるいは漂白剤、クレンザー、合成皮革製品、食器戸だな、サイドボード等の八品目があります。さらに表示事項の追加改正という点で改善意見をいただいた品目といたしまして、合成樹脂加工品の食事用、食卓用または台所用の器具あるいはバケツ、繊維製品等につきましての問題として三品目が挙げられておるわけでございます。  これらそれぞれの品目につきましては、おおむね私どもの方といたしましても漸次指定品目の追加あるいは表示事項の改正といった点に取り組んでこれを実行していかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、それぞれの品目について表示させるべき事項あるいは取り扱い上の注意等の内容につきまして、技術的な観点からの詰めが必要でございますので、技術基準調査を実施した上で、なるべく早く逐次品目を追加あるいは表示事項の改善を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  48. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この行政管理庁の指摘では例示されていないけれども、消費者保護会議、これは五十二年十月に行われておりますが、そこにおいて追加指定を指摘されている電気コーヒー湯沸かし器、電気ホットプレート、漂白剤、クレンザー、障子紙、調理用プラスチックフィルム、これらの品目についてはいつごろ指定する考えですか。
  49. 野崎紀

    ○野崎説明員 御指摘の六品目につきましては現在鋭意指定追加すべく検討を進めている最中でございまして、家庭用品品質表示審議会に諮った上で、でき得れば本年度中にもこの指定をいたしたいと考えておるところでございます。
  50. 林孝矩

    ○林(孝)委員 行政管理庁の指摘によりますと、家庭用品品質表示法に基づいて通産局及び都道府県で立ち入り検査を実施することになっているわけでありますが、当局において定められている立ち入り検査計画を作成していなかったり、作成していても計画書どおり実施していない。中には計画の対象店舗数の半数以下しか実施していないものがあると報告されているわけであります。実情はどのようになっているのか、説明を願います。
  51. 野崎紀

    ○野崎説明員 お答えいたします。  大多数の通産局あるいは都道府県におきまして、毎年度当初において立ち入り検査についての計画を作成いたしております。また、実行ベースでも、大部分の通産局あるいは都道府県におきましてはほぼこの計画書に従って検査を実施いたしておるわけでございますが、行政管理庁の御指摘のとおり、中には計画のベースに達しないもの、またひどいものは計画の半分に達しないものも若干ございます。今後このようなことがないように、できる限り当方でも計画どおりに進めるよう指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  52. 林孝矩

    ○林(孝)委員 実情は計画どおりにいってないということをいまもお認めになったと私は思うわけでありますけれども、このたぐいの計画が計画どおり実施されるという可能性については、どのような——一〇〇%完全に実施されるということはもちろん理想的でありますし、そうされなければならないわけでありますけれども、計画そのものに一〇〇%完全実施できるというような、目的が達成される可能性が非常に少ないというような内容が含まれておるのかおらないのか。これくらいの内容であれば必ず一〇〇%達成できるというようなものと判断されておるのか。その点はどうでしょうか。
  53. 野崎紀

    ○野崎説明員 これは年度当初におきまして各都道府県、また通産局が計画を立てまして、それを担当課長会議におきまして、本省の方においても出席をいたしまして、そこでそれらの計画につきまして検討をした結果それぞれの機関が作成をするものでございますが、全体といたしましては、昨年の例を申し上げますと、全通産局、都道府県の立ち入り検査計画の合計が六千二百四十六件でございましたが、実際に検査が行われたのが六千百十件ということで、全国的に見ますと件数としてはほぼ計画どおりの件数になっているのでございますが、予定よりも多く検査をするところもございますし、また若干少なくなるところもあるというばらつきが若干出るのはやむを得ないと考えておりますが、先ほど申しましたように、また行政管理庁からの御指摘がありましたように、余り計画とかけ離れたというようなことがないよう、今後十分指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  54. 林孝矩

    ○林(孝)委員 電気用品については電気用品取締法に基づいて安全表示のマークが必要とされております。省令で定める基準に見合うように製造事業者に対して立ち入り検査を実施することとなっているわけでありますが、登録製造事業者に対する検査の実施率が東京では三・二%、大阪では五・四%、きわめて実施率が低いわけであります。また、その立ち入り検査の実施により判明した違反者は、六百二十五に対し三百四と実に四八・六%と驚くべき数字が出ているわけであります。しかも違反者のうち二十五の業者は四十九年度、五十年度に繰り返し違反をしていることが報告されております。さらに、違反者に対する処遇についても行政管理庁の指摘は言及しているわけでありますけれども、これら指摘されている諸点についてどう改善していくつもりなのか、こういう実態を含め考え合わせて、当局の改善方法、決意を伺いたいと思います。
  55. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、電気用品の取り締まりにつきましては、電気用品取締法に基づきまして製造の段階の型式認可、その他いろいろな手段で規制を行っているわけでございますが、立ち入り検査はその一つの手段でございまして、立ち入り検査の率につきましては先生御指摘のとおりでございますが、全国で六千軒を超えます製造工場がございまして、そのうち大部分が東京、大阪に集中しておるということもございまして、東京通産局あるいは大阪通産局の職員の能力の限度というものもございますので、率としては東京、大阪が低くなっているわけでございますが、通産局としてはできる限りの努力をしておるわけでございます。全数を毎年調査することは、全体の数が多うございますし、なかなかに困難なことでもございますので、私どもとしては、五年に一遍くらいでは全部が回れるような体制を考えていこうじゃないかということで、職員の増員等もお願いしておるわけでございます。  ただ、私ども検査対象の抽出に当たりまして、苦情の申し出のあったところあるいは関係機関から問い合わせのあったところ等、重点的にそこを検査したらいろいろ問題が出てくるのではなかろうかと思われるようなところを重点的に選ぶということによって、検査率の少ないことはカバーしておるつもりでございますが、なお十分とは考えておりませんので、今後とも職員の増強を図って検査を推進してまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、行政管理庁から御指摘いただきました立ち入り検査の結果の改善措置につきましては、私ども従来からまず通産局に対しまして統一的な運用を図るよう指導してまいっておるところでございますが、行政管理庁から御指摘いただきましたように、必ずしも各通産局統一がとれてなかった点もございますので、私どもも通産局の関係職のところの責任者等と連絡を緊密にいたしまして、その是正を図っていきたいと思っておるわけでございます。  違反の内容につきましては、たとえば二度、二年連続したものについて型式の登録の取り消し等の手段を講じたらいいではないかということもございますが、登録の取り消し等については法律の要件もございます。違反の内容がその年と翌年度で違ったりいたしますと、必ずしも登録の取り消しということまで発動できないということもございますし、その違反の内容の程度によりまして、中小企業が相手であるというような場合にはなかなかに強硬な措置をとるということについてためらいもあるということもございますので、今後これらの点につきまして、通産局だけでなくて、重複して続けて違反があるようなものにつきましては本省に上げて、本省とも相談の上で措置を決めたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  56. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば実施率が非常に低いという原因はどこにあるかということについて、職員が少ないということがあったわけですけれども、この検査の実施率が低いという原因は職員が少ないということだけなのか、それともほかにまだ原因があるのか、その点はいかがでしょうか。
  57. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  検査率につきましては、先ほども申しましたように、全体的な電気用品の取り締まりの効率から申しまして、毎年立ち入り検査をするというところまでやることではないのではないか。ほかに試買品の、市場に出ております品物を買ってテストをするということも行っておりますので、必ずしもこの立ち入り検査を毎年やるということでなしに、先ほど申しましたような五年に一遍というような形でやっていきたいと思っておるわけですが、東京、大阪につきましてはなかなかにそういう理想的なところまで及びいかないというのは、全体の職員の数と仕事の配分という観点でなかなかにいかないわけでございまして、それ以外の理由というものはございません。
  58. 林孝矩

    ○林(孝)委員 結論だけ言ってもらえば結構ですよ。  電気製品の安全性について特に注目されているわけでございますけれども、電気もちつき機、ふとん乾燥機などの新製品、これも安全基準の規制対象となるように改正措置をとるのかどうか、とるとしたならばそのめどはいつごろになるのかお伺いしたいと思います。
  59. 中村守孝

    ○中村説明員 お答えいたします。  最近の電気製品に各種の新しいものが出ておりますので、これらにつきまして、新しく電気用品取締法の対象とすべく去る十一月八日の閣議で御決定いただきまして、十一月十一日、政令を公布いたしまして、これで最近出回っております超音波加湿機とか、高周波脱毛器とか、各種の電気を使いましたおもちゃ類、こういうものも規制の対象にいたすことにいたしておりまして、来年の三月一日から施行するという形になっております。  先生御指摘の電気もちつき機、ふとん乾燥機につきましては、従来の製品の指定品目そのものではございませんが、その範囲内でこれも対象にいたして従来から規制をいたしております。
  60. 林孝矩

    ○林(孝)委員 わかりました。  それでは、次に経済企画庁が消費者苦情の受付窓口としてどのような対応を行っておるのかお伺いいたしますが、国民生活センター、日本消費者協会、これはともに国の商品テスト機関とされているわけです。最近、相次いで両機関のテストの結果発表が中止になった、そのように私は聞いておりますが、どういうテストでなぜ中止になったのか、経済企画庁と通産省の方から説明を求めたいと思います。
  61. 井川博

    ○井川政府委員 最初のお尋ねの消費者苦情受付窓口としてどういう対処をしておるかという問題でございますけれども、経済企画庁が消費者行政の総合調整をやらしていただいておりますが、そうした実務機関として特殊法人国民生活センターを持っているわけでございます。  国民生活センターは、国民生活に関する情報を提供するということになっておりまして、一般的な情報のほかに、いま先生おっしゃいました消費者からの苦情の受け付け、それからまた、情報提供のもう一つの形といたしまして商品テストも行っているわけでございます。  苦情問題につきましては、消費者にいろいろな商品についてあるいはサービスについての相談であるとか、苦情がある。それをセンターが受け付けることによってこれを処理していくというやり方をやっておるわけでございます。  もう一つの商品テストでございますけれども、いまの苦情の出たもののうち、商品をテストをしてみなければわからないようなもの、これを苦情処理テストといたしておりますが、もう一つの商品テストの形といたしまして、比較テストというものをいたしてございます。これは世に出ております商品のうち、主なものにつきましてその性能をテストした上消費者に公表をする、こういうやり方をやっておるわけでございますが、御指摘の比較テストの発表を取りやめたというのは低カロリー食品でございます。この低カロリー食品につきまして、当初予定どおりの比較テストを一応終わったわけでございますが、市場に出ております有力な主要食品をその中から落としておったということに後から気づきまして、そういう主要なブランドのものを落として公表というのはまずかろうというようなことから、国民生活センターが自発的に発表を取りやめるというかっこうにいたしたわけでございます。
  62. 野崎紀

    ○野崎説明員 お答えいたします。  御指摘の日本消費者協会の商品テストの問題でございますが、これは日本消費者協会が十月末に発表する予定でございましたボールペンについての商品テスト結果発表にかかわる問題かと存じますが、御指摘のように日本消費者協会では毎年約三十品目の商品につきまして、その品質だとかあるいは性能、使いやすさなどを比較しまして各銘柄の評価を行う、いわゆる比較テストを行ってきておるわけでございます。このテストは国の補助のもとに日本消費者協会が自主的に行っておるということでございます。その際、専門の技術者あるいは学識経験者及び消費者の代表から構成される委員会で、そのテスト結果について十分な検討が行われるわけでございます。したがいまして当省としましては、従来からテスト結果の評価等その内容については干渉しないという方針で臨んでおるわけでございます。  ボールヘンの比較テストに関する問題につきましては、商品テスト結果の発表を中止したというわけではありませんで、消費者協会が発行している「月刊消費者」という雑誌がございます。これは機関誌でございますが、これの十一月号には、そのテスト結果というものが何ら変更を受けずに掲載されておるわけでございます。ただ、このテスト結果につきましては、雑誌掲載とともに新聞発表も毎回行っておるところでございますが、その発表の際には評価結果というものをきわめてコンパクトに要約した形で発表するという性格のものでありますから、その表現の仕方につきまして、わかりやすくかつ誤解を与えないようにという観点から、当省と同協会との間で打ち合わせを毎回行っておるわけでございます。今回もその表現の仕方につきまして両者で鋭意検討を行ったわけでございますが、どうも時間切れということになって予定の日に新聞発表ができなかったという経緯がございます。今後は、同協会の自主性を尊重するという従来の方針、これは堅持してまいりたいと思いますし、こうした若干の不手際というものがありましたが、今後こういうことのないよう配慮してまいるつもりでございます。
  63. 林孝矩

    ○林(孝)委員 これは消費者行政の基本にかかわる重大な問題だと私は思います。  お伺いしますが、商品の比較テストの品目はどのようにして選ぶのか。検討委員会で決めて、チェックポイントについて関係省庁の技術者による技術研究委員会にゆだねられる、しかも、テスト結果は関係省庁と経企庁の事前調整の上発表される、このように聞いておりますが、間違いないかどうか、それが一点。それから、公表が業者優先、事前チェックが行われるなど、商品を実際に使う消費者に開かれた運営をしていないのではないかということ。それから、センターの業務の中枢でもある運営協議会のメンバーはどういう構成なのか。協議会の意見が現場におりてこないという声も上がっているが、他の団体以上に開かれた行政にすべきだと思うがどうか。商品比較テストの対象を選ぶ委員会の構成についてもお伺いしたいと思います。
  64. 井川博

    ○井川政府委員 国民生活センターで比較テストを行います品目の選定でございますが、ただいまお話にもございましたように、品目選定委員会というところで大体どういうものを取り上げるかということの検討をいたすわけでございます。しかし、この委員会の中には消費者団体の代表という人が四名加わっております。それからさらに、地方の消費生活センターと非常に関係が深いものですし、特に事実上国民生活センターと各地方、府県なり大きい市町村の消費生活センターとはいろいろな意味で連携を持ちますので、そうした地方消費生活センターから、こういうものを国においては比較テストをやってもらいたいという要望も多うございますので、そうした地方の代表を一名加えてございます。それで、十名のうちそうした方々が五名加わり、残りは学識者というようなことになっておりまして、品目選定には消費者の意向が十分反映できるような構成にしている次第でございます。  以上が比較テストの品目を選ぶ場合の問題でございますが、ただいま先生からもう一つ、センターの運営協議会のメンバーのお尋ねがあったわけでございます。  運営協議会は、センター法十五条に基づきましてセンター運営の基本的な方針とか、毎年の重要な事項について諮問を受け、あるいはまたみずから意見を具申するというふうな内容になっておるわけでございますが、法律上三十名以内ということになっておるわけでございます。それで、三十名のうち消費者団体から五名、それから学識経験者から十名、この学識経験者は消費者問題で非常に深い理解のある方々、こういうことでございます。残り十三名は、関係行政機関職員、御案内のように消費者行政が非常に多く各行政機関と関係がございますので、そういう職員ということで、現在二十八名任命されておられるということでございまして、国民生活センターの運営につきましていろいろこの運営協議会で議論をいただいているということでございます。  なお、比較テストの発表に当たって云々というお話がございましたけれども、われわれ経済企画庁としては、比較テストの結果がわかりました場合に、その内容について事前に報告を受けております。これは監督官庁として当然のことでございまして、どういう内容についてどういうものができ上がったかというふうなことについて話を聞いておりますが、チェックをするというふうな内容にはなっておりません。  それからもう一つ、業者に公表という話がございましたが、これは一般に公表いたしますと同日付でメーカー側にもその内容を知らせる。なぜならば、そういう内容につきまして、やはりメーカーの方にも改めるべきものは改めてもらうという必要があるわけでございまして、同時公表をいたしている、これが実態でございます。
  65. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、消費者保護会議が来年度いっぱいまでの消費者行政と具体的方策を決めました。この重点課題の中の安全という問題をとってみただけでも、たとえば欠陥商品が身体生命に損害を与えた場合の情報収集策、これも現状はばらばらです。また、欠陥商品の回収命令体制、これも整っていない。行政管理庁も改善意見を述べただけではなく、今後も関係行政機関相互の連絡調整を行うべきではないかと思うわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  66. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  先生御案内のように、この消費者保護行政、これは各省庁足並みをそろえて進んでいくべき性質の分野が多うございます。したがって、御案内のとおり総理府に消費者保護会議というものが設けられておりますが、その一番下の組織としまして消費者行政担当課長会議、実は私どもの方から監察官がこの会議に参加させていただいております。この会議におきまして、政府として足並みをそろえていくいろいろの検討をいたしておるわけでございますが、その中の構成員の一員といたしまして、行政管理庁も今後ともその総合調整、こういったものについて協力してまいりたい、このように考えております。
  67. 林孝矩

    ○林(孝)委員 行政管理庁として消費者保護行政監察を行った結果の追跡調査、これを行って発表していく考えはあるかないか、この点はいかがですか。
  68. 川島鉄男

    ○川島政府委員 一般論として、私どもといたしましては、監察いたしまして勧告をいたしますと、相手機関からその勧告に対してどのように理解し、それを措置してまいろうかということについて御回答をいただくことにいたしております。この御回答は相当な期間をおいて二回ちょうだいいたすことにいたしております。その結果を見まして、なおその後もフォローして調査をやる必要があるというような命題がございましたら、さらに監察、調査、それを実施していくというようなことにいたしておるわけでございます。そういう意味で、この消費者保護行政についても今後とも監視を続けていきたいというふうに存ずるわけでございます。
  69. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が来ましたのでこの消費者保護行政はこれで終わって、あと公益法人の指導監督の行政等のことについてもお伺いしたいわけでありますが、これは次回に譲ります。  大臣に、いまの消費者保護行政の中で最後にお伺いしておきたいのでありますが、さまざまな国の検査機関及び消費者団体との情報交換、また検査の効率的な実施のための計画書の作成、実施まで厳しく監視して、むだのない行政が行われていくよう監察していく、こういう意味において、大臣としていろいろ今日まで行政の任に当たってこられたわけでありますが、いまの公益法人のことについてはまた次に譲って、消費者の保護行政、この点を具体的に数字を挙げていま私が指摘したわけでありますが、まだまだ関係省庁において行政管理庁の指導というものが十分徹底されてないという面も具体的事実としてありますし、かといって消費者保護というのは最近のような経済情勢のもとにおいては非常に重要な課題でもありますし、次から次へと新しいものが電気器具一つを例にとってみても生まれていくのであります。そうした面においてこの消費者保護というものはますます重要になってくると思いますので、私が指摘した数々の事実を含めて大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  70. 西村英一

    西村国務大臣 御案内のように、消費者は非常に弱い立場にあるわけでございます。したがいまして、消費者を保護するためにもろもろの法律ができておるのでございます。その法律がそのまま適正に行われておるか行われていないかということについて行政管理庁としては監察をやるのでございます。したがいまして、その監察の結果が当該省庁でよく守られるように、しかし中には意見の食い違いもあるのでございますが、有効にいわゆる消費者保護ができるように、諸団体からもいろいろ意見を徴して行政をうまくやっていきたい、かように私としては考えておる次第でございます。
  71. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  72. 芳賀貢

  73. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私どもこのごろ、たとえば赤潮問題が起こったと言えば公害の問題ということで環境庁、あるいはその原因が下水道だ、いや産業廃棄物だということで通産省あるいは環境庁というふうに、非常に行政が多岐にわたっておるということを日常の生活を通じても体験いたします。そういう意味で、行政管理庁の方でもこの九月の二日閣議了解事項として省庁の再編成を含めていろいろ検討をなさる、当初には大幅な省庁の改編をやるというふうなうわさも流れておりましたが、この閣議了解事項を読ませていただくと、「別途検討する。」ということで、非常に抽象的に言われております。この省庁統廃合をめぐってどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、長官のお考え方を伺いたいと思います。
  74. 西村英一

    西村国務大臣 今回の行政改革につきましては、どれが目玉ということもなしに、行政の全般についてひとつ見直しをしよう。従来も各事項につきましていろいろな閣議決定をしました。たとえば審議会はどうせよとか、あるいは特殊法人はこうだとかいう閣議決定をしましたが、今回は世情も非常に変わり、また新しい事業も起こってきたから、行政の全般について、行政機構定員、補助金、いろいろたくさんのことが行政にはありますので、その全般を見直しをしようじゃないかというのが今度の行政改革の基本でございます。したがって目玉はないのです。しかし、そのうちでもやはり高度の政治的判断を要するものがございます。したがいまして、そういうむずかしい問題は簡単にはなかなかいかない重大な問題でございます。したがいまして、私が先般総理にも報告をしましたことは、やはり高度の政治的判断を要するものはこれから詰めていかなければならぬでしょう。しかし、それ以外のもので行政管理庁として各省折衝をしておおむね成案を得るものもあるから、それは早目に発表した方がいいのじゃないですか。また補助金等につきましては、ことに私のところでやるわけじゃございません。予算折衝の過程で大蔵省がやるわけでございます。しかし、補助金といえども行政管理庁意見がないわけではございません。いろいろ意見があるわけでございますから、それは予算折衝の過程でやらなければならぬ。したがいまして、予算折衝に関係するものはこれからになるわけでございまして、よく非常に後退後退と言いますが、後退もしていないし、前進もしていないし、まあ中ぐらいでやっておるわけでございますから、これから詰めていくつもりでございます。よろしくお願いを申し上げたいのでございます。
  75. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私も別に目玉という質問もいたしておりませんけれども長官自身がそういうふうにお考えになって目玉というふうに思っていらっしゃるのかもわかりません。しかし、一応大きな政治的な問題ですから、どういうふうになっているかとお伺いしたのです。いまのところはっきりしためどがついておらないということでございますが、しかし相当の決意を持って福田総理以下現内閣が臨まれたはずなのですが、途中で内部的な省庁の利害関係もいろいろあるでしょうし、あるいはまた事業等の関連もあるでしょうし、わかりますけれども、結局こういうことをやっておりますと、省庁の改編というものは相当大きな決断をお示しにならないと前へ進まないのじゃないでしょうか。
  76. 西村英一

    西村国務大臣 相当な決意が要るわけでございます。しかし政府としてと申しますか、国として今後に対処をするのにはどういうことを行政として取り上げなければならぬかということでございまして、その問題を取り上げて、省にするとか庁にするとかいう機構の問題について、それがうまくいくかいかぬかということを考えなければなりません。重要な問題を取り上げても、それを機構の上にどう反映されたらうまくいくかということにあろうかと思っておるわけでございますから、総理も私も相当な決心は持って臨むわけでございますが、しかし決心を持って臨むと言っても、これは全部法律事項であり、実を結ばなければなりませんので、慎重な考慮が要る、かように考えておる次第でございます。
  77. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 はからずも一番中心になる省庁統廃合については、決意は持っているけれども具体的なものは何もないということで、閣議了解時も検討事項ということでおさめられたと思うのです。そうするとそう早急には、いま世間でうわさされているような内閣改造を控えて、恐らくそういったことは起こり得ないと思います。  それでは、あと述べております他の、たとえば局や課の縮小であるとか、地方の局の制限であるとか、審議会の整理特殊法人整理統合あるいは退職金の制度定年制の問題等々、六項目ほど述べていらっしゃるわけでございますが、それについて具体的にひとつプログラムをお示しいただきたいと思います。  たとえば特殊法人十八の整理統合なども早くから言われておりましたけれども、その後どういうような経緯をたどっておるかということも定かでございませんので、具体的なプログラムがありましたらお知らせいただきたいと思います。
  78. 西村英一

    西村国務大臣 五十年の十二月に閣議決定して十八法人を取り上げた。今日まで相当時間もたっておって、あるものは解決が済んでおり、あるものはもっと詰めていけば解決ができる、しかし十八法人を挙げるときは挙げるときでもって理由はあったけれども、いまはそれは当分は手をつけられぬ、こういう判断でおるわけでございます。この十八法人はもう公になっておりますから一々法人の名前を挙げてもいいですが、しかし、これはこの時期までに決めなければならぬという問題じゃないのです。ずっと続けていってしかるべき問題と思っておるわけでございまして、特殊法人が非常に問題になりますが、なかなかむずかしい。むずかしいと言うのは、政府にかわって事業をやっておるのです。政府にかわって事業をやっておりますから、こうだと言っても債権債務もあります。人事上の問題もあります。そう簡単にうまく決まるものじゃないです。しかし、五十年十二月に決めました十八法人は全部こういう段どりでいきます。こういうことは言えるわけでございます。  しかし、その他の法人もございますから、今後どういう法人を十八法人以外に取り上げていくか、またその取り上げる理由はどうだ、こういうこともいま考えてやっておる最中でございます。
  79. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 行きつ戻りつと言われたけれども、十八法人整理統合だけを見ても、一つだけは済んだようですが、結局戻りつの方が多いのじゃないでしょうか。そういうことになりますと、閣議決定をなさったこともなかなか前へ進まないような状態があると思いますが、ひとつできるところからでもやっていかなければならぬと思いますから、当面何と何を重点に置いて、いつごろまでにどういうことを決めるのかということをひとつお教えいただきたいと思います。
  80. 辻敬一

    辻政府委員 十八法人の中ですでに措置済みのものが五法人ございます。廃止を決定したものが二法人でございまして、電力用炭販売株式会社についてはすでに本年六月一日廃止をいたしております。それから、八郎潟新農村建設事業団につきましては、五十三年の二月一日に廃止の予定でございます。  それから、組織人員を縮減いたしたものが二法人ございますが、日本航空機製造株式会社につきましては、五十一、五十二両年度におきまして、人員及び組織を縮減いたしたわけでございます。それから石炭鉱業合理化事業団につきましては、昭和五十一年度におきまして閉山関係組織を縮小済みでございます。そのほか、日本鉄道建設公団につきましては、本年の四月に公団と日本国有鉄道との新幹線鉄道建設に関する分担関係についての基準を決定いたしました。  そこで、以上の五法人につきましては措置済みでございまして、残りが十三法人あるわけでございます。この十三法人につきましては、去る九月の閣議了解のとおり速やかに処理方針を確定するということでただいま検討作業中でございます。
  81. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほど私、六項目ほど読み上げましたね。たとえば審議会はいつごろまでにどういうめどをつけるのか、そして退職金の制度定年制、こういった問題も大体のめど考えておられるのならお示しをいただきたいと思います。
  82. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど林委員の御質問に対しまして大臣からもお答えしたところでございますけれども事務レベルで相当詰まっておりまして、ほぼ成案の得られた事項といたしまして、第一に中央省庁の課、室、官の整理の問題がございます。これはただいま約五十をめどにして二年間で整理をいたしたいと考えておるわけでございます。  第二に、地方支分部局のうち支所出張所等整理でございますが、これは閣議了解にございますように、千を目標にいたしまして、ただいまほぼ検討が詰まりつつある段階でございます。  それから、審議会等の統廃合につきましては、約五十審議会を対象にして整理統合を行うということで相当煮詰まってまいっております。  そのほか、審議会等の委員数でありますとか、委員構成につきましても、かなり詰まっておるわけでございます。  それから、許認可につきましては、閣議了解のときに千事項を目途にということになっておりますが、千を上回る事項につきましてただいま検討中の段階でございます。  こういうような事項につきましてはできるだけ早く、今月中にも成案を得まして発表の段どりといたしたいと考えておるわけでございます。  そのほか、先ほど大臣からお答え申し上げましたような中央省庁部局以上の問題のような政治的な判断を要します問題、あるいは補助金整理のように予算編成過程で決定すべき問題につきましては、予算編成時において結論を得ることになるのではなかろうかと考えております。  そのほか、ただいま御質疑のございました特殊法人統廃合問題あるいは地方支分部局のうちブロック機関等につきましても、おおむね予算編成期において結論を得たいと考えましてただいま努力中でございます。
  83. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 行政制度を改革する問題は、長く言われておるところでもありますし、この閣議了解事項の冒頭にも書いてございますように、経済体制も社会情勢もころっと変わってきたわけですから、企業においてもずいぶんといま厳しい状態がある。その中で補助金の問題も含めて行政改革は非常に大きな課題だと思いますので、極力進めていただきたいと思います。  次に、補助金の問題に移りたいと思います。  行政管理庁は補助金につきましてはどの程度まで監査をなさっくその後に生かすような措置考えておるのか、一般論としてお伺いしたいと思います。
  84. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  行政監察は、行政の実施状況を見まして、主として効率化あるいは能率化、公正を確保する面からという行政の質の問題がございます。また、行政を実施してまいります上で、特に最近のように財政的に窮迫な事態がありますと、行政費の節減という観点からも当然大きな関心を持って行政の実施状況を見てまいることになるわけでございます。そういう意味で各種行政の実施状況を見るときに、常に財政的な面からの経費の節減ということで見ておりますが、特に補助金として、補助金の早く言えば合理化、廃止、統合、節減といったようなことを直に目的といたしまして監察を実施することもございます。  たとえば過去の例で申し上げますと、これまでにやりましたものといたしましては、三十九年に補助金等を中心とした財務行政監察、あるいは四十一年に零細補助金に関する行政監察、四十三年に補助金行政監察、さらには五十年に補助金行政監察というふうに、過去において四本ばかり実施している例がございます。
  85. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私、どの程度までと言いましたように、一つの補助事業をやります。そしてそれがうまくいったかいかないか、ある程度その効果が明らかにならないことには補助を出した値打ちがないわけでしょう。そういったことでどの程度まで深く監査をなさっておるのかということです。
  86. 川島鉄男

    ○川島政府委員 どの程度という程度の切り方が非常にむずかしゅうございまして、たとえばこういう補助金は長期マンネリ化して行政効果に比して補助額の方が少しオーバーになっておるのではないかというような相対的な面での評価とか、あるいは零細に過ぎて事務手続の費用あるいはその複雑さに比べて補助効果が少ないのではないかというようなこととか、それぞれの価値観念との相対的な判断で考えております。最近では、定期評価調査と称しまして、過去において、たとえば五十二年度に実施いたしましたものでは、四十八年度ごろに発足した新規施策につきまして、ある程度の実績が出ているであろうという段階で、その新しい施策はどのように実施されて成果を上げているかというようなことを見直しするというようなことをやっておりますが、そういうようなときにどの程度の効果を上げているかということを見るときには、当然それに対する投資がどれぐらいかということの対比において効果的であるか、あるいはもう少し工夫が要るのではないかというような判定になるかと思います。そういうような面で監察といたしましては現在のところ補助金の効果といったものを見ておる、こういうような状況でございます。
  87. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 補助を出す限りはそれが効果がなければいかぬわけですね。ここにも「行政運営の効率化の見地から」と言われておるように、具体的にどういうふうに効果があらわれたかというところまで本当にお調べになっているのでしょうか。具体的な例があったら教えていただきたいのです。
  88. 川島鉄男

    ○川島政府委員 行政の効果と投資との関係でどのような例があるかということをただいま具体的な例として数字的に申し上げる材料を持ち合わせておりません。ただ、先ほど申し上げました定期評価調査におきまして、四十八年度ごろに発足した施策をことし実際に見直してみたわけでございますが、それにおいてはいろいろ指摘されておる例もございますので、別な機会にその資料を用意いたしまして御説明させていただきたいと思います。
  89. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 この種のことはある程度具体的な問題を取り上げないとわからないと思いますが、いま私非常に関心を持っております農林省をおかりして、どの程度まで監査をなさっておるのかということを一遍知りたいと思うのです。  御承知のとおり、最近、豪州の輸入肉の問題は国際的にも非常に大きな関心を持たれました。国内的に言いましても、関税のほかに調整金を取っている。それが五十年度は百五十一億円の売買利益が出ておる、五十一年度は三百七億も出ておるということで、その使い道についてずいぶんいろいろな角度から関心を持たれております。その中で、できるだけ安くという願いからずいぶんと消費者還元ということを言われているのですが、たびたび農林省の方にお伺いいたしますと、生産を上げるということ、それが消費者にまた戻っていくのだというふうに言われております。これは直接の農林省の予算ではございませんけれども、調整金という名前の一種の第二予算とも言える事業団を通じての補助制度なのですが、これをどの程度まで調べておるのかこちらも一遍知りたいと思いますので、長官のいらっしゃる前で農林省からお答えをいただきたいと思います。  問題になりました五十年度の百五十一億の剰余金の中で一番から九番まで、たくさんの補助金が使われております。そのうちでたとえば一を見ますと、肉用牛生産の振興資金特別融資事業という補助金がございます。三十七億五千三百万円です。これは内容をお聞きしますと、融資額約三百億円で、実際には九・五%前後の利息を払っておるけれども、それが直接借りられる畜産生産者には五%になるように差額の四・五%を補助するといったたぐいの助成策なんです。ずっと見てみますと、そのうちのほとんど大部分が直接農家にはぴんとこないような種類の予算が多いわけですね。そのことについて、農林省の畜政課長から御説明願いたいと思います。
  90. 井上喜一

    ○井上説明員 お答えいたします。  畜産振興事業団の事業のうち指定助成事業についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり指定助成事業につきましては、畜産の生産振興でありますとか流通の合理化、消費生活の安定等のために使用するようになっているわけでございます。ただいま御指摘の事業につきましては、昭和四十八、四十九年のいわゆる石油シヨック、世界の穀物価格の異常な高騰という影響を受けまして、畜産経営が多大な影響を受けたわけでございます。中でも肉牛経営につきましては、戸数が激減いたしますとか、経営的に採算が著しく悪化する、こういうような事態があったわけでございまして、その後の負債整理ということが問題になったわけでございます。この負債整理を円滑にやるということが、肉牛経営にとどまらせまして牛肉生産の安定的な確保につながる、こういうことから末端金利五分ということで低利融資を実施したわけでございます。  ただ、御案内のとおり、畜産につきましては生産が迂回的でございまして、通常の耕種生産のように直接的にたとえば半年なら半年すれば生産物が出てくるというようなわけではございませんで、非常に長くかかるわけでございます。したがいまして、そういったものの効果も一年とか二年という短期間にはなかなか発現しにくいわけでございまして、われわれはこういう事業を通しまして長期的には畜産経営、肉牛経営の安定ということを通じまして、必ずや将来牛肉の安定生産の道につながる、こういうようなことでこの事業を実施したわけでございます。  一般農家に対してどの程度事業が理解されているのかというお尋ねでございますが、多くの事業につきましては、関係団体あるいは関係農民の間の強い要望を受けまして事業を実施しているわけでございまして、その内容についてはおおむね御理解をいただいていると思いますけれども、なおわれわれといたしましては、効率的な事業の推進という観点からも関係農民の御理解を得るような努力は今後ともいたしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
  91. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これは直接農家の生産振興に役立ったとすぐにぴたりとわかるような予算、この項目のうちでどれかございますか。
  92. 井上喜一

    ○井上説明員 たとえば肉用牛の生産振興資金でございますとか、あるいは肉用牛の経営安定資金あるいは肉豚の生産振興資金、こういうものにつきましては、生産の振興なりあるいは経営の安定ということを通しまして畜産経営の安定に役立つ、このように考えておるわけでございます。
  93. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 たとえば十万円で売れるものがいまは価格が下がったから三万円でしか売れぬから、差額すぽっと入る、これならその人に直接わかりますね。そういった性格のもの、この中にありますか。
  94. 井上喜一

    ○井上説明員 価格保障というような事業が一番わかりやすいんじゃないかと思いますけれども、そういう意味では、小牛の価格補てん事業に関連いたしました小牛価格の安定強化対策事業等はそれに該当するんじゃないか、そういうふうに考えておりますが……。
  95. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 こうしてみますと、結局銀行や農協を通じたり、利子補給の形であるとか、間接的にはなるほど理屈の上はわかるんですけれども、実際の個々の生産農家にとってみれば、せっかく百三十億ほど使われておっても、ぴたりこれがわれわれが生産意欲を持つように、励ましのための助成と感ずるような制度のものはないんですね——ないとは言えません、非常に少ないですね。しかもそれも国が出し、府県が出し、あるいは市町村が出しても、どこが実際助成してくれているのかわからぬような形で出されておる予算も多い。しかも、畜産事業団で組まれた補助金助成を見ても、本来これは農林省が畜産振興として組むべき予算だと思われるものがずいぶんあるわけです。ところが実際には、大蔵省と農林省と折衝なさる場合に、畜産事業団で三百七億も金が上がっておるじゃないかというような駆け引きの道具として使われてしまっているような結果も多いんじゃないかと思うのです。そうすると個々の農家にとって、せっかくこれだけの補助金が出ているのだからひとつ生産規模もふやして、合理化もやって、機械も入れて伸ばそうというよりか、何かわからぬうちに利子の補給になっている、小刻みでしかも分割してというような形で、直接生産意欲をふやせるようなそういう仕組みにいまの予算はなっておりませんね。これは農林省だけを申し上げるわけじゃないのです。一つの例として具体的に申し上げているわけですが、道路の予算にしてもそうでしょうし、橋の予算にしてもそうでしょう。どうもそういうふうな予算が非常に多いと思うのですね。そういうところまで実際には管理庁の方でお調べになって効果を測定なさっているのでしょうか。
  96. 西村英一

    西村国務大臣 まさに馬場さんがおっしゃるとおりです。行政管理庁としては、補助金をこの事業につけるかっけないか、これは政策上の問題ですから当該役所と大蔵省との折衝で決まるわけです。私のところの任務は、それが数年たって効果をあらわしておるか、あらわしていないか、これを監査する任務があるわけでございます。したがいまして、いま局長は具体的な例は持っておらぬと言いましたが、恐らく私のところで監査をして当該役所に勧告したならばやはりその効果というものは出ておらなければならぬと思うのです。出ておらなければ監査をする値打ちもないわけです。したがって、私はもう先生の意見を尊重いたします。そのとおりやらなければならぬと思います。  ただ、補助事業というものが非常に膨大でございまして、とてもその一々を取り上げて行政管理庁でとやかくなかなか言うわけにはいきませんのです。したがいまして、今度も総理自身からも大蔵大臣に対して、補助金の見直しをしろ、極端に言えばゼロから出発せよ、こういう言葉で言われておるわけで、まあ、それはできるわけはありませんけれども、そのようにきつく命令を受けております。  むしろ私のところの役所は各補助金の云々ということよりも、手続の問題でございます。大変複雑にしておるのでございます。申請をし、交付をし、精算をする、実にこう糸のごとく乱れておるのでございまして、この点につきましては、非常に細かい問題でございますので、今後行政管理庁としては詰めていって行政監理委員会にかけて、明年の三月末ごろにはこの手続問題、行政の手続簡素化の問題について取り組みたいと思っております。  監察の点についてはまさに先生のおっしゃるように私も同感でございます。
  97. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 長官に非常に同感だというふうに言っていただいたのですが、膨大な十兆近い補助金の洗い直しというのは大変な作業だと思います。だからといって、やはりどこからか手をつけていかなければならぬと思いますし、特に細分化して非常にわかりにくくしているという問題は、せっかくの補助を意味なくしている、補助の意図が十分理解されないまま使っているというような問題も多いと思うのです。せんだっても参議院の決算委員会でも問題になりました例の土木関係の河川の掘削機、七千万かけて三、四年ほとんど使わずに百四十万でスクラップで最終はおさめたというふうな結果も出ましたけれども、恐らくこの金の使い方、これは補助金だけでなしに予算の使い方も、アフターケアさえ十分やっておったならば、そういう機械がうまくいかなかったらいかなかったで、次の段階である程度の生かせる方法があると思うのですが、その点が不十分であるためにああいう問題も起こったと思うのです。その点ひとつ長官いま言われたように、積極的にもっとだれでもわかりやすい補助制度をつくるために御努力をいただきたいと思います。  そこでもう一つ、最近ドルが非常に余ったということで、ドル減らしのために輸入を促進しようという話が非常にたくさん起こっております。福田総理も三十億ドル、いやそれは願望だとか、いやそれはもう世間に発表したんだから、当然それ以上のことをやらなければいけないといろいろ議論になっております。その中でも輸入牛肉の問題なんかも一つ目玉だと言われております。ところが、この輸入をどんどんやりますと国内の畜産に影響するということでなかなか前へ進んでおりません。そういうときの理由としてよく言われるのは、国内の畜産業者が非常に圧迫されて壊滅的な打撃をこうむるだろう——だろうということなんですね。  それじゃ過去にそういうことがなかったかということなんですが、例のグレープフルーツの輸入のときに、長官も覚えていらっしゃると思うのですが、日本のミカン生産業者から、グレープフルーツが自由化された場合には大変なことになるのだというふうなことを言われて、非常な反対運動が起こりました。それじゃひとつ、そういう反対運動が起こったときにグレープフルーツをそれから以後自由化して、その後どういう経過をたどったか、農林省の方から、そういうことをお調べになっておるのかおらないのか、そしてその効果、そういったことについてひとつお教えいただきたいと思います。
  98. 井上喜一

    ○井上説明員 私、グレープフルーツの所管の担当者じゃございませんけれども、グレープフルーツの輸入を自由化したときに柑橘類の暴落が起こらなかったじゃないかというような御趣旨の御質問かと存じます。詳細は存じませんけれども、確かにそのような経過をたどったんじゃないかとわれわれ推定するわけでございますけれども、牛肉について同様のことが起こるのかどうか、こういうことが問題であろうかと思います。牛肉につきましては、日本はもちろんでございますが、各国とも自給率を高めていくということを基本的な考えにしてございます。これは牛肉の将来の供給につきまして各国とも不安を持っている、こういうことで各国が自給率の向上に努力をしているわけでございますが、わが国におきましても、たとえば昭和六十年の長期見通しにおきましても、おおむねその時点で八〇%くらいの自給率を維持する、こういうことでわれわれ各種の生産対策等を講じているわけでございます。そういうことで、そういった生産振興対策の一環といたしまして、価格の安定につきましても、御案内のとおり畜産物の価格安定法に基づきまして、豚肉と同じような安定価格帯を設けまして、その安定価格帯の幅の中で価格を安定していく、こういうことを実施しているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、その安定帯の中に牛肉価格がおさまるように不足分を外国から輸入をしておる、こういうのが実態でございます。  その場合、グレープフルーツと同じように自由化をした場合に牛肉価格が下がるのか下がらないのかということでございますが、品質の差は若干ございますけれども、輸入牛肉が増加すれば価格が下がるということは自明のことでございまして、たとえば昭和四十九年度におきます牛肉価格の暴落でありますとか、あるいは最近におきましては、昨年は安定帯の価格の上限を牛肉卸売価格が突破していたわけでございますけれども、最近は輸入量の増加によりまして安定帯の中に価格が入ってきている、こういうことからも自由化によって受ける影響は非常に大きなものがある。この点は、グレープフルーツは若干日本にありますミカン類と品質が違いますのでその点の違いはあろうか、このように考える次第でございます。
  99. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私、ただ単に牛肉の例を申し上げただけですけれども、牛肉以外でも、結局これから三十億ドルもの輸入をやるとすれば主として農産物に非常に多くウエートがかかってくると思うのです。そういう際に、グレープフルーツで反対運動があったけれども、その経過をどういうふうにたどったかというような、予算の使い方なり補助金の使い方、そういうことが調べられておったならば、これから輸入問題についても非常に役立つことが多いと思うのですが、管理庁としてそういうところまではお調べになっておりませんでしょうか。
  100. 川島鉄男

    ○川島政府委員 調べておりません。
  101. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もう一つの例を申し上げたいと思います。  百十三億ばかりの補助金の中にその他の項がございます。その他の項の中で加工原料乳生産者補給交付金という項目がございますね。これは、生牛乳として飲めない分を、いわば少し余ってきた、過剰になった分について加工牛乳に回すということで、この分を、審議会でその価格の差額について交付金を出されておるのが、五十一年度で二十四円〇七銭、キログラム当たりそのくらい出されておるのです。審議会でお決めになっておるのですが、こちらの方で別にまたその他の項でキログラム当たり一円というものをお出しになって約十三億八千万円ですか、の助成金を出されておりますね。農林省の方、その事実関係どうでしょうか。
  102. 井上喜一

    ○井上説明員 不足払いにつきましては、国の予算の方でたしか三百億余りの金を支出しております。なお事業団の方から指定助成事業といたしまして乳質改善奨励金といたしましてキログラム当たり一円の金を支出いたしております。
  103. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十二年度は幾ら出しておりますか。
  104. 井上喜一

    ○井上説明員 五十二年度におきましては、乳質改善奨励金につきましてはキログラム当たり一円七十五銭でございます。
  105. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 審議会でせっかくこういうふうに妥当な価格が、五十一年度は二十四円〇七銭、五十二年度は二十四円五十八銭というふうにお決めになっても、別枠でまたそういう補助金をつけられたら、審議会でお決めになったことは結局何にもならぬ。いわば政治加算的な意味を持っておりますね。そういうところまで、実際に中身まで管理庁の方ではお調べになっておられるかどうか。
  106. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  調べておりません。
  107. 西村英一

    西村国務大臣 それは馬場さん、ちょっと質問が無理なんです。私のところで監察をやるというのは、事柄が起こって、これはやるべきでないのじゃないか、あるいはやったらいいとかいうような議論は、私のところはそれはすぐはできないのです。行政監察はやはり年度でもってこういう事項をやろうということの計画を立ててやっておるのですから、牛肉の輸入をやる、補助金をつける、それがいいか悪いか、こういうことをすぐ監察するというようなことは私のところの業務以上の問題でございます。しかし、法律がいろいろあって、ずっと見ておって、そうしてある時期になって、あれが法律に沿ったことをやっておるか、あれが補助金の任務を果たしておるかということをやるのでございまして、いま問題になっておるものを直ちに取り上げて、それはやるべきでない、それは違うと、こういうようなことはやはり当該省庁に任せなければならないのでございまして、その点はひとつ御了解を願いたいと思っておる次第でございます。
  108. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 よくわかっております。ただしかし、こういうふうな使われ方をすると、補助金を非常に細分化してわかりにくくしているからこういうことが起こっているわけですから、やはりこういうことが補助金行政を誤らせておる大きな原因になっておるから、そういうこともやはり知っておいていただきたいという意味で申し上げておるわけなんです。そこまで調査をせよとも何とも言っておりません。できないと思うのです。なかなか実際にはいまの行政管理庁のスタッフの中ではできないこともよくわかります。ですけれども、実際に有効に補助金が使われるかどうかということは非常に重要なことでございますので、そういう事実もあるのだ、そうなると、結局いろいろの抜け道がある、こういうふうな補助金だから、最終的には補助金の整理統合については、ひとつ十分そういうことも考えていただきたいという意味で農林省との間のやりとりをしているわけですから、何も長官のもとでそういうことを細かく、相当な莫大な先ほども申し上げた十兆に近い補助金があるわけですから、そんなものをやれと私も申し上げておりません。恐らく会計検査院でもなかなかそこまでいけないだろうと思います。しかし、われわれが気がついたことについては、今後補助金行政を改める中でこういうことがあるのですよということを知ってもらうために申し上げておるわけでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  それから次に、特殊法人の役員の給料、退職金の件についてひとつお伺いいたしたいと思います。  例が農林省関係ばかりになって非常に申しわけないのですが、たとえば十八法人統廃合やあるいは役員の退職金についても今後厳しく是正していかなければならないというふうに思っていらっしゃるわけです。たとえばこの農林省の関係の中で畜産事業団を見てみますと、前の事業団の会長は、四十一年に畜産局長をおやめになる、そして四十三年に地方競馬の副会長をやられる、そして四十五年に畜産事業団の理事長になられる、そして四年の任期を勤められて、今度は日本食肉協議会の会長というふうにずうっと続いて外郭団体、さらにその外郭団体というふうにかわっていかれておりますね。これは例ですけれども、ほかにもたくさんそういうのがございますが、こういう場合どうなるでしょうか。たとえば畜産局長をおやめになる場合には公務員としての退職金規定というものがございます。そして地方競馬の場合はどういうふうになるのでしょうか。どれぐらいの退職金で、どれぐらいの給料になるのでしょうか。畜政課長の方はおわかりですか、わかりませんか。
  109. 井上喜一

    ○井上説明員 他の公益法人と同様でございまして、月額の百分の四十五の退職金が支払われるわけでございます。月額の百分の四十五掛ける勤務月数でございます。
  110. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、この地方競馬の方の団体も月額大体七十万から八十万ぐらいの枠の中にあるわけですね。退職金がほかの団体ではそういうふうになっていますね。そうすると退職金が千五、六百万、千八百万から二千万近くということですね。そして事業団も同じく二千万ぐらいですか。同じようになりますね。そうすると、二年ないし三年ごとぐらいにその都度その都度非常に膨大な退職金をいただいて、次から次へ四つも五つも渡って歩いていられる。現在の事業団の理事長さんも、調べますと、その前に地方競馬の協会の会長をやっていらっしゃる。その前は畜産局長。しかしこれでは一国民感情としてどうでしょう。概算しますと、ほかのを見ますと、たとえば北海道東北開発公庫も二千万ぐらい退職金をもらっていらっしゃる、住宅金融公庫も二千万ぐらいもらっていらっしゃるというふうに、大体二千万内外の退職金を四つも五つもにまたがってもらっていらっしゃるというようないまの制度というのはどうでございましょうか。素朴な一国民の立場でどういうふうに思われるか、ひとつ長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  111. 西村英一

    西村国務大臣 特殊法人の役員の給与、退職金等については大変批判があるところでございまして、たびたび国会でも皆様方から指摘を受けておりますし、また世間もそういうような感情を持っているわけでございます。したがいまして、特殊法人につきましては、特殊法人統廃合以外の問題としても、役員についてのそういう批判を受けておる問題について見直しをしなければならぬということで、これは大蔵大臣並びに官房長官等の仕事でございまして、今後これは詰めていくような考え行政管理庁としても取り組んでおるような次第でございます。
  112. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただ金額だけじゃなしに、なるほどこの額をお決めになるのは大蔵省の所管でございましょうけれども、はたに対する影響も非常に大きいと思います。そういう意味では、先ほどもお伺いしますと、四十五年一月三十一日までは百分の六十五、ひどかったですね。それで四十五年二月一日から百分の四十五に変えていらっしゃいますけれども、普通民間で考えて、あるいは一般の方々で考えてみたら、こんなに次から次と外郭団体へ行けるような条件もないでしょうし、そしてまたその外郭団体もこんなに多額の退職金が出るような状態のところもほかにないと思うのです。そういう意味では、行政管理庁としても、ほかに対する影響ということで相当厳しいものを出していただかなければならぬと思いますが、ひとつ長官の厳しい決意をお聞かせいただきたいと思います。
  113. 西村英一

    西村国務大臣 役員の任期でございますが、任期も従来はやはり基準がありまして、大体役員の任期は四年、三年という特殊法人が多いのです。一番長いのは五年です。帝都高速度交通営団は総裁は五年です。一番短いのは一年というところもありますが、おおむね三年、四年です。で、四年二期、八年というふうに基準をおおむね決めておったわけでございますが、今回はそれを三年二期、これが限度じゃないだろうかという基準をいま官房長官のところでつくりつつあるようでございます。  どうも役員の退職金、給与も多いのじゃないかという、これは一つはこういうことであったと思うのです。つまり特殊法人というものは、元来政府でやらなければならぬ仕事、それを政府では能率が悪いから、またやることもできないものもあるから民間のベースで仕事をしなければならぬ。したがって、それに従事する人は有能な人であって、民間の給与ベース、退職金等に合わしてやるべきじゃなかろうかと考えたと思うのです。それで、いま言いましたように、退職金も百分の六十とやってみたが、やはり世間の批判が多いということで訂正をされて百分の四十五となったのでございます。しかしまた今日の時勢で考えますると、世の中はまことに不況だ、非常に困っておるというときに従来のベースが果たして適切かどうか、国民も賛意を表せられるかどうかということにも問題がありますから、今回はそれを何らか訂正をしなければならぬのじゃないかということで、確実にいまこうするという案はまだ政府としては決めていないと私は承知をいたしております。
  114. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 額や任期だけじゃなしに、役員の構成も問題があるのじゃないでしょうか。たとえばいま例を挙げておりますけれども、この事業団を見てみますと、理事、監事及び顧問を入れて十四名の中で農林省のOBが六人いらっしゃる、ほかの省のOBが三人いらっしゃる、そしてあとの残りの民間からというのはそれぞれの業界の代表者ということですね。どれを見ても、これは余り公平な人事とは思えないのですが、そういう点については長官、どういうふうにお思いになりますか。
  115. 西村英一

    西村国務大臣 特殊法人はそれぞれの省庁法律をもりてやるわけでございますから、そのときにそれぞれの省庁考えることでございます。しかし、そういうように国家の重要な仕事を代行する機関であるから、相当に知識も持っておらなければならぬし、年齢の問題にしてもそう若い者ではいかぬ。民間の方々、相当活躍しておる人が特殊法人に来てくれと言ってもなかなかそう簡単にはいかないのです。したがって、いまあなたが御指摘になるような傾向になりがちなんです。なりがちですが、それが度を過ぎると非常な非難を受けるわけでございますから、やはり適正に、非難を受けないような構成にするということではなかろうかと私は思っておるわけでございまして、役人の方も、いま五十五でやめましても、知識を持っているから相当働いてもらわなければならぬから、やはり度を過ぎちゃいかぬが、その知識は活用すべきだというようにも考えますから、批判を受けないような程度において人事をやらなければならぬと私は考える次第でございます。
  116. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もちろん専門的な知識とか、経験とか、機械的に数だけでどうとは言えませんけれども、少なくともいまの例のような状態は、百十二の外郭団体にもずいぶん多いと思います。現在では常識の範囲を超えていると思っていらっしゃるのか、まあまあその範囲だと思っていらっしゃいますか。
  117. 西村英一

    西村国務大臣 やはり相当に見直しをしなければならぬ事態だと思っております。
  118. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十一年五月に公社、公団三十三法人の常勤役員を一〇%ずつ減らしていくという方針をお立てになりましたけれども、その後の進捗状態はいかがになっておりますでしょうか。
  119. 辻敬一

    辻政府委員 ただいまお示しのございましたように、五十一年五月に閣議了解いたしまして役員の縮減を図っているわけでございますが、閣議了解に基づきます縮減役員の数は、計画では三十四人でございます。五十一年度の役員縮減の実績は十四人というふうに承知をいたしております。
  120. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十二年度はどうですか。そして、大体いつまでにそれが完了するのですか。
  121. 辻敬一

    辻政府委員 所管が総理府の方の担当でございますので、五十二年度の実績はちょっと手持ちにございません。  それから、先ほど申し上げました計画の三十四人と申しますのは、この縮減計画自体が、任期が満了いたしまして退任する役員が生じた際に後任を補充しないというやり方でございますので、一番長いところでは四年程度はかかるのではないかと考えております。
  122. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほどから、補助金の問題にしろあるいは特殊法人の役職員の給与あるいは退職金等々、いろいろ御質問申し上げましたけれども、確かに先ほど長官お答えいただいたとおり、一般国民の一人一人の立場から見れば正常な状態じゃないと思います。それだけに、こういう厳しい世情になってきただけに行政改革期待するところが非常に大きいわけですから、先ほども言われたようにそれぞれの項目一つずつ大事なことですから、国民期待にこたえることができるように積極的な改革を進めていただきたいということで、最後に長官決意をお伺いして終わりたいと思います。
  123. 西村英一

    西村国務大臣 大変難事業でございますが、総力を挙げてできるだけ努力して御期待に沿いたいと思っております。
  124. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後二時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十四分開議
  126. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  127. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは、全部の時間を北富士演習場に関係します神田堀、侭堀の工事について行政監察の立場からも、同時にまた工事の実態についての質問等も織りまぜながらお伺いをしたいと思います。その前に一点だけ、いま行政全体の見直しをされている長官に、さきの当委員会でもお伺いをいたしましたが、ただ時期が来たからというので特殊法人なり審議会を整理する、あるいは省の統合を行うというようなことを、空気ができるとやるというような調子でまたさめていくということではなくて、やはり国会におけるわれわれが実際に必要かどうかの審議ができるようにという意味で、前回も長官に提案をしておきましたが、いま日本でもわずかの特殊法人が時限立法化されておりますが、現在のものをどう統廃合するかを見直すそのときに最も必要なものは、すぐになくすとかいう前に、そのことを皆さんだけで考えるのではなくて、国会でわれわれ自身も冷静な立場で審議に参画できるように一応前提としてはすべてを時限立法化しよう。時限立法化しておきますと、三年なり五年なりの期限をつけておけば、その期限の来るときにはいやでも国会におけるその特殊法人なり審議会が必要かどうかの審議をすることができるわけです。自動的に見直しができるんだ。福田さんが組閣当時に大きな看板の一つとして行政改革を言ったからというので、現内閣は特にこれをやるような空気、装いだけはできているんですが、そう国民期待するような発展は今日までありません。先ほどから聞いていても、なかなかにこれが急速な進展を見るという期待は困難だと思う。しかし、やらなければいけないからやるんでしょう。またやるべきだと思いますが、私は、現在の非常に大き過ぎる特殊法人なり審議会なりあるいはその他の機関に関しては、この際時限立法化するということを基本に置いて統廃合なりその他を考えると同時に、時限立法化できるかどうかを審議して、現在のものにいわゆる期限をつけるということをまずやることが非常に大事な基本的な問題ではないかと思うのですが、前回このことを提案して、長官からは非常に参考になるから十分考えるというお話がありました。これが今度の行政改革等に関して取り入れられるようになっているのかどうか、忘れちゃったのか、あるいは記憶してこれが十分に論議されているのか、その方向をいいとするのか否とするのか、端的にひとつ長官からお答えをいただきたい。
  128. 西村英一

    西村国務大臣 特殊法人を時限立法化したらどうか。現在も特殊法人で時限立法をした特殊法人もあります。何ぼあるかは私もちょっと知りませんが、二、三はあると思います。これは一つの方法ですが、全部の特殊法人に期限をつけるということは、その特殊法人の性格または人事の面、いろいろあって一律にということはなかなか困難であろうと私は思います。したがいまして、原則といいますか、そういうことで特殊法人に期限をつけると、あなたがおっしゃいますように、その期限が来て見直しをして、継続するものとそこで始末をつけるものと、こういうメリットも大いにあると思います。したがいまして、今後それは十分に考えていきたい。いまどの法人をどうしろというようなことはありませんが、考えていきたい、かように思っておるような次第でございます。
  129. 原茂

    ○原(茂)委員 アメリカなんかでもこれを一生懸命にいま取り入れようとして鋭意努力をしていますが、確かにいいことだと思うし、やはり国会の場でわれわれが冷静にこの特殊法人なり審議会が必要か否かを十分に論議するということは非常にいいことだと思いますから、ぜひいまおっしゃったように、これを基本方針一つとして取り入れて十分勘案をしていただくように、これは私から提言をしておきます。二回目ですから、ひとつできる限り取り入れるようにしていただいたらと思います。  そこで神田堀、侭堀の問題入ります前に、この北富士演習場の二百十四ヘクタールの払い下げに関しましては、るる私からその手続上の不当、法解釈の恣意的な、ある意味における専断というようなものを指摘をしまして、ついに閣議決定を経て払い下げが行われましたが、行われても、今度は山梨県と恩賜林組合という分収造林の片棒をかつぐ組合との間にいまだに話がつかずに、もうすでに三ヵ月になんなんとするのにまだ林業整備計画が締結されない。まさに私の指摘し心配したとおり、現地にはあらゆる矛盾した問題、違法の問題あるいは当然考える必要のある閣議決定の民生安定の問題というようなものが何ら考慮されていない。そのしし食った報いみたいな状態で、いまだに山梨県恩賜林組合との間にはこの締結が進んでいないというようなていたらくになっておりますが、私はこれをよしとするのではない。  私のこの問題に取り組んでまいりました趣旨というのは、基本的には、大事な国民の財産である国有財産が一党一派あるいは一政府の政策的に利用されるという、まるで歯どめのなくなった、無制限に国有財産が自民党なりあるいは内閣の思うままに左右されるようなことになってはいけない、絶対これは歯どめが必要だという立場からるる論じてまいりました。残念ながら払い下げが行われました。しかし、この問題に関しては、まだこれからもいろんな問題がありますから追及をしてまいります。  と同時に、大きな問題としては軍人林のピンはねの問題があります。もう一つは林雑補償の問題があります。これは余り申し上げなくてもおわかりだと思いますが、林雑補償という名に隠れて、北富士演習場を使うためのあめ玉をくれるように、払う必要のない、払う条件が整っていない者にこの補償金が、国費が多額にばらまかれているという事実があります。この問題もきびすを接して具体的に現地調査をいまほとんど終わりつつありますので、写真等も添付しながら追及をこれからしていきたいと思います。  その林雑補償についてまず第一にお伺いをしたいと思いますのは、行政管理庁に対して監察を要求する陳情あるいはお願いの書類というのがかつて何回か出されています。四十八年五月一日、山梨県富士吉田市下吉田四千三百十四、当時の北富士入会組合組合長の渡辺孝基氏から福田長官あてに出されました。また、そのちょっと前に、四十八年四月六日、忍草入会組合長渡辺勇氏から同じく福田長官あてに監察の要求が出されました。同時に、これは会計検査院長の白木氏あてにも出されております。次いで、四十九年三月五日、忍草入会組合長の天野重知氏から保利長官あてに出されています。同様趣旨であります。四つ目に、五十二年五月六日、堀内清太郎氏外十六名から横浜防衛施設局長担当支出官の菅原竹雄氏あてに同じ趣旨のものが出されておるわけであります。  私はここで内容を読まなくても、もう出されているからわかっていると思いますが、一体行管としてはこの出されておりましたものをどう検討をし、どういう答えを出し、どういう処置をとられたのかを簡潔に、これは担当局長で結構ですから……。
  130. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のようなことで、当庁に対して陳情がございました。いずれもその内容につきましては北富士演習場の林野雑産物補償の支払いに関する問題でございました。その要旨は、国は北富士演習場対策協議会を通じて請求しなければ補償金を支払わないとしているが、これは当入会組合の請求権または受給資格者たる地位を剥奪ないしは制限するものであるので適切な措置を願いたいという要旨のものでございました。  そこでわが庁といたしましては、そのお申し出に基づきまして、当時これを行政相談案件としてあっせんしたいということで、防衛施設庁に対しましていろいろ話を伺い、調査、検討したところでございますが、この補償金は従来から現地でいろいろ争いがございまして、入会組合間で激しい紛争があったというようないきさつがございまして、四十二年度以降の支払いができない状態にあるのだということが判明いたしまして、さらに政府といたしましては、山梨県との間の話し合いで北富士演習場対策協議会というのを窓口といたしまして支払いを行うということで、防衛施設庁としては今後ともこの方針を変えることは考えていないという状況でございました。そこでこの補償問題につきましては、国会でもいろいろと御議論がございまして、政府としての答弁でもこの対策協議会を窓口として支払いを行うという態度を崩していないという状況でございました。このように政府としての措置がとられ、しかも政府の態度が一貫して変更される見通しがないという事情でございましたので、本件を行政相談事案としてあっせんすることはできないという状況であったわけでございます。  以上が、この案件に対します行政管理庁が関与したあらましでございます。
  131. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたは監察局長でしょう。そうですね。一体何を根拠にして防衛施設庁に対して取り次ぎ、あっせんみたいなことをしたのですか。と申しますのは、この陳情の趣旨というものは、いまお読みになったとおり、それが妥当なのか不当なのか、よけいなことをしてあっせんなんかする前に、不当なのかあるいは妥当なのかの適否をみずからびしっと示すべきではありませんか。それが行政監察の役目じゃないですか。何を好んでよけいなことをして、自分の態度を全然明らかにしないで、政府に取り次ぐ、施設庁に取り次ぐ、その後政府はこう言って認めない、こういう状態だ——そんなこと聞いているのじゃないのです。なぜあなた方が行政監察をやらないのか。あっせん業じゃないのだ。長い長いこの不当な事項を、しかも本当に血の出るような思いであなた方に訴えているのに、これに対して自分がどう思うかをまず示すべきだ。それを示した上で陳情者があっせんを依頼したら、施設庁にあっせんする、何をあっせんするということはいい。行政監察局長というものは自分の態度を明らかにするのが常識じゃないですか。職務上当然じゃないですか。それを示してください、これに対する当否を。
  132. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  当然その監察をやるという事由はございます。ございますが実は客観情勢が、先生御案内だと思いますが、山梨県知事の田辺国男さんと内閣官房長官二階堂進さん、立会人の北富士演習場対策協議会会長小林昌治さんの三者におかれまして、「北富士演習場使用に関する覚書」を四十八年四月三日付締結してございます。それの第三で「林野雑産物損失補償については、国一防衛施設庁一と、北富士演習場対策協議会との間において、協議されたところにより、措置されるものとする。」こういう明文がございまして、一応政府としての態度が決定しておりましたので、これから先の発展はないと見たわけでございます。
  133. 原茂

    ○原(茂)委員 それは逃げ口上なんで、そういうことがあるからといってそれは法律じゃないです。あなた方に要求しているのは、この事の当否をはっきりと示してもらいたい、こういうのが陳情の趣旨なんだ。  しかし、きょうはこれを問題にしようと思っていません。先ほど冒頭に言ったように、この問題はこのすぐ後に、十分な資料をいま整えつつありますので、やがてこの問題だけで具体的にお伺いをいたします。きょうはこれを突っ込もうとは考えていない。私の立場と考えだけを申し上げておきます。  これに関連しまして、先ほど申し上げました四番目の「昭和五十年度分林雑補償金返還について」、これも皆様のところに、先ほど言ったように恐らくいっているのじゃないかと思うのですが、いっていませんか。——施設庁にだけいっているのでしょうか。行管にはいっているのかどうか、それだけ答えてください。
  134. 川島鉄男

    ○川島政府委員 私としては承知いたしておりません。
  135. 原茂

    ○原(茂)委員 それではいっていないのでしょう。実はこういう施設庁に対する訴えをしています。やがておたくへも多分これを出します。   この五月一日、昭和五十年度分林雑補償金として、新屋入会組合長より配分された一世帯あたり一万円計十七万円也を、貴職に返還いたします。   いままでわたしたちは、入会権があるからだとおもって林雑補償金を受け取ってきました。しかし、林雑補償の申請は詐欺だという告発事件に驚き、よく調べたところ、林雑補償金は実損のある者だけに交付される見舞金であることを知ったわけです。   わたしたちは、実のところ誰一人立入許可日に草刈りにも粗菜切りにも入っておりません。これは三つ子にもかくせない事実です。また、昔のように牛馬はもちろん堆肥場も囲炉裏もありません。聞くところによると組合長等幹部が、国や県となれ合うて調査の時だけ何人かを動員し、写真をとって、その証拠にしているということです。そのようなインチキは調べればすぐわかるし、わかったら大変なことになるから全部返納したらどうかと組合長に進言したところ、組合長は五十年度のことだから調べてもわからないし、調べもしないということでした。しかし、わたしたちは実損もないのに、嘘を承知で林雑補償金を受け取るわけにはいきませんので、とこに返還することにいたしました。   昭和五十二年五月六日     富士吉田市新屋二七九 堀内清太郎                ほか十六名ということで、これが横浜防衛施設局長支出負担行為担当官菅原竹雄あてに実は内容証明で出しているわけであります。この件についてだけお伺いしたいのです。  ここで告発したという事実が出てまいりましたので、お急ぎのようですから先に告発の件についてお伺いしておきます。  一体富士吉田警察署に告発をされましたものを、その後警察庁あるいは法務省としてどう処置をなさっているのか。この告発状の内容がわからなければ読み上げますが、もう予告してありますからおわかりだと思いますが、一体どう処置をし、どのようにいま進行しているのか、告発のその後についてお伺いをします。
  136. 鈴木貞敏

    ○鈴木政府委員 お答えいたします。  ただいまの告発の件でございます。これは昨年の二月でございますが、富士吉田市居住の渡辺孝基氏から、山梨県知事を被告発人とする虚偽誘引公文書作成、それから補助金等の適正化に関する法律違反としまして告発を受理いたしまして、所要の捜査を行い、ことしの八月に検察庁へ送付いたしております。
  137. 原茂

    ○原(茂)委員 で、検察庁は。
  138. 山口悠介

    山口説明員 お答えいたします。  ただいま警察当局からお話がございましたように、本年の八月十九日に甲府地検が富士吉田署からこの告発事件を受理しております。現在関係人から事情を聴取し鋭意捜査を続けているところでございます。
  139. 原茂

    ○原(茂)委員 現在関係人から事情を聴取して鋭意やっていると言うのですか。関係人をいつ呼んで聴取しましたか。
  140. 山口悠介

    山口説明員 関係人を呼び出して検察庁において取り調べをしていることは事実でございますけれども、それをいっどのような形であるいはだれを調べたかということは、現在まだ捜査が継続中でございますので、できますれば答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  141. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの答弁を聞いていると確かにおやりになっているらしいからいまはお聞きしません。やがて後でもっと細かいことをお聞きすることがあります。調査中でございますから、これに対する処置なり今後の方向等をお聞きするのもむだだと思いますから、どうぞ警察庁と法務省お帰りになって結構です。  そこで会計検査院にお伺いしたい。いま私は「林雑補償金返還について」というのを読み上げました。施設庁に対して金を返したわけです。この林雑補償に関しましては、実は会計検査院の来るときだけ、ここにも書いてあるように、吉田の施設事務所が人を雇っていかにも草刈りをやっているように見せる。検査院が写真を撮り調査が終わってしまうともう後何もやらない。したがって、いまでも行ってごらんなさい。林雑補償を出しているという草地に草を刈った跡があるかどうか、いまなら一番よくわかる。行ってみればわかります。一本の草も刈ってない。刈られたところがない。現在そだにするとか、堆肥にするとか、囲炉裏で燃やすとかいうようなことは、もう本当に山の奥の奥でだれかがやっているかもしれませんが、われわれの目につくところではすでにやっていない。ましてそだはとっていません。草も刈っていない。いま行くとよくわかりますよ。私はずっと歩いているのですが、よくわかる。会計検査院が行ったときにだけ、施設事務所が臨時に人を雇っていかにもそだをとっているような、草を刈っているような装いを呈する。それを検査院はばちばち写真を撮って帰ってくるというのはもう周知の事実なんです。あなた方が会計検査院でございますと言わないで、平服を着ていきなり行ってよく聞いてごらんなさい。そんなことふだんやっているなんという人は一人もいませんから。一体そんなに手の上へ乗っけられてだまされたような会計検査をしているような状態がずっと今日まで林雑補償に関しては続いてきたということは、検査院として猛反省をしなければいけないと思うのですが、そんなことは絶対ないという保証、私に言い切れますか。ふだん常時あそこへ行って調べてみない限り——調べてみれば、現地では、やっていますよ、草を全部刈っています。堆肥はここにあります。そだを刈っていろりに燃やしています。それを常時やっていますなんという人に一人でも会えるかどうか行ってみたらわかる、そんな人はない。そんなことは周知の事実でもう何年も続いているのに、平気でまだ毎年会計検査でございます。臨時雇いを施設事務所が雇って作業をさしているのを、それで満足して帰ってくるというようなことは大きな反省を要する点だと思うのです。ふだんの日に常時行って調べなければ本当のことはわかりません。抜き打ち検査ということもありますが、抜き打ちに月に何回も行ってみなければ、長い間国費がべらぼうに大きな額が払われているのです。しかも、実際には、この訴えにあるように、もらっていながら恐れをなしている。何もやっていないんだから、刈り取っていないんですから。だから、たとえ十七万円でも返している。これがいっぱいいるんだ。返す勇気がない。私もそうです。何にもやっていないのにお金をもらっているんですよと言う勇気がない、一般は。勇気のある十七人がこれを出した。現地へ行ってごらんなさい、わかるから。そういう調査をしていないで私ども会計検査が正しいと言えるかどうか、答えていただきたい。
  142. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 私ども検査、現在のやり方としては、やはり予告をしまして現場の案内なりしていただかないとわからないものですから、予告しまして行って検査している状況でございます。もちろん、もし先生のおっしゃるような、そこに検査の目をごまかす、意図するものが行われていたとすれば、これはわれわれとしても非常に重大な問題でございますので、そうなりますと抜き打ち検査なりそういった方法も考えなければいかぬ、それは痛切に感じている次第でございます。
  143. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、首をかけて物を言っていますから。命をかけてこれをずっとやってきているのですから、もしもなんというようなことじゃなくて、実際に会計検査の権限を守ろうとするなら直ちに抜き打ち検査をやるべきです。再検査をしてみます。抜き打ちで何回もやってみますという答弁がほしいのです。やってみなければこれはだめです。いつまでたっても。そのうち証拠をごってりと挙げながら持ってきますけれども、そんなものを待って抜き差しならなくなってから、検査院が、建設省のように、防衛施設庁のいま発表されている問題のように、悪うございました、佐藤院長がまたここでわびるようなことがないようにやるべきですよ、抜き打ち検査を。大至急にやったらどうですか。
  144. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 この林雑補償の問題につきましては、従来からいろいろの経緯があってきたこととは聞いておりますが、先生もおっしゃいましたように、私ども検査では、いま申されましたような、いわゆるごまかされている状態であったかもしれませんが、なかなか現地に立ち入って事細かに実態を全部調査するということが困難でございまして、しかしながら大体先ほどお話のありました十七人の返還があったとか、そういった状況、それから大体一般的に農業の形態そのものが昭和二十六年ごろに比べますと変化してきている、それは私どもも感じ取られます。したがって林野の産物補償は、ある面で実態と遊離してきているという面があるのではないか。ですから、その必要性につきましてはいよいよ再検討の時期に来ているのじゃないかということは私どもも感じております。したがいまして、先ほど先生のおっしゃいましたように、まあ抜き打ち的にどういうふうな検査をやるか、こういうことについてまた検討して、前進してみたい、そういうふうに思っております。
  145. 原茂

    ○原(茂)委員 皆さんはもう何年も何年もこれは同じ検査をやっているわけですよ。それで長い間支払ってきているのですよ。しかも対象面積は同じ。農業形態が変わったといまおっしゃった。生活態様も変わってきています。にもかかわらず、対象面積は同じ、払う相手も同じ、数も同じ、ずうっと同じなんです。世の中のこと何でも、生活態様が変わったり経営の態様が変わったら、それが縮まったり広がったり変化するものですよね。これは弁証法ですよ。ところがあなた方の支払い対象というのは、ずうっと今日まで一つも変化してない。莫大な国費を払っている。対象面積は同じなんだ。対象の条件は同じなんだ。人間も同じなんだ。もうあなた方が調査をするときに、防衛施設庁なんかの案内は要りませんよ、山梨県の案内は要らない。何回も行っているのですから、同じところなんですから御自分で行きなさい。案内をしてもらっちゃだめです。案内は必要としない。そしてもういままで何回も歩いているのですから、自分で行って調べてごらんなさい、私みたいに。そのくらいに会計検査院というものが性根から初心に返らなければ、依然として建設省のみならず各省庁にいま問題が起きてきているようなごとがずうっと続きますよ。ただどこかへ行って飲み食いしません、ごちそうになりません、心を新たにして会計検査院綱紀粛正をいたします。そんなことだけじゃないんだ。日常の監査業務、実際の作業なさるその仕事の内容も、みずから変えていかなければ。  案内をする、決まったところを案内して、臨時雇いを雇ってそだを刈らしている。そこを写真に撮らせる。案内するやつはそこのところだけ案内するんだ。そんなもの、もう始終行っているのですからわかっているのですから、一切それをおやめになったらいい。やめなきゃだめです。そんなことを依然としてやっていたんでは、いつまでたっても会計検査国民が本当に信頼できる会計検査には私は取り戻せないと思いますよ。いま信用は地に落ちつつある。したがって、こういう問題に関しても対処する内容そのものを変えていく必要がある。絶対にもう案内は要らない、あすこは。もうあなた方は目をつぶっても歩けるところだ。何回も、なれている。私ですら目つぶって歩けるんだ。いつまでも、行くからというので、防衛施設庁から、山梨県から、案内を出してもらう。それがどだい間違っている。もうわかっているところは自分で行って、しかもこんなことが言われていて、農民がおっかなくなって、詐欺と同じだ、何にもしていないのにもう何年ももらっちゃった、いま気がついたらこれは大変なことをしたというので、勇気のある十七人がもらったお金を返還するような事態があることを前から知っているはずだ。きょう初めて聞いたことにしても結構ですから、いま松田さんの答弁にあったように、新たに検討をして大至急にひとつ事前通告なしの検査をやっていただくということを、私から強くこれは要請をしておきます。  この問題に関してこれで終わるのではなくて、林雑補償に関しては、先ほどから申し上げておりますように、まだまだこんな程度では、皆さん方が何か自分が悪いことをしたことのないような、これで終わればうまくそれで済んだような、そんな気持ちになるといけませんから、予告しておきますが、そうはいたしません。徹頭徹尾この問題に関してもこれから論議をしてまいります。それから、管理庁にお伺いしますが、この林雑補償とともに問題になると私が言った軍人林のピンはねの問題に関して、私のところへも一昨日持ってまいりましたが、西村長官あてにこういう文書が出されたようです。   昭和二十五年以来北富士演習場に提供している軍人林を来年度再契約するか否かの件についての陳情   わたくしたち瑞穂村日露戦役記念会が、明治末年宮内省より拝借し、現在山梨県より賃借している北富士演習場内、中の茶屋沿いの山林四四ヘクタールについて、横浜防衛施設局は、昨年来同地に対し国から支払れている借地料を山梨県が五〇パーセント富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合一以下恩賜林組合という一が三五パーセント計八五パーセントを横取りし、賃借人であるわたくしたち記念会にわずか一五パーセントしか支払っていない事実につき、わたくしたちが異論をとなえ、その横取り分の返還を求めたことに反発して、山梨県および恩賜林組合と相談の上来年度の契約更改期に同地を返還する方針を決定した由、伝聞いたしました。   果してこのことが事実かどうか、もし事実とすれば早急に、わたくしたちは同地の利用計画を新たに考えなければならないので、公務御多忙中まことに恐縮ですが、真偽のほどお調べ願いたくここに陳情する次第であります。昭和五十二年十一月二十一日山梨県富士吉田市下吉田一二八六瑞穂村日露戦役記念会代表理事理事長武藤正之今月の二十一日にいわゆる陳情書なるものをお出しいたしました。これが手元にありますか。
  146. 川島鉄男

    ○川島政府委員 お答えいたします。  昨二十一日にいまお読み上げになりました内容を盛った文書を持ちましてわが庁にお見えになったというふうに伺っております。内容はいまお読み上げになったとおりでございますが、その陳情につきまして私どもの方で伺った結果、いまの伝聞の真偽を確かめてもらいたいということでございますが、伺ってみますと、陳情人の方は防衛施設庁等関係機関につきまして御本人としてまだ照会はしていない、伝聞の段階であるということでございますので、まず防衛施設庁においでになられて、その他関係機関にも照会されて事の真偽を確かめ、説明を聞かれたらいかがでしょうか、その説明内容に基づきましてなお納得がいかないというような事情がございましたら、そのとき初めてわが庁の方にお申し出いただければというふうに回答してお引き取り願ったというふうに伺っております。
  147. 原茂

    ○原(茂)委員 局長、それは適切な指導だと思います。  そこで、施設庁の高島施設部長、来ていますか。——いまの件どうてすか。
  148. 高島正一

    ○高島政府委員 施設庁としてはいまのところ承知いたしておりません。
  149. 原茂

    ○原(茂)委員 いまのところ承知していない。要するにこのことは考えてもみない、全然論議をしたこともない、そう解釈してよろしいですか。
  150. 高島正一

    ○高島政府委員 突然のお尋ねでございますので、あるいは現時点で横浜局が承知しておるかもわかりませんので、早速詳細を調査の上御報告させていただきたい、かように考える次第でございます。
  151. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、横浜施設局に話をするときに、私の意図というものをあなたからはっきり伝えていただきたいと思います。そうして、後日、部長責任で、横浜で考えているかいないかを私のところに御返事いただきたい。  私の伝言というのは二つあります。  このことを陳情した諸君は、私のところへ来てるる話をされましたが、取り上げられることに異議はございません、結構でございます。ピンはね八五%、一五%しか入らない貴重な収入ではあるけれども、取り上げられて結構でございますというのが第一。第二は、ただし四十四ヘクタールのこの変なかっこうのここだけが返還されるということは、絶対認めません。また、国としてあり得ないだろうと信じていますと言う。私もそう思う。これがもし要らないからというので返還ということになるなら、周りにあるたくさんの広い土地が同じように不要になるはずですから、その土地全体がわれわれ住民あるいは国民の納得のいくような形で、これは全部要らないから返還をしますと言ったときにのみ四十四ヘクタールの返還には快く応じます。  こういう二つの強い意思表示がありまして、私も同感です。そうでなければおかしい。ビンはねされたからといって文句を言う。あたりまえのことを言った。それはけしからぬというので、広い土地から回り回ってここの四十四ヘクタールだけが返還になった。こんなばかなことをもし国がやったら、北富士演習場を使わせてもらおうというので、全く山梨県に言いたいほうだいのことを言われて防衛庁は頭を下げっ放し、手を焼いているだだっ子を持ったような状態のいままでの応対の仕方がいかに続いていても、そういう不当なことは認められませんから、そのこともぴしっと二つ目にはっきりと伝言していただくようにお願いをしたい。そうして、そういうふうに伝えた後、いま横浜でそのことを考えているか、どうなっているかを御返事いただきたい。御返事ください。
  152. 高島正一

    ○高島政府委員 ただいま先生から御指摘のあった点については、横浜局に十分伝言し、先生のところに御報告する所存でございます。御指摘のとおり処置いたしたいと思います。
  153. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、防衛施設庁会計検査院の諸君を接待したというのがきのうから問題になりました。  会計検査院にお伺いしたいのですが、新聞に報道されているような八月三十一日、九月五日、九月五日、九月六日、九月九日、場所はレストラン「かをり」「比富美荘」横浜と御殿場、「マウント富士」富士吉田、それから「比富美荘」また御殿場、「マウント富士」富士吉田、そうして検査院が七人のところへ十五人、五人のところへ十人あるいは四人のところへ十一人、四人のところへ十人、二人のところへ七人も施設庁から出て検査院の諸君を接待をした。そして金額はおのおの二十万、八万、九万、六万、八万だということが報道されています。その金額の点は検査院はわからないでしょうが、こういう事実はありましたか。
  154. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 初めに、ただいま御指摘のことにつきましては、私どもまことに申しわけないことと思っております。  その事実につきましては、実は昨夜遅くその情報が入りまして、私ちょうど遅くまで残っておったわけでございますが、担当の課の者と当時の状況を聴取いたしました。いま御指摘のレストランなり「マウント富士」なりで昼食あるいは夜食をした、そういう事実はございます。
  155. 原茂

    ○原(茂)委員 そのことに対して、きょうは会計検査院長から冒頭に当委員会で今後に対する決意も述べながら釈明もありました。これが事実とすると、私がこれからお伺いしようとする神田堀、侭堀、あるいは林雑補償もそうですか、こういうものの会計検査に行かれたとき、ちょうど九月五日と九月九日、マウント富士で二回やっています。検査員は四人で九月五日のときは九万五千五百九十円、九月九日同じくマウント富士、富士吉田ですが、いずれも。そのときが検査員は二人で八万一千六百七十五円というものが使われて、接待がされた事実はある。ということになりますと、神田堀、侭堀にしても、あるいは林雑補償の問題にしても、とにかく払うに値しないものを平気で会計検査院が見逃してきたその裏にはこういつたことがあったからだと憶測ができるのですが、そういったことは全然ありませんと言い切れますかどうか。富士吉田市にはまだ「ことぶき荘」などという料理旅館があります。会計検査院の諸君が行って泊まったこともわかっています。そこで接待に出た非常に数多くの人が一緒に飲んだり食ったりしている事実もあります。回数その他的確にわかりますが、金額等もわかりますが、ここに書いてないそういうものがいっぱいある。しかも、あなた方がもらっているような五千円の日当で、宿泊費で賄い切れるような料理旅館ではない。マウント富士は昼飯なんです。それでこの莫大な金額なんです。片方は泊まっているのです。しかも接待が行われているのです。そういうものを、こういう伝票があります。これがありますと言って皆さんに見せるようなことは、私はできるだけ避けたい。皆さん自身の反省の具にしていただければいい。ただ私のおそれるのは、このようなことが、これからお伺いする神田堀に関しても手心を加えることにどうしても人間だからならざるを得ない、なっているのだ、あるいは手心を加えたり目こぼしをしてやったからそのお礼の接待が行われたのだ、どちらかだと思わざるを得ない。これからお調べになるのでしょうが、いまはそういう事実が私にはもうはつきりとした疑いとして持たれていますが、局長はどういうお考えを持つかをまずお伺いをしておきたい。
  156. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 ただいまあらわれております事実は、私ども承知しております。そのほかまた、その出張のときに当然昼飯もいただいたであろうし、そういった実態はまた調査したいと思っておりますが、そういった事柄が、先生がおっしゃいましたように、いろいろ検査等の関係においてお疑いを受ける、これはまことにお恥ずかしい次第でございます。しかし、私どもは、検査結果そのものを曲げているということは絶対にない、そういうように考えております。
  157. 原茂

    ○原(茂)委員 局長のその言葉を聞こうと思ってわざわざ発言してもらったのですが、しかし、それが土台から崩れていくような事態になるおそれもありますから、十分に今後は気をつけてやりませんとえらい問題になるだろうと思います。建設省問題が起きて、国民はせめて会計検査院だけはと思っていたのが、もうこれもだめか、本当に偽らざるそんな心境になる。インテリほど怒りが強いですね。そこへ今度防衛施設庁が出てきた。そこへまたもう一つ何かが出てくるというようなことになりますと、これはもう救いようのない状態になるのじゃないでしょうか。ですから、私は目下鋭意調査をしていますから、やがて抜き差しならないものをこの問題でもぴしっとお見せをする準備中でございますが、やるだけはやります。しかし、どんなに私が調べてもそんなものは出てこないというように、ひとつふんどしを締めてやっていただくように、これは切に私から警告をしておきます。  そこで、神田堀、侭堀の障害防止工事についてこれからお伺いをしてまいります。  先ほども申し上げたように、過日、北富士の神田堀、侭堀に関しまして、防衛施設庁所管のいわゆる障害防止工事が何の手抜かりもなく完全に行われているという、この委員会において会計検査院に質問したときに、実際に何人で調査をしまして工事は手抜かりなく行われていますという答弁を前にいただきましたので、まあまあせめてその点はよかった、こう思っていたのですが、念のために私は現地を調査してみたい、こう思って、再三にわたって足を入れました。しかし、残念ながら私の目に映った結果というのは、必ずしも御答弁のような、手抜かりがございません、りっぱな工事ができていたという答弁にあったような状態ではなかった。ただ、私が素人だとお思いでしょうから、私は当てにならないとお思いになるでしょう。名前を言うとわかるかもしれませんいわゆるこの道の技術者に、相当数一緒に同行してもらって調べてまいりました。  そこで、本日は時間の関係もありますから、先ほどから言うように神田堀だけについて——侭堀はこの次にすぐ行いますが、きょうは余り侭堀に対して細かいことを申し上げません。施設庁と検査院の見解をこれから徐々にお伺いをしてまいります。  第一は、富士急行電鉄の富士吉田駅上、いま富士急行が工事をしている暗渠から約百メートルぐらい上の護岸工事について見ました。この工事は極端なSカーブになっています。このような設計だと、富士山特有の雪解け水、つまり土砂七〇%と言われる雪解け水の強いのが落ちてまいりますと、その奔流がSカーブに突き当たって一層水勢を増して、建築ブロックの護岸が崩壊し、下流の災害を増すおそれがあると私は見てまいりました。したがって、空地もあるのですから、堰堤にするか水の流れを緩やかにするような設計にすべきではなかったかと思うが、この点をまず施設庁にお伺いをしたい。どうでしょう。ここに現場の写真もございます。後でごらんをいただくといいのですが。そう古い工事でないことはわかっています。これからいろいろ申し上げますが、まずいまの私の見解に対して答えてください。
  158. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  私どものところで調査いたしましたところでございますが、現在のところ、先生御質問のような事実についてはないという報告を得ております。  なお、しかし、先化の御指摘でもございますので、さらに詳細に調査をするように現在下命をしておるところでございます。
  159. 原茂

    ○原(茂)委員 これから詳細に調査する資料に、これを遠くだけれどもごらんなさい。いま私の言ったSカーブ、赤い線が入っているところがもうすでにこういった亀裂が生じてしまった。水あかの状態からいっても一年以内にやった工事ですよ、一年かそこら。持っていってもいい、どうぞ。これも参考までに見てごらんなさい。こんな大きな亀裂が生じてしまっている。こんなものが手抜きのない工事だなんといって、検査をした検査員も私はおかしいと思う。相当古いものなら私は問題にしない。ところがそんなに古くありません。現場へ行って見るとよくわかります。私の見たところでは、いま指摘したSカーブのところが二、三ヵ所ひび割れしています。それは一ヵ所だけですが、二、三ヵ所ひび割れができている。しかも、そのうち雪解け水の一番突き当たると思われる中心個所が約二、三センチぐらいすでにはみ出しています。ぐっと出ちゃっています。その写真で、はみ出している個所もわかります。このままにおくと、ひどい雪解け水がやがて参りますとすぐ崩壊して恐らく大変なことになるだろうという心配があります。この工事は間知ブロックに水あかがほとんどついていないというところから、素人でも、あるいは一緒に行った専門家も昨年当たりにやったんではないかと断定していました。一体いつやった工事なのか、それをここで言っていただくと私の言ったことがうそではないと思いますが、どうでしょう。いま言った場所、ひび割れがすでにできている場所はいつやったとお思いになりますか。それから、結果から見て工事に手抜きがあったとしか思われないのですが、検査院は一体これをごらんになったかどうか、まだ見ていないのか、施設庁と検査院からお答えをいただく。
  160. 高島正一

    ○高島政府委員 これからさらに詳細な調査をいたしますが、私どものいま考えるところでは、四十九年度から五十年度の工事ではないかというふうに推察されるところでございます。
  161. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 私どもの本年度検査では、五十一年度に施行した工事が八工事ございます。八件、八事業でございますが、そのうち一つは五十年度からの繰り越しでございまして、五十一年度工事の七件の工事は現場を全部当たりまして検査してきた状態でございます。繰り越しになった一件につきまして、現場の調査官はちょっと時間の関係ですか、竣工写真それから工事施工途中の写真、そういったもので確認をしてきたようでございます。それで先生おっしゃっている場所がいつの工事かわかりませんが、仮に四十九年、五十年にしましても、そういう現象が出てきたということは、そんなに早く出るということはもとの工事に何らか欠陥もあることも考えられます。これは早急に調査して手を打たなければいけない、そういうふうに考えます。
  162. 原茂

    ○原(茂)委員 調査をしてどういう状態だったかひとつ返事をいただきます。  その次に、吉田口登山道の大石茶屋の東下と思われる砂防堰堤、恐らく私の図面は小さいから見てもわからないでしょうが、こっちが富士山、その一番先の六つ目の砂防堰堤、赤い印がついています。歩いてみたら、いま全部で二十四できています。四十二年から今日までに二十四の砂防堰堤ができています。その一番富士山に近い、上から六番目の赤いマークのところ、この砂防堰堤。つまり現在やっている砂防堰堤工事——いまそのすぐそばをやっているのですから……。上から六つ目の砂防堰堤についてでありますが、この堰堤の富士山頂に向かって右側の間知ブロック積みの段々、つまり犬走りを念のため調べてみましたら表面はきれいになっている。ところが、ちょっと小さな石を持ってたたいてみるとポンポン、ポンポンと中が空っぽな音がする。これは素人でもわかるからやってみなと言われて、やってみたらよくわかった。ほかのところはカチン、カチンといってポンポンとはいわない。こういうところは少し中がうつろになつちゃっていると、すぐはがれる状態になっているとボンボンという音がするんだそうで、やってみました。ここはひどいところだ。また左側の間知ブロック積みの犬走りがどうしたことかもうすでに沈下して、そればかりじゃない、これもひび割れしています。後で写真を必要なら届けますが、ひび割れをしている。カラーで撮ったものがまだできないのですが、白黒じゃなかったから。こんな工事がすでに平気で行われて見過ごされているのです。これは手抜き工事であることは間違いない。こういう問題に対する始末は一体どういうふうにつけていくのでしょう。これは四十八年にやった工事ですね。それがもうすでにこんな調子で左側がひび割れがすばっと入っている。右側の方はボンボンといって裏が全部あいて浮いちゃってきている。そうして左側のひびの入ったところはずうっと沈下しちゃっている。こんなことが許されていいのでしょうか。これも会計検査院は何を見ているのです。この種の工事は何年保証すべきなんですか。四十八年末にやったものがいまごろこんな状態になっているのです。こういうものに対しては施設庁はどうしようとお考えなのか、会計検査院としてはこういったものに対してどう処置しようとなさるのか、これもお答えをいただきたい。
  163. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のような工事に瑕疵があったということが判明いたし、そのことによって被害が増大するということであっては、防衛施設庁としてはまことに相済まないことでございますので、早速調査の上、その処理について適切な措置を講じたいというふうに考えておる次第でございます。
  164. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 先生御指摘の四十八年度の工事でございますが、四十八年、四十九年の検査の際にも、いま資料はわかりませんが、見ておると思いますが、私どもの現場の検査はやはり設計どおりできているか、またコンクリートの強度なりこれをシュミットハンマーなんかで調べてみたり、あるいはちょっと疑いのあるものはせん孔もしまして、裏込めが入っているかどうか、基礎路盤がどうなっているかというようなことも調査をしてまいります。四十八年当時、そこまでこの堰堤についてやっているかどうか、これはわかりませんですが、現在そういう現象が起きているとしますと、これは後々ゆゆしい問題でございますので、これは施設庁の方においても早急に調査していただいて処置していただかなければいかぬ、そういうふうに考えております。
  165. 原茂

    ○原(茂)委員 四十九年にこの場所をボンホンと会計検査院がやったかどうか、やらなかったから責任がない、やったから責任があるというものじゃないですよね。何年度検査が終わった以上は全体の責任を負うべきですね。大至急にこれも調べた上で返事をいただく。  それから次に、神田堀の工事規模がいわゆる予測される流水量に対して余りにも大き過ぎるんじゃないだろうかという感じを持ちました。この点についてまず施設庁の見解を伺いたいのですが、私の調査したところでは、一つ、堀床にたくさんの雑木や場所によっては相当大きなヒノキや杉があります。二つ目に、この堀床に大きな雪解け水の流れた形跡が全然ありません。三つ、さらに重大な関心を持ちましたのは、神田堀の起点である上から十二番目の——そう言うとわかるでしょうね、皆さんでもお持ちになっているはずですから。上から十二番目の中ノ茶屋の西側の砂防堰堤ですが、これはどういうわけかきわめて大きい堀であるので、多分堀に見合うため大きい堰堤をわざわざつくったのではないかと思うが、この堰堤に流れ込む堀は中ノ茶屋からただ一つあるだけで、その堀は吉田口県道及び富士山自動車会社の自動車道を横断しているだけであります。このうち県道の橋の高さは約一メートル二十、幅は二メートルぐらい、自動車道の橋は高さ約一メートル五十、幅一メートルぐらいです。したがって雪解け水などの流量はきわめて少ないはずと思われます。また地元の人々に聞いても、大昔は別として、この五十年ぐらいは雪解け水も豪雨のための流水も大したことはなかった。それで被害を受けたことは一切ございませんと言っている。確かにその証拠に中ノ茶屋の茶店も周辺の森林も何ら、災害を受けた形跡は全然ございません。  また雪解け水や集中豪雨の際災害の多かった下吉田町の宮川について調べてみました。たとえば大正十二年の一番大きかった災害も、その次の昭和三十六年ころの災害も、いずれも神田堀からの水ではなくて、富士急行ハイランドに近い昭和医大のところの堀からの雪解け水が原因であるという二とがわかりました。侭堀があって神田堀がある。そしてその隣にあるのですが、実は名前がついていないのですよ。だから名なしの川なんですが、これなんです。近所の人全部が証言しますし、事実そのようなことがわかりました。  そこで、施設庁は昭和四十年度来いままでに神田堀に対して七億一千八百六十九万五千円、侭堀に対して一億五千百五十六万七千円、合計約十一億円の補助金を支出して、今後引き続き支出しようとしているのが現在の状態であります。そのためには、この補助金が国民の尊い血税等によって賄われていることに十分留意しなければいけないと思いますが、補助金決定に当たっては当然にこの工事の効果、目的、内容が妥当であるかどうか、効率的に使用されるかどうか、十分基礎調査をされたものと思うのです。そこでこの神田堀、侭堀等について次の六点に関する基礎調査の結果をお伺いしますのでお答えをいただきたいのであります。  その一つは、神田堀、侭堀に基づく災害が大正時代から何回ぐらいあったか。侭堀と神田堀川によって起きた災害が大正時代から一体何回くらいあったでしょうか。こういうことを調べ、流量を調べ、当時の災害を調べて初めて河川に対する護岸工事ですとかあるいは堀床の工事でございますとか、堰堤工事の設計ができるんです。したがってこの程度の資料がないはずはない。予告もしてあります。その代表的な災害というのを年代別に報告していただきたい。これは重要ですからひとつきちっと御報告を願いたい。  二つ目に、皆さんがもしあったと言うなら、その災害によって田畑、山林、家屋、人畜、道路等にどのような被害を与えたかをお答えいただく。  三つ目に、あったかもしれないというその災害時の土砂の流出量、その年の富士山及び山ろくの降雪量、降雨量及び気象の状況はどうであったのか。いずれも堰堤なりその他の設計をする基礎になる資料ですから、一体どういう基礎によってあの設計をされたのか。  四つ目に、富士山及び富士山ろくの過去五十年間の平均降雪、降雨量及び風速、気象状況。これも設計の資料ですね。  五つ目、過去の災害時の雪解け水に含まれた土砂の分量並びにその流速はどのくらいであったのか。  六つ目、この障害防止工事によってどのくらいの災害が守れるとお思いになっておるのか。いままであった災害のどれにもきちっと対応ができるという設計が当然なさるべきですが、あの侭堀、神田堀、特にきょうは神田堀のあの設計、あの施行によってどのくらいの災害が守れるとお思いになりますか、これが六つ目です。  その具体的な効果の推定は一体どのようにしてこられたのか。これがなければまた設計ができないはずですから、当然基礎調査の上に設計の計画的ないわゆる積算の結果がいまの工事施行になっているわけですから、はっきりとこのことをお答えをいただく。もしそういう基礎調査、していませんでした、調査もしないで十一億近い国費を支出することがあうたとするなら、これは大変なことだと思いますが、そのことを腹に置いていまの六つに答弁を願いたい。
  166. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  まず、神田堀川の工事の規模決定をどのような基準で行ったかという御質問からお答え申し上げます。  この神田堀川の計画規模の決定に当たりましては、防衛施設庁といたしましては山梨県と十分連携をとり御協議を申し上げた上で、河川の重要度、それから既往の洪水による被害の実態、経済効果等を総合的に考慮して定めるといたしまして、神田堀川の実態として計画雨量はどういうことかということをまず調査したわけでございますが、気象庁の河口湖の測候所におきます昭和十七年から昭和三十一年までの降雨記録によりこの計画雨量というものが計画されております。それからこの神田堀は、先生御案内のように、富士吉田市内を流下する一級河川でございます。経済的にもきわめて重要であるということを考慮いたしました場合に、現在私どもが採用しております工事の規模は決して過大ではないというふうに判断しております。なお、ただいま申し上げました計画雨量は、気象庁の河口測候所の昭和十七年から三十一年までの時間雨量記録から一位ないし五位の値を平均いたしました一時間平均四十八ミリにより計画されております。計画洪水の量は毎秒八十トンということで計画されておるところでございます。  それから次に代表的な災害の例、それから土砂の流出量、降雪量、降雨量、気象状況等の具体的な内容についてのお尋ねであったと思いますが、まず神田堀川、侭堀川に関する災害といたしましては、昭和三十六年四月五日の融雪による被害、それから昭和三十七年八月二十五日から二十六日の台風十四号、昭和三十九年八月二十日から二十一日の熱帯性低気圧によるもの、それから昭和四十年八月二十一日から二十三日の台風十七号、昭和四十一年九月二十一日から二十五日の台風二十六号等において河岸の決壊等の被害が生じております。また本年三月二十四日は融雪による被害が生じております。たとえば昭和四十一年の九月の二十一日から二十五日の台風二十六号のときは、時間雨量五十四ミリ、連続雨量二百六十四ミリの降雨量があり、神田堀川におきましては、上吉田、松山におきまして左岸十二メートル、右岸二十メートルの決壊が生じております。——侭堀川は省略させていただきます。その他、当時の土砂流出量の把握につきましては、実はこの把握が非常に困難でございまして、現在詳細な資料が手元にございません。なお今後ともこの把握に努力していきたいというふうに考えておるところでございます。  それから神田堀の防災工事による効果をどのように考えておるかということでございますが、御案内のように、米軍は接収と同時に神田堀の流域内を森林地帯利用の隠蔽行動の訓練区域として使用いたしました。そして森林内に演習用の道路とかざんごうとか築城壕というものを設置し、また重車両等を使用いたしまして頻繁な訓練を行いましたために、本流域は非常に荒廃いたしまして、降雨時には流下する水及び土砂が非常に増加したわけでございます。この増大しました土砂流が神田堀の支流や本流に流入いたしましたために、従来は平衡状態にあった渓流がそのバランスが破られ、荒廃渓流に変貌していったものでございます。一般的に渓流や河川がその流路中の一部におきまして一度平衡状態を失いますと、その現象は次々に伝播してまいりまして、最終的には手のつけられない荒廃河川となってしまうというのが通説でございます。  以上のような、過去における米軍の訓練による河川流域の荒廃状況から、昭和三十六年四月の融雪時に下流の市街地に温水はんらんいたしまして多大な被害を与えたということが、防衛施設庁としては非常に重要な過去の経緯になっておるところでございます。これがために、障害防止対策事業として縦横浸食の著しい部分に床固め工とか流路工を計画し、逐次実施しているものでございますが、障害防止工事の進捗によりまして、被害は、私ども考えるところでは徐々に軽減しておると判断いたしておるところでございます。  ちなみに昭和三十六年の融雪被害時におきまして、当演習場に流域を持つ滝沢与兵衛流れ等は、障害防止事業による砂防工事が相当進捗していましたために、流出土砂の下流桂川への流下をほとんど阻止し、桂川は温水することなく、被害を未然に防いだものというふうにわれわれは考えておるところでございます。  なお、最後につけ加えさせていただきますが、防衛施設庁といたしましては、富士山ろくの治山治水にあずかる山梨県当局と十分協議を重ねまして、このような工事を実施しておる次第でございますので、何とぞ御理解をいただきたい、かように考える次第でございます。
  167. 原茂

    ○原(茂)委員 いま言ったのを全部書き切れないので、おっしゃったことだからそのまま資料ですぐ出してもらうようにお願いしたい。  そこで一つお伺いしますが、米軍が隠蔽行動訓練あるいは重車両訓練等を行って、そのために神田堀に土砂流出が非常に多くなっているといった、その米軍の訓練を通じて神田堀川に土砂流出が多くなったという時期ばいつですか。
  168. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  若干経過を説明させていただきますが、神田堀の流域にある演習場は昭和二十年十一月から米軍の演習場として使用されておりましたが、昭和三十三年四月に吉田日登山道の以西が返還され、続いて昭和四十八年四月に中ノ茶屋より上流部が返還されましたが、流域の一部はいまなお現演習場にかかっております。侭堀につきましても、神田堀と同様に昭和二十年十一月から米軍の演習場として使用されてまいりましたが、昭和四十八年四月に流域の上流部の一部が返還されたのでございますが、中流部は現演習場に現在かかっております。  この流域面積でございますが、神田堀の流域面積は、私どもの調査によると約一千ヘクタールでございます。昭和二十年十一月から三十三年四月までは米軍の演習場として七百八十九ヘクタールが接収され、その面積率は約八〇%でございました。その後昭和三十三年四月から四十八年四月自衛隊の管理する演習場となるまでの間に演習場に含まれていた流域は五百二十三ヘクタールで、全流域に対し約五二%でございました。昭和四十八年四月以降現在では百十三ヘクタール、全流域に対し約一一%に相なっております。
  169. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いまの説明の中でちょっと聞きたいのは、いまでも演習場に神田堀川が一部かかっているというその一部というのはどこですか。
  170. 高島正一

    ○高島政府委員 はなはだ御無礼でございますが、図面を持って先生のところに担当課長からいま説明させたいと思います。
  171. 原茂

    ○原(茂)委員 神田堀の演習場にかかっている一部というのはどこの地籍からどこだというのを口頭で言ってもいいですよ。
  172. 芳賀貢

    芳賀委員長 原委員に申し上げますが、いま課長が図面を持っていきますから……。
  173. 原茂

    ○原(茂)委員 はい、どうぞ。局長、ぼくの聞いているのは、あなたは川と言ったんだが、流域がかかっている。流域でしょう。川じゃないでしょう。訂正してごらんなさい。
  174. 高島正一

    ○高島政府委員 川ではなくて流域であるということに訂正させていただきます。
  175. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、いま隠蔽行動訓練その他というこれが補助金の対象に値する理由は何かという理由を私のところに資料で出してきた。その資料をいまあなたがお読みになった。そこでそのことについてこれから逆に逐次聞いていきます。  いわゆる本件障害防止工事の助成の根拠法。防衛施設生活環境整備法、これが根拠法ですね。先に、内閣法制局に来ていただいていますので伺いたいのですが、この法律における第三条第一項の「障害防止工事の助成」と同法第八条の「民生安定施設の助成」との区別。法文の規定上は一応明らかであるようだが、具体的な場合にある施設が第三条第一項の対象となる施設であるのか、第八条の対象となる施設であるのか、またどうしてそうなるのかなどが不明な点があるので、この点を先に法制局からお伺いするのですが、第三条第一項、第八条の解釈及びその区別等について、私は素人ですからなるべくわかりやすくお答えを願いたいと思います。第三条第一項と第八条の区別は、第八条では防衛施設の設置、運用が原因となって生じた、いわゆる住民生活または事業活動に阻害がある場合民生安定施設に助成をするというのに対して、第三条第一項は、単に設置、運用ではなくて、米軍、自衛隊の具体的な演習行為が原因でその結果として生じた障害がある場合、その障害を防止、軽減するための工事、いわゆる障害防止工事を行うときに助成するという点に一つの大きな相違があると私は思う。言いかえれば、第八条はやや一般的に防衛施設の設置、運用が阻害の発生原因となっている場合を規定しているものだと思います。したがって、特に第三条第一項の場合、米軍、自衛隊の具体的な演習行為と障害との間に直接的な因果関係がなければならないと思われるが、この点についてまず法制局の見解を伺いたい。
  176. 味村治

    ○味村政府委員 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第三条は、重車両の頻繁な使用とか射撃とか爆撃とか、特定の行為でございますね。特に障害を生ずる可能性の非常に大きい行為、これを特定いたしまして、そういった行為により生ずる障害を防止し、または軽減するために地方公共団体が河川とかその他三条一項に規定してあります施設につきまして工事をする、その費用の補助をするという性格のものでございます。  八条の方は、そういった特定性は薄うございまして、「防衛施設の設置又は運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が阻害される」というときには、政令で定めるところによりまして地方公共団体が民生安定施設を設置するというようなことにつきまして助成をするという形になっていると存じます。
  177. 原茂

    ○原(茂)委員 それから同法の施行令第二条第一項が、第一に、原則として米軍、自衛隊だけが障害の原因者であるときはその補助割合を十分の十、百分の百でも同じですが、として、第二に米軍、自衛隊とそれ以外のものとが障害の原因者として競合している場合、または補助に係る工事が補助を受ける者を利することとなるときは、補助の割合を減ずる旨規定しているところからも明らかなように、第三条第一項の障害防止工事助成はすべて人為的障害についての補助であり、いわゆる自然災害、自然障害の場合はこの第三条第一項には含まれない。つまり、障害の発生原因が米軍、自衛隊の具体的な演習行為にある場合に第三条第一項の適用がある。逆に言えば、障害防止工事のための補助金というのは、米軍、自衛隊の具体的な演習行為が直接原因となって生じた障害に限って適法に支出できるものであると思うが、この点についてもう一度。
  178. 味村治

    ○味村政府委員 第三条第一項は、先生御指摘のように、第三条第一項に規定しております重車両の頻繁な使用とか射撃、そういった行為によりまして障害が生じた場合について補助するという規定でございます。したがいまして、天災による災害を防止するためにこれを助成するということはできないたてまえでございます。しかしながら、こういった三条一項に規定しております行為によりまして、その流域が著しく荒廃をいたしまして、その結果雨が降ったような場合には災害が生ずる恐れがあるという場合には、これはやはりその重車両の頻繁な使用とか、そういった自衛隊等の行為による障害と認められるのであろうと存じます。
  179. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで防衛施設庁にお伺いしたいのですが、昭和四十一年五月十日、衆議院内閣委員会において、時の小幡施設庁長官が大出議員の障害防止行為及び民生安定事業に対する質問に対しまして、次のように答えています。「第三条のほうは、自衛隊の特定の行為によって直接その物的な損害」を与えているということに対し、「非常に直接的な防止をしなければいかぬというものが主でございます。第四条のほうは、」いまの八条ですが、「それほど直接的でなくして、それでは救えないいろいろな問題が、まだ現地にはあるわけで」そういうものに対して「障害の緩和に資するというところに重点を置いていますので、その中には、地元の利益になるものも若干は補助でつくって上げるという思想もあるものですから、第三条ほど直接この被害を救済するという点が、やや薄くなった形で第四条は」いまの八条ですが、「できておる。したがって、補助率も若干低い。」また四十一年四月二十八日の衆議院の内閣委員会において、財満施設部長が村山議員の障害防止工事の補助率に関する質問に対しましては、「三条の補助率は原則として百分の百でございます。ただ、この必要な工事を行ないます原因に関しまして、自衛隊等の行為のほかに他の原因が加わっております場合、それはその部分だけ減額補助いたしたい。なお、その工事を実施いたしますにつきまして、必然的に改良部分が加えられる、機能的に高められるというふうな場合、この場合にもやはり地元に対しましてその部分の負担をお願いし、補助率を減じたい、」こう答えています。  そこで伺いますが、現在でも第三条並びに八条の運用はこのとおりであると思ってよろしゅうございますか、施設庁。
  180. 高島正一

    ○高島政府委員 そのとおりでございます。
  181. 原茂

    ○原(茂)委員 だとしますと、神田堀、侭堀川、の総事業費十一億四千六百五十六万二千円のうち、防衛施設庁の交付した十億七千二十六万二千円の補助金がすべて米軍の直接与えた損害に対するものであって、助成金交付対象者である山梨県の負担にした七千六百三十万円というのは米軍の行為以外の原因による障害に関するものか、またはこの工事の実施によって必然的に改良部分が加えられ、機能が高まった部分に対するものであると断定せざるを得ないのですが、この説明をいただきたい。
  182. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  神田堀の一級河川に相当する部分につきましては、管理者である県に利するところがある。管理者として利する部分があるということで一〇%減額しておるということでございます。
  183. 原茂

    ○原(茂)委員 県に利するというのは、四十二年、四十三年、四十四年は県に利するところがなかった。四十五年以後は県に利するところができた。どこからそういう理由が発生したのですか。もう一度わかりやすく説明してください。
  184. 高島正一

    ○高島政府委員 この問題に詳しい担当課長からこの部分だけ説明させていただくことをお許しいただきたいと思います。
  185. 宇都信義

    ○宇都説明員 御説明いたします。  神田堀につきましては、国道百三十八号線の少々上流部分から下流の方は、昭和四十四年に一級河川に指定されております。それより上流の部分は普通河川でありまして、県の砂防管理になっております。砂防関係の部分につきましては当初から一〇〇%補助で、補助金を山梨県に交付しておりますが、一級河川の部分につきましては九〇%補助、先ほど部長から御説明いたしましたように一〇%県負担ということで補助金を交付しております。
  186. 原茂

    ○原(茂)委員 それではこれから申し上げることに答えてもらいたいのですが、その一つは、神田堀の助成金は同じ堀でありながら四十二年から四十四年度はいま言った百分の百だ。その以降はいま一割引きといいますか、九〇%ということになったのですが、その金額全体が全部一割引きになっていますか。神田堀の例で結構ですが、四十五年から補助額は全部一割引きでしょうかしら。これは全部九〇%ですか。
  187. 宇都信義

    ○宇都説明員 神田堀上流部分につきましては、先ほど御説明いたしましたように一〇〇%補助でございまして、上流部分だけ工事しました年度につきましては、結果的に一〇〇%という形で出ております。下流部だけの年は九〇%。施行場所が上流と下流両方に点在しておるわけでございますが、そういう年度はそれぞれの合計ということになっておりますので、必ずしも一律に九〇%とか一律に一〇〇%ということではございませんので、御了承願います。
  188. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど。上流と下流にまたがっているようなところにいったときにはちょうど九〇%にならない、そうですね。両方まじっちゃうのですね。これは一応おきます。  それで、その二つは、いまの山梨県の負担分について負担するための計算の根拠というのは、ただ、いま言ったように一級河川になったから九〇%だというだけで、山梨県自体が利益を得たからその部分をという計算は何も入っていないのですか。山梨県の得た利益、山梨県がこれによって得る利益、こういうものが多少とも加味されている数字ではない、いまの上と下だけのいわゆるかみ合わせで数字がきちっと出てこないだけなんだ、こういう意味ですか。
  189. 宇都信義

    ○宇都説明員 一級河川でございます神田堀川の部分につきましては、演習場以外の地域の流水の流入量もございますが、もともと県が管理する河川でございまして、当然、私の方で補助金を交付しなくてもいずれは県の方で護岸工事等整備する必要が生じてくる部分だと思います。そういう部分でございますので、私の方で補助金を出すことによって県の管理上利する部分があるということになりますので、一〇%地元、県に負担をしていただいているわけでございます。  上流の神田堀部分につきましては砂防工事でございまして、実際、沢の荒廃を米軍の演習等によりまして促したために障害防止工事を実施しておりますので、実質、県管理上の利する部分がないという判断から、百分の百の補助になっております。
  190. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は一時おきます。  そこで次に、神田堀、侭堀の補助金交付決定の根拠となった米軍の演習について、さっき説明のあった演習そのものについて、これも防衛施設庁に聞きます。  施設庁の本年七月五日付の私への資料、ここにありますが、それによりますと、その根拠は、「神田堀及び侭堀の流域にある演習場は、その一部が返環されたが、現演習場はなお流域にかかっているものである。米軍は、当該流域を森林地帯利用の隠蔽行動訓練区域として使用したもので、森林内に演習用道路、塹壕や築城壕等を設置し、また重車輌等を使用して訓練を行ったため、」先ほど説明のあったように「本流域内は荒廃し、降雨時には流下する水及び土砂が増加し、下流市街地に障害を及ぼすことになったので、これら障害の防止又は軽減措置を行うための工事を実施しているものである。」ということでありますし、いま部長説明にあったとおりですね。これはそのとおり。  そこで質問第一は、流域とは神田堀、侭堀の岸からどのくらいの範囲を指すのか、また、「降雨時には流下する水及び土砂が増加し、下流市街地に障害を及ぼす」とあるのですが、一番障害を及ぼすような降雨というのは何月ごろあるのでしょうか。それが一つ。  いま言ったように流域というのをいまの神田堀を中心にすると、キロ数で言って左右へどのくらいですか。
  191. 宇都信義

    ○宇都説明員 川の流域でございますが、これはそれぞれの河川へ流れ込む水の範囲でございますので、たとえばいまの神田堀と侭堀とが相隣り合っておるわけでございまして、それぞれそちらに流れ込む地形上の範囲等を調査しまして流域を決定しております。神田堀と侭堀の場合は、ほぼ真ん中ぐらいのところで流域が分かれております。幅は、ちょっとわかりませんが、恐らく一キロぐらいではないかと思います。
  192. 原茂

    ○原(茂)委員 何月ごろその降雨が一番多いですか。
  193. 宇都信義

    ○宇都説明員 河川に流入します水の量が多い時期でございますが、神田堀、侭堀の場合は、第一に多いのはやはり春の融雪時でございます。それから第二時点に多いのは、秋の台風時期と申しますか、大体九月ごろにそういう降雨の多い日がございます。
  194. 原茂

    ○原(茂)委員 第二点は、米軍の隠蔽行動訓練に利用したその森林地帯はどこの森林地帯でしょうか。米軍が隠蔽行動訓練に使ったという森林地帯というのはどこなんですか。神田堀と侭堀ごとに、その場所及び面積、これをひとつ知らせてもらう。  それで、隠蔽行動訓練というのはどんな訓練なのか。これもよくわからないのだが……。
  195. 宇都信義

    ○宇都説明員 森林隠蔽行動を行いました区域といいますか、米軍が演習をした区域でございますが、神田堀のほとんど全区域——三十三年までは神田堀の中ノ茶屋より下流部分が演習場でございました。それから、四十八年四月までは中ノ茶屋付近より上流部も演習場でありましたが、四十八年の四月に返還になっておりまして、川そのものは場外になっております。  それで、特に隠蔽行動等とられた地域はその流域の全域でございまして、なぜこういう区域に隠蔽行動が行われたかといいますと、特に登山道より西側の地域で演習されたのは、昭和二十五年に演習場が拡張されまして、朝鮮動乱等の関係で米軍が盛大に演習をやった時期でございます。その時期に、登山道の西も東もまたがりまして、その森林の中でざんごうを掘ったり、それから幕舎を建てたり、車両の通行のための道路を新設したりしまして、演習行為をやったわけでございます。
  196. 原茂

    ○原(茂)委員 これは全部聞いてからと思ったのですが、こんな隠蔽行動なんていうのはやっていませんよ、三十三年だって四十八年までだって。現地に行って聞いてごらんなさいよ。だから、隠蔽行動とはどんなものかと私は聞いているのです。  それから、さっき部長が話したような土砂の流出量その他の問題にしても、雪解け水は富士山の場合にはもう至るところにあるのですよ。神田堀が訓練のために何かよけいに災害が下部に起きるような状態になったなんていう訓練は、実はやっていないのです。だから、あなたの言うことを黙って聞いていたのだけれども、時間がなくなるからあえてこのことを総括的に言っておきますが、あなたの説明したようなことがもっともらしく言われても、そのことが原因で神田堀の補助をしなければいけないほど演習によって壊れたり、演習があったために雪解け水がよけいにそこへ流れ込んで、そうして下部に災害を起こすような状態になったなんていうことは、その原因を一つ一つ尋ねていきますと、そんなものはやってないんだ。重戦車なんか通ったことないですよ、三十三年なんて。米軍がやったなんていうのは、どこでやったのか知りませんが、そのことをこれから資料を出してもらいます。いいですか、絶対ありませんから。いままで部長説明したのは机上の空論なんだ。実際にはないことを言っているんだ。そんなことはぼくは認められないんだ。ということもいろいろと資料をもらった上で話します。絶対そんなことはありません、やってないんだから。四十八年だの三十八年だの返還後どうのこうのなんていま言っていますが、いままで訓練はやられていない。  そこで私、いまちょっと申し上げたように、隠蔽行動訓練に利用した森林というのを図面で示してもらいたいんですよ。やってないんだから、うそなんですから、そんなことは。しかも重車両なんてものは走ってないんです。そのために神田堀に被害が起こるようなことはやっていないということが正しい。だから、それをやっているんだということを私に立証してもらいたい、訓練の記録はあるんですから。したがって、びしっとこの場所だ、そうしていつ幾日どんな訓練をしたんだということをぴしっと記録を示していただく。そうして、隠蔽行動訓練をしたその面積がどのくらいなのか、それも一緒に言ってもらう。いま言った登山道の両わきがずっと使われていたと言うんですが、登山道の両わきなんていうのは浅間神社からずっと王へ行くんですが、あの両わきなんかずっといままで何十年も全然使ってないんですよ。そんな記憶のある人はあの近所にないんだ。あなたの言っていることはでたらめなんです。そうじやないという反論をちゃんとぴしっと図面の上で、記録の上で、何月何日どういうことをやったかということを知らせてください。絶対ありませんから。あの近所へ行ったって、故老に聞いたって絶対ないんだから。あの富士吉田登山道の両わきなんというものは、もし本当にそうだとすれば、あすこにある民家、あすこにある森林その他に対して、いわゆる林雑補償じゃないけれども、それも全部やらなければいけないはずですよ。そんなものは全然行われてないんだ。神田堀だけなんだ。その神田堀流域あるいは富士登山道の両側をずっと米軍が三十三年以来使ったんだ、こう言う。そのために神田堀がどうなった。それほど大きく使ったとするなら、さきに言った林雑補償だってあの周り全部に行われなければいけない。行われてないんだ。あそこにたくさんあるんです。それが全然行われていない。しかも、歩いてみると演習の跡が全然ない。被害を受けたなんていうのは全然ありませんよ。二十年や三十年前だったら、演習場というものは、そんな大きな被害があったらまだちゃんと残っているんだ。それをそうじやゃないという、私に対してぴしっと記録の上、図面の上で面積、訓練をしたのは幾日、どういうものがどういうふうに通ったというものを示してください、絶対ありませんから。これはあなた方のインチキだ、総括的に言っておきます。  それから、「森林内に演習用道路、塹壕や築城壕等を設置し、また重車輌等を使用して訓練を行った」というんですが、一体いつごろどこでどんな訓練が行われたのかをこれも記録に基づいて示していただきたい。いいですか。そのざんごう、築城ごう、それがどこにあったのか、それも示していただきたい。そんな跡はありません。これらの訓練というのは、文脈から言って、いうところの「森林地帯利用の隠蔽行動訓練」の具体的な内容だろうと私は思うのですが、とにかくいま言ったものをぴしっと資料として出していただく。絶対これは跡がありませんから。そういうことはまた見た人もない。実際にその訓練に遭遇した人もないんですから。  四つ目に、米軍の軍用道路の規模、その数、場所及び重車両の名称、通行台数並びにざんごう、築城ごう等の規模、その数、場所、これについて図面で示していただく。いま答えられないでしょう、こんなことは。図面でぴしっと出してもらいます。  いま言ったのをもう一遍言いますよ。米軍の軍用道路の規模、その数、場所及び重車両の名称、通行台数並びにざんごう、築城ごうの規模、その数、場所、これを示してもらう。ありませんから。それからこれらの訓練をなした年月日、兵科及び所属部隊名並びに兵員数について答えてもらう、示してもらいます。いま答えられないでしょうから。兵員数もぴしっと言ってもらう。これはもうぴしっと調べて出してくださいよ。私自身は、現地を歩きながら違った証言も幾らでも求めて、こういうことがないことを確信していま言ってるのですから、したがってそうじやありませんよ、インチキな補助金じゃないよとあなた方が言うのだから、それをひとつぴしっと出していただく。以上、第一、第二、第三、第四、第五点を、きわめて重要ですから、いまじゃはっきり答えられないのはやむを得ないと思いますから、文書をもってぴしっと出してもらう。いつまでに報告できるか、そのことだけ答えてください。
  197. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほど宇都説明員から、三十三年以降そのような訓練がなされたというふうに先生は御理解なさったと思いますが、私どもの承知しておりますところでは朝鮮動乱から……
  198. 原茂

    ○原(茂)委員 委員長、ちょっとごめんなさい。ちょっと発言やめてもらいたい。
  199. 芳賀貢

    芳賀委員長 高島部長発言が終わってからにしてください、答弁しているんだから。答弁を続けてください。
  200. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの答弁じゃだめなんだ、時間がないから。
  201. 高島正一

    ○高島政府委員 一言でございます。私どもの承知しておるところでは、米軍の訓練は朝鮮動乱から昭和三十二年ごろまで行われたであろうというふうなことにわれわれは理解しておるということを申し上げたかったわけであります。  なお、先生のいま御指摘の資料につきましては、冒頭にも申しましたとおり、施設庁といたしましては、山梨県当局とも十分相談の上、根拠を持ってやったものと確信いたしておりますので、できるだけ早く御指摘の資料は整備して御提出申し上げたいというふうにお答え申し上げます。
  202. 原茂

    ○原(茂)委員 さっき課長が補足説明で三十三年から四十八年の返還時までと言ったのを、今度は三十二年ごろまでと言って部長が言い直ししているんですよ。記録をよく読んでごらん。それほどあやふやなんだ、あなた方はこの決算委員会で答弁するのに。いいかげんなんだ。したがって、できるだけ早く出してください。いつ出せるか、後で返事してもらう。その報告がいつ出せるか、後で知らしてください。無期限じゃだめだ、こんなことは。けりがつかないから。あなた方はうそを言っているんだから。こんなことはやっていないんだから。いいですか、これを出してもらう。  それから次に、この補助金交付の根拠理由である米軍の隠蔽行動訓練等による障害防止工事の申請は山梨県から出されたものだと思う。あなた方が出したんじゃない、山梨県から出されたものだと思う。あるいは施設庁の方で指導をしてこういうふうに出せといって出したものかどうか、それも率直に答えてもらいたい。そうして山梨県の申請書の写しを全部提出してもらいたい。見せてください。これはいつごろ出せるか、これが第一。  第二に、会計検査院に伺いたいんですが、本件工事の検査に当たって、当然のこととして、まず第一に周辺整備法の第三条一項に該当するから補助率一〇〇%なのであって、当然工事のよしあしを見ると同時に、三条一項の一8%補助が適当かどうか調査したと思うのです。それは適当だと思ったんですか。これからだんだんにはっきりしてきますが、絶対に三条一項を適用する工事ではない。米軍によって荒らされて神田堀がだめになって下流に災害の危険があるからというような、そういう原因はない。現地を調べてもない。にもかかわらず、こういう理由をくっつけて三条一項を適用した、一〇〇%の補助をしたというふうに私は確信しています。検査院はこの工事を検査するに当たって、三条一項が適当であるとお考えになっていたのか、この点に対して検査考えなかったのか、その点、答えてください。
  203. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 本件事業の採択の理由につきましては、防衛施設庁の方からいろいろ御説明がございましたが、実はこの辺につきましては、たしか六月の当委員会と思いますが、先生からそういった趣旨の御発言がありまして、前局長の時代でありましたが、私ごとしの検査の際もそういった観点でいろいろ資料を調べてみるべきだということで調査官を派遣いたしました。その検査の結果でございますが、一応神田堀、侭堀の流域が米軍の演習場内であった、また現在でもその一部が演習場内である。それは地図で確認できます。  採択理由であります米軍の使用当時、いまお話にもありました重車両が横断したりざんごうを掘ったりということは説明をもって受けているわけでございます。  しかしながら、いろいろ資料などを見せてもらいますと、三十三年ですか、地元から神田堀川上流部分の樹木の伐採、それから野営地の設置、進入路の造成、そういったものに関しまして原状回復の補償要求が出された書類が残っております。それからまた、吉田口登山道添いの富士山自動車株式会社の有料道路を米軍車両が、昭和二十九年ごろから昭和三十七年にかけてですか、延べ三十四万八千台ぐらい横断したことについて補償を払っているという事実があるようでございます。またそのほか、その当時の新聞報道等から見て、それらのことと考え合わせて、この流域でかなり米軍が演習地として使用していたものと思量されたわけでございます。  そういった状況から、そのことによりまして河川の荒廃を招いた、そして災害の原因となったということになりますと、その原因が絶対そうではないと否定できない感じを持つわけでございます。それで、否定できない限りにおいては、本件の事業として採択されたことは適正交付に触れるものではない、そういうふうに考えております。
  204. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がありませんから、あと施設庁で山梨県から出した申請書を出してもらえるかどうか、それを答えてください。  それから松田さん、いまあなたがくしくも言ったように、三十二年当時の記録を見ると原状回復をしたという記録があったというのですね。演習して荒らしたやつの原状回復の記録があった。その原状回復をした記録がどういうものか知りませんが、回復してあるなら、その後引き続いて災害が起きるような何かが行われたとは私は思わないのですが、この点は理論の分かれるところですが、これも調べておいてください。そんなことはその後絶対に行われていないのだ。いいですか、あなた方は山梨県その他の説明を聞いて、こうこうこういう資料がありますと言われて、それじゃ三条一項に適当していいだろうと判断したという説明があった。それは一部間違っていますから、三十二年のときに原状回復の記録があったというなら、荒らした跡は原状回復しているのですから、そうしたらその後はどんな米軍の演習が行われたか。これは非常に重要なんです。そんなものはない。したがって、その後ずっと神田堀に対して三条一項を適用していることは会計検査院の立場を言うなら、まず三条一項の適用が妥当かどうかの検査をしなければいけないはずです。その点をしっかり検査して、後でまたお伺いしますからやっておいてもらいたい。これは絶対検査院の見逃しです。三条一項を適用していいかどうかをよく調べてもらう、過去にさかのばって実際にやってあるかどうかもよく見てもらう、そうしなければならないと思います。  そこで、最後にお伺いいたします。  本件に関して五十二年十一月十八日西村長官あてに本件助成金の不正支出の是正を求める監察依頼が山梨県富士吉田市下吉田の渡辺孝基氏から提出されていますが、これに対してどういう処置をとるのかお聞かせいただきたい。  それから、五十一年一月二十七日、やはり山梨県渡辺孝基氏より富士吉田の警察署長に告発状が出たことをさっき聞きました。この告発状が出されている現状を加味して、会計検査院はこのことに対して  いまの詐欺だと思うから返すのだ、こういうことを行われたようですが、受け取った側は一体どういう金の処置がしてあるのか検査院からお伺いをしたい。もう前に施設庁に送ってあるのだから、施設庁ではその金をどう処置されているのかということを検査院からお伺いしたい。  行管の方にはいま言ったように長官あてに出された不正支出の是正を求める監察依頼に対してどういうような処置をするのか、これだけお伺いしたい。
  205. 川島鉄男

    ○川島政府委員 ただいまの文書、ちょうだいしております。その文書の内容を見てみますと、監察依頼の内容として、補助金の不正支出の是正を求めるという内容でございます。  この種の個々に補助金の不正支出を問題にする事例につきましては、行政運営の改善を目的とする行政監察といたしましてはその対象とするのを適当といたしません。そのように考えます。さらには、いま先生おっしゃられましたようにこの事案につきましてはすでに甲府地検に告発がなされているという状況にあると伺います。したがって、そういう強制捜査権などを持っておるところの調査が及ぶものであれば、監察といたしましては、この際特に監察を実施することは考えないで推移を見守りたいと存じます。
  206. 原茂

    ○原(茂)委員 施設庁、山梨県の写しは。
  207. 高島正一

    ○高島政府委員 補助金の交付申請書の写しにつきましては、山梨県と相談して先生の御要望に沿うように処置いたしたいと考えます。
  208. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 補償金の返還につきましては、実は補償金十七万円が返還されましてから大分しばらく施設局の方ではそのまま持っていたようでございますが、私ども担当課の方ではそういうのは早く検討してやらなければいかぬじゃないかということも申し上げたわけでございます。それで、この補償金は申請あるいは受領の経緯から見て新屋入会組合内部の問題であろうということで、施設局では五十二年六月八日に演対協を通じまして入会組合に返金しております。そしてその組合ではこれを都留信用金庫に預託中であると聞いております。  それから十七名のことでございますが、十七名中実際の補償対象者は十三名で、親子の関係とかいうことで十三名になっておるようでございます。このうち三名、支払い額が二十二万三千百円でございますが、三名の方はその後何か受領の意思を表示しておられるようでございます。他の十名の方、四十四万五千九百円でございますが、これは現在でも受領の意思がないようでございます。したがいまして、いろいろ関係方面の意見を聴取するなどして施設庁の方では返金してもらう予定であると聞いております。
  209. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますが、松田さんのあれは、私どももまた調査してみます。  総括的に、残念ながら平行線をたどっていますが、私はいろいろきっぱりきっぱりと言い切りました。したがって、そうじゃないのだ、過ちだというのてあれば文書で——山梨県がどうのこうの言って出さないからだめなんだと言わないように、山梨県も出すべきものは出す、そして私の納得のいくような説明を文書その他の資料によってしていただくように要望して終わりたいと思います。
  210. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤巖君。
  211. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、審議会の構成と運営の問題についてお尋ねをします。  御承知のように、去る九月二日の閣議了解におきまして、行政改革大綱というものがつくられました。現在はこれに基づいて具体的な改革案の検討が進められているというふうに思います。これに関連しまして、各種審議会の構成、運営の改革について行政管理庁長官にお尋ねしたいわけです。  政府は、昭和三十八年九月二十日「各種審議会委員等の人選について」の閣議了解で「候補者の選出については、なるべく関係のある広い分野から清新な人材を起用するようにつとめる。」「兼職の数は最高四とする。」など四項目、それからさらに昭和四十二年十月十一日の「審議会等の設置および運営について」の閣議了解では「行政機関職員は、原則として、審議会等の構成員にしない」その他を含めて八項目、こういうことが決められておるわけですね。そして昭和三十九年九月の臨時行政調査会の意見で、委員会の構成と人選については「調査審議事項に関し各方面の意見が総合的かつ公平に反映されるように、委員の構成を適正にする。」「行政部の職員についても、原則として委員に任命せず、必要に応じて幹事として参加するにとどめる。」など、それから運営その他につきましては、少数意見については報告中に記載する、「委員意見を議事録上明らかにすること。」「委員の代理は認めないものとすること。」というようなことが勧告されているわけです。  ところが、ことしの三月四日の当院の予算委員会でわが党の山原議員が明らかにして質問いたしましたとおり、これらの一連の基準がことごとく踏みにじられ、空文化しているわけなんです。この点について質問いたしましたところ、答弁に立たれた園田官房長官、それから西村行管庁長官も、質問の内容についてはお認めになるというような答弁、そして改善をするという約束もしておられるわけです。こういう経過からいたしますと、近く発表される行政改革案は、この臨調の意見だとか山原議員が質問いたしまして答弁をいただいた線、それからさらにこれまでの閣議決定、了解等をさらに補強する、前へ進める方向で改革案をお取りまとめになると私どもは思っているのですが、そういうふうに理解してよろしいかどうか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  212. 西村英一

    西村国務大臣 審議会のことで、いま先生がお挙げになりましたように、過去何回かいろいろな点で閣議決定をしておるのでございます。その線に沿っていままで行政管理庁もやっており、また、全然手がつけられないというような問題もないわけではございません。いろいろ工面していままでやってきたところでございますが、今回の行政改革におきましては、従来の閣議の決定も踏まえ、いろいろな点について取り組んでおるところでございまして、いませっかくそれをまとめつつある最中でございますから、皆様方の御期待に沿うように努めたい、かように考えておる次第でございまして、過去の成績はどうなんだ、こういうことになれば政府委員から一々説明をさせてもよろしゅうございます。
  213. 安藤巖

    ○安藤委員 政府委員の方から御答弁いただかなくても、行政改革の最高責任者であられる行管庁長官の方からいまお答えいただきまして、私がお尋ねした閣議了解あるいは決定それから臨時の意見、そういうものを前進的に踏まえてやっていくということだけお伺いすればいいわけなんです。  そこで具体的に、行政機関職員を審議会の構成員にする問題、それから委員の兼職問題についてお尋ねしたいと思うのですが、行政機関職員委員として加わる問題につきましては、先ほどもお尋ねしましたが、山原議員の質問に対しまして長官は、「努めて行政職員はこれに加わらないようにという答申の線に沿って改革したい、」というふうに答弁をしておられるわけです。それから園田官房長官は「いま指摘をされた閣議了解、また決定事項に対して、これが完全に行われてないということは十分反省をいたしたい。」「八月までに期限を決めて、行政管理庁長官を中心に審議会のあり方、統廃合、あるいは委員選任の仕方等についてそれを実行すべく準備をいたしております。」というふうに御答弁になっているわけですね。そうなりますと、いま準備をされ、あるいは進めておられる改革案、この中には行政機関職員委員になる問題について、国と国民との間の利害を調整する、あるいは審議会の意思決定が行政機関を拘束するとかいうような特殊なものは除いて、たとえば同和対策協議会とか、あるいは厚生統計協議会というのもございますけれども、そういうような調査、協議機関の構成員には行政機関職員は加えないというような方向で検討さるべきではないかと思うのですが、これについてお答えいただきたいと思うのです。  それから兼職の問題につきましても、先ほど申し上げました質問で、山原議員が、臨調の答申、意見の中には兼職の問題もきちっと言ってあるわけですね。それからすると、最高四つまでの兼職どころか三十以上も兼職している行政機関職員もおるということをきちっと指摘して追及しておるわけです。これに対して官房長官は、委員の兼職の実態について閣議了解、決定事項が完全に行われていないということは、十分反省をしたい、一遍見直して、全部調査して検討します。こういうふうに答弁をしておられるわけですね。だから、こういうような兼職の制限規定も、行政改革案の中で制限をするというふうに方向をきちっとつけられるべきであると思うのですが、そういうふうに進めていただけるのかどうか、そういうふうに進めておられると理解してよろしいかどうか、お尋ねしたいと思います。
  214. 西村英一

    西村国務大臣 いま審議会二百四十六中百二十三の委員会行政機関職員が構成員として入っておるそうでございます。したがって、原則としては行政機関職員は審議会には入れたくない。ただし、絶対にというわけにはいかない、必要がある委員会もあるわけでございますから、それに限っては努めて数は少なくしたい、かように思っておるような次第でございます。  委員の兼職の問題ですが、閣議の決定はありますけれども、行われていないものがございますので、これもやはり努めて閣議の決定に沿うようにしたいと思いますが、ただし人事上の関係で、特別な場合がない——全然ないというわけにもいきませんので、その場合は皆様方の御了承を得て、やはりそういうこともあり得るんじゃないか。しかし、これは本当に特殊な場合というふうに心がけて審議会を整理したい、かように思っておる次第でございます。
  215. 安藤巖

    ○安藤委員 お話のように特殊なものにつきましては、私が先ほど申し上げましたような審議会もございますので、それはやむを得ないだろうというふうに思います。  それから私、先ほど兼職を四つ以上はだめだというのは臨調の意見と申し上げたのですが、これは閣議了解でございますのでおわびして訂正します。  それから、いま私が申し上げましたように各種審議会の構成、運営に関する閣議の決定とか了解事項とかが踏みにじられているという実態があるわけですね。こういうような事実それから現状にかんがみまして、ざらにこれは三十九年の先ほどの臨調の意見でもあるのですが、こういうことが勧告されていると思うのですね。審議会等の設置基準、「答申・意見の取扱い方式」それから「議事運営の準則、報酬の基準等、審議会等に関する通則を法定する。」という臨調の答申意見があるわけです。だから、こういう経過からしますと、審議会通則法のようなもので一般的な基準をつくる、こういうような方向で改革案の中にこれを盛り込んでいただくというのが一番いいんじゃないかというふうに思うわけなんです。この点についてどういうふうに考えておられるか。  それからさらには、行政改革案が決定された後は政府部内でももう直ちにできるところからどんどん改革していく、それから法改正が必要だというものについては直ちに準備にかかっていただくというようなことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  216. 西村英一

    西村国務大臣 審議会は大部分は法律事項でございますから、したがって私の方で整理しましても、これは法律事項でございますから、適当な国会を見て法律で一括処理したいと思っております。  そこで、審議会に対して何か統一的な通則をつくってはどうか、一応の考えはそういうことは考えられますけれども、これは私はむずかしいと思うのです。やはり各審議会は、その法律事項の中に、こういう審議会にして、審議会の意見を聞いて運営しようというのですから、一々法律事項が違うわけですよ。それを一つの通則によって審議会はこうだということは——研究はします。検討はしますけれども、これは皆様方が納得するような通則はなかなかできないと私は思います。検討はしますよ。しかし私は、そういう意見も臨調の答申でいただいておりますけれども考えてみると、そういう通則はなかなかむずかしいのじゃないかという感じでございますが、私も十分検討はしたいと思っております。
  217. 安藤巖

    ○安藤委員 通則法の問題につきましてはだめだ、だめだとおっしゃらないで、いまおっしゃったように一度前向きで検討していただきたいということを重ねてお願いをしておきます。  そこで、具体的に同和対策協議会の構成についてお尋ねしたいのですけれども、黒川同和対策室長さんお見えですか。——ちょうどよかった。御承知だと思いますけれども、全国部落解放運動連合会というのがございますね。この団体は前は略して正常化連というふうに言っておりましたが、この時代から再三にわたって同和対策協議会、同対協といいますけれども、この同対協の委員、専門委員に代表を加えるようにというふうに要求をしてまいっておるのですが、まだ実現をされていないわけです。この点につきまして、去る十月の十三日に対策室長さん、それから村田総務副長官さん御同席の上で、改めて対象地域住民で組織されている全国組織としての全解連の代表を加えるようにというふうに要求をいたしましたが、その席上で、そういう全国組織としては同和会と、それから解同と、いま申し上げました全解連と、この三つの組織があるんだということはお認めになって、その上でこういうような答弁をそのときに村田総務副長官さんがしておられるわけなんです。  これは確認をしたいと思ってお尋ねするのですけれども、現在の委員の再任を妨げる障害が何もない。定数が委員については二十人以内、専門委員については五人以内と決められているので、全解連代表をいまのところ加える枠がないというふうにお答えになって、さらに同対協の委員、専門委員については全解連の代表を加えるかどうかについては検討してみましょうというような回答をなされた。これは間違いないでしょうか。
  218. 黒川弘

    ○黒川政府委員 十月十三日の村田副長官に対する交渉と申しますか、その要請の場では、いま先生がお話になったような具体的なところまでは申し上げていないと思いますが、それ以前からその趣旨の御要望は寄せられているわけでございまして、いまお話しのような内容の回答を全体としてはいたしておるというような経緯はございます。この問題についてでございますけれども、つまり同和対策協議会の委員の選任に当たりましては、これはいわゆる団体の代表ということで選任するという考え方はとっていないわけでございまして、同和対策に関する調査、審議のためふさわしい人選であるべきであるということは当然でございますが、今後もその考え方に立ちまして、より広い視野に立って検討してまいりたいという趣旨でお答えしているわけでございます。
  219. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、そのときの要望の主題は、全解連の代表を委員もしくは専門委員として入れてほしいというのが主題だったわけですね。それに対して、それも含めていまおっしゃったような趣旨で検討するというようなことになったんじゃないですか。  それからもう一つ、ついでにお尋ねしたいのですが、わが党の柴田議員が内閣委員会で去る十一月十七日、ほんのちょっと前ですが、こういうふうに質問をしておるわけです。同和対策事業特別措置法の民主的改正については同対協の委員、専門委員に全解連の代表を加えるなど同対協を民主的に改組するとともに、公聴会などにより広く国民意見を聞いて民主的に検討すべきであるというふうに要求をいたしまして質問をいたしましたところ、藤田総務長官が同特法の今後の扱いについては同対協や地方公共団体、各政党などの意見を聞いて慎重に検討したい、それからさらに共産党の提案も十分検討したいというふうにお答えになっているのですが、これは間違いないでしょうね。
  220. 黒川弘

    ○黒川政府委員 まず第一点についてでございますが、同対協の委員の選任に当たりましては、先ほど申し上げたように同和対策の調査、審議にふさわしい人選をより広い視野に立って行ってまいりたいということで、その点につきましては、いわゆる全解連の御要望の趣旨も踏まえまして検討してまいりたいというお答えをしてございます。  それから第二点の、先日の内閣委員会での総務長官の答弁でございますが、大体御趣旨のとおりでございますけれども、いま申されましたとおりでございますが、やや補足いたしますと、当日柴田先生は、同対法の延長を含めまして広い観点に立って御意見をお述べになりまして総務長官の答弁を求めたという経緯でございまして、いま申されました同対協といいますか、この幕議機関への全解連の参加につきましても、その要望されました事項一つでございますが、総務長官といたしましては、その全体につきまして御趣旨をよく承って検討いたしたいという趣旨で答弁をしたわけでございます。
  221. 安藤巖

    ○安藤委員 私がお尋ねした趣旨も、議事録にありますからここであえて繰り返す必要はないのですが、柴田議員は、公正、民主的な同和行政を保障する規定がないからその辺もきちっとすべきだということも踏まえて、その中で全解連の問題を出していたというふうに理解しておるのですけれども、それも踏まえて十分検討するという御答弁だったというふうに理解している。私も先ほどそのように質問したのですが、それについてはそのとおりだとおっしゃったので、あえてこれ以上お尋ねはいたしません。  そこで、いま具体的に同和対策協議会の委員の構成の問題についてお尋ねしておるのですが、先ほどは全般的な審議会の問題について、行政関係職員が構成メンバーになる点についてどうかということを長官にお尋ねしたのですけれども、具体的にその同対協の委員の構成の問題について、もう一度確認のために長官にお尋ねしたいのです。  先ほど申し上げたのですが、これは兼職の最高を四にするという問題とか、制限ですね、それから委員の代理出席を認めない。たくさん兼職があるものですから、みんな代理、代理とやられているということで、代理出席を認めないということにもこれは違反するわけですね。それから、関係行政機関職員は「必要に応じて幹事として参加するにとどめる。」という、これは臨調の意見にも反しておるし、合議機関としての意思決定、これは先ほど申し上げたとおりですが、長官もおっしゃったように、特別な行政機関職員がどうしてもそこに参加しておらなければ不都合を生ずるという特殊なもの以外はやはり不必要ではないかというような点からいって、具体的に同対協の委員がそういうような臨調なり、代理出席だとか兼職の問題とかに触れる構成にいまなっているわけなんですね。だから具体的に、行政機関職員をこの同対協の委員から外すというような方向でお考えいただくべきではないかというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  222. 西村英一

    西村国務大臣 同和対策の審議機関の構成メンバーをどうするかというのは、まだ実は相談はいたしておりません。一、二の審議会について構成メンバーまで全部、この委員会はどうしようこうしようという具体的な問題までは、まだ審議をいたしておりません。もっぱら審議会につきましては廃止した方がいいか統合した方がいいか、こういうことでいま一生懸命でありまして、一つの審議会について構成メンバーを具体的にまだ審議をいたしておりません。ことにこの委員の方になると、これは真接私が全部やるわけではございません。主として官房長官、それから当該省庁責任者、こういうことになるわけでございますから、個々の問題ですからいまここでお答えするわけにはいかないと思います。
  223. 安藤巖

    ○安藤委員 個々の問題ですけれども、私はあえて確認の意味でいまお尋ねしたのですが、最初にお尋ねしましたときは審議会一般でお尋ねしまして、そして長官の方から先ほど、特別なのも必要な場合もあるから、行政機関職員委員として構成員になっておらなければならない必要な審議会もあるとおっしゃって、しかしそうでないところは検討したいというふうにおっしゃったものですから、それを今度同対協に当てはめてみて、同対協の場合でもそういうような方向でお考えいただけるんではないかと思って、確認の意味でいまお尋ねしたわけなんです。だから、これは前と同じような御答弁をいただけるんだと思っておったわけですが、もう一度お尋ねしますがいかがですか。
  224. 西村英一

    西村国務大臣 御指摘の委員会についてはまだ考えておりませんから、ここでこうするということはちょっと申し上げるわけにはいきません。ちょっと考えてみなければならぬと思います。
  225. 安藤巖

    ○安藤委員 それから、同対協の学識経験者から任命された委員構成ですね、この問題についても私は問題があると思うんですけれども、先ほども申し上げたんですが、対象地域住民で組織された全国組織としては、同和会と解同と全解連と、この三つがあるということは御存じだと思うんですけれども、それを御承知の上で、これは先ほどは検討するというふうにおっしゃっていたんですが、さらにこれはきちっと私がいま要望しているとおりに検討していただきたいと思いまして、重ねて申し上げるわけです。  そういうふうに三つの代表的な団体がある。そのうちの一つ委員の構成メンバーから排除しているということは、やはり偏ったものになっている、偏向だということになるんじゃないかということを指摘したいと思うんです。そして、これは三十八用の九月の閣議了解にも、候補者の選出に当たっては「なるべく関係のある広い分野から清新な人材を起用するようにつとめる。」それから三十九年の臨調にも、「調査審議事項に関し各方面の意見が総合的かつ公平に反映されるように、委員の構成を適正にする。」こういうのがあるわけです。それから先ほど私がお尋ねしましたような、そしてお答えいただきましたような内容の、村田総務副長官とか藤田総務長官の御答弁もあるというようなことがあるわけですから、全解連の代表者を委員もしくは専門委員として構成の中に加えるということを早急に検討していただきたいと思うわけです。早急にというのは、これはこの期限が切れるのは再来年の三月末ですか、だからそういう時期にありますので、同和対策協議会の方からそういう延長をどうするかとか、あるいは改正するのかどうかというような問題について、いろいろ意見をお聞きになる前に、この全解連の代表を同対協の委員もしくは専門委員としてお加えになっていただきたい、そういう方向で検討していただくのが一番いいんじゃないかというふうに思っているわけですが、その点についていかがでしょう。
  226. 黒川弘

    ○黒川政府委員 同対協の委員の人選につきましては、先ほど申し上げたわけでございますが、問題の解決のために適確な人選を得たいということでございまして、広い視野に立って検討いたしたいと思っておりますので、いまの御要望のことも十分頭に置きまして検討いたしたいというふうに考えております。
  227. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで最後に長官に、これはお願いかたがたお尋ねするわけですけれども、いまいろいろお尋ねしてまいりまして、それから御答弁もいただきまして、この結果から見て、やはり同対協の委員の人選それから構成、これは臨調の意見だとか、あるいは閣議の決定あるいは了解事項、それからいまお進めになっておられる行政改革の基本的な方向等々からして、やはりいろいろ検討していただくような問題があるということが十分おわかりいただけたと思うんですね。  そこで、閣議だとかあるいはそのほかの機会に、あるいは総務長官、官房長官あるいは委員の任命権者は総理ですね。だから総理とも御相談なさって、同和対策事業特別措置法の改正の問題あるいは協議会をさらに延長するかどうかというような問題、こういうような問題の調査とか審議に入る前に、いま私が御要望しながらお尋ねしておるような全解連の代表を入れるかどうかという点について、延長とか法改正とかの問題の決着をつける前に、一遍その問題を御検討いただきたいというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  228. 西村英一

    西村国務大臣 この同和対策に対する所管大臣総務長官でございまして、総務長官は、この問題につきまして、やはり一つの方向を持って一生懸命考えておるようでございます。まあ、改まって相談をしておりませんが、雑談的には、非常に総務長官も一牛懸命いま考えておるような次第でございまして、私がここで、これはこうするんだという言い方はできませんけれども行政管理庁長官としてまた国務大臣として、十分担当大臣といろいろ話し合いをして公正に決めたい、かように考えておる次第でございます。
  229. 安藤巖

    ○安藤委員 そこまで御答弁いただけば、あえてお尋ねせぬでもいいのですが、私が一番心配しておりますのは、法改正の問題、それから延長するかどうかという問題について、全解連も、それから同和会も解同も代表的な機関なものですから、やはり広く意見を聞く、それから対象地域の住民に代表されておる代表団体、全国的な組織の一つでもあるものですから、そういう組織の代表の意見も、その法改正、延長問題について反映するような方向をお考えいただきたいということをお願いしているのです。だから、そういう点も含めていまおっしゃったように総務長官殿に対していろいろお話をしていただければありがたいと思うのですが、重ねてその点だけひとつお尋ねします。
  230. 西村英一

    西村国務大臣 せっかくの先生の御要望ですから、十分それを尊重して、今後とも対処したい、かように考えております。
  231. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  232. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会