運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-17 第82回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 丹羽 久章君 理事 葉梨 信行君    理事 森下 元晴君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       津島 雄二君    西田  司君       野田 卯一君    福田  一君       馬場猪太郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    大原 一三君  出席国務大臣         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         人事院事務総局         管理局長    長橋  進君         警察庁刑事局保         安部長     森永正比古君         外務大臣官房長 松永 信雄君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       大槻 章雄君         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省理財局次         長       副島 有年君         大蔵省理財局次         長       川崎 昭典君         大蔵省証券局長 山内  宏君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁長官   磯邊 律男君         国税庁税部長 水口  昭君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   加藤 圭朗君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵大臣官房調         査企画課長   大竹 宏繁君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         造幣局東京支局         長       藤沢  正君         印刷局長    片山  充君         農林大臣官房審         議官      佐々木富二君         林野庁指導部造         林課長     森本 泰次君         自治省税務局市         町村税課長   渡辺  功君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院事務         総局次長    柴崎 敏郎君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         国民金融公庫総         裁       佐竹  浩君         日本開発銀行総         裁       吉岡 英一君         日本輸出入銀行         総裁      澄田  智君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (会計検査院所管外務省所管大蔵省所管、  日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行、  日本輸出入銀行)      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず会計検査院所管外務省所管及び大蔵省所管について審査を行います。  先般、衆議院各国政情視察議員団として、本院から派遣され、欧米各国における決算制度会計検査制度及び在外公館予算執行状況等実情について調査をしてまいりましたので、この際、議員団調査概要につきまして、今後の委員会審査に資するため、この席から、私が御報告申し上げます。  本議員団は、本年五月当委員会理事会において、決算委員会重要性にかんがみ、国会審議の参考に資するため、閉会中、諸外国決算制度及び会計検査制度実情調査する決算委員海外派遣を実現したいとの協議がなされ、文章をもって保利衆議院議長に申し入れを行ったのでありますが、その後、議院運営委員会理事会において議員海外派遣の件について協議が行われた結果、これが実現を見るに至ったのであります。  議員団は、自由民主党から天野光晴君、丹羽久章君、日本社会党から原茂君及び団長としての私の四名であります。  議員団一行は、九月一日東京を出発し、カナダアメリカフランスイギリス西ドイツ、スイス、チェコスロバキア及びデンマークの八カ国を訪問し、九月十九日帰国いたしました。  出発に先立ち、訪問国議会及び会計検査院に対し、外務省を通じて訪問趣旨を伝え、適確な回答を得るため質問書を発送し、さらに外務省担当者から訪問国政治経済事情説明を、会計検査院から欧米主要国決算制度及び会計検査制度概要説明を受け、在外公館実情調査についても、さきの委員会において外務大臣から「全面的に御協力申し上げます。」との答弁を得る等の予備調査を済まして出発いたしました。  その詳細につきましては、議長に提出いたしました報告書によって御参照願うこととし、以下その概要について御報告いたします。  まず、欧米主要各国決算制度及び会計検査制度調査結果の概要についてであります。  初めに、カナダ国につきましては、大要次のとおりであります。すなわち、国の収入支出及び資産負債並びに大部分公共企業決算につきましては、三百七十数人の職員を擁する会計検査院が、合規性経済性等観点から会計検査を行い、その結果を報告書にして下院報告することになっております。下院におきましては、まず同院決算委員会が、提出されました国及び公共企業決算書につきまして、会計検査院報告事項中心審査を行っております。委員会における委員数は二十名で、下院における各政党勢力に応じて選任されております。委員会は、審議した事項について、各委員意見を添えて本会議あて報告書を作成します。その意見のうちの大部分は、政府あて改善勧告であります。下院の本会議は討議の上報告を採択いたします。  次に、アメリカ合衆国の大要について報告いたしますが、同国制度は、他の諸国と比べまして著しい特徴があると思われます。同国におきましては、政府が総合的な決算をつくり、これを議会審議し、決定するというようなわが国などで見られる決算制度はないのであります。また、五千三百五十数人の職員を持つ会計検査院は、議会に属する機関でありまして、議会の立法及び監督の機能が効果的に働くよう、議会に対して情報を提供し、助言することを責務としております。そのため、会計検査院活動は、個別の決算に関する合規性経済性検査から政府政策効果分析などまで広汎にわたっておりまして、その調査検査あるいは分析の結果は、毎年一千件を超える報告書として議会報告されております。議会は、そのような会計検査院活動に大きな関心を寄せております。そのことは、一九七六会計年度において、会計検査院歳出委員会を初めとする各種委員会において百四十回も証言をしたという実績からもうかがうことができるのであります。  次に、フランス共和国大要について報告いたします。すなわち、国の収入支出決算は、法案の形式で政府から議会に提出されることになっております。そして、法案には、それについての会計検査院報告が添付されることになっております。会計検査院行政裁判機関としての独立性を有し、司法官を含む職員四百十数名が活動いたしております。決算法案は、先に国民議会に提出されますが、本会議における審議に先立ちまして、財政委員会審議に付されます。財政委員会国民議会における各政党勢力に応じて選任されました六十二名の委員から構成されておりまして、予算法案審議もあわせて行うことが特徴であります。次いで、決算法案は、国民議会議決された後、上院に送付され、上院での議決後公布されます。なお、最近におきまして、会計検査院とは別の行政委員会が行っていた公共企業検査会計検査院が引き継ぎ、同院活動範囲が拡大したということもつけ加えなければならない点であります。  次に、イギリス国大要について報告いたします。同国における財政に関する管理及び監督は、会計検査院下院決算委員会及び財政に関して大きな権限を持つ大蔵省が三位一体となって効果を上げていると言われております。まず、国の支出及び投融資に関する決算は、会計検査院検査を経て政府から下院に提出され、審議されることになっております。会計検査院は、職員六百四十数名をもって、決算に関して合法性経済性など各種観点に基づく検査を行い、それについての検査報告を作成し、政府に提出し、政府はこれを決算とともに下院に提出することとなっております。下院決算委員会は、下院における各政党勢力に応じて選任されました十五名の委員において構成されておりまして、常時、会計検査院大蔵省出席を得まして、会計検査院検査報告中心審議を行うこととしております。審議の結果は勧告等を盛り込んだ委員会報告として下院の本会議報告されます。  次に、ドイツ連邦共和国大要について報告いたします。すなわち、政府連邦議会及び連邦参議院で構成れる議会収入及び支出並びに資産及び負債に関する決算を、政府責任解除のために提出しなければならないことになっております。そして議会は、会計検査院検査結果の報告に基づいて政府責任解除を決定することになっております。会計検査院は、五十数名の構成員が裁判官と同一の独立性を有しており、職員四百五十数名の補佐を受けて、決算並びに財政経済運営の能率及び合法性検査することとなっております。連邦議会及び連邦参議院に提出されました決算は、連邦議会の場合でありますれば、予算委員会の中の特別委員会である会計検査委員会審議に付されます。会計検査委員会は、予算委員会委員三十七名のうちから選任された十一名によって構成されておりまして、予算審議と関連づけて決算審議が行われているところが特徴と言えます。委員会審議が終了いたしますと、勧告がつけられまして、政府責任解除を求める提案が連邦議会の本会議になされ、それについて議決が行われることになります。  以上をもちまして、各国別報告を終わりますが、いまこれらの諸国制度を通じて見ますとき、第一に、議会会計検査院が協力しながら財政監督効果を上げている点を指摘することができます。  もちろん、決算検査は中立的な第三機関にゆだねられるべきであろうと思いますが、財政監督上その決算検査の結果をますます効果あらしめるために、議会における統制力の発揮が期待されるわけであります。また予算審議と関連づけて決算審議が進められている国も少なくないことや、時代の要請といいましょうか、会計検査範囲が拡大する傾向が認められますことも注目すべき点であると思います。以上、私の若干の所見も交えまして、欧米主要各国決算制度及び会計検査制度調査結果を報告いたしました。  次に、訪問国在外公館実情についてであります。今回の訪問国の多くは、アメリカを初め、わが国にとって政治経済、文化、教育科学等国民生活のあらゆる分野における相互交流の度合いの深い友好協力関係にある国であり、最近の国際関係多元化相互依存関係の深まりの中で勤務する在外公館の任務はますます重大となってきております。  このような環境の中で勤務する各在外公館職員は、幾多の困難な問題を抱えつつわが国国益擁護のため、それなりの活躍をしている現状を見てまいりましたが、以下現地要望を含め、今後の問題点について御報告を申し上げます。  まず第一は、大使館事務所大使公邸の問題であります。  大使公邸は、任国有力者各国外交官との意思の疎通を図るための諸会合の場所として遜色のない威容を備えていなければならない実情は認識できますが、その大使公邸に比べて、多くの大使館事務所が現在の大使館の陣容及び事務量の割りに狭小となっており、困窮しているのが実情であります。特に国際会議増加して事務量の大幅な増加職員数増員問題を抱える在ジュネーブ国際機関日本政府代表部事務所及び在ドイツ連邦共和国大使館事務所については、現地から早急に対策を講じられたいとの要望がありました。  これら在外公館の用地及び建物の取得は、他に優先させて考慮されるべきであり、在外公館国有財産として安定的に使用できるという利点からも、国際収支現状から見ても、まさに対策を講ずる好機であると思われるのであります。  第二は、通信連絡費の問題であります。電信、電話等通信技術の発達と国際的相互依存度の高まりから、従来では考えられないほど多国間の交信が頻繁となってきており、各公館とも通信連絡費の赤字を抱えておる実情であり、特に西欧諸国において増額の要望が強く、これを考慮する必要があるのではないかと考えられます。  また、相互依存関係の深まりから在外公館相互連絡を密にするため、地域担当官会議開催等経費の確保についても要望がありました。  第三は、広報活動についてであります。  わが国国際的地位の向上に伴い、海外においては、日本の内外諸政策に対する関心が著しく高まってきておりますが、特に西欧諸国において依然としてわが国について誤解、不正確な認識が見受けられ、時としてこれが無用の対日批判警戒心を招くことがある実情にあります。こうした動きに対しては、そのもとになっている誤解を是正し、真の日本の姿を紹介するよう各地において大使館ニュース日本紹介のパンフレットの作成、配布、有識者の日本への招待、現地教師特別広報活動日本研究の促進とこれに対する助成等を行っておりますが、膨大な費用がかかり、予算不足の問題が訴えられました。  これらは、経費の漸増を考慮するほか、各公館において計画の際、費用効果を考え、各年度重点的に施策を進めてみることを考慮すべきであると考えられます。  第四は、海外子女教育問題であります。  最近、国内での受験競争過熱化の影響もあって、欧米先進国各地にも日本人学校が開設され、補修授業校増加もあり、各地教員不足が訴えられ、また、主要地域にあるこれら学校に通学することが不能な遠隔地に勤務する在留邦人子女教育のため、日本人学校に寄宿舎の建設を考慮されたいとの要望がありました。  現行の教員派遣制度は、地方財政に頼る不安定な身分保障の問題もあり、教員不足の充足と制度の改革について、関係各省協議の上、早急に対策を立て、海外に勤務する邦人増加に伴う海外子女教育の問題に対処できるよう努めるべきであります。  最後に、予算配分職員問題であります。  戦後三十数年を経た今日、時代の変遷にかかわりなく、単に従来の歴史的、伝統的実績による予算配分のみでははかり知れない問題を抱えております。  わが国と諸外国との関係は、激動する国際社会の中で相互依存度比重の変化を考慮しなければなりません。このような時代の趨勢を考慮した在外公館予算配分に努めるべきであります。  また、このことは人的配分においても同様であって、定員の拡充ばかりでなく、各省庁から出向して派遣される公館職員、たとえば農林省、労働省関係等についても、従来の配置にとらわれることなく、時代とともに移り変わる問題の比重に対応した配置を考慮すべきであります。  さらに、わが国を代表して任国との接点において活動する外交官として、従来のしきたりにこだわることなく、わが国外交基本的課題を踏まえ、激動する国際社会に敢然と立ち向かう気力を持って、対処するよう激励してまいった次第であります。  以上をもって議員団報告を終わります。  なお、ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、議員団報告書として議長に提出してありますので、これを会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  5. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長の許しを得て質問をいたしたいと思います。質問に入ります前に、私も派遣団の一員として、今回の海外調査ははっきりと目的をしぼって行っただけに非常に有意義であったということを申し上げたいと思います。  そこで、ただいま委員長から調査報告のあった問題のうち、重複する点はありますが、私は、在外公館の問題に関する数点について、五十三年の予算編成前でありますので、いかなるお考えを持っていらっしゃるか、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一は、在外公館職員増員の問題であります。職員数をふやしてほしいという要望各地で私ども耳が痛くなるほど聞かされてまいりました。そこで、手元にある資料によって日本相手国との間の職員数相互比較をしてみますと、前回私は質問のうちでも申しましたように、たとえばアメリカから日本へ派遣されている職員の数は二百二十四人でありますのに、日本からアメリカへは七十一人で、三分の一以下であります。イギリスに対しては七十八人に対して四十六人、フランスが六十一人に対して三十九人というように日本は非常に少ないのであります。さらに、正規の公務員の数は定員の枠に縛られているから外務省独自ではふやすことはできません。これはよくわかっております。しかし、予算措置だけでもふやせる現地補助員の数をとってみても、アメリカは三百九十人というのを日本現地要員にいたしております。しかし、日本はその五分の一以下の七十四人という現地要員であります。これでは、経済成長国と言われている日本が諸外国に見劣りしない外交展開は、私は不可能であると言わざるを得ません。ただ人が少ないということだけではありませんが、実質上現地の人々の声を聞いていますと、余りにも少な過ぎるから十分な仕事ができ得ないという声が非常に高いのであります。だからいま申し上げましたように、見劣りのしない外交展開は困難であるということを申し上げておきたいと思います。  そこで、まず職員定数増に関する外務大臣のお考え方、前回少し聞きましたけれども、時間がありませんのでごく簡単にお聞きしました。予算編成前でありますので、この点については各地からそういうような要求もあったことだと思いますが、どのような心構えで臨まれるかという点をお聞かせいただきたいと思っております。特に、大臣はきょうは十時少し過ぎにはもうお帰りになるようでございますので、あなたの要点だけをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  6. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 このたび委員長団長といたします派遣調査団各地で大変御熱心に御研究をいただきまして、私どもといたしまして大変ありがたいことだと思っております。会計決算制度のほかに、外務省関係のことにつきましてもいろいろ御心配を賜りましたことを、この席をかりまして厚く御礼を申し上げます。  ただいま御指摘のありました定員問題でございますが、わが国が戦後経てきました経過によりまして、一時外交能力がほとんどなきに等しいまでに落ち込んだわけでございます。それから再建を図ってきたわけでございまして、その再建過程におきまして、毎年定員増加は大変厳しい状況が続いて今日に至っております。そういった経緯もありまして、ただいま日本定員は三千二百二十五名という数字でありまして、アメリカは一万一千四百名、西ドイツでも六千二百名というような水準であります。それに対しまして毎年増員を図っておりますけれども、遅々としてなかなか進んでおらないというのが実情でございます。特に毎年定員増加を認めるとともに、一律に節約と申しますか、一方で一定数の割合を減らしていくということが行われておる、そういったこともありまして総定員がなかなか伸びないという実情でございます。  ことしの予算要求方針といたしまして、昨年度の要求定員の七五%にする、すなわち二五%減らした数で要求せよ、こういうことになっておるわけでございますが、他方ごらんいただきました欧米各国の問題もただいま御指摘のようであります。しかし、たとえば中近東アフリカ等在外公館はそれこそ五、六名という館が多いのでございます。このようなことでは最近問題となっております中近東外交あるいはアフリカ外交につきまして大変心細い限りでありまして、私どもといたしましてはほとんど要求どおりの人員が認められるように努力をいたしたい、かように考えている次第でございまして、本日御指摘の点につきましては、私ども全く御趣旨のとおりの実情である。したがいまして、定員増加につきましては最大努力をいたす所存でございます。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣から最大努力をするということでありますので、きめ細かくもう少しお尋ねいたしたい点がございますが、時間の関係がありますので、これで第一点を終わりたいと思います。  第二は、在外公館土地建物についてであります。ただいまも報告がありましたとおりに、大使館事務所には非常に手狭なところが多いのであります。具体的に申し上げますと、たとえばジュネーブ国際機関日本政府代表部は現在アパートの一フロアを借りているのでありますが、国際会議増加によって職員数事務量増加で非常に狭くなっており、大きな国際会議等で各省庁からの出張者が多い場合には、必要に応じてホテルの一部を借りて会議をしなければならないというような状態であります。そこで広い場所へ移転したいということで近く新築中のビルディング——向こうの話を聞いたのでありますから、この点金額のことは果たして正確かどうかは別にしまして、約八億円で購入したいというのが、どうも本省との折り合いがうまくつかないということであります。この新築中のビルディングは、鳩山外務大臣、あちらへ行かれましたときにも現地を見られ、そのビルも見られてお帰りになったようでありまするが、私どもも、親近感相手国と持つためにもこういうものを買うことができれば、また会議をしていく上においても非常に結構だというような感じを持ったのであります。この点が一つ。  また、ドイツ大使館でも現在の建物が借り建物になっておりますので、手狭であるからこれを少し直したいといっても、大家さんの方がいじってもらっては困るというようなことで非常に困っておるということであります。これに対しても、すぐそばに非常にいい土地があるからぜひその土地を取得したい、さらにここは日本大使館が買うならば喜んでお分けいたしましょうというようなことを言っておるそうであります。  さらに、チェコスロバキア建物も古い大使館でありますので、何というかもう事務をしておっても陰気臭いところでやらなければならぬので、それぞれの働く人々の環境が大変悪い、こういうようなことからぜひこれも考えてもらいたいといって本省の方へ陳情いたしておるようでありますが、何かにつけて予算がない、少し待て、しんぼうせよというようなことで現地からの要望が満たされないというような話を私どもは聞いてまいりました。  私どもは、大使館、公使館の話を聞いてきて、ぜひこれをやりなさいとかどうとか注意、要望する前に、そういうものを見ながら、これでは日本国の大使館、領事館としては余りにもお粗末だという感じを受けながら話をするのでありますので、これに対しての大臣の考え方をお聞きいたしたい。  さらに、ソ連にける大使館の用地取得見込みはどうなっておるでしょうか。これは前々からの話でありますが、いまどのように進んでおるのか、いまだ進んでいないのか、こういう点についてもお答えをいただきたいと思います。  こういうように、現地がきめ細かくいろいろ調べたことを本省の方へ持ち込んできても、本省の方ではそれに対してなかなかイエスという答えが出てこない、そう何もかもイエスという答えを出すことは予算の上においても簡単にはできませんけれども、本当に必要性のあるもの、先を見込んでの考え方というようなことについては、もう少し大蔵の関係に、強引にというよりも胸を張って、日本国のために、きょうは大蔵大臣もおいでいただいておりますから、別に大蔵大臣にきょう聞こうとは思っておりませんけれども外務大臣、特にその点をお考えいただきたいと思っております。  それからフランス大使館へ参りました。これは何年か前に新築せられたものでありますが、これは設計した人、そして工事を施工した人は非常にりっぱな店、りっぱな人のようでありますが、現地の暑さ寒さが設計の上で十分に考慮に入れられていない。見たところはフランス流の美観でガラス張りというような形になっておるけれども、暑くなってきたときには温室に入っているどころではない、四十度以上のところに閉じ込められたようなかっこうになる。設計者も、どの方が設計せられたか知らぬが、二、三回現地へ来られただけで、本当に現地の気候等いろいろの点についての研究がなされていなくて設計が進められて建てられた。こういうようなことを、別に大使が言ったわけではありませんが、そこで話が出たわけであります。そういう点にまいりますと、アメリカ大使館がすばらしくりっぱにでき上がりました。けれども、これも数年がかりでできたのでありますが、果たしてこれが本当に気候、風土に即した建物であろうか、すばらしい建物ではあるけれどもどうかという点について、将来の問題になるだろうということが言われておるわけであります。こういう点について、設計者という人がどなたであるかは別としましても、やはりその土地柄をよくわきまえてよく研究した人が設計しないと、ただデスク的にお考えいただいた設計、そのかっこうだけ似たものというようなことでは、入られる方々が後で非常に難儀をせられるようであります。  たとえばフランスの例を挙げましても、暑いから冷房をしなければならない、そんなことは工事をする時点で、費用がなければ別でありますが、費用があればそういうものを取り入れてあげておくことが設計する人の一つの任務であろうし、また当然のことであろうと私は思っておる。そういうことができ得ないかっこうででき上がっておるわけであります。  この点は今後建てる上においての一つ問題点でありますが、いま前段で申し上げた買ってくれ、つくってくれ、直してくれという問題についてはどういうお考えで五十三年度予算編成に対して外務大臣は臨まれるか一お尋ねいたしたいと思います。
  8. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 在外公館の公邸あるいは事務所につきまして御視察を賜りまして恐縮に存じております。来年度予算におきまして、私ども在外公館の拡充につきまして、建物につきましても極力努力をいたしたいと思っておりますが、予算要求の枠ということが定められておりまして、予算の増額がなかなか要求できないということになっております。そういった事情もありまして、毎年在外公館の施設費は大体三十億円程度ちょうだいいたしておるわけでございます。この枠内におきまして処理をいたしてまいらなければならない。これにつきましても増額要求をいたしておりますが、増額の幅は一割ちょっとでございます。そういう意味で、ただいま御指摘のありました各館全部要望が実現できるかといいますと、これは大変むずかしい実情にございます。また、来年度はどうしても多年の懸案でありますモスコーの大使館を何とか新築をいたしたい、こう考えておりまして、これを実現いたしますと、なかなかほかの館に回らないというようなことにもなってまいります。したがいまして、ただいま御報告にもありましたように、外貨が非常にたまっておるというときでもあって、外貨の運用ということでも考えたらどうだという御意見もございます。これらにつきましては現在の予算要求ではいたしておりませんが、何とかこの機会に、ただいま御指摘のようなことが実現できないものかと、これからも鋭意検討いたしたいと思います。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大臣、時間が参ったようで参議院の方へお出かけのようでありますので、もう一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  特に、私どもは八カ国回ってまいりました、そのうちで決算会計検査等に関係する国は六カ国でありましたが、ヨーロッパにおけるところの人員配置の面でいろいろどういう省からだれが来ておるかというようなことを聞きましたところが、出向者が、たとえば英国大使館には二名いるがECの諸国には常駐していないとか、フランスのような国に労働省の出向者がいないとか、また予算配分の面で多少変わっておる。大臣、農林省からの出向者が英国に二名おる。そういう必要性、本当に英国に農林省から二名も必要があるだろうかということも、実際私どもは少し頭をひねってみたのですよ。それから、フランスのような国に労働省関係の出向者がいない。フランスなんという年じゅうストライキをやったりごちゃごちゃやったりしている国に労働省関係が行っていないとか、そういう点について——もう昔から外務省の人員配置というのは何か昔の足跡をたどって配分していくというようなかっこうで、こんなに発展した日本は、もっとそのところところの必要性に応じた各省のエキスパートを送り込むべきだと思いますが、こういう点についてお答えをいただこうとは思いませんけれども大臣、今後いつまでやっていただくかは別としまして、大臣に在職中にこの問題をひとつお考えいただきたいということを要望いたしておきたいと思っております。  まだ幾つかの問題がありますが、官房長ほかいろいろの方がいらっしゃいますので、外務省問題は大臣以外の方にお尋ねをいたしますので、後から報告を聞いてまとめていただいて適当に進めていただくことを強く要望いたします。  それから第三の問題は、大臣いらっしゃらなかったら官房長でもどなたでも結構ですけれどもお答えをいただきたいと思いますが、在外公館活動通信連絡費、旅費、さらには広報活動経費等で賄っておりますが、電信、電話等通信技術の発達に伴いまして、過去の二回間交信時代とは大変変わって、従来のパターンでは考えられないほど電話回数が多くなってきたということであります。そういう点から連絡費の赤字が非常に大きくなっていきまして、他の費目の節減で穴埋めをしていかなければならぬというような実情であるということで皆困っておりますが、こういう点は、そう節約をして、言うべきことを言わず、送られるべき報告が送られないようなことでは大変でありますから、こういう点について現地からどのような連絡があったのか、今度の予算編成に向かって外務省としてはどういう考え方でまとめていかれるのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  10. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 御指摘がございましたように、在外公館と本省あるいは在外公館相互間の連絡通信の必要の度合いと申しますのは、最近とみに増加いたしております。したがいまして、このための経費も非常にふえているわけでございます。そういう必要性を満たすための経費は、私どもも何といたしましても手当てをいたさなければならないと考えておりますが、他方、現下の経済情勢のもとにおいては、むだな経費は十分に節約しなければならないという基本的な心構えも必要だと私どもは考えております。  そこで、具体的に申し上げますと、電話、電信、その他通信連絡に必要といたします経費は、予算上は在外公館連絡庁費という形で計上されておりますけれども、これは毎年大蔵省の大変な御理解をいただきまして実質的に相当ふやしていただいております。それで、全体として見ますと、現在の予算執行上の観点から見ますと、在外公館の通信連絡に要する経費は必要なものは手当てをしているというのが現状でございます。  ただ、一部の公館あるいは一時期をとりますと、連絡庁費の不足指摘されるという面はございます。このような点は、先ほど委員も御指摘がありましたように、必要の度合いに応じて、硬直化したやり方でなく、十分必要に対応する柔軟性を持って対応してまいりたいというふうに考えております。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 日本の国はヨーロッパ各国で余りよく言われていません。これはもう外務省に入った情報でよくおわかりだと思います。働いて働いて働きまくって、そして金をもうけて金をもうけて、使うことを知らない日本だ、こういう表現をいたしておるものもあります。かつてはエコノミックアニマルだと言いましたけれども、いまではそういうような表現はいたしておりません。なぜ日本はそんなに働いて働いて金をためるのだ、われわれには全く想像でき得ない、こういう表現をしております。  そこで、何か、日本人というものがそういう日本人ではないということを理解させるためのPR活動が大変必要だと私は思っておる。そのようなPR活動というものを外務省の使命感としてやるべきであるか、外務省はそういうことは関係ないのだ、各国との連絡、各国の情報等を集めさえすればそれでいいという考え方か、日本国を相手方によく理解させるということが外務省の責任でもあり外務省の行うべき任務の一つであるとお考えになっておるか、この点、大臣いらっしゃいませんので官房長、お答えをいただきたいと思います。
  12. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 国際間におきます相互理解の増進は外交の基本であると私どもは考えております。このような観点から、広報活動日本をよく理解してもらうための広報活動は、私ども在外公館の最も重要な職務の一つであると認識いたしており、現に、毎年度の予算を編成いたします場合にも、広報活動というものは予算重点事項の大きな柱の一つとして必ず掲げまして、予算を重点的に強くお願いするという姿勢をとっております。現に、各在外公館においてもこのためにいろいろと努力いたしております。しかし、その努力が足りないという点については私どもも十分反省しなければならない、さらに今後も大いに努力を積み重ねていかなければならないというふうに考えております。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 質疑の持ち時間が終了いたしましたという通知が来ました。まだ三分の一ぐらいできておりません。残念でありますが、それでは私の質疑を終わって次の方にお譲りいたすことにいたしますが、もう少し——今後こういう問題について私はきめ細かくいきたいと思いますが、特にきょうは大蔵大臣においでいただいておりますので、一言だけ聞きたいと思います。  円高で日本が大変なドルを持っておるということは、これはもう世界各国が知っておることであります。そうした日本を理解させるため、さらに日本が各国との友好関係を結んでいくためにも、いろいろとドル減らしの政策は、総理を初め大蔵大臣、お考えいただいておることだろうと思っております。そこの中に、肉を買ったり野菜を買ったりも必要でありましょうけれども相手国に対して、本当に日本わが国にとって好意的なことを示しておるなというドル減らしも必要の一つであろうと私は思っております。  そういう点につきまして、外務省からの要求は特にひとつお考えいただいて、慎重な審査をして予算づけをしていただくことが国際間の融和を図っていく大きな役割りになっていくことでもあろうと私は思っております。どうかこの点について大臣に、一口だけで結構ですけれども、お考えを示していただきたいと思います。
  14. 坊秀男

    ○坊国務大臣 団長初め団員各位が大変御努力をいただきましたことに対しまして、厚くお礼を申し上げます。  ただいまの丹羽さんの御質問でございますが、とにかく本質的には、一生懸命に働いて勤倹産をなすことは悪ではございません。悪ではありませんけれども、いまの世界の各国に伍してお互いに共存共栄していこうという立場から申しますと、これはわれ一人よしというわけにはいきません。さような意味において、経済的にもその他の面におきましても、世界各国が協調いたしまして、資源有限の世界においてお互いの経済を、経済だけじゃございませんけれども、これを向上さしていくという相手の立場といったものも十分見ながらやっていくことは大変大事なことでございまして、これからの政策はそういう大きな立場からやっていかなければならない、こういうことでございますので、政府におきましても、年初以来ずいぶんいろいろなことをやってまいりましたけれども、さらにまた経済の総合対策あるいは対外経済対策といったものをつくりまして、いま申し上げましたようなことをめどといたしまして鋭意努力をいたしておるところでございます。  いまの御質問の具体的なことは、外務省在外公館といったようなものについて、この際ひとつ外務省の御要望を聞いてできるだけ尊重しろ、こういうことのようにお受けいたします。  ただいま予算の編成中でございまして、どういった項目について何を尊重すると申し上げる段階に実は至っておりません。そういうようなことで、その御質問に対してのお答えになるかならぬか私わかりませんけれども、その公館を買うことにつきましては、従来から相手国の事情といったものも勘案し、それからまた国の財政といったことも考えまして、できるだけそういう国有化の方向に持ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。
  16. 芳賀貢

  17. 原茂

    ○原(茂)委員 ただいまの海外調査に関して会計検査院長に、特に諸外国制度中心にしてお伺いをしたいと思います。  今回の調査では、各国とも国会の決算審査関係委員会との協力関係が緊密化する傾向にありまして、特に国会の審議会計検査院検査報告が活用されている。検査報告決算委員会審議に適時適切に役立たせられるような内容とすること、たとえば五十年度の決算検査報告に掲載されました特記事項のような大きな問題の提起を積極的に何回でも行っていただく、年次報告ばかりでなくて中間報告の提出を考えることは一体できないのか。また、決算審査重要性にかんがみまして、検査官の当委員会への出席を特に希望したいと思いますが、最初にこの三点についてお伺いしたい。
  18. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 いろいろと諸外国制度を長い間視察していただきまして、今後貴重な御意見が聞かれるものと私たちも深く喜んでいる次第でございます。  ただいまの御質問の件でございますが、検査報告は本院の一年間の活動成果の集約でございまして、これが国会初め一般国民の関心を引くようなものとすることに本院としても努力しなければならないと考えておる次第でございます。  しかしながら、残念なことに、まだこの検査報告が一般国民の大きな関心を引くまでに至ってないことは事実であります。これは検査報告の表現と内容が理解しにくかったり専門的に過ぎたりしていることによるも一のと思われます。  それで内容でございますが、現在検討を加えており、先生のお話もありましたように、昨年から不当事項、改善事項と、その枠に入らないものでも国会に報告して問題提起をするのが適当であると認めた事項につきましては、これを特に掲記を要すると認めた事項といたしまして検査報告に掲記してきておりますが、本年からはさらに特別会計の歳入歳出の内容を記載したりするなどその充実に努めていきたい、こういうふうに考えております。  それから、各国の会計検査院検査報告には、年間の活動報告的なものとか不経済事項等の指摘にとどまるもの、問題点の提起を含むもの等多種にわたっておりますが、本院の検査報告については、会計検査院法二十九条にその記載事項が定められている関係もございまして、全面的な改変はむずかしいのでございますが、今後ともそういった特記事項の拡大その他の方法によって検査報告の内容を御趣旨の線に沿うて充実すべく努力してまいりたいと存じております。  それから中間報告の問題でございますが、アメリカ検査院のように個々の調査結果について個別に国会に報告するという方法もありますが、本院の場合にはアメリカと異なりまして、憲法の規定によって年一回定期に検査報告を提出することが義務づけられております。また、検査上の結論を下すに当たりましても、相手方の弁明を聴取するなど相当慎重な手続をとっておりますので、決算全体についてまとめて報告をさせていただいた方が私どもの事務処理上は非常に便利でございますので、その基本線は変えられないと存じます。ただ、国会から特定の事項につきまして調査要望されたような場合にはその件だけについての報告を特に行うことは可能でございますので、そういう線で処理させていただきたいと存じます。  それから、検査官の決算委員会出席でございますが、非常に重要な決算委員会でございますので、できる限り御趣旨の線に沿う所存でございますが、何分にも院長として院内外にわたるいろいろな仕事がございますし、いまちょうど検査報告の作成期で、その下調べあるいは検査会議をしょっちゅう開かなければならないような状態でございますので、そういうような職務の都合によりましてはお許しを得まして出席を御容赦願う場合もあろうかと存じますが、その点は御了解いただきたいと存じます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、今回の調査において、フランスドイツなどでは、会計検査院職員に対しまして司法官としての特別の待遇が与えられていたように思います。会計検査院調査官が会計検査という厳正なる職務に対する使命を十分自覚することはもちろん何をおいても必要なことであろうと思います。最近問題になっておりますような供応を受けるという事態など、これはもってのほかのことでございますから、特段に注意しなければならないと思いますが、他方、その仕事を公正かつ円滑に実施してもらうための予算的裏づけ、たとえば一般の公務員とは異なった特別の待遇を与えるとか、あるいは一般職から特別職にするとか、また給与の面でも特別な勘考をするとか、調査官が実地検査中の通信、運搬費等の雑費を自分の方で負担できるよう予算を獲得するとか、所要の対策を講ずる考えがないと、いつまでたっても綱紀粛正は名ばかりでその実施はむずかしいと思う。したがって、自分の行動は一切自分で賄い得るというようなことをも、予算的な裏づけがなければいけないと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  20. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 厳しい環境下において厳正なる検査を施行していくという面からいきまして、この待遇改善につきましては、ふだんから私たちの非常に心を砕いているところでございます。  それで、この一般の公務員とは違った待遇という面につきまして、二つの面が考えられるのでございます。  一つは、内閣から独立する機関として、会計検査院についても、国会、裁判所と同様に、制度職員を特別職として身分を一般職と異にした上で別途特別の処遇を図っていくということでございます。本院といたしましても、長年来特別職移行の検討を行っておるのでございますが、この問題は国家公務員制度全体にかかるものでありますし、対外的に法制面での問題等について各方面と折衝するとともに、内部的には特別職に移行した場合のメリット、デメリットいろいろございますので、あるいはまた内部組織等について検討を続行している次第でございます。  もう一つの面は、検査という職務の特殊性、困難性から、検査活動に従事する調査官について一般職の中において給与面からの待遇改善という方法でございます。このように他の官職に比べて特殊な官職にある者の俸給月額は一定の増額ができるという、俸給の調整という制度がいまの人事院の制度にございますが、これは特許庁の審判官等がこの恩恵に浴しております。こういうようなものについて、調査官についても適用を受けられるようにするという方向で関係当局と折衝を進めている次第でございます。そして、その具体策の一部として、四十九年度以降、特殊勤務手当といたしまして、現在は調査官が実地検査に出ますと一日当たり五百四十円というものを支給できるように制度化されておりますが、この金額について十分とは言えませんし、基本線の俸給の調整額という線で引き続き折衝を進めているわけでございます。  また、実地検査に当たって、受検庁に負担をかけないためにも、検査活動に伴う諸経費を何らかの形で本院予算の中に組み込んでもらうということも考えますので、そういう面についても検討したい、そういうふうに考えております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 いま検査院長から二つの場合、特別職にするあるいはしない、一般職のままで十分な調査のできるような考慮をすると言っていますが、この点について人事院のお考えを聞きたい。
  22. 長橋進

    ○長橋政府委員 特別職にしたらどうかという御指摘でございますが、その点についてお答えいたしたいと思います。  現在国家公務員法では、国家公務員職を御存じのように一般職と特別職に分けてございまして、特別職は法律上各号列記いたしまして明確になっております。国家公務員法第二条の三項の一号内閣総理大臣から始まりまして十八号の失業対策事業のため公共職業安定所から失業者として云々ということがございまして、特別職は、その業務の種類、性格から申しましてまことに多様でございまして、考えてみまするに、これは国家公務員法が、人事管理ということでいろいろ競争試験を基礎とするようなそういう厳格な成績主義の任用でございますとか、あるいは職階分類に基づく職務給与制度、それから厳格な服務規律、こういったような職員に適用されるいろいろな基準事項を定めてございますが、こういった制度をそのまま全面的に適用することが不適当落と思われるような職員につきまして、これを特別職というカテゴリーを設けまして区分しておるというふうに理解しております。  したがって、御指摘ございました特別職にしてはどうかということでございますけれども、特別職にしたこと自体ではどうも直接的に人事管理の面その他に効果を持つという関係にないということもございます。したがいまして、一般職の中でも仕事の種類がいろいろ分かれておりますので、特例を要するものにつきましては、国家公務員法で法律または人事院規則で特例を定めることができるという規定が設けてございます。要はその職責に応じた適切な人事管理をするということに尽きるわけでございますので、そういう意味で、実質的に、そういった会計検査調査官につきまして、どういうような処遇をすべきかということについて、検討させていただきたいというふうに考えております。  なお、勤務条件等の個々の問題につきましては、ちょっと所管が違いますので、担当官を呼んでおりますので……。
  23. 加藤圭朗

    ○加藤説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございました一般職の現行給与法の中での俸給の調整額で措置をしたらどうかというお話でございますが、実はこの俸給の調整額の制度につきましては、昭和四十七年以来毎年の夏の給与勧告に際します報告の中でも触れておりますように、現在そのあり方につきまして根本的に検討を加えている段階でございます。このため、原則といたしましてその新規適用につきましては、現在各方面からのいろんな御要望もございますけれども、その適用を見送っている状況でございます。  給与上の評価という点からいたしますれば、会計検査院調査官と似たような職務の特殊性を理由といたしまして、通産省あるいは運輸省、それから労働省といったようなところにも同様な適用の要求がございまして、そういった点もすべて現在のところ見送っておりますので、横並び等もいろいろ検討させていただきたいと思っている次第でございます。  なお、その他の給与上の処遇の面につきましては、その会計検査院調査官の職務の複雑性、困難性の高いこと、さらには専門性が要求されるといったようなこと等を考慮いたしまして、等級の格づけ面におきましても特別に専門職として取り扱っておりまして、それに必要な優遇措置を講じているわけでございますとともに、先ほども院長の方から御説明ございましたように、実際に検査に従事いたします場合の困難性等に対する評価といたしまして、四十九年に特殊勤務手当の中の会計実地検査手当というものを新設をいたしまして、実際に検査の業務に従事した場合には一定の手当を支給することとしております。  ちなみに、この手当につきましては、本年四月から、先ほど申されましたように、三五%のアップをしたところでございます。  以上でございます。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 ここで大蔵大臣にちょっとお伺いしますが、いまお伺いしたように、会計検査院の一日出張したときに宿泊料五千円と聞いているのですが、恐らく検査院ばかりでなくて他省庁もこれに類似していると思うのですが、現在五千円で泊まれるところありますか。民宿なら泊まれますがね。こういう実情に合わないことをやっておいて、そうして綱紀粛正云々などということを、モラルを高めると言っても実際には不可能ですよ。どこかから出さない限り、木賃宿いまほとんどないですから、泊まるわけにいかない。すると何らかの方法を講じなければいけない。これがやはり一つのすき問になって、ああいった建設省関係の問題あるいは他省庁にもあると思いますが、そういう問題が起きざるを得ない必然性があるということを考えると、これはやはり綱紀粛正という問題に対する一番の考えるもとは、大蔵大臣が一体実情に合っているのかいないのかをよく見て、つまらない細かい問題のようですが、この点をぴしっと、ちゃんと手当てをしたもので宿泊ができるように、少なくとも通信費その他雑費ぐらいは出張先の機関を頼らなくてもできるようにというようなことを、びしっと人事の基本の問題として予算的な裏づけをしない限り、いつまでたっても私はこういった問題の一掃は不可能だ、こう思いますが、どうでしょう。異常な決意で思い切って洗い直して実情に合わしたものにこの際変えるということを、しかも予算の編成期ですから、特に大臣の決意を実行に移すようにお願いしたいのですが、いかがですか。
  25. 坊秀男

    ○坊国務大臣 現在、予算の編成査定中でございます。そこで、いろんな給与関係の規定が実情に合わぬものを直せ、こういうお話でございます。これは直すということは、ただ単に会計検査院だけというわけにはまいりません。だからこういったようなものにつきましては、あるいは先ほど来関係各当局からいろいろと御答弁がございましたが、関係各当局と御相談を申し上げまして、無理なことを強いていくということは改善していかなければならないことに私も考えております。  そこで、各当局からお話ございましたが、財政当局が一体そういうことについてどう考えておるか。ただいまの御質問は、会計検査院職員の待遇について特別の待遇を行うということでございますが、そのことは他の公務員とのいま申し上げました権衡もあり、非常に単純にはいけない複雑なむずかしい問題であると考えます。これらの事項については、先ほども御答弁ございましたが、第一義的にはこれは何といいましても給与に関する専門的の第三者機関たる人事院が判断をせられることであろうと思いますが、大蔵省といたしましては人事院の判断を待って、必要と認められれば所要の措置を講ずることを検討してまいる、こういうわけでございます。これは前のことでございますが、いまこれで十分だと私は決して申しませんが、すでに四十九年以来の特殊勤労手当として、会計実地検査手当を支給しているところであります。それで、これ以上のことをやるということにつきましては、各部局等との関係もあると思います。  なお、御指摘にある通信費あるいは運搬費等の雑費について予算措置を講ずべきではないかとの点に関しましては、現地での通信、運搬等の利用状況等について検査院から十分実情を聴取いたします。聴取いたしまして、また他省庁の行うこれと同じようないろんな検査業務などもございますので、そういったようなものとの権衡の問題も考慮する要があろうと思います。これらの問題を含めまして今後検討をしてまいりたい、かように考えております。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 重ねて人事院と検査院長にお伺いしますが、いま大蔵大臣の答弁にありましたように、一にかかって人事院の答申待ちだという。現状を人事院はいいと考えているのか、あるいは何らかの大蔵省に対する答えを出して、改善をせよとなさるのか。  それから会計検査院長もいま言った通信費だ、運搬費だ、雑費だというようなものは事実要るんですから、その面に対しては強く大蔵省要望しなければいけないと思いますが、それはおやりになりますか。
  27. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 資料を整備いたしまして、実現方に努力いたしたいと存じております。
  28. 加藤圭朗

    ○加藤説明員 先ほどお答えいたしました件でございますけれども、俸給の調整額の適用要求につきましては、会計検査院の方からそういう御要望がございますことは十分承知しておりますけれども、何せ先ほど申し上げましたようにいろいろ各省共通の問題がございまして、もう少し時間をかしていただきたいと思うわけでございます。  なお、会計実地検査手当につきましては、本年の四月からこれはほかの特殊勤務手当も同様なアップを行ったわけでございますけれども、会計実地検査につきましてはほかの手当よりも大幅な改定を行ったばかりでございますし、今後とも増額等につきましての検討はさらに引き続いて進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 これはぜひやらなければだめですよ、進歩しませんよ。手当だってそればかりのものをやったってしようがないですからね。それは特に強く実行できるように、各関係機関が担当、担当で大蔵省に対する要望を出してもらうようにしたい。  それから三つ目に、各国では検査の目的が会計経理の合規性経済性から効率性を検討する傾向のように見受けられました。会計検査院としてはどのように考えますか。
  30. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 お説のように、会計検査院検査観点が、古くはいわゆる合規性の問題に始まっておるわけで、それから経済性検査に入って、さらに近年はいわゆる効率性の検査ということが非常に叫ばれまして、アメリカ等において非常に強くそういう線が打ち出されております。で、わが国におきましても、そういう意味におきまして効率性の検査も大いにやらなければならぬということで、近年努力してまいっております。  今後とも、その点について重大な関心をもって進めていきたいと存じておりますが、過去の例で申し上げますと、たとえば日本鉄道建設公団のやっております鉄道新線の建設につきまして、竣工までに長期間を要しているため、この間の社会的、経済的な情勢変化によりまして、相当数の鉄道新線として建設する意義が薄れるというようなものがございまして、建設費の投資効率を考慮して重点的に投資配分をすべきじゃないかというような意見を運輸大臣に申し上げたこともございますし、それからまた、近畿農政局でかつて実施しておりました北淡路の開拓事業、建設事業でございますが、これは既存農家の経営規模を拡大するというための開墾事業でございますが、開墾済み面積のうち相当部分が、会社員とか商工業者などいわゆる農家でない者に売り渡されておりまして、事業の目的どおりに利用されていない。また将来も利用の見込みがないというものがありまして、はなはだ非効率になっておるというようなことがございまして、近畿農政局長に対して改善の意見を表示したという実例がございますが、こういうような形で今後とも相当な精力を傾けてまいりたいと存じております。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、カナダイギリスなどは会計検査院職員が官庁に駐在しまして検査を行うという駐在検査の方法を採用していました。わが国ではこのような制度を採用する余地があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 お説のように、カナダ及びイギリスでは駐在検査をやっておりますが、これは過去の歴史によるものだと思うのですが、いわゆる大英帝国時代イギリスでは版図が非常に広くて、中央から全国出張に費用や日数もかかりますし、また当時は検査中心がいわゆる合規性検査に向けられておりましたので、このような方法で事足り、それが定着してきたというように考えるものでございます。  わが国におきましては、全国各地から送られてきます計算書や証拠書類について書面検査を常時行うことが可能でありますし、また、実地検査を必要とする場合も、狭い国土でございますので、かつ通信機関も発達しておりますので、必ずしも現地にいる必要がない。  それからさらに、特定の事項につきまして全国的視野から横断的な検査を行うという場合には、精力分散して現地駐在させておきますと、そういう検査にはどうも不向きであるというふうにも考えます。現にカナダイギリス等の国でも効率性の検査ということが行われ出してからは、本部に特にプロジェクトチームをつくって駐在検査の結果を補っているという次第でございますので、現在のところ各省に駐在して検査するという制度はとる必要はないのではなかろうかと考えております。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、対外援助や経済協力事業に対する会計検査について、アメリカ合衆国以外はまだ大きな関心を示していないように見受けてまいりました。これはいずれ会計検査上の大きな問題になると思うのですが、この点についていまから前向きに検討しておく必要があると思いますが、いかがでしょう。
  34. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 海外経済協力に関する投融資が最近非常に多くなってまいりまして、お説のように問題も出てまいっております。その融資の適正ということについて検査をやらなくちゃならぬわけで、しかしその融資の相手方が政府であるという場合も多うございまして、相手国に出向いて行うということはもちろん主権侵害の問題がございます。相手方の理解と協力を得なければこういうことはできないわけでございますが、交換公文の中でこの融資については日本会計検査院検査を受けることというようなことを明示できれば、日本検査院が検査を行うこともできますが、借款という友好関係を増進しようというたてまえでなされているものについて、相手国がこれを容認するかどうかということは非常に疑問でございますし、また借款が友好関係でなされているということについては、マイナスになっては困るというような面から非常にむずかしいと考えるわけでございます。  しかし、経済協力の金額が多くなる昨今でございますので、何らかの打開策を検討する必要があろうかと思われます。たとえばわれわれ会計検査院国際会議を持っておりますし、相手国会計検査院にそういう件に関する情報の交換を依頼するというような点も今後進めたらどうかと考えております。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 もろもろの答弁をいただいた。その答弁に一々質問したり意見を述べる時間がきょうはありません。したがって後日に譲りますが、この件に関する質疑はこれで終わります。     —————————————
  36. 芳賀貢

    芳賀委員長 引き続き大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは久しぶりに大蔵大臣にお会いしましたが、四、五点にわたってできるだけ大臣の答弁をお伺いしたい。  順序は、北富士の払い下げ地問題について久しぶりにまた少し大臣から答弁をもらいたい。二つ目に円高ドル安について、外為なり日銀の持っている日本のドル、このドル安による日本の損害がどの程度になるかということを数字でお伺いしたいと思います。それから三つ目には住宅ローン、非常に大事な問題ですが、この住宅ローンの扱いについて、特にきょう申し上げるのは、三和銀行がこれを扱っている上において不当と認められることがあるように思いますので、この点も具体的にお尋ねをしたい。次に農協の千葉県の信連、ここからの貸し出しが公社債などの値下がりをしたものの抱き合わせをやっているという事実がありますので、これは農林省からおいでいただいていると思いますので、その点をお伺いし、最後に物価変動会計についてお伺いするという順序でお伺いをしてまいります。  最初に北富士の問題を先にお伺いいたしますが、久しぶりに大臣によく聞かせなければいけませんから、よく聞いていただきたいと思うのですが、ついに二百十四ヘクタールの国有地の払い下げをされたわけであります。そのされる前になすべきことをるる私から注意をしておきましたが、大臣も、私の言うことも尊重する、山梨県知事の言うことも尊重したいというような答弁があり、いろいろ申し上げたその内客については十分に配慮する、考慮をすると言われてきたのですが、この払い下げが行われましたが、何ら考慮されていない、配慮されていないというふうにしかとれませんので、これからも逐次、きょうだけではなくてこの払い下げ問題に関しては具体的に追及をしてまいります。そうして国有地の払い下げ等の問題は、少なくとも恣意的に法律を拡大解釈してみたりというようなことがあって歯どめのない状態になることを何としても防ぎたいというので、私は北富士のこの国有地返還問題に関して好個の事例としてどこまでも追及してまいります。きょうはその第一部とお考えいただきたいのであります。  まず第一に、この払い下げ地が山梨県から恩賜林組合などに転売されると予測される事態に対しまして、国はどのような手段を講じているのか。大蔵当局はただそのようなことを山梨県はしないと信頼しているということだけでありますが、現実は、再払い下げへと急速に動いているのが現状なんだ。この現状についてこれからお伺いをしてまいります。  端的に言えば、同地の利用いかんでは、スズメの涙にもいかぬ違約金さえ支払えば、たとえば観光会社に売ろうが貸そうが、またどう利用しようが買い主たる山梨県の自由であるという契約を締結したことは、対国民の問題ばかりでなくて、憲法付属の法典とも言うべき財・会法等の根幹を揺るがすきわめて重大な問題でありまして、今後の国有財産行政に与える影響は甚大であると言わなければなりません。過去におい七問題とされた多くの国有財産にまつわる黒い霧は、なるほど一個人の私腹を肥やしたということで厳しく指弾されました。だがそれも、根幹をたどれば国有財産管理、処分等を規律する財・会法、国有財産法等の恣意的運用においてなされたものであり、その根は一つであると言わなければなりません。随意契約の適格性判断に当たって、その公用性という要件をその本来の意義である行政主体が直接に自己の行政目的、すなわち事務、本業に供するというようには解さずに、地方公共団体の用に供するものはすべて公用であるとの無限定な解釈をあえてなしたのはその最たるものと言わなければなりません。  それだけではない。国有財産法は国有財産の売り払い等に当たって、その売り払いの目的が確実に履行されるため用途指定制度を設けてその履行の確保を図っていることは御承知のとおりです。すなわちその運用に当たっては、用途指定として不動産の売り払いをする場合には契約に買い戻しの特約をするとともに、当該買い戻し特約の登記をすることについて相手の承諾を求め、売り払い財産にかかる所有権移転の登記と同時に買い戻し特約の登記を行うことを原則としているわけであります。     〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕  しかるに大蔵当局は、この地方公共団体に対する例外的取り扱いがあるのを奇貨として、この北富士返還国有地二百十四ヘクタールの払い下げ契約に当たってもこの例外的取り扱いを主張、採用しているのであります。  言うまでもなく、本件造林事業は、山梨県が直接に自己の行政目的の用として行うものではないのであります。したがって、山梨県は本件払い下げ地を普通財産として区分しているのであります。それゆえにこの用途指定制度の運用に当たっての例外的取り扱いのなさるべき根拠を本件払い下げ契約については欠いていると言って間違いありません。  前回の当委員会において、大蔵当局はただただ山梨県が第三者に払い下げるようなことは絶対しないと思う、信頼しています。また従来の取り扱いも地方公共団体には買い戻し特約を付さないことにしていますと主張しているだけだったのであります。  しかしこの場合、たとえば地方公共団体が買い受け人である場合は、その払い下げ目的が公用、すなわち直接に自己の行政目的に供するということであるから、あえて買い戻し特約を付するの要なしとして例外的に特約を付さないこともできるとしているのであります。言いかえれば、このような場合はその財産は行政財産となり、法制上、第三者の転売、転貸し等ができないということになるので、あえて二重にその履行の確保のための措置を講ずる必要なしとしました。だが、いま述べたように、従来の取り扱いにおいて地方公共団体に特約を付さないということは、その根拠が合理性を有する限りにおいて採用さるべきものであると思います。  繰り返し論ずるまでもなく、ほかならぬ払い下げを受けた地方公共団体が直接に自己の行政目的に供する場合には、これを行政財産とせざるを得ず、行政財産である以上、その財産の所有権の移転はもちろん、いかなる私権の設定もできないことは、地方自治法第二百三十八条の明記するところであります。かかる法制上の制約がある以上、あえて二重に特約までも付する必要がないということが、この例外的取り扱いの合理的根拠にほかならないと思います。  しかるに、本件払い下げ地は、この行政財産ではなく、山梨県有普通財産と区分されているのであります。従来の取り扱いの根拠が右の点にある以上、本件払い下げにおいてその例外的取り扱いを主張、採用し得る根拠は全く存在しないと言うべきであります。また大蔵当局は、山梨県を信頼しているということをその例外的取り扱いの根拠としているようであります。もちろん契約の相手方として信頼に値する者を選定しなければならないのは、あらゆる契約において要請されていることであり、そうでなければ財産管理者の背任である。言うまでもなく契約関係は、信頼関係にあってこそ成立するものだからであります。だがその信頼は信頼として、その契約の履行確保のための取り扱いとは全く別異のものである。  現に山梨県に払い下げられた途端、恩賜林組合への再払い下げのパスポートが出たと地元では論じられているのが現状であります。ただそれだけではない。その恩賜林組合は、その再払い下げを受けるための資金の積み立てすらいまや開始していると聞いております。これは事実であります。  その再払い下げの論拠を推測いたしますと、本件国有地払い下げは、自衛隊不法使用妨害排除訴訟取り下げの条件として決定されたものであること、及びこの土地を含む北富士山ろく一帯は、旧十一カ村住民が共同使用、収益してきた総有の入会地である。したがって、その管理団体である恩賜林組合の所有地にしてこそ完全な入会権の享有ができるということではないかと思われるのであります。そしてこのことが確約されなければ、分収造林契約もしないし、来年の北富士演習場の再契約も絶対に応じないとし、事実今日まで分収造林契約は二カ月余も難航したままでいるのであります。  このような現況にあって、だれが山梨県は絶対に再払い下げをしないと言えるでしょうか。大蔵当局が山梨県を信頼するのは、それはそれでよい。だが、四囲の状況がその信頼の恣意性を指摘しているのが現状であります。払い下げ契約に当たり、その随意契約適格性判断の恣意的解釈をなし、用途指定制度において恣意的運用をなし、信頼という融通無碍なる言葉でこれを糊塗せんとする。なるほど買い戻しの特約は、その払い下げ契約と同時にこれを付さなければならない、これは民法五百七十九条の示すとおりであります。その期間は十年を超えることができず、かつその期間の伸長も許されない。民法五百八十条によって規定されています。したがって、本件払い下げ問題については、かかる制約を有する買い戻し特約によって、その履行の確保を期することはもはや不可能であります。  また、本件払い下げの用途指定期間が六十年という長期にわたる点についても、十年しかカバーすることのできない買い戻し特約は、用途指定全期間についての履行確保の手段としても十全なものとは言えません。  そこで、まず法制局に伺いたいのは、本件のように、国と山梨県との間に土地売買契約が締結されましたが、その所有権移転と同時に買い戻しの特約登記がなされていないような場合、このような場合であっても、つまり売買契約が締結された後でも、たとえば国と山梨県との間で、将来同一の土地、すなわち二百十四ヘクタールを、一定の条件が満たされれば、すなわち国が買い取る旨の意思表示をすれば、山梨県から国へ移転するというような債務をあらかじめ発生させるようなことは法制上できないものかどうか。すなわち、国と山梨県が民法五百五十六条に言う再売買の予約をなすことによって、その後は国の一方的な意思によって、山梨県の承諾なしに売買契約が成立するというようなこと、そしてそのような権利が登記し得ることによって、山梨県から転得した第三者にも対抗できるというようなことは可能か不可能か。この点について簡単明瞭にお答えをいただきたいと思います。
  38. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいま御指摘の元北富士演習場の払い下げ問題につきましての御質問でございますが、それにつきましては先生御指摘のように、すでに売買契約が締結されておりまして、六十年といえば非常に長い期間にわたりまして特定の用途に山梨県としては供しなければならないという義務を契約上負っておるわけでございます。仮に、この契約に反しまして国の承認を得ることなしに他に転売するというようなことになりますと、第一に相当多額の違約金を払う必要があるわけでございますし、また場合によっては契約の解除ということも国側としては可能でございます。またさらに、損害が発生しておるような場合でありますと、損害賠償の請求もできるということになっておりまして、その意味で契約上相当いわばきつい担保がなされておるわけでございます。  買い戻し権の特約につきましては、先ほどもるるお話がありましたように、民法の規定によりまして、契約と同時に買い戻しの特約をした上で登記をしなければ第三者に対抗することはできないということになっておるわけでございまして、場合によってはこのような買い戻しの特約をするような契約もあると聞いておりますけれども、本件の場合には、まさに国と山梨県という地方公共団体との間の契約であるということにかんがみまして、先ほど申し上げたような法的な契約上の担保にとどまることが適当ではないかという判断から、先ほどのような契約の内容になっているというふうに私どもは聞いております。それから、今後におきまして仮に国と山梨県の間で民法の規定に基づきまして再売買の予約をしてそれを登記するという道も、これは法制的にはできないことはないと思うのでございますけれども、ただいまの国側の判断としましては、そこまでやる必要はないのではないかというふうに私どもは聞いておるわけでございます。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 法制局に国側の判断なんか聞いているんじゃないんです。法制局に聞いている一番の要点は、契約がされた今日の事態でも、民法五百五十六条によっていわゆる契約がなされるかどうか。いま場合によってはなされるというお話がありましたが、その点だけもう一度答えてください。再売買の予約。
  40. 茂串俊

    ○茂串政府委員 それは法律的には可能であると思います。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 だとすると、私は、いま述べたような理由から、買い受け人がただ単に山梨県という地方公共団体だからという理由をもってその取り扱いに差別を設けるいわれは絶対にないと考えます。かつ、その買い戻し特約の実効性を現在は期し得ない場合なのであるから、もう再払い下げはほとんど進行しているんですから、大蔵当局に対し、現時点においても実行可能であり、かつその用途指定の全期間をカバーすることができるような何らかの法的手段、たとえばいま言ったような再売買の予約等の手段を講ずべきことを要求したい。なるほどそのためには山梨県の同意承諾が必要であろう、だが大蔵当局はさきの委員会の答弁で、山梨県が再払い下げをするようなことは絶対ないとの全幅の信頼を置いている、そのよって立つところは、知事がはっきりと再払い下げをしないと表明しているからだと言う。そうだとすれば、もちろんのこと知事はあえて異議をはさむことなくこのような同意承諾に応ずるはずであります。まして私がいま指摘したように、再払い下げということは地元においては当然のこととされ、かつ地元の恩賜林組合がみずから進んでさきのわれわれの現地調査の折にも配付された文書等によっても明らかなごとく、具体的にその活動が積極的になされているといった状況にあるのでありますから、かかる疑念を一掃するためにも大蔵当局は何らの困難性もないはずの民法五百五十六条による再売買の予約を直ちにして当然だと思われます。つまり、この再売買の予約に山梨県が応ずるかいなかによって、大蔵当局が言う、山梨県が真に信頼に足る契約の相手方かどうかが具体的に判明する、踏み絵のようなものですが、いまやっておくことが転ばぬ先のつえだと私は思う。  大蔵大臣の責任ある答弁を、大臣からお願いしたい。
  42. 坊秀男

    ○坊国務大臣 ともかく国と山梨県との契約におきまして、六十年間はこれを植林事業ということでやっていくということを契約として結んでおるのでございますから、私はそういったような再払い下げとか再売買といったようなことは行われないものと信じております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 十年一日のごとく同じ答弁をしている、大蔵省は。私は坊さんのような民間、特に新聞ジャーナリストとして政界に入って今日をなしている、その意味では非常に尊敬する同僚と思っている。まるで官僚の言うとおりに振り回されている今日の大蔵大臣の姿は非常に遺憾なんです。大蔵官僚の言うとおりやっている。いま現に私が当委員会で何回も指摘したような事態が現地にはすでに行われつつある。再払い下げの何か一書をもらわなければ分収造林契約もしないと言っている。この事態が現に行われて、そのために大蔵当局は、すでに川崎さんなんかはスムーズにちゃんとすぐいくはずだと言ったものが、二カ月余もたっていまだに契約ができないでいる。その原因は何か。再払い下げをしてくれ、何らかの形でお墨つきをもらいたいと恩賜林組合は県に迫っている。したがって、それがどうしても難航しているために、いまだに県と組合との契約ができない。前に私が何回も指摘したとおりの事態が現地に起きている。したがって、転ばぬ先のつえ、民法五百五十六条によって再売買の予約ができるという道があるのですから、いまからやったらいいのじゃないか、やっておくべきです。国民の財産たる国有財産を、信頼します信頼しますと言って、万が一ついにだめだったらどうするのです。やれるのですから、やる道があるのだからやっておくべきじゃないか。もう一度、大臣答えてください。
  44. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘の点でございますが、用途指定を契約上はっきりとしております上に、違約金ということで金額まで打ち込んで契約をしております。そしてこの契約が成立したばかりでございます。その買い戻しの特約をいま改めてやり直す必要はないと考えざるを得ない状況でございます。
  45. 坊秀男

    ○坊国務大臣 私も、もしも違約すれば違約金という経済的なペナルティーと申しますか、そういったものまで甘受して、六十年ということに違約するというようなことはいまのところは考えられないと思います。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 とにかく石頭に水をぶっかけているようなもので話になりませんけれども、違約金、違約金と言うのですが、この土地が再払い下げをされた暁の値段を考えたときに、違約金なんというのはスズメの涙なんです。何でもない、こんなことは。違約金なんてこれっばかりですよ。違約金があるからあるからと言っても、違約金の十倍ももうかれば、違約金を払えばいいんだから、だれでも違約をするんですよ。いま現に土地中心にいっぱい行われている。そんなことを知っていながら、よくもしゃあしゃあとそんな答弁ができる。私は不思議でしょうがない。私の知っている大蔵大臣にしては、どうしても答弁は納得しません。やがてこれが現実の問題としてもっと深刻な問題として発展してくると思います。そのときにまたこの問題について触れていきたいと思います。  第二に、大蔵当局は当該払い下げ地を含む北富士山ろくには地元農民の入会慣行があることを承認し、かつ尊重することを明言してまいりました。しからば、その入会慣行は、この払い下げに当たってどのような形で承認されかつ尊重されているのか。いわゆる諸懸案問題という個別具体的な問題とは異なり、この入会慣行の承認及び尊重ということは、全払い下げ地にかかわる問題であり、買い受け人たる山梨県の用途指定の義務履行と全面的にかかわり合いを持つ問題でもあります。この点について契約書内容からうかがえることは、入会慣行のいの字の尊重もない、全く一般の土地の払い下げと何ら異なるところがないということに関してお伺いをいたします。  この北富士返還国有地払い下げ契約の内容を検討してみますと、さきの本委員会において繰り返し繰り返し慎重な取り扱いと配慮を要求してまいりました地元入会農民の当該払い下げ地に有する入会慣行については、その山梨県との間に締結された契約書のどの条項においても触れるところが全くないのであります。従来、政府は、地元入会農民が当該払い下げ地を含む富士山ろくの一帯に立ち入り、使用、収益する入会慣行を承認し、かつ将来にわたってこれを尊重すると言明したところでもあります。また、本委員会においても大蔵当局は、地元入会農民の該地に対する入会慣行を承認すると明言してもまいりました。一体この地元農民の入会慣行は、本件払い下げ契約締結に当たってどのように承認され、かつ尊重されているというのでしょうか。どこにあるでしょうか。  なるほど当該払い下げ地には、耕作者あるいは植林者が存在し、その利用者の存在している限り、払い下げ目的とした同地での林業整備事業の実施ができない。そこで、かかる地域については、個別具体的にその解決を図らんとして、いわゆる諸懸案問題としてたな上げをし、払い下げ後にその解決を延ばしているというのが現状であります。なお、この諸懸案問題は、個別具体的な払い下げ地の一部地域についての問題であります。そして、おのおのその問題については、耕作権の存否あるいは入会権の存否等の問題が絡み、きわめて複雑な様相を呈していることは事実であります。御承知のとおりです。  しかし、この耕作権や入会権の問題と、いままで大蔵省が認めてきた入会慣行の問題は別であります。大蔵当局は国会の指摘した利用権は尊重するとの趣旨の発言はいたしました。しかし、現実には土丸尾地区の耕作権はこれを承認も尊重もするとは決して言わなかった。また、同様に、入会慣行は承認尊重すると言いながら、檜丸尾の入会権に基づく植林というものを承認尊重するとも言わなかった。だがしかし、地元入会農民の入会慣行はこれを承認尊重すると明言しているのであります。大蔵当局の独自の見解に立った耕作権の否認あるいは入会権の否認は、その当否を含めていまここで論ぜんとするものではありません。これはまた別途やります。したがって、大蔵当局が入会権そのものを否認する以上、みずからの手によって作成した払い下げ契約書の内容にそれを容認するがごとき条項の存しないのは、その前提に立つ限り当然のことであるから、そのことを論ぜんとするものではありません。ただ、歴代の内閣が承認し、かつ当然のことではあるが大蔵当局も承認してきた入会慣行が、この払い下げ契約書のどこにも承認尊重されていないということを問題にしていきたいと思うのであります。  一方で地元農民の入会慣行を承認しておきながら、他方契約では全くこの点を無視する。否、単に無視するだけではない。大蔵当局は本件土地買い受け人たる山梨県にその用途を付して売却しているのであります。したがって、買い受け人たる山梨県は、その指定用途たる林業整備の実施を分収造林方式によって実現すべき義務を負わされているのであります。大蔵当局はこの義務の履行を山梨県に実現させなければならないと思います。この義務履行の要求は、結局地元農民の入会慣行、すなわち同地に立ち入り、使用、収益することと相矛盾することになるのは当然であります。言いかえれば、契約内容においてその存在を無視し、さらにその用途指定において買い受け人たる山梨県にその分収造林を強いることによって、完全にその入会慣行をどう解決するかの難問を解かなければ一歩も進まぬ仕組みになっているのが現状であります。一体、今日までの処置で、どこに入会慣行の承認尊重があると言えるのか。  川梨県が大蔵当局に提出した北富士県有地管理規則なるものがあります。当該払い下げ地についての管理規則でありますが、そのどの条項を見ても、入会慣行の尊重をうかがわせるものさえないのであります。これはもう大蔵省も御存じのとおりだ。否むしろ完全な否定にも等しい状態になっています。  その管理規則の第五条には、分収造林契約の締結について規定し、その契約の様式まで決定しております。それによると、第二十条、造林地の落ち葉、落ち枝及び下草の類については、造林者が自由に処分できると規定しております。地元農民は、当該払い下げ地については枯れ枝一本、否枯れ葉一枚すら手にすることができなくなるのがこの規定であります。挙げて造林者のものとなるのであります。  このように買い受け人たる山梨県も全く入会慣行なるものを認めていないことは、その払い下げ契約締結前にこの管理規則を提出させた大蔵当局は百も二百も承知のはずであります。  重ねて問いたいのですが、一体どこに大蔵当局の承認尊重している入会慣行があるのか。まさか、この造林者、すなわち恩賜林組合等地元地方公共団体が自由に処分できるという点において、地元農民の入会慣行が承認されているということではあるまい。これはもう矛盾します。地元農民は造林者のお世話になって暮らすもの、入会慣行の承認などとんでもない、これが言ってみればこの管理規則の規定している精神なのだ。地元農民は施しを受ける地位にあるにすぎないことになるのであります。大蔵当局は当委員会において地元農民の入会慣行を承認した。しかし払い下げ契約において、分収造林を地元公共団体に実施させんとすることにおいて、これを完全に否定せんとしておるのが現状であります。  買い受け人たる山梨県は、地元農民を施しの対象としてしか扱わないことになります。何の裏づけもなく施しを受ける者はこじきであります。かかる一連の事実は一体何を意味するのか。私は、大蔵当局が本委員会において入会慣行を承認すると答弁したとき、これは重大な発言であると評して、その具体的取り扱いをじっと見守ってまいりました。だがその結果は、その発言とは逆に地元住民の入会慣行を完全に否定した。その憤りが、去る十月二十日の決算委員会調査の折、本払い下げに賛成している諸君ですらがわれわれに対し入会デモを行うという事態を醸し出してまいりました。まことに、大蔵当局の本委員会での発言は、その場限りの無責任きわまるものであると言わなければなりません。  もっとも、いまなお大蔵当局は、本件払い下げ地に用途指定を付した以上、その責任において分収造林による林業整備事業の円滑なる実施を指導すべき地位にあります。そして、一方、本件土地の払い下げを受けるに際し、地元住民の従来の入会慣行の承継を約した山梨県当局も、いまだに地元、地方公共団体のいずれとも分収造林契約を締結していない。したがって大蔵当局の、地元農民の入会慣行の尊重という国会に対する約束を実現し得る余地はまだ十分あるのであります。  最後に私は、大蔵当局に対して、大蔵当局の責任において、入り会いのいの字もない北富士県有地管理規則の改正を行政指導するとか、または別途、将来、法的に疑義を残さない何らかの方法によって入会慣行を承認させるような措置を指導すべきではないかと思うが、この点に関する誠意ある大臣の答弁を願いたい。  さてここで、林野庁造林課長にもおいでいただきましたので、お伺いいたしますが、次いで答弁を願いたいと思います。  それは、山梨県では北富士県有地管理規則第二条で、知事は林業整備事業を分収造林特別措置法に基づく分収造林により実施するものとすると規定しています。しかして分収造林特別措置法第一条一を見ますと、「土地所有者を当事者とする契約においては、土地所有者は、造林者のためにその土地につきこれを造林の目的に使用する権利を設定する義務を負うこと。」と規定しています。だとすると、同地における、大蔵当局も認めている地元住民の入会慣行が、分収造林の目的に使用する権利、たとえば地上権の設定と衝突する場合、その障害となる地元住民の入会慣行の始末をつける義務を負うのは土地所有者たる山梨県であると解してよいかどうかを簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  47. 坊秀男

    ○坊国務大臣 この本地をめぐる種々の地元問題につきましては、今後とも山梨県に対しまして、地元関係者と十分に話し合い、円満に解決するよう指導してまいりたいと思っております。従来どおり入会権は存在しないと考えておりますが、入会慣行につきましては尊重するという立場で山梨県を指導してまいりたい、かように考えております。
  48. 森本泰次

    ○森本説明員 ただいま御指摘の件でございますが、分収造林特別措置法によりますと、土地所有者は造林者に対しまして御指摘のとおり地上権を設定する義務を負うということでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、もう一度答弁をいただきたいんだが、いまの——ほかのことはまた後で具体的にお尋ねをしてまいりますが、山梨県当局に対して入会慣行を尊重するように指導をいたしますという答弁がございました。当然のことだと思いますが、これは文書でおやりになりますか。
  50. 坊秀男

    ○坊国務大臣 これは慣行でございまするから慣行として尊重してまいる。文書でそれを表現するということはいたしておりません。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 一応北富士払い下げ問題はこれで終わります。  ここで会計検査院にお願いをしておきますが、従来からこの払い下げについてはるるいろいろな問題の指摘を行ってまいりました。しかも、その恐れている事態というものは私の指摘したとおりに、いま現地の難問として横たわっているのが現状であります。いま申し上げたとおりです。     〔丹羽(久)委員長代理退席、委員長着席〕  民法五百五十六条による再売買の契約等に関しては、先ほど答弁のあったようなていたらくではございますが、少なくともその精神は私の恐れているものを防ごうという気持ちにおいて大蔵省当局も変わりはないと思うのでありまして、したがって最後には入会慣行の尊重を文書で指導するというような答弁までいただいたわけであります。会計検査院としては、従来はそうですが、今日もこれ以後もこの問題に関する私の質疑を通じまして、十分に私どもの法律の根拠を置いて尋ねたり、恐れておりますこの状態というものを、検査院の立場で毅然として今後も見守り、適時適切にこれに対する良否の判断をしていただくようにぜひお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  52. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 これに対します会計検査につきましては、いままで御質問がございましたときがまだ会計経理に入っておらない状況でございました。したがいまして、われわれとしてははっきりしたことを申し上げられなかったわけでございますが、契約が締結されまして、会計検査院としてはきわめて異例なのでございますけれども、契約が締結されました途端、十月三日から六日まで一応現地状況が変わらないうちにということで約十三人目使いまして会計検査を実施したわけでございます。そして、その際に現場の方々にもいろいろ御意見を伺いました。先生が憂慮しておられるようなことを口にされる方もあるということはわれわれも確認しております。したがいまして、こういう植林でございますので、植林適期というのがあるわけでございますけれども、恐らく来年の五月かそこらじゃなかろうかと思いますが、結局現在に至りましても分収造林契約さえできないということは、われわれとしてはやはり憂慮すべき事態と考えます。したがいまして、この検査は、今回もかなり早目にやったわけでございますが、早目早目にやっていきたい、そのように考えておる次第でございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 北富士関係の林野庁その他どうぞお帰りいただいて結構です。  次に、円高・ドル安についてお伺いをしてまいります。  私は最初に、日銀また外為のドルはどのくらいあるのか、先ほども予告しましたように、その数字をちょっとお聞かせいただきます。
  54. 旦弘昌

    ○旦政府委員 九月末の外貨準備高が総額で百七十八億六千八百万ドルございますが、そのうち外貨の分が百五十二億四千二百万ドルございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 日銀と外為の割合はどのくらいになりますか。
  56. 旦弘昌

    ○旦政府委員 各国におきまして外貨準備がどこがどれだけ持っておるかということは発表いたしておりません。したがいまして、日銀及び大蔵省が持っております総額だけいま申し上げましたが、それ以上御容赦いただきたいと思います。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 いま、きょう現在でもきのう現在でもいいですが、手持ち外貨のドルの評価を幾らにしていますか。
  58. 旦弘昌

    ○旦政府委員 外為会計法によりまして、ドルの評価は基準外国相場ということで評価することになっておりまして、その基準外国相場は一ドル三百八円でございます。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 基準の相場三百八円ということになりますと、現在円高円高が続いていて二百四十五円四十銭、きのうの終わり値、二百四十四円か五円かな。そういう高値を記録更新をしていますし、状況によってはまだ円高が続くと見なければいけないと思います。私はアメリカがドル安に耐えている間はどうも円高がまだ進むんじゃないかというふうに違ったいろいろな理由から推測をしている一人でございますが、ということになりますと、恐らく二百四十円、二百五十円というものがこれ以上安くなることはほとんどない、円高が続くということすら予想される状況ですから、三百八円という基準で計算をしておりますと、一体損失はどのくらいになるでしょう。ドル安による損というものはどのくらいになるか、これは日本の円でひとつ言っていただきたい。
  60. 旦弘昌

    ○旦政府委員 先ほど御説明しましたように、日本が保有しております外貨は大部分が米ドルでございますので、したがいまして、円高によってその分だけ減価しているのは事実でございます。ただ、一方、外貨の運用によります運用益もございますわけでございまして、その目減り分がどのぐらいかということを算定するのは非常に困難でございますし、私どももそういう計算をいたしておりません。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 七一年のときのあのショックに対応したことがあると思いますが、あのときも計算をしなかったのですか。
  62. 旦弘昌

    ○旦政府委員 おっしゃいます四十六年の十二月にスミソニアン・セントラル・レートが決まりまして、それまで三百六十円でございましたのが三百八円になったわけでございます。したがいまして、外為会計におきましては三百六十円と三百八円の差額を評価損として計上してございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 あの当時、それが必要だから計算をして手当てをした。今日の段階で三百八円が二百四十四円あるいは二百四十五円になったときに、やはり大きないわゆる減少というものはどのくらいになるかということを円で表示するようなことがなぜできないんですか。さっき予告したじゃないですか。簡単に計算できるじゃないですか。
  64. 旦弘昌

    ○旦政府委員 外為特別会計法の八条におきまして、この会計におきます外国為替の価額は、ドルにつきましては基準外国相場で評価するという規定になっておりまして、したがいまして三百六十円もその当時の基準外国相場であったわけでございますが、それが三百八円に改定になりましたのでその間の評価損を計上したということでございまして、この会計法におきまして、先生のおっしゃいますようなそれぞれの時価に対する評価損、それが幾らかということについては計算を求められておりません。それからまた現実問題といたしまして、介入をいたしまして買った、たとえば三百円のときに買いました外為会計のドルが現在では二百四十五円何がしになっておる。そうしますと、その間の差額をずっと計算を積み上げていかないと実際の評価といいますが、それも一つの計算だろうと思いますが、それはきわめて複雑な計算になりますし、法律でそれを求められておりませんので、そういう計算はいたしておりません。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 決算委員会において調査の必要上、私がそのことを、計算を求めているんですが、これは法律上求められていないから、おまえの言う、幾ら求めがあってもそんな計算はしないという根拠は何ですか。私が決算の上で調査を必要としているのにその計算をしないという理由は何ですか。
  66. 旦弘昌

    ○旦政府委員 ただいま申し上げましたように、それぞれの外為会計が外貨を取得したときと現在の相場、その差額を出すということは大変複雑な作業になりますので、非常に困難であるということを申し上げたわけでございます。ただ、三百八円で評価して、現時点でそれが一括二百四十五円何がしということで評価するということで一応計算するということは可能でございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 私の求めているのはその一応の計算です。幾らになります。
  68. 旦弘昌

    ○旦政府委員 ただいまその計算はいたしておりませんので、数字を持っておりませんが、計算することは可能でございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 恐らく驚くような数字になることは私が計算しても大体わかるんですが、それを計算したものを後で出していただきたいんですが、よろしゅうございますか。
  70. 旦弘昌

    ○旦政府委員 その時期、現在の、昨日の終わり値というようなことで計算いたしますれば、それは提出させていただきます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 時間が相当かかるんですか、それ。
  72. 旦弘昌

    ○旦政府委員 三百八円と昨日の終わり値、それから九月末の外貨の高ということでございますが、ただ、先ほど申し上げましたのは外貨全体の額を申し上げたわけでございまして、その大部分はドルでございます。ただ、その外貨の中の内訳が貨種別にどういうふうになっているかということは、これはまた各国とも出しておりません。したがいまして、大ざっぱにその外貨の保有高が全部仮にドルであるというふうにみなして、そして三百八円と昨日の終わり値ということで計算をさせていただければわりあいに早く御提出できると思います。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 何を恐れて言わないのか。それで結構ですから、出していただきます。  この基準の相場三百八円から二百四十五円になり、二百四十円になり、二百三十五円になるようなことがあってどんどんいきましたときに、その減少に対する何らかの手当てをしなければいけないのか、しないでも、ほうっておいてよろしいのか、この点どうでしょうか。
  74. 旦弘昌

    ○旦政府委員 外貨準備の中で特に外貨の保有につきましては、評価が、だんだん円高になりますにつれましておっしゃいますような損が出てまいります。したがいまして、これを防ぐ方策といたしまして現在外貨につきましては運用をいたしております。たとえばアメリカの財務省証券を買うというようなことで運用いたしておりまして、それらの運用益が毎年入っておりまして、それらをもってその価額の減少を防止する手だてといたしております。一方、日本の場合には金が少のうございますから、金の多い国の場合には、その金の運用ということはございませんのでこれからは運用益が出ないわけでございますが、日本は外貨の分が多うございますので、運用益がかなりあるわけでございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 その運用益がどのくらいあるかを、たとえばことしの十月なら十月末で切ったらば出ますか、どのくらい運用益があるか。
  76. 旦弘昌

    ○旦政府委員 この運用益につきましても、各国の通貨当局は、どれだけの運用をしてどれだけの運用益が出ているということを発表いたしておりません。したがいまして、その点につきましても御容赦いただきたいと思います。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 では、先ほどのは後でちょうだいします。  それから日銀の準備金、積立金というのはどのくらいあるのですか。
  78. 徳田博美

    ○徳田政府委員 日本銀行の資産勘定におきましては、資産として貸出金、買い入れ手形、国債、債券、海外資産等がございまして、積立金という数字はございません。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 準備金は……。
  80. 徳田博美

    ○徳田政府委員 日本銀行の貸借対照表、手元に持ち合わせませんので、後でまた御報告申し上げます。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、先ほどの資料をいただいた後でこの問題、また御質問申し上げます。  次に、住宅ローンの問題についてお伺いします。  いまの経済の実態を見たときに、政府もようやく本腰になって持ち家千五百万円というものを基準にした考えをこれからつくり上げて、そのローンに対しては三から五%程度の利子補給をするというようなことをきょうの新聞だか、きのうの新聞で見ました。そういうことが真剣に討議されるそうであります。私は、いまの状況を単に住宅建設で国内需要を喚起していこうとしても、これだけではむずかしいと思います。思うのですが、しかし、住宅ローンというものは非常に大事なもんなんです。特に持ち家を考えている諸君というものは数多くいて、ローンに頼る気配というものは非常に濃厚なわけであります。ローンは少なくともある意味では、民間の企業がやっているには違いありませんが、その意味では国家的な重要な課題なんですから、公平であり、また何ら不平不満を持たれないように、どこへ行っても同じような状況、条件下にできる限りスムーズに住宅供給が進むようにというのがローンのたてまえだと思いますが、この点、大蔵大臣、どうでしょう。
  82. 坊秀男

    ○坊国務大臣 住宅ローン政策はお説のとおり非常に大事なものでございます。さような意味におきまして、できるだけ公平にこれが普及していくということが大事なことだと思います。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 このローンに対して住宅金融専門会社が七つあるようです。日本住宅金融株式会社、住宅ローンサービス株式会社、株式会社住宅総合センター、相銀住宅ローン株式会社、第一住宅金融株式会社、地銀生保住宅ローン株式会社、日本ハウジングローン株式会社、七つあるようですが、この七つの会社の性格と目的と、現在の事業内容をちょっと……。
  84. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  これらの住宅金融会社は、いずれも金融機関が共同して住宅金融をさらに推進するために設立した会社でございます。  日本住宅金融株式会社は四十六年に設立されまして、都市銀行、地方銀行、生保が主要な株主になっております。現在の融資額は、五十二年九月末現在でございますが、二千六百八十二億円でございます。  それから住宅ローンサービスは、同じく四十六年に設立いたしまして、都銀、地銀、生保が主体になっております。融資残高は二千三百四十億円でございます。  住宅総合センターは、同じく四十六年に設立されまして、信託銀行が主体になっております。融資残高が二千百二十五億円でございます。  相銀住宅ローンは四十七年に設立されまして、相互銀行、長期信用銀行、生保等が株主でございまして、融資残高が二千三百四十六億円でございます。  第一住宅金融は五十年に設立されまして、地方銀行、証券会社、相互銀行等が株主でございまして、千二十六億円の融資残高がございます。  地銀生保住宅ローンは昭和五十一年に設立されましたが、この名前が示しますように、地方銀行と生命保険会社が共同して設立した会社でございまして、融資残高は同じく五十二年九月で六百六十八億円でございます。  日本ハウジングローン株式会社は五十一年に設立されまして、主要株主会社は証券会社、損害保険会社、長期信用銀行でございまして、融資残高は五百六十二億円でございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 目的は……。
  86. 徳田博美

    ○徳田政府委員 目的でございますが、一般の民間金融機関と申しますか、頭金を扱っている金融機関の場合には、御承知のとおり預金者保護の観点から資産内容についての健全性が必要とされますので、融資を行うに当たりましても、当然資産回収の、貸し出し内容の健全化というようなことでいろいろな制約があるわけでございますが、さらに手続を簡便化して住宅金融をより借りやすくするために、各金融機関が集まりまして、これらの住宅金融会社はこういう金融機関からの借入金で資金を賄っているわけでございます。したがいまして、そういう性格から貸し出しのしぶりについても若干のニュアンスの相違がありまして、貸し出しの対象となる住宅、土地の担保の価格というものに着目いたしまして比較的簡便に貸し出しを行っているわけでございます。そういうような見地から、住宅ローンを総合的に推進するという目的でこういう住宅金融会社が立てられているわけでございます。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 この会社の設立認可はどこでやるのでしょうか。
  88. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これらの会社はいずれも貸し金業でございますので、出資の受入等に関する法律に基づきまして届け出を行って、それで足りるわけでございます。  ただこの七社につきましては、住宅金融上非常に重要な地位を占めておりますので、住宅金融の推進を図る見地から大蔵省直轄といたしております。したがいまして、大蔵省が直接監督をしているわけでございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 この七つのほかに、AならAという銀行が独自にこれと類似の機関をつくって、そしてローンの貸し出しを行うというようなことがありますか。
  90. 徳田博美

    ○徳田政府委員 個々の金融機関が、その金融機関だけで住宅金融会社をつくるということは認めておりません。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 認めていないはずのそれが三和銀行にあるわけですね。みどり会と称しています。三和銀行の主要な取引先百五十社がつくっているみどり会というものがあります。三和銀行の十階にあります。御存じですか。
  92. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のみどり会、これは株式会社でございますが、それが存在いたしまして、これに対して三和銀行が株式を四%出資しているということを知っております。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 そのみどり会に認可を与えないのに、七つの会社と同じような事業をやってよろしゅうございますか。
  94. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、民間の金融機関が一行だけで、あるいはそれが主体になって、つまり関連会社として住宅金融会社をつくることは現在認めてないということを申し上げたわけでございまして、このみどり会は、実はそういう関連会社の範疇に属さないわけでございます。一般の民間金融機関が、関連会社を通じていろいろな業務をすることについては非常に問題がございますので、昭和五十年に規制を行いまして、特定の業務に限って関連会社が行うことを認めているわけでございます。逆に言えば株式の保有が五%以下であり、かつその会社の役員がその銀行から出向したものではない会社につきましては、これは関連会社ではないという認定を行っておりまして、したがってこれについては営業活動は自由である、こういうような扱いをしております。
  95. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの七社と類似の営業活動をしても自由だ、そういう意味ですか。
  96. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、一つの金融機関からの出資の比率が五%以下であり、かつ役員にその銀行から出向ということがなくて、またその銀行との間に貸し出しその他の取引において特別な関係がない、一般の取引として行っている場合にはその銀行の関連会社とは見ていないわけでございまして、したがって自由に営業ができる、銀行行政上は特にそれに対しては何の関連も持たない、こういうことになっております。
  97. 原茂

    ○原(茂)委員 ローンの貸し出し、すなわち銀行業務に関連していたらどうなんですか。
  98. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のみどり会の場合には住宅金融をやっているようでございますが、これは貸し金業として行っているわけでございまして、貸し金業は届け出制で自由に営業するたてまえになっておりますので、そのような業務を行っているわけでございます。
  99. 原茂

    ○原(茂)委員 大蔵省は何をよく見ているのかしりませんが、しり抜けといいますか、こういう種類のことを許しておきますと非常に問題になるのじゃないかと思う。たとえば三和銀行へ行ってローンの持ちかけを業者がやります。すると、ちょっとおまえさんのところは条件が悪い、だが十階へ行ってみどり会へ相談をしなさい。いいですか、住宅ローンですよ。みどり会へ行って相談しますと、一・五%の手数料をくれるなら、ちょっといろいろな問題はあるがローンの貸し出しをしようではないか、こういうことになって、事実みどり会が三和銀行に話すと、窓口に行ったときにはどうもちょっと問題があると言って拒否されたものが、十階のみどり会へ行きなさい、行ってみると、そこで一・五%払ってくれるなら多少問題があるけれどもまあ融資できるようにしよう、みどり会が三和銀行に話しますと直ちにローンの融資が実際に行われるのであります。そのかわり一・五%よこしなさい。さっきの七つの金融なりサービスはどのくらいの手数料を取るのかもひとつ答えながら、いま申し上げたようなことは全く銀行と関連のない状態ではないのでありまして、銀行の窓口が、ちょっと問題があるからだめだけれども十階のみどり会へ行ってみなさいと言って、みどり会へ行くと、するとちょっと問題があるが一・五%手数料をくれるなら融資ができるようにしてやろう、みどり会が三和銀行の窓口へ話すと融資が可能なのであります。これは銀行にまさに直結した関連があるじゃありませんか。こういうことが許されていいのかどうか。それから他の七つの会社、手数料はどうなっているのか。
  100. 徳田博美

    ○徳田政府委員 最初の住宅金融専門会社でございますが、これは各会社によって若干内訳は違いますけれども、実質的に手数料その他を取っているところもありますし、そのような形をとっていないものもございますが、実効金利は現在九・八四%でございます。  それから、先生御指摘のみどり会の扱いでございますが、仮に先生御指摘のように、みどり会を利用させるために、三和銀行で本来融資できるものを断ってそちらの方に回しているということがあれば、はなはだ好ましからぬ取り扱いと考えられます。しかしながら、場合によっては、先ほど申し上げましたように、預金を扱っている金融機関としてはいろいろな資産内容の健全性という見地から融資しがたい場合もあるわけでございまして、そういう場合にはあるいは好意的にそういうものを紹介するケースはあり得るかと考えられます。
  101. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、後段に、好意的にそういう場合もある。三和銀行の十階に置いておいてそこへ行け、相談をしろというようなことが、単なる好意的なケースばかりだと考えることは少し無理です。あなたは、少なくともこの種のことを窓口では断っておいて上へ通せば融資ができるというようなことはよくないとおっしゃったのですが、そのケースの方がほとんどなんだというような実態がありますから、これに対しては、私はひとり三和銀行だけをいま例にとりましたが、他の銀行その他にもその種のことがあるかもしれませんから調査を願いたいのと、三和銀行のみどり会との関係の実態の調査をして、これに対しては厳しい規制をしていただきませんと——現に行われている何人かあるいは十何人かを私は知っているのであります。その例を一々言えというなら言ってもいいのですが、これはまた業界の問題もあるでしょうし、その事例を一々は申し上げません。申し上げませんが、この種のことをやはりほうっておいてはいけない、十分な調査をして指導しなければいけない大蔵省の立場だ。五%以下の出資だった場合には関連会社ではございません、だから何をやってもいいんだと言わんばかりの先ほどの答弁だったのが、だんだん変わってきて、いまの内容ではよくないということになったわけですから、これに対する適切な指導をぴしっとやっていただくように、私はほかにもあるかと思いますから、ぜひひとつこの点の指導を強化していただきたい。三和銀行に対していまのみどり会との関連を調査して指導をするかどうかは大臣から約束をお願いしたいのです。  同時にお伺いしておきますが、住宅ローンを使いたいという人間は条件があるのでしょうか。一流会社に勤めている者とか、二部上場会社に勤めている者とか、あるいは三和銀行なら三和銀行に取引のある者とか、みどり会の幹部の縁戚なり友人であるとかいうような条件がついたときに、その条件はやむを得ないと思いますか、その条件が妥当なのかどうか、そういう条件を付してよろしいことになっているのかどうか、二つ目、これをあなたから聞きたいのです。  大臣からまず先に、いま申し上げたように、適切な指導をするという決意をお伺いをしたいので、答弁を願います。
  102. 坊秀男

    ○坊国務大臣 よく実態を調べてみまして、そして御指摘のような必ずしも妥当でないような問題がありますれば、これに対しましては指導をしてまいるということでございます。
  103. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  銀行の住宅ローンの融資についての基準でございますが、先ほど申し上げましたように、資産内容の健全性を保持するたてまえから、それからもう一つ住宅金融というのは非常に件数が多いわけでございますので、多数の案件を敏速に処理するたてまえから、通例一定の基準を持っているわけでございます。これにつきましては月収あるいはそのほか担保物件の内容とかそういうものについていろいろの基準があるわけでございます。それから、当然債権の回収の確実性という点から見ますと、その債務者、借りようとしている人の勤めている会社というようなことも一つの判定の条件になろうかとは思いますけれども、先生御指摘のように、特定の会社について優遇するというようなことは、大臣がお答え申し上げましたように、機会の均等ということから問題があるわけでございまして、そういうことは好ましくないと考えております。
  104. 原茂

    ○原(茂)委員 それではいまの三和銀行の件はそれで終わります。  次いで、農林省からもおいでいただいていますが、千葉県の信連から借り入れを行うときにありましたような事例をこれから申し上げますが、それに対してはどうお考えなのかをお伺いしたいと思います。  あるところで県信連から何億かの金を借りようということになり、銀行保証をつけて借款の申し入れをいたしました。借り入れの申し入れをしましたら、何億かを貸してやるという返事が参りました。手続をするために信連へ参りました。参りましたら、そこで実は現金がたとえば八億しかない、二億は社債でひとつどうだろう。欲しくてしょうがないから、借りる。もう現金を貸してもらえるという返事があるまでに相当の時間がかかっているのですね。そうして貸してやるというから、行きました。そうしたら現金がちょっと足らない。そのちょっとが十億で言うと二億、それは当時非常に値下がりをしている社債、ひとつこれの額面で勘弁してくれないか。信連そのものの損失補てんにはなるかもしれませんが、借りる人間にとっては、のどから手が出るほど欲しい金ですから、したがってどうもそんなものをくっつけるんじゃ要らないというわけにいきませんから、ついに承認をしたのです。だから合意には違いない。違いないが、その種のことがほかにも行われています。一社だけではない。したがってこれに対しても適切な指導をしないと、こんなばかな、値下がりをしている社債などをおっつけて、しかも抱き合わせ融資を公然と行うようなことが許されてはいけないと思いますが、この点きょうおいでいただいたと思いますから、農林省の佐々木さんですか、お答えいただきたい。
  105. 佐々木富二

    ○佐々木説明員 ただいまの千葉県信連の事案につきましては、私どもまだ十分承知しておりません。ただ御指摘のように、もしそういう事実がありますれば、これは決して好ましいことではないというふうに考えます。早速実情を十分調査いたしまして、しかるべく是正方を指導したいというふうに考えます。なお、従来から御指摘のような事例が二、三ございまして、これらについてはいずれも同様の方針で措置してまいっております。
  106. 原茂

    ○原(茂)委員 私がきょう、三和のことも県信連のことも申し上げたのは、そういうあらをつついてどうこうしようという意図は毛頭ありません。しかし、そのことで不当に迷惑をしている者が非常に数多くありますから、したがって、適切な指導を早いうちにしていただくようにということが私のねらいで申し上げたわけですから、どうぞそのつもりでひとつ処置をしていただきたいと思います。  次に、これは大蔵大臣に途中でちょっとお聞きしておきますが、最近の経済の情勢を見たときに、冷え切ったいまの景気、経済を考えて、来年度の予算編成に当たっては、国債の三〇%の枠も、もうしようがないから枠を飛び出して、そうして内需の拡大を図るために思い切ってとにかく国内向けに金を使っていくのだというような声が方々から出ています。その上にOECDが御存じのように日本に対して大胆に、おまえのところの三〇%の国債の枠というのはけしからぬ、これをはみ出しても内需拡大に向けてもらわなければ困るというような見解を表明されましたが、大蔵大臣、これはどういうふうにお受け取りになり、どう対処しようとしていますか、まずお伺いしたい。
  107. 坊秀男

    ○坊国務大臣 大蔵省といたしましては、ただいま予算の編成査定中でございます。方々からどうしなければいけないという御意見なり、御忠告なり、いろいろなものが私の耳にも入ってまいっております。今日大蔵省は、いまの財政の事情をよく検討しておるところでございますが、従来どおりやはり来年の公債依存度というものについては、これをどんどんせきを切っていくなどというようなことは全然考えておりません。
  108. 原茂

    ○原(茂)委員 OECDのそういった見解に対しては、よけいなことを言うなとか、間違っている、あるいはいまおっしゃったように、全然そんなことはOECDから言われても考えない、このどちらなんでしょう、もう一度お答えいただきたい。
  109. 坊秀男

    ○坊国務大臣 先ほど申しましたとおり、国内においてはいろいろな意見が私の耳に入ってきておりますけれども、OECDから正式にそういったような日本に対する要請なり、そういうものはまだ私はお聞きをしておりません。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたは寝坊しているのか何なのか、新聞もラジオもテレビも余り見ないのかどうか知りませんが、正式に来てないからというのでしたら、それがもし正式に届いたときに、OECDの、三〇%の国債の枠ははみ出しても内需拡大に踏み切るべきだ、こういった意向に対してはどうお考えになりますか。
  111. 坊秀男

    ○坊国務大臣 とにかく日本のこの財政でございまするから、まず第一にやはり日本が自主的にこれを考えていく、こういうことで、OECDからもしそういう話がありましたら、これに対してもちろんお答えはいたしますけれども、いまのところは、日本財政を決めるに当たりまして、やはり第一には自主的にこれを決めていくということが非常に大事なことだと思います。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 OECDの意向というものは、内閣として参考にはしますか。
  113. 坊秀男

    ○坊国務大臣 もちろんOECDの意見というものは考えなければならないと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほどお答え申しましたとおり、財政は自主的に決めてまいりたいと思います。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一つ大臣にお伺いしたいのですが、一般消費税、付加価値税の問題がずいぶん長く論じられてまいりました。しかし、一般消費税を課するということになると、その前に租税特別措置法等の手直しをしなければいけない。中でも医師の優遇税制に対しては、とにかく毅然たる態度で何らかの改正を加えない限り一般消費税に手がつかないということになって、いま医師優遇税制をどうするかを厚生大臣ども一緒になって一生懸命に骨を折っているようでありますが、一体、医師優遇税制というものに対しては何らか曙光が見えたのでしょうか。改正をして、思い切って一般消費税が打ち出せるような下地をつくるために、常識の線まで七二を下げるというような見通しがついたのか、いま努力をしているのか、もうあきらめちゃって、優遇税制はそのままにしようとなさるのか、どうでしょうか。
  115. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いわゆる医師優遇課税につきましては、先般の税制調査会の税制に対する答申の中にも、これは強く要望されております。本来、税制調査会の答申というものは、私どもはこれを尊重してまいりたい、かように考えております。そういったような意味からも、しからば、この税制調査会の広範なる答申を全部一年度にやっていこうということは、これはとうていできることではないと私は思いますけれども、その中で五十三年度に何をとり、何をおくかということについては、今度新たに生まれました税制調査会において、五十三年度の税制ということでさらに検討をしてもらうということになっております。恐らくは税制調査会も、いま日本にとって租税上大事なことは、何と申しましても不公平税制を是正していくことが第一だということは、大事な項目として速やかにこれをやっていかなきゃならぬということは、お考えいただくことと思います。さような意味におきまして、私どもといたしましては、税の中で一番大事なものは、制度の面においても、あるいは執行の面においても、これが公平であるということを何としてでも考えていかなければならぬというような点から考えまして、いわゆる医師優遇課税是正というものにつきましては、できるだけ速やかにその実現を期してまいりたい、かように考えております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 それで、その方を考えているうちは一般消費税には手がつかない、優遇税制に対しても手がつかない、考えてはいる、税調の答申どおりに不公平の是正はしたい。まあ、われわれがざっと考えてみて、何もかにも、とにかく一般消費税の場合でも一般大衆に対する増税になる。非常に重要な問題だと思っているやさきに、それがうまくいかないからといって、今度はたばこと酒は三〇%前後の増税をして、そうして四千五百億円ぐらい浮かすのだということでまたぞろ大衆課税に目をつける。税調がせっかく言ったのにもかかわらず、租税特別措置に対しては十分な手当てをできない。抵抗があってなかなか進まない。とすると、最も弱い大衆に対してまたぞろ、とりあえず来年度の予算では酒、たばこに対する三〇%の引き上げという、大衆に対する課税と同じことをまたお考えになっているというように見えますが、これはどうお考えになりますか。やむを得ないとお考えになりますか。どうですか。
  117. 坊秀男

    ○坊国務大臣 国会のいろいろな委員会あるいは審議の土俵場におきまして私が今日まで申し上げてきておることは、いま税制調査会の答申につきまして五十三年度にどういうものを取り上げていくかということについては、不公正税制はもう取り上げていかなければならぬと思いますが、広範なる調査会の答申につきまして、提言につきまして、どれを取り上げていこうというような段階にはいま達しておりません。大体におきまして日本の国の来年度における経済見通しが固まってまいりまして、その経済見通しをよくながめて、これを踏んまえて、税制調査会の提言の中で、これはぜひやらなければならないというふうに見きわめをつけまして、五十三年度においてこれを実施していこう、こういうふうに考えておりまして、いま今日、何税をどういうふうに取り上げるとか、どうアレンジしていこうという段階までには達しておりません。そういったことにつきましても、近く開かれるべき税制調査会におきまして、五十三年度の税制というものについて早急に答申をいただきまして、そこからのことでございまして、新聞を大分にぎわしておりますけれども、そういったものにつきましてはやるとかやらぬとかということを——やらぬということも申し上げませんし、これをやるんだということも申し上げられるような段階に達していないということをお答え申し上げます。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 近く開かれる税制調査会というのはいつごろ開かれますか。
  119. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いま新しい税制調査会が組織されておりますが、その調査会が来る二十二日に第一回の会合をやってくれる、こういうことになっております。
  120. 原茂

    ○原(茂)委員 新しい税調が第一回、二十二日に開かれる。政府・自民党の決定は、これはうそじゃないと思うのですが、予算の年内編成というものの基本方針はすでに決まったようですね。それと、税調が答申を出して、それから、税収がどのくらい、どれをどうするかというような税調第一回が二十二日で、年内予算編成をするのにそのかかわり合いは日時的にどんなふうに間に合っていくんですか。
  121. 坊秀男

    ○坊国務大臣 そういったようなタイミングでやっていくことは大体の毎年の行き方でございます。だから非常に窮屈じゃないかという御心配、大変ありがとうございますが、予算編成は何にいたしましても年内にやっていく、それの予算の歳出のうらはらになりまする税制につきましても、大綱はこれに間に合うようにつくっていける、こういうふうに考えております。
  122. 原茂

    ○原(茂)委員 税調を隠れみのに使うのかどうか知りませんが、もうすでに大蔵省としては基本的な新たな税源を求める方針は決まっているんだが、これから予算編成をやるんだ、いま大蔵大臣の口からはそれがはっきり言えない、したがって、酒、たばこの三〇%もぼやかした答弁をする、せざるを得ないという状況だろうと推察をしますから、これ以上は伺いません。  そこでもう一つ。先ほどから申し上げましたように、物価変動会計の導入なんですが、現在のような状況下において新たに財源を求める、急速にやったらそれは産業界に大混乱を起こすでしょうが、アメリカなり諸外国がすでに実施をしたり、実施を決めていたり、それから実施を検討中であったりという世界の趨勢みたいになっているこの物価変動会計の導入は、日本の場合、検討に値しますか。これも考えの一つに今後の対策としては考えていかざるを得ない状態にあるかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  123. 坊秀男

    ○坊国務大臣 御質問の物価変動会計につきましては、去る五月二十四日、「物価変動に関する財務情報の開示のあり方」として、大蔵大臣より企業会計審議会に対して諮問をしております。これを受けて審議会では現在小委員会を設けて、物価変動会計に関する諸外国の実例などを踏まえまして審議を行っていただいておるわけでございます。  ところで、この問題は御案内のとおりなかなかむずかしい問題でありまして、影響するところも大きいので、審議会として何らかの形で意見を取りまとめるにはいましばらく時間がかかるというふうに思われております。
  124. 原茂

    ○原(茂)委員 その審議会に諮問したということは、やがて必要になるかもしれない、物価変動会計というものは必要なのだという前提ですね。
  125. 山内宏

    ○山内政府委員 諮問いたしました文書を読んでみますと、「証券取引法に基づく企業内容開示制度を一層充実強化する方策の一環として、物価変動に関する財務情報の開示のあり方について諮問する。」ということでございます。そういう意味でございますので、税金の問題とは直には関係ございません。
  126. 原茂

    ○原(茂)委員 物価変動会計を導入するということは再評価にイコールしませんか。
  127. 山内宏

    ○山内政府委員 非常に広い意味では再評価もその一つかと思いますけれども、直ちに再評価に結びつくというものではございません。
  128. 原茂

    ○原(茂)委員 非常に広い意味では再評価に関係あるけれども狭い意味では結びつかない、要するに再評価を全然考えないで物価変動会計というものを考えているのだ、これが大蔵省の基本方針だ、そういうことが言えますか。
  129. 山内宏

    ○山内政府委員 その辺はさらにこれからの審議の過程あるいは審議の推移に待つわけでございます。私どもは別に私どもとして固まった意見を持っておるわけではございませんが、ただ申し上げておきますと、現在いわゆる物価変動会計として実定法上取り上げられておりますのは、アメリカにおいてごく一部行われておるだけでございますが、そのアメリカの場合も、やり方としては再評価のやり方ではないというふうに聞いております。
  130. 原茂

    ○原(茂)委員 広い意味で再評価に通ずる。その再評価が、日本の場合には税対策上の必要から物価変動会計というものを一部考えるというように、私はならざるを得ないと思う。いまそんなことを証券局長からはっきり言うと、産業界の総反発がそうでなくても起きそうだし、もう起きているのだから、いまそういう二とは言えないという立場だろうと思います。この問題は実際の実施になってくると再評価が必ず問題になってくるというふうに私は確信しているのです。それを全然関係ありません——物価変動会計を何のために入れるのか。この論議は審議会がやがて二年後ぐらいに答えを出すというふうに新聞では見ていますから、恐らくその前後になってから新たな問題として——きょうの記録をよく覚えておいていただいて——再評価全然縁がないということは全然ない、必ずここに誘導していくための物価変動会計だというふうに私は確信していますし、日本の場合、そうでなければ意味がない。しかし急激に何でもかんでも再評価をいきなりつけていくというようなことば、これはちょっと、一円で買った土地が一万円になっているようなものをいきなり資産の再評価をやろうなんて、それに課税するなんということは大混乱のもとですからそれはできない。できないことはわかっていますが、何らかの形で再評価と同じ課税の対象にすることを誘導していく前提が一分でも二分でもなければ、物価変動会計というのは私は意味がないと思います。また後で、恐らく二年たつ前後になると問題になります。いわゆる答申が出た時分にきょうを踏まえてまたひとつ話を聞きます。  そこで、参考までにお聞きしておくのですが、過去二年間連続、また一年おいて三年再評価をやりました。再評価をやったあの当時再評価は自由だったわけですが、その自由な再評価でも、どの程度企業の中で、何割でもいいのですが、何%くらいが再評価をやったかどうか、それをちょっと先に……。
  131. 山内宏

    ○山内政府委員 やりました再評価は税法に従って行いましたものでございますから、そういう意味でちょっと私の所管外でございますので、いずれ調べまして委員の方まで御連絡をさせていただきます。
  132. 原茂

    ○原(茂)委員 すらすらと答えると思ったのですが、ちょっと意地悪な質問をしてみたのですけれども、ああいった自由な再評価の経験が日本にはあるのですが、このときも大した混乱もなしに、しかも自由だったものですから、再評価が非常に産業界に役立った面もあったと私は実は記憶しているのです。したがって、物価変動会計の導入をする場合にも、やはりあの当時の経験を生かしながら、自由とはいかないまでも生かしながら、やはり再評価への道あるいは一部課税対象にするという考え方が織り込まれてこなければいけないと思いますので、審議会がせっかく審議をして答申が二年後というのですが、十分なベテランがそろって審議をしているのでしょうからいい答えが出ると思いますが、私の見解としては物価変動会計というものはやがて必要になる、世界の先進国の趨勢だというふうに私は思いまして、その内容に関しては各国おのおの違うところが多少ございますが、とにかく日本独自の物価変動会計の導入の時期がもう来たと思いますから、大いにおやりになるようにという意味で実は質問をしているわけであります。したがって、まだまだ答申を待ってから、現在は何も考えていない、こういうお話でございますが、ぜひひとつ日本的な物価変動会計というものは日本経済の何らかの一助になるように導入をされてしかるべきではないか、そういう意味の検討を大いに進めていただくようにという意味で実は質問を申し上げました。余りこの点に対して細かいことをいまは申し上げないようにしたいと思っておりますので、一応これで終わりまして、最後に補助金についてお伺いして終わりたいと思います。  補助金も一応現在のままでは行政改革等にも大きな柱の一つになっているのですが、補助金に対する、現在のままでいくのか、何らか考えているのか、その現段階における方針をお聞かせいただきたい。
  133. 坊秀男

    ○坊国務大臣 現下のこの財政にかんがみまして、何としてでも歳出の面におきましてできるだけ節減をしていかなければならない、その手段といたしまして、これは行政整理もあり、まだその一環として補助金の整理統合ということは、非常に重大なる一つの課題として何としてでもそれを実行していかなければならないということは、もうすでに政府において態度を決めまして、ことしの夏以来熱心に一つ一つの補助金に対しまして取っ組み合いをやっておるというようなことでございまして、いま予算の編成査定中でございますが、この過程においてできるだけこれを実現をしてまいりたい、かように考えております。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、旦国際金融局長及び徳田銀行局長から発言を求められておりますので、順次これを許します。旦局長
  135. 旦弘昌

    ○旦政府委員 先ほどお尋ねの評価損のことをお答えいたします。  三百八円の基準相場から昨日の終わり値の二百四十五円四十銭との差額が、外貨準備として持っております外貨百五十二億四千二百万ドルに対してどれだけその評価損が出るかということを、仮にこれが全部ドルだということで、仮定、計算いたしますと、約九千五百四十一億円ということになります。
  136. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほどお尋ねの日本銀行の自己資本でございますが、総額が一兆二千三百九十八億円でございます。内訳は、諸準備金が八千五百四十六億円、諸積立金が三千八百五十一億円その他となっております。
  137. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、さっき積立金はないのだなんと言ったのですが、いま調べたらあったわけですが、大蔵大臣からいま補助金に対する答弁がありました。私そういう大臣の御説明も結構ですが、この際、担当局長がおいでになっているのだったら、補助金に対して、何といっても基本的に予算の削減、支出の削減を考えたときに、どうしてもこれは削減をしなければいけない、大なたをふるうのだという前提に立って検討していると思いますが、その基本的な方針というものを幾つかにわたって御説明をいただきたい。どういう基本で補助金の削減をするのか。
  138. 坊秀男

    ○坊国務大臣 そこで、これは大変な大事業でございますが、五十二年度の一般会計における補助金の総額は約九兆六千億円でございまして、一般会計の歳出予算総額は御案内のとおり二十八兆五千億円でございますが、約その三分の一が補助金によって占められております。  その内容は、これはまた大変なことでございまして、社会保障関係、それから文教及び科学振興費関係、それから公共事業費等の所要経費にこの補助金が計上されているものが八四%を占めております。補助金の中の八四%がこういったような所要経費によって占められておる。それぞれ国の施策を実現するためにこれは支出されておるものでございますが、ただ、補助金等につきましては、財政資金の効率的使用及び行政運営の能率化の見地から、今日までも絶えず見直してまいっておりますが、その整理、合理化に努力してきておりますけれども、三割近い財源が公債によって賄われているという、まことに厳しい財政事情にあることに顧みまして、五十三年度予算編成に当たっては、先ほど申しましたとおり、行政改革の一環としてさらに一層の推進を図りたい、かように思っておりますが、このために補助金については全面的な見直しを行っておりまして、今後の予算編成過程を通じて各省庁の御協力をお願いしながら、廃止、減額、統合等の整理合理化の具体的な完成に鋭意努めておるという段階でございます。
  139. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでお伺いしますが、たとえば二、三の例をちょっととってお伺いするのですが、この補助金の圧縮を行った場合、特に地方ではこれまでの事業が継続してできなくなるケースがありますね、これも配慮していると思いますが。この場合に、経過措置として、地方交付税の積み増し交付あるいは地方債発行の弾力化、いま自治省は何か大蔵省審議をしないで起債の発行をできるようにしてもらいたいというような意向を持ち始めたようでございますが、いずれにしても、この補助金の圧縮というものが地方財政に与えていく影響というものは、そうでなくても地方財政が逼迫の極にいまあるわけでございますから、万が一地方財政に影響のある圧縮を行うというときには、交付税の積み増しを考える、あるいはまた地方債の発行の弾力化を考えるというようなことが行われませんと、ただ圧縮、圧縮というので一概に圧縮をされるというようなことがあったら大変だと思いますのが一つ。  それからもう一つ。類似の補助金というものが他省庁から交付されている場合、これは統合一本化するのは当然だと思うのですが、この場合の補助金の効率化を目指す方針というか、そういうものがないと、これは単にいままでの縦割り行政のままに便宜的に統合なんかしようものなら大変な問題になると思う。この点の効率化を考えるという方針、あるいは考え方が一体あるかどうかを二つ目に。  それから、さっきも社会保障の面をおっしゃっておりましたが、国民生活に密接に関係する面、たくさんありますが、この面の補助金を圧縮するというときの心構えといったものは、一体どういうふうな考えでおやりになるのか。  それからもう一つは、この圧縮で一体どのくらいのものをやるかというと、御存じのように今年度は約七百億円の圧縮ができたわけですが、この三倍の二千億円程度のものは圧縮したいというふうなことが言われています。やはりまず金額で二千億円程度、本年度の三倍ぐらいのものは圧縮したいのだというお考えを持っているのかどうか、これが三点目。  それからもう一つは、いま福祉関係の問題に触れられましたが、この際福祉関係の補助金の削減を通じて、一部保険会社に肩がわりをさせるような形で保険会社の目玉商品としてのいわゆる移しかえを考えていく、民間の資金を活用していくというようなことも言われていますが、そういったこともお考えになっているのかどうか、この点を先にお伺いをしたい。
  140. 坊秀男

    ○坊国務大臣 ただいま作業中の補助金の整理の結果はまだ出ておりません。過程につきましても、私はまだ中間報告を受けておりませんので、一体幾らやるかということについては、残念ながらここでお答えを申す段階には至っておりません。  そこで、非常にむずかしいことは、先ほども申し上げましたとおり、さすがに補助金でございまするから、国家、国民の非常に大事な部面に対して、いまおっしゃられたように、社会保障だとかあるいは地方の公共事業だとか教育だとかという方面に補助金は出しておる。そこで、この補助金を削るということになりますと、それが八割四分、八四%もあるということでございますので、これは大変な難事業でございまして、ちょっとやそっとのことをやるといったって、それこそスズメの涙というようなことになったんじゃまるで意味がないということで、相当大きな幅でやっていくということになりますと、各方面に影響するところがきわめて大きい。で、どこだけは何らの影響をさせずにということでは、とてもこれはおさまらない、まとまらないと思います。  そういうようなことで補助金の整理統合ということは、私どももこれはぜひやらねばならぬ、こういうふうに思っておりますが、これはつまり総論ではやらにゃならぬ、ところが各論になりますとなかなか困難な事態が目の前へ見えておりますけれども、しかしながら、これは何としてでもやらなければならないという決意を固めております。  そういうような場合に、しからば地方は困るからその補てんをするために何か交付税の積み増し、というのは税率の引き上げといったようなことかと思いますが、これはいま御承知のとおり、財政がこういうことをやらなければならないほど異常なときでございます。地方財政ももちろん苦しんでいるということは、私もよくわかります。そういったような異常な事態におきまして、交付税率というような、これは相当恒久的な、ことし変えて来年また変えてといったようなものでは私はなかろうと思う。恒久的、構造的なものでございますので、こういったような異常事態においてそれに手を触れて構造的な改正をやるということは、これは必ずしも適当ではない。しかしながら、地方も困るということは私どももよくわかっておる。だから、そういったような制度上どうするというようなことはいまのところ考えておりませんけれども、何にいたしましても、地方がそういったようなことで立っていかぬというようなことは、これは国が立っていかぬのと同様に、私はこれは重大問題だと考えておりますので、それは何とかしてできるだけのことはやってまいりたい。しかしながら、補助金を削るということについては、その面、ある程度これはがまんをしてもらわなければなるまい、かように考えておる次第でございます。  いまの保険制度、ちょっと聞き漏らしましたが、そういったようなことについて保険で肩がわりとおしゃったんですね。まだ私は、主計局なり係の方から、先ほど申しましたとおり、その内容につきましては報告を受けておりませんので、ここで的確なるお答えを申し上げることは、いまのところはちょっといたしかねるような次第でございます。
  141. 原茂

    ○原(茂)委員 この種の補助金の削減問題を中心にして、何か民間あるいはその他識者を集めて懇談会みたいなものをお持ちになっているのですか。
  142. 坊秀男

    ○坊国務大臣 これにつきましては、財政制度議会財政審がございますが、そこへこれを御相談を申し上げておる。ここで小委員会でしたか、部会でしたか、それをつくってくれまして、そこで専門的にその研究をしてもらっておる、一方、審議会においてやっていただいておる、こういうことで、作業は主計局を中心としてやっておる、こういうことでございます。
  143. 原茂

    ○原(茂)委員 財政審の部会か小委員会だけですか。
  144. 坊秀男

    ○坊国務大臣 正式に、形式的に相談を申し上げておるのは、いまのところはその財政審でございます。
  145. 原茂

    ○原(茂)委員 財政審で補助金の問題を部会なり何かだけでおやりになる。私は、この予算編成の間際に、補助金にとにかく大きな圧縮を加えようという審議が適切な答申が出るとは考えないのですが、これはやはりその答申をまってから、補助金に対するいろんな圧縮またその手当て等を考えるということになるんですか。
  146. 坊秀男

    ○坊国務大臣 何が終わったからその次というようなことももちろん大事なことでございますが、並行的にこれをやっておるということでございます。
  147. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、来年度の経済見通しはどういうふうにお考えになっていますか。
  148. 坊秀男

    ○坊国務大臣 その問題は経済企画庁が鋭意努力をしてもらっておるということでございまして、私の方でももちろん係の者が経済企画庁と連絡はとっておりますけれども、私からいま来年度の経済見通しがどうなっておるということを申し上げるだけの材料は、今日私は持っておりません。事務当局はしょっちゅう連絡をいたしておりますが、なおまた、私が申し上げるのは必ずしも適当でないと思いますので差し控えさせていただきます。
  149. 原茂

    ○原(茂)委員 事務当局からちょっと答えてください。
  150. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 ただいま御答弁にございましたように、経済企画庁で作業をするわけでございますが、毎年予算編成に合わせまして作業をいたします。したがいまして、時期的には十二月の末ごろに固まるというのが通例でございます。したがいまして、まだ現在のところ固まった見通しが来年度について政府として何かあるという状況ではございません。
  151. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  152. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  153. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 最初に、本日の新聞報道に歳入欠陥五千億突破は確実ということで、本年度の歳入欠陥がこのように大幅に出てくるのではなかろうかということで報道されておりますけれども大臣、これはどういう形で受けとめられておるのか。また、確実とすればその原因はどういうところによるのか、これを最初に明らかにしていただきたいと思います。
  155. 坊秀男

    ○坊国務大臣 私もけさの新聞は読みました。早速主税局長にも一体どうなんだということを私は話をいたしております。そういたしますと、実はきのう自民党の幹事長のところへ参りまして、今度の財政につきまして話をして、相当むずかしい、厳しい関係にあるということを話したそうです。そこで私はいろいろな数字が出ておるじゃないかということを申し上げたら、むろん私はまだそんなことを聞いておりません、数字については、ああいう数字は全然言っていない。といいますことは、とにかくある程度歳入の欠陥が本年度に出るかもしれない、しかしながら、これから将来不確定要素が非常に多いから、その数字の姿がどうなっていくかということについては主税局長もまだ全然見当はついていないということで、数字のことについては幹事長に対しまして何のことも申し上げていない、こういうことで、ただ九月末の税収入のあれがほとんど歳入予算ととんとんであるが、去年に比べまして実績が、進捗の割合ですね、〇・一%か何か小さいということだけは申し上げてきた、こういうような話でございまして、新聞は大変にぎやかに書いてくれておりますけれども、決してそういう数字が、いま大蔵省の主税局において申し上げられるような段階にはなっていない、こういうことでございます。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 となれば、五千億は数字的にはかなり多いかもしれないけれども、確実に歳入欠陥は数千億生まれるのじゃないかという見通しはどうなんですか。
  157. 坊秀男

    ○坊国務大臣 私もこの数字について、五千億とか数千億だとかというような、実際私はまだ主税局長からそういうことを聞いていないのです。そういうようなわけで、いまそういったような数字を申し上げるような段階にはなっていない、こういうことでございます。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 来年度五十三年度の予算ですけれども、いつごろをめどに作成をなされているのか、お答え願いたいと思います。
  159. 坊秀男

    ○坊国務大臣 ともかく年内に予算の編成を終わりたい、かように考えております。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 いろいろな新聞や雑誌等に来年度の歳入歳出面について非常にいろんな形で書かれております。非常に長期にわたる不況ということと、円高によるデフレということで財源が非常にむずかしいのではなかろうかということで、特に歳入面におきましては、一般消費税の導入とかまた公共料金の大幅値上げとか、歳出面におきましては、福祉の見直しということが言われまして、児童手当をある程度所得制限をやろうとか、また教科書の無償配付、これも所得制限で有償化していこうとか、また老人医療の無料化も有償化していこうとか、そういうさまざまな問題が出ているわけですけれども、そういう点で国民は来年度の予算に非常に関心を抱いているわけです。そういう点で先ほどからも質問がございましたけれども、こういう点は現在どのような形で進んでいっているのか、大臣の御答弁を願いたいと思うのです。
  161. 坊秀男

    ○坊国務大臣 来年度の予算につきましては、現在主計局が中心となって、歳出の面について各省の概算要求について慎重にこれを検討いたしておる。なお、来年度の予算の姿をながめてみますと、これは全く容易ならざるものがある。したがいまして、既定の経費といったようなものにつきましては、根っこからこれを検討して見直して、そしてでき得る限りの節減、節約を図っていくというようなことで、スクラップ・アンド・ビルドの精神に徹してやり直していこうというような考えでやっておる。  歳入につきましては、これはもう何回か申し上げておりますけれども、税制調査会の答申の趣旨を尊重いたしまして、ただこれは、税制ほとんど全般にわたる広範なる御提言でございますから、あそこへ盛られた提言を全部取り入れるというようなことはとうていできるわけのものではございませんが、そういったような歳入歳出の面につきまして、いずれ来年度の経済見通しが固まってこようと思います。そうすると、その経済見通しを踏んまえまして、そうして五十三年度の歳入歳出、これを体系づけていくことがいまのやっておる仕事でございまして、まだいろいろな事項につきまして、枠なりその内容なりといったものをこういうふうに持っていこうというところまで至っておりませんことを、ひとつ御了承願いたいと思います。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 このように非常に国民の関心の深い問題につきましては、野党との話し合いは当然あるべきだと思いますけれども、野党との話し合いがついた段階でこういうものを予算案として、原案として盛り込むべきであると私は思っておりますが、大臣はどのようにお考えになっていますか。
  163. 坊秀男

    ○坊国務大臣 先般の補正予算のときも、野党各党の政策議会長さんにお集まりを願いまして一応のお話を申し上げて御意見も承った。それはもちろんもうコンクリートになってしまって、それでそれをお見せして御意見を承るというようには考えておりません。ただ漠然とこれを御相談申し上げると言ってもかえって複雑なことでございますから、ある程度の固まりを見せた、そういうようなしかるべき段階に、前回と同様にひとつ御意見を承らしていただきたい、かように考えております。
  164. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、年内に予算の編成を終わるということでございますが、その話し合いは年内と考えていいわけですね。
  165. 坊秀男

    ○坊国務大臣 そういうつもりでおります。
  166. 春田重昭

    ○春田委員 それでは、二点につきお尋ねしてまいります。最初はサラ金の問題、第二点は専売公社の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  最初に貸金業であるサラリーマン金融、通称サラ金でございますが、四年にわたる不況ということと、最近の円高によるデフレ効果といった経済環境を反映して、非常にサラリーマン金融が全盛をきわめているわけでございます。その中でも悪質な悪徳サラ金業者の被害が非常にふえている。それによって泣かされている庶民が急増している、このように、新聞報道でも出ております。  申すまでもなく、サラ金による被害というものは、ノイローゼを初めといたしまして失業、また離婚、自殺、きょうの新聞でもそういうのが出ておりますが、果ては殺人といった問題にまで発展していっているわけです。大阪の茨木でございますか、病身の夫を抱えた奥さんがサラ金に手を出して返済できないということでその病身の夫を絞め殺した、こういう事件だってあるわけでございまして、こういう被害というものが非常にふえてもう社会問題化しているのは大臣だって当然お聞きになっていると思いますが、そういう点で、このサラ金の問題につきましてきのうわが党の田代議員の方でも参議院でいろいろ御質問があったそうでございますけれども、まず最初に、大臣のサラ金に対する感触というものをお尋ねしていきたい、このように思っております。
  167. 坊秀男

    ○坊国務大臣 サラ金を含めました貸金業問題につきましては、自主規制法の趣旨に沿って、かつ利用者の保護、庶民金融のあり方、犯罪の防止等の社会秩序維持の見地から、高金利の処罰の問題、それから取り締まり上の問題、行政上の処理能力の問題等を総合的に勘案しつつ十分検討をする必要があると考えております。この趣旨から本年九月、貸金業者問題について関係省庁間において協議連絡の場が設けられましたので、大蔵省といたしましても、この関係省庁連絡会議におきまして十分検討をしてまいりたい、かように考えております。
  168. 春田重昭

    ○春田委員 このサラ金業を担当する所管というのはどこの省庁になるのですか。
  169. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  貸金業者につきましては、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律によりまして、貸金業を開業する場合には大蔵大臣に届け出を必要としております。また、貸金業者に対して調査あるいは報告の徴求ができるわけでございますが、これも大蔵大臣がその権限を持っているわけでございます。ただこれらの権限は、現実には都道府県知事に委任しております。  貸金業をめぐる問題は、先ほど先生御指摘のように、単に資金を融通するという金融の問題ではございませんで、むしろ最近の実際に問題が起こる現象といたしましては、高金利違反であるとかあるいは暴力事犯であるとか、そのような反社会的行為に対してどのように社会的秩序を維持するかという問題でございまして、これらの問題につきましては必ずしも大蔵省の所管ではございませんので、現実に警察庁あるいは自治省、法務省、経済企画庁等のそれぞれの所管に属する事柄にわたっておるわけでございます。
  170. 春田重昭

    ○春田委員 先ほど大臣からも話があった各省庁連絡会議、これはどういう省庁なのか、どこが軸となってやっているのか御説明願いたいと思います。
  171. 徳田博美

    ○徳田政府委員 各省庁連絡会議は総理府、法務省、大蔵省、自治省、警察庁、経済企画庁でございまして、一応事務的に総理府で取り扱っております。
  172. 春田重昭

    ○春田委員 総理府が軸になってやっているということでございますけれども、総理府はあくまでも連絡調整機関であって、いわゆる総理府を無視するわけではないけれども、責任性というのは非常に薄いと思うのです。二回連絡会議をなさっているみたいですけれども、なぜ大蔵省がこの中心となってやれないのか、この辺私は非常に疑問に思っているわけです。いままでこのサラ金の問題につきましてはさまざまな角度からいろいろな提言がなされておりますけれども、現実においてはまだ規制されておらない、こういうことでございまして、非常に行政の手ぬるさ、いろいろな方たちが被害者の会や、弁護士の方たちも大阪等においてはサラ金一一〇番等をつくって、いま立ち上がっておるわけでございますけれども、そういう点では非常に行政のスローモーが嘆かれているわけですね。私は、いまおっしゃった六省になりますか、大蔵省がこの軸にならないのは、大蔵省自身が非常に逃げているような、弱腰のような感じがしてならないわけです。なぜ総理府が中心となってやっているのですか。なぜ大蔵省がなれないのですか。出資法はあくまでも、いま局長がおっしゃったように、大蔵大臣云々という形でずっと書かれているんでしょう。これが中心じゃないですか。その点もう一回答弁してください。
  173. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、出資等の受け入れ等に関する法律につきましては、この届け出及び調査あるいは報告徴求の権限は大蔵大臣ということになっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、貸金業者の業務は資金の融通にあるわけでございますけれども、現実に社会的に問題を起こしておりますのは、資金の融通という面よりは、むしろ先ほど申し上げましたように、高金利違反であるとか暴力事犯とか、各方面にわたっている社会秩序の維持に関する問題が多いわけでございます。したがいまして、大蔵省だけでなく、もちろん大蔵省もその一員として責を担っているわけでございますけれども、各省と連絡してこの問題の解決に当たっているわけでございます。  現実的に申し上げますと、五十二年の九月に第一回の連絡会を開催いたしまして、各省ごとの分担がそこで一応話し合われたわけでございますが、犯罪の防止及び取り締まり上の問題については警察庁、それから消費者保護の観点からの問題については経済企画庁、高金利の規制及び処罰の問題については法務省、それから金融行政上の問題については大蔵省、それから行政処理能力の問題については自治省、このように分担いたしまして、早急に検討を詰める、このようになっております。
  174. 春田重昭

    ○春田委員 あくまでもそのような社会的な事犯を起こしているのは、後でまた質問してまいりますけれども、金利の問題と届け出の問題でしょう。この二つの問題は大蔵省の所管じゃないですか。したがって総理府が中心でやるというのはおかしいですよ。それも月一回しかやっていないのでしょう。それはどれぐらい進んでいるのですか。一向に進んでいないんじゃないですか。
  175. 徳田博美

    ○徳田政府委員 現在までに二回開催しております。
  176. 春田重昭

    ○春田委員 進行状況説明してくださいよ。
  177. 徳田博美

    ○徳田政府委員 第一回は九月に開催いたしまして、先ほど申し上げましたような会の枠組み及び検討テーマについて協議いたしまして、先ほど申し上げたような決定をいたしたわけでございます。それから次に十月に開催いたしまして、取り決められたテーマに従いまして、警察庁から犯罪の防止及び取り締まり上の問題について種々の資料を中心説明がございました。今後、また今月にも開催する予定でございます。
  178. 春田重昭

    ○春田委員 いまの説明では一向に進んでないですよ。お互いになわ張り争いで責任を他省に転嫁する、そういうやり方にしか私には見れないわけですよね。この問題につきましては、相当以前からいろいろな角度から問題になっているわけですよ。マスコミも取り上げているし、新聞では毎日サラ金による被害という形で報道されているわけでしょう。もうちょっと本当に真剣に取り組んでいただきたいと思うのですよね。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  この連絡会議というのは月何回やるのですか。
  179. 徳田博美

    ○徳田政府委員 第一回の会合を開きまして、今後の枠組み、あるいは議事の進行状況についていろいろ相談をしたときに、今後月一回ないし二回開催する、このような取り決めが行われております。
  180. 春田重昭

    ○春田委員 大体いつごろまでにある程度のめどというか、結論が出そうなんですか。
  181. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先ほど申し上げましたようにテーマがかなり多岐にわたっておりますので、早急に結論を詰めたいとは思っておりますが、いまの時点でいつまでという時点を申し上げる段階までにはまだ至っておりません。
  182. 春田重昭

    ○春田委員 大臣にお聞きしますけれども、昨年の五月に当時の大平大臣が、次の通常国会までにこの貸金業に対する法規制は強化していきたい、提出してまいりたい、このように答弁されておりますけれども、この点は御存じですね。その後これはどうなっているのですか。いま見通しが全然つかないということはおかしいじゃないですか。
  183. 坊秀男

    ○坊国務大臣 前大蔵大臣の大平さんがそういうことを答えられたということは、私も、それは見ておったわけではございませんけれども、承っております。
  184. 春田重昭

    ○春田委員 いや、承っておるじゃないのですよ。大臣がかわったら政府の方針が変わってくるんですか。おかしいじゃないですか。
  185. 坊秀男

    ○坊国務大臣 無論、大平前大蔵大臣の言われたことに対しまして、私は責任を持たぬとか、そんなことを申し上げているのではございません。知っておるかいないかということの御質問でございましたので、承っておりますと、こう申し上げたのでございます。
  186. 春田重昭

    ○春田委員 大平大臣は昨年の五月に、次の通常国会までには出すとおっしゃったのです。通常国会は終わりましたよ。それでは大臣としてはいつまでに出すおつもりなんですか。
  187. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いつまでという期限を切られますと——この問題は庶民の金融ということでございますけれども、いろいろな問題が錯綜しておりますので、これをどういうふうに片をつけていこうかということにつきましては、改善していくということにつきましては、鋭意努力はいたしていきますけれども、いつまでということをおっしゃられて、御満足のいくような期限をつけてここでお答え申し上げることは——それは非常識にずっと先の方、そんなことは私は考えておりません。できるだけ早い機会に何とか改善をしていきたい、こういうふうに考えております。
  188. 春田重昭

    ○春田委員 何回もこだわりますけれども、この問題は昨今起こった問題ではないのですよ。もう相当前から論議されているわけでしょう。いま自民党の幹事長である大平前大臣だって、かつて来年の通常国会に出すとおっしゃったのですから、その辺のところはやはり責任を持って政府内でやっていかなかったら、毎月一回ぐらいやっていたっていまの状態なんて発展しないですよ。それに被害はますます急増してきているわけです。連絡会議をやるというのは結構ですよ。しかし、大蔵省がその軸になってやっていかなかったら、これは解決しないと思います。少なくとも来年度いっぱいないし来年の夏ぐらいまでに一つの解決の方法を出したいというぐらいの方針を、軸になる大蔵省が出していかなかったら、これは解決しないですよ。その点どうですか。
  189. 坊秀男

    ○坊国務大臣 おっしゃるとおり、この問題は去年やおととしから始まったものではございません。私はずいぶん長い間ずっと大蔵委員会におりまして、そして大蔵委員会で各国会ごと、もう十年来この問題をどうしようかということについて問題になってきておる問題で、それが今日までなかなか解決と申しますか、改善と申しますか、できていないということであります。これは実際、単なる庶民金融というだけの問題でなくて、いろいろなところに関連しまして、錯綜した問題が中にわだかまっておるということが一つの大きな原因になっておるんだと私は思いますが、そういったようなことを十分わきまえて、それに対して真剣に取り組んでいく。もちろんそうしなくては、びほう策をやるというようなことでは効果がないと思うのです。そういうことを根本的にやっていくためには、先ほども申し上げましたとおり、これはある程度の期間というものを許していただかなければ——しかしながら、そんなことを言うてのんべんだらりとやっていこうなどという気持ちは毛頭ございません。できるだけ早くこれの改善策を立てていかなければならない、かように考えております。
  190. 春田重昭

    ○春田委員 この問題は昭和三十五年ぐらいから起こっているわけですよね。団地金融という形で出発したと聞いておりますけれども、まあ世論の喚起で政府もやっとこの九月連絡会議をやって、十月に二回目、こういう形で、大臣は真剣にやっている、鋭意努力しているとおっしゃいますけれども、非常にスローモーな態度に本当に業を煮やしているわけですよ。そこで被害者の会とか、先ほど言ったように大阪の若手弁護士十五人ですか、こういうのが会を結成して、何とか自分たちで守っていこうという形で立ち主がっているわけですよ。しかし、これはやはり法改正をやる以外にないのですから、もうちょっと国の方が真剣になって積極的に取り組んでいただきたい、このことをお願いいたして、次の質問に移ります。  現在、この貸金業を営む業者というのは全国でどれぐらいいるのか。さらに、各都道府県にあります庶民金融業協会ですか、この会員数はどれくらいか。さらに、JCFA、日本消費者金融協会ですか、これに加入している会社数はどれくらいあるのか。この三点について御説明願いたいと思うのです。
  191. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  貸金業者の届け出数は、五十二年六月末現在で十五万七千四百六十八でございます。それから庶民金融業協会に所属している業者は一万三千二百五でございます。それから先生御指摘の消費者金融協会につきましては、これは任意団体でございまして、大蔵省必ずしも監督をしておりませんので、内容については詳しくは存じ上げておりません。
  192. 春田重昭

    ○春田委員 十五万数千が貸金業として届けているわけでございますが、実際営業をやっているのはかなり少ないんじゃないですか。その辺実態をつかんでおられますか。
  193. 徳田博美

    ○徳田政府委員 現在十五万七千四百六十八のうち休止届け出が出ておりますのは一万十六でございまして、形の上では十四万七千ほどが営業しているわけでございますけれども、現実には御指摘のように休止届け出が完全に励行されているかどうかについては問題がございますので、実際に稼働している数はこれより少ないかと考えます。
  194. 春田重昭

    ○春田委員 休眠貸金業がどれくらいあるかということがはっきりつかめないので、どれくらいやっているかわからないと思いますが、一般には五万人ぐらいが営業をやっているんじゃないかということでいろいろ報道されております。  そこで、社団法人であります庶民金融業協会に加入している方が一万三千数百人とおっしゃいましたね。残りの方たちは入ってないわけですけれども、協会は相当呼びかけをなさっていると思いますけれども、なぜ残りの業者が加入しないのか、その理由はおわかりになりますか。
  195. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、庶民金融業協会に加入している業者数は非常に少ないわけでございまして、この比率が上がることが非常に望ましいわけでございますけれども、現実の問題といたしましては、この庶民金融業協会に属しますと、御承知のとおり法律によりまして各法令の遵守義務あるいは業務の適正化等についての規制もあるわけでございまして、恐らく業者としてはそういう枠に縛られるのをいやがっている向きがあるのではないか、このように考えられます。また、加入しますと、わずかでございますけれども当然会費も取られるわけでございまして、そのようなこともあるいは一つの障害になっているかと考えられます。
  196. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、この協会に加入しない業者というのは、いま非常に評判になっている悪質な悪徳な業者としてほとんど見ていいのか、協会に加入している業者は良心的なのか、その辺ではっきり線引きしていいのかどうか。その点どうですか。
  197. 徳田博美

    ○徳田政府委員 その点は、加入してない業者が直ちに業務の運営状態が適正でないということは申し上げられないわけでございますけれども、少なくともここに加入しようという意欲のある業者につきましては、業務の運営の適正化を図るという意欲があって加入したのではないかと考えております。
  198. 春田重昭

    ○春田委員 これはわかりますか、サラ金業者の上位三社の五十一年度の決算はわかりますか。
  199. 徳田博美

    ○徳田政府委員 サラ金業者の上位社の決算につきましては、大蔵省としては把握しておりません。
  200. 春田重昭

    ○春田委員 恐らくそういう答弁が返ってくるんじゃないかと思っておりましたけれども、私の持っている週刊朝日、ことしの五月に発売されたものでございますが、これによりますと、サラ金の上位三社というのはナンバーワンがマルイト、ナンバーツーがプロミストラスト、ナンバースリーはレイクという形になっております。三社合計で書かれておりますけれども、五十一年度決算は期末の貸付残高が三百四億円です。前年対比で五二・一%増加しております。経常利益で百三億円、前年比で七二・二%増と、今日の不況の中においても非常に莫大な利益を上げているわけです。このようにすべての貸金業の決算を挙げれば、私は驚異的な数字が上がってくるのではなかろうかと思っておるわけでございますけれども、このように、サラ金というのは本当にわずかな資本で事務所もなくて簡単にできるということで、急激に成長してきているのではなかろうかと思います。  そこで具体的な問題に入ってまいりますけれども、このサラ金の業者の推移を見てみますと、昭和四十五年ぐらいまでは毎年四、五千名だけの増加なんですね。ところがそれ以降になりますと一万数千件の届け出になっております。特に五十年から五十一年の一年間にふえた数は約一万四千件ですね。そういう点で、これを日にちで割ったら大体三十件ないし四十件の届けが出ているわけです。もうすごい急成長なんですよ。これは何回も国会でも論議されておりますけれども、出資法でうたわれている届け出の問題があるのではなかろうか。簡単に届けていけばそれでもう営業ができるというこの届け出制の問題ですね。これは国会でもいろいろ論議されておりますけれども、私もこの届け出制は、少なくとも許認可までいかなくても登録制ぐらいにまでするべきじゃないか、このように主張するわけでございます。いわゆる暴力団であっても前科犯であっても簡単に届けることができるこの出資法の第七条、この辺はやはり法改正をやって、許認可ないし登録制にして一つの歯どめにするべきである、このように私は思うわけでございますけれども大臣としてはどのような御感触を持っておられますか。
  201. 徳田博美

    ○徳田政府委員 先生御指摘のとおり、現在は届け出制でございまして、年齢とか資格その他の条件に全く制限がないわけでございます。そういう意味でこれは一つの大きな問題点であろうかと思います。この点につきまして、今後貸金業の業務運営の適正化を図るためにどのようにすべきかということが、これからの六省庁連絡会の一つの大きな課題である、このように考えております。
  202. 春田重昭

    ○春田委員 課題ですけれども大蔵省としてはこの届け出を非常に渋っているわけでございますけれども、これはどういう理由なんですか。
  203. 徳田博美

    ○徳田政府委員 確かにいまのような全く制限なしの届け出制というのは非常に問題がある、われわれが問題意識を持っておることは申し上げたとおりでございますけれども、これは若干昔のことでございますが、昭和二十四年に貸金業等の取締に関する法律がございまして、その法律におきましては事前届け出制をとっていたわけでございます。しかしながら、先ほど先生も御指摘になりましたように、届け出数が非常にふえて事務を扱う上でいろいろ問題が出てきて、必ずしも事前に適正な審査ができないような状態があったわけでございます。一方事前届け出制をとることによって、その業者が大蔵省公認というような文字も使って、かえってそのことによって弊害が生ずるようなこともございましたので、出資の受入等の取締等に関する法律を制定するに当たって届け出制にしたわけでございますけれども、しかしながら、最近においてサラ金業界を主体として先生御指摘のようないろいろな問題点が出てきておりますので、こういう点を踏まえまして、どのような制度がよいかということについてこれから検討してまいりたいと思っております。
  204. 春田重昭

    ○春田委員 確かに許認可制にしたら、大蔵省は指導監督という一つの権限が与えられますけれども、事務的に非常に増大することは間違いないと思いますし、いろいろな人員の確保等めんどうなことが付帯する、ここに大蔵省が非常に慎重に考えている点があるのではなかろうかと思います。ある学者におきましては、確かに国のこういう行政管理という問題を縮小しろということで言われているときだけに、人員増加というのはむしろ問題点もあるので、たとえて言うならば公認会計士に、これは法的にきちっとそういう財務書類の監督指導ということはできるようになっておりますから、こういう公認会計士に委託していけばいいではないか、その委託費は業者からそれ相当分取っていったらいいんじゃないか、こういう案も出ているわけですよ。アメリカにおいてはこういう制度を採用しているということも聞いておりますので、十分その辺は各国の事例もよく検討されまして、ひとつ前向きにこの届け出制の問題を、少なくとも欠格事由つきの事前届けないし登録制、また許認可制、こういう形で検討していただいたら——これは本当に先ほど言ったようにだれでもできるわけですから、ここで、出資法違反の検挙状況が私の手元にありますけれども、こういう形で検挙されて、起訴されて、罪を犯した人でも、いわゆる現在の法から言ったらできるわけですよ。何といいますか、この現在の第七条は、非常にそういう点ではいろんな問題を含んでいますので、この点、第一番として最大の課題としてひとつ取り組んでいただきたい、このように要望しておきます。  さらにもう一点は、金利の問題でございます。これは出資法では日歩三十銭、また、いわゆる利息制限法というのがありますけれども、これは年二〇%、非常に矛盾しているわけでございますけれども、この点についてはどのようにお考えになっていますか。
  205. 佐藤道夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  いささか専門的なことになりまして恐縮でございますけれども、貸し主と借り主間の契約、これは金銭消費貸借契約と呼んでおりますけれども、基本的には契約自由の原則の支配する分野でございまして、私的自治の領域というふうにも言ってよろしいかと思いますが、いずれにいたしましても、こういう契約自由の原則の支配する分野に刑罰が介入することはかなり必要最小限度にとどめられるべきではなかろうか、こういう考え方がございまして、その観点から考えてみますると、どういう高金利に対して刑罰をもって臨むのが適当かという一つの判断がございまして、その判断の基準となるのは、やはり著しくそういう貸借が金融秩序を破壊するような場合であること、それから借り主側の窮状につけ込んでまた著しく暴利をむさぼるような行為、この限度に至りますればやはり刑罰をもって処置する、それは契約自治の原則からは外れている行為であるというふうに考えるわけで、その限界がすでに二十年来一つの固まった考えといたしまして日歩〇・三%、こういうところで落ちついておるのではないかと考えます。  一方、利息制限法の方は、私的自治の枠内での話でございまして、一応の限度を超えるような利息につきましては、やはり民事上の問題ではあるが、これに対して民事上のたとえば裁判に訴えてその金を回収するとか、そういう行為は国家としては許容しないという考え方で、利息制限法を超える利息は無効である、こういう観点になっておるわけで、この利息制限法に違反する行為に対して罰則で臨んではどうかという考え方ももちろんあるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この私的自治の範囲にどこまで刑罰が介入していっていいのか、極端な言い方をいたしますれば、警察権力がこの貸借関係に介入していいのかどうかという基本的な問題があるわけで、われわれといたしましては、やはり日歩〇・三%というのがこの刑罰の介入できる限界、大体この辺ではなかろうかと考えております。  その結果といたしまして、利息制限法の利息とそれから刑罰をもって処罰さるべき高金利というものの間に確かにギャップが出ておるわけでございますけれども、そのギャップを直ちに埋めていいかどうか、これが一つの問題でございまして、また、極端な言い方をいたしますと、民法上公序良俗に反するような行為は無効であるということは民法九十条で宣明されておりますけれども、この九十条に反するような、公序良俗に反するような行為がすべて刑罰の対象にされておるわけではないわけで、その辺にやはり刑罰の謙抑性というのがあるのではなかろうかというふうに理解しております。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 それでは大蔵省にお尋ねしますけれども、この出資法で定める日歩三十銭、年率一〇九・五%ですか、これは現代のこのように大きな問題を醸し出しているサラ金の業界に対しまして妥当かどうかという問題ですね。アメリカでは、連邦法で何かこの日本の出資法に当たるものでは四五%ですか、英国では四八%ぐらいと定めていると聞いておりますけれども、それにしても日本の場合は、アメリカ、英国から比べたら、倍以上あるわけですね。そういう点でこの日歩三十銭という問題、非常に問題があると思うのですよ。この点やはり時代も変わってきたわけですから引き下げるべきであると私は思いますけれども大蔵省としてはどう考えていますか。
  207. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、日歩三十銭というのは非常に高い金利でございまして、もちろん大蔵省としても決して好ましいとは思っておりません。で、大蔵省といたしましては、先ほど御説明申し上げました庶民金融業協会に対しましては、これは庶民金融業協会ではその定款で適用金利について定めることになっておりますけれども、その定め方といたしましては極力その最高限を引き下げるように指導しておりまして、特に利息制限法第一条第一項に規定する率を上回っている場合においては、同法の趣旨に照らし、将来当該利率以下の水準にまで引き下げるよう指導することが望まれる、こういう通達を出して指導を行っております。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 指導していますけれども、現実は日歩二十八銭ないし三十銭取っているのでしょう、庶民金融業協会は。あんまり変わらないじゃないですか。二十八銭でも年率一〇〇%ですよ。
  209. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、庶民金融業協会の定款で定めているものでも、高いところは二十八銭というのがございますが、低いのは二十銭というところもございまして、漸次これを引き下げる方向で指導してまいりたい、このように考えております。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 私の手元に各都道府県の金利一覧表がありますけれども、二十銭ってどこですか、どこの県ですか。
  211. 徳田博美

    ○徳田政府委員 千葉県の庶民金融業協会では五十万円超が二十銭でございます。それから静岡県が二百万円超が二十銭でございます。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 いま、千葉県では、あれは二十万円以上ですか。
  213. 徳田博美

    ○徳田政府委員 千葉県では五十万円超が二十銭でございます。それから静岡県では二百万円超が二十銭でございます。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、それは低い例でありまして、ほとんどが二十七銭ないし二十八銭、群馬県においては三十銭、北海道も三十銭、滋賀県三十銭、山梨三十銭、愛媛三十銭、それから長崎も三十銭。先ほど大臣が、自主規制の助長に関する法律のもとで業者内部のそういう規律を持ちたいとおっしゃっていますけれども、現実はほとんど二十八銭ないし三十銭取っているのであって、ほとんど出資法と同じような日歩三十銭取っているわけですよ。  最近ある会合で、JCFAなんかが、確かに金利は非常に高い、この際国民の要求にこたえるためにも引き下げるべきであるという、それらの何か決議がされたように聞いておりますけれども、いずれにしてもこの日歩三十銭というのは非常に高い金額です。先ほど法務省の方からも答弁がありましたように、利息制限法は民事上の問題である、出資法はこれは刑事上の問題であるけれども、訴えた場合は、訴訟した場合においては、当然利息制限法を超えたものは訴訟した人に返還すべきであるということになっております。三十九年、四十三年の最高裁の判例では。これは大蔵省もこういう考え方でおるわけですね、確認しておきますけれども
  215. 徳田博美

    ○徳田政府委員 そのとおりでございます。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 これも大蔵省に確認したいわけでございますが、現在の貸し出し残高、これはどれくらいと見ていますか。わかりますか。
  217. 徳田博美

    ○徳田政府委員 貸金業者につきましては、先ほど申し上げましたように、十五万を超す数で、しかもその中で非常に消長が激しいわけでございますので、正確に把握することは困難でございますけれども、四十九年三月末における調査、これは大分推定が入っておりますけれども、七千七百億円という推計数字が出ております。
  218. 春田重昭

    ○春田委員 私の手元にあるこの二月のエコノミストにおいては、これも推計ですが、大体一千七百億円の貸し出しがあるのではなかろうか、このように書かれております。したがって、先ほどの訴訟の問題でございますが、いわゆる二〇%以上を超えたものについては返還すべきであるということですから、仮に一千七百億円の貸し出し残高があって、これが一〇〇%以上の利子を取っていた場合、一〇〇マイナス二〇として簡単に計算しましょう、八〇%、八〇%といえば千三百ないし千四百億円は返還しなければならないわけでしょう。こういう運動がもし起こった場合、これはやはり政府が、四十三年ですからもう九年たっているわけですよ、九年間放置したその怠慢というものは責められるのではないですか。十月に被害者の会ができた、また弁護士会が蜂起している、こういう問題が全国各地に起こった場合、こういう返還要求全国大会なんかが起こってもし訴訟が起こった場合、最高裁の判例では当然それだけ返さなければならないわけでしょう。もしそういう運動が起こった場合、政府の責任ということで責められるのではないかと私は思うのですが、どうですか。
  219. 徳田博美

    ○徳田政府委員 裁判に訴えてそのような処置をすることにつきましては、これは当事者が自主的に判断すべき問題でございましょうし、また裁判の問題でございますので、行政的に介入することは適当ではないと思いますけれども、しかしながら、利息制限法を超えた金利については訴えをもってこれを請求することはできないということについては、今後とも周知を図っていきたいと考えております。
  220. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、この金利の問題も、先ほどから何回も質問しているように、ぼくはアメリカの例を何回でも出しますけれども、普通の銀行利子よりは若干上回る、そういう利子で貸している。いわゆる小口金融法というのがあるわけですよ。アメリカもかつて六十年ないし七十年前は、日本と同じような、いまのサラ金業界が起こしているような犯罪がたくさんあったそうです。それで業界が自粛したり、または政府が前向きになってこの小口金融法というものが生まれて、年率大体四五%前後で貸して、現在スムーズにいっている。こういうことですから、こういう点もよく研究なされて、私は言いますけれども、このサラ金業界を全部整理しろと言っているのではないのですよ、本当に国民が納得いくようなそういう線に持っていくべきである、一〇〇%なんというのはこれは現在合わないですよ。そういう点を主張してこの点も検討していただきたい、このように要望しておきます。  さらに警視庁の方にお聞きいたしますけれども、この出資法で違反し、検挙された件数というものがあるわけでございますけれども、これはどれぐらい挙がっているのか、御説明願いたいと思います。
  221. 森永正比古

    ○森永政府委員 お答えいたします。  昭和五十一年中にいわゆる出資法違反で検挙をいたしましたのは千二百八十三件、人員にして千二百九十九人ということになっております。この数字は毎年ふえておりまして、参考に申し上げますと、昭和四十七年、いわゆる五年前と対比いたしますと、件数で約三倍、人員で約三・三五倍ということになっております。
  222. 春田重昭

    ○春田委員 件数でいまお話がありましたけれども、人員からいったら昭和五十一年千二百九十九人になっておりますね。いわゆる検挙されたのは千二百九十九人、これだけの数だけれども、起訴されたのは何名か、起訴されてどういう処分になったのか、その辺の内訳を御説明願いたいと思います。
  223. 佐藤道夫

    佐藤説明員 御報告申し上げます。  高金利違反、出資法五条違反事件の全国検察庁の受理処理状況でございますが、昭和五十一年は千百二十八人のものを受理いたしまして、そのうち百五十九名につき公判請求しております。五百十七名につきまして略式命令の請求をし、この合計が六百七十六名、不起訴が百八十八名、こうなっております。
  224. 春田重昭

    ○春田委員 略式というのはどういう処分ですか。
  225. 佐藤道夫

    佐藤説明員 刑事訴訟法に規定がございまして、正式な裁判、公判に付さないで、本人の同意がありますれば書面審理で罰金刑を科する、こういう手続でございます。
  226. 春田重昭

    ○春田委員 罰金刑というのはどのくらいですか。
  227. 佐藤道夫

    佐藤説明員 略式命令の場合は、罰金刑を科す限度がたしか二十万円であったように思います。
  228. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、検挙されたのはこれだけの数が挙がっておりますけれども、これは検挙されても氷山の一角であると私は思う。もっと泣き寝入りしている人、知らない人、それを挙げれば数限りないと思うのですよね。しかも検挙された人数でもこれだけありますけれども、実際起訴されたのは本当にわずかであるし、その処分対象もほとんどが略式であって、通常的な重い罰則を適用するのは非常に少ない、二割前後だと聞いております。そういう点からいった場合、非常にこの法が甘いゆえに、こうしてたとえ検挙されてもすぐ罰金刑で終わってしまうのだ、また起訴もされないのだという形で、いわゆるやり得だという感じが非常に強いわけです。そういう面でも、この現在出資法でうたわれている三年以下の懲役ないし三十万円以下の罰金、この辺の法改正ももっと強化すべきである、このように私は思いますけれども、この点どうですか。
  229. 佐藤道夫

    佐藤説明員 お答えいたします。  出資法五条の違反罰則の懲役三年、罰金三十万円と、こうなっておりますが、これはほかの類型の犯罪に比べましてかなり高い罰則ではなかろうかと考えております。確かに逃げ得、やり得というふうな御印象もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、警察に検挙される、そうして検察庁、裁判所においてそれ相応の処置を受けるということは、本人にとりましては大変な問題でございまして、それはそれなりに前科者ということでいろいろな身分上の問題でもまた不利益を受けるということに相なっておりますので、いたずらに刑罰を強化するということだけがすべてではないようにもまた考えております。
  230. 春田重昭

    ○春田委員 時間がございませんので、一応サラ金の問題はこれで終わりたいと思いますが、いずれにしてもこの出資法が昭和二十九年のものであり、二十三年前であって、当時と現在とはそういう社会情勢も非常に変わってきていると思うのです。そういう点では、現在の消費者金融分野の形成という新しい時代には全く対処できない。私はこのサラ金を全面的に否定するものではありません。貸し出し残高が一千億を超えて二千億近くあるというこの現実的な証拠というものは見逃すことができません。全くなくしてしまえというわけじゃないわけですけれども、やはり国民の納得のいくようなそういう金利、また届けの問題についても許可制ないし登録制、事前届け、こういうものにして、本当に国民が納得して、そしてサラ金による被害が全面的になくなるような、そういう法改正を早急に大蔵省が積極的にやって、他の省庁もそうでございますけれども、当面大蔵省が軸になってやっていただきたい、このことを要望してこの問題は終わりといたします。  次に専売公社の件でございますけれども、総裁お見えになっておりますか。時間がございませんので、ひとつ簡潔明瞭に御答弁願いたいと思うのですが、去る十一月一日、総裁は、政府公共企業体等基本問題会議において、現在の専売公社制についてさまざまな御意見を述べられておりますけれども、この場所で率直な御意見を賜りたいと思います。
  231. 泉美之松

    ○泉説明員 お答えいたします。  あの際申し上げましたのは、専売公社の経営形態についての意見を述べよ、こういうお話でございました。そこで私どもといたしましては、専売公社は昭和二十四年六月一日に設立されたものでございますけれども、それは政府から委任を受けて専売権を行使しておるのでありまして、もとになっております専売は、たばこ専売が完全専売になりまして七十三年、塩専売が専売になりまして七十二年の歴史を持っております。したがって、そうした歴史の上に立って考えると、白地の上に物を書くのと違って、その歴史というものを考えなければなりません。そういうことと、今日までいろいろ批判はございましょうけれども、円滑に専売権の行使に当たってまいっておりますので、この際公社制度を改めるあるいは専売制を廃止するという必要はないものと考えております。もちろん、現在の専売法あるいは公社運営のやり方につきましてはいろいろ改善すべき点がありますので、そういった改善は図らなければならないと思います。そういった改善の一端として必要なのは、現在納付金制度がとられておりますけれども、これでは、たばこに対して地方税は幾らか消費税制でなっておりますからわかりますけれども、国庫に帰属すべき税負担分が明確になっておりません。したがって、消費者の方にたばこには一体幾ら税金がかかっておるか御理解いただけない仕組みになっております。それから専売納付金というものは、申し上げるまでもなく、専売公社の益金の中から納めるわけでありますから、益金が減ればその納める額が少なくて済む。ということは、コストが上がっていく今日の状態のもとにおいては財政収入が安定しないということになります。それから、納付金制度のもとにおきましては、公社経営上、公社の業績が上がっているのかどうかということが必ずしも明確にされない。コストが上がればそのまま納付金が減っていくという形になっております。そういう点から言うと、いまの専売納付金制度を改めて、消費税制度かあるいは納付金率法定化か、何らかたばこにかかる消費税相当分が明確になるような措置をお願いしたい。もちろん、そういう措置を講じましてもなおかつ、独占でありますから専売公社に益金が残ります。その益金につきましてはしかるべき納付の方法を考えなければならないでしょう、こういうことを申し上げたのでございます。
  232. 春田重昭

    ○春田委員 この専売納付金の問題でございますけれども、これは大蔵省はどういうお考えを持っていますか。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  233. 大槻章雄

    ○大槻政府委員 たばこ専売納付金制度につきましては先ほど専売公社の総裁からもいろいろお話があったわけでございますが、消費税相当分の明確化とか財政収入の安定的確保、専売公社の企業責任の明確化等の観点から消費税制度に移行すべきである、こういう御意見があるということは私どもも承知しているわけでございます。しかしながら、この問題につきましてはたばこの定価の決定方式や公社の経営形態のあり方とも密接に結びつく問題であること、また先生も御案内のように現在公共企業体基本問題会議において検討が進められていることから、大蔵省としましては今後慎重に検討すべき問題である、こういうふうに考えております。
  234. 春田重昭

    ○春田委員 総裁にお伺いしますけれども、この専売納付金制度をそのようになくして、消費税という形で国庫に納付する場合においては、法改正が必要になると思うのです。第二十四条だと思いますけれども、この辺も改正する必要があると思っているのですか。
  235. 泉美之松

    ○泉説明員 おっしゃるとおり、法改正を必要といたします。したがって、もし消費税制度にするならば、新しく消費税法をつくらなければなりませんでしょうし、納付金率法定化でありますれば、専売公社法を改めなければならないことになります。
  236. 春田重昭

    ○春田委員 私は総裁の考え方もわからないことはないのですけれども、消費税を導入するということは、いま問題になっていますいわゆる大蔵省が考えている一般消費税の問題と関連して、他の消費税の導入の引き金になってくるのじゃないか、たばこの値上げにつながってくるのじゃないかという感じを持っているわけです。きょうの新聞を見ても、五十二年度の専売納付金が五千四百五十三億円の見込みであるけれども、来年度においては人件費の高騰等において五千億を下回るのじゃないか、こういうことで書かれております。大蔵省としても、専売納付金というのはそのときの定価が上がらなかった場合においてはだんだん下がってくるわけです。コストやいろいろな人件費が上がっていくわけですから。そういう面では、消費税というものを導入して、ある程度一定の率を掛けてそれをがっちり入れた方が、現在のこういう財源難のときは非常にいいのじゃないかという考え方もあるのじゃなかろうかと思っているのでございますけれども、いま大蔵省は非常に慎重に対処する、検討する、こういうことでございますけれども、私はそういう面では価格値上げの非常に引き金になってくるのじゃないかという心配をしているわけです。  もう一点だけお尋ねしますけれども、総裁いわゆる価格法定主義も何か緩和したい、こういう発言をなさったと聞いておりますけれども、この点はどうなんですか。
  237. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど申し上げましたように、たばこ消費税は現在の専売納付金制度にかわるものでございますから、消費税にかえたからといってすぐに値上げという問題には発展しないと思います。消費税にかえなくとも、専売納付金制度のもとにおいても、大蔵省として財政収入が欲しいということになりますれば、値上げの問題は当然起こるわけでございます。  それから、いまお尋ねの製造たばこ定価法の弾力化の点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、消費税法を設けるか、あるいは納付金率法定制にするか、いずれかの方法をとりますと、国民にたばこにかかる税金相当部分というものが明確になるわけでございます。そういたしますと、もちろんたばこというのは専売の独占権のもとに行われておるものでありますけれども財政法三条で決められております法律上または事実上独占に属する料金というもので、いまの製造たばこ定価法に基づいて国会で議決を受けて、大蔵大臣の認可を受けて製造たばこの定価を決めているわけでありますけれども、消費税あるいはそれに相当するものが明確になり、さらに先ほど申し上げましたように、なお残った益金に対して納付金という制度が設けられるということになりますと、これは財政法第三条が、租税法定主義の例外として行われるものに対して、専売によって単なる報償以上のものがどれだけあるのかということを明確にするために法律によって規制するということになっておるのに、その中身が決まってしまえば、現在のように一級、二級、三級といったようなことで製造たばこの定価を決める必要はなくて、製造たばこ定価法の中身を現在とは変えて、製造たばこの定価はどういう基準に基づいて決定する、もちろんそういう決定の基本的な方式を決めておいて、さらにこれを審議会に諮って大蔵大臣が認可するというような制度も考えられるところでありまして、いずれにしても消費税と納付金というようなものがきちっと決まれば、現在の定価法の内容でなくてもいいのではないか、それでも国民、消費者の利益というものは守られるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  238. 春田重昭

    ○春田委員 時間がありませんので簡単にひとつ御答弁願いたいと思うのですが、きょうの新聞では、五十三年度二〇%くらいの引き上げを大蔵省は望んでおるということでございますが、専売公社としてはどういうふうにお考えでございます
  239. 泉美之松

    ○泉説明員 新聞にいろいろな記事が出ておることは承知いたしておりますけれども、先ほど大蔵大臣からもお答えがございましたように、来年度の税収をどうするかというようなことは、これから税制調査会が審議して、それに基づいて決定してまいることでございまして、現段階でそういうことが決まっているわけではございませんし、今後慎重に検討をされるべきことと考えております。
  240. 春田重昭

    ○春田委員 最近の専売公社にまつわるたばこの問題については、私は一連の流れがあるように思えてならないのです。いわゆる総裁の発言、この背景を自分なりに考えるわけでありますが、専売納付金はやめて消費税にするということは、確かに専売納付金が、値上げしなかったらだんだん下がっていくわけです。下がっていけば当然大蔵省が困るということで、専売の内部留保全を切り崩して、いわゆる専売公社の取り分が少なくなっていく。そういうことも考えて、なくしたい、それで法定主義を緩和して、いわゆる大臣また総裁の認可だけで値段を決めていきたい、こういう一連の動きがあるように思えてならないから、私はこういう質問をしたわけでございますけれども、時間がございませんのでそれ以上は質問いたしません。  そこで私は、国鉄が今回、法定主義の緩和という形で国会、一応衆議院を通ったわけでございますけれども、専売公社についてはずっと黒字なんですから、この法定主義緩和という点は私は当たらないと思うのです。そういう点でひとつこの点は慎重に考えていただきたいと思います。  そこで、せっかく自治省の方がお見えになっておりますのでお尋ねしてまいりたいと思います。  いまのたばこの地方消費税の分配の問題で、いわゆる属人主義か属地主義かという問題が論議されております。たとえば東京都内では千代田区が昼間人口が非常にふえて、いわゆる現在の分配からいったら非常に地方消費税が入ってくるわけですね。ところが世田谷なんかは人口は多いけれども昼間人口が少ない、みんな働くところに世田谷から出ていくので地方消費税が入らないということで、人口比例にすべきであるという意見が出たり、都道府県においても埼玉県なんかがそういう点が東京都内の世田谷区に当たるみたいですね。人口は多いけれども、実際たばこ消費税はぐっと落ちる。こういう問題があるわけでございますけれども、この辺自治省としては、こういう地方自治体から論議が出ておりますけれども、どのようにお考えになっておりますか。簡単でいいです。
  241. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほどのお言葉でちょっとだけ申し上げておきますと、たばこ消費税制度にして法定化を図りたいというのが私の意見のようにおっしゃられたのでありますが、昭和五十年の定価改定のとき春田委員は国会にいらっしゃらなかったかもしれませんけれども、あのとき国会ではもっぱら現在の納付金制度を改めて消費税制度にせよというのが国会の御意見であったのでございます。
  242. 渡辺功

    ○渡辺説明員 大都市の周辺都市の財政事情をお考えの点につきましては全く同じ現状認識を持っております。  お話のたばこ消費税でございますが、かつてはたばこの小売定価を基礎として課税しておりましたけれども、途中で改正されまして、その定価は全国的な平均単価でやっていくということになりました。これは、先生いま御指摘のようなどちらかと言えば財政力の弱い市町村に税源配分をするという趣旨で今日に至っております。そこで今日の消費税でございますが、これは消費税としての性格上、やはりたばこが売られた土地というところで課税をする、こういうことになっておりまして、そのたてまえ、といいますのは消費税としてのたてまえを考えながら、いま属人主義とおっしゃいました、正確にそれを理解してないかもしれませんが、その方式をとることはちょっと税として非常にむずかしいと考えております。したがいまして、周辺都市の財政問題は、税制の中でももっと幅広くこれは私ども地方税源充実の中で検討していかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。
  243. 春田重昭

    ○春田委員 そういうことで検討していただきたいと思うのです。  いずれにしろこういう問題が起こったのは、交付税が三二%ということで非常に低い、こういう点から持ち上がった問題ではなかろうかと思いますし、五十二年度は三二%プラス三・六%ですか、九千四百億ぐらいの特例金がついたみたいでございますけれども、さらにこの交付税のアップの問題はいよいよ論議されたわけでございますので、少なくとも三六%ないし四〇%の交付税率はアップしていただきたい、このように要望しておきます。  最後に外国製たばこの問題でございますが、これは円高による差益がかなり出ているんではなかろうか。こういう点で外国製のたばこの引き下げの問題がいまやはり消費者の間から起こっておりますけれども、十一月一日値下げされたみたいでございますけれども、この中で私いろいろ検討させていただいたのですが、値下げしたとおっしゃっておりますけれども、全体の八・三%なんですよ。特にアメリカのたばこが日本の場合多いわけでございますが、アメリカのたばこの中の率からいったら値下げしたのはわずか一・二%なんです。こういう点で国民からは、かなり差益があるのに、現実に物価安定の方に、値下げの方に反映しないじゃないかという声が上がっておりますけれども、総裁どのようにお考えになっておりますか。
  244. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のとおり、十一月一日の輸入たばこの値下げの際には、アメリカ製品のものはごくわずかしか値下げができません。むしろ値上げになったものすらございます。これは、お話のように円高になったわけでございますが、アメリカのメーカーが売り値を二〇%も上げてまいりました。その結果、改定前の輸入たばこの価格が決定されました当時は一ドル三百円で計算いたしておったのでありますが、それを二〇%も値上げしてまいりましたので、二百四十円以下にならないと値下げの可能性が出てまいりません。現在二百四十五円ぐらいでございますので、いまのところそういったものについては値下げができない状況にございます。ということは、アメリカ側としては為替差益を日本にやらない、全部アメリカの方でとりたい、こういうことで値上げをしてまいったものと考えております。
  245. 春田重昭

    ○春田委員 アメリカの場合の契約は毎年七月ですか、契約なさっているみたいですね。年一回と聞いておりますけれども、これは間違いありませんか。
  246. 泉美之松

    ○泉説明員 年二回契約いたしております。
  247. 春田重昭

    ○春田委員 何月と何月ですか。
  248. 泉美之松

    ○泉説明員 失礼しました。契約は年一回で、輸入が二回に分けておるわけでございます。
  249. 春田重昭

    ○春田委員 たしか契約月は七月だと思いますけれども、このようにいま非常に為替レートの変動が激しいときだけに、年一回の契約で、それで今回の場合も七月で当時二百六十八円のレートで契約なさったみたいですけれども、現在二百四十五円ということでかなり上がっているわけですね。こういう点で、国民の方はそういう点がわからないのですね。そういう点で年一回の契約を短期契約にして、このようにレートが激しいときですから、なるたけ差益が国民に反映できるといいますか、還元できるような方法をして、少なくとも全体の数%しか値下げができなかったのじゃなくして、ほとんどが値下げができるような方法ができないかというのが国民の素朴な意見ではないかと私は思うのですけれども、この点どのようにお考えになりますか。
  250. 泉美之松

    ○泉説明員 お話の点はよくわかりますが、向こうがドル建ての売り値を上げてまいりますと、それは年何回契約いたしましょうともそれによる為替差益は出ることが非常に少なくなります。お話のように、今日のように為替変動の激しいときには、契約もそれ相当に分けて考えるべきものとは思っております。そういう事情があるということだけは御理解いただきたいと存じます。
  251. 春田重昭

    ○春田委員 それでは以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  252. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤巖君。
  253. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、税務行政についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、税務調査の実態についてお尋ねをします。  御承知のように、七十二国会の大蔵委員会で中小業者に対する税制改正等に関する請願というのが採択されまして、その請願は本会議でもちろん議決はされているわけですが、その中で税務の調査の問題については、「税務調査に当たり、事前に納税者に通知するとともに、調査の理由を開示すること。」というふうになっております。それから、これに対する大蔵省の方の請願の処理経過が説明をされているわけですが、税務の調査の問題については「原則として調査日時をあらかじめ通知する」「調査理由については、調査事項を限定するような具体的な理由は開示できないが、必要に応じ、概括的な調査理由の開示は行つている。」のだというのが経過の説明としてあるわけでございます。そしてさらに、これは国税庁が出しておられる昭和五十一年四月一日付「税務運営方針」これの「直税関係」のところで「調査方法等の改善」という項目がありまして、「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最小限度にとどめ、」というふうになっているわけですね。ですから、これは請願の国会での議決ということもありますし、それを受けた大蔵省の処理、「税務運営方針」というのがあるわけです。そういう経過からして、「税務運営方針」とともに、これはしっかりと守っていかなければならないものだと思うのですが、まずこの点について大蔵大臣の御答弁をお願いします。——まず大蔵大臣、このことだけ答えていただけばあとは質問しませんから、まずそれを答えてください。
  254. 坊秀男

    ○坊国務大臣 御指摘の請願の問題等につきましては、大蔵省としては尊重をしてまいりたい、かように思っております。
  255. 安藤巖

    ○安藤委員 大蔵大臣に後でお尋ねしませんからと申し上げましたけれども、いまどうも私が質問しておりましたのをしっかり聞いておられないようですので、これからまた質問するかもしれません。  ところで、いま大臣がおっしゃったようなことですが、こういう請願の趣旨、それから「税務運営方針」、これは各税務署の職員に徹底してなければならぬと思うのですが、これはどういう方法で徹底しておられるのか、お伺いしたいのです。
  256. 磯邊律男

    磯邊政府委員 まず、「税務運営方針」でありますが、これは毎年改定する場合もあるし、改定しない場合もあるわけでありますけれども、この「運営方針」は各職員に全部配付してございます。同時に職場研修におきましてもこれの講義をやっております。それから、採択された請願内容それから内閣処理、これは全部各国税局を通じて税務署の方に流しておりまして、各第一線の税務職員も全部これは承知しております。
  257. 春田重昭

    ○春田委員 ところが税務署の職員の中には、この議決された請願、さらには「税務運営方針」、これを全く知らないということを公然と述べている職員の人がおるわけです。だから税務調査に行きますと、事前に連絡がないじゃないか、いま商売で忙しい真っ最中なんだ、どうして事前に連絡してくれないのだ、ちゃんと「税務運営方針」とか請願、それからそれに対する大蔵省の処理の説明ではそうなっているじゃないかと聞きますと、そういう請願の議決なんかに私どもは拘束はされないと明言をする職員がおるのです。「税務運営方針」は、全然そんなものはわしは知らぬと広言する職員がおるのです。具体的には名古屋税務局管内の中税務署と熱田税務署の職員です。全部じゃないと思いますけれども、そういう職員がおるのです。ですから、いま大臣がおっしゃっていることからするととんでもないことをやっていると思います。これは国会の意思を踏みにじるものだと言わなければなりません。  それから、先ほどおっしゃったような方法で徹底するようにしておられることはわかりましたけれども、実態がこのようであるとすれば、いま申し上げたような二つの税務署の職員に限ったことではないような気がします。ですから、改めて通達をお出しになるなり何らかの方法で周知徹底をされるようにしていただきたいと思うのですが、その点いかがですか。
  258. 磯邊律男

    磯邊政府委員 第一線の税務職員が「運営方針」にこだわらないとか、あるいは国会で採択された請願に全然拘束されないという表現をしたということはちょっとあり得ないことだと思って、常識で考えられませんけれども、もし徹底してない向きがたまたまありとすれば、それは重大なことでありますから、至急に改めてこの趣旨、「税務運営方針」はもちろん、国会で採択された請願の内容、それに対しては十分に徹底されるように取り計らいます。
  259. 安藤巖

    ○安藤委員 次に、税理士と税務署との関係について二、三お尋ねしたいと思うのですが、御承知のように税理士法の五十五条と五十七条ですか、税理士の人たちに対して監督をするのは国税局長、それから税務署長ということになっておるわけですが、納税者に対してだれだれの税理士さんに相談しなさいとか、そういうふうに税務署が特定の税理士を紹介するということが行われているようですが、それは国税庁の方としても推奨しておられることなんですか。そういうことをやりなさいと言っておられるのですか。
  260. 磯邊律男

    磯邊政府委員 税務署側で特定の税理士を納税者に紹介するということは、これはないと思っております。ただ、特定の業界あるいは商工会議所であるとかそういった団体から推薦する税理士というのはおられるかと思いますけれども、税務当局の方から特定の税理士さんを紹介するということは、これはないはずでございます。
  261. 安藤巖

    ○安藤委員 現実にはそういうような事例を私は幾つか聞いているのですが、そういうことがあればこれはやっちゃならぬことだと思うのです。それも続けて答弁していただきたいのですが、さらにそれよりも進んで、税理士に対する委任状を税務署の方がちゃんと用意をしておって、納税者の人たちにいまこの委任状に名前を書いてだれだれ税理士に委任しなさいというようなことまでやるに至っては、とんでもないことだと思うのですが、いかがですか。
  262. 磯邊律男

    磯邊政府委員 それは行き過ぎだと思います。
  263. 安藤巖

    ○安藤委員 行き過ぎだと思いますというふうにいまおっしゃったのですけれども、現実にそれが行われているのです。きちっと調査をされて、そういうことはやめるようにしていただきたいと思います。本当にそんなことがあるのかなという顔をしておられるのですが、これは高知市内のことですから高知の税務署だと私は思うのですが、米屋さんを各仕入れ先の組合ごとに集めて、そしてそこで税務署の総務課長さんほか二人、合計三名の方が出席をされて、これは後でも修正申告の点でお尋ねしますけれども、まず委任状のことだけでお答えいただきたいのですが、こういうふうに言っておられるわけです。これは要旨ですが、米屋の利益率は売り上げに対する一五%ということが一部の米屋の調査でわかった、その利益率以下で申告している人は三年さかのぼって修正申告してほしいと言って、自分で修正申告ができない人は税理士に委任すれば五千円でやります——税務署の人が言っているのですよ。と言って、委任状まで準備している。そして、さらに修正に応じない場合は立ち入り調査をやり、五年さかのぼって更正決定をするんだということまで言っておる。これはすぐ後で聞きます。全体としての集まりの中でそういう説明が終わりますと、今度は一人一人別室へ呼び出して、おたくはこうこうこうだから所得はこれだけだというふうに説明をして、税理士に委任するならこの委任状に判こを押しなさいということまでやっておられるという事実があるのです。とんでもないことですね。早速こういうのをやめさせるというふうにやっていただきたいのです。いかがですか。
  264. 水口昭

    ○水口政府委員 お答えいたします。  ただいまの高知税務署におけるお話でございますが、私どもが高知税務署から聞いたところによりますと、確かにお話のように高知署管内のお米屋さんに集まっていただきまして、これは白色申告の方でございますが、五十一年分の確定申告について税務署が指導したわけでございます。それで税務署がそのお米屋さんのうち何軒かを実際に調べたところ、かなりの利益があった、それでいろいろ情報もつかんでおるわけでございます。そこで、同じようなお米屋さんに集まっていただいて、これはわれわれ部内の言葉でございますが、業種別指導……
  265. 安藤巖

    ○安藤委員 まず、修正申告のことをお尋ねしますから、委任状の問題だけについて答えてください。
  266. 水口昭

    ○水口政府委員 その前提としてお話したいと思いますが、業種別の指導と呼んでいるものでございますが、それで情報もございますし、資料もございますし、どうもお米屋さんの申告が低いようだから修正申告をしてくださいというお願いをしましたところ、大多数のお米屋さんが修正申告をされた。  なお先生おっしゃるように、その修正申告に応じなければ更正をするとか、そういうことは言っていないという話を聞いております。  それから委任状云々については、そのようなことは全くわれわれは報告を受けておりません。
  267. 安藤巖

    ○安藤委員 紹介をするということも行き過ぎだし、ましてや税務署の職員の人たちが納税者の人たちに特定の税理士に対する委任状を書かせるなんというのは、もっと行き過ぎだということははっきりしておると思うのですが、まだその点について長官の方から御答弁をいただいてないのですけれども、すぐあとで答えてくださいね。とんでもないことだと思うのです。そういうことをやったということを、税務署の方が、国税庁の方から、どうだこういうような話を聞いておるが本当かと言えば、そんなことは言っておりませんと言うに決まっていますよ。しかし現実にそういうことがあったということを私は聞いておりますので、もう一回これは厳重に調査をして、そういうようなことは今後ないように、そういうような形で委任をしたというような点については、もう一度、自主的な納税者の人の立場で委任状を撤回するなり何なりということをやってもらって結構だというところまでやっていただかないと、結末がつかないと思うのですね。いかがですか。
  268. 磯邊律男

    磯邊政府委員 納税者の中には御自分で記帳も十分できない、それから修正申告されるとか言ってもそのやり方も御存じない方もおられるわけでございまして、そういうときには、納税者と税務当局の間に立って、正当な資格を持つ税理士の方にいわゆる税務代理行為をしていただくということ、これは円滑な税務行政を遂行するためにきわめて必要なことだろうと思っておりますが、恐らく私の考えるところでは、当該税務署においても、御自分で修正申告ができない、そんなことはおれはわからないと言われた方に対して、それでは税理士先生にやってもらいなさいというように慫慂したのだろうと思います。ただ、もし先生御指摘のように、個別的な税理士の名前を書いて、その先生の委任状までつくってそれに判こを押させたということであれば、それは税務署として行き過ぎだろうと思います。ですから、そういう点のないようにこれは注意します。しかし、正当な税理士先生が中に入って、そして円滑な税務行政のためにお尽くしいただくようにお願いするのは税務署として当然のことだと思っております。
  269. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、税務署が税理士を通じて民主商工会からの脱退工作をやっているという事実を幾つか聞いておるのですが、そのうちの一、二の具体的な例だけ申し上げて、そういうことはやめていただきたいということでお話するのですが、愛知県の半田税務署管内の民商の会員さんが税務署から事後調査を受けた。そこで、元名古屋の西税務署にいたことのある、名前はあえて言いませんが、某税理士に相談をしましたところ、民商をやめることを条件にして引き受けよう、何を引き受けるかわかりませんが、引き受けてくれた。そうしたら、すぐ税務署の副署長さんに会ってほしいということをその税理士さんに言われた。副署長さんに会ったところ、民商をやめるように副署長さんから強く言われた。脱会を約束させられて、この人は現実に脱会していってしまっておるわけです。この某税理士さんと半田税務署の副署長さんとは連絡があって、この納税者であり、民商の会員さんをやめさせたというかっこうになってくるわけなんです。そしておまけとして、ほうびかどうか知りませんが、現実に税額を相当まけてもらったということらしいのです。だから、そういうのをえさにして税務署が税理士と一緒になって民商の会員をやめさせる、これは民主商工会という民主的な普通の団体に対する介入行為だと思うのですけれどもね。  それからもう一つの事例、これは民商をやめていない人なんですが、こういうような事実があるのです。同じ半田税務署の管内で、ある民商の会員さんが某税理士、これは先ほど申し上げました税理士さんと同じ人なんです。に相談したところ、やはり今度も税務署の副署長さんからぜひ来てほしいという執拗な電話があった。しかしその人は行かなかったのですが、その某税理士と同じ事務所の税理士に相談したところ、その同じ事務所の税理士はこういうふうに言ったというのです。あなたのところは更正決定処分をするばかりになっている、所得額は千九百万円だ、これは半田税務署の統括官から聞いている、いまそれをとめてやっているのだ、早く民商をやめて私のところへ来ればうまくやってやるがどうだ、こういう話なんです。ところが、その人はがんとして民商をやめなかった。そしたら後からまさに千九百万円の額にほとんど近い更正決定処分が来た。こういうような連係プレーが行われているという事実があるのですね。  これはまさに、大きく言えばもちろん憲法の結社の自由に対する侵害行為でもあるし、そういう民主的な、自主的な団体に対する介入行為でもある。とんでもないことだと思うのですが、いかがですか。
  270. 磯邊律男

    磯邊政府委員 先生御指摘のように、もしそういった行為が憲法違反であるということでありますと、もちろん公務員でありますから憲法違反等、犯すようなことをやってはいけないのは当然でございます。しかし同時に、私いま先生の御質問を拝聴いたしまして考えましたことは、私たち税務行政をやりますためには、いかにして税務行政を円滑にやっていくか、そのためには、基本的にはやはり納税者の方が誠実な申告をしていただく、それから同時に、私たちの調査に対しても御協力いただく、そういった納税者の方と税務署の間の信頼関係、協力関係というものがやはり一番必要なことだろうと私は考えておるわけであります。ところが、非常に残念なことには、民主商工会の中には意識的に低額申告をする、税務署員が調査に行きましたらそれに対して調査の妨害をするというふうな例がかなりございます。したがいまして私たちは、いかにしてそういった調査妨害なり低額申告をしないような方を一人でも多くつくるか、それは民主商工会員であるか否かとはかかわりません。民主商工会の方でもとにかく誠実な申告をしていただく、そして調査に御協力いただく、そういった納税者を一人でも多くつくりたいというのが私たちの税務行政の理想であります。そういった意味で、いま御指摘になりましたような税務署におきましても、調査の協力を求めたその行為だろうと私は考えております。
  271. 安藤巖

    ○安藤委員 いま国税庁長官は私が尋ねもしないようなことをべらべらとおしゃべりになったのですけれども、私がお尋ねしているのは、いま具体的な例を挙げたように、税務署と税理士が連係プレーをとって民主商工会の脱会工作をやっている、調査に対する妨害をしたとか過少申告をしたとか、どうとかこうとかというようなこととは関係なしに、そのことは私全然触れておりませんからね。そういう脱会工作をやっているこの事実はどうかということをお尋ねしているのですよ。不当じゃないかということを言っているのですよ。  時間がありませんからもう一つ具体的に。  これも本当の話です。これは税理士の人は関係ないのですが、こういうようなことで本当に公正な税務運営なのか、あるいは本当に納税者に適正な納税行為の履行をさせるための行為なのか、疑わしくなってくるようなことがあるのです。これも民商のある会員ですが、名古屋国税局管内のある税務署、事後調査が終わって間もなく税務署から呼び出しがあった。それで出かけたのです。これは統括官かどうかということはわかりませんが、その職員の人が、あなたの税金の額は二十万円だというふうに申し向けたのです。それで、ただし民主商工会をやめるのならその税額を何とか考慮してもいいのだがどうだ、こういう話になったわけです。その会員さんはしばし考えておったのですが、ついにあっさりと、民商をやめます。こう言ったのです。そうしたら、その税務署の職員の人たちが非常に乗り気になって、それなら大幅に税金をまけてやる、あなたは幾ら出すつもりなのか。それでその人は、五万円くらいは出そうというつもりで指を五本出したのだそうです。そうしたらその税務署の職員の人は、おお五千円か、そんなに素直に言うなら四千円にまけてやると言って、四千円で済んだというのです。これは一体どうなんです。二十万円というような額が正当かどうか、もちろん私にもわかりませんよ。四千円だったのかもしれませんよ。それを二十万円だと言って、そして最終的には四千円にしてしまって、そういうえさで、どちらが正しいのか私は調べておりませんからよくわかりません、そういうようなことでもって民主商工会からの脱退工作をしておる。これは具体的な事実ですよ。私がいましゃべったのは、まさに真に迫った事実の描写でしょう。こういうことが行われておるのです。これは公正な税務行政と言えるのですか、どうなんです。
  272. 磯邊律男

    磯邊政府委員 そういう課税のやり方はよくありません。
  273. 安藤巖

    ○安藤委員 よくないですね。脱会工作の方はどうなんですか。
  274. 磯邊律男

    磯邊政府委員 それはよくないことであります。
  275. 安藤巖

    ○安藤委員 よくないことでありますとおっしゃるのですが、そういうことはもう今後ないようにきちっと税務署に申しつけていただきたい。どうですか。
  276. 磯邊律男

    磯邊政府委員 私たちはかねがね、公正な税務行政をやるように税務署の方によく言っております。したがいまして、納税者の方の御協力を得て円滑かつ公正な税務行政をやるように、税務署の方によく申しつけます。
  277. 安藤巖

    ○安藤委員 時間がありませんから、先ほど少しお尋ねしかけました修正申告、高知の税務署の件についてお尋ねするのですけれども、事前にちょっと先行答弁をしていただいたのですけれども、普通、修正申告といいますのは、国税通則法の十九条によりますと自主的に納税者がするものだというたてまえになっております。しかし、実際は税務署の方から調査に行かれまして、あなたのところは実はこれこれこれが漏れておって、だから所得の額はこれだけになりますから改めて増額の修正申告をしたらどうですか、あるいはしなさいという話になって、納税者の人が修正申告をする、こういう経過があるということは聞いております。しかし、先ほど私が高知の事例で申し上げましたことは、修正申告をしなければ更正決定を打つよという脅迫が一つあるということ。更正決定を打つがいいか。それから、その米屋さんなら、米屋さんの帳簿等を調査をして、具体的に調査をした結果あなたのところの申告額はこうこうで低いですよと言うのならまだわかるのです。ところが、一律に集めておいて一律に修正申告しなさいと言うのは行き過ぎじゃないかと思うのですが、どうですか。
  278. 水口昭

    ○水口政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えしたと思いますが、まず修正に応じなければ更正をするとか、そういうふうなことは税務署側は言っていない、こういう報告でございます。  それから次に、その集合指導の話でございますが、確かに納税者一人一人について調査を行う、これが原則かもしれませんが、最近は税務職員の数もそう多くはございません。納税者の数に比べてかなり人手不足である。また、調査一点張りよりも、指導を通じまして納得ずくで協力していただいて税金を納めていただくということが大切であるということで、特に所得税におきましてはなるべく指導によって修正申告をしていただく、これが好ましいのじゃないかというふうな方向でやっておりますので、このお米屋さんの場合も、単に少し調べてみたら低かったというだけではなしに、そのほかいろいろ税務署の方にもお米屋さんに関する資料、情報があるわけでございます。ですから調べれば当然また脱漏がわかると思いますけれども、そうじゃなくて御自分で修正申告をしていただきたい、こういうふうなお願いをしたというふうに聞いております。
  279. 安藤巖

    ○安藤委員 そのように集団的に言われた人の中には、この五月に税務署の方からの話があって修正申告をしたばかりだという人まで入っているんだそうです。だからそういうことになりますと、いま最初におっしゃったように、具体的に調査をした結果これだけ所得金額が下回っておりますよというようなことでおやりになるのが、それが原則なんでしょう。通常なんでしょう。まずそのことだけ。
  280. 水口昭

    ○水口政府委員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、納税者の数に比べて税務署の人手も不足であるということと、それからなるべく協力をして税金を納めていただく、この二つの見地から、国税庁といたしましては、調査一点張りではなしに調査と指導、これを車の両輪として進めるという方針をとっております。
  281. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、いまあなたのおっしゃったのを善意に解釈すれば、高知の私が申し上げました事例は、全体的に指導したんだというようなことですか。調査は具体的にはされておらないわけですからね。
  282. 水口昭

    ○水口政府委員 これはわれわれ部内の言葉で申しますと、業種別の集合指導ということになるわけでございます。まさに指導でございます。
  283. 安藤巖

    ○安藤委員 これで終わりますけれども、そうしますと、修正申告をしなさいということではなくして、もう一度見直してほしいということなんですね。修正申告をしなさいということは言ったか言わぬか、それから、先ほどの更正決定を打ちますよというようなことは言ったか言わぬかの問題になりますけれども、それはきちっと改めて事実を調査していただきたい。もし更正決定を打つぞ、あるいは更正処分をするぞというようなことであれば、それは行き過ぎであるということもはっきり言っていただきたいと思うのですね。集団的な指導だということなら、そのように集団的な指導だということをわかるようにこれからもしていただきたい、それを強く指示していただきたいと思うのです。いかがですか。そのことだけ答えてください。これで終わります。
  284. 水口昭

    ○水口政府委員 お答えいたします。  私が高知税務署から聞いた報告では、特に行き過ぎはなかったと思いますが、今後とも行き過ぎのないように注意をいたしたいと思います。
  285. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  286. 芳賀貢

    芳賀委員長 森下元晴君。
  287. 森下元晴

    ○森下委員 私は、造幣局と印刷局に、短時間でございますけれども質問をさせていただきます。大蔵大臣はお忙しいようでございますから、お引き取り願っても結構でございます。  初めに印刷局の方にお願いしたいと思います。印刷局の事業内容、それから組織について初めに御質問いたします。簡単で結構でございますから、明快にお願いしたいと思います。
  288. 片山充

    ○片山説明員 印刷局の業務といたしましては、日本銀行券の製造を初めといたしまして、国債、公債その他印紙類、諸証券と申しておりますが、それの製造というのが一つございます。それからそれらの諸証券の用紙の製造、それから三番目といたしましては、官報、公報その他の政府刊行物の印刷発行という仕事でございます。  組織といたしましては、主な組織を申し上げますと、本局のほかに工場が七つ、研究所、教習所、病院が二つ、出張所が五つ、本局は総務、業務、製造の三部に分かれております。大体以上でございます。
  289. 森下元晴

    ○森下委員 いま御答弁ございましたように、日本銀行券はもちろん、郵券や図書の印刷、それから最近では外国の切手、外国の郵券等も受注しておるようでございます。  そこで、五十年度の日本銀行券の製造実績、それから原価ですね。それも五十年度だけで結構でございますから、簡明にお答え願いたいと思います。
  290. 片山充

    ○片山説明員 五十年度の製造実績でございますが、一万円券、五千円券、千円券、五百円券、合計で申し上げまして二十七億枚でございます。  それから五十年度の単価でございますが、一万円券が十六円四十銭弱でございます。五千円券が十五円二十銭少し、千円券が八円十銭余りでございます。五百円が約八円ということに相なっております。
  291. 森下元晴

    ○森下委員 非常に幅広い内容で、日本銀行券につきましてはコストは証券の額に比べて非常に安いわけでございます。しかしながら、全般的には印刷局は、五十年度の決算を見ますと約五十二億円ぐらいの黒字でございます。この黒字の処分はどういうふうにされておりますか、五十二億九千六百億ぐらいですね。この黒字をどういうふうに処分されておるか、これも簡明にお願いします。
  292. 片山充

    ○片山説明員 五十二億何がしの純益のうちで、固定資産増加に見合います部分を差し引きまして三十四億二千百万円を一般会計へ納付いたしております。
  293. 森下元晴

    ○森下委員 印刷局につきましては私も余り実は知識がないのです。百聞は一見にしかずで、一度機会を得て見学、勉強も実はしてみたい、このように思っております。  それから印刷局への最後の質問でございますけれども、製紙の関係の原料ですね。これはいまどういう種類のものを使っておられますか。それから国産の原料だけでやっておりますか。それとも外国から入れておるのであれば、どういう形でどういうものを入れておるか、これも簡明にひとつお伺いしたいと思います。と申しますのは、過去においては山村対策でコウゾとかミツマタ——ちょうどたばこ専売でたばこ耕作者との関係のような関係がございまして、先ほども質問がございましたけれども、かなり山村の振興に寄与しておるかどうか、この点について私もちょっと聞きたいと思いまして質問するわけです。概数で結構でございますから、どういう種類のものを、国内ではどの程度、外国からはどの程度のものを入れておるか、これを最後の印刷局に対する質問といたします。
  294. 片山充

    ○片山説明員 ただいま手元に詳しい資料がございませんので概数でございますけれども、種類といたしましてはミツマタ、パルプ、マニラ麻、木綿、古紙、白土その他でございます。パルプその他は国産のものもございますし、輸入しておるものもございます。ミツマタにつきましては、これはすべて国産品を買い上げておるという状況でございます。
  295. 森下元晴

    ○森下委員 でき得る限り、ひとつ国内の山村振興のためにコウゾとかミツマタの買い上げによって紙幣の印刷に回すようにお願いしたいと思います。  続きまして、造幣局の方にお願いしたいのですが、初めに造幣局の組織について簡単にお答えを願いたいと思います。
  296. 藤沢正

    藤沢説明員 お答え申し上げます。  造幣局は大阪に本局がございまして、あと東京支局と広島支局、それから熊本に出張所がございます。本局は総務部、作業管理部、製造部、病院と四部の組織でできておりまして、東京支局、広島支局はそれぞれ課だけでございます。
  297. 森下元晴

    ○森下委員 そこで、いま御説明いただいた中で、病院が三つあるようでございます。先ほどの印刷局の方は定員が七千名ぐらいで病院が二つ。造幣局の方は定員が千七百八十人で病院が三つ。この病院は職員対象の病院であるのか、一般の方も対象にしておるのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  298. 藤沢正

    藤沢説明員 病院は大阪に一つございますし、東京、広島にもそれぞれ小規模の病院——これは名前だけでございまして、一応あるわけでございますが、もちろん一般の方も対象に入れております。  ただ、東京支局の場合は、病院という名前になっておりますけれども、実際勤務しております常勤の医者としては事実上一名でございまして、あと非常勤みたいな形で雇ってはおりますけれども、若干その点が——東京、広島にそれぞれ病院があるとおっしゃいましても、名前だけでございまして、いわば診療所的な病院でございます。私ども職員が主な対象ではございますけれども、たとえば東京支局の場合で申しますと、豊島区近辺にお住まいになっておられる方々がおいでになっておりまして、決して私ども職員だけの病院というわけではございません。
  299. 森下元晴

    ○森下委員 余りりっぱな病院でないようでございます。しかし、病院をやる以上はいいかげんな病院じゃなしに、人の命を預かるわけでございますから、それなりに権威のあるものにするのが私は当然だと思います。おざなりの病院ではいけないと思います。  それから、貴金属の品位の証明ということをされておるようなんです。これはどなたでもお願いすれば手数料を取ってやっていただけるのか、お聞きしたいと思います。
  300. 藤沢正

    藤沢説明員 もちろんどなたでも結構でございます。
  301. 森下元晴

    ○森下委員 わかりました。  そこで、最後になりますが、貨幣の回収です。紙幣もそうなんですが、古くなりますと銀行に持っていくと交換してくれるわけですが、貨幣も同じように交換とか回収がされておるわけでございますけれども、五十年度でどの程度の紙幣とか貨幣が、発行は先ほどわかりましたけれども、回収されてそれがどういうふうになってきておるか。つぶしてもとの地金にしておるのか再生してまた使うのか、その点お聞きしたいと思います。
  302. 藤沢正

    藤沢説明員 五十年度で申しますと、回収した貨幣は枚数で申しまして六億三千四百万枚でございます。額面金額ですと六十八億九千五百万円でございます。これを回収いたしまして、これは鋳つぶしをいたして地金として受け入れているわけでございますが、地金としての評価は十一億六千五百万円で、地金として私ども資産として持っておるわけでございます。
  303. 森下元晴

    ○森下委員 造幣関係それから印刷局関係大蔵省の中の特別会計部門でございますが、私どもはまだまだ現業についての知識が足らぬように思いますので、適当な機会に見学と申しますか、視察の機会をつくっていただくように委員長に最後にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  304. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会      ————◇—————