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1977-11-02 第82回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       宇野  亨君    西田  司君       野田 卯一君    福田  一君       馬場猪太郎君    春田 重昭君       安藤  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         建設省河川局長 栂野 康行君         自治省財政局長 山本  悟君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   神戸 芳郎君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         林野庁林政部企         画課長     三井 嗣郎君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         通商産業省立地         公害局立地指導         課長      稲葉  実君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      井上  正君         資源エネルギー         庁石炭部炭地         域振興課長   檜山 博昭君         労働省労働基準         局賃金福祉部賃         金課長     小田切博文君         労働職業安定         局失業対策部企         画課長     小野 進一君         建設大臣官房地         方厚生課長   浜  典夫君         建設省河川局次         長       丸山 良仁君         建設省河川局水         政課長     安仁屋政彦君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管国土庁)〕  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  本委員会は、去る十月二十日、国有財産増減及び現況に関する実情調査のため山梨県に委員を派遣いたしました。  その調査概要につきまして、この席から私が御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党森下元晴君、葉梨信行君、宇野亨君、日本社会党原茂君、馬場猪太郎君、公明党・国民会議春田重昭君、日本共産党革新共同安藤巖君及び委員長の私の八名で、現地参加議員として自由民主党堀内光雄君、日本社会党鈴木強君が参加されました。  派遣委員団は、当日午前八時、バスで本院を出発し、中央高速自動車道現地に向かったのでありますが、車中におきまして、同行の大蔵省山梨県当局から、国と山梨県との国有財産売買契約に関して、あらかじめ説明聴取いたしました。  午前十時過ぎ、山中湖畔の高台に到着し、北富士演習場一帯を俯瞰(ふかん)しながら、県副知事等から、地図に基づいて、北富士演習場及び国有地払い下げ地区等の地勢に関する説明聴取し、次いで陸上自衛隊北富士駐とん地梨ヶ廠舎に赴き、演習場概要、自衛隊及び米軍使用及び訓練状況等について、駐とん地業務隊長等から説明聴取いたしました。  午前十一時過ぎ、ジープに分乗して同廠舎を出発し、本委員会における審査の過程において問題となった地区、すなわち山中湖村梨ヶ原開拓農道富士吉田市の檜丸尾土丸尾及び軍人林の順序でそれぞれ現地調査を行い、次いで富士吉田市役所に赴き、同市立産業会館会議場において、午後一時半から会議を開会し、県当局及び地元関係団体代表者十二名から事情説明聴取し、また各委員から質疑を行い、午後四時、会議を終了いたしました。  以上のとおり、本派遣委員団は、今回の現地実情調査を滞りなく完了し、同日午後六時過ぎ本院に帰着した次第であります。  次に、現地概要について申し上げます。  まず、梨ヶ原地区開拓財産処理についてでありますが、同地区払い下げ地の中には、農林省所管開拓財産である開拓農道あるいは道路予定地があり、幅員一・八メートルないし十・九メートルのものが三十九本、また、水路予定地幅員七メートルのものが五本散在しております。  これらの総面積は九・九ヘクタールでありまして、農地法第八十条第二項の規定により、旧土地所有者並びにその一般承継人に売り払うことになっております。この旧所有者並びにその一般承継人の総数は五百四十四名で、現在農林省において売り渡しの事務手続実施しているところであります。  次に、檜丸尾払い下げ地の中には、忍草入会組合人工造林地が二十三ヘクタール余あり、ここには、アカマツ二十年生が生育しております。  これは、組合昭和三十一年から日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う国有財産管理に関する法律第四条第一項により、一時使用許可を受けて植林したものでありまして、このような第三者所有にかかる既存林をどう処理するかは、今後の重要な懸案事項であります。  次に土丸尾地区内の農地についてでありますが、ここは昭和十六年の旧陸軍演習場時代から許可を受けて耕作が行われ、戦後も続けられたのでありますが、昭和三十四年から農耕目的で一時使用許可を受けております。払い下げ地の中の許可面積は約二十八ヘクタール、うち現在も耕作されている土地は約十ヘクタールで、作目は、大根、キャベツ、トウモロコシ、小豆、ソバ等で特に良質の大根が生産されております。  政府は、耕作者組合に対して、昭和四十八年五月二十日以降は、国管法第四条第二項により、使用権利は消滅した旨通知しておりますが、これに対して新屋開墾永小作権者連盟所属耕作者は、永小作権を主張し、耕作権確認のため、農事調停の申し立てをいたしております。この問題をどう処理するかははなはだ重大な問題であります。  次に、払い下げ国有地以外の県有地の中に軍人林と称される造林地がありまして、明治四十三年から瑞穂日露戦役記念会植林し、現在二期目の三十年生カラマツが生育しており、富士山特有の雪しろの被害を防止する機能も果たしております。軍人林の総面積は五十二ヘクタール、そのうち演習場内にあるのが四十四ヘクタールでありまして、この造林区域に対する国から県に一括支払われる借地料配分額が従来から問題となっているところであります。  次に、富士吉田市の産業会館における事情聴取概要について申し上げます。  まず、委員長から調査趣旨目的を述べた後、会議に入りました。  次いで、山梨県望月副知事により国有地払い下げまでの経過及び懸案問題の処理に関する県の方針について説明があり、続いて岩崎林務部長より、大蔵省との売買契約に基づく林業整備計画実施については分収造林方式で県が責任を持って行う旨の陳述がありました。  次いで地元の一市二村を代表して、石原富士吉田市長より、懸案事項解決については、払い下げ国有地の諸懸案処理対策協議会を設置し、関係者が同一のテーブルについて話し合い、円満な解決を図りたい旨の陳述がありました。  次に、軍人林借地料の問題に関して、瑞穂日露戦役記念会武藤正之理事長から、軍人林は、日露戦役後、記念会が正式に御料地を借り受けたもので、山梨県に下賜された後も、その権利は承継され、現に七十年間も地代を払ってきた、記念会用益物権ないしは賃借権を持っており、軍人林利用権記念会との契約によって行使さるべきで、国との真の契約当事者、つまり約定賃料の支払いを受けるべき債権者記念会である、それにもかかわらず、国からの借地料は、県及び恩賜林組合によって八五%の控除を受け、記念会はわずか一五%しか受け取っていない旨の陳述がありました。  これに対し、富士吉田市ほか二ヵ村恩賜県有財産保護組合渡辺武組合長から、北富士山麓一帯は、旧十一ヵ村住民が共同して使用収益してきた総有の入会地である、入会地管理の方法として、管理団体である組合会議決に基づいて入会住民に分割利用させてきたが、軍人林区域もその一つである、入会地御料地時代に、入会団体組合が正式に借地し、県に下賜された後は、県から借地の形式をとり、入会住民には貸し付け台帳によって処理してきたが、賃貸借契約はない、保護組合が県から受領する演習地配分金のうち、分割利用地植林者に対しては、演習場使用のため造林木の成長が阻害された損失分を補償し、残余は入会住民のために関係市村に配分している旨の陳述がありました。  次に、土丸尾耕作地について、新屋開墾永小作権者連盟代表堀内清太郎君から、この土地は、昭和十六年旧陸軍演習場時代から許可を得て開墾耕作をしてきたもので、孫子の代まで耕作させるというのが当初の約束であった、占領接収がなかったら、当然に自作農創設特別措置法によって農地として払い下げられたはずである、農地法第六条第一項によっても、県がこの土地を所有するのは不当であり、早急にわれわれに売り渡してほしい、国有財産処分については、利用権者意見を尊重せよという衆議院の議決国有財産中央審議会答申趣旨が生かされるならば、われわれを不法耕作者とは、なし得ないはずである、富士吉田市随一の高原蔬菜団地をつぶして林地とすることは不合理であるとの陳述がありました。  また、新屋開拓農業協同組合小俣文武組合長は、戦前からの耕作の経緯を述べた後、土丸尾耕作地は、農民が生活の糧を得る場としては必要不可欠の地であり、組合員の中にはあくまで権利を主張すべきだとの強硬論者もあったが、国策に従うことが法治国民の責務と解し、法のもとに平等に処置されることを信じ、あっせん案を了として懸案処理対策協議会に参画して農業再建整備に取り組んでいる、長年月耕作していた事実行為を認め、何らかの措置を講じてほしいとの陳述がありました。  次に、檜丸尾造林地の問題について、忍草入会組合天野重知組合長から、具体的な問題については後で陳述書を提出いたしたいとの発言があり、檜丸尾植林事業は元来入会権に基づくもので、法形式的に国管法を適用したにすぎない、もともと造林木所有権入会権に基づく経営権は存置させるのが当然であるにもかかわらず、政府は一回の調査もせずに植林地等を取り上げるやり方は不当であるとの要旨の陳述を行いました。  また忍草入会組合大森茂組合長からは、組合が分かれたのは、主として組合長個人の金銭上の問題からである、檜丸尾植林は、一時使用許可により、忍草区民全員植林し、育てたもので、忍草部落住民全員財産であるから、正当な選挙によって選ばれている人々を中心とした部落民の総意により問題を解決すべきである旨の陳述がありました。  以上の陳述に対し、各委員より一、県選出国会議員団あっせん案の第五項でいう「事情変更」の意味は何か、二、恩賜県有財産保護組合は、今後も入会権を主張していくのかどうか、三、保護組合瑞穂記念会との賃貸借契約書の有無、四、現にある耕作地造林地とする理由、五、檜丸尾造林地並びに立木所有権者林業整備計画との調整、六、国との売買契約書第九条瑕疵担保規定地方自治法第九十六条との矛盾等について質疑を行い、それぞれの代表から説明を求めました。  以上が地元意見聴取概要であります。  最後に、一言申し上げたいと思います。  北富士国有地払い下げの問題は、先般来当委員会において数回にわたり審議されたものでありますが、四十九年度決算議了の際の議決事項にも、その第十項に「国有財産処分については、利用権者地元意見を十分に尊重すべきである。北富士演習場における国の支払う貸借料が末端の利用権者を含め適正に配分されるよう留意すべきである。」と掲げております。  また、国有財産中央審議会答申に、本地の一部である檜丸尾地区には、第三者の所有する立木が存在しており、また土丸尾地区には、第三者により耕作されている土地が存在している。これらの第三者国有地利用する権利が消滅していることは明らかだが、地元問題の円満な解決のため、山梨県が現地実情を十分勘案して適切な措置を講ずるよう、国としても十分指導を行うよう配意する必要があると指摘しております。  当委員会としては、国有地払い下げに際して、これらの趣旨が十分に尊重されて、適正な処理がなされたかどうかを現地調査いたした次第であります。  現地調査の結果は、ただいま申し上げましたとおり、地元利害関係者意見がなお厳しく対立しており、いまだ十分な調整はできておりません。したがって、当委員会としては、政府及び山梨県が懸案事項の全面的な解決に鋭意努力することを期待するものであります。  以上、御報告いたします。      ————◇—————
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。本日は、総理府所管国土庁について、審査を行います。  まず、国土庁長官より概要説明を求めます。田澤国土庁長官
  4. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 国土庁昭和五十年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十年度の当初歳出予算額は、千九十七億六万円余でありましたが、これに予算補正追加額百九十九億四千五百五十六万円余、予算補正修正減少額十三億三千七十一万円余、予算移替増加額二百二十六万円余、予算移替減少額五百九十七億六千六百九十一万円余、前年度からの繰越額四十八億三千四百四万円余を増減いたしますと、昭和五十年度歳出予算現額は、七百三十三億八千四百三十一万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額六百九十三億二千五百八十六万円余、翌年度への繰越額十六億三千三百十六万円余、不用額二十四億二千五百二十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なものは、水資源開発事業費百九十八億九千八百万円余、離島振興事業費百九十億五千十九万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費九十億九千万円、国土調査費四十七億六千八百十二万円余、国土総合開発事業調整費三十九億二千七百六十六万円余、小笠原諸島復興事業費十九億三千百九十九万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十億二千九百二十八万円余、奄美群島振興費六億六千五百六万円余、国土計画基礎調査費四億七千三百七十五万円余、国土庁一般経費七十四億九千四百四十七万円余等であります。  さらに、翌年度へ繰り越した主なものは、水資源開発事業費六億六千四十二万円余、離島振興事業費六億四千六百六十四万円余等であります。  また、不用額の主なものは、防災集団移転促進事業費補助金七億五千七百八十九万円余、土地利用規制等対策費補助金五億五千九百九十五万円余、国土計画基礎調査費二億五千六百五十八万円余等であります。  以上、昭和五十年度国土庁歳出決算概要を御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長
  6. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  8. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、信濃川の廃川敷処分についてお伺いいたしますが、栂野局長いないが、丸山さんいるわけですね。端的に答えて下さい。建設でもやっておるようですから。  第一に、なぜ、大臣決裁があってから一週間後に発表するようなことをしたのか、途中で、委員会委員の質問があったにもかかわらず、近く決裁をするつもりだなんてとぼけたことを言ったのか、その理由を簡単に。
  10. 丸山良仁

    丸山説明員 決裁は確かに先週済んでいたわけでございますが、官報に告示するのは十一月の一日でございまして、この官報の告示と申しますのは、御承知だと存じますけれども、官報課に持ち込んで、いつ告示するか二、三日前にならないとはっきりしないわけでございます。したがいまして、決裁は済んでおりましたのですが、十一月一日の前に、確定するまで新聞発表は差し控えたということでございます。  なお、大臣建設委員会で、進行中でございますとはお答えしましたが、決裁をしていませんというお答えはしていないことと私は聞いておりましたが、そういうことは申しておりません。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたはそうやってかばうのだろうけれども、そんなばかなことをいつもやってないですよ。大臣決裁した二日後に委員会があって、それで聞いたときには決裁をいたしました、こういうのが素直ないままでの状況ですよ。だから、何かやましさが、あなたじゃない、大臣にあったのかだれかにあったのじゃないかなと憶測するのです。そんなことは、いまここでは通り一遍に聞いておきますが、そんなばかなことはあり得ない。何かやましさがあったのだ、こういうふうに思います。  それからなぜ、半分きちっと市と室町産業に分けるようになったのですか。できるなら全部市へという方がこの案件に関する限りはよかったのじゃないかと思うのです。そうじゃなくて、半分にした理由は何ですか。
  12. 丸山良仁

    丸山説明員 覚書によりますと、確かに、いま先生がおっしゃいましたように、あの土地七十三ヘクタールのうち約半分は長岡市が使う、残りの半分は室町産業、こういうことになっておりますが、長岡市長から承るところによりますと、市の使う面積は半分で十分である、こういうことでございます。  それから残りの半分につきましても、室町産業が使う場合には、その利用計画についてあらかじめ市の了解をとらないと使わせない、こういう覚書になっております。  なお、念のため建設省といたしましても、市長室町産業同意を与える場合には、あらかじめ御連絡を願って御相談をいただくようにいたしております。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 いま最後に答弁されたような、市長利用計画に関して協議をして了解を与えるときには、あらかじめ政府了解を得るということにしたのはきのうかおとといでしょう。初めからそうなってなかった。これが問題になったから、きのうかおとといそういうふうにした、そうですね、答えてください。
  14. 丸山良仁

    丸山説明員 確かに先生がおっしゃいますように、建設省に相談していただきたいという御連絡を申し上げたのは三十一日の夜でございます。しかし、それまでにも大臣の御意見といたしましては、こういういろいろと問題になった問題であるから、室町産業が使う場合に市からこちらにも連絡してもらうようにしろという御指示はあったわけでございます。しかし、われわれは、申しわけなかったわけでございますけれども、法律論といたしましては、河川管理者としては廃川処分をしてしまった土地については何ら権限がないわけでございます。したがいまして、そこまで建設省が介入するのはいかがかな、こういうことでそういう措置をとっていなかったわけでございますが、大臣が政治的御判断から、やはりこれだけ問題になった土地であるから、あらかじめ市に相談していただいた方がいいではないかというきつい指示がございましたものですから、急遽そういう措置を講じたわけでございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 河川行政上は廃川処理をしたら全然何ら権限もない、これは処分をした後はもう権限がないのですね。処分する前にはいろいろな条件をつけることはないのですか。あるのでしょう。処分する前に何らかの条件を付して処分することはあるかないか、それを答えてください。
  16. 丸山良仁

    丸山説明員 原則として処分をする前に——廃処分と申しますのは、河川としてすでに要らなくなった土地でございますから、要らなくなった土地につきましてどうこうしろという条件はつけないのが慣例になっておりますし、いままでつけた例もほとんどないと存じます。私は、調べてございませんので全部とは言いかねますが、理論的にはつけ得ないと思いますから、ないと存じます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたもほとんどと言うくらい、何か事によったらあるのじゃないかと思うくらい、常識的には何らかの条件がつくことはあり得るのですよ。河川を廃止する、だけれども跡地利用に関しては云々とか、その前に問題があれば、その問題解決のためにこうしろとかいう条件がつくことは、普通、常識上はあり得るのですよね。大臣常識上のことを言った。それをあなた方はやらなかった。もちろん栂野局長なんかは、もうはっきりと前から言明してたのですからね、こんなことはいわゆる廃川敷にしてしまえば全然跡地利用とは関係がないのだ。いまおっしゃったとおりのたてまえをとっていたのでしょう。それを大臣がそう言ったからと言って、今度は常識の線に従って後からそのことをくっつけた。長岡市は何と言ってます。
  18. 丸山良仁

    丸山説明員 先ほども申し上げましたように、これは権限外のことでございますから、あらかじめ長岡市長にはお電話で、局長から、こういう大臣の御意向であるから文書を差し上げたいと思うがどうかということを御連絡申し上げましたところ、長岡市長といたしましても、結構でございます。こういうことを言われたそうでございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 それで、利用計画そのものが前提になっていまのようなことが言われているのですね。利用計画は公表できるのですか。いままでは利用計画の公表を渋っていたわけです。この問題がこういうふうになってきたら利用計画は公表しますか。大臣も、とにかくりっぱな利用計画があるのだからひとつ心配なく払い下げるのだ、こういうことを言っていますね。そのりっぱな利用計画なるものをいままでは発表してなかったのですね、今度は公表しますか。
  20. 丸山良仁

    丸山説明員 七十三万平米のうち長岡市の方に行きます半分につきましては、おおよその利用計画ができております。これは市長からの陳情書添付書類についておるわけでございますが、室町産業につきましては、市長から承りますところ、まだ明確な利用計画はない、こういうことでございまして、したがいまして、この覚書の六条で、利用計画を決定する場合にはあらかじめ市長同意をとること、こういう覚書になっておるわけでございまして、これから市長と相談して室町産業利用計画をつくられる、このようにわれわれは承っております。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 よく聞きなさいよ。そうすると、「河川敷は長岡市の都市計画上、重要な場所であり、室町産業の暴利を防ぐ立派な利用計画ができているから」——「室町産業の暴利を防ぐ立派な利用計画ができているから」と、大臣はこう言っているのですよ。そうすると、これはどっちに引っかかるのですか。長岡市の半分に対してなんですか。「室町産業の暴利を防ぐ立派な利用計画ができているから」というこれは、室町産業利用計画を言っているのじゃないですか。
  22. 丸山良仁

    丸山説明員 大臣がそう申されたのは、長岡市の利用計画ができている、こういうことと、それから、室町産業利用計画をつくる場合にも、公益性の強いものを主体にして計画し、それについてはあらかじめ了解をとるということでございますし、なおこの土地全体につきましては、覚書の一条によりまして、「長岡市の都市計画上極めて重要な土地であり、したがって、今後におけるその利用は、長岡市発展の見地から、また、市民全体の利益を優先して行われるべきものである」ということを両者が確認している、こういうことでございまして、これの使い方につきましては今後の問題になるわけでございますけれども、今後利用計画をつくる場合には、その趣旨に従ってつくられるわけですから、それを申されたのだと思います。現実に室町産業分につきましては、現在のところ利用計画がないと市長から聞いております。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 室町産業の部分に関しては何らその利用計画らしいもの、計画書にはなっていなくても青写真らしいものが全然手元になくて、見ないで、知らないで、暴利を防ぐあるいは公共の用に供するという前提だけを勝手に押しつけて、室町産業がそうしてくれるだろうと信用をして、何にもないのに、半分室町産業に行くようなことを認めたことになりますか。
  24. 丸山良仁

    丸山説明員 市長から承りますところによりますと、明確な利用計画はないということでございますが、たとえばバスターミナルに使うとか、車両基地に使うとか、そういうようなことは考えておられるということを承っております。  それから、この計画については明確な利用計画はないわけでございますが、この覚書につきましては、市長といたしましては、市の各派協議会にもかけあるいは町内会長会議、この方々は四百人ぐらい集まられたそうでございますが、これらの方々の圧倒的な支持を得ているということでございますから、これから市長室町産業と、この室町産業の部分の利用計画についていろいろ御相談される場合におきましても、当然市民の目は光っておるわけでございますし、りっぱな計画がつくられるものとわれわれは確信しておるわけでございます。  なお、先ほども申しましたように、この計画につきまして市長同意をされる場合にはあらかじめこちらにも御連絡願う、こういう措置をとっておりますから、現在はございませんが、この覚書趣旨に従って長岡市民の全体の利益になるような利用計画がつくられるものと考えておるわけでございます。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 そのいまの覚書関係資料を資料として出してください。委員長、これを諮ってみてください。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員長 丸山次長。
  27. 丸山良仁

    丸山説明員 これは新聞にも発表したものでございますから、お出しいたします。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、いま越後交通という話が出たのですが、いま言いましたね、バスターミナルだ何だやると言ったでしょう。新聞によると、越後交通というのは何かそういうものをやる。そういうものだったらこれは公益性の高いいいものなんだ、そんならよろしいというふうに考えるのですか。
  29. 丸山良仁

    丸山説明員 私は越後交通とは申し上げておりません。市長から承ったのはバスターミナル等、こういうことでございますが、どこが使うということは承っておりません。  ただし、あそこを使う場合には、現在はあそこは調整区域だそうでございますが、市街化区域に変えまして、この利用計画については、膨大な土地でございますから、当然市として都市計画を決めるだろうと思います。その計画に従って長岡市が使う、こういうことになるのではないかと思いますから、市のつくった計画に従って使わなければならないということになると確信しているわけでございまして、変な使い方になるということはあり得ないと思うわけでございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 ぼくの聞いたのは、バスターミナルなら要するにあなた方も納得する公益性の高いものだ、こういうふうに判断するのかどうか。それに答えてください。
  31. 丸山良仁

    丸山説明員 市長がこの覚書の御説明の段階で、そういうような案があるということを申されたわけでございまして、バスターミナルならいいかどうかということは、市長がまず正式に室町産業からお話があった場合に判断なさる問題だと思いますし、われわれのところにその御相談があった場合には、その段階で果たしてそれが適切なものであるかどうかということは判断すべき問題で、都市計画全体との関係でそこにバスターミナルが要るかどうかというような判断も要るわけでございますから、いまの計画が決まってない段階でそれが適切なものであるかどうかということは、ちょっと即断いたしかねると思います。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 市長がある程度ディスカッスをやった上でおたくへ持ってくる、おたくが判断をした上でこれはいけない、あるいはこれでよろしい、こういう態度をとるんですか。前段の説明では、そんな権限はもうないんだ、ただし大臣が言うからそういうことを持ってこい、こう言ったんだ。その場合、大臣がそう言ったことに基づいて河川局がやるときに相当の強制力があるんですか。持ってきた案を市と室町の方では納得した、しかしながら国の立場で考えてこれはだめだといったときに、もう一遍やり直させるようなそういう強制力、権限みたいなものはあるんですか。
  33. 丸山良仁

    丸山説明員 冒頭にも申し上げましたように、強制力はない問題でございます。したがいまして、市長がつくられた計画については、こちらといたしましてはこうした方がベターではないでしょうか、こういう御意見を申し上げるということでございますが、市長は市民全体の利益を考えてやられることでございますから、万に一つもこちらと意見が食い違うというようなことはあり得ないと私は考えております。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 そんな独善的なことを言って、あなたばかり確信したって、相手があるんだからね。要するに、あなた方には何も権限はない。市長が結果的には最終決定をする。あなた方に意見があれば、これはこうした方がいいのじゃないですかと言うけれども、市長が取り上げなければそれまでだ、そういうことですね。
  35. 丸山良仁

    丸山説明員 ぎりぎりの議論をされればそういうことになると存じますけれども、先ほども申しましたように、あの計画につきましては、市民全体の、町内会長会議等もやって了解をとっている問題でございますから、市長は市民の納得のいくような計画をつくられることと存じますし、われわれもそれに対してわれわれから意見を申し上げなければならないような案が出てくるとは考えておらないわけでございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 もし、出てきても、あなた方には力はないんだということをあなたは認めているわけだ。だから市長が決定権を持っているんだ。いいですね。——今度の廃止処分をするに当たって一番大きな前提になったものは、いわゆる金脈問題以来の室町産業を中心にしたいろいろな疑惑があったが、その疑惑は晴れた、そういう判断に立ったわけですね。疑惑が晴れたという判断を条章的に、これだというのを言ってください。
  37. 丸山良仁

    丸山説明員 国会の御論議の過程におきまして一番問題になった点は、霞堤を連続堤に変更したということだろうと存じます。この経緯につきましては、全く技術上の見地から行ったものでございまして、これにつきましては行政管理庁も五十年の夏に監察されたわけでございますが、この点につきましては衆議院の予算委員会の小委員会に両省庁から統一見解を出しているわけでございまして、この段階におきまして当時の文書とかあるいは当時の関係者からの事情聴取等によりまして疑惑は晴れたもの、このようにわれわれは確信しているわけでございます。  もう一点問題になりましたのは、工事実施計画書につきまして、おもて紙がなくなっている、したがってそれは真正な工事実施計画書ではないではないか、こういう御議論があったわけでございますが、この点につきましても、その工事実施計画書そのものは残っているわけでございまして、上についている一枚の紙っぺらがないわけでございますが、それにつきましても、その書類の保存状況とかあるいは内容等から当該計画書が真正なものであるということは確信しているわけでございます。これにつきましても行政管理庁としても認めておられる、こういうことでございます。  この二点がわれわれの河川行政上の主なる問題でございますから、この二点については解明されたとわれわれは確信しているわけでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 その小委員会がずばり疑惑は晴れた、これで問題は一切解決したという結論を出していますか。
  39. 丸山良仁

    丸山説明員 小委員会はたしか五十一年の六月三日に開かれております。大分長い間議論されたそうでございますが、その後の予算委員会理事会においては、小委員会で検討し、理事会に諮りましたけれども、結論を得るに至りませんでした、こういう委員長の予算委員会に対する御報告になっていると承っております。ただし、小委員会は現在すでにもう存在していないわけでございまして、われわれといたしましては、冒頭十分御議論もいただいたし、先ほど申しましたように、われわれの見解と行管の見解とも一致しているわけでございますから、疑惑は晴れた、このように判断して今回の処分をやったわけでございます。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 あなた方が今度の廃止処分をしようという必要から一方的に疑惑が晴れたと判断をする材料としては、小委員会報告が結論を得るに至らなかったということが明瞭になっているにもかかわらず、さっきあなたは小委員会説明を前段にされた。その経過があって、もやもやと予算委員会で云々という言葉で疑惑が晴れた一連の証拠のように、ただごまかしているにすぎない。その処分をする必要性に迫られたためにそういう言いぐさを言っているのであって、本来なら、もしこの処分が行われていないなら、小委員会が結論を得るに至らずという報告をしたときには、後小委員会が持たれていないのだから、疑惑が晴れたという結論と同じだなんて勝手な解釈は裁判をしたって許されないです。そんなことは。これはあなた方の必要があるから、早く処分をしたいから、牽強付会なんだ。解釈を勝手にしているんだ。だから、疑惑は完全に晴れてはいないというふうに私は解釈する。  そこでもう一つの問題は、あの土地にかかわる農民が二人裁判において係争中ですよ。同じ処分をするんでも、せめて裁判の結論を待って処分をするというぐらいのことを配慮するのが当然だと思うのですよ。とにかくこの種の大きな疑惑の持たれている問題を、しかも当事者がいま裁判をやっているにもかかわらず、その裁判の何らの結論が出ないうちに、こんなことを全然無視してやるということは、これも非常に不思議なことの一つなんです。どう思います。
  41. 丸山良仁

    丸山説明員 いま先生のお話の裁判の問題でございますが、現在二人の方が裁判所に争いを起こしておりますけれども、その内容は、河川敷内の民有地の売買についての有効無効の問題と、それから、九条地と申しますのは、国有地で昔明治三十二年に国が無償で当時の土地所有者から取り上げてしまった土地でございますが、これを今度無償で返してやるわけでございますけれども、この九条地が廃川処分後旧所有者に下付された場合に、その土地の占有者の引き渡し義務があるかないか、この争いになっているわけでございます。河川法上は河川区域内の民有地の売買につきましては何の制約もないわけでございますし、また廃川処分後旧所有者に下付された後の土地についても何の規制もないわけでございます。したがいまして、河川区域として存置すべきかどうかを判断して行う廃川処分とこの訴訟とは関係がないわけでございまして、廃川処分をしたからといってこの訴訟がなくなるとか、そういう問題ではございません。なお、全体の関係人は百五十八名でございまして、その中の二人の方が訴訟を起こしておられる、こういうことでございますし、もう一点は、先ほどから何回も申し上げておりますように、長岡市が、福祉センターをつくるとかあるいは高等学校をつくるためにもうぜひ欲しいんだ、早くしてもらいたい、この処分がおくれたためにあそこの下水処理場は別の場所に持っていかなければならなかったという事態もあるわけでございまして、われわれといたしましては、こういう処分をすることは、何回も申しましたように、市民の皆さんあるいは国民の皆さんの納得がいただけるのではないか、このように考えまして処分をしたわけでございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 私は長岡市の小林市長とは同志ですし、これの払い下げを一つも反対したりなんかしているのじゃないですよ。室町産業の分に関して、前段に言ったように、全部市へ払い下げれば一番文句はなかった、こう言っているくらい。ところが市の方で、半分で結構でございます——それにはいろいろないきさつがあります。ただし、長岡市のことに関しては何も言っていませんから、これをよく念を押しておきます。  そこで、もう少したったら局長も来るようですから、最後のことを局長に、またあなたも一緒に同席して一つだけ念を押したいと思いますので、来てから、あとのことは申し上げます。一時中断をします。  ここで、国土庁にお伺いしたいと思うのです。多分秘書の方から言っておいたと思うのですが、千葉県の事件についての関係者、来てもらっていますね。千葉県印旛郡富里村中沢の南山団地に関して先に簡単にお伺いします。  単価について、宅地課で確認をしてそれを国土庁へ持っていって国土庁の確認をしてもらう、そうして取引が行われた後一年以上たってから、あれをよく調べてみたらどうも少し高過ぎる、前の確認は忙しかったから十分調べられなかった、したがって誤った確認をしたのだ。二回確認をしているやつを、とんでもないときになって確認を取り消して、そしてもっと値段を下げろと言うので業者が大変な損害をしている問題を、そんなばかなことがありますかと言うので、あなた方の方へまたその実情を訴えて相談に行った。相談に行ったらあなた方の方では、そんなばかなことはない、土地が値下がりしているわけじゃない、物価が下がっているわけじゃないので、一年以上たった今日、前のやつは少し高過ぎるから安くしろ——前の確認は二つともちゃんと確認されておるのに、いまになって確認を打ち消して安くしろなんということはないはずだ、こう国土庁の方では、正論ですよ、言ってくれた。そのままそれを持っていったのだ。ところが千葉県はがんとして聞かない。ついに四万何がしかを三万幾らに単価を下げないと、販売の期日がもう来ているのにがんとして言うことを聞いてくれないものだから、向こうの言いなりに三万七千円平均でえらい出費、えらい損害をして宅地の販売を行ったという事件ですが、細かく言わなくてもおわかりでしょうね。
  43. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまお尋ねの件につきまして、私どもの方で調べました内容について御説明したいと思います。  ただいまお話のございました千葉県印旛郡富里村中沢南山千六百九十七番地の土地の分譲についてでございますが、こういうふうなまとまった土地の分譲につきましては、事前確認という形で都道府県知事の確認によってその内容を審査することになっておりまして、国土庁がやるわけではなくて都道府県知事がやっておるわけでございます。この確認の申請が最初に出されましたのが五十年の四月でございまして、五月に確認価格平米当たり四万二千円ということで確認をいたしております。そのときには確認の有効期間が三カ月ということを言っておりますが、実はこの確認は事前にいたしますものですから、その後の事情の変化、土地の価格条件の変化ということも考えまして、時間がたって売れない場合には再申請を出してもらい、その時点で改めて確認をし直すことを一般的に指導をいたしております。  そこで、第一回目の百三十三区画が確認を受けましてから売れ残りまして、再確認という形で、次に五十年の十二月に申請が出されておりますが、その時点におきましても確認価格は当初の四万二千円ということで、同じ価格で確認をいたしております。  しかし、その確認期間は六カ月でございましたが、六カ月たってもまだ売れないという事情がございまして、再確認の時点では四十九区画申請が出されておりますけれども、四十八区画はもう一度再申請をしなければならないことになって再申請、二回目の再確認が求められましたのが五十一年六月でございます。  この時点で、千葉県においては周囲の地価の状況ないしはその土地の値打ちについて、二回も申請を受けて確認もしても売れないので、もう一度審査をし直すということをやったと聞いております。そのときには、県が単独でやったのではなくて、鑑定士の第三者鑑定評価書を徴しまして、それに基づいて評価をし直しましたところ、約一〇%ほど低い値段がその時点では適切であると考えまして、それで三万七千九百円という形での確認をいたして指導をいたしたわけであります。  その後、この四十八区画がほとんど売れませんで、さらに第三回目の再確認の申請が五十二年四月に出されております。そのときの申請価格は、ただいま先生から御質問ございましたように当初どおりにしてくれということでございましたが、その前の確認をした時点の価格が三万七千九百円でございましたし、またその価格でほとんど売れておらないという実態であるので、その三万七千九百円で確認をし指導をしたと聞いておるわけでございます。  私どもの事前確認についての指導といたしましては、通常の場合は、周辺の地価等に大きな変動がない場合にはできるだけ当初の確認の価格で運用するようにという指導はいたしておりますが、著しく条件が変わったというような判断は現地の都道府県知事にゆだねておりますので、私どもの解釈では、その時点で一年たっても売れなかったということから改めて鑑定士の評価をし直した結果、そのように低い価格に指導したものと考えておるわけでございます。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたの言うこともほんの一部当たっていると思えるのです。大部分はそうじゃない。そこで、きょうはこれが主じゃないのですから、問題点を申し上げますから、もう一度検討してから後で私に知らせてくれませんか。  問題点の第一は、はっきり言うと、第一回、第二回の確認をして相当のものが売れたのですよ。ある部分が残ったわけですよ。そうでしょう。その残った部分に対して宅地課の言い分は、どう言ったかと言いますと、第一回、第二回とも多忙だったため十分に審査をしなかった、忙しいから十分に目が通せなかった、たまたま時間ができたのでよく調べてみたら高過ぎる、このとおりなんです。ここが少し問題なんです。いま局長の言ったような趣旨から言いますと、そんなばかなことはない。局長の方は理路整然とおっしゃっている。そんなふうにいっていれば何も文句はない。ところが、そうじゃなくて、確かにある部分は売れて、ある部分が残っている。その残った部分に対して——売れた分は何にも言わないのですよ。残った部分に対して、とにかく当時は忙しかったから十分に目が通せなかった、検討ができなかった、その後時間があってよく調べてみたら高過ぎる、こういうのはおかしいですよ。これが第一の問題です。  第二の問題は、いま第三者、鑑定士が云々というお話がありましたけれども、鑑定させたといっても鑑定士にはいろいろありまして、鑑定士によっては一割や二割違うことがあるのです。ですから、鑑定士のAならAにやらせたということだけでこれが信憑性があるものと考えることは、いまの常識上とるべきではないのです。A、B、Cの鑑定士にやらせるなら別なんです。その鑑定士の一人が業者の側から選ばせた鑑定士であればなおベターですね。ところが、県が勝手に一方的にAなる一人の鑑定士を選んでやらせてみても、これは鑑定士に怒られるかもしれませんが、人間ですから一割程度の前後はみなあるのです。したがって、鑑定士一名によってやられた鑑定に対する信憑性というものは常識上非常に疑わしいという前提で申し上げるのですが、この業者は、確認の第一回、第二回がされたために、四万幾らという平均でとにかくぴしっとコストを積み上げながら商売したわけでしょう。これをいきなり三万幾らにされたら、後になってから出血するわけです。私は業者の味方をするわけでも何でもないのですが、いまは業者の側に立って物を言っています。しかし、同じ仕事をさせるのでも、一度これでよろしいと値段が四万なり五万なりに決まって、それに精いっぱいサービスをくっつけて満足のいくように仕事をして、造成はしてしまいました、でき上がってから一年半たってから、あれは忙しいからよく見なかったのだけれども、よく見たら高過ぎるから下げろ、下げなければ販売させないと言われて、そういう意味の強権を行使されて、売らなければしようがないから仕方なしに泣き寝入りをしたという事実は間違いなくそうだと私は確信をしていますから、そうであったかどうか。この二つ目が大事ですから、その点もよく調べた上で、委員会関係なしに後で私のところへお答えをいただきたい。  業者はもうけるもの、悪いものというきめつけもあるでしょうけれども、ミニ開発をやっているような中小企業は、精いっぱい生きようとして、しかもある意味では住民のためにサービスをすることも心得ながらやっているわけです。これも必要なんですから、何でもかんでも一方的に宅地課の係長一人の考えですぱっと——この中小企業は相当の金額の赤字なんですよ。こういうようなことで泣き寝入りさせることがいいか悪いか、国土庁が指導をするという意味からいったら、公平に物を見る。県が言ったから間違いないのだ、業者の方はだめだ、いわゆる業者は悪という考えに立っているのじゃないと思いますが、もう少し親切にこの面を調べていただいて、適切な指導をしていただくようにお願いしたいと思います。こういうことがちょいちょいあると思いますよ。どうですか。
  45. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 私どもの方ではまだ事情をつまびらかにしない点もございますし、ただいま先生の御指摘がございましたので、十分検討させて後ほど御報告をさせていただきたいと思います。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 河川局長来られたようですから、二つだけずばりお答えいただきたいのです。  今度の廃川敷処分が、その後の新聞、マスコミももちろんですが、議会におけるわれわれの皆さんに対する質問等全体の雰囲気からいって、とにかくあの種の疑惑がまだ晴れていないという前提に立って、そうであるのにここで室町産業を通じて相当大きな利益を与えるというふうな前提に立って、不満を持ち、批判を行い、これを撤回すべきだというような気持ちを相当程度みんなが持っているというのがいまの状況だと思うのですね。関係者は、たとえば長岡市長にすればこれでよかったと思っているでしょう、室町産業もいいと思っているかもしれません。私の論議するのは室町産業の問題ですが、こういうような実態の中で、いまの廃川敷処分というものは、何らかの事情があればこれを撤回する、取り消すということはあり得るのですか、何があってもそういうことはないのですか、まず先にこの点を……。
  47. 栂野康行

    栂野政府委員 この廃川処分をした理由でございますけれども、まず、この土地全体が長岡市民全体の利益のために使われるということが第一点でございます。それから次に申し上げますと、この土地の半分は長岡市が時価——室町産業が買った値段に税金とか金利とかを加えた時価で室町産業から買い取るということ、これにつきましてはそういうことでございます。第三点としまして、残った二分の一の土地利用につきまして、これは公益性の強いものを主体にして利用計画を立てる、その場合に、事前に長岡市の合意を得るというふうになっておるわけでございます。さらに、この残った二分の一の土地利用計画について長岡市が室町産業に合意を与える場合には、事前に建設省協議するというふうになっておりまして、この土地全体が長岡市民全体、都市発展のために利用されるということでございます。  先ほど時価と申し上げましたけれども、それは原価でございます。  以上によりまして、建設省としてはこの土地処分した次第でございます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 そのことは丸山さんからもう聞いたのです。けれども、いま言われたからまた聞きますが、事前にあなた方に協議をする。協議をした場合に、案外国の方では納得できない、そのときにはこれを拒否するという権限、力があるのですか。
  49. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  そういう権限はございませんけれども、長岡市は公共事業といいますか都市計画をやっておるわけでございます。いわゆる町づくり、これにつきましては建設省と深い関係にございまして、お互いの良識、誠意あるいは信頼に基づいてこの問題を措置していきたいというふうに考えてございます。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 長岡市、長岡市と言って、小林孝平君がどんなことをやっているか、よく知っているのですよ。だから、長岡市のことは余り言わなくてもいい。これは知り過ぎるほどよく知っている。  そこで、権限がないのだから、協議をするなんて偉そうなことを言っても、ただこちらの意見を述べるだけで、最後は小林市長の判断で決定するのだと考えていいのですね。それは次長から聞きました。間違いないでしょう。
  51. 栂野康行

    栂野政府委員 間違いございませんけれども、十分な論議を尽くしたいと思います。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 幾ら論議を尽くしても、要するに決定権は小林市長だということになるわけです。それは十分聞きましたからいい。  私がいまお伺いしたのは、たとえばどんな事情変更あるいは状況の変化があろうとも、廃川敷処分というものを撤回したり取り消すことは絶対にあり得ないかどうか、それだけ聞いているのです。
  53. 栂野康行

    栂野政府委員 建設省としてはあり得ません。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 それから二つ目に、これで終わりですが、これから長岡市に室町が利用計画を出すわけです。その利用計画がディスカスの対象になって、いろいろ納得するしないでやるわけですね。その利用計画に対しては建設省の意向は全然入らないのですか。要するに長岡市と室町が話し合いをして、そうして利用計画を中心にこれでいいと市長が納得したというものを建設省へ相談に来る。建設省協議をした、建設省はOKを与えるだけなんであって、室町産業の出されたいわゆる最初の計画に対してディスカスをしている最中から建設省の意向というものは入らないのです。建設省が意向を何か入れることはできない。どっちです。
  55. 栂野康行

    栂野政府委員 まず第一点でございます。先ほど申し上げましたように、いわゆるそういう協議が行われる場合にはあらかじめ建設省協議するということで、建設省意見は入るわけでございます。  それから第二点でございますけれども、これは現在市街化区域外でございますけれども、いずれ都市計画によりまして土地が決まっていくわけでございます。その段階におきまして建設省としては意見をいろいろ申し上げる機会がございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 その段階で意見を申し上げるというその段階とは、市長と室町が利用計画中心に話し合いをこれから始めるのですよ。その話し合いをしている最中に建設省の意向というものは入るのか、それを聞いているのですよ。
  57. 栂野康行

    栂野政府委員 先ほど申し上げましたように、室町産業市長の間で利用計画協議をする場合には、あらかじめ建設省協議するというふうになってございますので、その論議の過程において建設省としては意見を申し上げられます。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうことになりますと、さっきの次長の説明とちょっとニュアンスが違うように思うのですが、そういうことになると三者でもって利用計画を仕上げたといいますか、そういうことになるのですか。
  59. 栂野康行

    栂野政府委員 室町と市長がいわゆる利用計画について協議している途中におきまして、どういう協議をするかということが事前に建設省に参りますので、建設省としては十分意見を述べたいと思います。原(茂)委員 何かこうすぱっと答えられないことになっちゃったらしいのですが、要するに市長と室町が話し合いをするときに建設省協議に来るから、そのときに十分意見が言えるということになりますと、市長と室町の間で利用計画をつくって、その利用計画に関して建設省了解を求めるように、あるいは協議をするように持ってくるのとは違うのですね。三者が一体になって利用計画に対しては自然発生的に責任を負うことになるのですね。そうですね。小林と室町が話し合いをしようというときにすでに建設省協議に来るから、そのとき建設省の意向は言えるんだ、十分言える、局長はこうおっしゃるのですが、そうなりますと、いまもう一つ私が後で言ったような、小林、室町の間で利用計画はある程度決定をいたします。その決定を建設省了解を得に参ります。そのときに建設省としては自分の意見を言う機会がありますというのとはまるで違うのです。その二つのうちどっちですか。前者か後者か言ってください。
  60. 栂野康行

    栂野政府委員 主体的には後者になります。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 後者になるというのが前段の説明だった。それじゃ、もうしようがないというふうに私は思うのですね。というのは、建設大臣がまた協議を始めるときから、小林、室町の相談をし合うその相談をするときから建設省がそこに一枚かんでやるというような前段の話だと、今後いわゆるこの問題の解決に対しては建設省が十分な責任を負わなければいけない。ところが先ほど次長の話でも、もう河川敷の処分をしちゃったと言ってから、これに対しては法的には、正式にはくちばしを入れるあれは何もないのだというたてまえで、今度の処分をされたように説明があったわけですね。だからもうこれじゃ建設省はしようがないなというふうに私は思った。ところが局長からそうじやないようなニュアンスの答弁があったのですが、後者が主だと言うのならそれでもうやむを得ないと思います。  そこでこの問題の最後に、二つ目の締めくくりにお伺いしておきますが、この問題を、建設大臣の意向に沿って、今度は三十一日になってから正式に小林市長に対して、十分な協議をおれたちにしなさいよ、こういうふうに言いました。このことは前例になりますか。この種の廃川敷問題の処分をするときの前例になるのですか、ならないのですか。
  62. 栂野康行

    栂野政府委員 廃川敷処分は純行政的に、いわゆる今後河川区域として必要があるかないかという判断のもとに純行政的に行われる問題でございます。しかしながら、今回の場合はいろいろ報道されてございますように、国会でも論議を尽くされたということで、特別に私たちも慎重に慎重を重ねまして、国民の納得のいくような措置をしたいということでこういうふうな措置をとった次第でございます。したがいまして前例にはなりません。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 今回のことは、大臣常識上の判断によって特別に指示を与えたから皆さんはそれに従ったんであって、これは前例ではない、今後また大臣がそういうことを特別に指示をしたときに限ってはあり得る、こう解釈していいのですね。
  64. 栂野康行

    栂野政府委員 これは大臣指示もございますけれども、やはり事務当局としましても、こういう措置をすればその土地利用というものがいわゆる市民全体の利益のために使われるという判断もございます。したがいまして、大臣指示も適切だったと思いますし、私たちもこの処分を行った次第でございます。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 あなたはもともとついきのうまで、処分をしてしまえば跡地の問題なんか関係ないのだ、そういうふうに言明していた人なんだ。大臣の意向に沿って初めてやった、今後も大臣が特別に指示をしたらこのことがあり得るんだ、そうでなければもう絶対ない、こういう判断でいいはずですよ。
  66. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  一部の新聞に廃川敷処分跡地利用関係ないという私の何かありましたけれども、私はあの日そういう質問を受けた覚えはございません。しかしながら、行政的に見てみますと、いわゆる廃川敷処分跡地利用とは実際無関係である。しかしながら、やはりこういうふうな問題がある場合には、十分跡地利用についても考えた廃川敷処分はせぬといけないというふうに考えてございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 これは局長、非常に重要な発言をいましてくれたわけですよね。この種の処分を行うときに条件をつけることは一切ない。あるかと言って質問したら、ないことに次長の答弁があったので、そうかなと思っていた。ところが、今回のこれを契機に、やはり民生安定その他を考えて、そうしてこの種の条件処分のときにつける前例が開けた、こう解釈していいのですね、いまの御答弁は。これは非常にいいことです。
  68. 栂野康行

    栂野政府委員 こういうことはスペシャルケースでございまして、こういうふうに国民もいろいろ注視されておる、しかも国会でもいろいろ論議を尽くされておるという、こういうスペシャルケースの場合には、当然こういう前例というものはやはりやっていきたいと思います。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 それで結構です。非常にいい前例をつくっていただいたので。河川敷問題はそれで結構でございますから……。  それから土地税制の緩和について、これは主に大臣にお伺いします。  その前に、松本局長来ているんですね。  新聞によりますと、局長が緩和の理由を、現在の土地税制は四十八年の地価高騰云々、したがって地価が安定したいまの時点に応じて検討し直す必要があるんだというのが第一の理由ですね。それから二つ目に、住宅地の供給促進と現在の税制とをどうミックスするか、調整していくか。それからその次に、昨年の税制調査会が土地問題、特に宅地供給全体を検討した上で考えよう、そういう税制緩和の結論を一年間延ばしたことが三つ目の理由。そして、その緩和策の内容というのは、土地譲渡所得税の適正利益率以内を適正価格以下に改める。土地保有税の適用除外の項目に適正に管理された林地を加える。それから、税制の基本は残して全面緩和は考えていないのだ、基本的には変わっていないのだ。こういうふうに発表したのですが、これは大臣も承知のことなんですか、このとおりですか。
  70. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 御案内のように、土地税制についての最終的な決定は大蔵大臣あるいは自治大臣の所管でございます。ですから、私の方は土地政策を担当するという立場からお答え申し上げますならば、ただいま先生御指摘のように、昭和四十七、八年に狂乱的に地価が上がったわけでございまして、その結果土地税制、国土利用計画法、この二つによりまして投機的取引の抑制をし、地価の安定を見たわけでございまして、その結果地価が三年間安定的推移をたどったわけでございますね。四十九年には九・二%の下落、五十年には〇・五%のアップ、五十一年には一・五%のアップでございますので、物価その他から比較いたしまして地価は安定的な推移をたどっているというこの前提に立って、国土いわゆる土地政策の面から考えますというと、一つはやはり地価の安定というものを考えなければいかぬ、もう一つは土地のやはり有効な利用を図らなければならないというのが土地政策の基本でございますから、そういうような面から考えますというと、住宅の促進というものが非常にいま叫ばれているときでございますから、宅地造成を促進するために、もちろん税制以外に遊休地の活用だとかあるいは宅地転換への助成等のもろもろの政策もしてまいらなければなりませんけれども、土地税制を見直すことによって優良宅地の提供というものが考えられないだろうかということから、ただいま御指摘のございました法人重課税について、あるいはもう一つは土地保有税についてもある程度緩和することができないだろうかという案を私たちの方でつくり上げたということは事実でございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 税制面の手直しだけで宅地供給が促進される、そういう面も確かにあります。ありますが、局長の発表したこれを見ると、やはり税制面の手直しということが宅地供給の促進剤になるということが一つの柱になっていると思うのですが、これは土地税制の手直しで逆に促進にならない面もあるんじゃないかと思うのですが、そんなことはありませんかね。これは間違いなく、いまお考えになっているような発表されている手直しで供給が促進をされるもの、こう考えてよろしいのかどうか。それが一つ。  それからいまお話のあった保有税の問題なんですが、林地の緩和については、森林資源の活用の方向に誘導していくだろうと思うんですが、原野などのような使いものにならない土地ですね、これは対象にしないんじゃないかと思うんですが、これはどうなのかを一つ聞きたいのと、それから企業はこういうような保有税の考え方が発表されますと、適正に管理された林地にするために、大変なまた費用を——いまほってあるんですが、適正に管理された林地とみなされるための出費を相当していくんじゃないか。これは後で申し上げますが、マイナス面の作用になるんじゃないかと私は思うんですが、そういう心配はないか。  三点、保有税で二つ、それから土地税制の緩和で促進がされるかどうか、この三つをひとつ……。
  72. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 確かに土地税制については、緩和することによってかえって宅地の提供にはマイナスになるんじゃないかという説もございますけれども、私たちはこれまで国会の論議を通じても、何か土地税制あるいは土地利用計画法をこのままの形で進めることは、確かに地価の安定にはなるけれども、土地の有効な利用という面から言ったらやや見直してみる必要もないだろうかということもございまして、大枠については、それはもちろん土地税制を廃止するなどということは考えておりませんけれども、優良宅地の提供のためになる部分を何か考えられぬだろうかということなのでございます。たとえば土地は素地で放出されましても、先生御案内のように、これは決して宅地にはならないわけでございまして、やはり関連公共公益施設を整備された優良宅地の提供でなければならないわけでございます。これがやはり土地のいわゆる所有者との関係に大きな影響がございますものですから、それを緩和するために、やはり利益率じゃなくして適正価格で押さえてみたら、基準にしてみたら、ある程度優良宅地の提供に寄与するものじゃないだろうかという意味でございます。  それからもう一つは、土地保有税については、これは宅地の供給というよりも、先生御指摘のように、有効な土地利用という面からいま少し緩和してみてはということなのでございます。これまで先生御案内のように、非課税の対象になっているのは政策目的が達成されたもの、いわゆる森林で言いますと施業計画が行われたものに対しては非課税になっておりますが、これをやはり、県知事が適正な管理を行っているというようにみなしたものに対してすることが、より有効な土地利用につながるのじゃないだろうか。現在でも山林等で全然植林されてない地域がたくさんあるわけでございます。これをやはり植林させて、治山治水の面からも、あるいは森林の活用、山の活用という面からも、有効に土地を使うような方法がないだろうかという観点からこの問題を扱っているということを、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。  なお詳細については、土地局長からさらに答弁をさせます。
  73. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 先生から御指摘がありました最後の点だと思いますが、せっかく宅地用等の可能性のある土地を、木を植えてしまうことによって宅地として供給されなくなるという逆の心配がないかということかと思いますけれども、御案内のように、この企業等が持っております土地の相当部分は山林でございますが、この立地状況がとうてい宅地に利用できるというようなところでない場所が多いわけでございまして、購入者の意図はともかくといたしまして、実態の国土の利用という形からいたしますと、そこは森林として利用すべきが妥当であるという地域について考えておるわけでございまして、その根拠は、森林法によります地域森林計画の立てられておるようなところについてのみ考えている。それからなお、管理の内容についても、地域森林計画の基準に即して行われておるかどうかということを都道府県知事が判断をするという運用を考えたいと思っておるわけでございます。原(茂)委員 私がこの質問をしている意図はおわかりだろうと思うのですが、いま企業は土地を持っちゃって困っているんですよね。そろそろやはり自民党政府としても、この音を上げている資本に対して救済をしてやろう、助けてやろうというのが本音じゃないかということを腹に満々置きながら質問しているのです。ほかのねらいがあるわけじゃないのです。そういうことだろうと。最後にはそうでございますと言えば一番いいんだが、言いっこないでしょう。またそうじゃないと言うに決まっている。それで、質問の本当のねらいというのはそういうところに私は疑いを持って質問をしているのだということを前提にお置き願いたい。  それから、局長にお伺いしますが、いまお答えいただいた林地のうち、いわゆる宅地に供給できそうなものが現在の何割ぐらい程度はあるとお思いになりますか。適正に管理された林地とみなし得る、将来みなし得るとお思いになるのは何割ぐらいあるとお思いになりますか。
  74. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 私どもが国土法の遊休地制度の対象になるかどうかということで調べました未利用地の面積が、全国で約三十万ヘクタールございますが、そのうちで直ちに宅地等に利用が可能な市街化区域の中にある面積は一万二千ヘクタールほどでございまして、残りの約九万ヘクタールが、調整区域等の都市計画区域内ではございますが、市街化区域外というものでございますし、残りの約二十万ヘクタールというものは、都市計画区域外ということになっております。したがいまして、この二十万ヘクタールの相当部分は、先ほど申しました地域森林計画の対象地域内に相当しておるものと考えておりますけれども、この中で適正に管理されるものがどれだけかということは、これからの指導にもよりますので、いま直ちに何割ということは申し上げかねるわけでございますが、今後林業側の指導等によりまして適正な林地の管理の拡大というものが考えられるのではないかと思っております。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは長官に先にお伺いしておいた方がいいでしょう。いま私がそういうねらいで質問していますよと言ったことに対して、何か御意見ありますか。
  76. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私は、土地政策を担当している者として、日本の土地は歴史的に見て確かに投機的な取引の対象になっているのですよ。また、所有権というものがございますから、非常に複雑な様相を呈しておるわけでございまして、その中でも私は、あくまでも土地は投機的な取引の対象にしてはならないという原則を貫かなければいかぬと考えているのです。ですから、これまで昭和四十四年以来土地を買い占めて、それの値上りを待っているというような、いわゆるペナルティーに対しては、私はやはりそれなりにペナルティーに対する罪は負わなければならないものだと、こう考えておりますので、決して大枠を外すなどということはいたしません。あくまでも原則として土地は投機的取引の対象にしないという原則を貫こうとしております。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 そうおっしゃりながら、結論的にはやはり資本に奉仕するようなことになるというふうに私は考えますが、まあ長官からもそういう意思表示をしていただく必要があると思いますから、あえて発言を願ったわけです。  そこで、もう少し具体的に伺いますが、本来この税法のねらいというものは、法人が土地転がしでぼろもうけすることがないように土地の値上がり益を税金で吐き出させようとするのが、いわゆる土地譲渡益重課税だったのですね。現行は二七%以上の利益を上げると法人税のほかに利益の二〇%を税金として取り立てることになっている。改正する案としては適正利益率、譲渡価格の二七%を廃止しちゃって、国土庁評価の適正価格を販売価格が適正かどうかの基準に採用する、こうしようとしているのが現在の改正のねらいなんです。  そこでまた、土地保有税の方は、一定規模以上の土地で、四十四年一月以降取得した土地を保有していると毎年一・四%、四十八年七月以降取得した土地については取得時に取得価格の三%を課するという制度なんですね。この税のうちの非課税範囲の拡大、すなわち中高層耐火構造の貸しビル、適正に管理された林地、緑地保全地区、風致地区土地などを範囲に加えようとするのが改正しようとする意図ですね。こういった措置によって宅地供給の促進などを図るのだ、これが前提になっている。これは大臣、間違いありませんか、いま私が言ったことは。
  78. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま御指摘の案のとおりでございます。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで伺いますが、適正利益率というものを国土庁評価の適正価格に改正するということは、これは宅地供給の促進にどう具体的に反映しますか。いいですか、国土庁評価の適正価格に改正する、これが一つの非常なポイントなんですが、これはどういうふうに反映することになるでしょうか。
  80. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいま先生も御指摘ございましたように、現在法人の土地重課につきましては、優良住宅地の供給については適用除外にいたしておりますが、その除外の要件といたしまして、一つは、いま御指摘がございました適正利益率の要件内であるということ、それからもう一つは、公募によって一般の需要者に行き渡るということ、それと住宅地の内容が優良住宅地と認定できる、ないしは開発許可の要件に合致しているものという形で要件を縛っておるわけでございますが、そういうふうに縛られた要件のもとで一応優良な住宅地として認定されるものについては、現在の時点においては、公共公益負担でありますとか素地取得等の問題からいって企業者に過大な利益が出るということは一般的には考えられないのではないかということがございます。  それから、この適正利益率の要件は販売価格に対して二七%ということでございますが、これは造成原価に対して三六%という形になりまして、企業が企業努力によって造成原価を引き下げますと適用される適正利益の幅も減少するという点が企業の企業意欲を阻害する要因になっておるという点が指摘されておりますので、ただいま申しましたように、地価が安定しておる時点においては過大な利益が出るかどうかという問題ではなくて、むしろ適正な価格によって販売されるかどうかという形で優良住宅地の要件をチェックするということが妥当なのではないか、そのことによって企業の住宅供給に対する意欲の促進が可能にならないかということでございますが、これによってどれだけ宅地がふえるのかというような計量的なことはなかなか申しかねるわけでございます。
  81. 原茂

    ○原(茂)委員 計量的には言えないにしても、結局この改正というのは、いまお話を裏からのぞいてみても、いわゆる企業利益の向上は図れるけれども、このことによって企業が安く宅地を供給するということにはつながらないと思うのですがどうでしょう。安くなければいけませんよ。いま土地の値段を見たときに、安いということは非常に大事なことなんです。したがって、このことが安く供給することにつながるかどうか、どうでしょう。ずばりそれだけ答えてください。
  82. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 現在事業者が欲しがるような地点における十分に造成された優良住宅地の供給が漸次減少傾向にございます。したがいまして、この需給関係が供給面からこれ以上悪くなって価格の引き上げが起こるということを恐れるわけでございますが、そういう面からいたしますと、企業活動による民間住宅供給が促進されることがあれば、それによって地価の安定が図れるのではないかという点が一つでございます。  それからもう一つは、やはり価格それ自体として国土利用計画法によってその適正な価格に抑えていくような条件を整えておりますので、国土利用計画法の適正な運用によって地価の安定を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 きのうも言ったのだけれども、このスタグフレーションという現象は当分まだ続くのですよ。ですから下手に供給がふえても、地価が下がるという期待——しかも全部やったとして約二十万ヘクタールですが、これがぽつぽつこれから供給が拡大していくということで、地価の安定あるいは引き下げに寄与するなどという状況ではないのです。不況であっても物価はどんどん上がる一方なんです。いろいろな理由があるのですけれども、宅地の供給というのは、供給の拡大によって下がっていくとか安定するというような期待はどうも持てないのが大勢から言って現状だろう。結果的には安く供給するという目的には余り沿わないで、企業利益の向上に寄与していくという結果になるのではないか。売れる土地が広がっていく、多くなっていく。要するに商売の件数がふえるということを通じて企業の利益というものはある程度拡大するのだけれども、安く供給するという点には具体的に直結していかないのではないかというふうに思うのです。これはやってみなければわからないとおっしゃるに決まっているのですが、私はそういう見通しを持ちます。  こんなことより、もうちょっと目先に、さっきちょっと長官のお話にございましたが、現在宅地開発を行う場合に、いわゆる関連公共施設の建設が非常に大きな問題になっているわけですね。開発しようとするものに対して自治体からの負担要求、こういうものが宅地分譲価格へはね返っている現状から見まして、関連公共施設の負担についての検討とその対策の方が先決じゃないだろうか。目先本当に宅地供給を促進したい、しかも安くという点を考えたときに、現在の自治体財政の困難な状態の中でミニ開発を至るところでやられる、そして後から追っかけて関連公共施設を自治体負担にされたのではたまらないというので、これは開発業者の方へいま非常にシビアな負担を要求している。土地を開発しようというと、そのうちの一割五分か二割程度のものは無償で自治体にまず提供して、公道にするとか何にするとか、あるいは何だかんだといろいろな負担金が出てきて、安くという点からいくとどんどん高くなるばかりで、安くということにはならない。したがって、業者自身が開発に手をつけようとしても、そういった自治体の関連公共施設の負担というものにたえかねて引っ込んでしまう、できないというような状況があるのですから、これは国務大臣としても、自治省や自治体等と一緒になってもっと国の立場で宅地供給を促進しようというのに、重課税の緩和ということが皆さんから言うと必要だと思うなら、それも一部いいでしょう。しかしそれにも増して大事なことは、関連公共施設に対する負担増が急速に高まってすごい額に上っていて、無理してつくったら一件当たり非常に高くなるのですから、これはやはり自治省それから国土庁関係省庁が連携をとりながら、住宅対策の非常に大きな問題として、焦眉の急として、この問題に対して国としてどういう手当てをするかということを考えてやらないと、単に業者だけに負担をさせるといういまのあれからいきますと、とてもじゃないけれども少しぐらいの重課税の緩和をやったから、土地保有税を変えたからといって、実際にはなかなか進んでいかないという大きな障壁がここにあるわけです。これに対して何か抜本的な手当てをする必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 直接国土庁の担当ではございませんけれども、私といたしましては、やはり関連公共公益施設を整備するということは、宅地提供に大きな役割りを果たす、また宅地の価格の安定にもつながると思いますので、御指摘のとおりだと思うのでございます。ただもう一つは、先ほど松本局長からも答えさせましたが、税の緩和によりまして、企業努力をしたもの、たとえば原価を下げたもの、いわゆるコストダウンをしたものが一律に課税されるということがかなり宅地提供にマイナスを来しているのではないかという見方から、土地税制というものを見直しているということもひとつ御理解いただきたい、こう思うのでございます。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 遊休地の状況もちょっとお伺いしますが、四十四年の一月一日から四十九年十二月二十三日までの五年間の遊休地面積要件を満たす一団の土地の取引は、約十九万三千六百九十六件の八十八万二千八百七十四ヘクタールで、全国面積の約二・四%になっていますね。これは間違いない。取引件数の二九・七%、件数にして五万七千四百四十二件、取引面積の三四・一%、ヘクタールにして三十万一千二ヘクタールが未利用地になっている。二十八万八千六百六十八ヘクタールの未利用地が市街化区域外に存在している。さっきちょっと局長ここに触れました。この未利用地のうち、遊休土地として通知したものが三百九十五件の八百二十九・五ヘクタールあるのです。通知後における計画の届け出状況、また届け出に対する勧告等の状況は一体どういうふうになっていますか、これが一つ。事例を挙げてください。  それから、未利用地の三十万一千二ヘクタールのうち、遊休地として通知した面積は、先ほど言ったようにわずか八百二十九・五ヘクタールなんです。その差が三十万百十二・五ヘクタールあるが、これらの未利用地に対してはどのような措置を講ずるつもりなのか、それが二つ目。  三つ目、遊休地として通知後当該土地所有者から計画の届け出があった場合に、その計画がその土地の有効かつ適切な利用を促進する上で支障がある場合に、土地利用審査会の意見を聞いて、届け出に係る計画の変更などの勧告ができることになっているのですが、勧告に従わない場合は一体どのように取り扱うつもりなのか。今回の遊休通知後、いま初めてやったのですが、そのような事例があったかどうか、これをまずお答えを願いたい。
  86. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 遊休地の指定の状況でございますが、未利用地として判定されましたものは、先ほど申し上げましたように約三十万ヘクタールあるわけでございますが、そのうちで実際指定の通知をいたしたものは三百九十五件の八百二十九ヘクタールにとどまっておるということは御指摘のとおりでございます。  この内容につきましては、現在都道府県で計画樹立について指導をしておる段階でございますが、概略を取りまとめましたところによりますと、計画の内容は、住宅、商工業地等の都市的な土地利用が多くございまして、これらの都市的な土地利用の計画となっておりますものが二百十六件で二百七十六ヘクタール程度でございます。それから公共用地として利用をするということで内容が出ておりますものが五十件で約二百ヘクタール程度でございまして、これらのものが主要なものとなっておるわけでございます。この計画内容につきましては、現在都道府県段階におきましてその内容を検討し、具体化について指導の推進をいたしておる段階でございます。  このような遊休地の指定がされておらないいわゆる未利用地が非常に多くあるが、これはどうかという点でございまして、この点は制度上からいたしますと、遊休地の制度以外は制度的な根拠がないわけでございます。  このように遊休地の指定が非常に限られておりますのは、現在の土地利用の需要、ないしは先ほど申しましたように未利用地の立地状況が直ちに利用しにくい場所に非常に多いというようなことから出ておると思うわけでございますが、今後広く土地利用計画の中でその利用の促進を図っていきたいというふうに考えております。  それから三番目に、指導いたしまして、いわゆるそのとおりになっておらない場合、ないしは助言をいたした後に勧告をするということでございますが、先ほど申しましたように、現在まだ遊休地の利用計画について内容の指導をいたしておる段階でございますので、まだ勧告までいった事例はほとんどございませんが、鹿児島で一件ございます。これは公共用地に取得したいということで所有者との間で話し合いを進め、勧告まで及んでおると聞いておるわけでございます。私どもといたしましては、法の趣旨からいたしまして、できる限りこの勧告に応じた実施ができるようにということで指導をしてまいりたいと考えております。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にまた三つお伺いしますが、続けてお答えいただきたい。  勧告に従わない場合には、その勧告に係る土地の買い取りを希望する地方公共団体、土地開発公社などと買い取り協議を行うことになっています。そこでひとつ伺いたい。  現在低成長経済下にあり、また地方公共団体の財政難などにより買い取り希望者も少ないと思われますが、この場合どう対処しますか。このことはこれから起きるのですからね。  二つ目に、今回の遊休地の通知をした土地は、市街化区域二百五十七・九ヘクタール、三一・一%ですね。その他の都市計画区域が百九十八・七ヘクタール、二三・九%、それからその他の区域三百七十二・九ヘクタール、四五%、市街化区域外が約六八・九%も占めておるんですね。このような状況から見て、買い取り希望の地方公共団体などが一体出てきているかどうか。これは非常に多いのですから。  それから三つ目に、買い取り希望があったが協議が成立しない場合には、法の第三十五条で、住宅建設、公共施設などが特に必要である場合には、都市計画などの決定等の措置を図って、当該土地の有効、適切な利用を図ることが規定されていますが、遊休地の通知の六八・九%が市街化区域外であって、規定のごとくのいわゆる措置をとることが困難ではないかと思うのですが、どうでしょう。  この三つお答えをいただきたい。
  88. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいま申しましたように、遊休地の具体的な利用計画につきましては、現在その内容を固めておる段階でございますので、公共用地としてどれだけのものがあるかということについてはまだ十分でございませんが、一応先ほど申した程度のものが出ておるわけでございます。  なお、現に買い取りの話が決まったというふうに聞いておりますものは約十六件ございまして、面積で五十一ヘクタール程度ございます。これは学校、住宅団地、総合グラウンド等がございまして、この内容につきましては市街化区域内以外におきましても公園等で活用されるものがあると考えております。  それから、このような公共団体の遊休地の土地取得につきましては、特に国といたしましてもその促進を図りますために今年度予算措置を講じまして、取得資金の利子の二分の一の補給の措置を講じておるところでございまして、その促進を今後とも図っていきたいと考えております。予算といたしましては約百五十億の取得資金を予定いたしまして、利子補給の措置を講じておるところでございます。  それから、今後勧告があった場合に、買い取りについて公共団体ないしは公的な団体等がその買い取りに乗り出すかどうかという点につきましては、実はまだ具体的な事例が出ておりませんのではっきり申し上げられませんけれども、必要に応じてこの法の趣旨に沿って公的な利用の促進も図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、自治省から山本局長においでいただいておるのですが、先ほど言いましたように、いまの開発の大きな支障になっているのは関連公共施設の負担増というもの、これが非常に大きな問題になっているわけですね。ですから、これは自治省としても自治体に対して、やはり宅地供給に対して非常に大きく国として力を入れているわけですから、そのために重課税の緩和だ、あるいは土地保有税の改正だというふうにあるわけですから、一遍一面では、やはり自治体に対する業者への負担増に対して何らかの手当てをしてやらないと、自治省として考えてやらないと非常に大きなネックになっているのが現状ですが、一体これに対して何か策がありますかどうかを伺って終わります。
  90. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、民間の開発事業者が宅地開発を行います際に、関連公共公益施設の整備、何と申しますか、計画的な町づくりというような観点からいたしまして、それぞれの地域の特殊性に応じまして自主的な判断で宅地開発指導要綱といったようなものをつくりまして、それぞれ開発業者から相互の同意に基づいて応分の協力をしてもらっている、そういう事態があるのは御指摘のとおりでございます。まあこのような開発負担金、開発に伴います地方団体の経費が急激に多額に要るというような点からいたしまして、また現在の地方財政の状況からいたしまして、ある程度のものはやむを得ないんじゃないかというようにも存じているわけでございますが、非常にばらばらであったり、非常に極端なものにつきましては、やはり一定の是正というものが必要なことではあろうというように思っておるところでございます。  一般論的に申し上げまして、こういったことの行われます団体、いわゆる人口急増団体といったような、大都市圏の周辺といったようなところに多く見られるわけでございまして、自治省といたしましては、この人口急増団体につきましては、交付税におきます急増団体の特別の補正というようなことによって財政力をつけるという手段、あるいは、これは文部省関係でございますが、人口急増団体に対します学校の建設費の通常のベース以上の国庫負担、あるいは用地につきましての特別の措置、こういうようなことでいろいろと対処をいたしていっておるわけでございます。しかし、何分こういった対処の仕方は、それぞれ何と申しますか、ことに交付税措置というようなものは、御案内のとおりの地方団体としましての一般的、基準的な取り扱いでございまして、個々のものを細部にわたってきめ細かく措置をするということもなかなかしがたいところでございまして、そういうような観点から申し上げれば、宅地の供給あるいは住宅の建設といった観点から、国におきまして、こういった特別の地域につきまして何らかの措置を考えてもらう必要もあるんじゃないかという気もいたしておるわけでございまして、自治省といたしましては、そういった方面も含めまして、各省ともよく御協議を申し上げたいと思っているところでございます。
  91. 原茂

    ○原(茂)委員 いまおっしゃったことはぜひ推進していただくように、特別に考えていただきたいのですが、特に、おっしゃったとおり自治体によってもうまちまちなんですね。それは非常に条件が違うのです。それで、ある自治体では、もうたくさんだ、もう人に来てもらいたくないんだから、家ができないように、業者が逃げていくような状況をわざわざ出しているんじゃないかと思うようなところもあるんですよね。ですから、そういった自治体に対しては、適正な指導というものも自治省である程度行わないと、だれが考えてもこれはむちゃくちゃだと思うような、そういう要求が出ていることに対しては、これは自治省として配慮をしませんといけないんじゃないかと思うので、自治体によって非常に違うという点を配慮して、これに対する適切な指導を何らかの形でやっていただきたい。どうでしょう。最後にその点だけお伺いしておきます。
  92. 山本悟

    ○山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、いろいろと具体の団体によりましてはらばらの点があるように存じます。全国を通じましての実態というのも、自治省あるいは建設省その他におきましても、まだつかんでいないような事情もございます。そういったものの調査も、自治省といたしましても早速手がける必要があることじゃないかというようにも存じておりますので、そういった状況の把握というようなところから出発いたしまして、ただいま御指摘のような点も大いに考えてまいりたいと存じます。
  93. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員長 午後三時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  95. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森下元晴君。
  96. 森下元晴

    森下委員 ことしの四月七日、春でございますけれども、四十九年度国土庁決算のときに私は田澤国土庁長官にいろいろ質問をいたしました。その私の大臣に対する質問の中で、山村の振興の問題、また森林資源の問題について質問いたしました。これに対する大臣の御答弁の中でこういうことを言っておられます。すなわち、安定経済のもとでの国土計画の基本は、何としても地方生活圏への人口の定住化構想というものを基本としなければならない、そのためには森林を中心とした山村地域の振興のあり方や植林の作業が円滑に行われるような方法を考えていきたい、こういうふうに言われておりますし、昭和四十四年策定の新全総を見直して新しく三全総を近く策定したい、こういう方針を御答弁の中で示されておったわけでございます。そのことにつきまして初めに、内容がそのとおりであるという御確認をお願いしたいと思います。
  97. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  決算委員会におきまして国土庁長官からお答えしましたとおり、第三次全国総合開発計画の中では、山村の問題森林の問題を重要視して、御指摘の点を可能な限り入れて策定したつもりでおります。
  98. 森下元晴

    森下委員 いま局長御答弁されましたように、大臣の御答弁はそのようであるという確認をされたわけでございますけれども、昨日、すなわち十一月一日に第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総を第七十六回国土総合開発審議会に政府案を諮問いたしまして、その諮問に対しまして、総合的な土地政策の推進ほか七項目の付帯意見をつけまして政府案をほぼ妥当とする答申を行ったようでございます。恐らく近く行われます閣議で正式決定されるであろう、このように思っているわけです。この点もひとつ御確認願いたいと思います。
  99. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 御指摘いただきましたように十一月一日の審議会で御答申をいただきましたので、でき得れば金曜日の閣議で決定させていただきたいという手続をしております。
  100. 森下元晴

    森下委員 私も三全総の内容についていささか勉強させていただきました。その述べておられる主要ポイントは二つあるように思います。  一つは、計画の基本理念であるいわゆる定住圏構想問題、それからもう一つは、この定住圏構想実現のための主要計画課題についてでございます。この定住圏の構想は、河川の水系をベースにいたしまして全国で二百から三百くらいの定住圏を設定する、そしてそれぞれの定住圏を自然と産業、文化の調和した生活の場につくり上げることが目標とされておるようでございます。非常に具体的に書かれておる部門もございますけれども、中には非常に抽象的で少し物足りないという点もあるように思います。  そこで、この十年間に総額で約二百四十兆の社会資本投資をやるんだ、そして充実するんだ、こういうことも実は書いてございます。エネルギー政策についても六十八兆円の資本を投下する、この数字は書いてございませんけれども、そういう内容を実は承っておるわけでございますけれども、この数字につきましてもひとつ御確認を願いたいと思います。
  101. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 第三次全国総合開発計画案におきましては、これからのおおむね十カ年間の公共投資、これは政府固定資本形成ベースでありますが、公共投資約二百四十兆円というものの投資によってこの計画を達成したいと考えておりますが、御指摘のありましたように、この内訳は第三次全国総合開発計画案の中では示しておりませんで、今後の検討課題にしております。ただこの二百四十兆円の投資の重点の方向については五点ほど重点を示しております。その一つは森林管理を含めた国土の管理というものが重要な投資の配分としての対象になるということを明らかにしております。
  102. 森下元晴

    森下委員 そこで、エネルギー問題にもまさるとも劣らないというこの森林政策については、この第4の「主要計画課題」の中の(5)の「森林資源の保全と培養」というところでかなり詳しく述べられておりますけれども、エネルギー政策における六十八兆円という数字の比較がこれではよくわかりにくいと思います。また、いま御答弁ございましたように、そこまで数字的な煮詰めは行われていないのじゃないだろうか。今後の検討課題の中でどの程度の森林資源の保全と培養のために投資していくか、今後の問題だろうと私は思うのです。やはりこの森林政策は、林業という経済行為だけではなしに、国土の保全と自然環境の保護、整備、同時にまた水資源の問題、また労働雇用の問題、非常に多角的な森林の効用を勘案しての国家安全保障問題というべき大事な問題であると思うわけでございますけれども、この森林政策に取り組む国土庁の姿勢、また三全総の中で、いま述べられましたけれども、そういう観点に立って、やはり国土の均衡ある開発という場合には森林政策を無視してはやれない、むしろエネルギー問題よりも重点的に取り組む必要がある、私はそう思います。その点につきまして、ひとつ局長の方からお考えをお聞きしたいと思います。
  103. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 第三次全国総合開発計画におきましては、国民生活の問題といたしまして、食糧問題、住宅問題、エネルギー問題というものは非常に大切な課題であることも述べておりますけれども、いま御指摘いただきました森林資源というものにつきましては、国土の管理としてきわめて重要な課題であることを申し述べております。  その観点といたしましては、当然森林というものは木材の生産機能が重要でありますが、もう御承知のように自給率が非常に下がってきております上に、先ほど申しました重要課題の住宅問題といたしましては、木材の使用が非常に重要な課題でありまして、現在第三次全国総合開発計画では、木材の需給が非常に逼迫することを考えて、木材の供給制約があるということを前提にしながら、既存の住宅を大切にしながら住宅建設をしていくということに注意深く触れているくらいでございまして、この木材の生産機能をどのように確保するかは重要な課題であります。しかし、森林につきましては、単なる木材の生産機能というだけではなくて、国土保全、水資源の涵養あるいは自然環境の保全、形成というような、いわゆる公益的機能というものが国土の管理上きわめて重要であり、三十七万平方キロの国土のうち、二千五百万ヘクタールを占める森林のあり方というものが即国土のあり方であるということもあえて言えるかと思いますので、そのような観点で書いているつもりでおります。
  104. 森下元晴

    森下委員 そこで、林野庁にお聞きしたいと思います。  この森林の効用につきましてはいろいろ多目的な効用があります。数年前に林野庁の方で緑の効用、森林の効用を計量化いたしまして、いわゆる金額であらわした資料を見せてもらいました。その当時より物価はかなり上がっておりますけれども、森林があることによって水資源とかまた治水、治山上のいわゆる公益等を計算いたしますと、一年間に大体十三兆円くらいの効用があるんだ、森林のある場合とない場合、たとえばダムにいたしましても森林があることによって五十年の寿命が保てる、万一森林がなくなった場合には三年ばかりでダムが埋没してしまう。そういうことを計算いたしまして十三兆ばかりの数字が示されておったわけでございますけれども、現在それだけ大事な林政、森林行政をつかさどる林野庁は、国有林、民有林あわせて、また公共、非公共あわせて一年間にどめ程度の財政支出が行われておるか、三年ばかりの間で結構でございますから御答弁を林野庁からお願いしたいと思います。
  105. 三井嗣郎

    ○三井説明員 ただいまのお尋ねでございますが、林野庁の予算は一般会計予算と国有林野事業特別会計につきましての特別予算とございます。五十年度からただいまの数字について申し上げますと、一般会計の予算につきまして林野庁の五十年度予算が一千四百二十六億円でございます。五十一年度が一千七百二十億円、五十二年度が二千百四十八億円でございます。  なお、国有林野事業は特別会計で運用しておりますもので、主として林木収入などによって収入を得ておりますが、この額が五十年度が三千二百十五億円、五十一年度が三千六百九億円、五十二年度が三千九百六十億円でございます。
  106. 森下元晴

    森下委員 両方合わせて五、六千億円、非常に微々たる財政支出しかしてないように思います。もちろん国有林の方は、ずっと黒字できましたけれども、最近はかなり赤字になって、国有林の運営は非常に困ってきつつあるということを聞いております。それは、材価が外材の大量輸入で非常に下がりまして収入が減ったということも原因しておりますけれども、ともかく森林政策、いわゆる山林経営、また林業という問題は、そろばんだけでははじけないのだということを実は私は言いたいのです。だから三全総でも、実に二百四十兆もを社会資本充実のために投入するだけの勇気と情熱を持って決めたわけでございますから、この中で、まことに微々たる現在の林野庁予算を見た場合に、果たして森林行政はこれでいいだろうか、どうだろうか。私としては、林野庁よしっかりしてくださいということを実は叫びたくなるわけなんです。  そこで、先般の当委員会労働省の審議がございました。その際に石田労働大臣から、労働力の余ったのは山村で、いわゆる林業労務者として雇用問題を解決したい、林野庁とすでに話し合いをやりつつあるということを実はお聞きしたわけなんです。だから、労働問題、雇用問題までもが山村に入りつつある。  林野庁の方にお聞きしたいのですが、現在、そういう労働省の御要望があった場合に、果たして山村で満足できるような雇用の条件があるのかどうか。また、他の産業に比べて林業労働、特に植林、手入れ等の報酬、いわゆる賃金等は、かなり高賃金が得られておるのかどうかということをお聞きしたいと思います。労働省の方でもその賃金形態を調べていただくように私お願いしてございますから、両方の立場から御答弁をお願い申し上げたい。労働省の方から先でも結構でございます。実は、労働大臣のそういうお話が先般ございまして、私も直ちに御連絡申し上げたようなことでございますから、資料はもうすでに用意されておると思いますから、両省から御答弁願いたいと思います。
  107. 小野進一

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  先般、労働大臣から現下大変厳しい雇用・失業情勢のもとにございますので、失業者に就労の機会を確保するとともにあわせて子孫に何か残るような事業といたしまして、分収造林方式による植林事業ができないかという検討の指示が私どもにございました。九月二十七日に、林野庁長官から労働大臣に部分森制度の御説明をいただきまして、私ども事務的に御相談しながら現在研究を進めておるところでございます。
  108. 小田切博文

    ○小田切説明員 賃金の関係につきましてお答えいたします。  農村地区におきます賃金ということでございますので——私ども、農村物価賃金統計という資料でその状況を把握しておるわけでございます。これによりますと、五十一年度農村地区の臨時雇いの一日当たり賃金について見ますと、男子の造林労働者が四千五百五十七円という数字になっております。この金額は、同じ農村地区におきます大工、左官というような技能を持っております者の賃金と比較しますと、そちらの方が五割ほど高いというようなことになっております。また、同じ農村地区の臨時雇いで、建設業の技能のない軽作業労働者であるとか、一般の男子農業労働者の賃金と先ほどの造林労働者の賃金と比べてみますと、造林労働者が一、二割高いというようなことになっていると思います。それから、一般的な製造業の生産現場で働いております男子の労務者の賃金と比軽してみますと、製造業の男子の労働者の賃金、これは常用雇用でございますが、この方は、先ほど申し述べました男子の造林労働者の四千五百五十七円という賃金と比べますと、四割方製造業の男子労務者の方が高いということになっているかと思います。  以上でございます。
  109. 森下元晴

    森下委員 五十一年度がそういう内容でございますし、恐らく五十二年度も、将来の五十三年度もそれくらいの格差があると思います。  私が申し上げたいのは、山林労務者、林業労務者は非常に低賃金なんです。だから、この雇用問題で労働省が幾ら、山に入ってもらって植林をしてもらうとか、非常に意義のある国土計画に参画してもらうと言いましても、大工さんや左官さんの一日八千円から一万円に比べますと半分ぐらいである。また、他の業種の方に比べてもかなりの格差が実は出ております。しかも山林労務は雨の日は仕事できません、工場労働と違いますから。一カ月で大体十九日か二十日しか仕事ができない屋外の労働でございます。また、非常に急傾斜の道のないところで地ごしらえをしたり植林をしたり手入れをするわけでございますから、同じ賃金でもなかなか来てくれない。しかも、かなり高度な技術を要する仕事でございますから、一般の労働の方々に比べて高賃金であってあたりまえだと思います。しかも、これもかなり熟練しないとできない仕事でございますから、いわば技術者である、また技能者である、そういう特殊な労働者でございますから、いわゆる低賃金では簡単に来てくれないというのが実態なんです。その点ひとつ労働省も御認識いただきたいと思います。  過去においては、山村や農村から都市とか工業地帯に労働力がどんどん出てまいりまして、それが日本の高度経済成長を支えてきた。ちょうど、いわゆるダムのような働きを山村、農村の労働者がしてまいったわけでございますから、そういう大きな意義のあった山村労務者がまさに都会に出払って、いまや逆に山村においては低賃金にあえいでおる。簡単空局賃金で迎えようと思いましても、それだけの熟練を要する山村労務に従事できる人が少なくなっておるという特殊な事情を労働省もお考えになっていただかないと、林野庁も非常に困惑するのじゃないだろうかという感じが実はして、そういうことを申し上げたわけなんです。  本当のところは、国有林なんかはこれから赤字が慢性的に出ますから、むしろ人員整理の問題まで出て、林野庁でも国有林業者のためにいかに近代化、合理化したらいいだろうか、できるだけ木を切らずに人を切る方がいいのだというようなことで、労働組合との間でもいろいろな問題が起こりそうでございます。しかし本当は、森林計画また森林政策は非常に大事で前向きでやらなくてはいけない、非常に大事な労務者を流出するわけにいかないという矛盾を抱えながら、将来の林業政策をどうしたらいいかというわれわれの矛盾点を考えまして、国土庁や林野庁にその認識を新たにしてもらいたい。だから、いままでのような林政では、森林政策では行き詰まってしまうのだ、せっかく三全総でりっぱな目的とか抱負を書かれましても、現実は決してそうでないということを実は申し上げたかったわけでございます。  そこで、林野庁の立場で、国有林行政、民有林行政もあわせてで結構ですから、現在の林野庁の見た林政の見通し、これについて簡単で結構でございますからひとつ御発言を願いたいと思います。
  110. 三井嗣郎

    ○三井説明員 お答えいたします。  林業につきましては、先ほど来先生からもいろいろ御指摘ございましたとおり、大変厳しい状況にございまして、木材価格につきましても最近はその上昇率が大変鈍化をいたしておりますことと、山の中の労働でございますけれどもコストの上昇率が非常に高いという状況もございまして、趨勢としての採算性というものが非常に悪化する方向にございます。そういう中で林業活動につきましては、間伐、主伐、造林など、かつての高度成長期に比べますとそういった活動規模が大変停滞をいたしておるという状況もございまして、御指摘のとおりに自給率なども最近非常に低くなっている状況でございます。こういった点につきまして林業の生産性の向上なり活動の積極化なり、そういった各般の面につきまして、諸般の政策の今後のあり方というものにつきまして真剣に検討をしていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
  111. 森下元晴

    森下委員 林野庁は、いま答弁されましたように非常に経営が苦しいというような意味のことをおっしゃいます。私もそのとおりだと思います。六五%の外材が入ってまいっております。最近は特に外材の製品が税金も何にもなしでどんどん入っております。国内の林業は、木材引取税という流通税、目的税がかかっておりまして、そのためにも外材やまたは外材に引かれた製品が林業地帯の山奥までどんどん入っておる。大体外材と内地材の接点は臨海工業地帯であるべきでございますけれども、この林業地帯の中まで大きなトラックで川をさかのぼって外材が入っておる。ここに、外材輸入の政策の誤りがございまして、国内の林業の保護政策が非常に劣っておる。これが国有林の赤字の原因になったり、また山に植林をしても将来見込みがないというところに高賃金が受けない大きな原因がございますから、ここはやはり国策的な、三全総に書いてございますようにやはり国家百年の計、また五十年の計のために思い切った社会資本の投入が必要であるというふうに私は思うのです。幾ら外材を安いときに入れなさい、そして蓄積をすべきときにはしなさいと言いましても、いまのような林業政策ではとうてい林業意欲も沸かないし、また林業労務も定着いたしません。そして、国有林は整理を迫られておるというような、林政にとりまして、森林政策にとりましては最悪の事態が現状でございます。だから、部分的に考えますと、外材輸入の問題をどうするかとか、またこの補助金の問題をどうするかとか、また間伐に対する補助金をどうするか、そういう問題は林野庁でも論ぜられておりますけれども、私は、林野庁のベースだけではなしに、やはり国土計画の中でこの森林政策、林政が語られるべきいまは絶好のチャンスである、このように思います。  そういうことで、春の質問のときにも、われわれはいろいろ考えまして、どういう方法が一番いいのだ。それは国有林の特別会計なんかという過去のしがらみを取っ払って、いわゆる分収造林方式による植林計画しかないのだ。国家投資とかまた政府系の資金を投入して下水道とか防衛計画とか道路計画とか、いろいろな五カ年計画とか十カ年計画をやっておりますけれども、それと同じような国家投資をひとつ植林にしていただいて、しかも高賃金で優秀な労務を確保するためにも、大工さんとか左官さんのような技術者がいただけるような高賃金によって山林労務は確保しなければ、当然将来は植林する人も手入れする人もいなくなる、こういうことでございますから、この植林政策、また森林政策を根本的に見直してもらいたい、このように実は考えております。  そこで、ちょっと前の復習になりますけれども、これは五十年、四十年の長期の期間を要するのですが、十年では簡単にできませんけれども、とにかく一年間に仮に二十万ヘクタールの植林をいたしましても、一ヘクタール当たり八十万円から百万円くらいの費用がございましたら、完全な植林、手入れ、全部できます。高賃金も出ます。二十万ヘクタールで約千六百億から二千億の金でございますから、五十年でも約八兆円から十兆円の少額でございます。十年間で二百四十兆ですから、なぜ五十年間で十兆円ぐらいの国家的な投資ができないだろうか。それによって、一年だけでも現在は十三兆円の緑の効用があるわけでございますから、決して損にならない。道路とか港湾の場合は入れっぱなしでございます。利用の度合いも大きゅうございますけれども、この山林投資は、財投のように、投資いたしましても、その金は四十年、五十年後には分収契約をしておけば半分はいわゆる収穫できる。こういう一石五鳥も六鳥もの効果がある森林投資でございますから、こういう点でもぜひ見直しをお願いしたい。詳しく林業政策の実利性と申しますか、また効用性を検討し直していただきたい。そして、ぜひこの三全総の中で基本的に林政問題を取り上げてもらいたい、実はこのように考えております。  先ほどちょっと申しましたけれども、とにかく二十万ヘクタール毎年やりましても二千億円の金でございます。それを五十年間投資続けましても十兆円の金でございます。仮に、いまのこの価額で計算しても、五十年後に二十万ヘクタールの山を伐採した場合には約二兆円の収入があるはずでございます。これは林野庁の方で計算してもらえばすぐわかるんです。五十年半の杉とかヒノキそれを集約的に経営した場合には、少なくとも一ヘクタールで約一千万ぐらいの収入が上がると思いますからね。それを計算いたしますと、五十年後には二千億の投資が二兆円の収穫になりますから、それだけ考えましても財投としては十分成り立ちます。もちろん金利は三分か三分五厘で近代化資金とか高度化資金くらいしか回りませんけれども、いろいろな効用があって、しかも元金、または金利をつけて取り返しができる、簡単な計算でわかるわけでございます。これほど国家百年の計はないと思いますから、この点はこの前の春の御質問のときに田澤長官にも申し上げましたから、いまさら申し上げません。要は、ちょっと重複しますけれども、三全総の中で二百四十兆もの巨額の投資をされる、これはわれわれも大賛成でございますけれども、その中で少なくともエネルギー政策に投入する六十数兆、それに勝るとも劣らないくらいの森林投資を森林政策のためにやってもらいたいということの方のお考えを、私はこの三全総の具体化の中でぜひお願いしたいということを申し上げたいわけでございます。もうくどく申しません。  国土庁長官、おいでになりましたので、三全総の中でいわゆる森林政策をどういう姿勢で取り組んでいただけるか、これだけ御答弁を願いたいと思います。
  112. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 三全総の目標は、人口定住化構想にあるわけでございまして、定住化構想を実現するためにはどうしても雇用の場を与えなければなりません。そこで直ちに二次産業、三次産業を振興させるといってもなかなか容易じゃございませんので、まず第一次産業の振興というのが一番重要なのでございますから、そういう点では第一次産業に力点を置く、あるいは地場産業に力点を置くということを進めてまいらなければ、直ちに定住構想の魅力というものは出てこないと思うのでございます。そういう点から言って、農業、漁業、林業というものに大きな力、これまで以上の思い切った力を入れてまいらなければならないということは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。ことに過日労働大臣とちょっとお会いいたした折にも、この植林労働力は非常に不足しておる、そのために山が裸になっている現状であるから、やはり何か思い切った対策で植林政策ができるような形をつくることはできぬだろうか、私もいま考えている、幸いあなたの方でも定住構想というもので地方に若年労働力を定着させようとしているのなら、その線をもう少し詰めてみようじゃないか、そのことによって三全総の目標は達成される、それと同時に森林行政の大きな目標も達成されるのだから、お互い研究しようじゃないかということを本当の座談的に話し合ったわけでございますが、そういうように私たちは、定住構想を進めるためには思い切った林業政策、林業振興策を考えるということの先生の御意見には全く賛成でございますので、今後一層努力をしてまいりたい、かように考えます。
  113. 森下元晴

    森下委員 先ほども実は局長に質問したり御答弁をいただいたわけなんですが、確かに山村振興のためには林業の振興が必要であって、一面考えれば、非常に人手不足でございます。幾ら人があっても足りないぐらい植林事業は大事でございます。手入れ事業も大事であるのです。ただ人が少ないというのは、高賃金が打てないから全部都会に出ていってしまったということです。だから私は、高賃金とは言いません、いわゆる大工さんとか左官さん、こういう技術者がいただいております程度の報酬をひとつ山林労務者にいただけば、かなりの人が集まってきます。だからこれを解決しなければ——現在のような日役にいたしまして一日の日当四千五百五十七円——お米をつくりましてもたばこをつくりましても、生産費所得補償方式では六千円から七千円補償されております。それに比べてこれだけの熟練を要する仕事、また強い労働力を要する、危険な労働力を要する、しかも屋外労働で一カ月二十日しか働けない、こういう方々が四千五百五十七円平均賃金では山に定着するはずがございません。だから、こういう方が高賃金、少なくとも八千円から一万円ぐらいいただけるようなことにするためには、現在のような外材が大量に入って林業界が不況なときには国家投資が必要であるのだ。だから林野庁だけに任せずに、やはり国土庁と林野庁がよく話されて、国家百年の計として、三全総の中で、この十年間の中で位置づけをしてもらいたい。そのための分収方式を私は提案しておるわけでございまして、これがいいか悪いかは専門の林野庁で検討してもらえばすぐわかるわけでございます。しかもこの三全総の中でも、思い切って四十年後の昭和九十六年には二千八十万ヘクタール程度の森林の整備と総蓄積三十六億立方メートル、こういう目標が出ておるわけです。だから、これを達成するためにはどういう方法で森林政策をやったらいいかということがおのずから出てまいります。そのためには分収方式でなければ、とうていこれはやっていけないという私なりの経験上からの結論に達したわけでございます。分収方式にもいろいろ欠点がございます。だから、その欠点をいかに少なくするかということを考えながら、現在公団造林とか、公社造林、これは県がやっておりますけれども、もうすでにかなりの結論が出かかっておりますから、将来金利までついて返ってくる国家投資を思い切ってやるべきである。お米の逆ざやにしてももう何千億の金を使っております。社会福祉のためには数兆円の金が出ておるような時代でございますし、山村の社会福祉、また国の安全保障のためにもその程度の投資をしていただければ、山村が栄えるし、山林労務もかなり豊かに得られるように思いまして、実は御提案を申し上げたような次第でございます。  大体もう時間がなくなりましたので、最後に、これも三全総の「森林資源の保全と培養」の一番最後に非常にりっぱなことが書かれております。「開発途上国の森林資源の開発及び造成に対する協力を推進する。」これは非常にりっぱな内容で、国内の林業だけではなしに、フィリピンとかインドネシア、またカリマンタンとかニューギニア、こういうところに植林をしながらそこにある森林資源をいただいてこようという一つの構想でございます。もうすでに海外協力事業団が取りかかっておりますけれども、これとても残念ながらまだ外務省とか通産省、農林省のちょうど寄せ集めのようなかっこうでございますから十分の成果が上がっておらない点もございます。また、最近砂漠緑化の問題が出てまいります。たとえばアラブの地域に日本の技術で緑をつくろう、またインドの平原に緑をつくろうという話もございます。日本の林業技術は非常に優秀なんです。林野庁には非常に優秀な技術者もおりますから、また労務もおりますから、そういう面で海外協力の形において日本の林業技術を出すべきである。そして、向こうから油とかいろいろな資源をもらってくるということも国策に沿う資源対策であることも、私はこの文の中で実は感じておるわけでございます。  この問題は、大臣から詳しい御答弁は要りませんけれども、将来私もこの砂漠緑化の問題で、また外務省とか関係の省庁に質問したいわけでございますから、この点国土庁の方でも遠慮せずに、ひとつ海外の森林開発、資源開発がやはり国策に沿うのだ、日本の資源にも寄与するのだという大臣の御所見をいただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  114. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほどの林業政策については、林野庁あるいは労働省等とも話し合いをした上で積極的に進めてまいりたい。  また、開発途上国あるいはまた砂漠地帯等の林業振興の問題等は、国際的な問題でございますけれども、私たちもできるだけ外務省等とも打ち合わせをしながら、三全総の線を実現するように努力をしてまいりたい、かように考えます。
  115. 森下元晴

    森下委員 終わります。
  116. 芳賀貢

    芳賀委員長 林孝矩君。
  117. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まず最初に、地盤沈下の問題について質問いたします。  地盤沈下は、公害対策基本法においても典型公害の一つとして挙げられていながら、具体的な総合対策が一番おくれていることは長官も御存じのことだと思います。現在著しい地盤沈下が生じていない地域であっても、直ちに効果的な防止対策を講じなければ近い将来地盤沈下が激化するおそれのある地域もある、また地盤沈下がいまだ生じていない地域でもその可能性のある地域も少なくない、こういう状態に現在あるわけです。地盤沈下の進行によって家屋、道路、橋梁等の建造物の損壊、浸水などの被害が生ずるほか、高潮、内水はんらん、津波等による災害が助長される。これは多数の人命が危機にさらされる結果となるわけです。水資源の有効利用、災害防止、国土保全、こうした観点から地盤沈下対策は最近非常に大きな問題になっているわけです。  わが党は、以前からこの問題と取り組んで、今日まで国会において幾たびとなくこの問題の推進に当たってきました。しかし、国土庁が各省庁を取りまとめて総合的対策を提示するという立場を表明しつつも、それがなかなか前向きに進まない、こういう状態にあるわけであります。ここで改めて、その原因となっているのはどの辺にあるのか、長官みずからもこの総合対策の取りまとめを国会において今日まで表明されてきたわけですが、なぜそれが前向きに進まないのか、まず最初にその点について明確にしていただきたいと思います。
  118. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 地下水の過度の利用によりまして地盤沈下現象が最近極度に起きてまいりまして、それが災害あるいは利水の面から非常に大きな問題をはらんでいるのは先生御指摘のとおりでございますので、私たちは前の国会から、地盤沈下の総合的な対策を進めるための法制化に努力をしてまいったわけでございます。私も関係省庁と一生懸命になって努力をしたのでございますが、どうも時間が足りませんで最終的に法制化を見ることができませんでした。しかし、大方の線はもう合意を得ておりますので、次の国会には地盤沈下の総合的な対策の一環としての法律をぜひとも提出したい、かように考えております。
  119. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次の国会に法制化という具体的な大臣の決意の表明でございますので、ぜひ実現されることを要望して次の質問に入ります。  最近、環境庁が地盤沈下の実態調査実施したわけでございますが、その内容について説明をしていただきたいと思うのです。  地盤沈下地域、塩水化地域、これがまず一点、二点目が地盤沈下面積、三番目に海抜ゼロメートル地帯とその面積、四番目に累計沈下量の最大値及び最近の年間沈下量の最大値のワーストファイブ、この四点について説明願いたいと思います。
  120. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答え申し上げます。  環境庁が行いました調査によりますと、これは水準測量等で地盤沈下が見られているところを調べた結果でございますが、全国で三十四都道府県、五十八地域にわたっております。この中には塩水化の見られるところも入っております。  それから、先ほどの面積でございますが、これは八千二百十平方キロメートルでございまして、そのうちゼロメートル地帯は九百六十六平方キロメートルという数字になっております。  それから、ワーストファイブの問題はちょっと手元に資料を持っておりませんので、いま準備させます。
  121. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ただいま御説明がありましたように、地盤沈下地域というのが日本の広範囲にわたって出ている。地盤沈下という問題が当初問題視された段階では、ゼロメートル地域の東京都下の問題であるとか、ごく限られた地域だったわけです。その原因として工業用の用水を地下から吸い上げるところで起こっておるとか、局部的な問題として取り上げられておったわけでありますけれども、実態調査の結果明らかになったことは、いま説明があったように、地域が三十四都道府県に及ぶというように非常に広範囲になっておりますし、それがただ単に工業用ということではなしに、生活のための地下水の利用、農業用水の利用、その他用途の範囲も拡大されておる。その結果、被害状況についても非常に変化をしていると思うわけですが、地盤沈下による被害状況について、三年前の調査と比較して御答弁を願いたいのですが、現在三十四都道府県になっているわけですけれども、三年前はどういう実態であったか、直接被害、間接被害、地下水の塩水化、その数、この点について説明を願いたいと思います。
  122. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答えいたします。  三年前の状態と現在では対象区域は大体同じでございます。もっと前のことを申し上げますと、東京湾の沿岸部とか大阪の市区域、四日市とかそういう工業地帯が非常に激しかったわけでございますが、これらは工業用水法の適用によりまして工業用水を引っ張ってきまして、その結果、そう激しいものでなくなってきた。三年前ぐらいから見られる現象といたしましては、いま先生がおっしゃいましたように、水道用水とか農業用水、そういう多方面にわたったくみ上げが原因となりまして、たとえば埼玉県の所沢市の中心とか濃尾平野とか山形平野とかあるいは仙台、佐賀県の白石平野、こういうところが漸次多くなってきたわけであります。これも都道府県の行政指導あるいは私たちの指導ということと相まちまして、最大沈下量でとってみますと、三年前よりはそういう沈下の度合いは少なくなってきております。ただ、他面、農業用水とか水道用水として使う都市近郊とか農村部においてまた別の方面でそういうものが広がってきているのが現状でございます。
  123. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほども説明がありましたように、現在三十四都道府県、五十八地域という広がりを持っているわけでありますが、私の方の資料によりますと、三年前の実態は三県、十二地域、これだけ現在の実態というものがひどくなっておる、このようになっております。  国土庁にお伺いしたいのですが、この地盤沈下に関する調査、観測、研究の促進をどのように行ってこられたか、この点についてお伺いしたいと思います。
  124. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答え申し上げます。  最近における地盤沈下等の状況にかんがみまして、これらの障害を防止しつつ地下水の適正な利用を図る必要がございますが、このために国土庁といたしまして、地下水の利用状況あるいは地盤沈下の状況等について的確な調査を従来からもしてきております。  まず第一に、国土総合開発調整費によりまして、必要に応じまして関係省庁に移しかえをいたしまして、各省における地盤沈下に関する調査調整をしてまいりましたが、特に五十一年度までは、地盤沈下の著しい濃尾平野あるいはまた埼玉西部について、先ほど申し上げました国土総合開発調整費によりまして建設省及び通産省に調査実施していただいております。  また、国土調査の一環といたしましては、昭和二十八年度から地下水の試料の収集等を行ってまいっておりますが、さらに今年度からは地下水の利用状況、地盤沈下の状況、代替水の確保状況等につきまして総合的な調査実施してまいっております。これによりまして地下水の保全あるいは地盤沈下の防止等に寄与するための基礎資料を得たい、かように考えておる次第でございます。
  125. 林孝矩

    ○林(孝)委員 国土総合開発調整費というふうに呼ばれましたけれども、環境開発調整費ではないでしょうか。それはどっちですか。
  126. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 先生おっしゃいました環境開発調整費ではございませんで、国土総合開発調整費でございます。
  127. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、通産省、建設省、環境庁にお伺いしますが、現在まで地下水利用、それから地盤沈下防止のために通産省、建設省、環境庁としてどのような対策を講じてきておられるか、説明願いたいと思うのです。
  128. 井上正

    ○井上説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、地盤沈下問題につきまして他省庁に先んじて取り組んでまいっておると思っております。  具体的に申し上げますと、まず第一に、昭和三十一年でございますが、工業用水法という法律を制定いたしまして、当時臨海部にございます既存の大工業地帯がかなりの地盤沈下を起こしておりまして、これを防止するために工業用の地下水の過剰くみ上げを規制いたしました。他方では工業用水道を建設いたしまして、従来使っておりました地下水を工業用水道に転換をするという仕事をやってきております。  いままでにこの法律によりまして指定いたしました地域が十四地域でございます。それから、この地域内の工業用水道、現在建設中のものを含めまして二十五の工業用水道がございまして、これによりまして、いままで日量にいたしまして百七十万トンの地下水を工業用水道に転換してきております。こういった対策によりまして東京湾周辺、伊勢湾周辺、大阪湾周辺あるいは仙台の臨海部といったような地域につきましてはほぼ地盤沈下がとまる、あるいは一部には隆起現象といったようなものが出てきております。これが第一の対策でございます。  それから第二は、先ほど先生の御指摘にもございましたけれども、地盤沈下等の恐れがある、将来起こる恐れがあるといったような地域につきまして、昭和四十年から地下水利用適正化調査という調査をやっております。これは地下水利用の実態あるいは地下水利用を解明するといったようなことをやりまして、その地域全体としての地下水の安全揚水量というものを出します。この安全揚水量をベースにいたしまして、その地域の地下水利用者に地下水利用対策協議会という協議会をつくっていただきまして、自主調整ベース、自主規制ベースで地下水のくみ上げ量を減らしていただくという仕事をやっております。いままでこの調査をやりましたのが全国で四十二地域、それから対策協議会ができておりますのが二十三地域ございます。  それから次に、第三番目でございますが、現在地盤沈下が起こっておるわけでございますけれども、これを防止するためにはやはり転換水源としての工業用水道を引かなければいけない。ところが、工業用水道を引きますためにはどうしても数年かかるといったような事情がございます。そういたしますと、その数年間地下水のくみ上げを放置しておきますと地盤沈下が進むといったような地域があるわけでございます。具体的に申し上げますと、濃尾平野とかあるいは埼玉県の西部の地域あるいは福井平野といったような地域でございますが、こういった地域につきましては、五十一年度から工業用水の使用合理化指導調査というものをやっております。これはその地域にある一定量以上の地下水を使っております事業所、これは工業の事業所でございますが、この事業所の水利用の実態を調べまして、水使用の合理化をやっていく準則といいますか、こういったものをつくります。それで各企業にはその準則に基づいて水使用の合理化計画をつくっていただきまして、それに沿って合理化を進めていただくというような仕事をやっておるわけでございます。  それから若干細かくなりますが、これ以外に現在の工業用水法の指定地域、それから先ほど申しました地下水利用適正化調査の地域には観測井が二百本以上ございますので、そういった井戸を使いまして地下水の常時観測といったようなことをやっておるわけでございます。  以上のような対策によりまして、かなり効果は上がっているというふうに思っておるわけでございますけれども、通産省といたしましては、今後とも工業用水法の指定地域を拡大するとか、あるいはいま申しました調査地域をさらに広げるとかいったようなことで地盤沈下対策に当たってまいりたい、そう思っておる次第でございます。
  129. 川本正知

    ○川本説明員 建設省からお答えいたします。  建設省といたしましては、地下水地盤沈下の対策といたしまして、まず事業の方でございますが、たとえば地下水の採取を規制するために代替水源を確保するといったための水資源開発事業、これはダムの建設であるとか、そういったたぐいのものでございますが、そういった事業とか、あるいは地盤沈下地域を、洪水、高潮、そういったものの災害から守るための海岸事業、あるいは低地域におきます地盤沈下の現象に対して常時湛水の危険がふえてまいります。そういったものを排除するための排水ポンプの設置、そういったような海岸事業及び地盤沈下対策の河川事業、そういったものをいろいろと実施しております。  また、地盤沈下対策に関します調査の面でございますが、地盤沈下の水準測量、いわゆる地盤沈下の程度を調べる、そういった水準測量とか、あるいは地下水の観測井による観測、それから地下水の人工涵養、そういったものに関する技術開発といったようなものを総合的に実施しておりまして、今後ともまた強力にやっていきたいと思っております。
  130. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 環境庁といたしましては、いわゆるビル用水法を専管で所管しておりまして、これにつきましては千五百三十平方キロメートルの地域にわたりまして適用地域を持っております。それから工業用水につきまして、先ほど通産省の方から御説明がありましたように、これは通産省と共管でございまして、やはり千三百平方キロメートルの地域にわたりまして地域の適用をしております。したがいまして、工業用水の方の成果につきましては通産省の方から説明がございましたが、またビル用水につきましても非常に激しい沈下はほとんどなくなっておる、こういう状態でございます。なお、環境庁といたしましては都道府県にいろいろ補助をしておりまして、それで地下水位とかあるいは水準測量あるいは地下水の用水の実態等、そういうものによりましていろいろ情報を集めております。したがいまして都道府県と連絡をよくいたしまして、いろいろな形で指導もしている、こういうわけでございます。  なお、先ほど先生がおっしゃられたワーストファイブでございますが、東京が累積沈下量で四メートル五十八、大阪が二メートル八十六、兵庫が二メートル七十五、新潟が二メートル六十五、原町が約二メートル、それから千葉が一メートル八十、こういう数字が一応私のところでは記されております。
  131. 林孝矩

    ○林(孝)委員 環境庁にお伺いいたしますが、建築物用水法による指定地域はどれほどあるかという点と、それから条例等によって規制を行っている都道府県がどれほどあるか、この二点お伺いします。
  132. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 お答えします。  先ほど申し上げましたように、ビル用水については千五百三十平方キロメートルという数字になっております。(林(孝)委員「地域は何カ所か」と呼ぶ)地域は四都府県でございます。それから条例は都道府県と市町村合わせまして九十ほど条例をつくっております。
  133. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま環境庁、通産省並びに建設省から御説明をいただいたわけでありますが、現行法においては工業用水法、これは昭和三十一年にできた法律ですが、それが工業用の地下水を対象として制定されておるわけです。それから建築物用地下水の採取の規制に関する法律というのが昭和三十七年に冷暖房用等の建築物用地下水を対象として制定された。それから地方公共団体の条例等による規制、ただいま御説明がありましたように九十地域以上ある、こういう形で今日まで地盤沈下に対していろいろな対策が講じられてきたわけでありますが、現行法のもとにおいて考えられることは、基本的に予防的見地がない、これがまず一点です。それから次に、指定地域がすべてに及んでいないために、指定地域の周辺にかえって地下水開発を促進する結果となっている、そういう部門が出ておる。それから三番目に、二つの法律の指定地域の要件が異なる、そのために抑止効果が得られない。それから四番目に、用途別規制のために用途以外の地下水くみ上げについては何ら規制がない。このように基本的にもいろんな問題が指摘されるわけです。このような個別用水対策を前提にしての取り組み方というのでは、この地盤沈下の未然防止ということができないのではないか、このように考えます。  大臣が先ほど、次の国会での法制化ということを話されました。ここで確認をしておきたいわけでありますが、国土庁長官が次の国会でどうしても地盤沈下の対策、総合的な対策に関して法制化を行いたい、もうその大詰めのところまで来ておるというわけで、過去の例のように各省にまたがっているということで、法制化できる段階に来ておりながらできなかったという例がございます。きょうは環境庁また通産省、建設省から説明に来られているわけでありますが、残念なことに政府委員の方が来られていませんけれども、各環境庁、通産省、建設省におかれて、この国土庁長官の先ほどの次期国会で法制化するという考え方、決意、それを実現させるという努力、こういうものに対して全面的に努力をして、そして実現をさせるという考え方が各省庁におありかどうか、その点を確認をしておきたいと思います。
  134. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 ただいま地下水の問題に関しまして、現行法では手ぬるい、あるいはそごを来しておるところもあるというような御指摘がございましたが、地下水には、御存じのとおりこのほかにも農業用水の目的とかあるいは水道用水の目的等、その利用範囲は広範にわたっております。したがいまして、これらを総合的に運用いたしまして地下水の適正な採取を行いますとともに、その保全も図ってまいらなければならないと思っております。  私どもといたしましては、先ほど長官から答弁いたしました地下水の保全並びに地盤沈下の防止に関する法律案の中におきましては、地下水の採取の規制のほか代替水源の確保あるいはまた代替水の供給、あるいはまた地盤沈下対策事業といたしまして、すでに高潮、洪水等の危険な地域になっておる地域の災害予防対策、あるいはまた地盤沈下によりましていろいろな公共施設が機能が非常に低下しております。これらの復元等も含めました地盤沈下対策事業等も盛り込みまして、総合的な地盤沈下対策のための法律案を考えておるところでございます。  現在これらにつきましては、鋭意関係省庁と協議を重ねておるところでございますが、関係各省ともこの総合立法については十分な理解とともに賛意も賜っておりますし、私どもといたしましては必ずや、先ほど長官が申し上げましたとおりに次の国会にはぜひ提案をしたいということで、そういう目標のもとに現在鋭意検討中でございます。
  135. 神戸芳郎

    ○神戸説明員 環境庁といたしましては、先生御指摘のように、現在の法案が未然に防止すべき地域に適用されないというようなこと、あるいは工業用水とかビル用水だけに限っているという点が問題だと思っておりまして、いま国土庁の方からお話がありましたように、総合立法は必要だと思っております。したがいまして、通常国会を目指しまして、鋭意国土庁を初め関係省庁と調整を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  136. 井上正

    ○井上説明員 通産省といたしまして、地下水問題を解決するためには、地下水から代替水への転換の問題あるいは水使用の合理化の問題、こういったようなものがやはりその規制とは切り離せない問題であるというふうに考えておるわけでございますが、そういった基本的な認識のもとに現在関係省庁とお話し合いをしているところでございます。特に、工業用水につきまして使用合理化を進めるということが地盤沈下を防止するために不可欠であろう、こういうふうに思っておりまして、現在通産省では総合規制法とは別に、工業用水の使用合理化の法制面での整備といったようなことを検討しているわけでございます。この法律につきまして、今後関係省庁とお話し合いをいたしまして、もし成案が得られましたら、地下水の総合的な規制法と並びまして国会に提出していきたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
  137. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 建設省といたしましては、先生御指摘のように、地下水の無秩序な採取等が地盤沈下、地下水位の低下等の障害をもたらしている状況にかんがみまして、国土の保全あるいは水資源の確保、こういったものを図る見地から、地下水を総合的に管理するための法制が必要と考えているわけでございます。このため、地下水法案というものを準備中でございますが、国土庁、環境庁あるいは通産省におきましても同趣旨の法案提出の動きがございますので、これらとの調整を図り、積極的に法制化の推進に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  138. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この地盤沈下の最後の質問として、長官にこの点を確認しておきたいわけでありますが、ただいま建設省、通産省、環境庁等の法制化に対する意見を聞きまして、国土庁長官が次期国会に法制化と発言されたその内容は、各省庁独自の法案という形ではなしに、総合法制化ということで、各省庁と調整をとった上で法制化される、こういうふうに解釈していいのか、それとも各省庁独自の法案というような形で出てくるのか、その点を確認して、もし各省庁独自という形のものであった場合に、長官がその調整の労をとられて総合法制化する決意がおありかどうか、その点をお伺いしてこの地盤沈下の問題は終わりたいと思います。
  139. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 地盤沈下については、各省庁ともそれぞれの立場から防止対策を考えておると思いますけれども、この問題については、先生御指摘のように総合的な対策を考えなければなりませんものですから、国土庁調整官庁でもございますので、そういう点ではできるだけ関係省庁と話し合いをして一本化した形で法文化に努力いたしたい、かように考えております。
  140. 林孝矩

    ○林(孝)委員 地盤沈下の問題はこれで終わります。  次に、地域振興整備公団について質問をいたします。  最初に地方都市開発整備事業について、これは五十年度から始まっておる事業でございますが、     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕 この事業の内容を伺いますと、いわゆる宅地造成事業、すなわち大都市及びその周辺で行われておる宅開公団の事業、また地方都市で行われている地域公団の事業、これも宅地造成事業でありまして、地方都市開発整備事業として地域振興整備公団の行う宅地造成事業とダブリがあるのではないかと思うわけです。  これは国土庁長官にお伺いいたしますが、一つは、この地域振興整備公団における宅地造成事業というものは、宅開公団あるいは地域公団の宅地造成事業とあわせてやるということではなしに、いま別個になっておるわけですけれども、行政改革という面から考えればこれは一つのものとして行われるという方向でいくことが望ましいのではないかという意見があるわけですが、長官はどのようにお考えでしょうか。
  141. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先生御案内のように、宅地開発公団は人口あるいは産業の集中した大都市周辺で住宅、宅地の不足を補うためにつくられた公団でございまして、そういう考え方から、首都圏だとか中部圏だとか近畿圏、その周辺の地域が対象になっております。また一方、この地域振興公団は、ある意味では過疎過密抑制のために地方の振興を図らなければならないということで、先ほど申し上げました圏域以外の地方都市の振興ということが一つの目標になってございますから、住宅そのものから考えますと、あるいはまた宅地そのものから見ますと、ある点ではクロスする点もあるかもしれませんけれども、目的そのものが明らかに異なるものでございますから、行政改革の面でも私たちはいろいろこれを検討してみましたけれども、今日の状況ではいま少し二つの問題を分離しておくことがより有効じゃなかろうかという点で、このような形態をとっているわけでございます。
  142. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現在の事業実施状況について説明をいただきたいのですが、事業名、それから開発整備面積、事業費、計画人口、計画期間、進捗率、投資額、この七点について説明を願いたいと思います。
  143. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 お答えいたします。  この公団が現在やっております地方都市開発整備事業は三カ所でございます。一つが長岡ニュータウン開発整備事業でございまして、これは面積が千八十ヘクタール、計画人口は四万人、概算の事業費は一千億円というふうに考えております。工期は昭和五十年度からおおむね十五年間ということでございます。ただいまのところ用地買収が八七%済んだところでございまして、本年の七月二十七日に一部工事に着工いたしました。全体の現在までの投資額の累計は百四十一億三千八百二十五万円でございます。  二番目に賀茂学園都市をやっております。これは東広島市でございます。西条町等にまたがる事業でございます。面積は五百ヘクタール、概算の事業費は六百三十億円、計画人口は一万五千人、工期は昭和五十年度からおおむね十カ年間、現在の進捗率は、用地の買収のみでございますが、五五%用地の買収を終わっております。累積の投資額は百四億七千余万円でございます。まだ工事には着工に至っておりません。鋭意準備中でございます。  三番目がいわきニュータウン開発整備事業でございます。福島県のいわき市でございます。面積は五百六十ヘクタール、概算事業費が五百八十億円を予定いたしております。計画人口は二万五千人、工期は昭和五十年度からおおむね十カ年間。進捗の状況でございますが、これまた用地買収に現在中心を置いておりまして、用地は七七%の買収を終了いたしております。投資額累計は三十七億二千三百十五万円ということになっております。これまたまだ着工に至っておりませんが、鋭意工事に至るべく準備を進めている次第でございます。  なお、このほかに十数カ所の調査をやっておりますが、まだ工事実施計画書の認可には至っておりません。  以上でございます。
  144. 林孝矩

    ○林(孝)委員 五十年度決算で、この地方都市開発整備等事業勘定で政府資金借入及び公団債券の収入予算現額と収入決定済み額、これを説明していただきたいと思います。
  145. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 五十年度決算におきます当公団の事業のうち、地方都市開発整備等事業勘定についてまず御説明を申し上げます。  収入決定済み額は百八十七億四千二百七十七万円でございます。そのうち政府補給金が二十億二千六百万円、それから債券収入及び借り入れの問題でございますが、まずその中の政府資金借り入れ、これは八十四億円、それから地域振興整備債券、政府保証債でございますが、これの関係が九十四億九千二百三十万円というふうになっております。その他は事業外収入でございまして、これは八億四千八百四十余万円ほどでございます。
  146. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、収入予算のうち政府資金借入では五三%を翌年度に繰り越しているわけであります。残りの八十四億しか五十年度に借り入れしていない。これに対して政保債では九九・九%消化発行していることになるわけです。金利を見ますと政府資金が七・五%、債券の方が八・〇%、これは金利の高いものを優先的に借り入れているということに結果的にはなるわけです。これに対する利子補給を考え合わせると、一つの問題点として資金運用の問題が出てきます。こういう借り入れの仕方ということになりますと、資金運用のむだではないかという問題が指摘できるわけであります。また、これらの資金は土地造成費に使用されるものであって、譲渡価格への影響が出てくるのではないか、こういう心配が生まれるわけです。この二つの問題に対してどのような考え方でおられるか。  これと全く同じことが、工業再配置事業、これの借入金と債券発行についてもデータは同じことが言えるのです。この工業再配置事業の方では、収入現額四百十六億のうち四八%の二百億しか借り入れてない、こういう状態が言えるわけですね。  私はこの二つの問題点について、この際当局の考え方を明確にお伺いしておきたいのでありますが、どのような考え方でおられるか、伺いたいと思います。
  147. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 まず、ただいまの御質問につきまして御答弁申し上げます前に、先ほどの答弁の中で、収入決定済み額のうち政府補給金につきまして二十億円と申し上げたかと思いますが、二百二万六千円の間違いでございまして、訂正させていただきます。  ただいまの御質問でございますが、まず地方都市開発整備事業に例をとりますと、予算額では運用部資金借り入れが九十五億円、それから政保債の発行が九十五億円というふうに予定をしていたにかかわらず、収入済み額、つまり実行上は政府保証債については九十五億に対して九十四億九千二百万、ほとんど計画に近い発行をしているにかかわらず、予算額の九十五億円に見合う運用部資金の借り入れ、これは実はいま先年おっしゃいましたように、前年度の繰り越しの八十四億を足しまして百七十九億という運用部資金の借り入れが可能であったのに、八十四億しかしていないじゃないか、そのために運用部資金の方が五十年度におきましては七・五%という金利であり、政保債の方は八・六一三%という金利であったので、高金利のものの方をたくさん実行して低金利のものの実行をむしろ控えたということがいろいろと問題になりはせぬかというお尋ねであろうかと思います。  これにはいろいろな事情がございましたが、まず資金運用部の借り入れに関しましては、資金が当該年度に満額使用できない、余る、計画どおり事業が進まないという場合には、資金運用部資金特別措置法という法律によりまして、翌年度に繰り越すことが可能でございます。したがいまして、本年度借りることができることになっていても、事業が進まない場合はそれを翌年度に繰り越して、枠を翌年度使うということが可能だというふうにお考えとり願いたいと思うのでございます。ところが、政保債につきましては繰り越しができないということのために、こういう特殊法人といたしましては、用地買収等が予定どおり進まないような場合には、資金枠は惜しいから翌年度に繰り越せるものはなるべく翌年度に繰り越しをして、当該年度にしか調達できない方法をまずやっていきたいというふうに考えがちなのでございます。そこで、どうしても政府保証債につきましてはやや前広に、積極的に発動していく、この制度をやっていくということになるのでございます。  ただ、この場合に、分譲価格等にいろいろ影響を与えるのじゃないかというような御意見も一応ごもっともなのでございますが、公団の立場からいたしますと、運用部資金の借り入れ金利と政保債の発行金利との差額につきましては、一般会計から補給金も政府が交付する、こういう立場になっているものでございますから、資金コストとしては同じ状態に置かれるということでございます。したがって、公団の事業運営上は、分譲価格等には影響を与えないということになっているのでございます。  ただ、先生のおっしゃるところをさらに深く考えてまいりますと、一般会計からの補給金といっても、これは国民の税金でございますので、なるべく政府の中にある運用部資金を使って、一般会計からの利子補給金を少なくするということが予算運用上当然心得なければならないことではないかという御説、大変ごもっともだと私どもも思います。今後にわたりましては、関係方面と協議をいたしまして、なるべくバランスのとれた資金調達を図るように指導をしてまいりたいと考えております。  このことは、地方都市開発部門に例をとりまして申し上げましたが、工配部門についても同様でございますので、そういうふうに今後は指導をしてまいりますので、御了解を願いたいと思います。
  148. 林孝矩

    ○林(孝)委員 分譲価格への影響についてはよく理解できたわけですけれども、先ほど説明がありました一般会計からの利子補給、こういう点につきましては、これはいま答弁があったように、私はこの点も指摘したいと思っておったところなんです。  その前の、いわゆる資金運用という面から言うとむだではないかという指摘をしたわけですけれども、これは、片一方の方は九九・九%政保債で消化して、それで政府の借入金の方は繰り越せるから繰り越すというような形で、資金運用という面から見た場合にいいのかどうか。この点はやはり一考を要するのではないかと私は思いますから、その点について、こちらの方は繰り越しができないから使うという考え方、そのままで今後もいかれるのかどうか。これは決算の面からいきますと重大な問題だと私は思いますから、この点について答弁をもう一度お願いしたいと思うわけです。
  149. 河野正三

    ○河野(正)政府委員 ただいまも答弁申し上げましたように、現在の資金運用のやり方には一応の理屈はあるわけでございますけれども、先生のおっしゃるところごもっともでございますので、私どもも今後ともバランスのとれた資金運用、しかも当初予算で決めましたことになるべく近い形で運用するように取り計らってまいりたいというふうに考えます。
  150. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、工業再配置業務についてお伺いいたします。  工場移転資金の融資事業、五十一年度までの実績をお伺いしたいと思います。企業数、工場数、工場面積、貸付契約額、資金交付実績、この五点についてお伺いします。
  151. 有岡恭助

    ○有岡説明員 御説明申し上げます。  工業再配置融資事業の実績でございますが、企業数は全部で百三十四社でございます。工場数は旧工場の数で百四十九、新工場の数で百六十工場でございます。跡地面積は三百二十七ヘクタールでございます。契約額は千七百十五億円、資金交付額は千五百九十一億円になっております。
  152. 林孝矩

    ○林(孝)委員 返済状況はどうでしょうか。
  153. 有岡恭助

    ○有岡説明員 五十一年末までの回収状況でございますが、資金交付額千五百九十一億円に対しまして、回収額は千二十八億円になっております。四十七年度契約分につきましては全部完済済みでございますが、四十八年度分につきましても大部分回収が行われております。ただし、一部につきましては、買い手と予定されておりました地方公共団体等の財政事情によりまして、跡地の売却代金の入金がおくれましたために期限延長をいたしましたり、あるいは最近の不況の長期化によりまして、企業の経営状況等によりまして移転がおくれましたり、あるいは回収遅滞が生じているというような事情がございまして、若干回収がおくれております分がございます。それから、この貸付金の償還期限は三年でございますので、四十九年度契約案件以降のものにつきましては、まだ回収期限に至っていないという状況でございます。
  154. 林孝矩

    ○林(孝)委員 移転に際して跡地を公団において買い上げ、公共団体等に売り払うというような考え方、こういう考え方を主張する人もあるわけでありますが、この場合、企業の資金運用上非常に有利である、こういうことだと思います。工業再配置を促進するという意味から、こういう跡地買い上げの問題についてどのように考えられておるか。たとえば跡地買い上げ予算というものは現在ついてないわけでありますけれども、この予算をつけた方がいいのか、あるいはこういう跡地買い上げ予算というものをつけることはマイナスなのか、その点に対する考え方をお伺いしておきたいと思います。
  155. 有岡恭助

    ○有岡説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生御指摘の移転跡地の買い上げにつきましては、地域振興整備公団法第十九条一項二号によりまして公団の業務内容とされているわけでございまして、業務方法書上も買い上げすることができることになっているのでございますが、ただいままでのところ、先生ただいま御指摘のように予算化措置がとられていないわけでございます。この点につきましては従来から関係方面と協議をいたしておりますが、跡地買い上げにつきましては、地域振興整備公団といたしまして、買い上げました後の転売の方法、転売の時期、その間の利子負担等、その跡地を保有しますことに伴いますいろいろな問題がございまして、現在までのところまだ実現に至っていないものでございますが、今後ともその移転融資制度全体の位置づけの中におきまして、できるだけ跡地買い上げ制度につきましても検討をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  156. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、五十一年度までの実績の報告を受けたわけでありますが、三百二十七ヘクタール移転によって発生したわけでありますけれども、跡地利用が行われているのは百七十ヘクタール、比率で言いますと五二%しか跡地利用ができていないわけです。その理由はどのような理由になっておるか、お伺いしておきたいと思います。
  157. 有岡恭助

    ○有岡説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、ただいままでに、融資決定いたしました対象面積が三百二十七ヘクタールでございますが、そのうち利用決定をいたしておりますのは百七十ヘクタールでございまして、これはおおむね公的機関、国の機関あるいは地方公共団体等によって利用が決定いたしております。利用が決定されていないものでございますが、まず四十七年度分につきましては、これは一〇〇%決定いたしております。最近の案件につきましては、まだ融資期限に至っておりませんため跡地処分が未定であるというものが大変多いわけでございますが、その中間にございます四十八年、四十九年の案件につきましては、先ほど返済のところで申し上げましたように、買い手と予定しておりました地方自治体等の財政状況あるいは跡地建設を予定いたしております施設に対します地元住民建設反対運動というようなもののために、決定がおくれているというような事情でございます。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、中核的工業団地造成事業の事業実施状況についてお伺いしますが、この中核的工業団地の造成事業の事業個所数、計画面積、それから五十一年度末の支出実績、今年度に完成の予定されるところについてお伺いしたいと思います。  それから大規模工業団地造成については、苫小牧東部開発など私たちは決算委員会で視察してきたわけでありますけれども、大規模開発の発想自体見直さなければならないのではないかというような実態であると思うわけです。これについては通産省にお伺いいたしますが、工業団地の売却状況調査をやっておられるかどうか、おられるとしたならば、当委員会にその実態について報告をしていただきたいと思うわけです。苫小牧東部については決算委員会として視察いたしましたので資料等があるわけでありますけれども、これは要望しておきます。  それでは最初の方の実施状況を御説明願いたいと思います。
  159. 有岡恭助

    ○有岡説明員 工業団地の造成状況でございますが、個所数は九カ所でございます。計画面積の合計は千八百九十二ヘクタールでございます。五十一年度までの支出額でありますが、直接建設費と業務直接経費を合計いたしまして二百四十一億七千二百万でございます。  本年度中に一部が完成いたしまして分譲開始予定の団地でございますが、三つございまして、山形県の米沢八幡原、それから岡山県の勝央、佐賀県の佐賀東部、三つの団地が予定されております。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 調査の報告について、当委員会にできますでしょうか。
  161. 稲葉実

    ○稲葉説明員 工業団地の売却状況についてどうなっておるかというお尋ねでございます。お答え申し上げます。  通産省が昭和五十年度実施いたしました昭和五十年三月末現在におきます工業団地の売却状況調査結果によりますと、国の機関が造成したもの、それから地方公共団体等が造成したもの、その他が造成したもの、これを全部合計いたしますと、売却可能の工業用地面積が四万八千九百ヘクタールございます。その中で売却済みの工業用地面積は四万一千三百九十ヘクタールございます。これを売却済み率で見ますと八四・六%となっております。  なお国の機関、これは日本住宅公団、地域振興整備公団、東北開発株式会社でございますが、これにつきましては売却可能工業用地面積が二千九百十ヘクタール、それから売却済み工業用地面積が二千五百六十ヘクタール、売却済み率といたしましては八八・〇%となっております。  以上でございます。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまのは五十年度調査ですか。
  163. 稲葉実

    ○稲葉説明員 ただいまお答えいたしましたのは、五十年三月末現在の数字でございます。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 一番新しい大規模開発の状況調査というものはないのか、それともこれから調査される計画がおありかどうか、その点だけ伺っておきたいと思います。
  165. 稲葉実

    ○稲葉説明員 お答え申し上げます。  大規模工業基地も含めまして、工業団地を調査するということは非常に重要なことでございますが、ただ、これを総合的に実態調査すると申しますと、非常に膨大な作業量と時間を要するところでございます。したがいまして、五十年三月以降まだやってないわけでございますけれども、前回調査からすでに二年を経過しておりますし、工業団地政策というものは非常に重要なものでございますので、五十二年三月末時点における工業団地の実態調査を現在行っているところでございます。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 わかりました。  最後に、産炭地振興業務について、時間がございませんので、要点だけをお伺いいたします。  五十一年度までの土地の造成事業の実施状況、それから譲渡実績、これを勘案しますと一つの問題があるわけです。その一つを申し上げますと、契約解除というのが四十九年、五十年、五十一年度に九件、二十七万平方メートル出ているわけです。その契約解除の理由説明願いたい。これが一点です。  それから、未譲渡の分がありますが、その未譲渡の分を完成年度別に面積を言っていただきたい。これが二点です。  それから、四十八年、四十九年ごろから急速に譲渡実績が悪くなっているわけでありますが、分譲がスムーズにいかなくなっている理由を明確にしてもらいたい。これが三点目です。  それからもう一つは、この地域振興整備公団の産炭地域振興業務勘定の中で、出資会社が解散しているという事例が出ておりますが、その実態がどうなっているか報告願いたい。
  167. 檜山博昭

    ○檜山説明員 まとめてお答え申し上げます。  まず五十一年度までの土地造成の実績でございますけれども、現在、昭和五十一年度までに完成した団地の面積二千十五ヘクタールございまして、団地数は百二団地、工事中の団地は千五百五十五ヘクタールで、団地数は十六というふうになっております。  譲渡実績の問題でございますけれども、譲渡実績は同じく五十一年度末まで五百六十七件ということになっておりまして、面積は千二百九十三ヘクタール、こういうふうになっております。  なお、この譲渡に関連いたしまして、契約解除の問題の御指摘がありましたけれども、この契約解除の問題につきましては、四十八年、四十九年、五十年と、主としていずれも不況によりまして進出を予定していた企業が工場建設ができなくなった、こういうふうな事由で解除になっております。  それから次に、完成年度別の譲渡状況、未譲渡状況でございますけれども、大きく分けまして昭和三十八年度から四十七年度まで造成した団地につきましては、千五百六十四ヘクタール造成しておりますけれども、そのうち未譲渡は二百四十一ヘクタール、譲渡率は八五%ということで、四十七年度まで造成した団地につきましてはかなり売れている、こういうふうな状況でございますけれども、四十八年度以降につきまして造成した団地につきましては、四百五十一ヘクタールの造成面積に対しまして未譲渡は二百五十六ヘクタールということで、半分弱しか売れていない、こういうふうな状況になっております。  それからもう一点、団地の売れ行き状況が最近非常に落ちてきている、御指摘のとおりでございまして、四十八年をピークにいたしまして、四十九年、五十年というふうに落ちてきております。この原因は、御承知のとおり景気の長期低迷というようなことで企業の設備投資意欲が減退しておりまして、産炭地でも同じように企業の進出が鈍化してきている、こういうふうな状況でございます。  それから、最後に御指摘の出資会社の問題でございますけれども、これまで公団は二つの企業に対して出資をしておるわけでございますけれども、そのうちの一つ、日本軽量骨材という会社でございますけれども、これは昭和四十一年十一月設立、出資ということで、その後若干増資も重ねております。この会社がつくっておりますものは軽量骨材、主として高層建築に使われる材料でございますけれども、ちょっと時期があれですが、五十一年三月三十一日に倒産いたしまして現在清算手続中ということでございまして、公団は同社に対して出資金一億五千万のほか、融資、土地代金、そういった債権残高をいま有しておりますけれども、現在この回収に鋭意努力しておるところでございます。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この会社の残高債権の額をお聞きしたいのです。  それから、もう終わりますが、国土庁長官に答弁願いたいことが一点あるのです。  それは、いま説明がありましたように、五十一年度までに完成した二千十五ヘクタールのうち約二五%、四百九十七ヘクタール、事業金額にして百十五億円はいわゆる不良資産なんです。こげつきの投資というわけでありますけれども、現在工事中の産炭地振興業務、土地造成事業、この千五百五十五ヘクタールの土地についても、こういう時代でありますから、将来の見通しを考えると非常に憂慮される点があるわけですね。先ほどの中核的工業団地造成事業の問題も合わせて、この重大な問題に対してどのように取り組まれるか、長官の決意を伺って終わりたいと思います。  最初に残高債権の額を。
  169. 檜山博昭

    ○檜山説明員 ただいまの御質問ですが、現在公団か同社に持っております債権残高は、六億四千八百四十五万六千円ということになっております。
  170. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 詳細については私もまだ調べてございませんので、ただいま先生の御指摘の点がもしあるとすれば十分反省してまいらなければならない、かように考えますので、私としてはできるだけ各公団あるいはまた地域振興整備公団等が、所期の目的に向かって正しい姿勢で進むような方向を今後とも進めてまいりたい、かように考えております。
  171. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  172. 原茂

    ○原(茂)委員長代理 安藤巖君。
  173. 安藤巖

    安藤委員 私は、筑波の研究学園都市の建設の問題についてお尋ねをしたいと思います。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕  計画を見ますと、昭和五十四年度中にすべての研究機関の移転を完了するというふうになっておりますけれども、この予定どおりに移転ができるかどうか、まず国土庁長官にお尋ねしたいと思います。
  174. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 昭和五十四年度を概成としていま進めておるわけでございますが、事業によっては五十五年にまたがるものもございますけれども、大方五十四年度で概成が完成できるもの、かように考えております。
  175. 安藤巖

    安藤委員 とにかく四十三もの中央の研究機関がまとまって移転するというわけですから、これは世界じゅうにも例のない事業だというふうに聞いておりますし、これは大変なことだと思うのですが、それだけに研究施設の完備あるいは研究環境の整備充実といいますか、そういうもののほかに、この移転には研究者とかあるいは研究機関の職員、こういう人たちも新しい筑波の都市に移住するということになるわけでございますね。だからといって、だれでもかれでも何でもかんでも移住せよというようなわけにはいかないと思うのです。  そこで、これも国土庁長官にお尋ねしたいのですけれども、研究学園都市建設推進本部長でもあられるわけですから、人の問題について基本的なことをお尋ねしたいのですが、強制的に移住させるということはもってのほかだと思うのですね。それから、移住できない人はこの際退職をしてもらうといって退職を強要するということも、これは不当なことだと思うのです。こういうことはあってはならないと思うのですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  176. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この移転職員の対策について、移転機関職員対策協議会というものをつくりまして、この中でいろいろな問題をいま協議していただいておるわけでございます。主なものとしては、まず移転手当の問題あるいは民間への再就職の問題あるいは配置転換の問題あるいは定員の問題ですね。それから住宅の問題。これらの諸点をこの機関で協議をして、ただいま先生御指摘のようなことのないように努力を進めているわけでございます。
  177. 安藤巖

    安藤委員 そこで、いま長官がおっしゃった協議会なんですが、これは昭和四十七年の五月に設立をされたというふうに伺っています。それでその協議会で昭和五十年の七月十四日に、いま大体長官がおっしゃったような問題についていろいろ協議をなさっておられるわけなんですが、この中で、二番目に「移転困難者問題」という項目がございまして、そのうちの一つが「やむを得ない事情により退職する職員については関係省庁の協力により民間への再就職の斡旋に努めるものとする。」こうなっているわけです。この関係についてはどの程度あっせんの事業が進んでいるのか、おわかりになったらお伺いしたいと思うのですが、この対策協議会というのは推進本部の中に設けられているわけですね。だから、そういう関係でおわかりになっておればお伺いしたいと思います。
  178. 国塚武平

    国塚政府委員 ただいまお話がございました移転困難者問題の取り扱いでございますけれども、先生仰せになりましたように、できるだけ移転機関の全職員がお移りいただくというのが私どもの希望ではございますけれども、やはりいろいろな事情がございましてどうしても向こうには行けない。たとえば病人をお持ちの方もございますし、あるいは子弟の教育とか、あるいは夫婦共かせぎといったようないろいろな事情があることは先生御指摘のとおりでございますので、いまお述べになりましたように、私ども、移転困難な方々にはできるだけの措置を講じなければならぬということを、いわばこの協議会で各省申し合わせと申しますか、こういうことを基本にして各省庁で努力をしようじゃないかということでございます。  それで、こういうやむを得ない方々がどの程度おられますかということにつきましては、各省庁でアンケート等の方法によられまして、人事当局ができるだけ詳細な掌握をするように努力をいたしておるわけでございますが、それらの内容によりまして、先生仰せになりましたように、民間に希望される方にはそれについての手当てを考える。ところが、民間に就職するということは実はなかなかむずかしい情勢でもございますので、できるだけ配置転換で庁内あるいは他省庁との交流による配置がえを進めるというふうなことで、関係省庁におきまして個別に問題を煮詰めておるという段階でございます。
  179. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、民間への再就職の問題、それから次にお尋ねしようと思っておったのですが、配置転換の問題、これは各省庁でそれぞれやっておられるということで、対策協議会としては、まとめていろいろめんどうを見たり、あっせんをしたりというようなことまでは特にやっておられないということですか。民間への再就職の問題は、いまの景気の状況からするとなかなか厳しい状況ではないかと思うのですね。  それでは、この点については具体的に後でお尋ねするといたしまして、いまの、七月十四日に対策協議会でいろいろ議論をされた中で、「移転困難者問題」の中でもう一つ、「退職者に対する国家公務員等退職手当法第五条の適用の問題については、他との関連も考慮して引き続き検討することとする。」というふうになっております。この検討の状況はどういうふうになっておりますか。
  180. 国塚武平

    国塚政府委員 退職者に対します国家公務員等退職手当法第五条の適用問題でございますが、各省庁におかれましてただいま申し上げましたような実態把握の結果、どうしても退職を希望されるという方も一部想像されます省庁がございますわけでございまして、具体にこの問題に当たらなければならない省庁におきまして、総理府の人事局がこの国家公務員等退職手当法の所管省であるわけでございますので、各省庁ごとの実情を述べ、五条の適用についてぜひその運用の適正化と申しますか、弾力化を図ってもらうようにという要望をいたしておりまして、総理府人事局におきましては、各省庁の全体を通ずる退職希望者の状況等も把握した上で内部的に慎重に判断をしたいという状況でございます。
  181. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、退職手当法第五条の関係については、いまおっしゃったようなことで検討中ということはわかりますけれども、前向きに、四条でなくて五条の適用がなされるという方向で、せっかく対策協議会というのが推進本部の中に設けられておりまして、いま私がお尋ねしたような配置転換の問題あるいは再就職の問題等はそれぞれの省庁でやっておられるということはわかりますが、この手当の問題は各省庁に共通する問題ですので、やはり対策協議会としてもしっかりと、総理府人事局の方で前向きに処置してもらえるように強い要求をしていただきたいというふうに強く要望しておきます。  そこで、移転につきましては、各省庁の研究機関によって移転の時期が一定してないわけですが、通産省は五十四年度中ですか、それから建設省が五十三年度中というふうに聞いておるのですが、建設省の方にお尋ねしたいんですが、建設省では国土地理院と土木研究所、それから建築研究所、この三つの機関が移転することになっておるわけなんですね。これは五十三年度中に移転するということに閣議で決まっておるというふうに聞いておるのですが、建設省の方は五十三年度中に移転することができる状態にあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  182. 浜典夫

    ○浜説明員 現在、先生御指摘の五十三年度移転に必要な所要経費を大蔵省当局に御要求申し上げているといった経過もございますので、いろいろと不確定要素はなくはないわけでございますけれども、施設の整備状況、それからそういう所要経費のある程度の確保の見通し、それから移転困難者に対するある程度の対策のめど、ひっくるめて申しますと、五十三年度に移転することが可能——付言いたしますと、閣議決定は五十三年度となっておりますが、私ども内部的にはその年度末、五十四年三月を目途に御指摘の国土地理院、土木研究所、建築研究所三機関同時移転を原則に各般のスケジュールを立案しております。
  183. 安藤巖

    安藤委員 そこで、先ほどの人の問題なんですけれども、建設省の方では昨年の十一月三十日に、いま申し上げました三つの機関の職員に対して移転対策を立てるための事情調査というのを実施されたというふうに聞いております。そこで、昨年の十一月三十日現在の時点で、移転困難者という人たちはこの三つの機関それぞれ何名ほどおって、その主な移転困難の理由はどういうものであったか、お尋ねしたいと思います。
  184. 浜典夫

    ○浜説明員 御質問の昨年十一月三十日現在で三機関一斉に各個人の事情調査実施いたしました。その集計結果が五十一年末まとまったわけでございますが、現在の事情とは相当変化がございます。約一年をけみしておりますが、当時の状況だけで申しますと、調査日現在の現員千三百七十六名のほとんど、病気とか外国出張以外の者のほとんどにつきまして事情書の提出がございましたが、それのうち移転困難というのはさまざまなのがございます。私どもの調査の手法といたしまして多少自由記載方法をとりましたものですから、移転に当たって問題を抱えておられるかどうか、その場合に解決の方策としてどういうことをお考えかというカテゴリーのものと、それからいろいろとその当時の情勢での各職員の判断でございますが、移転が不可能、困難と考える場合、その理由なり事情はどうかあるいは解決策はないのか、それからその他移転に絡む諸事情につき記載という三つの欄、これがひっくるめると広義の移転困難者かと存じますが、それらをひっくるめますと、重複記載がございますからネットで申し上げますと約四三%強の者がそれらのいま申し上げましたそれぞれの項目に何がしかの記載がございました。ただその中には、要望に類するものとか、その当時の移転計画のセッティングの状況では個人的判断がつかないから記載ができないというような記載のある者もございますので、この数字自体にいろいろな意味を特段に持たせずに、それらはその後の対策立案等についてのデータとして、この一年間いろいろな作業を進めたわけでございます。  その困難理由の大きなものは、やはり共かせぎというケースが多うございます。それは女子職員もございますので、家計の支持者である御主人の方が都内に職場がある、そういう形ではなかなか職場を離れられないというようなケースでございますね。それから逆のケースは少ないのでございますけれども、奥様が職業をお持ちだという場合、それが非常に多うございます。  それから理由が重複いたしますけれども、そういう場合に、老人を扶養しなければならない、家族にそういう扶養を要する者がおられる、あるいは寝た切りの老人の看護を要する、そのための自宅の管理が必要だといったような種類の問題、そこら辺が重複して出てまいりますが、大きくはそういうのが目立ちました。  それから多少特殊な問題といたしましては、私ども全国の各地方建設局事務所の職員を含めまして、東京の夜学でございますね、勤めながら大学進学の道を講ずる。この場合に、各研究所などに配転をいたしまして勉学の道を志すというふうな者も相当多うございまして、通学者の問題がございます。当時のことから言いますと、三年半、四年生は卒業することになるわけでございますけれども、当時五十四年三月とはっきり決めておりませんでしたから、その三年半の人もまだどうなるかということもございますが、それも含めまして、筑波に移転した場合東京地区における夜学に通学ができない、移転を選ぶか学業の継続を選ぶか、そういう難問がございます。そこら辺は当時の一年半、二年中は現在もその問題を抱えたままでございますが、そういう者が相当数に上る。そこら辺が特徴的な移転困難理由でございました。
  185. 安藤巖

    安藤委員 だから、昨年の十一月末の調査集計のお話が大体そういうことで、それ以後いろいろ移転をするについて努力をされたと思うのですね。現在の時点では、この移転困難者、もうどうしても移転することがむずかしい、先ほどおっしゃったような事情だろうと思うのですけれども、そういう人たちは何人ほどおみえになっておるのか。
  186. 浜典夫

    ○浜説明員 ただいま時点の数字なり状況を申し上げる前に、ちょっと私どもの作業の手順みたいなものを御説明申し上げます。  先ほどの調査、それに基づく私どもの部内の処理方針、それから移転時期の内定あるいは施設の完成の見通し、それらの改定のエポック、エポックでいろいろ問題をしぼってきております。現在のところ、昨年以来個別のそういう調査をいたしておりませんので、そのうちのこれとおぼしき問題を抱えていられる方につき、個別に所属長を通じて身辺の事情を伺うというようなこと、あるいは定期の身上申告書の記載事項を参考にする等の操作を経てきて現在に至っておりまして、近々また、一年をけみしておりますのでまとめた調査を必要と存じております。そういう前提でございますので、現在時点で網羅的に、各職員の事情を全般的にという意味じゃございませんで、それらの経過の中で私どもが、当局と申しますか、各管理者の方がつかんでいる状況という意味でお聞き取りいただきたいのでございます。長くなって恐縮でございますが、これは前置きでございます。  そういう点で申し上げますと、先ほどの昨年の調査の中で問題ありという方のうち、いろいろな条件設定によれば大丈夫だという見通しを得たものなどがございますので、だんだんしぼってまいりまして、広く解しましても百数十名の方が何らかの問題をいまだに抱えていられると思いますが、たとえば配置転換とかそういう特段の措置を講じなければならないと思われるものは数十名というオーダーまでしぼられてきたというふうに理解しております。これからは、まだまだつかみ切れなかった、当時の記載にもなかったような事情の把握でふえる面あるいは状況が一変して家庭の事情が身軽になって移転可能になった方の面、それからその間も、顕著なものは定期の人事異動等で配置転換とか就職あっせん等も一部いたしておるものでございますから、それらの事情変更がございますので、もう一度調査いたしますと多少違った数字になろうと思いますが、大体そんなところでございます。そういう不確定要素がございますので、確定数字じゃなくてラウンドで申し上げさせていただきたいと思います。御了解いただきたいと思います。
  187. 安藤巖

    安藤委員 移転がどうしても困難だということで配転ということになる人の数は大体お伺いしましたが、中にはもう退職するという人たちもいるんじゃないかと思うんですね。あるいは通勤をする、相当時間はかかると思いますけれども、どうしても移住できないので通勤をするという人たちもいるんじゃないかと思うんですね。その退職をするという人たちがあれば、その人たちは何人ほどみえるのかお伺いしたいのです。
  188. 浜典夫

    ○浜説明員 先ほど申しましたような多少の限定つきでございますが、三機関当局の方の多少の推定を加えて申しますと、各機関とも一けた台の退職者を想定しております。多くて十名程度という感じでございます。数名とかそういう形でございます。これは高齢で勇退なさるだろうというようなことではなくて、普通なら退職なさるはずはないのだが、機関が移転するだろうから退職されるんじゃないだろうかという意味でございます。  それから、通勤者でございますが、これは昨年時点の宿舎関係調査項目から類推いたしまして、現在の公務員宿舎から通勤するから都市内に宿舎は要らない、あるいは自宅等から通勤するから要らないという記載の明確なものだけをとりますと、当時の事情によりましては百名弱の通勤が明確でございます。ただそれは、具体的には常磐線あるいは都市内バスの増発の状況とかそういう条件によって動くと思いますし、未記入の者が相当ございます。百数十名の方がおられる。そこら辺からいきまして、大分変わってくると思います。現在のところ、そこら辺をひっくるめましてある程度の想定をいたしておりますが、恐らく百名とかいったオーダーのものが最終的には常磐線沿線あるいは都内から、あそこの土浦、荒川沖等を経て通勤を希望することと相なると思います。
  189. 安藤巖

    安藤委員 いろいろ努力をされていることはわかるのですが、それで昨年の調査よりも移転困難だという人たちが大分減ってきているということはわかるのですが、先ほどおっしゃったように、個別に所属長を通じていろいろ移転可能なように御努力をされておられる。これは何も勘ぐるわけじゃございませんけれども、よく配置転換とか、あるいは民間の企業なんかで合理化だというようなときに肩たたきをやって、もうおまえはいまやめておかぬとどうなるかわからぬとか、どうとかこうとかいうようなことで、半ば強制的にでもやるという話も聞かぬこともないものですから、それでお尋ねするのですけれども、とにかくいまここで退職なりあるいはどんな無理をしてでも移住するということを決めないと、置いてけぼりを食っちゃうぞとかなんとか、そういうようなことはやられていないのだろうと思うのですが、もしあるとすればそれはやめていただきたいということをこの際お願いしておきたいのです。  それで、先ほど大学の二部に通っておられる通学者の人たちのことがお話に出ましたが、私が聞くところによりますと、研究機関の補助員といいますか、研究者の補助員といいますか、高校を出てきて夜間大学に通っておられる人たち、なかなか貴重な人たちだという話を聞いているのです。だから、こういう夜間大学に通学しておられる人たちは何人ほどおられて、移転までに卒業できない人、こういう人たちにはどういう措置をおとりになろうとしているのかというのをお伺いしたいのです。
  190. 浜典夫

    ○浜説明員 ただいま五十二年十月現在の通学生でございますが、各機関合計百五名、ところがこのうち卒業する者がおりますので、移転困難者という意味での通学生は二十二名ぐらいでございます。そこで、当然あそこから通えるかとか、都市内居住とか、相当無理な点がございます。と同時に、先生おっしゃいますように、研究補助員というのは各研究機関の有力な戦力でございます。したがいまして、期間のある方はなるたけ御卒業できる含みにしていただきたいのですが、一年、二年生はそうもかないません。そこで中間的な地点の宿舎を用意することによって、夜遅くなりましても通学できるといったような対策が可能な者についてはそういう措置とか、あるいはそれも相当な無理が生じると思うのでございます。そこである程度は本省あるいは東京周辺の関東地方建設局その他の関係部署に一時的な配置転換その他のことを含めた措置を考えねばならないと考えております。
  191. 安藤巖

    安藤委員 できるだけいまおっしゃったようなことも含めて通学ができるようにしていただきたい。もちろん先ほど申し上げましたような研究補助員として相当りっぱな仕事をしておられるし、将来は研究者にもなられるという人たちだと思うのですね。だから、建設省の方としても大切にしようという気持ちを持っておられると思いますので、御努力をお願いしたいと思います。  そこで、最後国土庁にお尋ねしたい。  新しい学園都市の中での交通機関の問題とか、環境整備とかにいろいろ御努力をされていることはわかるのですが、ここにこういう資料がある。現在向こうへ行っておる人たちからアンケートをとったようなんですが、都市内の道路がバイパス化して通勤時にはじゅずつなぎになっています。あるいは駐車場が少ない、住民の七割が車を持っておるため駐車場が不足していますというような回答もあるわけです。まだこのほかにもあるのですけれども、一、二をつかみ出して申し上げておるのですが、こういうような苦情があるわけです。だから、公共交通機関がまだ発達していないと思いますし、道路がしっかりできているのは写真で見ましたけれども、やはりこういうような問題もきちっと解決をつけてもらいたい。  それから、学校の問題です。子供さんの就学の問題。特にいま問題になっているのは高等学校です。これは県立高校一つと私立高校一つと考えておられることは聞いておりますけれども、五十四年四月の開校は間違いないのかどうかということ。それからもう一つは、五十四年四月開校は間違いないにしても、普通、中学生は——五十四年の四月に開校するというような話じゃなかったでしょうか、そのように聞いておるのですが。五十四年開校するとすれば、その前年、五十三年の十月、十一月にいまの中学生は進路を決めるわけです。ですから、そのときにはっきり開校できるのだということになっていないと親御さんも中学生である当人も非常に困るのじゃないかと思うのです。だから、その辺のめどを一遍はっきり話していただきたいと思います。  これで私の質問は終わります。
  192. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 二十一世紀の未来都市としての筑波学園都市でございますから、今日の状況で過密の状況をつくることは好ましいことじゃございません。ただそれは、未完成の状況でございますから、既設の道路との関連等でそういう現象が一時的に起きているかもしれませんけれども、恐らく先生おいでになったと思いますが、やはり緑の多い美しい、そして都市計画においてもりっぱな都市をつくろうと考えているわけでございまして、ただいま御指摘のようなことのないように、私もしばしばあそこへも参りまして注意をしてまいりたい、かように考えております。  また、高等学校の問題はかねてよりの希望でございますので、五十四年四月には完成するようにさせたい、こう思っております。
  193. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会