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1977-10-28 第82回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十八日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       宇野  亨君    津島 雄二君       野田 卯一君    村上  勇君       馬場猪太郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    依田  実君  出席国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         郵政政務次官  綿貫 民輔君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省貯金局長 高仲  優君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         会計検査院事務         総局第二局長  松田 賢一君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   依田  実君     山口 敏夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行います。  まず郵政大臣から概要説明を求めます。小宮山郵政大臣
  3. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 一般会計郵便事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計昭和五十年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は、百八十億五千六百三十六万余円でありまして、これに対する決算額は百八十億百六十七万余円となっております。  郵政事業特別会計歳入予算額は、二兆一千六百四十三億八千五百六十七万余円、歳出予算現額は二兆二千百五十億六千八百二十八万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二兆一千六百三十五億七千六十五万余円、歳出では二兆一千二百九十億八千九十五万余円となっております。この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出借入金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業の運営による歳入歳出は、歳入では一兆一千四百五十三億三千四百三十二万余円、歳出では一兆二千四百二十億七百十八万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は一兆五千六百三十七億四千百二十九万円、歳出子算現額は一兆六千四十三億九千八百六十万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では一兆六千二百十億四千六百六万余円、歳出では一兆六千四十二億三千四百四十七万余円となっており、差額百六十八億一千百五十九万余円は法律の定めるところに従い翌年度歳入に繰り入れることといたしました。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は一兆九千七百九十億三千二百八十四万余円、歳出予算現額は八千五百八十四億八千百九十六万円でありまして、これに対する決算額は、歳入では一兆九千五百二十二億一千三百八十万余円、歳出では七千三百十二億六千三十一万余円となっており、差額一兆二千二百九億五千三百四十八万余円は法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は二十六億三千三百九万余円、歳出予算現額は二十六億三千三百九万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二十一億七千六百三十万余円、歳出では二十一億七千六百三十万余円となっており、歳入歳出差額はありませんでした。  最後に、会計検査院昭和五十年度決算検査報告において、不当事項として、不正行為六件及び是正改善処置を要求された事項として三件、合わせて九件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種事例発生未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  引き続きまして、昭和五十年度日本電信電話公社決算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十年度における日本電信電話公社決算は、損益計算上、二千八百十二億二千百六十三万余円の欠損を生ずるに至りました。その主な原因は、景気影響等による収入の伸び悩みと人件費資本費用増加とによるものであります。  収入支出決算内容勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済額は二兆七百八十三億九千五百二十一万余円で、予算額に比べ四百二十二億七千百七十八万余円の減収となりました。一方、支出済額は、二兆七百八十四億三千八百五十七万余円でありまして、支出予算現額二兆一千二百二十七億五千八百十一万余円に比べ四百四十三億一千九百五十四万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は一兆七千九百一億四千六百八十万余円、支出済額は一兆七千九百三億三千七百四十三万余円であり、また、建設勘定におきましては、支出済額は一兆四千百八十億七千九百三十万余円であり、これにより一般加入電話二百八十一万五千加入の増設を初めとする建設工事を実施し、年度末の一般加入電話の積滞数は前年度末に比べ五十万六千加入減少し、四十八万一千加入となりました。  最後に、昭和五十年度予算の執行につきましては、会計検査院から不当事項一件、是正改善処置を要求された事項として一件、合わせて二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の事例発生未然に防止するよう日本電信電話公社指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして昭和五十年度決算概要についての御説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 芳賀貢

  5. 松田賢一

    松田会計検査院説明員 昭和五十年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項六件、意見を表示しまたは処置を要求した事項三件及び特に掲記を要すると認めた事項一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号五六号から六一号までの六件は、職員不正行為により損害を生じたものでございます。  これらの事態は、中野郵便局ほか五郵便局において、簡易生命保険募集及び集金事務に従事している外務員簡易生命保険料等を受領しながらこれを受け入れ処理しなかったり、貯金の受け払い事務に従事している職員預入金を受領しながらこれを受入れ処理をしなかったり、定額貯金証書を預けかえの名目で預金者から預かりこれを払い戻したり、出納事務に従事している職員が切手類売りさばき人等から切手類売りさばき代金等を受領しながらこれを受け入れ処理しなかったりするなどの方法により現金を領得したことによって生じたものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  その一は、予備発電設備設計に関するものでございます。  郵便局では停電した場合に電灯用動力用電源として使用する予備発電設備設置しておりますが、この構造仕様について見ますと、船舶発電設備として搭載されているいわゆる船舶型のものを使用するように定められておりました。しかし、予備発電設備には、この船舶型のほかに車両に使用するディーゼル機関発電機を組み合わせたいわゆる車両型のものがあり、この車両型は、船舶型と同様、通商産業大臣が定めた所定技術基準に適合しなければならないこととされているものでありますから、性能的にも支障がないと認められ、しかも、車両用ディーゼル機関が量産化されている関係価格も低廉となっておりまして、一般予備発電設備として多数使用されている状況であります。したがいまして、郵政省においても予備発電設備に関する設計基準標準仕様書を改定して、この車両型採用の道を開き、経費節減を図るよう処置を要求したものでございます。  その二は、簡易生命保険契約適正化等に関するものでございます。  簡易生命保険では、契約申し込みの際に被保険者の身体を診査しないかわりに、郵便局職員が被保険者に面接して観査した結果と、被保険者等から告知された被保険者健康状態もと医的審査を行い、被保険者として適格と認められる場合は保険契約を締結することになっております。そして、被保険者等告知に際して事実を告げなかったり、真実でないことを告げたりしたときは、国は保険契約を解除することができることになっております。  そこで、このような解除原因に基づく契約解除状況等につきまして、東京ほか二地方簡易保険局で締結した簡易生命保険契約について調査しましたところ、被保険者等告知内容不実があったとして保険契約解除の通知を発したもののうち、不適格な者を被保険者として保険契約を締結していたことが明らかであるのに、面接観査を怠ったりしたなど募集に当たった郵便局職員の取り扱いに手落ちがあったことが判明したため、契約を解除することができなくなり、結局、不適正な契約をそのまま継続させざるを得なくなったり、死亡事故に対しては保険金を支払わなければならないこととなったものが多数見受けられました。  また、このような不適正な契約についても、その募集した職員貯蓄奨励手当が支給されている状況でございます。  そこで、今後、このような不適正な契約を防止し、あわせて事後に告知内容不実が判明した場合に適切な対応措置をとり得るようにするため、告知義務の履行についての責任の所在を明らかにする方法を講ずるとともに、郵便局内審査体制を整備するほか、関係職員に対する適切な研修指導を行い、また、不適正な募集行為にかかわる支給済み手当は返納させるよう処置を要求したものでございます。  その三は、OCR用シートOCRと申しますのは、光学文字読み取り装置でございますが、そのOCR用シート購入方法に関するものでございます。  このOCR用シートは、光学文字読み取り装置入力媒体として使用するもので、各地方貯金局ごと購入しておりますが、その様式は各地方貯金局に共通するものであり、全国的に多量に使用しているものでございますから、経済性を考慮すれば各地方貯金局分をまとめて発注する方式をとるのが最も有利であると認められましたので、本省において一括購入するよう処置を要求したものでございます。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  これは、郵政事業特別会計損益に関するものでございまして、同特別会計では五十年度で千百二億円余の欠損金を生じ、五十年度末の累積欠損金は千八百億円余となっている状況であります。  同特別会計業務は人手に依存する作業分野が多いため、業務費のうち人件費の占める割合が高く、今後も業務費増加が見込まれますところから、郵便料金の改定により五十一年度事業収支は好転すると予想されるものの、欠損金累積額の解消は依然として困難な状況にあると認められるものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 芳賀貢

  7. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 昭和五十年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項二件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号七七号は、電話交換局新築工事の施行に当たり鋼製移動足場費積算を誤ったため、契約額割り高になったものでございます。  電話交換局新築工事電力室及び機械室の天井の塗装等仕上げ作業における車輪つき鋼製移動足場費算定当たりまして、所定損料単価に必要な足場台数二台を乗ずるべきでありましたところ、これを誤って建物の床面積四百八平方メートルを乗じてしまったために積算額が著しく過大となり、ひいては契約額が約七百七十万円割り高となったと認められるものでございます。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  これは、C四六〇形標準局における予備電源装置設計に関するものでございます。  この予備電源装置といいますのは、日本電信電話公社がC四六〇形標準局開局に伴う工事において、自動電話交換機を収容するプレハブ式構造無人局舎設置しているものでありまして、電力会社から供給を受けている電気が停電した場合に電話交換機等を作動させるための電源用蓄電池であります。そして、その容量規格設計については、公社が制定している電気通信技術標準実施方法によって、一三二〇アンペアアワー形最下位容量のものとする三段階に区分した容量規格が設定されております。  しかし、この標準実施方法標準設計を制定した当時は、C四六〇形標準局設置する電話加入区域の大部分が加入者の大幅な増加の見込まれる市街地周辺であったため、設置局所要電流一般に大きく、最下位容量を千三百二十アンペアアワーとしている標準設計でも実情に適合しておりましたが、近年、自動改式、いわゆるダイヤル化等の進展に伴って、加入者の大幅な増加が見込まれない町村部設置区域が移ってきたため、所要電流の小さい局が増加したのに伴って、標準設計で定める最下位容量の千三百二十アンペアアワーより下位の容量蓄電池で足りる場合が増加してきておりまして、五十年度中に施行した建設工事予備電源装置を支給設置した二百十三局のうち七十六局分については、実際に必要とする容量蓄電池より大きな蓄電池設置することとなり不経済な結果となっている点が見受けられたものでございます。  公社においては、今後とも町村部においてC四六〇形標準局開局に伴う予備電源装置設置が引き続き多数見込まれておりますので、速やかに、標準設計実情に合ったものに改めるなど同装置の経済的な設計について配慮し、もって経費節減を図る必要があると認められましたので、その改善について処置を要求したものでございます。  次に、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、無線中継所道路工事における切り取り掘削費等積算に関するものでございます。  公社では、道路工事における切り取り掘削費積算当たりましては、切り取り掘削した岩及び土砂等排土を人力で行うことを前提とし、公社制定の標準歩掛かりに基づく複合単金により算定しておりましたが、近年では大量の排土作業トラクターショベル等機械で経済的に施工するのが通例であり、施工実態機械施工によっている状況でありましたので、この実態に適合した歩掛かりを定め、これによって積算したとすれば積算額を相当低減することができたと認められたものでございます。また、のり面保護用モルタル吹きつけ費積算に用いている標準歩掛かりの決定及び複合単金算定当たり、その要素となる水抜きパイプ品質規格及び使用数量等を誤ったため標準歩掛かり及び複合単金が過大となっておりまして、それぞれ、適正なものに修正して積算すれば積算額を相当低減することができたと認められましたので、これらについて当局見解ただしましたところ、公社では、切り取り掘削費については五十一年十月に、モルタル吹きつけ費については同年八月にそれぞれ標準歩掛かり及び複合単金を適正なものに改める処置を講じたものでございます。  その二は、情報処理用磁気テープ購入に関するものでございます。  公社では、業務用に使用する情報処理用磁気テープ公社内部事務に使用する一般市販品磁気テープを毎年購入しておりますが、このうち、情報処理用磁気テープ予定価格について見ましたところ、従来は、公社情報処理用磁気テープ仕様相当品が市販されていたため、その市場価格もと算定することとしていましたが、近年は、公社情報処理用磁気テープ仕様相当品公社以外に対する販売量が著しく減少したため、同磁気テープ市場価格が形成されなくなったことから、公社は、四十九年度以降一般市販品磁気テープ価格の推移に応じて情報処理用磁気テープ価格も変動するものと推定して、その予定価格算定しておりました。その結果、五十年度における同磁気テープ購入価格は、一般市販品磁気テープ価格に比べて一巻当たり約千六百円高価となっておりました。  しかし、本件磁気テープ一般市販品磁気テープとの差異は、一般市販品磁気テープ製造工程中に抽出的にドロップアウト試験を行うのに対し、本件磁気テープは全数についてドロップアウト試験を行っているなどの違いから生じているものでありますので、両者の価格差は選別に要する費用の差によるものと認められますが、最近におけるこの費用差額当局調査によっても一巻当たり約千百五十円程度にすぎないものでございます。したがって、本件磁気テープ購入に当たっては、この価格差一般市販品磁気テープ価格に加算して予定価格算定するのが適切であったと認められます。これによって予定価格積算すれば、その購入額を相当低減し得たものと認められましたので、当局見解ただしましたところ、公社では、五十一年度以降購入する情報処理用磁気テープにつきましては、ただいま述べましたような方法により予定価格を適正に算定することとする処置を講じたものでございます。  なお、以上のほか、昭和四十九年度決算検査報告掲記しましたように、マンホール展開図の整備について処置を要求しましたが、これに対する公社処置状況についても掲記いたしました。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 芳賀貢

  9. 秋草篤二

    秋草説明員 昭和五十年度事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和五十年度は、電信電話拡充第五次五カ年計画の第三年度として、一般加入電話架設等、各種のサービス拡充改善に努力し、おおむね所期の成果を上げることができました。  しかしながら、決算状況を見ますと、経営の合理化を図り、経費節減増収施策の推進に努めたにもかかわらず、損益計算上、二千八百十二億二千百六十三万円余の欠損金を計上することになりました。  このような大幅な欠損金を計上することになりましたのは、人件費資本費用増加等により、総費用が二兆三千九百十四億八千百八十五万円余となったのに対しまして、利用度の低い電話増加景気停滞等影響を受け電話収入が伸び悩んだことなどにより、総収益が二兆一千百二億六千二十一万円余にとどまったためであります。  以下、昭和五十年度決算内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額二兆一千二百六億六千七百万円に対しまして、収入済額は二兆七百八十三億九千五百二十一万円余となり、四百二十二億七千百七十八万円余下回りました。その内訳は、電信収入で十九億三千六百二万円余の増、電話収入で三百十億三千百五十三万円余の減、その他の収入で百三十一億七千六百二十七万円余の減となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額を加えた予算現額二兆一千二百二十七億五千八百十一万円余に対しまして、支出済額は二兆七百八十四億三千八百五十七万円余となっております。  また、建設勘定におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則の規定による経費増額等を加えた予算現額一兆四千八百四十五億六千八百二十二万円余に対しまして、支出済額は一兆四千百八十億七千九百三十万円余となり、差額六百六十四億八千八百九十二万円余は翌年度へ繰り越しました。  なお、建設勘定支出及び債務償還等の財源に充てるため、電信電話債券及び借入金により、一兆九百八十億八千八百五十二万円余、設備料として一千六百五十一億五千五十九万円余の受け入れを行い、一方、債券及び借入金等について三千九百四十九億六千百三十六万円余の償還を行いました。  次に、昭和五十年度に実施いたしました主な建設工程内容について見ますと、一般加入電話は三百万加入計画に対して約二百八十一万五千加入地域集団電話は八千加入計画に対して約六千加入公衆電話は約七万五千個の計画に対して約六万九千個をそれぞれ実施いたしました。  その結果、昭和五十年度末において、電話申し込みを受けてなお架設できないものは約四十八万一千となり、前年度末に比べ約五十万六千下回りました。  昭和五十年度事業概要は以上のとおりでありますが、今日、加入電話は広く普及し、電気通信システムは巨大化しつつありますので、電話及び電信サービスにつきましては、一層その維持向上並びに拡充に努め、国民の福祉に寄与するよう努めたいと存じております。  最後に、昭和五十年度決算検査報告指摘を受けました事項につきまして申し上げます。  不当事項として一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。  これは中国電気通信局広島電気通信部が施行いたしました郷田電話交換局新築工事において、鋼製移動足場費積算を誤ったため契約額割り高になったものでありますが、過払い相当額につきましては、請負人と協議の上徴収済みであります。  今後は十分注意いたします。  なお、是正改善処置を要求されましたC四六〇形標準局における予備電源装置設計につきましては、検討を加え改善を図りました。  以上、簡単でありますが、概略御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。馬場猪太郎君。
  12. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 ここ三年ほどずっと不況状態が続いております。ただでも預金の目減りというのは非常にやかましく言われている折から、ことしに入りましてからすでに民間の金融機関では三回、そして郵便貯金の方も二回の公定歩合の引き下げによる利息引き下げが行われました。不況下の物価高の中にあって、ただでもむしろ金利をふやしてもらいたいと思っているぐらいのときに、逆に金利が下がっていっているわけですから、ますます生活内容を低下させるという結果に至っておりますが、二回の金利引き下げによりまして大体どれぐらいの利息が減少になっておるのか、お知らせをいただきたいと思います。
  13. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 今回、一般金融機関は三度、三月、五月、九月にございました。郵貯は五月、九月にいたしました。大変な経済不況であります。その中で、私自身としては金利自由化論者でございますので、はっきり言いまして長期ローン、いわゆる住宅ローンのようなものを前もって明示していただかないと、金利引き下げについて郵政審議会にお諮りすることができないということで、前回も今回も大蔵省に要求いたしまして、長期金利引き下げ幅及び期日の明示を求めてやってまいりました。特になぜそういうことをいたしますかといいますと、先生も御指摘のとおり、一般大衆の利益を増進する貯金法第十二条の趣旨を踏まえて、かつ金利というものはそういうものであるという私の考え方が根底にございます。かつまたその上、三十四兆という郵貯の重さというものもございます。そういうことを考えまして、そういう形で手続をいたしました。これは先生にも御理解いただきたいと思いますけれども、本当言ってやらない方がよろしいし、もっと極端なことを言えば、かっこうよく利上げぐらいしたい気持ちもございます。しかし、そのような状況にはないということです。少なくとも、一千万円以上の企業で税負担が約四千億、これによって約二十万の労働者が雇用を持続できる。十八年ぶりの、なべ底景気以来の不況であると言われております。そういうようなことも勘案しますと、やはり断腸の思いで今回利下げをいたしました。九月二十九日以降の利下げを計算いたしますと、大体百六十六億四千万、五月二十日以降のことを計算いたしますと、四百十三億二千万ぐらいの試算をいたしております。計五百七十九億六千万ほどの計算になっております。いまのところ私たちの試算はそういうふうになっています。  先生に特に御理解いただきたいことは、定額貯金は旧金利が十年間持続いたしますし、積み立ては二年間でございます。ですから、全体の八割強は旧金利で押さえられているということでございます。
  14. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 大蔵省の方へお聞きするべきことかもわかりませんけれども、わかっておりましたら、一般の市中銀行と民間の金融機関等の個人性の預金の利下がりというのはどの程度になっておりますか。
  15. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 それはちょっと私の方はわかりませんけれども、一般金融機関の個人性預金は四十三兆円と言われております。その計算はちょっと私らには計算ができません。と申しますのは、個人性と法人性が区別ができない観点がございます。これも郵政審議会の中で討論かございまして、個人性預金と法人性預金を区別しろということがございました。実際、そのような区別ができるかといいますと、中小企業等になりますとなかなかできませんし、ある意味では良心の問題にも絡んでまいります。そういうことで、いま申し上げました一般金融機関で四十三兆何千万円かの——私のところにいまちょっと数字がございませんけれども……。
  16. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 昨日郵政の方へちょっとお伺いしましたら、両方合わせたら大体四千百億ぐらいの程度じゃないか、推定ですね。そうすると、一般の市中銀行関係が三千四、五百億程度、合計いたしますと四千百億程度というお答えなのですが、これは、せっかくこの春に三千億の減税を上積みをしていただいて、標準家庭で一万五千円の払い戻しを六月、七月に受けた、この額を上回っておりますね。上回っておるということは、やはり景気刺激策としては小さいかもわかりませんけれども一助にはなるということだったのですが、それがもうすでに飛んでしまっているわけですね。だから郵政大臣、この前の五月のときにもたしかできるだけ上げたくないのだというここでの御表明をいただいたのですが、郵政省とほかの省庁との関係、あるいは内閣全体の経済政策との関係でなかなか御意見が通らなかった。結果的にはせっかくの減税もふいになるような効果になった。その結果についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 ことし三千億減税をやった。これも個人消費を伸ばすという、皆様方、先生方の御要求で実現したわけでございますけれども、それは統計上非常に個人消費が伸びない状況になっているというような、ある意味では非常に経済不安というか先行きの不安というものが消費を伸ばしていかない。ですから、今回の利下げというのは財政主導型のいわゆる不況対策であって、それに補助するのは金融政策的な性格を持っております。ですから、私も総理には、今回の、九月三日に出ました総合経済対策の中で長期金利、特に開銀、政府三機関は私たち財投の金を使っていただいておりますから、そういう意味でも四十八年以降相当高い金利、九・九以上のものは少なくとも一%くらい下げていただきたい、そういう政府部内での大蔵等との折衝もいろいろございます。そういう意味で私たち郵政省としては、また少なくとも小宮山自身としては納得がいかなければやりたくはない。またそういう数的に見まして大変苦しい立場でやりたくはないけれども、先ほど申しましたように、やはり雇用不安というものが大分出てきますと、三十四兆という大きなウエートを占めております郵貯の重みというものは考えざるを得ませんので、私自身としては利下げを郵政審議会に諮問したわけでございます。特に減税等、個人消費が伸びないことに対して財投からいわゆる公共事業の押し上げということで七三%の前倒し、これも地方自治体、国等も——きょうの閣議でも相当それ以上出ておりますし、実行計画もいいということで、また物価も、東京などは非常に何年ぶりかに消費者物価が落ちた。全国統計も九月でございますと、やはり四十八年以降だそうでございます。一年九カ月ぶりとかいう話でございます。そういうふうに前年度比非常にいい結果が、七・七という数字が出てまいりました。少なくとも政府の施策が実効を奏してきたという感を持っております。
  18. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 一時的に野菜が非常に安かったということで一時的に物価の上がりがとまったということがあるかもわかりません。えらい自画自賛ですが、一年間を平均してみると、必ずしもそういう楽観を許すような状態ではないと思います。  景気刺激策という名目で金利引き下げをたびたびやられたわけです。それが景気刺激策の原因になる個人消費の伸びを実際には逆に減らしているということになっております。先ほど申し上げましたように、せっかく一万五千円の税の払い戻しを受けながら、前回一%、今度九月には〇・七五、これでいきますと、結局総理府の統計でいきますと、預貯金を含めてですが、一世帯当たり三百三十万円の預貯金額だと言われておりますが、これが〇・七五でいきますと二万四千七百五十円、これはここでもうすでに一万五千円を帳消しするどころかマイナスになっている。こういうことでは、果たして景気刺激策の一環ということも意味がないのじゃないかと思います。まともに被害を受けている預貯金者側にとっては、何ちかのそれにかわるべき救済措置というか、あるいはそれを緩和させるための措置を当然期待しておったわけですが、金利の下がったことによる損失対策について、もちろんいま言われたように、年間はっきり物価が上がらないような強力な物価政策もとられなければならないし、あるいはまた社会福祉政策といった面を強くしなければならない。年金をふやすとか退職金の非課税の枠をふやすとか、そういったいろいろな対策を講じなければなりませんけれども、直接郵政省としてできることのうちで現在ではどういうことを手がけていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  19. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 貯金局長からお答えいたさせます。
  20. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  このたびの金利引き下げ当たりまして具体的にとった施策といたしますと、老齢福祉年金の受給者の立場を考慮いたしまして、これらの方々が預入する定期預金の利率を年六・七五%のままに据え置いて、明年五月二十日まで預入期間を延長するという措置をとっております。このほか郵政審議会の答申の中にも強く要望されております預金者に対する貸し付けの仕事といたしまして、来る通常国会に、まだこれは詰めておるのではございませんが、仮称進学ローンといったものをつくるべく現在鋭意検討を進めているところでございます。
  21. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いま二つのことをお答えいただきましたけれども、五月にも郵政審議会の中でもいろいろ指摘されておりますように、たくさんの指摘事項かあるのじゃないですか。そのほかのことは全然手がけていらっしゃらないのですか。
  22. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  そのほか現在具体的に検討を進めておりますものは、いわゆるゆうゆうローンの限度額の引き上げを図りたいこと、また郵便貯金の少額制限額の引き上げを図りたいことなどを目下検討いたしておりまして、これは予算編成の際に強く要望したいと考えておる次第でございます。
  23. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 今度二回目になってからそういうことを言われるけれども、五月もそうだし、その前にも言われておったことですね。いわゆるゆうゆうローンと言われるのは現在三十万円ですか。いままでの経過を見ますと、四十八年に十万円、四十九年に二十万円になり、五十年に三十万円になっておるわけですね。ですから、本当を言えば毎年毎年物価も上がっていることだし、貸付金額の枠も広げていかなければならぬのに、いまから検討して来年度に何とかしたいというのは姿勢がずれているのではないでしょうか。もっと積極的にやっていかなければならぬと思います。と同時に、ただ単に枠をふやすだけじゃなしに、返済の条件であるとか期間であるとか諸条件についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  24. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 先生御承知のとおり、郵便貯金というのは貯蓄機関でございまして、ゆうゆうローンができたときも、そういう貸付制度がないということでやったわけでございますが、ゆうゆうローンが二十万になったときは大変なことでありました。非常に先生方の御支援をいただいた制度の改革でございます。資金運用部資金法という一つの法律がございますから、今度の進学ローンにしても大変な問題でございます。そういう意味でのゆうゆうローンでございますので、二十が三十になった、来年度はどのくらいかということも私なりに計算をいたしておりますし、ぜひ進学ローンなどは先生の御指導、御支援をお願い申し上げておきます。
  25. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいまのゆうゆうローンの限度額は三十万円となっておりますが、これを幾ばくにするかということについて現在検討を進めておりますが、なるべく幅を大きくとりたいと考えております。
  26. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 枠だけじゃなしに、返済期間とか、また一括返済しなければならぬのを分割にできるようにするとか、そういった諸条件についてはお考えになっておりませんか。
  27. 高仲優

    ○高仲政府委員 返済の方法等につきましては今後検討いたしたいと思いますか、期間につきましては、定額貯金はそもそも初めの拘束期間六カ月ということが前提になっておるのでございます。そうした点から六カ月を考えておるのでございますが、なお利用の実態一般の要望等を頭に置きまして今後検討いたしたいと考えております。
  28. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 金利が次々下がらなければなんでしょうけれども、次々下がっておるわけです。いまのところ集め放しで貯金者に対する還元がないからそういう要望が出てきているわけでしょう。ですから、枠だけじゃなしに、そういう諸条件もあわせて積極的に考えていただきたいと思います。  もう一つ、三百万円の枠を五百万円にという要望もあるようですが、これについてはどうでしょうか。
  29. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  その点についても、そのように実現を図るべく現在検討を進めておる段階でございます。
  30. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いま始まったことじゃなしに前から言われておりましたね、この場でお答えいただくわけにいかぬでしょうけれども、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  先ほどお話のありました進学ローンについても、わかっておる範囲内で、要綱はいただきましたけれども、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  31. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように、いま検討を進めている段階でございまして、こうした方向でまとめたいという試案を御説明申し上げたと思います。  その点につきまして申し上げますと、これは仮称進学積立郵便貯金という新しい貯金の制度を創設する。毎月一万円ないし四万円の金額を一年以上二年の間積み立てていただく。積み立ての最高額は仮に五十四万円といたしております。それで積み立てが終わりまして、対象となっております子弟か高校あるいは大学に入学することを条件に、預入いただいた金額を超えて、オーバーローンの形でございますが、百八万円、すなわち二倍を限度として貸し出しを行うことを考えております。金利等につきましては目下検討を進めておるところでございますが、預入をいただきます預金に付する金利を高くいたしますと、今度は貸し出しの金利の方も高くしなければならないという関係がございます。こうした点を考えまして、金利を幾ばくにすべきか現在検討を進めておるところでございます。
  32. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 七日に閣議でもお話があったと聞いておりますし、その後で郵政大臣が記者会見をなさっておられるわけですが、その中で、新聞によれば、大蔵省の方ではこれに対しては難色を示しておるというふうな空気も伝えられております。資金運用部資金として集めて財政投融資に使わなければならない立場の大蔵省は大蔵省の立場があるでしょうけれども、せめてこれぐらいは預貯金者に対するサービス業種としてどうしてもやらなければならぬと思いますが、郵政大臣、どこまでおやりになるのか、決意を含めてお話しいただきたいと思います。
  33. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 郵貯百年の歴史の中でオーバーローンをしたことはございません。ゆうゆうローンでさえも四十八年には大変な苦労をいたしたという事実がございます。そういうような意味を含めて相当覚悟を決めて私自身も進学ローンはぜひ実現したい、かつその上、郵政審議会の条件にもなっておりますので、先生にもよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいま丹羽久章君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。丹羽君。
  35. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連で、ごくわずかな時間いただいて郵政大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、先ほどから郵便貯金の貸し出しというか、ローンあるいは進学ローン等が論じられております。そういう郵便局の定期を一時流用してもらう新しい制度に対して、小宮山郵政大臣も当時は賛成していただいた一人だと思います。当時の大臣が廣瀬大臣と記憶いたしておりますが、私ども自民党においてこの問題を討議いたしました当時、庶民的にぜひやってやれという方と、そういうようなことをしなくてもいいじゃないかという議論と二つに分かれたことがあると記憶いたしております。私は、当時金融界から相当の批判と圧迫を受けたのです。郵便局か定期を融資するというようなことはやめてくれ、金融機関でやっていくから、あなたがそういうことを先頭を切ってやらなくてもいいじゃないかという非常に厳しい批判を受けながら、私はぜひこれを実現してもらいたいということでいつも党内調整の発言をしてきた一人であります。当時大臣は、大蔵大臣との話し合いをしなければならないということで、いまは亡き水田大蔵大臣とお話しせられたと記憶いたしますが、そのときにも大蔵大臣はなかなかうんと言われなかった。廣瀬大臣は、最後に、この問題はむずかしいからということで投げ出そうというようなお考えになったときもあると私は思うのですよ。しかし、議員立法によってでもこれを実現させるべきだという意見がだんだん強くなってきた。そこで、最初は五十万と言っていたけれども、最小限の二十万でということで話し合いがついてその方向に踏み切ってきたわけなんです。この間の事情は、いま大臣をお勤めいただいておる小宮山大臣はよく御存じだと私は思っておる。そこへ進学ローンというような新しい問題をこれから進めていこうとするならば、いろいろな面からの大変な問題がきっとあなたの身辺に漂ってきて、そしてこれを取りやめたらいいじゃないかとか、もう少し延期せよとかいう声が上がってくると私は想像するのです。金額をふやされるときにおいてさえいろいろな問題があったと聞いております。けれども、勇気を持って二十万という金額を増額せられてきた。さらにこれ以上金を多くしたり、住宅ローンをつくっていこうと思うと、きっと大臣に対してはいま言ったように金融面からも——あるいは大蔵省もそう速やかには認めないと私は思っておりますが、相当の決意と勇気が必要だと思う。関連ではございますが、この機会に大臣の決意のほどを聞かせていただきたい。私どもはそれによってこの問題としっかりと取り組んでいきたいと思いますから、どうぞお願いいたしたいと思います。
  36. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 先生のおっしゃいますように、いろいろの問題がございます。進学ローンについては、私が打ち出したときには教育ローンという構想でございましたが、金融業界がすでに反対をいたしております。私が大変喜ばしいことだと思っておりますのは、一般金融機関の中でも、教育ローン構想かでき上がって、それをやろうという意欲に燃えてきたことは、私なりにその構想を実現したということでも大変うれしいことだと思っております。  そこで、郵貯の中で進学ローンを進めるに当たって、先生のおっしゃるような問題は私も予想いたしております。しかし、不退転の決意でやりますので、先ほど馬場先生にも申し上げましたように、何とぞよろしく御指導、御声援のほどをお願いして、郵貯百年の歴史、また貯金法に定められている国民大衆の利益を増進するという意味で、またわれわれを御指導いただいております郵政審議会の条件となっているこの進学ローンというものはぜひ実現する覚悟でございます。  それから、ゆうゆうローンについては、これは二十か三十になるいきさつ、当時の大蔵大臣等のいきさつも私十分承知しておりますし、その実現に大変な、六カ月以上の苦労をかけて論争をしてやった問題でございます。しかし二十が三十になる、実を言いますと、二十万、三十万という数字の法的根拠かどこにあるのだという問題もございますので、きょうは申し上げませんけれども、そのようなことを踏まえて、私自身ゆうゆうローンの限度額引き上げという問題も頭の中に構想を持っておることも事実でございますけれども、これについてもぜひ御指導のほどをお願い申し上げておきます。
  37. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 大臣か不退転の心構えで進学ローンに対していくのだということと、もう一つは、いまお話を聞いておりますと、金融機関の中にも理解する人々が多くなってきたということで非常にうれしく思うと言っていらっしゃいました。大変結構だと私も思いますが、いま庶民的な人たちが金融機関で金を借りようと思っても大変なむずかしさがあって、それがために倒産していく人々がたくさんありますよ。だから、あなたのところは金を貸すというのが商売でもなければ預かることが国の方針であるんだから、金を貸してやりなさいということに対して余り多くを主張するものではありませんけれども、やはり預かった金の一部を貸してやるということについては、そのときどきに応じて考えてやることが行政における大きな、庶民が政府を信頼することであり、そうしたことによって、われわれも国政に参加する者の一人として善政がしかれていると私どもは胸を張って言えるわけなんです。ところが、皆さんの声を無視して一方的に偏ったやり方をせられますと、一体政治はだれのために行われている政治だという批判がだんだんと高まってくる。まして、こういうような不況なときでありますと、何か言おうとする、何か言わんとする、何か不平が言いたいという国民感情から考えても、努めていい政治をしてもらうことが政府の責任であり、それを私どもがあなた方と協力していくことにわれわれの全体の責任があろうと思っております。そういう意味から、ひとつ不退転の決意でぜひこれの実現方に対しては力いっぱいやっていただきたいと私は希望して、関連ですからまた後日日を改めて郵政関係でお尋ねすることにいたしまして、きょうはこれで関連を終わりたいと思います。委員長、ありがとうございました。
  38. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 全く私の申し上げたいことも重ねて敷衍して言っていただきましたわけですから、それ以上申し上げる必要はありませんけれども、ゆうゆうローンにいたしましても、どちらかというと銀行側というのは企業融資というのが中心にきたわけですが、そのゆうゆうローンをきっかけにある程度個人融資ということを考えたことも事実ですし、いまの大臣の御答弁のように、教育ローンもまた一つの論争の種になり、そして銀行自体もこれを手がけざるを得ないような情勢になってきたということは非常に喜ばしいことだと思います。ただ一つ、大臣は非常に元気のいい方ですから信念を持って言われるのですけれども、後になったらやっぱり周囲の情勢で押し切られて妥協せざるを得なかったということになったのでは何にもなりません。先ほどの元気のいい答弁どおりぜひひとつ実現していただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。要望だけにしておきます。同時にまた、金利の目減り対策について五十年度にも福祉定期貯金をおやりになりました。その経過と、今回どういうふうな状態になっておるのかということをひとつお知らせいただきたいと思います。
  39. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  本年五月二十一日から取り扱いを開始いたしました老齢福祉年金等の受給者が預入する定期貯金は、九月末現在におきまして取り扱い件数十三万一千件、預入金額は三百九十八億円と相なっております。この制度の周知につきましては、いろいろな手だてを使って、周知漏れのためにこういった制度があることを知らなかったということのないように努力をいたしておる次第でございます。
  40. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 漏れ落ちのないようにできるだけ周知徹底したいとおっしゃるのですが、五十年のときはどうでしたか、予定対象者とそして目標。やられる限りは大体どれくらいのめどというようなこともお決めになったはずですが、結果はどうだったかということをひとつお知らせいただきたいと思います。
  41. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  実は、前回に比べまして取り扱い件数が減っておるのでございます。前回は五十年六月二十三日から取り扱いが開始されており、今回は先ほど申し上げましたように、五月二十一日からでございますが、取り扱い開始後四カ月の取り扱い状況ということで、今回の九月末現在の数字と前回の十月末現在での取り扱い状況とを比較いたしますと、今回は先ほど申し上げましたように件数で十三万一千件、金額で三百九十八億円でございますが、前回は件数で四十二万六千件、金額で一千百二十八億円でございまして、今回の方が大分少なくなっておるのか実情でございます。
  42. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 小出しになさらずに、前回最終までどうだったのか、そして予定者と比べて実績はどうだったのか、そしてそれに比べてさらに今度落ちておるのか落ちていないのか、いま落ちておるとおっしゃったのですが、小出しになさらずに一括して答弁してください。
  43. 高仲優

    ○高仲政府委員 前回の最終の数字でございますが、累計利用件数が五十八万件、金額が千五百二十億円、利用人員が四十四万三千人、一件平均の預入額が二十六万円、一人平均の預入額が三十四万円でございます。今回の九月末の数字は先ほど申し上げたとおりでございますか、今回の一件平均預入額は三十万円で金額的には四万円ふえております。一人平均の預入額につきましては目下調査中でございまして、まだ数字が固まっておりません。いずれの回におきましても対象人員は全部合わせますと五百万人程度であったということでございます。
  44. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 私のいただいた資料とちょっと違いますね。五百二十万人に対して当初三百万人くらいは獲得しなければいけないという予想を立てたけれども、実際には八十五万六千だというふうに一六%——いまお聞きしますと四十四万三千人、そうすると八%くらいじゃないですか。私がお聞きしたのは大体一六%で八十五万六千だとおっしゃったのですが、その半分しかない。しかも一件当たりも二十八万七千に対して二十六万だといまおっしゃる。そして一人当たり平均預入額も三十六万四千に対して三十四万というふうに大分数字か違いますね。そして今回はそのペースよりかさらにダウンしているというのはどういうことなんですか。せっかくいい制度をつくって少しでも目減り対策として寄与したいというねらいは持たれても、実効が上がっていなければ何にもならないじゃないでしょうか。
  45. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  郵便貯金としての数字は先ほど申し上げたとおりでございまして、あるいは先生の数字は民間金融機関の教字も合算したものではないのかと思っておりますが、私、民間金融機関の実績についてただいま手元に所持いたしておりませんので、まことに申しわけございませんが、後ほど調べまして先生のところまで御報告をいたしたいと思います。
  46. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 特に利用者が半分だというようなことであれば問題だと思いますし、いまおっしゃったように数字的なことはひとつ明らかにお教えいただきたいと思います。  時間の関係は、本会議がありますので、もう余りないのですが、中途になりますが、一つだけ申し上げておきたいと思います。  この預金金利引き下げに当たっても、あるいはまたゆうゆうローンなど新しい貸付制度をつくりましても、審議会というのは非常に大事だと思うのです。審議会の構成についてお伺いしたいと思いますが、率直なところわれわれ国民の側から見ますと、いまの審議会は結局郵政省のおっしゃるとおりそのままうのみにしてすぐに、金利問題についても、あれだけ大臣も非常に強い姿勢を示していらっしゃった、でも審議会の方はすっと通るような状態、どういう議論をなさっているのかということも明らかになっておらないのですが、審議会の委員の選び方とかあるいは運営のあり方について、ひとつお教えいただきたいと思います。
  47. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 審議会の担当の官房長からお答えさせます。
  48. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  審議会の委員の選び方でございますが、郵政審議会の委員は、関係行政機関の職員、それから学識経験のある者、それから郵便貯金預金者または簡易生命保険契約者の利益を代表すると認められる者、このうちから任命することとされております。  いま現在の構成でございますが、労働界あるいは消費者団体の代表者、それから言論、評論界の代表者、それから学界の学者先生方でございます。それから経済界、それから行政経験者、それから行政機関の職員四名という構成になっているわけでございます。(馬場(猪)委員「どういう選び方をするのですか、具体的に」と呼ぶ)具体的な選び方でございますが、私どもに御承知のとおり郵務、貯金、保険、それから電気通信業務と、業務がございます。あとほかには、一般行政事務としまして電波行政事務がございますが、電波行政につきましては、これは電波監理審議会というのがございまして別個になっております。  いま申し上げました四事業それぞれの中で、それぞれの事項につきまして審議いたしますために、それぞれの原局から私ども候補者を選任してもらいまして、その対象につきまして選任いたしているわけでございます。なるべく広く各界に審議会の構成がわたりますようにということで、慎重に審議しなから選任いたしているわけでございます。
  49. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いろいろ条件はもっともなことを書いてあるのですが、実際に選んでいただいている委員の構成を見ますと、本当に貯金者代表と言える人は何人ですか。私の見たところでは、二人ないし三人ぐらいしかありませんが。
  50. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  私ども郵便貯金と申しますのは、地域、職業、所得、世代のいかんを問わずに、あらゆる地域、あらゆる階層にわたって普遍的に利用されているというように解しております。利用率は、先生御承知のとおりでございますが、全世帯の約六〇%というパーセンテージに及んでいるわけでございまして、私どもいま申し上げました審議会の委員の多くの方々が郵便貯金の利用者であるという考え方に立っているわけでございます。ほとんどの委員がそれぞれの立場において何らかの形で預金者の利益を代表しているというように考えております。  なお具体的に申し上げますと、郵便貯金につきましては、金融、経済の動向と密接な関係を有しております。また、郵便貯金に関します事案の審議に際しましては、この金融、経済に関する専門的な検討を行っていただく必要もございますし、さらに先生のおっしゃいますとおり、預金者の利益の増進に資する必要があるわけでございます。こういう観点から、いま先生のおっしゃいました貯金者の代表といいますか、そういうものに考えられますものでございますが、金融、経済の専門家といたしまして、預金者の代表と直結するかどうかは別といたしまして、現在四名の専門家がいらっしゃいます。それから言論、評論界の代表といたしまして、現在八名の方がいらっしゃるわけでございます。それから労働界あるいは消費者団体等の代表者あるいは関係者といたしまして五名の方がいらっしゃいます。直接的にこの預金者の代表という者をあえて挙げますといたしますと、以上の十七、八名になるんではないかというふうに考えております。
  51. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 代表の見方いろいろあるでしようけれども、六〇%の人たちが利用しているんですから、預金者には違いありませんけれども、主として郵便貯金に頼っているというような人も大事だと思いますが、これを見ると果たしてそういう人たちというのは多いのかどうか。そしてまた、その議論が公開されてないわけですから、内容として貯金者代表、庶民の代表としての発言がどういうふうになっているかというようなこともうかがい知ることができないわけなんです。なるほど経営問題に関するような問題については、あるいは秘密にしなければならない問題もあるかもわかりませんが、もう少し、庶民に直接響く金利問題などをここで相談するわけですから、オープンにすることはできないものでしょうか。
  52. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃっておりますこと、公開の問題、非公開の問題と思います。この郵政審議会におきましては、現行法令上は特段の定めがないことは御承知のとおりでございます。会議を公開にするかということについて、審議会自体においてこの公開、非公開を自主的にお決めいただく事柄であると、私ども解しておるところでございます。現に、現在そのように運営されているところでございます。審議会におきまして、事案の内容によりまして、自由な意見の活発な交換を図るということのために、この審議に際しまして、会議内容を非公開にしようという決議をいたす場合があるわけでございます。去る九月に開催いたしました今回のこの郵便貯金の利率等の改正に関する諮問につきましても、郵政審議会におきまして、会議開催冒頭の決議によりまして会議を非公開にするという決議がされました結果、非公開になったわけでございます。
  53. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 庶民に非常に関係のある金利引き下げなんか、むしろ逆に公開にすべきにもかかわらず、結局は委員の構成によって非公開が決議されるんじゃないかと思うんですよ。ですから、委員が皆さんお決めになるんだからということでなしに、もっと公開ができるような委員構成、そこが問題じゃないでしょうか。そういう点は十分配慮されておるようには思わないのですが、いかがでしょう。
  54. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  今後、審議会の役割りというのはますます増大してまいります。いまおっしゃったとおりでございます。私どもといたしましても、この審議会の委員の任命に当たりまして、今後さらに先生のおっしゃいましたような御趣旨を体しまして、積極的に検討してまいりたい、こう考えるところでございます。
  55. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 もう本会議もありますし、またやりますとこれちょっと時間がかかりますので、一応この程度でおいて、あと十五分か二十分ぐらい、次回のときでもひとつやらしていただきたいと思います。きょうはこれで終わりたいと思います。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会