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1977-10-14 第82回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年九月二十九日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 芳賀  貢君    理事 天野 光晴君 理事 丹羽 久章君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君 理事 塚本 三郎君       宇野  亨君    櫻内 義雄君       津島 雄二君    西田  司君       野田 卯一君    早川  崇君       村上  勇君    高田 富之君       馬場猪太郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    山口 敏夫君       麻生 良方君 ————————————————————— 昭和五十二年十月十四日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 葉梨 信行君 理事 森下 元晴君    理事 北山 愛郎君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       宇野  亨君    津島 雄二君       西田  司君    野田 卯一君       福田  一君    高田 富之君       馬場猪太郎君    春田 重昭君       安藤  巖君    刀祢館正也君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省理財局次         長       川崎 昭典君         厚生省環境衛生         局水道環境部参         事官      三井 速雄君         農林省構造改善         局農政部長   渡邊 五郎君         林野庁指導部治         山課長     江藤 素彦君         水産庁研究開発         部長      山内 静夫君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         海上保安庁警備         救難監     山本 了三君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     遠山  啓君         建設省河川局砂         防部砂防課長  大工原 潮君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   櫻内 義雄君     福田  一君 同月六日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     山口 敏夫君 同月十二日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     山口 敏夫君 同月十三日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君   安藤  巖君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同月十四日  辞任         補欠選任   松本 善明君     安藤  巖君   山口 敏夫君     刀袮館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     山口 敏夫君     ————————————— 九月二十九日  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和五十年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十年度政府関係機関決算書  昭和五十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十年度国有財産無償貸付状況計算書     〔総理府所管環境庁)〕      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するために、本会期中において  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関の経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項  五、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項  以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料要求等の方法によりまして国政に関する調査を行うため、規則の定めるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管環境庁について審査を行います。  まず、環境庁長官より概要説明を求めます。石原環境庁長官
  5. 石原慎太郎

    石原国務大臣 環境庁昭和五十年度歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十年度の当初歳出予算額は二百二十六億九千七百六十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額四百四十五万円余、予算補正修正減少額七億四千六百八十八万円余、予算移替増加額五千五百九十五万円、予算移替減少額二十六億六千百五十七万円余、前年度からの繰越額十四億八百六十一万円余を増減いたしますと、昭和五十年度歳出予算現額は二百七億五千八百二十万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額百八十三億八千三百九十七万円余、翌年度への繰越額四億二千八百五十四万円余、不用額十九億四千五百六十八万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして二十三億二千八百八十一万円余を支出いたしました。これは、水俣病に関する総合的研究都市及び周辺地域における自然環境保全計画に関する基礎研究大気複合汚染の生体に及ぼす影響に関する研究埋立環境影響評価調査等実施するための経費、及び国立公害研究所運営等経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして三十七億七千六百四十万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における園路、歩道、野営場等建設及び管理交付公債による民有地の買い上げ、渡り鳥観測ステーション整備特定鳥類保護対策等推進を図るため支出したものであります。  第三に、環境庁一般事務経費として百二十二億七千八百七十六万円余を支出しました。これは、公害防止を図るための施策推進に必要な調査費都道府県及び政令市に対する各種補助金公害防止事業団及び公害健康被害補償協会に対する交付金環境行政に従事する職員の資質向上のための研修所運営費並び環境庁一般行政事務等経費として支出したものであります。  最後に、先ほど申し上げました翌年度繰越額不用額について主なるものを御説明いたしますと、翌年度繰越額は、自然公園等施設整備事業のうち積雪等気象条件、資材入手困難及び用地問題に関する交渉等に伴う設計変更等により事業年度内に完了しなかったもの、並びに水俣病研究センター施設用地買収計画調整に不測の日時を要したため年度内用地買収が完了しなかったもの等であります。  また、不用額は、公害健康被害補償法による被認定者が少なかったため公害健康被害補償給付支給事務費交付金を要することが少なかったためのもの、及び地方公共団体財政事情により補助金を要することが少なかったためのもの等であります。  以上、簡単でありますが、昭和五十年度決算概要を御説明申し上げました。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長
  7. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和五十年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明聴取を終わります。      ————◇—————
  9. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。春田重昭君。
  10. 春田重昭

    春田委員 私は、最初環境アセスメント法案についてお尋ねしてまいりたいと思います。  この環境アセスメント法案は昨年とことし、過去二度にわたって国会提出が約束されながら、いずれも流産したという経緯がございます。また、この臨時国会でも見送られているわけでございますが、申すまでもなく、この法案というものは公害を後追い行政から未然防止へ転換するために大きく端緒を開いたものでございます。それだけに私たちも非常に期待していたわけでございますが、今回こうした臨時国会でも見送られている点に関しまして、巷間、環境庁通産省建設省やまた産業界等反対でこれに屈したかっこうで見送ったのではなかろうか、このような批判があるわけでございます。  そこで、今日こうして大きくクローズアップされながら今日まで日の目を見ない、この法案がなぜ提出されないのか、何がネックとなっているのか、何が問題なのか、それを明らかにしていただきたい、このように思うわけでございます。
  11. 石原慎太郎

    石原国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘のように、残念ながら前通常国会にこの法案を提出することができませんでしたが、実はこの提出すべき環境庁側原案案文ができましたのがことしの正月になってからでございまして、前々国会でも法案として云々されたことは確かにございますけれども、その際にはいまだ環境庁側原案ドラフトというものがございませんでした。ことしの一月にようやくその案文というものをつくりまして、そこで初めて具体的に関係省庁との交渉が始まったわけでございます。これは時間的にも、あれだけ重要な法案でございますから、非常に困難視されておりました。環境庁側としてもできるだけの努力をいたしましたけれども、やはりタイムリミットにどうしても間に合うことができず、事務レベルでの話し合い調整が大きな問題について幾つかつかないままに終わりました。閣僚レベルでの話し合いというところまで来る前に実は時間切れになったということでございまして、現在もなお、次の通常国会に提出すべく関係省庁事務レベル話し合いを積極的に進めているのが現況でございます。  なお、どういう問題がネックになっておるかということについては、政府委員から答弁させていただきます。
  12. 信澤清

    信澤政府委員 概略はただいま大臣から御説明したとおりでございますが、前国会で特に問題になりました点は、これはすでにほかの委員会等でもお尋ねがあり、それぞれの省庁からお答えがあるわけでございますが、私の承知いたします限りでは、いま先生お挙げになりました通産省につきましては、この制度実施と申しますか、制度化と申しますか、これについては反対してない。ただ、一応何らかの行政指導等によりまして、ある程度定着を見た段階法律化するという考え方もあるのではないか、こういうことが主体であったように承知をいたしております。  それから建設省につきましては、これは全部が全部反対ということをおっしゃっているわけではございませんで、都市計画事業というのは、これは先生承知のように総合的、一体的に行うわけでございますので、したがって同じようなことを都市計画法の中で規定いたしたい、こういう趣旨が御主張の主要な点だと思います。  その他いろいろな点がございますが、これはひとり通産建設だけではございませんで、各省それぞれ意見がございまして、その中には、やはりいま大臣が申し上げましたように、私どもが現在調整中のかなり重要な問題があるわけでございます。
  13. 春田重昭

    春田委員 省庁反対はもちろんのこと、産業界の強い圧力があったということも聞いておりますけれども、この点はどうですか。
  14. 信澤清

    信澤政府委員 圧力という言葉が当たるかどうかわかりませんが、私どもの公表したと申しますか、一番最初に出しました考え方の骨子は、これはプレスその他にも出しておるわけでございますが、そういうものに対していわゆる御要望という形で、文書その他の形でお話を伺ったことはございます。
  15. 春田重昭

    春田委員 長官が五月十三日の閣議で発言されている第二項目に、「このため、今国会法案を提出すべく関係省庁と鋭意協議を進めてきたところであるが、重要な事項をめぐって、なお、未調整の点が残っている。」ここに非常に大きな意味がかかっているのではなかろうかと思いますが、「重要な事項をめぐって、なお、未調整の点が残っている。」この点はどういうことですか。
  16. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま私は通産省建設省の御意見の一部を申し上げましたが、あといろいろ問題が残っている中で、文言その他についてのいろいろな御意見もございますが、一つ重要なことは、今日環境影響評価あるいはアセスメントと言っておりますが、そういったものについての手法なり何なりが確立されていないものがあるのではないか、こういうものを一体どう扱っていくのか、そこをあいまいのまま法案実施をするということになりますと、いたずらに混乱を生ずるおそれがあるのではないか、そのような考え方を私ども理解できるわけでございます。  実は大臣から先ほど御答弁ございましたが、一昨年法案を提出いたしますというふうに申し上げ、できなかったわけでございますが、その後、この法案に特に関係の深い七省庁局長レベルで昨年かなりの回数を重ねて議論してまいったわけでございます。その際の一番の焦点は、いまも申し上げた環境影響評価技術的手法というものをどう考えるのか、それからそれぞれの具体的な事業に当てはめる場合にどういう問題点があるのか、こういう点が主たる議題であったというふうに承知をいたしております。
  17. 春田重昭

    春田委員 この法案は、外国でもまたわが国地方自治体でも多く実施したり検討しているわけでございまして、長官そのほか関係理事者の方もすでに御存じのとおり、アメリカでも昭和四十四年、一九六九年に国家環境政策法というものを一応成立させて実施しておりますし、またカナダ、西ドイツ、オーストリア、スウェーデン、スペイン等でも実施されておりますし、OECDでも各国へ同法の制定を勧告しております。わが国地方自治体においても、川崎市が七月から実施しておりますし、東京都におきましては答申が出されまして十二月の定例会に出されようとしておりますし、そのほか大阪、北海道、兵庫等検討段階に入っている都道府県がもう二十三ある、このように聞いておりますし、非常に機運が盛り上がっているのではなかろうかと思います。信澤企画調整局長も、地方自治体がそういう点で非常に積極的にやっているので、国としても急がなければならないということを記者会見でおっしゃっておりますけれども大臣がいま次の通常国会に提出されるということでおっしゃっておりましたけれども、これは間違いないでしょうか、確認しておきたいと思います。
  18. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのつもりで積極的にできるだけの努力を現在進行中でございます。
  19. 春田重昭

    春田委員 過去の議会に私たちは期待していたわけでございますけれども最後は出てこなかったわけでございますから、次の通常国会には必ず提出する、そういう決意で万全を期していただきたい、このように思うわけでございます。  さて私は、環境アセスメント法案が提出されたものとして若干質問を展開してまいりたいと思いますが、これはさきの第二次案、この点で一応質問を展開いたします。  次の通常国会に出てくる法案がどういう形になってくるかわかりませんけれども、第二次案においてはかなり不備な点が目立つ。目立ったものだけ取り上げていきますと、まず第一点は、住民参加公開の原則でございます。これを最大限に保障するということがこのアセスメント法案の重要なかなめになっておるわけでございますが、この住民意見をどう生かすかということがちょっと明確ではない。聞きおくだけに終わっているんじゃなかろうか、こういう点を私は非常に懸念するわけでございます。住民計画への参加には、真に公開するに値する資料住民公開しなければならない、とともに行政情報完全公開必須条件であると私は思うのですが、今回の住民公開をする内容というものは、環境影響評価準備書と同評価書のみの公開であって、その他細かい関係情報等が隠されたまま、秘密のままになりそうではなかろうかという懸念があるわけでございますけれども、この点どのようにお考えになっていますか。
  20. 信澤清

    信澤政府委員 いまのお話でございますが、関係住民参加等の問題につきましては、これはいろいろな考え方があろうかと思います。これにつきましては、私どもがいわば下敷きにいたしておりますのは、これも昨年の暮れに中公審の部会に専門委員会をつくっていただきまして、そこで結果のお取りまとめをいただいたものを法文化すると申しますか、そういう作業を過去続けてまいったわけでございます。そこにおきます御意見をほぼ忠実に、従来表に出ております私ども考え方については、そういう考え方をとってきたドラフトを用意をしてきた、こういう経緯でございます。
  21. 春田重昭

    春田委員 要するに、住民公開するということがありますけれども、これはあくまでもこういう予測がされるだろうという形の準備書なり評価書なんですね。したがって、一応それを公開して意見書が出てくる、いざ建設にかかる、そして実測をしますね。その実測した結果の細かいデータ等は、再び二回目の住民公開はもうないわけですよ。予測だけで実測というものが公開されないという点で、住民参加ということがうたってありますけれども、これは真の住民参加でないのではなかろうか。この点はどのようにお考えになっておりますか。
  22. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど先生第二次案というお話がございましたが、いずれにいたしましても、先生承知のように、いま案の作成の過程中でございまして、いわば政府部内の調整をしているという段階でございます。したがいまして、それを前提にいろいろ御議論されますと、なかなか私としても御答弁しにくい点がございますことは御理解いただけるだろうと思います。ただ、私どもも、法律こそございませんが、過去幾つかの問題について、いろいろな形でアセスメントというものをやってきたわけでございます。もちろん、途次の段階では不備な点もあったと思いますが、たとえば本四架橋につきましても、先般来三っの橋について自然公園法上の協議に応じたわけでございますが、その際かなり詳細な環境影響評価をやってもらっております。かなり分厚いものでございまして、決して先生のおっしゃるように非常に簡単なものを用意してお茶を濁すと申しまするか、そういう考えはございません。ただ、先般むつ小川原で同じようなことをやりました際に、むしろ住民の方が、むずかしくてよくわからぬ、したがってその概要書みたいなものをつくってくれ、こういうようなお話もありまして、それはそれで青森県はそのように対応したようでございます。したがって公示縦覧すべきものは、先ほど申し上げたようなきちっとしたものを公示縦覧する。しかし、説明会等でいろいろ住民の御意見を聞くという便宜のためには、その概要書みたいなものをお配りをするとか、そういうきめの細かい措置が必要だ、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、事業が終わった後の、いわば環境管理の問題でございますが、これは事業そのものもそうでございますが、でき上がった後のいわば公害なり自然環境保全上の問題が実は大きな問題なんでありまして、評価書の中には当然それに関する予測も私どもはいたします。ただ、予測実測が違った場合にどうするんだというお尋ねでございますが、この段階になりますと、もはや評価書の問題ではございませんで、たとえば大気汚染防止法でございますとか、水質汚濁防止法でございますとか、さような直接規制をする法律があるわけでございますから、したがって具体的な措置といたしましては、そういう実定法の方で処理をする、こういうつながりになるような考え方で案をまとめている、こういうことでございます。
  23. 春田重昭

    春田委員 いずれにしても、これは第二次案をもとに私は質問しているわけです。よりましな法案を出していただきたいという点で、私は質問しているわけでございまして、住民発言権というものは十分に認めていただきたい、このように思うわけでございます。  さらに第二次案では、住民意見書は勘案するという形になっているわけですね。いわゆるこれが拘束するものではない。事業の停止とか計画変更とか、その他取り消し、原状回復の義務、こういうものも非常にあいまいな形になっている。それから住民参加関係都道府県、いわゆる都道府県住民だけに限られている。環境団体というのは非常に全国的な組織もあるわけですよ。したがって、こういう人たち参加もやはり認めるべきじゃないか、このように思うわけでございますけれども、この点どうですか。
  24. 信澤清

    信澤政府委員 法文の上で申しますと、いまお話しのような点があろうかと思いますが、住民意見というのはいろいろあるわけでございます。しかも、住民意見だけで事業を進めるというわけじゃございませんで、関係市町村なり関係都道府県知事、また関係住民を含めまして、都道府県市町村意見基礎にいたしまして——環境庁長官意見を言うわけでございます。したがって、その場合、勘案という言葉が必ずしも適切であるかどうか、これはいろいろ御議論があると思いますから、用語の問題は、私どもの意図が十分法文に盛られるように、これは法制局の御審査段階で御処理いただくことという考えでございます。  そういういろいろなステップを踏んで事業を進めるわけでございますし、それからまた現在やっております。たとえば公有水面埋立法等では、四十八年の改正によりまして、ある一定の条件のものにつきましては、これは御承知のように都道府県知事の免許でございますけれども、大きなもの等主務大臣認可になっているわけです。その段階協議をしていただいているわけで、したがって、そういう認可等をいたします場合に、私ども意見をいわば認可条件という形でつけていただく、こういう形で処理しているわけでございまして、この法案の手続だけですべて事が済む、こういうことではございませんので、すべて関連する法律等組み合わせていまおっしゃったような点の担保をする、こういうふうに考えているわけでございます。
  25. 春田重昭

    春田委員 そのほか、この対象範囲でございますけれども公害自然環境というものを対象にしておるわけでございまして、大気汚染とか水質汚濁とか、こういったいわゆる典型七公害を中心としているわけですね。今回東京で出たもの、あるいはそれ以外でも放射能汚染とか、歴史的な、文化的な、そういう社会的ないろいろな破壊現象についても対象としております。私は、電波障害や風害、そういうさまざまなものも含めて今回の法案に盛っていただきたいという希望を持っているわけでございますけれども、この点どうですか。
  26. 信澤清

    信澤政府委員 これも、先ほど申し上げました専門委員会の報告の中でいまお挙げになりましたたような問題がいろいろある。ただし、当面急がれているのはやはり公害の防止と自然環境保全であるので、したがって、当面はこれを対象に制度化を図ったらどうか、こういう御提言があるわけで、それを下敷きに私ども案をつくっておるわけでございますが、いま先生御指摘になりましたような問題は、当然考えなければならない問題でございますので、今後各省と御相談いたします中で先生の御意向が反映できるように、私どもとしてはそれなりの努力をいたしてみたい、このように考えます。
  27. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、過去二回流れているわけでございますから、そういう後退したような法案が出てきたら、それこそ環境庁環境行政に対する惑いというか、そういう批判の声が上がってくるのは間違いないと思いますし、その辺鋭意努力されて、よりましな法案を私たちは期待しておりますし、早急に出していただきたい、このように要望いたしまして、この問題を終わらせていただきたいと思います。  次に、北生駒山系の乱開発の問題でございます。  この問題につきましては、ことしの三月十一日、予算委員会の分科会におきまして長官に御質問をさせていただいたわけでございまして、長官も御記憶が新しいものだと思っております。  長官もあちらこちらお忙しい中でいろいろな項目もお聞きになっていると思いますが、若干ダブる点がございますけれども、その実態、現況というものを御説明申し上げますと、全山約一千二百二十ヘクタールのうちの二割強がもうはげ山となっているわけです。土砂採出のために山はだがむき出しになって非常に見苦しい状態になっておりますし、その度合いは日々月々激しさを増している、こういう現況です。したがって、緑はなくなり、いつ大惨事が発生するかわからない事態になっております。私は、自然に恵まれ、国定公園として指定されているこの金剛生駒山系の実態を本当に目の当たりにするにつけ、余りにも無秩序なそういう開発につきまして大きな憤りを感じているわけでございます。  私は、ことしの夏、八月二十日、地元市町村であります四条畷市に行きまして、市長を初め、関係理事者からいろいろな陳情といいますか苦情というものを聞いたわけでございまして、現場にも行ってみようということで、ジープに乗って現場にも行きました。私は昨年も現地に行きましたけれども、本当に数カ月しかたっておりませんけれども、全く山の形が違ってきている。こういう現況を見たとき、本当に、この三月質問さしていただいて、何とか対処したい、善処したいという答弁があったわけでございますが、一向にその対策がやられていない、実っていない、こういう点を非常に残念に思ったわけでございます。  たとえば、こういう例がございました。ダンプカーが土砂採出をやってその真砂土を大阪市内に持っていくわけです。そして運搬業者が帰りに産廃やヘドロ等を積んで、そして戻してまた埋めているわけですね。採出業者を兼ねた運搬業者かどうかわかりませんけれども、いずれにしても、そのように運搬業者は土を運んでまた産廃を持ってきている。こういう二重のかせぎ方をやっておりますし、しかも、その捨てるところが、砂防法で決められている遊水地というのがあるわけですが、その遊水地へ捨てているのです。だから、義務づけられた遊水地が完全に役目がなくなってきている。そういう光景を見たときに、環境行政というものが本当にお寒い状態で私は非常に驚いたわけでございまして、もし災害が起こった場合は、地元市町村から、これは自然災害ではない、人災である、このように決めつけられても私は反論する余地がないと思うのですよ。こういう点で国はもっと——大阪府とかいろいろな業者指導等があるわけでございますけれども、もっと積極的にこの問題を取り上げていただきたい。これは私たちの参議院の峯山議員からも過去二、三回質問があっているわけでございまして、何回も話題になっていることです。一向に善処されていない、かえって後退している、この実態をどのようにお考えになっていますか。
  28. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しいことは担当の局長からお答えさせていただきますが、確かに前通常国会でも幾つかの委員会で何人かの方々からそういう御質問なり御苦情をいただきました。国定公園の中の問題は直接環境庁の所管でございますし、幾つかの省庁が絡み合っている問題だと思いますが、あのときも先生にでしたか、どなたにでしたか、私もごく近いところでございますから一度視察をして拝見したいと申しました。その後幾つか視察がございまして、どうも順番が決まらぬままにいままで現地を拝見しておりませんが、四十三号線の問題のときも、やろうと思えば関係省庁大臣といわず担当の局長を拉致いたしまして、現場で最低限できることは決められると思いますので、やはり、少し関係省庁いやがるかもしれませんけれども、思い切った対策を講じないと、確かにおっしゃるとおり半年の間に見るも無残な形になっていくという現象は御当地に限らずあちこちにあるような気がいたします。またそういう姿勢で取り組みたいと思いますし、とにかく一度現地を拝見して実態を把握したいと思っております。
  29. 出原孝夫

    ○出原政府委員 長官の御答弁に補足をいたしまして御答弁を申し上げたいと思います。  御指摘の問題につきましては、所管が環境庁のほか建設省資源エネルギー庁あるいは国土庁等にまたがるかなりむずかしい問題でございますことは、先生も先刻御承知のことでございます。私もこの問題につきましては、新任早々でございますが、前局長から十分いろいろ話を承って承知をいたしておるわけでございますが、先般先生の御質問がございまして、以後各省庁のレベルにおきまして、お互いにむずかしい問題ではございますけれども、さらに相談を重ねていきたいということで、特に大阪府におきましても同様のことで、各機関が連絡をとりながら進めておるようでございます。ただ実際上の問題としましては、現場の監視につきましても、大阪府では自然保護の関係のものだけではなしに、その他の部局の応援を求めるというようなこともいたしておるようでございますが、さらにこの点につきましては、私どもも十分関係当局と打ち合わせをしてまいりたいというように考えております。  なお、国定公園の地区につきましては、直接環境庁の所管にかかわる問題でございます。この地区につきましては、すでに昨年来採掘の許可は新しい業者には認めない、継続のものについてもできるだけ自然環境を破壊しないようにという方針で大阪府にも指導をお願いしてございますので、大阪府の方もその方針でその後も実行しておるようでございます。先般の御質問から半年の間でございますが、私どももいら立ちを覚えるような面もございますが、何分にも非常にむずかしい問題でございますので、関係当局と十分打ち合わせをして進めてまいりたいというふうに考えております。
  30. 春田重昭

    春田委員 確かに各省庁にまたがっていますよ。自然公園法では環境庁であろうし、砂防法では建設省であろうし、業者の指導等は通産省になると思いますし、そのほかいろいろな各省庁が入りまじっておりますけれども、前回の質問のときは、各省連絡会議をやりますということで、その中心は、軸は環境庁がやりますということになっておるわけです。しかも昨年から六回ぐらいおやりになっているみたいですが、昨年の七月からこの春、三月ぐらいまで六回おやりになっておりますが、三月以後全然行われておりませんしね。環境庁が確かに調整機関でありますけれども、本当に軸になってやらなかったら、お互いこれは通産省だ、これは建設省だと言ったら、いつまでたっても解決しないのですよ。環境保全、自然破壊等はやはり環境庁が責任持って各省庁に連絡をとって、軸になって率先してやらなかったら、この問題は解決しないですよ、この生駒山系だけではなくして。もっと前向きにやってくださいよ。局長かわったばかりのところでそういう点は非常に酷な質問かもしれませんけれども、今後の環境行政に当たりましては強い姿勢で臨んでいただきたいと思うのです。大阪府でも指導連絡会議等をやっておりますよ。やっていますけれども、大阪だってまだまだこれは弱いのです。そういう点もきつく指導監督をやる必要があると思います。  そこで、前回は私は極端な意見として、土砂採出を全山禁止したらどうかという提案をしましたけれども、これはあくまでも理想でありまして、むずかしいでしょう。そこで提案するわけでございますが、その土砂採出の区域を一部に決めて、そこを理想的というか計画的にやった場合は、そういうあちらこちら、十四業者あるわけですが、その無秩序なる乱開発はないのではなかろうかと私は思うわけですね。そういう点で、採出する区域を決めてやっていったら、その問題もなくなってくるし、その後の緑化の回復にしても跡地の利用にしても、本当に計画的にいけるのではなかろうかという考え方を持っているわけでございますが、この点はどうでございますか。
  31. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘のように採石場所を指定をしてということは、指導の方法として私どもも一つの方法として有効なものではないかというようにも考えております。それにつきましては、各省庁の担当者会議におきましても検討するように、私どもの方から提案をしたこともございます。しかし、土地の所有関係でございますとか、採取業者の数も多いというようなことがございまして、行政的にこの問題は大変むずかしい問題であるというように承知をいたしております。今後とも関係省庁と、この点については引き続き十分協議をしてまいりたいという方針でおります。  なお、大阪府におきましても、この問題について調査を進めておられるようでございますので、よく大阪府とも連絡をいたしまして、検討を続けたいと考えております。
  32. 春田重昭

    春田委員 局長に言っておきますけれども、業者は決して多くありません。十四業者ですから、決して多くありません。  この問題につきましては、業者の指導監督という立場で通産省の方にも御所見を賜りたいと思います。——通産省の方、来ているでしょう。
  33. 福原元一

    ○福原説明員 乱開発防止のために、採石に当たりまして一定区域を設定して計画的に採取をするというようなことをしたらどうかという先生の御指摘でございますが、本件につきまして、ただいま局長が御答弁申し上げましたように、私ども昨年、資源エネルギー長官を通しまして大阪府に通達をいたしました。それを受けまして、大阪府といたしましても関係機関との連絡機関の設置を現在進めているというように私どもは聞いております。通産省といたしましても、これを積極的に応援いたしまして、御指摘の点の検討を進めてまいりたいと思います。
  34. 春田重昭

    春田委員 それからもう一点、早急に対策を立てる必要のあるものが——先ほど言いましたように産廃やヘドロをこちらの方に持ってくるわけですね。遊水地やその他の地域へ不法投棄しているわけでございますけれども、この二次災害が考えられるわけです。有機物を含んだ産廃、ヘドロを投棄する、これが雨によって地下へ流れる。この地域にはまだ井戸水を使っているところが五十世帯ないし六十世席あるわけです。また、田んぼだってあります。こういう問題からして、飲み水としているという点から考えても、そういう新たな二次公害という問題が出始めているわけですね。きのう通産省の方は、そういうことは考えられませんと言ったけれども、私は行って見てきたのです。ちゃんと運搬業者がヘドロや産廃を持ってきているわけですから、こういう問題の対処を考えていかなかったら非常に新たな問題も出てくると思うのです。パトロールをふやすとか、前回は現場に監視所をつくれとか言いましたけれども、何らかの対策をやらなかったら、これは野放しの状態です。この問題はどう考えますか。
  35. 福原元一

    ○福原説明員 一部の採石業者の中に、地下鉄の残土を採掘跡を植栽するために運び返していることは聞いておりますが、産業廃棄物を持って返って埋めているという件につきましては、採石業者の中にはいないというふうに私どもは聞いております。  なお、パトロールの強化につきましては、私どもは大阪府に対します指導の一環といたしまして、大阪府が合同パトロールを府全体として、商工部、農林部、土木部あるいは環境部等の合同パトロールを行うことを、頻繁にやるように指導してございますが、さらにこれに大阪通産局の採石担当官を随行させる、あるいは昨年は本省からも採石の担当官を派遣いたしましてこれに参加させまして、通産省あるいは通産局が一緒になりました合同パトロールを昨年の夏以来十一回実施しております。  なお、二次災害の防止につきましては、特に先生おっしゃいました真砂土の採掘はほかの岩石の採掘と若干採掘技術あるいは防災技術において異なるところがございますので、これにつきましては、資源エネルギー庁内にただいま技術委員会を設けまして、今年度をめどといたしまして真砂土の採掘技術あるいは防災技術の指導基準をつくりたいと思います。これができ次第、現地に参りまして指導するというふうに考えております。
  36. 春田重昭

    春田委員 課長に言っておきますけれども、ヘドロは認めるけれども、産廃とかそういうことはないということでございますけれども、それは恐らく大阪府に聞かれたと思うのですが、大阪府は知らないのですよ、地元から上がってきているのですから。要するに、業者は、いわゆる採石業者と運搬業者とそれから両方を兼ねている業者三つに分かれるのです。採石業者はもし産廃を持ってきたら取り消しになりますからそういうことをやらないでしょう、恐らく。ところが運搬業者は採石法に認められないから、そういうことがないものですから、往復すれば金になってしまうわけですよ。そういう面があるわけです。事実あるわけですから、その点よく調べてください。いいですか。  いずれにしても、この風光明媚な自然環境が大阪から、また日本から消え去ろうという現状なんです。石原長官は、環境庁の使命は自然環境を守り育て子々孫々まで栄えさせていく、それが環境庁の立場である、このようにいろいろなところで御発言になっておりますけれども、私は先ほどから何回も言いますように、この問題は本当に環境庁が率先して先頭に立ってやっていただきたい、このようにお願いするわけでございます。調査費といいますか、予算も若干つけなかったらこの問題に真剣に取り組んでいけないんじゃないかと思うのですけれども、その予算の獲得を長官としてはおやりになる腹はありませんか。
  37. 石原慎太郎

    石原国務大臣 残念ながら来年度はまだこの件については予算要求をしておりませんが、いずれにしましても、おっしゃるとおりこの問題のイニシアチブは環境庁がとるべきものだと私は思います。どうもその現地を見ませんと実感がないといいますか、担当閣僚としての行動の衝動も出てまいりませんので、できるだけ近い機会に、幾つかの視察の案件もございますけれども、近いところでございますから現地を拝見して、環境庁の主導でもう少し複合的な、有機的な対策ができるように積極的に主唱したいと思います。
  38. 春田重昭

    春田委員 長官、三月十一日の分科会でも、私は現場主義であるから必ず折を見まして行きますという答弁をいただいているわけですよ。私もそれをいつかいつかという形で一日千秋の思いで待っているわけでございますけれども、地元住民もそうでございます。近いうちということでございますけれども、それはことしのうちということで理解してよろしゅうございますか。
  39. 石原慎太郎

    石原国務大臣 実は近々、予算委員会が終わりました後の休日に私用で大阪に行く予定がございますので、それを利用できればといまちょっと思いまして、何分近いところでございますから、どれくらいの時間を要するか知りませんけれども、とにかく現場を拝見したいと思っております。
  40. 春田重昭

    春田委員 期待しております。  それから、瀬戸内海の環境保全の問題につき何点かお尋ねしてまいりたいと思います。  最初に、赤潮の問題でございますけれども、赤潮の発生はますます広域化、長期化、多発化の傾向にあるわけでございまして、四十六年ごろからの最近の例を見ましても、四十七年には百六十四件、四十八年に二百十件、四十九年に二百九十八件、五十年においては二百十九件とかなり発生していますし、漁業被害もまた被害額もかなり大きくなってきているわけでございます。  そこで、水産庁の方に最初お尋ねいたしますけれども、この赤潮の原因につきましては、いろんな学者、民間人を問わず関係機関からさまざまな提言が行われているわけでございますけれども、決定的な原因はまだ十分解明されていないと私は聞いておりますけれども、しかしいつまでも原因不明で片づけられる問題でもありませんし、水産庁としては、いろんな基礎研究や実験等をなさっていると聞いておりますが、現在の段階ではどのような点に原因がある、このようにお考えになっているのか、最初にお伺いしたいと思います。
  41. 山内静夫

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  赤潮の発生機構につきましては、先生御指摘のとおり、現在必ずしも解明されておらないわけでございます。しかし、一般的に学者の言うことを聞きますと、燐と窒素、こういうものの栄養塩類が基礎の要因となって、これがプランクトンの発生、増殖の一つの基本になる、こういう考え方でございます。これに加えまして、赤潮発生の要因となるある促進物質、これが存在することが必要であろう、これは鉄、マンガンとか、こういう説もございますが、これに加えまして、赤潮発生に好的な気象の条件であるとか海況の条件、こういうものが必要であろう、こういうことが言われているわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、現在必ずしもその原因が究明されていない、こういう現状でございます。
  42. 春田重昭

    春田委員 答弁者の方にお願いするわけでございますが、時間の関係上私の質問の要旨のみを要領よくここでひとつ答えていただきたいと思います。  それでは、環境庁の方にお尋ねいたしますけれども環境庁としては、この赤潮の原因究明につきましては、どのように対策をとっておられるのか、またお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  43. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま水産庁からお答えがございましたように、まだこの赤潮の発生原因、発生のメカニズム、これが十分解明されておらないわけでございます。ことしもこの八月末に播磨灘で大規模赤潮の発生を見たわけでございます。そこで、一つは水産庁の方とも共同いたしまして調査班というのを編成をいたしております。これは関係の大学とかあるいは南西海区の水産研究所なり関係の水産試験場、各県の水産試験場等の赤潮研究者の方々を中心にいたしまして、それで今回の赤潮の生物、プランクトンそのものがどういうものであるかということ等を初めとして、今回の赤潮の発生の原因、そういうものにつきましてもメスを入れたいということでございます。  なお、この調査班、急遽つくったわけでございますが、さらにいろいろ検討いたしますと、それだけでは——いろんな研究テーマが出てまいりますので、さらに赤潮研究会といいますものを、これも水産庁と共同いたしましてこの九月の二十日に設けたわけでございまして、さらにより多くの研究者を動員をいたしまして、この赤潮の原因解明に取り組んでいきたい、こういうことでございます。
  44. 春田重昭

    春田委員 どうも環境庁の立場としては、赤潮が発生したら調査班を出したり、そうして研究をしたりというような、後追い的な感じがするわけであって、水産庁が中心にやっているからということで、どうもちょっとおくれをとっておるように思うわけですね。環境庁独自としては、そういう研究機関というものは持っていないわけですか。先ほどの南西研究所、あれは水産庁の所管でしょう。環境庁独自で専門的に赤潮だけをやるそういう機関、研究所というものはないのですか。
  45. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境庁が持っております研究機関、付属機関として持っておりますのは公害研究所というのがございますが、これは筑波にあるわけでございます。陸地の上に研究所ができておるということでございまして、水質保全関係の面につきましては、近くに霞ヶ浦等もございますので、その辺も活用しながら、利用しながら、いろんな研究を続けておるわけでございます。  先ほど申し上げました赤潮研究会というものを設けたわけでございますけれども、これにつきましても公害研究所も参画をして、それでやっていきたいというようなことで、直接的に環境庁が赤潮というものに取り組むような、そういう研究機関は現在の段階ではまだ持っておりません。筑波の方の公害研究所もまだ本館等も整備過程中ということでございます。そういう事情でございますので、直接的に赤潮研究に取り組む単独の研究機関は持っておりません。
  46. 春田重昭

    春田委員 中央公害研究所といっても、いま局長おっしゃったように、茨城県の山の中にあるわけであって、海のことなんて、相当隔たりもあるし、むずかしい問題だと思うのですよ。富栄養化対策連絡会ですかも持っておられるみたいですけれども、これも年一回ぐらいで、会があるだけで、余り会議がなされてないみたいでありまして、非常に弱いのじゃないか、こういう感触を持っているわけですよ。  そこで、地元から、この瀬戸内海の環境保全のためには緊急を要するということで、環境科学総合研究所ですか、これをぜひ設置していただきたい、こういう要望が出ていると思うのですが、これはたしか長官、ことしの夏ですか、船上会談がございまして、長官もお行きになってこういう要望をお聞きになったと思いますけれども、この点どうですか。
  47. 石原慎太郎

    石原国務大臣 確かにそういう御要望がございましたが、いま何分、行政改革でこれを簡素化しようという時期でございまして、従来水産庁だけではなしにあちこちの大学でばらばらにやっておりました研究を、環境庁からも国立公害研究所のスタッフが参加しまして、赤潮研究会という形で一元化したわけでございますので、その成果を目下期待してみたいというのが現況でございます。
  48. 春田重昭

    春田委員 そこで、赤潮の原因の基礎要因が燐と窒素で、それにいろんな気象条件や、塩分や、さまざまな条件が相乗して赤潮が発生するという答弁が先ほどございましたけれども、この燐や窒素が出る原因というものには、やはり都市下水と、工場排水と、その他農業、田畑から出るまた養豚から出るそういう屎尿等があると思うのですけれども、この生活用水と、工場排水と、その他の排水と分けた場合、比率的にいったら大体何対何ぐらいになってくるのですか。
  49. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 瀬戸内海に流入します窒素と燐、これの発生の割合でございますが、ただいま先生申されましたように、非常に発生源が多種多様でございます。したがいまして、いろんな推計等をやっておるわけでございまして、その推計結果から申し上げますと、昭和五十一年におきましては、窒素、トータルの窒素でございますが、これの発生源別の割合は、生活排水が四割強、工場排水が三割強、その他、これは農地とか山林とかございますが、その他三割弱程度というふうに見られますし、他方またトータル燐、全燐では、生活排水が六割強、工場排水が二割強、その他が二割弱程度と推計をいたしております。
  50. 春田重昭

    春田委員 そこで、工場排水の問題でございますが、これは瀬戸内海環境保全臨時措置法において汚濁負荷量というものが各県に指示されまして、四十七年の発生当時よりも二分の一という形で目標が各府県に与えられたそうでございます。これは目標を達成したのではないかという形で新聞報道されておりますけれども、間違いないですか。
  51. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、瀬戸内海環境保全臨時措置法におきまして、産業系排水に係りますCODを四十七年当時の半分にするという一応の規定がございます。これは法律施行後三年後までに達成するようにという規定でございます。  そこで、昨年の十一月、三年目が参りましたので確認調査をいたした結果、目標に対しまして一三〇%の達成率ということで超過達成をいたしております。
  52. 春田重昭

    春田委員 産業排水がそういう厳しい規制のもとで十分規制されて守られたということで、これは喜ばしいことでございます。  そこで、残るはその他の排水と生活排水になるわけですが、生活排水は、窒素と燐を除去するためには一つは下水道の完備、またもう一つは洗剤の問題があると思うのですね。  そこで、下水道の整備でございますが、これは建設省の方になると思いますが、瀬戸内海沿岸の府県は大体十一府県という形になっていますね。この下水道の整備といいますか、進捗率は平均何%ぐらいいっているか、また一番高いところで何%か、一番低いところで何%か、これを数字だけ挙げてください。その他の説明は要りませんから。
  53. 遠山啓

    ○遠山説明員 昭和五十一年度末におきまして全国の下水道の普及率は二四%になっております。それで、瀬戸内海に面します十一府県の普及率でございますが、三〇・五%でございます。いまお尋ねの、この中で一番高い普及率を示しておるのはどれかということでございますが、大阪府が五四%、一番悪いのが和歌山県でございまして、二%でございます。
  54. 春田重昭

    春田委員 このように府県によって非常に高い低いがあるわけでございますが、政府としては、この下水道対策、整備でございますが、特に赤潮の原因と言われる窒素、燐が下水道を通して流入するということで、早急にこの対策を図る必要があるわけでございますが、こういう重点的、緊急な地域に対しては、特別な国の助成が必要ではないか、このように考えておりますけれども、この点どうですか。
  55. 遠山啓

    ○遠山説明員 下水道につきましては、昭和四十九年度に大幅な補助率のかさ上げを行いまして、こういった特殊な地域を包含した形ですべて補助率を上げました。それはほかの事業に比べましても遜色のないかっこうになっております。私どもは、さきに申し上げましたような普及率でございますので、事業費を拡大するということを第一に考え実施をいたしております。
  56. 春田重昭

    春田委員 次に、先ほど言った合成洗剤の問題でございますが、ここには燐と窒素、強いて言えば燐が非常に含まれているわけでございますが、この燐を含んだ合成洗剤というものは生活排水の中でどれぐらいの割合を示しているのか、この点御説明願えますか。
  57. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 生活排水の中で合成洗剤に含まれております燐の占める割合はおおむね三割から五割、こう言われております。
  58. 春田重昭

    春田委員 非常に高い比率を示しているわけですね。  そこで、最近、合成洗剤につきまして、通産省を初め環境庁も、何とか燐の規制を図る必要があるのではなかろうか、低減の方向にお考えになっているみたいでございますが、最初通産省の方にお聞きしていきますが、合成洗剤に占める燐の規制というものは、どのようにお考えになっておりますか。
  59. 平河喜美男

    ○平河説明員 私どもの方としましては、従来から合成洗剤中に含まれる燐酸塩の低減ということで業界を指導してきております。これは行政指導でやっております。現在、この指導によりまして、合成洗剤中に含まれておりましたトリポリ燐酸塩の使用量が、昭和四十九年に十二・八万トンでございましたのが、五十一年には七・二万トンと減少しております。  なお、今後におきましては、トリポリ燐酸塩の代替品の開発等も含めまして、より一層低燐化の努力を進めてまいる所存でございます。
  60. 春田重昭

    春田委員 環境庁は、環境保全という立場から考えて、この燐対策はどのようにお考えになっておりますか。
  61. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 富栄養化の要因物質に燐があるわけでございます。しかも、その燐が先ほど申し上げましたように、家庭排水中に相当大きなウエートを占めておるということからいたしまして、合成洗剤に含まれます燐は極力減らしていくという線を今後とも強くやっていきたい。その際に、ただいまもお話がございましたように、環境庁としては、所管省の通産省に対して強く要請もしますとともに、業界の方に対しましてもあわせて強く要請をしたい。  なお、燐の関係は、合成洗剤をつくります際の助剤、ビルダーとして使っておるわけでございますが、何かさらに新しい、燐を含まない形の助剤の開発という面につきましても強く要請をしていきたい。  業界の方では、最近はゼオライトというものが使えないかというようなことで、この面の開発といいますか取り入れるための研究、そういうものにも取り組んでおるということでございます。
  62. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほど通産省の方から答弁がございましたが、通産省通産省なりにいろいろ御努力されているようですけれども環境庁の見地から見ますと、どうもその指導がなお徹底し切っていない感じがいたします。名前はあえて申しませんけれども、業界を代表する大手何社かを比べてみますと、低燐化に非常に意欲のある会社とない会社とはっきりしておりまして、これはやはり好ましくない状況だと思いますので、洗剤工業会の会長をいずれの時点にか環境庁に呼びまして、環境庁側からも業界全体、特に大手が足並みそろえて低燐化に同じ努力をするように強く申し入れるつもりでございます。
  63. 春田重昭

    春田委員 長官の方からそのような答弁があったわけでございますけれども、いま大手二社、第一位、第二位のメーカーですか、第二位のメーカーは燐の含有率を八%ぐらいにしたい、また技術的にもできる、このようにして今月から生産にかかっているみたいでございますけれども、第一のところは、コスト増につながるとか洗度という問題があって、非常に抵抗を示しておるように聞いておりますけれども、第一のメーカーは一二%ぐらい含んでいるということで、その辺でかなりの差があるわけでございます。ただコンパクトでありますので、全体からしたら要するにコンパクトのやつは量が少なくていいから、そういう点からいったら一二%も含んでいないという意見もあるみたいでございますけれども長官としてはなるたけ第二メーカーの八%に近づけるように第一メーカーも指導していきたいというお話がございましたけれども、この点通産省の方は、コストとか洗度といういろいろな問題があるわけでございますけれども環境庁と同じような態度をとっていきますか。
  64. 平河喜美男

    ○平河説明員 御指摘のように、各社別に燐の配合比は必ずしも一致しておりません。私どもといたしましては、トータルを減らすのが第一義でございますけれども、御指摘のようにトップメーカーがおくれているという事実はございますので、そちらにもなるべく低減化の努力を進めるように指導はしてまいるつもりでございます。ただ各社によって技術、原料等違いますので、一律に全社並ぶというのには多少時間がかかるかと思います。
  65. 春田重昭

    春田委員 燐の規制というのは、水質汚濁防止法ではまだ規制されてないわけでございますけれども、早急に基準といいますか、ガイドラインを決めるべきである、設定すべきであると思っておりますが、この点どうお考えになっていますか。
  66. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 窒素、燐とも現在環境基準あるいは排水基準というものの設定にまで至っておりません。  そこで、窒素と燐と見ました際に、窒素の方は非常に量的にも多うございますし、また窒素固定の問題もございまして、削減技術等の面でも非常に困難な面がございます。したがいまして、まず燐、こちらの方に焦点を置きまして、環境なりあるいは排水処理技術、その辺の面のガイドラインといいますか、そういう面の設定等につきましても前向きに今後取り組んでまいりたい、かように思っております。
  67. 春田重昭

    春田委員 さらに、瀬戸内海を航行する船舶の安全対策でございますけれども、瀬戸内海には非常に狭い水路がたくさんあるわけです。明石海峡とか釣島水道とか、また濃霧もよく発生いたしますし、非常に海難事故が起こっているわけでございますが、四十八年に八百五隻、四十九年に六百七十二隻、そのうち六十九隻がタンカーでございます。五十年は五百五十二隻で四十八隻がタンカー、五十一年が六百二十二件で五十六隻のタンカーということで、非常にふえているわけでございまして、この安全対策につきましては、特にタンカー等が事故を起こした場合は環境汚染にもつながるわけでございますので、この辺の安全対策はこれは海上保安庁の方ですかね、その船舶の安全対策につきましてはどのように対策をなされていますか、簡単に説明してください。
  68. 山本了三

    ○山本説明員 瀬戸内海におきますタンカー等の海難の予防に関してでございますけれども先生承知のとおり、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海には海上交通安全法がすでに施行されております。したがいまして、狭水道等で船舶の航行がふくそういたします海域におきましては、航路を設定して航行の法規制を行う、そういうことになっております。こういった法規制と同時に、行政指導によりまして、この法による安全をさらに補強いたします措置を講じております。  そのほか、巡視船等を船舶がふくそういたしております海域に派遣して、警戒を現場で行う、あるいは海難防止講習会等を頻繁に開きまして、関係者の海難防止に対する指導啓蒙を行う、そういった措置をとりまして、瀬戸内等におきまして海難が根絶するよう最大限の努力を払っておるという状況でございます。
  69. 春田重昭

    春田委員 しかし、どんな法律があったとしても、これだけ毎年毎年五百件も六百件も事故があっておったら、法律なんてざる法と一緒ですよ。もっとこの規則の強化とか巡視艇を出して厳しく見守るとか、こういう点で配慮していただきたいと思うのです。時間がありませんのでそれ以上は言いませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  さらに、油流出による海洋の汚染の問題でございますけれども、四十九年の水島事故というのは大きな問題になったわけでございまして、一万キロリットルの油が流入したということで、一週間後には海を渡って四国側の徳島、香川県まで行った、海岸では茶褐色に変色した波がしぶきを上げていたということは先刻御承知のことと思いますが、当時はこれら大量の油流出に対してはその法律がなかったわけですよね。そこで、これの反省として船から出る油に対しては海洋汚染防止法というものが適用され、陸上から流出する油に対しましては石油コンビナート災害防止法というものが適用されたわけでございますけれども、と同時に油回収船の配備が義務づけられたわけでございます。  海洋汚染防止法では第三十九条の四に、総トン数が運輸省令で定める総トン数以上のタンカーの船舶所有者に義務づけるということで、まだ何トン以上ということは決まっておりませんけれども、いずれにしても船舶所有者に義務づけております。また、石油コンビナート災害防止法では百万キロリットル以上の石油を貯蔵する事業者に対してこの油回収船の義務づけをしておるわけでございますが、これは五十一年の五月と六月にいずれも成立しておりますが、三年間の猶予期間があるわけですね。この三年間の猶予期間を設けたというのはどういう理由なのか、時間がありませんので簡単に説明していただきたいと思います。
  70. 山本了三

    ○山本説明員 先生もう御承知と思いますけれども、油回収船の開発につきましては、まだその中途といいますか、十分なものが行われておりません。したがいまして、この三年間の猶予期間を置きまして、この間になおさらに開発整備を図ってまいろう、そういう趣旨でございます。
  71. 春田重昭

    春田委員 それでは海上保安庁としては、いま油回収船は、そういう船舶所有者に義務づけておるわけでございますけれども、一隻もないと考えていいのですか。
  72. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁で整備いたしております油回収船は現在三隻であります。
  73. 春田重昭

    春田委員 その三隻というのは——要するに総トン数以上の船舶所有者に対して義務づけているわけでしょう。ということは、いまその船舶所有者というのは何トンのタンカーを持っているのですか。
  74. 山本了三

    ○山本説明員 油回収船の民間の保有量というのは相当多いのでございます。具体的な数字を申し上げますので、ちょっとお待ちください。——現在わが国整備されております油回収船は約九十隻であります。
  75. 春田重昭

    春田委員 九十隻ありますけれども、その三隻あるというのはどういうことですか。その関係はどういうことですか。
  76. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁が整備いたしております油回収船は三隻、民間で保有いたしておりますのが約九十隻、そういうことであります。
  77. 春田重昭

    春田委員 その九十隻は油回収をする能力があると海上保安庁としては認めているわけですか。
  78. 山本了三

    ○山本説明員 民間で保有いたしております油回収船は、当然に油を回収する性能がございます。
  79. 春田重昭

    春田委員 冗談じゃないですよ。要するにその三年間の猶予期間というのは、いま鋭意検討しておるわけでしょう。開発しているんでしょう。いまの油回収船は能力がほとんどない。あの水島でも相当出ました。九十隻のうち半分は出たわけですよ。全然能力がなかったじゃないですか。相当たたかれたでしょう。したがって、三年間の猶予期間をもっていま研究開発して、本当に油回収にふさわしい、そういう回収船をいまいろいろな大手メーカーに研究させて、そして三年後の五十四年の七月までには各船舶所有者に対してこういう回収船、こういう能力のあるやつをつくりなさいということで、三年間待っているんじゃないですか。九十隻あって、そんな三年間も猶予する必要はないじゃないですか。おかしいですよ、それ。
  80. 山本了三

    ○山本説明員 油回収船の性能でございますけれども、現在開発されております油回収船は、それぞれその機器によって性能が若干ずつ異なっております。これは当然でございます。ただし、この油回収船の決定版と申しますか、そういったものは現在のところまだ開発はされておりません。これは世界的に考えましてもそういう実情であります。したがいまして、現在整備されております油回収船は能力がないという乙とはございません。能力はあります。しかし油というものは、御承知のように濃度あるいは厚さといいますか、そういったものが非常に変化いたします。この変化いたしました油に対応できるような万能の回収船はないというのが実情であります。また、恐らく将来ともなかなか困難であろうかというふうな予測さえつくほどであります。現在三年間の猶予を置きまして、その間におきましてどういった性能のどういった規格のもの、あるいは最も望ましいといいますか、現段階において最も望ましい性能のものはどんなものかということを調査研究いたしまして、整備を図ってまいろう、そういうところであります。
  81. 春田重昭

    春田委員 そうでしょう。現在の油回収船はほとんど能力がないのですよ。だから、いま鋭意検討して開発しているのでしょう。これは読売新聞でも出ておりますけれども、この水島事故の教訓というものは出ておりますけれども、ほとんど役立ってないわけです。だから、波の高さ、また油の流れ方なんというのは理想的な流れ方しないのですから、そういう点で——時間がございませんので本当にそれ以上質問できませんけれども、いずれにしても三年後には各船舶所有者に対して義務づけているわけでございますが、これは大体何トンクラス以上の船舶所有者に対して義務づけようとお考えになっているのですか。もう大体一年たっているでしょう。その辺の構想は大体持っているでしょう。いわゆる石油貯蔵事業者に対しては百万キロリットル以上のタンクがあるところ、コンビナートを持っているところは義務づけているわけですよ。ところが、そっちの方の海上保安庁としては、いわゆる「総トン数以上」とまだはっきり具体的になっていない。この辺はどのようにお考えになっているのですか。
  82. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁といたしまして、先生質問の船舶のトン数についてはまだ結論を得ていないという段階でございますけれども、事務当局の考え方を申し上げますと、約五千トン程度以上の船舶所有者には義務づけよう、そのように考えております。
  83. 春田重昭

    春田委員 仮に五千トン以上の大型タンカーに油回収船を義務づけるわけでございますが、対象者は大体何人くらいですか。
  84. 山本了三

    ○山本説明員 対象の会社につきまして現在数字を持ち合わしておりませんけれども、五千トン以上の船舶の出入港する回数といいますか、出入港するたびに常備を義務づけるわけですけれども、これは約千五百回程度であろうと考えております。
  85. 春田重昭

    春田委員 それが五十四年の七月まで間に合いますか。
  86. 山本了三

    ○山本説明員 なるべく早く省令をつくりまして、なるべく早い機会に整備を図ってまいりたい、そのように考えております。
  87. 春田重昭

    春田委員 なるべくじゃないのですよ。間に合いますかと言っているのですよ。法律で義務づけているのでしょう。間に合いますか。
  88. 山本了三

    ○山本説明員 私どもといたしましては当然に問に合わせます。
  89. 春田重昭

    春田委員 要するに、物理的に考えてみて、設計から建造するのに大体一年ないし一年半かかりますよ。あと二年ないんですよ。調べていますか。全国で建造できるそういう造船所が何台あるか御存じですか。五千トンクラスの——いわゆる何トンクラスの回収船をつくるかわかりませんけれども、全国で百カ所ぐらいしかないんですよ。それも全部造船会社が仕事がなくなったときですよ。千五百隻もつくるのに、全国で大体一年間ないし一年以上かかるのに、たとえ造船会社が仕事がなくても、年間百台ぐらいしかできませんよ。それは千五百台できるはずがないじゃないですか、物理的に考えて。それはおかしいですよ。
  90. 山本了三

    ○山本説明員 油回収船の配備あるいは性能につきましては、現在調査研究中である、こういうふうに申し上げましたけれども、現在段階関係者で協議いたしておりますおおむねの考え方は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、こういった海域を約十の海域に分けまして、その十の海域に油回収船あるいは油回収装置をしかるべく備えつける、そのように考えておりますので、千五百台というわけではなくて、十カ所にということでございますので、私の申し上げたとおり十分に間に合う、そのように考えております。
  91. 春田重昭

    春田委員 そういうあいまいな答弁じゃだめですよ。時間がございませんので、この問題は後日にします。  それでは最後に、長官お尋ねいたしますが、瀬戸内海環境保全臨時措置法というのは来年の十月末で切れます。後継法が問題になっておるわけでございますが、当然環境庁としてはお考えになっておると思いますが、この点はどのようにお考えになっているのか。  もう一点、全く観点は違いますけれども、いま行政改革という問題が非常に話題になっております。長官は五月の七日の閣議で、国土庁は必要ないのではないか、環境庁と合併したらどうか、こういう発言もなさって、翌八日の鳥取の自民党の政経パーティ、また十日の閣議でも、そういう本当に何といいますか、自民党の中においては前進的な発言をなさっておりますけれども、いろいろな物議を醸して問題になったと聞いておりますが、その後長官としてはその決意は変わっていないかどうか、この二点をお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  92. 石原慎太郎

    石原国務大臣 跡継ぎ法に関しましては、先ほど二瓶局長からも付言したかと思いますが、従来の臨時措置法のただ延長ではなしに、たとえば技術的に規制のできる燐など、この後継法の中では規制の対象にするなど新しい眼目を入れまして、りっぱなものをつくるつもりでいま検討中でございます。  行政改革の問題は、私は国土庁が要らないと言ったのではなくて、国土行政環境行政は今日では切っても切り離せませんので、この二つをどちらが吸収、合併するということではなしに、合わせて、イギリスのように非常に大きな比重を持つ省にすべきではないかということを申しまして、それがいささか物議を醸しましたが、私は基本的にはその考え方は変えておりません。  それから、これは後ほどまた資料を提出いたしますけれども、いま保安庁とのやりとりがありましたが、これはしょせん油によります海上汚染の後手でございまして、三月にカーター大統領がタンカーの構造規制を非常に強く要求するステートメントを出しまして、先般そのことでアメリカと、それからもうすでに非常に汚染されておりますアラビア湾沿岸諸国を見てまいりましたので、御興味があれば、そういう前向きの先取りする形の方法についてもひとつ御賛意をいただきたいと思っておる次第でございます。
  93. 春田重昭

    春田委員 終わります。
  94. 芳賀貢

  95. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最初長官考え方についてお伺いしたいと思います。  いま環境庁長官は、新聞社の方々といろいろもめていらっしゃるそうですか、この問題はわれわれに直接関係ございません。しかしその中で、大臣なんてこんなくだらない仕事はないんだ、男がやる仕事じゃないんだとか、あるいはぼくの周りにいた部下、ブレーンもひどいというような発言があったやに聞いておりますが、環境庁というのは非常に重要な役所でございますから、士気にも影響いたしますので、そういう事実があったのかどうかまずお伺いしたいと思います。
  96. 石原慎太郎

    石原国務大臣 後段の方から私説明いたしますが、後段の方は、環境庁のスタッフについて付言したものではございません。これは私の選挙に関したいろいろの話題の中で、私個人の事務所のスタッフの話をしただけでございます。  前段の表現でございますけれども、これも実は前後の文脈が無視されて、そこのところだけ報道されまして、こちらも非常に迷惑をしておりますが、たとえばある人から、盲判を黙って押すのが名大臣であるということをよく覚えておけという忠告もいただきました、あるいはまた他省との絡み合いは全く無視して、とにかくある種のジャーナリズムに拍手喝采されるようなことを、いわば大臣など一過性であるから、やればよろしいという忠告もありましたが、私は、やはり環境庁長官といえども国務大臣でございますので、その他省庁との兼ね合いということの中で、国益を考えて言うべきことはやはり言うべきではないかということで、もしそれらの方々が言うようなものが一つの理想的な大臣像であり、安定した成果を得る大臣であるならば、私はまさしくそういう閣僚はくだらない存在でしかないという意味で申しただけでございます。
  97. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 余り非常識的なことは言われるはずはないと思うのですが、一応記事によりますとそういうことになっております。前回私が質問いたしましたときにも非常に勇気のある発言をいただいておるんですね。縦割り行政の弊害について、ひとつそういう問題についても、環境庁のような先進的な役所というのはいろいろ反対意見もあり、そして前衛的な仕事をしてきた役所だからこそ今後いろいろ問題もあるだろう、障害もあるだろうけれども、蛮勇を持って越えていくつもりだという御答弁をいただいておるわけですが、そういうふうにお感じになったような問題が環境行政の中でたくさんございますか。
  98. 石原慎太郎

    石原国務大臣 非常にたくさんございます。たとえば先ほど春田先生質問されました生駒のような問題でも、確かに縦割り行政が絡み合ってもうがんじがらめになっておりますが、しかし、何らかの省庁の閣僚クラスの人が、ある意味で蛮勇といいましょうか、そういう慣例を無視して、それは非常に関係省庁はいやがるかもしれませんけれども、担当の局長なりを強引に現場に連れていって、そこで局長たちにも現場を見てもらえば解決できるものは解決できますし、積極的な討論ができると思います。現に四十三号線では、知事の強い要請もございましたので、私も現場を見、関係大臣にもお話しまして、異例のことでございますけれども、各省庁から局長に現場まで出ていただきまして、そこでその現場で決まるものは皆さんに決めていただきました。そういうことができれば、環境行政に限らず国民の皆さんに御迷惑をかけずに済む問題がたくさんあるという感じが非常に強くいたします。
  99. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われた縦割り行政のいろいろのしがらみといいますか、そういうものだけですか。あと、やはりそういったものを感じられた場合に、先ほども申し上げましたように、いろいろな障害があっても蛮勇を持って乗り越えるのだ——特に環境行政にはそういう面が必要になると思うのです。諸官庁のしきたりあるいは従来の議会の中のしきたりはあっても、そういうことがないと環境行政は前へ進まないと思いますが、それについて改革を試みられたというようなことはございませんか。
  100. 石原慎太郎

    石原国務大臣 改革と申しましょうか、そういう姿勢でできるケースには従来臨んできたつもりでございますし、これからも、私に限らずこの環境庁を預かる指導者であります政治家は、その姿勢で問題を解決していっていただきたいものだと思っております。
  101. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体長官考え方はわかりましたけれども、今後も環境行政に関しては、担当をしていらっしゃる限りは、いろいろの障害があってもひとつ蛮勇をふるって進めていただきたいと思います。  いまも大臣からお話がありましたように、環境行政というのは非常にいろいろの役所にかかわりがあるということ。そして私も三月三日の決算委員会でこの百六十三号線の四条畷市の周辺の問題をお聞きいたしました。あえて四条畷市周辺の問題だけ申し上げるのではなしに、悪いモデルとして、今後周辺にさらに広がっていくだろう、だから原因を究明することによって今後できるだけそういう乱開発や荒廃を進めないのに役立つであろうということで、あえて再度お尋ねをいたしたいと思います。  そこで、いま各省庁でいろいろの制約があると言われるのですが、たとえば地元の市民であるとか市町村長は、責任者は環境庁であろうと建設省であろうとそういうことは関係なしに、国がしてくれないのだという認識なんです。そういう意味では、それぞれの法律が持った目的があるでしょうから、その目的に従って、環境行政とは直接は関係ないかもわかりませんけれども、それが結果的には乱開発をできるだけ抑えるという効果を発する問題がたくさんあると思います。そういう意味で、まずほかの省庁からお伺いしたいと思います。  建設省から来ていらっしゃると思いますが、河川局関係について、もしあなたが地元の市長さんであるならば、乱開発が現状のように進んでいる状態を、砂防法、河川法そういった立場でどういう措置がとれるか、ということをひとつお教えいただきたいと思います。
  102. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  建設省所管といたしまして、私ども砂防法によります行為規制あるいは制限を行っておるわけでございます。特に、先ほど来お話も出ております生駒山系につきましては、土取りということがあるわけでございますが、あの地域は明治三十二年に砂防法によります指定を行われた地域でございます。先生承知のように、砂防法といいますと、やはり治水砂防上の影響のあるような有害行為につきましての規制を行うというのがたてまえでございます。したがいまして、私権の保護というふうな見地から、いわゆる許可条件、下流に対します有害行為がないような許可条件に基づいて行為が行われるならば、一応許可せざるを得ないというふうなことになろうかと思います。  しかしながら、いろいろと環境の問題あるいはいろいろ他の方面とのかかわり合いもございますので、ああいった地域につきましては関係部局と十分連絡をとりながら、そういった砂防指定地の中におきます許可に当たりましても、関係を十分密接にしてやっていこうというふうなことで、大阪府当局に対しても指導いたしておりますし、現在いろいろ報告を聞いておりますけれども、特に関係を十分とるような強力な姿勢を求めたいと思っております。
  103. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 たとえば乱開発によって、先ほども委員の御指摘があったように、砂防施設の中に土砂が崩れ込んでおる。具体的にそういった場合にはどういう措置をおとりになりますか。
  104. 大工原潮

    大工原説明員 いわゆる有害行為の規制でございますので、そういった流出土砂防止のための施設というものが阻害される要件が他の要件で出てまいりました場合には、当然にしてそれの工事者に対して排除させるとか、そういった命令を出すことになろうかと思います。  府の方から聞いております範囲では、そういった遊水地等に対します投棄等の具体的な要件は聞いておりませんので、改めて府の方から調査を求めたいと思っております。
  105. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういう場合、砂防施設を破壊したり砂防の目的を害するような行為が起こった場合には、これは具体的にどういう行動をとるのですか。
  106. 大工原潮

    大工原説明員 一部におきまして告発等の措置をとった事例がございますけれども、それ以前に、地域におきます関係者の合同によります調査あるいは査察的な見回りでございますが、そういったことを十分にやらしたいと思っております。
  107. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまお話しております地域については、あの付近の中小河川あるいはもう河川法にいう河川でないかもわかりませんけれども、底が土砂で埋まって、雨が降ればしょっちゅう街路上に水があふれているような状態なんですね。これは砂防法の関係からいえばどうなりますか。砂防法の関係でしょうか、河川法の関係でしょうか。
  108. 大工原潮

    大工原説明員 砂防指定地であれば、砂防法によります措置を当然とるわけでございますが、河川法によります指定区間等におきましては、当然河川法に基づく措置ということになろうかと思います。
  109. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 当然この地域は砂防法の指定地域ですが、具体的にそういうことはもうずっと常時行われっ放しなんですよ。四条畷市を通っている権現川といいますが、これだけではありません、その周辺の川は全部底が浅くなっていますよ。そして常時大きな被害は起こりませんけれども、これに対して何らかの処置をとっておられるのでしょうか。
  110. 大工原潮

    大工原説明員 砂防法の指定地内におきまして、いわゆる沢状の地形あるいは河川状の地形をなしておる範囲につきましては、いろいろ砂防工事を実施しております。  いま御指摘のようなああいった花崗岩風化地帯で、土砂が非常にざらざら出てくるというふうな地域につきましては、いわゆるしゅんせつといいますか、そういった行為を行うわけですが、実は新しく砂防の維持修繕費という制度を昨年から設けまして、それに対する補助をするべく現在各都道府県を指導しておりますが、すでに小規模な、より維持的な工事でございますが、そういったものに対しましても建設省といたしましては助成措置を講じ、そういった災害がないように前向きの姿勢で取り組んでおります。
  111. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 災害がないようにと言われるのですが、もうここ十年来ずっとあの付近の周辺の川、ごらんになったらわかりますが、全部底が上がっていますよ。そして、三年か五年かに一遍ずつしゅんせつをやっておりますが、結局土取り、採石、こういうものが砂防施設をだめにしたり河川を浅くしているわけでしょう。具体的に小さいけれども起こっておるのに放置しておった結果が、四十七年と四十九年の例の大東の大水害の原因になったわけですよね。だからこそ裁判所も一応原告側に有利な判決を下しておりますね。それについて、砂防関係については、十四も十五もの業者があるから具体的にどれだということがつかめないかもわかりませんけれども、告発をするとかそういったことをやられた例はこの付近ではありませんか。
  112. 大工原潮

    大工原説明員 土砂そのものにつきましての告発をした事例というのは、私どもの方には報告は受けておりません。
  113. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 結局、採石であるとか土取りというものがその原因になっておるとしたら、だれかがこれを告発しなければならないんじゃないでしょうか。そういう指導もなさったことはありませんか。一遍でもそういうことをやれば、業者がある程度自主的に規制をするとか、あるいは施設を整えるという措置も講ずると思うのですが、そういうことをやられた例は全然いままでお聞きしませんかどうでしょうか。
  114. 大工原潮

    大工原説明員 告発の事例につきましては、全国的には一部事例があるように聞いておりますが、大阪につきましては、具体的にあの地域につきましては報告を聞いておりません。
  115. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 告発の当事者は、これは府知事ですか。
  116. 大工原潮

    大工原説明員 砂防指定地の管理者であります知事でございます。
  117. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういうことを砂防関係についてはいままで御存じありませんでしたか。川が土砂で埋まっているというような状態というのは、御存じありませんでしたか。
  118. 大工原潮

    大工原説明員 全国的に、先ほど申し上げましたように花崗岩風化地帯のみならず、非常に地質的に脆弱な地域におきましては、下流に対しまして土砂害が出るというのがわが国の実態だと思っております。それに対しまして、上流地域に砂防設備特に砂防ダムあるいは流路の区間で発生します土砂を押さえるための流路工、あるいは特に大阪の生駒地域におきましては、適当な砂防ダムの地域がございませんので、沈砂池等を設けまして、そういった土砂の排除というふうなことにも努めておりまして、砂防事業の促進という意味では、全国的にそういった地域に対しまして積極的に取り組んでおるつもりでございます。
  119. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 全国的には積極的に取り組んでおると言われますが、私がいま例として申し上げている生駒山系については、そういう告発をしたりして、業者の自省を促すような行動も行政指導もなさったことはないのですか。
  120. 大工原潮

    大工原説明員 砂防法のみによりますそういった行政指導というのは、非常に困難かと思います。やはりあの地域につきましては、自然公園法の指定地域、あるいは砂防指定地もございますが、そういった他法令等との調整もあるわけでございますが、いわゆる下流に対する土砂害が直接的にそのものから因果関係が明確であるというふうな場合、そういった場合は非常に直接的にできるかと思いますが、地域が大規模といいますか、非常に広範囲であり、しかもその結果が徐々にといいますか、そういった場合に、特定の業者というふうなことも非常にむずかしいかと思います。いま府に対します指導の中で、そういった業者の組合的なものをつくる、そういったことで業者全体での規制といいますか、そういった指導をすべきではないかというふうなことで、最近、先ほどもお話ございました、あそこは十四業者とかいうようなお話を聞いておりますが、その中の十業者はすでに組合組織をつくっておられるとかいうふうなことも聞いておりますので、そういった行政指導で、自主規制も加えまして、規制の方向で、砂防法の範囲で協力してまいりたいと思っております。
  121. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 自然公園法だとか自然環境保全法だとかは後から聞く。ただ、私は砂防法の関係でやり得べきことをいま聞いているわけですが、その中で、十年たってやっと地元の十四業者が集まって協議会をつくってやっているのでしょう。それまでに地元の市町村あるいは地域の住民からは、土砂が砂防地域に落ちていることもあるし、河川にあふれ出ることもあるということでたびたびの陳情もあったし、そういうこともお聞きになっているはずなんですが、砂防法の範囲内ではもちろん限界があると思いますよ。しかし、限界はあるけれども、やれる範囲内のところまで、ぎりぎりまでおやりになったかどうかと言っているのです。それもおやりになっていないんじゃないでしょうかと言っているのです。  一つ一つ、採石法は採石法の立場であるでしょう。河川法は河川法の立場で、砂利採取法は砂利採取法の立場であるでしょう。ですから、砂防法や河川法の立場でそこまでおやりになった、そういうふうな実績がございますかということを聞いているのです。
  122. 大工原潮

    大工原説明員 私ども大阪府に対しましては、砂防法の範囲でできる範囲のことにつきましては行政指導をしておるつもりでございます。
  123. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 行政指導したけれども、結局告発も何もあの地域ではなかったということはどこに障害があるんでしょう。なぜできないんでしょう。
  124. 大工原潮

    大工原説明員 具体的な事例につきまして、私、詳細に承知いたしておりませんので、一般的なことで申し上げますと、やはり先ほど申し上げましたように、直接的な因果関係というのが明確でない事例が非常に多いわけでございます。したがって、そういった意味では、局地的なものよりも、ある程度総量規制的なものといいますか、そういったことでの規制といいますか、そういったことが必要ではなかろうかと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、やはり全体的な組合の自主規制的なものも含めまして、今後強力に行政指導をしてまいりたいと思っております。
  125. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 前回にも質問いたしましたときに、砂防法関係であるとか、採石関係であるとか、それぞれの諸官庁と打ち合わせをいたしました、協議をやっております。というのが環境庁の御答弁ですが、そういう環境庁側から、砂防法は砂防法でやり得る限りのひとつ規制措置を講ぜられるようなことの要請はございましたか。
  126. 大工原潮

    大工原説明員 すでに関係省庁、私どもも入りまして連絡会議を持って、その中でいろいろ討議はいたしております。
  127. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 討議したんじゃなしに、そういう具体的に規制がきくような、乱開発に規制がきくような何か行動をやってほしいというような要請は環境庁からございませんでしたか。
  128. 大工原潮

    大工原説明員 その会議の場におきまして当然に要請はございましたし、それから、われわれもそれに積極的に参加するということで取り組んでおります。
  129. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 結局、砂防法では相手がつかまえられないということで、なかなかできないということが実情なんですね。要請があったのになぜやられなかったのでしょう。
  130. 大工原潮

    大工原説明員 この乱開発といいますか、そういった事例が現在急に起こってきたということではなくて、過去にかなり長い間に非常に規模が大きくなり範囲が広くなってきたというのが実態だと思います。現在採取しておる業者あるいは過去に採取した者その他あわせまして、そしてこれからどうするかというふうなことにつきましていま関係庁ともお打ち合わせをいたしておりまして、いろいろな砂防法上の限界といいましても、必ずしもそれのみで律し切れるというふうなことは非常にむずかしい条件がございますので、そういった意味で関係各省と御相談をし、あるいはわれわれもできるだけその中で努力していきたいと思っております。
  131. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これ以上砂防関係だけ言っておれませんけれども、どの法律もそれぞれの目的は最初に言ったとおりあるわけです。ですから、ある程度の限界があるのはわかっておりますけれども、やれる範囲内のことをおやりになったか、それだけのことを聞いているのですが、どうもはっきりお答えいただけない。それぞれの役所がみんな自分のところの守備範囲じゃないというような姿勢がうかがわれてなりません。  それじゃ、次にひとつ森林法の関係についてお伺いしたいと思います。
  132. 江藤素彦

    ○江藤説明員 森林法関係につきましてお答え申し上げます。  まず保安林を除きますところの——保安林につきましては後から申し上げますが、保安林を除きますところの一般の森林について先に申し上げますと、林地の開発につきましては、すでに昭和四十九年の五月一日改正の森林法第十条の二の規定に基づきまして、特に地域森林計画の対象となっておりまするところの民有林につきまして、これにおきまして一定規模——定規模といいますのは一ヘクタールでございますが、一ヘクタールを超える開発行為を行おうとする場合には、開発行為を行おうとする者につきましては都道府県知事の許可を要するということになっておるわけでございます。都道府県知事はこれに際しまして、開発許可申請がありました場合には、後ほど申し上げまするが、許可基準をつくってございますが、この許可基準のいずれにも該当しないと認められるときはこれを許可しなければならないということになっておるわけでございます。なおまた、許可の審査に当たりまして都道府県知事は、関係者の意向が十分に反映されますよう関係市町村長等の意見を十分に聞くことというふうにしておるわけでございます。  許可基準についてでございますが、これを具体的に申し上げますると、まず第一点といたしましては、開発行為の対象となっておりまする森林の有しておりますところの災害防止の機能から見まして、開発行為によりましてその森林の周辺の地域において土砂の流出とか、または崩壊その他の災害を発生させるおそれがある場合というのが一つでございます。  それから次に、開発行為の対象となりまする森林の有する水源涵養の機能から見まして、開発行為によりまして関係地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、こういうのが二点目でございます。  それから最後の三つ目に、開発行為をする森林の現に有しておりまする環境の保全の機能から見まして、開発行為によりましてその森林の周辺の地域におきまする環境というものを著しく悪化させるおそれがあるというような場合、この三つの場合でございます。  また、許可された開発行為につきましては、申請書、添付書類の記載内容または許可された際付されました条件に従いまして開発行為が行われているか否かにつきましては、施行状況調査実施いたしておりますし、それからまた、開発行為が完了いたしましたときは、完了確認のための調査実施することとしておるわけでございます。  それから次に、保安林制度につきまして申し上げますと、森林法におきましては、水源の涵養とか災害の防備といったような国土保全上特に重要な公益的な機能を有しておりまする森林を保安林といたしまして指定しておるわけでございます。立木の伐採制限や作業行為の制限等の規制を行っておるわけでございます。  すなわち、保安林に指定されました森林につきましては、まず第一点といたしまして、非常災害の場合等特別の場合以外につきましては、知事の許可を受けなければ立木の伐採をしてはならないというふうな立木伐採制限というのがございます。  それから二つ目に、同様に特別の場合以外は知事の許可を受けなければ立木地区の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、土石の採掘あるいは開墾、その他の土地の形質を変更する行為等をしてはならないというふうにされておりますところの、いわゆる作業行為の制限というものがございます。  それから三つ目にまた、保安林の指定のとき定められまする指定施業要件に従いまして、伐採跡地には植栽しなければならぬというふうな義務を課しておるわけでございます。  それから最後に四つ目といたしまして、このような制限を付されました保安林の解除に当たりましては、当該保安林の持っております重要性というものを慎重に考慮して対処することにいたしておりまして、保安林解除の申請がございますれば、都道府県知事は当該の森林の所在いたしまする関係市町村長の意見を聞きますとともに、特に重要な案件につきましては、都道府県森林審議会というのを置いてございますが、この都道府県森林審議会の議を経た上で措置するか、都道府県知事意見を付して農林大臣に上申するというような手続をとっておるわけでございます。  以上でございます。
  133. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言われたのは、土砂の流れのおそれのあるときとか、あるいは水源涵養に著しい影響があるとき、あるいは環境を著しく悪化する、この三つの条件さえ許せば開発するけれども、それ以外は開発の許可を許さないというのは、林地開発許可制度の問題ですね。それは四十九年の十月の末から施行されたわけですから、それ以後は、今後の問題についてはそれだけでも乱開発というのは相当大きく阻止することができる要因があるというふうに見てよろしいですか。
  134. 江藤素彦

    ○江藤説明員 先生のおっしゃるとおり見て結構でございます。
  135. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ただしかし、現状すでに開発しておるところ、四十九年十月三十一日現在もうすでに開発しているところは手が及ばないわけでしょう。そういうところはどういうことになるのですか。
  136. 江藤素彦

    ○江藤説明員 先ほど申し上げましたように、法律改正になりましたのが四十九年五月一日でございまして、十月の末日に施行されております。それ以前につきましては、施行当時に付されました問題点といたしまして、既着手行為につきましてはこれに及ばないということで、いままですでに着手しているものにつきましてはこの法律が適用されておらないわけでございます。
  137. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうしますと結局、すでに早くから採石をやったり土砂を採取している既得権ですか、いわゆる既得権のあるところはいまのままやむを得ないというのが森林法の関係では実情ですね。
  138. 江藤素彦

    ○江藤説明員 現在そのようになっておる地域につきましてはおっしゃるとおりでございます。
  139. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 新しいところはそれでいいのですが、それじゃその森林法の改正になる前にも歯どめをするような措置はとれなかったのかどうか、森林法では。
  140. 江藤素彦

    ○江藤説明員 改正以前につきましては、やはり私どもの立場といたしましては、森林を健全に維持造成し、育成していく、管理していくのが任務でございますので、そのような指導はしてきているわけでございます。
  141. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま話題になっておる四条畷の周辺を見ましても、いまでこそずいぶん範囲が広まりましたけれども、周辺にまだ緑がたくさんあった時分に何らかの措置はとれなかったのでしょうか。そのときの手立てというのはあったと思うのです、全くないということはないと思うのですが。
  142. 江藤素彦

    ○江藤説明員 当時の開発の現況等の問題点がいろいろあったろうと思うのでございますが、当時にさかのぼりますれば、いわゆる保安林以外の、普通林と申しておりますが、森林につきましては、残念ながらそのような制限がなかったわけでございます。
  143. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 保安林指定というのはむずかしいのですか。
  144. 江藤素彦

    ○江藤説明員 保安林の指定につきましては、目下も、実は昭和二十九年以来第一期保安林整備計画、それから三十八年以降が第二期保安林整備計画、それから四十八年以降に第三期保安林整備計画ということで、積極的な指定を推進しておるわけでございます。しかしながら、この保安林につきましては、いわゆる私権の侵害といいますか、こういう問題が伴うものでございまして、したがいまして、所有者の同意を得ながらこれを指定してきておる次第でございます。したがいまして、その所有者の同意の得られにくいところにつきましては指定が困難である、こういう実態でございます。
  145. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 当時でも、保安林指定がもし地元の同意を得られるならば、法改正以前でもある程度伐採を許さないような措置というのはとれたはずですが、実際にはそういう指導というものはなされたでしょうか。
  146. 江藤素彦

    ○江藤説明員 ただいまもお答え申し上げましたとおり、昭和二十九年以来、保安林整備臨時措置法によりまして保安林整備計画を進めておるわけでございます。第一期の保安林整備計画は先ほど申し上げましたように昭和二十九年以来十年間でございますが、この間に防災関係の国土保全関係の保安林の整備を中心にいたしまして整備を進めてまいりました。それから第二期の昭和三十九年以降四十八年までの十年間におきましては、水源涵養保安林を中心にいたしまして整備を進めてまいりました。目下第三期の保安林整備計画につきましては、社会的な要請もございますので、保健保安林を中心にいたしまして整備を進めておりまして、目下のところ約七百万ヘクタールの保安林の指定を行っておるわけでございます。
  147. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 むしろ自然の豊かな地域での保安林を進めていらっしゃるけれども、本当を言えば、規制措置ということから考えれば、大都市周辺のところに地元とある程度話し合いをして保安林を設定すれば、いまのような惨状というものは起こらなかったと思うのです。先ほど石原長官、自分の体で見ないことには、目で見ないことにはということですから、目で見ていただく時間的余裕がありますから、ぜひ写真だけ見ていただいて、現状の三分の一でも四分の一でもひとつ認識をしていただきたいと思うのです。(資料を示す)森林法関係でいっても、当時本当言えば地元の了解を得て、地元の市町村長もやかましく言っておったわけですから、せめてまだ開発されてないところを保安林にするとかなんとかの措置もとれなかったかと思うのですが、それも見送られたままになりました。  次に、問題を発生させる原因になっております採石関係について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  148. 福原元一

    ○福原説明員 採石法について申し上げます。  採石法は、災害未然防止の見地から岩石採取計画認可制度と、それから具体的措置命令制度と、この二つが主なものでございます。岩石採取計画は、採石業者が事業実施に先立ちまして採取場ごとに採取方法、それから災害防止対策等を示しまして都道府県知事認可を得るということになっております。知事はこの認可に当たりまして、自然公園法、森林法、砂防法等の関連法規との調整を行いまして、関係市町村協議を行って認可をするわけでございます。つまり採石法によります計画認可は、関係法規の要求をすべて満たさなければ認可されないということになっております。  次に、具体的措置命令でございます。違法採取の場合はもちろんでございますが、採取計画に従って事業実施している場合にも、知事が災害発生のおそれがあるという判断をいたしましたときに発動されるものでございます。また、採石の跡地の災害、これを防止するためには、事業を廃止いたしましてもなお二年間は知事が業者に対して災害防止命令を発することができるということになっております。さらに採石法に基づく事業実施は、関係法規との調整が十分行われるということが大事でございますが、跡地処理につきましても、最も関係の深い法規による規制との調整を図りながら業者を指導していくということになっております。お話のございました生駒地域につきましては、今日、昨年の夏以来このような法律によりまして命令を発するというような事態はございません。  それから岩石採取計画につきまして、現在採掘を行っております業者はすべて採掘計画を認められまして認可を受けてやっておるわけでございますが、昨年の夏、資源エネルギー長官から大阪府に通達を改めて出しまして、指導監督の励行方を要請しておるわけでございますが、それを受けまして——その通達の中に、さらにその現場の巡回、監視、これを徹底するようにということを申したわけでございます。これにつきましては、大阪通産局並びに本省といたしましても、担当官を随時派遣いたしまして共同してパトロールしておるということでございますが、昨年の六月以降ことしの九月までに、事業所にいたしまして延べ百十六カ所パトロールいたしまして、そのうち六十二件につきまして口頭または文書で注意を与えております。  以上でございます。
  149. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 パトロールもし、指導もいたしましたということなんですが、現状はいまそこに写真で見られるとおり、時間雨量二十ミリの雨が降るような状態であれば——すぐ下に府営住宅が、相当大きな団地が建っております。ですから、いままで生駒山系で時間雨量二十ミリの雨が降った例がないからということで安心しておりますが、住宅のすぐ目の前に荒廃されたままの、乱開発されたままの土砂がたくさんあるわけですね。こういう結果を来したのですが、最近でこそある程度採石法も強化されましたけれども、採石法でもう少し業者の監督というのは十分にいかなかったものでしょうか。
  150. 福原元一

    ○福原説明員 私どももその辺さらに監督を強化するということで、先ほど申し上げました長官名の通達を大阪府に発したわけでございますが、そのほか私どもといたしましては、全国の採石の担当者会議、これは通産局の担当者会議並びに都道府県の担当者会議等を年一回開きまして、実はことしは本日福岡でやっておるわけでございますが、そういうところにおきましてわれわれの指示を再度徹底させるということ、並びに本省におきまして都道府県並びに通産局の採石担当者の研修を実施いたしております。その際に採石法についての教育、これはもちろんでございますが、関連法律に対しても教育いたしまして、指導に当たっての徹底方を図っておるわけでございます。
  151. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 文書で大阪府を指導したり会議で指導するだけじゃなしに、先ほども砂防の方にも申しました、現に川が常時土砂で、しょっちゅう改修しなければならないという状態がきておる。これは採石の結果だということは当然わかっているのです。それに対して何らかの告発措置をとるとか、あるいは最初に許可したときの条件と外れておるところがあるから告発するとか、そういうような措置を一回でもおとりになったことがあるかどうかです。
  152. 福原元一

    ○福原説明員 申し上げましたように百回以上にわたりましてパトロールを行っておるわけでございますが、その場で発見されたものにつきましては随時その場で指導しておるわけでございますが、昨年の夏以降、私ども聞いておりますところでは、告発等に至るほどの事件は発生していないというふうに聞いております。
  153. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 採石関係というのは、結局は掘ることを目的として、その掘るための条件だけですから、やはりいろいろ限界もあるということもわかります。しかし、先ほどからずっとお聞きしていますと、森林法の関係からいっても、砂防法、河川法の関係からいっても、採石法の関係からいっても、その法律の持っている範囲内のいろいろの条件をフルに使って、地元に少しでも業者が反省をするような措置をとっているかということになると、残念ながらどの省もどの課もそういう措置をとっていらっしゃらない。大阪府も十分なことはできてないだろうと思います。結局、そういうことになると、先ほども繰り返されましたけれども、各省庁寄り合い世帯で、お互いに責任の守備範囲外だということで責任のなすり合いというような形に終わっているのが現状じゃないかと思うのです。そういう実情で環境庁として歯がゆい思いをしていらっしゃり、法律の制約もあり予算の制約もあるけれども、とり得る手段というものは本当はあったはずなんです。  いま図面で見ていただきました。公園の指定地域が青い線で囲まれておりました。そして、青い線の公園地域の中は確かに道路のそばであって、四十四、五年から六、七年にかけて開発されておりました。あのときに地域の国定公園の指定をもう少し範囲を広くやっておったならば、あんなに大きく、ちょうど府営住宅の上あたりにまで広がるということはなかったはずです。あるいはまた森林課の方でその地域に対して保安林指定をやるということをやっておったならば、そういうことはなかったはずなんです。現状では完全に荒廃していますからそういう指定もできないでしょうけれども、そういう地域がまだたくさんほかにもあるということなんです。  そういう意味では、国定公園なりあるいは府県の公園なりについて相当な見直しもやらなければならない地点があるのじゃないかと思うのです。現に大阪府側は非常に厳しくなりました。だから、住民世論もあってある程度乱開発がとまっております。一つは経済的な事情もあるでしょう。お聞きするところによりますと、採石法の関係で言えば、今後もずいぶんと採石関係というのは予想されます。五十年度で三億九千万トンだそうですか、これがさらに川砂利の不足で、今後は山を崩して採石をどんどん広げていかなければならぬ。特にいまの政府では、公共事業を中心に進めていらっしゃるわけですから、道路、河川あるいは港湾等の骨材としてどうしても欠くことができない問題ですから、いまの地域以外にさらに採石地域が広がるおそれがあります。そういうときに公園の見直しをやる計画、そういったものも必要だと思いますし、もっと地域に密着した線引きというものもなさるべきだと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  154. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘のように、この地域は、国定公園の地域におきましても採石が行われておりますけれども、それ以外の地域でも非常に行われておった、現在もそれが続いておる、そのために自然環境が非常に悪くなっておるということがございます。私ども自然公園法といたしましては、先生御案内のように、国として景観を保全すべき一番大事なものは国立公園にいたすわけでございます。その次にこれに準ずるものを国定公園といたしまして、これは主として都道府県知事から、地元におきまして調整をした上で私どもの方に御相談がございまして、そして国が国定公園として指定する。したがいまして、その中におけるいろいろな行為の規制等につきましても、都道府県知事にお任せをしておる部分が非常に多いわけでございます。そういう意味におきましては大阪府にお願いすることが非常に多いわけでございますが、大阪府は御案内のように国立公園の地域はございません。国定公園としても数少ない地域の一つでございますので、大阪府も非常にこれを大事にしなければならないということは十分承知しておられると私ども承知しております。したがいまして、この公園の地域につきましては、当該地域だけではなしに、全般的に当該国定公園地域の見直しということも必要になってくるかと思います。大阪府においてもその御検討はなさっておられるというようにも承知しております。ただお申し出が出るまでには府としても関係機関の御意見を聞いたり調整をされるということが十分に必要であると思いますので、お申し出がございましたら、私ども当然検討をすべきものであると考えております。
  155. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 地方団体の申し出がなければできないという制度になっておるところに問題がありますけれども、それまでは、いまの御答弁だったら、環境庁としては受け身の構えなんですね。長官が積極的に蛮勇をふるってやりたいと言っておられるのに、事務当局は非常に受け身の感じしか受けません。環境庁のやる仕事というのは、採石の方からいってもむしろ目の上のこぶでしょう。やりにくいでしょう。だから蛮勇をふるわなければできないんじゃないでしょうか。見直しをやっておられない。やろうという姿勢も非常に乏しいのではないでしょうか。  環境庁の姿勢が非常に乏しい例がたくさんございます。どうしても公園地区の指定ができないという理由の中には、結局いろいろ制約が生まれる、自然公園の中では何もできない、民有地であってどうにもできないというところもあるでしょう。土地の売買に絡む問題もいろいろあるでしょう。しかし、そんなことを言っておったのではとまらないわけでしょう。そうするとある程度地元ともっと話し合いをしていかなければならない。そして公園指定をする、あるいは特別地域に指定をする、積極的に買い上げていくというふうな姿勢がなければ、これは民有地だからだめなんだということでは、ますますいまの乱開発が、先ほども申し上げましたとおり、骨材としての採石が今後ますますふえるだろうと予想されるわけですから、すでに開発し尽くされてどうにもならない地域をモデルにして、今後はそういう事態を起こさせないと言ったってそれも保障されないんじゃないでしょうか。そういう意味では非常に消極的だと思うのです。消極的な例として、交付公債元利償還金等の補助金によって民有地を特別地域として指定して、そして民有地を年間六十億ですかの範囲内で買い上げるという制度がございますね。これを見ましても、四十九年度に一億一千万余らしております。五十年度も一億一千三百万ほど余らしております。そして、すでにもう余るということがはっきりわかっているものだから、流用がそれぞれ二百三十八万円と五百七十五万三千円、余らしておりますね。いかに環境行政に対して消極的かということが数字でこれはあらわれていると思うのですが、五十一年度はいかがでしょう。
  156. 石原慎太郎

    石原国務大臣 専門的なことでございますので政府委員から答弁いたします。
  157. 出原孝夫

    ○出原政府委員 五十一年度につきましては、国立公園、国定公園を合わせまして四カ所につきまして総額六億の買い上げをいたしております。
  158. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 予算と、買い上げと、不用額は出ているのか出ていないのか。
  159. 出原孝夫

    ○出原政府委員 予算の具体的な数字を手元に持っておりませんので、ちょっといまお答えがむずかしいのでございますが、若干残っておるはずでございます。枠といたしましてはなお余裕がございますが、結局ここまで話がついて買い上げることができたということでございます。
  160. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ことしも残っているわけですね。民有地をもっと積極的に買い上げてでも環境保全のために積極策を講ずるのだという姿勢はないんですか。もちろん土地のことですから、値段の交渉とかいろいろ障害はあると思いますよ。しかし、そういう姿勢さえあれば、熱意さえあれば、もう少し前向きで検討ができるはずだと思うのですが、二年も続いて三年もまたさらに不用金を生じていくということ自体、環境庁の姿勢を疑われてもやむを得ないのではないでしょうか。
  161. 出原孝夫

    ○出原政府委員 その点につきましては、私どもも、特にこれは私権を制限することでございますので、環境庁としましては都道府県にお願いをして、これを買い上げるというようにできるだけ努力をしていただきたいということで話をいたしております。  ただ問題になっておりますネックは、私ども自然環境保全するということからいくわけでございます。ところがこういった土地は非常に自然環境のりっぱなところでございます。しかも個人の所有の土地でございますとなかなか売られない。むしろ国立公園の地区から外してほしいというような御要望さえ出ることが多いわけでございます。そういう意味におきまして、値段の折り合いがつかないという問題とあわせまして、いま申し上げましたようなことでなかなかお持ちの方が売りたがられないということもございます。ただ私どもは、できるだけそういう意味で国のものにしておきますのが今後の自然環境保全上は重要でございますので、今後とも努力はいたしてまいりたいというように考えております。
  162. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 去年、おととし、四十七年以来買い上げになっているところも大分民有地もあるわけですし、なるほど豊かな自然を保存するためにも買い上げなければならぬでしょうけれども、むしろ乏しいところだからこそ買い上げなければならぬところも多いと思うのです。予算の不執行になるような、不用額を生ずるようなやり方がどうかと言っているのです。土地のことですから、なるほど値段の折り合いとかそういうものもあることはわかります。わかるけれども、そういう姿勢をとられて地元に臨まれたのかどうか。たとえば地元の大東であるとか、交野であるとか、四条畷の市長はたびたび環境庁に来ております。しかし来ておりますけれども、そういうお教えは一つもないわけです。市長さん、こういう方法がありますから、地元を説得してどうしてもこういうところは買っておかなければならぬと思いますから買い上げましょうや、そういう御相談でもなさった経験があるかどうか、一回もそういうことがないですか、いかがでしょうか。
  163. 出原孝夫

    ○出原政府委員 一般論で先ほどお答えを申し上げましたので、その点先生の誤解を私がお招きしたのではなかろうかということを恐れますが、このようにして買い上げることができますのは、私権の制限の非常に強い地域でございます。したがいまして、特別保護地区でございますとか、特別地域におきましても、第一種というように私権の制限をきわめて強くお願いするという地域に限られるわけでございます。いまの該当の土地につきましては、そういう意味におきましては私権の制限の比較的緩やかな地域でございますので、そこまで現在の段階で買い上げを広げるということはむずかしゅうございます。
  164. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 だからこそ当然公園地域に指定しなければならないところも、そのまま地元から何も言ってこないということで見送ったために、実際やっておった当時から五倍の乱開発を許したことになるのです。だからひとつ、公園の見直しもやったらどうでしょうか。そして公園の見直しをやって、その中で特別地域の指定をやって、重要なところは買収させるという手をお打ちになるのが至当じゃないですか。具体的に申し上げているのですよ。しかしもう手おくれだからそこはだめです、これでは問題にならないと思うのですよ。いま問題になっておる百六十三号線の四条畷のところだけじゃないのです。公園地域から外れている京都府や奈良県へ行ってごらんなさい。あそこの比じゃないのです。実際に見ていただきたい。長官、先ほどお約束なさったのですから、現在荒れている四条畷ではなしに、もう一つ山を越えた向こう側、田辺町あたりを見ていただきたい、もっとひどいです。田辺町から対岸の京都の南山城方面も目で見ていただきたい。どんなにひどいことになっているかということをぜひ見ていただきたいということをお願いしたいと思います。
  165. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほど申しましたけれども委員会が終わりました後でちょっと御相談させていただきますが、近々に伺いたいと思っております。  おっしゃることは非常によくわかります。とにかく国定公園でございますから、その国定公園が先ほどの写真で拝見するようなていたらくになっておれば、これはまさにその地域がどういう指定を受けていようと、とても公園の名前に値しないといういかなる人が見ても明瞭な結果が出ているわけで、そういう意味で、国定公園というものの中の指定地域のあり方というものを、基本的にこういう例を見て考え直すべきだと私は思います。そういう作業を環境庁の中で行ってみたいと思っております。
  166. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 最後に、もう時間がございませんが、一言だけ。  先ほども御指摘があったとおり、いまの写真で見られた土砂をとった穴のあいたところへ、汚泥であるとか産業廃棄物であるとか一般廃棄物であるとか、そういうことに関係なしに放置しているわけですね。これも当然厚生省の問題だと思うのですが、これについて環境庁としても何らかの措置をとっておられるのか、そしてそういう現実を御存じなのかどうか。
  167. 出原孝夫

    ○出原政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、基本的には大阪府に委任をいたしておりますので、大阪府の報告を得てということになるわけでございますが、私どももそういった事情があることは承知をいたしております。具体的には、数は少のうございますけれども自然公園法あるいは砂防指定地取締規則の違反というようなことで、地元の警察に告発した例もあるようでございますので、私どもはさらに監視を厳重にするように大阪府当局とも十分協議を続けてまいりたいと思っております。
  168. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 厚生省も来ていただいているわけですから、これに対して直ちにこういうことをなくするような措置をどうしたらいいのかひとつお示しいただきたい。
  169. 三井速雄

    ○三井説明員 先生御指摘のとおり、この地域におきまして過去におきまして、紙くずであるとかあるいはプラスチックであるとか、そういうものを不法に投棄した、それを埋め立て処分の場所として投棄しておった、それを商売にしておる人たちというのがあったという報告を受けております。大阪府の環境当局でございますけれども、それはその時点で発見をいたしまして、現在はもうそのようなことはない。  ただ、不法投棄と申しますのは、いわばトラックを一台持ってまいりまして一瞬間のうちに捨ててしまうということができるものでございますから、実際問題として事前に取り締まるというのは大変にむずかしい問題でございます。全国的に申しまして、約三千数百人の環境衛生指導員というのがおりまして、これがそういう県としての、あるいは政令市としての取り締まり担当をしておるわけでございますけれども、そういう人たち努力にもかかわらず、なおかつ不法投棄が後を絶たないというのが正直申しまして現状でございます。考えてみますと、そういう対症療法的な問題でありますよりも、やはり制度の中でそういうことができなくしていくということが一番大事であろうというふうに考えております。ことしの三月十五日に施行になりました廃棄物処理法の改正法におきましては、そういったものを、運び屋の責任ではなくて、それを出す排出事業者がそういうものに頼むことが問題であるというように制度をまず変えましたわけでございます。したがいまして、そういう許可を持たない業者あるいは捨ててはいけないところに捨てる業者に頼んだ排出事業者自体がその責任を持たなければならない、こういうことになりましたので、現在の制度ではそういうことはなかなかむずかしくなってまいりました。あるいは実際上、それをやると大変損になるという事態が生まれつつあるわけでございます。  ただ、制度を改正いたしましてから、時間がまだ十分ではございませんので、そういった新しい制度は十分に事業者に理解されていないという点がございますので、現在、そういったことを事業者に十分に周知せしむるということを重点に置いて私ども行政を進めておる次第でございます。  それから、さらに深く考えてまいりますと、捨ててはいけないと幾ら申しましても、現実に産業廃棄物というのは生産すれば必ず出てくるものでございますから、それをやはりどこかに持っていって始末しなければならないということがございますので、そういった最終処分地の確保を別の観点から考えていく必要があろうということで、現在、私どもはいろいろな案について検討しておるという状況でございます。
  170. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、いま長官お聞きいただいたとおり、森林法でいっても砂防法でいってもどの法律でいっても不十分である。結局は環境庁が中心になっていただかなければならないと思います。特に採石法の適用を受けてないいわゆる土砂、これはどこにも法律にないと思うのです。建設省関係ない。砂防法にも関係ない土砂の採取、これについては時間がございませんから触れませんけれども、これも大きな問題だと思います。ですからこういうものを含めて、予算不用額が生ずるようなことがないような積極的な環境行政を進めていただきたいことをお願いいたしまして、長官最後の決意をお願いしたいと思います。
  171. 石原慎太郎

    石原国務大臣 御趣旨理解をいたしましたので、しかと承りましてそのように努力します。
  172. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  173. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいまの馬場委員質問に対して、政府側から自然公園関係に関する予算の執行内容についての説明が不十分でありますので、この点については速やかに資料整備して、午後の委員会において改めて事務当局から説明を求めます。     午後二時から再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後二時十三分開議
  174. 芳賀貢

    芳賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、午前中の馬場委員質疑に関し、出原政府委員から補足説明の申し出がありますので、これを許します。出原局長
  175. 出原孝夫

    ○出原政府委員 午前中の馬場先生の御質問にございました自然公園の買い上げに要する予算昭和五十一年度の件でございますが、予算額四億九千百八十五万三千円に対しまして、支出済み四億八千三百二十六万四千円、差し引き八百五十八万九千円の不用を残しております。なお、この予算額四億九千百八十五万三千円は、当初予算六億九千八百三十万九千円から補正減二億六百四十五万六千円を差し引いたものでございます。  以上でございます。
  176. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑を続行いたします。北山愛郎君。
  177. 北山愛郎

    北山委員 私は、環境保全の問題についてきわめて常識的な問題を二、三お伺いしたいと思うのです。     午前の、質疑の際に、問題の環境影響事前評価の制度、これを法制化する、法案を出すという問題につきましては、政府としてはさらに作業を続行して、次の通常国会に提案されるということでございますから、私からもこの点は間違いなく実行していただくように強く要請をするものでございます。何しろこの国会にもすでに公明党さん、それから私ども社会党の方からと、野党の方から二つも法案が出ているわけですから、野党に出さしておいて、そして政府の方はまだまだできないということでは、これはいけないと思うのであります。ですから、そういう点からしましても、ぜひとも速やかにそれを具体化していただきたい、こう思うのです。  それに関連をして一つ納得のできない問題は、実はこの制度化の作業をずっと続けてまいりました前の柳瀬企画調整局長が突然辞表の提出を要求されて局長をやめたということなんです。私ども、国家公務員というのはそんなたやすく首を切られるものじゃないと思うのですね。なるほど管理職ではあるかもしれませんけれども、やはりやめさせる原則というのは公務員法にも原則がありまして、その身分、分限については公正でなきやならぬ、ある一定の条件以外においては本人の意に反して罷免されたりすることはない、こういうふうにあるわけです。もちろんそれは本人が承諾したのだから、これは本人の意思に反したのではないのだ、こう言われるかもしれませんけれども、これは事実上本人の方から自発的にやめると申し出たのではなくて、辞表を出してください、こういうふうに迫られたのですから、実質上においてはやはりやめさせるという結果になったと思うのです。ですから、いままで環境影響評価制度の立法化について長い間一生懸命努力してきました人が、これからさらにその作業を続行して通常国会に間に合わせようというときに突然やめさせられたということはどうも納得がいかないのですが、その問の事情、そのやめることになった理由、それをひとつ長官からお話し願いたいのです。
  178. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しくは後ほど政府委員、官房長の方から御説明させていただきますが、私は決して唐突な人事であったとは思っておりません。御承知のように、環境庁は厚生省と非常に深いかかわり合いがございまして、厚生省の人事との絡みで内々この人事についての検討が行われたわけでございまして、確かに前企画調整局長の柳瀬さんはアセスメント法を前国会に提出すべくいろいろ御努力を願っていたわけでございますけれども、しかし何と申しましょうか、役所には役所の人事の季節というのがあるようでございまして、そういう絡みであのような形の人事になったわけでございます。でございますから、決して——御質問にございませんけれども、実は先般も参議院の公環特でございましたか、御疑念があったのでお答えしたのですが、これはアセスメント法の今後のあり方あるいは進め方について一切かかわりはないということはひとつ御承知いただきたいと思います。
  179. 北山愛郎

    北山委員 長官、そう言われますけれども、あなたのおきらいなマスコミだって新聞等では、「環境庁非情 筆頭局長が去る」、そして次官から呼び出されて唐突に「辞表を出してくれ」と言われた。本人は「私が何か悪いことをしたのでしょうか」と聞き返したそうですか、こういうことが事実であれば、やはり何らか、マスコミだけではなくてわれわれが納得できないものをこの人事は持っているのじゃないか、こう考えるのは勘ぐりじゃないのじゃないかと思うのですね。なぜかなれば、この法案の作業というものは、その人の担当している仕事が一段落して終わった、それならば一つの切りがついたからというのでやめさせるということもあります。けれども、単にもとの厚生省との人事交流で、肝心かなめのその作業の中心におる人をやめさせるということは、少なくとも政府にこのアセスメント法案を実現したいという熱意があるならば——私が大臣であったならばやりません。その人にやらせます。それをわざとやめさせるのは、このように勘ぐられてもしようがないと思うのですね。そういう点で納得ができないことを私は申し上げておきます。また、世間でもおかしいと思うだろうし、部内でもきわめて異例なことである。突然辞表を出すことを求められて、そして四日ぐらいですぐ発令になるということ、それも厚生省との話し合いならば厚生省の方へ戻っていくとか、そういうことなら別ですけれども、本人は浪人してしまったじゃないですか。どう考えても私は納得できない。
  180. 石原慎太郎

    石原国務大臣 御存じのように、環境庁の抱えておる問題はいろいろございます。法案で申しますと、このアセスメント法は環境行政のこれからを左右する大眼目でございます。環境庁全体としては、これをできるだけ理想的な形で早期に実現するために努力をしておるわけでございますし、また人事もそれに絡んで行われるべき案件の一つかと思います。前局長はいろいろ御努力ありましたが、それに対する部外の評価、部内の評価、あるいはマスコミの評価もいろいろあると思いますけれども、何と申しましても私たち環境庁当事者といたしまして、そういう環境庁の一番大きな目的、最も大事な使命のためにも、いろいろ勘案いたしましてこの人事を行ったわけでございまして、この環境アセスメント法を後退するためにこういう人事が行われたということは一切ございません。  それからもう一つ、よけいなことかもしれませんけれども、非情と言われましたが、当然まだまだ働き盛りの方でございますし、厚生省との話し合い辞任されました局長のこれから先の働き場所等については、いまだ発表するわけにいきませんけれども、十全の措置がとられております。  それから、四日前に云々ということは、これも私は実は役所の慣例を存じませんけれども、そういう非常にショートノーティス、非常に短期の事前に勧告が行われるべきものかということを私自身も聞きましたが、慣例としては役所の中で多々あることのようでございまして、これは私は存じませんでしたけれども、当事者の局長もよく御承知のことだと聞いております。
  181. 北山愛郎

    北山委員 私が変だと思うだけじゃなくて、このようにマスコミもそのような受け取り方をしているわけです。あるいはアセスメント法をある形でつくるためには柳瀬さんがじゃまだったというふうにも勘ぐられているような書き方もしている。いずれにしても堂々たる人事をやってもらいたいということで、環境庁の中によそから変な空気が入ってきて、それによって環境庁の空気が汚染されることのないように、ひとつお願いしておきたいものであります。  そこで、法律はできませんでしたが、実際にはもう多数の案件を、環境影響評価制度というものを行政指導としてやっているのだというお話がありました。もう数百件もやっているという話です。そうすると、これはどういうふうな性格のものと考えたらいいのか。法律の根拠がないから行政指導でやっている、こういうことですか。
  182. 信澤清

    信澤政府委員 ただいまのお話の件でございますが、すべてが行政指導ではございません。先ほども春田先生の御質問にお答えしましたように、公有水面埋立法では、主務大臣たる運輸大臣あるいは建設大臣は相当規模以上の埋め立て等につきましては、法律環境庁長官意見を聞くということになっているわけでございます。  ただし、その段階で私ども考えているような環境影響評価、つまり住民公開するということを含めまして、すべてが私ども考えている要件にマッチするかどうか、これは別問題でございます。ただし公有水面埋立法も、これも先ほど申しましたように四十八年に改正いたしまして、公示縦覧あるいは市町村長の意見を聞くというようなことをいたしておるわけでございますから、ほぼ私ども考えている方向に近づいている制度である、これは言えると思います。  その他の案件につきましては、たとえば港湾審議会の委員に私どもの事務次官がなっている場合に、委員の立場でいろいろ物を言う。その際環境影響評価についてのいろいろな資料の御提示をいただきまして、それに基づいて意見を申し上げる等々、いろいろな形、いろいろな機会に、住民公開の問題はやっておりませんけれども、そういうような審査をやってきている、また意見も申し上げている、こういうことでございます。
  183. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、先ほど午前にもお話がありましたとおりに、行政指導というか実績を積み重ねて、その実績の中から一定の手法なり方式を生み出していく、そしてそれを制度化する、こういう意味でやっておられる、こう受け取ります。  そこで、その一つのケースなんですけれども、問題のむつ小川原の開発の問題です。このむつ小川原開発は二重におかしな問題があるわけです。要するに、むつ小川原開発について環境庁は事前の環境影響評価をやったわけですね。ところが、むつ小川原の開発事業そのものがまた法律上の根拠がない。ないものをまた環境庁の作業が行われたという妙なことになっておりますが、それでは一体環境庁としてはむつ小川原開発事業の主体はどこだと考えていますか。
  184. 信澤清

    信澤政府委員 これはあるいは国土庁から御答弁いただくべき性格のものかと思いますが、いわゆる新全総でむつ小川原開発はいわば候補地として挙げておった経緯が言います。したがって、その後の経緯は実は私ども承知いたしておりませんが、たしか昭和四十五年ごろだと思いますが、関係十二省庁会議を持ちまして、今後のこの地域の開発の進め方について御相談をするということをしてまいったわけでございますが、四十六年に環境庁ができましたので、その十二省庁会議環境庁も入りまして、環境面からいろいろ御相談させていただく、こういう体制をとって今日まで来ている、こういうことでございます。
  185. 北山愛郎

    北山委員 それでは、その問題について国土庁にお尋ねをしたいのですが、いま新全総計画に載せられてあるのだ、こうあります。確かに国土総合開発法によって新全総はつくられた。しかし、それは計画を形成するところまでは開発法にあるのですね。しかしそれの実施については何ら開発法には規定がないのです。ですから、新全総計画の中にむつ小川原開発がプロジェクトとして載っている、それだけのことなんで、これは法律的な根拠とは言えないのじゃないかと思うのですね。どうなんでしょうか。  それからもう一つは、国土庁としては、むつ小川原開発事業事業全体の主体はどこだと考えているか。県だと考えているのか、どこだと考えていますか。
  186. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いまお話のございましたように、特別このための立法があるわけではございませんが、国の総合開発といたしまして、先ほど説明がございましたように位置づけられております。  ただ、その具体的な事業ということになりますと、それぞれの関係省庁にわたる立法がございまして、港湾なり道路なりいろいろなものが含まれてまいるわけでございますから、そういったものが各省庁の権限と責任のもとになされるわけでございますけれども、総体的な計画としては一応青森県が計画を立てまして、そしてその仕事は県がやるものもあれば国がやる仕事もございます。いろいろなものがふくそうして一体となってやるものでございますから、国としても四十七年に第一次の案につきまして閣議了解をいたしたわけでございますが、その際、いろいろ環境影響等の関係もございまして、少し規模も縮小したりして見直すべしということで、全般的に見直しを行いました。つい去る八月の三十日でございましたか、改めて一体となってやる計画として閣議了解をしたという形になっておるわけでございます。したがいまして、仕事の内容に応じてそれぞれの責任主体が決まってくるということになろうかと思います。
  187. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、今度このむつ小川原の問題について、県の第二次基本計画に対して環境影響評価報告書に対する環境庁意見というのは、これは県に対する意見ですか。
  188. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま国土庁からも御説明がございましたように、昭和五十一年でございますから昨年でございますが、一月初めにいわゆる第二次基本計画というものを青森県がおつくりになったわけでございます。したがって、これを十三省庁会議でその内容、その他について検討いたししたわけでございますが、御承知のような大変大きなプロジェクトでございます。いま土屋局長からも御説明がありましたように、各般にわたるわけでございますので、したがってやや内容的に不確定の部分もあることはあるわけでございますが、少なくともいまわかっている範囲内でこれが環境に及ぼす影響についてそれなりのアセスメントをやる必要があるのではないか。そこで私どもといたしましては、いわば先生のおっしゃる行政指導でございますが、指針というものをつくりまして、その指針を青森県に示し、その指針に基づく環境影響評価をやっていただきたい、こういうことでございます。
  189. 北山愛郎

    北山委員 いずれにしても、これは開発計画そのものもどうも責任の主体がはっきりしない。たとえば、むつ小川原の開発について相当重要な役割りを果たしているむつ小川原開発株式会社などは、この中の位置づけが何もないんですね。実際には三千ヘクタールも用地買収している、そういう仕事をしているその第三セクターと称せられる株式会社がこの中には位置づけが何もない。こういうことはおかしいと思うのです。  それから、いろんなことをお伺いしますが、八月の三十日に環境庁から意見書が出まして、それも参照して閣議の口頭了解というものができたわけですね、むつ小川原開発について。それとその環境庁意見というのが結びついておるわけなんですけれども、どうも私から見るといろんな点で問題点があるわけです。  まず第一に、この環境庁のつくりました意見書によりますと、四項目にわたって書いてあります。それで、全体を通じますと、基本計画の「第一期計画において想定している工業開発規模としては、概ね環境保全を期しうると思料される」しかしまだ一期計画でも問題はある。しかし「全体計画の規模については、更に十分な調査検討を実施し、第一期計画の経過をも併せて、その具体化を図る必要がある。」ということですから、第一期計画ならばまだおおむね環境保全を期し得ると思われる問題はあるけれども、しかし全体計画それ以後の第二期計画についてはさらに再検討を要するという趣旨だと、私はこの文面を見てそう理解するのですが、どうですか。
  190. 信澤清

    信澤政府委員 その通知の中に書いてございますように、第一期工事についての環境影響評価の結果についての私ども意見をあの中に盛り込んだということでございます。したがいまして、閣議で口頭了解されましたのも、第一期工事について口頭了解された。したがって、いわゆる青森県が策定しました第二期を含む全体計画そのものも政府として認めたとかいうことではない。したがって、先ほど申し上げました十三省庁会議というものもなお存続して、今後第一期工事についてもなおフォローする必要がございますし、その後に続くであろう第二期工事についてもまたいろいろ相談をしなければならぬということで、そのまま存続をさしていただいている、こういう事情でございます。
  191. 北山愛郎

    北山委員 だけど、この文面を見ますと、いま読んだとおりです。第一期計画については、問題はあっても、「概ね環境保全を期しうると思料される」という、積極的な評価をしているのですね。ところが、その後の全体計画の規模とか、いわゆる第二期計画ということになれば、まだまだいろいろ問題があって、検討してみなければ結論は出ない、こういう趣旨なんですよ、この文章は。  そこでお尋ねするのですけれども、この閣議口頭了解もこれを受けておりますね。受けておりますが、確かにこの工場については、石油精製は第一期が五十万バーレル、第二期が五十万バーレルですか、石油化学は第一期が八十万トン、それから火力発電は百二十万キロというふうに第一期の分があって、それから第二期と、分けていますね。ところが、たとえば水の問題とかあるいは用地の問題とか、そういうものは分けられないのですね。初めからやるようになっている。  たとえば水について言うならば、こう書いてありますね。「小川原湖総合開発計画は、申し合わせの5によるものとするが、既得水利の確保を前提としつつ、小川原湖の開発により新規に都市用水」秒速七立米、それから農業用水一秒間に六立米、その「取水を目標に計画するものとする。」  この用水の計画というのは、これは全体計画じゃないですか。第一期分だけだったら、こんなに水は要らないですよ。
  192. 信澤清

    信澤政府委員 環境影響評価の内容については、環境庁が分担をいたしているわけでございますが、私のところはいわば総体のまとめをしているということでございまして、具体的にむつ小川原湖の取水量、またそれに関連するあの湖の、汽水湖でございますが、淡水化という問題にかかわる問題だと思いますので、所管の局長の方から御答弁させていただきたいと思います。用水量の問題は、実は環境庁では十分承知しておりませんので、どこか関係省庁から御説明させていただくべきことではないかと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  193. 北山愛郎

    北山委員 それはおかしいと思うのですね。水量のことはやはり環境保全と密接な関係があるわけでしょう。あの小川原湖の水をどれだけ使えるかと……
  194. 信澤清

    信澤政府委員 水量の問題は、御指摘のとおり全体計画を想定した水量でございます。
  195. 北山愛郎

    北山委員 もう一つは、敷地の問題ですが、ここに「約五千ヘクタールを見込む」、これは全体計画でしょう。
  196. 信澤清

    信澤政府委員 敷地の点も御指摘のとおりでございます。
  197. 北山愛郎

    北山委員 そうするとこの計画は、この環境庁意見を見ましても、第一期計画については、まあ工業開発規模としては、おおむね環境保全に差し支えない程度であると思われる。しかし問題はある。第二期を含めた全体計画ということになれば、十分な調査検討を実施した上でなければ結論は出せない。特に水については、その二項目のところで、「小川原湖の環境保全については、水質の変化の予測、それに伴う生物等に対する影響予測、評価及び環境保全対策の立案、実施について、現段階において検討、補完すべき部分があり、」と書いてある。小川原湖の水についてはまだ問題があると言うのですよ。留保しているのです。ですから、これを無視していま申し上げたような行政——これは一日にすれば百十二万トンぐらいですね。それだけの水、工業用水、都市用水、農業用水を取れるかどうか。これが環境庁意見に基づいて政府の中の申し合わせ事項にならなければならないはずなんです。前提が欠けているのに、こういうやり方をとって小川原湖の環境保全が大丈夫だという環境庁意見が出ていない。むしろマイナスの意見が出ているのですね。現段階においても検討、調査を要する問題がたくさんあるのだと言っている。保留している。保留しているのにかかわらず申し合わせ事項では百十二万トン取れるというふうなことで進めろ、これではおかしいじゃないですか。これは国土庁にも関係があるから、見解を述べていただきたいのです。
  198. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど来御指摘のとおり、これならば環境保全上一応問題ないであろうというふうに私どもが申しておりますのは、第一期の分でございます。しかし、いまの小川原湖の淡水化計画のように、お話のように事業量がふえなければあれだけの取水が要るかどうか、これは確かに問題があるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在汽水状態にございますものを淡水化する、さらに農業用水を含めまして取水をする、こういう事態でございますから、したがって、第一期の取水量のみならず、第二期で予定されている取水量についても検討した上であの結論を出したわけでございます。この通知の中で申しておりますのは、さらにフォローをして調査する事項幾つかございますので、そういった事項についてただすぐ工事を始めるということじゃなくて、そういう調査をさらにやりながら事業を進めてもらいたい、こういう趣旨で申しておるわけでございます。
  199. 北山愛郎

    北山委員 政府の方の申し合わせ事項からいってもこう書いてあるのですよ。分けて書いてあるのですね。「第二期以降の計画については、第一期計画の進捗状況及びその後の経済情勢、需給動向等を勘案し、また、各種計画等と整合を図りつつ、工場稼働に伴う地域の環境影響等について十分な調査、検討を実施し、その具体化を図る」ということですから、むしろ第二期計画については留保されているのですよ。まだ確信が持てないのでしょう。こんなものはそれほどの需要が出てこないかもしれない。出てこないでもどんどん全体計画を進めるというわけにいかぬでしょう。ですから、私から言うならば、用地にしても水にしても、これは第一期、第二期と全体にかかる問題なんです。この問題の結論が出ないうちに第一期計画を進めるのはおかしいということなんです。そうじゃないですか。
  200. 信澤清

    信澤政府委員 先生のおっしゃるような御意見は私もよくわかります。しかし、環境に与える影響というものはひとり水質だけではございませんで、大気汚染その他いろいろあるわけでございます。したがって、個々の事業が決まりませんければ予測できない問題もあることは御理解いただけると思います。しかし、あくまで事前評価でございますから、仮にそういう事態が——ともかく県の計画としてはあるわけでございまして、いまお読み上げいただきましたように、今後の経済情勢の推移いかんによっては、県が考えているような計画でいかないという事態は当然あり得ると思います。しかし、事前に評価をするというたてまえから考えました場合に、その時点で予想される事態というものを想定して、やっていいものはむしろやるべきだ、こういう考え方もあるのじゃないかと思うので、そこらのいろいろな考え方がこれについてはあろうかと思いますが、御指摘の点はよくわかります。
  201. 北山愛郎

    北山委員 いまのお話は、環境庁でなくて国土庁の方あるいは通産省の方が言うべきことなんですね。環境庁としては、ここにありますように、私もいろいろ担当者から聞きましたけれども、小川原湖の環境保全については確信を持っていないのです。そうでしょう。いまお聞きしたどれだけの水量——百十二万トン取れるかどうか、そんなことは環境庁の知ったことじゃない、こういうことじゃ話にならないのじゃないですか。五十万トン取るのと百万トン取るのとでは、環境保全上非常に影響があるのですよ。また、果たしてあすこにそれだけの水が集まるのかどうか、あの地域の雨量というものはどのくらいあるのか、その中であの湖にどれだけの水が入ってくるのか、そういうデータと、そして百十二万トンずつくみ上げたらこれは干上がるわけですね。一メートル以上も干上がるような計画になっていますね。そうした場合に、魚族に対する影響だとか、環境に対する影響は非常に重大でしょう。聞くところによると、一メートル以上あの湖水が干上がることになると、湖水の三分の一ぐらいが干上がってしまう、こう言われているのですよ。これは重大なことなんです。だからこそ環境庁はこの点についての自信を持っていない。持っていないから正直にそう書いてあるのでしょう。しかし、そんなことにお構いなしに、この申し合わせ事項、閣議了解では——これは経済社会の動向だけじゃないのです。まだ十分な環境アセスメントができていないのですよ。そして、それが第二期計画にも関係しているわけですよ。第一期計画にも関係している、計画全体に関係しているのだから、こういう形の意見書では第一期計画ですらもどんどん進めていくというわけにはいかない、これが当然の常識じゃないでしょうか。どうでしょう、石原長官話し合いでわかったと思うのですけれども、私の言うことは。私は常識に基づいて物を言っているので……。
  202. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しいことは私つまびらかにいたしませんが、小川原湖に関しましては第二期の水量というものを想定して推定しておるわけでございますけれども、第二期の工事に関しましては未定の部分等がたくさんございまして、これから考慮すべき問題が多々あるというふうに了承しております。  なお、水に関しましては、担当の局長の方から詳しく御説明させていただきたいと思います。
  203. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境庁意見として四項目ほどの意見があるわけでございますが、ただいま先生から、その第二項目目の小川原湖の環境保全について水質の変化の予測なりそういう面についてまだ補完すべき点があるというくだりにつきましてのお話でございますが、実は青森県の環境影響評価報告書を水質保全局の方で審査いたしました。その際に、青森県の方では、実は四十八年の調査データをもとにいたしまして、水質の現状の把握と将来の水使用を前提にしまして、これは日量百十二万トン使うというそれを前提にいたしまして、淡水化が行われるわけでございますが、その場合の水質がどうなるか、こういう見通しを青森県の方で行っておるわけでございます。  そこで、目標水質はということになりますと、県の方ではCODを三ppmというふうに設定をいたしておりますが、これにつきまして県の説明は、これが達成が可能である、こういう説明でございます。ただ、私たちその辺の説明をいろいろ聞きますというと、なお、水質のまず現況の把握そのものにつきましても、どうも調査資料が不十分な面があるということと、将来の予測のやり方、この面につきましても、条件の設定の点やあるいは見積もり方法等につきましてもなお検討すべき点がある。それから、将来は相当畜産等の導入もございますので、汚濁の負荷量もふえるということになるわけでございますが、この削減計画、これももっと具体的にする必要があるというふうに考えまして、さらに検討、補完すべき必要がある部分があるということを申し上げたわけでございます。そしてこの指摘いたした分につきましては、河口ぜきの本格的な建設工事、これに着手をいたします前にその辺を詰めてもらいたいということで、こういう環境庁意見の第二項目を入れたわけでございます。県といたしましても、当然この面につきましては詰めますということでございますので、環境庁といたしましても、引き続きこの面は県を強く指導していきたい、こう思っておるわけでございます。  それからもう一点、その日量百十二万トン取水をするという際に、渇水年におきまして水位が下がるではないかというお話でございます。もちろん豊水年あるいは平水年等は問題はないわけでございますが、先生御指摘のように、渇水年になりますと、夏場——七、八月でございますが、この辺では水位の低下を来す。計画面におきましては、東京湾平均調査マイナス〇・八メートルというところまで下がることが渇水年の場合はあり得る、こういうことでございます。これによります動植物への影響というもの、これにつきましても十分検討といいますか、県の説明も聞いたわけでございますが、一部の底生生物、あるいは産卵の終わりの時期、終期でございますね、産卵の終わりの時期がこの七、八月にかかる、そういう一部の魚種につきましては影響が若干あるということはこれは否めないわけでございますけれども、全般的には主要な動植物への影響というものにつきましては比較的軽微である、かように判断をいたしたわけでございます。  以上、水の関係を申し上げたわけでございます。
  204. 北山愛郎

    北山委員 とにかく環境庁も一番大事な小川原湖の問題、環境保全が果たして保障されるかどうかの問題についての検討が、いま説明があっただけでも不十分なんですね。どれだけの雨量があって、どれだけの水が入って、百十二万トンずつ取れば果たして許容ができるかどうか、こういう点についての検討が十分でない。そういう点で自信が持てないでしょう。そのままに、この閣議の申し合わせ事項では、いま言ったように日量で百十二万三千二百トン、こういうものの計画をどんどん目標に計画すべし、することと書いてある。それとまた第一期計画と第二期計画とは関連があるのですよ。第一期計画だけを切り離してやるというわけにはいかないのです。この水の問題だって切り離すわけにはいかぬでしょう。港湾だってそうでしょう。用地だってそうでしょう。用地や港湾や水の問題については全体計画計画をして進める。しかし工業の方はまず第一期計画、そして今後の情勢で第二期計画、そういうふうなことはごまかしですよ。このようなむつ小川原の開発については、やはり全体の計画、そしてまた環境保全のいわゆるアセスメントを十分やって、その上で計画はバランスをとって進めるべきなんです。だから、これは初めに戻って、結局小川原開発というのは主体のない、だれが責任を持つかわけのわからないような形で、もうすでにいままででも三千ヘクタールもむつ小川原株式会社、一株式会社の形で用地が買われている。もうそこが先行しているのですよ。やるかやらないかわからないうちにその用地買収だけは先行している。まるでちぐはぐなんですよ。市街地の造成をその会社がやっている。そういう形で一体このむつ小川原湖開発みたいなものをやられたんじゃかなわないと思うのですね。だから環境庁だけでも私はしっかりしてもらいたいと思うのですよ。  この意見書は確かに良心的な部分が入っている。小川原湖の水については、環境保全については自信がないのですよ。そう書いてある。だから、それとこの閣議了解は矛盾していると言うのです。こういうことを無視して第一期計画でも水の計画でも進めるというのはおかしいじゃないですか。どうですか、私の言うことは間違っていますか。
  205. 石原慎太郎

    石原国務大臣 このプロジェクト全体が段階段階で進んでいくわけでございまして、先ほど申しましたように、その第二期工事の段階での取水量が非常に多過ぎる、それによって環境に非常に悪い影響を与えるということがその段階で明らかになりましたならば、当然これは第二期の工事というものは制約され得るものと私は思います。
  206. 北山愛郎

    北山委員 この港湾計画も第一期分の港湾計画をまず進めていく。それから、よしということで第二期というふうに港湾計画は拡張するのですか。あるいは水の問題でもですよ。また面積の五千ヘクタールというのは第一期計画だけであったらそんなにやらないでしょう。だから、まず第一期計画を進めるというのだったら、その第一期計画分に必要な土地を準備をして、そうして二期が決まったらこれに足したらいい、こうはいかないわけですよ。こうなっていないわけですね。いま土地の問題、水の問題、港湾の問題その他は、もう全体計画基礎にして計画をつくるようにできている。ところがこの申し合わせ事項の中身では、あるいは環境庁の方の意見書では、まだ第二期はいろいろ検討して結論を出さなければならぬのだと言っているのですよ。まだやるとは言っていない。矛盾しているのですよ。  時間がないし、ここに公害委員長もおられるので、またその場所でいろいろ検討していただくことにいたしますけれども、もう一つあるのですよ。  一つは、石油とそれから石油化学についてもそうですか、この計画というのは、いままでの新全総なり三全総なりあるいは政府の五十年前期の計画なりエネルギー需給計画なり、そういうものによってやったのですが、これが狂うかもしれない。皆さんも新聞でごらんのとおり、IEA、国際エネルギー機構では、昭和六十年におけるIEAに参加している十九の国の石油の輸入量というものを二七・七%削らなければいけなくなりますよと、こう警告しているのですよ。仮に日本の輸入量を二五%削るということになれば、そうすれば大体いまの状態であとふやせないということなんです。こういうことがどんどん迫ってくるのですよ。後で出てきますね。むつ小川原の方あるいは苫小牧の開発、みんな何十万バレルとか石油化学もどんどんやる。そうしておいて数年たって、その場になって削らなければならぬ、輸入を減らさなければならぬというときになって行き詰まるでしょう。いままでの政府のやることはこんなことばかりやってきているのだ。だから、こういう点も私はあわせて考えて、そしてこのむつ小川原の開発にしろ、あるいは苫小牧にしろ、全体の地域開発計画というものを練り直すときなんであって、しかもまだ三全総が本決まりには決まっておらないでしょう。決まってからでいいじゃないですか。三全総がどうなるか試案が出ておりますけれども、最終的にはどうなるかわからぬですよ。特にエネルギー、石油についてはこういう変動する状況ですからね。なぜ急ぐのですか。  私は時間がないから、一応意見をまとめて申し上げましたけれども、この計画にはアセスメント、環境の問題だけではなしにいろいろな要素が加わっているんだから、政府は無理をして十三省庁の申し合わせなんかでいままでの行きがかりをカバーするために無理なことをやって、調査費などをちょっぴりつけて、その地域の住民をごまかさないように、本当に良心的な仕事をしてもらいたい、こういうことを私は一言申し上げまして、もし私の見解に長官の御意見があれば述べていただきたい。
  207. 石原慎太郎

    石原国務大臣 確かに、いままでの歴代の政府のいろいろな諸施策が、長期の展望を欠いて短期のうちに非常にそごを来したことがなかったと私は決して申しません。そして御指摘のように、また総理もたびたび申しておりますように、エネルギーというものは全世界的な大きな制約を受ける問題でございまして、そのために代替エネルギーというものの積極的な開発を云々されているわけでございますから、石油という既存のいま一番大きなシェアを占めているエネルギーの備蓄基地なりリファイナリー、そういった設備投資というものが先生御指摘のようにわずかの年月の先に非常に過剰なものになるという可能性が決してないではないと私も思います。そういう意味で、このむつ小川原にかかわらず、これからの大規模な設備投資というものは、歴史的な長期の展望を持って着実にその投資効果というものが上がるような形で、同時にまた、もちろん環境の問題も十分しんしゅくされまして行わるべきだという感じは私自身も強く持っている次第でございます。
  208. 北山愛郎

    北山委員 もう時間がなくなりましたから、あとこの問題、環境庁意見書の中身でもまだまだいろいろ問題点があるので、それはそれぞれの当該の委員会の方でまた審議をしていただくということにしまして、私の質問を終わります。
  209. 芳賀貢

    芳賀委員長 安藤巖君。
  210. 安藤巖

    安藤委員 私は公害健康被害補償制度の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、その前に環境庁長官環境行政の基本的な姿勢にかかわる問題をお尋ねしたいと思うのです。  環境庁長官、御承知だと思うのですが、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、「現代」という雑誌の九月号「戦後スーパースターの「これが実像、だ」」という記事で、小池亮一という人のインタビューに答えて長官は述べておられるのですが、これは御記憶があると思うのですが、こういうくだりがあるわけです。「こうやって環境庁にいてもね、ここの記者クラブの記者とのたたかいは壮絶なものですよ。自分とこの新聞で没になった原稿が、共産党の赤旗にのる記者なんかが何人かいる。」というふうに発言をしておられるわけですけれども、こういうふうに発言をされたということは間違いないのでしょうか。
  211. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのように発言いたしました。前号の、これは私の談話を相手の記者が聞き書きしたものでございますので、小さな字句は多少違っているところがあるかもしれませんけれども、その趣旨の発言はいたしました。
  212. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、この発言内容は大体間違いなく記載されているというふうに理解するわけですが、この内容はどういうような経過でこういう事実を長官は知っておられるのでしょうか。
  213. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは記者クラブからの質問書にもお答えいたしましたし、その回答書の中で、すでに委員もごらんになっていらっしゃることと思いますが、私のかねがね存じております非常に信頼すべき筋からそう確認いたした次第でございます。
  214. 安藤巖

    安藤委員 信頼すべき筋からというお答えですが、その信頼すべき筋だけを信頼をされておるのか、その中身についてお確めになったかどうか、いかがでしょう。
  215. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その私の発言についてクラブの記者の方々といろいろ応酬がございましたので、なおその筋に再確認し、また違った筋にも確認をいたしました。
  216. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、具体的にどの新聞社の記者がそういうことをしたのかということ、そして赤旗のいつ幾日のどの記事だというようなこともわかっておられるわけですか。
  217. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それも回答書の中に記述いたしましたが、ここでそこで聞きました特定の名前を挙げるわけにいきませんけれども、一、二の方の名前も承りました。しかしそれよりも、あの回答書の中で申しましたように、何と申しましょうか、一つの政治的なはっきりとしたスタンスをとる方がいらっしゃるという形で聞いたわけでございまして、それがゆえに何月何日の赤旗に載ったこの記事がそうであるという形では聞いておりません。
  218. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、長官は具体的にいつ幾日の赤旗の記事がそうだということはお確かめにならないで先ほどのような発言をなさった、こういうことになるわけですね。
  219. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのことは確かめておりませんが、しかし、そのニュースソースの確実さからしましても、何月何日のどこの記事ということを指摘されなくても、私はそれは十分に信頼にたえる情報と思いましたので、そうした発言をしたわけでございます。
  220. 安藤巖

    安藤委員 先ほど最初に私がお尋ねしましたように、その筋の人、その人を信頼するということはおありのようですけれども、いつ幾日の赤旗のこの記事だということをお確かめにならないとすれば、「現代」の先ほど私が読み上げました記事の内容の事実をあなたは事実だということをはっきり確認しないで発言しておられるということになりませんか。
  221. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は必ずしもそうは思いません。そのある立場にいらっしゃる方の発言ならば、これは私はそうした具体的に何月何日の記事ということを確認しなくても、私はそれを非常に精度の高い情報として信頼し得るものと思います。
  222. 安藤巖

    安藤委員 長官が御自分でその記事をお確かめにならなくとも信頼ができるというような人というのは一体だれですか。
  223. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それはニュースソースの秘匿の私の責任がございますので申し上げるわけにいきませんが、先ほどの御質問の延長で、私、加えさしていただきますけれども、でありますからこそ私は特定の方の名前を挙げてもおりませんし、また、環境庁の記者クラブ全体を私はそういう印象をつけた形で批判をしたわけでもございません。そういう意味で私は、特定のどなたを棄損したつもりもございませんし、また記者クラブそのもの全体を棄損したつもりもございません。
  224. 安藤巖

    安藤委員 ニュースソースの問題はいろいろ問題があろうかと思いますから、そして長官は信頼すべき筋の人のお名前をおっしゃるというようなことはなかろうと思いますのでお尋ねしませんけれども、それなれば、この「現代」での発言の信憑性を裏づけるために、どうしてもいつ幾日の赤旗のこの記事だということを明確にお示しにならない限りは、確認した事実に基づいての御発言ということにはならぬと思うのですね。何ら事実に基づかないでこういう発言をしておられるということになりますが、それでよろしいのですか。
  225. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから私は、私のニュースソースの証言というものをどのようにどなたが評価されるかわかりませんけれども、私はあの限りの発言をするに足る一つの情報と思いましたからこそあの種の発言をしたわけでございます。ただし、繰り返して申しますけれども、それゆえに特定の方の名前も挙げておりませんし、またクラブ全体をそういう性格づけで批判したわけでもないわけでございます。
  226. 安藤巖

    安藤委員 特定の人の名前云々ということは抜きにいたしまして、私も何度もお尋ねしますけれども、それなれば、赤旗のいつ幾日のこの記事だということをやはり長官の方から明らかにされる義務があるんじゃないですか。それでなければ、確認した事実に基づかないでああいう発言をされたということにならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  227. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、事実というものをどういう観念でとらえるかはこれまた人によって違うと思いますけれども、私は非常に精度の高い情報をもとにしてあの種の発言をしたわけでございます。
  228. 安藤巖

    安藤委員 もう一度「現代」の記事を読んでみますけれども、「自分とこの新聞で没になった原稿が、共産党の赤旗にのる記者なんかが何人かいる。」という御発言ですね。ということになれば、これは具体的にいつの赤旗の記事だということをお示しにならなければ何ら事実に基づかない発言になる。あなたはこの「現代」の記事の中でも、新聞記者の文章のことについてもいろいろ御批判をなさっていらしゃいますけれども、いま私が読み上げたこの文章からすれば、これははっきりした具体的な事実がなければ言えないことじゃないかと思うのです。いかがですか。赤旗のいつ幾日の記事だということをお示しになる御用意はございますか。
  229. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その具体的な事実の調査を依頼すればできないことはないと思いますけれども、その立場にいる方、私に情報を提供された方の立場を損うおそれがございますので、私はそれをするつもりはございません。
  230. 安藤巖

    安藤委員 赤旗の記事を特定するということがあなたに情報を提供された方の名前を出すということには直接的にはつながってないと思うのですけれどもね。いまおっしゃったように、赤旗のいつの記事だということは特定してお話しになることができるんですか。それならしていただきたいと思うのです。全くそういう事実はないと私は確信しておりますし、そういうことはありませんので。  それからもう一つ、先ほど記者クラブとの間に何回かいろいろやりとりがあったということもおっしゃったのですが、これは八月の十九日が最初質問書ですか、もうそれから二カ月近くたっているわけです。だから、本当に明らかにしようと思われるのであれば、現在の時点までの間に十分明らかにする機会はあったと思うのです。それもおやりにならなかったというのはどういうわけなんでしょう。
  231. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、私はその方の立場を損ってまでその種の依頼をする必要がないと思いましたのでしなかったわけでございますし、しないという回答をしてきたわけでございます。
  232. 安藤巖

    安藤委員 明らかにする必要はないというふうにお考えだ、そのように回答してきたというふうにおっしゃるのですが、記者クラブの方からの長官に対する質問書の中には、いま私がお尋ねしたように、明確にいつ幾日の赤旗の記事かそれをはっきりしてほしい、そしてさらにどの新聞社から流れたのかそれもはっきりしてほしい、こういう要望を具体的に出しておられるわけです。だからこれは、そういう義務がない、責任がないということは決して許されぬと思うのですが、いかがですか。
  233. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いろいろの方々にいろいろの御要望がいろいろな向きに対してあると思います。これもその一つの要求、要望だと思いますけれども、私は私の立場でどなたを棄損したわけでもございませんし、私にその情報を提供された方の立場をおもんばかり、ニュースソースの秘匿の義務、責任から感じましてもこの要求に応ずる必要はないと思います。
  234. 安藤巖

    安藤委員 長官は必要がないとおっしゃるのですけれども、私はこれは明らかにする義務があるというふうに申し上げておきます。そして先ほどから申し上げておりますように、記者クラブもそういういま私が申し上げていることを何回にもわたって長官に要望しているわけです。最後には抗議ということまでやっているわけです。  そこで私は思うのですが、赤旗の記事がそういう没になった記事云々の原稿で賄われているということは全く事実としてあり得ない。そして長官は、氏名を明らかにすることはできないということと絡めて、赤旗のその当該の記事を特定する必要はない、その責任はないというふうにおっしゃっておられるのですが、これは背景としてはそういうような事実は全くない、赤旗の記事を特定することはできない、それがあるからそういうふうに言っておられるのじゃないでしょうか。全く事実に基づかざる発言をした、赤旗の記事を特定されない以上はそうなります。だから、事実に基づかざる発言ではないのだというふうにおっしゃるのであれば、明らかにしなければなりません。ところが、そういう責任がないというふうにおっしゃる以上は、やはり事実に基づかざる発言であるということを認めなければならぬと思うのです。これは決しておかしな理論ではないと思います。だからそういう点からすると、事実に基づかざる発言をしたということでこの「現代」での発言は取り消さるべきだと思うのですが、いかがですか。
  235. 石原慎太郎

    石原国務大臣 繰り返して申しますが、私は、過去の何度の体験からしましても非常に精度の高い情報に基づいてその発言をしたわけでございます。
  236. 安藤巖

    安藤委員 精度が高いというふうにおっしゃるのは長官の個人的な主観だと思います。客観的にそういう精度が高いということを認めてもらおうとすれば、どうしても赤旗の当該記事を明らかに具体的に掲げられなければならぬと思います。それができない以上は事実に基づかざるものだというふうにかぶとを脱がなければならぬと思うのですが、取り消すということはできないのですか。
  237. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのつもりはございません。
  238. 安藤巖

    安藤委員 そうすれば長官は、事実に基づかざる発言をしたというふうに言われてもやむを得ないというふうにお考えなんですか。
  239. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、私は先ほどのお答えのとおり繰り返しますけれども、非常に正確な情報に基づいてその発言をいたしました。しかしなお配慮いたしまして、特定のどなたを棄損することのないように、ああいう形の発言をしたつもりでございます。
  240. 安藤巖

    安藤委員 いままで長官がお答えになったことを少し整理してみますと、精度の高い信頼することのできるある筋からこういう情報を得た、しかし、その名前を言うことはできない、赤旗のいつ幾日の記事がその記事だということを明らかにする必要はない。ということになりますと、一体長官のその「現代」の対談での発言は、何ら客観的に読者をして、あるいは一般国民をして納得させる事実に基づいて発言をされているんではないということになります。そういうことをお認めになるわけですね。
  241. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、私は私の体験に照らしまして、非常に確信するに足るニュースソースからの情報に基づいての発言をあのような形でしたわけでございます。
  242. 安藤巖

    安藤委員 まあ、いろいろやりとりをしておっても始まりませんが、具体的な赤旗の記事を長官の方からこれだというふうに指摘することができなければ、事実は提供していないわけですから、事実に基づいた発言ではないというふうに見られることになりますが、それを甘受されるおつもりでいまおっしゃるわけですか。
  243. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、私の答弁を先生のように判断される方もおられると思いますし、また違った判断で受けとめる方もいらっしゃると思います。
  244. 安藤巖

    安藤委員 少なくとも環境記者クラブの皆さんは、赤旗の当該記事を指摘されない限りは、事実に基づいた発言ではないというふうに考えておられると思うのですね。私もそうなんです。だから、いろいろな意見の相違があるかもしれぬとおっしゃるのですが、大多数のあるいはほとんど全部の国民は、あるいは少なくともこの「現代」の記事を読んだ人は、赤旗の記事を特定されない限りは事実に基づいた長官の発言ではないというふうに考えると思います。だから、そういうような考えを持たれてもやむを得ないという認識に立ってのいまの御発言だというふうに、これは二回目か三回目になりますけれども、そういうふうに長官考えておられるのだというふうに受け取ってもよろしいかどうか。
  245. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私のその文章並びにいまの御質問に対する私の答えを聞かれ読まれて、果たして大多数の国民がそう判断されるかされないかということも、またこれはやはり論の分かれるところではないかと私は思います。
  246. 安藤巖

    安藤委員 少し話を進めたいと思うのですが、先ほどから話に出ております記者クラブからの質問書、これは三回にわたるわけですけれども、この中では具体的な根拠と意思を問うというのがあり、さらには、具体的な事実を提示しない以上は、あなたの無責任発言のためにこうむったいわれなき中傷を見逃すわけにはいかない、こういった趣旨が第三回目の質問状にも出てくるわけですけれども、記者クラブに対するこれはいわれなき非難、中傷、侮辱であるというふうに受けとめるわけなんです。その点について、記者クラブに対して謝罪あるいは取り消しというようなことをお考えになる用意はないのですか。
  247. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その往復文書をお読みいただいたと思いますが、私は記者クラブを中傷した覚えはございませんし、また赤旗に記事を書かれる記者が、果たしてそれが——記者界には記者界の道徳があるようでございますけれども、それにのっとっていい悪いということを言っているわけでもございません。ただ、そういう方の政治的なスタンスについて言っているわけでございまして、ですから特定をしているわけでもございませんし、何人かいるということを言い、かつそれに該当しない方々に御迷惑をかけたならばこれは申しわけないと思うし、恐縮、遺憾に存じますという形で、私の遺憾の意を表明しているわけでございます。
  248. 安藤巖

    安藤委員 いまの長官の御答弁は、大体記者クラブとの往復の文書の中で読み取ることができますけれども、それで納得したわけじゃございませんよ。  もう一つ、わが党の中央機関紙である赤旗、この赤旗に対するこれは重大な侮辱である、中傷であると思っております。その理由は、赤旗にもちゃんとした取材記者がおるわけです。だから、必要に応じてその取材記者は取材活動をしております。そして赤旗の編集は、党の機関紙としての責任において編集をしているわけなんです。それが、ほかの新聞社の没になった原稿がそのまま載るというようなことはとうていあり得ないことであるし、全くの虚構の事実、そしてそれに基づいて、わが党の中央機関紙の赤旗の取材活動と編集方針について、これはあらぬ中傷を加えたものであり、侮辱したものであると思います。この点について、この発言を取り消す、あるいは謝罪をするという御用意はおありかどうか。
  249. 石原慎太郎

    石原国務大臣 赤旗がどのような編集方針でどういう取材活動をしていらっしゃるか、すべてつまびらかにいたしませんが、私は、当然いろいろな方に記事の依頼をされて結構だと思いますし、何も赤旗直属の記者の方々のみがその紙面を埋めているとも私は思いません。また通信社もございますことでございますし、それを含めまして私は非常に多角的に赤旗が取材活動をしていらっしゃると思っております。そういう意味で、その範疇に属する一つの執筆活動だと私は判断しているわけでございます。
  250. 安藤巖

    安藤委員 ほかの新聞社で没になった原稿を赤旗がそのまま掲載するというのが、その趣旨に従った取材活動であり、編集であるというふうに思っておられるわけなんですか。これはとんでもない話なんです。どうですか、その発言は取り消すべきですよ。
  251. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その没になった云々のところは、私ちょっと自分の記憶にないんです。ただ、自分の新聞社に載らない記事が赤旗に載る、これはやはり赤旗は共産党の機関紙でございまして、普通の商業紙と違ってそれなりの政治的なスタンスをとっている新聞でありますから、その政治的なスタンスに合致する方の書かれた記事は、あるいは載せられる余地は十分あるんじゃないかということだと私は思います。  ただ、そこには「没になった」という表現で出ておりますけれども、私そのときにそういう表現をしたのか、自分の新聞社に載らない記事が赤旗に載るという表現をしたのを、そのときの記者がそういうふうに書いたのか、そこのところは詳しく覚えておりませんが、いずれにしましても、いまるる申し上げましたそういう意味での多角的な取材活動、執筆陣の中の一つであるという認識で、私はそういう発言をしたわけでございます。
  252. 安藤巖

    安藤委員 だから、私は一番最初にこの「現代」の文章を読み上げて、これに間違いがないか、このとおりおっしゃったかどうかということを確かめたんです。細かい字句の点については相違があるかもしらぬけれども、そのとおりだというふうに御答弁なさったはずですね。だから、その中に明らかに「没になった原稿が、共産党の赤旗にのる記者」がいる、こういう表現ですよ。いまさらになって、「没」という言葉を使ったかどうかはっきりせぬというような言い方はひきょうじゃないですか。どうですか。
  253. 石原慎太郎

    石原国務大臣 実際にその点は、私詳細に記憶しておりませんけれども、いずれにしても、自社の紙面に載らない原稿が赤旗に載るという趣旨の発言をいたしました。しかし、その中で「没」という言葉を使ったかどうかは、非常に長い間のインタビューでございましたので、私、詳細に覚えていないわけで、これは決して逃げ口上で言っているわけではございません。
  254. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、没になった原稿がそのまま赤旗の記事として載るというようなことを言ったんではないということですか。そして、もしそういうふうに言ったとすれば、それは間違いであって、それは取り消すということになるわけですか。どちらですか。
  255. 石原慎太郎

    石原国務大臣 没になるならないということが非常に重大な問題ならば、私は、その発言についてもう一回私自身で調べ直しまして御返事いたします。
  256. 安藤巖

    安藤委員 いやしくも私どもの赤旗の記事が、よその新聞社の記者の書いた原稿をそのまま載せている、そういう編集方針をとっているんだというようなことをおっしゃっているんではないと思うのですが、一体どうなんですか。
  257. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、正確を期してここでもう一度申し上げますと、赤旗という機関紙を持った共産党とほぼ同じ政治的なスタンスを持っている記者がいて、その記者の属する新聞にはその記事は載らないが、しかしその記者の書いた記事が赤旗に載る、そういう記者が何人かいるという発言はいたしました。ただし、そのときに「没」という言葉を使ったか使わないか、これは調べてみますが、私の真意はそういうことでございます。
  258. 安藤巖

    安藤委員 そうなるといよいよもって、赤旗のいつ幾日の記事がそうだということを長官は明らかにしなければならぬことになりましたよ、いまの御答弁によって。それでなければ、具体的な事実を摘示することができないわけなんですから、はっきりした根拠に基づかないで「現代」で発言をされておるということになりますよ、いまもう一遍整理されたんですから。あるスタンスを持っている記者がおって、ところが自分の新聞社に載せてもらえないので、それが赤旗に掲載された、そういうような記者が何人かいるということをおっしゃる以上は、そういう記事がいつ幾日の記事だ、これなんだということをはっきり示さなければならないじゃないですか。問題点はちっともはっきりしないじゃないですか。——首振っていることないですよ。はっきり、明らかにするなり、それは未確認なことなんだということをおっしゃるべきなんです。  それからもう一つ、記者クラブに対する回答書の、これは幾つかあるから覚えておられぬかとも思いますけれども、九月九日の回答書、もう一つ前の八月三十日の回答書、この中でも、総体的な印象だ、先ほどもちょっとおっしゃったですね。総体的な印象としてそういうことを言うたんだというような回答の文言があるわけですけれども、総体的な印象ということになると、やはりはっきりした事実じゃないんだということを長官みずからがお認めになっているというふうにこれは読めるんですけれども、いかがですか。
  259. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それはちょっと違います。そういう記者が実際におられて、そういう記者を含んだ記者クラブというものは私にとってはかなり特異な——クラブ全体いろいろな立場の方々がいらっしゃると思いますけれども、しかし、そういう方がいらっしゃるクラブというものは、私にとってかなり特異な存在と申しましょうか、印象に映るクラブであるという意味で、総体的な印象という表現をしたわけでございます。
  260. 安藤巖

    安藤委員 時間がありませんからはしょりますけれども、そうすると、この総体的な印象というのは、総体的な印象としてはそういうようなスタンスを持った人たちがいる記者クラブだというふうに思っているということになるわけですね。そうしますと、赤旗のどの記事だということとはまた別な話だということになってまいりますね、事実問題としては。だから、やはり赤旗の記事をはっきりさせなければ事実に基づかない発言だというふうに私どもはとります。だから、それは明らかにしていただきたい。しなければ、それは事実に基づかないものだというふうに私どもはとりますから、そのことを念のために言っておきます。  それから、これはいま記者クラブ全体の総体的なスタンスがそうだというふうにおっしゃったのですが……(石原国務大臣「総体的なスタンスじゃないのです」と呼ぶ)スタンスを持っている記者がたくさんいる記者クラブだ、総体的な印象の中身はそういうことだとおっしゃったでしょう。というようなお考え方が、長官に対するあるいは環境行政一般に対する、いまの長官環境庁長官をしておられる環境行政一般に対する批判、その批判を拒否する長官としての基本的な態度のあらわれではないかというふうに私どもは思わざるを得ないわけなんです。  それから、いろいろ新聞記者の記者クラブの方から質問がある。「記者クラブの記者とのたたかいは壮絶なものですよ。」というのがあるのですが、記者クラブの方からのいろいろな質問がある。これはやはり社会的な公器としてのマスコミ、この人たち質問をするというのはやはり私どもは評価をしておるのですが、それはやはり国民の声を代表して長官にいろいろのことをお尋ねする。環境行政のあり方について注文をつけたり、あるいは御意見を伺ったりということで国民に知らしめる責任を果たしていると思うのですが、それをそういうようなふうにおっしゃるということ、批判拒否の体質を持っておられるということは、国民の知る権利に対するこれは重大な挑戦でもあると思うのです。そういうような重大な問題をこれは含んでいることなんです。だから、肝心のことをお尋ねする時間がなくなってしまうほど、私、長官にきっちりとした態度をお伺いしたいと思ってお尋ねしているのですが、だから、そういうような問題なんだということをはっきり認識していただきたい。そしてお確かめになった上で赤旗の記事を特定することができなければ、一日も早くこれを取り消し、そして謝罪するということを考えていただきたい。いかがですか。もうこれで質問を終わります。
  261. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私の考え方と、また記者クラブの記者諸兄の考え方、その中にいろいろな方がいらっしゃいます。それはいろいろ食い違うところもあると思いますし、一つのデータなり一つの出来事に対していろいろ意見が違うときがあります。私はそれを決して一方的な批判として拒否をした覚えはございませんし、いろいろな意見を参考にして一番中庸のとれた、一番合理的な環境行政をしていこうと思っております。その限りでは、私は記者クラブにおられる記者の意見を私の方から求めることがございますし、また、それが私たちにとって不本意な一つの批判であっても、反論こそいたしますけれども、それをもってたもとを分かつ、それを一切認めないという姿勢をとったことはございません。
  262. 安藤巖

    安藤委員 一言だけ。  なかなか結構なことをおっしゃるのですが、いま私が問題にしているようなこういう発言をなさるところに、いまおっしゃったのとはうらはらな、本音とたてまえを違えた姿勢があるのじゃないかというふうに私は思っております。これは非常に残念なことですが、そう思っております。  以上で質問を終わります。
  263. 芳賀貢

    芳賀委員長 原茂君。
  264. 原茂

    ○原(茂)委員 最初長官行政改革について少しお伺いいたしたい。  先ほどの本会議の代表質問に対する総理の答弁を聞きましても、いよいよ本格的に行政改革はやるのだというようなかってない決意の表明がありました。改革全般についてお伺いしょうとは思いませんが、環境庁に関する問題として、かつて五月でしたか、長官は、国土庁を環境庁に吸収合併をして云々という私案なるものをぶち上げました。それに対して園田官房長官から、新聞の伝えるところによりますと、厳重注意がおありになったそうであります。結論的には、長官のあれは軽率だったのだということになったように思いますが、事実いまでもあれは長官の軽率だったのだとお考えになってますか。
  265. 石原慎太郎

    石原国務大臣 この問題についてもちょっと私、新聞の報道、全部と申しませんけれども、異存がございまして、私は誤り伝えられた部分について田澤長官に詳しく説明をいたしました。これは釈明ととられたかもしれませんけれども、いずれにしても正確に私の真意を伝えましたが、私は決して軽率であったとは思いません。  それから、国土庁を環境庁に吸収合併しろという言い方ではなしに、環境庁と国土庁を合併すべきであるという形で申したわけでございます。このごろの国土行政というものは、非常に国土の保全というものが眼目になってきまして、かつての誕生時と違ってまいりました。環境行政をやっておりますと、国土行政と非常に不可分な感が強うございます。そういう意味でも、環境庁と国土庁が合併し、そのとき申しましたことをさらにつけ加えますならば、これまた建設省の方々が異存を持たれるかもしれませんけれども、水質保全の問題に重大なかかわりのございます下水というものの事業は、国土環境省か環境省か国土省か環境国土省か存じませんが、とにかく合併されたその省庁において行われるべきであるということを申しました。
  266. 原茂

    ○原(茂)委員 当時、長官言葉足らずだったには違いないが、開発と環境問題を調和させるための行政の一元化を言った。いまおっしゃったのは、きっとこれに相当すると思いますね。確かにそれが真意だったと思う。ですから、軽率だったというのとは違うというふうにいま理解できます。  それで長官は、かつて田中内閣時代の例の金看板だった列島改造論に対しましても真っ向から反対の意思表示をされていますね。国土庁についてもこういうことをおっしゃっているんですね。高度経済成長期の一億総不動産屋時代の所産、いまやレーゾンデートル、すなわち存在理由がなくなったんだ、こういうことも言い切っているのですが、これはある意味で私も同感なんですが、この国土庁に対するレーゾンデートルはもうないんだという所感はいまもお持ちですか。
  267. 石原慎太郎

    石原国務大臣 当時の時世というものの需要に応じて生まれてきた国土庁というものの、当時存在したレーゾンデートルというものは私は非常に希薄になったと思います。     〔委員長退席、北山委員長代理着席〕 同時に国土行政そのものも、現在の田澤長官も非常に御腐心されまして、国土の保全という、当時から見れば百八十度と申しましょうか、かなり角度の違った非常に至当な行政指針になっておりますので、その意味で私はますます環境行政と国土行政というものは不可分にあるという認識を強くしているわけでございます。
  268. 原茂

    ○原(茂)委員 よくわかりました。  この間、本会議における総理の答弁を見て、冒頭言ったように、非常な決意が見られるわけです。しかし、この問題がだんだん具体的になっていくと、総論賛成、各論反対、しり切れトンボに終わるというのがいままでの実態なんですね。ほとんど効果がない。しかし、今度はかけ声倒れに終わらしてはいけない、恐らく総理の姿勢からいっても、国務大臣全体がそうお思いになっているだろう、こう思うのですが、私はその意味からいって、この五月に園田長官長官に対して厳重注意をされたあの時分、もうすでにあれほど強い本会議における決意の表明があるならば、前から言っている一枚看板なんですから、総理自身がやはり各省庁に対して大きな政治的な指導性を発揮して、あんなときに田澤長官長官が、釈明じゃないが、話をしたりなんかするようなことになる前に、総理自身が乗り出して、あれを契機に、あの決意があるならばもうとっくに何かをやっていなければいけなかった、こう思うのですが、どうですか。総理の行政改革に対する態度がちょっと何かぬえ的な理解できない態度だというふうにお思いになりませんか。  こんなことを言いながら野党のわれわれが全然それに対して考えないというようなことは、これはいけないことですから、野党は野党なりにやはり具体的にスクラップ・アンド・ビルド、まあ具体的な図面というものをやはり出すべきだと思いますから、その方は用意していますが、どうもいまこういうことを言いたくなるのも、総理はあんなことを言っているんだけれども、石原長官あたりが非常に勇ましく本当のことを言っているんだけれども、それが今度もかけ声倒れに終わってしまうのじゃないかなという心配があるものですから、あの五月時点で総理の態度自体も、石原長官が軽率だったという印象を与えるようなことで終わらしたこと自体、少しおかしいじゃないか、こう感じているのです。総理の方が軽率だった。どうです、長官、ひとつ……。
  269. 石原慎太郎

    石原国務大臣 別にそのとき総理が私の発言について何もコメントされませんでしたし、園田長官も私に注意されたのは、そういう重要な問題はとかく物議を醸しがちであるから、外で発言せずに閣議でせいということを言われたわけでございます。  この間も予算委員会で総理が答弁されましたように、とにかく中央省庁の統廃合は別途考えるということになっておりますから、これは決してあきらめたということではないと私は思っておりますし、またそういうふうに総理も説明していらっしゃるので、近々のうちに中央省庁の統廃合について——まあこれは国土庁と環境庁関係についてどういう意見が出るか出ないかということは私はわかりませんが、しかし、いずれにしても中央省庁の統廃合についての何らかの指針が出るものと私は思っております。
  270. 原茂

    ○原(茂)委員 これはこの程度でおわりますが、どうか今度は思い切ってやるようにして、いま長官が述べたような、軽率ではなかった、やはりこう考えていたんだということも実践するように、努力をぜひひとつしていっていただきたい。これは激励の意味で申し上げておきます。  それからその次に、あと三点ありますが、北富士の返還国有地の二百十四ヘクタールの問題について、長官の重要な所見は途中でお伺いいたします。まず、きょう理財局来ていただいておりますから大蔵省に最初お尋ねして、農林省にも少しく注文をつけたい、こう考えます。  これはもうかねて私が本委員会で取り上げてきた問題で、その処理に当たっては、地元農民の権益を侵すことなく、慎重かつ適正にその払い下げを行うべきであると主張し続けてまいりました。北富士返還国有地の二百十四ヘクタール、これがとうとう去る九月五日、山梨県と払い下げ契約が締結されまして、その所有権は山梨県に移転されてしまいました。しかし、一体この払い下げが国有財産に関する行政のあり方として妥当なものであるのかどうか、さらには国有財産法、会計法等の関連諸法規に照らして適法なものであるのかなど、多くの疑惑と疑問が依然としてずっと存在し、今後もこの疑惑に挑戦してまいります。事実私は、かつて前例のないほど執拗にこの問題に委員会を通じて取り組んでまいりました。私は、いまもってこの払い下げについては行政的、法的に納得することのできない重大な疑義を抱くものであります。山梨県の同地利用の推移に従って逐次問題点の追及を行うつもりで今日もおります。異常な決心を持っております。むしろ問題はこれからだというくらいに考えておりますが、本日は時間の都合上、大蔵当局には二、三質問をするにとどめておきたいと思います。  さて、本件払い下げ内容についてでありますが、大蔵当局は、さきの答弁でも、地元農民の同地に有する入会慣行は、これを尊重すると言明してまいりました。この入会慣行の尊重は、一体どのような形で契約内容に反映されているのか。きょうも控えをいただきましたが、私にはどうも反映されていないように思えますが、具体的にひとつ指摘をしていただきたい。私の見るところ、なかなかにそれが出てまいりませんので、それをぜひ指摘をしていただきたいと思います。  ついでに二つ目も時間の都合でお伺いいたしますが、また、買い受け人たる山梨県は、当該土地を、先ほどいただきましたように、山梨県北富士県有地管理規則によって管理するものとしておりますが、このことは山梨県が大蔵当局に対する売り払い申請書に添付して提出しておりますから、大蔵当局も十分内容は検討して承知しているはずと思います。この管理規則のどこで入会慣行が尊重されるというのか。どうも私、いまいただいてちょっと素見しましたが、これもなかなかないように思います。そもそもこの管理規則は、地元農民の入会権益などみじんもないという前提で立案されているとしか言いようがないのであります。一体大蔵当局もそのような内容であると承知した上で払い下げたものと思うがどうでしょうか。この二点について。
  271. 川崎昭典

    川崎説明員 入会権あるいは入会慣行という御質問でございましたが、入会権というものについては存在していないということで一貫説明してまいったように覚えております。入会慣行につきましては、やはり従前からのいろいろの経緯がございまして、尊重するという姿勢でございますが、契約書の文言自体あるいは県が制定しました管理規則、そういったことの文言の中には尊重するということはあらわれておりません。契約をしたいわゆる国有財産審議会における審議あるいは契約をしました際の県と大蔵省との協議事項、そういったものの中に尊重するということが含まれておるわけでございます。
  272. 原茂

    ○原(茂)委員 ということは、契約の裏に、いま説明のありましたような、入会慣行の尊重はするということも山梨県自体も承知の上だ、こう理解してよろしいわけですね。     〔北山委員長代理退席、委員長着席〕
  273. 川崎昭典

    川崎説明員 慣行を尊重するということは、山梨県もそう理解いたしておりますし、その理解のもとに話し合いを続けたいということで努力をいたしております。
  274. 原茂

    ○原(茂)委員 次に、諸懸案の一つである例の檜丸尾地区の既存林、つまり忍草入会組合が昭和三十一年に植林している地域については、これをどのように処理しようとしているのか。同じく管理規則によりますと、これもいま見せていただきましたが、その附則の二に、「この規則施行の際、現に樹木が存し、第二条の規定による分収造林の困難な地域については、知事は同条の規定にかかわらず、当該樹木の一伐期に限り、同条の規定による分収造林に準じた方式により林業整備事業実施することができる。この場合において第二条第一項を除く本則の規定は、樹木の植栽に関する部分を除き、当該林業整備事業について準用する。」とあります。そうですね。端的に言えば、山梨県は既存林の所有者たる忍草入会組合と、一伐期に限り、分収造林に準じた方式で林業整備事業実施することができる、と規定していると解されると思いますが、大蔵当局はこの附則の規定をどのように解しいるのかを端的に言明をしていただきます。
  275. 川崎昭典

    川崎説明員 県の規則でございますので、私どもが解釈しているということを申し上げて間違いがあってもいけませんですが、先生がいまおっしゃいましたような解釈も成り立つかと思いますけれども、県としましては、現在樹木のある地域にいきなり純粋な形での契約を直ちに行うことはできない。したがいまして、原則から離れたといいますか、例外的な扱いもできるという、県としての権限も留保したものだろうと思います。したがいまして、これから円満に話し合いがつくように、誠意を持って努力するという考え方であろうと思います。
  276. 原茂

    ○原(茂)委員 ここでちょっと突っ込んでこの問題を確認をしておきたいのですが、本来地方自治体のこの種の条例、管理規則等の解釈権というものは、その地方自治体にあるわけです。行政府にはないわけでございます。だが、本件管理規則だけは、払い下げ地の管理規則であることは間違いない。二百十四ヘクタールの国有地を払い下げるという、その前提に立った管理規則であることに間違いがない。したがって、この管理については、大蔵省が用途指定をつけてまで払い下げる以上は、その規則の内容を了承しておかなければならないと思います。そうして、その了承がいかなるものかをやはり明らかにしておく必要があると思うのです。地方自治体にこれの解釈権がある、行政府にはないのだという、いわゆる一般の論議とは別に、今度の場合はこの二百十四ヘクタールを払い下げるという前提における管理規則でございますから、したがって、この管理規則の内容は十分行政府は了承した上で行うということにならざるを得ないと思いますが、その点いかがですか。
  277. 川崎昭典

    川崎説明員 おっしゃるとおりでございまして、山梨県の規則は、私どもの指定しております用途指定の内容と合致するように運営されねばいかぬと思いますが、この附則はやはり原則に対します一つの例外的な扱いができる旨の留保規定だというふうに考えてよろしいかと思います。
  278. 原茂

    ○原(茂)委員 さて、本件払い下げ契約後に、地元関係者の間では次のように多くの人がきっぱりと言い切っています。その言っている内容をこれから申し上げますと、これで恩賜林組合への再払い下げのパスポートを手にしたも同然だ、まず払い下げ県有地について県と分収造林契約を結び、恩賜林組合が造林者となって造林を行い、これはそのとおりですね。その定着した時点で早急に再払い下げを県に行わせる。大蔵省がそれを承認するように、政治的な圧力もかけるが、それがもしだめでも、県から恩賜林組合に強引に再払い下げを強行する。その場合、県は二億円余の違約金を国に払えばいいのだから——これはここにあります、きつきいただいたものです。その分は再払い下げ代金に上乗せをしてやればよい。買い戻しの特約も何もないのだから、組合のものにしてしまえば、大蔵省は手も足も出せないはずだ、というのはこの関係者の幹部の一致した見解であります。公言しています。  一体、払い下げの契約内容はこのようなものなのか。用途指定期間中の用途指定履行の確保、特に所有権移転が行われた場合の国の対抗措置はどうなっているのか、転得者との関係を明らかにしていただく必要があると思います。
  279. 川崎昭典

    川崎説明員 ただいま先生がおっしゃいましたようなことはないと考えております。山梨県知事も、分収造林による地上権設定は再払い下げを目的としたものではないという、はっきりしたことを表明されておりますし、払い下げ国有地を、地元の協力を得て林業整備事業を定着さすということが、県民の期待にこたえるゆえんであるというふうにも答弁をされております。
  280. 原茂

    ○原(茂)委員 山梨県を信頼していると言うのですが、一般の自治体あるいはその他にも買い戻しの特約をできるという規定があるにもかかわらず、万が一を考えて、この種の重大な払い下げに対して、処理要領では、地方公共団体でも特約を付するものとなっているのに、大蔵当局はこの場合に限って買い戻しの特約を付していない。なぜ一体買い戻しの特約をするという措置を講じていないのか。  ただ山梨県を信用しますと言っても、私がこの委員会でるる言ってまいりましたように、もうすでに三年たったら払い下げの事態が始まる、こう言ってもいいくらいで、恐らく五年、十年の間には、いま言った違約金を十年たって払えばもう何を言われようともできるのですから、したがって、再払い下げを行うという事態、私が警告するまでもなくもう地元ではずっとそれが常識となって今日まできたわけです。それをただ山梨県を信用しています、そういうことはないと考えますでは、何かぐるになって大蔵省理財局は山梨県と一緒にやっているとしか言いようがない。われわれがこれほどまでに国会で指摘をし、国会の議決まであったこの問題に関しては、少なくとも当時から指摘しているように払い戻しの特約ぐらいはやっておくことが——会計検査院も、私見ではあるが、そういうこともやる必要があるかもしれないと言っていましたが、なぜ、一体そういうことをやろうとなさらないのか。われわれがこれほど心配しているのに、今までずっとそのことが言われてきているのに、恩賜林組合に行けばそれから観光業者その他に再払い下げがまた行われるということまで疑われている本件に関して、少なくとも再払い下げが行われようとしたときには、それが用途指定六十年間を過ぎないうちに行われたときには、断固として払い戻しの特約を発揮できるように条項を設けておくことが必要だと思うのです。なぜそれをしなかったのでしょうか。国会の、われわれのこの心配に対して、特約条項を付さなかった理由を明らかに答えることがあたりまえじゃありませんか。
  281. 川崎昭典

    川崎説明員 御指摘の点は、いわゆる買い戻しの特約というもののことかと思いますが、国有財産の払い下げといいますか、売り払いをする契約は標準的に決まっておりますが、地方公共団体との契約では買い戻しの特約を付さないというのが一般的なやり方になっておりますので、本件もその例にならったということでございます。
  282. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう官僚的な、ただ言いわけだけで済ますと、後でこの問題でほぞをかむようなことになりますよ。われわれがそうでなくても指摘をしてきたそれには、やはり誠意をもってこたえるように買い戻しの特約を付することぐらいはやるのが常識なんです。それができない。なぜか。山梨県とあなた方はぐるになっているからだ、こういうふうに断定をしておいて、後、県へ移ってからの推移を見ながら適時この点も追及をやめないでやってまいります。  ここで長官にお伺いしますが、長官は富士のすそ野の観光開発がされている状況を御存じだと思うのです。自然保護あるいは環境破壊を防ぐという点からいきますと、観光開発も必要かもしれませんが、観光資本による観光開発というものが恐るべき自然破壊あるいは環境破壊につながっていることは全国至るところにその例を見ております。山梨県もその例外ではありません。  北富士演習地は大体約六千ヘクタール、これを高いところから見ますと、ずっとここだけが本当の草っ原になっているわけであります。その周りにこれはと思ういいところがあると、これがだんだん観光資本による開発が行われていく。一つの例で、この間私見てまいりましたが、河口湖から富士の五合目まで、いわゆる登山道路、有料道路が開発されました。もう十何年になると思いますから環境庁は皆さん御存じでしょうが、その道路の両側の自然の破壊された状況というのは目を覆うばかりのものがあります。やはりこれは大変だな、自然保護団体がああやって声を大にして物を言うのもあたりまえだと思います。行ってごらんになったらわかりますが、大変な自然破壊であります。風倒木はいやというほど目につきます。木はどんどん真っ白になっています。皮がむけています。枯れていっています。あの道路をつくった丸めに風の道がずっと変わりまして、大変な自然破壊が行われている。もったいないと思います。同じように、平地における観光開発が行われても、その近辺のいろいろな意味における環境破壊というものは目に余るものがあるわけです。  いま私が言っていること、この間の閣議で長官も一緒に承知の二百十四ヘクタールの山梨県への払い下げは、いま一応恩賜林組合に払い下げを行う、県と契約をして、県が払い下げを受けて、県が恩賜林組合にいわゆる造林計画をやらせる。しかし、これは三年、四年、五年たったら何らかの機会に事情変更の申請をして、これを県から恩賜林組合へ払い下げてしまう。六十年間はそれができないような一応の用途指定があるのですが、近い将来に県から恩賜林組合へ正式に払い下げをやってしまう。国から県へ来たものを今度県は数年の間に恩賜林組合へ払い下げる。恩賜林組合が払い下げを受けたらこれが観光資本の手に入るだろうということは、もう県民の常識的な疑いになっているのです。現在の環境破壊、自然破壊から見てもこのようなことは絶対にやってはいけないし、好ましくない事態であると私は思い、したがって、山梨県への払い下げはすなわち恩賜林組合への払い下げ、それが形を変えて観光資本の手に渡るようなことがあったら大変な破壊に通ずるからということを含めて、今日まで厳重に忠告を発してきたわけであります。すでに残念ながらここで国からの払い下げが県へ行きました。県からやがて恩賜林組合へ再払い下げがされるだろうということは常識になっている。その後は観光資本の手に移るだろうと言われていますが、そのようなことがあってあの二百十四ヘクタールがまた自然破壊あるいは環境破壊につながることを、私は断じて防がなければいけない。事態は好ましいものではないと考えます。そのようなことがもしあってはいけないと私の思うことに対して、いわゆる環境保護、自然保護の立場から、そういった観光資本に再々払い下げが行われてその手に渡るような事態に絶対なってはいけないということを長官もお考えになるかどうか、ここで感想、所見をお伺いしたい。
  283. 石原慎太郎

    石原国務大臣 観光資本にもいろいろございまして、観光開発なるものも日本の中にもいろいろございますけれども、どうも日本人はその種の開発は世界で最も下手な種族ではないかという気がいたします。富士山の周りに私もときどき参りますけれども、東京から近いせいか非常に開発が進み、間近に富士山を仰ぎながら、それはそれなりのレジャーとして結構かもしれませんけれども、確かに先ほど御指摘のスバルラインでございますか、あの周囲を走ってみますと、植生が非常に変わり、荒れているという感じがいたします。もう富士山の周りの観光開発は一つの限界にきている、あるいはすでにそれを突破しているのじゃないかというのが私の所見と申しましょうか、印象でございます。
  284. 原茂

    ○原(茂)委員 確かに長官のおっしゃるとおりなんで、私も同感でございますし、もうこれ以上の観光資本による環境破壊、自然破壊は絶対好ましくない。長官も同感のようでございますからこれ以上申し上げませんが、その意味で、監視といいますか、今後に対する行政的な指導もやはり環境庁としても考えていただくように、これは私からお願いをいたしておきます。  そこで、次に農林当局にこれはむしろお願いなんですが、申し上げておきたい。  御承知のように北富士払い下げ地二百十四ヘクタールのうちには、昭和十六年以来開墾をし、粒々辛苦の末にいまようやく蔬菜類の高生産を上げるようになった、富士吉田市にあっては随一の新屋部落の高原蔬菜団地が存在しています。御承知のとおりです。また、梨ヶ原には忍草入会組合の牧草の栽培地などがあることも御承知のとおり。これらすべての農民はほとんどが自作農業をもって生活基盤としております。これらの農地等を取り上げられるとすればゆゆしき事態となることはもう間違いありません。大変な問題になります。どうか農林当局は、これら農民の歴史にかんがみまして、また閣議了解の払い下げ目的たる地元民生安定に照らして公正な農地行政を行われるように希望いたしておきたいと思います。決して大蔵当局のように農民を政策の犠牲にすることなく、農地法第一条の精神に従ってあくまで公正な行政を心から望んでおきたいと考えますが、御所見を伺って、この項は終わりたいと思います。
  285. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 私ども農地法の施行に当たる側としましては、法の目的に照らしまして厳正に処置するものでございます。ただ、お話のございました現地の実情は私どもも十分に承知しておりません。県当局ともよく協議して農地法の厳正な実施を進めてまいりたい、このように考えております。
  286. 原茂

    ○原(茂)委員 農地法の厳正な施行を考えていただけば結構なんです。そのことが自作農民を救う道になりますので、ぜひひとつ厳格適正に農地法第一条の準用をお願いしたい。これをお願いして、北富士の問題は終わります。  次に、南アルプスのスーパー林道に関して、これは長官就任とほとんど同時に私、一度スーパー林道のことをお伺いしました。多分雪解けの五月を待って現地を私が必ず見に参ります、その上でこれに対する決着を、もう余りにも長いのですから、という答弁をいただきました。その後何かの事情でまだおいでになっていない。代理をおやりになったように仄聞をしていますが、長官、一体この問題の解決をことしじゅうにおやりになる気持ちがおありでしょうか。またはとてもむずかしいとお考えでしょうか。何としても余りにも長過ぎますし、やはりもう時期が来たように思いますが、一体、これに関係してどのようにあれから調査をなさり、その結果、どういうことが障害、どういうことが障害でない等を含めて、今後の見通し、いつこれに対する決着をおつけになるかという見通しをひとつずばりとお答えをいただきたい。
  287. 石原慎太郎

    石原国務大臣 実は九月の、日にちもはっきり決めまして二十日でしたか、三日がかりで現地を視察するつもりでおりましたのですが、お聞き及びと思いますけれども、カーター大統領が海上汚染防止のためのタンカー規制の問題を打ち出しまして、また石油産出国、特にペルシャ湾沿岸の国々にもそれに同調する動きがあると聞きましたので、急遽その事情聴取に参りまして、実はいまロンドンでIMCOのワーキンググループが十二日間この問題について非常に激しい検討をしておりまして、そこにいままで入らなかった環境庁のメンバーも入れるようにいたしました。その旅行がございましたので時期を失しましたけれども、現地の季節感私よく存じませんが、予算委員会が終われば時間もあくと思いますので、雪が来る寸前にでもぜひ現地を視察したいと思っております。そして、すでに自然保護審議会にも審議を願っておるわけでございますけれども、その答申がいつになるかちょっとまだよく存じませんが、答申と見合わせてできるだけ早期な結論を出したいと思っております。
  288. 原茂

    ○原(茂)委員 雪が降るのもまだ二月ぐらいあると思いますから、ぜひこれは臨時国会の終わった後、おっしゃったとおり現地視察をおやりになって、みずから現地をごらんの上で一番公正な裁断を下していただくということが必要だと思いますので、現地視察だけいまお約束を願いましたので、期待をしておりますからぜひ実行をお願いします。  それからその次に、ニホンカモシカの被害の問題についてお伺いします。  この被害が四十七年、四十八年からずっと増大してまいりました。これを契機に、これはたしか五月二十四日の閣議ですかで、カモシカによる農作物被害対策関係閣僚会議というのですか、対策に対する関係閣僚会議というものをつくろうじゃないか、これは長官の提案か何かでお決まりになったと思います。同時に長官は、五月二十三日、その前日の外人記者クラブでの講演で、政府が人間より動物を大切にするような犬公方であってはならないと述べている。これはなかなか名言なんです。私はなかなかにこれは賛成できない、ずばりと物をおっしゃっておりますが。その上二十四日の閣議でカモシカ関係閣僚会議の設置を提案して、対策の旗を先頭切って振られようということになったわけでありますが、確かに長野県でも飯田市を中心に相当の被害に遭っております。特に全国的にだんだん被害が増大していることは間違いありません。一日も早く何とかしなければいけないと思います。  ところが、なぜその被害が急増したのか、その原因ははっきりまだつかんでいないようであります。ずいぶん前から調査をしているのですが、その調査がまだ不十分のようであります。カモシカの数のふえたのも確かに一因だと思うのですが、私はカモシカ全体の問題をきょう言おうとは思わないのですが、全国に一体何頭のカモシカがいるのかさえまだ正確には把握していないように思います。だから、逆に違った立場、一部われわれもその立場をとりますが、林野庁などの皆伐で奥まで山が荒らされてカモシカがいたたまれなくなって里近くまで出てきては荒らしていくんだ、こういうこともまた一理あることになるわけであります。一体カモシカ関係閣僚会議をその後どう運営されて、どういう成果がありましたか、あるいは今後閣僚会議によって何を期待されておいでになるのか。かつてから閣僚会議というものができますが、できても一遍も開かれない。行政改革ではありませんが、本当に何か開店休業のままでいるものがずいぶんあります。今回はそんなことはないと思いますが、いま私が申し上げたような数量の把握なり被害の全面的な把握なりが一体できているのかどうかも含めて、閣僚会議が一体これにどう応能していけるものと考えているのか、どう対応させていこうと考えるのか、方針あるいは今日まで閣僚会議を開いたらその成果を具体的に御報告いただきたい。
  289. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しい答弁は政府委員からさせていただきますが、関係閣僚協議会、会議と申しましょうか懇談会と申しましょうか、とにかく関係閣僚の会議を開きまして、やはりこの問題は放置できないのではないかという提言をいたしました。  まず何よりもそのカモシカの数なりあるいはそれがもたらしている被害というものを、公有林、私有林ございますけれども、識別しながら、とにかくその被害の実態調査を早急に行う必要があるということで、農林省、林野庁がその仕事を分担しているようでございますけれども、どの程度の調査が進み、どのような報告が来ているか、私はまだその報告を受けておりません。来ているようでしたら政府委員から答弁させていただきますが、いずれにしましても、たとえば岐阜県の小坂のようなところ、私は小一時間ずっと沿道を、町長が同道いたしまして枝道まで入ってみましたが、ああいうふうに小さな町でも、財政そのものがほとんど植林で賄っているような、林業で賄っているような町にとってはもう致命的な被害でございまして、抜本策が立たないまでも、特殊のケースとして救済する必要があるのではないかということを提言し、それも実現の途についたやに聞いておりますが、あとは政府委員から答弁させていただきます。
  290. 出原孝夫

    ○出原政府委員 ただいま長官が御答弁を申し上げました。補足して申し上げさしていただきたいと思います。  カモシカによる農林業の被害に対する対策につきましては、現在恒久的な対策を立てる必要がある。その一番根っこは、カモシカの生態はまだ十分わかっていない部分がございますし、それから生息の数も、先生御指摘のように十分わかっておりません。それから、被害防除の方法についてもなおいろいろ開発すべきものがあるということでございますので、文化庁、林野庁、環境庁三庁のレベルにおきまして共同歩調をとりまして、必要な諸調査昭和五十一年度から五十三年度にわたって実施をいたしたいということで、現在実施中でございます。分担から申し上げますと、生態関係は文化庁、被害防除の関係は林野庁、生息数については環境庁において調査をいたしたいということで、現在実施をいたしております。  その上におきまして恒久的な基本的な対策を立てたいというように考えておりますが、しかしながら最近の状況は、ここ二、三年の間にカモシカによる害が著しくふえておるようでございます。したがいまして、現在まだ不正確な段階ではございますけれども、特に被害の著しい地域につきましては防護さく、保護さく等をつくるということで、その助成につきましてさらに力を入れたいということと同時に、実は保護さくをつくりましても、非常に急峻な斜面に雪がたくさん降るというようなことで、実際にはその保護さくが用をなさないというような地域も一部あるようでございますので、いま緊急の措置としてカモシカを保護捕獲という形でつかまえることは認める必要があるのではなかろうかということにつきまして、三庁それぞれ、私と文化庁の次長、それから林野庁の指導部長段階におきまして会合をいたしまして、合意を見たところでございます。特にカモシカにつきましては、特別天然記念物にもなっておるものでございますので、私どもとしましては、これらの恒久的な調査が完了して方針が立てられるまでは、暫定的な措置として、いま言ったようなことを方針として踏まえて進めてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  291. 原茂

    ○原(茂)委員 数もまだはっきり把握をしていない。しかしながら被害はどんどん増大をする。とりあえずは保護さく、防護さく、こういったものに対する助成を行って、これで何とか防いでいこう。同時に、保護捕獲といいますか、捕獲というものを認めるということもやっていく必要があるだろうというので、それは協議の結果合意をされた、こういうお話でございますが、私は、その保護捕獲をするのに麻酔銃の使用というものを認めないと効果は上がらないということを第一に指摘してまいりました。それに対しては、麻酔銃の関係法規の改正を行うように考えるという答弁をいただいたまま今日に至って、一年以上たっていますが、一体これはどうなったのか。やはり保護、保護といっても、麻酔銃ぐらいの使用が許可されないと、動物園の中だけで麻酔銃を使うなんてばかなことを言っているようでは、本当の保護捕獲というものはできないのじゃないかということが考えられます。これはどうなっているのか。せっかく合意に達したのなら、捕獲のための麻酔銃の使用というものが法改正を通じて実施されるというめどがいつごろにできそうなのか。それがないと思い切った効果が上がらないと考えますから、ひとつそれを答えていただきたい。  それからもう一つ、これも前から指摘しているのですが、ある一定の国有地なり非常に広範なところ、長野県あるいは岐阜県、青森県というようなところで指定をして、その地域に捕獲したニホンカモシカを放すというふうにしていかないと、いまふえたものはふえたでどんどん殺していくというわけにいかないのですから、したがって、あといろいろ断種の方法もあるでしょうし、それは保護地域の中に一定のエリアを決めて、そこに大胆に放ってやる。そこでまたふえる問題についての科学的な対策を立てればいいだろうということも主張してきましたが、この点を真剣に考えていかないと、保護捕獲いたしました、動物園にやります、どこかで二頭、三頭引き取り手がありました、そんなばかなことを、先がわかっているのに——私が前から指摘したようなことでちゃんとびしっとやらないと、本当にやる気でやっていることになりません。いま泣いている実際の山林労務者というものは、あの芽を食われてしまうために仕事がなくなっている。そうでなくとも全体が低成長時代のいま、失業者が多くなっているときに、政府が政治として手を尽くしてやれば失業しないで済む山林労働者が数多くいま失業状態になっていることも考えてみますと、国の財産であるこういう林を考えても、これは早急にやらなければいけない。やるためには、いまおっしゃった保護捕獲が合意に達したことは非常にいいことだと思います。ただし、捕獲のための麻酔銃の使用に関してどうなのか。もう一つは、その捕獲したニホンカモシカを一定のエリアを決めてそこに放ってやるということで、国有林のどこかを県別に設定するということを早くしなければいけないと思いますが、この点どうですか。局長が答弁した後、大臣からもこの感想をひとつ聞きたいのです。
  292. 出原孝夫

    ○出原政府委員 まず第一番目に麻酔銃の使用についてでございますが、一つは、技術的な問題がございます。それにつきましては、私どもは日本動物園水族館協会に委託をいたしまして、薬物による鳥獣捕獲の方法に関する研究ということで、野外試験を含めた検討をしていただくということにお願いをいたしてございます。これが一つでございます。(原(茂)委員「期日はいつ」と呼ぶ)これは今年度の五十二年度と五十三年度、両年度にわたる予算でございます。五十二年度百八十万円でございます。それで、御指摘のように、麻酔銃の使用につきましては、現行の鳥獣保護法では麻酔銃等薬物の使用は禁止をされておりますので、その技術的な方法を確立すると同時に、法律改正のことも考えなければならないということがございます。したがいまして、私どももできるだけ早い機会にこの法律改正に踏み切る必要があるというように考えております。ちょうどいま、そういった技術的な方法を確立するための検討をして、早急に答えを出したいという段階でございますので、もうしばらくの御猶予をいただきたいと思います。  それから第二点は、要するにカモシカの特別な保護地域を設けるかどうかということでございます。この点につきましては、御指摘のようにカモシカの被害を受けるという地域が、民有林を含めてかなり大きい地域にわたっておるということが考えられます。したがいまして、これを一定の地域に入れるということになりますと、林野庁にいろいろお願いをする必要があると思います。この点につきましては恒久的な対策を、私どもとしましては五十一、二、三年度の三年度にわたる調査の結果、林野庁、文化庁と協議をいたしまして対策を立てたいというように考えておりますので、その中の問題としてそれぞれ取り上げていただくということで、現在三庁で進めております論議をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
  293. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣にお伺いしたいのですが、いま答弁をお聞きになったとおりなんですが、遅々として進まないんですね。私はもう数年これをやっているのですが、同じことをやっているようにしか思えない。これは長官として大号令をかけて、いまの麻酔銃の問題それから、これまで麻酔銃を使って動物を捕獲していることは動物園その他でやっていることですから、それをまた何のために野生で実際に実行してみなければいけないのか知りませんが、薬によるニホンカモシカに対する影響がどうあるかという調査なんでしょう。それは必要だと思います。しかし早目にやらないと、その間に食えない人間がいっぱい出ます。里にどんどんおりてきて、里の畑まで食い荒らしているのが状況ですから、これは大変ないわゆる民生問題でございます。ということも含め、いまの保護地域なども当然将来にわたって考えた上で、相当のエリアを確保しなければいけないと思いますが、これも政府全体の考えでやっていかないといけないと思いますので、大至急に捕獲したものをどこで保護するかということも考える、その地域の設定という問題も、これは一環境庁の部局で考えてもできないと思いますので、こういう点は長官として、大至急な、異常な決意で進めていただくようにぜひ考えてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  294. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まことにおっしゃるとおりだと思います。  麻酔銃の話が出ましたが、実は先般私のところへある方が参りまして、非常に画期的な、動物を傷つけないプラスチック製のわなを発明して持ってこられました。カモシカの生態からいってそういうわなが果たして効果があるのかどうか存じませんが、いままでは捕らえようとしてがけから落として殺してしまって物議を醸したという例が非常に多いようでございますが、麻酔銃はどこでも使っていることですし、私は、決して殺すのではなしに捕獲するために残虐とは言えない手段だと思います。  それから、先般、衆議院でしたか参議院でしたか、決算委員会で申しましたが、やはり自然動物園のような非常に大きなところをつくって、捕獲したものはそこへ送り込んで、そこで飼育してみんなに見せる、種族も、断種等々を行いながら適当な数をそこで保っていくというような処置をできるだけ早くとるべきだと私も思います。
  295. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、ぜひそれは大号令、これこそ旗を振ってやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  私はこのことを考えますと、関係閣僚会議ですか、こういうもので効果を上げていこうとなさることと同時に、環境庁、文化庁それから林野庁ですか、この三庁がこの問題に関しては常時一体となった何とか会議を持っていくようにしないと、何か環境庁から発案をされた、三庁さあ集まれと言って相談をする、違ったことは文化庁が発議をして三庁集まれと言ってやるというようなことでなくて、この問題に関して関係閣僚会議をお持ちになるほどでしたら、同時に私は、この問題の資料収集とそれに対する対策を、本当の責任者が三庁一体になって、常に遅滞なく問題の解決と前進を図っていくようにする会議こそ至急に持っていただくことの方が効果があるように思うのですが、大臣、これをぜひやってもらいたいと思います。いかがでしょう。
  296. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これもまことにおっしゃるとおりでございまして、閣僚レベル会議だけではらちが明かない問題がたくさんございますから、事務レベルでそういう関係省庁間の会議のような組織をつくって、積極的に対処するという方策をぜひとりたいと思います。
  297. 原茂

    ○原(茂)委員 長官、いいとお思いになったらひとつぜひそれを実行に移していただくようにお願いして、終わります。
  298. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会