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1977-11-16 第82回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十六日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 竹内 黎一君    理事 有馬 元治君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 毛利 松平君 理事 山田 久就君    理事 河上 民雄君 理事 土井たか子君    理事 中川 嘉美君 理事 渡辺  朗君       稲垣 実男君    川崎 秀二君       川田 正則君    北川 石松君       佐野 嘉吉君    関谷 勝嗣君       中山 正暉君    福田 篤泰君       福永 一臣君    宮澤 喜一君       松本 七郎君    中村 正雄君       寺前  巖君    伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 鳩山威一郎君  出席政府委員         外務政務次官  奥田 敬和君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      中島敏次郎君         外務省欧亜局長 宮澤  泰君         外務省中近東ア         フリカ局長   加賀美秀夫君         外務省経済局次         長       溝口 道郎君         外務省経済協力         局長      菊地 清明君         外務省条約局長 大森 誠一君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君  委員外出席者         国立国会図書館         長       岸田  實君         外務省情報文化         局文化事業部長 大鷹  正君         大蔵省主税局国         際租税課長   宮本 英利君         国税庁調査査察         部調査課長   五味 雄治君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     北川 石松君   三池  信君     関谷 勝嗣君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     大坪健一郎君   関谷 勝嗣君     三池  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国チェッコスロヴァキア社会主義共  和国との問の条約締結について承認を求める  の件(条約第三号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国チェッコスロヴァキア社会主義共和国との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 さきに政府ルーマニアとの間において租税条約締結されようとし、今回またチェコスロバキアとの租税条約締結されようとしているわけでございますが、政府東欧諸国との間に租税条約締結を、ただいまこのように積極的に推進されようといたしておりますその理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 宮澤泰

    宮澤政府委員 政府外交方針といたしまして、体制を異にする国家との間にも貿易文化等交流を通じて相互関係を深めますことは、相互国民の福祉とまた平和にも寄与するところが多いと思いまして、先方との間にそのような合意ができます場合には、進んでそのような取り決めをいたしまして、特に貿易経済、人的、文化的な交流等を深めることに資したい、これが目的でございます。
  5. 土井たか子

    土井委員 大まかに申し上げますといまの御答弁のとおりだろうと思うのです。  ところで、チェコスロバキアに限らないで、東欧諸国西側諸国とこのように経済交流を積極的に進めようといたしておりますが、東欧諸国側がただいま西側諸国とそういう経済交流を積極的に進めようといたしております理由というのを、一体どの辺に置いて考えたらいいのでございましょうか。
  6. 宮澤泰

    宮澤政府委員 主として国民生活水準を高めることに主眼があると思いますが、東欧諸国におきましても設備、機械等、必ずしも西側水準に達していないものもございますし、技術等もございますので、そういうものを活発に入れ、また交流をし、国民生活水準を高めていく、これが主目的であろうと考えております。
  7. 土井たか子

    土井委員 ところで、経済体制や税の体制がまるで違う社会主義国であるチェコスロバキアが、今回わが国を初め西側諸国租税条約締結いたしまして、経済交流の促進を図ろうというわけでございますが、チェコスロバキアとしてはそういうことに対して国内的にどのような措置がとられているのか、またとられつつあるのか、このことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいまチェコスロバキアは一九七六年-一九八〇年の間におきまして第六次五カ年計画を実施いたしておりますが、特に第六次五カ年計画の主目標といたしまして、対外貿易を三五ないし三七%ふやす、こういうことを目的にしております。これはやはりオイルショック等の影響もございまして、第五次五カ年計画最後におきましてかなり計画がそごしたということもございますが、そういう意味で活発に西方の自由圏諸国交流をしたい、こういう希望がまず内部にあることは事実でございます。  それから制度といたしましては、これはわが国要望も入れた形でございますが、昨年、外国商社駐在事務所のステータスに関する法令を定めまして、わが国商社等駐在を認めることによってわが国との経済交流を活発にする、このような措置をとりました。また、かねてチェコはフランス、イタリー、オランダ、フィンランド、ベルギー等ともOECDモデルによりましてこのような種類の租税条約を結んでおります。
  9. 土井たか子

    土井委員 国内的にどのような措置をとりつつあるかという質問をいまさせていただいたわけでありますが、必ずしも質問に対しての御答弁というふうには私は承らないわけでありますけれども、そういうふうなことからちょっとお確かめをしてみたいのは、チェコの場合、外国企業による外国貿易活動実施に関する外国貿易省告示というのがございませんですかどうですか。あるはずですが、いかがです。
  10. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  この租税条約によりましてチェコ国内でどんなふうな法的な措置がとられておるかという御質問のように承りましたが、チェコ国内的には、税体系につきまして、日本あるいはそのほかに結んでおります西欧諸国税体系と相違する部分につきまして特別な措置を設けておるということはございません。ないように聞いておりますが、しかしチェコにおきましては、こういった条約が自動的に国内的な効力を持ちまして、いかなる国内法にも優先する、そういった法制をとっておりますので、たとえばこの条約で申しますならば、二十三条に二重課税排除方法のようなものを規定いたしておりますが、チェコ国内法ではその排除方法外国源泉所得に係る所得免除方式というのを現在とっておるのでございますが、この条約ではそれと並行いたしまして、外国税額控除という新しい制度を導入いたしております。そういう制度は、国内的には特別に措置を設けておりませんが、この条約によりまして国内法に優先して適用される、こういうふうな形になっておるということでございます。
  11. 土井たか子

    土井委員 どうなんでしょうね。チェコの場合は外国からの投資を認めておりますかどうですか。混合法人設立を認めておりますかどうですか。いかがでございますか。
  12. 宮澤泰

    宮澤政府委員 混合法人の設置をただいままで認めておりません。
  13. 土井たか子

    土井委員 ただいままでという御答弁でございますが、先の見通しについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。ルーマニア租税条約では、混合法人に関し合意議事録まで取り交わしていたわけでございますね。今回のこのチェコスロバキアとの租税条約ではそのような措置がとられていないわけでございますが、その理由をまずお聞かせいただいて、そしてこの問題に対してのこれからの見通し、これもあわせてお伺いしましょう。
  14. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ルーマニアチェコにおきましては経済政策がいささか趣を異にしておりまして、ルーマニアの場合は経済国際化ということに重点を置きまして、外国との混合法人設立を認めておるわけでございますが、チェコの場合は、ただいままでと申し上げましたことは、今日まで認めておらないという意味で申し上げたのでございます。その理由として考えられますことは、チェコは御承知のとおり伝統的に非常に工業技術水準が高うございますので、必ずしも外国との企業提携をする必要をまだ認めておらない、こういうことによるかと思います。  これから将来どうであろうかという見通しの点でございますが、これはやはりチェコ国内政策の見地から定められることと思いまして、ルーマニアのように経済国際化ということにもし重点を置く方向に向きますならば、おいおいそういうこともあろうかと思いますが、ただいまのところそのような徴候はございません。
  15. 土井たか子

    土井委員 わが国社会主義国との間でこのように締結する租税条約としては、ルーマニアに次ぐ二番目に今回のがなるわけでございますが、ルーマニアとの租税条約内容とさらに今回のこのチェコスロバキアとの租税条約と、いままで御説明以外のところで違っている点がございますれば、ひとつ御指摘ください。
  16. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  ルーマニア租税条約との相違点ということでございます。  まず第一点につきましては、投資所得に対する制限税率と申しますか軽減税率のところでございますが、たとえば配当に対します軽減税率は、チェコの場合には一般制限税率は一五%、それから親子関係にある会社の場合には一〇%というふうに、従来わが国一般的に結んでおります基準に沿った率になっております。これに対しましてルーマニアの場合には一律一〇%というふうになっておりまして、親子の区別がございません。  それから第二点は、使用料制限税率でございますが、対チェコの場合には文化的使用料が免除されております。これは非常に大きな特徴になっております。それから工業的使用料は一〇%。この一〇%というのは、わが国一般的に結んでおります統一的な率ということになっております。これに対しまして対ルーマニアの場合には、文化的使用料は一〇%、これに対しまして工業的使用料は一五%。この一五というのは、ルーマニアの方の強い御要望があってこういうふうなかっこうになって、かつ文化的使用料を優遇するということで一〇というふうに、対チェコに比べましては高いのですが、差のついた形になっております。  それから、たとえば医師、弁護士、建築家、こういったいわゆる自由職業所得に対しましては、対チェコの場合にはOECDモデルと同様な形で、固定施設事務所のようなものを相手国に持っておるような場合についてのみ、事務所に帰属する部分課税する、こういう形になっておりますが、ルーマニアの場合には、そういうことに加えまして、百八十三日を超えるような滞在がある場合にも、固定施設がないにもかかわらず課税するというふうな形になっております。  もう一点、一つございますのは、いろいろな所得につきまして列挙いたしまして課税方法を言っておるのでございますが、そういう列挙されたもの以外の、抜けたその他一般所得というものにつきましては、対チェコの場合にはそういう特別な規定を設けておりまして、居住地課税するという一般原則を述べておりますのに対しまして、ルーマニアの場合にはそういうものが特に規定されていない、こういうふうな点が相違点でございます。
  17. 土井たか子

    土井委員 いま御説明の中に出てまいりました文化使用料に対しての問題なんでございますが、条文から申しますと十七条に関連する内容になるかと存じます。政府計画した文化活動に対して租税を免除するという向きの内容でありますが、いま日本の場合、チェコとの間で文化関係企画としてはどのようなものが御用意されているか、そういうのがございましたらひとつお教えいただきたいと思います。
  18. 大鷹正

    大鷹説明員 現在、日本チェコの間の文化交流案件としましては二件ございます。一件は、わが国現代版画展覧会を本年の十二月八日から明年一月十五日までプラーグにおいて開催する案件でございます。それからもう一つ案件は、邦楽器によるわが国現代音楽公演を明年の十月のブラチスラバ音楽祭に参加する形で行う案件でございます。この二つがございます。
  19. 土井たか子

    土井委員 それぞれに対しては、政府とされてはどういう資金援助ということを具体的にされているかという内容について、それでは承りましょう。
  20. 大鷹正

    大鷹説明員 第一の現代版画展覧会につきましては、空送料保険料等国際交流基金が負担することになっております。総額としましては約二百五十万円でございます。  それから、第二の邦楽器による現代音楽公演の方は、これも国際交流基金において、航空賃荷物輸送料等を負担いたす予定でございます。その額は全部で約千四百万円でございます。
  21. 土井たか子

    土井委員 チェコから日本への企画が現在ございますか、どうですか。
  22. 大鷹正

    大鷹説明員 現在のところ、ございません。
  23. 土井たか子

    土井委員 さらに、日本からチェコに対して、この条約締結されますと、後々少し活発にこの中身を促進するという意味からして、将来に対しての対応というのがある程度考えられていなければならないと思うのですが、この点に対しての見通しをどのように持っていらっしゃいますか。
  24. 大鷹正

    大鷹説明員 われわれといたしましても、今後とも日本チェコスロバキアとの文化交流はできるだけ促進いたしたいというふうに考えております。それにつきましても、文化交流の、われわれの実際の援助等をやっております国際交流基金予算をぜひ拡充して、そういう文化交流の拡充というものが図れるようにいたしたいというふうに考えております。
  25. 土井たか子

    土井委員 そうすると、五十三年度の国際交流基金予算の枠というのは、現在に比べると、やはりそういう意味においては少しふやさなければいけないというお気持ちでいらっしゃるのでしょうね。一体どれくらいの心づもりでいらっしゃいますか。
  26. 大鷹正

    大鷹説明員 現在、五十三年度予算におきましては、国際交流基金出資金を五十億円ふやしていただくように要求しておるところでございます。これが実現いたしますと、事業費の方で約二億円の増加が期待できるわけでございます。
  27. 土井たか子

    土井委員 ところで、かつて当委員会で、いろいろ企業海外進出に伴いまして海外不正所得があるという問題が取り上げられて、種々質疑をされたという例がございます。これは大臣も御存じのとおりだと存じます。その節、日本について言うならば、海外において、対外活動の最大の拠点をどこに置いて、そういう企業活動の中での不正所得が多いかということを御質問させていただいたのの答弁として、最も多額に不正が発見されているのはアメリカだということになっているわけですね。  さらに、いま申し上げたのは私の質問でございますが、その後また別の機会に、改めて海外取引にかかわる調査官海外派遣による調査ということが大きな問題になりまして、アメリカ海外調査のために調査官派遣して、現地においていろいろと調査活動を充実させていきたいというふうな御答弁がその節あったわけであります。いま、海外調査のために調査官派遣ということがその後されているやに思います。これは当委員会での質問内容なんでありますが、ここに、きょうは国税庁から御出席でいらっしゃいますね。調査官海外における調査活動について、そのうち御報告賜ることがございましたら、ひとつまずお聞かせをいただきたいと思います。
  28. 五味雄治

    五味説明員 お答え申し上げます。  国税庁からの海外への調査官派遣状況でございますけれども、過去五年間、引き続き調査官を米国を主軸として派遣いたしまして、派遣回数にいたしましても、ここ三年間三回、派遣人員は十名から十三名程度ということで海外調査官派遣いたしまして、調査並びに実態を調べているというのが実情でございます。ただ、国家主権との関係がございますので、国内における調査と同様なことは当然できないということでございますが、関係省庁なりあるいはアメリカ政府等協力も得まして、できる限り効果あるような調査の仕方をしているわけでございます。
  29. 土井たか子

    土井委員 ところで、少し話がアメリカからそれますけれども、わが国ではいわゆるタックスヘーブン設立された日本企業子会社留保所得課税するということがただいま検討されているやに私どもは聞いております。  そこで、たとえば香港で通常に営業活動している日本企業子会社留保所得というのをどんな基準親会社納税回避とみなすかというのは大変私は問題になってくると思いますが、この辺はどのように考えていらっしゃいますか。
  30. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  いま先生が御指摘になられましたようなタックスヘーブン国にございます日本子会社現地法人、こういったものの租税回避と見られるような行為に対しまして、どういった方法課税していけばいいかということを、どんな形があるか、こういうことを目下鋭意検討いたしておりまして、そういうものの一つの中に、向こうの留保所得親会社所得とみなして課税できるかどうかというふうな方法もその一つ方法として検討しておるという段階でございまして、まだそれが確定的にいいものかどうかというところまでの結論には至っていないわけでございますが、しかし非常に有力な一つ方法であろうというふうに思っております。そのような、一般的にそういう現地法人留保所得親会社につけるというふうに仮にした場合に、海外製造業あるいはさらにまた開発途上国経済開発援助、そういったものの活動を阻害するというふうなことがあってはこれはなりませんので、そういう点の可能性を、限界をいろいろいま実情を聞きながらケーススタディーをしておるというふうなところが現在の段階でございます。
  31. 土井たか子

    土井委員 これは少し時間を置いてまた具体的にお尋ねをしなければならないような問題だろうと私は思いますが、大臣最後に、ここに先ほどちょっと私が申し上げたとおり、わが国企業海外進出でいろいろな不正所得が取りざたされる中で、最も多額に不正が発見されているアメリカなんかを考えていきますと、これは租税条約締結をして、そしてそれを実効あらしめるものにしていくためには、さらにいろんな配慮が必要じゃないかと思われるのです。つまり、租税条約締結したからといって、こういう不正所得に対してそれを抑えるという意味にはならない。租税条約締結することがすなわちこういう不正所得などに対して実効性あるものとどうも直ちに考えることができないような意味にもこれは受け取れるわけでありますが、この租税条約を結ぶ、そしてチェコとの間でこれから二国間の交流がこういう意味でもある。このことについて、一ついまのアメリカの例を私は引き合いに出しましたけれども、実効性あるものにしていくためにはどういう点が肝心であるというふうにお考えであるかを最後に聞かしていただいて、私は終わりにしたいと思います。
  32. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 租税条約を諸外国と取り結ぶということは、これは私は両国の間のこれからの経済交流を容易にしてまいるという上で非常にシンボリックな意味もあろうかと思います。そういう意味で、東欧諸国との間に逐次租税協定が結ばれていくということは、大変好ましいことであろうと思っております。  また、不正所得等の問題は、これはいささかやはり制度と実際面とのずれの問題とも言える問題であって、特に経済交流が非常に深まっていくにつれまして、そのようなまた実際上の課税問題といいますか、租税回避行為とかいうような問題が出てくるおそれもあろう。そういう意味で、その点につきましては、いま国税庁あるいは主税局の方からお答えがございましたけれども、これから日本としての公正な課税という意味で、また不公正な商行為が行われることを防ぐという意味でも、実際の課税徴税努力というものを続けて、ますますこれは力を注いでもらいたいというふうに考えて、これはやはり制度と実際の課税面と両両相まって公正な税の体系が打ち立てられるというふうに考えておりまして、両方の部面で今後とも努力をいたしたいと考えております。
  33. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  34. 竹内黎一

  35. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私は、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国チェッコスロヴァキア社会主義共和国との間の条約について、若干御質問をしたいと思います。  まず最初に伺いたいのは、わが国チェコとの経済交流、これはどのような現状にあるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  36. 宮澤泰

    宮澤政府委員 チェコスロバキアは、東欧社会主義諸国の中でもきわめて工業水準の高い国でございまして、わが国貿易体系といたしまして必ずしも補完関係にございませんので、わが国チェコとの貿易関係は比較的低い方でございます。チェコから見ますと、わが国西側先進国の中で輸出で十五番目、輸入で十一番目、このような状態でございます。  金額で申しますと、最近七五年は総額往復で七千四十九万ドル、そのうちわが国から見まして輸出が四千四百六十万ドル、輸入が二千五百八十九万ドル、七六年昨年でございますが、総額六千八十四万ドル、そのうちわが国輸出が三千七万ドル、輸入が三千七十七万ドル、ほぼ均衡いたしております。ことしの一-八月の統計を見ますと五千四百六万ドルが総額でございまして、わが国輸出が二千万ドル、輸入が三千四百四万ドルと、このようなことでございます。ただ、先ほど土井委員の御質問にお答えいたしましたように、最近チェコ法令を改正いたしましてわが国商社駐在を認めましたので、これから貿易がだんだん活発になってまいると思っております。  貿易品目といたしましては、わが国から機械軽工業品化学品などを出しまして、入れますものは同じく機械ガラス製品などのほかに、特徴のありますものとして麦芽、ホップ等がございます。それから、そのほかにわが国プラント輸出ですでに数件成約がございまして、内容的に申しますとポリプロピレンの製造プラント、エチレンの製造プラントナイロンタイヤコード製造プラント大型ブルドーザー及びパイプレイヤー、このようなものが成約になっております。
  37. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 日本からの投資についてですけれども、現在チェコとしてはこれを受け入れる体制にあるのかどうか。先ほどの土井委員質問に関連しますけれども、この点もう一度確認したいと思います。
  38. 宮澤泰

    宮澤政府委員 ただいままでのところ、チェコ外国からの投資を認めておりませんので、わが国につきましても当座はそのような状態であろうと考えております。
  39. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは、この条約の第十条等において配当所得利子所得等についての規定を置いていますけれども、これはどういう理由であるか、この点をお答えいただきたいと思います。
  40. 宮本英利

    宮本説明員 ただいま外務省の方から御答弁がございましたように、チェコにおきましては外国からの直接投資というものを認めていないというのが現状でございます。しかしながら、先生が御指摘のような、十条というところにおきまして配当というものにわざわざ制限税率というのを認めているわけでございますが、この点は、将来わが国企業現地法人設立、こういったものが認められるようになった場合、あるいは現時点におきましても、チェコ企業わが国合弁等の形で進出してくるような場合、あるいはチェコ一般個人がポートフォリオといたしまして日本企業の株を保有するような場合、こういった場合を考慮いたしまして、従来わが国一般的に行っております租税条約の例にならいまして、配当に対する制限税率規定を設けたところでございます。現にチェコがいろいろな国と租税条約を結んでおるわけでございますが、特に西欧諸国が多いわけでございますが、やはりわが国が結んでおります内容とほとんど同じものを含んでおるというふうになっておるわけでございます。
  41. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 チェコ経済の近代化を非常に希望しているようですけれども、この租税条約締結によって、経済交流という面からどのような効果が期待をされるのか、すなわちこの条約のねらいがどういうところにあるのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  42. 宮澤泰

    宮澤政府委員 チェコ東欧社会主義諸国の中でも伝統的に大変工業水準の高い国でございますが、年とともにだんだん機械設備等も老朽化してまいりまして、必ずしもいい機械が入らないというようなことから、現在行っております第六次五カ年計画の中で産業の近代化、外国との貿易の三割方の増加というようなことを考えております。かたがた、わが国を含めまして外国企業駐在を認めるという法令の改正をいたしましたので、これからまた日チ間の貿易が活発化していくものと考えております。またこれは必ずしも産業、経済面でございませんが、文化的所得の問題等もございますので、人的な文化交流等もおいおい盛んになっていくものと考えております。
  43. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この条約の中に文化交流の意図が強く出ているように思いますが、第十二条の二項の(a)のところには「工業的使用料に対しては、当該使用料が生じた締約国において、その締約国の法令に従って租税を課することができる。」云々。それから(b)の方では「文化的使用料に対しては、当該使用料が生じた締約国において租税を免除する。」このように、工業的使用料、そして文化的使用料とに区分して規定をしているわけですけれども、二つに区分した主な理由はどういうところにあるのか、この点を御説明をいただきたいと思います。
  44. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  わが国は、租税条約を結びます場合に、使用料というものは一般的には一〇%ということで交渉をいたしておりまして、そのような事例が多いわけでございます。チェコとの交渉の段階におきましても、当然のことながらわが国のそういう一般的な基準を主張したところでございます。それに対しましてチェコの方からは非常に強い希望がございまして、使用料の中でも文化的な使用料につきましては免税にしようではないかという非常に強い提案がございまして、わが国といたしましては、使用料を工業と文化というふうに分けまして、文化を免税にするというふうな前例は全くないのでございますが、しかし文化的使用料につきましては、日本チェコとの間の文化交流の促進の見地から免税にすることが適当であろう、こういうふうな判断のもとにチェコ要望に応じ、そういう新しい方針をとったというふうなことでございます。
  45. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、この条約では文化的使用料に関してこういった免税措置規定されているわけですけれども、従来わが国締結をしてきた租税条約で、こういった文化的使用料に関して免税措置規定した事例が果たしてあるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  46. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  従来文化的使用料に免税を適用したという事例は全くございません。今回が初めてでございます。ただ、免税ではございませんが、工業的使用料と区別いたしまして優遇いたしました例といたしましては、対ルーマニアとの租税条約にございます。免税としたのは初めてでございます。
  47. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、今後社会主義国租税条約締結する場合に、このような文化的使用料に関しては免税措置規定を取り入れていく方針であるのかどうか、この辺はどうでしょう。
  48. 宮本英利

    宮本説明員 わが国の場合におきましてはOECDというところに加盟いたしておりまして、そこで先生御承知のようにOECD条約モデルというものをつくっております。わが国からもそれには積極的に参加してまとめた一つの国際的な規範、例というものがあるわけでございまして、交渉は一般的にはそれにのっとって、そういうモデルに近いものを結ぶ努力をいたしておるわけでございます。そのモデルに基づいてわが国一般的に提案いたしております率は、使用料というものは一本にいたしまして、一〇%という形で租税交渉のときには申し入れておるわけでございますが、これは社会主義国であろうとそうでなかろうと、その使用料につきましてはそういうふうに一般的な申し入れを行っておるというのが実情でございます。しかしながら、ルーマニアのときにおきましては、先方から、一般的には一五%にしてほしい、しかしながら文化的使用料については一〇にしよう、そういう申し入れがございましたし、またチェコの場合におきましては、先ほど申しましたような免税にしようという提案がございまして、これを受け入れたわけでございまして、たまたま先方のルーマニアチェコという両国がそういう文化的な面に非常に御熱心であられた結果がこういうふうな結果になっておるということでございます。
  49. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、確認したいと思いますが、今後このように同じような申し入れが、ある国からあった場合、同じような趣旨でそういった免税措置規定を今後も取り入れるのだというふうに解釈してよろしいかどうか。
  50. 宮本英利

    宮本説明員 このルーマニアチェコスロバキアに対します条約の例から、先生のいま申されましたような方針をわが国がとるという決意がなされたと理解しておるわけでございます。
  51. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 本租税条約租税回避に対してどのような具体的な措置を講じているのか、この条約によって、いわゆる不正所得とか租税回避を防止することが可能である、このように考えておられるか、この辺はどうでしょうか。
  52. 宮本英利

    宮本説明員 この租税条約の中に、先生が申されましたような租税回避のための規定が四点ほど定めてございます。  お断り申し上げておきたいのでございますが、この規定はあくまで日本チェコスロバキアという両国間だけの規定である、そういう意味で、日本企業親子関係であるとか姉妹会社というふうな、そういう特殊な関係を利用いたしまして、二国間の取引で何らかそういう行為をした場合に適用できるという仕組みになっておるわけでございまして、その二国の取引に関する限りは、この規定を有効に働かせることによりまして、ある程度のそういう租税回避を阻止することはできるかと信じております。  それで、その規定でございますが、条約の第九条に、先ほど申し上げましたような特殊な関係によりまして価格の操作、こういうようなものによって一方の国から一方の国へ所得を移転させるというふうなことが仮に行われました場合には、その両者がそういう特殊な関係になくてお互いに独立企業であるというふうにした場合に生じたであろうその価格に引き直して所得税を課す、そういうふうな仕組みになっております。同じような規定は利子の規定、それから使用料のところにもございます。  それからもう一点、第二十六条には情報交換の規定というのがございまして、ここで両国の国税当局がお互いにそういう情報を交換し合ったりあるいは徴収を共助し合ったりするようにして、そういう租税回避には相互協力して対処し得るというふうな規定がつくられておるわけであります。
  53. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 租税回避について本租税条約でそういった措置が講じられるということですけれども、先ほどの土井委員の御質問にも若干関連しますが、確認の意味でお聞きしますけれども、第三国を利用した租税回避、これについて考えた場合にはどうももう一つ効果的ではないのじゃないか、こんなふうに思いますが、政府としてはそのような場合にどう対処するか、いま一度御答弁をいただきたいと思います。
  54. 宮本英利

    宮本説明員 お答え申し上げます。  先生が御指摘されましたような第三国を利用した場合の租税回避、とりわけその典型といたしましてはタックスヘーブンと言われておりますような税金のないあるいは負担がほとんどない、そういう国を使っての租税回避というものにどう対処し得るかという点でございますが、確かにそういう別の国を経由します場合には、この租税協定だけでそれを阻止することは必ずしも有効とは言えないわけでございまして、私どもそういうものに対処いたしますために、たとえばOECDにおける租税委員会という場であるとか、あるいは国連のECOSOCと言われる経済社会理事会でございますが、そういう場におきまして、多数国間でそういう租税回避をどのようにしたら回避できるのであるかというふうなことを、いま目下検討したり調査したりいたしておるわけでございまして、最近の事例では去る九月にOECD租税委員会でそういうことを決定いたしまして、それがOECD理事会になりまして、その租税回避というものを各加盟国は回避するために法制の整備をしたりあるいは情報交換をもっと強力に行うべきであるというふうな勧告を加盟国にいたしておるわけでございます。私どももそういう勧告を受けましたり、それからこれは当然のことながら、この外務委員会の場でも従来からいろいろ御指摘いただいておるところでございまして、そういうところに従いましていま目下内部でも鋭意種々対処策を検討いたしておる、こういう段階でございます。
  55. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは外務大臣にこのことに関連して伺いたいと思いますが、この多国籍企業租税回避行為に対して、国連とかOECD、こういう国際機関でいろいろな検討がされているわけですけれども、その実情はどんなものかということ、さらには昨年六月OECD閣僚理事会において国際投資及び多国籍企業に関する宣言が採択されているわけですけれども、この宣言に多国籍企業行動指針というのが含まれていますけれども、政府としてはこれにどのように対処しようとしておられるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  56. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 OECDの多国籍企業の行動指針につきまして、これは日本企業海外に相当進出をいたしております。多国籍企業であるかどうかということもこれはいろいろな判断基準がございますけれども、しかしわが国といたしましては、いやしくもわが国企業海外に進出して活動されるにおきましてはやはりりっぱな行動をしてもらいたい、これが何より私どもといたしましても最大の関心を持っているところでございまして、この点につきましては関係経済団体、貿易会等の団体にこの趣旨をよく連絡をして、経済団体の方におきましても行動指針をつくって指導をしておる、これが現在のところでございまして、今後ともただいまのおっしゃいました点につきましては日本企業海外でいろいろな批判を受けないように、その点については最大の努力をいたしたいと思っております。
  57. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私の質問はこの辺までにしておきますが、最後にこの租税条約に関するわが党の立場というものを一言申し述べておきたいと思います。  このたびの租税条約の取り扱いについて党内で改めて検討をした結果、この種の条約に対しては本来の趣旨である二重課税回避という面に留意して賛成をいたすことに決定したわけでありますが、なお多国籍企業の不法活動の規制に関してはこの種の条約の改善も含めて多角的な協力、これを講ずるよう求めていく方針であるということをこの際申し述べまして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 竹内黎一

    竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  59. 竹内黎一

    竹内委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  60. 竹内黎一

    竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  62. 竹内黎一

    竹内委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  63. 竹内黎一

    竹内委員長 速記を起こしてください。次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  64. 土井たか子

    土井委員 まさに、いまもう動き始めていると思わなければならない日中平和友好条約の問題について、少し外務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、日中平和友好条約締結に当たりましては、どうしてもやはり原則が必要だと私は思うわけです。     〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕  申し上げるまでもなく、平和友好条約の中身として考えるべきは例の覇権反対の問題でありますが、いま非常に動いている最中でございますから、外務大臣にこれをお尋ねして、御答弁の時期としてはまだまだ当を得たときとは言えないかもしれませんけれども、しかしできる限り意のあるところをひとつお聞かせをいただきたいと思うのですが、この覇権反対のことを原則としては必ず本文に盛ることが必要だというふうには考えられます。このことに対して、どういうふうに大臣自身はまずお考えになっていらっしゃるかというあたりからひとつお聞かせいただけませんか。
  65. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 端的に覇権条項についてのお尋ねでございますが、ただいまこの問題が一つの問題点であるということはこれは私どもも否定をし得ないことでございますが、いかに取り扱うかという点につきまして条約交渉の過程と申し上げていいかわかりませんが、それにつきまして私どもといたしまして細部にわたった考え方をいま申し述べるのはいかがかと思われます。ただ、もうこの点につきまして前文であるとか本文であるとかいうようなことが議論をされておりましたが、私どもは全体の考え方が問題であって、どのような形にするかということにつきましては弾力的に考えるということにつきまして、これはすでに福田総理も答弁で申されたこともございます。そういう意味で私どもは全体の条約の考え方といいますか、そういったものが双方で満足できるものであればよろしいのであって、どこに盛るかということは技術的な問題であろうというふうに考えております。
  66. 土井たか子

    土井委員 ただいま伝え聞くところによりますと、この覇権条項の問題は、特に特定の第三国を指すものでなければ条文のどこかに書くというつもりでのいろいろな交渉に臨む態度というものを、だんだん詰めていかれているというふうにも承っているわけでありますが、その辺のことが、これは交渉の段階での話でございましょうけれども、大臣自身どういうお心づもりでいらっしゃるかということも、ひとつそれならばお聞かせくださいませんか。
  67. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この問題につきまして細かい議論をいたしますと、それがいろいろ制約されると後々交渉の際にいろいろ支障が出ては困るということが総理も大変気を使っておられる点でございまして、ただいまの点につきましてはこれ以上私どもの立場といたしまして、これは日本といたしましてやはり主張すべき点は主張をする、こういう考え方でおります。そういう意味で両国がともに、今後本当にもう長い間の両国間の友好関係規定をするという考え方を貫きたい、直接のお答えになりませんけれどもそのように考えているところでございます。
  68. 土井たか子

    土井委員 先日私この外務委員会質問を申し上げた中身の一部にもございますが、中ソ同盟条約、これについてわが国はとやかくは言えない条約ではありますけれども、しかしこの中にございますいわゆる敵国条項、これは手直しがどうしても必要であるということは言うまでもございません。今後ますます中国との友好関係ということを深めていきますためにも、これは本来の趣旨に沿うものではないということだけははっきり言うことができるかと存じます。  そこで、これは高度の政治的な判断で、政治性を持った問題だと私は思うわけでありますから、この交渉などに当たりましても外務省の担当官が話す実務的なもので事が進められるものではないと私たちは判断をいたします。外務大臣もこのことに対しては、高度の政治的な問題だということに対しては御異論はおありにならないと思います。したがいまして、こういう問題も含めて外務大臣御自身が訪中をされて話し合われるということがどうしてもこの節必要になってきている時期なのではないか、このようにも考えられるわけでありますが、外務大臣として、この点はどういうふうな御用意がおありになるかということを、それならばお聞かせくださいませんか。
  69. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 条約の最終的な段階が近づいてきておるというふうに感じておるわけでございますが、この中ソ同盟条約の問題につきましては、わが国といたしましても大きな関心を持っておるところでございます。したがいまして、この点につきましては最終的な段階におきまして何らかのこれに対応する中国側の態度というものが確認されることが好ましいと考えております。そういう問題意識を持っておりますが、私どもがこれから最終的な条約の詰めをいたすという点につきましては、これは時期等の問題につきましてまだ決定を見ておらない、こういう段階でございます。
  70. 土井たか子

    土井委員 決定の段階ではまだないのかもしれませんけれども、外務大臣とされてはもうまことに近い日に、こういうことの実行をなさるというふうなことで事が進んでいるのではないかと私たちは考えるわけでありますが、決定はこちらに置いておいて、外務大臣自身が近いと言われるのは、一体いつごろをお心づもりとしてお考えになって訪中をしなければならないというお気持ちでいらっしゃるのか、その辺はいかがですか。
  71. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 そのスケジュール等につきましてはまだ全く白紙の状態であるということで御了承いただきたいと思います。
  72. 土井たか子

    土井委員 年内はいらっしゃるおつもりなり御予定なりをお考えになっているということではございませんか。一月中はいかがですか。その辺はどうです。
  73. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの点につきましてもまだ決定を見ておりませんので、申し上げることができないのでございます。
  74. 土井たか子

    土井委員 ただその決定の問題はとにかくといたしまして、大臣自身は近く訪中をしなければならないというふうに考えていらっしゃることだけは確認ができるわけでありますね。いかがです。その点は。
  75. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先日もこの委員会で申し上げましたように、物事にはやはり時期というものもございますし、そういった点で時期は熟しつつあるというふうにも申し上げた記憶がございます。私自身といたしましてもそのような覚悟でおるということを申し上げたいと思います。
  76. 土井たか子

    土井委員 昨日実は商工委員会で、私、日韓大陸棚協定の問題にも触れて、国内の特別措置法に対する審議でございましたが、質問をいたしました。その節、これは中国との平和友好条約というのが現実に転がり出している段階でございますから、この節、少しはっきりお確かめさせていただく必要があると思いますので、きょうもお尋ねを続けたいと思います。  実は、この日韓大陸棚協定の中の座標で申しますと、もう御存じのとおり、座標六、座標七、座標八というこの座標を結ぶ直線は中国との間の中間線だということが、かつて当委員会における外務省答弁として確認をされてまいりました。昨日、これが果たして日中間における中間線ということが言えるかどうかということについて、ここに中江局長も御出席でございますけれども、中江局長に対して質問をさせていただいたわけであります。中江局長の方の御答弁では、国際法上言うところの中間線だという確認に対して、従来きっぱり答弁をされてこられた外務省見解に対して、いささかその認識を変えられた向きがこの答弁の中で見えるわけでありますが、きょうは、中江局長ではなくて、条約局長が御出席でございますから、条約局長から実はアカデミックな御見解をこの節お聞きして、確認をしておきたいと私自身は考えるわけでございます。  相対する両国間における中間線というものを設定する場合には、両国間において合意が必要であると私は思うわけでありますが、この合意は必要でございますか、いかがでございますか。
  77. 大森誠一

    ○大森政府委員 中間線の設定につきましては、特に日韓大陸棚協定の場合におきましては、わが国の立場といたしまして、あらゆる島を考慮に入れて慎重に測定した線ということで、日韓中間線とわれわれが考えている線を座標六、七、八と決めたわけでございます。この点について中国側の了解が要るかどうかという点につきましては、中間線というものについては必ずしも関係国の了解というものは必要でないというふうに解しております。ただし、その後の話し合い等におきまして、その点について先方からその中間線について異議がありというようなことが提起されました場合には、その話し合いの結果に基づいて合意としての中間線を設けるということは、これはあるところでございます。
  78. 土井たか子

    土井委員 少しおかしな御答弁でございます。
  79. 大森誠一

    ○大森政府委員 いま日中と申すべきところを日韓と申し上げたようでございまして、その点は訂正させていただきます。
  80. 土井たか子

    土井委員 そうすると、日韓と申し上げたところを、これは間違えたから訂正するとおっしゃいますが、日韓の中間線という問題と、日中の中間線という問題をここで私が問題にしている具体的な例というのはまるで違ってまいりますからね。そこのところは日韓ということでいまお答えを全部なすったわけでありますが、いかがですか、どうなんです。
  81. 大森誠一

    ○大森政府委員 私の言葉遣いで誤りがありましたので、改めて答弁させていただきます。  日韓の間の大陸棚の境界画定については日韓の中間線を採用しているわけでございます。これは大陸棚の境界画定ということではない線として、共同開発区域の線として日韓の間の中間線を採用しているということでございます。  なお、座標六、七、八のいわゆる日中の中間線を採用しているこの部分につきましては、わが方として大陸棚の境界画定をこれによって行ったということではございませんで、あくまでも日韓間の共同開発区域の境界としての画定に際しまして、座標六、七、八ということをもって日中の中間線とわれわれは考えているところを引きまして、それによりまして中国の権利をいささかも侵さないというふうに配慮をした次第でございます。
  82. 土井たか子

    土井委員 いま御答弁を承っておりますと、日韓間のこれが中間線だと思うところに中間線を引きまして、そうしてそのことによって、共同開発区域に対してその地域を設定した、このことがいささかも中国に対しての権利を侵害していない、こういう御答弁ですね。いまもまた日韓間とおっしゃいましたよ。
  83. 大森誠一

    ○大森政府委員 座標六から北の側の線につきましては、日韓の間の中間線をとって日韓共同開発区域の境界画定の一部の線として採用したわけでございます。
  84. 土井たか子

    土井委員 六から北までの線とおっしゃいますのは、座標で言うと、六から座標何に向かっての線でありますか。
  85. 大森誠一

    ○大森政府委員 座標六、五、四、三、二、一だと存じますけれども、この線につきましては、日韓の大陸棚境界画定としてではなく、共同開発区域の境界の線として用いたわけでございます。
  86. 土井たか子

    土井委員 局長、私はそういうことをいささかもお尋ねをいたしておりません。全然そんなことをお尋ねいたしておりませんよ。ちょっとしっかりしてください。私はきょうはアカデミックな見解を局長から承りたいという気持ちでここに立っているわけですからね。局長、ちょっとしっかりしていただかなければ困りますね。
  87. 大森誠一

    ○大森政府委員 ただいまの御質問につきましては、座標六、七、八の線についての御質問であったと理解いたします。     〔山田(久)委員長代理退席、委員長着席〕 座標六、七、八の線につきましては、日韓大陸棚の共同開発区域を定める線として採用した線の一部でございます。この座標六、七、八につきましては、日本と中国との間の共同開発区域の境界を定める線として採用したわけではございません。ただわが国といたしましては、日本がこの共同開発区域というものを設定するに当たりまして、中国の権利を侵害しないようにという立場から、わが国の方で慎重に測定しました中間線を採用したわけでございます。
  88. 土井たか子

    土井委員 中間線を採用したわけでございますと、最後に言われましたその中間線は、いずれの国との中間線なんですか。
  89. 大森誠一

    ○大森政府委員 わが国日本と中国との間の中間線と考える線でございます。
  90. 土井たか子

    土井委員 そうすると、問題はここで二つ私は確認をさせていただきます。まず、いまの御答弁でですよ。  一つは、昭和五十一年五月七日当委員会における伊達参事官答弁にあった「6、7、8は、すべての島を考慮に入れて測定いたしました日本と中国との間の中間線でございます。」とはっきり断定的に、きっぱり明確におっしゃっている。いまの局長答弁からしますと、これは少し違ってまいります。日本が、これが中間線だと考えている線だ、こういうふうに訂正をしなければならなくなってまいります。それはそのとおりでよろしゅうございますね。これは訂正が必要になってまいりますよ。  それから、あと一つを続けて申しましょう。これは覚えておいてください。あと一つは、これは日本側がこれに対して、これが中間線であるという願望をここにあらわしたのにすぎないのでありまして、果たしてこのことが中国に対して権利を侵害しているか、侵害していないかということはわからないですよ。日本が中国の権利を侵害していないというふうに望んでいることにすぎない、こうなると思うのでありますが、いかがですか。この二つ。
  91. 大森誠一

    ○大森政府委員 まず第一点についてお答えいたします。  当時政府委員から説明いたしました座標六、七、八を結ぶ線は、わが国があらゆる島を考慮に入れて慎重に測定した日中中間線というものとして採用しているというこの点につきましては、当時も従来も私どもの立場は変わっていない次第でございます。  第二点につきましては、これはあくまでも共同開発区域の境界を定めるに当たって中国の権利を害しないようにという立場から、わが国がその線をもって共同開発区域の線として定めたものでありまして、日中間の大陸棚の境界を画定するための線ではございません。したがいまして、この線につきましては、わが国が慎重に測定して設けました線をもって境界線とすることはいささかも差し支えがないところと考える次第でございます。
  92. 土井たか子

    土井委員 いまの局長答弁ではっきりしているのは、日本側が一方的にこれが日中間の中間線であるというこの認識を披瀝しているにすぎないんじゃないですか。そういうことだと思うのです。したがいまして、日本側がこれが中間線であるという願望であるために、事実日中間の中間線ということからすると、中間線としてこれを画定したということは言えない、こういうことだと思うのです。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕  さらに、中国側の権利というものを侵害していないということをいままでるる述べられてきているわけでありますけれども、これもやはり中国側の権利を侵害していないという日本の願望を披瀝しているのであって、権利を侵害していないか、しているか、これは果たして断定できるかどうかということは疑わしい、こういうことだと私は思うのです。つまり、これはどうなんですか、これを中間線として考えられる場合、あらゆる島を考慮に入れてお考えになったのなら、これは中国の考えも入れているわけじゃないんで、日本があくまで独自でやったことなんですよ、この節使用している海図も、日本国海上保安庁海図の二百十号を使用して日本が独自で中国の権利を侵害しないように配慮をして引いた線であるにすぎないのですよ、そしてそれが日中間の中間線であるという願望をそこに披瀝したにすぎないのですよ、こういうことだと思うのですが、この点は条約局長、確認をさせていただいていいですか。
  93. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど申し上げたことの若干繰り返しになるわけでございますけれども、座標六、七、八という線につきましては、わが国があらゆる島を考慮に入れて慎重に測定した線、この線をもって日韓共同開発区域の境界の線として定めたものでありまして、わが国と中国との間に横たわる大陸棚の境界をこの線をもって画定したという性質の線ではございません。したがいまして、われわれといたしましては、これはただいまの国際法の基準からいたしましてわれわれのとっている立場は間違いないところと考えるわけでございます。また、中国が、この日韓共同開発区域というものを設けたということをもって中国の主権が侵害されているという主張を行っているわけでございますが、その中国側の主張は、この東シナ海の大陸棚の境界画定についてはあらゆる関係国が一堂に会して協議をして決められるべき性質のものである、その協議を行わずしてこの日韓共同開発区域というものを定めたというのは、これは中国の主権を侵害しているという立場と承知しているわけでございます。この点につきましては従来の委員会において政府側から種々御答弁申し上げておりますように、現状におきまして全関係国が協議するということは、それぞれの間に外交関係がないというような現状に照らしますと、これが実現を見ることは当面見通しが立たないという状況でございます。  この日中間の大陸棚境界画定については、日本側はいつでも話し合いの用意があるということを申し入れておりますし、また、かつて韓国側も中国側の声明に対しまして、中国といつでも話し合いをする用意があるということも申しておりますけれども、中国側はまだその時期が熟していない、こういう立場をとっているわけでございまして、そのために、当面資源に乏しいわが国がこの開発をできるだけ早く進めたいというために、日韓間にまたがる大陸棚に関してのみ共同開発という協定を設けるということで、日中間の問題につきましては日中間で話し合いをしたい、こういう立場をとっているわけでございます。  私どもといたしましては、従来北海等におきましても必ずしも全関係国が集まって協議することなく、関係する二国間でまず話を進めていくというような過去の事例もございますし、日韓共同開発区域というものを設けて共同開発を進めるということが、中国の主権を侵害するということではないというふうに考えているわけでございます。
  94. 土井たか子

    土井委員 この節、質問している以外のことについても御答弁をるる賜るようなかっこうでありますから、ひとつ整理しましょう。  それで、御理解をいただくために、それならば従来この外務委員会の席で御答弁が出ましたことに対して、その前段のところを少し申し上げて、そしていま六、七、八について日中の中間線だと言われた由来もあわせて御理解をいただくように、この議事録に即して申し上げてみたいと思います。  それはこういう御答弁だったのですよ。「1から6に至る線と申しますのは、日韓間におきましてすべての島を考慮に入れまして、それぞれ双方からそれを基点といたしましてはかりました中間線、等距離中間線でございます。」少し間を置いて「6、7、8は、すべての島を考慮に入れて測定いたしました日本と中国との間の中間線でございます。」議事録ではこう書いてあるのです。  そうしますと、日韓間に対しての取り扱いというのは両者間で協議があった、そして何を使用するかという海図についても協議があった、協議があった海図を確認し合って、その海図によってお互いの等距離中間線というのはいずれであるかを考えた、その答弁の背後と同じような意味においてというか、答え方において六、七、八は日中間の中間線だという答え方がなされているのです。したがいまして、日中間の果たして中間線と言えるかどうかというのは大変大きな論議になってまいるわけです。  条約局長に再度お尋ねしますが、ひとつ条約局長としてお答えいただきたいのです。日中間の中間線だというふうにこの六、七、八が言われる法的根拠というのをひとつお聞かせください。
  95. 大森誠一

    ○大森政府委員 六、七、八につきましては、先ほど申し上げましたように、わが国といたしましてあらゆる島を考慮に入れて慎重に測定した日本と中国の間の中間線というものを用いたという立場でございます。  さらに申し上げますと、この六、七、八の中間線の性質でございますが、実はこの大陸棚共同開発区域を設定するに当たりまして、もう一つ座標八、九という線も用いているわけでございます。この座標八、九の線というものは韓中の中間線とされている線でございます。この共同開発区域がこの韓中中間線の東側に限定されているということがまず一つございます。韓中間には日韓の間にあるような深い海溝といったようなものはないわけでございますので、韓中の間に大陸棚についての境界画定というものが将来行われるとすれば、それは中間線が採用されるであろうというところについては疑いないところと考えるわけでございます。この線の韓国側寄りにまずこの共同開発区域が置かれているということが一つでございます。  さらにその上にわれわれとしては慎重を期しまして、日中間の大陸棚の境界を画定する線ではないけれども、共同開発区域を設定するに当たって日中間の中間線というものも大陸棚共同開発区域の境界線として採用して、慎重の上にも慎重を期した、こういうことでございます。
  96. 土井たか子

    土井委員 中間線と画定したものではないけれども中間線だ、大変ややこしいこの問題に対しての御説明をわざわざなさらなければならない無理がここにあるのですよ。つまり、あらゆる島を考慮に入れてというこの島についても中国側に協議もなければ同意もございません。したがって、その島を果たしてあらゆる島として中国側が認識するかどうかはまだわからないわけであります。しかも日本側が使用した海上保安庁海図二百十号についても、この海図によってひとつ中間線というものを考えてみようということには現になっていないので、中国側が果たしてこれを認めるかどうかということはわからないわけであります。日本が独自の立場でやった、これが中間線であるという日本側の願望をここに示したにとどまる、こういうことでしょう。この点をひとつはっきり条約局長から御確認を願いたいのです。そして先に進みます。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど申し上げましたように、この日韓共同開発区域の境界を画定するに当たりましては、日本と韓国との間の大陸棚に注意深く限定する、こういう立場から座標八、九というもの、さらに座標六、七、八というものを採用したわけでございます。この点につきましては日中間の大陸棚の境界をこの六、七、八をもって画定してしまおう、こういう線ではございませんで、あくまでも日韓共同開発区域の境界の線として採用し、かつあらゆる場合に備えまして、中国側の権利をいささかでも侵害しないようにという配慮から、座標六、七、八というものにつきましてわが国が慎重に測定した線を採用したものでございまして、その意味においてこれが日中間の大陸棚の境界を画定する線として定めたわけではございません。したがいまして、先生が御指摘になりましたような願望という表現は当たらないというふうに考える次第でございます。
  98. 土井たか子

    土井委員 そういう御説明ならば、この外務委員会でかつて御答弁をされてまいりました「6、7、8は、すべての島を考慮に入れて測定いたしました日本と中国との間の中間線でございます。」という点はひとつ修正をお願いしたいと思います。これはいまの問題からいたしますと、そうでないということになりますから。
  99. 大森誠一

    ○大森政府委員 従来から政府側は、この座標六、七、八はわが国と中国との間の中間線としてあらゆる島を考慮に入れてわが国が慎重に測定した線、それを採用したものであるというふうに答弁してまいっているわけでございまして、従来の説明と私が本日行いました説明との間に、食い違いはないというふうに考えている次第でございます。
  100. 土井たか子

    土井委員 私はきょうは、条約局長にそういう状況説明なり、この日韓大陸棚の協定における座標の意味なり、この座標を結ぶ直線というものの持つ意味なりを御説明願うことに重点を置いて質問をしたわけではございません。私がわざわざアカデミックにとお断りを申し上げたのは、中間線というものを画定する場合にどういうことが必要なのかということをひとつお聞かせいただきたいという意味で、先ほど来、まず最初に申し上げた御質問を思い起こしていただきたいのですが、中間線を画定するときは合意が必要でございますかとお伺いしたのです。それに対しての御答弁はいまだに聞かされていない。私は条約局長にこれ以上御質問申し上げても、恐らくは同じようなお答えしかいただけまいと思いますから、これは時を改めましょう。ひとつアカデミックな御見解でお答えをいただきたいですよ。先に進みます。  元アメリカ国務省の朝鮮担当部長のドナルド・レイナード氏が金大中氏事件について、さきに新聞紙上でも報道されておりましたが、韓国のKCIAが金大中氏事件に対しては介入しているという報告書を読んだということを言われております。その節、日本外務省もKCIAの犯行であるという報告書を出しておられるはずだということも言われております。その理由として、日本側はほとんどの情報を駐韓アメリカ大使館に頼っておられたということを言われているわけでありますが、外務省としてはそういう報告書を出していらっしゃるのですか。
  101. 中江要介

    ○中江政府委員 そういう報告書を出しておりまん。
  102. 土井たか子

    土井委員 レイナード氏は、金大中氏事件の情報のほとんどは駐韓米大使館から日本側は受けていたというふうに言われているわけですけれども、この点はそのとおりでございますね。
  103. 中江要介

    ○中江政府委員 レイナード元朝鮮部長がどう言ったか、どういう趣旨でそう申されたか知りませんが、事件は日本で起こったわけでございまして、日本も主権国家でございます。金大中事件の真相に当たりましては、日本が主権国家として独自の究明をずっと行ってきておるわけで、アメリカのCIAなり何なりにすべてを依存したというようなことはあろうはずのない話だ、こう私は思っております。
  104. 土井たか子

    土井委員 すべてを依存するということではなくて、そうすると情報のいささかはやはり駐韓米大使館から日本側は受けていたということについては否定できないということになりますか。
  105. 中江要介

    ○中江政府委員 これは日本と韓国との間で起きた事件でございます。したがいまして、日本がいろいろ調べますのは、日本と韓国との間で情報の交換などは当然いたしますけれども、何も第三国のお世話になる必要はないというのが私どもの一貫した態度でございます。
  106. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、レイナード発言というのは事実無根である、全くの間違いであるというふうに局長としては断言をされますか。
  107. 中江要介

    ○中江政府委員 私の立場からいたしますと、事実無根であると言うほかはございません。
  108. 土井たか子

    土井委員 そうするとこのレイナード発言というのも伝えられるところに従って言うならば間違いだということになるわけですか。いかがですか。
  109. 中江要介

    ○中江政府委員 いま先生がお読み上げになりました部分につきましては間違いである、こういうことでございます。
  110. 土井たか子

    土井委員 そもそもアメリカがKCIAの犯行だというふうに言ったのは、ソウル駐在のCIAの責任者でございましたグレッグ氏がKCIAに問い合わせた結果犯行がわかったというふうに言われております。当時日本大使館は、大使館員がたくさんいらっしゃるわけでありますが、例のD・グレッグ氏に情報を得るために会ったということが事実としてございますか、どうですか。いかがでございますか。
  111. 中江要介

    ○中江政府委員 私はそういう事実を承知しておりません。
  112. 土井たか子

    土井委員 この金大中氏事件に対して駐韓日本大使館は外務省に報告書をいままで送ってこられていると思うのですが、外務省はこれは受け取っていらっしゃるでしょうね。
  113. 中江要介

    ○中江政府委員 先ほど申し上げましたように、事件は日本国内で起きておりますので、在韓日本大使館が金大中事件の報告書を東京に送ってくるというのはどうも順序が逆のように思います。したがいまして、おっしゃいます報告書というものの意味がはっきりいたしませんけれども、金大中氏事件はこうであったということをソウルの大使館から報告してきたという事実は一切ございません。
  114. 土井たか子

    土井委員 それでは、金大中氏事件に関する情報を駐韓日本大使館から外務省に送ってこられるということは当然あると思うわけでありますが、いかがですか。
  115. 中江要介

    ○中江政府委員 これは御承知のように、被害者金大中氏が韓国内にあらわれたわけでございますので、それにまつわる情報を送ってくるのはわが方大使館の任務の一つであります。したがいましていろいろの情報が来ていることは間違いございません。
  116. 土井たか子

    土井委員 その第一報というのは何年何月の何日に外務省の方に参りましたでしょうか。
  117. 中江要介

    ○中江政府委員 何年何月何日かは記録を調べてみないとちょっとわかりませんが、金大中氏がソウルにあらわれたということが報道されましたと同時に韓国の大使館からもいろいろの観測を送ってきたというふうに記憶しております。
  118. 土井たか子

    土井委員 そうすると、いまのそれは、お手元にそういう記録がおありにならないから、これに対してのお答えはここの場所では御無理かもしれません。何年何月何日に情報の第一報が来たかということについては追ってお知らせをお願いします。それと、第一報はどういう情報内容であったかということもぜひお知らせをお願いします。  それと同時に、先ほどそういう報告書などというものは日本大使館から来るはずがないというふうな御答弁でございましたけれども、報告書と言えるのかどうかわかりませんが、金大中氏事件に関係のある詳細な、いろいろな情報に対してまとまったものを日本大使館から外務省に送ってこられるということはあるだろうと思うのです。これは否定なさらないでしょう。
  119. 中江要介

    ○中江政府委員 まず第一点の、第一報がいつどういうふうにして来たかということは調べて御報告いたします。  第二点の、その第一報の内容はどうであったかという点につきましては、これは当然一般論として申し上げることでございますけれども、情報の中には情報源との関係で公にできないものもございますので、その点はよく調べまして、公にして差し支えのない部分につきましては御報告できるかと思います。  第三点のまとまった報告書といいますもの、たとえば在韓日本大使館としてはこの事件はこう思うというようなまとまった報告書が来たという記憶はございません。
  120. 土井たか子

    土井委員 報告書と言えるかどうかわかりませんが、その点は、情報を個別にその都度送るということでなしに、ある程度まとまったものというふうな意味にも理解していただいて結構なんでありますが、そういうものが外務省に来たということはございませんか。
  121. 中江要介

    ○中江政府委員 私の関知する限り、また記憶による限り、そういうものがあったということはございません。
  122. 土井たか子

    土井委員 レイナード氏の発言からいたしますと、その中身の一つに出てまいっておりますのは、KCIAの犯行だというふうに認識ができたのは、ソウル駐在のCIAの責任者であったD・グレッグ氏がKCIAに問い合わせた結果だったというふうなことを言われているわけであります。問題は、先ほど来局長が言われるとおり、日本で起きた事件なんですよ。まさに日本がこういう問題に対して真相究明に当たる第一人者でなければならないはずなんです。だからそういうことからいたしますと、いままでのところどれだけ言ったって、こういう問題に対してはどうも消極的であって、なぜこんなに消極的か、その理由を種々取りざたしなければならないくらいに、時間がたつ一方のわりには真相の究明の歩調が、進捗状況がどうも思わしくないわけでありますが、外務省とされては、そういう意味での真相究明のためにもグレッグ氏にいろいろ連絡をとって、どういうことなのかという真相を確かめる必要があるように思いますが、この点いかがなんですか。
  123. 中江要介

    ○中江政府委員 新聞の報じております内容に関する限りで申し上げますと、日本が、金大中事件の真相究明のために友邦隣国韓国との間で懸命にいろいろ意見を交換し、情報を交換しておりましたときに、日本にはそういうことを言わないで、KCIAがアメリカのCIAにそういうことを言ったということは想像のできないことでございます。したがいまして私は、KCIAが日本に言わないことをアメリカのCIAに言ったとすると、これは大変な問題だろうと思いますし、またアメリカのCIAが日本で起きた事件で被害者が韓国にあらわれたという段階で日韓間の問題にCIAがどうしてそういうふうに介入してきているのかという点については、これは米韓間の問題としてどういうことだか理解に苦しむところでございます。  外務省は、御承知のように、あの当時の国会の審議を振り返りましても明らかなように、一般にこれはKCIAの犯行ではないかという疑惑が大きかったわけでございます。したがって真相究明の段階でそのことがはっきりすれば、それに基づいた措置をとるし、そうでないことがはっきりすれば、それでその措置をとるということで臨んでおりました。そしてまたKCIAの犯行であるということは即主権の侵害につながる重要な事実でございますので、これはいかなる外国に対してもそうでございますけれども、韓国に対して主権を侵害したといって相手に抗議をするということは重大な問題でございますので、慎重にその事実をまず確認しなければいけない、その証拠を挙げなければいけないということで、わが方捜査当局と協力しながら真相の究明に専念したところが、なかなかその決め手になるものがあらわれなかった。そこで、真相究明の捜査活動は継続することとして、政治的決着をつけた、これは何回も言われている点でございます。  そういうことでございまして、外務省としてどう見ているか。これはKCIAの介入の嫌疑が濃いけれども、それを韓国に突きつけるには、そう軽率な思いつきではいけない、しっかりした証拠の裏づけをもって迫りたい、こういうことで一貫しているわけでございます。
  124. 土井たか子

    土井委員 そういう証拠の裏づけをもって迫りたいためにもこのD・グレッグ氏にいろいろと真相を確かめられる必要があるのではないかということを私は再度申し上げたいと思うのですが、いかがなんですか。
  125. 中江要介

    ○中江政府委員 新聞にありますようなことはありそうにないことですので、私は個人的には、果たして効果があるかどうかということは疑問でございますし、また、アメリカのCIAも、レイナード氏自身も、金大中事件というのは日韓間の問題だから、アメリカの立場から政府機関にこれ以上のことを言いたくないということを言っている経緯もございますし、日本と韓国がともに主権国家として存在しておるわけですので、日韓の間で真相を究明する、第三国、特に関係のない第三国のそういった余り考えられないことについてまで調べることのよしあしというのは疑問だと思います。  いずれにいたしましても、この金大中氏事件の真相究明というのは、捜査当局の捜査の進展を待ってその証拠が挙がるかどうかということですので、捜査当局と相談しながら進めていきたい、こういうことでございます。
  126. 土井たか子

    土井委員 そうすると、D・グレッグ氏に対していろいろ真相究明のために連絡をとるということについては消極的であるというふうな御答弁と受けとめていいわけでありますか。
  127. 中江要介

    ○中江政府委員 この新聞記事で述べられている限りにおきましては、はっきりした証拠に基づいた発言でもございませんし、韓国のCIAから聞いた、それだけのことでございますので、改めて確かめるまでもないという感じがいたします。
  128. 土井たか子

    土井委員 ただしかし、こういうこと一つ一つがまことに次の疑惑を生んでいっているわけですよ。真相究明ということを真剣にお考えになるのならば、こういう一つ一つの疑惑に対してこれを晴らしていく、はっきりと真相究明という姿勢で一つ一つの問題に対しての対応をしていくということが大切なんじゃないでしょうか。そういうことからすると、取り扱いの上ではいろいろ配慮もおありになるだろうと思いますが、しかし、こういう問題に対しても積極的にひとつ取り扱いを進めていただく必要がどうしてもあるように私は思います。  さて、外務大臣、このCIAの報告書はKCIAの犯行であるというふうに書いてあると、当時の責任者であったレイナード氏が言われているわけであります。このレイナード氏自身について言うと、まさに金炯旭氏のときのように、伝聞であるから証拠としてとり得ないなどというようなことは言い得ません、御自身が責任者でおありになった方の発言でありますから。このことについて、外務省はレイナード氏に会って確かめられて、そういう事実についていろいろ真相を明らかにしていくという努力をされる必要があるようでありますが、もうすでにされているというふうに私は理解させていただきたいと思いますけれども、その点はどうなのであるか、まだであるならば、この必要があると思われますから、その点についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。外務大臣、一度お願いします。
  129. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 レイナード元朝鮮部長のことにつきましては、たしかこの委員会でも御報告申し上げたかと思いますが、これはアメリカの大使館の方で接触を試みた経緯につきまして御報告をしたかと思います。  御当人は、自分はこれ以上もう物を言いたくない、それから、新聞に報道されました内容につきまして、この前の段階では、前回新聞に出ました記事につきましては、おおむね自分の言ったことが正確に伝えられておるというような、たしか電話による接触だったと思いますが、そういった返事を得ておるわけでございます。これはただいま日本政府といたしまして、警察の方で鋭意事件の解明に当たっておられます。したがいまして、どういった人につきましてどういった調査をすべきかという点につきまして、私どもは捜査当局と密接に連絡をとりながら、捜査当局が、これは証拠価値がありそうだという方につきましては、積極的に警察庁の要望が達成できますように、外交面でも努力を払いたいと考えております。  いま御指摘の、また先ほどグレッグ氏の話が出ましたけれども、私ども従来からCIAの情報というものにつきまして、アメリカ国務省の方にもいろいろ接触を試みておりますが、CIAの情報というものは、これは部外に出さないというたてまえで、ああいう秘密情報と申しますか、機関が成り立っておるということでありますので、CIAの情報を日本が求めるということは無理な話だというふうに考えております。グレッグ氏もCIAの責任者だったということでありますから、CIAとしての情報を私どもが入手をする、刑事事件の証拠というものをそういうものに頼るということは、なかなか期待できないという従来からの経験でございます。
  130. 土井たか子

    土井委員 これはまことにむずかしいそういう対応があるであろうとは思いますけれども、しかし、日本外務省とされては、アメリカの国務省に対して、国務省自身がレイナード氏の発言について言うこともできますし、また、D・グレッグ氏がどういう認識を持って、この問題に対して理解をされてきたかというコメントについても、これは理解をできるわけでありますけれども、国務省としてはKCIAの犯行だというふうな認識と理解と断定というものをされているやにわれわれは考えるわけでありますが、こういう点について、日本政府としてはアメリカ国務省に対して、どのようにいろいろな連絡の上で確認をしたり、理解をしたり、現在までの間ではきておられるかということを外務大臣にひとつお尋ねをして、きょうは終わりたいと思います。
  131. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ワシントンの大使館では、特にレイナード発言等もございまして、国務省と接触をいたしておるわけでございますが、国務省の態度は、金大中事件自体は日韓間の問題であって、アメリカ政府としてこれに介入すべきものでないという立場を堅持しております。したがいまして、金大中氏事件がKCIAの犯行であるというようなことは、国務省としても一切申しておらないというのが、いままでの経過でございます。
  132. 土井たか子

    土井委員 きょうは終わりますが、条約局長、次回はひとつ条約局長としての御答弁をお願いいたします。アジア局次長としての御答弁はもう不要でございますので、どうぞ……。その点を確認させていただいて、終わります。
  133. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中川嘉美君。
  134. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 さきに日本駐在の符浩中国大使がポリャンスキーソ連大使を訪問して会談をしたということが明らかにされまして、さらに今月の七日、北京のソ連大使館で行われた十月革命六十周年記念のレセプションに黄華中国外相以下多数が参加したということ、さらにはソ連の革命六十周年記念パレードでのウスチノフソ連国防相の演説におきまして、中国非難の言葉がなかったということ、これは注目されておりますが、これらの諸点を見てみますと、最近の中ソ関係というものは、国家関係の改善の兆しという観測もなされているように考えられますけれども、政府はこうした一連の中ソ関係の動向をどのように受けとめておられるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  135. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいま御指摘のありました符浩大使のポリャンスキー大使への表敬訪問、あるいは北京におきまして黄華外交部長のソ連大使館の祝賀への参加等につきまして、いまこれが中ソの関係が好転する方向に向かったのかどうか、こういう点でございます。私どもも中ソの動向が好転をするかどうかという点につきましては大きな関心を持っているわけでございますが、ただいまのところ、いま御指摘のようなことだけで判断をしていいものかどうかという点につきましては、やはりなおこれからの経過を見守ってまいりたいと考えておるところでございます。符浩大使がポリャンスキー大使のところへ伺いまして表敬したということにつきましては、私もいろいろ雑談を交わしてみましたが、きわめて短時間であったということ、それから国慶節に対します先方の祝意に対する返礼であるというようなことも申しておるところでございますし、また中ソ国家間におきましてはいろいろな懸案があり、これらの問題解決につきましてはお互い外交努力をしておるということも先方が言っておるところでございます。また先般ニューヨークの国連総会で行われましたソ連のスピーチ等を見ましても、ソ連は中国に対する非難というようなことはここしばらくの間一切行っておらないという状況でありまして、これらの点につきまして私どもは、中ソ間につきましてはやはり何らか少しは明るいものを感じておるというところが率直なところでございます。
  136. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、日中平和友好条約との関係で伺いますけれども、中ソ関係の改善ということはわが国にとって好ましいことであるとの認識を持っておられるかどうか、この点はいかがでしょうか。
  137. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中ソ間のことにつきまして、第三国であるわが国といたしましてとやかく言うべき筋合いのものではないと思います。したがいまして、やはり世界が平和であるということを願っておるわが国といたしましても、中ソ間におきましても平和的な方向に進むということをこれは当然歓迎をいたすべきものであろうと考えておるところでございます。
  138. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いまの御答弁にも関連をして実は伺いたいわけですが、日中ないし日ソ問題ということになりますけれども、まず日中平和友好条約と中ソ同盟条約、これが互いに矛盾する条約であると考えられるか、こういった問題が、先ほど土井委員等に対する御答弁では、中国側の態度が確認されることが好ましいというような御答弁もありましたけれども、わが国にとって非常に重大な問題でもあるわけですから、この点を明らかにしていただきたい。あるいはまた先ほどの御答弁からすると、中ソ同盟条約は中国とソ連の問題としてわが方としては関係のないものとして無視する立場をとるのかどうか、この辺のこともあわせて大臣の御見解を伺いたいと思います。
  139. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中ソ同盟条約におきましてわが国が敵国の扱いをされておるということは、これはわが国として決して無関係なことではないし、わが国として重大な関心を持つべき事項である、こういうふうに考えます。日中関係の共同声明にうたわれておりますように、日中が国交を正常化していくということは、これは第三国に関することではないという精神は精神であります。私どももこの点は非常に大事な要素であると考えております。しかし、わが国が敵視をされておるということにつきましては、これはわが国として当然関心を持つべきことでございますから、その点につきましては条約の文章がどうありましょうとも、この点につきまして、もう二十八年たってあと二年という段階で、これは大変昔のことでありますから、実体的にそれがどうということではありませんが、またこれが更新をされるということは、日本にとりましても大変大事なことであるに違いない。したがいまして、その点につきまして私どもは大きな問題意識を持っておるというところが率直なところでございます。
  140. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 あと二年ということだから、実体的には余り影響はない、こういうことですが、一日も早く日中平和友好条約締結すべきであるという立場からしますと、そういうことも果たして言い切れるかどうかというような感じがするわけで、そうしますと、ここで三つの考え方が出てくるのではないか。矛盾しないという考え方、あるいはこの二つが矛盾するというふうな考え方、あるいは最後はいまの御答弁に近いのかと思いますが、矛盾はしないけれども不適当な存在であるというふうに考える、この三つあたりがすぐ出てくるわけですが、それではこの三つの中ではどの点に相当するか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  141. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この点につきまして、今度日中間の懸案であります平和友好条約締結問題にやはり関係をしてまいります。したがいまして、いま三つの点はどうかということでございますが、これは全体といたしまして日本といたしまして主張すべきことは主張いたしたい、かように考えておるところでございます。
  142. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 もう一つ明確なお答えが返らないわけですけれども、それでは日本政府は中国政府に対して、中ソ同盟条約に何らかの措置がとられるように具体的に何か要請をするつもりなのかどうか。中ソ関係現状からしますと、中ソ同盟条約の履行はすでに不可能であるから、中ソ同盟条約は事実上消滅したというような解釈論で十分と思っておられるのかどうか。この辺はいかがでしょうか。鄧小平副首席なんかの表現をかりますと、事実上消滅していると言っているわけなんですが、こういったことも含めて政府の御見解を承りたいと思います。
  143. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 その点につきまして具体的にどのような措置日本政府といたしましてとるべきかという点につきましては検討中でございまして、どのようなことでというところまでお答えすることは、いま時期ではないというふうに考えております。
  144. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この問題について総理はどういうお考えを持っておられるか、正式表明は別としても、どういうふうなお考えを持っておられるか。
  145. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 総理もこのような点につきましてどのように具体的に対処するかという点につきまして、私ども明確なお話を承ってはおりません。ただ、この点につきまして総理は大変大きな関心を持っておられるということは申し上げてよかろうかと思います。
  146. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 報道によりますと、首相は、中ソ条約指摘する日本軍国主義は、日中条約締結されればその対象がなくなるという認識に立ち、交渉を通じて中国側の適切な措置を求めたい意向であり、覇権問題とともに日中交渉の最重点項目と見ているという報道も現実になされているわけですが、やはり総理と外務大臣との見解といいますか、一日も早く日中平和友好条約締結するんだという姿勢に対して統一見解といいますかその辺のコミュニケーションが、ただいまの御答弁からしますと非常に乏しいような気がしてならないわけです。  こういった報道に関連してさらに伺いますが、対中国との平和友好条約締結についていわゆる福田見解、これが固まったということが言われているわけですけれども、それではこれが事実なのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
  147. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 新聞に出ましたことにつきまして、私ども何ら新聞記事につきまして総理から御指示も何もないというのが実際のところでございます。新聞に出ましたことは、従来総理がいろんなところで申されていること、あるいはいろんな方が申されていることをいろいろ考え合わせてつくられたような感じを私どもは持っておるのでございまして、そこにたとえば五つの項目が挙がっておりますけれども、それの一つ一つにつきまして、これはどうだこれはどうだということにつきましては、いろんな経緯があったことと思います。しかしことさら五つのような原則を立てておるというようなことは、私は全く承知しておらないのでございます。
  148. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、くどいようですけれども福田首相は懸案の日中平和友好条約の早期締結を目指し、近く外務省当局に対し中国側との交渉再開を指示するが、交渉を進める上でその下敷きとなる福田見解の骨格を固めた云々とあるのですが、そこに福田見解五項目というのが出ているわけであって、こういったことは何かあちこちで発言したことの寄せ集めからなされた記事だということだと、これは記事がいいかげんだと言わざるを得ないし、時期がここまで来ますと、もう少し総理と外務大臣の意見というものは統一されていなければいけないんじゃないか。これはもうこれ以上言いませんが、私は、日中平和友好条約締結ということがわが国にとって非常に重大な緊急課題になってきている今日、ちょっと先ほど来の御答弁ではまことに残念と言わざるを得ないわけなんで、これは願望として申し上げておきますけれども、その点の意思の疎通というものをさらに強力に図りながら、こういった問題の推進に当たっていただきたい、こう思います。  そうしますと、改めて政府の対中平和友好条約締結に関する見解を、正式な見解といいますか、こういったものを出すことを考えておられるかどうか、私は先ほど大臣が言われたように、あっちやこっちでいろいろ言われているという、それだけにむしろこういったものを改めて出すべきではないか、このように思うわけですが、いま一度御答弁をいただきたいと思います。
  149. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 福田総理もたびたびおっしゃておりますように、これから交渉に当たるわけでございますので、その内容につきまして、日本はこういう考えで臨むのだというようなことがいろいろ新聞に報道されること、日本は本当に秘密の保てない国でございますからいろいろなことが新聞に出るわけでございまけれども、私どもの立場から申し上げさしていただきますと、これから本当に交渉に入る場合には、いろいろなことに拘束されないように、一つの記事がまたそれに対する反駁を呼び、いろいろなリアクションが出てまいりますので、そういったことがわりかたなく、静かな状態におきまして外交交渉に入ることが望ましいというふうに考えておるのでございます。
  150. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 そうしますと、いわゆる新聞報道、新聞記事というものを何となく安心して読めなくなってくるような気がしてならないのです。私はこの問題はこれ以上なにしませんが、中国問題についてもう一、二点伺うとしますと、日中平和友好条約締結する過程において、台湾問題に関して中国と何らかの調整を要する事項があるかどうか。もし調整が必要ならばその問題はどういうものであるか。  次に、その逆を言いますが、台湾との間に何らかの調整を必要とするかどうか。必要とするならば、どういう問題を指すか、この辺はいかがでしょうか。
  151. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 台湾についての問題につきましては、これはもう五年前にこの点につきましては踏み切ったと申しますか、そういった路線は引かれておるというふうに私どもは認識をいたしておりまして、その後、航空問題等いろいろあったわけでございます。しかしこの点につきましても、これ以上いまこの席で申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  152. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 私がいま質問したことは非常に重要な問題であり、その条約締結するに際しては一日も早くこういうことの詰めが行われなければならぬ段階にきているわけです。どうも外交の秘密という立場から、秘密ということは決して妥当な言葉ではありませんが、静かな状態でという表現をさっきされましたけれども、国益に即してという立場からなら別ですが、何となくそういう具体的な交渉をなさろうという姿勢がうかがえないような気がするわけですが、たくさんある中でも具体的に一点だけ聞きますけれども、日中平和友好条約締結した後に、日本にいる、台湾出身の中国人の法的地位はどういうふうに変わってくるのか。また在留条件はどう変わるのか。これらの人たちに対する処遇について中国との間に話し合いがついているのかどうか、この辺はいかがでしょうか。これは法務省の方からの御答弁になるかと思います。
  153. 中江要介

    ○中江政府委員 日中平和友好条約の性格について基本的な考え方を振り返ってみると申しますか、日中正常化のときの認識をもう一度改めて見ますと、いま御質問の台湾との関係というのは、実は理論的には何もないということになるわけでございます。それは日中共同声明が出ました直後に北京のプレスセンターで行われました大平外務大臣の共同記者会見の席で、大平外務大臣がはっきりとこういうふうに言われております。「日中両国間の暗い過去の清算は、本日のコミュニケによりまして終了いたしまして、これからコミュニケの第六項と、そして今後日中両国間で考える平和友好条約、そういうものを基本にいたしまして、両国の親善友好関係の発展を図るという考え方でございます。」こういうことでございまして、いま御指摘の台湾の問題あるいは台湾系の在日しておられる方々の処遇の問題、そういった過去の清算に属する問題、これは共同コミュニケですっかり終わっている。日中平和友好条約というのは、そういう過去の清算をした上で日本と中華人民共和国との間で平和友好関係を発展させるためにどういう準則、原則を定めていくかということがこの条約の大きな柱でございますので、日中平和友好条約締結と台湾問題、台湾の地位あるいは台湾系の人たちの日本における法的地位その他一切、日中正常化のときの態度、すなわち日本と台湾との関係は、これは国家間ではなくて地域間の事実上の関係として維持、継続するというこの方針には変わりがない、こういう認識でよかろうかと思います。
  154. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 このことについては私の方からこうすべきだ、ああすべきだと言うことは避けまして、いまの御答弁を聞きおくという形をとりたいと思います。  次に、私は竹島問題について若干伺いたいと思います。政府は竹島領有権問題で対韓交渉の強い決意を表明したわけですけれども、実際にはどのような外交チャンネルによる正式交渉を行ってきたのか、今日までの交渉経緯と韓国の応対を具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  155. 中江要介

    ○中江政府委員 これは一口で言いますと、五十回前後の抗議を日本が韓国に突きつけておりますけれども、一向に動かないということでございます。それを一貫して流れておりますのは、韓国は、竹島は、これは独島という名前で呼んでおりまして、韓国固有の領土である、これは動かない。しかもそれをいまは実効支配している、したがって、これは紛争ではない。こういうことで一九六五年の日韓正常化のとき以来一貫してそういう態度をとっておるわけです。これのよってきますところは、御承知のように李承晩ラインが引かれたときからの話でございまして、日本が主張しておりますようにさらにさかのぼって古来日本の領土であるという主張とはこれは相当重みもかけ離れておると私どもは思っております。それに対して日本側は、一貫していま申し上げましたように歴史的にもまた国際法的に見ましても日本の固有の領土である、こういうことで真っ向から対決いたしまして、日韓交渉のときにはこれをどう決着づけるかということについて話が折り合わない。韓国は紛争でないと言う。日本はこれは紛争だと言う。つまり日本の固有の領土が韓国によって不法に占領されているんであるから、これを是正すべきであるという主張で意見の相違があるから紛争である。この紛争であるか紛争でないかという認識が、その後十二年たちますけれども、どちらも変わっていない、そういう状況のもとでありますので、事実上の占拠、日本側から見ますと事実上の不法占領が続いておりますので、その事実を確認するごとに、またそれが強化されたり新しい事実が積み重ねられたりするごとに、五十回前後に及んで毎回口上書をもって日本の不同意及び遺憾の意を記録にとどめてきておる。しかしそれを解決するためにどういう方法があるかといいますと、日本はあらゆる紛争は話し合いによって平和的に解決するという大方針を持っておりますので、しんぼう強くその時期を待つ、その間、恐らくこれは法律的な問題でございますので、司法的な解決、一番望ましい姿は国際司法裁判所でございましょうが、その前に調停その他の方法もありましょう。そういう争うときにわが方にとって不利にならないように、あるいはわが方の立場がはっきりするための証拠は一つ一つ残していかなければならない、こういう発想でございますので、最近のように海上保安庁の巡視の報告が出た場合には、その報告を基礎にして先方に抗議をするし、また新聞報道その他によって韓国が新たにコンクリートの何か記念碑を建てたといえばそれに対して文句を言うし、漁夫が住みついたといえばそれについて照会して注意を喚起するしということをケース・バイ・ケースで必ずその抗議の意をファイルに残しておく。  他方、日本と韓国の間の紛争の解決につきましては、国交正常化のときに紛争解決に関する交換公文というものがございまして、これは外交交渉によって解決できないときには、別段の合意があれば別だけれども、別段の合意がなければ調停によって解決する、こういうことになっております。日本はそれによって、まず外交交渉によってやろう、あるいは別段の合意として国際司法裁判所に持っていくことも考えよう。あるいはそれでもだめなら調停という方法もあるわけですが、その交換公文の対象である国際紛争かどうかというところが、先ほど来申しておりますように、韓国は紛争でないというようなことを言うわけでございます。それに対しましては国際法上確立しております見解といたしまして、片一方が紛争でないと言っても片一方がそれは意見が違う、したがって紛争であると言って異議を申し立てればそれはこういった紛争処理の場合の紛争になるということもございますので、理屈としてはこれは竹島は日韓間の紛争だということで持っていけるわけですが、何しろ話し合いによって平和的に解決するという大方針のもとで行える措置には限界がある。しかしそのことは、将来必ずいつの日か決着をつつけるときに不利になるようなことはしてはならないということで抗議を重ねてきている、こういうのが実情でございます。
  156. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いまの御答弁も決してわからないわけではないわけですけれども、どうも日韓間の大変な食い違いを感ぜざるを得ないわけで、それに対して毎回ファイルに残していくというようなことだけではどうも私は、まあこのままいくならばということですが、いわば韓国の既成事実はさらに固まっていくおそれがあるんじゃないか、こういうふうに思います。少なくとも竹島における韓国警備隊の退去だけでも強硬に要求すべきじゃないか。また竹島領有の最終解決が決まるまでは竹島を無人の状態にするとか、あるいは暫定的措置として、漁業問題等も考慮しまして共同使用するぐらいの提案を政府は考えているのかどうか、政府の考えているところを伺っておきたいと思います。
  157. 中江要介

    ○中江政府委員 まず竹島に駐在しております警備員の退去につきましては、これは強硬に毎回抗議をしております。抗議の内容にそれは必ず盛り込んでおりますし、施設の増強についても同じでございます。ただ警備員の退去を強く要請するということを幾ら強く要請いたしましても、大前提が、先ほど申し上げましたように韓国は韓国の立場として、あれは自分のものだと言ってこれは紛争でも何でもないという立場をとっておりますので、そう簡単に、それではこうしようということにはならない。領土問題は、御承知のように国民感情にきわめて敏感に反映する問題でございますので、この処理については相当上手に持っていかないと、せっかく紛争解決の交換公文がありますのに、それによる冷静な解決の妨げになるようなことは避けなければいけないということでありますので、いまのところは、紛争解決の交換公文の適用の対象になるように、韓国側が冷静に本件を受けとめて、それでは日本とひとつ司法的な解決をやろう、調停に付そうというような、そういう雰囲気が訪れるのを待つというのが、現在のところ政府がとっております粘り強い交渉ということの意味でございます。
  158. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 この竹島問題に関する政府の責任というものは、したがって重大であると私は思いますが、政府はこの調査団を派遣して実態を調査すべきじゃないかというふうに私は思いますけれども、この点はどうか。このような重大な問題がそのたびごとに問い合わせ程度で済まされるとかいうことではなくして、不法占拠の実態等を把握する意味においても、韓国政府にこういったことを申し入れるべきじゃないか、このように思いますが、調査団の派遣ということについてはどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  159. 中江要介

    ○中江政府委員 韓国側で日本調査団の派遣を受け入れるといいますか、これは法的には日本の領土ですから堂々と入っていけばいいんですけれども、いま警備員がいたりして事実上向こうは支配しておりますし、向こうの立場で言いますと、自分の領域に日本調査団を入れるということでございますので、これは法律のたてまえあるいは主権の問題が絡みますので容易ではないと思いますが、そういう時期が来ればこれは非常に好ましいとは思います。現段階での韓国側の態度は、過般の日韓定期閣僚会議のときの閣僚レベルでの話し合いでも、韓国としてはこれは紛争と思っていないという一番最初の立場を一貫して堅持しておりますので、なかなか容易なことではないと思います。そういう時期が早く来ればいいとは思いますけれども、実行可能性については相当疑問がある、こういうことだと思います。
  160. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 竹島帰属について、今日のようなこの紛争状態になったそもそもの原因の一つは、一端といいますか、これはやはりアメリカの占領政策にあったんじゃないか、このように思います。すなわち、この占領軍の最高司令官から日本政府に発せられた指令であるところの「若干の外かく地域の日本からの政治上及び行政上の分離に関する総司令部覚書」というのがありますけれども、これによっていわゆるマッカーサー・ラインなるものが設定されたわけですけれども、これが奇怪にも竹島のところについては曲線で囲むように除外して、日本政府の行政管轄から外しているわけですけれども、外務大臣はこの事実を御存じと思いますが、いかがでしょうか。大臣に、いまちょっとこの点について御存じかどうか。
  161. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 いま御指摘になったような歴史的な事実があると思います。
  162. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 大変に大臣に恐縮ですけれども、簡単で結構ですが、そのマッカーサー・ラインなるものがどんなふうになっているか、その点はおわかりでしょうか。――大臣の見解を私聞いてから、それからずっと行きますから……。
  163. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 マッカーサー・ラインにつきましてでございますが、連合軍総司令部より日本政府にあてられました覚書一九四六年六月二十二日付、スキャッピン第一〇三三号、日本の漁業及び捕鯨業許可区域に関する件は、その第三項(b)において、日本の船舶及び船員は、北緯三十七度十五分東経百三十一度五十三分にある「竹島から十二マイル以内に近づいてはならず、またこの島との一切の接触は許されない。」と述べ、竹島を許可区域、すなわちマッカーサー・ライン外に置いているが、同覚書第五項において「この許可は、当該区域又はその他のいかなる区域に関しても、国家統治権、国境線又は漁業権についての最終的決定に関する連合国の政策の表明ではない。」と断わり、同覚書は何ら竹島に対する日本国の統治権を否定するものではないということを明らかにしているのであります。
  164. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 委員長のお許しを得まして、この図面をちょっと見ていただこうかと思います。――いま大臣にこの図面またはマッカーサー・ラインの実態というものについてはごらんいただいたわけですが、こういった措置が領土を最終的に決定をするものでないということは、これはまあ言われたはずであって、少なくとも占領期間中については竹島に対する日本の行政権、これは行使できなかった。この間に韓国が竹島を不法に占拠をして今日に至ったというのが実情であることに間違いないと私は思うのですが、したがって、いわゆるマッカーサー・ラインを設定したこと自体に今日の紛争の原因があったわけであって、この責任の一端は明らかにアメリカにあった、このように言うべきではないかと私は思うわけです。この点について政府はどう考えられるか、お答えをいただきたいと思います。
  165. 大森誠一

    ○大森政府委員 お答え申し上げます。  このマッカーサー・ラインの設定につきましての連合軍総司令部から日本政府にあてられた覚書につきましては、先ほど大臣から申されましたとおり、このラインから竹島を、日本から見ての外側に置いているわけでございますけれども、この覚書の第五項では、これも大臣が申されましたように、許可を要するとしているけれども、これは「当該区域又はその他のいかなる区域に関しても、国家統治権、国境線、又は漁業権についての最終的決定に関する連合国の政策の表明ではない。」ということをはっきり明らかにしてあるわけでございます。すなわちこの覚書は、竹島に対するわが国の統治権を否定するものではないということを明らかにしているわけでございます。  なおその後、昭和二十七年対日講和条約の発効に先立ちまして、その年の四月二十五日付で日本政府あての覚書をもちまして、このマッカーサーラインというものは撤廃されているわけでございます。
  166. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 韓国がもしこの竹島帰属問題についてあくまでも拒否する場合、いま御答弁ありましたけれども、やはりこの際、日本政府としては、まずアメリカに対して、いま一度と言った方がいいかもしれませんが、マッカーサー・ライン設定に際してなぜ竹島を日本の施政区域から除外したかの理由をもう一度聞く必要があるのじゃないか。また北方領土の帰属についてアメリカ政府に見解を求めたと同じように、竹島帰属問題についてもアメリカ政府の見解を求めてもいいのじゃないか。すなわち、竹島は日本の固有の領土であるか否かの見解を求めるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  167. 大森誠一

    ○大森政府委員 先ほど私からお答え申し上げましたように、マッカーサー・ラインというものはすでに講和条約発効前に撤廃されておりました。さらに、いわゆるサンフランシスコ平和条約におきまして、その第二条におきまして「日本国は、朝鮮の独立を承認し」というふうに規定されているわけでございますが、この「朝鮮の独立を承認し」という文言は、日韓併合前の朝鮮に日本から分離独立しましたことを日本が認めたことを言うのでありまして、日韓併合前に日本領土であった領土を、新たに独立した朝鮮に割譲するという意味は全く含まれていないところでございます。  なお竹島は、従来政府側で御説明しておりますように、日韓併合前におきまして島根県の行政管轄下にありましたし、また、いわゆる日韓併合後も島根県の管轄下に置かれて、当時の朝鮮総督府の管轄下に置かれたことはなかったわけでございます。  またサンフンシスコ平和条約第二条の(a)項におきまして、わが国が済州島、巨文島及び鬱陵島の三島というものについての日本からの分離というものを認めているわけでございますけれども、この三つの島を特に挙げましたのは、念のためにこの点を明らかにしたものでございまして、竹島はこの掲げられた島からは明確に除かれているわけでございます。  さらに付言して申し上げますと、この解釈は当然のこととして、平和条約の主たる当事国であるアメリカによっても認められているところと解しております。すなわち、昭和二十七年二月二十八日に調印されましたいわゆる旧日米行政協定に基づきまして、日米両国の合同委員会の間で昭和二十七年七月二十六日に、施設区域協定中にも、竹島が日本領土であるということを前提といたしまして、竹島を米軍の演習場として指定するという措置がとられているわけでございます。このことは、アメリカも明らかに竹島をわが国の領土として平和条約発効後も認めていたということを示すものでございます。
  168. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間が来ましたので、最後一つだけ大臣の御決意を聞きたいと思います。  要するに、いま御答弁いただいたように、いろいろと裏づけといいますか、そういうものがあるにもかかわらず、十二年間経過した今日、何らしかるべき形がとれないというところに非常に大きな問題があるわけですが、このマッカーサー・ラインの撤廃云々を初めとしたあらゆる裏づけをもって――私は実は、紛争解決に関する交換公文についてもきょうは大分御質問したかったのですが、時間がありませんので別の機会といたしますけれども、どのような決意で今後取り組まれるか、最後一つだけ大臣から御答弁いただいて終わりたいと思います。
  169. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 竹島問題につきましては、日本国民感情といたしましてこれはぜひとも解決をいたしたい、こういう重大な問題でございますが、先ほど中江アジア局長からも申し上げましたように、これは韓国との間の国交正常化の際に片がつかなかった問題である。したがいまして、この問題は韓国におきましてもまた韓国民が大変重大な関心を持っておる問題でもあり、この問題の処理はまた、まかり間違いますと日韓間に対しまして大変な危機的な状況にまで発展し得る問題であるという認識を持っておるところでございまして、日本政府といたしましては、やはりこれは平和的に解決をしなければならない。粘り強く対処をしてまいりたい。そしていつの日か、これは国際司法裁判所におきまして決定をしてもらう。こういった線に沿いまして今後努力をいたしたい、このように考えております。
  170. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 終わります。
  171. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、渡辺朗君。
  172. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いただきました時間が二十五分ということでございます。短い時間ですけれども、私、願わくば三つの問題についていろいろとお尋ねをいたしたいと思います。  第一番目は、日中友好平和条約交渉の問題でございます。  実は最近新聞を読んでおりまして、いま中川委員も言っておられましたけれども、大変外務大臣積極的な日中問題解決への姿勢を示されているということで期待をしております。しかし同時に、実はこういう記事を新聞で読みましてちょっとびっくりいたしました。それは、最近日本から大型コンピューターを中国に輸出するという商談が行われていた、そこへパリで開かれたココムにおいて米政府が留保という態度をとった、したがって日本政府はこの問題を米政府に問い合わせを行った、そうしたところが米政府側の方は反対の意思を持っていることがわかったので、これがペンディングになっている、こういう記事でございました。ココムというのはたしか一九四九年にNATOの加盟諸国によって結成されたもの、これがまだ生きている。そしてまた、それに縛られていて日中の間のそういう商談もむずかしいというようなことがある。一方においては大変盛り上がった日中条約交渉が行われようとするやさき、こういうことについて大変矛盾したものを感じました。  そこでまず第一番目に私は、ココムに対して外務大臣どのような態度を持っておられるのか、御見解を先にお聞きしたいと思います。こういうものをいつまでも置いておいていいのでしょうか。
  173. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ココムにつきまして、いま御指摘のような中国に対します電算機の問題があるわけでございます。このココム自体、いまどきそのようなものが必要であるかどうかという点は、それはもう一度考え直すべき時期に来ておるような気はいたしますけれども、現実にココムに従いまして処理しようということになっておりますので、この電算機の問題につきましては、技術的な点につきましていま折衝途中でございます。ある性能の部面におきまして、性能が大き過ぎるという問題があるわけで、これにつきましては最終的な詰めを行っているというのが私の報告を受けているところでございます。そういうことで円満に解決することを期待いたしているのでございます。
  174. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣、お伺いいたしますけれども、その際にこれは米政府に接触されたことは事実でございますか。そして、米政府側の意向を確かめられたこと、これは確かでございますか。
  175. 溝口道郎

    ○溝口政府委員 この問題、非常に技術的な面もございますので、いろいろレベルで接触を行っております。
  176. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いろいろなレベルというのはどういう意味ですか。
  177. 溝口道郎

    ○溝口政府委員 政府が窓口になってやっております。
  178. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私はやはりここら辺が問題だと思うのです。日中友好の一つの締めくくりでもあり、また始まりでもあるという交渉が行われようとするときに、依然としてそういうココムのようなものがあり、そして統制品目を一々アメリカの方に意向を打診しなければ商談も進められないということでは、本当にこれは友好関係を日中間で進めようとしていることの大きな障害にもなりはしないだろうか、こういうふうに思います。その点、外務大臣、これはココムというのは脱退することはできないものでございますか。
  179. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ココムにつきましては、日本といたしまして国際協力というような面で協力をいたしているわけでありまして、ココムに対しまして日本が将来どういう態度をとるかということにつきましては、これは場合によっては再検討すべきことがあるかもしれません。しかしココム自体がやはり軍事力の増強ということにつながっているものでございますから、したがいまして、日本といたしまして、軍事力がそれぞれ非常に強化をされるということは、これは来年軍縮総会もございますし、そういった面で軍事的な関係輸出、特に兵器の輸出等につきましていろいろ問題が起きている際でございますが、日本自体はそういった輸出は一切しないということを国是として決めているわけでございます。  本件につきましては、気象用のコンピューターである、その性能がしかし、気象用にしては大き過ぎるというような問題が出てきておるわけでありまして、この点につきまして現在におきましては円満に話し合いをつけて、これが軍事的な転用というようなものが起こらないように協力をするという点もある意味では必要かと考えておるのでございます。
  180. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣もこれは軍事用であるかどうかは恐らく御存じないことだと思います。ただしアメリカ側の方がこれは軍事用だという名目で禁止をする、あるいは反対をするということになると、それにもう一遍説得をしたり説明をしたり、技術的な訂正を加えなければいかぬということ。今回はそれで円満にあるいは解決するかもわかりませんけれども、今後ともそういうことでどんどん、いちゃもんといったらおかしいですけれども、日中関係を進めることの障害になる、このようにはお思いになりませんでしょうか。
  181. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいま御指摘のような心配もございますので、私どもといたしましてはココムで交渉を行っておりますが、また、東京におきましても、アメリカの大使館に対しましてその点を注意してもらうように、私自身そのような指図をしたこともございます。そういう意味で、この問題につきましては何とか早く円満に片をつけて、これが日中間の障害にならないようにいたしたいと思います。
  182. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 この問題はぜひ、いま外務大臣もココムに加盟していることを再検討することもあり得るというお話があったということで、至急に再検討していただきたいと私は要望いたしておきます。そうでないと、よその国から日本の行動というものは大変縛られてくる。しかも、他の国は、そういう文句を言うところがコンピューターや何かのミッションが中国の方に行っている、こういうようなことも同時に起こっているわけでございまして、まさにそういうことをきっかけといいますか、名目にしての日本経済活動に対する制約でもあるという面も考えられますので、ひとつこういうココム加盟の問題、そして脱退の問題、ここら辺は検討していただきたいと思います。  次に、私、日中問題では一つだけお伺いをいたします。  それは、参議院選挙の前後にも大変、少なくとも私ども新聞で見るだけでございますけれども、政府の方に日中問題ということについては意欲的なポーズが出てまいりました。それからまたしばらくたって冷えてしまいました。また、十月ごろになりましてにわかに政府・与党の中にこの意欲が再現している、あるいは再燃した。今度も本当だろうかという懸念がございます。その点で、これは外務大臣もここで、どこに問題があるのか、積極的にやろうとしているけれども、こういう問題がまだ解決していないからだめだということを国民にはっきりおっしゃらないと、私は国民の中に揣摩憶測だけが流れると思うのです。何かリップサービスだとかポーズだけで終わってしまって、そして鼻の先にニンジンをぶら下げて走らせるみたいな外交というふうに受け取られる、誤解もされる。私はそういう意味で、これとこれがむずかしいからできないんだ、だけれども積極的にやるつもりであるという点を明らかにしていただきたいと思います。外務大臣、いかがでしょう。心境のほどをひとつぜひお聞かせください。
  183. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 政府の考え方が、参議院選の前後でありますとか、ときによりまして変わっておるということは、私は実感として全く考えておりません。いろいろな発言がそのように伝えられておること自体が私は大変問題であろうというふうに考えております。福田総理御自身もそういう感じでおられることと思うのでございまして、この日中平和友好条約を早期に、本当にいい条約にしてつくりたいというお考えは全く変わっておられないと私は確信をしております。  これに対しましてどういう点が問題であるかという率直なお尋ねでございますけれども、私自身といたしまして、外交面におきまして条約内容を詰める作業、見通しをつける必要が片方にあるわけでありまして、また他方におきまして、やはりこの問題が本当に日本の大多数の国民から祝福されるものであるためには、ある意味のそういった支持というものが、これは国会の御支持はもう疑うことがないわけでございますが、そういった面と両方の面から最も日本として満足のできる形でという内容とともに、時期の問題があろうと思うのでございまして、その点につきまして、政府といたしましては私ども真剣に取り組んでおるということは、これはぜひ御理解を賜りたいと思います。
  184. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 国民に向かってやはり、いまもうそろそろやるべきだ、それから内容はこういうことだと、少なくともいままで新聞などでは外務大臣あるいは外務省の意向というものが伝わっていると思います。したがって、いまおっしゃった、一方においては中身を詰めることと、もう一つ国民の支持を大多数から得ることというふうにおっしゃいましたけれども、もうそろそろそういう意味で、これでどうだろうかと、国会の席を通じて国民に問いかけをされてはいかがかと私は思っております。  関連いたしまして、先般、新聞でやはり見ましたけれども、外務省は近々訓令を出して日中条約交渉の再開を打診するというような報道がございましたが、もうそういうところまでいっておりますのでしょうか。
  185. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 実のところ、十二月に佐藤大使が参加する会議を東京で開きたいと思っておるのでございます。それに関しましていろいろな推測が行われておるわけでございまして、私どもといたしまして、佐藤大使を交え、最近の情勢につきましていろいろ検討をいたしたいということを考えておるわけでございます。しかし、そのために特定の訓令を出しておるということではございません。
  186. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 日中問題はここら辺にいたしまして、次の問題に移らしていただきたいと思います。  それは最近の円高ドル安傾向の中で日本の中東政策、これに関連して御質問をさせていただきたいと思います。  ことに、アラブ産油国と日本関係、アラブ産油国からの日本に対する安定供給の可能性、この見通しについてでございます。私は、つい先般でございますが、サウジアラビアあるいはイラン、イラクの方を、民社党の調査団で行ってまいりました。そのときにたとえばサウジアラビアのヤマニ石油相であるとかあるいはイラクの担当の方々あるいはイランの方々、いろいろ御意見を聞いてまいりましたが、共通して言えることは、日本に対する石油の安定供給は二つの条件が前提であるということではないかと思います。一つは、アラブ産油国あるいはイラン、こういうところからも、中東和平への日本の積極的な姿勢あるいは努力ということ。第二番目には、アラブ産油国への、これはイランに対してでも同じでありますが、テクノロジーの提供、日本側からテクノロジーを提供するその対価として、代償として石油というものあるいはそれの安定供給というものが行われるのだという言い方をしておりましたし、事実そう考えているというふうに判断をいたしました。  そこで、中東和平の問題がいま非常にデリケートな段階に来ております。きょうなんかもニュースを聞いておりましたら、あるいはエジプトとイスラエルとの単独講和というような可能性も開かれるような事態、これも予想されるわけでありますが、まず私、日本政府として中東和平について、またジュネーブ会議の年内の見通し、こういうようなことに関しましてどのようにお考えなのか、御所見をいただきたいと思います。
  187. 加賀美秀夫

    ○加賀美政府委員 まず、ジュネーブ会議に関するわが国の態度とそれから見通しでございますが、御承知のように中近東紛争につきましては、これが世界の平和と安全に非常に大きな影響を及ぼすということで、わが国といたしましても、このジュネーブ会議への米国を中心といたします国際的努力に対しましては、これを支持するという態度でございます。  わが国の中東紛争に対します基本的な考え方といたしましては、外務大臣の外交演説あるいは国連におきますわが国の国連演説にも明らかにしてございますけれども、安保理決議二四二が全面的に実施されるということ、さらにパレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が尊重されることによって、中東地域に公正かつ永続的な和平が話し合いによって一日も早く実現することを望むという態度でございます。  先生指摘のように、ジュネーブ会議に向かいまして真剣な努力が行われておりますが、手続面におきましていまだ関係国の合意ができておらないというのが現状でございます。と申しますのは、特にパレスチナ人の代表をどういうふうにしてジュネーブ会議出席させるかという問題につきまして、アラブ側とイスラエル側との間に合意ができておらない。それで、この点に関します国際的努力がいまも粘り強く行われておるわけでございますが、最近新聞等には、エジプトのサダト大統領が、自分はイスラエルの国会にまで出かけていって話してもいいと言っておりますし、他方でイスラエルの方からサダト大統領に対しまして、どうぞいらっしゃいという招請が出ておるようでございます。ただアラブ側といたしましては、十二日からアラブ外相会議を開きまして、アラブ側の統一の態度を協議するという方法をとっておりますし、私どもといたしましても、ジュネーブ会議が早急に実現するということを強く希望しているわけでございます。  見通しといたしましては、十二月中ということで努力が行われております。一部には十二月中の開催を危ぶむ向きもございますけれども、果たして十二月に実現するかどうかという点につきましてまだ若干の疑念がございます。しかし関係国とも、できれば十二月開催あるいは遅くとも明年早々には実現したいということで、真剣な努力を続けておるのが現状であると考えております。
  188. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣、先般国連にもいらっしゃいまして、各国の首脳の方々あるいは今回の中東和平のいわば立て役者にもなっておりますアメリカ初め関係諸国の方々ともお会いになったと思いますけれども、外務大臣の御感触はその方々とお話しになっていかがでございましたでしょうか。非常に積極的に取り組んで、楽観論でございましょうか、ないしは悲観論でございましょうか。
  189. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中東和平の問題につきまして、これは国連のスピーチにおきましても、何とかして年内にジュネーブ会議を再開にこぎつけるべきであるということを強く主張をいたしたわけでございます。また、アメリカのバンス国務長官からもこの問題につきましては詳細な説明も伺ってきたところでございます。この問題につきましてアメリカとソ連との間にある種の共同の歩調がとれ、それが翌日発表されたわけであります。そういう面で、一部非常に明るい面が出てきたわけでありますけれども、しかしながら、いま加賀美局長から申し上げましたように、パレスチナ人をいかに参加させるかという問題と、それから個別の国、二国間の問題と全体で決めるべき問題ということが絡み合っているということの問題、これらにむずかしい問題があるということで、私どもといたしましては何とかこれを年内に再開にこぎつけること、これが実を結ぶことを心から願っておるということでありまして、現在まで至りまして明暗双方の現実の情勢があるように私自身は考えております。
  190. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 外務大臣、この問題に関連いたしまして別の角度からの、日本にとって大変重要な問題でございます石油の問題ですけれども、いかがでございましょう、十二月の二十日からたしかカラカスのOPECの総会がございますけれども、これからアラブ産油国を中心にして、やはり減産とそれから価格高騰ということが予想されるのでしょうか、それともそうではないでしょうか。そこら辺の、国際経済については造詣の深い鳩山外相から、ぜひ見通しを聞かしていただきたいと思います。
  191. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 油の価格問題につきまして、御承知のようにブルメンソール財務長官が中東方面を歴訪されて、何とか世界経済のために価格の引き上げをしないでもらいたいというアラブ訪問をされておる。そして、そのいろいろな感触も伝わってくるわけでございます。サウジアラビアと穏健なグループの国々、またイランからはいま国王がアメリカに行かれておるというようなこともありまして、この面につきましては、ある意味で何とか来年度中の値上げをしないでという、それに対する理解がある程度示されておるというふうにも聞いておるところでございますが、また、一部の強硬派、イラク等が中心と言われておりますが、大幅な引き上げを主張する国がある。一つの問題は、やはりアメリカのドルの値打ちが下がるというようなことが言われますと、これは非常にドル価格によります値上げの口実を与えるという点で、ドルの価値を何とか維持をするということもアメリカに与えられた大きな責任であろうと思うのでございまして、その点につきましては推測はむずかしい問題であろうと思いますし、また公の席でなかなか申し上げるわけにいかないと思いますが、世界全体の経済が、油の価格大幅引き上げに対して何らか調整がややつきかけてきた、こういった事態でありますので、来年度につきましては何とか値上げをしないで済むように、アメリカの主張しております価格据え置きにつきまして、わが国といたしましてもできる限りの協力をいたすべきものと考えております。
  192. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 この問題は、時間の制約がありますので、別の機会にまたぜひお時間をいただいていろいろとお伺いをしたいなと思っております。  ともあれ、カーターさんが言ったというのですけれども、いま国の安全は軍隊よりも不安定なエネルギーの供給によって左右されるというようなこともございますので、日本にとっても重要な産油国との関係、特に経済協力、技術協力のあり方、こういうもの、それから政治情勢の見通し、いま問題の、これからOPEC諸国が値上げをするのか、減産するのか、どのような方向をたどっていくのか、これはもちろん非常に重要なことにもなってくると思います。そのためにも外務省の方はぜひ――アラブ諸国あるいはイスラエル、そういうところの大使以下本当に数人の方がおられるにすぎないような活動では、国益を左右する大きな問題、その情報なり、あるいはこれから積極的に経済協力するというようなことを言いましても十分なことができぬと私は思うのですね、そういう点で、アラビストの数もうんとふやしていただくことだとか、館員の方々も大いに活動していただくという、中東政策についての積極的な取り扱いといいますか、積極的な姿勢というものを打ち出していただきたいと私は思います。  時間の点がございますので、これを要望いたしまして、最後にもう一つ、これはちょっと緊急を要すると思いますのでお伺いをいたします。  それは、最近来、南アフリカ共和国におきまして、動乱にでもなりかねないというぐらいに大変に緊迫した情勢が出てきております。特にアパルトヘイト問題に対して、現在の政権からする強圧的な姿勢というものが国際的にも大きくまた批判をされているし、国連におきましても制裁措置がとられる、制裁の決議を行うという事態がございました。つい最近、黒人の労働組合が禁止されましたし、南アにおきましては黒人ジャーナリスト協会を初め十八の黒人団体が禁止をされる、あるいは「ワールド」と言われる新聞が発行禁止になる。そしてまた、白人の宗教家や何かまで逮捕される。私は、これは単に南ア共和国の国内問題ではないと思います。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 国際的に非常に大きな抗議の波がいま起こってきている。きょう恐らく日本国内におきましても、国際自由労連加盟の団体が外務大臣にこの問題についての要請を行ったと思いますが、私は、単に国連決議に日本が参加したということにとどめることなく、世界各国政府がいろいろと抗議の態度を示す、あるいはまた具体的な行動をとる、そういうことをやっているわけでございますから、ひとつ日本としても何らかの意思表示をしていただきたい、また行動もとっていただきたいと思うのですが、外務大臣、いかがでございましょう。
  193. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 御指摘のように、南ア政府のアパルトヘイト政策につきまして、これは全世界挙げて非難をいたしておるわけで、今回の国連総会におきましても、この問題が中東和平問題と並びまして最大の問題になっておるのでございまして、日本といたしましても、これは各国とともに南ア政府のとっておる政策に対しまして強硬に抗議をいたすべきものと、御指摘のように全く同じに考えております。  きょう、国際自由労連加盟の五単産会議の事務局長さん、また全日本労働総同盟の国際局長さんがお見えになりましたので、御要望の点につきましては極力御趣旨の線に沿いまして努力をいたします。
  194. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これは要望だけでございます。特にこういう行動について日本が間髪入れず声明を出されるとか反応するということが、アジア・アフリカ諸国に対する日本の立場というものをより鮮明にしていくことになろうと私は思いますし、中東和平へのそういう行動が、具体的な努力というふうに国際的にも見られるわけだと思いますので、ぜひともその点お願いをいたします。  どうもありがとうございました。
  195. 有馬元治

    ○有馬委員長代理 次に、寺前厳君。
  196. 寺前巖

    ○寺前委員 きょうは二つの問題をお聞きしたいと思います。できるだけ時間を有効に使いたいと思いますので、要領よく、要点的にお答えをいただきたいと最初に要望をしておきます。  第一の問題は、朝鮮半島をめぐる問題です。九月二十三日の琉球新報を見ますと、その第一面に「在沖米軍大量の弾薬を韓国に移送」という記事が載っております。在日米陸軍司令部は、沖繩駐留米陸軍管理の大量の弾薬が韓国向けに移送されているということを示しているのです。在韓米地上軍削減との関連での事態だと私は思います。こう書かれています。「ベトナム停戦後大幅に再編成された在沖米陸軍基地が朝鮮半島への補給支援基地として機能していることを実証するもの」と報じております。こうなると、在韓米軍削減とのかかわりで在日米軍の機能が高められていくというふうに見ざるを得ないわけですが、この報道に対して、外務大臣どういうふうにお考えになりますか。
  197. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいまの報道につきまして、私自身直接ただいま把握いたしておりませんけれども、いずれにしろ、在韓米軍の撤退はこれから行われる事態でございます。したがいまして、現在の沖繩における米軍の施設区域の使用状態との関連で直接何らかの影響があるということはないのではないかというふうに考えております。  なお、在日米軍の施設区域は、これを米軍が兵たん補給に使用することは当然にあり得ることでありまして、そのこと自身は安保条約上何ら問題にはならないのではないかというふうに考えます。
  198. 寺前巖

    ○寺前委員 従来政府は、在韓米軍の削減問題について米韓の問題だ、あるいはいまのようなお話で、日本の防衛分担について強化されるという問題については態度を明確にしてこられませんでした。しかし、アメリカ側が在韓米軍削減との関連性において、韓国防衛の補完措置策として日本を考えている問題についてはいろいろな分野で明らかになっております。たとえばことしの二月の七八会計年度予算を審議しているアメリカの上院歳出委員会国防小委員会においてブラウン統合参謀本部議長は、韓国の有事の際には沖繩の米海兵一個師団と空軍二個大隊、第七艦隊の翼下部隊、それに日本本土の米海兵航空隊五個大隊が駆けつけられるであろうということを述べております。  在韓米軍削減をめぐってアメリカは具体的方針としてこのようなことを言っているわけですが、政府は当然これに対する態度を示すべきだというふうに思います。米韓間の問題で在日米軍の機能化が図られているという発言の事実に対して、容認をするのか容認をしないのか、改めて外務大臣に聞きたいと思います。
  199. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日米の安保体制というものが、やはり米軍というものは極東の安全のためにも機能しておるということで、これはもうそういうものとして安保体制ができておるわけであります。ただ、日本の基地が直接に戦闘作戦行動に使われるということは、日本の安全にとりましてもまことに重大な影響があるということで事前協議という制度をつくってあるわけでありまして、そのこと自体につきまして、在日米軍がほかの地域、極東の地域につきましてこれは利用をされ得る、そういうことをブラウン国防長官が言われても、それ自体が非常にけしからぬことである、こういうふうに言う立場には日本はないというふうに考えます。しかし、日本の基地を戦闘作戦行動の基地として使う場合には事前協議の対象であり、その基地利用につきましてはイエスもありノーもあるのだ、こういう点ははっきりしておると考えております。
  200. 寺前巖

    ○寺前委員 ブラウン統合参謀本部議長が、日本に駐留させるところの米軍を、このように有事の際の配置問題として位置づけて考えている問題をそのようなことで片づけるというのは、ゆゆしき問題だと言わざるを得ないと思いますが、ここで一言お聞きをしたいと思います。  日本国内に貯蔵されている弾薬が、韓国軍によって使用されることは安保条約上許されることになるのかならないのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  201. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 はなはだ恐縮でございますが、ただいまお尋ねの、日本にあるところの米軍の弾薬が韓国軍によって使用されるとおっしゃられるときの意味が必ずしも私よくわからなかったわけでございますが、日本にある弾薬が韓国軍によって使用されるということはあり得ないことであろうと思います。
  202. 寺前巖

    ○寺前委員 そこでお伺いをしたいわけですが、六月二十三日に公表された米下院の国際関係委員会アジア太平洋小委員会の報告書、これです。この報告書の中で、「日本と韓国に貯蔵されている弾薬は、朝鮮戦争がぼっ発した場合の使用を目的としている。これらの貯蔵は、主として地上用の弾薬から構成されている」、こういうことがこの文章の中に出てきます。また「貯蔵されたこれらの弾薬は、北朝鮮から攻撃があった時、韓国陸軍による使用に供される」とも述べております。さらにまた、「同盟国の使用に供される戦争予備貯蔵といわれるアメリカの貯蔵は、事実上、軍需物資を韓国の管理のもとに移すプロセスに入り始めている」とも述べております。これらからすると、在日米軍基地貯蔵の弾薬が米軍の手から韓国軍へ渡るという可能性がきわめて明確であるというふうに言えると思います。こういうことを果たして許しておいていいものかどうか、私は外務大臣の見解を聞きたいと思います。
  203. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいま先生指摘のようなことが、アメリカの下院の国際関係委員会のアジア太平洋小委員会調査団からの報告書に記載されていることは私どもも承知いたしております。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、私どもはそこに言っておりますところの、いずれ韓国におけるところの使用に供されるであろうという趣旨の種々の記載は、いずれにしろ日本にありますところの、米軍が所有し、管理しておりますところの弾薬が、一部は韓国に向けて――韓国に向けてというのは、韓国内に移送されてそこで使用されるものという腹づもりを持っているということを言っているにすぎないものでありまして、日本にありますところの弾薬の一部が、すでに韓国軍なり政府なりの所有に帰しておる、移転されておるというようなことではなく、あくまでもここにありますところの弾薬の将来の使用の見込みと申しますか、腹づもりというものについて述べられたものであるというふうに理解いたしております。
  204. 寺前巖

    ○寺前委員 ここで報告されているのは、ウルフ小委員長が実際に見てきたことを述べて、可能性として提起をしている問題と、それから韓国の管理のもとに移すプロセスに入り始めているということを述べているというふうに私は読めるのであります。とすると、将来の可能性の問題もあるし、また現実にその目で見た報告としてはきわめて重要な内容を提起しているというふうに言えると思うので、日本政府としてはこの問題について事実を明確にさせる必要があると私は思うのですが、外務大臣、いかがなものでしょう。
  205. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 私ども在日米軍に確認いたしたところでございますが、日本にありますところの、米軍が管理しておりますところの弾薬はすべて米軍の所有のものである、第三国の所有ないし管理のものが日本にあるということはないという点を確認いたしておるわけでございます。  そこで、そこにありますところの米軍の弾薬がいずれ将来の時点で他の地域に移送されるということはきわめてあり得ることでありますし、その点は安保条約上何ら問題はないわけでありますし、また現在ありますところの弾薬の一部が、いずれ他の地域における使用のために転用されることがあるべしという腹づもりを米側が持っていること自身も、これも安保条約に照らして特に問題にすべき点はないというふうに考えている次第でございます。
  206. 寺前巖

    ○寺前委員 さっきも言ったように、目で見てきた事実が、軍需物資を韓国の管理のもとに移すというプロセスに日本の弾薬がそうなってきているということを示していると思うのです。私は、もうどこから見ても、客観的に日米安保条約日本を中心としたところの関係を明らかにしている条約であって、日本の弾薬が韓国軍を強化するものに使われるということについてはだれが見たって否定すべき事実なんだ。実際上の問題として、そういう行動が起こっているということを見てきたアメリカの小委員長が述べている以上は、事は重大な問題だ。最初に質問しましたように、日本国内に貯蔵されている弾薬が韓国軍に使われるということ自身が重大な問題だ。これは大変な問題だから、私は改めて外務大臣に、こういう報告書に対して事実を明確にするように調査をされることを要望したいと思うのですが、外務大臣、いかがですか。
  207. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 在韓米地上軍の撤退に伴いまして、朝鮮半島におきまして万一また戦争が再び起こっては大変だ、こういう意識が私は、アメリカにもありますし、また日本国民も重大な関心を持っていると思います。そしていま御指摘の、弾薬の話が出ましたけれども、その報告というのは、やはり米地上軍の撤退に伴いまして非常な軍事力のアンバランスができるのではないかというような心配があって、それに対しましてやはり日本におきます米軍でありますとか、あるいは日本にいまある弾薬につきましても何らか触れられたと思います。私は、むしろ米地上軍の撤退に伴いまして、韓国に保管されております弾薬が、沖繩あるいは日本国内に逆に移されるようなことがありますと、これまたなかなか大変厄介な問題になるんじゃないかというような気もいたしておったわけでありますが、今回、いま御指摘のような、日本国内にありました弾薬の一部が、恐らくごく一部だろうと思うのでありますが、何かの理由によりまして韓国に運ばれたものがあるかもしれない、従来からもそういったことがあったかもしれないと思うのでありますが、それが、これは非常に天下の一大事であるというようにお考えになるのはいかがなものであろうかと思うのでございまして、私どもも、この問題はなお今後とも研究をしてみたいと思いますが、余り事実関係を私自身よくつかんでおりませんので、いまここで確たるお答えができないのでございます。いろいろ聞いてみたいと思っております。
  208. 寺前巖

    ○寺前委員 その報告書の内容と事実関係についてよく調査をされて、禍根のないようにされることを希望いたします。  次に移ります。  昭和四十八年の三月七日の当委員会で、私は、戦時中に発禁本となったものが占領軍によってアメリカに持ち去られている、あるいはメリーランド大学に持っていかれているという問題について指摘をいたしました。そして外務大臣もまたは図書館長も、この問題について返還方あるいは収集方についての措置をとりたいということを発言をされたわけですが、この占領中のとられた措置について、その後どのように収集をされたのか、報告を図書館長からお聞きをしたいと思います。
  209. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 お答え申し上げます。  発禁図書につきましては、昭和五十一年七月以降ただいままで、四回にわたって六百三十五冊が米国議会図書館から送り返されております。返還予定数は千二十五冊でございますので、残り三百九十冊は本年度じゅうに返還される見込みであります。またメリーランド大学の資料につきましては、昨年及び今年、当館職員を派遣いたしまして調査してまいっております。その調査報告によりますと、同大学におきましては目下鋭意整理中であるという報告に接しておりまして、この資料のわが方への入手につきましても、その整理が終わらなければこれはなかなか実行できない問題だと考えておる次第でございます。
  210. 寺前巖

    ○寺前委員 私はその質問のときに、メリーランド大学にある資料というのが、地下室に水浸しになったりして大変な事態になっている。そこには、聞くところによると戦後の児童図書が、日本には整備されていないけれどもほとんど全部そろっているとか、労働運動や文化運動の盛んな地方の刊行物やあるいは原稿や校正刷りなどの検閲資料、単行本が六万冊から新聞が一万三千タイトル、雑誌も一万タイトルというふうに非常に膨大な十万冊を超すところの資料となっている。戦後の日本史研究に欠かせないものがあるということを指摘をしたと思います。特に占領下においてアメリカ軍の検閲をしたところのいろんな政党機関誌などもありまして、戦後の日本がどのような支配下にあって今日があるのかということを知り、そして外交交渉その他の問題をやっていく上においても重要な資料を、この大学にある資料は持っているという立場から考えても、これは何とか返還をかち取らなければならないものだと思うのですが、館長はこの大学にある資料をどのように評価しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  211. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 これらの資料は、米国が占領行政の一環として一九四五年から一九五〇年までの間、検閲のために提出さしたものであると伺っております。  私どもの方の調査によりますと、単行図書は約四万冊、その中には児童図書約六千四百冊を含んでおる。これはちょっと横道にそれますが、児童図書六千四百冊というものはかなりの網羅的な収集をしたものでありまして、わが国内におきましてもこれだけの収集をしているところはないということで、関係方面の方々はこの児童図書のわが方への入手を非常に熱望しておるという話も聞いております。なおまた新聞、雑誌につきましてはそれぞれ一万一千タイトル、かなりの量でございます。これから推察いたしまして、当時の文献を相当網羅的にここに集めて保存してあるということがわかります。  この期間はわが図書館もまだ創設前の期間でもあり、また創設後におきましても今日のような納本制度がまだ確立しておらない段階でございまして、したがいましてその状況からして、この期間の出版物は当館の所蔵に欠落が少なくないと実は判断しておるわけでございます。この期間は、ただいま仰せのように戦後日本の大転換期に当たっておりまして、したがってそれだけ当時の出版物というものは今後のわが国の戦後史の解明等いろいろの面から貴重なもの、重要なものを含んでおると存じますので、当館といたしましては、できる限り現在の欠落を補完して完全なものといたしたい、その必要を痛感しておる次第でございます。
  212. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、それほど痛感されておる内容について今後どういうふうに資料の収集に当たられるのか、その計画をお示しいただきたいと思います。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
  213. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 メリーランド大学におきましては以前からこれらの資料の整理を手がけてこられておるのでございますが、余り進捗しないまま今日に至っておるというふうに伺っておりますが、幸いにして最近米国政府から約十一万七千ドル、邦貨に換算しまして約三千五百万円の補助金を得て、今後三カ年計画でこの整理を完了したいという計画をお立てになり、目下従来よりも急速にこの計画の実施を進められておるというふうに報告を受けております。その整理作業が完了いたしましたならば、当館の未所蔵分を調査いたしましてこれらの不足分、欠落している分につきましてはマイクロフィルムによる複写収集をいたしたいと考えておる次第でございます。  係官が向こうに参りまして、向こうの係官と事務的な折衝をしたのでございますが、先方も、整理が終わったならば、国際図書館協力の線に沿ってできるだけ御協力を申し上げたいという意向を漏らしておられるということでございますので、調査が完了すればその運びを推し進めることができると存じております。
  214. 寺前巖

    ○寺前委員 この占領下における問題というのは、書籍類とか新聞とか、そういう検閲を通じてわれわれの時代を調べるということも重要な位置ですが、同時に日本政府アメリカとの間にスキャップ公文書などがあると思います。こういうものについて私は国会図書館が資料としてちゃんと持っておるということがまたわれわれの活動にとって重要な位置を占めるのではないかというふうに思うのですが、これについてどのような見解を持っておられるのか聞きたいと思います。
  215. 岸田實

    ○岸田国立国会図書館長 いわゆるGHQ資料につきましては、これは占領軍内部の生の記録でございます。当時の占領行政の第一次資料と申してもよろしいと思いますが、これは日本の戦後史を解明するためになくてはならない貴重な資料と考えております。幸いに一昨年あたりからアメリカにおきまして全面的に解禁、公開されるということになりましたので、またわが国内の各方面においてこれらの資料の収集に強い関心を持たれる向きがあり、報告によりますと、昨年一月から八月までの八カ月間に五十人の方が直接先方に参りまして調査なり複写の要望を出されたりいたしまして、先方でも非常にその応接に困っておられて、何とか一本化できないものだろうかという御意向もあるというようなことでございましたので、当館といたしましては中央図書館としての任務にかんがみまして、この問題はできるだけ早く処理すべきであるという立場から、昨年、それからことしもワシントンの米国国立公文書館に職員を派遣いたしまして調査をさせますとともに、事務的に国際的図書館協力の線に沿いまして先方と交渉に当たらせました。先方との間では昭和五十三年、来年度からマイクロフィルムによる複写収集に着手することにつきまして合意が成立しておるわけでございます。もとよりこれを実施しますのには予算措置その他のことが必要でございますが、われわれとしてはできるだけその合意の線に沿って速やかに着手して、マイクロフィルムによる複写収集をし、わが図書館にこれらの資料を整備したいというふうに考えておる次第でございます。
  216. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合がありますのでこれで終わりますが、外務大臣最後に、戦争中に発禁になったもの、こういうものが日本になくてアメリカにとられたままになっている。ドイツでは早い段階にそういうものは返還されている。日本だけが残されてきた。戦争中に検閲がいろいろなされた。それも持っていかれたままだ。持っていかれただけじゃなくして私物化扱いをされて大学の書庫にほうり込まれておった。それからまたその間における占領上のいろいろな支配の公文書があった。こういうようなものについて日本として、歴史としてもしっかりと押さえておかなければならないし、また今後の日本活動をやっていく上において重要な位置を占める。図書館としては積極的にそういうものを収集するという立場に立って努力をしているわけですが、外務大臣としてこの件に対してどのような対応をされるのかお聞きをして、終わりたいと思います。
  217. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 御指摘の図書あるいは文書等につきまして国会図書館の方でいろいる努力をされております。外務省といたしましても、国会図書館と十分連絡を密にいたしまして、御指摘のような図書がまた国会図書館の方に備えられるように、私どもといたしましてもお力になりたい、このように考えております。
  218. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  219. 有馬元治

    ○有馬委員長代理 次に、伊藤公介君。
  220. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、きょうはまず日米の航空交渉についていささかお尋ねをさせていただきたいと思います。すでにほかの委員会でもいろいろな御議論があったと思いますけれども、一九五二年に結ばれた日米の航空協定は日米間に非常なギャップをいろいろと持った協定でございます。路線権の問題あるいは以遠権の問題など、双方が同じ出発点に立って航空の競争をするというのなら話がよくわかるわけでありますが、非常なギャップがある。今後、恐らく間もなく日米の航空交渉が始まると思いますけれども、まず最初に、どういう姿勢でこの交渉に今後当たるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  221. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 先生ただいま御指摘のように、現行の日米航空協定におきましては日米両国間の航空権益の不均衡があるというのが私どもの基本的な認識でございます。そしてこの航空権益の不均衡を何とかして是正いたしたいということで、客年以来アメリカ政府との間に折衝を行っているわけでございます。
  222. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 この日米間のギャップはかなり長い間議論をされてきて、早くそのギャップを埋めてほしいという声はあったわけでございます。たとえば日本航空は、アメリカ国内でニューヨーク、ロサンゼルスあるいはサンフランシスコ、グアム、アンカレジ、ホノルル、サイパン、この七カ所に着地ができるわけでありますけれども、しかしそれ以上の乗り継ぎをしていくことはできない。また以遠権の問題では、たとえばロサンゼルスから南米に飛ぶ、あるいはサンフランシスコから中米に行くという場合には、日本航空は、アメリカ国内でもお客を拾って飛んでいくということができないわけでございます。私どもがたとえばアメリカにストップをしてそれからその先に行くといっても、乗りかえをしなければならない。そうなってしまいますと日本のお客さんでも途中で飛行機を乗りかえるよりは、たくさんの荷物を持っていればストレートに行ける方がいいということになってしまうわけですから、利用するときにほかの直通で行ける飛行機の方がいいということになってしまう。いろいろな意味で非常なギャップがあるわけでございます。昭和五十一年の日本からアメリカへの旅行者は七十七万と聞いております。逆にアメリカから日本へは二十七万人だ。これは観光日本といいますか、国全体の今後の問題としても、いままで私どもは外国に行けば、日本の国は東洋の美しい国、そして一遍は行ってみたい国、こう多くの人たちが考えていた。しかし日本に来てみるとかなり失望をする一遍来てもう一度行ってみたい国だという人は非常に減っている、こういろいろな事態を生んでいるわけでございます。かなり長期的な見通しといいますか、これから一体日本の国をどうしていくかという問題まで含めて、日本への旅行者が非常に少ない、こういう問題については一体どういう認識を持っていられるのかお伺いをしたいと思います。
  223. 中島敏次郎

    ○中島政府委員 ただいまの先生の御論旨を私必ずしも正確につかんでいないかもしれませんが、日本への旅行者が減る傾向があるといたしまして、それが日米いずれの航空企業の便を利用するかという点は必ずしも直接の関係にはないのではないか、むしろもしそのような傾向があるとすればそれはもっと基本的な問題、観光政策の問題その他いろいろな日米間の経済関係、そういうようなところの問題ではなかろうかという気が当面いたします。
  224. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 日米の航空交渉だけにかかわらず、私は外務大臣の考え方をお聞きしておきたいのでありますけれども、むしろ外務大臣というのではなくてほかの省庁の問題にもかかわるかと思いますけれども、しかし外務大臣としてこれから観光日本ということについて一体どういう具体的な、また多少長期的な考え方を持っているのか、認識をお尋ねしておきたいと思います。
  225. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私は余り観光の方は詳しくないのでございますけれども、いま日本に来るお客さんが減っているのかどうかこれも調べてみたいと思っておりますが、一つはやはり日本で生活関連の物資が値段が高いと申しますか、たとえばホテル代でありますとかあるいは飲食物等が非常に高い。これは円がドルに対しまして三百六十円が二百四十五、六円というようなことになりますと、日本に滞在をすることが経済的になかなか高価につくということがあろうかと思います。こういった点は経済問題といたしまして、日本といたしまして世界的なレベルの経費で宿泊ができるように何かする必要があるだろうということも感ずる次第でございます。日本の系統の料亭等も方々外国にありますけれども、日本食というものは大変高価だというようなことをみんな認識しておるようでありまして、これらの点につきましても是正をされることが望ましいというふうに考えております。その他いろいろ問題があろうと思いますが、その点は運輸省の所管事項でございますので……。
  226. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 余分なことをお尋ね申し上げて大変恐縮でございます。しかし日本の大きなこれからの国策としてはきわめて大事な問題だという気がするのでございます。  つい先日のクアラルンプールの日航機の事故を初め、日本航空の事故が非常に多い。アメリカの有力誌は世界の中でも大変危険な航空会社の一つとして日本航空が指摘をされているわけでございます。安全よりも営業をというそんな批判を受けている日本航空でありますけれども、その日本航空も、先ほど申し上げたような非常にハンディを背負って競争をしていかなければならないということでありますから、これからの航空協定の交渉に当たっては、世界、国際線を飛んでいる唯一の日本の飛行機会社日本航空が事故が多い、しかし、かと言って安全ばかりは考えていられないなどということがささやかれている現状を見れば、やはりこういうハンディを背負っている立場というものをよく理解をしていただいて、早急にその交渉を進めていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、国連大学の問題について一、二点御質問をしたいと思うのであります。  国連大学を日本に誘致するに当たってはそれぞれの歴代の大臣が大変な御努力をされて、日本にできたということは結構なことであります。しかし、日本に国連大学をつくるというときにはずいぶん熱心でありましたけれども、その計画においては進みぐあいもかなりおくれているというお話を私どもは伺っておりますが、現状では国連大学は一体どの程度の規模まで進んでいるのか、あるいは資金面等の現況はどうであるかを簡単に御報告をいただきたいと思います。
  227. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 担当者が来ておりませんので来るまでに、御質問の点直接ではございませんが、私も着任以来ヘスター学長にお目にかかりまして学長としての非常な心配事をされておりますことを直接伺いました。そして本当に国連加盟の相当な国が国連大学に関心を持って、そして守り立ててもらうという態勢がぜひとも必要であろうと思うのでございます。日本は、なるほど誘致をいたしたわけでございますが、当初国連大学を誘致するというときに、私どもの頭の中で、大学というものはやはりキャンパスを持った、学生とか、教授を持ったそういった大学を頭に描いていたのではないかと思います。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 将来そういったものができるのかどうかということは、いま明らかでありませんけれども、現状におきまして、いま国連大学の行っていることは、たとえば飢餓の問題、食糧の問題でありますとかあるいは資源の問題、また社会と人の問題、そういったテーマにつきまして、世界の主要な大学でありますとか、国連大学に対しまして補助金と申しますか、そういったものを交付することによって、研究の協力を頼んでおる、こういう機関で、これが当初日本が希望していた大学であるのかどうかという点。国民が一致してぜひ国連大学を日本に誘致したいというときに、皆一生懸命努力をいたしましたのは、どうも日本式な観念による大学というものではなかったかという気がいたすわけであります。それが実態とともに現状におきまして現在行われていることは、そういった国際的な調査である、研究である。こういうことであって、本部が日本にあるということによりまして、日本だけが主たる拠出国でやっておるということは、大学のやっておる仕事と、それからその拠出の負担というものと、これはいささかいまのままではいけないのじゃないか。やはりいまのような、世界におきます研究機関に対しましてそういう研究を依頼するということでありますと、これは国連加盟国がそれぞれ皆拠出をする、皆自分たちの研究機関だ、こういう意識を各国が持つということが大変必要である。そして何よりも、有力な国でありますアメリカがこれに対して拠出をしないということは、大変おかしなことだと考えておりますし、また財政当局もそのような考えを持っておるとは思います。そういう意味で、ことしはモンデール副大統領が見えましたときにも、ぜひアメリカに拠出をしてもらいたいということで、副大統領も大変その点はよくわかったということでありますし、アメリカの国務省もその点は非常に理解を示して、政府といたしましては、ことしは大変努力をしてくれたのであります。ことしは、アメリカの拠出は得られるというふうに私どもも考えておりました。ところが、いろいろな問題が絡んで、最終的には両院協議会が開かれた段階でこれがアウトになったということで、その結果につきましては大変落胆をいたしたわけでありますが、アメリカ政府といたしましては、今後も努力をすると言っておりますので、来年度はぜひともアメリカの拠出を得たい、そしてアメリカの拠出が得られれば、これにならって多くの国が参加をするに違いない、そういうことによりまして、本当に国際的な協力で自分たちの仕事だということになって、国連大学の仕事がされるようになるであろう、このように考えておるのが率直なところでございます。
  228. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いま大臣から御答弁をいただいたとおり、当初われわれが国連大学をわが国に誘致するに当たって、国連大学が来ればという、いろいろな期待をかけて誘致をした。しかし、いろいろ考えていたその内容とはいささか国連大学のあり方というものが違っていて、たとえば国連大学でいろいろな研究をしたり、勉強した人たちが、現実に日本の社会で今度は働くところがあるのかとか、一体そういう関連はどうなっていくとかということが、せっかく国連大学は来たけれども、もちろん日本にとってもあるいは東南アジアのそれぞれの国々にとっても、そう大きく役立っていくものではないというギャップを、いろいろ私どもも聞いているわけでありますけれども、国連大学のあり方というものについて、せっかく日本にできたわけですから、日本なりにいろいろな希望を出されて、もう少し日本の国にも、またそれぞれの国にも役立つ国連大学というものを考えていくべきなのではないのかという気がするわけですけれども、大臣も多少そういう御意見がありましたけれども、いかがでしょうか。  その点と、アメリカで一千万ドルの拠出の法案を上院と下院で議論をされた。アメリカに本部があるわけですから、そういう意味においても、今後アメリカにもう少し国連大学の資金を拠出するという要請を強くしてもいいのではないかという気がいたしますけれども、その二点について御質問を申し上げます。
  229. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 国連大学というものを私どもはやはり日本式の大学を頭に描いたわけです。ところが実際において学生というものがないのであります。そうしますと、日本では何か研究する基金みたいなものであって、そしていま国連大学ではその利子をもって運営をしておるわけであります。そういうものであれば、また拠出する方になりますと、どうして金利の元金を全部拠出しなければならないのか、毎年使う経常費を各国で負担すればきわめてわずかの資金でいいわけであります。本当に学生を持った、キャンパスを持った大学をつくるのであれば、元金自体が現実において必要になるわけでありますけれども、現実に行っておることは、補助金行政みたいなことを行っておるという実態でありますので、大学自体におきましても、もう一度考えるべきときに来ている。本当にどうしたら一番いいのかということも考えるべきだという気も私はいたします。  しかし、とにかく日本は一億ドルのコントリビューションをするというプレージをしておるわけでありまして、それに五年以内ということで二千万ドルずつ出してきた。しかし、それにつきましていささか疑問がいま出てきたというのが率直なところでありまして、これからの国連大学につきましては、国連自体が事務総長の所管でありますから、やはり事務総長のところで真剣に、いかにあるべきかということを検討してもらいたいというのが率直なところでございます。  なお、日本として公約は必ず果たしたいということ、これは変わりはございません。努力はいたしますが、主要国についてはそれぞれの意見があるであろう、それも確かめながら、どうしたらいいかということを検討すべきであろうと思います。
  230. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 約束の時間が参りましたけれども、私は、えらい細かな議論でなしに、国連大学と関連をして、国連大学はせっかく大きな投資をしてつくるわけですから、ぜひ現実に役立つ大学というものをできるだけの努力をしてつくっていただきたいと思います。あわせて、非常に国際時代といいますか、これからいままでのように観光だけで済まない、いろいろな意味で国際社会で日本の次の世代の方々が活躍をしていく、そういう場面は非常にふえてくると思いますけれども、しかしいかんせん、いまの日本の学校教育の中でもあるいは留学制度等の中でも、語学には非常に弱い。たとえばいま日本の学校で、中学校から大学まで十年間延々と語学の教育を、英語の時間が週に五時間か六時間あるわけですけれども、十年間やって大学を出たといっても、現実には少しも役立つ語学教育が行われていない。またそういう機会も非常に少ない。せめて私費留学か何かで短期海外に行って、多少片言の語学でも勉強しなければならないという状況であります。もう少ししっかりした将来の展望を持った、国際社会の中で国際人として十分語学の点でもハンディのない次の世代の人たちをわが国はつくっていかなければいけないと思うのです。  私は大変勝手な議論をさしていただくわけでありますけれども、これから将来は、たとえばカナダだとかブラジルだとかそれからオーストラリア、こういう国々はやがて次の時代に非常に活躍をする国だろうと言われているわけです。それは人種差別がない、国土が大きい、しかも対日の感情が非常にいいという国々でありますから、たとえば民間の力もかり、国の力も出しながら協力をして、ブラジルあたりに日本の総合大学でもつくって、そして現地の人たちも勉強をしていただくと同時に、日本からも若い意欲のある人たちがそこに働いて、そしてそこのブラジルの大学を卒業すると日本のそれぞれの現地企業も優先的に採用するとか、そういう積極的で将来の展望を持った、語学に強い日本の新しい世代を育てるということをぜひひとつ外務省なんかも大いに窓口になってやっていただきたい。これだけ国際社会で日本が活躍をしなければならない時代なのに、依然として留学生制度も非常に少ない、狭き門だ。あるいは日本国内の学校教育においても、全く現実に役立たない語学教育が延々として行われている。こういうことについてひとつ外務省も思い切って新しい、海外に定住をして勉強ができるような道をぜひ開いていただきたいと思うのです。  そういうこととあわせて、またこの間日本人学校の問題なんか問題になったわけですけれども、東南アジアの学生の人たちが日本に来て勉強する場合にも、まず第一に困るのは寮です。寮がつくられない、まだ見通しがつかないと言っているそうでありますけれども、やはり来たら、まず寮くらいは完備をしてあげる、そして安心して勉強できるという道をぜひ開いていただきたいと思うのです。外務大臣、えらい質問らしい質問じゃありませんけれども、ブラジルかカナダあたりにでかい大学でも民間の力もかしてもらってつくるというくらいのことをひとつお考えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  231. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日本人が語学に弱い、これが本当に一つの障害になっておる、これは日本人にとりまして大変残念なことで、御指摘のように長い間勉強しても使いものにならない、これは日本の教育の仕方につきまして文部大臣でも大いに研究していただきたいと思います。また、最近いろいろな外国から、日本の流通機構がおかしいんじゃないかというようなこともありますけれども、その中の一つの大きな点はやはり言葉の障害にあろうと思っておるところでございまして、語学教育につきましては――本当に来るべき日本人は国際人でなければならないと私も思っております。何か雄大なことが実行できれば、それは大変いいことだと思います。  なお、学友会の建物、いま建築にかかっておりますが、これは寮はたしか六十室は用意をできるようになったと聞いております。しかし、一般的に留学生が、特に東京におきまして宿泊費が非常に高いということがあり、この寮の問題というものは非常に大事だと思っておりますが、なお今後東南アジア方面の留学生対策につきましては格段の努力をいたさなければならないと考えております。
  232. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 終わります。
  233. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、明後十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十七分散会