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1977-11-14 第82回国会 衆議院 運輸委員会建設委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十四日(月曜日)     午後一時五分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 坂本 恭一君    理事 渡辺 芳男君 理事 河村  勝君       佐藤 文生君    永田 亮一君       古屋  亨君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       斉藤 正男君    草野  威君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君   建設委員会    委員長 伏木 和雄君    理事 塩谷 一夫君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君       大塚 雄司君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    渡部 行雄君       古川 雅司君    甘利  正君   公害対策並びに環境保全特別委員会    委員長 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       友納 武人君    永田 亮一君       福島 譲二君    竹内 勝彦君       東中 光雄君    工藤  晃君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         建設省都市局長 中村  清君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         防衛庁長官官房         環境保全課長  田中 守男君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       田中 宏尚君         運輸省航空局監         理部企画課長  吉田 耕三君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(内  閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより運輸委員会建設委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。     —————————————  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 大野明

    大野委員長 本案についての趣旨の説明は、お配りいたしております資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑時間は申し合わせの範囲で御協力お願い申し上げます。  なお、答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。友納武人君。
  4. 友納武人

    友納委員 閣議決定以来、十数年という長い歳月をけみしました成田空港につきましても、運輸大臣初め運輸関係皆様の格別の御努力によりまして、開港の運びが近いというふうに承っております。懸念をいたしておりました過密のきわまっております羽田空港に大きな事故が発生をしないうちに開港を見ますことは、長期を要したとは申しながら、御同慶に存ずる次第でございます。しかし、この空港は、長期を要しました関係もありまして、開港に至りますまでには、たくさんの方方の御労苦がその陰にございます。中には、空港建設のためにとうとい生命を犠牲になさった方もございますし、また、先祖伝来土地を提供なさった方もございます。またその中には、従来の職業を、空港建設協力をする中におきまして、たとえば空港ターミナルビルの中で喫茶店を開きたい、そういうことに信頼をかけて協力をしてきた方々もございます。すでに十数年の間、そういう方々は、一日も早く再起の道が立つことを待望しながら今日に至っておられるわけでございます。  国民皆様におかれましても、この空港建設にはいろいろと御心配の多かったことでございますので、空港開港を間近に控えました今日、運輸大臣以下政府当局皆様におかれましては、この空港建設に苦労なさいました方々労苦を、今後の開港後におきましても、忘れることなく、どうぞひとつそれを生かしていただいて、長い間しんぼうしてきた人に、本当にしんぼうしてきてよかった、政府はやはり忘れてはいなかったのだという気持ちを感じさせますように、また、犠牲になられました方々にもあたたかい御配慮をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  質問の時間が短うございますので、御要望にとどめて御答弁をいただきませんが、くれぐれもひとつ、この空港長期にわたる関係者皆様に対する配慮を忘れることなく、後世に伝え、それに報いるようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで第一点、空港建設に伴います大きな公共事業遂行が、十一年というような長期を要したということには、いろいろ原因があると存じます。政府におかれましては、今後の大型公共事業遂行の上の反省の資とするためにも、参考にするという意味におきましても、この成田空港開設に至る長期にわたるいろいろな事情を調べて、そして今後の公共事業大型プロジェクト遂行についての参考に資すべきだと私は思います。  そういう意味で、政府においてそういうお考えがあるのかないのか。巷間、十一年の長きに及ぶ空港建設の間に、道路輸送手段その他はすでに完備しておらなければならなかったはずなのに、十年以上もかかったのにどうしてまだ道路建設ができていないのかというような声もございます。そういうような意味で、今後の大型プロジェクト遂行反省の資とするために、成田空港建設の十一年間を顧みて、政府が相寄ってひとつ検討する意思があるかどうか、運輸大臣お答えいただきたいと思います。
  5. 田村元

    田村国務大臣 まず冒頭、友納さんから御発言のありましたことに関しましては、今後とも肝に銘じてまいりたいと思っております。特にとうとい犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、再びかかる犠牲者を出さないように努力もいたしたい、同時に、地元方々に対し今後ともきめ細かい配慮を、愛情のこもった姿勢でとっていきたい、このようにここではっきりとお誓いをいたしたいと思います。  第二の御質問の点でございますが、率直に言いまして、御指摘の点は十分心得ていかなければならないことであります。まず第一に、大きなプロジェクトをやりますためには、何といっても地元との話し合い、合意というものが先決でございます。そのためには国家権力を背景として強引に推し進めていくという姿勢があってはなりません。十分に話し合いをする。そうして石原君も後ろにおりますが、環境影響評価等も十二分にやって、その結果も可能な限り公表して、納得をいただきながらやっていく、この姿勢をわれわれは貫いていかなければなりません。  同時に、いま一点は、いろいろとおくれましたことは事実でございまして、大きなプロジェクトというものは何省という立場でやってはならぬということであります。日本国政府の責任においてやるべきである。その意味において、縦割りにこだわることなく、総合的な考え方で、各省庁協力事前に得ながら事を進めていく必要があろうかと存じます。大変よい教訓になりました。この成田教訓を私ども運輸省のみならず、仕事をやります各省がどうか身につけていただきたい、よき貴重な体験として身につけていただきたいと思いますし、いわんや私ども運輸省は、この点を心にしっかりと印象づけながら今後の参考にしていきたい、このように考えております。
  6. 友納武人

    友納委員 大臣の御答弁のとおり、ひとつ今後に役立てていただきたいと思います。  空港公団におきましては、開港間近であるということで開港式典委員会準備委員会移転準備委員会等を設置なされまして、いろいろ準備を進めておられると承っておりますが、ただいま申し上げましたような意味で、開港式というのですか、そういうような式典につきましても、広く一般国民大衆の皆さんの、特に御苦労なさいました方をお呼びになりまして、俗に言うえらい人ばかりを呼んで華やかにやるという意味でなく、質素に、広く感謝の意をあらわすような感じの出る開港式をしていただきたいことを御要望申し上げておきます。  次に、運輸大臣に承りますが、新空港ができるわけでございますので、当然羽田に乗り入れておりまする現在の国際線以外の各国の国際線増便されることは必至であると思います。しかし、成田空港はまだ第一期工事ができようとしておるにすぎません。第二期工事はまだその緒についておらないわけでございますし、また、先ほど申し上げましたように、アクセスの問題とか内陸空港的性格を持っている成田空港についての騒音対策も、まだ完全に措置されておらぬ現状でございますので、新空港ができれば新規の国際線増便ということは必至のものではあると思いますが、この増便軽々に行わないで、成田空港開設によりまする騒音アクセス等対策の効果、影響等を見守りながら、逐次本当に慎重にひとつ増便をしていただきたいと思いますが、運輸大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  7. 田村元

    田村国務大臣 仰せのとおりであると思います。  現在成田開港に備えて三十二カ国から航空協定の申し入れを受けております。しかしながら、成田の現地の方々とのいままでのお約束の経緯、内容、これも踏まえていかなければなりません。同時に、経済交流文化交流等の両国間の実態あるいは将来への見通し、あるいはまた日本の航空会社のメリット、デメリット、いろいろなものを考えて、総合的にこれに対する答えを出さなければならぬと思いますけれども、私どもといたしましては、結論として申せば、きわめて慎重に取り組みたい、このように考えております。
  8. 友納武人

    友納委員 次に、騒音対策につきまして二、三承りたいと思います。  その第一に、現在の成田空港におきましては、四千メートル滑走路のいわゆる芝山町側の太平洋岸からおりてくる滑走路着陸接地点、ランディングバーンと言うのだそうですが、この着陸接地点が七百五十メートル内側になっておると聞いております。このことは、経過的にいろいろこうせざるを得ない理由があってなさったことは私も知っておりますが、この七百五十メートル内側着陸地点がなっておるということは、騒音対策上、騒音範囲が限定されるという意味で非常に好ましい面もございますが、これは今後恒久的にこういう七百五十メートル内側接地点をお使いになるのかどうか、その点を、関係者航空局長でもよろしゅうございますが、お答えいただきたいと思います。
  9. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  これは本来四千メーター滑走路を当初から供用開始すべきでございましたけれども、御承知のように、滑走路南側におきまする保安用地の取得がおくれまして、やむを得ず七百五十メーター内側へ引っ込んだ形で開始をするわけでありますが、できるだけ早く解決いたしまして、早く四千メーターの本来の滑走路供用開始をしたいと考えております。
  10. 友納武人

    友納委員 航空局長お答えではございますが、七百五十メートル内側にせざるを得なかった理由が解消しましても、安全性の問題もいろいろ考えなければなりませんし、騒音対策上の見地からも、これを軽々に本来の姿に戻すということでなく、慎重に御検討を願いたいということを御要望申し上げておきます。  次に、新空港の運用時間、騒音が一番問題になりますのは夜間でございますが、運輸大臣地元当局に対して羽田並みにするというふうにお答えになっております、羽田空港実績等を私どもよく知っておるわけではございませんが、十一時以降に離発着をする飛行機が相当あるようにわれわれは感じておるわけでございます。羽田よりも内陸的な性格を持っておる空港でございますし、非常に静ひつな地域開港されるわけでございますので、羽田並みということは、夜十一時から朝六時までは全く飛ばさないという意味に近い、不測のとき以外には飛ばさない、こういうような意味にひとつ行政指導を願いたいと思いますが、御答弁をひとつお願い申し上げます。
  11. 田村元

    田村国務大臣 いまおっしゃったように、よほど緊急な事態、たとえば着陸させなければ大変だという場合もございましょう、これは非常に少のうございますけれども。それから外国から正規の時間に飛んでくるのが若干おくれたとかいうような例外はあるいはあるかもしれませんが、われわれは、厳に十一時までという大原則を守り抜いていきたい、このように考えております。
  12. 友納武人

    友納委員 次に、騒音の激しい地域のいろいろな対策でございますが、現在付議されておりますこの法律の立法のゆえんがそこにあるものと思います。  この法律を読みますと、騒音の激しい地域につきましては、その利用についていろいろ例が挙げてあります。そういう好ましい利用方法でこの騒音の激しい地域利用しようとする者がある場合には、財政上、金融上の援助に努めると書いてありますが、そういう消極的な考え方でなく、とうとい国土でもあり、また、所有者のあるいろいろな地域でもありますので、騒音の激しい地域開発利用計画につきましては、これは空港公団に行きますと、空港公団空港用地の中だけにしか権限がないのだ、周辺のことは地元自治体に任すのだというようなことを聞きますが、そういう消極的な態度でなく、騒音の激しい地域騒音をがまんしていただくという見返りに、長くその空港協力をしていただくために、その騒音区域にふさわしい開発とか利用とかいうものを、ひとつ自分の、運輸省航空局の任務であるというふうにお考えになって、それぞれ事業によって各省所管は違うでしょうけれども、ひとつ積極的にその利用開発を進めていただきたいというふうに考え、また、そうすべきだと思います。  たとえば、こういう地帯の例に挙げてありますように、保税倉庫をつくるとか、騒音がしても余り響かない内陸工業地帯をつくるとか、あるいは墓地をつくるとか、あるいはゴルフ場その他テニスコートとかいうようなレクリエーションの施設をつくるとかいうことが例に挙がっておりますが、激しい騒音をしんぼうしていただくという見返りに、何もなくてしんぼうしてくださいというのではなくて、この法律にあるような事柄をひとつ温かい気持ちで積極的に生かしていただきたいと思いますが、このことにつきましてのお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  13. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりであります。地元関係地方公共団体十分相談をいたしまして、また、その希望も聞きまして、関係省庁とよく打ち合わせをいたしまして、可能な限り地元の御要望に応じるように努力をいたしてまいる所存でございます。
  14. 友納武人

    友納委員 次に、非常に技術的なことでございますので、関係者のどなたでもよろしゅうございますが、お答えいただきたいと思います。  成田空港着陸の際の進入角度は三度というふうに、地元自治体との間に、協定といいますか、約束ができておるやに聞いております。その進入角度の三度というものは、騒音対策に非常に大きな影響のあるものでありますので、今後ともこの三度の角度を保持していくというお考えであろうと思いますが、その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思いますし、また、諸外国等におきまして、騒音区域を局限するために、六度でおりてきて三度で着陸をするという二段階着陸というような方式検討されておるやに聞いておりますが、このことも騒音区域範囲に非常に大きな影響のあることでございますが、いまの三度の進入角度を今後とも確実に守っていくという考えかどうかということと、二段階着陸方式についての研究検討を今後とも進めていく覚悟のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  着陸角度を三度にいたしますことにつきましては、関係無線施設をすでにそのようにセットしてございますし、今後とも三度の進入角度というものは厳守していく考えでございます。  それから、第二番目に先生の御指摘のございました二段階角度を変えて進入するという方法につきましては、米国において相当の検討が行われたことも承知しておりますし、また、私どもそれを実地にチームも出して研究もいたさせたわけでございますが、地上及び機上に相当高額の機器を備えつけなければならないこと、第二には、これらの機器の精度と申しますか、安全性に対する信頼性というものにおいて、パイロットの間にまだ多少の議論の余地が残っていること、それから、わりあいに低い高度で六度という急な角度から三度に引き起こさなければなりませんので、この時点において与えますパイロットへの心理的影響、こういうふうな点がいろいろと問題になりまして、米国においてもこの研究は現在打ち切られておるようでございます。しかし、私どもといたしましては、当面この問題についての研究を続行はいたしますが、むしろこういうことのほかに、フラップの角度操作方法とか、その他かわるべきいろいろな方法もございますので、そういう方面を幅広く開発研究いたしますことによって、先生指摘のような目的に十分に対応していくような措置をとってまいりたい、このように考えております。
  16. 友納武人

    友納委員 時間も近くなってまいりましたので、もう一点だけに質問をとどめまして、あと要望だけを申し上げたいと思いますが、最後の御質問は、航空機燃料譲与税に関する問題でございます。  これは御所管はきょうの三省ではないと思いますが、航空機燃料譲与税は、御承知のように、国内空港についてだけその譲与がされるようになっております。国際空港は、同じような騒音がするにもかかわりませず、この譲与税の対象になっておりません。  先般運輸委員会でしたか、速記録を見ますと、井上議員質疑に対しまして、何らかの方法を、これと同等な方法考えるということを御答弁になっておるようでございますが、開港間近になっておる際でございますので、何らかの方法というのではなくて、こういう方法でひとつ国際空港についても航空機燃料譲与税地元自治体譲与するのだ、また、その額は国内空港の場合と同じであるというようなことを、もう決まっておると思いますので、御言明を願いたいと思います。
  17. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のように、譲与税制度は現在国際線には適用されていないわけでございますが、成田空港周辺のことを考えますと、やはり同じようなことをする必要があるというふうに考えまして、実質的に同じような制度を、空港公団からの周辺市町村への交付金という形で制度化するつもりでございます。御指摘のように、開港までにはなるべく早くきちんと細目を決めまして、関係方々にお示しできるようにいたしたいと思います。
  18. 友納武人

    友納委員 御懇切な御答弁をいただきましたので、どうぞひとつ御答弁にありましたようなことが、温かい気持ちで実施にあらわされますように特に要望申し上げます。  以上で私の御質問を終わります。
  19. 大野明

    大野委員長 次に、渡部行雄君。
  20. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に、建設大臣にお伺いしますが、健康を害しておられるようですから早目大臣の方からお聞きしまして、それから次にいきたいと思います。  成田空港周辺規制のために、今度特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法というものが提案されておりますが、私は、いままでの都市計画法に基づいてその目的に忠実にやっていけば、わざわざこのような法律がなくとも十分できるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。しかも都市計画法は、御存じのとおり非常にきめ細かくでき上がっており、民意を十分尊重するという面でも非常な配慮がされておるわけでございます。こういうことを考えますと、わざわざこの際、空港周辺に限ってこういう規制をとらなければならないというのはどうしても腑に落ちない。そこで、ひとつ大臣から、その都市計画法がなぜこの目的を達成できないのか、そういう点についてまず第一点。  そうしてもう一点は、この予定される成田空港周辺規制区域の中に市街化区域市街化調整区域がどういうぐあいに存在しておるか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘の点も十分わかりますし、このたびのこの法案の問題は、一般市街地における土地利用に関する問題であり、この規制都市計画法体系に乗って総合的に確保されておることはおっしゃるとおりでございますけれども、その中で、ただ航空機騒音による被害の著しい、そういうような空港周辺地域における住宅等の建築を制限する。したがって、航空機騒音による障害を防止するということにとどまらないで、航空機騒音被害をこうむるような、環境の劣悪な住宅が大量に形成されるというようなことがあったのでは、これはその目的を達することができない、こういうようなことで事前にこれらを防止していく方法がいいだろうというのが一点。  次は、なお空港周辺における土地合理的利用をもっと実現して、ひいては都市の健全な発展と秩序ある整備が図られるようにしていきたいというのがその目的であり、なお、空港周辺地域における住宅立地規制については、これはいろいろ調べてみましたけれども、諸外国においても都市計画法を十分活用しているという点等々もあわせ勘案をいたしまして、都市計画法というものに取り組んでいくべきである、こう判断をいたした次第でございます。  あと市街地等の問題については局長から答弁をさせます。
  22. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  成田周辺に限って申し上げますと、現在あそこは成田都市計画区域ということになっております。具体的に航空機騒音防止地区あるいは特別地区をどういうふうに決めるかということは、今後の騒音の測定等々の結果によるわけでございますけれども、ごく一般的に申し上げますと、いま成田空港周辺は大部分調整区域になっております。西南の三里塚の辺に一部市街化区域があるということでございまして、成田都市計画区域の全面積が約一万五千ヘクタールぐらいであったかと思っております。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ただいまお聞きしますと、ほとんどが市街化調整区域であるとなれば、これはそれだけでも十分規制ができると思いますし、また、都市計画計画内容の中に騒音公害というのは当然これから考慮しなければならない一つ要素であるわけでございます。ただ、それが空から来るか、陸の上からやって来るかという違いだけでありまして、これは都市計画の中で、その運輸省考えるものを要素として入れて都市計画法改正によって十分対処できるのではなかろうかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  24. 中村清

    中村(清)政府委員 都市計画法改正でこの法律のかわりができないかという御質問でございますが、都市計画法として考えられますのは、ただいま申し上げましたように、市街化調整区域の指定をいたしまして、市街化を抑制するといった方法一つ方法であろうかと思います。ただ先生御存じのように、現在の都市計画法では市街化調整区域になりましても、これは必ずしも永続的な制度ではない。といいますのは、都市計画、これは都市というのは年々実態が変わってまいりますから、大体五年ぐらいに見直しをいたします。その前提といたしましては、人口でございますとかあるいは都市の産業分類別の就業人口あるいは市街地の面積、こういったものを調査いたしまして、それで都市計画を変更する必要があるということが明らかになった場合には変更しろ、大体五年ごとにその調査をしろ、こういう仕掛けになっております。したがいまして、法律でも当然予想をしておりますように、五年ごとに変更があり得べしという前提になっております。したがいまして、今度の法律考えておりますような空港周辺航空機騒音被害を防止するといった観点からは、必ずしもいまの市街化区域制度で十分対応できないのではないかという点が一点。  それからいま一点は、市街化調整区域といいましても、一切の開発行為がだめだということではございません。たとえば市街化調整区域になった際に、従前の土地所有者等が持っておりました土地につきまして一定の開発行為、これは届け出をすれば一定の期間はできるということになっておりますし、それから開発区域の面積は二十ヘクタール以上、大規模なやつにつきましては、開発審査会等の議決があればこれまた開発ができるということにもなっておりますし、さらには都市計画事業の施行として行いますような行為につきましては、建築行為もできるといったことでございますので、必ずしも現行の市街化調整区域制度だけでは十分ではないということで、航空機騒音障害防止地区あるいは航空機騒音障害防止特別地区という制度都市計画上適当であろうということで都市計画上そういう地域、地区を設けるということにしたわけでございます。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 現行の都市計画法では十分でないとすれば、この目的はやはりいまの都市計画ではやっていけないということになりますね。しかし、運輸省が特定区域と障害防止区域と二つに分けて線引きをする、この線引きをするだけで、あと事業建設省が受けて都市計画の中で消化しなければならないことになるわけですよ。運輸省がやるわけじゃないのです。運輸省はただ線引きをやる、そのことを運輸省が強権的にやるわけです。だから、そうではなしに、いまの都市計画法に基づく住民の意思の反映を十分させる手続法がある中でそれができないはずはない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 中村清

    中村(清)政府委員 この法律案の附則で都市計画法改正をいたしております。したがいまして、空港周辺航空機騒音障害防止地区あるいは航空機騒音障害防止特別地区といった指定は、都市計画法の手続によってやるということになっております。したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、都市計画を決めます際には、公聴会の開催でございますとかあるいは縦覧であるとか住民の意見聴取といった手続が書いてございますが、当然そういう手続に乗って決めていくわけでございます。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がありませんので、次は農林省にお伺いいたします。  農林省の方では農業振興に関する法律に基づいて、ここに農振法の区域が設定されておると思いますが、大体予想される規制区域の中にどのくらいの面積の農振法にまる区域があるのか、それは総体の何%くらいかをお伺いいたします。
  28. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 お答えいたします。  この法律が成立いたしまして、具体的に航空機騒音障害防止地区でございますとかあるいは特別地区でございますとか、こういうものの位置なり区域なりが確定いたしまして、具体的に地図に落としてみませんと、どれだけの面積があり、しかも、それがそれぞれ農用地区域であるとか農振区域別にどれだけの面積があるかということは、確定的にはもちろん申し上げられませんけれども、現在われわれが運輸省等から得ている情報によりますと、現在行っております防音工事の要請対象地域の、いわゆる第一種区域というものがございますけれども、この区域の面積が全体でおおむね二千六百ヘクタール、そのうち現況農用地と目されますものは約一千ヘクタールあるようでございます。この用途区域別の内訳でございますけれども、そういう漠とした話でございますので、具体的にはあれでございますが、この現況農地の一千ヘクタールは、大体すべて農振地域内ではございますけれども、具体的に転用規制や何かをされております農用地区域に所在します農地面積というものは、このうち大体三百ヘクタールくらいというふうに現在の時点では把握しております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 農振法の目的を見ましても、これまた適正な農地の利用、均衡ある開発、資源の合理的利用を図るということをうたっておるのですが、この目的を見ますと、今度の法案と農振法も都市計画もどこも違ったところがない。ただ違っておるのは、航空機騒音の障害を防止するということがないだけの話であります。そうすると、この合理的な土地利用、こういう点については、農振法でその地域内は十分やっていけるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  30. 田中宏尚

    田中(宏)説明員 先生指摘のとおり、農振法におきましても、集団的優良農用地を確保するという観点に主に立ちまして、合理的な土地利用というものを終局の目的として法律運用をしておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、この地区に入ると目されます地域に一千ヘクタールからの農地がございますけれども、このうち、具体的に農用地区域として現にわれわれの法体系で建築の規制等ができますものはおおむね三百ヘクタールというようなことで、今後この法律が施行の暁に防止地区なり特別防止地区に指定される中には、農用地区域に入っていない農地なりあるいはその他の宅地等いろいろな土地が含まれておると思われるわけでございます。したがいまして、そういうものにつきましては、むしろ騒音障害の防止に配慮した適正かつ合理的な土地利用という観点から、一体的に規制するということの方が法律としてベターであるというふうに農林省としても判断しておるわけでございます。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、一方においては都市計画法に基づいて都市計画がなされ、他方においては農振法で農地が規制されておる、こういう関係を両方合わせながら、かつ一つ規制の対象というものを改正して、その法律をうまく運用すればこれは十分やっていけるのではなかろうかと思うのです。ただ、運輸省が線引きをするだけのことで、新たな独自な法律に頼らなければならないという根拠はとても見出せないのですが、もう少しわかりやすく、本当にこの法律がなければならないなあというふうに説明していただきたいのです。
  32. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 運輸省からお答え申し上げます。  この法律目的は、空港周辺におきまして新たな騒音障害の発生を事前に防止しようというところが一つのねらいでございます。もう一つのねらいは、そういった土地に対する規制と並行いたしまして、その地域全体が空港と調和のとれたいわゆるエアポートシティーといいますか、そういった地域に発展していけるように各種の対策を立てる、この二つが主眼であります。そして前者の規制につきましては、いろいろの方法考えられましたけれども、現行法の体系に照らす限り都市計画という中に取り込むのが一番ベターであると考えました。都市計画の手法は、御承知のように、その都市地域の中におります住民が全体として好ましい生活ができるように、そしてまた、産業発展ができるようにという見地から、総合的な地域全体の発展、福祉の向上という点をねらいとしてつくられるものでございますので、その地域の中に航空機騒音を防止し、かつまた、その被害をプラスの方に転化するという計画を一緒に入れ込んで、総合的な都市計画体系の中で決めてもらうことが一番適当であるというふうに考えたわけでございます。  したがいまして、この法律の実施の主体は主として都道府県知事でありまして、都道府県知事が都市計画の主体といたしまして、そういった総合的な見地から、航空の問題だけではなくて、それを取り巻くその地域の産業、商業もあります、農業もあります、また生活環境、教育、文化等各種の機能を総合的に判断してつくるということが一番いいのじゃないかというふうに考えまして、都市計画法体系の中に取り込んでいただくことをお願いしたわけであります。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 運輸大臣にお伺いしますが、この法律を読むと、航空輸送の公共性のきわめて高いことは私どもも十分承知しておりますが、その公共性を確保するにはどうしても騒音が伴う、そこで騒音というものと地域住民との間の問題を処理するために、一方において私権の制限が行われるというのが今度の法律の骨だと思います。そうなると、まさに民主的な手続というものはこの中から全然くみ取ることができない。ただ一方的に線引きをして、それによって騒音公害をなくすということですが、本当に騒音公害というものの性格を掘り下げて考えると、もともと内陸空港では騒音公害が出るから困るということで、この空港の存続そのものに反対をした住民がおるわけです。ところが、そういう反対の住民を押しのけるために、騒音公害をそのまま導入して、今度は先祖伝来居ついた住民の方を規制していくということは、これは私、どうしても民主的な立法思想とは相反するのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。その点ひとつお伺いいたします。  非常に時間がありませんので、もう一つは、憲法上公共の福祉というたてまえでは私権の制限はできますけれども、この場合、果たしてその公共の福祉の主体は何だろうか。航空機の輸送の必要性とこの騒音とは直接関係はない。むしろ問題なのは、公共の福祉という主体が、防音という未来に向かって発想されておる。実際、現実にその結果利益を得る者はだれかというと、それがさっぱりわからない。これが私は、この手続上の実態だろうと思います。  それからもう一つは、いままでのどんな法律でも、大体住民がチェックする手続の条文があったわけですが、これには全然そういうチェックする条文が入っていない。そうすると、まさにこれは一方的に、もう有無も言わせず規制しようとすればできる。しかも、成田空港にこれを最初当てはめて、次はどこにでも政令一つでやっていけるというこの法思想というものは、どうも民主的社会の中では受け入れられない、ファシズムの思想が根底にあるように私には思われてならないのですが、その辺についてお伺いいたします。
  34. 田村元

    田村国務大臣 私どもは、公共の福祉という考え方から、騒音公害に将来悩むであろうそういう方々を守っていく、つまり人権擁護のたてまえからこのような法律をつくることに踏み切ったわけでございます。これは地元の強い要望でもございました。さような次第でございますので、どうぞ意のあるところをおくみ取りいただきたいと思います。  なお、手続的な問題に関しましては、航空局長からお答えをさせたいと思います。
  35. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この法律の線引きをいたしますときに、天下りであるわけでは決してございませんで、まず政令で指定いたしますときには、当然関係の都道府県知事の御意見を十分伺いまして、その御意見に従って政令で指定していくというふうにいたしたいと思います。  それから、政令で指定されますと、そこの空港の設置者が当該都道府県知事に対しまして基本方針の策定をお願いするわけでありますが、都道府県知事は、基本方針を策定するときには、関係の市町村を通じまして住民の意見を十分聞いて基本方針を決める。基本方針の中には、単に線引きだけではなくて、先ほど来申し上げておりますような土地利用計画あるいは前向きの各種の振興計画、これが全部入るわけであります。それらの策定については、市町村を通じて住民の意見を十分聞くというふうにいたしてございます。それからまた、そのように基本方針が決まりますと、その線引きを今度具体的に都市計画という中で決めるわけでありますが、都市計画の場合には、従来の都市計画決定の手続に従いまして、縦覧あるいは意見聴取等の手続がありますので、私どもは、この法律の施行に関しましては、決して天下りにやるということでなくて、十分関係地域の意見が反映されるような仕組みで運用されるようになっておると思いますし、もちろん、この運用に当たりましては、その点を十分注意いたしましてやりたいと思っております。
  36. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  37. 大野明

    大野委員長 次に、土井たか子君。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま審議をいたしております法案の名称は、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法という名称でございますが、ここに言う「特定空港」というのは、この法案によりますと、第二条で政令で指定をされるということになっております。ところが、政令で指定をされる特定空港の対象になるこの空港といたしましては、いま、空港整備法第二条第一項に規定する空港の中から政令で特定化されるということに、この条文の体裁から申しますと、なっているわけでございますが、ずばり運輸大臣にまずお尋ねをいたしたいのでございますけれども、大阪国際空港というのは、この特定空港の中に入れて政令で指定されようというお気持ちがいまございますかどうですか、お聞かせいただきたいと思います。
  39. 田村元

    田村国務大臣 大阪空港は、すでにその周辺が相当宅地も、学校その他密集いたしております。でありますから、いま直ちにこれを特定空港として一方的に指定することは不適当である、このように考えております。地元公共団体等の意見を十分聞きながら、慎重に検討していくべき空港と、このように考えておりますので、いま直ちに政令でこれを指定するというつもりはございません。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、いま直ちに政令で指定しようというふうにお考えになっていらっしゃる空港があるならば、現にあるからこういう法案が提案をされ、そして早期に審議をというかっこうになっているわけでありますが、その政令で指定しようとする空港について、特定空港はこれであるということをひとつお答えいただきたいと思います。
  41. 田村元

    田村国務大臣 とりあえず指定いたしたいと思っておりますのは、成田でございます。これは御承知のように、土地の買い占めというのでしょうか、これから開発を進めようという動きもございますので、急いで政令で指定をして、所要の規制をしなければならぬ、このように考えております。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 いま大臣お答えで非常にはっきりするとおり、この立法趣旨からいたしますと、当面、この立地規制のことを中心に、空港周辺に対して整備をしていくべきは成田空港であるという趣旨のもとにこの法案が策定されたというふうに私どもも理解をいたしております。  ところが、そういう点から考えてまいりますと、いま航空法の三十九条二項という場所をひとつ御注目いただきたいと思うわけでありますが、この航空法の三十九条二項という場所におきましては、飛行場または政令で定める航空保安施設を設置しようとするときは、申し上げるまでもなく運輸大臣の許可を受ける必要がございます。その許可を申請いたしましたときに、その申請に従って運輸大臣が、飛行場の設置の許可にかかわる審査をなさいますが、その場合に、公聴会を開かなければならないという要件と、それから「飛行場の設置に関し利害関係を有する者に当該飛行場の設置に関する意見を述べる機会を与えなければならない。」という要件が、航空法の三十九条の二項で明記をされております。  ところが、今回の法案を見てまいりますと、政令で特定空港を指定するということになっているにとどまっておりまして、これを指定するに先立ちまして関係住民の方々に対しての公聴会等々が義務づけされておりません。実はこれは、やはりこの立地規制の問題ということになってまいりますと、公共施設である空港の維持運営の点から考えまして、その周辺立地規制なり整備という問題は、やはり私権の享有に対しての一定の制限になることは、もう大臣承知のとおりでございます。  また、そういう点から言いますと、周辺住民の方々から言えば、現状に対して条件が変更されていくということに対する具体的な事例というのはこれから出てくるわけでありますから、そういうことから考えますと、この政令で特定空港と指定するという要件としては、まず、それに先立ってこの航空法三十九条二項で義務づけられているような中身がなければならない、このように考えるわけでございますけれども、この点はいかが相なっておりますでしょうか。
  43. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  航空法の規定は、およそ何もないところに飛行場をつくるというプロジェクトを実施するための規定でございますので、当然のことながら公聴会を開きまして、その地域の意見を十分聞いて空港整備法に列挙するということにしているわけでありますけれども、今回の特定空港の指定は、そういった空港整備法によりまして、一たん公聴会を開いて決められた空港につきまして、十年後の状況を勘案して騒音被害事前に防止しようということのために、やはりこういった法律を適用することが適当であるというふうに判断したときに、政令で指定するわけでありまして、当然のことながら私どもこの指定に当たりましては、当該都道府県知事の御意見を十分聞きたいと思いますし、都道府県知事は当然のことながら、やはりその空港周辺の市町村長あるいは周辺の住民の方々の意見を聞きました上で私どもに返事をしてくると思います。そして指定をされます。また、指定されましても、すぐにこの法律による規制が行われるわけじゃございませんで、指定された後、最終的には都道府県知事が基本方針を決め、基本方針を決めた後で都市計画決定をしという手続が重なってまいります。それらの段階段階におきましては、それぞれ地域住民の意見を十分聞く機会がこの法律に規定されておりますので、私どもは、この法律の運用に当たりまして、地域の意見の反映されることがないというおそれは決してないと思います。しかしながら、そういった点は大変大事な点でございますので、運用上十分配慮をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 運用上、十分その辺は留意をさせていきたいというふうな御答弁でございますが、これは確かに県知事の立場からしたら、その地方の住民の方々地元の住民の方々の意見も十分にお聞きの上で、そのことをしんしゃくして運輸省との間に、特に運輸大臣との間にいろいろと連絡を密にされた上での政令での指定というのは、これはいわば常識の問題であります。しかし、これはどうでしょう。利害関係人に対して権利が問題にされている中身になりはしませんか。権利に直接関係するような中身ということになってまいりますと、やはりそれは運用の点でとか恐らく県知事さん、府知事さんはそういう点に留意されるであろうという、そういう期待可能性に問題をすりかえて問題にしていっちゃ、これは困るので、やはり法律事項として明定化しておく必要がどうしてもあるように私は思います。これは大原則ですよ。原則から考えても、そういうことが間々行政措置の上で、あるいは運用の上で骨抜きにされていくという気配が十分にあることを私は存じておりますので、特に法律事項としてこれを明定しておく必要があるのじゃないかと思うのです。  先ほど少し引き合いに出しました航空法第三十九条二項の趣旨からしても、そこに空港を設置する計画ということを問題にする際、すでに公聴会を行ったり、いろいろ関係住民の方々、利害関係人の方々の意見を聴取するというふうな問題の中で、やはりそれを特定空港にするかしないかということも位置づけて、すでにここに空港を設置する計画を具体的に許可に持っていく手続の上で考えられる必要があったのじゃないか。もうそこにつくられてしまってから後、その周辺の問題に対して知事さんのいろいろな意見というものをしんしゃくしながら政令で指定するというのは、いわばこれは逆立ちしたようなかっこうの決め方じゃないかと私は思うわけでありますけれども、この点は運用の上で十分留意するとおっしゃいますが、本来はこれを法律事項として明定化をしておくことの方がより大事な問題であるということの確認を一つ。  しかしそれが、現在の法案でできておりませんから、したがって、運用の点でひとつその点を十分考えていきたいとおっしゃるなら、具体的にそれじゃ運用指針なりそれから省令なり、ある場合には政令の準則なり、どういう形でこれを問題にされようとしているかという点をひとつお尋ねしたいと思いますが、いかがですか。
  45. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 るる御説明申し上げておりますように、この法律に基づきます具体的な規制あるいは助成等の手段が発効いたしますのは、都道府県知事が基本方針を決め、そしてまた、それが都市計画決定で決定されたという段階において初めて発効するわけでございますので、その段階において各種の地元意見聴取の手続が書いてあれば、私は、法律上の問題としてはそれで済むのじゃないかと思うのであります。しかしながら、事実上の問題といたしまして、御指摘のように各種の地元の意見を十分聴取した上で政令で指定することが必要であると思います。したがいまして、この法律の運用に当たりましては、どの段階の規則になるかわかりませんけれども、十分規則をもちましてそういった手続を明定すべきであると思います。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 その規則で明定するということの問題ですが、どういう規則になるかよくわかりませんがとおっしゃいますが、これが今回の法案の中では非常に重大なポイントだと私は思っております。この大事な点が、航空局長、どういう規則で問題になるのかいまだにわからぬがという程度じゃ、これはとんでもない話だと私は思うのです。その辺ひとつはっきりさせてくださいませんかね。そうしてその内容に対しては、これは国会の審議の内容です、本来。ですから、単に規則で決めてしまえばそれで済むということじゃなかろうと私は思いますから、これに対して、これを審議対象とするということをひとつ約束されませんか。どうです。
  47. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 どのような規則でと申し上げましたのは、政令でとか省令でとかいうことについて言ったわけでありますが、私どもは、これは私見にわたるかもしれませんが、やはりこの法律の施行に伴う施行命令として運輸省の省令でその辺の手続をはっきり決めておいた方がよろしいというふうに考えております。これはやはり行政的な判断に属することでございますので、もちろん国会の御意見を伺うことは当然でありますが、義務的にお伺いするということではなくて、事実上御意見をお伺いした上でそれは判断した方がいい、こう考えております。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど運輸大臣は、当面この法律ができた暁には、大阪国際空港を特定空港とする気持ちはないということを明言されました。そしてさらに、これは成田空港というのが当面やはり問題になる空港であるということもお答えの上で明らかにされたわけでありますが、成田空港を対象としてこういう法律を制定するという問題になってまいりますと、これはいかがなんですか、憲法九十五条に言う特別法として制定されるということが私は本来望ましい姿だと思うのです。憲法九十五条に言う特別法として制定をされるということ、これは憲法の趣旨から考えても、私は、それがあるべき姿だろうと思いますし、地方の住民、関係方々、利害関係人、特に自治体の各意思というものを十分にくんで法律を生かしていくことのためにも、特別法として立法されることの方がより好ましいのではなかったかと思いますが、どうなんですか、この点は。
  49. 田村元

    田村国務大臣 当面成田空港考えておるということであって、成田空港だけに限定をするという意味ではございません。これから新しくつくられていくであろう飛行場もありましょう。あるいは現存する飛行場の中で、その必要性の認められる飛行場があるかもしれません。そういうことでございまして、一つ空港だけを目指してという趣旨ではございませんから、いわゆる一般法ということにいたしたわけでございます。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 一つ空港だけではないとおっしゃいますが、やはり当面は成田空港を対象にして、そしてそれを念頭に置いて立法化を進められたという経緯から考えましても、やはり今回のこの法案のあり方というのは、本来特別法であるべきであるという考えがどうしても私にはあるわけであります。  だから、そういうふうな趣旨から考えますと、やはりより住民の意思なり利害関係方々の意思なり自治体の意思というものを尊重して、それを政令で特定していく場合に組み入れるという意味においても、先ほどの航空局長の御答弁ではどうも心もとない気がいたします。やはり国会で審議するというそれに対する機会というものを十分組み入れていただかなければならない、このことに対しては大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  51. 田村元

    田村国務大臣 先ほど航空局長お答えしましたように、省令でやるのが好ましいのだろうという考え、私も実はそのように考えております。でありますから、当然国会の御意見を承る機会を持たなければならぬかもしれませんけれども、省令という、言うなれば一種の政府の規則ということでございまして、その点はどうか御理解をいただきたいと思います。  くどいようでございますけれども成田空港だけを目指したものではございません。幾つかをこれから指定していくことに将来なるでしょうけれども、何を指定するにしても一番、二番とまず一番があるわけで、そういう点ではどうぞ成田が唯一無二のものだというふうにお受け取りはいただかないようにお願いをしたいと思います。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、この法律をつくって、これを実施することによって周辺に対しての騒音対策というものを講じていこう、こういう趣旨のところにこの法案目的があるということを考えれば考えるほど、法案を読んでいっていろいろ気にかかる点が山ほどあります。実は、きょうは時間の制約が大変ございまして、十分に意を尽くした質問の時間がございませんから、追って公害対策並びに環境保全特別委員会の席においてこの質問は継続させていかなければならないと私は思っておりますけれども、まず、大阪国際空港というのは、当面この法律が実施されるようになりましても、特定空港にならないという御発言でございますが、しかし、成田空港のみならずほかの空港に対しても、この法律を及ぼしていくという、そういう予定もございますので、ここで二、三どうしても確かめておかなければならない問題がございます。  それはまず線引きの問題です。線引きは十年先の騒音コンターということを考えて線引きを予定されるというかっこうになりますが、現にコンターの問題一つ取り上げて申しましても、これはもう申し上げる必要はないと思いますが、機種によって騒音は違います、幾ら騒音証明がございましても。また、飛行コースによって騒音は違ってまいります。したがって、十年先の計算というのは果たしてどういうことなんだろうか、私にはちょっと理解に苦しむ点が実はあるのです。むしろ騒音ということを念頭に置いて、それに対する対策ということになれば、最も騒音度の高いと思われる時期というものを選んで、それに対応する線引きを考えていくということが大事であろうかと思います。  ところが、大阪国際空港などは、いままでコンターの問題をめぐって論議されたことが三回、四回じゃございません。そのたびごとに私たちが、ここに航空局長もお見えですが、航空局長を相手にしてよく論議いたしましたのは、運輸省側が持っていらっしゃる騒音コンターと、大阪国際空港周辺の激甚地域というふうに考えられる豊中市や川西市や伊丹市が、それぞれ市独自で騒音の測定をいたしますが、地域の住民の方々協力も得て独自で騒音の測定をされますが、そのコンターとの開きがまことにひどいのですよ。地域の方で自主的にやられたコンターについてどうか十分に注意をして、これを組み入れるように考えてもらいたいと言っても、相変わらずそれに対しては余り誠意をお見せになっていらっしゃらないというのが現時点までの実態です。  それからさらに、最近は飛行コースがずいぶん変わってまいっておりますが、この飛行コースについても、厳重に行政措置というものを講じていただきたい、行政指導をとっていただきたいということを申し上げるのですが、これに対しても、どうも飛行コースの一々についてどの程度この追跡調査というものをなすっていらっしゃるか、まことに心もとない状況というのが現時点までの実態です。  それからさらに、逆コースの場合がございます。逆発着陸時というものがございます。これはもう大臣承知のとおりですが、これに対するコンターがいまだにございません。  こういう問題を考えていきますと、コンターを基準に置いて線引きをやるということに対しても、やはり自治体の意思というものを尊重して、すでにあるこのコンターというものに対して、それを尊重するという立場を貫いていただかないと、実は十年先のコンターなどと言われても、一方的に天下りに強制的にやられるという反発が非常に強いことだけは申し上げたいと思うのです。いかがですか。
  53. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御承知のように、飛行機のコンターの予測というのは、大変むずかしい問題でございます。飛行機というものの発展が日進月歩でありますのと並行いたしまして、騒音測定の方法も日進月歩でございます。したがって、古い機械と新しい機械とでは精度も違う、測定方法も異なってくるということがございます。私どもは、十年後の予測をいたしますときには、国の全体の計画に基づいてその地域に発着する航空機の数を予測し、また、その機種を想定し、そしてまた、その機種が十年後にどのぐらい改良されているかということも想定し、そして全体を総合して線を引くわけでありますけれども、そういった場合には、その段階において現存する可能な限りの技術を取り入れましてやりたいと思っております。  それから、その場合に現実に周辺の公共団体が持っております数字と、われわれの数字が食い違うということの御指摘でございますけれども騒音測定技術もいろいろ日進月歩でございまして、機械の種類によっても数値にまだばらつきがある現状であります。もちろん、このことは環境庁等の御指導によりまして、だんだんよくなると思いますけれども、私どもは、そういったことの改良を図るとともに、違うなら違うという点を十分勘案しながら関係の市町村の持っていらっしゃるデータというものも十分尊重いたしまして、真実は一つでございますから、一つの真実を決めるのに総合的な判断をするという態度で進みたいと思っております。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 この法案審議に先立ちましてひとつ運輸大臣にも申し上げたいことがございます。要は、きょうお伺いした限りでは、大阪国際空港を特定空港として政令で指定するお気持ちが当面ないということだけははっきりいたしました。ただしかし、大阪国際空港は特殊な事情があるということもよく御存じのとおりでございます。この四月三日という日付で、ここに御同席の航空局長が大阪国際航空で周辺住民の方々と取り交わされた十項目にわたる覚書のあることもよく御承知のとおりだと思います。あの覚書の中身は、この周辺に対して航空機公害対策に関するいろいろな整備を誠意ある態度でやっていただきたいということがるる述べてある中身であります。ただ、今日までのところは、エアバスの乗り入れに対しては、まことに運輸省は熱心であるけれども、この覚書の中身に対して、これを遵守するという姿勢はもう一つ十分じゃない、この批判が住民周辺方々の中にはまことに根強くあることだけははっきり申し上げたいと思うのです。この中で、特にいろいろな関係の諸問題に対して住民の方々と窓口を開いて運輸省とされては今後とも協議を強化していくということをはっきり述べられておりますので、私は、追って公害対策の特別委員会の方で、たとえば民家の防音装置の施設に対してどういうふうに今後おやりになるかという問題であるとか、あるいは周辺土地買い上げの問題であるとか、あるいは代替の共同住宅に対してのあり方などをお尋ねしたいと思いますが、大阪空港に対してこの法律をもし適用しようというふうな状態になった場合には、関係地方住民の方々との協議を十分に尽くした上でなければこの法律を適用することは絶対にないということだけを、まずはっきりお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。
  55. 田村元

    田村国務大臣 つい先般も、私は、航空局長航空局次長、飛行場部長等を呼びまして、とにかく約束をしたことは絶対に守れ、実行しなさい、君らの手に負えないことは私のところへ持ってこいということを厳しく言い渡したところでございます。お約束を申し上げたことは必ず守らせます。  また、大阪空港をいま直ちに政令の中に特定空港として指定するということは考えていないと申しました。御承知のように、あなたは地元ですから一番よく知っておられるわけでありますが、あれだけ人家その他が密集しておるところで、地元方々との協議なくしてこれを特定空港に指定するのは物理的にも不可能でございます。でありますから、十分地元との協議をした上で、指定するときにはするということの手順になりましょうけれども、あえて率直に申し上げるならば、あすあさってにも指定することを考え地元に協議を申し込むというほど単純な空港ではございませんから、その点どうぞしばらくの間御安心を願いたいと思います。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 もう質問の時間はたちましたが、あと一問だけ。  先ほど大型プロジェクトの問題に対して、運輸大臣は意のあるところの御答弁をされました。そこで、ちょっと場違いの質問でございますけれども、お許しをいただきとうございます。  それは同じ大型プロジェクトの問題なのですが、例の兵庫県西宮の港湾埋め立てですね。住民の方々からすでに訴訟が起こされているという状態になっていることは、大臣すでに御承知のとおりでございますが、大臣は、この問題にどのように対処なさるおつもりがおありになるか、このことをお伺いさせていただいて終わりにします。
  57. 田村元

    田村国務大臣 この前、土井さんから強いお申し出がございましたので、早速港湾局長より現地責任者に調査方を指示いたさせました。いずれにいたしましても、地元の意向、もちろん、それは住民の方々の御意向をも含めてでございますが、十分お聞きして判断をいたすつもりでございますので、それまでは事実上、現状のままで事業そのものを保留いたしておきたい、このように考えております。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  59. 大野明

    大野委員長 次に、古川雅司君。
  60. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま議題になっております特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に関しまして、若干の質問をしてまいりたいと思います。  初めに、法案の第八条についてでありますが、「特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区内の土地所有者から第五条第二項の規定による用益の制限のため当該土地利用に著しい支障をきたすこととなることにより当該土地を特定空港の設置者において買い入れるべき旨の申出があつた場合においては、当該土地を買い入れるものとする。」という規定になっております。この規定につきましては、いわゆる形成権のような、設置者が土地を買い入れなければならないという義務づけが明確になっていないのであります。これは明確にすべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  61. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  第一項の最後は「買い入れるものとする。」と結んでございます。このことは、法律の通常の例文といたしまして、実際の運用に当たっては、申し出があれば設置者の方の側で買い入れなければならないということと同じような運用ができると思いますので、ここを義務づけという形で書かなくても十分そこは担保できると思います。
  62. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 それでは御答弁どおり、この規定は義務が明確になっていると解釈してよろしいわけでございますね。
  63. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 結構でございます。
  64. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 同じ第八条の二項に「買入れをする場合における土地の価額は、時価による」というふうになっております。これはすでに運輸委員会で論議をされておりますので重複をいたしますけれども、本法の適用の時限で地価が下落をした上での時価によって買い入れるということになるわけでございまして、騒音障害防止特別地区に指定されることによってこうした損失を受けることに対する、その差額の補償といった考え方はどうなっておりましょうか。
  65. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 時価は近傍類地価格でございますが、近傍類地価格をとりますときのとり方につきまして十分配慮し得ると思っております。御指摘のように、空港周辺で値打ちが下がりますのは、空港によって騒音被害の著しいところが下がるわけであります。ところが、飛行機というのは、御承知のように、長い滑走路を長い方向に向かって出入りいたしますので、横にはそれほど広げません。したがって、横に向かいましてはそう大きな地価の低下はございません。ごく直近の横は別でございますが、少し奥へ行きますとそう低下はございません。したがいまして、近傍類地という場合には、かなり広く横の方まで広げまして、そういったところの価格を十分勘案して決めるということでございますから、決して低くなった値段で買い入れるということにはならないと思いますし、また、そこは十分配慮するように指導いたしたいと思います。
  66. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 次に移りますが、民家防音について実情にそぐわないという問題がいまクローズアップされております。民家防音については、千葉県がこのたび測定をいたしまして、結果的には大体三〇ホン程度の減音効果があるというデータを出しておりますが、問題は居住性といいますか、たとえば成田開港によりまして羽田空港から国際便がそのまま移されますと、これは大変な離着陸回数になるわけであります。そのたびに、現在本法案によって義務づけが予定されております地域の民家防音の程度で果たして効果が期待できるのか、また、期待ができたとしても、その居住性という意味から見て、飛行機が飛ぶたびにアルミサッシの戸を閉めるとか、あるいは防音室に飛び込むというような事態しか考えられないのじゃないか。その点をどのように考えていらっしゃいますか。
  67. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず、成田開港当初の問題でございますが、現在羽田で四百五、六十便就航しております中で約百五、六十便の国際線成田へ移るわけでございます。それによる騒音対策といたしましては、すでに公害基本法に基づく環境基準によって新東京国際空港周辺環境基準が明定されておりまして、とりあえず五十三年度末までにこの環境基準を達成するようにいま努力をいたしております。残る二、三百戸の住宅につきまして民家防音工事を行いますれば、それでこの環境基準にかなった運用ができます。しかしながら、五十三年が終わりではございませんで、五十八年が最終的な目標時点でございます。したがいまして、五十八年時点を目標といたしましてさらに強力な環境対策をしていく。特に民家防音工事等をいたしまして、成田空港周辺の住民の方の生活が十分保全できるように考慮を払うべきだと思います。  なお、この法律との関係でございますが、この法律は、成田に適用いたしますれば、十年後の成田空港周辺騒音に対しまして各種の措置を講ずるわけでございますけれども、現在環境庁の告示で定められております基準よりも、この法律で規定いたそうとしておりますところの、たとえばアルミサッシの義務づけの地域などは、もっと音の低いところまで義務づけをしようということでございますので、現在の環境基準と、さらにこの法律によります規制によりまして、成田空港周辺住宅に対する騒音障害からの防御という点については万全を期し得ると考えております。
  68. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 防音工事の義務づけの問題にも、いろいろ問題が残されておると思いますが、いわゆる既存の民家に対しての防音工事に対しての助成をすべきではないかという意見がかなりあります。その点に対してはいかがでございましょう。もしそれを行うとすれば、実施のめどについてもここで明確にお答え願いたいと思います。
  69. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 成田空港に例をとって御説明申し上げますと、成田空港はすでに航空機騒音防止法という現行法の適用空港になっておるわけでございます。したがいまして、八五WECPNL以上の地域は第一種地域ということで、民家防音工事の助成を受ける地域になっておりますので、そういった地域に現在住んでおられる方々に対しましては、すでに防音工事の補助が行われておりますし、開港後ももちろん五十八年基準に従いまして、現行の騒音防止法によりますところの助成措置が行われて民家防音工事が完璧に行われる、こういう仕組みになっております。
  70. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そこで、お伺いをさらに進めてまいりますが、いわゆる住宅地の立地規制を受けるWECPNL、いわゆるうるささ指数と言われておるものでありますが、八〇%以上及び第五条による七五以上の土地所有の実態について、個人、法人別、地主数及び面積、そういったものが本法の施行に伴って予定される補償額の見込み額、こういった点について建設、運輸両省ですでに調査は完了しているかどうか、この点伺っておきたいと思います。
  71. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この法律が適用になりまして、住宅建設禁止がかけられます地域は、まだ正確にわかりませんが、ごく大ざっぱな見当といたしまして、現在の騒音防止法の第一種地域から中であります。そういたしますと、合計約二千六百ヘクタールということになると思います。さらに、その外側に防音工事を義務づけられる地域が広がるわけでございます。これら全体につきましてどのぐらいの補償金額が必要かという点につきましては、まだ今日積算をいたしておりませんけれども、この法律あるいは現行の騒音防止法、この法律の規定なり趣旨に基づきまして措置の万全を期し得るような予算は獲得いたしたいと思っております。
  72. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 さらに、先ほどの質問の中でございましたけれども、特定空港は政令で指定をする予定である、運輸省建設省両省は、先ほどの大臣の御答弁では、いまの段階では、いま直ちには成田空港しか考えていない、将来指定を広げていく予定であるというふうに御答弁なさいました。もう一度その点確認をさしていただきたいのでありますが、大阪空港については、いま直ちに、あるいは当面ということではなくて将来ともにこれは指定しない、そこまで確言できるかどうか、その点が一点。同じように福岡空港についてはどうか。この二点御答弁を願いたいと思います。
  73. 田村元

    田村国務大臣 大阪空港あるいは福岡でもそうでございますが、特に大阪空港の場合、先ほど土井さんに御答弁申し上げましたように、大変民家等が密集いたしております。でありますから、現実問題として、この法律を適用することはなかなか至難のわざである、こういうことを申し上げたのであります。ただ、未来永劫やらないかと言われましても、私としてはちょっと答えようがない。ただ、もし仮に将来やるとすれば、大変な騒ぎが起こるであろうということは想定されると思います。しかし、ここでいつまでもやらないということを断言することは少し慎みたいと思います。
  74. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 福岡についてはどうですか。
  75. 田村元

    田村国務大臣 よく似たことが言えるのじゃないでしょうか。
  76. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本法案の提案理由の説明によりますと、昭和四十九年三月二十六日の参議院運輸委員会における附帯決議並びに五十二年九月二十二日の航空審議会の答申を踏まえて提案をしたというふうに述べられております。これは一般には成田開港に照準を合わして、すでに一年前から準備をされてきて、そして二月に至って建設省の合意を得るに達した、このように説明をされておりますけれども、その辺の経緯について御説明を願いたいと思います。
  77. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  この法律は、成田目的とした法律ではございませんけれども、今後成田のように新しいところに空港ができる、あるいは現在の空港の大規模拡張あるいは移転等が行われるという場合が当然あり得るだろう、そういったときに航空機騒音による被害を防除いたしまして、当該地域住民の生活を守るということの必要性につきましては、先ほど御指摘の参議院運輸委員会の附帯決議等によりまして指摘されたところでございまして、私どもは、何とかこれを立法化すべく努力をしてまいりました。ところが、現在の日本の立法思想、立法技術では、個人が受忍するものをさらにいかぬと言うことは、なかなかむずかしいというふうな考え方もございまして、いろいろ紆余曲折いたしました。  ところが、考えております間に、都市計画の手法を使えばこれが可能ではないかということに思い至りまして、都市計画の現在の手法は、御承知のように、一つ都市の中のいろいろな地域を総合的に考えまして、地域住民の生活を守るというところに重点があると思っておりますが、そういった点を考えていくならば、この法律案も、私どもは、立地制限だけではなくて、それに伴う各種の土地利用計画の策定あるいは前向きの各種の産業基盤施設、生活環境施設等の計画の策定、こういったものを全部合わして都市計画の中に入れていくことが一番いい手法であるというふうに考えまして、ことしの二月来そういう検討を進めてまいりました。一方におきまして、航空審議会でも独自の立場から検討を進めておられましたけれども、結果的にやはり都市計画の手法によることがこの際一番よろしいというお考え方で報告をいただきましたものですから、この夏休みを返上いたしまして、この法律案の立案をいたしたわけでございます。
  78. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 もともと土地利用に関して大幅な建築制限をする法律には都市計画法があるわけでございます。その手法を導入して今回この法律案をまとめたということでございます。  非常に健康を害しておられて無理をして建設大臣に御出席をいただいておりますが、一つだけ大臣にお伺いしておきたいのですが、都市計画法の五十三条の「建築の許可」、五十四条の「許可の基準」にこれは関連をしていく問題ではないかと思います。この問題について、街路等において、たとえば拡幅を二十年から二十五年前に都市計画決定をされた地域がかなりございます。こういう地域におきましては、たとえば鉄筋の三階建ての家屋、古くなってこうしたものは新しく建てかえたい、そういう希望をしておりましても、この規制によりまして建てかえができない、あるいは広い木造の家屋をつぶしてマンションを建てたい、アパートを建てたい、そういう考え方があっても、それができないで困っておる人がかなりあります。これはいわゆる地方財政が困窮している現在で、なかなかこうした道路拡幅といった事業が進められない。しかも、いまだに事業実施の将来の見込みも立たないというようなところを抱えております。これはこうした規制をしておりますけれども、すでに二十年、二十五年以上たっているということを考えますと、計画変更なりあるいは規制の緩和という方向を当然検討しなければならないのではないか、こういう問題が一つあると思うのですが、いかがでしょうか。
  79. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 条文等につきまして、その折衝に当たりました局長からつまびらかに御答弁をいたさせます。
  80. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  ただいまから御指摘がございましたような事例がございます。ごく大ざっぱに申し上げますと、現在までの都市計画決定をしております、これは例を街路事業にとりますと、約五万一千五百キロメートルぐらいございまして、これに対しまして完成済みの道路延長が約一万六千五百キロでございますので、完成率が三二%ということになっております。  私ども都市計画決定をいたしますれば、できるだけ早く事業を続けるといったことをいろいろ心がけておりますけれども、こういった低い数字になっておりますのは、非常に残念でございますが、事情はいろいろございまして、若干言いわけになるかもしれませんけれども、街路事業が必ずしも予定どおり伸びなかったということもございますし、それから市街地内の事業でございますので費用が大変かかる、こういった問題がございます。いずれにいたしましても、現在の都市計画法の体系でまいりますと、大体五年ごとに都市計画の見直しをするということになっております。必要があればでございますが、そういうことになっておりますので、ただいま御指摘がございましたような問題は、そういう見直しの中で検討される問題であろうかと思います。  ただ反面、およそ都市計画というものは、非常に長期的な視点に立ってやらなければいかぬ問題でございますから、たまたま事業の進捗が非常に悪いといいましても、決めた趣旨からしますれば、たとえば街路であれば幹線的な街路であるといった問題に限定されておりましょうし、現実に東京都あたりでも三十九年、四十一年でございますか、若干見直しをいたしましたけれども、それまで道路延長約二千五百キロメートルぐらいございましたが、それを約千キロぐらい切っている、ただ残ったのは、やはり幹線道路であり、あるいは幹線的な補助道路であるということで、いずれも非常に重要なものが現在残っておるのではないかと思っております。  ただ、いずれにいたしましても、仕事がおくれておるということは、私ども大変気にしておりますところで、今後とも事業予算の確保につきましては努力をしたいと思いますが、限りある予算でございますから、その中でどういうふうに活用していくか、たとえば地元の方で非常に御要望が強いというところは、全般の区間でなくても、手がつけられるところで、それだけで供用開始の効果上がるというところは、できるだけ早期に手をつけていきたいというふうに考えております。
  81. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 最後に、騒音に合わせた町づくりをしようとする法案であるという批判もありますが、運輸委員会では、こうしたいわゆる異例の私権制限という手法は、今後新幹線工事等には適用しないと運輸大原が明確に言われておりますが、建設大臣、こうした手法を、同じく巨大開発であるとかあるいは高速道路建設事業に対して適用なさるのかしないのか、一言明言をしていただきまして、私の質問を終わります。
  82. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 建設省といたしましては、幹線道路の沿道の環境対策として、現にもうすでに環境施設帯あるいは消音壁等の、道路に対するいろいろな施設を行っております。また、この構造を改善をしております。さらにまた、高速国道等の周辺住宅に対する防音助成とか沿道環境整備促進事業の実施、これに対する施策を講じているところでございます。したがって、道路の交通公害問題の根本的な解決を図るためには、これらの施策をさらに強化しなければならないとは考えております。したがって、道路と沿道との土地利用、こういうような点についての調和をどうやって図っていくか、その総合的な対策というものを検討する必要があると考えております。  したがって、省内におきまして学識経験者等々にお集まりをいただきまして、沿道環境の整備制度研究会というようなものを発足させて、現在どのような方法をとったらいいだろうか、どうとるべきかというような点について鋭意検討を進めておるところでございまして、この道をこうする、あとはやらないのだというふうに断言することは現在ではできません。
  83. 大野明

    大野委員長 次に、古寺宏君。     〔大野委員長退席、小此木委員長代理着席〕
  84. 古寺宏

    ○古寺委員 まず最初に、従来の空港周辺環境対策というものは、空港側からの対策でございまして、周辺地域住民の生活環境の保全あるいは福祉の向上ということが無視をされているような実態でございます。この法案内容を見ますと「航空機騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的とする。」、こういうふうにこの中には明記されているわけでございますが、地域住民の生活環境の問題あるいは福祉の向上という問題が優先的に守られるのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  85. 田村元

    田村国務大臣 もちろん優先的に守りたいと考えてこの法律案を御審議いただいておる、こういうわけでございます。
  86. 古寺宏

    ○古寺委員 守りたいという願望でございましょうが、具体的にはどういう方針で進まれるお考えですか。
  87. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えします。  私ども、いままで航空機騒音防止法という法律がございまして、これによりまして、ある一定の騒音以上の地域に対しましては民家防音工事の助成をするとか、あるいは移転をしたい方には移転補償を出す、あるいは大阪、福岡等につきましては、新しい代替地の造成をして安く分譲してあげるとか、いろいろなことをいたしまして、騒音によって被害を受けていらっしゃる地域住民のためを図る法律による措置を講じております。  このきょう御審議いただいております法律案におきましては、そういったいわば後追いの事後救済的な措置だけではどうしても賄えない点がある、それは新しく空港周辺が大規模団地等になりまして、将来非常に大きな生活騒音被害を起こしてくるというところを何とか防ぎたいという点と、それから空港周辺というものが、やはり一つのまとまった都市地域といたしまして生々発展する基盤をつくりたい、この二つの点を主眼に立案したものでございまして、いずれも空港周辺の住民の生活を守り、かつ空港周辺地域の発展を図るという点を二大眼目としているわけでございます。
  88. 古寺宏

    ○古寺委員 都市計画法の中には、基本理念として「健康で文化的な都市生活の確保」ということがうたわれているわけでございますが、今回のこの法律でまいりますと、住宅、病院、学校等の住民の文化的な生活条件が立地規制を受けるわけでございます。したがって、果たしてそういうような健康で文化的な生活を確保することができるかどうかということが非常に懸念をされるわけでございますが、そういう点について心配がないのかどうか。  それからもう一つ環境庁長官にお尋ねしたいのは、こういうようないわゆる土地規制をしてまでも環境基準を達成することはやむを得ない、こういうふうにお考えになっているのかどうか、この二点についてお伺いします。
  89. 田村元

    田村国務大臣 すでに御承知のように、静穏な環境のもとにおいてということで、これを絶対必要とする住宅とか学校とか病院とか、こういう建築を制限するわけでございますから、その意味におきましては、より快適な生活環境をつくっていくのだというふうにお受けとめをいただきたいと思います。
  90. 石原慎太郎

    石原国務大臣 すでに設けております環境基準を達成するための過程において有効な手段と考えます。
  91. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁長官にお尋ねしたいのは、健康で文化的な都市生活を犠牲にしても環境基準を達成することはやむを得ない、こういう措置はやむを得ない、そういうふうにお考えになっているかどうかをお伺いしているわけでございます。
  92. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま大臣からお答えになりましたことを若干補足させていただきますと、公害対策基本法で「維持されることが望ましい基準」ということで航空機騒音環境基準を設定しておるわけでございます。これは長期努力目標ということでございまして、あそこに決められた基準といいますものは、ほかの国のものと比べてみますと、普通の国ではなかなかあれだけ思い切って決められないだろうというだけの条件のものになっていると思います。確かにそこに住んでおられる方が、音のやかましさがあるということは若干否定し得ませんが、そのようなものを決めて、それを長期努力をもって達成しようとしておるわけでございまして、基本法の中にも排出の規制と、それから土地利用及び施設の設置の規制ということと、公害を防止する施設を整備する、この三つの施策を総合的に組み合わせて環境基準の達成を図っていくということでございますので、今回の法律によりまして環境基準を達成するということで、従来非常にひどいところにつきましては、屋内の条件を合わせていくということで航空機騒音の障害防止の法律がございましたが、その外縁のところへどんどん人が入ってくる、それを、また規制もできない、そしてまた、それらの人々が非常にお困りになるということに対しては、やはり航空機といいますのは、公共の利便に供するという性格が強いものであることも事実でございます。そういう点で、生活環境の保全に最大限の努力をする。また、公共の利便の方の問題とどう調整を図るかという点から見ますと、今回の措置は非常に有力な手段であるというぐあいに環境庁としては考えておるわけでございます。
  93. 古寺宏

    ○古寺委員 空港建設や拡張については、非常に住民の反対が強いわけでございます。この法案が成立することによって、さらに反対運動が高まるというようなことも懸念されるわけでございます。そこで、この法律の対象になっておりますところの成田空港周辺自治体から具体的にどのような要望なり意見というものが出されて、それに対して運輸大臣はどういうようなお答えをしてきているのか、その点について承りたいと思います。
  94. 田村元

    田村国務大臣 千葉県当局から、このような法律をつくってもらいたいという強い御要請でございました。千葉県知事が県民の代表として私どもに御要望をなさったということは、広く県民の意思を踏まえての上のことであろう、このように私は確信をいたして御要望に沿うお約束をいたした次第でございます。
  95. 古寺宏

    ○古寺委員 私がいまお尋ねしているのは、県の方からそういう御要請があったということについては、すでに新聞報道等で承っておりますが、具体的にその空港周辺自治体からどういうような御要望なり御意見が出されているか、そういうことを承っているわけでございます。
  96. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 成田の問題につきましては、県、市、町それぞれの段階からいろいろな要望が出ております。いま御指摘成田周辺の市、町、なかんずく成田市、芝山町という一番関係の深い市あるいは町からは、それぞれ数十項目に上る要望が出ております。こういった中には、成田空港周辺地域を発展させるための各種の公共事業の促進あるいは環境施設の強化あるいは民家防音工事の拡張というふうな要望が出ておりまして、私ども、その一つ一つにつきまして審議をいたしまして、ほとんど全部につきまして地元においてもほぼ満足と言われる回答をいただける結果までこぎつけているわけでございます。
  97. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この土地利用を制限するだけではなくて、土地利用者あるいは土地利用計画に対する十分な助成措置がまず必要でございます。もう一つは、さらにこの地域の振興策、こういうものも必要になってまいります。そういう点について具体的にこの空港周辺自治体に対してまだ十分な理解が得られていないようでございます。具体的には、それではどういうような助成措置考えていらっしゃるのか、また、さらにはどういう振興対策を現在お考えになっているか、その点について簡単にお答えを願いたいと思います。
  98. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 地元に対する振興助成の対象といたしましては、この基本方針の中で書かれておりますように、騒音障害の防止のために必要な施設、これは防音林とか防音堤、緑地帯等の施設でありますし、また、生活環境施設は各種の上下水道等の問題であります。また、産業基盤施設、これは流通団地とか工業団地、農業基盤施設、こういうふうなものを考えております。その他観光施設、スポーツ施設など、地域の住民の生活を向上させ、かつ産業を振興させるような施設を対象にいたしておりまして、それらに対しまして国あるいは特定空港の設置者が各種の手段を通じて助成をする、こういう仕組みになっているわけでございます。
  99. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでお尋ねしたいのですが、今回のこの特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法というものは、基地——米軍基地あるいは自衛隊の基地、さらにはまた共用をしている場所もございます。たとえば一例を申し上げますと、青森県の三沢基地のような場合には、米軍も自衛隊も、また民間機も入っているわけでございますが、そういうところも将来この法律の対象として考えるのかどうか、その点について承りたいと思います。
  100. 田村元

    田村国務大臣 目下のところ民間航空用の空港だけを考えております。しかし、いまおっしゃいましたことにつきましては、将来やはり検討するに値するというふうには思います。
  101. 古寺宏

    ○古寺委員 この点につきましては、防衛庁長官が次期の国会にこれと同じような法律を、基地を対象にして考えているというような発言があったというふうに承っているわけでございますが、この点については政府部内としてはどういうふうにお考えですか。
  102. 田村元

    田村国務大臣 防衛庁長官がそういうことを言ったということは私まだ聞いておりません。聞いておりませんが、民間航空とそれから防衛上の場合とは、その性格を全然異にいたしておりますから、私どもは、民間航空の空港ということだけを考えておる次第でございます。
  103. 古寺宏

    ○古寺委員 防衛庁がおいでになっておりますので、防衛庁と防衛施設庁のどなたか、この点についてお答えしてください。
  104. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま運輸大臣から仰せられましたように、防衛庁内部でも将来的にはあるいは考えなければならないのではないかということで、大臣から私どももそのような趣旨の検討を命ぜられております。しかしながら、防衛庁の場合には、直ちに現在運輸省から出されておる立法措置をそのまま防衛庁の場合に適用できるかどうかということにつきましては、種々問題がございます。そこで、防衛庁並びに防衛施設庁といたしましては、周辺地域土地利用の実態あるいは地元の動向、そういった点を踏まえまして、現在慎重に検討を進めておる段階でございます。
  105. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、成田空港において空港建設開始以来現在までいろいろな騒音対策がとられているわけでございまして、空港整備五カ年計画、これによりますと、新東京国際空港の教育施設等の防音工事あるいは民家の防音工事、移転補償、こういうようなものが一応事業費の総括として出ているわけでございますが、これはこの法律ができる以前にこういうような積算がなされているわけでございますが、今後はこの事業費についてはどういうふうにお考えですか。
  106. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在までやりました工事は、教育施設等の防音工事で約五十億円、それから民家防音工事で八億円、それから移転補償等で二十六億円、合計八十四億円ほどのお金を使いまして騒音対策をやってまいりました。今度の法律ができますと、この内容はやはりふくらまさなければならないと考えております。所要の措置をとって万全を期するつもりでございます。
  107. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほども質問がございましたが、騒音コンターの線引きの問題でございますが、これはまだ飛行機が飛んでいないのにこういう線引きをしているわけでございまして、しかも、この線引き内のいろいろな移転補償、防音工事その他についてはまだ積算をしていない、こういう先ほどの答弁があったのですが、現在まですでにこういうふうに工事が進んでいるわけですね。したがって、今後この騒音コンターに基づく騒音区域の指定について変更するお考えがあるのかどうか承りたいと思います。
  108. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ただいま私が読み上げました数字は、現在の騒音防止法によりましてやった事業であります。そしていかなる基準でやったかと言いますと、これは現在、日本の各民間空港に適用になっておりますところの、公害基本法に基づく空港騒音環境基準というものがございまして、この基準を五十三年度でまず中間目標達成、それから五十八年になりますと最終目標というような、段階的に実施する義務づけがございますので、私どもは、成田空港が、もちろん開港をいたしておりませんけれども開港になった場合には、羽田に現在離着陸いたしております航空機の数との関連で、成田空港周辺にどんなふうな音が広がるかということが計算できるわけであります。もちろん、これは机上の計算でありますけれども、各種の予測数値を当てはめまして、可能な限りの技術を使いまして計算いたしました。その計算をした結果によって、現在の成田空港周辺の一種、二極、三種という地域地域割りを告示したわけであります。この告示に従いまして、いま申し上げましたような事業を行ってきたわけであります。  それから、きょう御提案いたしておりますこの法律案は、将来に向かっての問題でございますが、この法律案によりましても、一定の音のレベルを基準にいたしまして二つの地域割りをいたします。この地域割りは、これからいろいろな手続を経て行うわけでございます。大ざっぱなことしか申し上げられませんけれども、この法律によりまして住宅建設が禁止される地域というのは、現在の成田空港について言いますならば、第一種地域というところと大体範囲は一致するのではないだろうかというふうに考えております。したがいまして、成田空港開港あるいは開港当初しばらくの間は、従来の騒音防止法また環境基準に基づいて行いました騒音対策事業によりまして、騒音から住民を守ることは十分可能でございます。さらに、この法律ができますれば、この法律によりまして、十年後を目指しまして施策の万全を期待したい、こういうふうに考えております。そういう仕組みでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  109. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、今回のこの線引きは十年先まで変更しない、開港後実際に実測をしてみて、今回の線引きを修正すべきような事態が発生しても変更しない、このままで十年間進むのだ、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  110. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明いたします。  開港をいたしますと、なるべく早い機会にまず第一回の線引きが行われます。この法律の仕組みは、その後五年ごとに見直せという仕組みになっておりますので、五年ごとに見直してまいりまして、その都度新しいデータによりまして、必要な線引きの修正があるならば修正をするということでございます。しかしながら、何か非常な技術革新あるいは非常な需要の急増というふうなこと、ないと思いますけれども、もしそういったことによりまして、五年未満でも、測定いたしました結果とかなり違う、相当程度違うものが出そうだという場合には、直ちにその線引きを変更すべきであるというふうに考えておりますので、その点は現実との間に大きなそごが生じないようにいたしたいと思っております。
  111. 古寺宏

    ○古寺委員 時間ですので終わります。
  112. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 次に、米沢隆君。
  113. 米沢隆

    ○米沢委員 近年における航空機騒音問題は、大阪空港訴訟等に見られますように、全国各地でいまや深刻な社会問題に発展しておることは共通の認識であります。にもかかわらず、従来までの空港周辺対策ではこの問題に有効に対処できない、そういうことで今回の本法律案の提案になったわけでありますが、各地の深刻な騒音問題やあるいは騒音問題ゆえに新立地あるいは拡張計画等が立ち往生しておるという現状を見ましたときに、むしろこの法案の提案は大変遅過ぎたのではなかろうか、そういう感じがいたします。  御案内のとおり、航空機騒音問題が世上の関心を集めましてから、すでに十数年たっておりますし、当時から、今日に至るまでの航空需要が伸びていくということは、もう予測にかたくなかった。そういう予想は、皆さんも持っておられたはずでございます。今日の騒音公害、特に空港周辺の宅地化をこのまま放置しておったならば、将来必ず禍根を残すであろう、そういうことも私はわかっておったのではなかろうかという感じがしてなりません。しかしその間、この問題が放置されておりました関係で、都市計画法上の面からも、あるいはまた騒音対策上の面からも新しい問題を抱え込んでしまった。そういう意味では、行政の立ちおくれというものに対する反省は厳しいものでなければならぬ、そう思います。  そこで、成田空港建設がこの法案の契機になったというような答弁がよくあるのでありますけれども、それは余りにも便宜主義的な話でありまして、こういう法案成田だけではなくて全空港に適用するのだという、そういうものがあって初めてこの法案の提出ということにならなければ、まあきっかけにはなったとしても、それが直接の動機になったということは、私は、大変不見識だという感じがしてなりません。  そういう意味で、このような行政対応の立ちおくれについてどういう反省がなされておるのか、私は、運輸大臣建設当局に、それぞれの管轄の立場からまず見解を伺っておきたいと思います。
  114. 田村元

    田村国務大臣 この法律を制定するのに時期を失しておったのじゃないか、もっと早くやるべきであったのじゃないかという御指摘でございます。この際率直に申し上げたいと思いますが、確かにその意味において行政の立ちおくれであったことを認めざるを得ません。しかしながら、だからといって、やはりいまからでも遅くない、やらなければならぬ、こういうことでございまして、私どもは、もっと早くやっておったならば、もっと空港周辺が快適な生活環境が保たれたであろうと思うにつけましても残念でなりませんが、これから思いを新たにして、こういう法律をつくって、その適用を進めていきたい。ただ、だからといって、現存するすべての空港にこれを適用できるかどうか。先ほどお答え申し上げましたように、すでに宅地化がどんどん進んでおるというような空港においてこの法律を適用することは、大変至難のわざでございます。でございますから、地元の諸事情、現実、また地方公共団体の意向等を十分勘案しながら慎重に検討していかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  115. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  御存じのように、都市計画といいますのは、三つの柱がございまして、土地利用土地施設の整備、それから市街地開発事業、この三つが柱になって都市計画が成り立っておるわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、空港周辺においての対策が非常におくれてまいっておるという事実、運輸大臣からもただいまお話がございましたが、私ども運輸省からそういうお話を承りまして、都市計画の方でひとつやってくれないかというお話があったものでございますから、都市計画一つの柱でございます土地利用という点から考えても、あるいは都市の健全な発展あるいは秩序ある整備という問題から考えても、まさに都市計画の方でもその一端を担うべき問題であろうというふうに考えまして、この法案に参加をさせていただいたわけでございます。
  116. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどから再三話題になっておりますが、土地利用に関し各種制限がなされる法律都市計画法がございます。そういう意味では、この法律の運用いかんによって、あるいはまた必要とあれば土地の買い上げとか移転措置等々は都市計画法改正によって新しい運用を図る、そういうことで本法律案に盛られております空港周辺対策等については十分に可能ではなかったのかという感じがいたします。しかし実際は、この都市計画法が施行されましたときには、話によりますと都市計画対象から交通施設は除外をされておった、そして全国的には空港周辺への都市計画の決定がおくれる、そのかわり宅地化が進んでどんどん新しい問題を発生させてきた、そういう意味から運輸大臣に聞きたいのでありますけれども都市計画対象からこの交通施設が除外されたという経緯、そしてまた復元をしたという経緯、当時運輸省として特に立地規制の問題についてどのような見解を持っておられたのか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。
  117. 田村元

    田村国務大臣 少し過去の経緯になりまして具体的な問題になりますので、政府委員からお答えをさせたいと思います。
  118. 中村清

    中村(清)政府委員 いまの都市計画法でまいりますと、第十一条のところに都市施設というのがございまして、第一号でございますが、「道路都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設」ということで、空港もこの都市施設の対象ということに考えております。ただ現実に、空港都市計画施設として指定したかどうか、これはすぐ調べましてお答え申し上げたいと思います。——失礼いたしました。空港都市計画の方で指定をいたしましたのは、岡山と調布の二空港だそうでございます。
  119. 米沢隆

    ○米沢委員 次に、特定空港の政令指定の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほどの答弁にありますように、当面は成田空港に限る、その他の空港については、現に立地が進んでおるところは大変むずかしい、こういう御答弁でございました。しかし、このいただきました提案理由あるいはまた法案要綱等を続みますと、特定空港の指定等については「騒音を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められるものは、政令で特定空港として指定することとする。」というふうに、まあ法律とはこんなものでありましょうけれども、大変あいまいもことしてわかりません。したがいまして、具体的に政令指定をしていく場合には、かなり具体的な要件あるいは指定される場合のいろんな基準、そういうものが必要になってくるのではなかろうかと私は思います。そういう意味ではどういうことになっておるのでしょうか。
  120. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  この法律の主たる目的が、現在まだ空港周辺がほとんど開発されてないというふうなところに対しまして、新しく住宅地として開発されることをまず防ごう、それらを中心としてその地域全体の発展を図ろうという点が眼目でございますので、今後政令で指定してまいります場合には、現在の空港の状況が、空港周辺にまだかなり大規模な空き地が残っておりまして、相当大規模な住宅開発が行われる余地がある、可能性があるというふうなところがありますと、これがまず候補に上がってくると思います。その場合でも、将来の、十年後の航空機の発着状況がさほど大したことなければ指定する必要ございませんけれども、各種の需要予測等からこれは相当発着する可能性が大きいというふうな場合には、第二の項目としてそういった点が配慮されると思います。  そのようなことを総合的に勘案いたしまして、将来、十年後にその地域騒音被害から守る必要があるという判断をした場合に、この政令の指定がなされるというふうに考えております。したがって、現在すでに空港周辺がほとんど宅地になっておって、もうこれ以上宅地開発をする余地がないようなところについては指定の余地はないと思います。また、海上空港とかあるいは本当の原始林の中の空港等は当分ないと思います。しかしながら、現存の空港でも周辺にかなり宅地可能地が残っていて、ほっておくと大規模団地になりそうだ、あるいは稠密市街地になりそうだという可能性があるところは、地域の実情を十分伺った上で指定をしていった方がいいと思っております。
  121. 米沢隆

    ○米沢委員 この第二条関係を読ませていただきますと、これを読む限り、ほとんどの空港がこの指定要件に該当しているという感じがするのです。いまおっしゃいましたように、もうかなりの宅地ができ上がってしまって非常にむずかしい、そういうところもありましょうし、まだいまから始まるというところもありましょうし、新立地は本当にいまからの問題でありますけれども空港周辺につきましても、各空港ごとにいろいろ違いがございますね、ですから、そういう意味では、いまおっしゃったような感覚で空港周辺を見た場合に、現在の空港の中でどれぐらいが指定の対象になり得ると考えていらっしゃいますか。
  122. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ただいまこの席で、あそことここという、あるいはその数を具体的に申し上げる段階まで至っておりませんけれども、この法律が施行になりましたら、私ども、やはり全国の都道府県にお願いいたしまして、空港設置者と協力いたしまして、その空港周辺の状況をやはり一斉調査いたしまして、それで必要性を判断することが必要であると考えております。
  123. 米沢隆

    ○米沢委員 そういうような調査はいまからなされるということでありますが、この法文を読む限り、ほとんどの空港が指定に該当するというふうに私は読んでおりますし、もしそういうものを該当させることが非常に困難であるというそういう判断で今後の指定というのを考えていただきますと、逆に、この文章を読みましたら、こういうことを防止し、あるいは合理的な土地利用をしないところがいまから指定を落ちる、しなくても必要ないというところがこの指定を落ちるということになりはせぬだろうか、そういうふうに理解していいですか。
  124. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 実は、この法律を立案しようとする趣旨がなかなかまだ全国に徹底をいたしておりません。したがいまして、新聞に出ただけで空港周辺の地権者から反対の電報が来るというふうな状況でございますので、私どもは、今日の状況でどことどこという判断をすることがむずかしいと思います。したがいまして、法律が成立いたしましたら、十分その点をPRいたしまして、この法律の真の意義を十分周辺方々に理解していただきまして、その上で住民の意識調査も含めて総合的調査をして指定すべき空港を決めたい、こう考えております。
  125. 米沢隆

    ○米沢委員 そうなった場合、今後の指定方針についてちょっと伺っておきたいのでありますが、いまから将来的に新しく空港ができる場合には、必ずこの法律は適用されるようになりますね。しかし問題は、現在すでに市街地にあって、あるいは市街地周辺にこの飛行場があって、将来的にもその飛行場を使うであろうという、そういうところについては、逆にこの指定というものは急ぐべきではないかという感じがするのです。そういう意味で、今後いろいろ調査をなされて指定がなされていくと思いますけれども、私は、時期を含めて成田以外の指定方針というものをもう少し明確に答弁していただきたいと思います。
  126. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは申し上げましたように、硬軟両用の意見がございまして、恐らく先生方の中にもおありだと思いますし、それから地域の中にもいろいろございます。したがいまして、この法律の趣旨を十分御理解いただいた上で、そういった地域の御意見を、県を通じまして聞きまして、それで対処したい。私どもは、この法律はやはり将来空港周辺地域騒音から守ろうというためにつくる法律でございますから、できれば広く適用した方がいいと思っております。しかしながら、ただ私どもが、これを全国の空港に広げるのだというふうに言いますと、いかにも天下りに私権制限をするのだというふうになって、かえって誤解を招いて法律の施行も円滑にいかないというおそれもございますので、そこは十分法律内容のPRと平行いたしまして、過ちなきを期したいと思っておるわけであります。
  127. 米沢隆

    ○米沢委員 千葉県の要請によってこの法律ができたと言われますように、今後空港をいまから拡張しようというそういうところ、そしてその空港がまだ完全に密集した宅地化になっていないというそういう空港については、逆に指定を急ぐという方針で見てよろしいですか。
  128. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 抽象的といいますか、一般的にはそういうことだと思います。ただ、具体的、実質的には十分そこの地域の御事情を判断させていただいて決めたいと思います。
  129. 米沢隆

    ○米沢委員 さて、これは今後の心配なのでありますけれども、この法案がもし成立をいたしますと、今後空港の運用に障害のあるものは将来的に排除されていくわけでありますから、空港自体としては、使用が制限がなくなって、結局自由に空港が使用できる。これはそれが目的であったと思います。そうなりますと、この立地規制を盾に今後空港の運用方式についてフリーハンドの免罪符を何か与えるような気がしてなりません。結局うるさければ線引きを変えればいいわけですから、そういう意味で、この法律ができますと、それを盾にして空港の使用というものが余りにも自由に制限なしにやられていくのではないかという、そういう心配が残るのであります。  たとえば運輸省としても、成田を指定して、その後は羽田空港と同じような運用方式をとりたい、こうおっしゃいますけれども、それ以上になることも、これは将来的なものですから考えられるわけですね。そうなりますと、この地域の指定というものは、防止地区とかあるいは特別地区とかいうその地域の指定というものは、これは一にかかってその地域騒音レベルにかかっておるわけですから一まさにその騒音が大きくなりますと地区の範囲は大きくなっていくという、そういう比例的な関係になっていくと思います。ですから、空港運用が公共施設という名のもとに自由にどんどん拡張していく。空港使用が優先すればするほど、この地区は拡大されますし、逆に空港運用につきまして、当局はまじめに、たとえば騒音公害の問題とかあるいは便数の制限とかあるいはまた飛行方式等いろいろ考えるという、そういうものがまじめにやられるとするならば、制限地区は逆に狭くなっていく、こういう関係にあるわけですね。  そういう意味で、この法律ができたがゆえに空港運用が自由になる。したがって、自由になるがゆえに、ただ地域を拡大さえすれば何ぼでも結構なんですよ、こうなったら周辺の者にとりましてはこれは大変なことだと思います。そういう意味で、この問題は歯どめがないというところに私は問題があると思いますが、そのあたりの歯どめについてどういうような御見解を持っていらっしゃるのでしょうか。
  130. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そこの地域にどんな規模の空港をつくるべきか、あるいはどこまで拡張、整備すべきかという点につきましては、一つは、やはり国全体の総合的な開発計画に基づきますところの航空需要予測、これに基づいて決定せらるべきであると思いますけれども、従来ややもすると、そういう国レベルでつくった計画を地元に押しつけるという傾向がなきにしもあらずでありました。そういうふうな観点からごらんになりますと、この法律によって空港周辺を空き地にしておいてフリーハンドにいるのではないかという御指摘をなさるわけであると思いますけれども、そこはやはり私どもは、法律を運用する人間の立場に立って考えますと、法律の運用も運用の仕方があると思うのであります。私どもは、従来のような運用については相当批判を持っております。今後はやはり空港周辺地域社会と十分調和がとれた空港運用ということでなければ、現実に飛行機を飛ばすことも不可能になります。  たとえば大阪空港のようなああいう地域問題、訴訟問題等になるようなことになったのでは、ひいてはやはり健全な航空の発展も阻害されるということもございますので、これからはそれらの点につきましては十分地元の意見、周辺方々の立場というものを考えた上で、そして全体としての航空需要とどう調和さしていくかという点を判断していくべきだと思いますので、この法律によってフリーハンドにいるのだというふうな運用を絶対する気はないことをお約束いたします。
  131. 米沢隆

    ○米沢委員 最後に、こういう法律をつくることによって今後空港周辺等の新しい立地規制をし、禍根を残さないという、そういうことがわかりました。  あと、こういう法律の運用がうまくいけば、伝えられるところ、たとえば新幹線あるいは高速道路等についてもこういう法律が適用されていくのではないかという、そういう世論がいろいろと新聞紙上等にも書かれておりますので、この際、高速道路それから新幹線等に今後こういう法律の適用というものを広げる——現時点において広げていかれる見解があるのかないのか、そのあたりを建設省の方、運輸大臣、それから、これは裏騒音に関するものでありますから環境庁長官の見解を私は聞かしていただきたいと思います。
  132. 田村元

    田村国務大臣 申すまでもなく飛行機と汽車では全然条件が違います。航空機の場合は騒音公害を及ぼす範囲が非常に広うございます。でございますから、このような法律を必要としたわけでございますが、新幹線等の場合におきましては、先ほど申したように全然条件が違いますので、現在のところ同じような法律でこれを規制するというようなことは考えておりません。
  133. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  先ほどもございましたが、高速道路等につきましてこういった措置をとることについてでございますが、ただいま運輸大臣からお答えがございましたように、高速道路の場合も空港の場合と大分条件が違う面がございます。空港ということになりますと、国土的な広がりの中では点でございますが、高速道路ということになりますと、これは線で全国的な広がりを持っているものでございます。また、騒音レベルにいたしましても、空港の場合には八五ホン、九〇ホンというようなオーダーのものでございますが、道路の場合は中央値で環境基準でも六〇ホン、六五ホンというような基準値でございます。そういったような条件が違います。  したがいまして、対応もおのずから変わってくると思いますが、道路につきましては、先ほど建設大臣からの答弁にもございましたように、環境施設帯だとか遮音壁の整備あるいは植栽帯の設置だとか防音助成あるいは沿道環境整備事業の促進というような一連の対策をすでに講じてまいっておるわけでございます。しかしながら、沿道の土地利用との調和を実現するというような形の対策は、長期的にはぜひ実現していかなければならぬわけでございまして、そういうことのために、沿道環境整備事業を中心とした総合的な検討を現在進めておるわけでございまして、この総合的な検討の過程におきましては、周辺立地規制についても検討対象となると考えていますが、空港の場合とは異なる法律的、実態的問題も少なくはないので、今後こういった研究会を通じて答えを出していきたい。それから沿道環境整備事業につきましても、当面モデル事業的にこういうものと取り組んでまいりたいというようなことを考えておるわけでございます。
  134. 石原慎太郎

    石原国務大臣 環境庁としましては、騒音公害対策というものは、立地規制を含みまして土地利用というものを考えずにできないと思います。さきに中央公害対策審議会からも、発生源が何であろうと、新幹線あるいは自動車、飛行機を含めまして騒音対策のために適正な土地利用をすべきであるという答申も得ておりますので、この問題は積極的に検討すべき主題と心得ております。
  135. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  136. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 次に、東中光雄君。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 空港周辺における立地規制、これは一概に否定できないと私も思います。しかし、この立地規制も、やりようによっては非常に強権的な住民締め出し策になりかねない、民主的手続を十分尽くした上で空港を設置する、そして安全上あるいは公害対策上どうしても必要な立地規制は、住民の納得を得た上で行って十分な補償をするということが必要だと思うのであります。そういう立場から私はこの法律について若干お伺いしたいのであります。  この法律のたてまえが、航空機騒音対策基本方針の策定と特定空港周辺における土地利用に関する規制あるいはその他の措置を講ずる、この二本の柱になっておりますけれども、後の方の航空機騒音障害防止地区と防止特別地区、ここに非常に問題があると思うのであります。この規制対象の範囲といいますか内容、この点について、先ほど来の審議の中でも出ておりますが、航空審議会の答申に出ておる「将来(十年程度が適当であると考えられる。)予測に基づくWECPN」七五以上八〇未満の地域において新たに建築される住宅等に対しては所要の防音工事を義務付けることとし、将来予測に基づくWECPNL八〇以上の地域においては、住宅等の建築は、原則的に禁止する措置が適切である」と言っておるこの数値で線引きをやっていくということだと思うのですが、そうでございますか。
  138. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現実には、その答申に書かれております数値によりまして線引きをすることになると思います。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 環境庁にお伺いしたいのですが、この法律の適用といいますか、特定空港の指定第一号であります成田空港についての現在の環境基準値と達成期間、これを明らかにしてもらいたい。
  140. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問ございましたこの新東京国際空港環境基準は、十年間に環境基準の目標を達成するということを決めております。そして五年以内に中間目標を達成するということになっておりますので、四十八年から五年で、五十三年の暮れにこの中間目標を達成するということが努力目標になっておるというのが、新東京国際空港についての現在の環境基準で決められた条件でございます。  環境基準値につきましては、住居地帯におきましては七五WECPNL以下をこの十年以内に達成する、それから住居等の用に供しているそのほかの地域、第二種の地域でございますが、そこにつきましてはWECPNL七〇以下にするということが最終目標になっております。中間目標といたしましては八五WECPNLということになっております。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 結局、この新東京国際空港環境基準は、羽田や大阪、福岡とは違っております。羽田、大阪、福岡については、昭和四十八年から五年以内に中間目標値八五、だから、八五以上のところでは屋内では六五にする、そして十年以内に環境基準七五を達成して、それ以上のところでは屋内で六〇以下とする。ところが新東京国際空港成田では、五年後の中間目標達成時点は羽田、大阪などと同じですけれども環境基準値は昭和四十八年から十年以内に達成ということになっております。だから十年後、すなわち昭和五十八年は屋外で七五以上の地域が存在しないようにするというのが、公害対策基本法に基づく、政府としてそれを実現しなければならぬ環境基準の値になっているわけであります。  そうすると、昭和五十八年以降は七五以上がないはずであるのに、今度の特別でない方、障害防止地区は、この法案の成立後十年、だから、今度この国会でもし成立するとすれば、昭和六十二年の時点で騒音値を予測している。それが八〇以上の地域立地規制をするが、七五から八五までは防音構造の義務づけをする、七五以上はないようになっておるはずであるのに、七五以上八五の間を今度は防音構造の義務づけ地域にする、そういう公害対策基本法の環境基準を全く無視したといいますか矛盾したといいますか、こういうことになっておるのですが、環境庁としては、これでいいと思っていらっしゃるのですか。
  142. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生から御指摘ございましたが、新東京国際空港は新しく発足する、これは既設の空港でございますが、新しく発足する空港として最大の努力をするという一番いい条件をねらっているということは事実でございます。しかし、その空港周辺等の接近している場所で、完全にすべて七五WECPNLになるかどうかというところにつきましては、やはりこれはなるように努力をすることは間違いないことと思いますが、そこのところはやはり断言できないところが実際の空港の問題としてはあるのではないかというぐあいに私どもは理解しておるわけでございまして、そういう点でいま環境基準が努力目標という形で入っておりまして、最大の努力をいたしますが、それを十年後にもしまた超えるところがあれば、このような問題を生ずるということで制度化されるのではないかというぐあいに私どもは感じております。
  143. 東中光雄

    ○東中委員 政府努力目標ですが、公害対策基本法の九条の四項では「政府は、公害の防止に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。」、政府姿勢はこうである。ところが、同じ政府が出してくるこの法案に基づいて設定しようとしている地域は、その基準を上回るものばかりを前提にして、それについて防止地区としておる。     〔小此木委員長代理退席、大野委員長着席〕 防止特別地区になれば、これは本当の至近距離でそういうことはあるかもしれない、そういう場合に、これを立地規制するというのはわかりますけれども、非常に広範な地域、先ほど来の説明でも相当広範な地域になりますが、そういう防止地区というものを、わざわざ法律でそういう概念をつくるわけですね。一方は、政府が目標にしているその目標に最善の努力をするはずのものが守られないということを前提にして、実現しないということを前提にして法律をつくっている。これは本当に公害を防止するという立場でやっているのではなくて、とにかく規制をするということが先に立っている。環境庁の立場としてこういうものを容認されておったのでは、環境庁というのは何をしておるのかということになるわけです。いかがですか。
  144. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先生の御指摘は、達成期間等の表をストレートに引いて御指摘があったわけでございますが、この達成期間の表の下に「記」というのがございまして、その三番目に「航空機騒音の防止のための施策を総合的に講じても、一の達成期間で環境基準を達成することが困難と考えられる地域においては、当該地域に引き続き居住を希望する者に対し家屋の防音工事等を行うことにより環境基準が達成された場合と同等の屋内環境が保持されるようにするとともに、極力環境基準の速やかな達成を期するものとする。」ということになっておりますので、この告示は欄のところには確かに入っておりません。欄のところには確かに入っておりませんが、ここの備考の三にある事項というのは、決してそのようなものを完全に否定し去っているものとはなっておらないわけでございます。
  145. 東中光雄

    ○東中委員 環境庁は、自分みずから告示をして、そして「既設飛行場」という中で羽田、大阪、福岡とは別個の欄にはっきりと新東京国際空港成田を入れているのじゃないですか。わざわざ別個に入れているのでしょう。そういうことを言うなら入れなければいいのじゃないですか。こういう矛盾した姿勢をとっておるということは、私は何としても理解ができない。しかも飛行場を設置する。そこへ飛行機が離着陸することによって騒音が発せられる。そうすると、その周辺の人たちは、七五ないし八五WECPNLの間の人たちは、いわば飛行場を設置されたことによってこうむる被害者なんですね。その土地所有者はたまたまそこに家を建てようとすれば被害者になるわけです。ところがその被害者が、いわゆる騒音という点から言えば加害者の立場に立つ飛行場の設置によって、この法律が通されたら今度はみずからの負担で要するに被害者が防音装置をつけなければいけない。それをつけなかったら処罰される。犯罪だという規定にこの規定はなっているんですね。罰金刑でありますけれども、しかし、はっきりとした犯罪であります。  これはこの法律を通すことによって、環境基準の努力目標を達成できないということを前提にして、そうして予測した数値で線を引かれたら、私権を制限され、しかも刑罰によって強制されるというふうになるというのは、非常に強権的なやり方ではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。実際にそういう結果になるのですけれども運輸省はこれは私権の不当な制限だとは思われませんか。憲法二十九条の二項を言われますけれども、三項との関係から言ってこういうことは許されないのじゃないかと思うのでありますが、いかがですか。
  146. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  まず、先生の御指摘を二つに分けて考えないと私にはわかりにくいので、ちょっと迂遠なお答えになるかもしれませんが、御容赦いただきたいのです。  前段の七五WECPNL云々の点につきましては、先ほど環境庁の方から御返答がございましたように、七五という地域が存在すること自体については、望ましくはないかもしれませんけれども、そういうところが存在するということを予測して、あの告示の中にも「記」の第三項というのが入っておる。したがって、そこにおきます家屋の中が、たとえばWの六〇以下になっておる、こういう状態であるとすれば、一応環境基準は達成されておるわけではあるけれども、さらに引き続き全面的に先生指摘のような形になることのために努力をすべきである、こういうふうに解すべきものであろうかと私ども考えております。  したがいまして、私どもは、七五という数字をいま仮の数字として考えて御返答申し上げておりますが、この七五WECPNLという数字の範囲内においてやはり何らかの措置を施さなければならないだろうというふうに当然考えるべきではないだろうか。  そこで、それに対しまして、いま先生指摘ございましたように、この法案においては簡易な防音構造——簡易とは書いてございませんが、防音構造にすることを義務づけておるわけでございますが、現在私ども承知しておる限りにおきまして、通常の新築家屋の場合、大体一五WECPNLあたりは家屋であるということによって低下をする、外と中とを比較いたしますと、その程度のところは大体下がる、こういうふうに考えております。  そこで、これに付加いたしますべき防音構造というものがきわめて複雑なものであったり、あるいは高価なものであるといたしますならば、これは非常に問題があろうかと思います。しかしながら、現在私ども考えておりますのは、窓枠をアルミサッシにする、あるいはガラス窓のガラスの厚さをある一定以上の厚さにするという程度のもので十分である。これによって五W程度は十分に下げ得る、こう考えておりますので、家であること及びいま申し上げましたアルミサッシ等を使用することによりまして二〇程度は容易に下がり得る、こう考えております。  そこでアルミサッシを用い、あるいはある厚さのガラス窓を用いるということがいかなるものであるかということを考えました場合に、これは現在ある統計によりますと、新築家屋の九五%あるいはそれ以上にアルミサッシが使用されておる、こういうふうにも私ども承知をいたしておりますので、これによって土地の価格、その人の所有にかかります土地の価格というものが、非常に難工事をしなければ家が建たないということのためにその財産価値が下がってくるというふうなものには当たらないのではないか、このように考えるわけでございまして、通常の家をつくる程度でも、たとえば七五の端の方でございますれば、家をつくった程度でもあるいは十分かもしれませんが、しかし、念には念を入れるという意味もあって簡易な、いま私が御説明申し上げました程度の防音構造というものを義務づけていく、こういう考えでございますので、先生指摘のようなことにはならないのではないか、このように私どもとしては考えておるわけでございます。
  147. 東中光雄

    ○東中委員 全く逆立ちをしておるんですね。空港を設置するのは、その周辺地域土地所有者の意思でもなければ何でもないわけです。空港運輸省が設置する、そして環境庁は五十八年以降は七五WECPNL以下にするという目標を持って努力しているはずなんですね。ところが、その努力しなければいかぬ、公害対策基本法で決められている義務を達成できないだろうということを前提にして、そういうふうに空港の運営をやっていくということを前提にして、そしてそのことによって被害を受ける人に、環境基準を破壊されて被害を受ける人に今度は逆に義務づけるんですからね。その分については、そういう事態が起こった場合は、われわれの方で、国の方で補償をします、二重窓をつけますというのならまだ話はわかるのです。ところが、そうじゃなくて、目標も達成しないで、そして害を加えて、そして今度はそれを防ぐための処置を国民の、被害者の側の責任でつくれ、つくらなかったら処罰するぞ、これは全く逆立ちしています。  だから私たちは、規制をやって環境を守っていくということは大切だと思いますけれども、しかしそれには、こういう強権的なやり方であったら、先ほど来いろいろ質問されておりますように、道路の場合だって、あるいは国鉄の場合でも同じ論理でこういうことをやったらもう矛盾がものすごく大きくなります。たまたま点だからいいのだというふうなものじゃない。これは考え方がまさに逆立ちしているということを申し上げている。環境庁は国民の健康と環境を保全するのが任務なんですから、それが目標を設定しておいて目標を超すことになることを容認して、しかも、それで被害を受ける人にさらに費用を負担させ、罰則で強制するというようなことを容認しているとすれば、環境庁というのは何のための環境庁かと言いたくなります。公害対策基本法を真っ正面から放棄してしまっているということを言わざるを得ないわけです。環境庁長官、その点基本的な問題でありますから御所見を承って、時間ですから質問を終わります。
  148. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 長官のお答えになる前に一言だけ申し上げたいと思います。  公害対策基本法の環境基準は、維持されることが望ましいという条件が入っておりまして、維持されるべきとかそのような数字の議論になりますと、先生の御指摘のようになると私は思います。そこが維持されることが望ましいとされた基本の表現になりまして、これは二面的な性格がありまして、一つは強制できないということと、一つは非常によい条件を決めてくる、この二つの問題があるわけであります。もしもされるべきという議論をしてぎりぎりした議論をしますと、その基準はもっと実は上がってくるという状態がございます。そこのところで先生の御指摘のような御議論の発生する余地もありますが、これは環境基準の持っているある意味で非常に苦しい性格、ある意味で非常によい条件をやるために長期努力目標を立ててそれによって非常に努力をする、そのような両面のあることを御理解願えれば結構かと思います。
  149. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、望ましい状態が損なわれるという状態は、これはまさに望ましくないのです。そういう望ましくない事態が起こったら、今度は被害者になった人が自分の負担で防音装置をしなければいかぬ、この理屈は、環境、健康保全ということを考える立場に立つ限りはどうしてもそんな理屈は出てこない。それを主張しない環境庁に責任がある。同時に、主張しないことをいいことにして進める運輸省の態度も明らかに間違っておるということを申し上げておきたいと思います。  終わります。
  150. 大野明

    大野委員長 次に、中馬弘毅君。
  151. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先ほど来の議論の中でもありましたが、本法案一般法の体裁をとりながら成田だけが限定されているというところに何か問題があろうかと思います。このため現行法との矛盾とかあるいはダブリが出ているとともに、本法を実施に移しますと、それぞれの現地でいろいろ手続上、解釈上の問題が出てくるように思います。しかし、ここでは一般法としての質問をさせていただきますが、特定空港指定の条件、先ほどからいろいろな観点からの御質問がありますが、ひとつまとめて指定の条件を具体的にお答え願いたいと思います。
  152. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明申し上げます。  この法案にも書いてございますように、ある空港につきまして十年後のその空港を取り巻く騒音の問題を測定いたしまして、あらかじめ持っておりますある一定の基準によりまして防止地区とかあるいは特別防止地区というふうなものを設定していく、そしてそのことと同時に、そういった地域全体の土地利用計画あるいは産業、文化、生活それぞれの振興を図るための整備計画、これを一体的なものとして策定をしていく、それらを都市計画という仕事の枠の中で、かつ都道府県知事という人の行政の枠の中で総合的に推進していくというのが、この法律の基本的な仕組みでございます。
  153. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それはこの法律の文言に書いてあることでございまして、私が言っております具体的というのは、羽田ではどういう条件だから直ちには指定しないのだ、あるいは伊丹ではどうだ、また福岡ではどうだといったお答えお願いしているわけです。
  154. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ただいまのような考え方で現実の空港を見てまいりますと、やはりいま直ちに指定をしていかなければならないのは成田空港であると思います。その他の空港につきましては、空港の立地によりましてこれが自然的立地条件、社会的立地条件、両方ございますけれども、まず自然的立地条件としては、いわゆる海上空港でございますとかあるいは原始林の中にあります空港でございますとか、こういったものには当面適用の必要はないと思います。ところが、現在の空港周辺を見回してみたところが、まだかなり土地があいておりまして、ここが近い将来都市化をしていく可能性がある、特に民間デベロッパーその他大規模開発が進行するおそれがある、そして将来深刻な航空機騒音問題が発生するおそれがあるという地域につきましては、これを指定していくということでございます。  いま、どことどこということは、直ちにお答えするだけのデータはございませんが、この法律が成立いたしましたならば、直ちに全国的な調査をいたしまして、しかるべき選定基準によりましてこれを選定する必要があると思います。
  155. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 本法案は、騒音被害の未然の防止、それに伴う立地規制といったことと、それからその補償ですね。移転とか土地の買い入れ、こういった二つの性格を持っていると思います。成田以外にも十年後の、これは五十八年十二月、環境基準で言いますところの十年後でございますが、基準達成のためには、いまから法の網をかぶせておくべきではないかという気がいたしますが、その点について環境庁長官どのようにお考えでございましょう。
  156. 石原慎太郎

    石原国務大臣 新しい空港につきましても、いろいろ周囲の条件等が違うと思いますので、それは調査の上で、そういった網をかぶせるかかぶせないかを判断したいと思います。
  157. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 新しい空港じゃなくて既存の空港です。
  158. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 既存の空港についても同様でございます。その周辺開発の状況あるいは将来の動向がどうかということにつきましては、場所によって非常に相違がありますし、また、これは権利を規制するものでございますから、やはりいろいろな反応を起こすということは当然考えられますので、そこのところは、先ほど運輸省からの御答弁にもありましたように、ケース・バイ・ケースに見て対応するということでございます。
  159. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 環境庁としまして、未然にそういったものを防がなければならないという考えはもちろんおありなんでしょうが、現実の方を重く見られるのか。一つ環境庁としての目標なり何なりがおありでしょう、その場合に、もう五年先、三年先にはそこが宅地化してしまうようなところがたくさんあるわけです。それをあえてほっておくのか、それとも、これは環境庁としては未然に防止すべき場所だというお考えをお持ちなのか、その点でございます。
  160. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 環境庁の基本的な原則的な立場、しかも理想を追う立場から申しますと、やはり土地利用規制問題は、騒音対策の場合に最も根底をなすものであるという考え方を持っております。
  161. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういう観点からしまして、防止法に言いますところの第一種、第二種、第三種の区域、これを指定しておりますが、それぞれのWECPNLの線引きの基準というのは幾らになっているのですか。
  162. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  私どもが現在騒音防止法によりまして各種の施策をするために、一、二、三という地域を分けておりますけれども、第一種地域はWECPNLで八五以上の地域、それから第二種は九〇以上の地域、第三種は九五以上の地域でございます。なお、この第一種地域の外側におきましても、学校、病院等あるいは共同利用施設等の防音工事につきましては助成をする制度になっております。
  163. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 本法案に言いますところの防止地区、防止特別地区のそれぞれの基準値はどうなっておりますか。
  164. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これはこの法律を施行してから決めるわけでございますが、私どもの心組みでは、防止地区の方はおおむね七五WECPNLから八〇までの間、それから八〇を超えますと防止特別地区ということになると思います。そしてその広がりでございますが、これは空港によりましてみんな違いますけれども、仮に成田を例にとって両方の対象区域を照合してみますと、現在の騒音防止法によって成田空港周辺に引かれております八五WECPNL、すなわち第一種地域というところの線の内側の面積と新しい法律による特別地区の八〇、つまり住宅の建築が禁止される地域、そこの広さとは大体見合うのじゃないかというふうに想像されます。
  165. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大体見合うというお答えでございますけれども、現実にはかなりの範囲がギャップがあるわけでございますが、成田以外の空港周辺の住民が、この法律によりますところの成田同等の権利を主張した場合にどう対処されますか。
  166. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在の騒音防止法につきましては、各特定飛行場全部共通の基準でやっておりますので平等に取り扱っておりますし、それから成田以外の現存の空港につきまして、その周辺地域の住民の方々が新しい法律の適用を希望するというふうな声がございますれば、当然そういった周辺の市町村あるいは都道府県知事の御意見を十分聞きまして、そういった方向に持っていくことは考えられると思います。
  167. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 少し法律の中身の方に入りますが、都道府県知事は、指定されましたら航空機騒音対策の基本方針の案を公表することになっております。そしてそれに基づいて住民あるいは利害関係者が意見書を提出することになっておりますが、この意見書はどういう手続で基本方針に反映されますか。
  168. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは基本方針をお決めになる都道府県知事の御裁量の際に、その意見書の内容が十分勘案されると期待いたしております。
  169. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 しかし、いままで成田でもこの点で十数年かかったわけでございますし、そこに一つの何かのお考えはお持ちじゃないでしょうか。
  170. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  成田空港につきましては、本委員会の冒頭、大臣がお話し申し上げましたように、やはり十年前の行政の思想というものは、今日から見ますとかなり反省をすべき点があったと思います。そういった思想に基づいて地域との話し合いも調整も、あるいは今日から見れば必ずしも十分ではなかったかもしれない、そういった過程で進めてまいりましたために、各種の誤解を生み、誤解が反対に転じていったというのが成田の不幸な事態だと思います。しかしながら、今日は全く時代が変わっておりますし、私どもの行政方針を百八十度転換いたしております。今後はさようなことは絶対起こすべきではないということを申し上げたいと思います。
  171. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 大変心強いお言葉ですが、行政側と住民との間でいろいろな公共事業を進める場合に、往々にして起こっている問題でございます。一人でも反対があれば事を進めないという知事もいらっしゃったようでございますけれども、そのために社会資本の整備がおくれているという点も出てまいっております。一人を最後まで説得するという努力は必要でございましょうけれども、最大多数の同意のもとに進めることも必要ではないでしょうか。少数の声が大きく多数の声が小さい場合もあるわけでございます。この少数を抹殺するということは許せませんが、議論を尽くして説得し、補償を考慮した上で、少数意見に納得してもらうという必要もあろうかと思います。その場合の少数意見者にやむを得ぬとして納得してもらう何らかの制度、たとえば住民投票といったようなことも考えられましょう。こういったことを何か今後制度化するということはお考えではございませんでしょうか。これは運輸省直接の問題ではないかもしれませんが、民主主義を信奉される政治家として、運輸大臣にでもお答え願いた  いと思います。
  172. 田村元

    田村国務大臣 いまおっしゃったとおり、運輸大臣の判断だけでお答えのできることではないと思います。しかし、非常に貴重な御提案として承っておきたいと思います。
  173. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 次に、この成田一つの経験を生かしまして、関西新空港への取り組みが必要かという気がいたします。  大阪空港は、御存じのように市街地の上を、ちょうど大阪のあの大都市の真ん中を通って空港に入ってまいります。先ごろのクアラルンプールのようなことが起こりますと、何千世帯というものが被害に遭うことになるわけでございます。そういうあの伊丹の立地というのは非常に問題がありますが、一方で関西新空港、これはほとんど進展いたしておりません。いま着工したとしても、これは十年かかろうかと思います。環境基準あたりにつきましても、長官もこの間行かれたようでございますが、現在どのような進捗状況か、その辺のお見通しを運輸大臣お願いします。
  174. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  関西新空港につきましては、理想的な環境アセスメントをやってからということで進めております。私どもの心組みでは、五十一年、二年、三年を通じまして約六十億円の調査費を投じまして、空港の設置に伴う環境影響の評価をいたしたい、そしてその結果を都道府県を通じて地域住民に十分公表し、その意見を集約した上で建設をするかしないかを決めるということが、私と黒田知事とのお約束でございます。  それに基づきまして、まず空港建設予定地の陸岸及び海中に観測塔を建てるということが始まりました。ところが、観測塔を建てさせると空港建設につながるということで、また地元の反対がございまして、大変苦労いたしましたけれども、幸いにして、つい一、二カ月前に最後の観測塔が建ちました。ほとんどのものは、もうことしの春建っておりましたけれども。そしてすでに観測が始まっております。実は、この観測の着手がほぼ一年おくれました。したがいまして、五十三年度いっぱいに調査を終わるという予定が恐らく一年ぐらいずれると思います。五十四年度中には、こういった調査を全部集計いたしまして、そしてどのようなことにするかという点について、地域住民の意見も十分聞いた上で最終的決定をするということでございます。
  175. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 時間もありませんから、この成田の経験を生かし、そしてまた先ほど申しましたようなその周辺の住民に本当に納得してもらって物事を進めるということを、ただ行政の姿勢ということだけじゃなくて、場合によっては制度化することも含めて、今後関西新空港なりその他で、それに続く各種空港についての対策を進めていかれることを心からお願いいたしまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  176. 大野明

    大野委員長 以上で、本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後四時十四分散会      ————◇—————