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1977-11-22 第82回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 大野  明君    理事 加藤 六月君 理事 増岡 博之君    理事 宮崎 茂一君 理事 坂本 恭一君    理事 渡辺 芳男君 理事 石田幸四郎君    理事 河村  勝君       愛知 和男君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       玉生 孝久君    永田 亮一君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       堀内 光雄君    三塚  博君       水平 豊彦君    小川 国彦君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         運輸政務次官  石井  一君         運輸省船員局長 高橋 英雄君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         運輸省航空局監         理部企画課長  吉田 耕三君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 町田  直君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――- 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     愛知 和男君   永田 亮一君     玉生 孝久君   箕輪  登君     水平 豊彦君   兒玉 末男君     小川 国彦君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     小沢 辰男君   玉生 孝久君     永田 亮一君   水平 豊彦君     箕輪  登君   小川 国彦君     兒玉 末男君     ――――――――――――- 十一月十八日  国鉄貨物廃止削減及び地方線廃止反対に  関する請願中村茂紹介)(第三三七七号) 同月十九日  国鉄運賃法改悪及び値上げ反対に関する請願  (安藤巖紹介)(第三六一四号)  同(小林政子紹介)(第三六一五号)  同(柴田睦夫紹介)(第三六一六号)  同(寺前巖紹介)(第三六一七号)  国鉄貨物廃止削減及び地方線廃止反対に  関する請願小林政子紹介)(第三六一八  号)  国鉄運賃法定制度改正中止等に関する請願(  松本善明紹介)(第三六一九号) 同月二十一日  国鉄運賃法定制度改悪反対に関する請願小林  政子紹介)(第三七五二号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願小林政  子君紹介)(第三七五三号)  盲人に対する国鉄旅客運賃、料金の減免等に関  する請願田中美智子紹介)(第三七五四  号)  同(戸沢政方紹介)(第三七五五号)  広島東部流通業務団地埋め立て早期認可に関  する請願灘尾弘吉君外二名紹介)(第三七五  六号)  広島東部流通業務団地埋め立て認可促進に関  する請願灘尾弘吉君外二名紹介)(第三七五  七号)  広島広域都市圏整備のための海田湾埋め立て認  可促進に関する請願灘尾弘吉君外二名紹介)  (第三七五八号)  広島海田湾埋め立て認可に関する請願灘尾  弘吉君外二名紹介)(第三七五九号)  太田川流域下水道東部浄化センター用地の埋め  立て認可に関する請願灘尾弘吉君外二名紹  介)(第三七六〇号)  新東京国際空港設置に伴う銚子上空飛行コース  反対に関する請願柴田睦夫紹介)(第三七  六一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――- 十一月十八日  国有鉄道運賃法改正反対に関する陳情書  (第二〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――- 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  船員雇用促進に関する特別措置法案起草の  件  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(内  閣提出第八号)      ――――◇――――-
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  船員雇用促進に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来の理事会において御協議願いました結果、お手元に配付いたしてありますとおりの起草案を作成いたしました。  その趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。  まず、本案起草趣旨について申し上げます。  近年、わが国海上企業をめぐる経済事情及び国際環境変化等は著しく、このため離職を余儀なくされる船員が多数発生し、再就職が容易に進まない状況にあります。また、外航海運業を中心として、船員過剰雇用の状態になっており、このまま放置すれば、近い将来、さらに多くの離職船員の発生という憂慮すべき事態を招くおそれがあります。このような事態に対処するため、船員雇用対策を拡充強化し、特に船員技能を生かした雇用確保を図ることは緊急の課題であります。  しかしながら、現行法においては、離職船員が再び船員として就職しようとする場合、国際的規制等により減船を余儀なくされる漁業を除いて、再就職促進等のための給付金制度が一般的に設けられておらず、さきに本院において可決されました特定不況業種離職者臨時措置法案においても、船員になろうとする離職者については特別の措置適用されないこととなっております。また、わが国船員船員として活躍の場を確保することを促進するための体制が必ずしも整備されておりません。  以上の点にかんがみ、特定事情に基づく離職船員が、船員として再就職しようとする場合に支給される就職促進給付金について、一般的制度を設けるとともに、特定不況業種離職船員に係る就職促進給付金支給について特別の措置を講ずることとするほか、船員雇用促進等事業を行う法人として、運輸大臣船員雇用促進センターを指定することができることとし、同センター事業内容、国の監督等必要な規定を整備しようとするのが本案起草趣旨であります。  次に、本案内容について申し上げます。  まず、第一に、政府は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、経済事情及び国際環境変化等に伴い離職を余儀なくされた船員であって再び船員となろうとする者の就職を容易にし、及び促進するため、求職者または事業主に対して就職促進給付金支給することができることといたしております。  第二に、特定不況業種離職船員に係る就職促進給付金支給については、特定不況業種離職者臨時措置法規定による給付金等支給の例に準じて特別な措置を講ずることといたしております。  第三に、運輸大臣は、一定の要件を備える公益法人の申請に応じて、船員職域開拓技能訓練その他船員雇用促進等のために必要な事業を行う者として船員雇用促進センターを指定することができることとし、同センター事業船員職業安定法適用除外、国の監督等についての規定を設けるとともに、国は、予算で定める金額の範囲内において、同センターに対し、船員雇用促進等事業に要する費用の一部を補助することができる旨の、国の補助の規定を明定いたしております。  以上が本案起草趣旨及び内容であります。
  3. 大野明

    大野委員長 本起草案について発言の申し出がありますので、これを許します。坂本恭一君。
  4. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 私は、本案起草の過程において、理事会において申し述べました意見の中で、小林委員の御意見も入れて、本案運用に関する二、三の点について政府の所見をただしておきたいと思います。  外航船員雇用の悪化の原因は、外国への売船等による失業船員の増加及び仕組み船チャーターバック船あるいはマルシップといわれる用船を初め、多くの外国用船に依存しているわが国海運企業あり方に根差しています。  このような外国用船依存わが国商船隊は、船員雇用に関して大きな問題を内包しているばかりか、わが国海上安定輸送確保するという面からも、わが国海運の将来にとってゆゆしき問題であり、その検討が迫られております。  かかるときに、船員雇用対策、特に緊急を要する失業船員雇用確保のための施策が、万が一にも、こうした外国用船依存の傾向を、さらに推進するために利用されることになってはなりません。  このような観点に立って、以下の諸点について、法を運用する運輸大臣におきましては、特段に留意をされ、その目的達成に誤りなきを期するよう要求する次第です。  一、本法による雇用促進は、離職船員が主たる目的であるから、余剰船員出向配乗については必要最小限にとどめるべきこと  二、雇用に関する労働条件については、関係労働組合外航船主団体とが締結している統一労働協約に見合ったものとすること  三、仕組み船マルシップ船にはすべて日本人船員の配乗を行うよう強力な行政指導を行うこと  四、船員雇用促進センターは、失業船員の配乗に必要な船腹を確保できるよう、船主団体の協力を求めるなど特段努力をすること  五、船員雇用促進センター職安業務一般失業船員に容易に利用できるよう、船員職業安定所機能を充実させるとともに、もぐり私設船員職安行為実態を調査し、その取り締まりを厳重にし、船員雇用の安定を保障する措置を講ずること  以上です。
  5. 田村元

    田村国務大臣 御指摘わが国海運あり方については、現在海運造船合理化審議会において熱心に御討議いただいておりますので、その結果を踏まえて、船員雇用の安定にも資する新しい海運政策を展開せねばならないと考えております。  しかしながら、船員雇用情勢とこれを取り巻く海運業状況は目下きわめて厳しい事態にあります。本法案は、離職船員雇用促進が主たる目的であり、船員雇用促進センター事業は、これに対処するため、船員雇用対策の一環として行われるものであると理解しております。  運輸省といたしましては、目下の状況から、船員雇用対策の推進を最重要施策一つとして考えており、船員職業安定所機能の十分な活用を図るほか、御指摘船員職業紹介実態についても調査し、船員職業安定法の適正な運用に努めるとともに、センターの設立後の運用につきましては、必要な船舶確保に最大限の努力をするとともに、配乗についても離職中の船員職域確保を優先的に考えることとしております。  また、センター事業である職域開拓の対象となる仕組み船マルシップ等においては、原則として日本人船員のみにより運航する船舶の増大を図るほか、統一労働協約を参酌し、一定水準以上の労働条件確保が図れるようセンターに対する指導監督を十分行ってまいりたいと考えます。  以上、要するにただいまの御意見に十分沿って法の運用に当たる所存でございます。
  6. 大野明

    大野委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきます。田村運輸大臣
  7. 田村元

    田村国務大臣 船員雇用促進に関する特別措置法案については、政府といたしましては、やむを得ないものと認めます。
  8. 大野明

    大野委員長 お諮りいたします。  船員雇用促進に関する特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしてあります草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 大野明

    大野委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇————−
  11. 大野明

    大野委員長 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、新東京国際空港公団総裁町田直君及び理事角坂仁忠君の両君を参考人として出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————−
  13. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小川国彦君。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席
  14. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、本法に関連をいたしまして、成田空港に関連する諸問題を含めながら質問をさせていただきたいと思います。  第一番に、伝え聞くところによりますと、政府は十一月二十九日の閣議において開港決定をするやに承っておるわけでございますが、航空法管制検査がいまだ出されておりませんけれども、果たして十一月二十九日という伝えられる閣議決定というものが予想されるとするならば、当然航空法管制検査が終わっていなければならないと思うわけですが、その点についてはいつごろこれを完了する見通しを持っておられますか。
  15. 石井一

    石井(一)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、運輸当局としましては、地元最後の詰めを急いでおりまして、御承知のように十一月二十九日に決定するというところまでまだ最終の決定に至っておりません。  それから、航空法の問題でございますが、やや技術的な問題でございますので、いま航空局長がこちらに向かっておりますから、政府委員が参りましたら、技術的な問題も含めて御答弁をさせていただきたいと思います。
  16. 小川国彦

    小川(国)委員 こういう重要なことが答弁できる人がいないのではちょっと質疑できません。——運輸大臣は、参議院の審議は何時からでございますか。
  17. 石井一

    石井(一)政府委員 十時十五分でございます。
  18. 宮崎茂一

    宮崎委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員長代理 速記を始めて。
  20. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも大臣は雲隠れしちゃうし、局長はなかなか見えないので、それじゃもう一遍改めて質問させていただきます。  私が仄聞するところによりますと、十一月二十九日に開港閣議決定を行うやに聞いております。そういたしますと、航空法完成検査というものが行われないと開港決定は行えないと思うわけでございます。成田空港の諸施設に対する検査はもうすでに終了したということが伝えられているわけでございますが、いまだに政府完成検査を出しておりませんけれども、これは出すのか出さないのか、いつ出すというお考えを持っているのか。
  21. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  完成検査につきましては、必要な検査の手順を全部終わりまして、現在大臣決済をとるべく部内を判こをとって回っている段階でございます。もうぎりぎりでございまして、日をもって数える段階で、完成検査合格通知は出せると思います。
  22. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣決済がおりるということになりますと、合格通知を出す、こういうことに当然なりますね。
  23. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 さようでございます。
  24. 小川国彦

    小川(国)委員 合格通知を出しました場合には、今度は直ちにNOTAMを行うということになりますね。
  25. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 合格通知を出しますと、航空法上の手続によりまして空港公団総裁開港する予定日を届け出てまいります。そしてそれによりまして運輸大臣告示をするわけでございます。告示は官報に掲載する手続でございますが、あわせて外国航空機関に対しまして、いま御指摘NOTAMを出す手続を同時に進めることになります。
  26. 小川国彦

    小川(国)委員 完成検査合格通知NOTAM、これは一連の作業だというふうに理解しますと、閣議開港決定というものは、大臣決済がとれれば早ければ一週間、おそくも二週間以内にはそういうNOTAMを出す、そういう状況が想定されるわけでございますね。
  27. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 さようでございます。
  28. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども十二月一日NOTAMということを聞いておるのですが、そうすると、合格通知というものはここ数日中、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  29. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そういう御理解で結構だと思います。
  30. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども指摘したかったのは、すでに合格通知が出せる状況にありながら今日まで延引してきた、そこに政府のいろいろな政治的な配慮なりあるいはまた成田空港に関連する諸問題が未解決である、いろいろな問題がある、そういうことのためにこれが遷延されておるではないかと考えておったので指摘をしたわけでございます。  そうしますと、いまの大臣決済段階完成検査合格通知がいっておる、こういうことになると、私が把握しておる二十九日の閣議決定、一日のNOTAM、こういうのは予定線上に入ってくるというふうに考えるわけですが、そこで、大臣がいませんので石井政務次官に伺いますが、こういうふうにして政府閣議決定をして空港開港決定するわけでございますが、そうすると、当然開港時におけるさまざまな問題というのが三カ月後に予想されてくるわけです。そういう事態のときに、大臣とか次官がかわってしまうということでは、開港決定をした当事者としての責任がとれないということになるわけですが、そういう点について次官は、大臣も含めてそういう政治的な責任についてはどういうふうにお考えになりますか。
  31. 石井一

    石井(一)政府委員 これは私にお尋ねいただく質問として適切かどうか、恐らく総理なり大臣にお尋ねをいただきたい筋合いのものだと思います。ただ、大臣個人決定するものでなく、政府として決定をするわけでございますから、内閣連帯責任、また、その継続性というものはあるわけでございますし、具体的な問題として、大臣がかわるのかどうかということは非常に微妙な問題でございますから、非常に高度の政治的な問題ですから、お答えが非常にしにくい問題でございますけれども、仮に万が一かわるというふうなことがございましても、その責任を回避するというふうな点については、どうかひとつ内閣責任においてそれを施行するというふうに御理解をちょうだいできれば大変幸甚でございます。
  32. 小川国彦

    小川(国)委員 どうもその点でいつも政治責任というものが非常にあいまいになってくるわけでございまして、次官としても大臣ともどもこの問題については開港時までの責任を持つ、そのぐらいの気構えを持って進んでいただかないと、開港決定はしました、その時期にはおりませんということで、いつも重要なときに閣僚、次官がどんどんかわっていってしまう、こういうことでは政策が一貫して全うされないといううらみがありますので、その点は総理決定するということではなくて、大臣次官もこの問題については最後まで責任を持ってやる、そのぐらいの決意をひとつ持っていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  33. 石井一

    石井(一)政府委員 率直に申しまして、われわれはそういう決意を持っておるつもりでございます。また、御指摘に対しまして反論するようでございますが、成田開港があって、その責任が持てないからわれわれがかわるというふうな気持ちは毛頭ございません。これはまた別の次元における政治的判断と申しますか、慣例と申しますか、そういう種類のものでございまして、われわれとしては、願わくはそういう形にもなりたいというふうにも考えておりますし、そうでなくても、責任は回避されたものでないというふうにどうか御理解いただきたいと思います。ただ、そういう気持ち地元住民の皆さんなり、あるいは国民の皆様方が一時持たれるという点もよく理解できますので、この点について御指摘がありましたということは、十分大臣に伝えておきたいと思います。
  34. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、この法案の中身に入りましてお聞きをしたいと思うのですが、この法律を流れる思想といいますか、考え方についてですが、一つ大きくは公共事業として航空機事業あり方、その将来というものを確保していく、そういう考え方はうなずけるわけでございますが、もう一つは、私権というものあるいは憲法二十九条に言う私有財産権というもの、この一致点をどういうところに見出していくか、この点にこの法案のむずかしさがあろうかと思うわけです。  その点で言うと、私は、第一の公共事業としての面に対する考え方は、今日までの公共投資政策の中でかなり十分な措置が行われてきた、こういうふうに考えるわけでございますが、もう一つの面であるこの地域に生存している人々生活権、いかなる生活様式をとろうと、ここに生活をしている人々生活と自由をいかに確保していくか、この最もむずかしい問題が果たされなければならないと思うのですが、この点がいままでの施策の中でまだ不十分なように私どもは感ずるわけでございます。いま住んでいる人々をどのように保護していくか、ここに最大の配慮が持たれなければならないと思うわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  35. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在住んでいる方々に対する措置につきましては、この法律よりもむしろ現在すでに施行になり、成田空港周辺にも適用になっておりますところの現行騒音防止法、これによることが大宗を占めると思います。したがいまして、騒音防止法によりますところの民家防音工事移転補償等々の事業を行いまして、それによりまして現に住んでいらっしゃる方々生活騒音から守るということが主体になると思います。  したがいまして、今回のこの法律案は、むしろ今後成田空港周辺が再び市街地化をいたしまして、新しい騒音問題が社会的に発生することを防ごうというねらいがありまして、集団的に外の土地から空港周辺宅地造成等によって来られる方を何とか制限したい、禁止したいというところが主眼でございまして、現在住んでいらっしゃる方につきましては、主として現行騒音防止法で対応するということになります。もちろん、この法律案でも移転補償などの制度がございまして、現在そこに住んでいらっしゃる方が移転を希望される場合には、この法律によりましても補償を受けられますけれども、現実問題としては、現行騒音防止法適用によって処理される場合がほとんどであろうかと考えます。
  36. 小川国彦

    小川(国)委員 次に私は、本法案提出手続の問題として、民主主義的な手続が欠けているんじゃないかというふうに思うわけです。  それで、この法律の問題については、千葉県なりあるいは関係市町村から要望があったということを伺っているわけでありますが、現実にはこの法律に対する関係市町村なり住民理解というものはまだ十分徹底していないように思うわけです。成田市、芝山町あるいは周辺の大栄町、下総町、多古町、富里村、八街町、山武町、横芝町、蓮沼村、松尾町、光町、野栄町、八日市場市、こういった関係市町村がこの法の適用範囲として挙げられると思うのですが、こういう自治体に対する法案内容説明なり報告なりはなされたかどうか。
  37. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 空港に近い成田芝山等に対しましては、事前に御説明をいたしておりますけれども、いま先生御指摘のような、さらにその外縁部に位置する町村に対しましては、成田芝山のような説明をまだ重ねておりません。これにつきましては、もちろん必要がございますので、今後精力的に説明を申し上げて、十分御理解いただく努力をいたしたいと思います。
  38. 小川国彦

    小川(国)委員 航空法規定の中には、飛行場の決定に当たって、形式的であれ公聴会規定というものがありまして、そして住民意見を聞くということになっているわけです。ところが、今度の規制法ではその公聴会の規定というものが何もございませんで、手続的に住民意見を反映させる面がきわめて乏しいように思いますが、公聴会的なものについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 航空法規定は、全く飛行場がないところに飛行場をつくるわけでございますので、公聴会の手続を義務づけまして、それによって地権者その他の御意見も十分承って位置を決めるということにしているわけでございます。  翻ってこの法律案によりますところの措置でございますが、これは、そうやって公聴会等の手続を経て決められた空港につきまして、将来の騒音公害を防止し、あるいは飛行場を含む全体としての調和のとれた町づくりをしようという点が主眼でございます。  そこで、この法律案規定によりますと、地域住民に対しまして、次の二つの方法でその意見を聴取することができると思います。  一つは、この法律規定にもございますように、これは第三条でございますけれども、都道府県知事がこの法律案によりまするところの基本方針、つまり、具体的に規制を受けることとなる地域の指定とか、あるいはそれを含む全体としての町づくり等の計画を決めようとするときには案を公表する、そうすると、二週間の間に関係者が意見を出すというふうにしてございます。  それからもう一つの方法は、同じ条文で都道府県知事がこの案につきまして市町村長の意見を十分聞くということになっております。したがいまして、市町村長が都道府県知事に意見を申し述べる場合には、当然その地域に住む住民方々の御意見は集約されると思いますので、住民方々が直接に意見書を出すという方法と、もう一つ、市町村長を通じて意見を述べるという方法と二つございますので、その点につきましては、公聴会という方法はとりませんけれども、実質的に地域住民の御意見を十分伺う機会は担保できると考えております。
  40. 小川国彦

    小川(国)委員 その点私どもは、これからでもやはり徹底して住民の意思がこの法の中に反映するように、そういう努力というものは絶えず行われなければならぬのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、その点はさらに徹底して行ってほしい、こういうふうに考えます。  それからもう一つ、この法案適用する空港成田空港と予想されますが、それは政令指定で行う、こういうことでございますが、私どもは、やはり民主主義政治のたてまえから言うならば、そういうようなどこを指定するかということも議会にかける、こういうふうに考えるわけでありまして、その点では、この政令をもう一度法案として国会にかける、これぐらいの民主的な手続が国の機関に対して行われるべきじゃないかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  41. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この政令で決めることになります主なものに、いわゆるWECPNLの数値を決めまして地区の指定をすることがございますが、WECPNLの数値は、たとえば公害基本法によりますと環境庁告示でございます。その他私どもがこの政令指定するときに参考に供しなければならない他の法令の関係のこういった環境基準が、いずれも法律でない措置で決められておるものでございますから、そういったものが変わったときにこちらも機動的に変える、つまり、今後の方向として環境を守るという方向に変わるのが当然でありますので、他の法令の所管において環境をさらに保護するという方向で彼らの方で基準を簡単に変える、告示等ですからこれは手続的にわりに簡単に変えられますが、その場合に、法律になっておりますと、やはり国会の議決を経るということで臨機に機動的に対応することも困難になりますので、この点につきましては、手続としては機動性を持たせるという意味で他の基準との関連で政令に落としたわけでございますが、しかしながら、中身の問題につきましては、御指摘のように大変大事な問題でございますので、十分国会の御意見もお伺いし、また、休会中の場合には事後的に御報告申し上げるということで、国会の御審議との関係につきましては御理解いただきたいと思うわけでございます。
  42. 小川国彦

    小川(国)委員 この法案は、いろいろいままでの審議を聞いておりましても、成田に始まって成田に終わる法案だ、こういうふうに理解されているわけです。予算的措置を見ましても、いろいろな対応を見ても、それ以外に考えられない。そうすれば、憲法九十五条には特別法の住民投票という規定がありまして、「一の地方公共團體のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共團體の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない、」こういうふうになっているわけです。ですから、これが成田空港周辺だけに適用される法律であるというならば、この憲法九十五条の適用によってその周辺住民意見を聞かなければいけないと思うのです。ところが、その手続はとらない。ならば、これを全国的にどこを適用していくかというのは、一行政庁の判断で決めるのではなくて、やはり国会の判断を仰ぐということが、部分でできなければ全体で行うというのが、やはりこれは民主主義の手続ではなかろうかと思うのです。  そういう観点からいけば、私は、政令で成田を指定するというときには指定するという法案を国会に出して全体の中で承認をいただく、こういう民主主義的な手続というものを尊重していただかなければならぬじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  43. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この法案は、たびたび御説明しておりますように、成田だけに適用する法案ではございませんで、全国どこの空港でもこの法律案適用する必要がある場合には適用するわけでございますので、したがって、憲法に定めてありますような特別法にしなかったわけでございます。  そこで、お尋ねの点でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、やはり政令という手続によりまして、私どもは、内容をその時代時代に即応した形で常に見直していきたいというふうに考えているわけでありますし、それを決める際には、事実上の話といたしましては、当然地域の御意見も承ることになります。私たち、ただもう独断で政令指定をして適用空港を決めるということは事実上できないと思うのであります。やはり成田以外の空港につきましても適用する場合には、当然その地域の地方公共団体意見を十分聞きまして、それでまあいわば納得ずくで決めるということが恐らく事実上のことかと思いますので、そういった段階で十分に地方公共団体を含む地方の方々の御意見を反映することは可能であると考えますので、そういうふうに御理解いただきたいと存じます。
  44. 小川国彦

    小川(国)委員 民主主義の手続あり方としては、私は、いずれにしても不徹底だと思いますね。これが成田の場合に許されると、今後適用される空港というものが、その地域の本当の全自治体なり住民なりの意見を聞くという形はとられませんし、それからまた、全体の中で論議をするということもないということになりますと、法律はつくりました、適用するのは行政庁の判断、こういうことでは、私は、民主主義の徹底を欠くのではないか、こういうふうに申し上げたいと思います。  それから、法案の中身に入りまして、第一条の目的の中に「航空機の騒音により生ずる障害を防止」とありますが、これは空港設置者、管理者の立場から考えての発想というふうに受け取れます。第一条の中に、周辺住民生活及び環境を保全し、こういった住民生活配慮した条項があってもいいのではないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  45. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 その点につきましては、一つは、やはり航空機の騒音による障害を防止するというところでカバーすべきであると思います。これは決して空港設置者に対する義務づけの問題だけを言ったわけではありませんで、地域の指定その他を含みますところの、この法律案のやろうとしておられますことすべてが騒音による被害を防止しようという点を主眼といたしておりますので、その点につきましては、十分に地域住民生活を障害から守るという点がこの目的に入っていることは明らかにここで言えると思います。  それから同時に、騒音から守るというだけではなくて、もっと前向きに積極的に、その地域を、将来空港を含む調和のある町づくりをしようという観点から、合理的な土地利用ということにつきましても十分配意をいたしておりますので、騒音の防止とそれから町づくり、二つの点を通じまして十分地域住民生活をよくするという方向の仕事ができると考えております。
  46. 小川国彦

    小川(国)委員 石油パイプライン事業法の第一条の目的には「公共の安全を確保し、」という文言が後から挿入された例もあるわけです。本法は継続審議になる見通しも強いと言われておりますので、どうかそういう点についてもひとつ配慮をしていっていただきたいというふうに考えます。  次に、第二条の第三項に入りまして、騒音対策は最も被害度の高い状況を想定してその対策を講ずるのが人権尊重の立場ではないか、こういうふうに思いますが、十年後の想定を今日の状態及び対策とほとんど変わらないものとしてとらえているのは、これは住民をばかにしたやり方ではないか、こういうふうに思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  47. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 十年後の状態を想定いたしまして各種の地域割りをするわけでございますが、現在の騒音防止法によりまして一種から三種までの地区指定がございますが、その地区指定のあり方と今回の法律案によりまして私どもが地区指定をしようとする場合の基準としておりますあり方とを比べますと、この法律案による地域の指定の方が、十年後ということでより地域を騒音から守るという方向で決めるようにしたいと思っております。これは数値がWECPNLでおよそ一〇ほど今回の法律案の方が低くなっている点から言いましても、その点を御理解いただけるかと思います。
  48. 小川国彦

    小川(国)委員 いや私は、現在の法律よりベターだからということではなくて、やはりベストを求めた対策、その最も被害を受ける地域住民に対して手厚い保護というものがなされないとこの法案はどうしても片手落ちになる、こういうふうに考えるわけでございまして、皆さん方で、三年後、五年後、十年後飛行機の飛ぶ回数が十一万回、十三万回、十五万回とふえていくわけでございます。それと航空機の騒音対策というもの、いわゆる騒音度の低い機種を用いる、こういう状況を想定しましたにしても、この十年間のうちにやはりピーク時というものがあると思いますが、そのピーク時はどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
  49. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 十年後の状況の想定でございますけれども、これは非常にむずかしい問題でありますが、しかし、現在われわれが手にし得るすべての手法を動員いたしまして、まず将来成田空港に離着陸する航空機の数を計算します。この場合には、大型化の動向というのを当然計算いたさなければなりませんので、需要がふえましても大型化によりまして発着回数は減ることが可能であると思います。さらに機材の開発によりましてどのくらい音が減るかということも想定をいたしました。手に入る限りあらゆるデータを動員いたしまして想定をいたしたい。その場合に主眼は、やはりあくまでも地域住民、地域の生活騒音から守るという点が主眼でございますので、私どもといたしましては、一番ベストの線を考えて仕事をしたい、こういうふうに考えております。
  50. 小川国彦

    小川(国)委員 開港時に飛行機の発着回数は年間五万五千回、Bランができたというふうに想定した場合に十一万回、六十年時には十三万回、こういう見方をされて、その中におけるジャンボの割合は五万五千回のときが三五%、十一万回のときが八五%、十三万回のときが一〇〇%、こういう割合を想定されているようなんですが、そうすると、おのずからピーク時というものは出てくると思うのでございますが、その時点はどういうふうに想定されておるわけですか。
  51. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この法律案を施行した後におきまして、ただいま御指摘のような点につきましては、もう一度その段階での資料によりまして私どもは再検討する必要があると思います。もちろん現在出しております各種の数字がいいかげんだという意味じゃございませんが、念には念を入れまして、この法律施行後におきまして、具体的にこの基本方針を決める段階までにその点はもう一遍精査をする必要があると思いますが、そういった場合には、従来考えておりましたことをもう一遍再検討いたしまして、より十年後の現実に近いような数字にしていきたい、そういった中でいま御指摘のピークレベル等の問題も十分検討をしていきたい、こういうふうに考えております。
  52. 小川国彦

    小川(国)委員 その点では二年後、三年後あるいは五年後、十年後と段階を切ってひとつ調査をいただく、これでいきますと、五年ごとの調査で十年後を想定する、これはいまの日進月歩の時代から見ましてテンポの長い期間を想定した法案だと思うのです。これは航空機のような一番進歩の早い産業を取り扱っていらっしゃるわけでございますから、その対策はもう一年かないし二年ごとに出されていく、そういう具体的な運用面についてのお考えはいかがですか。
  53. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 五年ごとに見直すというのはこの法律による規定でございます。ただ、五年の間にでもわれわれが予測をしたときに考えていなかったような状況の変化が起こりそうだという場合には、当然五年ごとの見直しの傾向線上に乗らないファクターが出てくると思いますので、そういったときには五年ということを待たずに臨機に見直しをする必要があると思います。
  54. 小川国彦

    小川(国)委員 それから第四条で、都市計画の周辺の関係町村で成田市のような場合には都市計画がありますが、芝山町、大栄町、多古町、下総町、富里村の場合、都市計画が立っていない地域については、この法の適用の中ではどういうふうにこの適用をお考えになりますか。
  55. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは建設省の方の御所管かと思いますけれども、この法律案適用は都市計画といいますか、都市計画地域であることが前提になっておりますので、当然、現在都市計画地域になっていないところで、かっこの法律案適用をする必要があるかもしれないというふうな地域につきましては、まず都市計画地域にするということから始めるべきであると思います。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと、都市計画が立たない段階ではこれの適用はない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  57. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、第五条の建築制限の中で個人病院の場合、現行の公団の制度では五割程度の補助にしかならない、そういう状況です。静かな農村の環境で木造の施設で十分だ、間に合っていた個人病院が、騒音のために建築上、防音上有効な構造を義務づけられても、その負担は容易でないと思うのですが、結局、これらの地区から個人病院を追い出す結果になりはしないか、こういうおそれがあると思いますが、その点の配慮はどういうふうになっておるのですか。
  59. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この法律案そのものは、現在そこにたとえ木造でありましても存在している住宅、病院等を追い出す法律ではございませんが、ただ、非常に老朽化している木造の住宅、病院等を改造しようという場合に、第五条の義務づけが出てくるわけでございます。そして現在、建物の増築、改築あるいは新築というふうな場合に行われております通常の工法として、窓をアルミサッシで固めるというふうなことが行われておるようでございますが、当然、その地域の中にあります個人病院等でも老朽化して建てかえるという場合には、そういった構造になさることが普通であろうと思います。そのことを第五条はいわば義務づけたということでございますが、木造個人病院の改築の際に、特別にこの法律案があるための新しい負担というものは恐らくないのではないかというふうに考えております。
  60. 小川国彦

    小川(国)委員 ここは農村地帯で静かなところがいいといってお医者さんが病院を開いてくれている、いわば村の診療所といったような個人病院があるわけです。ところが、いまは木造で十分診療ができるのに、それが老朽化して建てかえようと思ったら、もう木造はだめだ、防音上有効な構造にしなければならぬ、鉄筋を義務づけられる、聴診器も思うようにとれない、こういうことになりますと、鉄筋にし、そこに今度冷房、暖房をする、個人の病院ではとうていそういう負担に耐えられない、そうすると、こういうところを捨てて出ていって町場の、たとえば団地の医師になった方が自分がもう負担をしないで済む、こういうことになってしまうわけで、結果的にはやはり追い出すおそれになってくるわけで、そういう点の配慮がないと、結局、さっき申し上げたように、その地域住民の犠牲というか、そういうところが無医村になってしまうというしわ寄せを受けはしないか、こういうことを指摘しているわけです。
  61. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私、御心配もごもっともだと思いますけれども現行のいま御指摘のような病院、学校等につきましては、現実問題としてはこの法律案ではなくて、騒音防止法適用になります。したがいまして、現地七割程度病院の防音工事について騒音防止法で助成の仕事をしておりますので、そういったことで、改築等の場合に必ずしも大きな負担を強いることにならないのじゃないかというふうに考えております。
  62. 小川国彦

    小川(国)委員 これは実質的には五割になっちゃっているわけなんです。そういう実態は、これはもう時間がございませんから、十分皆さんの方でも御検討いただきたい。現行の騒防法の中で救済されていない個人病院、これは今度の特騒法でもやはり救済されない、こういううらみを持っておりますので、そういう点はひとつ十分今後の課題として御検討を願いたいと思います。  それから、第七条の通損補償の問題についてお尋ねしたいと思いますが、この補償は憲法第二十九条三項の「私有財産は、正常な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」、こういう規定を受けた補償というふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  63. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
  64. 小川国彦

    小川(国)委員 そうしますと私は、航空法の中では飛行場に隣接する土地の進入表面、転移表面、水平表面、こういうところの表面を出る建造物に対しましては、憲法二十九条の規定を受けた通損補償ではなくて、政策的な措置として行われている、こういうふうに承っておりますが、航空法本法との関係において、言うならば法の平等ということ、これは航空法四十九条の対象事業に対しても憲法二十九条の適用があってしかるべき  でないか、こういうふうに考えますが、その点はどのように理解をされておりますか。
  65. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 いま航空法の条文は手元にございませんけれども航空法規定といえども、やはりすでにそこに平穏公然と生活をしておられる方がありまして、その生活を、航空法に基づく各種の施設をしたことによりまして侵害をする、そしてその侵害をしたことによって損害が起こるという場合には、法律に書いてあろうとなかろうと憲法の精神に従って、それは事実上にせよ補償をすることが必要であると思います。
  66. 小川国彦

    小川(国)委員 いや、実態の問題ではなくて、憲法二十九条の三項が本法の第七条の通損補償適用されるならば、航空法四十九条にも同様に憲法二十九条三項の規定適用されなければならないのではないか、こういうことを申し上げておるわけです。
  67. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 憲法は国の基本法でございますから、航空法を施行する場合にも当然その趣旨は生かされるべきだと思います。
  68. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、第八条、第九条についてお尋ねをしたいと思いますが、わかりやすく申し上げまして、第八条は宅地の買い取り、いわゆる勤労者等の宅地の買い取り等の事例を考えられて買い取り請求権というものをお認めになっていらっしゃる。ところが、第九条の規定を見ますと、これはいわば農民、農家、農地、そういうものが対象であろうかというふうに理解をされるわけです。そうすると、第八条の宅地の買い取りについては、いわゆる民法上の買い取り請求権というものが認められながら、農家の場合には、この第九条においては買い取り請求権というように理解できる規定ではないようになっております。  私は、これも法のもとの平等でいくならば、同じ騒音下で、建築規制を受けるところで買い上げ措置をするならば、勤労者の宅地、それに付随する農地も買うということでございますから、兼業農家の土地も買うということになれば、専業農家の母屋も物置も、それから田畑も買い入れることができるという政策配慮ではなくて、これは同等に買い取り請求権というものを認める、こういう方向で行われるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  69. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 八条の規定は、この前の方の条文で特別地区に住宅の建設は禁止されます。そうしますと、そこに土地を持っていても家が建てられない。これは自分で建てる場合もありましょうし、あるいは他の目的に供する場合もあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、家が建てられなくなることによって、もうその土地を手放したい、こうお思いになる方に対しまして、八条は、いわば補償的な措置といいますか、建築禁止という措置によりまして生ずる実態に対して国が補償をしよう、義務的に補償をしようということでございますので、時価による買い入れという規定を置いたわけでございます。  第九条の方は、その八条の規定とは趣旨が少し違いまして、これは現に住んでおられる方、その方々は別にこの法律では追い出しをいたしませんから、現に住んでいらっしゃる方が引き続きお住みになることは可能でございますけれども、そういった場合に、やはりこういった土地に住んでいたくない、移転をしたいと自発的にお思いになる方に対しまして、その移転をする場合のお金を負担させていただこうということでございますので、お金を負担するその原因と結果の関係が、八条の方は建築禁止という強権発動をされる地域になったということの裏でありまして、九条の方は別に追い出しを強制されないけれども、自発的に動こうかという場合のそういった方に対する一種の助成的な補償でございますので、法律的に因果関係が違うというところで、前者は時価による買い取り請求、後者につきましては予算の範囲内の損失補償というふうにしたわけであります。しかしながら、実態といたしましては、この後者の方でも事実上時価で買わざるを得ないというふうになると思いますので事実上は差はないと思いますが、法律上の因果関係が違いますので表現が違うというふうに私ども考えております。  そのいずれにつきましても、これはその方が農家であるかないかということで差別をいたしておりません。ただ八条は宅地、つまり住宅がつくれなくなるということのための補償措置でございますから、当然その土地は宅地であろうというだけでございまして、地域住民を宅地所有者、つまりサラリーマンと農民に分けて、農民に対してサラリーマンより以下の措置を講ずるということには考えておりません。その辺は土地の保有形態によりまして十分措置をいたしていきたいと考えております。ただ、純粋の農地でございますと、これはもともと家が建つ余地がございませんので、これに対しましては、建築禁止ということ自体が働きませんので、本来この規定適用があり得ない、したがって、買い入れ請求等もあり得ない、こう考えておるわけでございます。
  70. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、法律的に物を解釈するのではなくて、実態的に物を判断していただくならば、建築禁止区域になるところに住めない状態は、宅地だけを持った人もあるいは農地を持った農民も、住みにくくなるそういう実態においては、同じだと思うのです。その実態面から法律というものは適用なりあるいは立法なりは考えていただかなければならないわけでありまして、法律の因果関係で物を判断するのではなくて、やはり実態に即してひとつ判断をしてもらわなければならないと思うのです。ですから私は、できるならばこの第八条、第九条は両方とも買い取り請求権を認める、こういう立法の精神だ、こういうお考え方をひとつ持っていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  71. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 法律論を申し上げますと、さっきお話し申し上げました困果関係が違いますから条文の表現も違いますけれども実態論につきましては御指摘のとおりでございます。私ども、どこの空港につきましてもそういうことで仕事を現にいたしておりますので、事実上の措置といたしましては、この規定の差があるようなことを乗り越えまして、時価による買い取り請求があったと同じような気持ちで仕事をしたいと思っております。
  72. 小川国彦

    小川(国)委員 そこにもう一つ、買い取り請求権があったような気持ちでひとつ御措置を願えますか。
  73. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のようにいたしたいと思います。
  74. 小川国彦

    小川(国)委員 第八条の時価についての規定でございますが、当委員会での論議を聞いてまいりますと、開港時の時価とは異なって、この法律適用では契約時の時価ということになっておりますので、結局、飛行機が飛んだ後の地価の下落というものは避けられないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この辺についていままでの論議の中では、できるだけ騒音度の低いところの時価をとる、あるいは滑走路の真下を避けた横の方の時価をとる、こういう運用の中でおやりになるということを言っていらっしゃるのですが、私は、大阪空港なりいままでの空港公団の進め方を見ると、運用の中でどうも十分報われないという感じを強く持っておるわけです。  ですから、そういう点から言うなれば、この時価のとり方は、飛行機の運航によって時価が下落した際は、その運航前における時価を勘案し、その差額を救済することができる、こういった考え方を持っていただかないと、やはり犠牲というものは避けられないというふうに思うわけですが、その点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  75. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 非常にむずかしい点でございまして、八条の関係ではそこに航空機が飛ぶことによって一般的に地価が下がる、この点については正面から言いますと、この条文の対象外の問題というふうになるわけでございます。  しかしながら、そこのところは実態関係をよく私ども勘案いたしまして、先ほど来御指摘のございますように、より広くとる、滑走路の長手の方向じゃなくて横の方向にとっていくというふうなことを申し上げておりますのもそういった判断からでございますが、事実上そこに土地を持っていらっしゃる方も、実質的に権利が大きく制限されることのないように価格の決定に当たっては十分配意をしたいということでございます。飛行場のあることによる地価の低下は、この法律適用外の問題でございますが、社会的公正という点から考えて、私たち見るべき点は十分見させていただくというふうにいたしたいと思います。(「地価が上がった場合どうするのだ」と呼ぶ者あり)
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 地価の問題について、いまやじの中で地価が上がるというお話、これは自民党の方の中にある一つの定見ではないかというふうに思うのですが、確かに羽田とか大阪とか、都市化しているところは上がると私は思いますが、成田のような農村地帯では上がるということは考えられない。いろいろ宅造とかこういう法の駆け込み買収があるのではないかとおっしゃられますが、現にここは調整区域ということで、大規模の開発については千葉県の都市部宅地課が開発行為の規制というものを非常に厳しくやっております。たとえば自転車屋さんが自動車修理屋になるのすらいま許可しないというくらい開発規制は個人のところまでここは調整区域ということで及んでおります。ですから、おっしゃられるような開発利益を目指して来たとしても、現行法の中で、農地転用の中で、あるいは大規模開発の中で、あるいは開発行為の規制の中で、法人であれ個人であれ農地であれ、あるいは山林であれ、現行法の中でかなりの規制というものができる状況になっております。ですから、現行法の体制を駆使するならば、こういう中でぼろもうけしようということを阻止することは十分できると思うのです。  ただ問題は、これによって損失を受ける人、それは法で地価と決めてしまったのだからというのじゃなくて、やはり損失は避けなければならないのではないか。得をさせなくてもいいですが、損はさせないという法の配慮考え方というものがなければならないと私は思うのです。
  77. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 その点につきましては、一言で申しますならば、社会的公正という観点からの判断になると思います。したがいまして、たまたまたなぼたのように地価が上がった、ぬれ手にアワというふうなものまでもそのとおりの金で買うか、やはり社会的公正を害する場合には減査定をする必要もあると思いますし、逆の場合には増査定をする必要もあるということで、十分実態に即しまして社会的公正という物差しに照らしまして遺憾のないような仕事をすべきである、こう考えております。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 次に私は、いろいろな問題が今後の運用の中に課せられておりますので、現実に見てまいりました大阪国際空港周辺整備機構の問題などと対比しまして、今後の運用の問題についてただしたいと思うのですが、一番大きな問題は、大阪空港の中でも代替地対策の問題、これが非常に失敗と見られる形があるわけです。ことしの八月、私の調査したところでは、これは現実に数字が正確に把握できないのですが、地域住民の話ですと、騒音激甚地帯の人に移転をさせる代替地を大阪空港周辺整備機構が四百区画用意した。ところが、現実には二十区画しか売れない、これが住民側の意見です。それから豊中市の調査では、約二百六十戸分用意はしたけれども、その中で売れたのは二十区画、こういう言い方なのでございます。現実に騒音禍から逃れてほしい、こういうことで用意した代替地が利用されない状況にあるようですが、この数字はどういうふうに把握されておりますか。
  79. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大阪周辺整備機構が、代替地造成事業の中で用意いたしました土地の区画数は、ことしの九月現在でございますが、五百一区画でございます。このうち造成が済んでおりますものが二百六十四、まだ造成中で、造成の完了していないものが二百三十七ということでございます。これら造成済みのものの中で売り払うことができたものが四十区画でございます。これは先生の御指摘の数字より少し多いのですけれども、しかしながら、すでに造成済みの二百六十に対しまして四十という数字はいかにも少ないということは御指摘のとおりでございます。  これにつきましては、数々の原因もございますけれども、せっかくの公共資金を使って造成した土地でございますので、また現に移転したい方もたくさんいらっしゃいますので、何とかこれを買い取りやすいような形にしてできるだけ買っていただきたいということでいろいろ知恵をしぼっております。もちろん会計法上その他の制約がございますので、たとえばデパートが半値にして売りたたくというようなことはなかなかできませんけれども、できるだけあらゆる手段を講じまして、価格を安くしてこの売却の区画数をふやしたいという努力を現にしているところでございます。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 四百区画のうち四十区画ということですから、大ざっぱに言って約一割しか代替地が売れない、この実態は、これが遠くて不便なところだ、こういうことが圧倒的な意見なんです。私、現地に行って「代替宅地のご案内」というパンフレットで見てまいりましたが、いずれもいまの大阪空港周辺の、奈良へも京都、大阪、神戸へも自由に行けるという市街地から、非帯に通勤に不便なところにだけ宅地造成を行っている、こういう代替地政策の失敗が一割しか買い手のつかないような代替地をつくってしまっている。そういう中で救済されない住民移転しない住民はどうなっているか。  大阪空港騒音激甚地区の豊中市の勝部二丁目というところに私、参りましたが、滑走路から約五百メートルか千メートルのところに百戸近くの住宅があるのでございますけれども、この中の大阪空港訴訟をやっている寺野清次郎さんという事務局長さんのお宅に一晩泊まったのですが、飛行機の騒音それから排気ガス、悪臭で家族全体が生気のない顔色をされておられるし、悪臭と排ガスのためにはだにしみが出てきている。それから周辺の部落の人たちに集まってもらいましたら、いずれも子供の鼻血の問題が出て調査してもらっている。まず人間が住むにたえないところだ、こういう状況の中にあるわけなんですが、なぜこの人たちがいま用意された四百区画もの宅地がありながら移転しないかというと、いま申し上げたように非常に不便なところに移らなければならない。生活の本体が都市部にあって、周辺の僻地に移ったら生活が成り立たないという問題がある。  それからもう一つ大きな問題は、買い上げ価格が坪二十七万円です。ところが、豊中市のような場合には、市内で代替地を求めると坪四十万円、したがって、十三万円の損失になる。ですから私、こういう表現をしていいかどうかわかりませんが、一晩泊まってみて、毎日生活している人にとっては地獄のような生活ではないか、こういうふうに感じたわけですが、そういう問題が結局時価の問題と代替地の問題で放置されている、こういう実態を目の当たりにしているわけです。  これを見ると、成田空港の将来も、周辺住民にとって非常に重大な問題になりはしないかというふうに私は思うのですが、この問題を解決する運輸省航空局の熱意とか努力、そういうのはどういうふうにこれを改革しようとお考えになっていらっしゃいますか。
  81. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大阪空港周辺の代替地問題というのは、悪い言葉で言えば武家の商法の失敗した典型みたいなものであります。もう一つは、地価の鎮静化というのは、一般的には大変結構なんですけれども、機構の仕事にとっては大変マイナスな状態であった。つまり、機構をつくったときは、地価がどんどん上がっておりましたので、安い素地を買いまして、その素地を造成してお金をかけましても、その売り渡しのときの時価にはまだ十分間がある、したがって、十分喜んで買っていただけるというふうに考えてした仕事が、この機構の仕事が始まったころから地価が上がらなくなってしまったということがありまして、造成費をかけただけ高くなったというふうなことがあるということ、これが士族の商法ということよりも、事実上はもっと大きな原因でございます。  そこで、大阪の問題でございますが、そういういきさつその他のことは抜きにしまして、やはり問題がありますのは、結局逆ざや問題です。移転補償でもらったお金では新しい土地が買えないということでございます。これにも問題がありまして、一つは、いまのような社会的な地価の動向の問題、もう一つは、区画が大きかったのです。これは豊中の勝部地区なんかはわりと大きい土地の人が多いのですけれども、たとえば川西市とかそういうところで非常に小さい家に住んでいらっしゃる、そういう方々は、むしろちょうど四十坪ぐらいの土地が欲しい。ところが、この機構で整備した土地は大体七、八十坪ということでございます。これは安いところをつくろうと思いますから勢い郊外になります。御指摘のように交通不便なところになります。交通便利なところはなかなか素地の価格が高いので、分譲価格が逆ざやになってしまうということで、やはり交通が必ずしも恵まれていない、しかしながら将来性はある、いずれはできるだろう、現に地価が安いというところを買収したために、そういうところでございますと、四十坪なんということではなくて、周辺の宅造地も全部八十坪、百坪というようなことであった。そこで勢い、機構がつくりました土地も、周りにならいまして八十坪とか七十坪とかという規模になっている。ところが、これでは川西市のようなところに住んでいらっしゃる方、現に四十坪くらいのところに住んでいらっしゃる方は、それが倍も広くなったってとても金がないのだ、こういうことになりまして、なかなか移転ができないことがあったわけでございます。  そこで、これらの問題でございますが、一つは、やはり相手を見て法を説くということが大事でございますので、現に住んでいらっしゃる方、移転をしたいと思っていらっしゃる方がどのようなところにお移りになりたいか、また希望の面積はどのくらいかということを十分アンケートいたしまして、余り大きいものはつくらない。これはもちろん県の宅地造成計画の基準がありまして、余り小さいものはスラム化していかぬということもあるようでございますが、この点は特免といいますか、事情を考慮させていただいてできるだけ手に入りやすい区画に直す。それから交通の問題につきましては、運輸省は陸上交通機関も監督いたしておりますから、バスその他をできるだけそこにつけまして交通の便利をよくする。それから移転補償価格をできるだけ高くするようにいろいろの知恵を働かす。それからまた、代替地の価格を安くできるように利子補給をしたり、財政資金の比率をふやしたり、あるいは無利子資金の比率をふやしたり、それによりまして代替地の価格自体を下げるあらゆる努力をいま傾注いたしております。何とか持っております土地を手に入りやすい価格で分譲いたしまして、いま御指摘の寺野さんのような激甚地区の方に一日も早く移っていただきたいというふうに考えて、日夜努力をいたしております。
  82. 小川国彦

    小川(国)委員 ひとつぜひその施策を積極的に進めていただきたいと思います。  最後に、空港公団にお見えになっていただいておりますので、私、一点だけお伺いをしておきたいと思います。  いま大阪空港周辺整備機構の問題で指摘いたしましたように、この代替地の問題というものは、こういうような空港政策を進める中で不可欠の問題になっております。これはいかに時価で買い上げようと、やはりそこに住んでいる勤労者にしても農民にしても、代替宅地、代替農地というものを求めるという声は圧倒的に強いわけです。ですから、今日まで成田空港をこじらせた最大の問題は、この代替地政策の失敗、これは私、いずれかの機会に申し上げたいと思いますが、農林省も国の機関としてこの代替地政策に全くノータッチであったということが言えると思います。それから公団自身も、これについては千葉県に任しておんぶしてきた、こういう実態があると思うのです。  これからこの立法の中で規制を受ける住民騒音で住めないということになってまいりますと、当然買い上げ請求をしますし、買い上げ価格が低ければ代替地を求める、こういうことになってまいりますが、この代替地政策に対するいままでの取り組み方では、きょうは問題点は指摘しませんが、いろいろ出てまいります。  ただ、今後もし本法が成立して施行というようなことになれば、当然、空港管理者としての公団が、この買い上げ政策なり代替地政策をやる当事者になるわけですが、この代替地政策というものを誤りないように、それから積極的にやるというお考えがあるかどうか、この辺をひとつお伺いしたい。
  83. 町田直

    町田参考人 先生の御指摘のとおりかと存じます。  ただ、成田空港の場合は、ちょっと大阪と事情が違いますのは、先生御承知のように、土地収用法の事業認定を受けまして、それから価格を空港本体につきましては固定しておるわけでございます。したがいまして、本体の代替地につきましては、最初は代替地の方がむしろ非常に安くて、反当たり百四十万で買って九十万で代替地を売る、それで十分に、まあ十分にと申すと言い過ぎかもしれませんが、大体満足してもらう、こういう状態でございましたが、その後、数年間たちましたために代替地の値段が非常に高くなってしまったわけでございます。  そこで、私の方といたしましては、周辺の代替地をつくります場合に、本体の値段で買うよりもかなり高い代替地を用意しなければならぬ、こういう状態になってきておりまして、その辺に大変むずかしい問題がございますけれども、一応代替地を御要求される方の御満足のいくものをできるだけ用意していきたい、こういうことで進めてきたわけであります。  本法が施行されますと、当然これに伴いまして代替地の問題が出てまいります。そこで、先ほどから御議論がありましたお買い上げをするときに時価で買うその時価の問題と、それから時価が非常に不十分であってどうしても代替地が欲しい、こういう場合と、両方あると思いますが、先ほど航空局で御答弁ありましたように、まず時価を適正なものを考えていくということが一つと、それから、それに相応しますような代替地もできるだけ今後引き続き用意していくということをお約束いたしたいと思います。
  84. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  85. 大野明

    大野委員長 次回は、来る二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十八分散会      ————◇————−