運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-16 第82回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十六日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 宮崎 茂一君 理事 坂本 恭一君    理事 渡辺 芳男君 理事 石田幸四郎君    理事 河村  勝君       愛知 和男君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       三塚  博君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         防衛庁長官官房         環境保全課長  田中 守男君         防衛施設庁施設         部施設企画課長 三條 俊郎君         環境庁企画調整         局環境管理課長 望月 美之君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         運輸省航空局監         理部企画課長  吉田 耕三君         建設省都市局参         事官      川上 幸郎君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         建設省道路局路         政課長     山本 重三君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 町田  直君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  増村啓一郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     愛知 和男君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     小沢 辰男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(内  閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、新東京国際空港公団総裁大塚茂君、副総裁町田直君、理事角坂仁忠君及び理事増村啓一郎君を参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
  5. 草野威

    草野委員 ただいま審議されております特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案、この法案による特定空港対象は、これまでの大臣の御答弁によりますと、当面は成田空港のみということでございますが、成田空港がこの法律によって対象となる背景について初めに若干お伺いしたいと思います。  成田空港の場合は、周辺は現在市街化調整区域になっておりますし、また、航空機騒音防止法によりましてもさまざまな騒音対策がとられているわけでございます。その上にこの法律によってまた網をかけるということになりますと、かなり厳しい問題も出てきているようでございます。特に公共優先か、また、私権の制限につながるのではないか、こういうような論議もある中で、今回成田空港にこの法案を適用しようとされている背景からまずお伺いしたいと思います。
  6. 田村元

    田村国務大臣 成田空港をとりあえず特定空港として指定をいたしたいと考えましたのは、何といいましても、でき上がっておるとは言いましても新空港でございます。そうしてぼつぼつ周辺宅地化が進みつつあるということでありまして、騒音防止という観点から人権を擁護する、快適な生活をわれわれは地元方々のために保全していかなければならぬ、そういうことになりますと、どうしてもこの法律を必要とする。千葉当局からも非常に強い御要請がございました。われわれも、かねてからこういう法律必要性はあろうという考え方を持っておりました。そういうことで今回の立法に踏み切ったということでございます。
  7. 草野威

    草野委員 この法律は、公共優先という考え方が非常に強いわけでございますが、このような法律ができますと、この手法をまねまして新幹線だとか高速道路だとかの建設の際にもこれから適用をされていくのではないか、こういうようなことがいろいろと心配されるわけでございますが、きょうは建設省の方もお見えになっているようでございますので、あわせてお答えを願いたいと思います。
  8. 田村元

    田村国務大臣 新幹線部分につきまして、私からお答えをいたします。  御承知のように、飛行機騒音公害を受けるエリアというのは非常に広うございまして、新幹線とは全然趣を異にいたしております。でございますから、このような法律新幹線について立法していく、あるいは適用していくということは、いまのところ全然考えておりません。
  9. 海谷基治

    海谷説明員 お答えいたします。  高速道路につきましては、その騒音対策といたしまして、先生承知のように、すでに道路自体の改善といいますか、遮音壁をつくるというようなこと、その他いろいろやっておるわけでございます。また、最近では一定の沿道の住居に対しまして防音工事の助成をするというようなこともやっております。それからなお、沿道に音に強い、裏側の建物を守るといいますかそういう建物を建てる場合には、これに対しまして多少援助をするというようなこととかいろいろやっておるわけでございますけれども、そういうこととあわせまして、沿道土地利用ということにつきましても、今後検討の課題であろうというふうに考えております。現在役所の中でいろいろ委員会等を設けまして研究をしておるわけでございますが、ただ御承知のように、高速道路、これは全国全部つながっておるわけでございますから、飛行機というものとの違い、いろいろ問題点がございますので、今後十分研究を進めていきたいというふうに考えております。
  10. 草野威

    草野委員 じゃ、大臣にもう一つお伺いしたいと思いますが、成田空港が現在十一年たちましてそろそろ開港の時期が云々されておるわけでございますが、現在に至るまでさまざまな懸案問題がございました。燃料の輸送問題であるとかアクセスの問題であるとか銚子の問題とかまた空域の問題であるとか重要問題があったわけでございますが、これらの問題につきまして、世上言われておりますように、来年の春ごろに開港になった場合に、すでにこれらの懸案の問題についてはすべて解決がついておるのかどうか、また、ついていなければ、どういう問題についてどういうことが残っているのか、この際明らかにしていただきたいと思います。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席
  11. 田村元

    田村国務大臣 湾岸道路、これは恐らく一月中には千葉まで供用開始ということになろうかと思います。それから成田駅から五十一号線に通じます街路、これは年度内供用開始ということになろうかと存じます。それから五十一号線も、千葉当局から強い御要請のありました部分につきまして供用開始ができるであろうというふうに考えております。その他もうすでに京成はでき上がっておりますし、それから東関東も十分に使える、その他いろいろとございますが、直ちに一〇〇%それが完全にでき上がるということは、ちょっとまだ申せません。申せませんが、一応開港に若干の、いっときの御不便をおかけすることはあるいはあるかもしれませんけれども開港についてまず大きな支障はない、こういう判断をいたしまして、千葉当局並びに関係市町等からも正式の御回答を得まして年度内開港に踏み切りたい、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、先ほど実は千葉県知事が私のところへ来られまして朝お目にかかったのでありますが、ちょっと御報告を申し上げたいと思います。  実は、きょう千葉県知事宅地開発公団総裁がそろって私のところへ来られました。そして県営鉄道の権利の一部を宅開公団に譲渡して、そして宅開公団でとりあえず部分的に事業をやりたい、こういうことでございまして、私からお答えいたしましたのは、本来認可を受けた千葉県がやるべきもの、しかし、千葉県が従来どおり責任を持ってこれにバックアップをなさるのならば、それはお認めをいたしましょう——お認めいたしましょうというか、認める方向検討いたしましょう、こういうことをお答えいたしましたのが一点。いま一つは、千葉県は鉄道の恩恵を受くることに非常に乏しいということから、従来の県営鉄道構想というものを生かしてもらいたいという御要望がございました。それに対して、私は、かねがね自分で描いておりました構想がございましたので、これを知事説明いたしました。それは成田空港から千葉ニュータウンを通りまして、非常に大ざっぱな言い方になって恐縮ですが、京成高砂を経て営団八号線にドッキングをさせる、そして八号線を使ってもろに東京駅へ入る、つまり空港東京駅とを直結する、通勤特急とする、そうすればアクセスにもなるし、同時に、千葉ニュータウンが非常に助かる、将来の成田市やニュータウン周辺人口増を見込んだときに、これは急がねばならない問題だと思う、こういう構想を実はお示し申し上げた。それに対して知事は、非常に喜ばれて、私もこれには同感である、こういうことでございました。  ただ、いろいろな絡みがございまして、現実には非常にむずかしく、また複雑な問題もございます。でございますので、とりあえず国、県それに営団京成、国鉄、宅開公団、その他あるいは空港公団も入るかもしれませんが、いろいろな関係筋を集めて協議会をつくろう、その協議会は一日も早く第一回を開こう、一堂に会してこの問題をたたき台にして協議しよう、こういうことを私から御提案申し上げ、知事もこれに非常に賛成された。もちろん千葉県も物心両面の御協力を申し上げる、こういうことでございました。そういう構想もどうやら緒についてまいった。きょう実は、つい先ほど九時から知事にお目にかかった。非常にいい機会でございますので、いまの御質問に便乗して恐縮ですが、当委員会に御報告を申し上げておきたい、このように思います。
  12. 草野威

    草野委員 交通輸送手段につきまして一歩前進をしたというお話がございまして、非常に結構なことでございますが、いまの大臣お話の中にもちょっとお触れになりましたように、成田ニュータウンの問題も出ておりましたけれども、これは直接関係ないことかもしれませんけれども、やはり成田市民の感情としては、どうもニュータウンばかりが優遇されるのじゃないか、われわれ旧市街市民のことについても十分に配慮してもらいたい、こういうような声もございますので、ひとつお忘れないようにお願いしたいと思います。  それから、いまの大臣お話を伺いまして、若干の問題は残るけれども、大して大きな支障はない、そういうことでいよいよ開港に踏み切るということでございますが、残る問題として、現在ここに審議されているこの法案開港への一つ条件となるわけでございますか。そのことと、それから開港の時期につきまして、もうほぼ煮詰まっているような話も聞いておりますが、お差し支えなければこの席でひとつ大臣に御答弁を願いたいと思います。
  13. 田村元

    田村国務大臣 条件と申しますか、この法律につきましては千葉県知事から強い御要望がございました。     〔宮崎委員長代理退席委員長着席〕 でございますから、絶対的な条件と言えるかどうか、これはちょっと私も割り切った御答弁ができませんが、私どもとしては、精神的に非常に大きな負担感じておるといいますか、やはり条件として受けとめた方がよいだろうというふうに実は受けとめております。  それから、開港日でございますが、率直に言いまして、まだ何月幾日ということは決めておりません。いま少しく経過を見てみたいなという感じでございます。もうすべての条件は整いました。すべての条件は整いましたから、きょうにでも空港合格通知を出し、関係閣僚会議を開き、日にちの告示をし、NOTAMという手続はとれますけれども、いま少しく経過を見たいというふうに考えております。まだ総理大臣に直接いつごろという相談をしたわけでもございません。ただ、年度末までには開港をしたい、こういうことを考えておる、年度を越したくない、こういう考え方をいたしておる、こういうような現在の心境でございます。
  14. 草野威

    草野委員 開港までのいろいろな問題については、条件というものについてはすべてもう何も残っていないということでございますね。そうしますと、開港日にちというものについても、決定するに当たりましてもう問題は全然ないわけですね。そのように解釈してよろしいですね。
  15. 田村元

    田村国務大臣 決定をしようと思えば、また、決定をするに際しての諸行事といいますかセレモニーといいますか、諸行事をいたしますについての障害はもうすでに何もございません。いつでもやろうと思えばできます。
  16. 草野威

    草野委員 では、この法案の中身につきまして若干伺いたいと思います。私、運輸省並びに公団から地元成田市に対しまして、成田市の要望に対していろいろ回答を出されているようでございますので、この法案に関する部分につきまして若干お伺いをしたいと思います。  まず、環境基準早期達成ということでございますが、開港後できるだけ早期に五十八年度最終目標値達成に努める、このように公団の方からお答えになっているようでございますが、この点は大丈夫ですか。
  17. 町田直

    町田参考人 ただいま御指摘ございましたように、環境基準中間目標が五十三年度末でございまして、それから最終目標が五十八年度末になっております。私どもは、まず中間目標を、五十三年度末でございますけれども、できるだけ開港までに達成いたしたいということで努力をいたしている次第でございます。  民家防音につきましてまだ約三百戸ぐらい、それから移転につきまして五十二戸ばかり残っておりますが、これにつきましても、いま鋭意関係住民の方とお話を進めておりまして、できるだけ目的を達成いたしたいというふうに努力をいたしておる次第でございます。
  18. 草野威

    草野委員 いまのお話によりましても、民防工事が、計画が八百十七戸に対して五百三戸ということで三百十四戸残っておるということでございますが、どうもいろんな理由があるようでございますけれども開港がもう年度内というふうに大臣お話でもございましたので、やはり開港後三百戸以上の民防工事をしないおうちが残っておるということになりますと、いろんな問題がまた続いて出てくることは想像されるわけですね。これらに対するいまその見通しというのですか、どういう問題が残っているのか、若干その内容についてひとつお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一つは、教育施設関係ですが、学校とか幼稚園保育所病院等、これらの施設に対する防音工事もかなり残っているようでございますが、これがこのまま開港という事態になりますと、いろんな問題があると思いますが、これはどうなっておるでしょうか。
  19. 町田直

    町田参考人 民防工事の三百十四戸につきましては、ただいま先生が御指摘ございましたように、いろいろな理由がございまして、一番大きな理由は、開港して実際に音を聞いてみてからにしたい、こういう方がかなりいらっしゃいます。そういう方に対しましては、実は八月に二日間でございましたけれども騒音テストをいたしましたし、それから近く恐らく運輸省慣熟飛行等も行われますので、そこで実際に音を聞いていただきました上でさらに話を進めてまいりたい、こういうことを考えております。三百戸と申しましても、防音工事そのものはそれほど期間はかかりませんので、住民の方が防音工事をしようという御決意をされましたならば、かなり早く進むのではないか、こういうふうに存じておりまして、そこで実際に音を聞いてからという方にはそういうことでやっていきたい。  それから、一つ部落で一戸二戸の方はやりたいという御希望があっても、部落全体として方針を決めないとなかなかできない、こういうようなところもございますので、そういう方々に対しましては、部落長さん等を御訪問いたしまして、部落全体として何とかひとつ一日も早く防音工事をされますようにということで、いま鋭意努力をいたしておる次第でございます。  それから学校幼稚園保育所病院共同利用施設というようなものにつきましては、学校につきましてはAランウエーで二十五施設Bランウエーで九施設、それから幼稚園ではそれぞれ一施設、それから保育所Aランが八、Bランが三というような数字で防音施設をいたしております。小学校保育所等につきましては、少なくともAランについては現在ほとんど完成をいたしておりまして、開港までにどうしても手をつけなければならないものは現在残っておりません。その他の施設につきましては、今後できるだけ御希望がありましたら急いで進めたいというふうに考えております。大体このような状況でございます。
  20. 草野威

    草野委員 では次に、この防音工事に対する問題につきまして、まず補助対象であるとかどんな住宅がその対象になるのか、それから補助の内訳、こういうことについて御説明をいただきたいと思うのですが、一つの問題は、現地の人たちと話し合ってみまして、この防音室というものがどうも余り評判がよくない。それから現在は、原則として一戸に対して一室、家族がふえれば二室になる場合もあるようでございますけれども、そういうことは日常生活に大変不便が出てくるのではないか。それから居住性の問題にしましても、飛行機が飛ぶたびに飛び込むようでは、まるでこれでは防空ごうと同じような感じじゃないかとか、窓が極端に狭いとか、さまざまな苦情も出ておるようでございます。こういう問題に対しても、公団の方は特に御存じだと思いますが、どのように対処をされようとしているのか、そういうこともあわせてひとつお伺いしたいと思います。
  21. 町田直

    町田参考人 ただいま先生から御指摘ございましたが、実は防音室というのは、千葉県が最初にお考えいただきまして、全国的にも成田空港だけがやっている制度でございます。改造の方は一室、二室という制度で、これは全国的にやっておる制度でございます。  それでまず、改造の方につきましては、一室、二室というのは、一般的に各地でやっておりまして、人数、世帯数等によりまして行っている制度でございますが、特に成田のような非常に田舎の家が多くて広い家がある、こういうようなところでは一室、二室というふうに限っていくことは、必ずしも適切ではないのじゃないか、こういう声がございまして、私どもも、できれば全戸防音に持っていきたいということをいま考えている最中でございます。いままでやってまいりましたのが一室、二室制度でございますので、現在はそういう制度で進めまして、来年度試行と申しますか、試しに全戸防音というのを経験的にやってみまして、できましたら引き続いて五十四年度ぐらいから全室防音ができればやってみたいということで、関係方面協議をいたしているというのが実情でございます。  それから、防音室につきましては、これはまず補助の点でございますけれども、たとえて申しますと、一室防音室の場合は、全体で二百七十万円かかりますのに対して二百十万円の補助をしているということで、個人負担が五十九万円になる。それから二室の防音室につきましては、同じようなことで個人負担が百九十六万円になるということで、個人負担がどうしても出てくるわけでございます。これは先ほど申しましたように、全国的にも新しい制度でございますし、一つ資産がふえてそれだけの価値が出てくるということで、ある程度の個人負担はやむを得ないのではないかというふうに考えておりますけれども、しかし、この個人負担の面につきましても、今後できるだけ減らしていきたいということで関係方面と折衝していきたいと思っております。  それから、居住性の面につきましても、確かに御指摘のように手洗いとかいろいろ不便な点もございますので、こういう面につきましても逐次改善していきたいと考えております。  ただ、実際の状況を見てみますと、最近の住民の御希望は、防音室というのは非常に少なくなりまして、やはり現在お住まいになっている家を改造していきたい、したがって一室、二室ではなくて、できるだけ全戸防音に持っていってくれ、こういう御希望が非常に強いので、そういう方向で今後は考えていくべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 草野威

    草野委員 ちょっと大臣に伺いたいのですが、いま公団の方から、この防音室の問題について五十四年からよければ全室防音にしたい、そういう話もございました。それから現在の防音室、一部個人負担がある、確かに二〇%から四〇%くらいの間で個人負担がされているようでございますが、こういう個人負担ということについて、いまの公団説明ですと、資産が新しくふえるから一部負担もやむを得ないのじゃないかという話もちょっとございましたけれども住民にとりましては、こういうような資産をふやしたいという、そういう積極的な希望は何もないわけでございます。したがって、こういう負担というものは、やはりこれは全額補助されて、なくすという方向の方が望ましいのじゃないかと思います。  大臣は、先日何かこの問題につきまして、国で全面的に補助するような方向に持っていきたいというようなことが新聞にちらっと出ておりましたけれども、この点はいかがでしょうか。
  23. 田村元

    田村国務大臣 私は、そういうような希望を持っておりましたが、いずれにいたしましても、改良は個人負担はございません。外に新しくつくる、この場合におきましても、個人負担を極力少なくするように目下検討中でございます。
  24. 草野威

    草野委員 大臣お答えでございますが、ひとつ個人負担はできるだけ軽くするというのじゃなくて、なくするようにしていただきたい、要望でございます。  それから、細かい問題になりますけれども、外に独立した防音室を建てた場合に、当然これは固定資産税対象にもなってくると思います。そういう問題であるとか、それからさまざまな維持費も出てくると思います。たとえばこれは聞いた話でございますけれども防音室を建てて間もなく、風が少し強く吹いたときに屋根がすっ飛んでしまった、こういうような話も聞きました。そういうことで、そういう維持費等の問題について何かお考えになっているのかどうか。
  25. 町田直

    町田参考人 ただいまの屋根お話は、私は、実は聞いておりませんでしたので、あれでございますが、維持費につきましては、実は増築の場合も改造の場合も特に考えておりません。ただ、維持費ではなくて、増築の場合は当然ですけれども改造の場合でも冷暖房施設をつける、こういうことは当然やるということで進めておる次第でございます。  税金につきましては、これも先生指摘のように、改造につきましては固定資産税、不動産取得税、登録免許税すべて免除でございます。——免除と申しますか対象外でございますが、防音室につきましては、固定資産税対象になっております。不動産取得税につきましては、形式的には対象になりますけれども、評価額が低いということで実際には適用になっていないということでございます。それから登録免許税は、評価額の千分の六適用されておりますすべて防音室の場合でございます。ただ、固定資産税につきましては、たとえば成田市等では、これは私が聞いた話でございますけれども、形式的には徴収いたしますけれども、別途名目をつけまして実際にお返ししている、こういうことをやっておられるようでございます。
  26. 草野威

    草野委員 そうしますと、もう一点だけ伺いたいのですが、五十四年から全室防音、こういうような方針で進められているようでございますが、全室防音になった場合には個人負担というものはないのでしょうか。  それからもう一つは、そういう家であっても、現在庭に防音室をすでに建てている場合に、こういう人はどうなるのかということですね。もうそういうものは要らないわけです。細かいことかもしれませんけれども、実際にはそういう問題も起きておりますので……。
  27. 町田直

    町田参考人 実は、先ほども申しましたように、まだこれから五十三年度に試行と申しますか試しに行いまして、それから検討いたしますので、いまの段階で確実なことは申されませんけれども、全室防音になっても恐らく個人負担はほとんどないようにできるのではないか、こういうふうに私は考えております。  それから、改造ではなくて増築をした場合の処理につきましては、これは実は大変むずかしい問題でございまして、そのできましたものが、先ほど申しましたように、一応形として残っておりますので、その分を、全室を改めてやる場合にその費用をそっちから引くかどうかという一つの問題がございます。これにつきましては、ほかとのバランスもございまして大変いろいろ議論が出てまいりますので、今後十分検討し、かつ地元方々とも御相談をして決めていきたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  28. 草野威

    草野委員 そういう点につきましては、特に住民方々から不満等が出ないようにひとつ御配慮を願いたいと思います。  次に、航空局長にお伺いしたいわけでございますが、初めにB滑走路からC滑走路ですね、いわゆる第二期工事、これの完成時期につきまして五十五年ということが当初言われたわけでございますが、この見通しにつきましてお伺いしたいと思います。
  29. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  B、C滑走路を含みますいわゆる第二期工事につきましては、用地買収がまだ若干残っておりまして、これを速やかにいたしまして直ちに造成にかかるということにいたしております。時期的には、恐らく開港になりますと直ちにそういったことにとりかかることになると思います。  そうして、いつごろできるかという点でございますが、はっきりした工程等については、また相手もあることでございますので、なかなか確定的に言えませんけれども、仮に来年度早々用地の取得あるいは一部の工事の着工等をしたといたしまして、恐らく第二期工事が終わりまして二期分の施設供用開始されますのは五十七年くらいになるのじゃないかと思います。これは確定的なことじゃありませんが、本当は私の推測でございますが、恐らくそのくらいはかかるのじゃないかというふうに思います。
  30. 草野威

    草野委員 このB滑走路の騒音区域につきまして先日発表がごさいました。それによりますと、面積は六百九ヘクタール、戸数が二百二戸、このような内容になっておるようでございます。いまの航空局長の御答弁にもございましたように、第二期工事の完成が早くても五十七年ごろにはなりそうだというそういう見通しだそうでございます。そういたしますと、五十八年度のいわゆる環境基準最終目標達成しなければならない時期とほとんど重なるわけでございますね。そのときには騒音の指数が七五ですか、最終目標ですね、そういうことになってきますと、この面積が現在のところ六百九ヘクタールということになっておりますが、実際にはもっともっと広い面積が騒音区域として区域の中に入ってくるのじゃないかと思うのです。どうでしょうか、この面積六百九ヘクタール、戸数二百三戸、こんなものでおさまるのかどうか。将来の話ですけれども、ここら辺のところはもう少し確実な見通しを立てていないと、将来に大きな問題が残るのじゃないでしょうか。
  31. 町田直

    町田参考人 Bランのコンターは、公団でつくりましたものですから、私の方からお答え申し上げますけれどもBランのコンターは、いまのAランのあれと同じように八五以上のコンターをつくったわけでございます。ただし、それはただいま航空局長からも御答弁がありましたように、まあB滑走路ができますのが五十五、六年というような予想でございますけれども、いずれにいたしましても、最終目標達成するということを前提にいたしましてつくったわけでございます。ただ、五八WECPNLよりさらに広いものにつきましては、実は飛行コース等もBランの方はまだはっきりいたしておりませんし、非常に不確定要素がございますので、それ以上のものはつくらなかったわけでございます。したがいまして、先ほど先生から御指摘がありましたように六百数ヘクタールとか二百戸、こういうことになっておるわけでございます。  それともう一つ、そのときになりますと、飛行機のジャンボ化比率が非常に進んでまいりまして、現在のAランではシャンボ化比率を三五%と踏んでおりますけれども、恐らくそのころになりますと八〇%くらいになるだろう、こういう予想でございます。そうすると、騒音の実際の指数が非常に低くなるわけでございます。そういうことを全部勘案いたしまして、あのコンターをつくったわけでございます。当然五十八年度になりますと七十五以上地域になると思いますので、そういたしますと、御指摘のようにこの間のコンターよりはかなり広くなるということだと思います。それははっきりコンターができる時点にさらに確定いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  32. 草野威

    草野委員 副総裁お話でございますが、十年先の騒音コンターの予測ということは非常にむずかしいと思います。したがって、いまのお話でございますけれども、この問題につきましては、ひとつ慎重に取り扱っていただきたい、このように要望いたします。  時間の関係がございますので次に進みますが、C滑走路の問題でございます。C滑走路、いわゆる横風用の滑走路ができないままに年度内開港ということに踏み切ることになるわけでございますが、その点について気象庁のデータ等によりますと、何ら問題はない、危険はないというようなことでございますが、この点について、これは航空局長にお伺いしたいのですが、ことしの四月に羽田ではフィリピン航空のああいう事故がありまして、一歩間違えば大惨事にもなりかねないような事故があったわけですね。確かに気象庁のデータによりますと、問題はないように思いますけれども、果たしてこういう横風用の滑走路がなくてスタートしても大丈夫かどうかということ、やはり風というのは突風ということもございますので、そういうことももちろん考慮をされていると思いますけれども、C滑走路なしにスタートして安全という面で大丈夫かどうか、これは航空局長にひとつお伺いしたいと思います。
  33. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えを申し上げます。  成田空港につきまして、最近の数年間の気象状況を調査したデータ、いま先生もおっしゃいましたが、九八・八%程度が現在のA滑走路でカバーできる、この場合の横風限界を十三ノット、こういう程度に見ております。十三ノットという横風限界はYS11程度の飛行機でございますので、現在国際線に使われております747でございますとか、あるいはDC8でございますとか、こういうものでございますと、大体横風限界が、ランウエーの状況その他にもよりますが、二十五ノット、仮にランウエーの状況が悪くて二十ノット程度の横風で着陸しない、横風限界を二十ノットまで引き上げたといたしますと、その場合の成田のA滑走路についての横風限界率というのは〇・一二%程度ということになります。  そこで、そういうふうになった場合に、それではおりられないではないか、こういう問題が出てまいりますが、横風がありました場合には、もちろん各航空会社がそれぞれ自社の規程を持っておりまして、これ以上の横風がある場合には着陸しない、こういうことになっておりますので、行き先を変更する、こういうことになろうかと思います。その変更の度合いが余りにも多ければ、これは国際空港として使い物にならなくなってくるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、通常の現在の国際線用のジェット機の横風限界二十ノットというあたりに目安を置きましても〇・何%、こういう程度でございますので、その程度の行き先変更ということは、当面C滑走路がございませんので避けられないことであろうかとも思いますが、しかし、それによって安全が阻害されるというふうなことには決してならない、このように考えております。
  34. 草野威

    草野委員 このC滑走路の問題でございますが、使用回数が少ないということで、騒音区域の指定には入っていない、この点についても住民の間からいろいろと声もあるようでございます。特に公団の方は御存じだと思いますが、C滑走路の西の端の方、この線引きの問題でございますけれども一つ部落が県道によって半分に切られてしまう、部落としてはやはり統一行動をとりたい、こういうような希望もあるようでございますけれども、この線引きの問題につきましては、そういう実情というものをいろいろと勘案をされてやられた方がよろしいのではないかと思いますが、こういう点はいかがでしょうか。
  35. 町田直

    町田参考人 ただいま先生のおっしゃいました問題は、いまもお話ございましたように、C滑走路は年間の使用回数が非常に少ないので、騒音防止法によるいわゆる指定地域というのはできない。現在はC滑走路とその先にございます航空保安施設設置用地というものを計画しておりまして、そこの買収をいたしておる次第でございます。  そこで、ただいまお話しの点は、航空保安施設設置用地にございます数軒の家と、それからその外にございます十軒くらいの家が一つ部落として一緒に移転したい、こういうお話でございますが、制度上はなかなかむずかしゅうございます。いわゆる線引きではございませんで、私の方の用地のことでございますので、なかなかむずかしいということがございます。ただ、いろいろ村の事情と申しますか、部落の御事情等もあると思いますので、私どもでよく地元方々お話を承りまして、何かひとつ御満足のいくような方法で解決できたらということで近くお話をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 草野威

    草野委員 それから、早朝深夜の飛行という問題でございますが、いままでの審議の中で、羽田飛行場並みということでございますと、飛行禁止時間が十一時から早朝六時までということになるわけですね。この問題につきましても、住民の間ではああいう農村地帯でございますので、できるなら夜間十時というような声が圧倒的に強いようですね。この時間帯については、もう変えるお考えは全然ないのかどうかということです。特に十一時となった場合でも、それ以降深夜にどのくらいの便数が飛ぶことがあるのか、こういう問題もありますし、それからもう一つは、夜間九時から十一時くらいまでの二時間、こういう時間帯に便数がどのくらいあるのか、こんなことがわかったらひとつお答えをいただきたいと思います。  さらにもう一つは、テレビだとかラジオだとか電話、こういうものに対する障害の対策、これはどういうふうになっているでしょうか。
  37. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 地元の御要望については十分承知いたしておるわけでありますけれども、何せ成田空港は国際空港でございますから、外国の相手方空港の離着陸時間との関係がございまして、私ども国内事情だけではなかなか思うに任せぬ点もあるわけでございます。私ども地元お話申し上げておりますのは、羽田空港並みの、いま先生お示しのような夜の十一時から朝六時までの禁止ということでぜひやらしていただきたいということをお願いしているわけでございます。もちろんこのためには、先ほど来問題になっておりますような民家防音工事を徹底的にやるというふうなことも前提でございますし、また、少し遠い将来まで考えれば、きょう御討議願っておりますようなこういった法律案によりまして、空港直近の場所が新しく市街化することを避けるというふうなこともそういうことに連なってくると考えております。この夜の十一時から朝六時までの飛行禁止時間につきましては、私どもは、もちろん国内、国外各エアラインを指導いたしまして、絶対にこれを守るようにいたしたいと思いますが、現在の羽田の状況についても、たとえば三時間、五時間、遠い先の外国の空港の事情によってどうしてもやむを得ずおくれて入ってくるという便がゼロではございません。非常に少のうございますが、ゼロではございません。しかし、これもできるだけゼロにするように指導いたしてまいりたいと思います。  また、開港に伴いまして、いままで静穏な田園に新しい航空機が飛び交う、それによりましてテレビ障害を中心とする各種の電波障害等が起こった場合には、実情を十分調査いたしまして、すでに全国の各空港において措置をいたしておりますような補償措置等を講ずる予定にいたしております。
  38. 草野威

    草野委員 では、石田委員の方から関連の質問がございますので、これで私の方は終わりますが、どうか騒音対策、また安全対策ということにつきましては、十分にひとつ対処していただきたい、このことを要望して質問を終わります。
  39. 大野明

    大野委員長 関連して、石田幸四郎君。
  40. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 草野委員の持ち時間の範囲内で、関連して一、二お伺いをしたいと思います。  今回の法律の適用は成田に限るわけでございますが、いわゆる法律によって騒音対策が進んでいるのは、成田と第三セクター方式による大阪、こうなっておるわけでございますが、やはり地方ローカル線等においても、だんだんジェット機の導入が進んでおるわけでございますので、これからも騒音対策を積極的に進めなければならない、そういう方向であると思います。  まず、航空局長にお伺いしたいのは、現在、この大阪、成田、羽田等を除きまして、特にこれから騒音対策をしなければならない、地元のそういった騒音に対する厳しい苦情が出ている空港、そういうものはどういうところが挙げられますか。
  41. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  羽田、大阪、福岡等はもちろんでありますが、それ以外のローカル全空港につきまして、いまどことどこということを具体的に申し上げる資料を持ち合わせておりませんけれども、日本のこういった国土の状況でございますので、空港周辺がいつまでも広い空き地でいるということは大変むずかしいと思います。したがいまして、その他の空港につきましても、そういう空き地が宅地化されるという将来の状況を十分推測いたしまして、必要に応じてこの法律の適用を考えて、未然に騒音障害を防止していくという姿勢で法律の施行を行うつもりでございます。
  42. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大臣にお伺いしますが、すでに騒音の問題でかなり厳しい状況にあるのが、やはり福岡と名古屋空港ではないかと思いますが、こういった空港の問題について、今後どういう方法でやるのか、いわゆるこういった特定空港に対する騒音対策という形でいくのか、第三セクター方式でいくのか。いま自衛隊が同居しているところは、自衛隊の予算等で個々の騒音対策をやっておりますけれども、こういった基本的な問題を詰めていかなければならない状況にあるわけでございますので、どちらの方向をとろうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  43. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  福岡につきましては、すでに大阪と同じような周辺整備機構、第三セクターができまして周辺の整備を始めております。これにつきましても、将来の新しい被害を防除するために新しい法律案の適用が必要になれば適用していくことになると思います。  それから、名古屋でございますが、御承知のように、これは自衛隊が管理いたしておりますので、私どもの手中にございませんけれども、話に伺いますと、防衛二法が成立いたしますと、あそこの部隊が全部ほかへ移る、そして名古屋空港はいわゆる民間空港になるということも聞いておりますので、そういった場合には、従来の各空港に適用しております手法、いわゆる騒音防止法に基づく手法を適用いたしまして、さらに必要ならこの法律案も適用いたしまして、十分騒音問題の解決に当たりたいと思っております。
  44. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これはこの席で答弁することはむずかしいと思いますけれども、そういう都市周辺にある空港については、やはり早い機会に方針を明らかにしていただきたいということを申し上げておきます。  それから、着陸料の問題でございますけれども、これは着陸料が設定された当時、いわゆる騒音対策のために財源が必要であるというようなところから着陸料というような形で取られておるわけでございますが、最近の国鉄運賃の値上げの問題とも絡んで、いわゆる総合運賃制度をとらなければならない、こういうふうな方向が示されておるわけですが、この着陸料の問題は、いままでは別個に扱われてきたというふうに私は解釈するわけですけれども、やはり利用者から見れば、その航空運賃の中に含まれてくるわけですから決して無関心ではおられない。この着陸料の問題ですが、いままでの論議の中で、国鉄運賃とのバランスもあり、若干着陸料を上げた方がいいのじゃないかというような議論があったやに聞いておりますけれども、いまこの着陸料の問題についてどういうようなお考えを持っていますか。
  45. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私ども、航空機の発着に伴いまして必要なすべての費用、特に空港あるいは航空管制の費用は、全部航空会社の負担とすべきであるという考え方から、着陸料あるいは特別着陸料等の制度を設けてやっておるわけであります。現在通行税まで仮に計算をいたしまして利用者負担というふうに考えますならば、航空につきましては、空港の整備あるいは管制等の設備に必要な費用の一〇〇%近く、九九%以上のものを、そういった利用者負担で賄っている現状でございます。  それで、こういったものの整備は五カ年計画で進めておりますけれども、この財源がやはり足らなくなります。そこで、五十二年度におきましては、着陸料を倍にいたしまして対応いたしました。五十三年度以降も着陸料、特別着陸料等をやはり増徴していかなければ五カ年計画の財源不足を生ずるというおそれがある場合には、そういったものの値上げも考えるべきであるというふうに思って、いま五十三年度予算を控えまして鋭意検討いたしているところであります。
  46. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に、成田空港開設について先ほど大臣は、すべての諸条件が整ったというふうにおっしゃっておるのでありますが、きょうの新聞等で小さないろいろな動きを伝えるニュースの欄を見ますと、ジェット燃料の運搬について反対の動きが一部あるようでございます。この問題について心配はないのかどうか、ここら辺の見通しについてもお伺いをいたします。
  47. 田村元

    田村国務大臣 一部にそのような動きがあるということは私も聞き及んでおります。  そこで、手順でございますが、まず国鉄に対して正式に暫定輸送をお願いするというのは、どういう時点でこれをお願いするか、合格通知を出した時点あたりでお願いをするかなというように考えておりますが、何といいましても労使の問題でございますから、国鉄に対して円満に御協力をいただけるように労使でよくお話し合いをいただくということにしなければならないかと思っております。いずれにしても、きわめて近い将来国鉄当局に対して暫定輸送について御依頼を申し上げたい、こう考えております。
  48. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  49. 大野明

    大野委員長 次に、米沢隆君。
  50. 米沢隆

    ○米沢委員 防衛施設庁の方、来ておられますか。——時間の関係で、最初に施設庁の方にお伺いしたいと思います。  民間空港につきましては、こういうかっこうで立地規制をなし、将来に備えるという準備がなされておりますけれども、今後、自衛隊等が使う飛行場、米軍が使っておる飛行場、そのあたりの騒音公害について、従来までは民間と同じようにいろいろな助成等を交えて対策がなされてまいりましたけれども騒音公害という意味では住んでおる人にとっては一緒の話ですから、今後、自衛隊あるいは米軍基地等の飛行場の周辺について、こういうものを生かされようとする場合、どういうかっこうで対処されようとするのか、そのあたりを一回聞いておきたいと思います。
  51. 田中守男

    ○田中説明員 自衛隊及び米軍の飛行場、対地射爆場等につきましては、先生指摘のように、従前から防衛施設周辺生活環境の整備等に関する法律により周辺対策を実施してきたところでございますが、やはりその周辺の地域につきましても、飛行場等を含めた土地の適正かつ合理的な利用を図る必要性があるということで私どもは認識しておるわけでございまして、今回のこの特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の成り行きには強い関心を持っておるところで、先刻も大臣から、当庁においても同様の措置がとれるかどうか指示がありましたわけですが、防衛庁としては、直ちに同種の立法措置を講ずるかどうかにつきましては、まだ種々問題が残っております。  これは周辺地域の土地利用の将来の動向、実態等を慎重に検討した上で、しかも、この立法措置につきましては、関係地方公共団体の御協力がなければ実施できないところでありますし、また、その対策につきましては、相当規模の財政措置を講ずるということもございますので、所要経費の見積り等もこれからやっていかなければならないということで、現在慎重に検討を進めておるところでございまして、どのようにするか、まだ結論を得ておらない段階でございます。
  52. 米沢隆

    ○米沢委員 いま、その必要性についてはお認めになりましたけれども、いろいろな事情がある、その事情の中には、地方公共団体の協力を得ていかねばならぬので、そういう意味では納得性の問題、あるいはまた経費の問題がありましたけれども、このことを考えていく場合に、特に皆さんの考慮の中にある問題として、自衛隊とか米軍基地といったそういう特殊な観点からこういう立法措置をしていくことに非常に難点があるというふうに思っておられるのか、それとも世論がいろいろ騒がしいので、民間が先行してこういうことをやっていっても、できるならばわれわれとしては成り行きを見守ってじっとしておるという方向なのか、もう一回答弁をしていただきたいと思います。
  53. 田中守男

    ○田中説明員 一般の公共飛行場と違いまして、自衛隊、米軍の飛行場につきましては、まず当該施設の使用の実態が若干違うわけでございます。将来における飛行の予測、騒音の及ぼす範囲等につきましても、一般の航空機のようになかなか予測が立てにくい、特に米軍の航空機につきましては、法的な規制もなかなかとりにくいというような実情にございますので、われわれは、それが果たして可能であるかどうか、そういうふうな基本的な問題も今後検討を進めて、その後で結論を出したいというふうに考えております。
  54. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは、もうお帰りになって結構です。ありがとうございました。  都市計画法と本法案との関係についてちょっと尋ねてみたいと思います。  御承知のとおり、都市計画法による土地利用の規制と本法案による土地利用の規制とどこが違うのか、どこが加重されたのか、こういう問題につきましては、この委員会で再三取り上げられておりますけれども環境基準達成のため、飛行場周辺における土地利用の適正化を進めていくに当たりまして、現行の都市計画法等の制度のみではその達成が困難であるとされた問題について、具体的にはどのようなものがあったのか、どこがかみ合わなかったのか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
  55. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  まず、都市計画で考えられますのは、市街化調整区域の活用の問題でございますが、先生御存じのとおり、市街化調整区域といいますものは、将来恒久的に市街化を全般的に禁止することはできない、ある程度開発許可というものが認められているわけでございます。ところが、本法案による利用を図りますためには、土地の合理的な利用を騒音を排しながら図っていく、こういう観点からまいりますと、単に全般的に調整区域でこれをとめながら一部解除されますような方法では図っていけない、こういう点がかみ合わなかった点でございます。
  56. 米沢隆

    ○米沢委員 現在の空港施設周辺の都市計画決定は、どのようになっておるのでしょうか。特に東京、大阪、広島、福岡、宮崎についてちょっと説明してほしいと思います。
  57. 川上幸郎

    ○川上説明員 東京、大阪、宮崎について申し上げます。  まず、東京国際空港でございますが、これにつきましては、御存じのとおり市街化区域でございます。それから大阪につきましても、同様に市街化区域の中に指定されております。なお、宮崎につきましては、市街化区域と市街化調整区域といいますものが一部あるわけでございます。
  58. 米沢隆

    ○米沢委員 ほとんど市街化区域で、宮崎だけ一部調整区域である、その市街化調整区域というのは、先ほど御答弁いただきましたように、全般的な規制ではありませんけれども、いろいろと除外例がありますけれども、できる限りそういう住宅なんかをつくらないという調整区域になっているわけですね。実際、宮崎のその市街化区域周辺において宅地化が進んでおるのかいないのか、どういう観点で見ておられるのですか。
  59. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいま先生指摘のとおり、市街化調整区域におきましても、たとえば農林漁業の用に供する建築物とか、そういうようなものが除外されておりますので、若干の建物は建つわけでございます。  実は、宮崎につきましては、本日調査したのでございますが、何分時間がございませんので、はなはだ不十分ではございますが、開発許可といたしましては、五十年度及び五十一年度に、この空港騒音防止法の第一種地域につきましておのおの一件ずつ、各〇・九ヘクタールずつの開発許可がなされているという状況でございます。
  60. 米沢隆

    ○米沢委員 市街化区域の方につきましては、御承知のとおり都市計画法の第八条によりまして地域地区というのが分類されております。その地域地区によりまして建築制限等がありますけれども東京、大阪、広島、福岡、宮崎は、ほとんど市街化区域に含まれている、そういう関係では、いろいろと宅地化が進んでいる条件を備えておるわけですね。  その場合、ちょっとお尋ねしたいのでありますが、その周辺の地域地区の分類はどういうふうになっておりますか。
  61. 川上幸郎

    ○川上説明員 まず東京につきましては、工業地域、準工業地域、住居地域等となっております。また、大阪につきましても、おおむね同じでございます。宮崎につきましては、市街化区域は準工業地域、住居地域等、このようになっているわけでございます。
  62. 米沢隆

    ○米沢委員 問題は、その住居地域ですね。都市計画決定がなされて、このような地域設定がなされる、その中に住居地域がある、そういう意味では必然的にこの周辺宅地化していくことが前提になっておるわけですね。そういう意味では、都市計画そのものの決定のときに、もしこの飛行場周辺が将来宅地化が進むと大変な問題になるという意味での御理解があったら、私は、都市計画決定そのものにもいろいろな御意見が寄せられて、こういう住宅化していくことを未然に防ぐ措置ができたのではないかと思うのです。その分大変おくれているのではないかという気がしてなりません。  そういう意味では、いままで空港周辺は都市計画関係でいろいろな規制がありましたけれども、従来までのそういう都市計画決定による規制を本格的にやっていこうとしていたのかいないのかという意味で、都市計画そのものの決定の仕方に問題があったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  63. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘は、都市計画決定におきましていろいろ騒音等も加味してお決めになったらどうかということであろうと考えるわけでございますが、ただいま申されましたような事象と申しますのは、昨今大きく問題になっておりますし、今後も大きく問題になると思われますので、今回都市計画法体系の中におきまして、特に地域地区によりまして対処いたしたい、このように考えるわけでございます。
  64. 米沢隆

    ○米沢委員 これからのことはわかりますけれども、住居地域を決めたところに問題があったのではないかと言っておるのです。
  65. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問の御趣旨は、住居地域と今後のいろいろの地域地区の指定の関係というふうに拝察いたしますけれども、ただいま提出しておる法律で考えておりますのは、今後の土地利用を正していくということでございますし、当然市街化がかなり進行したところにつきましては、この法律を適用するかどうかは別途検討しなければならない、このように考えるわけでございます。
  66. 米沢隆

    ○米沢委員 過去の話ですから、ここらでもうよします。  次に、運輸大臣にお尋ねしたい。  御承知のとおり、現在公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのがございます。これによりまして空港周辺整備計画によっていろいろと対策を進める、あるいはまた助成措置等を含めていま十四カ所ぐらいの空港特定空港になって、その周辺でいろいろ周辺対策が進められておりますけれども、今度の法案に盛られているような問題につきましては、この法律の改正とか都市計画法の改正等でもほとんど目的を達成することができたのではないかという感じが私はするのです。それで、新しく何か立法される趣旨が、どうも何か別の意図があるような気がするのですが、いかがですか。
  67. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御指摘のように、現在航空機騒音防止法の中に周辺整備空港という制度があるわけでございますが、この騒音防止法全体が航空機の騒音によって被害を受けている空港周辺の地域について被害を事後救済的になくなし、そしてまた、将来にわたって新しい街づくりをしようという観点からできていることは御承知のとおりでございます。したがって、そこにございます周辺整備計画は、たとえば空港のすぐ横のところを緩衝緑地帯に整備するとか航空機騒音に比較的強い工場等を持ってくるとか、あるいは移転をする方のために代替地の造成計画を立てるとか、いわば空港を取り巻く地域社会の街づくりという点を基本にいたしているわけでございまして、この法案に書いてございます将来にわたってそこの土地が宅地化することを防ぐ、住宅がたくさんでき上がることを防ぐという規制措置をこうむらせることは、現在の周辺整備事業の体系ではできないわけでございます。そこで、新たに将来に向かっての規制措置、それから、それと見合った形でその空港周辺を前向きに整備していくものと二つの観点から今回の法案をつくったわけでございます。  したがって、法律技術といたしまして、騒音防止法を改正してこういうことを盛り込めなかったという点につきましては、法律でございますから、どんなつくり方でもあるいは可能かもしれませんけれども、やはり目的とするところが、過去における航空機騒音の被害を救済していくことをスタートにした法律と、将来に向かっての被害の発生を防除することを主眼とした法律とでは、法律の目的、趣旨あるいは手法等に若干の違いがあるのではないということから、これは二つに分けて、両々相まって環境保全をすることの方がよかろうという考え方で今回の法律案をつくったわけでございます。  また、都市計画法の改正だけでできないかという点につきましても、都市計画法による地域地区の設定の制度だけでは、この法案に盛られておりますような内容を全部カバーすることはできない、やはりはみ出てしまうというところから今回の法律案を考えたわけでございます。
  68. 米沢隆

    ○米沢委員 従来の騒音対策については、その法律によっていろいろ対処されておる、その法律に将来の部分を加えても何にもおかしくないのでありまして、騒音対策という意味では、法律を一本にして改正していくという方向もとれる可能性は十分あると思いますし、都市計画法の改正等々とあわせてほぼこの目的に沿うた改正は達成できるのじゃないかと思うのです。  いま、その議論は別にいたしまして、先刻来の委員会答弁等によりますと、成田空港以外は適用されるのはきわめて限定的に考えておられるような趣旨が非常に濃厚なのであります。そういう意味で、疑うところ、もし新立法でなくて、いままでの法律の改正あるいは都市計画法の改正等によって対処しますと、それがいま適用されておるところはたくさんありますから、そうなりますと、成田だけに限定していくことは非常にむずかしくなる、そういう意味で、この法律は将来的には他の空港にも適用するかもしれないという見せかけはありますけれども、実際は成田だけに限っていくという趣旨にとれるのでありまして、そういう意図からこういう新立法になったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  69. 田村元

    田村国務大臣 当面成田を指定するわけでございますが、成田だけに限定してずっと未来永劫いくのだということではございません。率直に言いまして、これから新しくつくる飛行場もございましょう、そういう飛行場に対しては、この法律を適用すべき環境が見られたならば、これを適用していかなければならぬ、このように思います。たとえば、いま調査をいたしております関西新空港の場合なんかは、当然この法律を適用すべきかどうかということの大きな対象になるわけで、これから行っていく調査におきましても、そういう点も調査しなければならぬというふうに考えております。
  70. 米沢隆

    ○米沢委員 新しく空港をつくられる場合には、成田と同じようにスムーズにこういう指定がなされるでありましょうけれども、申し上げたいのは、現在でも都市周辺空港がたくさんありますね、そのあたりについては、もう市街化になり切ったところはいいのですが、ちょうど市街化になり切ろうとしておるところは、空港周辺がどんどん宅地化していく事実が現にあるわけです。そういう意味では私たちは、今後市街化の周辺空港が将来的に存置されて、そこがある程度拡張されていくという空港については、事前にこの政令指定を急ぐべきだという感じがするのです。この問題は、この前の委員会でも御質問いたしましたけれども、重ねて今後の方針、特に時期的なものを含めて私は方針を聞かせていただきたいと思うのでございます。  いまの判断では、政令指定は、いろいろと事情を勘案して、そういう判断が煮詰まったらという議論でありますが、そんな判断なんて勝手に恣意的につくれるものでありまして、実際は政令指定の要件を見ますときに、指定される要件は大体具備しておる、そういう感じがするのです。ですから、その中からどれをとるかということが、単に運輸大臣等の恣意に任せられるとなるならば、結果的には成田だけになる、こういうことになるのじゃないですか。
  71. 田村元

    田村国務大臣 これは簡単に恣意的にぽんと決めるということは、私はなかなかむずかしいと思うのです。やはり現実は踏まえなければならない。ですから、すでにつくられております空港につきましては、現地の状況というものが一番大きな決め手になる。その意味では、これから十分調査しなければなりませんけれども、もちろん現在ある空港でも、この法律の適用が可能であるというのもあるいはあるかもしれません。しかし、多くの空港ですでに宅地化がある程度進んできておるということになりますと、混乱を起こすおそれもある。そういうことでございますから、私がぽんと判を押して簡単に決まるというようなものではないというふうに思います。
  72. 米沢隆

    ○米沢委員 しかし、新空港は別にしまして、いまから市街周辺でほぼ永久的に存置されるという空港につきましては、宅地化が進んでいくということは、大げさに言いますと、第二の大阪国際空港みたいなものをつくるということですから、そういう意味で、政令指定等をそのあたりについては特に急ぐべきだという意見を付しまして、この問題を終わりたいと思います。  それから、指定に際しましておおむね十年後の騒音を推定するということになっておりますが、十年後の騒音を推定する場合に、これは大変むずかしいなという、率直にそんな感じがいたします。  言うまでもなく、その前提としましては、十年後の空港整備の状況だとか航空機の需要の状況とか航空機自体の騒音発生状況の変化の度合いだとか皆さん方の努力の度合いだとか、もろもろの条件が前提となるはずです。問題は、この指定を受けておおむね十年後の予測がなされて、それから知事が基本方針を決定して、それによって地域分類して都市計画決定する、その結果、該当地区につきましては、土地利用の制限という私権の制限が課せられるわけですから、このような段取りになっていきますと、おおむね十年後の状況の予測というものは、住民に対してかなり説得力がないと、基本方針そのものさえつくれないのではないかという事態が発生するのではないかという感じがしてなりません。特に地元住民の意見を聞くのだ、こう書いてありますけれども、十年後のことを地元住民に一応御説明されて、さあどうでしょうかと言われても、地元住民が十年先のことはわからぬ、こう言いましたら、結果的には基本方針をつくること自体大変難航するのじゃないかと私は思います。  そういう意味で、十年先を予測する手法の確実さといいましょうか、段取りの確実さといいましょうか、いろいろな要件を組み入れるという周到さといいましょうか、実際そういうものに御自信おありなのでしょうか。
  73. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 こういったものを予測する技術自身も日進月歩でございます。という意味は、一年たてば一年たっただけ新しい手法が開発されるという目下進行形の状況にございます。  そこで私どもは、法律が成立いたしますれば、そのときにわかっております外国等を含めました内外のあらゆる知識を集めまして、可能な限りの手法を動員いたしまして十年後の予測をしたいと思っております。しかしながら、この法律案にもございますように、私どもが予測した事態自体が変わってくることがあり得る、たとえば予測した輸送需要が大きくなるとか小さくなるとか、あるいは機材の開発状況等も変わってくることがあり得ます。そこで、法律案にございますように、五年ごとに十年先のことを見直しをしていくという制度にしてあるわけでございまして、可能な限りその予測手法を動員いたしますれば、おおむね妥当なものができるだろう、こういうふうに考えております。  そして、その過程におきましては、もちろん地域住民の方に十分その予測のデータ等もお見せして御意見を承って決めたいと思います。地域住民の方も、最近はいろいろ各種の学者団体等と連絡をとっていらっしゃいますから、そういった学者の方等の意見も入れまして、十分な評価をなされることを期待しておるわけでございます。
  74. 米沢隆

    ○米沢委員 そういうことで、おおむね十年先を予測するというのは大変むずかしい、したがって、五年ごとに調査をされる、調査によっては地域設定の仕方がまた変わってくるであろう、こういう趣旨でありますけれども、その場合、たとえば大きな地域設定をして、現時点においておおむね十年先のことを考えたらこれぐらいの地域設定になる、しかし、五年後に調べてみたら、それがぐっと狭くなった、そうしたら、大きな輪と小さな輪の間のものは、いままで五年間みんな土地利用の規制をなされておるわけですから、そういうものに対しては、実際どういう対処の仕方があるのですか。
  75. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 見直しをいたしました結果、地域の面積が狭まるという場合につきましては、この法律の規制のかかり方が弱くなる、いわば規制の制限緩和が行われる方向に行きますので、一般的にはそれによって損害を受けるということは出てこないと思います。しかしながら、理論として、その間に土地の利用制限を受けた、そして五年たったら解除された、自由に住宅が建てられる、五年間損したというふうなことが、恐らく先生の問題の御指摘の点だろうと思うわけでありますが、この法律案の考え方は、その規制されている間に、つまり見直しの行われる前の間に、その用益制限を受けることによって通常生ずべき損失があるという場合には補償するということにしてございますので、規制をかけられている間に補償すべき損失は補償するという形でこの法律は構成されております。したがいまして、それが将来、地区が狭くなって禁止が解除されたという形になれば制限の緩和になるということで、そこで実損は生じないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  76. 米沢隆

    ○米沢委員 たとえば八〇という単位の騒音以内は特別地区ですね。これが小さくなりますと——いままで八〇の間に入っておったところは家を建てられないわけですが、それがちょっと狭くなりますと、今度は家が防音工事だけでいいことになりますね。そういうのは何も実損ではないのですか。
  77. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法律考え方では「通常生ずべき損失」という範疇に該当いたしますれば補償いたしますけれども、この「通常生ずべき損失」というのは、いわゆる経済的実損ということでございます。したがいまして、いろいろなケースによりまして違うと思いますが、具体的なデータによりまして経済的実損が証明されれば、この法律の規制を受けているということによっての損失は補償することになると思います。
  78. 米沢隆

    ○米沢委員 言わんとするところは、おおむね十年先の推測によって地域設定がなされて、それによっていろいろな私権の制限があるわけですから、そういう意味で、推測そのものがもう少し確実になるような手法というものを、一日でも早くつくっていただくということを要請するとともに、地域設定いかんによってはいろいろと問題が出てくるわけですから、そういう意味で、地域住民の納得性という問題で将来に向けて何かいろいろ問題が出てくるような感じがしましたので、そういう御質問をしたわけであります。  次に、地区の指定と環境基準関係についてちょっとお伺いしたいと思います。  まず最初に、環境庁にお尋ねしたいのでありますが、四十八年に「航空機騒音に係る環境基準」というものが告示をされまして、それぞれの目標、達成期間等が決定されておりますけれども、この環境基準を見る限り、最終的には、いろいろと地区分類等で違いはありますけれども、屋内外を問わず最低七五WECPNL以下を目指しておるというふうに考えてよろしいですか。
  79. 波多秀夫

    ○波多説明員 お答え申し上げます。  「航空機騒音に係る環境基準」は、先生指摘のとおり、地域の類型ごとにWECPNL七〇以下及び七五以下というふうに決めてあるわけでございますが、航空機騒音防止対策を総合的に講じましても達成が困難と考えられる地域につきましては、家屋の防音工事等を行いまして、屋外で環境基準達成された場合と同等の屋内環境が保持されることとしておるわけでございます。
  80. 米沢隆

    ○米沢委員 いまからおおむね十年先のことを推測するのですが、十年後と言ったら六十二年です。ほとんどの基準の達成期間は五十八年ですから、十年後を予測する場合には、五十八年度時点で環境基準についてはもう目的が達成されたというふうに判断をして推測されるはずです。そうなりますと、ほとんどの飛行場の周辺におきまして環境基準というのは、十年後を想定するならば、みんな七五以下なんですね。にもかかわらず、七五以上をわざわざ二つに区分して地域設定する、その理由について説明をしてほしいと思います。
  81. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 七五以上の地域の中でも、空港に近いところと遠いところとでは、おのずから被害を受ける度合いが違います。したがいまして、そういった被害から地域の生活を守るというためには、少なくともこれを二つに分けまして手法を異にするのが適当である、こう考えまして二つの地区をつくったわけでございます。
  82. 米沢隆

    ○米沢委員 環境基準の観測するポイントにもよりましょうけれども環境基準というのは、確かに空港周辺は高い騒音を出す、それから少しずつやわらかくなるというのはわかります。しかし、トータルとして少なくとも環境基準七五以下を目指すということは、でき得る限りその周辺についても七五に近づくように努力をするということが私は趣旨だと思うのです。そういう意味では、これから先の環境基準達成して、それを住民の皆さんに納得していただくためには、その七五以下というものを目指すという方向が確認されないとぼくは何にもならぬと思うのです。  そういうことから考えますと、七五から二つに分ける、それはいまからの対策として分けざるを得ない部分がありますけれども、実際は七五以下になれば防音工事なんかする必要ない、そういう環境をつくろうというのが、私は、この環境基準の趣旨ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 波多秀夫

    ○波多説明員 お答え申し上げます。  航空機本体から発生いたします騒音がWECPNLで七五以下に相当するようなレベルまで低減されない限りは、空港周辺には多かれ少なかれ七五以上の騒音にさらされる地域が存在することになろうかと思います。もちろん発生源対策を強力に進めましてこれに近づける、七五以上の地域を狭くする努力をすることは当然でございますが、しかしながら、環境基準につきましては、屋外において達成されることはもちろん望ましいわけでございますが、WECPNL七五から八〇のレベルにつきましては、防音工事等を行うことによりまして、屋外におきまして環境基準達成された場合と同様の室内環境が保持されることになるわけでございます。そういったことから、新たに防音工事等をいたしまして建築される住宅についてまで規制をいたしまして建築を認めない、こういう規制をする必要はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  84. 米沢隆

    ○米沢委員 環境基準が七五以下を目指しておるわけです。その意味では、そういう環境をつくっていくために努力をするというものと、しかし、七五以上を設定して、この中には工事をやりさえすれば民家をつくっていいという、そういう議論とは矛盾するのじゃないですか。これは十年先の話ですよ。
  85. 波多秀夫

    ○波多説明員 環境基準につきましては、発生源対策、周辺対策等を総合的に行いまして七五が達成されるような努力をしなければならないものと考えておるわけでございます。しかしながら、発生源対策の技術的な限界等がございまして、発生源に対する対策が飛躍的に進まない限り、空港周辺には七五以上の地域が存在するということは避けられないことであろうかと思うわけでございます。その場合、七五から八五までの地域に居住を希望される方につきましては、防音工事等の軽度の義務を課することによりまして居住することを認めていこうという考え方でございます。環境基準上も環境基準の三におきまして、航空機騒音防止対策を総合的に講じても達成が困難と考えられる地域については、家屋の防音工事等を行うことにより環境基準達成されたと同等の屋内環境が保持されるごとをもって一応の環境基準達成というふうに考えておるところでございます。
  86. 米沢隆

    ○米沢委員 いまいろいろな議論をいただきましたが、航空局長、やはり将来的には環境基準を七五以下を目標として、飛行場周辺については立川には八〇とか九〇はあるかもしれないけれども、あるから、それをそのまま是認して、環境基準だけ七五を達成すればいいというのじゃなくて、できるならば周辺が七五以下になるように努力をしていくというのが、私は、環境基準の物の考え方ではなかろうかと思うのです。そうなった場合に、やはり航空当局の立場としては、七五以下が環境基準達成のポイントであるならば、七五以上についてはすべて特別地区と同じようなかっこうで土地の買い上げをするとか、そういう措置がなされるという方向を目指すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。  また、今度のこの法案の中では、特別地区につきまして移転補償というものは「することができる。」と書いてあって、義務づけはないんですね。そういう意味では、この法律をつくることによって土地利用の規制をする、その結果、政府にも責任が出てくるという、そういう理論上の構成になっておりますけれども、その構成の中ではやはり「することができる。」ではなくて、義務づけみたいなかっこうで当然やるという形にならないと迷惑をかける、補償にはならない、私はそう思うのですが、いかがでしょう。
  87. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  環境基準が七五ということを目指している限り、私どもは、航空機の機材の改良あるいは運航方式の工夫等によりまして、飛行場のすぐ横でも七五以上にならないようにすることが理想であると思います。しかしながら、恐らくそれはなかなか達成困難な物理的な事情があると思います。  そこで、そういった事情が避けられないとすれば、そういった事情から少なくとも空港直近の地域が住宅等に専用される、もっぱら使われることを防ぐというのが、やはり地域全体の生活を騒音被害から守るという目的にかなうゆえんではないかというふうに考えまして、今回のような八〇以上のところは住宅の建設を原則として禁止するという考え方をとったわけでございます。しかしながら、このことは、御指摘のようなあらゆる手段を講じて屋外でも七五に近づけるということを否定するものではございません。その努力は、これからも続けることにいたしたいと思います。  それから、第二の移転補償の義務づけの点でございますが、これは土地の買い上げと移転補償につきまして、若干考え方を異にいたしております。と申しますのは、私どもがこの法律で考えておりますことは、その空港に近いところに現に住んでいる人を追い出そうということを目的といたしておりません。新しくそこに住宅が建てられることを防ぎたいということでございます。したがいまして、追い出しを目的といたしておりません。しかしながら、そこに住んでいらっしゃる方が自発的に、もうとてもこんなうるさいところはかなわないから移転をしたい、そういった場合には、これは移転補償をお払いしまして、移転をなさることの御便宜を図るというふうに考えたわけでございます。  したがいまして、住宅の建設を禁止された地域の土地の所有者が買い上げの請求をする場合に、空港設置者がそれに応ずる義務があるというふうなことと、それから現に住んでいらっしゃる方が、もう自発的に移転をしたいとおっしゃって移転なさるという場合とを考えますと、法律的には片一方の方はこの法律による規制によってそういった事態が起こったということであるし、後者の方は自発的にそういう方法をとられるというふうな、法律上の観念の違いによりまして、片一方は義務づけであり、片一方は補償することができるということにしたわけでございますけれども、これは法律論でございまして、実際問題といたしましては、現に他の空港におきましてもやっておりますように、ほとんどこの義務づけと同じような実施をいたしております。したがって、法律論としては、各種の法律の横並びもございますのでこういう表現になっておりますけれども法律の施行につきましては、義務づけられたと同じような手当てを講ずるべきであるというふうに考えております。
  88. 米沢隆

    ○米沢委員 従来の飛行場騒音防止法の地域指定の線引き、それから補助や助成のやり方、そういうものと今度の法案の取り扱いがいろいろと異っておるのですが、異なった事由はどういうことですか。
  89. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  ごく原則論だけを申しますと、先ほど御答弁したこととほぼ重複するわけでございますけれども、たとえば移転補償というふうな制度の問題については、従来の騒音防止法と今回の法律案との間に法律の表現上の差異はございません。問題は、住宅の建築を禁止される地域の土地所有者が買い上げ請求をするという制度に関しましては、従来の騒音防止法と違った規定になっております。今回の法律の方が、より所有者というか所有権者保護という点で手厚くなっております。この点は、先ほど申し上げましたような法律上の観点の違いということからなったわけでございますが、実際上の運用は、そういった差がないようにこれは運用した方がいいと思います。
  90. 米沢隆

    ○米沢委員 たとえば、この地域設定のラインを引く場合の騒音レベルでありますが、これによりますと、七五から八〇の間はいわゆる防止地区ということになりますね。いまからつくる人は防音工事は義務づけられる、既存の家を持っておってある程度の防音工事をやろうとする連中には補償がない。いまからつくる者については無補償というのはある程度わかりますけれども、既存の家がここにあってやかましいから何かやろうというときに、補助対象は八五以上でないとだめだ、こういうことは何かおかしいと思うんですね。また、八〇以上は特別地区になりますが、御案内のとおり、これは住居禁止区域ですね。ところが、現在の法律によっては、八五以上ならば防音工事には助成をしましょう、これから先八〇以上は家も建てられない、こういうわけですから、それなら八〇と八五の間に既存の住宅を持っておる連中はどうするか、これも自分で防音工事をやれとこう言うのか。そういう意味で、防音工事の助成の仕方も何か矛盾しておるような気がするのですが、いかがですか。
  91. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この点は、制度論と実際の問題との両方の観点があると思いますけれども、現在私どもは、八五以上の地域について防音工事をやっておりますけれども、これは五十三年末までの環境基準中間目標達成するためにしているわけでございます。しかしながら、これは来年のもう暮れでございまして、それを過ぎますと五十八年度目標、さらに一〇程度低い目標に向かって仕事をしなければならないわけでございます。そういたしますと、現行の八五という地域割りも当然その再検討を迫られるわけでございます。そういたしますと、この法律によります制度と現在の騒音防止法によりまする制度との間に実施上の矛盾はなくなるわけでありまして、現に住んでいらっしゃる方につきましては、新しい法律の適用はございませんけれども、現行の騒音防止法の適用があります。そして騒音防止法が五十八年目標に向かいましてさらに七五まで規制値を下げて、一層強力な措置を講ずるということになりますれば、そういった方々騒音防止法の体系によって補助を受けることが可能になると思います。
  92. 米沢隆

    ○米沢委員 そういうことで、そういう努力によって、いまおっしゃったような方法ができたときには、それはいいですが、できるまでにいろいろなこういう矛盾があるわけですから、その間の矛盾を解消する方法を私は考えていただかなければ均衡を失すると思うのです。  それから、この移転の補償を受けられる範囲につきましても、現行法では九〇以上でないとだめなんですね。ところが、今度の法律は八〇以上ですから、こういう問題を取り上げましても、法律のやらんとすることは、やはり平等でなくてはなりませんね。その騒音の程度はいろいろありましょうけれども、移転をしなければならぬぐらいの騒音なんですから、実際はその移転をしなければならぬぐらいの騒音の、それがまだ低いとか高いとかいう議論ではなくて、少なくとも九〇ならよくて今度は八〇以上ならいいという、こういうのは法律論としても私は完全に均衡を失しておると思うのですが、いかがですか。
  93. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この現在の騒音防止法の九〇というふうな問題につきましても、先ほど申し上げましたように、五十八年目標に向かいまして来年の暮れ以後は新しい基準が設定されることになりますと、その間の矛盾はなくなるというふうに考えております。本法律案が成立いたしましても、その施行までにやはりかなりの月数がかかります。事実上は、五十八年基準に向かっての新しい強化措置のスタートと、この法律案の実際の適用というものとの間には大きな隔たりがないように考えますので、いまのような矛盾は事実上調整されるというふうに考えております。
  94. 米沢隆

    ○米沢委員 成田の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  大臣にお聞かせいただきたいのでありますが、先ほどの御質問で、成田開港予定日は、まあ年度内にはやりたいという話でございました。しかし、今度のこの法律成田との関連で出てきたというふうに伺っておりまして、成田開港が間近に迫っておる関係では、本法律の行方というものは大変懸念されておるのではないかと思います。もう会期末まであと一週間ですから、そうしますと、この法律ができるかできないか大変まだ見通しが暗いわけでありまして、そういう意味で、本法案の成立日程を大臣としてどのように期待をされておるのか聞いておきたいと思います。
  95. 田村元

    田村国務大臣 この法律が施行されました後の手続というものに、やはりある程度時間がかかります。でありますから、でき得る限り早くこの法律が成立いたしますように希望をいたしております。
  96. 米沢隆

    ○米沢委員 この法律が成立しまして施行される、それから政令指定がなされる、それから、いろいろな十年後の推測がなされて千葉県に要請される段取りになりますね。施行日から千葉県が基本方針に着工するまでどれくらいの日程が要るのでしょうか。
  97. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これはなるべく早くやることが必要であると思いますけれども、やはり地域住民の意見を聞くとかあるいはその他いろいろ慎重な手続も必要でございます。したがいまして、全くの予測、大ざっぱな予測でございますけれども、公布施行後一年ぐらいはかからないと実際のこの法律の発動ということは恐らく無理であろうと思います。
  98. 米沢隆

    ○米沢委員 慎重を期してもらうのはいいことですが、たとえば三月三十一日に開港したとして、この基本方針にのっとっていろいろな施策がなされる間は相当の期間がありますね、その間に一体どうするかという、そういう問題が今後は出てくるのじゃないかと思います。たとえばその間に、この法律にそぐわない住宅の新設がなされるとかあるいは期待利益を頭に描いて不動産の取引がなされるとか、そういうものが、おくれればおくれるほどその周辺には出てくるわけでありまして、その問題をまた後から、その基本方針ができてからそのまま抱え込みますと大変な混乱を起こすという、そういう意味で大変心配しているのでありますが、そのあたりはどういうふうに対応される予定なんですか。
  99. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いわゆる駆け込みの問題でございまして、私ども一番心配している点でございますけれども、もちろんなるべく早く法律を適用いたしまして、そういった駆け込みのチャンスを減らすことが必要でございますけれども、しかし、必要最小限度の期間の間に駆け込みが行われるというふうな事態に対しましては、やはり現在の都市計画法あるいは建築基準法等の規定を、本法案の趣旨に沿って運用することを都道府県知事にお願いをいたしまして、駆け込みのような実態が起こりますことを事実上制限する、こういったことを考えたらいかがかと思っております。
  100. 米沢隆

    ○米沢委員 最後にいたしますが、これは細かい問題ですが、基本方針が決定されて公示され、それから住民の前に縦覧というのですか告示される、それから地元住民の意見を聞くのですが、公表の日からわずか二週間ですね。普通の住民が、こういう大々的な、そして大変むずかしい法律をいまからやるのです。それで基本方針は決めます。あなたのところはこういう地域になるのですよと言われて、たった二週間で意見書をつくって文句を言うまでに実際なるのでしょうかね。都市計画法の場合の約二週間という、そういうものが準用されたのではないかと思いますが、都市計画の場合でも、あれは非常に大きな問題を残しておるのです。実際いまくらいの都市計画決定によっても、いろいろと制限が行われたり、いろいろと事情が違ってくる。いま住民が、結局都市計画決定された後の事情を知るくらいの知識がその当時あったら、二週間やそこらでこんなのが、はい結構でございますということにはならぬですね。そういう意味では、どうも都市計画決定される場合にも大きな問題が残り、現在それがまた大きくなっておるのです。そういうことを考えたら、この二週間なんというのは大変だと思いますね。  皆さんがこの法律を提案されて、そして今度は関係自治体から、そんなのは知らなかった、ちょっと教えてくれという駆け込みがあるという話がありましたが、地方自治団体のそういう詳しい皆さんでさえ、この法律がどういうものかというのが本当にわからぬくらいのものでしょう。まあ、この説明がなされて大体わかってきたらうまくいくとおっしゃいますけれども、普通の住民にとって、こういうことをやりますと、こう言われて、二週間で文句を言ってください、これは無理です。余りにも形式的で官僚主義的な発想だと思いますね。だから、公表されてから少なくとも一カ月くらいないと、住民がいろいろと、この地域設定がなされた後どうなるか、じゃあどうしたらいいんだろうかという、そんな相談事をみんなでやって、いろいろとお願いをする筋に至るまでには、私は、一カ月くらいは必要なのではないか、そう思うのです。そういう意味で、二週間で公表しました、はい二週間終わりました、はいこれで決まりました、これではたまらぬのです。どうなんでしょうかね。
  101. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いまの二週間という表現は、やはり都市計画法の縦覧制度その他の制度の横並びで書いたわけでございまして、それなりに意味もあるし、あるいは先生指摘のような問題点があるのかもしれませんけれども、私どもは、この法律によりまする正式の公表ということから二週間というふうに理解いたしておりますが、正式の公表の前に、やはり関心のある住民方々あるいは市町村の方々がいろいろ聞きに来られると思うのです。そういったときには正式の公表前であっても、できる限りの判断材料をお示しして、そして二週間という期間内に正確な判断ができるようなことを事実上空港設置者等が御便宜を図ろうということによって、私は、実際問題としてはその点は解決できると考えておりますし、また、そういう運用をしなければならないと思います。
  102. 米沢隆

    ○米沢委員 何事でもこんなのをやられるときには、みんなそういう答弁をやるのですが、実際はなされてないというところに問題があるわけです。そういう意味では、各地方自治団体とか空港設置者のいまからの動き等々を、それはいろいろな各方面からの協力がなければできませんので、この際いろいろと言うことは差し控えたいとは思いますけれども、こういうものが出てくる場合には、必ずそう言われて実際は問題が常に残っておるという、そういう観点から、私は、こういうものを余りにも形式的に官僚的に運ぶことをやめて、特にこれは騒音に関する問題でありますから、その運用についてもう重々注意を喚起し、あるいは注意をしていろいろと実施をしていただきたい、このことを申し述べまして、質問を終わりたいと思います。
  103. 大野明

    大野委員長 午後一時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  104. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。小林政子君。
  105. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回の特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案成田空港開港対象としている、このように御答弁がされているわけでございますけれども、この法案空港設置者が十年後を見越して空港周辺宅地化が進み、騒音被害の影響が広範囲にわたると予測される空港特定空港と指定をし、航空機騒音による障害の防止のために周辺の土地規制をも含め都市計画事業によってこれを行おうとする、こういう法案の内容でございますけれども、本来騒音防止の基本的な考え方につきましては、騒音を振りまく発生源そのものの原因と責任を明確にして、その上で発生源に対して規制を行い、その被害を最小限にとどめて騒音防止を図り、その防止対策についても原因者負担に基づいて行う、こういう基本的な認識のもとに進められてまいったわけでございますけれども、今回のこの法案が成立をいたしましても、発生源に対する規制あるいは原因者負担といったこれまでの基本的な考え方は今後も変わらないのかどうか、この点をまずお伺いいたしておきたいと思います。
  106. 田村元

    田村国務大臣 原則としては従来の方針は変わらない、こういうふうにお受けとめいただいて結構でございます。
  107. 小林政子

    ○小林(政)委員 空港の公共性という点を考えれば、ある程度の立地規制はやむを得ない、こういう措置であろうと考えますけれども、私権に対する規制を求める以上は、その手続問題あるいは住民の意向が十分尊重される、そうして民主的な補償の制度が確立する、こういうことがまず前提になければならないだろう、このように考えますけれども、いかがでしょうか。
  108. 田村元

    田村国務大臣 もちろん可能な限り民主的に行っていくことは当然のことと存じます。
  109. 小林政子

    ○小林(政)委員 法により私権が一定の制限を受ける場合には、被害を受ける者に対して当然補償措置を十分行っていく、こういうふうに理解をいたしますけれども、この法案の中身を見てみますと、この法案は十年後の騒音を予測して航空機騒音障害防止地区また航空機騒音障害防止特別地区を設定して、そして特別地区内は住宅の新築、改築、増築など原則的にこれを禁止する、そして防止地区においては新築あるいはまた改築、増築の場合、自費で防音工事を義務づける、このようになっているわけでございますけれども、この問題については、さきの連合審査の行われましたときにも、わが党の東中議員が指摘をいたしましたけれども環境基準という問題、環境基準は五十八年までに七五WECPNLに抑えることが目標になっておりますけれども、七五から八〇の防止地区にある住宅の防音工事の自己負担というものを義務づける、しかも、これには罰則が伴う。この範囲というものは、環境基準というものを重視するならば、また、原因者の責任というものを前面に立てるならば、当然私は、防音工事は国の責任で、公費で行ってしかるべきものであるというふうに考えますけれども、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  110. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  すでに当委員会におきましても、問題の出ている点でございますけれども、防止地区の中に建てられる住宅に対しまして防音工事の義務づけをしております。この義務づけの内容につきましては、いずれ成立いたしますれば、政令によりまして内容は明示されるわけでございますけれども、私ども予定いたしておりますのは、防音構造と申しましても、WECPNLで数値で五程度下がれば十分というふうなものを考えたいと思っております。  そういたしますと、具体的にはアルミサッシ構造の窓枠というものをつけることによりまして五程度のWECPNLの数値が下がるということが予想されますので、アルミサッシ構造にすることを義務づけるというふうなことになると思うのであります。その場合に、アルミサッシにするための費用を払うべきではないかという御指摘でございますけれども、その地域に家をお建てになろうとする方は、いずれ窓枠をつくる必要があるわけでありますが、現在窓枠に何が使われているかということを調査いたしましたところが、全国平均で九八%はアルミサッシを使っておられるということでございます。大量生産等によりまして木の枠よりもアルミサッシの方がむしろ安上がりであるというふうにも聞いておりますので、防止地区に家が建つからといって特別の経済的負担を強いるということにはならないのではないか、そういうふうに考えておりますので、それに対する特別の金銭的な補償をする必要はないというふうに思っているわけであります。
  111. 小林政子

    ○小林(政)委員 長年にわたってそこに生活をし、住居を持っていた者が、たまたまWECPNL七五から八〇のところに自分は住んでいる、しかも、その場合には防音工事を自費で義務づける、こういうことは、ともかく騒音の発生というものが当然波及するということを予測して、軽度であっても防音の工事をしなければ増改築も認めない、こういうことになるのですか。
  112. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 現在住んでいらっしゃる家のままでございますれば、防音構造にする義務づけは行われませんけれども増築、改築等をなさる場合には、建築基準法によって建築確認をとらなければなりませんが、そういうふうな建築確認をとらなければならない程度の増改築が行われる場合には、この法律によりまして防音構造にする義務が出てくるわけでございます。
  113. 小林政子

    ○小林(政)委員 先ほども申しましたように、先住権の問題については具体的にどのように考えているのか。また、環境基準からいっても、その地域は本来当然WECPNL七五までこれを持っていかなければならない、こういうことが環境基準ではっきりと打ち出されており、しかも、先住権という問題との関連は具体的にどうなるのか。この点については、ただ規制をすればいいという問題にはならないと思うのです。この点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  114. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 先住権との関連でございますけれども、そこにずっと住んでいらっしゃる方々、この方々に対しましても、やはり空港の騒音による被害が振りかかることは好ましくないことであり、そのことに対して今回の法律はいろいろの手だてによって考えることにいたしておりますけれども、原則として従来住んでいらっしゃる方についてはこの法律の適用はない。つまり、在来の騒音防止法によりまして処理をされるというふうに考えられます。しかしながら、そこにいままで住んでいらした方が新しく増築をなさるというふうな場合には、この法律の適用になるというわけでありますが、これは先住権の否定ということにはならないわけであると思います。そこの土地に住むこと自体を否定するわけではないわけでありまして、その土地にお住みになっている方が増改築をなさるという場合に、どうせおやりになるのならすでに九八%普及しているアルミサッシにしてくださいという程度の義務づけでございますので、それは先住権の否定にはつながらないというふうに私どもは考えているわけであります。
  115. 小林政子

    ○小林(政)委員 しかし、基本方向を定める場合の線引きは十年後を予測して線引きを行う、こういうことがはっきりとここに明記されているわけですね。そうしますと、十年後をともかく予測して一定の線引きを行う、その線引きの範囲内に自分は住んでいた、この場合にもう家も古くなって何とか増改築をしなければならないという場合に、WECPNLで七五から八〇、こういう場合は、具体的にやはり先住権に対する明らかな侵害になるのではないか、私は、このように考えますけれども、また、環境基準の中で、生活環境を保持して人の健康を保護し、そしてその環境を維持していく、こういうことが明確になっている航空機の騒音対策基準の基準値から見ても、これは相当大きな問題ではないか、私は、このように考えますけれども、いかがですか。
  116. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御理解を賜りたいわけでございますけれども、私どもは、この防音構造を義務づけられるいわゆる防止地区の中にお住みになること自体何ら問題にしようとしているわけじゃございません。そういった方々が新しく家を増築されるという場合に、防音構造にしていただくというだけでございまして、そのことがその土地に将来にわたって住み長らえるという、いわゆる先住権というお言葉でございますが、私は、それに大きな影響を与えるものではない、つまり、空港設置者等におきまして費用を負担しなければ義務づけができないというふうな意味での大きな負担を与えるものではないというふうに考えますので、先住権の侵害にはならないというふうに考えているわけであります。
  117. 小林政子

    ○小林(政)委員 これは私、やはり費用がそうかからない、アルミサッシ程度であればそれほどの経費はかからない、だから、自己負担でやってもらいたい、こういうことであろうというふうに思いますけれども、しかし、これはそこに生活の居住を長年にわたってやっていた人が、家が古くなったために増改築をやろうとする場合にそういうものが義務づけられる。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席〕 それに違反した場合には処罰される、十万円の罰金だ、こういうことを一方で科しながら、しかも、環境基準という問題については将来十年後を予測してWECPNL七五まで下げていく、こういう問題というのは、全く無視された措置ではないか、私は、このように考えます。  線引きの場合に、いま私がお聞きしたのは、防止地区の件でございますけれども、原則として住宅を禁止しております特別地区、この特別地区の中に生活をしていた住民が、これもまた知事の許可を得て増築をやる、先住権はございますから増改築をやる、あるいは次男、三男がいろいろなやむを得ない事情もあってその自分の敷地の中に住宅を建てる、こういう場合は当然あり得るわけですけれども知事の許可を得て特別地区内に増改築をいたした場合、これはどうなりますか。
  118. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御質問の御趣旨は、そういった場合にやはり防音構造にすることの費用が出るのか、こういう御質問でございましょうか。ではなくて、そういう次、三男の方々のために増改築する場合に、それを特別地区だから建築禁止をするのか、どちらのお尋ねかちょっとわからなかったものですから、恐れ入りますが……。
  119. 小林政子

    ○小林(政)委員 防音工事でございます。
  120. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 このことにつきましても、私どもは、費用の負担といいますか、費用の補助をしないという考え方にいたしております。それは原則として住宅の建設が禁止されております地区に、この法律の規定による各種の事情によりまして知事の許可をとって建築ができるようになるという場合には、これはいわゆる一般的禁止の解除ということでございまして、禁止が解除されたということに伴うものでございますので、それは何らかの補助というふうなものを要する事態ではないというふうに、この法律としては構成しておるわけでございます。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 この場合の防音構造の義務づけも、先ほど申し上げた七五から八〇の地域のいわゆる簡易なアルミサッシ程度の防音ということで、費用負担はそれほどかからないからということでございますか。
  122. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 一応そのように考えております。ただ、現実の問題といたしましては、現行の騒音防止法との関連が出てまいります。たとえば成田空港につきましても、すでに現行の騒音防止法の適用空港になっているわけでございますが、現在八五の地域より近いところが民家防音工事対象地域になっております。これは五十三年暮れまでの中間目標達成するための基準でありますが、五十三年暮れを過ぎますと五十八年目標という、さらに一〇程度数値の低い目標に向かって装置を拡大する必要があります。そうなりますと、成田空港周辺につきましても、当然そういった装置が拡大されますので、現在の家に住んでいらっしゃる方がアルミサッシ程度の防音構造ではなくて、そういった地域につきましては、現に大阪空港等の周辺におきまして施行されておりますような、もう少し強度のといいますか、高度のと申しますか、そういう防音構造をする。そしてそのことについて国、つまり空港設置者あるいは地方公共団体が補助をするというたてまえになりますので、現実問題としては、そういう方々騒音防止法の体系によりまして、ほとんど何らの負担なくして単なるアルミサッシ程度以上の防音構造にすることが可能になると思います。
  123. 小林政子

    ○小林(政)委員 特別地区の場合には、そうすると新しい騒音基準と申しますか、従来の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これの適用対象には当然なる地域である、こういうところからそういう発想が出てくるのですか。
  124. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法律の問題、つまり、きょう御提案しております法律案の問題と現行の騒音防止法の問題と分けて考えた場合に、現行の騒音防止法のことにつきまして御説明しましたのは、法律論ではなくて事実論でありまして、きょう御提案しております法律案についての解釈は、先ほど申し上げましたように、防音構造にすることについて何らの助成が得られないわけでありますが、恐らくそこにずっと住んでいらっしゃる方については、事実上騒音防止法の適用区域が広がることによりまして、防音構造にすることがほとんど負担なしにやってもらえるようになるだろう、こうお話ししたわけでございます。
  125. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、この範囲の拡大の問題でございますけれども大臣にお伺いいたしたいと思います。  先ほど来からの論議をお聞きいただいて、特別地区と防止地区、これは両方にわたって将来は当然環境庁が設置いたしております環境基準というものに基づく範囲に含まれるわけです。そういう場合に、先ほども航空局長の答弁では、当然そうなれば範囲が騒音防止という点で拡大もされていくから、事実上は、法律論はともかくとして、運営の面では公費負担の防音装置という問題が当然行われるようになるであろう、このように言われているわけでございますけれども、私、事実関係は、範囲の拡大という点で、これを運用の面で拡大していくということは、それはそれなりに結構だとは思いますけれども法律の面でここはもう先住権も制限するのだ、法律の上ではそうなるわけですね、こういう法律という問題は、これは今後大きくやはり規制法案といいますか、先住権をも規制していく、こういう法律の内容になるのではないか、私は、このように考えますけれども大臣、その点をお答えいただきたいと思います。
  126. 田村元

    田村国務大臣 この法律では拘束を受けますけれども、「現行法によって救われる」こういう趣旨で局長が答弁したものと思います。
  127. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは、次にお伺いをいたしたいと思いますのは、この防止地区に生活をしている人が、簡易な程度の防音装置というようなことで、アルミサッシという内容が政令で定められているように伺いましたけれども、具体的に夜間飛行が行われます場合に、これはやはり昼間と違いまして相当騒音値というものが高まってくるのではないか、このように思います。現在、夜間飛行の場合には、大阪、福岡、新潟、小松、横田などの空港では、裁判訴訟も起こっているというふうに聞いておりますけれども、特にこの成田周辺は、御承知のとおり農村地域と申しますか、現在非常に静かなところでございます。そうなってまいりますと、具体的には夜間飛行という問題は、これは果たしてアルミサッシ程度で室内が六五WECPNLになるのかどうなのか、こういう点は今後いろいろと問題が出てくるのではないか、このように思いますけれども、いかがですか。
  128. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 WECPNLという数字を算定いたします方式の中には、朝とか昼間とかあるいは夜とか、人間の感覚的に受ける音の強さ、それが時間によって違うわけであります。周辺がざわついているときにはかなりの音でも感じ方が少ないし、静かなときには感じ方が大きい、そういうこと全部を総合的に式の中に入れ込みまして、それで出てくる数字でございますから、WECPNLで五程度下がるという効果は、そういったことも平均的には入っているわけでございます。  ただ、いま恐らく先生の御指摘の点は、現実問題として起こってくるのだろうと思います。成田空港周辺におきましては。ヒバリが鳴いておった田園に大きな飛行機が入ってくる、特に夜十一時まで運用さしていただきたいというふうにお願いしておる空港でございますから、当然そういった問題が起こると思います。これに対しましては、私は、現実論としては、この法律案の問題よりも現行の騒音防止法の体系に入ってくると思います。そして午前中にも問題が出ておりましたように、成田空港周辺の民家を騒音から守るために防音工事に対しまして、従来の一室という制度から二室に引き上げ、さらに近い将来全戸防音ということも検討しようということでございますので、そういった体系の中で夜間飛行等による音の被害というものは救われることになるというふうに考えているわけであります。
  129. 小林政子

    ○小林(政)委員 地域の住民人たちは、非常に夜間飛行の問題について心配をされております。航空局長もいまお答えになりましたように、静かな地域であっただけに、相当今後、いただいた資料を見ましても、三百便数からの大型ジェット機が飛来するというようなことも言われておりますので、この点については、私は、やはり発生源の規制という点を当然考えていかなければならないのじゃないか、このように思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  130. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 環境基準は、理想的には屋外での環境基準でございます。したがいまして、防音工事等をやることによって室内の、屋内の生活環境をよくしても、それだけでは片手落ちでありまして、屋外の環境基準をよくしなければ最終的な目標達成にならないことは御指摘のとおりであります。  このために最も有効な手段は、音のしない飛行機をつくることでございます。現在、各国の航空機メーカー、航空機の技術者の間でも一番問題になっておりますのは音の問題であります。     〔宮崎委員長代理退席委員長着席〕 かつては航空技術者の技術の焦点は、いかに高速で飛ぶか、いかに大量輸送の可能な飛行機をつくるか、高速、大量ということが技術の一番目標でございましたけれども、最近、やはり全世界的に空港周辺の騒音問題が先鋭化しております現在におきましては、航空関係技術者の最大の焦点は、いかに音の少ない飛行機をつくるかということになっているわけであります。  したがいまして、エンジンの開発あるいは機体構造の改良、さらには地上に音の広がることの少ないような運航方式の開発等を通じまして、おっしゃいました発生源対策というものを、これから一生懸命やるということが私どもの最大の課題でありまして、この法律案等によりまして各種の規制を行うというふうなことは、いわば二次的な問題であって、第一次的には音そのものを少なくするという方向が第一義であります。  しかしながら、物理的にそういったことが直ちに不可能であるということでございますので、そういう理想的な状態が出てくるまでの間、こういったやむを得ずの規制をさせていただきまして、地域社会を音から守りたいというふうに考えて立案をしたわけでございます。
  131. 小林政子

    ○小林(政)委員 この発生源対策ということで特に音の少ない飛行で行うという点での努力は今後も続けていくということでございますけれども、これは大臣の趣旨説明の中でも、一定の限度というものがあるので、空港の場合には周囲に相当広範な騒音という問題が起こることは、これはまあ現実の問題として起きているという立場から今回この一定の規制をすることはやむを得ない措置なのだ、こういうことを言われているわけでございますけれども、私は、やはり発生源の対策としては飛行回数の問題だとか、これは国際線でありますから、いろいろとむずかしい問題があるだろうというふうには思いますけれども地元ではともかく静かなところだっただけに、九時以降の飛行という問題についてはぜひこれを禁止してもらいたい、こういう要望が非常に強いわけです。  私は、五十二年の九月分の国際線の羽田空港での離着陸回数という問題で資料をもらいまして調べてみますと、羽田空港の場合は十一時までということになっておりますけれども、午後九時から十一時までということで九月一カ月間の資料によりますと、八百五十九回この二十三時までに飛んでおりますけれども、それを超す回数というのはどうなっているかという点を調べてみますと、十一時過ぎということになると、これは一カ月を通じて七十五回発着離着、これが行われているわけです。このような事態が、国際線はそのまま成田に移るわけですから、現状からすれば七十五回、さらに今後現在よりも航空機の飛来数も多くなるわけでございますから、そうなってくると、これは一体どういうことになるのか、これについては、やはりきつく規制をしていくことが非常に大事ではないか、このように考えますけれども、この点についていかがでしょうか。
  132. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 大変大事な問題でございまして、羽田空港につきまして、いま先生指摘のような十一時以後に着陸する便がやはり皆無でございません。月に七十回とか七十五回とかいうものがあるわけであります。事情を聞きますと、三時間も五時間も、あるいはそれ以上も、離れたところから飛んでくるわけでありますので、いろいろと出発する外国空港での事情とかそういうことがありまして、あるいは途中での速度その他の問題、風向きの問題、風のスピードとか、そういったことでいろいろ事情があると思いますけれども、しかしながら、やはり私ども空港を管理しております当局としては、空港周辺の地域社会との関係が一番大事でございますので、そういったことが起こった都度、関係エアラインに対しましては厳重に警告をいたしております。  特に成田空港は、そういった点を開港前から地域ぐるみで指摘されている空港でございますので、従来の羽田につきましてやりました指導の二倍も三倍も強めまして、そういった事態が起こらないようにしなければいけないし、また、幾ら言っても聞かないエアラインに対しましては、それなりの法的措置を講ずるということも考えるべきであると思います。
  133. 小林政子

    ○小林(政)委員 少なくとも国際空港という性格から、いろいろと国内線と違いまして、離着陸の時間を九時前後にとどめるというようなことがもしきわめて困難であるとするならば、私は、やはり防音工事についても単なるアルミサッシというようなものではなく、これは当然二重窓で工事を行って、そして地域住民の安眠の時間というものを保障していくということが、環境基準を本当に重視していく上からきわめて重要ではないか、このように考えますけれども、これらの点についてどのような見解をお持ちかをお伺いいたしたいと思います。
  134. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 防音構造の仕方につきましては、いろいろの方法があると思います。そしてまた成田空港と大阪空港では、成田空港は農家が多いし、大阪空港周辺では通常の住宅が多い、そういうふうな住宅構造等の違いもございますので、夜間飛行などがあるということも十分考えた上で、有効な防音構造というものはどういうものであるかということを幅広く検討いたしまして、有効な措置を講じたいと思います。
  135. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいまの点については、地元とも相談をし、あるいは専門家とも相談をして、これらの問題については、空港開港されるということを想定して直ちに検討課題に入るということになりますか。
  136. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 成田空港につきましては、すでに空港公団がいろいろ地元の方の御意見も聞きながら各種の意見を取り入れまして仕事を進めていると思いますけれども、今後なおさらに将来に向かいまして、そういったことにも十分耳を傾けて措置をするように私どもから話をしたいと思います。
  137. 小林政子

    ○小林(政)委員 空港の場合に、一定の立地規制というものがやむを得ない措置であるということを先ほど私は申しましたけれども、その場合には、その前提になる条件ということで、防音工事だとかあるいはまた補償の問題だとか手続の民主的なあり方だとか、こういう問題について、十分それが地域住民の合意と納得の上に空港というものは本来つくられていかなければならないというふうに思うのです。何かこの法案の内容を見ておりますと、手続規定一つを見ましても、あるいは防音工事のあり方一つを見ましても、地域住民の意向という問題がどれだけ反映しているのだろうか、こういうことを私は非常に痛感いたしております。  たとえば現在行われておりますこの住宅防音工事の内容についても、新幹線と比べてみますと、同じ騒音を防止するということでやられておりますけれども、ここに非常に大きな差が出てきている。空港の場合には現在一室防音工事、そして五人以上の場合には二室の防音工事がやられるということでございますけれども、すでに新幹線の場合には、これはもう御承知だと思いますけれども、一人の場合一室防音工事をいたしておりますし、それから二人の場合には二室、三人の場合には三室、四人以上は四室まで防音工事がすでに実施をされ、しかも、騒音値ということになると違うと思いますけれども、住宅の防音工事については、室内で五五ホンから六〇ホンということを目途に、現在このような工事が着々と進められているわけでございますけれども、最も騒音のはなはだしいと言われております空港騒音防止工事というものは、新幹線に比べてもきわめて低いものである、こういうことが言われなければならないと思うのです。  この問題については、早急に全額補償の立場に立って、そして全室を保障するということこそがいま緊急に必要なのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  138. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いままでは民家防音工事一室を原則といたしまして、家族の数あるいはお年寄りの数、病人、小さいお子さんの数というふうなことから、例外的に二室ということになっていたわけでありますが、最近におきまするこういった状況の重要性にかんがみまして、ごく最近におきまして、この二室防音工事ができる基準を緩和いたしまして、事実上ある一定の家族の人数さえあれば二室防音工事が可能になるようなことをいま措置いたしておるわけでございます。  現在成田空港におきましては、農家という特別な住居構造でございますので、これを外側から全部覆うといいますか、およそ外気に面している開口部について全部音から防護する、いわゆる全戸防音ということが言われているわけでございますが、それにつきましては、先ほど空港公団の副総裁お答えいたしましたとおり、五十三年度にはテストを行いまして、何十軒分かのものを行い、そして五十四年度からこれをやっていきたいということを公団は言われているわけでございまして、私たちも、そういった方向でこの問題を進めていくことは可能であるというふうに考えまして、いまそのためのいろいろな関連する措置を検討しているところでございますが、空港周辺住民を騒音から守るということは、田村大臣からも私ども常々言われていることでございますので、その点を第一義に考えまして措置をするつもりでございます。
  139. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは、この法案が成立をするという場合に想定されます基本方向の設定だとか、あるいはそれに伴う周辺地域の土地利用ということで、一定の空港周辺の立地規制が地域住民には加わるわけでございますけれども、それはともかくやむを得ない一定の措置だというふうに考えましても、そのために所有している土地の利用が制限される、これは事実でございます。当然私は、周辺土地の利用計画を含めた基本計画というものが設定される段階で、どこに線を引いていくか、どのように線を引くかということ、これが作成される段階で住民の意見というものを十分把握し、そして民主的な手続が必要ではないか、このように思いますけれども、この点について、この法律案の条文の中には、どこにそのようなことが規定をされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  140. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お尋ねの点につきましては、第二条に「特定空港の指定等」というところがございまして、まずこれを適用する方がよろしいと私どもが判断される空港につきまして、政令で特定空港として指定をいたします。そういたしますと、第二項によりまして、その空港の設置者が各種のデータを備えまして都道府県知事に対しまして基本方針を決めることの要請をするわけでございます。そういたしますと、都道府県知事がこの第三条に書いてございますような基本方針を決めるわけでございますが、そのときには、第三条の第三項によりまして、都道府県知事が基本方針の原案を公表いたします。そうしますと、第四項によりまして、関係市町村の住民、利害関係人、これらが公表の日から起算して二週間以内にこの基本方針の案につきまして意見書を提出する、そしてまた第五項におきましては、この基本方針の案につきまして関係市町村長の意見を聞く、こういうふうな手続を踏むことにいたしておるわけでございます。  これらの手続によりまして、空港周辺の地域住民方々あるいはそこの市町村の御意見というものは十分伺うことができるというふうに考えております。これは法律上のたてまえがそうなっておりますが、私どもは、さらに、このたてまえを事実上カバーする方法として、空港設置者による地域住民に対する活発な啓発活動あるいは丁寧な説明を繰り返すというふうなことを通じまして、この辺の事情について十分の御理解を得るような努力をいたすように措置いたしたいと思います。
  141. 小林政子

    ○小林(政)委員 公表があったとき、関係市町村の住民及び利害関係人が、公表の日から起算して二週間以内、先ほどもこの問題については質問の中で出ておりましたけれども、二週間以内に意見を知事に提出することができる、こういうことになっておりますけれども、意見書を提出する十分な準備期間というものも保障されていない。また、こういった内容について、公表されたら地域住民が直ちに反応を示していろいろな措置がとれるというようにも考えられませんし、私は、やはり意見書を提出する場合に、必要な期間というものを十分保障すべきではないか、このように考えますし、また、この段階で、意見書を提出した場合に、その意見書の取り扱いというような問題はどうなっているのかという点も明確にされておりませんし、あるいは審議会、公聴会などを当然設置して、基本計画の段階で住民の意思というものが十分反映されるようにすべきではないか、このように考えますけれども、これらの点についての見解を伺いたいと思います。
  142. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御指摘の点につきましては、この法律案の構成は、こういった内容と類似の内容を持ちますほかの法律との横の関係等から最小限度必要な制度を置いたものだと思います。しかしながら、私どもは、これによって満足することなく、これを超えるいろいろな措置を講じまして、いま先生指摘のような点が十分にカバーできるようにすべきであると思いますし、また、そうするつもりでございます。  それから、地域の意見が都道府県知事に出てきたときにどうするかということでございますが、原案について賛成ということでございますれば問題ございませんけれども、原案に対して反対というふうな意見が出た、また、この反対が非常に大きな比率を占めるというふうな場合にどうするかという点については、まずはやはりそこの都道府県知事の御裁量の問題でございまして、知事は自分の県の中の問題としてそれは十分総合的に御判断をいただけるというふうに期待いたしておりますし、また、最終的には、この第六項によりまして運輸大臣、建設大臣の同意が必要であるということもございますので、私どもからも、その点につきましては十分な指導を都道府県に対しましてすることができると思いますので、そういったことを通じまして、御心配のような事態が起こらないように措置をいたしたいと思っております。
  143. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはりこういった問題は、法案の中ではっきりと制度的な保障という問題を、他の法案との関係があっていますぐにはできないということであれば——やはり何らかの形で法律の上で制度的に住民の意思というものが十分反映されるような保障というものをきちっとつくっていくということが重要なことではないかというふうに考えますけれども、これは大臣お答えをいただきたいと思います。
  144. 田村元

    田村国務大臣 他の法律との絡みがございますからという答弁をいま局長がいたしました。二週間が妥当であるかどうかということについては、都市計画法等、同じような性格を持った法律そのものを一般論として国会で御議論願うことは、これは非常に結構なことだと思います。  それから、何らかの救済措置が必要ではないかという御意見でございますが、法律施行後現実的に拾えるだけ拾うというような方法を講じなければならぬということで、その点はきめ細かくやるように、現実に即応してやるようにということを十分航空局に指示してございます。
  145. 小林政子

    ○小林(政)委員 すでに他の法律でもやはり、土地区画整理法などの場合には、これは事業計画を発表いたしまして二週間は縦覧の期間がございまして、その二週間を経過したときからさらに二週間、意見があればそれを提出することもできる、こういったようなことが決められているものもございますし、当然利害関係も伴いますし、今後、線引きということで土地利用あるいは土地規制という問題でいろいろと重大な問題が出てくる内容もございますので、これは何らかの形で、運用面できめ細かに配慮してということをおっしゃっておりますけれども、やはり民主的な手続というのは法の上で何らかの形で、審議会を設けるなりあるいは協議機関を設置するなり、やはり本来的に法の上で制度的にこれらの問題が保障されていくということが大原則ではないか、このように考えております。  時間の関係で次に入りたいと思います。  空港を設置する場合の前提条件のもう一つの大きな問題は、やはり安全問題であろう、私は、このように考えております。結局、この法案の中に安全対策という問題がどれほど位置づけられ、そしてどこにこの位置づけというものがされているのか、まずこの点からお伺いをいたしたいと思います。
  146. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  この法律案の目的は、空港周辺騒音公害から未然に防止しようということが目的でございまして、安全問題というのは直接には規定されておりません。空港周辺土地利用計画というふうなことの中では、安全問題などにももちろん意を用いましたところの緑地帯とかその他の計画は入ると思いますけれども法律案としては直接安全問題を目的といたしておりませんが、もう航空機にとって一番大事なのは安全でございます。二番目に環境影響の防除であります。この安全につきましては、すでに一つには、航空法の体系におきまして、航空に従事する技術者、いわゆるパイロットその他の技術者、それらに対する資格要件を決めておりますし、また、航空機の各種の技術、制度につきまして規定をいたしております。さらには、それを運営する会社につきましても、各種の規制を行っているわけであります。また、飛行場の保安施設その他の点につきましても、航空法はきめ細かに規定をいたしておりまして、そういった点で航空法の体系の中で安全問題はすべてカバーされていると考えております。  もちろん、日進月歩でございますから、必要がある都度、これは改正をしてまいりますけれども、私どもは、安全の問題については、この法律案の中には書いてございませんが、それは現行の航空法体系においてカバーされている、要すれば、そちらの方の改正をもって応ずべきであるというふうに考えておりますことをお答えいたしたいと思います。
  147. 小林政子

    ○小林(政)委員 空港を設置しようとする場合には、ただセメントで固めた滑走路だけがともかくできて、そして飛行機が飛べるように、地域周辺との関連というようなものはそれほど重視しないという状態とは最近異なって、十分地域周辺とも調和をとりながら空港の設置、そしてその場合に一定の立地規制も、これは住民の御理解もいただき、納得もしていただく、その前提条件としていろいろ補償の問題その他がございますけれども、その中の重要な柱の一つは、何と言っても、この飛行経路がどうなるのか、あるいはまた運航が今後どのようにされていくのか、あるいは飛行回数という問題がどうなるのか、こういったような問題点について、地域の住民に十分知らせていくということがきわめて重要だというふうに私は思うのです。その中での空港設置の段階から総合的にこれらの問題を検討していく、今後はぜひこれをやっていかなければ空港はもうできないのではないか、このようにすら思います。  成田空港の場合には、長年月を費やしておりましたけれども、実際にはこれらの問題についての配慮が私はいままでされていなかったというふうに受けとめております。私ども、この安全対策の問題について、空港周辺での事故の発生という問題をどのように考えているかという点を重視していかなければならないと思うのです。  日本航空が十月十九日に、総合安全推進本部で会議を開いて、運航本部内に「危険な十一分間委員会」を設置することを決めたということが新聞報道にも載っておりますけれども運輸省は、このように十一分間というような委員会が設けられたことを知っているかどうか、まずその点からお伺いをいたしたいと思います。
  148. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 御指摘のように、航空機事故の大半は離陸、着陸のときに起こるわけでありますが、着陸の準備を始めてから着陸が終わるまで、それから離陸を始めてから離陸し終わるまで、これらを合わせますと十一分間になるということで、イレブンミニッツコミッティーというものができましたことは承知いたしております。私は、大変時宜を得た措置であると思っております。これは主として航空機を操縦するパイロットの運航技術、そういった点を中心に日本航空としてつくられた委員会でございまして、この離着陸の十一分間というものは、私どもがどんなにりっぱな運航計器を備え、どんなにりっぱなバックアップシステムをつくりましても、最後は生身のパイロットの腕と勘によりましてこの十一分間が過ごされるわけでございます。したがいまして、日進月歩の航空技術あるいは管制技術の上に乗っかって本当に安全な運航をしてもらうためには、この十一分間という時間の中で生身のパイロットが完全に動作をするということであると思いますので、非常に重大な問題であります。  そういったことが、これから私ども空港整備をしてまいります場合に、非常に大きな問題になるわけでございまして、御承知のように、日本の国土は非常に狭く、空港周辺には住宅がたくさんございますので、空港周辺飛行機が仮に何らかの事故を起こして墜落するということになりますと、これは航空機に乗っかっておりますお客さんとか荷物の問題もさることながら、都市災害として大変なことになります。私は、従来航空の安全を議論する場合に、とかく都市災害に対する配慮が欠けていたのじゃないかということを痛感いたしております。そういった点を考えましても、できるだけ空港周辺は緑地帯等にいたしまして、そういったことの危険がなくなるようにするのがやはり必要であります。もちろん絶対おっこちてはいけませんけれども、万一の場合を考えますと、空港の直近の場所は、やはり緑地帯等にすることによりまして、そういった万が一の場合の都市災害の防止にもなりますし、また、騒音に対しましても緩衝緑地になるということを考えておりますので、そういった問題、それからまた、飛行機自体がおっこちてはいけないという問題、これらを総合的に配慮いたしまして、安全問題については、従来以上にいろいろ気を配っていくことをいま考えております。
  149. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり空港設置の場合に、騒音対策という問題も環境保全という点できわめて重要であることは否定するどころか、ますます重視をしていかなければならないと思いますけれども、それにも増してやはり空港の安全対策、こういった問題は、万が一事故が起きた場合には、地域住民に大きな被害を及ぼすわけでございますし、航空事故の約八〇%は、いまお話のあった離陸、着陸の十一分間に起こっているということが、新聞記事でも報道されております。空港周辺住民の安全を守るという点から、運輸省は独自にこの問題を一層検討すると同時に、このデータなども、私は、住民の方にも知らせるべきではないか、国際的なデータもあるように言われておりますけれども、それらの問題も委員会等に提出をしてもらいたいというふうに考えております。  本来空港設置者の責任で発生源の危険を防除していく、ひいては住民の安全対策という問題をなお一層重視していく、こういうことがきわめて大事だと思いますけれども、本法案がここに特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法ということで、騒音に対してはいまの論議の中でも住民の私権という問題を相当大きく制限しながら、この騒音対策を行おうとしながら、安全対策の面は何ら法律の中では触れられていない、この点は私、今後十分検討していく内容ではないか、このように考えておりますけれども、再度御答弁を願いたいと思います。
  150. 田村元

    田村国務大臣 この法律のたてまえがございますので、安全という問題は特に盛っておりませんけれども空港というものを経営いたしますのに一番大切なものは、何と言っても安全でございます。これはもう私ども身にしみておるわけであります。少なくとも日本の空港では絶対に事故を起こさないということ、これはやはりわれわれの金科玉条として守っていかなければならぬ問題でございます。でございますから、常日ごろ安全に対する厳しい注意を与えておるわけでございますが、今後もあらゆる角度から、これは成田のみではございませんけれども、安全を守る点について厳に心を戒めて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  151. 小林政子

    ○小林(政)委員 もう一点だけ要望します。  結局、騒音防止といいましても、私は、根本はやはり発生源という問題でどう防止をしていくか、安全問題も騒音防止も、ひいては地域住民の環境という点から考えれば、これはきわめて重要な問題だというふうに考えております。発生源対策が、このような十分にまだデータ等もあるいは手に入れているのかいないのかわからないようなこういう状況では、本当の意味でのこの安全対策、いわゆる環境を保全していくというような問題について、全くそういった状況では、ただ権利の規制というようなことだけが行われていく。ですから、この安全対策という点について、発生源の責任という問題を明確にしていくということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 大野明

    大野委員長 次に、中馬弘毅君。
  153. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 今度開港されます成田空港、これこそ日本の一つの大きな空の玄関口になるわけでございますが、世界の飛行場を見回してみましたときに、これからつくる飛行場としては必ずしも広くない、千ヘクタール強でございます。ダラス、フォートワースほどの広さは必要でないにしましても、もう少し広い必要があるのじゃないかとすら思っているわけでございますが、計画はもっと広かったわけでございますね。その計画が広かったのが、これだけになったことの問題点もあろうかと思いますが、本法案で言いますところの防止特別地区、ここでは移転補償あるいは土地の買い入れが行われていくわけでありますが、その処置の姿勢、これは住民からの申し出でやむを得ず買っていくという態度なのか、あるいはこれを積極的に買って広げていく意図があるのか、そのことの御見解をお伺いしたいと思います。
  154. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  法律の書き方といたしましては、請求があったならば必ず買います。時価で買います。こう書いてあるわけでございますけれども、私どもは、やはり空港周辺をできれば住宅立地じゃないようにしたいと思っておりますので、お申し出を歓迎いたしますし、できればお勧めしても売っていただくということの方が、長い目で見て空港周辺を環境公害から守るゆえんであろうと考えております。
  155. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 どの程度の規模が望ましいとお考えでございましょうか。
  156. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 このことは、それぞれの空港周辺の住宅等の立地条件によりまして、私ども買いたいと思いましてもなかなか売っていただけないということがあるかと思いますけれども、現在の騒音防止法の考え方では、九五WECPNL以上の地域を第三種地域といたしておりますけれども、こういった地域は原則として全部買い上げて緩衝緑地にするというふうにいたしております。  そこで、仮に成田について、この第三種地域というものをどのくらいかということで計算いたしますと、正確にはわかりませんが、恐らく三百ないし四百ヘクタールぐらいではないかと思います。この中はもうぜひとも全部買い上げてしまいたいと思いますが、その外側につきましては、やはり強制的に買うわけにはいきませんし、まあ望ましいことはなるべくそれを広げていきたいということ以上にはなかなか申し上げられないと思います。
  157. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いままでいろんな公共事業が行われてきました場合、たとえば新幹線にしましても、いろんな問題が起こっております。これをたとえば二車線じゃなくて四車線ぐらいが十分とれるような、複々線で行けるようなものを初めから買っておけば、そしてその周りをずっと、たとえば街路樹のような形で囲む形にすれば、もう少しいま行われているような問題というのがなくなってくるのじゃないかという気がするわけでございますが、余りにもゆとりがなくて、しかも背伸びだけしてその目的を達しようとするところに一つの問題が出てきているかと思います。今後、その一つの反省も含めまして、成田空港につきましても、先ほどおっしゃいましたような緑地にしていくといったような姿勢がぜひとも必要かという気がするわけでございます。  この買い入れとか補償、これの事業主体はどこになるのですか。
  158. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 空港の設置者でございますので、成田の場合には空港公団でございます。それから、その他の空港の場合にはおおむね国でございますが、都道府県の管理いたしております第三種空港の場合には都道府県になります。
  159. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 周辺整備機構のようなものをつくられる意図はなくて、それと同等の働きを公団がなさるということでございますか。
  160. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 現実にはそういうことになると思います。
  161. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 周辺整備機構、これは大阪が一番大きな予算を使ってやっておりますが、そこでもいろいろな問題が出てきております。予算を与えられながら、それも十分使うことができない。これはもろもろの住民との間の合意ができないといったようなことでのことでございましょうけれども、その辺についてどうお考えでございますか。
  162. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  私ども大阪空港周辺整備機構をつくりましたときには、まあいわば非常にいいアイデアを出したものだというふうに考えていたわけでございますけれども一つには、やはり士族の商法ということもございまして、土地を買って、そこを造成して、それで安く希望者にお売りするというふうな仕事を、役人出身の人がやはりうまくできなかったということもございます。それから、一番大きな原因は、地価の鎮静化が起こりまして、つまり周辺整備機構を発案したころは、地価がどんどん上っているころでございました。したがって、いわば地価上昇のさやと申しますか、その造成費と売り渡し価格というもののそういった差を、公共的に利用するということも可能であったわけでありますけれども、現実は逆になりまして、代替地を買って、それを造成して売ろうと思うと、もうコストから見ると、通常の土地の流通価格に比べて何割か上になってしまうというふうなことから、土地が売れないというふうな状況にも遭遇いたしまして、一つには士族の商法であったこと、もう一つには、ちょうどこの地価が鎮静化してきたことが裏目に出たというふうなことがございまして、実は、周辺整備機構スタートにおいてもたもたいたしましたけれども、おかげさまでここ一年ほどは、周辺の都道府県、特にあすこは大阪、兵庫県、それから関係十一市、その他の皆さん方のお知恵をおかりいたしまして、最近軌道に乗りつつございます。  まあ先生方ごらんいただきますと、何をしているのだということをお考えいただきますのは無理もないわけでございますし、私どもも、ときどきそう思うわけでございますけれども、これにつきましては、せっかく現地と私ども協力いたしまして進めておりますので、もうしばらく時間をおかし願いますれば、大阪空港周辺整備計画の推進というものが軌道に乗ってくることは可能であるというふうに考えます。
  163. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 確かにいまおっしゃいましたように、武士の商法的なところがかなりあるわけでございますが、いまの大阪の一つの経験でもございませんが、今度買い入れる場合に時価ということになっておりますね、ところが、実際に時価で買い上げても、移転するところの価格はもうはるかに高くなっている、そういうことで実際にはなかなか移転が進まない、そういう現実もあろうかと思います。そのときにどう補償をしていかれるか。ただ単に決められた時価だから、これだけしか出せないのだということでは、結局住民との間の折り合いがつかずに、いつまでたっても物事が進まない。騒音にさらされる人たちが、いつまでたってもそこから出ていかれないということになっているのがまた現実でもあるわけですが、成田についてどうお考えでございましょうか。
  164. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これは大阪の経験でもそうでございますけれども、時価を算定する場合には、できるだけ高く算定をしたい、またいたしております。もちろん公共用地の取得に関する基準というのがございまして、これは各省でこの種の事業をする場合の共通の尺度でございますけれども、この尺度の行間までを読みまして、私どもは、できるだけ高い時価になるように努力をしております。  成田の場合でも、空港のすぐ横というのは、確かに地価が下がるかもしれませんけれども飛行機の騒音というのは、幸いにして横方向には余り広がりませんので、横にかなり広く近傍類地のサンプルをとれば、相当高い時価評価をすることも可能でございますので、そういったことで、できるだけ高く買うということが第一点であります。  もう一つは、移転補償の問題あるいは代替地をお世話する等の問題、このときには代替地をお世話する資金の原資、これらについてできるだけ安いお金、財政資金等を使いまして、元手のかからないお金を使って、また土地の造成等もなるべく金のかからないような造成をするというようなことによって、代替地の価格をできるだけ下げる、そして買い入れ価格と新しい代替地の売り渡し価格の間に余裕が出まして、移転される方の手元に何がしかが残るというふうにすべきだと思います。  現に大阪空港の場合にも、努力いたしまして、最近やっと売った土地のお金で代替地が買える、若干手元に残るというふうになってまいりましたので、成田につきましても、この経験を生かしまして、そういうふうに運用いたしたいと思っております。
  165. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、特に時価にこだわられずに、一つの補償といった意味で上乗せされるということに理解してよろしいでしょうか。と申しますのは、先ほどの、積極的にこれを緑地化していくのだといったようなことであれば、ただ時価で買い上げるということではなくて、そのほかに一つの対策費としてのものが上積みされても、その方が結果的には期間も早く片づき、安く上がるといったことが、現実に大阪の場合に考えられるわけですね。その辺についてのお考えはどうでございましょうか。
  166. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 本当は、私たち前向きに物を考えるならば、時価以上にお金を積みましても、そこのところを買って、将来に向かって緑地等にする基礎をつくるということが必要であると思いますけれども、残念ながら、やはり時価評価以上にお金を積むということは、現行制度ではできませんので、時価というものを判断、算定するときに、できるだけの要素を取り入れて、できるだけ高く算定する。したがって、それはあくまでも時価でございますけれども、時価というものの判断のときに、そういう配慮をするということで対処をしていく以外にいま方法がないわけでございます。
  167. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 成田にしましても、そういうことで周辺方々に対する一つの配慮もいたし、国際的に見ましても、かなり狭い空港にしかならないと思いますので、ますます頻繁になってきます航空事情を考えたときに、かなり大きな範囲をとって、そうしてそこを緑地化していくことがぜひとも必要じゃないかという気がするわけでございます。  成田の次は関西新空港の問題になってくるかと思いますが、この関西新空港の進捗状況、このところを少し御説明いただけませんでしょうか。
  168. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 関西新空港につきましては、先生地元でいらっしゃいますから釈迦に説法になるかもしれませんけれども、私ども成田の経験にかんがみまして、建設計画を決める前に徹底的に環境影響評価をすべきであるというふうに思いました。環境影響評価をするためには、どうしても出発点は自然条件の調査でございます。そうすると、航空審議会の答申でうたわれました泉南沖の海上に一カ所、陸岸に二カ所あるいは三カ所、そういう観測地点を設けまして、自然条件、海流の方向ですとかあるいは気温、風向等々の自然条件を調べて、そこへ飛行機が飛んだときにどういうふうな影響を与えるかということを調べるのが先決であったわけでございます。  そして、そういう計画地元に御提示したわけでございますけれども、大変残念なことながら、そういう観測のための塔を建てるわけですが、観測塔を建てるということは、つまり関西新空港の建設のゴーにつながるという御判断から地元に大変な反対がありまして、なかなかその観測塔の設置が思うようにできなかったということがございますけれども、昨年の秋口でございましたか、黒田知事と私とお約束をいたしまして、観測結果については全部地元に公表いたします。そして地元の御意見を同府県を通じて最終的に伺った上で建設すべきかどうかを決めますというお約束をしまして、初めて大阪府としては御賛成いただいた。それから後は、具体的にその塔が建つ周辺住民との交渉に入りまして、本省、地方局ともどもに力を合わせまして説得に当たりまして、やっと二、三カ月前に一番最後の一本が建つ計画が決まりました。したがって、当初は五十三年度いっぱいには環境影響評価のためのすべてのデータの調査が完了すると思っておりましたけれども、恐らく一年ぐらいずれると思います。したがって、五十四年度いっぱいぐらいにならないと、そういったデータの集計評価が終わらないと思います。  この評価の方法は、これも御承知のように、一つは、いまのような自然条件でございます。それからもう一つは、空港をつくる前の大阪空港を取り巻く各市町村の人口とか経済、産業、文化等々の社会的な状況の調査でありました。そういった環境のところにどういう空港ができるかということでございまして、この空港の工事方法についての調査もございます。航空審議会の答申を数年前にいたしました段階では、おおむねこれは埋め立て空港ということで答申がされたいきさつがございますけれども、その後いろいろ技術が進歩をいたしまして、埋め立てだけが工法ではない、そのほかにも桟橋工法もあるし、あるいは最近新聞に出ておりますところのフローティング構造、つまり鉄の大きな箱をつくりまして、それを浮かべたものをつなげて空港にするというふうな浮体構造の空港でもいいじゃないか、あるいはそれらのミックスもあり得るだろうというふうな、大変ないま百家争鳴の状態でございますが、それらをやはり客観的な評価を下す機関にかけまして評価をしてもらいまして建設工法を決める。そうしますと、そのような自然条件、環境条件のところにこのような工法で空港をつくる、そうするとどういう影響が出るかということの調査をするわけであります。そしてその評価をいたしまして、その結果を地元に御説明する、こういう段取りになります。  それから、いままで申し上げましたのは、狭い意味での空港関係の調査でございますが、もう一つ、もう少し広い調査がありまして、これは大阪府とあそこの周辺の地方公共団体が熱望していらっしゃることでございますけれども、これは関西新空港ができることによって関西新空港周辺の地域にどのような経済的、文化的影響を及ぼすか、そういうふうないわゆる総合的な開発影響調査、開発効果の調査というものをせよ、こういう御要望がございまして、これは私たちの調査よりももっと幅の広い調査でございますので、関係各省もたくさんございます。そこで、国土庁の調査調整費、これをお願いいたしまして調査をしてもらうということで折衝いたしておりまして、今年度中にはその調査が行われると思います。そしてその結果ももちろん地域住民に十分御説明がなされると思います。  そういったことで、恐らく五十四年あるいは五十五年の段階になりますと、このような工法でこの場所にこういう空港をつくるという計画が決まると思います。そういたしますと、早ければ五十五年度中、おくれても五十六年度からはその計画に基づく関西空港の建設が行われることになると思いますが、何せ大変な難工事が予想されますので、完成までには着工後私は恐らく五年はかかるだろうと思うのであります。これは工事期間ということでございます。  したがいまして、成田空港のように、工事はできても周辺の反対で開港できないということになっては大変でございますので、着手をする前に、十分その辺の御意見を聞きまして、着手をすれば、工事期間だけ計算しておけば開港日が読めるというふうにすべきである、こう考えて、せっかく地域団体への説明、交渉、説得を続けておる現状でございます。
  169. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 地元にはもちろん賛成もございましょうし、反対もあろうかと思います。確かにいままでいろんな意味での反対で調査すらできなかった面があったわけでございますが、反対者の反対の理由の一番大きなもの、一番といいますか、そういった反対理由は、どういうことが考えられると思いますか。
  170. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 いろいろございまして、ひっくるめてやはり空港ができることによる環境の悪化という点が一番大きな反対の理由でございますが、環境の悪化と言っても、内容がさまざまでございまして、一つは、やはり騒音問題があるのじゃないかというふうなこと、あるいは海上空港でございますから、そこに空港ができることによって漁業に影響が出てくるのじゃないかということ、あるいはそこに空港ができると、埋め立てなんかの場合には、海流の変化等によりまして、いろいろ気象上の変化もあるのじゃないかというふうな、それが広く地域環境を壊しはしないかというふうなこともあると思います。それからさらには、そこに空港ができますと、大阪、神戸方面からたくさんの交通が殺到いたしますが、沿道空港へ往復する自動車によって公害を受けることはないか、こういったことが主な反対理由であると思います。もちろん、何でもかんでも反対という方たちもいると思いますけれども、やはり主たる住民の反対理由は、そういった環境を壊すのではないかという点が一番大きな反対理由でありまして、この点については、先ほど来お話ししておりますような環境影響調査によりまして十分の御説明をすることによりまして、この御反対はほとんど解消することができるというふうに私どもは考えております。
  171. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 この反対の理由の中にも、何といいますか十分に役所側の意向あるいは本当に調査した上での反対ということではなくて、ただ不安ということで反対、こういったケースが間々あるわけですね。そしていつの場合でも、その後始末ということになっているケースが非常に多いと思うのです。  成田の場合にしましても、周辺の公共施設に対する国の援助を、五十四年までの時限立法を延ばすというようなことになっておりますけれども、そういったことをなぜ事前にもう少しやっておかないのか。  今度のこの法案にしましても、私権を制限されるということで、いまの時点から非常に心配をされておる方々もあるわけでありまして、そういったことに対する行政側の本当の住民PRといいますか、これが欠けているのじゃないかという気がするわけでございます。  その点につきましても、関西空港ではこうなんだということを、もう少し地域の人たち地元人たち説明する必要があろうかと思います。その場合、本法案の防止区域を、たとえば関西空港に当てはめたとして、その範囲の中に陸地で住宅が当てはまるわけですか。
  172. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 関西空港計画がまだはっきり具体化してない段階でございますので、最終的なことはわかりませんけれども、いままで航空審議会の答申などで触れられておりますような位置、規模で関西空港ができ上がったといたしますれば、いわゆる海上空港でございますし、陸岸からたしか四キロくらい離れた海上にでき上がっている空港でございますので、騒音コンターをいかに引きましても、私どもは恐らく今回の法律案の対象地域にならないと思います。
  173. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、もう少し進めて、陸地の部分環境基準に適合しているということで考えていいですか。
  174. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 恐らくそういうことになると思います。
  175. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 本法案で言いますところの特別防止地区、ここで補償あるいは買い取りということが起こるわけでございますけれども、漁業権というのは、この法案で言うところの買い取りの対象になりますか。
  176. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法案は、宅地化を防止するという趣旨でできておりますので、いわゆる海上空港というものを想定いたしておりません。したがって、一般的に漁業権というものは買い入れの対象にいたしておりません。ただ、海浜に空港をつくるというふうな場合、これは海上空港と違って、地域によりましてはこの法律案の対象になり得ると思います。その場合に、漁業権はこの法律による買い上げの対象になりません。しかしながら、これは通常の公共事業を行う場合の補償の対象としては十分対象になり得ると思いますので、そちらの方で漁業権につきましては補償が行われるべきであると思います。
  177. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そうするならば、この特定空港法案には、関西新空港は現実問題として当てはまらないと考えていいわけですか。
  178. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 恐らくそうであると思います。
  179. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いつの場合もそうでございますけれども、本当に住民側と役所との間の何か意思の疎通が欠けている、ギャップがあるといったことで、起こさぬでもいい問題をあちこちで起こしているケースが非常に多々あろうかと思います。この成田の場合におきましても、先ほど申しました公団の中に、本当にお役所以外の人たちがどの程度入っているのか。本当に地元の声がすぐ届く、そして対応が打てるということがどうしても必要じゃないかという気がするわけです。  以上のようなことを配慮されまして、ひとつこの法案を慎重に運営されたい、このようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  180. 田村元

    田村国務大臣 先ほどの航空局長の答弁で私、ちょっと気になったことがあって、あのとおりなんですけれども答弁そのものには間違いはないのですが、誤解が生じてはいけませんので、ちょっとつけ加えておきたいと思います。  海上に空港をつくる場合の漁業補償はございます。それから魚に対する騒音という点で、この法律で補償の道はございません。しかし、他の法律によって救済措置はあるようでございます。いま具体的に、それはどの法律ということを申し上げる段階ではありませんし、それほど私は知識を持っておりません。そういうことでございますから、高橋君の答弁でいいのですけれども、誤解があってはいかぬと思いますので、速記録に残りますから、ちょっと一言つけ加えておきたいと思います。
  181. 大野明

    大野委員長 久保三郎君。
  182. 久保三郎

    ○久保(三)委員 きょうは、いま提案されている法律案の中身について主として質問をする考えでありますが、すでにこれまで幾つかの問題点についてはたびたびお尋ねがありましたので、重複を避けてこの法律案についてお尋ねをします。  それから、きょうは法制局長官にわざわざおいでいただいたのでありますが、当委員会では大変珍しいのでありまして、私からたってのお願いできょうはおいでいただいたのであります。と申し上げますのは、いま提案されている法律案は、これまでに見られなかった、言うなら法体系から見れば、場違いではないかもしれませんが、多少毛色の変わった法律案だと思っているのです。もっと言葉をかえて言うと、逆さまで、後追いで、言うなら後から何か物を考えて、ああそうだったなということで取り急ぎやろうじゃないかというようなことなんでありまして、その考え方に賛成か反対かは別として、その気持ちはわかります。わかりますが、この種の法律、そういうものが今後拡大されて制定された場合のことを考えると、これはそう簡単なものではないというふうに思っているのです。  そこで、法制局長官にお伺いしたいのは、いわゆる公共性と私権の制限というか規制、こういうものについて政府はどういうふうにお考えでありますかということなんです。いかがでしょうか。
  183. 真田秀夫

    ○真田政府委員 私権の制限と公共性との関連についてのお尋ねでございますけれども、これは申し上げるまでもなく、憲法第二十九条の関係に入るわけでございまして、第二十九条の第一項で、私有財産はこれを保障するというふうにはっきり書いておりまして、第二項でもって、その財産権の中身については、それは公共の福祉に適合するように法律で定めるというのが第二項でございまして、それから第三項へ参りまして、個人の財産権も、それもなるほど第一項で保障し、第二項でその内容は法律をもって定めるわけなんですけれども、公共のために必要があるときには正当な補償のもとに使用することができるというふうに書いておるわけでございまして、事は、もっぱら第二十九条第三項の関係だろうと思います。  本法律案におきましては、空港周辺における健全な都市づくりを実現するという一つのやはり公共の福祉といいますか、そちらの方の公共性にかんがみまして、若干の権利の、私権の制限を書いておる、こういう関係に相なるわけでございます。
  184. 久保三郎

    ○久保(三)委員 都市つくりがこれは問題ではないのです。都市づくりは一つの目的ではありますが、これはあわせてなんです。あわせてというのは、大体二次的になるわけです。「あわせて適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的とする。」、土地利用が果たして公共の利益になるのかどうかという問題もありますね。だから、そういう意味からいくと、この法律にはどこにも公共性という問題が直接的には出てこない。しかも、この法律を必要とするものはどういうことかというと、飛行機の方はいわゆる公共性であるというので、土地収用法に基づくところの土地収用をできる形で飛行場の用地は取得するわけですね。取得したが、そこに飛ぶ飛行機がうるさい、そしてうるさいというと、周りの私権者からいろいろな損害賠償なり苦情が出てきて困るから、これを排除しようというのがこの法律なんですね。  そうなると、これは果たして純粋の意味の公共性に合致するのかどうか。もしも万が一純粋な意味で公共性に合致するというならば、これは別な法律で、既存の法律で処理されるのが妥当ではないのか。たとえば土地収用法の拡大あるいは都市計画法の問題、あわせての方ならば都市計画法の問題になります。あるいは農振法の適用とかいろいろな問題があると思うのですが、特別にこの法律を必要としたところに、私は、どうしても私権の不当な侵害のおそれがあると思うのです。  今日ではないようですが、いままでの質疑応答を聞いても、言うならば特別地域はいわゆる賠償というか買い上げというか、そういうものには応ずることになっておりますけれども、そうでない普通の地域については補償の対象にはしないんですね。ただし建築の制限はする。制限するというのは、どういう制限かというと、防音装置をつけろということですね。ところがその補償はしません。しないのです。それから特別地域におけるところの家屋並びにそれに関連する立木とかその他のもの、こういうものの移転についても、応ずることは応ずるが、予算の範囲内においてこの補償をする。「補償することができる。」と、こうなっているのです。予算の範囲内で補償することができる。もちろん、国会で審議されている多くの法律案の中の予算に関係する部分は、いつでも予算の範囲内にというまくら言葉がつくのは当然なんでありますが、この場合はちょっと違うのじゃないかと私は思うのです。だから、これを逆に考えれば、予算がないときには補償はいたしませんということになる。私権は制限するということなんですね。そういうことで、この法律法律としてこれまでの法律の概念からは大きく離れやしないかというふうに心配しているわけです。  法制局の内部で、長官は議論に参加をされないだろうと思うのでありますが、きょう参加された方がいるならば、中でそういう問題は全然議論の対象にはならなかったのかどうか、念のために伺いたい。
  185. 真田秀夫

    ○真田政府委員 この法律案の立て方、性格、それについての御質問だろうとは思いますが、まず飛行場それ自体は、これは公共性がある、したがって、土地収用法の規定によって収用することができる施設に掲げてございます。この法律案は、そういう公共性のある飛行場があることによって発するいろいろの騒音による被害、これを防止するということは確かに一つの目的に入っております。それと同時に、土地利用の適正かつ合理的な運用を図るということが第二番目に目的として入っておりまして、そうすることによって、先ほど申し上げました空港周辺における健全なる都市づくりを実現するということが、結局この法律案の目的として掲げられておるわけでございまして、そういう意味で、この法律案全体が公共性があるわけでございます。  それから、補償の問題でございますけれども、この法律案は御案内のとおり、基本計画に基づきまして都市計画法の手法を用いまして騒音防止の地区と特別地区という二種類の都市計画法上の地域地区の指定をして、そしてその実態に応じた制限を規定する、及ぼすという立て方をしております。  そこで、その補償の要否についてでございますけれども、特別地区でない普通地区、この方はそれほど制限がきつくないといいますか、運輸省の方の御説明によりますと、WECPNLが七五から八〇くらいというふうなお考えのようでございまして、比較的軽微な防音施設でもってがまんできる、つまり広い意味で申しますと、社会通念上受忍義務の範囲内として考えてよろしい程度であろう。ところが、特別地区になりますと、これは御案内のように、法文に書いてありますとおり、一定の建築の制限がかぶる。これはきつい私権の制限でございますので、これに対しては、予算の上の手当てではなくて、法律上補償をするという仕組みを考えているわけでございまして、決して予算がなければ補償しないという性格のものではないと理解いたしております。  もともと都市計画法に基づくいろいろな地域地区制による利用上の制限ということは、これは都市計画法にずっと羅列してあるとおりでございますが、それにつきましては、一般には都市計画法による制限というのは、市民生活の相互関係を基礎として都市全体としての最適な土地の利用形態の実現を目的とする規制でございますので、その都市計画法による地域地区制度によって受ける制限は、これはやはりその土地に内在する、あるいは土地という財産権に内在する社会的制約であろうというふうに一般に解されております。  したがいまして、都市計画法による地域地区制という手法を用いる限りにおいては、いまの一般原則で申し上げますと、それは補償には直ちには結びつかないわけでございますけれども、今度の法律案の中で取り上げておりますいわゆる特別地区につきましては、やはりそれは都市計画法上の手法は用いておりますけれども、たまたま飛行場が近辺にある、あるいはその地域にあるということによって著しい騒音が及んでくるという特別な関係にございますので、これは法律上の補償をする、こういう仕掛けを考えたわけでございます。
  186. 久保三郎

    ○久保(三)委員 御説明がわかりにくいのでありますが、私の質問もおわかりにくいのだろうと思うのですが、大体気持ちはおわかりでしょう。私が言わんとする気持ちはおわかりだろうと思うので、私はそれに答えてほしいのです。いわゆる公共性と私権の問題について、これは肩がわりの法律である、こう言っているのです。言うならば、こういう法律では私権が不当に侵害される心配が出てきている。私権を制限する場合には、その私権そのものがある程度犠牲になるということではなくて、むしろそれはより充実したものになる場合の方が多いですね。公共性という中で私権が生きてくる。たとえば都市計画一つとってもそうですね。そういうふうに考えなければいけない流れであったわけです。  だから本当は、周辺地域に騒音を及ぼすということが公共性ではないんですよ。そうでしょう。周辺地域に騒音を及ぼすことが公共性であるならば、なるほどそういう私権は制限されていいはずなんであります。ところが、飛行機が飛ぶということなんです。飛ぶ地面は、土地収用法によって私権は、公共性の名によって買い上げられたというか収用されているんですね。周辺は騒音というものなんです。騒音が何で公共性なのか。騒音によって公共性だと言われる理由はどこにもないと思うのです。そういう物の考え方が少し逆になっているのじゃなかろうかと私は心配しているのです。だから、極端な話をするならば、その空港なら空港を設置する場合は、ここに盛られている法律案全体を含めて、それに必要な用地を取得することがまず先決です。  それからもう一つ、あわせての方ならば、あわせて土地の利用を効率的にというか、うまくやるというのならば、それもあわせて空港計画されねばならないし、また、そういうものでなくてはいけないと思うのです。ところが、空港はつくってしまった、騒音がひどいからどいてもらおうじゃないかということがまず一つなんですよ。騒音というのは公共性でも何でもないと私は思うのです。騒音を発するものの責任というものは、この法律では全然追及されていないのです。しかも公共性と言うが、公共性とは何だろうか、飛行機はすべて公共性なのか。旅客機は全部、あるいは貨物機も含めて公共性なのかというと、これは公共性とは限らないですね。公共性というのはどんなものか。解釈はいろいろあるから、こういう解釈をしたらどうでしょうかね。  たとえば、いまの航空旅客の輸送は年々ふえています。ふえている原因には、一つには観光の団体旅行がある。運賃を割り引きしてまでたくさんのお客を乗せて運んでいるという現象が、国際的にも、もちろん国内的にもあるわけです。これは果たして公共性なのかどうか。私は、航空機に乗らねばならない人間の移動というのは、厳密に言えば限定されると思うのですよ、公共性という範疇できっちり縛るならば。どうしても急いで短時間のうちに行かなければならないような用務を帯びた人ということになると思うのです。ところが、団体旅客がふえてきたために、乗ってはいかぬということではありませんけれども、それがふえてきたために空港を拡張するということは、そして騒音が出たらこれは公共性だからおまえはどけということは、果たして私権の制限が不当にされていると言えないのかどうか。その辺のことについての解釈はどうなのか。  しかも先ほど言ったように、飛行機でなくても間に合う人は、新幹線もあれば船もあるのでありますから、そういうものをお使いになればいい時代に最近はなってきた。私は、専門家じゃありませんけれども、公共性というのは、最近物差しが変わってきたと思うのです。たとえば国鉄の公共性というのは、国鉄が独占の時代には、なるほどこれ以外に乗る物はありませんから公共性があった。ところが、いまや国鉄は旅客と荷物の国鉄離れということを言われるほどで、どこへ離れていくかというと、言うなら自家用車に全部離れていく。そうなると、それだけ公共性は薄れると私は思うんですよ。飛行機でも同じです。  ただし、また公共性の強くなってきたものもあるんですね。たとえば水です。これはわれわれの生活に欠かせないものでありますが、古くはおのおのが自分で井戸を掘って、つるべ井戸でくみ上げて飲んでということでありましたが、最近では、特に都会地ではそれができなくなってきた。結局これは水道というか、上水道というか、そういうものの公共性というのが非常に強くなってきた。いわゆる代替のきくものは公共性は薄らいできたと思うのです。  そういうさなかに、飛行機だけがなぜ公共性が強くて、飛行機から出る騒音まで公共性に結びつけられる理由がどこにあるのだろうかという初歩的な、単純な疑問でありますが、そういう疑問をいま持っているのです。その疑問にお答えいただけたらと思うので、内閣では法律に一番明るい方である法制局長官におでましをいただいたのでありますが、いかがでしょう。
  187. 真田秀夫

    ○真田政府委員 航空機による運輸事業の公共性はどこにあるかということからまず御質問が始まったようでございますけれども、交通事業とか運輸事業というものは、たまたまそこに乗っている人の一人一人の目的、それが観光であるから、あるいは遊びであるからという乗客、利用者の一人一人の利用目的をせんさくいたしまして、そしてその度合いによって公共性があるとかないとか、薄いとか厚いとかいう考え方は、実は私はとっておらないのでございまして、どういう目的であれ、とにかく一般の人が定められた時間表に乗っかればいつでもどこへでも行ける、そういう性質そのものが、もうすでに公共性を持っているというふうに実は考えているわけなのです。  私は、最近の利用客のうちの何%が観光客かというようなことは存じませんが、しかし、もちろん飛行機によって旅行する人の用務の中には、公務によって旅行する人もおれば、公務外の職務上の旅行もございましょう。あるいは親戚の人に面会に行くとかあるいは親の死に目に会いに行くとか、そういういろいろな、目的のいかんを問わず、不特定な目的のもとに不特定の人が利用できるというところにどうも交通機関、交通事業、運輸事業の公共性があるのじゃないかというふうに考えているわけです。  したがいまして、飛行場そのものが、そういう公共性を踏まえて土地収用法による収用事業として掲げられているわけでございまして、決して観光客が多くなったからもう公共性は薄くなったというふうに直ちには言えないと考えております。  それから、現在の経済情勢、社会状態のもとにおいては、そういう意味合いで公共性のある航空機による運輸事業というものは、これはもう必要なものでございまして、欠かすことができない。また、飛行機が飛ぶ以上は、これはもう騒音がある程度出ることもいたし方のないことで、もちろん、その騒音を少なくするために、その発生源対策とかあるいは空港の設備を改善するとか、いろいろな手を打たなければなりませんけれども、それにしてもなお限度がございまして、特に最近のような大型化した航空機が飛ぶ飛行場の周辺においては、やはりかなりの騒音は避けられない。でありますから、そういうやむを得ない騒音が残るものですから、そういう事態を踏まえて、そして空港周辺の町つくりを合理的にやっていこうというのが、この法律案の究極の目的でございます。何も騒音に公共性があるというわけじゃもちろんないのでありまして、騒音のもとである航空事業、運輸事業、それに公共性がある、そこから騒音は必然的に避けられないものとして出てくる、そういうことを踏まえまして、合理的な土地利用空港周辺においてやっていく、町づくりをするというのが、この法律案のねらいでございます。
  188. 久保三郎

    ○久保(三)委員 法律の中身全部をあなたに聞いているわけではないんですよ。お話が、騒音を出すことも公共性であるというふうになったようでありますが、騒音を出す飛行機を飛ばすというならば、飛行機が飛ぶ滑走路の用地だけではなくて、それならば騒音の及ぶ範囲まで土地収用法の対象として収用するならば、いままでの法律の体系としては乱れがないけれども、騒音を出すからここをどいてもらいたいというのがこの法律なんですよ。これはどいた跡はもったいないから何かに使おうじゃないかというような単純な考え方なんです。  もともと、たとえばこの対象成田の国際空港になるということでありますが、それなら成田空港をつくる前に、空港をここの真ん中につくる、じゃ周辺はどうしようかということで、空港周辺を一緒にしたものの計画が先にできて、そして補償をするなりあるいは移転をするなり、そういうことでやってくるのが本当だったのでありますが、残念ながら、これは後回しになってしまった。そこに問題があるということを言っておるんですよ。  だから、どうしても騒音を出すこと自体が公共性にとれなければ、何かこの法律はどうも権力をかさに着た強奪みたいな法律にとれそうだというふうにわれわれは思っているわけです。しかし長官、あなたにお聞きしても、この点だけはしようがないでしょうね。  ただ問題は、これは本来ならば土地利用権の制限でありますから、あるいは制限というより土地利用権の収用ですね、土地収用じゃなくて、土地そのものではなくて、土地利用権を収用するということだと思うのです。そういう新しいものが出てくるからには、もう少しこれは配慮があってしかるべき法律ではないかと私は思っているわけですが、いかがですか。それで、法制局内部では、ぼくが申し上げたような議論はしなかったのか、したのか、もうそれだけ聞けばいいです。
  189. 真田秀夫

    ○真田政府委員 お言葉を返すようでございますけれども、収用の対象として空港の敷地、滑走路とか、私、専門用語はよく知りませんが、飛行場の敷地、それだけではなしに、騒音の及ぶところは全部収用してしまえ、その方が簡明直截で、事前にそういう広大な土地を収用して、そして計画を立てるべきであるというような御趣旨かと思いますけれども、冒頭に申しましたように、財産権は保障しなければいかぬわけですから、必要最小限度の範囲内で公共の福祉のために用いることができると書いているわけですから、必要以上に取り上げるということは慎まなければならないことだろうと思うのです。  それで、騒音の及ぶ地域全体を別に国が飛行場のために必要とするわけではなくて、建築制限は公共の町づくりのためにいたしますので、建築物の敷地として用いる以外の方法で、たとえば農地として使うとか、そういう場合には一向構わないわけですから、騒音の及ぶ範囲を全部収用にかけるというのは、どうも憲法の精神から見ても行き過ぎだというふうに、むしろそういうふうな方向に私たちは考えるわけでございます。  したがいまして、必要な最小限度の制限、つまり、これはまさしく、いま利用権の収用という言葉であらわされましたけれども、そういう表現でも結構だと思います。つまり、公用使用なんでございますから利用上の制限をかける、そしてそれについては、特別地区については法律上の補償をするというわけでございまして、決して考え方が逆立ちしているというふうには実は思っておらないわけでございます。
  190. 久保三郎

    ○久保(三)委員 法制局長官の解釈は、もちろん逆立ちしているなんて言ったら、あなた法律としてこれはパアになっちゃうから、それは言えないでしょう。といって、私は、全部収用法で強引にやれと言っているわけではなくて、いまの法体系からいけばそういうことになるのが順当ではないのか。言うなら法を曲げて、かいくぐって私権を無理に制限する、そういうことではないのか。しかもあわせてなのだ、この「適正かつ合理的な土地利用を図る」というのは。あなたがおっしゃるように、百姓をやっているのならそのままでいいというのなら、適正かつ合理的な土地利用を図る場合に、全部おれは百姓をやると言ったら、第一そんなものできっこないんですよ。結局、今度はそこまで問題は発展してきてしまうのじゃないかというふうに私どもは思うのです。まあ、法制局長官はこの辺でいいでしょう。あなたと論争しても、逆立ちの話はどうも通じませんからね。  しかし、最後にあなたに一言申し上げておきますが、あなたたちは内閣の法律の番人でありますから、しかも一たん法律が出れば、法律というのは、その当時の解釈とは別に、盛られた文字、それから当局者というか、権力者の解釈によって一人で動いていく、そういうところに非常に問題がありますから、この国会の質疑応答の中での政府当局答弁だけでこれが動くものとはわれわれは考えていない、だから、こういう法律には念には念を入れて慎重審議の必要があると思って、きょうはお呼びをしたのでありますが、どうもよく私の質問もおくみ取りがいただけないし、ぼくもあなたのお答えを理解するわけにはいかないので、またこの次にでもひとつお願いすることにして、本日は長官御苦労さまでした。ありがとうございました。  そこで、これは運輸大臣にも、にもというより運輸大臣にお伺いしなければいけませんけれども法律の体系は別として中身について伺いたいのですが、いままで幾つかお尋ねがありましたが、特に大事な点は、ここにある基本方針をつくる基準ですね、八〇とか七〇とかいう話が出ておりますが、これは政令で決めるというふうになっているんですね。基本方針の作成基準、こういうものは第三条によって政令で決める、こういうふうになっていますが、どうしてこれは政令で決めなければいけないのか。これは大臣では無理でしょうか。無理ならば航空局長でもいいですよ、実務行為ならば。後からまたお聞きしますけれども。私どもは、この基本方針の作成基準なんていうのは、まさに基準でありますから、政令にゆだねるべきではないと思うのです。基準は明確にやはり法律で決めてもらいたい。その変更を必要とするならば国会にかけてもらうというのが手順だと思うのです。いかがでしょう。
  191. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この政令で決めようとしておりますことの主なことは、この基本方針で航空機騒音障害防止地区及び特別地区を決めるわけでありますが、その決めるときの両地区の分解点としてどういう数字を用いるべきか、たびたび御答弁申しておりますように、私どもは、防止地区の方はWECPNLで七五から八〇の地域、特別地区は八〇以上の地域、こう考えておりますが、そのようなことを政令で決めようとしているわけでございます。
  192. 久保三郎

    ○久保(三)委員 いまお答えのとおりだろうと思うのですが、そうだとするなら、なぜ手数を省いて「政令」というふうにややこしくしたのか。手数を欠いて政令で決めることではなくて、この法律に書いたらいいと思うのですが、これは何か理由があるのですか。
  193. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 別に手間を省いて政令に落としたわけではございませんけれども、この法律の基本になる事項ではなくて、この法律を実施するための必要な事項ということでございますので、これは政令で決め得るというふうに考えたわけでございます。たとえば、先ほど来問題になっておりますような環境基準、これなどは政令ですらもない。環境庁の告示にすぎません。それに比べれば、政令で決めるということは、内閣の責任で決めるわけでございますから、かなり格上げしたつもりでいるわけでございます。
  194. 久保三郎

    ○久保(三)委員 格上げしたと言うが、政府の一存で決めさせるわけにはいかないというのがわれわれの考え方なんですよ。これは住民の直接の利害に関係することでありますから、なるほど基本方針という条項ですから、その基準は別な項目を設けてもいいと思うのですが、やはり基準は明確にして、対象の個人にはっきり示すべきだと思うのです。環境基準は告示だから、あれは政令より下だ、こうおっしゃるが、大体上、下ないんですよ。それとこれは問題が違うのだ、それはやはりそういうふうに考えていったらどうだろうかということであります。  そういうものもあるし、それからもう一つ、さっきも申し上げましたが、どなたかからも質問がありましたが、結局この防止地区においては「政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。」ということで、構造に制限を加えているわけですね。御説明によりますと、アルミサッシでやればいいということでありますが、アルミサッシじゃだめだという議論もあるし、どこまで「防音上有効な」ということになるのか、そういう問題もやはり問題になると思うのです。その場所によって違うと思うのです。多少幅がある。そういうものに対して、これは補償の対象にならぬということですね。航空審議会の答申によりますと、大して銭もかからぬことだからいいだろうというような意味ですねはっきり言うと。これはずいぶん国民を、あるいは対象の個人を軽べつしたというか、軽視した話だと思うんですね。よしんばそれが低額のものであろうが何であろうが、やはり補償は補償として対象としてやるべきことが当然の裏打ちだと私どもは思うのでありますが、これは運輸大臣、どう思いますか。大して銭がかからぬからやってもらおうじゃないかということでありますか、どうです。
  195. 田村元

    田村国務大臣 家を新築するときの社会通念として、言うなれば建築の一つの基準というようなことから、特に補償の対象にする必要がないという説明を受けております。
  196. 久保三郎

    ○久保(三)委員 アルミサッシの問題を話したから少し焦点はぼけましたが、特別地域じゃなくて普通の地域でも、全体的に土地の利用に対する一つの制限なんですね。制限をするからには、それに応じて補償というのが当たりまえの話だ。どんなに騒音が公共性があっても——騒音か公共性かあるというのはちょっと変な話ですが、どうもこの法律からはそのようにしかとれないのであります。それがあってもやはり補償の対象にすべきだと思うのです。家を建てる建てないにかかわらず、これは補償の対象がある。利用に制限があるのですから、これは当然だと思うのですが、それはやはり金がかかるから考えられなかったのか、どうなんですか。
  197. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 この法律の施行によって、通常使われるお金よりもかなり割りの高いお金を使わせられる、つまり通常の負担以上の負担を強いられる場合には、この法律の施行に基づく超過負担でございますから、これは助成とか補償とかの対象にすることが必要だと思いますけれども、この政令の中身がたびたび御説明しておりますような軽微な内容でありますので、かつまた、その内容は現在全国の新築家屋の平均九八%まで普及しているというアルミサッシ構造にするだけのことでございますので、この法律のあるなしにかかわらず、どうせその方はアルミサッシにするに違いないわけでありますから、したがって、新しい負担を課したことにはならない、つまり事実上、新しい負担を課することにならないということで、通常の負担以上の超過負担ではないので、補償とか助成の必要がないと考えたわけでございます。
  198. 久保三郎

    ○久保(三)委員 そうだとするなら、この地域の指定はやめたらどうですか。必要ないですよ。それは受忍の限度というか、おれはアルミサッシは必要ない、へたにアルミサッシなんかやると窒息死するかもしれないから昔どおりの雨戸の方がいい、そういうことになりますよ。これは利用の制限なんでありますから、利用の制限を考えれば、私は補償の対象が当然だと思うのです。  しかし、あなたは家をつくる場合には当然アルミサッシを入れるのだからと言っているが、入れるか入れないかはわからぬじゃないですか。入れなかったら罰金を取るのでしょう。これはえらいことですよ。アルミサッシ一枚で罰金刑を食うわけですから、こんなばかばかしい法律は余り世の中に通用しないのじゃないかと私は思う。これは少し考えてもらわなければならぬ。もっともこれから審議は長いからあわてて結論を出す必要はないと思うのでありますが、いずれにしてもそういう穴が幾つかある。  それからもう一つは、土地の買い入れについての第八条です。さっきもだれかからお話がありましたとおり、ことさらに「時価」と入れるところに問題があるのです。何で「時価」と入れるのか。いままでは土地収用法をもってしても時価でやらないで、高いのとか安いのとかでやっている。土地収用法一つとっても、はっきり言うと時価なんという文字はありませんよ。時価なんというのは都市計画法でもないと思うのです。「時価」と入れた限りにおいては、安い値段で買おうというふうにしか考えられない。なぜならば後段には「予算の範囲内」という文言も入っていることでありますから、この中には入っていませんけれども、そういうふうになる。そう考えると、この法律はずいぶんと私権の制限を厳しくしたものだなという感じがするわけなんです。  そうかと思うと、第七条の「損失の補償」のところで「用益の制限により通常生ずべき損失を、当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、補償しなければならない。」というのが第一項ですが、第三項の一番終わりには、結局協議がまとまらないときには、収容委員会に土地収用法第九十四条第二項の裁決を申請することができる。ここで何で土地収用法が出てこなくちゃいけないのかということです。こういうところにも二重、三重の強権を発動して抑えつけようという考え方があるわけなんで、われわれとしては、はなはだ理解しにくい点であります。なぜ土地収用法がここで忽然としてあらわれて裁決だけやらなければならないのか、ひとつお答えをいただきたい。  それからもう一つ、これを申請するのは、恐らく権利権原を持った人でなくて、まとまらないから早いところ片づけなければならぬという空港当局者の方から出るのが当然だと思うのですが、いかがですか。  それから、時間も余りないから申し上げますが、これも先ほど皆さんからお話がありましたが、二週間以内に意見を言い、あるいは住民の意見を聞くというのがある。意見を聞くというのはどういうことなのか。これまでは、こういう問題の処理に当たって意見を聞くというのは、形式的に話を聞いた、意見を聞いたという事実を記録にとどめるだけにすぎなくて、これを実行に移したためしはほとんどない。その保障はどこにあるのか。その意見が正当であり、その意見がもっともである場合には、どういう手続で入れられるという保障がどこかに書いてあるのか。あるいはどういう機関でそういうものを認定してもらえるのか。そういう保障がない限りは、住民あるいは利害関係者は、二週間の公示期間を置いて、意見書を提出することができる、あるいは意見を聞くといっても、なかなかそう簡単にはいかない。もっとも高橋局長がずっとこれからも長年にわたって航空局長にいれば、さっき答弁したとおり、事前にも聞きますと言うから事前に聞くかもしれないけれども、あなた、そんなに長く航空局長にいては困るでしょう。だから、そういう意味から言っても、これは単に法律上のアクセサリーというかモディファイア、修飾辞にしかすぎない。だから、住民の意思がどこまでくみ上げられるのかという担保がなければ、この法律は非民主的であると言われても仕方がないし、私権をことさらに強権で抑えつける反動立法であると言われても仕方がない。いかがですか。
  199. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 各項目にわたりまして大変手痛い御批判をいただいたわけでございますけれども、全部にお答えしている時間もございませんので一、二お答えいたしますと、まず時価の問題でございますが、時価で買うということにいたしましたのは、私どもは、買い入れの際の価格として一番高いものを買うために時価にしたわけでありまして、時価以下で買おうと思ったら、幾らでもほかの表現方法がございますが、この場合には、物事の性質上、時価ということが一番買い入れ請求者の権利、財産権を保護するゆえんであると考えて時価としたわけでございます。  時価を評価する場合には、当然近傍類地価格で評価をするわけでありますが、空港周辺の低い地価を標準にして買うのだろう、こういう御指摘かとも思いますけれども、そうではなくて、空港直近のところはあるいは低くても、空港というのは、横にポイントをとっていけば音がそう横には広がりませんから、横の方向に近傍類地をとっていけば、かなり高い地価のところがたくさんございますので、そうい、ところの地価を全部入れた近傍類地価格で評価をする。したがいまして、空港のごく近くの安い土地の時価だけで買い入れるという趣旨では毛頭でございません。必ずそのように運用することを約束いたします。  それから、裁決申請の問題でございますが、これは収用委員会というものをたまたま使わせていただくために土地収用法を援用したわけでございまして、強権とかそういったふうなことと関係ございません。いままで、たとえば古都保存法のような法律でも、こういう問題について、協議が整わなければ収用委員会に裁決を申請するというふうな規定がございますので、そういったことを書いたわけでございます。もちろん裁決に不服ならば、ここで協議が成立しないわけでございますので、このことは決して買い入れ請求者損失補償、要求している方の権利を侵害することにはならないと私は思います。  それから、最後の意見聴取でございますが、これは各種の法律の横並びがございまして、ここには十四日間ということがございますが、るる御説明申しておりますように、そのことは決してそれっきりにならないように配慮をするつもりでございます。また、意見を提出する先は都道府県知事でございます。都道府県知事は、当然その地域、公共団体の長として総合的な判断をすることを、私どもは期待いたしておりますし、また、都道府県知事は、この意見書によって地域の意見を聞くだけではなくて、別の項目によりまして関係市町村長からも意見を聞くことになっております。したがって、地域住民は意見書を出す以外に関係市町村長、自分のところの村長さんのところへ行って地域住民の声を申し出ることもできます。これについては二週間なんという制限もございませんので、そういったルートを通じましても十分地域住民の意見を聞くことはできるというふうに思います。  しかし、どう書きましても、法律はそれを実施する人の態度によってかなり変わります。私どもは、過去におきます空港建設、管理に伴う各種の苦い経験を持っておりますので、これらを全部今後の新しい空港づくり、周辺空港との調和を図る仕事の上に生かしまして、先生の御心配、御指摘のような点がないようにやっていきたいと思っております。
  200. 久保三郎

    ○久保(三)委員 法案については、これからもまだ質問者がいますから一応終わりますが、ただ一つ、基準のつくり方です。これは空港そのものの処理能力で基準はつくるべきものだと思っているわけです。しかも、十年後を予想してと言うが、その予想する与件というか与える条件というものは不確定な要素がかなり多いので、いま考えられる確定要件というのは空港の処理能力、これ以外にはないと私は思うのです。だから、そういうものを基準にして立てることが妥当ではないかと私は思っています。時間がありませんから、御返事は結構であります。  そこで、運輸大臣にお伺いしたいのですが、成田空港開港年度内にしたいというお話が先ほどありましたが、年度内というと、来年の三月三十一日まででありますが、新聞の報ずるところによると、三十日か三十一日は大安だそうでありまして、どうせ開港するなら大安がいいだろうというので、そういうものをめどにしているという話でありますが、そのめどは別として、もしお話のとおりに年度内開港したいというならば、NOTAMの問題もございます。三カ月という期限の問題もございますから、これは政府において今月あたり開港の時期を決めなければならぬと思うのでありますが、これはいつお決めになるのか。  それからもう一つ、決めるについては開港の前提条件が幾つかあると思うのです。運輸大臣は、いままで精力的にいろいろな問題を手がけてまいりましたが、その中でも、なるほど手がけはしたが、完成していないのが幾つかあるんですね。一番大事な点は、騒音の問題であります。いま審議している法案も含めれば、この法律ができてからやるまでに一年かかると言うから、あと二、三年はかかるのじゃないかというふうにも思うが、いままでのいわゆる区域内における騒音対策というものがまだ完全には地元住民の了解も得られていない、これはどうするのか。あるいは安全輸送対策についても、いままで出されてきた幾つかの問題は、大体終わったものも多少あるようでありますが、おおむね五月いっぱいぐらいかかるものがかなりある。  それからもう一つ、一番大きな問題は、アクセスの問題なんだが、これも三月いっぱいには見通しがつかないようにわれわれは思っているわけであります。  そうしますと、これは大安吉日がいつであろうが、まず第一にそれらの前提条件がそろわぬことには、開港はした、飛行機も飛んだが、残念ながら動きがつかぬというようなことが出てくるのではないかと見ているわけなのであります。そういう意味で、こういう前提条件についていまどういうふうに考えられておるのか。年度内にこれらが全部出そろうのか。  それからもう一つは、この騒音の問題で先般テスト飛行をやりましたが、そのテスト飛行の結果では、私の選挙区の地元で七〇ぐらいかあるいは六〇ぐらいかと思ったら、八〇以上も出たところが出ている。しかも、この飛行機は長距離を飛ぶような満タンで飛び出すわけにはいかないので、軽い飛行機で行ったということだし、これは改めて騒音のテストをすべきものだと思うのです。しかも、騒音のテストは、少なくとも一週間ぐらい連続してテストをしなければ本当のテストにはならぬと私どもは思っているのです。また、これが国際的な常識だと思うのです。コンターをつくる場合には、少なくとも連続一週間以上の飛行テストがあってしかるべきだと思っているのですが、それがなされていない。  それから、それに最も関係する飛行コースが、全体としてはいまだ公表されていないと思うのです。飛行コースの公表、NOTAMは当然これに関係しますけれども、いつこのコースなどを公表するのか、さしあたりそういう点についてお伺いしたいのであります。いかがでしょう。
  201. 田村元

    田村国務大臣 ずいぶんたくさんございましたので、あるいはもし答弁漏れがありましたら御指摘をいただきたいと思います。  開港の時期でございますが、年度内開港したい。いつだと、これは実はまだ具体的に確定いたしておりません。三十日だ、三十一日だというふうに新聞に書かれておるというお話でありますが、十八日と書いた新聞もありますし、ずいぶんいろいろなそれぞれの推測で書いておるようでございます。  それから、アクセスにつきましては、先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、完璧ではありませんが、多くの懸案のアクセス問題が、特に道路等においてそれまでに概成するであろう、供用開始ができるであろうという見通しでございます。  それから、騒音対策でございますが、これも私なりに十分進めてまいったつもりでございます。まだ若干の方に御同意をいただいておりませんけれども、大体大方は解決をしてきた。この法律が施行後の時間もかかるからあと二、三年、そんな殺生なことをおっしゃらぬで、もうちょっと早くお願いをいたしとうございますけれども、大体騒音対策もほとんどめどがついてきた、このように受けとめております。  それから、騒音テストでございますが、なおもテスト飛行をやりたいと考えております。  それから手順としては、なるべく近い将来、飛行場の検査の合格通知を出します。その後、関係閣僚会議を開いて開港日にち決定いたします。それが済むと告示をいたします。そして告示が済んで直ちにNOTAMということになりますが、先ほどの飛行コースにつきましては、そのころまでになるべく早く発表したいと思いますが、まあ大体NOTAMの前に、たとえどれだけでも前に発表したいなという感じでございます。  そういうことでございますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  202. 久保三郎

    ○久保(三)委員 時間もありませんので、運輸大臣の御答弁、至って抽象的ですが、大臣がおっしゃっていることは、近々の機会というふうに思うのでありますが、われわれとしては、この法案は、それに関係のある法案でありますから、少なくともいま私から申し上げたような質問の要点については、会期は二十五日でありまして、二十五日までの間に当委員会にまずもって御発表いただくことが、手順の一つかと思うので御考慮を願いたい。——航空局長は下向いてにやにやしているが、これはとんでもない話で、そうでないと当委員会を無視したやり方でありますから、ぜひ記憶にとどめて手配を願いたいと思います。  そこで、大塚総裁にわざわざ長時間おいでいただきましたので、いま運輸大臣に御質問申し上げたとおりでありまして、あなたの方でやらねばならぬ仕事と運輸省がやらねばならぬ仕事が、多少どうもすり合わせがいままでできていないために、要らないところでそごを来している面がありはしないかというふうに思うのでありますが、そういう点はございませんか。  それからもう一つは、いまあなたのところで一番処理しなければならぬものは何と何でありますか、念のために伺いたいと思うのであります。  それからもう一つ建設省からもわざわざお忙しいところをおいでいただきましたが、この法律と都市計画法というのはダブりがあります。ダブりがあるんだが、法律には特別立法とかいうようなものもあります。これは関係はあるが別個のものなのか。途中でどうも都市計画法の話も出てくるんですね。だから、これは都市計画法がある場合には優先するのか、そうじゃなくて、周辺一帯はこの法律が優先して都市計画法は後からついてくるのか、簡単な質問でありますが、その点はいかがでしょうか。  それから、道路局からもおいでですね、運輸大臣の方は大体これでいいですが、道路局からも聞きますが、こういう法律に魅力を感じますか、高速道路関係して。いかがです。以上。
  203. 大塚茂

    大塚参考人 開港の準備につきましては、先ほど大臣からお答えを申し上げたとおりでございまして、以前はいろいろ見方があったかと思いますが、少なくもここ二、三年は、航空局と公団とは密接な連絡をとりながら一体になって準備を進めてまっております。したがって、食い違う点はございません。暫定輸送問題等につきましても解決をいたしましたし、開港の障害になります大きな問題はあらかた解決をいたしたと私は考えております。公団の所管にいたしましても、残された問題では、先ほど御質問のありました騒音対策を、今後開港日まで全力を挙げてひとつ進めていかなければいかぬというふうに考えております。そのほか公団としましては、開港に備えての内部体制と訓練ということを、これから開港日までに力を入れていくつもりでございます。  それから、細かいことでございますが、テナントや何かのターミナルビル等の内装工事というような細々した仕事、その他施設についての再点検というようなことをいたしまして、開港の準備の万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  204. 田村元

    田村国務大臣 ちょっと一つ手順を言い落としました。  しかるべき時期に国鉄当局に対して、こういうわけでいつ幾日開港することに決めたので御協力を願いたいという暫定輸送の協力依頼がございます。
  205. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  都市計画法と本法の関係でございますが、先生御案内のとおり、本法の附則によりまして都市計画法の一部改正をいたしまして、地域地区といたしまして新たに航空機騒音によります障害を防止することを目的といたします防止地区等を定めたものでございます。したがいまして、都市計画体系のもとにおきまして総合的な調和を図りながら土地利用の合理化を図ろうとするものでございます。  なお、制度的にはこの法律は、都市計画法の十条におきまして、地域地区におきます「建築物その他の工作物に関する制限については、この法律に特に定めるもののほか、別に法律で定める。」、このような規定がございますが、この別な法律にいま本法が該当するということでございます。とのような例といたしましては、先ほど来挙がっております古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、都市緑地保全法等がございます。
  206. 山本重三

    ○山本説明員 先生の御質問の趣旨は、高速道路の環境対策についてどう考えるかということだと思いますが、建設省といたしましては、従来から幹線自動車道周辺の環境対策として、他の警察庁やあるいは運輸省とともに、特に道路の環境対策として、道路の構造の改善であるとかあるいは高速道路周辺の住宅に対する防音工事の助成であるとか、あるいは最近は沿道周辺の環境整備を進めるという意味で、新たにバッファービル等の誘致を進めるような沿道環境整備促進事業、こういったものをもろもろ実施して、鋭意努力しておるわけでございますが、道路の公害対策を根本的に検討するためには、道路と沿道土地利用、この関係において十分調和のとれた抜本的な対策が必要だろう、こういうふうに認識しております。  そういうことで、先般建設省内部に学識経験者の御参加もお願いいたしまして研究会をつくりまして、現在総合的な検討を進めているところでございます。今後こういった総合的な対策の検討の過程におきまして、種々の問題を十分検討してまいりたい、かように考えております。
  207. 久保三郎

    ○久保(三)委員 答弁にはいろいろ問題がありますが、時間が来ましたからこれで終わります。     —————————————
  208. 大野明

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案について、明後十八日午前十時から参考人出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明後十八日午前十時委員会、午後一時理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会