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1977-11-11 第82回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十一日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 宮崎 茂一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 河村  勝君       愛知 和男君    北川 石松君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       古屋  亨君    三塚  博君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    米沢  隆君       小林 政子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         運輸政務次官  石井  一君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         建設省都市局長 中村  清君  委員外出席者         運輸省航空局監         理部企画課長  吉田 耕三君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁) 町田  直君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     中馬 弘毅君 同月十一日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     愛知 和男君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     小沢 辰男君     ――――――――――――― 十一月一日  国鉄運賃法定制度改悪反対等に関する請願(  石田幸四郎紹介)(第二一九〇号)  同(草野威紹介)(第二一九一号)  同(薮仲義彦紹介)(第二一九二号)  同(吉浦忠治紹介)(第二一九三号)  国鉄貨物駅集化反対に関する請願外五件(佐  藤文生紹介)(第二一九四号)  中央新幹線建設促進に関する請願原茂君紹  介)(第二二二七号)  原動機付自転車による賃貸業許可制に関する  請願中村茂紹介)(第二二二八号)  同(原茂紹介)(第二二二九号) 同月二日  盲人に対する国鉄旅客運賃、料金の減免等に関  する請願小沢辰男紹介)(第二六〇六号)  東北本線本宮駅及び二本松駅の貨物取り扱い存  続に関する請願安田純治紹介)(第二七七  七号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願高橋高  望君紹介)(第二七七八号)  列車及び電車の汚物処理に関する請願久保三  郎君紹介)(第二七七九号)  同(小林進紹介)(第二七八〇号)  同(兒玉末男紹介)(第二七八一号)  同(上坂昇紹介)(第二七八二号)  同(坂本恭一紹介)(第二七八三号)  同外一件(田畑政一郎紹介)(第二七八四  号)  同(渡部行雄紹介)(第二七八五号)  同(渡辺芳男紹介)(第二七八六号)  同(斉藤正男紹介)(第二七八七号)  中央新幹線建設促進に関する請願下平正一  君紹介)(第二八二六号)  同(小川平二紹介)(第二八四一号)  原動機付自転車による賃貸業許可制に関する  請願小川平二紹介)(第二八二七号)  同(下平正一紹介)(第二八二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(内  閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案議題といたします。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案について、本日、建設委員会及び公害対策並びに環境保全特別委員会から、それぞれ連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は来る十四日午後一時、第十六委員室において開会いたします。     ―――――――――――――
  4. 大野明

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、新東京国際空港公団総裁町田直君及び理事角坂仁忠君の両君を参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 大野明

    大野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  7. 宮崎茂一

    宮崎委員 いま議題になりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案につきまして、若干質疑をいたします。  この新しい法律をつくる必要性の問題でございますが、御承知のように、この法律では「航空機騒音により生ずる障害防止し、」というのが第一条で主な目的というふうに書いてございます。ところが、いままで既存の法律がございまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律というような現行法律がございます。大体、目的から見まして同じような趣旨法律だと思いますが、あえて新しい法律をつくらなければならない、どうしてもこれを成立させなければならないという必要性の問題でございますが、その辺の理由は大体どういうところにあるのかということを端的にお伺いいたしたいと思います。
  8. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明申し上げます。  最近、大型機の多数の就航によりまして、大きな空港周辺に深刻な騒音問題が発生しておりますことは御承知のとおりでございます。政府といたしましては、こういった騒音問題の発生を防止するために、たとえば飛行機の運航方法についていろいろの指導をいたしましたり、あるいはエンジンの改良等につきまして指導をいたしております。  それに加えまして、いま御指摘航空機騒音防止法によりまして、航空機による騒音被害の大きい地域につきましては、民家防音工事の助成とか移転したい方に対する移転補償あるいは空港周辺の直近の場所につきましては、緩衝緑地をつくるということを内容とした施策を講じておりますけれども、残念ながら従来の騒音防止法では、すでに被害が起こっている問題に対して事後救済的に措置をすることは可能でございますけれども、未然に防止することができないわけでございます。ところが一方、空港周辺交通等もかなり便利でございますので、ますます宅地化進展するおそれがございます。そうした宅地化進展に対しまして、従来の法律では予防することができません。そこで、新しく空港周辺住宅ができることを規制するための法律が必要になった、あわせて空港周辺を、この法律に書いてございますように、騒音に強い土地にしていくという前向きの土地利用を図る、こういった二つ観点から、どうしても新しい法律が必要になったということでございます。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまのお話を伺いますと、これから空港周辺住宅が新しくできるのを阻止できないのだということが主な理由みたいに伺えますが、私は、立法技術上の問題は細かく存じませんが、現行法改正ということはお考えになったのか、それではどうしてもできないということに結論はなるのか、その辺はいかがでございますか。いまの公共用飛行場法律改正ではいけないのかどうか、この辺をもう一遍お尋ねしたいと思います。
  10. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは法律技術でございますから、現行法内容を拡張いたしまして、新法の内容を取り込むことも絶対不可能ということはないと思いますけれども法律趣旨がかなり違いますし、それから今度の法律は、都市計画手法によりまして規制をしようという点を眼目といたしておりますので、やはり従来の騒防法とは若干性格が違うというところから新しい法律をつくることにいたしたわけでございます。
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 日本だけでなくて、諸外国でもこういった騒音防止に関する法律制度と申しますか、これはいろいろあろうと思いますが、大体先進諸国と申しますか、外国ではどういうふうな規制の仕方をしているのか。飛行場周辺地域に対する規制あるいはまた住宅防音といったものに対してどういう観点から諸外国では規制しているのか、その辺もしおわかりでしたら二、三説明をしていただきたいと思います。
  12. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明申し上げます。  私どもが調べました限りでの御説明でございますけれども、イギリスにおきましては、都市農村計画法という法律がございまして、これに基づく開発許可という制度がございますが、この運用によりまして騒音区域を四つのゾーンに区分いたしまして、施設種類ごと立地を抑制いたしております。  それから、フランスにおきましても、都市計画法体系によりまして、市町村が作成する土地利用計画に基づきまして建築許可という制度を運用いたしまして、騒音区域を三つのゾーンに区分いたしまして、施設種類ごと立地を抑制いたしております。  それから、西ドイツ及びスイスにおきましては、都市計画法体系と別に、航空機騒音による障害防止という観点に立脚いたしました法をつくりまして、騒音区域をやはり二ないし三のゾーンに区分いたしまして、施設種類ごと立地規制を行っております。  なお、アメリカにおきましては、合衆国を統一しました制度はございませんけれども、それぞれ州によりまして土地用途規制制度を設けまして、空港周辺土地利用空港機能が調和がとれるように対処していると私ども承知いたしております。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまお伺いいたしますと、都市計画法による都市計画の一特殊地域として指定する方法と、それから飛行場自体から騒音が出ますから、別途な体系法律二つ立法体系が分かれているようなお話でございますが、この法律を読んでみますと、一種、二種、三種の全部について、特定空港というのは運輸大臣政令特定空港として指定をすることになっておりまして、あらゆる公共用飛行場について法律的には適用できるような立法考え方になっていると思うのです。  ところが、具体的に考えてみますと、たとえて言いますと、長崎空港なんというのは海の中の飛行場なんで、とてもこれの適用考えられない。また、十年後の云々と書いてございますが、三種ローカル空港においてもいますぐこういった事態はないのじゃないかと思うわけです。  ですから、まずもって私がお尋ねしたいのは、この法律必要性に関係しますけれども、大体どういうところに適用しようとお考えなのか。具体的にいまの各空港の状態を考えて大体どういうところに適用するのだ、一遍に全部網を張るのだということなのか、それとも政令で御指定になるわけですから、当局の方でお考えがあろうと思いますが、適用をどうするのか。これはまた、先ほど議論になった都市計画法体系でやるかどうかとも絡んでくると私は思うのですが、適用をどういうふうにお考えになっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  14. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず、この法律立法趣旨が先ほど申し上げたようなことでございますので、空港周辺に新たな宅地化進展するのを防ぐということが趣旨でございますから、まだ周辺山林原野あるいは自然の海などの状況にありまして早急に宅地化進展がないところにつきましては、この法律適用は当面考えられないと思います。  そういたしますと、当面この法律適用を一番必要とすると私ども考えております空港成田空港でございまして、これは新しいところに空港ができる、そして都心との交通施設等も相当整備される、そうなりますと、空港周辺相当宅地化進展することが考えられるところから、まず成田空港対象考えておりますけれども、それ以外の空港でも、現在の空港周辺状況から見まして、なお宅地化進展するおそれがありまして、将来のことを考えますと、そういったものの立地予防した方がいい場合には、この法律適用があり得ると考えております。     〔委員長退席増岡委員長代理着席〕  したがいまして、成田空港をまず第一といたしまして、その他どこの空港にするか、これはまだ腹案はございませんけれども法律の施行に伴いまして必要な空港につきましては政令指定していきたいと考えております。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 当面、適用第一号は成田だというお話でございます。それはそれとして伺っておきます。  建設省にお伺いいたしたいのですが、たとえばいま成田空港という話が出ましたから、成田の方はいわゆる都市計画法上から見て市街化調整区域に入っているのじゃないかと思うのですが、そうしますと、調整区域としての、そこへ家を建ててはいかぬという都市計画法上の制約がございますね、それはどういうふうになっていますか。成田空港について具体的に都市計画法をどういうふうに発動されているか、説明願いたい。
  16. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  具体の成田空港の問題でございますが、ちょっと資料を持ってきておりませんので正確にお答えできるかどうかわかりませんが、大体成田市を都市計画対象市町村としまして現在の都市計画区域が決まっております。そこで、その中に御存じのように市街化区域と、それから市街化調整区域という色分けがされておりまして、成田の場合には、成田市街化区域、それから空港周辺は、大体調整区域になっておるというふうに理解しております。  そこで、この法律都市計画法との絡みでございますけれども、私ども考えますに、市街化調整区域といいますのは、都市計画法でいきますと、将来市街化を抑制する区域ということになっておりますから、当然の反射としまして住宅建築制限する、こういう仕掛けに都市計画法ではなっております。  そこで、そういう方法を使えないかというのも一つ方法でございますけれども、いろんな点を考えまして、私どもは、現行市街化調整区域制度だけでは、必ずしもこの法律でお考えになっておるような住宅等規制といいますか、それは十分にはできないだろうというふうなことで、航空機騒音障害防止地区あるいは航空機騒音障害防止特別地区という制度に踏み切ったわけでございます。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 いま市街化調整区域に入っている、ですから、それでもって建築制限がある程度できるわけですね。ところが、この法律をつくる運輸省側、そちらの方の要請には十分にはこたえられないだろう、こういうお話ですが、もしこの法律が通って政令が施行される場合には、後ほど出てまいりますが、第四条でございますか、航空機騒音障害防止地区あるいは航空機騒音障害防止特別地区、こう二つ地区に分けてやっておりますが、この地区都市計画の中の一地区として具体的に一つ飛行場で将来設定された場合、その場合に、その市街地調整区域との関連は、これは二重に規制をすることになるのか、この法律による規制だけになるのかどうか、その辺ひとつはっきりしてください。
  18. 中村清

    中村(清)政府委員 両法はそれぞれ立法趣旨が違いますので、法律上はダブって指定ができるというふうに考えております。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 もう一遍お聞きしますが、調整区域調整区域として残る、それに重ねて騒音防止のこの法律による地区が重なる、こういうことですね。そして両方とも両法の規制がダブってかぶる、こういうことになりますか。
  20. 中村清

    中村(清)政府委員 そのとおりでございます。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 私は、都市計画区域というものは一つしかない方がいいのじゃないかと思いますが、たとえば工業区域だとか住居地区とかあるいは臨港地区とか、そういうふうなことになるのじゃなかろうかというふうに思いますが、まあ建設省の方からはっきりとそういうふうになるのだというお答えであれば、また、これからひとついろいろな問題が出てくるとは思います。  しかし、もう一つさかのぼって、先ほどの立法のやり方についてお伺いいたしますが、この一種から三種までの飛行場があるものにみんな網をかぶせるのに都市計画手法でおやりになった。先ほど言いましたように、たとえば長崎の海の上にある空港、あるいはまた新関西空港みたいに、これも海上に計画されておりますが、こういったのが、都市計画一つ都市の中の機能一つであるというふうに常識的にちょっと考えられないのじゃないか。  と申しますのは、伊丹の空港とか福岡の空港、こういったのは、一つ市街地と非常に密接な関連がありますから、都市計画法の一地区として規制するのもなるほどと思いますが、うんと都市から離れたところの飛行場だけ、そういったものの騒音による規制をしようというときに、都市計画としてやるのだということが、どうもちょっとそぐわないような感じがいたすのですね。騒音の方の被害制限をして、その中で都市計画の方もあわせて考え緑地をつくるとか、そういうようなことだとわかりますが、都市飛行場がうんとかけ離れて、しかも海上飛行場、こういうところにも、これが適用は現実的な政令のところで適用する、しないは決めるわけですから、そういう多少の矛盾はあってもいいのだという考えですが、そのあたり都市計画の一区域として設定すること自体が、ちょっと矛盾するような感じがいたします。その辺についてはどういうふうに割り切っておられるのか、お伺いをいたしたい。
  22. 中村清

    中村(清)政府委員 一般的に申し上げますと、市街地におきます土地利用につきましては、現在の体系では大体都市計画法体系で総合的にこれをやろうということにいたしております。  そこで、今度の法律案の立案の動機といいますか、空港周辺騒音が非常にひどくなるようなところを事前にチェックする、こういうことでございますので、私ども空港周辺地域において住宅等制限するということは、これはただいま申し上げました騒音防止という観点からも非常にいいことでございますし、それから大体空港周辺騒音に非常に弱い住宅ができるということになりますと、都市環境上非常に困った問題がございますし、かたがた周辺騒音に弱いような住宅ができなくするということは、空港周辺の合理的な土地利用、これに非常に寄与するといったことで、私ども都市計画法では合理的な土地利用ということを考えております。したがいまして、そういう観点からいいますと、都市計画法体系でこういう地区を決めるということは、非常に妥当なことであろうというふうに考えております。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 運輸省にお伺いしますが、いま都市計画法手法でやったと言うのですが、世界各国を見ても二つ手法があるわけです。これはその国の国情に従っていろいろで、両方どっちでもとっているのだろうと思いますが、日本では、いま申し上げましたように、都市と離れた空港が存在するわけなので、私は、どっちかというと飛行場騒音というものを中心にして、そっちからの立法ということは、都市計画法によらない手法というのはお考えになったのかどうか、そういう考え方はやはり日本には適しないのかどうか、その辺をひとつお伺いいたしたいと思います。
  24. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども都市計画手法のほかに、先ほど御説明いたしましたドイツでやっておりますような手法も用いまして立法することも実は考えてはいました。これは障害予防説というふうに言われておりますけれども障害予防という観点に立ちまして立法するということも検討いたしてみましたけれども、今日の日本立法政策あるいは立法技術、そういった観点からはどうしてもこれはなじまないという結論法制局の方で出まして、有効な規制をするためには都市計画手法によるしかないということになりまして、都市計画手法によりましてこの法律を立案することにしたわけでございます。  いま先生の御指摘のように、関西空港でございますとかあるいは長崎空港のように、いわゆる海上空港と言われているものにつきましては、もちろん将来はわかりませんけれども陸岸部に対しまして航空機騒音が及んで被害が起きるということは恐らくないであろうと考えられる、つまり陸岸都市部に対しまして被害が及ぶことは恐らく考えられないだろうというふうに考えられますので、そういったかなり隔たったところにできます海上空港などにつきましては、本来この法律の働く余地がない。したがいまして、この法律の働く余地がある空港といいますのは、内陸部空港あるいは海に面しておりましても、海岸部空港等騒音被害の及ぶ地域都市地域になり得るところにつきましてこの法律をつくったということでございます。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 政務次官お見えになりましたから大きな問題をひとつ。  いまだんだんと質疑が進んでいるわけですけれども、この法律はいま以上にいろいろな私権制限しよう、いま公共用飛行場周辺騒音防止法という法律がございますが、それでは役に立たないから、これからどんどん都市化しようとしているところの内陸飛行場についてもっと私権制限しよう。その辺は第五条ぐらいに出てまいりますが、後でまた逐一事務当局から説明を求めますが、政務次官、大ざっぱな考え方として、こういった著しい私権制限につながるおそれがあるのじゃないかと思うわけです。そしてまた、指定されることによって私有財産がその価値を失ってくる、あるいは低下するというようなことはないのかどうか、大局的な見地からどういうようにお考えになっているのか、所感を述べていただきたいと思います。
  26. 石井一

    石井(一)政府委員 御指摘のとおり、そういう懸念が全面的にないかと申しますと、これは多少問題が残る点もあろうかと思います。ただ、この点は部内におきましてもかなり議論を呼んだところでございますが、結局、先生指摘の第四条に二つ地域というものが指定されておりますけれども、特に空港に近い場所におきましては、知事の許可を受けた場合を除いて、住宅なり学校なり病院なりというふうな静かな環境を必要とするものは建てることができないという禁止事項がございます。その外側の地域ではこれらの建築物は可能でございますけれども、ただ防音装置等の構造をしなければならぬ、こういう付帯的な条件がついております。ただ、最初の最も空港に近い騒音のひどい地域におきまして、住宅等は建てられませんけれども、店舗であるとか事務所であるとか工場というふうなものは自由に建てられるということになっておるわけでございます。  そこで、今後具体的にこれがどのように進んでいくかということがございますけれども、著しく私権制限したり、これを抑えたりというふうなことは、できるだけそれを避けて通っていけるのではなかろうか、これが非常に大きく私有財産価値を失わせしめたり、憲法上保障されておるような権利まで侵害するということは避けることができるのではないか、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、また話を変えまして、先ほどの都市計画の問題でございますが、いろいろ建築制限をすることになっているわけでございます。都市計画法上の地域として特別地域とそうでない地域二つに分けて、一方は建物を建ててはいけない、その周辺の方は防音装置をしなければならない、そういったことになっておりますが、建設省の方で、都市計画上の地域としてそういう規制をおやりになった理由、いまの都市計画法手法で、この法律目的としている、家を建ててはいかぬ、あるいは防音装置をしなければならぬ、そういうことが可能になるかどうか、大丈夫規制ができるというお考えですか。
  28. 中村清

    中村(清)政府委員 いまの都市計画法では地域地区という制度がございまして、たとえば第一種住居専用地域でございますとか住居地域でございますとか工業地域でございますとか、それからたとえば霞が関の高層ビルの周辺は特定街区といったようなことでいろいろな地域地区制度がございますが、実は、この都市計画法で定めております用途地域の裏側には建築基準法というのがございまして、たとえば住居地域にはこういうものしか建てられませんよ、逆にこういうものは建ててはいけないというふうな制限が現在都市計画法を受けた建築基準法で決まっております。今度運輸省の方でお考えになっておられます空港周辺騒音防止のための制度も、大体これと同じような、土地の合理的利用を通じまして快適な都市生活を図るというふうなことにつながる問題であると私どもは認識をいたしまして、運輸省からお話がありました航空機騒音障害防止特別地区あるいは航空機騒音障害防止地区都市計画法に位置づけをするということで考えたわけでございます。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 政務次官おくれて見えましたので、初めにこの法律必要性を航空局長に聞いたわけですが、大体御答弁がございました。それで、いままでの公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律があるわけですが、これではどうしても防ぎ切れない、これはいままでのことを処理する法律でしかない、これから前向きに、家を建てようとするのを未然に防止するためにはこの法律がどうしても必要だ、こういう航空局長の答弁でございましたが、その辺については、政務次官もこの法律はどうしても必要だというふうに信じておられるかどうか、一言だけお伺いしたい。
  30. 石井一

    石井(一)政府委員 航空審議会の答申にも、これに即した答申が出ておるわけでございまして、われわれといたしましては、いま御指摘のとおり、これまで発生源対策もやりましたし、そのほか事後救済措置というふうなものもやりましたし、現在あります市街地周辺空港に対しましては、相当膨大な財政措置もやっておるわけでございますが、それにいたしましても、昨今の航空需要に対処するためには、どうしてもその一歩前に手を打っていくということが必要でございますので、今回、特に成田空港開港を目前にいたしまして、その必要性を十分に認めて御審議をいただいておる、こういう次第でございます。
  31. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、法律の第二条以下に移りたいと思いますが、ここに「空港整備法第二条第一項に規定する空港であって、おおむね十年後においてその周辺の広範囲な地域にわたり航空機の著しい騒音が及ぶこととなり、」云々と、こういうふうなことが書いてございます。つまり後ほどの基本方針をつくる際の予測でございます。たとえば十年後にこの飛行場はどういうふうになるのかということの予測をするのだ、こういうことでございますが、なかなかむずかしいだろうと思うのです。大体予測ができるのかどうか。いま三全総ができておりますけれども、三全総で全体の国内輸送の大枠というものが、旅客輸送というのはこうなるという大体の分野が明らかになっていますが、それから各空港ごとの十年後の姿というものがどういうふうになるのか、いろいろ違うと思うのです。新幹線ができたことによって違うでしょうし、そういうのが果たしてうまく予測できるかどうか、私は、非常に危ぶんでおるわけです。  たとえば、またコンコルドを導入するかどうか、ソ連の何とかという新しい飛行機を導入するのかどうか、技術の進歩もございますから、どの程度この騒音があるのかどうかですね。将来十年後の予測ということが、基本計画の一番基礎になる問題じゃないか。これがやはりうまくいくのかどうか、そういうことについて、いま現に十年後の計画を各空港についてお持ちになっているのかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  32. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 十年後の空港周辺騒音状況につきましては、御指摘のように、やはり非常に複雑な計算をしなければならないと思います。  第一のファクターは、その空港にどのぐらいの飛行機が離着陸するかということでございますが、これは御指摘のように、新全総その他の計画に基づきまして、輸送需要を国際、国内合わせてはじきまして、それによって飛行機の発着回数を出すわけであります。その際、飛行機の大型化の傾向が続くならば、人数がふえましても発着回数はそれほどふえないということもございましょうし、あるいはまた音の問題につきましては、航空技術の発達によりまして音が少なくなる方向に進歩していく、こういうふうなことも考えられるわけでありますが、そういった要素を複合的に、総合的に検討いたしまして、十年後の騒音の測定を予測するということでございます。これは技術的、理論的には可能であると考えております。  現在私ども成田空港につきましては、その種のものを用意いたしておりますけれども、その他の空港につきましては、まだ今日現在持っておりません。これがもしも政令指定するような必要が出てくる場合には、当然そういった予測をいたしまして、それに基づきまして政令指定という段取りになる必要があると思います。
  33. 宮崎茂一

    宮崎委員 成田空港だけは持っているけれども、ほかの空港は持っていないという話であります。私は、成田空港だけに限る必要はないのじゃないかと思うのです。たとえば私の鹿児島空港でも、滑走路を延長しようという計画がございます。短い滑走路で将来延長しようということになりますと、やはりそこに航空需要がふえるから延長するのであって、滑走路延長をやるかやらぬかというような、もうほとんどやるのだということが決まった空港については、早速やはり早いうちにそういう計画をお立てになった方がいいのじゃないか。  というのは、都市化寸前になってまいりますと、また非常にややこしい、めんどうな、反対とかいろいろな運動が出てきますから、将来を見越すことが、私自身も、十カ年先を予測することは非常にむずかしいと思いますが、余分にでも早目に土地買収をしておいた方がいいのじゃないか。成田空港以外のこれからの航空需要というのは、十カ年でたしか四倍ぐらいになるというような予測だったと思いますが、うんとふえるわけですから、その辺を考えて、地方空港、まあ一種空港、二種空港の発展するようなところは、やはり早目に土地の手当てをするということの方が、この法律適用して制限するとかいうようなことよりも、早いうちにひとつ計画を立てて拡張に着手するといった方がいいのじゃないかと思いますが、どうですか。
  34. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のとおりでございます。私ども、将来にわたって空港周辺騒音被害をなくするということのためには、単に法律の運用によりまする立地制限をすることだけではなくて、前広に土地を買いまして緑地にしていくというふうなことが本当は解決方法だと思いますが、今後そういった必要のある空港につきましては、十分地元の府県とも相談いたしまして、早目に予測を行い、対策を立てるということにいたしたいと思います。
  35. 宮崎茂一

    宮崎委員 ほかの空港については、いまの局長のお話のように、予測を早目に立てて、ひとつ計画を早く樹立されるように希望をいたします。  また、成田空港に返りますが、十カ年先というと、実は成田空港も着手いたしたのは、十年ぐらい前じゃないかと思いますが、その時点でいまの状態が予測できなかったのかどうか、できたのかどうか。これは私の間違いかもしれませんが、たしか七百万坪ぐらい当初は必要だ、こう言っておったのですね。ところが、それを三百二十万坪か、数字はちょっと忘れましたけれども、うんと縮小して買ったという問題がある。だから、縮小して買ったからいまどうしてもこの規制法が必要になったのか。そうすると、そのときに七百万坪を、将来を見越して買っておけば、この法律は必要にならなかったのじゃないか。あるいはまたそのときに、御存じのように霞ヶ浦の候補地もございました。内陸じゃなくて湖に面したところ、あるいはまた海に面したところ、こういうところを先見の明があって買っておけば、半分でも被害はなくなったのじゃないか。  これは後からこういうことを言っても、いろいろな事情でそうなったのだから、私は、決してとやかく申し上げたくはないのですが、いまその十年後の予測という問題に絡みまして、成田空港の場合は十年前はどういう予測をしておられたのか。たしか七百万坪か何ぼか買う計画が途中で三百何十万坪に減ったのじゃないかと思いますが、その辺についてはどういうふうなお考えを持っておられますか。
  36. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私も、正確に資料に基づいて承知したわけではございませんけれども、聞きましたところでは、やはり御指摘のように、成田空港につきましても、当初は、いま千六十五ヘクタールでございますが、倍近いものを予定しておったようでございます。それが、いろいろな事情からなかなか無理なことがわかって最小限度の千六十五ヘクタールにしてしまったということでございます。もちろん、これは倍あれば、われわれといたしましては非常に楽な仕事ができたはずでございます。また倍ありますれば、当然被害の及ぶ地域もかなり緑地化等によりまして避けることができたかと思いますけれども、大変残念なことながら半分の計画にとどまってしまったということでございます。  今後、その他の空港につきましては、やはり将来を見越しまして、後追い的なことにのみ力をいたすことのないようにすべきであると考えております。
  37. 宮崎茂一

    宮崎委員 私がいま成田の例を引いたのは、いみじくも局長が最後に言われましたように、今後のほかの飛行場の予測の際に、やはり同じようなことを繰り返さないように、十分にひとつこの騒音区域考えて、余分になるべく広範囲な用地買収をしておくべきじゃないか、こういう私の意見を申し上げたわけで、局長も、だいぶその点はそういうふうにしようという話のようでございますが、この点につきましては、これで質問は打ち切らしていただきたいと思います。  それから、第三条でございますが、航空機騒音対策基本方針を決めるのだ、もちろん、そういう予測に基づいて基本方針というものをお決めになるのは結構だと思いますが、これはどういう趣旨でお決めになるのか。また、その利点と申しますか、どうしてもこれは決めなければならないのだ、法律に書かなければならないのだということになるのか。こういう法律の第三条としてお書きになっておりますが、この点についてお考えがあったらひとつ聞かせていただきたい、こう思います。
  38. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この三条で基本方針を決めることにいたしましたのが、この法律一つのまた要点でございまして、いわゆる都市計画手法を用いまして住宅等立地規制するということだけでは、やはり偏った法律になるおそれがある。そういった規制のかかった区域をのみ込んだ、その地域全体として地域の発展を図るということが、究極的にはこの法律趣旨であるというところから基本方針を決めることにしたわけでございます。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして基本方針では、まず第一の眼目でございますところの都市計画手法を援用しての障害防止地区あるいは防止特別地区というふうな地域割りをすることに関する基本的な事項を決めることにいたしたいと思います。  それから二番目には、障害防止に配意いたしました総合的な土地利用計画、農林業、商工業等への積極的な利用を図りまして、住宅等立地制限されましても、農林商工業というふうな面での総合的な発展を図ることができるように、そういう土地利用に関する基本的な事項を決めることといたします。  第三には、さらに航空機騒音により生ずる被害防止のために必要な、たとえば防音林とか緑地帯とかいうふうなものの整備計画あるいは生活環境施設あるいは流通団地とか工業団地あるいは農業基盤施設、そういった空港周辺立地し得る、また、立地してそれが総合的な空港都市としての機能を発揮できるようにするための各種の施設、こういったものをどういうふうに整備していくかということの基本的事項を決めることにしたわけでございます。そして両々相まちまして空港周辺が、いわゆるエアポートシティーとして発展していくということを期待いたしまして、都道府県知事がこれを決めるというふうにしたわけでございます。
  39. 宮崎茂一

    宮崎委員 少し細かいことですが、第三条の二項の三ですが、これに「必要な施設、生活環境施設、産業基盤施設」、こういうふうにございます。「政令で定めるものの整備に関する基本的事項」、まあ多分空港周辺のいろいろな都市計画だ、こういうふうに受けとめるのですが、具体的にこの文句は大体どういうものを考えておるのですか。いまちょっと説明がございましたが、産業基盤というと工場なのか道路なのか、多分道路だろうと思いますが、大体どんなものか、ひとつ言っていただけば非常に明らかになってくるのではないかと思います。どうですか。
  40. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず障害防止のために必要な施設は、飛行機の騒音周辺に広がったりすることを防ぐためでございますので、防音林あるいは防音堤あるいは空港周辺のいわゆるグリーンベルト、こういったものをやりたいというふうに考えております。  生活環境施設は、いわゆる一般の環境衛生施設、上下水道その他の施設あるいは緑地、公園、そういった厚生施設も入ると思います。  それから、産業基盤施設は、空港周辺に流通団地をつくって流通の拠点にしようというふうな場合には、当然トラックターミナルあるいは倉庫等が立地できることになると思います。それから工業団地あるいは農業基盤施設、こういったものを考えております。特に大都市に近い空港の場合には、私は、流通団地あるいは工業団地の可能性が非常に高いと思います。  臨海工業地帯という言葉がございますけれども、最近議論をする人は臨空工業地帯ということを言う人もございます。特に日本の産業がこれから知識集約型産業にだんだん傾斜を増していくということを考えますと、そういったものは当然運賃負担力が高くて、小さくて高い品物、そうなりますと、当然航空輸送に適する貨物でございます。そういたしますと、空港周辺にそういった精密機械等を中心にいたしました流通機能あるいは生産機能ができ上がりまして、これと空港機能が一体となりまして発展するということは考えられることでございますので、そういったものをここで育成することを考えていこう、こういう趣旨でございます。
  41. 宮崎茂一

    宮崎委員 わかりました。  それでは次に、第四条に移りたいと思いますが、第四条では御承知のように、航空機騒音障害防止地区というものと、同じような航空機騒音障害防止特別地区二つに分けることになっておりますね。一方は特別がついている。一方は特別がついていない。後で読んでみますと、この第四条の第四項に「航空機騒音障害防止地区のうち航空機の特に著しい騒音が及ぶこととなる地域について定める」、これは特別地域のことですね。特別という字がつくかつかぬだけの差ですね、これは。それでもって非常に後で待遇が違う――待遇と申しますか、規制がうんと違う。  そこで、この「特に」というのは、ただ行政庁の判断で勝手におやりになるのか、それとも「特に」というものの基準を何か設けておるのか。たとえば何ホン以下とか、その辺もっと詳しく説明していただかぬと、行政庁の勝手な判断でここまで特だ、こういうふうになる危険性がある。それだけ私権が侵されるというとおかしいですけれども土地の値段も安くなるということになりますから、この「特に」の解釈、基準をどこに置いておられるのか、御答弁願いたい。
  42. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは具体的にこの法律施行後、政令等で明示することになると思いますけれども、私ども、この法律を立案する前に参考にさせていただきました航空審議会の答申によりますと、まず三項の防止地区、これは後ほど出てまいりますように、防音構造の住宅を義務づける地区でございますが、こういった地区は、航空機騒音の指数でWECPNLという指数がございますが、この指数で七五から八〇という地域障害防止地区にした方がいいだろう、こういうふうな御提案がございます。それからさらに、その内側の八〇を超える地域につきましては、特に著しい地域というふうに判断いたしまして、これにつきましては、住宅の原則的な建築禁止というふうにした方がいいだろう、こういうふうに答申をいただきまして、私どもは、これを区別したわけでございます。  したがいまして、政令を出す場合には、おおむねいま申し上げましたように、防止地区は七五から八〇、特別地区は八〇以上というふうな区分けをいたしたいと思っております。この数字は、現在私ども空港周辺騒音対策事業をするときに指針にいたしておりますところのいわゆる公害基本法に基づく空港周辺騒音の基準がございますが、こういった基準値なども十分指針にいたしまして、こういうふうな数字を選んでいくということになると思うわけでございます。
  43. 宮崎茂一

    宮崎委員 いま「特に」というのは八〇以上、こういうお話、その他は七五ないし八〇というお話ですが、これは航空機の発着の程度と申しますか、それによっても違うのじゃないかと思いますし、風向きによっても、季節によっても違うのじゃないか。あるいはまた、先ほど私が申し上げましたようにコンコルド、そういうことがあるかないかわかりませんけれども、別な機種の飛行機を導入することによっても大分違ってくるのじゃないか。一律にきちっと、いまのままの一定の方向だけでなかなか決まらないのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  44. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この七五とか八〇とかいう数字は、WECPNLという数字であると申し上げたわけでございますが、これは技術的説明はいろいろございますけれども、一言で申しまして、街角でよく信号がついていますが、この街角のいまの騒音は六〇ホンですとか八〇ホンですとか出ておりますが、あれは耳に感じるダイレクトなそのときの音の強さでございます。空港の場合には、いま先生指摘のように、いろんな条件によってそれが変わってまいりまして、飛行機の便数の多い時間帯、少ない時間帯、こういったことにも影響をされますし、また、昼間のように周辺騒音が、いわゆる暗騒音と申しますか、バックグラウンドの騒音が高いときに飛行機の音がしてもそう感じないけれども、夜中の静かなときに飛行機の音がすると、わりに低い音でも強く感ずるというふうなことから、一日を幾つかの時間帯に分類いたしまして、その分類した時間帯ごとの何ホンというふうな音の大きさ、そういった各種の要素を全部総合いたしまして決めるわけでございます。したがってこれは、実際にそこに就航するであろう飛行機をあらかじめ想定いたしまして、それで、その及ぼす地上への音の影響もシミュレーションいたしまして、その計算の結果出るわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、十年後その空港に発着するであろう航空機の回数を、可能な限り正確な予測をいたしまして、それによってこの数字を決めるということにいたしたいと思っております。
  45. 宮崎茂一

    宮崎委員 私は、この特別地域を決めるということは、関係の住民にとっては非常に大きな問題だろうと思うのです。特別地域に編入されたばかりに立ち退かなければならない、そこは家も建てられない、そうしたら土地が安くなるかもしらぬ、いろいろな問題があるわけでありますから、この点につきましては、特にひとつ慎重にやっていただきたい。  それから、特別地域になるようなそういう騒音のあるところは、全部空港用地として買収ですか、あらかじめ買い入れておくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、現在たとえば成田の場合は買い入れてないところまで特別区域が広がるのかどうか。また、私の申し上げました成田以外の空港についても、特別地域指定されるようなところは、せめてあらかじめ土地を買い入れておかなければならぬのじゃないかと思いますが、どうですか。
  46. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御指摘のとおりでございます。成田につきましても、本当はもっと広い地域を買い取りまして、積極的に緑地帯にしていくことができますれば、かなり改善されると思いますけれども、残念ながら成田につきましては、なかなかそういうことができにくいような状況でございます。したがいまして、今後新設、拡張する空港につきましては、前広に用地を取得していきたい、こういうふうに考えております。  たとえば私の知っている例では、いま秋田空港が新秋田というのをつくっておりますが、これなどは飛行場として通常要る面積の数倍のものを周辺に取得いたしまして、森林または緑地にする計画で県が進めていらっしゃいますが、これなどは模範であると考えております。
  47. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、第五条に移りたいと思います。第五条の後に「建築物建築をしようとする場合においては、政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。」、こういうふうになっておりますが、この政令というのは、どの程度お考えになっているのかというのが第一点。  それから、現在の法律でこういう地域にあるところは防音は国が補助かなんかでやれるのじゃないですか。それとのアンバランスになるのじゃないか。これは「構造としなければならない。」という義務づけだけで、何か反対給付があるのかどうかということについてお伺いをいたしたい。
  48. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 御説明を申し上げます。  第五条で防音構造の中身を政令で決めようといたしておりますけれども、この中身はまだ予定でありますが、私ども、おおむねWECPNLで五程度下がるような効果のあるものというふうに考えております。そういたしますと、具体的にはアルミサッシの窓枠にいたしまして、かつ窓の厚さをある程度の厚さにするということを義務づけていけば、おおむねWECPNLで五は下がる、そしてこの地域としては、住宅としての機能を果たし得るというふうに考えているわけでございます。  そこで、現在の航空機騒音防止法によりますと、おおむねWECPNLで七〇以上になるような地域につきましては、学校とか医療施設につきましては、防音工事をすることになっております。その場合に補助をすることになっておりますけれども住宅につきましては、八五以上ということになっております。八五以上の地域騒音防止法地域として決まったときに、現に進んでいる人たち、これに対しましては補助をいたしまして防音工事をいたしております。  したがいまして、新しい法律案現行騒音防止法の関係でございますが、地域によりましては、両方法律がダブって適用になるということがあり得ます。そして現行騒音防止法でも補助し得るという場合には、現行騒音防止法によって補助が出るわけでございます。そういった道の適用ができないような住宅につきましては、五条の義務づけだけで終わるわけでありますけれども、その場合に義務づけをするのにどうして金を出してやらないのかという点があるわけでありますが、私どもがこの政令で決めます内容は、アルミサッシとある程度の窓の厚さというふうなこと程度でございます。現在新築される住宅状況を調べてみますと、いま九五%の新築住宅はアルミサッシを採用しているという数字がございますので、義務づけと申しましても、新たに新しい義務を課するというよりも、現在九五%普及しているアルミサッシを義務づけるということでございますので、それほど新たな負担を強いるものではないというふうに考えまして、これにつきまして金銭的な補償をすることをしていないわけでございます。
  49. 宮崎茂一

    宮崎委員 防音構造としなければならない、こう規定しても、余りそう大した出費はないだろう、現実に最近の家は大体防音に近いことになっているのだ、こういったような答弁のように承りましたが、大体そういうふうに解釈してよろしいのですか。一つも反対給付はしないのですか。いま、こういう区域にすでに建っている建物は、防音工事をこっちからやってやるわけですが、それとのバランスはどうですか。大丈夫ですか。
  50. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現に建っております住宅に対しましては、航空機騒音がこんなに大きくならないと思いながら建てて住んでいたのに、そこに航空機騒音被害が起きてきたということでございますので、これについては、やはり補償をしなければならないというふうに考えたわけでございますが、この新しい法律の場合には、これから建てる住宅でございますので、当然航空機騒音がある程度及ぶということは承知の上で建てられる住宅であるというのが第一点。もう一つは、いま申し上げましたように、現在九五%の住宅はアルミサッシをすでに採用しているという点から、アルミサッシ程度の防音構造でございますければ、特にこの法律ができたことによる新しい負担というのはほぼないと考えていいのじゃないかというふうに考えたわけでございます。
  51. 宮崎茂一

    宮崎委員 区分をするということはむずかしいのでしょうが、何となしにちょっと気の毒なような感じがいたさぬでもないと思うわけでございます。  次に移りたいと思いますが、この第二項のいわゆる「特別地域内においては、建築をしてはならない」、これが一番のきつい制限だろうと思います。このことにつきましては、先ほど質問をいたしてきまして、私有財産価値がうんと下がるのじゃないかという心配をいたしておりますが、そういうことはないようにするという政務次官お話でございました。航空局長もそういう話をされたわけでございますが、ここに例外として「不適当であると認めて許可した場合は、」と、こういうふうにありますが、これをうんと許可すると、この「建築をしてはならない」というのが大分崩れてしまうわけですが、特別な場合で知事が許可する場合というのは、どういうことが考えられるわけですか。
  52. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この許可を余りルーズにやりますと、法律趣旨が減殺されてしまいますし、また、例外なしに禁止するというふうにやりますと、私権制限になるというところで、これは非常に運用上むずかしい点でございますが、私どもいま考えておりますたとえば「公益上やむを得ない場合」というふうなのは、たとえば交番とか郵便局などがありまして、これのすぐ裏にその交番なり郵便局の家族が住んでいる住居がある、こういうふうなものは外していく方がいいのではないか、あるいは既設の義務教育の小学校、中学校等の改築をする場合なんかも、そこにつくってはいけないとなりますと、また同じ学区の中に果たしていい場所が見つかるかどうかわからないということもございますので、これらの既設の小中学校の改築などの場合には「公益上やむを得ない」という形でこれは除外すべきではないかというふうに考えています。  それから、次の「それ以外の地域建築をすることが困難若しくは著しく不適当である」というふうな場合は、これはかなり解釈の余地があるのでございますけれども、私どもは、いわゆる既存の住宅、これの増改築等につきましては、既存の住宅の住民とその地域との地縁的な結びつきというものを相当尊重いたしていきたいというふうに考えております。  この法律趣旨が、もともと先ほどお話し申し上げましたように、空港周辺が一大住宅団地になる、そしてその予想のもとにいわゆる宅造業者が入り込んでまいりまして宅造を進めるということを防止しようというのが主たるねらいでございまして、いままでその周辺に住んでおられる住民の方を追い出そうということは趣旨ではございません。したがいまして、既存住宅に住んでいらっしゃる住民の方の増改築等については、この条項を適用いたしまして外していくことが適当ではないかというふうに思っております。  特に成田なんかの場合には、農家が多うございますので、農家の次男、三男が分家をいたしまして屋敷内に家を建てるというふうな場合には、やはりこれは地縁性が高いものとして除外すべきではないかというふうにも考えておりますし、新しく外の土地から宅造による大規模な住宅への居住が行われることを防ぐということでございますので、そういった趣旨に照らしまして十分弾力的運用を考えていきたいと思っております。
  53. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、第七条以下損失の補償問題でございますが、「通常生ずべき損失」、こういうふうに第七条に規定していますが、具体的に大体どういうような補償をするのか。  それから、あわせて質問いたしますが、規制をいたしますと、そこの地価が下がるわけですね、規制をした地価が。特別区域にするか一般の防止区域指定するかによってですね。そこで、それに対して地価が下がった場合に補償をするのかどうか、こういう問題はいかがでございますか。
  54. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 「通常生ずべき損失」というのは何なのかという点が、実は非常にむずかしい問題でございますけれども法制局などと審議をいたしております間に私どもの得た知恵で御説明申し上げますと、現実に受けた経済的実損でなければならないということでございます。現実に経済的な実損を受けるという点がねらいでございまして、いわゆる単なる期待利益、たとえばその土地を持っていて、空港ができると値上がりするかもしれないと思っていたような、そういった期待利益が侵害されるというふうなこと、この期待利益の喪失は「通常生ずべき損失」に該当しないというふうに解釈されているわけでございます。  ですから、どんなふうなときに、それじゃ経済的実損があるのかと申しますと、たとえばそこの土地に家を建てようと思って材料の手配をしてしまって、一部にせよ全部にせよ金を払ってしまった、そこへ建築禁止が来たというときには、明らかにその払ったお金はむだになりますので、それは経済的実損と考えようというふうなことであります。あるいは病院などを改築しようと思ったら禁止された、そういったことによる損害、こういうふうなものを「通常生ずべき損失」ということで考えていくということでございます。  この「通常生ずべき損失」の問題は、この種の規制立法にはいろいろ使われているいわゆる法律用語でございまして、各種の類似の法律で「通常生ずべき損失」ということの内容として言われております解釈は、いま申し上げましたようなことでございますので、この法律案につきましても、同じような解釈を適用いたしていくのが妥当であるというふうに考えております。  地価の問題でございますが、そこに空港が来ることによって地価が上がるか下がるかという問題は、非常にむずかしい問題でありまして、上がる場合もあり下がる場合もあると思います。いずれの場合にいたしましても、この補償すべき損失の中には、地価の低下分は入らないというふうに私どもは解釈をいたしております。  騒音被害によりまして、空港の直近の場所も地価が下がるということは、社会的現象としてあり得ることでございますけれども、このことは少なくともこの法律対象とする問題ではないというところから、これは対象にいたしておりません。この空港周辺の地価が下がることはあり得ないとは申しませんけれども、それはこの法律対象としているものではない、そういうふうに考えて運用いたすつもりでございます。
  55. 宮崎茂一

    宮崎委員 大臣が見えましたので、一言だけ大臣にお尋ねいたしたいのですが、いままで政務次官や局長から十分に聞きました。  そこでお答え願いたいのは、今回のこの法律はどうしても出さなければならぬのかどうかということ、それといま一つは、いまより以上に非常に私権制限するような法律になっておりますが、その辺に対する大臣の感想と申しますか、政務次官はそういうおそれがないように運用するのだというようなお話のようでございまして、そういうことのないようにお願いしたいと思いますが、大臣の感想を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  56. 田村元

    ○田村国務大臣 どうも大変おくれまして、申しわけございませんでした。  実は、私の感想を述べろということでございますので率直に申しますと、たとえば成田空港の場合におきましても、すでに不動産業者等が幾らか土地を買い占めにがかったり、あるいはぼつぼつ団地造成なんかの計画も立ててきておるというようなことがございまして、地元の地方公共団体等から非常に強い御要請がございました。そういうことで、非常にいい機会でございますから、他の空港につきましても、もうすでに市街化がどんどん進んでいるところなんかは慎重に扱わなければなりませんが、新設空港なんかについては、そういうことは考えていかなければならぬだろうということから、人権擁護のたてまえも考えましてこういう立法に踏み切ったというわけでございます。  また、私権につきましては、これは極力私権を抑圧しないように努力していかなければなりません。むしろ騒音に悩まされる、騒音公害によって人権が損なわれるということを防ぐ、そういうことと私権の問題との絡みでございましょうが、極力私権を侵害しないという配慮の上に立ってこの法を実行していきたい、このように考えております。その点は良識を持って取り扱う所存でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  57. 宮崎茂一

    宮崎委員 以上で私の質疑を終わります。
  58. 大野明

  59. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 まず大臣にお伺いをいたします。  現行の騒防法が昭和四十九年に大改正がありましたが、そのときに参議院の運輸委員会で附帯決議がなされております。提案の趣旨説明の中にも出されておりますが、附帯決議をこういうふうに尊重していくというふうになることは結構だと思うのであります。いままではどうも方々の委員会で附帯決議を全会一致でなさっておっても、無視をされるというか、余りその効力がないというふうな状況がずっとありました。しかし、いままでのいろいろな経験からこの法案を提出することになったと私も思っておりますが、特に特別措置法案を出す中で一番中心的になるのは、現行法では補償を中心にしたことである、こういうふうに言われておりますが、今度は特に住宅建築禁止区域というものを大幅に設定する、そういうことになりますと、先ほど来言われておりましたが、大変な私権制限になるわけであります。  いずれにしても、国際空港でありますから、従来の、いまの現行法にあります第一種区域から第三種区域の設定がなされておりますが、今度の特別措置法によりますと、現行法でも新東京国際空港というのは対象になっておりますが、今度は、この法律ですと、新東京国際空港を対象にして提案をされている、こういうふうに先ほど来言われておりますが、この私権制限に対して、従来のいろいろな法律から見て非常に問題点が残るのではないだろうか。それ相当の補償措置というものが慎重に、しかも大胆に行われないと、法の運用から見て大変問題点を残すのではないだろうか、このことが一つです。  もう一つは、新東京国際空港を対象にしてこの特別措置法案の提案をされていますが、政令特定空港指定を委任しているわけです。これはどういう考えでそういうふうにしているのか。端的に言えば、この法案自体を新東京国際空港に対する特別措置法案とした方が明確じゃないだろうか、こんなふうに思うのですが、この点はいかがですか。
  60. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、附帯決議の御趣旨をも体しまして、地元の強い御要望もまたございましたので、今回を一つの契機としてこういう立法に踏み切りました。  私権の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、まず人間が健康で生きていくということが将来阻害されないようにあらかじめ予防をするという趣旨でございますから、その意味で、私権制限は極力これを行わないようにしなければならないことは当然でございます。ただ、地域住民の将来の健康的な生活を保障していくためには、やはり現行法律ではいささかその効力において欠くるものがあるというのでこういうふうにいたしました。  それからいま一つは、特定空港ということでございますが、これはちょっと私、御質問の御趣旨を取り違えたかもしれませんが、特定空港というのはこの法律の問題でございます。それから俗に特定空港と言っておりますのは、あれは特定飛行場というのが正確な表現でございまして、その性格を異にいたしておりますので、また詳しいことは政府委員から答弁をさせたいと思います。  それと、補償問題につきましては、当然この法律を踏まえまして可能な限り配慮をしていきたいと考えております。
  61. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いまの大臣の答弁、確かにそのとおりでありますが、この措置法案は現行の騒防法には入っていない、特に重視してこういう提案をしているということでありますが、しかし率直に言って、将来の新東京国際空港を考えてこの法案を出しておりますから、その他のことについて、既存の空港について、また、たとえばの話が、福岡の空港あるいは大阪の空港、これもひとつ政令で、この措置法案で指定をしようか、そういうふうなことはあり得ないことですね。ここの新東京国際空港を対象にしてこの提案をされているのじゃないだろうか、こんなふうに考えるのですが、まだほかに将来関西国際空港どもあるから、この際ひとつ政令特定空港指定は委任をしておいた方がいいのじゃないだろうか、こんなふうなことがあるのですか。
  62. 田村元

    ○田村国務大臣 実は、成田空港の建設ということが一つの契機になったことは事実でございます。それからまた、附帯決議が非常にわれわれに心因的に大きな義務感を義務づけたということも事実でございます。しかしながら、これは成田専用法律ではございません。もちろん、いまおっしゃったように、こういう法律をいきなり押しつけることが事実上無理だという既設の空港はたくさんございます。しかし、新設の空港あるいはすでにできておる空港であっても、周辺開発に対して懸念をしなければならぬ、そういうところに住まわされる人々が将来生じては、かえって人権問題が起こるというようなことも考慮いたしておりますから、これから政令でそのようなものを拾い上げていかなければならぬ、こういう趣旨でございますので、将来この法律はでき得る限り幅広く適用いたしたい、しかし、無理のない範囲内で適用いたしたい、こう考えております。
  63. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 既存の、現存の空港、これにこの法律適用して私権制限をして、住宅建築禁止区域というものを設定するということは無理でしょう。しかし、いま大臣が回答されたように、あるいはその場所によってはあるかもしらんということで言われていますが、しかしこれは、たとえば熊本空港をやろうか、こういうふうなことにしても、まだ余り住宅が建っていないから、その辺が非常に開発をされていろいろ市街化になっていく、こういうときにやるというふうなことを考えてこの立法考えておるのですか。この点はどうですか。
  64. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この点は非常にむずかしい問題でございまして、まだ山林原野がかなりその空港周辺に広がっていて、当分まだ宅地ができそうもないところにも適用すべきかどうかという点については、それはその宅地の進展の度合いを見ながら考えるべきだと思うのであります。したがいまして、先ほども宮崎先生にお答えいたしましたように、そういうところにつきましては、この法律を用いずして、たとえば国なり県なりが幅広く周辺土地を買い上げておく、そして緑地等を積極的につくりまして、将来宅地化することを抑えるということがいいと思うのであります、法律に基づかずにですね。しかしながら、この法律適用いたしまして建築制限をしようというふうな必要性につきましては、これは個々の空港ごとに周辺状況が違いますので、必要性につきましては、当該都道府県知事と十分相談いたしまして、必要なものについて遺漏のないように、そしてまた、不必要なことをすることのないように慎重にしていきたいと思っております。
  65. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この法の第二条に、十年先の飛行機の交通量を予測して防止地区の設定をする、その際、関係市町村長、地区の住民等の意見を聞いて、建設、運輸両大臣の同意を得てこの地区の設定を決める。そうして現在、十年先の新東京国際空港の交通量というものが、私の手元にいただいたものによりますと、昭和五十八年――昭和五十八年というと、いまA滑走路が完成をして、B、Cはまだこれからだ、端的に言えば欠陥空港ですが、この昭和五十八年度を予測するというのは、B、Cの滑走路も完成をして本来的の計画がすべて空港として整った、そのときに約十一万回、一日の平均着回数が三百便だ、こう言われていますが、いま政府が急いでおられる開港について、いまA滑走路だけ使う場合に、現在の東京国際空港の国際線というのはどのくらいの発着をしているか、そしてあのA滑走路を使用する場合にどのくらいふえていく予想か、あるいは制約をしていくのか、こういうことから考えて順次この騒音関係の問題についても対策を練っていくのだろうと思いますが、この点の予測などについてどういうふうに見ておりますか。
  66. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在羽田に離着陸しております国際線の航空機の数は、一日百五十ないし百六十便でございます。年間約五万五千回になります。したがいまして、成田空港A滑走路のみで開業いたしました当初では年間五万五千回というところでございます。これが倍の十一万回になるのに何年かかるかというふうなことにつきましては、今後国際航空輸送需要の推移等を見まして慎重に検討しなければならないと思いますけれども、まあいまから十年後というふうなことを考えますれば、十一万回はやはりちょっとまだ無理かもしれません。若干それを下回るのではないかというふうに考えております。十年後には成田空港は、A滑走路のほかにB、C滑走路もでき上がっている予定でございます。
  67. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 成田空港が当初の計画規模よりずっと縮小をして半分になっている、そういう広さに縮小された。十年先を予測して、この法案にいうところの住宅建築禁止区域の面積を大体九百八十ヘクタール、こういうふうに言われているんですね。十年後といいますと、いま航空局長がお答えになりましたような十万回か十一万回かわかりませんけれども、それを想定してこの禁止区域の設定をしたのですか。
  68. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 五十八年ないし六十年時点でおおむね十万回前後というのが、私どものいわゆる五十八年の騒音コンターを計算したときの前提でございます。したがいまして、この法律によりまして、これはいずれ都市計画等の手法によりまして公になるわけでありますけれども、ごく大ざっぱに申しました場合に、この法律によります騒音防止地区の広さというものは、おおむねこの十万回前後というのを前提にして決めることになると思います。
  69. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと、いま言われている九百八十ヘクタールという住宅建築禁止区域というのは、大体この程度だというふうに考えておって、これから地域の住民なり市町村長の意見を聞いて決められるわけですから、目安としてそういうふうに考えているけれども、端的に言えば広さが広がるかも知らぬ。この間少し騒音テストをやったようですが、一日に百六十回も百七十回も国際線が発着をしている東京の国際空港と違って、たまにやるのですから、二日間にわたって前後十回しかやっていないのですから、必ずしもそのときの状態とは違うわけですね。そうしますと、建築禁止区域というのは、もっと広げた方が将来問題を残さないのじゃないだろうか。もっともこれは、そのときの地形にもよりますね。この特定空港の横の幅は一キロメートルぐらい、前後は八キロメートルぐらいだ、こういう基準ですね。これはたとえば大阪なりあるいは福岡の空港ども考えてそういうふうにやったのですか。科学的な根拠があってやっているのですか、この点はいかがですか。
  70. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 航空機騒音問題あるいは騒音対策という問題自身が、実は学問的にも非常に新しい問題でございまして、次から次へ新しい学説とか新しいデータが出てまいりますので、私どもも、非常に苦心をいたしておりますけれども、その辺の予測あるいは規制値等の策定につきましては、可能な限りの新しい学説とデータを使ってやっております。  そこで、先ほどの成田空港にこの法律適用した場合の地域の広さの問題でございますが、先ほども先生がおっしゃいました九百八十ヘクタールという面積は、現在の騒音防止法によります第二種、第三種という地域の広さが約千ヘクタールでございます。九百八十ヘクタールでございますが、その外側に第一種地域というのがございまして、千六百ヘクタールございます。これは民家防音工事の助成をしている地域でございますが、現在の法律に基づきましては、この第一種地域というのが一番外側でございます。その内側を全部拾いますと、成田空港につきまして合計二千六百ヘクタールになるわけでございます。それが現在の騒音防止法に基づきます一種、二種、三種の合計の地域であります。これが民家につきましては、民家防音工事空港設置者がしなければならない、補助しなければならないというふうに義務づけられている地域でございます。  それから、きょう御提案申し上げております法律によりまして新しい住宅建築制限される地域はどのくらいの広さになるかということにつきましては、必ずしも地図上に正確に線を引いたわけではございませんけれども、ごく大ざっぱに申し上げまして、いまの第一種、第二種、第三種の合計二千六百ヘクタールというものと大同小異であろうというふうに考えられます。したがいまして、建築制限を受ける地域は、先生指摘のように九百八十ではなくて二千六百ぐらいの地域に広がることが考えられます。
  71. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと、いまお答えになったのは、私もきわめて重要だと思いますが、二千六百ヘクタール前後の地域住宅建築の禁止区域になる。そうすると、私の手元にいただいている「新東京国際空騒音区域指定図」というのがありまして、第一種、第二種、第三種とありますが、これは全部合計をした広さが二千六百ヘクタールと考えていますが、この二千六百ヘクタールというのが、すべて禁止区域ということになるのですか。
  72. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先ほど先生のお読みになりました九百八十ヘクタール、私が追加して申し上げました千六百ヘクタール、合計いたしまして二千六百ヘクタールのこの場所は、いまでき上がっておりますA滑走路に対応する周辺地域の広さでございます。したがいまして、B滑走路ができ上がりますと、さらにこれにB滑走路周辺地域が加わります。しかしながら、この面積はまだ指定しておりませんので不明でございますが、当然ランウェーが短こうございますからA滑走路よりは狭くなりますが、この面積は未定であります。したがいまして、仮にそれを二千ヘクタール弱といたしますれば、合計いたしまして、成田周辺でそういったことが規制される地域は四千五、六百ヘクタールになるのかもしれないと思います。
  73. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私の理解がまだよくできませんので、大変恐縮ですが、もう一度伺います。  要するに現行法でいう第一種区域から第三種区域は、まだB、Cの滑走路ができていない、A滑走路を使用する場合に一種から三種区域全部をひっくるめた面積、これが二千六百ヘクタールということになりますか。
  74. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 A滑走路に対応する一種、二種、三種地域の合計が二千六百ヘクタールであります。
  75. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうしますと、新聞のことを引用しては恐縮ですが、住宅建築禁止区域というのは九百八十ヘクタールだ、あとの千六百二十九ヘクタールというのは騒音防止地区であるから、これは将来騒音防止の工事をしなければいけない、現存の住宅については助成をして騒音防止の工事をさせる、こういうふうにマスコミの報道には言われているんですね、それで再三お尋ねしているわけでありまして、一種から三種まで全部の広さを合算すると二千六百ヘクタールになって、この分が住宅の禁止区域になるのだ、こういうことで理解していいのですか。これは重ねて言うのですが、いかがですか。
  76. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 そのとおりでございます。
  77. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 空港公団にお尋ねしますが、現在特別措置法を審議しておりますが、現行の騒防法などで考えてやられていると思いますが、新東京国際空港の騒音防止地区の居住者が第一種区域対象民家が八百十七戸ある、防音工事をしているのが実施済みが四百三十六戸、残りの三百七十一戸がまだ防音工事がされていない。いろいろとこれから折衝しているけれども、まだこれは進んでいない。現状の状態についてひとつ御説明をいただきたい。  もう一つは、言うところの第二種、第三種区域の居住者二百七十一戸については、すべて予算措置はしてあるけれども、二百十九戸が移転または移転の契約を完了している。五十二戸が残っている。絶対反対でいる戸数が十一戸だ。このいままでやってきた経過といいますか現状を御説明いただきたい。  先ほど航空局長からお話をいただきました第一種の関係というのは、この空港公団の資料によりますと、防音工事の方とそれから移転をしてもらいたい、この二つに分かれているので、再三にわたって局長にお尋ねしているのです。これはちょっと違うからです。  そこで、空港公団のやっている防音工事とそれから移転対策というものについて、いままでの経過を重ねてお伺いいたしますが、この点もあわせてひとつ公団の方からお話をいただきたいと思うのです。
  78. 町田直

    町田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました民家防音工事につきましては、時間の経過がございまして、数字が若干進んでおりまして、全体で八百十七戸民家防音工事をする必要のある中で、現在までに五百三戸防音工事が済みまして残が三百十四戸でございます。それから移転補償の数字は、先生の御指摘のとおりでございまして、二百七十一戸ある中で二百十九戸済みまして、五十二戸残っておる、こういうことでございます。  経過を申し上げますと、五十一年度までは主として県に実施していただきました。五十二年度から公団が実施いたしましてこういう経過になったわけでございますが、なお残っております民家防音工事三百十四戸並びに移転補助の五十二戸につきましては、引き続き積極的に各戸を訪問いたしまして防音工事をされるように、あるいは移転していただくようにお話を続けておるところでございます。これも先生指摘ございましたように、本来反対同盟に属しておりまして、全くお話を聞いていただけない、あるいは地域の事情によりましては直接接触ができないという方も若干はございます。しかし、そうでない方の中にもいろいろな御要望がございまして、たとえば防音工事については、開港後、実際の騒音を聞いてから考えたいというような御希望の方もいらっしゃいます。現在のところそういう経過になっております。この間も騒音テスト飛行をやりましたし、今後またエアラインの慣熟飛行等もありますので、そういうことで実際の騒音を聞いていただいた上で、さらに騒音防止なり移転対策を進めていきたいということで引き続きお話を進めてまいるつもりでございます。  なお、私どもがやっておりますものは、いわゆる騒防法に基づきまして二種、三種につきましては、民家をできるだけ、御希望によりましてですけれども移転していただく、それから二種、三種を除いた一種地域については民家防音工事をする、こういう法律なり政策に従いまして実施をしていく、こういうことでございます。
  79. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 重ねてお伺いしますが、この防音工事についてそれぞれお話しをする、あるいは移転の交渉をする、まだ大分残っておるわけでありますが、いずれにしても補償費が少なくてだめだというふうなことで折り合いがつかないか、あるいは個々の事情はいろいろあると思うけれども、ともかく問題は、その補償の費用ということについて大分不満がある、こういうことはございませんか。
  80. 町田直

    町田参考人 民家防音工事につきましては、成田空港では二種類の方法をやっておりますけれども、現存の家屋に防音工事をするのと、それから別にプレハブ等の一戸建てをつくるのと二つ方法でやっておりますが、既設の家屋に防音工事をするものにつきましては全部公団負担ということでございますので、経費的な御不満はないと思います。問題は、一室、二室という数が多いか少ないか、こういうことでございます。  それから、プレハブ住宅を別途つくるのにつきましては、これは新しい住宅一つふえるわけでございますので、一部住民の負担をお願いする、こういうことでございます。これについて、全部国なり公団でやってもらったらいいじゃないかという御意見が一部あることは事実でございます。  それから、移転の方法でございますが、移転の場合の移転費用の算定につきましては、国で決められました移転補償の規則に従ってやっておりますので特に御不満はございませんが、農地を買う代金につきましては、実は空港内の代金と大体同じような額でやっておりますので、これについて若干の御不満はある。もうちょっと近傍類地価格に近いものに考えてほしいという御意見があることは事実でございます。
  81. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 個々の問題をお尋ねしていると長くなりますから割愛をいたしますが、今日まで移転補償をした費用、それから土地を買い入れた費用、総額幾らになりますか。また、一戸当たりの最低額といいますか、最低額の補償したもの、最高額の補償したもの、これはいろいろありますが、この点はわかりますか。
  82. 角坂仁忠

    角坂参考人 現在までに移転いたしましたものは、Aラン、Bラン合わせまして三百四十四戸でございます。買収いたしました面積は二百七十一ヘクタールでございまして、この金額は、これは全部合計でございますが、七十九億円でございます。移転補償並びに用地買収の合計で七十九億になっております。一戸一戸につきましての資料は、実は持ち合わせておりませんので、全体の数字を申し上げました。
  83. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 一戸一戸じゃないのだ、最低額と最高額をお尋ねしているのですが、これがわかったらひとつ回答してください。  それから、第三次の計画によりますと、新東京国際空港は二百十二億円が移転補償費の予算に組まれておりますね。それから民家の防音工事は十七億円だ、こういうふうになっています。この点からいきますと、二次、三次の方にも入っておると思いますが、予算的に見て今後十分あるかどうか。このことは明確に御回答いただきたいのです。
  84. 町田直

    町田参考人 先ほど私の説明が若干舌足らずだったかもしれませんが、用地買収の補償と申しますか、買い入れの金額は空港内で現在買っております値段、これは事業認定をいたしまして、四十六年当時に畑で反百四十万、これに時価修正を加えました金額、これと合わせて買っております。したがいまして、全部一律でございます。ただ、もちろん当然でございますけれども、面積にこれを掛けたもの、こういうことでございます。額としてはそういうことでやっておるわけです。これについては先ほど私がちょっと申し上げましたように、空港内の敷地と同じ金額では不満である、こういう声があるということを申し上げた次第でございます。  それから、第三次計画に基づきます用地買収なり民家移転なりの予算につきましては、一応現在はこの金額でやれるというふうに考えておるものでございます。
  85. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私がお尋ねしているのは、空港本体のことを言っているわけじゃないのです。それはこれからお尋ねしますが、要するに移転補償をした中では、空港本体の中もあるけれども、そうではないところがあるわけでしょう。建築禁止区域をこれから設定しよう、こういうところがございます。そこで、一戸当たり最低はどのくらいか、最高はどのくらい補償したか、こういうことを聞いているのです。わからないですか、この点は。資料ありませんか。なければいいです。わかりますか。
  86. 町田直

    町田参考人 個々具体的な例でございますので、いまちょっと資料を持ち合わせておりません。いずれ調べまして御報告申し上げたいと思います。
  87. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ひどく重要な問題ではないけれども、移転した人たちについて私どもずいぶん不満を聞いていますから、これを聞いているのです。移転をしてからの生活が、いろいろな条件もあったりして大変苦しいという人もある。あるいはそうでない人もある。本人の責任はあるにしても、こういうふうな状況ですから、それで聞いているのです。  さて、この建築禁止区域について、家屋の移転補償、宅地の買収、農地や山林なども申し出があれば――わずかな農地しか持っていない、農業もできない、家庭はサラリーマンになっている、いろいろな状況もあれば、専業農家もあると思うのです。そこで、先ほど申し上げましたが、宅地や家屋のほかに農地や山林もこの際買ってもらいたい、こういう場合に時価で買い入れるということになりますか、農地や山林は買わないですか、この点についてお伺いをします。
  88. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  この法律のたてまえといたしましては、現状が農地とか山林であります場合には、一般論としては、そこに住宅建築ができなくなったということによって農地、山林の用益に支障を来すとは考えられないと思うわけであります。しかしながら、既存の住宅の改築が禁止された、そして外へ移転をしなければならなくなった、そのために、いままで家の周辺で農業を営むことができましたのにできなくなった、したがって、移転後はもう農地、山林を手放したいという方に対しましては買い入れをすることができると考えております。
  89. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 移転先が大分遠方だ、農業もできない、こういうふうな場合もあるでしょうし、こういう状態になってきますと、きわめて近隣の地区に移転をするということも、土地価格の問題で交渉がなかなかうまくいかないとかいろいろなことが具体的には出ると思うのです。でありますから、申し出があってもどうにもならぬ、中には、専業農家というのは土地までみんな移転をしたいというふうな希望もあるでしょうし、いろいろな条件をつけていきますと、交渉が難航をするのじゃないだろうか。私は、このことがちょっと心配になっているわけです。  時価の関係も、先ほどお話をいただきました収用法上決められている、当初の反当たり百四十万、それから物価上昇率をプラスしていくのでありましょうが、これは空港本体の話ですね。しかし、現在これから買収するところがありますから、この点は現在の価格は一反当たりどのくらいで買うか、それからもう一つ、家屋と宅地を移転するということが前提であるけれども、農地や山林もぜひひとつ買ってくれぬか、ほかに買う人があれば別ですが、なければ、飛行場を持っていったのですから、あそこに建設をしたのですから、そういう意味では、めんどうを見なければならぬと思うのです。めんどうを見るというのはおかしいけれども、買収してやらなければいかぬと思うのです。この点はどうですか。いかがですか。
  90. 町田直

    町田参考人 先ほども申しましたように、現在は本体内の価格とほぼ同じ価格で騒音地区の農地等も買っておりますので、これにつきましては、先生指摘のように、近傍類地価格というものが別にございますものですから、一部の方々に不満がございます。したがって、私どもとしては、この法律趣旨もございますし、できるだけ今後は近傍類地価格を参考にして買っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  91. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大臣、これは非常に重要です。いま公団の副総裁からお答えをいただいたのですが、片方、飛行場の中にある本体というのは収用法上でも買収価格が決められている。しかし、周りは高くなっていくわけです。これは安くなるわけじゃないのです。高くなるのです。そうすると差が出る。うちの方は安いじゃないか。片方は端的に言えば価格が上がっていますから、買収をする場合に、空港公団がやる場合でも高く買うということになる。これではどう考えたってもう交渉はうまくいかないんですよ。空港公団でも骨は折っておると思うのです。どういうふうにしてやるか私はわかりませんけれども、損をするという人があるということは、これはこれからB滑走路、C滑走路をつくるにしても大変問題になるのです。この差額というものは、どういうふうにしてめんどうを見るか知りませんが、基本的には損をしないような対策を立てていただかなければ、問題は金のことですからね。この点はどうでしょう。いかがですか。
  92. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在空港公団で買い入れております場合には、先ほど副総裁お話し申し上げましたように、飛行場の用地の価格に右ならえで買っているので、余り高く買えないということでございました。これは先生も御指摘のように、事業認定を受けておりますので、一定の率しか掛けられないということでございますが、一方、この法律ができますと時価で買うことになりますので、当然時価と時点修正価格との間に差が出てくるかもしれません。その場合には、空港公団総裁はできるだけ時価という趣旨で今後やっていきたい、こう言っておりますけれども、やはり同じ地域の住民の中でのアンバランスという問題も起こるかもしれませんので、その点につきましては、時価ということを本旨としながら、同じ地域住民の間の利害のバランスということも十分慎重に考えて公団は対処するということになると思います。
  93. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 土地の買収で、買い入れるのに近傍類地を参考にして買い入れる、しかし、いろいろ交渉の場面はむずかしいと思うのです。高いことを言うだろうし、低いところもあるだろうし、よく言われているように、AとBの地域あるいはCの地域を見て、そしてその平均で買うということもあるでしょう。そういうことが具体的な場合には折衝の際に出てくると思うのですが、いずれにしても、だれが見ても買収価格というのがとてつもなく安いというふうなことになれば、交渉は難航してちっとも進まないということになりますね。この点はどういう基準といいますか方針をもってこれからやっていきますか。
  94. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 法律のたてまえのことまで申し上げますと、「時価」と書いてありまして、時価は近傍類地価格ということでございます。で、近傍類地という場合に、その近傍類地のとり方もいろいろございますが、本当に空港の横の騒音被害を受ける地域だけとりますと安くなりますけれども、できるだけ広い地域を触れる限りとりまして、時価につきましては相応の評価ができるように努力すべきであると考えております。この法律の施行後の移転補償の価格、移転補償と申しますか、この法律の施行後の住宅禁止区域土地の買い入れ価格につきましては、そのようにすべきであると考えております。
  95. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 もう一度前に戻ってお尋ねしますが、住宅の禁止区域、特別地区ですね、これは人が住む住宅以外のところ、たとえば工場、倉庫その他。まあ学校や病院というわけにはいかないでしょうから、これは具体的に政令で決めますか。そうしないと将来紛争が起きるのじゃないかなという懸念がいたしますが、これはいかがですか。
  96. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 特別地区の中で建ててはいけない建物は、この五条の一項に列挙してございます学校教育法の「学校」、これは学校教育法の定義に従いますから幼稚園まで全部入ります。それから医療法に規定する「病院」、それから「住宅」、それから「政令で定めるもの」といいますのが、これらに類似いたしました、たとえば保育所でございますとか診療所など、こういったものを考えております。
  97. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いままで公団が買収をした宅地なり農地がいろいろあると思いますが、これは一ところに集中しているわけじゃなくて、あっちの地域、こっちの地域というふうに飛び地になっていると思うのです。法案にこれの管理をやるというふうになっているが、これはなかなか大変なんですね。あそこの土地は農業に非常に適している土地ですから、当然のこととして交換分合といいますか、そういうことをやった方が管理をする場合にもいいだろう、Aの土地とBの土地とは、昔のままで言えばAの方がよくてBの方が土地の地力が少しない、こういうことになりますと、広さも当然変わってくるだろう、そういうことで、専門家なども入れて意見を聞いて交換分合することの方が――将来いろいろ公園をつくるとか遊び場をつくるというふうなことが言われていますが、このことは積極的に進めていった方がいいですね。その土地にいる農業をやる人たちも得だ、こういうふうなことがあると思うのですが、この点はそのように考えていきますか。
  98. 町田直

    町田参考人 御指摘のとおりでございまして、非常に小さい土地があっちこっちにばらばらにございますので、管理も大変でございますし、それから中には不法耕作等も行われているところがございます。そこで、いわゆる交換分合と申しますか、できるだけ一カ所にまとめまして一つの大きな土地にしたいという希望を持っております。この点につきましては、県あるいは関係の市町村に御相談して進めるようにいたしたいと考えておりますけれども、その農地等につきましても、関係のところと御相談をいたしまして、たとえば圃場整備事業の形をとりまして積極的に交換分合をいたしていきたいというふうに考えております。
  99. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは第七条の関係ですが、当然公団が担当になっておるのですが、この三項に協議が成立しない場合、土地収用委員会に裁決を申請するとありますが、その中で、たとえば第五条の二項で具体的にどういうものを想定をされているのか。想定をされるというのもおかしな話ですが、いままで、たとえば大阪空港、あるいは福岡はそうでもないと思いますが、こういう経験がございますか、この点をひとつお伺いしておきます。
  100. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 七条の「損失の補償」でございますが、これはたとえば自然環境保全法とか古都保存法、自然公園法等々各種の既成立法にこういう趣旨の条項がございます。そういった条項を置く場合のいわゆる法律解釈としては、現実に受けた経済的実損に限る、単なる期待利益の喪失は該当しない。したがいまして、たとえば家を建てようと思って材料を買った途端に禁止になった、そういう場合、そのお金を補償するというふうなことになっているわけでありますけれども、実は私ども調べましたけれども、これらの立法に基づきましても、こういった損失補償をした例が非常に少のうございまして、具体的に拾い上げることがなかなかむずかしいわけであります。もちろん、こういった意味での損失補償は、現在の大阪空港周辺にはございません。
  101. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 損失の補償というのを第七条に決めているということは、想定をされていると思うのですが、時間もありませんからなんでございますが、ともかくこれも一つは交渉になりますね。これはひとつ慎重にやっていただきたいと思うのです。  「航空機騒音に係る環境基準について」というのが環境庁の告示で昭和四十八年十二月に出ておりますが、これで地域指定は都道府県知事が決めるということになっていますね。騒音が問題になるわけですが、地域の類型の一が基準値七〇WECPNL以下となっていますね。類型の二が七五以下となっている。これが実は騒音防止特別地区の設定にもなり、防音工事の義務づけの地域にもなっているのですが、この「新東京国際空騒音区域指定図」による第一種八五、第二種九〇、第三種九五との関係ですね、この達成目標というのは環境庁の環境基準よりも大きいわけですね。これから開港するのですが、開港するときにはもうできている、移転をすることに応じない、あるいは防音工事もまだやっていない。それは交渉して誠意を持ってやってもらうにしても、現存の環境庁の基準というものが開港と同時に守られますか。そのことはどうでしょう。
  102. 町田直

    町田参考人 先生いまおっしゃいましたのは、そこに書いてございますように、中間目標は五十三年でございまして、それが八五、九〇、九五という数字で、それから最終目標は五十八年末でございまして、これが指定いかんでございますけれども、大体七五以上、こういうことになっております。  それで私どもは、中間目標を五十三年までに達成するのが環境庁の基準でございますけれども、開港までに何とか達成いたしたい、こういうことで努力をいたしている次第でございます。  そういう意味で、先ほど申しました三百十四戸並びに五十二戸の騒音防止移転を一日も早く実施していただきたいということで一生懸命勧奨をいたしておる、こういうことでございます。
  103. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは将来のこともありますし、ともかく長引いてきておることでありますから、全力を挙げてこの環境基準の達成をまず初めからやっておかないといかぬ。五年先なんという話では困るわけです。  あと二つ一つは、三次計画の予算の中に再開発事業費が八十九億円ありますが、公団ではどんなことを考えておりますか。この使用目的といいますか、計画といいますか、想定されている問題について御説明いただきたいのです。
  104. 角坂仁忠

    角坂参考人 再開発の事業費でございますが、今度の新しい立法にも絡みまして、将来、騒音地区住宅以外のそういう関連工場等を持っていきたいということで、大体公団といたしましては、主として地元と相談いたしまして工業団地の造成をやりまして、そこへ空港周辺立地できそうな工場を持ってきて、それによりまして、そういう住宅禁止区域等の土地を有効に利用したいという一つの構想を持っておりまして、概算額をはじいたものでございます。
  105. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それでは最後に大臣に。  新東京国際空港の周辺は、言うまでもなく農村地帯なんですね。いままでは静かだったのです。ところが、あんなでかいものができて、いま大変な紛争状態にあるわけです。これから開港するということで急いでおるようでありますが、たとえば新幹線が開通をした、あるいは高速道路が開通をしたということで、いままで静かであったその周辺の人たちが、急激な環境変化で、特に子供それからお年寄りの人たちがノイローゼになるのです。いままでの状態から見て、非常に健康障害が出てくるのじゃないかというふうに私は思っております。このことを心配しております。  参議院の運輸委員会の附帯決議でも、その第八項で、健康管理もしなさい、こういうふうに親切に言っておるわけです。これは公団はまだ考えているかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、医療機関の整備などもしないと、命を縮めるようなことがあるといけません。  このことは、私も東名高速道路が開通して三、四年間、大変な経験といいますか、見ております。苦情もあります。それで道路公団は知らぬ顔をしている。これはもうけしからぬ話です。しかも大型のジェット機が飛ぶということになれば、私はどうも心配でなりません。高速道路の場合は二十四時間走っているということもある。飛行機はもちろん真夜中は飛ばないけれども、国際線ですから非常に大きな影響がある。ともかく静かな時間というのは長いほどいいわけです。いずれにしても、この地域住民の健康管理については十分な対策を政府、公団が考えていかないといけないのじゃないだろうか、このことをひとつお伺いいたしたいと思います。
  106. 田村元

    ○田村国務大臣 まさに適切なアドバイスでありまして、空港公団を十分督励して、地元の地方公共団体とよく話し合って、いまおっしゃったようないらいら病等も当然心配しなきゃなりませんし、その他のことも心配しなきゃならぬでしょうが、いずれにしても、健康を保持する保健ということについて早急に詰めをいたさせたいと思います。
  107. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 公団副総裁からもひとつ……。
  108. 町田直

    町田参考人 その点につきましては、私どもも、前々からいろいろと検討はいたしておるところでございますけれども、現在成田市等では、小学生は当然学校でやっておられますけれども、そのほかに老人等の方々に対しましても、聴力その他の検査をやっておられるようでございますので、今後開港後に、それを特にどういう点に重点を置いてやっていくかということを、いま大臣のお話もございましたように、成田市等とも十分相談して、また、その費用負担等も関係市町村と相談をして進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  109. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それをひとつ十分準備して、対応策がとれるようにしていただきたいと思います。  終わります。
  110. 大野明

    大野委員長 次回は、来る十四日月曜日正午理事会、午後一時運輸委員会建設委員会公害対策並びに環境保全特別委員会連合審査会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時七分散会