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1977-09-13 第81回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月十三日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 宮之原貞光君                 小巻 敏雄君     委 員                 長谷川 信君                 増田  盛君                 粕谷 照美君                 勝又 武一君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 田渕 哲也君                 有田 一寿君    国務大臣        文 部 大 臣  海部 俊樹君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        外務省情報文化        局文化事業部文        化第二課長    岡   照君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省学術国際        局長       井内慶次郎君        文部省管理局長  犬丸  直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (私立大学医歯学部における経営問題等に関  する件)  (留学生問題に関する件)  (幼児教育問題に関する件)  (特殊教育整備に関する件)  (大学卒業予定者の就職問題に関する件)  (派遣委員の報告に関する件)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 前国会私立医科大の問題、同歯科医大のいわゆる巨額に上りますところの寄付金問題、さらには裏口入学問題が大きく論議をされたわけでございますが、その後の状況も依然としてやはりこの関係大学不正事件なり不祥事件が後を絶たないようでございます。地獄のさたも金次第という言葉がございますけれども、今日ではこの問題、まさに教育界の中に顔がまかり通る、金がまかり通るという事態をあらわすものだと言わなければなりません。そういう意味では私は、教育の荒廃これに過ぎるものはないとさえ思っておるわけでございますが、実はそういう立場からどうしてもやはりこの問題は早急に打開をされなければならない私は教育上の大問題だと思うのであります。そういう観点に立ちましてこれからこれらの問題の、特に象徴的にことしあらわれてまいりましたところの愛知医科大の問題、これを中心にいたしましていろいろお尋ねをいたしたいと思います。  端的に、時間の関係もありましてお聞きをいたします。場合によりましては海部文部大臣にもあるいは失礼に当たる言葉あるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思うのでありますが、まず第一に質問をいたしたい点は、今日までいろいろマスコミに報道されておるところのこの問題、愛知医大に関しますところのいわゆる入学条件とするところの寄付金、この状況を見ますれば、本年度は最高が五千七百万円で、四千万円が一人、三千万円が八人、二千九百万円が二人、残りは一律に二千七百万円納めておる、合計して実に三十五億二千万円という、国民から見れば、庶民から見ればまことに気の遠くなるような巨額な金がこの入学条件とするところの寄付金として同大学の収入になっていると報じられておるわけでありますが、このことは事実に相違ないかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。
  4. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 愛知医科大学入学に絡む寄付金の問題につきましては、私ども本年の六月から八月までの間、延べ十一回にわたり前太田理事長を含め関係者から事情聴取をいたしました。その中におきましてまず入学時の寄付金の問題につきましては、先生お話しになりましたような数字のものが徴収せられておったという事実は確認いたしております。
  5. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 愛知医科大の問題はこれだけではなくて、ほかにもたくさん報道されておりますが、文部省確認をして確かめておるところのその他のところの問題点はどういう不正、あるいは不祥的な事態が起きておるか、その概要を一応説明してもらいたい。
  6. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ただいま申し上げました一連の事情聴取を通じましてかなり詳細にその間の事情につきまして私ども承知したわけでございますが、要点をかいつまんで申し上げますれば、まず第一点が、ただいま御指摘のございました高額の寄付金を、しかも入学の許可の条件となるような形で徴収しておったということが第一点でございます。それからその寄付金募集をどういうふうにやったのであるかというやり方でございますが、前理事長が年間を通じて、いろいろな紹介者を通じて随時会いまして、そして寄付金募集しておった。しかもその一部の人につきましては入学試験が行われる前に預かり金というような形で……。
  7. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっと、それ私がお聞きしておるのはね、その寄付金の集め方はどうかということを聞いておるのじゃないですから。そのほかにいろいろ愛知大学問題が起きておるでしょう。ほかに起きておる、ほかのところのものはどういう問題だと、その中身というのは概要こういうものだと……
  8. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 逐次説明していきます。
  9. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ここをお聞きしていますからね。時間の関係もありますから……
  10. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 逐次かいつまんで申し上げます。
  11. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 端的にお答え願います。
  12. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それではそのいまの募集方法でございます。方法がそういう形であったということ、不明朗であったということ。それから三番目は、入学者選抜が非常に教授会の意思が十分に反映されておらなかった。したがいまして、非常に成績の悪い者がその教授会意向を無視して前理事長意向入学させられておったということ。それが入学に絡む問題でございますが、あと昭英高校という高等学校がございましてこれが付属高校ということになっておりますけれども、正式に付属高校の認可が得られておらない。しかも、その関係が非常に不明朗であって不適正であったということ。それからしかも、その昭英高校の在学生から、入学時に入学を予定した在学生父兄から預託金を受け取っておったということ、そういう関係でございます。  それから大きく三番目には、法人運営体制全体が非常に不十分であって、理事会教授会等責任体制、相互の連携等が不十分であったということ。  それから第四番目に、事務処理体制全体が不整備で、経理事務処理不適確であったと、まあ大きく申しますればそのような点でございます。
  13. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そのほかに昭英振興会の十一億に上るところの学債問題だとか一億二千五百万円の性格不明金存在という点はありませんでしたか。
  14. 犬丸直

    説明員犬丸直君) そのような点も確認いたしております。
  15. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうぞ、そこに確認されておるのですから、たとえば経理上の不十分などという抽象的な言葉を使わぬで、国民にわかりやすく答えてくださいよ。そうしませんと、こういう非常にカムフラージュしたオブラートに包んだ物の言い方が累を後に残すことになりますから、御注意を申し上げておきますからね。  そのほかにはございませんでしたか。いわゆる再建委員会の問題はいまどうなっておりますか。
  16. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 前理事長以下の数人の理事が辞任いたしましてその後を受けましていま現在再建委員会がその再建の方策につきまして検討中でございまして、その間におきまして太田理事長との間に理事長職務執行の停止とかいうような訴訟問題が起こりましたけれども、その間の折り合いがつきましていま新しい再建理事会の人選を急遽進めておるというのが概要状況でございます。
  17. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 新聞はこの紛争問題について四項目の協定が成立をしたのだ、こう報じておりますが、その中身はどういうことですか。
  18. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私どもいままでに聞いております状況によりますと、九月八日にこれは名古屋地裁和解勧告申し入れに基づきまして次のような協定が成立したと。  第一番目に、太田理事長は、名古屋地裁で係争中の仮処分申請を取り下げる。  それから、昭英高校については、愛心会理事会検討された経緯を再確認する。  それから三番目に、前理事長が推薦する理事候補はあくまでも推薦候補にすぎないこと。  四番目が、山本学長代行は、前理事長の創設以来の功績を表彰する点につき、新しい理事会に諮って決める。  そのようなことを骨子とした和解協定が成立したという段階でございます。
  19. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いま報告いただいたところの諸問題について、文部省としてはこれらの問題についてどう具体的に対処をしてきたか、一応お聞かせください。
  20. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 事情聴取段階におきましても、いろいろ不適正な点が確認された場合にその都度その是正を強く指導してまいったわけでございます。なお、これは医学部、歯学部寄付金問題全般につきましていろいろ問題もございますので、先般九月七日付をもちまして各関係大学理事長学長に対して通知を発したわけでございます。その中にこの問題につきましての是正基本方針は盛られておりまして、この基本方針に沿いまして、愛知大学の場合につきましてもこの線で問題の適正な処理が行われるように今後とも強く指導してまいりたいと思っております。
  21. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私がお尋ねしておるのは、愛知医科大の問題を中心にしてやっておるのですから、先ほどあなたが愛知医科大の問題として出ておるところのいろんな諸問題について、文部省としてそれほど関知しておるわけですから、そのままおかれているはずはないと思うんですよ。それならば、六月なら六月以降具体的に愛知医科大皆さんにどういう手だてをしてきたかをお聞かせ願いたいと、こう申し上げておるんですからね。何も通牒の話を聞いておるんじゃないですよ。
  22. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 事情聴取のたびに、指摘されておりますような不適正な形の入学条件となるような寄付金の徴収というようなことは今後一切やらないように、それから経理をもっと明確にするようにという具体的な指示指導は重ねてまいったわけでございます。それで、その考え方はその通達の中身にも全部盛られておりますので引用して申し上げたわけでございまして、愛知大学につきましてはまさにその同じような線ですでに具体的な指導を続けておるわけでございます。
  23. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうも抽象的に抽象的にお答えいただいておるんですがね、おたくが一番の所管局長なんでしょ。それならば一番御存じなはずなんですよ。愛知のそういう問題について、具体的に何月何日にどう呼んでどうしたということをまずお聞かせくださいよ。それぐらい調べてきてないのか、あんた、ちゃんと答えられるようにしなさい。いいかげんじゃないか、やり方が。
  24. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 冒頭に申し上げましたように、六月から八月までの間に延べ十一回いろいろな人を呼んで事情聴取し、指導したわけでございます。
  25. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いろいろな人と言わないで具体的におっしゃってくださいよ。
  26. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それは名簿を、いま資料をあれいたしますが……
  27. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 抽象論じゃだめですよ、この問題は。どうも資料の用意もないようですがね、私の方から聞きますよ。あなたの方は六月の十八日に山本学長代行、七月の七日に増田法人本部長、七月の十二日に山本学長代行、さらに七月の十九日、八月四日に昭英高校の波木前理事長、さらに八月二十六日に太田理事長からいろいろ聞いておるんですがね、事情聴取と称して、あなたは終わったとたんにやっぱり記者会見もやっているのだから、そういう十何人と十数回というよりも、そういう一番ポイントになるところの人々にどういう問題点中心的に聞いて、どういう具体的な行政指導をしたかまずお聞かせくださいと言っているんですよ。
  28. 犬丸直

    説明員犬丸直君) その都度事情聴取中身につきましては整理をし、要点新聞にも発表したわけでございますが、その全体につきまして集約した事柄がいま申し上げたことでございまして、個々のものはこれもちろん資料はございますが、余り細かいので実は申し上げなかったわけですが、もちろんそれを故意にぼかしているわけじゃございませんで……。
  29. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 細かく言わぬでいいですから、要点だけおっしゃってくださいよ。この人についてはこういうことを中心に聞いたと、あるいはここをこういうふうに指導したと、こう言ってくださいよ。
  30. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これは何日に、だれに、どういうことを話したかという整理はいましておりませんが、もちろんこれは資料に当たれば全部出てくるわけでございますが、いままで行った指導要点だけを申し上げますと、第一に、今回の事件の大きな要因は理事会教授会における責任体制が確立しておらなかった、そのために理事会教授会等学内機関役割り分担が十分機能しておらない状態であった、そこで一部の理事によって法人運営が行われた。それが問題点であるということで、これにつきまして、もっと教授会等の本来の権限が十分に発揮されるように理事会との間の権限調整というようなものを十分行うようにというような指導をいたしたわけでございます。  それからさらに、特に再建委員会に対しては、今後のこの大学運営基本方向といたしまして、まず第一に、できるだけ速やかに大学再建のための新しい理事を選任して再建のための体制を整えて今後の具体的な再建策検討するように、前向きの体制を早くつくるようにということをまず第一点に指導いたしました。  それから、これは第一回のときに最初に申し上げたことと関係するわけでございますが、理事会教授会等関係機関がお互いに協力、連携して、適切な法人運営が行われるように配慮するというように指導いたしました。  それからなお、経理の問題。不適正な処理が行われておりましたいろいろ経理上の問題につきましては、新理事会発足を待つまでもなく、できるものにつきましては、再建委員会段階において速やかに所要の措置を講ずるようにというような指導も行ってまいりました。  このような非常に、概括しますとそういうようなことでございますが、細かには個々にその都度いろいろ細かい指示をいたしておるわけでございますが、概括すればそういうようなことでございます。
  31. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたは、私がこれから言おうとすることをきわめて細かな問題として考えておられるんじゃないかという感じがしてなりませんがね。というのは、私があなたにお聞きしましたね、愛知医科大の問題は例の寄付金問題以外にはどういう問題がありますかと、こうお尋ねしましたら、いわゆる低学力学生の入試問題、さらには昭英高校の預かり金問題、さらにはまた、聞かれて、それもありましたと答えたところの一億二千五百万円の性格不明金存在、あるいは学債十一億円の問題、これらは経理上の、しかも一番今日国民が非常に不明朗に感じておるところの問題点ポイントなんですよ。けれども、そういうことはあなたは細かい問題だと理解しておられるんですか。どうもいまの答弁をお聞きいたしますと、いわゆるそういうことよりはむしろ大学の適正な運営指導してきたと。具体的に、いや、その再建委員会でどうやれ、いや、理事会教授会がと、こういうようなことをおっしゃっていますが、本当に文部省としては愛知医科大学の問題は単なる運営上の問題という理解に立っておるんですか、どうですか。もう一回ぼくは、管理局長は一番の責任者だから、まず聞きたい。あわせて海部文部大臣からもその物の考え、基本的な考え方をお聞きしたいんですが。
  32. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 愛知医科大学の問題は、運営の問題と言えば運営の問題でありますが、単に抽象的な運営の問題ではなくて、具体的な経理のあるいは財務関係処理の仕方、あるいはこれにからむ入学あり方寄付金取り扱い、それから付属高校取り扱い、そういった問題が非常に不適正であったというふうに認識いたしておるわけでございます。
  33. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならばそれに具体的にこうしたという指導方向があってしかるべきだが、それはしなかったんですか。
  34. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それぞれの問題につきまして具体的に指導いたしてまいりました。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そこを聞かせてくださいと言うんだよ、その中身を。
  36. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それを先ほど来お話し申し上げておるつもりでございましたが、第一に寄付金の問題につきましては、入学に絡めてそういうような金を徴収する、あるいは入試の成績と無関係に、教授会を無視して、寄付金の額によって入学を許可するであるとか、あるいは経理中身につきまして、たとえば先生の御指摘になりました約十一億円というようなものを昭英振興会学債として購入しておったとか、あるいは二億円ばかりの不明金があったとか、そういうような事柄につきまして個々指導いたしたわけでございます。
  37. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その指導というのね、たとえば昭英振興会からの学債とか預かり金については、返却をしなさいと指導したのかしなかったのか、あるいは裏寄付金とか低学力学生入学という問題については、新聞に報道されておるような事実になっておるのかどうか。そこを確認をしたとかしないとか、そういうような具体的な問題をやらぬことには文部省指導になりゃしませんが。そうでしょう。それをやったかやらないかということを私は先ほどからしつこくお尋ねしておるんですが、どうもあなたは、どういう意図か知らぬけれども、避けよう避けようとばかりしているですよ、これ。文部大臣、そういうようなことでこの問題始末できると思いますか。どうもおかしいね、それは。
  38. 犬丸直

    説明員犬丸直君) より詳細に申し上げますと……
  39. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、いま私が端的に聞いたものに答えてくださいよ、やったかどうかということを。
  40. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 指導いたしております。  前理事長本部職員に現金一億二千五百万円を持参して、法人経理に繰り入れることなく保管を依頼したという預かり金の形になっておるものがございます。それにつきましては返還をいたしております。それから……
  41. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 返還をいたした。あなたはどういう指導をしたかと言うんだ。返還指導したのか。
  42. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 返還を命じました。返還するように指導いたしまして、実際にそれが実行されております。  それから愛知医科大学学債でございますね、いまの昭英振興会からの学債の問題につきましても、これも指導いたしまして、返すように、返還するように命じておりまして、六年間で順次返還していくということで、すでに一部分返還を開始しております。年賦でもって返していくという方向指導いたしております。現実にそれが実行されております。
  43. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大事な問題ですからね。何もきょう私が突然あなたに質問しておるんじゃないんですから。きのう、おとといから愛知医科大学の問題、いろんな諸問題について質問をしますよ、用意してきてくださいと、おたくのいわゆる国会班皆さんにも申し上げておるんですから、的確にひとつ答えてくださいよ。時間の進行もありますからね、これ。  それでもう一つお聞きいたしますが、そのほかに愛知医科大学の問題について重要な方針を決定したことはありませんか。どうですか、文部省としては。
  44. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 全体のいろいろな経理あり方とか、それから経営あり方につきましていろいろ指導いたしておりますが、どういう点を先生考えになっておられますか。これだけじゃございません、いろいろ細かい点指示いたしましたり、指導したりいたしておりますけれども、大きな方向は、先ほど申し上げましたような基本的な方向指導いたしておるわけでございますが……。
  45. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、具体的に聞きますが、愛知医科大への五十二年度の補助金をやらぬという方針を決めたんじゃないですか、たしか七月の九日に。違いますか、どうですか。
  46. 犬丸直

    説明員犬丸直君) その方向検討いたしております。五十三年度以降の問題につきましてはさらに……
  47. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、五十二年度の話を聞いておるんですよ。五十三年はあなたまだじゃないですか。予算も決まらぬのに……
  48. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 検討いたしております。
  49. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは検討中ですか。私の聞いたのでは、七月の九日に決めたということを聞いておるんですが、それは事実と違いますね。いかがでございましょう。
  50. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 補助金配分の仕事は私学振興財団現実に行っております。そしてその差しとめというような措置も具体的には私学振興財団で行われますので、私どもとしてはその方向財団とも詰めまして、具体的などういう条項に当てはめてどういう形であれするかというようなことは検討を進めてまいりたいと思っております。
  51. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その中止をする、やらないという根拠は、どこを適用されてそういうようなものをやろうとお考えになっておりますか。
  52. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私立大学等経常費助成費補助要綱の中でその配分の基準がございまして、その要綱の中にいろいろな事柄がございまして、たとえば経理の不適正、学校運営の不適正というような場合には補助金を停止することができるというような条項がございますので、そういう条項に照らしまして処断をいたしたいと、そういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その要綱ってね、たとえば私立学校振興助成法の第五条に具体的に書いてありますね。抽象的な話ではやっぱり行政官庁としてあれでしょうからね。この第五条のどこを適用しようと検討されていますか、それなら。私の方から具体的に聞きますけれども
  54. 犬丸直

    説明員犬丸直君) この条文で——ただいま申しました補助要綱はこの法律の条項に基づいて決められておるわけでございますが、これによりますと恐らく第五号の「その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合」、これに該当するのではなかろうかと考えられます。
  55. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私が仄聞をしておるところでも、すでにその条項を適用してことしはやめると、ただし五十一年までのものは返却を求めないんだという方針をすでに文部省としては決めて、形式的にはそれは振興財団の方から出ましょうけれども——振興財団の方から出ることになりますかね、それは。融資はいろいろありましょうけれども補助金はね、皆さんが一番主管局なんだからね。そういうふうに聞いておるんですがね。その五条の問題ですがね、その五号の前には、「借入金の償還が適正に行われていない等財政状況が健全でない場合」と、こういう四号もございますね。先ほどの管理局長お話を聞きますと、非常に財政上いろんな問題があるというお話をされた。しかも私が端的にお聞きしたところのいわゆる十一億の学債の問題、一億二千五百万円という性格不明の金の問題、預かり金の問題が大学の問題ともツーツーになっておると。まさにこの問題は五号というよりもそのものずばりに、私は四号にも適用されるところの問題だと思うんですが、それをあえてその他云々というようなきわめて抽象的なところをあなた方は今度の対象にしようとお考えになっているところの理由、根拠は何ですか、これは。このように財政上の問題は大したものではないというお考えですか。五号は、その他教育条件管理運営が適正を欠くと書いてあるんですよ。私は、この問題の管理運営というものもそれは大事ですけれども、一番の問題はこの財政上の問題。これは発足当初からあるんですから。ここが一番ポイントでなきゃならぬと思っているんですけれども、それをここに根拠を置かない限り、金を返せとも、支給せぬとも言えぬじゃないですか。いかがですか、それは。
  56. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これは状況——その点が検討いたしますればあるいは財政状況が健全でないという事柄にも該当するかもしれません。しかし、問題はやはり不当に高い寄付金が強制的に入学条件として取られておるということでございますので、単なる財政問題だけではなくて、むしろより広範な意味における管理運営が適正を欠くと、そういう条項に該当するんではなかろうかと思っていまこの線で検討しておるわけでございます。
  57. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならあなた四号と五号と一緒に両方から検討すればいいじゃないですか。あなたの先ほどのお話は、どうも運営上の問題というかっこうで愛知医科大学の問題を処理をしようという、その姿勢にやはり問題があるのじゃないですか。先ほどから私お尋ねしても、こちらから具体的に質問しなければ、いや、そういう問題もありましたと、答えないところから見ますと。どうもその一番問題になっておるところのこの性格不明の金の問題だとか学校債の問題だとかはきわめてこれは財政上の問題ですよ。もともとこれは一番本質的には、愛知医科大学が、金がないところに無理していろんなところから金集めてきてやっておるところに問題があるのでしょうが、根源は。二回にわたるところの理事間の紛争というのもみんなそれですよ、一枚皮をめくれば。そういう問題についてはあなた方目を覆って、ただ運営上、運営上ということだけに終始するというところに、私は、文部省としての非常に基本的な態度で間違っていると思うのですよ。むしろ悪いものは悪い、いいものはいいと、こうやって指導するのが姿勢じゃないでしょうか。いかがでしょう、文部大臣。ちょっと聞かしてください。
  58. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、高額な入学金を入学の許可の条件にするような、そういったような行動は選抜の公正の上からいってもゆゆしい問題でありますから、こういったことについての疑惑は全部実態を調査して解明するように私は厳しく指示をいたしております。先生おっしゃるように、やっぱりいいことはいい、悪いことは悪いと明らかにけじめはつけるべきである。私はこう思っております。
  59. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それでもその財政上の問題についてはそうじゃないんですか。一つも出てきませんじゃないですか。言葉ではそういう言葉がはね返ってきましても、やっておることは教育条件とかまたは管理運営が適切を欠く場合の号を適用することも考えていますんじゃ、この問題の本質をうかがっていませんよ、これは。それは五号と同じように四号についても徹底的にやりますと、これならば、やはり一番この問題の核をなして、問題点の一番中心をなしておるところの問題点について本格的に文部省行政官庁として姿勢を正させようという意図はわかるのですけれども、どうも腑に落ちませんね、いまの話は。  それなら聞きますけれども、この財政上の問題で先ほどたくさんの人を呼んだと言いますけれども、監事の人呼ばれたことありますか。——ないでしょう。
  60. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 監事を呼んだことはありません。いままで呼んだ人の名前を申し上げましょうか。——よろしゅうございますか。
  61. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いいですよ、名前は。ぼくもわかっているんだから。だから私は問題だと言うんだ。監事というのは、やはり一番の問題点財政上あるいは経理上のいろんな監査をするところの立場でしょう。それならばそういう人々が……。今日のこの裏入学金とかそういう問題は事象の問題ではなくて、もともと金のないところに無理して金をつくろうとしたところにあるんでしょう、これは。そうじゃございませんか。金という問題がないのに学力の劣っている者を入れたというわけじゃないでしょう。あるいは入学を前提とするところの何十億という金も医科大学自体が金がないからそのやりくりに困ってそういうことをやっているのでしょう。だとするならば、この問題の根幹は財政上の問題なんでしょうが。どうもいままでの御答弁をお聞きしますと、こういう問題については避けて通る、避けて通ると、これではこれは一つも文部省の姿勢が積極的な姿勢だと、こう言われませんよ。こういうことでは週刊誌じゃございませんけれども、私大から居直られると腰が弱いのが文部省と、あれは九月十五日号ですかな、「週刊新潮」あたりはおもしろおかしくうがって書いてありますね。そう言われたって仕方がないじゃありませんか、これは。これ、どうなんですか。ぼくは本当に、大臣が今後どうこの問題について、今まではそうであるにしても、いまの私のやりとりの中からどうしようと考えておるのか、ちょっとその財政上の問題についての文部省の今後の方向性をきちんと聞かしてくださいよ、まず。
  62. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 財政上の問題についても私は厳しくいろいろと事情調査して、管理局において指導をしておると、こう信じておりますし、またそのような指示をしておりますから、その点については管理局長から補足の説明をいたさせます。
  63. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 信じておってもやってないじゃないですか、あなた。
  64. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 財政問題、それから経理問題につきましても厳しく調査いたしております。そして監事は呼びませんでしたが、事務局長それから総務課長、そういう実際の事務を行っている人から詳しく資料も提出を求め、事情も聞いておりますので、その辺のことにつきましては十分にわれわれ把握しておるというふうに考えております。
  65. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたは幾らそうおっしゃっても、見てごらんなさい。皆そう思ってないんですよ。だから与党席からも、そうそうとこういうあなた、やじが出るじゃありませんか。一番の問題点をそのままに素通りにしようというところに、さらにたくさんの、やっぱり私学の問題も財政上のいろいろな問題を引き起こすところの原因になるのですよ、これ。それならばやっぱり監事——監事の中には代議士の平泉さんもおるでしょうが、鹿島建設を代表して来ておる。まあ代議士さんを呼ぶのがこわければ、ほかの監事でもいいですから、やっぱり監事からも聞かれたらどうですか、それ。  そして私はさらに聞きたいのですが、何か八月の二十六日に太田理事長から事情聴取をされておりますね。これはおたくの聴取後の記者会見を見ますと、ことしの春の問題だけ聞いたというふうに記者会見をされていますがね、ちょっと太田理事長とのあれを少し聞かしてください。
  66. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 太田理事長からの事情聴取の際は、ことしの春のことだけではなしに、従来からの寄付募集等のあり方やり方をどういうふうにやっておったかというような点につきましても事情聴取をいたしております。
  67. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 記者クラブで、ことしの春の問題だけ聞いたと、単なるヒアリングだけだったと、こういうのは、これは間違いですね。あなた、きょうは記者の皆さんたくさんいますから、後から物議が起きるかどうか知りませんけれども、ちょっと聞かしてくださいよ。
  68. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ことしの春のことだけではございません。
  69. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 春の問題だけが中心ですか、それなら。
  70. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ことしの春のことだけが中心ではございません。
  71. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう少しそこを具体的に言ってください。どういうことと、どういうことと。
  72. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 具体的にはまず今回の事件に対する所見について聞きました。それから今後の問題としての愛心会の再建体制等についての所見を聞きました。それから寄付金問題関係につきましては、これはことしの春だけの問題ではなくして、ずっと従来からの取り扱いについて聞きました。それから昭英高校につきましても、これもその昭英高校ができましたときからの関係等につきまして聞きました。それが主な内容でございます。
  73. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 太田理事長事情聴取の中からいろいろお聞きをして、具体的にどうすべきだ、あるいはどうしなさいというような指導をされたのか、あるいは大体もうこれで幕を引きますよと、こういう気持ちで一番最終的に呼ばれたのか、そこらあたりの物の考え方を聞かしてください。
  74. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 太田氏から聞きましたこと及びその所見に対しまして、私から寄付金募集収納の方法入学選抜の方法等につきましては非常に改善すべき点が多いと思うので、これを——これは理事長ですでになくなっている人に対してでございますから、その人に要望するというのもおかしいかもしれませんけれども、そういう改善すべき点があるというような所見を述べました。それから今回の事件につきましては、公共的な機関としての私立学校の運営者として大いに責任を感じてほしい。そしてこの人はすでに去ったわけですけれども、今後、愛知医科大学が健全な方向に向かうように外からでも協力してほしいというようなことを申しました。それからさらになお、事務的に詰めるべき点につきましては今後とも詰めていきたいと、そういうようなことを最後に申したわけでございます。
  75. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、先ほど来、何回も繰り返しますけれども肝心かなめのところが、愛知医科大学の問題は、皆さん事情聴取でも、行政指導の中でもまだ徹底的に指導されておらないという感がしてなりません。これは私はやはり、文部省自体がこの問題を本当に日本の教育上の大問題として深刻に受けとめておるのかどうかという疑念さえも持ちたくなりますね。いかに文部大臣がいろいろなところで談話で大変な問題だ、これは姿勢を正すんだ、こういういろいろな談話を発表されておりましても、実際事務当局で取り組んでおるのは、いままでも質疑の中でも明らかにされてきておりますように、どうも具体性を欠く、問題の本質がぼかされておるという点に非常な不満を感じます。しかし、まあ、その点はこれはこれでやめましょう。  関連して聞きますが、昨年十月に判決の出ました松本歯科大、この事件の判決をどう文部省受けとめておられますか。それをお聞かせ願いたい。
  76. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私ども私立大学に対する指導権限と申しますか、方法は、これは本質的にはこれは設置の際の認可以外につきましては指導なんでございます。その指導根拠となるものはやはり正確な各学校法人大学からの報告ということがもとになるわけでございます。そういう指導の基礎になります報告につきまして、根本的に不実を記載されるということは大変私どもその指導の基礎が狂うわけでございますので、大変よろしくないことであると思いまして、その判決につきましては、もちろんこれはしかるべき判決だと思いますし、今後そういうことのないように期待いたしたいと思っておるわけでございます。
  77. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それ本当に局長はお読みになられたんですか、なられていますか。全く妥当な判決で、今後やりますと、こういう答弁をされていますが、もっと具体的にこの問題はこういうことをわれわれに、文部省の今後の行政指導に示唆をしておるとか、今後認可の際とかいろいろ、私立大学のいろいろなものについてはこうしなきゃならないと思っておるとか、そういう感じもないんですか。ただ、いまおっしゃったところの答弁で終わりですか。
  78. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 御質問の趣旨がよく受けとれなかったかもしれませんが、こういうことがあってはならない、したがいまして、私どもとしては、できるだけ正確な事実を把握し、正しい指導をしていきたいという所感を持っておるわけでございます。
  79. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっと、言葉じりとらえるわけではございませんが、正確な資料を握ってそれをどうしなきゃならないというお考えですか。
  80. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それに基づいて適切な指導をいたしてまいりたいと思います。
  81. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これ御承知のように、この松本歯科医大事件は偽証登記の問題が裁判になっていますけれども、実は文部省当局の姿勢というのが厳しく指摘されておるんですよ。あなた、人ごとみたいにおっしゃっていますけれども、こういうものはやはりきちっと読んで、今後文部省としてどうこれらの問題に対処するかという姿勢がないことには、どうも私は管理局長お話を聞きながら非常にこの問題については、それはもちろんあなたは管理局長になられてからそう長くならないかもしれないけれども、どうだろうかと思いますわね、これ。これは御承知のように、この事件は、同大学は四十六年の認可申請時に自己資金として、判決の中にもありますように、大成建設とか伊藤忠商事から、約三十の企業から金を三十億集めたんですよ。集めておいてそれを文部省に見せ金として見せて、そして認可されたらすぐその日に返却しているんですよ、これ。そしてそれを承知の上で、法務局に学校法人としての登録をしているというところに問題があるんですよ、これ。あるんですよ、これは。だからして、この公判の中にはこういう見せ金の大学はいままでもなかったんかどうかというやりとりがあった。ところがこれが出てきた。その例として岐阜歯科医科大学、城西歯科大、福岡歯科大、そういう問題もこれの一例なんですよと判決の中にも出ている。そして判決の中には、実は文部省までがそうしたいきさつを察知しながら黙認をした節があると言っているんですよ。(「共犯じゃないですか」と呼ぶ者あり)共犯だと言わぬばかりのことを裁判所が言っているんですよ。そういうことを言われておって、今後適切な行政指導をしなけりゃならないと思いますでは、これは本当にあなた方が具体的なそれぞれの大学の問題に対して生きたところの指導をしているとは思えませんよ。それと同時に、今後のこの大学の認可の問題について、これはまさに頂門の一針ですよ、これ。そのことについて文部省が何ら反省しておらないということになると、ぼくは大変な問題だと思いますよ、これ。そのことについて何らあなた方はどうも思ってないんですか。これ大臣どうですか、私がいま読んだのは間違いございませんから。
  82. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 委員長……
  83. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 管理局長の答弁も何回も聞いているんですから、大臣、これ今後の問題ですから、ちょっと言ってくださいよ。
  84. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これは認可の関係につきましては、この判決も一つの動機でございますけれども、そういうような状況にかんがみまして、その後改善措置を何度となく講じております。特に昭和四十九年度の開設予定からは、審査期間を二年間に延ばして、いわゆる二段審査を行う、あるいは設置時の自己保有資金を設置計画の四分の三以上とするというような措置を講じ、またさらに五十一年度開設予定分からはさらに基準を高めるというような努力、それから実際上の認可の際の確認方法等につきましても種々改善を試みているわけでございます。
  85. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 今後の問題についてというお尋ねでございましたが、私は先ほど宮之原委員が御質問の中でおっしゃったように、やっぱりそれは本気になって取り組んで、この機会にきちんと正すべきは正していきたいというのが私の偽らざる気持ちでございます。したがって、多額の寄付金入学条件にされておったということが一部の私立医科大学、歯科大学等で明らかになってきております以上、これは本気で正してもらわなきゃならない、こう思っております。  それから設置に関する問題を今後どうするかということでありますが、設置の基準というものがあって、その基準をいろいろ審査方法を改めたりあるいは基準を高めたりする努力をしたということは管理局長が申し上げたとおりでございますけれども、審査基準においては昭和五十年度からその基準を高め、改善してまいりましたが、昨今の事情等にかんがみ、現在も私立大学審議会において審査基準の改定については検討をしていただいておるところであります。今後は一層厳正に措置をしていかなければならぬことは当然だと考えております。
  86. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣の偽らざる気持ちというのは私はりっぱだと思うのですよ。ただ、その偽らざる気持ち、大臣の意向というのがこれはやっぱり行政を直接担当するそれぞれのやはり事務局にきちんと浸透しておらぬことにはこれは意味なしませんわね。たとえば私は先ほど愛知医科大のいろんな問題聞いたときもそうだし、この松本歯科大学の判決だって率直に申し上げて失礼ですけれども犬丸さんは初めてそういうものがあったかねと、いまから読みかけるんですよ。これはまさにこの大学の設置認可に対しますところの、これは裁判所としてのぎりぎりの文部省に対するところの警告ですよ、これ。文部省までがこうしたいきさつを察知しながら黙認した節がある云々とさえ言われているんですよ。これは、ずうっといろいろ全部ありますけれども。それならば、その過ちを繰り返さないためにどうすると、ここのところがあっていいんじゃないでしょうか。  どうも私は、先ほどの局長答弁ではございませんけれども、なるほど文部省としては、私学の場合は、設置の認可をする、後はもうそうあんまり中身にあちこち、はしの上げおろしまで言えないということがあるということは私も知っていますよ、それは、法律上の規制があることは。しかしながら、いままでのこのやりとりを見ていると、余りにも無責任じゃないかと言いたいんですよ。生みっぱなしですよ。生んだものはもう知らないと、アフターケアは全然されておらない。だから、その当初は美辞麗句を並べて、生まれたものが歩き出すと、一人前になって皆さんから飛び離れていくと。私は、こうであっては文部行政のあり方としては非常に問題点を感ずる。公立学校の教員なら、いや、一時間であろうがカットしたから、これは処分せよということで、やんややんやとやられる。肝心かなめのこの一番教育の荒廃をもたらしているところの大きな問題点については、生みっぱなしでアフターケアもろくすっぽやっておらない、こういうことがもう感じられてなりません、これは。  それで、続いて聞きますがね、問題をまたもとに戻しますけれども愛知医科大学の問題でございますが、認可申請はこれはいつ、どこからなされていますか。
  87. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 愛知医科大学につきましては、これは学校法人両国学園という学校法人がございまして、それの名称を変えまして、そこに新しく大学をつくるということでございましたので、そういう申請が九月三十日に……
  88. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何年のでしょうか。
  89. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 四十五年の九月三十日に文部省に出されております。
  90. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 すると、そのときにはあれですか、両国学園はもう愛心会に変わっておったんですか、どうですか。いつごろ変えられましたか。
  91. 犬丸直

    説明員犬丸直君) その名称を変えることと学校を設置することと一緒に認可申請があったわけでございます。認可と同時に名前が変わったわけでございます。
  92. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならば九月三十日、学校法人——そのときにはまだ両国学園ですね、から申請があった。そのときに記載をされておりましたところの理事予定者の氏名をちょっとお聞かせ願いたいんですが、どういう方々ですか。
  93. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 四十五年九月三十日、寄付行為申請時の理事就任予定者でございますが、太田元次、重冨克美、服部けい三、上田文男、飯田信治、武田満作、田坂輝敬、村岡嘉六、安倍晋太郎、橋本義雄、川端純一、志水揚武——ようぶですか、ちょっと読み方がわかりませんが、渡辺金三郎、それから村松正、平川済一郎、竹下登、以上でございます。
  94. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その中にいま文部大臣海部さんのお名前はあるんですかないんですか、ちょっと聞き漏らしましたが。
  95. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ございません。
  96. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは、八月十一日の富山新聞ですが、この中に、安倍晋太郎さんなり竹下登さんの話がこう出ておって、何か安倍晋太郎さんの談話を見ますと、これは海部さんと竹下さんも同じ国対の副委員長として仲間であったので、私を含めて三人が、大学ができたら理事になるという話だったと、こういうコメントがあるんです、これ。あるいはまた、竹下登さんも、自分も予定理事者として、してもらった覚えがあると言っておるんですよ。すると、三人男の海部さんだけがないというのもどうも脇に落ちませんがね。後から海部さんにも直接お聞きしなければなりませんが、本当に海部さんだけがないんですね。
  97. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ございません。
  98. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これ、大臣、そうですか。そういう話あったこともなかったんですか、それなら。
  99. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私は当初から理事予定者ということには、交渉を受けたことはございませんし、理事予定者をお引き受けした記憶もございません。
  100. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、この新聞報道にありますところの、私を含めた三人は、大学ができたら理事云々という話は、これは事実無根ですね。そこらあたりは、あなたこの新聞をたしかお読みになっていると思いますが、安倍さんあたりに、君、何勘違いしているという話でもされたんですか。
  101. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは安倍さん、竹下さんの記憶違いか何かではなかったかというふうに思って聞いたんですが、聞いたとき、安倍さんは、自分もそういったことをあんまり正確に覚えておらぬし、メモしておった覚えもないしということでございまして、私は理事予定者になったという事実は全くございません。
  102. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならお尋ねしますが、あなたは重冨克美さん——たしか当時は守山十全病院の経営者であったと思いますが、御存じですか。
  103. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 知っております。
  104. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どの程度のお知り合いですか。
  105. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 当時は香流病院の院長さんであったというふうに私は記憶をいたしておりますが、それまでに二、三回顔を会わせたごとがあるというそういう程度の知り合いでございました。
  106. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 本人は、いろんなところでこういうことを言っておるんですよ、あなたが河野金昇代議士の秘書をやっておるころからの知り合いなんだと。ときには、会館に行って——これはうそか本当かわかりませんけれども、あなたに、たばこを買ってこいと、使い走りをさせたくらいの近い間柄だった。ただ、この愛知医科大学の認可の問題については、安倍晋太郎代議士と自分は中学が同窓だったので、案内をされてあなたの部屋で協力を依頼をしたと、こういう形に、いろんなところで言っておられるようですが、そのことは間違いございませんかどうですか。
  107. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるように、私が河野代議士の秘書をしておりますころに二、三回お目にかかって顔を知っておる、これはそのとおりであります。  それから、私のところへ、愛知医科大学の計画が起きたときに、その人がみずから理事長になる予定だということで訪ねておいでになったことも事実であります。
  108. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、あなたに愛知医科大学の設立に協力をしてくれという協力依頼なかったんですか。
  109. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 協力依頼ございました。そのために来られたわけでして、私は、そのときは地元に医科大学ができるということについては、これはいいことだと思って賛成をしました。
  110. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、その協力の問題ですが、私も新聞報道しか存じませんがね、八月十一日のこの名古屋タイムズ、これは「海部文相に黒い疑惑」というこの大見出しですね。それからここに日刊ゲンダイもあるんです。これは夕刊紙ですね。十三日には、「海部文相には今これだけの重大な疑惑がある」とか、一面、二面ずっとこういうふうに出ておるんですが、問題は、私は、協力の問題とも関連する問題だと思うんですが、それで端的にお聞きをしたいんです。こういう記事を見る限りでは、あなたが認可に猛烈に、対文部省工作のために大きな役割りを果たしておるという形しか連想できないんです、この記事からはね。これはまた九月十日の週刊読売ですが、この中にも何かそのことと次期内閣の改造との問題で関連をしておもしろおかしく若干ゴシップ的に書かれておる記事があるんです。こういうことが出ておるんですが、一体あなたの協力をされたという、協力依頼があったから自分はできることはいいことだと思って若干協力したんだとおっしゃるなら、協力したところの本当の中身は、内容というのはどういうのか、これは、あなたの私はやっぱり名誉のためにもこのことははっきりさしておいてもらいたいと思うんですがね。どうもやはり国民というのはこういう新聞をよく見ますからね。どうですか。
  111. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私が愛知医科大学の設立に関して協力をしました面というのは、当時認可基準がどんなところで、認可をされるためにはどういうことが問題になっておるのかということを知り、認可基準にやっぱりきちんと適合したものをつくるための協力でありました。したがって私としては当時——名前を出すのもいかがかと思いますが、一部報道等に出ておりますから申し上げますけども、当時文部政務次官の西岡さんに愛知医科大学のことについていろいろ尋ねました。そのとき資金計画に問題があるということを聞きました。私は、それは逆に愛知医科大学の設立者の方に、こういうところに問題があるから基準をきちんと達するように資金面でもっと努力しなければこれはむずかしいということをお伝えをしました。私が協力をしておったのはそういう面であります。ところが、私は資金面の協力まではできませんし、また能力もなかったのでそれ以外——当時としては愛知医科大学は非常に厳しい状況であった、私としてはそういう厳しい状況を伝えて資金計画を十分に調達をしてもらわなければ認可にならないよと、見通し等の問題点等を伝えておりました。それが私の協力した面でありまして、それ以外は、いわんや、文部省へ圧力をかけに行ったとか、圧力かけたとか、認可に関して疑惑を受けるようなことは私は絶対にいたしておりません。  以上であります。
  112. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これまた、これは東京タイムスですがね、これは八月十一日号ですけれども、あなたが知り合いの重冨さんと記者との一問一答が大分詳しく出ておるんですよね。これはホテルオークラだとか、あるいはあなたの名前出てきたり、いろんな方が出てきて、いろいろ日夜作戦会議やったみたようなことをおもしろおかしく書いてあるんですがね、談話の中に。すると、そういうことはどういうことになりましょうか。これもなかったわけですね。
  113. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 最初に私の部屋に重冨氏が協力を依頼に来られてから、私の部屋にいろいろな事情を聞きに来られたことは、これはございます。その都度私は、私の知っておる限りのことを伝えて、むしろ設置基準というものをきちんと達するように資金計画などの努力をしなければならぬということを伝えておりました。それから、一部報道にありますように、しばしば集まって作戦計画をやったとかいうようなことは私には記憶がございません。
  114. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 あなたがないと、御当人がないと言うから、それはそのままにしておきましょう。あったかどうか、両方対決しなきゃわからぬことですから。ただ、あなたがいろいろ協力をされて、協力を、文部省のいろんな基準、いろんな面でやったと、これはもう事実ですわな。その点ではあなたが設立認可の問題に関与したということは、これは関与の仕方は薄い、濃いはありましょうけれども、これは事実として認めざるを得ませんわな。いかがでしょう、大臣。
  115. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 協力を要請されて、地元にできるのはいいことだと思い協力をしたということは、関与という言葉がどういう意味を含むか知りませんけども、私は地元の議員として節度を越えない限度においてそれを守りながら協力をし、関与をしたと言われれば関与をしたわけであります、当初の面において。
  116. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 文部省に圧力をかけた云々、圧力というのは物理的圧力もあれば心理的圧力もあるのでね、それはあなたよりも受け取るところの官僚がどう受けとめたかのことにもよるわけなんですから、それをあなたが幾ら圧力かけてないと言ったって、これは客観的に圧力であったかどうかというのが物の判断なんですよね、これはね。  そこで、あなたが当時の文部政務次官との接触の中で、これは計画がずさんだ、特に資金計画がなってない、資産と言っているものに借金までついておるんじゃないか、たとえば付属病院が負債まで背負うておるので、こんなのに余りおまえは関係しない方がいいよと、こういう筋のことを言われた記憶ございますか。
  117. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 途中の段階で、いろいろ文部省側が考えております問題点を私も聞きましたが、いま先生おっしゃるとおりであったかどうか正確には記憶しておりませんが、そういうようなことで、とにかく資金計画に問題があるから、私のそのとき受けた印象では、これは認可にならないというようなニュアンスの方が強い言い分ではなかったかと思ったんです。そこで、私はそのことを重冨氏にも伝えましたし、私としてはもうそれ以上、これは文部省へ話を持っていっても設置基準がきちんと満たされない限りだめだということもわかったわけですから、そのことをお伝えをした。ですから、その結果、その後、重冨氏からは私には接触はなくなりましたし、私もその後、愛知医科大学の設立者としての重冨氏に接触をした覚えもございません。
  118. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、まあ、あなたの協力の仕方は、これは文部省の政務次官といえば文部省では大臣に次ぐ偉い人ですね。その人といろいろ情報交換をする中で、これらの問題についてのいろんな問題点を知り、それを設立者側にやったと、そういう協力あるいは関与だったと、こういうのがあなたのとった態度だということになりますかね。その点、これ大事な問題ですからね、やっぱり時の焦点の人にあんたなっておられるのだから、その点やっぱり明確におっしゃっていただかなきゃ困るのですがね。とにかく疑惑云々という批判は別にして、そういう面からこの愛知医科大学の設立には手をかされておるというこの事実だけは否定できないと思いますがね。
  119. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるように、私はいろいろな設置基準を満たすための問題点について話をしたり、あるいは愛知医科大学側にその意向を伝えたりしたことはございません。それだけであります。
  120. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いやいや、あれでしょう。たとえば資金計画がずさんだと、こういう話言われたんだから、それはあなた、やはり向こう側に話をされたんでしょう。
  121. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは当然いたしましたし、それから文部省の決めております設置基準、資金計画、そういったものをきちんと満たさない限りこれは認可にならないんだから、その点に努力しなければいかぬということも、これは当然伝えました。
  122. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査に関する質疑は、午前中はこの程度にとどめます。午後一時十分から再開いたします。  暫時休憩します。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  123. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  124. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 管理局長にお願いをいたしますけれども、午前中の宮之原委員の質問に関連して。それは、具体的には愛知医科大の認可申請書、四十五年の九月の三十日に出されたという、その中に入っていた理事予定者はだれかという質問に対して、あなたはいろいろなお名前を挙げましたが、その中に竹下登、安倍晋太郎の名前を読み上げられましたね。私は、非常に文部省のこの資料提出の姿勢というものについて大変な疑惑を感じているんですが、特にいま管理局長がそのお名前を挙げられたということに関連して、さらに深い疑惑を感じないわけにはまいりません。それは私もこの問題をきょう質問しようと思って資料を集めておりました。で、最初に参議院の調査室にその旨をお話しいたしまして、認可申請を出した理事のお名前を出してほしいと、こういうふうに言いました。私の説明の悪さもあったのかもしれませんけれども、出された資料理事一覧表ですね。日にちが入っているだけです。就任はいつしたか、そしてやめたのはいつかというこれだけで、全然肩書きも何もないわけですね。どこの有象無象かもわからないような、こんな資料を出してきています。で、これではわからないじゃないかと言って、さらに要求をいたしましたところが、今度は肩書きが入っていますから、こういう理事の方だ、こういう経歴を持っている方々が理事になったのだなということがよくわかるようになりました。こんな簡単なことができないような文部省であるということが一つ。  それから、私は、この理事一覧表では間に合わないという考え方を持っていたわけです。これは決まった理事であって、申請を出したときの理事あるいは発起人会ではありませんので、私は、発起人の名前そしてそれに協力をする方々の名前も、申請書を出すときには一覧表に入っているのではないかということもよくつけ加えて調査室の方から文部省の方に出しているはずです。ところが、その資料はまさにこんなものであったということが一つと、私は、その申請書のコピーを欲しいという要求をいたしました。そうしたら、私に対しては、二千ページもあるものであるからコピーといったって非常に大変で、それは出し切れないと、こういう返事でした。だから、全部出しなさいということは言わないけれども理事者の名前あるいはその発起人、申請者の名前というものを一覧表で出せと、こういう要求もしましたけれども、ちょっといまは予定どおりにいけば朝鮮に行っておりますので、きょうの質問ないから、その点については後でいいやと思いながら、資料は特に強く要求をしませんでした。けれども、この点について私ども社会党の中で話し合いをしたときに、衆議院の木島喜兵衞氏もやっぱり同じことを要求しているわけです。そのときに文部省の方は守秘義務だと、こう答えておりますね。守秘義務であるとするならば、なぜきょう管理局長は答弁をされたのですか。私はその点がわかりません。  それから、守秘義務でないからこそ、きょう答弁をされたのだというふうに思いますので、申請に際してのその発起人あるいは申請者あるいは理事予定者というようなその一覧表を見せてください。その見せてもらうものは文部省の役人の書いたものであっては困ります。出されたものをコピーして見せていただきたい。コピーがだめであれば、二千ページにも及ぶその申請書を私が文部省に行って見ますので出していただきたい。この要求をいたしますが、いかがですか。
  125. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 認可申請書自体そのものを見せてほしいという御要求でございましたが、これにつきましては非常に膨大であるということ以外に、個々のいろいろな人の証憑書類とかそういったものが入っておりますので、事柄によりましてはプライバシーの問題その他守秘義務の問題にも関係いたしますので、それを全部見せてほしい、あるいはコピーを出してほしいというお申し出に対しましては、これは常にお断り申し上げております。ただ、事柄に応じてこれこれこういう関係のものを知りたいという事柄につきまして、その守秘義務の問題とも関係しない面につきましては資料を提供を申し上げておるわけでございます。  それで本日も、九月三十日申請時における理事就任予定者の名前をということでございましたので、この範囲においては差し支えないと考えましたので申し上げたわけでございます。
  126. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、私が資料を要求したときにとられた文部省の態度というものは、これは大学管理局長いかがなんですか、よろしいんですか、悪いんですか。議員が資料を要求した、それに対してあなた方の方では正確に出さなかったということについてはいかがお考えですか。  あわせて、申請書について、たとえば衆議院の木島議員が教授予定者はどうであるか、こういう質問を出して、それに対して大学局はこの資料を出しているんですね、当初予定者というのを。ところが、管理局は、これを出してないわけです、守秘義務として。同じ文部省の中でこんな態度というのは私はなってないというふうに思いますが、どうですか。
  127. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 先般先生のお申し出によりまして書類を提供いたしました際に、あるいは先生の御要望の線がどういう書類が御要望なのか、どういうポイントがお知りになりたいのかということにつきまして、私どもの理解が不十分のために至らなかった面があろうかと思います。しかしながら、オリジナルをそのままということは毎度申し上げますように無理でございますのでお断り申し上げておるわけでございまして、その範囲内において私ども書類を整えまして提供してまいったわけでございます。先般来の対応において多少先生の御要望に沿わなかった点があるかもしれませんが、その点につきましては今後改めてまいりたいと思います。
  128. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それじゃ確認しますけれども、私が要求いたしました許可申請書に該当したそれらの方々のお名前はコピーで出していただけるんですね。そのことがわかれば私は文部省の姿勢も了解いたします。
  129. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 原本のコピーというわけには恐らくまいらないと思います。これは書類がいろいろに入っておりまして、その辺やはり御要望の線に沿った、その必要最小限度の資料を整えるためには書き写して差し上げるということにならざるを得ないのじゃなかろうかと思います。
  130. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 おかしいですね、名前を知らせてくださいというのに、あなた何で隠さなけりゃならないことがあるんですか。書いてもらったんじゃ信用できないからコピーを見せてくださいと言っているんですよ。
  131. 犬丸直

    説明員犬丸直君) その名前の部分につきましてコピーをとることはできると思いますので、差し上げたいと思います。
  132. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 了解。
  133. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの意味はこういう意味ですね。先ほど管理局長がいろいろ予定理事者、理事予定者の名前を挙げて口でしゃべっていましたね、その書類のコピーを出すという意味ですね。それをはっきりしてください。
  134. 犬丸直

    説明員犬丸直君) その名前の部分のコピーでございます。
  135. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、その点もう一つ聞きますが、評議員というのもありますね、評議員。そのコピーもひとついますぐ出してもらいたいんですが、その現物があるんなら見せてもらいたいんですがね、いまありますか。
  136. 犬丸直

    説明員犬丸直君) いまございません。
  137. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは予定理事者ですから、それなら評議員というそれぞれの役員名簿がありますわな、設立を出すときの予定者の、それもひとつ一括して出してください。よろしゅうございますね。
  138. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 評議員につきましても同様に処置したいと思います。
  139. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それで、こういうのは何も皆さんの発表を信じられないわけじゃないんですが、どうも文部大臣おってお気の毒ですけれども、三人男のあなたが何にも役員にも名を連ねておらない。それでいてあなたの先ほどいろいろお話があり、協力を頼まれて協力したが早目に手を引いたと、いまね。そういうのが筋のようなことをおっしゃっておられるんですが、その手を引いたという意味は、単なる文部省から情報をいろいろ聞くという役割りさえも手を引いたと、こういう意味なんですか。
  140. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 先ほども申し上げましたように、私は当初地元の議員として依頼をされ、地元に医科大学ができるのは賛成でありましたから協力をしたわけでありますが、その協力というのは、先ほど申し上げましたように、地元にできる医科大学は設置基準を満たしたものでなければなりませんし、文部省問題点等を聞いてみますと、資金計画等にずさんなところがある、もっと資金というものがきちんと設置基準を満たすように集まらなければ認可にならないんだということ等を聞きましたので、それを指導するといいますか、それを、医大設置者側の私は重冨という人とお話をしたんでありますが、重冨さんにきちっと伝えて、もうその点が解決されない限り認可にはならないということを伝えたわけであります。そうして、それ以来医大側からはもちろん接触ございませんし、私の方からも接触をしなかったので、私が協力をしておった関係というのはその時期までだということなのであります。
  141. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほどの午前のやりとりで、あなたが地元へつくろうということでいろんな情報を提供したり、文部省からいろいろ話を聞いたと、そういう意味では設立当初の関与と私は思いますけれども、それはまた関与というのは常識的にそうですよ。関心を持ってタッチされておるんだから、協力というのは関与が一番の性格だと思うんですが、ただ、あなたのいまのお話というのは、これは八月十一日の南日本新聞の記事ですが、あなたのコメントとして載っておるんですよ。手を引いた云々というのがあるんで、だから、そこのことを聞きたいんですが、こう言っておるんですよ、あなたは。「しかし、重冨さんが追放されて愛知医科大と手が切れてからは全く関係がない。」と、こういう物の言い方をしている、このコメントの中でね。別段この問題について事実と違うとあなたが抗議したという話も当該の新聞社から聞いてないんですけれども、恐らく大なり小なりこんなものじゃないだろうかと思っておるんですが、これはどういう意味ですか。
  142. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) その点は明確にさせていただきますけれども、私は南日本新聞社にそういうコメントをした覚えはありません。それから私は当時、資金計画がきちんとできなければこの学校は許可になる見通しがない、むしろ資金計画がきちんと充足されなければ、資金を集めなければ認可にならないんだというような話を聞きまして、それに対して圧力をかけるというんじゃなくて、むしろ愛知医大側に、資金不足をきちんと基準に達するように充足しなければ認可にならないんだという見通しを申し上げたんです。そしてそのような事実を伝えるとともに、その資金計画の援助その他については私はもう——私が金を集めたり、金のことにくちばしを入れたりする能力も当時資格もありませんから、それで私は手を引いた。これは自分の判断であります。  それから、重冨さんのことにつきましては全く——その当時接触したある人が私について、やっぱりその後もいろいろ愛知医科大学関係があるんじゃないか、愛知医科大学とその後は全然関係がないのかと、いろいろな角度からのお話もありましたが、私は愛知医科大学とはその後全く関係ありませんし、同時に、そのとき重冨さんという人は私を頼ってきたのは当初のことであって、資金ができなければだめだと言ってからは頼ってこなくなり、しかも理事長になる予定であった人も私が話をしておったときには認可にならずに、それからいろいろな経緯があって、資金的な応援者もできたんでしょう、資金の基準を目指して愛知医科大学発足したときはもう重冨氏は理事長でもなかったし、という意味のことでありまして、私はあの愛知医科大学の設立に関して当初重冨氏から頼まれたことは事実でありますけれども、協力をしておったのはその資金面がどうしてもできないということを伝えたときまでであります。
  143. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは一々ローカル紙にまであなたはやらぬと思いますが、恐らくこれはローカル紙で大体同じ、日を同じにしてやっていますから、恐らく共同か時事通信か、どっちかそれぞれのニュースを買うておるところだと思いますがね。それならば、そのもとのところへ行って、これは事実と違うなら違うということをこれはやっぱり言うべきですわね。これはあなたのコメントが、しかしながらこれを見る限りにおいては、重冨氏が引いたときに自分は手を引いたと、これしか理解できないですよ、このコメントのおおよその中身はね。そういうことなのですかということを私は聞いておるのです。
  144. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは事実に反すると思います。正確に事実を伝えておりません。したがって私はその原稿の出稿先といいますか、共同通信社には全体として私の名誉が著しく傷つけられるかのごとき印象を与えておるので、私のコメントのみならず、やっぱりそういった出稿は取り消していただきたいということを強く要求をいたしました。
  145. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 事実と違うというその事実はどういうことなんですか、もう一回おっしゃってください。たとえばいろいろな当初の設立の段階でいろいろ関与をされたと、しかしながらそれは認可を四十六年の三月に一回留保されておりますね、この認可は。その前後までのことを意味するのか、それとも、十二月にこれはまた認可されておるのです。その前後までを言うのか、そこらあたりもう少し正確にしてもらいたい。
  146. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私は手を引いたと自分で言いましたのは、もうその後、重冨氏とも接触はなくなったし、私が文部省にその後どうなったかというようなことを聞いたり、いろいろなこともしなくなったのが最初の設立認可を保留される前の段階だったと私は記憶しております。そうして恐らくそのときは資金が調達できない限り認可にはならないだろうというような感触も私は持ちましたので、資金計画がいまのままではこれはだめだということを申し上げて、それで手を引いた、その後何の接触もございません。これは事実でございます。
  147. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 くどいようですが、あなたの場合には四十五年九月の三十日にこれは一応認可申請がされておる。それから保留になったのは四十六年の三月二十四、五日ですね、二十七日でしたかな、なっておる。その間までであって、いわゆるそれ以降十二月の二十五日ですか、そこでまた、その間またやって認可されておりますね。だから、それまでの間じゃない、保留になったところの段階前後のことなんだと、こういうことで、あなたはその段階で手を引いたと、こういう意味なんですか。
  148. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私はそう理解しております。
  149. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、これはあなたの談話は大分曲げられて書いていますね、あなたのコメントを。いわゆる重冨さんが追放されて愛知医科大学と手が切れてから全く関係がないというこれでいきますと、ぼくも、重冨さんなるものがいつ愛知医科大学から手を切っていったのかと思って、いろいろ帳簿上の記録を調べてみましたら、四十七年の九月十九日に、この人退任になっているんですよ。言うならば発足した後なんだな。そうすると、これは大分違うわな。だから、それはあなたがこのままにこういう記事をさせておくということは、これはよくありませんわな、もしあなたがおっしゃるとおりなら。だから、その点が若干まだ疑問として残りますけれども、それはいいでしょう。  で、次にお尋ねしますが、四十六年の三月二十七日に認可が保留になった、この最大の理由はどういうことですか、管理局長
  150. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それは創設のために必要な経費の調達が不十分であったということでございます。
  151. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはいわゆる自己資金が非常に不十分だと、こういうことが最大の保留の原因になったと、こう理解していいですか。
  152. 犬丸直

    説明員犬丸直君) おっしゃるとおりでございます。
  153. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならお尋ねしますが、当初の申請書の出されたところの自己資金は幾らでしたか、幾らぐらいでしたか。
  154. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 必要な創設経費の総額が四十三億円でございまして、そのうち必要な自己資金が三十億円、それに対してわずか四億九千万余り、約五億ぐらいしか当初はなかったわけでございます。
  155. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 しかし、こういうことに計算上は、四十二、三億ぐらいに出ておるんじゃないですか、向こうから届けられたのは、一応。たとえばスズケンが三億円、鹿島建設が二億円、そのほか田辺製薬、兼松江商、大塚製薬、日立レントゲン、持田製薬、ミドリ十字、これは一千万から三千万前後出て、大体帳簿上はそろっておったのじゃないですか。帳簿上も名実ともに五億前後しかなかったのですか。
  156. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 申請にかかる自己資金のいろいろな寄付申込書、現金その他につきまして審査をいたしました結果、確認できたものが四億九千万余りにしかすぎなかったわけでございます。
  157. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、いま私が名前を挙げたところのものはこれは本物でないかもしれないと、確たるやはりこれの裏づけのものでないということで保留されたわけなんですね、そこは。いま私が具体的に名前を挙げたところのものは恐らく書類として出ておると思いますが、これは結局あなた方の判断では、これはこのままだったら見せ金の心配があると、こういうことを配慮をされて保留にされたというわけですね。
  158. 犬丸直

    説明員犬丸直君) いまおっしゃっておりますスズケンその他のものがどういうものであるかわかりませんが、現在九月三十日の申請時に出した申請書類というものはその後三月の段階で継続審査になりましたので、申請が入れかわっております。その当時どういうものが申し出られたのか、現在は確認することができません。ですが、私どもに残っております記録によりますと、確認できたものは五億ばかりであったということでございます。
  159. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら認可時の自己資金は幾らですか。
  160. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 四十六年十一月八日に至って認可をしたときにおきましては、その当時申請が出しかわっておりますので、認可基準自体の必要自己資金は三十四億になっておりますけれども、その中でそれに対して三十四億三千九百万円ばかりというふうなことでございます。
  161. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは文字どおり自己資金という確認をされたんでしょうね。まさか先ほどちょっと触れましたところの松本歯科医大のあの判決にもあるように、ある程度知りながら素通りさせたんじゃないんでしょうね。どっちでしょう。
  162. 犬丸直

    説明員犬丸直君) もちろんそれは確認いたしまして得た数字でございます。
  163. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは八月十三日の「東京タイムズ」の記事ですがね、ここにありますが、これは佐々木真太郎理事ですね、いまやめられたか知りませんが、理事記者会見中身がずっと出ておるんですよ。これは佐々木真太郎さんは、糸山英太郎さんのお父さんのようですが、これはこう言っていますわね。一週間以内に十億円を積まないと認可が延びる、大変なことになるから十億円何とか工面をしてくれと頼まれた、自民党の安倍代議士とか、かねて親しい間柄の藤田義光代議士が関係をしているので、自分は無理を承知で無利子で富士銀行か何かの小切手で十億貸した、もちろんこれは一年後にはすぐ返却をされたんだと、こういうふうなことを言っていますが、恐らくこれはあなた方が明確に自己資金だと認定をされたところの三十四億のうちの、この記事から推測をすると、十億円は緊急にこの佐々木さんのお金を借りてきて預けた、一年後にまた本人に返した、まさにこれは言われておるところの見せ金ですね。そういうことを思わせるところの記事がずっと載っておるんですよ、これ。これは見出しが「愛知医大の設立認可で沈黙破る」という非常にセンセーショナルな書き方ですけれども、これはあなた方は当時、その後いろいろ新聞も見ておられると思いますが、事実と違いますかね、どうですか。それともその後あれはどうですか。
  164. 犬丸直

    説明員犬丸直君) そういう新聞記事が出ましたので、私どももその当時の関係書類を精査いたしまして、その寄付者の中に佐々木さんの名前があるかどうか調べたんでございますけれども、それはございません。で、書類上は全く確認できないわけでございます。それでヒヤリングの際に、太田さんと増田さんにそれぞれ聞きました際にもそのことを聞きましたところ、確認できませんでした、その十億円の流れのことにつきましては。
  165. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、あなたの御答弁をそのまま信用すれば、非常に社会的に高い地位にあるところの佐々木さんがこれはでたらめなことを言ったということにしかなりませんね。これはやっぱり大きな問題になりますわな、これ。それからまたこういうことも言っていますよ。それならば書類上はこれはありましたですか。波木さんから太田理事長のところに持って行った二十億円という金はありますか、当時の中に。
  166. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 書類上そういったものも残っておりません。確認できません。
  167. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これもやっぱり大変な問題ですね。なるほどそれは書類上はないでしょう。皆さんはあれですか、書類で形さえ整えば中身の問題は全然検討されぬのですか、書類上必要がありませんという形で。いかがです。
  168. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 当時の関係者がいろいろな方法確認いたします。各種の方法でもって確認した結果が現在書類に残っております。その上に発見できないという意味でございます。
  169. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実はここらあたりにやはり問題があるんじゃないでしょうか。これは先ほどもちょっと申し上げたけれども、週刊新潮の十五日号などは、そこらあたりもよう書いてありますよね。それでしかも、現地視察に行ったところのあたかも管理局役人が芸者遊びをしたみたいな見出しまでこうなっておるんですよ。これぐらい私は文部省を侮辱する話はないと思うんですが、これでもやっぱり忍従ただひたすらに黙っておるんですか。これが事実と違うなら、あるいはいま申し上げたようなことが事実と違うなら、この事実関係を徹底的に調べて、この問題の背後にあるどろどろしたところの問題について解明をしていくということこそが、今後のこれらの問題についての根本的なやはり打開策になるんじゃないんですか。それをこういうふうに書かれ、いろんな新聞に出ておるものが、ただ、事実と違いますということに、答弁で終わればいいという、こういう問題じゃないんじゃないですか。これがこのままで、皆さんが物一言も言わぬで放置されるということは、国民から見ればますます疑惑を招くだけですよ、これは。事実と違うというんならば、しかるべきところの手だてを講ずるのが当然じゃないでしょうか。いかがでしょう、文部大臣。私は全然架空のことを言っているんじゃなくて、こういうふうにマスコミにいろいろ宣伝をされていることを具体的に丹念に集めてみて、それで判断をしておるんですがね。明確に、胸を張って全く事実無根で愛知医大には一点もそういう疑義を指摘されるところはございませんと胸張って言えますかどうですか、あの設立当初の資金集めの問題について。もし言えるとするならば、今日の裏金とかそういうものは私はないはずだと思うんです、常識的に考えていかがでしょうか。
  170. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 申し上げましたように、私はその資金面のいろいろな協力とか、資金をここまでつくって、こうしてということについては全く関係しておりませんでしたので、その間の事情はつまびらかにいたしませんけれども愛知医科大学の問題が表面化して以来、管理局長には、これはきちんとその辺のところをよく事情を聴取して、事実を明らかにしなさいと指示はいたしてございまして、管理局長がいまお答えしておりますように、設置基準の満たなかったときはこれは認可になりませんでしたけれども、その後設置基準を満たす資金が確認できたので認可になったんだ、こういうふうに聞いております。
  171. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはあなたの——それは愛知医科大学との問題はそれでいいかもしれませんけれども、私がいま聞いておるのは、この問題を、現職の文部大臣としての職責の立場からいまのやりとりをどう見ておるんですかと聞いておるんですよ、これは。少なくとも認可申請を出したところの太田さんとか増田さんという人に聞けば、それは帳簿のとおりでありますと言うのは、それはそのとおりですよ。出したところの張本人が、それはいや違います、実はこうこうですよ、と言うはずないでしょうが。けれども、事いろんなところにはもうしりが割れているじゃないか、具体的に。それをただ、本人たちに聞いてみたら、そうじゃないと言いましたから、そのとおりですと、これはちょっと私は、やはり何回も言いますけれども文部省のこういう問題に対するところのやはり解明の姿勢としてはどうも形式的だと思うんです。現にこう言っておるじゃありませんか。当時の文部大臣だった高見文相も言っていますよ、これ。一番許してはならない学校だった。資金づくりがずさんで、許可しないつもりだったけれども、資金がそろってきたので、それは仕方なかった。こういう物の言い方をしておるということは、この資金づくりに、資金調達にきわめて非常な問題があったということを裏づけておるんじゃないでしょうかね。
  172. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私どもが、この認可の際にそれだけの資金があったと確認したということは単に関係者から聞いただけのことではございませんので、認可の際には提出された寄付申込書、それからその内容、それから銀行預金の残高証明書あるいは有価証券の預かり書、そういうような物的証拠を出させまして、そしてさらに現地調査まで行って現地調査の際には、口座通帳とか、有価証券の現物を確認する、そういうようなこと、およそ文部省としてでき得るあらゆる方法を用いまして確認をしたのでございます。したがいまして、その結果、確認された認可時においては、先ほどのあれもございましたが、認可の前の段階においては非常に足りないと、確認できないものなどがございまして、確認できたものが当初は五億しかなかったという段階でありましたけれども、最終的な認可の際には、それが基準の線まで達したということで認可せられたと、そういうふうに私どもは信じておるわけでございます。
  173. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もし、名実ともに自己資金であったなら、その後六年間の金のやりくりにこんなに苦労しないはずでしょうが、そうじゃありませんか。恐らく皆さんが認可をされるときには自己資金が幾らだと、付属病院がこれだけだとまあ、大体やっていけると。だっていまおたくが出しておるところのこの学校法人に対するところのいろいろな医科大学に対するところの認可留意事項というこれを見てもちゃんと書いてあるんだからそのはずなんです。ところが、先ほどいろいろな裏入学金、これは五十二年度だけじゃないでしょう、ずうっとある。こういうような無理をしてきているというところに今日世論から指摘されるところの問題があるんだから、それならばあの当時の自己資金というものに名実ともに自己資金であったかどうかというのは、きわめて疑問に思うというのは当然じゃないですか。それを当時、帳簿がそろっていますから、それを認めました。あるいはまたこの間の事情聴取の中で、当事者たちから聞いたからいまでも自己資金だと確信をしておりますと、こう幾ら言ってみたって、世の中納得できないでしょうが、せぬでしょうが、これ。どうされるつもりですか、これ。むしろ私は先ほどちょっと言ったのは、いわゆる松本歯科医科大学の判決の文部省に対するところの問題点、それを皆さんはむしろこの問題についても問題を感じながらノーと言えないところにやはり政治勢力というか、政治家の関係者のやはり強いそれは圧力というものを感じたからもう仕方ないと、こういう形の方が先走ってしまったのじゃないですか、そうでないとはっきり言えますか、どうかねこれ。どうですか。
  174. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 認可後において認可当初の計画と違ってお金が要るようになるという状況はいろいろな原因があると思います。例の石油ショックを境としての物価の異常な高騰というようなこともございます。それから認可の際は最低ぎりぎりの基準で認可されると、それができ上がった暁ではもう少しいいものにしたいと、そういうようなことの資金需要のためにいわゆる寄付金募集するというようなことがだんだん行われてきた。そういう状況が非常に見られますので、私どもはいわゆるアフターケア、認可後の視察の際におきましても、その点につきましては過大な寄付金を出すべきことがないようにということを再々指導してまいったわけでございます。しかし残念ながらその点が十分守られていなかったということで今回のような問題が起こったことと思います。
  175. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうも私は、だからなおますます腑に落ちないんですよ。たとえば愛知医科大学設置時に付された留意事項というのがありますわね。それなんか見たってこれきわめて矛盾した話でしょう。それからその後の病院の拡張でと言いながら、そのときの付帯事項の中には、いまの病院の敷地では非常に狭隘だから隣に広げていってうんと買いなさいと勧めておるんですよ、あなた方が、これは。あるいは付属病院の問題にしてもあれでは不十分だし、守山十全会病院についてもこれは非常に問題点があると、こうすでに指摘をされておるんですよ。あのときには完全であってその後石油ショックが云々というのはそれは理由にならぬでしょう、いまの発言では。むしろ当時のあなた方が認可したところのそのやり方から言うならば、きわめてずさんだったから、たとえばこういう事態が出ておる。この表面上のこの文章を裏づけるものとして、付属病院長から重冨理事を外しなさいと。理事長と病院長とこれとを兼ねているのはおかしい。あるいはまた重冨個人の所有しているところのこの守山十全会病院を付属病院とするのは、これは負債を十億も背負っているところのものなんだから、それを中に入れるというのはおかしいから、これは賃貸契約を結びなさいと指導やっておるじゃありませんか、あなた方は。そうでしょう。違いますか。どうですか。
  176. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 認可の際には、認可の際に必要とされる最低基準を満たしておるかどうかということで審査をいたしまして、その後より改善していくという点につきましては指導を加えながら現在に至っておるわけでございます。
  177. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、私が具体的に挙げたことは指導されたんでしょうが。——こううなずかないで、記録に残るように、そうならそう、ノーならノーと言ってくださいよ。首だけこうやったってね、ここでは心証的にはわかりますけれどもね、どうなんですか、それ。
  178. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 認可の後のアフターケアでまいりました留意事項、あるいは認可の際の留意事項というのは、その内容は私ども指導の内容になっているわけでございます。
  179. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうでしょう。だから、こういうことはすでに認可のときから不完全なもんだったんですよ。それを、こういうことをやれば大体認めようというところにきわめて私はこれは問題があるという指摘をせざるを得ないんです。だって、皆さんのその指示を受けたから、重冨理事は五十万円の、今度は病院長やめたから月給もらったり、あるいは病院の使用料として五百万円を取ったりしておるでしょうが。会計帳簿見てごらんなさい、あるでしょうが。そういうようなその後の、その直後のこういう問題がありながら実はやったというところに、私は文部省当局のこういう将来にわたるところの学校運営というものに対するところの一番の、最初の大事なところの出発点においてきわめてやはり問題点がある、不十分さがあったということを指摘せざるを得ない。むしろ私から言わせれば、このことは設立基盤のもろさ、言うならば無理な資金計画ということを知りながら、それより以上に強いところの力、政治的なやはりいろんな形のつくれ、つくれ、認可をせよというものがむしろ文部省に私は強く加わってきておる。そのことを皆さんが払い切れなかったというところに非常に大きな問題点があるということを感じざるを得ないんです、これは。その考え方、これは全然誤りでしょうかね。胸を張って否定できますか。
  180. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 認可の後の計画の拡充は別といたしまして、仮に、認可の際に認められた自己保有資金というものが実際には、仮になかったといたしますれば、ない部分があるということがあるといたしますれば、これは私どもとしてはまことに心外なことでございまして、その認可の段階においては完全なあらゆる方法を用いまして、私どもとしてできる方法を、あらゆる手段を尽くしまして確認したわけでございます。したがいまして、その確認の上に立って認可したわけでございまして、その段階で、少し怪しいけれどもいろいろな関係から認可したというようなことは絶対にございません。これははっきり申し上げます。
  181. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 幾らあなたが強弁しようと、同じ時期に認可されたところの先ほどの松本歯科医大、あるいはまたあの判決の中に出ておるところのいわゆる岐阜歯科医大あるいは城西歯科医大、福岡歯科医大は、みんな自己資金が見せ金であったということの事例に挙げられておるじゃありませんか。  それならむしろあなたに聞きたい。医大の方は厳重にしたけれども歯科医大の方はいいかげんにやむなく認めたと、こう言えますか、それなら。裁判所の判決の中でさえも松本歯科医大と同じようなものが当時認定された。これはみんな四十七年に認可したやつでしょう。そしたら矛盾するじゃありませんか、あなたの言をそのまま信用したら。これはいかに、歯科医大にしても、医科大学の問題にいたしましても非常に、認可問題に帳面上にない一つの圧力が加わっていたということを物語っておる以外にないじゃありませんか。片一方は確信しておりますと言って、じゃ片一方のあの判決、あれは先ほどは尊重します、そのとおりですと言ったのは、それはうそですか。
  182. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 歯の場合、歯科の場合でありましても、医科大学の場合と全く同じでございまして、その段階において完全に確認した上で認可いたしておるわけでございます。先ほどの判決につきましては、判決の主文につきまして私同意したわけでございまして、その理由の部分の、文部省が仮になれ合っておるというような表現があるといたしますれば、その部分につきましては私は全く否認いたします。
  183. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だからおかしいんですよ、全く。先ほどは同じ会議であれはまことに当を得たところのものでありますと私に答弁しておいて、いま追い詰められたら、またあれは別ですというのは、これは世の中通りませんよ、皆聞いておるのには。いかに皆さんが動揺しているし、当時のことに非常に問題点があるかということを白状してるみたいなものですよ、これは。しかも先ほど言いましたように、じゃ、福岡歯科医大、岐阜歯科医大、松本歯科医大の見せ金がうそだったと言い切れますか。それを認めたのはあなた方なんですよ。それでいて、片一方のものだけ厳重にやりましたというわけにはまいらない、これは。だからその点だけは明確に申し上げておきますよ。  時間がありませんから急ぎますが、次に、太田理事長は六月二十五日の記者会見でこう言っていますね。「開学の時にかなり無理をした。」もう言っておるんだ、白状しておるんだ。「開学の時にかなり無理をした。お世話になった人たちに頼まれれば〃ダメ〃とは断れない。」これは裏口入学の問題ですよ。五百点満点で三十点もの人を入れたところの問題を追及されて、それで記者会見の中でこれ言っていますよ、これは。新聞記事にみんな載っていることだ。ため息をついて語っておると書いてある。このことは先ほど来私が申し上げるように、当時力を貸したところの、政治力を持っておったところの人々が、その後もその義理で一定の枠をこれは与えざるを得なかったということをこれは白状していることにしかすぎないんです。だから、現に安倍晋太郎さんもこの新聞のコメントの中に言っておるでしょうが、安倍晋太郎代議士はこう言っておる。別に枠をもらったということではないが、私の秘書の息子は私が設立に熱心に働いたのを知って受験をしただけで、合格をさせたんでしょうと、こういうコメントを言っておるんだな、安倍さん。このこととこの太田理事長のこの告白というものはこれは一致しておるんですがね。これは大臣こういうようなことはあってならぬと思いますが、当初のころ関与されたところのあなたとしてはこのことをどうお感じになられますか。
  184. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 枠とかお世話になった人に対する入学の便宜とか、そういうようなことがあったということは私は全く聞いておりません。  それから当初のことでありますけれども、これは私はやっぱり圧力だとか、設立のお世話というよりも、むしろ資金計画がきちんとできなければならぬということを強く申し上げたわけであって、私に関する限りそのような疑惑を受けるようなことは全くございません。
  185. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何も私はあなたに疑いがあると、こう聞いておるのじゃないんですよ。こうこう言っておるんだけれども、あなたも当時関与したんだから、それは安倍さんのも間違いだろうと言って安倍さんを擁護するのかと思ったら、私に関する限りはと、こうおっしゃっておるので、なお私はわからなくなったんですが、それはおきましょう。ただ、一説によれば、そういうお世話になったいろんな経緯があるし、あるいは設立で開校する前後に内紛があって手打ちがありましたね。そのときに重冨さんもやめられておるんですが、そういういろんな中で、大体一年十人と、この枠は当時お世話になったところのいろんな先生方がおるからと——大体政治家のことですよ、これは。そういうことがもう不文律になっておる。だから、現在六年だから六十人もそういう方々の影響力を受けて入っておると、こう言われておるんですがね。もしこうだということだったとするならば、ますます大変なことだと思いますがね。その点はそういうことについては大臣はもちろん御存じないでしょうけれども、どうでしょうかね、肯定できるものですか、どうでしょうか。
  186. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私はそういう事実を全く存じません。
  187. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっともう少し具体的に聞きますがね、あなたの選挙区の誠心会というのがありますね、あなたの後援会の。この有力幹部の子弟も入学されておるようですが、まさかこの枠とはこれはもちろん別でしょうね。本当に力があって入ったんでしょうね、これは。そういう人もおるんですよ、あなたのことを悪口言う人もね、しかも、議員の中に。ということを私はうわさを聞いておるんですが。
  188. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それはその方の実力でお入りになったものと私は判断しますし、私がそういう枠とか何かをもらってあっせんしたりいろいろ仲を取り持ったことはございません。
  189. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 今度は文部大臣としてお聞きしますがね、そういうことを許されていいものだろうかどうだろうか、そのことに対するところのあなたの所信をお聞きしたいんですがね。
  190. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは一般論として望ましいことではございません。そう考えます。
  191. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その一般論というのはちょっと気がかりですね、これは絶対にあって困るんじゃないですか。これは私は一般論と言えぬと思いますよ。少なくとも文部大臣としてはそういう疑いがかけられるとか、あるいはそういう徴候のある者に対しては毅然たる姿勢を示すということがこれは肝要じゃないでしょうか。何もあなたの揚げ足取りする気持ちはございませんけれども、一般論としてはとこう言うと、じゃ特例だったらいいのかというかっこうにもなりかねないんでね、ちょっとあなたのためにも私改めて聞きますがね。
  192. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは問題の御趣旨を取り違えておったようでありますが、私に関することを申し上げると、すでにお答えが尽きておりますので、私以外のすべての問題として一般論という言葉を使ったんであります。好ましいことではございません。
  193. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これはもしそういううわさが立てられるようなことは、やっぱり特にこれはもう与党関係に多くありますからね、これは時の政権を握っておるところに。これは断固としたところのやっぱり態度を私は大臣は示さなきゃいかぬと思うんですがね。  実は八月十一日のこれまた読売の記事でしたかね、杏林大学の医学部の問題の記事がありましたね、これは四十六年から四十八年の入学寄付金資料というところがあるんですよ。これは紹介者に自民党の有力代議士とおぼしき人々がずっと顔を並べておるんです、その資料には。それでこの中には受験者の名前の上に合格とか不合格とかって数字が出て、その横に有力与党代議士と全く同じ人の名前がちゃんとメモに書いてあるんですよ。残念ながらその中にはこの参議院の文教委員会の人と同じ名前の人もおるんですがね、真偽のほどはわからない、同じ名前ですからね、これ。しかも、また特にそういうところの人には大体寄付金欄には、その人は三百万から七百万とこう出ておるんです。特にホと書いて恐らくこれは補欠入学だと思いますけれどもね、その学生者にはまたいま申し上げたところの人の名前と同時に、寄付金には申し込み金額は一千万円、二千万円と、こう書かれておる。それで私、杏林大学はどういうところかと思って調べてみましたら、かつて福田総理やあるいはまた塩崎代議士が顧問をやっておったところの学校のようですね。そういうことが新聞に出たことがあるんですが、これはお調べになったことありますかね、文部省さん。
  194. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 杏林大学医学部の入学試験あり方につきましては、八月十一日に同大学の医学部長以下関係の教授若干を呼びまして、どのような形で入学者選抜が行われているかについて聴取をいたしております。この大学では入学者選抜は同大学の規程に従いまして、この規程は教授会決定でございますが、入学試験審議委員会というものが中心となって行われておりまして、この審議委員会は学長、医学部長、教養主任、教務部長、それと学長が指名した教授が一名加わってつくられている教学側の組織でございます。一次試験、二次試験とも、合否の決定はこの入学試験審議委員会が行うことになっておりますが、規程におきましてこの委員会には理事長が出席をして意見を述べることができるということが書かれております。  で、第一次試験の合格者の決定は、入試の成績順に定員の約三倍で足切りをいたしております。その三倍の者についてさらに二次試験が行われまして、これは教員による面接、小論文テストのほかに、理事長学長による学生父兄の同伴面接が行われます。その結果、総合的な判断として最終合格者が決められ、これが入学試験審議委員会において確認をされているわけでございます。  一応、教学側が一つの責任の主体を設けまして入試に当たっているという点は、他の問題となった大学とは異なるところでございますけれども、その間にいま申し上げました理事長が意見を言う機会があるということ、それから理事長学長による学生父兄の同伴面接があるということ、これらの点については三倍に足切りをした者が最終的に合格者としてしぼられていく過程をより明確にする段階で、さらに検討をされてしかるべきものではなかろうかと思います。そういったことを含めまして、最終の合格者決定に至るまでの手続について、さらに適正化の工夫をするように関係者に求めているところでございます。
  195. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私ここに現物持っていますから、コピーを、ちょっと文部大臣だけはお見せしておきましょうね、これ。あんまり人の名前を公表するわけにもいかぬから、その人の名誉に関するから。ただ書かれておるのは、発表が八十名で補欠が五十名というところにこれのみそがあるんじゃないですかね、この大学は。これはおぼしき人々の名前が書いてあるから問題あるんです。   〔資料提示〕  いまの大学局長ですか、文部省のだれですかね、なかなかそつのない答弁ですけれども、いま申し上げたように、実は補欠五十名もある。またこれはいろいろ氏名が、先ほどおぼしき人ということだけで私は勘弁してもらっておるんですがね、いま大臣にもお見せしましたけど、非常にやはり国民から見れば納得のできないようなことが、設立認可の問題と絡む中から今日なお脈々として続いておるんですよ。私はこれはこのまま放置すれば本当に大変だと思っておるんです。これはお互い政治家ですから、政治家全体が姿勢を正さなきゃならぬのですけれども、特に私は文教に携わるところの政治家としては、そういうことが一点でも疑われるとかうわさされるようなことは、これは厳に戒めなきゃならないと思っておるんです。ただ、そのことについては残念ながら前の文部次官ですか、元の笠岡前代議士が、大阪歯科医大の入試あっせんの問題で大分大きく出ておりましたね。あのときぐらい私は大きなショックを受けたことはありませんよ。たしか七月の二十何日でしたかね、あのかって文部政務次官時代に、あの教育の荒廃の元凶は日教組だと、日教組はオオカミだと、人間の仮面をかぶったところのオオカミなんだということをしゃあしゃあと福岡かどっかの全国中学校校長会において大演説をしたところの御当人ですよ。それで国会で追及されて謝った。その御当人がですよ、これはまだ被疑事件でしょうから……。私は少なくともこういうような疑われるということ、文教に携わったところのものの人としてあるべきでないと思って、なるほど人の話というのは、言葉というものは、演説というものは言うことと表面とは違うもんだなあということをそのときぐらい深く感じたことはないし、また少なくとも教育の問題に携わるところのいろんな教育行政の頂点に立つところの政治家としては、これはきわめて私は遺憾なことだと、こう思うと同時に、非常にやはりこの問題についてはお互いに心すべきことじゃないかと思ったんですがね。  ただ、先ほど来、私長時間質問をいたしてまいりましたところの愛知医科大学の問題が、それは率直に申し上げて海部さんが当初いろいろ関係、関与されたというようなことを言われたわけでございますけれども、その後はやはり海部さんとしては身を慎しんだという話、まことに結構だと思いますけれども、ただ、普通の私は大臣ならいざ知らず、こういうことをこのままでああよかったよかったと、これは同じ選挙区のあれだったら当然じゃないかと、こう私は言えないと思う。もちろんその当時は一政治家としてやられたことで、文部大臣に本人もたまたま回りめぐったときにこういう事件が起きたということはこれは皮肉な話かもしれませんけれどもね、私は非常にこの問題は海部さん個人に対しましていろいろお尋ねした点は失礼かもしれませんけれども文部大臣という重要な職責の人にあるだけにこのことはやっぱり明確にただすべきはただし、あるいはあの点はまずかったという点はやっぱりきちっとしておいて、さてほかのものに対してもどうだということが私はなければならぬと思うんです。  同時に文部当局も、どうも先ほど来何回も私は、時間が来て、質問せざるを得なくなったのは、率直に言って質問に対してお答えが抽象的ですよ。しかもこの場を逃れればいいというのは語弊かもしれませんけれども、言い過ぎかもしれませんけれども、そのものずばりにここにはこう指導したと、ここに問題点があったと、あるいは今日愛知医科大学に象徴されるところの問題の根源は財政の問題にあるんだ、その財政の問題と政治とのかかわりの中にもあるわけですから、そういうところの根本はここなんだということをして、本当はこの自己資金とかいろんな財政の問題にもっともっとやはり積極的な姿勢というものがないといかぬと思う。  ただ、私はこう申し上げるのは、時間がないから申し上げないのですけれども、これはその大学だけを痛めなさいと言っているんじゃないですよ。それならばそれだけ医学部に、歯学部に金が要るならば、本当に理事者の皆さん、また関係者皆さんは、四苦八苦して金を集めて大学を設置されたはずです。それならばそれに報いるように世の中から指摘をされるところの資金面ではなくして、もっともっと国がこの問題について医学行政あるいは医師を養成するということになるならば、私学であろうと公立であろうと、これは本質的には同じなんだから、積極的にやはりそれに対して援助をしていく、こういう姿勢が同時に強く打ち出されておいて、片一方ではけしからぬと言ってやはり徹底的にそれを追及し国民の前にその黒白をはっきりさせていくという、ここのところがない限りね、この問題はこれだけやってみたって私は解決つくところの問題でないと思いますよ。したがってその点に対するところの最後に文部大臣の所感と申しますか、御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  196. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のございました愛知医科大学の件につきましては、私も地元議員として、節度をわきまえて、いいことと悪いことはきちっと自覚をしながら協力をしてきたつもりでございます。同時にまた、いま先生指摘のように、これは愛知医科大学のみならず、私立の医科大学、歯科大学の大多数に経営資金上の問題点があるのではないか、これを改革する取り組みの姿勢を述べろということでございます。  私は考えますのに、入学の公正を阻害するような多額の寄付金というものはこの際思い切って一切禁止をしていただく、そしてまた、基準を越えた過剰な施設であるとか、そういったようなものは抑制をする、大学自身にも厳しく自主的な努力、経営と教学と両面からの健全化をいま求めておる最中でございます。また、過日文部省からもそういった趣旨の通達をいたしました。ただ、寄付金入学条件として取ってはいけないと言うだけでは、おっしゃるように、私学の医学教育、歯学教育というものが、これは現実の問題として経営者も大変な苦労をされるわけでありますから、国の方としても、国立であろうと私立であろうと、医師が社会的に果たしておる役割り、また、ひいては国民に尽くしておる役割りというものを評価いたしますと、これはできる限りの政策努力を重ねて、このような原因の除去に政策的な努力もしなければならない。これは当然のことでございまして、今年度文部省は、私学振興助成法に基づく経営費の助成も、医学部、歯学部には特別な配慮をするように予算要求の措置もいたしておりますし、また大学の経常費というものは、やはりかかるものはかかるんでありまするから、それをきちっと表に出して、それをまた表へ出さないで、いままでどおりのような状況に放置しておくということは、私は問題の根本的な解決にはならないと判断いたしておりますので、経常費というものは表へ出して、どれくらいかかるのかということを、学校ごとにいろいろ差はございましょうけれども、妥当な線を指導するとともに、それはある程度多額のものになるということが、医学協会、歯学協会の協会側の自主的な試算からも出てきておりますので、それを黙って認めるのではなくて、そのかかる経常費の国家の助成も増額しますし、また、そのかかる入学金なんかの一時金は、分割払いの制度を一層充実するとか、あるいは借入金に対しては財政投融資の特別融資の面を講ずるとか、あるいは学校法人そのものが行う特別奨学金の事業というものを拡大をしていくとか、あるいは学校法人自体に、学納金の減免とかあるいは免除の措置等も十分考慮できるものは考慮してほしい、いろいろな政策努力をあわせて国民皆さんの理解と納得のいただけるような改革を行っていかなければならないと考えております。
  197. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただ、一言だけ申し上げておきますが、大臣は、やっぱり愛知医科大学の問題については地元の代議士として節度ある云々というお話があったんですが、それは一代議士ならそれでいいでしょう。しかし少なくとも今日は、その当時はそれは別でしょうけれども文部大臣なんですからね、いまや。だから、やはりあの問題が、私は関与の仕方も、文部大臣としてのあなたから見れば、決して節度があったとは思えない。もちろんあなたはそのときは文部大臣になるとは思わなかったでしょうけれどもね。したがって、私がいろいろ聞いておるのは、文部大臣としての立場から、いま、もあの当時にさかのぼって考えてみればどうかという、本当はあなたの反省の言葉を聞きたかったのです、これは。しかし、それは申し上げません。それだけにこの問題についても、もし反省のお気持ちがあるならば、少しでもそれを今後の問題として、いまもあなたがおっしゃったところの問題について、どう在任時代に、あれだけ世の中を騒がしたところのこの問題について、海部時代に基礎を打ち立てたと、こういうものをやっぱり、これからいつまで文部大臣の席があるかわかりませんけれども、予算編成時期まであると思いますけれども海部はやはりそのことがあってやったと、こう言われるようなことはやってもらわにゃ困りますね。同時に、九月七日に皆さん方が出されたところの書類を見る限りでは、この通知ですよね、残念ながらそういう決意のほども伺えぬのですけれども、それはまた日を改めてやることにして、私の感じだけ申し上げて終わります。
  198. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 教育行政につきましていろいろ政府の御意見を伺いたいことがありますが、本日はその中で特に日本が海外から受け入れている外国人留学生の問題と、日本から海外に留学する日本人留学生の問題につきまして政府の御意見を伺いたいと存じます。  本日この留学生の問題を取り上げました理由は二つございます。その一つは、さきに福田総理がASEAN諸国を訪問されましたその結果、ASEAN諸国と日本との今後の関係は一層緊密の度を加えてくるものと想像されます。そのASEAN諸国から多数の留学生が日本にこれまでも留学しており、また今後の留学も続くものと考えられます。それがこの理由の第一点でございます。  次に、この春以来、海外からの留学生を受け入れて日本語教育とそれから宿舎の世話をしております国際学友会の改築の問題に関連いたしまして、新聞紙上にこの留学生の問題が取り上げられております。そして、識者はいろいろとこれについて憂慮をいたしていることがございます。この点から留学生問題につきまして政府の御意見を伺いたいと、この二つの理由によるものでございます。  海外から日本に来ております留学生の問題、そのことを考えますときに、戦後わが国が国際的な地位を回復いたしまして、経済的な実力をつけるに従って留学生の数もかなりふえてきていることは周知のことでございます。この留学生の交流ということは基本的にはこれは教育の問題でありまして、もちろん経済的な問題、たとえば投資の効果の問題であるとかあるいは経済効果といったような問題、あるいは外交上の問題、いろいろの問題が関連することは当然でありますけれども、基本的には留学生の問題は教育の問題であるということから、この問題についてはっきりした一つの理念を持って今後対処していく必要があるだろうと、そのように考えるわけでございます。  このような観点に立ちまして、まず最初に伺いたいと思いますことは留学生の受け入れの問題でございます。この問題につきまして、留学生をどのように受け入れていくか、これまでどういう文部省がお考えを持って臨んできておられるかということにつきまして、またこれからの留学生対策につきまして、まず大臣のお考えを伺いたいと思います。
  199. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の留学生の問題でございますけれども、これは私は、やっぱり先生指摘のように基本的に教育問題として受けとめるべきで、外交の手段ではない、経済の手段でもない、基本的に教育問題であるという同じ認識に立っております。それから、私はつい先週のユネスコの国際教育会議に参加をいたしまして、各国の文部大臣と、今後の世界の平和のためにも、国際間の交流、理解を深めていくために留学生教育者の交換は大事なことである、教育の理解を進めていくためにもさらに一層努力をしていこうという話し合い等もいたしてまいりました。今後もそういう気持ちで受け入れ等にも取り組んでいかなければならないと考えております。
  200. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 次に、留学生の受け入れの具体的な状況についてお伺いいたしたいと思います。  わが国で勉強を希望しております留学生の数は年々ふえておりまして、これは大変歓迎すべきことであると思いますけれども、その実態につきまして余り詳しいことが知られていないのではないかということが懸念されます。日本が受け入れております留学生の数は、あるいは五、六千名、あるいはそれを超えているのではないかというようなことも耳にいたしておりますけれども、その中には、わが国の政府の奨学金で来ておりますいわゆる国費留学生、それから日本の政府の予算ではなく、日本以外の国の政府の奨学金、あるいは日本あるいは諸外国の奨学金その他の奨学金等によって日本に留学している留学生も私費留学生として相当数がふえているといういろいろなケースがあると思うのでありますけれども、その辺の状況につきまして、具体的な数字等を伺いたいと思います。
  201. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 日本の大学で勉学しております外国人留学生の数でございますが、五十一年五月一日現在で数字をとってみますと、約八十カ国五千六百七十一人の学生がわが国に来て勉学をいたしております。これは十年前の約二倍という数字でございます。このうち、ただいま先生から御指摘のありました日本政府が奨学金等を支給しておりまするいわゆる国費外国人留学生は一千三十七人でございます。私費外国人留学生は四千六百三十四人でございますが、私費留学生のうち、ただいまも御指摘ございましたように、自国政府の奨学金を受けている者が約四%、それから自国の民間団体の奨学金を受けている者が約一六%、したがいまして、私費外国人留学生四千六百三十四人のうち約二〇%はそれぞれの国の公の金が背景にある、こういう数字でございます。  なお、留学生の学んでおりまする状況段階別に見ますと、大学院レベル、学部、短大ということに相なりますが、大学院が最も多うございまして大体五八%、学部三八%、短大四%となっております。  なお、わが国に来て学んでおりまする留学生の一つの大きな特色といたしまして、アジア、アフリカ等の発展途上国からの留学生が多いことでございまして、全体の約八割がアジア、アフリカ等の発展途上国からの留学生でございます。先ほど申しました総数五千六百七十一人のうち、アジアだけで四千三百三十八人。わが国に勉学に来ておりまする留学生の態様は主に以上でございます。
  202. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 ただいまの御説明で、八十カ国五千六百七十一人、かなり多い数字のように思われますけれども、わが国の現在の状況から見ましてこの数字が果たして日本として適当な数字であるかどうか。その点を理解するために、アメリカ合衆国その他いわゆる先進国と言われております国々が受け入れております留学生の数等と比較しての御意見を伺いたいと思います。
  203. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) わが国に来ておりまする留学生の数を国際的に見ましたときに、直近の資料によりますと大体九位となっております。御指摘のように、アメリカ合衆国が最も多くて約十五万人、それからフランスが六万六千人、カナダが五万四千人、西ドイツが三万四千人といったところが非常に留学生の数の多いところでございます。なお、母数としての大学生の数が各国によって異なっておりますので、その国の学生総数に占める留学生のパーセンテージで見ますと、アメリカが一・六%に対してわが国は〇・四%ということでございまして、国際的に見ましたときに、わが国がただいま受け入れておりまする留学生の数は多くない。いわゆる欧米先進国志向型というのがやはり非常に多く働いておるという点もあろうかと思いますけれども、現状はただいま申し上げたとおりでございます。
  204. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 いまの御説明を伺っておりますと、アジアの開発途上国、発展途上国から日本が受け入れております留学生の数が全体のほとんど八〇%を占めている。そういうことのようでありますけれども、そういう傾向で果たしてよろしいのかどうか。その点についてもう少し考え直す必要があるのではないかということが考えられます。  それから、発展途上国は、申すまでもなく、国を挙げて有為な人材の育成に努力をしているわけでありますけれども、それらの国々が同じアジアにあります日本に大きな期待を寄せているということは、当然のことであろうと思いますが、そうした国に対しまして、わが国としてできるだけ協力の手を差し伸べるということが必要であると思いますけれども、その点どうお考えでしょうか。
  205. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) わが国の留学生に、わが国政府の金によります国費留学生と私費の留学生があるわけですが、文部省としまして、国費留学生を呼びます際に、あらかじめ各国別の予定割り当て数というものをもちまして、各国の政府等とも交渉をいたすわけでございますが、ただいま御指摘のように、特にアジア、アフリカ等発展途上国、中でもアジアから国費留学生制度でわが国に勉強に来たいという希望が相当多うございますし、国別の割り当てを行います際、並びに予算措置等によりまして今後の増員を考えてまいります際に、私どもとしましても、特にアジアに力点を置くべきであろうと考えておりますし、また現にさようにいたしておるところでございます。  で、五十一年度の数で申しますと、国費留学生の予定の割り当てをつくります際に、大体全体の五一%を一応予定数としまして、そして在外公館を通じまして募集もし、選考もいたすわけですが、最終の調整でこれを五四%にしてただいま受け入れておる、こういう状況でございます。今後の問題といたしましても、やはりアジア、アフリカ等発展途上国、特にアジアの要望にできるだけ沿えるような枠を考えていくべきではないかと、かように考えております。
  206. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 私も、いまのお答えにありましたような方向でさらに一層の努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、留学生のうちで国費留学生の問題につきまして、国費留学生の処遇の問題を伺いたいと思います。もちろん、国費留学生、私費留学生——私費につきましては、これはまた後に伺いたいと思いますが、文部省が現在奨学金を支給されております国費留学生の処遇と申しますか、給与といいますか、それらについては、この十年ぐらいの間に格段の改善がなされているように承知いたしておりますけれども、現在どういう状況になっているか、そして、いまの状況が適当であるかどうか、そういう点につきましてお伺いをいたしたいと思います。  また、欧米先進諸国と比べて果たして日本のこの留学生に対する給与、処遇等が適当であるかどうか、そのような比較につきましても御意見を伺いたいと思います。
  207. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 文部省が招致しております国費外国人留学生の待遇の問題でございますが、本年度、昭和五十二年度の措置でお答えいたしますと、奨学金といたしまして、大学卒で日本に勉強に参りまする大体大学院レベルの研究留学生につきまして月額十三万三千円、学部留学生につきまして月額九万七千円の奨学金を支給いたしております。さらに、授業料免除、渡航旅費の支給、渡日一時金——学生の諸君がわが国に参りました最初に初度調弁費的な経費を必要といたしますので、渡日一時金を二万五千円支給し、さらに年額四万二千円の研究旅費の支給等もいたしておるところでございます。  で、この数年間の積み上げでここまでの措置をただいまとっておりますが、諸外国との制度を比較いたしますときに、いろいろな点での比較が可能であろうかと存じますけれども、留学生に与えておりまする奨学金の額を例にして大学院レベルで比較をしてみますと、アメリカが一これはフルブライトでございますが、十二万四千円、西ドイツのドイツ大学交換奉仕会というところを通じての奨学金が十二万四千円、イギリスのブリティッシュカウンシルが七万六千円、フランスが六万円ということでございまして、諸外国と比較いたしましてわが国の奨学金の額はまさにトップレベルにある、遜色がないということが申せるかと思います。  なお、留学期間等を見ますと、大学院レベルで言いますと、わが国の場合、二年間という留学期間を保障して呼んでおるわけですが、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランス等、大体一年ないし一年未満が多うございまして、留学期間という点から見ましても、わが国の方が手厚くなっておるのではないかと、かように思います。
  208. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 ただいまの御説明で、二年間と言われましたけれども、学部留学生は四年プラス日本語の練習が一年ですね。研究留学生はもちろん別だと思いますけれども、いま御指摘のはその全般を通じて二年という意味でしょうか。
  209. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま申しましたのは、大学院レベルの招聘期間だけでございます。失礼いたしました。
  210. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 国費留学生につきましては、いま御説明を伺いますと、その給与等が著しく改善をされているようでありますが、それなりに留学生の質の点についても、以前に比べるとかなり改善、向上されてきているのではないかというふうに思われますけれども、現在国費留学生についての選考といいますか、その人選は文部省が一定の基準でおやりになっていると思いますけれども、実際具体的にはどういう方法文部省が直接おやりになっているのか、どういう方法でこれをおやりになっているのか、その点ひとつ伺いたいと思います。
  211. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 国費留学生につきまして募集、選考の方法が二つございまして、在外日本公館推薦による場合と、大学推薦による場合と、二つございます。  で、在外日本公館推薦による場合で申し上げますと、外務省を経由して在外日本公館に国費留学生募集及び第一次選考の依頼をまずいたします。在外日本公館で当該国の政府等の協力を得まして書類審査、筆記試験及び面接による第一次選考をやっていただきまして、その結果に基づきまして候補者を文部省に推薦をしていただく。文部省は学識経験者よりなる選考委員会を持っておりまして、選考委員会にお諮りをした上で最終合格者を決定するという手順を踏んでおります。  で、大学推薦の場合は、わが国の国内の大学入学を許可し、または許可しようとする大学院レベルの外国人留学生についてのみでございますが、そのうち特に優秀で奨学金支給を必要とする者を審査の上、これは大学の方から文部省の方に推薦が参りまして、文部省では在外公館推薦の場合と同様、選考委員会に諮った上、採用者を決定する。  こういうことでございまして、ただいま御指摘ございましたように、留学生制度を実りあるものにいたしますためには、選考段階における慎重な配慮が絶対不可欠でございまして、その意味で現状必ずしも十分とは申せないかもわかりませんが、特に在外公館等における全面的な協力を得ながら、ただいま改善に努力をいたしておるところでございます。
  212. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 次に、留学生についての他の施策、奨学金以外の施策について伺いたいと思いますが、留学の目的を達成しようとする場合には、これは日本から海外に出る場合も同様でありますけれども、かなり強い意志を持って貫くというその心構えが留学生について特に必要であります。それは風俗も習慣も言語も異なる違った国の環境の中で生活することでありますから、その生活についてはそれぞれ受け入れる国での思いやりということが非常に重要なことであると考えられますが、こういう問題につきまして、日本の政府としては留学生に対して安心して落ちついて勉強できるような、そういう環境を整備するというような問題のためにどのような御努力をされ、どのような配慮が必要かと、そういうお考えをひとつ伺いたいと思います。
  213. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) ただいま御指摘のように、これは留学生のみならず、高等教育全般が効果を上げてまいりますために、学生に対する、ただいま御指摘のような厚生、補導面におけるきめの細かい温かい配慮というのが余り十分でないというのがやはり日本の大学の一つの問題であろうかと思うんです。特に、留学生につきましては、こういう面をどうしても大事に考えてまいらなければならないと思います。  現在、文部省でやっておりますことは、国立大学は直接予算措置ができますので、そこでやっておりますことは、正規の授業以外に必要に応じて課外の補講をある程度やれるようにいたしております。それから、入学時のオリエンテーション、それから、留学生の実地見学旅行の経費を若干計上し、さらに留学生につきまして、いろいろ留学生のことを親切に考えていただき、バックアップをしようという民間団体等もございますし、また、熱心な個人の方もおられますので、そういう方々の御協力も得まして、日本人の家庭を訪問したり、あるいは日本人の家庭に泊まったり、そういった企画も若干実施をいたしておるところでございます。また、最近特に留学生の勉学や生活上の相談相手として、当該大学の日本人の大学学生をチューターとして選びまして、そばにつけてあげるということも予算措置を講じておるところでございます。  ただいま申し上げました点は国立大学におきまする予算措置でございますが、国費、私費を通じまして非常に大きな問題の一つが留学生の諸君が病気にかかったときのことでございます。この点は国際的に見ましても、欧米各国におきまして留学生の病気にかかったときの措置はいろいろな制度が有効に働いておるようでございます。で、文部省としましても国費、私費を問わず、病気にかかったときの医療費はその八割を補助しようということで、おかげさまでこの措置もとっておるところでございます。  このように、具体的なことを幾つかやっておりますが、このような措置が本当に効果を上げてまいりますためには、大学それ自体がやはり留学生のことをもっと真正面から考え、親切に対応できるように大学自体の努力を一層促さなきゃならぬことが当然でございます。また、こういった留学生に対する一般民間における温かい御協力という点もまだこれから文部省としても本当にお願いをしていかなきゃならぬ点が多いかと存じます。具体的に国立大学等で取り上げておりますことは、大体ただいま申し上げたようなことでございます。
  214. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 いまの御説明にありましたような問題のほかに、留学生を受け入れる環境の問題の中で、留学生のための宿舎の整備と、宿舎の改善という問題が今日かなり重要な問題であると、そのように私は考えております。  先般来問題になっております国際学友会の問題、これは後でこの問題についてお尋ねいたしたいと思いますけれども、これもこの宿舎の問題が関連しているようでありまして、留学生宿舎の整備状況と今後の計画等、それらのことにつきまして文部省のお考えを伺いたいと思います。  また、宿舎の整備に当たりましては、たとえば、外国人留学生の中には、わが国では東南アジアの暑い国から来ている留学生が多い、そういう留学生に対しまして宿舎の暖房の期間をできるだけ延長する方法であるとか、具体的な思いやりのある措置をとられることを望むわけでありますけれども、こういう問題につきましても文部省の御意見を伺いたいと思います。
  215. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 特に留学生のためにつくっておる宿舎といたしましては、現在国立大学に付設しておるもの七、それから日本国際教育協会が経営するもの二、その他民間団体経営のものが七、計十六施設、収容定員が一千九百五十人——約二千人ということでございます。で、このほかに通常の大学学生寮に留学生を入れておる大学もございます。で、両方足しますと大体二三%の留学生は寮で生活をしておるという状況でございます。この点はいろいろな問題をこの宿舎の問題で生むわけでございまして、きわめて不足でもございますので、文部省としましては特に留学生宿舎の建設につきまして、五十年名古屋大学、五十一年東京工業大学に宿舎の建設をいたしますに引き続きまして、今後も各大学所属宿舎ということの宿舎をつくって、そこには国費留学生も私費留学生も両方入れるような形でのものを目下整備を取り急いでおるところでございます。  なお、暖房等のいま御指摘もございましたが、御指摘のように風俗、習慣の違いからくるいろいろな生活上の問題もございますので、特に文部省といたしましては食事の配慮の問題、それからやはりふろの関係等で、要するにシャワーの設置の問題でありますとか、できるだけいままでの経験に基づきまして、風俗、習慣の違いを考慮した措置もとってまいりたいと、かように考えております。
  216. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 次に、わが国の留学生の受け入れ等につきましていま御説明をいろいろ伺いましたけれども、このことにつきまして諸外国は一体どういう評価をしておるか、特に留学生を多数日本に送り出しているアジア諸地域でのわが国の留学生制度に対して一体どういう評価をされているか、その点につきまして伺いたいと思います。
  217. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 留学生につきまして私が先ほど申し上げましたように、ユネスコの国際教育会議に参りましたときはアジア地域の関係者はそれぞれ日本との留学生のより一層の数の増大とか、あるいはそのもっと質を密にしようとか、いろいろアジアにおける留学生の交換に対してはきょうまでのことを評価いたしますとともに、さらにこれを拡充したいという意見を日ごろ述べておったわけでございます。しかし、各国の文化的な基盤や社会的体制から日本の大学に対する評価等もいろいろまちまちでございますが、要望としては、それぞれの国々において帰国後もっとこれを高めるようなものをしてほしいとか、あるいは帰ってきてから役に立つような教育内容を考えてほしいとか、いろいろ異なった要望が国によってあったことも事実でございます。
  218. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 次に、本日、国際学友会の問題に触れるために、出ますので、外務省からも御出席をいただいておりますので、時間の関係でごくその一部のことにつきましてお尋ねいたしたいと思いますけれども、先般来、新聞、テレビ等で国際学友会の問題が取り上げられておりますが、これは外務省所管の団体で留学生の日本語教育、宿舎の整備、宿舎の世話をされているのでありますけれども、その改築の問題をめぐっていろいろ問題が起きているというふうに承知しておりますが、この国際学友会問題の、その問題の一体本質というのはどの辺にあるのかということにつきまして外務省からお答えいただきたいと思います。
  219. 岡照

    説明員(岡照君) お答えを申し上げます。  ただいまの御質問につきましては、国際学友会はここ数年来にわたりましてその経営赤字を積み上げてまいったわけでございまして、ことしの三月末現在で銀行借入金が二億円に達する状況になったわけでございます。もとより、この事実は数年前から予想されていたことでございまして、この間、学友会当局はいわば銀行借入金を返済して経営基盤の確立を図るとともに、老朽化した、あるいは不断の使用によって損耗のはなはだしい建物を建てかえて留学生を受け入れるにふさわしい施設を建設いたしたい、こういうことで再建計画をつくって財政当局の支持を得て、御配慮を得て、実現の運びに至ったわけでございますが、この計画によりますれば、三月末までにその在寮生約百五十名の方々に退寮していただくことが必要になっておりましたところ、これが予定どおりに進まず退寮がおくれたということで、実はいろいろと論議を招くような次第になったわけでございます。
  220. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 日本に期待して参りました留学生が、到着早々日本教育を受けるその機関の開設がおくれて非常にとまどったと、非常に気の毒な状況があったということも承知しておりますが、この国際学友会の問題につきましては現在外務省も非常に努力をして、その解決のためにいろいろ対策をお考えになっているというふうに承知しておりますが、そこで行われますことの内容は教育の問題でありますので、文部省、外務省ひとつ協力されましてこの問題を後に残さないようにすっきりした形で解決をしていただきたいと思います。このことは今後の留学生問題に関する諸外国の日本に対する関心あるいは評価等にも不可分に結びついてくる重要な問題であると思いますから、ぜひ御努力をいただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、時間の関係もありますので、私費留学生に対する施策につきまして少し伺いたいと思います。私費留学生につきましては、諸外国に比べまして、その受け入れの体制その他にかなりわが国の場合は立ちおくれがあるのだというようなことをよく耳にしておりますけれども、そういうことは事実でありましょうか。伺いたいと思います。
  221. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 最初にお答えしましたように、約四千六百人の私費留学生がわが国におるのでございますが、端的に申しまして私費留学生に対しまする施策は十分でない、いろいろ問題点が多いと思います。特に私ども反省いたしますのは、留学生の多くがわが国に比べて国民所得の低い発展途上国の出身者である。で、一般的に家庭からの仕送りが少ないということが一つある。第二に、日本の、特に大都会における宿舎事情がきわめて困難な点が多い。それから第三点としまして近来の物価の問題であるとか、あるいは為替レートの変動等がやはり留学生の生活にもろにかぶってきておるのではないか、その反面、やはり欧米各国に比しまして留学生を対象とした民間奨学団体や大学の奨学金制度が十分でなく、少ない、こういった点等がやはりあるのではないかと思います。留学途中で経済的な理由によって留学を断念せざるを得ないという学生も若干おるようでございます。  こういった点につきまして文部省といたしましても、先ほどお答えしましたように、医療費の問題等につきましては国費留学生と同じように扱っておるのでございますが、宿舎の問題を初めいろいろな教育関係の諸経費等につきましても今後一層の充実を図ってまいらなければならないかと思います。特に、私立大学で、わが国の私立大学で引き受けていただいておる私費留学生に対する施策をどういうふうにやっていくかという問題があるわけですが、五十一年度で申しますと、私学の経常費助成の中で特別助成として約六千万円を特に留学生を多く受け入れていただいておる私学に対しまして特別枠として五十一年助成をいたしたわけですが、国立大学に対する措置、私学に対する措置、両面から私費留学生に対しまする施策の改善を図っていかなければならない。私どもに課された宿題と心得ております。
  222. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 私費留学生の問題につきましては、留学生の質の相当ばらつきもあるということから、いろいろむずかしい問題もあると思いますし、また、中には、私費留学生の中に余り留学生のためには望ましくないと思うようなアルバイトをやっているような学生も相当あるというふうに聞いておりますが、私費留学生について統一的にいろいろやるということは非常にむずかしいとは思いますけれども、しかし現在の状態を見ますとやはり国際的にわが国の留学生政策についての不信感を招くおそれなしとしないように思われますので、この私費留学生に対するいろいろな施策につきまして文部省に格段の努力をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、留学生がそれぞれの国に帰国しました後のアフターケアといいますか、この問題につきまして伺いたいと思いますけれども、日本からそれぞれの国に帰国した留学生のそれぞれの国での取り扱い、受け入れといいますか、それにつきましてはかなり問題があるようで、たとえば日本の商社等では、日本で採用した者との差別が非常に大きいというような問題、あるいは日本では日本語教育はしておりますけれども、帰ってから日本語教育だけでは非常に足りないというような問題、あるいは医師の資格が東南アジア諸国には通用する国が少ないというような問題等、その受け入れについていろいろ問題があると思いますが、しかし、それらの問題について、諸外国の中には十分理解をしていないで日本の高等教育の水準それ自体に対して適正な評価をしていないというような問題もあると思います。こういう問題につきまして文部省としては追跡調査などをおやりになっているのではないかと思いますけれども文部省のひとつ見解を伺いたいと思います。
  223. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 帰国留学生に対しまするアフターケアの問題につきましては、わが国の留学生制度の評価にもつながるきわめて重要ないま問題だと思います。昭和四十四年以来、帰国留学生に対しまして、本人たちの希望も徴しながら、専門の学会誌等を送付するという仕事を四十四年以来実施してまいっておるのでございますが、昭和五十一年から、帰国して教育学術の分野で特に活躍をしておる帰国留学生につきまして、三カ月間日本にもう一度招致して専門分野の研究を深めてもらうという短期の研究制度を五十一年から実施をただいまいたしまして、現在十名お呼びしておりますが、この短期の研究制度が非常に関係者でも喜ばれておりますので、この点を今後何とか充実を図ってまいりたい。  また最近、これは外務省の非常な御努力もあるわけでございますが、帰国留学生の同窓会の結成並びに同窓会活動に対しまする助成といったことを外務省の方でもいろいろやっておっていただくわけでございまして、この辺、それぞれの国における帰国留学生の活動もできるだけ広げるという点、これはただいま御指摘のように商社の協力もあろうかと思いますが、関係方面の協力も得ながら何とかアフターケアを充実していく方向で努力をしてまいりたいと思います。その基本として帰国留学生の帰国後の名簿の詳細な作成という作業を文部省としても従来からやっておるのでございますが、まだ十分でございませんので、さらに詳細な名簿等も今後引き続き作成にも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  224. 後藤正夫

    ○後藤正夫君 ちょっと、制約された時間がありますので、きょうはこのほか日本から海外に派遣する留学生の問題についても文部省の見解を伺いたいと思っておりましたけれども、時間がないので、これはまた次の機会に伺うことにいたします。  冒頭申し上げましたように、留学生の交流ということは、今日のように激動しております国際社会の中において、きわめてじみな仕事ではありますけれども、しかし、きわめて重要な役割りを担ってくるものであると思われますので、文部省におかれましては、留学生の問題につきまして一層の関心を持たれて、その制度の改善のために御努力をいただくよう特にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  225. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 幼児に関する教育問題についてお尋ねをいたします。  まず、幼稚園教育の振興のために昭和四七年度から幼稚園教育振興計画が実施されているわけですが、その進捗状況はどのようになっているでしょうか。
  226. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、幼稚園教育振興計画を策定し、すべての四、五歳児が就園できることを目途に努力をしてきておるわけでございますが、就園率につきましては、昭和五十一年度現在五歳児について見ますと、計画上六四・五%に対し、実績も六四・六%となっており、おおむね計画どおり進捗しておりますが、四歳児につきましては、計画上五二・一%に対し実績は四八・七%となっており、若干下回っておる状況でございます。  施設整備につきましては、昭和四十七年度から五十一年度までの新設計画数二千二十八校に対し、実績は千七百七十六校となっており、達成率は八七・六%でございます。計画に沿って今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  227. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 施設整備がおくれているということがいまの御答弁でわかるわけですが、収容児の数、就園率が計画どおりにいっている、これについて行政管理庁の勧告がございます。それには認可定員を超過して幼児を入園させていることになるというふうに言われておりますし、私も収容児童数は計画どおりだけれども、設備の方はおくれていると、そのとおりだと思いますが、この点については文部省としても改善しようと取り組んでいらっしゃると思いますが、どういう取り組み方をしていらっしゃるか、またそれについて計画どおりいく見通しでいらっしゃるかどうか、お聞きしたいと思います。
  228. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは御指摘のような定員の増というものがあったことは率直に認めなければいけないと思います。したがいまして、都道府県の事務担当者の会議等においても、幼稚園の設置基準の遵守について指導を行っているなど、幼稚園運営の適正を図っておるところでございます。
  229. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 図っているところでございますという非常にあいまいな御答弁ですが、何か県の教育長さんあたりに聞きますと、非常に問題があるようでございます。ですから、もう少し積極的にやらないと計画どおりにいかないんじゃないか。特にこの施設整備計画の中で公立幼稚園の建設がおくれている、こういう点は非常に問題だと思います。なぜおくれているのか、この点についてその理由をお聞かせいただきたいと思います。
  230. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 先ほど大臣が答弁申し上げましたように、五十一年度までの新設計画は二千園強でございますが、実績は千七百七十ということで、若干達成率が低くなっておるわけでございますが、一方、五歳児の就園率は目標どおりだと、そこで先生は、そのずれは、幼稚園に詰め込んでいるのじゃないかという御指摘のように思うわけでございますが、まあ私どもの見ますところ、もちろん行管の指摘にもありましたように、定員をオーバーして子供を入れているという幼稚園もございますし、しかし一方、幼稚園の十カ年計画で考えております一園の規模というのは、一学級四十名、三学級ということで一応考えておるわけでございますけれども、最近の傾向を見ますと、特に大都市等では、もう少し規模の大きい幼稚園も入っておるということでございますので、園数の増加だけで、直ちにその差が全部定員オーバーかというと、必ずしもそうではないではないかというふうにも考えるわけでございます。しかし、繰り返しますが、行管の指摘もありましたように、確かに定員をオーバーしているところもあるわけでございますから、そういう幼稚園につきましては、去年の二月にも行管の勧告を受けました後に各県の教育委員会等に通知をしまして、幼稚園を運営するについては、教員の数とか施設とかいうものは設置基準があるわけでございますから、それをよく遵守するようにということを指導したわけでございます。そうして、それに加えまして、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、幼稚園の定員増というものを、従来届け出事項でございましたものを今度は認可にかからしめると、こういうことにして、実態を見て、勝手に届け出だけで定員増ということをしてはいけませんよ、こういうふうにしたわけでございまして、今後もそういう点で配慮をしながら、各教育委員会、県を指導して、この基一準に即した運営が行われるようにやってまいりたい、かように思うわけでございます。
  231. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまお聞きしておりますのは、就園率がいいから大体計画どおりいっているんだというお話にどうしても受け取れるわけです。確かに就園率はそうですけれども、施設の方がおくれている。特に公立幼稚園の施設が非常におくれているわけですね。この表を見ますと、五十年度は四九・一%でしょう。辛うじて私立が一〇八・三%で補われている。私は、公立幼稚園が非常におくれている、これについて、なぜおくれているのかということをお聞きしているわけです。また、なぜ公立幼稚園がおくれているかということを特に取り上げてお聞きするのは、私立幼稚園依存の、就園率の計画どおり、だという御意見です。私立幼稚園に依存しているというところにも非常に問題があるわけですけれども、それは後でお聞きしますが、公立幼稚園の建設がおくれているということについてもお答えをお聞きしたいわけです。
  232. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 公立の幼稚園の新設につきましては、もちろんそれぞれの市町村の単独事業の場合もあるわけでございますが、私どもの把握しております関係から申しますと、国公の補助金、幼稚園を設置するについて必要な施設の補助金の予算計上の実態とそれの使用状況というものが一つのめどになるわけでございますが、確かに昭和五十年、五十一年というこの両年度は、石油ショックの後を受けまして、市町村の財政事情もかなり逼迫してきておるということからいたしまして、一部の市町村で積極的に新設幼稚園を設けようというような余裕がなかったという事情があろうかと思うのでございます。そこで、その数字の実態を見ましても、昭和四十七年から四十九年度までの補助対象となった面積が大体十三万六千から十三万八千平米というところまでいっておるわけでありますが、それが五十年、五十一年度を見ますと、五十年が十万平米、それから五十一年は九万三千九百平米ということで、対前年度比大幅に落ち込んできておる。それで、その傾向はそれじゃ現在はどうかといいますと、五十二年度はまだ申請の段階でございますが、いまのところ大体十一万強ということになっておるわけでありまして、このことは地方の財政も五十、五十一年度に比べますと若干余裕も出てきたということであろうかと思いまして、私どもはこの事態に対応してそのような市町村の要請にこたえられるように補助金の準備も今後してまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  233. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 石油ショックでございますとか、市町村の予算が少ないからと、はっきりした理由があるわけです。だからこそ、国がそれをどうするか。国が立てた計画ですから、これはぜひ実現させるための計画である。市町村がだめだからということじゃなく、施設整備を進めるためには国の財政援助、この強化以外に私はないと思うんです。そういう点で計画だけは立てて、そして国の財政援助は余り強化しないというんじゃならない。そういう点でこの計画の中にも、補助率を三分の一から二分の一に拡充すべきだというようなふうに受け取られるようなことも取り上げているわけですね。ぜひ私はこの補助率を三分の一から二分の一に拡充すべきだと、こういうふうに考えております。一部、急増の地域には二分の一にしているところもございますけれども、この三分の一というものがいつ二分の一になるのか、この進め方について具体的にお考えがあろうかと私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  234. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の御意見は私もよくわかるわけでありますけれども、他の政策との整合とか、文部省といたしましてもやっぱり予算を要求し、予算獲得するときのいろいろな状況等もございまして、きょうまでも人口急増地帯というところの特別な必要を考え、一部二分の一に踏み切っておるわけでございますが、先生指摘のように、公立幼稚園の計画を達成するためにいまこれを直ちに全部二分の一に上げるということは、いろんな弊害と申しますか、壁と申しますか、あるいはわが方のいろいろな努力不足かもしれませんが、直ちに実現する見通しがございませんけれども、今後いろいろな政策の進みぐあいとも歩調をそろえて考慮し、検討してまいりたい問題である、こう考えております。
  235. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ぜひそのようにがんばっていただきたいと思うんです。  次に、幼稚園の普及率の地域間の格差が非常にある。この点でお尋ねをいたしますが、就園率の全国平均は六三・五%です。これを都道府県別に分けてみますと、高知県が一九・四%、沖繩県は九一・三%と、非常に差があるわけです。また市町村をずっと調べてみますと、幼稚園の未設置、まだ幼稚園ができていない、これについて行政管理庁の勧告がございます。調査対象の千七百七十三市町村の中で七百二市町村、四〇%も未設置がある、こうした地域偏在の問題、これをどう今後取り組んでいこうとしていらっしゃるか、お尋ねいたします。
  236. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 確かに御指摘のように、幼稚園の普及率は、沖繩、兵庫、徳島といった八〇%を超える所、長野、高知といった二〇%程度というふうに全国的に見ますと非常に違っております。  そしてまた御指摘のように、市町村——まあ町村が大体主でございますが、幼稚園が一園もないというような所もあるわけでございまして、これは幼稚園教育というものが明治の初めから始まっておりますけれども、義務教育でなかったということもありまして、大体市町村の自主的な判断にまって公立幼稚園の発達が図られてきたというところ、そしてそのような経緯を踏まえながら戦後保育所というものが新しく制度として生まれ、それがまた各県によって受け入れ方がまちまちであったということからいたしまして、今日の現状を見ますと、幼稚園の普及率の低い県は逆に相当保育所が普及しておるというのが一般的な実態であろうかと思うのであります。しかしながら、御承知のように本来制度としては幼稚園はあくまでも三歳から五歳までの幼児を教育する教育施設であり、保育所は保育に欠ける幼児、児童を保育するところでございますから、その機能に一部重複するところがあっても本来的な目的は違うものでございます。そこで文部省と厚生省では所管官庁としてかねてからこの問題については幼稚園、保育所の設置の計画的推進ということで昭和三十八年でありましたか、両者担当局長の共同通知も出してその計画的設置を進めてもらいたい、こういうふうに指導してきたわけでありますが、今日の実態を見まして率直に申しましてまだ十分改善されていない。そこで昨年でしたか、行管の勧告にも、その問題については、ひとつ両省の推薦するところの学識者をもって協議の場を設け、整合性ある幼稚園施設の設置計画を進めるべきである、こういう勧告もございましたので、現在われわれのところにおきましては、両省協議して近くそういう協議の場を設けるべくいま準備をしておる、こういうことでございます。
  237. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いつまでも協議していないで、これはこういうふうにする、ここはこういうふうにするというふうにしていきませんと、子供はどんどん大きくなっていくわけです。そういう点で何か幼稚園問題について文部省は計画をちゃんと立てた以上はもっとやはりしっかりと取り組まないと、結局何のための計画かというような結果になるのじゃないか。もうなるだろうと私は思っています、こんなことじゃ。  そういう点で次に移りたいと思います。  私立幼稚園の問題ですが、運営費補助、これを見ますと、五十年度から国の助成が行われております。その補助の規模はまだ非常に不十分だ、こういうふうに思っております。まあ五十一年度で申し上げますと、全私学の経常経費の総額が一千六百二十九億円、その中で幼稚園に対する助成額はわずか三十一億で一・八%。子供のことだからと、幼児だからというわけではないと思いますけれども、私は余りにもこれじゃ少ないのじゃないか。振興計画をつくったのですから、しかもその計画の中に「標準的な設置運営の経費について、その2分の1を公費により補助する」としております。その実現の見通し、これはどうなんでしょうか。
  238. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私立の幼稚園の経常費に対する国の助成措置でございますが、これは高等学校以下全般のことでございまして、大学の場合には国から直接助成しておりますけれども高等学校以下につきましては本来公費助成を拡充すべきであるということはあるのですが、県の方で助成してほしい、それを前提として地方交付税等で措置してまいったわけでございますが、しかし国の方からももっとプッシュする必要がある。県の努力を助長するために国からも金を出す必要があるということで、三年前から始まりまして、国から県に対して助成することが始まったわけであります。したがいまして、いまおっしゃった振興計画の二分の一国が公費で助成するということは、これは地方の措置も含めての目標であるというふうにお考えいただきたいと思います。  それで、国の補助金につきましては、伸び率としては非常に大きな伸びを示しております。それで、五十二年度におきましては三百億という——高等学校以下全体が三百億でございますが、その中で幼稚園につきましては約七十七億円という金額になっておりまして、大体五十二年度の幼稚園の全体の経常費の中の約四・二%に当たるというふうに考えております。それで、将来これは大いに努力いたしまして、高等学校以下の私立学校助成全般の問題というか一環の問題として推進してまいりたいと思っております。振興助成法の中では、大学につきましては二分の一以下という規定がございますけれども高等学校以下についてはそういうことがございませんけれども、しかし、やはり公費助成二分の一を目標といたしまして、そのうちの相当部分を国が補助するように今後とも努力してまいりたいと思っております。
  239. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この振興計画では二分の一としておりますけれども、一方、私学振興助成法では都道府県に対し、その一部を補助する、こういうふうになっております、比べますと。文部省としてはこの振興計画の方針を変更されるのか、その点どうなっているんでしょうか。
  240. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 公費助成と申しますと、県からの補助も含めて考えるべきだと思います。そしてその面におきまして両方合わせて二分の一ということを目標といたしておりますので、変更いたしませんで、そのままの考え方でやってまいりたいと思っております。
  241. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、幼稚園拡充整備計画を進めるに当たって私立と公立の並行した拡充、これが理想であると思っております。現実には公立幼稚園の増設が思うように進んでいない、こういうことで市町村でいま幼稚園を建てていくということについて問題がございます。これは幼稚園の適正配置ということが問題になっているわけです。文部省では、幼稚園の設置に当たってはその配置に関し、既設の公立及び私立の幼稚園の設置状況等を十分勘案することと、こういう通達が出ております。この文部省が出している適正配置、これについてお聞きしたいんですが、私立学校法でうたわれております私学の自主性、これとこの適正配置との関連を文部省としてはどういうふうにとらえているか。私は適正配置ということと私学の自主性、私学の自由、これは相矛盾していると、こういうふうに思っております。この点いかがでしょうか。
  242. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私学の自主性を重んじなければならないことは言うまでもありませんが、御指摘の適正配置につきましては、幼稚園に通園する園児の通園距離というものも考慮しなければなりませんし、また同一地域において過当競争にならないように配慮することも指導する上においては一面必要なことであろうと、こう考えるわけであります。そういったことをいろいろ考えて適正配置の指導をするわけでありますが、そういった園児の立場とか過当競争にならないようにということは考慮の一面に置きましても、私学の自主性を直ちに損なうものではないと、こう判断をいたしております。
  243. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この問題についてはまた時間をいただいて大臣のお答えになったことをいろいろと検討してみたいと思いますけれども、この適正配置ということについて、いまのお答えからその地域の園児にとってプラスかマイナスかという、そういう観点で判断するんだと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  244. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは適正配置を考えるときに、やっぱり幼稚園は園児のためでございますから、園児のためということも一面十分に配慮しなければならぬ、御指摘のとおりだと思います。
  245. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一つ。  この適正配置ということはその地域の住民にとっても、またその幼稚園が公共性を持ち、子供の利益につながるために必要だと、だから私学の自主性の制限もやむを得ない、ということになると、この点どうでしょうか。
  246. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは最初お答え申し上げましたように、いろいろな物事を考えるときの優先の度合いとか、軽い、重いの度合い等がございます。そういったものを考慮していろいろ決断をいたしますときに、それは直ちに私学の自主性を私は損なうことにはならないというふうに思うのでありますが、私学の自主性を制限しても構わない、と言いますと大変これは響きが強くなりますけれども、これはやっぱりいろんな妥当性の中でこれはこの辺のためにはやむを得ないだろうというような判断が下ったときには、これは私学の自主性を損なうものではないと私は考えております。
  247. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この適正配置ということが私学の健全な発達の上からも必要だ、必要な児童数を確保するということは当然だ、しかしそこには通園距離というものが前提となって考えられているわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  248. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりであると思います。
  249. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この通園距離を考えた場合に、適正配置と通園バスの問題が起きてくるわけです。通園バスというものも場所によっては私はやむを得ないと、こういうふうに承知しております。がしかし適正配置と通園バス、こういうことによるこの幼児確保はやっぱし矛盾するんじゃないか。適正配置という点から考えてこの通園バスというものは文部省としてはどう考えていらっしゃるか。
  250. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これはお答えになるかならぬかよくわかりませんけれども、幼稚園教育振興整備計画がきちっと完成した暁においてはやっぱり先生おっしゃるように、理想を言えば、バスに頼らないで歩いて通えるようなことというのが望ましい状況であることは、これは間違いないと思います。ただ、私のこれは私見かもしれませんが、四、五歳の幼稚園に通う園児の通園、あるいは帰りの途上において、現状ではそういった配慮をするということもある程度やむを得ないのではなかろうか、そんな気がいたします。
  251. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もっと簡単に申し上げますと、こうした場合、ああした場合じゃなくて、適正配置と通園バスということは矛盾してやしませんか、ということについて大臣のお考えをお聞きしているわけです。
  252. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 逆に申しますと、適正配置が完成しておりませんので、バスがその面を補っておるのではないかと、こういうことであります。
  253. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この問題はいろいろと大臣からお答えをいただいておりますので、現場の問題とか、今後の問題等を考えていろいろとお聞きしていきたいと思いますが、時間がございませんので次に移らしていただきます。  障害児の教育についてお尋ねいたしますが、まず障害児の幼児教育、これは特殊教育拡充整備計画によって現在進められております。この中で盲聾養護学校の幼稚部に就学させるべき該当幼児の二分の一を収容するに必要な幼児部学級を設置すると、こう言っております。しかも最終年度は五十六年度まで、十年間の計画が出されておりますが、今度養護学校が義務化されるに際して、その前期になるこの幼稚部も全入化を目標に置かなければならない、二分の一を対象とするという現在の計画を見直すべきではないかと、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  254. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 障害児教育というものが早期に子供の小さいうちからやればやるほど効果が上がるのであるというような学問的な研究もございますし、そういう方向で努力をしておるわけでございますが、御承知のように現在養護学校につきましてはまだ義務制が実施されていない、五十四年度から義務制を実施したいということで現在養護学校の小学部、中学部を中心にした施設の拡充整備ということに全力を挙げておるわけでございます。そしてそれと並行しながら先ほど御指摘のように幼稚部につきましても四十六年度から五十六年度まで十カ年計画で幼稚部の増設を図っていくということをやっておるわけでありますが、率直に申しまして義務制であるところの小学部、中学部の充実というのがいま非常な関係者の努力をしながら進行中という段階でございますので、幼稚部の問題につきましてはそれと並行しながらではありますけれども、われわれとしてはまず義務制の完全実施移行ということを第一目的として努力をしておる、こういうことでございます。
  255. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、計画はこのとおりだと、見直しはしないということですね。
  256. 諸沢正道

    説明員(諸沢正道君) 御指摘のとおりでございます。
  257. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、障害者のための高等教育機関についてお尋ねいたしますが、たとえば視覚障害者の高等教育機関について見ますと、先進諸国においてはもうすでに大学が設置されて、そして学習に対する補助システムが確立され、十分な配慮のもとに各種の専門を選び、希望する職種にも就職し、十分な経済的な自足を達成している。こういう外国の状況から比べてわが国の場合は高等学校段階までだ、大学に学ぶ障害者というのは何も学校側から援助や補助がない、非常に困難な立場で苦労に耐えながら学業を続けている。わが国においても身体障害者のための高等教育機関の設置に関する調査を早急に開始すべきであると、こう考えておりますが、いかがでしょうか。
  258. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 御指摘のように、欧米の各国におきましては、たとえば聴覚の障害者に対して特別の高等教育機関をつくったり、あるいは工科大学の中に特別の学部をつくったりして対応している例がございます。わが国の場合には高等学校段階に引き続きます教育といたしましては、主として盲聾学校の専攻科が対応しておるわけでございますし、また一般の大学に入る方もかなりございますので、そういった場合には入試の場合の経費であるとかあるいはお入りになってからの教育経費あるいは設備費等についてそれぞれ国公私を通じて特別の配慮はいたしているわけでございます。しかし、御指摘のように身体障害者のための特別の高等教育機関をつくるべきであるという御意見が特に聴覚障害の関係の方々あるいは視覚障害の関係の方々から近年非常に強く出ております。このことにつきましては、すでに五十一年度以来、省内に連絡会を設けまして、関係課でどのような取り扱いをしたらいいのかということについて協議をしてきておりますけれども、既設大学における受け入れ体制の問題であるとかあるいは新しい高等教育機関をつくるとした場合にどういった役割りをその高等教育機関に期待をするか、あるいはその設置の仕方をどうするかというような点についてかなり問題がございます。幸い伝統のある付属の盲聾学校を持っております筑波大学がこの問題について積極的な意向を示しておりますので、五十三年度は筑波大学と相談をいたしましてこの問題について調査を進めるように努力をいたしたいと思っております。
  259. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、学校における環境衛生の問題について伺っておきたいと思います。  学校の環境衛生の問題は非常に重大な問題であり、学校保健法においても「清潔を保つ」ということがうたわれております。特に学校の中のトイレ、これが私は衛生的に措置されているかどうか、これがかぎを握っているのではないかと、こういうふうに思っております。校舎が古くなってきておりますので、これは老朽校舎として改築するように進んでおりますけれども、まだ改築できない段階でトイレが非常に老朽化し、不衛生になる。そのまま放置されているというところが非常にあるわけなんですね。これは私が新潟の妙高高原町というところへ行きまして、あそこの町で体育館を二つ目をつくるというような中で、トイレがもう全然子供が入れない。父兄たちが、体育館を二つもつくる力があるならばトイレを直してもらいたい、子供が全然トイレに行かれない、こういう声がもう強いのですね。私も驚いて、体育館二つを建てるようなところでどうしてトイレぐらい直せないのだろう、こう思って意外に思ったんですね。ところが、またこれは別な話ですけれども、熊本県熊本市、あそこも非常にトイレが汚くて総点検をしてみた。非常に市に強くこれをきれいにするようにと言って、だんだんきれいにはなった。まあ、やや完成に近いところまではいったけれども、まだ二八%のトイレは依然としてクモの巣が張っている。一つの学校の中でもトイレは一カ所じゃございません。校舎ごとにあるわけですけれども、きれいな方へは子供は行くけれども、改築していないところは本当にだれも行かない。そういうところにいろいろな事件も起きるわけです。こういう点でトイレだけの改修というものが補助対象になっていない。そこでできないわけなんですね。こういうことで改築するまでできないということはわかるんですけれども、こうした清潔感とか衛生を重んじた場合にトイレをそのままにしておくということは余りひど過ぎるのじゃないかとこう思うのですが、文部省としてはそういうトイレがどんな状態になっているかということの点検をなさったことがあるかどうか。三多摩あたりだって頭を痛めている学校があるわけなんですね。東京ですらそうなんです。これに対してどういう見解をお持ちか、またこうしたトイレの改築に対して補助を講ずべきだ、こういうふうに私は申し上げるわけなんです。その点いかがでしょうか。
  260. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 学校のトイレの衛生的な管理ということにつきましては、これは学校保健法にも学校環境を非常に適切に維持するようにという規定がございますし、それを受けまして学校環境衛生の基準というものがございまして、それに基づきまして指導をいたしております。その中で特に便所につきましては、毎年五月、六月には学校薬剤師を中心として便所の清潔、換気の状況などを定期的に検査しろと、そしてまた日常、教員が、状況によっては生徒等も動員して清潔を、清掃するとかあるいは換気の状況や臭気の有無などを点検し、その結果に基づいて適切な事後措置を行うと、こういうようなことで指導はいたしております。それで、そういう点で今後ともそういう方向指導してまいりたいと思いますが、一方いまの御指摘の改修ができないかというお話でございまして、これはいまおっしゃいましたように、木造の建物が危険になった場合に全体を改築する場合には当然これらは鉄筋化いたしまして、トイレも水洗のものにするということになっておりますけれども、それがまだ建物が危険改築の段階に達しておらない場合には、そのトイレの部分だけを対象にするということは現在の制度ではちょっとむずかしい状況になっております。木造のものですと約千四、五百万でできるものでございますので、どうしても少額な場合には地元の自己負担においてやっていただく、そして改築の時期には一斉にそれを校舎と一緒に直していくと、こういう方向で現在のところはいかざるを得ないのではなかろうか。その間においてできるだけ清潔を保持するように先ほど申しましたような基準に基づいて生徒がそういう不衛生な環境に置かれることのないように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
  261. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ぜひ建て直しなさいということを文部省から言っていただくようにお願いしたいんです。以上。
  262. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私の持ち時間が三十分ですから、ひとつ大臣並びに局長さん、なるべく端的に御答弁をいただきますようにお願いをしておきます。  先ほど宮之原理事の方からも御質問があったわけですが、私立医科、歯科系の大学の問題というのは国民の重要関心事になっておるわけであります。法外な寄付金あるいは特別学納金とか、そういうものを取らなければ医師養成というものはできないものなのかということですね。一体そういう金は何のためにどう使われておるのか、あるいは不正入学だとか不明朗な財政状況を発見しやめさせる力はあるのか、これは現実に行政の力で可能になるのか。このことは乱診乱療とかこういう批判もあるいわゆる医療荒廃問題と結びついて非常に国民の強い関心事になっておるというのは、先ほどから論じられておるとおりであります。大臣は宮之原理事に対して、最終的に今度の改革は入学の公正を阻害するようなそういうことは絶対になくするということと、二番目には経営の面でも教学の面でも健全化を進めると、それから三番目には国庫の相当の補助金を出しておるわけでありますから、この経常費についてはこれは表に出す、いわゆる経理の公開問題ですかな。それから四番目には、学生に過度の負担がかからないように、やむを得ない納入金であっても分割払いとかあるいは奨学金等の方法を講じて負担を少しでも軽くするように行政サイドからも策を進めていくというような点でお答えがあったわけですが、私はこれを今度出された通達との関連においてお伺いしていきたいと思うんです。  一言お伺いをするわけですが、この通達を厳正に実行していくなら、大臣が述べられたような四つの点において成果を見ることができるというような確信を持って述べられておるのかどうか、このことをひとつお伺いをして、そして内容に入りたいと思います。
  263. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 今度出しました通達は厳しく大学当局にも受けとめてもらわなけりゃなりませんし、社会的な批判を受けたこういった問題は、大学というものがみずからの努力によってまず改善の実を上げてもらわなけりゃならぬ、それから文部省としてもできるだけの政策努力をしてその効果が上がるように協力をする。この通達の趣旨は上げなければならないし、また上げていくために全力を挙げて努力をしていく決意でおります。
  264. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まずこの通達の中で、第一に入学関係をして入学条件となるような寄付金は厳正に禁止をすると、そうして入学者の選抜公正が害されたと認められるような場合には補助金を停止するというような点について明記をしておられる点は、これは従来よりも明確な態度かと思うわけですが、これらの問題について入学者の選抜公正が害されたと認められるような場合というのは、具体的に言えばどういうケースを言うのか、ひとつわかりやすく具体例、学校名でも挙げて説明をしてもらいましょうか、簡潔にですね。
  265. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これはたとえば合格点百五十点ぐらいのところが、三十点の学生寄付金を納めたために入学を許可されたというようなこともいろいろな事情聴取の中で出てきております。そのようなことは明らかに入学の公正を害しておるということであろうと思います。
  266. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 現実にそういうケースが発生をしたし、文部省も把握をしたというのを二、三例示していただけますか、どういう大学でそういうことがあったか。
  267. 犬丸直

    説明員犬丸直君) ただいま申しましたのは愛知医科大学の場合においてでございます。愛知医科大学寄付金募集状況全般につきまして大変問題が多いので、これは入学の公正を害しておるというような事柄に該当すると考えます。このような状況についてはそういうふうに判断できると思います。
  268. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 一例を先ほどから出ておった学校名を挙げられておるわけでありますが、まあ人口にも膾炙しておることですからそれはそれとしまして、一体、杏林とか松本とかあるいは金沢とか、よく知られたケースがあるわけですね、こういったふうないわば公正を害されたと認められるようなケースというのはどういう道筋で明らかになったわけなんでしょうね。文部省で報告書の中から発見をしたとか、あるいは教授会の中で明確に指摘をしたとか、いろいろな道筋があると思うんですね。これはどうして具体的なケースというのは明らかになったわけですか。
  269. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 最近の事例につきましては、多くの場合報道機関によって報道せられて、それを契機といたしまして私ども関係者を呼んで事情聴取をした、その結果明らかになってきたという場合が多うございます。
  270. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部省で見つけたというような場合はあるわけですか、あるいは私学の協会側で見つけたというような例はあるわけですか。
  271. 犬丸直

    説明員犬丸直君) そういうものは、私ども、私学の状況につきまして常に何といいますか、監察的にしょっちゅう見回っているというようなことではございません。ただ、設置認可後のアフターケアというのがございまして、その場合に、いろいろ設置認可後の条件が満たされているかどうかという形でアフターケアをいたします。そういった状況のもとにおいて、従来は主として認可の計画、認可の際の計画を中心として審査するのでございますが、今後そういった点にも気をつけて調査するということになればあるいは発見することがあるかとも思いますけれども、いままでの段階では文部省が見出したというような状況はでざいません。
  272. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実際には、この条項については今度初めての通知ではなくて、昭和四十九年にも同趣旨の通知をされておって、これまでの間に一切、その通知に照らして文部省の目からながめれば適正に行われておったわけなので、内部告発があるなり、あるいはジャーナリストの手で報道されるなりした場合に問題になってきておる。そういうことになれば、ここに通達を再度厳かに出されましても、どうして空文化しない保証があるのか、こういう点についてははなはだ国民としても不安感を持つところであるわけです。まあ、以下他の条文の方で、こういういわば不正、不明朗な問題を発見をして、これをやめさせるという力とか仕組みとかいうものが保証されなければ、こういったふうな問題については成果が上がりにくいのではなかろうかと思うわけですが、その点についてはこの通達の中では一体どういう条項でもってこれをやっていこうとされるわけですか。
  273. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 基本的に私立学校に対する文部省関係は、まあ、私立学校法に自主性と公共性という形でうたわれているわけでございますが、個々の行動について権力的にと申しますか、強制的にあることを命ずるという形になっておりませんで、指導、助言という形になっております。大きな枠の中では今回の通達も指導のものでございます。しかしながら、従来とかなり違います点は、これはこの通達を出すまでの間に私学関係の医科関係、歯科関係大学と話し合いを重ねてまいりまして、こういう方向でやっていくんだということで、歯科大学側もその方向を了承して、みずからやはりその方向でこれから自粛していくんだという声明まで出しておられます。そういうことがございますので、今回は前回の場合と違いましてかなり私学側の協力も得て実効を上げていくことができるんではなかろうかというふうに期待いたしておるわけでございます。
  274. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、二番目の入学者選抜の公正確保という通達の第二項、これを厳正に実施することによって従来とは異なった効果を上げていくというような御答弁があるものかと思ったんですけれども、はなはだ精神主義的なもので、そういうふうな状況では、四十九年通知が出されて以来、何ら通知自身は効果を上げることができなかったというような実態とも相まって、はなはだ心もとないものがあるわけです。この第二番目の項目で、入学者の決定については関係法規の規定に基づき適正な手続により厳正に行うようにする、こういうふうなことを書かれておるわけですが、これについても、関係法令の規定に基づかない不適正な手続によって入学者決定をやっておったという、こういう具体的なケースを想定して描かれておると思うわけなんですけれども、これはどういうことなんですか。
  275. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 先ほど来御説明をしております愛知医科大学のケースが最も典型的なものでございまして、いわゆる教学サイドが入試にタッチをするのは、問題をつくり、そして採点をするところまでである。それから先は、いわば採点をしたリストを理事者側に提出をして、そして理事長なりあるいは理事長学長が協議をして決めていく。教学組織がその合格者の最終決定について、いわば教学側としての責任を持つ体制になっていないというようなことがございます。これは金沢医科大学の場合であっても、多少愛知医科大学の場合よりは教学側の対応する体制整備はされておりますけれども、やはり最終的に教学側が責任を持てないという体制になっている点においては変わりはございません。こういった点はこれから大学設置審議会のアフターケアを通じ、あるいは学年進行が完成しましたものについては視学委員の視察を通じて——正直のところこれまで私どもは、入学者の選抜についてはまさに関係法規の規定するところに従って教学側の責任をとった体制でとられていると考えておりましたが、こういった実情にかんがみまして、特にそういった点であるとか、あるいは入学者の実員と報告されている在学者数との食い違いであるとか、今回のいろいろなケースを通じて出てきた点に重点を置いてアフターケアを強化をしていく。また、今回のいろいろなケースを契機としまして、各大学において教学側が積極的に責任体制を確立をして、その上で理事の組織との間に円滑な協力の体制をとろうという動きが出ておりますので、そういった方向を助けながらその通達の趣旨が実現できるように努力をしたいと考えております。
  276. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 もともとここに書かれておることは通達なんかを出さなくても、大学設置を認可をして運用されるときに、もちろん私立大学には自主性とともに公共性があり、これは適法に行われなければならぬわけですから、当然教学に関することとか、特に入学を許可する問題とか、あるいは進学、進級をさせる問題というのは、挙げてこれは経営の方ではなくて教学のサイドにあるべきことであって、これは法律が明文でもって命じておるところなんじゃないですか。どうなんですか、これは。
  277. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 御指摘のように学生入学、退学、転学等の問題につきましては学校教育法の施行規則に、教授会の議を経て学長が定めるところによることとなっておりますので、教学側がそれに対する責任をとれる体制整備をする必要がございます。
  278. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 第一項については、公正が害されたときは補助金を交付しない措置を講じるというようなことも書かれているんですけれども、第二項の場合にも、学則不備であり理事長独裁みたいな状況になっておることが明確であっても、それはそれで過去にも補助金も出されましたし、そういうものが認可の要件なり、そうして年々の補助の要綱としてチェックされていないと、こういうことであれば、またまた、たまたま内部告発なり新聞記者諸君の活動にまたなければ行政が機能しないというような状況になってくるわけだと思うわけですけれども、この学則の整備なり、この中で教授会が機能するように位置づけられる点をチェック機能として確立していかれるというお考えがあるのかどうか、その点を、特にこれ大臣にお伺いしておきたいと思うんです。これ違法行為がいままで野放しにされてきたということは、いわば文部省が認めてそういうことをやらしておったということになると、公教育としての大学を法律の番人であるはずの監督官庁が無視してきたということにもなるんです。これに対してひとつ改めての措置について具体的に述べていただきたいと思うんです。
  279. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 私立大学の場合には、それぞれ大学によりましてその建学の理想というものがありますし、また伝統に基づく大学運営あり方というものがございますから、一律に事を考えるということは適当ではないとは思いますけれども、基本のところはきちっとしていなければならないと思います。具体的には、毎年度学生募集要項を私どもの方にお届け出をいただくわけでございますが、その学生募集要項の中で、入学時の納付金等についてどういうふうな記載が行われているかということを私どもはチェックをいたしますが、その際にあわせて、教授会規程等についても提出を求めまして、いま御指摘のような諸点についてその大学がどのように対応しようとしているかということについて具体に毎年度チェックをしてまいりたいと思います。
  280. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 問題の出ておるケースというのは決まって教学が不当に抑えられて理事会の決済権能で実施をされておる。大体、政府もそれを見て見ぬふりをしておったと言われてもやむを得ないような実態があったと思うわけであります。少なくともこの点が確立していないような体制では、これはまあ、少なくとも補助要綱等に照らしても欠格であるのではなかろうか。そういう点についてはどうなんですか。
  281. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 補助要綱等の関係でございますが、私学振興助成法で言う「教育条件又は管理運営が適正を欠く場合」ということに該当する場合には、これは補助要綱違反ということで補助金の停止というようなことは可能でございます。それはケース・バイ・ケースであろうと思います。
  282. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ケース・バイ・ケースとかニュアンスとか言う前に、法定の教授会の確立というものについては、この点は責任を持って少なくとも今後そういう点に欠陥のあるようなものは文部省が見届けて是正をする、こういうふうでなければならぬと思うのですけれども、大臣いかがですか、その点は。
  283. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは御指摘のとおりでありますし、また私どもも先ほど来お答え申し上げましたように、入学試験制度の公正確保とともに、学校の教学、経営両面に関する立て直しを指導していかなければならないし、またそこに改革が求められなければならないと、こう考えております。
  284. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 教育上の権限を持つこの教授会の設置というものはこれは必須条件である、これに対して適正を欠くようなものは、この点は是正をさせるように行政で力強く指導していくと、こういうふうに聞いてよろしいですね。——うなずいておられますから。
  285. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) そのとおりであります。
  286. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 次に、第四項についてお伺いをするわけですが、「経理の適正処理と財務状況の明示」という項目があるわけであります。内部監査の強化などによって経理の適正を期する、そして必要に応じて財務状況関係者に明示すると、これはどのようなことをやるわけなんですか。
  287. 犬丸直

    説明員犬丸直君) さしあたりやはりまず大事なことは、学費を納めてもらう、あるいは寄付を納めてもらう父兄、学生に対して、こういう経理状況であるからそういうものを納めてもらう必要があるんだということを納得させるに足りるような資料を提示するというようなことであろうと思います。
  288. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 つまり「各大学は、」と、こうありまして、この「必要に応じて財務状況関係者に明示する」とある「関係者」は学生ということですか。
  289. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 学生もその一例でございまして、たとえば文部省所轄省というようなこともございます。これは他の法令関係でもすでに必要な状況は報告するようになっておりますけれども、さしあたって、現在の段階でまず従来の経緯に照らして必要なのはやはり父兄、学生に対する明示ということが一番大事なことではなかろうかと思っております。
  290. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうすると、この部分は文部大臣記者会見等でいろいろ述べておられました、特段に経理の公開というのを進めていこうというような趣旨を持っておるものではないわけなんですか。これがいわゆる経理の公開なんじゃないでしょうね。どうなんですか。
  291. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) このことにつきましては、少なくとも私学振興助成法に基づいて経常費を多額に助成するわけでありますし、また学校についても学納金その他の金額の問題について文部省はいろいろ指導をしなきゃならぬわけでありますから、だから、学校というものは、やっぱりその大学の自主性は尊重しますけれども、しかしそれを越えるいろいろな政策的な必要があった場合には、学校の内部の経理関係者には公開してもらう、私の考えはそういうことであります。
  292. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いままでからやってきたことに何か新しくつけ加えるものが出ているのですか、出ていない前のとおりなんですか、どうなんですか、その点は。
  293. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 従来はその点において欠ける場合が非常に多かったと思います。たとえばいまの愛知医科大学の場合におきましても、その辺が不明朗な形であったということはございますので、今後それを改善したいと考えておるわけでございます。
  294. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 当然教授会も確立するなり内部が強化をされれば学内においては、これは前段の部分ですね、この点は行わるべきことですし、各大学においてはこのくらいのことは現実に行われておることと承知するのが当然だろうと思うんですね。こういう状況下で、今日のような状況下で改めて大臣が大きく経理の公開というふうに打ち出された以上は、これを一定関係者というのは学外の者、たとえば報告をいままででも私学財団もしくは私学協会もしくは文部省に対してやってきているわけですね。こういうものを一定の関係者資料公開をするというようなことを含まなければ前進にならぬのじゃないかと思うんです。たとえば私どもの方でこの問題を深く調査をしていく上で、従来から行われておった文部省に対する報告書、資料、これらのものを、たとえば文教委員会調査の必要があったらこれを公開されるとか、こういうような点で一段と進めていかれる気持ちはないわけなんですか、どうなんですか、それは。
  295. 犬丸直

    説明員犬丸直君) それは、その必要性につきましては、その都度必要な範囲内において必要なものを公表していくということでございまして、明示していくということでございまして、いま文部省に届け出られております書類を全部それを外へ発表するという趣旨ではございません。
  296. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 無制限に外に発表する必要はなかろうと思うわけですね。しかし少なくとも、たてまえとしてガラス張り——公開にするということをこの際なし遂げていく必要がある。私はここで一つ提起をするわけですけれども、すでに大学側からいままでどおり報告書を上げてきておるものを、これをたてまえとして資料公開をされる、こういう措置をとられる必要があるだろうと思うのです。いかがですか、その点について。
  297. 犬丸直

    説明員犬丸直君) この項目の趣旨は、社会の私学経営に対する信頼感を確立するということでございますので、その範囲内において必要なものを関係者に明示するように処置してまいりたいと思います。いまおっしゃったような形でやることは必ずしも現在考えてはおりません。
  298. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 どうして、ここに記述されたような措置というのは従来どおりであって、何も新しい措置がとられるわけじゃないんじゃないですか。どういうことでこれでもって信用回復ができるわけですか。
  299. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 従来はその点につきまして大学側の努力も不十分であったと思います。それで今後はそういうことをより強化してまいりたいということでございます。まあ、愛知医科大学の例をごらんになればわかりますように、大変その辺が不明朗であるということは世間でも指摘されておるわけでございまして、ああいうような点がもっと明らかになっていくということで、従来と全く同じということではない。大変改善の措置が一歩進められるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  300. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それではしぼってお伺いしますけれども、これらの各大学から報告されておる資料は、少なくとも本国会文教委員会の要求があればこれはいつでも資料として提出される、そこまでの程度は公開される用意があるのかどうか、この点にしぼってお伺いしましょう。
  301. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 一般的な御指摘でございますので、その書類を公開するというようなことはただいま申し上げるわけにまいりません。
  302. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私、ここでひとつ明らかにしてもらいたいと思うんですけれども、いま私大の医科、歯科系に対する国の補助金というものはかなりの額に上っているわけであります。一体これが学生一人当たりにして医科、歯科系に対する補助金、すでに答えの出ておる五十一年度でどのくらいになってますか。
  303. 犬丸直

    説明員犬丸直君) いま覚えております数字としましては、五十二年度の予算では一人百三十万円になっております。医学系でございます。
  304. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それでは、私学側で充てておるいわゆる経常費ですね、消費的支出と申しますか、これはどのくらい充てておるわけですか。
  305. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 経常費の状況につきましては、五十一年度の数字がいま出ておりますが、大体一人当たり三百二十八万円ぐらいの経常費がかかる、私どもの方に報告のあった数字を平均いたしました数字でございます。
  306. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それはなんでしょう、赤字ぐるみでしょう。ぼくの見たところでは、文部省調査の金額は納入金が百三十七万八千円、それで国の補助金が百三十万六千円、そうして赤字が八十四万五千円というようなふうに上げられておって、おおよそ経常費と納入金の関係では半々になっておるわけですよ。いわゆる経常費の中で、ほかの大学ではまだ私学についての立法ができた今日もなお三〇%にも満たないという状況の中で、私立大学には国の補助金がおおよそ半額、経常費の。そうしてそのほかにこの建設費についてはいろいろ融資もしよう、それだけのことをやってさておいてなおかつ、どうしてべらぼうな高額の金を取らなければならぬのか、一向明らかにならないわけですね。少なくとも、この問題というのが新聞調査、私学側の調査文部省側の発表しておるものでも大きく違っておるわけですね。その内容は、赤字の組み入れ方の問題だとか、いろいろな技術的な点はあるでしょうけれども、全体としていままでうやむやで、不明のままで大体補助金が積まれてきたというのがこれが実態だと思うわけであります。この際に、大臣も経理を公開する必要があるということを筋論として述べられたのなら、少なくともすでに上げられておる各大学のこの経理、これだけは公開をするというような立場をとられるべきだと思いますし、この問題については国会調査の問題とも関連をして、理事会等にも諮りたいと思います。委員長、その点についてひとつ理事会に諮りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います、資料請求の問題については。
  307. 吉田実

    委員長吉田実君) 理事会で相談しまして、取り計らいたいと思います。
  308. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 最後にお伺いをするわけでありますが、こういう状況の中で、なおかつ、私大協側の態度としてガイドラインを出して一千万円というようなものを特別学納金というようなことで、今度は公然と徴収をするというような状況が報道されるわけであります。これ一千万円の金が払えない者は入学条件にはならなくても進級できないわけでしょう、こういうことが決められたら。こういう状況では教育の機会均等というような憲法の条項も泣くんじゃないかと思うわけです。これについてひとつどういうふうに対処されるのかお伺いをしたい。それをもって質問を終わりたいと思うわけであります。
  309. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 経常経費にどのくらいの赤字が出るかということにつきまして、医科大学協会、歯科大学協会、それぞれ自分たちの間で考えて、このくらいは赤字が出るというような数字があるようでございます。私どもは私どもで、私どもの方に集まりました数字を分析いたしまして、どのくらいになるんだろうかというような計算をいたしております。多少やはりそこに食い違いがございます。この点につきましては、今後歯科大学協会、医科大学協会側とも十分話し合いをし、今後具体的に個々の学校につきまして妥当な金額に落ち着くように指導をいたしてまいりたいと考えております。
  310. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 こういう状況では、国民が医療荒廃を憂える声から、新聞も大きくキャンペーンを張って、全体として動こうとしておった状況がこの通知によってむしろさまされて、そして従来どおりの状況が温存をされるという危険を非常に強く感じるわけであります。特に今後一層積み上げていく補助金のその重みから考えましても、これが行政効果が上がって、一千万というようなべらぼうな金がこの医師養成のための必須条件となる、これが四〇%に及ぶ医師養成の中での私学の全体の動向になるというようなことは許されないと思うわけですね。どういう名前がついてもこれは強制寄付金であります。こういうような状況は学費の値上げとあわせて、少なくとも公的審議機関の、これだけの補助金を受けるものは公的審議機関で検討をして、学費値上げ、納入金の問題を決めていくというような、ひとつ行政的なあるいは立法的な方法についても将来検討していく必要があるという意見を申し上げまして、きょうの質問を終わります。
  311. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほどから医大並びに歯科医大等についていろいろ論議されております。  私もまず初めにこの医大、歯科大学の問題、寄付金の問題について文部大臣にお伺いをしたいと思います。私立医大、歯科医大の多額の寄付金、さらに不正入試などが現在大きな社会問題となっておるわけであります。この是正のために、文部省は各大学に対しまして入学寄付金の禁止及び入学者選抜の公正確保についての通知を先日出されたわけであります。ところが、これに対して大学側は入学寄付金をやめるかわりにその大部分は学生納付金に転嫁する考えである、このようなことが報道されております。私はここに非常に大きな問題があると思うのです。まず大臣として、基本的にいままでの寄付金学生納付金に肩がわりすることを認められるのかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  312. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これはお言葉を返すようで申しわけありませんが、安易に肩がわりをすることを認めるという立場ではございません。そして同時に、いままで社会の批判を浴びた問題は裏口で不明朗に行われた、そしてそれが選抜の公正を害しておった。いろいろあるわけでありますから、これは思い切ってこの際改革をするために、経常費としてかかるものはきちんと表に出す、そしてそれは学生の納付金、それから国の方の補助金大学自体の自主努力、そういったもので片づけるようにしていくべきであるというのが私の基本的な考え方でございます。そのために、医科大学協会側がそれではこれだけかかるということを言いますときには、やっぱりそれはそれぞれの学校によっていろいろ事情もあろうと思いますけれども、その事情の中でも自主努力をして、軽減するようにこれは要求を強くいたしますけれども、同時に文部省としても、医師の社会に果たす役割り、医師の必要性というものから考えまして、いろいろ政策努力を重ねながら、たとえば学納金が本当に多くなって、入学時に一時に払うのに多額になるときには、これの分割を考えるとか、あるいは学生によっての減免措置等を考えるとか、あるいは学校自体が特殊な奨学金制度を考えるとか、あるいは既往債務の返還のために、必要ならば私学振興財団からの融資を考えるとか、いろいろできるだけの政策努力をすることによって、皆が力を合わせることによってレベルを抑えていきたい、こういうことでありまして、ただ単にきょうまで入学時にとっておった寄付金を学納金に肩がわりするものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  313. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は今回の通達が、入学時の寄付金、さらにそれにまつわるこの不正入学、そういうものについて一つの禁止措置を設けられた、これは一歩前進だと思うんです。しかし、この通知の全部をながめてみたときに、私は、まだまだこれでは解決しないんじゃないかという気がします。なぜならば、根本はやはり医大の経費が非常に多額にかかる。ここに一つの問題があるわけです。  そこで、お尋ねをしたいんですけれども、現在医科大学あるいは歯科大学の場合、医師一人を養成するに必要な経費は一体どれぐらいかかるのか、国立の場合、さらにこの私立の場合にどれぐらいの差があるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  314. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これは個々大学によってかなり差もございますし、なかなか数字のつくり方はむずかしいのでございますが、私どもの手持ちの資料によりまして分析いたしてみますると、これは五十一年度の数字でございますから、現在の段階ではもう少し物価上昇等の関係で多くなっておるかとも思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、私立大学の場合に、経常支出が学生一人当たり三百二十八万一千円でございます。したがいまして、それを六年間かかるといたしますると、六倍いたしますと、千九百六十八万円ということになります。それで国の場合でございますが、国の場合には、これまたいろいろ複雑な要素がございましてむずかしいのですが、病院の関係の計算の仕方によっていろんな数字が出てまいります。それで、私立大学の場合には、病院の教官、これは全部学部の方に入れて計算してございます。病院の経費全般を入れますとまた違った要素になりますので、そういう同じ計算をして試算いたしますと、一人当たりが国立大学の場合には三百五十一万一千円ということになります。その差は、私学の方が約九三%とやや安いという数字になっておりますが、大体そのような見当でございます。
  315. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それに関連して一つ疑問があるんですが、私立大学の場合、経常経費ですか、経常経費が三百二十八万円とした場合に、来年度の予算で、概算要求で一人百八十万という線が出ておりますね。これは私学振興助成法の第四条との関係ではどうなりますか。経常経費の二分の一……。
  316. 犬丸直

    説明員犬丸直君) これは五十一年度の数字でございますから、五十三年度になりますと、これもう少し大きくなるんじゃなかろうかと思います。私どもの推定ではそういうふうになりましても、二分の一を超えるものでないと考えております。
  317. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 わかりました。ただ、いずれにしましても、約八十万国が補助をされる、出したとしても、その額かそれ以上のものを私学側で負担しなくてはならない。そしてこれが学生あるいはその父兄の負担となれば、やはり一千万近い、六年間でですね。一千万円前後の負担とならざるを得ない。もしこれが、寄付がどの程度になるかわかりませんけれども、大部分が納付金というかっこうになるとすると、やはり非常に大きな負担というものが学生にかかるわけです。だから、医大というものは金持ちの息子でなければ行けない、私立医大ですね。この状況はちっとも変わらないのではないか、この点についてどう考えられるか。また、一つの将来の構想として、こういう経費がかかることはある程度やむを得ないと思うんです、医大の場合ですね。そういうものの負担のあり方というものがどういうかっこうが望ましいと思われるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  318. 犬丸直

    説明員犬丸直君) 私立大学の医学部である以上は、少なくとも経常費の中についてはこれが学生の負担にかかっていくという状況は基本的にはやむを得ないと考えます。しかしながら、御指摘のように、私立大学の医学部には特殊な金持ちしか行けないという状況になってしまいますると、私立大学というものの存在の発展のためにもよろしくないので、できるだけまず金額を下げるように努力していく、経営努力でもってできるだけの努力をしてほしい。冗費の節約というマイナスの面からあるいは病院の経営等についての合理的な積極的な努力をするとか、あるいは第三者の寄付を集める努力をするとか、そういうことを精いっぱい理事者はやっていただきたいということ。それからもう一つは、同じ学費で取らざるを得ないという状況におきましても、一括して一千万とかいうような金を納めることがなかなかむずかしいというような学生に対してはそれの分割の納入を認めるとか、あるいはさらに、長期の奨学金というようなものを努力してそういう制度を実施してもらう。そういうような形、あるいは少なくとも一部分の学生についてはそういったものを免除する、そういったお金を払わなくてもはいれるという学生も、そういう余地もつくっていく、そういうような努力をしてもらいたいと思います。そういうような大学側、学校法人側の努力とともに、政府といたしましても、できるだけ公費助成というものは拡充してまいりたいと考えております。
  319. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣にお伺いしますけれども、この通知は、先ほど申し上げましたように、入学時の寄付金による不正入学を防止する、そういう意味では一歩前進ですけれども、反面、私は逆に問題が一つ出てくると思うんです。どういうことかと言いますと、五十二年度の寄付について文部省の発表があります。これは医学部で平均二千二十九万円、歯学部で一千四百五十六万円、医学部の最高が五千七百万円、最低が百万円、歯学部は最高が二千五百万円、最低が百万円。最高の部分はいいとして、最低はいままでは百万円の寄付ではいれてた。ところが、今度は納付金というかっこうになれば、いまの計算によればどうしても一千万ぐらいやっぱり不足するわけですからね、それを大学側は寄付か納付金かどっちかで取らなければならない。そうすると、納付金の部分がたとえ半分としてもいままで百万円の寄付であった部分が五百万円の納付金になる。つまり貧乏な学生にとっては非常に大きな負担増になるわけです。だから、不正入学防止という面では一歩前進ですけれども、反面これが納付金に転嫁されるとなれば逆に非常に大きな問題が生じてくる。先ほどから言われておりますように、分割払いとかあるいは奨学資金とか、そういうことを言いましてもこれは言うなれば単なる補足的な逃げ道にすぎないわけです。分割払いであろうとどうせそれ払わぬといかぬ、奨学金であろうと返さぬといかぬ。したがって、私はこういう別の大きな問題が生じてくると思うんですけれども、この点については大臣はどう考えておられるのかお伺いしたいと思います。
  320. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私立の医科、歯科大学の問題の改革で決断をしますときに、一番心に引っかかりましたのは、いままさに御指摘の点でございます。しかし、考えてみますと、いままで社会的な批判を受けて、多額の入学金が入学条件になっておったということを、ほかのいろいろな理由でこのまままたふたをしておくのでは問題の本質的解決にならないと私は判断をいたしました。その結果、御指摘のように、医学、歯学の経営には、学生の育成にはお金が要るんだということは国立も私立もともに数字の上で出してきておる問題で、おっしゃるような学生の納付金——学生にかかる経費というものがいままでと比べて割高に払わなければならない層が出てくることもこれは事実でございます。それを踏み切ってこういった制度で改革をしようといたしました以上は、これはやっぱりできるだけの政策努力をして、そういった状況をできるだけ救済しなければならぬ、この努力をあわせ行うのが当然のことであると思いましたので、入学金の分割払いとか学校自身のいわゆる特別な奨学資金であるとかあるいは学校自身に対する経常費の助成とか、いろいろございましたが、しかし、きょうまでも現実に百万円の納付金で済ましたという事実があるなれば、寄付金で済ましたという事実があるなれば、やっぱり学校当局を、きょうまでできたことでありますから、指導をして減免とかあるいは学生納付金の免除をきめ細かく配慮をしてもらいたい。そういったことによって、そういう今度の改革によって急にお金の負担が大きくなる、そのために行けなくなるという人を何とか救済していかなきゃならぬ。これは厳しい問題でありますけども、ぜひ学校の事情もいろいろ聞きながらそういったことによって救済できるように指導していきたいと、こう考えております。
  321. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、これは非常に大きな問題でありますから、ただ単にこのことだけで解決すると思いません。たとえば国公立の医大をもっとふやすとか、あるいは私学の援助に対する基本をもう一遍考え直すとか、そういう大きな措置も伴わなければ、たとえ多少節約してみたところにしろ年間何百万という金がかかることはこれは間違いないわけですね。それはどこかが負担するわけですが、ただ、それが学生に過剰にかからないようにお願いをしたい。特に今回の措置に当たりましては、この納付金の決定に当たっては文部省の責任において極力これを低額に抑えてもらいたい、この点をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つこの通知に関連してお伺いをしますけれども入学寄付金の禁止の項に違反した場合には補助金の交付をやめるということが書いてあります。——やめることもあり得ると。ところが、これはこの入学寄付金の問題だけにこのことが書いてあって、ほかの項目には補助金の交付の条件ということが書かれてないわけですね。私は、入学選抜の公正の確保とかあるいは経理の公開とか、こういう他の要素についても私は補助金交付打ち切りの条件にすべきではないかと思うのです。入学寄付金の問題だけにこれが書いてあるのは一体どういうことなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  322. 犬丸直

    説明員犬丸直君) この入学寄付金の問題が一番現下の情勢において問題とされておることでございますので特に書いてございますが、なお、この(通知)の前文ではこういうふうな表現をいたしております。「おって、文部省としては、各大学経営の健全性の確保等のため所要の配慮をしてまいる所存でありますが、補助金の交付等については法令の規定にのっとり一層厳正な態度で対処するものであることを申し添えます。」、この文言は全体にかかるものとお考えいただいていいと思います。ほかの条項の問題でございましても、管理運営の適正というようなことで私学振興助成法に書いておりますような条項に該当するような場合には、あの条項に照らして措置をとるということも考えられることでございます。
  323. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、この中に書いてある一番むずかしいことが入学者選抜の公正確保であります。先ほども質問に出ておりましたけれども、これは結局、裏口入学でありますから表に出てこない。表に出てこないように不正入学させるわけですね。だから、そういうものは関単には発見できないわけです。そこで、一つの方法として、私立医大協会、それから私立歯科医大協会に対して出された文書の中には、共通第一次学力試験への参加を希望しておられます。しかし、私は共通一次試験への参加が本当にこの不正入学の防止につながるかどうか、これも疑問に思うわけです。二次試験は大学独自でやるわけですから幾らでも不正入学させようと思えばその手がある。したがって、この不正入学を防止するためにもっと効果的な方法はないのか、あるいは考えておられるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  324. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) やはり先ほどもお答えをいたしましたように、入学者の選抜について法令が規定しております教授会なり学長なり教学側の責任体制を確立をする、そして理事会との十分な円滑な運営体制を整えるということに尽きると思います。そこの入試の選抜についての教学側の責任というものがはっきりと確立をされるならば、この入試の改善というのはかなりの部分実現を見るのではないかと考えております。
  325. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、私は、幾ら私立大学にしろ、国から多額の補助金が出ておるわけですから、その教育内容というものにやはり重きを置かないといかぬ。したがって効果的な教育が行われないようなところに多額の国民の税金を使うわけにはいかないと思うんです。したがって、これも私は補助金交付の条件にすべきではないか。もちろんこれをどういうことで判定するかなかなかむずかしい問題でありますけれども、ただ、医大の場合には国家試験があります。国家試験のその合格率というものが大学によって非常にばらつきがある。しかも私立医大の場合には非常に悪いところがある。私はこういうものも一つの参考にして、余りこれが教育内容の悪いところに対しては補助金を出すべきではない、このように思いますけれども、いかがですか。
  326. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) 確かに医科・歯科大学の場合に、ことに私立の新設の大学の場合にかなり成績の悪い者が入ってきたということが原因になっておりますが、留年者が非常に多い。そういった状況のもとで六年間一貫して効果的な教育を行っていくということにつきましては、教育の内容、方法についてもあるいは教学側の体制についてもより一層努力をしませんと十分にいかないという点がございますが、それらについてはアフターケアを通じ、あるいは視学委員を通じてさらに私ども指導の強化に努力をいたしてまいりますが、国家試験の合格率をもって直ちに当該大学教育あるいは研究の内容を評価をするということについては率直に申しましてためらいを感じます。やはりそれが余り出ますと、今度は国家試験のためにもっぱら予備的な勉強を大学でさせるというふうなことになりますと、本末を転倒する結果になりますので、全体としてもちろん国家試験の合格率を上げていくような努力をしなければいけませんけれども、直ちにそれをもって当該大学教育・研究の成果であるというふうには判断したくないというふうに考えております。
  327. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間も残り少なくなりましたので次の問題に移りますが、現在の大学あり方についてお伺いをしたいと思います。  現在、非常な不況が長続きしておる中で求人倍率というものが低下しております。特に大学卒業生の就職難はますますひどくなりつつある、そして将来を展望してみても大学卒業生が従来のようなホワイトカラーあるいは管理職へ全員が進むということは考えられなくなる。こういう環境と現在の大学あり方についてどう考えられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  328. 佐野文一郎

    説明員佐野文一郎君) まず、大学卒業生の就職の状況でございますが、五十二年三月末の就職の決定の状況は五十一年三月の場合とおおむね同率でございます。大学で八三・七%、短大で八五・四%、高専が一〇〇%でございます。こういう状況であるということは、就職希望者についてはおおむね一〇〇%就職決定が行われたと見ることができます。ただ、就職した先がそれぞれの学生が希望するところと必ずしも一致しないところに就職をしているというふうな状況があるということは考えなければならないと思います。また来年の春の大学卒業予定者の就職の見通しにつきましても、もちろんこれは楽観はできませんけれども、現在の関係新聞社あるいはリクルートセンター等の調査を見ておりますと、おおむねこれもことしとそう違わない求人の状況はあるようでございます。ただ、内容が少しずつ変わってくるということは御指摘のとおりであろうかと思います。いずれにしましても、大学教育あり方について、学生の需要、要請が多様化してくるということは当然のことでございますし、それはまた社会の要請が多様化をしてくるということを反映することでもございますから、そういった要請に対して柔軟に大学、短大が対応できるようにいろいろな教育方法についてももとよりでございますけれども、新しい構想を持った学科等を設置をしようというふうなことにつきましても、私どもは各大学の努力を助けて、一緒にそういったいろいろな要請にこたえられるような、よりいわば実学的な大学教育がある意味において実現できるような努力をしてまいりたいと思っております。
  329. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 文部大臣は、指定校制の廃止を経営者団体に要請されたということを聞いております。これについて、その後の経過はどうか、それから今後の見通しはどうか、お伺いをしたいと思います。
  330. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私は、かねてから学歴が必要以上に幅をきかすのは間違いだから、何とか排他的な指定校制度に改革をもたらしてもらいたい、このことは経営者側に申し入れをいたしておりました。八月の十九日だったと思いますが、党の文教部会の席に経営者四団体側とともに私も招かれましたので、その席上でも強く要請をいたしましたし、また、私自身が経営者団体を歴訪いたしまして、さらに真意を詳しく説明をいたしました。要するに、学校によって企業を受けるチャンスを区別するのはやめてもらいたいという、この一点にしぼってことしはお願いしたわけでありますが、私は、ユネスコの国際教育会議に出席をいたしておりましたが、その留守中、八月三十日だったと思いますが、四団体を代表して、文部大臣の要請にこたえ関係傘下の企業に対して、今年度は受けたいと言って訪ねてきた大学卒業生に対しては、門前払いをしないで対等な受験の資格を与えるというように各企業が処置をしてほしい、というような意味の内容の文書による返答をいただきました。これは排他的指定校制度というものに対して、私は、風通しがよくなったものと率直に評価をしたいわけでありますけれども、今後十分にその趣旨が守られていきますように、さらに私の立場でできるだけの努力を続けていきたい、こう考えております。
  331. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、大臣がこの指定校制の廃止を呼びかけられ、また、それについて経営者団体も、必ずしも完全とはいかないまでも、その方向に対して努力をしておる傾向は見られております。これはやはり一歩前進ということで評価したいと思いますけれども、ただ問題は、この指定校制というものを採用するようになった背景の問題があるわけですね。これは、私はやっぱり大学の乱立と、それから大学の質的低下というものがその背景にあると思うんです。私は、この問題をこれからやはりぼちぼちどうするか考えていかなくてはならない時期に来ておるのではないか。大学の増加の経過を見てみますと、一番著しくふえたのが昭和三十七年から昭和四十三年ぐらいの間であります。この間は大体年間二けた台の数の大学が毎年設置されてきておるわけですね。しかもほとんどが私立大学です。これの背景は何かと言うと、一つは日本の経済が高度成長期にあった。こういう中で、産業界が好況だから求人がふえたということもあるでしょうけれども、私は、それが主因ではないと思うんです。幾ら好況でも大学出がそんなぼんぼんたくさん要るわけではない。それよりも問題は、一つは、日本の社会におけるこの学歴社会というもの、こういう中で、親が、子供をせめて大学は出さしてやりたいという親心、さらにそれに加えて、高度成長で国民の所得水準が上がってきた。だから大学に行かしてやるだけの資力はできた。こういうことを背景にして私は、大学というものが企業として成立する条件が整ったからだと思うんです。だからどんどん雨後のタケノコのように私立大学というものをつくってきた。だから結局、その背景にあるものは、あくまでこの利潤追求型の企業的論理ですね、そういうものがこの大学の増設に当たっても私は働いたのではなかろうか。しかし、高度成長が終わってこれから減速経済に入るいま、このような大学あり方について何らかの転換なり、メスを入れなければ私は、非常に大きなひずみが社会に生ずるのではないかと思うんです。雨後のタケノコのようにできた大学、また、それを卒業する大量の大学生の就職、これから将来にわたってこれが大きな社会問題になるおそれがある。これについて基本的に文部大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
  332. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、現在の大学の数、あるいは大学に進んでおります同世代年齢者の数というものが著しく戦後ふえてきた。現在私どもは、大学の量的拡大ということを望むのではなくて、これをどう充実させていくかという質の問題に政策の主眼点を置いておるわけでございます。それに関しましては、やっぱり大学間の格差あるいは地方大学整備という問題もあって、これにも当面取り組んではおりますが、しかし大学というのが同世代年齢者の四〇%近くになってまいりますと、これは大学に学んだその四年間というものは自分がいろいろなことを実力を身につけるために学び得たということ、それの幸せであって、それが生涯ついて回るようなことはいけないという、まあ、言葉をかえて言いますと、学歴社会の持っております弊風の打破という社会的な意識改革というものとも当然相関連しながら、大学というものの置かれる社会における地位というものもやっぱり変わっていかなければならぬし、大学自身もまたそれにふさわしいものに生まれ変わっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  333. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大学がそのふさわしいものというのは具体的にどういうふうなことですか。
  334. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) それは、大学を卒業しておらなければいけないような職場なんというものも恐らくだんだんもう現実に意識の中で変わってきておりますし、それから従来は大学卒業生が参加をしなかったようなところにもあるいは参加される。大学を卒業していなくっても、やっぱりドイツのマイスターの制度のように、一々の問題について身についたものを持っておる人は尊重される。いろいろその社会の変革というものがあるわけですが、その中でなお、大学に行って自分は学ぼうというときには、それはやっぱり大学を出たことによって生涯を保障されようとか、いい企業に就職しようとかいう目的で大学に行くのじゃなくって、人生を豊かにするといいますか、自分自身にやっぱり身についたものをつけるために大学は進むべきところだというようなことに理解されていくようになったら私はいいと、こう思っておりますので、その考えを申し述べたわけであります。
  335. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  336. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  337. 吉田実

    委員長吉田実君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。  先般、当委員会が行いました教育学術及び文化財保護に関する実情調査のための委員派遣については、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議がないと認め、さよう取り計らいたいと存じます。  本日はこれに散会いたします。    午後四時四十八分散会      —————・—————