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参考人(
杉谷隈男君) 私は、
日本洋酒輸入協会の理事長をしております
杉谷でございます。
ただいま十分以内というお話がございましたが、ややオーバーするかもわかりませんけれども、よろしくお願いをいたしたいと思います。
ただいまから
輸入洋酒の概況につきまして御
説明を申し上げます。私どもの
日本洋酒輸入協会は、昭和三十四年に創立をいたしまして、ことしで十八年目を迎えております。この協会は、会員相互の理解と協調により円滑なる酒類の
輸入を行い、もって国民生活の向上に寄与するとともに、
輸入酒類業界の発展及び会員の事業経営の安定を図ることを目的とする任意団体でございまして、現在会員数は七十二社でございます。
最初に、日本
国内での全酒類の中におきます
輸入酒類の割合等につきまして申し上げます。わが国における酒類の課税移出数量は五十一年度で六百万キロリットル。このうち洋酒類は六・三%の三十七万五千キロリットルを占めておりますが、この中で
輸入洋酒類は約一〇%の三万七千キロリットルを占めております。この十年間の洋酒類の課税移出の伸びは年平均一〇%でございますが、私どもの取り扱っております
輸入洋酒も順調に増加してきているわけでありまして、四十一年度は三千四百キロであったものが昭和五十一年度には三万七千キロリットルとなっておりまして、十年間で約十倍の伸びとなっておるわけでございます。
輸入酒類の場合、当然ながら、いわゆる洋酒系統のものが多いのでありますけれども、昭和五十一年度の実績で見ますと、三万七千キロリットルのうち、
ウイスキーが二万二千キロリットル、ブランデーは二千キロリットルを占めておりまして、圧倒的に
ウイスキーのウエートが高くなっております。
ウイスキー類の
輸入品は特に
高級品が多くて、
国内品を含めましてのシェアを見た場合は、
ウイスキーの特級では一五・六%、ブランデーの特級では四四・七%を占めております。数字をキロリットルで申し上げましたので、ちょっとこの辺
説明を申し上げますと、一キロリットルはスコッチ
ウイスキーを一ダースに換算いたしまして、百十ケースに相当するわけでございますので、いま申し上げました二万二千キロリットルというのは、
ウイスキーの七百六十ミリ一ダース入りに換算いたしますと、二百四十万強の箱数になるということでございます。参考までに申し上げておきます。
次に、
輸入洋酒取扱業者の数及びその規模を申し上げますと、現在、
日本洋酒輸入協会の会員は、先ほど申し上げましたように、七十二社でございますが、このうち約五十社が直接
輸入を行っております。さらに当協会に加盟をしておらないで酒類の
輸入を行っているところが約二十社ぐらいあるかと推定いたしております。会員会社の業態は多岐多様にわたっておりまして、外資系の
輸入総
代理店、
輸入専業者、国産
ウイスキー、ビールの製造業者、それから
商社等が含まれております。また、この中で酒類の
輸入を専業とするものもあれば、兼業するという会社もあるわけで、企業規模につきましては大小さまざまでございます。
輸入洋酒の流通機構でございますが、
輸入洋酒の流通は、国産酒の場合とは多少異っておりまして、通常は総
代理店、特約店、卸、小売と、こういったルートで流れておるわけでございますけれども、嗜好品という
商品の性格上、その立地条件、得意先構成等によりまして、必ずしもいま申し上げたような通常のルートを通らずに、総
代理店から直接
商品が末端に流れる場合、あるいは特約店を指定しないで卸業者に流す場合もございます。
次に、
輸入酒類の中で最も大きなウエートを占めますスコッチ
ウイスキーに触れてみたいと思います。現在、わが国に
輸入、販売されておりますスコッチ
ウイスキーのブランドは、昭和四十六年の
輸入自由化後、相当の数に上っております。当協会といたしましても、正確な数字は把握しておりませんが、およそ百二十ぐらいと推定をいたしております。その中で大手五ブランドの
輸入量を推定いたしてみますと、全体の六〇%を上回る
程度かと存じます。これらの
ウイスキーが
輸入業者によりまして
輸入をされ、保税地域から引き取りの際、そのうちの一部免税市場、たとえば国際空港内の免税品の販売店、それから国際航空機内、外国船舶の中での使用分、これらを除きまして、関税、酒税を納付して引き取るわけでございます。現在スコッチ
ウイスキーの関税は一リットル
当たり三百九十二円で、これをスコッチ
ウイスキー七百六十ミリ一本
当たりに換算いたしますと二百九十八円でございます。この税額は昭和四十七年十一月に関税が二〇%
引き下げになって以来変わっておりません。一方、酒税は従量税適用のものと、従価税適用のものがございます。スコッチ
ウイスキーの場合はほとんどが従価税率の適用でありまして、日本の港に着いたときの
価格、CIFでございますが、その
価格にいま申し上げました関税を加えた金額に対しまして所定の税率の酒税を支払うことになっております。従価税の税率は一五〇%と二二〇%の二通りがございまして、この区分けは日本の港に着いたときのCIF
価格に関税を加えた額が一リッター
当たり七百七十円を超え、千百円以下の場合、これは一五〇%の適用を受けるわけでございます。千百円を超えると二二〇%の酒税を納付するわけでございます。スコッチ
ウイスキーの場合、七百六十ミリリットルが普通でございますから、その換算で申し上げますと、一本五百八十六円から八百三十六円までのものは一五〇%、八百三十六円を超えますと二二〇%ということになります。現在スタンダードクラスの
ウイスキーは一五〇%、デラックス物につきましては二二〇%の税率が適用になっております。この税率につきましては、四十七年十一月に関税が二〇%
引き下げられた
時点からの適用になっているわけでございます。
洋酒を
輸入する場合の利用する通貨について申し上げますと、洋酒の場合は欧米を中心といたしまして世界各国から
輸入する
関係から、使用する通貨も数種類ございます。たとえば
ウイスキーの場合は、スコッチ
ウイスキーは英ポンド建てでございます。バーボン
ウイスキー、カナディアン
ウイスキーはドル建てとなっております。果実酒の場合はフランスフラン、ドイツマルク及び米ドルが主体でありますが、最近の
円高傾向から
円建て輸入のケースもございます。またブランデーの場合はフランスフランあるいは米ドル建てとなっているのが現状でございます。
以上が一般的な
説明でございますが、これから具体的にスコッチ
ウイスキーの中でも大きなシェアを持つスタンダードクラスの
価格について御
説明をしたいと思います。
さきに
説明申し上げましたとおり、四十七年十一月に関税が二〇%
引き下げられました際に、酒税の従価税率が二二〇%から一五〇%に移行いたしたわけでございます。この結果、小売希望
価格は、それ以前の三千九百円前後から三千三百円に
値下げをされました。しかしながら、四十九年に起こりました
石油パニックによりまして諸物価が
高騰し、
輸入業者の諸経費が相当に
上昇をいたした次第であります。さらに加えまして、英国スコッチ業者のFOB
価格の
値上げが行われまして、総
代理店は出荷
価格を改正するのやむなきに至ったわけでございます。この
値上げに伴いまして小売希望
価格も三千五百円になった次第でございます。その後現在に至るまで
価格の変更はいたしておりません。しかしながら、実際の市場におきましては、この三千五百円の標準的な
価格もございますが、また一部ではバーゲンセール等で二千八百円、あるいはそれ以下でも売られていることは諸先生方も御承知のことと存じます。これらの
価格を平均いたしますと、約三千円少しとなるかと推定いたしておりますが、全体としては弱含みに推移しているのが現状であろうというふうに感じております。
次に、
輸入業者総
代理店の仕入れ
価格についてでございますが、仕入れ
価格といいますのは、通常、私どもの用語では水切り
価格と呼んでおります。つまり英国の港渡しに海上運賃と保険料を加えました合計、すなわち、CIF
価格にさきに御
説明申し上げましたとおりの関税、これはリッター
当たり三百九十二円でございますが、関税とさらに酒税が加算されたものが仕入れ
価格、つまり私どもの言う水切り
価格でございます。
説明を申し上げましたとおり、
輸入洋酒の場合は、酒税が
輸入コストと関税を加えた合計額への積み上げ方式でございますので、おのずと
輸入コストの
変動によって常に水切り
価格が上下するわけでございます。この点国産洋酒の場合とは異なるわけでございます。
この
変動の
要因の大きなものは為替レートと英国の港渡し
価格の
変動でございます。まず、為替の
変動でございますが、スコッチの場合はポンド建てでございますので、過去二年間のポンドと円の
関係を申し上げますと、ポンド相場は五十年八月、これは平均になりますが、六百三十四円二十銭でございましたが、その後次第に
低下いたしまして、五十二年八月、平均いたしまして四百六十六円八十一銭までおよそ三六%
下落しております。累計値下がり額は百六十七円三十九銭となります。次に、英国スコッチ業者の出荷
価格、すなわちFOB
価格の
変動でございます。ポンド相場の
下落を補うようにいたしまして、急激にこのFOB
価格が
上昇を続けてきております。五十年八月に一ケース
当たり七ポンド五十であったものが、五十二年一月には十ポンド十まで約三五%
上昇しております。これは英国におけるインフレの高進や
輸入原料価格の騰貴などが大きな原因となっているものと思考をされるわけですが、この
二つの主要な構成要素が絡みあった形で原価が構成されているわけでございまして、その辺を御理解いただきたいと存じます。
以上申し上げましたような結果で、
輸入業者の水切り
価格というのは、五十年八月、一本
当たりには約千七百九十三円であったものが、ことし八月には約千七百七十八円となっているわけでございます。しかし、この間の
小売価格は三千五百円の建て値で推移しているわけでございます。
もう二、三分ひとつお願いします。
総
代理店の
販売価格でございますが、次に総
代理店の特約店に対する建て値
価格でございますけれども、五十年八月には二千六百円であったものが、その後FOB
価格の二回にわたります改定の結果、現在では二千七百五十円に改定をされております。しかし、現在の総
代理店の実勢卸
価格は、市場対策費等を差し引きますと、各ブランド平均では二千三百五十円ぐらいになるのではないかというふうに推定をいたしております。したがいまして、これら総
代理店の水切り
価格と
販売価格との差、すなわち、二千三百五十円から約千八百円を差し引いた約五百五十円というのが
輸入業者の手取りとなると思います。もちろん、この中には金利、倉敷、通関諸掛かり、配送費、その他販売促進費、人件費等が含まれておりますが、四十九年のオイルショック後、これらの諸経費が大幅に
上昇しておりますので、多少の水切り
価格の
低下がありましても、なかなか吸収し得ないというのが現状でございます。
以上申し述べましたことが私ども当業界の実態でございます。私どもが取り扱っております
輸入洋酒という
商品は嗜好食料でございますので、この
商品の
特殊性から小刻みの
価格変更はなかなかむずかしい問題でございます。しかし、いま申し上げましたように、
円高の情勢下におきまして、
輸入業者の水切り
価格はほぼ
横ばいに推移しておるわけでございます。一方、
国内の諸経費は相当
上昇している事実もお認めをいただけると存じますが、私どもといたしましては、これらの必要経費の増加を取り扱い量の増大によりまして吸収をし、
円高によるコストの
低下をできる限り
消費者に還元するよう今後とも努力をする所存でございます。
以上
輸入洋酒の概況につきまして大変つたない
説明でございましたが、おわかりにくい点もあったかと存じますけれども、ひとつ御理解を賜りまして、今後ともよろしく御指導、御支援のほどをお願い申し上げまして、私の
説明を終わりたいと思います。時間を経過いたしまして申しわけございませんでした。