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1977-09-16 第81回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月十六日(金曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  八月二十三日     辞任         補欠選任      松本 英一君     対馬 孝且君  八月三十一日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     松本 英一君  九月三日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     藤原 房雄君      原田  立君     宮崎 正義君  九月十三日     辞任         補欠選任      松本 英一君     対馬 孝且君      小巻 敏雄君     小笠原貞子君  九月十六日     辞任         補欠選任      林  ゆう君     中村 啓一君      村沢  牧君     川村 清一君      青井 政美君     林  寛子君      最上  進君     竹内  潔君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 上條 勝久君                 青木 薪次君     委 員                 坂野 重信君                 竹内  潔君                 戸塚 進也君                 中村 啓一君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 川村 清一君                 佐藤 三吾君                 対馬 孝且君                 藤原 房雄君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    説明員        環境庁長官官房        参事官      岩崎 壽男君        国土政務次官   佐藤 守良君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        大蔵省主計局主        計官       角谷 正彦君        大蔵省銀行局保        険第二課長    森田  一君        文部省初等中等        教育局財務課長  古村 澄一君        厚生省公衆衛生        局結核成人病課        長        仲村 英一君        厚生省環境衛生        局水道整備課長  山村 勝美君        厚生省医務局指        導助成課長    岸本 正裕君        厚生省社会局施        設課長      山内 豊徳君        農林大臣官房審        議官       犬伏 孝治君        農林省構造改善        局防災課長    善木 正敏君        農林省農蚕園芸        局農産課長    山極 栄司君        食糧庁業務部長  秋川喜司雄君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        林野庁指導部森        林保全課長    小田島輝夫君        水産庁次長    恩田 幸雄君        水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        運輸省港湾局防        災課長      寺尾  健君        気象庁観測部参        事官       末広 重二君        労働大臣官房審        議官       谷口 隆志君        労働省職業安定        局雇用保険課長  望月 三郎君        建設省河川局水        政課長      吉沢 奎介君        建設省河川局治        水課長      川本 正知君        建設省河川局砂        防課長      大工原 潮君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        自治大臣官房参        事官       千葉  武君        日本国有鉄道経        理局主計第二課        長        長谷川 忍君        日本国有鉄道施        設局長      村山  熙君    参考人        東京大学地震研        究所教授     下鶴 大輔君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (東海地震に対する道路新幹線安全対策に  関する件)  (北海道有珠山噴火に関する件)  (播磨灘赤潮による被害に関する件)  (台風第九号による被害に関する件)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る三日、太田淳夫君及び原田立君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君及び宮崎正義君がそれぞれ選任されました。  また、去る十三日、小巻敏雄君及び松本英一君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君及び対馬孝且君がそれぞれ選任されました。  また、本日、林道君が委員辞任され、その補欠として中村啓一君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策樹立に関する調査のうち、北海道有珠山噴火活動状況に関する件について、本日、参考人として東京大学地震研究所教授下鶴大輔君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました北海道有珠山噴火による被害実情調査東海地方における地震予知及び災害復旧事実の実情調査、愛媛県、香川県における災害復旧事業並びに播磨灘赤潮被害実情調査、以上三班の委員派遣について、派遣委員報告を順次聴取いたします。上條君。
  6. 上條勝久

    上條勝久君 有珠山噴火による被害状況実情調査のため、去る八月二十九日、三十日の二日間北海道に派遣されましたので、その概況を御報告申し上げます。  派遣委員は、村田委員長小巻理事対馬原田柳澤山田委員と私の七名でありますが、現地では、中村、吉田、川村議員の三名が参加されました。  本調査は、衆議院調査と合同で行われたのでありまして、衆議院派遣委員は、湯山委員長以下六名、現地参加議員五名であります。  第一日目の調査は、午前中に北海道庁にて、有珠山噴火状況及び応急対策等概要被害状況道庁より、また、火山活動について札幌管区気象台より、続いて、道庁並びに道議会より有珠山噴火災害対策に関する要望を聴取いたしました。午後から被災地に向かい、中山峠を経て留寿都村、洞爺村、虻田町の被害状況調査し、特に虻田町では避難されている方々への給食を試食し、避難所を視察し、お見舞い激励をいたしました。  第二日目は、有珠北西山ろくを頂上より約二千メートル余で横断する洞爺温泉街南西から降下する約一千メートルの谷にある浄水場木の実団地洞爺温泉街壮瞥町、伊達市の被害状況調査するとともに、警察署自衛隊第七師団派遣部隊に対しその労をねぎらい、激励をいたしました。  まず、有珠山噴火とその降灰状況を申し上げます。  八月六日早朝から地震の続発が観測されていた有珠山では、翌七日九時十二分最初の噴火があり、噴煙高度は一万二千メートルに達しましたが、上空の風は西から北西で風速も毎秒五から十メートルと弱かったため、高い噴煙高度にかかわらず、火山れきを含む降灰有珠山南東伊達市上長和町地区中心とした壮瞥町、虻田町の同火山近傍域に多量集中しております。しかし、午後から三回の小噴火があり、夜半にかけての上空の風も西から北西毎秒十から二十五メートルと強まり、滞空していた火山灰及び午後の噴火に伴う降灰域は遠く胆振、日高管内にも及んでおります。  八日には噴煙活動が一時弱まっておりましたが、十五時三十分ころから再び強まり、十七時には噴煙の高さは一万メートルに達し、この日の午後から九日朝にかけて低気圧が東北地方北部を横断して東進したため、風も地上から五千メートル上空までは南東から南毎秒十から十五メートル、それ以上一万メートル上空では南西から西南西毎秒十五から二十メートルとなって雨が降り続いており、このため、この時間帯の噴火に伴う降灰有珠山北西方洞爺湖温泉街地区から洞爺村、留寿都村に集中し、温泉地区一帯では火山れきも多かったのであります。したがって、上空の強い風のため降灰域は石狩、後志、上川、網走管内に及び、降り続く雨のため農作物に付着した火山灰の洗浄が期待されましたが、二十三時過ぎの噴火は火映、火柱、火山雷を伴い、この間、降灰は、その後の九日未明にかけての強い雨とまじり合って激しく降り、農作物や樹木を圧倒しております。このため洞爺村を中心に田畑は厚さ十センチメートル前後のコンクリート状に固まった火山灰に覆われてしまったのであります。  九日七時以降休止していました噴火は、十時ごろから再び活発となり、十二時ごろには噴煙は九千メートル以上となり、洞爺湖付近には火山れきなどの落下が断続的に十四時まであり、上空の風は時間とともに南南西から西に変わり、これに伴って降灰流れも変化し、十五時から十六時にかけては日高十勝管内でも降灰がありました。  九日十四時以降は小康状態を続けましたが、十二日八時十二分噴火を始め、噴煙を三千メートル上昇させて洞爺湖付近降灰がありました。この噴煙は約四十分でおきまっております。同日、今回の噴火を一九七七年有珠山噴火と呼ぶことに決定いたしております。  翌十三日二十二時五十分から十四日二時ごろまで、降灰を伴う小規模の噴火がありましたが、それ以後現在まで小康状態を続けており、顕著な噴火観測されておりません。しかし、地震活動は依然として活発であり、有感地震を含む多数の地震が発生しております。震源は有珠山頂外輪山内の一から二キロメートルの浅い部分にあると言われております。また、十六日には降雨があり、降灰の多かった地区や傾斜地や河川付近などでは、降灰による泥流に十分警戒するよう注意報が出されましたが、雨量が少なく大事に至っておりません。  次に、被害についてであります。本災害の特色として、被害の著しい地域有珠山周辺の小範囲でありますが、その被害は特に激甚であります。道庁が八月二十八日取りまとめております総被害額は二百七十二億八百万円、その中で農業関係百二十七億七千五百万円、林業関係百十六億三千八百万円、水産関係三億千四百万円で、計農林省関係二百四十七億二千七百万円と総被害額の九〇%を占めております。  また、被害十四市町村別では、国及び公共機関被害総額計六十九億三千三百万円を差し引いた二百二億七千五百万円中、留寿都村十一億七千七百万円、壮瞥町二十三億六千五百万円、洞爺村二十九億七千百万円、虻田町三十二億八千五百万円、伊達市八十三億四千七百万円で、五市町村の計百八十一億四千四百万円と八九%を占めております。  次に被害状況等について数例を挙げます。  第一に、山崩れ等による二次災害のおそれがあるため集団移転をも検討しなければならない地区であります。虻田町の温泉浄水場とこれに並ぶ木の実団地個人住宅、その下方にある洞爺湖畔に至る家屋等は移転しなければならないとする意見が有力でありました。浄水場建物は半ば以上火山れきまじりの灰に埋まった跡があり、傍らの乗用車のガラス火山れきに壊され灰に埋没してしまっている状況であります。浄水場は、降灰が人体への悪影響を与える物質を含んでいないので稼動しておりますが、その建物より約五メートルくらいの有珠山側斜面応急措置として木くいを打ち込み、火山灰や、れき落下流出の防止に備えておりますが、ここより有珠山頂までは五十センチから一メートル以上の火山れきを含んだ火山灰が堆積しており、豪雨がありますと、その谷は泥流河川となるおそれがあります。温泉街に駐留している自衛隊は、この泥流を想定してその流れ洞爺湖に導入するよう土のうをつくって配置しております。したがって、虻田町では本町と合併した新しい浄水場の設置を、また、豊浦町からは地下水くみ上げ方式の水道場建設要望がありました。  なお、有珠山ろくに近接する住居地帯で第二次災害のおそれのある住家は、虻田町では七十戸あるとされております。  第二に、降れき降灰の著しい市町村民の収入問題であります。留寿都村においては、若干ではありますが農作物に手入れをした跡も散見されましたが、被災後の農作物は安く値決めされるといわれ、ジャガイモ、てん菜等畑作物の今後の生育は望めない状況であります。洞爺村は避難中で人影なく、地形上北海道では珍しい山の斜面を切り開いた段々畑の畑作の村であります。その畑はコンクリート状の灰に覆われており、収穫は全く望めない状況に置かれております。農家では、その他の市町村も同様でありますが、激甚指定天災融資法適用はもちろん、特に自作農維持資金特例限度額の設定が強く要望されております。また、中小企業従業員対策として、虻田町では噴火以来全く収入のない企業経営者が八月分の従業員の給与が支払えるよう金融機関に一億円の預託を行い、四億円の範囲内での雇用者安定制度、月給の六〇%貸付を発足させておりましたが、九、十、十一月と以後のめどが立っていないと言われております。なお、これら従業員季節雇用でありまして、雇用保険適用外に置かれております。  第三に、農林水産業共済制度の問題であります。農業では飼料作物を含む農作物林業では国営保険で免責される噴火による被害水産業では洞爺湖のヒメマスとホタテ貝被害であります。水稲共済制度との比較意見がたびたび聞かされております。  第四に、商工業者への被害対策でありますが、伊達市において北海道商工会連合会より要望がありました。その骨子は、激甚災指定はもちろんでありますが、抜本的金融対策確立でありまして、災害資金制度拡充強化長期低利資金三年据え置きの創設等であります。そのほか、災害復旧事業に対する地元企業優先雇用転廃業者に対する助成措置確立等であります。  第五に、噴火に伴う大量の火山れきを含む火山灰の処理であります。総量二億立方メートル、六トンダンプカーで一千万台の降灰と言われます。降灰による農作物被害面積一万六千ヘクタール、その半分の約八千ヘクタールは降灰を除去しなければならない状況であり、三センチメートル以上の降灰のある畑では耕土と混合するにも自家所有の耕運機の使用は全く不能であると言われております。山林での降灰被害もはなはだしく、民有林約三千六百ヘクタール、国有林約五千三百ヘクタールでありますが、その中に積もっている降灰流出シートパイプの打ち込み等で防ぐか、草の種子をまいて固めるか等の対策以外降灰の除去までは望めないとされております。市街地の除灰は主要なところはほとんど終わっておりましたが、個人住宅等にはまだ相当量が残っております。これらの灰を捨てる場所がなく、洞爺湖に新しく埋立地をつくるか、虻田町では虻田漁港の埋め立てに使用すること等が考えられ、そのための費用についても国の助成要望されております。  第六に、医療機関の速やかな再開であります。道立福祉事業協会洞爺病院三恵病院北海道教員保養所虻田町立診療所入院患者のうち、重症患者は他の病院に移送、軽傷患者は家族のところなどへ移送されております。洞爺病院はその外壁に一メートルほどの降灰の積もった跡を残し、その大半の窓ガラスが壊され、保安要員が現在残って、管理に当たっておる状況であります。この病院被災入院患者二百七十人で、身障者のリハビリテーション施設を持ち、最近では振動病の治療では有名となっております。他の病院等とも一日も早い再開が望まれております。降れき降灰の激しい中を二十二カ所の避難所を開設し、一人の死傷者もなく、重症患者を含め延べ約三万五千人を避難させておりますが、消防警察自衛隊協力については特筆すべきものがあると思います。  そのほか、特異な災害としての補助基準の緩和、公共土木関係災害復旧文教対策地方財政対策等々、道庁を初め関係公共機関、農協、商工会議所地区労等より現地のそれぞれの被害実情によって多くの要望がありましたが、その集約したものとして北海道知事からの要望書を本日の会議録のこの報告の後に掲載することをお願いし、他は割愛させていただきます。  有珠山は今日でも地震は頻発し、このまま徐々に終息するのか、マグマのかたまりが直接顔を出し、昭和新山のような溶岩円頂丘をつくるのか、マグマは顔を出さないが地表面直下まできて明治新山のような潜在的円頂丘をつくるのか、噴火を繰り返すか、今後の動きはまだ予測できない状況であります。  現地方々並びに関係されておられる方々の心労は大変なものがあると存じます。衷心よりお見舞いを申し上げまするとともに、今回の調査に御協力を下さった各位に心から感謝してこの報告を終わらせていただきます。
  7. 村田秀三

  8. 青木薪次

    青木薪次君 御報告いたします。  太田淳夫理事戸塚進也委員及び私青木薪次は、去る八月三十日より九月一日までの三日間にわたり静岡県下において調査をしてまいりました。  今回の調査の目的は二つあり、その一つは、災害後の対策ではなく事前対策、すなわち防災の観点から東海地方における地震予知のための観測体制地震に備えての防災体制状況調査することであり、その二は、最近の災害において被災した地域における災害直後の応急措置に続く本格的な復旧計画及び復旧事業進展状況について実情調査把握することにありました。以下、その概要を御報告いたします。  まず、東海地方における地震予知対策に関してであります。  東海地方御前崎南方沖から駿河湾西岸地域においては、歴史的な地震発生のサイクル及びこの地域において観測される地殻上下変動、水平ひずみ等の様相から、いつ大地震が起こってもふしぎではないと言われております。もし、この地域にマグニチュード7ないし8を超えるような大地震が襲うことになれば、ただ静岡県にとどまらず、京浜地帯から中京地帯、さらに甲府、松本方面まで広範な地域にはかりがたい大被害をこうむることは必至の状況にあります。しかしながら、地震予知が確実に可能となれば、これに対する的確な対応をあらかじめとることにより、被害はきわめて軽減し得ることもまた可能であります。このような中で国の地震予知連絡会では昭和四十九年二月にこの地域観測強化地域に指定し、また、本年四月には観測データに基づき、実際に地震予知するため東海地域判定会が設置され、地震予知に関してはようやく研究から実用への緒についたところにあると言えるのであります。  静岡県におきましては、本年の八月には新たに地震対策課を独立設置し、地震及びその予知資料の収集、国の予知観測に対する協力地震に対する知識の普及指導地震災害対策計画の再検討など大地震への備えが鋭意進められております。そして具体的にも被害想定調査情報網整備消防力強化等の推進や、他の自治体の協力を得て食料、生活必需品確保対策を進めるほか、九月四日には富士市において国、県、市、市民が一体となって地震を想定した大防災演習がとり行われるなど、被害を最小限にとどめる対策が進められているとのことでありました。  しかしながら、特に過去の大震災の経験を経ない高層ビル、地下街、コンビナート、新幹線高速道路ダム等の存在を考慮するとき、これらに十分な防災措置が必要であります。この点についてたとえば新幹線では、耐震補強に橋梁を含めて約二百億円、斜面崩壊対策では約六十億円を要するとのことであり、その他新幹線の上にかかっている道路橋の落橋に対する安全対策緊急必要事項として指摘されております。今後、震災に対する危険個所の総点検とこれらの整備に対する予算措置に十分配慮する必要性を痛感する次第であります。  このように、文明社会は同時に多くの危険を内包しており、直下型地震が危惧されている静岡県としても地震予知に対する期待は大きく、近い将来確実に地震警報を発することができるようになれば、事前に適切な規制措置をとることにより被害は数百分の一にとどめることが可能であるとの説明がありました。なお、緊急時における規制については現行法の枠内ではきわめて不十分であり、その内容に応じ、国あるいは地方公共団体が特別の措置をとれる特別立法がぜひ必要であるとの強い要望知事からあり、われわれとしても検討する必要があると考えます。  地震予知のための観測施設としては、国土地理院焼津験潮所及び気象庁御前崎測候所を視察いたしました。  焼津験潮所は、伊豆の田子港の験潮所とあわせ潮位を観測することにより周辺地殻変動測定することが可能であり、本年五月から観測を開始しております。検潮による地殻変動測定については、昭和二十一年の南海道地震の直前、土佐清水市における検潮の記録が地殻変動を裏づける測定結果を示したという経験に照らしても、今後の予知のための重要なデータとなることが期待されております。  御前崎測候所では、高感度地震計強震計傾斜計岩石歪計検潮機等による地震津波測定予知のための観測状況を視察いたしました。なお、御前崎沖二百キロメートルのところから四十ないし五十キロメートルごとに地震計を海底に設置し、テレメーター気象庁に直結して微小地震津波観測を行うことが予定されており、来年度からはこれらのデータ験潮所データもあわせて気象庁に送られ、各種の観測データを二十四時間常時監視を行うよう準備が進められている状況にあるとのことでありますが、まだ観測体制全般として十分とは言えず、今後とも地震予知のための研究観測体制整備強化することが緊要であると思うのであります。  次に、災害復旧事業関係についてであります。  静岡県におきましては、昭和四十九年五月の伊豆半島沖地震被害と同七月の七夕豪雨、五十年十月の大雨、五十一年七月の大雨の三年連続の水害により県下各地で多数の死傷者を数えるとともに、公共土木関係を初め農地森林家屋などに甚大な被害をこうむったのであります。  これら災害から日時を経た現在、災害復旧は各分野とも概して順調に進んでいるようであります。県当局説明によりますと、四十九年災については公共土木農地森林関係ではすでに一〇〇%終了しており、五十年災は七月現在で公共土木九三%、農地七九%、森林七八%の進捗率、五十一年災も公共土木七〇%、農地四一%、森林三八%の進捗率となっております。また、河川関係災害復旧助成事業として採択されたものは四十九年災七河川、五十一年災一河川災害関連事業として採択されたものは四十九年災十六河川、五十年災八河川、五十一年災三河川激特事業では四十九年災二河川、五十年災一河川、五十一年災三河川となっており、事業進度もそれぞれ計画年数に応じて順調に進捗しているとのことであります。  しかしながら、防災の観点から見ますと、がけ地近接等で危険な住宅地域が現在の百四十八区域に対して、今後五カ年で六百三十区域程度まで指定の拡大が予定されております。また、県の責任で今後整備を要する河川の未改修分が事業費で約八千五百億円、道路でも緊急を要する危険個所整備が三百億円程度を要すると見込まれており、今年度の県の河川関係の予算が百三十億円程度の現状では今後の事業の進展は大きく望めない情勢にあります。このような状況に対応するためには、国におきましても本年度より発足した第五次治山治水事業五カ年計画等に基づく事業の強力な推進はもちろん、防災事業については、防災国債の新設等を含め予算の確保を検討し、早急に国土の保全を図る必要があると痛感する次第であります。  被災地復旧個所としては、河川、港湾関係では、巴川流域の麻機低地帯における遊水地と緑地を兼ねた治水緑地の計画、沼川、青野川及び稲生沢川の河川激特事業等による改修状況、松崎港の状況、妻良地区における緊急砂防を、道路関係では、大崩海岸における国道百五十号及び白田地区における有料道路の崩壊復旧現場を、治山関係では、由比の地すべり地区及び伊豆沖地震による山腹崩壊によって壊滅的な被害を受けた中木地区における共同住宅等による復興状況を視察いたしましたが、これらの地区についての具体的な事業内容を詳述することは省略いたします。ただ、これらの事業を進めるに当たって、関係者よりなお若干の問題点の指摘、要望等がありましたので主な事項を整理して申し述べます。  すなわち、沼川の支川、赤渕川では改修に伴い新幹線のピアの強化を急ぐ必要のあること。  松崎港においては防波堤の反対側において海岸浸食が進んでおり、その防止策として離岸堤等が必要なこと。  青野川では河口部分が港湾区域となっており、激特事業の対象とならず別な措置が必要なこと及び改修とあわせて隣接の海水浴場の浸食防止策が必要なこと。  稲生沢川では改修に伴う残土の処置と下田港に流入した土砂のしゅんせつが必要なこと。  由比の地すべり地区においては、この地が交通、通信網等の要衝で社会経済上も影響が大きいことにかんがみ、直轄治山事業の促進が望まれること。また、一部の個所で切り土を要する土砂の量が百三十万立米にも及び、この排土の処分先が課題となっていること等であります。  これらの要望等については、政府におきましても前向きに検討されることを要望いたします。  以上が調査概要でありますが、日程の一部について、熊谷弘君及び勝又武一君が現地参加されたことを申し添えます。  最後に、今回の調査に御協力いただいた山本知事を初め県、市、町の当局者及び政府同行の各位に感謝申し上げまして報告を終わります。
  9. 村田秀三

  10. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 御報告を申し上げます。  村田委員長小巻理事、青井委員山田委員及び私桧垣の五名は、去る八月三十一日から三日間、昨年の台風第十七号で激甚な被害を受けました愛媛県、香川県における災害復旧事業実情並びに先般播磨灘において異常発生いたしました赤潮被害実情調査してまいりました。  以下、調査概要を簡潔に御報告いたします。  まず災害復旧事業について申し上げます。  台風第十七号による災害は、昭和五十一年災害の大半を占めるものであり、豪雨の強さと被災地域の広さにおいて近年まれに見る大災害でありました。台風被害の少ない地方と言われていた愛媛県、香川県におきましても、台風第十七号は多くの死者と激甚な被害をもたらし、一年を経過した今日においてもその傷跡は随所に見受けることができました。激甚災害の指定が行われて以来、被災地に対する両県の災害復旧事業は順調に実施されており、三年以内で完了の方針のもとに、昨年度中に三十数%、本年度末には八〇%、以上の進捗が見込まれております。温暖な地方のため冬期間を通じて事業が進められたことが全国の進捗率を上回った要因でありますが、最近では台風の常襲的地帯ともなっており、被災一年後には施設復旧が概成に達するよう、さらに工期を縮める努力が必要と痛感いたしました。  災害復旧に当たり、再度災害を防止するための改良復旧の大幅採用は被災地の共通した要望でありました。災害助成事業、災害関連事業を通じ、申請件数に対する採択率が高まっていますことは、改良復旧が一般化の方向にあることを示すものと思われますが、事業費の削減等により災害費に対する改良費の比率がなお低いことは、今後さらに改善の努力を要する点であります。また、改良復旧が決まっても、そのための用地買収等に日時を要し事業が滞っている個所もあるとのことで、防災事業の円滑な実施には事業主体と地元民との一体的な理解と協力が不可欠と思われました。災害時に特に施設被害がない場合でも、防災機能を高めるために一定期限内に河川、砂防、治山等の事業を実施しようとする激特緊急事業も随所で継続実施されておりました。  両県の山間部は風化が著しい花崗岩地帯のため、豪雨時には土砂崩れ、地すべりが頻発しましたが、激特緊急事業も砂防、地すべり事業、治山事業に集中して採択され、本年度末には両県で二百数十個所、四三%の進捗率と見込まれておりました。しかし、短期間に多額の投資が集中的に実施されるため、地方公共団体の財政負担は大きな問題であり、加えて採択区間に接続する改修必要個所について、地方単独事業による早期実施が強く待たれておりました。調査いたしました災害復旧事業個所は両県合わせて二十地点に達しましたが、その中から土木災害農業災害の代表例について具体的に触れることといたします。  愛媛県では主に東予、中予の山間部に被災地が集中しており、その要因は林地崩壊と樹園地崩壊による土石流被害が大半でありました。典型的な天井河川であります田滝川は丹原町内で床固め工四基、護岸延長二百七十メートルが決壊、さらに橋梁一基が流失するほか、下流右岸堤が六十三メートル破堤する等の被害を受けたのであります。復旧計画は砂防災害関連として二億一千九百万円が採択され、災害費一億二千六百二十四万円に対し関連費九千二百八十五万円、昨年度においては決壊護岸堤部分を実施し、残事業は本年度中に完了する予定とのことでありました。  玉川町法界寺地区では樹園地五・七八ヘクタールが崩壊するとともに、下流部の水田三・九五ヘクタールが埋没する被害が発生、農業開発施策と防災との関係が提起されておりました。  復旧計画は四億一千九十二万円が採択され、土砂どめ工十五基、集水暗渠工二千七十一メートル、道路兼用水路二千三百十八メートルを設置するほか埋没水田の土砂排除を行うもので、基幹施設の整備を先行したため、樹園地復旧は本年度より始め五十三年度で完了する予定とのことでありました。  香川県の被災地は小豆島に集中しておりましたが、四十九年災害以来多数の死者を伴う連続災害に見舞われたこの地域は、もろい花岡岩層からなる急峻な山間地が崩壊し、土石流により集落と田畑が直撃を受けたのであります。  池田町谷尻地区では集落の中央を土石流が貫通し、流失家屋十八戸、死者二十四名を出したのを初め、農地一・〇三ヘクタール、道路五十メートルが埋没したのであります。  復旧計画は、激特砂防事業として二億二千四百万円が採択され、堤長百二メートル、高さ十八メートルの堰堤が目下建設中で五十三年度完成を目指しておりました。同時に、河川道路災害復旧事業も進められており、それらの完成を待って宅地、農地の換地処分に入るとのことで、関係者の協議が進められておりました。また、流出土砂の排土場として埋め立てられた区域については、災害公営住宅の建設、公園、緑地の整備等の構想が説明されました。  四十九年災害で十九名の死者を出した内海町橘地区は、激特砂防事業、緊急急傾斜地対策の積み重ねと、避難訓練の徹底により、五十一年災害では大禍を免れたのでありますが、それだけに一望コンクリート壁の町と化しておりました。現在は集落の背後地に、激特砂防事業橘川堰堤を三億六千万円の事業費で建設中でありましたが、堰堤に続く橘川流路工の早期整備についても、地元は大きな関心を示しておりました。  池田町上地地区は土砂流のため農地一三・五七ヘクタールと、道路、水路が流失した地域であり、事業費二億七千三百万円で五十三年度を目途に農地復旧が行われておりました。上流からの土砂どめは四カ所の砂防堰堤で防ぐとのことでありますが、地元では五十一年災害経験に照らし防災ダムを建設し、治水の先行整備に万全を期してほしいとの強い要望がありました。  このように、被災地においては各種復旧事業が鋭意進められておりましたが、これらを実施する上で共通する問題点としては、次のような点がありました。  第一は、技術職員の不足とその対策についてであります。災害時において技術職員は被災個所調査等の業務に追われる一方、緊急に復旧を要する個所の施行に当たらなければならないのが実情であります。災害は毎年いずれかの地域被害をもたらしていることでもあり、災害復旧のための市町村間、都道府県間の技術職員の相互援助について、国の指導のもとに協力体制を確立する必要があると思われました。  第二は、災害査定設計費に対する国庫補助についてであります。測量、調査の委託費については、本激災害の場合に五〇%補助の道が開かれましたことはともかく前進でありますが、被災地方公共団体にとりましてはいまもなお設計委託費は膨大となり、地方財政に及ぼす影響がきわめて大きいのが実情であります。被災地の多くは過疎地域でもあり、補助対象足切り額の引き下げとともに、高率補助の制度化を図るべきだと痛感いたしました。  第三は、建設業者の工事消化能力の問題であります。中小建設業者に対する受注拡大の行政方針もあって、災害復旧事業も地元業者中心に発注されておりましたが、被災地が特定の地域に集中したため業者によっては過大な負担となった事例もあり、一部事業の繰り越しを余儀なくされたところもありました。地元業者を中心に近郊業者の協力を得て工事受注量の適正化に努めるとともに、施工能力の向上を図るため研修会の開催等適宜な助言、指導を図ることが必要と思われました。  第四は、建設資材確保の問題についてであります。災害復旧事業の主要資材は積みブロックと生コンクリートでありますが、当該地域の製造業者に対し生産設備の増設を依頼するとともに、近郊地域の製造業者の協力を求めてようやく必要量を確保したとのことであります。特に離島小豆島にあっては資材確保は深刻な問題であり、国の立場からも広域的な需給体制の確立について検討することが必要と思われました。  第五は、用地確保についてであります。改良復旧が拡大してくると、新たな事業の用地確保は大きな課題でありました。被災地においては土地所有の境界確認が困難な状況にあり、あわせて短期間に用地確保することが要件とされますので、補償対象物権を明確に把握するため、日常における河川台帳、地籍台帳の整備が、災害復旧事業を進める上での根幹であると思われました。  すなわち、災害復旧に当たっては、改良復旧事業の大幅拡大を図ること、事業執行のための体制整備確立すること等が緊要であり、これらの着実な積み重ねの中にこそ、災害後追い行政の非難を排し、災害予防行政を推進する道があると痛感した次第であります。  次に、赤潮による漁業被害実情について申し上げます。  去る八月二十七日播磨灘一帯に異常発生した赤潮は、二十八日夜半になって香川、徳島両県沖合いに迫り、二十九日未明には沿岸の養殖ハマチが甚大な被害を受けるに至ったのであります。私たちは急遽調査日程を変更し、最も深刻な事態に見舞われた香川県引田町の漁業協同組合を訪ね、被害の概況と対応策を聴取、あわせて赤潮汚染の状況調査したのであります。  引田町はハマチ養殖の発祥の地でありますが、四十七年にも同様の被害に襲われており、その痛手からようやく立ち直りの兆が見え初めていたときだけに、養殖業者にとってはまさに沈痛と苦悩の追撃でありました。  香川県水産課がまとめた八月三十一日現在の被害状況は、東讃地域六漁協の合計で、ハマチ当年魚百二十万尾五億四千万円、ハマチ二年魚四十七万尾八億八千五百七十八万円、マダイ五千尾千五百万円、総被害額十四億四千二百万円余に達しており、特に引田町、大内町においてはハマチ養殖が全滅したとのことであります。三日間にわたる死魚の回収を終え、腐敗ハマチを満載した運搬船が太平洋沖に向かった後だけに、漁民は心身ともに疲労こんぱいの様子でありましたが、声をふるわせ海に生きる以外に道はないと語りかけておりました。組合長は、この地域の養殖業者は借入金で経営している零細漁民であり、九月下旬には大半の手形決算が迫られていると経済的苦境を訴えるとともに、死魚処理費に対する助成、養殖共済の早期支給、赤潮対策設備改善資金の創設等、緊急措置の実施を強く要望しておりました。  赤潮は発生以来四日目に至っても依然として播磨灘に停滞したままであり、潮の流れのない海域だけに今後も居座るものと予想されておりました。現に引田漁港の沖合い三キロのハマチ養殖場周辺は、茶褐色と異臭に満ちた汚染海域と化しており、その深さは二十メートルにも及んでいるとのことであります。  赤潮の発生原因は、海水中の窒素、燐の増大がプランクトンの異常繁殖を誘発するためとされており、元凶である窒素、燐の増大は沿岸の工場排水と都市排水によるものと言われているのであります。  四十七年の赤潮被害の後、水質環境基準も制度化されて工場排水に一応規制の綱がかぶされてきましたが、いまだ汚濁物質の総量規制がないことは抜け穴と言わざるを得ないのであります。また、都市排水についても資金面、用地面からの下水道整備の立ちおくれに加え、終末処理の技術水準の問題もあり、これらが生活排水規制の立ちおくれ要因であることも事実であります。  いずれにせよ、赤潮被害をなくするためには、海域の徹底浄化以外に道はなく、そのためには時限立法である瀬戸内海環境保全臨時措置法の継続とともに、環境保全計画の策定とそのもとの恒久諸施策の着実な推進こそ不可欠と考えるのであります。同時に、沿岸二百海里時代を迎えたわが国にとって、養殖漁業はまさに貴重な存在であり、荒れ果てた漁場を再整備し、漁民に再生産の意欲を与えるために被害救済対策には万全を期すことが必要であります。  赤潮の天災論、人災論はさておくとしても、緊急避難的に天災融資法適用し、低利資金融資の道を開くことが必要と考えます。また、同様の理由により養殖漁業共済金の早期支給措置を図るべきであります。さらに、被災漁民の真摯な要望でありました漁業経営維持安定資金の増額貸し付け、再生産資金制度と赤潮対策資金制度の新設等についても、前向きの行政姿勢を早急に示す必要があると痛感したのであります。  以上、報告を終わります。
  11. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ありがとうございました。  先ほど上條君から御報告がございましたが、北海道知事から別途提出の要望事項を、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  派遣委員報告はこれをもって終わります。     —————————————
  13. 村田秀三

    委員長村田秀三君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま村沢牧君が委員辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。     —————————————
  14. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 北海道有珠山噴火による被害状況、隠岐島の集中豪雨及び台風第九号による被害状況播磨灘赤潮による被害状況について、順次政府から報告を聴取いたします。佐藤国土庁政務次官。
  15. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) 有珠山噴火による災害、八月七日及び八日の豪雨による島根県下の災害並びに台風第九号による災害について御報告いたします。  まず、今回の北海道有珠山噴火による災害について御報告いたします。  北海道有珠山は、八月七日九時十二分第一回噴火を起こして以来、十三日夜半まで断続的噴火を繰り返し、その後噴火がなく今日に至っております。  噴火による被害につきましては、幸い人的被害はなく、広範囲に及ぶ降灰、礫による被害が主たるものであります。  北海道庁の調べによりますと、九月九日現在における被害は、農業被害百二十億円、林業被害百十六億円、水産被害十五億円、土木被害五億円、その他商工関係を含めて総計二百七十六億円となっております。  また、二次災害等の危険を避けるため、一部の住民は現在に至るまで長期にわたる避難生活を余儀なくされている現状でございます。  これらの状況に対処するため、政府は八月十日に現地調査団を派遣し、状況の的確な把握を行った上、十一日に昭和五十二年有珠山噴火非常災害対策本部を設置、さらに、十六日に有珠山噴火対策関係閣僚会議の開催、十七日に第二次調査団の派遣等の措置を講じて各種の応急対策の実施に努めてまいりました。  これまでに講じた措置といたしましては、一、火山監視観測体制の強化、二、避難者救護対策の強化、三、農地農業用施設等の災害復旧事業の着手、四、中小商工業者に対する災害特別貸し付け及び制度資金の償還猶予措置の実施、五、公共施設等の降灰の除去、六、降灰流出防止のための応急工事の実施等がございます。  さらに、今後、一、天災融資法適用の検討、二、局地激甚災害の指定の検討を進めるとともに、早急な復旧対策及び二次災害防止のための本格的な工事の実施等を行って、対策の万全を期することとしております。  二、次に、八月七日及び八日の豪雨による島根県下の災害について御報告いたします。  八月七日から八日にかけて、低気圧と寒冷前線の通過により島根県下で豪雨があり、河川のはんらん等による大きな被害が生じました。  被害状況は、現在までの報告によりますと、死者二名、負傷者四名、建物全半壊・流失四十九棟、床上浸水二百七十一棟となっております。また、施設関係等の被害報告は、公共土木施設四十九億円、農林水産業四十九億円、その他一億円、合計九十九億円となっております。  この災害に際し、隠岐郡知夫村に災害救助法を発動し、応急の救護救助活動を行うとともに、同村に対し、九月十三日に中小企業関係の局地激甚災害の指定を行ったところでございます。  三、最後に、台風第九号による災害について御報告いたします。  九月八日から十日にかけて、台風第九号と前線活動により全国各地に被害が生じ、特に、鹿児島県奄美群島地方は暴風雨により甚大な被害をこうむりました。  被害状況は、現在までの報告によりますと、死者一名、負傷者百三十九人、建物全半壊二千八百二十九棟、床上浸水七百七棟となっており、このうち鹿児島県では負傷者百三十八人、建物の全半壊二千八百二十四棟となっております。施設関係等の被害額につきましては、現在各省庁におきまして調査中でございますが、鹿児島県の報告によりますと、九月十三日現在、人的住まい・非住まい・農作物被害総額約百四十億円でございます。  この災害に際し、鹿児島県奄美地方の徳之島、沖永良部島、与論島の六町に災害救助法を発動し、応急の救護救助活動を行うとともに、私も一昨、昨日と、最も被害の大きい沖永良部島の実情調査に当たってまいりました。  建物等の被害は島全体にわたり、約八割一分の建物がその被害をこうむったという現状でございまして、想像以上のものであり、離島という不利な条件を考えますと、その復興にはいろいろと困難な点があろうかと存じますが、被害調査結果に基づき、今後とも万全の対策を講じてまいりたい所存でございます。  御報告を終わります。
  16. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ありがとうございました。  恩田水産庁次長
  17. 恩田幸雄

    説明員(恩田幸雄君) 本年八月下旬から九月上旬にかけまして、瀬戸内海において発生いたしました赤潮による漁業被害状況とその対策について御報告いたします。  まず、第一番目は被害の発生状況でございますが、今回赤潮によります被害は、八月二十八日未明、香川県引田町相生地区の漁業者により発見されました養殖ハマチの大量斃死が最初でございます。前日にはこの海域で典型的な赤潮は見られておらず、このことから、今回の赤潮は二十七日夜半から二十八日未明にかけて急速に発生したことが推定されます。なお、二十八日には播磨灘南部沿岸、特に香川県引田町、津田町、徳島県北灘町などの沖合いで濃厚な着色が見られました。その後航空機及び船舶によります監視を続けた結果、濃厚赤潮水域が播磨灘全域に広がっていることが判明し、翌三十日には漸次西に移動し小豆島北部海域にまで及びました。しかしながら、その後の調査では濃厚海域は縮小しておりまして、発生範囲の拡大もないことが明らかになりました。九月五日には播磨灘全域においてほぼ終息しております。  次に、赤潮の発生原因について御報告いたします。赤潮は、一般的に燐、窒素等の栄養塩類の存在を基礎要因とし、赤潮プランクトンの増殖促進作用物質の存在と好適な気象、海況条件のもとに発生すると言われております。四十七年、同地域において起こりました赤潮の際は、集中豪雨による異常低鹸が黒潮の接岸異変により長期化したことが大発生の要因となったと考えられております。今回の播磨灘に発生しました赤潮については、四十七年の赤潮を構成した、いわゆる海産ミドリムシと同じと言われておりますが、発生の環境が四十七年の条件と若干異なっていることもあり、詳細については大学、水産研究所、関係各県水試の研究者をもって構成した調査班において現在検討中でございます。  次に、今回の赤潮によります漁業被害は、香川県、徳島県及び兵庫県の報告によりますと、九月七日現在で、三県合計で斃死したハマチ三百三十一万五千尾、被害金額三十一億円となっております。  各県別の被害状況について申し上げますと、香川県では斃死したハマチ百八十四万六千尾、被害金額十八億七千四百万円、徳島県では百十四万三千尾、九億四千八百万円、兵庫県では三十二万六千尾、二億七千八百万円となっております。  次に、この赤潮による漁業被害に対して水産庁がこれまでに講じた対策を申し上げます。  まず、赤潮の発生直後の八月二十九日、赤潮の発生状況被害状況を把握するため取り急ぎ漁場保全課長及び漁業保険課長現地に派遣いたしました。また、移動し拡大する赤潮の動向を把握するため、航空機により播磨灘の監視を行い、その結果得られた情報を関係県に提供するとともに、赤潮予察調査事業を活用し、南西海区水産研究所及び関係県水産試験場により播磨灘の一斉検査を行いました。さらに、今回播磨灘において発生した赤潮の原因究明のため、大学、関係水試等の研究者から成る調査班を構成いたしまして、第一回の会合を去る九月十日神戸市において開催いたしました。  次に、被害漁業者の救済対策につきましては、とりあえず制度資金借り受け者についての償還猶予等貸し付け条件の緩和措置、つなぎ資金の融通措置につき関係機関に依頼いたしましたし、養殖共済事業による養殖共済金の支払いについては、被害額の算定を待って早期に行うよう指導しております。  また、漁業経営の再建に必要な資金につきましては、沿岸漁業経営安定資金、漁業近代化資金等、制度資金の活用により対処してまいることといたしております。  最後に、今後の主な赤潮対策を申し上げます。  水産庁に大学、水研等の研究者から成る赤潮研究会を設け、既存の調査研究の取りまとめ、赤潮の発生原因及び発生メカニズム、その他赤潮に関する諸問題について総合的調査検討を行う予定でございます。また、赤潮による被害の減少を図るため、赤潮発生時の情報交換事業、赤潮発生の予察調査に関する事業、赤潮が発生した場合の活魚の避難施設等の設置に関する事業、並びに被害者救済のための養殖共済に係る赤潮特約事業等赤潮対策の充実を図ってまいることといたしております。  以上でございます。
  18. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 以上をもちまして政府からの報告を終わります。     —————————————
  19. 村田秀三

    委員長村田秀三君) この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  有珠山噴火につきましては、今日、各方面から関心が持たれており、その対策が強く要望されておりますことは御承知のとおりでございます。本委員会におきましても、この機会に参考人の方の忌憚のない御意見をお伺いし、対策樹立の参考に供したいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  なお、議事の進め方といたしましては、初めに参考人から御意見を述べていただきまして、引き続いて各委員の質疑にお答えをしていただくことになりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  では、下鶴参考人、お願いいたします。
  20. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) 下鶴でございます。  昨晩この委員会出席のため現地から戻りました。それで、私からここで現在の有珠山火山活動の現状とそれから今後の見通しといったようなものにつきまして、ごく概略御説明申し上げたいと思います。  お手元に簡単な資料を差し上げてございます。これを見ていただきますというと、大体有珠山でもって地震が発生以来われわれは現在何をしたかということが項目別に書いてございます。  一ページ目には、主として噴火予知連絡会としての事務的な問題が日にちを追いまして書いてございます。この中で特に今回初めて行いました措置は、八月の十三日に噴火予知連絡会の前線本部を現地に設けまして、これを有珠山総合観測班という名前をつけまして、気象庁及び各大学がその中に含まれております。これが今回初めてのことでございます。それで、必要に応じた統一見解はこの前線本部で発表するということを行っております。この統一見解につきましては、この刷り物の一番後ろの方に載せてございます。  それから現地対策本部に対するいろいろな情報説明というものは、毎日朝九時に総合観測班の各主要メンバーが壮瞥町役場に集まりまして、前日のデータを持ち寄りまして情勢を判断いたします。それに基づきまして十時から現地対策本部にその説明を行いまして、そしてそれが終わりましたら報道関係に情報を説明するということでございます。特に、噴火がありまして、降灰の危険、どちらの方に灰が降るかということに必要な上層の風向風速につきましては、毎日四回札幌管区気象台から情報をもらいまして、現地対策本部に風向風速につきまして流しております。  それから二ページ目につきましては、これは現在われわれが行っております九月十日現在の主要な観測項目でございまして、地震観測、水準測量、傾斜観測、地形変化観測、赤外撮像、噴出物調査、温泉・水質調査、地磁気測定、重力測定といったような、現在私どもで考えられる可能な観測を行っております。  それで現状でございますが、三ページ目のグラフを見ていただきますというと、これは低倍率の主に有感地震観測する地震計の毎日の数でございますが、噴火発生以来、やや総数としては減っておりますが、現在震度二以上の地震は依然として一日三十回、四十回といったような数で続いております。  それでこの地図で少し御説明申し上げますが、これが洞爺湖でございます。これは噴火湾でございまして、有珠山の外輪山がここにございます。それでこういう点が現在設置してあります地震計の場所でございまして、気象庁、それから北海道大学、東北大学、それから東大地震研究所で設置しておりまして、お互いにデータを持ち寄ってデータを融合させるという努力を重ねております。それからこれが昭和新山でございます。それで毎日の自衛隊のヘリコプターによる写真撮影、それから私どもの外からの地形測定、それから傾斜計をこういうところに置きまして傾斜観測を行っております。  それによりますというと、この外輪山、特に北側が非常に隆起しております。それと同時に、この外輪山の内部に非常に隆起が多うございまして、これが外輪山でございます。これは八月二十三日に国土地理院が空中写真を撮りまして、それによる応急図化の成果でございます。ここが小有珠、これが大有珠、昭和新山はこっちにございます。  それでこの赤いところが非常に隆起が目立っているところでありまして、この差は一九六七年からどのくらい隆起したかという数字をメートルで書いてございます。ここが第一火口、第二火口、第三火口、それから第四火口と、こういうふうにございす。それで隆起の一番激しいのは、ここにこうございまして、特に小有珠の東側斜面に隆起の激しいところがございます。それからここにオガリ山というのがございまして、オガリ山はこの北半分が割れまして、北半分が非常に隆起しております。オガリ山とこの小有珠の隆起は、噴火前までは外輪山の外からは見えなかったのでありますが、最近外輪山の外からこの二つの山が見えるようになっております。  御説明しましたように、地震のエネルギーの放出の割合は依然として続いております。それからこの山頂の隆起、それから外輪山の方の傾斜観測によります隆起、これらの観測結果によりますと、すべてのデータは現在進行中でありまして、火山活動は依然として活発でございます。特に地形変動の激しいところは、外輪山外では——ここに三恵病院という病院がございます。この辺に非常に隆起が激しくて、現在一日に一分程度の隆起を示しております。つまり、山側にこういうふうに傾斜をしております。さらにこれが北の方に地すべり的にはみ出しております。南側の方は現在は傾斜も非常に緩やかでございます。  それで過去の有珠山火山活動の経過を見ますというと、外輪山の中での噴火、それから昭和新山、それから明治四十三年の噴火でございますが、すべてこの外輪山から北あるいは東に火山活動がございまして、南の方には過去の火山活動がない。しかし文政のときの熱雲はこっちへ参りましたが、主な噴火中心というものは外輪山から北でございます。  現在の徴候では、地震の震央はこの外輪山の中にほとんど入っております。少しは外に漏れておるのもございますが、大勢はこの外輪山の中でございます。それから隆起の中心もこの外輪山の中に非常に多いということで、現在の火山活動中心はこの外輪山の中であると判断してよろしいかと思います。それで現在、すべてこの観測データというものは上向きでございまして、火山活動が終息する徴候は一つもございません。さらに航空機による空中赤外撮像をいたしますというと、高温の部分は外輪山の中に——外にはございません。この中に従来噴気が非常に強くなったというところが、小有珠あるいは大有珠の南の斜面といったところにございまして、昭和新山はこの現在の火山活動には知らぬ顔をしております。温度もほとんど変わりございません。  以上、申し上げましたように、有珠山は非常に現在でも有感地震が頻繁に起きております。それで火山噴火予知と申しますのは、噴火が始まってなおかつこの火山活動がどういうふうに推移していくのか、どこから噴火が再び始まるのか、あるいはいつ噴火が終息するかということ全部を含んでおります。したがいまして、私どもといたしまして、今後この火山活動がどういうふうに推移していくであろうかということが一つ重要な問題でございますし、またそれが防災上まあ私どもがお役に立てる一つの面であると思っております。  それで過去の噴火の例から申しますというと、まず有珠山では、有感地震が起こり、それから噴火が始まり、ある場合には溶岩円頂丘と申しますデーサイトのドームが地表に顔を出します。そのドームの成長を終わった段階でもって火山活動は終息ということになるわけでございまして、そこまでをわれわれは観測を続ける必要がございます。はっきり申しまして、この有珠山の過去の火山活動を調べますというと、いろいろな場合がございます。溶岩が地表に出ない場合もございますし、それから噴火して溶岩が地表に出た場合もございます。それから熱雲を発生した例もございます。  一体これが今後どういう形をとるのだろうかということは、これは大変むずかしいのでございまして、火山にはこれは理論はないのでございます。それで日本に七十ぐらいの活火山がございますが、すべての活火山がそれぞれ違った噴火形式をたどります。それから一つの火山でも、たとえば有珠でも過去の歴史から見ますというと、いろいろな活動の推移をとります。したがいまして、私どもは、これからこれがどういうふうに推移していくかということをまず見きわめるには、これから地震の震源がどこにあらわれてくるかということでございますが、地震の震源がこの外輪山の中だけでおさまっているか、これがどっちかへ動いていくかということが一つでございます。  それからもう一つは、地殻変動中心が、一番隆起の多いところは一体どこにあらわれるだろうか。この外輪山の外に非常に地盤の隆起が激しいところが起き、さらにそこに地震が起き始めてまいりますというと、これはそこからドームが顔を出す可能性が非常に強くなってきます。現在のところではこの外輪山の中でございますので、われわれは、将来これからドームが顔を出すとすればまずこの中であろうと。そしてこれがいつドームが顔を出すかということでございますが、ドームが顔を出すときに、地表水と接触いたしましてある種の噴火を、水蒸気爆発を起こす可能性がございます。で、それはいつだろうかということが一つでございまして、それからドームが出てそれがどのように成長していくか、それからドームの成長の段階でその崩壊による熱雲が発生するか否かということが今後の問題でありまして、私どもが観測をやり、それからさらに空中赤外撮像を繰り返しやり、それから隆起の中心を見きわめるということによって、次第にこのいろいろな不確定性を消していくということが現在できるただ一つのことでございます。  それで、有珠の火山活動は、外国、世界じゅうから見て非常に貴重な火山活動でございます。それで世界の火山学会でもこの活動を非常に注目しておりますので、私ども災害防止ということがまず第一でございますが、それに加えまして、火山学上重要な、二度と起きない重要なデータ観測の終了までできるだけ続行したいというふうに考えております。  以上簡単でございますが……。
  21. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ありがとうございました。  それでは、参考人に質疑を行いますが、発言につきましては、おおむね零時十五分程度をめどにいたしまして、逐次委員長の方から希望者を指名してまいります。御発言を願いたいと思います。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは、時間もありませんので、二点だけ簡単にお伺いします。  下鶴先生には、現地で大変今度の有珠災害観測の先頭に当たられまして、人命の安全のために最善の努力をされておられることにつきまして心から敬意を表したいと思います。  私も現地で、調査に行きましたから先生にもお伺いしましたが、二点だけちょっとこれからの問題点を含めましてお聞かせ願いたいと思います。  まず一つは、この災害発生以前の状態なんでありますが、地震予知連絡会の動向を調べてまいりますと、昭和五十年の七月二十五日、測地学審議会におきまして計画の見直しということが提起をされまして、有珠山火山観測所の新設という問題がこの審議会で検討されております。そういった問題につきまして、ここで新設ということを打ち出されているんでありますが、これに伴ってどういうこの有珠山観測体制がとられたのか。また、今日のこの災害発生にどういう役割りを果たしたのか。事前対策として十分なされておったのかどうかという一つの疑問がありますので、幸い人身事故がなかったわけですから結構なことなんでありますが、その点ひとつ対応の仕方についてお伺いをしたい。これが一つであります。  それから二つ目は、いまも先生が触れられましたが、この間も十日に町民大会がございました。いま、現地の町民は何といっても一日も早くこの交通規制を解除して、もとの町に返してくれというのがもう二千人集まった町民の、私も行きましたが、切実な血の叫びであります。全く同感だと思うのでありますが、さればといって災害を起こしてはならないといういまの事態でありますから、先生のおっしゃるとおりなんでありますが、これからの、どういう見通しになっているのかという点で、いま先生が、一つはこの外輪山を中心にしての隆起ということがこれからの問題だと。それによりますと、私の聞き間違いであれば別でありますが、隆起が伴うことにおいてドームが発生をする、それによって噴火の爆発するおそれもあると、こういうことを一口に言われたわけでありますが、今後の推移として、現地で率直にいま住民が聞いてもらいたいということは、この山の隆起という、外輪山の中でとどまるものか。つまり、温泉町に、住民のこの主体をなしている温泉町なり住居地帯にそういう隆起を発生したり、あるいは地震活動が継続的に続いたり、あるいはまた、この噴火に伴ってまた再び八月七日あるいは九日という状態になるのかどうか。こういう点を率直に現地の住民としては、非常にむずかしいことなんですが、これを何とかひとつこの見通しを立ててくれないかと。これはこの間町民大会に私が行ったときも非常に切実に訴えられました。  そこで、この報告書にもございますが、かなり長期化をするということは私もそのとおりだと思うんでありますが、ほとんどまあこれ、温泉地帯ですから、十一月になったらもう北海道はまあちらちらと、すでに大雪山は雪が降っておりますから、初雪を見たわけですから、もう十月末ということになると雪を見るわけです。そうすると、温泉町としては十月下旬にはほとんどこれはもう客の出入りがなくなる。そうしますと、長期化と言いましても、ほとんどことしいっぱいはだめと、こういうふうに私素人なんですが認識するわけなんでありますが、ことしはもうだめだという認識に立っていいのかどうか。この点ひとつ含めて率直に住民の方々がこれを聞いてくれとこういうふうなことなんですが、この間も現地で聞きましたけれども、非常にむずかしいことを承知の上で聞くわけですが、素朴な住民感情の声でありますので、これをひとつもしできる範囲で、いま聞きましたけれども、もっとその点を答えられる点があったらお聞かせを願いたい。  この二点をとりあえずお願いします。
  23. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  第一番目の御質問でございますが、これは有珠山に関しましては測地学審議会の噴火予知特別委員会におきまして、北海道大学が有珠火山観測所を設置したいということで昭和五十二年度に予算措置がとられております。それで、それ以前に北海道大学理学部では、有珠山——主に有珠山及び昭和新山も含めてでございますが、そこの地震観測、これは臨時でございます。それから重力、それから水準測量といったような観測をいままでもやっておられております。  それから、さらに気象庁は大有珠のふもとにありますところに地震計三成分を設置しておられまして、有珠に起こる地震をずっと室蘭気象台にテレメーターして送っております。  で、私ども有珠に火山観測所が必要だというふうに強く感じましたのは、やはり有珠が噴火した場合に非常に重要な影響が出るという判断と、それから有珠の火山活動というものは先ほど申しましたように学問上非常に重要であるという二つのことで特別委員会でもってあれしたわけでございます。で、これができまして、そして二、三年観測を充実さしてから今回の噴火があれば、よほどこの噴火に先立っての対応策というものが十分とれたと思いますが、どうも火山の方はうまくいきませんで、予算は取れたが先に噴火してしまったということでございまして、われわれとしても大変残念でございました。  それから、二番目といたしまして、今後の見通しというのは、これは現地でも盛んに聞かれまして私ども大変困る問題でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、現在観測されている資料を検討いたしますというと、有珠山が現在安全であるという証拠になるデータは一つもございません。したがいまして、火山活動は依然として活発であり、有感地震が頻発しておりますのはデーサイトのマグマが地表に次第に突き上げている、地下で突き上げている証拠でございます。したがいまして、これがいつ顔を出すかということが今後の問題でございます。  で、過去のいろいろ資料をめくりますというと、地震が起きてから噴火をするまで三日の場合もございます。それから昭和新山のように半年の場合もございます。で、ドームが顔を出す前に噴火をいたしますが、その噴火の程度もこれまたさまざまでございまして、どの程度の水蒸気爆発が起こるであろうかということ、   〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕 で、その水蒸気爆発が起きた場合にその降灰範囲はこれは風まかせでございます。で、今後は冬に向かいますので西あるいは西南の風が卓越いたしますので、恐らく降灰は北東方向に行く危険性がございます。この今後の見通しというのは大変むずかしいので、われわれができるだけその可能性を一つ一つ消去していくと、最大、最悪の事態をいつも考えないで、その可能性を一つ一つ観測によって消去していかざるを得ないのが現在の学問のレベルでございます。
  24. 上條勝久

    上條勝久君 大変どうも、先生には現地でも御説明をちょうだいいたしますし、御苦労をおかけいたしておりますが、有珠のこの爆発の実情にかんがみて、この上ともひとつ最後までお骨折りをお願い申し上げたいと思います。  そこで現地で、これは先生からのお答えじゃなかったんでありますが、当時、私ども三十日にお邪魔いたしまして、九月の十二日までに一つのスケジュールをお立てになって、そして国土地理院地殻変動調査等を含めた一連の調査を一通りやる、その結果によっては当時伺った状況よりも若干違った答えが出るかもしれぬというようなお話を他の先生からちょうだいいたしましたが、その点について、十二日までの一連の観測値の調査をいただいた結果、何か変わったことが、答えが出たかどうか、この点の御意見を拝聴したいと思います。
  25. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  それ以後に行いました新しい観測項目といたしましては、二十四日の未明に空中赤外撮像をいたしまして、それから二十三日に国土地理院による写真測量に基づく応急図化というのを行いまして、山頂の付近の地形変動が非常に明らかになったわけでございます。それで空中赤外撮像によりますと、二十四日の段階では、山頂の異常に高温な場所はない。それから三十日には他の機関でお撮りになりましたのを見せていただきましたが、それによりましても余り変化がないということで、山頂隆起ということは非常に明瞭になりましたんでございますが、地上の温度変化につきましては、現在非常に顕著な徴候はないということでございます。
  26. 上條勝久

    上條勝久君 日本の、先ほども先生のお話にございましたが、火山観測体制が活動火山については総合的な観測体制がしかれておる。しかし、有珠山のような山については、ずっと以前にはその歴史を持ちながら総合的な観測体制がなかった。したがって、気象庁のひずみ計がただ一基ぐらい設置されておったというような中での今度の大爆発でありますが、幸いに三十時間前でありますか、一応の予想が発表されて、そして避難をされたというために人命等の損傷はなかったわけでありますけれども、これはやっぱり地震にいたしましても火山の爆発にしても、やはり対策もこれはもう非常に大事でありますけれども、できるだけ予知体制が確立をされて、先生方の御努力を含めまして予見できることが特に大事であると私は痛感いたしておりますが、そこで、いまのお話でありますと、外輪山一帯について今後ともずっと引き続き見守っていかなきゃならぬ、観測をしなきゃならぬということでありますが、これは気象庁の人も来ておられますから十分聞いておいていただかなけりゃならぬことでありますけれども、お話では、本年度観測体制が一応予算も計上されておるしできるということで、ただいま具体的に一部はでき一部は設置中であるということでありますが、これからずっと御観測をいただく上において、何かそういう総合的な観測体制の上で欠ける点はないかどうか、そういう点があればひとつ政府に御遠慮なく、先生の現地でごめんどういただいておる中核としての御意見を御遠慮なく聞かしていただきたいと、かように思うわけであります。  いま一つは、将来の問題として、日本の山についてはもとよりでありますけれども、特に有珠周辺の、お話のありました外輪山はもとよりでありますが、場合によっては昭和新山も含めた一連の山について、地域について、私は総合的なやはり観測体制をこの際ぴしっと整備をしておく。それに基づいて長期的な観測、御調査をお願いするということが、特に将来にわたって必要ではないかということを常日ごろ思っておるわけでありますが、その点について先生の御意見を伺えればありがたいと思います。  その二点お願いをいたします。
  27. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  まず最初の御指摘でございますが、現在の活火山に対する観測体制でございます。これにつきましては、気象庁は活火山をA級、B級、C級というふうに分類いたしまして、まずA級から整備を行っております。  それで、この噴火予知計画というものが発足いたしましたのが、地震予知計画よりおくれまして昭和四十九年でございます。それで来年五カ年計画が一応終わります。そしてこの第一次五カ年計画の中で実現いたしましたのは、気象庁火山観測所の整備、それから大学の火山観測所の整備でございます。さらに、気象庁には火山機動観測班という機材と人員がついておると思いますし、それから大学の方にも火山活動移動観測班というものが北海道大学、東北大学、それから京都大学の防災研究所についておりまして、設備及び助手一、技官一というものがついております。もちろんこれで十分とは言えませんが、現在の日本の国情からすれば、まあこれでやりくりしないといけない段階であろうと思います。  それで有珠山につきましては、この気象庁のA級——何を基準にしてA級にしたかということは、非常に頻繁に噴火をしてそうして周辺に相当規模の災害をもたらす火山といたしますというと、桜島あるいは阿蘇、それから浅間山、三原山といったようなところがA級に指定されておりまして、有珠山のように非常に頻繁には噴火しない、最近では三十何年という程度で噴火しておりますが、こういう火山に対して、今後噴火したら相当規模な災害が出ると予想される火山に対して、やはりわれわれこの次に、まあ長い間休止しているかもしれないけれども常時観測体制は強化しなくてはいけないと思っております。   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕  それから二番目の、今後の総合観測体制でございますが、御指摘のように、やや長期化する見通しでございます。それで気象庁と大学では、現在、先ほどお話ししましたような観測を続行しておりまして、今後必要に応じて新しい観測手段を導入する必要があるかもしれないし、それから測量、それから空中赤外撮像といったようなものは今後も繰り返し行ってその変化を検知する必要がございます。そのためには、それに相当な気象庁及び大学に予算措置がとられる必要がございまして、大変気象庁現地に何人かずっと派遣しておる。大学も全部で二十人近く出ております。これが日夜観測をやっておるわけでございますが、これからの観測について、消耗品あるいは旅費といったようなものが国として十分配慮されることを強く念願しております。
  28. 上條勝久

    上條勝久君 どうもありがとうございました。
  29. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もございませんから簡単に申し上げますが、一つは、この事前対策といいますか、これは非常に大事だということはいまもずっとお話があったわけでありますが、気象庁ではA、B、C級に分けているということですけれども、確かにA級指定で観測しなければならないところのことはわかるのでありますが、有珠山のような場合には実際は事前観測には間に合わなかったというようなことですね。北海道でも、樽前山についても、いま学者によっては変化が非常にあるんじゃないかというお話もございまして、そういうことからいたしますと、やはり休火山といいましても可能性のあるものについては相当力を入れなきゃならぬ、このように痛感するわけであります。いつ——その火山によりましてそれぞれの周期といいますか、こういうものもあるんでしょうし、それぞれの様子によって全部一様ではないのかもしれませんが、やはり過去の噴火状況からしまして、ある程度周期性とか、そういうものを勘案しまして事前観測する必要があると思います。そういうことからいたしまして、現在有珠山につきましては人的被害はなかったんですけれども、しかし、その前後のことをいろいろ見ますと本当にラッキーであったんで、一つ間違えば、噴火の時点がちょっとずれますと大きな被害につながるということ、私どもは本当に身の毛のよだつような思いで状況を聞いたわけであります。そういうことから、事前対策観測の体制というものについては、気象庁としましても相当これは力を入れなきゃならぬことだと思うんです。ただ、ここで問題は、かつて当委員会におきまして、地震のことにつきましていろんな参考人の方をお呼びして討議したことがございますが、いまの大学の研究体制そのものが、地震というものについての講座とか専攻というものについて非常に弱体といいますか、そういう行政機関といいますか、そういうものが非常に手薄だということを私どもは聞いておるわけであります。これは文部省に強く言わなきゃならないことなのかもしれませんが。このたびのこういう一連の問題を通しまして先生が実際タッチしていらっしゃった、またその指揮者としてどのようにお感じになっていらっしゃるかという、この点一つお聞きしたいと思います。  それともう一つは、一日も早く終息宣言ですか、これを望んでおるわけでありますが、学者という立場からしますと、終息宣言というのはなかなかむずかしいいろんな条件がありますから、一つ一つ可能性というものをチェックしなきゃならないということでございますが、観測、実際三者、四者での観測体制ができたのは噴火してからということですから、非常に少ない噴火後のデータということで全体の終息宣言するという、状況を判断するということは非常にむずかしいことなのかもしれませんけれども、先ほど来もお話がございますように、地元の方々の強い要望ということがありまして、やはり変化というのは北の方に多いということ。北といいますと温泉街があるということで、そういう点では非常に慎重を要することなのかもしれませんが、今後の見通しといいますか、どういう状況になったら終息宣言というものが、一応人的被害といいますか、そういうもののない状況として——長期化ということではありますけれども、一応の目安というものがつくのかという、その辺のことについて御見解をお伺いしたいと思います。
  30. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  まず最初の御質問でございますが、火山観測体制は十分かということにつきましては、実際に火山観測をやる大学及び気象庁の人員は決して十分でございません。気象庁の機動観測班、それから大学についております移動観測班というものは、毎年常時観測のない火山を主として、将来噴火する可能性のある火山につきまして種々の観測を定期的にやり、日本の活火山の診断を行っております。正常なときにそういう診断を行っておきますと、次にやりましたときにその異常が見つかるということで、有珠山も実は大学の噴火予知計画では五十三年度に総合診断をやるという計画でおりましたが、マグマの方に裏をかかれたわけでございまして、その点は非常に残念でございます。  それから次の、それで火山をやっている研究者が少ないという、これはやっぱり火山学というものを非常に魅力のある学問にする必要がある。そういたしますというと、大学の若い学生はどんどんこれから火山研究してくることになると思いますので、その責任は十分われわれにあると思いますし、さらに、その研究者がちゃんと火山研究できるようなポストを充実させるということが一つ重要であろうかと思います。  それから最後の将来の見通しでございますが、先ほども申し上げたことを私また繰り返してお話しせざるを得ないと思うわけでございます。  で、火山活動の推移が今後どうなっていくかということにつきまして、われわれが現在行っておる観測と、それからこれにさらに必要と思われる新しい方法を導入する必要があると思われますが、それによって外輪山の中で、つまりこれで地震がおさまり隆起がおさまればデーサイトのマグマは地表に顔を出さないで終息ということになるのでございますが、現在の段階ではそういう状態ではないわけでございまして、長期化する見通しだけは持っておるのでございますが、残念ながら現在の火山学のレベルでは、デーサイトのマグマは一体地表に顔を出すのか出さないのかということは、一つ重要な問題でありますが、わかりません。これはいいかげんな予測を立てることは決してわれわれにとりまして、つまり、学問に忠実であればあるほどいいかげんな予測を立てられませんので、その点、何とぞ先生方御了承いただきたいと思います。
  31. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうも専門的な立場からの御意見をいただきましてありがとうございました。  まずお伺いしたいのですけれども、先生方が専門的な立場で研究していらっしゃることが直ちに行政の面に反映されて、そして予防というものが的確に行われるというような体制にあるかどうかということが一つの大きな問題だと思うのです。そうでなければ研究研究に終わってしまうということになりかねないと思います。今度、人身事故というものが全然ありませんでしたから、だから何事もおさまってきているわけですけれども、実は私札幌で地元が近いものですから、しょっちゅう情報も得、行ってもおりました。みんな経験で知っているわけですね、明治新山のときも昭和新山のときも地震があって出てくるのだよと、そして三十年くらいの周期があるのだと。だから危ないな危ないなというのは素人もみなわかっていたわけなんです。そして伺えば、室蘭の方からの観測でも地震が多くなったというような観測も出ているのだけれども、それじゃ実際にそれがどういうふうに住民に知らされたかといいますと、私なんかも爆発が起こってすぐ飛んでいきましたら、とにかく着るものの洗いがえも持たないで、とにかく逃げるというだけで精いっぱいだったというような、だから健康保険証も持っていかないからお医者さんで診断してもらったら大変高く取られてつらいのだという話。とにかく着がえも持っていけないくらいあわててみんなあの避難所に入っていると。それでは一体、予知されて地震が多いよというような予測がされていたのに、なぜそれが町当局やなんかでそれまで手を打てなかったのかということは、先生方の研究にこれからもいろいろと差しさわりが出てくるのではないかという点が一つ心配で疑問に思う点なのです。  それから、爆発するまでのあそこの観測体制というものは、昭和新山のロープウエー駅の上にあるロボット地震計というのだかが一つしがなかったというような話を聞いて、新聞にもそう書かれておりますけれども、まあ三十年周期で危ないなと言われているところにそれがたった一つしがなかったということは、これはまことにお粗末な観測体制だと。先ほど先生は予算が取れたが噴火の方が先になっちゃったとおっしゃって、大変私はもう学者先生らしい謙虚な御発言だと思ったのですけれども、予算が取れたから噴火が早くなったのじゃなくて、噴火が三十年で予測されるのに予算が遅くついたというふうにやっていただいて、御遠慮なくいろいろの体制をとっていただきたいと思うんですね。そういう意味から、率直に先生、学者の立場から、いま、噴火する前の観測体制というのは余りにもひどいじゃないかという御意見に私はなるのではないかと思うんです。  それから、いま各大学やそれから気象庁協力いたしまして観測体制がしかれていますけれども、この観測体制についての問題点ですね、たとえば先ほど毎朝九時にデータを集めて十時から会議するというふうなお話でございましたけれども、観測地点というのが危険地域で一般の人が立ち入りできないというようなところや、ちょっと見ますと距離的にもずいぶん離れておりますね。そうすると、データを集めるというような仕事も結構な仕事になるのではないか。そうすると、これが今度ドームが出て終息になれば、この観測体制というのはもう解散してしまっていいものなのか。やっぱりいまできている観測体制というものをもっと強化して、そしてずっと見守っていくということであるならば、いまの観測体制でいいのかどうかということと、それから一人一人がみんなそのデータを持って集めるというような苦労やら、それからそれを読み取るような人員とかというようなものが将来に向かって相当不備な点が出てきているのではないか、そう思うわけです。  そうしますと、これも新聞に出ていましたけれども、何というんですか、データを自動的に送ってコンピューターが即座に受けるテレメーターというんですか、ああいうようなのが、やっぱり先ほどから先生、有珠は非常に貴重な山だとおっしゃるなら、そういうものをつけるというようなことが一番私は素人なりに必要なことではないかと思うんですけれども、それについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。私たちとしては素人が幾ら騒いでもわからないことですから、お願いするのは、先生方の学問研究のお立場からこれが生かされるような行政の面と組み合わせていかなければなりません。きょうは長官も来ていらっしゃいますし、私たちすぐに申し入れしたときに、この予防措置観測を十分するということについては全力を挙げたいというふうにお答えいただいていますし、塩川官房副長官にお会いしたときも、何ぼかかってもやってあげるとずいぶん景気のいい話を伺いましたので、そのテレメーターの問題だとかなんかというような問題について、率直な御意見を伺いたい。  そして、いまの体制では不十分だということはおっしゃったけれども、少くとも先生のいま毎日行っていらしての御経験で、少なくともこれくらいというような、そういう見積もりというものも寄り寄りお話し合いになっているのかどうか、その点のことも重ねてお伺いしたいと思います。
  32. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  まず最初の問題でございますが、六日の午前三時半に室蘭地方気象台の地震計が異常な地震活動を記録いたしまして、すぐそれが北大へ連絡がございまして、気象庁札幌管区から臨時観測点、それから北大からも臨時にすぐ六日の午後地震計を設置いたしまして、まずどこに地震が起きているのかということをつかまえる必要がある。それからさらに北大理学部が現地調査へ赴くという措置をとりましたが、異常に早く噴火に至ったということの一つの可能性につきましては、四日と五日に現地に集中豪雨が降りまして、八十数ミリという雨が降りました。火山噴火というのは必ずこれは引き金作用というものがございます。今回非常に早かったのは、いま申しましたような集中豪雨マグマと接触して最初の爆発を起こした可能性がございます。これが非常に早かったと思いますが、これは言いわけにはなりません。  それで、地震が起きてから噴火に至るまで三十時間でございますが、その間に札幌管区気象台から出しました火山情報は三回出しておりまして、噴火の可能性を地元に指摘しております。有珠は、過去の例から言いましても、有感地震が起きたらまず噴火するとこれは思わないといけないわけで、ただし、先ほどおっしゃいました三十何年周期というものはこれは明らかではない。過去の噴火の例を見ましても、そのままいっているわけではございません。これが山腹から噴くか山頂から噴くかということで、当然噴火するインターバルというものは違ってくるはずでございます。これは有珠だけでなくて、ほかの火山でもそうでございますので、火山活動に対する周期性というものは、われわれとしましては学問的な根拠がないというふうに考えております。  それから、これからも現在の総合観測体制をこのまま維持するのかどうかという御指摘でございますが、一応、大学といたしましては現地に張りつきまして現在やっておりますが、現象の続く限りはやっていきたいと思います。これは防災上、さらに学問的な重要性ということからできるだけやっていきたいと思っております。ただし、火山活動が終息した段階では恐らく北海道大学理学部付属の有珠火山観測所が始動を始めると思いますので、有珠火山観測所の今後の火山活動の看視が気象庁との共同による火山観測の開始というふうに移行していくことになります。さらに、定常観測はそうなりますが、われわれのところに活火山移動観測班というものが大学についておりますし、気象庁には機動観測班というものがついておりますので、その班がまたある段階に共同して有珠の観測を再び行って、現在どういうふうにおさまりつつあるかということを見ることも必要かと思います。  それからさらに、観測の近代化ということは特に必要でございまして、現在北海道大学は、こういう点、矢印のある点は全部電話線を使いまして、この一点でもって常時観測しておりまして、すぐ震源を決め得るという体制になっております。  そのほかに、まあ古めかしい機械を持ち出しているところもございますが、できるだけ何かあったときには非常に能率よく、それから非常に精密な観測データが得られるような整備を今後行っていく必要があると思っております。
  33. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間が余りありませんので、私簡単に三点ほどお聞きをしたいと思います。  下鶴先生、大変この地震学の方では権威がある方なんですが、そういう点で大局的にお聞きしたいことが第一なんですが、それは、こういう研究の技術水準が、まあ日本は地震国と言われているんですけれども、国際的に見て日本はかなり高いのか、それともまあ平均なのか、そうではなくてむしろおくれているという方にあるのか、どの辺の水準にあるんですかというのが第一の質問。  それから二つ目には、同じようにいろいろこの施設のそういうものが予算がとれなくておくれているということも前々からお聞きをしておるんですけれども、そういういろいろの予知をする施設がこれも国際的に見て日本の場合には進んでいる方なのか、大体国際的レベルと同じなのか、それとも大変おくれている方にあるのかというのをどう御判断なさっているか。  それから三点目は、先ほどからもう多くの先生方から出されております今後の見通しなんです。いままでのお聞きした点はもう私もそれでわかりましたんで、さらに先生自身がお気持ちの中で、これから先にやはりまたドカンとやるんじゃないか、爆発が起きるんではないかという、そういうものを予感としてお持ちなのか、それとも、だんだん先ほどの、何というんですか、この資料を見ましても震度二というものがかなり下がってきているという点で、もうしばらくしたら終息宣言ということが、出す出さないはさておいても、まずまずもう大丈夫だというような方向にいくんではないかという、そのどちらの方にお気持ちが傾いているのかということを知りたいんです。  それからもう一つそれに関連をしてですが、これもお聞きしておきたい点は、何と言うんですか、ああいう大きな災害を起こす火山、ボンベイも見てきましたけれども、何か高い山よりかも低い山の方がそういう点においては大きな災害を起こすんだという感じもするんですけれども、その点なんかも、先生の御研究の中からどうなんだということもお聞きをしたいと思います。  以上です。
  34. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  現在の研究水準あるいは技術水準を国際的に見たらどうかという御質問に対しましては、日本の火山学の観測というものは大森房吉先生以来非常に世界的な水準を抜いております。それは地震研究と並行して火山研究が行われたということでございまして、七十ある活火山でもっていろんな観測が行われたということは国際的に最も高い水準にあると思われますし、また、日本火山学会というものがございますが、これは世界でただ一つでございまして、会員数が約七百名おります。  それから第二番目の、予算、施設を国際的レベルで見た場合にどうかという御質問でございますが、日本と外国は事情が違います。たとえばアメリカはハワイに火山観測所を持っておりまして、これは非常に規模が大きく、スタッフも大ぜいでやっております。これはアメリカの地質調査所の管轄でございまして、ハワイ大学ではございません。それからソビエトではカムチャツカに大きな火山観測所がございまして、総員二百何十名スタッフがございます。これはソビエトの科学アカデミーに属しております。日本では気象庁火山観測所を持っておりますし、それから大学が、東京大学は浅間山、霧島山に持っております。それから京都大学は阿蘇、桜島。それから九州大学が雲仙岳に観測所を持っておりまして、それぞれ研究を続けておりますが、外国に比べますというと大学の占める割合が非常に大きいというのが日本の特色でございます。  それから三番目は今後の見通しで、私の率直な気持ちという御指摘でございますけれども、これはなかなか、申し上げたいんですが申し上げにくい面もございまして、現在のデータを判断する限りにおいては、ドームが出現する可能性が非常に強いということでございます。  それから四番目の、低い山の方が大きな災害があるのではないかという御指摘につきましては、これはそういうことはございません。ただし、低い山というのは回りに非常に文化が栄えるという面で災害が大きいのかもしれませんが、高い低いにつきましては災害の差異はございません。
  35. 山田勇

    山田勇君 時間が、十五分までということなんで、簡単にお尋ねいたしますが、私たちも現地に入って、先ほどの地図の中で参考人説明なさった三恵病院の隆起現象が非常に大きいということですし、私たちも病院を見たときの亀裂と、その後ニュースで写された亀裂という差はずいぶん見ました。そういうことになりますと、三恵病院がある所在地というのは住民がたくさん住んでいる町の中にあると思うんです。ずいぶん火山口から離れたところに現象が起こるということは、いわゆるドームが顔を出すと同時に、その辺の隆起が、一挙に、隆起現象をもっと活発化されるということになれば、被害はもう甚大なものになると思うんです。ということは、その地域住民の住んでいる地域自体の隆起現象が大きくふくれるということになります。ということは、先ほどから各先生方がおっしゃったような今後の見通しということは、これはぼくは絶対に言えないような気がします。現場でもお聞きしましたら、ヤマカンで言えというなら言おうというようなことを北大の先生がおっしゃいましたが、全くそのとおりだと思うんです。先生方がこの火山活動をとめるわけではないんです、火山の方は進行しているんですから。ですから、これはむずかしい問題ですが、非常にいま小笠原先生が言ったように、その予知観測をしてこれは危険度がありますよという、その危険度のいろんな度合いがあると思います。しかし、学術的、学問的には四分六であって、四分危険だと思っても、学問、学術的にこれは五〇%以上の危険度を行政機関にぼくは知らせるべきだと思うんです、学問的な立場から言って。まして今回のように第一次の火山爆発においていわゆる人身事故がない、それが第二次火山爆発によって何らかの形によって人身事故を出してはいかぬという学問的な考え方、また予知の考え方から、これは今回かなりの危険度が、いま先生方の話、参考人の話を聞いていると、ぼくはあると思うんです。これはぼくのヤマカンですが、あると思います。あるけれども、それを行政機関に伝える、その行政機関と地域住民との板ばさみになっていると思うんです。これはかなり危険度はありますよと言いますが、その地元の住民の皆さんにすれば、あすの生活がありますから、どうしても、危険率が少しあるということがわかっていても家へ帰りたい、家の中で生活をしたい。また、私たちも避難所を見ましたが、あの状態で長期化されますと、やはりかなり苦痛があるんじゃないかと私は思います。たとえば、あのボウリング場の跡なんというのは換気なんかなかったし、行政の方でそれをすぐつけるというようなことでずいぶん一生懸命努力なさっておられます。地域住民からはあすの生活を抱えて突き上げはあるわ、学問的にも、これは危険度が高いということで行政機関に通達する——しかし、それによって今回一応緊急避難を解除していますがね。しかし、学問的に学術的にこれが危険であれば緊急避難命令という方法があるんですから、それを行政機関にでも伝えて、そのとき一時は地域住民に恨まれる可能性があるかもわかりません。ないのに何で解除したんだとか、解除しているんだから帰って生活する方がいいじゃないかというふうな突き上げがあるかもわかりませんが、あえて参考人の方から、本当に一分の危険率があっても人身事故を起こしてはいけないんですから、これは行政機関に通達をすべきだと思います。  それで、参考人から先ほどアメリカの観測の話が出ましたが、アメリカのシステムということを参考人もよく御承知だと思います。予知連絡会があって、それから行政機関に伝えると、行政機関の下部組織の中でいわゆるもう一度この予知が的確であるかどうか、そういう命令を出すかどうかというふうなワンクッション置いた形で行政の長がいろんな形で命令を出していくわけですが、そういうシステム化をされているのかどうか、その辺を重ねてお尋ねをしたいと思います。
  36. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) お答えいたします。  現地では毎日朝地元の対策本部に事情説明はしております。おりますが、この避難命令あるいは交通規制解除というような問題は、これは行政のなすことでございまして、火山活動の危険性につきましてわれわれも学問的に判断をし、その判断を行政の方に伝えるということで現在やっております。そして避難その他につきましては、地元の対策本部、あるいは交通規制につきましては伊達署長が権限を持って行っておられるわけでございます。それで、その辺ははっきり総合観測班としてわれわれがいま避難解除をしてもいいとか、避難解除はいけませんと言う筋のものではなくて、われわれはあくまでその観測データを忠実に、そうしてその判断に基づく予想を地元に伝えると。  それで現地では、つまり総合観測班というものと地元とうまくいっているだろうか。この問題につきまして、私どもも住民とわれわれその観測をやっておる者とが一度現状を忠実に話をしてみようか、住民の人に、避難とかそういうことを地元の対策本部と住民の間でなくて、われわれ観測している者が正確に現在の火山活動を伝える必要があるのではないだろうかということも一応われわれ話の種にしております。将来、必要とあればそういうことをわれわれやってもいいというふうに思っております。
  37. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終わります。  この際、下鶴参考人にお礼を申し上げます。  本日は御多用中のところ、長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。火山活動、また地震等についての予知はきわめて困難とは思われますが、科学者に寄する国民の期待は大きいわけでありまして、今後とも層一層の御活躍を心から御期待を申し上げます。  委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
  38. 下鶴大輔

    参考人(下鶴大輔君) どうもありがとうございました。     —————————————
  39. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 引き続いて質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 大臣が午後にちょっと都合が悪いという話でありますので、午前中の部分について大臣に質問申し上げたいと思います。  国土庁は昨日、九月十五日に、前に発表いたしました第三次全国総合開発計画、三全総の見直しの中で、特に首都移転を含む内容を政府の方針とするということを発表したようであります。そういたしますと、この問題は全国的に一大センセーションを巻き起こすであろうことは火を見るよりも明らかであります。特にこの関係について、いま幹線交通体系といいますか、総合交通体系の中において、幹線交通体系やあるいはまた計画の実施といいますか、投資配分の問題等含めまして、この点が、三全総の中で考えておられなかったのでありまするけれども、これらの点についてはそれを首都移転の問題を含むことについて政府の方針とするということについて確認してよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
  41. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 三全総につきましては、先生方御案内のとおり、昭和四十四年に策定されました新全国総合開発計画が、社会、経済の推移に当たりまして、やはりどうしても新しいいわゆる国土計画が必要であるということから、五十年に政府が三全総をつくるということを発表いたしました。その後、新全国総合開発計画の総点検を行いました。それからさらに長期展望作業も進めてまいりまして、それは五十年の十二月にいわゆる第三次総合開発計画概案というもので閣議決定をいたしておるわけでございます。新全総の見直し作業と長期展望作業を基礎にいたしまして今日まで関係省庁と三全総作業を詰めてまいりまして、今回国土庁試案として一つの案ができてまいりましたものですから、これを一応国土総合開発審議会に説明をいたしまして審議をお願いしているというのが現状なのでございます。その中でいわゆる交通体系につきましてはまだ関係省庁と話が詰まっておりません関係からして、その部分だけを除外して国土庁試案というものはできております。今後関係省庁とできるだけ早い機会に調整をいたしまして、それらを含めて政府試案をつくりまして諸先生方にも御審議をいただく機会をつくりたいと、かように考えているような次第でございます。  なお、けさの読売で首都圏の移転の問題が大きく取り上げられておるわけでございますが、この点については、三全総といたしましてはやはりそんなに大きい具体的な問題として扱っているわけじゃございませんけれども、二十一世紀に向かって首都圏の移転というものはやはり検討するに値しますよということをうたわなければならないのじゃなかろうかということを私の方では考えておるわけなのでございまして、その点が読売新聞がどういうことでお扱いになったのか知りませんが、きょうの新聞でああいうような扱いをなしたのでございまして、私たちはあくまでも二十一世紀を目標にして首都圏の整備というものはこの際検討すべきものじゃなかろうかということを三全総の中に織り込んではいかがだろうかということをただいま考えているということでございますので、御理解をいただきたいと思うのでございます。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、そう言われましてもね、現実にたとえばアメリカでもニューヨークに対するワシントンという位置がありますね。それから西ドイツでもボンが非常に調和のとれた首都を形成しているというような問題もあり、私は午後に質問いたしたいと思います地震対策等の問題もありますので、このように都市機能が麻律してくると、昭和六十年に三千万の大世帯を抱えることになる、都市人口を抱えることになるということになりますと、これはもう社会、経済すべての問題についてもう麻痺してしまうという、ここへ地震が加わったら、マグニチュード8以上の地震が加わったら大変なことになってしまうということだと思うのですよ。したがって、大臣、二十一世紀の構想と言われましても、この問題については、いま東北新幹線、上越新幹線あるいはまた道路投資として東京を中心といたしまして道路問題等についてはさらにひとつ建設しようというような時期と、他に関東地方を含む首都の移転の問題あるいはまた東北とか九州とか私どもの静岡県の富士市などという問題も実は出ているのです。そういうことを考えてまいりますと、私はやはりこの辺でしっかりとした結論を国土庁としても出しませんと、これはやはり政府のかなえの軽重を問われることになる、こう思うのでございますけれども、いかがですか。
  43. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 御案内のように、日本の領土の一〇%に当たる三大都市圏に人口の四五%が住まっているわけでございまして、そういう点から言いますというと、首都圏の整備というものは先生御指摘のように当然なんでございます。そのためには、やはり諸機能の再配置を考えていかなければならない。そうしてそこに交通体系を整備していくということがやはり一番必要でございますので、そういう点から首都圏整備法にのっとってもろもろの対策を考えておるわけでございます。ですから、その点が直ちに首都圏の移転につながるかという問題が残るわけでございますので先ほど来申し上げたわけでございまして、決して首都圏の整備を捨てているということじゃないのでございまして、あくまでも人口あるいは生産の増強を抑制して、そうして首都圏を整備しなければならないという目標に向かって私たちは進んでいるということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  44. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  45. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会再開いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 私たち静岡県に回りました調査団は、予想される東海大地震に備えて防災対策がどうなっているかという観点から、八月三十日から九月一日まで、観測体制防災体制状況調査したのであります。  最近、専門家の間では、遠州灘あるいは駿河湾の地域にマグニチュード8以上のエネルギーが蓄積されている。そして近い将来大地震が起こるかもしれないという意見が支配的であります。すでに昭和四十四年から地震予知連絡会で問題にされました。昭和四十九年に、先ほどもありましたように、観測強化地域に指定されたのでありまして、この理由は、測量の結果、この数十年間に御前崎から駿河湾にかけまして内陸側に地殻が押し縮められて、いわゆる太平洋プレートというようなものがこう押し縮められてきて、そして内陸が三十センチから一メーター隆起しているという実績が出ているからであります。この東海大地震昭和五十一年になりまして急に問題になってきたのは、そのことが、いま言ったようにはっきりしたからであります。国土庁長官はこの厳しいデータについてどうお考えになるか、簡単にひとつお伺いしたいと思います。
  47. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 御案内のように、昭和四十四年に中央防災会議では大都市震災対策推進要綱というものをつくりまして、五十年に、当面のいわゆる目標といたしまして、大都市の震災対策あるいは防災対策あるいは防災意識の高揚、さらに地震予知という、この三つのテーマで、東海地区地震対策を初め、地震対策全体の方向づけをいたしてまいりまして、その後も、中央防災会議内における一つの事務局が、関係十八省庁が中心になって、この地震予知から、地震が起きた場合の対策等について、もろもろの計画をただいま進めているというのが現状なのでございます。  地震予知については、たしか東京大学の助手の石橋さんという方が、かつて、東海地区に大きな地震が発生するだろうということで、学会はもちろん、社会的な大きな問題を投げかけたことは御案内のとおりでございまして、その後、学会あるいはまた地震予知連絡会議等が精査した結果、直接地震予知につながるものではないけれども、一つの周期的な活動として今後も東海地区については十分な検討を進めなければならないということも言われておりますので、先ほど申し上げましたような対策を講じているということなのでございます。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 いま長官の言われたように、たとえばこれが関東大震災級の巨大地震の直撃を受けますと、主要幹線道路や、そのまた橋や、あるいはまたトンネルの四分の一くらいは壊れてしまう。で、建設省は昨年一年がかりで全国の道路の震災対策状況をことしの七月三十一日に発表いたしておりますね。その中に何らかの手を打つ必要個所が七千六百カ所も実はあるのであります。そのうちの七百九十六カ所は落橋防止のためにもうすぐかけかえが必要だ、それから要する費用については四千六百二十億円必要である、五十一年度は震災対策費用の十八倍で、五十五年度は九〇%を終わらせたい、こういうことを発表いたしておりますが、建設省はこのことを確認いたしますか。
  49. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) ただいま先生の御指摘のような結果が点検の結果出ております。非常に大きな事業量として残っておりますが、来年度から第八次道路整備五カ年計画を発足させる予定でございまして、ただいま総額二十八兆五千億円ということで要求の説明をやっておる段階でございます。この中では、震災対策関係、あわせまして落石等のための防災体制、このあたりを最重点にいたしまして、震災対策につきましては、ただいま先生のお話のように、この五カ年計画、五十七年度末で事業量といたしまして九二%を解消するようにいたしたいと考えております。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄は、幹線系の線区や地方交通線の線区は申すに及ばず、自動車線まで実は運行いたしているわけでありますが、この点について、特に新幹線はまだ一人も死者を出していないということは、これはきわめてすばらしいことだと思いますが、新幹線は、特に直撃を受けると言われる静岡県におきましては、単位時間当たり「ひかり」、「こだま」十本の列車が運行いたしているわけであります。で、これが二百十キロで走った場合におきましては、一列車でまあ千五百人としても、これはもう一万五千人、はかり知れない災害が発生すると思うのでありますが、国鉄としてはこの点についてどうお考えになっておられるか、説明願いたいと思います。
  51. 村山熙

    説明員(村山熙君) 新幹線の問題は、御指摘のとおり、非常に大量のお客様を輸送をしておりまして、まず第一に安全ということで運行をしなければいけないと思っております。この東海道新幹線、実は昭和三十九年に開業をいたしました。この新幹線をつくりますときの設計の段階におきまして非常に地震に対する考慮をしてつくられておるわけでございます。  この新幹線の設計の内容をごく簡単に申し上げますと、やはり地震時の荷重というものをどう見るかということでございますが、これは従来非常にかなり大きな地震荷重を想定をしておりまして、たとえばアメリカあたりで公共施設に設計しております際に用いられております耐震設計強度の二倍以上の数字を使うというようなこともいたしております。したがいまして、関東大震災程度のかなり大きな地震に対しても構造物は耐え得るというような設計をしておるわけでございます。  それから片や、そうは言いましても、大きな地震が来ました際に、まあより安全にということでいろいろな施策をとってございますが、たとえば東京から新大阪の間、約五百キロございますけれども、この間には約二十五カ所の変電所がございまして、この変電所にすべて感震器を設けてございます。そうして、その感震器が、あるガルで設定をしておりますけれども、新幹線の場合は四〇ガルと八〇ガルと二段階で設定をしてございまして、そこで震度を感知いたしますと直ちに自動的に列車が非常ブレーキをかけるというような構造になっております。したがいまして、地震が起きましても、すぐに感震器が感知いたしまして列車を極力早くとめる、こういうような対策をとっておるところでございます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 二百十キロメートルの新幹線の空走距離はどれくらいですか。
  53. 村山熙

    説明員(村山熙君) 大体二百十キロで走っておりますと、非常ブレーキがかかりまして、まあ平均的に約二キロ四百程度、二千四百メーター程度で列車が停止するようになっております。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 空走時間はどれくらいですか。
  55. 村山熙

    説明員(村山熙君) 二千四百メーターでとまりますが、それに要します時分は大体七十秒程度と考えております。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 いま静岡県では地震で戦々恐々たる状態でありましてね。町内ごとに防災本部をつくりまして、自治会長が防災本部長になっていろいろやっているわけであります。で、国鉄とてその例外ではないわけでありまして、私は、いま空走時間が七十秒と言われたのでありまするけれども、マグニチュード8、それから震度がどれくらいになりますかね、マグニチュードと震度は違うわけでありますから、その関係で絶対安全というスピードはどれくらいと判断しておりますか。
  57. 村山熙

    説明員(村山熙君) ただいまの御質問、大変むずかしい問題でございまして、何キロの速度ならば絶対に安全かという点につきましては実はここで何キロと数字をはっきり申し上げる段階まで研究が進んでおりませんけれども、ただ、まあ地震によりまして二次的に、たとえば山が崩れるとか、あるいは橋梁が転落をするとか、そういった災害が起きました場合には、これはもう速度がたとえばゼロといいますか、とまっております際にも絶対に安全とは言い切れないわけでございます。ただ、過去の地震の例をいろいろ調べてみますと、たとえば新潟地震の際の状況でございますけれども、これも構造物が壊れたということ以外、地震によって揺れたために脱線をしたというような事例はほとんど出ておらないわけでございまして、したがいまして、新幹線の場合もできるだけ早く予知——予知といいますか、初期の段階で四〇ガル、八〇ガルが作動して、そしてブレーキをかけていくというようなことで大体安全に対応できるんじゃないかというようなふうに考えております。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、国鉄として、道路の、いまの建設省から説明のありましたような形で、昭和五十五年度には九二%をすべて終わらしたい、地震に対してはこれで万全だというような方式で予算をはじいていきますと、大体幾らぐらいになる予定ですか。
  59. 村山熙

    説明員(村山熙君) ただいま申し上げましたように、新幹線の場合、建設の当初から耐震設計に非常に重点を置いてつくっております。ただ、その後の、たとえば十勝沖地震において非常に軟弱な地盤の上で盛り土が崩壊をするというような事実も出ておりますので、そういうものを解析をいたしまして技術的に新しい対応策を目下いろいろと勉強をしております。したがいまして、そういう軟弱地盤上の盛り土の部分をどういうふうに今後持っていくのかというようなことも含めまして勉強をいたしておりますけれども、それ以外に、たとえば橋梁も、橋梁と橋梁をつないでおいた方がさらに安全になるというような面もございますので、そういった橋梁をつなぐとか、あるいはのり面をさらに強化するとか、そういうようなことで、実は先ほど先生の方から御報告が出たやに聞いておりますけれども、大体先生の御報告にございますような金額が対応するものかと考えております。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 私は、新幹線は耐震設計をしておられるということで、いま局長の説明でこれは信用いたしております。ただ、私どもがはかり知れない物すごい直下型、水平型の揺れが来るわけですから、そのときに対応する速度等についても三、四十キロ、これなら絶対安全というように言われて、これも私も信用していいと思います。ただ問題は、これから建設省並みにこの対策を強化していくということになればどういったテーマがありますか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  61. 村山熙

    説明員(村山熙君) やはり、ただいま申し上げましたように、橋梁につきましては、かなり安全な設計はとっておりますけれども、橋げたが落ちないような、より強固な構造を採用するとか、あるいはのり面に格子枠を張ってさらに崩れないようにするとか、あるいは軟弱な地盤上の盛り土区間に対して新しい技術をさらに開発をして、これを採用してまいりますとか、そういったような事柄であると思っております。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省はいま建設省並みの調査はまだしていないということだと言われたんでありますけれども、このことについて国鉄は、御承知のように工事費は赤字で、借金して建設部門に充当するわけですよね。そういった中で、赤字だから人命財産は関係ないんだよというわけにはいかないと思うんですよ。その点についてどういうようにお考えになっていますか。
  63. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 国鉄の防災対策の問題につきましては、現在五十二年度予算におきましては、一般施設取りかえ改良費二千二百八十八億円というのがございますが、その中で、国鉄自身の計画では五十億円を防災対策に充てる、こういうふうになっていると聞いておりますが、先生御指摘のように、防災対策につきましては、国鉄の方からいろいろこれを拡充する方向で五十三年度予算以降お話があるようにも聞いておりますが、そういったことにつきましては実施計画等を御相談受ける段階でできるだけ配慮してまいりたい、このように考えております。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄としていま来年度予算に計上いたしておりますこの防災対策、特に地震の関係について説明してもらいたいと思います。
  65. 長谷川忍

    説明員(長谷川忍君) 五十三年度の工事経費の要求につきましては現在一兆五十億円ということで進めておりますが、その中におきまして、先ほど施設局長から申し上げましたような落橋対策、あるいはのり面防護対策等々につきまして、これらを中心として配慮していきたい、かように考えております。
  66. 青木薪次

    青木薪次君 いまの一兆五十億円の工事費ということを言われたんでありまするけれども、その中で五十億円というと、ちょっとスズメの涙だと思うんでありますけれども、この点大蔵省どう考えておりますか。
  67. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 失礼いたしました。五十億円といいますのは本年度の工事費八兆九千三百億円、新幹線を除きますと在来線では五千六百五十億円になりますけれども、その中での、五十二年度予算の話でございます。五十三年度の一兆五十億円の話につきましては私どもまだ詳しくヒヤリングは行っておりませんが、その中で防災に対してはできるだけ強化したいという国鉄側の御意向であるというふうに承っているわけでございます。
  68. 青木薪次

    青木薪次君 大蔵省も国鉄当局も、先ほど局長の話によりますと、建設省並みに絶対安全対策を講じていくとやはりそれに匹敵するような金が必要となるということになりますと、今度は一般工事勘定の中における工事費の関係との対比の中で非常に問題になってくると思うのであります。その点については、大蔵省も国鉄当局もその点を非常に重要視して、そうして一般の設備投資等の関係とは別に安全対策という点については相当真剣に考えていかなきゃならぬじゃないかと思いますけれども、その点いかがですか。
  69. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 先ほど国鉄の村山施設局長からお話がございましたように、国鉄につきましては関東大震災以来の経験もございまして、かなり地震の問題については進んでいると、先駆者であると、そういう意味では、トンネルでございますとか、橋とか、あるいは高架の橋げたといったものにつきましてはかなり耐震設計はとっているというふうに聞いているわけでございます。したがいまして、残された問題は、先ほどお話がございましたように、盛り土の面におきますところののり面の防護でございますとか、あるいは一部の橋げたの連結、そういった点を重点的に措置したいというふうな御意向であるというふうに聞いているわけでございます。そういった意味で、今後いろいろ新しい技術等も開発されようかと思いますが、そういった点を踏まえまして、その全体の工事費の中での実施計画の配分に当たりましては国鉄の御意向を十分尊重もして、できるだけやってまいりたい、このように考えております。
  70. 青木薪次

    青木薪次君 余りこの問題をやっていきますと時間がございませんので、これは引き続いて今後においていろいろ討議をいたしてまいりたいと、こう思っているわけであります。  先般八月三十日から九月一日までの三日間私どもが静岡県の、特に四十九年の七夕台風と五十年災、五十一年災の復旧計画等について調査いたしてまいったのでありますが、特にこの中で静岡県の松崎町の松崎港が前回港を埋められてしまったわけでありますが、ここは防波堤を片方に、湾の右岸につくってあります。左岸の方がそのまま外洋の直撃を受けて船だまりに対して浸食をしていくということで非常に困っているわけでありますが、この点についてひとつ運輸省の方から意見を聞きたいことと、それからいつも毎度毎度災害を受けております青野川の河川改修に伴って激特の事業に指定いたしているわけでありますが、これらの関係について手石港の港湾施設の整備の促進や、あるいはまた普通河川の前田川の二級河川指定等の問題について、私がこちらへ来る前も陳情が実はあったわけでありますが、これらの点と、それから稲生沢川、これは下田でありますが、ここに約百万立米に近い土砂が捨て場がなくて最終処分地に困っている、こういうような問題がございますので、これらの関係についてひとつ、最終処分地の関係は建設省の所管でもあり、また、この災害復旧という点から国土庁の関係にもなると思うのでありまするけれども、これらの点について長官どうお考えになっておられるか。これらの点についてひとつ質問いたしまして、私の質問を終わります。
  71. 寺尾健

    説明員(寺尾健君) 松崎港の件につきましてお答えいたします。  松崎港の弁天島地先の浸食対策施設の件でございますが、いま先生御指摘のことだと思いますが、事業化につきまして前向きに検討いたしております。
  72. 川本正知

    説明員(川本正知君) まず、第一点の青野川の改修工事でございますが、先生御承知のように、青野川の河川改修につきましては昭和四十四年から中小河川改修として進捗を図ってまいったわけでございますが、いま御発言のように、四十九年、五十年、五十一年と年々災害の実態がございまして、五十一年度から新しい制度として発足いたしましたいわゆる激特事業として本川の分は採択いたしまして、支川の一条川につきましては災害関連事業というもので採択して進めてまいっておりましたが、計画的に、また短期間に採択区間の工事が進捗いたしますように、今後とも、現在、用地買収、あるいは掘削、あるいは護岸といった工事を進捗させておりますが、今後ともさらに進捗させたいと思っております。  それから、普通河川の前田川の改修についてでございますが、河川改修工事でやろうといたしますと、普通河川というものを河川法の適用を受ける法河川にするか、あるいは準用河川というものに指定して、そしてその上で河川改修を行うということになるわけでございますが、県の方でも静岡県の方でも、そういった法の指定を受けるように現在検討を進めておるというふうに聞いておりますし、私どもそういった法の指定を受けて、そして県の方からの補助事業の申請があれば、ぜひそれを採択するように前向きに検討していきたいと、このように思っております。  それから、稲生沢川の発生土砂の件でございますが、これも五十一年度から激特事業ということで進捗を図ってきておるわけでございますが、いまお申し出のように、河積の拡大といった工事のために、相当多量の掘削工事による土砂が発生いたします。その処置につきましては、静岡県と下田市の間で現在いろいろ協議中でございますし、早急に結論が出るように私どもの方も強く指導してまいりたい、そういうふうに思っております。
  73. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど来、先生から災害対策、特に震災対策の面から、道路について、あるいはまた新幹線について、あるいは河川全般についていろいろ御意見を交えての貴重な御意見を承りました。国土庁は調整官庁でございますので、震災対策中心にして、特にこれから積極的にこれらの問題を取り上げて事後の予算等に十分反映できるように努力をしてまいりたいと考えますので、御了承をいただきたいと思います。
  74. 上條勝久

    上條勝久君 私の持ち時間が二十分しかありませんから、私も端的にお尋ねいたしますので、お答えもひとつ勘どころをずばりお答えをいただきたいと思います。  今度の有珠の災害実情からいたしまして、多くの災害対策の中で現行の制度ではなかなか対処しにくいという問題がかなりあると思います。そこで、国土庁では、これらの問題について新制度を制定して、あるいは現行制度を改正して対処せられる用意があるかどうか。長官は、閣議でも、あるいはまた衆議院においても、これに対して大変積極的な前向きの御発言をいただいておるわけでありますが、この点についてお尋ねを申し上げたいと思います。その用意があればその内容の柱は何か、内容の細かいことは結構でありますから、その柱について内容をお話しいただきたい。これが国土庁に対する質問であります。  第二番目に農林省関係でありますが、今度の有珠の災害は、先ほども御報告申し上げましたように、農林災害がほとんど全部であると言ってもいいと思うのでございまして、この対策は非常に大事であると思います。その中で、畑作被害が特に激甚であることも御承知のとおりであります。ところが、水稲につきましては共済制度がございますが、畑作については現在のところない。それで、いまこの畑作共済制度の問題に取り組むために試験が一市三町村で行われておると思います。今度の通常国会にその法案を提出されるというふうに私は承っておるわけでありますが、この災害に対処するために、その一市三町村のモデル地区の中にこの有珠山周辺の関係地域を加えて、そしてこれに対処されることはできないかどうか、そのことについて検討されることは非常に困難が伴うかどうか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。  それから、虻田町の有珠山ろくのがけ地、山すそでありますが、先ほどもお話しいたしましたけれども、現在のところでは一応応急な防災工事が施行されておりますが、この問題は非常に技術的にも心配をされることでありますから、どうかひとつこの治山治水については、農林省、林野庁、建設省、お互いに緊密な連絡をとって、そのための二次災害の発生等が起こらぬように万全の措置を講じていただきたい。これは私の要望であります。  それから最後に、午前中の下鶴先生の有珠の観測体制についてのお話を伺ったわけでありますが、私もそのとき申し上げましたけれども、どうも日本の財政当局の物の考え方が、公共事業等——まあ政治的な何といいますか、バックボーンのある事業については比較的予算が計上しやすい。しかし、調査であるとか研究であるとか、そういうじみながらも将来に向かって非常な大事なことについては、これが行政部費であるという関係から政治的な圧力が薄いと申しますか、そういうことはないと思いますけれども、非常に予算をちびる傾向があることはいまに始まったことではありません。しかし、非常に大事なことでありますから、火山にいたしましても、あるいは地震にしても、こういうものにこそ幾ら国が金を使ったっていいじゃないかということは、これは私だけの認識じゃないと思うのです。法制局長官をされた林修三先生も、こういう問題には幾ら金を使ってもいい、また、法律が必要なら制度もつくるべきであるということは新聞等で話されておるとおりでございまして、どうかひとつ、文部省なり大蔵省は、この問題について、特に当面する有珠の総合的な観測体制について、せっかく先生たちが一生懸命にやっていただいておるのに対して、その先生たちが安宿にも泊まれないで、普通の民家を借りて、そこへもう間もなく移らなきゃならぬというような状況、場合によっては、どこかホテルか何かのお手伝いでもして、そして金をかせぎながらこの観測体制を続けていかなきゃならぬというような状態は——これは何も下鶴先生から伺ったわけではございません、私が調べた結果でありますが、それで、この大事な観測については先生方に依存する以外に手はないわけでありまするから、そういうことじゃ私は相ならぬと思いますので、ひとつ大蔵省、文部省、その点十分配慮をされて、少なくともそういうことはないように、予備費を出すなり、あるいは特別な措置を講ずるなりして、せっかくの観測体制が今後とも十分継続をしていただくことができますように、先生方の熱意にこたえてもらいたい。これを強く要望をしておきたいと思います。  また、こういう問題については、この委員会委員長初め全部の先生方が超党派で応援をしていただけると私は確信いたしますから、ひとつそういう決意で取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わります。お答えをいただきます。
  75. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いまの上條先生の御質問の国土庁に対する第一点は、結局、有珠山の今度の噴火災害の特殊性にかんがみ、何か新しい制度をつくる必要はないだろうか、それから、特に長官がいろんな機会におきまして、災害対策基本法とか、あるいは活動火山法などの改正につきましても若干発言されておるというようなことでございますが、先生御存じのように、火山噴火にはいろんな形態が実はあるわけでございまして、今度の場合は降灰、礫による被害が主なものでございますが、これらの被害に対しましては、政府は、先生御存じのように、非常対策本部をつくり、また関係閣僚会議等を中心に各般にわたり対策を進めておりまして、特に実は関係閣僚会議等も開いたりして、関係各省庁の密接な連携のもとに、現行の諸制度の弾力的な運用——実はこれが運用においてまた十分でないと実効が上がらないということもございまして、でき得れば現行の諸制度を十分実は弾力的に運用かつ活用しまして、実態に合うように対処していきたいというようなことで努力しているわけでございますが、現行制度の運用でもっていくようにといっても、まだいろんな具体的な問題が出てくるわけで、その場合におきましては制度的な側面についても検討してまいりたい、実はこのような考え方で、現段階におきましては、諸制度の弾力的な運営によりましてできるだけ皆さん方の要望に沿うように努力いたしておるというのが現状でございます。
  76. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 今回の有珠山の爆発に伴います農作物被害についてでございますが、この地帯は御案内のとおり畑作地帯でございまして、農林省の統計情報部の被害調査におきまして、被害に遭った農用地面積が一万一千三百ヘクタールでございますが、そのうち大部分が畑作あるいは牧草地で、水稲を作付しておりました面積が七百十一ヘクタールということで、ほとんどが水稲以外でございます。  御質問のございましたように、水稲につきましては農業災害補償法に基づきます共済制度が実施をされておりますが、畑作物については現在のところ本格的な制度はまだ発足を見ておりません。昭和四十九年度から畑作物につきましても本格的な制度を創設すべく試験実施をいたしておるところでございます。この試験実施におきましては、この地域は残念ながら対象になっておらないわけでございまして、今回の災害に伴いまして共済金による損失の補てんということは実施ができないのでございます。  そのようなことでございますが、この試験実施は、ただいま申し上げましたように、本格的な制度を確立するための保険設計を実際に当てはめてみる、またいろんなその他のデータの集積をするということがございまして、連続性をもって実施をする必要がございますために、今回の地域を後から追加するということには、この試験実施の性格上困難であるというふうに考えております。  なお、本格実施につきましては、ただいま制度化のための検討をすでに着手いたしておりまして、来年そのための法案の提出を準備いたしておるところでございます。本格実施の際には、現在試験実施の対象といたしております六作物以外、それから実施地域も現在の対象地域をさらに拡大するということで検討をしていくという心構えでございますが、先ほどお話のございましたこの地域について、ことし対象にするということは困難であると考えております。  なお、当然のことでございますが、この地域のそういう性格に十分留意をいたしまして、天災融資法等の発動の際には、資金需要を把握いたします際に、通常の場合でありますれば共済金が出るということでその分を控除することでございますが、当然のことでございますが、そのようなことがなく資金需要に十分対応できるような対処をしていく考えでございます。  それから、治山関係につきましては林野庁の治山課長から答弁を申し上げたいと思います。
  77. 上條勝久

    上條勝久君 答弁要りません。  ちょっと時間が二、三分ありますから農林省にお尋ねいたしますが、例の有珠山の灰ですね、これは山によって、その灰はいろいろ、酸性のものもあればアルカリ性のものもある。有珠の場合はアルカリ性を多分に含んでおる。しかし、若干の硫黄も含まれておるというふうに聞いております。それから、読売の北海道版でもそれに関連する記事が出ておりましたが、これは無論程度にもよるし、いろいろありますけれども、農地災害復旧に関連してくる、耕法に関連してくる問題でありますから、一体有珠の灰が日本の酸性化された土壌にどういう影響をもたらすか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  78. 山極栄司

    説明員山極栄司君) 有珠山噴火に伴います灰の問題でございますが、これは現在北海道の試験場等で分析をいたしておりますけれども、性質といたしましては微アルカリ性ないしは中性ということになっておりまして、塩基の含量なり燐酸の含量も比較的高いということでございますので、土壌的に見ますと比較的問題は少ないんではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、これらの作物の生育に及ぼす影響等につきましては、現在さらに詳細な調査北海道の試験場にお願いしておりますので、その結果を待って指導等に万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 中村啓一

    中村啓一君 上條委員の質問に関連をして、一点だけお伺いをいたします。  今回の有珠山噴火、この被害は、とんでもない灰が降りてまいりました。上條委員から御指摘のありましたように、農業に、また漁業に、これまで例のない被害を出しました。多いところは五十センチを超える灰がコンクリートのようにへばりついておる状況でございます。中でも深刻な打撃を受けておりますのは洞爺温泉街でございます。ここは年間六百万人近い観光客が入りますが、一番最盛期が八月でございます。八、九、十がお客の多いシーズンでございます。その八月の入りばなに大変な打撃を受けました。八月の初めから今日まで一人のお客も来ない状況でございます。ホテル、旅館、おみやげ品店、その他関係業者三千人近くになりますが、さらにそれに関連をしております中小商工業合わせますと大変な数でございます。収入皆無になりました。そこで、これらの人は、しかし何としてもがんばって再起を図っていきたい、その意気に燃えております。そのために一生懸命奔走しておりました旅館のあるじの観光協会の副会長の加賀谷君は、そのために十日ほど前に亡くなりました。亡くなる二日ほど前に私は会いまして、彼の切々たる気持ちを聞きました。何としてもここで立ち上がっていきたい、それにはこれまでのような中小企業に対する災害対策ではとうてい立ち上がれない、ぜひ新しい、ここで有珠の温泉街の特殊事情あるいは灰が降った地域の特殊事情に即した融資制度をお考えをいただきたい——特に中小企業関係者が切願をいたしておりますことは、八、九、十の売り上げ皆無に伴いまして六十億円の損失がございます。それから、年間の諸経費をかなり下回って見ましても八十億から百億の資金が必要であります。これをこれまでのような条件の、これまでのような資金を融資をしていただいたのでは、とうてい総額を満たすこともできませんし、その条件では立ち直ってまいれません。ぜひこの際、新しい融資制度を開いていただきたい。約百億の金を二十年近くにわたって返せるような道を開いていただきたい。金利も思い切って下げて、三分程度にしていただかないと成り立たない。据え置き期間についても特別な御配慮をいただきたい。そういう点につきまして、政府は積極的にお取り組みをいただいていると伺っておりますが、この際、その作業の状況等についてお伺いをいたしたいと存じます。
  80. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 洞爺温泉街被害が非常に甚大であるということにつきましては、これは私も現地を拝見させていただきましたので、実感としてよく承知しているつもりでございます。  で、私ども詳説は避けますが、先生御指摘のとおり、これまで災害特別融資でございますとか、あるいは償還猶予でございますとか、これまでにできることは極力やってきたわけでございますけれども、これでは十分ではないという御批判、衆議院の段階でも御批判がございました。私どもといたしましては、これはこれだけでよろしいとは思っておりません。で、現在いろいろ相談を進めておりますけれども、かつて松代地震の当時なども、地震という特殊な事情から、必ずしも現行の体系でうまくいかないというようなことで特別な措置を講じたというようなこともございまして、その辺を参考にしながら関係各省いま鋭意詰めております。事が事でございますから、早急に成案を得たいというふうに考えております。
  81. 戸塚進也

    戸塚進也君 冒頭、午前中に長官から、奄美群島の台風第九号の御視察に行かれたということでございまして、その御報告を承っておりますが、政務次官も御一緒されたようでございます。ここには簡単な御報告がございますけれども、政務次官からごらんになってみて、特に離島においてあのように予期しなかった、急にやってきたというようなことで、テレビでも紹介されましたが、被災者の方々のお気持ちというのは、日本列島の中でも本土にいる人とまた離島とは大変違うと思います。特にお感じになった点、こういう点とこういう点だけは早急にひとつ改善をしなきゃならぬとか、こういう声が非常に多かったという点だけを端的にお話し願いたい。
  82. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) 先ほどちょっと報告したのは、きょう私が報告したわけでございまして、それから実は沖永良部島に参りましたのは私が参ったわけで、長官は行っておりませんから誤解のないようによろしくお願いします。  実は、私行きまして、想像以上にびっくりしましたのは二つの点で、一つは風速が新聞には六十・数メートルと出ておりますが、現地自衛隊観測では七十五メートルの観測計が壊れていると、それからまた、和泊町の町役場に風速七十メートルに耐え得る行政無線がございますが、これが折れているというようなことでございまして、実態は七十メートル以上じゃなかったかと、このように理解しております。それからもう一つは気圧ですが、九百七ミリバールでございます。実は室戸台風のときは九百十一ミリでございまして、それよりももっと低いということで、恐らく日本でいままでに一番低い気圧ではなかったかというようなことでございまして、この二つをもちまして、いかに今度の台風がひどかったかということが御理解願えるかと、こう思うわけでございます。  特に私行きまして、今度初めて電気と水のない生活を一日やってまいりましたが、いかに電気と水のない生活が不便であるかということをしみじみ味わったわけでございますが、大体これも実は自衛隊あるいは九電、あるいは電電公社等の大変な御協力によりまして——資材等が搬入がおくれたわけでございます。と申しますのは、港がまだ十分整備されてないというようなことでございまして、特に資材は積んで和泊の港に行ったんですが、波浪が大体十メートル前後で着けない。裏の方は波が静かなんですが、これは港が整備されてないということでございまして、港が整備されてないので資材の陸揚げができない。したがって、ある資材でもって対策を講じたというようなことがございまして、大体電気は十八日、水は多分きょうの夕方ごろから供給できるのではないかと、このように思っておるわけでございますが、実は今度の被害で、午前中に私ちょっと御報告いたしました一番問題は、家がやられたということでございます。大体被害総額が百四十億前後で、そのうちの百三億が家で、全壊、半壊、一部破壊ということで、約八一%の家屋がやられておるということでございまして、したがって、島内二町ございまして、和泊町と知名町と両方ございますが、二町とも全部すみからすみまで私は歩いてまいりましたが、どこへ行きましても全部実は屋根が吹き飛んだりしているのがほとんどでございまして、被害を受けてない家を探すのが大変だというようなことでございまして、これはほかにない特異な災害ではないかと。ただ一つ不幸中の幸いは、人的な被害がなかったということが不幸中の幸いであったと、このように思っておるわけでございます。  これからの問題点は、やっぱり島にとりまして一番問題は総合交通体系の整備と、特に交通の確保ということでございまして、今度は、たまたまいわゆる空港がありましたために助かったわけでございまして、あとは港の整備と、それから優秀船を配置するということが私は大切じゃないかと、こう思っております。今後の問題としては、実は先ほどもちょっと言いました家の問題でございまして、特に家を見ておりまして非常に感じましたのは、木造の家はほとんど屋根が吹き飛びましたが、鉄筋ブロックの家はそのまま丈夫であったというようなことでございまして、これから家を建てる選択でございますが、鉄筋ブロックの家が非常にいいんじゃないかということでございますが、実はこの場合、木造でございましたなら大体坪十五万から二十万でございます。鉄筋ブロックの家は坪三十五万円前後と、この辺をどうするかということでございまして、これからの住宅金融公庫の融資枠の拡大と、それからもう一つは単価の問題、それから適用基準を拡大しまして単価をもっと高くしてもらいたいと、こういう要望が強く出てくるかと、こう思うわけでございまして、大体現地の人々は、実態を見まして、これからはひとつ鉄筋の家を建てたいという気持ちが非常に強いかと思っています。また、各町とも行政指導でそういう方向に進むんじゃないかと、こう思っておるわけでございまして、これからの一番の問題点は、いま申しました港の整備と、それからあとは建築の問題、それからもう一つは建築費が上がらないようにする、特に資材等についても配慮すると、こういうふうな——実は大体二町で年間工事が二十億とされていますが、そのうちの十八億が港と漁協でございまして、あと二億は土木工事で、建築はほとんど大工がいないということです。したがって、現在日当が大体向こうでは七千円前後のようですが、鹿児島では八千円か八千五百円。たとえば鹿児島から大工を送る場合には、その日当プラス実は宿泊代三千円ぐらい、別に往復飛行機賃と、非常に高いものになるので、その辺をどうするかということで、鹿児島県を中心にいまいろいろ案を練っているということでございまして、できるだけこのことが物価に影響を及ぼさないように、それから建築費の高騰を招かないという形におきまして、台風に耐え得るよう建てるために政府としてどうすべきかということを考えているわけでございまして、その辺、また何かと委員長以下皆さんの御高配を願いたいと思っているわけでございます。  簡単に申しましたが、そういうことでございまして、御了解願いたいと思います。
  83. 戸塚進也

    戸塚進也君 政務次官におわびいたしますが、私午前中予算の理事会に行っておりましたので、その部分抜けましたので、お許しを願いたいと思います。  その対策につきましては、ただいまもお話を伺ってよくわかりましたが、ぜひひとつ島民の不安を一刻も早く解消されるように努力されていただきたいと思います。  次に、有珠山の問題でございますが、気象庁いらっしゃいますか。ちょっと伺いたいと思いますが、同じく午前中にいろいろ専門家のお話もあったわけでありますけれども、重複は避けまして、私がかねてから気象庁等から伺っておるところによりますと、八月の七日でございますか、第一回の爆発があって、それ以来今日は一応小康状態であるけれども、半年ぐらいはどうも危険というような感じもあるのではないかというような、別にこれは半年とはっきり区切ったわけじゃないのでしょうけれども、少なくともかなりまだ危険性は残るというようなふうにも承っておるわけでございますけれども、現状どんなふうに判断していらっしゃいますか。
  84. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  実は、午前中に火山噴火予知連絡会の前線基地でございます有珠山の山ろくに設けられております総合観測班の観測結果を踏まえまして、下鶴東大教授が御質問の見通しについて非常に明確なことをおっしゃいましたが、要するに、現在噴火こそございませんけれども、地震の活動状況、それに地殻変動の進行状況を踏まえますと、溶岩の源と申しますか、マグマの活動は依然として活発であるという御判断でありまして、明治あるいは昭和の過去の活動状況等を比較いたしますと、これはやや長期化するのではないかという現在の御判断であります。なお、非常に高密度の観測を現在続行中でありますから、もちろん、その活動が鎮静化といういい材料が出れば即刻皆様にお知らせする手はずになっております。
  85. 戸塚進也

    戸塚進也君 そこで、有珠山以外に、現在また日本列島の中で火山の爆発のおそれがある、あるいはまたそんな徴候がある、こんなような形でプロジェクトを組まれて調査を開始された学者グループもあるというふうな新聞報道もありますし、また、気象庁としてもそれなりに関心を持っていらっしゃるのじゃないか。私は別に一方的に決めつけるわけじゃありませんが、何となく感じが、日本列島の火山帯に何か一連のそういう関連性があるのではないかというような、これはあくまで素人の心配でございますから当たっているかどうかわかりませんが、何かそんな感じも抱くわけでございますが、その辺の学問的と申しますか、気象庁としての御研究はどのようになっているか、また現状、日本列島の中でそういう心配されるような場所などがあるのかどうか、それをちょっと承りたいと思います。
  86. 末広重二

    説明員(末広重二君) 御説明申し上げます。  確かにいま有珠山は大変な活動期に入ったわけでございますが、その他の火山では、特にこれに呼応して活発な徴候を示しているという火山はございません。まあ吾妻山と申しますか、吾妻山がことしに入りましてから若干噴気あるいは地震活動等でやや活発化の様相は見せておりますが、これも特に噴火にすぐ結びつくとは判断されておりません。日本は非常に火山、活火山——これは現在活動は必ずしも活動しておりませんでも、過去に活動をした経歴があるし、またその可能性を将来に持っているという山でございますが、これが大変いっぱいございまして、ある意味では取っかえ引っかえ活動をしているわけでございますが、特に日本列島全体の火山全体が活動期に入ったということはないと存じます。
  87. 戸塚進也

    戸塚進也君 私はたまたま静岡県でございますので、非常に近いので言うわけじゃないんでございますが、住民の中で、東海大地震にパンチを加えて富士山は大丈夫だろうなというような、非常にこれ素朴でございますけれども、実は私どもとしてはいろいろそういう深刻な話題が出てくるんでございます。富士山には常時測候所もございますが、いま日本列島全体では大したそういった動きはないというお話でございますから、富士山も当然それに入るわけでございますが、念のために、最近の富士山の測候所の観測等で特別に何かの変化があったとか何かというふうなことはございませんか。
  88. 末広重二

    説明員(末広重二君) 富士山も当然数多い日本の活火山の中に入りてはおりますけれども、現在活動期にはございませんし、御指摘のとおり、山頂には測候所がございまして、噴気活動を含めて常時監視しておりますし、また、周囲には数多くの地震観測点が配備してございます。それ等から判断いたしまして、富士山が近々爆発する徴候というふうなことは全然ございません。
  89. 戸塚進也

    戸塚進也君 それで安心いたしました。ひとつ観測体制だけは常時怠らないように十分御観測願いたいと思います。
  90. 末広重二

    説明員(末広重二君) 承りました
  91. 戸塚進也

    戸塚進也君 次に、地震の問題につきまして若干大きな見地からお伺いいたしますけれども、昨日もNHKテレビで、この地震の問題、非常に詳細な、あくまで仮想ではありますけれども、私ども国民が見て参考になるような番組もございました。あの中で最後に静岡知事が、こういうことがあってはならぬが、しかし、あり得ることであるから、総理大臣の権限等も含めて、ひとつまあ地震立法と申しますか、そういうものも考えてほしいと、適切なお話だと思いますし、わが党でももちろん検討しているわけで、いまここで立法問題をとやかく申そうとは思いません。しかし、いずれにしましても、そういう地震という問題について国家的にこれは取り組まなければならない、しかもこれはいままでは地震についての総合的な、もし大きな地震が起こった場合に国家的にどう対応すべきかとか、あるいはまた細かい各地区においてはどうかとかというふうな問題についての総合的な、プランニングと言うと言葉が悪いかもしれませんが、そういう総合的な計画の樹立といいますか、こういうものがまだまだおくれておったように思います。  そこで、おくれていたことについては、これはまあやむを得ざる点でありますから、これから先に向けてそういう総合的な、あくまでも各種のいろんな見地からこれを検討されて、たとえば立法問題についても、単に立法するすると言っても、それに伴ういろんな問題が起こってくるわけですね、昨日のテレビにもありましたけれども。そういう問題もいろいろ含めながら、あるいはまた気候あるいは地震対策予算等も含めながら考えるべきだと思うんですが、とりあえず、まずこの総合的ないわゆる計画、対策樹立といいますか、こういうものを国土庁として相当本格的なものをお考えであるかどうか、私は当然すべきだ、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
  92. 四柳修

    説明員(四柳修君) 御指摘のように、昨年の石橋助手の御発言以来、私どもの方も、万が一という場合の想定で幾つかのことを検討しておりますけれども、実は大変申しわけないんですけれども、予知の場合と本番の場合と言っちゃ何でございますが、本当に発生した場合とどちらがという問題がございまして、いままで本当に発生した場合に防災側としてどういう体制であるべきかという問題と、そういったことをどういったルートで情報を伝達するのかということを実は中心でやってまいりました。そのやってまいりました組織は、先ほど長官が申し上げましたように、御案内の中央防災会議の中に大都市震災対策連絡会議がございまして、関係省庁集まりまして、そのネットワークの問題、万が一発生した場合にどうするかということは一応素案はでき上がっております。  その次に、いま御議論ございます予知の段階でどうするかという点が実は私ども非常にいま検討中の点でございまして、特に地震予知連ができました後に、防災側としまして地震予知連としてお出しいただける地震予知の情報というものがどういう形が望ましいのだろうか、私どもこれを幾つかのタイプに分けまして、近々に来るという場合、これはいろいろ期間の想定があろうかと思います。あるいはもっと切迫した場合、これは本当に日時の問題だろうと思います。それから、もう少し長い目で、来るかもしれないという期間が長くなった場合というふうに、まあ時間的差等をつけますと、その三つのタイプがあろうかと思います。それから、いわば緊迫度と申しますか、あるいは来る可能性の強さと申しますか、そういう点で、必ず来そうだ、あるいはひょっとすると来るかもしれない、来る可能性があるから十分準備した方がいいと、こういったようなものをいろいろ組み合わせまして、実は各省庁にお願いしております点は、数時間内に、遅くとも二日以内に必ず来そうだという想定を置きました各省庁での対応のマニュアルというものを一応御検討いただいております。これがまとまり次第、先ほど御指摘がございましたような、当面の予知、非常に確度の高い予知が出た場合での一つの防災側の計画としてまとめていこう、こう考えております。  それが本番にどうつながるかという問題でございますが、一応それを受けました後で、それぞれの関係当局で講ずべき措置がその次に出てまいろうかと思いますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  93. 戸塚進也

    戸塚進也君 非常に明確によくわかりました。よくひとつ各省との連携をとっていただいて成案をまとめていただきたいと思うのでありますが、先ほど本番と予知というお話がございましたが、まあ本番の方についてはあらかたでき上がっておる、そういうものを国民的に発表すべきもの、PRすべきものと、また役所の中でとっておかなければならないもの、いたずらに不安を助長するばかりというのがいいわけじゃありませんから、ですから、その区分けはあると思いますが、当然国民的にやはり発表して、そして国民の協力も得る、理解も得る、こういう部分については近い将来に発表募る——近い将来というのは別に何月というわけじゃありません。それを区切るわけじゃありませんが、少なくとも国民的に知っておかなければならない、国がこういう対策を考えているんだということについて公表すべき点はまた近い将来まとまり次第発表されると、こういうことでございますか。
  94. 四柳修

    説明員(四柳修君) 私どもの方も、まとまり次第いろいろ御批判いただきながら、その過程の中でやはり関係者の方々の御理解をいただかなくちゃなりませんものですから、発表してまいりたいと思います。
  95. 戸塚進也

    戸塚進也君 よくわかりました。  それでは、そういう総合的な対策というものが樹立され、発表され、初めてこれは問題になる点だと思いますが、少し早とちりかもしれませんが、地震等を考えた場合に、現在の各省の機構でございますね、これが必ずしも……。もちろん連絡会そのほか十分やっておられるでしょうけれども、地震対策について、もう少し役所でまとまった人員で仕事を進めた方がいいんじゃないかと思う面もあると思うんです。そういう点で、機構的な問題に、私自身が考えると、ややおぼろげながらですが、問題はまだ残されておるんじゃないか。  二点目は予算の問題でございますが、五十三年度についても国土庁が非常に強力に指導されて、各省とも予算概算要求が、他の予算と比べると、けた違いに出ております。大変これは敬意を表します。表しますが、しかし、現在ぐらいのけたで、たとえば予知研究費でありますとか、そのほかまた防災の各種の未然の対策でありますとか、そういう点で十分かというとどうかなと思う点も、私、率直に言ってあるわけです。ここらの点については、総合的な問題が樹立された五十三年度以降の問題だと私は思いますけれども、現在の段階ではどのようにお考えになっていらっしゃるか、簡単で結構ですから御所見だけ伺っておきます。
  96. 四柳修

    説明員(四柳修君) 前段の組織、人員の問題でございますけれども、私ども、御案内のように、この四月に震災対策ができましたばかりなものでございまして、はなはだ至らない点があろうかと思いますけれども、せっせと、御叱正いただきましてがんばっていきたいと思います。  それから、後段の予算の問題でございますけれども、五十二年度の予算で予知関係が約三十七億でございますけれども、その他の一般の対策を含めますと約四千三百九十億近くなります。予知関係につきましてはいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、やはりまだ技術的に必ずしも十分でない、あるいは地点の数が少ない、せっかくならばいろんな観測機械をセットとしてオンラインで入れたい、いろんな要望があろうかと思います。そういう意味で、私ども調整の役をやっている側から見ますと、やはり予知関係だけはもう少し大幅に伸ばしていただければ皆さん方が安心できるんではないだろうかと、こう考えております。
  97. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、ひとつ個別的な問題で、先般の災害の視察におきまして感じましたことで、これは林野でございますか、お尋ねいたします。  例の静岡県の由比の地すべりの問題でございますが、これは地区としては静岡県の問題でございますが、御案内のとおり、東海道、新幹線あるいはまた国道一号線、また場所によりますと東名高速、こういうものが全部実は一緒くたになった地域であります。由比の町民の不安、もちろん人命というものは最も尊重すべきでありますから、まずその人命ということでございますが、あわせて公共機関がそれだけ密集しておって、しかも過去に一度、一週間東海道線があそこでとめられたという実績が最近残っております。これは私は、もう地域の問題じゃなくて国家的な大問題であろう、改めてあれだけでももう一度災害の他の県の先生方にも見ていただくくらいのことが必要じゃないかなと私は思ったくらいなんでございますが、現地では林野の出先が非常に熱意を持って仕事をやっております。ありがたいと思いました。しかも、一応従来の年度計画という面においては現在のところ順調に推移しておる、こういうことは私も自分の目で確かめてまいっております。しかし、これが完全にでき上がるというには三年なり、あるいはまた場合によるとそれ以上の年限もかかるというような部分もあります。どう考えてみましても、東海大地震というような問題が言われております昨今、あの由比の地すべり問題についてだけは、国家的な見地から考えて、やはりこの予算の特別な早期の執行、こういうふうな形の中で対処していくべきではないか。出先の事務所も、予算が増額されればそれに十分対応するだけの人的な、あるいはまた事務的な体制は整えておる、こういう自信ある発言も私承ってまいりました。これについては、ひとつ何としても国家的な問題として真剣に前向きにお考えいただきたいと思いますが、その御所信を承っておきます。
  98. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) お答え申し上げます。   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕  林野庁といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり、当由比地区につきまして、交通あるいは通信網の重要な要衝であるということから言いまして、国土保全上最も重要な地区といたしまして昭和五十年度から国の直轄事業ということでこれを実施することとしてきておるわけでございます。五十年度につきましては、事業費にいたしまして二億四千六百万円という額を計上しております。それから五十一年度につきましては五億円の事業費を計上しました。これは対前年度比にいたしまして二〇〇%強でございます。さらにまた五十二年度につきましては八億八千四百万円ということでございまして、これまた対前年比で申し上げますと一七七%という伸び率で予算を投じまして事業を実施しているというのが現状でございます。  この事業規模につきましては、全国的な見地から申し上げますと、こういった直轄事業地が全国にこのほかにも二十七地区の直轄治山事業の現地があるわけでございまするが、こういった施行地の中でも最大規模でございまして、本年度の事業費、つまり先ほど申し上げました八億八千四百万円という事業費を取り上げましても、直轄事業地の一地区の平均事業規模が約三億円程度でございますので、それの三倍近い規模になっておるわけでございます。それからまた、たまたま国土保全上治山事業の重要性というものがますます増大しているという現状から言いまして、本年度がたまたまそれを初年度といたしまする第五次の治山事業五カ年計画というものが策定されまして、その積極的な推進が図られることとなっておるわけでございますが、特に本地区につきましては、このいま申し上げました新五カ年計画の中で事業費につきまして六十九億六千万円という規模によりまして計画をされておるわけでございまして、いま申し上げました五カ年計画に沿いまして先生の御指摘のようなことがございますので、非常に重要な地区でございますので、早期概成を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。しかしながら、なお用地関係とか道路事業といったような問題点は、実施上の困難な問題も先生御存じのとおりございますので、そういった点につきましては、地元の協力を得まして早期概成を図るべく今後ともさらに一層の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  99. 戸塚進也

    戸塚進也君 ただいまの御答弁でわかりましたが、ただいまの御答弁は事業ができ得る環境であるならば、ひとつ極力繰り上げても努力をしたい、こういうまあ前向きな御答弁と私は受けとめておきたいと思います。  そこで政務次官、ただいまお聞きのとおりでございますが、やはり林野は林野の枠で攻められております。しかし、これは地震等の総合的な対策というものが樹立されてくれば、たとえば、先ほど青木委員の御指摘の新幹線がもし橋げたが折れたらどうするというような補強も含め、いまのような重、要な交通機関が全部鉄道も集中していると、こういうところについては、何かの別枠なり何なりの予算というものが考えられると思うんですが、現状ではそういう体系にまだなっておりません。そこで政務次官にそういうことをお願いするのは恐縮でございますが、ひとつ長官にかわってこういう特別な場所については、林野等にも極力ひとつまあ応援をしていただいて、早急にできるように、できたらここ二年くらいの間には速やかに仕事が完成して安心できるようにまあ御努力を願いたい、それについて一言だけお願いいたします。
  100. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いま戸塚先生のおっしゃる点は私も同感でございますが、なかなか予算等大変むずかしいわけでございます。それから全体のバランスの中にどういうふうに含みを持つかということ、それからもう一つは少なくとも将来起こり得る仮定の問題につきまして、本当に土木に予算が割けるかどうかという問題、というのは切実な問題がたくさんあるというようなこともあるわけでございますが、大変、先生のおっしゃるとおりでございまして、重要性を考えまして最大限努力したいと思いますが、なかなか国土庁非力でございまして、むずかしい点あるわけでございまして、各先生方の御後援を得ながら努力したいと思っていますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  101. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは先ほど中村委員からも非常に貴重な御意見が出ましたが、先ほどの中小企業洞爺湖の問題等も含めまして、いろいろ災害が起こった場合の保険制度ということは、これはたとえば当委員会の小委員会でも個人災害に関する小委員会というようなことで鋭意ただいま詰めていただいているように承っておりまして、非常にこれは画期的なことだと、ありがたいことだと思うし、またその結論が一刻も早く出ていただくように私も一議員として、一委員として期待をいたしているわけでありますが、当面といたしましては、まだ国家としてはそういう国家的にその保険制度をやるというところまで至っておりません。まあ水害等につきましては、建設省きょういらっしゃると思いますが、水害保険というものを前向きに検討するということで調査費を組んでいただいて、いま各県へいろいろ問い合わせをしていただいているようにも聞いております。その現状は後でちょっと御答弁を簡単に願いたいんでありますが、当面いま損保関係で水害とかあるいは地震等の場合に特約と、こういうふうな形の中で中小企業者あるいは個人、そういう人たちが申し込んだ場合に特別な制度があるようであります。しかも、この九月一日にはその制度が、現行の掛金の中でこの限度額といいますか、もらえる額の引き上げと、大蔵省の指導の努力だと思いますが、そういうことがあったやに伺っておりますが、その現状だけ簡単に、まず損保で現在行われている現状だけちょっと承りたいと思います。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕
  102. 森田一

    説明員(森田一君) お答え申し上げます。  ただいま戸塚先生から御指摘がありましたように、風水害は地震と並んでわが国の国民生活を破壊する大きな自然災害でございまして、これに対してどのように対処していくかということは、従来からも非常に苦心をしてきたところでございます。これにつきましては、ただいま先生がまさに御指摘になりましたように、民間の保険にはなかなかなじまない点があるのでございますけれども、しかし鋭意努力してまいりまして、九月の一日にはその改善を行っております。  それは大きく申しまして三点ございまして、ただいま先生が言われたように限度額、一回の事故について建物の場合二百四十万、家財の場合百五十万となっておりましたのを、今回建物の場合四百八十万、家財の場合二百四十万と引き上げておるところでございます。またこれまでは損害が三〇%に満たない場合には、一切保険金の支払いができなかったのに対しまして、水害につきましてはその対象を住宅、あるいは小規模の店舗の併用住宅につきまして床上に浸水したという場合につきましては、見舞い金的な保険が支払われるように改めて制度をつくったのでございます。  またこれらの保険金が支払われます場合に、人身事故等がありました場合につきましては、従来から傷害費用保険金というのが出ておりましたけれども、この金額を従来一事故について契約者本人と家族と合わして百五十万ということになっておりましたのを、これを五百万に引き上げておるところでございます。  以上のような次第で、これは民間の損害保険という制度を活用してではございますけれども、国民生活に大きく影響を与える風水害につきましていろいろ改善をいたしておるところでございます。
  103. 戸塚進也

    戸塚進也君 よくわかったんですが、たまたまあくまでもこれは企業ベースでございますから、やはり掛金の問題だとかあるいはいまの頭打ちの問題だとか、そういうことでやはり中小企業者等、いまたとえば、地震等考えますと、工場なんかが全部ひっくり返ってしまったらとか、あるいは商品が全部だめになってしまったらとか、あるいは先ほども中村先生のお話のようなケース、こういうことを考えてみますと、やはり国家的に何かやはり考えるべきだと、しかしそれはいま考えている最中ですから、そこへ大蔵省さんに責めようとは思いませんが、そこで大蔵省、仮にもし当面国家的にいまの損保のやっていることに対して何らかの財政援助なり何らかのことをすることによって、官民が協力してとりあえずいまある制度を少し掛けやすくするとか、あるいはまたもらえる金額をアップしてやるとか、こういうことによっていま当座国が検討している間だけでも、さらに庶民、大衆が掛けやすい保険料率で、しかも条件もよくなるということが考えられないだろうか。これはなかなか一足飛びにはむずかしいかもしれません、いろいろあやがあります、あくまで相手方は損保企業ですから。しかし、これはどこへいってもその話このごろ聞くんですが、当面何か国家的に財政的なお互い協力関係みたいなことをすることによってできないか、これはいま突然言い出したことですから、いますぐここでできますとかできませんという話はできないと思いますが、ただあり得るかどうか。そうしてまた、あり得るとすれば損保側がどういうふうに考えるだろうかとか、いろいろ今後前向きに御検討いただけるお気持ちがあるかどうか、これだけ承ります。
  104. 森田一

    説明員(森田一君) ただいま戸塚先生が言われましたように、民間の保険でやっておりますと、自然災害のように非常に巨額な損害が特定の地区に一時的に発生するというのに対しましては非常に対処しにくい面があることは事実でございます。そこで、これらに対して国家が何らかの財政援助をして対処できないかということにつきまして、先生がいろいろ御心配になられておる点非常によくわかるわけでございます。しかし、この点につきましてはどのような仕組みを考えて、それでやっていくべきかという点のほかに、財政的な問題につきましても、いかなる制度に対して援助するかというようなことの哲学の問題がございます。また、さらには先生もよく御承知になっておられますように、現在国の財政というのは非常な赤字でございまして、借金を抱えておるわけでございまして、そのような問題もございます。そのような実情の中にあって、先生がいま言われました点とどのように調和さしていくか、非常に大事な問題であるとともに、またむずかしい問題であろうと思うわけでございます。いずれにいたしましても、この問題は予算当局と非常に密接な関係がございますので、私また予算当局にも十分に先生の意のあるところを伝えさせていただきたいと思う次第でございます。
  105. 戸塚進也

    戸塚進也君 課長は大蔵省さん同士でございますから、ぜひひとつ腹を割った話をして前向きに考えてみてください。  では三十五分まででございますから、もう五分しかございませんから建設省さんに一括して伺って私の質問を終わります。  河川の激甚の問題でございますが、先ほど青木委員からも御指摘がございましたけれども、個々の河川は私は申しません。ただ、この激甚で計画したやつが、実は用地買収が非常に高かったとかいろんな事情があって、どうも総事業費で見たら半分で切れちゃったと、こういうことになってしまったのではせっかくやっても何にも意味がないわけでございますから、この点についてはひとつぜひ建設省としても、今後仕事を進めていく中でそういうことにならないように鋭意研究努力をしていただきたい。これは要望で御答弁要りません。  それから先ほどの水害保険の問題で、調査費の中で、現状、調査を進めていただいていると思います。これは国土庁がやっていただいているのかもしれませんが、一応建設省さんに承っておきますが、これはいま現状どんな状況になっておるかということを簡単にお話願いたい。  それから激特については、大変各地を視察いたしまして、非常にこれは有効な事業だと思っておるんですが、反面、都道府県からは激特をもらうと今度は一般河川の改修費の方が総枠の中で攻められちゃってどうも伸びが悪くなっちゃうと。だからもらいたいはもらいたいが痛しかゆしだと、こういう実は話があるんでございます。これは激特にたまたま当たった地域はそれで非常に恩恵をこうむりますが、全国的に見れば、もう小河川といえども非常に困って、改修が百年もかかるなんていうところもあるわけでございますから、やはりあくまでも激特といういい制度はこれは別枠だと、こういう考え方で建設省がやっぱり鋭意努力をしていただかないことにはこの激特の精神というものは生かされないと思います。これについてはひとつ御決意だけ承っておきます。  最後に、五十三年度のいわゆる災害の関係の中で、災害といいましても制度の災害でなくて、いわゆる防災的な意味で防災国債といいますか、いわゆる財源を特別に考えてでもいままでこのおくれておった防災対策というものを従来の災害復旧とは別の角度でもう前向きに事前措置していくと、こういう建設省が前向きのお考えを持って大蔵省にも予算要求をしているやに伺っておりますが、この現況、これを簡単に承って質問を終わります。
  106. 吉沢奎介

    説明員(吉沢奎介君) 私、いま保険のことについて。  私ども個人災害を補てんするための効果的な保険制度というものについて研究を始めておるわけでございますが、現在までにはアメリカでやっております洪水保険制度というものについての勉強をする。それから私ども何分保険について全くずぶの素人でございます。保険の基礎みたいなものを部内にチームを設けまして勉強をしてまいりました。それから、特定の河川を選びまして、そこで保険設計と申しますか、そういうことの演習、実習みたいなこともやってまいったわけでございます。しかし、本格的なものはこれからということになりますが、近く研究会、学者さんとかその専門の方々に来ていただきまして研究会を発足させるということになっております。そして今後はその研究会を中心にいたしまして諸調査あるいはさらに進んだ勉強をしていきたいというふうに考えております。  いま大蔵省の方からお話もございましたように、保険に非常に乗りにくいものだと言われております。これは一つの大きな問題は、保険というのは、御存じのように、危険負担を分散させるということに意味があるわけでございますが、水害というのは経験的、それから自分のところで皆さんが自分が危険であるかどうかということをよく知っておる。したがって、危険だと思う人は入るけれども、危険だと思わない人は、余り危険でないという人は入りづらい。そういうことで、危険の分散が非常にむずかしいということで、なかなか成り立ちづらいというふうに言われております。そういう大きな問題も一つございます。  それから、先生御指摘のありましたような、しからば、国その他がいろいろ援助をするということでございますが、補助金であるとか、再保険であるとかいろんな方法はございますけれども、これはまあ財政的ないろいろ問題ございまして大いに研究しなくちゃならぬ問題でございます。  そういう状態にございますが、今後研究会を中心にして鋭意勉強してまいりたいと思います。
  107. 川本正知

    説明員(川本正知君) 激特事業のことでございますが、いまさら申し上げるまでもございませんが、激特事業は再度災害を防止するために特に緊急を要する個所につきまして、計画的にあるいはまた短期間の間に事業を実施しようとするそういう制度でございますので、一般河川改修に優先して事業費を配分するということにはなっております。しかしながら、激特採択個所以外にも、いま先生おっしゃった、ように、一般の河川改修として非常に緊急に整備を要するという個所もいろいろございます。そういった点では事業費の一般改修の確保ということについても十分配慮をすべきものであろうと思っておりますし、また、今後とも激特とあわせまして一般事業の方も予算の確保ということにつきましては最大限の努力を払っていきたいというふうに考えております。  それから防災国債のお話でございますが、いまお話がございましたような河川事業の激特、あるいは砂防事業の激特、あるいは緊急砂防事業、あるいは災害関連事業、それぞれ特に緊急を要する事業がございます。そういったものの、従来はもちろんでございますが、今後とも促進ということについては最大限の努力は払ってまいりたいと思っておりますが、その財源を確保するということは、これは非常に大事な課題であろうと思っております。現行の公債制度もございますし、先生の御意見、まことに建設省としては大変ありがたいと思っておりますが、財政上の今後の大事な検討課題である、こういうふうに考えております。
  108. 戸塚進也

    戸塚進也君 わかりました。
  109. 対馬孝且

    対馬孝且君 まず、政務次官に有珠災害特別立法の考え方につきましてお尋ねいたします。  大臣がおりませんから、五時近くに来ると言いますから、私も、あなたの答弁いかんによってというよりも、大臣に基本的な問題をお伺いしますから、簡単でいいですから、あなたの考え方だけちょっとお伺いいたします。  あなたは、北海道の有珠現地に参りまして調査されたことは認めております。あなたは、そこでこの災害の現状認識をした上に立って、ひとつ国が全面的にやっぱり負担をすると、こういう決意で臨んでまいりたいと、こういう所見を現地で発表されているわけですが、それはそれなりに了としているわけです。  そこで、さっきあなたの答弁を聞きまして、関係各省といま折衝して、できるだけ運用の拡大をしていきたいのだと、これはそれでいいんだが、もう一カ月有余になるわけですよ、災害が起きてから。私もずいぶん関係各省と当たっていますが、いま何一つ満足な答えが出ていないんですよ。運用の拡大と言ったって、各省は、結論は法律を盾にとるわけですから、これはできないということははっきりしておるわけです。だから、この段階で運用の拡大、運用の拡大とか検討とかと言ったって、これは次官、もう検討の段階は終わっちゃっているんだよ。ここらあたりでもうはっきりあなた態度をお決めになって、政府自身がこれは特別立法がやっぱり必要であると、こういう決断すべき時期に来ているのじゃないですか、これは後から具体的に私は質問しますから、具体的な事象であなたはお認めになると思うのだが。そういう考え方に立つならば、少なくとも十月——今月下旬から臨時国会が開催されるわけだから、臨時国会に向けて、本当に政府が有珠災害を考えるならば、臨時国会に少なくとも有珠災害特別立法を提案をすると、こういう姿勢がなければ、本当に、言葉で有珠だとか何とかと言っているけれども、それは言っていることとやっていることと違うのじゃないかというのが現地感情ですよ。この間の町民大会、きょう来ていますけれども、あなた町民大会に行って皆さんの声を聞いてみなさいよ。国は一体何をやってくれたのだと、これは素朴な声ですよ、はっきり次官に申し上げますけれども。国は今日まで一体何をやってくれたと、これをひとつ、きょう国会議員の先生方も来ているから、率直に国会に反映してくれというのがこの間の町民大会の二千人の訴えですよ、有珠町民の。私はこれらをかわって言うのだがね。そういう意味からいくと、いつまでたっても検討だとか拡大運用だとかしゃべってたってしょうがないじゃないですか、これ。あなたの考えはどうなんですか。
  110. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) 私は、第二次調査団の団長で現地に参りまして、約三日間現地を見て帰ってきたわけでございますが、現地実情を見まして大変お気の毒だと、こう思いまして、特に地方自治体の財政も苦しいのがよくわかっているものですから、できるだけ道、国で片づけたいという気持ちを述べたのは間違いないわけですが、いまおっしゃった点につきましては、実は私、問題によってはすぐ解決できる問題とそうでない問題があるかと思います。たとえば木の実団地などにおきましての泥流の予防措置の問題等につきましては、これは設計からすぐやるわけでございまして、立てる問題ございます。それからまた、金融等の問題につきましては、実はこれすぐできる問題もございます。たとえば担保のないやつを貸し増しするとか、その他の問題、これは片はつけたと、こう思っておるわけでございます。したがいまして、私は先ほど先生がおっしゃったようなことで、その中にまた現行制度の拡大解釈、運用によりまして、かなりの問題が片づけられるという点も実は先生も御承知されておると、こう思いますが、ただ全部が全部片づくかどうか、これは問題があるわけでございます。  それからもう一つは財政負担の問題等があるわけでございまして、あるいは先生のおっしゃるような点が多々あるかと思いますが、現段階におきましては、まだ私は現制度の運用でかなり役に立つんじゃないかと、このように考えて進めておるということでございます。
  111. 対馬孝且

    対馬孝且君 あのね次官、これから一つ一つ各省いきますからね、答えを聞けばあんたもおわかりだから、これは時間がむだだから申し上げませんが、後で大臣が来たらひとつ基本的な態度をお伺いしますが、率直に言って、拡大運用は結構だよ、これを否定しておるんじゃないんだ、ぼくは。それだけでは解決しないと言っておるんだ、ぼくは。これはこのままだらだらいったら臨時国会終わっちゃうわけでしょう。そうすると、これは北海道は雪が降ってくるんだ。そうするともう現実にこれははっきり言って半年だめですよ。そういう状態になるから私は言っているんであって、少なくとも政府が先を見通して、われわれ自身も判断するならば、この臨時国会にやっぱり特別立法を提案して、提案したからといってすぐ通るわけじゃないんだから、やっぱり四十日、五十日、臨時国会あるんだから、それこそ最終段階で決着をつけたとしても、法律が施行するのにはそれが通った日でなけりゃどうにもならぬのだから、そういうことを見ていくと、政府はやっぱり決断する時期に来ているんじゃないかと、私は。いまだにまだ一カ月有余もたって検討だとかなんとかと言っておる段階じゃないんじゃないかと。そこにずれがあるんですよ。どうも政府のずれ——私は現地に行っている、あんたも行ったというんだけれども、行ったにしてはちょっとこれずれてるよ、最近。その点あたりこれちょっと申し上げておきたいんだがね。これも後から大臣にひとつ基本的な姿勢をお伺いします。  そこで、労働省ちょっと。これは雇用対策がちょっと入ってきているんだ。これ聞けばすぐわかるよ、あんたたちも、できるかできないか。労働省にまず保険の問題、失業保険の問題一つお伺いしたいんだが、現実に有珠対策というのは、御案内のとおり、温泉場に働く労働者の雇用というのが緊急課題だ。これはすでにおわかりだと思うんだよ。あそこに二千二百人の雇用労働者がおるわけですよ。これを当面何とかしなきゃならぬというのがまず急務です。現実にはいま言ったように交通規制その他をやって、これは営業したくたって営業できないわけだ。先ほど訴えられたように。そうしますと、この労働者の状態が事実上これは休業状態になっているわけだ。そうすると、これは現実にはもうすでに、あなた方はどういうふうに把握しているか知らぬが、現地ではもう事業所閉鎖が十七カ所ですよ、事業所を閉鎖しておるのが十七カ所。それから現に夜逃げ同然やっているのが三世帯あるわけだよ。れから町内から転出した者が五十七世帯あるんです。はなはだしきは自殺、一家心中するかというような、こういう露骨なことがうわさされるくらいになってきていると。そういう中で、何といってもやっぱり雇用安定を基本にしなきゃなりませんから、そこでやっぱり失業保険対策をどうするのかという問題なんですよ。そこで、雇用保険対策を労働省としては——これは私もうすでに藤縄次官にこの間一日の日に会見いたしまして、次官に緊急措置をとれと。とりあえず係官を現地に派遣せいということで八日、九日行っていただきましたが、それを見たって失業保険を完全に補償措置をとってもらいたいと、その点の対策どうなっているか。
  112. 谷口隆志

    説明員(谷口隆志君) 有珠山噴火がございました以後、私どもも道庁の労働部と連携をとりまして、早速労働関係の対策をどうするかということを検討してまいってきたわけでございますけれども、いま先生御指摘のありました雇用保険の問題につきましては、事業を休業せざるを得ないと、そういうような状況の中で離職等も出てまいりますし、そういう離職される方々雇用保険の受給資格がない場合には問題にもなるわけでございますので、まず雇用保険の受給資格があるかどうかというような点について個々の事業所に当たりまして具体的に調査いたしたわけでございまして、その過程で、受給資格のつかない方々につきましてはできるだけそれがつくような形の、休業手当等が支払われるような指導をいたしてきておるわけでございまして、その後、幸い道庁の方でそういう事業主に対します緊急の融資を始められることになっておりますので、そういう融資をもとに休業手当を支払われるような指導を、市町村当局なり商工会議所、商工会等と連携をとりながら進めてまいっておるわけでございます。
  113. 対馬孝且

    対馬孝且君 結論的に、あれでしょう、保険金だけ掛ければ保険の資格を与えてやると、こういうことでしょう。そうだらだら結論言わなくてもいいんだよ、そのくらいわかっているんだから。それは国がやったんではなくて、道の融資を仰いでとりあえず保険金だけは掛けますと、企業主の責任において掛けさせますと、掛けた分については失業保険を効力を発生させますと、こういうことでしょう。それは確認していいね。  そこで、二点目だけれども、問題は常用労働者なんだよ。これは事実上休業状態に入らざるを得ないわけだ。で、私はこれは特別対策として、いま一番大事なことは、温泉の経営者はどういうふうに考えているかといったら、これは一たん首切っちゃったらまた再採用することできないんですよ。また来いと言ったって労働者を確保することはできないという状態なんですよ。だからどうしても雇用をつながなきゃいかぬと。雇用をつなぐとすればやっぱり雇用関係を維持しなきゃならぬと。そうするともちろん賃金を払わなきゃならぬと、こうなるでしょう。そういう状態にするにしても、当然賃金は一〇〇%払えるという状態ではないんだから、おのずからそういう状態を考えれば、この際労働省は、これは労働意欲があっても労働状態ができないんだから、雇用対策の一環として、私は職業訓練等の措置をする機会を与えてはどうかと。それに対して、訓練をすれば賃金を払わなきゃならぬのだから、そういう機会を与えてやれば生活の面の道が開けるんではないかと、こういうふうに考えるんだが、この点どう考えますか。
  114. 谷口隆志

    説明員(谷口隆志君) 職業訓練につきましては、こういう災害によりまして離職された方々が訓練を受けられる場合は、職業転換給付金の訓練手当を支給する制度について、この適用について考えてまいりたいと思うわけでございます。いま御指摘の内容は、事業主が雇用関係を持続したままで、いわゆる休業中に訓練をやった場合に訓練手当等を支給したらどうかということかと思いますけれども、そういう形で事業主の方々従業員の雇用を継続して訓練を受けさせるというようなことになりますと、当然のことながら通常の賃金を支払いながらやらなきゃならぬということになりまして、そういう通常の賃金を支払いながら訓練を受けられる場合の措置につきましては、職業訓練派遣奨励金というような一定の助成制度もございますけれども、そういうものの適用ができるかどうかというような点については、本来の趣旨は必ずしも休業中のものではございませんけれども、賃金の支給を受けながら訓練を受ける場合の事業主に対する助成というようなものの活用ができるかどうかについて十分検討してまいりたいと思います。
  115. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは二つの性格あると思うんだよ。事業主が事業上、さっき言ったようにもう洞爺に見切りをつけて雇用転換をしてしまったと。そのものに対する、いま言った前段の方は、当然これは雇用訓練の機会を与えて他に就職を求めなきゃなりませんから、これは当然のことですよ。これは補償してもらわなきゃならぬ。いま言った面は検討するということですからね。  そこで、関連してちょっとぼくはお伺いするんだが、そこで政務次官聞いてもらいたいんだよ、これがなぜできないかということを私は言いたいんだ。雇用調整金を、この際、温泉業界のホテル業、それから食品製造業、それからおみやげ販売店を業種指定をすべきであるというのが私の考え方なんですよ。これがどうして今回の有珠災害が雇用調整給付金の業種指定をすることができないか。私はこのくらいの経営危機、経営の行き詰まり、経営困難というのはないと思うんですよ。なるほど原因の出発は災害だったけれども、現在今日、先ほど来学者が、経営者が言っているように、現実にこれから長期にわたって完全に洞爺の町というものは死の町に化してしまっているわけだ。そうでしょう。しかも、交通規制といって、完全にこれはそういう条件のもとに経営難が起きているわけですよ。もちろん雇用調整金の目的は私も知っていますよ。経済情勢、あるいは経済の不況、経済の行き詰まり、こういう問題はあるが、結果的には、災害から出発したけれども、いまの洞爺の置かれている状態というのは、そういう交通規制、あるいはそのことによってお客が来ない、そのことによって経営難にぶつかり経営に行き詰まってしまっていると。こういう状態は、次官が言うとおりなぜ拡大運用ができないんだと、私に言わせれば。これを当てはめれば当然二分の一補償できるわけですよ、業者に対しまして。できるということは、働く者に対しても生活保障ができるということになるわけですよ。これが労働省は一体どうしてできないのだと私は言いたいのだ。これこそ拡大運用として、労働者の生活安定とこの中小企業の安定確保のためにもこの措置を運用してはどうかと、こう考えるのだけれども、いかがですか。
  116. 谷口隆志

    説明員(谷口隆志君) 先生御指摘の雇用調整給付金は、もう御承知のとおりでございますけれども、不況というような景気変動とか、あるいは国際経済上の急激な変化などの経済上の事由によりまして休業を余儀なくされた場合に、休業中の休業手当を支払われた場合に、その一定の割合の助成をするというのが雇用調整給付金の制度の内容でございまして、そういう意味では、今回の有珠山噴火によります休業等はいわば天災地変によるということで、雇用保険事業の中で考えております雇用調整給付金の趣旨等から見まして、この適用を図るということは無理があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、私どもとしましては、先ほど申し上げましたような、できるだけ解雇しないで雇用を継続して休業手当を払っていただくとか、あるいはどうしても離職を余儀なくされる場合は、雇用予約等を行って離職をするというような方々につきましても、できるだけ雇用保険の支給等についても弾力的な運用を図ってまいりたいということで考えておるわけでございます。
  117. 対馬孝且

    対馬孝且君 次官、お聞きになったとおり、これは答弁はっきりしたわけだ。これはできないというのですよ。ただ私は、原因は災害であっても、今日の段階は違うのじゃないか、先ほど来説明があったように。事実上は、これは経営者の意思、働く者の意思によって今日の休業状態に置かれているわけでないわけだよ、やっぱり。明らかに原因はもちろん私は災害だろうと言うのですよ。でも、実体論を言うなら、結局交通規制というこれからの長期間による体制によって、経営意欲があっても経営はできないと、こういう状態はやっぱり拡大運用という——あえてあなたがお言葉を使ったから言うのだけれども、そうであるとするならば、この際この雇用調整給付金の業種指定として拡大運用をしていいのじゃないか、これがどうして救われないのだろう、こういうことを考えるのはやっぱり当然じゃないでしょうか。だから私は先ほど、なぜ特別立法が早急にできないかと冒頭に言ったのはそのことを言っているわけですよ。  これでひとつおわかりになったと思いますから、できないと言うのですから、これは後ほどまた申し上げることにしまして、そういう意味で、いま考えていることは、とりあえず先ほど前段に申し上げた常用労務者なり、失業者に対しては失業保険の資格を与える。それからもう一つは、雇用継続をしながら何とか職業訓練等の機会を与えて——私が言いたいのは、与えながら生活の道を保障してやる。これは労働省としては積極的にひとつ努力をする、おやりになるということでよろしゅうございますか。これどうですか。
  118. 谷口隆志

    説明員(谷口隆志君) いま御指摘のとおりでございます。ただ、職業訓練につきましては、これは当然のことでございますけれども、事業主が雇用を継続して訓練をやるわけでございますから、通常の賃金を支払われるということと、現行は公共職業訓練校等への派遣というような内容になっておりますけれども、そういうものについてどういう適用ができるか、実態とどうあるべきかというようなことは検討しなければならぬと思います。
  119. 対馬孝且

    対馬孝且君 それは積極的にひとついまの問題を、せめてそれだけぐらいひとつ検討して、実りある答えをひとつ出してもらえるように積極的に要求しておきます。  次の問題は中小企業対策でひとつ……。今度の災害というのは、私もずいぶん調べましたけれども、浅間山、桜島の爆発が大正以来ずっとありますが、これは有珠災害のように一つの町そのものが完全に壊滅的な状態に入った、つまり社会的経済的なパニック状態に陥ったということは、私が調べた限りでは、今日の日本の火山の状態では、人災はありましたけれども、こういう有珠のような状態というのは日本の現状の歴史の中にはなかったと、こう私は認識しております。間違いがありましたら御指摘願って結構です。  で、そういう認識に立つ限り、こういった町ぐるみで壊滅の状態になったという限りは、本来ならば、私も調べましたが、災害基本法、あるいはここにあります火山避難施設整備法——これも読みました。遺憾ながら、これにはこういった救済の措置は一つもありません、率直に私申し上げて。それで特別立法ということを冒頭申し上げているのですが、そういう点から言っても、とりあえずこういった措置を最大限考えるとすれば、先ほど申しましたように、もはや温泉町の中小企業の回復なしには、私は有珠災害の回復の道というのはやっぱりないのじゃないか。あの道のともしびがなければやっぱり壊滅に灯がともらない。こういう問題に対して根本的な重点対策をやっぱりとる必要があるのじゃないかと、こう考えるわけです。  そこで、率直に申し上げるのでありますが、先ほどもちょっと出ましたが、中小企業立ち上がり資金として、私はやっぱり百億円をこの際政府は特別融資をすべきである。なぜそれを言うかと申しますと、根拠としましては、道庁の段階で八億円融資をしております。それから虻田町でもって一億円を融資をして、これは市中銀行に融資をしまして四億円にして、とりあえず八月分の賃金支払いを、六〇%町の責任で支払いをいたしているわけです。それから九、十、十一月に見合うものとして道側が八億円とりあえず融資をした。こういう実態があるわけですね。だから、町民大会の声というのは、町なり道なりは多少やっていただいているけれども、国は何もやってくれないじゃないかという声がそこから出るわけですよ。したがって、私はなぜ百億ということを言うかと言えば、これは九、十、十一のトータル生活資金、それとこれからの運転資金ですね、先ほども出ましたけれども。まず半年だめだろうという、こういう運転資金等を総合いたしますと、大体やっぱり八十億から百億になる。こういう試算になるわけですよ。これを特別融資をしてもらいたい。これが一つであります。  この融資の条件といたしましては、二つ目に申し上げますが、ひとつ無利子にしてもらいたい。無利子がどうしてもだめならば、三分の利子にしてもらいたい。これは当然三年この際据え置きにして、最低でも十年以上の返済にしてもらいたい。こういう措置をひとつぜひ国の段階でとってもらいたい、これが第一であります。  第二の段階は、政府系三機関、国民金融公庫、商工中金、中小金融公庫——私も商工委員会の理事ですからずいぶんやっていますが、この際有珠災害対策として別枠融資、償還期間の延長の措置をとってもらいたい。先ほど松代地震の例が出ましたから、これはできないわけはないのです。これは閣議で決定すればいいんですから。これは災害基本法第二条、第十五条、それから災害の都度必要な問題については閣議決定でできることになっていますから、閣議でばんと決めればこれはできるのです、例があるのですから。そういう意味で、松代地震の決定というのは閣議決定で措置をした、こうなっているわけですから、当然これはやってもらいたい。  第三番目、災害特例として、この際有珠災害に特例として無担保無保証の別枠零細企業に対する政府として五百万円制度を新設してもらいたい。これは現在八百万あるのは知っていますよ。道保証協会等を通じまして八百万のあれがあるのは知っております。これとは別にこの際五百万新設をしてもらいたい。  こういう三点についてぜひ中小企業対策としてやってもらいたい、これを申し上げます。
  120. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 第一点の金融の特別措置の問題でございますが、私どもこの災害現地中小企業者に大変甚大な被害を与えているということは考えております。とりあえずとった措置に加えて、実は激甚災害に指定することができないかということをいろいろ検討したわけでございます。どうもちょっと普通の台風などと違いまして特殊な災害でございますので、現行法ではどうもむずかしいという判断になったわけでございます。ただ、先生御指摘のように、それで放置してよろしいということではないので、その後いろいろ検討いたしました。  まず、三機関について、資金につきましては、現地で必要なものは十分確保するようにこれは措置いたしたいと。  それから長期低利という点でございますが、これは松代地震のときの閣議決定という先例の御指摘がございましたけれども、確かに閣議決定で激甚災害法——これは地震には実は適用がなかったわけでございます。地震には適用がないが、その閣議決定で法律によるとほぼ同じ措置をとったという先例は確かにございます。この辺もいろいろ研究いたしまして、関係省庁と早急に相談して成案を得たいというふうに考えております。  それから、第二番目にございました政府系三機関の枠の拡大の問題でございますが、これは政府系の、たとえば中小企業金融公庫でございますと、全体で普通の場合ですと一億二千万というような枠でございますが、この災害の場合には、これに加えて三千万の別枠を併有しよう、別枠を設定することにいたしております。  それから、国民金融公庫につきましては千二百万が通常の額でございますが、このほかに四百万の別枠を設定するということにいたしております。  それから、商工組合中央金庫は原則として一億二千万でございますが、これは原則としてでございますが、災害の場合にはその原則を超えて運用するようにという指導をいたしておりまして、特に金額は明示はしておりません。まあ、あの中小企業金融公庫などと同じように、必要な額については対処できるという運用にいたしております。  それから、償還猶予につきましては、これはこの災害が起こりました後、八月の十日に早速いま現地の三機関に指示いたしまして、実情に応じて措置をするようにということで、たとえば国民金融公庫などの場合は、これは非常に数が多いものでございますから、とりあえず二カ月の間は支払いがなくても不払いということにはしないという、とりあえずその措置をとっておりまして、それからその後の必要分についてはまた個別に御相談に応ずるという乙とで、これは現地金融相談などでいろいろ御相談に応じているわけでございます。もし、まだ従来御相談なりいたしてない方がございましたら、御相談あり次第、実情に応じた措置をとるようにいたします。  それから、無担保無保証の五百万というお話でございますが、これは先ほどちょっと御指摘もございましたが、これもどうも法律上別枠というわけにはまいりません。実は中小企業のこういう保証事業に対処するために、北海道の支援のもとに北海道の信用保証協会で無担保で別枠八百万円。で、その保証料も普通の場合の半分ぐらいということで措置を実施しておりまして、それは確かに担保の問題ございますが、保証人ということでございますと、いろんなお知り合いの方というようなことで、八百万というと、かなりこれで実情に対処し得えているのではないかと思いますが、私ども実はこれを融資基金などで応援するというようなことも考えておりますし、今後とも実情については北海道ともよく相談をいたしまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  121. 対馬孝且

    対馬孝且君 ちょっと時間が足りないんで困っておるんですけれども、確認しますからね。第一点目は必要額については措置をすると。それから償還あるいは利子等の問題については、松代地震の経緯を踏まえて閣議決定でいたしますということで関係各省庁と——その最後がわからないんだよ、関係各省庁との相談の上結論出すということなのか、そのとおりやるということでいいんでしょう、おやりになるということでいいんでしょう。
  122. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 私どもだけで措置するわけじゃございません。関係省庁と相談を進めております。
  123. 対馬孝且

    対馬孝且君 措置するでいいでしょう、措置すると。
  124. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) はい。
  125. 対馬孝且

    対馬孝且君 それならいいんだよ。その必要額というのは、われわれ言っておるのは百億円と、こういうことなんだよ。そこだけ間違わないようにしてもらいたい。  それから二点目の問題、ちょっと確認しておきますが、政府系三機関では現在すでにやっているというあなたのおっしゃることだけれども、先ほど、ちょっと額面で申し上げますけれども、中小関係の金融公庫は三千万円、それから国民公庫は四百万円というのがあるでしょう、この線はいっているのでしょう。先ほど申し上げた私の言ったのはそこなんですよ。中小企業金融公庫関係の三千万円、国民金融公庫の四百万円というものは別枠でいっていると、こう理解していいね。
  126. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) はい。
  127. 対馬孝且

    対馬孝且君 それならいい。そこを確認したい。
  128. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま四百万円ということでよろしゅうございます。先生、御指摘のとおりでございます。
  129. 対馬孝且

    対馬孝且君 三千万。
  130. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) はい、さようでございます。
  131. 対馬孝且

    対馬孝且君 それから三番目の問題ね、これはひとつ道保証協会との打ち合わせの上と、こう言うのだけれども、これはあくまでも私は新設を申し上げているので、この点は新設を含めて検討してもらいたいと、こういうことですから、これは時間もありませんからひとつその趣旨を生かすように努力してもらいたい。これだけ申し上げておきます。  それから質疑に入ります。いいですか。それでは時間がちょっとなくなって申しわけないが……。     —————————————
  132. 村田秀三

    委員長村田秀三君) いま質問の途中でありますが、この際委員異動について御報告いたします。  ただいま青井政美君が委員辞任され、その補欠として林寛子君が選任されました。     —————————————
  133. 対馬孝且

    対馬孝且君 第二次災害の問題で、防止策について二点の問題を率直にひとつお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕  問題は、二次災害で何と言っても人災という関係がありまして、人災が幸い一人もいなかったということになるわけでありますが、ともあれ災害危険個所は四十数カ所に及んでいると、したがって、応急工事が行われているのは数カ所にすぎないわけですが、十一日から非常に雨が降って、これは時間もありませんのでひとつ次官ちょっとこれ見てもらいたいのだ。  これ、十一日からたった十ミリぐらいの雨でもってごろごろとした大石が流れてきて、まともにその下になったら一ころで終わりだよ、これ。完全に第二次災害にこれなるのだ。こういう状態で、これはあなた方はこの間行ったばかりだと言ったって、そのころ見てないからそうだろうと思うのだが、これは現実にこのまま放置したら第二次災害間違いないですよ。そんなこと断定して悪いけれども。それだけにやはり対策をきちっとしなければ、起きてからこうすればよかった、ああすればよかったということではこれはわれわれ責任にもなるので、そういう意味で私は申し上げるのでありますが、ひとつ確認の意味できちっとしたいのでありますけれども、一つは木の実団地、それから泉地区のシートパイルの工事、これまずひとつ確認しておきたいのですがね、ストップされたという意味はどういう意味かと申しますと、山沿いの方面、浄水場の山沿いの方面、これは林野庁でもって責任を持って砂防工事はやりますと、いいですか、やりますと。したがって、浄水場の関係はこれは厚生省管轄になるそうです。したがって、厚生省の方としては何か大蔵省と折衝したらしいのだが、林野庁の方できちっとやる、山部の、山の中腹部あるいは山の下の方、その関係に限り全部一つの工事を、土どめ工事も全部やるから、したがって、厚生省の言う浄水場の関係にそういった被害を与えないような設備はすると、こういうことになって、あえてこの厚生省の段階でその浄水場の再びそこを設備する土どめなりシートパイルを打って、鉄の八メートルのあれを打ち込んで完全にやはり浄水場を確保すると、こういった措置をやはり取るべきじゃないかと。これは当然のことなんだよ、これは現地に行ったらわかるでしょう、次官。しかも水だから、町民はあの水を飲んで生きているのだからね。こういう措置がなぜできないかという、たかが三千万ぐらいの金をどうとかこうとか言っているらしいのだ、これは。大体こういう感覚がおかしいのだ、ぼくに言わせれば。そういうことで、ここでやるならやると。当然これはやってもらわなければ、やるということをはっきりしてもらわなければ。これが第一点。  それから第二点は、これは図面見せないとわからないから、これはちょっと図面、これ見てください。これは虻田町のこれは泉、入江地区ですよ。一番危険なこれから第二次災害が起こりやすい現場なんだけれども、これは雨が降ってくれば泥流流れてきて、これは一の沢、二の沢、三の沢、四の沢とこうあるのですがね。これは次官の方にやりますから……。
  134. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) そこに行きますから。
  135. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうですか。ここへ来てもらったら一番いい。きょうはそれでみんな現地から傍聴に来ている、これどうなるかということで。  ここだよ、これね、これ、泉、入江地区だよ。一の沢、二の沢、三の沢、四の沢。これについては建設省は砂防工事は行いますと、こういうことなんだよ。これから下は農地なんですよ。こっちは海だ、これは湾ですから。こっちへこれから流れるわけだ、これ。何ぼこれ砂防でとめても限界があるということですよ。こっちに流れた場合にここに民家があってここが第二次災害になることは確実であると。ここに排水路を二本つけてもらって、その工事は完全に国の負担でもってやってもらいたい、こういうことなんです。これをここをきちっと措置をしてもらいたいと。これがなければ第二次災害が起こることは間違いないということで、これ現地の人はきのうも来ている。これひとつ明確にしてもらいたい。
  136. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) これは防衛工でしょう、こっちは。そうでしょう。防衛工でこの流れ泥流をどうするかという問題の処置も考えないと……。
  137. 対馬孝且

    対馬孝且君 まず排水路をきちっとやって、この対策をきちっと責任持ってやるということを明確にしてもらいたい。その二点について明快なお答えを願います。
  138. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) ただいま先生から御指摘のございました、まず虻田町の木の実団地浄水場周辺泥流防止対策につきまして最初にお答え申し上げたいと思います。  林野庁といたしましては、こういった林地に堆積しておりますところの火山灰等が流出いたしまして下流域の人家、公共施設、こういった浄水場もございます、そういった施設等に二次災害を与えるおそれのある個所につきましては、本年度全般的な見地からも谷どめ工とか、それから土どめ工、さく工、こういった応急の工法を用いまして、緊急治山事業によりましてこれを実施してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、また明年度以降につきましては、特にこういったところの進度を早めてやりたいために、治山激甚災害特別緊急事業、いわゆる激特事業というものを実施してまいりたいというような予定を組んでございます。御指摘のございましたところのこの地区木の実団地につきましては、緊急治山事業といたしまして目下のところ谷どめ工を一基、それから土どめ工を二基、さく工を二基、こういった施設を緊急に実施してまいりたいということでございまして、それらに要しまする本工事費は二千四百万円というように要求してございます。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕 それから、そのうち特にもうすぐにでも危険のあるところにつきまして、直ちに工事に着手しなけりゃならぬというようなところでございますけれども、八月二十五日に着工を指示してございまして、現在実行中でございますけれども、その実行中の分につきましては、谷どめ工が一基、土どめ工一基、それからさく工が二基と、いま申し上げました中の工事費といたしましては約一千二百万円ということでございます。  その他、さらに現地を精査いたしまして早急に対処する必要がある個所につきましては、緊急治山事業につきましてなお追加実施をする予定でもございます。  それからなお、これらの治山事業の計画あるいは実施に当たりましては、先ほど先生から御指摘もいただきましたけれども、特にうちの方の治山事業につきましては、建設省砂防事業、こういったものと密接な関連がございますので、これらと連携を密にしまして、効果的かつまた迅速な復旧、防止対策を講じてまいりたいと、このように考えております。  それからもう一点でございますが、御指摘のございましたやはり虻田町入江地区でございますが、一の沢、二の沢、三の沢、四の沢のこの地域でございます。この地域につきましても泥流によりまして畑地とか、それから道路あるいはまた住宅地等に被害を及ぼしているというのが——及ぼすおそれのあるという現状になっておりまして、これにつきまして、やはり先ほど申し上げました木の実団地と同じように、こういった二次災害が出来しないように今後努力してまいりたいということで、目下のところ直ちに、やはり同じような工法でございますけれども、谷どめ工、土どめ工、それからさく工というような応急の緊急治山事業工法によりまして実施することといたしておるわけでございます。この地区につきまする実施の内容につきまして申し上げますと、土どめ工について三基、谷どめ工について同じく三基、床固め工というもので一基、工事費にいたしまして九千八百万円という額を予定しておるわけでございます。  なお、木の実団地と同じようでございますが、早急にまた精査をいたしまして、追っかけて追加実施できるようなところがございましたら、これをやってまいりたいと思いますし、また砂防事業と緊密な連絡をこの地区につきましてもとってまいりたいと、このように考えております。  以上でございます。
  139. 対馬孝且

    対馬孝且君 建設省、来ておりますか、建設省。
  140. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 建設省のとった措置並びにこれからの泥流対策ということで御説明申し上げたいと思います。  ただいま林野庁から御説明のあったとおりでございますが、特に私どもは、積雪地でもございますということで、緊急に積雪期までにとれる範囲のもの、それから、将来とにかく泥流対策としてどういうふうに処理するかという二つに分けて取り組んでおります。さしあたって緊急に積雪期までに実施できる範囲のものということで、枠で堰堤をつくりまして、やはりまだ上流の堆積状況等が詳細につかめておりません。で、いろいろと航空写真等から想定いたしましたもので現在計画しておりますが、すでに土木研究所等で現地にも入らせまして、どういう形で泥流が出てくるか、あるいは土砂が出てくるか、あるいは量的にどうであるかとかいうふうな問題がございますので、そういった将来の対策につきましては、今後来年度の事業として激特事業で、林野庁と同じでございますが、対処していく。特に木の実団地等につきましては、下流の処理の問題もございますので、下流の流路が、従来あの地域は非常に地質的にポーラスな地質でございますので、あれだけの流域面積を持ちながら流路がなかったというのがあの地域の特徴でございます。したがって砂防堰堤を行いました下流につきましては、そういった流路の整備というようなことも現在考えておりまして、それは直ちに実施するまではちょっと工期的に間に合わないという問題がございますので、いま申し上げました枠堰堤等では、上流は対処いたしますと、下流につきましては今後の計画、それから積雪期を待ってからその後事業の実施をしていきたいというふうに考えております。  それから先ほどお話ございました泉地区等の問題でございますが、これも林野庁の計画の下流でございますが、われわれといたしましても、やはり流路の末端にはダムの計画をいたしたいということで、すでにいま申し上げました木の実団地等を含めまして、八渓流につきましては緊急砂防事業といたしまして約四億五千万程度で、すでに大蔵省と協議済みでございますので、一部着工しておる状況でございます。ただ下流の処理につきましては災害復旧の制度もございますので、農地災害あるいは建設省の災害、それらの災害でとれるものとの調整を図りながら流路の整備を図っていきたいというふうに考えております。
  141. 対馬孝且

    対馬孝且君 ちょっと確認の意味で、簡単でいいんだ。激甚災害特別事業として認定してやるかどうかと聞いているのだ。そこだけきちっとしておけばいいんですよ。激特の扱いをするということをきちっとここで確認できれば、それでいいんだ。
  142. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 建設省といたしましても激特事業としての対応は現在検討いたしておりまして、まだ大蔵当局に持ち込んだ状態ではございませんので、先ほど申し上げましたように将来の……
  143. 対馬孝且

    対馬孝且君 激特でやるならやるでいいんだよ。そんなよ伊いなこと言うことないんだ。
  144. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 対応する予定で進めております。
  145. 対馬孝且

    対馬孝且君 激特でやるということをここで確認しましたから、これは後ほど大臣が来た段階で、またこれ確認いたしますから、時間が来ましたので、一応大臣が来た段階でまた再び質問します。  一応終わります。
  146. 川村清一

    川村清一君 時間が非常にないので、端的に聞きますから、端的にお答えをいただきたいのです。  いま建設災害の話がありましたので、それは省略しまして、私、農業災害で聞きますが、農地除灰事業について——いいですか、農林省。たくさんいらっしゃるけれども、どの省かちっともわからぬから……。農林省おりますね。  農地に堆積した灰の除去ですが、この事業費は補助対象が反当十七万二千円、これが限度額だと現在の政令では決まっているらしいのですが、実態は、地域によって十二万二千円未満で十分除灰できる地域もあるし、またその地域、あるいはアスパラを耕作しているような農地ですね、これは機械でもって灰を除去するということが事実上できないわけです。アスパラの畑はどうしても人力を必要とする。そうすると非常にコストが高くなりまして、十七万二千円ではとうていこれは不可能なんです。それで限度額を決められるというと、これは農家の負担になる、こういうような不都合な問題が出てくるわけですね。そこで、十七万二千円限度額までいかなくてもその未満で十分できるところもあるし、それ以上の地域もあるわけで、その辺で先ほどからいろいろ言われておりました現行制度の弾力的運用というやつを積極的に図っていただいて、農家の負担にならない形においてその農地に堆積された灰の除去作業ができるようにこの事業を進めてもらいたい、こう思うわけですが、いかがですか。
  147. 善木正敏

    説明員善木正敏君) 従来の例でまいりますと、全国的にほとんどの地区がこの限度額の範囲内で実施をしておるわけでございます。これは通常の工法によってやりますと、限度額を超えるというような地区も出るかと思いますが、私どもの方といたしましては、従来から被災状況をつぶさに調査いたしまして、現地に適応しました復旧工法を十分検討しておるわけでございます。たとえばいまのアスパラの話でございますが、人力ということだけでなしに非常に接地圧の少ないブルドーザーを使いまして排土をするというような工法を使って、いま申しましたような農家負担が重くならないように実施をしておるところでございます。今後もそういうような工法をいろいろ検討いたしまして、いま申し上げましたような農家の負担が少しでも少なくなるように考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  148. 川村清一

    川村清一君 私は専門的な技術者でないので工法のところまではわかりませんが、農民の方々の話を聞くと、アスパラの畑などの除灰事業については機械を使えないということで、どうしても十七万二千円という限度額の中では始末つかぬということですから、いまあなたがおっしゃったように、そういう工法があるならばそれを大いに使っていただいて、私の言いたいことは少なくとも農民の負担が多くかからないように、その限度額以上の分は農民が負担しなければならないといったようなことにならないようにやってもらいたいということなんです。これ、できますね。
  149. 善木正敏

    説明員善木正敏君) いま申し上げましたようないろいろ方法がございます。そういうような方法を考えながら対応していきたい、こういうことでございます。
  150. 川村清一

    川村清一君 それじゃ別な方をお聞きしますが、これは海の方をちょっと聞きますが、今度の噴火によって被害を受けている町村は、伊達市、虻田町、豊浦町、壮瞥町——壮瞥の方は海がありませんので、海のあるのは伊達虻田、豊浦、漁業協同組合でいうと、伊達漁業協同組合、有珠漁業協同組合、虻田漁業協同組合、豊浦漁業協同組合、ここの主要産物は、御承知のようにホタテの養殖です。ホタテ資源が最重要資源ですが、このホタテ資源が直接灰をかぶる、それから今度雨が降る、灰が川の中へ流れ込む、それを流水が持ってきて海に入ってくるといったようなことで、この三カ町村、四漁業協同組合の被害総額約十五億円とこう聞いておるわけですが、これに対する対策、救済処置どうするのか、それから稚貝が相当傷んでしまっているわけですが、そうすると再生産、いわゆる種の貝をどうするかというような問題が大きな問題として提起されておりますが、これに対してどういう処置をとられるのか。これは水産庁ですか、お出になっていますね。それじゃひとつお答えいただきたいと思います。
  151. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 御説明を申し上げます。  一つは先生からお話がありましたのは救済対策をどのように考えているか。二番目に種の購入の問題等についてのお話でございますので、お答えいたしたいと思います。  救済対策といたしましては、直接的には今回起こりました被害の一番ポイントになりました点は、一つは採苗器の段階でホタテがついておりまして、その採苗器についておりましたホタテが、災害の前後に流れ込みました、主として濁水によりまして採苗器から種が落っこったという現象が一つございます。これが相当程度落ちましたので、その後種を取りましてかごに入れまして中間育成するわけでございますけれども、その今後の問題が問題になってきたというのが一点ございます。その後起こりました十一日か十三日ごろの段階におきましては主として稚貝の被害だけだというぐあいに地元も考えておりましたし、調査しました段階でもそういうことでございましたけれども、その後だんだん内容がはっきりしてまいりまして、九日、十日の時点におきましては成貝、半成貝についても被害が出ておるということがはっきりいたしまして、先生おっしゃいましたような約十五億の被害が出たというような情勢になっております。  これつきましての救済対策でございますけれども、当面の問題といたしましては天災融資法を発動するという方向でやっておられますので、それによっての救済を第一に考えているわけでございます。そのほか再生産等につきましてはいろいろな資金が必要になってくると思いますので、これにつきましては現在資金需要を調べている段階でございますが、その内容によりまして幾つか既存制度資金がございまして十分対応できるというぐあいに考えておりますので、この内容で対処するように考えております。  また被害漁業者の相当借入金をやっておられる方もございますけれども、これにつきましては被害漁家の実情に応じまして償還猶予等の措置ができるようにすでに指導いたしているわけでございます。  そのほかこのホタテにつきましては、二年貝、三年貝関係につきましては養殖共済というような制度がございまして、入っておられる部分もございますので、これに関係いたしましては被害の進行が一応とまった段階で被害額が確定いたしますので、早期に共済金を支払うよう共済団体を指導してまいるようにいたしております。  二番目に、種の購入等でございますが、私、最初に現地に参りました際に、一番先にちょっと頭に入りましたのは、非常に多量の稚貝が落っこってしまいますと今後の種の問題が非常に大きな問題になるということで心配したわけでございます。それで実はほかの道府県からのいわゆる収集と申しますか、集めることも頭に置いたわけでございますけれども、道庁でいろいろ御協議いただきました結果、道内の他の方面の種苗を相互に調整をすれば一応間に合うというぐあいに御回答をいただいております。ただその後十日の時点におきまして半成貝等の被害も出ておりますので、果たしてその全部につきまして北海道段階だけでてん補できるかどうか、その点についてはまだ北海道庁よりこの検討の結果を聞いておらない段階でございます。  なお救済対策ということでまとめて御質問ございましたのでこの際御説明いたしておきますが、実は……
  152. 川村清一

    川村清一君 時間がないから簡単に。ポイントだけ。
  153. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) よろしゅうございますか。陸上に灰が相当たまっておりますので、二次被害の問題で実は相当頭を痛めているわけでございます。これにつきましては被害がどのように起こるかという問題はわからない段階でございますので、とりあえず追跡調査という形で現地を十日ごとぐらいに調べて、二次被害が起こりませんような措置を考えようというぐあいにしている段階でございます。  以上ちょっと長くなりましたが……。
  154. 川村清一

    川村清一君 次に、救農土木事業についてお尋ねしますが、農林省の方、いろいろ具体的に考慮されていると思いますが、こっちの方から希望を一つ申し上げます。  それは一つは農民の生活資金、現金収入の道を得ること、これが目的ですが、その事業の内容としましては、それがその仕事即再生産につながるような仕事が一番好ましいわけで、二センチか三センチ程度灰をかぶったような農地除灰、こういったような仕事を救農土木事業にぜひ入れてもらいたいというのがわれわれの、要求なんですが、できるかどうかということが一点。  それから、その救農土木事業が始まりますれば当然現金収入があるわけですが、もうこの秋に売ってお金とかえる作物がみなだめになってしまったわけですから、その仕事が始まるまで全く現金収入がない。これはまあ生活ができないといったような状況なんですね。そこで、その生活資金のつなぎ融資というかっこうで農協からお金を借りる、農協プロパーの金を借りるということなんですが、私の聞いたところでは、それが非常に金利が高いんですね。実態がよくわからないんですが、私の聞いた金利というのはとても高いわけで、しかも、農協の方は、その地元の町村が——まあ、私聞いたのは、はっきり言って九・七%というんで驚いたんですが、そのうち二%を役場で持てと、自治体で持てと、そうすると、そのプロパーの金をつなぎの生活資金として貸してやるという話だというんですが、そんな高い金を借りたんじゃしようがないと思うんですが、この辺は、政府としてはどういうふうなことを考えていらっしゃいますか。
  155. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 第一点の救農事業としてどういうことを考えておるかという点でございますが、一つは、農地につきまして灰が降った、その被災地につきまして災害復旧事業をすでに着手いたしておりまして、その災害復旧事業の実施に当たりまして、できるだけ被災農家の方々の労力提供を受ける。その中で整地段階に入りますと、その農家の持っておられる機械の活用もできますので、機械持ちで就労をしていただくというような乙とが極力できるように指導をいたしておりまして、さらに今後、災害復旧事業がまだ着手の段階でございますが、事業量がふえてまいります段階におきましても、そのようなことをやっていくように指導してまいりたいというふうに存じております。  それから農地災害復旧のほかに、先ほどの御質問でお答え申し上げました緊急治山事業等におきましても、地元の農家の方々の労働力を活用する、現金収入の道を設けるという方向で、これにつきましても、すでにそういう指導をいたしております。  それから第二点の生活資金の問題でございますが、一つは農林省の制度に自作農維持資金制度というのがございます。農林漁業金融公庫からの貸し付けでございまして、金利は五分で二十年という資金でございますが、これにつきましては天災融資法の発動との関連を考えながら融資を行うということで、現在その資金需要等の調査を行っております。  先生御指摘の系統資金の関係でございますが、これにつきましては、農林省といたしまして、やはりこういう被害が発生した場合、農協系統が当然その組合員の営農なり生活のために緊急的な融資を行うべきものであるという見地から北海道の農信連等に対して指導をいたしまして、つなぎ的な融資を行うように指導いたしておりますが、私どもの聞いているところでは金利は七分五厘ということで、系統金融としては通常の金利よりかは安い金利で貸し出しをするというふうに聞いております。
  156. 川村清一

    川村清一君 まだいろいろ農業問題でお尋ねしたいんですが、時間がありませんから、あとは農林水産委員会でさらに詰めてお尋ねいたします。  有珠の噴火災害の問題でもう一点、これは厚生省にお尋ねしますが、洞爺の温泉に協会病院があるのですが、この病院は、これは林野に関係がありますが、北海道における白ろう病患者の医療センターになっているんですね。相当重症患者もいるわけなんですが、この方々は、病院がすっかり、だめになったものですから、自宅へ帰ったりほかの病院に移っているんですが、非常に困っているわけですよ。病院をぜひ再開してもらわなければならない。それで病院の維持費ですが、もちろん今度は建物復旧してもらわなければなりませんし、それはぜひ全額国庫負担でやっていただくというようなかっこうにして、しかし、さっき対馬委員から中小企業の方の話がありましたが、病院も患者は全然いないわけですから収入が全くないわけです。それでお医者さんや職員に給料を払わなければならないのは当然。そこで運営費ですね、資金不足約二億六千万ほど五十三年の三月まで必要だということになっておるんだが、これらの病院の運営のために、資金不足をぜひ国で見て、何らかの特別の措置をしてもらいたいと。実際、重症の白ろう病患者なんというのは大変困っているわけなんですが、厚生省としてはそういう考えはありませんか。御見解をひとつお尋ねします。
  157. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 福祉協会病院につきましては、医療法上公的病院という位置づけがされておりますので、施設とか設備の貸し付けにつきましては厚生年金事業団を通じて行ってやっているわけでございます。私ども、この病院災害を受けたことに伴いまして、運営費の助成ということについても検討をいたしているわけでございますが、いろいろと総合的な対策を講じていく必要があるのではないかというふうに考えております。したがいまして、たとえば既往の貸付金の償還の猶予とかいうことを十分に配慮していただくように要請いたしますとともに、幸いにしてこの病院が五十一年度決算では相当額の剰余金を持っておるわけでございます。そういうことも活用いたしますし、また道庁におきましても人件費の一部の貸し付けを行うというようなことがかなり前向きで検討され、ほぼ固まってきているように聞いております。そのほかに北社協の協会病院が道内で七病院あるわけでございますけれども、その七病院が相互援助をしようではないかという動きが出ているわけでございます。これにつきましては、私どもかねてから経営主体を同じくする病院相互で相互援助を行うということがきわめて望ましいものであるというふうに考えておったわけでございまして、本年度、五十二年度の一般会計予算におきましても、これらの相互援助を進めるに当たって国として助成をしていく、その補助金を計上いたしているわけでございまして、こういうことも活用いたしまして、当面、洞爺病院の運営費のやりくりに役立たせたいというふうに考えております。
  158. 川村清一

    川村清一君 ぜひひとつその点よろしくお願いします。  ちょっと赤潮問題について、問題が飛びますが、お尋ねします。時間がありませんので、私、問題を全部提示しますから、それぞれ水産庁なり環境庁、もし関係がありましたら御答弁いただきます。再質問はやりませんので、時間の関係で。それらは今度の農林水産委員会で質問したいと思います。  赤潮が発生いたしましてから、社会党といたしましては、すぐ現地調査派遣団を派遣しまして調査いたしまして、ハマチの斃死百六十四万尾余り、タイが五千尾、被害総額十四億二千二百五十万円というような大体数字を調査してきたわけですが、きょういただいた政府からの報告、農林省のこの資料によりますれば、社会党の調査をはるかに超えまして、被害は養殖ハマチの斃死尾数は三百三十一万五千尾、被害総額は三十一億、われわれの党が調べてきた倍の被害を受けた、大変な被害だと思います。  そこでお尋ねしますが、第一点は、この赤潮というのは、一体、これは災害なのか公害なのか。災害というならばこれは天災ですし、公害ということになれば人災になるわけですが、公害ということになれば加害者にその責任があるわけですが、政府は赤潮というものをどう位置づけておるのか。きょう災害委員会で桧垣委員から報告がございましたが、災害委員会調査に行ってきたんですから、これは災害委員会で取り上げられているんですが、これが公害ということになれば公害委員会、あるいは魚のことですから農林水産委員会でいろいろ議論をするんですが、政府は赤潮というものをどういうふうに位置づけておるのか、その基本的な見解をまずお尋ねしたい。  それから第二点は、ハマチの被害赤潮被害というものは瀬戸内海においては昭和四十七年に大被害があった。そのときの打撃というものが現在なお漁業者の借金とか、そういうような形で残っているわけなんです。そこで昭和四十七年にあれだけの被害があって、五年たって昭和五十二年にまた被害があった。この五年間において、一体、水産庁あるいは環境庁、これは瀬戸内海のハマチ養殖というものについてどのような方針を持っておったのか、どう指導してきたのか。そして赤潮発生のメカニズムというものがいまだに解明されておらないというんだが、環境庁はこの五年間どうやってきたのか。このいただいた資料にも「赤潮被害防止のための対策(従来より進めてきたもの)」といって書いてある。ただ調査とか何とかばかりこう六つほど書いておりますが、こういったような調査を進め、この程度の調査の段階で、一体、内海におけるハマチ養殖というものを、漁業者のこの何といいますか、養殖事業ということで彼らの恣意的な事業ですね、これを放置しておったのか。何か規制するとか指導するとかいうことをしてきたのかどうか、この点を明らかにしていただきたいわけです。それから、そういうメカニズムがまだ解明されないままに今後ともいまのような形で内海におけるハマチ養殖漁業というものを進めていく気なのかどうか。瀬戸内海の養殖漁業については魚種、漁法について再検討を行って、強力な指導を行うべきではないかというのが私の意見なんですが、これに対してどのような見解を政府は持っておるのか。それから、今次災害に対して——災害といいますか、災害なのか公害なのかわからぬけれども、とにかく被害があった、大被害があったということは事実なんです。これに対する緊急措置並びに恒久措置についての政府の方針、これをお聞かせいただきたい。  最後に具体的に言いますが、四十七年の大被害のときには天災融資法を準用したと、こう言っておるが、今回の被害対策としては天災融資法は一体準用されるのかされないのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。この御答弁をいただいて私の質問は終わって、そうして、よく解明されない点については今度の農林水産委員会でやりたいと思います。  以上です。
  159. 岩崎壽男

    説明員(岩崎壽男君) まず先生いま御指摘のありましたうち、環境庁の方からまずお答えさしていただきたいと思いますが、まず第一点の赤潮の発生機構の解明ということと関連いたしまして、天災なのか、あるいは人災なのかという御質問があったわけでございますが、現在、赤潮の発生機構の解明についてはまだ必ずしも十分解明されてない段階でございますので、断定的なものをなかなか申し上げられないわけでございますが、従来、一般的には赤潮の発生というのは窒素とか燐とかいう栄養塩類の存在あるいはそれに水温でありますとか、塩分濃度でありますとか、あるいは日射でありますとか——日射量といいますか、そういったもろもろの要素が非常に赤潮プランクトンの異常増殖に好適な条件になったときにやはり発生をしておるというふうに言われておるわけでございまして、その発生機構自身が非常に複雑である。今後ともやはり解明をしていかなければならない問題だろうというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、いままで四十七年のときにやはり大規模赤潮が発生したわけでございますが、この対策につきまして、その後どういう対策をとったかということにつきましては、水産庁の方で、やはり漁業被害との関係が非常に多いものでございますので、いろいろな対策を講じてきてまいったことでございますが、環境庁といたしましても、やはり一つは赤潮の予察といいますか、赤潮発生初期の予察技術の開発という面での調査研究、あるいはやはり窒素、これは特に富栄養化問題ということとの関連におきまして、窒素、燐の栄養収支挙動の調査といいますか、そういった調査をやってまいったわけでございますが、さらに今後の恒久措置、今後の対策ということとも関連いたしますが、私どもとしましては、やはり赤潮直接というより、むしろ富栄養化の問題という観点から今後特に窒素、燐につきましての環境水質あるいは処理技術のガイドライン、特に現在燐につきましてはある程度処理技術の実用化の見通しもございますので、当面、燐につきましてそういった研究を進めていきたいというふうに考えておる次第であります。
  160. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 二番目にお話しになりました赤潮に関しまして、四十七年の赤潮発生を機会に、水産庁としては、その反省のもとにどのようなことをやってきたかという点についてまず御説明を申し上げます。  水産庁といたしましては、非常に大きな被害でございましたので、そのときの被害は、先生からお話がありましたように、七十一億円という大きな被害でございましたけれども、まず水産庁でやってまいりましたのは、赤潮に関しましてはわからない点が非常にございますけれども、赤潮の発生したときのいろんな情報を相互に交換をいたしまして、できるだけ被害を少なくするという方向の考え方をまず第一にとったわけでございます。そういう関係で始めましたのが赤潮の情報交換事業という事業を始めております。四十八年からでございます。さらにそれだけでは不十分だということでございまして、試験場等の機関の入りました赤潮予察調査事業というのを五十一年度から開始をしております。この二つによりまして赤潮に関しますいわゆる情報の交換と予知というようなものを少しずつ足固めをして、できるだけ被害がないようにという考え方をとってきたわけでございます。その後不幸にして赤潮というのはやはり小さいものなんか起こっておるものでございますから、赤潮の起こった場合の被害の防止の施設をする必要があるということで、赤潮が発生しました場合に活魚——生きておる魚でございますから、陸上へ揚げて生けすに入れる、そのための生けすとか、あるいは酸素の補給装置、そうしたものを設置する事業——赤潮被害防止施設設置事業というのを四十八年度から開始いたしております。そのようにやりましても、なお、赤潮の発生原因の一部になるんではないかと言われておりますが、ヘドロというのが底に広くたまっておる場合には、そこから富栄養分が溶出いたしまして赤潮の原因になっておる場合がございますので、このヘドロというものを除去していく必要があるだろうということで赤潮防除技術事業化試験事業というのを四十八年度から開始いたしております。そのほかやはり赤潮の多発地域におきましてヘドロの分布状態等を詳しく調べていく必要があるということで漁場改良復旧調査というようなものも開始いたしましたし、また最近では積極的にヘドロというものをうまく利用いたしまして、いわゆる魚のえさとか、それからプランクトンのえさにするような事業で、これは粘土の凝集作用というものを利用する事業でございますけれども、こういう事業も実施をしてきたわけでございます。そのほか最も被害が起こりました後の救済の措置として問題になっておりましたのは、四十七年の際には何もそういう被害が起きた場合のはっきりした救済的な措置がなかったという点もございまして、養殖共済という事業がございますけれども、その中に赤潮特約事業というのを、四十九年度からでございますが、新しくつくりまして、掛金をいわゆる国と県で持って漁業者に負担をかけないでやるという事業を開始いたしております。今回もこの養殖共済事業によりまして相当な部分がてん補できる、被害のてん補ができるというぐあいに考えているわけでございます。  それから三番目にお話のありました養殖業の四十七年の反省を踏まえまして、養殖業の指導をどうしてきたかというお話でございますけれども……
  161. 川村清一

    川村清一君 時間がないから農林水産委員会で聞きますから、簡単に……。
  162. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 二回くらい通達いたしまして、平たく申し上げますと、その水域の条件に無理なような養殖をしないような指導をまずいたしております。それによりまして、前の養殖尾数と比べますと、地域によりますけれども、尾数的には三分の一とか二分の一というような養殖尾数にして、尾数を減らしてやってきたという経緯がございます。それが三番目に対します御説明でございます。  それから四番目でございますけれども、瀬戸内海の養殖業はこのままでいいのかと、今後の方針をどうするんだというお話でございましたけれども、実はハマチというのは回遊性の生物でございまして、非常に成長も早いし、それから収益性もいいという魚種でございますので、漁業者といたしましてはこれが一番魅力のある魚種だということが言えるんでございますけれども、今度の反省等を踏まえまして、やはり水域にはそれぞれの特性もございますし、言うなれば赤潮等に強いと申しますか、成長は遅いし、ちょっと収益性は悪うございますけれども、そういう魚種の導入ということも指導いたしたいと思いますし、また赤潮が発生いたします際に、やはり発生の状況によりまして、徐々に発生いたします場合には生けすを移動いたしますれば助かる場合もございます。こういうような生けすの開発だとか、そういう点をいろいろやってまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。  それから五番目の緊急措置と、それからいわゆる長期的な措置でございますけれども、今回の赤潮に関しまして水産庁が講じた対策をまとめて申し上げますと、まず赤潮の発生いたしました直後、八月の二十九日でございますけれども、赤潮の発生状況被害を拡大しちゃいけないという、そういう県の指導もありまして、私と漁業保険課長現地に派遣されまして実情を見たわけでございます。また移動し拡大する赤潮になりますと非常に困るということで、航空機により播磨灘の監視を直ちに行いましたし、その結果得られました情報を関係県に提供いたしまして被害の拡大を防いだという経緯がございます。また、本年度事業として毎月行っております赤潮予察調査事業を利用いたしまして一斉調査を実施いたしました。また、今回の赤潮につきましては、種類がはっきりしていないという点もございますので、さらにまたいろいろ原因等を詳しく調べておく必要があるという点もございまして、原因究明を中心にいたしまして大学関係、県の水産試験場等の研究者から成ります調査班をつくりまして、九月の十日に神戸で開催をいたしております。  それから次に、被害漁業者の救済対策でございますけれども、とりあえず制度資産の借り受け者につきましては償還猶予等、貸付条件の緩和措置を関係機関に依頼方通達いたしましたし、また、先ほどお話し申し上げました養殖共済事業による共済金の支払いにつきましては、できるだけ早く被害額を算定いたしまして早期に支払いをするように指導いたしております。  それから、そのほか経営の再建に必要な資金につきましては、沿岸漁業経営安定資金だとか近代化資金等、制度資金が幾つかございますので、これでいま資金を大体取り終わっておりますが、これでやっていきたいというぐあいに思っております。  次に、長期の措置のお話がございましたけれども、長期の措置につきましては、やはりいろいろ問題が生じましたり、あるいは対策に十分な点が出てこないという点は、赤潮に関します原因なり機構というのがはっきりしないという点が一番の大きな根幹だと考えまして、一応水産庁の中に大学とか水研等の先生方にお集まりいただきまして赤潮研究会を設けまして、それで発生機構とか発生原理あるいは過去の既存の調査研究の取りまとめ等含めまして、赤潮に関します諸問題の総合的な調査検討をやるようにいたしております。そのほか、既存のいまお話しいたしました幾つかの事業がございますけれども、こうした事業の充実も図ってまいりますし、共済事業の充実等も考えてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。  最後に、天災融資法の問題がございましたけれども、考え方といたしましては、被害額の点もございまして、今回は天災融資法適用の対象にならないというぐあいに考えております。ただし、私がいままで申し上げましたような措置によりまして、少なくとも養殖を行います地帯の漁業者が希望を失ったり、あるいは将来の方向を失うようなことがないように水産庁としては措置してまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。  以上でございます。
  163. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もございませんので、これはもうみんな各委員同じようなことを言ってもあれですから、簡潔にひとつやっていきたいと思います。また大臣が来るということで、十分そこそこまた時間もとりますので、さらにまた短くなってしまうので、要領よくひとつ御答弁いただきたいと思います。そういうことで、本当は話の流れがずっと続いて物語りがあるんですけれども、飛び飛びになるかもしれません。そういう点はひとつ御容赦いただきまして、大体午前中からずっとお話があったわけでありますから、それらのものと関連する点もありますので、どうぞ余りぶっきらぼうな答弁にならないように、その点ひとつ参酌していただきたいと思います。  最初に、本当はこれは大臣に申し上げなければならないことかもしれませんが、国土庁というのは調整官庁ということでありますから、政務次官もぜひひとつ御在任中に鋭意御努力いただきたいのでありますが、午前中のいろんなお話を聞きましても、やはり地震そしてまた噴火ということに対しての全国七十ほどあるそういうものに対して移動観測とか、そういうことで常日ごろは見ておるのだと。今回も実際は予算づけになってやることになっておった。本当に今回の噴火は爆発の時点が午前の九時十二分ということで非常にラッキーだったので、あれが夜だったらえらいことになった。前日の夜ですと、もう何万という方が集まっておったわけでありますから。こういうことを考えますと、今回のこの災害、有珠の噴火につきましては、国土庁なり、また諸官庁が何らかの対策を講じて人命に被害がなかったと、こういうことじゃ決してございませんで、天のしからしむるところだった、こういうことで今回の災害を甘く見てはいけない。厳しく見なきゃなりませんし、そして二度と同じことを繰り返さないような施策をもう十分にしていただかなければいかぬ、こう思うわけであります。  先ほど午前中の先生のお話を聞きまして、私も以前から地震の関係の先生方のいろいろなお話を聞きますと、やはり大学の先生方の立場から言うと、地震または噴火を専攻する学部、学科というのが一つ問題であって、専門家の養成機関というのは非常に弱い。まあ学問的には世界のレベルの最先端を行っているというお話でしたけれども、現実は、確かにそういうりっぱな方はいらっしゃる。しかし、その層の厚みということになりますと、非常に薄いということが言われておるわけであります。どうしても日本の機構というのは、役所のやり方というのは、こういう事前調査とか研究、こういうものに対して非常に気の配りがない。今回の被害でも二百七十億、三百億近い大きな被害である。噴火はさせないようにできるわけはございませんけれども、しかし、事前対策が講じられりゃもっと被害が少なくて済んだかもしれません。何億という単位で被害が発生する、何億、何十億、何百億という、そういうことを考えますと、この事前対策、こういうものが非常に重要である。そういう点で、これは文部省に言わなきゃならないことかもしれませんけれども、諸官庁の調整役ということでございますから、国土庁が音頭を取って、ぜひひとつそういう点についての厳しいこれを教訓としての対策を講じていただきたい。こう思うのですけれども、政務次官、どうですか。決意のほどをちょっと聞いておきたい。
  164. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いま藤原先生がおっしゃったとおりでございますが、一つ違いがありますのは、今度の有珠山噴火につきましては全くラッキーだったと思いますが、また、御存じのように、噴火予知連等の予報活動が十分効果を発したという点を特に御理解願いたいと思うわけであります。実はいまおっしゃった点につきましては、私は午後から出ましての話でございますけれども、大体、私は再建というのは二つの基本的要素があると思っています。一つは、自分たちの土地は自分たちで守るんだと、自分たちの町は自分たちの手で守るんだというような姿勢が一番基本ではないかと思っています。その次には、やはり先ほど中村先生や対馬先生がおっしゃった金融の問題、これが大きな要素になると、実はこのように考えておるわけでございまして、たとえば先ほどの百億の融資の問題もございますが、実はこれは私は金額等はわかりませんが、非常に大切な問題じゃないかと思っております。私の理解しておる範囲ではみやげ物店、旅館約三百軒で一日の売り上げ七千万円、これが四カ月で約八十億というようなのが基礎になっておると聞いておりますが、そういうことで実は本体をどう助けるか。その場合に必要なのは金額と期間と利息、これが大きな要素になるというようなことでございまして、そういう点を含めまして、現行制度でかなり効果が上げられると。したがって、大切なのはいまの旅館等をどうして助けるか、どうして町を救うかというようなことが大切ではないかと、このように考えておるわけでございまして、実は藤原先生のおっしゃったのと若干違う点もありますが、基本的な考えを申し上げまして、いまおっしゃったような国土庁の立場としては、調整官庁でございますが、意を体しまして最善を尽くしたい、そしてまた先生の御好意もお願いしたいと、このように考えておるわけでございます。
  165. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは午前中は学者先生がいらっしゃってのお話ですから、穏やかに申し上げたわけですが、実際はこの住民の方々が早くうちへ帰りたいとか、それからまた早く営業をさしてもらいたいというのは、ただ単に生活が困るという、だけでなく、それはもちろんのことですが、やっぱり観測指示をなさる市町村、地方自治体、そしてまた観測なさる方々、学者先生方の発表、そういうものに対するやっぱり不信感というものも実はある。政務次官も御存じだと思いますが、前の晩、何万人という方がお集まりになった。その前にやはり古老といいますか、明治から昭和の初め、明治四十三年ですか、その当時からやっぱり経験なさっている方は、これはただごとではないということを心配しておる方がいらっしゃった。また、お電話したところが、それは大したことに至らないだろうという、そういう現実もあるわけで、本当に朝の九時でなければこれはえらいことになった、実際。ですから、役所が何もしなかったとは私も言いませんけれども、役所の配慮によって今回、その後の対策については、政務次官もみずから飛んで行かれ、大臣も行かれたことは知っています。その事前の問題について私は言っているわけですけれども、それはなかなか予知し得ないことかもしれません。そのことのためにやはりいまの官僚機構の中で非常にこういう学者とか研究者に対して冷遇しているようなものについてはやっぱり壁を破らなければいかぬということを私は言っているので、特に気象庁というと、国土庁には直接関係ないのかもしれませんけれども、気象庁は非常にいま観測所を減らすとかいろいろなことで合理化の急先鋒に立たされておる。こういうこと等もあわせまして、ただ気象観測だけでなくて、室蘭の地方気象台では地震測定等もやっておるわけでありますから、こういうことも考え合わせて調整官庁としての実を上げていただきたい、このように私は申し上げているのです。これはもう私どもも力を合わしてそういう方向に進んでいくようにしていきたい、これはもう当然のことです。何といいましても、この災害を通じまして私が感ずるのは、早く激甚災の指定がなければいろいろな諸問題についての手当てというものは非常に狂ってくるということですね。それで、当初被害額云々ということですが、ここで問題なのは、噴火というやつは、台風や暴風のように、川が流れたり学校が流れたり家屋が流されたりという、こういう破壊的な行為というものが急激に起こるという事象じゃない。見る人から見れば、灰が積もっただけというふうな見方かもしれません。しかし、物によっては壊れるよりもかえって処置に困るようなこともたくさんある。こういうことで、どうしても被害額ということになりますと、それが完全に壊れたものでなければ被害総額という形でなかなか積算というのはむずかしい。農産物の場合についても、流されてなくなってしまえば、いっそのこと、いいのかもしれません。しかし、今回は水稲にいたしましても畑作にいたしましても、八月の初めですから、ある程度のものはなっておるという、こういうことで、公共施設につきましても農作物にいたしましても、それぞれ積算というのは非常にむずかしい面もあって、見る人から見れば、台風ですっかりなぎ倒されてなくなってしまった方がかえって積算、査定するのにやさしかったかもしれませんが、そうじゃなくて、こういう噴火の場合は、物がそこにあるだけに、灰をかぶって死滅状態になっておるだけに被害の物の見方というのは非常な違いが出てくる。ですから、大臣も率先していらっしゃる、政務次官もいらっしゃる、そういう点で非常に今回は足早く現地に行かれたということは高く評価いたします。しかし、そこで見て帰ってきて、そしてなされた対処の仕方というものは、現地を見て本当にこれは大変なことだという認識であったのか、やっぱり灰をかぶっただけで、まあ有珠のすぐ周辺においてはいろいろな亀裂を生じたり問題はあるかもしれませんけれども、全体的には、台風の被害や大洪水の被害から見ると、そう大きくないのではないかという、こういう認識をして帰ったのか。もう先ほど先輩各位の委員のお話もございましたけれども、どうも被害に対しての認識というものが甘いように私は思うのですけれども、政務次官、どうですか。
  166. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いま藤原先生のおっしゃっているように、長官も私もともに非常な認識をして帰ってきた、このように考え、そのようなつもりで対処しております。
  167. 藤原房雄

    藤原房雄君 一方的におれは一生懸命やっているんだという、そんなひとりよがりじゃならぬので、先ほど来いろいろ問題提起がありました。衆議院でもありました。そして本当に認識すれば、特別立法という話は衆議院でも、先ほどもお話ございましたけれども、やはり現行法ではどうしても救い得ないすき間がある。こういうことで、それは行政当局としては、できるだけ今日までの法律を適用して何とか対処しようと、こういう考え方に立つのは当然かもしれませんけれども、やはりその枠の中だけに閉じこもっておってはいけないということで、先ほど来何点か指摘がございましたし、私もこれから申し上げますけれども、この枠の中にはめ込まれた物の考え方じゃなくて、積極的に本当に現場へ行って、その悲惨な状況災害実情というものを見たならば、ただ灰が降って困っているだろうというようなことじゃなくて、午前中もお話がございましたように、今回のこの火山の実態というものは一地方に起きた問題ということじゃなくて、日本は火山国としてこういう形態があるわけでございますし、九州におきましては、これは議員立法で火山周辺の問題についてのいろいろな施策も行われておる。こういうこと等も考えあわせて、有珠の問題についてもひとつ幅広く、どうも通産省あたりは特別立法や何かについてはそう余り厳しく考えないけれども、農林省とか諸官庁においては非常にこう厳しく、特別立法なんというと何か役所が引っくり返るみたいな感じを持っているところもあるようですけれども、ひとつ監督官庁、調整官庁である国土庁はこういう点をひとつしっかり踏んまえまして適切な処置をお願いしたい、こう思うんです。  前置きはそれぐらいにしまして、私も一番心配するのは、やっぱりこれからの二次災害ということになるわけですけれども、これも先ほどいろいろお話ございましたが、北海道の特殊性から言いまして、早くに緊急砂防事業とか、緊急傾斜地対策事業、それから林野庁の山腹崩壊防止事業、こういうものをいたしませんと、もう大雪山では雪が降っておるということですから、被害がますます大きくなる。漁業の問題は私も後から触れますけれども、有珠や伊達の漁業組合に行っていろいろお話を聞いてまいりましたが、最初はまあ稚貝ということでしたが、雨が降ってまた発電所の、洞爺湖の水が流れてきますと、排水の汚染という問題が出てまいります。こういうことを考えますと、早くにやりませんと、被害がますます現時点ではとらえられないまた問題が出てくる。こういうことで、緊急砂防事業や傾斜地の対策、また林野庁の関係のこういう事業ですね、早急にやるべきだと思うし、これについてはいろいろ施策がなされていると思いますけれども、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  168. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 有珠山災害におきます二次災害ということは、私どもも融雪期等、将来の問題を含めまして非常に心配しているところでございます。したがいまして、緊急に実施できるものと恒久対策とに分けまして、積雪期までに緊急に実施しなければならないものということで、対象の八渓流につきましてすでに緊急砂防で実施すべく、予算的にも大蔵当局ともすでに協議を終わりまして、現在一部すでに実施に踏み切っておるところでございます。  計画上の問題といたしましては、上流の治山事業等と調整をしながら実施するわけでございますが、ただ下流におきます泥流の流路の問題でございますが、あの地域におきましては、下流に河川の流路がございません。そういった意味では、将来の激特事業等で対応すべく現在検討中でございますが、工期の関係等もございますので、さしあたっては枠によります砂防ダムを実施するというところで、将来につきましては激特事業で実施すべく検討中でございます。
  169. 藤原房雄

    藤原房雄君 流路工等についての激特の事業ですね、これはいつごろその方針なり何なり決まるんですか。
  170. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 現在、上流の状況の把握ということに努めておりまして、現在の降灰の量がどの程度であるか、あるいはどういった物質——質的なものでございますが、どういったものがあるのか、そういったことで工法的にも考えなければならない問題があるわけでございます。現在のところ想定いたしておりますのは、流路工の中に沈砂池等を設けなきゃならないというようなこともございまして、そういった工法あるいはルートの問題等を現在検討中でございますが、おおむね洞爺湖側に出ます流路につきましては、ほぼルートを固めまして、現在、道とその対策の検討を進めておる状況でございます。
  171. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) 御指摘の点につきまして、治山事業関係をお答え申し上げたいと思います。  先ほど対馬先生の方から御指摘いただきました地域につきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、その他全般について申し上げますと、有珠山火山活動に伴いまして、火山灰の降下によりまする林地降灰被害額は七十六億五千五百万円というような額に達したわけでございます。林野庁といたしましては、災害発生後直ちに係官を派遣いたしまして、山地災害につきましての現地調査復旧対策の指導を行ってまいったわけでございますが、その結果といたしまして、降雨等によりまして林地に堆積しておりまする火山灰等が流出いたしまして、人家とか公共施設等に二次災害を与えますおそれのある個所につきましては、本年度応急にできる工法といたしまして、先ほど申し上げましたが、谷どめ工とか土どめ工あるいはさく工等を緊急治山事業によりまして実施することといたしておるわけでございまして、先ほど建設省砂防課長からもお答えがありましたが、治山事業におきましても同様に、次年度以降につきましては復旧進度を早めるために治水激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業として引き続き実施する予定でございます。  なお、本年度実施いたしまする緊急治山事業について申し上げますと、伊達市、壮瞥町、それから虻田町、洞爺村、豊浦町、この地区につきまして四十九カ所、工事費にいたしまして六億七千五百万円の額でございます。このうち特に直ちに取り組まないと危ないというような場所につきましては、すでに先ほども対馬先生へのお答えで申し上げましたが、八月二十五日に工事着手を指示いたしまして、現在実行中のものがございます。これにつきましては、民有林関係が壮瞥町、虻田町合わせまして五カ所、一億九百万円という額に上ります。国有林関係が虻田町に一カ所約二百万円でございます。その他さらに現地を精査いたしまして、早急に対応する必要のある個所につきましては緊急治山事業を追加実施する予定でございます。なおまた、これらの治山事業の計画あるいは実施に当たりましては建設省等とも連絡を密にして防止対策を講じてまいりたいと、このように考えておるわけであります。  以上でございます。
  172. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから泥流による危険地域ですね。私ども現場を見て、ここはというところを何度か歩きましたが、家屋の移転の措置を必要とするというところもあるんではないかと思いますが、これはやっぱりがけ地近接住宅移転事業、これでやるべきだと思いますけれども、どうですか。現在、どのぐらいの戸数があって、どういうふうになっているか把握していらっしゃいますか、建設省。
  173. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 建設省所管といたしましては、いま先生御指摘のがけ地近接危険住宅移転事業制度がございます。これはそういった災害のおそれのある範囲につきましての移転が可能でございますが、あの地域は非常に集団的な地域でございますので、むしろ国土庁所管の集団移転事業というふうなことでの検討も一部にされておるというふうに聞いておりますけれども、建設省のいわゆるばらばら移転でございますが、そういったものはちょっと特に木の実団地等につきましては見合いかねるんではないかというふうに考えております。
  174. 四柳修

    説明員(四柳修君) いま御指摘の危険の問題は、当面、問題がございますのは虻田町でございます。虻田町につきまして、御案内のように、木の実団地、それから泉、特に入江側の方面、いろいろ問題ございますけれども、私ども町の方から、あるいは道の方から聞いておる範囲では、さしあたっての応急仮設住宅三十戸が先月中に建ちました。それは先月末に入りましたが、その後のそういった住宅の御要望は、いままとめているところで、大体せいぜいもう三十戸ぐらいだろう、せいぜい六十戸仮設住宅をつくれば当面の住宅の、要望には間に合うんじゃないだろうか。そういう意味で、いま御指摘の、たとえばがけ地には該当しませんし、あるいは何といいましても、いわば内地側の集団のような状態とも違いまして、相当離れている形でございますから、そういった形の中での既存のがけ地あるいは集団移転の形ではなくて、やはりできることならば、当面のところは応急仮設住宅六十戸分で対応したいと、こういうふうに承っております。
  175. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは地元でもいろんな意見があるようですけれども、時間もありませんし、このことだけ云々できませんが、いずれにしましても、仮設住宅は仮設住宅であって、特に積雪はさほどないにいたしましても、寒冷地でもございますから、非常に限られた制約の中で、仮設住宅でするからいいのか、将来のこととしてよくひとつ地方自治体との協議の上で、できるだけ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  次は、農産物の問題ですけれども、規格外農産物の特例措置、これはいままでも農産物検査法の特例によってインゲンマメとかジャガイモ等についての措置がとられたことがあるんですけれども、今回も生コン状のあれが畑の上に覆いかぶさって見るも無残な状況で、もう少し期日がたっておったり、また単なる灰だけで終わって、それが葉から落ちれば同化作用もできたんでしょうけれども、生コン状態のやつが付着しておるということで同化作用もできない、こういうことで非常に品質が悪化しておる。これは当然特例の措置を受けるだろうと思うんですが、どうですか、農林省。
  176. 秋川喜司雄

    説明員秋川喜司雄君) ただいま先生のおっしゃいました特例規格の問題でございますが、現在豆類はまだ生育の途中にございます。したがいまして、被害地域の今後の作況とか、あるいは品質の詳細を把握いたしました上で、臨時特例といたしまして特例規格を設定したい、かように考えておるわけでございます。
  177. 藤原房雄

    藤原房雄君 成長しておると、だれが言ったの。あなた見てきたの。全然成長なんかできないよ、もう。  それから、一部ですけれども、麦とか、こういう豆類、これについてはいままでも前例があるわけですから、当然こういう措置がとれるだろうと思うんですけれども、まだ成長途中ですからなんて、もう成長なんかできないんですから。息ができないんだから、本当に。そういう緩やかな話ししてないで、ひとつ現地……。当然これは収量ですか、過去の実績とか、いろんなものをにらみ合わせて判断するんだろうと思うんですけれども、十分に麦、豆、こういうものについての特例というものは考えられるというか、もう当然されるんでしょう。
  178. 秋川喜司雄

    説明員秋川喜司雄君) 豆類につきましては、ただいま申し上げましたように、早急に臨時特例措置の検討を進めてまいりたいと思います。  他方、麦につきましては、火山灰によりまして灰が大分付着したものがあるわけでございますが、これにつきましては調製段階で極力取り除いていくということで考えておるわけでございますが、ただ灰の降っておりました期間に雨によりまして大分被害を受けておるわけでございまして、この雨によりまして発芽粒が混入をしておるということで一−三等の規格に入らないというふうな麦がかなり出てきておるわけでございます。これにつきましては規格に入りませんので、食糧用に向かないというものは政府買い入れができないわけでございまして、食糧以外の用途に向けるということで、集荷団体等とも相談をいたしまして、仕分けをいたしまして、すでに販売先等についても指導を進めておるところでございます。
  179. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、あそこはジャガイモの主産地になっておるわけですけれども、何せ、もう何センチという生コンに覆われておるわけですから、もう少したてばこれはしっかりしたものになったのかもしれませんけれども、全部もう上の葉は倒れてしまいまして、同化作用はもちろんできませんし、こういうことで、ぜひひとつ規格外農産物の特例を、麦はいろんな法的な制約があるかもしれませんけれども、ぜひ拡大解釈といいますか、法の許される範囲内で、それができなければ、いまお話にありましたようなそういう処置をとっていただきたいと思うんです。  で、農業のことについてもいろいろあるんですが、いま一番問題になっておるのは漁業の養殖ホタテのこと、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、ホタテについては、実際、川がたくさんあるものですから、いままでも何度か被害を受けておる。また伊達火力の問題等もございまして、非常に有珠、伊達、ここの漁協ではいつもおびえて養殖ホタテに携わっていなければならぬという、こういう状況の中にあるわけです。いまの養殖を三千メートルぐらい沖合いに出してやったらどうかと、こういうこともいろいろ検討しているようです。それにしましても、川に近いのでしょっちゅういろんな被害がある。それを避けるためにはやっぱり沖合いに出す以外にないだろうと、こういうことなんですが、そのためには大変な施設費がかかるわけですけれども、沿岸漁業構造改善事業等諸種の事業があるわけですけれども、それらのものを通して、国の補助なり、また低利長期の融資によって沖合いに出すような結論が出て、それが被害を最小限度に今後とも防ぐもとであるということであれば、地元のそういう要望があったら、そういうことについて国としても積極的に応援をする、そういう考えがあるかどうか、ひとつお伺いしたいと思うんです。
  180. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 御説明を申し上げます。  先生からもお話がありましたように、地元の漁協なり漁業者の方から、沖出しをした方がいいということで、できるだけ国の方の援助も欲しいという要望が上がってきております。ただ内容的に申し上げますと、最初の段階の被害の段階では、実は稚貝が主体でございまして、それほど多くないという、漁業者の方もそういう考え方を持っておられたようでございまして、私、現地調査に参りました際には一応の話という程度の段階でございました。その後、九日、十日ごろから北海道庁がさらに被害を再整理いたし、まとめたわけでございますけれども、その際に半成員、成員で非常に出ているという点がありまして、非常に大きな声として上がってきたんだろうというぐあいに理解しているわけでございます。  その状況を申し上げますと、ホタテの成育につきましては、やはり一般的に川口周辺の方が栄養分が多い、あるいは陸岸近くの方が多いという状況がございまして、近くでありますと成育がよろしいんでございますが、沖へ出しますと成育が悪くなるという一般的な傾向がございます。ところが、不幸にして今回は川口に近い方が被害が出てきたということで、そういう問題を片一方で考えながら、漁業者の方もどのくらいという数字までまだ出ていないわけでございますけれども、幾分沖へ出したいという要望が出ております。そういう要望が出ておりましたので、水産庁といたしましては、北海道庁にも、地元の漁業者の意向を固めるとともに現地状況調査いたしまして計画を立てるようにといういま指導をしている段階でございます。一応その内容が固まってまいりました段階で、基本的には漁業者の個人施設のものでございますから、これは制度資金で対応しなければならないと思いますけれども、一部につきましては、新しい養殖の形態と申しますか、沖合いで波の荒いところでやるという条件もございますので、一部は補助でできるものもあるんじゃないかというぐあいにいま考えておる段階でございます。一応の全体の計画が出そろいました段階で、改めてそのホタテの養殖業振興という方向で検討さしていただきたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  181. 藤原房雄

    藤原房雄君 どうも私も二十二、三日ごろ行ったころは、稚貝があるということだったんですけれども、やっぱり原因究明やなんかにつきましても、むずかしい点もあるのかもしれませんけれども、それから海流の状況とか、いろいろなものが勘案されますから、一概に河口で悪いからすぐ沖合いというわけにはいかないのは当然ですけれども、その点十分にひとつ調査した上で、せっかくホタテによって生活の安定、いままでの出かせぎのような形のものができたわけでありますから、安定した漁業にいそしめるようにひとつ検討していただきたい、こう思うんです。  もう一つ問題なのは、林野庁の方いらっしゃると思いますが、今回の被害で大きいのは、何といいましても農業関係、それから林野、これが非常に大きな被害額になっているわけであります。百十億ですか、林業関係。当然この中には国有林だけではなくて民有林もあるわけですけれども、林野関係の問題としていろんなことがあるんですが、時間もありませんから一つだけ申し上げるんですけれども、緑を守るということは非常に大事なことだと、こう言われる反面、この対策というのは非常におくれておる。森林国営保険法の適用ということになりますと、これはこういう火山のときにはこの保険は適用されないということになっていますね。ところが、今回は灰が降ったところへ雨が降った、こういうことで、もう生コンを木に、枝に降りかけたような状態になって、細いものはもう折れ曲がる、それから太いやつでも途中から折れたり欠損したり倒伏したり、いろんな状況になっておるわけですね。この国営保険法は歴史的な経過がいろいろあることは私どももよく存じておるんですが、損害が戦争その他の変乱とか地震及び噴火によって生じたときはこれが適用されないようになっておるというのは、どういうところから来たのか。これはひとつ問題だと思うんですけれども、それはそれとして、今回のこの災害に対してこれほど百十億からの被害を受けておるという、これを早く復旧させるためにもあらゆる手だてをしなければならぬ。その一つがこの森林国営保険法、これは任意加入であろうかと思いますけれども、これの弾力的な運用といいますか、ただ単に噴火のためだったらこれほどの大きな被害はなかったわけですね。雨が伴ったという、それがもう生コン状態になって枝に降りかかった、それが被害を大きくした。こういうことからいたしまして、この気象上の複合災害と言いますか、名前をつければそんなことになるのかもしれませんけれども、これは気象上の気象災害と言いますか、そういうものでなければならぬことになっておるわけですけれども、今回も決して単なる噴火だけのことではないという、こういうことで拡大解釈をし、弾力的な運用をしていただいて、いろんな倒れた木を起こすための補助をどうするかとか、いろんな手だてがあるんですけれども、森林国営保険法をぜひひとつこれは適用させるような方向で検討してもらいたいと思うんですが、どうですか。
  182. 小田島輝夫

    説明員小田島輝夫君) 御説明申し上げます。  ただいま有珠山噴火につきまして国営保険法の適用ができないかどうかという御質問でございますが、森林国営保険法によりますと、御承知のとおり、人工林を対象にしまして、これは火災と気象災が主でございまして、これによって生じました損害に対しまして適用されるということになっておるわけでございます。先生からお話しございましたように、国営保険法十五条には、政府は、損害が地震噴火による場合はその損害をてん補する責めに任じないというふうに規定されておるわけでございまして、きわめて適用が困難ということになるわけでございます。  またもう一つ、この噴火に伴いまして降灰があった後に降雨が重なって災害が生じた、これについては弾力的に運用できるかどうかという御質問で言いますが、主因——主な因子が噴火によります際には、これを気象災として認定することが大変困難なわけでございます。ただし、私どもとしましては、こういった実態を踏まえまして、今後、森林保険制度の改善につきまして、保険事故の拡大、地震噴火を保険事故の中に入れるということで検討中でございます。
  183. 藤原房雄

    藤原房雄君 もうこれで終わりますけれども、もう時間がないからあれですけれども、確かにこの法のたてまえから言うと、いまおっしゃったようなことだろうと思いますが、これから検討を加えるなんというのは、それはあたりまえの話で、もうそういう法律は早く変えてもらわなければいかぬ。しかし、今回この被害を受けた人たちは、いずれにしてもこれは適用にならぬわけですね。これからの問題ですね。だから、そういうことから言って、政務次官、やっぱり特別立法といいますかね、こういうものについてもきちっとした法の枠だけでもう運用しようなんというといろいろな問題が起きてくるので、ぜひひとつ、今回の被害を受けた方々に対しましても、これはもう森林関係措置のほんの一つです。この問題さえもこういう条文からして適用にならない、今後の問題としますなんと言うんですから、こんな法律は早く変えなければならぬですけれども、いま被害を受けている方々に対して、そうでなくても森林所有者というのは、なかなか魅力のない産業として、最近は決してほかの産業から見て、一生懸命努力しているわりには目立たないと、こういうことですから、手厚い保護をいたしませんと、これはもう木なんか何十年、何百年生えませんわ。ぜひひとつこの特別立法ということで対処していただいて、そういうきめ細かな、現在の法律の中では運用し得ないようなもの、弾力的と言ったって限界があるでしょう。そういうものをぜひひとつ枠を広げてやっていくべきだ、このように強く訴えまして私の質問を終わりたいと思います。これは政務次官に聞いておいてもらいたい。政務次官、ちょっと一つぐらい何か言ってくださいよ。
  184. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いま藤原先生からいろんな話を承ったわけでございまして、またいろんな藤原先生の質疑を各省庁とも聞いておったわけでございますが、いまの事業の方は私の説明が不十分であったかと思いますが、保険料の掛金の問題がたしかあるのじゃないかと思います。
  185. 藤原房雄

    藤原房雄君 掛金は関係ないですよ。
  186. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) いや、だから、これは特別災害の方で大いにやってみたいと思いますが……。
  187. 藤原房雄

    藤原房雄君 適用にならないんですよ、これは。
  188. 佐藤守良

    説明員佐藤守良君) 先生の趣旨はよく長官に伝えたいと思います。そういうことです。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 各市町村やら各団体、そして地元からの要求というのも非常に切実な問題でございますし、非常に多岐にわたっております。また、朝から伺っておりまして、各党の質問もそれぞれその要求に従っての質問で、私の聞きたいことと同じ点がたくさんございますので、それらの重複しているところを省いて伺わせていただきたいと思います。  先ほど政務次官が自分たちの土地は自分たちで守るということが大事だとおっしゃっていましたけれども、これはもう政務次官がおっしゃらなくても農民自身がその姿勢でおります。  私も、爆発いたしましてからすぐに飛んで行きました。もう見たところ、私、六十五キロなんだけれども、本当に飛んでもはねてもへこまないというような、生コンを敷いたような畑のところでしたけれども、農民の方たちがせめてビートのしんの葉っぱだけを生かしたいというので、あの灰を除いていらしたのですね。私たち見ても、これを除いても一体これが生きるか死ぬかわからない。ほとんどだめじゃないかと、トウキビにしてもジャガイモにしても。とても手でこんなことをやっていたり、ちょっと機械入れてもだめなんじゃないかと言いましたときに、その農民の方がおっしゃったのは、先生そんなことを言うけれども、自分の子供が交通事故で、死ぬことがわかっていて、もうこれはだめだといって待っている親がいますかと、われわれ農民は死ぬことがわかっていても最善を尽くして一枚でも葉っぱを生かしてやりたい、そして下を生かしてやりたいと、そういうつもりでやっているんだと言われたときに、私は、実に日本の農民はすばらしいと思いましたし、また長い北海道の歴史の中で、あれだけの、今度被害を受けたところは非常に優良な土地でございます。ビートも平均反収四・五トンぐらいなところをあの辺は七トンぐらい出していると。そこに営々として働いてきた農民、そしてまた、観光業者の方々や働く方々もそれなりに実に真剣にいままで働いてきて、そしていまどうにもならない天然の災害という中で苦しんでいらっしゃる。そういうことから考えますと、いままでの法になじまないというのはあたりまえのことなんです。いままでこんな火山がぼんぼんあったわけじゃない。そうすれば、いままでの法になじまないから運用でというようなことで拡大をするといってもなかなか大変な困難がございます。そこで、大臣にも後で申し上げたいと思いますけれども、やはり特別な事態に当たっての特別の対処という姿勢がございませんと、これはもう幾ら陳情なすってもとても解決のつく問題ではないと思うわけです。  少し具体的に細かいことをお伺いしていきたいと思うんですけれども、農地復旧でございます。たとえば激甚災に指定されたというような場合には、それで九〇%から一〇〇%近くまで相当な援助がございますけれども、それが指定されないでちょっと離れたというようなところ、たとえば私きょうの質問のために各町村に全部電話を入れて、きのう、おととい聞いたわけなんです。豊浦なんかに行きますと、二センチ以下であるし、粒径も一ミリ以下だというような場合には救済の対象にならないというようなことになりますね。しかし、これは土地を改良して中耕したり、反転しなければならないというような場合ですね、これはやっぱり降灰農地復旧ということになれば、その農民たちがもういろいろ資本をつぎ込んで、そしてこういう収入が皆無の中でやる仕事だから、当然大きな立場で公費負担でやっていただきたいというふうに考えるわけなんです。  それから、弾力的に図っていただきたい一つの問題は、地力対策事業というんですか、地力対策事業というものもございますね。そういうことも運用していただいて、そして二分の一の補助の最低は出していただきたいというふうに考えるんですけれども、その辺の見解についてお伺いしたいと思います。——済みません、時間がありませんから、簡単に要点、聞いたことだけお答えください。
  190. 善木正敏

    説明員善木正敏君) 御承知のように、農林省の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法でございますが、これによりまして、営農上農家が行うものと区別いたしまして、平均の厚さが粒径一ミリメーター以下の土砂にありましては二センチメー夕ー以上、また粒径〇・二五ミリメーター以下の土砂にありましては五センチメーター以上の被害があった場合に復旧事業として補助の対象になるということでございます。したがいまして、これを要約いたしますと、通常行う耕作によって破砕された状態で粒度試験を行ってみると、そういう状態で一ミリメーター以上であれば降灰の平均厚さが二センチメーター以下であっても補助の対象となると、こういうふうなことで、私の方といたしましては、現地において十分粒度試験を行って、基準に合致すれば申請するように指導をしておるところでございます。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その指導がまだ行ってないんでしょうか、大変心配していらっしゃいましたので、心配なく御指導のほどをよろしく徹底させていただきたいと思います。  それから、融資についての要望が非常に多いわけですけれども、天災融資法による融資と、それから自作農維持資金の問題なんですけれども、これもちょっと伺ったら、枠を引き上げても借り手が余りないんだよというような御説明もちょっと伺ったものですから、これまた電話で聞きました。壮瞥町で貸付限度額の引き上げをしたらどれくらいの人たちの農家が借り入れする希望があるかと言ったら、これは二百戸でございました。それから洞爺村でも、天災融資のが百四十万でしたね、北海道の場合。それの額を引き上げてもらいたい。——わが党は二倍というふうに要求しておりますけれども、そういうふうに融資の枠を上げてもらえればどれくらい希望あるかと言ったら、二百戸の希望があったというようなことで、決して希望がないというのではなくて、希望はあるんだということで、ぜひ貸付限度額の引き上げということを考えていただきたいし、自作農維持資金の限度額も、これも特例の措置を考えていただきたいというふうに考えるんですけれども、この点についていかがでございますか。
  192. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 天災融資法につきましては、これを発動する方針で目下各省と協議をいたしております。融資の枠につきましては、被害の実態、それから資金需要をさらに詳細詰めまして枠の設定をいたしたいと思っておりますが、一戸当たりの融資限度額につきましては、これは北海道の場合、畑作経営でいきますと、御指摘のように百四十万でございます。この百四十万につきまして限度を引き上げるかどうかということにつきましては、これは天災融資法自体の問題でございます。私どもの現在の考え方といたしましては、経営資金、いわゆる再生産資金については、この資金のほかに自作農維持資金がございますので、自作農維持資金の融資と関連をさせながら実態に即したような検討をいたしてまいりたいと思っております。  自作農維持資金の限度につきましては、現在百万でございますが、自作農維持資金は、御承知のように、非常に長期の低利の金でございまして、これをにわかに大幅に引き上げるということは困難かと存じますけれども、実態をよく見きわめた上で対処をしていく考えでございます。
  193. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 たとえば天災融資法の百四十万、自作農維持資金の百万というのを限度いっぱいに借りちゃっていますとね、今度特例枠をつくらなければ借りられないということになりますでしょう。それはまた運用で、枠を特例で上げていただけるんですか。
  194. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 天災融資法の一戸当たりの限度額は災害のたびごととということでございますので、既存の貸し付けがあったこととは無関係に枠が設定されます。それから自作農維持資金の方は通算でございまして、過去の貸付残高がありました場合は、それとの差し引きによって決まってくるわけでございまして、したがいまして、自作農維持資金の場合は、既存の借入残高がある場合には、たとえば百万近くまで借りている場合には非常にわずかしか残枠がないという事態になりますので、そういう場合にはさらに維持資金が貸し付けられるように、現在調査いたしておりますのも、農家ごとの貸付残高がどのくらいあるかということを個別に調査をいたしておるわけでございます。
  195. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは商店、それからホテル業者の問題なんですけれども、先ほど中小企業庁の方お答えをいただきました。そのときに、松代地震で特別措置をしたので、その関係もあるので詰めているというお話でございましたけれども、松代地震のときには年利六分五厘でございましたね。まず第一に、特別そういう措置をしていただけるということが、もういまとして見通しが立つのかどうか。そのときに、松代地震で六分五厘じゃこれはちょっと高過ぎるんだけれども、これより低くしてもらう、ぜひ三分くらいにはしてもらいたんいんだけれども、その見通しはどうなのか。検討中、詰めているとおっしゃったけれども、それはいつごろまでに検討のめどがつくのか。検討のめどの時期と、それから内容についていまおわかりになっていらっしゃることを教えてください。
  196. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま松代地震のお話がございましたが、確かにこのときには先生いま御指摘のように六分五厘、それから百万円ということでやって、当時激甚災害法の基準も全く同様でございまして、現行法で、その後改正がございまして、限度も四倍になりまして、それから金利も六・二%と三%の二本立てになりましたというような形で、その後変遷がございました。私先ほど申しましたのは、松代地震で法律の適用はないけれども、そういういわば法律外の措置で激甚災害法の適用があったと同じような状態にしたことがあるということを申し上げたわけでございます。  内容でございますけれども、実はこれは先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、政府部内としてはいま相談中でございまして、これは意見のまとまっていないところで私がいま見通しを申し上げるとかえって混乱のもとになろうかと思いますので、この点内容はちょっと差し控えさしていただきたいと思います。  それから時期でございますが、これも相談事でございますから相手のあることではございますけれども、私もこの問題非常にやはり急がなければいけないとは思っておりますが、私の気持ちとしましては、今月中にも成案を得るように努めたいと思っております。
  197. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当にお話を伺ってますと、あれもこれもいろいろ手を尽くしていただいているみたいに見えるけれども、実際問題非常に時期がいつなんだということを御心配なすっていらっしゃるわけですよね。だから、地元へ行きましても、きょうもたくさんの方がいらしていますけれども、大変御苦労だけれども早くそれを決めていただいて、安心できればやっぱり毎日が明るく展望を持って過ごせますので、時期を早くお願いをしたいと思います。  それから雇用主の方にしても、季節労働者五十日給付の一時金という、取得するまでには、やっぱり十月までの給付を出さなければならないというような問題でございますね。で、先ほど対馬議員言われたのは当然の要求なんで、雇用調整給付金の対象にすることができないというのがそもそもおかしいんで、たとえばそういう事業主の方も雇用保険の保険料を払っていらっしゃるわけでしょう。で、保険料を払ってらして、いま千分の四ですか、雇用調整給付金に入れられるわけですよね。そうするともう中小企業の方たちは雇用保険入れて、そうして給付の対象にならないわけですよね。そうすると、入れて積んだお金全部大企業の方の給付金に持っていかれて、これまことにわれわれいまの政府おかしいという、そのとおりになっているわけなんですよね。だから、そういう点考えると、やっぱりいまここで現実に起きている中小零細企業の雇用主の方々が本当に助かる道ということで、十二日の衆議院で、たとえば事業所内の職業訓練制度など検討してみたいというような御発言があったわけですけれども、やっぱり雇用主が六割補償できるためにも、やっぱりそういう職業訓練やってもらえば、その職業訓練といった形で費用を出して事業主にいくわけだから、その辺のところは具体的に早急に実施もして方針も出していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  198. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) 先生お尋ねの点でございますが、私も直接の所管ではございませんがお答えいたしますが、いまの点は私どもも十分検討さしていただきます。
  199. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 十分検討、いつまで続くんです。
  200. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) これは先生おっしゃるその訓練ということでございますが、……
  201. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 名目は何でもいいんだけど、何かそういう事業……
  202. 望月三郎

    説明員(望月三郎君) この前も先生御熱心にこの問題を非常に言っておられましたので、私もいろいろ考えた結果、全般的の雇用対策としてはやはり休業手当を払っていただいてそれから十月までつないでいただくということで基本的にはやっていただきたいということで事業主にも指導いたしまして、それで両者間でそういう申し合わせができております。したがいまして、そういう方向でやっていくと。それから一部どうしても離職するという人については、これは若干、十数名出ておりますが、この方々につきましては再就職について相談体制を強化してこれは必ずはめていくということでやっておりますので、職業訓練のアイデアも非常にいいと思いますが、具体的にはまだそこまでいってないということでございますので、要望があれば早急に検討さしていただくということでやりたいと思います。     —————————————
  203. 村田秀三

    委員長村田秀三君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま最上進君が委員辞任され、その補欠として竹内潔君が選任されました。     —————————————
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は別に職業訓練にこだわるわけじゃないんだけれども、そういう集まりを持ったりして何らかの形で給付できるようなそういう措置を考えてもらいたいわけで、業者の皆さんに考えてそういう要求を出せと言われても、業者の皆さんとてもじゃないけれどもそこまで頭回りませんから、そこはおたくが専門なんだから、こういう形でこういうふうにすればお金出せるというようなことをちょっと具体的に案出して、頭考えてくださいよ、済みませんけれども、よろしくお願いします。  それから激甚災の指定についてなんだけれども、もう農業関係では大体激甚災になるということでみんな安心しながら、だけど一抹の不安を持ちながら一生懸命いま作業をやっているわけですね。激甚災に指定になりそうだと、局地激甚災に指定になりそうだというのは大体いつごろ——私は十月にはもう当然指定されると思うんですけれども、十月ごろの見通しでいいか、それからそれに指定される局地の場合の地域ですね、それはどの程度が考えられるか、もう大体わかってきたんじゃないかと思いますが、その点いかがでございますか。
  205. 四柳修

    説明員(四柳修君) 本激は無理でございますけれども、局地激甚の問題ですけれども、御案内のように各市町村別に農民の所得と被害額との数字を農林省の方でまとめておられますもんですから、その数字がまとまりませんと私どもの方では後追いができませんものですから、その数字を待っている状況でございます。
  206. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それが九月末にはもう大体まとまるんじゃないですか。いままでのお答えだと、大体もう一月になんなきゃまとまんないと、二月になって指定だなんというふうな大変冷たいお答えだったんだけど、被害受けたのも、これから成長して実がなっていくなんていうもんでないんだから、大体いままでのところでわかるわけですよ。だから私は素人なんだけれども、九月にわかって十月には指定になるというふうに見ているんですけど、どうですか。
  207. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) ただいま国土庁から御答弁申し上げましたように、局地激甚の指定は農地農業用施設の査定事業費が当該市町村農業所得推定額の一〇%を超えるということになっております。ただいまのところ査定事業費につきましては農地災害復旧現地査定を実施いたしております。緊急査定、それから第一次の本査定、これは現在実施中でございます。それからさらに第二次の査定が必要でないかと、これは町村ごとの申請に基づいて実施をする関係でございますが、さらに実施をする必要があるというふうに考えておりまして、査定の事業費が、全体がまとまりますのは、現在の見通しではおおむね十月にかかると、十月中というふうに考えております。  それから一方、町村ごとの農業所得推定額の算出でございますが、これにつきましても、この被災市町村ごとの数字をはじき出すわけでございますが、十月中には完了できるものというふうに考えております。これらの資料がまとまりました段階で国土庁の方と御相談をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ごめんなさい。もう一度繰り返します。市町村からの上がってくる査定が十月に上がってくるという段階ですね。で、その段階で国土庁と御相談なすって決められるんですか。  それで、それともう一つ、それからその指定。みんな激甚災指定を早くやってくれと、とにかく不安があるわけですよね、指定されるかされないかで費用がずいぶん違ってくるから。だから早くやってくれと言うからには、それじゃ市町村で出すものをもっと早くすればもっと早くなるんですよと言われるのか、一体遅くなるのがどこがどう努力すれば早くなるのかというような点もちょっと一緒にお答えいただきたい。
  209. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 第一点の国土庁に御相談申し上げるのは、先ほど申し上げました一〇%の分子と分母、両方について固まった段階で御相談を申し上げるということで、その両方とも十月中ということを申し上げたわけです。  それから、それがもっと早くできないかという第二点の御質問でございますが、これにつきましては農地農業用施設の災害復旧現地査定の査定状況がどう進むかということにかかってくるわけでございますが、現在のところ非常に早期に査定作業の実施をいたしておりますけれども、非常に広範な面積にわたりますし、また二次災害等、保全工事等も含めてやる必要がある個所もございますし、そういう点からいたしまして、十月いっぱいというのが現在の見通しになっております。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それからもう一つ、先ほども大臣いらっしゃらなかったとき申し上げたんですけれども、いままで有珠山みたいなものは例がなかったからそれに対応するような法律がなかったということで非常にいま苦労しているわけでございますね。そうしますと、激甚災なんかの場合もそうだけども、指定基準というものをここのところでやっぱり改正するということが必要なのではないかということなんです。この前も御一緒したと思いますけど、たとえば留寿都村の村長さん代理で農業委員長の方がいらしたけれども、灰というのは行政区に関係なく降ってくるわけですよね。だけど激甚災指定するというような場合には行政区で指定されるわけですよね。そうすると行政区でここのこの線まで指定されたと、小さい川一本こっちは指定されたけど、こっちは指定の対象にならないと、しかし灰は行政区に関係なく降ってくるんだというようなことはまことに不合理なことになってくるわけですね。やっぱりいまの法体系の中での矛盾だと思うんですよ。そうすると、やっぱりこれはいままでの状態と違う状態の中で起こったんだから、基準の改正というものをいますぐ考えていただかなければならないけれども、早晩どうしてもこれ考えなければならない問題ではないか。そうしますと、その指定基準というのは中央防災会議の決定事項にたしかなるんでございましょ。そして、その責任者は総理大臣だったですね、それで閣僚全部集まって相談すればできると。そうすると、いま本当に深刻なんです。私、こうやって立ってお話ししてましても、現地の農民の方々や皆さんの苦労考えますと本当に何とか早急に手を打ってもらいたいと、そうすれば総理大臣やる気になったら、関係大臣やる気になったら、責任者総理大臣なんだから中央防災会議開いて、そして基準改正するとか、いろいろな手が打てると思うんだけれども、それは打ってもらえないんでしょうか。私、ぜひ中央防災会議で問題提起、大臣出してもらいたいと思うんですけど、その点、いかがですか。
  211. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 農林省からすでにお答えがあったと思うのでございますが、局地激甚災の指定についてはできるだけ早い機会にこれは指定をいたしたい。本来ならば非常に、年度末に計数を整理して、そして二月ごろ指定になるのでございますが、この災害は特に非常に特殊な災害でございますので、査定を急がせ、作業を急がせ、そして私たちは農林省から出てまいりました——十月と言っておりますので、その十月に出てまいりますならば、できるだけ早い機会に指定をいたしたいと、こう考えております。なお、この査定の基準、あるいは指定基準等も含めて、できるだけ現行法を弾力的に活用いたしまして復旧作業に最善を尽くしたいと、こう考えておりますが、もしどうしても現行法で救えないという具体的なものが出てまいりますならば、私たちは新しい制度でそれらの問題を処理してまいりたい、かように考えております。
  212. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その局地激甚の指定は十月じゅうには農林省から出してくるから、だからそれでもうまた国土庁で時間かかりませんね。大体十月には国土庁としても指定できるということでいいですね。
  213. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) よろしゅうございます。
  214. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうもありがとうございました。
  215. 四柳修

    説明員(四柳修君) ちょっと委員長済みません。  恐縮でございますけれども、こちらは十月に数字をまとめるということでございますものですから、それをいただきまして、私どもの方は次の次官会議かその次の次官会議、あるいは閣議に間に合わせるようにいたします。
  216. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、十月中には大丈夫ね。  それから、特別立法で枠がはまらないのがありますね、いまの救済ということになれば。そうすると、特別立法ということを考えていらっしゃるというお答えですけれども、その特別立法というのにどういうふうな問題を考えていらっしゃるのか。それとも特別立法でなくて活動火山法の運用——いや、ちょっと附則ですか、変えるというようなこともありますけれども、その特別立法と活動火山法の運用というようなことで、それはこれから特別立法ずうっと考えて何年もただれたら困るんだけれども、特別立法というのは具体的にもう進められているんですか、大臣の頭では。で、具体的に指示されたりというようなその手だてはどうなっているんですか。
  217. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) たとえば、高率補助の問題でございますが、農地、農林等の災害に当たっては、ただいまの法律、現行法でまいりますというと、五十一年度の災害で大体九〇%の補助率なんでございます。ですから、もしこの九〇%で救えるものはそれで結構だと思いますが、どうしても降灰火山れき等でそれは復旧が非常にむずかしいという場合には高率補助の適用等を考えなきゃいけませんよね、それが一つ。  それからもう一つは、先ほど東大の教授からいろいろ観測についてのお話を承ったわけでございまして、いまなお火山活動は継続されておりますので非常に危険が伴っておりますと、こういうことでございますので、いずれも交通規制だとかいうものをしてまいらなければなりません。そうしますというと、洞爺湖温泉郷の観光との関係が一体どうなるのかというようなことが出てきます。その交通規制している間お客さんは入ることができないのでございますから、そういうような問題を現行法で扱うことができればそれにこしたことはございませんが、もしそれ扱うことができないとすれば何らかの形で救わなきゃならないと思いますので、そういうようなどうしても具体的に現行法で救うことのできない問題については、やはり災害対策特別委員会の皆様方と御相談をしながらこれを進めてまいらなきゃならない、かように考えているのでございます。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いつでも御相談に応じますから早くやろうじゃありませんか。  それじゃいまの活動火山法で——この有珠の被害地を活動火山法の中に指定するということはどうなんでしょうか。
  219. 四柳修

    説明員(四柳修君) 御案内のように、現在の活動火山法は、火山噴火によりまして危険を生ずるところ、それからその結果農業の営農に支障があるところが中心でございまして、御案内のように、A級のうちの桜島と阿蘇だけが指定されております。桜島の場合は中の島だけでございます。この有珠にこれを適用する場合に、正直言って一長一短があろうかと思います。ということは、やはり長の面では、今後予想される噴火時におきます避難施設緊急整備計画に基づきます避難施設もできます。あるいは噴火降灰に伴います防災営農施設整備計画ができます。短の点は、一つは、やはり危険地帯だという一つの印象になります。これがいろんな意味でやはりいろんな面での制約になろうかと思います。それからもう一つは、現在の仕組みは、個々の市町村の小字単位まで限りまして線引きをしなければなりません。そうすると、有珠につきましてどこで線引きをするかという非常にむずかしい点があるわけでございます。そういった点が短の点だろうと思いまして、私どもの方もその長短どちらがよろしいか検討中でございます。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、市街地の灰の除去なんですけれども、市町村道など公道の灰の除去というのは公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法——むずかしいですね——で除去するというわけで、これは国庫補助で除去していただけるということですけれども、たとえば農村なんかへ行きますと、公道からずっと奥まって私道というような、農道みたいになった私道というのが非常に多いわけですけれども、私道なんかの場合だと、通常でも建設省の堆積土砂排除事業ということにかければ二分の一の補助ということになるわけですよね。そうすると今度、災害復旧ということでこれにのせて、そして二分の一の負担を何とか特交か何かで出してもらうとかというようなうまい道ないですか。
  221. 千葉武

    説明員(千葉武君) お話のございました市街地の堆積土砂の排除事業のことでございますが、これにつきましては現在、お話がございましたように二分の一の国庫補助があるわけでございます。それで私どもといたしましては、今回の被害状況でありますとか、それから市町村が非常に財政的に苦しいというような事情もございまして、これをできるだけ補助率を上げてくださいというお願いを、実は地元からの強い要望もございますので、関係の省庁にお願いをしているところでございます。  一方、御質問にございましたこれらの補助に伴います地方負担額につきましては、私どもといたしましては、これ以外にもいろいろ地方負担が出てまいりますので、有珠山の今回の火山活動に対するいわゆる財政対策、それの一環といたしまして、まあ市町村の財政事情なども十分勘案いたしまして、特別交付税等で配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、あと時間もないのでお伺いしたいのですけれども、水道の問題ですけれども、豊浦、虻田それから洞爺、直接いま水道の問題が起こっていて、これはやっぱり今時点で結局ろ過がしにくくなったというような問題や、それから大体水質は大丈夫だというふうにおっしゃっているのだけれども、十四日、おととい豊浦に電話いたしましたら、雨が降って濁って、町でその水飲むなというようにずっと宣伝して、やっぱりこれはもう山に灰がたまっている限り、雨が降ってくるとどうしてもそういうことになるということになりますと、お天気のいいときに見たら、ちゃんと大丈夫だなんて、雨が降るたんびに水飲むななんて言われたら、とてもじゃないけど大変な生活状態になるということなんですね。そこで現地市町村に行きますと、やっぱり虻田洞爺は湖水から直接取っているというのを、洞爺村は沢から湧水が三つ出るということで、そこに取水口を取り上げたいと、それから豊浦も変えていきたいというふうに、災害復旧でその場所で復旧するんじゃなくて変えなきゃならないというような事態が出てくるというようなときの補助ですね。目詰まり作業だとかいろいろなのが出てくるから、だからそういうような事業——いまの私が言った計画書出して見せてもらったんですけれども、そういうような水道事業についても地元の自治体がいろんな面で負担が重なっておりますので、当然水道なんというのはちょっと百万、二百万の仕事じゃありませんので、ぜひ地元の自治体と相談して御援助をしていただきたいということの御見解を伺いたいということです。
  223. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 御指摘のように灰が山にたまりまして、雨の降るたんびに濁水が出てまいります。あるいは湖水自体がかなり沈でん能力を持っておるんですが、なお従前とは違うかなり高濃度に濁っておるという実態がございまして、御指摘のございました洞爺村のあるいは豊浦につきましても、そういう高濃度には非常に対応しにくい用水施設を持っておりまして、すぐ目詰まりを起こして所要の水の量が取れない、あるいは水質が悪化するというような事態があることはおっしゃるとおりでございます。通常そういうろ過でありますと三十日ぐらいもつんですけれども、現在のところ数日置きに目詰まりを取って、曲がりなりに必要量を給水しておるということで、特に雨の後なんかで高濃度の水が入らない限り、平常の給水をしておるというふうに了解をいたしておるところでございます。いずれにしましても、一々雨の降るたんびにとまるようでは困ることは御指摘のとおりでございますので、何らかの対策が必要であるというふうに承知しておりまして、ただいま恒久対策として、一つの方法として、先ほど御指摘のございました水源を移転する方法と、そのほか東京その他大都市でとっております薬品処理をいたしまして、あらかじめきれいな水にしてから従来の施設にかけるというような方法もございますので、それらを含めていろんな代替案を現在検討さしておりまして、今月中にできるということでございますので、それができ次第現地に赴きまして結論を出して早急に対応したいというふうに考えております。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 文部省、また就学援助の問題ですけれども、去年冷害でことし二百海里で、また続いてこの有珠山ということで、やっぱり小学校、中学校の小さい子供さんを持ったお母さんたちたくさんいらして困っていらっしゃるというようなことで、当然給食費、PTA会費、修学旅行、学用品なんかについての就学援助の対象に私は必ずなるであろうと言ってきたんですけれども、なるでしょうね。
  225. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) このたびの有珠山噴火に伴いまして被災された児童の保護者が経済的理由によりまして就学困難になってきたという事態になった場合に市町村が就学援助を行いますれば、国として従来どおり援助の対象にいたします。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 二つの問題をお伺いしたいと思います。  厚生省、避難住民の住宅とそれから避難所のことをお伺いしたいのでありますが、もうちょっとというわけじゃなくて、八月の七日からいままで一カ月以上たちましたよね。避難所というのが、御承知だと思いますけれども本当に広いところに雑居でございますから、私一番心配したのは、子供たちが本当に生き生きと子供らしい表情を失っていくんですね、みんなの中に住んでいるということで。それから、まあお年寄りならいいけど、若い御夫婦なんて大変だろうななんて、私同情してきたんですけれども、ああいうところで、ただ食べるのは食べさせてもらえるということで非常に精神的には私は避難病というような病気にみんななっていると思うんですよ。で、ああいうので、きょうもお話伺ったら、まだすぐに済むというようなわけでございませんので、やっぱりあの避難所に対する対策というものももうちょっと考えていただきたいということが一つ。  それから木の実団地は応急仮設住宅を建てていただきましたけれども、私が、十九平米だった、二十三平米になったなんて、ふえているんだなんておっしゃったけれども、とにかく行ってみたら七坪くらいなものですよね。だから、トイレは表についているというわけでしょう。そうすると、暖かいところでも夜トイレに表まで行くなんといったら大変なの、暖かいといったってやっぱり北海道でざんすよね。そんなときに表にトイレというような仮設住宅で、そして二年くらいはということであれば、まさにこれは基本的人権にも関係する問題だというふうに考えられます。それから一日四百五十円というのも、これまたいろいろ差し入れ、カンパなどというのがあるからいまのところ何とかやっていらっしゃれると思いますけれども、これから長く続けばこの問題はちょっと大変な問題になっていくのではないかと、そういう意味で避難住民の生活と健康についてどういうふうに御配慮願えるかということが一つ。  それから水産のホタテのことなんだけれども、沖出ししたいというような場合のその費用ですね、これは構造改善事業という形でのせていくというようなことは考えられないのかどうか、その辺のところお伺いして終わりにしたいと思います。
  227. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 私の所管しております災害救助法による応急の炊き出し、あるいは避難所、あるいは仮設住宅の問題でございますが、御指摘のような点、実は救護の実施に当たっております北海道庁が非常に心配しておりまして、私自身も何度か当局者と御相談にあずかったんでございますが、もちろん基本的には応急の対策ということでの限界がございますけれども、たとえば食事にいたしましても長期になるという場合に、まあ四百五十円という基準はございますけれども、これをどうやって市町村で実施するかという点については、私どもかなり町の御判断も加えながら対処したいと思っております。  避難所につきましては、御指摘の点ございまして、間仕切りなり畳を入れることなり、私ども自身もいろんなアイデアを出しましたんですが、反面、町の当局でもなかなか広い場所を一時に確保するためには限界もあることでございまして、率直に申しまして町当局もあるいは道庁としても私ども困っておる事態になっておるんでございますが、なお御指摘の点今後にまたかかる問題がございますので、十分踏まえて対処したいと思っております。  応急仮設住宅は、御指摘の点、便所を外につけたあたりは衛生上の配慮もございましたこと、あるいは若干家財のたぐいをお持ちの方が多かったものでございますから、必ずしもいままでどおりの基準だけで物を考えないという立場で道からも意見をいただいておりますので、できる限りのことは国としても配慮したいと思っております。御指摘の、長期にわたった場合に現在の災害救助法のサービスといいますか、措置でどの程度まで対応できるかという問題もございますけれども、その点は御指摘の点踏まえて対処したいと思っております。
  228. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 厚生省だけにいつまでも任しておく問題かどうかということもありますね。
  229. 伊賀原弥一郎

    説明員伊賀原弥一郎君) 先ほど御説明した点がございますけれども、私どもといたしましては、一応個人施設に関しましてはやはり政府融資が基本になるというぐあいに考えておりますが、何分沖へ出まして新しい面もございますので、一部は補助事業として取り上げられるところがあるだろうというぐあいに考えております。具体的には現在北海道庁に計画をつくるように指導しておりますので、それができました段階で検討いたしたい、もちろん当庁といたしましては、噴火湾の地域というのはホタテのいわゆる主産地といたしまして育成しようということで一生懸命やってきた地域でございますので、その方向でやらしていただきたいというぐあいに思っている次第でございます。
  230. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間が大分たちましたから、要約だけして、特に最初国土庁長官に御質問してまいりたいと思います。  それは総括的なことなんですけれども、災害の中にもいろいろあると思うのです。ただ、有珠山災害というのはほかの自然災害に比べて私は特異なものがあると思うのです。水害なり火災の場合だとどかっと災害を受けて、それでもうすべてがわかった、後はどうやってそれを復旧し、復興していくか、再建をしていくかということになると思うのです。ところが、この有珠山の場合には、きょう午前も下鶴先生から聞きましたのですけれども、まだドームが出現するという感じが強いという、言うならばかなり長期化するんじゃないかという見通しを持っているわけなんです。だから、そういう点からいくならば、これから先もどういうことが起きてくるかわからぬという、そういう中で一方では災害対策をやっていかなきゃいけないのですから、そういうことで先ほど長官もちょっと言われたんですが、現行の法規で対策が十分にとれるのかどうなのか、そこのところです、第一。
  231. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほどもお話があったと思いますが、緊急の対策についてはかなり進めてございます。問題はいま天災融資法の発動、それから局地激甚災の指定の問題が残っているわけでございまして、この二つの法律の発動あるいは指定によりましてどの程度救えるかということなんでございます。先ほど申し上げましたように、五十一年度の災害の折に農地、農村の復旧に当たっては九〇%のいわゆる補助率があったわけでございまして、これで大体普通災害は救えたわけでございますから、あの火山灰あるいは火山れきの処理に当たってこの程度のいわゆる補助率でよろしいのかどうか、また全額国庫でなければならないのかということをこの法の適用によって進めてまいりたい、適用の結果によって進めてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
  232. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 その災害対策の場合のもう一つの大事なポイントというのは迅速さだと思うんです。いろいろとこうやっていく上について多少アンバランスが出ても、これをやらなくちゃいけないとなったら急速にそれを決めて実行に移すということをやっていかないと災害対策の救済の効をなさないと思う。だから、そういう点からいきましてきょうもずっと一日私は他の先生方の質問を聞いておったんですけれども、いまも長官言われたように、激甚災害の指定すらまだしていない、それで農林省に何か上がってきたらそれを見てどうだ、こうだと言っているわけなんです。あるいは天災融資法もこれは適用の方向でいま検討中ですということが、前の先生のあれで答弁が出されているのですけれども、少なくともあれだけの爆発が起きて、噴火が起きてもう一カ月以上たっておる、そういう点からいけば、もういろいろ全部ができ上がったら何をするのではなくて、一つ一つやれるものをどんどんやっていくところに私は災害対策というようなものの効果を上げるということになると思うのです。だから、その辺のところがいままだここへきて現行法規でやれるものならばやっていくのだ、どうしてもだめだということになれば特別立法も考えようではいささか手おくれではないんでしょうかと聞きたいのです。ついこの問も何か新聞で私は読みましたのですけれども、虻田町はとうとう東京に東京事務所をつくって、それでこの問題で政府とのいろいろ折衝にもう北海道から一々なにしたらだめだといってああいう東京事務所の開設までするということが決められてやられたようですけれども、その辺が政府の側として少し後手後手でいささかおくれているんじゃないですか、その辺の長官の御判断はどうなんですか。
  233. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 政府は、先ほど報告があったと思いますが、二回にわたって現地調査団を送りまして、その後非常災害対策本部をつくって、さらに関係閣僚会議を開いて緊急に必要なものは関係閣僚会議で決定をいたして、さらにこれからの災害復旧に対する方向についても了解をいただき、さらに関係省庁個々に積極的にひとつこの災害に取り組むようにということをいたしてまいっているわけでございます。その結果天災融資法の発動は、基本的にはもうすでに非公式でございますが発動してあるわけでございます。ですから、正式にはやはり十月までかかるということでございますが、これはもう最大限のサービスなんでございます。それから激甚災についても本来は二月ごろの指定になるんでございますけれども、これも農林省に急ぎなさい、そうしましたら査定の事務は十月まではかかりますと、これがぎりぎりでございますと、こういうことでございます。これもいままで激甚災の指定でこれくらい速いスピードで指定したのはないのじゃないかと思うほど急いでおるわけでございますので、決して東京からはるばる北海道をながめておるというような態度はとっておりませんので、積極的に今後も進めてまいります。
  234. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 長官の答弁そのとおり私も善意に受けとめたいと思います。確かに、私も思うんですが、この有珠対策が万全を期してやれないようでは、私は日本の国は経済大国だなんて言っていられないと思うんです、少なくとも。日本全国がやられたのならこれはまだ話は別ですけれども、北海道の、またその中のごく一部にああいう災害が起きた、いまの日本の国のこれだけの経済力を持ち、力を持っておって、そのことについて万全の対策、手当てがとれないようでは私は困る。ですから、そういう点で長官が先ほども御答弁の中にありました特別立法も考えているんだという、そういう受けとめ方をいたしまして、そういう中で、今度は少し細かくなるんだけれども、私どもがあそこへ視察に行ったのは八月の二十九、三十、あの灰のやり場が、もう捨て場がないということを聞いたんですね。そうすると、まだかなりあのところには残っていたんだけれども、そういうことなんかは現実にその次の灰の捨て場のような対策はもう講じられちゃったんですか。
  235. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 降灰の処理については、八月の先生御視察の当時は暫定的な処理をしておったと思うのでございます。ですから、洞爺湖のあの周辺にとかあるいは他の虻田町の指定してある場所に捨ててあったと思いますが、その後建設省ともいろいろ打ち合わせをしながらできるだけ早い機会に計画的にこの灰の処理をしなさいということを私が強く要請をいたしまして、まず公共事業をつくるためにこれを活用するということ、あるいはまたこの降灰あるいはまたこの火山れきを活用することによって新しい農地あるいはまた新しいいわゆる埋め立て等ができるならそういうような処理もして、まあ災いを福にすると言えばおかしいことですけれども、そういうような形でいわゆる灰の処理をしなさいということを私は督励しまして、いまその構想が建設省の方でもつくられている、まあ現にその方向で作業が進められている、こう申し上げてよろしいと思います。
  236. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これは自治省の方にも関係すると思うんですけれども、長官がいらっしゃるからそちらの方でできれば御答弁いただけたらいいと思いますが、先ほども政務次官から、自分の町は自分で守るんだ、それが原則だという御答弁もございました。また、それは私も当然だと思うんです。しかし、それは通常の場合のことであって、あのような特殊な災害が起きたときに、それも自分の町は自分で守れ、それが原則だという、そういう御発言が現地の人たちにとってああそうですかと言って素直に聞ける言葉だろうかどうだろうかと思うんです。先ほど小笠原先生のときも出ましたので、余り詳しくなにしませんが、避難所ですね、これも私どもが虻田町に行ったときに、人口五千二百人で親戚や知人に行っているのがそのうち三千五百名、あの避難所に収容されているのが千四百名だという報告も町長さんから聞きました。親戚や知人のところへ行っている人たちは普通の家屋で、これはいろいろなにがあるだろうけれども、まあ一応入っているんだけれども、あの避難所に収容されている方たちというのは私どもも訪ねました。特にボウリング場を改造してやられているところでは、あそこの人たちも大変空気が悪い、頭が痛くなってくるという、そういうことの訴えも聞きましたんです。これはもう先ほどからなにしているように、この有珠山災害というものはかなり長期化するんではないか、長期化するんではないかというものがだれもの口から出ておって、そうしてくると、先ほど言ったように火災とか水害とは違う災害なんですから、いつまであの避難所がああいう形で収容していかなきゃならないかということがわからない。そうしたならば、それなりの対応をした、もっと別なところに仮設住宅を建てるとか、何かが必要があるんじゃないだろうか。先ほどの御答弁の中でも、この応急仮設住宅でこれは立ちのきがもうやられている、あの人たちを対象にしての六十戸というものを何かお考えのようなんですけれども、いま避難所に入っているあの人たちのことを、これから寒さに向かう中であのまま放置をしておくんですか、それとも何らかの考えをお持ちなんですかということをお聞きしたい。
  237. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 避難民の救護対策については私たち最初から非常に関心を持って進めてきているんです。それで仮設住宅の問題もできるだけ地元の希望どおり六十戸をつくろうと——現にいま三十戸できているわけでございますが、という希望どおり進めているわけでございます。ただ残りかなりの方々がまだ集団でいわゆる生活をなしておるわけでございまして、その点については私たちも町といろいろ協議をしながら、今後寒さに向かうのでございますから、十分希望に沿うように努力をしたいと、こう考えております。ただ長期にわたる場合の集団避難の場合のどういう形があるだろうかということ、私もずいぶん考えたんですが、ちょうど一週間ほど前に富士市で地震の演習をやったんですよ。これは国と県と市と三者が一体になって大演習をやったわけでございますが、その折に、静岡県では知事さんが、長期にわたる災害については、炊き出しを単に与えるという形では住民が非常に精神的な負担が大きい、また消極的になりますというと生活そのものがもちませんから、やはり積極的に生活をするという態勢に変えなければいけませんということで、静岡県ではいま炊き出しの準備もさることながら、飯ごうを各家庭に配布いたしまして、飯ごうで炊く勉強していただいている、そうすると、避難所で御飯を炊きながら生活をするということは、それなりに生活のエンジョイができるということを話しておりましたが、やはり地震あるいはこういう噴火の場合の長期にわたる避難については、こういうことを十分念頭に置きながら今後対策を進めてまいらなければならないと、こう思っています。
  238. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 ぜひともそれはお考えをいただきたいと思います、いまのあのままの状態で放置をするのではなしに。  今度はこれは自治省の方にお聞きをするんですけれども、これも現地に参りましたときに虻田町の町長さんから聞かされたんですが、あそこの温泉街の人たちの給料が払えない、そういう点で町が持っているお金の中から一億円を金融機関に預託をして、そして四億の限度での何というんですか、雇用安定融資制度というものをつくった。そして八月の給料を、六〇%分二億三千万をそれぞれ旅館の人たちがお借りをしてとりあえずは払ったという、そちらの方でもその報告は受けていると思うんだけれど、九月以降がどういうことになっているんだということでお聞きしているかどうか。そういうことをあの地方自治体の小さいところがおやりになっていること、私は非常に感銘受けて聞いたんだけれど、皆さん方の方がそれにどういう手をお打ちになっているかということをお聞きしたいんです。
  239. 千葉武

    説明員(千葉武君) お尋ねございました雇用安定基金のための預託制度の運用がどういうふうになっているかという点につきましては、これは……
  240. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いやいや八月はそこまで現地で、町役場の方でやられたんだから九月以降についてどうしているんだと。
  241. 千葉武

    説明員(千葉武君) それはちょっと私どもの方の所管と違いますので……。
  242. 四柳修

    説明員(四柳修君) 私、地元の方から窓口としてお伺いしました結果だけ御報告しますけれども、九月の八日の日に道の方で専決処分をいたしまして、十四億の預託をいたしました。これは道の方から市町村に対しまして無利子でございます。条件は道の方で三分の二を出すから、残り三分の一の七億を市町村が自前かあるいは金融機関から借りて金利を薄めていく、どちらかでやってもらいたい、そういう形で一応道のめどの二十一億というのは、関係者の方々につきまして八月、九月、十月分につきまして少なくとも六割程度は給料を払えるようにと、こういうふうに伺っております。
  243. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 農林省の方は一これももう先ほどから出ておりますから余り細かくなにしませんけれども、灰の問題で私も行きまして、雨に当たれば流れちゃうものかと思ったら、ああいう生コンみたいな形になって、あれだけの太い木も倒れていくというのを現実に見せられたんですが、八月の末に行ったときもまだそのまま放置されておったんですが、ああいうジャガイモなり農産物なり、そういうものについてもう少し迅速に手が打てなかったものかどうなのか。私なんかの素人考えですから、そういうことができるかできないかわからないんですが、たとえばジャガイモですね。つるはしで何でもほじくって出してきたんだけれども、もうつるのところが腐りはじめているんですね。ですから、そういうジャガイモなんかだったら早いところもう掘っちゃって、政府が買い上げて、それででん粉の製造工場へでもやってでん粉でもつくってしまうことをしてしまうならば、まだ何とかなったんじゃないだろうか、あのままああやって、生コンの下へなにしてだんだんだんだんそれが結局息ができなくてこうみんな腐っていく、後から災害対策としてお金をどうする、こうするといっても私はそれは本当の適切な対策ではないと思うんで、そういうことについて特に畑の問題、これももう前から先生方出ていますので詳しく言いません。来年の農業をおやりになるのに間に合うようにいろいろのあれができるのかどうだろうか。それで救農土木事業もやらしてくれと言われておるわけなんですから、そういうことについても私は政府の方で迅速に手をお打ちになることが必要ではないか、その辺のお考えをお聞きしたい。
  244. 犬伏孝治

    説明員(犬伏孝治君) 農林省の今回の有珠山災害に対する対処の仕方といたしましては、被災直後の対策といたしましてはできるだけ被害を最小限にとどめるということでいろんな技術指導を実施してきたわけでございます。しかしまあ被害はここにきて大きな金額に達しておりまして、八月三十一日に農林省の統計情報部の農作物等の被害報告を公表いたしましたが、林産物それから水産物含めまして経営資金の融資の対象になるものといたしましては、おおむね六十億という被害金額に達しております。それからこの被害に対しましては、天災融資法を発動する方針をそこで内定いたしまして、関係方面に通知をし、かつ公表もいたしております。それで必要な営農資金につきましては、天災融資法が発動されるという方針が示されることによりましてつなぎ融資等も実は行われておるわけでございます。  それから一方、何といいましても農業の生産基盤であります農地災害復旧を早急に実施する必要がございます。その災害復旧を実施するにつきましては、実はまだ火山活動が継続中であるということからして、もし不幸にして再度爆発があれば、災害復旧工事がむだになるかもしれないということもございましたけれども、早急にやはりこれに着手する必要があるということで、今後の問題は今後の問題としてさらに検討するといたしまして、直ちにこれに着手するという方針のもとに係官を現地に派遣をいたしまして、現地査定に緊急に取りかかり、また必要な個所につきましては早急に着手するということで、八月二十五日から一部はすでに災害復旧工事に取りかかっておるわけでございます。そのようなことで災害復旧工事を進めておりますが、できるだけことしの秋の作付を希望する農家の圃場につきましてはこれをその時期に間に合うまでに復旧ができるようにということで、北海道庁からの報告によりますと、おおむね七百ヘクタール余がことしの秋作、これは牧草なり野菜でございますが、それから麦でございますが、そういう要望が出ております。で、これにつきましては、その作付の時期までに間に合うようにということで実行をしておりますが、その他の農地につきましては、大半を雪が降る時期までに復旧をいたす、さらに残った分につきましては、雪解けを待って、来年の五月中に、来年の作付に間に合う時期までに復旧をするという方針で復旧作業に取りかかっておるところでございます。
  245. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 厚生省の方にお聞きしたいのですが、水源の問題は先ほど小笠原先生も聞いたから私はやめまして、けい肺のそういう危険というか、健康診断か何かなさって、それなりの手を打たれたかどうか、その点だけお聞きいたします。
  246. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) お尋ねの点は、けい肺とおっしゃいますのは、非常に慢性的な粉じんの吸入による健康障害だと思いますが、今回の火山の灰によります呼吸器障害というのは、非常に短期的なものでございましたので、いま労働省が一般の粉じんの職場でやっておりますような、けい肺法に基づくような長期慢性曝露とはやや趣を異にしておりますので、私ども一般の医療救護の範囲内で考えておるわけでございますが、当時、灰が盛んに降っておりましたときの医療救護の内容といたしましては、もちろん当然のことながら、うがいをするとか目をよく洗わせるというような一般的な注意をいたしまして、地元の医療救護班に患者さんが見えた場合に、呼吸器のいろいろの症状についても当然のことながら診療を実施いたしましたけれども、現在までのところ、いわゆるけい肺的な特異的な症状というものの報告を受けておりませんので、直ちに噴火が肺に大きな影響を与えるというふうには考えておりませんが、なお今後、道の衛生部ともよく相談をいたしまして、この点を引き続き監視ができるような体制を考えていきたい、こう考えております。
  247. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これはもう長官の方にお願いをしておきますけれども、先ほども申し上げましたように、いろいろの対策を迅速にとっていただきたい。それからいまのけい肺のことも、これは私心配するのは、本人は自覚症状がないんです。ですから、あそこの人たち全部を何も健康診断しなくても、ある一部の人たちだけでもおやりになってみれば心配がないかあるかもわかりますし、ともかく、先ほども冒頭申し上げましたように、普通の水害とか火災のそういう災害と違った自然災害であるという、しかも現在も進行中の中にあるということをお考えいただいて政府としての迅速な対策を講じていただきたいということを、これは要望だけして私の質問を終わります。   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕
  248. 山田勇

    山田勇君 時間がかなり切迫してますので、極度に重複する点を省いて質疑いたします。  いま柳澤委員の方からありましたその健康管理の問題ですが、厚生省にお尋ねしますが、降灰後、移動レントゲン、そういうような車とかないし医療機関でそういうレントゲンを撮ったことはありますか。
  249. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) そういう目的をもってレントゲンを撮ったという報告を私ども受けておりません。
  250. 山田勇

    山田勇君 先日視察に寄せていただいたときに、あらゆる自衛隊の出動、消防隊の出動、パトロールの出動等ありました。で、ずうっと町の中を私らはバスの中から、またおりた部分もありますが、見た中で、あれだけ真っ白に降灰した、車が走った後砂煙を上げるといいますか灰煙を上げる状態の中で、散水車が一台もなかったんですが、いま現在何かそういうふうな形で散水車的なものをあの地元に一台でも置いてありますかどうか。これは所管はどこになるんですかな、国土庁——建設省の所管ですかね。
  251. 四柳修

    説明員(四柳修君) 当初は、国道につきましては北海道開発庁、それから道道につきましては道その他が、灰を除去しました後に周辺から散水車を集めてまきましたことは聞いております。それから周辺市町村も、札幌にしましても白老にしましても若干まかれたようでございますけれども、御指摘のように、その後常時まいているかどうかという点につきましては、常駐していないように記憶しております。
  252. 山田勇

    山田勇君 私たち見る限りでは、子供さんは全部、通学等においても、下校の際も御承知のとおり白い大きなマスクをしておりました。これはやはり相当な灰を吸うということを象徴していると思うんです、あのマスクによって。校庭等は自衛隊の努力などによってかなり降灰されたものは除去されておりましたが、しかしなお、まあ大人も児童も一緒でしょうが、特に抵抗力の弱い児童などには定期健診的なものはぜひ私は実施していただきたいし、厚生省の方に特にお願いをしておきたいと思います。  そこで、散水車の話が出ましたが、水害地等なんかに行きますとかなり消毒液のにおいなどがします。散布した後のにおいが残っていますが、今回行った現地の中ではそういう薬剤を散布したというふうな徴候もありませんでしたし、ちょっとついでにお尋ねしておきますが、私たち、国かどこか出している一日四百五十円の食事を虻田町で一緒にとらしていただきました。このときすごいハエなんですね。ですから、酪農の関係もあり、少しハエが多いところかなと思って地元の方に聞くと、やはり土壌等、ああいう火山活動で地質そのものが少し熱を持っている、ハエなどが非常に発生しやすい状態にあるというふうに受けとめたのですが、衛生的な見地から何かそういう薬を、消毒液的なものの散布を定期的に行っているのか、そのときだけで終わっているのか、その辺ちょっとお聞きしたいのですが。   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕
  253. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 厚生省といたしまして、災害救助の活動といたしまして、避難所の食品衛生の問題、あるいは伝染病発生予防の関係とか、こういう点につきましての予防対策、あるいは一般のけがでございますとか病気等に対します巡回診療的な医療救護の活動は実施されたと聞いておりますけれども、ハエの消毒というのはちょっとやってなかったのじゃないかというふうに聞いております。
  254. 山田勇

    山田勇君 夏も終わりで、もはや北海道は冬に近いと思うのですが、しかし何もハエだけの問題じゃなく、何か週に一回なり一月に一回でも、これは長期化されていく中でやはりそういう衛生的な管理という点の御配慮をいただきたいと思います。  先ほど長官おっしゃったように、ああいう中の生活をエンジョイするために、御飯ごしらえ、炊事等をこれからやっていく、飯ごうなどを与えてそういう形で指導していくということは大変結構だと思います。そういう中で、いま先ほどもちょっと触れましたが、一日四百五十円の基準、この基準をちょっと教えてください。厚生省がいまやっているのでしょう、これ。
  255. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) まことに申しわけございません。私、ちょっと所管が違いまして、その積算の内容を存じ上げておりません。
  256. 山田勇

    山田勇君 わかりました。  大体いまこの物価高の中で四百五十円というのは本当に気の毒ですよ。これは長官ひとつ、食事代あと五十円でも百円でも上げる何か処置を考えてください。もうぼくはその詳しいことはわかりませんが、あと五十円でも百円でもよろしいですよ。地元からこうして皆さんお見えになって——長官でも、遠方から友来れば、みやげ持たして帰らすでしょう。それと一緒ですよ。いままでの答弁聞いておりますと、ぼくは、それは鋭意努力していることは認めます、十分認めます。しかしながらやっぱり遅いということを痛切に感じます。  ここに朝日新聞の「天声人語」に載った文があるんです。これはきょう出席の皆さんにぜひ聞いていただきたい言葉なんです。これは十日ほど前の朝日新聞の「天声人語」に載った話ですが、大阪の万博跡地の一角に国立民族学博物館がこの十一月に開館する運びになっております。その初代館長になられる梅棹忠夫氏の設立に至るまでの苦労話が「天声人語」に書かれておりましたが、その終わりの方で、「やると決まれば、徹底してやりぬくという日本の役人の集中力」、そして関係「各省庁の役人が、激しく議論しながら、一本の糸をよりあげて」その行政を実行した力は偉大なるものであるというふうに「天声人語」の中にうたわれております。この言葉を本当に長官、肝に銘じて、ひとつ各省を叱咤して一日も早く道民の人たちの安らぎを得るように、最後に長官の答弁をいただいて、ほかの委員が長官に質疑を集中したいそうなんで、ぼくの質疑時間はこれで終わらしていただきます。しかし長官の熱意ある誠意ある答弁を期待して質疑を終わります。
  257. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 四百五十円の炊き出しでございますが、これについては、ただいま金額は申し上げられませんけれども、必ずアップするように努力をいたします。そのほか火山噴火についての特殊な情勢を十分踏まえて、積極的にこの対策を講じてまいりたいと考えますので、御理解をいただきたいと思います。
  258. 対馬孝且

    対馬孝且君 長官が来る前に、大分有珠の実態を申し上げながら何とかひとつ法律を制定してもらいたいということを申し上げてまいりました。先ほど特別立法につきまして考えているということは衆議院の段階でも大臣の答弁がございましたが、そこで具体的に私はお尋ねして答えを求めたいんですが、今回、大臣も行かれているし、それなりに対処したことは了としますが、当面はっきりして明快な具体的な条件で現行法ではどうしても救われないことが二、三あるんです。いまも来る前にやって、一つは、だめでありました。それは何かといいますと、マイカーが現に灰が降っているしね、三百台埋まっちゃったんですよ。行政庁の方はもうこれを救済する方法はありませんよ。窓ガラスは破れ、それからもう灰をかぶって全部腐食してしまっていると。これ直すのに、ガラスは入れなけりゃならぬ、そして塗装はしなけりゃならぬ、それはもちろんエンジンは直さなけりゃならぬと、こうなってくる。これが折衝したらどうしようもないと言うんだ、これ。何のびた一文の救済の措置はないと、こういうわけだ。ところが大臣御承知のとおり、自分の不注意でだよ、自分の不注意で交通事故で体当たりしたって保険出るんだよ、これ、大臣。間違って自分の故意でやったとしたって保険出るんだよ。全く今回の場合マイカーの犠牲者というのは、ちょうど私に言わせりゃ通り魔にぶつかったか、殺人に遭ったか、夜中に強盗に襲われた扱いと同じだと、こういうわけだ、あなた、関係者の答弁聞くと。私折衝したんだからわかっているんだけれども、これじゃあなた有珠のきょう来ている犠牲者にしたら、これは浮かばれないでしょう、はっきり申し上げて。そういう問題一つ端的に時間ないから私言うのですよ。この問題一つ取り上げても、まともにあなた災害を受けた者が救われなくて、故意に交通事故をやったとしてもこれが保険で救われると、こんなばかな話がまかり通っていいかということですよ、私は。災害の犠牲者として、これが一つ。  先ほど大臣来る前にやった、労働省。雇用調整金の対象としてホテル業界、食品業界あるいは物売り店の販売、指定にしたらどうだと、こう言ったけれども、これもできないと、こう言っている。たとえば、こういう問題について大臣のおっしゃることはわかるのだが、当面特別立法という段階では、先ほどのお答えを聞きますと、考えてはいると、いるが、それは天災融資法、激甚の指定等、こういう段階を経てと、こう言うのだが、それはわかるのだよ。ところが、現実に天災融資法発動されても、私はずいぶんこれ検討したから、それからおたくの折衝やりましたから、激甚指定を発動したとしても幾つかの問題はどうしても現行法では救われないわけです。いまたとえば具体的な例を挙げます、私は。こういう問題についてどうしても特別立法を考えてもらわなければならない。これがこの間の二千人の町民大会の決議なんです。国は一体何をやっているかという率直な町民の怒りですよ。それはそれなりにやっているのはわかるけれども。したがって、私が言いたいのは、せっかくこれから臨時国会が始まるわけです。先ほど考えている言葉ではわかるのだが、いつの時点で、めどとして、特別立法をいつの時点で大臣の方でひとつめどをつけるというお考えなのか、これが一点であります。  それから、私の方としては、少なくともやはり臨時国会がいま召集をされるわけですから、臨時国会の段階ではひとつ特別立法という一つの法の考え方というぐらいのことを示していただきたい。それをなぜ言うかというと、北海道の段階では自民党さんは別にしても、野党でひとつまとまって議員立法でも出そうじゃないかと、こういう話をこの間の現地の大会でそれぞれ決意表明をしているのですよ、政府が出さないならこの際議員立法でぶつけようと。私も決意表明しました、率直に申し上げて。そういうやはり住民の声が上がっているのですから、私はここでとことんまでのことは、いま決定打を、大臣もそれは何日何日だとは言いませんけれども、少なくともまず立法のめどをひとつここで出してもらいたい。幸い臨時国会があるわけですから、それとの兼ね合いで大臣に前向きのひとつ、いま一歩——やっぱりきょう来ているわけですからね、まあ衆議院と同じような答弁ここへきょう聞きに来ているわけじゃないんで、なるほどというとこあたりのひとつ答えを、まず第一点お答え願いたいと、これが一つです。
  259. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 特別立法につきましては先ほど申し上げましたように、まあ現行法の弾力的な運用で救えないものを扱いたいと、こういうことなんでございますが、そこで来週中に本部会議を開きます。来週中に本部会議を開いて関係省庁の——さらに衆議院災害対策特別委員会で私、約束をしたんでございますが、関係町村の代表の方にも来ていただこうと、こういうことにいたしておりますので、その本部会議で、この天災融資法あるいは局地激甚災で救えない部分を、各省庁はもちろん町村長さん方からの意見を聞きまして、そしてそういうまとまったものは、臨時国会前に特別立法にするかしないかという態度を明らかにしたいと、こう思っております。
  260. 対馬孝且

    対馬孝且君 その点で臨時国会前に明らかにするという、ほぼわかった答えが出ました。  そこで、はっきり申し上げておきたいことは、やればできるということを決断してもらいたいということを私は言いたいんですよ、率直に私の感じを申し上げると。この間、王選手がホームランをぶっ飛ばしましたよ、世界的なホームランを。これは日本国民として喜ばしいことだし、結構だと思うんです、七百五十六号。そこで直ちに福田総理大臣は、国民栄誉賞ということで栄誉を賜って、私が調べたかぎりでは、やっぱり十万円相当額のあれをちゃんと贈りました。結構なことです。そこで、いま有珠の住民が言っていることは、あれも結構だけれども、ましていまこの被害を受けているわれわれ有珠の住民の願いは直ちに聞いてくれたっていいじゃないかと、一体あれを授与する場合に、どこの法律にそれじゃあるんだと、どこから一体出費しているんだという問題だって、これはやっぱりあるのですよ、大臣。やればできるじゃないかと、あれだって法律にないことをやっているんだから。だから法律、法律と盛んに言うけれども、法律運用を拡大すれば——やっぱりあれだって運用を拡大してやっているのでしょう。おやりになっているのでしょう。あれは総理大臣のポケットマネーを出したかどうか知らぬけれども、恐らくやっぱり予備費か、あるいは総理大臣の何らかの交際費の中から出ているのでしょう、私、想像するには。そうだとすれば、運用拡大としてかなり扱っておるとすれば、これは有珠のいまの災害の問題で血の叫びを訴えているのですからね、こういうものにやっぱりこたえるという意味で、私は特別立法というのは決断をしてもらいたい。大臣のまず心構えとしては、やるかやらないかということは、臨時国会までにめどをつけるということは結構なんだが、やっぱりやるという決意で処してもらうというお考えに立っているかどうかということを、ひとつ確認したいのです。
  261. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 結局、現行法を弾力的に活用することがまず第一なんです。そこで、やはりどうしても救えないという、まあ何回も申し上げますけれども、救えない部分が出てきた場合に、それを新しい制度をつくって救いましょうということでございますので、問題は有珠山復旧というものはどうしてもやらなければならない仕事なんだということを基本にしながらこの災害復旧に当たっているという、この考え方を御理解願いたいと思うのです。
  262. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあ主管の大臣ですから現地にいち早く飛んでいただいて、やっぱりはだで身に感じていま答弁願っておりますから、それ以上私は申し上げません。したがって臨時国会をめどに、ひとつ有珠の住民に本当によかったと、これで救われると、こういう政府の主務大臣としての、積極的な法律が出されることを期待をいたしたいと思います。このことをまず申し上げたいと思います。  そこで、次の問題ですが、先ほども大臣来る前に申し上げたんでありますが、二次災害が大臣、すでに起きているわけです。大臣どこまで報告されているかわかりませんが、全部さっき写真を現地の持って来られた方は、新しいのをきょう持ってきたんですよ。きょう持ってきたのは全部ありますから、見ていただければいいんです。これは最も新しい北海道新聞のきょうのですから、入江地区と泉地区のすでに十四日の晩に降った雨です。これは六十センチの雨が流れて、しかも鶏舎、鶏小屋が流されて、そして岩石から樹木からどんどん出て、このままいったら家屋が流されることは当然であります。したがって、いまのところでは九世帯、直ちに緊急避難、土のう積んだけれども、土のうは全部突き破られたという実態で非常に出ているわけですよ。これでひとつ大臣に確認しておきたいのは、これ現地方々もさっき具体的に申し上げましたが、一つは浄水場の問題、浄水場の付近にシートパイルを張ってもらいたい、それで完全な浄水場を確保してもらいたい。こういうものに対してたまたま官庁内部のやりとりで、林野庁の方が山の関係、山部の方はひとつ責任を負うからそこまで手だてをしなくてもいいではないかというような大蔵省の横やり等もあって、結果的には厚生省は踏み切っていない。こういう問題先ほど私訴えましたよ。それはやるという方向でひとつ努力しましょうというあれですから、この点は理屈抜きにひとつ激甚の扱いでやってもらいたいということが一つですよ。  それから二つ目は、先ほど言った入江、泉地区の関係で、一の沢、二の沢、三の沢、四の沢、先ほど具体的に申し上げました。その末端の処理で排水路をぜひつくってもらいたい。これももちろん建設省は砂防工事としてその末端の工事はひとつやりましょうという方向なんだが、これは私は砂防工事は融雪期までにぜひやってもらいたい。そのあとの工事もやっぱり激甚の扱いとして、ぜひこれを完全工事をしてやってもらいたい。なぜそれを言うかといえば、こういう結果になるからですよ、第二次災害に必ずなるから私は言っている、人命の問題になるから。そういう意味ではひとつ理屈抜きにこれは激甚の扱いとして完全工事をやってもらいたい。このことをひとつ大臣に確認をしたい。この点いかがでしょうか。
  263. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘の浄水場の問題、あるいはまた第二次災害等を併発する、いわゆる河川の問題についてはそれぞれ答弁があったと思いますけれども、さらに来週行われます本部会議において私からそういう点については強く要請をして御要望に沿うように努力をしてみたいと思います。
  264. 対馬孝且

    対馬孝且君 それではぜひひとつそういうことで第二次災害を絶対起こさないという基本で大臣に英断をもって処理してもらいたい、これをひとつ申し上げます。  最後に、かねがね災害問題が起きるたびに私も感じて、今回特にしみじみ感じたのは、先ほど一例挙げましたマイカーの問題、現実にはこれは現行法では救う余地はないわけです。特に個人災害というものが現行法ではほとんどないわけです、はっきり申し上げて。これはやっぱり私は矛盾だと思うのですよ。いまの現行法でもって金がもらえるというのは弔慰金以外にないわけです、大臣御存じのとおり。あとは全部貸す金なんですよ。あとは手前でやれというか手前の努力でやれ、こういうことですから、それはわかるけれども、少なくともこの種の重大災害は最低の、いま私マイカーの例を一つ挙げたけれども、個人災害補償制度というものがあっていいのじゃないかと私はしみじみ感じておるわけです。いま災害特別委員会で小委員会をおつくりになって、保険制度のあり方と共済制度のあり方を含めて検討されているようでありますが、あえて私はきょう大臣にこれを申し上げたいのは、ぜひこの個人災害共済制度、これを政府部内においてもこの際積極的に有珠災害の教訓からひとつスタートしていただいて、ぜひ個人災害を救うための共済制度というものを政府としましても本格的に検討してみていただきたいと、このことを私はひとつ今回災害の教訓から提起をいたしたいと、こう考えますので、大臣の御所見を賜りたいと、こう思うわけでございます。
  265. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 個人災害につきましては、先生御案内のように台風十七号の折からこの当災害対策特別委員会でも御検討願い、まあ私たちも私たちなりに検討してまいったのでございますが、残念ながらその結論を得ないまま有珠山火山噴火というこの現実を迎えたわけでございまして、まことに残念に思っております。しかし、これまでいろいろ個人災害については積み上げをしてございますので、この共済制度を含めてさらに積極的に検討してまいりたいと考えます。
  266. 対馬孝且

    対馬孝且君 これはぜひ、大臣から積極的に検討してまいりたいということでありますので、ひとつ何とか日の目を見るように、もちろん委員会でもわれわれも積極的に検討進めてまいりますけれども、政府として一応やっぱり試案ぐらい主管大臣として提案をしていただきたい、こういうことをひとつ期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  267. 上條勝久

    上條勝久君 ただいま対馬委員のお話の中に、大変な熱意の言葉のあやだと私は受け取っておりますが、今度の有珠山災害対策について新制度が必要であるということになりますれば、これは私ども自民党といたしましても積極的に賛成をするという立場で私も質問の冒頭にそのことをお尋ね申し上げておるようなことでありますから、いま対馬委員の御発言の自民党云々という言葉は、これは話のあやとして御理解をいただいておきたいと思います、誤解のないように。
  268. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) わかりました。
  269. 対馬孝且

    対馬孝且君 はい。
  270. 藤原房雄

    藤原房雄君 政務次官にも先ほどいろいろお話ししましたので、ぜひひとつお帰りになりましたらお聞きいただきたいと思うのですが、もう時間もありませんので本当の一つだけ。  やはり私も、先ほど対馬委員からお話がありましたように、現行法ではどうしても救い得ないこういう問題が出てまいりますので、それに対する処置、今日まで当委員会で豪雪、暴風、いろいろな災害があるたびに、できるだけ現行法の拡大、弾力的な運用、こういうことを私ども声を限りに叫びまして、政府でもいろいろ御検討いただくわけですけれども、やはり法律ということになりますと制約がある、こういうことで今日まできておったわけであります。そういうことで今回のこの噴火というのは非常にいままでの豪雪とか——豪雪のときにはいろいろな問題もあるんです。また風水害、こういうときとは違った面でまた適用除外というのがやっぱりあるわけです。こういう点で当局としましてもいろいろな角度から御検討していらっしゃるだろうと思いますけれども、ぜひひとつ漏れのないようにといいますか、それぞれのところで一生懸命働いていらっしゃる方々、皆同じでありますから、ある方は適用になる——激甚災とか天災融資法ということになりますと、各市町単位のいろんな問題が出てくると、線一本で隣の村のために適用になる、ならないなんということになりますと、降り積もっている灰は同じであっても町村の違いによって差ができる、こんなことになりますと、農家の人たちも本当に営農の意欲を失うのではないか。こういうことでぜひひとつ弾力的な運用をお願いしたい。弾力的な運用というよりも、特別立法の形でやっぱりいたしませんと、大きな網をかけませんとどうしても漏れが出てくるんじゃないか。  先ほど私ちょっと申し上げたんでございますが、林野関係の、林業関係被害が百十億という農業被害の百二十億に次ぐ大きな被害になっているわけですが、これ本当に対策をしっかりいたしませんと、緑をふやそうというかけ声はあるわけですけれども、どちらかというと、最近林業というのは非常に日の目を見ない産業ということで、現在の法律のままでしておきますと、これはえらいことになる、ことに真剣になって植林する人がいなくなるんじゃないか。この倒れた木を起こす、こういうものに対する補助、いろんな制度もあるわけですが、その中で森林国営保険法という法律があって、この保険は火山の場合には適用しないということになっておるわけです。これはお帰りになってよく見ていただけばおわかりになりますが、「気象上ノ原因ニ因ル災害」ということでございまして、戦争とかそれから地震噴火、こういうものによった場合には免責になるということになっております。このこと一つ考えてみましても、これはもう噴火だけではなくて、その後に降った雨のために生コンをかけられたような状態になっているわけですから、決して噴火だけのことじゃないんですけれども、先ほど林野庁の方のお話ですと、主たる原因は噴火によるんだからやっぱりこの法適用はむずかしいという答弁でございました。こういうのもぜひ法改正をしなけりゃならないというお話ですが、後々法改正するとしても、現在の被害を受けた方には適用にならぬということで、先ほど対馬委員からもお話ございましたけれども、こういうものについては、被害額の大きさ、そうしてまた現在林業に対してのこの携わる方々が非常にむずかしい条件の中にあること等を考えあわせて、ぜひひとつきめ細かな施策をするために特別立法——安易に私ども言っているわけじゃございませんけれども、ぜひひとつそういう実施の方向で御検討をいただきたい、このことを強く申し上げて私の質問を終わりたいと思うんですが、大臣ひとつ、一言改めて決意のほどをお伺いしておきましょう。
  271. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 林野災害というのは非常に大きいということは、私もヘリコプターからながめまして、室蘭から苫小牧まで一帯がやはり降灰に冒されておる実態を見まして、確かに林野被害というのは大きいと思うわけでございます。そこで、ただいま御指摘の森林国営保険法でございますが、これは先ほど答弁があったと思いますが、通常国会にこの改正をいたします。ですが、いま直ちにこの法の適用ということは非常にむずかしいのでございますので、その点は御理解いただきたい、ただ、災害復旧造林だとか激甚災等の措置はいたしてまいりたいと、こう考えますので、その点御理解をいただきたいと思うのでございます。
  272. 藤原房雄

    藤原房雄君 たとえば、そういうことでこれは法改正後からするということですけれども、この問題だけに固執して言っているのじゃなくて、一つの考えを具体的なもので出せばそういうことであって、そのほか雇用者、また従業員、そしてまた営農に携わる方、現在漁業に携わる方、それぞれの立場立場でいろんな問題がありますので、きめ細かにやるためにはどうしても大きな網をかけなきゃならぬということで、積極的な特別立法の姿勢で臨んでいただきたい、ぜひひとつ御検討いただきたいと思うんです。
  273. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) わかりました。
  274. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十四分散会      —————・—————