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1977-09-22 第81回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月二十二日(木曜日)    午後二時開会     —————————————    委員異動  九月十九日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     小巻 敏雄君  九月二十一日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     渋谷 邦彦君  九月二十二日     辞任         補欠選任      浅野  拡君     寺下 岩蔵君      遠藤 政夫君     石破 二朗君      熊谷  弘君     増岡 康治君      成相 善十君     降矢 敬雄君      亀長 友義君     坂元 親男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 平井 卓志君                 矢田部 理君                 三治 重信君     委 員                 石破 二朗君                 岩崎 純三君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 降矢 敬雄君                 増岡 康治君                 野田  哲君                 渋谷 邦彦君                 小巻 敏雄君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        国防会議事務局        長        久保 卓也君        警察庁刑事局捜        査第二課長    加藤  晶君        警察庁警備局外        事課長      城内 康光君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務省アジア局        北東アジア課長  遠藤 哲也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     —————————————
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月十九日、神谷信之助君が、また、昨二十一日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として小巻敏雄君、渋谷邦彦君がそれぞれ選任されました。  また、本日、浅野拡君遠藤政夫君及び熊谷弘君が委員辞任され、その補欠として寺下岩蔵君、石破二朗君及び増岡康治君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ロッキード問題に関する調査を議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁長官にまず伺いたいと思いますが、防衛庁は去る八月二十四日に、P3Cを導入することを庁議として決定をし、その後国防会議にも問題を提起しているようでありますが、かねてから当委員会で問題になりましたのは、ロッキード疑獄解明導入とのかかわりであります。それについて、各委員から再三にわたっていろんな角度から質疑が行われています。その質疑に対する防衛庁答えとしては、ここにあるわけでありますが、たとえば坂田長官は、PXL選定につき国民疑惑を招いておるわけでございますから、一日も早くこの解明をいたしまして、そして国民の納得のいく形において決めるべきだと思います。そして三原長官の時代になるわけでありますが、あなた自身も、「国民疑惑を受けるようなものを残して結論を出すということはいたしません。」と、いろんな発言のニュアンスはありますが、私はいま正確に議事録を読み上げているわけでありますから、そういう答弁をしてきたわけであります。にもかかわらず、ここでP3Cの導入に踏み切ったということは、従来の態度に著しくやっぱり異なるものを私どもは感じるわけであります。  そこで、防衛庁長官に伺いたいのは、防衛庁としてはロッキード疑獄疑惑解明できた、すでに終わったと、こういう前提に立っているのでしょうか。
  5. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  簡単に結論を申し上げます前に、そうした決断をするに至りました経過について先生に……
  6. 矢田部理

    矢田部理君 いや、経過はいろいろ読んでますから結構です。その解明は終わったということに立っているのかどうかということだけお答えください。
  7. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) それでは申し上げますが、ロッキード事件公判審理は全部終了したものとは思っておりません。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 つまり、ロッキードをめぐる疑惑解明は全部終わってはいないと、こういう認識に立っているわけですね。
  9. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そのとおりでございます。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 そうだとすれば、先ほど私が読み上げた、国民疑惑を受けるようなものを残して結論を出さないという従来の態度と明白に矛盾する決断対応をしたのではありませんか。
  11. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生指摘ロッキード事件というこの事件について、私は先生からそうした御指摘をいただくことは、私は一般的な国民立場に立っての御意見として、率直にそうしたお考えなりに立たれるであろうということを受けとめるわけであります。しかし、私といたしまして、したがってこれを決断するに至ります間ずいぶん熟考をいたしたつもりでございます。そこで、まず私といたしましては純防衛的な立場、技術、専門的な立場から、まず対潜機決定の時期をいつにするかということにつきましては、これまた相当検討を加えたわけでございます。御承知のように、対潜能力が欠如いたしておるということにつきましては、十一年前ごろからそうしたことを見通しながら検討を続けてまいりました。そういう事態先生よく御承知でございまするが、そういう立場でやってまいっておりまするもので、純防衛力を整備するという立場から見ますと、大体私は最終決断を下すべき時期に到達をいたしておるという判断をせざるを得ない状態の中に立っておったのでございます。  しかし、いま先生指摘のように、ロッキード事件裁判がまだ終了していないということは、全体の私は国民ロッキード事件に対して納得するような事態が出ていないということもこれは承知をいたしておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたような防衛庁長官としての防衛上の責任という立場から、もう私といたしましては、今日まで国民の方々にそういう立場を訴えてまいったことも事実でございます。しかし、いま申し上げましたように、裁判が終わらない時点決断をするということにつきましては、しからば、このロッキード事件といわゆるPXLとの問題の関連について、そうした点についてひとつ詰めて解明をいたしたいということを考えてまいったのでございます。したがいまして、PXLという観点に立って司法当局の今日までの捜査がどういう状態であったのか。それから、公判におきまする冒頭陳述がございました。それ自体の中身とこのPXL関係等についても詰めて検討をさしていただいたのでございまするが、この点につきましては、児玉、に対しましては……
  12. 矢田部理

    矢田部理君 余り詳しくは要りません。
  13. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) はい。そうした点について検討を加えてまいって、私といたしましては最終決断をするということにいたしたのでございます。  決断の時期につきましても、実は八月の二十六日ということが適当であるかどうかというような問題につきましても熟慮いたしました。あるいは年末まで審理状態を見ながら決定を待つべきではないかということも私自身も反省をいたしてまいりましたが、しかし今日、年末まで持ってまいりまする場合は、もう来年また決定をすることができないような状態に持っていかざるを得ぬというような情勢分析等もせざるを得ないというようなことを考えてまいりましたので、八月の概算要求の中にこれをのせていただくということに踏み切った次第でございます。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 私が伺っているのは、防衛庁坂田長官以来とってきた、疑惑解明せずして選定することはない、こういう態度をそれならば変更したのかと聞いているんです。純軍事的立場だとか、これはこれでまた私どもはその立場からも問題を投げかけなければならぬ。重要な問題提起をしなければなりませんけれども、あなたも言っておられるように、裁判が終わっていない。裁判だけの問題じゃありません。検察庁はまだ捜査本部を残している。当ロッキード委員会も、疑惑解明いまだできずということで、引き続き委員会が設置をされている。さらに、国民一般の常識から見ても、児玉ルート解明はまだまだ終わっていない。灰色高官の問題も残っている。つまり、疑惑解明されないのにP3Cの導入決定をした。これはもう従来の態度と明らかに矛盾じゃないか。どういう立場で、どういう経過でやったかなどということを聞いているんじゃないんです。態度変更したんですか、変更したとしたら、これはまたきわめて私は重大だと思うんです。変更したのか、しないのか、そのことを聞きたいと思う。
  15. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は変更いたしておりません。と申し上げまするのは、ロッキード事件公判がまだ進行いたしております。終了いたしておりません。しかし、その内容におきまする——公判については、冒頭陳述内容等で私ども判断をせざるを得ませんけれども、そういうことで関係法務省等もただしましたところ、いわゆるPXLについては容疑が現在のところ認められない、そういう犯罪容疑が認められないという大体の見通しであるということを私も受けとめ、なおまた、この裁判が終了するという時期はいつであろうか。相当な期間を要するということになりますれば、国の防衛上の問題もございまするので、私の方針といたしましては、そうしたPXLロッキード事件審理というようなものとは一応いま私は、裁判が終わっておりませんけれども、この事件については容疑が認められないという立場に立って決断を下したところでございます。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 おかしいじゃありませんか。     —————————————
  17. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ここで委員異動について御報告いたします。  本日、成相善十君が委員辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     —————————————
  18. 矢田部理

    矢田部理君 あなたね、従来犯罪行為犯罪容疑がなければ、そのことが明らかになれば選定をしますなどと言っているんじゃないんですよ。もっと広い言葉で、ロッキード疑獄疑惑解明されない限りPXL選定作業は進めませんと、疑惑解明が先ですと、こう言っているんであって、それが犯罪行為になるかならないかなどという限定した議論として従来やってきたわけじゃないんです。そんな論議一つもありません。どうでしょうか。
  19. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私といたしましては、防衛責任を担当する長官といたしましては、このロッキード事件防衛関係PXLとのやはり関連という立場から、このロッキード事件を見ておるわけでございまするので、特にそういう立場で、PXLそれ自体についてこのロッキード事件の中で犯罪容疑的な事実が大体ないであろうという判断に立てる状態でございまするので、私といたしましては全体の審理が終わることも、これは政治家といたしましては、あるいは国民感情等から見ますと、そういう点も十分配慮をせなきゃならぬと思いましたけれども防衛整備という責任を担当する者といたしましては、いま申し上げまするように、いわゆるPXLそれ自体の問題がこのロッキード事件でどういう形で進むであろうかという立場に立って判断をやったわけでございます。また、過去に申し上げましたのも、全部の裁判が終了すればというようなことで私どもは考えていなかったのでございます。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 その裁判が終了するかしないかとか、犯罪になるかならないかというような議論じゃないですよ。ロッキード疑獄疑惑解明されない限りは決めないと、こう言ってきたことと今度の決断とは矛盾するんじゃありませんか。決断をしたのは事実だし、防衛庁長官も認めておられるように疑惑が全面的に解明をされていないことも事実なんだから。態度変更じゃありませんか。明らかな態度変更ですよ、だれが見たって。そこをやっぱり率直に認めなければおかしいんじゃありませんか。よく論議を読み直してください。つじつま合わないですよ、御答弁が。
  21. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 繰り返してお答えをするようでございまするけれども、私は全体のロッキード事件疑惑の問題が終わっておらないということは承知をいたしておるということを先ほど申しました。しかし、私の決断につきましては、いま申し上げましたように、ロッキード事件というものといわゆるPXLという防衛庁関係のございまする事態との関係等につきましては、やはり私としては分離をして判断をし、決断をせなきゃならぬという立場に立っておるのでございまして、そうした気持ちで、前回申し上げましたように、そうした国民に対する解明がなければ私としても決断をいたしませんということを申したのでございますが、私の立場はあくまでもやはり純防衛的な立場でこの事件をとらえざるを得ないという立場に立ってまいっておるのでございます。そういう点でひとつ御理解を願いたい。なおまた、この問題につきまして、国民理解と協力を得る努力は今後ともいたさねばならぬと考えておるところでございます。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 あのね、全体のロッキード事件解明されないのはもとよりのこと、PXLをめぐる疑惑についても解明をされていないわけですよ。全体のロッキードPXLを切り離して考えたんだという議論もおかしい。  それから、あなたは犯罪がないという見通しがついたのでと、しかもその見通しの根拠については法務省に問い合わせたと言っておりますが、刑事局長……
  23. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ちょっといま……
  24. 矢田部理

    矢田部理君 いや、ちょっとお待ちください、さっき言っておられるわけです。  どういう犯罪容疑がない見通し法務省としては説明をされたのか。従来私どもが承っておるのは、法務大臣報告がありました。あの報告をした時点では、犯罪容疑を認める資料は存在しなかったと、こういう表現になっているわけでありますが、その後の見通し、その後の状況についても何か法務省として説明をしたような経過があるんでしょうか。
  25. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 防衛庁でP3Cの導入をお決めになったそのしばらく前だと思いますが、防衛庁から本年二月法務大臣が国会に御報告申し上げた事項についての確認と、その後の状況についてのお問い合わせがございました。そこで私どもといたしましては、本年二月に大臣が御報告申し上げた内容のとおりである、その後お尋ねをいただいた時点までに変化がないと、こういうふうにお答えをしております。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 その法務大臣報告は、法務大臣報告を出す段階では、犯罪容疑を認めるべき資料は存在をしない。いま刑事局長のお話では、その後も防衛庁PXLを決めるに当たるまでの段階でもいまだ出なかった、それはわかりました。しかし今後出ないという保証はないわけでしょう。事実、法務大臣報告自身も、すぐその後の文章で、しかしながら今後児玉の病状の問題とか、SEC動きとか特段の事情の変化があればさらに捜査をやるんだということを述べているわけでありますから、長期にわたってもう犯罪はないんだと、今後ないんだという断定はしていないわけですね、そこをはっきりしてください。
  27. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) ロッキード社からわが国に流入した資金はほとんど解明をいたしまして、その金の行方に関してP3Cに絡んで金が動いたという事実はないということは、御報告を補足する御説明でも従来申し上げておるところでございます。  ただいま議論になっております疑惑というのは、犯罪容疑というものよりももう少し大きな概念であろうと思うんです。私どもとしては、いまおっしゃられておる疑惑というものについて論ずる立場にございません。P3Cをめぐって金が動いたという形での犯罪容疑はいまのところございませんし、なお当委員会の御議論とか、あるいはSEC問題等も注目しておりますが、あるいはそういうものから何かの端緒が出ないというふうに申し上げるわけにはいきませんけれども、おおよそのところ、ロッキード社から国内に流入した資金解明はおおむねできておって、それについてはP3Cに関する犯罪容疑はないと、こういう段階で二月以来きておるわけでございます。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 だから私が聞いているのは、犯罪だけに私はしぼるわけじゃないが、まず犯罪の点を押さえますと、その現段階でと、法務大臣報告段階では、犯罪容疑を認めるべき資料は存在しない、しかし、今後の動向によっては出てくる可能性もあり、それは状況によってわからないと、そのために捜査本部も実は残しておるわけでしょう。だから、今後の見通しも、絶対ないんですという立場には立てないでしょうと、こう言うんです。
  29. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 一応、検察としては、従来得た資料に基づいて底の底までやったつもりでおりますけれどもロッキード事件全体について、またこれに関連する分野において全く何も出ないということは確言できないわけでして、そのために捜査本部を置いておるわけでございます。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、今後の問題としては、犯罪容疑についてすらいまだ問題が実は残されているわけです。断定的にもうPXL犯罪はないんだというような立場には、将来の問題としては立ち切れないのが法務省対応でありますし、まして私どもが問題にしているのは犯罪の成立だけではありません。いま刑事局長からも指摘があったように、道義的政治的責任が生ずるような一連の工作や、児玉らの介在や介入がなかったかどうかがもう一つ問題点としてあるわけであります。そういうことが解明をされないで、PXLについてですよ、どうして決めることができるんでしょう。これはもう従来の態度とは明らかに矛盾するんですよ。態度変更ですよ。あの当時は国民世論が強かったから、それに迎合するかのような答弁をせざるを得なかった。ところが実際の真意はここにあったんじゃないかと、国民世論の鎮静を待って、後は純防衛的見地だとか、軍事的観点だとか、アメリカの要請だとか、そういうことを優先させて、ロッキード解明を後に置いた決断をしてしまった、この態度を私は断じて許すわけにはいかぬ。防衛庁長官もう一度その関連について答弁を求めます。
  31. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) なおこの点について補足的な意見を申し上げますが、私どもロッキード社に対しましても詰めるものを詰めてまいりました。なおまた児玉あるいはダミー会社等に対しましても、詰めるものを詰めてまいりました。なおアメリカにおきましては、ロッキード社SECに出しました報告書内容等につきましても照会をいたしましたが、そういうもの等から現在の時点に立って検討をしてまいりました。将来そうした犯罪容疑事件というものは出てこないであろうという判断に立ってまいりましたので、実は決意をいたしておるのでございます。そういうことでございまするので、十分そうした将来再度そういうことを起こしてはならない、それからいわゆるPXLロッキード事件との関連においてどうなんだという詰めも相当いたしました上で、実は決断をいたしたわけでございます。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 いまの説明を聞いても、従来防衛庁長官がとってきた態度、これはもう正確に読めばだれだってわかるわけです。それと今日の決断は明らかに矛盾をする。納得するわけにはいきません。したがってこの質問は留保をしておいて、たまたま防衛庁長官が、いやロッキード社からも誓約書を取ったんだと、児玉との関係の清算も求めたんだと、あるいはSEC報告その他も引用されておりますけれども、それについて話を移したいと思いますが、ここにロッキード社からの防衛庁あて誓約書が文書として出されています。この誓約書は、いつ、だれが、どのような内容で求めたのか、その提出を求めた経過内容について、まず答弁をいただきたいと思います。
  33. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  本年の八月十日、私、装備局長間淵ロッキード社の代表を呼びまして提出を求めました。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 内容については注文つけたのでしょうか。
  35. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 内容につきましても書面をもって注文をつけております。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 その書面資料として提出してもらうわけにはいかぬでしょうか。
  37. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 提出いたします。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 すぐ出ますか。
  39. 間淵直三

    説明員間淵直三君) この場で先生にお見せすることはいいと思いますが、後ほどお届けしたいと思います。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 防衛庁間淵局長名ロッキード社に求めたこの誓約書内容、これを見てみますと、当社または当社代理店等はP3Cの販売契約の獲得またはその履行に関して有利な取り扱いを受けるため贈賄または不当な影響力を及ぼす金品の提供等販売工作を行ったことがなくまた今後も行いませんと、そういう誓約書を出しなさいと注文つけているわけですね。これは長官、おかしいと思いませんか。防衛庁ロッキード社に対して、いま疑惑の渦の中にあるロッキード社に対して、P3Cの導入に関しては悪いことをしたことがありませんということを書いて出せと言うんです。今後行いませんということはまだわかりますよ。いままで悪いことをしたことがないということを書いて出せと、防衛庁ロッキード社に求めるのはどういうわけですか。それにこたえてロッキード社誓約書も、いままで賄賂や不正行為や不当な影響力を行使したことはございませんという誓約書を出している。こんな田舎芝居みたいなやり方ありますか。本当に防衛庁疑惑解明するという立場であるならば、後で指摘をしますが、検察庁の冒陳にすら出てくる幾つかの児玉らの動きについて、事実をきちっとロッキード社にやっぱり詰めるべきであります。ただしてその内容解明する努力をまずすべきではないでしょうか。悪いことをしたことがありませんと前科者にもう一回書かせる誓約書を求める、内容まで示して求めるなんというやり方は断じて許せません。防衛庁長官答弁を求めます。
  41. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  正確に申しますと、こういうことに対する答えができるかどうか回答せよということでございまして、これだけではなくて、その疑惑解明を求めるという意味において、ロッキード児玉間あるいはロッキードブラウンリー間の契約書の写しの提出あるいは原価監査等を受け入れるというようなことも指示しておるわけでございます。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 答えになっていませんよ。P3Cの導入をめぐっても、白紙還元を含めて、児玉小佐野動きを含めて、あるいは修正契約等を含めていろんな疑惑や問題が提供されてきたわけでしょう。それをロッキード社との間で防衛庁はどう詰めたんですか。一つ一つ伺いましょう。  たとえば一九七三年の七月ごろ、コーチャンは、国際興業本社応接室児玉同席の上、小佐野に対しP3Cを日本政府に売却する活動を援助してもらいたい旨依頼をし、小佐野はこれを了承した。小佐野コーチャンに対し、P3Cの販売について援助するためには児玉追加報酬を増額すべきである旨勧告し、コーチャンはこれを了承したとあります。この結果小佐野は、具体的にどういう行動をしたのか。どういう援助をロ社のためにしたのか。これはどういうふうに詰めましたか。
  43. 間淵直三

    説明員間淵直三君) そういうことを含めまして、いままでそういうことを、と申しますか、不正行為をやったことはないという確約を取り、しかもそれには罰則規定と申しますか、解約あるいはその当該金品に相当する額を徴収するというような内容を盛ったわけでございます。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 小佐野はこの結果、具体的にどういうふうに動いたと、どういう行動を起こしたと、これは詰めましたか。
  45. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 私ども捜査当局ではございませんものでございますから、書類によって判断したわけでございます。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 書類というのは、向こうから、こちらの要請、内容を含めた要請にこたえた誓約書のことですか。
  47. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 誓約書、それから児玉ロッキード間、あるいは児玉ブラウンリー間の契約書その他でございます。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 すでに提出されている一連の文書ですね。
  49. 間淵直三

    説明員間淵直三君) そうでございます。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 そこがおかしいと言っている。国会でもいろんな論議になった。  たとえばその次の問題としては、クラッターに対し、児玉は福田を通じP3Cの売り込み見通しについて説明をした。どう説明をしたのか。児玉ロッキード社間の契約によってもロッキード社の求めに応じて随時報告をすることになっている。どういうレポートが児玉からロッキード社あてに行っているのか。その資料を出せという調査もしなきゃならぬでしょう。あるいはまた、これまた冒陳で問題になっているわけでありますが、分離輸入の動きに備えて、ロッキード社からP3Cの輸入等に発言権を有する米国防省に働きかけて、機体とコンピューター装置の分離輸出を認めない旨の決定をしてもらうようにした方がよいと助言をした。どこから情報を得て、だれに対してどういう助言がいつごろあったのか。その助言の結果、ロッキード社はどう動いたのか、動いた結果どうなったのか、すでに公にされている問題等についても具体的にロッキード社を詰めるべきじゃありませんか。そういう作業を全くやらないで、さっき言った田舎芝居みたいな、かっこうをつけるためだけの誓約書その他の一連の文書だけで判断をするという防衛庁態度が、そもそもロッキード疑獄を本当に解明をして、まず国民のP3Cをめぐる疑惑についても払拭をする、ただすべきものはただしていくという姿勢の欠落をやっぱり意味していると、長官お考えになりませんか。
  51. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は、装備当局はいま先生指摘の点について十分詰めてまいっておると信じておるのでございます。決して文書的なものを整備していこうとかいうような、そうした私はずさんな誓約書を結ばせるとかいうことではなかった。十分過去のそうしたいろいろな問題点を指摘しながら、そうしたものがあるかないかということを含めて私はああした文書を出したものだと信じておるのでございます。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 長官、いまの答弁聞いているのですか。具体的な詰めは何にもやってない、文書によって、資料によって判断したと、こう言っているじゃありませんか。何を信ずるのですか。次の質問入りますよ。——いいですよ。  それから何にも具体的な事実は、捜査機関じゃないからという弁解で調査も詰めもやらない。問題となっている具体的な事実についてすらただしもしない。一片の誓約書を取ってこの問題の決着をつける処理をするという態度が問題なんです。しかも、その誓約書内容は、繰り返しになりますが、こっちでちゃんとこういう誓約書を書きなさいと、かつて第一次FXで前科がある、トライスターでもすでに犯罪行為として摘発されるような問題を起こした、その前科二犯のロッキード社に対して、P3Cについては不正をいたしておりませんということを書いて誓約書に出しなさい、こんなあほうな話がありますか。  それだけではありません。いろいろ問題がありますから次の質問に入りますが、この誓約書の中に、P3Cの機体や部品等についての見積価格の調査、あるいは原価調査的な規定が置かれていますが、これは第三者に公表できるんでしょうか。公表されるべきものなんでしょうか、その点。
  53. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 原価調査あるいは価格調査に関しまして、非常にその商業上の秘密に触れる部分というのはそのまま公開するということは困難だろうと思われますが、問題が問題でございますから、基本的事項に関しては報告したいと、こう考えております。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 あなた方が発行したパンフレットには、原価調査等についても了解を得たと、同意を得たということを宣伝しておりますが、条件がつけられているのですよね。つまり、防衛庁には明らかにするけれども、第三者に対しては、通常かつ慣例上の制限に従うことを条件にして見積価格調査等に応ずると、つまり公表しないということじゃありませんか。どうなんですか。
  55. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 原価に関する事項は商業上の最高機密に属すると、こう思うわけでございますが、非常にその細かい点と、そういう点でなくて、少なくとも基本事項に関するようなラウンドナンバーというものは私ども責任において明らかにしたいと思います。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 その明らかにすべき内容、できる内容、これまた今後ともいろいろ問題になることでありますから、別の場の質問に譲りたいと思いますが、どうも誓約書を取ったということを今度の決断一つの根拠にしているようですが、いま論議をしたように、誓約書自体にもいろいろ問題がある。その誓約書を取る前提として児玉小佐野動き、P3Cの対日売り込み工作状況について具体的には何一つただしもしない、調査もしないまま、不正行為をいままでしておりませんということを書いて出しなさいということに基づいて書かれた誓約書を、あなた方は決めた一つの根拠にしている。これ自体が非常に問題だということを指摘をしておきたいと思います。  その次は、契約上の問題です。三番目の問題点として、あなた方は児玉ロ社との契約を解除した。ブラウンリ一社に対してもロッキード社は解約通知を出した。だから児玉ブラウンリー社などから今後請求権を行使されることはありません、紛争がないことを確認した上で決めたんですという、三番目の理由をつけるわけでありますが、どうでしょうか。私はまだブラウンリー社とロ社との解約は有効に成立をしたと言えるかどうか、非常に幾つかの疑問を持っています。まだ争いの余地が実は残されているわけです。なるほど児玉ロッキード社関係は合意解除でありますから、これについて児玉が争う余地は少ないでありましょう。ところが、ブラウンリー社に対する契約の解除は、合意に基づく解約ではなくて、一方的な通知による解除なんですね。ロッキード疑獄などという問題が起きたから、児玉らの対応についてはいろんな制約や微妙な問題があろうかと思いますけれども、このロッキード疑獄を抜きにして、平場の契約でこの問題を見た場合に、児玉ロッキード社のためにP3C売り込みに関していろんな工作努力をした。それがようやくまとまろうという段階で——いいですか、三十日前に予告をすれば契約は解除できるんだという条項を盾にし、成功報酬の支払いを免れるためにロッキード社として解約をしてしまった。その後に契約が成立をした。この場合に、児玉側にいわば報酬請求権、解除は乱用だから報酬請求権が依然として残るという主張ができないでしょうか、平場の法律論として、あるいは契約の問題として考えてみた場合に。そういう問題が、純粋に法律的に見れば依然として残っているわけであります。いいですか。  そこで、問題点を申し上げてみたいと思います。ロッキード社からブラウンリー社に対して解約の通知を出し、ブラウンリー社から答えが来ているわけですね。これもどういう資格の人かよくわかりません。ジョンソン、何と言いましたかな、ストークスかな、これはまあ名前だろうと思いますが、という人から来ているわけであります。通知を受け取ったことは認めますと言っているだけですよ。かなり慎重な言い回しでこれに対応しているわけですね、ここに文書がありますけれども。読んでみますと「この書簡」、要するに解約通知書についてでありますが、「この書簡は、ブラウンリー・エンタープライズ・リミテイドに代り、七月二十三日付け貴下の書簡を受領したことを単に認めるためにしたためられたものであり、もちろん我々は、その契約あるいはそれの修正契約のいずれも一度も拝見したことがないので、このような手続について論評を加えることはできませんが、その解約手続が整っているものと受け取っています。」、こういう回答をよこしたにすぎないわけであります。つまり、解約の通知は受け取りましたよと、しかし、それが有効か無効か、契約の是非、内容に立ち至っての論評を加えることは留保いたしますというのがこの文書の読み方でなきゃならぬわけです。したがって、争いや請求権については依然としてこのブラウンリー社は留保をしていると考えるのが筋じゃありませんか。これ、どういうふうに見ますか。
  57. 間淵直三

    説明員間淵直三君) ジョンソン・ストークス弁理事務所でございますが、これはブラウンリー社の管理を行っていることが児玉冒頭陳述上も明らかになっております。この解約通知は、そのコンサルタント契約に規定されている住所に通知されておるわけでございまして、かつブラウンリー社の管理を行っているジョンソン・ストークス事務所がこれを受領しておるという以上、解約は適法になされておると解されるのが当然と思われます。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ、次の点。いまのような説明聞いているんじゃないんですよ。そんなことあなたから聞かなくても、手続だけはとられたと、その手続に関する資料、来た通知は受け取りましたということを言っているだけであって、これが契約全体を完全にあるいは全面的に打ち切って一切の争いもしないものかどうかについては留保をされているという慎重な答えしか出していないということなんです。それは認めるわけでしょう。
  59. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 解約通知は有効と思われるわけでございますが、なお、後に残る請求権その他に関しましても、別の条項によりまして、ロッキード社が受理し、かつ承認した債権債務以外は後へ残らないという条項がございますし、通知以後三十日以内に、そういう既存の債権債務があるなれば当然申し出るべきでございまして、そういうことも行っておらぬということでございますから、後に債権債務は残らないと、こう思っております。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 その最後の後段の部分、解約通知以後三十日以内に債権があれば申し出るべきだというのはどこにありますか、根拠を示してください。
  61. 間淵直三

    説明員間淵直三君) これは一般法理念だと思いますが、しかも二重に、ロッキード社が受領し、かつ承認しなければ、そういう債権債務は関係は生じないわけでございまして、ロッキード社といたしましては、そういうものを受理し、承認する意図はないわけでございます。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 一般法律だなんて、どこにそういう法律があるんですか、私は聞いたことないな、寡聞にして。
  63. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  この契約書内容は「この契約のロッキード又はコンサルタントによる総体としての解約又は特定の製品に関してのロッキードによる解約は、かかる解約に先立ってロッキードによつて受諾されかつ、承認された、」と、こうなっておるわけでございまして、解約期限が来る前に当然請求すべきでございます。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 そういうことを言っているんじゃないんです。私もその条項を読んでいます。私が一般論として問題を設定したでしょう。つまりロッキード社の売り込みのために大変な工作したと、しかし、いよいよ契約ができる段階で、成功報酬の支払いを免れるために、ロッキード社が勝手に三十日の予告期間さえ置けば解約できるんだという立場で解約した場合に、成功報酬を受けるべき——児玉を弁護するわけじゃありませんよ、弁護するわけじゃありませんが——立場に立っている人たちは、こんなばかなことがあるかと、まだ契約もできていないわけですから、ロッキード社によって承認や同意を得られた債権関係にはなっていないでしょう。私はそんな愚にもつかない条項を読めと言っているんじゃないんですよ。そういうことで争いの余地がまだ残っていますよ。どうして児玉ロッキード社の解約のように、最終的な争いの決着をつけるとするならば合意解約という方式を求めなかったのか。この解約が有効に解されるという前提に立つためには、これまた振り出しに戻るわけでありますが、P3Cの売り込みについて児玉らが実質的な役割りを果たさなかった、その販売契約に有効な役割りを果たさなかったという事実関係の詰めができているなら話はまた幾らか変わってくる。ところが、また誓約書の話に戻るわけでありますが、捜査機関じゃないからそういう調査はしておりませんというのでありますが、現実に児玉が動いてここまで煮詰まってきて、そして、結果としてはあなたの決断をされたように、仮に販売契約ができたということになれば、これは黙っていないはずですよ。そういう点で防衛庁がこういう方向を出すに当たって、少なくとも児玉らがP3Cの売り込みに関して現実に具体的にどういうふうに動いたのか、そのことを厳しくロッキード社に確かめるべきだったんじゃないでしょうか。それをやらない手落ちが実はこの解約の問題でも浮かんでくるわけであります。それはブラウンリー社からの解約通知受領書だけの問題ではありません。紛争のおそれについては、たとえばロッキード社の法務副本部長という人が——法律家なのかもしれませんが、法律家としての鑑定意見をつけて出しています。その鑑定意見によれば大丈夫だと。しかし、どうしても争ってくればこれを紛砕すると、こう書いてあるんですね。反撃すると。つまり、仮にという文言ではあるけれども、争ってくる可能性をやっぱり二段目には予知しているということがこの鑑定書からもうかがえるわけであります。児玉との関係を本格的にただし、事実関係を押さえて、なおかつ合意解約をとるべきだと。それを少なくとも求めるべきだと。とりわけブラウンリー社とロッキード社関係は絶えず大刀川が契約書その他には対応しているわけであります。その大刀川はここには全然出てこない。冒陳にあるかどうか知りませんが、管理会社か代理人みたいな人がきわめて慎重に内容を留保して出した返事だけを当てにして、大丈夫ですという説明を一般にするのは少しく問題が残るということを指摘しておきたいと思います。  そろそろ時間でありますから——ブラウンリー社についてちょっとそれじゃ承っておきますが、ブラウンリー社というのはどういう会社でしょうか。とりわけ、冒陳にもある程度出ておりますから、役員、代表者、それからどんな仕事をしている会社か、何のためにつくられた会社か、これもある程度わかっていますが、簡単に答えてください。
  65. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 詳細につきましては、ただいま現地で調査中でございますが、冒頭陳述に出ておる大刀川ほか二名の株主、役員ということと了知しておりまして、まあ弁理、法律事務所でございますから、管理事務、法律相談その他を行っておるものと思っております。
  66. 矢田部理

    矢田部理君 何のためにつくられた会社ですか。
  67. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 弁理、法律その他の目的のためにつくられた会社だと思います。
  68. 矢田部理

    矢田部理君 はあ……。
  69. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 弁理士業務あるいは法律業務を行う目的の会社だと思います。
  70. 矢田部理

    矢田部理君 それがなぜ児玉の代理人になったんでしょうか。
  71. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  児玉、大刀川などがそれを買収する以前はどういうことをしておったか存じあげておりませんが、その買収は——児玉のコンサルタント業務を行うために設立したものでございます。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 つまり、おととしの秋ごろアメリカでこのSECその他を中心にしてロッキード社の不正支払いについて問題にされた。これはまずいということで児玉に対する支払いをごまかすために香港にこの種の会社を買収して、いわばお金をトンネルさせるためのものとしてつくったのじゃありませんか。
  73. 間淵直三

    説明員間淵直三君) まあそういう目的も含まれておると推察されますが、いずれにいたしましても極東における児玉の種々の営業活動を行うためにつくったものでございます。
  74. 矢田部理

    矢田部理君 最後に、まとめとして防衛庁長官に伺っておきたいと思いますがね。  私どもはP3Cであれ、そうでないものであれ、PXLなんというものはもともと必要がない。それをアメリカの再三にわたる対潜能力の強化ということを日本に求めてきた要請にこたえて、そういう形で対潜能力を持つためにP3Cの導入決定した、あるいはその他いろいろな経済上の事情の問題もあるかもしれない等々基本的な問題があるわけでありますが、これはいずれ予算なり内閣なりで改めて問題にすることにするといたしまして、少なくともロッキードとの関係でだけ言っても、幾つかいま論点を申し上げましたように、大変問題になるわけです。  最後に、整理をして申し上げますれば、第一には、防衛庁長官が繰り返し述べてきた、従来のP3Cを含めてロッキード疑獄解明をされなければ決めることはいたしませんという約束に完全に違反をする。しかも誓約書問題についてみましても、今度は誓約書をとったと言って、鬼の首でもとったような説明をしておりますけれどもロッキード社、さらにはそれにまつわる児玉小佐野動きについて何一つたださず、P3Cの売り込みに関しては不正をしたことがありません。冗談じゃありませんよ。もともと児玉らを入れたのは、単なるこの売り込みルートだけではだめだ。彼らの、この児玉小佐野の政治的影響力を国内で行使させるために、彼らをコンサルタントなり特別の関係でやっぱり使ったんじゃありませんか。そのために、現に動いている事実関係も、冒陳によってすら幾つか指摘をされている。多くの疑惑があるのに、少なくともこの誓約書という不当な影響力を行使することをもくろんだことだけははっきりしています。お金の動きがあったかどうかはこれからの課題かもしれません。そういう問題をたださずに、FXでもトライスターでも、前科二犯を重ねているロッキード社に対して、P3Cについては不正をしたことがありません、今後もやりません。こんな手の誓約書決断を根拠づけようとしておる、あるいはいまも問題になりましたように、ブラウンリー社などという——これはダミーです。児玉が自分の金の出入りを隠すために、とりわけアメリカで問題になった、これはいずれ火がつくと。それをごまかすためにこんな会社をつくったわけでしょう。これとの解約すら法律的にきっちり押さえないままに、紛争の余地を残したまま決断をした防衛庁態度、これはどうしても許せない。そういう点で、この問題は私は取りやめにすべきだ、直ちに中止をして、防衛庁も含めてロッキード疑獄解明あるいはPXLの具体的な事実関係の詰めを、さらにロッキード社にあなたやったらいいじゃありませんか。どうしてこれだけ疑獄で騒がせたロッキード社に、その調査や問い合わせや、ただすことができなかったのか。それぐらいは防衛庁長官としてもやってしかるべきだったんじゃありませんか。そのことについて考え方をもう一回答弁を求めて私の質問は一応終わります。
  75. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は決断を翻す気持ちはございません。  なお、ロッキード社に対する詰めあるいはこれに関連をいたします児玉等に対しまする詰め等につきましても、私が今日まで装備関係者から報告を受けてまいっておるものは、もう少し具体的であったし、先生指摘の点につきましても、十分私には詰めてまいっておる立場からの発言を承っておるのでございますので、いずれこの点につきましても、具体的にまた私自身装備局に対しましても改めて詰めてまいりたいと思うのでございます。  したがいまして、いまアメリカの要請等云々ということもございましたが、私が対潜能力の欠如いたしておりまする現在の日本の防衛体制につきましては、昭和四十三年からこれと取り組んでまいっておるわけでございまして、そうした立場で、いまの時点でそうしたこのロッキード事件関連する問題として国民の関心の高いことも承知をいたしておりまするし、その際に、相当な経費を要しまするこのプロジェクトを決定するにいたしましては、それ相当の私は詰めをいたして決断を下したものでございまするから、改めて申し上げまするけれども、ここでこれを意思を変えることはできません。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点だけ追加しておきますがね、あなたはここでは書面審査したと言っている。防衛庁は別なことも聞いているんだなんて、いまごろ言ったってだめですよ。後から何をつくるか知りませんが、大変問題だと。  それから最後に、ちょっと落としましたので検察庁に聞いておきますが、ロッキード事件に関してアメリカで嘱託尋問をやりましたね。その嘱託尋問調書の内容が先般のサンケイ新聞に出ているわけですが、これ事実でしょうか。と聞くのはやぼかもしらぬから、検察庁は発表しておらないと思うんです。ただ、この証拠として請求をする予定の場合には丸紅側内の弁護人には事前に閲覧謄写の機会を与えるだろうと思いますが、そういう機会はすでに与えているんでしょうか。
  77. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) お答えは二つになります。  閲覧謄写の機会は与えております。現在、閲覧謄写の機会を与えましたものと、サンケイ新聞の記事のものとは文体が全く異なります。内容については、したがって一々比較できません。ですから一言にしていえば、もしサンケイ新聞が手にお入れになったとすれば、米国方面からお入れになったんではないかというふうに思っております。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 文体が違うと指摘されましたが、その嘱託尋問調書というのは、正本というか、原文というか、それは英語だろうと思うんですね。閲覧謄写に供しているのは、その原文と、それから訳したものと両方になるんでしょうか。
  79. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 細かい点はまだ検察庁に確かめておりませんが、和文を示したことは間違いございません。英文も示しておるかどうか、その辺、私、自信がございません。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 終わります。この点はまたいずれ後刻伺うことにいたします。
  81. 野田哲

    ○野田哲君 私はこのロッキード事件についての児玉譽土夫と韓国との人脈の問題についてずっとただした上で、最後に一つ外務省に質問しようと思ったんですが、外務省の政府委員の日程の都合があるようですから、最後の予定のところを最初に質問いたしたいと思いますので、そういう経過であることを御了解いただいてお願いしたいと思うんです。  外務省に伺いたいと思うんですが、外務省はいま話題になっている元駐日韓国公使金在権氏の方に対してどのようなコンタクトを行っておりますか。まず、そのことを伺いたいと思うんです。
  82. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 去る六月二十二日のいわゆるフレーザー委員会におきます金炯旭証言に基づきまして、金炯旭証言の大半の部分は、先生承知のとおり、米韓関係であったのでございますけれども、その中でいわゆる金大中事件に触れておる部分がございまして、この金大中事件に触れております部分につきましては、これは前通常国会等々でも答弁申し上げましたように、金炯旭さん自身、金大中事件が起こりましたときにはすでに中央情報部長やめておられて、すでにアメリカにおったわけでございまして、いわゆる伝聞と言いますか、そういったことが多いわけだと思うわけでございますが、しかしながら金炯旭さんが証言しました金大中事件に関する大半の部分というのは、いわゆる金大中事件のときの在日公使でありました金在権氏、そこから聞いたと、こういうことになっておるわけでございます。そこで、金在権氏にコンタクトしようと——これは警察庁からの依頼を受けまして金在権氏にコンタクトしようということになりまして、まずアメリカの国務省を通じまして二つのことを聞いたわけでございます。  一つは、何分にも金在権氏自身アメリカにおるものでございますから、アメリカに日本の関係当局の者が行って金在権から事情聴取をすることがいいかどうか。一種の公権力の行使になるものでございますから、アメリカ政府の同意が要ると。この同意の点についてはどうかと、この点が第一点でございます。  それから第二点は、それじゃもしアメリカ政府がそれに同意をしてくれるならば、金在権さんは日本側の事情聴取に応じてくれるかどうかと、こういう点、この点は金在権氏自身の意向でございますから、もしアメリカ側のいわゆる日本側の事情聴取に対しての同意が得られるならば金在権氏自身の意向を確かめてくれと、こういうふうな依頼をしたわけでございます。これは七月の初めであったかと私記憶しております。それに対しまして八月の十七日、これは向こうの時間でございますが、アメリカ国務省から在米日本大使館に対して回答がございまして、その回答は次のようなとおりであったわけでございます。  一つは、アメリカ政府としては、日本側が関係当局の者を送って金在権氏から任意の事情聴取することに異議はないと。したがって、金在権氏にアメリカ側が接触をして金在権氏の意向を確かめたと。その結果金在権氏の意向は次のとおりであったと。つまり、一つは金在権氏自身としては日本側の事情聴取に応ずべき理由は見当たらないと思うと、しかしながら他方応じないというわけでもないと、応じることに反対するわけでもない、これが第一点でございます。  第二点は、しかしながら金在権氏自身の家族がいまやアメリカで新しい生活を設定しようとしておるんで、パブリシティーが与えられることについてはいやだと、したがってアメリカで事情聴取に応ずることはいやだと、こういうふうな返事が八月十七日に届けられたわけでございます。それに対しまして再び日本側の方からアメリカの国務省を通じまして、これは目下照会しているわけでございますけれども、それでは一体金在権氏はいつごろ海外に出る予定なのか、それからもう一つは場所の問題を含めまして、一体どうい条件が満たされれば日本側の任意事情聴取に応じてくれるのかと、こういうことをいま照会しておるところでございます。これは先ほど申しましたように、ワシントン時間で八月の十七日に回答が寄せられまして、八月の二十何日か、ちょっと正確な日にちは忘れましたが、照会しておるわけでございまして、まだいまのところは返答が寄せられてない状況でございます。しかしながら、私ども日本政府としましては、なるべく早い時期に金在権氏からの事情聴取を行いたいと、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
  83. 野田哲

    ○野田哲君 引き続いて簡潔に答えてもらいたいんですが、現在の金在権氏の身分というか、アメリカに居住しておる資格というか、それはどういう状態になっているかということと、もう一つはいまどこにいるか、この二つを答えてもらいたいと思います。
  84. 遠藤哲也

    説明員遠藤哲也君) 先生の御質問、まず第一点でございますけれども、いわゆる永住資格をアメリカで持っておるわけでございます。  それから、第二番目の御質問でございますけれども、これにつきましては私ども承知しておりません。居場所でございます。アメリカ側に聞いたわけでございますけれどもアメリカの国内法体制の上から言っても、いわゆる私人の住所を明らかにすることはできないと、こういうふうなことでございます。
  85. 野田哲

    ○野田哲君 もういいです。  防衛庁長官に伺いますが、防衛庁長官は先日アメリカに行かれたわけですが、国防長官とお会いになったと思うんですが、話の全体のことはまた改めて内閣委員会等で伺いたいと思うんですが、P3Cの問題についてどういう話し合いをなされたわけですか。
  86. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) P3Cの問題につきましては、実は五十三年度の概算要求の中に盛っております。ただし、これは防衛庁として決定をいたしたところでございまして、これから先、政府におきましての決定を願い、国会においてこの審議を願って、予算決定を願わなければ最終的にこれの入手に着手をするというようなことはできません、そういう厳しい状態の中にあります、ということを話し合いましたのでございます。
  87. 野田哲

    ○野田哲君 一応まあ条件つきではあるけれども、この内意は伝えたと、こういうことになっているわけですね。そう理解して間違いありませんか。
  88. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 日本の防衛体制について、こういう状態であるということに対しましての内意を伝えたということでございます。
  89. 野田哲

    ○野田哲君 このいまの防衛庁のパンフレット等も配られているわけですが、四十五機という計画のこの年次別の配備計画がどのように考えられているのか、この点伺いたいと思います。
  90. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) ただいま防衛庁といたしましては、今後十年の間に四十五機を整備したいと考えておりまして、五十三年度から整備に着手いたしまして、五十六年度から五十九年度までの間、各年五機でございます、二十機。六十年度に六機、六十一年度に十機、六十二年度に九機、合計四十五機ということを希望いたしておるわけでございます。
  91. 野田哲

    ○野田哲君 いまの段階では防衛庁の庁内の決定ということになっているんですが、これからの手順というのはどういうふうに考えられているわけですか。
  92. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 防衛庁の庁内で意思を決定いたしまして、概算要求という形で大蔵省にお願いいたしております。で、現在事務的に大蔵省に御説明いたしておりますが、概算要求を大蔵省に出す以前に国防会議に一度御報告をいたしました。その際、これから年末いわゆる政府案を決定するまでの間に、数回国防会議を開いて、その必要性、整備の計画等について御説明する予定でございますが、同時にまた国防会議の事務局におきまして、参事官会議あるいは幹事会等を通じて各省にも十分説明をしていく考えでおります。そういたしまして、年末の政府原案が決定する段階におきまして、主要項目でございますので、予算の政府原案決定に先立ちます国防会議において御決定いただきたいというふうに考えているわけでございます。
  93. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁長官に伺いますけれども、いまの説明のような形でレールが引かれつつあるわけでありますけれども、先ほどの矢田部委員の質問に加えて、再度伺いたいと思うんですけれども防衛庁長官はこのロッキード問題について、PXLについては刑法上の疑惑はなかったと、こういう点だけを唯一の口実にして進めているような報告を承ったわけですけれども、私どもがこの問題を議論をしたときの坂田防衛庁長官あるいは三原防衛庁長官の今日までとってこられた態度というのは、単に刑法上の疑惑があったかなかったか、こういうことではなくて、これは政治的道義的な問題も含めて疑惑解明されるまではこの問題には手をつけない、こういう立場であったと思うんですが、長官は今日の状態について、国民PXLの問題については政治的にも道義的にも何らやましい点はないという形で理解をしていると、こういう判断をされているんですか。
  94. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お尋ねのPXLについて国民が何らの疑惑もないということを了解をいたしておるという、そこまでの判断はいたしておりません。これから先も私どもは絶えずこの点については理解を得る努力をせなければならぬという考え方に立っておるわけでございます。
  95. 野田哲

    ○野田哲君 金が動いたかどうかということは別にして、いままでの冒頭陳述あるいはアメリカからの情報等によっても、明らかに児玉譽士夫あるいは小佐野賢治、こういう人たちがロッキード社の依頼によって日本の政府にP3Cを買わせようとして動いていたと、このことだけは否定できないと思うんです。そういうことであるならば、これはやはりいままでの国会で議論してきた経過から考えて、防衛庁は少し——まあ少しじゃなくて、かなり先走り過ぎている、こう言わざるを得ないと思うんです。これ以上ここでこの問題のやりとりをしても時間がございませんから、私どもはそういうふうに思わざるを得ない、こういうふうに考えています。  次に、警察庁とそれから法務省関係者に伺いたいと思うんですけれども、いろいろちまたに情報も出ておりますけれどもロッキード事件関連をして、その経過でかかわりを持って、当然捜査当局でも事情聴取あるいは取り調べを行う必要があったと思われる幾人かの人が死亡をしているわけでありますけれども捜査当局として事情聴取を行う必要があったと考えられる人で死亡をした人はどういう人であって、どういうかかわりを持っていたのか、死亡の状況等についてそれぞれお答えいただきたいと思います。
  96. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) およそ捜査当局が事件関連してどういう人を調べたかということは、私ども捜査のやり方一般としてお答えをしないことにいたしております。いわんや、どういう人を調べたかったかというようなこともお答えできる範囲のことではないと思いますが、ただロッキード事件はもうすでに公判段階に入っておりまして、公判に若干の関係者の名前が出ておりますので、すでにそういう意味で明らかになった人たちについて一、二申し上げますと、冒頭陳述にも出ております丸紅の元輸送機械部副部長の松井直氏、この方はロッキード事件の始まる前に亡くなっておりますので、もし生きておられれば調べたかった人であろうと思います。そのほか亡くなられた方がおりますが、公判で出てきております名前としては、福田太郎氏とか田中元総理の運転手である笠原さんとかおられるわけでございますが、これらの方については一応の取り調べをしておることが、それらの方々の調書その他が公判で証拠申請されておることからわかるわけでございます。
  97. 野田哲

    ○野田哲君 警察庁。
  98. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) お答えいたします。  捜査当局としての態度は、ただいま法務省伊藤刑事局長からお答えいただいたとおりだと思いますけれども、私どもの方でも丸紅の松井直氏、この人たちについてはというところでございますけれども、これまた四十九年に死亡なされておりますので調べておらないというところでございます。
  99. 野田哲

    ○野田哲君 それだけですか。
  100. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) 具体的にどのような方についてでございましょうか。
  101. 野田哲

    ○野田哲君 それ以外はもう全然……。
  102. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) それ以外の方につきましては、それは抽象的に御質問いただきましたのでどのような人か特定できませんのですけれども、調べるべき者は当然調べておりましょうし、そうでない者は調べるに至らなかったというふうに考えております。
  103. 野田哲

    ○野田哲君 じゃ、具体的に一つずつ名前を挙げて伺いますが、水戸市に居住していた山田某という、これは右翼、暴力団関係の人で、水戸ではかなり著明な人であったそうでありますけれども、この山田氏が死んだのはロッキード事件が表に出るよりも少し前の五十年十一月に水戸の料亭で肝硬変によって死亡した、こういう状態だそうでありますけれども、その死亡する二、三日前に水戸のホテルで、当時自民党の幹事長であった橋本登美三郎、それから全日空の若狭社長、この二人が会談をしていたその席に同席をしていた、かなりその話の内容承知をしていた人であった、こういう情報があるわけですが、そのことについて警察庁としては御承知ですか。
  104. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) ただいまの山田何がしという人は、お話のぐあいから山田健二氏であろうかと思います。  それで、いま申されましたように、五十年の十一月の三十日の夜、水戸市の三の丸の料亭で宴会中気分が悪くなって倒れまして、その近くの山田病院というところに担ぎ込まれまして五十年の十二月一日に肝硬変という病名で病死しております。それで警察といたしましては、病死でございますので検視などの特別の措置はしておらないということでございます。  後の方で申されました、そのいろいろな会談の内容云々ということにつきましては私ども承知しておりません。また死亡しておりますので、そういうふうなことについて調べたということはないということでございます。
  105. 野田哲

    ○野田哲君 これは法務省でも警察庁でもいいんですけれども、私が後段で言いました水戸のホテルで橋本・若狭会談があった、このことは調査されておりますかどうか、この点答えていただきたい。
  106. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 私自身ロッキード事件のすみからすみまで知っておるわけでございませんので、ただいま急のお尋ねでございますから全く思い当たる記憶はございません。
  107. 野田哲

    ○野田哲君 警察庁に重ねてこの件で伺いますけれども、この山田氏は一時田中角榮元総理の私設のボデーガードをやっていた、こういう情報もあるわけですが、この事実はいかがですか。
  108. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) そのことについては承知いたしておりません。
  109. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、もう一人伺いますけれども、日本に居住していたインドネシア人でラデン・チュウチュウ・スタルディ、この人はファーイースト・オイル・トレーディング社、ここの天然ガス部長をやっていた。この人が五十一年の二月十六日、ロッキード事件アメリカから日本にもたらされて、その直後に当たるわけでありますけれども、この人の死亡の状態について承知されておりますか。
  110. 加藤晶

    説明員(加藤晶君) ラデン・チュウチュウ・スタルディ氏の死亡の状況について承知しているところを申し上げます。  インドネシアの国籍を持っておられる方で、住所が神戸市の灘区で、居所は東京の港区にあったようでございます。それで、生年月日は一九二三年一月五日というふうに聞いております。職業は、ただいま御指摘のとおりファーイースト・オイル・トレーディング・カンパニーの嘱託というふうに私の方では承っております。  それで、死亡の状況でございますけれども、この二月の十六日当日、インドネシア大使館主催のゴルフコンペということでそれに参加いたしまして、稲城市の坂浜にございます東京読売カントリークラブでゴルフをやったわけでございます。それで、四人一組で午前九時四十二分ごろスタートいたしまして、昼食後午後零時四十八分ごろアウトコースのスタートをされ、そして七番ホールで第二打をグリーンに向けて打ちました直後、前向きにうつ伏せに倒れたと。キャディーが近寄ってみますると、すでに顔面を引きつけて意識を失っている状態であった。そこで、直ちに救急車を要請いたしまして、到着いたしました救急隊員と稲城市立病院亘医師が人工呼吸をいたしましたけれども蘇生に至らず、午後三時三十五分、その医師が当人死亡したことを確認したということでございます。それでこの医師から警察への届け出がございまして、警察嘱託医の行政検視を行いましたけれども、これは急性心不全ということで、死体は、死者の勤務するファーイースト・オイル・トレーディングの取締役高橋健二氏に引き渡したと、こういう状況だそうでございます。
  111. 野田哲

    ○野田哲君 これは証言の中にも出ているんですけれども、ラデン・スタルディ氏とシグ・片山の関係についてどの程度の調査が行われておりますか。
  112. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) けさほど野田委員からそのお名前の御指摘を受けて、どうも聞いたような人だなあと思ってよく考えてみたら、シグ・片山氏の国会証言に一回名前が出た方のように私も思い出したんですが、いま聞いておりますと、亡くなられた日付からして検察当局ではおそらく調べていないんじゃないかと思います。その余のシグ・片山氏との関係等につきましては私いま記憶にございません。
  113. 野田哲

    ○野田哲君 このシグ・片山との関係は、ファーイースト・トレーディング社の前に彼はウエナス・インターナショナル・ジャパン、この社長をやっていて、シグ・片山がそこの同じ会社の重役をやっていたと、こういう関係で、このジャパン・ウエナスの親会社のウエナス・インターナショナル・香港、いわゆる香港・ウエナス社というのは、これは香港のあるビルの六階にあって、いわゆる問題になっているIDコーポレーション、これと同じビルを使っていて、しかもこのIDコーポレーションが常時この香港・ウエナス社を使っていたと、こういう関係で非常に密接なつながりを持っている、こういう情報があるわけでありますけれども、そういう事実の調査等は、これは法務省、警察庁はやっていないんですか。
  114. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 一般的にロッキード事件解明に必要なことは全部調べておると思いますが、そういう具体的なことをただいまお聞きいただきましても、全く記憶にございませんし、また思い出してみましても、お答えできる範囲に属するかどうか、その判断もできかねる状況でございます。
  115. 野田哲

    ○野田哲君 まあ巷間報道等でもあるわけでありますけれどもロッキード事件にかかわった人、秘密の経過を知った人、余りにも死亡者が多過ぎる。しかもこの死亡、死因についてはほとんどと言っていいほど心不全あるいは肝硬変、こういう形で死亡している。これについては、かつての多くの日本にあった松川事件とか、等々の黒い影が動いているんじゃないか、こういう世間のやはり情報、うわさというものは今日続いておりますが、こういう点について、捜査当局としてはこれらの多くの——まだ私は幾人かの人の名前はここで挙げておりませんけれども——不自然さを全然感じておりませんか。
  116. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) もし、ただいま例としてお挙げになりましたお二人の方が、肝硬変で亡くなられたり急性心不全で亡くなられたことが黒い手によってそういうことになったものであるとするならば、非常に重大なことでございます。ただいま初めて伺いましたので、記憶にとどめて検察に連絡をいたしたいと思います。
  117. 野田哲

    ○野田哲君 時間がありませんので、児玉譽士夫を通じてこのロッキード事件は韓国にいろんな形で人脈としてつながっているわけでありますけれども、韓国との人脈について伺いたいと思うんです。  特に金大中事件について、児玉と密接な関係にある東亜相互企業町井久之、彼のどう言いますか、影響下にある人たちが、あるいは勝共連合、統一教会、この影響下にある人が協力して動いていたのではないかと、こういう情報があるわけでありますけれども、そのことに関連をして、先ほど冒頭に聞きました金在権氏と、それからいま話題になってる金炯旭氏、この人たちの行動を知る上で、金在権氏の運転手を務めていた人、この人が非常に重要な情報を知っている、持っていると私は思うんですが、警察庁としては金在権氏の運転手が韓国大使館をやめた後の所在、あるいは勤務先等承知をされておりますか。
  118. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  御質問の運転手の方につきましては、すでに事件当時いろいろと事情を聴取をしておりまして、私ども事件とは関係がないというふうに考えておるわけでございます。
  119. 野田哲

    ○野田哲君 これは私は本人の名誉のために言っておきますけれども、この人が事件関係をしているとは思っていないんです、言ってるんではないんです。金在権氏や金炯旭氏の日本における行動を知る上で重要な参考になる情報を持っているんじゃないかと、このことを言っているわけで、接触をしておられるということであればそれで結構ですが、八月八日の行動については当然聞かれたと思うんですが、間違いありませんか、一九七三年八月八日の行動について。つまり、金大中事件が起きたときの行動について当然お聞きになっていると思うんですが、いかがですか。
  120. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  当然、当時そういった車の運行状況その他について事情聴取をしております。
  121. 野田哲

    ○野田哲君 じゃ、具体的に一つ伺いますが、あの事件が起きたときに金在権氏が韓国大使館からグランドパレスホテルに車で走っているわけですが、これは何時何分に韓国大使館をスタートして、グランドパレスに何時何分に着いたのか、これ当然調べておられると思うんですが、伺いたいと思います。
  122. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  捜査本部におきましてそういう細かい点については全部掌握しておりまして、その結果、先ほど申し上げましたように、事件とは全く関係がない人であるということを申し上げたんですが、私の手元の資料によりますると、大使館を出た時間、それはちょっと私、いま直ちに手元にありませんが、現場へ着いたというのは、当日の十四時十五分前後ごろであったと、確定的に時間を決めるわけにはいきませんが、そのころであったというふうに理解しております。
  123. 野田哲

    ○野田哲君 当時、グランドパレスで同席をしていた梁一東氏の話によると、彼が韓国大使館に事件が起きて電話をしたのは、午後二時に電話したと、こう言っているわけですが、三田のこの韓国大使館からグランドパレスまで十五分で走れるんですが。
  124. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  先ほど私が、十五時十五分ごろというふうにもし言ったとしましたら、それは十四時十五分ごろということですので、そのように確認させていただきます。  私どものこれまでのいろいろな調べですと、金在権公使のところに連絡があったのは、当日の十三時五十分ごろであるというふうに見ております。で、先ほど申したように、必ずしも正確でないということは御理解願いたいと思います。
  125. 野田哲

    ○野田哲君 仮に、いまあなたのおっしゃるような時間であるとすれば二十五分と、こういうことですね。十四時十五分にホテルに着いているとすれば、二十五分。あの大使館とグランドパレスの間二十五分で大体走れますか、どうですか。
  126. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  いろいろ事情を聴取いたしますと、そのとき使った車というのは、この運転手さんの自分の車だったそうでございます。というのは、大使館の公用車といいますか、あるいは金在権氏の車といいますか、そういうものは車庫のずっと奥の方にあったものですから、とりあえず一番出しやすい車、それを使ったということで、一応私どもの方でそういう時間の経過などにつきましても捜査本部で一応調べておりまして、先ほど申し上げましたように、何分かの違いということはあり得ることと思いますが、一応そのように見ております。
  127. 野田哲

    ○野田哲君 これは全体のまた経過をしかるべき場で伺いたいと思いますが、もう一つ、日本と韓国との関係について、長谷川仁さんの名前がいろいろ出てくるんですが、長谷川仁さんから事情を聞かれたことがありますか。
  128. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  いろいろと報道もされまして、私どもの方から捜査員が御本人のところへ赴きまして、いろいろと事情を聞かせていただいたということがございます。それは八月の二十日のことでございます。
  129. 野田哲

    ○野田哲君 これは警察庁の外事の方承知されていることなんですが、長谷川さんが最近本を書いておられますね。読んでおられることは間違いないと思うんですが、この長谷川さんの本の中に、ロサンゼルスに行っておられたときに奥さんが病気になられたとき、いろいろ世話になった人の名前が出てくるんですが、ほとんどの世話になった人はどういう人であって、フルネームでこういう人だという形で出てくるんですが、あの中にロサンゼルス在住の韓国人K氏ということでイニシアルだけで出てくる人が一人おりますね。K氏というのは常識的に考えれば、韓国で言えばキムのKだと思うのです。このK氏夫妻あるいはK氏というのはどなたであったか、お聞きになりましたか。
  130. 城内康光

    説明員(城内康光君) 御質問の本は長谷川氏の書かれました「癌よ妻を返せ」ということだと思います。私も一応そのくだりを目を通してまいっているわけでございますが、そこにはK夫妻というふうに書かれておりまして、たとえば国籍その他については触れられていないというふうに……
  131. 野田哲

    ○野田哲君 韓国人となっている。
  132. 城内康光

    説明員(城内康光君) 韓国人でございますか、それではそのように認識を改めますけれども、そのK氏という者がどういう人であるかとか、あるいはなぜイニシアルで書いたというようなことは、長谷川さんから事情聴取いたしましたときにはそういうことをお聞きしておりません。
  133. 野田哲

    ○野田哲君 もう一つ。  これは、恐らくまあ知っておられて私はとぼけておられるんだろうと思うのですがね。いいですか、そのころのことがいろいろアメリカからの金炯旭氏の発言の中に出てきているんです。私も、私自身が八月九日に金炯旭氏から聞いているんです。ロサンゼルスでこの金在権氏あるいは金炯旭氏と会ったということを聞いているのです。そのころは新聞にも報道されていたわけでありますから、このK氏というのは金在権氏であるのか、恐らくこれはロサンゼルスでのことでありますから、私は金在権氏じゃないかと思うのですが、当然そのことは、あの本まで私より早く買って読まれているんですから、当然専門の捜査当局の立場から言えば、このK氏というのはだれであるかというのは最も関心を呼ぶところだと思うのですが、あなたの方ではそれは全然聞いておられないんですか。
  134. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  不勉強をさらけ出すみたいなものですから、いつ読んだかということは私は申し上げなかったのですが、実はきょう読んだわけでございます。  そこで、K夫妻と書いてあることは認識したわけでございますけれども、それがその長谷川さんの交友関係ですね、全部私どもは掌握しているわけでもありませんし、また掌握しなきゃならない必要性もないというふうに私は考えておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもは知っていて言わないとかそういうことではなくて、御本人が書かれたことですので、御本人の意図、そういったものについては御本人からお聞きしなければわからないことであって、私どもが八月二十日に事情を聴取した段階では、その本についての、そのくだりについての認識もありませんでしたので、本当にお聞きしていないということを申し上げたのでございます。
  135. 野田哲

    ○野田哲君 終わります。
  136. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 防衛庁が今日まで戦闘機あるいはレーダーサイトの機材、そうした購入をめぐるに当たりまして、少なくともこの十年来いろいろ問題にされてきたと思います。たとえばF104の場合にいたしましても、私記憶は鮮明でありませんが、ダグラスからボーイングに変わる、最終的には性能的にはほとんど変わらない、にもかかわらず最も価格の高いロッキードに購入を決定すると、とかくそうした疑惑あるいはレーダーサイトに用いられるその機材にいたしましても、いろんな商社がそこに絡み合ってきた。どうしてもそういう国民に対する疑惑というものがぬぐい切れないままに今回のP3Cの導入という問題が起こったわけでございます。昭和四十三年以来、防衛庁としても性能的に非常にすぐれた対潜機導入については鋭意検討もされ、取り組まれてこられたと思います。そういうさなかにこのロッキード問題が起こった。したがって、政府としてもその辺の疑惑というものを国民に対しても説得力を持って、納得のいくそうした結論を待ちながら、そして導入をしようという恐らく腹づもりであったろうと思うわけであります。もうすでに、このロッキード問題につきましては、一年有余にわたって衆参両院を通じあらゆる角度からこの問題の討議がされてきているわけです。したがいまして、きょうはいろいろ重複することもあるかもしれません。また、私の記憶違いについてお尋ねをしていかなければならない問題もあろうと思います。いずれにしても、そうした点をもう一遍ここで再確認という意味も含めまして、これから若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  で、何といっても、防衛庁の白書にも明確に示されておりますように、先ほど来三原さんの答弁を伺っておりましても、国民疑惑を持たせない、今後も鋭意努力する、それはわかるんです。しかし、問題がもう内外にこれだけの反響を呼んだ事件でありますだけに、特にやはり国民に対しては納得のいくそうした理解のもとに——P3Cの導入を将来するかどうかは別問題といたしましても——御決定すべきではないだろうか。  いろいろお話を伺っておりますと、疑惑はとにかくないという一面があるし、これからも努力をしていきたい、こういう両面を持った答弁を先ほどから伺っているわけですね。やはりこの辺に、伺っておりましても何となくすっきりしない、一体どうそれを理解したらいいのか、こういう私は私なりにそういう受けとめ方を実はしていたわけでございます。やはり一番望ましいのは、端的に申しまして、疑惑が晴れた段階でどうしても必要であればそれは導入することも、あるいはその防衛庁の計画の一環としてそれは推進なさることでございましょう。しかし、その前段にそういう問題がかかわり合っているということになりますと、これはもう一遍その辺を鮮明にした上で、それからでも遅くはないんではないだろうかと、私がどうしてもぬぐい切れない疑問は、やはりいままでの児玉の問題、またそれに関連するいろいろなダミーの連関関係、こういったところがどうもすっきりしない。しかも七月二十一日に小佐野に対する初公判が行われて、先ほど来もそういう話がございました。しかも起訴事実については明確にかかわり合いがある、それが述べられているわけです。検察当局の疑惑の大きな問題点だろうと思います。  ただ、金にかかわりがない、そういうことで一体それで疑惑が晴れるのだろうか。先ほど伊藤刑事局長の御答弁を伺っておりましても、今日までの段階ではまあ少なくとも金にまつわることはなかったし、われわれなりに徹底的に調査をしたつもりであると、そういうふうにおっしゃられたと思うのです。しかし、ということがあとからつけ加えられたようでありますね。将来この公判が進むにつれて、それは新しい事実関係というものが起きないという保証はない。ということになりますと、ここにもまた一抹の、何となくすっきりしない気持ちがわだかまるわけであります。その点をどのようにわれわれとして整理をしながら納得をしたらいいのかという問題につきまして、これはもう恐らく再確認ということになるであろうと思いますが、三原さんと伊藤刑事局長それぞれのお立場からお話を伺いたいと思います。
  137. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいまのそうした御意見の出ることは、ロッキード事件の長期にわたります、国民の非常に関心を買いいたしました事件であるがゆえにごもっともだと思っております。したがいまして、私どもも、前坂田長官答弁をいたしてまいりました、私もいたしましたように、国民疑惑が晴れるということを待ちたいというような心境で、事件解明の推移を見て決断をいたしたいということでまいったことは事実でございます。したがいまして、いまの時点に立って、私といたしましてはそうしたロッキード事件関係につきましての裁判なり、捜査の詰め、あるいはロッキード社の今日までやりました行為あるいはこれに関連をいたしまする児玉またダミー会社的な存在でございまするブラウンリーでございましたか、そういう会社の問題等も詰めさしてまいりましたし、また今後こうしたことが再度起こっては相済まぬというところから、そうした防止対処の詰めもいたしてまいりました。  そういうような諸般の詰めをしてまいりましたし、また私は防衛庁長官として防衛責任をとらねばならぬ立場にあるわけでございます。そういう点において、わが国の防衛力整備について問題点というのは、対潜、防空という点において特に指摘をされてまいっておるわけでございまして、そういう点でこの対潜能力の整備につきましては、実は四十三年から取り組んでまいっておるわけでございます。そうして現在時点に立ってこれから先、現在ございまする対潜機の耐用命数等が来て脱落をしてまいる時期等が目前に迫ってきたというような事態、それから周辺におきまする諸外国の潜水艦の機能の上昇、そういうような点を考えてまいりますれば、ここで私どもはいよいよ対潜機の整備にかからなければならないという差し迫った時点に立ったわけでございます。そういう点に立って、私はいま先生指摘のこのロッキード事件解明を待つというその事態をどう踏まえて決断をするかということで熟慮いたしてまいったわけでございまするが、その点で私といたしましては、先ほど申しました諸般の詰めをいたして、そしてロッキード事件の中で、いわゆるPXLの問題については犯罪的な容疑が現在時点までは見つからないという御判断司法当局なり、捜査当局から承ってまいり、あるいはアメリカSECに対しまするロ社報告書等も伺ってまいりましたので、ここでひとつ決断をさしてもらって、しかし国民への理解に対しましては今後もやはりそうした詰めの状態なり、あるいは防衛力整備の事情等も訴えて理解と、また誤解を解き、理解をしていただこうというようなことで、八月の概算要求時点で実は決断をいたしたという事情でございます。  したがいまして、いま先生から御指摘のように、ロッキード事件解明国民全体が納得する時点というものを待つべきではなかったか。そういう点がすっきりしないところにいろいろなやはり釈然としないものが出るであろうという御判断につきましては、これは私もそうした点で熟慮せなけりゃならなかった事情もあるわけでございまするけれども、以上申し上げましたような立場に立って、最終的に概算要求という時点防衛庁内の対潜機決定をP3Cにいたしたという事情でございます。したがいまして国民への理解等につきましては、今後とも努力をしてまいらねばならぬという立場にあるわけでございます。
  138. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) まず最初にお断りしておかなければなりませんが、検察当局の使命は犯罪捜査ということでございますので、それ以外の道義的あるいは政治的な責任とか、そういうものについて私どもが触れたり論じたりすることは適当でないと存じます。  さて、そこでロッキード事件につきましては、P3Cをめぐる諸問題も含めまして、ロッキード社からわが国に流入した資金の流れの解明に鋭意努力をいたしまして、本年二月までの時点で、さらに引き続きその後も注目をしておるわけでございますが、一応全容の解明を遂げたと。その結果、P3Cの問題も含めて金の動いたものについては、それが犯罪に当たるものについては全部処理を終えたと一応思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、現時点においてP3Cをめぐる犯罪容疑というものはないというふうに一応考えております。  しかしながら先ほども指摘にありましたように、過去に存在した事象につきまして証拠によって存在したことを証明することはできますけれども、存在しなかった事実について絶対存在しなかったという証明をすることは非常にむずかしゅうございます。またそれとともに当委員会を初めといたしまして、衆議院の委員会におきましても鋭意御調査になっておりますし、またアメリカにはアメリカなりの調査が継続されております。そういうものの中から検察当局の懸命の努力にもかかわらず、何か漏れているようなものが浮かび上がってくるといたしますれば、私どもはいままでの努力の足らざるところを反省するととも、直ちにそれらに取り組まなければなりません。そういう意味で捜査本部を継続しながら、委員会の御審議その他を虚心に見守っておる状態にあるわけでございます。
  139. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 さらに関連してお尋ねをしたいんですが、起訴事実が明確になっている。現在公判廷で争われている。まあ最終的な判決といいますか、結論を得ない段階でも、司法当局としてはいま御答弁になったような結論が出せるものでございますか。
  140. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 検察当局といたしましては、全国検察の総力を挙げて解明に努めましたので、一応出るべきものは出尽くしたと考えておる次第でございます。
  141. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そういたしますと、裁判の結果を待たずとも検察当局のいままでの調査経過を踏まえて、そして検察当局の報告を聞いた上で、事情聴取をした上で、いまの御答弁にあったように、少なくともPXLについては金に関する問題はなかった、要するに容疑事実はない、このようになるわけでございますか。
  142. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) いま検察はロッキード事件公判に全力を傾けておりますが、その結果、ほとんど——ほとんどではございません、全部が所期のとおり有罪の判決を得られると思いますけれども、その判決に至る過程におきまして、捜査段階で把握できなかったことが出てくると、公判段階で出てくるというふうには考えておりませんので、一応捜査段階で把握したことがいまわが国の司法、検察引っくるめました当局が解明し得る限界ではなかったかと考えておる次第でございます。
  143. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 われわれ常識といいますか、余り法律にうといものは、やはり公判決定を待つまではというのが一般の受けとめ方であろうというふうに思うわけですね。もう起訴事実も明確になっている。しかもそれが公判廷で明らかにされない。明らかにされないままに検察当局はシロであると、そういう判断に基づいて、心配ないからPXLについては進めなさい。どうもその辺が依然としてしこりのように残るんでありますが、そういうそれぞれのお立場からそういう結論を下されたということについては一応肯定したいと思います。  先ほどもブラウンリーの問題がございました。ロッキード社からのいろんな報告防衛庁からもいただいておるわけでありますが、ここでちょっと不思議に思いましたことは、これは私の受けとめ方の違いかどうかわかりませんが、「ブラウンリーからの解約通知受領書」というのがございますね。これをずっと拝見してまいりますと、一言で言いますと、解約通知書を受け取ったと、受け取りましたと、いわゆるそれに同意いたしますという合意書ではないと。となると、このダミーとしての存在は依然として生きているんではないだろうかというふうに思うんでありますが、この点は長官がよろしいんですか、それとも装備局長がよろしいんですか。
  144. 間淵直三

    説明員間淵直三君) これは本契約にのっとりまして、通知すれば三十日たてば契約が解除されるという契約の条文があるのでございますから、その条文によりまして有効に解約毎成立したことと思います。
  145. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 なるほど、おっしゃるとおり解約条項によってという一項目があるようでございます。ただ児玉との場合はこのコンサルタントの契約解約については昭和五十年十月三十一日、相互の合意で解約になっておりますね。こちらが相互の合意で解約になっておる。ブラウンリーの場合、一方的通告。この辺にもまだやはりわれわれしろうと的かもしれませんが、たとえ解約条項がどういうふうにあるのか、われわれ本文は知りません。この点はどういうふうに理解したらよろしいんですか。
  146. 間淵直三

    説明員間淵直三君) ロッキード児玉との間の古い契約でございますが、これにはやっぱり一方的通知によって六十日の期間を経て解約が成立するという条項があるわけでございますが、これはもちろん両者の合意によってその通知と申しますか、発効期間を待つことなく契約が解約されるということを妨げるものではございませんし、推察するところ、児玉ロッキードとの間の契約を解約して、同日付けでロッキードブラウンリー社との契約が締結されておるという、そういう目的で合意して解約したものと思います。
  147. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 それで、ブラウンリーの方としては一方的通告に従って承知をしたという、その確認はどういうふうになされたんですか。
  148. 間淵直三

    説明員間淵直三君) これは解約通知を受領したという書類によって確認したわけでございます。
  149. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 それはいまも申し上げましたように、解約したという通知は、ロッキード社からの一方的通告でございますね。ただ、問題はブラウンリーの方はそれを承諾したのかどうかという確認の方法、これはどういうふうになさったわけですか。
  150. 間淵直三

    説明員間淵直三君) ロッキードブラウンリー社との契約の解約条項によれば、それに同意することなく解約が成立するということでございます。
  151. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 そういう御答弁でありますと、これは本文の契約そのものによって一方的な通告によっても解約は確認されたと、このように理解してよろしいわけでありますか。
  152. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  153. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 冒頭に申し上げましたように、今日までとかくいろんな疑惑に包まれながら機材あるいは航空機の購入が行われてきた。今後そういう疑惑を全く国民に与えないとするならば、一体どういう方法が考えられるのか。まあヨーロッパあたりでもいろんな方法が取り入れられているようであります。従来どおり、商社が代理店という形で入れるのか。そういう従来の仕組みというものが全く是正されないとするならば、いまはこのロッキード問題で世間が騒いでおりますので、お互い緊張感も伴いながら相当厳格なチェックをしつつ、こういう問題の起きないことに配慮がされるであろうというように思います。しかし、やはり時がたちますと、またかという問題が、必ずしもこうした問題に限らず、従来も繰り返されて起こるというような事例があるわけであります。こうした点については、長官は、一体どのようなこれからの判断に立ち、どうすれば国益を損わない、国民にも納得のいく、そういう方法を採用されるのか。当然並行的にいままで検討の過程の中で議論もされてこられたと思うんであります。
  154. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま御指摘のように、防衛庁が装備品を他国から購入することについての具体的な配慮について御質問がございました。  その前に一つ申し上げさしていただきたいのは、とかく過去において防衛庁の購入等についていろいろ疑いを持てるようなことがあったということでございましたが、この点につきましては、私は、防衛庁について二、三の問題のあったこともここに承知をいたしておりまするけれども、全体については厳正な購入手続あるいは購入措置をやってきておると信頼をいたしておるのでございます。しかし、そうしたことをやはり防ぐためにどういう処置をしておるかということでございますが、たとえば、先ほども問題がございましたように、いろいろ後で具体的なことは担当者から申し上げまするけれども一つは政府間で契約をし購入をするというような、西ドイツ等でやっておりまするような方法はとれないか、あるいは商社を入れて取引をするというような場合には具体的にはどういうような、たとえば価格の公開あるいは原価調査問題等いろいろな問題があろうと思いますが、そういうような旧来どおりの方法でやった場合はどういう一つの歯どめをするための処置をするかというようなこと等を検討をさしております。いま政府委員から答弁をさせたいと思います。お願いいたします。
  155. 間淵直三

    説明員間淵直三君) このような多額の国費を要する飛行機などを導入するに当たりましては、いささかの不正、不合理もあってはならないと、こう考えておる次第でございまして、今回のP3Cの導入に当たりましては、そういう不正、不合理の生ずる余地を全部なくそうということで努力してまいっておるわけでございまして、まずロッキード社に対しましては、いささかの不正、不合理なことを行わないという誓約をさせました。   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕 それと同時に、価格調査、原価監査といったようなものにも、防衛庁あるいはその委託するもののそういう監査というものにも十分協力するということ、それからP3Cに関する対外支払いにつきましては、アメリカの国防省に提出すると同様な書類を防衛庁提出させるということ、それから、もし代理店などを選ぶというような場合には、その代理店手数料の合理性を証明する書類を添えて防衛庁提出させるというような書類をとっておるわけでございまして、このような措置と、防衛庁といたしましては、その不合理な金、不正な金というものに対しては一切支払いする意思がないのは当然でございまして、それを裏づけするために、原価監査、価格調査といったようなものを厳重に行っていきたいと、こう思っているところでございます。
  156. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 いま皆さんが、将来の願望といいましょうか、できることならば、事故を絶滅する一環だと思うんですが、そういう御配慮だと思うんですが、政府対政府の契約によって導入することが好ましい、将来やはりそういう方向で向けられていくというふうに受けとめてよろしいんですか。
  157. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 先生のおっしゃられるように、いかなる不正、不合理も許さないという体制を確立していくということと同時に、いろいろの調達方法と申しますか、アメリカの政府から直接輸入する方法といったようなものもあるわけでございまして、こういうものにつきましても検討して、いずれが有利であるか、その功罪、適否というものがあるわけでございまして、あらゆる方法を含めて検討してまいりたいと思っております。     —————————————
  158. 平井卓志

    ○理事(平井卓志君) ここで、委員異動について御報告いたします。  本日、亀長友義君が委員辞任され、その補欠として坂元親男君が選任されました。     —————————————
  159. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 次の問題点として触れようとしたのがいま出されたようでありますが、やはりこの種の購入というものは、お金であります。昭和五十三年度の概算要求十機で三千五百億円、大変膨大なお金でありますが、いまおっしゃるような価格調査だとか原価監査なんというものは、国内におけるそれと違いますので、そう簡単にできるものか。そしてまた、なるほどと国民理解を得られる方法というものが実際にはあるのか。これはもう専門的な立場からどうこうということよりも、ある一面においては、国民というのは、感覚的に、こうだという非常にわかりやすい、そういう説明の方が合意を得る道ではないかと思うんです。そういう点についてはどんなふうにこれから——実際考え方は表明されました、されましたけれども、具体的にどういうふうにおやりになるのかという問題でありますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  160. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 価格調査、原価監査と言いますと、専門家の間では非常にわかりやすいと思うわけでございますが、そういうものを本当の素人にわかりやすくするといったようなことにつきましては、具体的にどういう方法をとって御理解を願うというふうに、具体的な措置というのはいま考えが及んでおらないわけでございますが、その原価監査あるいは価格調査といったようなものを、アメリカの国防総省の防衛契約監査局でございますか、そういうところとも共同いたしまして、あるいは当庁の職員をアメリカに派遣して、工場に行って伝票類を全部当たるというようなことを含めまして、いささかの疑惑もないようにしたいと、こう思っている次第でございます。
  161. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 細かい問題で恐縮なんですが、いま伺っていますと、それはもう具体的に物理的にぼくは不可能じゃないかという感じがするのですね。国内でもそうですね。原価の公表なんといっても、独禁法の上からいろいろといままで議論がされてきました。結局、独禁法の改正にそれが盛り込まれない。したがって、企業秘密というその一点をどこまでも貫く企業者側の立場というものもございましょう。そういったときに、本当に一体ただ一機七十七億とぽんと言われても、わかるのだろうか。それはもう大変精密な機械を据えつけるわけでありますから、また原材料の高騰ということもあるでしょうから、そういうような面でやはりわかりやすい原価調査、原価監査という、それはもちろん皆さん方がおやりになるときは専門的なお立場。   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 けれども、いまおっしゃったような工場にまで入り込んで具体的なんということを向こうが許すかどうかということも問題ですね。そういう場合には、やはりアメリカ政府を通じてチェックをすることが一番望ましい方法じゃないかと思うのですが、いまおっしゃったことについては、防衛庁対向こうのロッキード社の間における原価調査、原価監査ですね。しかし、いままでの例もこれあり、それを全面的に信用できるのかどうなのかという疑惑をわれわれは持つわけです。そうすると、一体どうなるのだろうか。また高い飛行機を買ったのじゃないか、国民の受け方はそうなんですね。そういった点についてやはり厳正を期する、それはもう当然でございます、おっしゃられるまでもなく。その辺のきちんとオーソライズされたその結論というものは、やっぱりアメリカ政府に求めるべきじゃないかという感じもするわけですが、その辺は並行的におやりになる、そういう構えですか。
  162. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 当防衛庁におきましても、原価監査、原価計算を専門にやっている部局があるわけでございまして、従来とも厳正に仕事を行ってきたところでございますが、アメリカの軍におきましても非常に厳正な監査を行っておるようでございまして、各軍にも、また国防総省にもそれ専門の部局があるわけでございまして、国防省当局もこういう日本国内におけるロッキードをめぐる問題にかんがみて十分原価監査その他については積極的に協力するという申し出もございまして、十分所期の目的を達し得る、また達しなければならないと、こう考えておる次第でございます。
  163. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 長官が訪米された際に、今回のP3Cの導入についてブラウン長官とも話し合いを持たれた、先ほどの御答弁のとおりでありますが、それに先立って、たしか先月の二十六日でございますか、国防会議の方に報告がなされた。その報告を受けて、そのときの国防会議の実際のやりとりといいますか、どういう経過であったのか。せっかくきょうは久保さんがおいでになっていらっしゃいますので、お知らせをいただきたいと思います。
  164. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 国防会議におきまする議論の具体的なことは申し上げないたてまえに実はなっておるわけですが、今回の場合には、例年によりまする明年度予算の中にある主要項目についての防衛庁側の説明でありますので、したがいまして、特に特定の問題について議論があったわけではございません。
  165. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 これは防衛庁からちょうだいした白書でございますが、これによりますと、「昭和四十七年十月九日四次防主要項目決定に先立ち国防会議議員懇談会」が持たれた。その際、「国防会議事務局に専門家の会議を設ける」ということが決められたようでありますね。そして翌年の八月十日に「国防会議事務局に「次期対潜機及び早期警戒機専門家会議」が設置された。」、こういうふうに述べられているわけでございます。その後何回となく会議が行われたようでありますが、そこで検討されたその結論といいますか、事務局長の方に答申として出されたものがここに要約されて出ているようであります。「将来の装備化の時点において、国内開発のものをもって充てるか、外国機をもって充てるかについて検討したが、現段階でそのいずれかを否とする決定的要素は見いだせなかった」、さらに、「一般的には、事情が許すならば、国産化を図ることが望ましいといえようが、現実の問題としては、更に一段階先の研究開発を含みとしつつ、当面、外国機の導入を図ることも止むを得ない」、こういう見解が付されている。  このように国防会議を中心としたいろいろな討議の段階におきましても、この内容からうかがい知る範囲におきましては、決して急げとも、また外国機に当面は依存すべきであるという非常に強い意見が出されたとも述べられていないのですね。まあ受け取りようによってはいろいろ含みがあるかもしれません。あるいはまたいろいろな背景というものを考慮なされてこういう文章になったのかもしれません。それはいずれにいたしましても、こういう経過の中で今回長官概算要求の中にそれを盛り込まれ、そしてあえてブラウン長官の前でもその経過説明された。最終的には恐らく国防会議によって決定されるのだろうと思うのですね、こういう重要事項につきましては。それは国防会議において決めることの方が先なのか、概算要求を出すことが先なのか、この辺は三原さんはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  166. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 運び方の順序といたしましては、まず防衛庁が先に決定をいたしまして、そしてそれは国防会議に諮るべき事項、主要項目に該当いたしますので、まず概算要求の態勢と、そして主要項目について国防会議報告をしておるわけでございます。しかし、これから先国防会議が最終的に報告に基づいてどう決定をなさるかということは今後にかかるというような経過になるわけでございます。
  167. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 主要項目となりますと、これは非常に重要課題だと私は思うのですね。それは国の将来にも大変大きな影響を与える。そういう関連をはらんでいるわけでありまして、それは防衛庁としての御方針はもちろんございましょう。いろんな点に立って、対潜機にいたしましてももう耐用年数が過ぎている、それについてはやはり性能度の非常に高いそれをもう早急に導入しなきゃならぬ、そういう観点に立っていろいろ選定をされたんだろうと思います。とりあえず、やはり五十三年にはその概算要求を盛り込んでおかなければ——この段階までは私はいいと思うんですね。しかし、そういう重要事項の決定ということが、もちろん防衛庁はそういう方針でいく、最終的決定はもちろん国防会議ということになるんでしょうが、その辺の決め方の優先順位というのでしょうか、やっぱり国の今後の方向というものは時の政権が一応おまとめになってその方向性というものをお決めになるとするならば、国防会議がやっぱりそこで決断を下した上で、それはやはり並行的に進めるというのが常識じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  168. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 国の防衛にかかわる基本的な問題について先に国防会議で審議し、閣議決定をして、それを予算の中に盛り込むというやり方も考えられないではありません。それは政治がお考え、お決めになることだと思うんです。しかし、現在の政府のやり方としましては、国防会議もしくは閣議で決定しようとしましても、一応全体の予算の総体がどうなるのか、その中の防衛費がどうなり、さらにその中で主要な装備をどう見るべきかという全体のいわば青写真が描きにくいのでありますから、大蔵大臣の方もなかなか御意見が言いにくいということであろうと思います。したがいまして、一応概算要求提出は八月末という期限もありますので、それはそれとして事務的に進めながら、片っ方で並行して国防会議で審議をするというのが適当であろうというのがいままでの政府のやり方であろうというふうに思います。
  169. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 国防会議報告がなされた。実際それを受けてこれから国防会議も開かれるでしょう。閣議に諮る段階にもなるでありましょう。恐らく報告がなされた段階においては、先ほどは話の内容については報告されないことになっているという御答弁でございますね。それはさておきまして、報告はされた。その報告を受けて事務局としてはこれからどういうその詰め方をおやりになるわけですか。
  170. 久保卓也

    説明員(久保卓也君) 現在は防衛予算全般について防衛庁と大蔵省と事務的な詰めを行っている段階であります。当然その中にP3Cも入っていると思います。  そこで事務局では、関係各省に参事官がおりますので、それを集めて審議をする、まず第一段階として審議をするわけでありますけれども、現在の大蔵の審議を見ながら、来月の初旬ぐらいから事務的な検討を始めてまいりたい。そしてこの検討の詰めのぐあいを見ながら国防会議に、何回が適当になるかわかりませんが、国防会議で御審議願って、最終的には予算の決まるしばらく前に最終的な御決定をいただくという段取りになろうかと思います。
  171. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 今回訪米された長官がいろんな方にお会いをされたようでありますが、今回の会談に先立ちまして、世上いろいろと伝えられております中で、ブラウン長官発言あるいはシュターツ会計検査院長ですか、の発言等が米国議会でなされているようであります。それを見ますと、日本の自主防衛強化ということを念頭に置いたそういう発言だろうと思います。特にこのP3C哨戒機を採用すれば米軍の負担が非常に軽くなるというような意味合いの発言もなされているようであります。そうしたことと、それからもう一つ全然別の次元でありますけれども、最近貿易収支の問題が非常に国際間に話題を提供しております。そういう関連から、日本としては陰に陽に相当アメリカから圧力が加わっているんじゃないか。そういうことで、このP3C、何とかこの機会に決めようじゃないか——あるいはうがった見方かもしれません。しかし、あながちそうしたことがないとも言えない。  それともう一つは、日米安保体制の中で多少でも米国側の負担能力というものを軽くしながら、日本にこれからできるだけ防衛負担能力というものを負わせようと。二百海里の問題あるいはソビエトの艦艇の増強または近海への出没等々、いろいろな客観条件がこの一、二年来急速な変化を遂げている、そういう背景も当然あるだろうと思うんです。そういう点に立って相当強硬にアメリカ側から要請されたんではあるまいか、という点についてはいかがでございましょうか。
  172. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、まず要請というか、圧力があったのではないかということでございますが、アメリカ等において、国防省なりあるいは議会等で日本に対しましての防衛力整備等に対する意見が流布されていることは承知をいたしておりまするけれども、今日まで何々をこうしてほしいとか、要請をするというようなことはいまだかつてございません。今回私も参りましたが、そういう要請というようなととは国防省におきましても議会におきましても、議会の方々にも会いましたが、ございません。その点は明確に申し上げておきます。あくまでも日本の防衛につきましては、自主的な立場で、私どもが、日本で進めていくという方針を確認し合っておるのでございます。  それから、アメリカが最近日米関係防衛費についての負担と申しまするか、アメリカのそうした防衛経費について負担というようなことで、何かそういうようなことを言わなかったかということでございまするが、この点につきましてもアメリカの議会、予算局等で出しておったことはいま御指摘のとおりでございますが、しかしこの点につきましては、私ども率直に日米安保条約の中の地位協定に明確にございますと。アメリカにおきましては地位協定が国会で十分な審議がなされずにきておることを承知をいたしておりますが、日本におきましては一条一句について審議をされた地位協定でございまするので、そうした地位協定等を踏まえて私どもは負担すべきものは負担をいたしますし、しかし、圧力があって、あるいは要請があったから、すぐそれにこたえるというようなことはできませんというようなことで意見を交換してまいっておるというのが現況でございます。
  173. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 限られた時間でございますので、十分詰めた議論ができませんでしたことが大変残念でありますが、最後にちょっと次元の違う御質問で大変恐縮なんですが、長官長官が台湾問題について触れられたことで大変衆議院の外務委員会などでも波紋を実は巻き起こしているわけです。その真意について最後にお尋ねをしたいと思うんであります。
  174. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいまお尋ねがございましたが、これは実は今回の私渡米について、ワシントンにおける日程が一応終わりまして、他地区の施設を視察に出るときでございましたが、三十分間、外国記者も含めた日本人記者会の方々と記者会見をいたしたのでございます。その際に、もう時間も切れる時点でございましたが、一人の記者の方から——後にその方が台湾の記者であったということがわかりましたけれども、記者の方からお尋ねがございました。お尋ねの内容は、バンス国務長官と会われたそうだが、どういう話であったかというようなこと、それから、その際に台湾問題は出なかったかというお尋ねがございました。そこで、私から台湾問題については一切話は出ませんでした、そういうことを申しました。ところが、続いてお尋ねになりましたのは、いま中国から台湾がとられそうな状況にあるが、これをどう思うかと言われたのでございます。しかし言葉が日本語で言われまして、どうもその日本語が「とられそう」というようなことでございまして、何かはっきりしなかったのでございまするが、とにかく私としては現職防衛庁長官でございますので、そういうお尋ねにお答えをすることはできませんと申しましたら、それはそうだろうと、そんならばあなた個人、意見を聞かしてくれと言われたのでございます。まあ、個人的な意見を申し上げることは慎まねばならぬことだと思いましたけれども、たってそういうお尋ねがございましたので、私といたしましては、この問題は平和的に慎重に処理されることを願いたいんだということを申し上げて終わりにいたしたのでございます。そういうことでございます。
  175. 渋谷邦彦

    渋谷邦彦君 終わります。
  176. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 防衛庁長官に伺いますが、ロッキード疑獄解明なくして対潜哨戒機PXL選定はないと、このことを前長官もあなたも本委員会でずっと言ってこられたわけでありますが、今年度の防衛庁の予算概算要求に当たって、問題の機種選定についてP3Cの導入をお決めになった。この選定に当たって国産化——これは長くわが国のこの問題の中で課題であった、これは白紙還元される、そしてもう一つ折衷案と申しますか、分離輸入案というのがあったことも天下周知のことでありますけれども、このプランも退けられて、結果的に見れば問題のロッキード社はついに目的を遂げた、こういう結果になっておるわけであります。長官のお言葉であれば国民感情というふうに言われますけれども、まさにロッキード疑獄解明をこれを基礎として政治をきれいにして、その上で白紙の点から考えていくという国民感情を逆なでにするものだ、これはもう大方の意見であるわけですが、なぜそんなに急ぐのか。先ほどの矢田部議員に対する御答弁聞いておりましても、年度末まで検討するというようなことも考えたが、どうにもこの予算段階では待っておれないので、まあいわば無理をして決めたんだと、こう言われておるわけでありますけれども、なぜそんなに急がなければならないのか。長官の述べられた一つの理由は、純防衛立場から、防衛庁長官としていわば国益を守る上でどうしてもこの概算要求に間に合わせなければならなかった、問題点があってもこれは後に延ばしてもそうしなければならなかったと、こう言われたように聞いておるのですけれども、そういうことですか。
  177. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、第一には、いま申されました第一項は、純防衛的な立場で、この日本の防衛力整備という立場検討してまいりまする際に、大きな一つの弱体が指摘されまするのは防空関係と対潜関係があるわけでございます。これは外国からほとんどの資源を輸入してまいります日本といたしましては、産業経済上どうしても海の安全を考えてまいらねばなりません。そういう立場で海上におきまする安全のため特に対潜関係について整備をせねばならぬというのは、過去十一年間の懸案として次期戦闘機はどういうものにするかということで取り組んでまいったわけでございます。現在時点で考えてまいりますると、ちょうど現在時点でどうしても整備に着手をしませんと、実は現在ございます対潜機の耐用命数が切れてまいります。そうした時点に空白を生じまするのに、それを補てんする処置ができなくなるというような事情もございます。なお、また現在御承知のように各国の潜水艦が原子力潜水艦等にもなってまいりましたし、非常にその能力が上昇してまいっておりまするので、それに対応することも考えねばなりませんので、そういう点で新しい機種を選ばねばならぬというような点等から考えまして、純防衛的にどうしても決定をせなければならない時期にやってまいったということでございます。しかし、今日まで言われておりまするように、国民理解と協力が大事だぞと、特に多くの予算を要しますプロジェクトでございまするから、そういう点で特にそれを考えていかねばならぬ。その点でロッキード事件というものが一つ国民の大きな関心を持たれて国会においても論議がこうして続けられておるときに、ロッキード事件がひとつ解明されるまで待つべきではないかとい御指摘の点は、私もその点については全く同感でございます。しかしながら、ロッキード事件の推移等見てまいりまして、実際にロッキード事件の中のトライスターが中心でございましたでしょうが……
  178. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大体わかりましたから結構ですよ。
  179. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) はい。その次に出てまいりました、そういう点につきまして私はやはり検討をし、それに対する詰めを対処をいたしまして最終的な判断をしてまいる、そういう点を解明することによって国民にこの点を逐一報告をし、また今後も努力を続けてまいって御理解を願いたいというような判断に立って私はP3Cの決定概算要求に引き出して盛り込んだということでございます。
  180. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ブラウン米国防長官が七月末に来日をされた、これを受けて、その際に五項目の要請が行われたということは防衛庁でも国民に対して明らかにされておるところである。それを受けて長官は訪米をされて、三原・ブラウン会談が行われ、そして九月十三日には記者にもその内容を現地で発表されておる。その第一項目が、これが対潜能力を強化するために日本でロッキード社製品のP3Cを購入するということであり、そのことがおよそ実る方向に来たということで、アメリカ側は高く評価したというような記事が伝えられておるわけですけれども、簡単な御答弁、イエスかノーかで結構ですけれども、そのとおりでありますか。
  181. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そういうことではございません。まず日本における五項目と言われましたが、それとても向こうから要請をしたということではございません。何か御意見等があれば率直に御意見を述べていただきたいということで、意見の交換でございまするので、その意見の交換の中にそういう意見があったということでございます。いままでアメリカと日本とのそうした防衛力整備等の問題等につきましてはアメリカが要請をしたりするようなことはございません。これはもうはっきり申し上げておきます。そういう点でございまするから、先般の五項目なり、今回アメリカにおけるブラウン長官との会談におきましても、こちらから現状を話し、あるいは来年度概算要求内容を話すということでございまして、向こうから具体的な要請を受けてやっておるというような日本の防衛力整備の体制ではございませんから、その点ははっきり申し上げておきます。
  182. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ややあいまいにされておりますけれども、向こうから、わが方からのこの懇談の中でそれらの問題が出されたということはいま長官も言われておるところであり、これはもはや天下周知のことでありますが、長官も言われるように、一方で国民理解と協力を得る、そういう状況では不十分なままながら、防衛庁責任と国防上の要請から不十分ではあっても現在踏み切らざるを得ないということで、あなたの言葉で言えば国益上、二者を比較計量をして一方を犠牲にして進んで、年末までも待てないというのでことしの予算に乗せようと、いわば強行するという方向を選ばれたわけでありますが、あわせて国民理解と協力を得るという上では、従来言われた解明の上で選定という順序を逆転させて、選定が終わった段階で今後引き続き国民理解を得るというふうに問題をすりかえ、言いかえておられるわけであります。これは重要ないわば公約違反、国益の名のもとにこの国民に対する約束を破っておることになるというのは明らかでありますけれども、その際に一つの引き金と申しますか、スプリングボード、踏み台としてこのたびのロッキード社に対する誓約書、またあわせてロッキード社とそして児玉の上に結ばれたいまでは悪名高い契約書、またこれのダミーであるロッキードブラウンリー社の間の契約を破棄をした、終結させた、このことをもって今後の保証というふうに言われておるわけでありますが、あわせてこれがもし誓約書を破って、今後とも従来のような問題が明らかになる、暴露されるというのが一つですね。違約の事実が今後発生するというのが一つ。もう一つは、いま進行中の公判、その他の状況の中で防衛庁がP3Cの選定経過において疑惑のかかわりが表に出たときには、これは白紙に還元するというふうに説明をされておるように聞くんですけれども、その点は間違いありませんか。簡潔に答えてくださいね、すでに答弁済みの問題ですから。
  183. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 誓約書におきまして新たな疑惑を生むような事実が出たような場合には、あるいはその誓約書内容に違反したといったような場合には、この契約を破棄するとか、あるいはその行為に使用しましたる金品を防衛庁に没収すると申しますか、徴収するということになっておるわけでございます。
  184. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 契約を破棄するわけだから、今回の概算要求にも提出をされ、今後四十五機と、さらには九十機というふうに製品を持ってくるのは、これは途中でやめになると、こういうふうに聞いていいわけですか。
  185. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 誓約書によればそうでございます。
  186. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 国民が求めておるのは、そういうことが起こらないようにする基礎は、やっぱり過去にもうほとんど周知になっておるこの疑惑というものの具体的な姿を丹念に国民の目の前に明らかにした上で今後問題を処理をするからこの保証があるのであって、いまからということになればそれは非常に問題なんですが、特に問題があれば破棄をするということになりますと、一体国防上の要請とか、先ほど長官が声を大にして言われたこの日本の国益の問題は一体どうなるのか。実際上公判の進行によっていま隠れておる問題が明らかになったと、あるいはロ社との間に今度の誓約書違反の事実が出てきたということになれば、今度は国益を犠牲にして白紙還元をする、論理上から考えても矛盾があるのであって、問題があれば国益を犠牲にして破棄しなければならぬような状況というのは空文に等しい。実際上、口先ではあれこれ言うけれども、問題が危なくなればいわば防衛庁も一緒になって問題を隠し込んで、そして国益と称する立場で今後引き続いてこのプロジェクトを進める、こういう姿勢以外には国民の目の前に映らないのはこれは当然なことであります。まあ、年度を追って行われることですから、概算要求を提示されたことは最終ではありませんけれども国民立場として防衛庁でも再検討されるべきであり、何としてもこのままで進行することは許されないことだという意見を申し上げまして次の質問に移るわけであります。  P3Cに関して児玉に今後二十五億円渡らない、これが一つの保証だというのがこの契約書破棄のポイントになっておりますし、先ほど矢田部議員に対する答弁の中では、防衛庁としては、いままでもまたP3Cに関してロッキード社からお金が流れた、資金が流れた——P3Cに関する資金の流れというものはなかったんだと、こういうたてまえで今回の選定に踏み切っておられるわけでありますが、ここで法務省にお伺いするわけであります。  四十八年の七月二十七日、ロッキード社児玉の間でP3Cについての修正四号契約というのがありますが、このとき以降、児玉との関係ブラウンリー社との関係でこのロッキード社から支払われたコンサルタント料というのは一体合計幾らになっておりますか。
  187. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) とっさに計算ができませんが、毎年五千六百万円ずつ払われておるんじゃないかと思います。
  188. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 四十八年八月十一日以降、契約更新も含めて四十九年、五十年、五十一年——五十一年分は日付がはっきりいたしませんが、ブラウンリー社がこの点は取り扱っておる。合計いたしますといままで出された資料では一億九千万円ということになっておるわけであります。この一億九千万円という金はP3Cの日本売り込みのために支払われた金ではないのか。それは、当時の売り込み問題のむしろ中心になっておったのはP3C問題であったのではないか。法務省にお伺いをするわけですが、コンサルタントの職務というのは、基本契約の三条に書かれておるように、ロ社の製品販売への努力、援助、アドバイス、相談、情報の提供と、こういうことでありますが、冒陳にもある五十年夏に児玉ロッキード社に行った情報の提供、当然このコンサルタントの職務に基づいて行われたもの、P3C売り込みのための情報提供であり、それに関して支払われておる謝礼、すべてがすべてP3Cとは言いませんけれども、この一億九千万円の半々で見ても半分はロ社資金がP3C売り込みのために児玉のところへ流れて、日本の中で落ちたんだ、こういう掌握は当然じゃないでしょうか、いかがですか。
  189. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 基本契約についてはただいま御指摘のとおりでございます。また、毎年コンサルタント料が払われていることも御指摘のとおりでございます。その関係について、基本契約の条項の履行のために行われたのかどうか、その辺は詰めておりません。
  190. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 当時売り込もうとしておったこのロ社販売というのは、一つはそのときにすでに前進をしておったトライスターと、もう一つはP3Cである。これは間違いありませんね。
  191. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) そのほか冒頭陳述にも出ていますように、大韓航空への売り込みとか、韓国政府への売り込み、これらを全部含めてのことだと思います。
  192. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 P3Cは含まれていますね。
  193. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 含まれております。
  194. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 P3Cについては、ロ社から今日までに日本に資金を流したこともないし、今後も流さないというのは、この契約書と、その後検察庁でもって小佐野あるいは児玉について起訴を行って、冒頭陳述を行っておりますけれども、その内容に従っても明らかである。したがいまして、防衛庁が、二十五億の成功報酬が、これが今後児玉の手に渡らなければ一切問題ないような態度をとっておりますけれども、すでに行われた行為に対する解明こそがこの問題解明の中心になるわけであります。つけ加えて言えば、コンサルタント料の受領については、児玉の方でも、全体、多くの事実を否認しておる児玉も認めておるほど動かしがたいものであります。したがって防衛庁では、この問題の決着、これは問題解明も今後も続けていくつもりであるのか、一切ないでほおかぶりをしていくのか、その点について長官答弁をいただきたい。
  195. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  ロッキード社誓約書に触れておりますところで、及びその他の書類、児玉関係契約書の写し、その他を総合しておおむね当庁の意図しておるところは満たされておると、こう考えておる次第でございますが、なお一層の厳密さを期するために、そういう努力は今後とも続けていく所存でございます。
  196. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 防衛庁自身としても、P3C売り込みについての児玉の、特に防衛庁にかかわる具体的な工作内容等調査を継続するという本会の答弁でありますから承っておきます。  続いて法務省に具体的にお伺いをするわけであります。  小佐野冒頭陳述関連いたします小佐野関係の検察冒陳では、小佐野はそのころ児玉とP3Cについて種々話し合い、コーチャンに対して、児玉ロッキード社との間に暫定的に取り決めておる追加報酬を増額すべきであると小佐野コーチャンに勧告をしたと、まあ関係の深さを物語っておると思うんですが、そういうことが記述されてある。そしてコーチャンがそれを実行したのが、これが修正四号契約であると、こう書かれておるのです。この文面から察すると、修正四号契約以前にも、先ほどの金額について、一億九千万円、修正四号以降上げて出てきておる金ですけれども、その以前にもP3Cについて児玉ロッキード社との間に暫定的取り決めがあったというふうに読み取るわけですけれども、そういうことですか。
  197. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) ただいま御指摘のような推測が可能であろうと思います。ただ、確たる証拠というようなものがあるかどうかは別でございますが。
  198. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ひとつ現在時点でわかっておる暫定取り決めの時期、内容、こういったふうなものをひとつ当委員会提出をしてもらいたいと思うわけであります。当委員会はP3C問題を一貫して追及をしたわけでありますし、常識的に考えても、修正契約以前のP3Cについての児玉動き、これらとの関係で非常に重要な問題であり、この資料提出されても公判維持に影響があるとは思えないわけでありますが、どうでしょうか。
  199. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 検察として証拠によって証明できることは冒頭陳述書に書いたとおりでございます。ただいま御要望のありました資料はございません。ただ将来、公判の過程におきまして、コーチャンの証言等が公判廷へ顕出されるようになりますと、先ほどお尋ねの推測にやや根拠を与えるようなものが出てくるかもしれませんが、いまの段階では何も申し上げる材料はございません。
  200. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 続いて法務省にお伺いをするわけであります。  法務省は、児玉小佐野のP3Cの関連動きについて、すでに内閣委員会等でわが党の山中委員の質問に答えても、特に児玉の情報活動について、児玉譽士夫が分離輸入の問題について、これを粉砕しなければロ社に有利な状況が生まれないという助言をしておる問題について、すでにこのことは冒陳に書かれておるわけですが、これを、この情報をどこから入手したか、どのような方法で入手したかということをいまから調べ上げていくというふうに答弁をされておるわけですが、それは確認してよろしいですね。
  201. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 山中委員の御質問に答えたのは私ではないと思います。しかしながら、記憶をたどってみますと、どの委員会でございましたか、私自身お尋ねをいただきましてお答えをしたことがございます。それはこういうことでございます。  児玉が分離輸入云々の問題について助言をしたと、これはだれかからそういう情報を得て聞いたんではないかと、こういう御質問に対して、私がお答えしました趣旨は、児玉が夢に見てそういうことを考え出すわけもなかろうからどっかからそういう情報を得て流したものでございましょうと、その経緯につきましてはいずれ公判で明らかになるでございましょう、かようにお答えしたつもりでおります。
  202. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 夢に見て助言をするというようなことは当然考えられないことで、分離輸入か国産か、それとも完成製品の輸入かというようなことを討議し、決める場所は一体どこなんですか。防衛庁以外にあるんでしょうか。いかがですか、防衛庁長官
  203. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 先ほど来長官からもお答えいたしましたように、この次期対潜哨戒機につきましては、昭和四十三年ごろから防衛庁では勉強いたしております。で、どういう飛行機についてどのような調査をし、検討をしておるかということは、別に隠す必要もないわけでございまして、昭和五十年の八月ごろ、この分離して開発するというようなことも検討しているということは、私どもの事務的な段階検討をしておりましたけれども、別によそに対してそれを隠していたというわけではございません。したがいまして、多分その業界紙等にはそういった事務的な検討状況というようなのは出ておったんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  204. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ分離輸入かあるいは国産か完成製品かという問題は終始一貫一つの目玉になる問題であり、それらの力関係について助言をするのがコンサルタントの役割りであるとなっておるわけですから、その常識論、一般論ではこれは助言は成立をしない、勧告は成立をしないわけであります。まさにいま言われたように、八月ごろ分離が検討されておった。この冒頭陳述においては、昭和五十年夏ごろ、クラッターに対して福田を通じて、「分離して輸入すれば足りるとする動き」ですからね、この動きというのは防衛庁内の動きであります。この動きに備えて、米国防省とともに合作をして、この動きの実ることを封じるように働けという勧告をしておりますし、結果においては、米国務省の決定は、分離輸出を認めないというふうに動くのでありますから、非常に有効なタイムリーな勧告をしておるわけであります。こういったふうな情報を、これをどこから入手をして、どういう方法で入手をしたかというのが、これを明らかにするのが検察庁の仕事と、こうなっておるわけでございますから、当然防衛庁では、それらの問題をみずからも検討するし、そして検察の検討結果をも待って——ずばり機種決定自身について、児玉動きが検察で解明中であるのに、これを無視をして選定を急ぐというのは許されないことだと思うんです。これがもし明らかになって、関係防衛庁に及んだときは、理論的にはこの導入をやめるということになりますけれども、そういうことでしょうね。
  205. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど申し上げたとおりでございます。契約廃棄まで及ぶということでございます。
  206. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 はい、それで結構です。  このニュースソースについて、本委員会もこれを解明をする責任を負っておるわけであります。これは検察庁のところに任して便々と待っておるというわけにはいかぬ。ここで防衛庁に聞くわけですが、これに非常にかかわりが深いと思われる五十年の五月、六月、八月にかけて第二次海外調査を行って、その報告者が八月三十日にまとめられた報告書というものがあるはずだ。この内容があらかじめやっぱり児玉に察知をされて、事前に伝えられたと推理するのがこれは物の筋道というものだと思いますし、その点ひとつこの報告書資料を私どもの方にいただきたいと考えたのですけれども防衛庁は出さぬのですね。第二次海外調査報告書について、これは報告書はマル秘になっておって、提出することはできない、こういうことなんですけれども委員長、これについては理事会で諮って、ひとつこの委員会検討資料として提出することを求めたいと思うわけであります。
  207. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 後刻理事会で協議します。
  208. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 防衛庁は分離輸入の案については秘密ではなかったと、こういうふうに業界紙などに出ておったとか言いますけれども、そのことと関係深い、ずばりそのときの状況にタイムリーに合っておるこの報告書提出しないというような問題についても、私は非常に強く不明朗なものを感じるわけであります。  最後にお伺いをするわけでありますが、法務省に聞くわけであります。重ねてお伺いをしますが、この情報がどのルートを通って児玉の手によってロッキード社に流されたにしろ、最初の情報源が防衛庁にある以外にはこれは論理的にあり得ないと思うわけですけれども、一体どうなんでしょうね。
  209. 伊藤榮樹

    説明員伊藤榮樹君) 重ね重ねお尋ねでございますので、一言だけ申し上げますが、児玉の直接の情報源が防衛庁関係者であるというふうには聞いておりません。
  210. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ直接のというふうに表現をされておりますので、直接には聞いていないのですから、他の第三者を介して渡ったというふうにも見られるわけであります。とにかくいずれにしても防衛庁の機種選定をめぐって児玉がやみの中で活躍をして、そこでこの修正契約以降でも一億九千万円の謝礼金が渡された、こういうことは確実である。しかもこの謝礼金の性質、報酬の性質は、同時に工作費であるということが基本契約によって明らかになっておるわけであります。これは法務省の方にお伺いをするわけですけれども、このコンサルタントの基本契約書には「必要経費」という条項がございまして、コンサルタントは独立の契約者であるから、ロッキード社の社員や代理店ではなくて、そういうことを人前で唱えてはならないと、こう挙げた上で、必要経費は、旅費、生計費、供応費、これらのものは一切自弁でやれと、こうなっておるわけですね。したがって、この供応——買収も含むでしょうけれども、まあ飲ませる、食わせる、供応する、さまざまな秘密工作を行うという、こういう工作費を含めてこの報酬というのは成立をしておる。したがって、大きな取引をしていく上ですから、五千万円であるとか、こういう大きな金額が上がっておるわけであります。これが長期にわたって支払われ、そうしてもともとは国産化の方向を持っておった防衛庁の対潜哨戒機の選定について、結果においては、あれこれ曲折を経たけれどもロッキード社がこれが目的を達し、その間ではさまざまな局面で児玉の活躍は有効に作用をしたと見る以外にはないわけであります。防衛庁長官に特にお伺いをしますけれども、この点を確認をしておられますかどうですか。この供応費を含む活動費が流された、この点についていままでお調べになったことがあるわけですか、どうなんですか。
  211. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そうした一個人の供応費などについて私は調査の必要を感じておりません。先ほど来お話を聞いておりますと、いかにも防衛庁との短絡が児玉との関係にあるというようなことでございまするが、私が現在庁内において承知をいたしております範囲において、絶対に防衛庁内にそうしたことはございませんので、ここではっきり申し上げておきたいと思います。
  212. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 終わります。
  213. 三治重信

    ○三治重信君 P3Cの関連の質問に当たりまして防衛庁がこの資料、衆議院の方へ提供されました誓約書関係についてまず最初にお伺いいたしますが、児玉のコンサルタント契約で防衛庁としては被害者の一人だろうと思うのですが、今度P3Cの購入に防衛庁として踏み切られた、その前提作業としてロッキード社から誓約書を取られて、その誓約書もこれ防衛庁がこのP3Cを不正をなくするためにこういうふうに取られたと思うのですが、これによって、従来のアメリカからの航空機や武器の購入に対してどういうところの不正に対する防波堤といいますか特徴が今度この誓約書によって意図され、また出現する可能性があるのか、ひとつお答え願いたい。
  214. 間淵直三

    説明員間淵直三君) お答えいたします。  この誓約書によりまして、まずロッキード社が日本に対するP3Cの販売に関しまして不当な影響力を及ぼすとかなんとかというようなことは従来もやっておりませんし、これからもやらないという誓約でございまして、これに違反するといったような場合、あるいはほかにも誓約条項があるわけでございまして、価格調査、原価監査にも協力するとか、あるいはそういう不当な支払いというようなものを行った場合には契約の解除、あるいは当該金品を防衛庁に徴収されても構わぬといった条項があるわけでございまして、こういうものを確実にするために本当の契約面にもこれを具体的に反映していくという点を、法律その他の点を十分詰めまして、これを実際に反映させるというふうに進めていきたいと思っております。
  215. 三治重信

    ○三治重信君 そこでひとつ二点お伺いしますが、この誓約書の中のいわゆるアメリカ合衆国の政府に提供される原価とか——アメリカの国防省が主だろうと思うのですが、そういうものと同じ資料アメリカ政府が購入するときに使う原価計算、価格調査というものと同じ資料が入るということですか。  それから、貿易で輸入するわけですから、その代理店というものはこれまた日本で新しく貿易商社を通じて輸入する、こういうこと、この点には誓約書の中にも代理店の手数料なんかもわかるように誓約書が入っていますね。だから購入の価格についてはアメリカの国防省に提出される資料と同じような原価計算、そういうものの価格であり、そうして輸入する場合には代理店を使って輸入する、こういうことと理解していいわけですか。
  216. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 第一点につきましては、アメリカの国防省に提出されると同様な原価調査書その他を提出するということでございます。  それから第二点につきましては、先生指摘のようと解釈して差し支えないと思います。
  217. 三治重信

    ○三治重信君 それで防衛庁が今度五十三年度にこのP3Cを購入する予算要求をする、こう決定防衛庁として決定をされ、それについて「次期対潜機選定について」と、こういう文書ができているのですが、これに関連してお伺いしたいと思うんですが、まず第一に、この資料によりますと、いまの海上自衛隊による対潜哨戒機では、原子力型の潜水艦については十分の対応ができない、有効に対応できなくなりつつある、こう書いてあるんですが、在来型の潜水艦と原子力型の潜水艦とで、この対潜哨戒機の機能を素人わかりのするように、どういう差によってそれだけが違うか、わかりやすく説明してほしいと思います。
  218. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 先ほどの代理店に関します先生の御質問に対してちょっと舌足らずの点がありましたので、説明さしていただきます。  防衛庁が直接買う場合には代理店を通しません。それからライセンスメーカーになるものは、いまのところは決まっておりませんし、そのライセンスメーカーが決まった場合、その部品を輸入するというような場合にはあるいはその商社等を通じて代理店を使うということになるかもしれないわけでございますが、そういう場合にはその代理店の契約の写し、それから代理店手数料の合理性を証する書類を私どもの方へ提出させるということになっているわけでございます。
  219. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 原子力潜水艦と在来型潜水艦との違いという点で、これは特徴的に言いますと二つの大きなポイントがあると思います。一つは、在来型の潜水艦というのは、水上におきましてはディーゼルで走っているわけでございますが、水中におきましては蓄電池で走るわけでございます。したがいまして、極端なことを言いますと、非常にスピードを水中で出す場合、たとえばトップスピードの二十ノット近くで走るような場合には、一時間程度走れば浮いて蓄電をしなければならないという問題があります。したがいまして、一つの特徴といたしましては、長く潜航できないという点でございます。それからもう一つの点は、いま申しましたように、二十ノット近くのスピードが出ますけれども、それを出しますと直ちに上がらなければなりませんので、水中で行動する場合には比較的低速で動くということでございますが、原子力潜水艦は現時点におきましても水中におきまして三十ノット以上の速力で走ることが、常続的に走ることができるわけでございます。したがいまして、この二つの点を総合いたしますと、水面に全然あらわれることなく、しかも長時間スピードをもって走ることができるということで、在来型の潜水艦に比べまして、本当の意味の潜水艦といいますかもぐってばかりいる能力を持っている潜水艦、これが原子力潜水艦の特徴だというふうに考えております。
  220. 三治重信

    ○三治重信君 その第一点のやつでちょっとまた補足説明があったから申し上げますが、そうすると防衛庁が直接購入するということもあると理解していいわけですか。ロッキード社から直接防衛庁が買う、こういうふうに理解していいというふうに解釈していいですか。
  221. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 完成機につきましてはFMS、アメリカの政府を通ずるのが大体の例でございますが、場合によりましては直接買うケースもあり得るということでございます。
  222. 三治重信

    ○三治重信君 いまの潜水艦の、ただその説明では走る速度とそれから海底で泳ぐときの速力の違いだけであって、それは現実に飛行機は空を飛んでそれをつかまえるわけなんだから、走っているやつばかりでなくて、むしろ対潜哨戒機の主な任務というのはどこに何隻そういういろいろの海の情報をとるために、敵にわからないように潜水艦を配置をしているかと、じっとして配置しているかと、こういうものの方が——むしろ対潜哨戒機で実際の情報活動として必要なのはそちらの方だとぼくは常識上考えているのですが、違うのですか。
  223. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) じっととまっているのを探すというのも一つの任務でございますが、通常潜水艦というものは、海上交通を破壊する脅威と見られております。したがいまして、その海上を通航しております船舶に対する攻撃をかけてくるわけでございますので、そのもぐっている潜水艦をまず探知し、そしてそれが敵性のものであるということを識別し、そしてこれを捕捉し——捕捉するというのは位置を確定しておいて攻撃するということになるわけでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたような内容も当然入るわけでございますが、それを探知する方法といたしまして、水中におきましては電波を使って探知するというのはきわめて困難でございまして、現在の技術におきましては音によってこれを捜索し、捕捉し、攻撃する以外に方法がないわけでございます。私が先ほど特徴として二つ申し上げましたのは、第一点の点は水上に顔を出すといいますか、潜望鏡なりあるいはシュノーケルを出しますと、これはレーダーでつかまえることができるわけでございます。したがいまして電波を使うことができますので、かなり広範囲にわたって捜索することができるわけでございまして、私どもが初期に計算いたしましたのは、少なくとも六時間、すなわち一日に四回ぐらいはシュノーケルを出さなきゃならないだろう、それに合うような形で広い区域を捜索する、電波によって捜索することによってシュノーケルを出しにくくなる、したがって行動がしにくくなるというようなこともやったわけでございますが、原子力潜水艦におきましてはそういうことがきわめて不可能になったということでございます。
  224. 三治重信

    ○三治重信君 それで、この一般の在来型の潜水艦より原子力の潜水艦の割合が逐次増大しつつあるというのですが、現在の日本を取り巻く近海に出没する原子力潜水艦、これは国別に——日本はまあ非核原則で防衛庁は原子力潜水艦を持たれぬし、また持とうとされないと思うのですが、アメリカその他、日本近海にどういう国の所有する原子力潜水艦が何隻ぐらい、どれぐらい、現在そういうふうにいろいろ活動しているか、それ一遍教えていただきたいと思うんです。
  225. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 潜水艦の勢力で圧倒的に多いのは、やはりソ連とアメリカでございます。原子力潜水艦も多いわけでございますが、極東のソ連軍は、現在潜水艦の総数が百二十五隻でございます。そのうち四十五隻が原子力潜水艦でございます。それから極東の米軍は、潜水艦といたしましては五隻程度をこちらに配備しているようでございますが、そのうちの三隻が原子力潜水艦でございます。なお潜水艦といたしましては、そのほかに中国はかなり持っておりまして、現在六十四隻の潜水艦を持っておりますが、原子力潜水艦はそのうちの一隻でございます。なおまた北朝鮮が十三隻あるいは台湾が五隻等持っているわけでございますが、これはいずれも在来型の潜水艦でございまして、お隣の韓国には潜水艦がございません。
  226. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、今後この日本の対潜哨戒機、この初めに書いてある「海上交通の安全を維持する努力」、こういうことからいくと、原子力潜水艦というのがこのソ連、中国を先頭として、近い将来、北朝鮮、韓国その他ベトナムとか、そういうのが——このP3Cを整備されていこうとするこの計画の中に、そういう予想の潜水艦数、またはそれが言えなければ、国がまだどれぐらいふえると、具体的にどういう国なら原子力潜水艦を持って、この日本近海の、いわゆる日本の海上交通の安全にとって必要とする情報をつかまなければならないと、こういうふうに考えておられるんですか。
  227. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) 原子力潜水艦のシェアといいますか、割合が非常にふえてきておりますのがソ連でございます。中国は先ほども申し上げましたようにやっと一隻持ったということでございますが、やはりこれも原子力潜水艦はふえるだろうと思います。しかし、私ども判断といたしましては、そのほかの国が近い将来原子力潜水艦を持つだろうというふうには考えておりません。しかしながら、御承知のように、自由主義諸国というものはヨーロッパあるいはアメリカ、日本を含めまして海によって結ばれているわけでございます。で、日本のように周りが海に囲まれている国はどうしても海路いろいろなものを輸入したりなんかしなければなりませんので、日本の周辺におきます海上交通に対します脅威といいますと、どうしてもこの潜水艦ということになるわけでございますので、この在来型のものだけではなく、非常にふえつつある原子力潜水艦に対処できる能力を持たなければならないというふうに考えているわけでございます。
  228. 三治重信

    ○三治重信君 最後に一つ。  この中にもう一つ、豊富な対潜データをP3Cを使うことによって利用できると。これは恐らく原子力潜水艦の対潜データだ、こう解釈できると思うんですが、こういうのは「米海軍の有する」と、こういうふうに簡単に書いてあるんですが、そういう秘密の資料というものはこのP3Cを輸入すると得られるように約束があるのか。それが一つと、それからP3Cをいま四十五機購入されるこの計画の中でライセンス生産も入る、こういうことなんですが、今度の四十五機の計画の中では昭和何年からライセンス生産をやるように計画されておるか。
  229. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) P3Cといいますか、ソフトウエアの面でのリリースの問題でございますが、原子力潜水艦というのは先ほど申し上げましたように水中で非常に速く動きます。したがいまして、その音を聞きましてこれがどういう潜水艦であるということと同時に、どういう方向に進んで行くか、その行動も予測しなければならないわけでございます。そのために必要なソフトウェアにつきましてはでき得る限りリリースするということは、この前大臣のお供をしてアメリカに参りましたときに関係者にも話してまいりまして、米側もできる限りの協力をするということでございました。これはいわゆるその運用の問題でございますので、今後さらに専門家の間で詰めることになろうかと思いますけれども、現在米側が運用しておりますP3Cが持っておりますデータというものは、現にその積んでおります機器にいろんなものを覚え込ませておりますが、そういったものにつきましてできる限り私どもの方にリリースしてくれるという意向を聞いてまいったわけでございます。
  230. 間淵直三

    説明員間淵直三君) 私どもの内定しております十機につきましては、最初の三機が完成機、次の六機がコンプリート・ノック・ダウンと申しまして、備品すべてを輸入して行う、その次の一機というのが本当のライセンス生産でございますが、このコンプリート・ノック・ダウン分も五十六年度から配備される予定になっております。
  231. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 以上をもちまして本日の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会