○
内閣総理大臣(
福田赳夫君) 各般の問題につきまして、
お答え申し上げます。
まず、
安井さんは、今度の
参議院議員選挙の結果をどうとらえておるかと、こういう私の
認識についてお尋ねでございます。
安井さんのお気に召すような
お答えをすることはできませんが、今度の
参議院選挙の
国民の
審判、これはやはり私は、
自由民主党を
中心とする政局の安定を
国民が
期待した、かように
考えておるのであります。(
拍手)
私は、
選挙中も精力的に
全国を駆けめぐった、そして、
全国国民がどういうことを
考えているかということをこのはだに感じてきたわけでございますが、やはり
国民は、いわゆる
保革逆転だとか
連合政権論争だとか、いろいろある、そういうことについて非常な不安を感じたのじゃないかと思うのです。さあ、
連合政権になったらどうなるのだろう、あるいは
保革が
逆転したら一体この
日本の
政治、
日本の
社会はどうなるのだろう、非常に深刻な不安を抱いてこの
選挙に臨んだのではあるまいか。しかし、その結果があのような投票の実績となってあらわれてきた、私はかように
考えておるのであります。(
拍手)
さて、そういう政局安定という上に立って、政策的に
一体国民は何を
期待したか、こういうことになりますと、私は、やはり暮らし、また仕事、つまり
経済を早く安定してもらいたい、これが
国民の声であった、願いであった、
願望であった、かように
考えておるのであります。
私は、そういう
認識に立ちまして、この
選挙の結果を踏まえ、熱心に
国民の
願望にこたえていく、これが私の
責任であり、使命であると、かように
考えております。(
拍手)
それにいたしましても、
保革伯仲であるということは、これはもう
現実であります。
伯仲下の
国会にどういうふうに対処するかという
お話でございますが、私は、もう
伯仲であろうがなかろうが前から言っているのです、「
協調と
連帯」でこの
国会は
運営されなければならない、そういうふうなことでございます。しかし、
国民が
自由民主党・
政府に
期待するところは非常に大きい。「
協調と
連帯」——なるべく皆さんの
お話は承ってまいります。できるものはどんどんと取り入れてまいります。しかし、
責任は
政府・
自由民主党がこれを持つ、しっかり承る、さように
考えておるので、その点はひとつ篤と御理解のほどをお願い申し上げます。
安井さんは、私が
国民の
願望は
経済の問題にある、こういうふうにとらえたと同じようにおとらえになったのであろうと、こういうふうに思うのですが、
経済の諸問題につきましていろいろ
お話がいまありました。
確かに、いま
世界は非常に
経済的な
混乱時代でありまして、この
経済の
運営はなかなかむずかしい問題であります。しかし、三年半前にあの
石油ショックが起きた。あの
石油ショックによる
打撃というものは、
石油に依存すること最も大きいわが
日本への
打撃が
世界の中で一番大きかったのです。申すまでもございませんけれども、
物価は
狂乱状態になる、
国際収支は一年間で百三十億ドルの大
赤字を露呈する、また、
経済成長は戦後初めて
マイナス成長というようになる。大変なことだ。しかし、三年たちまして
昭和五十一年度になりますとどうであったかといいますれば、あの
狂乱というような
物価状態はもう本当に鎮静してきております。また、
国際収支は、
世界各国から
黒字日本の
責任ということを問われるような
状態まで来ておるわけであります。
経済成長はどうかというと、
先進諸国の中で最も高い五・六%の
成長をなし遂げるというところまで来ておるわけであります。
そういう
状態でありまするけれども、何せあの
石油ショックの
打撃というものは非常に深刻であります。その
後遺症というものがまだ残っておる。その
後遺症の最大の問題がこの今日の
不況であり、また
物価水準の高さである、このように私は受けとめておるのであります。また、
国民も、この問題につきまして
政府が確固たる
対策をとることを
期待しておる、私はその
期待にこたえなければならぬというふうに
考えておりまして、とにかく着実に必要なその手その手を打ってきておるわけでありまして、
昭和五十二年度
予算におきまして
公共事業費を大幅に盛り込んだ、しかも、これが
早期発注に努力をした、これもそのためであります。また、公定歩合を西独と並んで
世界最低の水準まで引き下げた、
企業への金利負担の軽減を図ろうとしている、それもそのためでございます。
私は、そういういろいろな手を打っておる、その結果が八月ごろには顕著に出てくるのではあるまいかという展望を持っておるのであります。つまり、
公共事業は六月までにはその半額を投入いたしたわけでございます。契約を了したわけであります。しかし、これは契約をしたからといって、すぐ
効果が出てくるわけじゃありませんよ。まあ、二、三カ月のずれがある。私は、八月ごろにはこの
公共投資の影響というものが出てくる。そこで、この八月の
経済の動きをじっとよくにらんでみたいと思うのです。そして、今日の
日本の
経済というものがどういう
段階にあるか、また、その結果どういう手段を必要とするかというようなことを検討いたしまして、
国会に御審議をお願いしなければならぬ問題がありますれば、
早期に
国会をお開き願って、御審議を賜るというようにいたしたい。しかし、それまでといえども、
政府ができることは幾らでもあるのです。その必要な手は着実にこれを打ち続けるという
考えでございます。
そういう中で、
安井さんは、いま
補正予算をどうする、提出するか、その規模をどうするかというような
お話でございまするけれども、
補正予算の提出が必要であるかどうか、さらに財政、金融措置はどういう形のものが必要であるか、それらの点全体を八月末の時点において判断をいたしてみたい、かように
考えておる次第でございます。
投資減税についての御
意見もありましたけれども、
投資減税というのは、
景気刺激には若干影響はあると思うのです。しかし、金がかかります。その同じ金を使うならば、他に
景気対策として有効な手段がないかということになりますと、その辺若干の問題があろうかと思うのでありまして、私はなお慎重に検討してみたい、かように
考えております。
また、
景気対策のために
生活関連
中心の
公共事業を推進せよ、
国民消費需要を
拡大せよという
お話でございますが、
考え方としては私は全然同じでございます。いろいろ工夫をしてみたい、かように
考えております。
また、構造
不況対策、産業間の格差是正、こういうようなことを
考えてみろという
お話でございますが、これは言われるまでもない、
国会に御審議をお願いしないでもできることが多いんです。個々の構造
不況、そういう問題につきましては、いま鋭意その
対策を進めておるというふうに御理解を願います。
さらに、
消費者物価につきまして、本年度中七%の目標を達成できるかという
お話でございまするけれども、私はこれはもう相当自信を持って申し上げることができると思うのです。これは
実現をいたしたいし、また
実現をできる、このように
考えておる次第でございます。
消費者物価と関連をいたしまして、
為替差益を
消費者に還元せよという
お話でございますが、これはもうすでに、西ドイツと並びましてわが国の卸売
物価はいまや本当に
世界最低の水準の
上昇率となっておるのであります。また、端的に申し上げますと、ほとんど横ばいというくらいな
状態まで来ておるわけでありまして、これは
石油を初め、
為替差益、この
関係から大きく影響されておる、こういうふうに見ておるのでありますが、その卸売
物価の安定が
消費者物価へまた、半年、そういう間を置いてはね返ってくる、
消費者物価にも非常に
為替差益、
円高の問題はいい影響を持ってくるであろう、こういうふうに
考えておりまするし、さらに個々の輸入物資につきまして、
消費者価格の動向がどうなっておるか、これをよく
調査をいたしまして、できるものがありましたならばその価格の調整をいたしたい、かように
考えておる次第でございます。
また、
中小企業、これはいま今日、とにかく三年半続きの
不況でございます。でありまするから、大
企業といえどもいま大変疲労しておる
状態だろうというふうに見ております。そういう中で特に
中小企業、力の弱い、
立場の弱い
中小企業の
状態というものは、これはもう本当に私は困窮をきわめておるものが多いだろう、こういうふうに思うのでありまして、
政府は、
政府系三機関、これを動員いたしまして
中小企業の援護体制をとる、また、市中の金融機関に対しましても
中小企業に対する配慮を厚くしなければならぬというような要請をする、さようにきめ細かな配慮をいたしておるのでありますが、なお一層この点につきましては心してまいりたいと、こういうふうに
考えます。
雇用保障法を制定せよという
お話がありまするけれども、不当解雇につきましては、労働
基準法などで規制がある、そういうことから
考えまして、新しい措置は必要はないんじゃないか、そのように
考えております。ただ、雇用安定資金制度の活用等をいたしまして、なるべく失業者が出ないように、出た場合におけるところの
対策、これは心し、またこれを強化してまいりたいと、かように
考えております。
また、失業手当給付を増額せよ、またその期間を延長せよ、季節労務者への一時金を九十
日程度に延長せよというような
お話でございまするけれども、
雇用保険法で失業
補償機能は非常に強化されておるわけなんです。給付日数、給付率ともに私はいまの制度で妥当なところじゃないか、そのような感じがいたしますので、これは改正をするようには
考えておりません。
また、特例一時金につきましても、これはずいぶん皆さんとも御
論議の末、五十日というふうに決めたのでありまして、これをいま変えるというのはいかがであろうか、かように
考えます。
さらに、
生産者米価、
消費者米価、この両
米価の
決定の過程、これが不明朗ではないかというような
お話でございまするけれども、これは両
米価とも
米価審議会に
意見を求めた次第でございます。その
意見を踏まえまして、最終的には
政府が
責任を持って
決定をするということにいたしたのでありまして、まあ大方この程度の結果で、
生産者も
消費者も御満足がいっておるのじゃあるまいかと、かように
考えております。
また、
社会党からは、
食糧自給及び備蓄の
特別措置法の御
提案があるようでありますけれども、
食糧の
自給力を向上する、これは非常に私どもは大事なことである、そういうように
考えておるのであります。また、適度の備蓄、これも必要であろう、こういうふうに
考えておりますが、これは新しい立法を必要といたしません。これは
政府の行政措置で十分にやろうとすればできる、さように
考えております。
さらに、
食管制度を堅持するとともに、他の農作物にも
所得補償の制度を拡充せよというような
お話でございますが、
食管制度を変えるなんというような、そんな
考え方は私ども持っておりませんです。これは
食糧行政の基幹となるべきものであるというふうに
考えまして、この制度の根幹はこれを堅持してまいりたい、かように
考えておりまするし、また、重要な
食糧その他農作物につきましては、価格安定の施策が十分整っておるのです。しかし、足らないところがあればまた御指摘等踏んまえまして対処してまいりたいというふうに
考えております。
さらに、北洋漁業の
損害に対してどういうふうに対処するか、共
補償をやめて
特別立法で十分な
補償を行え、こういう
お話でございますが、日
ソ漁業交渉の結果に伴うところの北洋漁業につきましては、すでにその
対策の
基本方針を六月に決めておるわけであります。その実施といたしまして、七月の二十七日には特に緊急を要する
減船漁業者に対する救済金額等を
決定をいたしておるわけでありまして、この
決定は、
政府交付金と共
補償のために必要なる融資から成っておるわけでありますけれども、共
補償をやめてしまえというのもまたいかがであろうと思うのです。私どもは、共
補償を強く大幅に、というふうには
考えておりません。妥当に
現実的にこれを執行するというふうに
考えておりまするけれども、やはり廃業する
企業、また残存する
企業、その間にはやはり利害の調整というような問題があるわけでありまするから、常識的程度の共
補償はやむを得ないのじゃあるまいか、私はさように
考えておりまして、
特別立法による必要はないのじゃないか、このように
考えております。
また、
母船式遠洋漁業をやめて二百海里内の新
漁業秩序を確立せよという
お話でございますが、いま直ちにこの
母船式の漁業をやめるということになりますと、ここで働いておるたくさんの
従業員の方々の問題もあります。さようなことを
考えてみますと、直ちにこれをやめるというわけにはいくまいと思います。しかし、
考え方、これから先の大きな流れ、そういうことから見ますと、やはりわが国の二百海里水域というものは
世界でも有数の広い海域になるわけであります。この海域をフルに活用いたしまして、そして新しい
漁業秩序をつくっていくという
考え方
自身は大事なことでありますので、その方向で諸
対策を慎重に検討してまいりたい、かように
考えております。
さらに、
福祉問題につきましての
お話でございます。
福祉見直し論というのがあるが、これは後退じゃあるまいかというような
お話でございますが、私は
福祉問題、これは制度面をさらに充実するという必要のあることを認めております。しかし、同時に、この
福祉というものは、ただ単に制度だ、金だ、これだけじゃいかぬ。やはり
国民全体が
福祉の心といいますか、そういう気持ちになって、世の弱い人、小さい人に対応してくれるというような気持ち、その上に立っての制度の充実でなければならぬだろう、かように
考えておるのであります。
これから
日本社会というものを
考えますと、本格的な老齢化
社会になっていくわけであります。
福祉社会といいましても金がずいぶんかかる。反面におきまして、
経済は低
成長だ、財源問題が非常に窮屈な
状態になります。その間においていかに効率的な
福祉対策を進めていくか、充実していくかということは非常に重大な問題になってくるであろう、こういうふうに
考えておる次第でございますが、さような
考え方のもとに国の
社会をどういうふうに持っていくか、総合的な見地に立ちまして
福祉問題に対処してまいりたい、かように
考えております。
特に、
心身障害者施設等の増設と
運営の新しい計画を充実せよという
お話でございましたけれども、わが国の
心身障害者に対する
施設は、私はかなり進んでおると思うのです。しかし、とにかく
心身障害者の人たちに対しましては、
お話のようにきめの細かい配慮をしなければならぬ、かように
考えますので、鋭意きめの細かい、行き届いた施策と評価されるように努力をいたしてまいりたい、かように
考える次第でございます。
次に、
外交問題についてであります。
ASEANに対する十億ドル借款についてのお尋ねでございまするけれども、私は、
ASEAN諸国の代表の方から、この借款については概要を承っております。しかし、私は、今度の
ASEAN訪問は、いろいろの人から、みやげは何を持っていくのですかというようなことを聞かれますけれども、みやげをぶら下げていって、そうして、歓心を買う、そういう
態度は私はとりません。これはやっぱり私は、アジアの国々——わが国が
世界の中の
日本という
立場で立ち臨む、そういう際に、足元といいますか、われわれの近い
関係にあるアジアの国々との善隣友好、本当によき友人としてのイコールパートナーシップに立ってのつき合いという形をとっていかなければならないだろう、こういうふうに思うのであります。(
拍手)私は、この十億ドル借款につきましても、そういう
立場に立ちまして、よく先方の
意見を聞いてみる、そうして、私がこれは
協力すべきだというように
考えますならば、積極的な姿勢をもって
協力してまいりたい、こういうふうに
考えておるのであります。
なお、これに関連いたしまして、
経済援助についての
基本的な
考え方を示せ、こうおっしゃいますが、この
基本的な
考え方を示すとずいぶん時間がかかりますので、要約をして申し上げますれば、これは私は、わが国は戦前と違いまして、戦後、新しい国の姿勢を打ち出しておる、こういうふうに
認識をいたしておるわけであります。つまり、戦前は、今日の二十数分の一の
経済力を持ちまして
世界の三大海軍国の一つである。また、ソビエト・ロシアに備えて、あれだけの強大な陸軍兵力を持つというような
状態であったわけであります。
戦後、新しい憲法ができる、また、
国内にも平和国家というコンセンサスができた、そういうようなことで、みずからの安全を守るという以上の軍備はしないことを決意しておるわけであります。そういうことになりますれば、今日、戦前の二十数倍の
経済力を持っておる。そこに余裕が出てくる。軍備を持たないために、わが国は
世界の平和に対して、ただ乗り論なんというようなことを言われまするけれども、私は、このよって生ずるところの余力をもって、やはり
世界のおくれた国々の民生の改善あるいは新しい建国、そういうものに
協力をいたしていくべきである、こういうふうに
考えておるのであります。
ただ、ずっと今日まで戦後それだけの実績を上げておらぬ、それは
国内の建設に忙しかったからであります。しかし、わが国の今日の
経済力、そういうことをよく
考えてみまするときに、対外
経済協力、これは強力に進めていかなければならぬ、こういうふうに
考えておるのであります。しかしながら、これは先ほども申し上げましたけれども、ただ単に物で援助する、金で
協力をするというような、そういう形であってはならぬと思うのです。やはり
世界を支えるところのたくさんな国々、これが「
連帯と
協調」です、お互いに助け合わなければならぬ、そういう
立場で初めて
世界は平和であり、繁栄していくのだ、そういう
基本的な
立場において物と金というようなものが
協力されていくということでなければ、間違ったことになっていくのじゃあるまいか、さように
考えておるのであります。
日中平和友好条約締結の
手順、
日程はどうかというような
お話でございまするけれども、私は、先日、
所信表明演説でも申し上げたのです。これは日中双方にとって満足されるような形でなるべく速やかにこれが
締結を図りたい、こういうことでございます。
私は、
日中関係というものは、とにかく五年前にあの
共同声明ができたんですから、あの
共同声明を忠実に実行するということに尽きるのじゃないか、そういうふうに思うのです。あの
共同声明にも、平和友好
条約を
締結するということがお互いに
了解されておるわけですから、そういう
認識に立ちまして、いまこの問題をどういうふうに取り進めていくかということは真剣に
考えておる次第でございます。
日ソ平和条約につきましての
お話でございますけれども、私は
日ソ両国、これはやはり隣り合わせておる、友邦
関係になければならぬ、こういうふうに
考えておるのです。この
関係も、これは例の北方
領土の問題を
解決する、そしてその上に立って
平和条約を
締結をするということで
最後の締めくくりができるんだ、こういうふうに
考える。私は、しかしそれと並行いたしまして、
両国間には貿易の問題もあります、あるいは、産業開発の問題もある、あるいは漁業大国として利害の共通しておる漁業の問題もある、また、文化、人物の交流というような問題がある。それらの問題は相並行して進めていくべきだ、こういうふうに
考えておるのですが、終局的にはただいま申し上げましたような決着に持っていきたい、かように
考える。
なお、
鳩山外務大臣につきまして、いつ訪ソになるのかという
お話でございまするけれども、なるべく早い時期に訪ソという……(「まだそんなことを言っておる」と呼ぶ者あり)これは先方もあることですから、こっちだけで決めるわけにはまいりません。目的は、これは定期協議を昨年モスコーでやるという話であったのですが、それができなかった。そういうようなことから、定期協議という目的も兼ね、かたがた
平和条約の推進ということもいたしてみたい、かように
考えておるのであります。
ソ日漁業協定の見通しはどうかという
お話でございますが、御承知のとおり、これは六月三十日に東京で開催されまして、そして
交渉がずっと続いておりましたが、七月二十八日に至りましてイシコフ漁業相が来日いたしたのであります。まだ詰まらぬ点が若干ありまするけれども、この両三日中におさまりがつくのではあるまいか、さように
考えておる次第でございます。
また、
朝鮮民主主義人民共和国の二百海里
宣言、これに関連をいたしまして、旧朝漁業
協定を
締結し、
国交正常化の契機としたらどうだろうという
お話でございますが、
日本、北鮮間の
国交正常化、これはまだそこまで条件が整っておりません。貿易や人物、文化の交流ということを逐次積み上げていきたい、かように
考えておる次第でございます。そういう際でございますので、漁業問題につきましては民間で何らかの取り決めができないものか、こういうことを
期待をいたしておる次第でございます。
また、在韓
米軍撤退について、
政府はいかなる
了解をアメリカに対して与えたかという
お話でありますが、
基本的には在
韓米地上軍の
撤退問題は、これは米韓間の問題でありまして、わが国が
了解するとかしないとかという性格のものじゃございません。しかし、わが国といたしましては、朝鮮半島で平和が維持される、南北の均衡が失われてあそこで平和に支障が出てくるというようなことにならないような方向で米韓間で十分話し合ってもらいたいという意向表明をいたしておる次第でございます。
さらに、朝鮮半島の
防衛につきまして、
日本を
基地とすることにつき
日本が
米側に暗黙の
了解を与えた旨の米統合参謀本部
議長発言について、
総理はどう思うかという
お話でございますが、このような暗黙の
了解を与えた事実はございませんから、その辺は篤と御理解のほどお願い申し上げます。
また、
在日米軍駐留費の事務費分担につきまして、日米間協議中との報道が事実かというような
お話でございまするけれども、昨年の春以来、日米間で駐留軍の
労務費の給与に関する諸問題について検討中、
話し合い中でございます。しかし、いずれにいたしましても、日米双方とも
地位協定を遵守しなければならない、
地位協定の枠内においての
話し合いであるということを御理解おき願いたいのであります。
最後になりましたが、
安井さんから私が政界の浄化の問題で余り熱心じゃないじゃないかというような御
批判でございますが、私は、政界浄化刷新ということは、これはもう非常に熱心です。これはもう私が政界に入るときからそういうことを言っておるわけなんです。今日もその姿勢につきましてはいささかの変わるところもございません。
日韓癒着という御指摘でございますけれども、この日韓問題につきましてはいろいろな情報がある。
金炯旭元情報部長の話なんというのはいろいろあるようでございまするけれども、
金炯旭さんという人は、八年前にもう
韓国の情報部長をやめている人なんです。それが
金大中事件の話をした、そこに何の証拠性というものがありますか。そういうようなことから
考えまして、私どもは
金炯旭さんがああ言った、こう言った、一々それで騒ぎ回るというようなことはいたしません。
しかし、
金炯旭氏が言ったことについて、これはもっともだ、何かいろいろ示唆を与えられることがあるのです。そういう点につきましては、私どもこれを追及のよすがとする、こういうようなことでございまして、たとえば
金炯旭氏が金在権氏との会談をしたというような話をしておりますけれども、そういうことであれば、金在権氏と接触をとるということも、これはすべきことじゃないか、そういうふうに
考えますけれども、
金炯旭さんが、八年前にやめたあの人がああ言った、こう言ったということを一々とらえて大騒ぎをするというのも、いかがでありましょうか、かように
考えておるのであります。
それから、日韓間の問題の
基本は、これは
金大中事件がああいうあいまいな
解決になったことに原因があるというふうにおっしゃるのでありますけれども、これは当時、もう
政治的な決着がついたということにつきましては、御承知のとおりであります。(発言する者あり)しかしながら、この問題は一つの刑事
事件としてまだ捜査中でございます。捜査の結果、これはあの
政治決着が悪かったのだというようなことでありますれば、そのとき、また改めて
考え直す、こういう種類のことではあるまいか、さように
考えております。
予算編成、そういうことにつきまして御所見が述べられました。また、
伯仲国会の
国会運営ということにつきましても、御所見が述べられたわけでございますが、さきに申し上げましたように、
伯仲でなくても、私は、
国会運営というものは、
政府・
自由民主党としては他の政党に対して低姿勢でなければならぬ、そういうふうに
考えておるのであります。そこで、私は、重要な施策につきましては、
政府が
決定する前にできるだけ皆さんの御
意見もお聞きしたい、こういうふうにいま
考えておりますので、どうかひとつ、よろしく御
協力のほどをお願い申し上げます。
また、
予算委員会を開催すべしという
お話でございますが、この問題につきましては、これは篤と
国会において御協議のほど、お願い申し上げます。(
拍手)
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