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1977-09-12 第81回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年八月三日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  農産物価格等に関する小委員       阿部 文男君    今井  勇君       加藤 紘一君    片岡 清一君       佐藤  隆君    菅波  茂君       福島 譲二君    向山 一人君       森田 欽二君    山崎平八郎君       竹内  猛君    馬場  昇君       松沢 俊昭君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    野村 光雄君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  農産物価格等に関する小委員長                 山崎平八郎君 ————————————————————— 昭和五十二年九月十二日(月曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君       愛野興一郎君    熊谷 義雄君       玉沢徳一郎君    羽田野忠文君       向山 一人君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    馬場  昇君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  委員外出席者         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         農林水産技術会         議事務局長   下浦 静平君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   岡安  誠君         気象庁観測部地         震課長     渡辺 偉夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 八月三日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 大臣水産庁長官にお尋ねいたしたいと思いますが、すでに御存じのように、去る七日に、北海道根室沖羅臼町という町と国後島海面において、従来、国後島に三海里まで接近して漁業ができておったわけでありますが、それが突如ソビエト側から、この海域は従来は三海里を黙認したが、これからは二十四海里以上の海面のところは十二海里、それから二十四海里以内の海面はその中間線をいわゆる漁業ラインとして、国後島にそれ以上接近することを認めない、もし接近すれば拿捕する、こういう通告が行われたわけでありますが、このことはこの羅臼町にとりましては、大体ここは七十億円程度年間漁獲高でありまして、小さい町でありますけれども漁業しかない町である。それが今回の規制措置によって大体四〇%、漁獲高にして二十八億円程度が締め出されるということになれば、まあこういう現象は普通は起きておりませんけれども、どの町、どの市であっても、いまそれぞれの町なり市なりの年収の四〇%が一挙に得られなくなるということになれば、その地域経済はもうほとんど崩壊のような形になると思うのです。もう一つは、従来から言われておりますいわゆる北方四島周辺の線引きの問題ともこれは絡んでくるわけですが、この状況に対して日本政府としてはどういう対策をお考えになっておるか、またいわゆる外交上の問題あるいは内政措置の問題の角度からいろいろ検討されておると思いますので、どういう措置をとられようとするか、承りたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 お答えする前に、まず、先般、衆議院農林水産委員会の皆さんが、国政調査北海道農林漁業事情等の御視察をいただいて、現地の生の声をお聞きになり、今後の農林水産業振興と安定のための施策に資していこうということで、大変お暑い中を御勉強いただいたことにつきまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  ただいま美濃さんから、北海道に御視察に行っておりました間において、羅臼町の漁民諸君から、ソ連取り締まり船から去る七日に羅臼漁船五隻に対して、今後二十四海里以上のところは十二海里の中、また二十四海里以内のところは中間線の水域以内に入ってはいけない、こういう警告を受けたということを現地でお聞きになり、先般わざわざ農林省をお訪ねになってそのことを御報告いただいたわけでございます。  私どもは、この北方四島は一九七三年の田中・ブレジネフ会談におきまして、戦後未解決の問題として確認をされており、今後この問題を平和条約締結交渉において引き続き討議をする、こういうことに合意がなされておるというやさきにおきまして、そのような一方的な、つまり北方四島はソ連の領有に帰するものであるという前提の上に立ったような警告がなされたということにつきましては、日本政府としては容認できないことでございまして、まことに遺憾に存じておるところでございます。しかし現実に、現に北方四島を占有し、支配をしておりますソ連の官憲からそういうような通告があったということにつきましては、私ども非常に重大な関心を払っておるわけでございまして、羅臼町の漁民諸君がそのような不法なソ連規制のもとにおいて出漁ができなくなる、そのために二十数億に及ぶところの漁獲収入が激減をするという事態につきましては、私どもも深刻にその事態を受けとめておるところでございます。  現在、現地漁業組合等においてさらに接触もされるということでございますが、政府としても、北海道庁と現地との間の今後の話し合い対策、そういうものも十分お聞きしながら、いろんな角度から今後の対策について検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  5. 美濃政市

    美濃委員 ただいま大臣のお考えを承りましたが、きょうはこういう突発的な問題が派生した直後でございますから、大臣のお考えを了として、どうかひとつ外交、内政的に、これは一部地域の問題でなくて、大臣お話にもありましたように、やはり今後の日本の領土と主権に関する問題も絡んでおるわけでありますから、十分対応されるように要望申し上げます。  次に、ことしの漁獲協定をめぐりまして非常に御努力をいただいたわけでありますが、しかし結果といたしまして、特に北方海域における北洋漁業漁獲は、申し上げるまでもなく相当減少して、これに対して融資措置はとられております。けれども、いわゆる漁獲量低下、操業の低下による損失に対する国の補償の問題、それから減船に対する補償問題等がまだ明確でないと思うのです。  それで、二つに分けまして、一つは、ことし突如として起きたこの漁獲量低下に伴う損害の問題、それからもう一つ減船の問題については、私の考えは、将来に向かって、これは北洋だけに限らず、この二百海里時代を迎えて、他の国の海域における漁獲というのも、最近クジラの問題も出ておるようでありますが、だんだん緩和されるというよりも制限が厳しくなるのではないか、なると断定はいたしませんけれども、なるのではないかという杞憂もあるわけです。そうすると、この減船という問題はことしだけの問題ではなくて、将来長期協定ができた後においても、その協定の改定の時期等において減船をしなければならぬというような条件が起きないとは言えないわけです。これはこの前の委員会でも質問を申し上げて、やはり減船問題に対する補償立法化の必要があるのではないかということに対して、大臣からも、検討すべき事項であろうという答弁をいただいたように思うのですが、予算措置の問題、それからその立法化問題等がどの程度進んでおるのか。来年の通常国会等には減船に伴う法律等が提案される準備になっておるかどうか。  それから、申し上げましたように、今回のこの漁獲減少の問題に対する一連の補償措置はどのように進められようとしておるのか、大体もう煮詰まるころだと思いますので、承っておきたいと思います。
  6. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 日ソ漁業交渉の結果、相当大幅な漁獲の削減が強いられたわけでございまして、それに伴います休漁あるいは減船、また乗組員諸君離職、こういう深刻な事態が出ております。また、水産加工業その他の関連企業におきましても、業界によって影響度合い等いろいろございますが、これまた相当影響を受けておるわけでございます。  これにかんがみまして、御承知のように政府におきましては、四月の十五日であったと記憶しておりますが、閣議了承を得まして、とりあえず緊急のつなぎ融資、これを行ったところでございます。またさらに越えまして六月の二十一日に、閣議了解のもとに、漁業関係につきましては七百九十七億、約八百億の減船に対するところの特別交付金を含む救済措置を決定し、また加工業者に対しましてもさらに追加の融資等をやったわけでございます。いま各業界と具体的にその内容につきまして詰めておりまして、大体話し合いも煮詰まってきておる段階でございます。  なお、緊急融資つなぎ融資をいたしましたものを今後どういうぐあいに扱うか、これは減船等に当たった漁船につきましては、その減船救済措置の中で吸収されて処理されるわけでございますが、そうでない漁船もあるわけでございます。そういうものにつきまして、この緊急融資は当面六カ月の融資期間ということになっております。が、今後必要に応じましてさらにその償還の期限を先に延長するというような措置も講じてまいりたい、このように考えております。  関連企業等に対しましても、その影響度合い等を勘案しまして救済措置検討をいま進めておる段階でございます。  なお、美濃さんから、今後もあることであるから救済措置について立法措置を講じたらどうか、こういう御指摘でございます。  私は当初、この救済のことを、早急に、政府としてできるだけ手厚くやってまいりたいという考え方で、相当財政資金等が要るであろう、そういう際に、今日、国の財政がこういう窮迫しておる事態でございますので、一挙に補正予算なり来年度予算でそれだけの財源が確保できないという心配多分にある、そこで特殊法人あるいはそれに準じたどころの法人等も設置して財投資金等により必要な財源を確保して、そして国の財政措置いかんにかかわらず救済だけはできるだけ早くやりたい、こういうようなことで、場合によれば立法措置検討しなければいけない、こういう考え方であったわけでございます。  財政当局も、その後の折衝におきまして、こういう苦しい財政事情の中でございましたけれども予備費並びに今年度の補正予算の中で救済に必要な財政措置は十分講ずるという大蔵当局との話し合いもついておるわけでございます。したがいまして、今後考えておりますところの救済措置については、そのように予備費並び補正予算で対処できるというめどが立っておりますことをまず御報告を申し上げておきたいと思います。  なお、離職者等対策につきましては、労働省並び運輸省と引き続き交渉中でございますが、労働省運輸省では現行法によって十分対処できるという見解をとっておるようでございますが、今後なおこれらの点について関係省庁との話し合いを煮詰めてまいりたい、このように考えております。  現在のところ、当面する減船休漁その他の問題につきましては、現在の法律並びに制度で、また財政当局も積極的、前向きに取り組んでくれておりますので、対処できると考えておりますが、今後も必要に応じまして研究は進めてまいりたいと考えております。
  7. 美濃政市

    美濃委員 一応御答弁をいただきまして、きょうは限られた時間の日程でございますので、近く臨時国会も開かれるようでありますから、また具体的な御質問をすることにして、本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  8. 金子岩三

  9. 島田琢郎

    島田委員 東京湾にいま、七月からもう二カ月を超える長滞在でオーストラリア砂糖船が浮かんでいるわけでありますが、国際的に砂糖が非常に大きな問題になりつつあり、ISA、国際砂糖協定の再締結をめぐって大変論議が交わされようとしているときに、日本がいまこうした問題で非常に苦境に立っているというのが余りにも因果といいましょうか、そんな感じがするわけであります。過般、総理からも口ききがなされて、日豪砂糖問題についての日本側考え方というものがまとまって提示されたのでありますけれども、しかしオーストラリア側は、これに対して容認せず、問題の解決はまだかなり長引くような様相にあるというのは大変残念なことであります。  ごく簡単で結構でありますが、所管の大臣として、この日豪砂糖問題に対する決着の方向をどのように見通され、いつごろこれを解決しよう、こういうふうに日本側としては腹をお決めになっているのか、この際ひとつお聞きをしておきたい、こう思います。
  10. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま国際糖価が非常に不安定な状況下にございます。私どもは、このことがわが国国内産糖価格の安定、また耕作関係農民諸君の経営の安定確保ということに影響を及ぼすことにつきまして非常に関心を払い、心配もいたしておるところでございます。  そういう中におきまして、さきに民間豪州産糖業界との間におきまして五カ年間の長期契約を行っておることは御承知のとおりでございます。しかもそれが、当時としては比較的安い価格であったと思いますけれども固定価格で五カ年間の長契を結んでおる。その後、国際糖価が急激に暴落をいたしまして、現在の国際糖価との間に大変な価格差を生じておる。毎年そのために五百億程度損失をこうむっておるというような事態が発生しておるわけでございます。  そういうようなことでございますので、日本精糖業界におきましても値引き豪州側に要請をいたしまして、その交渉が現在も行われておるわけでございますが、その値引きの額の問題で相当な開きがあることが第一点、さらに、値引きに応じました場合におきまして、一九八〇年六月以降二年ぐらいの延長を認めるということにつきまして、わが方としては、その市場を提供するのであるから、延長期間においては国際糖価を基準として価格の取り決めはなさるべきであるという立場をとっておるのでありますが、先方は、この五カ年間における値引きの分を八〇年以降の延長期間においても固定価格の上に上乗せをして損失をカバーするようなことでなければいけない、こういうような基本的な考え方の食い違いで、なかなか交渉が難航しておるという段階でございます。  また豪州側は、どうしても話がつかないのであれば、これをロンドン砂糖協会仲裁委に訴える、こういうような強硬な態度もとっておるわけでございます。  クアラルンプールにおけるフレーザー豪州首相福田総理との間で、これはあくまで民間契約の問題であるから、両国政府業界指導して、話し合いによって円満な妥結点を見出すようにということで、フレーザー首相にも強く善処方を求めてきたところでございます。  しかし現状は、いま申し上げたような段階にございまして、政府としては、わが方の主張というものがきわめて常識的な妥当な対案である、こういうぐあいに考えておりますが、できれば話し合いによって解決点を今後も見出したいということで業界指導に当たっておるというのが現況でございます。  なお、わが国精糖業界過剰設備を非常に多く抱えております。また、過当競争にも陥っておるというようなことで、きわめて不安定な状況下にあるわけでございまして、農林省が抱えておる構造不況業種の一番大きな問題にもなっておることでございます。そういうようなことで、今後、精糖業界体質改善構造改善を強く指導をいたします。  また、需給関係につきましてもやはり適正な水準というものが確保されなければいけない。業界過当競争わが国糖価が不安定であり、それが国内産糖にも悪い影響を及ぼすことのないよう、今後、政府としてのこれに対する対策を進めてまいりたい、このように考えております。
  11. 島田琢郎

    島田委員 大臣、懇切丁寧に経過を含めてお話をされたわけでありますが、要するところ、私が聞こうとしている、いつ解決をするのか、その見通しはあるのかという点については的確にお答えにならなかったようであります。しかし、現にもう十五万トン近い砂糖が船に積まれて東京湾に待機をしているわけであります。私は、日豪砂糖協定上から言えば、オーストラリアの言い分はごくあたりまえのことだ、こういうふうに見なければいかぬと思うのですが、しかし、どうもその行為はかなり恫喝的だ、こういう感じがしてなりません。こういう点は、民間のベースに任しておいただけでは解決しない問題ではないかと思いますから、せっかく豪州首相福田総理がお会いになったのでありますから、そういう点についても日本の毅然たる姿勢というものは明確にされておくべきだったと思います。その点がどうもはっきりしていないというのが、今日の問題をさらに深刻にし、長引かせていく原因になるのではないか。  また、豪州側ロンドン砂糖協会にこれを提訴するというようなことも言っておるそうでありますが、最終的にどちらかが譲らない限り、この問題は、すでにどろ沼状態でありますだけに、解決見通しが立たないまま推移をするというふうな懸念が十分にあります。したがって、いま国内砂糖の問題にもお触れになりましたけれども政府業界の徹底的な指導をする、そのためには再編を目途に置いた特別立法国会に出したい、こういうふうなこともお考えだというふうに新聞では伝えているわけであります。時あたかもスイスのジュネーブできょうから始まります国連貿易開発会議の主催にかかわる砂糖会議が、この成り行きに対しても一定程度影響を与えるということは避けることはできないと思うのです。ところが、政府備蓄構想といいますか、こういうものに対して反対を表明されているわけですけれども、世界の砂糖の動きから見て、大勢的にこれも避けて通れない問題であるように私は理解をしているのですが、農林省サイドでこれを否定なさったその真意はどこにあるのでしょうか、簡単で結構ですからひとつ明確にしていただきたい、こう思います。
  12. 杉山克己

    杉山説明員 国際砂糖協定に関する会議が本日からジュネーブにおいて開かれております。  今日、砂糖国際市況はきわめて悪化しておりまして、過剰供給のためコストを割るような価格で取引が行われているという実情にございます。そのことは、長期的に見れば将来の砂糖供給についての不安を生じかねないという問題でもございますので、私ども輸入国立場におきましても、安定的な供給を図る、また、その価格の安定的な推移を実現するということはぜひ必要なことであると考えております。そのための手段として、価格安定帯を構成する、さらに需給そのものを調整する一つ措置として国際的な備蓄考えるという構想自体は、これは私は必要なことであろうと考えております。  このことについて、新聞報道等もございます。が、農林省はまだ正式に賛成である、反対であるというようなことを表明したことはございません。これはまさに関係する諸国の意向等も見きわめながら、そのプロセスに応じて政府部内で相談をしながら、関係方面了承も得て態度を決定するということにこれからなっていく問題であろうと考えております。  ただ、基本的には、いま申し上げましたとおり、国際需給の安定を図る、価格についても安定を図るということは、これは必要なことであり、国際備蓄構想ももっともなことであろうと考えております。  ただ、これらの問題のうち、安定帯の幅をどうするかとか、それから備蓄について、これは当然費用がかかるわけでございます。その負担をどうするかということになりますと、その負担関係、特に財政負担で見るのか、これを今後の砂糖の市価の中で、価格形成の中で反映していくのか、そういう問題が残っておりますので、これらの問題も煮詰めながら、先ほど申し上げましたように会議推移関係方面との調整を経て、日本としての最終的な態度をきちんと決めたい、かように考えております。決していままでの段階反対したとか、国際的なそういう風潮に農林省は乗らないというようなことを考えているわけではございません。
  13. 島田琢郎

    島田委員 そこで、ここ一、二年の、いやもっとそれ以上にわたって非常に低迷を続けております国内糖価、この問題を何とか行政サイドでしっかりとした基盤に立って安定させていかなければならぬという課題が出てくるわけであります。  今日の日本国内産糖状態というのは、海外の暴騰、暴落にストレートに連動する形で、きわめて不安定な状態にある。もともと国内的には、いまでもなお砂糖というのは投機商品である、こういうふうな観念がぬぐい去られておりません。しかし、われわれが農林水産委員会で常に言っておりますように、砂糖も大事ないわゆる国民食糧の一環であるという位置づけをすべきだ、また法律的にもそういう位置づけはすでになされているにもかかわらず、実際的にはこの砂糖というのはかなり投機性をもって見守られているというのが実情ではないかと思う。  そういう意味において、政府サイドでもう安定糖価というものを打ち出していくべきだ。二百円を割るというような状態で果たして食品のエキスと言われる砂糖の価値が正しいのかどうかという点になりますれば、これは安いほどいいに決まっていますけれども、しかしながら、そのことによって非常に不安定な状態が、生産の段階でも製造の段階でも、国際的な立場でも続くとすれば、これはやはりしっかりとした基盤に立たしめなければいかぬと思うのであります。  その第一の条件は、何といっても糖価を安定せしめることだと思います。私は、現段階ではやはり二百五十円、これぐらいの糖価をきちっと確立させていく、そういう必要があると思うのです。が、私のこの提案に対して、大臣、いかがにお考えでしょうか。
  14. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 砂糖が、先ほど申し上げたように国際的に非常に変動が多い、また需給関係におきましても不安定な要素を多分に含んでおる、国内におきましては最近砂糖の需要がむしろ減りつつある、こういうようないろいろな状況にあるわけでございますが、基本的には、いま島田さんがおっしゃったように、この砂糖需給並びに価格不安定性というものを制度的にもできるだけ安定をさせるということで、糖価安定法があり、また安定帯価格を設定してできるだけの国内措置を講じておるところでございます。しかし、先ほども私から申し上げたように、日本精糖業界そのもの体質が非常に過剰な多くの設備を抱え、過当競争もやっておる、こういうようなことが今後の需給並びに価格の面に悪い影響をもたらしておることも事実でございます。こういう点を私どもは十分関心を持っておるところでございまして、今後、現在の糖価安定制度という国内のこの体制につきまして、業界の体制整備とあわせまして前向きで検討してまいりたい、こう考えております。
  15. 島田琢郎

    島田委員 私は、通告をいたしました部分の半分も終わっていないのでありますが、非常に大事な質問を私の同僚であります馬場委員が持っております。  委員長にお願いでありますが、私の持ち時間三十分のうちの十分をそちらの馬場委員の方に割かせていただくということで、私はここで質問を終わらせてもらいます。
  16. 金子岩三

    金子委員長 馬場昇君。
  17. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、第八十国会で成立いたしました松くい虫防除特別措置法の審議の際に農林省国会に提出いたしました、ここにありますけれども、「松くい虫防除特別措置法案参考資料」、この参考資料について質問をいたしたいと思います。  この松くい虫防除特別措置法案につきまして、農林省は、国会法百四条により国会の審査及び調査のために提出した参考資料を基礎に、次のように説明なりあるいはわれわれの質問に対して答えたわけでございます。  まず第一点は、松枯れの原因はマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウが原因である、第二点は、農薬の空中散布が松枯れ対策に最も有効である、第三点は、人体に対する健康被害及び自然環境破壊も少ない、こういうような説明、答弁をしたわけでございます。私どもはこの審査の中で、それはやはり違うのじゃないか、乱伐とか乱開発も原因であり、大気汚染も原因である、農薬の空中散布というのは人体に健康被害もあるんだ、また農業や漁業にも被害を及ぼすんだ、自然の生態系も破壊する、そしてまた、この法律は非常に強権的な側面を持っておる、その他いろいろの疑問点を挙げて政府を追及したのは大臣御存じのとおりでございます。  そして、最終段階で私が社会党、公明党、共産党を代表いたしまして五点にわたって修正案をこの農林水産委員会に提出いたしましたけれども、その中の一点は受け入れられましたけれども、他の四点は否決されたわけでございます。そして最終的に、この資料が正しいとする自民党、民社党、新自由クラブが多数でわれわれの反対にもかかわらず可決成立させた、この経過は大臣も御承知のとおりでございます。  そこで、具体的に質問を申し上げるわけでございますけれども、この参考資料の二十一ページから二十五ページに記述されてありますところの「特別防除(航空防除)の効果及び実施状況」という点が五ページにわたって載っておるわけでございますけれども、この五ページの資料について質問するわけです。この資料は、空中散布したらこんなに顕著な効果がありました、だから空中散布のためのこの法律を早く成立さしてくれと政府が強く主張した根拠になったところの資料でございます。  そこで第一点、農林大臣質問するわけですけれども、このわずか五ページの資料の中で数字だけでも二十カ所以上の間違いがあります。事実問題についても多くの間違いがございます。私はどこがどうだということは後で具体的に質問いたしますから、まず大臣に、この資料の中でそれだけの間違いがあるということをお認めになりますか、認められませんか、イエスかノーか、その点についてだけまず最初答えていただきたいと思う。
  18. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 松くい虫防除法案の審議に当たりまして、林野当局から審議の参考資料としてお示しをいたしました参考資料の中で、御指摘のように間違いがあったことを私は非常に遺憾に存じておるわけでございまして、この点はこの席をかりまして深くおわびを申し上げる次第でございます。  ただ、これは作為的に、恣意的にやったものではございませんで、いろいろ資料の作成の段階において錯誤等があったというようなことでございますので、この点は何とぞ御了承のほどを賜りたいと存ずるわけでございます。
  19. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いま大臣答弁を聞いて、私は非常に問題点を感じます。いまの大臣答弁と同じような趣旨を、林野庁の森林保全課長が、この間違いが指摘されますと新聞に投書しております。そして、いま大臣が言われたように、資料の一部に記載上のミスがあった、注記の不十分で誤解を招く点があった、こういうぐあいに弁解しておるわけでございます。国会に誤った資料で審議させておりながら、国会に対して何の説明もしない、その上にまた、いとも簡単にこの問題を取り扱っておるわけでございますし、いま大臣答弁も作為とか恣意でやったものじゃない、御了承いただきたいと言われるわけでございますけれども、私はそんな簡単な資料ではない、そんな簡単な間違いではない、こういうぐあいに思います。  そこで、具体的にこの資料が記載上のミスや注記の不十分ではないという点についていまから指摘を申し上げたいわけでございますが、結論から申し上げますと、これは私が見ましてもあるいは国民が見ても、明らかに作為的な資料づくりでございます。改ざんされ、捏造されておるわけです。うそ偽りの資料ですよ、これは。たとえば九つ事例が挙げてあるのですけれども、その中の五つが改造されているのです。偽造されているのです。そしてまた、あとの四例も信用できないのです。全部がそうです。以下、大臣はお聞きになっているかどうか知りませんけれども、私が具体的にその事実を指摘いたしますので、それでも偽造、改ざんがなかったか、作為がなかったかということについてお尋ねするわけでございます。  まず第一点といたしまして、この資料は、空中散布をした、ところが、こういうぐあいに効果が顕著に上がった、それを示す資料でございます。ところが、空中散布をしていない場所に、これだけ成立本数があって、空中散布をしたところがこれだけ被害木が減った、あるいはゼロになった、こういうように事実無根の資料があるわけです。  まず、その第一を申し上げますと、二十三ページに事例五というのがございます。これは山口県の防府市の桑山の例ですけれども、四十九年度から航空防除をして五十年は被害本数がゼロになった、こういうように説明しておるところです。ところが、この山口県防府市桑山の松林のすぐ裏には上水道の配水池があるのです。農薬の空中散布などできるはずはないのです。そして、事実ここにはやっていないのです。これは山口県の林政課も、そういうところにやれるはずございません、やっておりませんということを証言しておるのです。これを、やった、効果があった、被害がゼロになったというぐあいに記述し、説明し、国会審議の資料にするとは何事ですか。  ここをいろいろ追及していきますと、林野庁当局は、これは地上散布の間違いだったとかなんとか弁解しておるようでありますけれども、地上散布でこんなに効果があるのだったら空中散布はやらなくたっていいわけです。  いずれにいたしましても、事実なかったことを、やって効果があったといって私たち国会議員並びに国民をだましている。  次に、第二の例ですけれども、これは二十四ページの事例六というのを大臣見てください。これは福岡県の早良の国有林という形で出ております。ここに四十八年度から空中散布をした、そして効果があった、こうなっているのですけれども、ここにも空中散布はしていないのです。これは福岡の営林署が、そういうことは絶対やっておりませんというように私たちにも説明をしておるのです。  このことを林野庁に聞きますと、林野庁は、これは九大の演習林の間違いだったというぐあいに言っておるのですよ。だから、九大の演習林というぐあいに注記に書けばよかったのですというような言い逃れをしておるのですが、現地に行ってみますと、この記載地の早良の国有林というのは山の中ですよ。ところが、九大の演習林というのは海岸にあるのです。山の中と海岸を取り違える、あるべきことではないのです。  それから、記載にはアカマツと書いてあります。けれども、九大の演習林はクロマツなんです。ましていわんや成立本数を見てみますと、ここでは約二十万本近くの成立本数がある。十九万幾らと書いてあるのですけれども、九大の演習林はそれの十分の一もないのですよ。二万本程度しかないのです。これが間違うはずはないのです。  時間がございませんので、いま二点しか申し上げませんでしたが、こういうように事実無根、空中散布して効果があって被害が少なくなった、ゼロになった、こうだから空中散布はいいのだからこの法律を早く上げてください、こういう資料に基づいて私たち国会議員や国民をだましたわけです。  いまのは事実無根の例ですけれども、次に、大臣はこの資料は作為はなかったとかいろいろなことを言われましたけれども、こういう作為があった、こういう数字の捏造、改ざんがあったということについて、具体的に指摘を申し上げたいと思うのです。  その第一は、二十二ページの事例三、これは山口県光市の懸山の例ですけれども、山口県の林政課でわれわれが調べましたところ、昭和四十七年と四十八年、四十九年、五十年と四年間の例が挙がっておるわけですけれども、四十七年と四十八年は三十アールの調査をしておるのです。それから、四十九年と五十年はヘクタール規模で調査をしておるのです。これは明らかに二つの別な資料なんです。別なデータが二つあったのを組み合わせて、空中散布をしたらこんなに効果があった、こういうぐあいに示しております。四十七年と四十八年、四十九年と五十年、二つ違ったデータを組み合わせておりながら、四十八年と四十九年は違うのですから、四十八年の成立本数が二百九十六本とそこに書いてありますけれども、その四十八年の成立本数二百九十六本から、違った資料ですけれども、四十九年は被害本数をたった一つ引いて、二百九十六マイナス一で二百九十五本としてあるのです。  三十アールの調査とヘクタール規模の調査で本数が同じというのは何事です。こんなでたらめというのはあるはずはないのです。これは数字の捏造、改ざん以外の何物でもないということでございます。  次に、改ざんの第二の例として二十四ページの事例七です。これは佐賀県の虹の松原についてですけれども、ここも四十七年と四十八年は一カ年の被害本数です。ところが、四十九年と五十年は半年間の、六カ月間の被害本数です。そうして、一年の被害本数、六カ月の被害本数、それを同じ一年の資料として——六カ月ならば被害本数が少ないのはあたりまえです。そうして、その資料を、空散が非常に効果を上げた、だから数字がこんなに少なくなったのだ、こんなぐあいに書いてあるのです。  これを正確に言いますと、四十九年、五十年を一カ年の被害本数に直しますと、四十九年度は百三十七本が百九十本になるはずです。五十年度は五十六本が百七本と、被害本数がふえるはずです。こういう改ざんの例がございます。  まだございます。二十一ページの事例一、これは兵庫県の赤穂市の御崎の事例ですけれども、これは行って聞いた話です。五十年は調査してあるけれども、四十八年、四十九年は調査していないと担当者が言うのです。そうして、これは机上で作成しました、捏造したということを関係者が証言しておるのです。  大臣、最後の方に鹿児島県の二事例がございますけれども、ここにも問い合わせをしましたところ、これは役場や県事務所から資料を出さないのです。原資料を出しません。  こういうことを見ますと、そこにあります資料というのはほとんど全部が事実無根、捏造、改ざんですよ。転記上のミス、数字のミスでも何でもない。この資料全部を見てみますと、前年度の成立本数から被害本数を差し引いたのを次年度の成立本数にしてありますけれども、松というのは台風が吹いたりその他の原因で一本も枯れないのですか。資料は全部そういうかっこうになっているのです。  こういうことで、私はこのことは、改ざん、捏造以外の何物でもないと思う。ほとんど全部がそうですよ。  それからもう一つは、事実を隠蔽してあります。これはたとえば事例五の山口県防府市桑山を除いては、全部地元の人たちが、住民が、松を守るために、その熱意で徹底した伐倒駆除をやっております。ここに出ております資料というのは、その桑山を除きましては徹底的な伐倒駆除が行われているところなのです。ところが、伐倒駆除が行われているということは一言も書いてない。全部空中散布でこういう事実があったのだ、こういうぐあいに地上散布を隠蔽して空散の効果を誇大に宣伝しておる、こういうようなかっこうになっておるわけでございます。  まだあるのですよ。しかし、時間がございませんから、これだけで事例は申し上げません。  そこで、大臣にお聞きしたいのですけれども大臣、私は八十国会でこの法案審議のときに大臣にこの場所で質問をいたしました。そのとき、こういう質問をしたことを大臣御記憶なさっているかどうか知りませんけれども、この法案を成立させるための、この法案を提出する前、提出した後の林野庁の態度は非常に異常だ、おかしいですよ、こういうことを大臣警告いたしました。私が挙げました幾つかの例について、そういう異常があれば大変なことだ、そういうことのないように注意するというようなことを答弁されましたけれども、いま言ったような、この数字の改ざん、捏造、偽造、作為、こういうものをとってみましても、優秀な林野庁の官僚がこんなに間違うはずはないのです。この事実を見ると、林野庁自体が松以上に農薬に毒されておる、こうしか考えられないと私は思うのです。そして、事実この法案審議の中で、空散するためのヘリコプターの会社がこれを当て込んで、あるいはお互いに連絡し合ったかどうか知りませんけれども、ヘリコプターの機数をこの時期にずっとふやしております。そしてまた、事実は調べてもらいたいのですけれども、住友化学と林野庁との癒着というものがうわさに上っているのです。そして、林野庁の課長補佐か何かの人が農林水産航空防除協会の専務理事か何かに天下りもしておる、こういう事実もいろいろうわさに上っておるのです。  大臣、この事実無根、作為、捏造、改ざん、隠蔽、こういう事実をいま私が申し上げて、大臣初めて聞かれた点もあるのじゃないかと思うのです。けれども、こういう事例があるにもかかわらず、これは単純なミスとお考えになりますか。これは六百事例の中から最も効果があった九つの例をここに記載しておると言われておるのです。こういうことで、大臣、これを単純なミスとお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。
  20. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 馬場さんからいろいろ御指摘がございましたが、確かにこの参考資料の中に間違いのあった点は、私、先ほど認め、かつ心から遺憾の意を表したところでございます。しかし、馬場さんがいろいろお話しになりますような作為的であるとか改ざんであるとか、そういう故意と悪意に満ちたものとしてこの資料を提出したものでないということは、私、事務当局からも報告を受けておった点でございまして、この点、馬場さんの御指摘と事務当局の私に対する説明との間で相当食い違った点もございますので、これは国会の場でもございますので、この際、林野庁長官から当局側として、この参考資料につきましてこういう考え方、こういう立場で作成したものであり、この点は明らかにこういう間違いがあったという点を当委員会として御聴取をいただけば幸いだ、こう思います。
  21. 馬場昇

    馬場(昇)委員 林野庁からは、いま大臣答弁されましたように、具体的に私が指摘したような点について、きちっと科学的に調査をして、科学的な資料をこの国会に提出していただきたい。  ここで説明をしますと、私の持ち時間がなくなってしまう。だから、この点については、たとえば大臣が答えられましたように、国会に林野庁当局から、この資料の間違いの部分はこういうことだという正確な資料を提出していただきたいと思うのですが、委員長、よろしゅうございますか。
  22. 金子岩三

    金子委員長 理事会で相談いたして、取り扱いを検討いたします。
  23. 馬場昇

    馬場(昇)委員 理事会に相談せぬとこんなのは出せないのですか、委員長。これは大臣も出していいというようなことをおっしゃっているわけですから、出してもらいたいのですけれども理事会で取り上げていただきたいと思うのです。  そこで、大臣、時間がございませんから、決して林野庁の発言を封ずるわけではないのですけれども、私がここでいまいろいろなことを言いました。これが林野庁の説明と違うということを大臣が言われましたから、違いはこの国会に資料として明らかにしてもらえば結構です。  ところが、事実現地に行っていろいろ調査した、私が調査したわけではございませんけれども、そういう結果に基づいて言っているわけです。そこで、私が言ったようなことが事実とすれば、改ざんとか捏造、偽造というのはあったのじゃないか、これは私が言ったことが事実とすればという前提でも結構です。  それから、改ざんとか捏造というのは、どういうことを改ざんとか捏造と言うのですか。そういうことについて、大臣の解釈も聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つ、ここでやはり大臣にお聞きしておきたいのは、ヘリコプターの機数がふえた、住友化学との癒着があった、あるいは林野庁からの天下りがあった、こういううわさがある。そういうことも調査をしてここに報告をしていただきたいという三点について、大臣からお答えをお聞きしたいと思うのです。
  24. 藍原義邦

    ○藍原説明員 資料に間違いがございましたのは、林野庁が出したわけでございまして、非常に申しわけないと思っております。この内容等につきましては、委員会の御決定に従いまして私ども対処したいというふうに考えます。  そこで、一点だけ申し上げておきたいことは、私どもは松くい虫の防除をどうやったら有効にできるのかどうかということで、これは先ほど先生が御指摘のように、林野庁がやりたいためにやるという考え方ではございませんで、やはり日本の松を守るにはどうしたらいいかという、地元の強い要望、あるいは国土保全上の問題、こういうことから対応したことでございまして、その辺につきましては十分御了解いただきたいというふうに考えております。
  25. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来申し上げますように、林野庁当局としては、この参考資料にいたしましても、まじめに取り組んでこの資料の作成に当たったということを私は信じておりますが、馬場さんが御指摘のように、そこに作為があった、あるいは捏造、改ざんというようなことが行われたというようなことでございますれば、これは重大な問題でございます。今後なお馬場さんの御調査並びに当局側がどういう資料のとり方をしたかというようなことを十分突き合わして御検討を願わなければならない問題だ、こう考えております。  なお、農薬会社あるいはこの防除の実施に当たりますところの航空機、ヘリコプターの企業と林野庁との間に忌まわしい癒着関係というようなものがもしありとすれば、これはゆゆしい問題でございまして、こういう点は調査の上で厳正に対処してまいる考えでございます。
  26. 馬場昇

    馬場(昇)委員 林野庁長官の誠心誠意やったということは、私は実は信用できないのです。というのは、いま大臣答弁で、今後いろいろ調査なさるということは了解するわけですけれども、たとえばこの資料は大蔵省にも出しているのですね。そして、これで予算を取っているのです。あなたの答弁を聞きますと、二足す三は十だというような答えが出ている。これは五じゃないかと言うと、足すとふえることはわかったでしょう、私に言わせますとこういうような感じの資料なんです。そういうことで、私は長官の答弁を納得できないのです。  そこで、私は大臣質問いたしたいわけですけれども、これがうそ偽りの資料——間違っていることはもう認められたわけですから、問題は作為的に改ざん、捏造したかということを調査するとおっしゃいましたが、この間違った責任者はどなたですか。
  27. 藍原義邦

    ○藍原説明員 この資料を作成した林野庁でございます。
  28. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それでは、大臣にお聞きしたい。  国会は国権の最高機関でございます。その国会審議を、私に言わせますとうそ偽り、あなた方がいまの段階で認めたのは間違い、こういう資料で国会の審議をさせたことについては、うその資料ですから、間違った資料ですから、国会、国民をだましたことになると私は思う。これは国会全体の問題だと思うのです。これがほかのところでも、あらゆる審議をするときにこういう間違った資料で審議させてもらっては大変なことになるわけですけれども、間違った資料で国会に審議させたという農林大臣及び大きく言いますと政府の責任はどういうことになりますか。
  29. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この点は冒頭に申し上げましたように、たとえこれが調査並びに参考資料整備の段階での事務的な間違いであったとしても、国会の重要な審議の資料でございますから、そのような間違いがあったことにつきましては、私は心から深甚の遺憾の意を表したところでございます。今後このような間違いのないように、厳重に事務当局を指導してまいる考えでございます。
  30. 馬場昇

    馬場(昇)委員 もし、これが資料で突き合わせて改ざん、捏造、作為というものがあった場合には、いま大臣は単純なミスであっても重大な責任を感じておられるということですけれども、これが私が言ったような事実が確認されたならば、大変な国会政府の問題になろうかと思うのです。  そこで、その改ざん、捏造、偽造という点については少し後に残りましたけれども、間違いがあったのは事実ですから、私は当面、農林大臣がこの委員会でやはり国会並びに国民に対して謝罪をなさるべきではなかろうか、こういうぐあいに思います。そして、これは大臣だけじゃないのですよ。物すごく大きい影響もあります。  というのは、ここに資料を持ってきております。けれども、松くい虫防除緊急対策推進協議会という会がございます。これは四十五都府県の知事が全部署名をして加入しておる会でございますが、この松くい虫防除緊急対策推進協議会が、この間違っている同じ資料をもちまして「松くい虫防除特別措置法の早期制定を訴える」、そして注に「薬剤空中散布の必要性及び安全性について」、こういうのを全国民に明らかにしておるわけでございます。これはいま大臣にここで改めて国会、国民に謝罪していただきたいのですが、その都府県知事もやはり県民に対して、国民に対して謝るべきだと私は思うのです。こういう点について、みずからの陳謝と、ここに署名し、国民に間違った資料を流して宣伝いたしました都府県知事に対して、何らかの国民に対して謝罪をすべきだという指導をなさるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  31. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 馬場さんの冒頭の御質問、また御所見の開陳に対して、私は遺憾の意を表します。と同時に、このような事態になりましたことはまことに申しわけないことであるということを先ほど心からおわびを申し上げたわけでございまして、私のこの問題に対する姿勢につきましてはそのことで御了解を賜りたい、こう思うわけでございます。  なお、この協議会等の問題につきましては、事情をもう少し究明をいたしまして、先ほど来申し上げたような事情等を十分調査もし、また、この資料が非常に大きな国民に誤認といいますか、判断を左右した、間違えさせたという大きなウエートを持っておるかどうか、そういう影響問題等も勘案をいたしまして、慎重に対処方針は考えたいと思っています。
  32. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これは都府県の四十五人の知事さんたちに対して、まず林野庁が謝るべきだと私は思う。間違った資料を流しているわけですから、そして知事さんたちはその資料に基づいて国民をだましたようなかっこうになっているわけでございますから、その辺についても、大臣がよく調査をして措置をするというお答えでございますので、ぜひそうやっていただきたいと思うのです。  次に、こういうことでございますので、私は結論的にきょう大臣質問しながら対処を求めたい点は、この法律は五カ年間で三百億ぐらいの費用を使うわけですね。そして、ことしは三十五億円ぐらいでもう空中散布をやったわけです。ところが、この法律にそれだけ大切な資料だったろうかと大臣は言われますけれども、との法律というのは、現在、病害虫駆除の法律があるわけですから、その上に空中散布をするための特別な法律です。空中散布が効果があるからこの法律をつくる、まさに空中散布の効果がなかったならばこういう法律をつくる必要はないわけですから。ところが、空中散布が効果があったという資料はたったこの五ページの資料だけです。これが根幹になっているわけですから、このことがこの法律のための基本であり、全部であると言っても過言ではございません。松の本数がどれだけだとか、面積がどれだけだ、そういう資料もたくさんあるわけですよ。そんなのは参考資料ですが、これは根拠資料ですからね。だから、これ以外に資料はないと言っても言い過ぎではないくらいに大切な資料でございます。だから、そういう点はぜひ確認しておいていただきたいと思うのです。  そこで私は、この法律は、この根幹になる資料がでたらめであったということですから、これが明らかになり、国会や国民が納得するまではこの法律の執行を停止すべきだ、こういう考え方を持っております。  だから、具体的にこういうことをすべきじゃないかということについて質問を申し上げたいと思うのですが、まず第一点は、この空中散布をやって効果があったというデータ、聞くところによりますと、さっきも言いましたように六百例の中からこの九例を挙げたんだとおっしゃっているんです。六百例ある中から最も効果がある九例を選んだんだから。その資料がこんなにでたらめでございますから、私はその六百事例を全部、その原資料を国会に出していただきたい、それが一つ。もう一つは、本当に科学的なデータを、先ほど言われましたように誤りかどうかということは出すと言われましたけれども、科学的なデータを林野庁でつくってきちんと出していただきたい。間違いがあった、なかったという資料もですが、さらに六百事例の中から科学的なデータを出していただきたい、このことをまず第一点として申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つは、もう時間がございませんので全部まとめて申し上げますけれども、本年すでに空中散布をやっております。この本年度の空中散布の実施状況を明らかにしていただきたい。特に住民の意思を尊重する、住民の反対があれば無理に空散はしないという約束も国会の中でなさっておるわけですけれども、私が聞くところによりますと、いろいろトラブルがあった、そういう中で警察権力を動員しながら空中散布をしたところもある、こういうぐあいにも聞いておるわけでございますので、そういう住民との関係を含めながら、本年空散の実施状況をこの国会に出していただきたい。  それから第三点は、本年空散したわけですけれども、これは審議のときにもお約束をしてもらっておるわけですけれども、健康被害、そういうものはなかったかどうか。それから、農林漁業、こういうものに対する被害はどうであったか、環境破壊、こういう問題に対する影響はどうであったか、こういう空散後の事後調査、この資料も明らかに国会に提出していただきたい。  第四点として、新聞等でこれも報道がありまして御承知と思いますけれども、千葉県で農薬中毒事故死の事件がございました。スミバッサ七五という農薬だと言われておりますけれども、この主成分はこの空中散布で使いますスミチオンであることは間違いございません。だから、この中毒死事件の内容、概要、それと、国会で議論しましたが、このスミチオンの有毒性の問題について、これもまだまだ明らかになっておりませんので、これについての資料というものを明らかにしていただきたい。  それから第五点として、その他国会審議で大分たくさんの問題が各党からも指摘されました。附帯決議もこの法律にはついているわけです。だから、その質疑されました問題、附帯決議の実施状況、こういうものもこの国会に出していただきたい。  だから、ここで申し上げておるのは、いま言いました五点の資料をこの国会に出していただきたいということが第一点と、第二点は、その出された資料をもとにこの国会で十分論議をいたしまして、国会やそしてまた国民が納得するまでは、第二年度からの空中散布の執行を停止していただきたい、この二点について大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。
  33. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま提起されました問題につきまして、第一は、この法律国会での審議の経過等から見て、成立はしたが、間違った資料の上に立った審議であったから、これは執行を停止すべきだという御所見、これはきわめて重大な問題でございまして、国会において審議の上、御決定をいただいた問題でございますから、この法律の執行を停止するとかしないとかいう問題は、まず、当委員会が御審議の上で、そして最終的な結論を出された問題でございますから、この執行を停止すべきであるかどうかという問題は国会において意思決定を願わなければならない問題だ、私はこのように考えております。  なお、六百例の資料の提出あるいは科学的な資料の提出の問題は、後ほど事務当局から御答弁をさせることにいたします。  なお、今回、松くい虫の被害が急激に毎年拡大をしてきておるという緊急事態に対応いたしまして、空中散布をやるという特別立法をお願いいたしたわけでございまして、今年度、第一回、相当広範な地域で本格的に実施をいたしました。この結果につきましては、林野当局に命じまして、その散布後の効果なり影響なり、あるいは自然環境その他生物の生態サイクルあるいは人体その他のものに対するどういう影響があったか、また、この実施に当たって関係地域住民の方との十分な話し合いによってその同意を得て実施をするということに国会政府の方針を明らかにいたしておりますし、気象その他の激変等によって環境条件が変わった場合には直ちにこれを停止するというようなこと等につきましても政府考え方を明らかにいたしまして、当委員会の御審議をわずらわした経過もございます。したがいまして、今年度本格実施後におけるその影響、成果その他につきましては、いま関係機関において十分、相当広範な事後の調査を進めておるところでございますから、それがまとまり次第国会に御報告を申し上げたい、このように考えております。  なお、千葉県の事故死の問題につきましては、いろいろ直接的な因果関係があったかなかったか、あるいはどういう状況の中でああいう不幸な事態が発生をしたか、そういう点は調査をしておるところでございますし、この点につきましては、農蚕園芸局長等から御報告を申し上げたいと存じます。
  34. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま大臣からお話ございましたように、まず本年度の問題につきましては、国会でいただきました附帯決議、あるいは審議の過程でいただきました諸先生方のいろいろな御意見等を十分取り入れてことし実行いたしまして、すでに五月九日から七月二十日までの間に第一回、第二回の散布を完了いたしております。そして、結果的には、全体の予定に対しまして九六%実行いたしております。  これに関しますいろいろな問題、それから、そのほか先生からただいま御指摘ございました資料につきましては、調製いたし得るものは十分調製いたしまして提出するつもりでございます。
  35. 馬場昇

    馬場(昇)委員 時間が来ましたのでやめます。が、資料は全部出していただきたいと思うのです。  そこで、これは大臣答弁されました点にかかわるのですけれども、資料がたくさん出ますと、やはりこの委員会で議論をしなければならないと思うのです。執行停止を云々すべきかどうかということは委員会が決めてくれということを大臣言われるわけでございますので、これは委員長にお願いでございますけれども、先ほどの資料を全部取り寄せていただくということを御努力願うとともに、資料が集まりましたら、その資料について議論する機会をつくっていただいて、その議論した結果に基づいて停止すべきであるかどうかという議論をこの委員会でしていただきたいということを委員長にお願いをしておきたいと思うのです。が、委員長、よろしく取り計らっていただきたいと思います。
  36. 金子岩三

    金子委員長 理事会で協議いたします。
  37. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それでは、これで質問を終わります。
  38. 金子岩三

    金子委員長 竹内猛君。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、獣医師法の成立に関係する厚生省の佐分利局長の言動に関する問題、それから赤潮に関する問題、第三点は来年度の米の作付転換の関係について、この三点を中心に御質問をいたします。  まず最初に、佐分利局長は見えていますか。——過ぐる七月二十八日の夕刻、ホテル・ニューオータニにおいての獣医師法が国会を通過した祝賀の会場に局長が見えまして、どういうごあいさつをされましたか覚えていますか。
  40. 佐分利輝彦

    ○佐分利説明員 覚えております。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょっとここでもう一遍言ってください。
  42. 佐分利輝彦

    ○佐分利説明員 少し長くなりますが、よろしゅうございましょうか。(竹内(猛)委員「要点だけ」と呼ぶ)はい。  私が申し上げましたのは、先般の獣医師法改正案に対する附帯決議において、この農林水産委員会の御決定によって、新教育制度の獣医師さんの処遇改善というのは図られることになった。しかし、旧制度、現行制度の獣医師さんの処遇改善はこれからの問題であって、獣医師会の方々も国会の先生方によくお願いして、そのような処遇改善に努めるべきではないかというような趣旨の発言をしたつもりでございます。
  43. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いま局長はそう言われますが、実際の発言はこういう発言なんです。私は実はびっくりした。何か、ああいう発言をして、これは全国区の参議院にでも出るんじゃないか、こういう感じもするぐらいの御発言でしたね。というのは、衆参両院の獣医師法に対する附帯決議を読んでみて、どうもその待遇が十分でない、だからというような発言だった。まあ、さっきもそういうふうな意味のことをちょっと言われましたけれどもね。  ここに五月十一日の議事録がありますが、私は特にこの獣医師の待遇改善という問題について強く要望をした者の一人として、あるいはまた附帯決議を提案した者の一人として、一体局長は何を言うのかということで、実は大変びっくりしたのです。  それで、衆参両院のこの国会における審議に対して、一種の、何といいますか——まあ本人もその当時、公衆衛生局長として出席をしておりまして、北海道等々におけるところの獣医師の地位の問題についてもかなり詳しい報告をしている関係もあるから、一体何を言おうとしてああいうような発言をされたかさっぱりわからない。真意はどういうことですか。
  44. 佐分利輝彦

    ○佐分利説明員 真意は、この農林水産委員会における五月十一日の附帯決議について御礼を申し上げると同時に、今後、現行制度、旧制度の獣医師さん方の処遇の改善について、先生方に特別の御援助をお願いしたいという趣旨のものでございます。
  45. 竹内猛

    竹内(猛)委員 どうも私どもにはそういうふうに受け取れないものですから、わざわざきょうここへ御出席をいただいたわけだけれども、そういう趣旨ならば別に問題はないのですよ。そうじゃなくて、衆議院、参議院の附帯決議がきわめて不十分であるということですから、どこが不十分なのか、一体どうしたらそれは直るのか。少なくとも厚生省の局長が、国会で議論をしてつけたその附帯決議にけちをつけるというようなことは許しがたいことだ、こういうふうにわれわれは感じて、そのとき直ちに獣医師会の副会長やあるいはそこにいた農林水産委員会理事の皆さんと私は話をして、これは国会の審議に対する一種の介入ですからね、許しがたい、どうしてもその真意をただすべきだ、こういうふうに思ったわけです。いまのような気持ちであるならば別にそれほど問題はないのですが、あのときの発言はそうじゃなかった。先ほど馬場委員から松くい虫の法案についていろいろなあれが出ましたが、それにやや類似したようなことになりかねない。だから、これは注意をしてもらいたいと思うのです。よろしいですか。
  46. 佐分利輝彦

    ○佐分利説明員 当日、私はかなりおくれて出席いたしまして、そして突然、日本獣医師会の司会の方から御紹介を受けると同時に、厚生省の局長を代表してあいさつをするようにという御指名でございました。  私は全く予定をしていなかったわけでございますが、そのとき私の頭にひらめきましたのは、先般、十二月二十一日に保健所法の施行令を改正いたしまして、保健所に必ず置くべき職種として獣医師の方々を入れることにしたということもございましたので、私に御指名が回ってきたのかなとまず思ったわけでございます。そしてまた、突然でございましたので、そのとき私は直ちに、長年、特に北海道の衛生部長以来頭を痛めておりました公衆衛生担当の獣医師さんの処遇改善問題が非常に強く浮かんだわけでございます。  そういう関係から、私どももこれまでかなり努力をいたしまして、北海道におきましても、また厚生本省におきましても、待遇の改善はかなり図ってきたつもりでございますけれども、なお一層の改善を図るためには、まず国会の先生方の特別の御支援がなければうまくいかないであろう。また、獣医師さんの方々も、現在就業中の方は約二万三千名でございまして、そのうち公衆衛生関係は四千五百名でございますけれども、この四千五百名の方々の処遇改善について、なお一層団結して努力をしていただきたいという趣旨で申したものでございますが、突然のことでもあり、また何分言葉足らずでございましたので、私の本旨とか趣旨と違った印象を先生方にお与えしたということは、私の不徳のいたすところでございまして、まことに遺憾に存じております。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これ以上やりとりをしても余り意味がないからこれでやめますけれども、あのような席上で、少なくとも衆参両院のその当時審議をした直接の者がいるときに、言葉が足りないとはいえ、国会の審議を冒涜するような発言をされたことは許しがたいことだと思うから、以後この問題について、いま言われたように、あるいはあの五月十一日の議事録にも残っているように、確かに獣医師の待遇については不十分であることはわかる、わかるけれども、両院の決議を見て不十分だというような発言をしたことは、これは将来にとってやはり注目すべき発言だから、今後どのような方法であなたがそのことについて努力されるかということを私は十分に監視をしながら、きょうはこの辺でやめておきますが、まだ今後もこの問題は続きますから、これでやめたといって安心してもらっては困る、こういうことで、まずとりあえず終わります。  続いて、赤潮の問題でありますが、昭和四十七年の夏にも赤潮の問題があり、本年の六月上旬において鹿児島湾にも赤潮の問題が出て、ミドリムシなどの問題でやはり非常に地元の漁民を悩ましております。引き続いて八月二十八日から三十一日まで播磨灘一帯を襲ったものでありますが、そのときにはハマチが百六十万匹殺され、その被害は十数億に上っている。こういう点で、わが日本社会党は直ちに調査団を派遣をして、現地に対する調査をいたしました。  そういう中から幾つかの問題点が出ております。緊急的な対策と、それから恒久的な対策の二面に分けて問題を整理したいと思います。  まず最初に、赤潮の発生の原因というものについて当局はどのようにそれを把握されておるか、この点はどうですか。
  48. 岡安誠

    ○岡安説明員 赤潮発生につきましては、いろいろむずかしい問題もございますけれども、大体私ども考えておりますのは、やはり富栄養というのが基礎になるというふうに考えております。窒素、燐がある程度蓄積をされまして、そういう状態にある種の引き金が作用をするということによりまして赤潮が大幅に発生をするというふうに理解をいたしております。  問題は、やはり富栄養の状態がどういう段階にあったかということ、それから引き金がどういうような形で作用したかということによりまして、発生の時期、態様、規模等が変わってくるというふうに考えております。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)委員 香川県の前川知事は、赤潮は起こるべくして起こったものであり、これは自然のものではなくてやはり重化学あるいは工業化、こういうようなものが原因である、人災であって天災ではないんだと言われておるけれども、そういうように受けとってよろしいか。
  50. 岡安誠

    ○岡安説明員 赤潮の発生につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな研究が現在なされておりまして、確定的にこういうメカニズムであるということを御説明するような段階にはないわけでございます。  ただ、お話のように、たとえば昭和四十七年に今回赤潮の発生したと同じようなところで赤潮の大発生がございました。これにつきましては、私どもは、富栄養の状態に対しまして当時相当程度降雨があったというようなことから、それが引き金になりまして赤潮が発生をしたので、これはやはり天災であるというような考え方をもちまして、天災融資法の発動その他の措置をいたしたわけでございますが、関係者の間から、四十七年の赤潮につきまして、これは人災であるということで、現在、裁判所に損害賠償の支払い、それから工場排水の差しとめ等を求めます訴訟が提起されております。  これらにつきましては、やはり訴訟の成り行き等を見ませんければ決着はつかないというふうに考えておりますが、私どもは四十七年の赤潮の発生というものは、いろいろ原因はあろうと思いますけれども、やはり天災というものが引き金になったのだというふうに考えております。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 天災であるならば、直ちに天災融資法を適用して今度もこれに対する緊急的な処置をとってもらわなければならないし、あるいはまた、赤潮で死んだ魚の運搬等々についてもやはり国の責任で処理をしてもらいたい。あるいは漁業共済金の早期支払いあるいはすでに借り入れている金の償還の一時繰り延べ、延期等々による資金繰り等についての条件緩和あるいは延期等、さらに生活経営資金、つなぎ資金、こういうもの、これはどこでも同じですけれども、そういうようなことに対する努力ということは一応されておるかどうか、この点はどうですか。
  52. 岡安誠

    ○岡安説明員 先ほど申しましたのは、四十七年の赤潮につきまして、これは天災と言いますか、自然条件が引き金になりまして発生をしたというふうに考えまして、天災融資法の発動をいたしたわけでございますが、今回の赤潮につきましては、当時とは状況が違っておりまして、何が引き金で発生をしたかということにつきましては現在なお検討中でございます。そういうように、今回の赤潮の原因が天災融資法の発動の条件になるかどうかということは今後の検討にまたなければならない点もございますし、また今回の被害額が、私どもの推定では近辺を合わせまして大体三十二億前後ではなかろうかというふうに考えてもおります。そういう規模の点からも、天災融資法の発動というものは今回はなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。  それから、死んだ魚の処理につきましては、県、市町村等が主になりまして御処理をいただいております。相当経費もかかったということも報告を受けておりますが、これの対策につきましては、やはり県、市の財政影響を与えたということから、今後その処置につきましては、自治省とも十分打ち合わせをして対処をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、共済金につきましては、関係者がほとんど赤潮特約に加入をいたしておりますので、私ども、被害額が確定し次第共済金の早期支払い、これはできるだけ指導をいたしたいというふうに思っております。  それから、すでに借りております資金の返済についての条件緩和等の問題でございますが、すでに九日付をもちまして関係金融機関にそういうような相談に応ずるように、ケース・バイ・ケースでございますけれども、相談に応ずるように指導をいたしております。  それから、今後の経営の安定対策としての資金の問題でございますけれども、私ども、生活その他の資金につきましては、旧債が現在どういうふうになるか、固定的な債務をどれだけ持っているかということを調べまして、でき得れば維持安定資金というようなものの融通も考えたいというふうに思っておりますし、今後の仕込み資金等につきましては、近代化資金制度の活用というものも考えてまいりたいというふうに現在検討中でございます。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)委員 緊急の対策としてはかなり努力をしていることについては了解をします。ただし、恒久対策について、やはり発生源が、あるときには人災という裁判が行われるし、あるときには天災だということになるということは非常に不明確でありますから、やはりこの点は特別の調査機関などをつくって——赤潮対策に対する調査機関をつくる意思、これはひとつ大臣の方から答弁をいただきたいのですが、調査機関などをつくって漁民が安心ができるようにしてほしいということが第一点。  第二点は、瀬戸内海の管理体制の窓口というものが幾つかあってどうもはっきりしないじゃないか。運輸省であり、環境庁であり、あるいはまた農林省関係するだろうから、そういうようなところの窓口は一本にならないものか、こういう点が第二点目。  それから続いて、瀬戸内海の環境保全特別措置法、これは五十三年に期限が切れるわけですが、これに関しては、さきにわれわれの代表が環境庁の長官にいろいろ申し入れたときに、これはひとつ法案をさらに延期し、つくる、こういうお話ですが、その場合に、現在のもののただの延長じゃなくて、内容をさらに充実したものにしてもらいたい、つまり総量規制などを加えたものにしてほしい、こういう要求があるわけです。  それからなお、漁民の方からは、養殖魚については魚種、あるいは魚のとり方、漁法等について再検討するための指導強化を行ってもらいたい、こういう要望があります。  以上、赤潮に対して何点かの問題を恒久対策として質問しましたが、これに対するお答えをひとついただきたいと思います。
  54. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 赤潮に対する恒久対策、これは関係各省庁並びにあらゆる研究機関、民間の知能等もできるだけ動員をいたしまして、ぜひ早急に確立したい、このように考えております。  原因につきましては、燐と窒素、どうもこれがある条件のもとに引き金になって発生するのではないかということが一応考えられておるわけでありますが、そのメカニズムにつきましては明確な科学的な検討結果というものが出ておりません。そこで、今回私、事務当局に指示をいたしまして、関係の試験場、大学その他各方面の権威者、専門家を網羅した研究チームをつくって、そして赤潮に対する科学的な究明、そういうものをやってほしいということを要請もし、すでにそのことに着手をいたしておるところでございます。  なお、予察、予報それから関係漁民にできるだけ早く情報を提供する、こういうことが大事でございますので、そういうようないままでの組織があるわけでございますけれども、そういう面につきましても総点検を加えまして、予察、予報並びに情報の末端への敏速な周知徹底、こういう面につきましても検討を願うことにいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、瀬戸内海ばかりでなしに、各地において赤潮の被害が頻発をする状況にございますので、これに対する対応は、緊急臨時の措置とあわせまして恒久的な対策を早急に確立する必要がある、このように考えて、それに着手をいたしておる段階でございます。  なお、瀬戸内海の環境保全、環境の改善の問題につきましては瀬戸内海環境特別措置法がございまして、これに基づきまして各省庁でそれぞれ対応いたしておるところでございますが、私も、あれは草々の間にできた法律であるだけに、まだ改善をすべき点が多々ある、このように考えておりますので、これは関係省庁と十分今後とも検討を続けてまいりまして、所要の改善措置を講ずべきものだ、このように考えておるところでございます。  なお、養殖に当たりまして魚種等の再検討等の問題がございます。また、蓄養池あるいは赤潮が発生をするという場合に対する緊急の対応措置、こういう点につきましても、十分今後研究すべき問題点が多々あるように思います。ハマチは大変な被害をこうむっておるが、タイのようなものは比較的被害が少なかったとか、いろんな魚種によって違う面がございます。そういう点も十分今後研究を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)委員 あと、時間がなくなったものですから、米の転作の問題について、一括して質問をして、答弁のできるところだけ答弁し、あとは資料で今度は答えていただきたい、こう思います。  五十三年度の農林予算の要求が大蔵省に出された。これを見ると、三兆を超えている。これは恐らく戦後最大の予算の規模ではないかと思われるくらいのものでありますが、その中では、米の転作というか、いわゆる稲作を変えていくということで、二千億の要求がされております。いままで農林省の農政の中心が米であった。その米が、いよいよこれは生産過剰でどうにも仕方がないということで、恐らく悩んでいるわけなんだろうと思う。六十年の展望を見ても、その展望では一千二百十万トンというような形であるけれども、すでに千三百四十万トンを見越して百七十万トンの生産調整、その面積は四十万ヘクタールという形で出されている。こういうことになると、すでにこれは、米の作付面積の一三%以上というものが転作をされるわけで、日本の農政における一大転換である。  一方、魚の問題がこのような状態になってきて、二百海里時代になって、あちらこちらでどんどん締め出しを食っているという状態からすれば、動物性たん白を得ることは大変困難な状態になってきている。そこで畜産に期待がかけられるけれども、えさの問題は、これは輸入という形にならざるを得ない。  このような点から考えて、第一点として私は要求したいことは、五十年に閣議の決定をし、農政審議会の議を経た六十年を展望した長期展望というものを、もう一遍再検討する時期に来ているのじゃないかということが第一。  第二点は、米の四十万ヘクタールの作付転換をするときに、これを行政でやるのか立法措置でやるのか。行政というものは、農家の人たちから見ると、どうも責任の所在がはっきりしない。十年間も、百七十万トンの作付転換をするとするならば、やはりこれは立法措置をとるべきではないか、責任の所在を明らかにすべきではないかという点が第二の問題。  第三は、土地改良に関連をして。  現在も土地改良を進められておりますが、その土地改良は米を中心にして償還——それはもちろん米だけではありませんが、一番安定したものとして米を中心に償還計画や借入金やそういうものができている面がある。米をつくればどうだ、こういう形になっているわけで、これが今度は米からあるいは飼料作物、麦、大豆という方向に転換をする場合には、当然この土地改良のあり方あるいは今日までの土地改良のその実態が、やはり再検討をしなければならない状態に来ているのではないか、その問題。  その次には、六十年展望でさえも八十六万ヘクタールの農地を新しく開発をし、七十万ヘクタールを壊廃をする、消滅させる、あるいは転用する、こうなっている。これは一体どこの県でどういうぐあいにやるかということの小さな目録がなくて、総体の結果だけ出ている。これではやはり地域農政といわれるようなことをやるときに、農家は不安でたまらない。そういう点からするならば、やはりこれももっともっと細かい検討が必要ではないか、このように私は思う。  さらに、作付を転換する場合に、戦略作物として飼料作物、麦、大豆、こうなっているが、飼料作物といった場合に、一体何が飼料作物の中心になるのか、農家では戸惑ってしまって全くどうしていいかわからないというのが現状だ。そのたびごとに農政に対する不信と不満が出るだけだ。これは水産技術会議等においてもすでに検討されているわけですから、そこらの知恵も動員をして、どういう飼料作物をどの辺につくったならばどのような収入が上がるかという具体的な資料がない限り、議論のしようがない。  それからもう一つは、価格問題です。何といってもいまは米が農家では一番安定した作目であることは間違いない。だから、米以下のものであるならば農家の転作は非常に困難だ。だとするならば、転作をするものの価格はどのような形で保証されるのか、支持されるのか、この点が明確にならないと、五十三年度の農政がスムーズに進むことはできないだろう。福田総理大臣国会の初めのときの演説の中で、農民に喜んでもらえるような農政をやる、こういうきわめて喜ばしい発言をしたけれども、いま日本の農民は大変苦しんでいる。喜ぶどころじゃない、頭を悩ましている。畜産物の価格を決定するのを見ても、米価の決定に際しても、努力はしたもののまだまだそういう状態ではないいし、さらに甘味資源の価格決定の問題がやがて出てくるであろう。そういうときに、九月に行われるケネディ・ラウンド、自由化の問題も含めて、さらに鉱工業製品を売るために、ECやあるいは豪州やアメリカやその他の地域から農畜産物製品の日本に対する売りつけが行われるだろう。すでにトマトにしてもあるいは牛乳にしてもあるいは乳製品にしても、多くのものが日本に売りつけをされているという実情がある。  こういうところを見たときに、農業政策というものをもう一遍再検討する時期ではないかということについて、私は大筋としていま言った点を検討してもらいたいし、総括して大臣からお答えをいただいて私は終わりますけれども、時間が来ていますから、簡単にひとつ。
  56. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 竹内さんから、当面する農政全般について広範な問題点の提起がありました。私も実は共通の認識を持っておるわけでありまして、そういう認識の上に立って現在農政に取り組んでおるところでございます。  まず、昭和六十年の展望に立っての農産物の需要と生産の見通し、これにつきまして再検討を加えるべき段階ではないか、こういう点を御指摘になりました。現在、稲作に対する志向傾向が非常に強い、潜在的な生産力というものは私どもが予想する以上に強いわけでございまして、水田総合利用対策等を国会の御協力も得まして進めておるところでございますが、なお根強いものがあるわけでございます。  また一方におきまして、国民が必要とするところの麦であるとか大豆であるとかあるいは飼料作物であるとか、そういうものの自給力が、減産の歯どめはかかったものの、なかなか思うように伸びてこないというのも事実でございます。一方、米に対するところの消費が、学校給食その他を通じまして消費拡大ということにいろいろな努力をしておりますが、これまたこの傾向というものがなかなか改善できないでおる、こういうようなことでございまして、大体、昭和五十年度の六十年展望に立ってのわが国の主要な農産物等に対する需給見通しというのは、残念ながらそういう方向に進んでおって、いま改善をするという段階ではない。おおむねあの当時の見通しと変わらない方向に動いておる、こういうことをまず言わざるを得ないわけでございます。  そこで、さらにこれらの政策を強化してまいる必要があるわけでありまして、水田総合利用対策という政策からさらに一歩踏み込んで、水田利用再編対策というものをいま検討中でございます。ことしは九十万トンの生産調整を行いまして、農業団体等の御協力もいただいて、おおむねその目標に近いものを達成できたわけでございますけれども、なお私どもが想定いたしましたよりも、ことしの作況が全国平均で一〇四というような事情もございまして、九十万トンぐらい予想よりも上回るというような状況にございます。  私どもはそういうような観点から、総合的な食糧自給力を高めるという方向で、ただ稲作を減産するという緊急避難的なものとしてだけでなしに、総合的な必要とする主要農産物の生産を伸ばすという方向に転換を進めたいという前向きの方向でこれに取り組んでまいりたいと考えております。しかし、この問題も百七十万トンの生産調整ということは大変な問題でございまして、農林省を挙げてこれに取り組んでいきたい、このように考えておりますし、農業団体等にもよく実情を訴えまして、御協力をお願い申し上げておるところでございます。  なお、これを進めてまいりますためには、御指摘のように、価格政策の問題もございます。稲作収入と他の主要作目との所得に大きな格差が存在する限りにおきましては、総論はわかる、しかし耕作農家にとりましてはやはり生活の問題でございますから、麦をつくっても、大豆をつくっても、飼料作物をつくっても、おおむね相対的な収益性というものが均衡がとれるような施策がなされなければいけない、こういうのは当然のことでございまして、先般の麦の価格の改定、なたねの価格の改定におきまして新しい算定方式を採用いたしまして、対米価比につきましても大きな改善を加えるようにいたしたところでございます。今後におきましても引き続きそういう方向で取り組んでいきたい、このように考えております。  なお、土地改良その他の基盤整備におきましても、これは何といっても農業の基本的な問題でございますので、排水その他が十分できるような、営農の輪換ができるような、そういう土地改良事業等もやっていかなければなりませんし、今後はさらに畑作の土地改良事業、基盤整備事業等に重点も向けまして、そして米以外の農産物の生産の増強にも力をいたしたい。  また、二百海里時代を迎えまして、たん白食糧の問題が非常に重要になってきております。そういう観点で、畜産の問題につきましては、飼料対策を含めまして、価格問題とあわせまして、畜産の生産が今後とも一層健全に発展できるように努力をしてまいりたい。そのための草地の造成拡大、そういう面にも力を入れてまいる考えでございます。  今後、国会におきましても、このむずかしい転換期に立つ日本の農政をどう進めるかということにつきましては、ただいま竹内さんの御所見も承りましたが、いろいろな問題を抱えておりますので、御協力を得ながら進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  58. 金子岩三

    金子委員長 吉浦忠治君。
  59. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は時間の関係もありまして、災害対策特別委員会の方に出席をしなければいけないというそちらの方の要望がございまして、その方を先にお尋ねをいたしたいと思います。なるべく簡潔にお答えを願いたいと思うわけでございます。  八月二十一日から五日間、私ども公明党は第一次、第二次、第三次と有珠山の爆発における事故調査団を編成いたしまして、私は第三次の方に参加をして八月二十一日から行ってまいったわけでございます。  火山活動は、天災は忘れたころに来るというふうに言われておりますが、現在の科学的予知からいたしますと、当然三十年周期でありますとか、あるいは五十年度あたりから非常に危険であるというふうに言われていたのでございまして、かなりの予知はできたのではないかというふうに考えられるわけであります。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 この有珠山の火山活動は急に来たわけではなかろうと思います。御承知のように、気象庁等では、その噴火の頻度等に合わせましてA級、B級、C級というふうに分類をしてございまして、有珠山は御承知のようにB級でございますが、そうなりますと、A級の四つの山がございますけれども、その山においてはかなり詳しいデータがあるようでございます。しかも、地震の予知からいたしますと、爆発がかなり前から予知できるような体制にあるようにも聞いております。  したがいまして、この有珠山における噴火というものが予知できなかったかどうか、政府において不備な点はなかったかどうかをまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  60. 渡辺偉夫

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  現在、火山活動に関する予知の問題といいますのは、学問的にきわめてむずかしい状態にございます。先生が御指摘のように、三十数年の周期があったのじゃないかということでございますが、これは周期性の問題についても、学問的にはまだはっきりとした解明がなされておりません。有珠山につきましても、明治四十三年以降は大体三十数年という間隔があるように見受けられますが、この以前につきましては五十年とかあるいは百年とかという間隔がございまして、これは将来にわたってこれが周期性を持つとはっきりとした学問的な解釈がございません。したがって、現在の段階では、この周期性から予知の問題について議論といいますか、云々することはきわめてむずかしい状態にございます。  それから、気象庁におきましても、この前兆をつかまえるために、確かに有珠山におきましては一点観測でございますが、これは常時監視をいつも行っておるわけでございます。この有珠山につきましては、いわゆる地震の活動というのはこの前兆の大きなポイントでございますので、今回につきましても、この地震の活動は的確に一応把握してございます。  以上でございます。
  61. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私がお尋ねしているのは、A級、B級、C級とある中で、A級の四つの山について観測体制が非常に完備されております。いわゆる地震観測や防災避難体制、こういうものも比較的整っていると言われておりますし、たとえば浅間山のごときは気象庁の地震観測計が三台ございます。また、東大の火山研究所なども常設されております。こういうものからデータが出ておりまして、大体、五日間に七百回以上の火山性の地震があれば、翌日噴火するという可能性が九〇%であるというふうにも言われているわけです。こういう点について、B級について予知体制についての不備はなかったかどうかということをお尋ねしているわけです。お答え願いたい。
  62. 渡辺偉夫

    ○渡辺説明員 先ほど先生からA級、B級、C級というランクづけのお話がございましたが、これは社会情勢とか火山活動の状況によって、従来、気象庁がいわば常識的といいますか、そういうもので区別したものでございますが、最近はこれは常設のいわゆる精密な観測をしているものがほぼA級に相当するのであろうと思いますし、それから一点観測をしているというのがB級で、現在まだ未整備のものがC級に相当するものであろうと思われるわけでございます。  有珠山につきましては一点観測でございましたが、地震活動が前日に活発になりましたので、直ちにその当日、これは噴火前の八月六日でございますが、気象庁に火山機動観測班というのが三個班ございますが、これを直ちに派遣をいたしましていわゆる精密火山観測と称するものと同じ状態にそれを持っていきまして、その火山活動の推移を厳重に監視しております。したがって、B級でありましても、あるいは先生のおっしゃいますC級、これは常設の火山観測施設はございませんけれども、その異常を把握しますと直ちにこの火山機動観測班を派遣いたしまして、そこでいわゆる精密火山観測と同じ状態で観測することにしております。  以上であります。
  63. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 火山法という法律が四十八年にできているわけでございまして、この法律によります。と、いわゆる避難の問題について、避難道路あるいは避難港の施設等について事細かに決められているわけであります。そのように、火山法によって保護されているような火山がある。なのに、今度の有珠山の場合は、私は現地に行ってその不備な点を見てまいったわけでございますが、特殊な山にだけこの火山法が適用されて、有珠山はその適用が除外であるというふうに思いまして、この面における当局の検討はどういうふうになされているかをお尋ねいたしたいと思います。
  64. 城野好樹

    ○城野説明員 お答えいたします。  いまお話しになりました活動火山法につきましては、先生御承知のように、「火山の爆発により住民等の生命及び身体に被害が生じ、又は生ずるおそれがある地域で、その被害を防止するための施設を緊急に整備する必要がある地域」というのを「避難施設緊急整備地域」として指定をいたします。避難施設緊急整備計画の中身といたしましては、道路、港湾、広場、避難壕の整備、学校、公民館等の不燃堅牢化というような事業が行われているわけでございます。現在のところ、桜島及び阿蘇山についてこの活火山法の指定が行われておるわけでございますが、従来の運用といたしましては、常時噴煙を噴出しているというようなところにつきまして重点的にそういう地域の指定をいたし、施設の整備を図ってきたところでございますが、今回のように火山が間欠的にと申しますか、何十年に一回噴火するというようなものについて、あらかじめこういう避難施設緊急整備地域というものに指定するかどうかということにつきましては、どちらかと申しますと、地元地方公共団体等の意向、そして、それらの整備をする計画というものがやはり裏打ちとなりますので、これらの点につきまして、今回の経験を生かして、こういう可能性のある火山ということでは、お話のようにB級であれC級であれ、必要があるものにつきましては、やはり地元公共団体と御相談をいたしまして、それらの地域指定並びに整備計画について指導をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  65. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 お答えはわかりましたが、お答え願った当事者の方も現地に行かれたかどうかわかりません。私が現地に行って感じたことは、避難等の体制が完備してない。これは当然でございましょう、不慮の災害でございますので、やむを得ない点もあろうと思いますが、日本列島それ自体がやはり阿蘇山や桜島に匹敵する、同じような体制下にあるとも言っていいんじゃなかろうかと思います。一たん災害に遭った場合に、人心の動揺というのは想像以上のものでありまして、役場に参りましても、避難の方の手を打っていいのか、あるいは私ども調査に参りましても、何から手をつけていいのかわからないというような状態、要するにパニックの状態になるおそれが十分にあるわけであります。そういう経験を踏まえてこれから考えますということじゃなくて、十分な予知ができる時代でもありますし、そういう面における当局の考え方というものを一歩前進させませんと、有珠山だけでも大きな被害を出していながら、これがほかの面で、日本列島それ自体がそういう事態であることを踏まえますと、もう少し考え方を前進させなければいけないんじゃないかというふうに私は考えますが、この点について、一時からそちらの方へ行かれる方に質問しておりますので、皆さんのことを考えて私はやっておりますから、簡潔に答えていただきたい。
  66. 城野好樹

    ○城野説明員 火山の噴火につきましては、先ほど気象庁の方からお話がございましたように、予知を正確にやるということは非常にむずかしい段階でございますが、ただ火山が噴火する周辺の市町村というのはその可能性を持っておるということでございますから、当方の活動火山法で処置すべき部分というのは、御説明申し上げましたように、どっちかといいますと、あらかじめの施設整備でございますが、そのほかの避難体制その他につきましては、消防庁その他と御相談をいたして、あらかじめそういう体制なり、それから何よりも重要なのはやはり事前の訓練というようなことであろうかと思います。それらのことについて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  67. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に、私は火山灰の処置についてお尋ねをいたしたいと思います。  火山灰をどういうふうに処置したらいいのか、端的にお答えを願いたいと思います。
  68. 森整治

    ○森説明員 ただいま私どもの査定官等が参りまして、いろいろ復旧についての工法の実験等をやっておりますが、現在考えておりますことを御報告申し上げたいと思います。  要するに、降灰の深さによりまして、畑で申しますと、あるいは十センチ程度のものにつきましては反転すき込みをすればそれでいいのではないだろうかという考え方でございます。それから、それ以上の深さになりますと、土捨て場がある場合には灰を排土いたしまして、反転すき込み整地をするということでございます。土捨て場がない場合には、降灰を一時取り除きまして、耕土も一時取り除きまして、一番深いところにその灰を埋め込みまして耕土を戻してやるという復旧方法をとらざるを得ないのではないか、こういうことで現在すでに復旧に入っております。秋までに、秋作ができるようにという希望が相当あるようでございます。それに間に合うように、少なくとも来春までにはすべてを完了できるように鋭意努力をいたしておるわけでございます。
  69. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま森局長答弁ですが、これは実は灰の捨て場所がないわけでございまして、これで頭が痛いわけであります。私が見た範囲では、北海道全体、オホーツク海までも灰が降っておる現状でありまして、特にあの周辺の農産物に対する被害というものは想像以上で、全滅の状態であります。その土地の方々に、この灰を一体どうなさるのですか、捨て場所があるのですかというふうに尋ねましても、どうにもならないというのが実情であります。  したがって、いま森局長の方で混合できるものはということですが、限度がございまして、あそこの周辺の虻田町でありますとか壮瞥町、それから伊達市、それから洞爺村ですか、その四カ市町村の地域においては恐らく混合してもできないのじゃないか。すぐに農林省の機械が入っておりましたことは事実でございます。現場も見てまいりました、話もしてまいりましたが、かなりむずかしいのじゃないかというふうに私は受け取りました。したがいまして、農作物等に対する被害は今後も長年起こるだろうというふうに思います。  局長も現場の実情をお聞きになっての御答弁だと思いますが、実際に歩いてみて、現場からどういう声をお聞きなさっているか、もう一度お答えを願いたいと思います。
  70. 森整治

    ○森説明員 確かに先生御指摘のように、そのまま反転すき込みができれば一番いいわけでございますが、土捨て場がない場合、それも考えまして、いろいろ試験場等も動員をいたしまして、われわれが出しておる結論は、いま先生が御指摘の土捨て場がない場合には、しようがないですから一回全部のけておいて、下に全部灰を埋め込みまして、もう一回耕土を上に後でかぶせる、こういうことしかないわけでございます。そういう方法も一応やるということで対処してまいりたいというふうに考えております。
  71. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 火山灰の経験を受けられた方はおわかりでしょうけれども、火山灰そのものが雨に当たりますとまるでコンクリートのかたまりみたいにかちかちになってしまいます。それが農作物を覆っておるわけですから、コンクリートの重圧、要するに固まったものに野菜が押しつぶされているような現状で、何らかその方の面に利用できれば、それで建設省あたりにお願いして新しい道路をつくるとか、あるいはそれに類ずるものに持っていくこともできるかもしれません。何らかの研究はなされているようでございますけれども、その灰の処置の方法というもので御検討なさっていることがあればお知らせを願いたいと思います。
  72. 森整治

    ○森説明員 私、現場には参っておりませんが、いろいろ写真等で、御指摘のような事実は承知はいたしております。ただ、非常に始末が悪いものでございまして、現地の試験場等の見解ではやはりまぜ合わせてすき込むのを原則として処理をしていく、これしかどうも対応方法はないのではないかというふうに私ども考えております。
  73. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 実に答弁というのは便利なものでございまして、お話しになればそれでわかったような気がいたすわけですけれども、現実はそうではございませんで、私、北海道庁に要望いたしましたときは、国の方に対策を講じてもらいますと、こういうわけでございます。国の方の官房長官にお願いをしましたらば、北海道庁からの報告が参っておりませんのでこれから、手おくれになっておりますというような程度でございまして、どこも責任がないような形、それは天災でございますから責任と言えばないかもしれません、天に責任があるのかもしれませんけれども、起こった以上は何らかの手を打たなければならないのが実情でございます。  そういう点で、現実の問題としていまなければやはり何らかの手を打たなければならない段階である。激甚と言われるようなその四カ市町村においては、やはり直接に責任者の方が行って声を聞くくらいの熱意がなければならぬじゃないか。ただ報告だけを受けて答弁だけをなさればいいという問題じゃなかろうと私は思います。  こういう点について、やはり農作物の被害等が最も甚大でございます。森局長、この農作物に対してはどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お答えを願いたい。
  74. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 どうも御質問中中座をいたしまして……。  有珠山の災害につきましては、農林水産関係だけでも二百億を超えるであろう、こういうことでございますが、私どもは、地域はそう広くはないにしても深刻な農作物に対する被害の実態を考慮いたしまして、農林省としては天災融資法の適用ということを考えておりまして、すでに関係省庁との間で話し合いがまとまりまして、その方針でいま諸般の準備を進めておる段階でございます。今月中もなおこれで安定したのかどうか、被害の状況等もさらに見た上で実施の時期を決めたい。方針はもう天災融資法を適用するという方針を決めまして、その発動時期をいつにするかということをいまいろいろな角度から検討しておるという段階でございます。  なお、農地あるいは農業用施設その他の災害復旧の問題、これも局地的ではございますけれども、非常に激甚な被害があるわけでございますので、激甚災適用の問題につきまして国土庁を中心にいま検討を進めておる段階でございます。私どもとしては前向きでこれに取り組んでいきたい、このように考えております。  なお、いま御指摘がありましたが、国と道庁でキャッチボールをしておるのではないかというような意味合いの御質問がございましたが、決してそのようなことではございませんで、御承知のように、この有珠山の地震の状況がある程度安定をしたというめどがつきませんと、はっきりした被害の調査、把握ということが十分できません。そういうようなこと等でおくれておったわけでございまして、被害の実態等が数字の面で十分把握できるようになりますれば、諸般の対策というものを、国のやるべきことはやる、また道がやることを国として応援すべきものは応援する、こういうことで早急に被害農民の立場考えまして対処してまいる考えでございます。
  75. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 時間の関係もございまして、私は次の問題をお尋ねをいたしたいと思います。  午前中に御質問がございました点でございます。が、第八十国会において審議をされました、農林水産委員会においては重要な法案でございました松くい虫防除特別措置法案でございます。  大臣からもまことに遺憾であるという話はございましたが、この資料等について、審議が終わりました後にいろいろな問題があって、各新聞、放送等で批判を受けております。私どもこの席上で審議をいたしました者として非常に残念にたえないわけでございます。この点について、角度を変えまして、今後このような問題をどのようにとらえていいかという点について私は一抹の不安を感じております。と申しますのは、国会の審議を得る前に予算案の段階でこの資料が必要であったのか、審議における資料として必要であったのかどうか、この点を明確にお答えを願いたいと思います。
  76. 澤邊守

    ○澤邊説明員 林野庁が参っておりませんので、かわってお答えしたいと思います。  先般の法案の審議に際しまして、やはり安全性の問題あるいは効果の問題等について種々議論がございましたので、参考資料といたしまして、事例等につきまして、これまでわかっておりましたものについて提出をした次第でございます。
  77. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 これは予算関係でこの資料が必要であり、この委員会における審議においては別な資料であったというふうな受け取り方が一般紙等でなされておりました。この点についていかがでございますか。
  78. 澤邊守

    ○澤邊説明員 もちろん予算財政当局に要求いたします際におきましても、あるいはさらに国会で御審議いただく際におきましても、当然必要であるということで提出をしてきたものでございまして、法案の審議に際しましても、審議の参考として必要な資料であるというふうに判断をして提出をした次第でございます。
  79. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私はわからないからお尋ねをしているわけですよ。当然この委員会における審議の資料というものは、農林省から出されている資料というものは、同じものでなければならないと思います。やはりミスがあってはならないと思うのです。事人命に関することでありまして、農林大臣は、もしも人命に支障を来すようなことがあったら即刻松くい虫の空中防除というものは考えなければならぬというふうにもこの委員会で言明をされているわけでございます。  そこで、私はお尋ねいたします。  五月二十九日に、千葉県夷隅郡大多喜町三又の農業、磯野万佐美さんという六十歳の方が、ヘリコプターによる農薬の空中散布が行われた直後に突然倒れて亡くなられた事件は、農林省はどういうふうに掌握なさっているか、お尋ねをいたします。
  80. 堀川春彦

    ○堀川説明員 この件につきましては、私ども、千葉県当局から報告を受けておりますし、また私どもの職員を千葉県に派遣いたしまして、いろいろ調べて承知をいたしております。
  81. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この死亡事件に際しまして農林省が地元から報告を受けられましたその当日の五月二十九日の状態を、掌握している範囲で結構でございますので、お答えを願いたい。
  82. 堀川春彦

    ○堀川説明員 時間の関係もございますので、ごく概要を申し上げたいと思います。  事故の発生いたしましたのは、五十二年五月二十九日午前十一時ごろでございます。  千葉県夷隅郡大多喜町内におきまして、水稲のイネドロオイムシを駆除する目的をもちまして、空中散布によりましてスミバッサという農薬が散布をされたわけでございます。  この現場は三又地区でございますが、そこにおける散布が終了いたしまして二十分ぐらいたちましたころ、いま先生がおっしゃいました磯野さんという六十歳の兼業農家の経営主でございます。が、この方が、自己の水田の周辺にございます灌漑排水用のパイプの接続作業に出かけたと推定をされるわけでございますが、出かけられました。出かけられる前に、家族の方から、きょうは農薬の空中散布があるから出ない方がいいよという趣旨のお話を聞いて、なおかつ出られたようでございますが、帰ってこないということで、家族の方が心配をされまして様子を見に行ったところ、当該水田よりもかなり離れたところですが、自宅の方に近いところのあぜの上で倒れておられたということでございます。  本人の服装は、腰までの大長ぐつをはいておりまして、長そでの作業衣を着ておりました。  倒れているのを発見いたしまして、直ちに病院へ搬入をしたわけでございます。日ごろかかりつけの病院があったわけでございますが、当日その病院が休みであったために、別の病院へ運び込まれたわけでございます。  病院へ運び込まれまして、その時点では意識もしっかりしており、しかし顔面あるいは体の色が悪い、それから足の方がしびれておるというような症状を訴えられたわけでございます。その後、病状が悪化をいたしまして、三時間少したちました後に死亡をされたという状況でございます。  空中散布の状況でございますが、先ほど申しましたスミバッサ七五というものを、これは航空散布事業で申します術語でございますが、少量散布と申しまして、原液の八倍の希釈液でまいておるわけでございます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  当日まくに当たりまして、事前に、五月二十四日に農家組合長会議でこの件について協議をしており、かつ前日と前々日に有線放送をもちまして、前後五回にわたりまして農薬散布のことについて周知を図ったという経過はございますが、しかし、このような事故が起きたということは、いずれにいたしましても、農薬の中毒事故死というふうにその後伝えられておる向きもございまして、私ども、そういう意味では大変遺憾なことだというふうに存じておるわけでございます。
  83. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま園芸局長の方から、そのように伝えられておりましてというふうなこともございましたが、中毒死というふうに断定をされておるわけでございます。薬物による中毒死という場合に、この磯野さんの場合、死亡してからの瞳孔が縮小しているとか、あるいは腐敗の進行度が非常に早いというような特徴は、これはいわゆる薬物の有機燐剤の特有の症状でございます。倒れられた時点から、すでに磯野さんも口走りながら、ヘリにやられた、ヘリコプターにやられたというような言葉を発しておりました。そして、この症状が出た時点ですでに薬物による中毒死であるというふうな強い見方でございまして、千葉大の法医学部教室で司法解剖の結果、中毒死であるというふうに断定をされたわけでございます。  こうなりますと、ヘリコプターによる空中散布というものは、松くい虫防除法案でも私ども非常に心配をしてこの審議をいたしたものでございます。全国の農地でこのヘリコプターによる空中散布が行われているのでございますが、今度の事件は大多喜町という一市町村だけの問題でなくて、全く予想もされなかったことではございますけれども、農薬の空中散布の危険性というものは、いわゆる日本列島全体が農薬公害になるような時代に入っていやしないか、空中散布の危険性というのは、これからも松くい虫だけではなくて、こういうドロオイムシ等の防除についても非常に危険性が高まってきているときじゃないかというふうに思いますが、この点についてどのようにとらえられているか、お答えを願いたい。
  84. 堀川春彦

    ○堀川説明員 松くい虫に限りませんが、農薬の航空機を利用する空中散布事業が始まって以来、もうすでに十数年たっておるわけでございます。近年、面積がふえてきておるということになっておりますが、従来、私ども、農薬によります作業事故等につきましては詳細な報告をとっておりますけれども、いままで空中散布で死亡事故というものは一つもなかった。それが今回、地元の診断をしました医師の診断書によれば中毒死の疑いがある。それから、司法解剖の結果は鑑定書として県警に提出をされております。私どもも入手をしたいと思いましたが、入手をすることは、捜査中であるという理由でまだできておりませんが、当該解剖を行いました先生のお話を承りますと、いま先生の御指摘になりましたような特徴があらわれておるというようなこと等から、農薬の中毒死の疑いがあるということは、これは私どももそう思っておるわけでございまして、そういう事件が起きたことはまことに残念なことと思っておるわけでございます。  私どもは、こういう事故の起きないように、農薬自体におきましての安全性をできるだけ確保するということから、農薬取締法に基づきましてできるだけ安全な農薬を登録をして、それを農作業に使わせるようにやってまいっております。現在まで、その結果、いわゆる農薬の毒性についての分類といたしまして、毒劇物法によりますところの特定毒物というのが一番毒性が強い。その次が毒物であり、その次が劇物であり、その次が普通物であるという分類になっておりますが、近年は特定毒物、毒物というものはほとんどございません。これは登録の際に、できるだけそういうものを農薬として使わないようにという態度で私ども指導をいたしております。大体、現時点で普通物が七割、劇物が三割と、七、三ぐらいの比率になってまいっております。そういうふうに、薬自体を、より毒性が強くなくて、しかも効果のあるものを使うということが一つでございます。  もう一つは、それにいたしましても病害を防除いたしましたり、虫の場合は殺虫をするわけでございますから、そういう物質が人間の健康に何らかの形で影響をするということは考えられるわけでございます。したがいまして、農作業なりその他の面で、この薬の使用につきまして、人間の身体、生命に対します危被害ということを生ずることを極力避けなくてはなりませんので、さような立場から農薬の安全指導については従来から厳しく指導をしてまいったところでございます。特に航空防除ということになりますと、かなり広い面積を短時間に一遍にまくというような特徴を持っておりますために、私どもはその危被害防止につきましては、次官通達をもちまして農林水産業の航空防除の実施の要領を制定をし、かなり事細かに危被害防止について配慮すべき事項を御指導申し上げているところでございます。  今回の事件を契機といたしまして、私ども一層危被害防止について意を用いる必要があるという観点から、特に今回の事件の経過等を顧みてさらに注意を促すべき事項というものを私の農蚕園芸局長名でまとめまして、地方農政局長を通じて各県のこの仕事についての指導監督の責任にある県当局に指示をしたということになっております。  今後ともさような安全使用の適確な実施を図るという観点から指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  85. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 千葉県の方としてこの書類を農林省に要請書として提出をしたわけでございますが、やはり余り問題が大きかったかどうかわかりませんが、農林省のどなたがお受けになったかわかりませんけれども、その要請書をなかなかいただいてもらえなかったような状態を私ちょっと耳にしたわけでございます。人間の心理というのは皆同じでございまして、いいときには書類をいただきたいけれども、悪い書類は余りいただきたくないのは当然でございましょうが、千葉県知事が農林大臣に出す要請書でありますので、その付近の配慮は十分していただいて、そして書類等を受け取っていただきたい。話が大きくなりますと、受け取ってもらえなければ表のポストから内容証明で農林大臣に出しますよというふうなことまで、小さな問題が大きくなってしまうわけでございます。問題が問題だけに、十分そういう面の御配慮はなさっているのが当事者でございましょうが、最善の配慮をしていただいてこういう問題には取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  続きまして、その要請書の中で千葉県の事故を踏まえて、「昭和五十二年度における農林水産航空事業の推進について」という要望が出ておりますが、これについて指導の必要性はないかどうかを再度お答えを願いたいと思います。
  86. 堀川春彦

    ○堀川説明員 ただいま先生の御言及になりましたのは、本年の七月七日付で、同日、千葉県の農林部長以下の職員の方が私どもの局へ参られまして出されました要請書のことだろうと存じます。  これにつきまして、千葉県の航空事業についての云々ということは、文章的には見当たらないと思うわけでございますが、これには大多喜町におきます事故の経過の報告とあわせまして、その前に要望事項、要請文がついております。多分その部分を指すものであろうかと思いますが、これにつきましては、むしろ一般的に今後の農林水産航空事業の見直しが必要ではないか、これは本件の事故を踏まえた航空事業一般の推進についてどう考えるかというのが第一点でございます。それから第二点といたしましては、農薬取締法の運用上の問題がないかどうかということを言及しておられます。それから第三点につきましては、先ほど私から申し上げました農林水産航空事業の指導要領の検討の必要はないかということで、この三点につきまして主として国の立場から御検討ありたいという要請があったわけでございます。  実はこれに続く報告書の中に、千葉県といたしましては、この七月七日時点までの調査に基づきまして、農林部の調査では、当該実施団体であります大多喜の地区協議会でございますけれども、これが三又地区で実施をいたしました空中散布事業につきまして、事前の広報なり当日における諸準備、散布時における農薬の取り扱い等事業実施上の過失は認められない、この過失という意味がどういう意味であるかはっきりいたしませんのと、それからもう一つは、何らかの行政責任を含めて余り間違いはなかったというような感じにとれる文章になっておるわけでございます。  私どもは当日現在でいろいろと県庁の方々のお話も聞きましたが、果たしてそのように簡単に断定していいかどうか、むしろこの事件を契機といたしまして、行政上の問題といたしましては反省すべき点がいろいろと含まれておるのではないかというようなことも含めて検討をする必要があるというふうに感じておりましたために、国に対します要請は要請としてございますけれども、直ちにそう簡単に断定し去るのはいかがかという趣旨でどうかという議論が私どもの担当課長と文書を持ってこられた方の間にあったわけでございます。しかし、後日、この要請書なり報告書はこのままの形で訂正はいたさないという連絡がありましたものですから、そのまま私どもも受理しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この事件を契機といたしまして私どもは反省すべき点は反省をし、二度とかかる事故を起こさない、人身の被害を起こすというようなことのないように徹底を図るという必要があるように考えまして、本年の八月に入りまして、私の名前で特に事細かにさらに追加して注意を促したという経過をたどっておるわけでございます。
  87. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま園芸局長から答弁ありましたその園芸局長名で出されました通達の中で、八月八日通達の中の一から七まで、指導要領の遵守の徹底事項というのがございます。その第四番目に「散布時間」というのがございまして、「空中散布は上昇気流の発生の少ない等、気象条件の安定している時間に行うこと。」というふうに明記されておりますが、「気象条件の安定している時間」という時間はどういう時間を指していらっしゃるのか、お答えを願いたい。
  88. 堀川春彦

    ○堀川説明員 これは先生御指摘のように、私の通達の中でそういう表現を用いておるわけでございますが、これは具体的な時間帯につきましては、まず第一に地形の状況、当日の気象状況等によりまして非常に区々になるわけでございます。したがいまして、この点は、十分、この通達を出すに際しまして専門家の間で検討したわけでございますけれども、一定の時間帯の形であらわすことが不可能であるということからこのような表現をとったわけでございまして、大体、上昇気流を生ずるようなことのない時間帯と申しますと、一般的に朝方の早い時期ということになるわけでございまして、それが何時から何時までだということは、具体的には地区地区によって具体的に検討して決めらるべきものというふうに思っておりますが、広範に、まいた農薬が拡散をする、あるいは空気中に長時間滞留するということのないような気象条件を選んでやるという趣旨でございます。
  89. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いまの局長答弁の中で、時間は決められないということでありますけれども、この亡くなられた当日の気象条件を少し調べてみます。と、当日の気象条件からしますと、大気中に長時間漂った可能性があるのではないかというふうに考えられます。これが第一点。  第二点は、農薬が回転式のノズルから散布されていますが、水で薄めた農薬が、比重の違いから農薬と水が分離されて落ちてきたのではないか、また回転式ノズルでありますので、回転がうまくいかなくて農薬だけ集中的にそこへ落ちたのではないかという点が想像的な面からしても考えられるわけであります。  こういう二点について、どのようにとらえられていらっしゃるか、お答え願いたい。
  90. 堀川春彦

    ○堀川説明員 当日の気象条件は、一番近い勝浦測候所でございますと、午前十一時時点で東の風、二メートルの風速でございます。薄曇りで、気温は二十三・四度という状況でございます。  二メートル程度の風速ということで、全く同じ条件で実は最近、富山県下で実験をしてみたわけでございますが、それによりますと、空気中のスミバッサの濃度につきましては、二十分程度を過ぎますと、大体において検出限界値を下回るというくらいに薄くなっておるという事実がございます。これ一つの事実だけで申し上げるわけにはまいりませんけれども、先生のおっしゃるように、この地区で特に異常滞留があったというふうに考えるのはどうであろうかと思うわけでございます。  それからもう一つは、航空機のノズルの状況あるいは薬液——溶剤でもって溶かします。この溶剤が二五%程度あるわけでございますが、溶剤で溶かしておりますからかなり混合はするわけでございまして、その溶剤と薬の成分とが分離してノズルから出てくるということは通常考えにくいことではないかと思います。しかしなお、こういう事故も起きたことでございますから、私どもスミバッサを用いた実験はその後において一回やっておるわけでございます。スミバッサを使い始める以前におきましては別にまた実験結果がございますけれども、事故後におきましては、その富山県下の試験が一つございますけれども、こういう状況から見まして、特にあの地区において異常な滞留が起こったということは総合的に見て判定しにくいと考えております。
  91. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この問題はただ一人の問題ではございませんで、農薬散布の今後の課題として安全基準というものがここで大きく考えられなければならない問題だと私はとらえております。したがいまして、これは健康な方々への安全基準なのか。動物実験等によりまして安全基準のデータがございます。この亡くなられた方は肝臓が弱っていたという話も聞いておりまして、肝臓が弱っている人は中毒症状を起こしやすいとの事実は千葉大医学部の環境疫学研究室の内田教授が指摘されておりまして、現在使用されている農薬の安全性についても、健康な人間の場合のみ基準にしたものであって、病弱な人あるいは妊娠中の婦人の場合などではその農薬の及ぼす影響というものはかなり相違していると言われているわけでありまして、この実験のデータは、農薬の安全基準として健康な方への安全基準なのか、農薬全体として見た場合に、すべての方々への安全基準なのか、この点を明快に一言で結構ですからお答え願いたい。
  92. 堀川春彦

    ○堀川説明員 私どもは健康に障害のある方を含めて考えておるわけでございます。したがいまして、私の通達では特にそのことに言及してあるわけでございます。  なお、このスミバッサの吸入の急性毒性についてのデータでございますが、これにつきましては、航空散布に用います希釈濃度と全く同じ濃度で六時間暴露でラットの死亡例がなかったということがございます。その他これは混合剤でございますので、スミチオン、バッサという混合される前の材料になりました薬につきまして、いわゆるLD50値あるいはLC50値というものをはかっておるわけででざいまして、そういういろいろな過去の実験データを用いて考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、健康でない方が作業に従事する、あるいはまた航空散布の場合におきましては、作業に従事しなくても、広範にまかれますために、そのまかれました圃場の中にまいた後で入って作業をする、あるいはまいている中を通過をするとか、そういう作業以外の被害を受ける可能性のある態様というものが考えられますので、そういうことも含めまして私どもは安全使用を考えてまいりたいというふうに思っております。その点で、このケースにつきましてのいろいろな教訓というものを、まだ不明の部分がございますが、私どもは今後十分解明をいたしまして、そうして、その結果に基づいて直すような指導は強力にとってまいるようにしたいというふうに思っております。
  93. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最後に大臣にお尋ねをして、終わりにいたします。  この安全性の問題、大臣はどのようにお考えなのか。農薬散布後の安全性を考えるならば、二十分ぐらいでもとへ戻る、安全だというふうないま局長答弁がございましたが、十分な対策考えますと、二十分では危険性があるというふうに私は考えております。この時間も一日以上たってからというふうにはいかないかもしれませんが、明快なその付近の時間の設定というものをこれから指導しなければいけないんじゃないかというふうに思いまして、農薬散布後の安全を考えた場合には何時間後ぐらいが適当であるか、またこの点について、安全性を大臣にお尋ねし、最後に、この亡くなられた方に対する何らかの、指導をなさる農林省として見舞い等のお考えはないかどうか。千葉県知事は国とその行いました団体において善処したいという答弁でありますが、ただ一人の犠牲者では済まないような気がいたすわけでありまして、本人、家族にかわりまして、何とかこの問題が起こらないためにも大臣としてどのように善処を考えていらっしゃるかをお尋ねして、終わりたいと思います。
  94. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 使用後の安全を確保するために何分ぐらい経過をしたらいいか、これは技術的な問題でございますので、後ほど局長から御答弁をさせたいと思います。  なお、この農薬の使用につきましては、国におきましてもその安全性、安全使用の基準、そういうものにつきましては細心の注意を払うように農家を初めこれを行います実施機関等に指導いたしておるところでございます。特に空中散布につきましては広範な地域影響があるのでありますから、実施についての事前の関係地域への周知徹底並びに実施機関に対する、協議会等に対する相当詳細な各般にわたるところの注意も喚起し、指導いたしておるところでございます。今後、今回の不幸な事例等も十分反省の材料といたしまして、農薬の使用の安全性の確保につきましてはさらに一層いろいろな角度から研究を進めてまいりたい、このように考えております。  なお、今回の千葉県で亡くなられた方の家族に対するところの救済の問題につきましては、現地におきまして、千葉県等でいろいろ検討が進められておるようでございますから、その結論を待ちまして、国としてもその対応を決めてまいりたい、このように考えております。
  95. 堀川春彦

    ○堀川説明員 農薬航空防除の際の防除を終わった後の立ち入りについての明確な時間帯の設定というのもなかなかむずかしい問題でございます。農薬の種類にもよることでございますけれども、私ども、ごく概括的、一般的な考え方といたしましては、健康に支障のある人はできるだけ安全をとってやっていただきたい、どうしても圃場に入る必要があるという場合におきましても、少なくとも、午前中に散布が行われるならば、当日は当該圃場には立ち入らないということが一応の一つ考え方であろうかというふうに思うわけでございます。これは冨山県の場合にも試験の事実があるわけでございますが、健康な方は当然これよりも早くて差し支えないというふうに思いますが、それでも半日程度は置いた方が無難であるというふうに常識的には思っておるわけでございます。
  96. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 終わります。
  97. 金子岩三

  98. 津川武一

    津川委員 二十分という短い時間なので、きょうは水田利用再編成対策を中心に、それと関連して、ことしの余り米をどうするか、もう一つ、リンゴの腐乱病などについてお尋ねしてみたいと思います。  最初に、リンゴの腐乱病ですが、昼食のとき大臣とも話しましたけれども、農民の要求があったり私たちの要請もあったりして、とにかく農林省独自に計画したりして対策を進めてまいりました。五十一年度からは低位生産園再開発計画をやって予算をつけた。昨年度は休眠期に対する薬剤散布に補助を出したりしております。しかし、根本的には根治の薬剤開発でなければならないと思っております。今度、農林省が大蔵省に要求した予算の中に、リンゴ腐乱病等新薬開発事業が出ております。私は本当によかったと思います。これで一つの大きな前進が見られると思います。  そこで、二つ質問があります。  一つは、この新薬開発事業を農林省や県などで独自でやられるのか、メーカーに委託する部分があるのか、これが一つ。二つ目には、今度のリンゴ腐乱病等の等です。これに対して、リンゴの落果防止剤に対する開発、モニリア対策の開発が含まれているかどうか、この二点を答えていただきます。
  99. 堀川春彦

    ○堀川説明員 前段の御質問でございますが、これは先生御承知のように、農薬取締法に基づきまして、新農薬を登録する、あるいはまた病害虫の種類とかそういうものを拡大いたしまして登録を変更するというような場合におきまして、その新薬につきまして、安全性の観点から残留性等の相当詳細な試験成績データを要求をしております。ところが、状況によりましてはそういうものに大変手間も食うし、暇もかかる、お金もかかるというようなことで、なかなか新薬が出てこないということがございますので、先生のお触れになりました腐乱病と落果防止剤につきましては、公的な機関ないしはそれに準ずる機関の試験データが必要でございますので、したがって、私どもがいま考えておりますのは、残留農研に経費を補助いたしまして、試験データが出てきた場合の審査につきまして、それが適確にしかも速やかに行われるようにしていこうということでございます。  なお、モニリア病につきましてはもっとむずかしい問題がございますが、これについてはジクロン・チウラム剤が登録失効しております。これもかつて先生から御質問を受けたわけでございます。が、現在九つくらいの農薬につきましてモニリア病に効くのではないかということで、それぞれ民間において公的な県等に委託をする等の試験が行われております。そのうち一つの薬につきましては、大分試験結果もまとまってまいりまして、私どもは近いうちにこの登録の手続が完結をするというようなことになるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、薬効はジクロン・チウラム剤には劣りますけれども、それにかわる代替剤がさような形で農薬の登録上の手続が進められてくるということになっておりますから、しばらくその推移を見守ってまいりたいというふうに思っております。
  100. 津川武一

    津川委員 一層対策を進めていただくように私たちからも要請して、次、水田利用再編成対策に移っていきます。  いままで政府は、水田総合利用、米生産調整、稲作転換対策の事業を進めてまいりましたし、稲作転換に協力費も出してきました。また、稲作転換促進対策事業費に補助を出してきて、一生懸命がんばってきたことは間違いありません。  そこで、このためにどのくらいの予算を使いましたかということを農林省からいただいた決算について見ますと、いま三つ挙げた予算昭和四十五年度に千百三十八億円、四十六年千八百六十二億円、四十七年には今度の二千億円をも超す二千六十九億円、四十八年には二千八十七億円、四十九年に千二百六十八億円、五十年には千六十億円、五十一年八百五億円、この累計が一兆二百八十九億円、五十二年の予算も加えていくと一兆一千二百九十三億円になります。かなり大きなお金を使った、それなりに皆さんがやられたこともよくわかります。  そこで、これだけのお金を使って、結果として何が出たかという問題です。単純な休耕もあったでしょうけれども、五十二年度末で米の過剰が三百二十万トン、来年度で四百万トン、こういうふうなことがいま出てきている。一体何のための一兆一千二百九十三億円だったろうということを、私だけでなく国民が持っています。これだけのお金を使って米の生産がどうなったか、作付面積で見ますと、昭和四十五年、稲転が始まった年は二百八十三万ヘクタールだったのが、稲転の進むにつれて、四十七年には二百五十八万ヘクタールまで減ったが、その後間違いなく着実に増加して、いま五十一年には二百七十四万、五十二年もふえております。四十五年に二百八十三万ヘクタールあって、これが五十一年に二百七十四万ヘクタール、たった十万ヘクタール減っております。今度四十万ヘクタール減らすという、これも大変な事業ですが、耕作面積からいきますとこんな結果です。  さらに、お米の生産量ですが、転換の始まった年の四十五年には千二百五十二万トン、それがやはり単純休耕などもあって、四十六年には千七十八万トンまで減ったが、これまた事業を進めていくさなかに着実に米の生産量がふえていって、五十年には千三百八万トン、ことしも私は千二百六十万トンから千三百万トン近いものになるのじゃないかと思います。  これがやはり過去のやってきたこと。いまこれから皆さんがおやりになっていく水田利用再編成対策と、過去の生産調整、稲転対策をそのまま比べるわけにはいきません。過去の中には単純休耕も入ったりして違いますが、しかし今度こういう状態から皆さんが再編成対策に乗り出すとすれば、過去を一応振り返る、過去の点検をやる、ここから教訓を引き出して新しい再編成に乗り出していかなければならないと思います。したがって、過去八年の動きに対してどう点検されて、どう批判し、今度の水田利用再編成に当たってこの点がどう変わっていったのか、ここの点を明らかにしていただかないと、これからまた二千億円使っていってまた同じことになるのではないかという心配も持たれますので、この点がどうなっているのか。検討して、教訓をどう引き出していまの再編成に乗り出したのか、したがって再編成と過去の稲転、総合利用とどう違うのか、ここいらを明らかにしていただきたいと思います。
  101. 堀川春彦

    ○堀川説明員 四十五年以来、先生のおっしゃったようなお金を使いまして米の生産調整なり水田総合利用をやってまいったわけでございます。その過程におきまして、いろいろとやり方も変えてまいっております。休耕を、当初四十六年から三年認めたのですけれども、それは途中で切っておる、あるいはまた五十一年度から水田総合利用対策という形で従来の生産調整を切りかえておる、かようなことでございます。その過程におきまして、いずれにいたしましても、いろいろの御批判なり、われわれとして反省すべき点はあると思いますけれども、米の需給関係の調整に役立ってまいったということが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、これは五十一年の状況で申し上げたいわけですが、飼料作物につきましては、転作は全体の面積に対しまして六%弱でございます。野菜につきましては約一〇%、大豆につきましては一五%弱、その他豆類につきましては六%強という状況でございます。また、野菜の中で特にキュウリでございますとかトマトといったものにつきましては、全体の作付の二罰程度が転作による作付ということになっておりまして、水田総合利用の思想、つまり水田の高い生産力を活用しながら需要のある作物に転換していくことは、いろいろと不十分だという見方もございましょうが、それはそれなりに一応の効果をおさめておるのではないかと思っておるわけでございます。  ただしかし、先生のお話の中にもございましたように、たとえば五十一年でも開田面積がかなり見られるというようなことで、これはいろいろの要因があろうと思います。稲作とその他の作物との相対価格関係もございましょう、所得の関係もございましょう、土地条件その他いろいろの事情が働いておるとは思いますが、そういったことに象徴されますように、やはり稲作志向が非常に強いということがあるわけでございまして、これをそのままの状況推移をさせますと、先ほど来大臣、官房長の申しておりますような米の過剰が非常に大きなオーダーで顕在化してくる心配がございます。  そこで、これからの再編対策は、これもすでに御答弁がございましたが、できるだけ水田の高い生産力を一層活用いたしまして、そして水田総合利用対策の場合よりもより飼料作物でございます。とか、麦、大豆というような、これを戦略作物と称しておるわけでございますが、そういう作物に傾斜をした形であらゆる施策をそこに集中して、そして円滑な転作に誘導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  しかしながら、その転作の規模はかなり長期的な取り組みでやってまいるわけでございまして、トン数にいたしまして百七十万トンという非常に高いオーダーのものをかなりの期間にわたって続けなければならぬという状況でございますので、したがいまして、私どもはこの転作ができるだけできやすいような環境条件を整える、それから転作促進の奨励補助金の出し方にいたしましても工夫をこらしまして、目標の達成に支障のないようにこれを仕組んでいく必要があると思うわけでございます。  なお、食管制度の運営等もこれに絡めて相当基本的に考え直しをして、転作の奨励と食管の運営が両々相まって進むということにならないと目的の達成が困難かと思われるわけでありまして、そういう意味で目下鋭意検討中でございますが、新しい水田利用再編対策という形で米の需給均衡化を図るように考えてまいりたいと思っております。
  102. 津川武一

    津川委員 局長の話を聞いていると、過去八年間の教訓を本当に引き出したかどうか、かなり大きな疑問を持たざるを得ない。というのは、八年間あれだけやって水田の耕作面積はほとんど減らない。生産量もほとんど減らない。そして、目指した大豆、小麦はどうなったか。こう言っていくと、大豆で言うならば、四十五年には耕作面積九万五千ヘクタール、これが五十一年に、ふやすつもりの大豆が八万三千ヘクタールに減っている。ふやすつもりの生産量も十二万六千トンから十万九千トンに減っている。小麦は最近少し横ばいになったようだけれども、始まった四十五年には二十二万九千ヘクタールが八万九千ヘクタールに減っている。生産量は四十七万四千トンから二十二万二千トンに減っている。今度もこれから再編成の場合、大豆、小麦を中心に飼料をやっていくのだ。  そこで、一番大きな問題は何かということの検討がされておったかどうかということですが、時間もないので、私からお尋ねしてみます。  第一には、お米をつくっておったのを、農民が自主的に喜んで進んで転換できる体制があったかということです。第一の問題は価格です。大豆をつくって十一万、小麦をつくって十二、三万、水田をつくると十六、七万、いいところだと二十万円。この水田から小麦に、大豆に転換せいと言ってもこれはできません。したがって、お米並みの反収が上がるように転換作物の価格をここのところを保証しなければ、これからどんなに力んでみても、また二千億円、二千億円と十年使って、また百七十万トンも調整しなければならぬということを繰り返します。これは大豆や小麦だけでなく、転換する畑作物全体に対しての価格がお米並みになる、もしくはお米より少しいいということになりますと、ここで私は転換ができると思います。これをどうするかということが第一点。  第二点。さて、稲作から野菜に転換した。価格だけではだめです。今度の八月五日の私たちの水害、竹内知事が一生懸命にやって木造町で七百五十町歩、七年間にわたって減反している。生産調整をやっている。カボチャにトマトにキュウリにスイカに転換した。今度の水害で、行ってみたらそのうちで四百五十ヘクタールがだめなんです。それはその地域の特性に合ったように稲作から野菜に転換の土地基盤整備ができていないからです。だから、少し水があふれたらカボチャは一日でだめになっちゃっている。農民は七年間も畑作をやってきたので、いま田に返るわけにいかない。返ろうと思っても道具がない。これは続けなければならない。したがって、水気の多いところの土地改良はそれなりに、また水の足りないところは水の足りないなりに、地域によって具体的な土地基盤整備をやる必要があると思うのです。こうしないと稲作からの転換ができない。これが二つ目の条件。  三つ目の条件は、スイカをやる、トマトをやる、連作障害が起きる。したがって、稲転を続けていく場合、皆さんはこれから十年計画だ、私もそのくらいかかると思います。とすれば、この転換作物の中に輪作体系を、北海道北海道なりに、東北は東北なりに——東北に対しては、皆さん、私の要求もあって輪作体系をつくってくれました。したがって、これから農民に勧める場合には、その輪作体系を具体的に営農指導して計画しなければならぬ。この輪作体系をつくらないで稲転させると、また大変なひどい目に遭うのが農民になってきます。この体制があるのか。これをつくられることがこの計画を成功させる、私たちもこういう立場から自給率を上げて日本の農業を復興させるために「日本経済への提言」というものを出してあります。このためには予算の二%をさらに価格保証に追加すればよろしいということや、土地基盤整備のことをかなり書いてあります。大臣も昼飯のとき、読んでみてなかなか大綱としてはよい、各論どうなるかなんという話もしていましたけれども、そこで提案しておきましたが、それも検討していただく、これが答えていただく三つ目の問題。  四つ目の問題。これで、皆さんが出したこの水田利用再編成対策の中で非常に気になるのは、第二種兼業農家、これをどうするかという問題です。第二種兼業農家は、いま一生懸命田をつくっております。これは水田の技術が進んでおって、おやじが勤めに行っても奥さんたちで水田をつくれるからなんです。ここのところを皆さんが委託にして、ここに米をつくらせまいとしているのではないか。私は稲転で野菜に転換する場合、だれが一番適役かというと、この第二種兼業農家、小規模兼業農家の、だんなさんが役場や農協やその他出かせぎに行っている、この奥さんたちのあの緻密な農業技術というもの、情熱というもの、これは大事な大事なものだと思います。したがって、私は逆に稲作転換の主力は第二種兼業農家でいいと思うが、これは委託ではなく、この奥さんたちが、三ちゃん農業を担っている人たちが稲転がやりたいんだ。だが、やれないのは価格の問題が一つ。小規模な経営面積だから、大規模な国営の土地改良や県営の土地改良は、土地改良区に土地改良が入らない。したがって、この人たちに価格保証すると同時に、この人たちにその地域に合った、その耕作に合った具体的な小規模な土地改良、そして大型機械ではだめなんだ。この人たちが使えるような小型機械の開発援助、こういう体制をやるならば、私たちもこの点、米の余りはほうっておけないので、こういう状態から抜け出せると思うのです。  局長にいままでの八年間の反省が余りなかったので、私は自分なりに検討してみた具体的な反省点四つを挙げてみましたが、この四つに答えていただきたいと思います。  時間がなくなって、食糧庁長官に余り米のことを尋ねられないかもしれませんが、ひとつそのときは勘弁してください。
  103. 堀川春彦

    ○堀川説明員 転作の円滑な誘導を推進するために米とその他の作物との相対価格関係が非常に重要だという教訓は、私どももそのとおりと、こう思っておりまして、すでに大臣からもお答えになっておられますように、この春の麦、なたねの価格には従来の価格決定方式とは違う方式をすでに導入しておるわけでございます。今後、その他の畑作物についての価格につきましても、考え方としては、どういう具体的な措置をとるかはこれからでございますが、同じように相対価格関係の是正を図るという考え方で対処してまいる必要があるということが第一点でございます。  それから第二番目に、木造町の例を挙げられましたけれども、土地条件を整備して転作ができやすいようにするということはおっしゃるとおりでございまして、構造改善局でやっております土地改良事業も畑作を中心にその方向を強化するということに明確に踏み切っておりまするし、またさらに、特に転作誘導のための小規模の、小面積のいわば土地条件整備ということも非常に重要でございますから、これは私どもの局におきまして転作の集団営農の促進対策ということで二十二億ぐらいのお金で、いろいろの流通施設、機械導入等を含めまして事業が小規模にできるという仕組みをとっておりますが、さらに来年度はこれの土地条件の部分につきましても機械導入部分につきましても必要なものは採択条件をぐっと小さくするというようなことで、比較的小規模でまとまって転作ができやすいようなふうにするということを考えておるわけでございます。  なお、野菜等につきましては連作障害の問題があることはおっしゃるとおりでございまして、この点につきましては圃場をできるだけまとめて転作に使うということが非常に重要ではございます。けれども、その中で単年度、単年度でやっていくときに連作障害が起こらないように圃場をかえていくということが作目によっては必要になってまいります。そういう意味で、地域ぐるみまとめましてそういう計画的な転作の推進ということを将来は大いに考えて、それを具体的な奨励措置の仕組みの中に導入するということが必要であろうかというふうに考えております。  なお、連作障害問題の技術試験研究の問題につきましては、技術会議といたしましても本格的にこの問題に取り組んで試験研究を急ぐという体制を整備することに方向としては決めておるわけでございます。  それから次に、二種兼の扱いでございます。これが確かに先生御指摘のように非常にむずかしい問題でございますが、百七十万トンというようなことで転作をやるということになりますと、面積も四十万町歩近いということになりますから、したがいまして、これを兼業農家、特に二種兼業農家のような形で米がつくりやすいからつくっておるというような形の中で、その二種兼農家が自分のところの圃場の一部を他の作目に転換していく、いわば畑作をやる、小規模畑作をやるということは、非常に言うべくして困難な面がございます。したがいまして、そういう土地はまとめまして、できるだけ畑作経営として定着するような形でやるという仕組みを考える必要があるというふうに考えておりまして、先ほど申しました計画的な推進ということの中にそういう考え方も取り入れてやる。これは畑作でございますと、もともと水田であったところでございますが、作目によりましてはばらばらと無計画にやるというような話になりますと、つくった作目それ自体が水の障害を受けるということにもなりますから、したがって、そういう二種兼農家の、転作してもいい、ただし自分ではなかなかようやり切らぬというようなものをまとめてやる仕組みを考えることによって目標の達成をどのようにして確保するかということが重大な課題であると考えております。そういうことも目下真剣に検討しておりまして、検討結果に基づきまして具体的な方向というものを明らかにしてまいりたいと思っております。
  104. 津川武一

    津川委員 これで終わりますが、大臣に最後に一つだけ。  今度の皆さんの再編成の中で気になることがある。先ほど大臣答弁していたけれども、米の価格と転換される作物の間に相対的な均衡をとるという。これにも書いてあるのです。皆さんのメモの中にも。その中でやっぱり心配なのは、生産者米価水準もこれと関連して考えていく。生産者米価を上げないで、均衡をとるために米価を下げてほかの作物の値段をこのままにしておく、そういう形の心配が非常に見られますが、生産者米価はやっぱり農民の所得を、生産費を補償する意味において上げていかなければならないし、そういう意味で米との均衡をとっていくというふうにやらなければ大変なことになると思うのです。私の危惧でなければよろしいんですが、その点、大臣の気持ちを表明していただきます。
  105. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 水田利用の再編対策、これを進めてまいります際において、いろいろ津川先生から具体的に御指摘になりました点、これは私ども考え方もいま局長から申し上げたとおり、同じような方向で努力をいたし、また検討を進めておるところでございます。  そこで、米と、他の需要に見合ってぜひ増産を必要とする作目との間の相対価格の問題が一つの重要な要素になりますことは御指摘のとおりでございます。  それで、私どもは収益性の均衡ということを考えておりまして、一遍に価格だけで、米価との相対価格を米と同じように一挙に引き上げるということはなかなか困難でございますから、生産奨励金その他の施策と相まちまして、相対的な農家所得が均衡のとれるように、そういう方向で努力をしてまいりたい、こう思っております。  なお、価格水準につきましても、できるだけそれに近づけるようにという努力はやってまいりたいと考えております。その際において米価をどうするか、こういう問題でございますが、これは食管法にも示しておりますように、生産費並びに所得を十分考えまして、稲作農家におきましても、そのときの労賃、物価等と見合いまして、再生産が可能であるということを念頭に置きまして米価というものは決めていかなければいけない、このように考えております。
  106. 津川武一

    津川委員 終わります。
  107. 金子岩三

    金子委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十一分散会