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1977-08-10 第81回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年八月十日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 鈴切 康雄君       逢沢 英雄君    加藤 六月君       中村 弘海君    与謝野 馨君       大出  俊君    市川 雄一君       大内 啓伍君    柴田 睦夫君       中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府人事局長 秋富 公正君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         大蔵大臣官房審         議官      渡辺 喜一君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         労働省労働基準         局長      桑原 敬一君         自治省財政局財         政課長     関根 則之君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 八月三日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     春日 一幸君 同日  辞任         補欠選任   春日 一幸君     大内 啓伍君 同月十日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     与謝野 馨君   塚原 俊平君     加藤 六月君   上田 卓三君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     塚原 俊平君   与謝野 馨君     宇野  亨君   大出  俊君     上田 卓三君     ――――――――――――― 八月三日  一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す   る法律案内閣提出、第八十回国会閣法第一   〇号)  二、行政機構並びにその運営に関する件  三、恩給及び法制一般に関する件  四、国の防衛に関する件  五、公務員制度及び給与に関する件  六、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  まず、昨九日の一般職職員給与等改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。藤井人事院総裁
  3. 藤井貞夫

    藤井説明員 昨九日、一般職公務員に関しまする給与改定に関する勧告国会及び内閣に対しまして提出をいたしました。本院の内閣委員会におきましては、さっそくこの内容について御聴取いただく機会をお与えくださいまして、心から感謝をいたす次第でございます。  内容概略につきまして、私から冒頭説明を申し上げることにいたしたいと存じます。  まず、官民較差でございますが、調査方法は従来どおりの大筋をそのまま踏襲をいたしまして、正確な資料に基づいて積み上げの結果を出したわけでございます。それと全公務員についての給与実態調査結果をそれぞれ正確に比較をいたしまして、その結果較差を出し、これを配分するという方法をとったわけでございます。本年の官民較差民間経済景況その他を反映してのこともあると存じますが、六・九二%ということでございまして、昨年六・九四でかなり低率になったわけでございますが、それをさらに〇・〇二割り込みまして六・九二ということに相なった次第でございます。この較差配分するに当たりまして、当然のことながら俸給重点を置きつつ、または生活給的な諸手当ということに重点を置きまして配分をいたしたのであります。その結果、俸給表配分をいたしましたのは、パーセントといたしまして六・一二%、金額にいたしまして一万六百十一円、諸手当は率にいたしまして〇・四七%、金額にいたしまして八百九円、その他はね返り等がございまして、この分が〇・三三%、金額にいたしまして五百八十五円、計六・九二%、金額にいたしまして一万二千五円ということに相なった次第でございます。  改定内容をごく概略申し上げたいと存じます。  まず、俸給表改定でございます。経済が大変伸びておりました時代は、人手不足その他がございまして、御承知のように大変初任給が高くなりました。そのために、相対的に申し上げますと、そのあおりを受けると申しますか、世帯持ちの階層がややどうもへこみかげんであるというような状況が続いておったのであります。ところが昨年あたりから初任給関係がだんだん鎮静に向かってまいりまして、姿としては妥当な落ちついた姿になってまいったと認められます。こういうようなことから本年の民間配分状況等を見てまいりますると、中堅職員関係以上についてかなり改善の方向でやっておるという姿が見受けられるのであります。これは公務員実態とも非常にマッチをいたしますので、この民間配分傾向等をも参酌しながら俸給表の作成をいたしました。  その結果、大きな目で見ますると大体同率配分ということになるわけでございますが、しさい検討いたしますと、たとえば行政職俸給表第(一)表、一般事務系職員対象にする俸給表でございますが、これでもって言いますと、いわゆる初任給系統の八等級が六・七%、七等級が六・九、六等級が七・〇%でありますが、五等級以上については同率の七・一%ということで、中堅職員以上についてやや優遇の措置が講ぜられるという姿が出てまいったのでございます。  その他、大体これと傾向を同じように各俸給表について改定措置を講じたつもりでございます。  その他の俸給表の中では、特に大学先生、それから高等専門学校先生につきましては、なかんずく助教授講師について若干の上積みを心がけました。これは、御承知人材確保法に基づきまして義務教育教員あるいは高等学校教員というものが非常に改善をされたわけでございますが、それはそれなりに結構でございますが、われわれ全公務員給与について取り扱っておりまするところといたしましては、どうしてもやはり全体的な立場から明らかな均衡が破られるというようなことはやるべきことではないというようなことで従来も気を使ってまいりましたが、今回の場合も、将来の姿は別といたしまして、なかんずく放置できない助教授講師等について若干の配慮を加えることにいたしております。  なお、指定職につきましても今度若干の改善措置お願いをいたしております。パーセンテージにいたしましては一般よりも若干高目ということに相なっております。これはしかし、一昨年御承知のように民間景況が大変悪くなりまして、その結果、役付手当削減等措置一般的に行われたのであります。それとの見合い公務員の場合もいわゆる管理職手当特別調整額と言われておりますが、これの削減を一年間ではございましたが行いました。それとの関連で、指定職俸給表というものはかなり窮屈に詰めるということをやらざるを得なかったわけでございます。御承知のように、指定職はいろいろな手当がございませんで、俸給表一本ということでございますので、この指定職俸給表自体に手を加えざるを得なかったということがございます。一面、大体一年置きに民間の重役の給与についても調査をいたしておりまして、参考にしております。民間はことしも調べましたが、かなり上がっております。そういうことの見合いもございまして、前年どおり上げ率の八・八%平均改定を行うということにいたしたのであります。申すまでもなく指定職俸給表は、余りこれも世間並み以下に抑えますと、他の行政職(一)の一等級あたりにも影響を及ぼしてくる。頭を抑えるということになってほかにも影響いたしますし、また特別職、裁判官、検察官等についても影響いたしますので、やはりそうむちゃくちゃな抑え方はできないというような限界もございますので、それらをにらみ合わせながら措置をいたしたつもりでございます。  次に、諸手当関係でございますが、これは生活関連的な諸手当中心に、民間の動向ともにらみ合わせながら改定をいたしましたが、その内容は、扶養手当通勤手当住居手当でございます。なかんずく扶養手当について重点を置きまして、配偶者については現在の七千円を千円アップの八千円、それから子供さん二人までについて現行二千二百円を二千三百円ということを中心改定をいたしました。  通勤手当につきましても、昨年の国鉄運賃引き上げ等でいわゆるカバレージがかなり低下をいたしたというようなこともございます。そういうこともにらみ合わせまして、全額支給限度現行の一万二千五百円を一万四千円に、また最高支給限度額を一万四千円から一万六千円にそれぞれ改定をすることにお願いを申し上げております。  それから住居手当につきましては、公務員宿舎がことし値上げになりました。これに伴いましてやはり一般方々も当然負担をしていただかなければならない限度、いわゆる足切りを若干上げる必要がございますので、現在控除額五千円でありますものを千円アップして六千円ということにいたしますとともに、全額支給限度最高支給限度についてもそれぞれ改定措置を講ずることにいたしております。  それから期末・勤勉手当でございますが、これは昨年いわば心ならずも民間実績等との見合いから、従来五・二カ月でありましたものを〇・二引き下げて五ヵ月ということでお願いをいたしたのであります。いろいろ御論議をいただきました。また附帯決議でできるだけ速やかにこれを改善しなさいということも承っております。ことしもむろんそういうことも背景といたしまして、民間実績を詳細に調査をいたしました。その結果といたしまして出てまいりましたのが四・九九月分ということでございます。これは大体御想像もつきまするように、昨年の夏分はやはり低かった。冬になりまして若干上向きに相なりましたが、平均といたしましてはやはり四・九九ということで、五カ月以上にはならなかったというようなことから、遺憾ながらことしの場合も据え置きということにせざるを得なかったということでございます。  その他の問題といたしましては、医師それから薬剤師等につきまして依然として民間給与は高うございます。そういう点で公務員の場合は他職種との関係もありますし、俸給表自体がそれぞれ退職手当なり退職年金の基礎になるというようなことも考慮いたしまして、その差額を埋めますために初任給調整手当措置をいたしておるのでありますが、本年もそれらの点をにらみまして、初任給調整手当について若干の改善をいたしました。  また薬剤師につきましても、現在初任給調整手当が千円ということで法文系並みに相なっておりますものを、理屈もつきますし実態もそうでございますので、理工科系の二千五百円にアップするということをお願い申し上げております。  それから国立病院なり国立大学付属病院でございますが、大きい病院ではそういうことは大体ございませんですが、比較的規模の小さい病院等に相なりますと、院長さんなんかがやはり夜間当直をしなければならないという現実がございます。しかし、院長さんは大体みんな管理職手当がついておりまして、管理職手当がついております者は超過勤務手当が出ません。現在業務当直をやっておりますお医者さんには超過勤務手当がそれぞれついているわけでありますが、院長さんなんかで、大変なお仕事で夜間業務当直をなさるという方々については、やはり何らかひとつ手当てをしてもらえないかというような要望が前々からございました。民間実態調査いたしますと、院長さん等についてもそれ相当の手当てはいたしておるようであります。そういうような点も考慮いたしまして、この際業務当直ということを制度を改めまして、これを宿日直手当としての業務当直に改めまして、対象は、院長さんあたりもやはり夜間当直をされて救急患者とか急変患者等に対応されるというようなことがございますので、それらの院長さん方にもこの業務当直手当てをいたしたいということで、新しい制度を立てたいというふうに考えております。  最後に二点申し上げます。  一つは週休二日制の問題でございます。週休二日制につきましては昨年が六八・九%の普及率でございました。この程度普及率に相なってまいりますと、そう連年目立った増加が見られる筋合いのものではございません。そういうことで本年も調べましたところ、それでも若干上がりまして六九・一%ということに相なっております。従業員の数でもって申しますと、すでに八割を突破しておるという状況に相なってきておるのであります。なかんずくわれわれ大変注目をいたしておりますのは、年間休日数平均をいたしまして八十六・四日ということに相なっております。なかんずく週休二日制をとっております企業をとりますと、この平均は実に九十三・八日ということに相なってきております。これに対して現在の公務員の場合は六十八日ということは御承知のとおりでありまして、そこにかなり大きな開きが出てきておるということは、私たちといたしまして看過し得ない事実ではないかというふうに見ておる次第でございます。御承知のように、昨年の十月から週休二日制のテストをやっております。九月までこれが行われる予定に相なっておるのであります。いまここで結論は申し上げません。結論は申し上げませんが、一連のテストをやった結果をしさい検討をいたしまして、今後の方策を打ち出してまいりたいと思っておるわけでございますが、その場合におきましてはやはりいまのテスト自体がなお問題点をはらんでおります。初めてのことでありますから、これはやむを得なかったことだと思いますが、問題点がございます。たとえば、非常に薄い角度で、薄い層でいまのテストが始められております。したがって、そのテストの期間もきわめて短い。年間を通じて役所というものはいろいろな繁閑の問題がございますが、そういうふうに年間を通じて見るというためには、いまのテスト方法では若干足りないのではないかという問題がございます。また、いろいろな考慮から実施ができないということで、テストに踏み切っておらないという役所もございます。そういう点もございますので、やはり結果を検討いたしました上のことでございますけれども、もう少し角度を変えた、方法を変えたテストの再実施ということも含めて問題を慎重に、しかも前向きに検討をいたしたいという気持ちをこの報告の中で打ち出すことにいたしたのであります。それが第一点。  それから第二点は、いわゆる人確法に基づく義務教育教員の第三次改善分の問題でございます。これは御承知のように昨年三月十一日に、第三次前半分として勧告をいたしました。ところがいろいろ国会でも論議があり、また御事情もございまして、今日までこれが成立をいたしておりません。人事院といたしまして、やはり勧告を出したことでもございますので、これは成立をさしていただかなければならないという思いでございます。それと同時に、第三次の後半分が残っております。それは本年度の予算の中にもすでに計上済みでございます。これもやらなければいけません。その場合に第三次の前半がどうなるかということが決まりませんと、給与の問題でありますから総合的な判断で落ち度のないようにやらなければなりませんので、そういう意味からもこの成立が急がれるという感じを述べております。  なお、これにあわせて育児休業給についても昨年どおり勧告をいたしましたが、これもまだ成立を見ておりません。育児休業制度についてはすでに法律が施行され、昨年の四月から実施に移されておることでございます。休業給だけの制度がまだ動いておらないということでございますので、これもぜひともひとつお願いを申し上げたいという趣旨を述べることにいたした次第でございます。  以上、ごく概略でございますが、昨日出しました勧告内容について御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 大変御苦労さんでございまして、私も例年のことでございますけれども、この勧告をおまとめになる人事院作業過程に従いまして、何回か非公式なやりとりもしておりますから、その意味人事院が考えておりました考え方がどの程度勧告、額になるかということの見当もほぼついておりまして、まあ大体六・九二ぐらいだろう。まあ六・九二ぐらいだろうと考えて、さて、金額にするとどのぐらいになるんだろうか。私がはじいてみましたら一万二千四円という数字が出てまいりました。公務員共闘方々お見えになりましたから聞いてみましたら、大出さん言うように六・九二ぐらいだろうというので、こちらの方の計算を承りますと一万二千八円でございましたが、私の計算で一万二千四円、ところが人事院は一万二千五円と、こういう数字でございました。したがいまして経過を知っておりますだけに、その意味では大変御苦労さまでございましたと申し上げたいのであります、給与局長ども連日大変遅い時間まで苦労してやっておられたことも承知しておりますから。  ただ、出てまいりましたこの勧告の中身、基本賃金引き上げ等をみますと、どうも人事院というのは、スト権にかわる代償機関としての存在価値を問わなければならぬという実は気がするのでありまして、まことに不満でございます。ところがこの不満なんですけれども、にもかかわらず、冒頭に承りたいのは、「総裁談話」というのが出ておるのでありますが、まん中ぐらいから始まりまして、要するに一番最後に二行ばかり妙なものをつけている。「昨今の社会経済情勢のもとにおいて、公務に課せられた責務は愈々重きを加えているが、公務はこれに対応して国民の期待と要望に応えるため、創意工夫をこらして能率の増進と行政サービスの向上に一層の努力を傾けなければならないものと考える。」この後でありますけれども、「公務員諸君におかれては、全体の奉仕者であることの自覚に徹し、厳正な規律のもと一層その職務に精励されるよう、この機会にあらためて要望しておきたい。」こうなっているのですね。この「総裁談話」の一番最後のところについて、方々から苦情が実は私のところに殺到しまして、史上最低などと言われる勧告を出しておいて、何でこんなことを麗々しく総裁談話で言わなければならぬのかというあれは別として、つまり、公正、不偏、中立であるべき総裁が、全体の奉仕者という議論を持ち出すというのは何事だという議論反論であります。  そこで承っておきたいのですが、全体の奉仕者というのをどうとらえて総裁はここに談話として挙げたんですか。
  7. 藤井貞夫

    藤井説明員 全体の奉仕者というのは、これは憲法にもございますし国家公務員法その他にも出ておることでございまして、公務というものの性質上、これは不偏不党でなければならない。要するに、一部の奉仕者というようなものであってはならないことは当然であります。そういう意味の全体の奉仕者、いわゆる別の意味で言われる公僕ということでございまして、これは折あるごとにわれわれは指摘いたしております。また公務員法の精神もそこにあることは間違いのないことでございまして、大方の公務員はそのつもりになってやっていただいておると思いますけれども、こういうことにつきましてやはり折あるごとにこれに触れてその自覚を促すということが、人事院としての当然の責務であるという考え方に立っておるのでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから長い議論はしませんが、これは私どもにとって重大なことなんですね。早い話が、あなたがおっしゃる公務員諸君団体交渉権が返ってくると、途端に皆さん賃金勧告権はなくなる、要らなくなる。なぜならば団体交渉主要テーマ賃金、そして労働条件。いま三公五現はすでに皆さん機関の傘下にはない。残っているのは一般公務員。この方々に今日団交権がないというところに代償機関云々ということで人事院存在がある。  そこで、この全体の奉仕者云々に絡む議論というのは今日に及ぶまで延々とILOの中で続いているが、結論が出ていない。それはどういうことかというと、全体の奉仕者というのは、いまあなたがおっしゃるように一部の奉仕者でないという意味における憲法十五条の規定です。それを受けて、片や身分保障存在をする、片や職務専念義務がある。それだけのことです。あたりまえの話です。だれだってわかっている。ただ問題は、政府の物の考え方は、日本の労働者をつかまえて憲法十五条にいうところのグループ、つまり全体の奉仕者といわれる労働者グループ労働三権を認めている憲法でございますから憲法二十八条にいう労働者グループ、こういう分け方をして、ILO法務省刑事局長が物を持ち込んだ、これがILO議論の一番最初であります。ちょうど私が国会へ出てまいりまして例の倉石委員会ILO調査団派遣等がありました後で国内法改正等をめぐりまして委員会が開かれた。この中で、石田労働大臣と私どものこれは長い議論でありますが、とかく政府は全体の奉仕者グループという形で物をとらえようとする。だからストライキ権がなくてもいいんだ、あるいは団体交渉権がなくてもいいんだ、こういう言い方をする。法務省代表派遣をしてILOの席上でしゃべったのはそれだ。だが、これは各国の組合なりあるいは使用者側からも反論が出ている、そういう分け方はナンセンスだと。結果的に憲法十五条のグループであるあるいは二十八条のグループであるという議論は飛んでしまった。あくまでも労働者である限りは、日本国憲法で言えば二十八条に基づく労働者だ。ただそこで政府の方は、全体の奉仕者という意味において制限があるという言い方をしている。  じゃあ一体制限とは何だ。団体交渉権もないという制限があるのかという、ここに議論が集中しておるわけですね。あなた知っているはずだ。いやしくも代償機関ということになっている――これはわれわれは認めておりませんが、なっている人事院賃金勧告というものを、しかも史上最低勧告を出しておいて、ここで麗々と「全体の奉仕者であることの自覚に徹し」云々と、争いの焦点であるものを、わざわざ公平、中立であるべき人事院賃金勧告ということについてこんなことを述べなければならぬ理屈がどこにある。まことにもってこれはけしからぬことだと私は思っている。まあ政権でもとってしまった方が早いということになりますから余り総裁を責めてもしようがないけれども、これに対するたくさんの反論が出ておりますから、この点はきちっと申し上げておきたいのであります。またお出しになるというならなるでわれわれは考えがございますから、その点だけ申し上げまして次に移らせていただきます。  今回の、「史上最低勧告」と、こう新聞が書いておりますけれども大変御苦労なさったことは認めますけれども総裁、どうなんですかな、史上最低勧告ということで風当たりが少なくて大分助かっておりますか。
  9. 藤井貞夫

    藤井説明員 風当たりが少なくなって別に助かっておるというわけではございません。人事院というのは大出先生もまことにベテランで先刻御承知のように、これは人事院の宿命と申しますか、常に一方の側からは、今度の勧告で申し上げれば低率である、史上最低だ、けしからぬというおしかりを受けます。しかしまた他面別の意味からは、中小企業のことを考えているのか、そういうことは馬耳東風で親方日の丸じゃないか。ことしあたりは特に私のところにも直接に電話やら陳情やら文書やらというようなもので、大変な別の意味の御叱責、御注意をいただいたこともございます。しかし、これらは背景に持ちながら、やはり公務員給与のあり方、公務のあり方というもの、これにやはり人材が集まらなければ将来国家というものは困りますから、そういう意味の配慮をしながら、しかもやはり労働基本権のない公務員代償機関としての役割りを自覚すればこそできる限りのことはやっておるつもりでございますし、今後もその態勢は崩さないでやっていきたいと思います。今回の場合もそのつもりで厳正に仕事をやったつもりでございまして、別に風当たりその他は、両方からございますけれども、それはやはり人事院に課せられた宿命だというふうに思いあきらめておる次第でございます。
  10. 大出俊

    大出委員 どうも両方からの風当たりが比較的少ないうまい数字になってほっとしたと言わんばかりの、これは総裁の心境でございますかな、そういうふうに新聞に書いておりますからね。どうもちょっとひっかかるところがございましてね。そういう調査諸表その他は一遍も出したことがない人事院ですからね。私も人事院ができてからいままでのずいぶん長いおつき合いなんだけれども、そこのところは人事院がやみの中にそっと置いておるわけですからね。総計数字なんというものはいずれにしても上下差がある。フィッシャーにしたってパーシェにしたって、みんな同じであります。誤差があります。高いところをとるか低いところをとるかによってうんと違う。だから私は長い経験で数字の操作はできると思っておりますから、そういう意味で、どうも今回の勧告については、私は給与局長角野さんには、公務員共闘皆さんは七・五%という要求をお出しになっておるが、きわめて現実的に見て七%に乗せたらどうかということを再三申し上げたことがある。理由があるから申し上げておる。七%を切るということになるとすると、これは意図あり、政策だということになる。六・九四というのをちょっと削っておこうなんということになりはせぬか、こういう言い方をしたことが私はあるのですけれども、そういうことじゃ困るんですね。  そこで、総論でございますから、幾つか承っておきたいのですが、この六・九二という数字は、基礎になるのは、定期昇給というのを一体どういうふうに見ておるのか、ここに一つポイントがございます。ここのところをひとつ給与局長からでも御説明いただきたい。つまり、二・四四掛ける四分の三ですか、そういう計算をして一・八二になるのですか、一・八三になるのですか、どういう数字が出てくるのですか。しかもその根拠は何なんですか。
  11. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  人事院勧告をいたしております基本的な考え方というものは、一年の中の四月という特定の断面で官民給与の比較をいたしまして、そして彼とわれとの間にどれだけ高さの差があるかという方式でございます。それが御案内の本体の較差といわゆる積み残しの較差を含めまして、本年は六・九二ということに相なった、こういう結果で勧告申し上げたわけでございます。  したがいまして、これは高さの差でございますので、昇給という考え方とはいわば関係のないものでございます。別途昇給制度というものは現に公務員にございますが、これは一般民間の昇給の形と大変違うと思いますが、四月、七月、十月、一月というように一年に四回に分かれてだれかがその一回に昇給するという形でワンサイクルあるという形の昇給制度を持っておりまして、四月という時点で官民給与の比較をいたしますときには、四月というその昇給の織り込み済みのところの官の状態で民間と比べるということに相なっておるわけでございます。  そこで私どもが発表いたしておりますのは、そういう意味で六・九二というベースアップの勧告お願いしておりますが、昇給には全然触れておらないというのはそういうことでございまして、それでその昇給を、民間のたとえば春闘の俗に言います八・八と比べて公務員の場合一体どう見るかというような御質問がときどきございますので、そういうことを頭に置いて、それならばどういう数字を出したらいいかということをいろいろ考えまして、それはおよそ昇給ぐらいその数字のとり方にいろいろ各人考え方まちまちのものはございませんが、一応制度的な昇給率あるいは実態を入れての平均あるいはローテーションとか新陳代謝あるいは昇格その他を入れての実態的なあるいはこれの財源的な原資的な高さとか、そういうものはいろいろございますが、公務員のそういう一年間実態を踏まえまして一年サイクルで見ますと、二・四三という昇給率がございます。これは事実でございます。それから、これはローテーションのいかんによりまして、もうきょうとあすとでは違っておるという数字ではございますが、仮に四月以降に残されております部分だけを取り出して考えますとすれば、七月以降でございます。そうだとすれば、あらましその三分の二ということになりまして、それで一・八一という計算もできるかなということで、仮に計算した次第でございます。
  12. 大出俊

    大出委員 ところが、これは金額からすれば、大ざっぱに物を言えば大したことはないという理屈は成り立つのですよ。成り立ちますが、さっき私が申し上げた、恐らく六・九二ぐらいであろう、こういうふうに人事院考え方をそんたくをして私なりに計算すると一万二千四円が出る。共闘の皆さん計算をすると一万二千八円が出る。皆さん計算すると一万二千五円になる。小さいようですが、これは全体から見るというとやはり問題なんですね、ここは。早い話が、いま私は二・四四掛ける四分の三――四分の三という意味は、四月昇給というのはやっちゃっているからという意味で四分の三。あなたはいま二・四三、こう言う。私が二・四四で計算し、あなたが二・四三で計算すれば、答えは一致はしない。そうでしょう。しかも新聞にあなたが説明しているのによれば一・八二と言っている。新聞が別なことを書いたというなら別だ。そうでなければ、いまのあなたの答弁は一・八一が出てくる。こういうふうに食い違っていたのでは、何を一体根拠に整数をはじけばいいのかわからぬことになる。だから私はさっき総裁にも言ったように、数字の操作はしようとすればできると言うんだ、そうでしょう。定期昇給というのは一体どれだけなんだと言ったら、二・四四というときもあれば、二・四三のときもあれば、二・六のときもあれば、二・七のときもあれば、今回のように、二・八のときもある。しかもあなた方がやっているやり方を見ると、追加較差の中からは三%引っ張ることがある。常時やっている人事院の方式。そうでしょう。何で一体三%を追加較差の中で引っ張らなければいけないのか。これは算定する計数、そんな計数は論理的にどこにもないですよ。三%引っ張らないで二・六なり七なり引っ張ったらそれだけで大きく違います、追加較差は。こんな六・九から先の〇・〇以下のどころというのはどうでも動いてしまう、そんなものは。そうでしょう。そこのところを何で一体あなた方はきちっとできないのかと言っている。その都度くるくる変わったんではどうしようもない。追加較差のところでは三%引いておいて、四月昇給しているからという意味ですよ、そうしておいて今度は後の方の、四分の三の方の計算の中では一・八二だと言う。いま聞いてみれば、今度は一・八一だと言う。そんなべらぼうな話はないでしょう。じゃあ一体その計算の基礎というのはどういうことになっているのかということを本当に調べようとすれば、あなた方が調査をし、計算をした諸表を含めて全部出してもらわなければわからぬじゃないですか。そんなめちゃくちゃな話を一体何年続けるんです、人事院は。ちょっと説明してください
  13. 角野幸三郎

    ○角野説明員 数字の話でございますので、大変厳密な数字でございます。いまし方お答えしましたので数字が一部ちょっと違っておりまして申しわけございません。(大出委員「そんなことあるか、議事録訂正しろ」と呼ぶ)一・八二でございます。申しわけございません。もう一度申し上げますが、現在の公務員のウエートで入れまして年間昇給が二・四三でございます。それからそれの四月を外しまして、残る七月、十月、一月と、この三回の残り分として計算いたしますと、全体の大体、先ほど三分の二と申し上げましたが、四分の三でございます。ちょっとこれも違っておりまして申しわけございません。四分の三で数字は一・八二でございます。(発言する者あり)
  14. 正示啓次郎

    ○正示委員長 ちょっと人事院給与局長、非常に大事な数字をそう軽々に発言されては困るですよ。十分注意してください
  15. 大出俊

    大出委員 これは公務員皆さんの生活にかかわるポイントでございまして、数字なんですから、数字というのは政治的に解決しないのですから。ただしかし、角野さんが新局長におなりになって初めてお答えになるのですから、多少のそういう行き違いはあってこれはやむを得ぬ場合もありますから、その場合はきちっとひとつ訂正をしておいていただきますようにお願いを申し上げる次第であります。数字でございますから、しかもそれが公務員皆さんの生活に直結する数字でございますだけに、慎重に御答弁をいただきますように私からもお願いをいたします。  そこで念のために申し上げておきたいのでありますが、新聞を見ますというと、四月期の昇給というものを引っ張っている、差し引いているということを論拠に妙なことをおっしゃる。ここにありますのは朝日新聞でございますけれども、実際は定昇込みで九・三五%かなんて、えらいどうも親方日の丸でいいんじゃないかと言う。これは私は非常に不満なんですね。恩給あるいは年金なんかにつきましても、共済年金は高いとかなんとか言うけれども、あれは給付率と掛金と見合いになっておるわけですから、頭を抑えているんですね。長年私も恩給だの年金だのやってきていますから知り過ぎているんですがね、経過も。人事院が昔恩給勧告するころからなんですから。ただ最近よく長い経過を御存じない方がぼんぼんといろいろなことを言うとすぐ新聞が書きたがるという特徴ができておりますがね。何となく公務員はけしからぬ、こう言いたい。  ところがここで二つだけはっきりさしておきたいのは、公務員というのはばかな職業で、なり手がないんだと言って前総裁佐藤達夫さんが嘆いたことがあるんですよ。民間が景気がよくてやたら金がふところに入るという。どっち向いたって高度成長でございといって、何やったって金になる。ところが公務員というのは細く長くということで、孫子の代までうちのお父さんは公務員だったからなんといって嘆かれたというのですよ。しかも公務員試験の受け手がなくなってしまう、年々減っちゃって。このときは公務員ぐらいばかな職業はない、割りが合わないということでさんざっぱら悲哀をかこったわけですよ。ところがちょっとこれ不況が三年何がし続き足かけ四年とこうなると、今度はやたら無性に親方日の丸で公務員がどうのこうのと言う。さっき総裁もちょっと触れましたが。そこに人事院というのはしっかりしてくれなければ困る。そんなことに左右されたんじゃ、それこそ細く長くなんだから、これは公務員はもちませんよ。そんなばかばかしい話。そうでしょう。だからそこのところをきちっとひとつ私はおとらえをいただいて、だからこそこの九・三五などというふうに書かれているんだけれども、きちっとこれは人事院説明しなければいけませんよ、本当に八・七四になるのやらどうやら。おわかりになりますか。六・九二に定期昇給というものを入れるというと八・七四なのかどうか、そして四月を引いているんだということなんで、新聞は九・三五と書いているんだけれども、本当に九・三五なのかどうか、はっきりしてください
  16. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻来お話のあります数字の問題でございますが、これはきわめて大事な数字でございますので私からはっきり申し上げておきたいと思います。  これは昇給率がどうであるかというようなことにつきましては、クラブの方とも密接に何回も接触をいたしまして詳細な資料も出して説明を繰り返しております。わかっていただけるようにいろいろ説明をいたしております。それに対しましていろいろ御議論なり疑問が出されておることは事実でございます。しかし私たちとしては、かくなるからかくのごとくである、これは人事院の確信でございます。間違いがないと信じておりますということを申し上げております。ただ、若干御理解がむずかしいと思いますのは、無理もないかとも思いますのは、昇給制度というものが民間とは違います。四回に分かれてやるということですから、大変それを、どれをつかまえるかということがむずかしい面がございます。その中の一つとしていま申し上げた一・八二というのがございます。そのほかに、この三回分をもっと平均的にならしてみますと、〇・八一という数字も出るわけです。それから、先刻ちょっとお触れになりました原資という面から見ますと、年間の新陳代謝その他がございますので、原資はほとんど要らないというような面も出るわけです。そういう意味では民間とはまるっきり違うわけです。そういう点を御理解いただけるように努力はいたしておりますけれども、やはり限界がございまして、御主張もあり、お考えもあるものですから、われわれの方から見ましても問題だなあ、誤解を一般に生ぜしめては困るなあという思いを抱くようなこともいろいろ載るわけであります。  しかし、私たち現在の時点でいろいろ精査して考えておりますことは、今後三回分のものは一・八二であり、したがって、それを仮に昇給率として加えた場合には八・七四になる、これは私の口からはっきり申し上げておきたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 それでは、九・三五ではない。あくまでも、角野さんおっしゃっている六・九二という今回の勧告数字は定昇抜きでございますから、これにプラス定昇というものと考えるとすると、それは八・七四になる。よろしゅうございますね。したがって、九・三五というのは誤解であるということになる。そこのところはよろしいわけですね。  確かに、おっしゃるように昇給は四期に分かれておりますが、一年に二回も三回も一人の人が昇給するんじゃないんですからね。確かに原資的にいえば〇・九ぐらいしか予算上はないんですから、だから全部がローテーションがあって回っていきますからね、そして新陳代謝があるわけですから、そういうことなんだということを――まあ毎回、記者の方もかわるからかもしれませんけれども、何とか皆さんにそういう誤解を生じてこういう記事が間々出てくることのないような人事院の責任におけるPRをお願いをしたいのです。たくさんの公務員方々にあらぬ誤解を生んだのでは、まして妙なムードがありますから、まじめに働いている公務員皆さんに申しわけないので、悪意で申し上げているんじゃないので、これはぜひひとつ御努力を願いますようにお願いをいたしておきます。  そこで、はっきりいたしましたが、どこをとらえて物を言うかということがはっきりしないから聞いていたわけですが、それで八・七四、こういうことになるとすると、私はどうも今回の勧告というのは低過ぎる、こう申し上げざるを得ないのです。理由を幾つか申し上げます。  日経連の調査等にいたしましても、八・八というのが民間数字になっています。これは定昇込みでございます。あるいは労働省調査、ここに数字がございますけれども、これは労働省に出していただいた数字であります。これを見ましても八・八なんですね。労働省労政局労働組合課がお調べになった「五十二年民間主要企業春季賃上げ状況」というのがございますが、これは労働省の数字であります。たくさんの業種がございますが、二十二業種ここにございますけれども、この最後の集計が賃上げ率八・八。この八・八が民間の定昇込みの数字だとすると、四月一回分の昇給というのは差し引き勘定になりますから、八・八から一・八二という数字を引きますと、これだけで六・九八ぐらいの数字になる。今回の人事院勧告は六・九二でございますから、明らかにこれは低いことになる。それから、公労委が公労協のの仲裁裁定をいじるに当たりまして、そのときに消費者物価の比率を九・二と言ったわけですね。これは後に九・四ということになったわけでありますが、ここらのところから計算をいたしましても、やはり今回の勧告は低過ぎるという結論が出てまいります。消費者物価の上昇にはるかに及ばない勧告になっている。これはまことに残念であります。  ただ私は、この勧告が出る前ならば簡単に引き下がりませんけれども勧告が出てしまった後でありますから、これに長い時間をかけたくはない。そういう意味でいま二つ触れましたけれども、消費者物価に追いつかない賃上げ、それだけ生活は苦しくなるわけでありますが、これについては春闘共闘委員会などは九・四という数字が出ていますね。団体交渉権を持っていて、ストライキ権を持っていてやっている諸君の集まりが、団体交渉、ストライキをかけたりしまして出た結論、これを集計すると、共闘委員会に聞いてみますと九・四という集計になっています。八・八じゃない。公務員という大きな世帯を考えてみますと、本来ならそこらに見合うべきものである。まして団交権ストライキ権がない公務員代償機関人事院が扱うなら当然その辺にいっていいはずだ、こう思っているのでありますけれども、そこらのところをどうお考えになっているのかだけ承っておきたい。いかがでございますか。
  18. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ことしの春闘の中でいろいろな数字が出ておりますが、公表されておりますものの中で、たとえば、ただいま先生お示しの労働省のデータで八・八という数字がございます。それで、ほかに日経連その他にも数字がございますけれども、いずれも上げ幅といいますか、伸び率でもって表示されております。ところで私どもがやっておりますのは、先ほども申し上げましたが、高さの差というとらえ方でございます。そういう意味で、伸び率に比べますとずっと厳密な――ある時点の厳密な官民の高さの差という関係でとらえておりますので、非常に厳密な差で、間違いないものと自信を持っております。  ところで、消費者物価との関係で実質賃金はどうかというお尋ねでございますけれども、それは、私ども民間給与実態調査をやっておりますのは、いわば民間給与ができますその形成過程といいますか、団体交渉の場面で、物価問題でありますとか家計生活の問題でありますとかが議論された上で、それが溶け込んだものとして賃金が決まる、こういう過程をたどっているものというふうに考えまして、そこで出てきた結果としての賃金と均衡をとるということで、物価あるいは生活の問題というのは、間接的ではありますけれどもそれで同時に均衡がとれる、消化されておる、こういうふうに考えて、民間賃金比較を第一にいたしておる次第でございます。  ただ、そうは言いましても、たとえば物価が四月で八・六というようなことに相なっておりますが、そういう点でどうかという問題がございますので、ことしの場合に、この引き上げ率配分を考えますときに、できるだけ世帯的な、生活的な、実質的なところに配分いたしたいということで、まず俸給表重点を置いたということもその一点でございますし、手当の中でも扶養手当、特に配偶者重点を置いたというのも、やはりそういう生活的な、実質的な配慮をした、配分で一生懸命考慮をしたという気持ちでございます。
  19. 大出俊

    大出委員 これはいつも議論になるところなんですけれども、マーケットバスケットなる方式を人事院が採用して久しくなるのですが、これは法律上は民間給与、そして公務員の生活の実態というのが明定されているんですね。そうすると単なる官民比較でなくて、一体公務員の生活の実態はどうなんだという点がいつも抜けてきている。これは浅井清さんの時代から私は強調していることなんですけれども。しかも、この人事院方式というのももうずいぶん崩れている。初任給なんかも私は再三皆さんに指摘し続けてきた。高度成長の中で民間の初任給はどんどん上がってしまう、人事院の初任給決定の方式は崩れている、ここにこだわっていたのではまさに公務員の希望者もなくなってしまう、これはさんざ私は皆さん議論をいたしました。結果的に今日私の言うとおりになってきている。  あるいは、いま行政(一)表、(二)表の行(一)、行(二)で官民比較をやっておられるわけですね。十職種比較等があったわけです。それで、公務員中心になっている、民間にない、そういうところまで比較するというのはどういうわけなんだということを強調をしてきた時期がある。これも人確法なるものができた。人事院の好まざるところであったができた。このあたりを契機に崩れてしまった。  だから私は、やはりここまでくると人事院というのは根本的に物を考え直す必要があるというふうに思っている。しかし、ここでこの議論をしている時間がありませんが、今回の給与勧告というのがどうも実情に即していない。消費者物価の上昇その他から見て、ただ単に官民比較で、民間賃金には物価上昇も織り込まれているといって済まされる筋合いではない。その証拠に、一生懸命、生活が苦しいからという認識で最後の、わずか十くらいの数字俸給表の中の一番生活の苦しそうなところに積み上げるなんということを、角野さんが新給与局長として大変な努力をしているのですね。それは何を意味するか、私がいま申し上げている点なんです。だから、そういう意味では、これは勧告が出た直後の質問ですからこの議論は差し控えますけれども、将来に向かって一遍考えてみなければいけない大きな問題だというふうに思っているわけであります。  次に、時間がありませんから先に進めてまいりますけれども、つまり今回の人事院勧告というのは、私どもからすると生活の実態を反映していない勧告である、消費者物価の上昇率等から見てきわめて不満勧告である、こういうことになる。このことを指摘しておきまして、法律国会に出される時期がございますから、そこで改めてひとつ議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。  そこで、一つ確かめておきたいことがここでございます。平均給与というのは一体どういうことになっているのかということ、公務員共闘その他の専門家の諸君が、皆さんの方の専門家の方々といろいろ議論をしてきた経過があるようでありまして、私がその諸君に確かめてみましたら、行(一)、行。というのが十五万三千五百五十円、扶養手当五千七百円という今回の数字、つまり、十六万五千百九十五円。ところが旧来十五万三千五百一円という数字があって、これに扶養手当五千七百一円という数字があって、ここらの数字、つまり十六万五千百四十何円という数字が一方出てきている。これははね返りもありますから、多少の相違ですというだけじゃ済まないのですね。したがって、平均給与というのはどういう数字になっているのかというのを、なぜ旧来議論してきた数字と多少なり開きがあるのかということを、きちっとここで御説明しておいていただきたい。
  20. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  本年四月現在の国家公務員給与の、いわば官民給与を比較いたしますときの基礎給と私ども称しておりますが、その高さの数字のお話と思いますが、十七万三千五百二十四円の内訳の話と思います。この中で本俸が十五万三千五百一円、これは調整額が入っております。それから扶養手当は五千七百一円、五七〇一でございます。それから、あと基本的なものとしましては調整手当が大きなウェートがございますが、地域給でございます。五千九百四十五円でございます。それで、一般に基準内と言いますか三者というのはここまででございます。それで、ほかに住居手当とか通勤手当その他を含めまして十七万三千五百二十四円、こういうことでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 そうすると、とりあえずこの数字があなた方の計算をしている数字であるということになる。旧来の共闘その他の皆さんのやりとりの中で出てくる数字との差というのは、どこに理由があるのですか。
  22. 角野幸三郎

    ○角野説明員 この官民比較の基礎数字がこれでございますが、これはことしの一月十五日現在で公務員実態調査をやりまして、これは悉皆調査でございまして、機械集計をやりまして、その結果、勧告官民比較をやります少し前に確定した数字でございます。大体従来の経験によりましてこのくらいだろうかという推定をなさる場合もございますので、厳密な意味では、その点に差異があったのではないかと思っております。
  23. 大出俊

    大出委員 次の問題でありますけれども、先ほどお話しになりました特別給、これも実は附帯決議がついております。この附帯決議、先ほど総裁もお触れになりましたが、これもいいかげんにつけたのじゃない。附帯決議の文面に明定されておりませんけれども、前回のこれを〇・二削りますときに、大分長いやりとりを総裁と私がしているのです。茨木前給与局長ともしています。私は、このときに指摘している問題があって、本来なら人事院はいままでにその点を究明しておかなければならない筋合い、責任があると思っているのですよ。ところが、それにお触れになっていない。だから、その点をはっきりしていただきたいのですが、いま三者ベースという言葉が給与局長から出てまいりました。三者ベースというのは、ほかならぬ本俸、扶養手当、調整手当の三つのはずであります。つまり、特別給与について官民比較をする比較ベースというのは、公務員の場合には三者なんですね。本俸、扶養手当、調整手当の三者なんですね。では一体民間の方はどうかというと、これは所定内賃金なんですね。これは明確に分母が違うのです。だから、前回私はこの点を指摘して――時間がないからずけずけ言ってしまいますけれども、本来なら一つずつ承っていかなければならないのですが、ひとつここに私ども計算をした数字がびざいます。この数字によりますと、旧来五・二カ月分、五・二カ月分、公務員の特別給はこう言われてまいりました。それが〇・二落ちて五になったというのが昨年であります。どうも藤井総裁は、総裁になりまして間が悪いのかどうか知りませんけれども、いまだかつてない特別給を〇・二落とす役割りを果たされたり、史上最低などと言われる勧告をお出しになる役割りを果たされたり、大変お気の毒なことになるわけでありますが、これはまことにもって不満足。その不満の最たるものが、実はいまの比較ベースと言われるつまり三者ベース、本俸、扶養手当、調整手当という公務員についてはこの三つ。これで特別給というものを民間と比較している。民間の方はそうではなくて所定内賃金。旅費から何からみんな入っている。旅費というのは交通費ですね。こういうばかなことをやっていたのじゃ、普通の土俵の上の比較にも相撲にもならない、明確に違うのだから。だから、五・二カ月分をそういう意味で三者ベースでなくて民間の所定内に合わせた計算にし直せば、実は五・二カ月じゃない。四・九六五という数字が出てくる。人事院流に六五を切ってしまえば四・九です。これは五・二カ月じゃない。四・九カ月しかない。それをあなた方が五・二カ月と称してきた。そのために公務員諸君というのは五万円ずつも損してきた。私は人事院相手に提訴したいと言ったことがあるのですけれども、これは大罪を犯していることになる、公務員諸君の生活にそれぞれ直接かかわっているのですから。この点をあれだけ指摘したのだが、この点について、あなた方は何らこれを解決しようとしない。重大な責任があると思いますが、いかがでございますか。
  24. 角野幸三郎

    ○角野説明員 特別給の出し方の問題でございますが、現在の出し方は、民間の特別給の基礎になりますもの、実は先生おっしゃいましたように、その中身を給与構成としてのぞいてみますと、それは住宅手当でありますとか通勤手当でありますとかが含まれた総体で分母分子の関係の分母の方を用いざるを得ないという、そういう方法をいままで算定上とってきておりますが、これは民間給与構成がまちまちでございまして、これを取り出して整理するということがなかなかむずかしいという調査の事務的な、そういう集計上の問題もございます。  ところで、昨年この点の御指摘を受けまして、私どもも研究問題として大いに検討いたしてまいりましたが、これは分母分子の問題でありますことも事実でございますけれども、どちらかといいますと、特別給を金額そのものでとらえる。月給をとらえておりますように特別給も額としてとらえて、公務員の方も額としてとらえて、それで生で比べたら月数は捨象できるというような考え方もあるいはあるのではないかというようなことも思いまして、これは実際の調査方法として、民間の会社を訪ねましてこういう調査が果たしてできるのかどうだろうかというようなことも内々考えてみたりしておるところでございます。  もともと申しますと、通勤手当とかあるいは住居手当、これは四十五年と思いますが、昔からあったものでございませんで、だんだん中にはまり込んできたものですから、だんだん基礎給が変化してきたという情勢を踏まえなくちゃならぬということは現在感じておりまして、どういう調査方法をすることが最も合理的であるか検討いたしたいといま考えておる次第でございます。ことしも民間調査をいたしましたときに、こういうことができるんだろうかということを調査員に委託いたしまして、打診をして、今後の問題としてそのデータを検討してみたいといま思っておる段階でございます。
  25. 大出俊

    大出委員 つまり、何にもしなかったことになるんじゃないですか、そんなふうなことをちょいと考えたというだけの話で。これは一人五万円も違う。去年のベースでいって五万円も違っちゃうんですよ。こういうばかなことをあなた方は放任しておいて、やれるかどうかちょっと調査員に委託して聞いてみてもらったなんということで済む筋合いじゃない。  私が去年茨木給与局長を詰めたら、いや昔調べたことがあると言う。調べたことがあるのならその資料を出したらどうだ、さんざん渋ってお出しになった資料がここにある。見ると、民間における特別給の職務の段階別、年齢、階層別の状況、こう言う。ところが、見ると何と昭和四十五年、職種別民間給与実態調査、こう言う。四十五年です、これは。こっちの方を見ると、これは四十六年、ずいぶんカビが生えているんですね。これは古い。こんなものをのこのこ出してこられても困る。しかし、あなた方は見事にそう言った。  これは、民間の部長なんていうのは七・三カ月だ、七・九カ月だという数字ですね。課長なんていうのは六カ月だとか六・二カ月だとか、べらぼうな数字が出てますね、これを見ると。私は、だから三者ベースで、とにかく本俸、扶養手当、調整手当しか入れない、公務員の方は。それで比較して高い面を低いの、去年は民間は四・九五しかなかったから五・二というのは多いから〇・二削って五にしたと、こう言う。今度は調べてみたら四・九九だ、五を超えていないから五にしたと、こう言う。そのあなたが言っている四・九五だとか四・九九だとかいう基礎はどこから出てくるんだと言えば、公務員の方は三者ベース、三つしかとってない。  それじゃ、ここに数字がありますけれども通勤手当は幾らかと言えば三千七百八十円もらっているんですよ。そのほかの寒冷地手当を見たって千四百七円もらっている。民間だってみんな払っているんです。住居手当だってこれは去年のやつで九百九十二円、そうでしょう。いまから言えばおととしになる。こんな六千円ものべらぼうな差があって、小さく出てくるのはあたりまえじゃないですか、そんなことは。  逆にひっくり返せば、四・九しかないものが五・二という数字になっちゃう。四・九カ月しか民間と比較すればもらってない、本当は公務員は。それを皆さんがわざわざ五・二カ月というふうにしている。そうしておいて民間よりは〇・二はみ出しているから削ると、こう言う。その点を指摘したら、それは古い資料だけ出してきた。これは資料にならない。しかし、この資料がとれるんならやってできないことはない。それを今度もおやりになろうとしないで、相変わらずかつての計算方式でいって、去年四・九五であった、ことしは四・九九にしかなってないんだから、附帯決議さえくっついているのに現状でいこうと、こう言う。こんなばかなことを、そうでございますかで黙っちゃいられませんよ。総裁自身が去年〇・二切ることに大変に最後まで心を残しておられた。何遍も切りたくないと私におっしゃっておられた。しかもその焦点の一つである問題点を指摘してあって、それをこの一年間何もしないで、いま調査員に委託して聞いてもらった程度の話で口をぬぐわれたんじゃ、こんな勧告はいただけないということになる。いかがでございますか。
  26. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ことし調べましたもので、特別給について、いま先生お示しの昭和四十五年、六年の民間職務の段階別の特別給の支給状況、それに見合います調査を、ことしは、何年かに一回そういうことはやっておりますが、その点。それから年齢別あるいは勤続年数ということで特別給には大分傾斜があるというようなことは、これは労働省の賃基等にも出ておりますが、そういう制度的な調査も何年かに一回やっておりますが、そういうことでそのデータもことしは調査をいたしております。  それはデータの話でございますが、実はその特別給は、民間実態は、平均といいますよりも非常に配分上傾斜がございます。これは従前から大変問題になっているところでございますが、公務員の場合にこの傾斜が一体どうなのかということで、現在課長以上、管理職手当がついております者についてはこの傾斜配分ができておりますけれども、一体これがいいのだろうかというような数字の点検でありますとか、あるいは係員の方が民間の勤務して間もない人たちに比べてどうなのかという配分上の点検、そういうことの何年かに一回の調査をやっておる次第でございます。  ところで、いま通勤手当の問題が出ておりますが、通勤手当は、たとえば昨年、本年という経過をたどってみましても、国鉄運賃等が非常に上がっておりまして、そういう意味で基礎給の変化が頻々とございますので、そういう点でこれはボーナスの基礎給として織り込むにはなかなかむずかしいというような感じも一方にございます。  まだほかにも問題がございますけれども、昨年来その他いろいろな点から勉強しておるということをいま申し上げた次第でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 これも時間がありませんから皆さん検討課題としてお預けをいたしますが、これだけ明らかに矛盾があって、いま私が計算をした数字を申し上げましたが、公務員にとっては当時の計算で一人五万円ぐらい損している勘定になるんですよ。民間の特別給を正しくあなた方がつかんだことにならない。にもかかわらず、片方でもって削ると、こう言う。これは勧告が出る前ならば後に引ける筋合いではないのですけれども、出た結果でございますから、この点は再度、私の方でこういうべらぼうに大きな矛盾を放任すべきではないということを重ねて申し上げておきますから、皆さんの方でぜひひとつ御検討いただきたいのであります。  それからもう一つここで念のために申し上げておきますが、私が前にお示しをいたしましたが、これは昭和二十七年からございますが、二十七年から五十一年までのこの長い期間に皆さん官民比較をおやりになった特別給、端数を毎回毎回切り続けてきているのを私は指摘をしている。賃金法定主義であると言う。法定主義だから民間が下がったからといってにわかに変えられない、だから民間より高く出た場合も上げないのだと言う。私はきわめて単純に一・一カ月分これは損をしたと言ったんだけれども、それは毎年ローテーションで回っていきますから、いろいろな調査の段階が出てくるから必ずしもこの数字ではありませんけれども、それにしてもこれはひど過ぎる。そこまでのことが前提にあって附帯決議がついているのですから、ただ単なる附帯決議じゃないのだから、それをあなた方が本当にその気でお取り組みにならないということになるとすれば、これは人事院の責任問題になります。重大な問題でございますから総裁からこれはお答えをいただいておきたいのであります。この点をどうなさるおつもりか。
  28. 藤井貞夫

    藤井説明員 去年〇・二切り下げました際にいろいろ御議論をいただきました。また、私もこれをやるのはやはり本意ではないということを最後まで申し上げたつもりでございます。いまでもその点はやはり心にひっかかっておることは事実でございます。  ただ、人事院の立場といたしまして、一定の基準で調査をいたしました結果を無視するわけにはまいらないということで、あえてこれをお願いをいたしたという経緯がございます。  また、昨年いろいろ御議論いただきました結果附帯決議がありますことは先刻申し上げたとおりでございまして、私といたしましても十分腹の中におさめておるつもりでございます。でき得ればもう少しいい数字が出てくればことしはという期待も心の中にはございましたけれども、いかんせん昨年の夏が余りよくなかったということから、こういう結果になったのでありまして、心ならずも据え置きという措置をせざるを得なかったということでございます。  しかし、この問題をめぐって、いま御指摘になりましたようないろいろな問題点があることは私自身も承知をいたしております。また、将来にわたって二けたは全部切り下げるのだというようなことを一つの一定した方針として堅持をする、それが人事院の曲げられない方針だというふうにかたくなに私は考えておるわけではございません。そういうものを含めて弾力的に、今後の検討課題として研究すべきことは研究し、また改善すべきことは改善するという態度で取り組んでまいる所存でございます。
  29. 大出俊

    大出委員 いまの四・九九が仮に五・〇六になったら五・一にすることもあり得るとか、そういうことを含むのですな、いまのお話は。いかがでございますか。
  30. 藤井貞夫

    藤井説明員 ここでまだ断言することはできませんが、そういう点も含めて検討いたしたいという意味でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 一遍切ったのですから、ぜひひとつそこのところは長年の経過を踏まえて前向きで御検討いただきたいと存じます。  なるべく簡略に申し上げますが、もう一点俸給表配分の中身なんですけれども指定職が八・八、これはどうも少しよ過ぎるのですね。先ほどの御説明によると勧告の上げ幅というのは非常に小さくなった、だからいろいろ苦心したという話が実は出てくる。上げ幅がうんと高いときならまた考えようもあります、いじり方がありますでしょうが、去年は管理職手当のカットがありましたからふえるのはわかる、ことしはそれはもう済んでいる。そうすると、ここでやれ十二号の東大、京大総長七十四万円は八十一万円にする、七万円上げる、九・五%、十一号の事務次官七十一万八千円を七十八万八千円にする、七万円上げる、九・七%、なんというのがございますね、これがどうも釈然としない。一、二、三、四、五等級まで七・一、六等級が七・〇、七等級が六・九、八等級が六・七、平均七%、こういう数字なんですね。去年はかまぼこ形で真ん中を上げてふくらまして、こう落としていった。確かに八等級というのは公務員の人員分布からいけば数少ないわけでありますけれども。そういう意味で言うとどうも、中厚下薄なんということを新聞は書いておりますが、これはやはり上厚下薄なんですね、指定職の頭はこうなっているわけですから。これは釈然としませんが、もう一遍そこのところを釈明をしておいていただきたいというのが一つ。  もう一点、時間がありませんからついでに承っておきますけれども、三等級、四等級、五等級、六等級にいずれも一号俸継ぎ足したですね。頭打ちになりますから継ぎ足した。これはやり方が非常にこそくなんですね。これはやはりちゃんとした制度にのせるべきじゃないかと私は思っておる。そこのところは一体どう考えるのか。この二点だけお答えいただきます。
  32. 角野幸三郎

    ○角野説明員 初めに指定職の引き上げの問題でございますが、これは昨年に引き続きまして本年、民間の役員調査をいたしております。それで、私ども指定職俸給表との対応で申し上げますと、事務次官の十一号のところを、民間の役員調査からの結果で得られますデータのうちで上から三番目と言いますと、社長、副社長、その次、専務、常務というところでございますが、その金額と対応させるということで従来まいっております。それで本年、その比較をいたしましたところ、そこのところで一五・九%の開きができております。  どうしてこんな大きな開きがあるのかと中身をよく検討いたしてみましたところ、昨年の調査のときに出ておりました数字、それに対する昨年の引き上げ、ここのところで三万三千円ばかりいわば積み残しと称しますか、まだすき間が残っておりまして、これは率にいたしまして当時、大体五%程度残っておったわけでございます。そこで、ことし、去年の間に、同じその三番目の重役さんのところが約一一%近く上がっておるものですから、両方合わせますと一五・九、約一六%近い開きになったということでございます。  この対応はそういうことでございますが、二けたも上げるというのは、下の行政職配分から見て大変きつい感じがいたしますので、そこのところは一けたにとどめたというのが実情でございまして、九・七あるいは九・五というのが十一号、十二号の引き上げ率になっておるというのは、そのようなおさめ方にいたしておる次第でございます。  それで、指定職の上の方はそのように上がっておりますけれども、下の方は行政職(一)表とずっと関連がございますので、大体行(一)の上の方、七・一につながりますところは七・三というような形で結んでおる。平均いたしまして全体で八・八、そういうことに相なっておる次第でございます。
  33. 大出俊

    大出委員 これはまた法律が出てくる機会がございますから、そこの議論にしたいと存じます。  この各等級号俸に一つずつ継ぎ足したというようなことは、これは根本的に解決を図る筋合いのものだと私は思っておりますが、これはひとつ改めて議論をいたしたいと存じます。  そこで、大きな問題がございます。この報告の中に、教員皆さん改善分、昨年三月の勧告ですね、妙な表現なんですがこれは皆さんは何を言わんとするのですか。まさか世の中、ベースが改定される、上がるという勧告が出ている、教員皆さんのは議論がいろいろあって国会を通らない、この際便乗して、世の中一般公務員皆さん給与改善の方にぶち込んで給与法一本にして一緒に出させて、主任手当だ何だというのはつぶそうと思っても、片方に一般公務員皆さん賃金引き上げが入っているからそれとセットで何とかつぶされないようになどという悪巧みを考えたのですか。どういう意味ですか。
  34. 藤井貞夫

    藤井説明員 これはそういう悪巧みを意図したわけではございません。ただ先刻も申し上げましたように、昨年三月勧告をいたしまして以来、いろいろ事情は私も承知いたしております。国会のいろいろの過程もございました。そういうことの結果、われわれの立場といたしましては遺憾ながら今日まで成立せずにきておるという現実がございます。したがいまして、むしろこれを触れないといたしますると、別の角度から、あれはもう人事院勧告したけれどもどうでもいいのかということでも困るわけでありまして、われわれはやはり確信を持って法律があり予算措置が講ぜられているということで勧告を出したわけでございますので、これはくれぐれも実現を期待をいたしますという意味のことをさらりと申し上げたつもりでございます。したがいまして、この点は、われわれ法形式のことをとやかく申し上げておるのではございません。この点は恐らく政府において各般の事情を御勘案の上で決定をされることではないかというふうに思っておりまして、そういう悪巧みを意図したとかいうようなことではございませんので、ひとつくれぐれもその点御了承を賜りたいと思います。
  35. 正示啓次郎

    ○正示委員長 ちょっと、給与局長の答弁漏れがありますから。
  36. 角野幸三郎

    ○角野説明員 号俸延長の答えが残りまして申しわけございません。  ことし号俸延長は全職種、全俸給表を通じて十ヵ所いたしておりますが、行政職(一)表の中では先生おっしゃるとおり四カ所でございます。  号俸延長と言いますのは、従来もそうでございますけれども、その最高号俸周辺に現在おります職員の分布状態、それから年齢というのを考えまして、それで号俸を延長するということをやっておりますが、昨年三十カ所ぐらい延長しておりますので、ことしはその微調整というようなことで十カ所、わずかだけ延長しておるというのがことしの状態でございますが、毎年これはそういう考え方で最高号俸周辺のところを見ていくということでいきたい、こういうふうに考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 これは公安、海事が入っていますから、私は行政(一)について言いましたが、海事なんかも入っていますので確かに個所はもう少し多くなりますが、根本的なことを考えなければいかぬだろうと思っておりますので、そういう意見だけ申し上げておきます。  いま総裁が悪巧みは意図してない、こう言うのですね。だけれども、この報告には「この際、この勧告に合わせて」という表現なんですね。さらりと書いた、こう言うのですね。まあ勧告したのだから「期待している。」と、いまの御答弁を聞いていますと別に積極的じゃないのですね。せっかく三月勧告したのだから、この際あわせて何とかしてもらえまいか、そういう淡い期待をしているという程度に受け取れるのですね、いまの御答弁を聞いていると。これはごもっともで、前の佐藤達夫総裁給与秩序が乱れる、こう言って人確法案に反対の意見を当時出したのですからね。だからそういう意味で言えば積極的にはなれぬだろうと私は思うのですね。法律をつくられて押っつけられたからしようがないからやっているのだと人事院は言っていたのだから、それが積極的になんと言ったのではおかしくなってしまいますからね。きわめて消極的な話なら、まあ期待したがうまくなかったぐらいでいいんじゃないですか、総裁どうですか。いかがでございますか。
  38. 藤井貞夫

    藤井説明員 いろいろ人確法制定前後の経緯というものはございます。私もそれなりに伺っておるのでありますけれども、それはそれといたしましてやはり法律は厳然としてあり、また予算措置も講ぜられ、第一次、第二次の勧告はいろいろ議論があったとしてもそのまま成立をして今日に至っておる、それなりの効果が上がっておるというふうに考えております。その残りがあるわけでして、その第三次ということでこれもまた予算措置が講ぜられたということがございまして、これに基づいて一次、二次と同様に人事院といたしましてもそれなりの立場で詳細に検討をいたしました結果ああいう勧告を出したわけでありますから、気に入らぬとかなんとかいうことはこれはできた限りは申し上げられません。勧告勧告としてやはり人事院の出したものとしては同じでございますので、ぜひひとつやっていただきたいということで、別にこの分だけ淡い期待という意味でもございませんので、ひとつその点御了承願います。
  39. 大出俊

    大出委員 人確法ができる経緯も聞いているという前提がありまして、本当なら気に入る気に入らぬと申し上げたいのでしょうけれども法律ができた以上気に入る気に入らぬと申し上げられませんと言うのですから、そうでしょう、だから淡い期待だと私は申し上げているので、それなら消えたら消えたでいいじゃないか、給与秩序をあえて乱す必要はない、前の総裁がおっしゃっていたことに戻るのですからね。そういう意味で、もう少し私は積極的にお書きになるかと思ったら全く淡い期待しか書いてないですな。「この勧告に合わせて実施されることを期待している。」とかなんとかこっそり言っているような感じですね。触れないでおくというわけにもまいらぬからというさっきのお話ですから。そこを踏まえて「合わせて」なんて書いてますけれども法律的にはとやかく言っているのじゃないというのですから別な法律だっていいわけで、その点こだわっていない、こういうわけですね。  さて、そこで総務長官に承りたいのですが、総務長官が法律を今度はこしらえる立場でございます。そこで二つ承りたいのですが、まず一つは関係閣僚懇談会か何かをおやりになったように承っておりますけれども、この勧告をどういうふうに扱われるのか。完全実施というのはわれわれが不満であるなしにかかわらず政府の責任においていままでやってきたのですから、完全実施、こういう方針をおとりになるのだと思いますが、まして給与担当の大臣でございますから、閣僚協その他が結論を得ていなくても、担当の総務長官という立場で完全実施をする、こういうふうにお考えならばそうお答えをいただきたいのと、さて、この法の扱いでありますけれども、二番目に、いま総裁が淡い期待みたいなことを言っておりますけれども、別に一本にして悪巧みをしなくたっていいはずでありますから、そこのところはどういうふうに法律をおつくりになるのか承っておきたいのであります。
  40. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 お答えいたします。  昨日、人事院勧告をいただきまして、早速に給与関係関係閣僚懇談会を開きました。関係閣僚からいろいろと意見が出まして、昨日はその取り扱いの方針につきましてはまとめることができませんでした。近日中に再び関係閣僚会を開く、その日時はいずれこちらから御通知申し上げますということで散会をしたような次第でございますので、きのうのところはそういうことでございますが、私自身といたしましては、この人事院勧告政府は尊重するというのがたてまえでございますから、早期実施、完全実施をやっていきたいという心がけでございます。  それから法律の方はどういうことか、こうおっしゃいますが、これも従来の経過を考えてみますと、なかなかむずかしいことに相なろうかと思うのです。各党間の意向をよくいまからお聞きいたしまして、そして政府の方でどういうぐあいに提案するかはいまからの問題でございます。従来の経緯からかんがみますと、本当になかなかむずかしいなという感じがいたしますけれども、現在はそういう状態でございます。
  41. 大出俊

    大出委員 なかなか総務長官お考えになって、きわめて政治的にお答えになりましたから気持ちはわかるのでありますが、私はずばり申し上げておきますが、これを一緒にしてお出しになるとなると、さっきの悪巧みになるので、きわめて露骨に世の中じゅうの公務員皆さん賃金が上がるというのにその中に真っ向から反対をしなければならぬものが入っている、こういうかっこうになる。真っ向から反対しなければならぬものが入っているのだが、全体の給与を上げなければならぬのだからまあ曲りなりにも通るだろう、そこを私は悪巧みと言ったのですけれども、これをやると簡単に通せなくなっちゃう。簡単に通せない。ただ問題は、ここに一つあるのは、教職特別手当四%を六%にしようというのが勧告の一つの中身、あるいは育児休業法、主任手当などはこれは規則でやろう、こうなっているのですね、前の勧告は。しかしその勧告は、規則であれ法律であれ一本の勧告ですから、それで法律成立しないから規則も出ていないというのが現状ですね。それだけに、なお争いはきわめて深刻なものがある。そうだとすると、給与法というのは一本だということで一本で出してきた場合に、それがあるためにもめてもめてもめ抜いて、これは後からいつ実施するかという問題はあるのでありますけれども、めったなことでこれは通らぬことになったときに、一体だれが責任を負うのだ、こういう問題になります。激しく第三次改善案があるために、法制化されているために反論が続いて決着がつかない、その責任は一体だれが負うのだということになる。まして四月から実施すべきものである今回の勧告ですから。そういうことになったときに、責任を国会が負わなければならぬのだから、そういう意味では法律勧告が違うのだから切り離すべきである、三月期勧告に基づくものはそのように、今回の勧告に基づくものはそのように。これは旧来内閣法なら内閣法の改正が三本も内閣委員会にかかったこともあって、何ら不思議ではない。そういうふうに扱うべきであるというふうに思います。そして切り離しておいて、賃金引き上げ一般的なものは早く通す努力をお互いがして、大変な争いのある方は後から審議をすることにして、この間皆さんがさらに努力をなさって話をつけるようにする、その努力をする必要がある、こう私は思っております。これは私どもの相談をした結果に基づく意見でありまして、いま各党の意見を聞いてとおっしゃいましたからずばり申し上げておきますので御検討賜りますようにお願いをいたしておきたい、こう思う次第でありますが、もし御答弁があれば承ります。いかがでございましょう。
  42. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいま私はこの問題の取り扱いは大変むずかしいと思いますと申し上げたのはまさにそこの点でございまして、各党の御意見が非常に違うということなんです。いま大出先生の御意見並びに社会党を代表した御意見としてそれは十分承りました。また他の党の御意見もよく承りまして政府としては考えたい、かように思う次第でございます。
  43. 大出俊

    大出委員 これもいますぐ詰まる筋合いのものでございませんから、後の議論にいたします。  そこで、次に、総務長官に承りますが、昨年の附帯決議の中の早期実施方法について、一体これをどうするのかという問題がある。いま、完全に、しかも速やかに実施したいという意思を持っておられることを明らかにされましたから、大変ありがたいのでありますけれども、昨年の附帯決議は、「政府並びに人事院は、」政府人事院両方にかかっている文言でありますが、「政府並びに人事院は、給与の早期支給を含め、支給手続の改善について引き続き検討すべきである。」こうなっておるのですが、この決議の趣旨をいかに御検討いただかれたのか、政府並びに人事院に承りたいのであります。決議でございますから、お答えいただきます。
  44. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 この仕組みに関しましては、政府検討したのは四つの方法がございました。予備勧告及び本勧告というふうに二つに分けたやり方はどうかというのが一つでございますし、予算編成前に勧告案を出してもらう、これが二つ目でございます。三つ目が俸給表改定についての政令委任という案でございます。四番目には国会の早期召集、人事院勧告が出たならば直ちに召集する。こういうふうな四つの案を検討いたしてみましたけれども、それぞれにいろいろ問題がございまして、しからばこうしようという結論が実はまだ出てない次第でございますので、今回におきましては従来の制度の仕組みのとおりにやっていかざるを得ない、かように思っておる次第でございます。
  45. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告の早期完全実施というのは、これは人事院の切なる願望でございます。完全実施の方はおかげさまをもって軌道に乗ってまいりました。時期の問題については、時のいろいろな情勢、国会召集のめど等のことが絡み合いますので、これはなかなかむずかしい、決め手のない問題でございます。  ただ、早期実施をやります方法論といたしましては、われわれの方といたしましても無関心ではございませんで、総理府においても非常に真剣に御検討いただいておりまして、その方策としては、この間からもそうでございますが、ただいまも総務長官からお話しになりましたような方法はいろいろ考えられると思います。しかし、それらの点につきましては、御説明もございましたように、憲法上、たてまえ上等の問題がいずれも絡み合うむずかしい問題であることは事実でございます。  ただし、本筋といたしましては、やはりできるだけ速やかに国会を開いてここでひとつ御審議をいただき、成立を図っていただくことが一番の近道であろうかというふうに私自身は考えておるのでございます。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、これが本来の切なる願望であるということを機会あるごとに申し上げておることには変わりがございません。
  46. 大出俊

    大出委員 これも私は少し能がなさ過ぎるという気がするのですよ。四月実施勧告を長年してきました、歴史的には五月実施のときもございましたが。それを十月実施とか九月実施とか八月実施とか、いろいろなことになってきた歴史があった。その時代ならいいのですよ。私ども大変皆さんと一緒に苦労しまして、四月まで持ち込んできて四月にさかのぼって実施する、こうなった。これはちょっと簡単には動かないですね、歴史がありますから。そうなりますと、さかのぼって四月から実施するものを八月に勧告する。臨時国会はおおむね九月末から十月だということですから、早くても十月でなければ支給できない。一つ間違えば十二月までずれ込む。なぜならば、通常国会はどうしても七月にかかる、早くたって六月末。八月に勧告をする、国会はない、八月は休みですからね。臨時国会はどう考えたって九月末から十月です。そうなると、そこまでいかなければ実施できないということが明白であるというのに、四つ考えたがどれもどうもつまらないということだけでほっておくという手はない。これは民間を見ればわかるとおり、五月の賃金台帳にほとんど載っちゃうのでしょう、慣行で秋というところが幾つかありますが。ところが、公労協、公労委はどうなのかといえば、裁定が出てしまうでしょう。事人事院が八月に勧告をする、しかも四月にさかのぼる、その法案が出てくるのは九月末から十月の国会である、一つ間違えばさらにずれる、それをなぜ一体公務員だけ繰り返さなければいけないのか。これだけ物価上異常ならぬ世の中に、まして公務員がどうのこうのという世の中に、こんなばかげたことをほっぽっておける筋合いではない。  そこで承りたいのですが、予備勧告あるいは本勧告というお話なのだが、具体的に、これは何をどう考えたのか、そしてなぜこれができないのか、予算編成前勧告というのはできるのかできないのか。主として人事院、これはなぜできないのか。俸給表の政令委任が憲法上と言うのなら、一体どこにどう抵触をして、なぜできないのか、これを承りたい。
  47. 秋富公正

    秋富説明員 いま大臣がお答えいたしました第一の予備勧告及び本勧告案でございますが、これは御高承の四十九年のときでございまして、まず一〇%の勧告がございまして、さらに、七月の終わりでございましたが、民調の結果に基づきましての第二の勧告がございました。これは、非常に大幅な場合でございますとこういったこともできますし、もう一つは、人事院勧告でございますから、政府だけでなくて人事院のお考えもある問題でございます。  次に、予算の編成前の勧告案と申しますのは、十二月に大体予算編成ができるわけでございますが、そのときにあらかじめ来年の四月以降の改定について予算に盛り込む、現在給与改善費として五%は組み込んでございますが、これとは違った、その年度年度におきまして勧告案に対応してあらかじめ予算に盛り込むということは、ある意味政府がガイドポスト的になるおそれもあるのではないか、こういうこともございまして慎重に検討すべきことであると考えておるものでございます。  第三の政令委任案でございますが、これは御承知のように、政府といたしましては人事院勧告に基づきまして一般職給与法以外に防衛庁の給与法あるいは検事、判事、また特別職俸給、いわゆる給与五法案を提出するのでございますが、勧告一般職だけでございます。それは、防衛庁なんかは大体似たようなものだとか、判検事もあれではないか、こういう問題もあることは承知いたしておりますが、すべてを国会の御審議から外していいものかどうかという点につきまして、これもまた慎重に検討すべきことであると考えておるものでございます。  最後国会の早期召集案でございますが、これは、勧告が出ました段階におきまして給与法の審議だけのためにこの問題だけに限りまして短期間の国会を召集していただけるかどうか。これまた当然国会における問題でございまして、政府だけでできる問題ではございませんので、これもいろいろとさらに検討を要する、慎重に考えなければいけない。  こういうことで、四つの方法につきましてはいずれもそういった問題点がいろいろあるわけでございますが、私たちといたしましてはさらに、この問題についてはいい方法はないのか。全部、これはだめだというわけで放置しておるわけではございません。組合の皆様方にも、いい御案があればわれわれといたしましてもそれを慎重に検討さしていただきますということもすでに申し上げておるわけでございまして、この問題は決して放置しておいていい問題ではなくて、今後とも検討を重ねていきたい、かように考えております。
  48. 大出俊

    大出委員 もう一つだけ人事院に承っておきたいのですが、これはいずれも勧告の時期と絡むのですね。そうすると、人事院は、その勧告の時期のとらえ方として、技術的に一体いまのやり方以外にないとお考えですか。  それからもう一点、総理府に承っておきたいのですが、国会は長い慣行ができておりまして、大変に苦しいと言われたときでも、結果的にやはり完全実施をしているのですね。そうだとすると、事賃金に関しては、一般公務員賃金の引き上げ、政治的なものがこの中にまじっていれば別ですが、一般公務員賃金の引き上げというのは官民比較で出してくるのですから、その限りでは、政令委任をして事前に実施をする、事後国会に承認を求めるということであったって一向に、これは国会がそれに合意すればいいのですから、できなくはない。だから、幾つか案があるのだが、やってできないわけじゃないのだから、あなた方はひとつ腹を決めて、こうやったらどうかというものをなぜ出さないか。いつも同じように、幾つか検討しておりますが、まだ検討している過程でございまして――これでは意味がないのですね。政令委任でやるというならやるで、その周辺の手直しをして、総理府としてはこう考えるというのをなぜ一体人事院と相談して出せないのかと疑問に思うのですよ。そうでないと、これはおざなりに、いつまでもぶん投げておけばいいということになってしまう。意味がないのですね。その二つをひとつはっきりさせていただきたい。
  49. 藤井貞夫

    藤井説明員 調査時点あるいは勧告の時期の問題でございますが、これは四月時点でやらなければならないという論理的必然性というものがあるわけではございません。ただ、百も御承知のように、民間の春闘というのが毎年の恒例行事と申しますか、そういうふうに定着をしてきております。今後経済情勢その他の変化でこれがどういうふうに変化をしてまいりますかは私は予測はできかねますけれども、これが定着をいたしております現在の状態、少なくともここかなりの年月の問題としてとらえてまいりますと、やはりこの動きを素直に如実に反映するということが、やはり公務員給与自体を実態に合わせる一番いい時期ではないかという考え方から、四月時点ということに相なったのであろうというふうに私は理解をいたしております。したがいまして、いまの情勢が続いてまいります限りにおいて、急にこれを改めるということはいかがなものであろうか。三月、一月というようなことになりますと、これはやはり春闘を目前に控えてのことでありまして、それの実態を反映しないということになります。また、それの時期がさらにずれますと、先刻から真剣に御議論いただいておりますように、さらにその実施時期が実質上延びていくということにも相なりますので、その時期の変更につきましては検討はいたします、早期実施ということの貫徹をいたしますために検討はいたしますし、問題意識も持っておりますけれども、これを軽々に変更するということはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えております。
  50. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいまの政令委任の件について、これは一つの例だと思いますが、そういうふうなことを積極的に人事院と相談の上でなぜ政府は出してこないか、これはごもっともな御意見でございます。この問題につきましては、決して軽んじておるわけではございませんで、昭和四十五年でしたか、それ以降人事院勧告どおり実施期日になってきておるわけでございますから、やや慣例化しておるということも認めておりますし、いい方法があればぜひやりたいということを実は積極的に考えております。先生の御指摘もこれまた十分に胸に置きまして、先ほど人事局長が話しておりましたが、実は組合ともいい方法があればひとつ相談しようじゃないかということもやっておるようなことでございますので、この点に関しましては一歩二歩前進した案を考えたい。いまの政令委任のことにつきましても、これも先ほど人事局長が申し上げましたが、やはりいろいろ問題がございまして、たとえば予算が不足する、そうするとこれは政令だけではどうにもならぬのじゃないか、こういうふうな問題もありますし、なお慎重に前向きに積極的に、これは考えさせていただきたいと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 たとえば総務長官、いまのこの六・九二勧告は、後から大蔵省に承りますが、予算上五%あるのですよ。ですから、千何百億かかかりましょうけれども史上最低と言われているだけに、従前のものから比べれば処理のしやすい勧告なんですね。そうでしょう。私は一つの前例をつくる必要があると思っているのですよ。というのは、慣行化して今日に至っているこの中で、いまの問題を議論を詰めた時期があって、山中総務長官のときに私がやかましく言って、ずいぶん一生懸命にお互い相談したことがある。この中で出てきた一つの案が政令委任はどうだということなんです、当時のいきさつからすると。そのときにも、いまの予算の問題が出てきた。だからこれは扱い方でして、予算上特に困窮をきわめてどうにもならぬという時期、これはわかるのです。あるいは五%しか組んでいないのだが二〇%を超える勧告だといえば、大変なことはわかる。しかし、これは例外であって、本来ならばそれなりの措置を考えて各省は進めているのですから、とんでもない勧告が出ない限りは実施できる。そうすると、そういう支障のない限りは政令委任で実施をする。しかし予算上、資金上どうしても政令によりがたい場合には国会まで待つとか、方法はある。そのことに法的裏づけが必要だというなら、法律の手直しをやればいいのだ。そのために内閣委員会に小委員会をつくって詰めたっていいのだ。そこに皆さん出てきていただいて相談したっていい。各党の意思が一致すれば、各党それぞれ持ち帰って、党として相談をして合意を求めればいい。つまり、そこまでの具体的な努力をなさろうとしないところに、話はいつも出てくるのだが堂々めぐりで小田原評定に終わってしまう原因がある。これを幾ら繰り返したって矛盾が消えるのではないのです。四月にさかのぼって実施するという慣行を確立しているにもかかわらず、十月だということをたくさんの公務員諸君のために――まして総裁がとんでもない談話なんかを出す世の中ならば、その前になぜやっておかないかということになる。それぐらいの親切気があってもいいでしょう。だから、具体的に政令委任なら政令委任の方向で検討するならするとしぼる。  だから私は人事院総裁に聞いたのだが、勧告の時期、調査の時期をそう簡単に動かし得ないというならば、それが前提になるなら、その形は続くのだから、それなら政令委任でやる以外に方法はないでしょう。さっきの四つの案の中で、早期勧告、これは人事院がやれないというならしようがない。あるいは予備勧告、本勧告といったって、実際に苦労をして一〇%というのはやっとこさっとこまとめたのですから、そう簡単にできないでしょう。では何が残るかといったら、可能な限りの政令委任による処理しかない。予算上どうしてもできないという場合だってある。その場合には、政府の態度として、こういう理由で国会に諮らなければできないと言えばいい。ところが、今回みたいに必ずしも補正を組まないで処理できるということであるとすれば、政令の範囲内で実施ができるということになる。そこのところを、やはり一つなら一つにしぼって御検討いただきたいし、必要なら国会側で内閣委員会なる専門の委員会に小委員会をつくるなり、そこまで進めなければ、これは公務員に対して不親切過ぎますよ、長い年月このままでぶん投げておいたのでは。いかがでございますか。
  52. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 おっしゃるとおりでございますから、いまの政令委任の件も含めて、政令委任ということがいま一番前に出ておりますから、まずもってそれから具体的に検討を開始いたします。
  53. 大出俊

    大出委員 これは長い懸案で、堂々めぐりをいつまでやっていてもらちが明きませんから、ぜひこれはお願いを申し上げたい。私もいろいろ検討したことがございまして、それなりにいろいろ法制局の意見を聞いたことがある。ぜひひとつこれは本当に真剣に取り組んでいただきますようにお願いをしておきます。  この報告その他をめぐる最後の問題になりますけれども週休二日制の問題が残っておるわけであります。  その前に、実は一つだけ総務長官にもう一遍承っておきたいのは、次の閣僚協と申しますか閣僚懇談会と申しますか、これは総理が帰ってきてからというお考えのようでありますが、そのめどをいつごろにお置きでございますか。そこだけちょっと聞かせておいていただきたいのです。
  54. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 総理は八月十八日に帰ってまいりますが、恐らく今月の下旬あるいは来月の初旬までというふうに考えております。
  55. 大出俊

    大出委員 この週休二日の問題でございますけれども、この報告文の中にある「試行終了後、その結果を検討のうえ、民間における普及状況その他の諸条件を勘案し、関係機関と緊密な連繋をとりつつ、再度の試行を含め、所要の方策について検討を進めることとする。」九月という時点で一遍試行は終わるわけですね。総裁、そうでしょう。そこから検討を始めるということになりますね。これはずるずるやられちゃ困る。いつになるのやらさっぱりわからぬということじゃ困る。  そこで、一、二点だけつけ加えて承りたいのですけれども、まず試行をしなかったというのはどことどこですか。しなかった理由というのは何ですか。
  56. 金井八郎

    ○金井説明員 現在行っております試行の過程におきまして、それに参加してない省庁は二省庁、法務省と公安調査庁でございます。で、私どもといたしましては、試行に入る前の各省で計画をお立てになり、わが方に協議をいただいた段階で、事務的に試行に入るようにいろいろお話、協議はいたしたわけでございますけれども、その理由といたしましては、交代制勤務職員を、たとえば刑務所の職員とかそういう交代制職員をたくさん抱えている施設とかあるいは少人数官署、民事法務部門でございますね、そういうものを含んでおりますところから、いろいろ準備等もございましたようで、最初から試行に入れなかった、こういうふうに承知しております。
  57. 大出俊

    大出委員 これは法務省、公安調査庁においでをいただいて細かく聞かなければいけませんがね、なぜできないのかと。それは現業官庁で税務署もあれば――これは警察は入ってないのですか。現業官庁もたくさんあるのですから、そのことを理由にやれないといえばこれは切りがない。
  58. 金井八郎

    ○金井説明員 各省庁の中でも特定の部門を除いて大体参加しておるわけでございますけれども、たとえば海上保安庁の巡視船艇等の警備救難部門、あるいは外務省の在外公館、これは性質上参加しておりませんし、保安庁の方につきましては、やはり交代制勤務ということと勤務の特殊性ということがございまして今回は省かれておりますが、その他の現業関係につきましてはおおむね、規模については若干の差はございますけれども、全体として参加しておる次第でございます。
  59. 大出俊

    大出委員 これは大体、閣僚懇の中で、まあこれは属人的に名前を挙げるわけにもいかぬけれども、時の法務大臣は、そんなことをやれば日本がつぶれると言ったのですからね、この方は明治三十何年の生まれか知りませんけれども。そういうことじゃ困る。それは、だから改めてその方々にお出かけをいただいて聞かなければいけませんが、総裁、終わった、検討の段階がある、さてそこで、いまの報告から見ると再度の試行と、こうなるのですか。時期的にどういう判断をするのですか。たとえば九月に終わったら、やろうとすれば十月、十一月、十二月、一月、どの辺から始めるのですか。私が非公式に承ったら、まあ一カ月くらいは終わったら検討調査にかかりましょうと言う。というと、これは際限なくずるずるじゃ困るので、しかも再度の試行についてはどういうことをお考えになって再度の試行をなさろうというのかと、これもはっきりしておいていただかなければ困るのですが、いかがでございますか。
  60. 藤井貞夫

    藤井説明員 九月いっぱいでテストは終わります。その段階で各省庁のテストの結果というものの報告を求めまして、内容の点検をいたすということになります。お話がございましたが、われわれの方といたしましては、一度中間報告を求める必要があるということで中間報告を求めたことがございます。その内容は今日ここで詳細に御披露申し上げることは差し控えますが、その経験から申しまして、全国各省庁の出先まで全部にわたって報告を求めるわけですから大変な数であります。おのずから若干の時日をこれは必要とするわけでございます。あらかじめ報告はすぐ徴するからなるべく早く準備はしておいてもらいたいということは徹底をいたしておりますから、それほど長くはかからないと思いますが、しかし物理的にかなりの時期がかかるということは予測しておかなければならぬと思います。  それと、検討してどういうことになるかということは、中間報告を求めておりますので、大体の想像はつきます。それほど変わったものが出てくるとは私は思っておりません。したがって、その点それほどとっぴなことにはならないと思いますが、しかし、閣僚懇の申し合わせもございますし、やはり慎重にその結果は検討をいたしますというたてまえでございますし、事実これは大変大事なことでございますので、慎重に検討いたす時間的余裕が要ると思います。したがいまして、現在ここの時点で、検討の期間は一カ月で足りるのか、二カ月ぐらいはかかるのかということを申し上げる自信はございません。しかし、できる限り早くやりたいというふうに思っております。そして次のステップに移ってまいりたいという考え方を持っております。  いまお話にもありましたように、これは国民も大変注視をいたしておりますが、公務員の諸君の考え方も、何かテストが終わると、後はもうそれでもって検討検討と言ってしり切れトンボでずっと延びてしまうということになりはしないかというようなことの危惧は持っておることは事実であります。しかし、人事院といたしましては、この問題に取り組んだのは、やはり天下の大勢、世界の大勢として週休二日制は時代の流れであるという観点に立っております。ただ、時期と方法というものは、これは国民生活にも大変な影響がございますので、慎重な配慮が必要であるという考え方からやっておるわけでございますが、ことさらに理由を構えてこれをずらしていくという気持ちは毛頭ございません。したがって、できるだけ速やかに結果を検討いたしまして次のステップに移りたいという考え方でございます。そのやり方等についてはいろいろございますけれども検討の結果は、やはりテストを今度実施いたしました際にとりましたような方式、たとえば官房長官、総務長官に対して、こうこうであった、したがってこういうかっこうで次のステップにひとつ移ってもらう方がいいのではないかというような書簡を出すとか、その他の方法を考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っております。  再度の試行と言っておりますが、その点は実は先刻もう御質問がございましたが、実際には実施してない、実施できなかった官署がございます。それなりの理由もあると思いますけれども、われわれとしてもそこはひとつ工夫をこらしてもらって何とかやはりやってもらいたい、やってみなければわからぬではないかということ、事実、交代制勤務、現業の官署でもやって、何とか切り抜けておるというところもあるわけですから、そういうつもりになってもらわなければならぬということで協議の段階でも要請をいたしましたし、その後もどうかということで再三申し上げております。しかし、未実施であるものをどうかというふうにすぐに結論づけることもまたこれは大変乱暴な話でございますので、そういうところはさらにやってみる必要があるという点がございます。  それから、これは大変方々から御指摘を受けましたが、テストとしてやむを得ない面がございましたが、入り方が非常に薄い。要するにある局をとらまえれば、三カ月のローテーションで、四分の一というようなことでございますので、やはり役所の仕事というものは年間の一つの流れというものがあると思います。税務署系統ではやはり確定申告その他のときに業務が集中するというようなことで、年間業務の流れというものの見合いというものも重視しなければならぬという点がございますので、そういう意味から言えば、これは非常に慎重に構えたわけでやむを得ぬと思いますが、非常に入り方が薄かったという点がございますので、そういう点をもう少し密度を濃くするとかいうような点がないと確信を持てないというような面もございます。そういうものを含めて慎重に検討いたした結果、そう非常識に間をあけることのないように、できるだけ速やかに作業を進め、結果を出して次のステップに移りたい、こういう気持ちでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 総裁の立場もありますから、そうずけずけ申し上げかねるのですけれども、私のかつての質問に対して、つまり、試行とは一体何のための試行なのか、実施を前提にしているのじゃないんですかということに対して、答えが、そういうことでございますということになっているのですね。閣僚懇の方は必ずしもそういうふうになっていないのですね。そういう微妙なところがあります。ありますが、また、官庁によっては、行政管理庁がおって、スムーズに試行なんかやっていたのでは人を減らされるというようなところもある。それではちょっと政府内部の意思統一に欠ける面がありますね。したがいまして「そこらも踏まえて、これは総務長官に御努力願わなければいかぬのですけれども人事院が先頭に立ってやっていますけれども、藤田さん、どうも試行なんというのを厚くやっていくと、おまえのところはずいぶん定員が楽じゃないかなんということをやられちゃ大変だという話が耳に入ってくる。それは間違いだと私は思っているのですよ。筋が違う。そんなことを言えば、三年五%だとか、一省一局削減以降の状況というのは、ある省は削るべきでないところを強引に削っといて、やっていけないんだから復活しろとこう言う。また、あるところは、一生懸命検討して、一番やりやすいところを何とか無理して削った。復活ができない。そういうずるさ、正直さがありますよ。だけれども、これはそういう性格のものじゃないので、そこのところをぜひひとつ、お入りにならぬ省庁もおありのようですけれども、総務長官の責任において――前総務長官植木さんが試行に踏み切るについてずいぶん苦労された実情を知っています。それだけにお骨折りいただく、大変だと思いますけれども、ほかならぬ国際的趨勢でございますから。  しかも、これは人事院皆さんがずいぶん苦労されて、あるいは給与局長その他が苦労されたのかもしれませんが、この人事院の五十二年八月の「参考資料」の四十三ページには、実にわかりやすく調査結果が書いてあるのですね。これは総務長官、お目通しいただいたと思いますけれども、「年間休日数階層」ということで、六十から六十九、七十から七十九、八十から八十九、九十から九十九、百から百九、百十から百十九、いずれも日にちです。百二十日以上とこうなっている。公務員は一体どうなのかといえば、「公務員の場合、本年の年間休日数は六十八日である。」こうある。六十八日というと、一番下の方のランクなんですね。二番目のランク。五十九日以下というのは二%しかない。この五十九日以下の二%というのは、承ってみるとこれは特殊なところだけです。なるほどこれはできない。そうすると、六十日から六十九日の二番目のランクに公務員はおさまるわけですよ、六十八日ですから。これは事業所の割合で一五・四%しかないのです。あと七十日から七十九日が二〇・二%、八十日から八十九日が一八・四%もある。しかも、九十日から九十九日が二五%あるのですね。  となると、それは幾ら何でも公務員皆さんに気の毒ですよ。いまの国内的な趨勢から見て、公務員の諸君がこの一番下の方の特殊なもの以外のところの六十から六十九に入っているなんということは、これは許しがたいと私は思っているのですよ。だから、そうだとすれば、公務員皆さんのことを考えて全体の体制に合わせようという努力が試行なんですから、そういう意味で総務長官にぜひこの辺を御留意いただきまして――これは労働省の皆さん、お見えいただいてお待ちいただいて、恐縮なんですけれども、大蔵省の皆さんにも申しわけないのでありますが、実は今回の人事院調査結果のこの表の出し方というのは私は感心しているのです。なるほど一目瞭然わかるようにこの調査結果は書いてある。これはどこから見たって、公務員の諸君少し気の毒だ。  それから左の方の表だって、月一回、隔週または月二回、月三回、完全、その他とこうなっていますが、隔週または月二回が三二・六%もある。こういうふうに寄ってきているわけですよ。民間はだんだん中身が濃くなってきているわけですね。  そこらのことを考えれば、これはぜひひとつ総務長官に、いまの試行の過程でいろいろな問題が上がっておりますけれども、そこをそしゃくをいただきまして、より前向きに前進をしていけるような御配慮を人事院に対してもおとりをいただきたい、こう思うのですが、いかがでございますか。
  62. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 大出先生のおっしゃるとおりの数字でございまして、趨勢はそうなっていること、われわれとしても認めておる次第でございます。ただいま人事院総裁が言われましたように、九月末をもって第一回の試行が終わるわけでございますから、恐らく一ヵ月なり一ヵ月半、二ヵ月ぐらいかかってその結果をおまとめになることだと思うのです。報告なり意見なりが人事院の方からわれわれ政府の方に出されることだと思いますから、速やかに閣僚懇談会を開きまして、慎重にその取り扱いを検討いたすことをお約束申し上げます。
  63. 大出俊

    大出委員 これは人事院総裁も、いま総務長官から九月に終わる集計、検討というのが一、二カ月というお話が出てきておりますが、しかとここで承る気はありません、いろいろな問題がございますから。また、それなりに私どももできることを一生懸命やっていきたいと思っておりますが、ただ見当として、集計、検討などの期間はおおむね一、二カ月というところをめどというふうに受け取っておいてよろしゅうございますか。総裁、いかがでございましょう。
  64. 藤井貞夫

    藤井説明員 確たることは立場上申し上げることは差し控えたいと思いますが、そんなに長くかけるつもりはない。大きなめどとしては、はっきり申せば年を越すというようなことにならないように私自身は努めたいというふうに思っております。
  65. 大出俊

    大出委員 よろしゅうございます。前向きにお答えいただいておりますから、御無理を申し上げません。  そこで、労働省の皆さんに承りたいのでございますけれども、いま私が指摘をいたしました人事院資料四十三ページのこの状況、二つの表がございます。本年四月、労働省がお調べになりました調査結果の概要が出ておりますが、これは労働大臣官房統計情報部賃金統計課長川口義明さんという方、それから課長補佐の金箱さんという方、新聞発表されたのでしょう。その後のものを私、読ませていただいておりますけれども、これ以降の趨勢は、労働省は御調査をなさっているが、結論がないということでしょうか。  それからもう一つ、私、大変重視している問題がございますが、銀行法の十八条改正、これは大蔵省と絡みます。両方から承りたいのでありますが、私はこの銀行法十八条というもの、これは昭和二年の法律でございまして、かたかなが入っている法律でございますが、いまの世の中から見ると労組法六条に違反をするのではないかというふうに思っております。さらにこれはILO条約九十八号に違反するのじゃないかと思っているのです。なぜかといいますと、銀行法の十八条は、銀行労使は大変きめ細かく詰め合って合意に達している労組法上六条によるところの協約締結権を持っているわけです。労組法第六条というのは、念のため申し上げておきますと、労働組合の代表者が労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有するということなんですね。これは協約締結を目標に交渉するという条項なんですね。ここで合意が成り立っているにもかかわらず、銀行法十八条があるから実施ができないという問題なんですね。これはなぜこの問題を提起するかというと、労働省なら労働省、あるいは政府なら政府が違反をしないという御回答をなさるなら、実はILOに提訴しようと思っているからですよ。ILO事務局にもいろいろ聞いておりますが、国内でまず努力してみてくれということですね。政府の側がどうしてもこれは違反ではない、労使間で妥結していても銀行法十八条というのがあって土曜日休めない、この法律を改正しようとしない、こういうことならば提訴理由として成り立つ、こういうわけですね。国際的に見て未開の国でもない限りはこんな法律で縛っている国はないのですから、日本だけだから、恐らく提訴すれば決着がつくと思う。したがって、あわせて労働省に週休二日に絡みまして承っておきたい。いかがでございますか。
  66. 桑原敬一

    ○桑原説明員 お答え申し上げます。  第一点の資料につきましては、その後新しい数字は持ち合わせておりません。毎年九月にやることになっておりますので、近くまたやることにいたしております。  それから第二点の銀行につきましての週休二日の問題でございますが、先生御指摘のように、前々から郵政省、大蔵省、関係省庁と連絡会議を持ちまして、いま御指摘の十八条の問題が問題点になっております。たまたま私、担当が労組法関係でございませんので責任ある回答ができませんけれども、私どもは、銀行の週休二日というのが、商業サービスその他の週休二日の推進にやはり一番突破口になるのではないかということで、前向きでやっておりますけれども関係省庁の御意向もございますので、今後積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。
  67. 大出俊

    大出委員 大蔵省の方に、この銀行法十八条、閣僚懇談会で結論が出ればこれだけ取り上げて、いま金融制度調査会が検討しているわけでありますが、これだけ取り上げて改正することにやぶさかでないという、先般御検討をいただいて再答弁の形でお答えをいただいてあります。その上に立って承りたいのでありますけれども、実はいま私が提起しました問題、皆さんの方で進まないならILOに持ち出したいと思っているわけでありまして、それなりの調査も進めております。そういう意味で言いますというと、銀行労使が合意をし協約を締結をする、だがしかし法律があって実施できない、労組法第六条に違反する、しかも、これを詰めていきますと、国際的には銀行法十八条、ILO条約九十八号に違反をする、こういう筋立てになる。日本国憲法に照らしましても違反の形跡なしとしない、こういう問題につながっている。  昭和二年という時期は、アメリカあたり週休二日がぼつぼつできた時期でございまして、こういう国際環境になかった。国内の趨勢からいってもそういう環境にないところにできたべらぼうに古過ぎる法律、これはいまの世の中まかり通れる法律じゃない。しかし全体に触れません。十八条に限ってのみ申し上げればそういうことになる。  念のために申し上げておきますが、銀行の週休二日制というのは、同第十八条で「銀行ノ休日ハ祭日、祝日、日曜日其ノ他銀行ノ営業所所在地ニ行ハルル」――かたかななんですからね、「行ハルル」なんて。「一般ノ休日ニ限ル」、こうなっているんです。これがひっかかっているわけですよ。こんなべらぼうに古い、明治三十八年の人ならいざ知らず、こんな法律存在することがおかしい。だから、いまの一般的な生きている生きのいい法律に違反するのはあたりまえ、そう思っている。大蔵省関係の方はここのところをどうおとらえでございますか。
  68. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 前国会におきまして、もし閣僚懇等で週休二日制をやるということに決まった場合においては、銀行法の十八条だけを銀行法全般と切り離しまして改正することを検討してもいいという御答弁をしたことがございますが、それはそのとおりでございます。  なお、いま銀行の週休二日制の問題につきましては、これもこの前から御答弁していますとおり、関係省庁の連絡会議というのがございまして、それに特に第五部会という本件だけを専門に検討する部会を設けて検討を行っておるという状況でございます。
  69. 大出俊

    大出委員 直接いま私が問題提起したことにお触れにならない。労働省も専門家の方でないとおっしゃる。これはひとつ労働省と大蔵省に注文を申し上げておきますが、何ならば私の方から資料を差し上げてもよろしゅうございますけれども、六条というのは「労働協約の締結その他の事項」ということを明記してある法律です。片方で労使間で協約ができても、銀行法十八条にひっかかって実施できない。これは一体どういうことになるか。法的解明がここにございます。  すでにOECD、これは日本も加盟しているわけでございますけれども、このOECDなんかが発表しております「ライフロング・アロケーション・オブ・タイムズ」というのがございます。ここでライフサイクルの不可欠な要因として取り上げまして、土曜日の休養というのはまさにライフサイクルの不可欠の要因である、要素である、公共の福祉のためにも土曜日の休養を保障すべきであるということを明らかにしていますね。国際的にはそういう趨勢なんですね。  ところが、銀行法十八条というのは、ぴしゃっと、さっき読み上げましたように、労使間で土曜日の休養を約束しても、約束が実行できない法律です。そういうものが存在をする。これを一体どう見るのかということになる。とにかく、これは昭和二年にできたのですからね。  これは外務省の四十八年の調査がありますが、一人国民所得が一千ドル以上の国で週休二日制になっていないのは、日本と、イスラエルと、クウェートの三カ国しかないという。これはクウェートだとか、とんでもない国並みなんですね。三カ国しかない。こういう世の中に、労使間で協定ができるのはあたりまえですよ。協約ができるのはあたりまえでしょう。日本と、イスラエルと、クウェートしかないというのだから。  そうすると、それが銀行法十八条で実施できない。では憲法二十七条というものと照らして考えて一体どうなんだ、違反だという意見が出てくる。あたりまえ。ただ問題は、日本政府に、しかとその辺を、違反であるかないかという、この点をまず政府の意思をはっきりさしていただかぬと、提訴理由が成り立たない。  そこで労働省、大蔵省にお願いをしておきたいのは、これは御相談の上で再答弁いただきたいのです。いずれでも結構でございます。違反せずというならせずで、それなりの理屈をおつけいただいて、明らかにしていただきたい。いまここで御答弁いただけませんから。  よろしゅうございますか、委員長
  70. 正示啓次郎

    ○正示委員長 はい。
  71. 大出俊

    大出委員 よろしゅうございますね、各省。
  72. 正示啓次郎

    ○正示委員長 では、協議の上、改めて答弁をいたします。
  73. 大出俊

    大出委員 そこで、結論めいたことになるわけでありますが、大蔵省に承りますけれども、金融制度調査会で審議をしている過程で、この問題について相当な突っ込んだ意見が出ていると私は把握をしております。たとえば、この銀行法十八条というのは古い法律に過ぎる。だれの目にもそれは明らかであります。そこで、銀行の自由裁量という形、つまり銀行が休み得るという判断が成り立ったら休んでもいい。つまり当該銀行が、いままでに、労使間で相談をして、土曜においでになるお客さん、将来土曜日が休みになったときにはこうしてくださいといって、掲示を出したり、ビラ配ったり、いろいろしているのですね。これは労使合意でやっているのですよ。つまり、土曜日休みになることを前提に考えながら、顧客に対してそういう支障のないような手を打っている。そこで、銀行を利用される国民の一般方々と合意ができるとすれば、地域地域にいろいろな実情がございます。地方銀行もございます。また、産業によっても違います。横山町の問屋街の銀行なんというのは特殊なものを持っております。だから、にもかかわらず休めないというところが出てくるかもしれない。そこの御商売の繁閑の度合い、これによって、そこに土曜日がぶつかれば、この時期には休めないということが出てくるかもしれない。しかし、そうでなければ休めるというところが出てくるかもしれない。そういうふうなことまで踏まえて十八条の手直しが必要だという、そういう詰まり方が幾つか私どもの耳に入るわけでありますが、そこらのところまで触れてひとつ御答弁願いたいのですが、せっかくの機会ですから、いかがでございますか、大蔵省の方にお願いいたします。
  74. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 私ども銀行行政当局といたしましては、銀行の週休二日制については、先生のおっしゃるとおり世界の大勢でございますので、できるだけ推進したいという姿勢で臨んでおるわけでございます。現に各銀行それぞれの個別の状況に応じまして、できるだけ土曜を交代で休むというふうなことを実施いたしておりまして、徐々にではありますが、完全実施に向かって前進をしておるというのが現状でございます。  ただ、土曜を閉店するという話になりますと、先ほど来の銀行法の十八条にぶつかるということに相なりますので、地域地域の事情で、場合によっては閉店できるというところもあろうかと思いますが、閉店を実施するというのはやはり十八条の改正を待ってからでなければできない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 だから、いまの金融制度調査会の御論議の過程で、いま私が言いましたような実情を踏まえた十八条改正の議論が行われているやに聞いているのですけれども、そこのところはどうですかと聞いているのです。
  76. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 金融制度調査会におきましては、銀行法の全面にわたりまして、さらに制度面も加えて現在検討を続けておるわけでございます。週休二日制の問題につきましては、実はいままでの検討項目の中には直接は入ってきておりませんでしたが、検討もかなり進みまして、この七月から第五番目の検討課題でございます銀行の取引、サービス面の諸問題ということに入っております。週休二日制問題はこの検討項目の中で議論されるということになっておりますので、現在八月は夏休みで休んでおりますが、恐らく九月から具体的に週休二日制を含めた銀行のサービス面の問題の検討が始まるということになろうかと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 そこで、十月という時点などを目途に、十八条問題に触れた中間的な答申と申しますか、そういうものを考えてもよさそうな雲行きに聞いているのですけれども、事務当局はいずれにしても大蔵省でございましょう、そのぐらいの御配慮があってしかるべしと私は思っているのですけれども、そのときに、先ほど私が触れましたような、銀行は地域それぞれの実情に応じて、休めるところでも十八条があるために休めないわけですから矛盾でございます。とりあえず休めるところは休んでいいという、つまり十八条の手直しはすべきではないかというような大筋の中間的な答申なり報告なり求めていただいても悪くはないと私は思っておる。そこらのところを、十月目途という話も耳に入りますけれども、そこらはどういうふうにお考えでございますか。
  78. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 現在金融制度調査会の検討は大きく七項目に分けて検討を行っておるわけでございますが、それぞれの項目は決して独立して検討できる問題ではございませんので、いずれも相互に関連をしておるということでございます。したがいまして、七項目全体のおさらいを一応終わった段階でさらに振り返りまして、全体相互の関連も含めてもう一遍見直しをするというふうな考え方で現在金融制度調査会の運営が行われておる、こういうことでございますので、特別に一つの項目だけを引き出しまして、その検討が終わった段階で答申をいただくというふうなことは、現在のところでは考えていないということではなかろうかと思います。
  79. 大出俊

    大出委員 そこで、だから他の関係があることは知らないわけではありませんが、だからもちろん関連する部分を含んだ形になりましょうけれども、十八条に触れて九月段階で御検討いただいた後、十月段階で全体をながめて、いま大きな問題になっている銀行の週休二日制という問題に触れて、労使間の問題もございますから、何らかの意思表示がそこであってしかるべきではないか、またその意思表示を求める必要があるのではないか、こういうことを聞いているわけでございます。いかがでございますか。
  80. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、銀行法改正という観点からは、やはり全体の絡みで、全体をながめた上でないと、なかなか答申がいただけないということでございます。前国会でも御答弁申し上げましたように、週休二日制の推進全体について何らかの法律というふうなものができるというふうなことがもしございますれば、その中に銀行法の十八条だけを抜いて組み入れるということはあるいは可能であろう、こういうことではなかろうかと思います。
  81. 大出俊

    大出委員 時間の関係もありますからこの辺にいたしますが、総裁お聞きのとおり、銀行等が一つの民間におけるポイントになりますけれども、それも後退しているのじゃなくて、徐々に前進をしてきている、こういう趨勢にあります。ぜひそこらもお踏まえをいただきまして、これは総務長官にもお願いをしたいのでございますけれども、この問題はひとつぜひこの報告を一つのスタンドポイントにしていただきまして、一層御努力をいただきたい、こういうふうにお願いを申し上げる次第でございます。  最後でございますけれども、防衛施設庁にお出かけをいただきましたが、ここに一つの新聞記事がございます。この記事で労務費、つまり基地に働く皆さんの――もちろんこれは日本の皆さんでありますけれども、基地に働く皆さん賃金、これは昔PW方式、つまりプワベーリングウェージと言われたシステムをとっておりましたが、労務基本契約に直ってまいりまして、小坂善太郎さんが昔労働大臣のときでありましたが、システムを変えたわけであります。公務員賃金に連動してきています。もちろんこの組織はストライキ権があるわけでありますが、これが御存じのようなアメリカ側、日本の経済の情勢の相違、極端な日本の物価上昇というふうなことなどを背景にいたしまして、一つの枠に入らないというところから、はみ出す部分を切って落とそうという動きが強くなり、合同委員会の中に小委員会を設けまして、十一月を目途に結論を出すといって進んできている。昨年は大変な苦心をいたしまして、年内に、つまり十二月ぎりぎりに一つの結論を得たわけでありますが、一昨年は年を越えて三月、その前は年を越えて五月なんということがある。一般公務員皆さんが四月にさかのぼる、これでも大変におくれているのに、同じ連動をする基地に働く労働者皆さんが、年を越えて三月だの五月だのというばかなことがあっていいはずはない。しかもぜい肉を落としてしまって、特殊なところに勤めている人なんです。にもかかわらず、これを退職金その他を含めて減らそうとする。放任できる筋合いではない。もちろん地位協定の解釈だ何だございます。ございますが、ここまでくると、人事院勧告をなさったこの時期にもう防衛施設庁が腹を決めなければならない。決めて、これは間接雇用という形になっておりますから、雇用主は日本であります。二十四条という地位協定はございますけれども、雇用主が日本であるというこっちの方の責任は法的にどうするのだという大きな観点が一つあります。そういう意味で、何も分担をどうのこうのというのじゃないけれども、日本政府が使用者として当然負担をしなければならないものについて負担をするのはあたりまえだろう、こう実は私はかつて述べたことがある。ここに立脚をいたしまして、一体これをどうするつもりなのか、施設庁の側の御意見を承っておきたいのであります。
  82. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいまお話しのとおり、石油ショック以降の物価の高騰を契機にしまして、毎年の駐留軍の従業員にかかる給与改定交渉が難航いたしておる、こういう事態を踏まえまして、昨年の春以来、日米間で合同委員会ベースでいろいろ労務に係る諸問題の検討をいたしておるわけでございます。それで、これにつきましては本年の十一月までに結論を出すということでございまして、協議を重ねておるところでございまして、具体的にいまの段階でどういう方式をとれるか、具体的な対案を申し上げられる段階にございませんけれども、一つは、地位協定の枠内でということについては日米双方ともそういう考え方でございます。地位協定の枠内におきまして実態に即して、これは駐留軍従業員二万三千人の雇用の安定、生活の安定にかかわる問題でございますので、どういう知恵が出せるか、いま鋭意検討しておるところでございます。これから私も勉強いたしまして、九月、十月と最終的な詰めに入って、またいろいろ御意見を承りながら最善の解決策を見出したいというふうに思っております。
  83. 大出俊

    大出委員 これはいわゆる防衛分担じゃないのですね。  私はここで時間をかけたくない、もう時間ぎりぎり、過ぎておりますから。まあ総裁説明等がありましたから、二時間と申し上げております時間を食い込んでおりますのであえて聞かせていただいておるのですが、だから長い議論をする気はありません。ありませんが、私も二十四条というものはよく知っております。知っておりますから、外務省アメリカ局長大河原氏がおられるころに私は詰めたことがある。はっきりさせてあります。そういう意味の防衛分担を云々と言っているんじゃない。さっき申し上げました、駐留軍に働く皆さん賃金その他、契約その他の変遷の中で間接雇用、つまり雇用主は日本の政府である。そうすると、使用者負担と称するものが存在してこれはおかしくはない。つまり日本人である方々が働いているんですから、その方々に対する使用者の責任というものが当然あってしかるべきです。もちろんそれまで含めてアメリカが出すというのなら、それに越したことはない。だがしかし、そのことが大きな障害になって、何年も何年ももめ続けて給与の支払いが決着をしない。年を越えて三月だ、五月だとなってしまう。この間の働いている方々の御家族を含めた生活というものは大変なものである。泣くに泣けない。  だから、そういう意味で、やはり使用者の責任というものを明らかにしてくれと私は申し上げたい。そうなってくると、社会保険関係諸費なんというものがございます。健康保険だ、厚生年金だ、雇用保険だ、あるいは労災だとか児童手当まであるかもしれませんが、そういういろいろなものがある。そういうふうなものについて、日本政府は使用者の責任を追及されても仕方がないんではないか。だから防衛分担云々ではなくて、間接雇用制度をとっている使用者は日本政府なんだから、その意味における政府の責任を果たしたらどうなんだという議論なんです、私は。そのために当然だが金が要る。そのことはもちろん地位協定云々ではない。いじるんではないから、その意味ではあなたの言う枠内かもしれない。つまり、そういう物の考え方政府結論を出すべきではないかと、かつて私が提案したことがございます。そこらの提案を踏まえて、それがいい悪いという議論はございましょう。ございましょうが、私はいま言っているんじゃない。これは過去からの経緯でありまして、したがって何らかの結論をもうここまで来たら防衛施設庁を中心にして政府が出すべきだという、ここを強調している。つまり、今回人事院勧告が出たが、米側との問で賃金の交渉の結果はスムーズに決着がついて、一般公務員皆さんと同じように十月なら十月には払えるようにしてあげたい。そうする責任が、間接雇用制度ではありましても、つまり使用者たる政府の責任だろう、こういう観点で御質問を申し上げているわけでありまして、つまり、そこのところをもうちょっと突っ込んだお答えをいただけないか、こういうわけです。いかがでございますか。
  84. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいま先生から貴重な御示唆をいただいたわけでございますが、前々からいろいろ御示唆をいただいておりまして、私どももそれを非常に重要な御意見といたしまして念頭に置きながらいろいろ考えているわけでございます。これは、日本側におきましても、関係省庁は私どものほかに協定を預かる外務省、あるいは解釈に関連する法制局、あるいは財政負担にかかわる大蔵省等々もございますので、この関係省庁ともいろいろ協議を重ねておるところでございます。おっしゃるとおり、私どもはこれを大げさな防衛分担の一環というふうな考え方は全くいたしておりませんので、年来の労務問題の一つである、二万三千人の従業員の雇用の安定をいかに確保するかということにかかわる問題であるというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、いまいろいろ協定解釈等の法律的な側面、それから財政負担その他の実態的な側面あわせまして関係省庁と協議し、アメリカ側とも話し合いを進めておるところでございまして、いまこの席で具体的な解決案としてどういうことを考えておるか申し上げられないのは残念でございますが、あとしばらくお待ちいただきまして、どうあっても現実的に即した妥当な解決策を見出して、従業員の雇用の安定を基本的に図りたいということを考えておるわけでございます。大変貴重な御示唆をいただいたことをお礼申し上げます。
  85. 大出俊

    大出委員 私は、いま新聞で好んでお書きになるような、アメリカの会計検査院が物を言ったとか、いろいろ調べておりますからよく知っておりますが、実はそういう筋道の議論をしているのじゃない。つまり、長い年月基地に働く皆さんには歴史も経過もございまして、賃金の変遷もございまして、私は賃金屋と言われるほど詳しいわけではありませんけれども、長らく賃金というものを手がけた責任上、私が昔官公労の事務局長などというものを昭和二十三、四年ごろやっておりました時期にこのPWという方式の賃金体系をとっておられたわけでありますが、さっき申し上げましたように、これがいまの基本労務契約に基づく形に改まりまして今日に至っている。つまり、公務員賃金に連動してきている。勧告に連動している。ここで勧告が出た。片やその賃金解決のための争いが続いている。これは非常に難航し続けている。去年などというものは苦心惨たんをしたわけでありますから、その間ここで働いているたくさんの日本の善良な労働者皆さんの御家族を含む生活というものを黙って見ているわけにいかない。そういう意味で、雇用責任は日本政府でありますからその責任を果たせ、こう言いたいわけでありまして、そのことが直接的に二十四条云々というものとの関係をどう持つかということに結びつけた議論が出てくるのでありますけれども、別に二十四条を直そうと思っているわけでもなければ、いわゆる防衛分担を考えているわけでもなければ、労務問題というものはそういうものなんですから、したがってそのことを解決するための方策ありと私は思っておりますので、そういう意味でひとつ結論をお出しいただきたい、こう言っているわけです。  日本の政府云々だけではなしにいろいろ相手もあるわけでありますので、にわかにここで御発言をいただきにくいことはわかりますから、その辺は私の方も理解をいたしまして、ひとつできるだけ早く皆様方の意思統一をし、ずばり結論を求めていただきますように、それを各政党おのおのの立場でどうそしゃくをして議会という場所で決着をつけるかということ、これはおのずから別な立場でありますから、皆さんがこれが筋であるということの結論をお出しいただく、そのことを私は強く求めているわけでありまして、ここでこれだけつけ加えさせていただきまして、長くなりまして恐縮でございますが終わらしていただきます。
  86. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後一時四十五分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十八分開議
  87. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 質問に入る前にちょっとただしておかなければならない問題があります。  それは私、ちょうど十二時のNHKニュースを見ておりましたら、内閣委員会における論議の模様が報道されておりました。さきに人事院総裁が言われました定昇込みで考えると八・七四%であるという見解を明らかにされたわけでありますけれども、私もそれは正しいと思っております。ところがNHKのニュースによりますと、給与局長の名前を挙げて、六・九二に定昇分の二・四三%を加えた九・三五%という見方もあるという大見出しで報道をされておったわけであります。私は、これは大変だ、これは間違った報道であるし、国民に大変な疑惑を与えてもいけないし、また公務員の皆様方にも迷惑をかけてはいけない、こういうことで、冒頭に、この問題についてNHKにおける報道がそういう見出しで出されていた以上これは訂正させる必要があると思いますので、もう  一度その点について、人事院総裁が言われた八・七四%であるという論拠を御説明願いたいと思います。
  89. 藤井貞夫

    藤井説明員 私は、午前の質問にお答えをいたしまして、今回の勧告は定昇を入れた場合に八・七四%であるということを申し上げました。間違いございません。いま私、食事中でございましたので、実はいまのニュースを見ませんでしたが、御注意ありがとうございました。  実は、従来も公務員の定昇率をどう見るかということについては、ここ二、三年にわかに論議対象になってきておりまして、新聞等につきましては大変関心を持って見守っていくというような情勢が出てまいっております。この点は、実は民間の昇給の問題とは違いまして、公務員の場合は四回にわたって昇給期があるということになります。その中で特に四月分については、これは官民較差の基礎になるものですから、われわれの方で一月十五日現在で国家公務員給与実態について全部が全部網羅しまして、悉皆調査をいたします。全部履歴も何もわかっておりますので、それらの中で四月に上がる順番になる人はだれだということが具体的にわかります。よほどの事情がある場合のほかは大体一年で上がるわけですから、見当がつきます。そういうものをチェックいたしまして、四月の時点で民間との較差を判定するわけですから、したがって四月実施分については、これはやはり上がったこととして考えて、そして較差を見るというのが公平でございますので、そういう作業をやっております。したがって、四月時点において本較差を調べます場合には、それが四月は昇給したものとして入ってくるわけであります。したがいまして、公務員の場合は、その後は七月、十月、それから一月ということで三回にわたって昇給が行われるということになるわけでございます。したがって、その昇給率の把握の仕方というものが、実はいろいろ考え方がございます。おしなべて全部見ますと、七月の人はあと九ヵ月ですし、それから十月の場合は六カ月、一月の場合は三カ月ということになります。したがいまして、それを全部原資的にならして考えますと、実は〇・八一という数字も出るわけです。出るわけですが、まあ昇給率自体ということで面積比例で勘定いたしますと、先刻来お話を申し上げておるように一・八二ということになるわけでございます。それと本較差の六・九二というものを合わせれば、大体年間の昇給率はどうであるかという勘定の仕方は、これは民間と違います、違いますが、あえて申せばそういうことになります、八・七四でございますという数字をわれわれはいままで申し上げております。その点は現在の時点において正しい、間違いはないというふうに確信を持っております。この点ははっきり申し上げておきたいと思います。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与局長の名前が挙がってそういう報道がなされたわけでありますから、九・三五のいわゆる見方ということについて、これは間違いであるということでやはり給与局長の方からも御答弁を願いたいと思います。
  91. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  午前中の委員会でいまの問題につきまして、今回の勧告の上に何を足すか、もし民間流の定昇込みという場合に何を足すかということでお答えいたしましたときに、年間ということであれば、定昇率ということであれば別に数字がございますということは一点触れてはございますが、それを全部足すと足し過ぎでございますということで、後に残る三回分という意味で一・八二を足して、それで八・七四になりますというふうにお答えしたつもりでございます。それに間違いございません。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その点だけをただしておきませんと、NHKでちょうど正午のニュースで報道されただけに、違った見解が出されるということは非常に迷惑をこうむることでありますから、その点をまずただしておきます。  昨日、人事院は御苦労の末に内閣とそしてまた国会に対して人事院勧告をされました。私は大変に御苦労であったというふうに思うわけでありますけれども、そこで給与担当大臣である総務長官にお伺いをいたします。  かつて人事院勧告がなされたにもかかわらず、十月実施あるいは九月実施というような状態で、なし崩しにようやっと四月完全実施ということになって、それが定着をいたしております。そういうことから考えますと、労使の関係も少なからず改善をされたと、私はそのように思っておるわけでありますけれども、そこで今回出されましたこの勧告に対しまして早期に完全実施をするというお考えには変わりはないかどうか、それについて明確に御答弁を願いたいと思います。
  93. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 昨日人事院の方から勧告をいただきまして、早速に給与関係閣僚会議を開いたわけでございますが、関係閣僚から種々意見が出てまいりましたが、結論に至りませんでした。時期は不明確ではございますが、早い機会に再び関係閣僚会議を開いて方針を決定しようじゃないかということで散会した次第でございますので、政府として人事院勧告どおりに時期なり額なりすべてを決定いたしたということは申し上げられない段階でございますが、給与担当大臣といたしましては、人事院勧告を尊重するのがたてまえでございますので、そのとおりにやってまいりたい、私自身はそのように願っておる次第でございます。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ゆえにきのうも、人事院勧告が出された後に、これは新聞の報道でありますけれども、総務長官が「諸般の事情を慎重に検討する必要がある」、人事院勧告に対して完全実施をするのだというような内容でなくして、むしろ「諸般の事情を慎重に検討する必要がある」というような意味の発言をされておりますけれども、これはどういう意味なんですか。給与担当大臣として、少なくとも公務員のベアの人事院勧告がなされた以上は、これを尊重して完全実施をするというやはり強い姿勢でお臨みにならないと、今後やはりいろいろの問題もあるでしょうし、そういう意味においてまず給与担当大臣の御決意というものが大きく左右すると私、思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  95. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 昨日私、談話を発表いたしましたが、おっしゃいましたように、「財源を初め諸般の事情を慎重に検討する必要がありますが、できるだけ早い機会給与改定実施されるように誠意を持って対処してまいる所存でございます。」――「誠意を持って対処してまいる所存でございます。」このような談話で締めくくっております。この辺をひとつ御配意いただきまして、私たちの考え方を御推測願えれば幸いと存じます。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこにやはり問題があります。誠意を持って対処するという気持ちはわからないわけではありませんが、完全実施をするというのと、実施をするに当たって誠意を持ってやりますというのではずいぶん違うわけでしょう、その点は。こういうふうな中にいままで定着された四月の完全実施、早期にやるという、これはやはり貫いていかなければ、労使の間における不信感というものは私はますますつのるように思うわけでありますので、そういう点について、私は、本来ならばこの人事院勧告が出される前に内閣委員会を開いて、その内容についてもいろいろと論議をしながら人事院勧告を迎えるというのが慣例であったわけでありますけれども人事院勧告が出されたわけでありますから、その点についてやはり給与担当大臣として少なくとも不退転の気持ちで臨んでいただかなければならない、そのように要望をいたしておきます。  それから、勧告を受けてからいよいよこれから作業日程にお入りになるわけでありますけれども一般職給与並びに特別職を含めて、法案を出すめどとしてはどのような日程と、そしていつごろお出しになる予定でございましょうか。
  97. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 次の臨時国会に出すわけでございますけれども、その臨時国会がいつ開かれますか、それが一つの問題でございます。それからただいま申し上げましたような給与関係閣僚会議をもう一度開かねば方針の決定がなされませんので、これを八月下旬なり九月上旬なり、恐らく九月の上旬ぐらいを目安として開くようになろうかと思います。それからそういう方針が決定いたしますと法律をつくっていくわけでございますから、次の臨時国会にはそれを提出いたしたい、かような順序で考えておる次第でございます。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院の方にちょっとお伺いいたしますけれども人事院勧告については、昨年の一般職職員給与に関する法律に対する附帯決議の中で早期勧告というふうにここに明らかになっているわけでありますけれども、結果から言えば昨年の勧告よりわずか一日しか早くなかったわけでありますけれども、どういうわけなんでしょうか。わずか一日、これはまあ言うならば、確かにこの国会の決議を尊重したと言えば一日尊重したことになるでしょうけれども、しかし、やはりもう少し国会の決議を尊重するという意味において何とかできなかったかという問題があろうかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  99. 藤井貞夫

    藤井説明員 勧告の早期実現ということを前々から国会の意思として表明をしていただいておるわけでございます。それの前提として、やはり勧告が出ませんと実施ということにもなりませんので、したがいまして、いまお話しになりましたようにできる限り勧告も時期を早めるように努力しなさいということも当然含まれているものというふうにわれわれも理解はいたしております。  そういう気持ちでできるだけ速やかにということで毎年努力はいたしておりますが、実は御承知のように民間の春闘というのがやはりいわば年中行事のようなことに相なっておりまして、これが四月から五月、六月のころにかけて順次妥結を見ていくというような状況にございます。せっかく民間との対比をいたしますものですから、そういう民間実態というものもできるだけ如実に反映をせしめる必要があるということで、その実態把握について大変精細な準備のもとに資料の収集、調査に当たるわけでございますが、これが時間的に申しますと、大体五月の連休が終わりましてから取りかかりまして、そして六月の大体半ばごろまでかかって全国一斉に調査をいたします。これの資料というものはまことに膨大なものでございまして、最終的には統計局にもお願いをいたしましてこれらの調査、分析、集計というものを行うわけでありますが、むろんわれわれの給与局を中心とする専門的な検討もそれと並行して行うということでございまして、時期的にぎりぎり詰めましてもやはりどうしてもかかるという物理的な限界がございます。狂乱物価のあの大変な時期には、それこそ統計局もわれわれの給与局の方も、死にもの狂いというようなことを申しますか、要するに大変無理がかかりましたけれども一般景況上それはほうっておけないというようなことでかなり奮闘いたしました結果、七月の末にやった事実がございます。しかし、給与勧告の作業というものはやはり一定の手順がございますし、そこに過ちがあってはならない。それからいまの状況でありますと、やはり毎年これが続いていくというような点もございまして、息切れをするというようなことに相なりましても困りますので、私といたしましては、むろんできる限り速やかにというような気持ちでもって局の指導に当たっておるつもりでございます。また給与局その他の方々もそのつもりで私の意を体してやってくれておるわけでありますけれども、これにはおのずから限界もございます。そういうことで大変努力をいたしました。特に、ことしは総理の外遊というような条件もございまして、やはり本来の勧告のことでございますので、でき得べくんばやはり総理に直接お渡しする、また内容の御説明もするということが必要であると思いまして、この集計その他の作業にかかります段階では、私自身の腹の中には、できたらひとつ、というような気持ちもございました。  しかし、どうもやはり最終の詰めの段階に入りますと、民間、三公五現の関係とは違いまして、較差が出てまいりまして引き上げ率が決まってまいりましても、その具体的な配分、要するに、はっきり言えば、俸給表にどのぐらい盛っていくか、その他にどのぐらい盛っていくか、さらには俸給表自体についても間違いのないように各種俸給表について等級別、号俸別にきちっと決めなければならぬ、そういう作業もございます。  それで、人事院会議等におきましても、率直なところを御披露申し上げますと、俸給表あたりは、初めに取りかかりましてから最終までにやはり大体七、八回は見る、そういうような作業もいたしておることもございまして、気は焦りますけれども、やはり余りせかして正確が阻害されるというようなことになりましてもこれは大変なことでございますので、ことしはそういう意味で、一日というごくわずかなことでございますけれども、努力はした結果、昨九日ということに相なったわけでございます。  しかし、今後とも早期勧告、また、これに基づく早期実現ということは大変大事なことであるというふうに考えておりますので、いろいろ工夫をこらし、合理化を図り、いろいろな点を考慮しつつ、さらにもう少し改善の余地がないものか、積極的に検討努力はいたしたいつもりでございます。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁はそれに対して努力をするというお話でありますけれども、私は、早期に勧告をするためにはやはり二つ改善しなければならない問題があるのじゃないかと感じますね。それは、五月に一応調査に入って六月十五日に締め切って、あと残った分に対しては積み残しを拾うというような形でいまやっておられるわけでありますけれども、六月十五日の締め切りをさらにもう少し早くするというような考え方はできないだろうかという問題がありますし、また、いまコンピューター時代でありますから、あらゆるコンピューターを駆使してその点において改善をするということによって早期に勧告ができるというようなシステムはとれないだろうかという、常に早期勧告ということを念頭に入れてもう少し改善をする点はないでしょうかというふうに私は申し上げているわけですが、その点はいかがでしょうか。
  101. 藤井貞夫

    藤井説明員 第一点でございますが、五月連休明けから大体六月半ばごろまで調べに出るわけであります。そのときには、すでに妥結をして四月分から新しい俸給表に従って給与を支給している企業もございます。これが多いわけです。ところが、なぜわれわれの方で五月から六月にかけてやるかと申しますと、これはいま御指摘になりましたように、妥結がおくれる企業がございます。しかし、それは四月にさかのぼって実施をするということがはっきりわかっているものがあるわけでして、そういうものはやはりわれわれの較差の比較のときには反映させたいということで、できる限り積み残し分を把握したいという考え方から六月の半ばまでかかってやっておるということでございます。その点は、他力本願なことで他をいろいろ云々することは差し控えなければならぬことと思いますが、春闘のいわゆる現在行われている妥結時期がもっと早まるということになりますと、しかもそれが大体において網羅的に大部分のものでもっと早くおさまるという事態が来ますれば、いまお話のありましたように、こちらもそれの調査の時点を繰り上げるというようなことも可能かと思います。そうしますと、全体の日程から申しましてもう少し早くやれるというような事態もあろうかと思うのであります。まさしく狂乱の後の早期勧告、七月のたしか二十七日でありましたか、その勧告をいたしました際には、そういう景況でありましたものですから民間の妥結が非常に早かったという点も別にございまして、早期の勧告が可能であったということでございます。それは民間のそういう妥結状況その他との関連もございますので、積み残しはなるべく残さないようにということに相なりますと、その程度の期間を見ておくことが妥当ではないかということでございます。  それから第二点の機械化、合理化の問題でございますが、これはもうすでに統計局等におきましては最新鋭のコンピューターその他を導入いたしております。当然そういうものを駆使してやっております。したがって、結果も非常にスムーズに迅速に、しかも各種のデータについても出てくるというようなことに相なってきたわけでございます。そういう面の努力はやっておるつもりでございますし、また御指摘もございましたので、今後とも改善措置については検討を加えてまいる所存でございます。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省からおいでになっていると思いますけれども、財源の見通しについてお伺いいたします。  勧告を完全実施をするとすれば必要な経費というのは大体幾らになりましょうか。そしてまた、六・九二%の勧告実施に当たり、予備費に確保されているところの五%の金額は幾らになり、また一・九二%は幾らになるかということについて御答弁を願いたいと思います。
  103. 禿河徹映

    禿河説明員 今回の人事院勧告によりますところの給与改定の所要額でございますが、国家公務員について申し上げますと、一般会計におきまして三千四百六十億円、特別会計におきまして七百四十億円、合計いたしますと四千億ちょっと超えますが、特別会計と一般会計の間に重複がございますので、それを差し引きました純計を申し上げますと三千六百四十億円、これが今回の勧告による所要額でございます。  これに対しまして、先生いまお話がございました給与改善費としてすでに予算で五%見ております。その金額が、概数でございますが、一般会計で二千三百九十億円、特別会計で五百億円、それの合計を純計いたしまして二千五百億円、したがいまして、その差し引きが純然たる所要財源額の数字になりますが、一般会計におきまして一千七十億円、特別会計で二百四十億円、その純計が千百四十億円、こういう数字に相なっております。ただ、この数字はあくまでも概算でございまして、これから細かい計数を詰めてまいりますので、若干の異同はこれからあろうかと思います。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これらの千百四十億円という予備費に組み込まれていない財源について、これからどうするかという問題があろうかと思います。そこでお尋ねいたしますが、まだ九月の決算が済んでいないのではっきりしたことはおわかりにならないと思いますけれども、税収の伸びはどんな状態でしょうか。
  105. 禿河徹映

    禿河説明員 私の所管外でございまして、正確なことを責任を持ってお答えいたしかねますけれども、たしか六月末の税収で見まして、対予算との収入進捗率は前年に比べてごくわずか上がっておる、しかしそれも目立った動きではない、さように理解いたしております。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、補正予算を組むわけでありますけれども、その補正予算の中に当然給与改善費、あとは青森そして北海道の災害の問題、あるいは景気浮揚のための公共事業等を考えたときに、やはり赤字国債を発行するというような状況に追い込まれるのじゃないかということが考えられるのですが、その点はいかがでしょうか。
  107. 禿河徹映

    禿河説明員 私ども、今回の勧告に基づきます給与改善のための財源をどうするかという問題につきましては、きのう勧告をちょうだいいたした段階でございまして、これから鋭意検討を始めなくちゃならぬ状態でございます。その辺の見きわめがつきますのにまだかなり時間がかかるということでございます。  なお、いま先生のお話がございましたそれ以外の問題もいろいろございますけれども、私どもまだそういう問題につきまして現段階でどうだこうだと申し上げるような状態には実は立ち至っておりません。  ただ、御参考までに申し上げますと、本年度の予備費が二千八百億余りございました。そのうち大体八百億余りを使うということになっておりまして、その中の一番大きいのは、きのう閣議決定を見ました北洋漁業対策、これが約八百億でございます。したがいまして、予備費の残りはざっと二千億程度ということに相なっております。  ただ、これも御参考でございますけれども、予備費を使って給与改善を行うということをいたしましたのは昭和四十三年に一回あっただけでございまして、それ以外はおおむね補正予算で措置をするというのが従来のパターンでございます。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の勧告は六・九二%であり、昨年の勧告の六・九四%より〇・〇二%低い、昭和三十五年以来最低の勧告になっておりますね。五十一年度末の消費者物価上昇率の九・四%を埋め合わせをすることもできないという厳しい情勢の中にあって、人事院は六・九二%勧告をされたわけであります。それはそれなりに御苦労されたと思いますけれども、どのように六・九二%についての配慮をされたか、その点についてお伺いをいたします。
  109. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  全体の引き上げ率の高さが去年に比べまして〇・〇二低いということでございますが、物価あるいは家計調査の結果の生計費等を見ておりましても強張っておりますので、ことしは配分でその点をできるだけ考慮しようということで、本俸を重心にと言いますか、俸給表を重心に配分をしたということが第一点でございます。  俸給表は、昨年、本年というふうに比べてみますと、金額では昨年より額が大きいというのは、これはベースが上がっておりますので当然でございますが、率においても昨年より上回った率の俸給表改定をいたしておるということでございます。昨年は六・〇一%の俸給表改善でございましたが、ことしは六・一二というように率においても上回っている、そういう努力をしたというのが第一点でございます。  それからもう一点は、扶養手当、要するに世帯的な賃金ということで、やはり物価とか生計費を一番見なければいけないのは世帯賃金的な見方をするということでありますので、それには扶養手当が一番適切な感じでございますので、扶養手当の現在の七千円を千円上げるということをいたしましたのもそういう着目でございます。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 俸給表改定内容を見てみますと、平均において七%アップになっております。しかし、八等級は六・七%、七等級は六・九%、六等級は七%、五等級から一等級は七・一%になっているわけであります。確かに生活負担を強いられている中間職員給与改善についてはそれなりの配慮はされているということは、私、評価をするのにやぶさかではないわけでありますが、しかし、高給をいただいておる方々もやはり七・一%というベースアップになっているわけであります。本来ならやはり給与の少ない人がより厚くなるようにしなければならないと私は思っているわけでありますが、上厚下薄という形態になったということについてどのようにお考えになっておりましょうか。
  111. 角野幸三郎

    ○角野説明員 俸給表の上下配分の問題でございますが、私どもは、まず公務員給与水準を民間に合わせるということが第一点でございますが、配分といいますか、上下配分傾向もできるだけ民間の当年の配分傾向に合わせることもいたしております。それで、ことしの民間給与調査をいたしましたときに、かたがたいろいろな分析をいたしておりますが、上下配分傾向を見ましたところ、非常に大ざっぱな言い方で申し上げますと、一般係員及び係長クラスのところが大体八から九%台の昨年本年の一年間の伸び、こういうことになっておりますが、これが課長クラスになりますと一〇%台の伸び、それが部長クラスになりますと一一%台の伸び、こういうふうな結果が本年出てきております。それで、これはいままで過去四十年代のいわば高度成長のときに非常に初任給が上がりまして、上下格差が詰まってまいりましたのが、ここ二、三年前から雇用情勢が変わったこともございますけれども、非常に形が変わりまして、昨年本年、本年一番はっきりそういう状態があらわれておるということを把握いたしたものですから、そういう民間傾向に合わせまして、行政職俸給表の上下配分を考慮したわけでございます。  しかしながら、具体的に等級別に申し上げますと、五等級から一等級、上の方でございますが、これをさらに上の方に開くということではございませんで、七・一%という数字で通したことでございます。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 指定職平均八・八%であり、大変高率になっているわけでありますが、特に一号俸、二号俸は七・三%、十一号俸に至っては九・七%、十二号俸では九・五%というふうになっております。指定職俸給が高い方が高率なのはどういうわけなのか。事務次官を例にとってみると、民間の役員のどの程度の役職に対照されるのか、その点についてちょっとお伺いします。
  113. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  指定職俸給表を策定いたしますために、本年は民間の企業の役員調査をやっております。それで、その結果出てきましたところを見ますと、民間の役員の上位から三番目、社長、副社長、専務、その専務というクラスでございますけれども、そのところの平均でございますが、そこが非常に伸びておるということがわかったわけでございます。  国家公務員指定職俸給表との対応はどこでやっているかということを申し上げますと、指定職の十一号、すなわち事務次官がおりますところでございますが、その十一号の金額とそれからいま申しました民間の役員調査の上から三番目の金額を合わせるということでここのところやってきております。そういう意味で両方比べましたところ、本年の時点におきまして一五・九%、約一六%弱でございますが、開きができておるということがわかったわけでございます。その理由は、さらに申しますれば、昨年の指定職改定のときに少し少な目に、遠慮したと申しますか、かげんした残りがあったということも事実でございますが、昨年から本年に至ります一年間民間の内部で重役の報酬が非常に上がったということがありまして、それが約一一%近く伸びておりますので、両々相まって現在の時点では一六近いということになったわけでございます。  それで、指定職の事務次官のところをこれと対応させまするについて、とても一五、六%も上げるというわけにはバランス上まいりませんので、一けたということで、その点は九・七とか九・五%という引き上げにとどめたわけでございます。  それで、下の方といいますか、指定職の入り口のところでございますが、これはやはり行政職の一等級の方から上がってまいりますので、この一等級が七・一%の引き上げでありますので、それとの入り口の均衡ということもございますので、それで指定職の一号の入り口のところは七・三に設定いたしまして、これを結ぶということで指定職を策定した次第でございます。  平均いたしますと、それでも高くなっておりまして、八・八という数字になりますが、この数字民間で言いますれば定昇込みの伸びみたいなもの――公務員で申しましても、指定職というのは定期昇給という考え方がございませんので、それから昨年も八・八という指定職の引き上げをやっておりますので、まあこういうところかなということで決定した次第でございます。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昨年の指定職八・八%のときに積み残した分があるというようなお話ですけれども、それが積み残された分を含めて今回は一五・九%ということですが、昨年の積み残された。パーセントは言うならばどれくらいであり、どれくらいの金額になるのか。そしてまた、一五・九%で今回八・八%に抑えたわけでありますけれども、そうなりますと、来年また積み残されるというかっこうになるわけでありますけれども、そうなった場合に、来年も指定職はかなり高い数字が出るのではないかというように思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  115. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  昨年の残りました金額といいますか、上から三番目と十一号を合わせました開きは三万三千円でございます。それで去年からことし一年間に伸びました伸び方が八万一千円でございます。合わせますと十一万四千円という合計になりまして、それが合わせまして一五・九%の伸びに当たる、こういうことでございます。  それから、現在事務次官のところは七十一万八千円になっておりますが、これを七万円上げて七十八万八千円ということで新しい俸給表お願いしておりますが、民間の上から三番目、重役さんの三番目が八十三万二千円でございますので、きっちり計算いたしますと四万四千円まだ開きが残る、そういうことに相なります。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四万数千円の開きが残るわけでありますけれども、そうなると、来年また指定職に対してはこれだけの積み残しがさらに付加されるということになりますから、指定職のあれがまたかなり大きな数字が来年は予測されるのではないかというように思うのですが、その点はいかがですか。
  117. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  従来の経緯で申し上げますと、民間の役員調査は大体二年連続で調べまして、それで一年ないしは二年お休みといいますか、調査をしませんで、また一、二年調べる。毎年必ずしも調べているということではございません。これはやはり民間の役員の月給といいますか、報酬の改定が二年サイクルでおやりになっているところが大変多いわけでございまして、民間会社はそれぞれ入れかわっておりますので、平均しますと毎年ということになりますが、二年サイクルで改正しておられる。したがいまして、景気変動とかいろいろな波が来ました場合に、その辺の変化は二年に一回大きくあらわれるというような関係が従来あったことは事実でございます。それで、私どもは、調査をしなかったときでありますれば、そういうときには行政職(一)表の一番上の一等級、その延長というようなことで、それとの均衡ということで指定職俸給表を直しております。そのときに、先生いまお尋ねのことしの残りというものを頭に置いて、それから行政職との均衡を頭に置いて、もし調査をしませんとすればそういうことに相なると思いますが、一度には消化できないものと思います。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 諸手当の中で聞いておきたいこともたくさんあるのですけれども、時間の関係上、住居手当に関してお伺いをいたしますが、この住居手当、今回、最高支給限度改定されたわけでありますけれども、物価の中に占める住宅家賃の伸びとそれから家計に占める住宅家賃の伸びはどのくらいになるわけでしょうか。それからまた、現在、二万三千五百円というふうに最高支給限度はなっておりますけれども、首都圏に果たしてこの家賃で住むことができるかどうか、私は可能ではないというふうに思うわけでありますけれども、その点についてお伺いをいたします。
  119. 角野幸三郎

    ○角野説明員 住居手当についてのお尋ねでございますが、住居手当につきましては、民間企業の住宅手当の支給状況を調べますと同時に、消費者物価の中に占めます家賃、地代、間代というものの伸び、あるいは家計調査の生計費の中に占めますそのようなものについても検討いたしておりますが、物価の方で申し上げますと、ここ一年間に約九%程度の伸びを示しております。それから家計調査の方の生計費の中の支出の伸びでございますが、その内訳で、家賃等でありますが、これが一一%程度の伸びを示しております。それで、今回、公務員住居手当の支給額を引き上げましたに際しましては、もちろん民間手当としての支給状況の伸びを頭に置いて、それとの均衡をとらえております反面、いま申し上げましたようなそういう大体一〇%近くの伸びを頭に置いても大丈夫かというチェックはいたしておりまして、そのようにいたしたつもりでございます。  それから、首都圏ということを頭に置きまして大体今回お願いしております住居手当の最高限二万三千五百円という家賃はどのぐらいの位置づけになるかということを申し上げるわけでございますが、現在の住居手当は、公務員の場合、全国にこの額が適用されるわけでございまして、首都圏だけについて見ますれば、これは非常に金額が――首都圏で申しまして、たとえば新聞などに出てきております中心からの距離別の家賃、間代等のこんな図を見ておりましての感じでございますが、通勤時間にもよりますが、一時間くらいの感じのところで二万五千円ぐらいというのが最低というような感じに読めるわけでございますが、全国的に申しますと、十分これでやれるところもございますし、民間との均衡もございますので、こういう制度にしたというような感じでございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特別給の期末・勤勉手当の〇・二カ月分のカットの回復が今回なされなかったわけでありますけれども附帯決議では、「可及的速やかに従前の月数に回復するよう」にと国会附帯決議をしているわけでありますが、先ほども人事院総裁が言われた中に、特別給のとらえ方については官民のとらえ方が違う点があるというような論議もなされましたし、人事院総裁は〇・二カ月分のカットは心残りの問題としていまだにまだその問題が頭にこびりついているというふうに言われたわけでありますけれども、その点について来年の特別給については十分配慮されるかどうか、その点をお伺いいたします。
  121. 藤井貞夫

    藤井説明員 附帯決議の趣旨は十分に拝聴し、頭の中にたたき込んでいるつもりでございます。来年度につきましても、むろん特別給の民間実態調査は詳細に行うつもりでございまして、これらにどのような反映をしてどういう結果に出てくるかということは、いまの段階でむろん申し上げられることではございませんですが、私たちといたしましては、厳密な調査をやってその結果を見ながら附帯決議等の趣旨を参酌しつつ対処をしてまいりたい、こういう所存でございます。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 仲裁裁定の中に、「民間産業における今季の賃金引上げ状況については、その動向について検討を行つた結果、賃金上げ率平均は定期昇給分を含め八・八%程度になるものと推定したが、一部の民間産業において紛争処理のために特別の措置をしていることについても留意した。」とあるが、どの産業でどのような処理が行われたか、御答弁願いたい。
  123. 角野幸三郎

    ○角野説明員 本年の春闘に際しまして、特に仲裁裁定の前後といいますか、ちょっと手前のところでそういう議論が非常に出たことは事実でございまして、その後を控えて私ども調査に出ます関係上、やはりどういうことかと思いまして、調査員にテスト的にどの程度そういうことが行われているかということを命じましてテスト調査をいたしました。その結果で申し上げますと、これはざっとした感じでございますが、全体の、七千五百社私ども調べておりますが、その中で一%強でございます。百社に一社くらいがそういう解決一時金的なものを添えているということがわかりました。これを金額に直しまして全体に開いてみますと二百二十円ぐらいでございます。それで、これはただし、すでに四月に払われている部分というのはごくわずかでございまして、もう一けた下の〇・一%に及ばない程度の、千社に一社ぐらいのところがやっと四月支払いにその分が入っておるというような関係に相なるということでございまして、その部分の金額ではわずかに十円ぐらいというような感じになっております。これはただし月給ではございませんで、一時金といいますか、臨時給与という処理になりまして、私どもが特別給を調べておりますときのその中に支払われておれば入る、ことし漏れております五月以降のものは来年調べるときに入る、そういう関係に相なると思いますが、この全体の、たとえばいま二百二十円と申し上げましたものを、来年特別給のボーナスの方の勘定の中に入るといたしましても、月数に直しますとほとんど数字にならない、〇・〇〇幾らというような感じのようでございます。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新しい民間給与のやり方といたしまして、春闘の解決の方法として一時金を出す、そして実際には給与がさほどクローズアップしないような方法を今後とる可能性もあるわけでありますから、今回の人事院勧告においてもそういう点についてはお調べになったようでありますけれども、そういう点について十分留意をして、人事院勧告に遺漏のないように御配慮願いたい、このように思うわけであります。  週休二日制について、勧告では、「試行終了後、その結果を検討のうえ、」と言っておられますが、試行の結果はいつ出る予定でありましょうか。また、再度の試行というのはいつごろからされるか、また、その再度の試行は長期にわたるかどうかという問題もあるわけでありますが、その点はどのようにお考えになっておられますか。  また、実際に今回の週休二日制の中にあって法務省とか気象庁とか、そういうところは週休二日制をとらないままに試行もできない状態であったというふうに聞いているわけでありますけれども、こういうふうな問題で、公務員の中において格差が出るということは好ましくない状態ではないかと思いますが、その点はどのようにお考えになっておりますか。  また、本格実施の見通しというものについてはどのようにお考えでしょうか。その点についてお伺いします。
  125. 藤井貞夫

    藤井説明員 現在週休二日制についてはテスト実施中でございまして、例外がございますが、大体のところではこの九月いっぱいまでやるということに相なっております。終わり次第に人事院といたしましては報告を求めまして、これをしさい検討をする予定をいたしております。  検討期間の問題でありますが、半年を経過した際に中間的に大体の概要を把握する必要ありと認めまして報告を求めました。その経験等からいたしますと、まずどうしても二ヵ月程度の期間は必要ではないかというふうな観測が成り立ちます。しかし前の経験がございますので、これはひとつ事前に準備をしておいていただいて、できるだけ作業を早めて、できるだけスピードアップしてやるつもりで取り組みたいというふうに考えておるのであります。  その検討の結果、次のステップが出てまいるわけでございますが、その場合に、やはり現在やっておりますテストには問題点がございます。御指摘になりましたように、まだ実施をしておらないという部門がございますし、また実施をいたしておりますところでも、非常に密度が薄い、同じ役所で申しますればその約三分の一というようなものが対象になって、しかもその対象になるものの四分の一の職員が休むというかっこうのテストをやっておるわけでございます。したがいまして、役所といたしましては、年間を通じて長期にやるという体制にはなっておりません。したがいまして、役所の繁閑その他の問題もございますので、もう少し長期にやらないと、どういう影響が出てくるか、どういう問題点があるかというような点につきましては、自信のある把握ができないという問題もございます。したがいまして、それらの点を踏まえまして再度のテスト実施というようなことも中心課題として添えてやってまいらなければならないのではないかというふうに考えております。おりますが、いずれにいたしましても、これはテストの結果をしさい検討いたしましたそのあげくに結論を出すべき問題であるということで、慎重に取り扱ってまいりたいというふうに考えております。  なお、未実施の官庁があることは御指摘のとおりでございまして、この点は、協議の段階におきましても、せっかく人事院といたしましては、あらゆる工夫をこらしてやっていただきたい、やり方についてはいろいろニュアンスがあり、役所の事情もあるから、そういう点については配慮しなければならぬと思うけれども、ほかがやって、一方がやらないということでは困るからして、できるだけやってくれということを慫慂をいたしました。また、その後も慫慂は続けておるわけでございます。  なお、今回のテストが終わりました後の検討の過程を経まして再度のテストをやるということに相なりました暁には、特にそういうような未実施のところというようなものは重点的に配慮してぜひやっていただくように連絡を密にやってまいりたい、かように考えております。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 民間休日数を見てみますと、大体八十六・四日、週休二日制をやっている企業は九十三・八日、公務員の場合は六十八日ということでありますので、そういう意味において、すでに週休二日制が昨年は六八・九%、そして本年は六九・一%、それなりに定着をしてきているわけでありますから、九月にその結果を見て、さらに再度試行をするというわけでありますけれども、この週休二日制については前向きにやられるのか、週休二日制を試行試行ということで、いつかは立ち消えをしてしまうというようなことはないのかどうか、そういう問題が懸念されるわけでありますけれども、前向きに本当に週休二日制に何らかの形でその結論を出したいというふうに人事院総裁はお考えになっておりましょうか。
  127. 藤井貞夫

    藤井説明員 いままでも機会のあるたびに申し上げておりますように、私はやはり週休二日制というのは天下の大勢であり、世界の大勢であるというふうに考えております。いずれは公務員についても、わが国の場合でもこれに移行しなければならないものと考えております。ただ、これが実施の暁におきましては、国民生活に大変重要な影響を及ぼすことに相なることはもちろんのことでございまして、その間よほど慎重な配慮でもって準備その他の問題を解決してかからなければならぬということはございます。したがって、そのためにテストということもやっておりますし、また、現在のテストが十分でないと認められる面もございますので、再度のテスト実施ということもあわせて考えていかなければならぬのではないかという観点で申し上げておるつもりでございます。しかし、基本的には週休二日制というものはぜひともやっていかなければならぬ。その態様、時期というものについては今後諸般の動向あるいは関係機関の意向というものも十分しんしゃくしつつやってまいらなければなりませんが、私といたしましては、あるいは人事院といたしましては、あくまで前向きの姿勢でこれに取り組んでいく、立ち消えというようなことは一切考えない、そういう態度で対処してまいる所存であります。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 主任手当の絡みでここに書いてありますけれども、法案が国会を通過してない教員給与の三次改善育児休業給の支給にも触れておられるわけです。そしてこの際、この勧告に合わせて実施されることを期待するとしておられますけれども、私は、人事院中立的な立場から考えて、こういうふうな問題を政治的な意味を含めて勧告するということには非常に問題があるんじゃないかと感ずるわけでありますけれども、その点どのようにお考えでしょうか。それは、人事院勧告がなされた以上、それを実際にやってもらいたいという気持ちはわかるわけでありますけれども国会においていろいろ政治的な絡みもこれあり、人事院勧告がこういうふうな形で出されますと、給与改善の法案と、そしてこの法案との絡みが出てくるような感じを受けるわけですけれども、その点について意図的にされたのじゃないかというふうに言われても仕方がないんじゃないかと感ずるのですが、この点いかがでしょうか。
  129. 藤井貞夫

    藤井説明員 第三次勧告をめぐりまして国会の内外を問わずこれが政治的にいろいろ問題になっておるということは十分承知をいたしております。ただ、人事院といたしましては、立場上、政治的な意図からこれについて発言をするという意図は全く持っておりません。そこは勧告が去年出まして、その後いろんないきさつもございましたけれども、今日まで成立が見送られて今日に至っておる、これは勧告の性質から申しましてやはりぜひ実現をしていただきたいものであるということを、注意を喚起すると言うと言葉は語弊がございますけれども、その点この際にやはり触れることがむしろ適当ではないかということで、期待を申し上げておりますということを申し上げたわけでありまして、政治的にこれを取り扱うという意図は少なくとも人事院といたしましては持っておりません。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家公務員法第百八条に、人事院退職年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができるとあるが、今日、年金問題は、やはり官民較差、不均衡であるというように論議されておりますけれども公務員の年金制度について人事院調査研究をされておられるかどうか、そしてまた必要な意見を内閣に申し出ることができるように定められておりますけれども、意見を申し出る考え方はあるかどうか、その点についてお伺いします。
  131. 藤井貞夫

    藤井説明員 年金の問題については、お挙げになりましたように、国家公務員法にその条文がございます。これは保険数理に基づく年金制度ということをたてまえといたしておりまして、現に共済組合法ができまする以前の段階において人事院自体の意見をまとめて申し上げたことは過去にございます。しかし、その場合のとおりに制度改正が行われたわけではございませんで、現在の姿になってもうかなりの年月が経過をいたしておることは御承知のとおりでございます。ただ、近時この年金制度のあり方、特に官民の年金の有利性等を中心として大変論議が交わされております。われわれも大変これについては強い関心を抱いております。ただ現在、所管のことを申し上げるのはいかがかと存じますが、共済組合法の関係は大蔵省、それから退職手当関係は総理府ということで所管が明白に決まっております。年金については意見の申し出権が人事院にあることは御指摘のとおりでございますが、したがって、これについては関心を持つと同時に、内部的にはいろいろ調査検討は進めております。また退職公務員の処遇、それが実際にどういう生活状況になっておるかということも、かなりこれは長期の追跡調査が必要でございますが、過去四年間にわたって連続して調査をしてまいりました。五年間の計画になっておりまして、本年もなおさらに続行してやっておるというようなことで、関心は持ってやっております。それから外国の制度がどうなっておるか、そういうことも調査をいたしております。ただ、この問題につきましては、御承知のように、厚生年金を初めといたしまして八つの非常に過去の経過を持った複雑な入り組んだ制度のたてまえになっております。しかも、今日のことになりますと、それが、あるところに手をつけると申しますか、あるところで制度改正が行われますと、それがやはり一波万波を呼んで大変な影響が行くということも事実でございます。そういう事柄から、政府部内におきましても各省庁の関係の連絡会議等もあるようでありまして、そういうところで随時検討はしておられるようであります。私たちといたしましても、そういう動向もにらみ合わせながら検討はいたしますし、また注目もしてまいっておりますけれども、いまここでどういう案を持って、意見の申し出をいつやるかということについては、現在のところは考えておりません。そこまでの自信のある調査等はできておりませんですし、そういうことを人事院の立場として言うことがどうであろうか。影響等も考えまする場合におきましては、やはり慎重な配慮が必要ではないかというふうに考えております。  それと、一部におきましては、この年金、退職手当の均衡の問題と絡めて、要するに公務員についても給与問題を考える場合は、そういう生涯給与と申しますか、そういう点をやはり考えないと不均衡じゃないかという御議論がございます。それはそれとしてごもっともであります。ごもっともでありまして、そういう点の均衡問題というものもやはり重要な要素として今後取り入れていかなければならぬ時期が来るのじゃないかと思いますけれども、問題は、そういうものがあるから毎年の給与についてもやはりそういう配慮をすべきじゃないかという御意見もございます。これは私はやや本末が転倒されているのじゃないだろうか。われわれの方で毎年お願いをいたしております給与勧告は、四月時点で調べて、要するに毎月支払われる、月々支払われる給与というものがどうなっておるかということを比較をして、それについての所要の改善措置お願いをいたしておるということでございます。それとはまた別に、ほっておけという意味じゃありませんけれども、年金、退職手当というものは、その給与を基礎にしてどういう制度を組み立てるかということでございますので、そちらの方がどうだから停年の給与も考えていかなければならぬというのは、そもそもその尺度なり基準なりというものが大変むずかしいことになりますし、その点は本末がやや間違っておるのじゃないかという感じは持っております。いずれにいたしましても、こういう点これからやはり大変重要な問題になってまいりますことは事実でございまして、私たちといたしましても、関心を持って絶えず真剣に取り組んで、さらに調査検討を続けてまいる、こういう所存でございます。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、やはり国家公務員法第百八条には、人事院はそのようにして退職年金制度について調査研究を行って必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができるというふうになっているということは、それは給与と全く切り離してというわけにもいかない問題であるがゆえにそうしてあるのではないかと私は思うのです。もう昨今年金制度についてはかなり官民較差があるということで、国民の中においてはどのような官民較差があるのだろうかということで、大変に関心の深いところでありますので、さらにやはりその問題についても調査、研究をしていただきたいというふうに思う次第であります。  なお最後に、給与担当大臣である総務長官に申し上げたいことは、内閣総理大臣がASEANに行っておられるわけでありますから、帰ってこられますと、給与関係会議をお聞きになると思いますが、担当大臣として完全実施には断固強い不退転の気持ちで臨んでいただきたいことを要望して、質問を終わらせていただきます。
  133. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、柴田睦夫君。
  134. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 さきに質問がありましたので、ある程度重複をするかもしれませんけれども、私どもの党の見解など申し上げながら御質問していきたいと思います。  きのうの人事院勧告によりますと、一般職給与改善率は諸手当を含め平均一万二千五円、率で六九二%引き上げるというものであって、最近十数年間の中で最低の引き上げの幅であります。これに人事院高目に算定しました定昇率一・八二%を加えても、七六年度末の消費者物価上昇率九・四%にも満たないきわめて不満足なものであります。しかも、期末勤勉手当について、国会で昨年の〇・二カ月分削減をできるだけ早期に復元するよう附帯決議がつけられたにもかかわらず、今回これを据え置きにしております。こうした点で、今回の勧告公務員労働者の実質賃金の低下をもたらすものであって、公務員労働者と労働組合が強い不満を表明しているのは当然であると思うわけです。  官民均衡、生計費の面から見て、官民較差は少なくとも七・五%以上あったはずであります。昨年の四月から本年四月の給与の伸び率は、公務員側は昨年の勧告六・九四%プラス当然増の二・二五%、計約九・二%、これに対して民間側は労働省の統計による所定内給与が九・九%の伸びになっていますから、人事院官民均衡方式によれば九・九%マイナス九・二%プラス六・九四%イコール七・六四%となって、官民較差は七・五%以上になるわけです。この人事院民間給与実態調査は政治計算だ、こう言われても仕方がないと思うのです。  この点、新聞の論評の中にこういうのがあるわけです。「大がかりの調査をしても、結局、勧告の“キメ手”になるのは、その年の春闘相場――と思えるフシがある。今回は、春闘相場との差が〇・〇六%。昨年度は〇・〇三%だった。」「春闘相場を材料に、その年の経済情勢や世論を勘定に入れながら“政治計算”するのだとしたら、勧告制度そのものに疑問が起こってこよう。」こういう論評が新聞にあります。  また、物価上昇面から見てみましても、七六年度の消費者物価上昇率が九・四%であるわけですから、人事院高目に出した定昇率一・八五%を用いても、九・四%マイナス一・八五%イコール七・五五%、すなわち七・五%以上の改善を図るべきでありました。  さらに、総理府統計局の全国、全世帯の消費支出は、本年の四月、対前年同月比一三・三%の伸びを示していることからしますと、生計費の面からは勧告の倍近くの改善が実際は必要であったと考えられるわけです。  人事院は作為的な政治計算によって六・九二%という史上最低の低率勧告を行ったとのそしりを免れない、私もそういうように思うのですけれども、この点についての見解をお伺いします。
  135. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  国家公務員法の二十八条の「情勢適応の原則」、これが私ども勧告の基本条文かつ基本精神でございます。それで、それは民間給与、生計費、その他というような六十四条の俸給表の基本要素でございますが、それをいわば含めて考えますときに、私ども現在、民間給与をとらえるということでやっておりますことは、そういう民間賃金の中に春闘等で団体交渉の結果煮詰まって出てくるものの中に、生計費の問題あるいは消費者物価の問題が十分論議されて、その結果、妥結の結果出てくるその民間賃会との均衡ということでそれは消化されて、間接的に反映しておる、そういう考え方を持っております。  で、低いという見方、それは、私どもは、伸びで計算いたしますよりも、もっと具体的に、官、民と比べまして高さの差を求めるという方式でやっておりまして、その点、民間準拠方式としては非常に厳密な方式であると、こういうふうに考えております。  ただ、いずれにしても民間準拠であります以上、結果的にはそこに出てきました伸びなりいろいろな見方の数字とそれほど乖離することはないというのもまた当然であろうと思います。まあそういうことで、十分均衡するものと考えております。  それでなお、そうはいいましても、物価とかあるいは家計調査の生計費の伸びに比べましてどうかということがございますが、それにつきましては、やはり賃金水準全体の高さは、これは民間との均衡で、民間も勤労者がそれでおやりになっておられるということで、公務員がそれを上回るということはないと思いますが、少なくとも配分の点において、やはりそういうふうに実質的な配分をなさざるを得ない世帯賃金的な場所には十分配慮しなくちゃならぬということは十分考えておりまして、そういう意味で、まず昨年よりもさらに率においても上回る俸給表改定をいたしておるというのがまずそういう考え方でございます。  それから、その俸給表配分の中で申しましても、世帯を持ちます年次、二人世帯、三人世帯、号俸で言いますと七等級の五号俸とか五等級の七号俸、これが二人世帯、三人世帯に大体当たるところでございますが、そういうところに重点を置いて、特に五等級におきましては、中ごろから高い号俸にかけまして、大体三十代の後半から四十代にかかる世代層が大変そこにおりますということも頭に置きまして、俸給表のカーブを直しますときにそこら辺に重点を置いて直しておるということが第二点でございます。  それからさらに、俸給表以外でも諸手当がございますが、その中でも特に扶養手当の中の配偶者重点を置いて世帯賃金に対応するように配分をしたということもそういう配慮でございます。  不十分であろうかとは思いますが、しかしながら、定昇を入れて実際の伸びといいますか一年間に上がる水準ということで、しかもそういう重点配分を考えてみまして、これで大丈夫と、こういうふうに考えております。
  136. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その配分の問題ですけれども、確かに関係職員団体の前だるみ是正だとかあるいは中だるみ是正の要求、これに対して一定の配慮をしたということはうかがえます。しかし、今回のような低率勧告の中で、上級、高級官僚優遇の配分には、やはり私は重大な問題があると考えております。  中堅職員層であります三十五歳四人家族の代表号俸の五等級の七号を一〇〇としたときの高級官僚の俸給額を見てみますと、局長クラスの指定職七号は三九六から四〇三へ、外局の長官クラスの指定職九号は四五四から四六四へ、事務次官クラスの十一号は五一二から五二四へと、こう格差が拡大しているわけです。  これは、公務の中位等級の四、五等級については民間の一級下位の職名と対応させながら、上位等級の一ないし三等級については同一職名で対応させて、上位等級較差が大きく出て下位等級は小さく出るという対応のさせ方にそもそもの原因があると考えます。同時に、人事院のこうしたやり方というのは、在職者数で圧倒的多数を占め、賃上げ原資でも大きな比重を占めている四ないし六等級較差が最も低く出ることから、総合較差を低める原因になっていると考えます。  人事院のこうした官民対応方式は、抜本的に改める必要があると考えます。この点について本委員会でもたびたび問題になって、人事院もその都度「検討する」と答弁しておられるのですけれども、まだ改善されてはいないわけです。きょうはこの問題について詳細に触れるわけにはいきませんけれども官民対応方式を早急に改めるよう要望しておきたいと思います。この点について総裁の決意を伺いたいと思います。
  137. 角野幸三郎

    ○角野説明員 官民給与比較の手法の問題でございますが、民間給与といいましても、職名は同じでございましても、これは規模の大小あるいは地域、産業別に、主として規模でございますが、いろいろ同じ課長なら課長、係長なら係長といいましても非常に職務と責任の内容において差がございます。そういうことで、私どもはそれをとらえますときに、ある条件を付して民間実態調査の結果値をとってくるわけでございます。しかしながら、これを上下配分の中で対応させますときには、やはりわが国の民間企業の二重構造といいますか、一般的に規模の差によるその職務内容の差というのは非常に大きいものですから、大変大ざっぱではございますけれども、五百人以上と未満ということで区別して対応させておるということでございます。先生問題になさっておりますのは、もとを言えばそれに由来する不均衡な比べ方ではないかということでおっしゃっていると思いますけれども、私どもはやはり職名だけでは不十分であるという考え方は依然として持っております。しかしそれは、それならばどういう折り目で具体的に対応させることがより合理的かということは、やはり最近の民間のいろんな規模の変化とか組織の変動がございますが、そういうことに対処して今日的に検討していきたい、そういうふうに考えております。  そういう点で、昨年来引き続いて本店、支店関係あるいは規模の大小関係公務員の本省、地方関係、それから職名の対応ということで研究しておる次第でございます。
  138. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 きのうの夕刊を見てみますと、各紙とも公務員のベースアップは六・九二%、一万二千五円、定昇込み八・七四%、こういう報道をしているわけです。この定昇込みの率について、これは各紙とも人事院説明に基づくものであると言っております。一つの新聞の例をとりますと、「公務員の定期昇給は全体を四、七、十、一月の四グループに分けて実施する。人事院勧告はその性質上、定昇分を含んでいないが、定昇込みの民間相場と比較するには、定昇分を上積みすることが必要。この場合、既に四月昇給分は民間給与との比較の際に織り込み済みなので、これを除いた残り三回分の昇給率一・八二%を加算するのが実態に近く、適当と人事院説明している。」この点について給与局長に伺いますと、局長は、民間や公労協のように定昇込みであらわすならどうなるかと聞かれるので説明したものだと言っておられましたけれども、これはやはり問題だと思うのです。人事院年間の推定昇給率を二・四三%と見て、年四回昇給分のうち官民比較の際織り込み済みの四月分を除いた、四分の三の一・八二%を定昇分として発表しているわけですけれども年間の定昇率を二・四三%とする根拠が一体何なのか。定昇込みの官民比較をする際に、各昇給期における人員ウエートを無視して単純に年間の定昇率に四分の三を掛け合わせているけれども、その根拠が何なのか。原資面から見た場合、四、七、十、一月の四グループに分けて昇給するのであるから年間の定昇率はもっと低くなるはずであります。大ざっぱに言って二分の一程度になるのではないか、この年間の定昇率はもっと低くなるのだろうと思うのですけれども、この点はどう考えておられますか。
  139. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ベースアップの高さと定昇の関係でございますが、私どもといたしましては、昇給率というのは関係がないわけでございます。といいますのは、何度も申し上げておるのですけれども、これは伸びではなくて高さの開きである、差であるということでございまして、これがベースアップでございます。ところが、定昇というのは何かといいますと、これは各人について見れば、一年にたとえば一号お金が上がるとしましても、年が一歳たてば、カーブで見ますれば一つ先のところへ行きましてカーブの中に埋没してしまうわけでございます。年齢別の昇給カーブを引きますと、金額が上がって一歳動くということでカーブの中に埋没するわけでございます。したがいまして、ローテーションが完全に行われる場合にはカーブどおりに動きまして一つもベースアップにはならないわけでございます。したがいまして、このベースアップに定昇を足すということは、それはおかしいということを私はもう二、三年前から説明のたびごとにそういうことを申してきているわけでございますが、しからば民間の、たとえば八・八ということを頭に置いた場合にどう観念すべきかという質問がまたございまして、無理からぬことだと思いますが、そのときに昇給期は民間とは大変違うということで、仮にそういうことで大変無理な計算をいたしまして便宜継ぎ足して御説明申し上げているというのが実情でございまして、私どもといたしましては六・九二以外にはない。作業としましても配分としましても実は関係のない話でございます。  そこで、そういう仮定を置いて計算するとしてどうなのかということになりますれば、やり方はいろいろあると思いますが、あとの三回分、四月はすでに溶け込んだところで比較をしておりますので、あとさらに水準を上げる分としては残る七、十、一の三回であるということで、その高さを上げるという、これは制度的な高さを継ぎ足す場合と、そこに要します原資、これを年間にならして高さをはかる場合と両方ございます。先生いまお話しのはその後者の場合であろうと思いますが、四月に全員同時に上がりますれば原資的には一年間満杯でございます。民間はそのようなところが大変多いわけでございますが、私どもの場合にはいわば段階的に上がっていきますので、これを十二カ月でならしますと、非常に寸法の低い昇給率になるわけでございます。そういうことで申し上げますと一・八二ではなくて、そういう計算をいたしますと〇・八一という感じになります。これは面積計算でございます。したがいまして、この昇給率ほどいろいろな概念とかとらえ方があるものはないわけでございまして、そういう点でいろいろな理解があろうかと思いますが、先生の御趣旨に沿う計算をいたしますればそういうことに相なろうか、そう思います。
  140. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いまの仮定の上で、原資面から定昇率を出した場合に、そういう仮定の上に立つと、公務員の定昇込みの改善率は、結局民間の八・八%、公労委仲裁裁定の九・一二%を下回ることになるわけです。定昇込みの官民対比を出す場合に、正確な調査をした上で慎重に発表しなくてはならないというように私は考えます。  この問題についても、この委員会で問題になってきたところですが、たとえば五十年の八月十九日の本委員会で、いま人事院の事務総長をやっていらっしゃる当時の茨木給与局長の答弁を見ますと、「まず民間の定昇率そのものをこちらで算定したことはございません。」「こちらとしても検討を進めまして、はっきりとした根拠のもとに、原資で参ればこう、あるいは平均的な昇給率ということでいけばこうというように前提を置いての数字を出してまいりますとともに、その中でやはりもう少し検討いたしました結果、確信の持てる、民間対比との間において最も信憑の置ける、公務員における昇給率がかくかくでございますということをさらにひとつ検討は続けさせていただきたいと思います。」こういう答弁があるわけです。民間の定昇率の調査民間対比における公務員の定昇率の検討が十分行われていない段階で、今回出されているような説明はすべきじゃないと考えるのです。定昇込みの官民比較をするというのならば、こうした調査研究に力を入れるべきであると考えております。あわせて、定昇率の調査研究の現況と、いつまでにいまの答弁にもありますような確信の持てるものが出せるのか、そのめどを明らかにしていただきたいと思います。
  141. 角野幸三郎

    ○角野説明員 定昇の話は、公務員の定昇率がどうかということと、それから今度は民間企業における定昇率がどうかという話と二面あろうかと思います。それで、公務員の昇給率の場合には、先ほど来申しておりますように、いろいろなとらえ方がございます。制度的に、あるいはそれに実態を入れて、さらにそれを原資的にと、大分けするとそういうことだろうと思います。ところで、もう一方の民間の昇給率ということになりますと、これは大変むずかしい問題でございます。民間では定昇込みということがよく言われますが、企業によっていろいろでございますけれども、もうとにかく幾ら引き上げればよいということで、未分離の状態になっておるという場合も多いだろうと思います。それから、その中に含まれている定昇率は幾らですかということを聞きますと、制度的な高さを教えてくれるという場合が相当ございますけれども、実際に込みになって溶け込んでいるような場合に、その会社として幾らと聞かれても答えようがないというような場合には、原資でもって、いまの面積計算のような形のローテーションを加味した定昇率をおっしゃっている場合が多いわけであります。  ところで、私ども調査に行きましたときに、おたくの定昇率はそのどちらですかという分別をつけて調査をするということは大変むずかしいことでございまして、そこが性格分類の一番困難なところでございます。しかしながら、機会をとらえては、定昇率の問題、あるいは定昇の時期の問題、あるいはベースアップとの関係等についてよく検討してみたいと思っておりまして、昨年、本年、調査員が実際に訪れますときに、そういうテスト的な調査をさせておる次第でございます。もう少し模様を見ていろいろ締めてみたい、確信を得たいと思っておりますが、そちらの方は大変むずかしい問題ではなかろうか、そういうふうに思っております。
  142. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次は、総理府総務長談話に関連してですが、今回の人事院勧告の取り扱いについて、「財源をはじめ諸般の事情を慎重に検討する必要がありますが」、このくだりですが、まず初めに財源問題について尋ねたいのです。  大蔵省の試算によりますと、勧告を完全実施した場合の必要経費は、一般会計が三千四百六十億円、それから特別会計が七百四十億円、五十二年度当初予算には、一般会計で二千三百九十億円、特別会計で五百億円の給与改善費を計上しております。財源の不足額は、一般会計の千七十億円、特別会計の二百四十億円、国立学校特別会計など一般会計から特別会計への繰り入れ重複の調整をすれば、一般会計、特別会計合わせて千百四十億円の新財源が必要である、こう言われているのですけれども、この点。それからまた、自治省の試算によりますと、人勧に基づく地方公共団体の必要財源は、俸給改定分五千四百億円、諸手当改善分が七百億円、計六千百億円、このうち義務教育教員など国庫負担分千二百億円が含まれますので、地方団体の実質所要財源は四千九百億円ということになります。この財源としては、五十二年度の地方財政計画で給与改善費三千四百億円を見込んでいるので、不足額は千五百億円になるわけですが、予備的な財源三千五百億円が留保されておって、自治省は当面新たな財源措置をしないでも対応できると見込んでいる、こう言われているのですが、自治省に、このとおりかどうか。  さらに、国家公務員給与改定に伴う新規必要財源千百四十億円は、一般会計、特別会計の予備費と毎年の決算で出る数百億円に上る給与費の不用額を充当すれば、新たな財源措置をしないでも十分対応できるのじゃないかというように考えるのですけれども、どうか。この点、大蔵省にお伺いします。
  143. 禿河徹映

    禿河説明員 国家公務員給与改定に要します経費の数字でございますが、これは先生御指摘のとおりでございまして、一般会計、特別会計合計いたしまして千百四十億ということでございます。  なお、この千百四十億の差し引きの所要財源額、これをどういうふうにするのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、鋭意私どもその財源について現在検討を始めたところでございます。先生言われました予備費があるではないかというお尋ねでございますけれども、確かに数字の上では予備費は現在二千億円ほどございますが、先ほども申し上げましたとおり、すでに二千八百ありましたうちから八百余りを実は支出決定いたしてございます。もともとこの予備費と申しますのは、申し上げるまでもなく、年度途中において予見しがたい経費の支出に充てるものでございまして、通常毎年災害等が起こりました場合にこれで措置をするというふうなこともございますので、この給与改定の財源をどこに求めるのかということは、これからの検討を待ちまして決めていかざるを得ない。どこからどれだけ持ってくるというふうなことは、現在まだ詰められない状態でございます。
  144. 関根則之

    ○関根説明員 地方公務員につきまして昨日の人事院勧告に準じた給与改定実施されますと仮定いたしました場合の所要額につきましては、先生おっしゃったような数字となります。したがって、その場合には地方の一般財源として四千九百億が必要になるわけでございますが、御指摘のように、すでに五%相当額につきましては地方財政計画に計上の上交付税で配分をする予定になっておりますので、さらに千五百億の財源を必要とするわけでございます。別途三千五百億の追加財政需要額が地方財政計画には計上済みでございますが、これはただいま大蔵省の方から答弁がございましたのと全く同じ性格のものでございまして、災害その他予見しがたい年度途中の財政需要に対応するために計上いたしておるものでございます。確かにいままでの追加財政要因といたしましては、国の予算の修正に伴いまして四十七億ほど追加財政需要が出てきておりますが、今後災害その他がどの程度起こってくるかによってこの追加財政需要額をどう使っていくかを決めていく性格のものでございます。
  145. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 談話の中の「財源をはじめ諸般の事情を慎重に検討する」、この「諸般の事情」というのは具体的にどういう事情を言うのか、できるだけ具体的に例示願いたいと思います。
  146. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 「諸般の事情」とは、現下の社会経済情勢や財政事情、ただいま財政事情については申し上げましたとおりでございますが、公務員給与の引き上げに対する国民感情、さらには定員管理の強化とか人事管理の適正化等、要すれば勧告の取り扱いの方針決定に当たって検討すべき内容を考えておるわけでございます。
  147. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それから「できるだけ早い機会給与改定実施されるよう誠意をもつて対処してまいる所存であります。」と述べておられるのですが、「できるだけ早い機会」とはいつごろのことなのか、この点について具体的にお聞きしたいのです。  きのうの給与関係閣僚会議は、総理帰国後まで結論を持ち越して、月末に改めて関係閣僚会議を開くことを確認して散会されたということですが、月末に予定されている関係閣僚会議で取り扱い方について結論を出す予定と考えていいのか、閣議決定はいつまでに行うのか、そのタイムリミットを示していただきたいと思うのです。秋の臨時国会の召集が九月中旬から下旬にかけて予定されているわけですけれども、これまでの国会答弁では、法案作成に一カ月間の期間が必要であるということであるわけですから、臨時国会の会期中のできるだけ早い機会給与改定実施する、そのためには遅くとも今月末か九月上旬が閣議決定のタイムリミットになるというふうに、順を追って考えてみてもそうなると思うのですけれども、その点、具体的にお聞きしたいと思います。
  148. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 昨日、給与関係閣僚会議が開かれたのはおっしゃいましたとおりでございますが、各閣僚からいろいろ発言がございまして、結論を得ないで次回に譲る、こういうことになった次第でございまして、八月末に開くとか九月上旬に開くとかという時期は明示してございません。ただ、私先ほど御答弁で申し上げたのは、恐らく八月末か九月上旬ぐらいには開くようになるでありましょう、こういう御答弁を申し上げた次第でございまして、きのうそういう時期は明示してございません。  それからまた、九月中旬なり九月下旬に臨時国会が開かれるという確定的な話もまだございません。これはいつになるかは、臨時国会が開かれるであろうということはわかりますけれども、その時期についてはまだ明確ではございません。  いずれにいたしましても、法案作成に一ヵ月近くはかかるわけでございますから、臨時国会にこの給与法案を提出することもこれまた確かでございますので、できるだけ早い機会給与関係閣僚会議を開きたい、かように思っておる次第であります。
  149. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 公務員給与改定の早期実施ということについては、この委員会で毎回問題になっているところであります。昭和四十九年の十二月には本委員会として附帯決議もつけております。五十年十月三十日の本委員会での当時の植木総務長官の答弁を見てみますと、「予備勧告及び本勧告案、二番目には予算編成前の勧告案、三番目に俸給表改定についての政令委任案、四番目に国会の早期召集案という四つを案といたしまして検討したのでございます」「給与の早期支給は重要な問題でありますので、今後とも関係省庁と協議しながら検討を続けてまいりたい」こういう答弁をされております。  そこで、今日のようないわゆる経済危機、そういうもとにあっては、この公務員給与改定の早期実施というのは、国民の購買力を刺激し、需要を拡大し、不況打開に対しても一定の役割りを果たすということは間違いないと考えるわけです。公務員の生活を守るということとともに、不況打開の観点からも早期実施を図るべきであるというように考えるわけですが、その方策についてどのような検討がなされているのか、その状況をお知らせいただきたいと思います。
  150. 秋富公正

    秋富説明員 先生からお話しございましたように、この問題につきましては、四十九年の秋の国会附帯決議をいただきまして、人事局といたしましてもいろいろな方策を検討したのであります。ただいまお述べになられましたような四つの方策につきまして検討いたしたのでございますが、それぞれに問題がございまして、現在におきましては、できるだけ早い国会にその法案を出して御審議いただくということでございますが、これは組合の皆様方にも申し上げたのでございますが、いい御案がございましたら私どもの方でもさらに検討をいたしたいということも申し上げてあるわけでございまして、今後もこの問題についてはいろいろと検討を重ねてまいりたいと思っております。
  151. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それから教員給与勧告の取り扱いに言及した問題ですけれども、今度の人事院勧告は、第三次教員給与改定問題について「昨年三月十一日に行った勧告については、今後の教員給与の取扱いとも関連するので、この際、この勧告に合わせて実施されることを期待している。」こう述べているのですが、これは二度にわたって廃案となりました教員給与に関する問題の給与法案と本勧告に基づく法案とを、一本にセットして提出してもらいたいという期待を表明したものであるとするならば、これは重大な問題であると思います。  第一に、一般職員には消費者物価の上昇率や家計支出の上昇率を下回る低水準の勧告をされているわけですが、法案には不満があっても各党とも反対はしないであろう、そういう事情に便乗して、わが党ももちろん、それから関係職員団体などが絶対反対の態度を表明しております主任手当導入、これとこの道を開くと言われる第三次教員給与改定を強行しようというたくらみがあるとすれば、これはきわめてけしからぬことで、容認できないと考えます。  さらに、報告部分でこのような期待の意を表明するということは、問題の教員給与改定と本勧告に基づく一般職給与改定とをセットにして、一本の法案として提出する口実を政府側に与えることになる、こういうように見られるわけです。この点について人事院は、法案提出権は内閣にあるから、この勧告を受けて内閣がどのような法案を出すかは内閣の問題である、こういう説明をされているわけですけれども、セットにして一本の法案として提出する口実を政府側に与えることになるという、この批判に対する答えは出ていないわけです。  三番目に、これらがセットで一本の法案として提出された場合、法案の扱いが複雑になって、本勧告の早期実施ということが不可能になって、公務員労働者の早期支給の要求を踏みにじるということにもなるわけです。  今次の人勧の第三次教員給与改定問題に触れた報告部分というのは、そういう意味できわめて不穏当であって、これは教員だけではなくて、公務員労働者や、わが党はもちろんですけれども、そうした反対の意思を表明している者に対する挑戦というようにさえ考えられるわけです。そういう意味で、この報告の真意を含めて、いまのような私の批判に対する総裁の見解を伺いたいと思います。
  152. 藤井貞夫

    藤井説明員 教員給与に関する第三次の勧告は、いまお話しになりましたように昨年の三月十一日に出しておるわけでございます。この取り扱いをめぐりましていろいろの論議があり、またいろいろの問題点が出ておるということは承知をいたしておるわけであります。しかし、この勧告自体はいわゆる人確法というものが成立し、また、これに基づきまして予算措置も逐年講じられてまいっておる問題でございまして、第一次、第二次はさしたる問題もなく、これは成立をいたしておることは御承知のとおりであります。続いて予算措置も講じられたことでありますので、第三次の勧告を出したのでありますが、この点についてはいまだ成立せずに今日まで至っておるというのが実情でございます。しかし、私たちといたしましては、勧告を出しました以上は、他の勧告も同様でありますけれども、その実現、実施ということは、人事院勧告自体の持つ性格から申しまして、これは当然のことでありまして、強くその成立を期待をいたしておるのであります。  今回の一般勧告にあわせましてこれに触れましたのは、ほかならぬ去年の三月に出しておるのに、その勧告が今日までいまだ実現をしていないということについて、人事院といたしましては遺憾に考えているところでございますので、その点について触れまして、注意を喚起するという言葉は悪いかもしれませんけれども、この第三次の勧告もあわせてやっていただきたいという趣旨のことを申し上げました。  また、これとあわせまして、育児休業給の問題も同時に出したわけでありますが、これも今日まで成立いたしておりません。しかし、育児休業制度自体は昨年の四月からすでに制度としては発足をいたしておるのでありまして、この制度化で休業の許可を受けられた方々は、掛金等は自前で払いながら今日まで来ておるというような状況でございます。また、これの成立を見越して実際に掛金を払っておられない、実際問題として未収というような取り扱いになっておるところもあるやに聞いておるのであります。これも大変重要な、また職員の福祉に関する問題でありますので、あわせてひとつ成立を期待をいたしますということをこの機会に触れたいということで申し述べておる次第でございます。  いまもお話しございましたように、われわれ人事院といたしましては、そういう希望を表明いたしておるということでありまして、法案の形式をどうするかというところまで決定する権限はございません。これは政府においてお決めをいただくことであり、また、これを受けて国会において御審議をいただく問題でございます。したがいまして、法案形式等についてわれわれはとやかくのことを考えておるわけではございません。去年の勧告がまだ成立しておらないという時点を踏まえて、それの実現を期待するという希望をありのままに表明したということでございます。
  153. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 きのうの総裁談話の中で総裁は「国会及び内閣におかれては、この勧告の早期実現のため、速やかな措置を執られることを切望する。」こう述べていらっしゃるのですけれども、ここで言っております「この勧告」というのは、きのう出された勧告の本体のことを言っているのであって、報告部分のことは直接関係がないと思うのですけれども、そのように見てよろしいのですか。
  154. 藤井貞夫

    藤井説明員 いままでの例が示しておりますように、私たちは一般勧告時に出します勧告本文、それとあわせての報告というものは一体のものとして考えております。これは情勢の報告あるいはそれに応ずる勧告というのは法律でも明定いたしておるところでございまして、報告、勧告というものは一体のものとして考えております。その中で、要するに勧告事項というのは国会お願いすることでございますので、法律事項ということがその主体になることは申し上げるまでもないわけであります。そのほかに、御承知のように報告の中に触れまして、その他の方法で実現をいたす問題もございます。人事院自体で独自に規則その他の制定あるいは改廃というようなことで措置ができる問題もあるわけであります。そういうものを一体としてこれをとらまえておるということで、その点は従来の取り扱いと異にするものではないというふうに承知いたしております。
  155. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 人事院はいままで制度化された学校主任に手当を支給するのは当然だというような趣旨のことを繰り返し答弁されてこられました。関係職員団体、広範な関係職員が反対している現状のもとでは、この主任手当の導入は見合わせるべきであるというのが私の考えであります。人事院は、公務員労働者の労働基本権の代償機関であって、政府から独立した第三者機関であると自認し、公正で科学的な人事行政の遂行を標傍されておられるわけですから、そういうことであるならば、関係職員団体の意思を最大限尊重すべきであるというように考えます。制度化されたものに手当を支給するというのであるならば、国民と一番結びついて国の重要な業務に携わっている人、たとえば行政相談委員や人権擁護委員など事実上無給扱いになっておる人たちの処遇こそ優先的に措置すべきであるというように考えます。この点について総裁のお考えをお伺いします。
  156. 藤井貞夫

    藤井説明員 お答えをいたします。  われわれ勧告その他の仕事をやるに際しまして、むろん人事院としての独自性というものを踏まえて最終的には独自の判断で決定をし、これを国会あるいは内閣に対してお願いをするという形をとっておるわけであります。しかし、その過程におきましては、いまお話しの各方面の意見というものは非常に率直にまた虚心に伺って参考にさせていただいております。また、事実こういう勧告の時期になりますと、それこそ毎日山のような陳情書とかあるいはその他直接の電話、あるいは実際にお話し合いに来られるというようなことも大変多うございまして、これらにつきましては、可能な限り対応いたしまして、できる限りの応接やら説明やらをいたさせていただいておるわけでございます。それと同時に、やはり各行政機関、各省庁の意見というのも大変大事でございます。現実には、この給与勧告の時期に相なりますと、たとえば厚生省関係、文部省関係あるいは警察の関係、その他大変多くの省庁から希望、意見というものが書類となって、あるいはその他の方法で出されるわけでございまして、実際にやはり行政を行っておるのは各省庁でございますので、そこの要望というものは十分しんしゃくして、貴重な御意見としてこれを取り入れていく努力は、当然にやっていかなければならぬものと考えております。  それと同時に、制度として各省でもって措置を講ずるという場合に、それに対して給与的評価を何らかやってもらいたいという要請が出てまいります際には、われわれといたしましては、その制度の中身はよく検討いたしますけれども、それと同時に、それが給与的評価に値するものであるという結論を出しますれば、そういうような措置は従来とも講じてきておりますし、今後ともそういう姿勢は続けてまいる所存でございます。  その場合に、主任制度についてはいろいろ御議論をいただいておるわけであります。また、これをめぐるいろいろの情勢の変動というものもございます。しかし、他面におきまして、すでにこの主任の制度というものは文部行政の中において制度化され、要するに省令化されたということでございます。まだ未実施のところもございますけれども、全国的に見ますと、七割以上のものはすでに実施をされておるということでございます。したがいまして、これについてはやはり給与的な評価をすることが適当であるという結論に達しまして、去年の勧告で、教員の特別手当の増額と主任の手当制度の確立ということと、そのほか部活動に対する評価、それと合わせまして、いわゆる平教諭の一等級への昇格という道を開くことが適当であると考えまして、人確第三次の給与措置といたしまして、これらを包括的に措置することが適当と認めてお願いをいたしたということでございますので、あくまで現実を踏まえて考えた案というふうにわれわれは確信を持っておる次第でございまして、その勧告というものはまだ未成立に終わっておりますので、これをぜひひとつお願いをしたいということで言及をいたしたという経緯でございます。
  157. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 総務長官にお伺いしますが、談話では、「今回の人事院勧告の取扱いについては、」「できるだけ早い機会給与改定実施されるよう誠意をもって対処してまいる所存であります。」こう述べておられます。できるだけ早い機会給与改定実施されるよう誠意をもって対処してまいるとあるわけですけれども、この第三次教員給与改定法案の審議経過から見てみますと、今次勧告と第三次教員給与改定とを一本の法案にして提出するということになれば、今回の勧告に基づく給与改定の早期実施ということが危ぶまれるというのは、いままでの経過から見ても明らかだと思うのですが、そういう意味で、長官談話はセットにして一本の法案として提出しないというようにもとれるのですけれども、いかがでしょうか。
  158. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 私の方では別段一本にするとか一本にしないとかということをまだ考えておる段階ではございません。各党にそれぞれ御意見も承りまして、いまからそのことについては研究もし、決めていかなくちゃならぬ、かように思っておる次第でございまして、いままでの経緯からいたしましてなかなかむずかしい問題だなということは十分了承をいたしております。けさほども社会党の大出先生から社会党を代表しての意思表示がございました。社会党の御意見はそれで承ったわけでございますが、ほかの政党からの御意見もよく承った上で取り決めていこう、かように思っておる次第であります。
  159. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 私も共産党を代表して意見を述べておきますけれども、決してセットにすべきではない、分離すべきである、主任手当の導入とは分離しなければならないということを要求して質問を終わります。
  160. 正示啓次郎

    ○正示委員長 続いて、大内啓伍君。
  161. 大内啓伍

    大内委員 私は、民社党を代表いたしまして、今回の人事院勧告につきまして端的に質問をいたしますが、すでに他党の方々もいろいろお伺いをしておりますので、若干重複する点があろうかと思いますが、それぞれの政党の立場がございますので、あらかじめお許しをいただきたいと思うのであります。  まず、藤田総務長官にお伺いをいたしますが、昨日、私どもときわめて密接な関係にある全日本官公職労協議会が人事院勧告の早期完全実施について申し入れを行いました。その際に、今度の勧告の評価といたしまして、物価上昇分にも満たない低率勧告であってきわめて不満である、こういうふうに申し上げてあると思うのでございますが、この点についてはどういうふうに受け取っておられますか。
  162. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 確かにそのことを代表の方からお聞きをいたしました。ただ、私の方といたしましては、人事院勧告をお受け取りしたということでございますので、政府のたてまえとしましては、人事院勧告を尊重していく、こういうたてまえでございますということも、きのう返事をしたわけでございまして、特に個人的な所感だとか総務長官が所感を申し上げる筋合いではないと思います。
  163. 大内啓伍

    大内委員 それでは人事院総裁にお伺いをいたしましょう。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  国家公務員法の二十八条に書かれております給与決定の諸条件の中には、言うまでもなく、民間給与のほかに、物価の動向あるいは標準生計費の動向等を勘案しなければならないことは論をまたないわけでありますが、昨年度の物価上昇は御存じのとおり九・四%、政府の八・六%という見通しが狂ってきたことは御案内のとおりでありまして、しかも、ことしに入りまして一月、二月、三月とずっと九%台でございます。そして、四月に入りまして八・六%に若干ダウンし、再び九%台に入っていったのです。したがって、たとえばこの全官公の皆さんの物価上昇にも満たないではないかという指摘は、もちろん技術論的にはいろいろな言いわけがあると思うのです。しかし、この給与の適用を受ける公務員皆さんにとっては、これはやっぱり実感じゃないかと思うのですね。ですから、この物価上昇についてどういう具体的な勘案がなされたのか、これが一つ。  それからもう一つは、四月対比で給与勧告は行われておりますが、標準生計費は四月対比ではどのくらい上がっておりますか、お答えいただきたいと思います。
  164. 藤井貞夫

    藤井説明員 技術面にわたりますことは後ほど給与局長がお答えをいたしますが、一般論として私から申し上げたいと思います。  第一に、給与決定に関する諸条件は、いま先生が御指摘になったとおりでございます。そういう点はやはり考慮してやっていかなければならぬという原則はそのとおりでございます。  ただ、従来の積み重ねと申しますか、経験からいたしまして、それらの条件の中で一番調査もしやすい、また一般の納得も得やすいという条件で中心的なものとして取り扱うものはやはり民間給与であるということでございます。と申しますのは、民間では大体団交その他が行われておるわけでありまして、これを通じて春闘等でベースアップというものが実現をしていくということでございます。その過程において、話し合いのさなかにおきまして、物価の上昇の問題とかその他のことは無論論議をせられた結果、そういう決定がなされるというふうに私たちは受け取り方をしておるのであります。したがって、民間給与にはそれらの諸要素が溶け込んでおるという立場を従来からとっております。ただ心情的に言いまして、ことしの場合、物価上昇ということを考えますと非常に厳しい内容であるということはわれわれもわかります。わかりますが、しかし、民間給与を精密に調べました結果こういうことに相なったのでございますから、その点はその点として、公務員だけが独走してその分をカバーするというようなわけにはまいらない。一般のコンセンサスの問題もございますので、それらの点は心情的には頭に入れながら、しかし、第一義的には民間給与にそういう諸要素が溶け込んでおるという前提のもとに作業を従来からしてまいりましたし、ことしも大体同じような基調でもって作業を行い結論を出したということでございます。  それと、これは言いわけではございませんですが、物価の上昇は確かに激しいものがございました。しかし、給与というものは物価の方に影響されることは非常に多いわけですが、それは全部が全部そのまま反映をされる、影響されるというものでもございません。これは可処分所得その他貯蓄に回るというようなことも中にはあるわけでありまして、そういうような点を考え合わせますと、物価ということだけで考えてまいるということもいかがかと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういうような諸要素が民間給与に溶け込んでおるという前提に立って物事を処理いたしておるということでございます。  それから標準生計費の問題、これも毎年詳細に調べております。調べておりまして、御承知のように、大分前まではこの標準生計費との見合いで初任給を決定をしたりなんというようなことで非常に重要な要素にしてまいっておりましたけれども、その後やはり幸いにして毎年民間給与も上がり、つれて公務員給与も上がってまいるということで、満足ではございませんけれども、やや余裕が出てまいりまして、そういう意味では標準生計費をそのまま下支えに使っていくという必要もなくなりました。しかし、常にこれは重要な数字でございますので、にらんでいく必要はあろうかということで、毎年詳細なデータに基づきまして計算をいたしております。ことしもその点同じような作業をやったわけでございますが、いまお話しになりました物価の上昇その他を反映いたしまして、標準生計費の方はやはり大変厳しい上がり方をいたしております。それは事実であります。その面だけが公務員についても実感といたしまして非常に窮屈だ、物価にも及ばぬじゃないかというような印象を大まかに与えておることは私も否定をいたしません。否定をいたしませんが、そこはやはり民間との均衡という問題から割り切らざるを得なかったというところをひとつ御了承を賜りたいと存じます。  なお数字にわたりましては給与局長から申し上げます。
  165. 角野幸三郎

    ○角野説明員 標準生計費の世帯人員別の上昇の割合を申し上げます。  二人世帯のところで一一・三%、三人世帯で一二・五%、四人世帯で一三・八%、五人のところで一五・七%の上がりになっておりまして、これはいま総裁から説明がございました中にもございまするように、本年四月のこれの基礎になります家計調査の中の全国の消費支出の額が非常に異様な上がり方をしておりまして、その点を反映した関係であると思います。三月、四月という関係は、例年のそういう関係とことしが非常に狂っておりまして、それでこれは経済企画庁の月例経済報告にもちょっと触れられておりますが、ことしの三月、四月という見方については若干違った見方があるというようなこともございますが、結果的には、いずれにしても四月を用いて計算すればこのような引き上げになってございます。
  166. 大内啓伍

    大内委員 いま御説明ありましたように、また人事院総裁もお認めになりましたように、物価の上昇率というのは、今度の勧告の一つのラインを超えていることは客観的な事実でございます。また同時に標準生計費も、いま給与局長から御説明がございましたように、大体標準世帯四人で基準をとってみましても、一三・八%も上がっている。しかも人事院総裁は、民間給与はそれらの点を織り込み済みであるというふうにごらんになっているようであります。総裁、この辺は実は議論があるのです。この標準生計費の一三・八%が、たとえば今度の春闘相場である八・八%に織り込まれたかどうかというのは問題があるのです。九四%の物価上昇というものが織り込まれたかどうかというのは問題があるのです。しかし、ここでそういう議論をしてもしようがありません。  いずれにしても、そういう標準生計費の相当な激しい値上がり、あるいは物価上昇に追いつかない給与勧告であった、これ自身はやはり認めなければならないと思うのです。そして、そういうものが織り込まれている民間給与重点を置いて、それらは十分にらんだ、民間給与の動向を注意したんだというお話でございますが、幾らにらんでも、無視してしまえばこれは無視になってしまう。しかも、これは四月対比でございます。民間給与との比較は、「四月分として支払われた給与月額等」と書いてあります。しかし各種の統計をごらんいただいておわかりのように、四月に支払われた給与月額というのは一番低いのですよ。たとえば一月はどのぐらい上がっているかといいますと、一〇・三%、二月は一〇・三%、三月は一一・五%、四月が八・六%に下がっている。そこを基準とされている。五月は再び一〇・五%、六月は一〇・七%、こういう状況民間賃金が推移していることは御存じのとおりであります。ですから、たまたま比較した四月分というのは相当低いものですから、この勧告で何とか見合うようなかっこうがついているのでございますが、民間給与のとり方そのものについても、いろんな問題があるのでしょう。それじゃ、そういう点は勘案されましたか。
  167. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  勧告の基礎にいたしましたその高さの策定は、四月に民間で支払われました賃金台帳そのものを調査して、それをとらえておりますので、それで民間企業の勤労者の月給の高さは十分反映しておるだろうと思います。これは三月に高くて四月に低いというものではないと思いますが、先生いまお示しの関係は、恐らく毎月勤労統計の、決まって支給する給与の月額の前年同月に比べての伸びというような関係であろうかと思いますが、これはその所定内労働時間の変化、休みが入ったり入らなかったりとか、その以外のいろんな撹乱要因、あるいは所定外労働といいますか、オーバータイムのぐあいというようなこともいろいろ総合的に入りますので、個別に、月別に見ますと、ややぶれがございます。しかしながら、私どもとらえておりますのは、そういう支払いではありませんで、その各人各人の月給の高さということでとらえておりますので、月によって変化をする、それはベースアップで変化する場合は格別でございますけれども、それ以外のことはない、そういうふうに考えております。
  168. 大内啓伍

    大内委員 この辺もたくさんの議論がございますが、なおたくさんの問題がございますので、先に進ませていただきますが、私は、今回の改定に当たりまして人事院俸給表の改正に重点を置いた、これはそれなりに評価をしたいと思うのです。特にそれは民間給与の動向に見合っていることも事実であろうと思うのであります。ただ、ここで一つ問題になりますのは、これによっていわゆる言われてきたところの上厚下薄の傾向、これが強まったことも事実だろうと思うのです。そしてそれが強まること自身がむしろ新しい賃金体系への移行として好ましいんだという見方もあると思うのです。人事院としてはこの辺はどういうふうに御理解になっておられますか。
  169. 角野幸三郎

    ○角野説明員 まず給与比較をやります水準の問題がございまして、これは大変大事な問題でございますが、その次に配分の問題がございます。それで人事院といたしましては、配分の形も民間の当節の配分の形を十分参考にしながらやっておるというのが従来からの方向でございます。そういうことで申し上げますと、大体高度成長が続きました昭和四十年代、四十八年が終わりのような感じになっておりますが、やはり労働力の需給バランスから見まして、若年層の賃金が毎年毎年非常に上がってまいりまして、そういうことでそれぞれの年の上下配分を見ておりますと、常に若いところが非常に上がって、それで家族持ちあるいはもうちょっと上の方というところが低い伸び率でずっと来ておったというのが四十八年ころまでの経緯でございます。それで、そこで一転して現在のような不況といいますか、安定成長の時期に差しかかってきまして、一昨年あたりからそのさまが大変変わってまいりまして、特に雇用事情の変化ということで、初任給がとまりましたと同時に、在職者に手厚い改善がなされるということに、明らかに民間の中で大きな変化が昨年以来見られております。そういうことで昨年はやはり民間配分は、上の方までは行っておりませんが、やや高いところまで重心が上がっておりまして、本年はそれに続きましてさらにその上という感じが明らかに見られましたので、これは一つのいままでの配分の修正過程と言えば言えるかと思います。これがどういう形で今後安定していくかというのはまた今後の配分を注目してまいりたいと思いますが、こういう方向がしばらくは続くのではなかろうかというような感じもいたします。いままで若年層の伸びが非常に長い間続いておりますので、そういう点でやや続いて安定するのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  170. 大内啓伍

    大内委員 総務長官にお伺いをいたしますが、このところ勧告につきましては、政府は大体完全実施という線をとってこられました。昨日の総務長官の官房長官事務代理としての御発言、政府の態度は次の臨時国会までには決めるということを発言されておられます。また一方、人事院総裁はその談話におきまして、早急にそれを実現せよということをおっしゃっておられます。この両者の間に食い違いがあってはならないと思うのでありますが、人事院総裁としては、来るべき臨時国会、これは通常九月の末ないしは十月と予測されておりますが、その早い時期に実施してほしい、そういう意思でございますか。
  171. 藤井貞夫

    藤井説明員 要すれば、とにかく一日でも早くやっていただきたいということが従来からの人事院の態度でございます。したがって、そういう機会はできる限り早くつくっていただきたいし、機会があれば、できるだけ速やかに法案を提出して御審議をいただきたいという強い期待を持っておりますことを申し上げます。
  172. 大内啓伍

    大内委員 総務長官、いま人事院総裁は一日も早くということでございますが、これは法案の問題がございますが、臨時国会が開かれましたら、できるだけ速やかにこれを可決し、実施に踏み切る政府の決意はございますか。
  173. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 昨日、私も談話で申し上げましたように、早い機会給与改定実施されるよう誠意をもって対処してまいる所存でございます。このようにきのう申しておりますが、そのつもりでございます。
  174. 大内啓伍

    大内委員 それは完全実施という方針でございますね。
  175. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただ私としては、完全実施を期待いたしておりますけれども給与関係閣僚会議の方でその方針の決定をまだいたしておりませんので、ここでそういう方針が決定したということは申し上げられないわけであります。
  176. 大内啓伍

    大内委員 きょう総務長官は政府を代表して出られてきているはずですね。政府の代表者としては完全実施する腹ですか。
  177. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 手続として給与関係閣僚会議というものがありますので、それらを経なければ完全実施をするということをここではっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、従来の慣行といたしまして、大体そういうふうになろうかというふうに思っております。
  178. 大内啓伍

    大内委員 私は藤田さんは政治家だと思っております。いろいろな手続的なこと、特に内閣の手続というのは大変むずかしいことをよく存じております。しかし、やはり公務員皆さんが期待しておりますのは、きょう人事院勧告について国会論議されて、その論議の過程において、この完全実施皆さん望んでいる、そのことについて真正面から答えられないということでは政治になりませんよ。公務員皆さんを納得させることはできませんよ。それでは、総務長官としてはいかがですか。
  179. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 私がいままで答弁したことをおくみ取り願えれば、大体の気持ちなり対処の方針というふうな、予定されるものはおわかりになるだろうと思うのです。ただ、はっきりと、そういう手続その他の関係がまだ済まない前にそういうことを申し上げるわけにはまいりません、しかし、いままでの答弁の中でそれはお察し願いたい、かように申し上げている次第です。
  180. 大内啓伍

    大内委員 大体総務長官の意向といたしましては、政府として完全実施というこれまでの慣行を守りたいというふうに理解をさしていただくことが正しい理解だと思います。  ただ私は、この完全実施という問題をめぐりまして、単に次の臨時国会におきまして法案を上げ、予算措置をすれば、それによって人事院勧告というものが円滑に実施されていくとは考えないのでございます。これはすでに懸案として、あるいは宿題として提起されておりますように、人事院がこの給与改定について調査をされるのは四月であります。そして勧告をされるのは八月。そして、ここのところ早いときで、その実施は十一月でございます。ですから、調査を行いましてから実施に至る期間が六カ月も七カ月もある、こういうことについてやはり公務員皆さんは何か割り切れないものを感じておる。現に今度の公共企業体の仲裁裁定を拝見いたしましても、五月に仲裁裁定が出されまして、国鉄の場合は八月の三十一日には実際に支給されていくのであります。公企体の職員については、たとえば六、七、八という三カ月ないしは四カ月の段階でそれが実施の運びになる。公務員の場合はいつでも、早くて七カ月くらい待たなければならぬ。これはやはり公務員皆さんにとっても何とか解決してもらいたいなと思っているポイントだと思うのです。これまで全官公を初めとして公務員の組合の皆さんも、その点について、何とかひとつ政府で工夫してもらえないかということをたびたび要望してまいりました。したがって、それが懸案、宿題として残っている。この懸案をどうやって改善するか。たとえば、私が先ほど、臨時国会が開かれたときには、できるだけ速やかにそれをやられますかと聞いているのも、これはなかなかむずかしい問題なんですが、公務員給与法の改正というのは、いつも国会におきましては、重要法案と最後のぎりぎりまで取引されているような感を持つような状態が出てくる。私も裏の話は多少は聞いておりますけれども、実際にそのような傾向なしとしない。そういう意味では、給与改定という問題がいつも犠牲になってしまうというようなケースもないことはないのです。  そこで、総務長官といたされましても、この問題の改善について何らかの工夫をする必要があるのじゃないか。こういう間延びの実施という問題について、何か改善の方針をお持ちでしょうか。
  181. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 先生がおっしゃいますように、間延びといいますか、遅いと思うことは確かであります。ですから、一日も早く実施いたしたいということが、毎年の政府の方の気持ちでもございますけれども、ただ、現在の仕組みからいきますと、先ほど人事院総裁が申されましたように、四月の春闘、その年の春闘、そういうものをよく見きわめて、四月という時期を一つの民間の相場としてとらえて、そしてそれを横並びににらみながら決めていく、勧告をしていく。こういうことでございますと、相当期間がそこで調査から延びていくわけでございますし、そうしてまた、いまの臨時国会が開かれる、こういうことに相なってきますので、十月とか十一月とか、そういうふうに実施時期が延びてくるというのが例年の例になっているかと思いますが、新しい仕組みをつくって、制度的にやり直していかないと、なかなか実施時期を早めることができないのではないか、かように思っておりまして、四つばかり案をつくりまして、検討もした次第でございます。なおこれらの検討を、どうもこの四つの方法がうまくないということでもございますが、新しい方法があればお教え願いたい。またそういう点があれば、われわれもともに研究いたしたいということを、組合の方々とも話しておるわけでございますが、午前中も、俸給表改定についての政令委任案について、ひとつ具体的に考えてみたらどうかというような話もございました。こういうことにつきましても、本格的に、具体的に検討を再びやり直そうかというふうな段階でございますので、先生の御期待にこたえるような仕組みにつきまして、仕組みを改めるということにつきまして、具体的に検討いたします。
  182. 大内啓伍

    大内委員 これは長いことの懸案でございますし、特に公務員皆さんの強い要望でございますので、すでに総理府が四つの案を検討されたということも聞き及んでおりますので、これは何も政府だけの問題ではなくて、超党派的に研究し、打開しなければならぬ問題でございますから、組合の皆さんをも含めて、できるだけ前向きの改善ができますように、御努力を賜りたいと思うのであります。  ただ、その一環といたしまして、これはもちろん国会の問題でございますが、少なくとも給与法については、国会が開かれたならば、相当これは期間があるわけでございますから、政府の方としても、できればこれは先議で決定してもらいたいぐらいの提案が、総務長官あたりからなされてしかるべしだと思うのです。それでないと、いつもそういう問題が後ずさりしてしまう。そういう点もあわせて御要望申し上げておきたいと思うのでございます。  すでに先ほど来も御議論があったわけでございますが、今度は不況対策につきましても、相当の補正をやらなければならぬであろうと見られております。御案内のとおりであります。したがって、この給与改善の財源だけをいじくり回しましても、問題は解決しないわけでございます。いずれにしても補正予算で措置せざるを得ないのではないかと思われますのですが、この点については総務長官、どういう御見解をお持ちでしょう。
  183. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 御承知のように、公務員の方につきましては一千一百四十億の追加財源ということになりますし、地方公務員につきましても千五百億の追加財源が必要であろう、このように言われておりますので、補正でやるかあるいは予備的財源でやるか、これらはまだ明らかにしておりませんけれども、例年の例によりますと、まず補正でやるということになっておろうかと思いますので、そのような方向に行くのではないか。現在は検討中でございますから、定かにお答えするわけにはまいりません。
  184. 大内啓伍

    大内委員 今年度の予備費は、御存じのとおりすでに相当減額されて、二千八百六十六億しか残ってないわけですから、それで不況対策からこれらの給与改定までやるということは、当然無理であることはわかり切ったことなんです。当然新しい公債発行も含む財源調達をやりながら、補正を組まなければならぬと思うのですね。ですから、そういう面でもひとつ鋭意結論を得られますように、お願いをしたいと思うのであります。  そこで、完全実施の問題はその程度にいたしまして、問題は調整手当の問題なんでございます。いわゆる地域給でありますが、これまでの例では、おおむね三年で見直しを行い、勧告をするという一つの慣行があったわけなんでございますが、今回これを見送られたことについて、やはり公務員皆さんの中には相当の不満存在をいたします。これはこれなりに変えるほどの変化がないのだというような議論も聞いているのでございますが、なぜ調整手当を、そういう慣行を無視して見送られてしまったのか、総裁の見解を承りたいと思います。
  185. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたしますが、調整手当問題は、従来、三年というような検討期間を置いてやってきたという経緯はございます。ただ、それは社会的、あるいは経済的な情勢が非常に安定的に伸びていったという、わりとバランスが並行状態でうまくいった場合でありますと、地域給のような全国的な、ざっと申しますと、地図に当たるようなものの検討には適しているわけでございますけれども、ちょうど四十八年から後、大変客観情勢が狂ってまいりまして、経済的な地域地図を見ます立場から申し上げますと、特に産業別好、不況ということが最近まで続いておりますということを頭に置きますと、地場賃金的なものが地域差に反映いたしますことが多いものですから、調整手当を策定するに非常に向かない、不安定な状態であるというように私ども考えておりまして、もう少しそういう地図の策定に適したような安定が得られるまで検討を続けていきたいというようなことを考えております。  本年の報告のほかに、説明を述べております中で、民間状況を注視したいというふうにちょっと触れましたのはそういう意味でございまして、そういう客観情勢ということを踏まえて申し上げておるわけでございます。ただいたずらにこれをいつまでも延ばしておる、そういうことではございませんで、客観情勢を見たい、注視したいということでございます。
  186. 大内啓伍

    大内委員 まだ地場賃金が安定していないので、なお情勢を見るということでございますが、たとえば来年はいつごろまで相当検討いたしますか。
  187. 角野幸三郎

    ○角野説明員 民間の産業別好、不況の安定がいつごろ見られるかということでございまして、ちょっと私どもではわからないむずかしい問題を含んでおると思いますが、最近言われておりますように、構造不況ということでありますれば、これが安定するまでには少し時間がかかるのではないだろうかということも思われますし、いずれにしましても現在のそういう変化の状態をもう少し見ていきたい、そういうふうに考えております。
  188. 大内啓伍

    大内委員 調整手当というのは、安定するかしないかの問題じゃございません。現実にそういう地域差が拡大し存在すれば、それに見合って単年度においてもこれを改定しなければならぬものです。それが調整手当じゃございませんか。変動が激しくても、大きな格差が生まれてくれば、それに対して手当てするのが調整手当じゃございませんか。ただそれを見詰めているのでございますか。
  189. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ちょっと言葉が足りませんで申しわけございませんが、現在の調整手当の地域区分は、昔の暫定手当という形で凍結してまいりましたものを、昭和四十二年に都市手当という人事院勧告をいたした時点がございますが、そのときに名称は調整手当という給与種目の名前に変わりましたが、そこのところを受け継いで現在に来ておるということでございます。地域区分につきましては、従来の調整手当の地域区分を当面そのまま引き継いでいくということで四十二年からずっとこちらへ来ておりまして、その後、市町村合併に伴いますものであるとかいろいろな点から検討いたしまして、三年置きにということで検討期間を置いてやってきまして、四十八年だったと思いますが、それが一番最近の機会であったろうと思っております。  それで、基本的に申し上げますれば、民間賃金の地域差に対応する公務員賃金措置でございます。これはそういういま申しましたように、昔の経緯を持ってきております関係上、旧勤務地手当時代の地域区分がそのまま残っておりまして、たとえば昔、九州の福岡県の炭鉱地帯であったようなところがまだ高い地域給を支給されておるという状態のところもございますし、それから最近の経済の発展に伴いまして都市周辺の問題というのも起こってきておりますし、ですから抜本的にそれを整理して修正するということになりますと、徐々に部分修正をするということと、それから抜本的に全体の安定を見て直すということと二つあろうかと思います。しかし、いま変動している最中でございますので、全体的な検討には非常に向かないということが一つあることと、それから、すでについておるところで現在それほどの地域差が見られないところについてどうするかという大きな問題も一方でございまして、そういう点で非常にむずかしい点がございます。  それで、都市周辺問題等につきましては、そうは言いましても四十八年でございましたが、そのときにその観点でもって官署指定という方式で微修正をしたことがあったかと思っておりますが、もう少し模様を見て検討いたしたいと思います。修正の方法は二種類あろうかと思いますが、そういうことでございます。
  190. 大内啓伍

    大内委員 御指摘のとおり、二種類あるわけでございまして、それをうまく調整していく、使い分けていくという問題がこれから残されております。給与局長も御存じのとおり、地域によっては部分的に相当格差が出ているところもあるのでございます。ですから、この調整手当改善についてはやはりもう少し真剣にお取り組みを賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。それをお約束いただけますね。
  191. 角野幸三郎

    ○角野説明員 「説明」で述べておりますように、客観情勢を注視して慎重に検討したい、それから都市周辺問題についてもデータを一生懸命最近のものを集めたい、そういうふうに思っております。
  192. 大内啓伍

    大内委員 もう一つは期末・勤勉手当の問題でございます。もうすでにこれは他の方も質問をされておるようでございますが、公務員皆さんは五・二ヘの復元という問題が見送られたことについてやはり大きな不満を持っておられるようでございます。今度の報告を拝見いたしますと、民間の場合が四・九九という状態であったので五ヵ月分で据え置いたのだという説明がなされておるのでございますが、その復元を見送った理由をこの際はっきりさせておいていただきたいと思います。
  193. 角野幸三郎

    ○角野説明員 本年の調査は、一般的に申しますと、民間で昨年の夏と冬に支払われましたボーナスとの均衡というような感じでございまして、昨年の夏の民間のボーナスは、ある調査によりますと非常に伸びが少なくて、データによりましては金額で三%強しか伸びておらないというようなのが昨年の夏の状況でございまして、それでベースがやはり八・八とか九ぐらい伸びておりますので、お金で三・五ぐらいの伸びでありますとこれは月数を割り込むということで、私どももそれを見ておりまして大変心配しておったというのが事実でございます。ところが暮れになりまして少し上向いてまいりましたが、それでも金額の伸びにしまして一〇%にちょっと乗ったというような関係にございまして、これはベースが八・八伸びたとすれば上乗せしたとしてもわずかだなということで考えておりまして、私ども民間の特別給の総支払いの額を割り算をして出しておりますので、そういう部分調査ではございませんけれども調査した結果はやはりそのとおりの反映が出てまいりまして、心配したよりは、少し去年よりは回復しているというような状況になりまして、四・九九ということでございます。まだちょっと五月に達しておりませんが、現在、ことしの夏の民間のボーナスも大体終わりかかっておりまして、その状況を見ておりますと、去年の暮れと同じような感じに見えますので、大体一〇%強というようなことがいろいろなデータに言われております。ことしの暮れがどうなるかはわかりませんが、いずれにしても五月すれすれでとまってしまったということで据え置いたわけでございます。
  194. 大内啓伍

    大内委員 週休二日制の問題でございますが、よく公務員皆さん民間よりか働いてないんじゃないかというような一般論がございますが、少なくとも休んでいる日にちという面から見ますと、公務員は六十八日、週休二日制がある程度行われている企業においては九十三・八日を休んでいる。ですから、その限りにおいては公務員皆さんは相当働いているということになるわけでございます。  そこで、週休二日という問題がこの数年来問題になり、そして今度の勧告におきましてはこの点がちょっと見送られてしまったわけなんでございますが、勧告では、再度の試行を含め検討すると言われております。しかしその試行とは、いま行われておりますのは、民間で行われているような隔週週休二日制なんというものではなくて、何と年に三日間だけテストをしてみるというような状況であることは御案内のとおりであります。一年間で三日間の試行をやってみて本当にその試行ができるのかどうか。私は、もちろん国家公務員というものの一つの大きな使命は、国民に対するサービスをそれによって低下させないということが基本にあると思うのですね。しかし、それにつきましても、三日間の試行でこの問題を試行するというやり方では、幾ら何でもひど過ぎるのではないか。そこで、やはり公務員のサービスを低下させないという一つの原則を基本としながら、週休二日制を実施するためにもう少し思い切った措置、試行という問題を検討すべきではないか、また実施すべきではないか、こう思っておりますが、こちらはどちらですか、総裁でございましょうか、いかがでしょう。
  195. 藤井貞夫

    藤井説明員 御指摘になりましたように、私も一般的に申せば公務員はよく働いておると思っております。特にいまお挙げになりましたように、週休二日制の普及拡大とともに、年間休日数というものはこれは大変注目すべき差が出てきておるということで、無視できないものが私は出てきておるというふうに感じております。  そこで午前中も申し上げましたが、私自身はやはり週休二日制というものは公務員についても天下の大勢である、また世界の大勢である。したがって、いずれはこれは実施に踏み切らなければならぬ性質のものだという認識を持っております。その認識のもとにテストを昨年から一年にわたって現在に至るまで実施をしているということでございます。これはお話しになりましたように、やはり公務のことでございますので、国民に対する行政サービスが低下するようなことがこれはあってはなりません。その点はやはりそういうことのないようにでき得る限りの配慮をしなければならないということですが、しかしこれをやりかけた場合にどういう問題点があるのか、また手当てをすべき事項にはどういうことがあるのかというようなことは、やはり真剣に慎重に検討をしておきませんとこれは大事に至るおそれがございますので、そういう意味テストを現在やっておるのでございます。  ところで、このテスト内容でございますが、これはお話にもございましたように非常に薄い内容でもってテストに入っておる。私もそう思っております。ただ、このテストと申しましても、わが国のいわば役所ができまして以来実は初めてのことであります。そういうようなことで、政府部内でも総理府を中心に大変御努力をいただきましたけれども、またこれに対するいろいろの批判なり抵抗なりというものがあることも事実でございます。そういうことでいろいろお話し合いをいたしました結果、この点は人事院給与に関する勧告等と違いまして実際にやっていただくのは各省庁でありまして、各省庁にやっていただかなければ動かない性質のものでございますので、やはりその御納得、御了解を得てやっていかなければならぬという筋の問題でございます。そういうことで協議にも慎重を期しましたし、それだけの手間がかかりました結果、いろいろ勘案した結果非常に薄い内容のものではあるけれども、こういうかっこうでともかくテストに入ろうということでやっておるわけでございます。したがいまして、現在のテスト内容から見てまだやはり問題点が残っておると思います。未実施のところもございます。また入っておるところでもこれが各局に分散して、言いますれば三カ月の試行期間だ、そのうちでやはり四分の一の職員対象になっているということでございます。したがいまして、これらの点についてはやはりもう一歩進めた、内容のもう少し濃いやり方等もあわせ考えていかなければならぬじゃないかというふうに私自身は現在感想を持っております。  ただ、この点は試行が終わりました段階においてそのことについての報告を求め、報告が集まりました段階でもっていろいろ縦横にらみ合わせて詳細に検討いたしました結果、次のステップを考えるということにいたしたいと思いますが、その中でやはり試行をもう少し続けていくということと、続ける場合にはその内容をもう少し密なものにしていくということが一つの自然な方向ではないかというふうに考えております。
  196. 大内啓伍

    大内委員 いま総裁が御指摘のように、週休二日制は公務員あるいは公企体の段階におきましても世界の大勢であることは論をまちません。これは民間の場合でもやはり企業の存立というものを非常に重要視して、めちゃくちゃにやっているわけじゃないのでございます。ですから、民間で成り立つことが国家公務員が公僕であるという理由だけで、全然違った措置を長いこと継続していいということの理由にはなかなかならない。そこで、そういう意味から試行を重ねておられるのだろうと思いますのですが、ただ、やはり試行というのは答えを出すために試行するわけでございますので、いま総裁おっしゃられたとおり、報告を受けてというお話がございましたけれども、大体めどはどの辺で集約したいと思っておられるのですか。あと一年必要だと思っているのですか。それとももっと必要だと思っているのですか。どの辺で報告をまとめたい、その辺のめどをお聞かせいただきたいと思います。
  197. 藤井貞夫

    藤井説明員 今回やっておりますテストの結果の検討というものは、これはそんなにかけるつもりはございません。できる限り急ぎまして――短期間と言っても若干の時日はかかります。全国各地から、省庁出先あたりから全部報告を徴しますので、それなりにやはり時間がかかりますけれども、しかしこの検討のために何カ月も費やすという意図は私自身持っておりません。できるだけ速やかに出して次のステップに行くというつもりをいたしております。
  198. 大内啓伍

    大内委員 そういう方向でぜひこの問題の具体化、集約を図られますよう要望いたします。そこで、次の問題でございますが、今度の勧告の第六項におきまして、先ほど来も御議論がございましたのですが、「昨年三月十一日に行った勧告については、今後の教員給与の取扱いとも関連するので、この際、この勧告に合わせて実施されることを期待している。」そうして、人事院総裁は先ほど来の御答弁におきまして、確かに法律案は通ってないのだけれども人事院としてすでに勧告したことであるから、そのことをできるだけ早く実施することを期待することは当然ではないかという趣旨のお答えがあったように理解をいたしますのですが、ただ、ここで総裁にもお考えをいただきたいのは、人事院という立場に立って人材確保法成立し、その法律の趣旨に沿ってそういう問題が出てくる。しかし、確かにそのとおりなんでございますが、いわゆる主任手当の問題につきまして大変な論議があったことも御案内のとおりでございますし、また現状におきましても、場合によっては主任手当は返上してもいいんだという声が現場の中にあることも御案内のとおりなんです。しかも、そういう一つの現場での声を反映いたしまして、国会の中でも大変この問題もめまして、法律案が通らないという状況にあるわけです。したがってこの問題は、一般給与改善を、たとえば民間給与と比較いたしましてそれをびしっとならすために給与改定をやるという問題とは違ったいろんな複雑な問題を背景としているのです。ですから、そういうものを一緒に、みそもくそも一緒にしましてあわせて実施されることを期待すると申されましても、現場の段階であれだけの議論が起こり、国会の段階でこれだけ議論が行われている問題をあわせてひとつ実施せよという提案の仕方、勧告の仕方は、人事院の立場として理解できないこともないのですけれども、若干問題があるように思うのです。  私ども民社党といたしましても、この問題は分離して提案すべきではないか。やはり問題を分けていいんじゃないか。というのは、給与改定というのはこれほとんど毎年の一つの行事でございますし、それからこうした主任手当の創設という問題、やはり新しい問題なんでございますから、やはり問題を分けてそれぞれに提起するということが、むしろ無用の混乱を防ぐという意味では大事なのではないか。この点について、もう時間がありませんのでひとつ簡単に人事院総裁の所見を、再度で恐縮でございますが承りたいと思うのでございます。
  199. 藤井貞夫

    藤井説明員 お話しの中にも出てまいりましたように、教員給与改善の問題につきましては、人確法という法律ができ、また予算上の措置もあわせ講ぜられるという、一般勧告とは違った仕組みでもって事が行われてきたのであります。第一次、第二次につきましては勧告どおり、これは非常に早く実施の運びに至ったのでございますが、第三次の前半の勧告に至りまして、いま御指摘のいわゆる主任制度の問題とも絡んでいろいろ論議が交わされ、国会内外を通じて問題点が指摘されながら今日に来て、なお成立を見ておらないという状況にあるわけでございます。われわれ過去の経緯というものは十分承知をいたしております。ただ、メンツにこだわるという意味ではございませんが、やはり人事院勧告の趣旨なり、精神なりというものから見まして、これはぜひ実現をしていただかなければ困るという考え方は無論変わりません。過去の国会における審議を見ましても、結局廃案になっておりますけれども、その中身について検討しますと、衆議院においては御可決をいただいたというような場合もあったのであります。そういうことで、いまの時点に立って、一般勧告をいたします際に、やはりあわせてこれについて御注意を喚起申し上げるということは、決して的外れのことではないというふうに考えまして言及をいたした次第でございます。  ただし、先刻も他の先生にお答えをいたしましたように、これは人事院としては勧告内容実現についての期待を申し述べておるわけでございまして、法案の形についてどうすべきだとかというようなことはこれは越権でございます。この点は、人事院としてはとかくのことを申し上げるつもりはございません。これは政府において責任を持って御決定をいただき、また国会の場において御審議をいただく問題である、かように考えております。
  200. 大内啓伍

    大内委員 この問題はいろいろ議論ができるのでございますが、時間がありませんのでちょっと先を急がしていただきます。  この昨年の三月十一日の勧告によりますと、「教育活動についての連絡調整及び指導、助言に当たる者で人事院の定めるものについて」「教育業務連絡指導手当を支給する」ということが望ましい。この「人事院の定めるもの」というのはいままで明らかにされておりませんね。これは具体的にはどの主任を指されますか。
  201. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  主任の内容につきましては、主任が文部省令で制度化されまして、それでその制度の定着といいますか実際の発令が行われまして、その熟し方、安定の仕方、それが給与上の評価として安定的に評価できるかどうかということが判定できまして、そこで給与が伴う。制度ができるときには常にそうでございますが、そういう段階を踏んで給与が支給されることになろうかと思います。  そこで、そういう連絡調整、指導、助言ということは省令に職務内容として書かれております。それに見合うそういう趣旨の規則を一応制定するという段階がございまして、それでそれについてのどういう主任かという内容につきましては、その安定なりその評価が熟したところで人事院が個別に定めていきたい、こういうことを考えておりましたので、そういう説明をいたしたと思います。
  202. 大内啓伍

    大内委員 じゃ、違った聞き方をいたしましょう。  文部省令の学校教育法施行規則の改正、これは五十年の十二月に行われておりますが、ここでは学校主任が制度化されていること御存じのとおりであります。たとえば「人事院の定めるもの」と書いてある中には、ここで制度化された学校主任は全部入りますか。それともどれか漏れますか。
  203. 角野幸三郎

    ○角野説明員 その制度化された主任の中で、小、中、高それぞれ学校の違いによって各制度化主任がいろいろございますが、それの実態がいろいろ違うという関係がございます。それから制度化主任の中でも教務主任、学年主任、生徒指導主任、いろいろございますけれども、国立の付属学校の主任、それから省令化されておりました公立学校における主任、その辺の実態もよく見きわめたいと思っておりますが、私どもが直接に関係がございますのは国立の付属でございまして、その辺の、省令化されましたその規定の国立学校に対する主任の確定の検討をまずいたしたいと思っております。  それから公立につきましては、その学校の種類によりまして、学校の規模によりまして、その連絡調整、指導、助言の実態をよく見きわめた上で個別に検討していきたい、実態を見たい、そういう段階でございます。
  204. 大内啓伍

    大内委員 そういたしますと、その人事院の方針でいけば、その実態のあるものについては主任手当を出していくということになりますので、たとえば文部省令で制度化された学校主任以外の主任についても「人事院の定めるもの」の中に含まれてくるものが出てくる、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  205. 角野幸三郎

    ○角野説明員 文部省令で制度化されておる主任でありましても、連絡調整、指導、助言といういわば主任手当対象としての十分な職務内容を持っておるものに限られるわけでございます。それからその中での話で、先ほど申しておりますようにその制度化の実態を見ていきたい、こういうことでございまして、この省令で制度化されていないものについては考えておりません。
  206. 大内啓伍

    大内委員 そういたしますと、これはなかなかむずかしい問題が起こってくるのですよ。というのは、たとえば主任といってもいろいろございまして、いま申し上げたとおり文部省令で制度化された主任というものがある。それからもう一つは、制度化されてない、実態的に存在する主任もある。それから三つには、制度化されましても主任手当をもらうものともらわないものとが出てくる。つまりそういう処遇が大変異なってまいりまして、教育現場というのは大変な混乱に陥るのじゃございませんか。その辺は大丈夫だという保証をお持ちなんですか。  それから、これはあわせて聞いてしまいましょう。たとえば人事院によりますと、「連絡調整及び指導、助言に当たる」、そういう実態的なものについて主任手当を支給する対象にしていきたいと言いますけれども、いま全国各地の、たとえば研修の主任あるいは図書の主任、給食の主任、あるいは中学、高校の教科主任、あるいは国立学校の教育実習主任、あるいは特殊学校の小学部、中学部、高校部の各主事といったようなものを実態として見てみますと、まさに人事院のおっしゃるような連絡調整及び指導、助言について相当の実態を持った主任というのがおられるのですよ。のみならず、たとえば都道府県段階におきましての同和、公害主任なんというものを見ましても、これは連絡調整、指導、助言について相当の力を発揮している主任もおられるのですよ。いまのお話ですと、文部省令で制度化されたものの中からだけ吟味する。しかし、問題の把握としては実態的にそういう教育活動について連絡調整、指導、助言を本当にやっているものについて主任手当を出していくのだ。首尾一貫しないじゃございませんか。そういう不合理をどうやって調整しますか。
  207. 角野幸三郎

    ○角野説明員 まず考え方といたしまして、一番基礎のところに義務教育の先生方に出しております特別手当教員特別手当がございます。まず、特別手当一般に、それは教員の、義務教育の先生方の水準を上げるという人確法の趣旨で上げておりますが、その考え方といたしましては、やはり御苦労賃といいますか、それに一般的にやはり公務、教育以外の公務に従事されることについて分掌が多かれ少なかれあって、それでそのごめんどうということで御苦労に対応するという気持ちがございます。それで、特別手当一般的に、平均的に支給するものでございますけれども、まずそれがございまして、さらにその上に連絡調整、指導、助言ということで、文部省令で規定されております主任については、その程度職務と責任、職務内容として評価できるという、その重いものについて、その上にまだ支給したい、こういうふうに考えて発足いたしておるものでございます。特別手当関係でございます。それで、したがいまして、つくものとつかぬものという切れ目は、それはどうしてもございますが、大体一般的に特別手当でそういう公務の御苦労を見ておるということの基盤の上に、さらにプラスという関係に相なっているものと考えております。  それから、先生お話しの現在制度化されているものの文部省令にありますもののほかに、実態があるものがあるということでございます。たとえば国立で申しましてもそういうものがございまして、研究主任でありますとか、教育実習の関係でありますとかの分担をなさっている先生は、国立としてはそういう連絡調整、指導、助言ということで、それ相当の内容職務を果たしておられるものと思いますが、現在省令化されておりません。そういう点で、それは私どもとしましては給与上評価するにつきましては、まず文部省さんの方で制度的にそういう制度の上に乗せていただきたい。それで制度があって、それで実態があって、それに対して給与が伴う、こういう関係にいたしたい、そういうふうに考えております。
  208. 大内啓伍

    大内委員 そういたしますと、人事院は文部省に追従するわけでございますね。だって、人事院は昨年の三月十一日の勧告において、その教員給与の取り扱いとも関連するから、あわせてそういう主任手当については実施せよということを自主的な立場から申されているのじゃございませんか。ですから、もし文部省の制度化されたものの範囲内において、いや、そのほかにも実態としてこういうものがあるというふうに人事院として判断されたものについては拡大されたって構いやしませんじゃないですか。特にいま主任手当という問題については、私はやはり公務員皆さんのコンセンサスを得る努力を人事院皆さんとしてもやる必要があるし、またこれは法律案に関連いたしますので、総務長官におかれても、この問題がただいがみ合うだけではなくて、反対のための反対のそういう闘争が起こるだけではなくて、やはり何とかここでコンセンサスを得る努力をなさらなければならぬと思うのです。そういたしますと、コンセンサスを得るためには、文部省令で五十年に定めたので、ここからはてこでも動かぬという議論人事院も総理府も行われていたのでは、なかなかこの問題についてはコンセンサスが得られないで、現場で混乱ばかり起こる。また公務員のそうした組合の皆さんと、あるいは人事院政府当局の間にも争いばかり起こる。これが国会の争いにも反映してくる。  そこで、たとえば全官公の皆さんでも主任手当を支給するということに断固として反対しているわけではない。その主任の範囲のくくり方について合理性がない。まさに人事院が言っているような連絡調整及び指導、助言に当たるものが、たとえば国立学校の教育実習主任においてもぴたっと当てはまるじゃないか。だから、これが文部省の制度化の枠外に置かれているからだめだという議論だけではなくて、こういうものに対しても検討し配慮していくのだという姿勢が見られますれば、私は主任手当の問題というのはもっと大きなコンセンサスが得られてくると思うのです。現場の皆さんが納得しない状況の中でこういう問題を強行しようとしましても、やはりいろいろな混乱が起こってくる。そういう意味では、まさに人事院のおっしゃるとおり大変結構でございます。この抽象的な定義は結構でございますから、そういう観点に立って、文部省令にとらわれずに、制度化されたものにとらわれずに、実態のあるものについてはそういうものを考慮するということを、この際総理府も人事院皆さんも明らかにされたらいかがでしょう。それとも、絶対断固だめなんですか。
  209. 藤井貞夫

    藤井説明員 主任手当支給の範囲をどうするかということにつきましては、いま給与局長も申し上げました。私自身も腹の中ではいろいろ考えております。ただ、この主任手当に関しましては、先刻申しましたように勧告を出して義務教育の特別手当に関する法律改正をお願いをいたしております。それがいろいろ主任手当の問題に絡んですったもんだ、いろいろ問題が提起されておるわけであります。それがどうなるかわからぬような段階、いわば微妙な段階でございますので、これがはっきりと成立をしない段階におきまして、こういう手当をこういう主任に差し上げるのですということを申し上げるのは、やや時期的にいかがかという配慮もございまして、少し歯切れの悪いことを申し上げておるのでございます。  それともう一つは、この主任手当のことが実は論議になりました最初は、やはり文部省からこの人確法に基づく改善勧告の中で、主任についてひとつ何かの手当措置してくれぬかという話が前々からございました。その際に私たちといたしましては、実態は非常にまちまちで、学校によっていろいろ違うし、ひどいところでは五十も何もあるというようなところで、そういうものについて十把一からげに主任手当というようなことを言われても困りますよ、やはり給与の問題として取り上げるためにはそういうような点をきちっと制度化してもらって、こういうものはこういう実態にあるのだということでもってやってもらわなければ困りますということを要請いたしました。その結果、文部省も踏み切って省令ということの制定にきたわけであります。したがいまして、たてまえ論としてはそういうふうに制度化されたというたてまえがございますので、なおわれわれとしても慎重な検討はいたしますけれども、まず原則的にはその省令主任というものを対象にして、その中から適当な実態を持っているものをひとつ取り上げていくということになると思います。  いまお話しになりましたような、実態的にはやはり省令でないもので同じようなものが中にはあり得ると思います。特に国立学校あたりではいま局長が御説明申し上げましたような、明らかにやはり他の主任と同じような性格でさらにもっと重要性のあるかもしらんと思われるような主任もございます。ただ、それらの点は一般的には公立学校関係が多いものですから、文部省も、国立学校だけが何か特異なものが後で出てくることもいかがかというような、最初のことですから配慮がありまして、少し遠慮したと申しますか、同じようなテンポでもって物事を考えたというそういう気配がございます。したがいまして、こちらが具体的にいまどういうものを考えるかということは差し控えますが、将来にわたりましてもいま御懸念のような点が出てまいりますれば、その点は当然文部省もお考えになりましょうし、われわれの方も立場上、気のついたことがございましたら、これは当然やるべきじゃないかということで、文部省にむしろ意見の申し入れを実質上やりまして省令の改正をやっていただく、そういう努力をいたしたいと思います。
  210. 大内啓伍

    大内委員 もう時間がまいりましたので終わりにいたしますが、ただいま人事院総裁、大変含蓄のある、しかもこの問題については前向きの御答弁をいただいたと思うのでございます。また、給与局長におかれてもそれを裏づけられたと思うのです。  そこで、藤田総務長官、政府の代表者でございますので、いま人事院総裁給与局長も御指摘になりましたように、文部省令で制度化された学校主任以外にも、たとえば国立学校の教育実習主任等は、まさに人事院当局が指摘しておりますような教育活動について連絡調整及び指導、助言に当たる者に該当するものがまだまだ多々あるのでございます。ですから、文部省は文部省としてのメンツもおありだと思うのでございますけれども、そういう問題にとらわれず、政府としても、人事院のこの公正な立場も十分しんしゃくしながら、これまでの文部省令で制度化された学校主任にとらわれないで、公正な一つの結論が出てくるならば、これにはとらわれないで、さらに拡大するという方向をとられることがこれから大事なことだと思うのです。ですから、そういう点について前向きに検討するという姿勢だけはきょうの段階でお示しを賜りたいと思います。その総務長官の答弁を賜りまして私の質問を終わりたいと思います。
  211. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 政府といたしましては、人事院勧告を尊重するというのがたてまえでございますので、いま人事院からいただいております三つの給与に関する法案につきましては、ぜひ成立させていただきたい。それにつきましては、ただいま大内先生から各政党でコンセンサスを得るように、文部省令による主任ということにとらわれない方がいいぞ、こういう非常に貴重な御意見をいただきましたので、この点につきましては、文部当局とも御相談の上、弾力的に考えさせていただきたい、かように思います。
  212. 大内啓伍

    大内委員 どうもありがとうございました。
  213. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会