○小倉
参考人 ただいま
申しましたのは大体の段取りみたいなことを申し上げたので、
審議の中身はまだ御説明いたし足らなかったのでございます。が、ただいまのところまでの
審議の状況からいきますと、大体三つに分かれておりまして、
一つは、いま検討しております
税制のことにつきまして、その検討に当たっての基本的な
考え方というものが
一つでございます。もう
一つは、先般も御説明申し上げましたように、一部会、二部会と分かれまして、所得課税それから資産課税、消費課税、こういったようなふうに一部会、二部会と分けまして
審議したその
審議の経過を取りまとめまして、大体どういう問題についてどういう意見があったかというようなことを
審議して取りまとめるということにいたしております。その中にいまのお話のように所得税についてどう、あるいは法人税についてどう、あるいは一般的な間接税についてどうというようなことについてのいろいろの
審議が行われたわけであります。それでさらにそういうことを踏まえて中期
税制のあり方として今後どういう答申といいますか提案をするかということがいわば第三部になるかと思います。
今日までのところは第一部と第二部に重点がございまして、まだ最後の詰めといいますか、これからの提案というところまでの
審議にはまだ実は入っておりませんです。おのずから一、二を踏まえて第三が出てくるということでありますから、唐突に第三の提言が出てくるわけではないわけです。
そこで、いまお話しの少し具体的な話になりますけれ
ども、これはこの前お答えしたことをちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、大きく分けますと、まず所得税でございますが、これは筋としては、大幅の増税を
国民一般にお願いするとすれば、所得税によるのが最もいいんではないか。いわば所得税というのは、釈迦に説法でございますが、
税制の中心的な問題、能力に応じて国費を
負担するということになっておるものでございますから、筋としては大幅増税というのはやはり所得税によって行わるべきではないか、こういう意見がございます。これは
税制調査会での話でございますが、あるわけでございます。ただ、そうは申すものの、所得税について大幅増税が一体受けられるかどうかということになると、これは疑問がつくと、こういうことであります。
それからもう
一つは、所得税についてお願いするにしても、一般的な消費税あるいは間接税によって補強をするということがやはり必要ではないかというような意見も、所得税を中心に増税をお願いするという御意見の方もそれを否定なさるわけではないわけでございます。
法人税でございますが、法人税については、これは主として外国との比較でございますが、もっとも外国との比較は非常にむずかしいようでございますけれ
ども、若干の増税の余地はあるのではないかというような認識は大体一致しておるのではないかと思います。しかし、一部に伝えられるごとく大
企業に増税をすることによって今日の問題が解決するというような
期待はできないということも、大方
調査会の内部では一致しておるのではないかと思います。しかし、法人税についての増税ということも考える余地があるし、考えるべきではないか、こういうようなことになっております。
それから、住民税のことは所得税と準じて考えてよろしいと思います。
次に、いろいろの従来の間接税、物品税であるとか自動車関係の税でありますとかというようなものが多数ございまするけれ
ども、これらについて、物品税について一般的な増税をお願いするということはどうも物品税の性格からむずかしいのではないか、今日のように物の状態が非常に変わってくる、いい物が新しくできるとか、昔はよかったものも陳腐化するというような状態のときに、
税制上一々それを追っかけていくことは非常にむずかしい、かえって不公平なことになるということで、物品税について増税をお願いするということはどうも無理があるのではないかというのが、これまた大方の意見でございます。
自動車関係の諸税についてはいろいろ御意見がございまして、大体これは九つにもなるそうで、なるそうでと言っては失礼ですけれ
ども、なるんですな、九つに。九つもの税金をああだこうだといっていろいろな側面から税金を納めるような仕組みになっているのはまずまずおかしいのではないか、もっと簡単明瞭に一般の方に自動車なりガソリンを使わしてわかるように仕組んだらいいんじゃないかということが
一つあるわけです。
もう
一つは、財源が特定されておるというのがやはり困るのではないか。ガソリン関係、広く言えば石油問題、あるいはもっとさらに広く言えばエネルギー問題ということに大変な問題があって、そのやり方によっては大変なお金がかかるにかかわらず、ガソリン税は主として道路であるというような仕組みになっておるのが、これはどうもおかしい。もっとも、これまた道路関係の方から言えばちっともおかしくないという議論が出てくるわけでございまして、むずかしいことでございますが、そういう問題がある。
しかし、この問題について、中期
税制についてガソリン税、自動車関係税についてこうあるべきだという
結論を出すことはなかなかむずかしいのではないか、まあ時間切れみたいな
感じもあるわけでございます。まだ、これは
結論を得ておりませんけれ
ども、そういうようなむずかしい問題があるという認識でございます。
それから、漏れておれば失礼でございますが、新税の問題に移りますけれ
ども、
一つは土地増価税あるいは富裕税というようなこともございます。が、土地増価税というのはどうもむずかしいのではないかというのが、簡単に
申しますれば
税制調査会のおおよその意見である、
結論を得ていませんが、と申してよろしいのではないかと思います。
それから富裕税でございますが、富裕税につきましては、どうも
考え方としては了承できる面もあるけれ
ども、徴税上公平に把握できるかどうか、こういう難点がある。しかし、いまここで富裕税を適当でないとかどうかと言うのはまた尚早過ぎるので、その徴税上の問題。要するに外見的にあらわれる財産となかなか外見的に把握しにくい財産と両方ございますので、その辺の税務
執行上の公正さを期し得るかどうかというようなことが
一つの大きな問題点でございまして、それらについての考慮をした上でないと
結論は出しにくい。
もう
一つの問題は、間接税を一般的に増税してその
負担をお願いするということになれば、これは一般
国民大衆が
負担するわけですから、特別のお金をお持ちになっている方は
それなりにまた御
負担を願うというふうなことがよろしいのではないかという
考え方も当然ございますので、そういうことともやはりにらみ合わせて考える必要があるだろう、こういうことでございます。
なお、そのほかに新税としていわゆる広告税あるいはギャンブル税というようなこともございますが、どうもギャンブル税というのは、公式のギャンブルの話ですけれ
ども、公営
企業としてやられているギャンブルについての収得金といいますか収益は、それぞれ公益のために使途されておる、場合によっては一般
財政の収入の中に組み入れられておるということになっておりますので、それに税金をかけるというようなことは一体どういうことになるのかということについて、ちょっと簡単には理解しにくい点があるということもございまして、これはどちらかと
申しますと消極的でございます。
広告税については両論ございます。広告について広告税を課税すべきであるという意見と、どうもそれは、どうしても今日のような自由主義社会での広告というのは
それなりにまた役割りがあるので、それに税金をかけるのは適当でないではないかという御意見と両方ありましで、
結論はなかなか得にくい状態でございます。
最後に大きな問題の新税としては、いわゆる一般的な消費税でございますが、この消費税については、すでに昨年の中間報告、中期
税制の
審議の中間報告の中で製造者消費税、EC型の付加価値税、それから大型売上税といいますか大規模売上税と
申しますか、それから大規模の取引税、こういう各種の税についての長短を論議いたしまして、それらの
審議を行ったわけですが、引き続いて昨今再びこの一般消費税のあり方について討議いたしまして、まだ
結論は得ておりませんけれ
ども、どうも一般売上税の方向で考えた方がよろしいのではないか。ただ、これについてもいろいろ問題がございます。問題もございますと言いますか、もっと具体的な内容についてもう少し詰めてみる必要がある。そこで、先ほど
申しましたような所得税、大きく言えば所得税、法人税あるいはこの一般消費税、それをどのように組み合わせて中期
税制のあり方としての
税制を組み立てたらよろしいかというふうなことが、今後のこの
審議の主要な課題になろうかと、こういうふうなことでございます。