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1977-08-03 第81回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年七月二十七日)(水 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       砂田 重民君    丹羽 久章君       林  大幹君    原田  憲君       村上 茂利君    村山 達雄君       毛利 松平君    山崎武三郎君       山下 徳夫君    山中 貞則君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    川口 大助君       川崎 寛治君    沢田  広君       只松 祐治君    村山 喜一君       大久保直彦君    貝沼 次郎君       宮地 正介君    高橋 高望君       荒木  宏君    小林 正巳君       永原  稔君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十二年八月三日(水曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 小渕 恵三君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 山下 元利君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 永末 英一君       愛知 和男君    池田 行彦君       大石 千八君    鴨田 宗一君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       砂田 重民君    丹羽 久章君       原田  憲君    村上 茂利君       村山 達雄君    毛利 松平君       山崎武三郎君    山下 徳夫君       山中 貞則君    伊藤  茂君       池端 清一君    大島  弘君       川口 大助君    川崎 寛治君       沢田  広君    只松 祐治君       村山 喜一君    宮地 正介君       高橋 高望君    荒木  宏君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  高鳥  修君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    門田  実君         法務省刑事局参         事官      山口 悠介君         大蔵事務次官  吉瀬 維哉君         大蔵大臣官房長 佐上 武弘君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省証券局長 山内  宏君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁長官   磯邊 律男君         通商産業省産業         政策局調査課長 杉山  弘君         通商産業省生活         産業局繊維製品         課長      赤川 邦雄君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      前川 春雄君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 七月二十七日  有価証券取引税法の一部を改正する法律案(村  山喜一君外九名提出、第八十回国会衆法第一四  号)  法人税法の一部を改正する法律案村山喜一君  外九名提出、第八十回国会衆法第一五号)  土地増価税法案村山喜一君外九名提出、第八  十回国会衆法第一七号)  所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正す  る法律案坂口力君外四名提出、第八十回国会  衆法第一八号)  法人税法の一部を改正する法律案坂口力君外  四名提出、第八十回国会衆法第一九号)  銀行法の一部を改正する法律案村山喜一君外  九名提出、第八十回国会衆法第四三号)  貸金業法案坂口力君外三名提出、第八十回国  会衆法第四九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月三十日  昭和五十二年産葉たばこ収納価格引き上げ等  に関する陳情書(  第一五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  閉会審査に関する件  国の会計税制及び金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 小渕恵三

    小渕委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項の各事項につきまして、 今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 小渕恵三

    小渕委員長 この際、先般新たに就任されました吉瀬事務次官等より発言を求められておりますので、これを許します。吉瀬事務次官
  5. 吉瀬維哉

    吉瀬説明員 去る六月事務次官に就任いたしました吉瀬でございます。理財局主計局在任中は大変お世話になりましたが、今後ともよろしくどうぞお願いいたしたいと思います。(拍手
  6. 小渕恵三

  7. 佐上武弘

    ○佐上説明員 官房長の佐上でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  8. 小渕恵三

  9. 長岡實

    長岡説明員 長岡でございます。官房長時代、二年間にわたりまして格別お世話になりました。まことにありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手
  10. 小渕恵三

  11. 戸塚岩夫

    戸塚説明員 理財局次長から関税局長を拝命いたしました戸塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  12. 小渕恵三

  13. 田中敬

    田中説明員 理財局長を拝命いたしました田中でございます。一年間経済企画庁官房長として出向しておりましたが、今後よろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手
  14. 小渕恵三

  15. 山内宏

    山内説明員 証券局長を拝命いたしました山内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  16. 小渕恵三

  17. 徳田博美

    徳田説明員 銀行局長を拝命いたしました徳田でございます。よろしくお願いいたします。(拍手
  18. 小渕恵三

  19. 旦弘昌

    旦説明員 国際金融局長を拝命いたしました旦でございます。関税局長時代格別お世話になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  20. 小渕恵三

  21. 磯邊律男

    磯邊説明員 東京国税局長から国税庁長官を拝命いたしました磯邊でございます。国税庁次長時代大変お世話になりました。二年間、東京国税局長として第一線に出ておりました。また、格段のお世話になると思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  22. 小渕恵三

    小渕委員長 この際、御報告申し上げます。本会期中、参考送付されました陳情書は、昭和五十二年産葉たばこ収納価格引き上げ等に関する陳情書一件であります。      ————◇—————
  23. 小渕恵三

    小渕委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  まず、閉会審査申し出の件についてお諮りいたします。  すなわち、いずれも第八十回国会より継続審査となっております。  村山喜一君外九名提出  有価証券取引税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  土地増価税法案  坂口力君外四名提出  所得税法及び有価証券取引税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  村山喜一君外九名提出銀行法の一部を改正する法律案  坂口力君外三名提出貸金業法案 並びに  国の会計に関する件  税制に関する件  関税に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件  外国為替に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件  印刷事業に関する件 及び  造幣事業に関する件の各案件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中の小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先般の理事会で協議いたしましたとおり、  それぞれ小委員十六名よりなる  税制及び税の執行に関する小委員会  金融及び証券に関する小委員会  財政制度に関する小委員会 及び  金融機関の週休二日制に関する小委員会を設置するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、各小委員及び小委員長選任、辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。触って、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、公報をもってお知らせすることといたします。  次に、閉会審査におきまして、委員会及び各小委員会において参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員の人数、氏名、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  29. 小渕恵三

    小渕委員長 国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、金融に関する件について、本日、参考人として日本銀行総裁前川春雄君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 小渕恵三

    小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  31. 小渕恵三

    小渕委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  32. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょうは大変時間が少ないわけでございますので、余り細かいことはお伺いいたしませんが、衆議院、参議院の本会議では余り詳細にわたっては、いまの景気状況なりこれからの施策について、本会議ということもありまして、十分な論議ができませんので、ひとつここで、限られた時間ではございますけれども大臣現状認識及びその対策について若干お伺いをしていきたいと思うのであります。  まず、景気状況の判断の問題でありますけれども、われわれが参議院選挙をやっているさなか、福田総理は繰り返して、八月の状況を見れば、ある程度公共事業前倒し効果も出てきて、八月には若干これは上向くのだということを盛んに言っていらっしゃったし、本会議においても大体そういうことが基調になっていたわけですね。ところが、国民にとってみますと、実感といたしましては、どうやったら一体八月に景気が上向くのだろうかという非常に違和感があるのが実態だと思うのであります。  ここで、本会議でもそれ以上は述べられておりませんので、一体公共事業前倒し効果というのが、これは四月から五十二年度の予算が始まったわけでありますから、いろいろなラグがあることは間違いありませんけれども、もう少し国民にわかるように、公共事業前倒し効果というのが八月ぐらいにこのぐらい出てくるのだ、ですから、それを一つの段階として上昇気流に乗っていくのだという説明がないと、国民は、本当に八月に幾らか上向くのだろうかということには非常に疑問を持たざるを得ないと思うのであります。  細かいことは結構でございますけれども、首相の言う八月になればある程度景気の目安がつく、あるいは公共事業前倒し効果があらわれてくるということが、一体実務的にはどういうことでそういうことが言えるのか、その辺からまずお伺いをしていきたいと思うのであります。
  33. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申します。  御案内のとおり、景気を浮揚するために先年の末からいろいろなことをやっておりまして、御案内のとおり予算が通ったのは四月の半ばごろでしたが、その後に前倒しの計画を立てましてこれをやった。それからまた三−四月には日本銀行による公定歩合引き下げから、預貯金それから貸出金利といったようなものを下げるという方向にまいりまして、これは相当な追随率を示しているわけです。そういうようなことをやっております。が、まだなかなか民間需要だとかあるいは設備投資だとかにまでこれが及んでいっていないというようなことで、景気が緩やかなる上昇はしておりますけれども、目に見える、国民に安心してもらうところまでいっていないということは御指摘のとおりです。  そこで私も大変心配いたしまして、今日までの予算公共投資等について、去年、おととし、ここ数年の間の公共投資効果がどんなタイムラグがあったかというようなことをいろいろ調べさせてみたのでございますけれども公共投資がいよいよ実体経済の、資材だとかあるいは労力、そういうようなものに響いてくるのは、大体四、五、六にそういう契約をやりまして、末端の実体経済が七、八、九と、四、五、六がそれぞれ七、八、九というあたりに響いてくるというのが毎年毎年の予算執行パターンのようでございます。そういうことから考えてみますと、前倒し効果が響いてくるのは七月の末からでございますから、七、八、九というあたりにならなければ——もう七は済んでおりますけれども、要するにそういう二カ月なりあるいは三カ月というようなタイムラグを持っておるということが毎年のパターンなんです。そういうことを考えまして、私どもは少なくとも八月あたり経済状況を見なければ——第二、第三といったような臨機応変の措置総理は言っておりますけれども、その状況をひとつ見きわめたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこでちょっと話が前後します。けれども、私、後から少しお伺いしますが、不況業種対策その他のこともありまして、かなり日本は過剰の設備を抱えておるわけですね。そういったようなことを考えてみますと、ここでもう少し皆さん方コンセンサス一緒にしなければいかぬのは——コンセンサス一緒にするという日本語はちょっと誤っているかもしれませんが、言葉の統一をしていかなければいかぬのは、景気回復というのは一体どういう認識なんだろうか。  これは実は非常にむずかしい問題で、余り抽象論を言っていてもしようがないのですが、景気回復というのは、「月例経済報告」によってもいまもある程度景気回復状況にあるけれども非常に緩やかだ、物によっては一進一退だということだと思うのであります。もちろん高度成長のようなものを私たち望むべくもありませんけれども、いわゆる政府が約束をした成長率あるいはもちろん物価の問題についてもそれくらいな、いわゆる政府の約束した成長率が達成をされるところくらいまでいけばまあ景気回復した、こういうような認識なのかどうなのか。ちょっと話が前後いたしますけれども、その点について大臣の、これはある意味では抽象的な言葉になりますけれども、ちょっとお考えをお聞きしておきたいと思います。
  35. 坊秀男

    坊国務大臣 御質問の趣旨は一体どの程度までいったらもう景気回復したんだというのかというようにお聞きをしたのでございますが、これを数字稼働率がどうなるとかあるいは六・七%の中でどこまでいったらこれが回復だということを指標によってお答えするのはなかなか困難なことだと思いますけれども、要するに六・七%の実質成長率というものを目途としてやっておるのでございますが、そういうことになりますと、ことしのうちの何月になったらその六・七%にどこまで近づいていくか。それと、だんだんそれに近づいていくスピードと申しますか伸率と申しますか、その伸率によって将来が相当見通しができる、私はかように考えますが、その六・七%は、われわれといたしましても絶対に達成したい、また達成するように持っていきたい、かように考えておりますので、数字でどこまでということもさることながら、この見通しがいよいよつくというような見きわめがついたとき、そこでぴしっと、これでもういいんだというわけではございませんが、そういうようなことも勘案いたしまして、そしてこれはいよいよ景気回復する状況にあるということが見通し、また見きわめられることになるんじゃないかと考えます。
  36. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 前川総裁にお伺いをしたいのでございますけれども、実は景気回復という言葉の中身は何かということになると、一見いかにも抽象論のように思いますが、日本経済の構造的な不況状況を見てみますと、実はこれはそう抽象論の問題ではなくて、景気回復というのは一体どういう状況かということは私は非常に重要な要素だと思うのです。  まず、景気回復というように日銀が考える場合に、ある程度どういう状況を想定なさっているのかということが一点。  もう一つは、公定歩合引き下げの問題です。公定歩合引き下げは、うそを言ってもいいということになっておりますから、そうそうあれでございますけれども、しかし、いま日本ですでに五%の公定歩合になっている。これ以下というのは先進国ではスイスと西ドイツぐらいですね。果たしてこれ以上下げる必要があるのか、また、下げて新しい有効需要設備投資というものが果たして喚起できるんだろうか。そして釈迦に説法でありますけれども公定歩合を下げるということになれば、当然預貯金金利も下げていかなければならぬ。いまの制度の中では、それはやむを得ないことになっているわけでありますから、そういったようなことを考えますと、公定歩合引き下げというのは、この前、七月の半ばに森永総裁がはっきりとノーと言っているわけでありますけれども、私もこれ以上下げる必要ないし、下げたとしても経済効果というものは非常に疑わしいし、しかも一般国民には預貯金金利のなお一層の引き下げ、ひいては目減りということになってくる。それだけの経済効果が果たしてあるだろうかというふうに考えるわけでございます。  以上二点について、どういうふうにお考えになっているか、副総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
  37. 前川春雄

    前川参考人 日本銀行前川でございます。  日本銀行といたしまして、いまの景気情勢をどういうふうに判断しておるか、また景況、景気回復というのをどういうふうに考えておるかというお尋ねでございました。  ただいまの経済情勢でございまするけれども、御案内のように、鉱工業生産の方は素材産業を中心に非常に緩慢な増加しか見せておりません。一方出荷の方も、実はわれわれが期待いたしましたほど回復を見せておりません。その結果、在庫が若干ふえておるというのが現状でございます。ことしの初め、春ごろから在庫調整というのがもう少し進むはずだ、また進むことが景気回復にとって必要なことであるというふうに判断しておりましたわけでございまするけれども、いま申し上げましたように、在庫調整の方は進行がはなはだ遅々としておるという状況でございます。  景気状況につきまして一番大事な需要動向でございまするけれども、これまた輸出あるいは公共投資については上昇あるいは増加傾向にございまするが、消費あるいは企業設備投資の面は依然として盛り上がりを欠いておるということでございまして、そういう点からいまの状況を率直に申しますると、景気が実質的に上昇していくというふうには見られないわけでございます。  どういう状態になれば景気回復として考えることができるかということでございまするけれども、いま申し上げましたようなところから、在庫調整が進み、需要動向も各項目についてバランスのとれた回復が行われるという事態が望ましい、またそういう事態をわれわれも望んでおるわけでございます。  そういう現在の事態、あるいは景気が非常に緩慢な上昇を続けておるわけでございまするけれども、私どもといたしましてはこの状況景気が失速するあるいは落ち込むというふうには考えておりません。いまの景気の緩慢な上昇が続くに従いまして、いま申し上げましたような景気回復過程ということに入るのではないかというふうに思っております。そういうことを考えまする根拠には、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたような財政面措置であるとかあるいは金融面公定歩合引き下げ効果、これが漸次これから顕現してまいるであろうというふうに思っておるからでございます。  公定歩合につきましてはどういうふうに考えるかというお話がございました。公定歩合を三月と四月に二回、合計一・五%引き下げたわけでございます。その結果、金融機関貸出金利低下はその後きわめて順調に進んでおります。六月には全国銀行約定平均金利が〇・二五%下がるという非常に大幅な低下がございました。もちろん、いまのように資金需要が低調でございまするから、そういう背景があってのことではございまするけれども、今度の公定歩合引き下げ果効がきわめて迅速に貸出金利面に浸透しつつあるということが言えると思います。この状況は今後もまだ続くことをわれわれは予想しておりますし、また期待もしておるわけでございます。  一方、長期金利につきましても、こういうふうな短期金利低下傾向を映しまして、公社債市場価格は非常に上がってまいりました。公社債の条件につきましても年初来今度決まりました八月の分を合わせますと三回改定があるわけでございまして、その低下状況につきましても銘柄によって違いますが、国債につきましては年初来一・二%、事業債につきましては一・七%の低下があるわけでございます。こういう状況企業収益に対しまして、金利負担の軽減という面を通じて企業収益に非常に大きな貢献をすると思います。その結果、これが企業マインドを活気づける、企業活動そのものを活発化するという効果があろうと思います。  いまお尋ねのございました設備投資につきましては、御指摘がございましたように、全般的には稼働率が低いわけでございまするから、経済全般、各企業業種全般にわたりまして設備投資が活発化するということはあるいは期待できないかもしれませんけれども業種によりましては、いま申し上げましたような企業収益の改善を通じまして企業マインド回復というような効果があるものと思っております。  ただ、それでは公定歩合についてどう考えるかということでございまするが、いま申し上げましたように、その効果は現在浸透しつつある段階でございます。私どもといたしましてはこの効果が浸透する状況を十分見きわめていくことが必要だろうというふうに考えておりまして、現在公定歩合につきましてどうこうするというようなことにつきましては全然考えておりません。  お答え申し上げます。
  38. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 次に、大臣の冒頭のお話にもございましたように、期待するのは公共事業効果がこれからじわじわと景気回復にあらわれてくるのではないか、こういうことになるわけでありますけれども、従来のように公共事業が新しい民間の設備投資意欲あるいは設備投資自体を起こして景気回復のスプリングボードになっていくのだというのは、ちとそうはならないのではないか、景気の下支えぐらいにはなるけれども、そこまではいかないのじゃないかという気がしてならぬのであります。  そこで、若干事務当局にお伺いをしておきたいのであります。この六月末の公共事業等の契約状況が契約率五〇・二%とありますね。これは一般会計、特別会計政府関係機関、公団及び事業団全部含めてでありますが、歳出予算現額が九兆九千七百六億円のうち契約済み額が五兆三億六千万、こういうことになっているわけでありますけれども一つはこの契約済み額の五兆円の中で土地代金、用地買収費、これが一体どのくらいの額になっているのだろうか。大体公共事業の二割が用地費というのが常識になっているわけであります。けれども、契約でありますから、ある程度土地が済まないことには前に行けないわけで、そういった意味では歳出予算現額がざっと十兆円といたしますと、五兆円のうちの約二兆円というものは用地買収費、二兆円までいかないにしてもそのくらいになるのじゃないだろうか。そうすると、五兆円から二兆円を引きますと約三兆円ぐらいの新しい公共事業としての需要効果しかないのじゃないだろうかという気がするのです。その辺の数字的な問題がどうなっているか。  もう一つは、この契約状況を見てみまして私の若干感ずることは、従来のように大型の公共事業ではありませんから、道路とか港湾とか鉄道とかのように資材を非常にふんだんに使う公共事業よりも、むしろ公園とか住宅とか環境施設、こういったような内容的には福祉型の公共事業になっている。したがって、そこで使うところの鉄とかセメントとか、そういった資材の需要量というものはかつてほどはないのではないだろうか。そういうことを考えますと、これからの景気回復のスプリングボードに公共事業というものがなり得ないのじゃないだろうか、せいぜい景気の下降するのを下支えする程度ぐらいにしか経済効果としてはないのじゃないだろうか、余り公共事業というものに過大に期待をすることは経済的に見ても間違いではないだろうかという気がするのであります。けれども、その点についてはいかがでございますか。
  39. 松下康雄

    ○松下説明員 お尋ねの二点でございますけれども、まず用地費の問題でございます。私どもは契約済み額の計数をとります際に、非常に急いで数字を集計いたしまして、できるだけ早くまとめたいということで処理をいたしておりますために、その内訳として用地補償費がどれぐらいの割合になっているかというところまで実は計数的には把握をしていないのでございます。過去の傾向から見まして、公共事業全体のうちの用地補償費の占める割合は大体において二〇%程度でございます。今回の契約促進に当たりましては通常の公共事業の用地費の割合に対してどんな傾向になっているだろうかという点は推測するほかはないわけでございますけれども、非常に急いで契約を完成していきますためには、時間をかけて用地買収の交渉をするという手段は必ずしもなじみませんので、私の推測では、恐らく先行取得されておる用地も相当ございまして、この契約を促進する事業としましては、ウエートはどちらかといえば先行取得された用地を活用して工事の契約をやっていくという方にあるのではなかろうか。少なくとも用地費等のウエートが従来の傾向以上に今回の契約済み額の中で大きくなっているとは考えられないわけでございます。  それから、第二点の、生活環境事業のウエートが高くなっていることが公共事業景気を支える効果に影響を持っておるかどうかという点でございます。  公共事業の性質別の内容を検討いたしますと、御指摘のように住宅、下水道あるいは公園、環境衛生というような生活関連の事業のウエートは年年高くなっております。この約五年間で比較をいたしましても、四十八年度にはそれらの事業は約一七%を占めておりましたけれども、五十二年度予算では二四%程度までその割合が上昇をいたしております。ただ、生活関連の公共事業でございますから、必ずしも大プロジェクトというわけではございませんけれども、内容的にはやはり労務費、資材費等を通じまして所得なり需要喚起の効果を持つものでございまして、これらの事業種類ごとのいわば生産誘発係数というものはどうなっておるか、専門家の話を伺いますと、たとえば下水でありますとか建築関係、住宅でありますとかは、公共事業の種類の中としては生産誘発効果はむしろ高い方に属しておるということでございまして、この生活関連の事業量がふえておるということから、公共事業景気に対する効果が従来と比べて非常に低下しておるという傾向はないものと考えております。
  40. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 若干それも疑問があるのでありますが、きょうは余り時間がないものですから先へ進ましていただきます。  もう一つ景気の問題で大きな問題は、構造不況業種を一体どうするかという問題になるわけであります。  私も、通産省からいろいろお話をお伺いしましたし、大体現状についても認識しているつもりでありますし、平電炉、アルミ精錬、塩化ビニール、化学肥料、繊維、ダンボール原紙、このあたり状況も大体掌握しているつもりであります。中小企業庁でも緊急対策あるいは雇用安定ということでそれなりの対策をしているわけであります。が、私は、特に問題になるのは過剰設備対策だと思うのであります。物によってはすでに不況カルテルが実施をされていて、たとえば設備の三〇%の封緘だとかいったようなことがなされているわけで、事実、過剰設備対策といっても、では具体的にそれ以上何ができるのだろうかということについては非常に疑問を私は持つのでありますけれども、実際に通産省なら通産省の担当する業種の中で、ではより過剰設備対策としては何をやっていくのか、少し具体的にお伺いをしたいのであります。
  41. 杉山弘

    ○杉山説明員 お答え申し上げます。  過剰設備対策でございますが、いま先生御指摘になりましたような各業種、それぞれ実態が違うわけでございます。一番進んでおりますのは御存じの平電炉でございますが、これは現在でも約七百万トン近い過剰設備があると言われております。が、そのうち約三百三十万トン分につきましては五十三年度までに廃棄または凍結をしようということで、いま業界と私どもの担当の局との間で細目の詰めが行われております。  それから、たとえばアルミは構造不況業種と言われておりますけれども、これは実は国内の電力コストの上昇というのが一番のポイントでございまして、長期的に見ますとむしろ過剰設備の存在というものは余り考えられませんので、こういったものについてはむしろ設備の処理の問題は起こってまいらないと思います。  それから、他のたとえば塩ビでございますとか繊維でございますとか、こういうものについても御指摘のように過剰設備がございます。こういったものにつきましては、いま業界と通産省との間で具体的な過剰設備の処理の問題についての詰めが行われております。したがって、私ども、そういった業界ごとの具体的な事情に応じましてどういう方法で過剰設備の処理をやったらよろしいかということにつきまして早急に成案を得るべく努力をしているというのが実情でございます。
  42. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これももう少し時期を見てお伺いをさせていただきたいと思うのであります。  それから大分時間もないものですから急ぐのですけれども大臣、補正予算の問題がどうしても浮かび上がってくるわけですね。前半のお話をお伺いしていたら、まだ景気の先行きし状況は八月末ぐらいまで見てみないと完全にはわからないという御答弁でございますから、まだ補正予算問題も十分頭にないと言われるかもしれませんが、閣議後の記者会見でも、若干補正予算のことも大臣は言われているようでございます。余り私は細かいことをお伺いしませんが、やはりここで問題になってくるのは財源の問題だと思うのですね。補正予算の中身等もいろいろありますけれども、財源の問題に大蔵委員会としては非常に注意しなければいかぬと思うのであります。私も税収の状況について若干お伺いしましたけれども、前年に比べて一ポイント高いといっても、それは細かに見てみますといろいろな要素があるわけで、このままそれが完全に十分な税収が上がるんだということにはどうもいまの状況でならぬ。そうなってきますと、財源として考えられるのはやはり国債の発行ということしかないわけですね。建設国債ならそれは赤字国債ではないとはいうものの、それにしても皆さん方が決められた国債依存率三〇%の枠というのはよもやお外しにはならぬだろうと思うのであります。ざっと計算してみても、三〇%の枠といいますと一千億少々しかないわけですね。一千億では、恐らくこれからやっていくであろう公共事業等の補正予算といっても、これでは経済効果としては考えられない。そうなってきますと、大臣もきのうどこかで、事によっては三〇%の国債依存率の枠を外すことも緊急避難的にはやむを得ないというような趣旨のことを述べられたやに新聞は報道しているのでありますけれども、これはやはり大変な問題だと思うのであります。三〇%というのがどういう数字かということについてはいろいろな問題があるでしょうけれども、いずれにしろ、今日まで皆さん方との議論の中で三〇%の国債依存率というのはアッパーリミットだということを言われてきた以上、財政の節度として後代にわたる国債発行というものはこれからむしろ減らしていかなければいかぬときに、三〇%の枠を超えるということは大変な問題だと思うのであります。この点について新聞報道が間違っているならその点もお改めになって、補正予算については、組まれるなら一体どういう財源を考えられているのか、また国債依存率については現在置かれている状況を踏まえて大臣はどういうふうに考えていらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  43. 坊秀男

    坊国務大臣 大変御心配をしていただきまして本当にありがとうございます。  けさ、一、二の新聞を見て私も驚いたのでございますけれども、財源が税の自然増収がないし、それから何かの歳出面における節約もないといったようなときに補正予算を組むということは、佐藤さんに御心配していただいているとおり、そういうことになるとこれはどうしても公債でいかなければしようがないじゃないか、されば今日公債でいくということは容易ならざることであり、大問題であるから、私は、慎重にやっていかなければならないというような気持ちです。何も公債を発行するというようなことを申したのではありません。私は、できるだけさようなものは発行しないでいきたい。三〇%という数字については、三〇%そのものには理論的根拠があるかと言われましたら、これはこういう計算によってはじき出したものだというようなものではありませんけれども、少なくとも公債発行についての一つの歯どめということについては、何らかの数字がなければやれない、さような意味において三〇%ということには意味がある。この線を踏み越していこうというようなことを私は言ったつもりは毛頭ないのでございます。  そこで、そこから出発いたしまして、実は補正予算ということについてでございますけれども、目下のところは先ほども申し上げましたとおりです。私は、八月に相なりますれば、相当いままでの手段、方法の効果が浸透してまいりまして、そしてこれはよくなっていくということを信じております。いまそれを考えながら、補正予算の財源を佐藤さんに御心配していただいておることはありがたく感謝しつつ、その補正予算の財源をどうするかということについては考えておりませんけれども、一般的に申し上げますと御案内のとおりです。今日まで三年間続けて三〇%、三〇%、三〇%に近い公債を発行してきておる。そういうようなことを続けてまいりまして、さらにそれをせきを切るというようなことをやってまいります。と、日本財政の将来というものは憂うべき事態になる。これは詳しいことを申し上げなくても十分御存じのことでございましょうが、世界各国の公債発行というものに比べてみましても、いまそういう公債を発行しておるという国はございません。さようなことから、この財源については慎重に考えていかなければなりませんけれども、目下のところは、私の頭の中には、とにもかくにも景気をよくしていって、そしてそういうようなことのないように持っていこうというふうに考えておるときでございまして、この段階におきまして補正予算、あるいはいわんやその財源について考えておるということはございません。けさの新聞は全くそういうような意味でございますので、さように御了承願います。
  44. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 もう一つ伺いしておきたいのは、投資減税と言われている問題なんですけれども、きのうの参議院の本会議でも、大臣もかなりはっきり否定的な見解を述べられていらっしゃいますし、どうもいまの言われている議論だと、もうかったところには投資減税をして新しい投資を呼び起こすんだというような発想からいきます。と、これは法人税収に直ちにはね返ってくる問題でもあり、またすでに租税特別措置でかなりの割り増し償却等が行われていて、それすら問題になっているときに、投資減税というのは、税の体系からいっても非常にいびつにするものであって、大変これも問題が多いんじゃないかと思うのでありますけれども、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  45. 坊秀男

    坊国務大臣 投資減税につきましては、佐藤さんのお考えは消極的のように承ったのでございますが、私も同感でございます。その理由等参議院でお答え申し上げましたが、改めてお答え申し上げましょうか。(佐藤(観)委員「いいえ、大体それでいいです」と呼ぶ)何でしたら改めてお答え申し上げますが、時宜を得た措置ではないように私は覚えております。
  46. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 大体お互いに税制の問題についてはわかっておりますので、いまの大臣の最後のお言葉で大体了解をいたします。  最後に大臣、お伺いをしておきたいのでありますけれども、けさの新聞あるいはきのうのかなり遅くのニュースで、デノミを実施することを閣議で決めたんだというやに報道がされているわけです。いままでデノミの問題については、いろいろ憶測記事や何かありましたけれども、あれだけはっきり報道等で出たのは初めてなので、この点は本当なのかどうなのか。それともう一つ、いまこの時期にデノミ、恐らく百分の一ということになると思いますけれども、するということについて、一体どういう効果が、もし考えていらっしゃるならあるのか。それからいつも言われておりますように、デノミをすれば必ずこれは物価上昇に響いてくるわけですね。こういう時期に、とてもやれる経済情勢じゃないと思うのでありますけれども、これは全く報道が間違っていたことなのかどうなのか。かなりあれだけの報道が出るからには、大蔵省の方で新聞記者の方々にリードをした面があるんだと私は思うのでありますけれども、それは全くこれも誤報なのかどうなのか、この席をかりて大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  47. 坊秀男

    坊国務大臣 お答え申し上げます。  長い間大蔵委員会一緒に勉強をさせていただいた佐藤さんでございます。だから、党は違いますけれども、地下水がどうやら通じておるというような感が深い。けれども、なれ合いというわけではありません。佐藤さんのおっしゃられるように、あえて新聞の記事が誤報と、そういうことを私は申しませんけれども、今日この際デノミをやっていくというような気持ちは私にはございません。  そういうようなことで、私は一部の新聞を見ましたから、必ずこの大蔵委員会で私に対する何らかの御質問もこれあるように私は思いまして、福田総理にどうなんですか、こういうことを電話ですがお聞きいたしました。そうしたら、最初に佐藤さんがおっしゃられたように、デノミということには一般論としては、それは日本のいまの為替レートの三けたといったようなこと、そういうのはイタリアと日本だけのようでございますから、そういうようなことは改めていくべきものではある。それからまた予算を扱うにいたしましても、国民所得を扱うにいたしましても、気の遠くなるような数字を挙げていかなければならないというようなことですから、確かにデノミというものにはやれば効果があろうと思いますが、しかしその反面におきまして、これは国民心理と申しますか、そういったようなことに作用いたしまして、物価の便乗値上げといったようなものがないとは保障しがたい。そういうようなこともこれあり、今日この事態におきまして、私は学者じゃありませんから、それは学説、学理はどうか知りませんけれども、デノミをやっていこうというような考えは私にはございませんし、総理もおまえの言うとおりだ、こういうことでございましたので、この際御報告がてら申し上げておきます。
  48. 小渕恵三

    小渕委員長 只松祐治君。
  49. 只松祐治

    ○只松委員 私は、きょう主として税制についてお尋ねをいたしますが、税制は当然に景気というものが一つの大きな要因になります。したがって、日銀副総裁もお見えになっておりますので、景気の動向について一、二お聞きをしておきたいと思います。  景気回復させるというのは福田さんの一枚看板ですし、また国民も要望いたしておりますから、そのこと自体においては誤りではない。ところが、実際上はなかなかそうではない。たとえば皆さん方が銀行、都市銀行、地方銀行、信用金庫、こういうところへおいでになってごらんなさい。とにかく金の借り手がない。何かいい金の借り手がないだろうか、どこもこぼしておりますね。都市銀行や地方銀行等には、少しこういう不景気になったり何かしたときにはないのですが、信用金庫あたりは不景気になりますと金の借り手が引きも切らないというのがいままでの現象ですね。ところがいま信用金庫、信用組合でも金の借り手がない。特にいい金の借り手というのは絶無に近い、こういうことなんです。  これをたとえば産業の面から割ってみますと、設備投資の減税をするとかしないとか言われておりますように、いわゆる設備も冷え切って、過剰設備ですから、ここで投資は起こってこない。商店や何か拡大して、流通の段階で何かそこに景気回復の要素があるか。ここも次の消費が増大しないわけですから、流通関係のところに新たな設備投資やそういう店舗の拡大というのは起こってこない。若干給料は上がっておりますけれども、これはインフレによって食われてしまっておる。こういうことで具体的な本質的な消費の増大というのは起こってこない。こういう生産、流通、消費、どこの部面をとってもいまの日本には景気回復という状況はあらわれておらない。確かに一部の輸出産業や何か伸びておりますから、日本全体の産業、いわゆるマクロの面としては若干伸びておるものはありますし、六・七%とか何とかおっしゃっておるように、マクロとしてみれば多少そういう状況が出てくるかもしれない。しかしミクロのそういう個々の問題、構造不況はもちろんでございますけれども、全般的に個々の部面をとってみると、ほとんどそういう景気回復状況というのは見るべきものがない。たとえば私の川口なんか景気一つの大きなバロメーターをなすのですが、かつて五百社あった鋳物工場がいまは三百社、二年以内に百社を割るだろう、五十社近くになるだろうと言われております。  こういう経済の実際の動向を大臣は把握されておるかどうか、あるいはそういう状況に対してあくまでも、いや六・七%なり何なり、日本経済は着実に上向いておる、今後上向く、こういうふうにお考えになっておるかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 坊秀男

    坊国務大臣 御指摘のとおり現在の状況は、私は景気が非常に上向いておるというようなことは考えておりません。ただしかし、底が抜けてしまっておるというふうにも考えておりません。そういったような事態に即しまして、先ほど来御答弁申し上げましたとおり、鋭意これが回復に向かって努力を続けておる、その効果が遠からずあらわれてくるものだ、こういうふうに私は考えております。またぜひともそういうふうに持っていかなければならないということを考えております。だから私は、ただ、いまは非常に緩やかだ、そこでその暗い面ばかりを見まして、景気というのは気のものも相当作用するものでございますから、そこで暗い面、これは無論明暗両方を見ていかなければなりませんけれども、暗い面だけを強調していくということもどうかと思うのです。しかし只松さんが国会議員として非常に御心配をしていただいておるということにつきましては、私は只松さんに対しまして非常にありがたく思っておりますが、私はただ、この事態がこのまま冷え切ってしまうというふうには考えておりません。
  51. 只松祐治

    ○只松委員 私がどう思っている思っていないは別にしまして、日本景気はよくならないと私は言っているのです。大臣はよくなると言う。そこは大変違うのですね。しかしこのことはきょうは佐藤君も若干やっておりますし、私はこれが主題ではありませんで、ただ大臣の言うように景気が上向くとするならば、後でお尋ねいたします新税やその他の問題について、あるいは本年度のいまからの税収の問題、そういうことで法人税というのは非常に違ってくるわけです。ちょっと景気がよくなると税収というのは非常に伸びてくる。景気が悪くなるとがたんと落ちちゃう。今後の税収、したがって来年度の税制の問題に非常にかかってくるから、大臣は伸びるとこうおっしゃっているのですから、そういうことで次の税制の問題を私は論議したいと思う。  せっかく日銀副総裁、お見えになっておりますからお尋ねしたいのですが、「わが国における金利弾力化の歩み」、調査月報の中にそういう項目がありました。その中で今度は非常に珍しくといいますか、金利の弾力化をやるべきだ、こういうことを主張されておいでになります。いま私がちょっと景気の動向の中で申し上げましたように、各金融機関とも非常に金がだぶついております。余っております。借り手がない。こういう状況でございますから、今度はたとえば公社債市場がにぎわっておるというような面もあらわれてきておるわけなんですね。そういういろいろな状況を見渡しますと、確かにいまは金利の弾力化をやるのに私は絶好のチャンスだと思います。そういうことも見計らってこういう主張をされたのか、あるいはそうじゃなくて本来的にもう日本金利の弾力化に移行すべきだ、こういうふうな基本的な立場に立っておやりになっておるのか、全部読んでおりませんから私はまだ理解をしておらない。ひとつそれについてお考えと今後の具体策、したがって、銀行局長お見えになっていますか、後で結構ですから、大蔵当局としてもそういう金利の弾力化に踏み切るかどうか、ひとつお答えをいただきたい。
  52. 前川春雄

    前川参考人 金利の弾力化という問題をなぜこの時点において取り上げたかということ、並びにそれに対する日本銀行考え方についてお尋ねがございました。  特にいまの時期をねらってやったということではございませんで、基本的に高度成長時代から低成長時代に変わってまいります過程におきまして、資金の流れが変わってまいりました。高度成長時代におきましては、その間いろいろの段階がございましたけれども、大きく申しますると企業の資金不足が非常に大きい、国民の貯蓄がそちらの方に回るわけでございますけれども、それをもってしてもなかなか不十分であるという時代で、金の流れとしては大きな流れであったと思います。低成長時代になりまして、そういう金の流れが変わってまいりまして、企業資金需要というのはそれほど大きくない。いまお話がございましたとおりでございます。一方それに変わりまして、公共部門の資金不足が非常に大きくなってきておる。国あるいは地方公共団体、そういう公共部門の資金不足が大きくなってまいりまして、それが公共債の発行ということになるわけでございまするが、その金が市中に支払われている。そういうことから経済全体の流動性と申しまするか、有効に使用し得る資金量というものがふえてきたわけでございます。一方、公共債というもの、公共部門を通ずる資金の流れが非常に大きくなってきております。またあわせて最近の状況から、これからの日本経済面において十分考えてまいらなければなりませんことは、国際化の傾向でございます。内外の金融市場を通じて資金が移動するという状態になってまいりました。そういうことが国内の全体の流動性というものを高めてまいったと思います。  そういう環境の変化がございまする中で、これからの金融政策の大きな流れをどういうふうにしていくかということでございますが、金融政策につきましては金利政策それから金融の量的な調節、この二つの大きな政策手段があるわけでございます。高度成長時代にはもちろん金利政策ということも使われて、十分活用してまいったわけでございまするけれども、一方そういうふうな企業の大きな資金不足、資金需要があるということから、量的な調節ということも重要な役割りを果たしてきたわけでございます。  ところが、いま申し上げましたように、大きな資金の流れが変わってまいりました現状におきましては、これからの金融政策につきましては、量的な調節ということはもちろんでございまするけれども、より以上金利政策というものの重要性が増してまいるわけでございまして、金利機能を通じまする資金の調節ということを考えてまいらなければならないというのが背景としてあるわけでございます。市場における金利機能というものを発揮させてまいります上におきまして、いままでわが国におきましては、いま申し上げましたような資金の流れの関連から、金利につきましてもある程度の規制をしてまいったわけでございます。  金利の自由化というのは、いま申し上げましたような大きな流れから言いますれば一つの理想でございましょう。欧米先進国におきましては、すでに金利の自由化ということを基礎に政策を図っております。わが国におきましては、金利の自由化ということは理想でございまするけれども、一挙にこれを外しますことは、金融秩序の上においていろいろ問題があると思いまするので、その規制の範囲内で金利を極力弾力化してまいるということが今後の金融政策の大きな眼目になると考えております。
  53. 徳田博美

    徳田説明員 金利の弾力化の問題でございます。が、基本的にはいま副総裁から御答弁申し上げた点と同様でございます。日本経済高度成長から安定成長に移行する過程におきましては、いままで以上にきめの細かい金融政策が必要になるわけでございますけれども、ただいま副総裁から御答弁申し上げましたように日本金融構造、需要面は大きく変化しておりまして、これに伴いまして資金の流れも多様化しておるわけでございます。したがって、量的な金融政策につきましてはいろいろ問題も出ておりますので、その面では、金融政策の有効な発揮という点では金利機能を重視することがこれからますます必要になってくるのではないか、そのように考えるわけでございます。そういう意味で金利の弾力化ということは、これから日本経済の適正な運用にとりまして非常に大事なことではないか、このように考えております。
  54. 只松祐治

    ○只松委員 めったにお見えになりませんのでもう一言だけ副総裁に。  デノミの問題を佐藤君がさっき聞きましたけれども、大蔵当局の考えはわかりました。私も基本的には一日も早くデノミはやらなければならないと思っておりますが、しかし結論的に言えば絶対に大蔵当局はやらない、インフレ経済を進めているのにいまデノミをやるはずはありません。だから、これは何らかのアドバルーンだと思うのです。しかしまじめな話が、とにかく通貨を預かっておられる日銀当局としてデノミについてどういうお考えか、基本的なお考えだけ一言でよろしゅうございますがお聞かせいただきたい。
  55. 前川春雄

    前川参考人 デノミの問題につきましては、国民経済的に非常に大きな問題でございますので、単なる通貨呼称の変化、改定という技術論だけではなしに、経済にどういう影響を与えるかということを含めまして総合的に考えていかなければならない問題だろうというふうに考えております。  この点につきまして、森永総裁国会等におきまして前に、デノミをやるには経済がすっかり安定してデノミが全く計算単位の変更だけの問題だと国民に十分理解されることが前提であって、遺憾ながら日本現状を見るとまだ条件が熟していないという趣旨の答弁を申し上げております。これをもちまして私の答弁にかえさせていただきたいと思います。
  56. 只松祐治

    ○只松委員 税制についてお尋ねをいたします。  税制あるいは実際の徴税問題その他は、景気の動向に大きく左右されるわけでございます。まず本年度の税の徴収率の実態と言いますか、徴税の状況がどうであるか、現状のところを国税当局から、時間がありませんからひとつ簡単にお答えいただきたい。
  57. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 きょうたまたまお配りいたしております六月末税収が、私どもの手元にある一番新しい姿でございます。  それでごらんいただきまするように、六月末で三兆七千十七億円の収入になっておりまして、予算額に対しましては二〇・三%でございます。前年の同じ時期では、決算に対しまして一九・三%でございましたから、その意味ではほぼ予算どおりで順調であると申し上げて差し支えないかと思います。  ただ、内容をごらんいただきますと、大きな税目の中で予算に対してまずまず順調なのは法人税と揮発油税、自動車重量税でございまして、所得税の足取りが重いというのが若干気にかかる点でございます。特に揮発油税、自動車重量税は、御承知の五十一年度増税の平年度化がまだしっぽが残っておりまして、これがあとしばらくするとはげてまいります。それらを考えますと、まだ二月しかたっておりませんけれども、大体予算考えたペースで入っているけれども、必ずしも楽観を許さないというふうに申し上げればよろしいかと思います。
  58. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると十八兆二千四百億円はほぼ達成できるが、これを大きく下回ることもないだろうし、大きく上回ることもないのじゃないか、こういうところですか。
  59. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 上回るという見通しはなかなか立てにくい。ただ、大きく下回るという心配をするほどまではまだいってないと申し上げるのが正直かと思います。
  60. 只松祐治

    ○只松委員 この本年度の税収の状況、それから当然にさっきから論議しているように本年度の経済の動向、こういうのから推測いたしまして、現行の税法のままいった場合に、来年度の税収の見通しはどうです。
  61. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 その点は申しわけございませんが、ちょっと現在の段階では何とも申し上げかねるわけでございまして、只松委員よく御承知のように、毎年度の税収見積もりは、最新時点の実績に経済見通しの諸指標を使って推計するわけでございまして、来年度の経済見通しそのものがまだ何とも見通しがついておりませんものですから、税収の方もちょっとお答えをいたしかねます。
  62. 只松祐治

    ○只松委員 しかし本月中ですか、大体予算概算要求を各省がやって、来月あたりからぼつぼつ予算折衝に入るわけですね。そうすると各省は、金庫のことは大蔵省が考えればいいのでおれらは取ればいいのだ、それから内閣全体としてもそういう無責任なことではないだろうと思うのです。予算要求を出す以上は当然、金庫番の方はどうだ、金はどうだということが頭にあるし、相談になるべきだと思うのです。そこいらが一体化しておらないから、途中で公債を増発したりいろいろなことが起こってくると思うのです。今後は、中期財政計画ということで、あるいは毎年ローリングするというような形で、多少合理化されようといたしておりますけれども、やはり使う方と入れる方、そこいらに、私がいつも言うように大蔵委員会の権威が日本ではない、大蔵省だけはいばっているけれども、大蔵委員会そのものは余り権威がない、こういう実態が出てきておるところもあるんですね。だから私は、やはり来年度の税収というものも的確につかむべきである、こういうふうに思います。どうです。つかめませんか。
  63. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、なるべく新しい実績をベースにしながら、その先は経済見通しで予想します諸指標を使って推計をするわけでございまして、何せ来年の四月から再来年の三月という期間のことでございますから、何としましても年内予算編成を前提にいたしまして、やはりある程度輪郭がわかってまいりますのは十一月の末なり十二月の上旬ということにならざるを得ない。主計局の方も要求を受けまして鋭意査定を続けまして、ちょうどそのころにほぼ査定した結果の姿が出てまいる。それを理財局と三者突き合わせて予算編成に臨むということになりますので、ちょっとただいまの時点では来年度の税収がどうかということはいかにも申し上げようがないという状態でございます。
  64. 只松祐治

    ○只松委員 後でお聞きいたしますが、税調がいま作業を進めていて、九月中ぐらいに一つの結論を出す、こういうことですね。税調の結論も、やはり来年度の税収の見込みというか、あるいはもっと言えば感触ぐらいわからないで税調の結論を出すわけにはまいらないだろう、私はこう思うんですよ。特に、来年からは相当の新規税制やなんかを施行する、こういうことになればなるほど——まあ、坊さんがおっしゃっているように、また福田さんも言っているわけですが、景気は上向くんだ、上向くんだ、そういうことなら法人税は相当伸びますよ。そうすると、私はそう新規の税制なんか余り必要ないだろうと思う。ところが、私が言うように景気が上向かない、したがって法人税の伸びなんかない、こういうことになれば、相当思い切った新規税制を導入していかなければならない、こういうことになるわけですね。したがって、少なくとも主税局なり国税庁で、今年度の景気なりそういうところから類推して、来年度は恐らくこういうところへいくだろうというぐらいの感触が、もう八月ですからぼつぼつ出てこなければならないと私は思うんですね。それでないと、税調の結論だって一定の方向は私は出しにくいだろう、こういうふうに思います。どうですか。
  65. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 ただいまおっしゃいましたように、ただいま税制調査会で昨年六月以来審議をお願いしておりますいわゆる中期税制につきましては、できますれば九月の末、おくれましても十月早々にはある程度の方向を持った答申をいただきたいということをお願いいたしておりますが、これはいわゆる中期税制でございまして、そこに示された路線を背景にしながら、五十三年度の税制改正で具体的にどのようなことをやるかということは十月から十二月にかけまして別途御検討願う。五十二年度の具体的な税制改正に関します答申は、先ほど申し上げました作業日程とあわせまして、やはり年内編成を前提にいたしますれば十二月の上旬ぐらいに出していただくことになるんではないかと考えております。したがって、計数的なものは五十三年度答申のときにはある程度見当をつけてこちらから御披露して、それを前提にして御論議をいただくことになると思います。
  66. 只松祐治

    ○只松委員 個々の税収についてはそういうことだと思いますよ。しかし、ずばり聞くならば、公債は順次減らしていく、赤字公債は三年間でなくしていくという前提に立つならば、当然に税の増収を図らなければならない。これはずっと大蔵委員会で審議してきた。言うならば、そういう中で何%あなたたちは来年から税の増収を図ろうとされておるのか。ただ税の項目をいじくってみて、大体このくらいだ、こういうことですか。そうじゃなくて、やはり一定の目標をマクロとして置いて、それに逆に税の項目をどうするか、そういうことをしようとされているわけでしょう。こういう税の項目をいじくったりなんかして結果的に何兆円税収がふえる、ふやす、こういうことじゃないと思うんです。やはりちゃんと一定の枠を決めてしておるし、しなければならないだろう、私はこう思うのです。来年度から公債を減らしていく場合に、税の増収を今年度に比して大体何%ぐらい上げていくというおつもりですか。
  67. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 その点は、実は経済見通しと、これに対応しまして財政がどういう姿勢をとるべきかということとあわせて税制改正を考えていくことになりますので、いわば経済見通しなり歳出の大きさなり、また、それの財政が経済に対して刺激的でなくてはいかぬのか、中立的でいいのか、あるいはむしろ引き締め的でいいのかということとあわせて考えませんと、それを別途にいたしまして税だけでほかの要素よりも先に何%増の何十兆円を確保するのだということを決めてしまうわけにはなかなかまいらないわけでございまして、具体的には十一月下旬から十二月上旬にかけて鋭意ほかの要素すべてを入れながら税として期待されるものは何か、また、その場合に経済政策としてどこまでやれるか、何をやるべきかということを考えながら具体的な案を策定してまいる、来年度もそのように考えるしかやりようがないのではないかと思います。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 きょうぴしりとしたお答えはむずかしいかと思いますし、なかなか微妙な段階だから、さすがの主税局長も逃げの一手で答えられないわけですが、それじゃ今度は方向を変えまして、きょうは税調会長もだれもお見えになっておりませんが、したがって、税のいろいろな項目については次回の税小で論議したいと思います。大綱だけで結構ですが、現在の税調の進捗状況というものをひとつお聞かせいただきたい。
  69. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 いわゆる中期税制につきまして昨年六月以降精力的に御審議を願っております。昨年中の審議の経過は部会長報告という形で資料として御提出申し上げたところで御存じのとおりでございます。  本年に入りましてから、国会終了、人事異動などの後、六月末に中期税制の審議を再開していただきまして、総会を一回、合同部会を一回、それからただいままでに第一部会を二回、第二部会を一回、審議をしていただいております。  今後八月中に、例年にないことでございます。が、審議をしていただくようにお願いしておりまして、八月中になお第二部会を一回、合同部会を一回とい予定をいたしております。八月の合同部会でその後の日程を御協議願うわけでございます。が、私どもの腹づもりといたしましては、九月に入りますれば毎週総会をやっていただく、必要に応じて総会のほかに作業委員会のようなものをつくって、それもやっていただく、したがって九月は、審議としては週に二回ずつぐらいやっていただいてでも何とか九月下旬なり遅くとも十月上旬には答申をいただきたい、そのように考えております。
  70. 只松祐治

    ○只松委員 中身について若干お聞きをいたしますが、何かいままでの税体系を大きく変える、あるいはいままでの税制の中で、たとえば法人税率や何かを大きく引き上げるというような大きな動きといいますか、方向というものが出てまいっておりますかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  71. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 お断りいたしておきたいのでございますが、もちろん最終結論というわけではございません。いままでの審議で、各部会に分かれてやっていただいておりますが、第一部会は御承知のように所得課税ということで所得税、法人税、法人住民税、法人事業税をやっていただいておるわけでございます。第一部会では、将来、負担の増加をお願いせざるを得ないとすれば、やはり所得税というのは中心的な税なんだから、それは所得税で負担の増加を求めるというのがまずは筋ではないかという御議論がかなり多いように私どもは感じておりますけれども、しかし、この問題は第一部会だけでは決められないだろう、第一部会のそういう感触を持っていって、合同部会で第二部会の方とあわせて議論しようではないかというのがいまの段階でございます。法人税につきましても、若干の負担の増加の余地があるんではないかという御議論が多いように私は受けとめておりますが、これもまだ結論は、合同部会なり総会で全体を見て決めようではないか。事業税の外形標準問題というのも、長年の懸案であるけれども、やはり第二部会で一般消費税の議論が出てきておるようだから、それとあわせて考えないと、第一部会だけでは決め切れないという感じのように受けとめております。  第二部会の方は、いままでのところ、現在ございます税目の総ざらいがかなりの程度進んでおりますが、その中では、御承知の従量税制度のものは、ある時期を置いて負担の調整を考えるべしと、これはほぼ御異論がない。従価税制度に移せるものはできるものから徐々に移ったらどうかと、これもまあほとんど御異論がないように思います。ただ、いずれにしても、いまある税目でそのような調整を考えてもどうも限界がありそうだから、何かいままでの税目でないものをやはり勉強をしなくてはいかぬのではないかというのが昨年十一月の御議論でございまして、これにつきましては、私どもなりにある程度の計数的な資料なり外国の例なりを資料としてお出して、御説明が終わったという段階でございまして、突っ込んだ議論はこれからでございます。それで、新しい税目についてどういう感触を第二部会が合同部会へ持ち出されるか、それをあわせまして、先ほど申し上げました合同部会なり総会なりで全体的な見地からさらに詰めをしていただくということになろうかと思います。
  72. 只松祐治

    ○只松委員 何らか新しいものをという、何らかの新しいあれですが、具体的に言えば消費税だと思います。それ以外にないだろうと思いますが、大体消費税について検討をされておる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  73. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 十一月に、部会長からの御指示がございまして、とにかく国会で提案されているもの、税調で従来議論があったものすべてをたたき台でいいから一遍並べて出してくれということを言われましてお出ししたのが、お手元の部会長報告の中に入っております八項目でございます。その中で一般消費税という分類をして差し支えないかと思われるものは四項目でございます。あとの四項目は、土地増価税と富裕税と広告課税とギャンブル税でございます。以上八項目につきまして資料、外国の例などお出しして御説明を終わったところでございまして、前回は土地増価税と富裕税についてはある程度の御議論をいただけましたけれども、一般消費税と広告課税、ギャンブル税は、まだ議論に入っておられませんので、これからということになろうかと思います。
  74. 只松祐治

    ○只松委員 その土地増価税と富裕税というのは、私たち社会党の方からも積極的に提案したものでございます。新聞ではそのときの論議の内容が若干報道されて、何か否定的な意見が多いというか、否定されたといいますか、そういう形が出ておりましたが、むしろ私たちは一般的な消費税よりも、そういう資産税を中心にこの財政の困雑を乗り切るべきだ、こういう意見を提案しておるわけですが、もう冒頭から社会党の案は葬り去られたというような印象を受けております。そういうことになればなるほど、私がちょっと触れましたように、消費税に移行せざるを得ない、恐らく消費税に移行するという腹で進むと思いますけれども、社会党の提案したそういうもの、あるいは私が個人的に男の寡夫、そういう問題等も提案をしておりますが、特に社会党案というものは、余り重んじられないというか取り上げられなくて、結局消費税に移行する、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  75. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 土地増価税と富裕税は、八項目の順番が一番と二番でございましたので、まずそこから入ったわけでございます。土地増価税はトップに置いておりましたから、それで、土地増価税は前回ある程度御議論いただきましたが、もちろん次回以降も何度もそこに戻っての御議論があろうと思います。  前回御出席委員の御意見としましては、キャピタルゲイン課税として考え考え方が一つあるだろう、社会党の御提案を御披露したわけです。が、キャピタルゲイン課税として考えるとやはりいろいろ問題があるのではないかという、まあ時間の関係でくどくは申し上げませんが、やや消極的な見解が多かった。それから、保有課税として考えるということになると、固定資産税の課税の適正化という問題とあわせて考えなければいけないだろうという御議論もございました。したがって、キャピタルゲイン課税として考える場合にかなり問題があるし、保有課税として考えるなら、むしろ固定資産税の適正化ということで考えるべきではないかという御議論が、当日御出席委員の間では多かったということでございまして、まだ結論が出ているとかなんとかという段階ではございません。  それから、富裕税も、当日御出席委員の間からは、考え方はわからないではないが、執行がうまくいくのかなあと、結局、富裕税の納税義務者になるべき人たちの間での新しい不公平が出ないで済むかという点で、かなり消極的な御意見がございました。しかし、一方ではまた、やはり税体系全体の面から見れば、こういう富裕税のようなものを持っている税体系というのは十分意味があるんじゃないか、執行面の問題というのはそれなりにいろいろ工夫をしていって、いますぐに執行的にだめだからアウトという必要は少しもないじゃないか、もう少しこの考え方を大事に育てて勉強したらどうかという御議論も出ておりまして一それらを詰めて申しますと、当日の御意見では、恐縮でございますが、土地増価税には消極的な御意見が多くて、それから富裕税は賛否相半ばしたという私どもの感触をそのまま新聞の方にお伝えして、まあ、ああいう記事になったわけでございます。
  76. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんので内容の論議までできません。また税小のときやりますが、こういうものの前段をなす、特にあなたたちが新しい税を創設しようとすればするほど、いままでの租税特別措置法あるいは諸外国に比して安い法人税率、いわば一言では不公平税制をまず正していく、このことをしないで税収を図る、あるいは新規な税金を取り立てようというようなことは、私は、今度の一兆円減税から始まった所得税の減税という政治的な動向、国民的な感情というものから御判断いただけばわかるように、なかなか容易ではない。だから、ぜひひとつ、きょうは基本的な点だけをお尋ねいたしております。したがって、要望だけにとどめておきますが、まず不公平税制というものを正す姿勢を出して、その上に、やはり今後の税制はどうあるべきかというふうに御尽力をいただきたいというふうに私は思います。  それと関連をいたしまして、日本税制の場合、特に庶民が大きな関係を持つのは税理士さんでございます。この税理士法については、かねがねいろいろな意見が出されたり論議がなされております。これも時間がありませんので全般的に聞きませんが、たとえば消費税を創設される、そうすると、いまの税理士法は包括方式ではなくて項目方式になっておる。この税理士法には消費税は載っておらないわけなんです。このままでいけば罰則適用というようなことにもなりかねない、こういうことが予測されるし、税務行政あるいは税理士の仕事については混乱を生じてくるわけでございます。私は、こういうものに対して速やかにいわゆる包括方式に税理士法を改めるべきだと思います。この税理士法全体の問題がありますから、いま直ちにこの包括方式に改めろとは申しませんが、一つの方向としては、多分、前の大蔵省から出された税理士法の改正のときにも包括方式が提案なされておったと思いますけれども、今後においてもよもや後退はないだろうと思います。が、包括方式のために努力をなさるかどうかお尋ねしたい。
  77. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 おっしゃいましたように、包括方式というのは確かに一つ考え方であろうと思います。しかし、よく御承知のことで、くどくど申し上げる必要はございませんが、結局、業として行うということは、反射的にほかの方がそういうことをやってはいけないということを意味しておるわけでございますから、なるべくその税理士業務が現在以上に制限されることのないようにという点は、それはもう御指摘のとおりのつもりで私ども考えておりますけれども、どこまで広げていくことが妥当かという角度で今後とも研究を続けてまいりたい。  御指摘のございました特定の税目につきましては、具体的にどういう税になるかということがある程度わかってまいりませんと、やはり抽象的にお答えすることはむしろ避けた方がいいかと思います。
  78. 只松祐治

    ○只松委員 消費税とかなんとかということではなくて、新税ができた場合に、この前のときにやはりちょっともめて、行政書士会等の関係も出てきておりますね。一遍そこで既得権益といいますか、ほかの人が仕事をしますと、それはおれの方のことだと言いますね。新税が創設されるということになれば、これは項目別になっておりますから、当然に私は税理士法を改正すべきだ。しかし税理士法改正がこのところだけ容易でないとするならば、政令なり何なりでやはりそれに準ずることで補っていかなければならない。これは消費税とかいう項目に限らない、新税創設の場合には当然だと思いますが、そういうふうにお考えになりますか。
  79. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 まさしくおっしゃいましたように、法律改正をしなくても政令で税目追加をすることが技術的に可能でございます。ただ、新税の性格いかんによりまして、これは法制局の見解も聞いてみなくてはならないのかと思います。いまの政令で追加していいような新税であるかどうかという問題は、法制技術としては残っているように思いますが、いずれにいたしましても私どもの気持ちとしましては、仮定の問題でございますけれども、もし新しい税目というものが国会の御審議を経てでき上がるということになるならば、それを税理士業務に追加すべきかどうかということは前向きに十分検討いたしてみたい、さように考えております。
  80. 只松祐治

    ○只松委員 ひとつぜひ私はそういうふうに努力をしてもらいたいと思います。  ついでながら申しておきますが、たとえば税理士法と弁護士法を比較していただけば、これは大変な違いがあるわけですね。弁護士法というのは第一条から始まりまして、いわば大変な使命感というものがうたい上げられておるわけでございます。第一条の二項等には、「前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」制度の改善までもこの弁護士会に要望といいますかしております。ところが一方税理士法を見ますと、今度は全部命令であります。こういうふうに自主的な運営をするどころか、大変な命令口調になって、あるいはべからずであります。そういうものの一番顕著な例は、第一条、第二条もそうですが、四十九条の十八項、十九項等では、日本税理士会の決議あるいは地方税理士会の決議が、大臣考え方いかんによっては変更される、あるいは役員さえも差し戻される、そういう項目が述べられております。  私は、こういうことなんか大変な時代錯誤だろうと思うのです。弁護士法も昔は多少こういうことがあったようですが、いまはもう全然これはなくなっておる。税理士法も施行されて相当になります。税理士会も、りっぱな税理士さんも——ある面では弁護士の試験よりもいま税理士の試験はむずかしい、こう言われている。ただ、国税庁なり税務署からの横すべりという問題があります。ありますけれども、税理士試験を通ってこられる方は、弁護士さんよりもむずかしい。百人に一人ぐらいのいわば合格率だ、こういうことになっておる。それにしては余りにもこの税理士法というのはお粗末で、ひどいと思うのです。だからぜひひとつ速やかに弁護士法に準ずる、確かに立法、司法、行政という面のその一つの司法の中で大きなウエートを占める弁護士と、それから行政の面の税理士とは確かに位置づけが違うものがあります。あるけれども、これはずっと前の税理士法の改正問題が出されたときも私はその論議をいたしましたけれども、ぜひひとつ私は税理士法を前向きに検討をしていただきたい。この弁護士法と税理士法を見たとき、余りにも差のひどいのに私は愕然とするわけでございます。どういうお考えをお持ちになっておるか、できればひとつ大臣——大臣も長い間大蔵委員をされ、税理士会の大会等にたびたびおいでになっている姿も私は存じております。ひとつ御所感を承りたい。
  81. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 大臣からお答えいただきます前に一言簡単に申し上げますが、税理士連合会の方から税理士法改正について全般的に御要望が出ておりまして、私ども現在非公式に意見交換を続けております。ただいまおっしゃいました監督権の問題につきましても、税理士会の御要望は私ども十分承知いたしておりますが、率直に申し上げまして、ただいまの法律上の監督権につきましては、いわゆる士法という、これは俗語でございますが、ほかの専業士法と共通の規定でございまして、これをにわかに改正するということについてはそう簡単に踏み切れないのではないかというのが私の率直な気持ちでございます。ただ問題は、運用上はこういうぎらぎらした規定を発動したことはないわけでございまして、税理士会の自主的な運営に期待するという運営をしていることはもう御承知のとおりでございます。やはり弁護士法というのは非常に特殊な一つの法律であると思いまして、弁護士法にすべてを準じてその他もろもろの士法を直さなくてはならないかという問題については、かなり慎重な検討を必要とするのではなかろうかと考えております。
  82. 坊秀男

    坊国務大臣 これは私は全く素人でございまして、私の感じを申し上げますと、弁護士と税理士とは性格上に相当の違いがある。弁護士は人権と申しますか、その人権の争い、一つは民事の争いでありましょうが、一つは国との争いといったようなものについて、それぞれ当事者と申しますか、原告と被告を代理して、そしてその原告の利益を主張するということが、ほかにも仕事があるでございましょうが、一つの大きな仕事の目標だろうと思います。そこへいきますと、確かに税理士も納税者の利益ということは考えなければなりませんけれども、これは人権全部ではない。税の報行ということが正しく行われるということについて一つの補助的と申しますか、そういったようなこと、これは弁護士の場合だと、たとえば納税者についてできるだけ税を低くしていこうというようなことも弁護士の仕事というものはあるのだろうと思うのでございますが、税理士の仕事は正しき税を納めていくというふうに持っていこうというのが税理士の仕事だろうと思います。そういうようなことで、無限に人権を代理して主張するということと、ある程度妥当性ということを考えて、そしてこれを主張していこうというところに若干の相違があるのじゃなかろうかと思います。そこで、弁護士法と税理士法とを同じように持っていくということについては、これは相当考えていかなければならぬことがあるのじゃなかろうかと思います。
  83. 只松祐治

    ○只松委員 まだ論議をしたいのですが、いまのお答えは十分御理解いただいておりませんし、あれですが、また税小の時間に論議したいと思います。  せっかく国税庁長官がお見えになっておりますから、一言だけ……。  たとえば愛知医大の入学や松本歯科大の入学、いろいろなことが言われておりますが、一面から見れば、あれだけの金がそう簡単に現金としてたまるはずはない。これは一つの脱税問題がここにありはしないか。名古屋国税局で査察しておるようにも聞いておりますが、そういうことがあれば、ひとつ……。  それから、子供のためにこれだけの金をやるわけですから、確かに贈与税という税法上の問題から見れば疑義なきにしもあらずですけれども、私は実態としては贈与に相当する、こういうふうに思うわけでございますが、これも時間がありませんから簡単で結構ですが、どういうふうに把握されておるか、入学金問題等についてお答えをいただきたい。
  84. 磯邊律男

    磯邊説明員 先生御指摘のように、私たち国税当局といたしましては、あらゆる経済的な問題、社会的問題、あるいはまた場合によっては政治的な問題、すべてについて、それが課税にどう結びついてくるかということは絶えず資料の収集と検討をやっておるわけでございます。  ただいま御指摘いただきました愛知医科大学の問題、その他数校またほかに名前が新聞紙上をにぎわしておるようでございますけれども、それにつきましても関係国税局の方で現在資料の収集と整理をやっております。その結果、これがどういうふうに課税に結びついてくるかということは今後の検討を待たなければなりませんけれども、学校そのものは学校法人でございますから、これは寄付金を幾ら受け取っても課税の対象にはならない、御承知のとおりでございます。ただ、考えられますことは、一般論でございますけれども三点ほどございまして、一つは、そう言って受け入れた寄付金がどのように使われておるか、たとえばそれがまた役職員の簿外給与になって支払われておるというようなことになりますと、これは当然給与所得に対する所得税の課税の問題になってまいります。それから同時に、そういった寄付金をあっせんした立場に立った人が何らかの謝礼金をもらっておった、あるいは理事者がそれによって特別な謝礼を受け取っておったというような場合になりますと、これは雑所得として課税の対象になる例が出てくるかと思います。さらにまた、寄付をした方の問題でございますが、もしその多額の寄付金がいわゆる脱税したことによって生じた財産を寄付したということになってまいります。と、当然当該寄付をした人の当初の課税が適正であったかどうかという問題について私たちは関心を持たざるを得ないわけでございまして、こういった点につきまして検討いたしております。
  85. 只松祐治

    ○只松委員 まだありますけれども、時間がないからいいです。
  86. 小渕恵三

  87. 坂口力

    坂口委員 私も最初に一言だけ総理のデノミ論議に触れさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕  先ほど大蔵大臣から、現在のところデノミに踏み切るつもりはないという御発言、また総理も同じようなお考えだという意味の御発言があったわけでございますが、きょうの新聞あるいはテレビ等から私ども推察する以外にはないわけでございますけれども、きょうの新聞等を見せていただきますと、総理が幾つかの条件をお出しになっている。たとえば、不況業種を除くところの一般業種の稼動率八五%以上ということをおっしゃったり、あるいはまた六・七%の経済成長率を達成した後の経済安定に移行してからというような意味のことをおっしゃったり、それから経済を軌道に乗せたらというようなこともおっしゃっているやに拝見するわけであります。これらの条件をかなりつけておみえになるということは、現在即このデノミに踏み切るということではなしに、ぼつぼつその準備に取りかからなければならないという意味合いを含めておっしゃったのではないか、こういう感じを受けるわけでございますが、いかがでございますか。
  88. 坊秀男

    坊国務大臣 いま準備をということをおっしゃいましたが、私もデノミを断行できるような環境が生まれてくるということは非常に望ましいことだと思います。さような意味において、広い意味におきまして景気回復していく、稼働率もこれを回復していく、そういったような一つ一つの環境を整備していくということ、私はデノミをするためにそれをやっていくということではなかろうと思いますけれども、そういう環境が整備されてデノミが行われるということにつきましては決して反対ではございません。ただ、現在の環境がとうていデノミをやる環境であろうとは思いません。つまり経済の安定、物価の安定ということが現出することを非常に期待し、これを望ましいものと思いまして、そういう方向に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  89. 坂口力

    坂口委員 その条件も余り広げ過ぎてしまいますとこれは一般論になってしまいますが、私も若干舌足らずでありましたけれども、もう少し縮めた条件の中の話をしたわけでございます。きょうはほかにお聞きしたい点もたくさんございます。し、三十分という短い時間でございますので、この点多くをお聞きすることはできませんけれども、ひとつ今後の推移を見守らせていただきたいと思います。  景気回復問題につきまして、今回の衆参の本会議におきます総理の発言も、また先ほどからの大臣の御発言の中にもございましたが、現在の状態を景気回復過程に乗っていると見るか、あるいは横ばいと見るか、いろいろ物の見方の何を基準にして見るかということによってもずいぶん違うと思いますし、そういう意味では非常にあいまいもことした表現にわれわれ聞こえるわけであります。  そこで、もう少し物差しをはっきりとして物を言った場合にどうなるかということでございます。が、たとえば、この六月にも倒産企業数は千五百件を超えておりますし、この倒産企業数あるいは失業者数、こういったものを一つの物差しにして見た場合にどうかという一つの見方があろうかと思います。私は端的に大臣にお聞きしたいのは、具体的に倒産企業数あるいはまた失業者数というものを中心に見た場合に、まず第一段階としてこれをどの辺まで縮めることを目標として経済政策を遂行しようとなすっているか。むずかしい質問かと思いますけれども、ひとつお聞きをしたいと思います。
  90. 坊秀男

    坊国務大臣 お察しのようにむずかしい問題でございまして、数字の上で失業者数がいまのところ百万ちょっと超えておるということでございますが、これが八十万になったらいいんだとか五十万になったらいいんだとかというような、しかく簡単なことでこの判断がつく問題ではないと私は思います。ことにまた、倒産の中にも、これを分析いたしますと、いろいろなバラエティーがあるのではなかろうか。と申しますことは、本当に不景気のために倒産していくのと、それから特に、長年にわたって企業経済、社会に変動が来ておりまして、そこで構造上どうにもいけないというようなケースも私はあろうと思います。  そういったようなことを一緒くたにしまして、そうしてどこまでこれが回復していけば、それでもってどうやら景気回復してきたんだというわけにもまいるまいと私は思いますが、そんなことを言うのなら、おまえさんはこれで景気回復しよう、景気回復しようと言って努力しておるが、どこまでいったらという何らのめどがないじゃやないかと、こういうふうにお聞き取りになるかもしれませんけれども、これはおおよそそういう数字、無論、私は数字を無視するつもりもございません。数字と、それから景気でございますから、世間のそれを包む空気と申しますか、このごろ空気という本を書いておる人もありますが、その空気といったようなもの、いろいろなことをファクターとして判断をしていかなければならない。いまのお話でございますが、数字の上においてこれはこうなったからということは、ちょっと私もここではお答え申し上げるだけの勇気がないのでございますが、さようにひとつ御理解を願いたいと思います。
  91. 坂口力

    坂口委員 昭和四十八年のたとえば九月期なら九月期に比べて現在どうだとか、あるいはまたその他の比較においてどうだとか、これはいろいろ取り方があると思うのですが、いずれにいたしましても、失業者数あるいはまた倒産数というものが確かに増加をいたしております。失業者数で見ましても、昭和五十年の三月からことしの三月まで、二年間に全産業で約十万人の人減らしがざっと申しましてあったわけで、特にその中で昨年の三月からことしの三月まで、この一年間にその十万人のうちの約六万があるわけでありますから、この三月以降の景気の状態というものは、これはもう少し数字を見なければわかりませんけれども、かなりまだそういう面を見ますと景気が停滞をしているという、まだまだいろいろの先ほどおっしゃったようなファクターはありますけれども、停滞の域を出ていないという感じがするわけでございます。  また先ほど倒産企業数につきましても触れたとおりでございますが、こういった議論をしないと、どこを基準にしているかということを抜きにして、何となく雰囲気というもので議論をいたしておりますと、一向にはっきりしたものが出てこないし、また総理言葉でも梅雨明けになったらというような御発言があったわけでございますけれども、先日の衆議院あるいは参議院における答弁を聞いておりますと、八月の様子を見て、こういうふうな発言に変わってきているわけであります。これは総理のお言葉でございますから大臣にお聞きするのは大変失礼でございますが、総理も七月中にはというお気持ちだったのが、八月にはというふうに変わってきているというふうに思うわけです。いずれにいたしましても景気がはっきりしにくい、七月にもはっきりするだろうと思っていたのが八月にずれ込んできた、もう八月でございますが、現在の時点でもまだそうはっきりしていないということで、そういう意味では景気の先行きというものがだんだん不安になってきている、何となくはっきりしないというふうな意味に私ども理解をいたしておりますが、それはよろしゅうございますか。
  92. 坊秀男

    坊国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、景気回復の手段といたしまして政府がとっておりますのは、公共投資の面と金利引き下げの面と、この両方でございますけれども、その両方の手段、方策が実際にその実体経済に響いてくるということについて、その後詳細にこれを調べさしてみましたところ、四、五、六はそれぞれ七、八、九、大体その二カ月余りのタイムラグを持って効果を発生しておる。総理もそういったような数字から考えまして、前倒しをやりましたのは四、五、六でございますが、予算を成立さしていただいたのが四月十五日か六日だったと思います。その前倒しをやったのは四月の末からでございまして、大体これは五月からということでございますので、そのタイムラグが、やはり八月あたりになりませんとはっきりと見えてこないということを、私はこれは総理と話したものではございませんけれども、そこいらのところをめどといたしまして総理はああいう御答弁を申し上げておるんだろうと思いますが、私もまたそういうふうに考えておる人間でございます。
  93. 坂口力

    坂口委員 いまおっしゃるように、ことしになりましてから二回の公定歩合引き下げが行われましたし、またいま御指摘のように公共事業も四、五、六、この三月に大体ことしの半分近くが消化されたと申しますか、済んだということを大臣もお認めになっているわけでありますが、なお景気、特に内需というものが盛り上がってこない。その盛り上がってこない原因、何となくおくれている原因、これはもう八月中になったらはっきりするんだとおっしゃるかもしれません。まずいまおっしゃるようにはっきりしにくい、この盛り上がってこない原因というもの、これの一番大きな原因は何だというふうにお考えになっておるか、ひとつ大臣にお聞きしたいのと、あわせて副総裁にお越しいただいておりますので、副総裁にもお聞きしておきたいと思いますが、二回にわたる金利引き下げ効果、先ほどもお触れになりまして、企業マインドを活気づけることに非常に役立っているという御発言があったわけでございますが、その辺のところを、つけ加えていただくことがございましたら簡単につけ加えていただきたいと思います。
  94. 坊秀男

    坊国務大臣 その一つの大きな理由は、今日日本経済、民間の産業でございますね、これは稼働率が御承知のとおり非常に低いということと、それから在庫率が非常に高いというようなことがございまして、ある程度そこへ流れが浸潤していきましてもなおかつ生産というものが上がってこないというところが、非常に景気浮揚がむずかしいことであるというふうには私も考えております。しかしながら、いま申し上げましたとおりの効果が浸潤してまいりまして、それを乗り越えて設備投資が直ちにふえてくるということは考えておりませんけれども、浸潤してまいりますと、これはやはり稼働率というところまでいき、生産設備をふやすというところまではいきませんが、資材を使うということだとかあるいは労務を需要するといったようなところが、この兆しが見えてくるというふうに私は考えておるのでございまして、いままだ非常に冷えが戻らなくて、なかなかその徴候が見えないということは、一にそこいらのところにあるんじゃないか、かように考えます。
  95. 前川春雄

    前川参考人 公定歩合引き下げを二度いたしまして、その影響が逐次出ておりますことは先ほども申し上げました。銀行の貸出金利は毎月毎月貸出金利の切りかえがございます都度下がってまいりますものでございますから、一遍には出ませんのでございますけれども、それでも六月まで、三月から引き続きまして二回の公定歩合引き下げの影響が銀行の貸出約定平均利率に及ぼした影響はかなりのものがございます。過去の例よりも早い低下状況を示しておるわけでございます。この状況はまだ今後も続くわけでございます。  それから、先ほども申し上げましたけれども長期金利につきましてもこういう情勢を踏まえまして引き下げが行われました。本年に入りまして、もう春以来二度引き下げられましたが、この八月につきましても国債を初め各債券の応募者利回りが引き下げられるということになるわけでございます。こういう状況企業金利負担を軽減する効果があるわけでございます。大体これはいま申し上げましたように逐次引き下げが行われますので、この九月期の収益に対する影響は半分ぐらいのものではございますけれども、これがその後に企業収益に及ぼす影響は非常に大きなものがあると思います。現在景気状況は余り回復が現実にははかばかしくございませんし、企業マインドも停滞しておるわけでございますけれども、この企業収益の好転を通じまして、必ずや企業マインドにも活況が出てくるものであろうというふうに期待しておるわけでございます。
  96. 坂口力

    坂口委員 副総裁にあわせてもう一つお聞きいたします。  先ほど御議論の中で、再々引き下げのことについては現状を見きわめてからという御発言をなすったと記憶いたしておりますが、これは大体補正予算、組まれるかどうかわかりませんが、その時期以前にという——この見きわめる時期はいつでございましょうか。それとも、組まれるかどうかわかりませんけれども、補正予算が組まれるとしたら組まれた後くらいの時期という意味でございましょうか、時期を見きわめてとおっしゃったのは。
  97. 前川春雄

    前川参考人 先ほど私が答弁いたしましたのは、あるいは舌足らずであったかと思いますが、私が申し上げましたのは、いま公定歩合を春以来二度下げまして、その効果が漸次出つつある。しかもその効果の出るスピードは過去の例に比べるとむしろ早い状況である。この金利引き下げ金利水準全般の低下傾向は今後も続くであろう。したがいまして、いまは金融的にはその効果が出る状況を見守る必要があるというふうに考えておるということを申し上げました。したがいまして、公定歩合につきまして、さらにもう一段引き下げるかどうかということにつきましては、現在のところは考えておらないという趣旨の御答弁をしたつもりでございます。したがいまして、いま補正予算等につきましては私がとやかく申し上げる立場にございません。公定歩合につきましても、現在どうだというお話に対しましては、いまのところはそういうことを、今後の引き下げ、さらに再々引き下げということについては考えておらないということを申し上げるわけでございます。
  98. 坂口力

    坂口委員 大臣、先ほど内需が盛り上がってこない原因について触れていただいたわけでございますが、私はこの理由の大きなものは二つあると思うのです。  一つ企業、特に中小企業の場合には公定歩合が下がりましたり、あるいはまたその他の金利が下がってまいりましても、もういままでにたくさんの借り入れをやっている。下がってから後改めて借りるだけの余裕がない。むしろもうすでに口いっぱいいままでに借りてしまっているという状態が一つある。ですから、すでに借りてしまった分の金利の負担をどうしのいでいくかということが非常に大きな課題になっているということが一つあると思うわけです。  それからもう一つは、下請中小企業と親会社の関係でありますけれども景気が悪くなりましてから特にそうでありますけれども、下請中小企業に対する親会社の干渉というものが非常に厳しくなってきている。言うまでもありませんけれども日本企業、特に中小企業の自己資本比率というものがもともと非常に低くて、これは高度経済成長時代の一八・八%ぐらいからいまもなおこれは回復するいとまがない。しかも景気が悪くなりましてから、さらに大きい企業はいろいろ厳しい条件をつけている。こういったことで中小企業、特に下請中小企業といたしましては、もうすでに成長を見越した設備投資というものを完全にややオーバーをしてやっておりますし、いまさらそれをすることができない。こういう中小企業を中心とした背景があると思うわけであります。ことし補正予算等がどう組まれるか、あるいは組まれないかまだ決定されてはおりませんけれども、補正予算にしろあるいは来年度予算にいたしましても、この景気の問題とあわせてこれらの産業構造に対してどうこれを変えていくかということに予算的な配慮というものがなければならないというふうに思うわけでございます。  その点につきまして私は大臣にお聞きしたいわけでありますが、もう時間が限られておりますので、簡単にひとつお聞きをしたいと思います。しかも問題をしぼらせていただきたいと思います。  一つは、そういう意味で、新しく中小企業が借り入れをするという場合に、国民金融公庫あるいは商工中金というような政府系の機関の金利が非常に問題になるわけで、特に現在の状態では一般銀行よりも高くなっている。この点についてどうしても今後配慮をしなければならないと思います。  それからもう一つは、すでに借りている分ですね、この金利が非常に大きいものですから、現在のところしのげなくて苦しんでいるわけでありますので、すでに借りている分の金利について何か配慮ができないかということがあると思うのです。問題を限って申し上げますが、何かお考えがございましたらひとつお聞かせいただきたい。
  99. 徳田博美

    徳田説明員 いま先生御指摘政府関係金融機関からの中小企業に対する貸し出しの金利の問題でございますけれども政府関係機関からの貸し出しは長期的な資金が主体でございますので、長期のプライムレートが一応基準になって動いておるわけでございますが、先般長期金利の三度目の引き下げを行うに際しまして、中小金融機関金利につきましても〇・一%の引き下げを行いまして、中小企業金利負担の軽減に努めている次第でございます。  なお、先生御指摘の既往貸し出しの金利をどうするかという問題でございますけれども、これにつきましては、かつて四十七年ごろまでにはそのようなことを行ったこともございますが、当時は実は運用部の貸付金利と中小金融機関の貸付基準金利との間にかなり金利格差がございまして、たとえば四十年ごろでございますと、二・二%ぐらいの格差があったわけでございます。ところが現在は政府関係の中小金融機関金利引き下げを鋭意進めてまいりました結果、その利ざやが半分以下一〇五%ほどに縮小しておるわけでございます。こういう政府関係金融機関の経理状況から申しましても、この際、既往にさかのぼって引き下げることは非常にむずかしくなっておるわけでございますので、今回もそれを見送らせていただいたわけでございます。
  100. 坂口力

    坂口委員 そっけない答弁でございますが、銀行側の立場というものもよくわかるわけです。しかし、日本経済全体を考えました場合に、現在の内需というものをさらに高めなければならない、こういうふうな現状で全体的に考えました場合に、たとえそれがいろいろの——全部が全部というわけにはいきませんでしょう。たとえば三年なら三年とかあるいはどういうふうな対処の仕方とか、いろいろな条件はつくでしょうけれども、しかしそういうことも加味をして総合的な景気対策というものをやっていただかないと、公定歩合引き下げなら引き下げ一本、あるいは公共事業なら公共事業だけというような非常に単一的な政策によっては、そこから落ちこぼれる分のところがかなりたくさんある。だから、そういったところをぜひ加味をして今後検討していただきたいと私は思うわけですが、大臣、ひとつ御答弁いただきます。
  101. 坊秀男

    坊国務大臣 大事なことでございますからきめ細かく検討してまいりたい、かように考えます。
  102. 坂口力

    坂口委員 それから最後に、銀行局長にいま御質問したついでにもう一つだけしておきたいと思いますが、きょう、読売新聞の声の欄をちょっと見せてもらっておりましたら、静岡清水市の池谷さんという方が投書をしておみえになるわけでありますけれども、住宅ローン、これはすでに成立した分の住宅ローンのさかのぼっての利子引き下げということがいろいろむずかしい時代の中で非常にいいことだというので喜んでいた。ところが銀行の方から何らお話がない。で、話をしたところ、銀行の方は——この新聞を読ませていただきますと、「一部の銀行では八月から実施しますが、全部の銀行が一斉に金利引き下げをするのではありません。ですからあのようなニュースは、当銀行にとって大変迷惑です」という返事が返ってきた。「では、どうして預金金利は、政府の方針通り下げたんですか」と聞きましたら、「それは計算が楽に出来るから」だ、こういう答弁が返ってきたという記事が出ているわけでありますが、この住宅ローンにつきまして各銀行に対する指導はどのようになっているか、一言だけ触れていただきたいと思います。
  103. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のとおり、住宅ローンの金利は、一度借りますと十年、十五年と非常に長く続く借入金でございますので、その金利負担が非常に高いものに上がるわけでございます。特に景気変動期におきまして全体の金利水準がかなり高いときに借りました住宅ローンにつきましては、その後、現在のように金利水準が低下してまいりますと、御指摘のような問題が非常に大きくなってくるわけでございます。したがいまして、先般、五十二年の五月でございますが、住宅ローンの新規貸し出しの金利引き下げを行った際に、特に既往の分にさかのぼって、既往のものについても〇・三%の引き下げを行うように指導したわけでございます。  問題はこれの実施時期でございますが、実は住宅ローンは割賦返済でございますし、非常に莫大な件数になっておりますので、これは非常に物理的な問題でございますが、金融機関のコンピューター処理その他の関係でこの金利引き下げにはかなりの期間がかがるわけでございます。過去に一度、四十七年に引き下げを実施したことがございますが、そのときにおきましてはまだいまほど件数は多くなかったわけでございますけれども、準備期間に四カ月近くかかっております。今回も、引き下げるならばなるべく早く引き下げろということで金融機関側と鋭意折衝したわけでございます。それでその四カ月をどこまで縮められるかという折衝を重ねまして、場合によっては徹夜作業をしてもいいじゃないかというようなことでぎりぎり詰めまして、金融機関は九月がぎりぎりです。と言っていたわけでございますけれども、一番最後に、若干政治的な決断も入れまして八月から実施、こういうことで踏み切らせたわけでございます。したがいまして、このようなことでございますので、いわば物理的な面でも若干制約がございまして、都市銀行と信託銀行、長期信用銀行は全部八月弁済から実施いたします。それから地方銀行は若干おくれまして、地銀は六十三行あるわけでございますが、そのうち八月に間に合ったのが三十八行でございまして、残りは九月以降にずれ込む。いまのままでいきますと九月が二十三行、それから十月が二行、いまのところこのような作業の手順になっております。したがいまして、金融機関の大半は八月弁済分から実施される、こういうことになっております。
  104. 坂口力

    坂口委員 指導を徹底されることを要望いたしまして終わります。
  105. 山下元利

    山下(元)委員長代理 高橋高望君。
  106. 高橋高望

    高橋委員 私はいきなり本題に入らしていただきます。  ただいままでの御討議の中でも、いまお帰りになりましたけれども前川参考人からも、また銀行局長からも、公定歩合引き下げに伴って実効金利が下がっているというお話をいただきました。さあっと伺っているとそのまま聞き過ごしがちなんでございますけれども、確かに数字の上ではまずそのようなことが六月中の貸出金利の動向についての日銀の発表で出ておるかと私は思います。  もうすでに御承知おきかと思いますけれども、六月中に長期と短期の総合で月の中で〇・二五下がっている。これは一月の下げ幅としては最近になく大きい。六月末では年率七・六〇一、これは過去の昭和五十年の十二月の〇・二〇八を上回るような下げ幅であったことは認めますし、年率で七・六〇一になったということも私は認めます。しかも短期金利では月の中で〇・三四五下がっている。月末水準は年率六・六七九になって、久しぶりに六%だということを盛んにうたっていらっしゃる。  しかし、私、ここでまず一つ考えたいことは、六月に借りるお金というのは企業の経営から言えば大体ボーナスの資金とか決算資金ですから、比較的借りやすい金であり、したがって安い金利のものでございますから、そのままうのみにできる数字でもない、まず私はそう思います。  それからもう一つ、問題は、公定歩合引き下げる取り上げ方というのはあくまでも景気浮揚、さらに細かく言えば設備投資を急設しての策であるとしたら、実効金利がどうなっているかということが大きな問題になろうかと私は思う。  ここで、まず最初にお伺いしたいことは、筋五次の公定歩合引き下げを実施したことし三月から六月までの間に、それぞれの金融機関別の引き下げ率というものをまず御報告願いたい。言葉をかえると追随率といいましょうか、これをひとつお示しいただきたいと思います。
  107. 徳田博美

    徳田説明員 先生いま御指摘公定歩合に対する貸出金利追随率でございますが、これは五十二年二月末と五十二年六月末の比較でございます。が、全国銀行で〇・五六一で追随率は三七・四%でございます。うち短期金利が〇・八六〇%の下げで追随率が五七・三でございます。それから都市銀行は〇・七〇九で追随率は四七・三でございます。うち短期だけでございますと、〇・九四五の下げで六三%の追随率ということになっております。それから相互銀行でございますが、これは〇・二九二の下げでございまして、追随率が一九・五、このようになっております。
  108. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、〇・五六一、これが総合の下がった率だ、追随率三七%だとおっしゃる。それからまた短期のみに限って言えば〇・八六〇で追随率五七%だ、こうおっしゃるわけですね。この率は、前任の局長さんが、四月の二十七日だったかと思いますけれども、私がこの委員会で、公定歩合が一%下がったときに追随率は大体どれくらいかというお尋ねをしたときに、ざっと考えて総合で五割、短期で八割だという御答弁をなさったことを私は記憶しております。これから申しますと、ずいぶんと公定歩合は下がった、下がったとおっしゃり、また、現実に公定歩合は一・五%下がっておりますけれども、実際の資金必要者、借りる方にしてみれば、常識的な線にまでまだいってない。皆様方がお考えになっておる数字までいっていないと私は判断しますが、銀行局長、この辺はいかがですか。
  109. 徳田博美

    徳田説明員 いまの追随率の件でございますけれども、御承知のとおり手形の書きかえ期等に利下げを行われるわけでございますので、全部の引き下げ効果が発現するまでには若干の期間を要するわけでございます。前回の五十年の三月から七月にかけての同じ四カ月の期間で見ますと、前回は追随率全国銀行で二九・四でございます。今回は三七・四でございますから、今回の方が前回より追随率は上回っておるわけでございます。  それから、前回、前銀行局長がお答え申し上げました数字でございますが、これは今回の金融緩和、つまり五十年三月末からずっと引き続いた金融緩和による公定歩合引き下げに対する追随率を現在までのところで見ますと、短期で七二・九%に上がっているわけでございまして、ある程度の期間をもう少しお待ちいただければ、追随率はもっと、前銀行局長がお答え申し上げたような線にまでいくのではないか、このように考えております。
  110. 高橋高望

    高橋委員 大臣にちょっとお伺いしたいのです。けれども、実際の景気回復をすべく考え公定歩合並びに実際の金利負担というものについては、それほど私は下がってないということがこのことで言えると思うのですね。     〔山下(元)委員長代理退席、委員兵着席〕 ですから、高いところの時点で一・五%の公定歩合が下がったというと、いかにも何か金利全体が下がっているように思いますけれども、少なくともこの六月いっぱいまでに関して言えば、ずいぶんと御努力なさっておられるように思われます。が、実際はそれほど数字として出てきていないのではないか、これが逆に言えば、ただでさえ冷え切ってしまっている設備投資意欲というものを刺激する方にいっていない、このように私は判断いたしますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  111. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のように、確かに金利引き下げ効果は、公定歩合一・五でございます。けれども、実際にプライムレートで貸し出している先の比率というのはそんなに高くございませんし、特に中小企業の場合には、プライムレートで借りている場合が非常に少ないわけでございます。したがいまして、中小企業金利負担の軽減の進みぐあいというのはまだ完全にはいっていないわけでございますけれども、これから数カ月光には、先ほど申し上げましたように、追随率もかなり上がってくると考えられますし、また、企業としても、これから先行き金利負担低下するということがある程度見込まれるわけでございますので、その面で、先行きある程度採算ということについても明るさが見えてくることになります。し、企業心理の面ではこれは非常にプラスになっているのではないかというように考えております。
  112. 高橋高望

    高橋委員 それでは、これまた前局長の御発言が頭に残っていて大変申しわけないのですが、こういう追随率を引き上げるように要請をするということを言われたのですけれども、たとえば四月から六月までの三カ月間、最も重要だと思われるこの三カ月間の中にあって、各種の金融機関に対してこの追随率を上げるように、どのような時期にどういうような形で要請なさいましたですか。
  113. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のように、公定歩合操作、金利政策をやりました場合には、末端にその実効が上がるということが非常に大事でございますので、前回公定歩合引き下げを行いました際に、特に中小企業金融を中心といたしまして、金利引き下げの実効を図るようにということで、各金融機関等に向けまして談話を発表しております。その後、各全国銀行、相互銀行、信用金庫それぞれの会合があるわけでございますが、そこに出席いたしまして、金利引き下げについての格段の努力を要請しております。それから、各金融機関に対しましては、これは検査部で検査を行っているわけでございますけれども、その検査の過程におきましても、この公定歩合に対する追随率と申しますか、貸出金利引き下げ度合いについても着目しながら、検査を行っております。
  114. 高橋高望

    高橋委員 追随率が実際の意味での企業経営者にとっては金利、逆に言うと政府の施策だというふうに私は受け取ると思います。どうぞそういった意味で、いろいろの要素はございましょうけれども、少なくとも公定歩合が下がったというときに、実際に自分たちの金利については、ずれもあった、あるいは利子はそれほどじゃないという印象をとかくいままでは持たせてきたと思うのですね。それが今度のような場合でも、政府の方の御努力にもかかわらず実効が上がってこないということは、そういった意味での表向きの話と実際にやられていることとの間に何かギャップがある、これが景気回復させるのに大きな障害になっている。この辺について銀行局長、再度お考え方を承っておきたいと思います。
  115. 徳田博美

    徳田説明員 追随率の問題でございますが、これは資金需給の度合いもこれに関連してくるわけでございまして、御承知のとおり、いま非常に資金需給が緩和しております。そういう意味で、貸出金利引き下げに対する要請は企業側から非常に強いわけでございまして、金融機関側としても、そういう企業の要請もございまして、これは前回でもいままでの引き下げ時よりもはるかに大きな追随率を示しているわけでございます。先ほど相互銀行の追随率をちょっと申し上げましたけれども、五十二年の引き下げ時には一九・五ということを申し上げましたが、これが同じ期間で五十年三月から五十年七月までの追随率は、当時は一〇・六でございまして、その意味では追随率は倍に近くなっているわけでございます。そういうこともございますので、今後とも先生の御発言を十分承りまして金利引き下げを行うように指導してまいりたいと思います。
  116. 高橋高望

    高橋委員 きょうは私、もしかすると経済企画庁の方にお尋ねするのが本当だったのかもしれませんが、引き続いてちょっとお尋ねしたいことは、現在最も新しい資料で考えたときに、製造業の売上高に対する営業利益率と売上高と金融費用の比率の関係というのはどのようになっているか。これはきょうの顔ぶれの中でどなたかおわかりになりますか。いかがでございましょうか。  というのは、私はついこの間まではこれは逆ざやだったのじゃないかと思うのですが、このところ、先ほど来のお話で、金利負担が少し軽くなってきているということで、順ざやになっているかどうかということを、概略で結構なんですが、ちょっと。
  117. 徳田博美

    徳田説明員 これは直接のお答えになるかどうか疑問でございますが、今回の一連の金利引き下げによりまして、企業金利負担の軽減される金額というのは、これはいろいろ推定がございます。けれども一つの推定によりますと、大体九千億円と見込まれているわけでございます。これの企業の経常純益に対する比率が大体一五%でございます。したがって、収益面でそれだけの好転があるということは考えられます。
  118. 高橋高望

    高橋委員 詳しく伺うと大変所管違いかと思いますけれども、いまの銀行局長の答えは、一言で言って順ざやになってきている、金融負担の方が売り上げ利益率に対して下がってきている、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  119. 徳田博美

    徳田説明員 企業全般で申しますと、恐らく金融費用の負担率というのは下がってきているのではないかと考えます。
  120. 高橋高望

    高橋委員 私が申し上げているのは、売上高に対する営業利益率、それと売上高金融費用比率です。いかがでございましょう。私はどうもこのところで順ざやに変わってきているかなという判断は持っているのですけれども数字がいま手元にございませんものですから、ちょっと伺っておきたかったのです。
  121. 徳田博美

    徳田説明員 直接お答えする数字がちょっと手元にございませんので、後で調査して御報告申し上げたいと思います。
  122. 高橋高望

    高橋委員 それではそれはお願いずることにいたしまして、私は順ざやになってきているという前提の上に立つのですが、それにもかかわらず設備投資が起こらないというのは、どうも企業家としてはいろいろ他の要素が出てきている。もっと言うならば、ずれたいままでのような手当てだけではどうも企業意欲がもう一つ上がってこない。これにはやはり需給ギャップの問題もございましょう、それから経済見通しについて何よりも不透明な環境ということがあると思うのです。金融情勢以外の要因もかなり大きいように思われますけれども、ましてやこうした金利政策をとられたんではなかなかに設備投資に回らない。  それで私は、いまここで逆に今度は民間設備投資回復力の鈍さについてお伺いをしたいと思うのです。  日銀が五月に短期経済観測をなさっている。ほとんど全産業ベースで三・八%増だ、こう言っておられる。そしてその中身は製造業は六・二%の減であり、非製造業は一五・一%の増だ、こうなっておるわけです。そうすると、この製造業のマイナスというものが全体としての停滞感を非常に与えていると思いますけれども、この製造業がいま考えている設備投資の実体というのは、私はもう能力拡大じゃないと思うのです。あるいはコストを引き下げるための合理化だとか省力化投資じゃないと思うのです。製造業がいま考えている設備投資というのは、どうも新製品開発かあるいは現有設備の維持か補修ということに終始している。一方非製造業の持っている設備投資意欲というのは特に卸、小売、サービス部門では能力の拡充投資が主体になっている。私はこのような動向に見ているのです。したがって、政府の手当ての仕方もこうした動向を考えた上での金融政策でなければならないか、あるいは税制の取り扱いでなければならないかと思いますが、この辺はいかがでございましょう。
  123. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のとおり、いま設備投資の伸びは非常に悪いわけでございます。特に金融面で見ましても、長期信用銀行に対する日本銀行の窓口指導の枠が四——六、七——九と前年対比かなりの大きな減少になっております。こういう意味で設備資金需要も一向に盛り上がってまいらないわけでございますが、このように設備投資が盛り上がらない原因としては、先ほど先生も御指摘になりましたように、いまの企業家のマインドが大きく変わっているわけでございまして、かつては設備投資に当たりましては設備増強先行型でございましたけれども、現在は完全に需要追随型になっておるわけでございます。したがいまして、先行き明らかに需要の増加が見込まれない限り企業家が設備投資を行わないという面があるわけでございます。主要な産業につきまして現在の設備の能力とそれに見合う需要の均衡する点をいろいろ調査いたしますと、これはいろいろな見方もございますけれども、大体五十六年以降ではないかというような数字もあるわけでございます。それから設備の懐妊期間を逆算いたします。と、本格的に設備投資が起こるのは、やはり本年度はとてもむずかしいということになるわけでございまして、基本的にはそのような情勢がありますので、今回長期金利引き下げを行いましたけれども、そのことが直ちに設備投資の喚起ということにつながるとは必ずしも考えられないとわれわれは思っております。先ほど先生も御指摘になりましたように、やはり売り上げに対する金融費用の負担率の低下、したがって、それに伴って企業収益増加、したがって、それによる企業マインドの明るさということが当面の効果か、このように考えております。
  124. 高橋高望

    高橋委員 残念ながら時間がまいりましたので、私の意見を最後に申し上げさせていただきます。  意見として申し上げたいのは、私は政府の期待している年度内一二・二%という設備投資、これがどうも達成できないような気がいたしますし、逆に言うと、設備投資に依存するという考え方の中で景気回復のリーダーを務めさせようということは、今回の場合にどうもちょっと焦点がずれているような気がいたしますので、仮にお考えのような設備投資一二・二%増を期待されるのであれば、先ほど申し上げたような製造業に対する格段の御配慮を既存の税制あるいは見直しの税制の中でひとつお考えになっていただきたいとお願いを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  125. 小渕恵三

    小渕委員長 荒木宏君。
  126. 荒木宏

    荒木委員 時間が限られておりますので、早速お尋ねいたしますが、第一は構造不況業種と言われるものに対する金融措置の問題であります。  一つは、制度融資の返済猶予なりあるいは期間の延長、これは従来からケース・バイ・ケースでやられてはまいりましたが、ここへ来て、こういう状態の中でさらに特段の配慮を求める声が高まっておりますが、対策お尋ねしたいと思います。  それから二つは、いわゆる倒産防止融資と申しますか、あるいは在庫凍結資金融資といいますか、それぞれ自助努力を続けているそういう中で、政府説明によりますと、もうしばらく様子を見てと、こうおっしゃるのですが、その間の努力のつなぎに助けとなるような仕組みを求める声もまた非常に強いものがあります。こういった要望について、どういうふうな対策をおとりになったか。  三つ日は、構造不況業種につきましては、過剰設備の共同廃棄ということが問題になっております。これは平電炉の業界でありますとか化学肥料ですとか、あるいは紡績、織物を初めとする繊維の業界ですとかダンボール原紙、合板、それぞれ業界で問題になっております。もちろんこれは数量的な過剰整理ということだけではなくて、さらに将来の展望を開くという質的な面もその中に含まれておると思いますが、こうした過剰設備の廃棄資金融資に当たって、融資基準、金額をどの程度にするか。それから、いま据え置き期間が、たとえば中小企業振興事業団でありますと業務方法書で四年ということになっておりますが、これはすでに最初決められて以来ずっとそのまま四年になっているのですけれども、その金額、基準にしましても据え置き期間にしましても、その制度の趣旨が十分達せられるような、その間に立ち直りが図れるに十分なそして必要な期間、金額でなくてはならぬと思うのですが、そうした趣旨が達せられるような点から考えて、再検討すべき必要があれば、弾力的に運用を進めるということがまた望まれると思うのです。  そうした三つの点につきまして、まず大蔵省と通産省の方からお考え伺いたいと思います。
  127. 徳田博美

    徳田説明員 まず大蔵省関係から申し上げます。  構造不況業種につきましては、御承知のとおり金融面からだけの施策につきましては限界がございますので、全般的な個々の産業の将来のビジョンを含めましたこれからのあり方ということを踏まえていろいろの対策が官民で立てられ、そういうものが立てられた場合に、その背景として金融面でもできるだけの協力をするというのが一つの方向かと考えられます。こういう意味で、現在、構造不況業種につきまして、日銀、大蔵省それから通産省の間で情報交換その他を目的といたしました連絡会議が設けられております。この連絡会議におきまして随時情報を交換し、また適時適切な対策を打ってまいりたい、このように考えております。  それから、こういう構造不況業種に属する企業について経営上いろいろ問題が起きた場合に、たとえば償還猶予等の措置をとるということも一つ考え方かと思いますが、そういう経理内容につきましては個々の企業によりまして千差万別でございます。現在におきましても、政府関係金融機関におきまして企業の実態に応じて償還の猶予であるとかあるいは金利引き下げを行っているわけでございまして、今後ともこういうものを弾力的に運用してまいりたい、このように考えております。  倒産関連の緊急対策でございますが、これにつきましては、御承知のとおり各地区別に通産、大蔵あるいは金融機関を入れました中小企業金融懇談会ができておりまして、各地においていち早く情報を獲得して、それに対して適時適切な施策を行うような体制もできているわけでございます。  それから、これも御承知のとおり、倒産関連の中小企業倒産対策緊急融資という制度ができておりまして、これは政府関係の金融機関で別枠で融資を行うというような措置もできておるわけでございまして、こういう面を活用してまいりたい、このように考えております。
  128. 赤川邦雄

    ○赤川説明員 繊維関係の制度融資でございます。けれども、過去五十年から何回も配慮をしてほしいということを言っておりまして、さらにことしの二月にもう一度局長から各金融機関に対しましてお願いを行っております。その結果、ちょっと実績を調べますと、たとえば事業団でございます。が、五十一年の四月から五十二年の二月で、事業団でその期間に約定の回収時期の来る金額が九十六億ございますが、そのうちの五三%につきまして実は償還猶予をやっております。  第二の在庫の資金でございますが、在庫につきましては、政府系機関を通じまして倉庫証券を担保にしてよろしいというふうな指導をしまして、特別の配慮についてお願いを行っております。  それから、特に信用補完につきましても、今年の七月一日に繊維関係につきまして主な業種をさらに不況業種としまして信用保険法で指定を行って、信用補完の完璧を図っております。  次の、事業団の設備共同廃棄の融資の基準でございますが、これにつきましては、現在まず大原則は、廃棄設備の簿価の三倍が原則でございます。この簿価が不明等の場合につきましては再調達価格の二分の一というふうになっておりまして、これについては確固たる基準がないのでございますけれども、やはりこれが組合員の負担で将来の返済になるということを考えますと、余りこの率を上げるのも問題があるというふうに思っております。  それからさらに据え置き期間でございますけれども、現在十六年に対しまして四年でございます。これは他の制度融資と比較しますと非常に有利でございまして、この据え置き期間につきましては妥当な線ではないかと思っております。
  129. 荒木宏

    荒木委員 第二は、消費者金融の立場から、いわゆるサラリーマン金融と言われておる点なんですが、これは大臣も、ことしの二月の予算委員会で論議になりましたときに、さらに努力したい、こう御答弁になっておりますが、いろいろ問題に関係の省庁が多々ありまして、これが寄り寄り協議ということになっておるのですが、なかなかその協議が進まないということで今日になっておるのです。ひとつ大臣の方から具体的にどういうふうにお進めになるか、対策をお伺いしたいと思うのです。
  130. 徳田博美

    徳田説明員 いわゆる町の金融業者が、最近サラリーマン金融等を主体にかなり盛んに行っておりまして、それに伴ういろいろな弊害も出ているわけでございますけれども、この問題はただいま先生も御指摘のように単なる金融の問題だけではございませんで、公共の秩序にもかかわるというような面もかなりあるわけでございます。  特に問題といたしましては、こういう高金利の処罰をどのようにすべきであるかとか、あるいはその取り締まりを現実にどのように行うか、あるいは仮に取り締まりを行う場合に、これに対して十分それを実施するだけの人員その他の能力が行政面であるかどうかというような幾つかの問題があるわけでございます。したがいまして、所管官庁も、先生の御指摘のように内閣のほかに警察庁、法務省、企画庁、自治省それから大蔵省と多岐にわたっているわけでございますが、ただしかし、最近こういう町のサラリーマン金融業者を中心といたしまして高金利事犯あるいは暴力事犯が非常にふえておりますので、これに対する対策を緊急に打ち出すべきであるということ、これはそのように考えられるわけでございます。したがいまして、先般これらの関係各省庁との間でこの問題を処理するための連絡会議を設けることが決定されましたので、目下それを早急に開催すべく鋭意各省庁と相談を重ねておるところでございます。
  131. 荒木宏

    荒木委員 連絡会議は事務局といいますか、窓口といいますか、世話係といいますか、どこがやっているのですか。
  132. 徳田博美

    徳田説明員 先ほど申し上げましたように、この問題につきましては所管官庁が非常に多岐にわたっておりますので、実はどこが一番主管になるかということについてもいろいろ問題があるわけでございまして、そのことを含めてこれから相談をしていきたいと考えております。
  133. 荒木宏

    荒木委員 時間がありませんので、あれですが、去年すでに大蔵委員会で論議になりました。前の大蔵大臣が法改正の検討も含めて年内結論という御答弁もあり、さらに法務委員会、物価対策特別委員会でも論議がありました。本年になりましても、先ほど申し上げた大臣の御答弁が予算委員会で二月の十七日であります。さらに前銀行局長が、いま現局長が答弁されたように、寄り寄り協議を進めるという答弁をされたのが三月の十八日であります。さらに銀行局中小金融課長がそれぞれ相寄って相談を進めるという答弁をされたのが法務委員会で四月の二十日であります。また、その間には同僚議員から質問主意書が出まして、これは総理大臣の名前で答弁書が出されました。また、同僚議員のお名前で本委員会にそれに関連する議員立法の提案もなされておりますし、さらに大阪の弁護士会では若手弁護士の有志で規制法案が試案として発表されて、新聞報道もあるとおりであります。全然事が進まない、つまり寄るということだけが決まっているけれども、どこが呼びかけるのか、どこが責任を持つのか、これがさっぱり決まらぬままですでに一年過ぎております。関係委員会で討議をされたことも少なくありません。進める旨の答弁をいただいたことも一再ならずあります。法務省それから総理府にも念のために来ていただいて事前にお伺いをしましたが、やはりこれは大蔵省が進めるべきことではないかという話でありました。これは大臣、どういうふうになさるおつもりかはっきりしていただきたいと思います。お寄りになることは決まっている。しかし、どこが呼びかけるか決まっていないじゃ、これはなかなか事が進まないのじゃないでしょうか。時間がございませんから、ひとつ大臣の方から、政治的に責任のある、どうするということを責任をもってひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  134. 坊秀男

    坊国務大臣 この問題はずいぶん古くから大蔵委員会でもいろいろと御意見を承ってまいった。私も委員のときに、別に私が申し上げたわけじゃありませんけれども、ずっと問題として残っておるのでありまして、何とかしてその片をつけていかなければならぬということを考えております。関係の役所でございますか、これが非常に複雑多岐になっておりますので、船頭多くして船はなかなか進まないというようなこともございますけれども、いずれにいたしましても、これは早く片をつけなければならぬという問題でございますので、われわれといたしましても、そういう方向に鋭意努力をしてまいりたい、かように考えております。
  135. 荒木宏

    荒木委員 舶頭がいないんじゃないかと思いますけれども、時間がないようですから、もう一言だけ伺って終わります。  これは、いわゆるタックスヘーブンの問題でございますが、二月九日の予算委員会で同僚議員が主税局長お尋ねをしまして、国税庁の方で実情調査をしているという御答弁をいただきました。また、五月の外務委員会でも論議がありまして、OECDの第六作業部会でいわゆる移転価格の問題として勉強が進められているということなんですが、わが国として税制上取り上げるということになりますと、歳入欠陥の折りからでもあり、税調審議ということもこれありで、大蔵省として方針をお出しになる時期だというふうに思います。先般、新聞報道も観測記事があったようでありますけれども、これについての方針を伺って質問を終わりたいと思います。
  136. 大倉眞隆

    ○大倉説明員 これは、私ども自身が、従来からこの問題を課税の適正化を図らなくてはならぬという問題意識を持っておるわけでございまして、最近の作業を申し上げてお答えにかえたいと思います。  海外投資を正常な事業活動を阻害しない範囲で、しかし、いわゆるタックスヘーブンを利用しての租税回避はこれを防ぐというためにどういう方式が考えられるか。一つの行き方は、わが国に比べて法人税の実効税率が非常に低い、あるいは法人税がそもそもないという国に出ている子会社については、配当として本国に送り返さない場合でも、外国に留保したままの場合でも、それを親会社の所得に付加して課税するということは考えられないかということで、現実に事業活動をしておられる会社に集まっていただきまして、私どものそういう気持ちを伝えまして、そういったことをやったら一体どんな問題が出てくるかという、いわばケーススタディーを始めています。これはもちろん釈迦に説法でございますが、何らかの税制改正を行います場合に、それは結果として正常な事業活動を阻害することになっては困りますので、なおその意味でのケーススタディーを重ねまして、私ども考えているようないい案ができないものかどうか、研究をいたしてみたい。税制調査会にお諮りする前に、まず私どもとしてのそういう作業を進めたいというのが現状でございます。
  137. 荒木宏

    荒木委員 総理府、法務省は、どうも失礼いたしました。
  138. 小渕恵三

    小渕委員長 永原稔君。
  139. 永原稔

    永原委員 大臣、お急ぎのようですので、基本的な考え方だけお伺いして、以下政務次官ほかの皆さんにお伺いしたいと思います。  七月十九日の銀行大会において、新金融効率化構想、このことについて大臣からお話があったように承っております。金融機関の利ざやが非常に低下しておりますし、本格的に効率化を図るような経営が必要であるという事情はよくわかるのです。いままでの措置が手とり足とり、いわば護送船団方式というような手厚い温存主義であったというようなものから、この厳しい情勢に応じて効率化を図っていこうというお考えはよくわかるのですが、新しい角度から競争原理を導入するといいましても、自由化の問題が片っ方にございます。先ほど副総裁以下お話がございました。一挙に実施するのは混乱が起こるというようなお話もありました。こういう中で、あえて効率化論をお打ちになった基本的な考え方をまず第一番目に伺いたいと思います。
  140. 坊秀男

    坊国務大臣 申すまでもなく、金融機関というものは非常に公的な色彩を持った仕事をやっておられる。そういうことが一面にありますけれども、反面におきましては、これはやはり株式会社といったような、営利追求とまで申しませんけれども一つの営業機関であるという二つの性格が内在しておるというものでございますが、その金融機関に与えられたと申しますか、課せられた使命というものは、そのときどきの経済社会情勢に即応しまして、最も有効適切なる資金の供給と、それから資金を集める仕事をやっていただかなければならないというような、理屈を申しますと非常にむずかしい仕事をやっていかなければならないというようなことでございまして、さらに今日の経済社会情勢から考えてみますと、そのむずかしい仕事がますますむずかしいことになってきておると思います。  そこで、金融機関が、この重大なる事態に臨みまして、二つのそういったような性格、これを自分の内部におきまして自覚せられ、またその自己責任というものを感じられて、金融の適切なる仕事をやっていただきたい、こういうことを申し上げたのでございます。
  141. 永原稔

    永原委員 まだ具体的な構想というのは発表になっておりませんけれども、たとえば預貸率の問題とかあるいは営業用不動産比率の問題とか、そういうものを中心にしながら、新しい経理基準を設定するというようなことが報道されております。また資金運用の配分など、業種別、業態別、機関別にどういうようになっているか、オープンにする、そうしてその様子を見て預金者が金融機関を選択することができるようにするのだというような、財務内容の公開というようなことも報道されております。また店舗配置の弾力化といいますかそういうようなものが構想されておるように聞いておりますけれども、そういうものについて何か腹案がおありになりましたら、局長からお話いただきたいと思います。
  142. 徳田博美

    徳田説明員 先ほど先生御指摘のように、従来のいわば過保護と申しますか、非効率な金融機関を温存するような形で、手とり足とりを行うような行政ということではなくて、むしろ厳しい自己責任を求めていくという行政の方向がこれからの方向ではないかと考えているわけでございます。が、そのためには、適正な競争原理のもとで、自己責任の原則に立って自主的な企業努力を厳しく求めていくということがこれからの一つ金融行政の方向ではないかと考えております。その場合に、やはり金融機関の自主的な努力を内部的に担保するような仕組みが必要でございますので、その一環として、ただいま先生の御指摘になりましたようなディスクロージャーと申しますか、金融機関のある程度の活動内容を広く国民大衆に知らせて、金融機関に対する理解と支持を深めると同時に、またそれが反射として、金融機関自体のビヘービアの規制につながるというような仕組みも考えておるわけでございます。ただこの点は、御承知のとおり金融機関は信用秩序の維持であるとかあるいは企業秘密の保持とか、そういうことも大事でございますので、どの程度それを行うかということについては、これから検討を必要とすると考えておりますけれども、いずれにしても、それが一つの方向ではないか、このように考えております。  それと関連いたしまして、ただいま先生も御指摘のような統一経理基準の見直しであるとか、そのほかその自己責任を追及していく上での必要な措置をいろいろ検討してまいりたい、このように考えております。
  143. 永原稔

    永原委員 一口に金融機関といいましても、いろいろございます。都市銀行あるいは地銀、さらに信用金庫とか相互銀行とか、系統金融としての農協とかいろいろあるわけです。その中で、財務内容を公開するという場合に、勢い資金コストの安い都市銀行が中小企業分野に侵食してくるのではないだろうか、考え方の根底に大企業優先的な考え方が含まれているのではないか、こういう懸念を持つ向きもあると思います。  そういう点について、信用金庫とか相互銀行が中小企業対策として特に生まれている特殊な銀行であるということからしますと、これについてどのように措置をなさっていこうとするのか、その点も伺ってみたいと思います。
  144. 徳田博美

    徳田説明員 御指摘のとおり、日本には各種の金融機関があるわけでございますが、普通銀行のほかに長期信用機関あるいは中小企業金融機関、いろいろございます。これからの金融制度といたしましては、やはりそれぞれの歴史を持ったこれらの金融機関がそれぞれの特質を発揮していく、しかし、それが閉ざされた中での競争ではなくて、お互いに特質、長所を伸ばしながら積極的な競争をしてバランスをとっていくことが望ましいのではないか、このように考えているわけでございます。  したがって、その場合に、競争と申しましても適正な競争と申し上げたその適正という言葉は、その辺を配慮してのことでございまして、どこまでも中小金融機関の本質というか特徴は育てていきたい、しかし、それぞれの業務分野に安住するということではなくて、周辺で互いに競争しながらそれぞれの経済的機能を果たしていくことが望ましい、このように考えております。  中小金融機関につきましても、規模の小さい中小企業がございますけれども、しかし、それなりに地域金融に密着をし、取引先から信頼を得ている金融機関は非常に経営内容もいいわけでございまして、これは大金融機関に伍して、あるいはそれ以上に経営基盤がかたいわけでございます。したがいまして、中小金融機関全体としての効率的な水準を上げていくことを目途に指導していきたい、このように考えております。
  145. 永原稔

    永原委員 この前の効率論が述べられたときに、第一、勧銀、また神戸銀行、太陽銀行の合併が行われたと思います。それと同じように、今度も企業数の縮小、合併というようなことが行われるような指導がなされるのでしょうか。
  146. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のとおり、昭和四十年代の前半に金融効率化ということが議論されたわけでございますが、そのときは時代の背景もございまして、どちらかと申しますと量的な面、あるいは数字の面での効率化がかなり重視されたわけでございますけれども、しかし現在は、経済金融構造が全く違ってまいっておりまして、質的な面での効率ということが重視されるべきではないか、このように考えております。  たとえば金融機関の規模が大きくなりますと経営効率はよくなるわけで、その点では規模の利益があるわけでございますが、そのために今度は中小企業に対する配慮がおろそかになるということでは、逆にある意味では規模の非効率にもなるわけでございます。そういう意味で、より高次の効率ということを求める意味で新しい金融効率化ということを打ち出しているわけでございまして、本当に国民経済が必要とするような金融機関の組織、あるいはその仕組み、あるいは経営体制をつくっていきたい、このように考えております。
  147. 永原稔

    永原委員 この考えを全部に当てはめるのは適当でないと思いますけれども金融機関の公的な面というのをとらえた場合に、一概には言えないことは承知しておりますが、いままでの経済政策が非常に温存主義であったということは否定できないと思うのです。たとえば過剰労働力を抱えて呻吟している企業に対して雇用安定資金あるいは雇用調整給付金というようなもので、過剰労働力を抱えたまま何とか温存させるという方策がとられてきていた、こういう経済政策が中心であったと思います。  しかし、高度経済成長時代に投資されたあの設備が、いまや低成長時代には、マクロ的に見れば過剰になっているということが指摘できるのではないだろうか。労働力についても、ただ温存するだけでなくて、より積極的に他産業への転換を図るような政策が必要になってくるのではないだろうか。それから借入金についても、長期金利の負担が企業をかなり圧迫しておりますので、これに対する措置も抜本的に考える必要があるのではないだろうか。やはり減速経済、低成長時代の経済政策というのをもう一度見直す必要があるのではないかという気がするのですけれども昭和初期、あの不況を乗り切るときに非常に企業合同が行われ、あるいは金融機関の合併が行われた。むしろ企業の体質改善は金融機関の整理統合があったためによりスムーズに進んだというようなことも言われておりますが、そういう点について、経済政策の一環として今後変更を見るというようなお気持ちをおなかの中に含んでいらっしゃるかどうか、伺ってみたい。
  148. 徳田博美

    徳田説明員 先生御指摘のとおり、日本経済高度成長から安定成長に移行する過程において大きな構造転換を強いられているわけでございまして、特に中小企業につきましてはその構造の是正ということが非常に問題になるわけでございます。したがって、その中小企業を支えるものとしての中小金融機関のあり方も当然そこに問い直されなければならないわけでございます。すべての企業がそういう転換過程で非常に厳しい企業努力を強いられているときに金融機関も例外ではあり得ないわけでございます。  現在、たとえば信用金庫は経費率が平均でございますと三%でございますが、個々の金融機関について見ますと、上下にそれぞれ一%ぐらいのばらつきがあるわけでございまして、中にはかなり経費率の高い非効率な金融機関もあるわけでございます。したがって、そういう金融機関は当然貸出金利も高くなるわけでございますので、そういう非効率な金融機関についてはこれから厳しい経営の見直しが求められてくると思います。したがいまして、その過程においては金融機関全体としての経営効率と申しますか、中小企業金融機関全体としての資金効率化の推進あるいは金利引き下げという過程において合併とか提携とか、そのようなこともあり得ると考えております。そういうことを含めて、これからすべての金融機関に対して厳しい経営努力を求めていきたいと考えております。
  149. 永原稔

    永原委員 時間がありませんので、しり切れトンボの質問になってしまうのですけれども、こういうような政策転換が行われる必要があるという状態の中において、たとえば構造的な不況業種に限って申しますと、確かに過剰設備を抱えている、過剰労働力を抱えている、借入金が非常に多くなっている、これをどうするかというような政策を決定するのに、予算編成に当たって、主計局の各省担当の主計官お一人お一人の頭で決めていっても、これは総合的な考え方が出てこないわけです。政策立案というような部門を行政機構の中でより強めていく必要があるのではないか、こういう気がするのですけれども、主計局のお考えはどうでしょうか。
  150. 松下康雄

    ○松下説明員 社会経済情勢の推移に即応いたしまして予算編成のやり方についても改善、工夫をこらしてまいらなければならぬという御指摘の点につきましては、私どもも全くそのとおりだと存じておりまして、私どもといたしましては、従来から弾力的なあるいは機動的な仕事を行えるようにいろいろ工夫はいたしてまいったつもりでございます。  主計官の組織にいたしましても、必ずしも各省単位の非常に固定的なものではございませんで、たとえば公共事業の担当主計官と申しますように、各省それぞれの仕事の中から公共事業の部門を抜き出してきて一人の主計官がこれを判断をするというようなこともいたしてまいってきております。  また、御指摘のスタッフ部門を充実させる点につきましては、三十七年の五月に主計局に調査課という組織を設けさせていただきましたが、その後四十八年にはさらに主計企画官と申しまして、これは全くのスタッフ機能を営むものでございますけれども、こういうものを置かせていただきまして、その年その年に特有の大きな問題につきましてはこれらが調整に当たってまいるというように努力をしてまいってきておるところでございます。今後ともそういう考え方で努めてまいりたいと思います。
  151. 永原稔

    永原委員 時間が来ましたので、言いたいことが半分も言えなかったのですけれども、いまお話がありましたように、そういう総合的な計画を担当する部門というのはやはり充実していく必要がある。特に、高度経済成長から安定成長へ、減速経済へと移行している中で、経済政策そのものがもう一遍抜本的に見直される必要があるのではないかということを意見として申し上げておいて、質問を終わります。
  152. 小渕恵三

    小渕委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会