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1977-08-23 第81回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年八月三日(水曜日)委員長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       青木 正久君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    佐々木義武君       島村 宜伸君    楢橋  進君       萩原 幸雄君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       後藤  茂君    上坂  昇君       渡辺 三郎君    長田 武士君       西中  清君    玉置 一徳君       工藤  晃君    大成 正雄君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 橋口  隆君  流通問題小委員       安倍晋太郎君    藏内 修治君       辻  英雄君    中島源太郎君       中西 啓介君    西銘 順治君       林  義郎君    前田治一郎君       武藤 嘉文君    渡辺 秀央君       加藤 清二君    佐野  進君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    玉城 栄一君       松本 忠助君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君  流通問題小委員長       佐野  進君 ————————————————————— 昭和五十二年八月二十三日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君 理事 玉置 一徳君       青木 正久君    藏内 修治君       楢橋  進君    西銘 順治君       萩原 幸雄君    前田治一郎君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清二君       後藤  茂君    清水  勇君       中村 重光君    渡辺 三郎君       長田 武士君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         大蔵省関税局企         画課長     勝川 欣哉君         大蔵省銀行局総         務課長     石川  周君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         運輸省船舶局関         連工業課長   清水 正彦君         建設省計画局建         設業課長    広瀬  優君         建設省計画局不         動産業課長   中村 博英君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 八月三日  一、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する   大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協   定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源   の開発に関する特別措置法案内閣提出、第   八十回国会閣法第三〇号)  二、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正す   る法律案松本忠助君外三名提出、第八十回   国会衆法第九号)  三、小規模事業者生業安定資金融通特別措置法   案(松本忠助君外三名提出、第八十回国会衆   法第一〇号)  四、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一   部を改正する法律案松本忠助君外三名提出、   第八十回国会衆法第四二号)  五、通商産業基本施策に関する件  六、中小企業に関する件  七、資源エネルギーに関する件  八、特許及び工業技術に関する件  九、経済計画及び総合調整に関する件  一〇、私的独占禁止及び公正取引に関する件  一一、鉱業と一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
  3. 上坂昇

    上坂委員 時間が限られておりますから、早速質問に入りますが、いま非常に景気状況が悪いわけでありまして、不況脱出がなかなかできません。そこで、この不況脱出についての政府見通し、特に通産省としてはどういうふうに見通しを立てておられるか、お伺いをいたしたいのであります。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたします。  今日の経済情勢は、率直に申しまして、われわれが期待いたしたテンポどおりには参っておらない、なかなか深刻な不況状態を脱出し切れないというのが現状でございます。  つきまして、通産省といたしましては、御案内の構造的な、いわゆる高度成長から低成長に転換いたしましたにつきましての構造不況業種と申しまするものでございますとか、あるいはまた需要の落ち込みによりまする中小企業の問題でありますとか、これが対策につきましてはあらゆる努力を傾けておりますると同時に、また、きめの細かいいろいろな施策をいたしておるような次第でございまして、御質問お答えいたしまするにつきましては、まだ不況を脱し切れないということをお答えといたします。
  5. 上坂昇

    上坂委員 いまのお答えによりますと、どうも見通しが困難だというふうにしかとれないわけでありますが、見通しが困難だという形になりますと、ますます先行きの不安が増勢してまいりまして、いま政府としては公共事業前倒しをやろうということで、補正予算も一兆円あるいは一兆五千億といった予算を組みたいというような話でありますけれども先行き見通しが出なければ、公共事業を起こしてもなかなか景気回復の刺激にならないのじゃないかというふうな感じがするわけであります。  特に、いままでやりました公共事業についても、どうも民間需要が伴っていない、そこにやはり非常に大きな問題があるのではないかというふうに私は思っておるわけでありますが、こうした点の見通しを早く立てる必要があるのと、もう一つは、公共事業にだけ重点を置き過ぎて果たして景気回復ができるのかどうか、この辺について、ひとつ通産大臣のお考えを披瀝をしていただきたいと思います。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 私どもは、不況脱出テンポがおくれておるということを申し上げておるのでございまして、不況脱出が困難である、今後将来とも低迷を続けるとは考えておらないのでございます。  御案内のとおりに、景気回復促進のために公共事業等執行促進でありますとか、あるいは金利水準の引き下げでございますとか、一連の景気対策をいたしておりますが、かかる問題に対しましては、御案内のとおりに、公共事業早期執行前倒しというものを閣議で決定いたしまして、そして大蔵大臣本部長といたしました推進本部におきまして、その効果をずっとフォローいたしておるのでございます。  しかしながら、やってまいりました後におきましても、一例を申し上げますと、たとえば地方自治体であります場合におきましては、御案内のとおりに自治体が、県知事が自由裁量をもってやれます公共事業というふうなものは一億円限度になっております。これを自治省の方で三億円の限度まで法律改正をしていただいたわけでありますが、これが県議会を通過して条例になりませんと執行ができないといったような面がありまして、中央予算が決定いたしましても、地方自治体におきます現場の議会における認証といったようなものが事務的に大分ずれ込んでおりましたり、あるいは会計検査院等の検査とぶつかっておりましたり、いろいろな支障がございまして、ようやっと七月の中旬以後に県議会におきましても条例改正し、あるいはまた議会におきます現地の工事の認証等がどんどんと出始めてまいりました。  こういうふうないろいろな支障があることを発見してまいったのでありますが、公共事業等も大体軌道に乗りまして、あるいはセメントの需要でありますとか、あるいは骨材等々の需要もだんだん上向いてまいりましたので、前倒し効果というものがおくればせながら徐々にあらわれてまいる、こういうふうに考えております。  そのほか、民間におきます電力業界のいわゆる繰り上げ発注といったようなものの効果は比較的順調にあらわれておると存じます。  こういうふうに、政府財政資金の散布がありましてから、それをフライホイールといたしまして回り始めまして、逐次民間の方に波及してまいる、かように考えておる次第でありまして、ずれ込みのおくれはありますといたしましても、景気浮揚につきましては効果をだんだんとあらわしてまいる、かように確信をいたしておる次第でございます。
  7. 上坂昇

    上坂委員 この問題は、余りやっていますとこれだけで一時間ぐらいになってしまいますから、一応その点をお聞きしただけでとどめておきまして、次の問題に移りたいと思います。  先般の国会中小企業分野法制定が行われまして、その適用除外小売業につきましては、小売商業調整特別措置法改正されたわけであります。ところが、この改正が、スーパーなどの大型店あるいは地域的に見ますと中型店進出に対する規制をなかなか効果的にすることができないという状況が、各地に出現をいたしております。この商調法で一体こうした大型店あるいはスーパー地域進出規制することができるのかどうか、その効力が発揮できるのかどうか、この辺のところについてひとつ見解をお示しいただきたいと思うのです。
  8. 岸田文武

    岸田説明員 商調法は、すでに御承知のとおり、改正前の商調法におきましても、小売商が他の小売商以外のものの進出によって影響を受けるというときには、都道府県知事申し立てをして、あっせん、勧告、調停を受けるという道が開かれております。したがって、それによって問題を解決するというのが一つの方法であろうと思っております。  お話の中で、先般国会改正されました商調法が大規模店舗進出についてどういう役割りを果たすかという点のお尋ねでございますが、その点につきましては次のように考えております。  小売商の問題は、大きく分けてみますと、業種別の問題とそれから規模別の問題と二つに分かれるのではないかと思います。その中で、業種別の問題につきましては、製造業において分野法ができておるのに対して、小売商の問題が抜けておるということは問題ではないかということから、先般の商調法改正されたように理解をいたしております。その意味におきまして、先般の商調法改正は、主として業種別の問題を念頭に置いて法律的な手当てが行われたものではないかと理解をいたしておるところでございます。  ただ、そうは申しましても、やはり規模別の問題というのが大きな問題として残っていることは事実でございます。しかるがゆえに、先般の国会におきましても、一方で法律改正が行われながら、同時に、商調法の問題については基本的に検討するようにという宿題が、別途特別決議の形で行われたのではないかというふうに考えられるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、先般の商調法改正におきまして、実はスーパー等の問題について問題を提起し、解決の糸口となり得る道はある程度用意されているのではないかと思っているところでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、業種別の問題について、先般の商調法改正において、調査申し出をし、あるいは調整勧告申し出をし、そして調整勧告が行われ、場合によっては公表をする、さらに必要がある場合には命令をもって担保する、こういう道が開かれたわけでございますので、たとえば地区にございます青果商組合であるというような形で業種別に組織された団体がございますときには、たとえば食料スーパーが出るというときには当然問題を提起することができるわけでございます。また、衣料スーパーの場合には、衣料協同組合等がございますれば、そこが自分らの経営にとって非常に大きな問題であるという形で問題を提起するということが可能でございます。  そのような意味におきまして、先般の商調法におきましても、スーパー進出の問題については、問題を提起し、解決への道を求める大きな足がかりができたということは、率直に言って申し上げることができるのではないか、こう理解をいたしておるところでございます。
  9. 上坂昇

    上坂委員 この商調法業種別を主体にして、いわゆる規制といいますか調整といいますか、そういうものが行われるということですが、商店街全体に及ぼしている影響というのは、百貨店にしても、最近進出のダイエーとかあるいは西友とかの大きな店舗にしましても、何でもかんでもみんな売っている、いろいろなものを売っていますから、業種別でこれを規制しようとしてもなかなかできないわけでありますね。  特に最近の十万あるいは十五、六万の都市、余り人口を持っていないいわゆる中堅都市のようなところに進出するのは、駅前あたりの一番中心街については大型店舗進出をしている。ところが、大型店舗進出に伴って地元中型店舗は、今度はこれが郊外の方にどんどん進出をしていく、こういう傾向に来ていると思うのです。そこで、それらがかなりの部面で従来あった商店街を非常に脅かしている、したがって、これを何とかしなければならぬということなんですが、どうしても千五百平米以下の、すれすれのところの店舗を構えるという形になりまして、これがどうしてもいまの商調法では取り締まることができない。そこで地方自治体が非常に悩んでいるわけであります。やはり大店舗法の問題がそこに残っているのではないか、こういう意向が非常に強いわけであります。この辺の関係をもう一度長官からお話をいただきたいと思うのです。
  10. 岸田文武

    岸田説明員 これは多少解釈論にわたる点をお許しいただきたいと思いますが、先般の商調法改正におきまして、「一般消費者に対する特定物品販売事業を行う者」をその構成員の資格とする団体、これが調整申し出をするという道が開かれておるわけでございます。したがいまして、特定物品販売事業を行うということになりますと、やはり同業者の業種別団体というように理解をするのが素直な解釈ではないかというふうに思われるわけでございます。  ただ、それらの申し立てを受けるという側、すなわち百貨店であるとかスーパー等にありましては、その物品販売を専業としておる必要はございません。たとえばデパートの中で書籍売り場が相当広い面積を占めておるというようなケースにおきましては、それは書籍販売業というわけではなくて各種物品販売業になるかもしれませんけれども、その書籍売り場が広いということに着目をいたしまして書籍組合が問題を提起するということは、法律上可能ではないかというふうに思っておるところでございます。  ただ、いま申し上げましたような書き方になっておりますと、どうも地域別団体というものを読むのは、この条文の解釈からはかなり無理があるのではないかという感じがいたしておるところでございまして、その意味からしますと、商店街組合等がこれらの対象になるということは、解釈の上からはなかなかむずかしい問題があろうと思います。したがって、その部分については、国会特別決議にもございましたように、今後私どもがこれを立法論としてどう考えていくかということで考えていかなければならない問題であるというふうに理解をいたしておるところでございます。  ただ、そうは申しましても、先ほど申し上げましたように、特定物品販売がその同業の方々に大きな影響を与えるというときには、業種別団体という組織を通じて問題を提起することができるわけでございますから、現実にはスーパーの中の衣料品販売、あるいはスーパーの中の食料品販売というものに着目して問題を提起する道が開かれており、それについて何らかの調整の道を用意をするという道具は、先回の法律でもかなり強く用意されているということは間違いないことではないかと思っておるところでございます。  したがって、将来の問題はともかくといたしまして、現実の問題として先般改正されました商調法前提としてどこまでのことがやれるかということにつきましては、いま申し上げましたような前提を踏まえて、具体的に各地区ごと対応策考えていただくということになるのじゃないかと当面は思っておるところでございます。
  11. 上坂昇

    上坂委員 いまのお話では、結局スーパー進出を阻止することができないという結論になってしまうと思う。やはり進出したものについて、内容的にどう調整をしていくか、こういうことしかできないのではないかと思います。  そこで、各地区調査してみますと、非常に問題が出てくるわけでありまして、いまの商調法なり分野法なりの改正に伴って、あるいは制定に伴って政令施行令等考えられておると思うのですが、これはいつごろできますか。
  12. 岸田文武

    岸田説明員 お答えいたします。  御承知のとおり、改正されました商調法は、公布の期日が六月の下旬でございます。それから三ヵ月以内に施行することになっておりますので、大体九月下旬には施行されるということになろうかと思います。それに対応する政令省令準備は、いま部内で検討を進めております段階でございまして、近く法制局審議を仰ぎ、最終的な取りまとめに入るということを予定をいたしております。いずれにせよ、九月下旬には実施になるという前提で、諸般の準備を進めておるところでございます。
  13. 上坂昇

    上坂委員 法律施行になって、政令省令が九月末に出てきますと、完全にこれは施行されることになりますが、したがって、そういうことを見越して、たとえば駆け込みをやったのかどうかはわかりませんが、とにかく最近届け出が非常に多いわけです。それに基づいて県とか市がこれはどう対処していいかわからないわけなんです。そうした問い合わせ、指導を仰ぐというような状態は、中小企業庁の方にはこないのですか。
  14. 岸田文武

    岸田説明員 改正されました商調法が、そのねらいとするところを十分発揮をいたしまして、小売問題の解決のために役に立つようにしていくということは、非常に大切なことであると私ども考えておるところでございます。その意味におきまして、いま政省令準備をいたしておりますが、それの構想が大体固まりました段階で各府県を集めまして、この制度をこういうふうに使ってもらいたいということについて十分打ち合わせをし、そしていま与えられた道具の中で問題解決のために一番うまく使っていただけるように、事前指導なりあるいは事前の相談なりということについては、できるだけの措置をとっていきたいと思っておるところでございます。
  15. 上坂昇

    上坂委員 もう一つお聞きしたいのですが、地方自治体が独自でこのスーパー進出に対する規制をしようという形で、条例あるいは指導要綱というものをつくっておるわけであります。非常に多くなっていると思うのですが、何件ぐらいあって、そして多いという理由は一体何であるかということについて、長官考えをお聞きしたいと思います。
  16. 山口和男

    山口説明員 大規模小売店舗法との関係がございますので、お答え申し上げます。  ただいまのところ、地方公共団体条例あるいは要綱によりまして一応小売店調整ルールをつくっております例は、条例につきましては県が二件、市と町が十一件、要綱につきましては県が二十一件、市と町が三十四件、合わせて五十五件、合計いたしまして六十八件ということになっております。  これらの条例あるいは要綱の形で地方公共団体が独自に調整をするというルールをつくっております事情につきましては、先生御指摘のとおり、この大規模小売店舗法が四十八年の国会制定されまして、四十九年三月から施行されてまいりましたが、この間、大型店舗出店件数というのは、時代の要請等もございまして非常に大幅にふえてきております。ただ、大規模小売店舗法規制対象になります小売店店舗基準面積につきましては、指定都市では三千平米、それ以外のところでは千五百平米ということで、一応の基準が設けられておるわけであります。ところが、そういった基準をある程度下回るような店舗進出というのも、この期間に事実上かなりふえてきておる、場合によりましては周辺中小小売店等とのむずかしい問題を引き起こしておるケースもふえてきておるというような事情もございまして、そういった点を地方自治体としても独自の立場で解決していきたいという趣旨で、こういった条例あるいは要綱調整が行われてきておるものと思われます。
  17. 上坂昇

    上坂委員 先般、甲府市を調査してきたわけでありますが、ここは非常に典型的な中央大手スーパー進出、それに伴って地元資本が、先ほど申し上げましたような周辺地区と申しますか郊外地区に非常にたくさん進出をしておる。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席〕 最近、いわゆる届け出——甲府市あるいは山梨県が指導要綱をつくっているわけですが、それには届け出をしなさいという形だけになっておりますから、届け出をすればそれでもう進出ができるだろう、こういう形になっておりまして、むしろその指導要綱があるのでかえって問題が起きるのだ、こういう批判すら実際に起きている状況なんです。  それで、ここの新聞に、四月二十七日に年商十二億円を見込むオギノ東店というのが出店計画甲府市に提出をした、こうありますが、この面積は千四百八十五平米なんですね。まさにすれすれなんです。先ほど長官からのお話もありましたように、どうもこれは商調法でも取り締まることができない、どうやったらいいのかと思って本当に困ってしまっている。それでこの進出に伴って大変な倒産、いわゆる転廃業というものが地域に起きている。そういうところから大変な商店街反対運動が起きてきておりまして、私たちも非常にたくさんの陳情を受けたわけであります。  こうなりますと、どうしてもいまの商調法だけでは取り締まることができない。結局業種別団体でだけやろうと思っても、いまの大店舗法届け出制になっている限りにおいては、これを規制することはどうしてもできない、こういう考え方が強いし、私たちもやはりそう思わざるを得ないわけです。そこで、大店舗法改正というものがどうしてもやはり必要である。これを届け出制ではなくて許可制にするということが必要になってくるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点についての長官のお考えはいかがでしょうか。
  18. 山口和男

    山口説明員 大店舗法の現在の規定は、御承知のとおり建物主義ということになっておりまして、店舗の大きさによりまして届け出を必要とするというような考え方に立脚いたしております。建設のできるだけ早い時期と申しますか、大店舗自体を建設する時期にまず三条の届け出をいたしまして、その後、出店を予定する時期に五条の届け出をいたしますが、こういった届け出に対応いたしまして、その内容について商工会議所あるいはそれによって制定されております商調協、そういったところで検討をしていただいておりまして、そしてこの出店計画につきまして問題がある場合には、法律の七条に基づきまして、店舗面積の減少あるいは開店日の繰り下げというような点につきまして、周辺中小小売商業に対する影響等を勘案して勧告することができるということになっております。また、勧告に応じない場合には、八条によりまして通産大臣は命令を出せる、こういうことになっておるわけでございまして、大店舗法自体の法体系というのはそういうことで、最終的には大臣の命令によって調整を実行していくというような構成になっておるわけでございます。  現在、基準面積未満の店舗につきまして、都道府県等で制定いたしております条例あるいは要綱につきましても、やり方としては大体こういうやり方をとってきておりますが、ただ、命令あるいは罰則というような点まで規定していないのが大部分でございます。先般の国会改正されました商調法によりますれば、そういった基準面積未満の店舗につきましても、問題が発生し、調整が行われて、その結果、命令あるいは罰則が科せられるというような規定が設けられておるわけでございます。  そういうことで、そういった現行の届け出方式、それをさらに許可制というような形で強化するかどうかという点でございますが、こういった点につきましては、やはり消費者の利益をどう見ていくか、流通の近代化というものをどう考えるか、それと対応して中小小売商の振興問題、そういったもの、そういった点を広く網羅して抜本的な検討を進めていく必要がある、そういうように考えておるわけでございまして、ただいまのところ、そういった点を含みまして検討を進めたいという状況でございます。
  19. 上坂昇

    上坂委員 大店舗法のいまの建物規制でありますが、千五百平米が基準になっておるわけですが、各地区で行われているいわゆる条例なり要綱というものは、やはり基本的には届け出制というものが基本にされている。したがって、法律そのものが届け出制になっているものですからその範囲を出られないという考え方の上に立って、あくまでも届け出制です。ですから、届け出があればこれは許可せざるを得ない。したがって、紛争が起きたときただそれで調整をするだけだ、こういう形になっているわけです。したがって、建物の規制をもっと狭めていく、あるいは千平米にする、あるいは五百平米にするというように、千五百平米をずっと下げていくということはできると思いますが、それをやらなくても、法律そのものが許可制というもので縛っていくならば、それに基づいた精神で各県、市、町村が、地方自治体がこれに基づくところの条例の、あるいは指導要綱の強化というものができるのではないか、こういうふうに考えるわけなんです。そういう点で、いま許可制にするということが当面一番必要ではないか、私はこういうふうに考えているわけであります。  この点についてひとつお答えをいただきたいのと、時間がありませんからもう一つお願いしますが、甲府市では深夜営業が堂々と行われておるわけであります。先ほど申し上げましたように、こういう問題に対しても、市も県もこれは見過ごしているだけであります。何ら手を打つことができないんですね。業者の方はまた泣き寝入りなんです。そういう状態からきて、やはりつまるところは大店舗法が不備だからこういうかっこうになってしまうんだ、そういう不満といいますか批判だけが残っている、こういうところに問題がある。こうした営業時間なり深夜営業なり、スーパーの前に、時間は夜は零時までやりますよ、こういう表示が堂々とされているということについても、これは規制することができない、取り締まることができないというような状況なのです。こういうものに対して一体どういうふうに指導したらいいのか、その点についてもお答えをいただきたい。
  20. 山口和男

    山口説明員 第一番目の許可制問題につきましては、先ほども申し上げましたように、小売商業の規制のあり方につきまして抜本的な見地から検討を加えた上で、どうするかというような点を決めていきたいというような考え方で、ただいま鋭意検討を進めておる状況でございます。  ただいま御指摘のございましたスーパーの深夜営業の問題でございますが、郊外等にスーパー進出していくという場合に、営業時間につきまして、現在の大店舗法におきましても調整対象として取り上げておる問題でございますが、大店舗法の適用基準面積未満の場合につきましても、県あるいは市等の指導要綱で同じような調整対象にしておるわけでございます。この深夜営業が非常に紛争の原因になるというような例が多いというようにも聞いておりますが、こういった点につきましては、あくまでスーパーへの指導、こういうものがある程度必要であろう、こういうように考えられるわけでございます。  私どもスーパーの大きさと申しますか、それによりまして、たとえばナショナルスーパー、いわゆる全国にまたがっているような大手スーパーとの関係の問題ということになりますと、通産省本省でいろいろと指導していくというようなことも必要になろうと思われますし、また、県をまたがって店舗を持っておるようなスーパー、そういうことになりますと、あるいは通産省あるいは通産局、そういったところに御連絡をいただいていろいろ指導していくということになろうかと思いますが、県の単位の中でのローカルスーパーといいますか、そういうケースもあろうかと思われます。そういった場合には、やはり県が中心になってスーパーへの指導をしていくというようなことになるのではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、通産省と各都道府県あるいは市町村等とは常時密接な連絡をとりまして、指導に遺憾ないようにしていきたいと考えておるわけでございます。
  21. 上坂昇

    上坂委員 山梨県の水産物商業協同組合からの陳情によりますと、こういうことが言われております。進出大型店の夜間営業あるいは特別営業日の設定による営業時間の延長が行われた結果、そのスーパーの閉店後の営業で辛うじて営業を維持してきた小売業者が五〇%以上痛手を受けている。転廃業が三十店から四十店に及んでいる。青果物商業協同組合の場合も同じである。こういうふうに非常に影響が大きい。  それから甲府市の場合では、東南部の商店街は市道を拡張したわけです。そのために店舗改造や商店街の整備などが行われました。したがって、その各小売店がかなりの借財を背負っておるわけですこういうところに中型店あるいは大型店進出をするということになりますと、その影響が非常に大きいということで、町ぐるみの反対運動が起きているわけです。  こういうことについて十分実態を調査されて、やはり規制をしていくような形での指導をぜひ望みたいわけであります。それでないと、かなり今後紛争が続いていくのではないか。そういうことがやはりいまの商店街のいわゆる売れ行き不振あるいは営業不振というようなものにつながって、これが不況脱出というものにつながっていかないというふうに思うわけです。転廃業が行われたり倒産が行われるということは、そのこと自体が要するに景気回復をますますおくらせるもとになるわけでありますから、この点について通産省としては十分指導することが必要ではないかと私は思うわけです。そういう点の指導をぜひお願いいたしたいというふうに思っております。  それから、いまいろいろ御回答がありましたが、やはりなかなか大型店進出規制することができないと思うんですね。どうしてもこれは早急にいまの大店舗法の根本的な検討というものが必要であろう、こういうふうに思うわけです。そこで、この点について最後に長官のお考えお話しいただいて、私の質問を終わります。
  22. 岸田文武

    岸田説明員 私どもも、仕事をいたしておりまして、全国各地で小売をめぐる問題が非常に多くなっておるということについては、非常に心配をいたしておるところでございます。  確かに一方では、消費者の側からすれば、大規模店舗に来てもらって、それだけ競争が激化すれば安い物が手に入るというような希望もあろうかと思いますが、他方、中小企業の側から見ておりますと、ここ数年不況の中にあって、結局、雇用が小売部門、サービス部門に吸収されておる。この現実は無視できない問題ではないかと思っておるところでございます。こういう両面の中にあって、どういうルールをつくれば一番問題が解決できるか。これはこの際やはり根本的に考えてみる時期になっているのではないかと思っておるところでございます。  特に、現在ございます大規模店舗法あるいは商調法については、立法の当時とやはり客観情勢がいろいろ変わっておる面もございます。そういった点ももう一度見直しをしまして、問題を少しでも解決できるようにということで、私どももいまいろいろ勉強をいたしております最中でございます。  特に、先般の国会におきまして、大規模店舗法、商調法、さらには小売商振興のあり方も含めて基本的な勉強をするようにという決議をいただきましたことは、重々私どもも心得ておりまして、そういう御要望のあることも頭に置きながら、現在、特別に懇談会を設けて基礎的な勉強をし、さらにその懇談会の成果を踏まえて、ひとつ審議会でこれからの方向づけというものについて具体的な構想を打ち出すようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 中村重光君。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 不況対策あるいは貿易政策の問題についてお尋ねをいたしますが、通産大臣並びに経企庁長官は、それぞれの所管によってお答えをいただきたいというように思います。  わが国の貿易政策というものは自由貿易を基本にしておると思うのですが、現在の世界情勢からいたしまして、自由貿易というものが漸次崩れつつあるというように見られるわけなのです。その自由貿易が崩れるということの原因はいろいろありましょうけれども、日本の売らんかなの貿易態度、輸出姿勢といったようなものがそれに拍車をかけているのではないかというように考えるわけであります。  そこで、通産大臣といたしましては、現在の世界情勢からして、自由貿易というものが守り得ると見ているのかどうか。これは単なる旗印あるいはたてまえであって、現実の問題としてはなかなかそういかないというようにお考えになっていらっしゃるのか。それで、いままでの日本の輸出姿勢というものに対して反省しなければならないという点についてどのようなことを一お考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  25. 田中龍夫

    田中国務大臣 わが国の貿易政策の問題についての御質問でございまするが、日本の資源を持たない国柄から申しまして、あくまでも自由貿易で、保護政策に対しては反対をいたしていかざるを得ない次第でございます。  御案内のとおりに、わが国の輸出が非常に伸長いたしておりまするが、今日の状態におきまして、あるいはアメリカ、あるいはEC方面におきまする特定の集中豪雨的な輸出ということにつきましては、これは問題をいろいろかもしておりまするけれども、十分な話し合いのもとに円満に解決していかなくてはならない。同時にまた、わが国といたしましては、付加価値と申しますか、結局、国のあり方が貿易立国をいたし、同時に、資源のない日本といたしましては、七三%に及びまする原材料の輸入をいたしておりまする関係からも、ぜひともこの貿易の伸長ということは国是としてまいっておる。同時に、保護政策、保護貿易主義に対しましてはあくまでも打開していかなければならないということだけは誤りのないところであろうと存ずるのでございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 その点はわかるのですね。わかるのだけれども、資源のない国なのだから資源を輸入していかなければならない、そのためには輸出というものにも相当力を入れなければならぬというのは理解できるのですよ。理解できるのだけれども、そうした国であるから自由貿易という点について日本としては最も細心の注意を払っていく、そのためには相手国の事情というものを十分勘案しながら弾力的にやっていくということでないと、自由貿易そのものを崩して日本が窮地に陥ってしまうという形になるのではないかということを私は考えるわけです。  端的に申し上げると、わが国の貿易行動というものは、大局的視点というものを持たないで、余りにもがめつく売り込むという態度というものが、相手国の批判というか反発を非常に受けているということになっているというように私は思うのです。  最近二つの例がありますね。これが典型的にあらわれているのではないか。その第一はベアリング輸出のダンピングの問題、これはもう相手国は規制をするということになってきたわけですね。もう一つは、米国がガットに提訴したわが国の輸入規制に対する問題、いろいろありますけれども、時間的な関係がありますからその点は省略をいたしますが、これらの点について政府としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  27. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘いただきました件につきましても、あくまでも話し合いと申しますか、当方の事情もよく説明し、また、先方の事情も知悉いたしまして、その間の調整を図っていかなければならない。たまたま先生が御指摘になりました点につきまして、私の方の局長が先般アメリカに参りまして折衝もいたして帰りましたので、事務当局から若干御説明をいたさせたいと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 それから、いま触れました米国がガットに提訴したわが国の撚糸の輸入規制の問題について、今後の対策としてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  29. 田中龍夫

    田中国務大臣 いまの提訴いたしました件につきましても、御承知のこれは絹の問題、スカーフの問題だろうと存じますが、担当の事務当局からお答えをいたさせます。
  30. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。  絹の撚糸の事前許可制を実はことしの五月からしいたわけでございますが、これは御承知のとおり、生糸の一元輸入に伴いますところの需給上の問題から、生糸の輸入にかわります撚糸の輸入ということで、一種の脱法的な感じがございますので、事前許可にしたわけでございます。アメリカにつきましては、従来撚糸の輸入というものはなかったわけでございますが、一元輸入に移行いたしましてからは、急に撚糸の輸出がふえてまいったわけでございます。したがいまして、これにつきましては事前許可制をしきまして、従来の実績につきまして目下検討中でございます。  で、アメリカ側といたしましては、これについて差別的な取り扱いということも含めましてガットへ提訴をいたしておりまして、現在の状況といたしましては、ガットでこれについて判断をしますところのパネルをこさえるということになっておりまして、パネルをつくりまして、そこで検討して、アメリカが申しておりますところの報復措置その他についても検討を加える、こういうようになるかと思います。したがいまして、まだ早急に結論が出る段階ではございませんが、そのガットの場におきまして協議をさらに続ける、こういう感じでございます。  報復措置として、スカーフについてアメリカ側が輸入制限とかあるいは関税の問題とか、どういう方法をとるかはまだ先方も決めていないわけでございますが、私どもの方といたしましては、事前許可の輸入数量の判断も含めまして、ガットの議論と並行してアメリカとさらに協議も続けてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 八月五日であったと思うのですが、貿易構造改革で産業計画懇談会が提言をしておりますね。自由主義を改めろ、鉄鋼や自動車がこれ以上大きくなったのでは日本の貿易自体に大きなマイナスになる、したがって、その巨大化に対する抑制措置を講ずる必要があるという具体的な提言があるわけですね。貿易依存度というものは、いまは一二・三%であると思うのですが、これを八%に抑えろといったようなことですが、通産大臣のこれに対するところの御見解はいかがですか。これは経企庁長官関係があることでございますから、それぞれお答えをいただきたい。
  32. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘の産業計画懇談会の提言等もございますが、わが国といたしましてただいま申し上げたような対外貿易の基本的な考え方、と同時に、単体の輸出だけでなく、先方の側におきましても日本に対してプラント輸出といったような期待をし、要求をいたしておる、その面を同時に満たしまして、そうして当方からのプラント輸出やプロジェクトによりまする輸出の摩擦のない輸出、同時にまた、現地におきまするニーズの新しい開拓ということによっての正常な輸出を伸ばしてまいりたい、かような考え方をもって進んでまいりたいと考えております。
  33. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまのお話は産業計画懇談会の提言だと思いますけれども、わが国の輸出依存率を下げる、あるいは特定の品目について輸出比率がある限度を超した場合には輸出税をかけるというような、非常にドラスチックな提言でございます。しかし、私は、この提言については、近日中にこの立案者である木内先生においでをいただいて、もう少し詳しくいろいろお伺いをしてみたいと思っておるわけでございます。  貿易立国であります日本がこれから輸出に相当依存していかなければならない、しかし、その摩擦を避けるためにいろいろなことをやるべきだという基本的な考え方については理解できるわけでありますけれども、こういう形でやることが適当であるかどうか、また、わが国の輸出という問題についてどう考えたらよいかということは、国の経済の基本に関する重要な問題でございますので、いま直ちに、ただいまの御提言をそのまま結構でありますとか、あるいはそれは適当でないとか申し上げるべき立場ではございません。したがって、せっかくの御提言でありますから、われわれの仲間でももう少し勉強してみたいと思っておる次第でございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますから進めますが、福田総理大臣はASEAN諸国を歴訪されて、非常に気前よく経済援助のお約束をなさった。これは国際収支が政府見通しを上回って金がだぶついているというようなこと、まさかドル減らしのためにロッキード事件のようなものをまた起こすわけにもまいらないということもあるだろうと思っているのですが、そこで黒字減らしの柱というのか、政策の重点というものはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。これはむしろ経企庁長官の方が所管でもあろうと思うのでありますが、輸出、輸入の問題を含めてひとつ考え方をお示しいただきたい。
  35. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま日本の輸出が非常に伸びて、国内の景気が停滞しているために輸入が伸びてこない、したがって貿易の黒字が非常に大きくなっておるという問題についての中村委員お話でございますが、基本としてわれわれ考えるのは、国内の景気を回復さしていく、それによって輸入がふえていく、こういう姿勢が経済の基本の政策でなければならないと思います。また、国際的にもそういう期待がされておると私は思っております。  ただ、国内の景気が興ってまいりまして輸入がふえてくるという問題がありますが、日本の輸入の構造から申しまして、原材料を中心とするものが輸入の中に非常に大きな比率を占めておるわけでございますので、すぐ効果が出るかどうかという問題、即効薬としての輸入増加というわけにはなかなかまいらない。したがって、即効薬としてそういう輸入をふやすためにはどうしたらよいかということがあわせて考えられていかなければならないんじゃなかろうかと思います。しかし、基本は、あくまでも国内の景気を興すことによって輸入をふやしていくというのが基本の立場でなければならないと思っておる次第でございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 その点は私もわかるのです。そのとおりだと思うのですよ。ところが、なかなかその輸入が伸びないんですね。それはいろいろ原因があるんだろうと思うのですけれども、こんなに円高のときには、当然、輸入ということになってくると為替差益というものが大きくなるわけです。したがって、輸入物資というのは下がらなければならないのですね。輸入物資が下がるということは、これは当然消費に結びつく、いわゆる消費拡大になる、そのことがまた輸入を促進をしてくるということになるだろうと私は思うのです。     〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 内需の拡大の問題は、その点もありましょうし、また、いろいろ公共事業、輸入の為替差益によるところの輸入物資をそれだけ引き下げるということだけではなくて、いわゆる生活関連の事業を強力に推進をしていくといったようなこと等々いろいろあるだろうと私は思うのですが、時間の関係もありますから、いま大臣からお答えになられた輸入がなぜに伸びないのか、なぜに為替差益によって当然下がらなければならない輸入物資が下がらないのか、その点についての考え方をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  37. 倉成正

    倉成国務大臣 輸入がなぜ伸びないかというお話でございますか、これはやはり国内の景気の回復がはかばかしくないという点が一番の原因でございます。したがって、国内の景気が回復してまいりますと輸入は当然ふえてくる、そう考えておるわけでございます。  もう一つの問題としての、いわゆる為替の円高によって輸入の価格が下がってくる、これを消費者に還元せよという御指摘でございますが、この点については、為替の円高に伴う輸入差益というものがどういう形でそれぞれの商品に反映しておるかという追跡調査をいたしておるところでございまして、月末を目途にこの追跡調査の結果を発表したいというふうに実は考えておるわけでございまして、鋭意その問題を詰めておる次第でございます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 追跡調査をおやりになることも、それは当然だろうと思うのですよ。しかし、追跡調査も何もない。こんなに円高で輸入物資というのは値下がりしているわけだ。だから、調査調査としてやるけれども、当然石油にいたしましてもその他輸入物資はぐっと下がっているわけです。その数字も明らかなんだから。ならば、強力に輸入物資を引き下げる、そういうような強力な対策を打ち出してこられる必要がある。もう、いまごろ追跡調査とか何とかといったような段階じゃないんじゃありませんか。しかも消費者から、なぜこんなに輸入で水ぶくれになるように為替差益でもうかっているのに下げないのか。恐らく長官のところにはどんどんそういう要求が押しかけてきているのだろうと私は思う。追跡調査というようなことだけでなくて、大臣からもうこの点にあるんだということを率直にお聞かせいただいて、そしていまこういう手を打たなければならないし、打っているんだということがあったら、お聞かせいただきたいと思うのです。
  39. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまのお話は、卸売物価が非常に落ちついてきているというところにもうすでに反映しているわけでございます。たとえば石油につきましては、御案内のとおり、数社において灯油の価格を据え置く、そういうような形で円高が現実に価格に反映しているわけでございまして、こういうものをもう少し総合的に、どのような形で為替差益が出てき、そしてこれがどういうふうに価格に反映されておるかということを明らかにしたいと思っておるわけでありまして、当然円高が価格に反映されつつある、そういうふうに信じておるわけでございます。しかしなお、これを大局から見ましてもう少し反映さしたらどうかというような判断の材料としてそういう追跡調査の結果を公表いたしたい、そう申し上げておるのでございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 卸売物価が下がっているということは、輸入物資が安くなったんだから、原材料が多いわけだから、わかるのですよ。しかし、国民は、卸売物価が幾ら下がってみたところで、消費者物価が下がらなければ暮らしはよくならないわけなんだ。卸売物価が下がってきたのにもかかわらず小売物価が、消費者物価がなぜ下がらないのか。しかも、卸売物価というものは、単に輸入物資が下がったから卸売物価が下がったということだけではなくて、非常に国内が不況である、景気が悪い、そのために消費が伸びない、だから卸売価格というのは下がらざるを得ない、私はそういうことだろうと思うのであります。ですから、要は、卸売物価が下がるということも当然なんだけれども、その下がることが消費者物価に直ちにはね返って消費者物価が下がってくる、こういうことでなければならないと私は思うのです。まずその点に対して強力な手を打っていただきたいということを、ひとつ御要請を申し上げておきたいと思います。  そこで、黒字減らしの問題について、内需の刺激ということであったわけでございますが、内需の刺激の具体的な方策としてどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか。臨時国会において補正予算提出をするということでございますが、その額はどの程度をお考えになっていらっしゃるのか。そのことがまたインフレに結びつく可能性もなきにしもあらずでありますが、それらの点について経企庁としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。補正予算という財政措置だけの問題でなくて、金融措置ということも当然これは並行してお考えになるでございましょうが、それらの点についての考え方もひとつお示しをいただきたい。
  41. 倉成正

    倉成国務大臣 現在の景気をどう判断し、これからの景気政策をどのような形で展開していくかということは、現在鋭意政府の部内で検討いたしているところでございます。六・七%成長というわれわれの課題を、国内的にもまた国際的にも約束いたしておるわけでございますから、この六・七%成長が確実に実現するように、そのためにはどういう施策をやったらよろしいかということを、いろいろな見地から検討し、各省間でその政策についてすり合わせをしておるのが現在の状況でございます。したがいまして、六・七%成長を達成するために一体どの程度力が足らないかどうかというような問題についても、いまいろいろと議論が分かれておるところでございますので、まだここの段階でその政策の具体的な中身を申し上げるところまではまいらないと思うのでございます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 私は、長官のもっと積極的なお答えをいただきたいのですが、福田総理ですら六・七%は無理じゃないかということを言っているんです。ゆうべも総理の決意というテレビで考え方、見通し等に触れておられたのです。総理よりも経企長官が、これはみずからの所管でいらっしゃるのですから、六・七%の可能性についてもお聞かせいただければ、それに対する対策を含めて、私は国民が知りたいところであろうと思うのでございますから、お聞かせいただきたいと思うのです。  それから、金融措置のことについても、これは当然やらざるを得ないというような総理の態度でもあるようでありますが、金融措置としては、公定歩合の引き下げというようなことが中心になるのではないかというように考えています。公定歩合の引き下げということが直ちに貸付金利の引き下げにつながってくるのかどうかという点がまず一点ある。大企業の場合におきましては、公定歩合の引き下げがそのまま貸付金利の引き下げにつながっていますけれども、信用力の弱い中小企業には必ずしもそういうことにならない。非常に時期がおくれて引き下げという形になっている。零細企業にはそれすらできないというような現状であるわけです。安定成長下における中小企業の果たす割役りというものは非常に重要でありますから、公定歩合の引き下げ、そのことが貸付金利の引き下げということで中小企業に重点が置かれなければならぬと考えるわけであります。  それらの点についてお考えをいただきたいということと、それから、公定歩合の引き下げ、貸付金利の引き下げということが景気浮揚に結びつくのかどうかという点であります。私は、必ずしも結びつかない、金利を引き下げても、設備投資という意欲はもう冷え切ってしまっていますから、なかなか結びついてこない、単に企業の資金留保という形に終わるような感じがしてならないのであります。その点についてのお考え方を、ひとつ見通し等についてお聞かせをいただきたい。
  43. 倉成正

    倉成国務大臣 六・七%成長というのが非常に厳しい情勢になってきたということは申し上げることができると思います。しかし、これがどの程度のものであるかということになりますと、輸出の見方あるいは個人消費の見方、それぞれの需要項目の見方によって非常に変わってくる。設備投資をどう見るかという問題もその一つの大きな要素でございます。こういうところをやはりもう少しいろいろな指標をとりながらすり合わせてみる必要があるのじゃなかろうか。経済企画庁の四半期別に出しておりますQE、いわゆる四半期別のGNPの統計、これの四—六月も近く出る予定でございますけれども、そういうものを見る必要もある、あるいは日銀の短期観測等の資料も見る必要があるということで、そういういろいろな客観的な数字をにらみながら最終的な判断をしたいというのが、われわれのいまとっておる態度でございます。したがいまして、内部ではいろいろな試算をしておりますけれども、ここで申し上げるべき段階ではございません。  それから、金融政策についてでございますけれども、三月、四月に二回にわたって公定歩合の引き下げが行われました。一・五%の引き下げが行われまして、今回におきましては、この公定歩合に対する市中の金利の引き下げの追随率が非常に高いという情勢でございます。したがいまして、これは企業の金利負担にかなり好影響を及ぼしておる、また、これは中小企業についても例外ではないと思うわけでございます。しかし、中村先生御指摘のように、中小企業については特に金融面について配慮をする必要がある、にらみ預金とか拘束預金とか、そういうものを含めて配慮をする必要があるということは、政府としましても真剣に考えておるところでございます。  それからなお、この後の金利政策をどうするかという問題について、公定歩合の問題については、これは御承知のとおり日銀の政策委員会の所管事項でございますから、私がここでとやかく申すのは筋ではないと思うのでございます。  これが景気にどういうふうな影響を及ぼすか、設備投資にどういう影響を及ぼすかという問題でございますけれども、確かに、御指摘のように、現在稼働率が非常に低いという状況であるわけでございますから、これが設備投資の誘発を直ちに伴うということは考えられないという感じはいたします。しかし、もう少し中長期的に見ますと、確かに金利の問題というのはやはり設備投資にも影響を及ぼしてくるというのは、過去の経験から言えることではないかと思うのでございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 何といっても需給ギャップが二〇%あるわけですから、それでいまの不況の中で一〇〇%の設備稼働ができないわけなんですね。そこで、見通しも立たないので企業としても設備投資というようなことにはなかなか踏み切れない。そこで、公定歩合の引き下げをやって貸付金利を下げても、弱い中小企業なんかには重点を置かなければなりません。ですけれども、なかなか大企業の場合におきましても単に資金の社内留保がふえたという形にとどまっているという面を否定できない。全く関係ないんだということは申し上げませんけれども、公定歩合の引き下げに伴って貸付金利を下げたんだから預金金利も下げなさい、そういうことで、郵便貯金ですら御承知のとおり一%の引き下げをやったんでしょう。インフレで目減りをしている、その目減りの補償というものを零細な預金者なんかは強く政府に迫っている。にもかかわらず、これを連動させて零細な預金金利まで下げたということについては、私は、政府としては非常にまずい政策であったと思う。今度日銀との話し合いによって公定歩合を引き下げるというようなことになりましても、直ちにそれが連動して零細な預金金利の引き下げということにつながらないように、経企長官も、広い意味経済政策というような面から関係が深いことでもあるわけでありますから、積極的な提言を私は望みたいというように要請をしておきたいと思うのです。  それから、内需ということで、公共事業というものに重点が置かれるということに、いままで福田内閣としてもそれを基本にしていらっしゃるわけでありますから、今後ともそういうことであろうと思うのです。その場合に、七三%前倒し公共事業をおやりになった。ところが、先ほど通産大臣は、最近はそのことが非常に景気回復に結びついているというようなお答えであったわけであります。私は、全面的にそれを否定するものではありませんけれども、少なくともこれは、福田内閣といたしましては、公共事業前倒し発注によって景気はもうこれで必ず回復するんだということで胸を張って言っておられた、それがそうならなかったということについて、その対策を、景気回復対策というものを真剣にお考えにならなければいけないのであろうというように思うのです。  それと同時に、提言をしたいのでありますけれども、この公共事業というものは、目先の景気浮揚効果ということだけをお考えになるのではなくて、将来のわが国の経済、社会の進路ということに重点を置いた投資というものをお考えになる必要があるのではないか。そのためには、たとえば高速道路よりも住宅であるとか下水道、それからそういったような生活環境の整備、それから石油や食糧の備蓄並びに新エネルギー開発、省エネルギーというものに力を入れていく必要があるのではないかと、私はそう思うわけであります。その点に対して通産大臣の御所見はいかがであるか。
  45. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘のとおりでございまして、われわれは、この公共投資にいたしましても、できる限りの景気浮揚効果を上げるように努力をいたしまするとともに、産業関係におきまする大口需要の喚起というふうな点からいたしましても、あるいは電力関係の施工の促進でありますとか、ただいま御指摘がございましたような石油備蓄等々の問題のタンクの建設でありますとか、その他産業施策の面におきましてできるだけ積極果敢な指導をしてまいりたいと、かように考えております。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 わが国の経済というのは、単にこの不況さえ切り抜ければよろしいというものではない。長期の安定路線ということを十分考えた産業構造を確立をしていくということでなければならぬ。そのためには省エネルギー、省資源というようなこと、この点に対するところの重点を置いた施策の推進というものが当然重視されなければならぬと私は考えるわけでありますが、経企庁長官の御見解はいかがでございますか。
  47. 倉成正

    倉成国務大臣 将来の産業構造のお話でございますが、通産大臣からお答えされた方が適当だと思いますが、省資源、省エネルギーという問題が今後の日本の産業構造の中の一番大きな柱であるということは、中村委員の御指摘のとおりでございます。全く同感でございます。そういう方向に日本の産業を持っていくということが必要であると思っております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 わが国の経済が必要以上に混迷をしている原因というものは、経済運営のあり方というものに対する政府考え方が明確でないという点を私は指摘せざるを得ないわけであります。  政府経済計画は昨年五月に策定されたと思うのでありますけれども、五十年代前期計画というものがあったわけです。しかし、この計画というものは五十五年度までの射程距離であって、石油ショック等の後遺症というものにその重点を置いた、そういう感じが私はするわけであります。  そうではなくて、いまは高度成長というものはもう望めない、したがって、安定成長時代の経済運営、経済構造の確立というものが明確にされなければならぬ。それが明確にされないから、企業といたしましても、また高度経済成長の時代に入るのではないかというので、この過剰設備等についてもこれを廃棄するということもできないというようなことで、正直に言って、また設備投資についてもどうしたらいいのかというので、迷える子羊あるいはオオカミというようなことにもなろうと思うのでありますけれども、そういうようなことで、今日の経済の混迷というものは、冒頭申し上げたように、政府がもっと確信を持った経済運営を確立し、これを推進していく態度というようなものに欠けているということを反省される必要があるということを私は申し上げておきたいと思うのです。  経企庁長官は、今後これらの点についてどう対処していこうとお考えになっていらっしゃるのか。
  49. 倉成正

    倉成国務大臣 前期経済五ヵ年計画は、わが国の高度成長から安定成長へいかにして軟着陸するか、いかにしてスムーズな形で安定成長路線に移行していくかということを、五ヵ年にわたっていろいろと検討した計画でございます。その過程において、前半においてかなり高い成長を続けることが必要であるということでこの計画を策定したわけでございますけれども、御案内のとおりに、現在の景気情勢というのが比較的ジグザグコースをたどっておりまして、景気回復がはかばかしくないというのが偽らざる現状の姿でございます。したがって、何とかしてこの景気を一日も早く回復をいたしまして、そして安定成長にうまく移り変わることができるようにしていくということが、いま政府考えていることでございます。  中村委員の御指摘のとおりに、これから五十三年、五十四年、五十五年にわたっての経済の展望ということをできるだけ明確にして、そして国民に訴えていくことが大切であるという御指摘については、私もさように考えておる次第でございます。  ただひとつ御理解をいただきたいのは、今日の時代というのは恐らくわが国の経済において初めて体験しているような事態ではなかろうか。国際的に見ましても、南北問題ありあるいは東西の問題があり、いろいろな要素というのが恐らく世界の経済が初めて体験しておるような状況でございますし、また、国内的に見ましてもいろいろな問題があるわけでございまして、不況業種にとりましても、途上国の追い上げがある、あるいはエネルギー価格の問題によって国際競争力を失ったものがある、あるいは高度成長の夢を追って過剰設備をした産業があるというような、いろいろな問題が一挙に吹き出てきたのが今日の経済情勢でございますから、やはり企業においても迷いがある、あるいは政府においてもなかなか施策について十分な方向を出し得ないというのが、率直な現在の状況ではなかろうかと思うわけでございます。  しかし、御指摘のように、何とかこの中でもできるだけ不確定の要素を少しでも少なくしていくというのが政府役割りだと思いますので、いろいろと御示唆をいただいて、今後なるたけ不確定の要素をなくすることによって、企業の前途に一つの方向を見出していくように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 国際的要因、一挙にいろいろな問題が出てきた、それはそのとおりです。そのとおりですけれども、これはいままでの三十年間自民党が政権を担当してきて、そしてその政策のまずさ、そういうものが一挙に問題がここへ出てきてしまったのだ。いま私が、いろいろ経済計画の問題について、政府の政策運営というものが必要以上に混迷をさせているというようなことを指摘いたしましたが、それらの点についても、これは不可抗力でこういう事態になったというような受けとめ方ではなくて、やはり政策運営のまずさがこういう形になったということを反省されて、この克服に全力を傾けていかれる必要があるということを申し上げておきたいと思います。  時間の関係がありますから、改めてまた御意見を伺いたいと思うのでありますが、公正取引委員会の澤田委員長お見えでございますが、長官、どうぞお引き取りください。
  51. 倉成正

    倉成国務大臣 ちょっといまので……。  ただいま政府の政策についてのいろいろ御批判がございました。私も政府の政策が必ずしも満点であったとは思いません。いろいろな点について、いまから考えるともう少しこういうことをやっておったらよいというのがあったと思います。ただ、御理解いただきたいのは、日本だけが悪いのじゃありません。世界じゅうごらんいただきますと、私もOECDの閣僚会議政府の代表として出てまいりましたけれども、世界じゅうが失業に悩んでおり、日本より悪い状態の国がたくさんあるわけで、日本だけが悪いわけじゃありませんので、これが政府の政策の失敗によって起こったのだと言われる御意見には、賛成いたしかねるということだけ申し上げたいと思います。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 そうおっしゃると私も議論せざるを得ないということになるのですよ。私は、国際的要因があるということは否定しないということは申し上げたわけなんだ。だけれども、必要以上に混迷をしている原因というものは、自民党の今日までの政策運営のまずさというものがこういう事態を招いたのだ、その点は反省をして、これからひとつ経企庁長官が中心になられて、大いに積極的な誤りのない政策運営をおやりなさい、こう提言をしたわけなんだから、その点についての反論があることは私はおかしい、こう思うのです。しかし、それは触れません。  澤田委員長、本日をもって御退任になるのだろうと私は思うのでありますが、大変長い間苦労されて、内容不十分でありましたが独禁法の改正というようなものもまあ実現をした。要は、これからの独禁法をいかに運営するかということについて、経済の公正な競争という中で発展をしていくということでなければならぬと私は考えますから、後任者に対しましても、その点は十分委員長考え方を引き継いでいただきたいということを要請をしておきたいと思います。  委員長としても頭を痛められたのだろうと思うのでありますが、公取にいま汚職が起こったわけですね。国民の感情は、何か裁判所か検察庁に汚職が起こったというような受けとめ方だってあるのじゃないか。大きなショックを受けただろうと思うのでありますが、この小島俊雄経済部国際課長補佐でございますか、この点について、どうしてこういう事件が起こったのか。秘密書類をどこかの出版社に渡したということのようでありますが、書類の管理ということをどうしていらっしゃるのであろうか。差し支えない限りで、この事件のよって起こった原因、今度再びこういうことが起こらないようなことについての対策をどうお進めになるのかということを、ひとつお聞かせいただきたい。  それから、時間の関係もありますから申し上げるのでございますが、家電の不公正な取引というのがあるのです。いわゆる系列店ですね。テレビとかラジオ、洗たく機、そういう家電製品に対する系列店というのは、メーカーの指示に従って忠実にやっているのですね。ところが、量販店に対しては、現金であれば系列店に卸すよりも量販店の方に安く卸すというやり方もある。それから、系列店がほかのメーカーの品物を売りますと、けしからぬといって隣にメーカーが店を出して、そうしてその系列店をつぶしてしまうというようなやり方があるのです。これは不公正取引の最たるものであるというふうに考えるわけです。この点に対して委員長はどのように——私は、前もたしか五十年十一月に質疑をいたしたことがあると思うのでありますけれども、この点が少しも改善されていないということは非常に私は遺憾に思って、残念に思っているわけであります。憤りに近いものすらあるわけであります。これらの点について公取委員長の御見解を伺いたい。  第三点といたしましては、最近平電炉の価格カルテルを認可をされたようでございます。これは中小企業団体法によって、十月から価格カルテルの延長をまたされるようにも聞いているわけでございます。小形棒鋼というのは、ここ二年間しょっちゅうカルテルと言ってもいいぐらいでございますね。たしか十八ヵ月ぐらいカルテルをやっていらっしゃる。カルテルというのは、本来的に緊急避難的なものであるわけですから、長期化するということは決して好ましいものではない、こう思うのです。従来の数量カルテルから今回価格カルテルということに、これは並行してやるのだろうと思うのでありますけれども、価格カルテルをお認めになった理由は何なのかということ。それから、そういう対症療法的なことでは救えないと私は思う。抜本的な解決、いわゆる繊維の織機のように廃棄処分というようなことをやるとか、あるいはその業界の整理統合をやっていくとか、いろいろな手を打って、こういう緊急避難的な価格カルテルなんというようなことはできるだけ避けていくという態度でなければいけないと思うのでありますけれども、この点について公取委員長並びに通産当局のお考えをお聞かせいただきたい。
  53. 澤田悌

    ○澤田説明員 まず最初にお尋ねの、今回の公正取引委員会の職員の不祥事についてでございますが、三十年の歴史において初めてこういう容疑が摘発されたわけであります。まことに遺憾でございますと同時に、委員長として申しわけないことと、重々痛感いたしておる次第でございます。  いろいろな重要書類の保管、管理、出納等につきましては厳重なやり方をしておりまして、まさかこういうことが起ころうとは、私全然考えなかったのでありまして、こういうことがいいかげんに処理されてはいかぬということで、前に国会におきましても申し上げたとおり、絶対に真相を究明するという意図のもとに内部で調査をいたしておったのでありますが、いかんせん、自力による調査には限界がございます。それで、これは私在任中にけじめをつける必要を感じまして、司直の手に依頼いたしたのでございます。現在警察庁において調査審理中でございます。  今後は絶対にこういうことの起こらないように、職員の訓練、人間教育から事務の遂行あるいは先ほど申した重要書類の保管管理等のシステムにつきまして、あるいは監察官の設置等、厳重な反省のもとに再発防止の施策を整えつつある、また実施しつつあるところでございます。御理解をお願い申し上げる次第でございます。  それから、家電製品につきましての御指摘、公正取引委員会におきまして具体的な例を現在つかんでおるわけではございませんが、御指摘のような例があるということは耳にいたしておるところでありまして、そういうことで、特にメーカーの意に沿わない小売店等に不当な不利益を強いるというようなことがございますれば、これは独占禁止法上不公正な取引方法に該当するおそれが十分でございます。厳重に対処いたしたいと考えておる次第でございます。  それから、価格カルテルに関します御指摘、カルテルについてのお考え方はまことにそのとおりでございまして、カルテル自体である業界の困難を解決するということは実はできないものでございます。しかし、緊急的な措置として抜本的な対策の補助といいますか、混乱を防止し、緊急避難的に支えて基本的な対策を助ける、こういう意味におきまして、いわゆる構造的不況業種と言われるようなものに幾つかカルテルを認可いたしております。  その中で、小形棒鋼業界は非常な困難な状況にございまして、昨年十一月から数量カルテル、不況カルテルを認可いたしておるのでありますが、それだけでは、もう減産の強化というようなことによっては業界が負担に耐えられない、三分の二の業者が債務超過の状態にあるというような状況でございますので、その事態の認識のもとに、数量カルテルと同時に、特に例外的な緊急措置として価格カルテルを認可いたした次第でございまして、こういう特別な下支えのもとで抜本的な構造改善が速やかに実現いたしますことを念願をいたしておるような次第でございます。  以上でございます。
  54. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  家電の場合のメーカーの取引上、リベートの問題が商慣習上あるということは知っておったわけでありますが、しかし、そのリベートの制度が悪用されまして、正常な商習慣を超えて小売商を圧迫するといったような現象に対しましては、ただいま御指摘のように、公取の方とも連絡をいたしまして、これが誤りないように指導をしてまいる所存でございます。  それから、平電炉の問題につきましては、先生御承知のとおりでありまして、高度成長下におきます大量の過剰設備を抱えておりまして、五十五年を目安といたしましてもなお三百三十万トンの過剰設備を持っておる、こういうふうな状態下におきまして、これを構造的な意味において体質改善をしなければならぬ、こういう段階でございます。この過程におきまして、公取の方にもお願いをいたしましてカルテルの御認可をいただき、同時にまた、それによりまして組合を結成し、自主的に設備その他のスクラップ化を図っていく一つの政策の過程におきまする状態におきましてカルテルの申請をいたしたような次第でございまして、速やかに所期の目的を達しまして、構造的なすっきりとした姿に一日も早くいたさなければならぬ、かような意味において行政指導をいたす所存でございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 約束の時間でございますから、これでやめなければなりません。価格カルテルをやったということは、恐らくアウトサイダー規制ということを業界は目指しているんだろうと思うのです。いずれにいたしましても、鉄は産業の米であるわけです。その経営は健全に経営されなければならぬ。これについては強力な施策というものが要求されてくる。決して、場当たり的な不健全なやり方、そういうようなことを繰り返すことがないように対処してほしいというように思います。  きょう、私は、五十三年度の中小企業関係予算の問題、それから造船不況に対する対策についての考え方等、運輸省もお越しをいただいていたわけでありますけれども、時間の制約がございます。わざわざ御出席いただいてお答えをいただくことができないということは申しわけございませんが、あしからず御了承いただきたいと思います。  これをもって終わります。
  56. 山崎拓

    山崎(拓)委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  57. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。
  58. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして、私は、目下の日本全体を襲っております不況、この不況対策について二、三の質問を試みたいと存じますが、その不況でも、わけても不況の深刻と申しましょうか、言葉に表現することのできないほどの不況に見舞われている繊維産業を例にとりまして、大臣並びに公取委員長関係各位の御高説と対策を承りたいと思います。  そこで、恐らくこの次行われます臨時国会、これは不況対策エネルギー問題が中心課題になるではないかと思われます。その臨時国会において一体どのようなカンフル注射と申しましょうか、緊急対策が行われるか、それから、引き続いて行われます来年度予算審議の本国会におきましての長期見通しにかかわるところの不況対策がどのようにいま準備されているか。幸い、八月は積算の大体まとまる時期になっていると存じます。そこで、当面のカンフル注射をどうするか、それから長期の栄養剤としてどのようなことが準備されているかということを承りたいというのが、私の質問の趣旨でございます。  その対策を承る前に、一体、政府自体は今日の不況をどのように把握しているか、現実をどのように調査し、実態をどのように認識しているかということについてまず承り、それから対策を承りたいと思います。  私は、この休会中に繊維の関係のところはつぶさに回ってみました。学校が建たないというところがあるのですよ。地場産業でございまするから、全国的に繊維産業は広がっているわけです。町の財政収入が上がらないから、道路予算はおろか学校建設もできないのだ。学校給食の補助金も、もう来年度はそんなところまでは手は及びません。及ぼす影響は、企業の不振のみならず、社会問題にまで波及しているというのが実態でございます。  愛知県の知多木綿、三河木綿、そのまた東の浜松から天竜市にかけてのコールテン、別珍、泉南の木綿から毛布、北陸路へ回りまして金沢、福井から、京都の奥へ入りまして丹波、但馬、山家のサルといわれるちりめんあるいはパレスあるいは綸子、そういう零細企業に携わる人たちの意見をも聞くと同時に、その機場にも入りまして、つぶさに実態を調査してまいりました。  大臣、山でカラスのカアと鳴かない日があっても、機場に倒産のない日はないのです。東京に自動車交通事故のない日はあっても、紡績関係、繊維関係で倒産のない日はないのです。ちょっとこっちを見てください。朝日も毎日も読売も毎日そのことを報じている。いわんや日本繊維新聞とか繊研とか専門紙は伝えない日はないのです。これを見てください。一面トップですよ。天下の大新聞が一面トップに書けるようになった。これは中日新聞です。「綿スフ大量転廃業へ まず零細二百業者」と出ているのです。「設備縮小も七百軒」、救済融資は政府に頼っておれぬから県が負担する、こう出ている。愛知県はそれができるのです。ところが、できない県の方が多いのです。これはどうするのですか。これほどばたばた倒れておる。北海道の火山が噴火したのなんのというのは、ニュースばえはするかもしれませんけれども経済的に言ったらそれはこれとは比較にならない問題なんです。それの救済策も結構です。次から次へと倒産している、撤退作戦が行われている、この現状について通産省としてはどのような認識を持ってみえますか。まず承りたい。
  59. 田中龍夫

    田中国務大臣 加藤先生の御指摘のごとくに、いろいろと不況のあります中で、最も深刻なものの一つは繊維産業でございます。御指摘に相なりましたような、私も、通産大臣といたしまして繊維産業を所管いたします関係からも、あるいは米沢あるいは別珍、コールテンの浜松や、あるいは西陣や福井や、不況のどん底にありまする繊維の組合のところに私自身参りましていろいろ御相談をし、伺っておりますので、その深刻な状態はよく存じております。何とかこれを一日も早く助けていかなければならない責任も非常に感じ、悩んでおる次第でございますが、どうぞ加藤先生を初め皆様方も御一緒にひとつ御協力をしていただき、あるいはまた私どもを御鞭撻賜りたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 不況の深刻さ、現状は認識している。しからば、それに対する対応策を一体どうするかということ。その昔、中小企業の二軒や三軒倒れたってやむを得ぬと言った通産大臣がいらっしゃった。数日を出ずしてこの人は首になりました。いま二軒や三軒じゃないのだ。二軒や三軒なら毎日のことなんだ。連続倒産が行われている。しからば、次に行われます臨時国会において、政府はこの緊急対策のために何と何をやろうとしていらっしゃるか。どんな予算を組まれようとしておるか。不況だから大型予算を組むと言われている。四国と本州に橋を三本かけたって、この不況は直りません。道路予算にどれほど国費がつぎ込まれましたとしても、繊維不況対策にはなりません。一体、何をどのようにまず臨時国会ではやろうとしていらっしゃるか。そこを承りたい。
  61. 田中龍夫

    田中国務大臣 一般的な不況対策はもちろんのことでありまするが、さらに構造不況と言われるような繊維関係あるいは平電炉関係、そういう各産業に対しまするきめの細かい対策実施もいたし、また、それに対する予算、その他措置考えてまいらなくちゃならない、かように存じておりまして、寄り寄り通産省といたしましては真剣に担当の方で取り組んでおるような次第でございます。  これらの繊維関係につきましての、あるいは政府関係融資の期限延長あるいは信用補完の制度、その他一般の不況業種に対しまする措置はもちろんのこと、さらに繊維業のごとく産地別の特段の考え方も持たなければなりませんので、なお詳しいことは担当の政府委員からお答えをさせていただきましょう。
  62. 加藤清二

    加藤(清)委員 政府委員から答えられる前に、臨時国会、大型不況対策予算と言われておりますが、その大型予算と言われる全体の予算は何ぼであるか。不況対策の全体の予算はいまどれだけ予定しておられるか。次に、繊維不況に対して、その不況対策予算はどれだけあって、何%になるか。これを聞きたい。
  63. 田中龍夫

    田中国務大臣 その問題は、頭にはございまするけれども、ただいま申し上げられる段階ではございません。補正予算の総額にいたしましても、あるいはまたその中におきまするいろいろな措置にいたしましても、なおまた大蔵省との関係でありますとか、あるいはその他関係方面とのいろいろ調整もございまするし、残念ながら、ここで私から明快なお答えができないことをお許しいただきとうございます。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、最終決定の予算を聞いておるのではない。不況の認識の上に立ってこれを救わなければならないという大臣が、臨時国会においてどのような予算を提案するか、これを聞けばいいのであります。結果は当然のことだ。それは大蔵省とも折衝しなければならぬでしょうし、あれこれ折衝する先はあるでしょう。が、通産省としての腹案があるはずなんです。九月に行われる臨時国会予算に腹案がないというはずはない。それを聞きたい。
  65. 田中龍夫

    田中国務大臣 腹案はありましても、御披露できないことが残念でございますと申し上げておるのであります。
  66. 加藤清二

    加藤(清)委員 いつなら発表ができるか。
  67. 田中龍夫

    田中国務大臣 間近になりましたならば、発表ができます。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではいわゆる与党、野党のバランスが迫ってきたこの国会に対する予算提示とは言えない。野党はあくまでつんぼさじきであって、政府はそれをひた隠しに隠して、間際になって突然出して、さあこれをのめ、それは一方的なものでしょう。それは昔の陸軍大将ならそれでいいでしょう。けれども、今日の田中通産大臣はそうはいかぬですよ。間際とおっしゃるが、もう一度お尋ねする。いつごろに発表ができるか。
  69. 田中龍夫

    田中国務大臣 今度の予算の問題につきましても、総裁が申しておりますように、皆様方ともよく御相談、お打ち合わせをいたしましていろいろな措置も決めてまいりたい、さようなことでございますから、当然御相談もいたすことでございますので、それまでお待ちを願いたいと存じます。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 国会における野党、また、その予算を日照りの雨のように期待をしている、いまかいまかと期待をしている、援軍がいつ来るだろうか、いつ消防ポンプが飛んできてくれるであろうかと待ち構えている火事場、いままさに燃えようとしているその火事場の被害者の期待にこたえるには、それらの意見をくみ取るということが必要なんです。したがって、野党やあるいは被害者の意見が反映できるということは、間際ではどうにもならない。もっとも、予算審議の最中に修正に応ずる用意があればいいですよ。もしそうでないとするならば、それは当然野党にも、あるいは被害者と申しましょうか、当該倒産に瀕している方々にも理解のできる日にちを与える必要がある。  したがって、私は要求する。九月末に行われるとするならば最低限九月の初旬、せめて内意ぐらいは発表をすべきである。できなければ新聞に発表してもらってもいい。当然それは行われてしかるべきであり、それが政府を運営している与党の責務である。百歩譲ったとしても、一週間前ではどうにもならない。印刷して配るだけで日にちが過ぎちゃう。最低限九月の上旬、これをめどにその臨時国会における対策予算、これを発表してもらいたい。その要望は聞けますか、突っぱねますか。それによって質問が変わります。
  71. 田中龍夫

    田中国務大臣 私の申し上げている感じ加藤先生のお考えといささか違うと思うのでありますが、この不況の問題、特に繊維関係のごときものは、本当に国民経済の中において、ことに繊維と申すならば日本の国の最大の業種でございます。それが深刻な不況にあえいでおるというような場合、国を挙げてその対策に取り組まなければなりませんし、私は、与党、野党というような、そういうふうな考え方で申し上げておるのではない。どうせいまの加藤先生のような御専門の方々の御意見も十分に伺い、また御一緒に御相談をして、そうしてりっぱな対策をつくっていかなくてはならないということでございますので、いま加藤先生のおっしゃったような、そんな独断的な冷たい気持ちで私お答えを申し上げておるのではございません。もちろん皆様方と御一緒に御相談をし合いながらこの大問題に取り組もうというのでございますけれども、最終的な計数その他のことは、やはり間近でなければ固まりません。その点はどうぞ御了承願います。
  72. 加藤清二

    加藤(清)委員 りっぱな案をつくるために野党ともよく打ち合わせをしたい、結構な御意見です。  それじゃ、その時期はいつです。
  73. 田中龍夫

    田中国務大臣 その時期は、すでに今日でも御一緒に御相談をしなければならないのでございます。
  74. 加藤清二

    加藤(清)委員 相談するたたき台を至急、私が申し上げましたように最低限九月上旬に提出願えるよう、あるいはその素案でも結構、要望して次へ進みます。  実態の認識をするというたてまえから承りたいめですが、日本の繊維、これは日本だけで成り立つものでもなければ、日本の業界だけで云々できる問題でもございません。  そこで、お尋ねしたいのは、品質、生産数量、コスト、この三つを世界の繊維産業国と比較して、どのように日本の繊維産業を位置づけていらっしゃるのか、これを聞きたい。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 私、専門家でございませんから、技術上の詳しいことは存じませんが、御案内のとおりに、かつてイギリスが繊維産業で世界に覇を唱えておりましたそれに対して、新興日本が繊維産業において取ってかわったということから申しましても、私は、日本の繊維産業というものは世界屈指のものである、かように自負をいたしております。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 いみじくも世界屈指とおっしゃられました。世界じゅうの認識は、屈指ではありません。世界の関係業界の日本の繊維に対する認識は、世界第一でございます。第一も、二、三、四、五がない第一でございます。六番から七番、八番はあっても、日本の繊維、特にコットン、ウール、これに続くものはありません。品質は世界第一でございます。  しかも、このコストは、きのうきょうの相場を世界プライスに比較してみるとどういうことになっていますか、きのうの相場をまず承りましょう、きのうの後場第二節。
  77. 田中龍夫

    田中国務大臣 専門のことでございますから、政府委員からお答えいたします。
  78. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。  昨日の後場、最後の相場でございますが、綿糸四十番手について申しますと、大阪取引所が三百二十円五十銭でございます。名古屋が三百二十円五十銭と同じでございます。それから毛糸につきましては、大阪が千六百十九円でございます。名古屋取引所が千六百五十円でございます。
  79. 加藤清二

    加藤(清)委員 この値は、世界プライスと比べて高いか安いか。
  80. 藤原一郎

    ○藤原説明員 世界プライスと比べてと言われますと、ちょっと高い安いは言いかねる、私、はっきりよくわからない点でございます。
  81. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣、よく認識してください。世界一安い。ウールもコットンも紡績で製造して三品市場に提供する、そこで需給のバランスをとる、つなぎの場とする、この場では世界一安いのです。しかも品質は最高です。にもかかわらず不況、在庫が多い。  そこで、その在庫を抑え、不況を緊急避難するために、公取委員長、公取にお願いをして、あれもこれもカルテル行為の許可を受けている。コットンのごときも四−六でやった。やや上向いた。しかし、七−九もこれをしなければならなかった。今日の七−九だけの見通しでいきますると、なお低迷どころかまだまだ下へ下がる傾向にある。その理由を聞く前に、この傾向が続いたとするならば、公取としてはやむなく緊急避難を続けなければならない。もう一度緊急避難と称する——だんだん恒久策になってしまうけれども、カルテル行為を認めざるを得ないことになるではないか。これは公取の趣旨に反することであるけれども、万やむを得ざるの措置であると私は受け取っておる、この状況が続けば。  公取委員長、栄転おめでとうございます。あなたがここで公取委員長として御答弁なさるのは、きょうが最後だと思います。どうぞひとつ、飛ぶ鳥後を濁さず、よき声をひとつお聞かせ願いたい。
  82. 澤田悌

    ○澤田説明員 いわゆる不況業種に関しまする不況カルテルの問題についての考え方、いまおっしゃいましたとおりに私ども理解をしておるわけでありまして、これはカルテル自体で問題解決をするものではないのであります。問題の解決はほかにある。ただ、そのために混乱を防止し、緊急避難的に支えておくという性格のものであると考えますので、これが繰り返し繰り返し恒久的にカルテルを必要とするというのでは、その業種、業界にとってはもうゆゆしい問題でありまして、できるだけ早くカルテルというような競争制限的状態を脱して繁栄をするように、その業種が転換をしていくということが最も大切であると考えておる次第でございます。
  83. 加藤清二

    加藤(清)委員 カルテル行為を結んで生産を制限しますと、確かに三品市場の市況は上向くのです。それから在庫もやや少なくなる。それが制限が行われているにもかかわらずまだ在庫がふえるというこの奇異な現象を、通産大臣はその原因が那辺にあるとお考えですか。
  84. 田中龍夫

    田中国務大臣 政府委員からお答えいたします。
  85. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答えいたします。  お話しのとおり、不況カルテルを結びましてから、綿糸にいたしましても毛糸にいたしましても、確かに相場が思うように戻っておりません。この原因でございますが、私ども全体の繊維産業の構造の問題であろうかと思うわけでございまして、一つは、一般的な景気が沈滞しておりますために需要が伸びません。そこへもってきまして、やはり全体に生産過剰の状態といいますものは必ずしもとまっていないということで、需給の不均衡がなお続いておる、このように考えておるわけでございます。
  86. 加藤清二

    加藤(清)委員 おっしゃられました需給の不均衡、私の聞いておるのは、犯人はだれかということを聞いておる。需要が伸びないとおっしゃいますけれども通産省はそういうことを言っちゃいかぬです。じゃ、デパートはどうなっている。スーパーはどうなっている。スーパーは競争で増設増設の要求が出ておるでしょう。スーパーは何を売っておるのですか。食料品と衣料品ですよ。損したり、売れない、もうからないスーパーを、地元の中小零細企業とけんかしてまでもどうしてつくります。スーパー同士のけんかがいまや中小地方都市に盛んに行われておるでしょう。東京のスーパーが名古屋へ出てきたり、大阪のスーパーがまた名古屋へ出てきたり、名古屋だけじゃないのだ、名古屋よりももっと周辺の中小地方都市でものすごいけんかをやっておるでしょう。増設競争です。売れない、もうからないというものに、どうしてそんなことができる。売れるから、もうかるからそれが行われる。ほかの人が言うならいざ知らず、通産省がそんなことを言っちゃいかぬ。通産省はそれを許可しておるはずだ。  そこで申し上げる。小売市場の売り上げは決して下り坂ではない。ただ、この時期には出てくる。この時期には何があるか。シーズンオフで夏に売れなかったものをどんと返してよこす。それはデパートが腹いっぱい抱えるために余分に注文したからだ。自分らの計画性が間違っておっただけのことなんで、決して縫製屋とか染め屋とかいうものが余分につくるはずはない。全部注文を受けるからつくるんだ。  さて、したがって原因はほかにあるということです。どこにあるか。わからなければやむを得ぬ、私の調べたデータを申し上げる。綿製品の輸入の推移、これを繊維局、特に通産省の通商関係の方々にどのようになっているか承りたい。時間の関係上、私のデータを申し上げる。間違っておったら指摘してください。  綿糸の場合、四十五年を一〇〇として、四十八年には三八六に伸びている。オイルショックでやや減りましたが、去年五十一年には三一一と伸びている。つまり、四十五年から五、六年を出ずして三倍に伸びている。日本の経済はこんなに伸びておりません。  次に綿布、これは何と、四十五年を一〇〇といたしますと、四十八年には六九五になっている。まさに七倍だ。じゃ、去年はどうか、これが一二五になっている。  第二次製品、すなわち縫製加工その他、これを例にとりますと、やはり四十五年を一〇〇として、四十八年には五五七になっている。四十九年にはこれが何と六七六になっている。まさに七倍です。去年はどうか。ここが大事だ。去年は六一八に伸びている。  四十五年から日本の経済は五十一年にかけて何倍伸びたか。輸入だけが六一八、六倍余に伸びている。ここに問題がある。以外に問題はない。これを野放しにしておいて構造改善を何ぼ繰り返したってどうにもならない。私の発表したデータが違うなら違うと言うてもらいたい。  で、正しければ私は承りたい。構造改善のポイントをどこに置くか、先へ進んでお尋ねする。
  87. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。  いまお示しの数字でございますが、多分金額ベースのお話であろうかと思いますが、四十五年から四十九年にかけまして、いわゆる石油ショック後の非常な思惑輸入の多くありましたときでございまして、急増したこと、お話しのとおりでございます。その後の推移はわりあいに鎮静いたしておるというふうに考えておるわけでございます。
  88. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の申し上げておるのは金額じゃないのです。これは輸入数量を糸換算して、こりにしたものです。大体、繊維の常識というものは金額じゃないのです。生産数量でいくのです。
  89. 藤原一郎

    ○藤原説明員 いまお話しになりました数字につきましては、後で正確にトレースをしてみたいと思っておりますが、感じといたしましては、大体そういうふうな傾向をたどっておると認識をいたしております。
  90. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵省、あなたにお尋ねする。通関実績、これはどうなっておるか。
  91. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 ただいま先生の御指摘になりました四十五年以降の長期の数字は持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵省さん、私はあなたのところの関税局のデータをいま読み上げたのです。社会党が作文したものではありません。大蔵省のデータであるということを認めますか、認めませんか。
  93. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 貿易統計は関税局が扱っておりますが、ただいま四十五年以降の詳細なデータは手元に持ち合わせませんので、大変申しわけありませんが、お答えいたしかねます。
  94. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはあなたの方の調査を読み上げたが、これはにせものと見ますか、それとも、大体の記憶でいいが、自分のところの近似値と認めますか。
  95. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 先生のお話が貿易統計でありますならば、それはそのとおりであるだろうと推測いたします。
  96. 加藤清二

    加藤(清)委員 まさに六倍、七倍。こういう伸び方はだれが許しておるのですか。世界じゅうに、生活必需物資の輸入の伸びが倍々数で伸びている、こんな国がどこにございますか。世界じゅうにあったらお示し願いたい。そんな国がありますか。大体どこだって、せいさい伸びは前年度比五%から六%、一割以下というのが常識なんです。にもかかわらずこういう状況なんです。  そこで、せっかく大蔵省か見えますから、大蔵省、原因の一つは、ほとんど通産省にあるけれども、大蔵省にもありますよ。大蔵省、輸入関税の世界常識は何%ぐらいのものですか。
  97. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 一九七三年一月一日現在で、ガットが主要国について研究した資料がございますが、それによりますと、繊維品全体で日本はほぼECに近いという段階であります。(加藤(清)委員「世界の常識は何%と聞いたのだ」と呼ぶ)済みません。ちょっと質問を漏らしましたので……。  たとえば繊維品全体で申しますと、単純平均で全品目を見ますと、日本が一二%であるのに対しましてECは九・五%、有税品のみを取り上げて加重平均しますと、日本が一二%に対しましてECは一四%、そういう状況であります。
  98. 加藤清二

    加藤(清)委員 結構です。大臣、よく聞いておってくださいよ。一二%から一四%、こうなっている。  そこで、私は、綿糸の輸入関税が世界各国、どのようになっているかを調べてみました。すると、アメリカは四十番単糸で一三・五%でございます。それから三十番単糸で一一・二五%、やや下げている。それは自国生産が多いからです。  EC諸国、いまEC諸国に似ておるとおっしゃったから、大蔵省よく聞いてくださいよ。綿糸、七十番単糸以下のものです。欧州は細番手を使いますから。これが一〇%、綿織物に至っては一九%、これが最高でございます。  日本はどうか、大蔵省に聞きたいけれども手持ちのデータがないとおっしゃるから、私が読み上げてみるからバツかマルかをあなた判定してください。  日本、綿糸、同じものです。関税番号五五・〇五の二の(二)、やはりこれは四十番前後、太番手の話、日本は五%です。  いいですか、五%というのはアメリカの約三分の一、EC諸国の二分の一です。大蔵省、君はEC諸国と似ておると言った。何が似ておるんだ。半分以下になって似ておると言う手があるか。  次、大蔵省、これを二〇%引き下げということを行いましたね。記憶にありますか。——それじゃ現行はどうなっておるかということだ、二〇%引き下げておるから。どうなんだ。いまは同じものが二・八%です。いいですか、特恵関税にすると一・四%、世界平均の十分の一です。これでもEC諸国に似ておりますか。どこが似ておるのです。  メリヤスの下着一一・二%、特恵関税にして五・六%。これはEC諸国でも二一%です。アメリカは三〇%。アメリカが三〇%のものが日本においては一一・二%、三分の一以下です。つまり、それを特恵関税にすると五・六%だから、六分の一以下になる。称して日本はノーズロースと言われておる。これゆえに、先ほど、絹の輸入がアメリカからスイッチで入る、さて困ったという質問に対して、答えがあったけれども、当然のことなんです。世界広しといえども、先進国多しといえども、こんな低い関税で勝手に輸入させている国がどこにありますか、通産大臣
  99. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘を受けまして知ったような次第でございますが、なお、政府委員の方からさらに補足いたしましてお答えいたしましよう。
  100. 加藤清二

    加藤(清)委員 大蔵大臣に聞く。いいかね大蔵省、この問題について大蔵大臣に聞きますから、臨時国会において。覚悟して答弁していただきたい。ゆめ、EC諸国と似たり寄ったりだなんていいかげんなうそをついたら承知しませんぞ。そんなことは世界じゅう通用しないんだよ。  さて、そこで次へ行きます。  これが実態なんです。私がいま申し上げたこれは関税当局のデータを読んでおる。社会党が作文したものではありません。日本の税金があり余っておる、金があり余っておるという時期ならばこれでもいいんです。なぜ日本の国民にはたくさんの税金をかけて、外国の人にはなぜ税金をかけないのですか。同じ繊維製品であって、三越へ並ぶときの値を見てごらんなさい。大抵のものが製造原価の七、八倍から二十倍、ひどいものは五十倍になっておる。なぜ日本人にはそれほどたくさんかけて、外国人には税金をかけないのですか。アメリカがやっていることがなぜやれないのです。EC諸国がやっていることがなぜ日本がやれないのです。これだけじゃありません。アメリカは日本に対して、一つ間違うと従量税と従価税の併課税をかけてきておる。数量制限もやっておる。EC諸国はガット二十五条第五項の援用をやっておる。カナダもそれをまねておる。EC諸国は二十何年にわたって日本の繊維製品を数量制限しておる。なぜこれができない。  大蔵省に聞く。二〇%引き下げしたときの国内状況と今日の状況をイコールだと思いますか。
  101. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 私ども、繊維業界が今日直面しておる困難な事態はよく承知しておりまして、種々研究はさしていただいておりますが、何分にも、関税というものは国際的なはね返りを考慮しなければいけない問題でありまして、現在世界的に保護貿易主義の機運が高まっている段階で、わが国は全体として自由貿易の基調を推進するという姿勢で臨んでいる現段階におきまして、関税率を軽々に調整するということについては種々考慮すべき問題があろうと存じます。
  102. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣によくその言葉を報告しておいてくださいよ。  こっち見てください。私の顔を見てください。あなたの方針のために日本の中小企業や日本の生産部門がばたばた倒れてもいいですか。貿易というものは、輸出国も輸入国もその国民が幸せになるために行われることなんです。一方だけが得して、一方だけが殺されるために行われるものじゃない。そのために関税があり、そのために協定が行われておるのだ。あなたの親戚にこの関係で倒産する人があったら何と言いますか。政府の方針のおかげだといま言いましたね。  しからばお尋ねする。政府の方針、施策のおかげで損害をこうむり、政府の行政指導の過ちのおかげで倒産したとなれば、その人は、やむを得ぬ、裁判を提起して司法にゆだねなければならぬという空気がいま業界にほうはいとして起こっているが、受けて立てますか、通産大臣
  103. 田中龍夫

    田中国務大臣 いろいろな貴重なデータをお示しいただいて御質問をいただくわけでありまして、私どももそういうふうな御意見に対しましては十分に参考にいたし、また、行政をしなければならぬと思いを新たにいたす次第でございます。
  104. 加藤清二

    加藤(清)委員 いま大蔵省は軽々にとおっしゃった。どこでそういう言葉が発生するのか知らぬけれども、私ども社会党政策審議会は、この二〇%引き下げのときに厳重注意をしておいたはずであるし、これはちょうどカルテル行為と一緒で緊急避難の問題である、暫定措置である、したがって、これはなるべく期近に解決をするようにと再三にわたって注意をしたはずである。にもかかわらず、それが惰性となり、それが前例となって、いまここにきて今度は業界の方が爆発してきておる。有珠山の爆発より大きいですよ。訴えが提起されたらどうします。通産大臣、受けて立ちますか。
  105. 田中龍夫

    田中国務大臣 非常に重大な問題でもございますので、御説をよく承りまして検討させていただきます。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 臨時国会までに絶え間なくこの問題を訴え続けます。軽々にとおっしゃられたから、こっちもそれはいただけませんと言わざるを得ぬ。これは十年来叫び続けてきておる。大蔵省、よく聞いておってくれ。  そもそも、これは佐藤という通産大臣がおられた。このお方は後に総理大臣になられた。通産大臣のときにアメリカ繊維問題が起きた。私は忍者部隊になって、佐藤さんの指令を受けてアメリカへ行った。後に総理大臣になられた。そのときにいまと同じ問題が起きておる。どう言われたか。これはかつてここで発表したこともあるが、時効にかかったから申し上げる。隣と仲よくすることが何が悪いんだ加藤君、こう言われた。隣と仲よくすることがなぜ悪いんだ。それで私は言うた。仲よくすることも結構だ、仲よくすることに反対ではない。しかし、うちの女房、子供を殺したり、うちの女房、子供を泣かせて隣の奥さんと仲よくしておったら、このおやじ何と言う。これは道楽おやじだと言わざるを得ない。自分の亭主や自分の子供を泣かせて、殺して、なお隣の亭主と仲よくしている御婦人がいたら、これは何と言う。よろめき夫人の最たるものである。それでもいいのかと言った。あなたの月給はどこからもらっているのだ。通産大臣にも聞きたい。そうしたら、以後、隣と仲よくするために中小零細企業を殺してもいいとは言われなくなった。  通産大臣、あなたに聞く。あなたはいずれを選びますか、二者択一の場合に。
  107. 田中龍夫

    田中国務大臣 もちろん、かわいいのは自分の女房や子供でございます。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 本能ですね。当然のことです。それなればこそ、繊維においてはIMF、ガットといえども例外措置のあることを御存じでしょう。繊維だけは先進国は全部保護貿易になっているのです。これはきのうきょうの問題じゃないのです。二十年も前からそうなっている。衣食住を野放しにしている先進国はどこにもありません。IMFの中に繊維だけは例外措置があって、二国間協定、多国間協定をすれば例外措置が行われることがちゃんとうたわれている。それを利用し、それを活用していないのは日本だけなんだ。女房がかわいかったら、先進国のやっているとおり、やはり女房、子供を守るためにこれを適用する勇気があるかないか。
  109. 田中龍夫

    田中国務大臣 御意見のほどをよく承っておきます。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 承って、しからば臨時国会においてこれを採用するかしないかの答弁をいただけますか、いただけませんか。
  111. 田中龍夫

    田中国務大臣 諸般の問題を彼此勘案いたしまして、十分に検討させていただきます。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 すでに先進国はこれを行って二十年、連続して日本の繊維に対して制限貿易を行っている。いま大蔵省は、関税を高くすれば反発がある、こう言った。日本はEC諸国に対して反発したことがありますか。日本の通産省はアメリカに向かって反発したことがありますか。いまアメリカは、韓国に対しても台湾に対しても、合繊は全部制限しているのですよ。数量制限だけじゃないのです。全部行っている。だから、吐き出す先は韓国合繊は日本しかないんだ。だから二倍、三倍、五倍と韓国から幾何級数的に輸入がふえている。  先ほど答弁漏れになっているから聞きたい。構造改善をどこまでやって、日本の数量をどこまで減らし、生産設備をどこまで減らしたらあなたたちは満足しますか。どこまでいったら日本の需給バランスがとれますか。輸入を野放しにし、供給の方を野放しにしておいて、日本だけを手足を縛ってみたって、いつまでたっても行き着くところがないじゃありませんか。お答え願いたい。
  113. 藤原一郎

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。輸入問題につきまして御意見をいただいたわけでございますが、実は繊維製品につきましては、日本の立場は現在におきましてなお輸出の方が多いわけでございまして、輸入が製品ベースにしまして大体十六億ドル、輸出が約四十億ドルというバランスになっております。特に合繊につきましては非常に輸出のウエートが高いわけでございまして……
  114. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかった。そんなマクロの立場のことをいまさらあなたから説明を受けようとは思ってないのだ。あなたたちがそれを武器にして私の質問をかわそうとしたって、そんなことは常識ある者、業界の連中は全然受け取りませんよ。だから、さっきから言っているけれども答弁がないでしょう。そういうことを言うから、つまり貿易の全体のアンバランス、その犠牲を繊維にしょわせている。それならば、やむを得ぬ、司法当局に訴えて裁判で争わざるを得ない、こういうことになるわけなのです。それに対して答えがないじゃないか。通産省も大蔵省も原因だけ自分でしゃべって、経過と結果に対する答弁がないじゃないか。これは臨時国会までによく検討しておいてください。それができなければ裁判ざたです。  次、公取委員長に最後に承る。  安い物がたくさんに入ってきて、それで国民が幸せになったというなら何をか言わんやだ。しかし、安くて似て非なる物、それが入ってくる。たとえばこのハンカチ、これは国会の地下室でも売っている、通産省の協同組合売り場でも売っている。韓国製と書いてない。しかし、専門家が見ればすぐわかる。私は毎日ポケットに入れている。右手の方に韓国製、左手の方に日本製を入れている。うそじゃないから見てください。どれだけ違うか。韓国製と書いてない。産国表示もなければ品質表示もない。私はきょうわざとしぼりをつけてきた。これはどこ製で原価が幾らか区別ができますか。できないでしょう。これは全部日本製に化けるのです。もうかるのはだれだ。輸入商とデパートだ。私はずっと調べて歩いた。デパートの仕入部長が知らないのだ。いわんや売り子は全然区別ができません。それは衆議院の地下室や通産省組合の売店の売り子が悪いわけじゃないのだ、彼らは右から左へ売りさえすればいいのだから。行政指導する者はそれをはっきりさせる必要がある。化けなければいいのですよ。安ければ悪ければということならやむを得ない。悪貨が良貨を駆逐しているというのが今日の実態なのだ。こういうもので損するのはだれか。国民、消費者です。消費者を守らなければなりません。  公取委員長、かつて、さきの委員長はデパートに向かって産国表示と品質表示を要求いたしました。それを指示いたしました。いまどうなっていますか。
  115. 澤田悌

    ○澤田説明員 その品質表示の指示がどうなっているか、いま部長の方から申し上げたいと思いますが、御指摘の問題は非常にむずかしい問題でございまして、御承知のように、昭和四十九年に原産国表示に関する告示を施行いたしております。ところが、不作為の不当表示と申しますか、何らどこ産という表示をしていないものの取り締まりというものは非常にむずかしいのでございます。しかし、私どもはこの告示の趣旨をできるだけ厳格に解釈いたしまして、紛らわしい販売方法なり表示をしておるとか、たとえば陳列の仕方によって国産品と誤認されるような売り方をしておるとか、そういう不当表示に該当するようなことのないように、これは厳重に指導してまいりたいと思ってやっておるわけでございます。明らかに不当表示であれば、これはもう明瞭に独禁法にひっかかりますけれども、そこの紛らわしいところ、いま先生からいろいろ御指摘がございましたが、そういうところが非常にむずかしいので、私ども苦心をしながら、しかし厳格にやっていきたいと考えておるところでございます。
  116. 加藤清二

    加藤(清)委員 厳格にやるとおっしゃられました。結構です。  それじゃ、具体的にどうなさいますか。私はあくまで具体的に申し上げましょう。時間がもう迫っておりますから、具体的といっても簡潔にやりますが、ネクタイの裏にマークがございます。これだけが日本製。背広の内側にマークがございます。これだけが日本製、あとは全部韓国製。それで、これを日本製と言えますか。委員長にお尋ねしたいが、マークが日本製でありさえすれば本体まで日本製と言うことが可能か可能でないか。  それからもう一つ、太物になりますと反末や耳にだけ——言葉が専門的になって失礼ですが、急ぎますから。反末や耳にだけ日本製と書いてある。その反末のところだけを日本で織るのです。あとは全部韓国製だ。それをやらしているのが有名商社なのです、名前を言ってもいいけれども。こういうことが横行している。  それから、マークが仮にあっても、虫めがねで見なければわからぬようなところに張ってある。こんな小さいマークだ。それも日本の本物のマークに実によく似ておるのだ。じいっと虫めがねで拡大して見ると、小さな字で韓国製と書いてあるのがある。これはまだ正直な方なのです。  こういう状況が小売市場では横行しているのですが、これは公取の立場からいって結構な話でございますか。私は、国民の立場からいって、国民をごまかすことこれほどはなはだしきはないと思っておる。いかがですか。
  117. 澤田悌

    ○澤田説明員 先ほど告示を厳格に解釈すると申しました観点から申しますと、ただいまの御指摘のような、まさに紛らわしい、誤認させるような表示は、当然取り締まりの対象になるべきものと考えます。  ただ、御承知のような公取委員会の陣容でございますから、常に一般的な実態調査というものは実はできないわけでございます。それで、具体的な申告あるいは端緒をつかまえますれば、これは手厳しく取り締まってまいりたいと考えております。
  118. 加藤清二

    加藤(清)委員 この具体的事実を公取委員会に社会党政策審議会あるいは関係業界が訴えて出たら、取り締まりますか、ませんか、それだけ。
  119. 澤田悌

    ○澤田説明員 厳重に取り締まります。
  120. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。  最後にお尋ねする。日本の繊維産業を一括していま申し上げておりましたが、材料の問題でやはり区別をしてかからないとかゆいところに手が届きません。ウールとコットンは、材料は世界プライスで決められておりまするがゆえに、メーカー部門においての競争は可能でございます。しかし、ここに競争のできないものがございます。それがシルクでございます。シルクは農林省関係の蚕糸事業団、繭糸安定価格、この関係で世界プライスの二倍以上の値をつけております。この材料を買った日本の絹機、絹関係は、もはや世界的に競争力はありません。したがって、生産国でないアメリカから絹糸が入るようになります。  もう一つの問題は合繊、これはナフサが原料でございます。ナフサは世界一高い。私の言っていることが間違いだったら、橋本長官、後で否定してくださいよ。世界一高い。どんなに高いか。アメリカはキロ当たり二万一千八百円、日本は平均が二万九千円、韓国は二万五千四百円なんです。けんかにならない。これを材料として行いまするがゆえに、日本の合繊に及ぼす影響は、その差を五千円と見ても百五十億の余になります。ペトケミ全体だったら千四百五十億になります。なぜ日本がこんなに高いか。それは関税の問題と、目的税として道路に使われる関係でございます。これも大蔵省関係。ぺトケミや合成繊維は道路に関係がないので除外例をとるべきである、そうして国際競争力をつけるべきであると思います。先例これありです。時間ですから一人でしゃべります。  耕運機は舗装道路を走らないからというので、耕運機用のガソリンは戻し税がございます。石油精製の場合も関税の戻し税がございます。当然の結果でございます。これを拡大して、日本の合成繊維に国際競争力を失わせないよう措置することが肝要であると思います。もしそれ、それができないとするならば、直接ナフサを諸外国から買うというルートを開く、これが当然の結果だと思います。これも先例がございます。ガス会社を初め、電気会社その他は全部特別取引ができるようになっております。それをさせるかどうか、これを最後に承って終わりとします。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席
  121. 橋本利一

    ○橋本説明員 ただいまの国産ナフサと輸入ナフサの価格差の問題でございますが、先生がいま一例として示されたようなものもあろうかと思いますが、私の方で調査しておるところでは、大体、内外の価格差は千二百円から千百円ぐらいという数字が出ております。御承知のように、これは昨年の八月ごろまでは、むしろ国産のナフサの方が五百円ほど安かったのです。さらに一年前にさかのぼりますと、二千五百円ほど割り安であった。そういった事態に対しまして、昨年の八月ヨーロッパで異常渇水があった、あるいは景気停滞が長く続いておる、さらには為替レートの影響、こういったものがございまして、昨今では千百円ないし千二百円輸入品の方が割り安になっておるという現状かと思います。  価格問題につきましては、現在需給両当事者で値決め交渉を続けておるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、たとえば輸入ナフサにつきましてはすでに関税還付制を実施いたしておりまして、三百八十七円あるいは四百九十四円といったような還付をいたしておるわけでございます。  それから、輸入数量につきましては、現在、石化用のナフサといたしまして、年間七百五十万キロリッターの輸入をいたすことにいたしておりますが、状況によってはさらにこれを増量する等、弾力的に対応してまいりたいと考えております。
  122. 加藤清二

    加藤(清)委員 答弁は不満でございまするけれども、与えられた時間をちょっと超過したようでございまするので、残余の質問は臨時国会に譲ります。
  123. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 長田武士君。
  124. 長田武士

    長田委員 本日は景気対策について御質問をいたしたい、こう考えておりましたが、長官がまだお見えになっていないようでありますから、公取委員長に御発言をいただきたいと思っております。  澤田公取委員長は、本日任期が切れ退任されるわけでありますが、私は、独占禁止改正に前向きに取り組まれ、それを実現した委員長の功績は、高く評価されると思っております。大変長い間御苦労さまでありました。  さきの公取委の職員の不祥事について、本日限りで退任をされる委員長質問をするのは酷なような気がいたすわけでありますが、今後のこともございますので、一、二お伺いをしたいと思っております。先ほども質疑の中で出ておりましたが、重要なことなので再度お伺いをしたいと思っております。  今回の不祥事につきまして公取委員長はどのような責任を感じていらっしゃるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  125. 澤田悌

    ○澤田説明員 先ほども触れましたが、公正取引委員会三十年の歴史の中で、今回のような不祥事を生じましたことはまことに意外であり、かつ残念で、申しわけない限りと存じておるわけでございます。  これはどうしても明確にしなければいけないということで、内部で手を尽くして調査をいたしました。そのやり方には限界がございますので、黒白を明確にすることができなかったのでありますけれども、これは国会でも申し上げておることでございますから、私の任期中に明確にする手段を講ずるのが当然と思いまして、過般司直の手に調査を依頼いたしたのであります。これもこの事件に関する責任を明確にするための一つの手段であったわけでございまして、この事件の成り行きによりまして今後責任の所在等明らかになるところでございますけれども、最も大事なことは、こういうことが再び起こらないという手だてを明確にするということであろうと存じまして、職員の訓練あるいは監査のシステム、それから重要書類の徴収、保管管理、出納の制度等につきまして万全の措置を講じておる次第でございます。
  126. 長田武士

    長田委員 公正取引委員会は今後ますます重要な立場になってくると思います。もしもこうした不祥事が再び起こるようなことにでもなれば、公取委の存立基盤さえなくなってしまうと言っても過言ではないと思います。再びこうした不祥事を引き起こさないためにどのような具体的処置をおとりになったのか、もう一度お聞かせを願いたいと思います。
  127. 澤田悌

    ○澤田説明員 まず、先ほども触れましたが、重要書類の保管管理についての具体的な制度の整備をいたしました。それから、監察官制度を設けまして、そういう問題に対する監察を常時厳密に行うことを実施いたしました。それから、人事関係につきましての職員の教育等につきまして、今後十分注意をしてまいりたいと存ずる次第でございます。  何と申しましても、全体の気分と申しますか緊張と申しますか、責任感と申しますか、これが最も大事でございます。公正取引委員会全体として、その使命の重要性にかんがみて、えりを正し身を引き締めて仕事に当たる、こういう覚悟で全体が事に臨むようにいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  128. 長田武士

    長田委員 改正独禁法の施行もいよいよ間近に迫ってきたのでありますが、改正法は運用いかんによっては相当の力を発揮すると私は思っております。改正法を実現した委員長といたしまして、公取を離れていく立場から、改正法の運用について希望なり御意見なりございましたら、伺っておきたいと思います。
  129. 澤田悌

    ○澤田説明員 独占禁止法三十年の歴史におきまして、初めてこれを強化する方向で改正が行われたわけでございまして、このことは改正の内容にかんがみましても当然でありますが、公正取引委員会のその任務の重大性、責任の重大性ということが一層加重されたわけでございます。そこに思いをいたし、従来にも増して厳正妥当な運用に全力を尽くすということは、現に職員全員がその覚悟でおりますし、私もぜひそういうふうにしてまいるようにいろいろと現在まで手だてを尽くしてまいったわけでありまして、今後もそういくであろうということを期待して委員会を去りたいと考えているわけでございます。
  130. 長田武士

    長田委員 もう一問、ひとつ公取委員長よろしくお願いします。  公取委員長は、独占禁止改正につきまして、当初いわゆる五党修正案が好ましいとか高く評価するという見解を示されておったわけであります。しかし、御存じのとおりのような経過で、いわゆる第三次の改正案が成立を見たわけであります。  私は、今後の独禁法については、寡占の進行あるいは寡占の弊害の顕在化、企業集団化による経済力の集中等に対処するために、さらに強化していくべきだと考えておるわけであります。委員長は本日を最後に退任されるわけでございますが、将来の独禁法の強化についてどのような御見解をお持ちでありましょうか、最後にお尋ねをしたいと思います。
  131. 澤田悌

    ○澤田説明員 御承知のように、今回の独禁法改正問題が数年前に起こりましたときを顧みますと、非常に意見の隔たりのある数々の主張が行われたわけでございまして、片方に、独占禁止法あるいは公正取引委員会の権限等は憲法違反であるという意見があるかと思うと、片方には、あの激しいと言われたいわゆる公取試案ですらなまぬるいという御意見もあったのであります。  これがこの何年かの間に整理集約されまして、結局あの五党修正案、衆議院におきまして全会一致で修正可決されましたあの五党修正案に集約されたと私は理解をいたしておるのでありまして、現段階においては、私、就任以来これが中心となって改正審議されることが望ましいということを一貫して申してまいったわけでございまして、今度政府の第三次案がそれに非常に近い案で提案されまして、国会で御審議の結果、修正の上可決、成立したということでございまして、私は、現時点においては、いろいろ批判も不満もあるかもわかりませんが、まずあの辺のところが妥当なところであった、これ以上を望んでも現時点では無理であるし、あのぐらいの改正に順応できないようでも国民の信頼を得ることはむずかしい、こういう考えを実は私個人として持っておるわけでございまして、今後御指摘のように経済情勢がいろいろ変化し、寡占状態がさらに高まり、あの弊害が云々されるようなことでありますれば、また腰を据えて検討の上、それに妥当するような改正が検討される、これは時の流れに応じて自然なことであろうと考えておるわけでございまして、これは今後の問題であろうかと思うわけでございます。
  132. 長田武士

    長田委員 次に、拘束預金についてお尋ねをしたいと思っております。これは答弁については取引部長で結構でございます。よろしくお願いします。  まずお伺いしたい点は、六月二十日、最高裁は岐阜信用組合による拘束預金について、独占禁止法違反という判決を下しております。私はこれは画期的な判決だと思っておりますが、この判決について公取委の見解をお伺いしたいと思っております。
  133. 長谷川古

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  今回の最高裁の判決の対象となりました事件は、昭和三十五、六年ころの事件でございまして、当時は歩積み両建てが、しかもかなり高率の歩積み両建てがかなり広く行われておりましたころの事件でございますので、現在から考えますと、当時の事件につきましての判示の内容が、現在のわれわれの仕事の上にすぐ利用できるというものではないかと思います。現在はそれよりかなり進んだ線で指導ないし監視をしております。  しかしながら、われわれとしましては、昭和三十九年あるいはもっとさかのぼれば昭和三十年当初から、不当な歩積み両建ては独禁法違反であるという考えに基づきまして、これまで調査あるいは監視をしておりました。したがいまして、今回の最高裁判決によりまして、不当な歩積み両建ては不公正な取引方法として独禁法違反であるということが確認されました、その意義は非常に大きいと思っております。  特に、不当な歩積み両建てが独禁法違反のおそれがあるということに関しまして、金融機関の方は大蔵省等の指導がございまして、かなり周知徹底しているのではないかと思いますけれども、一般の債務者、特に中小企業債務者などにつきましては、果たしてどの程度歩積み両建てが独禁法違反のおそれがあるということが認識されておったか、その辺が若干疑問でございますけれども、今回の最高裁の判決によりまして、広い範囲の中小企業の方々も、不当な歩積み両建ては独禁法違反になるのだということが御理解いただけたと思います。その意味におきまして、私どもの仕事をやります上におきましても非常に大きな前進が得られるのではないかと考えております。
  134. 長田武士

    長田委員 この判決が出た後、国民の間には拘束預金について非常に関心が高まったと私は考えております。その点、公取委はどうお考えでしょうか。
  135. 長谷川古

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  どのような国民の皆さんからの反響があったか、われわれは新聞を通じて以外は余り存じておりませんけれども、ただ一つ、あるいはその結果ではないかと思っておりますのは、ことしの五月末現在の歩積み両建ての状況につきまして調査実施しておりますが、その際に、従来、大体七千から八千件の中小企業対象に歩積み両建ての状況について調査を行っておるわけでございますが、その調査票の回収率というのが二〇%から二六%、これは三十九年に調査を始めましてずっと二〇%から二六%台以上にはなりませんでした。ところが、今回はわずかの期間に五〇・四%、続いて若干まだ参るかと思いますけれども、非常に高い回収率になっております。これは恐らく最高裁の判決に対する一つの反響のあらわれではないかというふうに考えております。
  136. 長田武士

    長田委員 公取委の拘束預金についてのアンケートの回収率が飛躍的に高まったということでありますが、これは公取委から初めて明らかにされたものであります。非常に注目される事実だと思っております。いろいろ理由があると思いますが、繰り返しますが、アンケートの回収率が高くなったということは、国民の公正取引委員会に対する期待が高まったということだと私は考えております。この国民の期待を裏切るようなことがあってはならないと思います。  そこで、私たちは、拘束預金規制のための単独法制定段階にきておる、そのように考えておりますが、これについて所見をお伺いしたいと思います。
  137. 澤田悌

    ○澤田説明員 そういう御意見は折々伺うのでありますけれども、これは実態のなかなか複雑なものでございまして、いきなり単独法でこれを取り締まるのがいいか、あるいは現在のような不公正な取引ということで弾力性のある告示のような形で取り締まった方がいいのか、これは大蔵省の銀行行政のたてまえもございますし、その辺はもう少し検討を要するのではないかと実は考えておるような次第でございます。
  138. 長田武士

    長田委員 私、大蔵省に一つ提案したいのでありますが、調査によりますと、狭義の拘束預金は減少しておる、しかし、広義の拘束預金、いわゆるにらみ預金は増加しておる。そういう傾向に世論調査は出ております。勢い、この調査が行われても拘束預金が依然として減らない。その理由は、よく御存じのとおり、取引停止を食ったり、あるいは貸付条件が厳しくなる、事実上貸し出しが行われない、困難になるというようなことで、特定な名前を出しあるいは銀行の名前を出し拘束預金に対する勧告なりあるいは警告なりができない、そういうところに私は今日まで実が上がっていない大きな原因があろうかと思っております。  そこで、私もそういう金融機関に籍を置きましたのでよくわかるわけでありますけれども、そういう中小企業なり企業が拘束預金で縛られて非常に痛手を受けておるというケースの場合、申し出をする、そうなりますれば、具体的にどこの金融機関で何のたれ兵衛さんがそのような拘束預金で困っておるということが明らかになるわけであります。そうなった場合、銀行は恐らく取引停止だとか貸し出し制限というような手だてに出るという考えが当然出てくるわけであります。  そこで、私は、提案でありますけれども、このような拘束預金をなくすためには、結論から申し上げて、そういう申し出た、そして金融機関からいろいろな意地悪をされた人たちを政府の金融機関できちっと救ってあげる、そういう制度を創設すれば、拘束預金の是正というのは大きく前進するのじゃないか、このように私は考えるのですが、大蔵省、どうでしょうか。
  139. 石川周

    ○石川説明員 お答え申し上げます。  政府関係金融機関の設立目的その他政府関係機関で融資をする場合の要件というものは、いろいろそれ相応に厳しいものがなければならないと思いますし、報復措置というような、言葉ではいろいろ言えましょうが、それを法的な厳しい要件としてどこまでどういうふうに設定できるか、なかなか問題があろうかと思います。御提案ではございますが、実際問題としてなかなかむずかしい問題がそこにあろうかと思います。  ただ、私どもは、政府機関でそれを救うということの前に、できるだけそういった苦情を政府、つまり私ども銀行局、あるいは大蔵省の出先でございます各財務局財務部、あるいは金融機関の団体でございます全国にございます協会、そういったところで受け付けて、そしてそれを私どもといたしましてフォローいたしまして、金融機関を指導し、そういった指導の中で厳しい歩積み両建ての自粛を求めていく、そしてそれがいやしくも報復というようなことのないように、お申し出のあった条件につきましてはきちっとトレースをしていきたい、そういうかっこうで問題を処理していくのが筋ではないか、このように考えております。
  140. 長田武士

    長田委員 それじゃ、長官がお見えですから、景気対策についてお尋ねをしたいと思います。  まず、当面する経済情勢が至って厳しい現況下にあることは御承知のとおりであります。経済企画庁では先ごろ、このまま放置すれば、本年度の実質経済成長率六・七%の目標が達成されるどころか、六%台割れもあり得るとの判断を固めたと言われておりますが、こうした判断を固められたその根拠はどこにあるのか、経済企画庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
  141. 倉成正

    倉成国務大臣 現在の景気情勢は、御承知のように一進一退ということでございまして、生産は多少ふえても在庫がふえてくるというような状況がございますし、また企業倒産件数も多い。また雇用情勢もはかばかしくない。一方において、公共事業の契約等はかなり進んでおるし、輸出はかなりの高い水準で出ておるという情勢でございます。したがって、全体の景気判断をする際に、われわれが当初考えておりましたように、設備投資が従来の景気回復のパターンと違ってなかなか出てこない。また、個人消費の方も、多少は大型スーパー等で動意は出ておりますけれども、必ずしも個人消費も十分な形のものではない、そういうことから、六・七%の成長を達成するにはよほど努力をしなければならないのではなかろうか、そういうふうな判断をいたしておるわけでございます。  どの程度の数字になるかという詰めは、もう少しいろいろな指標を参考にしながら検討し、最終的な判断を下したいと思っておるところでございます。
  142. 長田武士

    長田委員 長官御自身では、六・七%の自信はどうでしょうか。
  143. 倉成正

    倉成国務大臣 やはり厳しい情勢であると申し上げる以外にはないと思うわけでございます。
  144. 長田武士

    長田委員 わが党といたしましては、ことし初めの、二月でございますか、政府の言う六七%の成長率達成に不安を抱き、このことにつきましては予算委員会でもただしてまいったわけであります。そしてまた、福田総理が先進国首脳会談で六・七%の達成を公約いたした際にも、強い疑念を抱いたものでございます。ところが、最近、経済企画庁でもこの実質経済成長率六・七%が自信が持てないようであります。  そこで、長官にお尋ねいたしますが、このような見通しが狂ってきた最大の原因は一体どこにあったのか、もうちょっと具体的に御説明いただけませんか。
  145. 倉成正

    倉成国務大臣 政府はこういう景気情勢を踏まえまして、御案内のとおり、公共事業前倒しにするということを一つの大きなてこにして、これで景気の引き金にしようということを考えたわけでございますけれども公共事業は、御承知のように、契約はかなり進んでおるわけでございますけれども、なかなかこれが実体経済面に十分出てきてないというのが実情でございます。もっとも、最近では若干そういう影響が出てきておるという報告を聞いておるわけでございます。  その一番大きな理由の一つは、公共事業が若干タイムラグがある。すなわち、設計をしたりあるいは飯場をつくったり進入道路をつけたりするいろいろな準備の期間が要るということもございます。それから、大型の工事について地方議会の承認を要するというような問題もございますけれども、最も大きな原因ということになると、やはり在庫が非常に多い、在庫調整が十分進んでいない、したがって、公共事業が若干出てまいりましてもその在庫の面で食われてしまう。また同時に、卸売物価が非常に安定しておりますから、非常に卸売物価が上昇するというような状況であれば、先を見越して大きく仕入れるということがありますけれども、必要なだけ仕入れていく、そういうこともあろうかと思うのでございまして、やはり一番大きな原因は在庫調整がおくれているということにあろうかと思います。
  146. 長田武士

    長田委員 本日の新聞によりますと、政府経済見通しの改定に踏み切る方針を固めたと報道されております。その真偽についてお尋ねをしたいと思います。
  147. 倉成正

    倉成国務大臣 経済見通しについては、先ほども申し上げましたように、経済企画庁としては、御案内のとおり、四半期別のGNPの統計、いわゆるQEというのを出しておりまして、これが来月の初めに発表になるわけでございまして、この感触は今月の末ぐらいには出てくるのではなかろうかと思っておるわけでございます。また、日本銀行も短期経済観測ということで、設備投資やその他いろいろな諸標についての見通しをいたしておるわけでございまして、これも来月の初めに出てくるということでございまして、そのほかいろいろな指標がございますので、そういうのを全部集めまして総合的な判断をいたしたいと思っておるわけでございまして、最終的にどういう形にするかということについては、内部でまだ調整をしているところでございます。
  148. 長田武士

    長田委員 いままでの長官の御答弁を伺っておりますと、来月の初めに判断されるということでありますが、六・七%の達成は明らかに困難になってきておると思っております。このような経済見通しの誤りが国民の経済不安となってあらわれておることもまた事実であります。こうした判断は的確に、しかも迅速に行われなければならない。いつ判断されるのか、もう一度具体的にお聞かせいただけませんか。
  149. 倉成正

    倉成国務大臣 御案内のとおりに、八月の二十六日には鉱工業生産の出荷、在庫というのが七月分について出てくるわけでございます。それから、八月三十日ごろには消費者物価の指標も出てまいりますし、九月一日には開銀の投資調査が出てくる。そのほかQEとかあるいは日銀短観というような問題があるわけでございまして、こういうものをやはり総合的に判断することが非常に必要じゃなかろうかと思っておるわけでありまして、われわれとして、いろいろな内部的な感じなり、それからいろいろな聞き取りあるいは手段でいろいろな景気分析をいたしておりますし、また、民間景気動向の調査等についても、すべてとは申しませんけれども、目をさらのようにしてそういう分析についても目を通しておるわけでございますけれども政府としての判断をするにはやはりもう少しいろいろな指標を集めてみる必要があるのじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  150. 長田武士

    長田委員 先ほど御答弁がございました公共投資の七三%の前半での問題でありますが、長官はこれから徐々にそれがあらわれてくるということでありますけれども、この公共投資の効果が速やかにあらわれない原因といたしまして、先ごろ自治省が行った公共事業等施行促進に関するアンケート調査の結果によりますと、国への要望として、補助金の早期決定、交付、補助金の申請の簡素化、補助金等の概算手続の簡素化、また、継続事業については実施認可手続の省略、庁舎、会館等の起債充当率の引き上げ、交付税の早期交付、さらには公有水面埋め立て認可の迅速化、資材価格の高騰防止のための行政指導などが挙げられておるわけであります。こういった点について企画庁としてはどのように改善すべきであるか、その点をお伺いしたいと思います。
  151. 倉成正

    倉成国務大臣 公共事業につきましては、もうすでに御承知のように、国、公社、公団、こういうのを合わせました公共事業の総額が、五十二年度につきましては約十兆でございます。それから、地方公共団体並びに地方公営企業、公共団体の中でも補助金を受ける部分あるいは補助金を受けない単独事業等を入れますと全部で十二兆ございます。しかし、国から県へ補助金を出す、あるいは県から市町村へ補助金を出すという場合もありましょうから、重複している部分がございます。したがって、その重複している部分が四兆ぐらいから三兆四、五千億の程度ではなかろうかと思っておるわけでございます。また、いま地方の予算にまだ計上していない部分も若干あろうかと思うわけでございまして、やはり国、地方を通ずる公共事業がかなり前倒し執行されてくるということになれば、これはもう効果があらわれてくることは間違いないわけでございます。  その速度が遅いということは先ほどから御説明したとおりでございます。したがって、国の一般会計、また国から補助金を出す部分で議論いたしますと、十兆のうちの約半分が、五〇%が六月末に契約をされておるわけでございまして、七月にはさらにこれが上乗せをされておるわけでございまして、確かに、補助金等の迅速な処置あるいはいろいろな手続の簡素化ということについては、御指摘のとおりもっと努力をしていかなければならないと思いますけれども、現在のところでも、昨年あるいは一昨年に比較いたしますと、かなりの程度改善をされておるというふうに考えておるわけでございます。
  152. 長田武士

    長田委員 そこで、こうした現状を打開し、政府の目標である経済成長率六・七%を達成するためには、補正予算の編成が急務になると思いますが、企画庁長官が言われるような厳しい状況下では補正の規模をどの程度に考えていらっしゃるか、その点お伺いします。
  153. 倉成正

    倉成国務大臣 六・七%成長を確実にするためにはどういう財政金融政策をやったらよいかということを、政府部内で経済見通しとあわせてただいま鋭意検討いたしておるわけでございまして、どの程度のことをどうするということを今日の段階で申し上げる段階ではない、まことに申しわけございませんけれども、そうお答えする以外にないわけでございます。鋭意検討いたしているというところでございます。
  154. 長田武士

    長田委員 具体的に規模を示すことができないということでありますが、経企庁としては当然こうした問題については基本的な考え方を持たなければならないはずでありますし、また、持っているわけであろうと思います。  そこで、経企庁長官として、補正の規模と財源の問題、あるいは物価問題等の関連をどのように考えておるか、再度お尋ねいたします。
  155. 倉成正

    倉成国務大臣 六・七%成長を達成をするということは、国の内外に明らかにした政策目標でありますから、これを達成するためにあらゆる手段、財政金融措置考えるということ、しばしば総理も申し上げているとおりでございますけれども、どの程度の力が足らないのか、また、その力が足らないところをどういう形で補っていくのかということは、先ほど申しましたように、いろいろな指標をしさいに検討いたしまして最終的な判断をいたしたいということで、せっかくいま検討し、勉強しているところでございまして、ただいまどれだけのものが足らない、またはそれに対してどういう処置をするということを申し上げる段階ではないわけでございます。しかし、これにつきましては、八月の末から九月の初めにかけまして何とか急いで結論を出したいと思っておる次第でございます。
  156. 長田武士

    長田委員 補正予算の規模について、通産省は二兆円程度が必要であるという立場に立っておると言われているわけでありますが、通産大臣、この規模についてはどうでしょうか。
  157. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  経企庁の長官の方から主たる根本の考え方はお答えをいたしておりますが、通産省といたしましての景気対策ということになりますれば、ある程度大型の内需の発注というようなものもいろいろと構想をいたしておる向きもございますし、さらにまた、いろいろ構造不況に対します設備の買い取りと申しますか、廃棄処分その他のあれもございますし、やはり相当な額というものは要るであろうというような考え方を持っております。
  158. 長田武士

    長田委員 それはしばらくおくといたしまして、補正予算の中身の問題でありますが、これは内需拡大ということが主眼にならざるを得ないと思います。そこで、長官考えておられる補正予算の中身について御所見をお伺いしたいと思います。
  159. 倉成正

    倉成国務大臣 まだどういうものをどういう規模でやるかということが決まっていないわけでございますので、その中身を申せとおっしゃられましても、ここで申し上げる段階ではないとお答えする以外にないわけでございますので、むしろ、どういうことをやったらよいかというようなことについていろいろ御示唆を賜れば幸いだと思います。
  160. 長田武士

    長田委員 私は、補正予算の中身は、生活関連社会資本の拡充、個人消費の拡大、社会保障政策の充実、さらには物価安定等に最大の配慮をしていくべきだと実は考えておるわけであります。  こうした中身とあわせて大事なことは、補正予算を早く成立させることである、このように考えております。政府対策はいつもタイミングを失してまいっておるわけでありますが、補正予算の成立はいつごろを目途にしておるか。わが党は参議院選挙直後の国会補正予算の編成を要求いたしましたが、この際、速やかに国会を開いて成立を期すべきであると考えておりますが、この点はいかがでございましょうか。
  161. 倉成正

    倉成国務大臣 どうも大蔵大臣からお答えした方がいいような感じがいたしますけれども、私はまだ、補正予算提出するかどうか、それからまた、補正予算を仮に提出するといたしましても、その審議の問題は国会のマターでございますので、私がここでいろいろ予見を持って申し上げることは適当ではないと考えておる次第でございます。
  162. 長田武士

    長田委員 さらにお伺いするわけでありますが、これは経企庁の所管事項ではないということはわかっておりますが、当面する景気の動向から見まして、現在焦点の一つとなっております公定歩合の引き下げ問題について、長官は金利の引き下げが景気対策にどれほど効果を持つと考えておられるか、見解を承りたいと思います。  また、公定歩合の引き下げと預貯金金利との兼ね合いが出てくるわけであります。消費者物価が前年同月比で依然として八%台を維持しておる現在、預貯金金利の引き下げは国民としてはなはだ納得できないのでありますが、この問題についての考えもあわせてお示しをいただきたいと思います。
  163. 倉成正

    倉成国務大臣 先般、御案内のとおり、三月と四月、二ヵ月にわたりまして公定歩合が一・五%引き下げになりました。そして、この公定歩合の引き下げに伴って、市中の約定金利が従来になく追随をいたしまして、かなりの金利の低下をいたしておることは御承知のとおりであります。この点は、企業としていま一番の課題は減量経営ということで、いかにして金利負担を減らすか、いかにして人件費を減らしていくかということが企業のいまとっておる対応でございますから、そういう面から申しますと、金利負担が少なくなってくるという点においては、景気には好影響を及ぼしてくるというふうに考えておるわけでございます。  これから先、さらにどうするかという問題については、これは御案内のとおり、公定歩合に関して申せば、日銀の政策委員会の所管のことでございますので、私から申し上げるのは適当ではないと思っておる次第でございます。  それから、公定歩合の引き下げとあわせて預貯金の金利の問題についてのお話でございますけれども、いわば何か一つの政策を行うということになれば、必ずメリットとデメリットが起こってくる。たとえば一つの金融政策を実行した場合に、それによって景気が刺激されて失業者が出るのを防ぐというようなメリットがあるでしょう。また一面において、預貯金をしておられる方についての目減りの問題があるでしょう。そういったメリットとデメリットを比較勘案して、どちらが望ましい姿であるかということで総合的に判断をすべきものではなかろうかと思うわけでありまして、政策というのは選択の問題だと思います。一つだけが正しいという政策はあり得ない。したがって、そのメリット、デメリットを総合判断してどう決断すべきかということを考えていくべきであろう。大変抽象的なお答えになりますけれども、そうお答えを申し上げる次第でございます。
  164. 長田武士

    長田委員 一方、景気の回復とうらはらの関係にございます貿易摩擦の解消も急務であると思います。一般論的に言えば、内需を拡大していけば輸入もふえ、反対に輸出は抑制されるということになると思いますが、内需の拡大が思うようにいかない現在、この貿易摩擦の解消は重大であると考えます。本年度の経常収支の見通しはマイナス七億ドルということでありますが、この実現はほとんど不可能という見通しに立たざるを得ません。通産大臣経済企画庁長官の見通しを伺いたいと思います。
  165. 倉成正

    倉成国務大臣 それでは、後で通産大臣から補足していただくといたしまして、私からお答えをいたしたいと思います。  当初の経済見通しで、経常収支の七億ドルの赤字という見通しをいたしましたけれども、御案内のとおり、輸出が思ったよりも伸びていったということと、景気の停滞と関連いたしまして輸入がふえなかったということで、経常収支の黒字がずっと続いておるわけでございまして、御指摘のように、マイナス七億ドルの経常収支という見通しは狂ったわけでございまして、経常収支はかなりの黒字が出てくるという判断をいたしております。  ただ、国際的に見てまいりますと、われわれは、やはり経常収支の黒字幅がだんだん少なくなっていく、内需が回復していくことによってこの経常収支の黒字がだんだん少なくなっていくということが国際的にも十分説明がつき、そしてそういう認識を得ることができればこれはよろしいのではなかろうかと思っておるわけでございます。当初の見通しが狂ったという点については率直に認めたいと思います。
  166. 田中龍夫

    田中国務大臣 通産省関係といたしまして、先生がただいまおっしゃいました輸出摩擦の解決の問題でございますが、御案内のとおりに、あるいはECあるいは対米関係におきましてもカラーテレビの問題を、紆余曲折がございましたけれども、話をつけることができました。あるいはまた、EC方面におきまする自動車の問題でありますとか、ただいま鉄鋼の関係がカーター政権になりましてからアメリカで大分問題になっておりますが、わが省の担当局長をアメリカに出しまして折衝いたしたことが、先方の方にも非常に好感を持って迎えられておるような状態でございます。  かような集中豪雨的な、局地的な問題に対しまする摩擦はできる限り避けていかなければなりませんと同時に、御案内のとおりに、摩擦のない輸出といたしましてはプラント輸出あるいは大型のプロジェクトの問題といったようなものがございまして、これもボンド保険あるいは輸出保険等の制度がこの十月一日から開始になりますので、いままでのペンディングになっておりまする成約もどんどんと履行できるような状態に相なると存じます。  かような次第で、当初の見通しの貿易収支の点におきましては、予想外になお黒字幅が残るようなわけでございますが、何はともあれ、当省といたしましては、わが国の立場もございまして、できるだけあくまでも貿易の自由、保護貿易に対しましては反対の国是によりまして、貿易の関係の国際収支面におきまする国際的協調を遂げてまいりたい、かように考えております。
  167. 長田武士

    長田委員 内需を拡大するというような一般論を繰り返しておるようでありますが、経常収支七億ドルの赤字というのは、福田総理が先進国首脳会談において、実質経済成長率六・七%の実現とともに公約をいたしましたいわば国際的な公約であります。この不履行は国際間で大きな批判を受けることは必至であります。見通し改正すればそれで済むというようなものではないと私は考えますが、その点、長官、どうでしょうか。
  168. 倉成正

    倉成国務大臣 私も先般OECDの閣僚理事会に政府の代表として、鳩山外務大臣とお二人で出席をいたしまして、日本の景気の問題等について、先進二十四ヵ国の方々にも十分説明をいたしたわけでございます。各国としても、日本の六・七%成長を輸出主導型でやってもらっては困るという非常に強い要請でございました。したがって、私とも、内需で六・七%を——もちろん輸出もある程度の寄与をすることは当然でありますけれども、しかし、内需を中心として六・七%成長が達成できるような政策運営を今後やっていかなければならないと思っておるわけでございまして、すでにもう年の半ばを過ぎておるわけでございまして、経常収支が赤字になるというようなことは考えられない。もちろん、当初この計画を立てましたとき、われわれは赤字を覚悟でもひとつ世界の景気に寄与していくんだ、そういう姿勢でございまして、七億ドルという数字が必ずしもきちっとしたものではないわけでございますけれども、しかし、先ほど申しましたように、だんだん経常収支の黒字幅が減っていく、そういう姿勢が明らかになれば、十分世界各国の人たちの納得を得ることができる。そして、先ほども通産大臣が申しましたように、集中豪雨的な輸出というのが特定の品目について、特定国についてないように努力をする。また、いろいろな国々との間においていろいろな貿易についての話し合いをしていくということによって十分理解を得ることができる、そう信じております。
  169. 長田武士

    長田委員 先ごろの報道を見ましても、米財務省は十八日、モンサント社から提訴のあった日本からの化学製品の輸入について調査を行うと発表いたしました。また、カナダ関税局は十八日、日本製の鉄鋼線材についてダンピング容疑で調査を開始、あるいは米国の大手メーカー、CBトランシーバーメーカー、E・F・ジョンソン社のITCへの申請があったというような数多くの紛争が取り上げられておるわけであります。通産大臣はこうした紛争解決にどのように取り組んでおられるのかお尋ねをしたいと思います。
  170. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほどもちょっと一言申したのでありますが、アメリカにおきまするUSスチール等のダンピングその他いろいろな問題もございまして、当省といたしまして局長を先般対米交渉に出しまして、つい数日前に帰ったような次第でありますが、先方の方におきましても、問題が非常に激化しない前に事前に担当者を派遣して、そうして政府に対するいろいろな交渉なり何なりを遂げてくれたことにつきましても非常に好意的な反響を呼んでおります。また、ヨーロッパ方面におきましても、これはアメリカの関係とは違った独禁法でございますが、業界の方々が行かれまして、そうして自動車の交渉なりその他いろいろな交渉を円満裏に話をつけておるような状態でございます。  何分にも日本の対外的ないろいろな問題は、これはやはりケース・バイ・ケース、丹念に話し合いのもとに協調を遂げていかなければならないということでございまして、いろいろと新聞等にも出ておりまするような、わが国の輸出の非常な伸びに対しましては各方面におきましていろいろ厳しい批判のあることも御承知のとおりであります。さような意味から申しまして、私どもは、対外援助と申しますか、いわゆるODAなり何なり、政府援助の面に対しまして強く各方面にこれを行うことによりまして、さらに先方も非常に喜び、同時にまた、国際収支の面におきましても移転収支の点におきましては赤字幅を多くいたしますことによりまして、貿易外収支とあわせてこの経常収支の黒字を少しでも減らしてまいるというような施策も講じておるような次第でございます。
  171. 長田武士

    長田委員 話し合いの解決ということで、私もその点認めるわけでありますが、しかし、その基本的な、根本的な解決にはならないと私は考えております。わが国の輸入拡大を要求する諸外国にこたえるためには、国内の農業者とかあるいは不況業種との兼ね合いとか、複雑な問題がつきまとうわけでありますが、これをどう調整するか、その具体策がないと私は基本的な解決にならないのじゃないか、こう考えておりますが、どうでしょうか。
  172. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話のとおりでございまして、要は、日本国内におきまする景気の回復、高揚ということにありまして、その結果内需というものが旺盛になり、そうしてまた輸入というものが増大いたすということによって全体の貿易バランスをとってまいることは、拡大均衡の上においてそのような処置を講じなければなりません。同時にまた、内需の面におきまするインフラの問題でありますとか、あるいはまた農村関係あるいはその他の諸施策になりますると、これは私の通産省の所管ではございませんのでお答えを省きますが、何はともあれ国内の景気の回復ということ、それによって需要の喚起が行われ、同時にまた輸入が増大いたすということ、このことは当然必要なことでございまして、私も、担当の関係で貿易の面だけを申し上げましたが、国内景気の回復ということがまずもって大前提であることは当然でございます。
  173. 長田武士

    長田委員 そこで、景気回復の問題でありますが、通産省は、民間設備投資の盛り上がりが必要である、そのための対策といたしましては投資減税を積極的に推進する態度をとっておられるわけでありますが、これに対して大蔵省は反対の立場にあるようでありますが、通産大臣は投資減税を本気で推進されようとしておられるのか、また、投資減税によって民間設備投資は盛り上がると見ていらっしゃるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  174. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたしますが、当面の景気の回復を図りますために、公共投資の推進とあわせまして、低迷いたしておりまする民間の設備投資の拡大を図ることは当然でございます。このために、われわれといたしましてはすでに金利の引き下げ等の処置を講じまして、民間設備投資の促進を図ってまいったところでございまするが、これらの諸対策効果及び今後の景気の動向を十分に注視しながら、今後ともに的確に所要の措置実施していく所存でございまして、その一環といたしまして設備投資に関しまする税制措置についても検討をいたしておる、こういう次第でございます。
  175. 長田武士

    長田委員 私は、投資減税を行っても民間設備投資の活発化は余り期待できないのではないかと考えております。長期の視点からいえば投資減税を頭から私は否定をするのではないのでありますが、省エネルギー等について必要になってくるかもしれないという立場でありますが、企画庁長官はこの設資減税についてどのような見解を持っておられるのか。さきに発表された経済白書では明言を避けておられるようでありますが、暗に投資減税をにおわせておられるように受け取られますので、その点お伺いをしたいと思います。
  176. 倉成正

    倉成国務大臣 基本的には通産大臣からお答えされたとおりでございます。いまお話しのように、非常に稼動率が低い、在庫が非常に多いという段階で、投資減税がすぐ設備投資の増加に現時点で結びつくとは考えておりません。ただ、税制の一環として、いま政府の税制調査会でいろいろ税制についての洗い直しをしておられるようでございますから、その一環として御検討をいただけば結構ではないかと思っておる次第でございます。
  177. 長田武士

    長田委員 減税の話が出ましたので、企画庁長官に税制調査会で話題になっております一般消費税の導入について見解を伺っておきたいと思っております。  現在、税制調査会では中期的な税制のあり方を検討しており、その中で一般消費税の創設について前向きに取り組んでいるというようなことであります。この創設について長官はどのように考えておられるのか。本年度経済白書の中で言う貯蓄率の引き下げが必要だというようなことは増税をも示唆したものととられるわけでありますが、いかがでございましょうか。
  178. 倉成正

    倉成国務大臣 一般消費税の問題については、ただいま税制調査会でいろいろ御検討いただいているところでございますし、また、税の問題については、やはり国民的なコンセンサスがなければ税制の改正ということは行うことができないわけでございます。ただ、長期的に見ると、御案内のとおり、財政の規模がだんだんふくらんでいくわけでございますから、それを全部借金で賄うというわけにもいかない。したがって、ある程度の税負担の増強ということを考えなければならない。しかし、それをどういう税でやるかということについては、やはり専門的な立場から御検討いただく、なお国民的なコンセンサスが必要であるというふうに思っております。
  179. 長田武士

    長田委員 それでは、通産大臣景気の問題でもう一問伺っておきたいのでありますが、通産大臣は、今月三日の「当面の景気対策について」の中で、電力設備投資の促進を挙げておられるわけであります。その中で、電力会社の設備投資の繰り上げ発注を要請するとしておりますが、しかしながら、この不況下において電力会社が簡単に政府の要請に応ずるかどうか、疑問に思わざるを得ないわけであります。電力会社の設備投資の繰り上げ発注は実際可能なのかどうか、また、通産省は、構造不況業種対策として具体的にどのような対策考えておられるのか、この二つの点についてお答えをいただきたいわけです。
  180. 田中龍夫

    田中国務大臣 最初の御質問の電力投資の促進でございまするが、五十二年度の設備投資計画といたしまして二兆六千二百七十億円を予定いたしておりましたのでありますが、景気浮揚対策に協力をいたしまするために、五十二年度においてさらに約七千億円の繰り上げ仮発注を実施いたした次第でございます。この計画達成のためには電源立地対策の円滑な遂行が必要でございまして、このために政府は、去る六月七日の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして了解をいただきました計画によりまして、今後の需給上の重要な電源、十五地点でございますが、これを中心に積極的に立地推進に当たっておるような次第でございます。  次の構造不況業種の問題でございまするが、御承知の長期の需要低迷に伴いまする著しい過剰設備の存在、また、国際競争力の低下等によりまして構造的な不況に陥っておりまするいわゆる構造不況業種、まあ通産省といたしまして十三業種ぐらいを挙げておりまするが、一般的な景気対策に加えまして、独禁法または中小企業団体法に基づきますカルテルによる生産価格調整対策、あるいはまた倒産防止対策なり過剰設備対策事業転換対策等々、なおそれとあわせまして雇用対策等も、業種業態に応じましてきめの細かい施策をこれからどしどしと果敢にやっていかなければならぬ、かように考えております。
  181. 長田武士

    長田委員 以上で終わります。
  182. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 安田純治君。
  183. 安田純治

    安田委員 私は、中小企業問題、特に下請関係の問題を中心に若干質問をしたいわけでございますが、不景気が長引きまして、回復だ回復だといってもなかなか回復基調になっておらぬという状態の中で、中小企業の経営状態は依然として回復しておらないわけであります。特に、仕事がないという状態が下請企業の場合特別に深刻なものがあります。政府は下請対策について、残念ながら、今日もなお抜本的な対策を講じていないと言わざるを得ないと思うのです。  たとえば五十二年度においてようやく下請企業振興協会がすべての都道府県で設置されるに至った。やっと本年度でそうなったという状況であるわけです。  そこで、下請中小業者の受注を確保するために、この振興協会の機構を拡充強化して、協会が県内での受注あっせんにとどまらずに広域的にあっせんするなどの活動を強化する必要があると思いますけれども、今後どういう対策を強化されるのか、伺いたいと思います。
  184. 田中龍夫

    田中国務大臣 詳細な点につきましては政府委員からお答えをいたしますが、概括的に申しまして、当省といたしましては、この発注量の減少でありますとか単価の切り下げ圧力などによります下請中小企業の経営困難は、すでに長期にわたる不況に起因するところが大きいのでございまして、一日も早く景気の回復をしなければならぬ、かように存じておる次第であります。  代金の支払い遅延などの親企業者に対します不公正な取引行為を排除いたしますために、下請代金支払遅延等防止法に基づきます調査及び立ち入り検査を実施いたしまして、悪質なものについては公正取引委員会に対しまして措置の請求をいたしております。この窮状にあります下請企業に対しましては、下請企業振興協会を通じましてただいま先生が仰せられましたごとくにあっせんをいたしますとか、政府系の中小企業金融機関の貸し出し等におきましてもきめの細かい対策をいたしておるのでございます。今後におきましても、下請代金支払遅延等防止法に基づきます検査等の拡充強化をいたし、また、下請企業振興協会によります広域あっせん等仕事のあっせんを遂行いたし、下請中小企業の経営の安定につきまして一層努力をいたす所存でございます。  なお、詳細につきましては担当の政府委員からお答えをいたします。
  185. 安田純治

    安田委員 たとえば現在の下請代金支払遅延等防止法とかいろいろありますけれども、法改正などはお考えになっていらっしゃらないのかどうか。現在の法律があるもとでいろいろと下請いじめが行われておる状況考えますと、法改正の必要をお考えかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  186. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  下請の問題につきまして遅延防止法等に基づきますいろいろなきめの細かい措置を講じておりますけれども、なおその間におきまして、一つは下請の支払いサイトの問題と現金化の問題こういうふうな問題がございます。これらにつきましてもできます限りきめの細かい指導をいたしておるのでございまして、同時にまた、地方の通産局あるいはまた商工会議所、商工会等々と連携をとりまして、この下請企業が業態の不利を招かないような努力を極力いたしております。  なお、法の不備の点につきましては、われわれは常時監視をいたしておりますけれども、なお必要に応じましてその欠陥を是正していかなければならない、かような面におきまして、先生方のなお一層の御注意なりあるいは御協力をこの機会にあわせてお願いをいたします。
  187. 安田純治

    安田委員 当面は法改正考えておらないというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。当面はいまの法律の運用でやっていくということに伺ってよろしいのでしょうか。
  188. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  御案内のとおりに、現行の法制がございまして、ただいま私が申し上げましたように、その執行の面におきましていろいろときめの細かい指導はいたしておりますが、本法におきましてはいまさしたる欠陥があるというわけではございません。その点は現行法をただいますぐ改正いたす気持ちはございません。
  189. 安田純治

    安田委員 下請業者の中でも建設業が特にひどい状態にあるように思われるわけであります。トラブルも実際この建設業における下請関係が非常に多いというふうに考えるわけであります。工事代金の未払いが特に多くて、仕事をしても代金がもらえないで、自殺に追い込まれるようなケースさえ生まれていることは、新聞なんかにもよく出るわけであります。  たとえば福島市のある下請業者の訴えるところによりますと、本社が盛岡市にある東日本ハウスという会社がございますが、未払い代金の請求に対してその場その場で言い逃れて、ずるずると引き延ばしておって、いまになってから二年六ヵ月も前の分は支払う義務はないというように居直るとか、発注する単価をたたいておきながら、安過ぎるなら断れ、こういうふうに開き直るなど、かなりあくどいやり方を続けているケースがございます。  たまたまその業者が東日本ハウスに対して請求をしたことに対する答えが手紙で返ってきておりまして、それを私見ましたけれども、こういうことが書いてあるのです。「請求金額の差と申しますが、先日当本社でのお話合いの席上も」話が「あった通り、当社は発注方式で行っています。」これは左官屋さんなんですが、「確かに坪一万一千円が安いか高いかは誰も何とも言えません。而しそれを納得して仕事は出しているし、しているものと思います。」ということで、「その時点でどうしても単価が予算と合わなければ、何故仕事を断わってくれなかったのでしょう。」こういう手紙なんです。  実はこの会社を調べてみますと、会社の方で一応左官屋さんの平米当たりの単価を一方的に決めておって、そして下請業者の方から見積もりを出しても、一方的に会社の方針はこうなんだということでやってくるわけです。しかも専属業者的な形で長い取引をする。今後損は補うというようなことで、ずっと馬の鼻の先にニンジンをぶら下げるように引っ張ってくるわけです。したがって、二年もたってしまうわけです。その間に損を回復するチャンスもあるだろうということで続けていくわけですが、さて、いよいよトラブルがだんだん深刻化してきて、もうやめた、専属業者的なことをやめたとなって、いままでのそういう見積もりと一方的に押しつけた単価との差額、これはどうしてくれるということになったら、いまの返事の手紙のように、その時点でなぜ断ってくれなかったのか、断ればいいじゃないか、こういう言い方をしているわけで、まさに経済的に優位な立場を利用して大変あくどいやり方をしているというふうなケースでございます。  しかし、調べてみますと、この福島のある左官屋さんだけではなくて、大分こういうことがいま行われておるわけであります。この福島の左官屋さんの場合には、おまけに、その下請業者の所有している建物を会社の寮に使わしてくれと言ってこれを使う。しかし、家賃を払わない。たまたま社員が入っていなかった空き家期間があるわけですけれども、そうすると、入っていないのに金を払えるかということで最後には居直るとか、大変いろいろ問題があるようであります。  こうした状態もございますので、建設省としてはこういう建設業における下請いじめについてどう処置をしてこられたのか、建設省の方からお伺いしたいと思います。
  190. 広瀬優

    ○広瀬説明員 請負契約におきます単価というものは、契約当事者が実勢価格というものを考慮しながら相談によって決めておるということでございますが、多くの場合、下請工事の契約形式といたしましては、その場合とられるのは、先生御案内のとおり、随意契約という形をとるわけでございます。  先生いま指摘の点でございますが、その点に関しましては、建設業法にもまさに御指摘のような趣旨を踏まえました規定が盛り込まれておるわけでございまして、第十九条の三でございますが、「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、」通常必要と認められる原価に満たない金額による契約を締結することを禁止しておりまして、違反については公正取引委員会への通報等、しかるべき措置をとるという手はずが決められておるわけでございます。ではありますけれども、冒頭に申し上げましたように、その元請、下請契約期におきます単価あるいは請負金額というものが、果たして注文者が自己の取引上の地位を不当に利用して押しつけたものであるかどうかというような認定にかかりますと、冒頭に申し上げましたような相談づくで決まっておる実態から見てなかなか判断のむずかしい場合があるということは否めないところでございます。  私ども建設省といたしましては、一般的指導といたしまして、常日ごろ、過去数回にわたりましても、下請代金支払いの適正化というような観点からの通達等により、回を重ねまして指導もし、機会あるごとに団体等にもその周知徹底方を図っておるところでございますが、さらに、先般、先生御案内のとおり、中央建設業審議会から標準下請約款というものが勧告される運びとなりましたので、これを今後鋭意普及を図ることによりまして、御指摘のような下請関係というものが正常化されるような形での行政指導というものを積み重ねてまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  191. 安田純治

    安田委員 この随意契約ということでございますけれども、実際の実態を考えますと、たとえばこの業者の場合もそうなんですけれども、いままでずっと何十年も左官屋さんをやってきた。したがって、いままでのだんなさんと称する人がいるわけですね、顧客が。それをあるそういう建て売り住宅の会社や何かが下請にする場合、専属業者といいますか、表れ以外の工事をやっちゃいかぬとは言った覚えはないとこの手紙には書いてありますけれども、実際はそういう状態で一たん下請に取り込むわけですね。ですから、ほかのお客さんがもうなくなってしまう。そういう中で一方的に単価を押しつけてこられた場合には、これは断れば仕事がなくなると同じことになります。  そういう意味で、ことに高度成長の中でどんどん最初は注文があった時代から、ぐっと注文がなくなってくる時代、こういう時代になってきましたね。そういう状態の中で、ことに最初は、ほかのお客さんを断ってもその建て売り住宅の会社や何かに専属すれば、それで仕事があるという状況で入っていったわけですけれども、いまになってみると、なかなかもとには返れないというような状態の中で単価を押しつけられれば、これはもう随意契約といっても、やはり不当な経済力の差を利用しておると言わざるを得ないんじゃないかと思うのです。  しかも、この手紙を見ますと、看板までちゃんと書いているわけですね。だから、専属契約をやめたから看板を書きかえたい、その書きかえる費用をよこせという請求に対しては、ちゃんと答えに、「貴申入れの通り」「看板書き替え費用十五万九千円」「五十二年八月九日お支払します。」これは現実には払っていませんけれども、この手紙にはそう書いてある。つまり、自分のところの会社の看板をその左官屋さんのところにかけさせたことは、この手紙を見るとはっきり自白しているわけです。だから、その会社の看板の書きかえ料は払います、それ以外は払わぬという答えなんですかね。  こういうようにその会社の名前を書いた左官屋さんもあって、ほかのだんなさんといいますか、建て主はほとんど関係がないという状態の中で単価の話し合いをするわけですから、これは全く自由な契約とは言えないというふうに言わざるを得ないと思うのです。客観的に見ましても、この会社の場合に、請負単価は昭和四十八年から今日までほとんど変わっておらない。資材や手間賃はすべて上がっておるけれども、請負単価は四十八年から変わっていない、こういう状態が実際はあるわけであります。やめようにもなかなか今度はやめられない。この業者の場合には、たまたまこらえ切れなくなって専属をやめる、看板も書きかえると言ったら、看板の書きかえ料だけは払うと、こういう返事なんですね。  ですから、実態を見ますと、確かにそれは短刀を突きつけて無理無理契約させたわけではないことは事実なんだけれども、つまり民法上の強迫行為みたいな行為ではないけれども、しかし、建設業法で言うそういう不当な立場を利用したことに、実態をよくお調べになっていただければ、なると思うのであります。  そこで、これは下請代金支払遅延等防止法にも関係しますけれども、たとえば下代法の四条の一項の五号を見ますと、「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」ということがありますね。この場合の「著しく低い」代金という範囲ですけれども昭和四十八年から物価の値上がりが非常にいろいろあると思うことは、客観的にはそれは事実だと思うのですが、四十八年から全然単価が変わっておらぬというような場合、こういう場合には当てはまるものでしょうかどうでしょうか。
  192. 岸田文武

    岸田説明員 下請の実情につきましては、私どもも毎月アンケート調査によってその実態をフォローしております。そのアンケート調査には、代金の状況がどうなっているか、支払い条件はどうなっているか、資金繰りはどうかというようなもろもろの事項がございます。それらを見ておりますと、下請につきましては、一般的にどうも、仕事は多少ふえてきたというような答えも幾つか見受けられるものの、加工賃の方はさっぱり上がらないという声が一般的でございます。その間にありまして、人件費が上がったあるいは資材費が上がったということで、経営はむしろ最近かなり苦しくなっておるというのが一般的な実情ではないかというふうに思っておるところでございます。  そこで、いまお話しのありました不当な買いたたきであるかどうかという面でございますけれども、これは、加工賃は先ほどの答弁にもございましたように、両当事者の話し合いによって決まるということでございますが、その中で、特に不当であるというようなケースにつきましては、私どもも実情を調べてみる必要があるだろうというふうに思っておるところでございます。  ただ、いろいろの物資の値段を見ておりますと、特に資材関係でございますが、石油ショック以降非常な不況の中にあって、値を上げようにも上げられないという業種はたくさんあるわけでございまして、その中にあって、個別のケースが不当であるかどうかということはなかなか判定がむずかしい問題があるような気がいたします。したがって、私どもが下請の実態をずっとフォローしておる中で、特に問題があるようであれば、個別に実態を調べまして、その不当性の有無等について調査をし、しかるべき措置をとることが必要であるというようなときには公正取引委員会へ通知する、こういった措置をとってまいりたいと思っておるところでございます。
  193. 安田純治

    安田委員 確かに資材の中には必ずしも値上がりしたものばかりとは限らぬと思うのですが、手間賃なんかはずっと上がっておりまして、四十八年から約五年間ですからね、四年ちょっとですか、全然同じ単価ということは考えられないと思うのですね。  それはそれといたしまして、さらに、ある積立方式の住宅建設を業としている会社の場合ですが、これは中小の業者に対して、その積立方式の住宅建設の契約に加入してくれればおまえのところは下請会社にしてやるということで、いわば条件つきで勧誘をして、そして積立方式の契約に加入させる、しかし、仕事は実際は発注しないということで、会津若松市で二人の業者が私のところへ訴えてきているわけですね。  こういう勧誘のやり方あるいは下請の弱身につけ込んだやり方というのは大変問題ではないかと思いますが、見解を承りたいと思います。
  194. 中村博英

    中村説明員 お答え申し上げます。  積立式宅地建物販売業者につきましては、法律で、勧誘する場合に事前に、たとえば支払い条件とかあるいは損害賠償の予定とかあるいは違約金とか、そういった給付条件、積立条件を書面にいたしまして、それを約款と称しておりますけれども、その約款に基づきまして事前に、契約前にいろいろ説明をするということになっております。そういった法律上決められました条件につきましては、その約款と事実の説明とが一致しなければならないことは当然でありますけれども、その他の条件で勧誘する場合が仮にあるとすれば、その他の条件が事実履行されないということになりますと、それは問題だというように考えております。
  195. 安田純治

    安田委員 幾らでも実例を挙げれば切りがないのですが、時間の都合で全部事例を挙げることはできませんけれども、このように下請の弱身につけ込んで単価を著しく低い単価で抑えてくる、あるいは寮に建物を借りてその金も払わぬ、あるいは積立方式の契約を集めさせて、あるいは自分が建てたいと思っている建物の契約を積立契約にさせておいて仕事は発注しない、こういうような目に余る状況がたくさんあるわけであります。  全国的にこうした下請いじめにはひどいものがあるように思いますので、たとえば建設業法の四十二条の二によりますと、言うまでもなく、中小企業者である下請人の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、元請人もしくは下請人に対しその取引に関する報告をさせ、立入検査をすることができるという条文もございますし、いま下代法でも中小企業庁長官お答えになったように、公取を通じていろいろできることになっております。  そこで、一つは東日本ハウス、盛岡に本社がございますけれども、ここと、それからもう一つは、いま積立式の住宅の会社を申し上げまして、不動産課長多分おわかりになると思いますが、私はいま具体的な名前あえて挙げませんけれども、この会社についてこうした法律に基づいた立入検査を行うなど必要な手をぜひ打ってもらいたいということで求めたいわけですが、お答え願いたいと思います。
  196. 中村博英

    中村説明員 積立式宅地建物販売業者の行っております業務につきまして、私ども現在御指摘の会社につきましていろいろ調査中でございます。その調査結果によりまして、なお必要がいろいろございましたら、御質問にありますような立入検査その他の措置を講ずることを検討いたします。
  197. 安田純治

    安田委員 中小企業庁長官の方はいかがでしょうか、下代法の関係
  198. 岸田文武

    岸田説明員 なお実情を私どもなりにいろいろ調べてみたいと思います。建設省の方で建設業法でいろいろ御調査になっておられるということでございますので、その結果などを伺わしていただきながら、よく相談をいたしたいと思います。
  199. 安田純治

    安田委員 こうした積立方式の会社の場合、下請保護とともに消費者保護の問題もあるわけです。これは一つは裏表の関係でございまして、下請業者の単価を値切るために手抜き工事が行われるということから、どうしても欠陥住宅と言われるようなものになっていくという点での側面が一つございます。それからもう一つは、積立方式ですから一定の積み立てをして建物の建設に入るわけですけれども、途中で解約してもなかなかその積立金を返さないという問題があります。私ちょっと調べましたところが、一番長い人は七年くらい紛争をごちゃごちゃやっているわけですね。  こういうようなふうに、一つは下請をたたいているための欠陥住宅の問題、もう一つは解約してもなかなかそれに応じないという、あるいは解約金と言いますか手数料を、会社側に不履行がある、たとえば集金に行かないとかいろいろな問題があるにもかかわらず解約手数料をよこせとか言ってトラブルが起きるというような状態があるわけで、実はこの積立方式会社の場合は、名古屋や会津若松、郡山では被害者同盟がもうすでに結成されておるという状況であるわけです。名古屋の事例なども新聞にちょっと出ましたけれども、こういうような事例は建設省としては十分御承知のはずだと思います。ですから、この点についてどういうふうにされますか、その点まず建設省の担当の方からお伺いしたいと思います。
  200. 中村博英

    中村説明員 御質問にありましたような消費者、積立者からの苦情が、岡山県、愛知県、滋賀県、それから福島県下でいろいろ出ております。私どもでは、これに対しましてそれぞれ個別の事情調査いたしまして、各個別の積立者の解約申し出に対しまして約款どおりの積立金の返還を行うように、現在いろいろ指導しております。  そのためにこの五月、建設大臣名で、御指摘の会社に対しまして、苦情処理体制を一層整備するということ、それから苦情の処理状況あるいは申し出状況、こういったものを建設省に報告するということ、それから新規に契約を勧誘する場合には正式契約締結前に書面その他の方式で、その契約の意思があるかどうか相手方に確認する手続をとることというようなことを内容といたします行政指導を行っております。現在、この措置を会社に対していろいろ指導しておるわけでございまして、一面、個別の苦情処理を適切に行うということと、それから新規契約の場合には必ず事前にその締結の確認を書面で行うということを厳格に実施させることによりまして、被害の拡大その他の事態は防止できるというように考えております。
  201. 安田純治

    安田委員 実際私が会社の名前を挙げない理由は、もうあちこちで解約が少しずつ起きているわけで、取りつけ騒ぎ的なことになってはちょっと困ると思って、いまの段階ではあえて会社の名前を申し上げないのですけれども考えてみますと、どんどん解約が拡大していく、一方において知らないで積み立てている人もいるということになりますと、新規契約だけじゃなくて、もうすでに契約している人の積み立てた被害が、最後にもし取りつけみたいなことになった場合に、ふえるということも実は心配しているわけで、どの辺かで見切りをつけなくちゃならないのじゃないかということも決断せざるを得ないのじゃないか。このままでいくと、そういう知らないで積み立てている人は危ない会社と知らないでどんどんと一方において積み立てを継続している、こういう状態が生まれては大変だと思うのですよ。こうしたときに監督官庁の責任は非常に重大だというふうに思いますので、その点でも思い切った強い行政指導をしていただかなければならぬというふうに思うわけです。  ことにいま挙げている会社の場合、いまなお誠意が見られませんで、七年間もごちゃごちゃやっている人の場合は、やっと積立金を返すということになったんだけれども、現金じゃなくて手形ですね。ことしの十一月に支払われる手形である。本人がいやだと言って断ったら一方的に手形を送りつけてくる、こういうような状態が生まれているわけです。したがって、非常に強い御指導をお願いしたいと思うわけです。  ところで、こうした消費者保護の立場から、建設業界におけるこうした事態の再発を防止するためにも、経企庁を含めて国としても対策がぜひ要ると思うのです。そこで、経企庁長官のこうした実態に対してのお考えを伺いたいと思います。
  202. 倉成正

    倉成国務大臣 住宅政策は国の重要な政策の柱でございます。ところが、いま御指摘のように、全国において住宅に対するいろいろなトラブルが起こっているということを私も伺っておるわけでございます。いま、地方の消費生活センターで住宅相談員というのを設けまして、そういう苦情をお伺いして、そして、これは主管省であります建設省に十分御相談をしながらその解決を図っていくということとしておるわけでございますけれども、この問題について、会社自体の認可の問題等いろいろあろうかと思いますので、さらに勉強いたしてまいりたいと思っております。
  203. 安田純治

    安田委員 もう時間ですのでやめますけれども、どうもこの積立方式なんかの場合、認可のときに考える、あるいは切りかえのときに考えるといっても、もう積み立てしている人が相当いる場合、いつ、どこでちょん切るかという問題が出てくるわけですね。手を出すにも出せない。一遍認可して、積立方式の加入者が相当ふえた、ところが、いま言ったような事態でどうも悪質業者だとなっても、これはもう契約者の被害を防ぐためになかなか思い切った措置がとれなくなるという心配もあるわけです。そういう意味では、いまの制度そのままでいいのかどうかということも含めて、十分御検討いただきたいというふうに思うわけです。  時間がございませんので、最後に、ぜひ一つ一つケース解決についても緊急に強力に手を打っていただきたい。それじゃないと、どんどん不満が広がってますますこうした解約がふえていく、ますます会社の方でも支払いに困る、三分の一は保留しているといっても、現金でとってあるわけじゃございませんでしょうから、直ちに解約者に全額返すわけにいかない、となると取りつけ騒ぎ的なものが起きる、こういうのは目に見えているわけですから、ひとつ個々のケースについての解決にもぜひ強力な、敏速な手を打っていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  204. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 大成正雄君。
  205. 大成正雄

    大成委員 本委員会の閉会中審査の最後を承ったわけでございます。きわめてりょうりょうたる委員会ではございますが、本委員会の背景となっております全国の産業、企業あるいはそこに働く労働者の苦しみというものは大変なものでありまして、どうかそういう意味でひとつ御協力をいただきたいと思います。  なお、両大臣には最後までおつき合いをいただきまして恐縮に存じます。よろしくお願いいたします。  この質問の内容からして、最後でありますから、景気対策については総括的に締めくくらせていただきたいと思うのですが、最初に、当面する問題として、行政改革の問題と通産省の姿勢について承らしていただきたいと存じます。  秋の政治課題としては、やはり不況対策とそれから行政改革、これが非常に大きな課題であります。福田さんも、歴代内閣の長い懸案でありました行政改革を勇気を持ってやる、こう言っておられるわけでありますから、何らかの結論が近々出されるものと期待をしておるわけでありますが、その一環として、通産省の行政改革に取り組む姿勢というものは何なのかを、まず承りたいと存じます。
  206. 田中龍夫

    田中国務大臣 行政改革に取り組みまする福田内閣の姿勢であり、また通産省の態度でございます。国民経済、国家経済のために、ぜひとも今日より以上の能率を発揮して、そうしてわが国の景気回復なりあるいはまた経済、産業の伸長発展のために御貢献、御協力をしなければならぬ、こういう気持ちでございます。
  207. 大成正雄

    大成委員 しからば、いま政府考え方の中に、仄聞でありますからしかとわかりませんが、エネルギー省といった構想が打ち出されておるわけであります。大臣、あるいは官房長でも結構でありますが、エネルギー政策が一元化される、あるいはさらに強化される、こういった方向というものは望ましいとお考えになっておられるかどうか、その認識を承りたいと存じます。
  208. 田中龍夫

    田中国務大臣 当省は、問題になっておりまする中で、御指摘のエネルギー省もございまするし、あるいはまた中小企業省という問題もございまするし、さらに対外経済協力省という問題もございまするし、いろいろ私の役所に関連を持った声が出ております。これに対しましては、総理の御英断を仰がなければならぬのでございまするが、当省といたしましては、冒頭申し上げたように、全力を挙げて通産行政の効率を発揮いたし得るように、その御決定が出ました暁におきましては全力投球しなければならぬ、いまや待機の姿勢におるわけでございます。
  209. 大成正雄

    大成委員 くどいようでございますが、通産省としては、エネルギー省といった独立した省にこの組織を持っていくということについては積極的なんですか、それとも批判的なんですか、どちらでしょう。
  210. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの段階におきましては、何もお答えを申し上げない方がよろしいと思います。
  211. 大成正雄

    大成委員 どうも要領を得ませんけれども、現時点ではやむを得ないと思います。  それでは、日韓大陸だなの開発に関連しまして、いずれ本委員会としても重大な案件として審議されると思うのですが、この開発法案が通過した段階でこの海底資源の開発に取り組んでいくわけでありますが、すでに鉱区を設定しておる日石開発その他いろいろありますけれども、わが国の石油公団がこのデベロッパーに対して積極的に介入をしていくというか、参画をしていくといった姿勢は、現在あるのですかないのですか、その点を承りたいと思います。
  212. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまのところまだその段階まで検討をいたしておりませんが、エネルギー庁の橋本長官がおりまするから、政府委員からお答えをいたしましょう。
  213. 橋本利一

    ○橋本説明員 先生御承知のように、日韓大陸棚の協定はさきの通常国会で承認をいただいたわけでございますが、これを実施に移すための国内法案については、現在本委員会で継続審議中である、こういう段階でございます。日本側の開発権者なるものは、この国内法案が成立いたしました後これに基づいて決定いたす、こういう手順になるわけでございます。したがいまして、開発公団がこれに積極的に参加するかどうかという問題は、さような法案が成立し、日本の開発権者が決まった上で具体的に判断をいたすということになろうかと思います。  さようなことでございますので、現段階において石油開発公団がこれにいかなる対応をするかということは全く決まってはおりません。
  214. 大成正雄

    大成委員 まことにごもっともな御答弁でございますが、しからば、長官としては、このデベロッパーに対して石油公団が積極的に参加、介入することが、事の性格からいって望ましいと考えているのか、そういうことは望ましくないと考えているのかを承りたいと思います。
  215. 橋本利一

    ○橋本説明員 本来、石油開発公団は、日本の周辺大陸だなあるいは海外におきまして石油開発する場合に、その探鉱に投融資して参加するというのが本来の業務になっております。ただ、御承知のように、一昨年の本委員会におきまして、現在御指摘の日韓大陸だな開発に当たって石油開発公団がこれにいかに参加するかしないかという点につきまして、いわゆる現に紛争のある地域あるいは紛争のおそれのある地域については石油開発公団の投融資について慎重に対処するようにといったような附帯決議をちょうだいいたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在継続審議を願っております国内法案が成立いたしました上で、具体的に開発権者が決まった段階において、さような附帯決議との関連において慎重に検討いたしたい、現在時点ではさような心境でございます。
  216. 大成正雄

    大成委員 さて、きょうの命題であります景気対策について、総括的に御質問申し上げたいと思うのです。  ともかく、政府施策に誤りがなかったかあったかという問題は別といたしまして、政府景気見通しにそごを来したことだけは事実だ、このように考えるわけであります。もとより本年度予算は、福田さんがおっしゃっているように、いわゆる景気刺激型の予算である、思い切って公共事業を組んだ、名目一五・九%、実質九・九%の高い伸びの公共予算を組み、七三%の前倒し発注、こういった手を打ってきているわけであります。しかしながら、当初の見通しである一−三月に在庫調整が終えるというこの見通しは、さらに九月以降にずれ込んでおる、四−六月ごろからは在庫の積み増しが出てくるのではないか、こういった見通しであります。また、経企庁の発表からしても、マクロは非常にいい、しかしながらミクロに問題がある、こういった姿勢にだんだんと変わってきて、今日は六・七%の見通しもなかなか厳しい、こういった段階に変わってきていることだけは事実であります。同時に、金利の引き下げ効果にいたしましても、日本全体の企業の経常収益約七兆円といたした場合に、経常利益が一三・四%くらいふえる効果はあったけれども、また財務効果はあったけれども、設備投資にまで転化するところまでの効果は出ておらない、こういった段階でさらに金利の引き下げといった問題が出てきておるわけであります。  そこで、先ほど来論議がなされております六・七%といった問題の評価でありますが、経企庁が現経済計画を修正する腹構えになってきたということは、すなわち六・七%の目標を達成するためには現計画ではこれはつじつまが合わない、こういうことだけははっきりしている。これは経済計画のデータ、いろいろなデータをすり合わせていった場合に、当然修正しなければ六・七%の目標は達成できない、こういうことだろうと思うのでございますが、この六・七%をまず達成するための一番の大きなファクターは何なのか。個人消費か、輸出か、公共事業か、民間の設備投資なのか、あるいは住宅投資なのか、いろいろありますが、この一番肝心なものは何だと長官は認識されておられますか。  それから同時に、現在政府部内において、現時点における予測からするならば、経企庁は五九%、通産省は五・二%ぐらいだろう、また大蔵省は大蔵省の考え方もある、こういうことで、政府部内のコンセンサスまではいっておらない。しかし、これは近々どっちにしてもコンセンサスは得なければならぬと思うのですが、このコンセンサスを得る決め手は何なのか、これが二番目。  それから三番目は、これは経企庁長官に承りますが、よしんば仮に六・七%の達成がなされたとしても、そのなされた日本の経済を展望したときに、六ヵ月後の日本経済ということでしょうけれども、今日のような不況感というものはなくなっておる経済であるのかどうか、この点の認識を承りたいと思います。  以上、三点であります。
  217. 倉成正

    倉成国務大臣 まず第一の、六・七%成長達成の決め手は何かということでありますけれども、ただいまお挙げになりました個人消費あるいは設備投資、あるいは輸出、財政その他のすべてが、やはりそれぞれの形で六・七%の成長に寄与すると思っておるわけでございます。一つだけでその六・七%成長を達成するということにはならないと思うのでございます。しかし、いまその中で非常に弱いものは何かということになると、民間の設備投資、それから在庫調整のおくれの関係から在庫投資というのが弱いということは申せるのじゃなかろうかと思います。さらに輸出の面については、政府見通しよりもはるかに大きな輸出増になったということではなかろうかと思います。  第二点は、政府部内の意思統一ということでございますけれども、これは通産省、企画庁、大蔵省それぞれの立場で、内部でいろいろ事務当局が勉強いたしておりまして、通産省であれば、たとえば設備投資の問題について、個々の業種について非常に詳しいデータを持っておられるわけですから、そういうデータとマクロのデータとどういうふうにすり合わしていくかというふうな形で、それらの問題を一生懸命になって調整をしているという段階でございます。したがって、基本的には景気の現状の認識についての大きな相違点はないと申しても差し支えないのではなかろうかと思います。  それから、第三点は非常に重要な問題の御提起でございまして、六・七%成長が達成されましても、御案内のように、構造不況業種は依然として残るわけでございまして、こういう構造的な不況業種、途上国の追い上げの産業あるいはエネルギー価格が上がったために国際競争力を失った産業、あるいは高度成長のときに、将来とも長い高度成長が続くということを前提に設備投資をいたした過剰設備の産業、こういうものはなかなか一遍に体質を改善することはできないわけでございまして、そういう部門について雇用問題その他いろいろな問題が出てくるということが想像されるわけでございまして、六・七%成長というのは決してバラ色のものではない。しかし、そういう調整過程を経てまいりました上では、いわゆるあく抜けをした後の日本の経済というのは、かつての高度成長とは違った形での、落ちついた形の安定成長路線に乗っていく。今日は欧米経済は非常に混乱をいたしておりますけれども、しかし、そういう欧米先進国の経済のような形の経済成長になっていくものである、そういうふうに考えております。
  218. 大成正雄

    大成委員 次に、当面する景気対策の課題としての補正予算でありますが、きょうのこの審議過程の中では、補正の規模だとかその内容について十分な御答弁は得られないし、また、いろいろのお立場上そこまで言及できなかったんだろうと思うのですが、経済計画のこのロジックからいいましても、六・七%に持っていくために、十八兆二千五百億の現在の計画数値はどのぐらいまでいかなければならないかといった逆説的な数値は出てくるはずだと思います。  そこで、大型補正は必至であるという、あるいは財界、産業界等からはまたそういう大型補正を待望し、期待をしている、大蔵省はこれに対して警戒している、こういうことでしょうけれども、この補正の公共事業の規模というものは、経済計画の数値からいうならば、この十八兆二千五百億というものはどの程度の水準まで引き上げられなければつじつまが合わないのかを承りたいと思います。
  219. 倉成正

    倉成国務大臣 十八兆二千五百億というのは、ちょっと私理解
  220. 大成正雄

    大成委員 政府資本支出です。
  221. 倉成正

    倉成国務大臣 政府の固定資本形成についてのお話だと思います。これは経常支出もございますので、政府支出は、固定資本形成と経常支出と両方合わせたものが政府支出でございます。したがって、これは景気の現状をどう見るかという問題とあわせまして、とにかく六・七%成長にはどうも力が足らないようだというのがいまの判断でございます。しかし、どのくらいの力が足らないかということについては、まだいろいろな指標が出そろってない。また、これに対する対策にしましても、財投等で何かやるということになりますと、これは弾力条項で必ずしも補正予算を必要としないということになるわけでございますから、やはりそういう全体を総合して判断をするためにしばらく時間をかしていただきたいということで、そのしばらくという時間は決して長い時間ではなくて、この一週間か十日ぐらいの時間をかしていただきたいというのがいまの政府の立場でございます。
  222. 大成正雄

    大成委員 さて、きわめて近い将来においてそういった内容、規模等が明らかにされてくると思うのですけれども、これが第八十二臨時国会に提案をされ、審議がなされ、早期に可決される必要があろうと思うのですが、仮に順調にこれが可決されたとして、この補正効果というものがその実効の上にあらわれてくるのは、長官としては大体時期的にはいつごろと判断されておりますか。
  223. 倉成正

    倉成国務大臣 大変むずかしい問題でございまして、どういう中身のものをやるかということによってその効果のあらわれる時期が異なってくるわけでございます。しかし、一般的に言えることは、たとえいろいろな対策をやりましても、それが直ちに効果が出るというものではないと思います。しかし、心理的な面から申しますと効果はすぐあらわれてくるということは申しても差し支えないと思います。
  224. 大成正雄

    大成委員 即断はできませんけれども、いまの考え方からすれば、私どもの判断としては、この補正の効果が出てくるのは年越しだ、年が明けてからだ、このように判断するのが常識だろうと思うのですが、であるとするならば、昭和五十三年度の予算との関連というか、ジョイントが出てまいります。そうすると、十八ヵ月予算といった性格のものとして新年度予算は判断されてくるという考え方に誤りはないかどうかを承りたいと思います。
  225. 倉成正

    倉成国務大臣 まだ政府の部内で十八ヵ月予算とかそういう意味のコンセンサスはできておりません。ただ、仮にいろいろな景気対策をやりましても、それが線香花火的に終わってしまったら、また同じような状況を繰り返していくということでありますから、やはり経済は持続的な成長が必要であるという意味において、さらに来年度以降の経済を展望していくということは非常に大切なことであると思っております。
  226. 大成正雄

    大成委員 さて、そうであるとするならば、きわめて即効性のある、なおかつ予算を伴わないといった対策が当然望まれるわけでありますが、去る八月三日に政府・与党首脳会議通産大臣から六項目の景気対策というものが提案されておるわけであります。電力設備投資、石油備蓄、あるいはプラント輸出、あるいは経済援助、商品援助、構造不況対策、あるいは円高に伴う中小企業対策、こういった一連の対策が出されておるわけでありますが、これを細かく論議する時間がないので残念ではございますけれども、たとえば先ほどの御質問にもありましたように、電力設備投資の二兆六千二百七十億のうち繰り上げ発注七千億、こういったものの効果というものを考えたときに、そう早急に即効性のあるものとは考えられない。特に電源立地の取り扱いは非常にむずかしい問題でありまして、政府の発想の転換だとかあるいは政府の積極的な援助、何よりも地方自治体のこれを受け入れる都道府県、市町村といった段階の環境問題、その他漁業補償とかそういういろいろな問題の整理がつかないと投資効果までいかないわけでありますが、こういう問題に対して十分な検討がなされておられるのかどうか。  この点については、時間がありませんので一緒に申し上げますが、石油の備蓄基地の問題についても、個別企業の基地建設促進二百四十六億とか、あるいは新潟の石油共同備蓄の二百四十一億とか、あるいは西海石油共同備蓄の三百四十六億とか、あるいは苫小牧の東部共同備蓄会社の千百七十億、合計二千三億といった数字が挙げられておりますが、いずれも工事ベースに乗れるということはなかなか容易ではないし、ましてやいまのような備蓄対策としてこれが企業ベースだけで達成されるとは考えませんし、政府備蓄なんというものも当然考えられなければなりませんし、政府の財政援助も期待されるところでありますが、そういった一連の六項目の中で、いますぐ効果が期待できるというものは何を期待しておられるのか、その点をひとつ承りたいと思います。漠然とした質問でございますが、とりわけ六項目の中で即効性のあるものとしてこれがいますぐでも工事ベースとして期待できる、こういったものは何なのかを、時間がありませんので、結論的に承りたいと思います。
  227. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御指摘になりました電力の関係は、御案内のとおりに、昨年から本年にかけまして八千億円の繰り上げ発注をいたし、さらにまた、今年に入りましてから六月の時点におきまして七千億の追加発注をする。それでこの点は、いまのお話でもございますけれども、非常に即効的な効果現実に上げておる。公共投資もいろいろと軌道に乗ってまいるとは存じますけれども民間の既発注分についての促進でございますので、私は最も効果があると存じております。  それから、石油の備蓄の問題にいたしましても、これはタンクの建設というふうな問題でございまして、特に政府備蓄という段階にまでは参らぬにいたしましても、既定の計画の遂行でございます。ただ、地元のコンセンサスが得られないというので延びておる面もございますけれども、これも鋭意解決をいたすように努力をいたしております。  そのほかプラント輸出でありますとかあるいは経済協力の商品援助、これは最も即効的なものがある。今般もタイの方に参りまして、タイ政府におきましてはぜひともセメントを五十万トン欲しいというような問題に対しましては、これこそ右から左にできることでございますので、こういうふうな商品援助によります対外協力というものは一番即効的でございます。  なおまた、構造不況に基づきます平電炉の問題やらあるいは繊維関係の問題は、これはなかなかむずかしい問題でございまするが、これとてもすでにカルテルの認可を得ておりますし、商工組合が結成せられた暁におきましては、十月から事業組合におきますカルテルに移行してまいるわけでございまして、景気対策には寄与するものと存じております。  そのほか、お話しのようにむずかしいではないかという御意見もございまするが、私は案外この問題は非常に早く軌道に乗る、かように考えておる次第でございます。
  228. 大成正雄

    大成委員 当面する不況は、要するに異常な在庫というか、需給ギャップ十兆円とか二十兆円とか言われておる。これをどう埋めていくかということが対策上大きな問題になってくると思うのですが、特に素材産業の過剰在庫をどう調整するかということは、個別対策としては非常に重大な問題だし、また構造不況対策としても重要な問題だと思うのでございます。たとえば鉄鋼の八百九十万トンといった在庫は適正在庫をはるかに上回っております。きわめて異常でありますし、非鉄金属等においても同じようなことが言えると思うのでございます。  そこで、そういった素材産業の過剰在庫対策として、政府は何か特にいま考えておられるものがあるのかどうか。いまのセメントのタイ国に対する商品援助、これは非常に結構なことでありますが、そういったものとは次元を変えて、国内対策として何かあるのか。たとえば銅や亜鉛といったものの政府の買い上げをさらに追加していくとかあるいは小棒を買い上げるとか、そういった政府が直接在庫調整に寄与するといった考え方というものはないのかどうか、この点を承りたいと存じます。  それから第二点目として、これはむしろ意見として申し上げますけれども、いままで出されておる構造不況対策は往々にして後追いであり、かつ価格調整であり、あるいは金融対策である、あるいは失業対策である、こういったことの域を出ないと思うのですが、私は、やはり将来のことを考えた場合に、当然構造不況対策の中には産業政策というものが相当強く組み込まれていかなければならない。産業政策であるとか国際分業であるとか、そういった視点からの政策の誘導がないと、いつになってもこの構造不況問題は解決をしないと思うのでございます。すなわち、設備の廃棄とか業種転換であるとか、あるいは統合、合理化の問題であるとか、現在いろいろ課題にはなっておりますけれども、構造不況対策の取り組み方として、将来の産業政策あるいは産業構造、技術転換あるいはエネルギー転換とか、こういったものまで踏まえた構造不況対策というものの迫力がまだないような気がいたすわけであります。それらに対する大臣の所見も加えて、ひとつ二点について承りたいと存じます。
  229. 田中龍夫

    田中国務大臣 過剰在庫につきましては、何か右から左に計画を持っているかという御質問でございますが、現在それを持っているわけではございません。しかしながら、この在庫を倉荷証券といたしまして政府のあっせんで金融がつくことができますれば、不況産業にとりましてはさらに再建の大きなよすがともなるのでございますが、そういうふうな信用の点におきましては、これはさらに政府の協力、あっせんによりまして、融資に対しましては非常に担保力のあるものであろうと存じます。  それから、その他の問題につきまして、われわれといたしまして、いまこういうふうな大型事業計画しているといったようないろいろなプランはできておりませんけれども、今年度の補正なりあるいはまた来年度の計画に対しまして、予算の成立と相まって諸般の計画をつくりたい、かように考えております。
  230. 大成正雄

    大成委員 終わります。
  231. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会