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1977-04-09 第80回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月九日(土曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員の異動  四月八日     辞任         補欠選任      森下 昭司君     杉山善太郎君      赤桐  操君     対馬 孝且君      寺田 熊雄君     片岡 勝治君      三治 重信君     和田 春生君  四月九日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     遠藤  要君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小川 半次君     理 事                 坂野 重信君                 園田 清充君                 中山 太郎君                 吉田  実君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 遠藤  要君                 岡田  広君                 亀井 久興君                 源田  実君                 後藤 正夫君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 林田悠紀夫君                 宮田  輝君                 青木 薪次君                 粕谷 照美君                 片岡 勝治君                 杉山善太郎君                 野田  哲君                目黒今朝次郎君                 相沢 武彦君                 太田 淳夫君                 矢原 秀男君                 岩間 正男君                 小巻 敏雄君                 渡辺  武君                 和田 春生君                 青島 幸男君    国務大臣        法 務 大 臣  福田  一君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        文 部 大 臣  海部 俊樹君        厚 生 大 臣  渡辺美智雄君        通商産業大臣   田中 龍夫君        運 輸 大 臣  田村  元君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君        労 働 大 臣  石田 博英君        建 設 大 臣  長谷川四郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      小川 平二君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宇野 宗佑君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石原慎太郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        国防会議事務局        長        久保 卓也君        防衛庁参事官   水間  明君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    伊原 義徳君        環境庁企画調整        局長       柳瀬 孝吉君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君        法務大臣官房司        法法制調査部長  賀集  唱君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務大臣官房長  松永 信雄君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省条約局長  中島敏次郎君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        大蔵大臣官房長  長岡  實君        大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省管理局長  犬丸  直君        厚生省社会局長  曾根田郁夫君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君        社会保険庁医療        保険部長     岡田 達雄君        水産庁次長    佐々木輝夫君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省船員局長  横田不二夫君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省航空局次        長        松本  操君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君        労働大臣官房長  石井 甲二君        労働省職業安定        局長       北川 俊夫君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        自治省行政局長  山本  悟君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  首藤  堯君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        水産庁長官官房        漁政部長     森実 孝郎君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        原子力委員会委        員長代理     井上 五郎君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○昭和五十二年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十二年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和五十二年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小川半次

    委員長小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算  昭和五十二年度特例会計予算  昭和五十二年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、一般質疑を行います。岩間正男君。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 最初に、当面の緊急問題でただしたいと思います。  いまモスクワの日ソ漁業暫定交渉も、鈴木イシコフ会談を迎えて大きな段階を迎えようとしておりますが、この経過について、さらに問題点、こういうものについて外務大臣報告を求めたいと思います。
  4. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 現在、モスクワにおきまして、きのう鈴木イシコフ会談が行われたところでございます。いままでの経過につきましてはもう新聞で御承知と思いますけれども、最大の問題として残っております問題は、適用水域の問題、それからわが方の領海が拡張された場合に領海内におきましてソ連漁獲を操業を認めてほしいという問題、それから二百海里におきますソ連の主権的な権限を認めろと、こういう三つの問題があるということでございまして、この主権的な行使につきましてはわが方としてはこれは国会の御承認をいただかなければ決められない問題でありますから、したがいまして、その点につきましてはそれを認める場合には暫定協定自体国会の御承認を賜らなければならない、こういうことが問題になっておるところでございます。
  5. 渡辺武

  6. 小川半次

    委員長小川半次君) 関連質問を許します。渡辺武君。
  7. 渡辺武

    渡辺武君 外務大臣に伺いますけれども、そのいまの線引きの問題ですが、新聞報道などによりますと、政府は「北方四島を自国領とするソ連の二百カイリ水域線引きを「領土」とは無関係な「魚」に限っての線引きとして認める立場に踏み切った」という報道があるわけです。これは国民の間に大きな不安を呼び起こしていると言っても私ば差し支えないと思う。北方四島を含めて千島列島についてはわが国の歴史的な固有な領土だというのは私どもの主張でありますけれども、したがって、ここの線引きについては、これは保留すべきだというふうに私どもは主張しております。しかし、もし伝えられるような政府立場で、魚についてだけは二百海里の線引きを認める、こういうことになりますと、この島々についてのわが国領有権、これを事実上譲歩するということになりはしないか、こうみんな心配しているわけです。その点についての真相はどうですか。
  8. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 昨日の朝刊記事だろうと思いますが、そのようなことは全然無根のことであるというふうに御了承をいただきたいと思います。
  9. 渡辺武

    渡辺武君 では、この問題については、ソ連閣僚会議の線をのむということじゃないんですね。その点ひとつ確認したいと思うのです。  それからもう一点、なおこの新聞報道によりますと、わが国が十二海里の領海を設定した場合に、ソ連がいま要求しているその領海内での漁獲を認めろということをのむことと交換条件に、ソ連の二百海里水域内での日本漁獲量をふやそうといういわば取引が進んでいるのじゃないかというようなことを思わせる報道がありますけれども、この点についてはどうですか。この二点を伺いたい。
  10. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 昨日の朝刊記事は全く私ども真意を伝えたものではございません。その点は御安心をいただきたいと思います。特に北方四島水域というものは、水域自体もこれは大変な必要な漁場でありまして、従来わが国沿岸漁民が公海ということでそこで沿岸漁業を営んでいた水域でございます。したがいまして、その水域大変大聖だということを申したわけでありますけれども、それがきわめて曲解された記事になって、そのようなきのうの朝刊記事になったということは、本当に真意でない記事でありますので、すぐ昨日の朝の記者会見におきまして全く曲解された記事であるということを申したわけでございます。  以上でございます。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、はっきり確認してもらいたいのですが、ソビエト漁船日本領海内の漁獲はこれは絶対認めない、この態度はあくまで堅持される、こういうことですね。
  12. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) さようでございます。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 それでは、それを確認して、次にまた防衛問題に戻りますが、三原長官に伺います。  新聞報道によりますと、そのうちアメリカを訪問されるということですが、それはいつごろになるのですか、また、訪米によって何を話し合われるのですか、この点をお聞きしたいと思います。
  14. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えいたします。  先生御承知のように、わが国防衛におきましては、日米安全保障条約を基調にして進めておるわけでございまするが、安全保障条約運用等の問題につきまして両国の防衛責任者がいろいろ話し合いを進めるということは大事なことでございます。そこで、私どもといたしましては、安全保障条約の円滑な運用について意見交換し、相互に理解を深めることが必要であると考えておるわけでございます。  一昨年、五十年の八月二十九日、アメリカの当時の国防長官シュレジンジャーが来訪いたしまして坂田長官と面談をいたしました。いろいろと安全保障条約運用について愚見の交換をしたわけでございますが、そういうことで、これから先ぜひひとつ原則的に年に一回ぐらいお互いがこうした機会を持とうではないかという合意が成立をいたしたわけでございます。そこで、五十一年は実はわが方からアメリカを訪問してそうした会談をやろうということでございましたが、御承知のような選挙等もございましてそれが実現できなかったというような結果でございまして、そして私の代になったわけでございまするから、今回は行くとすれば私の方からアメリカを訪問するというような一つ日程になるわけでございましょうが、しかし、そういうようなやりたいなという気持ちはありまするし、そうしたことが原則的な申し合わせにはなっておりまするけれども、まだどういう日程であるいはどういう内容でというような日程計画等をはっきりさしておらないような現状でございます。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 いつですか。
  16. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) まだ日時とかいうようなことについては明確に決めておりません。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 安保の円滑な運営の問題とか、それからいままでの親善的なもの、こういうこともあるでしょうけれども、当面する日米脳会談に伴う、これによって確認された在韓米軍の撤退に伴うわが国防衛体制もその会談内容には入るわけですね。
  18. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) まずは安全保障条約の円滑な運用というのが基本でございまするけれども、具体的に当面する問題等どうだというようなことにつきましては、どういうことを話し合うかということについてまだ明確な方針を決定をいたしておりません。そういう段階でございます。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 当然交渉相手ブラウン国防長官になると、こう思うのですが、同長官は、この三月、コマンダーズ・ダイジェストという国防雑誌に論文を発表して、その中で北東アジア海上ルート防衛について日本がより大きな責任を果たすことになろうとして、これはベトナム戦後のアジア太平洋戦略の一環としてカーター政権が前フォード政権に続いて防衛分担の増大、日本海周辺北東海域におけるソ連潜水艦に対する哨戒防衛機能強化を期待する、こういうふうに述べているわけですが、これは重大な問題だと思いますが、三原長官はこのようなカーター政権の期待に対してどういうふうに対処する考えでおられるか、お聞きしたいと思います。
  20. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えいたします。  わが国防衛につきましては、昨年決定を見ました防衛計画大綱の線に沿って、独自の立場、自主的な立場防衛力整備を進めていくわけでございます。その間において、いまブラウン長官等米側の発言があったと思うわけでございまするが、それは防衛関係に対しまする米国のそうした意見でございまして、私どもはそれは参考にはいたす場合もあると思いまするけれども、あくまでも独自な立場でやってまいりたいと思うのでございます。  特に、対潜関係防衛力整備につきましては、御承知のように、今回の防衛計画大綱におきましても、日本としても自主的な立場で対潜能力整備ということを考えておるわけでございます。たまたまその点については認識がそういう認識に立っての米側意見だと受けとめておるわけでございます。
  21. 岩間正男

    岩間正男君 独自な立場に立つと言われておりますが、日本の対潜強化を求めるのは、アメリカの政策というのはいまに始まったことではないと思うのですね。フォード政権時代にも、一九七六年度の国防報告書の中で当時のシュレジンジャー国防長官は、アメリカの対潜戦略というものを発表して、その中で三つバリア、障壁なるものについて提唱しています。この三つバリアとはいかなるものか、これを説明してほしいと思います。
  22. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 御承知のように、アメリカ自由主義国のリーダーとしての大変責任感を持っているわけでございまして、自由主義諸国というのは地理的に見まして海によってその国の間というのは結ばれているわけでございます。したがいまして、海上防衛というものに対してアメリカはきわめて関心を持っているのは当然でございます。  この三つバリアにつきましては、世界戦略アメリカが考えている潜水艦に対する防御の方法でございまして、第一のバリアというのは、主として攻撃型の潜水艦と対潜哨戒機によりまして、地理的に非常に遠くなります、潜水艦が活動をするために港を出る、そのような場所においてこれを監視するという考え方でございます。第二のものが潜水艦探知システム、それと関連した長距離哨戒機攻撃型潜水艦、これによってかなり広域の潜水艦行動を監視するというのが第二のバリアでございます。そして第三のバリアは、主として艦艇あるいはヘリコプター等によって船を直接護衛するというようなのが第三のバリアというふうに理解いたしております。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 これはすでに確認された問題だと思うのですが、固定聴音機群列、これが第一のバリアの中にはっきり入って一番重要でしょう。第二の場合には、遠距離用同軸海底ケーブルソナー、こういうものははっきり必要になってくる。いまの報告で抜いているのはどういうわけですか。
  24. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 国防白書に書いてございますのは、第一のバリアというのは地理上の問題があって受動的である、したがって、攻撃型の潜水艦哨戒航空機の組み合わせによってつくるのが効果的であるというふうに述べてございます。それから第二のバリアというものは、監視システムに補助された長距離哨戒機攻撃型潜水艦に主として頼ると、しかし、御承知のように対潜作戦をやります空母から発しました対潜哨戒機というものもその強化に役立つだろうということを述べております。第三のものとして、近接したバリアというものは、商船を支援する水上艦隊主要艦艇を支援するためのバリアだと、そういう書き方をいたしてございます。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 これは丸山局長のときちゃんと私の質問を認めているわけですね。ところが、実際は日本の対潜防衛の問題と関係があるからどうもここのところに触れていないのじゃないか。私は、その中で日本はすでにアメリカの対潜戦略の中に組み込まれておるという、こういう点ははっきりしていると思うのです。特に日本海では宗谷、津軽、対馬の三海峡には海上自衛隊固定聴音機海底ケーブルソナーなどが配置され、地上局を通じてこれをキャッチした潜水艦情報は刻々米軍にも提供されている。これらの実態について私は内閣委員会で昨年論議してきたところです。これは明らかになったんだ。私は、そういう中で、安保五条がまだ発動しない以前のことでこのような日本アメリカ共同作戦体制というものがもう癒着で進められている。また、足の長い対潜哨戒機が第二のバリアに出てきますけれども、この問題の中でP3Cのロッキード社からの輸入問題、こういうものの背景には、アメリカの対潜戦略、こういうものが無関係じゃないということを指摘したわけです。  そこでお聞きしたいのですが、いま特にこの時点において対潜能力強化日本アメリカが執拗に要求しているそのねらいは一体何だろう、これは防衛庁長官としてはっきりさせていただきたい。
  26. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほどもお答えをいたしましたように、周辺諸国潜水艦能力の向上ということが歴然としてあらわれてきておるわけでございます。特に、原子力潜水艦わが国周辺に航行いたしておる現況でございまするので、防衛計画大綱にも示しておりまするように、対潜能力整備につきましては、ぜひわが国におきましても自主的に整備をせなければならぬという認識に立っておるわけでございます。そういう点においてアメリカ米軍におきましても対潜能力整備というようなことについてお互い認識一つにしたというところでございまして、決してアメリカが要請するから日本の対潜能力整備防衛力関係整備の面においてやっておるということではございません。あくまでも日本日本の独自の自主的な立場で対潜能力整備防衛関係でやっておるという事態でございます。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 この点についての、ことに最近の防衛情勢の中で、いまのような答弁だけではまかり通れないと思う。  時間の関係から、私は次に米空軍戦略の中の新たな動向についてただしたいと思う。  この前のわが党上田議員総括質問の中で、伊藤防衛局長は、昨年八月の板門店事件発生に伴う米軍対処行動について報告をされました。それをもう一度ここで繰り返していただきたいと思います。
  28. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 御報告いたします。  八月十八日に板門店事件が起きまして、八月十九日に嘉手納にございますファントムの戦闘機一個飛行隊韓国にございます米空軍基地に移動いたしております。二十日の日に、嘉手納におりますKC135という輸送機の一部が横田に移動してまいっております。それから二十一日に横須賀におりますミッドウェーが出航いたしております。なお、この間八月の二十日の日にアメリカからF111という戦闘爆撃機韓国に移動をいたしております。  以上でございます。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 ただいまの報告の中で肝心なところが抜けているんじゃないか。つまり、KC135、この給油機F111とのつながり、これが故意かどうか抜けている。これはどうなんですか。
  30. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもは、KC135が嘉手納から横田に来たという事実は連絡を受けております。しかし、F111とのつながりということについては連絡を受けていないわけでございます。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、詳細にお聞きしましょう。  嘉手納から横田に飛来したKC135は何機ですか。
  32. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 一個スコードロン十八機と聞いております。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 その後どんな行動をとったんですか。
  34. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 大変失礼いたしました。十五機だそうでございますので訂正さしていただきます。  その行動は、台風避難のために嘉手納に来たという連絡を受けております。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 これはすぐ明らかになることですが……
  36. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 横田に参りました。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 横田へね。  それじゃ、アイダホ州のマウンテンホーム基地から直接ノンストップ韓国基地に飛来したアメリカ戦術戦闘機F111は何機だったのか、そうしてその航続距離はどれぐらいか、また、その速力はどういうことになっているか、お聞きしたい。
  38. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 移動してまいりましたF111は十八機と承知しております。F111の航続距離は五千キロメートル以上の航続距離を持っております。速度は高高度において二・二マッハ以上であると承知いたしております。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、マウンテンホーム基地から韓国基地までの距離はどうですか。
  40. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 正確には記憶いたしておりませんが、一万キロメートルぐらいだと推定されます。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 われわれの調査でもそういうことになっています。そうすると、五千キロの航続距離、そうして落下タンクを四個つけても六千六百キロ、これがノンストップ韓国基地に飛ぶということになれば、どこかで空中給油を受けなきゃならないはずです。この点はどうですか。
  42. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) まあ航続距離からいいますと空中給油を途中でやったと思われますけれども、それがKC135の嘉手納にありますものがそのためにやったというようなふうには聞いていないわけでございます。
  43. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つお聞きしますが、米本土のアイダホ基地から韓国に飛来するのに、沖繩を経て行く距離と、それから三沢、松島、新潟上空から日本海に入って直接行くのとでは、どれぐらいの違いがございますか。
  44. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その距離の差がどのぐらいあるかというのはちょっと私も存じませんが、まあ一応こう地図を頭に描きました距離からいきますと、やはり沖繩を回って行く方が遠いだろうというふうに判断されます。
  45. 岩間正男

    岩間正男君 これはもう松島、新潟、日本海というのは約二千キロ近いんですね。しかも、これは時間が制限されておったわけですね。そうなれば、沖繩を回るよりもはるかにこれは距離から言っても、油の費用から言っても有利なわけです。結局これは日本本土周辺、こういうところで給油を受けた、こういう形になるのじゃないですかね。どうでしょう。
  46. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) まあアメリカはアラスカも領土でございますから、北の方を通って来るということになれば、いろいろな方向の給油の仕方はあろうかというふうに考えられます。
  47. 岩間正男

    岩間正男君 外務省、この点で情報を受けておりませんか、御報告を……。
  48. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) KC135が嘉手納基地から横田基地台風避難のために移動するということは事前に聞いております。ただ、そのKC135が実際にそれ以外に給油活動を行ったかどうかということは聞いておりません。
  49. 岩間正男

    岩間正男君 われわれの調査では、このとき沖繩に台風は来ていないんですよ。そんな危険もない。それなのに、いつもの手じゃないですか、こういうことで実際は行動をはぐらかしている。  われわれの入手した情報ではこうなっている。軍事専門家は、横田基地勤務の米兵などの証言を総合すると、嘉手納基地から横田基地に移動したKC135は北海道北方上空で給油活動を行ったと述べている。同筋は、証言した米兵の氏名は明らかにしなかったけれども、米兵はKC135が横田基地にとどまることなくF111への給油活動を展開したと、こういうふうに述べている情報があるのであります。これが真相じゃないですか。この点を明確にしなくちゃならぬと思うのですが、いかがですか。
  50. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その点につきましては、私どもの方はそういう連絡を受けておりませんのでわからないというのが事実でございます。
  51. 岩間正男

    岩間正男君 これでは全く日本国民は知らない状態に置かれるわけですよね。  防衛庁長官にお伺いしますが、この問題について、これはアメリカ側にただしてほしい、重大な問題ですからお願いしたいと思いますが、いかがですか。——それくらいの情報は当然でしょう。なぜ隠すのか。
  52. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) その当時、外務省からもこの点についてただしたこともあるわけでございましたけれども、そうした事実を確認することができずにおるわけでございます。
  53. 岩間正男

    岩間正男君 カーター戦略の新しい段階が来ているこういう中で、重要でありますから、ぜひもう一度ただしてほしい。
  54. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 先ほど申し上げましたように、アメリカ側から台風避難のために嘉手納から横田に移動するということは通報してきたわけでございます。ただ、その後の、あるいはその以前の軍事的な活動については、米側としては当方には言わなかったわけでございます。われわれとしても一応その点は聞いてみたわけでございますが、それは作戦上の問題もあるので言えないということでございました。ただ、われわれといたしましては、その段階におきましても、わが国の領空外あるいは領空の周辺におけるそういう移動しておる航空機に対する空中給油活動というものは、別段安保条約地位協定の観点からいたしましても問題ないと判断いたしましたので、それ以上の問題としては取り上げなかった次第でございます。
  55. 岩間正男

    岩間正男君 もう一度ただしてもらいたいと言っているんです。これは当然政府責任です。だから、ここには外務大臣がおりますから、この責任はどうです。
  56. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまアメリカ局長から御答弁申し上げましたとおり、これ以上ただす必要はなかろうと思っております。
  57. 岩間正男

    岩間正男君 それは外務省の考えでしょう。
  58. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) こうした問題につきましては、防衛庁が所管するところでございません。外務省において所管をしていただいておりまするので、外務省からの答弁をお願いいたしたわけでございます。
  59. 岩間正男

    岩間正男君 両者に要求します。これは戦略上の問題だから、防衛庁は聞く必要があります。外務省は、これは安保運用の問題とも関連をしているから、はっきりもう一度聞く。これは国民が要求しているから私は聞いている。そうでしょう。それに、聞く要もありませんと、そういう答弁はないでしょう。それはあんたたちの都合だけでそんなことを断ることはできない。これはどうです。——いや、局長よりも大臣がやってください。
  60. 小川半次

    委員長小川半次君) 委員長は答弁を命令しました。
  61. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) これは、日本におります米軍の活動が事前協議の対象となるような事項でございましたならば、あるいはそういうふうに思われますときは、当然われわれとしてはただします。ただ、今回の場合、米本土から韓国に移動しつつある航空機に給油したかどうかという問題でございまして、その点はわからないわけでございますが、いずれにしても、そういう移動しつつある航空機に対し、仮に空中給油活動が行われたとしても、それは通常の補給活動でございまして、事前協議の対象となるものでもございませんので、われわれとしてはその点については、先方が言わない以上、あえてたださなかった次第でございます。したがいまして、われわれとしては、いまのところ、その問題についてただす気持ちはございません。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 あくまで政治判断の問題なんです。だから、これは国務大臣から、ここに四人いるのですから、はっきり政府の意向として……。
  63. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまアメリカ局長からお答えしましたとおり、これ以上ただしましても、先方としては言えないことは言えないのでありますから、これ以上ただしても仕方がない、こういうふうに申し上げているわけであります。
  64. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいま所管大臣から答弁がございましたから私から申し上げるまでもございませんけれども、通常の兵たん支援の任務を果たしておるとわれわれも判断をいたしておりまするので、これ以上アメリカに聞きただす必要はないと考えておるわけでございます。
  65. 岩間正男

    岩間正男君 アメリカは答えるか答えないかわからないうちに、ただす必要がないというのは、これは何ですか。もう一回、そういう要求があるんだから、いまの現段階で重要だからそのことを私は要求しているんですよ。これはぜひやっていただきたい。  運輸大臣にお願いしますけれども、運輸省の航空交通管制所、ACCは、米軍空中給油と技術的にはどんな関係を持っておりますか。
  66. 松本操

    政府委員(松本操君) 米軍機でありますと否とを問いませず、計器飛行方式で飛びます場合には私どもの方は管制をいたします。管制をいたします場合には、先生おっしゃいましたように、航空交通管制部、いまおっしゃったACCがこれに関与することになるわけでございます。
  67. 岩間正男

    岩間正男君 最初に米側から通知があって、これに対してACCは高度制限をやる、こういうことになっておるのじゃないですか。
  68. 松本操

    政府委員(松本操君) 適当な日本語訳がございませんが、空域の一時留保というふうに通常番いならわしておりますが、米軍側の方から、空域を定めまして、何時から何時までの間、この間をあけておいてほしいと、こういうふうな要請が相当前広にございました場合には、管制部はこれを受けまして、関係いたします他の管制機関との間に調整をとりまして、都合が悪ければこれを直させます。そして、民間航空の交通に支障のない空域、支障のない時間帯、こういうものを決めましてここはあけておく、そのほかのところを民間航空を通すと、こういうふうな作業をすることはございます。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 こういう形ではっきりつながっているんでしょう。しかも、これはどうですか、沖繩の場合は、嘉手納アメリカ空軍、これは三つおります。  第九戦略偵察航空団、それから第三七六戦略航空団、第一八戦術戦闘航空団と、これは三つおりますが、この三空軍と沖繩の管制所、管制部、ACCが協定を結んで、その中で、空中給油の場合の規定がはっきり出ているわけですね。ところが、日本の本土周辺の上空の場合はこれはどういうような根拠によってこういうことはなされることになりますか。
  70. 松本操

    政府委員(松本操君) 昭和五十年の五月、日米合同委員会において、いわゆるATCアグリーメントと俗に呼ばれております航空交通管制に係る合意書の改定が行われました。この中に、「米国政府は、軍用機の行動のため空域の一時的留保を必要とする時は、日本側が所要の調整をなし得るよう、十分な時間的余裕を持って、その要請を日本側当局に対して行う。」と、このように規定されております。私が先ほど御説明申し上げましたのは、この合意の定めによりまして、そのような申し出があった場合に私どもの方として所要の措置をとると、こういう手続をお答えしたわけでございます。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 沖繩の場合は協定がある。本土の場合はどうかと聞いているんですよ。協定があるのかないのか。
  72. 松本操

    政府委員(松本操君) まず原則論的に申し上げますと、この五十年の五月に日米合同委員会の合意を見ました合意書、その中で先ほど私がお答え申し上げました規定が基本的にございます。  次に、沖繩につきましては、四十七年の五月十五日の日米合同委員会において合意が行われております。同じくその合意の中に、「右の合意事項の他、昭和二十七年六月及び昭和三十四年六月の合意(今後行なわれる改正を含む)が適用される。」と、このようになっておりまして、四十七年五月十五日に合意されたのが時間的に早うございますが、その後五十年の五月に、同様の合意書、ここで引用されております合意書が改定をされまして、これもなお効力を有すると、こういうことになっておりますので、沖繩におきましてもわが国本土におけると同様、航空交通管制に関する合意というものが基本になっていまのような手続が行われておると、このように承知をいたしております。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 いまの話だと、沖繩はもうそれでいいわけなんですね。特にこの協定がつくられている。本土の場合は、札幌も東京もそれから福岡もこのACCとの協定は別にないですね。この違いはどこから来ているかと聞いている。
  74. 松本操

    政府委員(松本操君) 岩間先生おっしゃいます沖繩の協定というのがどれを指しておっしゃっておりますのかよくわかりませんが、原則的には、先ほど来私が御答弁申し上げております合意書というものがございまして、空域の一時留保というのは管制上のテクニックでございますので、したがいまして特段の協定を一々つくる必要はないと、このように私どもは考えておりますが、沖繩の場合のどの協定を指しての御質問か、ちょっと私わかりかねる点もございますが、沖繩の場合には、従来の経緯等もございますので、したがって、特別の場合についての具体的な取り決めをしたものはもちろんございます。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 どれだかわからないと言っていますから、第九戦略偵察航空団、第三七六戦略航空団、第一八戦術戦闘航空団及び那覇航空交通管制部の間の協定書、これは沖繩返還とほとんど同時に協定されたものです。これはありますね。管制部、ありますな。資料としてこれを出してもらえますか。それから先ほど言った合意書ですね、これも出してもらいたい、資料として。
  76. 松本操

    政府委員(松本操君) まず、御質問の後段の航空交通管制に関する合意及び沖繩における航空交通管制に関する合意、これにつきましては、すでに昭和五十年六月十日及び昭和四十七年六月六日、それぞれ国会の方に提出をいたしてございます。  それから前段の御質問の具体的に日時を挙げておっしゃいました合意書というものは、これはその合意書の存在は確かでございます。しかし、その内容につきましては、これは日米合同委員関連の事項と、こういうことに相なっておりまするので、そのままの形でこれを提出するということはひとつ御勘弁いただきたいと、このように考えております。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、この合意書があるということね、これは確認しておきます。あるんだということね。これはしかし資料として出すことを私は要求します。  そこでお聞きしますが、具体的に板門店の場合ですね、これは交通管制部はこういう事前の通告は受けたのか受けないのか、そして高度制限のようなことをやったのかやっていないのか、どうですか、具体的にお聞きします。
  78. 松本操

    政府委員(松本操君) 通常、米側からこのような要望がございます場合には、一々その目的等を言うておりません。目的等を言うて一々そういう要求をしてくるわけでございません。したがいまして、私どもの方も、最初の方の私の御答弁で申し上げましたように、通常の管制行為の中で処理をしてしまいます。また、私ども管制に関する報告を本省で徴します場合にも、こういうふうなものは逐一取り上げておりません。したがいまして、現場で処理をされておるだけのことでございますので、ただいまの御質問は、いまの時点で明快にお答えするわけにちょっとまいらない点を御容赦いただきたいと思います。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 これは札幌か東京のACCに聞き合わしてほしい。この委員会が終わるまでに答弁してもらいたい。いいですね。
  80. 松本操

    政府委員(松本操君) 私どもといたしましては、個々の米軍機の逐一の行動につきましては、これを明らかにするという立場にございません。したがいまして、ただいまの先生の御指摘の問い合わせて回答せよということでございますが、遺憾ながら御希望に沿いかねるという御返事をせざるを得ないわけでございます。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 おかしいじゃないですか。そういう管制部の関知したことを報告できないなどということはおかしい。こういう形で実際はいつでも知らない状態に国民は置かれている。これが日本防衛体制ですよ。これは問題だ。これは安保体制下の日本の空の実態ですね。いまだにこれだ。私はお聞きしたいのですが、ベトナム戦争当時は沖繩の空での空中給油の方が非常に大きな問題になりました。当委員会でもしばしば取り上げられた。しかし、本土周辺上空での空中給油の問題、これは事実あったと思うのですが、しかし、ほとんどこれは問題にされなかった。しかし、これは実際は行われているのじゃないか。こういう問題が板門店の問題の中で明らかに浮かび上がってくる問題です。だから、この点について、何回こういうことがあったのか、なかったのか、この事実をつかんでおるのかどうか、これは防衛庁長官にお伺いしたい。
  82. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 防衛庁の立場としましては、そういうことがあったかどうかということを承知する必要はないわけでございますので、現在もそういうことは向こうに問い合わせたりなんかするということは考えておりません。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 だから従属的だと言うんだ。アメリカの戦略を研究しないで日本の戦略は立ちますか。そんなばかげた事務的答弁では了承できません。  私はここで大きな問題にしているのは、沖繩返還当時は盛んに沖繩の本土化ということ。しかし、実際は本土の沖繩化が起こるのじゃないか。その本土の沖繩化ということが非常に重大な問題になったのだ。私は、今度の日本本土周辺空中給油、この問題はまさに本土の沖繩化が始まっているのじゃないか。これは重大だ。カーター新戦略の中でまさにこういうことが行われようとしている危険を持っているから、私は特にこの問題を重要視している。いかがですか。実態を見たらこのようなことじゃないですか。
  84. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 空中給油が行われたかどうかということは関知していないところでございますけれども、仮に本土上空におきまして空中給油が行われたからと言まして、これが本土の沖繩化というようなことをおっしゃるのは当たらないと思います。
  85. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 防衛庁にいろいろなことを御指名があるようでございますけれども防衛庁の任務は、わが国防衛、専守防衛という立場でございまして、そうした全体アジアの問題とかいうようなもので安定のために協力をいたしておりまする米軍行動、一々これを把握していくというような立場にもございませんが、その点はひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 三原さん、もう少し政治的にはっきりするかと思ったが、これじゃまるでアメリカ戦略の中の日本防衛、こういうものを担当するという姿、これじゃ情けないですよね。  私はこれと関連してお聞きします。ペンタゴンは、今年九月までに廃止することに決定した太平洋空軍を最近になって存続させることに変更した、こういうふうに外電は報じております。その理由として、リード空軍長官は、三月三十一日、ハワイの空軍協会で演説をして、在韓米地上軍の撤退を初め、太平洋地域における米地上軍の撤退、削減により、同司令部が空軍作戦の計画、遂行、調整を行い、危機や脅威に即応することが一層重要視されることになった、こういうような立場から太平洋空軍の廃止を取り消してこれを存続させることになった。こういうことを御存じだと思いますが、いかがですか。
  87. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  御指摘の件は、米空軍長官が三月の三十一日ハワイで行いました演説に関してのことだろうと思うのでございますが、この演説におきまして、長官が、一九七四年の十二月に国防長官が発表いたしました太平洋空軍司令部の廃止の決定は現在取りやめられておりますと、太平洋空軍は主要な空軍部隊として残存しておりますということを述べたことであろうと思うのでございます。一九七四年の決定は、米軍の合理化及び部隊の再編等の一環として、主として経費の節減の面から司令部の廃止が決定されたものでございますが、太平洋空軍そのものの廃止が決定されたものとはなっておらないのでございます。また、今回の演説は当時の問題点が明確にされたというような受けとめ方をいたしておるのでございます。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく、これは体制が変わってこれを存続させるということを決めた。これははっきりやはり最近のカーター新戦略との即応と見ることができる。私は、そういうような中で、福田総理の発言がこの前上田委員質問の中でなされたわけです。そうして、その中で、韓国で危急な事態が発生した場合、日本からの米軍の出動に対してイエスを与えることもあり得ることを認めた。これはいわゆる朝鮮条項といいますか、韓国条項といいますか、一九六九年の佐藤・ニクソン会談後にプレスクラブで行われましたあのときの佐藤元総理の発言というものは復活している。しかも、新しい情勢の中でこのようなものが復活している。これは非常に重大だと思うのですね。私は日本の戦略を根本的にこういう中で検討するときになっている。そうして、いままでの質疑を通じても明らかなように、まさにこのようなことを行っているのは安保条約があるからなんです。安保の正体というもの、これは重大な課題ですよ。こういう点について、私はどうしてもこの安保条約の廃棄の問題というのは、日本の政治の実に重大な根幹をなすものだと、こういうふうに考える。日本の平和中立のためにその政策を遂行するためにはこれは絶対必要だ、こういう観点に立って日本防衛問題は対処しなければならぬと思うのですが、三原長官並びに外務大臣の見解を求めたいと思います。
  89. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 三月二十九日の参議院予算委員会におきまして、上田議員に対しまして福田総理がお答えになりましたことは、戦闘作戦行動のための日本基地としての使用する場合には事前協議の対象であるということでありまして、事前協議はイエスもあればノーもある、こういうことを仰せられたわけでありまして、このことは制度の趣旨からいって当然のことを言われたまでのことでありまして、それが従来の態度を変えるとかということではないことを御了承いただきたいと思います。
  90. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 外務大臣からお答えがございましたが、イエスもあればノーもあるというその判断でございまするが、その時点に立ちまして具体的に日本の国益、日本の安全にどう影響するかというようなことで判断がなされるものだと思うのでございます。
  91. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして岩間正男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  92. 小川半次

    委員長小川半次君) 次に、和田春生君の質疑を行います。和田春生君。
  93. 和田春生

    和田春生君 きょうは、領海あるいは二百海里問題等、海国日本の国際環境が大変厳しくなってきている時点におきまして、質問のすべてを海の問題に集中してお伺いをいたしたいと思います。非常に重要なかかわりのある問題が多いわけですから、的確にお答えをお願いいたしたいと思います。  まず最初に、領海十二海里の問題についてお伺いいたしますが、領海十二海里がすでに実施されている各国のうち、国際海峡につきまして自由通航をたてまえとしているところ、あるいは国際海峡に該当する海峡の管理または通過通航について何らかの規制を設けている国、あるいは領海十二海里だがその辺はどうなっているかわからない、いろいろなものがありますが、その内容と同時に、外国における領海の国際海峡通過通航の一般的な事例と特殊な扱いをしているもの、これについて外務大臣から説明をお伺いしたいと思います。
  94. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 専門的な事項にわたりますので、政府委員からお答えさしていただきたいと思います。
  95. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) お答え申し上げます。  現行の国際法上、国際海峡についての一般的な通航制度というものは特にございませんのでありまして、主要な国際航行に使用されている海峡の沿岸国による取り扱いぶりを見ても、国内法令上、海峡通航について特別の制度を設けている国はなく、実際に通航する船舶に対する取り扱いぶりについても明確でないところが多いというのが実情でございます。ただ、御承知のように、コンスタンチノーブル海峡とかマジェラン海峡とかデンマーク海峡とかいう海峡につきましては、従来より条約によって一定の条件のもとに自由通航が認められているということはございます。
  96. 和田春生

    和田春生君 そうすると、領海十二海里が決められている国におきましても、いま国際条約で決められている特殊な例は別として、事実上自由通航が現在においては行われている、これがほとんどであるというふうに理解してよろしいか。
  97. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 御承知のように、ただいま海洋会議で審議しておりますのは、領海を十二海里まで拡張することができるということで、領海が十二海里になりましたときに、公海部分が残らないか、または船舶航行に十分な公海部分が残らないような国際海峡について航行制度をつくるということでございまして、ただいまのところ三海里までの領海という前提に立ちますれば、公海の部分が残っておる国際海峡というのは非常に多うございまして、その限りで自由通航が許されておるということでございます。
  98. 和田春生

    和田春生君 そんなことを聞いているのじゃないんだ。政府決定して国会に提出した領海法案が、十二海里だけれども国際海峡に該当するところについては三海里にしておくと、まことに珍妙無類なる領海法案をわれわれは目にしたので、一体そういう例があるのかないのかということを伏線として聞いているわけですから、もっと具体的に答えてください。
  99. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 必ずしも質問のポイントを明確に把握していないかもしれませんが、現在の状況で国際航行に使用されている海峡につきまして、先ほど申し上げましたように一律な取り扱いになっているということはないわけでございまして、いまの公海部分が残って自由な通航が許されているところもありますし、また、いまでも領海で覆われているけれども、なおかつ国際航行に使われている頻度の多いような海峡につきまして、たてまえとして無害通航——領海でありますから無害通航というたてまえであるけれども、現実に相当自由な通航を認めておる、たとえば先生御承知のマラッカ海峡のごときは、一応沿岸国の立場から見まして領海が重なっておる、領海で覆われておるというたてまえになっておりますけれども、現実の通航ぶりは相当自由にその通航を認めておるというようなところもございます。
  100. 和田春生

    和田春生君 そういう抽象的な答えでは話にならぬので、ではもう具体的に後の質問の中で一つ一つただしていきたいと思うのですが、私の承知している限りでは、領海は十二海里としておきながら、国際海峡に該当する部分について三海里にしておるというような、そういう領海法を決めておる国は一つもないと考えるわけなんですが、日本だけがそういう特殊な変則領海を定めなければならなかったという理由は一体何なのか、これは外務大臣にお伺いしたい。
  101. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いわゆる国際海峡等につきまして、今回のように特例的な、従来どおりの三海里に据え置くというような措置をとった国は私も存じないところでありますが、ただ、非常に似たような例といたしましては、バルチック海の中に島がありまして、それはフィンランドに属する島であります。しかし、その島は、一般の領海に比べてそこの島の領海は三海里ということになっておるわけでありまして、これも通航には若干の関係のある問題ではなかろうかと推察をいたしておるところでございます。  日本が今回とりました、三海里にそのままにしておくということは、たびたび予算委員会でも御答弁申し上げましたところでございまして、従来の国連の海洋法会議におきまして、日本は、先進国の一員として、また海洋国家であり、非常に多くの資源を輸入しなきゃならない、そういった国柄でありますので、今回の領海を一般に海洋法会議の趨勢として十二海里までの領海を認めようと、こういった場合に、その拡張されたいわゆる国際海峡の通航が沿岸国の恣意にゆだねられるということは不適当である、一般の領海よりもより自由な通航を認めるような制度にすべきであるというような方向で、これは領海の拡大ということとそうなった場合の海峡の通航問題というのはいわば一つのパッケージのような形で進んでおるわけでございます。その結論が出る前に沿岸漁民の問題から早急に日本領海を十二海里に広げる必要が生じたということでありますので、漁業面では十二海里を急いで適用させたいと。しかし、通航面におきましては、従来の国連海洋法におきますわが国のとっておりました立場というものを考えまして、この海洋法会議の結論が出るまでは従来のままにしておこうと、こういうことでございまして、全く海洋法会議の結論の出るまでということの暫定的な措置として、それまでいろんな通航制度はあろうと思いますけれども、現状どおりにしておくということがまあ一番自然ではないかということでそのような方式を考えたわけでございます。
  102. 和田春生

    和田春生君 外務大臣、確かめますが、あなたがいま説明したところによると、はっきり言ったんですけれども、漁業面については十二海里をやりたいと、それ以外については三海里で置いておきたいと言いますね。そうすると、この領海法案の十二海里というのは何ですか、漁業専管水域か、それを聞きたい。
  103. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 直接急いで領海を十二海里に広げたいというのは、必要から出てまいりましたのは漁業にあるということを申し上げたのでございまして、いわゆる国際海峡、この国際海峡の通航問題ということはその面から来た問題ではなくして漁業面から必要性が出てきたということでございます。したがいまして、国際海峡の通航問題は国連海洋法の出るまで現状どおりにしておきたいということを申し上げたのでございます。
  104. 和田春生

    和田春生君 少し混乱しておるようなんですが、ぼくが聞いているのは、領海は当然十二海里になると、ただし、いわゆる国際海峡、ここで言っている特定海域は三海里にとどめているわけですから、そこでは三海里の外は全部公海部分になるわけだ。そういう特殊な例をとっているわけだから、その例をとらなくてはならなかった理由は何かと聞いている。それに対して、あなたは、十二海里は漁業の面から来たのであって、それ以外については三海里で置いておきたいと言うのだったら、この領海法は間違いじゃないですか、漁業専管水域法として出すべきでしょう。
  105. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) そこのいま御提出しております法案につきまして、提案理由がつけてございます。その提案理由に掲げておりますように、緊急の問題として、日本の沿岸が外国の漁船の操業のために沿岸の漁業者が被害が頻発しておるというのが最近の情勢でありまして、これは一刻も放置できないということから領海を拡張すべきである、こういう判断をいたしたわけで、この法案はあくまでも領海を拡張する法案でございます。領海を拡張することによりまして沿岸の漁業のために万全の策をとりたいと、こういう趣旨でございまして、そういう必要がなければ、国連の海洋法会議の結論まで待って、そして領海もあるいは海峡の通航問題も同時に解決することができたと、こういうことを申し上げている次第でございます。
  106. 和田春生

    和田春生君 外務大臣ね、あなたの言っていることはおかしいんで、領海というのは日本領土が海の上に広がることでしょう。領海の上には当然領空もついているわけだ。一体のものとして考えなくちゃいけない。それで、外国の漁船に対して領海から締め出すというのは、領海が広がった結果生ずる事態なんです。いいですか、漁船だけを対象にするんなら、何も領海を広げないでもほかの方法だってあり得る。つまり、領海法というものの根本は、日本領土が従来の三海里からさらに十二海里まで広がるということにある。それが特定水域だけなぜ三海里にとどめたのかと、その理由を聞きたいと、こう言っている。
  107. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) その理由は、もう当委員会でたびたび御議論がありまして、政府といたしましては統一見解をお出ししてあるわけでございまして、その趣旨は、先ほど私がここで申し上げたことで尽きていると思うのでございます。あくまでも今回お願いしたいのは領海を拡張することである。そして、いわゆる国際海峡、これは最小限度に五つの国際海峡に最終的にはしぼりましたけれども、この国際海峡につきましては当分の間従来どおりにしておく必要がある、こういうことでございまして、それは国連の海洋法会議のこの国際海峡問題につきまして結論が出るまでの間そのようにしばらくの間の特別措置を講じておきたい、こういうことでございます。
  108. 和田春生

    和田春生君 統一見解が出ているのは知っていますけれども、説明になっていないから聞いているのですよ。国連の海洋法会議の結論が出るまで一それなら改めて伺いますが、国連の海洋法会議は、この領海問題、大陸だな、経済水域を含めて結論が出るという確信と見通しがあるのですか、いつごろ出ると思いますか。
  109. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 国際会議のことでございますから、これはいつ必ず結論が出るということはここで申し上げる自信はございません。わが国といたしましては、今回開かれます国連海洋法会議で何らか早く結論を出していただきたい、こう思っておるわけでありますが、深海海底資源の開発の問題が合意がすぐできるという段階にはまだ立ち至っておらないものですから、今回の折衝におきまして結論が出るかどうかということは相当問題であろうと思っております。
  110. 和田春生

    和田春生君 もし結論が出なかったらどうしますか、海洋法会議の。
  111. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) これは先生にいまさら御説明すべきことでもないかと思いますが、ことしこれからやりますのは第六会期でございます。第六会期でどうしても結論が出ないということになれば、当然また第七会期を開くということになるわけでございますが、当面は、先ほど大臣からも御説明がありましたように、各国ともこの第六会期で何とかして実質的な合意までこぎつけたいということでいろいろ熱意を持って会議に臨む姿勢を示しておる。ただ、そこで所期のとおりにいくかどうかという点についての判断は、なお様子を見なければ予断はいまの時点ではむずかしいであろうということを大臣は申し上げたわけでございます。
  112. 和田春生

    和田春生君 もし第六会期、第七会期、第八会期とやっていって結論が出なければ、結論が出るまでという外務大臣の説明が本当であるとすると、永久にこの変則領海のまま進むということになりますね。
  113. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) もう深海海底資源の問題につきましても相当論議がされてまいっておりますので、そう遠くはなかろうというふうに思っております。
  114. 和田春生

    和田春生君 事国連の海洋法会議に関する限り、外務省は一生懸命やったことは認めるけれども、見通しはもうみんな狂ってきて、だんだん追い詰められてきたというのが現実でしょう。したがって、あるいは第三次海洋法会議が結論を見ないままパアになる、こういう可能性だってないわけじゃない。ちゃんと報告の中にもそういうことが書かれている、一部には。そうなってくると、この変則のままずっといくということになる。だめだとすればいつか踏み切らなくちゃいかぬ。しかも、国連海洋法会議で問題になるのは、十二海里の領海にすることによって公海部分が残らなくなる海峡について、三海里にして公海部分を残すということを論議しているわけじゃないでしょう。そこの通過通航の方法に議論が出ておって、非公式単一交渉草案に出ておることは外務大臣は御存じなはずなんです。なぜ日本だけがそこのところを三海里でとめなくちゃいけないのか、その理由を聞いているんですから、はっきり言ってくださいよ、理由を。
  115. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 単一草案におきまして案が出ておるわけでございます。その案をそれでは日本だけ先に実施したらどうかと、こういうようなお話かもしれませんが、まだそこまでは世界各国とも採用した国はないわけでございますので、もうしばらくやはり現状におきましては海洋法会議の早急なる結論を期待するという態度でまいりたい、こう思っております。
  116. 和田春生

    和田春生君 じゃ、日本が三海里にしておったら、世界が、鳩山さん、あなたの言うことに敬意を表して、国際海峡を三海里に凍結するという案になりそうなんですか、そんな影響力は何にもないでしょう。だれも相手にしていない。せせら笑われているのじゃないですか、こんな領海法案は何だということで。一体何をねらっているんですか。その積極的な理由と、これによって生ずるメリットを聞きたいと思う。
  117. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) もうたびたび申し上げて恐縮でございますけれども、現状を変更しないで現状のままで国連海洋法会議の結論を待ちたい、こういう趣旨でございます。
  118. 和田春生

    和田春生君 それなら、なぜ漁業専管水域にして、領海は三海里のままにしておかないの。すでに領海法では十二海里になっている。附則で国際海峡だけこういう形にしている。その理由とメリットを聞いているんですよ。しっかり答えてください。あなたのは全然答えになっていない、ぼくの質問に対する。
  119. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) たびたび同じ御答弁を申し上げるしかないわけでございますけれども日本は海洋国家でございますし、日本はほかの海峡もいろいろ利用しなければならない、こういう立場にあるわけでございます。したがいまして、従来からいわゆる国際海峡の自由通航——自由通航と申しますのは、一般の領海になってしまった場合よりも自由な通航という趣旨でございまして、そういったことの実現に日本は協力をしてきたわけでございます。その日本が率先して領海を全部公海部分をなくしてしまうということは、従来の日本の主張とは率先して違った措置をとる、こういうことになりますので、日本は国際協力という観点からやはり従来どおり国連海洋法会議の結論が出るまで従来の国際協力の態度でまいりたいということでございまして、全く他意のない話でございます。どうか御了承をいただきたいわけであります。
  120. 和田春生

    和田春生君 鳩山さん、あなたは個人的に尊敬しているのでこんなことは言いたくないけれども外務大臣は務まらぬですわ。ここで国際的に問題になっているのは、公海部分を残すということじゃないんですよ。領海部分に国際海峡がなったときに、領海の通過通航の問題、あるいは領空の通過通航の問題を議論しているんじゃないですか。それなら、たとえば津軽海峡にしても、あるいは対馬の西、東にしろ、大隅にしろ、領海にしておいて当分の間自由にお通りください、どう規制するかは国連海洋法会議の結論ないしは新たな国際的な協定ができてからやりましょうと、なぜ言えないのですか。残しておくということと、領海部分の通航ということは、本質が違うのですよ。はっきり答えてください。
  121. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 領海といたしますと、領海につきましてのいろいろな約束事があるわけでありますから、領海といたしましたときに、公海と同じようなファンクションをその領海に与えるということは適当でないというふうに考えておるところでございます。
  122. 和田春生

    和田春生君 いろいろな約束事と言うが、それで最初に質問したんですよ、どういう特殊例があるかと。約束事を説明してください、わかるように。
  123. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 領海の通過は、御承知のように、一般に無害通航制度ということになっておりますから、そういった通航制度では、いわゆる国際海峡の通航としては不十分だと、日本としても世界じゅうの多くの海峡を利用いたしますので、日本がそういう利用国でありながら、みずからのいわゆる国際海峡を領海とするということにつきましては国際協力の面で不十分である、こういうことからしばらく現状どおりにしておきたいと、こういうことを考えておるところでございます。
  124. 和田春生

    和田春生君 困ったな、どうしようもないな……
  125. 小川半次

    委員長小川半次君) 委員長から一言申し上げますが、この一点だけでも三十分の時間を費やしているんですよね。もう少し外務省はずばりと答えることができないのですか。ですから、質問者、どうも平行線をたどって進まないようでしたら、あなたのこの一点を保留していただいて、そして外務省でもっと勉強してくれということをおっしゃって、一応先に進むようにしたらいかがでしょうか。
  126. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 委員長の御指摘のように明快にお答えできればと思いますが、外務大臣が先ほどからるるお答えしておりますことは、まさに先生のおっしゃられるように、海洋法会議では、領海を十二海里まで拡張して、その場合にいわゆる国際航行に使用されているような海峡については、自由な通航を許すような通航制度をつくろうということでやっていること自身は、先生のおっしゃられるとおりでございます。問題は、まさに海洋法会議はそういう方向で審議を積み重ねておるわけでございますが、これも先生御承知のように、海洋法会議においてそのような通航制度そのものがまだ確立するところまでに至っていないわけでございます。大体の方角としては定着しつつあるけれども、しかし、制度そのものはまだできていない。そういう現状において、わが国としては、先ほど大臣からもお話しありましたように、沿岸漁民の要望にこたえて領海は拡張せざるを得ない。その場合に、いまの国際海峡の通航制度をどうするかという問題があるわけで、その点は、海洋法会議自身がまだ固まっていないものですから、その海洋法会議の固まるのを待ってそこの通航制度をわが国として基本的に考える、それまでの間は現状のままに海峡の幅をしておこう、こういうのが今度の領海法の趣旨でございます。  私どもは、それで大体考え方としては明快な考え方に立っているのじゃないかというふうに考えております。
  127. 和田春生

    和田春生君 委員長の注文もありましたので端的に聞きますが、じゃ、逆にひっくり返して、ここで言っている特定海峡を全部十二海里の領海を適用して、それで通航については自由にしなさいと。それでどういう支障が生じますか、それを聞きたい。
  128. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 和田先生のお考えは確かに私は一つのお考えだと。こういうことができれば、またそういった考えも成り立つわけでございます。しかし、先ほど条約局長が申し上げましたとおり、その領海となった海峡につきまして、そこを自由に通すという制度がまだ国際的に確立されておらない、こういうことでありますので、その制度をこの国会にお諮りをするといいましても、それはそれでなかなか御理解がいただけないのではないかというふうに考えておりまして、まあ将来、先ほどお話がありまして、一体いつ海洋法会議の結論が出るかと、こういうお話で、これが非常に長引きました場合にそれはまたそのときでこれは考えなきゃならない事態になろうかと。そういった考え方が国際的に広がってまいりましたときにはそのような考え方がとれるときも来るだろうと思いますが、いまはまだ現在の領海より以上の自由な通航を許すということが、これはいろいろな海峡につきましてはいろいろな制度がいろいろな条約で決まっているところもあります。しかし、日本の国内でそのような通航制度を日本だけがつくるということは、国際的に認められるかどうかということもまだ自信のない段階でありますので、現状におきましては現状のままでしばらく置くということ以外に道がなかろうというふうに考えた次第でございます。
  129. 和田春生

    和田春生君 あのね、そんなことを聞いておらないんですよ。人の質問をよく聞いていなさいよ。日本は自由通航を主張しているとあなたさっき言ったじゃないの。それならば、国際海峡が十二海里で領海に入ったときに、特定水域については従来どおりお通りくださいと言って何のデメリットがあるのかと聞いているんだ。不都合なことは何が不都合なのかということを聞いているんですよ。端的に答えてください。答えない限りぼくは座って立たないよ、もうこの後は、
  130. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) それは、先ほど申し上げましたように、そういうことができればそれは一つの考え方だろうと思います。しかし、現状におきまして、領海であるところの国際海峡が、いま和田委員がおっしゃいましたように、自由にお通りくださいというような制度がいまはまだ確立されておらないのでありますから、日本だけがそのようなことをまず第一にとるということが、果たして国民の皆様方に御納得がいただけるか、また国際的にも了承されるかということは大変問題がありますので、現状どうり据え置くしか道がなかったと、こういうふうに申し上げているのでございます。
  131. 和田春生

    和田春生君 不都合なところがあるかって聞いているんです。
  132. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) たびたび申し上げましたように、そのようなことができればそれはそれで一つの考え方であるし、何ら不都合はないだろうと思います。しかし、いまそのような制度を日本だけがつくるということにはまだ納得されないのではないかというのが私どもの判断でございます。
  133. 和田春生

    和田春生君 もうらちが明かぬので、また領海法の審議のときにこってりやらしていただきますが、それじゃ、ずばり聞きますけれども、ぼくら考える限り何の不都合もないと思う。新たな国際協定ないしは国連海洋法の決議ができるまでの間当分の間は、領海にはするけれども、単純なる通過通航については従来どおりの方法を認めますと言ったって、何の変化も起こらないんだから、いかなる不都合も生じないはずなんだ。一番すっきりしていいんですよ。しかも、こんな変則をやると、線引きができない。外務大臣線引きができると言ったけれども、まだできないじゃないですか。二週間ぐらい前からぼくは線引きしたやつを持ってこいと言うけれども出てこない。線引きができないでおるわけでしょう。そういうややこしい問題が起こるわけ。これは技術的な問題だからここではいま問いません。結局、伝えられているように、いろいろなことを言っていますが、ずばり聞きますけれども、非核三原則と、新たに十二海里領海をした場合の関係というものについて、政府はどう考えているか。
  134. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 非核三原則は領海の通過も含むというように、この国会の応答によりましてそのような解釈がとられております。また、非核三原則というものは大変重要な国策でありますから、非核三原則は政府といたしましてもこれは厳守をしてまいるということをたびたび申し上げているところでございます。
  135. 和田春生

    和田春生君 外務大臣にお伺いしたいのですけれども、国際海峡の通過通航が問題になっているのは、従来の三海里から十二海里、それ以上に領海が延びるので、いままでの、昭和四十三年、日本で言えば条約十一号ですけれども領海及び接続水域に関する条約というものに基づく無害通航の原則を適用したのでは不都合であろうというので通過通航について自由通航とか妨げられない通航とかいうことが問題になってきているわけだ。日本も十二海里に広げようという場合に、三海里からさらに幅を広げるわけです。新しく適用するわけ。その結果、公海とあるいは公海とをつないでいる従来公海部分であった海峡が領海に入るというところに、非核三原則であろうと、何であろうと、ぼくは非核三原則は大事だし守らなくちゃいかぬという前提に立っているんだけれども、それは日本だけの原則ですよ。それが当然に適用されなければならぬという考え方はどういう考え方です。そこを聞きたい。
  136. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 非核三原則につきましては、これは従来からいろいろな経緯がございまして、領海の通過につきましても、これは核の持ち込みであるというふうに統一された見解が出ておるわけでございます。したがいまして、領海が三海里から十二海里になりました場合には、当然その非核三原則の適用される範囲は拡大されるものと私どもは考えております。したがいまして、領海の拡大というものによりまして非核三原則の適用は広がったというふうに私は解すべきであるというふうに思います。
  137. 和田春生

    和田春生君 大変重要な答弁ですから確認をいたしておきますが、非核三原則というのは日本の原則です。国際的に認められた原則ではない。いいですか。じゃ、国連の海洋法会議で十二海里というものが決まったと、全部。そして、日本もそれに従っていわゆる国際海峡も十二海里にしたと、全部日本領海部分になったと。そのときも、非核三原則を、つまり持ち込まずというところに核搭載艦がただ通過するだけでも該当するということをあくまで堅持するんですね。
  138. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) わが国が非核三原則を堅持する方針はいささかも変わらないわけでありますが、わが国といたしまして権限の及ぶ限りにおきましてこの非核三原則を厳守いたしたいということでございます。権限が及ばないものにつきましてわが国だけがわが国だけの政策でありますけれどもこれを強制力を持つわけにはいきませんけれどもわが国の権限の及ぶ限りにおきまして厳守をするというのが政府の考え方でございます。
  139. 和田春生

    和田春生君 さて、そうなると、津軽海峡はソ連原子力潜水艦の銀座通りですわな。核つき原潜が、日本領海にはもちろん持ち込みませんと、使いませんと。それを通るといって核つき原潜が通るときに、あくまで適用するということになると、阻止しなければなりませんね。どういう対応策を考えていますか。
  140. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 外務大臣からも御答弁がありましたように、わが国は非核三原則のたてまえに立って核の積載艦の領海通過を認めないという立場をとっております。ただ、これも先生御承知のように、相手が軍艦でございますから、軍艦の国際法上の立場から見て、これをわが国自身が検査して、チェックして、現実に持っているかどうかということを確かめ得るということでないことはこれまた事実でございますが、わが国としては、核の通過は認めないというたてまえをとっておりまして、この政策は、これも御承知のように世界に知れ渡っている政策でございます。したがいまして、ほかの国も当然にわが国の非核政策というものは尊重するであろうということを期待しているわけでございます。
  141. 和田春生

    和田春生君 日本の外務省は大した見識で、日本の言うことはみんな世界各国が尊重すると言うんだから偉いものですよ、それはね。ぼくが聞いているのは、そういうくだらぬ抽象論やかっこうをつけるたえまえ論を聞いているのじゃない。現実に領海部分が日本の主権のもとに入る、しかし、そこには公海から公海、あるいは経済水域から言えば経済水域と公海の間を外国の艦船が通過をしなくちゃならぬということになったところに日本の原則である非核三原則というものを適用すると。——それはもう使わないということはいいですよ。ただ、それが通り抜けていくということについて、わが国是である、当然従うべきである、通るときには調べられないから私は知りませんよと、それが世界から尊敬を受ける態度だとは思いませんね。どうですか、外務大臣
  142. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いま和田委員のおっしゃることもよくわかるわけでありますけれども、しかし、非核三原則というのは、やはり日本の民族の悲願でありますから、したがいまして、その原則をほかの国が破るだろうということを頭から置いては何にもできないから、そういうことはあきらめようということではなしに、そうではなしに、やはり非核三原則はあくまでも守るということも私は大事な考え方であろうと、こう思いますので、御趣旨もよくわかりますけれどもわが国としては非核三原則をあくまでも守るという態度をとりたいと、こう思うのでございます。
  143. 和田春生

    和田春生君 非核三原則をそんなにいばらなくていいですよ。それを主張したのはわれわれで、自民党の方がむしろ渋っておったというのが事実じゃないですか。ぼくらだって非核三原則を守るという考え方は持っているんですよ。ただし、国際海峡については観念が違ってくるわけでしょう。あなたの言う考え方になれば、仮に将来十二海里が全部拡張したということになれば、あなたの言うとおりだとすれば、日本海にあるソ連の核つき原潜は、対馬の西水道の韓国寄りを通るか、宗谷海峡のソ連寄りを通ることを期待をするわけで、対馬の東、あるいは津軽、あるいはそういうところは一切通らないと、いわばちょうど袋のネズミみたいなかっこうになる、それができるんですと、ソ連は十分それを尊重するんですと、こういうふうに理解していいですか。
  144. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいま先生の御指摘の問題は、海洋法条約が成立した場合に国際海峡において自由な通過通航制度ができたときにどうするかという御質問かと存じますが、それについては、従来外務大臣からも政府からも御答弁申し上げておりますように、国際海峡における通過通航制度がどういうふうに確立できつつあるかということを見て、そのでき上がった国際的制度に従ってわが国の非核三原則の問題も考える、対処すべき問題であると、その場合に、いずれにせよわが国の権限の及ぶ限りにおいて非核三原則は厳守するという立場に立ってその問題を考えると、こういうことでございます。先ほど来のお話は、いまの状況でどうなのかと、こういう御質問でございましたので、いまの状況で普通の領海に核の積載艦が入ってくる場合には、これは核の通過は認めないという非核政策に立ってわが国としてはこれを認めないという立場をとっておると、こういうことでございます。ちょっと問題が二つ、別かと思います。
  145. 和田春生

    和田春生君 別なのは、ぼくの方が混乱しているのじゃないんで、外務大臣の方が混乱しているんだよ。そうでしょう。国際的な条約ができて自由通航になったら、じゃ核つき潜水艦は自由に通すということですか、領海になっても。それを聞きたい。
  146. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいまお答え申し上げましたように、それは国際海峡における通過通航制度がどのように最終的に定まるかということによって決めらるべきことであろうと思います。まだ現在においては最終的な結論を得ておりませんので、その辺の推測が困難であるというふうに存じます。
  147. 和田春生

    和田春生君 外務大臣ね、いまの答弁を総合するとこういうことになるわけだ。非核三原則はあくまでわが国の原則であって、わが国の主権のもとに入ったらこれは適用するのは当然であると、各国は尊重すべきであるという意味のことをあなたはさっき言った。今度新たに国際条約なり何なりで決まるであろうということは、領海、領空ということの原則が変わるのじゃないんです。通るということだけについて、そういうことについての合意ができるであろう、あるいはできるかもわからぬ、できないかもわからぬということなんです。そのときに、非核三原則で単なる通過通航でも持ち込みに該当するというんならば、どんなことが決まろうとも断固として阻止するということでなければ筋が通らぬじゃないですか。自由通航になったから通すというんだったら、いま通したっていいじゃないですか。どうなんですか、はっきり答えてくださいよ。
  148. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 海洋法会議の結論が出まして——いま大変問題になっております、これは日本の海峡通過だけではなくして、世界じゅうの海峡通過の問題がいま論ぜられているわけでありますから、その世界じゅうの海峡の通過のやり方というものが海洋法会議で決まってからこそ確立されるべき問題でありますので、そのときの決まりぐあいによるということをいま条約局長から申し上げたのでありまして、それがわが国の非核三原則との関係がどうかと、こうおっしゃいますから、それはわが国の権限が及ぶかどうか、そういうことをもって判断するしかないのだということを申し上げているわけでございます。
  149. 和田春生

    和田春生君 結局、まとまるかまとまらぬかわからない国連の海洋法会議に籍口して、国際海峡は三海里で置いておいて当面をごまかそうという全く不誠実ないいかげんな態度が見え見えなんですよ。だから日本はなめられてだんだん追い詰められていって、気がついたときにはがけっ縁に立っているということになるんです。毅然としなさいよ。非核三原則が日本の原則であくまでやるというなら、防衛庁長官もおりますけれどもソ連の核つき原潜と認められるものが通ったときには、これを臨検するなり、あるいは防潜網を張って通らぬようにするとか、自衛艦が体当たりするとか、爆雷を落とすとかいう決意を持っておらなければだめだよ、それは。通すという気があるんなら、単なる通過通航は国際海峡だけについては通ってもいいということをはっきりした方がいいんじゃないですか。しかし、それ以外のところには断固として非核三原則を守りますよと、なぜそういうわかりのいいはっきりした態度がとれないのですか。この問題については時間がずいぶんたっていますからこれでとめておくけれども、もっと深刻に日本国の外務大臣として考え直しなさいよ、だらしないことを考えないで。そのことを注文しておきます。  次の質問に移ります。ソ連との漁業交渉に関しまして、領海十二海里問題について日本は妥協したのではないかという報道がされておりますけれども、事実ですか。
  150. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) そのようなことはございません。
  151. 和田春生

    和田春生君 報ぜられるところによると、ソ連最高会議幹部会令の定めるところによるという形で漁業に関する線引きを認めるということで、北方領土に関する領土主権に関するソ連の十二海里あるいは二百海里は認めないと、こういう態度をとっているというのは、そう理解していいですか。
  152. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 昨年の十二月の十日に出ましたソ連邦最高会議幹部会令、これによりましてソ連は二百海里の漁業水域を設けるということを決めたわけでございまして、その後、ことしの二月二十四日に閣僚会議決定をもちましていわゆる線引きを行ったわけでございます。その閣僚会議決定につきましては、官房長官名をもちまして、日本としてはこれを認めるわけにはいかないという声明を発表しているところでございまして、その態度には変わりがないわけでございます。
  153. 和田春生

    和田春生君 三月三日の鈴木農林大臣からイシコフ・ソ連漁業相に出した文書の中に、「一九七六年十二月十日付のソ連邦最高会議幹部会令の適用を受ける海洋区域における日本の漁業操業に関する協定を日本国と締結する用意がある。」と、こういう文句があるわけですね。これは確認されておるんですが、私の得た情報、これは正確かどうかわかりませんが、そのソ連の最高会議幹部会令になりますと、「規制実施水域」の中の第三項目に「ソヴィエト海峡・クナシリ海峡(根室海峡)はソ連国境」という文句が入っている。これは事実ですか事実じゃないですか。
  154. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 事実でございます。ただし、ソビエト海峡だったか……
  155. 和田春生

    和田春生君 国後海峡。
  156. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 国後海峡——ソビエツカヤとは書いてございません。ソビエト海峡でございます。同じ意味だと思いますので、そのとおりに私ども承知をいたしております。
  157. 和田春生

    和田春生君 そういたしますと、根室海峡というのは、御承知のように日本の北海道と北方四島との間ですから、これはソ連国境であると、日ソの間の、ということがあなたの言うとおり事実であるとすると、この幹部会令の定めるところによって漁業協定を結ぶという形になれば、事実上根室海峡をソ連日本との国境であるということを確認をした、北方領土に対しては日本領土請求権を完全に放棄したということになりますね。
  158. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま申されましたのは二月の二十四日の閣僚会議決定でございまして、幹部会令ではないのでございます。
  159. 和田春生

    和田春生君 ソ連という国は、最高会議幹部会、閣僚会議、御承知のようにソ連共産党がすべてコントロールをしている国です。その間にあなたの言ったような言葉で差異があるということを認めて逃げることができますか。
  160. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 差異があるかどうかということでございますけれども閣僚会議決定に対しまして日本政府といたしましては官房長官の名前をもちまして声明を発しておるところでございまして、幹部会令のときにはそのようなことは申しておらないのでございます。
  161. 和田春生

    和田春生君 しかし、いま、外務大臣、あなたはそういう閣僚会議決定があることは事実であると認めたわけです。あなたは認めたわけです、こういうものがあるということを。根室海峡をもって国境とするということがあるということを認めたですね。知っているわけです。そうして、一方でそれを承知の上で漁業協定を結んでおいて、後から、それは日本が知っておってソ連の言うことを認めて線引きをしたんだから、領土問題はすでに解決済みであると言われたときに、いや、そんなことはおれは知らぬ存ぜぬと言えますか。
  162. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いまおっしゃいました点がありますので、閣僚会議決定はこれは承服できないのである、幹部会令のソ連邦が漁業水域の二百海里をやると、こういう段階の先ほど読み上げられました鈴木大臣とイシコフ大臣との間の了解点、この了解点のもとに今回の漁業交渉を決着をつけるべきであるという態度で日本政府はいるわけでありまして、その態度はまだ毫も変えていないところでございます。
  163. 和田春生

    和田春生君 この閣僚会議決定は、その中にこう書いてありますね、「幹部会令に規定されたソ連邦沿岸二百海里水域における漁業規制についての措置を来る三月一日より」云々として、その中に根室海峡は国境とすると書いてある。同じことになりゃしませんか。幹部会令というものを認めると、それに基づいてこういうふうにしたということを知らなかったというならいいけれども、あなたは知っているというのだ。これを知っておって、幹部会令という言葉で承知をしたという形になれば、もう事実上これは認めたということと全く同じではありませんか。
  164. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) その閣僚会議決定というもの、私どもはそれに対しまして日本政府は認めるわけにいかないという官房長官声明を出してあります。したがいまして、閣僚会議で決められた水域ということでは困るのでございまして、やはりその前の最高会議幹部会令、これはソ連邦が抽象的に二百海里という漁業水域を設けるということを決めたものでございますので、そのようにして、その範囲につきましては少なくとも北方四島を含みますその水域につきましては日本としては認めるわけにいかない、こういうことでございます。
  165. 和田春生

    和田春生君 この問題はいま交渉中でございますから、私はこれ以上深追いはしないでおこうと思います。しかし、いま議事録に残ったあなたの発言は非常に大事ですから、国家百年の大計にかかわりがある。もしあなたの言ったことが違っておったと、事実上認めたことになったという形になれば、それは福田内閣の責任問題ですから、そのことだけを申し上げておきたいと思います。
  166. 小川半次

    委員長小川半次君) 和田君の質疑は後刻引き続き行うこととし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  167. 小川半次

    委員長小川半次君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、昭和五十二年度総予算三案を一括して議題とし、和田春生君の質疑を続行いたします。和田春生君。
  168. 和田春生

    和田春生君 午前中の質問で、領海線引きソ連関係の問題についてお伺いをしたわけであります。この問題については、これ以上深追いをするということは、交渉の途中であるから避けるということを申し上げましたけれども、多少外務大臣の答弁も混乱をされているようでございますし、ある程度やりとりがありますから、私は問題点をごく簡潔に整理をして申し上げておきたいと思います。  それは、先ほども申し上げましたけれどもソ連の最高会議幹部会令には、そういう領土問題について直接触れたことは書いてないわけであります。ところが、最高幹部会議の令によれば、その六項というやつですね、問題の。これはこういうことになっているんです。「ソ連邦沿岸に接続する具体的水域に応じてとられる生物資源保存及び漁業規制のための暫定措置実施の条件及び期間、本会令の規定遵守のための管理措置の確定ならびに本会令第二、三、四及び五条の適用方法はソ連邦大臣会議」、つまり閣僚会議「で規定されるものとする。」となっているんです。「本会令の規定あるいは本会令の実施のために発布される規則」、つまり大臣会議で規定されるものを含みますね。「違反に対しては、その違反者は、罰金刑を課せられるものとする。」と、こういうことは御承知のとおりあるわけですね。この六項を受けて大臣会議で決められたやつが、私が先ほど読み上げましたように、その「最高会議幹部会令第六条に従い、同幹部会令に規定されたソ連邦沿岸二百海里水域における漁業規則についての措置を」「三月一日」から次のようにするんだと、その中に「クナシリ海峡(根室海峡)はソ連国境」であると、こうしているわけですから。この文書の存在を知っている以上、これは最高会議幹部会令と一緒のものであるんだ、だから幹部会令は認めて線引きをやっておいて、後でこれは知らなかったということは通用しないんでしょうと、こういうことを聞いているわけです。つまり根室海峡でもって国境を画定したということになるんではないか。いやそれは認めないと言ってがんばっているんだと外務大臣がおっしゃいますから、これ以上深追いをしないと言ったわけでありまして、しかし事実上後になって、それは幹部会令と一体のものとして、その具体的な措置は大臣会議閣僚会議決定に任している、それによって線引きをやっている、承知の上であろうと、こういうふうになってきて、この北方四島の問題がそこのところで紛糾をしてくると、これはまさに福田内閣の重大な責任問題になるのだ、そのことを十分含んでおいて対ソ折衝に当っていただきたいと、こういうことでありますから、その点について問題を整理して申し上げて、外務大臣の所見をもう一度お伺いしておきたいと思います。
  169. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま和田委員のおっしゃいましたとおりの先方の国内法体制をとっているわけでございます。そしてわが国といたしましては、その閣僚会議決定に対しまして、わが国承知し得ないということを官房長官談話をもって発表いたしているところでございまして、先方は、日本で言えば法律と政令というようなかっこうになっておるわけで、その法律の委任のもとに政令が出ておると、こういうかっこうになっていることはまさにおっしゃるとおりでございます。わが国の態度といたしましては、具体的な線引き、そのうちでも北方領土を含みますところの線引きにつきましては、承服しがたいということを主張をいたしておるところでございます。
  170. 和田春生

    和田春生君 それでは次の質問に移りたいと思います。  具体的に二百海里水域問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず最初に、わが国が実施を予定している二百海里水域の性格はどういうものであるか、この点については農林省の方でお答えを願いたいと思う。
  171. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) いわゆる二百海里漁業専管水域と申しますか、漁業水域の法制については、まだ検討中でございますので成案に、まとまってはおりませんが、わが国周辺水域における水産資源の適切な管理、その合理的利用を図るために、その法律の定めるところによって二百海里の水域内、正確に申しますと、そのうち領海にかかわる部分は落ちることになると思いますが、ここにおいて漁業に関して、いわゆる主権的権利と申しますか、管轄権を及ぼす水域というふうに構成いたしまして、これに必要な規制措置その他一連の規定を盛り込んだものということになると思います。
  172. 和田春生

    和田春生君 そういたしますと、アメリカが実施した漁業保存法あるいはソ連の二百海里水域と、日本が考えていることも内容的には共通のものである、つまり漁業に関しての専管水域と、そういうふうに考えてやっているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  173. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) いわゆる二百海里の経済水域というよりは、二百海里の漁業水域というふうに限定して考えたいと思います。
  174. 和田春生

    和田春生君 当然この漁業問題になってまいりますと、国連海洋法では、二百海里の経済水域という形で草案は論議されているわけですが、もう一つ漁業にも密接な関係のあるものとして、もちろんこれは海底資源にも関係がありますけれども、大陸だなの問題があるわけであります。国連の海洋法会議では、御承知のとおり大陸だなは自然延長論というのが大勢を占めているわけですが、わが国の場合には、この自然延長論になりますと、アジア大陸の自然延長した大陸だなの端っこに日本列島が並んでいるというようなかっこうになっているわけです。そういうふうなことを踏まえながら、しかも漁業専管水域であり、領海については国際海峡三海里の限定ということを政府はいま考えていると——決まったわけじゃないけれども。そうすると、その大陸だなというものについての政府の見解、今後取り組む態度というのはどういうものであるか、この点をお伺いしたい。
  175. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) お答え申し上げます。  わが国といたしましては、御承知のように大陸だなについてはいまお話がありました自然の延長論もございますし、わが国のごときは、基本的には一定の距離基準に従って大陸だなを確定すべきであるという立場に立っておりまして、海洋法会議においてもその立場で臨んでおりますけれども、遺憾ながら自然の延長論の方が有力な勢いを占めつつある、こういう状況でございます。
  176. 和田春生

    和田春生君 そういたしますと、日本が二百海里を宣言をするということをやった場合に、太平洋岸については問題はないわけですが、オホーツク海のソ連との関係日本海ソ連並びに韓国との関係、あるいは東海等いろいろな関係が出てくるわけでございます。そういうのが出てきた場合に、具体的に個々にお伺いするというよりも、原則的にどういう考え方で処理しようとするか、その場合、大陸だなとの関係等についても、もしお考えがあればつけ加えてお伺いをしておきたいと思います。
  177. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) お答え申し上げます。  まずその一つは、いわゆる二百海里の漁業専管水域でどういう線引きを行うかということに属する御質問だろうと理解いたします。わが国としては、わが国の固有の領土の外側に二百海里の漁業専管水域、漁業水域を設定し得る法制でなければならないと思っております。しかし、具体的に設定するかどうかという問題は、やはり国際情勢に応じまして、わが国は近隣諸国と特別の漁業の関係にあるわけでございますから、弾力的に対処する必要があるだろうと思います。法制としては含み得る法制でなければならないと思います。  なお、この大陸だなの問題は外務省から御答弁があると思いますが、水産の魚類である大陸だな資源をどう扱うかにつきましては、実は各国の立法例もまちまちでございまして、わが国の実用にマッチしたように、一番利益になるように、この点は立法過程で少し検討さしていただきたいと思っております。
  178. 和田春生

    和田春生君 外務省、大陸だな。
  179. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) お答え申し上げます。  これはもう先生よく御存じのところでございますが、大陸だなの制度と漁業水域の制度とは全く別のレジーム、別の制度というふうに考えております。海洋法会議におきましてもそういう考え方、海洋法会議の場合には具体的には経済水域というかっこうで議論されておりますけれども、別個のレジームとして討議されておる。わが国といたしましても大陸だなの問題は大陸だな、当面の漁業水域は漁業水域として物を考え、処理をしていくという考え方でおります。
  180. 和田春生

    和田春生君 いまこの問題については、これ以上深く論議することは、具体的な法案ないしは問題が出てきたときの委員会でやりたいと思いますけれども、別々に離れておって、大陸だなと二百海里がこういうふうに出ているという場合にはそういう議論でもいいけれども、さっき言ったように日本の場合はそうはいかない。いわばアジア大陸の大陸だなの上に乗っかっていると、必然的に漁業問題を含めてそういう絡み合いが出てくるので私はそのやり方を聞いているわけです。当然そうなってまいりますと、二百海里水域の問題、大陸だなの上のいわゆる水産資源と、こういう問題も関連してまいりまして、領土の帰属の不確定といいますか、国際的紛争になっているものもある。それにダブって、重複してくることがある。これが中間線で引けるところはいいんだけれどもそうではないと、こういう場合にどういう方針で対処しようとされておるのか、これをお伺いしたい。
  181. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) お答え申し上げます。  いわゆる漁業の二百海里水域、これは諸外国にもいろいろ立法例がございますが、大陸だな資源である水産物というものについてどう扱うのかについてはいろいろな手法がございまして、まだ画一的に確立されたものというふうには言えないと思います。たとえば、大陸だな資源である水産物も一般水産物と同じように扱っている法制もあるわけでございます。それらの国々においても、他の鉱物資源等にどういう取り扱いをするかということは二百海里の経済水域自体はやっていないわけでございますから、まだ明確になっておりません。ですから、われわれといたしましても、やはり二百海里の漁業専管水域において大陸だな資源である水産物をどう扱うかという問題に限定して考えていく必要があるのではなかろうかと思っております。  それからなお、これは二百海里の線引きの問題の境界線の問題にもかかわる問題でございますが、漁業専管水域に関して申し上げますと、現在諸外国の立法の姿も、中間線による場合、たとえばソ連型のような場合と協定線による場合、いわゆるアメリカ型のような場合がございまして、あるいはそれを両者を混合する場合も考えられますので、その辺についてもさらに立法過程で検討したいと思っておりますので、両面から御検討をいただく必要があるだろうと思っております。
  182. 和田春生

    和田春生君 そういたしますと、中間線により、あるいは協定線によりましても、話がつく条件ならいいんですが、先ほど問題になった北方領土の問題なんかになりますと、もっと根底の問題で話がつかない。また、外国においてもいろいろな問題でこれは解決がつかない、紛争の種を残しているわけですね。むしろわが国が、そうなれば積極的に、そういうふうに争いが残る場合にははっきり線引きをして分けるんではなくて共同管理方式と、そんな簡単に言ってもたとえばソ連が相手というのはむつかしいかもわかりませんけれども、そういうところについてはそういうものを主張してイニシアチブをとると、そういう考え方はあるかないか、これをひとつ外務省に聞いてみたいと思います。
  183. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) 二百海里の漁業水城の法律に関する問題でございますので、私の方からまず考え方を御説明申し上げたいと思います。  現に二百海里の漁業専管水域については、まさに先生御指摘のように、共同規制水域を設けている実例もございます。ただ、これは具体的にはやはりそれぞれ二国間で協定を結んで、それを受けて国内法制措置を講じている、あるいは二百海里の漁業専管水域との間に法的調整を図っているという形になるわけでございます。確かに御指摘のように、長期的に展望いたしました場合、わが国周辺水域では漁業に関する共同規制水域を設け得るということは十分考えられることだろうと思っております。特に二百海里時代においては、その可能性が従来以上に高まるということは否定できないことだと存じます。そういった場合においては、やはり協定で問題を処理すると、それを受けて国内措置を講ずるということだろうと理解をしております。
  184. 和田春生

    和田春生君 この点については、ことしの夏また国連海洋法会議が再開をされるわけでありますが、十分そういう点について日本の国益を考えながら、将来にわたって合理的な解決方法を考えるという態度で取り組んでいただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  これは農林省に伺いたいんですが、二百海里によるわが国漁業への影響がいろいろ言われておるわけであります。お聞きしたいことはたくさんございますけれども、きょうは予算委員会質問でございますし、時間の制約もございますから、問題のソ連に限ってお伺いしたい。  ソ連の二百海里が実施をされて予想される結果がどうなるかはいま交渉中でありますけれども、たとえば全部締め出された、あるいはアメリカ並みに七、八割は認められた、あるいは半分ぐらいになったと、いろんなケースがあると思いますけれども、まず全部締め出されたとした場合の影響、これは質問通告をしてありますが、水揚げ量、額、あるいは主な魚種別、減船、船員雇用、転換の可否、入漁料の負担、業者の損失見込み、あるいはコストアップと魚価への影響等について、わかっている範囲でひとつお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  185. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) いま先生の方からお話がありましたように、交渉途中なのでなかなか想定はむずかしい部分もございますが、現在ソ連の二百海里寄りの水域の中で操業しておりますわが国の漁業の実績をかいつまんで申し上げますと、これは北方四島周辺も含めまして考えますと、大体昭和五十年の実績で漁獲量でまず百七十万トン程度でございます。そのうち、スケトウダラが約百万トン近くを占めております。そのほか、サケ、マス、カニ、その他いろいろな魚をとっております。とっております漁業の種類は、大きなものから言いますと北転船といいます底びき網漁業、それから沖合い底びき網漁業、やや型の小さな船を使用しております。その他沿岸の漁業等でかなりの数の種類の漁業がございます。全部で合わせまして、許可件数と申しますか、延べで約一万隻、延べ人数で言いまして十一万四千人の人間が従事をいたしております。こういったものが仮に全部締め出されたらどうなるかという話でございますが、ちょっとその点につきましては現在の段階で十分な想定はできない、しかし、非常に大きな影響があるということは間違いなく申し上げられると思います。  それから入漁料等の点につきましても、これはまだちょっとソ側の方からも具体的に全く話が出ておりませんので、今後の検討事項であるというふうに思っております。
  186. 和田春生

    和田春生君 的確なことはわからないと思いますが、たとえば船員の数は全部言われましたけれども、それの減船その他になると、転換可能なものと転換不可能なものといろいろあると思う。それらについて概略どれぐらいの損失、つまりそうなった場合にがんばらなくちゃいかぬということになると、これは外交関係によって生じたことですから、安全保障の一環として考えて、やっぱり政府責任でてこ入れしてやらなければいかぬ、そういうことのためにも大体どの程度の見当の損失が出ると見込まれるか、それをお伺いしたいと思います。
  187. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現段階では大変お答えしにくい問題でございますが、私どもとしてはできるだけもちろん実績の確保に最大限の努力をいま払いつつあるわけでございます。ちなみに、ソ連の二百海里水域内での漁獲金額を概算推定いたしますと、年間で約千三百億円前後になるというふうに推定をいたしております。しかし、それは粗生産金額でございますので、必ずしも所得とは直結いたしません。そのうちの一体どの程度がダメージを受けるか、それからまた、たとえば北転船のようにソ連寄りの二百海里の漁場以外に操業区域を、たとえばアメリカ寄りの方の水域に持っておるような漁業もございますし、沖合い底びきの中にもほとんどソ連寄りの二百海里内だけで操業しているものと、季節によりまして北海道周辺あるいはその他の海域で日本寄りの方でも操業しているものもございますので、非常に漁業の実態によりましてまちまちでございますので、今後日ソ間の交渉が進みまして、その辺が明確にある程度見当がつきました段階で早急にそういう整理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  188. 和田春生

    和田春生君 どうなるかわからぬとはいうものの、大変むずかしい交渉ですから、しばらくもうだめでがんばらなくちゃいかぬというときに、将来は話し合いが戻って何とか決まっても、いま現に締め出されているわけでしょう。そういう中でいろいろ考えてみても、たとえば母船式の底びきあるいは北方トロール、北転船、沖合い底びきあるいは北太平洋のズワイガニ、北太平洋のニシン刺し網、こういうようなものは事実上転換するといってもむずかしいですね。そういうような転換がむずかしいか、あるいは当面全然きかないと、そういうものについてこの状態が続いた場合にどれぐらいのやっぱり損失を業者は負うか、また、そこから失業の浮き目に遭う、あるいは仕事がなくなって困る船員はどれぐらい出てくるか、お伺いしたいと思います。
  189. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 初めに、先ほど申し上げました概算金額は実は昭和五十年の単価で計算しましたもので、五十二年度の状態で考えますとまたちょっと数字は違ってくるというふうに思います。この点ひとつお断わりしたいと思います。  それから、いまお尋ねの具体的な漁業種類ごとのいろいろな影響程度でございますが、これは私どもの方もどの漁業について、どの時期に、どの場所で操業し、どのぐらいの人が操業しているかということを細かく漁業種類別に実は、実態は調査いたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、季節によりましてもいろんな操業形態がございますし、地域によってもその態様がまちまちでございますので、現在の段階で大体漁業種類ごとにこの程度のダメージを受けるだろうということをまだ確信を持って申し上げる段階には至っておりません。
  190. 和田春生

    和田春生君 見当もつきませんか、おおよその。
  191. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) やはり漁獲量等が決定をいたしませんと見当がつきかねるわけでございます。
  192. 和田春生

    和田春生君 それはむずかしいことはわかっておりますけれども、農林大臣も補償等については考えるという発言をしていることもこれありだ、やっぱりそういう点についてはどれぐらいのものが、最悪の場合にこれぐらいのものが生ずるということを見当つけておかぬと、財政措置を講ずるといってもなかなかやりにくいわけでしょう。少しでも条件がよくなってくればその分が助かるわけだけれども、この締め出されたままことしは続いていって漁期を失うという形になると、みんな、パアになっちゃう、転換ができない、どれぐらいのことになるだろうかと聞いているわけです。
  193. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 先ほど漁業の現状については申し上げましたわけでございますけれども、それのうちのどの部分がどの程度ということは、やはり交渉の結果を待たないと見当がつかないという段階でございます。
  194. 和田春生

    和田春生君 交渉の結果に全部逃げておけばすべて楽でいいですけれども、それじゃ本当に守るというても口先だけになったんでは困るわけです。  そこで今度は、これでやりとりしておってもらちが明きませんから、具体的に質問進めたいと思うんですが、四月五日の報道によりますと、北洋漁業の減船、休漁補償などについて農林省に対策本部をつくったと、こういうふうに報道されておるんですが、この対策本部はどういうことをやるのか、現在何をやっておるのか、それをお伺いしたいと思います。
  195. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) 現在、農林省の事務次官をキャップにしまして農林省の中に緊急対策本部を設けたわけでございますが、当面はいろいろすでに三月中休漁しております四十八度以南のニシン流し網のような漁業もございます。それからまた、今後四月一日以降もソ連側とのトラブルを避けるために休漁しているような船もかなりございますので、そういったものが長期化しました場合にどういったような休漁中のつなぎが必要であるか、それからまた、将来日ソ間の漁業交渉が決まりました場合に、一体それぞれのいろんな救済対策をどういう考え方で進めていく必要があるか、こういったことを少し統一的に整理をしておく必要がございますので、現在のところでは、当面ニシンの問題についていろいろ検討していますほか、こういう漁業種類別の実態をよく把握をしておく、従来ですと大体大型の漁船が中心でございましたけれども、今回は北海道の知事許可段階のかなり細かい漁業もずいぶんございますので、そういう準備を、実態の把握という意味で準備を始めたということでございます。
  196. 和田春生

    和田春生君 その作業を急いでほしいと思うんですが、いずれにしても対米交渉においても減らされた、それからソ連との間においてもまるまるいままでどおりいくという可能性はない。下手すると今度日本が譲歩して決めても、次にはもっとむずかしいことを持ち出してきて、たとえば日本の二百海里水域内とソ連の二百海里水域内と漁獲量イーブンでやろうじゃないか、そうすれば日本が三十万トンしかとらしてくれないなら日本にも三十万トンしかとらせないということになると、だんだんだんだん追い込まれてくるわけですね。これはなかなか大変な問題である。そういうような場合について、減船をするとか転換対策というのは必至でありますけれども、そういうものについてどの程度のことをいま考えているかをお伺いしておきたい。
  197. 佐々木輝夫

    政府委員佐々木輝夫君) アメリカ側との関係では、大体交渉の結果五十一年の漁獲実績に対して一一%程度の漁獲減ということで確定をいたしまして、それに合わせていろいろ業界の再編成等も内部で相談をさせまして、いろいろ水産庁としても指導したわけでございますが、その結果で北方トロールで大体十七隻操業しておりましたうち二隻は業界の中で話し合わして自主的に減船をする、それから別に二隻を海洋水産資源開発センターという機関が新漁場の調査をやっておりますが、そちらの方の調査船としてそれを利用して、チリ沖それからインド洋の南部の方の調査をやるというようなことを一応考えたわけでございます。これに伴います人員のいろんな再配置の問題もございますが、これはその程度の問題でございましたので、それぞれの社内で大体解決ができる見通しがいまのところはついております。問題の日ソ関係の方につきましては、やはり今後の交渉の結果を待つといいますか、最大限度実績の確保に努力するということが最大の現在での主眼でございますけれども、その結果で、おっしゃるとおりある程度減船を余儀なくされるというものも出てまいるかと思いますけれども、その減船の程度であるとか、それから漁業の経営規模であるとか、漁業の種類によりましては期間操業といいますか、たとえば四月、五月だけの操業というような漁業もございますし、そういった兼業形態その他を十分検討して、漁業の実態に応じた適切な対策を考えなきゃいけないというふうに考えております。
  198. 和田春生

    和田春生君 考え方はそういうことだと思うんですが、また日本が外交的な見通しを誤ってのほほんとしているうちに追い詰められたわけですから、ここにきてどろなわ式にいろいろあわてているということはわかるわけですけれども、それではもうこれからの折衝においても何にしても、日本の国内態勢がきちんと固まっていなければ、業者の人たちにしては生活がかかっている、船員についてもこれはもうそこに全部生活がかかっているわけですから大変だという形になってくると、そういう目先のことにかまけて将来の国益を失うという可能性があるわけですね。ですから、少なくとも最大の被害を受けたとしてもこれだけの補償はできるんだということをきちんと持っておって、そうして折衝していって、被害が少なくて済めばよかったという形になるわけですね。そういう点について、大蔵大臣も先ほど来から出番がないようでございますが、十分措置すると、今年度の予算で足らぬ分は補正予算に組んででも国益と国民生活を守るためにやるという決意があるかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  199. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  二百海里をめぐる日ソの漁業問題の折衝はいま精力的に行われておりまして、私どももその結果がどういうふうに出てくるかということを注目いたしております。しかし、なかなかこれ予断を許さぬような状態にありますが、もしもその結果に基づきましてわが国の漁業があるいは転換せにゃならぬとかいろんなことが起こってくるかもしれぬ。そういったような場合には、これは財政当局といたしましては、政府関係各省と密接なる相談をいたしまして、そうして日本の漁業に混乱が生じないように、できるだけ必要にして適切なる措置を講じてまいりたいと、かように考えております。
  200. 和田春生

    和田春生君 お話しのとおりに、具体的に措置されることを特に希望いたしまして、大蔵大臣の答弁を確認いたしておきたいと思います。  今度は、船員の問題につきまして、これは生活のすべてをかけている漁船乗組員にしてみれば大変なものでございまして、下手をすると何万人という失業者が出る可能性さえはらんでいるわけです。ところが、陸上では雇用保険法、失業保険法が改正をされまして事態はかなりよくなっているわけですが、船員保険の場合には事情が違うわけであります。船員保険の失業保険の適用状況をひとつお伺いしたいと思います。これは厚生大臣。
  201. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 五十一年十二月末の全体の被保険者数は二十三万五千二百三名でございます。そのうち漁船船員は十一万三千四百四十九人ということになっておりまして、その漁船船員のうちさらに失業部門が適用される者、つまり十一万三千人の中で失業保険に相当するものが、適用される者が三万八千九百九十八人、ざっと三万九千人、したがって三四%というような状況でございます。
  202. 和田春生

    和田春生君 結局、失業保険の適用を受けている漁船船員は三分の一しかいないわけであります。三分の二はその適用外にある。法的には雇用保険からも見放されている形になっている。このギャップをどういうふうに埋めようと考えているのか、この補償措置との関連政府の所見を伺っておきたい。
  203. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御指摘のように、船員の場合はその中に機船とか機帆船のようにほとんど引き続いて雇用されるものと、漁船のようなものですね、特に先生言ったのは漁船でしょう。漁船は三四%しか適用がない。これはもう最初から半商半農といいますか、五トン以上の船まで適用するようなことになっておりますけれども、実際は三カ月とか二カ月とかぐらいで失業して、また帰って自分の仕事をやるというようなことなので、これを保険の中で取り入れるかどうかということは、非常に大きな基本的な問題になります。御承知のとおり、一般の雇用保険の方は二千三百万人というふうな大変大きな人数ですから、その中で多少のことは何かできる。ところが、こっちは二十三万人という小さな数字ですから、その中で仮に十一万のうち八万人も、ちょっとしか勤めない、掛金を少ししか払わぬ人を見ていくということになるというと、その負担というものは非常に大きな数字になってしまう。したがって、これは保険制度の根本に入る実は問題であります。したがって、現在の船員保険のままで、船員保険でそれを見ろということはなかなか大きな問題であって、むしろもう三カ月しか勤めないことが最初からわかっているわけですから、ですから、保険の問題というよりもむしろ産業政策の問題として、減船とかあるいはそのほかの産業政策の問題としてこれは取り上げらるべきものではないだろうかというような気もするわけであります。
  204. 和田春生

    和田春生君 確かに船員保険というのは適用員数が少ないから、厚生大臣の御指摘のような問題点はあると思う。ところが社会保険庁自体の調査によりましても、被保険者期間が大体十二カ月以上の者が六一%、六カ月以上の者が三二%、六カ月未満の者がわずかの五%程度という数字が発表されているわけです、五十年十月から十二月まで。そういたしますと、陸上の失業保険と比べましてほとんど通年操業しているというものの数の方が多い。にもかかわらず、船員保険法の欠陥に便乗と言うと言い過ぎかもわからぬけれども、除外例によって三分の二の者が失業保険の適用を受けていない、こういう問題があるわけですね。これを直さなくちゃいかぬ。同時にまた、自治省に委託をしている分について、各都道府県における指導状況が違うために、適用すべき者がされてないというばらつきもある。まずそういう足元から正す必要があると思うんですが、こういう点について、厚生大臣並びに自治省の方からお伺いしたいと思うんです。
  205. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 後の方から先に申し上げますと、いま先生がおっしゃったように、確かに同じ漁に行っても、南の方と北の方では違うじゃないかというようなことがあるようであります。カツオ、マグロの漁場に行っても、静岡以南の方はどうも適用されてないと、それから以北の方はどうも適用されているようだというようなことを言われるわけです。これはしかし、その業種によって区別すべき問題ではなくて、やっぱり実際に続いて船に乗っておるということであるならば、そういうばらつきがあるのはおかしなことなんでございますから、これは通年雇用というものの実態がどうなっているのか、そういうものも調べて、そういうふうな適用漏れのないように今後とも指導を強化してまいりたいと、そう思っておるわけでございます。  もう一つは、陸上労働者の場合では短期の雇用保険制度がございます。船員の方にはないというので、それの問題はどうするのだということ、これは大きな実は問題なんです。そこへもってまいりまして、昨今の海運事情というものが非常に不況であると、水産界もふるわないと、こういうような非常に厳しい経済環境の中で、これがひいては船員保険の財政運営にも影響してきているわけです。ですから、現在のままで短期のものを船員か。
  206. 田村元

    国務大臣(田村元君) どうも先ほどは失礼しました。大蔵大臣がちょっと私に質問をしておったものですから、どうも大変失礼いたしました。お許しを願いたいと思います。  先ほど労働大臣が申されたとおりでございます。私ども全く同意見であります。
  207. 和田春生

    和田春生君 さらに、わが国の沿岸におきましては実はもう一つの問題がある。外国の二百海里でだんだん漁場が狭められるということだけではなしに、日本領海内にソ連船、韓国船等がどんどん入ってきて操業をして漁場を荒らしているという問題があるわけであります。しかし領海三海里ですから、向こうにしてみれば公海でやるのに何の文句があるかと、こういう形になるわけですが、たとえば北海道の釧路の沖合いにおきましても領海十二海里以内、これは御承知のとおり沖合い底びきの取り締まり規則の周年禁漁区域というものがある、領海の外だけでもつくっている。周年禁漁区域になっていなくても、これは漁業関係者が自粛をしていると、こういうところがあるわけですが、そこにどんどんどんどん大型船で入ってくるようになると、向こうに言わせれば、公海だから公海の自由であると言う。ところが、それによってわが国の沿岸漁船、漁業者、大変な迷惑をこうむると、こういう問題が起きているわけですね。この面からもいま追い込まれているわけです。一体そういう点について、どういう対策をとろうとされるか。
  208. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) お答え申し上げます。  まず現在の事実を申し上げますと、ソ連につきましては、日ソ間で安全操業協定を結んで損害賠償の処理なりあるいは安全操業のルールづくりということをやっております。しかし、操業区域の問題につきましては、率直に申し上げまして、専門家会議等も行いましたが、必ずしも当方の主張は取り入れられておりません。部分的に当方の主張が取り入れられてるというのが真実でございます。  そこで、基本的には領海十二海里ということが実現すれば、その中には外国漁船は入れないという問題になると思いますし、さらに二百海里の漁業専管水域ということを設定すれば、一定の遵守事項というものを外国人漁業に対して要求していくということになると思いますので、その過程の中でどこまで処理していくかという問題だと思います。  ただ、韓国につきましては、これはなかなかむずかしい問題があると思います。わが国韓国との間には日韓漁業条約がございまして、わが国の多数の漁船が平穏に韓国の二百海里水域内で多数の漁獲を上げている。現在韓国に直ちに、二百海里の漁業専管水域の法律をつくった場合、適用することはどういう事態になるか、それは現在の日韓漁業条約とどういう関係を持つか、また、全体としての日韓漁業関係にどういう影響を与えるかという、かなり深刻であり重要な問題がございます。  そのような視点で、とりあえず現状の問題としては自粛を呼びかけておりまして、二週間ほど前でございますが、韓国側から私どもの方に返事が参りまして、当面十二海里と沖合い底びきの禁止ラインの中には入れない、それから安全操業のルールづくりについては民間の交渉を行うということを約束してまいりまして、去る三十一日からこの四月の四日まで民間の第一回交渉を行って、それなりの理解を深めてきたと思います。まず当面の問題としては、韓国側も提示してまいりましたその約束のラインを遵守させ、さらに、その上に立って安全操業のルールづくりに努めるということが重要な課題ではなかろうかと思っております。
  209. 和田春生

    和田春生君 ソ連の場合でも、ここに写真がたくさん来ておりますが、まあここで見せることはやめますけれども、ひどいもので、勝手ほうだいにいろんなものをほうり込むものですから、日本の漁船が網を引けば、がんがらやらスクラップがごろごろひっかかってきて、はしにも棒にもかからぬという事態がある。  それから韓国の場合も、日韓漁業協定はわれわれも認める立場に立っている。どの国とも争う必要はない。協定はきちっと守ればいい。しかし、日本の漁業が周年禁漁区域にしているとかあるいは魚族資源の保護のために規制をしいているというところについては、きちんとやっぱし相手側に知らして、そういうトラブルが起こらぬようにしておかなければ、三海里以外は公海だから公海では自由ではないかと、日本がいままで使っておった議論をそのまま使って攻め寄せられたんじゃ、被害をこうむるのは関係の漁業者なんですね。そういう点の措置に手ぬるい点があると思うんです。  これはひとつ外務省に伺いたいんですけれども、一体そういう点で韓国側にきちんとそういうことを理解させるどういう措置をとってきましたか。
  210. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) お答え申し上げます。  まず経過を申し上げます。ソ連に対しましては、唐三外交ルートを通じて、われわれとの間に締結いたしました安全操業ルールの遵守ということを再々呼びかけておりますし、またソ連側に対しても、事故の防止という視点から、われわれ現実の操業規制を行っております実態については周知を図っております。  韓国側につきましては、これは実はわが国の漁船の韓国周辺水域における安全操業なりトラブルの問題も、いわゆる条約に基づいて民間交渉というルールができて、年々やっておるわけでございます。今度韓国わが国の北海道沿岸に来て行う場合も、やはり同じ形で処理するのがよかろうということで、大日本水産会を窓口といたしまして、韓国の中央団体との間に話し合いをさせておりますが、もちろんこれだけではわれわれも不備だと思っておりますので、安全操業のルールを守ると同時に、規制内容韓国政府に知らしております。特にこの一カ月、ソ連の二百海里水域の設定によりソ連水域から追い出されました韓国の漁船が過渡的にわが国の北海道周辺に来ているということは否みがたい事実でございますので、これが数カ所で事故を起こしております。  そういう意味で、特に留意すべき地域につきましては、わが国の沖底の禁止ライン、あるいはその他オッタートロールの禁止ライン等の図を明確に送りまして、当面とりあえず自粛措置を講ずるということを強く要請して交渉中でございます。
  211. 和田春生

    和田春生君 確かに民間交渉で大水あるいは現地の漁労長同士の話し合いが進んでいるということは私も聞いているわけです。しかし、現実に問題が起きているわけです。これは漁船の問題だけでなく両国の外交関係も含んでいるわけですから、やっぱりそれは、何でもかんでも農林省の水産庁に任せるんじゃなくて、日本の国益を守るという面から、また両国関係をきちんと整理をして、無用のトラブルを起こさないようにするということは両国のためになるわけです。外務省、どう考えて何をやってきたかということを聞きたいと思うんです。
  212. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 韓国漁船による被害は、最近になって急に増大しておるわけでございます。水産庁とよく連絡をとりまして、何らか必要な措置があればとりたいと思います。
  213. 和田春生

    和田春生君 ぜひこの点については、民間任せ、あるいは漁業問題だけではなしに、両国関係の基礎に立ってきちんと整理をする、そしてお互いに操業できるようにするということを考える。で、日本の漁業の利益を守ってもらいたいと、こう思います。次に質問を移りますけれども、いまの問題とも関連をするわけですけれども、実はけさほど来議論をしてまいりました領海あるいは十二海里、こういう問題、盛んに言っておりますけれども、何と言っても十二海里に領海を広げた、二百海里の水域を設けた、それを侵すものがあれば、国内だけではなくて外国に対してこれを拒否する能力がなければ、全く意味がないわけですね。そういう点について、これだけ水域が広がるという形になると、海上保安庁の守備範囲というものもうんと広がると思うんです。その点についてひとつ海上保安庁から、どういうふうに見、どういう対策を講じているか、聞きたいと思うんです。
  214. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のように、領海が広がります。それからさらに二百海里という問題も近くやってきます。で、私どもの現有の勢力といたしましては、巡視船艇が三百十隻でございます。それから航空機が三十四機でございます。全国で大体百十六の保安部署に巡視船艇を配置し、航空機は十二基地に配置をしてやっております。領海警備に当たっては、さしあたって重点的にそれらの勢力を有効適切に使って領海警備の実効を上げるということを考えております。  ただ、御指摘のように漁業操業の秩序を保つべき範囲が広がりますし、海洋汚染防止の仕事も範囲が広がりますので、やはり勢力を増強する必要がございますので、ことしの予算案にはヘリコプター巡視船一隻、三十メートル三十ノットの高速巡視艇二隻、大型飛行機一機、ヘリコプターを一基地と一機という計画を立てて予算案に盛ってございます。  ただ、今後それでよろしいかどうかという問題は、仕事が大変だと思っておりますので、よく検討していきたいと。計画は立てておりますので実行に移す必要があろうかと思っております。
  215. 和田春生

    和田春生君 いままでの領海三海里だって海上保安庁はふうふう言っておったんでしょう。十二海里にふえてざっと三倍近く、それから二百海里が出てきて善処したいで済みますか。正直に言ってくださいよ。事は安危に関する問題ですから。
  216. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 率直に申し上げまして、私が先ほどお話しいたしましたように、現在の装備では手薄なことが非常に心配でございますので、今後整備計画を着々と進めたいということでございます。
  217. 和田春生

    和田春生君 どういうプランを持っていますか。
  218. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私ども実は自分の中で計画を持っているんですが、まだ外に、政府としてのお話もまだしておりませんので、目下その計画を着実に進めるということで御了解いただきたいと思います。
  219. 和田春生

    和田春生君 ちょっと頼りなさ過ぎるんですがね。もう少しこういうことを考えているというんじゃないと、もう領海十二海里がかかっているわけでしょう。一方で二百海里ももうじき国会へ出てくるというんだ。これやれば実施せにゃいかぬ。もう目の前のことですよ。だから海上保安庁としてはこうやってもらわなけりゃ責任持てぬというものがあっていいじゃないですか。運輸大臣いかがですか。
  220. 田村元

    国務大臣(田村元君) 実は海上保安庁が計画を立ててはおります。おりますけれども、私がこれを外へ出すことをとめております。と申しますのは、もっとふっかけろと、こう言って、実を言うといま少しくりっぱなものにということでございますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  221. 和田春生

    和田春生君 大蔵大臣大丈夫ですか。
  222. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) お答え申します。  十二海里ができ、二百海里ができるということに相なりますと、海上保安庁の守備範囲と申しますか、これはもう飛躍的に増大するという事実は、これは事実として認めなけりゃなりません。そういったようなことに対しまして、やっぱりその事実と、それからそのときの日本の国の財政経済ということも考えなけりゃならぬでしょう、それを全然関係なしにというわけにはいきませんけれども、その範囲においてできるだけのことを、これを措置していかなければならないと、かように考えております。
  223. 和田春生

    和田春生君 財政経済と無関係とは言わないけれども、安全保障に関してはそれではいけませんが、できるだけやるということでありますから、運輸大臣にもうんとふっかけてもらうということを期待いたしまして、防衛庁長官にお伺いしたいんです。  この新しい十二海里、二百海里時代に海上自衛隊並びに航空自衛隊はどういう任務、役割りをするとお考えになっているんですか。
  224. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  現在、新海洋時代に移行するわけでございまするが、現在までやっておりまするのは、海上警備につきましては、一般的にはいま海上保安庁が申されたような状態で、海上保安庁の任務でございまするけれども海上保安庁の任務に対しまして、協力をまずいたしておりまするのは、自衛隊は周辺海域におきまする航空関係の救難でございまするとか、あるいは海難に際しましての要請に基づく行動でございまするとか、そういうものを災害派遣という立場で人命救助等いたしまして協力をいたしておるという状態でございます。  なおまた、少し大規模なそういう問題がございまする場合には、特別必要を認められた場合には総理大臣の承認を得て行動を開始するというようなことを現在まではやってきておるわけでございます。したがいまして、新海洋時代になってまいりまして、防衛庁はどうなのかというまた御質問でございまするが、現在におきましては、人命救助でございまするとか、あるいは財産の保護、あるいは治安対策等につきましては海上保安庁がおやりになるというたてまえでございますが、いましかし海上保安庁からも申されましたような事態でございまするので、防衛庁といたしましては、いまの調査活動あるいは訓練あるいは監視活動という面から、そうした新海洋時代に即して全面的に協力体制をしいてまいるということでおるわけでございまして、当面どういうようにいま自衛隊法をいじるとかいうようなことは考えておりませんけれども、その推移を見ながらこれに対処する勉強をさしておるというのが現在の事態でございます。
  225. 和田春生

    和田春生君 その勉独ということも結構でございますけれど、防衛庁長官、どんぱちと戦争をやるというようなことを言っているわけじゃない。やっぱり自衛ということについては、不法に日本の主権を侵す者があれば拒否する能力を持っているということが、独立国としての最低の条件だとぼくら思うわけですね。それなら、たとえば自衛隊の平常業務として、二百海里に拡大されたところを常時監視をしている、それを実際に排除するという場合には直ちに海上保安庁に通報して保安庁がやる。いまの保安庁じゃとてもじゃないが足がないからできませんけれどね。しかし、少なくともそれぐらいのことを二百海里時代には考えなけりゃ防衛庁長官でございますと言えないと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  226. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お説のとおりでございまして、防衛庁におきましては、新海洋時代に処して、ただいま申し上げましたように調査活動、監視活動、訓練活動の面でそれに対処しておるわけでございます。そして事態が発生いたしますれば海上保安庁に通報しながらこれに対処していく。今日までもそういう対処をしてまいったわけでございまするが、しかし、新海洋時代になりますと広域になりまするから、空、海相協力をさせましてそういう体制に向かわねばならぬと思っているわけでございます。
  227. 和田春生

    和田春生君 その点についてはまた改めていろいろお伺いしたいと思いますが、きょうはこの程度で、積極的な対応策を希望しておきたいと思います。  それからもう一件は、新しく二百海里になったという場合に、単に日本の漁業を守るというだけではなくて、その中で環境をちゃんと保全をしていかにゃいかぬ。同時に、その中において水産資源というものが培養できるような良好の条件を保っていかなくちゃいけないと思うんです。現在の法律体系で見ると、海上の汚染防止、これは法律がある。ところがすでに汚れているやつをきれいにしてちゃんとするというのは、法律体系でいくと環境庁の所管らしいと思うんですが、環境庁長官どうですか。
  228. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 環境庁の行政権限は、海上の環境にただただ胸を痛めるだけでございまして、これを実際に規制するという権限は海上保安庁にあるわけでございます。ですから、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というのがございますけれども、実際のこの運用と申しましょうか、監視なり防止、たとえば外国船なり日本の船が近海でスラッジを流すといった元凶に対しての直接の規制というものは、これは保安庁に委嘱して海上の環境の保全に努めているわけでございます。
  229. 和田春生

    和田春生君 それじゃ両方にお伺いしますけれど、両方の法律関係を調べてきたわけです。片方は汚染防止なんです。ところが環境庁の設置法というのによれば、「自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、」と。つまり、いい条件を積極的につくっていくという整備の方向はどう法律を読んでみても環境庁の所管らしい。運輸省はそれまで引き受けているんですか。これは大事な問題ですから、ちょっと時間が経過しましたけれども、運輸大臣にもお伺いしたい。
  230. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 海洋汚染防止法の取り締まりは私どもの仕事でございます。ただどういうふうに……
  231. 和田春生

    和田春生君 取り締まりじゃない、いい条件をつくっていくという、海の中。
  232. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) いい条件をつくっていくという面では汚染を防止する基準なぞは環境庁でおつくりになっておる、それを実行に移して取り締まりするのはわれわれの仕事と、こういうことでございます。
  233. 和田春生

    和田春生君 この面につきましては、新しい問題が十二海里と二百海里の問題がたくさん出てくると思う。運輸省、保安庁それから農林省、水産庁それから環境問題、いろいろデータがありますけれども質問時間も終わりになりましたので、これ以上はここでは申し上げません。十分検討しておいていただきたい。また農林水産委員会等で機会があればお伺いをしたい、こういうふうに思います。  なお、予定した質問の中で沿岸、沖合い漁業振興問題が残りました。これは農水の審議の際にもっと具体的に緻密に取り上げたいと思いますし、衝突予防法については運輸委員会ないしは交通安全委員会の中で、法案審議の際に残した面についてはやりたいと思います。  ただ、最後に一言だけ申し上げたいのは、海にしぼった質問に対しまして、政府側の勉強ないし用意というものははなはだ不十分である。よそも十二海里いったからおれの方も十二海里、よそが二百海里いったからおれの方も二百海里やったんだというだけで満足をしているようなことでは話にならぬので、法案を国会に出して十二海里領海法をやる、二百海里をしくというのならば、それの裏づけになる措置と関係に対する具体的な財政的裏づけがなければ、これはもう話にならない。そういう点で、まさに政府の態度というものはわれわれにとってきわめて不満でありますから、この質問を契機にいたしまして積極的に取り組んでいただきたい。このことを特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  234. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして和田春生君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  235. 小川半次

    委員長小川半次君) 引き続き、杉山善太郎君の質疑を行います。杉山善太郎君。
  236. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、わが国は世界ただ一つの被爆国であると、そういう基本的な認識の上に立って核燃料サイクルの問題に直接間接に関連いたしまして若干の質問を展開いたします。  実はいろいろ時間の制約もこれありまして、参考人を呼んでいただきたいというふうに配慮したわけでありまするけれども、運営に協力をする意味で、実は参考人はお願いをして同意をいただいたわけでありまするけれども、しかし差し控えまして、原子力委員長の代理人である井上さんに来ていただきますので、ひとつ井上さんに説明をしていただきます。  実は四月八日の米国のカーター大統領は、原子力に関する七つの項目からなる新政策を発表しておられます。その内容は、かねてから大体私どもが予測した柱だというふうに感じております。井上原子力委員長代理は、二月の時点で、非常に御苦労であったと思いまするけれども政府側の特使といいますか、あるいは使節団の団長として向こうへ渡っておられまするので、その時点で、たとえばこれは二月二十日前後の時点だと思いまするけれども、動燃の東海再処理工場を予定どおり七月に試運転させるという、そういうめどを、これはああしないか、こうしないかということではなくて、米国政府の直接のスタッフとお会いになって、そして核拡散に対する米国の厳しい姿勢というようなもの、それとかてて加えてこの東海村のやはり再処理工場の試運転等々の問題の兼ね合いでどのような感触を得て帰って来ておられるかということについて、あなたは専門家でもいられますし、だいぶ原子力行政については、行政懇の実は草分けでもあるし、今後の行政懇のあり方はかくあるべきであるという井上五郎私案というものを出しておられる立場にありますので、再び質問しなくてもいいようなぐあいにひとつお答えをいただきたい、まずその問題をお願いいたします。
  237. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) 大変広範な御質問でございますが、その第一でありまするこの二月末にアメリカに行きまして、ただいま御指摘の問題についてのアメリカの感触あるいは私どもがいかような応答をしてきたかということにつきましては、今日では新聞等にも詳しく出ております。私が参りました問題は、ただ一つ動力炉・核燃料開発事業団で、現在コールドテストを終わってまさにホットランに入ろうとする再処理工場の運転いかんという問題ではございません。  カーター大統領が選挙演説中の所信表明、またそれにこたえまして、フォード大統領が十月二十八日にこたえましたアメリカの新政策というものが、在来続けておりました日本の原子力政策と必ずしも相入れないという問題につきまして、日本の事情を十分アメリカの当局者に了解をしてもらうと、そういう意味で、その一環といたしまして再処理工場の運転の問題。第二の問題といたしまして、電力業界がただいま考えておりまする英仏に対する燃料の送り返しの問題。また第三の問題といたしまして、将来日本独自につくるであろう再処理問題等々につきましての日本の原子力エネルギーの開発の基本問題につきまして日本の事情、すなわち石炭なり、天然ガスその他等々多くの代替物を持っておりまするアメリカと、いわゆる資源小国である日本との基本的違いからこの政策がやむを得ないということの事情を説明に行ったと申しますのが私の主たる任務でございまして、特にそのときにアメリカとかくかくの問題についての交渉をするという任務を受けておったわけではございませんが、帰ってから申しましたように、アメリカの壁はなかなかかたいと申しますか、厚いと申しますか、なかなかこの交渉は容易ではないというようなことを申し上げた次第でございます。  第一点はそれでよろしゅうございましょうか。それとも次の問題……
  238. 小川半次

    委員長小川半次君) 答弁者、それでよろしゅうございますかと言う必要はないんです。あなたのお答えだけされればいいんだから。
  239. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) さようですか。  それでは以上はそのくらいにいたしまして、第二点の御質疑が、私が数年前に原子力委員会のあり方等につきまして一つの私見を発表いたしました。その後「むつ」の問題を契機といたしまして、内閣総理大臣の諮問機関といたしまして原子力行政懇談会というものができました。それで御審議がありましたときには、今度は原子力委員会としての見解を申し述べるようにということがございまして、そのときは原子力委員会の一員といたしまして、私は当時の座長でありまする有澤委員長に対しましての答弁書を出した次第でございます。その私の私案といたしまして出しましたものは実際は昭和四十九年の秋ごろ出したものだと記憶いたしておりますので、大分古いものでございまするが、その基本といたしましては、原子力というものが法が制定されました昭和三十年末からはすでに二十年経過いたしております。さような意味で原子力というものが国民のコンセンサスを得るためには国として原子力基本法あるいは原子力委員会設置法あるいは核物質の規制あるいは管理に関する法律、その他関係法律がもう百に近いほどあるので、これをひとつ改めまして責任体制のある、また実効的な法律に変えるべきであるというような意見を述べた記憶がございます。その後いま申しました有澤委員会ができまして、今度は原子力委員会の意見といたしまして、言うなればより実効的な案をお出しした記憶がございます。
  240. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点だけ御質問をさしていただきますが、いまの問題の一つのメーンですね、率直に言ってみて、結果から見れば出たこの原子力行政懇の答申なるものはあなたの私案よりも客観的にも主体的にも後退していますよ。それはそれとして、私は一つポイントを置きますが、燃料サイクルの一つの入口ですね、水主火従の時代にはやはり電調審というものが入り口であったわけでありますが、今後燃料サイクルの中で核開発というものができた限りにおいては、既成在来の延長線上の中で既成在来の電調審のあり方でいいかどうか、そういう問題について私はこれは重要なことだと思いますから、ちょっとあなたの言われたことを言ってみますが、原子力行政に関する井上五郎私案を提起されたと思いますが、その井上私案の中の電源開発調整審議会の制度改革がどのように生かされておるのか、また現在の電調審のあり方をどのように評価されているのか、その点の御所見をいただきたい、こう思うんです。これであなたにお答えいただけば、これで解放いたしますから……。そういうことです。
  241. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) ただいま御指摘ございましたのは、私が個人といたしまして原子力行政体制に対する私見を申し述べた中に、ただいま御指摘の電調審のあり方そのものも再考しなければならないということを申し上げました。と申しますのは、あれができましたのは昭和二十七年だと記憶いたしておりまするが、当時各電力会社はいわゆる水主火従の時代でありまして、水力発電所につきましていろいろとトラブルがございました。これを国として調整するということが主たる任務であの法律ができたと私は了解をいたしておりまするが、早い話があの法律の中には水力と火力の問題は書いてございまするが、原子力という字は出ておらないのでございます。したがいまして、あの法律の所管の省の中には科学技術庁というものは入っておりません。さようなことで立法されましたものは原子力が主となるべき時代には必ずしも適当した法律ではない、こういう法律は時代に即応した、あるいは行政需要に即応したものに変えなければならないという趣旨でその点を指摘したのでございまするが、もっと根本的に申しますれば、ただいまちょっと御指摘がございましたけれども、私はエネルギーに対する国の行政体制を抜本的に変えなければいけない、しかしそれには若干時間もかかるであろうから、とりあえずとしてかくかくの問題をしなければならない、こういう趣旨であの意見書を出したように記憶いたしております。
  242. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 進みますが、私はまず最初に、この核燃料再処理を含めた原子力開発問題をわが国総合エネルギー政策の中にどのように位置づけていかれようとしているのか、この点についてやはり原子力開発並びに原子力行政に関する関係省庁の政治の姿勢についても基本的にこれは重要な問題だと、かように思うわけであります。したがいまして、政府は今日的には総合エネルギー対策推進関係閣僚会議、これは三月五日に発足されたようでありまするけれども、その発想、構成、性格、任務等について説明されたいと同時に、なお今後これをどのように機能し活用されていかれるか、そういう問題についてこれはひとつ科学技術庁長官から御説明をいただきたい、こう思うんです。
  243. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) エネルギー関係閣僚会議の窓口は通産大臣でございますから、そちらの方は通産大臣からお話しするといたしまして、その中における原子力エネルギー、これの位置づけでございます。これはもう毎度申すようでございますが、何といたしましても少資源の国家でございますから、勢い海外依存率のきわめて高い石油のみに依存いたしておりますといつの日にかはわれわれのエネルギーに重大な支障を来すであろう、かく考えてまいりますと、やはりそれにかわるべきエネルギーとして、これはもう準国産のエネルギーを開発しなくちゃならぬ、それが原子力エネルギーでございます。しかしながら政府の姿勢といたしましては、やはり唯一の被爆国でございまして、この点はもう先生がきょうの質問の一番大きなテーマになさっておるわけでございますので、そうした意味から、われわれといたしましては、やはり原子力政策を推進するに当たりましては、まずもって安全ということを第一義に心得てその開発を進めていかなくちゃならない、かようにわれわれといたしましては考えておる次第でございまして、したがいまして、今日そうした問題で再処理を目玉といたしました核燃料サイクルの確立を急いでおるというのもそこに理由があるわけでございます。もちろんこのためには行政的にもしっかりした安全性の確立を国民の方々に認識をしていただいて、そうして多くの国民の方々の御協力を得ることがすなわち次代のエネルギーに対処する一つの大きな基本である、こういうふうな考え方でわれわれといたしましては今日核エネルギー政策を進める、こういうような状態でございます。
  244. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 通産大臣からひとつ。
  245. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  政府の方では、本年の二月十五日に閣議をいたしまして、関係大臣によりまする会議を随時開催をいたしまして、総合エネルギー対策の推進に関する重要問題についての意見を調整することにいたしましたが、この会議は内閣総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、通産大臣、経企庁長官科学技術庁長官、環境庁長官、内閣官房長官、その他必要に応じまして関係大臣が出席をいたすことに相なっておりまして、同時にまた、総理大臣が本会議を主宰し通産大臣が事務を行うと、かような次第でございます。そうして、第一回の会合は三月の五日に開催いたしまして、エネルギー政策の推進の方向等につきましてまず論議をいたしました。同時にまた、この推進の事務的な本部といたしましては通産省が当たりまするが、関係各省庁の事務当局を打って一丸といたしまして推進対策本部をつくり、総合エネルギーの基本問題の審議会を設けましていたしておるような次第でございます。  お話しのように、エネルギーの問題は、いまや日本の今日また将来にわたりましての最大の問題といたしまして、政府は挙げてこれに取り組むという根本の姿勢をいたしておりまするが、その主たる目標といたしましては、五十年十二月に決定いたしました総合エネルギーの計画、客観情勢の変化とともにこれを見直しますると同時に、このエネルギー問題の実際の実効を期するために、ただいま科学技術庁の長官が申しましたとおりに、安全の問題が何をおきましても最も国民の関心事でございます。これに対しまする国民の本当の理解と協力を得まするようにと。第二の点は、それに伴いまする資金、金がなくてはこの膨大な計画を実施に移すことができません。あるいは石油の問題、石炭の問題、特にその原子力の問題につきましての資金の裏づけをどうするか、この資金計画が最も私は重大な問題と心得ております。かような次第によりまして、政府を挙げてこの推進に当たろうと、かように存じております。
  246. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大体私の質問の趣旨というものに両大臣から答えていただいておりますけれども、これは強いて大臣でなくてもいいと思いますけれども、やはり延長線上に、かねての米日両首脳の問題で、韓国の問題はこれは次元が違いまするけれども、核の問題については、延長線上に外務大臣その他所管の方々もいろいろと御苦労なさいますと思います。そういう点についてわれわれも勉強すると、そういう意味で基本的な認識を強めていく必要があると思います。そういう方向の中で、核燃料特別対策会議というものと、それから原子力委員会再処理問題懇談会というものが、二つ重要な機関としてごく最近にできておると思います。この目的や機能すべきそれは今後の問題といたしましても、これは必要に応じて、しかも重大な政治的意義を持つ一つアメリカのカーター大統領が選挙政策とも絡み合わせて、今日エネルギー政策というものに立っていろいろ苦悩しておられる。それをどうしてもこの総合エネルギー対策の中で、石油もさることながら、好むと好まざるとによらず核政策というものも十分国民的なコンセンサスというものを得なければならないと、そういう途上でこれができておるだろうと思いまするけれども、これそのものは一体どういうような形で、これは補佐官でもどなたでもいいんですが、二つの機関、直接でもようございますが、ひとつ。
  247. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) いまおっしゃいました核燃料特別対策会議というのは、私と外務大臣と通産大臣、この三人がメンバーでございまして、それぞれの省庁の局長をもって幹事会をつくっておる次第でございます。なおかつ、原子力委員会も、この問題に関しましては非常に重大な役割りを果たしてもらわなくてはなりませんので、原子力委員全員と、さらには民間の有識者をあわせまして再処理問題懇談会というのをつくったわけで、いわばこの再処理問題懇談会が特別対策会議のシンクタンクと、こういうふうにお考え賜れば結構ではないかと存ずる次第でございます。もちろん、これはカーター大統領の新政策に対処いたしますために、三つのことをただいま議題といたしましてわれわれはアメリカと折衝いたしております。  第一番目は、先生御指摘のとおりに、やはりわれわれは核の利用というものは何といたしましてもその平和目的、これを徹底さすべきであって、いやしくも核が分散するというふうなことはもう本当に日本としても先頭に立って防いでいかなければならぬ、これが第一点でございます。  しかしながら、わが国は少資源の国家でございますから、やはり準国産として核の開発をやっていかなければなりません。これは言うならば民族の死活問題であると、このことをはっきり、資源をたっぷり持っておりますアメリカにその理由を聞いてもらう、そして十二分に説得する、このことが必要でございます。  三番目には、そうしたことを踏まえまして、われわれは平和利用のために今日独特の核燃料サイクルというものを開発してまいったんでございますが、いわば、伝えられるような対外政策がもしも決定すれば、そのこと自体は日本の核燃料サイクルの確立に関しまして水を差されるようなことになってしまう。言うならば、もう本当に民族の死活問題である問題にアメリカが介入してくることになる。このことは、広く考えれば、われわれも参加をいたしました核不拡散条約、この第四条にも、明らかに平和利用に支障を来すようなことがあってはならない、特に核兵器を持っている国と持たない国との間において差別があってはならない、こういうことが四条にはっきり書かれておるわけでありますから、まさかアメリカさんがその四条を恐らく侵すというようなことはあるまい。そうした点においてもわれわれは国際的な信義のもとにこの問題に対処をしたい。  この三つを重大な課題といたしまして、この会議を設けまして、ただいま第一次をアメリカに派遣をして、これはまあ事務的なレベルでございますが、専門的な事項に関しましていろいろ協議をしてもらっておる。必要ならば続いて第二次を派遣すると、そういうふうな態勢を整えておる次第でございます。
  248. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、わが国が被爆国であることの見地からして、いわゆる核分裂型の原子力を開発するためには、政府自体が率先して、何はさておいても国民の信頼と合意を確保しない限り、そう簡単に、たとえば長期計画をお立てになってもなかなか計画どおりいかない。まあ大蔵大臣もおられまするけれども、この問題には、人と物と科学技術と、一番の必要は銭金だと思うんですよ。そういうような問題を思い合わせて見ますると同時に、やはりある程度被爆国の国民は核に対する拒否反応を持っておりますわ、核分裂型のこの原子力問題については。でありまするから、どうしても私は一番必要なことは、国民の理解だとか協力ということではなくて、政府が率先して、これはどうしても必要だと、国益の見地から必要だということで、国民的な合意と、そして信頼というものを、行政なり政府なりが得ていくということが必要だと思うのであります。  しかし現実は、私ずばり申し上げまするならば、原子力開発に関するもろもろの既成事実は、やはりコールダーホール型を第一号としてずっと積み上げられておりますね。しかし、関係省庁や電力会社が型のごとく、いろいろトラブルが起こったり既成事実が起きてきたときに、御理解と御協力をいただきたいと、こういうふうに言っておられるというのは、結果するものは国民サイドからはかえって反発こそあれ決して問題が簡単に、欲するほどスムーズに進んでいないと、こういうふうに現実を見てとっているわけですが、この点については、たとえば、原子力開発に対する政府の基本的な態度として、関係行政の省庁がやはり従来の姿勢を省みて国民のコンセンサスとどうしても信頼を確保する、トラブルができちゃってから御理解と御協力と言ってもこれはだめだと、こういうふうに私ずばり申し上げたいんですが、この点について所見はどうですか。
  249. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 御指摘のとおり、原子力開発のためには安全を第一義としてやっていきたいと存じます。その意味では、振り返りまして、やや行政面においては欠くるところなかりしかと、したがいまして、昨年の夏に、先ほどもお話がございました総理大臣の諮問機関、私的諮問機関ではございましたが、行政懇が幾つかの意見を内閣に出してくれましたので、福田内閣発足以来その実現に努めた次第でございます。  まず第一番目は、従来は原子力委員会だけでございましたが、この委員会プラスさらに安全委員会を設けること、第二番目には、いま御指摘のとおり、各行政面におきまして省庁の責任をより明確化さすために、お互いの安全規制に関しましてはその一貫化を図ったこと、さらには、そうしたことにおいて安全のダブルチェックを図ったこと、そうした幾つかの機関を通じまして、国民の声を直接原子力行政に反映していただかなければなりませんので、モニター制度を設けるとか、シンポジウムをつくるとか、さらには公聴会を開くとか、幾つかの新しい提案を今国会にもさしていただいておる次第でございます。そうした、安全に対しましては、政府みずからの行政面に、本当に体を張って安全を保障していくという積極的姿勢が私は必要ではなかろうかと存ずる次第でございます。  なお、もう一つ、既存の原発におきまして、ややもいたしますと故障がしばしば起こります。そうしたことが非常に国民の方々の信頼を損ねておる面も少なくございません。この面に関しましても、はっきりわれわれといたしましては、監督を強化いたしまして、常にそうした問題に関しては国民の前にその原因を明らかにして——幸いに、ここ十年ばかり原子力開発が進みましたから、いわゆる原子炉、軽水炉でございますが、これに関しまするところの人身事故は一件もございません。そうしたことをも含めまして、われわれとしてはより安全を期していきたいと思うのでございます。特に現場におきましては、やはり従業員の方々がおられますが、この従業員の方々の健康を十二分にわれわれといたしましても保障をし管理をしてもらう。そうした意味におけるところの安全も私はなお一層力を込めていかなければならないと存じますので、今回のいろんな法案の中には、また政策の中には、従業員に対しましても、その方々の被曝の状態を中央におきまして一本化して管理をする、そういうふうなシステムを実は設けることにいたしておるような次第でございまして、まさにわが国の将来がかかっておりまする原子力行政といたしましては、本当にもう身も心も常に安全を第一として政府はやっていくべきである、こういう姿勢で今後臨みたいと思っておる次第であります。
  250. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大体長官の言われる真意はわかりますが、具体的な問題として、たとえば原子力船「むつ」問題にしても、陸上における大型原子力発電所の建設にしても、また核燃料サイクルの一環である再処理工場の建設にしても、一番必要なことは何と言っても安全ですね、環境、それから原子力発電所等々をつくるところの立地条件、アセスメント、それから原子力発電に伴うもろもろの公害等を考慮して、関係地域住民より、何回も繰り返しますけれども、国民の合意と、それから信頼を確保するために十分なひとつ最大級の努力を払っていただきたい。そういうあなたの気魄、気魂、これはやはりこの開発推進のメーンである通産大臣も異存はあろうべきはずはないと思いますし、それから環境庁長官にいたしましても、言うならばわが日本は油濁の海に浮いておるところの公害列島と言ってもあえて差し支えないわけであります。そこで、原子力発電所が機能すれば大量なとにかく温排水が出る。ともすれば海上気象というものもそのために変わってくるんだと。油の汚染だけではなくてもう一つのものがかかわってくる。こういうようなものを配慮されまして、十分民意を託して十分配慮していただきたい。これはこの時点ではお答えをいただかなくてもいいのでありますので、先に進みますが、その点について十分両大臣とも、経済の福田内閣のもとにおいて、エネルギーがどうしても必要だと、油も必要だが、これは途中オオカミに追いかけられて来ないようになったら、準国産であっても核エネルギーを何としても物にしなければならぬということが、体制が変われば別として、いまの体制ではそういうコースで相当に情熱を傾けておられるんだと、こういうふうに考慮いたしておりますのでこの点は先へ進みますが、その点はいいですね。  次に、国際的に政治問題化しておる核燃料サイクルに関していろいろの問題が起きておるわけでありまするから、きょうは環境庁長官は来ておられまするので、大体こういうことをひとつかみ合った形でお答えいただきたいと思います。  総合エネルギー開発推進等、なかんずくわが国の原子力開発に関するもろもろの問題と不可分な関係を持つ国民サイドから見た安全、環境、立地、アセスメント、原子力公害等について、今日的な時点はもちろん、将来に向かっての展望について環境庁長官の所信と見解をこの際伺いたいと思います。  私は、先ほど井上原子力委員長代理にお尋ねいたしましたように、やはり、入口である調整審といいまするけれども、電源開発調整審議会でも、環境庁長官は非常な比重のスタッフとしておられるわけであります。いわんや、総合エネルギー推進会議の中でも環境庁長官は非常に重要なメーンである。そういうような点から含めて、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。——おられるでしょう、長官は。
  251. 小川半次

    委員長小川半次君) 質問者は簡潔にと申しておられるから、簡潔に答弁してください。
  252. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) お答えいたします。  原発が環境に与えます要因は、放射能、そして温排水、それから用地の造成によります環境に対する影響と三つございますが、公害対策基本法では、八条で、放射能関係に関しましては原子力基本法とそれに関係します法律によるということになっておりまして、環境庁がその行政権限でチェックいたしますものは、温排水と用地造成によります環境に与える影響でございます。その限りで、これは先生御指摘のように、今後の日本にとって不可欠なものでございますので、環境庁といたしましては、あくまでも健康にかかわる環境保全というものを主体に厳重なアセスメントを行って、環境の保全に努めるつもりでございます。
  253. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進みますが、首相の訪米前、具体的な問題として、三月十一日パレスホテルで、原子力問題に関連して、土光経団連会長、有澤原子力産業会議議長等財界首脳を含めて六名と、それから宇野長官、井上原子力委員長代理が協議されたわけであります。この席上で土光会長は、アフリカでの天然ウラン開発輸入などの問題に触れて、わが国独自の道を歩いたらいいじゃないかと。率直に言うならば、アメリカがそう酢だのコンニャクだの小むつかしいことを言うならば、準国産というものに依拠しなければならぬと、ウラン燃料がないとするならば、ならぬけれども、しかし相当にこれは金がかかるんだけれども、われらが道を行くよりしようがないじゃないかというような話があったと思いまするけれども、私は勘ぐれば、この点は、再び繰り返してはならない戦争を国際競争から誘発するところの危険な思想を内蔵しておるのではないか。そういう発言をなされたとすれば、それが真実であるないは別として、真実であるとすれば大変なことだということでありますので、こういう問題について、その時点において長官はおられたわけでありまするから、どういうふうにこれを受けられ、総理にどのように進言をしておられるか。こういうことは大変だと、その点について、そんな取り越し苦労はよけいなことだというふうに言っておられるかどうか、その点について。
  254. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) あのときの土光さんの御発言は、そういうふうな御解釈ではなくして、やはりわれわれとしても準国産の原子力発電、そうした技術を開発せんがためには、多角的にお互いに考えていこうじゃないか、ウランもないし、濃縮技術も今日日本にないし、再処理の技術もない。そうした面においては、やはり世界と協調してやっていかなくちゃならないから多角的に考えていこうじゃないか。特にわれわれといたしましては、ウランの入手に関しましては単に外国に頼るだけではなくして、みずからもやはりいろんなところの国々とお互いに親善を図りながら、ひとつみずからの力で開発をさせていただいて、また同時に、それも輸入していただこうというふうな努力を今日も続けておるわけでございますので、言うならば、世界において天涯孤独の日本になろうという意味ではなくして、親善を深めながらさらに資源小国としての日本としての多角的な今後の国際交流と、こういうことを土光さんがおっしゃったと私は思っておりますので、そういうような話題であったと御解釈賜ればいいのではないかと存じております。
  255. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この点は私は非常に重大なことでもありまするけれども、少なくともニュースの面では、情報とニュースとして知る権利から、そしてこの核分裂型の原子力問題を、必要であるけれどもこれは石橋に金棒式に、金もかかるし、大事に大事をとらないとえらいことになるぞと、そういう中からニュースはこういうことをスクープしていますよ、その問題については。この席上、財、産業界首脳は「わが国は独自の道を歩むべきだ」と強く要望しておられると、特に土光経団連会長は「投資に膨大な金がかかっても、わが国独自の核燃料サイクルを確立すべきだ」と、米国依存から脱却すべきだと、そういうことを強調しておられると、これは囲み記事でありまするけれども日本独自の道を歩めと、「財・産業界首脳核燃料政策で強調」ということに書いておられますが、このことをあなたから答弁は大体されなくてもいいと思うんですが、これが真実であるとかないとかということはここで追及する必要はないと思いまするけれども、もしこういうことだったら非常に急だし、しかし今日財界はいろいろ言っておられまするけれども、たとえば東海村の再処理工場にしても、動燃でもやっぱり十分、予算もあろうし、大変な問題だと思いまするけれども、金の方は、言うばかり言って金という問題についてこれは大体詰めができていないんですよ。そういうような点から、ひとつ十分これは留意しておいていただきたいと、こう思うんですが、何かこの点について大蔵大臣、あなた、国の財政の財布の元締めとして頭の中に置いておられますかどうですか、その点は。
  256. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 世界唯一の被爆国である日本が、これはどうしたって核による災害というものを受けたんですから、この核を平和利用に一大開発をして、この災厄を受けたことに対するお報いですな、これを平和利用というような力に転換して、世界の人たちに対して、日本は被爆国であるけれども、こういうことをやって、世界に核を通じて貢献するんだということをやることが私は一番意義があることだと思います。さような考えのもとに大いに努力をしてまいりたいと、かように思っております。
  257. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 仮に、いまの問題に関連をして、土光会長の財界における発言力は大きいでしょう。電力業界もやはりいろいろな事業をたくらんでおり、既成事実をつくっていかれるでしょう。結局膨大な金というものが要るということだけは感覚的にわかったけれども、それなら身銭を切って、身銭まででなくても必要な金をどういうふうにつくっていかれると、できない場合については、これは国事であり国策であるから、エネルギーの問題であるから、どうしても国策上金が必要であるということについては、やはり大蔵省としてはそういうようなものを目安にして、予備費だとか何とかということについても出るような、そういう形にやはりこの仕組が仕組まれておるものですか、その点はどうですか、構造的に財政構造は。
  258. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 大変重大なる仕事をやってのけるためには、これはやっぱり財政とか経済とかいう、これは人間が仕事をやるについては、どんなことがあってもこれは最大の手段、方法だと思いますが、その最大の手段、方法をもって、その力の中のバランスをとりまして、そうしてやっていかなければ結局は物事というのは成功しない。そのバランスをとるに際しまして、最も力点を注いでまいりたいと、かように考えます。
  259. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 次には外務大臣に一言お願いしておきますが、これは、私はNHKのワシントンにおける取材網というものがどの程度情報の的確さがあるかないかという問題については、私なりにこの情報はかなり的確なやはり把握だなと、そういう理解と感覚のもとに、実は三月十七日の夜ですが、NHKの放映によれば、カーター米大統の新核政策は四月二十日ごろ確定し、その後いわゆる先進国の首脳会議を経て、十四カ国で構成するロンドン会議、オーストリアで開かれる原子力発電と核燃料サイクルに関する国際会議などで協議され、夏ごろには一定の国際的な妥協の道が明らかになってくるだろうと、その見通しを述べておると。大体これは絵で見て解説を聞いて、大体私がやはりいろいろこの問題に関心を持つがゆえに模索しながら考えてみて、大体この枠組の中で、今日的には、これは三月十七日でありまするけれども、時の流れの中では三月の二十一日、二十二日の両首脳の会談があって今日に及んでおりまするので、その当時鳩山大臣は同行しておられたのであると思いますし、フォード財団の大体一つのあれもあなたは直接手にとられたかどうかは別として、この辺の感触について大臣として、ひとつ外務大臣からお答えをいただきたいと、こう思うんです。
  260. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) カーター大統領と福田総理との会談におきまして、原子力の特に再処理問題を含めました問題が論議されたわけでございます。そのときにカーター大統領は、四月の二十日にアメリカとしてのエネルギー政策を決定するということを申されましたし、それまでにこれから日米両国の間でこの再処理問題を詰めようと、こういうことになったわけでございます。ところが、先月の末、三月の末ごろだったと思いますが、アメリカから内報が参りまして、日本政府のとりあえずの感触を聞いてきたことがありました。  その内容は、四月八日の報道されましたアメリカのカーター大統領のこの新しい政策——核の平和利用に関する新しい政策というものが発表されたわけでございます。このアメリカ独自の——対外的な問題を含まない、アメリカとしてはこのような政策をやるんだという決定が四月の八日の段階で出されたものでございますから、それが四月二十日のエネルギー政策にはまた関係してくることと思いますが、これから先のことはちょっとただいまのところ、この四月二十日の新政策と、四月八日のアメリカの発表された新政策といかなる関係に立つかということも、いまの段階としてちょっと断定に苦しむところでございます。しかし、八日の発表というものは、アメリカとしては相当思い切って、アメリカとしてはみずからこのような政策をとるんだということを定めたものと考えておるところでございます。
  261. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これはお答えをいただかなくてもいいんですけれども、先ほどの同僚の和田質問に対しても、もう少しやはり、外務大臣はいい人であると思いまするけれども、胸を張って、しかしあなたはメーンですよ、どうしてもやはり経済の福田内閣のもとにおける外交路線というものが十分進まなければならないと思いまするから、大体もう少し、国民からいいことを言ってくれると、あれに任しておけと、そういうような感覚は出ないわけでありまするから、私はあえてよけいなことであったんですけれども、NHKのワシントンにおける取材網というものが的確性があるかないかという問題について、一つの象徴として絵を見、解説を聞きながら、大体このコースが路線だなと、こう思っておったわけでありまするけれども、あなたの答弁の程度では、石橋金棒式もいいけれども、もう少しやっぱり政治家として、外務大臣としてあなたは重要な問題点の位置におられるという点について、そういう見解を申し上げておきます。  先へ進みまするが、たとえばアメリカとの交渉の結果、東海村の動燃処理工場の試運転にこぎつけたとしても、民間で計画している、これは第二工場というものをこれは計画されなけりゃならぬし、そうしなければ当然トイレのないマンションづくりということになっちゃうでしょう。東海村の再処理工場にはおのずからこれこれの処理能力というものが、キャパシティーが決まっておるわけですから。それで本当に総合エネルギーの中にやはり原子力を位置づけるぞというならば、トイレのないマンションになっては仕方がないから、当然第二工場というものがアメリカと合意の上にできなきゃならぬと。そういう想定にいくならば、この点については関係省庁である通産であるとか、外務であるとか、大蔵、経企庁、それから環境庁あるいは科学技術庁、総合エネルギー対策の総スタッフがこの問題について、やはり十分な問題になると思いますが、したがって、もし逆目が出て、カーターショックが思ったように主観と希望どおりいかなかったぞということになれば、一体この問題について宙づりになってしまうのか。その当時、大蔵大臣も必要なことだから、これは第二工場はどうしてもというようなことも配慮されて……。とにかくその点についてまずメーンである長官からお答えいただきたいと思うんです。
  262. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 御指摘のとおり、今日われわれが計画をいたしております四千九百万キロワット、これだけの原子力発電をせんとすれば、当然その再処理の能力もそれにふさわしいものをつくらなくてはなりません。試算によりますと、昭和六十年度までに四千百トン再処理累積で需要があるわけでございますが、今日、ホットランに入ろうといたしておりますあの第一再処理工場だけではとても無理でございますし、さらに海外に委託いたしておりまする量もとても無理でございますので、当然国内において第二再処理工場を設けないことには、まさにトイレなきマンションと言われても仕方がないわけでございます。これに関しましては、いま政府といたしましても今度出します規制法にはっきりそのことをうたいまして、国会の御審議を仰ぎたいと存じておりますが、何分にもその建設には大体十三年ばかりかかりますし、またこれをつくりますると、大体一日五トンぐらいの処理能力で臨みたいと思いますので、年間二百日稼働で一千トン、三百日稼働で千五百トン、どうしてもこの再処理工場は必要でございます。したがいまして、第一、第二を含めましてアメリカとの間におきまして原子力協定で同時決定をしないことにはそうした問題もはかどりませんので、現在それが実現するようにアメリカと鋭意交渉を続けておるというところであります。
  263. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、次には「むつ」問題ですね、原子力船「むつ」問題について若干の質問をしたいと思いまするが、ずばり言って「むつ」問題は結局わが国の原子力行政の欠陥と開発体制の不備を如実に暴露したものだと、そういうふうに私はとらえております。だれが考えてもそうでしょう。かつて五十日間も下北半島の沖合い、太平洋岸を漂流しておったんでしょう。それが私に言わせれば反面教師となって、たとえば原子力懇談会であるとか、あるいは大山機関であるとか、原子力行政懇というものができて、結局大体かっこうがついてきたと思いまするが、しかし、今日的には一体原子力船「むつ」はどうなっておるかと。そういう問題について現状をありのままに、私どもの主観からいくならば、わが党の陣営からいけば、「むつ」はやはり一つの反面教師であると。なぜかならば、わが国の海の「むつ」、そしておかでもこの原子力処理工場も含め、そしてもろもろのやはり原子力発電所が機能しておるけども、非常にトラブルもあると。原子力公害もあるんだと。だが、それが整理されて行政全体の洗い直しをしなけりゃいかないと。そういう方向の中でおるわけでありまするから、したがって、「むつ」は「むつ」なりに一つの反面教師としての価値を持っておったと思う。しかし、いまなおこれも宙づりになったような形で、やはりまだ政府の四者協定であるとか、その他もろもろの約束が果たされず、いま現状は一体どうなっておりますか。その点をひとつ。
  264. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 御承知のとおりに、青森におきましては四者協定がございまして、それに従いますと、四月の十四日がリミツトでございますから、このときまでに母港を撤去せよということに相なっております。その十四日も目睫の間に迫っております。その間政府といたしましては、大山委員会の答申に基づきまして、「むつ」は相当なレベルに達しているところの原子力船であるから、修理をして、そうして原子力船時代の第一ページを飾るようにせよと、こういうふうな答申を得ておりますので、その修理を長崎の佐世保港にお願いしたわけでございます。佐世保におきましては、市長が全面的受け入れを諮問されまして、先般、多数決ではございましたけれども、市会におきまして、「むつ」をそのままの姿、政府の要請のままの姿において入港しても差し支えなしという市会の議決がなされました。ただ、私の手元には正式にイエスという答えはまだ参っておりません。それと同時に、長崎県におきましても知事の諮問機関がございまして、ここでは受け入れはよかろうと、まあ安全についても大丈夫だろうと、しかしながらより一層安全にせんがためには燃料棒を抜いて入ってこいと、その方がいいんじゃないかというふうな声が研究委員会におきましてはまあ多数となったわけでございます。知事といたしましてもそうしたことをもとに間もなく決定をするでございましょうが、したがいまして、長崎県の受け入れ側のこの決定がございませんと、青森の「むつ」を回航するというわけにはまいりませんので、ほとほと政府も弱っておりまするが、長崎に対しましてもひとつ早く知事さんと市長さんの意見を合わしていただいた結論を政府にお伝え願いたいということをお願いしているところでございます。  また、青森に対しましては、月曜か火曜日にわが庁の次官を派遣いたしまして、十四日、目睫の間に迫っておるが、受けていただく方の長崎からまだ御回答がないので、いかんともしがたい状態であるけれども、必ず長崎の方々にも受けていただけると思うので、しばらく御猶予のほどをということを火曜日ぐらいにお願いに行かざるを得ないのではないかと、こういうふうな状態でございます。
  265. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 長官のはだで感じておられることと口で表現されるということがとにかく真意であるとすれば、非常に受けとめ方が甘いんですよ、実際は。大体久保知事の、あるいは辻市長ですね、まあいろいろなスタッフであっても考え方も違うし、サイドにおけるやはり漁民ですね、それから御承知のようなあれは被爆地でありまするから、そういう県民感情、国民感情からいたしても非常に大きな問題が内在しているわけです。ただ、解決の見通しが出ぬなら、政府が腹を決めて、どこどこで核燃料体を引いて、そしておくれたけれども、不義理したけどもということがない限り、これはそう簡単に、あなたたちが陳情や面接で、あるいは次元は違うけれども、博多から長崎まで新幹線を延長してくれないか、次元の違う問題が重なるとなお複雑多様になりまするから。しかしこれは重大ですよ。四者協定というものは常に政府政府の信頼においてやはりこれを延期さしてきたんですから。原子力基本法に基づいても、動力基本法に基づいても政府が不信の極をまいておるということは客観的にも少なくとも事実でしょう。で、燃料棒を、これは新聞にも出ておることなんでありまするけれども、大体アメリカのグアム島で燃料体を引いたらどうかということをアメリカに交渉なさった云々という新聞が出ておりまするけれども、そういう事実があったか、どうですか。
  266. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) そういう事実はございません。ただ、いろんな方々からアドバイスがございまして、ひとつ外国に頼んだらどうかというふうな話もありましたが、まあ外国といえば太平洋で一番近いのはアメリカでございますから、したがいまして、本庁の職員がいろいろとアメリカの法規等々を調べたことがございまするが、アメリカの法規も厳しゅうございまして、そう簡単に外国の原子力船を入れるということには相なっておりませんので、長崎県にお願いをしておきながら、またまた他のところでトラブルを起こすようなことをしてはこれも話にならないというふうなことで、ごく内輪でそういうような打診をされた方々には本庁からお答えいたしたことはございまするが、正式にアメリカに交渉したという事実はございません。
  267. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 長官は三月の十四日に原子力問題について記者会見をやっておられますね。あなたはその時点で、むろんやはり長官であるから相当に責任を持っておられると思いますけれども、この原子力船が機能して、その延長線上にこれを試験船として、さらにその延長線上にやはりこの原子力船タンカーというものも将来の展望の中では、将来の時点ということを言っておられますが、現実において、主観と希望や願望は別として、責任ある政治家として、長官として、いまの海運界の事情、造船界の事情、それからいまのただでさえ油濁の上に浮かぶ日本列島と言われて、あそこにもここにもタンカー被害が起きているわけでありまするけれども、原子力船のタンカーで五十万トン級のものが実際実用化されるという場合に、あなたそういう発想を考えておるならば試行錯誤もはなはだしいと、こう思うんですが、この点はどうですか。
  268. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) こういうふうな構想に関しましては、記者会見でも申し述べたことがございます。現在わが国は油をほとんど海外に仰いでおるわけですが、油を運ぶのに油を食っておるような現状である。たとえば二十万トン級のタンカー一つにいたしましても四%ぐらい油を食っておりますし、あるいはコンテナ船に及びますと、アメリカ航路でございますが、一五%まで食っておるという実情でございますから、さような意味で、将来は油にかわるところの原子力によって船を動かそうではないかと。それが今日の「むつ」問題であって、ぜひともさような意味では「むつ」はひとつ無事修理を終えて、そしてそのような第一ページを飾りたいものだというお話をいたしておりますが、五十万トンのタンカーがすぐできるとかいうふうなお話はいたしておりません。ただその場合に恐らくアメリカの例を用いまして、英国がアメリカに対しまして二隻か三隻大型タンカーの仮発注をしたというお話はしたことがあると存じまするし、またドイツのオット・ハーンがすでに地球を何周回ったというふうなお話をしたことがございまするけれども、将来といたしましてわが国はやはり、大型か小型かは知りませんが、とにもかくにもやはり原子力船時代を迎えるべきである、そのためには国民の方々の御理解を仰ぐ、そのためにはやはり安全だと、こういうふうな話をしょっちゅうしておるような次第であります。
  269. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 わが党は、これはまあ別にわが党は何だといえば社会党に決まっていますけれども、「むつ」はずばり言って廃船すべきだと、そういうふうに考えている。ただ、廃船のための廃船ではなくて、漂流五十日の起きた理由とその後の行き詰まりというものは、いま一度冷静に反省しなければいかぬと思うんですよ。なるほど百五十億という程度の金がかかって、いまなお船員がこれを十分管理をして苦悩して心配をしておることもよくこれはわかります。しかし、十分やはり冷静にこれを反省すれば教訓がくみ取れると思う。言うならば原子力船「むつ」は、わが国の原子力行政のあり方と欠陥並びに原子力開発体制の不備を如実に示したものとしての反面教師として十分な価値があると思うんです。原子力の平和利用が世界的に見直されて真剣に受けとめるべきだとするならば、もし百歩譲って原子力船時代が来るというならば、それに備えて基礎的研究を十分にやることの方が結局急がば回れでいいんじゃないかと、こういうふうに考えるのですが、この点についてはわれわれの発想であり、われわれはわれわれが宙づりの中から、われわれの主観ではなくて国民感情になってもそれは十分な、たとえばアメリカでも——そういうことでありまするから、そういう点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  270. 宇野宗佑

    国務大臣(宇野宗佑君) 先ほどもちょっと触れましたが、「むつ」の放射線漏れという事故が起こりましたときに、内閣は早速大山委員会を設置いたしまして、徹底的に事故原因並びに将来に関しまして専門的な答申をもらうように諮問いたしたわけでございます。その結果、もうすでにこの船はかなりの標準に達しておるから、その遮蔽を改修するとか、総点検をするならば、りっぱにこの船はわが国の将来に役立つだろう、そういうふうな答申をちょうだいいたしましたので、その線に沿いまして今日修理港を求めておるという段階でございます。修理には三年ばかりかかりましょうし、さらには出力テストに一年、さらには実験航海に前後五年を必要といたしますので、おおむね十年前後を必要といたしますが、その間に習得いたしましたいろんな技術というものは、将来のわが国の原子力船にとりましても貴重なデータになるであろうと、こういうふうに考えておりますので、われわれは廃船ということではなくして、ひとつ皆さん方の御理解と御協力を仰ぎまして、そういうふうに「むつ」を今後使っていきたいと、かように存じておる次第であります。
  271. 小川半次

    委員長小川半次君) 時間が来ましたので……。
  272. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間が来ましたから、一点だけ新潟県の柏崎原発の立地問題について一応やるべき所存でありましたけれども、私の未熟から——しかしこういうことが一つの柱として、これは科技特ということも今後ありますのですけれども、この時点でそういうことを考えておったということだけはひとつ記録にとめておいていただきたい。  これでやめます。(拍手)
  273. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして杉山善太郎君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  274. 小川半次

    委員長小川半次君) 次に、片岡勝治君の質疑を行います。片岡勝治君。
  275. 片岡勝治

    片岡勝治君 私の受け持ち時間はきわめて短いのであります。したがって、当局の方でもひとつ要領よくお答えをいただきたいと思いますが、第一番目に教育の問題について一、二お伺いいたしたいと思います。この問題もすでに本会議あるいは当委員会でずいぶん突っ込んだ質問が行われておりますので、あるいは一部重複するかもしれませんけれども、二、三お伺いしたいと思います。  その第一は、過般の本会議においてわが党の川村議員より高等学校教育の今後のあり方についての基本的な考え方を総理に質問いたしました。これに対して、総理は、現在の段階では高等学校については希望者に対しその機会をなるべく与えるように処置をしていきたい、しかし情勢の推移を見て判断しなければならないだろうという答弁をしているのです。何を判断するかというと、つまり、高等学校の義務教育化、あるいは準義務教育としての取り扱い、そういうものについては情勢の推移を見て判断しなければならないだろう、こういう答弁をしているわけです。  そこで、文部大臣にお伺いをしたいと思いますが、情勢の推移を見てという答弁でありますけれども、一体どういう情勢が出てきたときに高等学校の義務教育化あるいは準義務教育的な取り扱い、そういうものを判断するのか。これは総理が答弁したのですから、あなたに聞くのもあるいは無理かと思いますけれども、しかし、あなたは教育のとにかく最高責任者ですから、その辺政府としての見解を承りたいと思います。
  276. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 高等学校がいかなる形であるべきかということは、これは御承知のように中教審の答申にも問題が指摘され、その他の分野からも指摘されたところでありまして、中高一貫教育によるメリットなどについてもいろいろ問題は提起されております。しかしながら、現在、御指摘のように九二・六%が高等学校に進むようになりましたけれども、なお現在高等学校進学以外の進路を選択する中学卒業生も世の中にたくさんいるわけでありますし、また、そのころというのは、やっぱり人生の選択が非常に多様でございますし、また、高等学校の三年間というものを補完する意味もありまして五年間の工業高専の制度ができたり、あるいは専修学校の制度ができたりしまして、それらのものを全部兼ね合わせながら教育の要望にこたえていきたいと、当面は努力しておるところでございます。  したがいまして、総理がどういう意味で推移を見てとおっしゃったのかは、細かい点までの打ち合わせはしておりませんけれども、すべての人がそれを望むとか、あるいは国の財政事情とか、あるいは多様な進路の選択の中ですべての国民の皆さんがやっぱり高等学校終了までは義務を絶対的に要求されるとか、いろいろな社会情勢の変化、そういったものを全部総合判断しての上のお考えだろうと私は推察をいたします。
  277. 片岡勝治

    片岡勝治君 いま答弁にありましたとおり、すでに高等学校の入学率は九〇%を超える。そして、都市部では、私は神奈川でありますけれども、すでに九五あるいは九七、八、やがて一〇〇%に到達しようとしております。こうなりますと、事実上義務教育の就学率とそう大差はない。いま、大臣は、しかし高等学校に行かないでなお就職等の選択の人々が相当数いると言っても、実態はそういうことじゃないのじゃないでしょうか。つまり、高等学校に行きたいけれども、結局は収容能力がない、そういうことからやむを得ず就職をするという層が私は大宗を占めているのじゃないかと思う。だとすれば、事実上すべての子供が高等学校を希望すると、そういうふうに見ていいのではないかと思うのですね。それからもう一つ、仮に高等学校を義務教育的に取り扱ったとしても、なお一部にはおれは高等学校に行きたくないよという子供はそれは義務教育の中にだっておりますよ。だからといって中学校義務教育を外すわけにはいきませんでしょう。それは必ずそういう一部の人は、私も教師出身ですが、そういうことはありますよ。ですから、すでに一〇〇%に近い入学率を示している今日この段階では、すぐ義務教育とは言いませんよ、義務教育的な取り扱いを考えていいのではないか。つまり、情勢の推移というのはすでに来ているのではないか。これは私たちだけじゃなくて、国民の大方の層はそういうふうに考えていると思うのです。この点、もう一度見解を承りたいと思います。
  278. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 御意見はよく私もわかるわけでございますが、合格率はすでにたしか九八・四%までいっておるわけでありまして、能力のある進学を希望するすべての人が学んでいただけるような体制に近づきつつあると、こう申し上げてもいいと思います。ただ、やはりその段階においても現在の高等学校進学を選択しない人がおることも事実でございますし、また、三年間の現存の高校の姿ではやはり不十分だという意味か、五年制の工業高専をつくったり、あるいは専修学校の制度を整備して多様な進路にこたえていこうという努力をしておるわけでございまして、学校をいま直ちに義務化せよということになりますと、その問題のほかに、先ほど申しましたような財政上の問題とか、いろいろ複雑な問題が絡んでまいりますので、直ちに義務化にするというわけにはまいりませんけれども、たとえばこの五年間高校進学生の数が急増するということがわかっておるわけでありますから、それに対しては緊急の措置等を講じて、何とか高校へ進学したいという人の要望にはこたえるような努力を続けておるところでございます。
  279. 片岡勝治

    片岡勝治君 すぐ義務教育にするということには、いろいろそれに対応すべき措置も相当必要だろうから、私はすぐというのは非常に無理だと思うのです。しかし、義務教育的な取り扱いをしたらどうか。それはできると思うのです。というのは、すでに一〇〇%近い子供が高等学校に行っている。これを非常に大ざっぱに分ければ、約半分の人が公立高校、半分の人が私立、それは地域によってもちろん違いますよ、神奈川あたりはそういう比率になっているわけですよ。そうすると、同じ県民、同じ国民でありながら、なぜ五〇%の人は公費による教育が受けられるのか、なぜ残る五〇%の人だけは私立の高等学校に行って莫大な私費を投じて高等学校の教育を受けなければならないのか、こういう大きな社会問題が出てきているわけです。これについてどういうふうにお考えですか。
  280. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 全国的な平均を見ますと、私立学校に依存しておる分は約三〇%かと思いますが、先生の地盤のようなところにはそういう状況があろうかと、これも私は判断いたします。そこで、そういう意味の格差是正というものをやっぱり放置しておくわけにまいりませんので、たとえば奨学金のときには公立の高等学校よりも私立の高等学校の生徒にたくさん借りてもらうとか、あるいは私立学校の高等学校等の経常費の助成とか、いろいろな緊急のことにもとりあえずいま踏み切りまして、地方自治体の御努力とともに国としてもできるだけのことをして、その格差是正の問題だけはできるところから少しでも直していこうと思って五十二年度予算案でも努力をしておるところでございます。
  281. 片岡勝治

    片岡勝治君 ですから、私は、義務教育的な考え方に立って対処していけば、そういう格差というものはなくなっていくだろう、なくすようなそういう施策をやるべきだと言うんですよ。しかし、あなたはそう言うけれども、非常に莫大な差ですよ、授業料一つとっても。大体いま私立の高等学校では初年度には三十万円かかると言われていますね。ある東京の高等学校では五十万円かかると新聞報道されている。具体的な資料がありますけれども、時間がありませんから省略しますけれども、莫大な差があるわけですよ。私は、私立の学校がいい学校だ、悪い学校だと言っているんじゃない。大変りっぱないい学校もある。しかし、残念ながらこの教育費の格差というものは膨大である。三〇%の人たちの中には、それにたえられないために高等学校をあきらめるという人だっているんですよ、たくさん。だから、そういう点から考えれば、高等学校はもはや義務教育と同じような様態なんだ。そうすれば、義務教育と同じような私立の高等学校に対しての補助率、あるいは公立高校に対する義務教育と同じような地方に対する補助、そういうものをやって、事実上公立と私立との教育費の大きな格差というものを是正していく、そういう時期にいま来ているのじゃないか。そういう姿勢についてもう一度お伺いしたい。文部省は余り熱心でないですよ、そういう点。
  282. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるような方向で一生懸命取り組んでおりまして、文部省も熱心にきょうまでやってきたと思いますし、またこれからもその問題については熱心に取り組んでいきたいと、こう思います。
  283. 片岡勝治

    片岡勝治君 それでは、公立の高校についても義務教育と同じように国庫負担——義務教育の場合には教職員の負担は二分の一ですか、人件費の二分の一は国が負担をする。それから建設費についても、義務教育については二分の一ないし三分の一あるいは急増地域によっては三分の二の補助がありますね。高等学校の建設費についても、義務教育と同じような性格だから、そういう率を適用する気はありませんか。
  284. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 公立高等学校の問題につきましては、緊急に、いままでは地方の交付税措置でお願いをしておりましたのを、この五年間一定の要件のある緊急のところには、建設費の直接補助という制度にようやく踏み切って、今年度予算ではさらにそれを増額してお願いしておるところでありますが、直ちにそれを義務教育並みの率に上げてということは、いろいろな事情がございましてとることができませんが、なるべくそのようにいまできるだけの努力はしておるというところでございます。
  285. 片岡勝治

    片岡勝治君 私立の高校に対してはどうですか。もう公立の高校以上に私立の高校の父兄負担というのは莫大ですからね。いまのような状態が続いていたのでは、それはもう授業料なり寄付金なりで大変な大きな負担があるわけですから、これについて特別に、つまり私が言うのは高等学校はもう義務教育と同じようなかっこうになってきているんだから、この私学に対する補助を大規模に行って、少なくとも授業料は公立の高校へ行こうと私立に行こうと大差ないと、そういうふうにすべきだろうと思うんですよ。
  286. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) できるだけ格差を是正するためにいろいろな措置等を講じておりますが、先生御承知のように、私立の高等学校に対しましては所管庁である都道府県の知事がいろいろ財源措置を地方交付税等によって行ってきたわけでありますが、これに対しましても、昭和五十年度から初めて私立高等学校等経常費の助成費補助、こういった制度にも踏み切りまして、五十二年度予算におきましては、これは昨年度の予算に比べて六六%増加という伸び率をして約三百億円、地方交付税措置で千二百七十五億円の措置をいただいておるところでありまして、このほか、私立高等学校の施設整備の充実に関しましては私学振興財団の方からも融資をするように、できるだけの措置は政策的に講じて努力をしておると御理解をいただきたいと思います。
  287. 片岡勝治

    片岡勝治君 先ほど冒頭申し上げましたように、総理大臣すら——すらと言うのはちょっと語弊があるかもしらぬけれども、総理大臣も情勢の推移を見て、この準義務教育あるいは義務教育化という問題について判断をしなければならないだろう、そういうふうな答弁があるわけでありますから、私は、もっと前向きにして、とにかく私立の高校に行く父兄の負担というものは莫大である、これはもう何とかしなければ、同じ県民、同じ国民でありながらなぜうちの子供だけは公費による教育が受けられないのだろうかという疑問を持つわけですよ。そういう点については、ひとつ抜本的にお考え直しをいただきたいと思うわけであります。  同じような角度から幼稚園の問題がありますね。幼稚園も、まあ農村地帯に行けばまだまだ普及率が低いところがあるわけでありますけれども、都市部へ行けばもう一〇〇%行く。しかし、幼稚園の授業料、教育費というのは大学並みだと言われておりますね。これもほとんど義務教育に近い率で就学をしているわけでありますけれども、義務教育に比べればはるかに大きな授業料、教育費の差がある。これについて文部省としての考えをお聞かせいただきたいと思います。
  288. 海部俊樹

    国務大臣(海部俊樹君) 幼児教育の重要性についても文部省はかねがね検討に取り組んでおりますが、当面は、入園を希望されるすべての四、五歳児の人が幼稚園に就園できるように、それを昭和五十七年度というのを一応目標に置きまして計画を立てて幼稚園の整備を進めておるところでございますが、特に私立幼稚園の問題につきましては、昭和五十二年度には施設整備費の建築単価を平均八・一%引き上げますとともに、特に需要がふえてきておるという情勢等にかんがみまして、今年度は九十億七千万円の予算を計上いたしておりますし、また、私学振興財団からの長期貸付金として五十九億円を見込みましてその整備を進めていきたいと思っておるところでございます。
  289. 片岡勝治

    片岡勝治君 いま私が指摘したように、やっぱり基本はもう一〇〇%近い子供が幼稚園に行っているそういう現実に立ってひとつぜひ緊急に対処していただきたい。総論についてはわれわれも将来計画について文部省が考えていることについてとやかく言うわけじゃありませんけれども、現実にしかし私立の幼稚園に行っている子供たちの父兄は、大変大きな、大学並みの教育費を負担しなきゃならぬということは非常に大きな問題だろう。ひとつ抜本的に改革するようお骨折りをいただきたいと思います。海部文部大臣の腕の見せどころでありますから、ひとつここ一年間、私の言ったことを実現するように御努力願いたいと思います。  それでは、次に厚生問題についてお伺いしたいと思います。  私は昨年の内閣委員会で腎臓移植について質問をいたしました。これは、私の友人が腎臓の悪い自分の子供に対して自分の腎臓を一つ切って子供に移植した。しかし、この大手術に対して健康保険が何らの給付もない。一体これはどうしたことかということを私に訴えてきたわけであります。そのことを質問いたしましたら、現状では確かにそうだ、しかし目下検討中だからという答弁があったが、これについてその後どういう検討がなされてきたのか。
  290. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 保険は非常に広く採用されるようになりました。大部分の病気、大部分の新薬等も保険で採用することになって、大変喜ばれておるところでございます。ところが、腎臓移植の問題は、いままでの例を見まするというと、昭和五十年までで腎移植例というのが四百八十八例あるそうです。それで、現在生存をしておるのが二百六十九例。大体半分ぐらいは生存をしておる。かなり進歩をした。それから患者の生存率というのを見ると、大体一年ぐらいもつ——もつと言っちゃしかられるかしれませんが、一年間ぐらいの寿命がそれで保たれたというのが五七・二%、五年間もそれによって生きられたというのが一二%あるということが報告されております。特に、四十九年から五十年、この最近の年次で見ると、これは患者の一年生存率というのは八七%というように、成功率というものは非常に高くなってきておる。患者の中には八年四カ月も移植をしていま生存されておるという方が出てきたというふうなことで、いままで問題がたくさんあったわけでございまして、ともかく移植を受けた方がすぐ死亡しては何にもならぬし、逆に健康な母親とか父親から腎臓を取り出すわけですから、生きておる人の腎臓を片一方取ってしまうわけですから、取られた方が死んでしまったのじゃ、これまた大変な問題があるわけです。そういうふうなことで、いろいろ厚生省としては検討をし、専門家に技術的な問題、学術上の問題、安全性の問題、それから取り出された健康な人がそれで病気にならないようにするというような問題等を考えて、いろいろ勉強してもらっておるわけです。先生は非常に熱心でこの前もおやりになっておりまして、それだけ成功率が高まっておるのだから保険でひとつ採用したらどうだという気持ちなんですが、しかし、これはきわめて学問的な問題が一緒に入ってくるものですから、そこで専門委員会でいま検討しておるので、その専門委員会でまあ差し支えないというふうな専門家の学術的な御意見が出れば、そういう方向で御期待に沿うようにしたいと、かように思っております。
  291. 片岡勝治

    片岡勝治君 ぼくは専門家じゃないですから、腎臓の移植についての安全性とか危険性、そういうものについては率直に言ってわかりません。しかし、現にいまあなたのおっしゃるとおり、四百八十八の事例があるわけでしょう。健保に適用するしないは別にして、それだけの手術が行われているんですよ。しかも、これは大手術ですよ。何十万円とかかるんですよ。だから、健保を適用しようがしまいが、現にやっているんですからね。それに対して、莫大な手術費についてめんどうを見るということは、別の問題じゃないですか、安全性と。ぼくはそう思うのですよ。どうですか、これについて。
  292. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 当然、健保で見るということになれば、国費の助成があるわけですね。したがって、安全性という問題で、個人個人の合意によってやる部分はいいとしても、国が助成をするわけですから、国費で。そこで、やはり非常に危険だということであんまりお勧めできないと。健康な母親が腎臓が二つあって、そのうちの一つをくれましょうと、子供に。子供はそれで生きたけれども母親が死んじゃったというようなことがあったのでは、なかなか国としてはお勧めするという立場にならない。しかし、それにつきましては専門的に御研究をいただいて、それで、その専門家の方で、現実の問題として実際にもう行われておるんだし、しかもそういうふうに成功例というものも非常に高くなってきておるということならば、私としては、先ほど言ったように、何とか採用したい。専門家の意見をいま聞いているところなんです。大体そういう方向に行くのじゃないかと思いますが、予断を持って言うことはぐあいが悪いけれども、そういうふうなことで前向きで検討いたしております。
  293. 片岡勝治

    片岡勝治君 了解しました。もし安全性に問題があれば、それは別な角度から医者に対して慎重に取り扱えとか、いろんな基準をつくって本当に生命に危険のないようなことをやらせるべきであって、現に行われているものに対して、しかも莫大な医療費がかかるわけでありますから、ぜひ救済をしていただきたい。  こういうふうに、いま一つの事例でありますけれども日本の医療制度というのは、大きな病気あるいは難病に対しては冷淡で、軽い病気に対しては非常に手当てが十分だという批判が前々からありましたね。  ちょっとお伺いいたしますけれども、いわゆる生活保護で医療保護を受けている最近の傾向についてお聞かせいただきたいと思います。
  294. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 保護人員は、五十一年の十月現在で百三十五万人、そのうち医療扶助人員が七十九万人ですから、大体五八・五%の人が医療扶助を受けておると、こういう状態でございます。昭和四十年から五十二年まで、昭和四十年で生活保護費の中で医療費の割合というのはどれぐらいあるか、大体半分ぐらいです。それから六〇%台になって、五十一年、五十二年ぐらいでまあ六二とか六〇とか、大体それぐらいの割合です。金額で申しますと、五十一年度は保護費が六千二百二十三億円で、そのうち医療費が三千九百五億円、六二・七%、例示的に申し上げますとそういう状態です。
  295. 片岡勝治

    片岡勝治君 厚生白書にもその傾向がはっきり出ておるわけでありますけれども、生活扶助、住宅扶助、教育扶助というものが年次とともに——まあ最近こういう不況時代でちょっと上がってきておりますけれども、年次別に見るとどんどん減っている。それは大変結構な状況だと思う。しかし、医療扶助だけはもう昭和二十六年からずうっと、まあウナギ登りと言うと大げさでありますけれども、高くなっている。これはもちろん医療費の高騰というものも一つ原因があると思いますけれども、しかし、何といっても医療に対する社会保障制度がまだまだ不十分だということの私は象徴だと思うのですよ、これは。ですから、要するに、大きな病気、大変高額な医療費、そういうものについては今日の医療制度というものが完全な保障をしていない、こういうことが言えると思うのです。  一つ例をとれば、被用者の保険は本人はほとんど一〇〇%治療費給付ができますね。ところが、定年退職をした、あるいは働けなくなってやめた場合には国民健康保険になる。これは御承知のように給付は七〇%、つまり三割出せということでしょう。ぴんぴん働いているときには一〇〇%めんどうを見る、働けなくなったら三〇%は個人で負担しなさい、こういう医療制度でしょう。これは逆じゃないですか。見解を承りたい。
  296. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御指摘のような議論がございまして、われわれも真剣に耳を傾けていかなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
  297. 片岡勝治

    片岡勝治君 これはもう数年前からそういう指摘をされているわけですよ。しかし、今日なおかつそれが改められない。これはこういう見方もできますね。つまり、ぴんぴん働いている人は一〇〇%めんどう見ましょう、働けなくなったら自分で三割は出しなさいと、これは人間の使い捨て政策ですよ。人を使う立場の人の医療制度だと言われてもいたし方がないでしょう。ですから、これはもう発想の転換、もう考え方が全く逆転していますから、こういう点はもうずばりすぐ改めるようにしていかなければ、いま言ったように医療の扶助というものはどんどん上がっていきますよ。これは、厚生大臣、私はここでひとつ決意を示していただきたい。こんなばかな医療制度はないと思うのですよ。大臣の決意を聞きたい。
  298. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御承知のとおり、保険制度はいろんな仕組みがあって、その歴史や背景が違うわけです。国民保険では現在でも本人はやっぱり三割の自己負担と、こういうことになっておる。ところが、先生のおっしゃるように、組合保険とかなんかで、まあ政府管掌でもそうでしょう、ある一定の年齢になってそれでやめた場合には、今度あとはめんどうを見てもらえない。こういうものに対して、これは老人の医療の問題というふうな問題になるわけです。ですから、これもどういうふうにこれからやっていくのか。ともかく老人医療は老人医療として別立てに考えていくか、それとも、たとえば組合保険のようなものはいままで二十五年も三十年も使ってきたのですから、すぐほっぽり出すのはひどいじゃないか、ある年数だけはともかく組合でめんどうを見ろと、こういうことも、まあ退職保険ですね、これも一つの考え方だと思います。そのほかにもいろんな考え方があるわけです。したがって、われわれとしては、そういうふうな低所得になって掛かりがよけいかかる人が国民健康保険に流れ込んでいきますから、政府としては国民健康保険には一兆四千億円という莫大な財政援助をやっているわけです。そこで、制度を保つようにやっているわけですが、これはやっぱり医療の問題というものがこれほど大きな問題になって、年々医療費というものが大変な莫大な額に何兆円という額にどんどんふえてきているわけですよ。中には、やはりあなたのおっしゃったように、小さな病気はよく見てくれるのだけれども、大きな病気になったらとても大変で貧乏になってしまうという問題もあるのですから、私は、保険制度ということになってまいりますと、小さな病気よりもやっぱりもし万一大病になったとき、自分が貧困に陥らないように、これはもう家庭が破壊されないようにしていくということの方にウエートを置けというのは、一つの大きなりっぱな見識だと思うのです。したがって、いま、厚生省の中では、医療問題についていろんな審議会をつくっておりまして、それでことしの秋までにひとつ抜本的に内容について再検討をして結論を出そうと、そういうときには、先生のおっしゃったようなことは私は大きな一つの柱になっていくと、こういうように考えておるわけであります。ですから、それは誠心誠意、一生懸命、そう長い話じゃない、ことしの秋までですから。(「本当か」と呼ぶ者あり)本当ですよ。本当にそれはやるつもりでおります。
  299. 片岡勝治

    片岡勝治君 これもひとつあなたの腕の見せどころをぜひ拝見していきたいと思うのです。  これはたとえば年金のような問題にもありますね。この春闘でまあ仮に一五%アップした、人事院勧告がある、公務員の賃上げをやる、これも四月からにさかのぼる。その場合に、年金はいつから適用になるのですか、厚生年金あるいは公務員の共済年金。公務員の共済年金は大蔵大臣だろうけれども
  300. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御承知のとおり、この間の予算の修正等がございまして、それで五十二年度においては年金額の改定の実施時期を大幅に引き上げることにしたわけです。厚生年金は六月、拠出制の国民年金は七月からそれぞれ実施をする、こういうことになったわけでございます。
  301. 片岡勝治

    片岡勝治君 いや、ことし、春闘で値上がりした分についてはいつから年金受給者に対しては適用しますか、その率はわかりませんけれどもね。
  302. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 片岡委員すでに御承知のとおり、本年度の共済年金の改定でございますが、これは昨年度のベースアップにつきまして本年の四月からということで、最近十数年間は十月改定でございましたけれども、近年、逐次繰り上げてまいりまして、五十二年は特に四月ということで三カ月前進いたしております。  また、ことしの春闘のやつは来年どうなるかというようなことは、実はそれをお尋ねかと思いますけれども、今度の臨時的な支給措置、これは御承知のとおり五党間のいろいろな一時金の支給にかえてなされた措置でございますので、五十二年度にはどういう形になるかということにつきましては、来年度の財政、その他総合的な事情を勘案いたしまして判断いたしたいと、こう思っております。
  303. 片岡勝治

    片岡勝治君 大蔵大臣ね、大臣の歳費は公務員のベ−スアップと同じように四月から適用されますね。去年適用されたでしょう。しかし、年金受給者はそうじゃないんですよ、一年何カ月もおくれているんですよ。ぴんぴんして、現職の者は四月からやって、働けなくなった年金受給者がなぜ一年もおくれて春闘に見合う年金の額を引き上げる、そういう措置を講じなければならないのですか。素朴な年金受給者の質問なんですよ。お答えいただきたい。
  304. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 至急に検討いたしていきたいと思います。
  305. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 厚生年金は私どもが担当しておるわけですが、これはことしの三月まで、つい最近までの物価の上昇というものを見込んで、それで九・四%アップをすると、こういうことにしてあるわけでございます。
  306. 片岡勝治

    片岡勝治君 大蔵大臣ね、つまり、あなたは、おれは四月から歳費を上げるけれども、しかし、公務員の年金は来年からですよといういま制度になっているんですよ。それをあなたは大蔵大臣としてどうお感じになりますか、そういう措置について。
  307. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 私は、そこのところのそういうことになっておることには恐らく何かの理由があると、その理由が非常に不合理なことであるかもしれませんけれども、そうなっておるということには何らかの理由があるのじゃないかというようなことについてただいま私はわかりませんから、そこで検討いたしましてそして善処をすると、こう申し上げておるのです。
  308. 片岡勝治

    片岡勝治君 理由を聞きましょう。
  309. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 結局、共済年金は、退職した公務員の人たちが退職した後どういう水準の所得を保障されるかということにかかると思います。したがいまして、現在二十年なり四十年勤めている人の総平均が、大体私どもの計算では退職前の所得の六割ぐらいを保障されていると思っております。しかし、この水準をどうするかということにかかわる問題であると同時に、その改定時期をどうするかということは、一つのめどといたしまして前年度のベースアップを一つの改定時期としている。その結果の水準が高いか低いかという、いわゆる一つの長らく公務に勤務した人の所得の保障の問題にかかると思っております。それからもう一つは、厚生大臣がお答えしましたとおり、他の公的年金とのバランス関係もございまして、私どもといたしましては、できるだけ改定時期を引き上げながら改善を図ってきたところでございます。
  310. 片岡勝治

    片岡勝治君 これは水準の問題じゃないんですよ。これはわれわれも含めて、われわれは四月から歳費の値上げがあるけれども、年金受給者は一年待てということは、年金受給者は納得しませんよ。総理大臣以下全部四月から上がっているのに、年金受給者だけは一年おくれだなんということは、年金受給者、長年それぞれ職場でがんばった人たちの心情としては、ぼくはとうてい容認できないことだと思っている。水準の問題じゃないんですよ、これは。  次に、時間がもうそろそろ終わりになりますので、自治大臣と大蔵大臣の見解を承りたい。  政治資金規正法、まあ私どもは反対いたしましたけれども、それにかかわる、いわゆる個人献金についての減免措置がありますね。これは国会議員あるいは県会あるいは知事等についてはそういう措置が認められているけれども、市町村の長及び議員については認められていない、そういうことなんですけれども、これについて大蔵大臣並びに自治大臣の所感を承りたい。
  311. 小川平二

    国務大臣小川平二君) お答えいたします。  政治資金規正法の改正に際しまして、所得税法の優遇措置が適用される対象をどの範囲にしようかということが御論議があったわけでございますが、政党あるいは政治資金団体については格別の論議なしに決まったわけでございます。その他の後援会等の政治団体については、いろいろ御論議があったと聞いておりまするが、当面、広域的な地方公共団体である府県レベル以上のものに限ろうと、こういうことで改正法が発足して今日に至っておる状況でございます。
  312. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 個人の寄付金に対しまして、これが個人の控除といいますか、損金というか、そういったように所得から引かれておるということになりましたことは、そういう対象になったということは前回の選挙法改正のとき以来だと思いますが、それは、前回の選挙法改正のときに、何しろ法人から今日まで寄付金をもらっておるということは法人と政治家との癒着ということが、一番悪いことだと、こういうようなことが観念されたと私は思っておりますが、なるほどそれも確かに法人と個人の政治家との間に深いつながりがあるということはよろしくない。ところが、政治に携わる人間はどうしてもいろんなことでお金がかかる、そのかかるお金をやはり浄財をどこかから寄付してもらわないといけないというようなことが考えられまして、そうして何とかしてその法人からのそういったような水のもとと申しますか、それはできるだけ切ってしまおうというようなことで、そこで、個人からの献金と申しますか、友人だとかそういったようなところからの献金というものについては若干のあれを緩和をしようというふうに考えて、私はあの法律案をつくった者ではございませんけれども、しかし、そういったような趣旨があの法律案には流れておるのではないかと、こういうふうに私は想像しております。
  313. 片岡勝治

    片岡勝治君 広域的な議員だけに適用というと、面積の問題ですか、そうすると。面積が広い議員は個人献金をした場合に減免になる、面積が小さいところの議員はだめだ、そういうような基準でいいんですか。そうじゃないんでしょう。
  314. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 政治活動の範囲が広い地域にわたると、こういう意味でございます。
  315. 片岡勝治

    片岡勝治君 広い地域の場合はどうして減免になって、狭い地域の議員はどうして減免にならないんですか。
  316. 小川平二

    国務大臣小川平二君) こういう優遇措置を講じますのは、これは申すまでもなく政治をきれいにしようという観点から政治資金を徐々に個人に重点を置く方向へ移していこう、こういう趣旨から出てきておりますことは、いま大蔵大臣の答弁にもあったとおりでございます。そういう観点から優遇措置の適用をされる対象をもっと広げるべしと、こういう御趣旨は十分理解できるわけでございますが、何分にもこの改正法が昨年の一月から施行されましてただいま五十一年度の所得からこれを適用するわけでございますが、収支の報告が自治省の手元へ集まりつつあるという状況でございます。この結果を見ませんと、どの程度の件数が出てくるのかということも判明いたしません。当時御論議のあった一つのポイントは、税務の当局の事務処理能力ということもあったわけでございます。そこで、改正法が施行されてきわめて日が浅い今日でありますから、御質問の御趣旨は十分理解をいたしますが、当面、改正法の適正な施行に努めてまいりたい。その結果を見まして、確かに一つ問題点でございますから研究をしたいと、こう考えております。
  317. 片岡勝治

    片岡勝治君 私の質問に答えていないですよ。面積が小さければどうして減免措置を許さないのか、できないのかということなんですよ。理由になっていないでしょう。私は、その減免措置がいいか悪いか、これはいろいろ論議のあるところですよ、そういうことを言っているのじゃない。市町村だって、県会議員だって、知事だって、みんな一生懸命にやっているわけですよ、議員は。なぜそういう差別をするんですか。差別の理由がないでしょうに。県会議員の方が偉くて市町村の議員の方が偉くない、そういうことが言えますか。
  318. 小川平二

    国務大臣小川平二君) どちらが偉い偉くないということではないのでございまして、政治団体の数は非常に多い、実態もきわめて区々である。どの範囲まで広げるか、どこで線を引くかということについてはずいぶん議論もあったわけございまして、当面都道府県レベル以上にしぼってともかくやってみようということで発足をしたのが偽らざる実態でございます。御発言の御趣旨はきわめてごもっともと思っておりますから、ともかくここでこの法律を施行してみまして、その結果を見て研究をしたいと、こう考えております。
  319. 片岡勝治

    片岡勝治君 自治大臣のそういう答弁がそもそも差別ですよ。本当に自治体というものの尊厳を考えればそういう答えは出てこないはずだ。十分検討していただきたいと思います。  以上で終わります。(拍手)
  320. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして片岡勝次君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  321. 小川半次

    委員長小川半次君) 次に、野田哲君の質疑を行います。野田哲君。
  322. 野田哲

    ○野田哲君 まず、国防会議の事務局長に伺いますけれども、昨年の十月二十九日に国防会議並びに閣議で決定されている「防衛計画の大綱」の「目的及び趣旨」の項に、日本における自衛隊の存在が周辺諸国へ影響を及ぼしているというか、貢献をしている、こういう記述があると思うのですが、その記述をちょっと読んでいただきたいと思います。
  323. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 該当のところだけ申しますが、「わが国が憲法上許される範囲内で防衛力を保有することは、」「日米安全保障体制と相まつて、」「わが国周辺の国際政治の安定の維持に貢献することともなっているものである。」
  324. 野田哲

    ○野田哲君 外務大臣に伺いますが、外務大臣も国防会議の一員でありますからまず外務大臣の見解を伺いたいと思うのですが、「周辺諸国」というのはどこですか。
  325. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この決定は私の着任前のことでございます。お尋ねでございますが、そこで引用されました「周辺」という表現は、恐らく私はその前に安保条約が引用してございますので、「周辺の国際政治の安定の維持に貢献することともなっている」という表現は、その前段に「日米安全保障体制と相まって」と、こうあるので、恐らく極東の範囲のようなことが考えられているのではないかと考えております。
  326. 野田哲

    ○野田哲君 それはちょっと違うのじゃないですか。これはずっと読んでいくと、わが国防衛力を保有することと、それから安保体制、これとが相まって「わが国周辺の国際政治」に云々と、こうなっている。この「周辺」というのはどの区域を指すわけですか。
  327. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 原文作成は事務局でやりましたので、一応私から御答弁申し上げて、その上で関係大臣に御質疑をお願いしたいと思いますが、原文は「わが国周辺の国際政治の安定の維持」ということでありまして、わが国防衛力そのものは国を防衛する自衛権を保持するための手段であり、また安全保障条約上の基地の提供の目的というのは、極東の範囲ということでありまするけれども、適切な防衛力を保持し、かつ日米安保体制を維持しているということが、それが国際政治上の観点からするならばわが国周辺の地域についての安定に寄与をしているということで、具体的な範囲を格別明示しているわけではございません。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕
  328. 野田哲

    ○野田哲君 「わが国周辺」と、こうなっているわけですから、どこの国とどこの国と区域があるわけでしょう。
  329. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは防衛力及び日米安保体制というものがどういう地域に安定的効果を及ぼしているかということでありますから、そのときの国際情勢によっても違ってまいりますし、この線までは安定を及ぼし、その線から外は安定を及ぼさないというようなものでもございません。漠然とした表現として私どもは使っているつもりであります。
  330. 野田哲

    ○野田哲君 どういう貢献をしているわけですか。
  331. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 防衛力そのものは、いま申し上げたように、日本の自衛そのものを担当するものであり、安全保障条約上の基地の提供というのは極東の範囲という目的で縛られているわけですけれども、そういった体制にあるということが国際政治上からいいますると、ある種の勢力均衡と申しますか、あるいは安定的均衡——英語があるわけですけれども、安定的均衡という見地から見ると、一種のエアポケットをつくらないような形になっているわけで、そういう見地から見て安定を及ぼしている。そこで、私はかつてあるシンポジウムに出たことがありますけれども、シンガポールの学者が言っておりましたけれども、もし日本防衛力をやめた、日米安保体制をやめたということになると、それは自分たちの安全保障政策上にも影響を及ぼす、非常に困る事態であるということを申しておりましたが、別に朝日新聞の論説委員がインドネシアの学者から聞いても、やはり同じことを言っておったということで、この地域について一種の力の上でのエアポケットがあるということはやはり不安定であり、緊張をもたらすものである。そういうようないわば国際政治上の力学関係——外国の学者はそういう言葉を使いますが、そういうものが成立しているというふうに考えられます。
  332. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、いまの久保事務局長の説明では、わが国防衛力日米安保体制、これが一体になって周辺に貢献をしている、こういうことなんですか。
  333. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) まさにおっしゃるとおりでありまして、たとえば現在の政府の解釈でも、日米安保条約というものがアジアの安定に寄与をしている、ひいては世界の平和に寄与をしているというふうに言われております。また、中国の人たちも申しまするように、日本がしっかりした防衛力を持っていること、日米安保体制を持っているということは望ましいということを言うわけでありますが、極東の範囲ということから言いますと、中国大陸は入っておりませんが、そういった軍事力のありようというものは、国際政治上のいわばはね返りの、あるいは反射的な影響力というものを及ぼしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  334. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、いまの久保事務局長の説明は、集団的な自衛権、こういう解釈が成り立つと思うのですが、その点はいかがですか。
  335. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 自衛という場合には、あくまでもやはり憲法上認められました自衛権を実力あるいは武力でもって保持をするという手段としての場合の自衛でありまして、いまの解釈で言えば個別的自衛権ということであります。これは軍時的な意味合いあるいは法律的な意味合いということであって、そういうような事態が国際政治上どういう影響を及ぼすかということはおのずから別であるという意味であります。
  336. 野田哲

    ○野田哲君 「貢献」という意味について、わが国防衛力を保有することが安保体制と相まって近隣諸国に貢献をしているこの「貢献」というのは、もう少し具体的に説明できませんか。
  337. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 具体的にはなかなか申しにくいわけでありまするし、また、この種のものは実際に実験をしてみるというわけにはまいりません。ただし、考えられますることは、もし日本日米安保体制も持っていない、あるいは自衛力も持っていないということになりますると、日本をうかがうという気持ちを諸外国に起こさせるかもしれないというふうに外国は受け取るかもしれない。そうすると、どのような防衛体制をそれらの国がとるかわかりませんけれども、何らかの検討が始められねばならない。一応ある意味で言えるならば、今日のような現状が維持されているという体制、それに乗っかって他の国々も現体制がとられているというふうに見られます。
  338. 野田哲

    ○野田哲君 一次防から四次防までの間の防衛計画の決定に当たっては、このような記述はなかったと思うのです。これが五次防で突如として出てきたのはどういう意味合いがあるのですか。
  339. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) やはり当初は日本の軍事的な防衛ということに着目をしておりました。防衛庁としてはまたそういう立場がしかるべきであったわけでありますが、しかしながら、ますます軍事力が戦争の手段として行使されるというよりも国際政治上の意味合いというものを持っているということがだんだんと明確になってきつつあるのではなかろうかというふうに思います。そして、今回このような表現をいたしましたのは、必ずしも初めてではありませんで、昨年の防衛庁の白書の中に触れてあります。公式にはそれが最初でありまするし、さらに、国会で御報告申し上げたのは、四十八年の二月に防衛力の限界論争がありましたときに、「平和時の防衛力」という資料を一応提出しまして、まあ撤回はいたしましたが、その際に初めてそういった思想を出してみたわけであります。
  340. 野田哲

    ○野田哲君 日米安保体制の存在、あるいは周辺の国際的な情勢、こういう関係から考えてみまして、一次防から四次防まで安保体制の存在という点については変わっていないわけです。そういう状態の中で、一次防から四次防までの間は国際的に貢献する云々というそういう字句がなかったのが、五次防で改めてここに出てきたということは、四次防から五次防の間に何か情勢の変化があったからこういう記述が出てきたのじゃないですか。
  341. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) やはり国際政治の中における軍事力の評価というものが少しずつ変わってきつつあるのではなかろうかというふうに思います。そして、日米安保条約自身にいたしましても、すでにマスコミの上で安保条約の変質というふうに言われておりまして、六〇年代においては安保条約の軍事的な性格というものが着目されましたけれども、今日では政治的あるいは経済的なそういった意味での性格というものが注目されている。むしろそこに重点があるというふうに理解されておりまするように、やはり軍事力あるいは日米安保体制の国際政治に与える影響というものがだんだんと六〇年代に比べて七〇年代におけるそういった意味合いというものが明確に出てきたのではなかろうかというふうに認識をいたします。
  342. 野田哲

    ○野田哲君 つまり、日本の軍事力が増大して安保体制と相まって周辺の国際情勢に影響を及ぼしている、国際的な抑止力の役割りを果たしている、こういう意味が私どもは素直にこれを読めばそういうふうに思わざるを得ないのですが、その点はいかがですか。
  343. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) それは書いておるところの趣旨ではございませんで、抑止力という場合には、やはり防衛力の軍事的性格に着目をした表現でありますけれども、ここで抑止力というのは、単純に日本防衛に関する抑止力だけであって、そういう抑止力を持っていることが国際政治上どういう影響を及ぼすものであるか、そういう認識であります。
  344. 野田哲

    ○野田哲君 久保事務局長は、一カ月か一カ月半ぐらい前に、外人記者クラブで講演をされて、その際に、日本の自衛隊と韓国の軍部とアメリカの軍部との間には常に情報交換を行っている、こういう意味の講演をされたというふうに私は聞いておるわけですが、そういう意味のことをなさいましたか。
  345. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 先月の二十日過ぎぐらいでしたか、日本新聞協会がアメリカの編集関係の記者方十人ばかりを呼ばれた際に御説明をしたわけですけれども、いま御質問の点は、多分記者からの質問日米韓三国の間で防衛の連携というものはできないだろうかという質問があったと思います。それに対しまして、私は、軍事的な連携というものは、同盟関係はもちろんのこと、軍事的な連携は全く日本の憲法上それは不可能である、それは米韓あるいは日米というそれぞれの安全保障条約にのっとってやるほかないのである。ただし、情報という面については、韓国の軍部は日本に参り、日本の自衛隊の幹部は韓国に参る機会がありますから、その際には情報の面では交換ができておりますということを言っておきました。
  346. 野田哲

    ○野田哲君 日韓という問題について一つだけ防衛庁に伺っておきたいと思うのですが、防衛庁長官は、調査学校——この委員会で何回か問題になりましたが、調査学校で韓国語の教育を行われていることを御存じですか。
  347. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えいたします。  韓国語、英語、ロシア語等をやっておることを承知いたしております。詳細につきましては政府委員からお答えさせます。
  348. 野田哲

    ○野田哲君 その詳細のカリキュラムをちょっと説明してください。
  349. 水間明

    政府委員(水間明君) 朝鮮語課程は四十五週間やっております。一般の外国語教育と特別変わったところはございませんで、文法、それから読解、これは文献、テキストを与えて読みこなす力を養わせるわけですが、それから会話、作文その他をやっております。補足いたしますと、当然軍事的な文献をテキストに使うことが多うございます。
  350. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁長官、陸上自衛隊の調査隊でなぜ韓国語が必要なんですか。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕
  351. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 韓国語の情報等を取得し、そしてそれを分析いたします、そういう場合にどうしても韓国語は必要になってまいるものでございます。そういう点で調査隊において勉強さしておるところでございます。
  352. 野田哲

    ○野田哲君 情報を……
  353. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ちょっと済みません。いま調査隊と申しましたが、資料隊でございます。いま先生調査隊と申されましたが、資料隊の方でやっております。
  354. 野田哲

    ○野田哲君 資料隊じゃない、調査隊でしょう、これ。私が防衛庁へ資料要求してもらった資料には、陸上自衛隊調査学校のカリキュラム、こういうふうに書いてある。どっちなんですか、これ。
  355. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 調査隊というのは、調査学校と直接関係のある組織じゃございませんで、調査学校でやっておりますのは、そういった語学教育等を終えた者が、主として資料隊などでいわゆる韓国の、朝鮮半島の資料関係を読んでいるということでございまして、調査隊は、これは自衛隊の中のまあ秘密保全その他の仕事でございますから、調査隊の仕事と朝鮮語というものは直接関係はございません。
  356. 野田哲

    ○野田哲君 調査学校ですね、調査学校で教育をやっていると。いま長官は、この韓国の情報についていろいろ解読をすると。そのためだったら何人かのエキスパートがいればこれはできるんですがね。陸曹課程にも韓国語教育をやっている。英語とかほかの課程よりも一番多いです、韓国語の教育が。陸曹課程までそういう教育をやっているというのはどういうわけですか。
  357. 水間明

    政府委員(水間明君) 陸曹は中央資料隊で分献の整理の補助をやらしておりますが、特に朝鮮語についてのみやらしておるわけでございません。すべての外国語についてやらしております。特別のことはございません。それから、人数が多いようにおっしゃいましたが、英語課程が一番多うございます。
  358. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、陸曹課程で韓国語の教育を受けた者が延べ何人おりますか。
  359. 水間明

    政府委員(水間明君) 現在まで九十三名になります、陸曹は。
  360. 野田哲

    ○野田哲君 陸曹課程で九十三名もの者が資料の整理に必要なんですか。
  361. 水間明

    政府委員(水間明君) これは開校以来の数字をいま申し上げましたわけでございます。一回に養成いたしますのは十五人で、これは三年に一回でございます、陸曹の朝鮮語課程は。しかも、それは異動いたしますので、いつもそんなに大勢の人間が朝鮮語を担当しておるわけではございません。英語、ロシア語、中国語、朝鮮語、そのほかにもいろいろございますが、インドネシア語とかドイツ語、フランス語、同じことでございます。
  362. 野田哲

    ○野田哲君 この問題は、いずれ時間の関係から機会を見てやりたいと思います。  次へ進めます。大蔵省ですが、まず主計局長に伺いますが、昭和四十年の五月十四日それから五月十一日、「公団公庫等役員の選考について」、それから「特殊法人の役員の縮減について」、こういう閣議決定、閣議了解が行われていると思うんですが、その内容、ここで説明してもらいたいと思います。
  363. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 五月十四日に閣議の口頭了解になっておりまして、「公団公庫等役員の選考について」と、選考に当たりましては、「適任者を広く各界有識者から人選することを原則としているが、今後次の事項に特に留意されたい。」といたしておりまして、第一点といたしましては、「公務員出身者から選考する場合は関係省庁の職員にとらわれず広く各省庁から適任者を選考する」、二番目に、「公団公庫等相互間のたらい廻し的異動は極力これを避ける」、第三番目には、「清新な気風を反映させるため常勤のポストについては、高齢者の起用はつとめて避ける」、第四番目は、「役員の長期留任は特別の事情のない限りこれを避ける」と、こうなっておりまして、「その在職期間は同一ポストについておおむね8年を限度とする」、「なお、役員人事のうち閣議関係のものについては、候補者選考の段階において事前に内閣官房長官連絡されるようにすること。」と、こういう内容でございます。
  364. 野田哲

    ○野田哲君 大蔵大臣もそういう内容決定がかつて行われていること御承知ですか。
  365. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 詳細には存じませんけれども、聞いております。
  366. 野田哲

    ○野田哲君 これから具体的に伺ってまいりたいと思うんですが、昭和五十年の公社、公団の役員の報酬、これは昭和五十年は閣僚会議で閣僚の改善も見合わすという決定がされ、これに準ずるということになっていたと思うんですが、いつの間にか五十一年分についてはかなり大幅にアップされております。そういう事実は間違いありませんか。
  367. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 五十年は、御存じのとおり総理、閣僚等の給料がストップいたしましたので、政府機関の総裁とか役員、こういうものもほとんど微調整的な、ほとんどストップ同様のべースアップでございました。ただ、五十一年はほかの公務員給与、それから内閣総理大臣その他の指定職等もアップいたしましたので、大体それに比例いたしまして上げたわけでございます。参考までに申し上げますと、一般公務員は五十年に一〇・八五%、五十一年が六・九四%。五十、五十一年を通じますと一八・五五%でございます。しかし、たとえば一つ例を国民公庫の例にとってみますと、国民公庫の総裁は五十年に二・五%、五十一年に一四・六%。五十、五十一年を通算いたしますと一七・四七%。その間、国務大臣につきましてはストップいたしまして、五十一年に一六・七七ということで、通算のところはそこら辺でバランスをとったつもりでございます。
  368. 野田哲

    ○野田哲君 五十年の場合には閣僚が辞退をされた。この閣僚の辞退と見合って公社、公団の役員についても見合わすという申し合わせができていたんじゃないですか。
  369. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 野田委員承知のとおり、国務大臣と同額の者は三公社の総裁でございます。国務大臣と同額のところはストップいたしましたが、その下の部分につきましては——大臣等はストップいたしましたが、たとえば両院事務総長とか、その他公務員でもそういうバランスのとれたところは若干上げておりますので、それとのバランスで本当の微調整的に上げているわけでございます。
  370. 野田哲

    ○野田哲君 昭和五十一年の先ほど説明があったわけですが、昭和五十一年の場合には、一般的な俗に言う春闘の引き上げ幅は八・八%。これに対して公社、公団等の役員の場合には一〇%以上のアップが行われていると思うんです。具体的に申し上げますと、総裁、理事長クラスで一四・六%、平均十二万円。副総裁、副理事長クラスで平均一〇%、七万円。理事クラスで九・四%、五万五千円。これが間違いなければ、一般の春闘の平均相場、公務員よりもかなり大きいですね。
  371. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) さようでございます。先ほど御説明いたしました二年間通算でバランスをとったという形になっております。
  372. 野田哲

    ○野田哲君 退職金の問題について伺いたいと思うんですが、この公社、公団の役員の退職金の計算の仕方はどうなっているか、ちょっと説明してください。
  373. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 退職金の計算につきましては、民間の役員の退職金の基準など等を参照といたしまして、従来、御承知のとおり、昭和四十五年までは一年ごとに大体六五%というようなことで計算していたわけでございますが、いろいろな御批判もございまして、昭和四十五年から百分の四十五に引き下げているところでございます。
  374. 野田哲

    ○野田哲君 もう少し詳しく聞きますと、一カ月で百分の四十五、一年で五・四カ月分、一期四年で二十一・六カ月、こういうことは間違いありませんか。
  375. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) そのとおりでございます。
  376. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、この公庫、公団の総裁、理事長クラスは、平均して計算いたしますと一年で五百万円を超す五百七万円。一期で、四年で二千三十万、大体こんな数字になると思うんですが、大ざっぱな計算で間違いありませんか。
  377. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 間違いないと思います。
  378. 野田哲

    ○野田哲君 先ほどこの民間の役員との比較でこうなっていると、こう言われましたけれども、後で申し上げますけれども、ほとんどの人たちはこれは公務員として一遍この退職金をもらっておられるわけですね。それがさらにこういう状態になっているわけで、これを公社、公団の一般の職員と比較いたしますと、一般の公社、公団の職員の場合には、公務員に準じて、本俸の五十五カ月分で幾ら長くても頭打ちという制限があると思うんです。そういたしますと、高卒で勤続二十年の場合で五百八十七万円、大学卒で二十年で六百九十二万円、この程度の数字にしかならないと思うんですが、そういう認識でよろしいですか。
  379. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) ちょっとすぐ計算してみなければわかりませんが、大体野田委員のおっしゃった数字になると思います。
  380. 野田哲

    ○野田哲君 まあ民間の役員と比較したと言われるのですけれども、大蔵大臣、公社、公団の職員は高卒で二十年勤めて五百八十万円ぐらいです。一遍公務員として局長なり次官を勤められて公社、公団の役員になった方については一年で五百七万円。一般の職員の二十年と一年、役員の場合、一年とがほぼ変わらない金額なんですよ。これほど開きがあってもいいんですか、一般職員と役員と。どうなんですか。
  381. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 収入の格差がいま御指摘のように大変大きいということは私も感じます。ただ問題は、役所におりまして、そうして二十年前後、まあ三十年近くおる人もおりますけれども、その間というものは、たとえば私のいまの大蔵省におりますれば、銀行の仕事だとか金融の仕事だとか、あるいはほかいろんな仕事をやっておるということが、もうその人は見方によれば、もう功成り名を遂げたんだからいいんじゃないかということと、それからその勤めの間にいわゆる身につけたと申しますか、知識、経験というものがこれは私は相当評価されていいものだと思います。そういったようなことがありまして、まあ長い間、二十年近くも役所におったということは、一応そういったような能力と、それから長い間おったということは、その人の人柄ということも一応これは社会的な試験を通っておるというようなことを考えますと、国の公社、公団その他のものがそれぞれ、たとえば金融をやっておるところにいたしましても、その他の食糧をやっておるところにいたしましても、そういった専門的の知識を持った人をこれは要望しておるというようなところから考えてみますと、私はそういうところへ就任した人は、去年まで何か役所におって、きょうになってそれでもうほかの人とこれだけ格差が大きいんだということも、むろん金額をお聞きしまして、大変格差のあるものだと思っておりますけれども、一概に私はそれを比べてみて、これはもう話にならぬということは、ちょっと言えないんじゃないかとも思うんです。
  382. 野田哲

    ○野田哲君 それは大蔵大臣、そういう認識じゃ私は大変困った大蔵大臣の認識だと思いますよ。もっとそれじゃ具体的な例を出しましょうか。公団、公社の理事長クラスの方が、これは一期勤めるとどのぐらいの——税金はかかりますけれども、どのぐらいの収入になると思いますか。一年間が大体千六百万ぐらいになりますよ。公社、公団の理事長や総裁クラスで一年間千六百万円になります。これ一期四年間勤めると、これで六千四百万です。これは現行のベースでですよ。これに退職金が一期で約二千万、四年間で八千四百万円の収入になるんですよ。現行ベースですからね。もし仮にことし公務員が一〇%ないし一五%のアップがありたとすれば、それに準じたら、これは驚くなかれ四年間の一期で一億円近くの収入を得ることになるんですよ。ずっと勤めた人ならばいいですよ、すでに公務員として局長、次官——一遍退職した人があと四年でまた一億円近くの収入がある。民間で自由に決められるところならばいいですよ。政府の機関ですよ。これは特殊法人ですよ。これでもやはり大蔵大臣の認識は先ほどの認識と同じですか。
  383. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 私は、その収入の数字については、これは何とも申し上げかねますけれども、しかしながら、過去においてのその修行と申しますか、修行じゃない、これは仕事をしたんでございますけれども。その仕事をしておる間に私はおのずから修行が成って、ある問題については大変な権威者になり、ある問題については大変な専門家になっておるというようなこともこれはやっぱり考慮して、そして、もっとも悪い人を採っちゃいけませんけれども、そういったようなことで、人柄もいいしというようなことだと、これは評価されていいんだと私は思います。
  384. 野田哲

    ○野田哲君 公社、公団の職員としてずっと一生過ごした人が、一生涯で得る退職金が五百数十万円です。役員が一年でですよ、一年でやはり五再数十万円。これはやっぱり妥当ですか、大蔵大臣。
  385. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 先ほど野田委員が二十年のところをおっしゃられましたけれども、私どもの公務員の給与の退職手当の実態をちょっと御参考までに申し上げおきたいと思います。御承知のように、二十年から二十五年、二十五年から三十年にかかりますと、割り増しがずっとかかりまして、たとえば高卒で二十五年から三十年まで勤めた人の退職手当。二十五年の場合七百万でございますが、三十年の場合は千三百万円、大体平均的になります。この平均が大体一年当たりの支給月数が五・一四でございまして、そういうことからいきますと、公務員の一般の高卒の方も二十五年から三十年勤めますと、大体月〇・四くらいは出ていると、こういうことだけちょっと申し上げておきます。
  386. 野田哲

    ○野田哲君 私は、一年で——一般の公社、公団の職員の二十年と役員が一年で同金額でいいんですかと、こういうことを指摘をしているんです。どのぐらいになるということを言っているんじゃないんですよ。二十年と一年でほぼ同額というのは合理性があるんですかということを聞いているんですよ。どうですか、大蔵大臣。
  387. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) どうもこの数字につきましては、見方というものがございまして、まあ予算の大きな数字を考えてみますと、二十八兆なんというものがある。それから考えてみましたら、一億というお金は私どもにとっちゃ大変な金でございますけれども、その両方を考えてみたら、一億もまあまあというようなことで、お金に対するこの感じとか評価というものは、どうもはっきりと、これが高くてこれが安いんだということを、何だか同じ商品かなんかを買う場合に格差があったらこれはよろしくありません。これはよろしくありませんが、人の能力などというものについては、これは少し私はあれがあってもいいと思う、知識、経験等については。
  388. 野田哲

    ○野田哲君 公社、公団に高校卒で入って二十年勤めた人と、公務員を勤めて、それから役員として入った人の一年とが同額で扱われていいんですかということを聞いているんですよ。それほど公社、公団に入った人と、公務員を終わって役員で入った人とは、そのぐらい能力に違いがあるんですかということを聞いているんですよ。
  389. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) そこらのところをはっきりとまあ申し上げることのできないことは非常に残念でございますけれどもね。非常に残念でございますけれども、私は人にはそれぞれ違うあれありましてね、ある人は非常な専門家であると、ある人はそうでもないと。専門家が専門のそのポストについて仕事をしておるときには、これは評価されていいと思うんです。ただしかし、いま指摘されていらっしゃるそのことについて、これはもう全部そうだと、それだけ格差があっていいんだということは、私はそれは考えておりませんけれども、私は一般的に考えてみるというと、何だか一概にこれをきめつけていくというわけにもまいらないんじゃないかと思います。
  390. 野田哲

    ○野田哲君 大学を卒業して、あの若戸大橋の設計に携わったり、今度瀬戸内海に橋かかる、あれの設計や現場の監督にずっと携わって二十年勤めた人と、公務員として局長、次官になって一年ぽっとそこへ勤めた人と、役員として。どこにそれだけの値打ちの違いがあるんですか。それを聞きたいんですよ。
  391. 吉瀬維哉

    政府委員(吉瀬維哉君) 確かに御指摘の二十年という時点をとらえますと、非常に、先ほど申し上げましたけれども、二十年から三十年になりますと、大体退職金が二分の三じゃなくて四倍くらいになってしまうというようなことで、二十年と三十年では相当差があるわけでございます。  それから、いまの御指摘は給与格差の問題じゃないかと思います。たとえば公庫の総裁などの例を申しますと、ちょうど両院事務総長というようなところと大体合致しておりまして、それからまた退職手当の水準でございますが、先ほど私が申し上げましたとおり、まあ二十五年から三十年というようなところになりますと、月に大体〇・三とか四とかいうところまでは保障されておりますし、これは大卒になりますと、それが〇・四くらいになるというようなところで、ほぼそういう点では、勤務期間に応ずる率としてはやや四五というのは高うございますけれども、とれている。  それからもう一つ御指摘は、民間との関係になるわけでございますが、民間の場合にも、一般の職員はやめるときに、役員になるとき一たん退職金をもらいまして、それから役員になってからまた退職手当は進行すると、そういうようなバランスも一方においてあると、こう考えております。
  392. 野田哲

    ○野田哲君 だからね、役員だけに非常な手厚い待遇が与えられていると、こういうふうに指摘せざるを得ないんです。その押し問答をしておってもしようがないですから次へ進めます。  国民金融公庫の総裁の佐竹さん、この人が大蔵省をやめられて、どういうポストでやめられたか、それから後どういう経歴をたどっておられるか、ちょっと説明してください。
  393. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  佐竹総裁は、大蔵省銀行局長で退官されまして、農林漁業金融公庫副総裁、住宅公団副総裁、沖繩開発公庫理事長、それから現職の国民金融公庫総裁でございます。
  394. 野田哲

    ○野田哲君 すでに四つ渡り歩いておられますね。こういう方を公庫、公団の職員は渡り鳥と呼んでいますよ。  住宅金融公庫の総裁の淺村さんという方、この方はどういう経歴をたどっておられますか。
  395. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) お答え申し上げます。  淺村総裁は、経済企画庁総合開発局長を退職をいたしまして、日本道路公団理事、同副総裁を経まして住宅金融公庫総裁に就任し現在に至っております。
  396. 野田哲

    ○野田哲君 まあ淺村さんとそれから佐竹さんの例を挙げて、御本人には大変恐縮なんですけれども、この佐竹さんの例、淺村さんの例、これは昭和四十年五月十四日の先ほど述べられました閣議了解事項、「公団公庫等役員の選考について」の閣議了解に合致していますか、どうですかその点。それぞれ大蔵省、建設省答えてください。
  397. 長岡實

    政府委員(長岡實君) お答え申し上げます。  佐竹総裁の例でございますが、先ほど主計局長から御説明申し上げました四十年の閣議了解の線から申しますと、渡り鳥という表現が適当であるかどうかは別といたしまして、政府関係機関の役員のポストを幾つもまあかわっていくということ自体、閣議了解の趣旨から申しますれば、決していいことではないと思います。ただ、先ほど来大蔵大臣から申し上げておりますように、政府関係機関の役員の人事を決めます際には、やはりその適材適所と申しますか、その人の経歴、識見、能力その他が必要条件になるわけでございまして、私からも申し上げましたように、佐竹総裁は、大蔵省では退官時の銀行局長のほか理財局長も経験をいたしておりますし、公共事業、農林等の予算の主計官もやっておりまして、農林漁業金融公庫あるいは住宅公団などの役員たる資格を十分備えておる。それから沖繩公庫の理事長になりましたのは私も聞いておりますが、まだ住宅公庫に参りましてからそれほど月数はたっておらなかったのでございますけれども、特に要請されて沖繩公庫へ行ったというふうに聞いております。
  398. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 淺村総裁の場合につきましては、佐竹総裁の場合と違いまして、公庫は二つでございます。また両公庫を通じます任期の点につきましては閣議了解の線にもとるようでございますけれども、住宅金融公庫総裁の期間が非常に長いわけでございまして、御本人は銀行の経験もございますし、そういう金融面につきましては最適任者としていまに至るまで選任をしている次第でございます。
  399. 野田哲

    ○野田哲君 いま、大蔵大臣、二つ例を出しましたが、これは二人とも閣議了解事項、この「高齢者の起用はつとめて避けること」「役員の長期留任は特別の事情のない限りこれを避けること」「在職期間は同一ポストについて」「八年を限度とする」、これを外れていますよ。どういう認識をお持ちですか。
  400. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) その物差しに完全に合致しておるということは私も考えません。しかし、そのポストへ希望をされて行ったということだと私は思いますが、みずから自分で押しかけて行ったということではないと思いますが、それなら閣議の了解を踏み破ってしまっていいとは決して言いませんけれども、その全部に抵触しないということなれば、そういったような場合は許されてもいいんじゃないですか。
  401. 野田哲

    ○野田哲君 たらい廻しは極力避けること、同一ポストについては二期八年を限度とする、これは閣議で決められていることです。たまたま私は時間の関係で二人の例を出したわけですけれども、まだありますよ。全く閣議了解事項というのは無視されておるじゃないですか。これは一体どういうことですか。
  402. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 一カ所で二期八年ということではないんじゃないですか、お二人とも。一つの場所で二期八年ということだと思いますが。
  403. 小川半次

    委員長小川半次君) ただいまの野田哲君の質疑中の閣議了解事項の問題は、これはただひとり大蔵大臣の責任のみではございませんので、これは総理大臣から答弁さすべき問題でありますので、この問題は積み残して、後日の締めくくりの総括質疑の際にでも発言していただくことにいたします。積み残します。
  404. 野田哲

    ○野田哲君 外務大臣に伺いますが、私は、昨年の内閣委員会でミグ25の取り扱いについて防衛庁、外務省の方々に対してミグ25の処理をアメリカ軍と提携をして解体をした、そしてそのデータをアメリカに提供した、こういう扱いは日ソ間の外交関係に禍根を残すのではないか、こういう指摘を繰り返し繰り返しやってきたわけです。私どもの指摘に対して防衛、外務両省とも全く耳をかさなかったわけでありますけれども、今度の園田官房長官の訪ソに当たって現地での官房長官の談話を見ると、やはりミグ25の処理がソ連の首脳部の感情をかなり刺激をしているという報道がされております。官房長官自身が語っている報道がされておりますが、いま鳩山外務大臣は日ソの漁業問題で大変苦労されておりますが、いま考えて、ミグの処理についていまでも適切であったという認識に立っておられますか、どうですか。
  405. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ミグ事件の処理につきまして、私も実際にタッチしなかったものでございますので、後ほど官房長からでも御答弁申し上げますが、園田特使とコスイギン首相との会見におきまして、先方からミグ事件につきまして直接の表現ではありませんが、間接的な表現として軽く触れられたということを伺っております。その他、ミグ事件というものが日ソ関係につきまして好ましい出来事でなかったということは率直に感じておりますけれども、今回の漁業交渉に対します影響につきましては、園田特使からの発言によりますと、先方は軽く触れられた、このように伺っておるわけでございまして、漁業交渉が難航しておりますのは事実で、ソビエト側の態度はかたいものがございますが、それはやはり主体としてはソビエト自身がヨーロッパにおきまして漁場から締め出されているといいますか、そういったことも大きく影響をしているというふうに理解をしているところでございます。
  406. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) ミグの処理をめぐりまして日本政府がとった措置をソ連政府が適当でないという立場をとっておりますことは私ども承知いたしております。しかし、私ども日本政府立場といたしましては、領空侵犯の疑いがあった航空機につきまして必要な処理を行うのは当然のことである。あのミグについてとりました処理は適切であったと考えているわけでございます。しかも、このような不幸な事件は日本政府の意思にかかわりなく生じた事件でございまして、この事件が日ソの友好関係に影響を及ぼしてはならないという立場をとっていることはソ連政府もよく承知しているところでございます。
  407. 野田哲

    ○野田哲君 予期せざることであったわけですけれども、問題は、私どもがかつて指摘したのは、ミグを解体するに当たってアメリカ軍の手をかりる必要はないではないか、アメリカにデータを提供する必要はないじゃないか、日本独自で処理すればいいじゃないか、こういう指摘をしてきたわけなんです。このことがやはり魚の交渉に行った園田官房長官に対して直接語られている。これは明らかに私どもが指摘をしたように、日ソ間の外交交渉に障害を及ぼしている、こういう認識はお持ちになっていないんですか、いかがですか。
  408. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 日ソ漁業交渉におきまして、ソ連政府が非常に厳しい態度をとっておることは事実でございます。その背景にございますのは、先ほど外務大臣が答弁されましたように、ソ連自身が、アメリカでありますとかカナダ、EC等の二百海里の漁業水域設定によってソ連漁獲量というものが著しい制約を受けるに至ったということが主たる背景になっていると考えております。
  409. 野田哲

    ○野田哲君 あのね、魚の問題で交渉に行った、あるいは漁業水域の問題で交渉に行ったこの特使と先方のトップの話の中で昨年のミグの問題が出てくるということ、これはやはりあのミグの処理については、日ソ間の問題を考える場合に適切ではなかったという判断はいまもって外務省では持っておられないんですか。
  410. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 先ほど申し上げましたように、ミグの処理につきまして日本政府がとりました措置は、国際法に照らしましても適切なものであったと考えております。
  411. 野田哲

    ○野田哲君 この問題は、また機会があると思いますから。  自治大臣に伺いますが、固定資産税の一般的な賦課方式について伺いたいと思うんです。  一つのビルがあることの中で、その中の一部分を官公庁が使用するという場合に、そのビルに対する固定資産税のかけ方はどういう方式でかけますか。
  412. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 御質疑は、韓国大使館の問題と承って……
  413. 野田哲

    ○野田哲君 いや、私は一般的なかけ方を聞いているんですよ、あんた先走ることはない。
  414. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 民間の建物の一部または全部を公的機関が無償で非課税用途に供している場合は非課税となる。有償であります場合には公的機関の入居している部分についてもその建物の所有者、貸しておる者に対して固定資産税が課税される、こういうことでございます。
  415. 野田哲

    ○野田哲君 港区芝公園にある民団中央会館、これに対してはいま固定資産税を課税していますかどうですか。これが二番目の問題です。そこで答えてください。
  416. 小川平二

    国務大臣小川平二君) この建物につきましては、登記がなされておらず、所有権も確定をいたしておらないわけでございます。そこで、東京都の税務職員が、これは外国の公館のことでありますので、直接立ち入るわけにはまいりませんから、外務省を通じて了解を求めた上で立ち入って、ただいま実態を調査し、また事情の聴取をしておる、こういう段階でございます。
  417. 野田哲

    ○野田哲君 あのね、一般の国民の住んでいる住宅では登記をしてない住宅はいっぱいあるわけです、未登記の住宅が。登記がしてあろうとなかろうと、一月一日現在で建物が現に現存しておれば、これは全部課税されているんですよ。なぜこの登記が完了してないからかけないと言われるんですか。それだったら、民間の住宅で登記がされてないのは全部非課税にするんですか。  もう一つ、所有権の問題。いま所有権が不明確だと、こう言われましたけれども、民団が出している機関紙、新聞を見てください。民団の会員の拠金によって民団中央会館が完成したと、堂々としたビルの写真を出してですよ、民団の会員がこれだけ拠金をしてこれだけの中央会館ができたということをちゃんと発表しております。所有権は明らかです。大韓民団の所有ですよ。これは明らかですよ。なぜそんな登記が済んでないからとか、所有権が明らかでないとかおっしゃるんですか。
  418. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 登記の有無は別といたしまして、これは東京都の担当者が事情を聞いてみましても、この所有権はまことにはっきりしておらない。これは韓国大使館の所有であるかのごとく、あるいは民団の所有であるかのごとく、その点が明確になっておらないわけでございます。
  419. 野田哲

    ○野田哲君 所有権は建つときからこれは明らかですよ。建築主の名前は建築の許可を受けるときに明確にしなければ建築の許可は出ませんよ。明らかですよ。これは私も担当のところへ行って聞きました。外務省が課税するのに待ったをかけている、こういうことじゃないですか。なぜ、どういう理由で外務省は民団中央会館に課税することに待ったをかけているんですか。
  420. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) ただいまの問題につきまして、外務省が待ったをかけているという事実はございません。ただ、先ほど自治大臣がお答えになられましたように、所有権関係がどうなっているかという点が現在まだ結論が出ていない状況で、事情を聞いて調査をしている段階でございます。  御承知のように、外交財産につきまして国際法上課税が免除をされますのは、その財産が外交目的に使用されている場合に限るわけでございまして、仮にその建物が大使館の所有であるということになりました場合におきましても、その中の一部分が大使館が外交目的に使用していない、すなわち具体的に申せば、民団が使用しているというような事態がございますれば、その一部については課税されるということに当然なるわけでございます。
  421. 野田哲

    ○野田哲君 なぜ外務省はこの民団中央会館が外交財産だと言われるんですか。民団が会員の拠金をもって完成したと。中にホテルもある。ただ、外交関係関係があるのは、わずかのフロアを領事課が使っている、これだけのことじゃないですか。おかしいじゃないですか。
  422. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 先ほど私申し上げたことが若干舌足らずであったかと思いますけれども、私どもいまあの建物を外交財産であると認定しているわけじゃございません。仮に外交財産になった場合ということでお答え申し上げたわけでございます。
  423. 野田哲

    ○野田哲君 今日まで何を調べておるんですか。自治省の方へ聞けば外務省の預かりになっているから自治省は何とも言えない、こういうことで、何を預かって何を調べているんですか、いま。
  424. 松永信雄

    政府委員(松永信雄君) 先ほど申し上げましたように、実情に照らして状況を調べているわけでございます。私ども承知しておりますところでは、建物が事務棟と住居棟と二つございまして、事務棟の方がことしの二月ごろから使われているということでございます。ですから、その使用の状況も的確に把握する必要があるということでいろいろ調べているわけでございます。
  425. 野田哲

    ○野田哲君 これははっきりしてますよ。民団中央会館というのは民団の会員が金を集めて建てたということ、そして民団が使っている部分、ホテルに使っている部分、そして韓国大使館の領事課に使っている部分、明確にはっきりしてますよ。そんなものをいつまでも外務省が預かって課税対象にしない、こんな扱いには全く納得できない。時間が来たから終わります。(拍手)
  426. 小川半次

    委員長小川半次君) 以上をもちまして野田哲君の質疑は終了いたしました。  次回の委員会は明後十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会