-
-
-
-
-
-
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) 御
指摘のように、
落ちこぼれあるいは落ちこぼし、どう言うべきか知りませんが、現在の
問題提起の中で、教える
内容がむずかし過ぎるのではないか、多過ぎるのではないかという
角度からの
問題提起があることはわれわれもよく承知をいたしておりますので、薄くするという表現は余りにも形式的過ぎますので、ちょっと補足さしていただきますと、基礎的、基本的なものに限定し
精選する
作業を進めていきたいと、こういうことでございます。
-
-
○
政府委員(
諸沢正道君)
お答えいたします。
小学校一年の
理科の
学習指導要領の中には、
砂車を使って教えるというところがございます。それは「
物質と
エネルギー」の(2)のところでありまして、「物には、
かさと重さがあり、大小、軽重の違いがあることを
理解させる。」、そういう
目的で「砂や小石など、いろいろな物の落とし方によって、
砂車の回り方に違いができること。」ということを教えることになっております。
-
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 私は
理科の
専門家ではございませんが、
専門家から聞きましたところを申し上げますと、要するに、
砂車というのは水車の水のかわりに物体を車の羽に落としてその回り方を見る、そこで重いものを落とせば車は速く回る、あるいは高いところから落とすほど車が速く回るというようなことで、いろいろな落とす高さとか、あるいは落とす場所とか、あるいは落とす量とか、あるいは落とす
物質の違いとか、そういうことによって物に重さがあり、それはまた物の
かさとは必ずしも
関係なく重い軽いがあるんだというようなことを教える
目的で、一年生でいま言ったような
教材を使わせると、こういうふうに開いております。
-
○小
巻敏雄君
現場の
先生方は、
砂車では重さと力を混同しやすくてわからせにくいと、こういう批判がずいぶんと長年出ておるわけであります。
かさと重さを教えるためにはいろいろな
方法があるだろうと、はかりではかるというのが一番簡単な
方法ですけれども、それをなぜ、このための
方法を
砂車に限るのか、この
意味を
説明していただきたい。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 同じく
指導要領のいまの重さを
理解させるところに、また「載せる物の種類や大きさによって、
シーソーの傾きが変わること。」というので、いわゆる
シーソーによって物の重さというものを教えるということも書いてあるわけでございまして、
砂車だけを
教材にしろと言っているわけではないわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 すべての
教科書がこの
砂車を使っておるわけですね。いろいろ
方法があってさまざまな
創意工夫をやる余地がなくなっておるわけです。これが今日の
教科書の姿なんですね。
大臣にお
伺いをするわけですけれども、この
物質の性質を
理解させるというのにどうして
砂車をつくるのか、一遍に
理解できますか。ほかに
方法があると思いませんか。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) 専門的なことは私もよくわかりませんけれども、
小学校の低学年の人というものは、やっぱり動くものには
興味を示されるだろうと、そうすると、こう重いものと重くないものと、それを当てればスピードが違うとか、いろんなことを目で見ながら覚えていくというのは
一つの
理解の
方法ではなかろうかと、こう
考えますが。
-
○小
巻敏雄君 実際
指導していく上では、
興味がほかに散って
概念を形成させる上で非常にやりにくいと、これが出ておるわけですけれども、長年続いておって、これは
精選の対象にしてもらいたいという声が非常に強いです。この点
大臣、
詰め込みというのは、
先ほど補充もされましたように、
教科書の分量の問題だけではない、
科学的系統性があるのかどうか、教える者が意欲を持って教え得るようになっておるかどうか。それとも、画一的、強制的な
詰め込みであるのか。薄くなっても、やりにくいのを無理に上から押しつけられたら
詰め込みになるのであります。
教員には押しつけ、
生徒には
詰め込み、こうなってくるわけであります。こういうところに
教科書の
問題点の
一つが存在をすると。数学の場合にも同例でありますけれども、こういったふうについての
精選の
考え方、そして
教科書の
編成のあり方を御
説明をいただきたいと思うんです。
-
-
-
-
○
渡辺武君
文部大臣に
伺いますが、きのう
村越参考人の話もありましたが、
小学校のときに
基礎学力が十分身についていない、したがって、
中学へ行って一層
発達したことを教えられてもなかなか
理解できない。この傾向は
高校へ行けばもっとひどくなるわけですね。ところが、ことしの一月に埼玉県で開かれました日教組の教研
集会で、三重県のある
高校の
先生が
自分の
学校の
生徒の
学力を調べてみたというのです。
中学一年生用のテストをやったところが、百点満点で半数が十点以下、最高でも四十五点というありさまだ、こういうわけですね。それで、
小数の割り算と
分数の加減乗除になると完全にお手上げで、
小学校三、四年の
学力とわかった。そこで、
先生大いに心配いたしまして、
小学校の四年生から六年生が使っている
教科書、これから、いろいろ
自分で問題その他を抜き出して手製のテキストをつくって
生徒に一生懸命に教えたというわけですね。そうしましたら、十カ月ばかりたったら、
高校で教える
分数計算ではほぼ
入り口まで
生徒に
学力をつけることができたという
報告がされているわけです。こういう
現場の
教師の
努力というのは非常に貴重なものじゃないかというふうに思いますが、
文部大臣、どういうふうに
考えていらっしゃるか、まず
伺いたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) ただいま御
指摘の
現場の
先生の御
努力というものは、これは結論を申し上げますと、大変貴重なものだと思いますし、また、いろいろな
現場の
先生の書かれた本などを私が買ってきて読んでみましても、おくれておる
子供に対してどうやったらいいかということを、いろんな
角度から
考えて
努力をしたら、その
子供の能力が開発されておくれている分が取り戻された、こういう
報告なんかもよく出ておりますが、まさにそれはわれわれが
現場の
先生に期待をしておる
一つの面でございますし、それから、
先生御
指摘の、
高校へ行って、なお
小数、
分数ができないという問題は、やっぱり
小学校のときに基礎的、基本的なことがきちんと身についておらないわけでありまして、これがきちっと身についておれば、別に中
学校へ行って、
高等学校へ行って、担任の
先生に御迷惑をかける必要がないわけでありますので、やっぱり
入り口のところで何とかしっかり身につけてもらうような
努力を私
たちでも
考えますし、
現場の
先生にも
お願いをしたい、こういう
考えでございます。
-
○
渡辺武君 確かに
小学校がまず
出発点ですから、そこから
基礎固めをしていっていただきたいと思うんですが、すでに
中学におり、
高校におるという
生徒の
基礎学力、これを取り返すということは非常に重要なわけでありますから、
学校の中でそういう
教師の
努力、これを十分保障するような
措置をやっぱり国としても
指導していただく必要があるのじゃないか、それが第一点。
もう
一つは、こういうふうにして校内で一生懸命にやっている
人たちが、
自分たちの
経験を交流するために、自主的な
集会を開こうとする。ところが、なかなかこれが
義務免扱いなどにならずに、出かけるのにも非常に苦労をするというのが実態なんです。この両面ですね、こうした自主的な
研究集会などに十分出られるような
措置を、
文部省としても都道府県に
指導していただく必要があるのじゃないかというふうに思いますが、この点いかがですか。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君)
教師の
皆さん方のそういう
学校内における御
努力というものは、むしろこちらもある
意味では
お願いをしたいと
考えておる方向でありますが、
研修集会のことはちょっと
研究さしてもらいますけれども、お出かけ願って、本当に
職能団体としての
研修といいますか、本当におくれている
子供に対して、この問題をどう扱うかということの御
研修なのか、あるいは往往にして、われわれに知らされております
研修集会というのは全く別の
スローガン等もときどき出てくるようで、困ったなと思うこともあるわけでありますので、その点につきましてはさらによく
研究をさしていただきます。
-
-
○
国務大臣(
海部俊樹君)
評価は、やはりどの程度まで
理解を深めてくれたか、
学習到達度と申しますか、どれだけ
理解できておるかということと、それからまた、その
子供を後から受け継ぐ方方にとっては、特に
教師の方でありますが、この子はどの相愛まで到達しておる
子供であるかということの
指導上の目安にもなりましょうし、また
生徒、
児童本人にとりましても、
自分は何が得意で何が不得意か、何に
努力をしたらいいかというようなことが、やっぱりおのずからわかる
一つの
基準にもなるんではなかろうか、そういう
意味で
評価はなされておるんだと、私はこう思います。
-
-
-
-
-
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) それは全然
理解できない
子供がいっぱいおれば、これは
内容がむずかし過ぎるのではなかろうかということを推測する
一つの
資料にはなろうかと思いますが、いまのところはそういうようなことにはなっておらぬのではないか、そういうふうに利用はしていないと、こう思いますが。
-
○小
巻敏雄君 三番目の問題は、これまた御
研究をいただきたいと思うわけですね。やっぱり
子供の
発達を中心に
指導もあれば、あるいは
条件整備の問題もある、こういうことだと私は思うわけです。御
研究をいただきたい。
特に、
教育効果を高めるために
評価がある、こういうふうに言われる点からすれば、五
段階相対評価というものは十分な
役割りを果たすのか、これをお
伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) この
評価の
方法にはいろいろございまして、これが一〇〇%必ずというものは一体どんなものだろうか、これを求めて
各界の方々に集まっていただいて、
会議で検討しましたのが現在の五
段階評価、こういうのになっておるわけでありまして、三
段階評価、十
段階評価、いろいろございましょうし、また
相対評価、絶対
評価とございますけれども、いまの
段階では、これは
各界の人々の御
意見等も聞きながら五
段階の
相対評価が一番現在あり得る制度の中では妥当なものではなかろうか、こういう
判断で採用しておる、こういうふうに
理解しております。
-
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) これは、所属する
一つの
グループと申しますか、教室の中で、どの
段階に属しておるか、どこまで
理解が深まっておるかということがわかる
一つのしるべになるわけでありますが、そこで、ただ余り厳密に五
段階、五
段階と言って五つに分けますと、その
分かれ際のところでまたすれすれの微妙な問題も起こってこよう、そういうときには、一定の
段階は絶対
評価もそこに加味しながら、五
段階相対評価というものが受ける欠点と申しますか、それを少しでも是正できるように絶対
評価もある程度加味しながらやっていくように、そういうふうになっておると私は
理解しております。
-
○小
巻敏雄君
相対評価の
意味を
説明されていないわけですね。五には何人と、四には何人と、一には何人というのを入れ込んで、クラスの中の
位置づけがわかるようにするのが特徴だと思うんですけれども、その点、
局長の方から御
説明いただきましょうか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 先ほど、
評価の
意味は、
子供の
学力を向上させる
一つの
資料にするためだというそのことと、五
段階評価ということを結びつけておっしゃったわけでございますが、
評価の仕方にはいろいろあるわけでございまして、いまおっしゃったように、全体の中での
位置づけを
評価する五
段階評価のような
相対評価を主体とした
評価の仕方もございますし、それから、いわゆる絶対
評価と言われる、一人一人の
子供についてそれはどれだけの成果を上げたかという
評価もあるわけでございまして、現在の
学習指導要録を見ますと、
評価の仕方として、
一つはいま
先生がおっしゃった五
段階評価、これを
評価するように言っておるわけでございますが、これは言ってみれば、
教師の
指導上、それぞれの
グループの中において、その
子供がどのくらいの位置にあるかということを
判断するためのものであり、それと同時に、現在の
学習指導要録では、各
子供についてのいわゆる
個人内評価といいますか、所見というものを書くようになっておりまして、たとえば国語で言いますならば、読むこと、書くこと、聞くこと、話すこと、あるいは言葉の決まりといったような
領域に分けて、それぞれの
子供が、それぞれの
領域について特にどの点にすぐれておるかとか、あるいはどの点でまだ至っていないかというようなことも書くようになっておるわけでございまして、したがいまして、
教師の
指導というのは、いま言ったように絶対
評価的なものもやはり用意をするようになっておるわけでございますから、
子供の
指導という観点からしますならば、その二つの面を
考えてやっていただくように
文部省は
考えておるわけでございます。
-
○小
巻敏雄君
局長の
説明の中で、
分配率が出てこないわけですけれども、戦後これが早く
アメリカのやり方を学んで取り入れられたというときに、
分配率を決めているわけですが、どうなっていますか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 五
段階評価をします場合に、確かに、かつてはその一から五までの
分配を平常
分配曲線と言われる
経験則に即して、大体一から五まではこのくらいの
比率で出現しておるということを踏まえて、その
比率で記載するようにしておったわけでございますが、その後いろいろ検討いたしました結果、現在の
指導要録におきましては、そのような
分配比率にこだわることなしに、大体の分布を実績に即してやるように
指導しておるわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 そうすると、よくできたら五が八割ついてもいいんですか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) おっしゃるように、理屈から言えばそういうことになろうかと思いますけれども、しかし、それぞれの
子供の
グループを見ますると、一般的に言って、そういうことはあり得ないわけでございますので、大体五
段階の
評価というものが、
分配曲線どおりではございませんけれども、やられておるというのが実情だろうと思います。
-
○小
巻敏雄君 一九六九年にテレビで問題になって以来、
大臣も、検討、検討を歴代言明をしてこられたわけです。国立教育
研究所の調査結果でも明らかなように、五
段階相対評価は、選別の
資料、より分けの
資料にはなっても、
子供の
学力を伸ばすという上では成果をつかめない。みんなにがんばってやらして百点をかなりの者に取らしても、やっぱり
分配によって三は三というので学習意欲の向上の大きな妨げになっておるというのが、定説にほぼなっておるわけですね。だから、通知表ではほぼ自由化をされた、こういうふうに思うわけですけれども、その点
大臣も検討を継承されるのか、これの欠陥についてはよく認識をしておられるのか、その点をお
伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) 最初申し上げましたように、いろいろあります
評価の仕方の中で、現在は
各界の方々の御
意見を聞いて、
指導要録改善協力者
会議というもので、これは心理学者、教育学者、校長
先生、
現場の
教師の方、教育
委員会の人、みんなの
意見を聞いて、これがいまあるやり方の中では妥当なものではなかろうかといって選んでおるものでございます。だから、五
段階相対評価をそのままきちんと、こう重箱のすみまで詰めるようにやっていきますと、いろんなやっぱり御批判等も出ますので、現在の
指導要録では児童
生徒を機械的に割り振ることのないように、そこに絶対
評価もある程度加味する余地を残して行わせるように配慮をしておるところでございますが、この問題がこれで一〇〇%よろしいと言い切っておるわけじゃありませんので、そういういろんな
努力も重ねてやっておりますので、その点は御
理解をいただきたいと思います。
-
○小
巻敏雄君 新しい学年になって、前学年の担任の書いた記録をもらって
指導の目安をつけようと思っても、この子の一あるいは三というようなのを見たって
指導の目安にならぬのですよ。この点は
到達度評価というものが教育的なんです。この点について、ほぼ通信簿は自由化された。
指導要録についてなぜこだわるのか、そこのところがわからぬわけです。検討ということですから、これは厳格にひとつ検討を続け、特に欠陥を明らかにしてもらいたいと思います。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 先ほど御
説明申し上げました点、まだ十分御
理解いただけなかったかと思うんですが、いまの
指導要録は五
段階評価だけではないのでございまして、一人一人の
子供についての各
教科の
領域についての
個人内評価ということをしておるわけでありまして、それがまさに前の学年から次の学年へ移った場合に、新しく担当となった
先生がその
個人内評価を見ていただいて、この子は国語についてはこういう点が悪いとか、あるいはこれはいいようだからこれを伸ばしてやれとか、そういう
資料にさせようという趣旨でございますので、ひとつ御
理解をいただきたいと思います。
-
○小
巻敏雄君 特に
相対評価を引き続き残さなければならぬという理由はどういうところにあるんですか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君)
評価というのは、いま申しましたように一人一人の
子供についての
発達を見るという面もございますけれども、やはり同時に、
一つの
グループにおいてその
子供はどのくらいの位置にあるかということを見るのも、これは
指導上大事な
評価でございますので、
相対評価はやはり私は残しておいた方がよろしいと、こういうふうに思うわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 これは
高校進学のときの内申書、それらのときの客観性を保持するというのが主な理由になっているんじゃないですか。
-
-
○小
巻敏雄君 いろいろ言われるわけですけれども、先般の文教
委員会でも申し上げましたように、
現場ではもう
指導上は五
段階は使いものにならぬのです。内申だけで生きておるんですから、内申の
方法は、別途内申として検討されるなら幾らも
方法がある。この点をお
考えをいただきたいと思います。
続いて、最後にお
伺いをするわけですけれども、これらの、昨日以来申し上げた
落ちこぼれの問題を初め、すぐれた
子供を引き上げるためにも一人一人に行き届いた
指導ということがどうしても行われなければならぬ。その中で
文部省の行うべきことは、
条件整備が最も基本的任務だと思うわけですけれども、これらの問題についての
条件整備について
文部大臣の
考え方をまずお
伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) ただいま御議論願っております
学習指導要領を通じての基礎的、基本的な
基準を決めるということも、文部
行政で担当しなければならない責務の
一つでございますが、おっしゃるように
条件整備をするということも、これは大切な責務の
一つであると、これはもちろんそう
考えております。
-
○小
巻敏雄君 教育条件の中心的な部分に、やっぱり
教員定数の問題が置かれておると思いますし、今日の塾ばやりの具体的な中身、
学校教育の
内容が塾で代替されるという要因の
一つに、少ない人数の
子供で行き届いた教育が受けられると、こういうような父母の期待があると思うんです。
教員定数問題についてひとつ
お答えを願いたいと思います。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君)
教員定数問題は、これは一時期は、すし詰め教室というような御批判が多く出たころ平均六十人からありました時代もございましたが、五カ年計画を漸次組み重ねてまいりまして、ただいまは御承知のように四十五人ということに相なっておりますが、現在進行しております五カ年計画では、複式学級の解消とか、特殊学級の問題にいま全力を入れておるわけでございまして、これは定員改善というものはできるだけ
努力をしていかなきゃならぬ問題だと、こういう
理解は持っております。
-
○小
巻敏雄君 一般的に過ぎると思うですね、答弁が。今日の焦点としての定員問題の自覚がないと思うんです。七十二国会、衆参で附帯決議として五党決議が行われておるわけですけれども、これは何を述べておるか。特に前文と第一項について、ひとつここで読み上げてもらいたいと思うんです。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 参議院の四十九年五月三十日文教
委員会附帯決議を見ますと、その第一項は、「一学級定数四十五人の学級編制の標準を、例えば、四十人以下に引き下げるとともに、複式学級を解消すること。」、以上でございます。
-
○小
巻敏雄君 この国会決議をどのように実行していこうとされているんですか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 教育条件を逐次整備していくということは必要なことでございます。ただ、一学級四十五人というこの編制は、
教員の定数を五カ年を一区切りとしてやってまいりました第四次の五カ年計画の当初の計画として、これを四十五人としたわけでございます。したがいまして、今後これをどう
考えていくかという問題でございますが、少し実態を申し上げますならば、これから六、七年のうちに小中
学校の
子供は約百五十万人増加いたします。そういたしまして、その増加数の九八%ぐらいは東京、大阪を中心とする過密九県に集中しておるわけでございます。したがいまして、仮に附帯決議が言われておりますように、四十五人の学級編制を四十人にするということになりますと、その増加学級の五〇%が実に過密九県に集中するわけであります。そのことはどういうことを
意味するかと言えば、現実に、
学校において直ちにそれだけの教室を建てなきゃいかぬ。教室ができなければ、特別教室とか屋体とか講堂とか、そういうものを間仕切りして使わなきゃいかぬ。また、建物を建てるにしても、すでにもう校舎の余地がないというようなのが実態でごいざます。そうなりますと、仮にせっかく
教員の定数を増加するという条件をよくしても、逆に教育条件全般を見た場合に必ずしもよくなるということにはならないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、この問題は相当長期的に
考えて検討していかなければならない問題であるかと、こういうふうに思うわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 これを実行するためには、
予算はどのぐらい要するわけですか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 人件費と、それから、いま必要な校舎建築費というようなものを仮に機械的に計算いたしますと、人件費におきましては一千七百八十一億ということになるわけでございます。それが毎年度増加するわけでございますが、それから、校舎の増築費というようなものを見ますと、五千二十三億二千四百万と、こういう計算になっております。
-
○小
巻敏雄君 多額と言えば多額ですけれども、今日過密九県において、とりわけ塾
問題等が爆発的に出ておるわけです。この問題の解決ですね、定数問題の解決が、私は
政府の今日の教育危機に対する中心的な課題だと思うんです。特に中位の
子供に対する行き届いた
指導というのは、学級当たりの定員数と非常に大きな
関係があるということを特に強く申し上げておきたい。
昨日以来のこういう問題の中で、教育
条件整備が
政府の最大の課題だと、この点は全閣僚が責任をもって当たってもらわなければならぬ。憲法、教育基本法の中心的な理念と、そして
目的について
考えてもそうだと思うんです。大蔵省の協力なしにこの問題の前進はあり得ないと思うんです。大蔵
大臣、ひとつ
子供の教育の今日の現状と、そして大蔵省のこれに対する
考え方をひとつ述べていただきたいと思う。
-
○
国務大臣(坊
秀男君)
学校教育は、これはもう日本の将来をどうするかという一番大きな問題であって、財政当局といたしましても、従来から、文教政策につきましては大いに配慮をしてまいったところでございます。いずれ新
学習指導要領ですか、それを
文部省では非常に急いでおるというお話も聞いておりますが、そういったような新しい基本方針というものが出てまいりましたら、また
文部省と相談をいたしまして、十分支障のないように持っていきたいと思っておりますが、今日、四十五人、四十人の問題でございますが、これはなかなか、率直なことを申し上げさしてもらいまするならば、なかなかこれを全国的に充足していくということは、財政の上から申しましても非常にこれは容易ならざる問題であろうと思います。そういうようなことで、これを今日ただいま、そういうふうに実行いたしましょうというようなことは、なかなか申し上げられない困難な問題でございますが、今後大いに
文部省ともよく相談をしてまいりたいと、かように
考えております。
-
○小
巻敏雄君
文部大臣からいよいよ方針が提案されてくれば積極的に受けとめると、こういうふうにお
伺いしていいですか。
-
○
国務大臣(坊
秀男君)
文部大臣から御提案がありましたら、そのときは、やはりそのときの財政、経済、それを全然ふたをして
考えるというわけにもまいりません。そのときの、そういったような事情等を勘案いたしまして、できるだけ、やっぱり私は文教政策というのは大事な問題であるということも腹の中にとどめまして、そして検討してまいりたいと、かように
考えております。
-
○小
巻敏雄君
文部大臣にここで再度お
伺いをするわけですが、教育課程、それで
教科書、
学習指導要領と、さまざまな問題が今日の教育危機に対する緊急の手当ての問題として出ておるわけですね。この教育課程の問題についての答申の中に教育条件に対しての言及があるでしょう。この点について御
指摘をしておきたいと思うんですが、どうですか。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 今回の
学習指導要領の改定に当たっての教育課程審議会では、特に教育課程それ自体だけではなしに、
関連する諸事項につきましても、この改善を図るべきであるという提言をしておるわけでございまして、
内容としては、
教科書の改善、
学校運営と学習の
指導方法、それから、
教員の養成と
研修、上級
学校の入学者選抜制度、それから、家庭教育及び社会教育との
関連というような、以上の五項目を挙げて提言をしておるわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 教育
内容等については、さまざなな
現場の
努力が現に補っているという問題があるんですね。教育整備の問題は
現場の
努力ではいかない、
政府の
努力で進む問題なんです。この点につきましては、特に問題の中心の定数が、この時期に
内容と制度とあわせて条件がそろって進まなければ成果ば期しがたい。この点については取り組みがおくれておるように思います。国会決議についてもほとんど自然の成り行き任せで放置をされておる。特に第四次五カ年計画というのは、計画自身さえも十分に達成せずにやり残して来年にしわが寄っておる、残っておるという状況があります。そうでしょう。第四次五カ年計画の進行状況は悪いでしょう。こういう状況を速やかに克服して定数問題に対して新たなプランをつくる必要がある。今日の四次計画の進行状況を述べていただいた上で、新しいプランをいつごろ出すのか、この点、答えていただきたいと思います。
-
○
政府委員(
諸沢正道君) 年次計画、
教員の増員につきましては、
子供の増加に伴う自然増と、それから特殊
学校の義務化に伴う増というような五カ年計画にのらない増もございますが、その自然増及び特殊
学校の整備等に要する定数については、必要なものを全部計上いたしております。ただ、この計画増の部分につきましては、一部繰り延べをして五十三年度の最終年度にこれを計上しようというようなことで、正確な数字はいまちょっと覚えておりませんが、約三千名ぐらい繰り延べをしておることは事実でございます。
しかし、一方また各県におきましても、国が準備いたしました定数を必ずしも全部計上してはいないというような事情もあり、つまりそういった財政事情等も
考えながら、私どもの
考え方といたしましては、五カ年計画が終わる最終年度におきましては、これが当初の計画どおり実現できるように最大の
努力を払いたいと、かように
考えておるわけでございます。
-
○小
巻敏雄君 それでは、これをもって質問を終わるわけでございますけれども、教育基本法第十条の二項は、特に
政府の任務を、条件について明らかにしております。これについて
文部大臣、決意を聞かしていただいて、終わります。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) 御
指摘のとおりに、教育条件の整備をするということは、私どもに課せられた大きな責務の
一つであると
考えております。問題は、ここでそれがどうしたらいいか悪いかを議論するよりも、国会の附帯決議等の
努力目標も示されておるわけでありますから、私どもができるだけ
努力を積み重ねていく、こういう決意でおることを申し上げます。
-
-
○
委員長(
小川半次君) 次に、片山甚市君の質疑を行います。片山甚市君。
-
○片山甚市君 厚生
大臣にお聞きいたしますが、第二十八回のWHO総会における決議について
大臣はどのように受けとめられておるか、お聞きをいたします。
-
○
政府委員(上村一君)
お答え申し上げます。
血液は無償であるという原則を打ち立てるべきであるということでございます。それから献血によって賄うべきである、そういう原則であるというふうに承知しております。
-
○片山甚市君 もっと詳しく言ってください。
-
○
政府委員(上村一君) いま原文を手元に持ってきておりませんので、後で御
説明申し上げたいと思います。-非常に長いものでございますけれども、これが七三年にテヘランで行われました……
-
-
○
政府委員(上村一君) 赤十字の
会議の
報告でございますが、その中で、第二十二回赤十字国際
会議決議に提出する勧告案として、「全ての国の赤十字社に血液事業が進展していることを賞賛し、一九四八年の決議からは、無償の献血の原則を明確にする決議を採択したことを想起し、」とずっと長い文章が続いておりまして、そして「第二十二回赤十字国際
会議は、各国赤十字社と
政府は、国民の幅広い自発的な参加に基づいた全国的な血液事業の人道的な
目的を達成するよう相互に緊密な協力をするよう勧告する、」と、こういうふうに結んでおるわけでございます。
-
○片山甚市君 そうすると、商業的血液製剤化の医学的倫理的な罪悪については触れておりませんか。
-
○
政府委員(上村一君) 触れておるはずでございます。
-
○片山甚市君
大臣、決議について尊重されるかどうか、いまの総会の決議について
大臣の決意を聞きたいのです。
-
-
○片山甚市君 実は商業的血液製剤の問題に触れる前に、
昭和三十八年から今日までの献血の状態、これを御
報告願いたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 古いのは持っておりませんが、四十八年、四十九、五十、五十一というのは手元にありますから、とりあえずその四年間について御
報告いたします。
昭和四十八年が献血者数が三百二十五万五千人、献血量が六十五万一千百四十三リッター、それから四十九年が三百四十四万九千人、献血量が六十八万九千九百七十八リッター、前年対比でこれは約六%伸びています。五十年度が三百七十万二千人、献血量が七十四万四百八十九リッター、前年対比で七・三%伸びております。五十一年が三百九十九万人、献血量が七十九万八千百五十九リッターで前年対比これも約七%伸びておるわけであります。
-
○片山甚市君 そこの中で転用血になった部分は幾らになりますか。
-
○
政府委員(上村一君) 細かい数字でございますが、転用血になりましたものは、四十九年が四万六千リットル、五十年が三万六千リットル、五十一年が四万一千三百二十七リットルでございます。
-
○片山甚市君 その転用血の売却値段は幾らですか。
-
-
○片山甚市君 今日の二百ccの薬価は幾らですか。
-
○
政府委員(上村一君) ことしの四月から三千四百八十円でございます。
-
○片山甚市君 そのお金をなぜ千円に値切れるのであるか、千円にする根拠を示してください。
-
○
政府委員(上村一君) 転用血の価格そのものは、御案内のように、当初から転用血として製造されたものではございませんで、献血された血液が有効切れになったものを使う、そういうことでございますから、千円というのは日赤の収支の状況なり転用血に直接的な経費というものを
考えながら決めておるというふうに御
理解いただきたいと思います。
-
○片山甚市君 それでは、ただいま申されたところの三千九十円の決まったところの血液の原価について
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) まず、血液の原価というものをどう
考えるかということでございますが、御
指摘になっている趣旨は、多分、保存血液というものは献血で賄われておるから原料血そのものは無償じゃないかというふうなことをお話しになるのじゃなかろうかと思いますが、原料血そのものは当然献血でございますから無償でございます。それに採血に当たります赤十字のセンターの人件費なりあるいは材料費なり各種の経費といったものを積み上げまして、それで一本当たりいま申し上げましたように三千四百八十円ということになるわけでございます。
-
○片山甚市君 三千九十円のときのいわゆる一本二百ミリリットルの製造原価についてお知らせを願いたい。あるんですよ、ここに、言いなさい。
-
○
政府委員(上村一君) 三千九十円をはじき出しましたときの支出としましては、たとえば、人件費は二百cc当たり千九百六十五円につくとか、あるいは材料費は四百九十九円につく等々計算いたしまして、それで支出の項目として三千三百二十六円になると。一方、さっき話に出ておりました転用血等による収入等もございますので、そういった収入を差し引きますと、合計三千九十円になる、こういう計算になるわけでございます。
-
○片山甚市君 今回の三千四百八十円については幾らに内訳を決められましたか。
-
○
政府委員(上村一君) さっき申し上げました千九百六十五円の人件費に見合うものが二千百六円でございます。それから四百九十九円の材料費に見合うものが六百三十一円でございます。経費は三千九十円のときには六百五十七円でございましたのが九百二十四円になる、等々合わせまして支出の項目が三千八百三十五円になると。一方、収入の方がございますので、それを差し引きますと、合計で三千四百八十円というのが保存血液一本当たりの製造原価ということになるわけでございます。
-
○片山甚市君 転用血はどういうように利用されておるのですか。
-
○
政府委員(上村一君) 血漿分画製剤をつくる会社でございますが、日本で四社ございますが、それに売り渡しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 そういたしますと、商業的血液製剤化の医学的倫理的害毒をWHOは警告しておるのですが、
大臣は余りはっきり言いませんでしたが、そうすると、国としては今後この血漿製剤についてどういう取り扱いをするつもりですか。血液銀行でやらすつもりですか、会社で。
-
○
政府委員(上村一君) 血漿分画製剤というのは、御案内のように、医療に欠くことのできない医薬品でございます。現在献血によって保存血液あるいは成分製剤をつくっておりますが、日赤では製造設備なり能力がございません。もっぱら民間企業を活用して製造を担当さしておるわけでございます。問題は、むしろ、民間の血漿分画製剤をつくっておりますメーカーが、さっきお話しになりました転用血だけではなくて、あるいは売血なり輸入血に頼っておるという点をなくしていくべきではなかろうかというふうに
考えるわけでございまして、これからはさらに献血による血液の供給量をふやし、それによって分画製剤というものの原料を賄っていくように
努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
-
○片山甚市君
大臣に重ねて聞くのですが、WHOが言っておるように、商業的にコマーシャルベースに乗せないでこれをやれという決議については、どのように
大臣はこれからの厚生
行政としてやられますか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 大変重大な御
指摘でございます。いま
局長が申し上げたとおり、日赤が、保存血の期間が切れたと、捨てることはできません。そこで、
自分でそれは別に加工すれば――加工という言葉はなんですが、すればいいんでしょうけれども、その能力もない。したがって、製薬会社に売却をしておる。そこで、問題は、その血液についてたくさん利益が出るとかそういうふうなことになれば、これは非常に大変な問題でございますので、そこらの点は厳重に監査をするようにと、監査といいますか、よく調査をするようにということは言っておるわけであります。当面すぐに別なものをこしらえてやるといたしましても、速急に間に合う話でないので、問題は民間のその能力ですね、そういう施設とか能力、そういうようなものは活用しても差し支えないのじゃないか。問題は、人から献血を受けた血液でともかくえらい金もうけをするというようなことは、これはもう絶対に抑えていかなきゃならぬと、そう
考えておるわけであります。やはり奉仕された血液でありますから、その会社がそれを使う場合には、当然その会社の人件費なり材料費なり減価償却費なり、そういうようなものは、それはもう認めてやらなければやってくれませんから、まあ認めてやるのは当然だと思います。しかし、それに不当な利益をつけさせるようなことだけは絶対にさせない、かように思っておるわけであります。
-
○片山甚市君 三千四百八十円の材料を千円で売り渡すのですから、その会社に対する監査は
政府としてどのようにやられておるか、お聞きをしたい。
-
○
政府委員(上村一君) 分画製剤のメーカーに対して転用血を千円で売り渡しますのは日赤でございます。したがいまして、それを原料にし、さっき申し上げましたそれ以外の血漿も原料にして、それで四つの企業というものは血漿分画製剤をつくっておるわけでございまして、それに対する監査そのものについては特に行っておるわけではございません。
-
○片山甚市君 行う意思がないということでしょう。それじゃ、分画製剤をいまつくっておる現状の中で、
昭和四十九年、五十年、五十一年と、どのようないわゆる血液を使ってやっておるのか、御返答願いたい。
-
○
政府委員(上村一君) 四十九年の分画製剤の原料である血漿は、十万九千リットルでございます。五十年が九万四千リットル、五十一年が九万八千リットルで、この三年間平均いたしますと約十万リットルになるわけでございます。この十万リットルの中で、転用血によりますものが四二%、それから有償採血によりますものが四二%、残りが輸入でございます。
-
○片山甚市君 歴年における平均を構成比を言ってください、四十九年、五十年、五十一年と。
-
○
政府委員(上村一君) 四十九年の有償採血が三八・七%、それから転用血が四五・六%、輸入が一五・七%五十年のそれが、四九・五%が有償採血、転用血が四〇・五%、輸入が一〇%五十一年が、有償採血が三九%、転用血が四一%、輸入が一九・八%でございます。
-
○片山甚市君 有償採血とは何ですか。
-
○
政府委員(上村一君) 血漿分画製剤のメーカーが代金を支払って血液を買う、そういうことでございます。
-
○片山甚市君 それは山谷などにあらわれておる売血のことでしょうか。
-
○
政府委員(上村一君) まあいわゆる売血でございます。
-
○片山甚市君 いわゆるでなけりゃほかに何があるんですか。
-
-
○片山甚市君 保存血は大体皆さんの善意できれいな血をいただくことになっておる。重要な血漿を使って分画製剤をつくるときには、売血であるとともに外国から入っておる。どこの国から入っておるのか、
説明してもらいたい。
-
-
○片山甚市君
アメリカの血液の供給状態はどのようになっておるか、言ってください。
-
○
政府委員(上村一君)
アメリカでは、赤十字と地域の血液センターと、それから病院内の血液銀行と民間の血液銀行、こういうところで採血されておりまして、赤十字と地域血液センターでは無償であるというふうに聞いております。
-
○片山甚市君 輸入されるものは献血の部分と言えますか。
-
-
○片山甚市君
アメリカの献血した血液にはどのようなラベルが張ってあるんですか。
-
○
政府委員(上村一君)
アメリカでは有効期限切れの血液というのを民間の製剤業者に渡しておりますけれども、これには委託加工契約というのが結ばれておりまして、その委託契約によってつくられました製品には、「本品は
アメリカ赤十字へ献血された血液から製造され、製剤の加工費用は
アメリカ赤十字から支払われている」と、そういうラベルが張ってございます。
-
○片山甚市君
アメリカの売血は主としてどのような人々によって行われておるかについて御
報告をしていただきたい。
-
○
政府委員(上村一君) さっき申しましたように、赤十字、地域血液センター、病院内の血液銀行、民間血液銀行でございますが、大体学生とか一般の勤労者というふうに聞いております。
-
○片山甚市君 黒人あるいは低所得者で失業しておる者等が大半である、こういうように私の方は聞いておるのですが、そのようなことはありませんか。
-
○
政府委員(上村一君) いま
お答えいたしましたのは主として献血について申し上げたつもりでございまして、売血について申しますと、そういうものも入っておるというふうに聞いております。
-
○片山甚市君 そこで、もとに返しますが、スイスの赤十字中央輸血
研究所における人血液及び血液製剤の利用と供給に関する専門
会議、これは七五年の一月二十九日ですが、七カ条の勧告をして採択していますが、それについてどういうことになっておるか、
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) 国家の血液事業というのは献血者によって行われるべきであると、それから――どういうふうに申し上げていけばよろしゅうございますか、非常に長いのでございますが、国のニードにその事業活動を
関連づけるべきであると、それは特に赤血球製剤についてであるというふうに言っておりまして、その勧告一の結びでは、全血の献血の場合と同じように、血球返還採血というのも献血者によってのみ行うべきであるというのが勧告一でございます。以下、勧告二、勧告三、勧告四、勧告五というふうに全部で勧告が七つ出ておるというふうに承知しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 そうしますと、いわゆる血球返還採血というものは日本の国に幾ら入っていますか、いま。
-
○
政府委員(上村一君) 現在の日本の献血では血球返還採血というのは行っておりません。
-
○片山甚市君 私の手元に、
アメリカのラボサイエンスという会社のをこの一年半の間に十四台納入したとある会社が
報告しておるのですが、いかがでしょう。
-
○
政府委員(上村一君) いまお話しになっていますのは連続成分採血装置というものであるというふうに承知しておるわけでございますが、これは近年大学病院等で院内採血を行っているところに使用されておるというふうに承知しているわけでございます。
-
○片山甚市君 プラズマフェレーシスというような名前で呼ばれて、血球返還採血ということでありますが、これは一人当たりどのぐらいの量をとっていいかということについて
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君)
アメリカの
基準では、一回の血球返還採血間あるいは四十八時間内に供血者から採血する抗凝固剤を含まない全血の容量というのは、供血者の体重が百七十五ポンドまたはそれ以上でなければ、一千ミリリットルを超してはならない、それ以上であれば、一回の血球返還採血間または四十八時間以内に一千二百ミリリットルを超してはならないというふうに書いてございまして、以下、七日間に血はどうだというふうなことについて細かく書いてあるというふうに承知しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 それは年間幾らになっておるか、それでヨーロッパではどうなっておるかということをちょっと
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) さっき引用いたしました勧告の中では、一年間について、血漿の供血というのは十五リットルが最大で、各回の採血の場合には六百ミリリットルというのを超えてはならないというふうに書いてあるというふうに承知しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 そうすると、いまの話は
アメリカでは何リットルになりますか、年間。
-
○
政府委員(上村一君) 計算だけしてみますと、五十二リットルぐらいになるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
-
○片山甚市君 これは、開発途上国からこういうやり口で血液を買い過ぎて、このために大変な病気になるというか、血液が状態が悪くなって、批判があって議論があります、
アメリカのやり方について。そこで、フランスでは、年間十リットルという制限をしておるのですが、日本の国で今後こういうものは使わないのか、いつの間にかいわゆる学問的な
研究とか大学病院だとかということで生体
研究をした上でやるつもりなのかどうなのかをお聞かせ願いたい。
-
○
政府委員(上村一君) 血球返還による採血というものは、将来次第に普及さしていくべきものであろうというふうに
考えるわけでございます。
-
○片山甚市君 それはどこで
研究を始めておられますか。
-
○
委員長(
小川半次君)
委員長から薬務局の
政府委員に申し上げますが、質疑者は前もって質疑の
内容を知らせておいたということですが、どうも不勉強のような感じがいたしますが、そういうことのないようにひとつ注意を促しておきます。
-
○
政府委員(上村一君) 私どもの方で
研究費を出しまして、院内採血の
基準研究会というふうなものを組織し、そういうところで検討をしておるわけでございます。
-
○片山甚市君 その結論といいますか
報告について
説明をしてください。
-
○
政府委員(上村一君) これは医療機関内採血により製造される血液製剤の確保に関する
研究というテーマでございまして、その
研究の結論というのは、五十年度にいろいろ検討をし、今後の病院内の採血のあり方の指標となることを
目的としてつくったものであります。非常に端的な結論を申し上げますと、院内採血というのも献血と同じように扱いをすべきであるというふうに
指摘をされておるわけでございます。
-
○片山甚市君 それに対してどういう所見を持ちますか。
-
○
政府委員(上村一君)
研究会からそういう
報告をいただきましたので、血液事業推進部会という諮問機関があるわけでございますが、そこでこれをどう取り入れるか検討中でございます。まだ結論が出たわけではございません。
-
○片山甚市君 その血液事業推進部会は、年何回ぐらい開かれていましたか。
-
○
政府委員(上村一君) 五十一年度は、年に二回でございます。
-
○片山甚市君 二回で十分だということでございますか。
-
○
政府委員(上村一君) 平生の検討というのは
行政当局がやり、そういった部会のメンバーの
先生に
お願い申し上げ集まって議論するというのが年に二回ということでございます。
-
○片山甚市君 部内で検討したのはどういうものがありますか、お知らせ願います。
-
○
政府委員(上村一君) この部会で検討しておりますのは、献血目標量の設定とか、あるいは採血
基準の改善とか、血液製剤の供給体制の改善とか、あるいは受け入れ施設の整備であるとか、献血目標量の設定等でございまして、たとえば、採血
基準をどうするかにつきましてもいま検討しておる最中でございます。
-
○片山甚市君 薬務局というのはどういうような者の代表かということはこれで国民の皆さんもよくわかったと思うのですが、私が申し上げるのは、血液というのは貿易をすべきでなくて、相互に無償で取引すべきも一のだと思います。
大臣、いかがでしょう。
-
-
○片山甚市君 それでは、国立血液
研究総合センター設置の中間
報告をしました血液問題
研究会のその後の取り扱いについていかが進められていますか。
-
○
政府委員(上村一君) 血液の
研究体制はどうあるべきかということで、かねてから
専門家を煩わしまして検討を続けておるわけでございます。まだ最終的な結論が出たわけでございませんで、五十二年度におきましても引き続いて検討を行うように予定しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 四十九年の七月一日から今日までの間に大体どのようなことの
研究が進みましたか。
-
○
政府委員(上村一君) まず、五十年の四月に血液問題
研究会の
意見具申を受けたその後それに引き続きまして今度
研究のあり方について検討しておるわけでございまして、さっき申し上げましたように五十二年度には引き続いて検討するわけでございますが、たとえば、臨床部門と密着した
研究所というものはどう
考えるべきであるかとか、あるいは既設の国の
研究部門との
関係をどう
考えるかとか、あるいは大学等既存の
研究機能を統合したプロジェクトというものは活用できないかしか等々のいろいろな問題について検討しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 そうしますと、分画製剤についてもう一度聞くのですけれども、国として具体的な施策をとり、売血によらず、商業ベースによらずに、国民のきれいな血を守っていくというような具体策はないのでしょうか。
-
○
政府委員(上村一君) 先ほど来申し上げておりますように、血漿分画製剤の需要というものはどんどん伸びておるわけでございます。現在日本で生産されておるものというのは需要量を満たすのに半分にもならないと、そういうことでございますので、輸入品というのも相当あるわけでございます。そこで、先ほど来の議論にございましたように、それが売血によらないようにするということを行うためには、献血によって供給される血液の量というものをふやしていかなければならない。そして、現在これの設備、機能を持っておりますのは民間の企業でございます。そこに
アメリカのように委託をする形で製造することが一番現実的ではないか、同時に献血者の気持ちにもかなうのじゃないかというふうに
考えておりまして、そういった点についていま具体的な詰めに入っておる、そういう
段階でございます。
-
○片山甚市君 国立というか、公の機関、国においてこれを行うということでなくて、商業ベースでやりたい、こういうように
考えておると
理解してよろしゅうございますか。
-
○
政府委員(上村一君) 血漿分画製剤の製造そのものは現に行っておる企業にゆだねる以外にはないわけでございますけれども、それを、まだ結論を得たわけじゃございませんけれども、公益法人が委託をするという形でやってまいるのが
一つの
方法ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
-
○片山甚市君 先ほど申しましたように、血液は商業的な行為によらないことがWHO、世界保健機構の総会で決議をされておる。そういうことから言うと、相当厳しい状態でなければならぬと思うが、
大臣、どう思いますか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) それは厳しくやらなければならぬと私も思います。ただ、日本でこれだけの需要がありまして、国内で献血が足らないということが
一つの問題があるわけですから、やはり
先生のところなどは組合で献血のセンターをつくったり、大変なことをいままでやっておられる。そういうふうなことを一般にもっと普及をするということがまず
一つ大事でしょう、量を確保しなければできないことですから。その次は、せっかく人からいただいた血液が何かそこで金もうけでもあるんだというふうな印象を与えたのでは、これは非常にまずい。したがって、その点はきちっと、委託をするにしても原価その他ではっきりさせる必要がある、こういうことが第二番目だと私は思います。民間でやっておる技術やなんかがあるのに、国営なら国営を別につくって国営事業としてやることがいいかどうかということはいろいろ検討しなければならないことであって、さしずめは、私は、民間であってもそこに血液を利用して法外な金もうけがもしあるというようなことがあれば大変なことなんですから、そういうことだけは厳重にこれは調査、監督をしていくというふうに
考えております。
-
○片山甚市君
大臣、そうおっしゃいますが、あなたの方は、薬務局の血液
関係の
予算では、献血制度推進普及費など含めて減額していますね。
予算が昨年よりも二億二千二十七万円減っておる
内容と、これからの取り扱いについて聞きたい、献血してほしいなら。
-
○
政府委員(上村一君) 五十二年度の
予算というのは血液
関係全部で十億でございます。それで五十一年度に比べますと二億二千万減っておるわけでございますが、一番減っておりますのは、保存血液の供給事業補助金の二億一千九百万、これが大半であるわけでございます。それで^保存血液の供給事業補助金が減りましたのは、血液代金自己負担金を公費で見る費用というのが減少したというのが主なものでございます。
-
○片山甚市君 公費で負担するのがなぜ減ったのか、
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) 減りましたのは、これは御案内のように、保険で給付されない部分というのを公費で見るということで
昭和四十九年度からやっておるわけでございます。四十九年度、五十年度の血液代金自己負担支給事業というのが昨年会計検査を受けたわけでございます。その結果、その支給額の算定
方法についてダブりがあるのじゃないかと。したがって、改善すべきであるというふうな
指摘がございまして、そこでそれに従いまして計算をし直したということでございまして、額面は減っておりますけれども、血液事業そのものについては決して後退しておるわけではございません。
-
○片山甚市君 そうすると、自己負担金の給付について万全が期せられておるから、無償という形の
内容は変わらない、従来どおりである、こういうように
説明されたものと解してよろしゅうございますか。
-
-
○片山甚市君 そういたしますと、先ほどから議論をいたしてまいりました、日本の国では千円で転用血を渡すのですが、よその会社は外国から二百ミリリットルを千円で買っておるのですか、
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) 千円じゃございませんで、大体千五百円ぐらいだろうというふうに聞いておるわけでございます。
-
○片山甚市君 そうすると、日本の国がなぜ千円になるのかについて
説明を願いたい。
-
○
政府委員(上村一君) 外国から買ってまいりましたのは血漿でございます。それから日本の血液センターが転用血として売りますのは、転用血全血でございます。したがいまして、
アメリカから来るものは、すでに全血から血漿というものが取り出されておるというふうな
段階のものである、そういう違いがある。同時に、先ほど
お答えしましたように、転用血の価格というのは、日赤の血液部門の収支の状況等々を勘案して決めるわけでございまして、先ほど申し上げましたことどもあわせまして一概には比較できないのじゃないかと、こういうふうに思うわけでございます。
-
○片山甚市君 保存血の供給に対しては、御承知のように供給体制が大変問われるのですが、原価の中に幾ら入っていますか。
-
○
政府委員(上村一君) 保存血液の供給と申しますのは、血液センターが
自分で直接配送する場合もあるし、それから病院の方で貯蔵しておいてもらう場合もあるわけでございますが、多くの場合には卸業者に委託をしてそれで必要な場合に配送する。現在、供給手数料といたしましては、大体一本当たり五十二年度四百八十円ぐらいというふうに見込んでおるわけでございます。
-
○片山甚市君 四百八十円で各地の事情を十分考慮して完全に行える予定ですか。
-
○
政府委員(上村一君) 五十年度まではわりあい順調に配送が行われておったわけでございますが、五十一年度になりまして卸自身が景気が余りよくなくなったということもございまして、これを引き上げようじゃないかという話があり、五十一年度、五十二年度、こういうことで話を詰めておりますので、円滑にいくものであるというふうに期待しておるわけでございます。
-
○片山甚市君 需給調整などのセンターとして直配といわゆる委託の
関係で全国はどのようなネットワークと具体的な配置をしておるかについて
説明を願いたい、人口配置。
-
○
政府委員(上村一君) 現在、さっき申し上げましたように、各センターから直接医療機関に保存血液を供給するもの、これは直配センターの
関係でございますが、これが十三、それから卸売業者に全部を委託しているものが十二センター、一部委託しているものが四十センターあるわけでございます。
-
○片山甚市君 この公益的なセンターはどういうところがそれをつ
かさどっておりますか、それの人口の
比率はどのようになっておりますか。
-
○
政府委員(上村一君) いま手元に各センターごとの人口の
比率というのは持っておりませんが、ただ、これはむしろ医療機関の分布の状況なりそれから土地の広さということに影響されることが大きい問題だろうというふうに思うわけでございます。現に、卸売業者というのは、血液だけを運んでおるわけじゃございませんで、各種の医薬品というのを医療機関に届ける。そういうときに卸というものの持つ社会的な機能の
一つとして保存血液の運搬もやってもらっておると、それがだんだん苦しくなってきて昨年値上げをしたと、こういう経過のものでございます。
-
○片山甚市君 日赤はどのような配置をとっておりますか。そのために、北海道、中央、大阪、福岡などの状態について
説明を願いたい。
-
○
政府委員(上村一君) 北海道では直配の部分が七九%、委託の部分が二一%でございます。それから東京は一〇〇%委託でございますが、これは事業団方式をとっておるわけでございます。それから
先生福岡……
-
○片山甚市君 大阪、福岡。
-
○
政府委員(上村一君) 大阪でございますが、大阪は一〇〇%直配でございます。それから福岡は五%が直配で九五%が委託と、こういうふうに、地方によりまして供給体制はいろいろ態様があるというふうに御
理解いただきたいと思います。
-
○片山甚市君 供給体制には万全を期するという省の言い分でありますから、とりあえずそれを信用しておきましょう。
そこで、諸外国のいわゆる血液の取り扱いについて経営形態、国営とか、赤十字とか、民間とかいうものについて
説明してもらいたいのですが、まず国営、赤十字、それから混合型、これを先進国を中心に
説明してください。
-
○
政府委員(上村一君) 諸外国の血液の供給が、赤十字が行っておるもの、それから国が直接やっておるもの、それからさっき申し上げました
アメリカのように民間の血液銀行もこれに入っておるもの等々あるわけでございますが、これを国ごとに分けて御
説明申し上げる
資料というものはいま手元に持ち合わせがございません。
-
○片山甚市君 私
たちは、国際保健機構が、いわゆる売血をなくし、商業的な行為による血液保障をやめるようにと、こういうようなことを言われておる立場から、この問題があくまでも血漿製剤いわゆる成分製剤については確かに日赤がやられておるのですが、分画製剤等の純粋に薬品になるものについては日本の国として非常に弱い。
大蔵
大臣に聞くのですが、命にかかわる、血というのは体の一部だと思うのですが、それに対する国の助成策というか、国が責任を持って取り組むという先ほどから話をしておるのですが、厚生省は民間の人に頼まなければできない、こう言っておるようでありますが、国自体がこれに取り組む意思はないか。
厚生
大臣にお
伺いしたいのは、私
たちとしては、売血をなくしたい、外国からのいわゆる輸入売血もやめたい、外国からいただく無償のラベルを張ってある血液なら相互に交換をしたい、いろいろとRhマイナスなどの形の特殊なものがあるように、と思いますが、そのようなことについて強力に血液
行政を進めていく用意があるか。
大蔵省としては、金のことについてけちるようなことがないかどうか、いわゆる制約をすることがないかどうか。厚生
大臣の方は、いまのような情勢で世界よりも数段おくれておる、この問題についてお
伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) 御
意見のように、血液は人間の生命に直接
関係のあるものであって、これはまことにゆるがせにできないものであるということはよくわかります。そういったようなものの供給というんですか、いかなる
方法によってその供給をしてもらうかということは、これは大変重大な問題であろうと思います。ところで、その血液を需要を満たすだけの血液をやっぱり供給によって求めなければならないというここに無限に供給してもらえるというようなことではございません。そういうようなことから
考えまして、私は非常に大事なことだと思いますけれども、しかしながら、一方において供給、他方において言うなれば非常な需要というものがますますふえていくと思います。それを満たすためにはどうしていけばいいか。しかも、そういう売血とかなんとかということでなしに、何か心配の要らぬものを供給を受けていかなければならぬということにつきましては、いますぐこれをどうするということは私も申し上げかねますけれども、しかし、厚生省とよく相談しまして、大事なことについては、これはちょっとなかなか困難だと思いますけれども、真剣に検討してまいりたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 血液の問題は、やっぱりこれは福祉の心ですよ。それがなければ、全国民参加にならなければ、これはとてもだめなんです。ですから、やっぱり、ボランティア活動とか、一般の国民運動とか、そういうもので、ともかくお互いに助け合おうという気持ちがなければいけない。いままで、ややもすると、お金を出せば外国からでも買えるというふうな風潮があったのじゃないかと、私はそう思っております。たとえば、小人症の薬でも、脳下垂体からとって注射にぶつわけでしょう。スウェーデンから買っていたけれども、日本では
自分の国民の脳下垂体からとらないで、外国人のばかり使っている、だから四百五十人分しか売らないという騒ぎも起きているわけです。私は同じ話じゃないかと思う。ですから、やっぱり国民の中で、日本国民の助け合いですから、献血運動とかそういうものがうまくできるような仕組みを一緒に
考えていきたい。
先生などはこの問題で二十年も三十年もおやりになっているんですから、ひとついい
意見を教えてもらって、何もこの席ばかりでなくて結構なんでありまして、それは私の方でも最敬礼をしますから、いろいろ教えてもらって、協議をして、やっていくことが一番いいんだと私は思うのです。ですから、私は、その
先生の
考えている趣旨は非常に結構なことですから、そういうようなことでまた実務的に現実的にどういうふうにやっていくかということを一緒に
研究をしてまいりたいと思います。
-
○
委員長(
小川半次君) 片山君の質疑は後刻引き続き行うこととし、午後一時まで休憩いたします。
午後零時一分休憩
―――――・―――――
午後一時四分開会
〔理事園田
清充君
委員長席に着く〕
-
○理事(園田
清充君) ただいまから
予算委員会を再開いたします。
午前に引き続き、
昭和五十二年度総
予算三案を一括して議題とし、片山甚市君の質疑を続行いたします。片山甚市君。
-
○片山甚市君 引き続き、供給体制の側になります日赤の問題について大きく
お答えを願いたいのですが、いま、採血車を出しますと、一台について八十本から二百本ということで割り当てをしておるのですが、しかし、一人の看護婦が一時間について八人から十人ぐらいしか来れない。そういうことで、このいわゆる献血車の配車の状態は今後どのようになるかということを聞きたい。といいますのは、先ほど言ったように、献血をスムーズにすると、こういうことで、実は昼の時間はお医者さんもお休みだということで、みんなが献血したいときにはお医者さんも休んでとれない。あるいは職場でももう少し献血をする時間は経営者や皆さんの御協力を得て出すように協力してもしいたい。先ほど、いわゆる配送のお金で四百幾しのお金を
説明しましたけれども、これで十分であると言われておるのですが、私
たちは、
昭和四十九年ごろでそのぐらい要る金だと思っておる。いまの
段階で十分であるとは思いません。ですから、配送費は公費負担という形でとらえるべきではないか。また、そういうものの車の購入費、こういうものは公的なお金でやるべきでないかと、こう思いますから、厚生
大臣からいま申し上げましたところの問題について
お答えを願いたいと思います。
-
○
政府委員(上村一君) まず、採血車のお話が最初に出たわけでございます。採血車につきましては、逐年その整備をして、それでできる限りたくさんの採血車がいまお話しになりました職場等に出向くようにしてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。それから職場に参りました場合に、何と申しますか、働いている
人たちが容易に献血できるように便宜を図れというふうなお話しの点でございますけれども、午前中にも申し上げましたように、日本の献血者の相当数というのはいわゆる勤労者でございます。そこで、日赤のセンターなり都道府県が音頭をとりまして、こういったオープン採血等を行います場合に、あるいは移動採血車を派遣して採血をする場合に、事業主の協力を得るように呼びかけておるところでございます。
費用の問題につきましては、午前中も
お答え申し上げましたように、配送費が十分な額であるかどうかについて、私どももその配送に当たっております卸売業者といろいろ話をしておるわけでございますが、午前中にも申し上げましたように、必ずしも十分ではないというふうに言われておるわけでございます。これを公費で持つか持たないかという問題につきましては、午前中にも話が出ましたけれども、たとえばことしの場合には三千四百八十円の保存血液の自己負担分についてトータルとして公費で見るというふうな仕組みをとっておるわけでございますから、血液の原価の中の何を公費で持ち、何を薬品代で持つかということについては、かえって区分しない方が私はベターじゃないかというふうに思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 献血の問題については、国としてもできるだけこれから重要なことでございますから後援をしていくと、そういうふうにしたいと存じます。
なお、全電通では血液のセンターをこしらえておると。労働組合でそういうのをつくっているとは私初めて聞いて実はびっくりしておるわけでございますが、まあ労働
大臣もここにおりますから、ひとつその方にも皆さんに
お願いして、本当に国民の血で日本国民を守るというようにやっていきたいと思っております。
-
○片山甚市君 業務
局長の答えは、終始、薬屋の代理、金もうけのためにはしわんぼうというか、欲張りの話ばっかりですから、もう聞くのもいやになりましたから、これから厚生
大臣に答えてもらいたい。
日赤というのは、モノポリーと言われるように、金もうけのために手段を選ばぬという印象を受けています。そこで、成分製剤をやっておるのですが、技術について大きく差があるように思うのですが、それを改めてもらいたい。向こうが答えなければならぬのだったら、それはどうなっておるか。私は技術に差が各センターごとにあると、こう思いますから、――日赤ですよ、これについては、皆さんは直轄だから、それはどうされるか、
お答え願いたい。できなんだらあなたが答えてください。
-
○
政府委員(上村一君) 成分製剤は御案内のとおりに、年々需要がふえておるわけでございます。そこで、日赤の血液センターでも成分製剤ができるように施設整備を図っておるわけでございまして、現在、成分製剤が供給できるセンターが五十八中五十三まで整備されてまいったわけでございます。それから日赤が供給できる成分製剤というのは、現在、人赤血球濃厚液等十三品目でございます。製造量を見てまいりますと、
昭和四十九年二万七千リットルであったものが、五十年には四万八千リットルになり、五十一年には八万一千リットルというふうに、相当な速力で日赤自身が供給できる成分製剤の量がふえておるというふうに
考えておるわけでございます。
-
○片山甚市君 先ほどから言うように、そのために技術的には総合的に
研修所などを設けて同じレベルにすべきでないかと、こう
考えるのですが、いかがでしょう。
-
○
政府委員(上村一君) 日赤自身が単なる保存血液ではなくて、成分製剤というものをどこの日赤のセンターでも供給できるようにやっていかなければならないという点については、お話しのとおりだと思います。
-
○片山甚市君 日赤は献血を求めて、血漿あるいは分画製剤をつくるために商業製薬会社に卸売をするような舞台になったのでは、私は、納得できない、こういうように思いますから、何回も言いましたように、民間に対して原料を渡すということになりますと、国がもう少し厳しい監督をその製薬会社にすべきだと思いますが、厚生
大臣、いかがでしょうか。
-
-
○片山甚市君 法律の範囲内だったら余りやらぬということにもなるんでしょうが、非常に残念であります。
そこで、血液を受けましたときに、事前検査でHB抗原体の陽性が出ました人は、これは採血をしません。とったとしてもそれは捨てるのですが、その人間に対して病無の事情を通知しないのですが、せめて献血を申し出た人でHB抗原体のような方々には、連絡をして病気を治すようにするくらいのことは日赤を通じてやらすべきだと思いますが、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) HBの問題については、その治す方々等がはっきりしておらないということのために、せっかく献血に来た人に、あなたはこういう病気がありますよということを言って非常に不安にさせるということがどういうものなのか、非常にむずかしいところだと私は思います。慎重にこれは検討しないと、治す
方法があってそれですぐ治してあげるというのならいいけれども、
方法がなくてあなたはこういうふうな血液なんだということだけ教えて不安に陥れることもいかがかなあということで、なかなかこれはもう少し検討してみないと何とも御返事ができません。
-
○片山甚市君 血液の問題は人体の一部でありますから、売買をしないように、これはお互いに交換をすることがあっても、こういうことでもう一度確かめますが、そのような方向で厚生
行政をやられるのか、薬として血を売買するようなことに中心を置かれるのか、厚生
大臣のしかとした御返答を賜りたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 望ましいことは、売買をしないということが望ましいことであります。したがって、これには国民の御協力がなければ血液が不足をしておるわけでございますから、国民の皆様にも
お願いをして、ともかく献血運動というものをもっと大きく取り上げていきたいと、かように
考えております。
-
○片山甚市君 それでは、社会福祉の問題ですが、
昭和四十六年から五カ年計画をいたしました。その結果、どのようになりましたか、御
説明を願いたいと思います。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君)
お答えいたします。
社会福祉施設緊急整備五カ年計画、これは四十六年度から五十年度までの計画でございますが、一応目標整備量が約六十二万人でございますが、これに対しましてこれを上回る六十四万人の整備を終わりまして、一応それなりの成果を上げたものと私どもは
考えております。
-
○片山甚市君 それでは、
昭和四十八年田中内閣のときに約束をしてまいりましたように、先進工業国にふさわしい福祉を優先させるということからいって重症心身障害児施設について一対一の介護要員を置くことになっておるのは、どのようになりましたか。
-
○
政府委員(石野清治君) 当時の齋藤厚生
大臣がお話しいたしましたのは、一対一になるようにできるだけ
努力をしたいと、こういうお約束をしたと思うのです。その後、重症心身障害児の施設の運営費につきましては、医療費の改定と、それから御案内のとおり重症
指導費というもの、六三%の重症
指導費でございますが、そういうものを含めましていろいろ計算してまいりますと、理論上は一対一を置ける人数になるわけでございますが、これはあくまでも理論上でございまして、全部その金を投入すれば一対一に置けると、こういうことでございまして、実際上運営を見ますと一・二対一ぐらいの割合になっておると思うわけでございます。
-
○片山甚市君 福祉の問題については、ことし重症心身障害児施設に対する経費としてどのような改善を図りましたか、それでは。
-
○
政府委員(石野清治君) 重症心身障害児施設につきましては、現在、医療費収入と、それから先ほど申しました重症
指導費でやっているわけでございますが、医療費の方は五十一年四月に大幅に上がりまして、五十一年度の途中では医療費の改定がございませんでしたので、したがいまして、重症
指導費の方もリンクしておりますので、六三%は変わっておりません。ただ、実際上の金額になりますと、現在重症児一人当たりの月額平均が十五万から十六万の医療費収入でございますし、それから重症
指導費といたしまして月額九万九千円というふうに支弁されておるわけでございます。両方合わせまして約二十六万程度であろうと思います。
-
○片山甚市君 そうしますと、ことしは医療
関係の改善以外には
方法はないと、増員
措置もとらないと、こういうことですか。
-
○
政府委員(石野清治君) 重症
指導費の方はあくまでも医療費にリンクいたしておりますので、根っこの医療費が上がりませんと、したがってその重症
指導費も上がらない、こういうことでございます。医療費がどうなるかは今後の大きな問題だと思います。
-
○片山甚市君 重症
指導費は、医療費の改正に伴ってリンクされて上がるからそれまで放置をしておく、こういうふうに
理解してよろしゅうございますか。
-
○
政府委員(石野清治君) 重心の場合は、御存じのとおり、医療機関とそれから福祉施設の両方の形態を備えておりますので、どうしても医療費をリンクして
考えてまいりませんと運営全体が円滑にまいりませんので、どうしても医療費の方をまず決めていただいて、その上に六三%を上げると、こういうことでございます。
-
○片山甚市君 厚生
大臣にお聞きするのですが、これから、いわゆる建物はできたのですが、中身で働く人々、ボランティアの方々をどのように
措置をしていくのか、厚生
大臣の
考え方をお聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) ボランティア活動というのはボランティア活動でございますから、国がその人にたくさんお金をくれるというようなことではボランティア活動にならない。やっぱり助け合い運動でございますので、そういうような風潮をつくっていくようにわれわれとしては日ごろ心がけてまいりたいと、こう
考えております。
-
○片山甚市君 重症児施設のいわゆる経営運営費について不足をするから、身売りをするとか、施設を転売するとか、あるいは当該の施設に働く人の賃金を引き上げられないでそのまま置いてあるとか、こういうことがあるのでありますが、それは御承知でしょうか。
-
○
政府委員(石野清治君) 重度の心身障害児施設なり障害者の施設を身売りしているという話は聞いておりません。ただ、
一つ考えられますのは、精薄児の施設が、だんだん減ってまいりまして、したがいまして、精薄者の方の施設に切りかえたり、あるいはいままで収容施設でございましたものが通園施設になると、こういうようなものはございます。なお、運営費が非常に少なくて賃金が引き上げられないというようなことはないわけでございまして、毎年いままで
措置費で年間一二%なり一三%のアップを見まして組み込んでおりますので、そういうことはないと思います。
-
○片山甚市君 ないということですから、あればまた話をすることにいたしましょう。禅問答はやめます。
そこで、今度国立リハビリテーションを所沢に置くことになったのですが、これに必要な経費について一般会計は幾ら出すことになっておりますか。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) お尋ねの国立リハビリテーションセンターでございますが、これは特定国有財産整備特別会計、いわゆる特特会計、これによりまして実は四十九年度から整備を進めておるところでございまして、これに伴いまして現在身障
関係の視力障害あるいは身体障害、聴力言語障害、それぞれ在京三施設がございますが、これを特特会計の方にいずれ返還して特特会計においてこれをいずれ処分するということになるわけでございますが、現在まで四十九年度から五十二年度までにこの整備につきまして約六十四億支出いたしておりますが、特特会計の経理の中身で一般会計がどの程度であるかということは、私どもの立場では直接的には知り得ない事情にございますので、御了承願いたいと思います。
-
○片山甚市君 大蔵
大臣にお聞きするのですが、いま申し上げましたところの一般会計からこの所沢にかかわるところの国立リハビリテーションについての経費は幾ら出ることになりますか。
-
-
○
政府委員(吉瀬維哉君) 特特会計の財産の処分の
評価額、それを上回る額を一般会計から繰り入れるということになります。それから今後の施設の整備予定によりましてこの額は変動するかもしれませんが、大体一般会計から繰り入れる額は当面二十五億くらいになるのじゃなかろうかと、こう思っております。
-
○片山甚市君 そういたしますと、厚生省が出しました四十八年のいわゆる設置についての
予算措置、特別会計と一般会計にはこれはおおむね変わりがない、こういうふうに
理解をしてよろしゅうございますか。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) 四十八年の数字を具体的に私承知しておりませんが、四十八年に特別会計の方で施設整備といたしまして全体計画約三万九千平米、これの整備を図るということが決定されておりまして、これに伴う施設整備の
予算そのものは、実は先ほど六十四億と申し上げましたけれども、これは五十二年度までの数字でございまして、今後なお整備を要する部門もございますので、最終的には当然これを上回るものと私どもは
考えておりますけれども、五十三年度以降の具体的な整備計画ないし
予算等はいずれにしても今後の問題でございますので、そういうことで御了承願いたいと思います。
〔理事園田
清充君退席、
委員長着席〕
-
○片山甚市君 総額百五十億三千万円にして、一般会計から七十一億五千万円、特別会計から七十八億八千万円を予定をしておるのですが、そういうものについて骨組みとして変わらないのかどうか、こういうことについて厚生
大臣あるいは
関係から聞きます。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) いまお挙げになりました数字は、当時私どもが頭に描いておりました計画による数字でございまして、具体的には、先ほど言いましたように、三万九千平米の施設を整備するということは両省間で合意を見ておりますけれども、具体的な
予算の数字については、今後残された問題がございますので、これからの問題でございます。ただし、私どもが当時
考えておりましたこのリハビリセンターの基本的な事業
内容なりリハビリセンターの機能は、おおむね私どもの
考えどおり達成いたしたいというふうに
考えております。
-
○片山甚市君 当該の三施設について、労働者の諸君の
意見などはどのように聴取をされておりますか、これを進めるに当たって。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) もともとこの構想は
昭和四十七年度実質的に用地が内定いたしましたので、その
段階で固まっておりましたために、これまでにもちろん
関係者への事情
説明は十分しておりますし、その後マスタープランの検討
委員会等もつくりましたけれども、これには身障
関係の代表の方も入っていただいて、そういう
関係審議会の
意見も受けて計画を進めておりますので、
関係方面への
説明と申しますか説得といいますか、その点については私どもは十分
努力してまいったつもりでございます。
-
○片山甚市君 中間
報告があった後、結論としてそれは出ておるのでしょうか。
-
-
○片山甚市君 結論を得ずにどんどん進めていくというのはどういうことでしょうか。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) 先ほど申し上げましたように、答申、中間
報告、これの骨子を尊重しながら
作業を進めたわけでございますし、その答申、中間
報告には
関係者の意向が十分反映されているというふうに
考えております。しかし、そのこととは別に具体的に現在在京三施設に働いておる人あるいは入所しておられる
人たちの
理解と協力を求めるための
努力も十分いたしたつもりでございますし、これからまだ多少時間の余裕もございますので今後とも
努力したいと
考えております。
-
○片山甚市君 いたしたいということでありますから、そういうことにいたしますが、
関係者から言いますならば、一方的に進められて、しかも
予算的な裏づけが明確でない、非常に大きな不満があるのですが、それは御承知でしょうか。
-
○
政府委員(
曾根田郁夫君) 具体的に
現場の
関係の方々から格段に統一的な御不満なり御
意見というものは余りストレートに私は伺っておらないのですけれども、
現場の責任者に聞きますと、やっぱりいろいろ要望その他はあるようでございますが、そういうことは十分これからの計画策定に当たって取り入れたいと
考えております。
-
○片山甚市君 いまの答弁をしっかとお聞きしておきますが、いわゆる国立コロニーのぞみの園の例がございました、皆さんのりっぱな手本が。うまくいっておるんですか、お聞きします。
-
○
政府委員(石野清治君) 国立のぞみの園の運営につきましては、従来いろいろな問題がございました。これは、管理者側の問題もございますし、それから職員サイドの問題もいろいろございまして、トラブルはございましたけれども、おかげさまでようやくことしの労使
関係の問題につきましては正常に近づいてきたというふうに
判断をいたしておるわけでございます。
-
○片山甚市君 正常はよろしいが、国立コロニーの状態が厚生省がやろうという医療といいますか福祉施設の
内容を示しておると思いますから、最も大きな模範ですから、今度は三センターが一緒になる、こういう異質なものがどういうように共同できるのかという点に大きな疑問を投げかけておきます。それからもめてから大変困らぬように警告しておきます。
さて、医療の問題ですけれども、実は緊急医療の問題を今日非常に論議をしておるのですが、国として緊急な救急医療については、いわゆる採算のとれるものとして
考えるか、公的なものとしてこれを保障すべきものと思うか、厚生
大臣からお
伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 救急医療の問題は非常に不生産性であるというようなところがございましたわけでございますが、今年度は国の
予算も四倍ぐらいにふやして、そうしてそれぞれのブロック別に分けて、助成すべきものは助成し、また医療の単価等についても去年から五割増し程度にふやしておりますので、何とかやっていけるように、まあ採算でもうかるというわけにはいきませんけれども、ともかく大きな赤字を出さないでやれるような仕組みに変えてまいりたいと、かように
考えております。
-
○片山甚市君 救急医療については、国が公的な負担をしてこれが実施ができるように呼びかけるとともに、せんだって自治体病院協議会が提言として薬づけの問題で二〇%ほど薬は下げ得るのではないか、こう言っておることについて、厚生
大臣はどのように受けとめられますか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 薬価
基準の話でございますが、これは非常に大きな問題であります。厚生省としては、年々薬価の調査をいたして、それで薬価
基準が実情に合ったように年々手直しをいたしておるところでございます。したがって、ことしも、いずれの時期かに、なるべく早い時期に薬価
基準の改定はやりたいと、かように
考えております。
-
○片山甚市君 二〇%ほど下げることができると言っておることについてお聞きしたのですが、そうじゃなくて改定をするということはむしろ別の
意味でしょう。
さて、救急医療をやるのについては私的医療機関の全面的な協力を願わなければなりませんが、それは採算がとれないということで、公的機関が主として大きな
役割りを果たさなきゃならぬと思いますが、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 公的医療機関がやっぱり率先をしてやるというのが大切なことであろうと、そういうようなことで、国立病院等は、がんセンターとか何か特殊なもので救急医療に向かないところは別でございますが、それ以外のところは、厚生省
関係のところは全部救急医療の受け入れ体制をつくっておる次第でございます。
-
○片山甚市君 民間のことになりますが、四月四日の読売新聞によると、医師の脱税の問題が載っております。千五百件のうちごまかしを全部やっておったというのですが、これで医者が本当に信頼を符られると思うでしょうか、
大臣にお
伺いします。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 大体、医師の脱税の話というのはいままでもいろいろ出ておるわけでございますが、いつもワーストテンなんて言われますけれども、そこには、ある特定の部門、整形
関係とかあるいは産婦人科とかいうようなのが大体多いんです。これは保険じゃなくて、自由診療の部分がかなりあるもんですから、そういうところで税務署への申告と調査の結果が違うというようなことでよく脱税の話が出ておるわけであります。まことに遺憾なことであると存じます。
-
○片山甚市君 私は、採算主義の医療制度が、脱税を生んだり、たらい回しをせざるを得ないようになっておるということから、やはり医療の問題については、国が全面的にこれに乗り出して協力しなきゃならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 当然国がそれはもう精力的に医療の整備ということについてはやっていくつもりであります。
-
○片山甚市君 その最もいい例は、医者一人をつくるのについて五千万円から一億円かかると自治体病院協議会の会長が言っておったのですが、そのような実情について、改めたいと思われますか、どのようにされるおつもりですか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) それは私立医科大学の入学等に
関連した話として出ておることと存じますが、これは
文部省の方の所管でございますけれども、国としては年々私立医大の助成というようなものを強めて、そういうような寄付等についてはこれを少なくするように
指導をしていただいておると存じます。
-
○片山甚市君 救急医療の問題が国の政策でやはり速やかに確立をして、休日・夜間の医療といいましても、夜間というのは十二時までしかしないで、深夜やっていない、こういう実情があるのですが、それについてはどうお
考えですか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 休日夜間急患センターの運営につきまして、ただいま
先生御
指摘のように休日の昼間だけをやっている診療所が多いわけでございまして、夜間につきましては、その休日急患センターのほかに、いわゆる在宅当番医制等の制度を今後採用いたしまして、夜間における救急医療体制につきましても万全の体制をしきたいと
考えております。
-
○片山甚市君 実は三角筋の拘縮症の問題ですが、北海道と京都に一番多かったようですが、網野町に起こった状態とそれに伴う
措置についてお
伺いしたいと思います。
-
○
政府委員(石丸隆治君) ただいま
先生の御質問は、京都と北海道の三角筋の問題とその対策でございますが、対策につきましては、三角筋拘縮症のみでなく、一般の筋拘縮症の問題として
お答え申し上げたいと思います。
三角筋拘縮症の発生につきましては、
昭和五十年六月三十日北海道庁より
報告がございまして、その
報告では二百四人の
報告があったわけでございますが、その後いろいろ調査をいたしまして、現時点におきまして百十八名の患者を確認いたしております。
それからその後、
昭和五十年十月、京都府の巡回療育相談によりまして、ただいま
先生御
指摘の網野町周辺におきまして三角筋拘縮症の患者がいるということが京都府より
報告があったわけでございますが、その京都府の検診によりまして、二百一名、そのうち網野町が百五十八名と、こういうような状態が把握されております。
-
○片山甚市君 それに対して、統一した治療
方法を早期に確立せなければならぬと思いますが、いつごろまでにできますか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) この対策でございますが、その発生の予防的な対策につきましては現時点におきまして疫学調査によりいろいろ検討を行っておりまして、さらにその結果に基づきまして、ただいま動物実験を続行中でございまして、その時点につきましてはちょっとまだ見通しがつかないような現状でございます。
治療の方でございますが、特にこの筋拘縮症の外科的手術の問題につきましては、いろいろ従前からも検討をいたしておるわけでございまして、大腿四頭筋拘縮症につきましては、すでに
研究班といたしましてはその治療
方法の心得等につきましで発表いたしておるところでございます。三角筋につきましては、ごく近い将来におきましてこの発表ができるというふうに
考えております。
-
○片山甚市君 病気の原因について、どういうことであるのか、いま検討中にありましょうが、それで育成医療については、これは所得制限をつけないで認めていただけるかどうか、こういうことについて質問します。
-
○
政府委員(石野清治君) この育成医療の問題でございますが、これは児童福祉法の五十六条の三項に規定ございまして、扶養義務者の負担能力に応じて費用の徴収を行わなければならないという法律的な根拠がございます。したがいまして、これを全額公費で負担するということは法律上できないことになっております。
-
○片山甚市君 病気の原因も聞きますが、次に生活保障という立場から、実は
子供が小そうございますから介護しなきゃならぬ、完全看護の
基準看護のところですとつけていただくんですけれども、そこのところでは育成医療機関もございませんし、大変不便なんですが、その介護に必要な付添婦、これは国が保障することはできませんでしょうか。
-
○
政府委員(石野清治君) 育成医療はすべて健康保険法の絡みでやっているわけでございますが、健康保険法の中で
基準看護の問題との絡みだと思いますけれども、現在の
基準看護で、
基準看護の受けてない施設につきましては確かに付き添いの方を認めておりますけれども、
基準看護を受けている者については付き添いは認めてないと、こういうふうになっております。
-
○片山甚市君 原因がわからないし、注射をしたかビールスか、どちらにしてもこれは大きく公が責任を持つべきもの、こういうことについて
考えます。それについて厚生
大臣から、この三角筋のいわゆる拘縮症に対する具体的な
措置を強めてもらいたいという私の
意見について、所見を述べてもらいたいと思う。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) いろいろ
研究しておるところでございます。できるだけそういうふうな希望に応じるように
努力をしてまいりたいと存じます。
-
○片山甚市君 そういたしますと、この三角筋の問題について、機能回復の問題についてですが、手術をすれば大体回復するという前提に立つのでしょうか、もう一度聞きます。
-
○
政府委員(石丸隆治君) この筋拘縮症に対します外科手術の効果でございますが、これはいろんな説があるようでございまして、われわれの方の
研究班といたしましては、ある
一つの手術の場合の心得等について発表いたしておるわけでございますが、学会等におきましては、やはりまた、それに対する
意見もあるようでございまして、それぞれの患者は、個々の患者さんの症状において
考えていかなければならないというふうに
考えております。
-
○片山甚市君 大腿四頭筋の問題、三角筋の
問題等、近ごろ非常に難病が多くあるときに、薬害の問題を含めて厚生省がもっと厳しく規制をするというか、それを検討してくれるように、厚生
大臣、それはどういうような方策をとられるか、お聞きいたします。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 最近非常にこの薬害の問題が大きく出ております。厚生省といたしましては、したがいまして、
昭和四十二年以前に許可をした薬等については、その効果とかあるいはいろんな点で再
評価、洗い直しをやっておるところでございます。また、新しく発売される薬等については一層厳格な手続、規制等を実施をしておるところであります。
-
○片山甚市君 それでは、労働
大臣にお
伺いをしたいと思うのです。
せんだって社会労働
委員会でお聞きしたのですが、実は不当労働行為の問題について、この審決が出るまでの間の月日が非常に長い。何としてもこれを早めるためには労働
委員をふやしてもらいたいということと同時に、事務局員をふやしてもらわなければならぬ。同時に、この審決をしていくまでの審査経過を合理化しなければならぬということになっておるのですが、その後検討されて具体的にとられるか、どうか。
-
○
国務大臣(石田博英君) 不当労働行為の審決が非常におくれていることはよく承知いたしております。第一の原因は、審査件数が非常に急速に増加をいたしてきたことだと思いますし、第二には、いま御
指摘の公益
委員の数が少ない、事務局員も少ないという点があろうと思います。それから第三は、その審査手続その他が非常に複雑である。第四には、代理人を立てることができるようになっておりますために、さらに一層この法律論争などに時間がかかる。そして当事者、あるいは
委員、あるいは代理人の都合でしばしば延びる。これは大変遺憾なことでございますが、第一の点については、これは私どもの方から強く要求いたしておりますが、直接的には自治省の所管になっておるわけであります。最近においては、たしか東京において先年増員をしたということを聞いておりますが、大阪等において特にそういう事情が著しいので、ひとつ明年度
予算においてはぜひ増員をしてもらうように、自治省に御協力を
お願いをいたしておるところでございます。
-
○片山甚市君 労働
大臣からお聞きしたのですが、自治省の方はおられますか。――それでは、いま申しましたように、特に地域を指定しますと、大阪におけるところの事務局員の配置などについては
大臣の答弁のような形で善処されるものかどうか、お
伺いしたい。
-
○
政府委員(石原信雄君)
お答えいたします。
各自治体がいろいろな機関にどのような定員の配置を行うか、これはそれぞれの団体の
判断のもとに行われるわけでありまして、自治省の方からどの点にどうすべきであるというような
指導はできるだけ差し控えるようにいたしております。ただ、各自治体が財政運営を行う場合に
一つの目安となります地方交付税の
基準財政需要額の算定におきまして、それぞれ
関係省の御
意見も拝聴しながら標準的な人員想定を行っております。
大阪府の例について申し上げますと、五十一年度現在で地方交付税の計算上算入されております地方労働
委員会の事務局職員数は約六十五名程度でございますが、現実の定員は昨年の四月一日現在で四十四人と聞いております。したがいまして、これらの事情も勘案して、各団体がそれぞれの財政状況をもにらみ合わせながら必要な
措置を講じていくべきものと、このように
考えております。
-
○片山甚市君 労働団体からの要求で黒田知事は善処すると約束しながらいまのようなことですが、労働
大臣、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(石田博英君) 先般、私が大阪へ参りましたときも黒田知事からそういう御要請がございました。面接的にも私の所管ではございませんけれども、御協力を申し上げることをお約束をいたしておるのであります。
大阪の件数をいま正確に覚えておりませんけれども、そのとき伺った状態から見ますと、定量及び公益
委員の数を決めた時点よりはおよそ三倍くらいにふえているような記憶がございます。したがって、それを補充するような具体的
措置の推准に労働省としてもでき得る限りの協力をいたしたい、こう
考えております。
-
○片山甚市君 そこで、労働事案に関して、不当労働行為については弁護士がかかわる代理人になっているのはどのぐらいの案件の
比率になりましょうか。
-
○
政府委員(関英夫君)
お答え申し上げます。
地方労働
委員会の不当労働行為の審査につきまして、弁護士を代理人として選任する場合が多いと聞いておりますが、具体的な調査はございませんので、具体的な数をいまここで申し上げることはできません。ただ、非常にそういう事例が多いというふうに聞いております。
-
○片山甚市君 大阪の場合は、九〇%が弁護士をつけておる次第です。労働
委員会の規則第三十二条の三項では、「申立ては、口頭によつても行なうことができる。」ことになっておりますが、今日では裁判所と同じ程度の書面をつくらないといわゆる日程がつかない。弁護士が複数かかわりますから、
本人がよくても相手が、また仲間内ができないということで、月一回ぐらいしか不当労働行為の審査ができないというふうに聞いておるんですが、このような状態が労働
大臣が
考える労働
委員会の機能でございましょうか。
-
○
国務大臣(石田博英君) 私は、そういうような実際上の審査が促進されないような状態は、労働
委員会のあり方としては適当でないと
考えます。不当労働行為の審査などは、でき得る限りすみやかにやるようにいたしたい。ただ、労使双方から出ております
委員の方々の御協力その他によって促進される場合もございます。しかし、いずれにしろいままでの審査の手続、規則、ちょっとそういう
目的、実情に合わない点がございますので、いま再検討を命じておるところでございます。
-
○片山甚市君 大体、最終陳述の提出後八カ月から一年ぐらいで命令が出る、こういうことになっておるようでありますが、こういうようなことについて改める
方法としては、
大臣、具体的に労働
委員の増加を必要とするとしながら、いま申しましたように、書類審査、あるいは弁護士がかかわるということで、おくれていることをなくするための
方法としてどのような
措置をとられていくつもりでありますか。
-
○
政府委員(関英夫君)
お答え申し上げます。
先ほど
大臣が
お答え申し上げましたように、現在いま、不当労働行為の審査のあり方、そういったものについていろいろ検討いたしておりますが、現在の制度では代理人を立てること、またその代理人として弁護士を選任すること、これは自由でございまして、これを現行制度のままで禁止するというようなことは非常にむずかしいかと思います。ただ、
先生おっしゃいましたように、労使の
委員が参与
委員として加わるということもございますので、そういった労使
委員の参与の活用とか、あるいは審理を指揮する審査長の権限、こういったものを強化していくとか、あるいはまた、現在全国の労働
委員会の連絡協議会でそういったような審理のあり方について統一的な確認、申し合わせ等やっていくこととか、いろんなことを現在検討中でございますが、まだ現在検討の
段階でございまして、きょうここで具体的な
お答えを申し上げるまでには至っておりません。
-
○片山甚市君 労働者は労働組合をつくることによって発言権を得ます。資本家は、一人であっても金を持ち物を持っているから、一人で争えることになっております。そこで、弁護士を必要とするというと金がかかるんです。弁護士というのは安くないんです、
大臣、お使いになってないからわからないでしょうけれども、大変なんです。
それをたとえば
一つの案件で言いますと、大阪で言うと、大阪事務能率という会社ですが、この久世勝一という人が代表になって弁護士がやっておるときには二十四名代理人を立てております、会社は金がありますから。こういうように弁護士を立てれば、これは秘密を守る権利があるからとかなんとかということで大変時間がかかるわけです。労働者と資本家と参与が話し合って、そして労働事案については審査長の
意見を聞きながらこれを進めていくのが本来と思うのです。ですから、もし弁護士を入れるということになれば労働者側には国がその弁護費用を払ってくれるという、これは労働者保護の労働省じゃないか。金持ちと金を持っておらぬ者とが争って勝てる道理はないのです。ですけれども時間がかかるのでありまして、これは不当労働行為でありますから、そのあたりはいかがでしょう。
大臣の御見解を聞きたい。
-
○
国務大臣(石田博英君) いま不当労働行為の審査の期間、実はいま片山さんのおっしゃった以上に平均最近はかかっておる、四百何十日かかっているような例もございます。したがって、いま御
指摘のようなことも含め、なお、審査長の指揮権というものを弧化していくということ。それから弁護士を立てる場合においては二十何人も片一方は立ててやるというような、そういう不公平のないような何かの規制
措置等も含めていま検討を命じているところでございます。
-
○片山甚市君 不況の中で労使紛争が起こり不当労働行為が起こることは、また失業や賃下げなどが起こることによって非常に不満といいますか不幸なことだと思いますから、根本的なそのような事案が少くなるようにわれわれは
努力しなければならぬ、
政府は格段の
努力をしてもらいたい。しかし、当該労働者をどのように守っていくかということについては格段の御配慮を賜りたいと思います。
最後に
一つだけ、和歌山のベンジジンの問題ですが、このことについてはせっかく労働省でも検討されておるようでありますが、すみやかに当該の労働
基準局、あるいは地域の使用者あるいは
関係者の言い分を聞いて救済
措置を具体的に進めてもらいたい、強く要望したいのです。和歌山では日本で五割か六割ぐらいベンジジン、染料をつくったのでありますから、それによって十五年、二十年ぶりに膀胱がんが起こっておる。それをいわゆる時効の問題や法制定前だとかいうことでなく、立法
措置をとってでも助けていくような形をこの機会に――石田労働
大臣は涙がある人です、ちょうど坊さんは和歌山出身だから、和歌山といえば大蔵
大臣はよくわかると思いますから、そういう点で、特にベンジジンの問題について労働
大臣がこの救済の問題で特に力を入れていただきたいので、そういうようなことについての御答弁を賜りたい。
-
○
国務大臣(石田博英君) 前段の不当労働行為をできるだけ少くする、絶滅するという方向については全力を挙げるつもりでございます。
それから労働
委員会の機能を十分発揮できるような制度、規則その他の再検討を行う、先ほどから
お答えしておるように、いま命じておるところでございます。
和歌山の問題は、これは実情をほぼ聞いてはおるのですが、労働省としては最大限の
努力をして救済
措置を講じておるところであります。それから時効の問題とか法制定以前の問題になりますと、労災保険だけの特別の取り扱いというのは非常にむずかしいわけでございますが、そういう場合におきましても、現在療養中の者に対しましては最大限の広範な解釈をすることによってできるだけの
措置を講じているところでございます。
-
-
-
○寺田
熊雄君 外務
大臣にお尋ねをしますが、在韓米軍の撤退がカーター大統領の政策として表面化してまいりましたけれども、外務
大臣はどういう理由によってこういうことが生じたのか、どういう受けとめ方をしておられますか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 米地上軍の韓国からの撤退問題でございますけれども、地上軍を撤退とか、あるいは削減という表現も使われたことがありますが、そのような
考え方は、いわゆるニクソン・ドクトリンあるいはその前のグアム・ドクトリンとか呼ばれているものの延長線にあるものというふうに
考えておるわけであります。
これらの
考え方は、やはりアジアの国々も
自分の国はなるべく
自分の力で守るべきであるということが根本にあるわけでありまして、韓国におきましても、韓国の陸上軍が次第に整備をされてきつつあるというようなことから、やはり
アメリカとしてはそういったものに応じまして陸上軍をなるべく撤退をしたいと、こういうようなことが根本的な発想であろうと、こう思っております。
その後の経過でございますが、福田・カーター会談におきましても、そのような韓国の安全といいますか平和、朝鮮半島の平和、こういったものに問題が起こらないように注意深くやっていくんだと、こういうことが言われておりますので、いままでの
アメリカとしての政策、特に民主党としてのそういった政策が選挙の公約に従って実現の方向に向かってきたと、このように
考えておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 いや、実はそういう御答弁で逃げられるんじゃないかと思いましたけれども、そういうセンスではちょっと困るんじゃないでしょうかね。つまり、グアム・ドクトリンなんかの場合とカーター政権がいま打ち出しているのとの間には、やはりかなりな相違があるように思うんですね。韓国のああいう人権抑圧とか非民主的な政策とかいうものに対するリラクタンスというか、嫌悪というか、そういう人権外交的な特色はお認めにならぬわけですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) カーター氏自身といいますか、あるいは広く一般の
アメリカ国内の世論と申しますか、これが人権問題に対しまして関心を持っておるということば事実でございます。この人権につきましては、そのような問題が改善されるようなことを願っておるだろうと思うわけでありますが、その問題とこの朝鮮半島の平和の問題、これはやはり別の観点から
考えられているに違いないというふうに
理解をいたしております。
-
○寺田
熊雄君 いままでにずいぶん福田さんやモンデール副大統領、福田さんとカーター大統領との会談がございましたね。そのときに、朴政権がアンデモクラチックな政権だというような
意見の表明があったと聞いているのですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 私自身直接伺っておりません。米国議会筋におきまして、御承知のフレーザー
委員会でありますとかいろんな場所におきまして、議会筋におきましていろいろな議論があるということは承知をいたしておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 日本
政府としましては、過去において朴政権の人権抑圧について何かコミットしたことがありますか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) コミットということがどのようなことを指すのか存じませんが、いろいろな事件の場合にその事件に対しまして日本としてのいろいろな要望をするということは当然あり得ることであります。特に在日韓国人あるいは日
本人が韓国に参りまして、先方の何といいますか刑事的な手続を受けるとかそのような場合におきまして、外務省といたしまして当然邦人の人権を守るという見地からいろいろな
努力をいたしておるところでございます。
-
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 具体的と申しますと、あるいは
政府委員の方から申し上げてもいいんですけれども、日
本人で先方で処罰を受けた方もおられますし、それらの方々につきまして日本
政府といたしまして希望を申し述べるというようなことはやっておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 これは木村外務
大臣のときに、かなり韓国
政府の人権無視の態度に対しては遺憾であるということで強い意思表示がありましたし、東郷外務次官が人道的にもおかしいというような非常に強い抗議を出したことがありますね。それから福田さんは、
アメリカでも日本の国会でもカーターさんの人権外交の趣旨には賛成だけれども、実行する道がたくさんあるのだ、その道が異なるというようなことを言っておられますが、それは外務
大臣も同様にお
考えですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 福田総理が、要する、に韓国におきまして、いろいろ
アメリカの議会筋あたりからの批判があるわけでありますが、これらの点が実質的に改善をされていくということがとにかく
目的だから、そのやり方につきましてはいろいろあるであろう、こういうふうにおっしゃっておられるところでございます。私ども外務省といたしまして一番注意をしておるところは、内政干渉にわたらないというところに
一つの枠があるのではないかと、このようなことを注意しておるところでございまして、その具体的なやり方ということにつきましてはこれはいろいろあろうかと思うのでございますけれども、その点は総理
大臣とやはり同じ
考え方で臨みたい、こう思っておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 それは、韓国の現在の人権抑圧の政策に対して何らかの
措置をとることもあるということを
意味しますか。それとも何もしないのだということでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) やはりわが国といたしましては一番近い隣国でありますので、この外交
関係を損なわないように、そして内政干渉のそしりを受けないというような
方法を持ちまして、むしろ何といいますか、両国
政府が友好
関係を持ちながらその改善に努めてまいるというような、きわめて抽象的でありますけれども、そのような
考え方をしているところでございます。
-
○寺田
熊雄君 外務
大臣は、何か
意見の表明なり相手方に対して憂慮の意向を表明するというようなこと、それが何か内政干渉のように思っておられるように受け取るんですが、
アメリカでも過去において何回かいまの韓国の朴政権の人権抑圧政策に対しては、これ意思表示をしていますでしょう。これはもう外務
大臣ですから御存じでしょう。たとえば、カーター大統領自身が朴東鎮韓国外相に三月九日に深い憂慮の念を持っていることを力説したことが報ぜられておりますね。それから金大中氏の裁判の上告棄却に対して、
アメリカ国務省のスポークスマンがやはり
アメリカ政府の憂慮を声明しておりますが、こういうように人権抑圧政策に対する意思表示をすることが米韓
関係を損なっているというふうにあなたはお
考えでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 米国と韓国との間、また日本と韓国の間、これは同じ友好
関係にある国でありますが、米韓
関係におきましてはやはり
アメリカ人の何といいますか、兵力でその国の安全を守っておるというような
関係があるわけでございます。日本と韓国との間にはそのような
関係はない。まあこれは、カーター大統領の発言という場合とたとえば福田総理の発言という場合とに、それが別に、まあ決定的な違いがあるかどうかはそれは問題はあろうかと思いますけれども、やはり日本はとにかく一番の隣国であるということと、それから同じように、日本が
アメリカと同じような態度に出るということそれ自体がやはりいろんな影響があろうと思いますので、その辺は慎重にいろんなやり方の差があるという、非常に抽象的な表現を福田総理はされておりますけれども、その裏にはそれぞれその事情のいろんな違いというものがあるというふうに私どもは
理解をいたしているのでございます。
-
○寺田
熊雄君 友人に対してアドバイスしたりなんかすることが何か友情を損なうというようなのと同じような
考えにとれますけれども、それじゃどんな不合理な政策に対しても、また、いまの韓国のああいう非民主的なやり方、人権抑圧に対しても、外務
大臣としては何らかの意思表示をしたり要望をしたりすることが日本と韓国との友好
関係を損なうんだと、そういう御認識ですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 個別のケースによりましてやはりその対処の仕方というものを慎重に
考えませんと、先方が正当なる国内手続によりまして処理したことにつきまして、日本
政府がそれにつきまして非難をするというようなことが、これは韓国の何といいますか、内政に干渉するというようなことにとられるおそれがあるわけでございますので、そういった問題につきまして慎重にということでありまして、友人としてのアドバイスというような問題は、これは当然いろんな機会に、両国の国交があるわけでございますから、常時アドバイス的なものは、それは何ら内政干渉でも何でもないわけでございます。ただ、間々、具体的な個別の裁判の問題でありますとかというようなことになりますと、そういう心配があるということを申し上げておるわけでございます。
-
○寺田
熊雄君 最近、
アメリカの上院外交
委員会が、米国から援助を受けている世界各国の人権問題に関する国務省の
報告書というものを公表しましたが、これは
資料として提出いただけますか。
-
○
政府委員(山崎敏夫君) 公表された
資料でございますので、御提出できます。
-
○寺田
熊雄君 この中に、いまの緊急
措置第九号になりますね、この緊急
措置下の韓国では、弁護団もつけられないままに国民が長期間にわたって拘束され、尋問が行われているという一章があるようですが、これは外務
大臣、世界的な
基準から見て人権が非常に侵害されているというふうにはお
考えになりませんか。
-
-
○
政府委員(中江要介君) 日本
政府といたしましては、いま御
指摘のような事実について具体的に承知はしておりませんけれども、一般的には自国民の保護という観点から、たとえば韓国で日
本人がいま言われたような扱いを受けますれば、これは日本
政府としては正当な裁判手続によらないということでいろいろ
意見を申し述べるということになろうかと、こういうふうに思っております。
-
○寺田
熊雄君 日
本人に限りませんよ。韓国の国民がということで申し上げているんですよ。
外務
大臣は、
アメリカは兵力を派遣して守っている特殊事情にあるというようなことをおっしゃいましたが、日本でも大変な経済援助をしているわけですよね。変わりませんですよ、そういう点は。いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 日本の経済援助は、韓国の民生の安定、経済の安定のために援助をしておるわけでございます。これらと、いまおっしゃいました人権問題ということは、やはり別個の
考え方で処理されるべきであるというふうに
考えておるところでございます。隣国の韓国のことにつきましてこの国会でも大変御議論の強いことは承知をいたしておりますし、
アメリカの議会筋でも大変議論の多いところであります。そういうところで、隣国の韓国としても、これからの改善につきましてはやはり
努力をされるものと思いますし、私どももそれを望むことにつきましてはやぶさかではないわけでありますけれども、私ども特に外交をあずかる者といたしまして、隣国のことにつきましてこの国会の席におきましてとかくの発言をいたすことは、なるべく差し控えさしていただきたいのでございます。
-
○寺田
熊雄君 私は、外務
大臣が
アメリカは兵力を出して韓国を守っているから発言の権利があるが、日本とは違うとおっしゃるから、発言の権利があるという点では軍事的な援助であろうと経済的な援助であろうと、その間には少しも差異はないということを申し上げたわけです。
それから、
アメリカではしばしば国際的に是認された人権、国際的な人権の
基準というものが主張されていますね。これは御存じだと思いますが、これ
アメリカの下院が人権
基準を侵害するような国に対する援助をしないという法案を可決したことが一昨年ありました。そのほかずいぶんこういう国際的な人権の
基準という言葉が出てまいりますが、こういうものがあるというふうに外務
大臣はお
考えでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 人権問題につきましては、御承知のように世界人権宣言からありますし、日本といたしましても、サンフランシスコ平和条約におきましてこの世界人権宣言の
目的に向かって
努力をしていくんだということを天下に表明しておるところであります。わが国といたしましても人権の尊重、この理想に向かって
努力をいたすべきものと思います。あらゆる国がそれぞれの環境のもとにおきまして、これは皆
努力をいたしておるところだと思うのでございます。アジアにおきますいろんな国々がございますが、それぞれその自国の悩みを持っておるわけでありまして、それぞれの
段階におきましてベストを尽くしておるというふうに
考えざるを得ないわけでありまして、それぞれの国におきますその
段階におきましてやはり
アメリカとか日本とか、この人権の問題につきまして非常に尊重が進んでおる国、またそこまでいってない国、それぞれあるわけでございますから、そのようなこともいろいろアジアにおきます一番人権が尊重されている国、わが国はまさにそうだと思うのであります。しかし、わが国よりもそういう点で、これからまだ発展しようという国々には、それぞれの問題があるということをアジアにおきます国といたしましてはそれなりにやはり
理解をする必要があるということを申し上げて、いろいろなやり方もあるとか、いろいろ申し上げておるわけでありますけれども、結果がアジアの国々におきましてそれぞれ生活程度なり何なりが向上をして、そして人権が実質的に充実をされていくということが、これが私は理想であると思うのでございまして、人権宣言にいたしましてもまた人権規約にいたしましても、これはそれぞれの国がそれに適合するように
努力をいたしていくべきものというふうに
考えております。
人権規約につきましてはわが国も
アメリカもそうでありますが、まだ参加をいたしておりません。それぞれの国の中の制度におきましてまだそれを満足に満たし得ないからであります。それらの点につきましても、その人権
基準に適合するようなそれぞれの国が政策的な
努力を続けていくべきであるというふうに
考えておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 いまの御答弁を
伺いますと、やはり国際的な人権の
基準があるという御答弁のように
伺いました。たとえば、その一例として国連の人権宣言、それから人権規約のこともおっしゃったんですが、そういうものは尊重していく義務があるというふうに伺っていいですね。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) それぞれの国がやはり人権宣言の理想に向かい、またさらに詳しい人権規約というものができておりまして、これに参加をすることが望まれるわけであります。そういう
意味でこれは人類の高い理想であるというふうに思うわけでございまして、それに向かってそれぞれの国が
努力をいたすべきものというふうに
考えておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 朴政権はこのような人権に関する国際
基準を守っているというふうに見ておられますか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 先ほどから申し上げておるところでございますが、いろんな国々がありまして、そして、理想的な国というものは現実にはなかなか存在しないわけで、日本とか
アメリカとかいう国は非常に、まあいいところまでいっているというふうに私自身認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、どこの国が人権規約を満たしているとか、どこはだめだとかいうことではなしに、やはりそれぞれの理想に向かってそれぞれの国が
努力をしていくべきであるというふうに私自身
考えておりますし、そのほかちょっと申しようがないのではないか。日本といたしましても人権規約に、即座にそれに加入できるだけの国内的な体制がとれていないのでありますから、世界の国々が皆あの人権規約に加盟できるような、そういった
努力をいたしていくべきであろう、こういうふうに
考えておるわけでございます。
-
○寺田
熊雄君 まあ人権規約はわが国も批准しておりませんけれども、国連の人権宣言など、これは当然われわれが守るべき最低の
基準だと思うんですがね。
たとえばいまの韓国の状態を見ますと、この人権宣言が正面からうたっている拷問の禁止などというものは少しも守られていないように思いますね。それから弁護人がつけられない、これは木村外相も太刀川氏の事件なんかについては強い不満の意思を表明したようですが、弁護人がつけられない、それから家族との面接が全然認められない、こういうような問題が実際現実にあるわけです。すでに木村外相は過去において韓国にこれに対して強く反省を求めたんです。そういう現実があるんですが、なおかつ、この
基準について韓国の朴政権が守っていないという点をお認めになるお気持ちはないんでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 具体的にそのような事実がありますれば、わが国の日
本人が韓国に行きましてそのような処置を受けたような場合がはっきりすれば、当然これは主張すべきであると、こう思います。
-
○寺田
熊雄君 これは仮定論ですか、現実にあったことなんですが、いかがですか。
-
○
政府委員(中江要介君) 木村元外務
大臣が、弁護人のことで日本
政府として必ずしも満足できないという
意見をお出しになりました具体的なケースは、恐らく太刀川、早川両氏の事件のときのことであったと思います。日
本人が、あるいは場合によりましては在日韓国人が韓国において裁判に付せられた場合には、日
本人につきましては自国民保護、在日韓国人につきましてはそれなりの日本社会との密着性にかんがみまして、日本
政府として実態を把握するための
努力を日本の大使館なり総領事館の館員を通じていたすなり、あるいは弁護人がなかなか選定できないときにはその弁護人の選定についてある程度のあっせんをするとか
意見を述べるなりということはしておりますけれども、いま
先生御
指摘のように、韓国において一般的に拷問が行われているかどうかとか、あるいは韓国人が韓国において裁判に付せられたときにどういう状況であるかということについては、これは日本
政府として調査をしたり何かするような立場でございませんので、なかなかこれは事実についてはつまびらかにできないと、こういうことでございます。
-
○寺田
熊雄君 少なくも、わが国がある程度これは法律的にも道徳的にも責任を負わなきゃいけない金大中氏の裁判に関して、もうそのことがすでに主張されているわけですよ。つまり、裁判の独立がないということは、KCIAの要員が裁判長の証拠調べをする、つまりテープレコーダーを再生した、裁判官室の隣の部屋にKCIAが何人も詰めてそれを記録しておったということを金大中氏が見て、そしてそのことが最初の裁判長の忌避理由になったんですよ。それが控訴審でも認められて裁判官の忌避がもう実現しているんですよ。そういう点は外務省もしっかりと見ていただかなきゃいけない。私どもは金大中氏の判決を取り寄せてほしいということを何回も要望しているんだけれども、いまだに判決が私のところへ来ないんですね。何か手に入らないという
局長の答弁もあったんで、いかに、判決が手に入らぬというようなことだけを見てみても韓国の異常さがわかるわけですよ。それから、アムネスティー・インターナショナルの調査
報告なども当然見ていただかなきゃいけない。
それからまた、緊急
措置九号は、これは外務省からいただいたんですけれども、これなどは御承知のように、いわゆる維新憲法の改正を主張したり請願したりすることも処罰しているんですよ。外務
大臣御存じでしょう。それから、緊急
措置そのものの非難に対しても、これがやっぱり処罰理由になっているんです。それからこれが報道されることもいけないんですね。私が非難したそのことを報道することもいけない。国
会議員の議論も、国会の中で維新憲法を非難することは許されるけれども、それを新聞紙が報道しちゃいけない。国
会議員がこういう主張を述べたということを報道しちゃいかぬというんです。こんな反民主的なことがあるでしょうか、外務
大臣いかがお
考えですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 緊急
措置令の
内容につきましては、日本におります私どもがそれを見ますと、常識的なものでないとは思うわけでございます。しかし、現在行われております法制でありますので、これ以上のことはひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
-
○寺田
熊雄君 緊急
措置が常識的でない、非常識だということをお認めになっただけでも、これはやはり相当なものだと思いますから、この程度にしておきましょう。
こういうような非常識な抑圧をもうすでに二年も続けているわけです。そういう国に対して経済援助するというようなことが人権抑圧に対する支援になり、日本は人権抑圧の共犯となるというふうにはお
考えになりませんか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) いわゆる維新憲法によりまして、いまおっしゃったようなことが行われているわけでありますが、やはりこれは南北の緊張というものがあってからのことでしか
考えられないわけで、日本のいま安全な環境におりますものと環境はいささか違うと思うのでございますので、したがいまして、韓国に対しますそのような点につきましては別の問題といたしまして、韓国自身の民生の安定なり経済の発展につきましては、やはり隣国として協力できることは協力をしてまいるというのが
政府の方針である、このように御了解をいただきたいと思います。
-
○寺田
熊雄君 金大中事件ですね、これがしばしば政治的、外交的には決着がついたというふうに
政府の答弁にあるんですが、これはいつどのような手続で行われたんでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) これはもう御承知のところと思いますけれども、一九七三年の十一月に金鍾泌国務総理が来日をされまして、田中総理と会談をされまして、いわゆる外交的な決着というようなことが行われたわけでございますが、この際、金国務総理は、金大中事件の発生につきまして日本
政府と国民に対し陳謝をし、また、将来この種の事件を再び起こさないとの保障を確約するとともに、金大中氏は出国の自由を含めて一般市民並みに自由であるということ、犯人の処理と監督責任者の処分、韓国での捜査結果をわが方に通報をよこすというようなことを言われたわけであります。この了解の際に、その後の問題といたしまして残されました韓国側での捜査の結果の通報という問題に関しまして、一九七五年七月二十二日に、韓国
政府は口上書をもって、金東雲元書記官に対する捜査に関し、韓国側はその後もひそかに捜査を続けた結果、嫌疑事実を立証するに足る確証を見出し得ず不起訴処分とした旨をわが方に通報をよこしたのでございます。わが方は、右の口上書の
内容がわが方の真相究明上不十分であるとしても、公務員の地位剥奪という
行政処分として最終的な
措置をとったということを、その際あわせて通報してきたことは、韓国側として
一つのけじめをつけたものとしてそれなりに
評価して、また、一九七三年十一月金国務総理が来日して事件の発生に遺憾の意を表したこととあわせ
考えて、わが方は、事件捜査の問題につきこれ以上韓国側に申し入れを行うことば適当でないと
判断して、いわゆる外交的な終結を図ったという次第でございます。
なお、金大中氏の自由については、
昭和四十八年十一月の外交的決着の際の、金大中は出国を含めて一般韓国人並みに自由であるとの
関連で、その後もわが方としては関心を持ち続けているところでございます。
金大中事件が、刑事事件としては国内捜査は継続をしておりまして、その結果、将来、韓国側の公権力の行使ということを裏づけるような新たな証拠が出てきた場合におきましては、これは再びこの問題をわが方としても取り上げるべきであるというふうに
考えておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 いま最後に、韓国の公権力の行使による拉致だということがわかれば、というお話がございましたね。金東雲の容疑がないというような一説もありましたし、一体金鍾泌首相はどうして遺憾の意を表したんでしょう。また、なぜ金東雲一等書記官を懲戒免職にしたんでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 当時、金東雲書記官につきましては相当濃い容疑があったわけであります。そういった容疑のもとにおきまして金総理は遺憾の意を表明されたものと思います。その後、韓国の検察庁におきまして、金東雲書記官の捜査その他、当時容疑がいろんな点にあったわけでありますけれども、それらの点につきまして一一韓国内で捜査をしたのでありますけれども、そのいずれもが証拠が不十分である、こういうことになって、韓国内としては一応これで捜査を中止せざるを得ないということが先方の検察当局の
判断となったと聞いておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 そうすると、金鍾泌首相が金東雲の容疑が濃いと思って日本に謝りに来たのは、彼が非常に軽率だったわけですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 軽率であったかどうかは、私
判断の
資料を持ちませんけれども、相当な容疑があったということは韓国
政府側も認めておったのではあるまいかと思われる節があるわけであります。その後、先方の捜査の過程におきまして、証拠がそれ以上出ないと、疑問の点がいろいろあったわけでありますけれども、それらの点につきまして証拠を挙げることがついにできなかったと、こういうのが私の
理解をしておるところでございます。
-
○寺田
熊雄君 容疑があったと思って謝りに来たけれども、調べてみたら容疑がなかった、そんなばかなことがあるでしょうかね、一国の首相が。公式なあれは陳謝なんでしょう。どうでしょう。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 金東雲氏の容疑が全く晴れたというわけではないと思います。確実な証拠が挙げられなかったという点にあるというふうに
考えます。それなるがゆえに、いわゆる人事上の処分が行われたと。そのような容疑を受けるということは、やはり公務員として適当ではないという
判断が下されてその人事上の処分が行われたということであろうと思うのでございます。
-
○寺田
熊雄君 容疑があるけれども、容疑が薄いというんですか。どうもよくわかりませんがね、もっとわかりやすく
説明してください。
-
-
○寺田
熊雄君 四十九年八月十四日、金東作外相から後宮大使に手渡された捜査打ち切りの
報告書並びにいま外務
大臣のおっしゃった口上書、この二つは当
委員会に
資料として提出を願いたいと思います。
-
-
○
政府委員(中江要介君) これは韓国
政府から日本にあてられた口上書でございますので、これを
資料として提出するについては、韓国
政府の
理解といいますか、了解がないと外交上の儀礼としてできないものですから、その点を確かめた上で、提出ができるような状況でありますれば提出することにいたしたいと、こういうふうに患います。
-
○寺田
熊雄君
報告書は。四十九年八月十四日の後宮大使に手渡された
報告書。
-
○
政府委員(中江要介君) この四十九年八月十四日のは、これは
報告書といいますか、これも口上書でございまして、その口上書の中で、韓国側で捜査をしたけれども起訴に耐え得る証拠が出てこなかったということであったわけでございます。両方とも口上書でございます。
-
○寺田
熊雄君 じゃ両方ともそんな秘密じゃないんでしょうから、これは韓国
政府に話をして提出していただきたいと思いますが。
-
-
○寺田
熊雄君 金大中事件は、結局韓国側の捜査では、だれがやったかわからぬという結論なんでしょう。ところが、日本から海を渡って向こうに上陸しているわけですね。これは当然出入国の係官のあれを経たんでしょう。それから、陸路ずっと家まで金大中を持っていったんでしょう、しかも複数の人が。それが韓国の捜査能力をもってして、だれがやったかわからないなんというばかげたことがあるでしょうか。これはどう思われます。犯罪捜査能力はゼロだということになる。外務
大臣と警備
局長、それから法務
大臣、お三方の御
意見を
伺います。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) まあ、この事件は日本と韓国との間にまたがって起きた事件でありますので、韓国内におきます韓国の警察あるいは検察側の行為につきまして、日本
政府がこの席でとやかく言うのは控えさしていただきたいのでありますが、日本国内のことにつきましては警察当局の方から御答弁を申し上げます。
-
○
政府委員(三井脩君) この事件の捜査につきましては、犯罪の発端といいますか、最初の部分はわが国において行われたわけで、後半といいますか、四分六の後の四分ぐらいが韓国の管轄区域において行われたものというように、大ざっぱに
考えられる事案でございます。私
たちが捜査いたしましたところは、御存じのように犯人の一人を確定をする、割り出すと、それから拉致に使われた車両として大変容疑が濃いというものを発見したわけでございます。で、こういう状況は、先ほどお話がありましたような韓国側との了解の上で、わが方からも逐次その捜査の状況は韓国側に通報をし、かつその被害者並びに
参考人が韓国に戻っておりますので、その
関係で韓国側が捜査したものについては通報をいただくということでやってまいり、ある程度の通報もいただきました。しかしながら、最終的に、向こうで捜査をした結果はいろいろあるけれども起訴するには不十分と、こういう結論に達したということでありまして、われわれとしては、その結論はわが方が期待しておるといいますか、わが方が捜査の中で
考えておる韓国側の捜査への期待ということから言うと、必ずしも十分でありませんけれども、まあ法制も違うことでありましょうし、韓国側がやって、かつ責任ある結論としてわが方に通報してきたと、こういうものでありますので、それはそれとしてわが捜査当局としては受けとめて、われわれのできるそれ以外の捜査といいますか、そういう条件の中でさらに捜査を継続すると、こういうことでございます。
-
○
国務大臣(福田一君) ただいま警察庁の
政府委員が答えましたように、この事件につきましては、警察庁の方で捜査をいたしておりますが、まだ十分なる証拠をつかんでおらないという
段階だと
理解をいたしておるのでございまして、法務省としては、警察庁の捜査がどのように進んでおるかということに重大な関心を持ってこれを見守っておるというのが現在の姿でございます。
-
○寺田
熊雄君 まあ法務
大臣も警備
局長も、非常に韓国に対する思いやりを持った御答弁のように思うんですが、まああれだけ――よほど治安が悪ければ別ですよ、しかしある程度の治安を持った国で、ある程度の犯罪捜査能力を持った
政府で、あんなに大胆な犯行がだれがやったかわからないというようなことが
考えられるでしょうか、いかがですか、お二人もう一遍。
-
○
政府委員(三井脩君) 韓国側から通報をいただいておるところでは、それぞれいろいろの面から捜査をした、しかし、先ほど申し上げたように、はっきり結論を出すわけに至らなかった、そこまで至らなかったと、こういうことでございますので、それ以上せんさくをいたしましていろいろ憶測するわけにもまいらない、われわれはやれることをやろうと、こういう立場でございます。
-
○
国務大臣(福田一君) これは、韓国が捜査をしたけれどもはっきりした証拠をつかむことができなかったと、こちらに連絡をいたしてきておるというのが警察庁のただいまの
政府委員の答弁でございまして、それを押し返して言ってみてもこれは困難だと思うのであります。私は、人権じゅうりんということは、非常に法務省としても関心を持っておりますので、この種のことが起きたということについては遺憾には存じておりますけれども、国内において捜査する
段階では、警察庁が極力やっておると私
たちは
理解をいたしております。
それから、韓国側の問題については、向こうから、ただいま警備
局長が述べたような
報告がありましたのを押し返して言うわけにもいかないということでございます。
-
○寺田
熊雄君 金東雲の供述調書、それから金大中氏の供述調書、これは警察庁の方へ来ておりますか。それから、劉永福がやはり韓国に帰っているようですね、この事件が起きてすぐ。これは韓国が調べたかどうか、
報告がありましたか。
-
○
政府委員(三井脩君) 韓国側から通報があり、いただいておりますのは、被害者である金大中氏の供述
内容、これはいただいております。それから金東雲その他ですね、金東雲に限りませんけれども、一緒にホテルの犯罪
現場に二人の国
会議員や政党の人なんかおりましたけれども、そういう
人たちについても、取り調べた結果かくかくということは通報いただいております。
-
-
○
政府委員(三井脩君) 劉永福については特にございません。
-
○寺田
熊雄君 それらのこちらに対する
報告は当
委員会に提出していただけますか。
-
○
政府委員(三井脩君) これは、わが方は依然捜査中の事件でございますので、その
資料につきまして外へ出すことにつきましては、われわれとしては捜査上の立場からは困るということでございますので、事件解決までどうぞその点については猶予さしていただきたいと思います。
-
○寺田
熊雄君 警備
局長ね、捜査中だと言うんですが、罪名は。
-
○
政府委員(三井脩君) ただいま捜査しておりますのは、捜査本部の事件名にも表記しておりますけれども、逮捕、監禁、それから略取、まあ簡単に略取と言っておりますけれども、正確には国外移送
目的の拐取罪というのが正式のものでございますが、大ざっぱに言ってその二つ。逮捕、監禁が
一つ、細かくは二つに分けられますが。それと、いまの略取と二つでございます。
-
○寺田
熊雄君 その二つの刑の長期と、それから公訴時効をちょっと述べてください、公訴時効期間。
-
○
政府委員(三井脩君) 長期はいまちょっと正確でございませんけれども、公訴時効は刑の長期によって決まっておりますので、結論だけ申しますと、逮捕、監禁の方が公訴時効五年、それから略取の方は七年でございます。
-
○寺田
熊雄君 そうすると、まあ年限があることですから、逮捕、監禁はもう来年の八月八日に時効が完成するということになる。これはよほど馬力をかけないとうやむやになってしまうんですが、あちらの捜査は、かなり検察庁が警察を指揮するというような
関係にあるので、これは法務省としても、検察庁としても、対岸の火災視しないで、警察と協力してよくあちらの検察庁に協力を求めるというような必要があると思いますよ。法務
大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(福田一君) この問題につきましては、警察庁と常に連絡をとりながら処置をいたしておるつもりでございます。
-
○
政府委員(三井脩君) いま法務
大臣から御答弁ございましたように、私
たちは、この事件の捜査につきまして必要なる事項につきましては、検察当局とも随時緊密に連絡をいたしております。
で、いまのは、韓国側が検察庁が中心になってやっておる、したがってわが検察庁から向こうの検察庁に連絡をとったらどうかと、こういう御趣旨のように承りましたけれども、なるほど向こうではソウル地検の部長検事が捜査本部長になってやっておりましたし、わが方では警察が捜査本部長でやっておったと、こういうことで、それぞれの国の国情と法制の違いだと思いますけれども、なお、ちょっと私の答弁としてはみ出すかわかりませんけれども、わが検察庁が向こうの検察庁と連絡をしたらどうかという御質問のようでございますけれども、いずれにいたしましても、現に捜査を中心となってやっているところが相互に連絡をせよと、こういう御趣旨だと思いますけれども、それはやっておると。ただしそのやり方は、直接といいましても外務省を通じて、外交ルートを通じて連絡をすると、その結果が先ほど申し上げたような結論に達したという回答をいただいておるということでございます。
-
○寺田
熊雄君 これはもうじんぜん日を過ごしておりますと、結局時効期間が満了してしまうような気がいたしますが、これは検察庁――あえて検察庁と言わなくてもいいですよ、警察が本当に本腰を入れてくださるなら警察庁を非常に私ども頼りにしますがね。あちらに捜査官を派遣したりなんかして調べると、そういう
意味の捜査の協力を求めるお気持ちはないんでしょうか。
-
○
政府委員(三井脩君) 本件につきましては、すでに外交的には決着をしておるということについて先ほど外務
大臣から御答弁がありまして、したがって、もう現在ではこの捜査の問題について、向こう側にいろいろ注文する、要請するというわけにはまいらないという立場であるというように私
たちは
理解しておりますが、それ以前の
段階におきましても――それを離れましても、捜査というのは、被害者から体験したことといいますか、真相を聞かなきゃいかぬと、こういう自由な自白――自白といいますか、自由な供述をいただくということが基本でございますので、この事件の捜査に臨む私
たちの基本的な方針といたしましては、わが国において、被害者その他
参考人からも十分に事情を聞きたいと、こういうことが基本でありまして、まあ進めてまいりましたけれども今日のような状態に至りましたので、その点は、いまのところは可能性としては見込みがちょっと薄いわけでございます。
-
○寺田
熊雄君 いまの警備
局長の御答弁を
伺いますと、外務省が政治的な、外交的な決着をつけたことがこの事件の刑事的な捜査の大きな障害になっておるようですね。いまの警備
局長の御答弁では、そのためにあちらに協力をもう求め得ないということを言っておられるわけです。だから、結局、金大中なんかを日本で調べると言ったって、彼はもう朴政権が抑留して放さないんだから、そうしたら永久にこの事件は刑事的な捜査を現実に行い得ないということになりますよ。外務
大臣いかがですか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) この事件の捜査のむずかしさは、日本としては、犯罪地は日本で起こったことで、その事件につきまして、韓国は韓国で被害者が韓国におると、また容疑者も韓国へ戻ったというので韓国で捜査をすると、また、この犯罪は事実の立証でありますから、先方でも日本の
資料が必要であろうし、また日本としても韓国の調査が必要だというところでこの捜査がなかなかむずかしいのだったろうと思います。しかし、先方の方がいろいろ
努力をした結果、これ以上のもう捜査の見込みがないからというので、証拠を挙げることができないとして中止をしてしまったわけで、それについてもうわが方としても、金東雲一等書記官の処分が行われたということで一応の決着をつけたわけであります。しかし、事件の進展によって、非常にこの問題がもうずっと進展してきた場合に、仮にそれが公権力の行使ということにつながるというような場合には、当方としては外交的決着というものをもう一度覆すということは
考えられるところでありますけれども、こちら、日本の捜査当局の方がもっと具体的な進展がどうしても必要になると、そのためにはどうしてもそれが必要でありますので、いま大変むずかしい事態であろうと思いますが、これからの日本におきます捜査に唯一の期待をかけるというほかはないというふうに思うのでございます。
-
○寺田
熊雄君 しかし外務
大臣、あなたの御答弁は何か矛盾しちゃいませんか。つまり、外交的な決着はついた、韓国は捜査を打ち切ったと、だからどうしようもないと言いながら、また日本の捜査に期待をかけると言う。日本の捜査は、金大中を外交的に向こうに調べに行こうとしても、外交的な決着をしたからそれはできない。被害者を日本に置いて調べる以外にないと言われる。ところが被害者は韓国が抑留してしまっている。一体それじゃ警察が一生懸命やろうとしても不可能じゃありませんか。どうしようもないじゃありませんか。いかがですか。
だから、これからまた警察は、ともかく指紋という何億人にあっても同一のものがないという、こんなに確実な証拠を握られたわけですよ。また劉永福という韓国の横浜総領事館の副領事が
自分の車を使って金大中氏を運んだという事実も警察はこれは証拠でとっておられるわけでしょう。その確実な証拠と韓国側の捜査打ち切りとの矛盾をどういうふうに
考えられるのでしょうか、外務
大臣と警備
局長両方に
伺いたいんです。
-
○
政府委員(三井脩君) 先ほど申し上げました外交的決着ということによりまして、捜査についての条件といいますか、むずかしい条件が加わったということは事実でございます。しかしながら、捜査といたしましては、他にいろいろとわれわれも捜査すべき項目といいますか、
角度というものもございますので、そういう点から捜査を推し進めていくという中で、外務
大臣もおっしゃるような新たな証拠というものが出てまいりましたら、そのときはまた
措置ができるということでございますので、困難は加わりましたけれども、また捜査というのは大変困難な事件も多々ありますので、そういう困難を乗り切ってやっていこうということで目下やっておると、こういうことでございます。
-
-
○
政府委員(三井脩君) 見込みは必ずしも明るくありませんけれども、そういう困難を克服してやりたいということでございます。
-
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 本件は、日本の国内で起こりました刑事事件としてはまだ未解決で、まだ捜査は継続中でございます。事件につきましては、私ども専門でありませんので警察当局に
お願いをいたしておるところで、警察当局に対しまして私どもがお役に立つことがあれば、それは協力するにやぶさかではないのでありますけれども、事件自体の処理につきましては、警察当局にお任せをいたしたいと思います。
-
○寺田
熊雄君 大変これは不満足ですが、時間の
関係できょうはこの程度にとどめておきます。
外務
大臣、わが国の最近における開発途上国に対する援助の総額と、そのGNP比を
伺いたいんです。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 昨年の数字がまだ出ないのでございますが、この数字は一昨年になりますが、一九七五年におきますいわゆる
政府開発援助でございますが、三千四百九億円という数字で、GNPに対しまして〇・二四というのが
比率でございます。
-
○寺田
熊雄君 DACの諸国の中で、主要国でいいですから比較してみてください。
-
-
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君)
アメリカでありますが、ODAの
比率は〇・二六であります。一九七五年であります。西ドイツ〇・四〇、イギリス〇・三七、フランス〇・六二。そういったところでよろしゅうございましょうか。
-
○寺田
熊雄君 ちょっといまの、外務省から出していただいた表と一致しておりますかね、ちょっとおかしいように思うんです。大国の中でDACの目標に達していないのは日本だけのように思いますが、これはお認めになるんですか。
-
○
説明員(大鷹正君) いま
大臣が答えられたとおりでございますけれども、DACの国の平均は対GNP比では〇・三六でございます。それからすでにその〇・七の目標を達しましたのはオランダとスウェーデンの二国でございます。
-
○寺田
熊雄君 それは
政府開発援助じゃないか、いまのは。
-
○
説明員(大鷹正君) いま申し上げたのは
政府開発援助でございます。
-
○寺田
熊雄君 いやいや、私が最初にお尋ねしたのは、まず援助の総額、民間の援助も含めたそれを伺ったんですよ。
-
-
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君)
アメリカが一・一五、西ドイツ一・一七、フランス一・一六、イギリス一・〇一、カナダ一・三四。そんなところでよろしゅうございますか……。
-
○寺田
熊雄君 いま
大臣がおっしゃいましたように、一%を皆超えているんですが、日本だけが、何かいつも〇・五、六のあたりを往来していますね。どうでしょうかな。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 民間資金によります
比率は、日本は一時非常にふえまして一九七三年には一・四四まで至ったことがございます。これは民間の投資額が高度成長時代に非常に伸びたということでありまして、それが石油ショックになりまして、今度は逆に急激に減ったのでございます。そういう
意味で、民間資金を入れますのは、これは広い
意味では経済協力と申しておりますが、やはり企業の進出というようなものも含んでおるものでございますから、最近は、いわゆる
政府の開発援助、ODAというものを主として諸外国との
比率には用いているところでございます。
-
○寺田
熊雄君 それじゃODAだけでいいんですよ。このODAでも、七二年にDACが勧告して目標を八四%に置いておるようですけれども、日本だけが六九・九%、七四年は六丁五%、DACの平均は八八・三%というように、この目標に達しないのは日本だけのように思いますが、いかがでしょうか。
-
○
説明員(大鷹正君) 七五年の実績から見ますと、
先生がおっしゃいましたように、グラントエレメントではかるわけでございますけれども、その目標の八四%に達しなかったのは日本だけでございました。
-
○寺田
熊雄君 グラントエレメントと同じように、
政府開発援助のエッセンスをなすのは贈与だと思いますが、贈与の
比率を七五年でいいですからおっしゃってください。それと他国のDACの平均を。
-
○
説明員(大鷹正君) 七五年の実績で贈与
比率は日本が三九・九、
アメリカが五八・一、それからフランスが八〇・九、それからドイツが五五・九、それからイギリスが九一・一、それでDACの平均が六九・〇と、これは贈与
比率でございます。
-
○寺田
熊雄君 そうすると、やはりDACの中の主要な国家の中で日本が最低ということになりますが、この事実もお認めになりますか。
-
-
○寺田
熊雄君 次に、技術協力の額とDAC諸国との比較をまた
お願いしたいと思います。
-
○
説明員(大鷹正君) 七五年の実績で申し上げますと、
アメリカが五億七千四荷万ドル、イギリスが二億一千三百万ドル、四ドイツが四億六千九百万ドル、日本が八千七百万ドルということでございます。
-
○寺田
熊雄君 そうすると、これもやはり日本がDACの中の主要国の中で最低ということになりますね、お認めになりますか。
-
-
○寺田
熊雄君 しかし、アジアの諸国の中における直接投資額というのを見てみますと、これは日本が最高なんですね。これは一体どういう現象なんでしょうか。これは外務
大臣と通産
大臣にお
伺いしたいんですが。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) このいわゆる途上国、その中でも後発途上国という観念がありますが、この後発途上国というのはアフリカに非常に多いわけでございまして、そういう
意味で日本は従来からアジア中心にこの経済協力、経済援助が重点的に行われてきたということでございまして、そういう
意味で、日本が比較的先ほどのグラントエレメントにつきましても、わりかたこの金利を取る貸し付け、やや金利は低くしますけれども、貸し付けに依存する、財投に依存する形をとられてきたわけでございまして、他方ヨーロッパ諸国におきましては、昔からの伝統的なアフリカ諸国とのつながりがございまして、そのアフリカ諸国に対しまして無償の援助が昔から行われてきたと、こういう歴史的な経過もあずかって力があるものと、こう思っておるところでございます。
-
○
国務大臣(田中龍夫君) ただいま外務
大臣が申しましたとおりでございますが、やっぱり第二次世界大戦前の属領と宗主国というような
関係がございまして、アフリカやなんか向こうの方に参りますと、イギリスでありますとか、フランスでありますとか、そういうところが非常に多く出しております。反面、日本は昔からの大東亜共栄圏とかなんとかというような
関係がありまして、特にいまの原料その他をこれらのアジアの各国から求めております
関係から、アジアに偏在と言っちゃおかしゅうございますが、かたまっておるような状態でございます。イギリスあたりになりますと、無償援助の中でも、旧属邦でございましたインドやあっちの方に出しておりますし、それからフランスはインドシナだとか、オランダがインドネシアとか、これは戦前の
関係がやっぱり濃いそのままの因縁が残っております。
-
○寺田
熊雄君 私がお尋ねしたのは、結局、
政府開発援助も最低である。それからその中の一番かなめになるグラントエレメントのパーセンテージも非常に低い。それから贈与部門も最低である。そして技術援助も最低である。しかし、直接投資だけは非常に多い。だから、日本のつまり何か本当の
意味で世界経済に寄与するというのが少ないので、やはりエコノミックアニマルだというふうな
考え方、そういう見方をされてもしようがないんじゃないかと思うんですが、その点外務
大臣いかがでしょうかね。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、オイルショック直前までのいわゆる高度成長期につきまして、日本の企業が特に東南アジア、アジア地域に対しまして、あるいは南米等も行われましたが、相当な海外投資が行われました。むしろ日本は外貨が非常にたまるというようなことにもなりまして国外に対する投資活動というものが非常に奨励された時期がございまして、そのころはほかの国より、先ほど一・四四%まで総体の経済協力が伸びた時期でございます。そのように面接投資がその時期において非常に伸びたわけでありますが、現在におきましてはそれが非常にいま縮んでおるというのが現状でございます。
-
○寺田
熊雄君 一方貿易の面ではどうなんでしょう。ことにアジア諸国へのこの貿易の状況についてちょっとお
伺いしたいんですが、やはり非常な片貿易になっておるんじゃないでしょうか、通産
大臣。
-
○
国務大臣(田中龍夫君)
お答えいたします。アジアの各国の中におきまして、対マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシアといったようなASEANの各国を見てみますと、つまり申すならば、七四年の場合におきましては、こういうふうな各国の中で、七十九億六千万円の輸出に対しまして、その輸入の
関係が五十四億九百万円、ああ逆でございます、ドルです。これは七四年が七十九億六千万ドルの輸入に対して輸出が五十四億九百万ドル、二十五億五千二百万ドルのマイナスでありますが、七五年になりますと、赤字で四億四千百万ドル、七六年になりますと、赤字で七十七億四千百万ドルの輸入に対して輸出が六十億五千八百万ドル、大体十六億八千二百万ドル、こういうふうになっておりまして、これは一国ずつをとりますと貿易のインバランスというものが出ておりますけれども、これも年々また状況が変わっておりまして、結局グローバルでアジア全体を
考えました場合におきましては、片貿易の国とそうでない国が出ております。たとえばマレーシアでありますとかインドネシアあたりになりますと日本の方が逆になりましてマイナスになりますが、これはインドネシアから油をとりましたりマレーシアからすずや原料をとりましたり、反面、タイでありますとかシンガポールあるいはフィリピンになりますと、日本の方からエクスポートいたしますから、そういうふうな
関係で片貿易の場合もありますが、結局、一国一国でバランスをとることもさることながら、グローバルで全体といたしましてのバランスをとっていくようなかっこうになっております。
それから、できるだけこういうふうな後発途上国に対しましては、日本の方がドルを落とすという
関係から、日本自体が入超であってよろしいんでございますけれども、そういう点は物資物資によりましておのおの、たとえばインドネシアあたりはもっと石油をとらなきゃならぬとかいうような
関係から、日本の方としてはマイナスになります。
-
○寺田
熊雄君 最後に、途上国の債務の累積がいま放置できない状態になっておるという問題、これは外務
大臣どういうふうに認識しておられますか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 現在の世界の最大の問題がやはり累積債務の問題ではなかろうかというくらいに
考えております。この問題はまことに問題が重大でありますので、各国と十分話し合いをして、この解決に向かわなければならない。いずれかの一国でこれに手のつくような問題ではないわけでございまして、まあ五月に行われます主要国の首脳
会議の場、あるいは経済協力
会議等におきましてこの問題は対処の仕方を取り組まなければならないと、こう
考えております。
-
○寺田
熊雄君 この問題では通産省の「経済協力の現状と
問題点」というこの本が一番詳しく書いてあるようですね。外務省のこの外交白書の中には全く触れられてないんですが、もしそういうふうな御認識だとすると非常に――いまあれでしょう、援助資金、ことに
政府援助ですね、それからグラントエレメント、それから贈与部分、技術協力と、こういう最低の状態を何とかしないと少しも貢献できないことになるんでしょう。その点どういうふうにお
考えなんでしょうか。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 確かにおっしゃるとおり、わが国の援助総額がまだまだ少ないということは痛感をいたしておるところでございまして、ことしの
予算編成につきましても極力
努力はいたしたのでございますけれども、一応ことしの
予算ではいま〇・二四と申し上げたのが一応〇・二八という数字が出ておるわけでございます。しかし、これはやはり毎年の実施にずれがありまして、これをまるまるその年度に実施をするというわけにいかないものですから、したがいまして、極力援助の施行を早めるという
努力をいたしたいと思います。
また、いまの累積債務の問題につきましては、これはどうしても多国間の協力によりまして処置をいたしていかなければならない、かように
考えておりますが、既存のIMFでありますとか世銀でありますとか、あるいはそのほかにOECDでやっておりますセーフティーネットだというようなこともありますが、しかし、いずれにいたしましても、何らかの多国間におきましてこれに対処する方式を
考えていかなきゃならない。したがいまして、これからは必然的にこの援助額というものは今後増大の傾向は示すに違いないと、こういうふうに思っておりますが、今後
努力をいたしたいと思います。
-
○寺田
熊雄君 大蔵
大臣、累積債務の問題ですが、開発途上国の中でもいわゆる中進的工業国という国々が一番困っているようですね。ことに、
アメリカなどからの、銀行からのいわゆる商業資金を借り入れているのが非常に多くて、これが非常に債務不払いを余儀なくされるような事態になるのじゃないかと言われておりますが、これはどういうふうにお
考えですか。
-
○
政府委員(
藤岡眞佐夫君) 数字の問題もございますので、私から
お答え申し上げます。
最近の中進国等の債務の正確な数字というのはないのでございますが、米国の通貨当局の発表した数字あるいは一部民間の数字等を推計いたしますと、現在非産油開発途上国に対しまして千八百億ドルぐらいの債権がある、そのうち民間銀行から借り入れしておりますのは七百五十億、さらに米銀が貸しておりますのが四百五十億。その米国が貸しておりますうちの四分の一程度はブラジル、メキシコといったようないわゆる中進国の方へいっているようでございます。
なお、数字が少し古くなりますが、世界銀行の発表した数字によりますと、七四年末にいわゆる中進国に対しまして、これは公的債務のコミットメントの金額でございますが、たとえばブラジルに百二十億、メキシコに九十八億というふうな数字が公表されております。
-
○寺田
熊雄君 モラトリアムを生ずるようなおそれはないかというお尋ねをしているのです。
-
○
政府委員(
藤岡眞佐夫君) それにつきましては、一部で大分危険な状態までいったという
意見がございますが、他方におきましてまだ現状では危険ではないという
意見もございます。すなわち、結局資金の流れの大部分を受け持っておりますのは民間でございますので、民間の資金が手を引きますとそれこそ大変なことになりますが、民間の方は相手国の信用状況を見て金を貸しておるわけでございます。そこで、IMF等の国際機関の
役割りが出てくるわけでございまして、たとえばIMFが中進国に金を貸します際に再建計画を条件として出しておるのでございますが、それが出ますと商業銀行等も安心してついていくということになりますので、これからの国際機関の活躍その他国際協調を
考えますと、これはモラトリアムになるとか、そういった危険なことは起きないのではないかと思っております。
-
○寺田
熊雄君 ずいぶん楽観的な見方のようですが、いま開発途上国に対する開発援助、これはもう大体四〇%以上が債務の支払いに充てられているようですよ。そういう危険な状態。その上にさらに民間の債務があるわけですから、私はそんな楽観的なことは言えないと思いますが、どうでしょう。
-
○
政府委員(
藤岡眞佐夫君) まず数字的にちょっともう一度申し上げますと、昨年の非産油開発途上国の経常収支の赤字は、OECDの昨年十二月の発表によりますと約二百四十億ドルと言われております。これはどうファイナンスされているかということが問題でございますが、このファイナンスの実態については必ずしも正確な数字がないんでございますが、IMFの数字等を利用いたしまして推定いたしますと、大体、外国
政府等の贈与、それから長期借款、それから直接投資等、それとIMFの信用供与が少しございますが、大体二百数十億埋まっております。そのほかに商業銀行等の借款が七十億程度、それにその他の短期借り入れ等がありまして、まあ百億ぐらいになると思いますが、昨年におきましてはそういった非開発途上国がそれに見合う程度、約百億程度の外貨準備を積み増しをしておるわけでございます。これはちょっと奇異な感じでございますが、累積債務が問題にされております昨年におきましても、百億以上の外貨準備を積み増しをしておるということでございますので、現状が危険だということではなくて、むしろ商業銀行が安心して貸せるようにIMF等の融資と組み合わせていくということがこれから必要なことではないかということで申し上げたわけでございます。
-
○寺田
熊雄君 そうすると、全く
アメリカの銀行に対する、たとえばいま
局長がおっしゃったブラジルとかメキシコとか、そういう中進的な工業国が債務不払いのような現象が起きるおそれ全くありませんか。
-
○
政府委員(
藤岡眞佐夫君) 資金繰りがどうなるかということ、将来のことを申し上げるのは非常にむずかしいのでございますが、私がさっき申し上げましたように、民間にたくさん資金があるわけでございまして、それがIMF等との国際協調体制で進めばそれは大丈夫だというふうに思うわけでございます。
-
○寺田
熊雄君 IMFのいまの専務理事ですか、日本に来て、特別なまた新基金の創設であるとか、新しい融資制度をつくるとかいうようなことの相談に来ておるようですね。大蔵
大臣、これは協力する御意図があるのですか。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) この間、ちょっとあいさつがてらおいでになって、お目にかかりましたが、おっしゃる趣旨につきましてはこれは大変結構なことだと思いますが、それならそれで日本の立場というものもひとつよく認めてもらいまして、それで話を進めていきたいと、こういうことを返事をしておきました。
-
○寺田
熊雄君 それはどういうことでしょう、日本の立場を認めてくれというのは。
-
○
政府委員(
藤岡眞佐夫君) 先日、ウィッチフェーン専務理事がお見えになりまして、これは四月末の暫定
委員会に備えて欧州等を回りました、その一環として日本にも相談に来られたわけでございますが、当然、その中でいま御
指摘のようなIMFの資金の強化の話が出たわけでございます。いま
大臣から申されましたように、実は私どもといたしましては、すでにIMFの資金増強のために第六次の増資を昨年の国会で御承認いただいたわけでございます。で、ほかの国はまだ全部国会の手続が済んでおりませんので発効しておりません。それを促進するというのも
一つでございますし、それから先般日本がIFMに対してGABという形で約十億SDR程度にまで貸し付けの枠をふやしました。それも従来日本のやってまいりました線でございますが、そのほかにOECDの金融支援基金協定、これも昨年国会で御承認を得たわけでございますが、また発効していないわけでございます。日本の立場といたしましては、そういうものもあるので、それだけで足りない場合にはもちろんIMFが別途な案をつくるということも結構である。また同時に、IMFがそういうふうに日本から資金協力を受ける場合には、それに伴って日本も世界の金融問題について発言をしていきたいというふうな気分もあるわけでございます。そういうふうな日本の立場を生かしつつ、この世界的な資金不足の問題といいますか、赤字対策の問題について話し合いをしていこうということでいま相談中でございます。
-
○寺田
熊雄君 その日本の立場というのが、日本は非常に発言権がないでしょう。というのは、さっきも申し上げたように、開発援助の総額も、グラントエレメントも、贈与部分も、それから技術協力も最低のラインしかやってないんでしょう。それで日本の立場を認めろと言ったって結局けちっていること以外に何ものもないでしょう。どうでしょうかね。
それで、通産省のこの「経済協力の現状と
問題点」を見ると、かなりこれは累積債務のことを重く見ているわけですね。外務
大臣はいま最大の問題とまで御答弁なさった。ところが大蔵省の方は至って楽観的で、何事もないような印象さえ受けるような御答弁で、これは閣内不統一もはなはだしいんじゃないですか。どうです。
大蔵
大臣、それから外務
大臣にお尋ねしますが、本当にやはり国際協力、開発途上国に対する援助をふやしていくという御誠意がありますか、その決意を
伺いたいんです。お二方に。
-
○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 開発援助費の増額につきましては、今後とも
努力をいたすつもりでございますが、いま〇・三六というのがDAC諸国の平均であると。私どもとしては何年かがかりでもこの平均水準まで到達をいたしたいと思って
努力をいたしております。ただ、現状の水準が〇・二幾つという水準でありますので、これを毎年の増加率としては相当ふやさなければならない。ただ、日本としてはせめて毎年としてぎりぎりの増加率をしばらくの間続けてまいりたいということによりまして、まあ三年とか四年の後には〇・三六くらいまでたどり着きたい。そのためには、恐らく毎年二割以上の、二十何%くらいの増加率を
政府開発援助
予算におきまして
考えてもらいたいというのが私の率直な願いでありますけれども、財政上のいろいろな問題がありますので、せめて財政上可能な限りにおきまして、今後とも私といたしましては
努力をいたす所存でございます。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) 海外協力につきましては、これは確かに〇・二八というようなことでは少ないと思っております。しかし、それが先ほど来だんだんお話し申し上げましたとおり、いろんな理由がありまして、ただむちゃくちゃに少ないということではなくて、それにはそれの一応のこの理由もありますが、しかし今後ともこれは大いに努めてまいらなければならないと、こう思っておりますが、しかしその日本の立場というものは、OECDにいたしましてもIMFにいたしましても、すでに国会の御審議も得て相当な協力をすると、こういうことに相なっておるわけでございまするので、そういったような立場もひとつ認めてもらいたい、こういうことを申したのでございます。
-
-
-
○
赤桐操君 福田内閣は発足早々、五十二年度
予算の
編成を手がけまして、近年の不況、低迷に対して、財政主導によるてこ入れ、これに対する公共投資の拡大を第一義と
考えられたわけであります。同時にまた、低成長時代への転換に当たって、政治の姿勢については国民の生活、福祉優先を強く打ち出されたところであります。こうした内閣の方針に基づいて、建設
大臣の所信の表明に当たっては、住宅政策をその第一の柱として表明されております。国民の生活基盤をなすものの最大の問題の
一つとして、今日住宅問題はまさに国民的な課題であろうと存じます。
政府は、五十一年度を初年度とする第三期住宅建設五カ年計画を閣議決定をいたしまして、総戸数八百六十万戸、公的資金による住宅建設戸数を三百五十五尺民間自力建設を五百十万戸と設定をいたしたわけでございます。これらを見まするというと、そしてこの五カ年計画の遂行の状態をこの一年間の中で見守ってまいりまするというと、依然として民間自力建設に比重を置いており、言うなれば、かつての時代のそのままの延長ではないであろうか、こういうように実は
考えるのでありますが、建設
大臣の所信をお
伺いいたしたいと存じます。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) 住宅政策の理念につきましては、第三期住宅建設五カ年計画にもありまするように、住宅が人間性の形成回復の場であるという基本的認識に基づきまして、すべての国民がその能力に応じた適正な費用を負担することによって良好な水準の住宅を確保できる、このようにすることにある。最近の住宅事情を見ると、住宅の量的不足は一応解消されたものの、規模を中心とした住宅の質に対する国民の要望は依然として強いものがあります。このため、
政府が五十一年度からの第三期住宅建設五カ年計画において、特に住宅の質の向上に重点を置いて、良好水準の住宅八百六十万戸の建設を見込んでおり、近時、公的住宅団地建設の停滞、新規供給住宅の家賃の高騰等、適正な住宅の供給を阻害する要因も発生しておりますが、これらの
問題点を克服して計画の達成に
努力する
考え方でありますが、さらに私
たちは就任以来、住宅問題というものが非常に国民生活と密接な大きな
関係を持っております。こういうことにおいて早速省内にも、いつかも申し上げたように、住宅問題をこのままほうっておくことはできないであろう、こういうような
考え方によって、つまり次官を長としまして、学識
経験者も中に入れて、そうして住宅問題を
研究をしようと、こういうことで、もっぱらどうやったらば、いま読み上げました理念に基づいた理想的なものにすることができるであろうかと、こういうことでいま進めておる。
さらにまた、この二十五日からは、われわれの能力だけでなく、また各
委員会及び
予算委員会を通じましてもいろいろな御
意見を承りまして、
皆さん方の御
意見を基本としまして、さらに一般からお知恵を拝借しようではないかと、建設全般に対しまして御
意見を承ろうと、こういうような
考え方をもって、これらに対しましても二十五日から発足して、これは建設政策懇談会というようなものを設けて、一般の方々の、これは建設を業にしている方々じゃなく、一般の方々からの御
意見を承って、どうやって建設のうちの住宅問題を解決したらいいだろうかというような御
意見もこれも承ってまいりたい。また、さらにこの十六日からは、一般の方々にお知恵をぜひ拝借したいと。われわれはずいぶん国会を通じて国
会議員さんの
意見も十分聞いておりますけれども、
皆さん方の御
意見も承らしていただきたい、つまりお知恵を拝借をしたい、一般大衆の方からの
意見も承りたい、こういうことでいま積極的にこの問題と取り組んでおるところでございまして、したがって、まだきょうすぐこれがどうこうということはなかなかできませんけれども、でき得る範囲内のものからどんどんやっていこうじゃないか、こういうような
考え方でもっていま進めておるところでございます。
-
○
赤桐操君 高度経済成長時代におきましては、わが国の住宅というものについては、これはいわば売り物買い物、利潤を伴う物件に過ぎなかったと思うのであります。しかし今日の
段階では、もはやそういう
段階を超えているのではないか。少なくとも社会的にこれを保障をし、あるいは社会的にこれを責任をもって供給をしていくという基本姿勢の上にこの政策が進められなくては、多くのいま横たわっている問題を解決していくことはできないのではないか。これが実は第三期五カ年計画の中に貫かれていかなければならない新しい国民の求めている課題ではないかと私は思いますが、
大臣の所信はいかがですか。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) もちろん五カ年計画を立てる以上は、
赤桐さんがおっしゃるようなことが基本となって今後の遂行に当たっていかなければならない、そのように
考えております。
-
○
赤桐操君 そこで、公的住宅のいわば大宗でありまする公営住宅、公団住宅、及び公庫融資住宅の着工実態につきまして明らかにしていただきたいと思います。
-
○
政府委員(山岡一男君)
昭和五十一年度の建設戸数でございますが、公営住宅は予定戸数八万五千戸に対しまして約七万戸でございます。公庫住宅は三十七万戸に対しまして、おおむね三十七万戸の貸し付けを行う予定でございます。それから公団住宅につきましては、当初六万戸を見込んでおりましたけれども現在五万戸に計画変更することにいたしております。
-
○
赤桐操君 公営住宅、公団住宅の建設着工に対する落ち込みがひどいようでありますが、その理由はいかがなものでありましょう。
-
○
政府委員(山岡一男君) まず公団住宅につきましては、最近の空き家の続発等の現状を反省いたしまして、現に発注済みのものにつきましても設計変更を行う、もしくはいますでにそういうふうな空き家がございますところに重ねて発注する愚を避けるというようなことから全体の検討をし直しまして、約一万戸の計画減をしたものでございます。
公営住宅につきましては、用地の取得難、地域住民との調整難、特に地方公共団体におきます公共公益施設整備等の
関連行財政負担増に対する危惧等が一番大きなものでございますが、特に本年度等におきましては、地方財政の窮迫ということもその原因であったかと思っております。
-
○
赤桐操君 こういった実態を把握をされて、恐らく大蔵
大臣は五十二年度の
予算編成に当たられたと思うのでありますけれども、住宅対策についてどういうお
考えで取り組まれたか、お
伺いをしたいと思います。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) 住宅部門に対する資金供給は最も力を入れたところでございまして、財政投融資計画の中において最重点の項目といたしております。近年この比重は急速に高まっておりますけれども、五十年度におきましては財投計画全体の約四分の一が住宅部門に向けられております。しかも、その約八五%は住宅公庫及び住宅公団に対する貸し付けでありまして、財投資金としては最大限の配慮を行った次第でございます。
参考に数字を申し上げておきますと、五十年度の財投計画は合計十二兆五千三百八十二億円。そのうち住宅
関係が三兆四百二十七億円、それからそのうちで住宅公庫が一兆五千三百六十六億円、それから住宅公団が一兆三百三億円というような実情になっております。
-
○
赤桐操君 五十一年度の状態についてはいま明らかにされておりまするし、五十年度については大蔵
大臣のいま表明がありましたが、そうした状況の中で建設
大臣の五十二年度に臨む姿勢について明らかにしてもらいたいと思います。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) いままでの建築、したがってたとえば公団を
一つ見ましても一万戸ほどの空き家があるという、こういうような原因を探求してみますると、遠いとか高いとかというような問題が残されているばかりでなく、あとは狭いという問題が残されている。そうすると、現在の生活水準、社会全体の水準から言ってそれに沿わないんじゃないだろうか、こういうような
考え方を持ちまして一応見直ししたらどうだろう。数で何万戸建てればいいんだ、何千戸建てればいいんだという、そうでなく質の伴ったものに変えていかなければならぬだろう。こういうようなことによって一般の方々が何を望んでいるか、それはやはり
自分たちの生活にふさわしい住宅に住みたいということだろうから、まずこれは数ではなく質の改善をする必要がある。こういうようなふうにたっていまは質の改善に
努力をして、そして要求する方々にマッチするような住みよい住宅をつくっていこう、こういう
考え方に変えて進んでおるところでございます。
-
○
赤桐操君 第三期五カ年計画の中で、特にきょうは公的資金による
政府施策住宅を中心といたしまして、以下若干お尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、公営住宅でありますが、第三期の五カ年計画では四十九万五千戸を予定をいたしております。五十一年度では九万二千戸、五十二年度で九万二千五百戸となっておりますが、五十一年度末の建設達成の見込み、さらに特に首都圏、各都県の計画と実績等についておわかりでありましたら御答弁願います。
-
○
政府委員(山岡一男君) 五十一年末の公営住宅の達成状況は、先ほど申し上げましたとおり、七万戸を配分いたしたわけでございますが、残りにつきましては、本省繰り越しと申しまして翌年度に繰り越して五十二年度に実施をすることにいたしております。したがいまして、五十二年度に繰り越しますと単価の変更等がございます。実際にやってみないとわかりませんが、その程度の繰り越しに対しまして約七千戸か八千戸が恐らくできるだろうと思います。したがいまして、達成は七万八千戸もしくは九千戸程度になろうかと推測いたしております。
それから最近におきます首都圏等におきます達成状況でございますが、ただいまちょっと
資料を手持ちしておりませんので、すぐ調べて御
報告するようにいたします。
-
○
赤桐操君 先ほどの住宅
局長の御
説明にもありましたが、公営住宅問題については、地方自治体の財政問題、あるいはまた、その他の諸条件等が加わって非常に公営住宅の建設が困難であるということが明らかにされております。こうしたいろいろのネックがあると思うのでありますが、これを乗り越えてこれからいかない限りにおいては一番基本である公営住宅が進まないということになるのでありますが、これらの対策はどのようにお
考えになっておるか。
-
○
政府委員(山岡一男君) 先ほど申し上げましたように、特に公営住宅建設のためにはいろいろな障害がございます。したがいましてそれに対処する手を打つわけでございますが、まず第一点は、財源の手当の拡充でございます。これにつきましては単価の適正化を図るということが
一つございまして、補助単価につきまして七・二%のアップを予定いたしております。
それから起債の充当という点が従来公営住宅につきましては八五%、他の公共事業に比べて低うございましたけれども、九五%に引き上げるということにいたしております。
それからさらに、
関連公共公益施設整備の調整及び立てかえ施工に対する助成の強化ということを図りたいと思っております。現在でも、たとえば府県営住宅を市町村でつくるという場合には、府県営住宅の方で立てかえ事業を施行いたしまして、後に市町村に譲るというような制度も開いてまいっておりますが、その額をふやすというようなことをいたしております。
さらに、地域
関連施設の整備に対する助成を強化する必要がございます。したがいまして
集会室、幼児遊園、道路、それから排水処理施設等の環境施設に対しまして新しく団地をつくります際に、特例加算と申しまして補助金を
かさ上げをするというようなことをいたしております。
それからさらに、大都市等におきましては、木造一戸建て平屋建ての住宅が相当ございます。一戸が五十坪ずつ敷地を持っております。それの立てかえを促進する必要がございますので、新規に新しく移転料等も補助対象にする等の
措置を講じてまいっております。これらの施策を十分推し進めることによりまして公営住宅の建設の促進を図りたいと
考えておる次第でございます。
-
○
赤桐操君 次に、公団
関係の住宅に移りたいと思います。
公団住宅は第三期の五カ年計画の中でその計画戸数三十一万戸としております。五十二年度
予算においても昨年度と同じ六万戸を予定しておるわけでありますが、昨今の公団住宅に対する不人気等からいたしまして五十一年度の住宅建設戸数では一万戸の削減がなされております。この縮小された計画の内訳、さらにまた、五十二年度においてもこうした状態があり得るのかどうなのか、この点ひとつ
伺いたいと思います。建設
大臣並びに公団の総裁にお尋ねをいたしたい。
-
○
参考人(
南部哲也君) 先般一万戸の削減をいたしました。これはこの三月三十一日現在をもちまして公団住宅に一万四千二百十五戸の空き家がございます。これらの問題につきまして私どもとしてはこの原因、国民のニーズにいかにして適応したらいいかということを十分に検討いたしまして、一般には遠い、高い、狭いと、こう言われておりますけれども、これらをどういうふうに改善できるかという問題を検討いたしております。その結果、本年度の発注予定の団地につきましてももう少し設計変更その他で見直さなきゃいかぬ、こういうものにつきまして見直しをやろうということで一万戸の削減をしたわけでございます。五十二年度につきましては、ただいまのところ六万戸を予定しておりますが、これを、こういった見直しをさらに加えまして、十分に達成するよう最善の
努力をしていきたいと
考えておる所存でございます。
-
○
赤桐操君 勤労者住宅供給の中心的な
役割りと申しまするよりも、
政府のいわゆるこれは大きな唯一の供給機関であると思いますが、この住宅公団も、いまの総裁のお話にもありましたが、発足後ちょうど二十年を経ておりますが、やはり
一つの曲がり角に来ておるように私は感じております。それで、いまの一万四千数百というこの数字、空き家の実態、これがいろいろと大きな問題を実は投げかけておると思うのであります。家賃は実は率直に申し上げて、今日、遠い、高い、狭いと言われておりますが、やはり何と言っても家賃の問題が一番大きな問題であろうと思います。それで、一体こういう高い家賃で、これが当初スタートを切って国民の多くの勤労者から期待をされた公団であったのかと、こういう実は基本的な問題が問われてきていると思うのであります。いま村上団地、千葉県の八千代にある団地でありますが、この状態を見ましても大体初年度家賃が四万六千八百円、三DKであります。それで、傾斜家賃でやがて十一万円になると、こういうものであります。さらにまた、東京北区の赤羽北二丁目団地によりまするというと、初年度家賃は六万九千六百円、傾斜期間を経て十一万一千六百円。これは村上団地にいたしましても、この北区の赤羽北二丁目団地にいたしましても大変高額な家賃だろうと思います。こういういわば大変高額な家賃の状態に来ているわけでありますが、これは率直に申し上げて、この勤労者の中堅層を大体ねらってつくり上げている公団であるはずでありますが、果たしてこの中堅層と称する庶民の手にこれで届くものであるかどうかと、庶民の生活実態に合っているものであるかどうかと、こういうことについてひとつ
大臣からまずお
伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) いろいろな御
意見もございますけれども、国としても、
政府といたしましても金利の助成をあれだけ莫大なものを行っておりますし、でき得る限りは援助をして、そして造成をしておるわけでございますので、大体御
指摘のように中堅層をねらった
一つの構造ではございますけれども、私
たちは別にこれが、これより以上のことをなかなか行えといっても、いかに
政府であってもなかなか困難だと思うのであります。でありまするから、なるべく今後というものを
考えてみるときに、今後は国の方で、たとえばこれに
関連する住宅公団が行うものに対しても、街路だとか下水の問題とかというようなものに対しましてはできるだけ国の方で援助をしていくというようにして、そして家賃の幾分なりとも引き下げを行っていくという、この
方法をとるよりほかに現在の
方法ではないんじゃないんだろうかと、このように
考えます。また、他にあればできる限りの
努力を傾けまして、御期待のように沿いたいと念じております。
-
○
赤桐操君 公団総裁はどういうふうにお
考えになりますか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 住宅公団といたしましては、大体先ほどお話しのようにすでに二十年の
経験を持っておりますが、この間大体国民の三分位の中位の所得、これの一五、六%と、これをずうっと終始一貫今日まで守ってきているつもりでございます。したがいまして、それが守れないようなときには五%の償却費を四・五%にしてもらう、面開発であるとか、団地高層であるとか、こういう
努力を払ってきております。そういう
意味で、現在の家賃につきましても、発足当時の三十一年でもやはりそのぐらいの当時の所得水準から見ますと水準でございました。ただ、今日問題になってますのは、やはり傾斜があって十年先の家賃がこうなるというのが余りはっきりしているものですから、そこまで所得が追っついていくかどうかという、そこら辺に大きな危惧を一般の入居者に与えておるんじゃないかと、このように
考えておる次第であります。
-
○
赤桐操君 それで、私の方でもひとつ申し上げたいと思うのでありますが、公団の家賃というのは原価主義でやっておられると思うんですね。したがって、原価主義で出てきた結論でいろいろ家賃を設定されていると思うんです。入居資格は家賃の四倍以上の収入を必要としておりますね。そういたしますると、人によってはこれは二四、五%に及ぶんですよ。総裁いま一五、六%を目標としてやってきたけれどもと、こういうことを言っておられますが、今日の
段階、残念ながらこれは大幅に狂ってきております。大体この中間所得層のふところぐあいを中心にして
考えるべきなのか、それともこのままの状態でこれからも進めていっていいものなのかですね、私は大きな
問題点に逢着していると思いますが、公団はどのように総裁お
考えになっていますか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 確かに、赤羽のように当初家賃が六万九千六百円というようなことになりますと、ただいま申しました三分位の中位、二十四万六千円とわれわれの方でははじいておりますけれども、これから見て非常にまあきついではないかという問題が、現在公団の当面しているやはり大きな問題でございまして、これらの問題については、建設省の方でも公団問題について根本的に検討する
委員会でいろいろ御検討を願っております。私どもとしては、できるだけ皆さんが喜ぶような住宅、せっかく一生懸命
努力してつくり上げた団地でございますので、これらを国民の皆様方に喜んで入っていただけるというものにしたいという念願においては
先生の御説と変わらないと思っております。
-
○
赤桐操君 それでは、具体的な問題でひとつお
伺いしたいと思いますが、村上団地の建設状況、入居状況等についてひとつ御
説明願いたいと思います。
-
○
参考人(
南部哲也君) 村上団地につきましては、四十七年度から建設を始めておりまして、現在八百八十戸の四十七年度分の賃貸住宅、それから千二百戸に近い分譲住宅、これの募集をしておる次第でございます。残念ながら相当の空き家がございます。ただ、分譲住宅につきましては、これは三DKで九百万円台、とにかく一千万円を切るというような状態でございまして、これは月に百四、五十人の申し込みがございますんで、間もなく片づくと思っております。賃貸住宅の方は残念ながら一DK、二DKが八割を占めておりますんで、これがやっぱり非常に供給としてはまずかったという反省をしている次第でございます。
-
○
赤桐操君 いま総裁のお話にもございましたが、分譲の方はどうやら売れる見込みがあるようでありますが、賃貸については大変これは多くの国民の皆さんからきらわれている、こういうようでございます。
そこで、問題は、公団の立場に立って物をつくり上げて出すということではなくて、庶民のいわゆる収入を
基準とし、あるいは庶民の求めているものを
基準とし、そういう立場に立った
考え方でなければこれからの住宅政策はもう成り立たぬ、そのことについては大体基本的にお認めのようでありますが、残念ながら、この村上団地はそういう状態ではないように思うんですね。それでこれからひとつその実態についていろいろお
伺いをしてまいりたいと思います。
家賃算定について
伺いたいと思いますが、これはどんなような形で家賃は構成されておりますか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 家賃の算定
方法は建設省令で決められておりますが、償却費、修繕費、管理事務費、地代相当額、損害保険料、公租公課、引当金、このようになっておるわけでございます。
村上団地について具体的にこの内訳を申し上げますと、償却費が三万八千三百七十一円、修繕費が一万一千四百五十六円、管理事務費が三千五百七十三円、地代相当額が一万一千百五十八円、損害保険料が四百三十五円、公租公課が一万一千六十二円、引当金が七百四十五円、合計七万六千八百円ということになりまして、これを傾斜減額三万円といたしまして、初年度家賃を四万六千八百円ということで供給しているわけでございます。
-
○
赤桐操君 それでは、ひとつ公団の五十一年度三月末の残高として、
政府資金、民間資金に区別をしていただきまして、それぞれの種別ごとの内訳を明らかにしていただきたいと思います。借り入れのコスト、償還条件、こういうものについて一通り御
説明をいただきたいと思います。
-
○
参考人(
南部哲也君) 五十一年度末における借入金の残高は四兆三千二百十六億円になっております。そのうち、
政府資金、資金運用部資金とほかに生命保険の資金が合わせまして三兆三千六百四十億、七七・八%、住宅債券が千四百十億で三・三%、民間資金は生保と信託銀行でございますが、八千八十六億円、一八・七%、このようになっております。
-
○
赤桐操君 この間の
政府の利子補給の状態をひとつ
伺いたいと思います。
-
○
参考人(
南部哲也君) 利子補給は四十年から四十五年までの分といたしまして五十九億七千六百万円、四十六年度九十億三千六百万円、四十七年度百六十九億一千六百万円、四十八年度二百七十四億八千百万円、四十九年度――ただいま累計を申しまして失礼いたしました。大体、五十年度が百七十一億二千四百万円、五十一年度が二百三十六億四千七百万円で、先ほど申しました四十年度以降の累計が八百十六億九千五百万円でございます。
-
○
赤桐操君 そういたしますと、私は利子の問題で少しお尋ねをしてまいりたいと思いますが、資金運用部資金は年利率七・五%で利回りを取っておるようでありますし、民間
関係は九・〇%で取っているようでありますが、こういう数字でよろしゅうございますか。
-
-
○
赤桐操君 公団の金利は五%で扱われておりすすが、したがって、その
政府資金なり民間資金なりとの差がいまのような形で補給をされてきておると思います。仮に、こうした状態の中で、私は、先ほど総裁は面開発で四・五%、高層で今年度から四・五%に落とす、こういうことを言われたと思いますが、政策的に腹を決めれば、金利の引き下げは行えると思うのですね。そういうような形でもうすでに始めておるわけでありますが、この際、全体的に一%金利を下げる、当初四・一%で公団はスタートを切ったと思います、その原点に戻すとしたならば、家賃全体にどの程度はね返ってくるか、この点について御
説明願いたいと思います。
-
○
参考人(
南部哲也君) これは供給戸数によって違ってきておりますので、仮に五十二年度の供給、賃貸住宅二万五千戸といたしますと、一%を下げるということで、所要の補給金は二十七億円ということになります。ただし、これは一年度で二十七億円でございますので、これが七十年償還でございますから、所要資金は結局この七十倍という額になります。これがどれだけ家賃に響くかということでございますが、まあ概算では九千円ぐらいのところかと存じます。
-
○
赤桐操君 さらにまた、私は、民間資金の八千八十六億を扱っておられますが、この資金を
政府資金の資金運用部資金等に切りかえるとしたならば、これはかなりの金利の差が出てくると思いますが、この点はいかがですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 現在、賃貸住宅につきましては運用部資金を全部充当しております。したがいまして、民間資金につきましては、賃貸住宅には充当をしておらないわけでございます。そういうことで民間資金は宅地造成の方、あるいは利便施設とか直接賃貸住宅に
関係のない方で資金を使用しておりますので、そういう
関係から言いますと、賃貸住宅の家賃についての影響というのは余りないとわれわれは
考えております。
-
○
赤桐操君 そうは言っても総裁、実際のことを言うと、公団のいわゆるこの宅地造成の方の部門から、現実には建設の方の部門に回っているじゃないですか。それはこの民間資金によって扱われた宅地造成であったと思うんですよ。千葉県でも現実にあります、それは私も知っております。だからいまのような御答弁できれいにはなっていないと思うんですよ。私はそれを言うんです。現実には、実態はプールされていると同じだと思うんです。そうではないんですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 御説のとおり、宅地造成で造成したものは、そのうち若干のものは一般に分譲されますけれども、所管外で住宅建設の方にも回ります。したがいまして、その
意味では結局補給金の額が増加する、こういう結果になろうと思います。
-
○
赤桐操君 いま大体お聞きのようなわけで、一%下げると九千円の実は家賃はダウンするんです。大蔵
大臣、これについてどのようなお
考えをお持ちになりますか。
-
○
政府委員(吉瀬維哉君) 確かに御
指摘のとおり、住宅における金利というものは相当なるコストになると思います。したがいまして、住宅政策としてはできるだけ低金利でやる方がそれは負担を軽減することは間違いないわけでございますが、これは全般の
政府政策金融の金利体系とのバランスもございまして、そういう点で、たとえば
委員も御承知のとおり中小金融もございますし、農林漁業金融もあるし、あるいはその他環境施設などの金利バランスもございますので、私どもといたしましては、現在の金利体系のバランスからいきましてここら辺が限界ではなかろうか、こうも
考えているわけでございます。
-
○
赤桐操君 私は先ほどから
大臣にもお
伺いしてまいりましたし、少なくとも庶民のふところを中心として、これからは住宅というものは社会的に保障をし、社会的にこれは供給していくんだという立場に立つならば、この際やはりそういう
考え方を持つべきだと思うんですね。これに対して資金的に相当膨大なものになると言われるかもしれませんが、現実に面開発では四・五%にしているわけです。〇・五%落とせば、いまの九千円はその半分の四千五百円のダウンになるだろうと思う。あるいはまたいまの民間資金の部分も、全部資金運用部資金に切りかえるとするならば、ここでも一・五%の差が出てくるわけですね。そういう金利対策というものをとることができる、ならば、これは私は政策的にやる気があればできると思うんですが、大蔵
大臣、あなたの腹はいかがですか。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) まあ家賃は安ければ安いほどこれはもうそれはいいんでございますけれども、しかしやっぱりそれにかかっておるコストというものも
考えなければならない。原資になっておるこの資金の、これも相当のコストを持っておるというようなことを
考えますと、それだからにわかに卒然としてこれから切りかえようというようなことは、ちょっと困難だと思います。
-
○
赤桐操君 資金運用部資金の五十一年度末の見込みについては、大体どのくらいに見込んでおられますか。
-
○
政府委員(岩瀬義郎君)
お答えいたします。
五十一年度末の、単年度でございますと十兆六千百九十億、五十二年度末の見込みは……。失礼いたしました。これは単年度でございますから累計では約五十兆を若干オーバーすることになるかと思っております。ただ、いま
先生の御質問に
関連いたしまして、先ほど
大臣が
お答えいたされましたように、住宅
関係につきましては、五十二年度においてすでに財投資金の四分の一に近いものを住宅
関係に充てておるわけでございます。したがいまして、これは七分五厘の金利によって、一番低い金利を使っておりまして、これは年金並びに郵便貯金の資金を預っておる運用部といたしましては、それが一番低い七分五厘という金利を提供しておるわけですが、それが先ほど主計
局長から申し上げましたように、住宅以外のものに使いますものの中から、住宅にとにかく四分の一は割いておるのだということでございますから、かなり資金運用部といたしましては住宅に力を入れてきた、これは十年前の約二倍のシェアになっております。したがいまして、これ以上に住宅に資金運用部資金を投入するということにつきましては、全体の資金の運用のかね合いにおきまして総合的に
判断していかなければならないことでございますが、この数年間は住宅にかなりの力を入れてきたということのあらわれが、いま申し上げたような数字でございます。
-
○
赤桐操君 かなり住宅面への資金運用部資金の導入がなされておるということはわかりますが、さらに実はいまのようないわゆるコストダウンの問題から
考えるときには、この資金運用部の積み立てられた金というものは、いまも明らかにされましたとおり、いわばこれは庶民大衆の金でございます。したがって私は、本来これは庶民大衆に還元をされてしかるべきものだと思うのです。そういう立場に立って
考えるときには、いま生活基盤問題の中の最大の問題の
一つとしての、住宅問題のこの解決の一助として、資金運用部資金をもう一歩大幅に民間資金との入れかえをするくらいの腹で動かすというくらいの気概は必要だろうと思うのですが、その点について、
大臣、どうですか。
-
○
国務大臣(坊
秀男君) 近ごろ資金運用部の資金というものは、ずいぶん庶民の方々のために使っておるということになっておりますが、それは住宅は大変大事なことでございますけれども、その間のまたいろいろのバランスもございますし、これはよほど慎重に検討をしていかなければならないことだと
考えております。
-
○
赤桐操君 さらに国費の方から、一般会計から今日まで住宅面に投資されている資金の総額は、全体を見ますると大体一%台、一・五%以内であります。非常に微々たるものであろうと思うのであります。そういう
意味合いから、この際やはりもう少しくこのパーセンテージを上げる必要があるだろう、そういう中で当面するこの問題の解決を図るべきだと思いますが、この点についてはお
考えはいかがですか。
-
○
国務大臣(坊
秀男君)
政府資金、
予算の財政支出でございますが、その財政支出を
考えるに当たりましても、私は住宅が非常に大事なものであるということについては何ら
異議はございませんけれども、しかしこれを現実にどう配分していくかということにつきましては、やはり相当
考えた上こういうことになっておるのでございまするから、いま直ちにそういうふうに持っていこうというお約束はいたしかねます。
-
○
赤桐操君 次に、私は
関連公共公益施設の問題に入ってまいりたいと思います。
いま、最近における住宅建設は、公団ももちろんその
一つでありますが、大体それぞれの地域における自治体の
指導等とも重なりまして、ほとんど公的負担分というものが大体五十対五十の割合ぐらいに至っていると思います。こうした中で、公共
関連施設の負担問題が非常に表面化しておりますが、実は表面化されてから
考えてみると十年を経てきていると思いますけれども、一向にこれは
行政上の進展をみていない問題でございます。
大臣の所見を
伺いたいと思います。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) 公営、公団住宅等の建設と
関連公共公益施設の整備は相互に調整を図って進める必要があるというのはお説のとおりでありまして、またそうありたいと
考えております。公営、公団住宅等の建設は国土利用計画によって、土地利用の
基準計画というものを立て、都市計画法による市街化区域及び市街化調整区域に関する整備、開発、保全の方針に沿って実施されており、また住宅の建設に伴って必要となる
関連公共公益施設の整備を図っておるのでありまして、地元地方公共団体との間で十分な調整をとって進めているのが実情でありますけれども、なかなかこの点にも、そうは申しましても必ずしもそう一致したことでいってないと思うのであります。したがって、これらの問題につきましては、さらにこの公益施設の整備についてはもっと明確なものを立てて、そうして今後に備えなければならない、こういうふうに
考えております。
-
○
赤桐操君 五省協定等によりまして、いろいろとその改善が図られてきていることはわかるんでありますが、さらにその対象事業、対象施設、償還条件等の改善を望まなきゃなりませんので、
政府はこの際、これらの
関連整備に関して緊急
措置法等をつくることは
考えられないか。この点についてひとつ
伺いたいと思います。
-
○
政府委員(山岡一男君)
先生お話のとおり、
関連公共施設のための応援が非常に大事でございます。したがいまして、国庫補助率の引き上げ、それから立てかえ施工制度の拡充、強化、それから公庫融資の拡充、それから地方債制度とリンクいたしました利子補給制度等々、逐年中身の充実を図ってまいっております。したがいまして、今後さらにその充実を図ることを検討してまいりたいと思っておりますが、現在のところ法制化については
考えておりません。なお、先ほど五省協定のお話も出ておりましたけれども、それと類似のものでございますが、建設省内におきましても、せめて省内の公共事業はまとめてつけようという趣旨でございまして、住宅宅地
関連公共施設協議会というものをつくりまして、河山、道路等の配分等に当たりまして、団地との
関連を十分考慮するというふうな姿勢をとっているところでございます。
-
○
赤桐操君 私は実は、この問題は非常に大きな問題でありまして、いまの金利の問題とあわせて、家賃の中で、大きな実は比重を持ってきておるので、次のことをひとつ
伺いたいと思います。
具体的なもので、私のところの千葉県の村上団地の例でお尋ねしたいと思いますが、まずひとつ、この団地の総面積、それから管理開始下におけるところの有効宅地面積と公共部分の面積を、それぞれひとつお示し願いたいと思います。
-
○
参考人(
南部哲也君) 村上団地の総面積は八十万二千三百七十四平米でございます。このうち有効宅地面積は四十七万千百四十五平米、公共部分の面積が三十三万一千二百二十九平米でございます。
-
○
赤桐操君 続いてお尋ねいたしますが、この現在でき上がっておりまするところの用地の
関係で、用地費の内訳をひとつお示し願いたい。土地購入費、土地造成費、さらに負担金、植栽等の諸費用、これらについての数字をお示し願いたい。さらにまた建築工事費、建設の利息、これらについてもお示しを願いたいと思います。賃貸と分譲別に願います。
-
○
参考人(
南部哲也君) 賃貸住宅について申し上げます。賃貸住宅は先ほど申しましたように、二月末で八百八十戸でございますが、土地購入費は四億六千五百八十九万円、土地造成費は六千四百六十一万円、負担金は七億二千五百六十一万円、植栽費は三億一千百三十七万円、土地造成費の合計が十一億百五十九万円、用地費の合計が十五億六千七百四十八万円、これに対しまして建築工事費は五十五億八千三百九十二万円、建設利息、経費合わせまして総経費は八十三億六千百七十六万円と、このようになっております。
分譲住宅千三百五十戸につきましては、土地購入費が十二億四千六百九十一万円、土地の造成工事費が一億七千二百九十二万円、負担金が十九億四千二百四万円、植栽費が八億三千三百三十六万円、土地造成の合計が二十九億四千八百三十二万円、用地費の合計が四十一億九千五百二十三万円、建築工事費は七十一億九千四百八十五万円、建設利息、経費を入れました総経費が百三十七億四千二百五十二万円となっております。
-
○
赤桐操君 この中で、いわゆる土地造成費の中の負担金と称するものについて、
内容をひとつ詳細にお話願いたいと思うのですが。
-
○
参考人(
南部哲也君) この負担につきましては、一戸当たり百二十万となっておりますが、そのうちの主なものは給水施設整備費等に対するものが戸当たり三十一万円、排水路改修等が戸当たり十八万円、公園整備に対する用地費負担が二十万円、美観道路等の整備に要する費用が約二十二万円ということでございます。全体の金額を申しますと、立てかえ施工の分も全部入れますと、財源としては負担金額の総額が五十五億三千三百万円でございます。
-
○
赤桐操君 大分時間がなくなってきておりますので、私は総体的に申し上げたいと思いますが、結論的に言えば、
学校は二分の一負担、あるいは幼稚園とか駐在所等とか、こういったようなものは、いわゆる市当局に採納していくようなものについてはこれは別にいたしますが、その他のものは、いわゆる公的負担分と称するものは全部この家賃の計算の中に入るわけでしょう、結論的に申し上げますと。
-
○
参考人(
南部哲也君) 立てかえ施工の
関連公共施設につきましては、地方公共団体が逐次あれしますけれども、負担金につきましては家賃の中に算入いたしております。
-
○
赤桐操君 そういたしますると、結局、率直に申し上げれば、中の通過道路などまでいろいろと計算に入っていると思います。あるいはまた、都市計画道路なども場合によっては入っておるのではないか。その他生活道路等はほとんどその中で全部入っておるわけであります。公園その他も全部入っておる、こうなってまいりまするというと、いわゆる造成の中の四〇%が公共部分の面積でありますが、これにかけた費用がほとんど全部入っておるということになるわけですね。
お
伺いしたいと思うんですが、公租公課も入っておるわけでしょう。公的負担分四〇%の土地に対するところの公租公課も入っておるわけでしょう。
-
-
○
赤桐操君 私は率直に申し上げますが、この公的な面積にあるところの、四〇%にあるところのこれらのものは、これは率直に申し上げれば、そうした形でもって家賃に算入すべきものではないと思うんですよ、基本的には。たとえば公営住宅等におきましては家賃に入ってないはずであります。それからまた、一般のいわゆる住宅団地を造成する場合等におきましては、でき上がった場合には、これは全部市に採納しておるわけです、維持管理費はかかっておらない。そういうものが実は公団の財産としてこれは残っており、自治体に採納しないためにこれが全部、維持管理費も一切が、公的負担分の維持管理費までがかけられていることになると思うんですね。これは私はいささか大きな問題だと思うんです。税金まで、利息まで全部入っているということは、これはいささか問題があるのではないか、こういうように思いますが、いかがですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 道路につきましては、できるだけ地元の地方公共団体に引き取ってもらうように、団地完成後大いに公団といたしましては
努力をいたしておる次第でございます。
-
○
赤桐操君 そうは申しましても、公団がその地域の開発をするときには、そこの地域の自治体とは協定をしてスタートを切っているはずです。ですから、後からそういうことを言ってもこれは始まらないはずですよ。もう最初のスタートのときにそれは決まっておるはずですね。したがって、いろいろの多くの団地があるけれども、大体こういった形でもって私は維持管理されていると思います。これがやはりもう
一つの家賃を高値にしている理由の
一つだと思うんです。この問題を解決しない限りは、私は家賃問題の解決は出てこないと思うんですが、それは言ってみれば公共
関連の施設でありまするけれども、公団の立場に、これをいつまでも公団のものとして維持をしていくべきものであるかどうか、こうした公共的なものについては、別途の形でこれは国が処理すべきものであるのかどうなのか、この辺のところについて本格的な実は課題として取り組むべき時期が来たと思うんですが、総裁はいかがお
考えですか。
-
-
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) 地方財政がいろいろ財政的に困難をしている、こういう
関係から、いろいろな負担をこの公団の方が持っておるというような
関係。以下は、ただいま
赤桐さんがおっしゃったような点について、できるならばかくありたいと
考えております。
-
○
赤桐操君 公的負担分の解決、利子補給の問題、この二つの点から、
政府が誠意を持って臨むならば、私は公団の家賃問題は解決すると思うんです。あとは
政府がこれに臨む腹があるかないか、この一点にかかわってきていると思います。しかも、その
内容は非常に矛盾に満ちたものであり、国民が納得するものではない、こういうように私はひとつ主張をいたしておきたいと思います。
次に、共益費というものがございますが、これは一体どういうものですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 共益費は、賃貸団地内の共用部分の維持運営、その他居住者の共通の利便を図るための費用でございます。本来、団地内の共用部分につきましては、集合住宅――共同住宅であるという公団住宅の特殊性から、ひとしく全居住者の利用に供するために公団が責任を持って管理する必要がございます。そこで、公団といたしましては、この維持運営に要する経費を賃貸借契約書によって居住者が負担するものと特約いたしまして、これを共益費として公団の定める金額を徴収しておるのでございます。
-
○
赤桐操君 排水施設の料金というものがあるそうですが、これは中に含まれるんですか、別なんですか。
-
-
○
赤桐操君 最近、千葉県だけではないと思うんでありますが、各地の団地の中で非常に排水施設の料金を共益費と並行して取っておるところがあるようであります。特に船橋の行田というところでは、この問題をめぐりまして訴訟問題にまで発展しそうな状態にある、大変穏やかでないものが発生しておるんでありますが、このことについて御
説明願いたいと思うんです。
-
○
参考人(
南部哲也君) 行田の問題につきましては、排水処理施設の維持管理について年々公害防止の観点から、処理場より放流される処理水の水質規制の
基準が厳しく定められておりまして、そのために、既存の処理場よりはきめ細かくより適正に維持管理を行う必要があるとともに、最近新設される汚水処理施設につきましては、より高度な装置を設置いたしまして水質の保全をしなければならないという現状でございます。これに伴いまして処理施設の使用料が次第に増大しているために、公団はできるだけ効率的な運営に努めまして、絶えず使用料の低減に
努力しておる次第でございますが、この問題につきまして、実は行田におきましては賃貸、分譲両住宅がございますが、分譲の方の団地におきまして排水施設が高過ぎるという議論がございまして、これが現在公団の方で極力お話し合いをつけている次第でございます。
-
○
赤桐操君 千葉市の中にある公団の場合では、賃貸の場合の共益費はわずかに七百円ないし一千百円程度だと思います。これに対しまして、行田の賃貸の場合の共益費は三千九百円。このうち汚水処理
関係の料金が二千四百円、下水道ですね。それで、家賃の中に千三百五十円含められておる、合計して三千七百五十円がいわゆる汚水処理
関係の費用である、こういうことでございます。要するに、三千九百円と七百円ないし千百円、大分大きな差がありますが、これはどういう理由ですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 賃貸の場合は、いまお話しのように三千七百五十円ということでございますが、分譲の場合には、家賃相当額といたしまして千三百五十円というものが共益費相当額の中に含まれておる、このようになっておるわけでございます。
-
○
赤桐操君 これは結論的に申し上げれば、公共下水道があるかないかの差だと思うんですよ。公共下水道があるところでは非常に安いところに入っている、ないところでは大変なものを払わなきゃならぬ、ここに問題の争点があると思うんです。と同時に、行田の場合には、入居者に対してどういう
説明をしてやったのかどうなのか、なぜ訴訟問題にまでいかなきゃならぬのか、こういうように実は私
たちは不思議に思っているんです。この点についてお
考えをひとつ示していただきたいと思うんです。
-
○
参考人(
南部哲也君) 実は、行田の付近の分譲住宅の契約の手続におきまして、普通は、共益費の問題につきまして同時に契約を締結するという
措置が全部とられておるんでございますが、たまたま行田の場合にこの手続が欠けておったわけでございます。そのためにこれが紛争のもとになりまして、普通はもう入居する際に、入居の承諾書と同時に、共益費の契約書も同時に判をいただくというシステムになっておるんでございますが、行田の場合、たまたま当方の手落ちで付属の共益費の契約書につきまして判をいただくという
措置がとられなかったというのが紛争の原因でございます。
-
○
赤桐操君 私の手元に支払い命令の写しが来ておりますけれども、それはいまのような手落ち等があるならば、原点に戻してお話し合いをなさることがいいと思いますが、いかがですか。
-
-
○
赤桐操君 最後に敷金について
伺いたいと思うんですが、村上団地で敷金を取るに当たって、入居時の家賃の三倍の敷金ではなくて、最終の傾斜家賃の三倍になる。したがって、入居時の場合に大変な差があるようでありますが、これはどういうわけなんですか。
-
○
参考人(
南部哲也君) 大体、敷金につきましては三カ月ということで従来やってきております。これは三カ月家賃を滞納いたしますと、明け渡しの請求とか、そういうような
措置を公団としてはとらなければいけないというところからきております。これが傾斜の場合にどこを抑えるかということが、ひとつやはり大きな検討問題といたしまして、現在家賃全体の体系と一緒に検討中でございます。
-
○
赤桐操君 これは、もうすでにいろいろ家賃滞納の場合の積立金もあるわけだし、すべて家賃の中にそういう対策費が入っているはずです。ですから、入居時の敷金として三カ月分取るというのはこれは常識ですけれども、その一番高値のものを取るということは、これは今日の日本の社会通念に反することですよ。再検討をひとつ要望したいと思います。
-
-
○
赤桐操君 以上、いろいろの問題を申し上げてまいりましたけれども、しょせん私は、公共
関連諸施設を思い切って
政府が乗り出して解決に当たらなければ、これらの基本的な家賃の問題や生活の安定を図るための住宅政策というものは成り立たぬと、このように
考えるものでございます。
最後に、時間がありませんので
一つだけお
伺いしたいと思いますが、住宅金融公庫の問題でありますが、これは現在の状態で見ますると、大体建設する場合におきましては三分の一程度の資金の融資しか行われておりません。これではやはりいろいろの資金を借りて建てなきゃならない状況にあるので、非常に庶民は苦しい状態に置かれております。したがって、住宅金融公庫についてはもっと思い切って増額をする必要があると思うが、この点についていかがですか。大蔵
大臣お願いします。
-
○
国務大臣(坊
秀男君)
お答え申します。
住宅金融公庫でございますね。――住宅政策が
政府の重点施策であることにかんがみまして、住宅公庫貸し付けの原資となる運用部の借入金及び金利の逆ざやを補てんするための一般会計からの補給金は近年大幅に増加しております。しかし、住宅金融公庫に対する需要は五十年度から抽せん制を採用せざるを得ないほど旺盛になっておりますから、このような状況のもとで限られた財政資金をできるだけ多くの希望者に配分するため、貸し付け一件当たりの限度額を現行以上に引き上げるということはちょっと困難でございます。
以上、
お答え申します。
-
○
赤桐操君 最後に
一つ建設
大臣に
伺いたいと思いますが、いままでの状態を見てるというと、地方自治体は地方自治体、公団は公団、あるいはまた公庫は公庫、民間のデベロッパーはデベロッパー、こういう形でもってそれぞれの事業主体に任せた開発であったと思います、住宅政策であったと思います。そうではなくて、もっと土地利用の基本的な対策を確立をして総合的に
指導をしていく必要があると思いますが、こういう形で将来
考えるべきだと思いますが、あなたはいかが
考えますか。
-
○
国務大臣(
長谷川四郎君) 私もお説のとおりだと思うんです。したがって、これをもっと国土利用という上に立った統一した
考え方において進めていくならば、先ほどからの御
指摘の家賃の
問題等も幾分でも安くなるんではないだろうか、こういうふうに
考えております。努めてそういうような方向づけをするように今後さらに
努力を傾けてまいるつもりでございます。
-
-
○
委員長(
小川半次君) 次に、太田淳夫君の質疑を行います。太田淳夫君。
-
○太田淳夫君 報道によりますと、去る三月二十五日、岐阜県の神岡の鉱山病院のスモン病の問題がいま報道されておりますが、そのほかにも養老郡のある病院ではキノホルムの違法投与事件、こういうものがいま報道されておりますが、この中にやはり
行政のさまざまな
問題点が浮き彫りにされてんじゃないかと思います。その点に関しまして最初に御質問したいと思います。
まず、その概要を
説明していただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 概要について
説明いたします。
昭和四十一年から四十二年をピークに岐阜県神岡町に五十数名のスモン患者発生がございました。当時、県及び祖父江名大助教授が神岡鉱山病院の協力のもとに詳細な現地調査を行いました。その調査結果をスモン調査
研究協議会に
報告をされました。一部の報道に伝えられておるスモン患者隠しという事実はございません。スモン調査
研究協議会の調査及びその結論はいささかの疑問の余地もございません。
-
○太田淳夫君 いま概要
説明がございましたが、五十数名ということではっきり数は厚生
大臣の方からお話がありませんでしたが、これはそれぞれ医療機関による調査、県の調査、そして国へ
報告されてきた数、そして祖父江名大教授が調査をして論文で発表した数、こういうことが出ておると思うんですが、それを明確にしていただきたいと思います。
-
○
政府委員(上村一君) この件につきまして、新聞報道で五十四名の患者が発生しましてから、県を通して二十四名の
報告しかございませんので、その病院あるいは県に、そういったことについて覆い隠そうとしたことがあったんではないかというふうに
考えてみたわけでございますけれども、そういう事実はございません。それで祖父江――当時助教授でございますが、助教授による神岡町の調査というのは四十三年春から開始されまして、その調査の途中の四十四年に国のスモン調査
研究協議会の全国患者調査が行われたのでございます。この時点で祖父江助教授から、調査が完了していた二十四名についてとりあえず県を通じて
報告が行われ、残りの患者につきましてはその時点で
研究班員によるキノホルムの服用状況がどうなっておるかという調査が追加して行われまして、しかも、全国の患者調査の
報告事項はそのキノホルムの服用調査事項に含まれていますために、国の指示によって県を経由せずにスモン協の臨床班員であった祖父江助教授を経て協議会の方に
報告させることになったわけでございます。したがいまして、神岡町のスモンの
報告というのは全患者について行われたものでございますが、県を経由した
報告というのは二十四名にとどまったと、こういうふうに
理解しておるわけでございます。
-
○太田淳夫君 そうしますと、厚生省として確認をしている数は何名なんですか。
-
○
政府委員(上村一君) 厚生省として把握しておりますのは五十数名であるというふうに私聞いておるわけでございます。
-
○太田淳夫君 五十数名という数にまた戻ったんですけれども、この問題が発覚しましてからというか、報道されましてから現地に係官を派遣したわけですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 神岡町の三井鉱山病院につきましては、五十七名を把握いたしております。
-
○
委員長(
小川半次君) 佐分利
局長、厚生省から調査に派遣したかということを聞いておるんだよ。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 失礼いたしました。
難病対策課の主任技師の森宗技官を派遣いたしております。
-
○太田淳夫君 森宗技官を岐阜県に派遣されたそうですが、どこへ行かれたんですか。岐阜県庁ですか、現地へ行かれたわけですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 名古屋大学の祖父江教授のところに参りまして詳細を調査いたしまして、県庁の方とは電話連絡をいたしております。
-
○太田淳夫君 私が聞きましたのは、現地に係官を派遣したかということを聞いたんですが、その点どうですか。
-
-
○太田淳夫君 この問題はやはり非常に大きな問題を含んでいると思うんですね。厚生省はいま御答弁の中に、祖父江教授のところには行って県庁には電話連絡したというような態度をいま話をされたわけですけれども、それではこの問題に取り組む姿勢が非常に弱いと思うんです。私どもも、四日の日に公明党の調査団が現地へ参りましたが、やはり厚生省の係官はだれも来てないという証言を、保健所とか町役場とか鉱山病院でも言っておりましたし、あるいは高山保健所の、いまそれぞれの看護婦の方が家庭訪問をされていますけれども、その家庭訪問されている方々が非常に苦労されている。しかし、保健所に対しても何の指示も実際に来ていない、こういうような状況ですが、これは一体だれが責任をとるんですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 厚生省といたしましては、まず県の衛生部に連絡をいたしまして、衛生部が地元の保健所、病院の方に連絡をとっております。また、病院の院長も私のところに参っておりまして、私から直接院長にいろんな指示もしてございます。
-
○太田淳夫君 私は、県の衛生部を通じていろいろ調査さしたと、こういうお話でございますが、県は県なりにそれで
努力をしていることば確かですけれども、こういう重大な問題が起こったわけですから、厚生省はやはりみずから現地に赴いてこの調査に当たるべきじゃないかと思うんです。厚生
大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 末端の問題はそれぞれ県があって、直接一々全部厚生省がどこへでも出かけていくという仕組みにはなっておらないんです。ですから県の衛生部でいろいろ指示をしてやっていただくことはやっていただくと、こういうふうなたてまえになっております。
-
○太田淳夫君 しかし、このスモン病はいま裁判問題になっておりますが、そのことは申し上げませんけれども、私も岐阜県に住んでいるわけでございますし、このような問題が岐阜県で起こったことは非常に遺憾に思います。私も現地でこのスモン病にかかってみえる患者の方々にもお会いしたことがありますけれども、それは非常に悲惨な問題です。裁判の所見等によりますと国、製薬会社等の責任がやはりあるということは明確になりつつありますけれども、そういった点でもっと真剣にこれは取り組んでいかなきゃならないんじゃないかと思います。電話連絡だけで、それで現地に派遣した係官が済まされているような状態であっては、ますますこれは現地の方では混乱を起こしてくるんじゃないかと思うんです。その点で私はいまお話をしているわけです。こういったことでは、厚生
大臣もよく福祉の心と言われますけれども、本当の
意味の福祉の心が末端まで通じていくかどうか私心配しております。しかし、厚生
大臣はなかなか、何とか実行力がある方のように見えますので、この問題についても真剣になって取り組んでいただきたい、こう思うわけです。
それで、先ほどお話がありましたが、五十数名というような、そういった数の
報告が来ているわけですけれども、五十七名ですね、五十七名という数。これは患者の数が五十七名と、そのとおりですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 五十七名の中にはすでにお亡くなりになった方が一名、それから容疑者が七名含まれております。
-
○太田淳夫君 現在五十七名の患者の掌握をしてみえる、厚生省がこの五十七名という数をつかんだのはいつですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 最終的につかみましたのは今月の初めでございます。まず病院の方から県の方に最終的な
報告があり、県の方が祖父江教授とそれを確認した上で、厚生省に衛生部長と予防課長が参りまして
報告をいたしました。
-
○太田淳夫君 そうしますと、それ以前は厚生省の把握としては、県から
報告があった二十六名ということでいままでは処理し、対処してきたわけですね。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君)
先生もよく御存知のように、現在のスモン
研究班は、当時はスモン調査
研究協議会と申しておりましたが、この協議会の四十四年から五年の暮れにわたる調査は、大きく分けますと二つのルートがございまして、
一つは協議会の班員である専門医の方々を通じて
資料を集めたというルートと、もう
一つは各県の衛生部を通じて病院から
資料を集めたというルートがあったわけでございます。そこで、いま
先生がおっしゃいました県のルートで鉱山病院の患者が二十四となっておりましたけれども、もう一方の協議会の軍門医の方々のルートーはっきり申しますと名古屋大学の祖父江教授のルートでございますが、そこからは五十四名の
報告がされていたわけでございます。そこで、残りの三名がどうなるかということでございますが、その三名が今回の再度の調査でわかってきた三名でございまして、そのうち一名はもうお亡くなりになっております。また一名は、前回の
報告の後、ほかの市から神岡町に転入なさった方でございます。また最後の一名は、かつてはスモンではないと思われていた者でございますけれども、今回の調査でそれはスモンであるというような診断になったものでございます。
-
-
-
○矢原
秀男君 厚生
大臣に質問いたしますけれども、いまあなたは答弁の中で、この問題は末端の問題、こういうあなたの答弁があったわけです。こういう大事な大問題がなぜ末端の問題なんですか。あなたは厚生
大臣としてもっと真剣に人間の生命という、そういう大事な立場の中で、厚生
大臣としてこういう問題が明らかになってどう手を打つべきであるか、末端の問題とは一体何をあなたは言っているのですか。まずこの問題について、もう一度あなたの見解を聞きたい。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 私が申し上げたのは用語が不適当だったかと思いますが、要するに
現場の問題という
意味で申し上げておる、不適当であれば訂正をいたします。決して軽々に見ているわけではございません。
-
○矢原
秀男君 そして、いまあなたが言われておりますように、
現場の問題という話が出ております。いま末端の問題については訂正されたからそれで承知しますけれども、
現場の問題といっても、事故の問題によって町や県で対応できない問題、一生懸命しているけれども。そうして、こういう問題が明らかになったときに厚生省として真っ先に現地に乗り込んでいく。あなたは午前中の答弁でも、きのうでもそうでございますけれども、相当の陣容を整えていらっしゃる、こういうふうに答弁があったわけです。これは
現場で起きた問題であるけれども、これだけ人間の生命というもの、一名が死亡している、そうして
報告の後にまた一名が亡くなっている。もう一名の方はスモンでないと思ったけれども結局は亡くなられた。合計三名の死者が出ている、こういう問題を私が見ましたときに、多数の生命に非常にこれはかかっている重大な問題なんです。それを
現場の問題であるから県から国は
報告を受ける、こういうふうな対処の仕方ではいけません。いままでのいろんな大きな問題の中で、厚生省や国はみんな動いていますよ。なぜ、こういうふうに行動派のあなたが厚生
大臣になって、このような重大な問題に、末端の問題であるとか
現場の問題であるから県から指示を受けて、そういうふうなことで、あなたは本当に重視をされているんですか、この問題を。死者まで出したこういう大問題、国で問題になっているじゃないですか。ですから、私が結論的に申し上げたいのは、厚生省として現地に、
現場に派遣をして、そうしてきちっとした調査をして、県とタイアップをして逆に県を
指導してあげる、そういうふうな態勢がいま必要じゃないんですか、答えてください。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) まず一般的な問題といたしまして、たとえば私どもが担当しております急性伝染病の防疫対策のときなどもそうでございますけれども、最近は各都道府県の衛生部とか保健所の力も昔よりは非常についてまいりましたし、また地方自治法等で定められております固有事務だとか、地方自治の本旨だとか、そういうふうなこともございますので、そういうふうな問題が起こりましたときには、あらかじめ本省が各県の衛生部に連絡をいたしまして、応援しようかどうしようかという相談をするわけでございます。そういう
関係で、今回県の方は
自分の方でやるからしばらく待ってもらいたいということを申しました。また、今回のスモンの調査につきましては、これはかねてから国がスモン調査
研究協議会に委託をして、学者の
グループに
お願いをしてやっていた調査でございまして、その調査結果について若干の問題が起こってまいりました場合には、まずその学者
グループの方でチェックをしていただくというような問題もあったわけでございます。したがいまして、その両者兼ね合わせまして、私どもも県の方に連絡いたしましたし、学者
グループの方も学者の祖父江
先生、あるいは地元の病院の方に連絡をいたしました。いろいろ相談した結果、地元の方でまずやらせてもらいたいというお申し出がございましたので、私どもの方は
先生がおっしゃるような特別な職員を派遣して協力
指導態勢をとるということはしなかったわけでございます。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) ただいま
局長から言ったとおりでございます。厚生省といたしまして、私は一般論を申し上げたわけでございまして、ともかくいろんな問題がありましても、一々厚生省が現地にともかく先に飛び出してしまうと、組織上そういうことをやっていないわけですよ。やはり電話もあるしいろんな機関もございますから、そういうところから
報告を求め、あるいは
指導もし、必要があれば当然それは現地にも出かけていく、そういう手続を踏んだ
関係上、現地まで乗り込まなくても問題の解明ができたと、こういうことのためでございまして、決してそれを軽々に見ておる、そんなことは絶対にありません。
-
○太田淳夫君 もう一度問題を整理しますけれども、佐分利
局長はこの問題があらわれたときに、神岡地区では五十四例も発生したとは知らなかった、こうまず認めたわけですね。そうして四月一日には、厚生省は四十五年においては四十八例は確認済みだと、いわゆる祖父江教授が調査された、そしてこの論文に発表された、
報告書に発表された五十四名、その中で四十八例はこれは認めると、こういうことをおっしゃったわけですね。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) まず、私ども現在のポストに参りましてからまだそれほど長い期間でございませんので、私とか担当の難病対策課長はK町の病院ということについてはどこであろうかということは知らなかったわけでございますが、私どもよりも前の時代の本省の連中または県の連中は、その点はよく知っていたわけでございます。と申しますのは四十一年、四十二年にスモンが多発いたしまして、当時はウイルス説が強うございましたので、公衆衛生局の防疫課がそういった
角度から特別な調査を県の衛生部と一緒にやっております。そういう
関係で知っておりました。
そこで、後の患者の数の問題でございますが、まず四十六年三月のスモン調査
研究協議会の御
報告にK地区の患者発生として五十四例が
報告をされたわけでございます。その後、キノホルムの服用調査を協議会の専門医の方々を通じて行いましたときに、祖父江教授は、その五十四例のうちからスモンとはっきり診断のできました四十七例を
報告されたわけでございます。したがいまして、私どもは容疑者を入れれば五十四例、容疑者を除けば四十七例というように
考えていたわけでございます。
-
○太田淳夫君 その結果、やはり岐阜県からの
報告というのは二十四名という
報告が来ておりますし、この祖父江教授のそういった検査によれば四十七例、いまあなたの言葉で言いますと、四十七例出たわけでございますから、その結果については岐阜県庁の方に連絡をして調査さしているわけですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) その点につきましては、厚生省自体もまた厚生省から委託を受けましたスモン調査
研究協議会も特に岐阜県庁に問い合わせばいたしておりません。
なお、岐阜県庁が最初の調査で二十四例と
報告いたしましたのは、当時の調査が四十三年、四年、その間の発生患者であるというように病院側が思い違いをしたようでございまして、そこで、四十三年、四十四年の患者二十四例を
報告いたしました。そこで、四十二年以前の患者につきましては、病院は先ほども申し上げましたようなウイルス説ではないかということで、厚生省と衛生部が地元の調査をしておりますので、そのときにもうはっきりしているから
報告の必要はないと
考えて、そのような結果になったものでございます。
-
○太田淳夫君 しかし、このような調査の結果は出ているわけですから、厚生省としては、私
たちはやはり再調査を命ずるのが本当だと思いますね。その指示を明確にこれは出していないのじゃないかと思うんです、そうなりますと。いままで起きているスモン病の患者について全部
報告しろという正確な指示が病院に対してないものですから、そういう結果になったのじゃないかと思うのですね。したがって、あなたがいま言われたように、病院の方の手落ちがあった、思い違いがあったと、こう言われますけれども、厚生省としても四十七例なら四十七例、あるいは祖父江教授は五十四例と最初に
報告書に書いてございますけれども、五十四例という
報告が来ているけれども、厚生省としては県側からの
報告がないということで、その神岡地区におけるスモン病の患者については二十六名ということでいままで対処してきたのですね。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) スモンの調査
研究もすでに長い間やっているわけでございますが、ただいま
先生から御
指摘がございましたような地区別と申しますか、あるいは町村別の患者の発生状況の分析をやりましたのはこの五十一年度が初めてでございまして、私どもはそこで初めて少し数字が違うなというような感じを持ったわけでございます。それまでは都道府県単位に観察をいたしておりましたので、県内の各地区の模様というのがそれほどはっきりしなかったわけでございます。
-
○太田淳夫君 この二月にスモン調査
研究班がスモン多発地区と発病率というのを発表しましたけれども、それによると神岡町はどういうようになっていますか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) ちょうど五十一年度の調査
報告をまとめるために
研究班の
先生方にお集まりいただきまして、いろいろと御検討をいただいていた最中でございましたが、その原案では神岡町は九番目にランクをされておりまして、県から
報告の二十六例、これは神岡町の二十四プラスその他の二ということでございますが、ということで分析が進められていたのでございます。
-
○太田淳夫君 そうしますと、いま患者がはっきりカルテがあるとわかっている五十七名で計算すると、どういうふうになりますか。
-
-
○太田淳夫君 ですから、私
たちが
考えますには、いま問題になっておりますように、スモン隠しと言われておりますが、このように正確な数というのが非常にあいまいになっているということです。私どもせんだって調査に参りましたが、神岡町でははっきりしたデーター調査はいま進めていますけれども、患者については六十名いまいる、こういうふうに町側の
報告が出ておりました。それによりますと、現在、町内に在住している人は三十四名、転出が七名、死亡が十九名、こういうふうになっているわけです。その点についていかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 神岡町はそれほど大きな人口の町ではございません。一万三、四千の町だったと思いますが、病院が三つございまして、三井金属鉱業
関係の病院が二つ、そのほか神岡病院と同じような規模でございますが、町立病院がございます。そういった
関係で町立病院の方からも少しスモンの患者が出たであろうということは予想されておりますけれども、ただいま
先生がおっしゃったような膨大な数というのは初めて聞いたわけでございまして、私どもはそのような数はまだ聞いておりません。
-
○太田淳夫君 これは私ども現地に行って神岡町できちっと調べたわけです。したがって、厚生省としても、この祖父江
先生はA病院と言っていますが、確かに病院が三つあるかもしれませんけれども、総合的にやはり調査を進める必要があると思いますし、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 私どもといたしましては、病院、県の
報告を拝聴いたしまして、先ほども申し上げましたように、五十四と思っていたものが三名ふえて五十七になったわけでございますけれども、その五十七の方々も記録が残っておりますし、特に
先生がおっしゃるように神岡町についてさらに精密な調査をする必要はないと
考えております。
-
○太田淳夫君 そうすると、いまは五十七名が現在の神岡町の患者数である、こういうことですね。
-
-
○太田淳夫君 この九名を増加したということは、これは大変重大な問題じゃないかと思うんですよ。かつて四十八名と発表されたそれから比べると五十七名になって九名増加しているわけですけれども、この九名増加したというのは調査漏れなのか転入なのか、あるいは継続してそういう症例が発生してきたのか、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 実際に調査したものでございませんから、推測しか申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、かつてはスモンでないと思われた者がその後観察してみると、どうもスモンらしいという場合があろうかと思います。また、キノホルムを飲まないでもほんのわずかはスモンの方が出てくるわけでございますから、そういうふうな方もあるかもしれません。そういったことのほかに、あの町は非常に人口移動の激しい町でございまして、ほかの町に出ていく方もあれば、ほかの町から入ってくる方も多いわけでございます。そういうふうな
関係で、外部から入ってきた患者さんというようなことも
考えられるところでございます。
-
○太田淳夫君 厚生省として、この調査結果を早急に調査をして私は
報告をしていただきたいと思いますが、いまいろいろとお話はしてきたわけですけれども、数というのが非常にあいまいなままで来ているんじゃないかという感じがするわけです。したがいまして、これから
考えていきますと、全国で一万一千七十人という、現在厚生省のスモン患者のデータがございますけれども、このリストから漏れているようなやはり患者がいることはもう確実だと思うんです。そういった点で、厚生省としてこのスモン患者の再調査を私はすべきだと、このように思いますが、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) 二万一千の患者につきましては、確かに
先生も御
指摘になりましたように漏れがあると思います。これはどんな調査でも、また悉皆調査、全対象者を対象にする調査でもそういうことはときどき起こるわけでございます。しかしながら、私どもは今回の神岡町の例でも貴重な
経験をしたのでございますが、先回の調査の漏れがそれほど大きくはないということが非常な貴重な
経験になったわけでございます。
また、私どもといたしましては、これまでスモンの原因解明とか、あるいはその他の
関係から純粋な学問的な立場から調査
研究を進めてきたわけでございますので、現在の調査はかなり精度の高いものでありまして、原因解明等については十分な正しい結果の出てくるものであると信じておるわけでございます。そういった
意味で
先生がおっしゃるような追加調査なり何なりをする必要はないと
考えております。
-
○太田淳夫君 しかし、祖父江教授が調査した症例は五十四ですね。それからふえているわけです。この
人たちが本当にスモンであるかどうかということは鉱山病院で認定できるわけですか。それで、やはり学術的な調査のもとにこの症例はまさに出ているわけですから、やはりそれと同じようなことをたとえば祖父江教授を派遣するなどして、もう一度患者の
皆さん方に当たる必要があるんじゃないですか。いかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) その点につきましては、私どもも祖父江教授に
お願いいたしておりますし、また病院の方も教授にそのような要望をいたしておりますし、教授御自身もいまは付属病院長で大変お忙しい方でございますけれども、できるだけの御協力はしてくださると
考えております。
-
○太田淳夫君 大体いつごろの時期にそれを実施する予定ですか。そこまで話は詰まっていませんか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) まず中心になりますのは、名古屋大学の祖父江教授でございますが、これから五月いっぱいまで学会等で大変お忙しくなろうかと思います。そのほか地元の病院とか、あるいは保健所、県の衛生部、いろんな都合があろうかと思います。そういう
意味でできるだけ早くということしかいまは申し上げられないかと思います。
-
○太田淳夫君 できるだけ早く調査を進めてもらうように
お願いしたいと思います。
また、神岡町
関係のスモン患者というのは、町側では六十名いるといま言っているわけです。これらの患者の中には重症で寝たきりの方も見えるし、また軽症の方も見えますし、あるいは中には自殺をされた方もいま見えるわけです。こういった点で公費負担とか、あるいは身体障害者制度など、いま現在
考えられているような、あらゆるやはり救済策を講じていただきたい、こう思うんですが、その点いかがですか。
-
○
政府委員(
佐分利輝彦君) すでに現在ございます治療
研究、つまりスモンの患者さんの医療費の公費負担制度でございますが、これによって神岡町の患者さん方の医療費のお世話をしておりましたけれども、その制度を使いまして必要のある方方には医療費の公費負担をしてまいりたいと
考えております。
-
○太田淳夫君 次に、養老中央病院の件ですけれども、この病院ではキノホルムを使用販売中止した後もこの薬が使われていた。しかもスモン患者に対して使われていたということがいま問題になってますね。このことは厚生省の監督がやはり不行き届きではなかったか、このように思うわけです。厚生省の通達が末端の医療機関まで届いていない、こういう証拠じゃないかと思いますが、なぜこのようなことが起こったか
説明していただきたいと思います。
-
○
政府委員(上村一君) まず四十五年の八月にそのスモン調査
研究協議会の班員である椿教授からキノホルムの使用量とスモン病発病率との間に相関
関係があるという旨の発表がありまして、翌月にその販売停止
措置を行ったわけでございます。それでいまお話しの事件と申しますのは、私も新聞を通じて知ったわけでございますが、そういった販売停止
措置あるいは使用を見合わせるように
指導いたしました通達を出しました後、十月以降にすでにスモン病である患者さんについてその投薬が行われたと。それで私どもキノホルムの販売中止
措置の通達というのは都道府県知事に出し、これを受けました都道府県知事というのが管下の病院に周知できるように
措置をとったということでございます。そして本件は県を通じて聞きました話でございますけれども、患者さん自身が非常に下痢が激しくて、そうして従前飲んでいたキノホルムを投与してもらいたいというふうなことがあって、病院としては投薬したんだというふうなことがあったんだというふうにこれは聞いたわけでございます。
-
○太田淳夫君 そうして通達を出しましたね。通達出されていますね。
-
○
政府委員(上村一君) いま申し上げましたように、四十五年の九月に薬務
局長名で各都道府県知事あてキノホルム及びキノホルムを含有する医薬品の取扱いについて通達をしたわけでございます。
-
○太田淳夫君 その中の三項で「陽性末端皮膚炎等医療上これらの医薬品を使用することが特にやむを得ない場合の
措置については、おって通知する」、こう書いてありますね。
-
○
政府委員(上村一君) その九月の通知の第三項目にそういうふうなことが書いてございます。
-
○太田淳夫君 このやむを得ない場合の
措置について追って通知する――この通知はしましたか。
-
○
政府委員(上村一君) 十月にキノホルム及びキノホルムを含有する医薬品の取扱いの通知という通知を薬務
局長名で各都道府県知事あて出しております。
-
○太田淳夫君 十月ですか。
-
-
○太田淳夫君 やはりその通達がきちんと末端まで徹底をしていなかったために、この病院ではその患者に使用を中止後も八カ月間も使用していた、これは事実ですね。ですから、
一つの通達がやはりきちっと守られていかないと、いまこの患者の方は非常な気の毒な状態におるわけですけど、そういうことが起こり得るんじゃないかと、こう思うわけです。その点厚生省としても、今後県に任せっぱなしということじゃなくて、しっかりとそういった
一つの通達でも徹底できるように監督、
指導を
お願いしたいと思うんです。最後に、問題を含めまして厚生
大臣から。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 当然厚生省としては末端まで徹底するように
指導をしてまいりたい。しかし、現実の問題としては、厚生省は手足を持っておりませんからね。現実の問題としては県庁を通して、県が保健所を通してそういうふうな衛生部やなんかが医者のいろんな
指導をしているわけですから、ですからそれはもう徹底するようにいたします。それと同時に、医者の方もテレビとかラジオとかなんかでもあれだけ騒ぎになっておるんですから、それは何カ月も知らなかったということもいかがなものかと私は思うんです。さらに徹底するようにはいたします。
-
○太田淳夫君 それでは次の問題に移ります。
次に、救急医療の問題についてちょっとお
伺いしますけれども、昨日も同僚の目黒
委員が相当詳しく質問されておりましたが、私も、党としてもこの問題についてはいままで真剣に取り組んでまいりましたので、その点ちょっと御質問さしていただきますけれども、ここで消防庁の方お見えになっていると思いますけれども、この数年の救急救助業務の搬送状況を御
報告願いたいと思います。
-
○
政府委員(林忠雄君)
お答えいたします。
昭和五十年中の救急隊員が出動した件数は、全国で百五十四万件ございました。これにより百四十八万人の救急患者が救急隊によって医療機関等へ搬送されております。これは全国でございますから、一日平均すると四千二面十三件になりますので、約二十一秒に一回の割りで救急隊が出ている。それから国民の七十二人のうちの一人が救急隊で搬送されたと、こういう状況でございます。この
内容は、百四十八万人のうちで五〇・二%、約半分が急病でございます。それから交通事故が二三・五、約四分の一、一般負傷が一三・六、八分の一、大体こんなふうになっております。
それから、この百四十八万人の患者の医療機関別の収容の
内容は、救急告示医療機関が全体の六八・八%、約三分の二、残りがその他の医療機関、こういう形になっております。
-
○太田淳夫君 たらい回しの実態はどうなっておりますか。転送状況、問い合わせについてちょっと。
-
○
政府委員(林忠雄君) いわゆるたらい回しでございますが、一カ所で収容できなかったり、医療が施せなくて他の医療機関に回ったというものでございますが、これは転送の状況とそれから問い合わせの状況に分けて
お答えいたします。
いま申しました五十年度中の百四十八万人のうちで、調査ができましたのが百四十四万人、ほぼ全体に近いわけでございます。それによりますと、転送なしに一回で医療機関に収容された救急患者は全体の九七・六%でございます。ほとんどがと言ってもいい。残りの二・四%が一回以上いわゆる医療機関の間を転々としておる。二・四%というのが三万四千二百余人でございますが、その内訳は、そのうちの三万三千五百余人が一回から三回の間ということでございます。ですから、この残りは非常に。パーセンテージとしては少ないわけでございますが、数にいたしますと結構出てまいりまして、四回から六回が七百人余り、七回から十回が三十九人、十一回以上が十三人と、こういう数字も出ております。
また、転送された三万四千人余りのうちの転送理由は、処置困難、つまり非常に傷が重いのでここではというのが二〇・八%で、これが一番高く、そのほか医師がいない、これが一九・四%、ベッドが満床一八・三%、まあこんなようになっております。
それから問い合わせの方の状況でございます。問い合わせの状況は、この百四十八万人のうちで百一万人ほどについて調査ができました。この百一万人の調査によりますと、問い合わせなし、または一回の問い合わせで医療機関に収容された者が全体の七七・六%、残りの二二・四%に当たる約二十二万六千人が二回以上の問い合わせをやっております。で、その二回以上の問い合わせですが、一番うまくいかなくて十一回以上というのが四千六百人ほどということになっております。
-
○太田淳夫君 それでは厚生省にお聞きしますけれども、救急告示病院の、ここ数年の新たに告示をした数と取り消した数を御
報告願いたいと思います。
-
○
政府委員(石丸隆治君)
昭和四十七年四月一日以降五十一年三月三十一日までに新しく告示いたしました医療機関数が八百五十二カ所でございます。それと告示を取り消した医療機関が七百九十カ所でございまして、この四年間に差し引き六十二医療機関が増になっておるところでございまして、五十一年四月一日現在の数、告示の数で申し上げますと、病院が二千九百二十四、診療所が千八百四十七、合計いたしまして四千七百七十一医療機関が現時点におきまして告示をされております。
-
○太田淳夫君 結局、新たに告示をされた数とやめる数が平行をたどっているところがやはり問題じゃないかと思うんです。
そこで、やはり厚生省にお聞きしますけれども、現在の告示制度は、省令によりまして外科にこれは適用されているわけですけれども、ただいまお話があったように、搬送状況というのはその告示制度ができたときとは大分変わっているわけですね、内科、小児科系統がもう半数以上になっているわけです。ですから、もうこれは現状に合わないんじゃないかと思うわけです。したがって、その省令を洗い直して、内科、小児科にもこの制度を設けるべきじゃないかと、こう思うわけですが、その点いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 確かにこの告示制度ができたときとはかなり変わっておる。それで、先ほどもちょっとお話がありましたが、百四十万人の搬送患者のうち半分が内科だというわけです、ところがこの内科の告示というのはどういうふうにやる方がいいのか。外科の場合はいろいろ
基準がありまして、こういう器械がある、こういう施設がある、ああいう物があると。そうすると内科の告示というのは、じゃお医者さんが一人いればいいのか、聴診器でもあって医者がいてちょっとした施設があればいいのか、そこらの
基準の
問題等をどういうふうにするか、技術的に詰めなきゃならない問題があろうかと存じます。しかし、これは内科で、小児科などは告示してくれって――申し出によって告示はやっておるわけですから、大体、申し出によって。そういう奇特なお医者さんがいれば私は告示してやったらいいんじゃないかという気持を持っているんですが、なかなか事務当局としてはいろいろなまだ問題があるので、そこまではっきり言われても困るということのようです。もっと委細聞きたければ事務当局から
説明させます。
-
○
政府委員(石丸隆治君) ただいま
大臣から
お答え申し上げたようなことでございまして、この救急告示というのが、ただいま
大臣からも
お答え申し上げましたように外科を中心として行われておる。最近の救急事情というものは、
先生御
指摘のように内科、小児科の患者が五〇%を超える状況になっている。この新しい事態に対してどう対応するかということでございますが、われわれといたしましては、この救急告示を申し入れた病院、この一部の病院が救急を担当するというよりは、すべての医療機関に救急医療に参加してもらいたいと、かように
考えておるところでございまして、特に告示をするというよりは、すべての医療機関を在宅当番医制なり輪番制で参加してもらうと、こういう基本的な
考えがございますので、ただいまのところ告示についての検討はいたしておりません。
-
○太田淳夫君 消防庁の立場としてはいかがですか。内科、小児科系の告示制度の必要性というのはどう
考えますか。
-
○
政府委員(林忠雄君) 搬送いたします立場から申せば、できるだけ早くその病状に最も適応したところで収容していただきたい。そういう
意味では、いま御
指摘になりましたような
問題点、厚生省でもよく詰めていただきまして、この制度の改善を
考えていただきたいと思っております。
-
○太田淳夫君 いま消防庁からそういう御
意見がありましたが、休日夜間急患センターあるいは当番医制というお話もありましたけれども、これは内科、小児科を対象としているのですが、やはり一部地域にこれは偏るというやっぱり欠点があるのじゃないかと思うのですね。ですから、いま第
一次救急の
考え方でやってみえるこの当番医制とか、あるいは休日夜間センター、これを定める前にこの内科、小児科の告示制度を設けるべきじゃないか、こう思うわけですけれども、その点いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 先ほども医務
局長から答弁いたしましたように、外科の場合は施設とか手術に必要なものとかを条件にして、医者の数と看護婦とかということで告示の条件ができるのだけれども、内科の場合はメリットがどれだけあるのか。特に小児科なんかの場合は大変な施設は要らないわけですから、じゃあ手を挙げた人をみんな告示しちゃってもいいのかという話もあるわけですよ。しかし、そういうことじゃなくて、やはりこのたらい回しが何で起きるかということの根本問題からひとっこれは検討する必要があると、こう思っておるのです。したがって、それには先ほど言ったように、だれが当番をやっておるかということが一目瞭然とわかるようにする必要が
一つあるだろう。それから外科の病人を小児科の病院に持ってこられても、これ困るわけですからね。ですから、きょうはどこの外科の病院があいている、きょうはどこの小児科の病院があいているということが手に取るように消防署でわかる、あるいは将来は電話かけたらわかるというような情報システムというものをもっときちっとつくっていくことが必要だ。それからまたそれによって輪番制をやる、あるいは何といいますか、重症患者を小児科の病院に持ってこられても困るわけですから、第一次病院、二次救急体制、三次と、みんな組み合わさって初めて有効になるわけですから、そういう方向でやっていきましょうと。余り告示とかなんかにこだわらなくても、実態を整備をしていくことが先決ではないかと、こういう
考えであります。
-
○太田淳夫君 そこで、休日夜間急患センターですけれども、これはいま実態を調べてみますと、夜間実施をしているところが非常に少ないわけですね。終夜これをやっているところは、百七十三カ所中二十カ所しかないわけですね。そういった点
考えますと、やはりこれは民間の方々に、民間の医院の方々に非常に負担がかかっているわけですから、そういった点で補助率を引き上げるなどしてこの普及をもっと高めるべきじゃないかと、こう思うわけですが、その点どうでしょうか。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 大体十二時までやってくださっておるわけですが、十二時以降深夜それをたくさん開くということはなかなか事実上むずかしいけれども、しかし在宅の当番医制というようなものによって、深夜でも、二時三時でもかかれるような仕組みをつくっていく、そういう方向で整備に
努力をしておるわけであります。
-
○太田淳夫君 次に、
政府もいろいろといま施策をやっておみえになりますが、やはりこれは生命の問題にかかわるわけですから――まあ
大臣は三年間で必ず確立してみせると、こうおっしゃっていますので、私
たちも期待しているのですけれども、ことしの二月の十日に山形県の上山市で起きた交通事故、この救助の経過について消防庁から御
報告願いたいと思います。
-
○
政府委員(林忠雄君) 御
報告いたします。
御
指摘の事故、ことしの二月十日二十二時四十三分ごろ、
現場付近の住民から一一九番が入りまして、国道十三号線のこれこれのところで交通事故があり、けが人がいるようなので救急車を
お願いしますという通報がありました。救急車は一分後の二十二時四十四分に出動いたして、二十二時五十一分に
現場到着をいたしております。これが、
現場ではトラック同士の衝突でございまして、二つの車が食い込んでおりまして、運転手は食い込んだところに下肢の部分が押しつぶされた形で意識不明になっている。それから助手は意識があって、車にはさまれておるかどうかと聞いたところが、はさまれていないということだ。そこで、救急車から急遽無線で消防本部に消防車の出動を要請した。消防というか、救助工作車になるわけでございますが、くっついているトラックを引き離して救助するためのそういう機械とか、その他が必要なんで、消防車の出動を要請いたしまして、その消防車が二十二時五十六分に出動をいたしまして、二十三時ちょうどに
現場へ到着。直ちに救出活動に入りまして、二十三時十一分助手を救出。それから二十三時二十二分にはさまれておりました運転手を救出し、そして、酸素吸入、止血等の応急処置を行い、救急車に収容したわけでございます。しかし、この時刻までに実は病院の手配がついておりませんで、何度も幾つかの病院に問い合わせその他をやりましたのですが、まだこの時刻にはついておりませんで出発できないという状況でございました。そして、二十三時五十三分、ですから運転手を救出してから三十分近くたった時点で、やっと消防本部から天童の吉岡病院に手配ができたからという連絡がありまして、直ちにそちらへ向かい、零時三十九分に病院へ到着しております。ところが、非常にけががひどうございまして、零時五十分に運転手の方は亡くなられた、こういう経過のようでございます。
-
○太田淳夫君
大臣、いまお聞きのとおりです。約二時間ぐらいかかっているわけです。最近はこの種の問い合わせに時間がかかるということですね。この事件の場合でも、各病院に問い合わせしたんですけれども、病院側の電話を受けるやはり方々が、問題じゃないかと思うのです。いろいろと何軒か告示病院があります、問い合わせした先にも。そういう中でも、やはり病院側の対応する体制というものが重要な問題になってくるのじゃないかと思うのですね。その点を含めましていかがですか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 現時点におきます救急医療体制の問題で一番大きな問題は、患者を搬送する消防の方と患者を受け入れる医療機関との間の連絡でございまして、先ほどの御質問、あるいはただいまの御質問、
先生御
指摘のとおりでございまして、この連絡あるいはその医療機関の診療可能状況というものが消防担当の方に必ずしも十分把握されていないという点がいろいろ電話の問い合わせ等で問題になっておるわけでございまして、こういったことを今後なくするという
意味におきまして、五十二年度を初年度といたしまして三カ年計画で都道府県を単位といたします広域救急医療情報システムをつくるという、こういう計画をやっておるわけでございまして、そういう計画が整いますと、いながらにして各病院の収容可能の状況、たとえばベットが幾らあいて、どういう種類の診療が可能であるという、そういうことが一目瞭然とわかるようなシステムをつくりたいと
考えておるところでございます。
-
○太田淳夫君 わかりました。
次は、昨日も同僚目黒
委員からいろいろと話がありましたが、国の
政府機関の病院の一般への開放と救急指定の問題でございますけれども、その実態をお聞きしたいと思います。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 特に救急医療の担当の部門で国立病院の占める割合が非常に大きいわけでございまして、特にわれわれとしては積極的に救急医療に参加すべきだというふうに
考えておるところでございまして、国立病院の救急告示数を
昭和五十一年四月一日現在の数で申し上げますと、国立病院のうち厚生省の所管いたしております病院九十四カ所のうち八十二カ所が告示を受けております。それから厚生省以外の国立病院におきましては九十一病院中三病院でございまして、計で申し上げますと、百八十五病院中八十五病院が現在告示を受けておる状況でございます。
-
○太田淳夫君 医療懇談会の答申においても、救急医療問題として有限の医療資源を効率的に活用することが不可欠である、こういう提言をされているわけですが、そのためには、これらの
政府関係機関の病院を一般開放あるいは救急指定していくということが必要になってくると思うのです。その点、
文部省では一般開放はされているのですが、その他、文部、郵政、国鉄、電電、専売、大蔵とお見えになっていますが、その点ひとつ御
意見を承りたいと思います。
-
○
国務大臣(坊
秀男君)
お答え申します。
大蔵
関係では病院が、専売、印刷、造幣、たしか三つばかりあろうと思いますが、それぞれの仕組みも多少違っておるようでございますので、専門の方から御
説明をさせます。
-
○
説明員(泉
美之松君)
お答えいたします。
専売公社の病院は東京と京都に二つございますが、職域病院ということになっております
関係上、一般に開放するにつきましては、現実問題として近隣の医療機関の同意を得た後、保険医療機関として知事の指定を受ける必要があるわけでございます。実際問題として近隣の医療機関の同意を得にくいために、まだ一般に開放することができない状況になっております。したがって、救急病院としての指定も一般の方が利用できない形になっておりますので、救急医療病院としての指定もできておりません。
-
○
国務大臣(
小宮山重四郎君) 郵政省の所管しております逓信病院は、郵政省設置法第十六条によって職員及び家族に限っております。しかし、昨年十月の閣議決定、また当
委員会の十一月の要望等もこれあり、ことし調査をいたし、かつ逓信病院等が直接的にどのようなことをやったらいいかということで救急医療の指定の準備をいたしております。
しかし、一番問題になりますのは二つございます。
一つは看護婦のローテーションでございます。看護婦さんのローテーションが非常にむずかしい。たとえば在宅の人を呼び出すシステムをどうするか。これはやはり職員でございますので、その辺の問題をどう解決するか。それから救急医療の場合は、特に先ほどから問題になっております外科でございます。外科のお医者さんをどうするか。実際、逓信病院で使っています救急医療の中で一番多いのは、やはり産婦人科が一番多いようでございます。指定を受けておりませんけれども、そういうこともやっておりますのですけれども、そういうようなことから見ましても、外科医をどうするか、あるいは内科医をどうするかというような問題を、お医者さんのローテーションというような問題を私
たち考えて、個別的にそのそれぞれの逓信病院の状況を勘案して、いま各逓信病院で鋭意
研究中であります。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君) 告示を受けております国立の大学付属病院の数は三つ、公立病院の数は五つ、私立の病院の数は二十一でございますが、告示を受けておると否とにかかわらず、救急患者の取り扱いをして地域医療に御協力をしなければならぬのは当然のことでありますから、
昭和五十年度には四万五千人の救急患者を国立大学病院のみでお扱いさしていただいております。国立大学病院の数から言って、告示を受けておる数が少ないではないかという御
指摘は率直にそのまま受けとめなければなりませんが、国立大学病院側といたしましては、これは教育
研究に必要な診療業務とどこでどう調和させるかという問題が
一つあるようでございまして、これには
文部省としても配慮はいたさなければならぬとは思いますが、さはさりながら、やはり地域医療に協力することも非常に重要でありますので、今年度
予算でとりあえず病院側の体制整備のために救急部というものがございますが、それの拡充強化に努めまして、十の病院において救急部を新設したりあるいは拡充したりいたしました。今後は、高度な医療施設を整備しておるわけでありますから、地元の医師会とか地方公共団体ともよく協議をいたしまして、その連絡ネットの中で十分に御協力を申し上げるとともに、告示を受けるという点においても今後国立病院側を
指導してまいりたい、こう
考えております。
-
○
説明員(秋草篤二君) 電電公社について
お答えします。
私どもの病院は全国で十六ございます。この病院は、
昭和二十四年郵政省と電気通信省を分離するという非常に歴史的な意義を持って分かれて、ただいま財産と経理は別個でございますが、従業員なり家族の使用につきましては、両病院とも自由自在に相互に融通し合い、協調し合って使っております。したがいまして、この病院の問題につきましては、監督官庁でもあられる郵政省の御指示に沿って前向きに検討していきたいと思っております。
-
○
説明員(高木
文雄君) 鉄道病院は現在全国で三十八カ所あるわけでございますが、いずれも職域内の病院ということで、一般開放が行われてないわけでございます。一般開放が行われていないということについていろいろな問題があるわけでございますけれども、現在私どもの方は格別経営全体が、病院とは別に国鉄経営全体が非常に困難に陥っておりますし、その中で病院も同様なことになっておりますので、これを整備するといいましても、とかく実は後回しになりがちな状態になっておるわけでございますので、気持ちとしては地域の皆さんとの協調、共同ということを十分に
考えて、愛される国鉄ということにならなければならぬという気持ちは持ってはおるのでございますけれども、現実問題として人員の面あるいは設備の面等の整備を行いがたい事情にございます。なかなか御要請に従いにくいという状況になっておることを御了解いただきたいと思います。
-
○
説明員(熊谷
文雄君)
お答えいたします。
印刷局は、東京病院と、小田原病院、静岡病院と、三つ病院がございますが、そのうちの東京病院、これは滝野川にございまして、当局では一番大きな規模の病院でございますが、四十年の三月に救急病院の指定を受けておりまして現在に至っております。小田原につきましては、地元の消防官署と連携をとりまして、事実上の診療受け入れをしている実績はございます。それから静岡病院につきましては、これは工場の構内にございまして、医師も二人という小規模でございますので、現在の
段階では非常に困難な状況にあるのではないかと思います。
それから一般に利用していただくという点につきましては、ただいま申し上げました三つのうち、小田原病院だけが完全に一般に開放しておりますが、ほかの病院につきましては種々問題がございまして、現在の
段階では受けていただかないような状態になっております。
-
○
説明員(宮原翠君)
お答えいたします。
造幣局は、ただいま東京と大阪と広島にそれぞれ
一つずつ、全部で三つの病院を持っております。これはやはり職域病院でございまして、職員とその家族の診療を主たる
目的といたしております
関係上、その置かれている病院の位置とか、医者の数、その他設備等が、その設立の趣旨に見合ったものとなっております。こういう
関係からいたしまして、一般的に常時外からの患者さんを診察するというようなことは、体制上まだ無理がございまして、なお、緊急の場合につきましては、今後の
研究課題であるとは
考えておりますけれども、現状ではやはり若干まだ無理があるというふうに
考えております。
-
○太田淳夫君 いろいろお話をお聞きいたしましたが、厚生省にお
伺いしますけれども、企業の直営病院、いわゆる職域病院で、一般開放、救急告示をしているところがあると思うのですが、その点はいかがですか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 企業の直営病院のうち、救急告示を受けている
比率でございますが、五十一年四月一日現在、企業の直営病院百六病院のうち二十四病院、こういう数字になっております。
-
○太田淳夫君 一般企業の病院でも、こういう一般開放、あるいは救急指定をしているところがあるわけですから、国の機関の病院も当然
考えていただきたいと思うのです。たとえば逓信病院等もございます。その赤字が相当な累積になっておりますね。この赤字はどのようにして負担しているわけですか、逓信病院は。
-
○
政府委員(浅尾宏君)
お答えいたします。
逓信病院は郵政事業の中で運営しておりますけれども、これは郵政職員の健康保持をしていくということで事業の円滑な運営を図っていくということでございまして、そういう
意味から申しますと、事業を円滑に運営していく経常経費と申しますか、総体としての経費の中で診療をしているというかっこうでございます。
-
○太田淳夫君 赤字の補てんはどうなんですか。
-
○
政府委員(浅尾宏君) 医療勘定だけを見てまいりますと赤字でございますけれども、その他の郵便あるいは貯金、保険等の収入で総合的に経理をいたしております。その中でその赤字を支弁している、こういうかっこうになっております。
-
○太田淳夫君 郵便料金とかあるいは簡保の資金とか、そういうものが赤字の方に回されているわけですので、やはり国民がそれぞれ負担をしているということになりますので、国民のためにこれは開放するように、先ほど郵政
大臣が検討するとお話がありましたが、さらに一歩前進をしていただきたい、こう思います。
厚生
大臣、この救急問題に
関連しまして報道されておりますけれども、熱海市で医師会が救急医療中止を通告しているということがございますが、その点どうでしょうか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 今回、これは事件といたしましては
昭和四十七年に発生いたしました救急治療の問題でございますが、その救急治療に
関連いたしまして、五十二年の三月三十一日に、静岡地裁沼津支部におきまして医療過誤の問題として判決が下ったわけでございます。
〔
委員長退席、理事園田
清充君着席〕
これは交通事故の後にガスえそを起こしまして。右大腿部切断というような事態になったわけでございますが、この判決に
関連いたしまして、熱海市の医師会が、これは熱海市との間に救急医療の委託契約を結んでおるわけでございますが、その委託を返上するという、こういう申し出があったわけでございますが、その実行は効力発生が五月一日ということで申し出があるわけでございまして、ただいま市当局、県当局、市医師会、県医師会等といろいろ話し合いを進めておるところでございまして、われわれといたしましても最悪の事態を避けるよう希望いたしておるところでございます。
-
○太田淳夫君 この熱海市の医療体制というのは非常に協力的であったわけですね。もしもこれが廃止されると問題じゃないかと思います。また、ここには厚生省所管の国立熱海病院がありますけれども、この熱海病院は救急医療体制に組み入れられてはいないのですか。
-
○
政府委員(石丸隆治君) 国立の熱海病院の実態について申し上げますと、四十一年十月に告示を受けておるところでございます。熱海市は、市医師会の協力がございまして、救急医療については非常に完備したシステムをとっておるわけでございまして、先ほど私御答弁申し上げました、市と市医師会との間の救急委託契約は、これは第一次救急医療を担当するということで契約が結ばれておるわけでございまして、国立熱海病院はやはり大きな医療機関でございますので、熱海市の第二次救急医療を担当するということで、ちょっとその任務を変えております
関係上、市の方の委託契約の中には入っていないと、こういうことになっておりますが、救急医療についてはより高度な救急を担当している、こういう実態でございます。
-
○太田淳夫君 市の方も何回も病院に交渉に行ったそうですけれども、まあそういうことで医師不足あるいは看護婦不足で断わられ続けてきたと、こういうことを言っておりますけれども、やはりこれは生命に関することでございますので、この問題の解決に十分当たっていただきたい、このように思うわけです。
救急の問題につきましてはこれで終わりますが、厚生
大臣、ひとつまた抱負を
お願いします。
-
○
国務大臣(
渡辺美智雄君) 特に救急問題について、きのうも社会党から強い御鞭撻があり、きょうも一公明党から、ともかく国の機関が率先してやるのがあたりまえじゃないかというような御鞭撻があって、かなりきょうの答弁などは前進をしてきたと私は喜んでおる次第でございます。今後ともよろしく御鞭撻を
お願い申し上げます。
-
○太田淳夫君 それでは、
委員長、国鉄と電電公社の方だけ除いて、あと退場さしていただいて結構です。
国鉄総裁、お見えになっていますね。――それじゃ、ちょっとお聞きしますけれども、国鉄病院の退職者の方々の診療
基準について
お願いします。
-
○
説明員(高木
文雄君) 退職者で受診対象といたしております者は、大別して二つに分かれまして、年金、恩給を受給している退職者とか、それから勤続年限が十五年以上二十年未満であった人ということになっております。
-
○太田淳夫君 鉄道顕功章や統事の称号の表彰期限及び特典はどうなっていますか。
-
○
説明員(高木
文雄君) 統事というのは、ごく最近はほとんどそういう制度をやっておりませんが、長年にわたりまして勤務をした人で、かつ特殊な業務知識あるいは技能を持っておるという人でありまして、年配が五十歳以上という人につきまして、特に残ってもらわないと他にかわる人がいないというような人に、特に残っていただくかわりに統事の称号を与えるというような制度が、これはかなり古い制度でございますが、あるわけでございます。それがいわゆる統事という古めかしい言葉でございますが、そういう制度がございます。それから鉄道顕功章というのは、似て非なる制度でございますが、長期間にわたって非常に抜群の業績を上げて、人格、勤務成績ともにすぐれた職員であるというのに対して鉄道顕功章を授与いたしておりますが、これはちょっとダブっているようでございますけれども、後の方の部分は
現場で長年やってきた諸君という感じでございますし、前の方はごく特殊の限られた職能の人に限っております。この両者とも、退職後、私どもの鉄道直営医療機関を利用できるという恩典が与えられることになっております。
-
○太田淳夫君 厚生省にお聞きしますけれども、こういった退職後、無料で、診療費が全部国鉄負担になっていますけれども、政管健保とか国民健康保険の中で、老人医療を除いて、無料で診療できるという特典はあるでしょうか。
-
○
説明員(高木
文雄君) 私どもの方の退職者も、必ずしも全部無料というわけではないわけでございまして、たとえば年金、恩給受給者にいたしましても、それから継続十五年以上二十年未満勤めた、先ほど御
説明いたしました者につきましても、これは全額
本人負担ということになっておるわけでございまして、恩典といいますのは、
自分が前勤めた職場である鉄道の病院を使えるというのが恩典になっておるわけでございます。
-
○
政府委員(八木哲夫君) 現在の医療保険制度におきましては、被用者保険から退職したという場合に、国民健康保険に入りますと
本人の七割給付になるということで、三割の負担でございます。それから退職者の問題につきましていまの被用者保険の中で見ておりますのは、退職時に療養の給付を受けておったという場合には、継続療養給付期間としまして五年間がございます。それからあと二年間の任意継続被保険者制度というものがございます。
-
○太田淳夫君 顕功章や統事の称号を受けた方は無料なんですね、退職者の中でも。違いますか。全部払っていますか。
-
○
説明員(高木
文雄君) 仰せのとおりでございます。
-
○太田淳夫君 ということは、無料であることを認められたわけですね。やはり国鉄病院も年間百数十億から赤字を出しておるわけですから、こういった特典を設けておくということはあれじゃないかと思うのですね。この点見直したらどうか。
-
○理事(園田
清充君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕
-
-
○
説明員(高木
文雄君) お言葉ではございますし、私ども赤字でございますから、いろいろそういうことを直していくべきでありまして、そういう御注意を承るのはありがたいわけではございますが、お言葉を返すようですが、この統事という称号を受けました人の頭数は、最近十五年間で二十六名でございます。それから鉄道顕功章というのを授与いたしましたといいますか、もらいました方の数は、最近、制度ができまして二十五年間になりますが、百三十六名でございまして、いま私どもの赤字は六千億とか七千億とかいう赤字でございますので、まだほかにいろいろ直さなきゃならぬ点がございますので、ちょっとここまで手が回らぬという実態でございます。
-
○太田淳夫君 しかし、やはり一生懸命働いてみえることは皆さん一緒なんですからね。特にそういう差別を設けるということは、やはりこれはちょっとまずいのじゃないかと、こう思うわけです。まあ数は少ないといえば少ないですが、これからまだふえる可能性もあるのじゃないかと思いますし、そういう小さなところから改良をしていくということも
一つの
方法じゃないかと思います。手が回らぬじゃなくて、気が回らないのかもしれませんが、その点よろしく
お願いします。
〔理事園田
清充君退席、
委員長着席〕
-
○
説明員(高木
文雄君) まあいろいろな
意味で赤字の原因になっておりますものについては
一つ一つ直していかなければならないという点は、御
指摘のとおりでございます。ただ、お言葉をしばしば返して恐縮ではございますが、何々章とかなんとかいいましても、ほかにあんまり恩典がないわけでございますので、その辺をいろいろ検討して、また御
意見も十分くみ取らしていただきたいと思います。
-
○太田淳夫君 電電公社の総裁に一言。
電電公社の場合、やはり同じようなことがあるのですが、一般の人が利用した場合の診療単価、これが他の職域病院に比べますと二倍になっていますが、この理由は何ですか。
-
○
説明員(秋草篤二君) いま、私どもの病院は、医師の要望にもよりますし、また、できるだけ赤字を少なくするという
意味で、一般の民間人の患者さんを五%程度認めております。したがいまして、この方々からは一点二十円、われわれ従業員は八円、家族は十円、それだけ――高いと言われるかもしれませんけれども、先ほどどなたかから
説明があったように、私の方の病院の会計も多少赤字でございます。したがいまして、従業員は毎月毎月公社とともに相当多額の経費を負担しておりまして、これを共済組合の短期経理で賄っておるわけですから、そこに見ず知らずの人の入ってきた場合には、多少高くていいのじゃないかと、むしろ私の方が正しいのではないかというふうに思うのでございますが。
-
○太田淳夫君 見ず知らずとおっしゃっても、電電公社の電話を利用されている方が大半なんですから、お得意さんじゃないかと思うのですが、これは一般診療者は排除していこうといういやがらせ以外に
考えられないわけですが、その辺もやはり改善の方向であと検討していただきたいと思うわけです。
-
○
説明員(秋草篤二君) せっかくの御注意でございますから、一応検討さしていただきます。
-
○太田淳夫君 それでは、医療の問題はこれで終わります。
次に、郵政
大臣に郵便の切手の問題でちょっとお聞きします。
私ども公明党は、いままでこの郵便切手の問題につきましてはいろいろと
問題提起をしてまいりました。いままで二宮
委員あるいは沢田実
委員がやってまいりましたが、その点で、いままで改善されたもの、あるいはこれから改善されつつあるもの、そういうものについて状況を
報告してください。
-
○
国務大臣(
小宮山重四郎君) 過去において二宮
委員から四回、沢田
委員から一回、
委員会において郵便切手に関して御質問がございました。
昭和四十六年から四十七年にかけまして御
指摘をいただいた点につきましては、幾つかの点について改善いたしておりますので、御
報告申し上げます。
まず第一番目は、財団法人全日本郵便切手普及協会は健全な趣味の普及を
目的とした団体であるのに、郵便切手類の売りさばき人として郵便切手類を加工し、販売しているのは不適当ではないかという御
指摘につきましては、
昭和四十六年九月二十一日付をもって同協会に対する郵便切手類売りさばき人としての委託契約を解除いたしました。
二番目は、財団法人全日本郵便切手普及協会が郵政省から払い下げを受けて頒布している使用済み切手の売りさばきにつきましては、
昭和四十六年九月、同協会会長に対して、頒布価格の適正化及び頒布
方法の公平化について
指導いたしました。その結果につきましては、現在においては、使用済み切手の箱入りを一人一カ月一箱に制限し頒布するほか、ジュニア用として袋入りを頒布いたしております。二番目は、切手の業者に対する特別割り当てが行われておりますが、消し印漏れのものを発見した場合には、郵政省に提出させ消し印させる。
第三番目は、逓信博物館の売店で、現在郵便局で発売中の特殊切手が値段より高い価格で販売されておるのは不適当ではないかという御
指摘については、
昭和四十六年九月から、現在郵便局の窓口で販売していない、発行後相当期間を経過した郵便切手以外のものは販売を行わないよう
指導いたしました。
四番目は、見本切手の管理厳正化につきましては、
昭和四十六年に見本切手の保管、管理、活用について
関係機関を
指導するとともに、現在、財団法人日本郵便切手普及協会に対しましては、新切手解説書による頒布に際しては、見本切手が容易にはがれないよう、解説書に密着して張りつけるよう
指導しております。
五番目は、国立・国定公園等の切手発行に際しては、十分な配意の上、誤解を招かないよう処置いたしております。
六番目は、変造切手及び偽造切手に対する
措置につきましては、
昭和四十七年法律第五十号郵便切手類模造等取締法が制定され、郵便法第八十四条による規定とあわせて運用されているところであります。
以上でございます。
-
○太田淳夫君 そこで、お
伺いしますけれども、明治四年以来切手が発行されてきたわけですけれども、これらの切手の数年の発行状況と売りさばき額ですね、これが郵便業務収入額の中でどの程度の割合を占めるのか、その点をちょっとお聞きしたいと思うのです。
-
○
政府委員(廣瀬弘君) ここ数年の切手の発行状況でございますが、四十八年度から申し上げたいと思います。四十八年度は、二十五種類、発行枚数で九億三千二百四万枚、売りさばき額にいたしまして二百億六千二百万円でございます。普通切手は、五種類でございまして、調達枚数が五十一億六千八百五十万枚、売りさばき額が千四百三十七億百万円。四十九年度におきましては、特殊切手は三十三種類、発行枚数十二億二千六百八十万枚、売りさばき額二百六十億一千五百万円。普通切手は六種類でございまして、調達枚数が三十五億八百万枚、売りさばき額千五百一億九百万円。五十年度におきましては、特殊切手三十三種類、発行枚数十一億三千九百十万枚、売りさばき額二百八十五億九千九百万円。普通切手では種類が七種類でございまして、調達枚数五十二億六千四百十万枚、売りさばき額千八百八十億二千六百万円でございます。
-
○太田淳夫君 これは事務当局にお聞きしますけれども、全郵便物のうちに占める切手を張った郵便物の割合と、年間相当数の特殊切手を発行されているにもかかわらず、特殊切手を張った郵便物がまれである。切手を張った郵便物の中に占める割合を
お願いします。
-
○
政府委員(廣瀬弘君) 全郵便物の中に占めます切手貼付郵便物の割合でございますが、これは官製はがきを除いて
考えますと、四十八年度では三三・七%でございました。四十九年度におきましては一二・八%、五十年度におきましては三一・三%という
比率になっております。
特殊切手が郵便物に張られて使用される割合ということにつきましては、その実態を調査することが技術的にきわめて困難でございますので、正確な使用割合は私ども把握いたしておりません。
-
○太田淳夫君 特殊切手を張った郵便物の割合を調査しますと、これは非常な問題が出てくるのじゃないかと思うわけですが、大部分の特殊切手がマニアのもとで死蔵されていることはもう明らかだと思います。この特殊切手の発行の種類が多いことを
考えあわせますと、郵政省としては、財源対策としてこの特殊切手の発行を行っているのじゃないか、こういうような疑念が私ども払拭できないわけですけれども、どういうルールと手続でこれを発行されているのか、その点。
-
○
政府委員(廣瀬弘君) 特殊切手の発行につきましては、省といたしまして発行方針を定めてございます。
一つは、国家的もしくは国民的に記念すべき重要事項であって、記念行事を行い、広く内外に周知する意義のあるもの。二番目に、国立公園、国定公園、その他わが国の代表的な風物、産業等を紹介するもの。第三点は、各種の国民的キャンペーンに協賛し、その意義を周知し、発展を図るもの。それから第四に、国連等の国際機関から、国際的キャンペーンの
一つとして発行を要請されたもの。第五は、国家的ないし国民的に重要な国際
会議にちなみ、その意義を内外に周知するもので相当の規模を持つもの。第六に、広く郵趣を高める切手であって、慣例的にもしくはシリーズとして発行するもの。このような発行方針に従いまして、例年各省庁に対しまして、それぞれの所管に係る、次年度における重要な国家的行事等につきまして、記念切手発行にふさわしい事項の推薦を受けております。さらに、これらの行事の意義や
内容等について調査検討をするとともに、切手の製造面からの検討も加えまして、事項を選択して、特殊切手発行計画を作成いたしておる次第でございます。なお、この際、郵政審議会専門
委員の審議を経て、最終的に郵政
大臣が決定する、こういう手続でございます。
それから第二の郵政事業の経営の問題でございますけれども、これは、郵政事業といえども公企業の
一つでございまして、独立採算制のたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、総体の収支が相償うという原則に立っておるものでございます。特殊切手につきましては、ただいま申し上げましたような発行方針に従っておるわけでございまして、これによる収入は、全体としての郵便業務収入の一環でございまして、これを含めまして郵政事業財政の収支の均衡を図るというたてまえをとっておるわけでございます。
-
○太田淳夫君 いろいろとお話がありましたけれども、納得できない点があるわけですが、それは、昨年の十二月九日に発売されました東大寺の執金剛神立像を画いた百円切手がありますね。その幅が三・六センチもあるわけです。あるいはまた、本年一月二十日発売された唐招提寺の金堂をあしらった五十円切手に至っては、これはもう実に五・一センチもあるわけです、ですから、普通の四号の封筒に張りますと、郵便番号の枠の中までこれが入ってしまう。全く切手という機能を疑われるわけです。あるいは、一昨年の四月二十二日発売の、御承知と思いますが、吉祥天立像ですね、あれなんか、額面千円の普通切手とともに小型シートが発売されているわけですね。こういった面で、マニアのコレクションを対象にしてやっているとしか
考えられないものがあるわけですね。百円切手すらも使う機会が少なくなっているのに、千円切手を発行したという郵政省の神経も私は疑わざるを得ないのですけれども、コレクターはたとえ千円の切手でも買わざるを得ないのです、集めている人にしますと。端的に言うならば、郵政省の財源確保のための横暴の前にコレクターが流され続けているのではないかと、こう思うわけですが、その点、
大臣、いかがでしょうか。
-
○
政府委員(廣瀬弘君) 記念切手などの特殊切手の大きさでございますけれども、これは諸外国におきましても最近相当大型になってきております。そして、その主題にふさわしい芸術的な見地からの
評価にもたえ得るようなそういったものを発行するために、普通切手よりもやや大型になっておるのが通例でございます。わが国におきましても、切手が最近におきまして国際的にも非常な
評価を受けておるわけでございまして、国際交通が盛んになっております現今におきましては、切手を通じまして日本の文化あるいは自然というようなものを広く紹介することも重要な意義ではなかろうかというふうに
考えておりまして、たとえば国宝シリーズのように海外に紹介するというよな問題につきましてはそういうような形をとったわけでございますが、現在使われております状況を見ておりますと、たとえば大型の封筒に使われておるとか、あるいは切手の位置を
考えて張っていただいておるとか、そのような形で使用されているものと
考えておるところでございます。しかしながら、今後、御
指摘の点も踏まえまして検討をしてまいりたいと思います。
それからただいま御
指摘の吉祥天の立像でございますけれども、これは当時の状況を見てみますと、普通切手が相当収集されてきておるという現状がございました。そこで、それを踏まえまして、千円のシート、小型シートを発行したわけでございますが、これは大型にいたしますと相当大きな負担になるということも配慮した結果でございます。
なお、千円の切手を発行いたしましたのは、当時、外国郵便あるいは小包郵便等に使われるということに対する要望があったからでございます。
-
○太田淳夫君 せんだって
衆議院の
予算委員会で問題になりましたけれども、
子供さんが手紙を投書されている、この切手の問題につきまして。以前切手を収集し始めたときは二十円だったので集めやすかった。しかし、いまはだんだんと五十円以上になってなかなか集めにくいということで、記念切手ははがきの値段と同じ二十円にしてもらいたい、また、発行日数を多くして、二、三日間は自由に買えるようにしてもらいたい、そういう要望がありましたね。その点について
大臣はどのようにお
考えになりますか。
-
○
国務大臣(
小宮山重四郎君) 過日、郵便切手の趣味のお子さん
たちを大ぜい集めてお会いいたしました。ただし、お子さんが趣味として集めるのにシートで集めるのは私は不適当だと思っております。郵便切手の本来の収集というのは、やはり消印がついたものというのが本来のものだろうと思います。ぜひ、そういうようなことで、今後とも消印のついたものを集めるという
指導をしていきたいと思います。明日も逓信病院でそういうことでお会いする予定であります。
-
○太田淳夫君 東京中央郵便局の普及課はこの特殊切手の通信販売を行っております。私も行ったことがありますけれどもここではシート専門になっているわけです。こうしたことで、
子供たちが、いま
大臣がおっしゃった、使用済みのものを収集するような方向にやっていただきたいと思いますけれども、しかし、現在の状態では、
子供たちが、シート買いということから、趣味の世界であるものが投機本位の世界に巻き込まれているのじゃないか、こういう感じもするわけです。そういった点から、
文部大臣一言……。
-
○
国務大臣(
海部俊樹君)
子供が
発達段階に応じて趣味を持つということは、これは情操を高める上からいってもいろいろな面から
教育効果もありますから否定しませんが、御
指摘のように、投機
目的に
子供が切手を買うようになることは、これは教育上も好ましいことじゃございませんし、また、切手を買いたいと並んでおると
学校は遅刻する、
学校から帰ってから買いに行ったんじゃ売り切れてないというのも、これまたあんまり好ましい状況でもございませんので、これはやっぱり発展
段階に応じての趣味の収集というのはどうあるべきかということも一遍よく教育上の見地から
考えてみたい、こう思います。
-
○太田淳夫君
大臣、こういうカタログがあるんです。御存じですか。この三つのカタログがそれぞれありますけれども、それぞれ同じ切手に対して
評価が違うわけですね。たとえばこの郵趣協会のカタログですと、「見返り美人」というのがありますね、切手が。あれが八千円になっていますが、こちらの方では一万三千円です、これは日本郵便切手商協同組合のカタログです。こちらの方は全日本切手商協会のカタログですが、これは「見返り美人」が一万五千円というふうに、それぞれありますけれども、ちょっとここで時間がありませんので挙げませんが、みんな値段が違っているわけです。この点、こういったカタログの
評価について、郵政省としてはどのようにこれを
評価し、そして
行政指導してみえますか。
-
○
国務大臣(
小宮山重四郎君) 大変不愉快なことだと思いますし、最近の新聞、ニュースなどを見ましても、業界がそのようなことで値をつり上げたり、あるいは架空の価格をつくるようなことは、大変好ましいことではございません。これはこういう
委員会で御質問があったことが、大ぜいの方に知っていただくという
意味でも大変有意義なことで、ただ、郵政省としてはなかなかその価格の問題については立ち入ることができませんけれども、各省とも連絡して、先ほど申しましたように切手収集は消印のものを使うような健全な趣味の収集の方向に向かうように
指導をしていきたいと思っております。
-
-
○太田淳夫君 公取
委員長にお
伺いしますが、中古車を主体にした自動車公正競争規約の場合、自動車公正取引協議会をつくってそこで自動車ガイドブックを認定するようになっていますけれども、このガイドブックの認定に当たっては、当然、価格の点についてもチェックが行われていると思いますが、その点どうでしょうか。また、そうした
考え方をこの切手カタログにも採用できないでしょうかどうでしょうか。御
意見を賜りたいと思います。
-
○
政府委員(澤田悌君) 御
指摘のとおり、中古車につきましては価格のチェックが行われております。そのシステムをごく簡単に申しますと、現在三種類の中古車価格ガイドブックが発行されておりますが、これにつきまして自動車公正取引協議会では、価格の動向や需給の状況等から価格を推定いたしましてチェックをいたしておるのでありまして、毎日、ガイドブックの認定を行っております。
こういうシステムを郵便切手に適用できるかどうかという問題でございますが、私、切手業界の流通形態や販売慣行等を十分把握しておりませんので、いま直ちに、こういうシステムがすぐ適用できるかどうか
お答えする用意がないのでありますが、その業界自体に、公正競争規約を
自分たちでつくりたい、つくるというような機運が起こりますれば、それを受けてそういう
指導もできようかと、この程度に現在
考えておるわけでございます。
-
○太田淳夫君 最後に、郵政
大臣、やはりこういったカタログの間で
評価がまちまちでありますと、集める側としては非常に混乱するわけですね。したがいまして、郵便切手類の収集の趣味の普及と健全な育成のために、こういった面の
行政指導を早急に行っていただきたい、このことを
お願いいたします。最後に一言……。
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○
岩間正男君 私は防衛問題を主として質問したい。
まあ
問題点を整理するという点からこれはお聞きするわけでありますが、鳩山外務
大臣にまずお聞きします。
このたびの日米首脳会談で大きな焦点になった在韓米軍の撤退問題、これについて一体
アメリカ側はどんな主張を持ち、構想を持ったのか、そうしてそれが今度の会談の結果どのような決着になったのか、この点についてお示しをいただきたい。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君) ただいまお尋ね在韓米軍の陸上軍の撤退につきまして、首脳会談でどのような経過であったかということでございますが、共同声明に明らかなように、
アメリカといたしましては韓国とのコミットは守るということが第一でございます。そういう中で撤退を行うんだと、このようなことで、そのやり方につきましては今後にまつわけでありますけれども、韓国と協議をし、また日本とも協議をした上で行うんだと。いずれにしても朝鮮半島の平和を損なうようなことは
考えていないと、こういうことでございます。
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○
岩間正男君 要するに、直接戦争に巻き込まれるおそれのある在韓米軍はこれを撤退する。しかし、韓国との防衛上の公約は引き続きこれを継続する、こういうことに尽きると思うのですが、いかがですか。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 公約は守るということが第一だと思います。最初何とおっしゃいましたかあれですが、前段の方は、そのような話は別になかったわけでございます。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君) 福田総理とされましては朝鮮半島の平和というものが非常に大事だということ、それからカーター政権といたしましてアジア全体におきまして余り重視をしていないのではないかというようなことが一般に言われておる。そういうことでなしに、
アメリカといたしましてもアジアを重視してもらいたいというお話があり、
アメリカ側としては、地上軍の撤退は行うけれども、韓国に対するコミットは必ず守ると、また、空軍は引き続き維持するというようなお話があったわけであります。
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○
岩間正男君 日本側の主張は余り通らなかったわけですね。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君) この撤退がいかなるやり方で行われるかということにつきましては、日本
政府の
意見も十分聞くと。まあ第一義的には韓国と米国との間の問題でありますから、韓国の意向も十分聞いた上で行うと、こういうことでございまして、削減と称した方がいいのではないかという御
意見を福田総理はなさったわけでありますけれども、これはいままで撤退という表現を使っておるということで、また、その前に行われましたカーター大統領と韓国の朴東銀外務部長官との話し合いの過程におきましても撤退という言葉が使われておるということで、この撤退という表現にしたということがございます。
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○
岩間正男君 地上軍を撤退して、しかも防衛上の公約義務を果たす。そうすれば、当然これは空軍、海軍を強化する以外に道はないと思うのです。この作戦転換によって日本への防衛に相当大きな影響を与えることは必至だと思うのでありますが、この点について、
防衛庁長官、また外務
大臣、どうお
考えになっておりますか。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君)
アメリカの地上軍の撤退自体が朝鮮半島におきます南北間の軍事上のバランスも
考えた上で行われるということが第一であります。そして、韓国軍が次第に強化をされると、こういったことと見合って行われるというふうに承っておるわけであります。いかなる態様で行われるかは今後にまつわけでありますけれども、そのようなバランスのとれたことで行われるということでありますから、日本に影響が出るということはないものというふうに
考えておるところでございます。
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○
国務大臣(三原朝雄君)
お答えをいたします。
韓国におきまする米軍の撤退につきましては外務
大臣から答弁がございましたとおりでございますが、したがいまして、米軍の地上軍の撤退の時期、また規模、あるいはその代替策と申しまするか、そういうものは、具体的にはまずは韓国と相談をし、それから日本とも協議をした上で、結論的には、先ほど外務
大臣が申されましたように、朝鮮半島の安全を損なわない体制でいきたいという声明でございまするし、私どもいま日本の防衛体制について特に対処することはなかろうという
判断をいたしておるわけでございます。
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○
岩間正男君 私は大筋を聞いているんです。地上軍が撤退すると、空軍と海軍に頼るよりほかない。そうすればそこのところを強化するんだろうと。それが日本に影響がないというんですか、その点を明確にしてください。
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○
国務大臣(三原朝雄君)
お答えをいたします。
この点につきましては、先般副大統領が日本に立ち寄ったことがあるわけでございまするが、その際にも、副大統領は、日本におきまする空軍なり、あるいはその他の在日米軍については特別な強化、あるいは体制の変更というようなことは
考えていないということも言っておりまするし、先ほど私が申し上げましたように、具体的にはまだはっきりいたしておりません、その態様は。いたしておりませんが、朝鮮半島の安全の損なわれない体制で進められるものと思いまするので、いま在日米空軍等に特別な変化があるというようなことについては私は想像いたしておりません。
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○
岩間正男君 いまの答弁は筋が通らぬですね。そうでしょう。地上軍が撤退する、防衛力はいままでのものを公約を守る、公約は守るんだと、こういうこと。そうしたら、ほかは何でやるんです、当然はっきりしているじゃないですか。
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○
国務大臣(
鳩山威一郎君) この首脳会談の前に行われました、韓国の朴東銀外相とカーター大統領との会談の後のコミュニケを見ましても、
アメリカといたしましては韓国軍の強化というものを希望をいたしておりますし、韓国自体もそういうことを
考えているわけでありまして、したがいまして、
アメリカの一個師団が撤退するということが陸上部隊の勢力が非常に減少するということには必ずしもならないというふうに
考えるわけであります。本来、空軍力につきましては、韓国軍の空軍力というのは非常にまだ劣っておるというので、空軍につきましては引き続き存置をすると、こういうことが
アメリカの
考え方であろうと、こう
考えております。
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○
岩間正男君 空軍、海軍の強化を認めるかということです。これはどうです。
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○
国務大臣(三原朝雄君)
お答えをいたします。
何回も繰り返すようでございまするけれども、在韓米地上軍の撤退は、相当長期にわたる期間もあるわけでございまするし、なおまた具体的にはまだ明確にその態様がはっきりいたしておりません。先ほども申し上げましたように、副大統領も参りまして、特別に在日の空軍なり、あるいは海軍を増強するというようなことも
考えてはいないということも申しているわけでございます。私は、したがって、韓国の安全を損なわないということでございまするし、相当な時間的な余裕もあるし、その時期、規模、代替策等はまた韓国と日本とも相談すると言っておりまするので、いますぐ在日空軍なり海軍を増強するということは
考えておらないのでございます。
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○
岩間正男君 いますぐと言われましたから、そういう
一つの伏線があるわけですね。いずれまたこれは話し合いが始められるだろうと思う。それから私の質問の進行の中でもそのことは明らかになると思うのです。
それからもう
一つの問題は、日本に影響がないということを言っていますけれども、たとえば現にこの前の総括質問のときに、これはわが党の上田議員の質問に対しまして、福田総理は、カーター大統領から、日本の防衛力とりわけ対潜能力が弱いと、こういうことを
指摘されたと。
指摘されたということは、同時にこれは強めなくちゃならないということだ。だから、そういう点はこれは総理も認めているんだ。ところが、影響がないないと言って、これはまるで国民を知らない状態に置くような形がまかり通ってならぬと私は思うのです。この点についてはっきり答弁をいただきたい。
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○
国務大臣(三原朝雄君)
お答えをいたします。
福田総理とカーター大統領との会談におきましては、福田総理からは、わが国の防衛計画大綱に基づきまする防衛力の自主的な整備について、特に防衛力の質的な向上を図っていくというような一般的な、常に総理が申しておりまするわが
政府の方針をカーター大統領に話をした。それに対して、カーター大統領はうなずきながら言ったことが、その質的向上について対潜能力の増進について整備されることを期待するということを言ったということを承っておるのでございます。
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○
委員長(
小川半次君) 速記を起こしてください。
岩間正男君の残余の質疑は明日十時から行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時九分散会