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1977-04-30 第80回国会 参議院 農林水産委員会、内閣委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月三十日(土曜日)    午後三時十八分開会     —————————————   委員氏名    農林水産委員     委員長         橘  直治君     理 事         青井 政美君     理 事         鈴木 省吾君     理 事         粕谷 照美君     理 事         鶴園 哲夫君     理 事         原田  立君                 大島 友治君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 後藤 正夫君                 佐多 宗二君                 坂元 親男君                 菅野 儀作君                 塚田十一郎君                 初村滝一郎君                 細川 護熙君                 川村 清一君                 工藤 良平君                 対馬 孝且君                 前川  旦君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君                 塚田 大願君                 和田 春生君                 喜屋武眞榮君    内閣委員     委員長         増原 恵吉君     理 事         上田  稔君     理 事         岡田  広君     理 事         野田  哲君     理 事         秦   豊君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 中山 太郎君                 林  ゆう君                 八木 一郎君                 山本茂一郎君                 吉田  実君                 大塚  喬君                 片岡 勝治君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。    農林水産委員会     委員長         橘  直治君     理 事                 鈴木 省吾君                 粕谷 照美君                 鶴園 哲夫君     委 員                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 後藤 正夫君                 菅野 儀作君                 初村滝一郎君                 相沢 武彦君                 塚田 大願君                 和田 春生君                 喜屋武眞榮君    内閣委員会     委員長         増原 恵吉君     理 事                 岡田  広君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 山本茂一郎君                 吉田  実君                 大塚  喬君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 田渕 哲也君    国務大臣        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        農 林 大 臣  鈴木 善幸君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       園田  直君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        国防会議事務局        長        久保 卓也君        防衛庁長官官房        防衛審議官    渡邊 伊助君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        外務省アジア局        次長       大森 誠一君        外務省欧亜局長  宮澤  泰君        外務省条約局長  中島敏次郎君        農林大臣官房長  澤邊  守君        水産庁長官    岡安  誠君        海上保安庁次長  間   孝君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        外務大臣官房外        務参事官     井口 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○領海法案内閣提出衆議院送付) ○漁業水域に関する暫定措置法案内閣提出、衆 議院送付)     —————————————    〔農林水産委員長橘直治委員長席に着く〕
  2. 橘直治

    委員長橘直治君) ただいまから農林水産委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案を一括して議題といたします。  両案についての趣旨説明は、お手元に配付してあります資料により御了承願うことといたします。  この際、政府側にお願いいたしますが、質疑者の持ち時間は答弁時間を含めた時間でありますので、簡潔適切な御答弁をいただきますようお願いしておきます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 野田哲

    野田哲君 まず農林大臣に伺いますけれども漁業水域の二百海里について、政令によって除外する海域及び除外する外国人、これはどの区域あるいはどの国籍の外国人除外することになっているのか、この点をまず伺いたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま御審議を願っております漁業水域法、これは本邦の沿岸基線からはかりまして二百海里の海域、もっと具体的に申し上げますと、基線から十二海里、これが領海でございます。領海の外百八十八海里、これが漁業水域と、こういうことに相なります。そういうことにいたしまして、私ども相互主義ということを考えておりまして、西日本漁業の安定的な現在の操業秩序を確保するという観点からいたしまして、韓国並び中国との間には、日韓漁業協定及び日中漁業協定が現在ございまして、非常に安定的に秩序ある操業が確保されておる、このことを大事にしてまいりたいと、このように考えております。したがいまして、韓国並び中国がわが方に先んじて二百海里漁業専管水域をやらないという場合におきましては、わが方はこちらの方から先にやるということは差し控えていきたいと、こう考えております。そういうことに即しまして、この適用から除外する海域あるいはその当該外国人というものを適用から除外しようと、こういうことにいたしておるわけでございます。  なお、具体的にはお手元に「政令規定見込」というのをお渡ししてあるはずでございますが、そういうことを考えておる次第でございます。
  5. 野田哲

    野田哲君 外務大臣に伺います。  けさ情報によりますと、韓国側日韓漁業協定を廃棄をする、あるいはそれと合わせて竹島——向こうの呼び名では独島という表現を使っておりますが、竹島を含めた領海十二海里、そうして漁業水域二百海里、これを設定しようとしているというふうな情報がありますが、このような事態について外務大臣はどのように先方の事情を把握をしておられますか、どういう認識を持っておられますか。
  6. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) わが国が二百海里の水域を実施するということになりまして、隣接国であります中国韓国、あるいは遠いところでありますけれどもオーストラリア等諸国に通報をし、説明をいたしております。その段階におきまして、韓国といたしましても、日本側がどのような制度をしくのかという点にいま大変関心を持っておる、見守っておるということが一つでありますが、韓国といたしましても、将来二百海里時代が非常に普遍化してくるという事態を踏まえまして、韓国としても二百海里水域問題についても検討を始めるということを申しておった次第でございます。最近になりまして、大陸だなの問題と絡めましてこれがいろいろと報道されておりますけれども先方政府がどのような対策を講じますか、まだこれはうかがい知ることはできないわけでありますが、現状におきましては、既定の線に従って先方検討しておる、これがいろいろ言い伝えられておるのではないかというふうに理解をしているところでございます。
  7. 野田哲

    野田哲君 いまの外務大臣説明はきわめてあいまいなんですけれどもけさ日本経済新聞等の朝刊では、はっきりと竹島基準線引きをして二百海里の設定を近々のうちに推進をすると、こういう報道が行われている。こういう報道といまの外務大臣の報告は、ちょっとこれはやはり認識に私は食い違いがあるのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、外務大臣お答えになったような形でそう間延びをしたような状態ではないと思うのですが、その点いかがですか。
  8. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 昨日の韓国国会等でも大変議論があったと聞いております。しかし、韓国政府がいかなる措置をとるかということはまだ何ら正式にも言ってきておりませんし、現在はいろいろ議論が行われているという段階であると、このように考えております。
  9. 野田哲

    野田哲君 農林大臣に伺いますけれども、先ほどの農林大臣のこの除外区域に関する、あるいは除外する外国人に関する説明、これがもし韓国側が十二海里、二百海里、これを竹島基準にして線引きをする、しかもそれをするに当たっては日韓漁業協定を破棄すると、こういう状態になってきたとするならば、先ほどの農林大臣説明、これは大分趣が変わってくると思うのですが、そういうことになった場合には、一体この二百海里の区域あるいは外国人除外、こういう点についてはどうお考えになりますか。
  10. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、韓国との間にはわが方の漁業水域法、この趣旨十分説明もし、理解も求めておる段階でございます。私は、したがいまして、いまお話がありますように、また新聞が一部報道しておりますように、韓国側が二百海里漁業専管水域をやる、あるいは経済水域設定をやると、こういうことを前提といたしまして、予断をもってわが方として具体的にどうこうということを申し上げかねますけれども、しかし基本的には相互主義でやる、相手がやる場合はこちらもやると、これが私ども考えでございます。
  11. 野田哲

    野田哲君 これは外務大臣並びに農林大臣に伺いたいと思うのですが、この附則の2項で特定海域五ヵ所を定めて従来の三海里に据え置くという措置をとっておられるわけですが、その理由として、一つは、国際海峡通航制度について海洋法会議等で国際的な解決を待つ、こういう点、もう一つは、マラッカ海峡におけるわが国タンカー等の自由な通航を確保することの必要性、この点を挙げておられるわけでありますけれども、これは私は非常にこじつけた口実ではないか、こういうふうに思わざるを得ないのです。わが国特定海域五ヵ所の領海を三海里に据え置いた、このことについて、そのことを理由にしてマラッカ海峡あるいはマラッカ海峡関係諸国が今後とも、わが国タンカーだけは、わが国国際海峡を三海里に据え置いているということで自由な通航を認めるという保証があるのですか、これは。
  12. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 海洋法会議結論が最終的にいかようになるかということは、現在予断すべきではなかろうと思うわけでございますけれども単一草案等では方向がほぼ出てきておるところでございます。その過程におきまして領海を十二海里に広げる、その際に広げたために国際海峡が皆領海になってしまう、こういうことはいわゆる海洋国——大量な資源を海外から運ばなければならないこういう日本のような立場の国といたしましては、より自由な通航を維持すべきである、一般領海通航である無害通航よりもより自由な通航制度を確立すべきであるという主張をいたしておるわけでございます。そういう意味で、この海洋法会議結論が出る前に沿岸漁民のためにこの領海を十二海里に広げなければならないと、こういう事態に立ち至ったわけでありますので、海洋法会議結論が出るまで現状どおりにしておくことが一番従来からの日本主張に合うところである、こういうことでこのような措置をとらしていただいたわけでございます。
  13. 野田哲

    野田哲君 外務大臣、確かにわが国国際海峡について三海里に据え置いたから、わが国タンカー等通航についても他の国際海峡で自由な通航を保障しろと、こういう主張国際海洋法会議等では主張の根拠としては成り立つかもわからないけれども、このマラッカ海峡にすぐ結びつけたがる、これは少しこじつけ過ぎるんじゃないですか。わが国がそういう措置をとったからといって、シンガポールやマレーシア、インドネシア等日本タンカーだけはいつまでも自由通航を保障しますよと、こういう裏づけがあるわけではないでしょう。その点いかがですか。
  14. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 日本としては多くの海峡を通るわけでございまして、マラッカ海峡のほかにホルムズ海峡でありますとか、いろいろ通るわけでございますが、一番わかりいい例としてマラッカ海峡というものを御説明のときに使わしていただいたということでございます。沿岸国がその国の恣意によりまして通航制限をする、されることになりますと、日本としては大変な利害関係を持つと、こういうことでありますので、その点は御了承を賜りたいと思います。
  15. 野田哲

    野田哲君 時間がありませんからこれ以上その点触れませんけれども農林大臣に伺います。  この特定海域五ヵ所について、附則において「当分の間」という表現を使っておられるわけですが、この「当分の間」ということで附則にこういう措置をうたわれたということは、将来一定の条件が整えば全面十二海里にすると、こういうふうに解してもいいわけですか。
  16. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 先ほど来外務大臣が御説明申し上げておりますように、国連海洋法会議におけるいわゆる国際海峡についての議論というのは、一般領海通航無害通航よりもより自由な通航制度と、そういう方向議論が収斂をされつつあると、こういうことでございます。そこで国連海洋法会議結論というものを私ども今後も注視し、これができた場合におきましてこれを尊重するという立場をとってまいるわけでございますが、それまでの間、当分の間現状のままにしていくと、こういう意味合いでございまして、国連海洋法会議結論がいかように出るか、その時点におきましてこの「当分の間」という問題につきまして政府としても方針を決め、国会にもお諮りをしなければならないと、このように考えております。
  17. 野田哲

    野田哲君 外務大臣に伺いますが、この国際海洋法会議国際海峡についてより自由な通航についてのコンセンサス——合意が成り立つ、こういう状態になって、日本においても特定海域三海里で据え置いた状態というものを十二海里に線を引き直してもいいと、こういう状態になったとした場合に、核搭載潜水艦等通航はどういうふうにお考えですか。
  18. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 海洋法会議結論がどのような形で最終的に決着を見るかということにこの問題はかかってくるであろうと、こう思うわけでございます。しかし、日本非核原則を堅持すると、こう申しましても、これは日本といたしまして権限の及ぶ限りにおいてこの非核原則を堅持すると、こういうことであろうと思うものでございまして、日本権限国際海峡の通過に対してこれを阻止するような権限のあるような通航方向が出るのかどうかというところにかかってくることであろうと、このように考えているのでございます。
  19. 野田哲

    野田哲君 時間がありませんので残念ですけれども、余り深い議論ができないのですが、結局今回の措置というのは、先ほど来の御意見もありましたけれども、やはり私どもとしてはこの十二海里の線引きにしても二百海里の問題にしても、きわめて暫定的なといいますか、問題を後に残したこういう措置をとられている、この懸念を消すことはできないわけです。特に、この領海十二海里の問題について特定海峡設定をされた、こういう点については、これはいろいろ将来の国際海洋法会議結論に待つということや、あるいはマラッカ海峡等理由がつけてありますけれども、私どもとしての受けとめ方としては、特定海域設定をして三海里に据え置いたということは、結局はこれは非核原則の特例を設けた、こういう理解にしかどうしても思えないという点を指摘をしておきたいと思うのです。  引き続いて防衛庁に伺いますけれども新聞等報道するところでは、防衛庁領海法に対する防衛庁としての見解を取りまとめて関係閣僚会議提出をした、こういう報道がされておりますが、防衛庁はどのような意見をこの領海問題について出されたわけですか。
  20. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、ただいま領海法準備に当たって関係閣僚会議防衛庁意見をまとめて出したというような記事があったということでございますが、全然事実無根なものでございます。私ども関係省庁においてこの問題が研究されます際には、関係省庁担当事務屋がそこに集まりまして、各省の意見を持ち寄って最終的に政府意見をまとめるという方針審議が進められたものでございまして、防衛庁が特に意見を初めから設定をしてその会議に臨んだというようなことではございません。新聞記事はそういう点において誤り伝えられたものではないかと、こう考えておるのでございます。
  21. 野田哲

    野田哲君 私は、根も葉もない報道とはどうしても考えられないのです。あれだけ一章、二章、三章と、こういうふうにして枚数がどの部分に一番ウエートが置かれていたか、ここまで報道されているわけですから、何らかのものがあったんじゃないかと思うのですが、あったかなかったかは別にして、見解を持って関係省庁会議に出られたと思うのです。一定意見は持っておられたと思うのです。その意見があれば聞かしてもらいたいと思うのです。
  22. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、大体その当時の防衛庁意見といたしましては、第一には領海三海里が十二海里に拡大されることにつきましては、防衛的な立場からこれは賛成であるということでございます。  なお、次には特定海域、要するに国際海峡というようなものが設定されるわけでございまするが、当時、海峡は六十数海峡というようなものがあるわけでございまするけれども、なるべくそういう現状のままにする、三海里にする特定海域なり国際海峡というようなものは数が少ない方が結構でございます。そういうような意見を持ってまいったことはございます。私からもそういう点で研究の結果を、そういう点を申し上げるべきであろうということを指示をしたことがございます。
  23. 野田哲

    野田哲君 防衛庁長官はこの二百海里の制定という問題について、あるいは十二海里の問題に関連をして、自衛隊法八十二条の改正、それと武器使用制限の緩和について部内に法制的な検討を命じたと、こういう報道情報等がありますが、この点いかがですか。
  24. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いまお尋ねの新海洋時代に対しましての防衛庁としての考えでございますが、私どもは現在の法体系下におきましては、海上保安庁一般的には海上警備をいたしておる、それに対して私ども積極的な協力をいたしてまいっておるわけでございます。現状の特に漁業水域二百海里の問題については、いま申し上げまするような現在の体制の中で、特に有事の際、特別必要がある場合には自衛隊出動をするということがございまするけれども、平時におきましては、いま申し上げますような私は現体制で結構ではないかというような考え方を持っておりまするので、武器使用なんというようなことは全然そういうことを考えるとか、研究したというようなことはございません。  いま申し上げましたように、そうした現在のやっておりまする海上警備に対して海上保安庁協力をいたしておるのを、もっと現在の法体系の中でわれわれは何ができるかというような点について検討を命じたことはございまするけれども、それ以上出たことは、特に自衛隊というようなものがそういう点に出動をするということ自体が非常な戦争につながるというような私はことにも憂慮いたしまするので、この問題については慎重かつ冷静に対処すべきであるという態度方針のもとに対処いたしておるわけでございます。
  25. 野田哲

    野田哲君 一応現行法体系の中でと、こういうことで理解をしておきたいと思うんですが、最後に外務大臣に今日の見解を承っておきたいと思うんですが、私は予算委員会で昨年のミグ戦闘機外務省なりあるいは防衛庁なりのとった態度が、つまり日本独自の措置でなくて、アメリカ軍関係者と提携をして解体をして、その情報アメリカに提供した、このことが今日、日ソ間の問題に一つの障害になっているんではないか、こういうことについて指摘をしたわけですが、当時外務大臣としては、あの措置は間違っておりませんと、外交、国際的にもソ連との間に何ら支障は起こっているとは思わないと、こういう答弁があったわけですが、その後超党派で国会から議員団を派遣をしたときにも、やはりこの問題が一つ問題点として議員団に提起をされている。こういう点からして、私はやはり当時指摘をし、あるいはあのミグ問題が起こった直後に、内閣委員会で、あの措置については日ソ間に禍根を残すのではないかということを、当時の坂田防衛庁長官等にこもごも私ども指摘をした経過があるわけですが、今日でも外務大臣としてはあの措置日ソ間の交渉には何ら差しさわりはない、当然の措置であった、こういう認識をお持ちなんですか。
  26. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ミグ戦闘機事件につきまして、予算委員会でも御指摘があったことをよく覚えております。わが国といたしまして当時の措置をいまここでとやかく申し上げるのは適当でないかもしれませんが、いろいろな会談におきまして先方が、いろんな抽象的な表現ではあったかと存じますが、その点について話題として話し合いの中に出ておるということは、当然この昨年のミグ戦闘機、これはまことに不幸な事件であったと。その事件が今日におきまして日ソ間の友好関係に対しまして何らかの好ましからざる影響を与えたということは、当然想定されるところでございます。私どもといたしましては、日ソ間の友好関係の改善を極力努力をして図ってまいる、こういう態度で臨みたいと、こう思っております。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 初めに、十二海里領海法を国際的に認知させるためにはどういうような具体的な処置をとる必要があるのか、この点についてお伺いします。
  28. 井口武夫

    説明員井口武夫君) これは外交チャンネルを通しまして関係国に周知徹底させる予定でございますし、それからまた各国領海の幅員の拡張については、国連にも通報して、そこで各国に通知するという手続もとっている場合もございます。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは直ちにできるわけですか。要するに日程的には期間が必要なものなのか、あるいは通知してそれで終わりなのか。すぐできるものなんですか。
  30. 井口武夫

    説明員井口武夫君) これは発効の日取りを決めまして通知するわけでございまして、別に何日前にしなければならないとか、そういうような手続が確定しているわけではございません。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 それだけ前提にしておきます。  そこで、先ほど防衛庁長官防衛庁のいろんな問題についての問題でありますが、これは私は、まず一つは先ほどの発言の中で、海上自衛隊が、領海が相当広がるということで防衛庁は一体これに対してどういうように対処していくのかという問題について、第一次的には海上保安庁協力をする、こういうことなんですけれども、これは海上保安庁協力するというのは、自衛隊法で言うと第何条の行動に基づいてのことになるんですか。
  32. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 自衛隊法百一条の海上保安庁と緊密な連絡をとるという項がございますが、その項だと思います。
  33. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、先ほど海上自衛隊の行動のいかんによっては戦争につながるという発言を防衛庁長官はいたしました。これはどういうことですか。
  34. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 海上保安庁の云々という項で申し上げたのでございまするが、例の八十二条の項でございますが、この点などもきわめて厳しい実は条件のもとにやるわけでございます。そういうことで、自衛隊がそうした海上一般警備に平時の場合に出ていくということは、これは徹底的に慎まねばならぬという姿勢でおるわけでございます。有事の場合に出る場合におきましても厳しい枠決めがあるわけでございますので、そうしたことを考えてまいりますれば、自衛隊の、特に海上自衛隊出動等については、厳しい私は判断のもとに立たねばならぬということが、いま申し上げましたように、そうした戦争につながるおそれがあるという立場から戒められたものであるということを申し上げたところでございます。
  35. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、八十二条のいわゆる発動ですね、これは要するに平時では考えられないことで有事の場合と、こういうふうな解釈ですか。
  36. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) これは、いわゆる有事ということにはならぬと思います。平時におきましても、海賊その他不法な船舶が横行するというようなそうした事態だと思います。そういう事態においても、先ほど申しますように厳しい枠決めの中で行動をすることになりますということでございます。
  37. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、先ほどの答弁といまの答弁は大分違うんですよね。これは要するに八十二条に対する防衛庁としての考え方ですね、これは基本的にどういうふうに解釈をしていらっしゃるわけですか。
  38. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 八十二条につきましては、自衛隊法ができましたときにいわゆる暴力的な不法行為、普通の不法行為の取り締まりというものは海上保安庁がおやりになりまして、継続的に暴力的な不法行為がある場合、たとえて言えば、海賊なんかが横行して日本の船の生命財産が危ういというような場合に、特に必要がある場合にということで、この必要性を総理大臣の承認を得て長官が発動するということになっておりますので、これはある意味におきまして、実力を持っっております自衛隊の行動というものに対して、厳しい制限があるものというふうに私ども考えているわけでございます。したがいまして、いままでいろいろな海上における不法行為があった場合にも、この条項によります警備行動というものはとられておりません。したがいまして、治安出動に近いような状況のもとでこの警備行動がとられるものというふうに解しているわけでございます。
  39. 峯山昭範

    峯山昭範君 としますと、今回のいわゆる十二海里、二百海里法の制定に伴って、結局、海上における警備行動というこの八十二条の発動は一般的には考えられないと、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  40. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは十二海里の領海、それから二百海里の漁業水域ができましても、直ちにこういうものが安易に発動されるというふうには考えておりません。
  41. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはやはり私は、八十二条の法の精神はそういうことでございますけれども、八十二条を読んでみますと、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合に」というふうになっております。これは今回の領海法に関する場合は発動しないということでいきますと、これは実際問題これだけ広がった領域を保全する、あるいは漁民の皆さん方が安心して操業する、そういうふうな問題に対して、これはただ単に自衛隊が百一条で海上保安庁協力するという中身ですね、どの程度、どこら辺まで協力ができるのか、あるいは自衛隊としては一体何をするのか、これは要するに従来の三海里のときとどういうふうに具体的に変わってくるのか、これはどうなんです。
  42. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) その点につきましては、大臣からの指示もございまして私どもも研究をいたしました。で、現在やっておりますのは、御承知のように海上自衛隊、航空自衛隊は単に領海、領空の中だけで訓練をやっているのではございません。公海上に遠く出まして訓練をやっております。したがいまして、その訓練の行き来、あるいは訓練をしている状態のもとで特異なあるいは不審な船舶の状況がございましたら、直ちに海上保安庁に連絡をいたすということが従来からやっておることでございます。さらに、今度非常に広い海域になりますので、あるいはよその国の漁船が不法な漁業をやっているというようなのは、ある意味では日本の漁船なんかが一番早く知るのではないかという気がいたします。そういう場合に、当然海上保安庁の方に報告がございました場合に、海上保安庁の方から、その実際の状況を把握してもらいたいというような要請がございましたならば、私どもには航続距離の長い対潜哨戒機もございますし、また急速に行って偵察できるファントムという偵察機もございます。したがいまして、そういうことによって御要請におこたえすることができるのではないかというふうに考えております。  ざらにまた、先ほども海上保安庁の方からるる御説明がございましたように、とりあえず現体制で臨むということになれば、それぞれのいわゆる漁業区域というようなところは、二百海里の中でもある程度多くの魚がとれる場所というのはわかるのではないかと思いますが、そういうところにたとえば巡視艇を重点配備しましたようなときには、そのほかの海域におきます海難あるいは航空救難、そういった面で従来海上保安庁が重点的にやっておられたようなことを、災害派遣というような形で海難救助、航空救難の面などで御協力できるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  43. 峯山昭範

    峯山昭範君 結局、海上保安庁の要請によって自衛隊がいわゆる監視体制に参加をする、こういうこともあり得るわけですね。そうしますと、海上保安庁は、防衛庁にいわゆる違法漁船やそういうものに対しての監視や、そういう防衛庁に依頼するという場合、どういう場合を想定していらっしゃいますか。
  44. 間孝

    政府委員(間孝君) この漁船の違反操業についての監視に対する第一次的な責任、これはもう海上保安庁が負っているわけでございますので、新しい二百海里の水域設定されました場合に、私どもは現在持っております巡視船、それから航空機、これを重点的に運用をして、そうしてその監視、取り締まりに遺漏のないようにする方針でおるわけでございます。いま防衛局長からも申されましたが、具体的には、漁業につきましては漁場というものがございますし、また漁期というものもございまして、それぞれ外国船の集中する場所というものがございますので、そこにできるだけ私どもの現在持っておる船艇、航空機を重点的に運用する、こういうことでとりあえず現在の段階は行こうという方針を固めておるわけでございますが、しかし、これだけではもちろん全体の体制の面からは不十分でございますので、今後の船艇、航空機の増強整備ということは海上保安庁として特に力を入れてやらなきゃならない、こういうふうに思っております。  いま防衛庁の方との関係でございますが、これも現在防衛庁との間におきましては密接な連絡は保っておりまして、領海違反の領海内での無害でない通航についての情報の提供などにつきまして防衛庁から協力をいただいておるわけでございますが、今後この二百海里という広い海域になりますと、確かに私どもの目の届かないところはどうしても出ざるを得ないというふうに考えます。そこで、それに対しましては、防衛庁はもちろんでございますが、そのほか関係の機関、あるいは民間の船舶などに対しましても、そういう違反操業の事実を発見したものについては速やかに海上保安庁の方に連絡をしていただくように、そういう一つ体制を固めたいというふうに私ども考えておるわけでございます。そういった点の中で、防衛庁との情報の連絡についても考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  45. 峯山昭範

    峯山昭範君 端的に質問に答えてもらいたいんです。要するに、海上保安庁の要請によって防衛庁が出ると言うんですがどういう場合か、こう聞いているわけですから、そこに端的にぽんと答えてもらいたい。  それから、実際問題として、わが国の二百海里の漁業水域で外国の違法漁船というのが操業しているのを発見した場合、これはそういう違法漁船の追跡権といいますかね、そういうことに対しては防衛庁はどういうふうに考えていらっしゃるのか、それから海上保安庁はどうお考えなのか。これはどうですか。
  46. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生の申されました防衛庁がその取り締まりの権限はございませんので、その状況を監視していて海上保安庁に通報するというのが原則でございます。
  47. 間孝

    政府委員(間孝君) 海上保安庁はこの防衛庁の方からの違反についての情報をいただく、こういう形でございますが、いまの追跡権の問題につきましては、これは海上保安庁の船舶はそういう違反船の取り締まりの権限を持っているわけでございますので、発見をいたしました場合には、これを追跡し停船をさせて、その臨検をし、そこに違反があればこれを刑事訴訟法に基づきまして逮捕する。日本の港に回航させてそこで取り調べを行う、こういうことになります。
  48. 峯山昭範

    峯山昭範君 その追跡権というのは二百海里の外、いわゆる公海にまで及びますか。
  49. 間孝

    政府委員(間孝君) 現在の公海条約の中では、外国船に対する追跡権というのは領海に限られております。つまり領海の中で行われました違反行為、これに対して沿岸国の官憲がこれを領海外に追跡する権限がございます。しかし、公海上で行いましたところの違反行為については、現在の公海条約ではそういう権限はないのでございますが、ただ現在国連海洋法会議審議されております単一草案、この中では、経済水域におけるところの違反についても沿岸国は追跡権を持つというふうな規定が盛り込まれておりまして、そういう方向でその審議が行われているわけでございますが、したがいまして、今回の漁業水域二百海里についての追跡権というものは、当面現在は公海条約によるわけでございますので、追跡権は私どもはないと考えておりますが、やはりこれは今後の海洋法会議におけるところの検討にまつという問題であろうと思います。
  50. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほどの自衛隊からの要請という、海上保安庁はそういう問題について自衛隊に対して要請をするということを考えたことはありますか。
  51. 橘直治

    委員長橘直治君) 簡単に御答弁を願います。
  52. 間孝

    政府委員(間孝君) 特にそういう警察権の行使という面についての要請というものは、現在考えておりません。
  53. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、海上保安庁は要請する意向が全くないわけです。防衛庁からの連絡によってそういう現場に飛んでいく、海上保安庁が飛んでいく、そういうことは考えられる。しかし、防衛庁に対して海上保安庁が要請するということはないと言うていますよ。これはどうです。
  54. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは要請があるかないかわかりませんけれども、私どもが勉強した中で、非常に広くなりますと情報の提供という意味で要請があるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  55. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に、時間がございませんのでもう一点だけお伺いをしておきます。  今回の日ソ漁業交渉や二百海里水域問題を通じまして、特に何といいますか、日本の弱点としていろいろの問題が出てきているわけでございますが、海洋研究のおくれというやつですね、これに対して政府はいま現在までどういうように取り組んできていらっしゃるのか。これは海洋の研究、大陸だな、いろいろな問題いっぱいあると思うのですが、こういう問題についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、この点ちょっとお伺いをしておきたい。
  56. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 海洋の研究と申しましても、非常に広範なわけでございます。いま漁業資源の調査あるいは新漁場の開発あるいは海流の状況、そういうようなものは、各水産試験場あるいは水産庁の外郭団体であります海洋水産資源セシター、そういうものの調査船等で行っております。また、これから資源をふやし、育て、とる漁業、栽培漁業を盛んにするということで、国立の栽培センターというものが瀬戸内海にございますし、今後太平洋、北日本に一ヵ所国立の栽培センターを設置する。また、各府県の要請に基づきまして栽培センター等を設置して、そういう問題の研究調査を進めておるわけでございます。また、科学技術庁でありますとか、その他と一緒になりましてのいわゆる海洋調査、この方はまだ十分でございません。つまり、海洋牧場とかそういう意味の研究、試験調査というものは十分でない。今後は十分その点に力を入れていかなければならないと、このように考えております。
  57. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは実際問題農林大臣が直接担当かどうかわかりませんけれども、実際海洋国家と言われながら、いま農林大臣答弁も、大体日本を中心にしたいわゆるとる漁業いわゆる漁業を中心にした調査ですね、調査研究、それも確かに必要でしょうけれども、それだけではなくて、やっぱり日本の国が国際的なこういういろんな問題に対処していくためにも、もっとわかりやすく言うと、世界の海を対象にもっといろいろな角度からの研究が必要ではないか。ただ単にとる漁業、あるいは養殖する漁業、それだけではもう間に合わなくなってきているのではないか。そういうふうなあれが今回の対ソ漁業交渉等にもいろいろな角度からあらわれてきている、私はそう思います。そういうような意味でのいわゆる調査研究というものに対して、これはやはり国を挙げて研究開発あるいはそういう国際的な協力調査そういうようなものが必要になってきているのではないか、こういうように思うのですけれども、この点どうですか。
  58. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御指摘の点は、確かにおくれております。そこで、先般の閣議におきましてもその問題が提起されまして、今後農林省、科学技術庁、環境庁、運輸省その他の関係省庁で閣僚会議を開き、またその下に事務当局等におきまして連絡機関をつくってそういう方面に力を入れていこう、こういう点を閣議でも取り上げた次第でございまして、今後一層努力をしていかなければいけないと、このように思っております。
  59. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、もう一点だけお伺いをしておきます。  先ほど韓国の二百海里漁業専管水域設定の問題について質問がございましたが、これは実際問題として、農林大臣は先ほどから相互主義である、こういうふうに御答弁なさっていらっしゃいますが、現実の問題としてこの法案が通過いたします。その後やはり韓国としても、これはやはり二百海里という問題は重要な問題であろうと思いますね。そうしますと、やはり二百海里専管水域設定するということは、もう先ほど外務大臣答弁でも韓国国会議論になっているということでございますから、近い将来やはり何らかの対処をしてくるんじゃないかと、こういうふうに思うわけですけれども、この問題について、結局韓国が実際に二百海里という問題を設定した場合、政府はこれに対して、そういうふうになった場合には日本としてはどういうふうに対処していくのか、その点ちょっと一遍お伺いをしておきたい。
  60. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) まだ韓国の公式な方針態度表明というものがなされておりません。しかし、このわが方の二百海里漁業水域法、これは本邦沿岸沖合い全域に設定をされるわけでございまして、相手国がやらない場合にはそれを適用除外すると、こういうことでございますけれども、相手国がやるという場合には直ちに政令によってこれに対処する、このように考えております。
  61. 峯山昭範

    峯山昭範君 その場合、漁業協定との問題はどうなりますか。韓国との漁業協定は一九六五年に締結されていますね。それで、この漁業協定というのはあれでしょう、やはり廃棄通告後一年後に失効すると、そうなりますね。そういうふうな場合、この二百海里の効力とかそういうような問題との絡みはどうなりますか。
  62. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 一方的に漁業協定を廃棄した場合には一年間有効でございます。しかし、そうでなしに、締約国両国が合意をして行う場合におきましては、合意と同時に廃棄されることになるわけでございますが、恐らく合意をするということに当たりましては、日韓なり日中の漁業協定というものをいかように、一部変更するにいたしましても、基本的にはそれを存続をすると、そういうことで協定の改正、まあ改正といいますか、訂正といいますか、そういうような交渉も当然私はやらなければいけないと、このように考えております。
  63. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはそのくらいにしまして、今回の海洋二法案が通りまして、西日本海域が二百海里の漁業水域適用から除外されているわけですが、この場合、そこにソ連の漁船が入り込んできた場合には、政府としてはこれはどういうふうに処置をされるわけですか。
  64. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いまのところそういうことを、現実のものになるかどうかということを考えておりませんが、もし不幸にしてそういう事態になりますれば、これは当然海域を指定し、また当該のその漁船に対しましては漁業水域法適用になるように措置してまいると、こういう考えであります。
  65. 峯山昭範

    峯山昭範君 その場合、たとえば海上保安庁なんかは具体的にどういうふうに対処していくわけですか。
  66. 間孝

    政府委員(間孝君) これは今後の日ソなりの国家間の話し合いで決まってくる問題だろうと思いますが、この新しい漁業の専管水域に関する暫定措置法が適用になれば、それによって当然取り締まるということになると思います。
  67. 峯山昭範

    峯山昭範君 農林大臣、実際問題そういうところまで話し合う余地があるんですか。
  68. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは、現在交渉しておりますのは、ソ連の二百海里漁業専管水域の中にわが国の漁船が伝統的な実績に基づきまして操業をさしてもらう、そういうことでいま交渉がされております。しかし、いま御審議を願っております漁業水域法というものができますれば、二ヵ月の間に実績を持っておるソ連漁船がわが国の沖合いで操業したいという要請があります場合は、わが方としては一定の条件、一定のクォータ、そういうようなもので操業を認める、そのための今度は漁業協定というものを結ばなければならぬわけでございます。そのときの問題になるわけでございます。
  69. 峯山昭範

    峯山昭範君 もうすでに時間をオーバーしているそうですので終わりますけれども、これはもうすでに質問があったと思いますけれども日ソ漁業交渉の、あのいわゆる日ソ漁業条約を破棄するというやつですね、きょうの新聞報道された分ですが、これは当然前々からそういう意向があったということで、農林大臣驚いてないということですけれども、これは実際問題私は大きな問題だと思うんですけれども、この点についてはどうお考えですか。この点、一遍大臣のあれをお伺いして、私の質問を終わっておきたいと思います。
  70. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは三月に私訪ソをいたしました際に、ソ連漁業省の首脳部からそういう方針を持っているという示唆を受けておるわけでありまして、わが方としては、当然近々のうちになされるであろうということを予期いたしておったところでございます。これはわが方が二百海里水域法をやったからとか、あるいは領海法を新たにやったからとか、そういうことに起因しておるものではない。アメリカも二百海里漁業専管水域設定いたしますと同時に、ICNAFあるいは北太平洋漁業条約、日米加の漁業条約から脱退をいたしておるわけでございます。脱退をして、条約の制約を受けないでその専管水域内におきましては主権的権利を行使しようと、こういう方針アメリカもやっておるわけでございます。私は、そういうぐあいに受けとめておるわけでございます。
  71. 岩間正男

    岩間正男君 最初に伺いますが、宗谷、津軽、大隅などの五海峡の三海里凍結のねらいですね。  これは第一に、国連海洋法会議の大勢が国際海峡自由通航に傾いているのを見越して、それに横滑りをすることを考えているのではないか。第二には、非核原則や安保条約との関係で、従来どおり核積載艦などの自由通航を認めるためではないか。こういうことは、事実いままでの審議の中でこれは明らかになってきたと思うんです。  そこで私はお聞きしますが、一九六八年、これは領海条約に加入した際でありますけれども日本政府政府見解というものを公表した。その中で、常時核装備艦の領海通航を認めずという態度を打ち出したわけであります。今度の三海里の凍結の問題、これとは非常にこれは矛盾をするわけですね。この問題についてどう考えられるか、お聞きをしたいと思います。
  72. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) お尋ねの点につきましては、昭和四十三年の政府の統一見解は依然として維持されるかと、こういう御質問だと思いますが、この点につきましては、従来いろいろの委員会において政府首脳から御答弁がありましたように、今回領海を十二海里に拡張するに当たってもこの統一見解を変えることはないということでございます。また、いまのお尋ねの特定海峡との関連につきましては、特定海峡現状を凍結をいたしますので公海がそのまま残るということでございますので、この統一見解との関連の問題は生じてこないと、こういう関係でございます。
  73. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないので端的にこれはお答えを願いますが、結局方針は変えないと、こういうことなんですね。それなら、それを努力しなくちゃならぬと思うんですね。これはちょうど第三次の国連海洋法会議第二会期、つまりカラカス会議でありますが、マレーシア、モロッコ、オーマン、イエメンの発展途上国の四ヵ国が、核兵器や原子力船の海峡通航を厳しく規制する、このような提案を行った。また国連海底平和利用委員会、ここでもキプロスやマレーシアなど八ヵ国が同様のこれは提案を行っているわけです。このような情勢を考えますときに、世界でただ一つの被爆国であるわが国が率先してこれらの提案を取り上げて、その成立に努力するのは当然のことと思うんです。また、国民大多数の要望もここにある。政府は、国連海洋法会議が間近に開かれますけれども、これについてどんな一体対処をするのか、はっきり御答弁願いたい。先ほどいろいろ国際情勢とか、国際的協調の何とかというようなことで逃げておりますけれども、かつて決定した政府見解の線でこれは努力をするのかしないのか、この点をはっきり答弁を願いたい。
  74. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいまのお尋ねにありました無害通航に関する統一見解につきましては、先ほど申し上げましたように、わが国といたしましてはこれを今回変更することは考えていないということでございまして、海洋法会議におきましてもこの統一見解を体しながら海洋法会議に臨むということでございます。また、なおいわゆる国際海峡通航制度の問題につきましては、先生御指摘のようないろいろの点があったことは事実でございますが、これは会議の初期の準備段階において行われたものでございまして、そのような考え方につきましては必ずしも多数の国の賛成を得ることができず、いま海洋法会議審議のたたき台になっております非公式単一草案においても、その考え方は取り入れられていないというのが実情でございます。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんね。政府委員答弁、これが必要のときはいいですけれども、やっぱり政治的なこれはいま追及をしているわけですから、外務大臣、これははっきり答えてもらいたいんですね。  そういう点では、何でしょう、この政府の決めた、打ち出した方針、国民大多数の意向によってこれは決定されたものです、四十三年。これを一体実現するのか、これを努力するのか、国連主張するのかどうかということをいま国民が見守っているんです。趣旨だけはこれはちゃんと腹に入れてやっているとか、かつてそういうことを主張したことが記録にも何かこれは残っていますか。ことに、私は強力にこういう段階の中でははっきりやるべきだと思うんです。もう発展途上国がこのような提案をしている、そういう情勢の中で日本だけが、しかも被爆国の日本がそういうような態度では非常にあいまいだと思うんですが、どうなんですか。もう一回外務大臣答弁。やるかやらぬかでいいですよ、端的に。
  76. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 国際海峡通航問題につきましては、何遍もお答え申し上げておりますとおり、日本といたしましては一般領海通航よりもより自由な通航制度無害通航よりもっと自由な制度主張してきておるわけであります。  領海通過につきまして、昭和四十三年のこの統一見解があります。この統一見解は、日本も厳守してまいりたい。したがいまして、十二海里に領海が拡張する結果、十二海里内につきましても無害通航とは認めない、常時核装備艦は無害通航とは認めない、このような態度を厳守するところでございます。他方、この領海通航につきましては、たびたび申し上げましたように、日本はより自由な通航主張しているということをもう繰り返し申し上げているところでございます。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 大体そんな答弁で満足すると思っているんですか、国民は。そうでしょう。ちゃんとこれは政府見解では、常時核装備艦の領海通航を認めずと、もう決めているんですよ。それを無害通航よりももっと緩い条件で主張しているなんということは、これは全く政府見解そのもののこれは怠慢ですね。こういうことは私は許されないと思うんです。  そこで、これは園田官房長官にお聞きしますが、去る四月三日のNHK国会討論会、これで、官房長官おいでにならないので塩川官房副長官が出席をされた。この点で、いま申し上げたような点で努力をするのか、努力をすべきじゃないかと私はこれは迫ったわけであります。これに対して塩川副長官は、はっきりNHKのあの放映を通じまして、非核原則海峡についても貫くため海洋法会議でも主張する、こういう約束をこれははっきりしているわけですね。  ところが、四月二十一日に衆議院の農林水産委員会でわが党の正森議員がこの問題についてまた質問しました。ところが同副長官は、これは核廃絶一般のことを言ったものだと言って前言を翻してしまった。これは明らかに食言だと私は思うんです。そのときの録音は、これは間もなくNHKから出版されますからはっきりするのですが、われわれこの速記録も用意してきております。ここにございます。そうするというと、これは大変な重大な問題じゃないか。政府の不統一だ。不統一がここにまざまざと出た、そういうことでしょう。私は、核廃絶一般のことなんか聞いているんじゃない。これは速記録で具体的にやれば明らかです。私の発言は、まず政府見解についてただして、さらにカラカス会議の四ヵ国提案に言及して、政府の責任で国連海洋法会議で努力することを求めたものなんです。抽象的な核廃絶一般などについて質問したものでないことは、はっきりこの速記録が物語っています。  それで官房長官にお伺いしますが、このような不統一な態度に対してどういうふうに一体処理をされるのか、お伺いしたいと思います。
  78. 園田直

    国務大臣(園田直君) いまの討論会における副長官の発言は、直ちに副長官から報告がございました。そこで副長官から出された速記録を拝見したところ、確かにいまおっしゃいましたとおりに「あらゆる国際会議において核兵器絶滅のことは主張すべきである。」と、しかしその後に言葉が続いておりまして、「一定の船の海峡通過の問題については海洋法会議結論」云々という発言がございまして、核廃絶についてはあらゆる機会に主張すべきであるけれども海峡通航の問題についてはいろいろ問題があるから海洋法会議結論を待ってと、こういう趣旨の発言をしたと、こう言っております。しかし、いずれにいたしましても、誤解を受け御指摘を受けるような発言を討論会でいたしましたことは、十分注意すべきであると思っております。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 だから食言だと言っているんです。それなれば速記録を読み上げなければなりません。「私らは、「持ちこまさず」という原則を貫くためには、当然、岩間先生がおっしゃるように国際会議でも主張しなきゃならん。ただし、それじゃその船を停止させて実態をいちいち検問して通すかということになってくると、ここが国際会議上の問題になってくると思いまして……」となっている。「そりゃあ、おっしゃる趣旨のことを努力するのは当然のことです。ですから海洋法会議でそういう核兵器絶滅、これはカーター政権も言ってるんですからそれにあわせて、あい呼応してそういう主張は強くいたします。」、これがわれわれの録音を起こしたところの速記録であります。核廃絶一般の問題なんか言っているんではない。そういうことにも触れていますけれども、はっきりこれは海洋法会議でも主張します、こう言っている。具体的な事実なんでありますね。  したがいまして、これは何百万の人たちが見ているんです。いわば公式の国会討論会の席上です。ここで政府が、まあ長官が訪ソの留守でありましたからその代理として出て、そうしてとにかく努力をいたしますということを明言しているんですね。それなのにまるで政府態度というのは、外務省態度はあいまいじゃないですか。無害通航よりももっと緩い形でなんとか、腹にしまっておきましてなんとか、そうして一回でもそれを本当に本気になって国民の立場に立って、国民の要望にこたえるためにこれは核積載艦を国際海峡通過をやめさせるためにそういう努力をする発言をされましたか。していないじゃないですか。その点どうですか。私はそんな不統一じゃだめだと思うんです。政府はどういうふうにこれは処理されるのか、官房長官の御見解を伺いたい。
  80. 園田直

    国務大臣(園田直君) いまの問題は、外務大臣からもしばしば言っておりますとおりに、非核原則わが国にとっては重要な政策でありますから、あらゆる場合においてこれを主張する義務があるわけであります。海洋法会議においても、わが代表団はこれを念頭に置いていろいろ努力をしておるところでございます。しかし、国際海峡通過に際しては航行の自由ということ、それから特に沿岸六ヵ国が提案しましたことにつきましては、わが国タンカーその他の特別の船舶の通航がございますので、この方面から反対をしておるところでございます。そういう面から、国際海峡通過については海洋法会議において悩みもあるし論議されるべきところである、こういう点は塩川君ははっきり言っておるようでございますので、ただ言い方のニュアンスが、誤解を与えるような発言であったかもわからぬと心配をしているわけであります。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 それは誤解を与えるニュアンスの問題じゃないので、もう時間の関係からこれは全部読んでやるわけにはいきませんけれども、いままでも塩川副長官にはっきりこれはただしておるわけですね。そうして海洋法会議も間近に開かれる、そういう中で単に念頭に置いてなどということで、実際、具体的に積極的にあそこで努力するかどうかということが今日問われているんです。ことに、このような今度の十二海里法案の中で三海里の凍結の問題をやった、そういう中で一体政府態度はどうなんだ、国民はいま本当に注視しているんです。そういう中での問題ですから、当然私は、積極的に政府はこれを取り上げて発言をして努力をするのかどうか、あるいはいま言ったようなあいまいな答弁でごまかすのか、このことが問われているわけです。この点について政府の統一見解というものを、これは官房長官ですから明確にやっぱりされる必要があると思いますが、いかがですか。
  82. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 塩川官房副長官の御発言も、私ども速記で承知をいたしております。しかし、核の廃絶という問題、これはカーター新大統領も……
  83. 岩間正男

    岩間正男君 言っていませんよ。
  84. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いや、核兵器の絶滅というようなことを大いに主張するということをおっしゃております。
  85. 岩間正男

    岩間正男君 言ってないですよ。
  86. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いや、おっしゃっております。塩川副長官は、それでこれはカーター大統領も主張しておられるので、これは本当の理想でございます。その理想を日本としては唯一の被爆国として主張すること、これは日本としても大いにあらゆる機会に主張すべきであろうと思います。しかし、現実の領海通航を今日この段階でどうするかということでございますから、これは日本としていま最大の関心は、世界じゅうの海峡をこれは一般領海通過よりも、いわゆる無害通航よりもより自由な通航日本としては確保いたしたい、これが相合的な国益に沿うゆえんである。その趣旨は塩川副長官も私どもと——これはよく読めばそのように理解できるところでございます。
  87. 岩間正男

    岩間正男君 何ですか、よく読めばそういう理解なんて言ってね。あらゆる会議で努力すると言ったのでしょう。国連海洋法会議はあらゆる会議に入らないのか、具体的にそれをいま聞かしてください。入らぬのですか、入るのですか。端的に言ってください。入らないの。
  88. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) それはあらゆる機会におきまして理想として申し上げる、こういうことでございます。今日核兵器の全廃が即刻実現できるというようなそのような情勢にないことは、これはもうどなたも御理解いただけるところではあるまいかと、こう思います。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 これが政府態度なんだね。統一見解としていいですか、官房長官、そんなことで。もう閣内だって不統一なんだね。そうしていま外務省はあくまでこれは強硬で、この点は通航の規制を何とか自由にして自由通航方向無害通航に何とか緩和してなどということで今度まかり通ろうとしておる。  私はここでお願いしておきますが、きょうでは無理だろうが、いままでそういう発言を政府がしたかどうか、これは記録を出してください、あったら。これは公式な発言の中で日本は本当にこの政府見解の線で発言をしたことがあるかどうか、これは資料としてぜひ出してほしい。いいですね。これはぜひ後で確認しておきたい。一言で言ってくださいよ、出すか出さぬか。
  90. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) この点につきましては御理解いただきたいと思いますのは、現在の国連海洋法会議各国が公式の一般討論というものをやるというような会議ではなくて、全く議事録もとらず、非公式な会議ということで議論を積み重ねておりますので、発言の記録というものはカラカスにおける会議を除きましてないわけでございます。カラカスにおきますところの……。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 じゃカラカスの会議の記録の中にあるかないか、これを出してもらいたい。あるんですか、ないんですか。
  92. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) カラカスにおきますところのその関係部分に関するわが方の小木曽大使の発言は、非核原則ということをそういう言葉を出して表現しているわけではございませんけれども、その点を読ましていただきますと、「海上貿易に依存度の高い海洋国家として、我が国は海上、特に国際通航に使用される海峡を通ずる国際交通制度は出来る限り航行の自由を確保するものであることが不可欠と考える。しかしながら我が国は国際海峡問題に関する利害の調整についての特別な必要性認識している。航行の自由を確保する一方、海洋法会議は同時に汚染の防止及び安全通航等の沿岸国の正当な利益にも適切に配慮すべきである。同時に我が代表団は当該沿岸諸国の安全保障の問題に適切な考慮が払われるべきとの見解を有している。」と。この関係が、要するに沿岸国としての安全保障の問題を十分考えなければならないという立場を表示したものでございまして、以下具体的な問題の討議にその後の会期において入っておる、こういう状況でございます。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 かくのごときものです。こういう答弁で国民を本当に納得させることができるかどうか。国民は、もっとこの問題についてはっきりした政府態度を要求しているのですよ。だから私は、いまの政府は統一見解をこれは明確にしません。こういう問題は了承することはできません。今後追及したいと思うんですけれども、とにかく政府は一歩前進すべきだ。とにかく間近なんだ、もう。その中ではっきりこれは主張しなけりゃならぬでしょう。そうして、三海里凍結というものの底意がはっきりしている。そういう中でまたあいまいな態度をとって、実際は自由通航の方に道を切り開くという、そういう下心でやられている外交については国民は了解できないのです。  次に、私はお伺いしたいのですけれども、この二十五日の衆議院連合審査で防衛当局ですね、これは五海峡のいわゆる特定海域の防衛について、「有事の際の治安、防衛行動は、自衛隊法で対応行動がとれる。」この場合の「自衛隊の行動は、わが国の安全上、必要な範囲となるわけで、(特定海域における外国船舶の)通航が侵略の大きな要素であれば、実力阻止は可能だ」という趣旨のことをこれは述べられたと報道されておりますが、このようなことは間違いございませんか。これも時間に非常に制約されておりますから、端的にお答え願いたい。
  94. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 有事の際の自衛隊の行動というのが領海の中に限られたものではなくて、自衛に必要な範囲で公海上に及ぶということを御説明した中で、そのようなことをお答えしたと思っております。
  95. 岩間正男

    岩間正男君 この点が、非常に今度の質問の中で重要な問題じゃないか。これらの発言は、領海十二海里や漁業水域二百海里の設定、こういうものをきっかけとして自衛力の強化につながるおそれが非常にあるんじゃないか。午前中の質問でもわが党の安武議員が指摘しましたが、経団連の防衛生産委員会がこういう事態の中で海上防衛の強化についてこれは提言をしておる。こういう事態からも考えて、非常にこの点は今後問題になるところです。これについてそのような事態がないという、そういうふうにおっしゃるなら、歯どめとしてはどう考えておられるのか、この歯どめについてお伺いしたいのです。
  96. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先生の歯どめという御質問でございますが、自衛隊におきましては、三海里のときも同じような御答弁を申し上げておりますし、十二海里になったからといって特に新しい内容のことを申し上げたわけではございませんので、従来からの防衛力整備の考え方に立って今後整備してまいりたいというふうに考えております。
  97. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つは、大体自衛の範囲の問題ですけれども、これがずっと安保改定当時から変わってきておるわけですね、そうでしょう。これは、ちょうど六〇年の安保のときのここに岸さんの自衛の範囲についての答弁がございます。日本の自衛のために必要な線を領土以外に拡大して、そこが武力攻撃を受けた場合においても自衛権が発動するものではない、こういうふうに答えている。これが最近では、外部からの武力攻撃がある場合、わが国の防衛に必要な限度において、領土、領海、領空においてばかりでなく、周辺の公海、公空においてこれに対処する云々、こういうふうにこれは変わってきている。情勢の変化に応じて今後自衛隊の行動範囲がこれはどこまでも広げられる危険がないか、この点を国民は心配しているのです。一方では、領海十二海里の設定やあるいは二百海里漁業水域設定によって、外国船が、漁船が入ってきた場合のこれに対する対処のことも心配しておると同時に、自衛隊がこういうものにいわば乗っかって強化されることを非常に心配しているわけなんです。この点について歯どめという言葉で言ったわけでありますが、これは防衛庁長官、どのようなあなたのこれに対する対処の仕方を持っていられるか、はっきりお答え願いたい。
  98. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、再三申し上げておりますように、この新海洋体制がしかれましても、あくまで海上警備一般的には海上保安庁が任務としてやられるということでございます。特別に必要な場合に限りましては海上自衛隊が出る場合もあるわけでございますが、このときもこれはあくまでも総理大臣の承認を得て出てまいるわけでございます。  なお、歯どめにつきましては、御承知のように、自衛隊が出る場合におきましては、この点については八十二条で申しておりますが、まず急迫不正な攻撃があってどうしても私ども自衛隊が出なければならないかどうかという判断をして、他の方法はないのかというようなことを歯どめとして持っておるわけでございまして、私どもとしたしましては、現在の平時の体制の中においては、あくまでも第一義的には海上保安庁の任務遂行に積極的に協力いたしたいというそういう姿勢でおるわけでございまして、決してこの機会に自衛隊が法の八十二条の改正等をして海上警備に当たる、そういうような考え方ではおらないということを、現時点においてはそういう考えでおらないということを、ここではっきり申し上げておきたいと思うのでございます。
  99. 岩間正男

    岩間正男君 今度の領海十二海里の設定は、これは本当に沿岸あるいは沖合いの漁業関係者はもう三年も前から望んでいることですね。だから、この法案の一日も早い成立というものがこれは望まれ、そして昨年は一応政府は決定しておりながらこれが延び延びになった。それはいま質問したほかの国との関係あるいは国連における関係、そういうようなもの、さらに具体的には非核原則の制約等日米安保条約上の要請から、核積載艦の自由通航を認めるために五つの海峡の三海里凍結を政府は一方で決めた。その一方で、それを決めた政府が、三海里外の特別海域、これは公海でありますけれども、この特別海域というものを決めておいて、そこで何か有事の場合には自衛行動をとるという新しい決定をこれは出しているわけですね。  なぜ、こんな手の込んだやり方を一体やるのか。初めから本当に五海峡にこれは十二海里を設定してそこに非核原則適用したらいいではないか、こういうふうに国民は考えています。現に私は、現地のそういう漁民たちに会って聞きました。皆それを望んでいるんですね。それをわざわざ三海里で凍結して核積載艦や原子力船を自由に通航させ、安全が脅かされれば自衛隊出動させる、こういうような国会答弁をやっているんですが、これが本当にいま国民の要望している、それから平和への要望、そういうものにもこれはかなうことになるんでしょうか。この点、非常に私は欺瞞的なやり方だというふうに思う。この点を指摘せざるを得ない。どうですか、この点は。
  100. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) たびたび申し上げていることでございますけれども、今回特定海峡海峡を三海里に凍結いたしましたのは、もう海洋法会議結論が出るまで、いわゆる国際海峡通航のあり方、これが決着を見ておりませんので、それまでの暫定期間、日本といたしましては、一般領海通航よりより自由な制度を設けるべしという主張をいたしておりますので凍結をした趣旨でございまして、日米安保体制とはかかわり合いのないことと御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  101. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず、防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  領海の十二海里化さらには二百海里の漁業専管水域設定によりまして、わが国の主権の及ぶ範囲並びに経済権益の及ぶ範囲が拡大されますけれども、これらの水域警備並びに防衛について基本的にどう考え、どう対処しようとしておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  102. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答え申し上げますが、新海洋体制時代を迎えるわけでございますが、それに対しまして防衛庁といたしましては、現行法の体制で対処していくという方針を貫いてまいりたい、そういうことでおるわけでございます。
  103. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは、わが国の防衛上きわめて大きな状況の変化だと思うんですね。こういう問題について、当然国防会議にかけられるべきことだと思いますけれども防衛庁長官並びに国防会議事務局長の見解をお伺いしたいと思います。
  104. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど申しましたように、現行法体系のもとに対処していくという方針でおるわけでございまして、いま直ちに国防会議の問題としてこれを取り上げるというところまでは現在のところいっておりません。
  105. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 二百海里問題は、当面漁業の問題であって、すぐに国の安全そのものにかかわってきてないという認識に立っているものですから、さしあたっては国防会議に事務的に上げるという準備はしておりませんが、別の観点で安全保障全般にかかわりがあるのではないかというふうに議長がもしそういうふうにお考えになれば、当然国防会議が開かれるであろうと思いますが、いまのところ何らの御指示は得ておりません。
  106. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、二百海里の漁業水域の問題だけ申し上げておるわけではありません。領海が三海里から十二海里に拡大されるということは、これは非常に大きな問題であります。大体、国際慣行であったこの三海里の領海の幅がどうして決まったかと言うと、昔の沿岸砲の弾の届く距離というようなことが基準になっておると思うんです。したがって、領海というのは領土と同様に、やはり国が十分にその統治権が及ばなければならない。いままで三海里であったものが、その約四倍の十二海里に広がるということは、私はこれは国防上きわめて大きなことだと思うんです。特に最近の問題で考えてみますと、潜水艦の問題が非常に大きいわけですけれども、三海里の場合は水深の問題もあってそう簡単に潜水艦が領海に入ってくることはない。ところが十二海里になると、私は条件が変わってくると思います。それから、わが国は平和憲法も持っておりますし、他国と戦争するということは考えられませんけれども、他の国が交戦した場合に、その中立国であるわが国領海に逃げ込んでくるとか、あるいは入ってくるということが考えられる。その場合にそれが十分に排除できるか、そういうことを考えた場合、私はこれは防衛計画の上できわめて大きな状況の変化だと思いますけれども、この点はいかがですか。
  107. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生御承知のように、わが国の防衛構想なりあるいは体制は、御承知のように、領海の三海里であり十二海里であるというようなことで策定をいたしておるのではございません。御承知のように、この防衛計画大綱等はわが国の自衛の立場で、公海も含めまして私どもは策定をいたしておるわけでございまするので、特に領海が十二海里になったからどうだというようなところで、防衛体制についてこれを再検討するというふうなことにはすぐつながってまいらないと思うのでございます。  しかしながら、先生御指摘のように、現在のそうした領海問題等を含め、なお北方の漁業あるいは南方の漁業等の問題が生じてきて、全体の国の安全保障等でひとつ問題として受けとむべきではないかというような立場で国防会議等を開くということがどうだという御意見でございます。この点につきましては、十分そうした御意見を受けとめて、国防会議を開くかどうかというような問題について、私どもも総理に意見を申し上げるというようなことにも考えてみたいと考えておるのでございます。
  108. 田渕哲也

    田渕哲也君 領海が三海里から十二海里に広がったことで、防衛の基本方針が変わるとは当然思いません。しかし、それに付随したいろいろなことが変わってくるわけです、条件が。たとえば今度の領海法によりましても、政府案によりますと、五つの海峡は三海里にとどめて自由通航の範囲を残しておる。ところが、他の海峡があります。公海と公海との間を結ぶ他の海峡は、これは全部領海で閉ざされるところが非常に多くなります。こういうところは、国際慣行によれば、大体無害通航が認められるということになるわけですね。ところが、無害通航を認めるといっても、本当に無害通航にするだけのわが国体制がなければそれは領海を広げたことにならぬ、実質の問題としては。それだけの、たとえばそういう領海で封鎖されるところの海峡無害通航警備する体制は現在の状態であるのかどうか、この点はいかがですか。
  109. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはたびたび御説明申し上げておりますが、平時におきます領海内の不法行為の取り締まりは海上保安庁がやっているわけでございます。したがいまして、三海里と十二海里との違いというのはその場所が広くなったということでございまして、先ほど先生の御質問がございましたけれども、よそで紛争があって逃げ込んでくるというのは、これは三海里でも十二海里でも全く同じでございまして、三海里の場合にも逃げ込んでくると同じような問題でございます。私どもが知っておりますのは、たとえば第二次大戦のときにグラフ・シュペー号がアルゼンチンの港に入りましたときには、これは抗議を申し込んで、出て行って自爆したというようなことがございますが、やはりやるとすればそういうような形になるのではないか。いま申されましたように、領海として封鎖されるといいますか、領海の中に入る海峡無害通航については、やはり海上保安庁が取り締まりに当たられるというふうに理解いたしております。
  110. 田渕哲也

    田渕哲也君 領海の拡大に伴って、当然領空も拡大されるわけですね。いままででも論議されておりますけれども、これは三海里から十二海里に広がることによって、特にレーダーサイトの機能等で現在の体制を変更する必要があるのかないのか、この点はいかがですか。
  111. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) レーダーサイトは全国に二十八ヵ所ございまして、これは領空の中だけを見ているわけではございませんで、かなり広い覆域、この二十八ヵ所によりまして洋上かなり遠いところまで監視をいたしております。したがいまして、スクランブルに上がりますのも領空に達して上がるというものではございませんで、このレーダーの覆域の中でいわゆるフライトプランの出ていない識別不能の飛行機に対して上がっているわけでございますから、従来の体制と変わるところはございませんし、また、三海里と十二海里のその差というものは、ジェット機にとりましてはそれほどバイタルなものではございませんので、直ちにこれを変える必要はないというふうに判断いたしております。
  112. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、海峡等で領空になってしまうところもかなりふえるわけです。いままではあいていたところが今度は領空になってしまう。もちろんその五つの海峡は窓口はあけてあるわけですけれども、ただ五つの海峡でもこれから国際海峡通航権ということでいろいろ海洋法会議で論議されるわけですけれども、こういうものと領空の通過の関係はどうなりますか。
  113. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 国際海峡の上空の通過につきましては、なお海洋法会議議論されているというふうに聞いておりますので、その結論を待たなければはっきりしたことは申し上げられないと思います。  それからいま先生が御指摘になりましたのは、私の理解するところでは、南西諸島の上空に従来だとあいていたところがふさがるのではないかという御指摘だと思います。南西諸島の上空につきましては確かにそういう点がございますけれども、これは従来私どもがレーダーサイトで監視をしております限りにおきましては、フライトプランを出しました飛行機については通航が許されますし、フライトプランを出さない識別不能の飛行機につきましては、実は数年前までは沖繩の北側の海峡を通ったこともございます。そして、もちろんスクランブルに上がったというようなこともございますが、最近はそういった狭いところは避けまして沖繩の南の海峡の方を通っておりますので、きわめて少ない例だと思いますけれども、もしそういうようなことになりますと、これはスクランブルで上がりまして領海外に誘導するというようなことになろうかと考えております。
  114. 田渕哲也

    田渕哲也君 今回の領海の拡大等について、現在ポスト四次防の構想というものがいろいろ論議されておりますけれども、このポスト四次防の構想というものに領海の拡大というもので考え直すとか、何らかの変化を与えるということはあり得ますか。
  115. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先ほど大臣からお答えいたしましたように、有事の際の自衛隊の行動といたしましては、領海内、領空内というふうには考えておりませんので、いま直ちにこれを変えるというようなことは考えておりません。  大変恐縮でございましたが、先ほど申し上げましたシュペー号が入港したのはウルグアイの港だそうでございますので、訂正さしていただきます。
  116. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、領海の拡大あるいは二百海里水域について日本の防衛装備あるいは防衛の方針については何ら変わらないと、そういう御答弁理解していいわけですか。
  117. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいままでのところ、一応そのように考えております。
  118. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 防衛の構想なり体制を変えるという考えはないということを申しましたけれども、しかし、現在におきまする防衛計画大綱の中身につきましては、私どもできるだけ速やかに整備をいたさなければならないという考え方でおるわけでございます。
  119. 田渕哲也

    田渕哲也君 ということは、領海の拡大等に伴って、いままでの計画に対して若干やっぱり変更すべきところがある、あるいは装備の点についてもそういうものについて対応すべき点がある、そういうことですか。
  120. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 特に新海洋時代が早期に到来したからということではございません。ただし、領海が十二海里になり、対潜機能を強化いたしましたり、そうした点についてはやはりこれだからということでなくて、できるだけ早期に内容を整備をしなければならないということでおるわけでございます。
  121. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、当然やっぱり領海の拡大によって何にも変わらないということはないわけで、やはり領海を潜水艦が侵犯したり、そういうことに対する対応策というものは考えなきゃならない。領海を広げただけで何にも防衛上変化がないんだということはやっぱりおかしいと思うんですね。領海はやはり国土と同じように主権が及ぶ範囲ですから、守るべき範囲が広がっておるわけです。としますと、やはり装備の面でも若干増強するとかなんとかということは、当然考えなければならないと思うんです。そうして、そうだとすると、私は当然これは国防会議でまず検討すべきことではないか、このように思いますけれども、いかがですか。
  122. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 国防会議と直接これを関連さしてということでなくて、先ほど先生から御指摘がございましたように、広くわが国の安全保障という立場で、こうした新海洋時代になり、しかも南北の海域においていろいろ問題が予想されるというようなことを踏まえて、国防会議というものを考える時期ではないかという御指摘がございましたので、そうした点で、新しいそういう御意見を承ったことについて私ども意見具申をいたしたいということを先ほど申し上げたわけでございまするが、特に私どもの防衛体制については、すでに国防会議で防衛計画大綱を御決定願っておるわけでございまするし、その中身の整備について私どもは強化していかねばならぬという立場に立つわけでございまするので、これ自体をすぐ国防会議にかけねばならぬということは考えておらないのでございます。
  123. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、領海を十二海里に拡大する、あるいは二百海里の漁業水域設定する、これは当然必要なことだと思うんです。必要なことですけれども、それを拡大するためにやはり何がしかの負担が国民にかかってくる、これも避けられないと思うんですね。もうすでに海上保安庁は、その装備その他体制を増強しなければならぬという状態でしょう。それにどれだけ金がかかるか、まるっきりそんなことには触れずにおいて、領海拡大だ、二百海里水域だとやっているのはおかしいわけです。領海の拡大にしたって、これはやっぱり防衛計画について若干の変更というものは出てくる。アメリカにおいても二百海里の経済水域を守ろうとすれば、やはり百数十億円の追加の予算が要るなんということを言っているわけです。私は、日本の場合も当然そういう経費というものがこれに付随するものだと思うんですね。  それで、こういうことは肝心の領海の拡大とか二百海里の水域のときには何にも論議せずに伏せておいて、それで後で必要だからというので自衛隊がどんどん増強されるとか、海上保安庁にはこれだけ費用がかかって増強しなきゃならないとか、後でそんな論議をするのは本当はおかしいわけで、二百海里の必要性のためにはこれだけはやっぱり防衛力も増強しなきゃならぬ、それから漁業水域設定をするならば海上保安庁の能力をこれだけふやさぬといかぬ、そのためには予算がこれだけ要るんだということも、あわせて国民に訴えなければならないんじゃないかと思うんです。そういう点で、私は、防衛庁としてもあるいは国防会議としても、そういう詳細な状況変化による、どれだけのものが必要かという計画とかプランというものをやはり委員会に提出すべきではないかと思うんですけれども、この点はいかがですか。
  124. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほどから何回もお答えをいたしておりまするように、防衛計画大綱の中身をできるだけ早く整備をいたしたいという考え方はかねてから持っておるわけでございます。特にまた、こうした新海洋時代でございまするから、特にそうした点の整備を速やかにいたしたいということは考えておりまするけれども、なおまた、いま言われましたように、広く安全保障という立場から、国防会議の論議をそうした背景を踏まえてやることはどうかという新しい御提案でございまするので、その点につきましては、私からも、いまの時点で防衛庁自体としては特に国防会議の必要ということは、いますぐ開かれる必要性については考えておりませんけれども、いま新しい全体の安全保障という立場でこうした問題をとらえて、国防会議をひとつ開いて国民に訴えるということはどうだという新しい御提案でございまするので、その点につきましては、私自身も総理にも御進言をいたしたいということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  125. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、先ほども申し上げましたように、やはり領海法審議とか二百海里の審議のときは、もうできるだけそういう問題は逃げて触れないようにして、全く自衛隊は出ませんとか、自衛隊の装備を増強する必要はありませんとか言って通しておいて、それで後になってから対潜能力の強化のためにこれだけ費用が要るとかなんとか言ってくるんじゃないか。私は、これからの国際海峡の問題にしたって、やっぱりいままでの対応と違うものが出てくると思うんですね。そういうものがあるならば、やっぱり早くそういうものを国民に示してもらって、私は政策というものは選択の問題だと思うんですよ。漁業水域設定をしても、日本が外国の漁船に対して十分な警備体制がとれなければ設定しても何にもならない。それならその警備体制をとるためにどれだけ金がかかるか、それだけ金がかかるなら無理に設定しなくてもいいということになるかもわからない。選択の問題ですから・両方を出して論議しなきゃ私はいかぬと思うんです。  だから、そういう意味で、いままでの政府答弁というのは非常にあいまいもことしておると思うんですね。私は、必要なものは国民に訴えて求めればいい。そういうものを隠しておいて、後追い的にやられるのは困ると思うんですね。この点について防衛庁長官見解を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 何度も同じようなことを答弁をいたすようでございまするが、私ども防衛計画大綱の整備を可及的速やかに整備いたしたいということは考えておるわけでございます。特にまた、こうした新海洋時代に処してできるだけの、何をわれわれができるのか。特に海上保安庁に対しての積極的な協力なり、安心して漁業の方方が操業できるという立場で、現在法体系の中で自衛隊として何をやれるかというようなことを考えてまいりますれば、やはり現在私どもが持っておりまする防衛計画大綱を一つ一つを整備し、早く速やかに整備するということが私どもは必要であると考えておるわけでございます。そしてまた、なお重ねて言うようでございまするが、全体のそうした現時点における海洋問題なり漁業問題の背景というものがございまするので、そういう問題を安全保障という立場でとらえて今回国防会議というようなものをやるということはどうだということにつきましては、私は先生のそうした発言については特に総理に対しても意見具申をいたしたいという考え方でおるものでございまして、その点は間違いございません。
  127. 秦豊

    ○秦豊君 鈴木農林大臣、まず伺っておきたいんですが、きょう遊説先で拝見した報道によると、日ソ漁業条約廃棄に伴ってそれにかわる何らかの新しい取り決めがもしできない場合は、当然のこと、来年以降の北洋漁業は絶望的になる。当然ですね。ところが、あなたの談話として、ある新聞が一面のすみの方で扱っていた談話によると、あなたは来春までには新しい枠組みができるだろうという、私にしてみると大変意外な談話を述べていらっしゃる。そういうことを実際お述べになったのかどうか。私は楽観に過ぎるという印象を持つから聞くんだが、もしそうであるとすれば、どんな根拠に基づいてそのような談話をお述べになったのか、どうぞ。
  128. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) アメリカもカナダも、その国の起源によるところのサケ・マス、この二百海里の漁業専管水域の外の海域におけるところの規制の問題、これは日米漁業条約を締結いたしました後ではっきりとその問題は別途日米の間で協議をすると、こういうことにいたしておるわけでございます。私は、対ソ連との間の関係におきましても、日本起源のサケ・マスもございます、ソ連起源のサケ・マスの問題もございますから、ソ連の二百海里専管水域の外におけるサケ・マスにつきましてはこれは両国間で協議すべき課題であると、私はそのように考えておりますし、当然これは勝手にとるわけにまいりません。やはり資源の保存という観点からそうあるべきだと、またそういう立場で両国の間で話をつけると、つけたいと、こう考えています。
  129. 秦豊

    ○秦豊君 それは確かに担当大臣として当然の御所見でしょうけれども、ソ連側は、あなたは起源とおっしゃったけれども、例の母川国主義と言うのでしょうか、その母川国主義を盾にとって、北洋漁業は荒れに荒れていると、今後ともそうだと、こういう強弁をしてはばからない。こういう母川国主義に対抗する有力な反証というか論拠、対抗手段というか、これは一体何なんだと、押し返してあなたの言うような何らかの取り決めに持っていけるのかどうか、非常に厳しいと思うんだが、どうでしょう。
  130. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ソ連側におきましても、二百海里の内と外という取り扱いにつきましては、これまでの数次の接触また会談におきまして、これははっきりいたしておるところでございます。私は、この二百海里の外の公海上のサケ・マスの問題は、アメリカ起源のサケ・マスも、わが国起源のサケ・マスも、またソ連起源のサケ・マスも、混獲をされる海域が多いわけでございます。したがいまして、これは関係国でもって協議をする。これは国際的にも私は十分論拠を持って主張できることだと、こう思います。
  131. 秦豊

    ○秦豊君 確かにおっしゃるように、科学的な調査、これを踏まえてソビエト、日本アメリカあるいはカナダという協議を積み重ねるのが妥当だと思う。ところが、ソビエトの外交の常道は、最近クレムリンのタカ派の台頭によって、やはり明らかな路線変更が感じられる。後ほど大臣に聞いてみたいと思うが、いまや押せ押せムードなんです。河野・ブルガーニン密約まで持ち出している。容易ならぬ。だから、あなたが言うように何らかの枠組みは可能だと、そうしたいとおっしゃったって、相手の壁の厚さは、鈴木さん特に苦労されて、ベトンのように厚いと感じられたと思うんだが、そういう意味で来春のまた枠組みというのも私は一国民として楽観ができないのではないかと思うから伺ったんだが、やっぱりそれを突き破る一つのくさびは科学的な調査であると、こういうことですか。重ねて。
  132. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 一つは、いま申し上げたような日米加起源のサケ・マスがこの海域では混獲をされるということでございますから、関係国で資源調査の上に立ってこれは合理的に保存規制の措置がとらるべきである。これは私は国際的な常識であり、正しい議論であると、このように考えております。
  133. 秦豊

    ○秦豊君 外務大臣、最近のソビエト側のねらいは、明らかに二島で凍結、あと打ち切り、これですよね。四島じゃない。われわれの国民合意は四島一括である。モスクワは違う。だからこそ、河野・ブルガーニン密約というのは、ソビエトの国会図書館的な公的マル秘資料保存のところにはちゃんとファイルされていて、河野一郎・ブルガーニン密約というものが基準で、ロールバックの一つの大きな論拠になっていると私は思うんですが、外務大臣はどういうふうに見ていらっしゃるのか、伺っておきます。
  134. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ソビエト側が、未解決の問題はないのだというようなことをたびたび主張をし出しておるのは御承知のとおりでございます。ソ連の考えておりますことは、歯舞、色丹で解決しているではないかと、こういうような主張が強くあるのではなかろうかと想像はされますけれどもわが国といたしましては、何とかこの四島、ぜひともこの四島の問題として解決を図りたいと考えておるところでございます。
  135. 秦豊

    ○秦豊君 日ソ双方とも非常にアローアンスというか、いろいろあるわけですよ、時代によって。ソビエトは明らかにかつては日ソ平和条約によって歯舞、色丹の二島、これは一段階ですね。二段階は、日米安保体制、安保条約の廃棄によって国後、択捉という二段ロケット方式というのをクレムリンの首脳部が持っていた時期もある。いまは変わってきた。十億ドルのバンクローンぐらいではとてもとても納得しない。シベリア開発もバーターにはならない、バーゲニングにならない、こういう時代にまで来ていると思う。非常に厳しいと思う。そこで、外務大臣のお立場があるから、特にいまデリケートな時期だから、日本語を選ばれるのは御自由である、当然であるが、もう二島で押さえ込みが基本路線であるという認識を私は持っているんですよ。ソ連の路線が明らかに変わったと、こう思っているんだが、鳩山外務大臣はどんな認識なんですか。
  136. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 先ほど野田先生からも御指摘がありました昨年のミグ事件という事件も、これは日本にとって大変不慮の事件であったわけでございますが、それが日ソ関係考えた場合に何らかの影響が残っておるというような気もしないわけではないわけでございますが、これらの点は日本といたしましては、やはり日ソ関係の改善を通じまして、何とか日本立場をわかってもらいたいと、そういう方向で努力をしたいということでいっぱいでございます。
  137. 秦豊

    ○秦豊君 したたかなソ連外交に対して、いかにも温室的な日本外交という印象は私否めませんけど、そんなもんじゃなくて、もう非常に厳しい冬の時代が五年、十年続くというぐらいの割り切り方で対応された方が、遺漏がないのではないかとさえ思います。  ちょっと次の論点に移りますが、三原防衛庁長官、基本的に言えますことは、確かに二百海里時代というのは、日本という主権国家の主権の拡大というか、権利の拡大の主張ではあると。しかし、一方では、非常に厳しい行政が負うべき義務という側面もあることは、恐らく同意されると思います。一例を挙げれば海難救助ですね。あるいはいわゆる皆さんのお好きな用語で言えば、秩序の維持ということが行政の義務だと思う。で、先日来あなた方は自衛隊法八十二条の改定の要はないとおっしゃっている。私もそれはそうだと思う。しかし、たとえば昭和三十五年の十二月二十六日に防衛事務次官と海上保安庁長官との間で締結をされている海上における警備行動又は治安出動に関する協定というのがありますね。これはかなり全面的な手直しを要するんじゃありませんか、いかがですか。
  138. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  この点につきましては、八十二条の行動でございますし、特にこの内容について改定をするという考え方を持っておりません。現在の運用で可能ではないかという考え方に立っておるわけでございます。
  139. 秦豊

    ○秦豊君 ならば伺いますけれども海上保安庁との協定も一言一句変える必要はないだろうと、自衛隊法もそうだろうと、八十二条ね。ところが、あの八十二条は、確認をしておきたいが、「特別の必要がある場合には、」あなたは「総理大臣の承認を得て、」云々でしょう。ところが二百海里時代でしょう。特別じゃなくて、それが日常になるんじゃありませんか。それでも改正しなくてもいいとおっしゃるんですか。
  140. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は、八十二条のような状態というのは、日常常に起こる問題ではないと思っておるのでございます。したがいまして、いま八十二条自身を日常茶飯事として起こる問題だと受けとめておりませんので、私自身といたしましては、その協定を改定する考え方を持っておりません。
  141. 秦豊

    ○秦豊君 そうすると、自衛隊のおる護衛艦隊の一部あるいはどこかの航空隊の一部を、常時任務として二百海里時代の海洋の警備、海難救助に充てるというふうな検討は全くしていないと、こういうわけですか。
  142. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども、今回の新海洋時代に対して漁区というのは、ある限定した地域に重点を指向して海上保安庁あたりは任務をやられるだろうと思うのでございます。したがいまして、いまのお尋ねの点は法改正まで持っていかねばできないことでございまするし、現在私どもとしては、現行法体系の中で対処できるものだと、それに対して努力をいたしたいという姿勢なり方針でこの問題と取り組んでおるわけでございます。
  143. 秦豊

    ○秦豊君 こういうことじゃないんですか。せんじ詰めて言いますと、重点海域というのは当然ありますよね。そう警戒されなくてもいいと思いますのは、私は、日米共同防衛とか、海域分担とか、シーレーンというと厳しいですけれども、こういう二百海里時代自衛隊のあり方、これはナショナルな問題です。まさにナショナル・インタレストです。こういう問題については、おのずから視点の見方が違うという前提でお聞きください。それでいいと思うんです。  だから伺うんだけれども、じゃ重点地域というのはもうすでにあなた方のスタッフで重点指向しなければ、アメリカ海軍でさえ自分の二百海里をとてももてあましているんだから、いわんや日本自衛隊海上保安庁わかります、それは。わかりますけれども、じゃあ、海上保安庁とあなた方の方で重点海域を指定して、総花はいけないから、どうしても重点指向する。する場合には、いまの現有の装備、配置、部隊の編成でどの程度のことが可能であるか、不可能か、この程度の策定はもうされたんでしょう。重点地域とはどこかを含めてお答え願いたい。
  144. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 海上自衛隊は御承知のように、調査のための監視業務というのを行っております。したがいまして、本年度の予算からこの監視業務を強化するための燃料その他が増加されております。したがいまして、従来以上に監視業務というのを実施できるような体制が整いつつございます。しかしながら、御承知のように、自衛隊が行います監視業務というのは、やはり軍事情報に関する監視でございます。しかしながら、先ほども御質問にお答えいたしましたように、海上自衛隊そのものは公海上で訓練をやっておりますので、いろいろな特異な状況を発見したような場合には、直ちに海上保安庁に報告するということが可能だろうと思います。  また、重点配備というのは、これは主としてやはり海上保安庁警備艇を北の方あるいは南の方に重点配備したような場合に、中部日本におきましていままで海上保安庁が行っておりましたような海難救助の問題、航空救難の問題等については、災害派遣の面で大幅に協力ができるのではないかというような判断をいたしておるわけでございます。
  145. 秦豊

    ○秦豊君 コーストガードというのがありますよね、いろんな国々に。海上自衛隊が直接出っ張ると対外刺激があると、ならば、海上保安庁では、失礼だが、やや心もとない面が多いという場合に、たとえばコーストガードというふうな新たな編成は、ある時期には早晩行政上の課題になるんですか。まるっきり検討に値しないんですか。
  146. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは海上保安庁からお答えするといいと思いますが、海上保安庁がまさにコーストガードの構想に基づいてできているわけでございます。で、世界の国々の中で二十ヵ国以上がやはりコーストガードという機関を持っておりまして、平時の海上におきます取り締まりというのは、このコーストガードが行っているわけでございます。先ほど先生は、アメリカの海軍とコーストガードをあわせてこれに対処しているような御発言がございましたけれどもアメリカではコーストガードがこの任務を負っているというふうに承知いたしております。
  147. 秦豊

    ○秦豊君 人の質問はよく聞いてもらいたいんで、そんなこと一度も言っていませんよ、防衛局長。しかと聞いてもらいたい。確かに海上保安庁はコーストガードたるべく創設をされ大きくなったんだが、YS11とかヘリコプターの時代じゃないんですよね。コーストガードの実質的な機能を充足できない、あれでは、すでに。じゃ増強三ヵ年プランがある、せいぜい船がちょっと大きくなる、飛行機がふえる、しかしおよそこの程度であると。これは海上保安庁長官も御存じじゃないかと思うが、きょうはお呼びはしてなかったのかな。  そこで、具体的に伺いたいんだが、あなた方は対潜能力の向上という、これこそ日米防衛分担路線に従って福田・カーター会談でもちらつくというぐらいに追い詰められている。あなた方も使命感を持ってやろうとしている。一国民の常識から見ると、YS11ではかなわない、人工衛星は日本の財政規模からして非現実であれはアメリカの話だとなると、この二百海里時代海域警備の場合に、海難救助の場合に、いまあなた方が岩国に配備している第三一航空隊の新明和のPS1、中国でさえ欲しがるようなすぐれた造波抵抗能力を持ったあの飛行艇が現実に配備されている。あるいは海難救助専門では、いつか委員会の視察で見していただいたが、US1が七一航空隊として配備されている。  ああいうものこそ海上保安庁は、あなたの言うように、気楽におっしゃったけれども、確かにコーストガードたらんとしたが、現状はこうでしょう。ああいうものを、ソビエトの原子力潜水艦を追っかけ回して、データをブラックボックスに蓄積することに狂奔をしないで、もっと二百海里時代海上自衛隊、航空自衛隊とおっしゃるならば、そういういまある、拡大はぼくたち認めないけれども、いまあるものを活用する。つまり、あなた方の言う災害救助みたいなものであって、常時そういうものが必要であれば、いまある兵器を——兵器というか、装備を使ってはどうなのか、あるいは自衛艦隊の中の護衛艦隊の一部をその任務に張りつけてはどうなのか、あるいはPS1やUS1をそれこそ漁民の保護というまさにナショナルの問題に充当してはいかがなのか、こういうふうなことについては全く検討をされていないのか。あるいは、そういうことは非常に困りますと、誤解を招きますというので検討にも値しないのか、その点どうですか。
  148. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 率直にお答えいたしますが、常時そういう新任務につくということになりますれば、法の改正につながってまいるわけでございまするけれども、当面いたしまして海上体制下における現状でございまするし、任務を持っておりまする海上保安庁の力がそこに及ばないというような事態というようなものが現出いたしますれば、私どもも現在持っておりまする自衛隊の現体制の中でできるだけの協力はいたさねばならぬ。そこで、そういういろいろな面を想定しながら、何ができるかというような点について現法体系下において検討をしておることは、さしておるわけでございます。そういう事態でございます。
  149. 秦豊

    ○秦豊君 やっぱり、そんなに緊要という日本語は妥当しないかもしれないが、やはり海上保安庁と場合によっては運輸省、それから農林省、それから防衛庁、内閣官房あたりが協議をして、警備閣僚会議なんという名前でなくても何でもいいから、やはりいまの装備で、配置で海上保安庁としてはどこまでが可能か、三ヵ年増強プランが満たされればどこまで、現員はここまで、そうすると海上自衛隊のいまの配置と装備からして何が可能か、両者がタイアップすればどこまで可能か、こういうものはやはり国会を通じて国民の皆さんにぜひとも早く具体的に、余り逃げないでこういう問題については明らかにすべきだと思うが、その御用意はなさるんですね、つまり。
  150. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この問題につきましては、関係閣僚会議が開かれるというようなお話もございまして、関係各省と御相談したことがございます。その際に、事務的な検討といたしましては、現在一応海上保安庁が持っている力でもってこの二百海里時代に対処してまいる。で、たとえば、その情報面の提供というような面では自衛隊協力をかりたいというようなことでございました。したがいまして、いろいろな状況によりましてそれを確認するというようなことになりますと、私どもは対潜哨戒機あるいは飛行艇あるいはRFファントムという偵察機を持っております。したがいまして、現場の状況を直ちにキャッチし、写真に撮り、証拠として海上保安庁の取り締まりに御協力できるというふうに考えておるわけでございます。
  151. 秦豊

    ○秦豊君 わかりました、伊藤さん。じゃやっぱり、PS1であろうがUS1であろうが、すでにそういう検討の対象に入っているということですね。そう理解していいわけですね。  それでは、残り少なくなりましたので一つだけ伺いますけれども、先ほど同僚議員も質問したようですが、政府側の論拠がいかにあいまいかという点についてちょっと一言突いておきたいんだが、あなた方は非核原則たな上げ、三海里現状どおりと、こう言っているんだが、その大きなねらいは言うまでもなくマラッカですよね。ところが、UKCという概念が、いま新たにシンガポールとかマレーシアとかインドネシアには出てきていることは御存じですね。アンダー・キール・クリアランスと、つまり余裕船底水深の乏しい船は断る、これが沿岸国の動向であり、海洋法も大勢であるし、そうとすれば、そういうあてにもできないものを期待する、そういうことを非核原則見送りの大きな口実にしちゃ、バーターにしてはいけないと私は思うんです。その問題は把握していらっしゃいましょうね、当然UKCの動向などは。どうなんですか。
  152. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) マラッカ海峡の沿岸三ヵ国の外相会議が行われまして、そしてそこでそのマラッカ海峡の、あすこは非常に水深が浅いものでございますから、安全航行、公害の予防、このような観点から会合が持たれ、そして一定結論が出ておるわけでございます。この問題につきましては、わが国といたしましてもマラッカ海峡を利用する、一番大きく利用しているわが国でございますから、その安全航行並びに公害、これらには大変関心を持っているわけでございます。そこで問題は、わが国は非常にタンカー通航が多いわけでございますけれども、そういうタンカーだけはひとつ困るとか、とにかく一度大きな事故もやっておりますし、そのようなことを受けることを一番わが国としては心配をしておったわけでございますけれども、UKC、アンダー・キール・クリアランスというようなことでタンカーだけをねらい撃ちということではなしに、一般の共通原則という形で安全航行の方式が出されたということにつきまして、わが国としては、これが国際的に正当な手続を踏まれた場合にはこれは尊重いたしたいと、こう考えております。マラッカ海峡でも沿岸国がいろんな制限をするのではないかと、こうおっしゃる御指摘だと思うわけでございますけれども、その沿岸国が特定の、わが国としてはタンカー、こういったものをねらい撃ちにされることは、非常に困るわけでございます。
  153. 秦豊

    ○秦豊君 最後に伺いますが、この軍艦ですね、あるいは原潜の通航という問題は、これはすぐれて戦略・戦術の問題なんです、特にアメリカ、ソビエトの。その米ソの世界戦略あるいは海洋戦略には目を背けておいて、日本政府としては非核原則は依然として堅持いたしておりますと、何ら従来の立場を変えるものではありませんというふうなのどかな答弁を繰り返しているということは、私によればとんだ裸の王様なんですよ。ナンセンス。こういうときには、ナンセンスという言葉は妙に実感を持って思い浮かべられるんだが、第一ロジカルでないしナンセンスだ。非常に非現実。裸の王様です、あなた方の論理というのは。非常に奇妙だということを申し上げねばならない。亡き佐藤さんがノーベル平和賞を受けた一番大きな論拠は、例の四十三年以来の非核原則ですよ。あれは国策に準ずる最高政策のはずですよ。あなた方が今度領海の問題によってそのことに背を向ける、答弁答弁だが背を向けているという実態になるんです。そういう厳しい政策転換をあえてしているという認識が果たしておありなのかどうか、最後に伺って質問を終わりたいと思う。
  154. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 非核原則にお触れになりましたが、米ソが世界戦略といたしまして海峡通過につきまして特別な関心を持っておるということも、これは紛れもない事実で、秦先生もよく御承知のことと思いますから、私どもそれを否定しようとは思いません。しかし、現在私どもがいわゆる国際海峡につきまして特別な措置をとりましたのは、これは何回も申し上げて恐縮でございますが、海洋法会議結論がまだ出ない、結論が出ればその結論に沿った措置をとりたいのでございますけれども、現在まだそれが出ていないので、いままでの日本として海洋国家としての主張、こういったものがあるものでございますから、このような措置をとった次第でございます。  非核原則自体につきましては、これはもう本当に憲法に次ぐような国是である、こういうことで世界各国主張しておるわけでございますから、この非核原則自体はわが国権限の及ぶ限りにおきましてこれは厳守したい、こういう態度で率直にそのように御理解を賜りたいのでございます。
  155. 秦豊

    ○秦豊君 終わります。
  156. 橘直治

    委員長橘直治君) 以上で予定の質疑は全部終了いたしました。  本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 橘直治

    委員長橘直治君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時四十二分散会