○河田賢治君 法案に直接
関係しませんけれ
ども、
地方公務員が精神患者に刺されて
死亡したという事件が、昨年の七月にあったわけですね。この問題について、これは自治省並びに委任
事務を行っておる
厚生省の
一つの責任でもありますので、この両省に対して、これから時間がありませんからごく簡単に
質問したいと思うんです。
事件の経過というのは、去年の七月の十七日、京都府の衛生部の保健予防課精神衛生係勤務、二十四歳で勤続約五年で、一人息子で、この人が刺されて亡くなったんです。で、このときの
状態は余り申しませんけれ
ども、医師と、警官も同行して訪れたところが、果物ナイフですぐに刺されてしまったという事件ですね、もうほとんど即死に近いわけです。
で、京都府もこれに触発されて、この事件を契機として直ちに
厚生省へ七月の二十六日、公衆衛生
局長あてに——
局長でなくて、これはあれの方へ送っているわけです、
厚生省へも。これは七月の二十六日です。それからまた、現場をつかさどる八大都道府県精神衛生課長会議が行われております。そして、この代表の名前で
厚生省と自治省の
関係局長あてにちゃんと申告しているわけですね。主としてこれは、都道府県が救急医療体制——精神病者に対する体制の確立とか、あるいは精神衛生行政に従事する者の災害を、
地方公務員災害補償法四十六条の特例公務災害の対象とするように法
改正を行ってもらいたい、それから精神衛生鑑定医の報酬等を国庫補助の対象とするとともに、その他の精神衛生行政推進上の各種の補助金についても増額、それからあとは、精神衛生行政
事務を指定
都市へ移管してもらいたいというような、こういう要望を両省あてに出しているわけです。
経過は大体こういうことで、京都府でもこの事件を契機にしまして、いろいろとこれからのこういう精神病者に対する対応について大体六つの問題を挙げております。家族の協力を得て事前の調査を十分にする。突発的、飛び込み的な対応はなるべく避けたい。二が、入院歴、通院歴のある者については、その主治医を前面に立てた対応にする。つまり、人間
関係、信頼
関係が重要であるので、かつて見てもらったお
医者さんにいろいろと聞いたり、その人からまず説得もしてもらう。これが第二ですね。それから第三は、孤独、単身の患者の場合は電話をかけて——電話のない場合もありましょうが、様態をつかむようにする。電話の対応で大体病状の変化をつかむことができる。第四が、自宅鑑定は
原則として行わないで、必ず病院なり保護所等安全な場所で診察を行う。五が、退院後その病院との連携を十分にとる。医療中断的でないようにする。第六は、警察官の同道は、制服で行きますと相手を非常に刺激するので、私服を含むようにしたい。こういうことを一応その事件の後
考えて、こういうことが課長会議の中でも紹介されているわけです。だから、この点では京都府のやり方は、現在の法範囲の中では、できる限りこういう異常な精神病者に対する
対策を立てているわけです。このことは単に京都だけでなく、昨年、一昨年あたりも、病院から逃げて、そして看護婦さんを、
医者にかえて看護婦さんを刺したとか、あるいはお
医者さんを刺したという事件もあるわけですね。もちろん年に一回か二回ですから、頻度という点ではしばしばあるわけではありません。けれ
ども、精神病者とすれば、かなり種類があるけれ
ども、中には凶暴な人もおるわけですね。そうしてみると、理性を持っていないということも言えます、裁判にかかっても大抵無罪になるのが多いんですから。そうしますと、こういう人と接する都道府県の人、これは
地方公務員ですから、あなたの方にはないわけなんで、
地方公務員が接する場合に、そういう危険度があるということはまず前提にして、そうして、万一不幸にしてこういう災害が起こったならば、これは他の危険な仕事に従事する者と同様に公務災害補償をやるべきでないかという要求が、地方の人から、京都府からも出、またあなたの方の
厚生省の公衆衛生
局長も、自治省の行政局公
務員部長あてに出されている。これは昨年の七月二十六日、京都から出て、すぐ出ているわけですね。それで、この中には、こういう業務に従事する
職員についても、警察官などと同様の危険が予測される場合が少なくありませんと。だから「精神障害者の鑑定に関する業務に従事する
職員についても」「特殊公務に従事する
職員の特例措置の対象となるよう特例の拡大を御配慮くださるようお願いいたします。」ということが
厚生省の
局長から出ているわけです。
そこで問題なのは、もう時間がありませんから、私の方で話を進めますけれ
ども、この四月に政令が
改正されまして、そうして御承知のとおり、
運輸省地方航空局に所属し、消火救難業務に従事する
職員や、あるいは北海道開発庁北海道開発局及び沖繩開発庁沖繩総合
事務局または建設省地方建設局に所属し、河川または道路の管理に従事する
職員と。まあ自然災害に遭った場合もこの特別ないわゆる災害補償の対象にするということがこの四月に決まったようですね、政令で。だから、これはまあ政令事項なんですから、
法律でありませんで私たちも初めて今度知ったわけなんですが、ですから、こういう点で私は
厚生省に細かく言いますといろいろあります。しかし、
厚生省としてもやはり委任
事務で全部
地方公務員がやるわけですから、これらの意見や、これらの
考えというものを十分これはやってもらわなきゃならぬ。それからまた、去年おととしあたりの事件でどういう教訓が出たか知りませんけれ
ども、そういう場合にどのようにそれぞれの県が対応したかというようなことも、やはり課長とか、その他の
職員でですね、研修会な
ども行われ、会議も行われて、ある程度の経験の交流はあるでしょうけれ
ども、できるだけ私はこういう問題は速やかに、どこでいつ何が起こるかわかりませんから、こういう問題は経験を交流する
意味でまず流すべきではないか、各地方の都道府県のこれらに従事している人が、他から経験を学んでくると、そういうことが必要だと思うんです。このことについても、余り、この事件が起こりましてから熱心にどうも
厚生省の方がそういう問題をやっているようにはちょっと思えないわけです。つまり、こういう非常に頻度が少ないと、また高度の危険がないというふうなこともよく言われるんですけれ
ども、そういう
死亡しなくちゃならぬというのは、たとえ一人であろうともこれは危険な
状態なんですね、そういうことを予想して、やはり法案なり政令なんかはつくるべきではなかろうかというのが私たちの主張なんです。この点についてひとつ厚生大臣、特に実際の仕事は
地方公務員がやりますけれ
ども、自治省の
関係ですけれ
ども、
厚生省のお
考えをちょっと聞きたいと思います。