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内藤功君 条文に書いてあるかないかということでこの差別を見るんじゃないんです。条文に
沖繩県人であるがゆえに差別をするなんということを書くわけがないんです、あなたのような
法制局がいるんだから。そういう条文から一見して見えるような違憲の条文というのはつくらない、そのために
法制局というのがあるんでしょう、まあこれは失礼な言い方かもしれないが。そうなんですよ。ですから、違憲かどうか、これが本当に憲法に違反しているかどうかということは、その条文を、眼光紙背に徹すると言ったら言い過ぎですが、その条文の
意味するもの、それから条文の結果するもの、条文が運用し、歩き出したらどういうふうになるかということも含めて考えなくちゃいかぬのです。いわんや立法者はそうですよ。
解釈論でいけば最高裁判所なんかは、あるいはそれでいいかもしれない、条文に書いてないから。しかし、最高裁判所の憲法への臨み方と、これから
法律をつくる前のわれわれ立法府あるいは行
政府というものの憲法に対する臨み方はおのずから違うと思うんです。こういうことになりはしないか、この
法律がこう歩き出したらこうなりはしないか、深い深い、広い広い洞察をしなきゃならぬと思うのです。あなたのは、いわば最高裁判所と言いましょう、地方裁判所じゃお気の毒でありますから。最高裁判所の考え方で言うと一番形式的な考え方なんです。あなたはかつて裁判所にもおられたと思うから、そこらあたりはよくおわかりと思うが、法をつくる前に憲法論はよくやらなくちゃいけないんだね、法をつくるときに。つくってからの憲法論は狭くなるんだ。ここでの憲法論は、この
法律ができたらどう動くであろうか、こう動くであろうか、ああ動くであろうかということをよく考えなくちゃいけない。だから私は、あなたが条文に書いてありませんからということをまず言われたことは非常におかしいと思うんですよ。私はもうこれは明確な十四条違反だと思う。
その証拠に、受田
先生もいらっしゃいますが、いまからちょうど五年前に
衆議院で
沖繩のこの
法案が出されましたときに、民社党さんは非常に明確に言っておられるんです、不平等だと、違反だと。民社党は本会議でこういうふうにおっしゃっている。この公用地の
暫定使用法案については「
審議を通じてその違憲性が明らかにされ、まさに史上類例のない悪法としての内容が究明された」ところである。「今回の
法案では、」
本土の「約十倍の五カ年に延長されている」、暫定期間が。また、「
本土法では認められていない自衛隊
基地についてまで強制
使用の対象を拡大」している。「これとは全く異質の
軍用地とを抱き合わせるという形で、
本土土地関係法の体系を混乱におとしいれるもので」あって、断じて許されないところである。これは「やがて
本土法の改悪、変質にまで及ぶおそれがきわめて大きい」こと。この
法律案は、どこから見ても「悪法の典型」であって、「きわめて違憲性の高いもので」あって容認できない。「
本土並みということばそのものさえ空洞化せしめるものである」、「
本土並みとは似ても似つかぬしろものである」、大変長く引用させていただきましたが、これは
昭和四十六年の
沖繩国会での民社党の代表の討論であります。
こういうふうに、いま三党修正案の提案者の一人として受田
先生も来ておられます。今度はわれわれと逆の
立場に立ちましたが、当時民社党はこういうように言っておられた。このぐらい明確なんですね、まあ民社党がおっしゃっているからと私は言いませんが、これだけ広い違憲論が出ているんですよ。私は、ここで違憲論を大分やりましたが、今度の
法案について民社党さんに、受田
先生にお伺いしたい。これは受田
先生でないと、ちょっと木野
先生には
質問できませんからね。
三党の御提案、自民党、新自由クラブ、民社党でございますね。そういたしまして、受田
先生の方の党は四十六年にこういうお考えであった。自民党と新自由クラブは
——当時新自由クラブはないけれども、当時の自民党は憲法違反とは言ってなかったと思うのです。木野さん、そうでしょう、言ってなかった。憲法違反と言っておられた民社党さんと、それから憲法違反と言ってない自由民主党及びそれから出られた新自由クラブさん、三党が今度は、この五年を、これが違憲だというのじゃなくて、公用地暫定取得が違憲だというのじゃなくて、これを延ばす方に一緒になられたというのは
——これは憲法論の
立場ですよ、決してあなたの方の党を誹謗したり非難する
意味で
質問するんじゃないですから。
法案の違憲論の
立場で言うんです。違憲だといったら、この五年の間に違憲の実体が変わったんでございましょうか、受田
先生。私は実体は変わらぬと思うのです。私は憲法論としてお聞きしたいです、まず。どうしてこう変わってきたのか、自民党さんと共同提案をしているということがどうも私は理解できない。その辺ですね、お考えが変わったのか、変わらないのか、変わったとすればどうしてなのか、あるいは変わってないのに一緒にやっておられるとすればどういうわけなのか、これはひとつ筋として、政治家の議論でいいですから、さらに憲法の見方という議論でもいいですから、ひとつお答えを
お願いしたいと思います。言葉の失礼の段は許してくださいよ、そういう点ですから。