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1977-05-18 第80回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十八日(水曜日)    午前十時五十八分開会     —————————————    委員の異動  五月十八日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     林  ゆう君      内藤  功君     河田 賢治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増原 恵吉君     理 事                 上田  稔君                 岡田  広君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 大島 友治君                 源田  実君                 坂野 重信君                 世耕 政隆君                 林  ゆう君                 福井  勇君                 吉田  実君                 大塚  喬君                 小山 一平君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    委員以外の議員        議   員    喜屋武眞榮君    衆議院議員        内閣委員長代理  木野 晴夫君        修正案提出者   受田 新吉君        修正案提出者   中川 秀直君    国務大臣        法 務 大 臣  福田  一君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第二        部長       味村  治君        防衛政務次官   浜田 幸一君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁長官官房        長        亘理  彰君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛施設庁長官  斎藤 一郎君        防衛施設庁次長  安斉 正邦君        防衛施設庁総務        部長       銅崎 富司君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        防衛施設庁労務        部長       古賀 速雄君        沖繩開発政務次        官        國場 幸昌君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 禮次君        沖繩開発庁振興        局長       井上 幸夫君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        法務省民事局長  香川 保一君        法務省訟務局長  貞家 克己君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        大蔵省理財局次        長        吉岡 孝行君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措  置法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案を議題といたします。  これより補充質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、昨日来の委員会の運営の問題については私自身の意見もありますけれども、それは省いて質問に入りたいと思います。  まず、昭和四十七年に沖繩復帰いたしまして、沖繩県民がやっぱり一番望んだものは何か。これは何といいましても、今回の問題が起きている根源も含めまして、やはり沖繩軍用地が余りにも集中してあるということであろうと思います。これは私が言うまでもなく、政府自身も認めていることでありますし、あらゆる角度から見て、この軍用地を撤去する。これがない限り、沖繩の発展もまた住民の幸せも得られない、私はこう思います。特に、これはもう私が数字を言うまでもなく、全国の軍用地の五三%が沖繩に集中してある。しかも、その大部分が那覇市を中心にした七市町村に集中してあるということです。これを何とかしない限りどうしようもない、私はこういうふうに思います。  そこで、今回のこの暫定使用法期限が切れたということは、私は基地を撤去する、そういうふうな意味一つの大きな意味がある、こういうふうに解釈をいたしております。特にこの十五日以来、きょうで四日間になりますけれども、政府としてはその暫定使用法による基地返還しなければならない、こういう一つの大きな義務を背負わされております。そこで、私はこの点について初めに質問をしたいと思います。  まず、法制局長官にお伺いをいたしますが、先日来出てまいりましたいわゆる統一見解がございます。きょうは質問に入ります前にこの統一見解について再度御説明をいただきたい。
  4. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 先般の統一見解について説明をせよというお話でございますが、これは平易に書いてございますので、特に御説明を加えることもないという気もいたしますが、結局三項から成っておりまして、第一は、この法律自身は、まずいわゆる限時法でないという前提に立っております。ただ、その法律自身は限時法ではございませんけれども、暫定使用法の第二条に基づいて政府が取得した使用権原、その権原は五年の経過によって消滅したと。したがいまして、この法律の第四条が働きまして、遅滞なく所有者返還しなければならないという義務が生じたことは法律上当然であるというのが第一項でございます。  で、第二項は、そのように政府には返還する義務が生じたわけでございますけれども、現実返還が行われるまでの間は、その使用者である防衛施設庁といたしましては、正当なる地主所有者のために、善良なる管理者の注意をもってその土地管理しなければならない権利と義務を負っているのである。したがいまして、そこで十五日以後における施設庁としてのこの土地管理のあり方というのは、従来の法律上の使用権原とは性格が変わってきているということを書いているつもりでございます。ただ、その管理する行為は、もとより適法な行為であるというのが第二項の趣旨でございます。  最後の第三項は、これはこの衆議院送付案の附則の第六項にございます「五年」を「十年」に改めるという部分解釈に関するものでございまして、この法案が成立いたしますと、当然国は暫定使用法第二条による従来のような使用権原を取得するに至るものであるという解釈を示しているわけでございます。
  5. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、まず政府にお伺いしますが、この統一見解もあるわけですが、特に未契約軍用地の問題について、現在きょう時点政府は要するに、今後この基地使用する方向で考えているのか、あるいはまた、もうこの法律に基づいて返還しようと考えているのか、この点どうです。
  6. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 基地用地につきましては、防衛任務上ぜひひとつ、使用権原のなくなっておりまする地域に対しまして、再度使用お願いをいたしたいという立場でおるわけでございますが、しかし、どうしてもこれは返さねばならぬというような事態につきましては、一部すでに、これは市が持っておられる土地でございまして、その基地につきましては返還を話し合いの上で御相談をいたしまして、そういう準備をいたしておる地帯もあるわけでございます。
  7. 峯山昭範

    峯山昭範君 長官ね、それは未契約地について、政府は要するに返そうと考えているのか、あるいは今後も借りていこうと考えているのか、現在、どうです。
  8. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 未契約地につきましては、先ほど申しましたように、ぜひひとつ再度使用をさしていただきたいという立場でおるわけでございまするが、一部につきましては返還準備をいたして、御相談をいたしておるところもあるということを申し上げたのでございます。
  9. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは大臣、ちょっとおかしいんじゃないですか。少なくとも統一見解の第一項というのは、絶対これは優先しますね、そういうふうな意味では、一部なんていうものじゃなくて、少なくとも統一見解の第一項で返還義務が生じているわけですから、政府としては返さなければならない義務が生じているわけです。義務ですよ、これは。そういうような意味では、政府として現時点では、もし今後も借りていきたいという願望はそれはそれで結構です。しかしながら、返還しなければならないということについてはきちっとした方向がなくてはいけない。もしそうでないとするならば、政府統一見解の第一項は欺瞞である、こういうことになりますけれども、これはどうです。
  10. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど私は願望をまず申し上げたのでございます。しかし、ここで統一見解が出されておりまする、未契約地域については使用権原が切れておりまするので、私どもといたしましては返還をしなければならないような状態の中に置かれておりまするので、その準備をせよという指示はいたしておりまするし、また、使用をしてはならないというような立場で、必要最小限度にとどめての使用しかできないぞというような指示はいたしておるわけでございまするが、しかし、現実の問題といたしましては、いまぜひその地域防衛任務使用さしていただきたいというところで、衆議院から現在は参議院において法案審議願っておるという現在の時点でございまするし、最初に申し上げました願望をぜひ達成さしていただきたいという立場でおるわけでございます。
  11. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは願望願望です。政府姿勢としては、少なくともこの第一項を遵守すると、こういう姿勢でなければいけないと違いますか。
  12. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 法を守らねばならない立場でございまするから、現在使用権原がなくなりました地域につきましては、いま法の解釈上、これはそういういまの国会審議状態なり、使用権原がなくなった現時点におきましては、返す準備を進めておれということも示達をいたしておりまするし、また将来に対しましては、この借りておりまする土地管理事務をやらねばなりませんので、管理に対する責任をとっていかねばならぬぞという指示もいたしておりまするし、またしかし、どうしても現在の防衛任務運用上やらねばならないスクランブルでございますとか、あるいは災害に対して救難に向かわねばならぬというような、そういうものにぬかってはならない現時点任務もあるわけでございまするし、また、すでに国会において審議が進められておるという現時点問題等もあるわけでございまして、私といたしましては、法を守るという立場に対しましては、先ほど申しましたような現地指示をいたしますとともに、また、将来に対しましては、ぜひひとつ一日も早くこの法案審議お願いをいたしたい、そういうことでおるわけでございます。
  13. 峯山昭範

    峯山昭範君 長官ね、私の質問に的確に答えてもらいたい。  要するに、大臣願望、それはわかるというんです、私は。法律の現状に灘かれた状況もわかります。しかしながら、そうじゃなくて、純粋にこの第一項を厳に政府は守ると、これは当然そうじゃないですか。まず第一項を政府は必ず守るんだという姿勢がなけりゃいけないんじゃないか、こう言っているわけです。
  14. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 繰り返して申すようでございまするが、その法を守るという立場に対しましては、一般的な演習、訓練というようなものは、私はしてはならないぞということを言って指示をいたしておりまするのは、法を守るという立場に立っての指示でございます。
  15. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはそれで結構でしょう。要するに第一項は守ると、そうでなければ話が進またいわけです。いろんな事情はあるにしろ、法制局長官説明がありましたように、統一見解の第一項、これは絶対守ると、当然これはもうそのとおりだと私は思うんです。そうでなければいろんな問題がほかに波及してきますから、私は少なくとも、この十五、十六、十七、十八という間は、この統一見解にもありますように、暫定使用法に基づいた二条の使用権原が切れたわけですから、四条に基づいて返すと、そういうのはこれは当然のことであろうと思います。  そこで、私はまずお伺いいたしますが、復帰時点で未契約地主は何名いたんですか、そして現在は未契約地主は何名いるんですか。
  16. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 昭和四十七年五月十五日現在で二千九百四十一人でございました。それが現在では三百五十六件になっております。
  17. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは私はお伺いしますが、昭和四十七年の五月十五日、すなわちこの暫定使用法が成立をいたしました。暫定使用法が成立する前にあなた方はこの未契約地主二千九百四十一人に対してどういう処理をいたしましたか。
  18. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 御質問意味がちょっと把握しかねるんですが……。
  19. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに、あなた方は少なくともこの暫定使用法の第二条第二項の「法律施行前に告示する。」と、あなた方は、要するにこの暫定使用法に基づいて、あなた方の土地を全部取り上げるぞと、少なくともこの法律告示したわけでしょう。通知しましたね、事前に。これはそういう手続はしてないんですか、したんでしょう。
  20. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) この法に基づく手続は行いました。
  21. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、現在この法律が切れましたね、このいまの第二条による使用権原が切れました。現在は三百五十六人の未契約地主皆さんがいます。あなた方はどういう手続をやりましたか。大臣法律を守ると言っています。法律に基づいて、あなた方は少なくとも借りるときはむちゃくちゃに借り上げておいて、国が使用しなくなりました、法律権原が切れました、あなた方の要望によってはいつでも返します——要望によってではないですよ、それこそもう、法律使用権原が切れましたから返しますという通知はしましたか。
  22. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) まだ通知はいたしておりません。
  23. 峯山昭範

    峯山昭範君 いつやるんですか。もうとにかくこの暫定使用法は、法律にもありますように、これを借り上げるとき、あるいは地主から取り上げるときには、この施行前にあなた方は地主通知しているんじゃないですか、取り上げるときには。それじゃ返すときには、本当はもう期限が切れる前に通知するのがあたりまえでしょう、本当言えば。しかしながら、いろんな事情があったにしろ、きょうでもう四日間たっています。少なくとも事前にこういう人たちに報告するのがあたりまえでしょう、これはどうなんです。
  24. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 御本人に、十分に返還の旨をお知らせする必要はあると思うのでございますが、第四条に書いてございますように、遅滞なく所有者返還するという精神に基づいて、目下この未契約土地について、返還準備を、どういう状況で、いつどういう状況でお返しできるかといったようなことを検討しておるのでございまして、そういう検討の結果返還ができるという状況になりますれば御通知申し上げなければならないと思っております。
  25. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、そういうのは私は全然納得できない。あなた方は、第四条に基づく準備ができればなんと言っていますけれども、実際は何にもやってないんじゃないですか、それが本音なんじゃないですか。本来なら、少なくともこういう問題については政府返還義務が生じているわけです。要するにこれは統一見解の中にあるでしょう。大臣ね、あなたの願望だけが先走って——現実にこういうふうになりましたと、実は法律が切れましたと、いろんな事情があったにしろ、こちらは借りている方なんですから誠意を尽くすべきじゃないですか、再度お願いするにしたって。実はこの暫定使用法使用権原が切れました、したがって国としては返還義務が生じました、つきましては第四条に基づいて原状回復義務がありますと、実はそれについては協議したいと思いますと、どういうふうにして返したらいいか、これは地主相談せにゃいかぬと、川があったところなら川をつくって返さにゃいかぬかもしらぬ、しかし、川なんかつくれないからいまのままでいいと言うかもわからぬ。そういうことについては、少なくともこれは政府にその責任があるわけですから、私はそこらのところをきちっとすべきだと思うんです。そういうことを全くしないで、あなた方が願望だけ言っているなんというのはとんでもない。政府のこれは統一見解がうそですよ。そういうことをきちっと何にもやっていないということは全くおかしい、そう思いますよ、私は。大臣先ほどから、法律を守るのは当然だ、あたりまえだ、願望だと、こう言っていますけれども、純粋に法律的に考えたってそういうことになるじゃないですか。少なくとも、借り上げるときには、この暫定使用法法律の条文の中にもありますように、告示すると同時に告示と同じ内容を手紙で通知すると、そういうふうになっている。相手の住所がわからないときには告示をする。借り上げるときだけそういうふうにやって、返すときには何にもしない、法律がひたすら通ることを願っておる、これではあなた方のこの統一見解は矛盾していますよ、どうなんです。
  26. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほどもお答えしましたように、第四条によって遅滞なく返還しなければならない法的な義務を負っております。そこで、この未契約土地について、ただいま先生もおっしゃいましたように、どうしても契約に応じてもらえないのかどうかということが問題でございますし、それからもう一つは、位置境界が不明確であるというはなはだむずかしい事情がございまして、現地に即してどこの土地であるかということがわからない。また大体がわかりましても、それが果たして、いま使っておる使用状態とどういうぐあいに遅滞なく返還できることになってくるかといったようなことも、これから事情を明らかにしなければならないということがございます。そこで、この使用期限が切れてから以降報道されておりますように、土地地主の方が、おれの土地を見せてくれと、まずそこから事柄が始まっておりまして、見ていただくということの御希望に応ずるように、それについては基地の中のどの辺であるかということを御案内して見ていただくというようなことをいまやっておりまして、応急の間に、とりあえず地主の御希望をまず第一段からかなえていくという努力をしておるのでございますが、今後、ただいまお答えしたように、どこの土地であるかという確定がまず必要でございますし、そうして確定したところが、これがすぐに返せるかどうかという使用の実態と勘案して、すぐに返せるものは先生がおっしゃったように本人の御希望に応じて返す、あるいはまたその際に、この土地をもう少しお借りできるかどうかという本人の御意向、あるいは今後、場所によりましては耕作をやっていただいて、そしてお借りするといったようなことができるのかどうかといったことを今後やっていく準備をやっておりまして、まず本人立ち入りが始まっておるという状況でございます。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、そういうような本人立ち入りとか、それはあたりまえ、当然でしょう。自分土地に行きたいというのですから、これはあたりまえのことですけれども、私は、この未契約地主皆さん三百五十六人、いまおっしゃいました。こういう方々に対して、言うたらおたくはお役所なんですから、ちゃんとした公文書で、皆さん方からお借りしている土地については返還義務が生じました、国は返さなければならなくなりました、ついては第四条に基づいて返還手続をしなくちゃならない、いかが取り計らいましょうか。言えばそういうような文書を出さにゃいかぬのと違いますか、これ。少なくともそういうようなきちっとした手続をしないと——少なくとも第一項に基づいて、基地を見せろと言ってきた、自分土地があるから立ち入らせてほしい、そんな自分土地を見るのはあたりまえです、そんなことは。それ以前に、それとは別に、少なくとも復帰時点では二千九百四十一人がいた、こういう人たちには、あなたは先ほど答弁しましたように、この法律に基づいて通知をしたわけでしょう、告示を。少なくともこの暫定使用法もお送りしたわけでしょう、先方に対して。二千九百四十一人の中には三百五十六人も入っていたわけでしょう。そういうような、借りるときにはきちっとした手続をして、そういうふうな強制的な収用をし、あるいはそういうような手続をし告示をしておりながら、法律が切れた時点では国は何にもしてないじゃないですか、逆に言えば。本人からの要望があったところだけ立ち入らせる、そんなものじゃないですよ、そんな。それは別問題です。少なくともあなた防衛施設庁長官として、きちっとした文書で、この切れる前に本山は手続せにゃいかぬ。しかしながら、いろんな状況があったからそれはできなかったにしても、もうきょうで四日間たっている。もう文書本人に発送していなければいけない。そうじゃないですか。
  28. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 御指摘のとおり所有者本人方々立場に立って、この第四条の義務を負っておるということを役所として正式にお知らせを申し上げるべき筋であったというふうに思っております。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 認めたんですけれども、そういう手続をすべきであった。  現実に三百五十六人は全部沖繩にいるんですか。
  30. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 本土の人も若干いるかに思います。沖繩にお住まいでない方が幾らかおられるようでございますが、正確にはよく調べてみないとわかりません。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 これから通知をせにゃいかぬのに、本土に若干いる。沖繩にいらっしゃる方は、こういう時点現地もそういう状況になっておりますからそれはわかります。本土にいる人は、自分土地がそういう状況になって、少なくとも何日間かは政府返還義務が生じて、そうしてこういうふうになった。逆に言えば、見に行くこともできたのに政府から何の連絡もないから見にも行けなかった、こういう人も実際出てくるんじゃないですか。あなた方の怠慢ですよ、逆に言えば。怠慢によって、そういう自分土地を見れる期間があったのに見にも行けないという人も出てきますね、現実に。これはやはり、私はこの手続は少なくともするという姿勢でなければいけない、大臣どうですか。
  32. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 使用権原がなくなりました十四日二十四時以後の時点において、いま御指摘のように告示をするとともに、未契約方々に対しましては通知をする手続をとるべきであったということを私もいま痛感をいたしております。したがいまして、いまからでもそれらの方々には、こういう早々な事態でございましたのでできなかったというふうなことについては、私としては、いまからでも出さねばならぬかなというように、そういう受けとめ方をいたしておるのでございます。     —————————————
  33. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として林道君が選任されました。     —————————————
  34. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大臣、もう一回私確認をしておきますけれども、今後この法律がどういうふうになるかわかりません。どういうふうになるかわからないけれども、やはりこの法律のたてまえ上、少なくとも私は今後防衛施設庁が、あるいは軍用地としてどうしても借りると、そういうふうな意味では、実はこの法律が十四日で切れて十五日からこういう機会があったんだ、こういうふうになっていたんだということは、私は、政府としてはそういう手続をきちっと踏んでおくべきである、そして未契約地主皆さんには通知をすべきである、こういうふうに思いますよ、やっぱり。法律を守るというこの第一項がきちっとある限り、少なくともそういうふうにすべきだと思うんです、これからでも。大臣、もう一回どうですか。
  35. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども申し上げましたし、ただいまの御指摘の点につきましては、それが実施をいまいたしたいと考えております。
  36. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは次に移ります。  先ほど大臣の一番初めの答弁の中に、大臣願望がありました。沖繩基地は、どうしてもまだ未契約土地軍用地については、これからも借りたい。どうしてですか、どうして借りたいんですか。
  37. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 防衛任務の遂行と条約の義務を果たすという立場に立ちまして、ぜひ使用さしていただきたいということでございます。
  38. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは、もうちょっとわかりやすく言えばどういうことなんですか。大臣の答弁は、防衛任務と条約がありますのでということですね。結局は、これは端的に言いますと、米軍に提供してある軍用地が大部分なんですね、要するに。なぜ米軍に提供しなくてはいけないんですか。
  39. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生指摘になりました点は、すでに御承知のとおり、わが国の防衛は、まず自衛隊において第一義的にはやらねばならぬ本務を持っておるわけでございます。これに対しまして、日米安全保障条約によりまして、アメリカの協力を得てこれが完全な使命を果たしたいというところでおるわけでございます。そういう点と、また条約にございますように、米軍におきましては、日本の防衛とともに極東の安全と平和のために存在をしていることも御承知のとおりでございます。そういう立場から、日本自身も極東の安全に対しましてはできるだけの協力をやらねばならぬ立場におりまするけれども、憲法の問題なり、あるいは核政策等の問題等で、日本は外部に対して出ることはできません。専守防衛の立場をとっておるわけでございます。そういう立場で、先ほど申したように、日本の防衛任務、そうしてアメリカとの条約の義務を果たすという点を申し上げたところでございます。
  40. 峯山昭範

    峯山昭範君 結局、安保条約があるから、要するにあれだけの基地が必要である。国民のいわゆる権利、沖繩の住民の皆さん方の一人一人の権利というのがありますね、個人の権利というのもそれはいろいろありましょうけれども、私は、条約がそれだけ優先をするのかということになるとやはり問題がある。特に沖繩の現在の実情から考えてみましても、これだけの二億六千平米というような、そんなすごい土地軍用地として提供しなければならない。未契約人たちはその中のわずかでしょうけれども、私はそこにやっぱり大きな問題がある、こう思います。そこの問題については、安保条約があるからどうしてもそうしなくちゃならない。そうかもわからないけれども、私はそれだけでは納得できない。現実にそういう地主皆さん方の権限というものを、政府としてはどういうふうに保障しようとするのか、あるいは自分土地を持っている、そういう人たちの、ただ個人の権利じゃありません、沖繩県全体の問題に絡まってきます。沖繩の中に基地があるんじゃなくて、基地の中に沖繩があるということは何回も言われてきました。そういうような私は基本的な問題を、政府は一体この五年間どう考えてきたのか。ここら辺のところをやっぱりきちっと解決しない限りこの問題は解決しないと思うんです。そういう点も含めてどうお考えですか。
  41. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生指摘のように、国民の人権を尊重し、また国民の防衛に対しまする理解と協力を完遂していくということが防衛任務の本義だと思うんです。国民の協力のない防衛というようなものは、私は完全なものでないという基本的な立場に立つものでございます。しかし、いま御指摘になりましたように、沖繩における基地の密度がきわめて高いという現実、そうしたことやら、歴史的な沖繩県民方々の、県民としての心情というようなものもよく承知をいたしておるわけでございます。したがって、われわれといたしましては、非常に過重な基地負担をかけておるという、それが大きく沖繩の県民生活たり、あるいは経済、あるいは社会問題に関連をいたしておるということも受けとめてまいっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、極力沖繩基地を整理縮小せなければならぬというわけで、御承知のように、復帰後におきましても、三次の日米防衛協議委員会等にかけて縮小に対して努力をいたしておるわけでございまするが、今後とも、いま申し上げまするように、基本的にはやはり国民のと申しますか、沖繩県民方々の心情あるいは権利の保護、そういうものを十分受けとめながら、またお願いを申し上げるべきものはお願いをして、理解と協力を得るようにする。しかし、まず第一には、私はいま申し上げまするように、整理縮小に向かって最大の努力をする。また地籍の整備等につきましては、五年でやりますというようなことを言っておきながら果たせ得なかったことを深く反省をいたしまして、将来に対しましては、ぜひそうした地籍整備につきましては五年の約束を今度こそ間違えてはならないということで、積極的に進めてまいりたいといういま考えでおるわけでございます。
  42. 峯山昭範

    峯山昭範君 その基地の問題については後ほど質問をしたいと思います。  長官の決意のほどはわかりましたけれども、そこで、真田長官にお伺いをいたします。  条約というのは、憲法で保障された国民の権利というのがありますね、これとどういう関係にあるんですか。
  43. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) ちょっと御質問の趣旨がはっきりしないんですが、条約は、憲法九十八条によりまして、政府は誠実に遵守しなければなりません。また、条約はもちろん政府が締結するわけでございますけれども、その締結については、事前に、また時宜によっては事後に国会の承認を経なければならない。そこで、国会で御承認になるときに、その条約の中身と、それからその条約を結ぶことによって国民がどういうまた負担を負わなければならないことになるかというようなことをよく御勘案の上、その必要度に応じて御承認になる。そうすると、政府はその御承認を受けて条約を締結し、そして、先ほど申しました憲法九十八条の規定によって誠実に遵守していく、そういう関係に相なると思います。
  44. 峯山昭範

    峯山昭範君 憲法で保障された国民の権利、ありますね、どういうのがあります。
  45. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) それば憲法第三章に詳しく書いてあります。
  46. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこに保障された国民の権利、いわゆる憲法で保障された国民の権利と条約と、どちらが優先するんですか。
  47. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 条約が結ばれれば、それは先ほど申しましたように、条約は政府としては誠実に遵守しなければなりません。したがいまして、国民の権利を制約するような条約を結ぶことについて、国会が御承認になるときによく御判断になって、国民の権利をこれだけ強く制限するような条約はとても国益に合わないというふうな御判断がつけば、それは承認しないという国会の御意思になるんだろうと思います。
  48. 峯山昭範

    峯山昭範君 あなたの論法でいきますと、少なくとも条約を結んだ以上は、条約の方が優先をすると、こういうことですか。
  49. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 憲法自身の中に条約を守れと書いているわけですから、ですから条約が適法に締結されれば、それはその範囲内において憲法の他の条項にある国民の権利も制約を受けます。
  50. 峯山昭範

    峯山昭範君 学説の中には憲法が優先するという話もあるんでしょう。
  51. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) もちろん憲法は最高の法規でございまして、優先いたします。その憲法の枠の中で条約が結ばれるわけですから、それは憲法の方が優先するのは当然でございます。ただ、具体的な個人個人の権利と条約との関係はどうかということになれば、それは先ほど来申しましたように、国会の御判断によって、国民がその条約を結ぶことによってこうむる負担と、それから条約を結ぶことによる国益、これをはかりにかけて、そして国会が御判断になるわけなんで、それでなるほど憲法で保障している財産権なり、いろんな国民の権利が拘束を受ける、制約を受ける、それをもちろん御判断の中に含めて承認するか承認しないかの御決定をなさるわけで、したがいまして、そういう判断を経た上で条約が結ばれれば、それは条約の限度内において個別的な個人の権利は、それは拘束を受けてもやむを得ない、こういう関係だと思います。
  52. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ、現実に今回のこの安保条約の場合はどうですか。
  53. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 私は、政策論はすべき立場ではございませんけれども、それは安全保障条約について、結ぶことによって日本の国益は大いに守られるという御判断であったに違いないんで、またそのためには第六条で、いわゆる日米安保条約の第六条で、日本の安全及び極東における国際の平和及び安全に寄与するために、日本は施設区域を提供すると、アメリカ軍は施設区域使用を許されるということが書いてあるわけでございまして、そのためには、国民の土地を、国内法をつくって使用権原を国が取得して、そして提供するということも当然これはいまの安保条約の第六条を御審議になるときに国会としてもお考えになったはずでございますし、また、そういう過程を経てできた安保条約でございますから、その安保条約を実施するために、ある程度の国民の基本的人権の制約もやむを得ない、こういう関係だろうと思います。
  54. 峯山昭範

    峯山昭範君 安保条約を審議するときには、沖繩はまだ返還になっておりませんでしたね。
  55. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 沖繩に限ってのお話じゃなくて、私は先ほど来、条約と憲法、あるいは憲法に保障されている国民の権利との関係はどうかという御質問でございますからお答えをしているんであって、何も本土だ、北海道だ、沖繩だなんていうようなことは御質問にはなかったわけなんで、何といいますか、条約を結べばそれはそのときどきの日本の施政権の及ぶ範囲内においてそれは適用されることはあたりまえだと思います。
  56. 峯山昭範

    峯山昭範君 総務長官にお伺いしますが、本土並みというのは安保の適用の話だけですか。沖繩返還については本土並みという話がずいぶん出てまいりました。木上並みというその中身、これは安保条約を適用するということだけが本土並みで、そのほかの面については私は基本的によくなった点はない、こう思うわけです。いまの長官とのやりとりの中で、安保条約の性質がずっとわかってきたわけですけれども、本土並みという中身は、結局安保条約の適用ということだけじゃないか、これはどうお考えですか。
  57. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 本土並みということは、沖繩県民の生活の条件あるいは環境、そういうものも本土並みに近づけていこうではないか、これが振興開発十カ年計画の趣旨でもございます。それからまた、基地の問題につきましても、やはり本土並みにしていこうではないか、こういうふうなすべての要件において本土並みにしていこう、格差をなくしていこう、こういうふうに理解をいたしております。
  58. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのとおりだろうと私は思います。現実はどうなんです。いまのやりとりの中で、生活の条件、環境、基地について、実際問題として沖繩の開発の問題について、きょう国土庁長官お見えになっていますが、当時これは経済企画庁でつくりました新全総があります。この新全総の中にも、現実沖繩の問題が初めて取り入れられました。沖繩開発の基本構想ということで政府が発表いたしております。これはいろんな構想がこの中にあって「沖繩の全国における位置付けと開発の基本方向」、あるいは「新ネットワークの形成」、あるいは「都市圏の整備と広域生活圏の形成」、あるいは「産業開発の推進」とか、いろいろなことが政府としてうたわれております。しかしながら、こういうふうな問題もすべて「このような開発を進めるうえで、沖繩の米軍施設、区域は、できるだけ早期に整理縮小されるべきであり、とくに那覇市およびその周辺に広がる米軍施設、区域については、那覇圏の形成の見地から、その整理縮小を図る必要がある。」と、要するに、少なくとも那覇を中心に七市町村に集中された沖繩のあの大部分基地を整理縮小しない限り、国が策定した新全総でも言っているように、本当に沖繩の県民の幸せというのは生まれない。これが国の基本方針でしょう。これは違いますか。
  59. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) ただいま先生指摘のように、新全総は昭和四十四年に策定されまして、その後沖繩本土復帰昭和四十七年に復帰されましたので、その開発計画を追加いたしたのは御案内のとおりでございます。  そこで、復帰という特殊な状況を踏まえて、先ほど来御指摘のございました沖繩県本土との格差を早急に是正する、そのためには沖繩県の持つ地域性あるいは特性というものを生かしながら開発を進めていこうというのが基本方針でございまして、ただいま御指摘のように、その開発を進めるためには、やはり沖繩の米軍施設はできるだけ早期に整理縮小すべきである、また特に那覇及びその周辺における米軍施設も、那覇圏というものを形成する見地から、やはり整理縮小を図るべきであるというのが国の基本計画でございます。
  60. 峯山昭範

    峯山昭範君 現実にはこの国の基本計画は全く実施されていない。現実沖繩の知事の血を吐くような思いのこの五年間の反省というのが報道されているんです。現実にこういうようなのを見てみましても、私は、政府は一体どう考えているのか。知事は、「やはり最大の苦悩は基地」であると、「沖繩中部、那覇市を中心とした七市町村で沖繩全陸地の八%しかない。その四八%が軍用地。そんな狭いところへ沖繩全人口の五二・八%が生活し、全児童の五四%が教育を受けている。将来のことを考えたら憂慮せざるを得ない。」というふうに、まだずっと続いているんですけれども、これは長官、実際問題としてこの新全総を進める上からも、たとえば、この沖繩基地の中で、これだけの基地は返してほしいと、自主的に。向こうから、ここ返すぞ、あっち返すぞと言ってばらばら、何と言うのか、夜店のたたき売りみたいに返してもらうのではなくて、国として、これだけの基地はもうどうしても必要だから返してもらいたいんだと、こういうがちっとした計画を立てて、そうして米軍なり何なりにアタックする、そうでないと現実にこの新全総は進みませんわね。ですから、私はそういうふうな姿勢というのはやはり必要じゃないか、こう思うんですけれども、この点どうですか。
  61. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 先生御案内のように、新全総に対しては、国の経済、社会の基調が変わっておりますので、それを見直しなさいということが国総審で決定されまして、その後、新全総の見直しと長期展望の作業を踏まえて、五十年の十二月に三全総の概案というものができまして、それを基礎にいたしてただいま三全総のこの作業を進めている段階でございますから、ただいま御指摘の点については、三全総において十分実りあるものにしてまいりたいと、かように考えております。
  62. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は大臣ね、大臣のことですから決して——私は少なくとも、新全総を昭和四十七年の十月三十一日、この一部改定して初めて沖繩の問題がこの新全総の中に盛り込まれた。私は非常に短い文章ではありますけれども、現地の知事を初め皆さん方、これは非常に大きく期待をしておるわけです。政府基地を縮小すると、それがやっぱり沖繩の発展の基本であるということについて政府もわかってくれたんだと、こう言って、少なくともその当時は非常に期待をしたんです。ところが、現実に全然その基地の整理縮小なんというのはもう全く進まないから、非常に落胆をしているところがある。そういうような意味では、いま大臣が三全総をまとめていらっしゃるということですけれども、私は三全総の中身はどういうふうになるかわかりません。しかしながら、現地人たちの期待は大きいということです。そういうような意味では、少なくとも私は初めに申し上げましたように、那覇市を中心にしたあの沖繩の開発や発展やいろんな面の一番いいところが、現実に私たち沖繩に何回も行きました。那覇市のあの道を何遍も通りましたけれども、現実に東京で言えば、東京駅前から、皇居の前から、ずっと国会に来るその周りが、いわゆる米軍の基地になっているのと同じじゃないですか。そんなこと東京で現実にあったら東京の発展なんてないですよ。それと同じような実情が那覇にあるわけですから、やはり私は、そこのところは、安保条約があろうが何があろうが、私は少なくとも、それは憲法上は条約は優先しなくちゃならないかもわかりませんが、政府としてはやっぱりそれだけの強い姿勢を発揮して、具体的な計画、具体的な対米折衝——きょうはまだ外務大臣と官房長官がお見えになっておりませんから、この問題については午後引き続きまた質問をいたしますが、私は少なくとも総理にここへ来てもらって本当は質問したいんですけれども、総理がおりませんからかわりに官房長官と言いましたら、官房長官五十分に来る予定のところがまだ来ていません。しかしながら、私は、少なくとも政府として具体的にその計画を立てて、そして具体的に進めなくちゃならない。私は条約が優先するか憲法が優先するか、そんな空論を言いたくはない。少なくとも私は条約が優先するために、憲法で保障された個人の権利というものが侵害されるようなことがあってはならない、こう考えているわけです。そういうふうな意味では、大臣が三全総を進める上においてもそういう点を十分配慮して、現実に、これをつくってから大臣、もう約五年たつわけですわ、これね。五年ね。いま見直しをしていらっしゃるということですけれども、そういう点はやっぱり十分配慮をしてこれを進めていただきたい、こういうふうに思います。いかがですか。
  63. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 三全総については、先生御案内のように首都圏の整備をすると同時に、やはり地方振興を図って雇用の場を与え、さらに人口定住化構想というものをいま進めているわけでございまして、沖繩にどれくらいの人口が住まうことによってよりよい沖繩ができるのかということを、沖繩県庁あるいは市町村との、いろいろアンケートをとりまして、その結果を踏まえていま策定中なんでございますが、ただいま先生の御指摘の趣旨は、開発庁とも十分相談の上、三全総の上で位置づけをしてまいりたい、かように考えますので御理解をいただきたいと思います。
  64. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  65. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案を議題とし補充質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  66. 峯山昭範

    峯山昭範君 午前中に続きまして質問を続けます。  初めに、防衛施設庁にお伺いしますが、昨日ですか、那覇市の前田助役が施設庁を訪れまして、四施設内の計三十七筆、六万一千平方メートルの市有地の返還を要求した、こういうように報道されておりますが、その中身について詳細にお伺いしたいと思います。
  67. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 昨日、那覇市所有の土地について立ち入りの御希望があって、そういうお話に対して対処したというふうに承知をしております。
  68. 峯山昭範

    峯山昭範君 公文書を手渡したということになっておりますが、その中身はいま私が申し上げたとおりに報道されておりますが、そうじゃございませんか。
  69. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 私も、市の方からの御要望があったということを承知しておりますが、どういう文章のものをちょうだいしたかちょっといまわかりませんので、すぐ問い合わせてお答えしたいと思います。
  70. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ、これはいずれにしましても非常に大事な問題ですので、どういうふうな内容で、どういうことになっているのか、早急に問い合わせを願いたい。  それからもう一つ沖繩県の方も渉外部長が、五つの施設内の二十万四千平方メートルの県有地の立ち入り調査の同意を求めた、こういうふうにございますが、この点についてはどうですか。
  71. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 県の方も同様に県有地についての御希望があったので、その立ち入りについて米軍側とも了解を求めながら、あるいはきようかあすか、今明日中に実行するということを承知しておりますが、詳しくはちょっと調べる時間をいただきたいと思います。
  72. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の質問時間、これからあと約一時間ほどしかございませんので、その間に調べて電話連絡で結構ですから、どういうふうな内容になっているのかお伺いしたい。
  73. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 大至急電話連絡で実情を問い合わせてお答えしたいと思います。
  74. 峯山昭範

    峯山昭範君 実は、私は非常に時間的な制限もございますので、本当はいろんな角度からやりたいのですけれども、きょうはとりあえず、まず基地の問題にしぼって質問をしたいと思います。  私たち、この沖繩の米軍基地を初め昭和四十三年ごろからその実態調査をやりまして、何回かその実態を発表してまいりました。そういうような中にありまして、午前中の質問でも申しましたように、米軍基地を縮小すると、整理縮小するというのがやっぱり基本でなければならない。米軍基地を全部なくしてしまう、まあそれが一番いいわけですけれども、とにかく現在の米軍基地の実態が一体どういうふうになっているのかという点について、きょうはずっとこれからお伺いしてまいりたいと思いますが、午前中も申し上げましたように、知事の復帰後五年間の感想を聞かれた中で、午前中も一遍読み上げましたが、沖繩の最大の苦悩、これは基地という問題です。これは要するに、特に、ただ基地があるというだけではなくて、基地があることによってこれから先、いわゆる児童生徒、子供、そういう方々に与える影響を非常に心配をしていらっしゃるわけです。私は、これはそういうふうな知事の心配というのはもう当然のことであろうと、こういうふうに思うわけです。この点については、これはまず防衛庁長官と総務長官、どういうふうにお考えか、まず所感をお伺いしておきたい。
  75. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 沖繩におきまする基地問題が、沖繩行政の一番大きな問題であるということは御指摘のとおりだと思っております。したがいまして、私ども基地を担当をし、基地を利用さしてもらっております防衛庁といたしましては、できるだけ基地を整理縮小することがまず大事であるということで、御承知のように、五千七百四十四万平米についてとりあえず返還を願ってまいっておるところでございまするが、しかし、現在まで千十万平米だけを返還をして、まだあと四千七百三十五万平米が、実は返還をすでに受けておりながら、それを完全に返還の完了できない状態にあることも現実でございます。まあそういう点について、防衛庁といたしましては、できるだけ沖繩基地を整理縮小いたしたいという方向に向かって努力を続けて今日までもまいりました。今後もまいらねばならぬという考え方でおるわけでございます。
  76. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 総務長官ではなくて、沖繩開発庁長官として答弁をさしていただきたいと思います。  おっしゃいましたように、基地周辺に、児童その他の教育にも悪影響を及ぼすということでございますが、その点は確かにそうであろうかと思います。それからまた、雇用面におきましても、土地の利用ということにおきましても、沖繩の振興開発の中でこれが障害になっているのも事実であります。やはり沖繩の今後の開発のためにも、本土との格差をその意味でなくするためにも、第一次産業、第二次産業の振興に努めなきゃならないわけでございますが、その意味でも土地の利用面で相当な制約になっていることは事実であります。
  77. 峯山昭範

    峯山昭範君 両大臣の答弁は、私が聞いていることとちょっとピントが外れているみたいな感じがするんですけれども、要するに知事は——もちろん私はこれから基地の問題について詳細にお伺いしていきますが、午前中も読み上げて、もう一回読み上げますが、「沖繩中部、那覇市を中心とした七市町村で沖繩全陸地の八%しかない。その四八%が軍用地。そんな狭いところへ沖繩全人口の五二・八%が生活し、」そして、その沖繩の「全児童の五四%が」そこで「教育を受けている。将来のことを考えたら憂慮せざるを得ない。」というように、これは要するに将来の沖繩のこと、将来の沖繩を背負って立つ、大きく言えばもう日本の将来を背負って立つ児童が、そういうふうな非常に狭いところへ押し込められて生活をしている。そういうふうな生活環境で教育を受けている。そういうふうな子供が、要するに沖繩の全児童の五四%、半分以上に達しているというわけです。これは、私は非常に重大な問題を含んでいると思います。そういうふうな意味では、よほどこの問題について政府としても対応していかなければならない、こう思うわけです。この点についてはどうですか、総務長官
  78. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) おっしゃることは、いまのような狭い沖繩の本島の、しかも那覇地区にそれくらい基地が密集してきておると、そこへ人口ももちろん密集しておるわけでありますから、将来これをどうするのかと、こういうふうな御質問であろうと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  79. 峯山昭範

    峯山昭範君 結構ですよ。
  80. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) それはおっしゃるとおりでございますから、沖繩基地は日米安保条約によって、基地協定によってこれはつくられて、国際条約によって設けられているものでありますから、そう一概に簡単にこの縮小ということはなかなかむずかしい点もございますけれども、しかし、その縮小の方向政府が全力を挙げて、いまおっしゃったようなことをなくするためにも、沖繩県民のためにも、縮小のために全力を挙げていかなきゃならぬということは方針として持っておるわけでございます。先ほど国土庁長官も申されましたように、また防衛庁長官も申されましたように、整理統合の方向でいくと、こういう方針を堅持して今後とも着実にそれを進めていきたい、かように思っておる次第でございます。
  81. 峯山昭範

    峯山昭範君 総務長官、私はあなたのその答弁、全く納得できない。そういうふうな実態にないからです。先ほど新全総の話を私いたしました。新全総の中では、こういうふうな沖繩の発展のために、政府としても初めて昭和四十七年の十月の三十一日に閣議決定をして、沖繩の問題を初めて盛り込んだ。沖繩の問題初めて盛り込まれましたから、現地の知事を初め皆さん非常に喜んだ。しかも、これだけの問題を処理するためには、最後の方になって、「このような開発を進めるうえで、」どうしても「沖繩の米軍施設、区域は、できるだけ早期に整理縮小されるべきであり、」と、しかも、その中でも「とくに、那覇市およびその周辺に広がる米軍施設、区域については、那覇圏の形成の見地から、その整理縮小を図る必要がある。」と、こういうふうにうたわれているわけですね。ところが実際は、私はここでうたわれた計画が実際に実施されていないということです。たとえば、もっと簡単に言いますと、一体那覇圏の那覇市を中心にした七カ市町村で二億六千万平米のいわゆる米軍軍事施設があるわけですね、一体このうちどれだけを米軍から返してもらおうとしているのか、政府は。一体対外的に、アメリカに対してどれだけ返せと言っているのか、いわゆる都市計画なり何なり具体的な計画は進んでいるのか、そこのところが大きな問題ですね、やっぱり。これはどうなんです。
  82. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生指摘の全沖繩県内におきまする基地全体について再検討して整理縮小することはできないかという点が一つございましょう。この点は、先ほど申し上げましたように、これから先も検討を進めてまいるように努力をするわけでございますが、とりあえずといたしましては、実は那覇周辺ばかりじゃございませんけれども、沖繩中部等もあるわけでございまするが、那覇周辺が人口稠密な地帯において、実はその地帯から何とか配置を変更することによって、その綱密な事態から、そういういま申されました教育の問題なりあるいは一般の市民生活等の問題から、多少なりともそうした意向を踏まえて善処する道はないかということで、十四回、十五回、十六回で返還を受けたわけでございます。その返還を受けました用地そのものが、実はまだ完全に返還を受けて一般に返還をする態勢になっていない。これには相当な実は施設変更等で、移転等で費用がかかりますのでやっておらない地域もありまするし、また移転しようとすると移転先の県民の方々の了承も受けねばならぬというような困難な事情等もございまして、難渋をいたしておりまするけれども、そういう点について、特に那覇地区のような人口稠密な地帯についての特別な配慮をして努力をせなければならぬということで、現在鋭意努めておるという事情でございます。したがいまして、私どもといたしましても、いま国土庁長官なり、あるいは総務長官が申されましたように、沖繩全体を含めて大変な基地の密度が高いということ、それが沖繩の将来に向かって非常に大きな不安感と夢をなくしておるということも十分承知をいたしております。したがいまして、重ねて申すようでございまするが、全体の整理縮小に対しましても、今後もう一回見直して、いままで返還を受けておりますものに対しても、それ以上の整理縮小をすることによって返還をさせるように努力をするという、そういう姿勢でおるわけでございます。
  83. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうも防衛庁長官、そういう答弁ではだめですね、現実にこの新全総ができてこういうふうなことを発表しているわけですけれども、国土庁長官、これは実際問題として、こういうふうなここに書いてある中身ですね、これは五年間たっていますけれども、いま見直しをされるということで先ほど答弁ございましたけれども、基地の整理縮小についての計画、それで、特に那覇地区とお書きになっていらっしゃる。これは防衛庁長官、私が言うているんじゃないですよ、これね。政府で閣議決定をした中身なんですよ。私は沖繩全体の話をしたいんですけれども、きょうは余り時間ございませんから時間をしぼって、少なくとも政府が計画を立てたその中身、実際問題そういうような中身は一体どうなっているのか。政府自身として基地の整理縮小の方針を決め、そしてその中身について那覇市の基地のどこら辺をどういうふうに返していただくのか、そこら辺の具体的な計画案はできたのか、また現在まだできていないのか、これはどうです。
  84. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 御案内のように、新全総においては、那覇圏というものは沖繩において非常に重要な位置づけをしております関係からして、適正な広域的都市計画をつくることが必要であるということをまず前提にしながら、市街地のいわゆる工業機能を分散をすると、さらに那覇市周辺は国際会議場だとか、学術研究所だとか、その他いろんな文化的な施設をやはり備えなければならないとか、あるいは住宅、あるいは生活環境の整備を図らなければならないとか、さらには、那覇は沖繩の中心でございますから、やはり医療センターだとか、大学だとか、総合公園等の施設を施さなければならないということを新全総でうたってあるわけでございますので、その線に沿うて、それぞれ五年の間、これを実施のために開発庁を初め各関係省庁で努力をいたしているものと私は理解をいたしているわけでございます。
  85. 峯山昭範

    峯山昭範君 国土庁長官ね、きょう時間ございませんので、その細かいところまで議論している時間がないんですが、要するにこの基地の整理縮小、いま長官がおっしゃったようなものを実践するために、いわゆる基地を整理しなくちゃならないということが政府の方針で閣議決定された。そうすると、そのいわゆる整理縮小の方針は、原案というのはできたのかどうか、そこを聞いているわけです。
  86. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) その点についてはまだできておりません。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、ですからそれができてないんでは、これはもうどうしようもないわけですよ。どうして五年間も、ここに書いているいわゆる整理縮小の計画ができてないわけですか。
  88. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) この点については私の所管外になると思いますけれども、いわゆる日米安保条約等のいろんな関係から、そういう点がおくれておると理解いたしております。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは所管はどこの大臣ですか。それで、政府のこれは方針ですからね、五年間も、われわれに約束しておきながらできていないなんということじゃ納得できませんよ、これ、どうなっているんですか。
  90. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほど来お尋ねの基地返還については、御案内のように日米行政協定に基づいて米軍に提供しておりますが、その返還の交渉の窓口は、防衛施設庁と外務省ということになろうかと思うのでございます。  そこで、私どもは沖繩基地の整理統合ということにいろいろ努力してまいりまして、先ほど大臣からお話がありました日米安保協議会という場で米側に返還をいろいろ持ち出して、その結果、十四回、十五回、十六回、三回の協議会におきまして、返還の約束が取りつけられておるわけでございます。細かいことを省略しまして、そのトータルを申し上げますと、そのトータルは、五十四施設で五千七百四十四万平方メートルのものを、移設が済めば返すと米側の条件がついております。無条件のものもございますが、そういうことでございまして、その米側の条件、移設をするといったようなことを実行しながらその実現を図ってまいっておるわけでございます。ただいままでのところ、この中で約一千十万平方メートル、二十二施設にわたるものが実現しておりますが、その差し引き残りの四千七百三十五万平方メートルのものが、移設先がなかったり、あるいは移設の条件が整わなかったりして残っておるという実情でございます。  で、なおこの日米合同委員会の話し合いのほかにも、もうすでに返還手続をしておったものがございますので、今日まで沖繩返還されたもの全体は二千万平方メートルございます。ただし、まだ残っておるのは、先ほど先生指摘のように、二億六千三百万平方メートルございますので、それに対する比率というものは微々たるもの。したがって、先ほど来御指摘のような今後の努力というものが大いにやらなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の質問に答えてもらいたい。要するに、政府沖繩のこの基地返還について、アメリカの都合だけどうのこうの言っているんじゃないですか、私は安保条約があるということも先ほどの午前中の議論でわかっています。政府が整理縮小せにゃいかぬと、こう言うているわけです。政府の一体整理縮小の案というのは、計画というのは一体どういう計画なんだと。アメリカの都合じゃない、こちらの都合で、こちらの土地なんですから。ここの土地沖繩の発展上どうしても必要だ、那覇圏を中心にしたこれだけの土地はどうしても必要なんだと、そういう具体的な沖繩発展のための計画がないといかぬでしょう、計画が。向こうだけの都合で返還を進めるなんて、そんなことじゃいかぬですよ、やっぱり。こちらの政府の原案は一体どうなったんだと。基地縮小のための計画はできているのか。先ほど国土庁長官はそんな計画できてないとおっしゃいましたが、できてないとすれば、いわゆる新全総に対するこの政府の閣議決定はみんなうそだったのかと、こういうことにもなりかねませんよ。政府姿勢としては一体どうなっているんだと。要するに、沖繩基地の整理縮小の基本的な考え方、計画、そういうようなものを本当に策定する意図があるのかどうか、これはどうなんですか。
  92. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、沖繩の開発を進める上において、沖繩の軍用施設の整理縮小、特に那覇圏の整理縮小というものは絶対的な要件でございますので、その線に沿うて努力をいたしているというのが現状でございます。ただ、先ほど防衛施設庁長官からもお話がありましたように、日米安保協議会でいろいろ進めておりますが、現状はこのとおりですということですけれども、しかし、あくまでもこの計画に沿うて努力をしているということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  93. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、私は安保条約があることは、もう本当はそこに問題があるんですけれども、そのことは一応省いて、要するに自分土地がこうあるわけでしょう、長官。その中で、やっぱりどうしても一番利用せにゃいかぬところはここだと、これだけを返してほしいという計画はあるのかと言うんですよ。そういう計画も何にもなしに、アメリカにただ返してくれ返してくれと言うたってしようがないじゃないですか。
  94. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 私ども施設庁立場では、先ほど来御指摘のようなその方向に向かう努力をいたしておるわけでございますが、それには地元民の要望、あるいは開発計画という具体的なものに見合う努力をしたいということで、常にその実現に努力をしておるわけでございます。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、そんなことじゃない。それは実態じゃないですか。そうじゃなくて、あなた方が交渉する前提となる、どこの基地をどれだけ返してもらうと、そういう計画はできてないのかと言っているんですよ。計画も何にもなしに、アメリカさんどこか返してくださいと、すいたとこからで結構ですわと、こういうふうな交渉のやり方じゃどうしようもないんじゃないですか。基本的に、要するにアメリカの基地の中のここは沖繩県の発達の上でどうしても必要なんだから、これだけは返してほしいと、こういう基本的な交渉をしないとね、あなた方の新全総にうたったこれ、みんなうそになっちゃうじゃないですか。こんな簡単なことがわからなくて、きちっと答弁できなくてどうするんですか、一体。
  96. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 那覇市については、すでに那覇空港が返還になっておりますし、それから牧港の住宅地区については道路沿いのところ、あるいはその他……
  97. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんなこと聞いているんじゃないというの、そんなこと。
  98. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 等を返すという努力をしておるわけでございまして、後の開発計画は私どもの所管ではないので、具体的なものに見合って努力をしてまいりたいということを申し上げているわけでございます。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一回言いますけれども、沖繩の米軍基地がどういうふうな実態になっているのか、これはあなたが先ほど説明をいたしましたね。二億六千三巨万平米というような大変な面積になっている。しかも、その大部分沖繩の本島の那覇圏を中心にした七市町村に集中しておる、これはあなたの説明のとおりです。あなたはその実態の中で、いま防衛庁長官も五千七百四十四万平米返ったとか、千幾らとかごちゃごちゃ言っていますけれども、実際のところ、実際に返還されたところは全体の五%もないんじゃないですか。そういうふうなことじゃなくて、少なくともこの新全総の中でうたった政府基地の整理縮小の計画はできたのかと言うんですよ。そういう計画ができなくて、行き当たりばったりにアメリカに要求したってどうしようもないじゃないか。現実沖繩の発展のためには、沖繩のどこら辺の基地をどの程度最低とりあえずほしいんだと、沖繩の住民の福祉と幸せを守るためにはこれだけのエリアはどうしても必要だと、そういう政府の強烈な主張がなければ基地は返ってきませんよ、全然。防衛庁長官は、先ほど五千七百四十四万平米が返ってきたと言っていますけれども、これ自体がもうわずかじゃないですか。しかも、その中で完璧に返ったのは千十万平米と説明されているんじゃないですか。一千万平米であるとすれば、実際問題全体の面積からすれば二%か三%にしかならないじゃないですか。そんなんじゃどうしようもないから、やっぱり政府全体として沖繩の将来のためにも、先ほど、知事が本当に血の出るような叫びの中で出てまいりましたように、将来のことを考えると、児童の教育やいろんな問題から考えてみても、最低限これだけのところは早急に返してもらわなきゃいかぬと、第一次としてこれだけのところは返してもらわなきゃいかぬ、第二次としてこれだけは返してもらわなきゃいかぬという政府の基本的な計画があってもいいんじゃないかと言うんだ、私は。それを五年間つくってないということ自体にも大きな問題がある。これは一体できたのかできてないのか。実態を聞いているんじゃない。その計画がまずできてないと、アメリカとどういうように交渉しているかという話もこれからせにゃいかぬ。話が進まぬじゃないですか。これはどうなっているんですか。
  100. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほど申しました日米間の話し合いによって、十四回、十五回、十六回という回を重ねて、今後返還すべきところを日米間で話し合っております。それに基づいて実行しつつあるというのが日米間における話の実態でございまして、あと県開発全体のための計画というのは、私ども県開発計画を立てる立場にないもので、それはよく県の御要望、あるいは地元民の御要望、そういうものを踏まえて今後進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはね、委員長、私がさっき質問したの明確でしょう。ですから、私は政府を代表したきちっとした官房長官なり何なりが来て、少なくともこの政府の閣議決定に基づいた基本的なきちっと計画がなければ何にもならない。当然できているべきものがまだできていない。防衛施設庁が、実際外務省と一緒になってアメリカと交渉するにしても、沖繩県は要するに、実は私たち沖繩へ行ってまいりましてね、現実に私は午前中にも申し上げましたように、沖繩の一番大事なところ、一番どうしても住民として使いたいところが米軍に使われていると、これを返してもらわない限り沖繩の発展はあり得ないということをみんな知っているんじゃないですか。そのためには、やはり沖繩の県民のことを考えれば、政府としてどうしてもここは必要だということを詰めて、計画を立てて、そしてそれを中心にしてアメリカに交渉しなければ、ただ単に日米安保協議委員会を何遍開いたって、アメリカさんの御都合どうですかという向こうの都合だけじゃ困ると言うんですよ。沖繩の県民の都合を考えてアメリカと交渉しないとだめなんじゃないですか。これも私は一歩下がった議論をしているわけですよ。安保条約のことを前提にもう午前中やりましたが、そのことはそうであってもこういうことになると言うのです。だから、少なくともここら辺の計画がきちっとできてないとどうしようもないと言うのです。やはり政府をまとめてどの大臣が答弁するのか知らぬけれども、とにかくきちっと、総理大臣でも来てもらってきちっと答弁してもらわなければ困ります。そうでないと、沖繩基地の整理縮小なんて政府がうたっているうたい文句は空文に等しいですよ。こればきちっとしてもらわないと困ります。
  102. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) おっしゃいますように、いままでは日米安保協議委員会におきまして、米軍と外務省、防衛施設庁が窓口になりまして話し合いを進めておりましたけれども、より以上計画的に県民の要望に基づいて、あるいは沖繩市の稠密な人口地帯をいかに緩和していくかというふうなことに基づいて計画的にやれと、そういう計画はできておるのかどうか、こういうふうな御質問であろうと思いますが、実際は、先ほど防衛施設庁長官が申し上げましたように、この委員会でやっておるだけでございますので、今後峯山委員の御説のとおり、県民の要望を組み入れた形の、開発庁もよくその協議の中に参加をいたしまして、将来の沖繩全島の開発計画の中において、特に人口稠密な那覇地区の開発には慎重にこちらの要望を強く米軍にも訴えて、そうして早期にこれが返還されるように努力をしてまいりたいと存じます。
  103. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ一歩前進の答弁ですけれども、さらに私は確認しておきたいと思うのですけれども、少なくとも、この政府で決定された新全総ですね、しかもこれは国土庁長官先ほどから説明しておりますように、見直しをいましていらっしゃる。しかし、私はそういうような面から考えてみましても、これは外務省が窓口で、あるいは防衛施設庁が交渉するにしても、その交渉する基本となるものはこれはどうしても必要だと思うんです。そういうふうな意味では、少なくとも、もう本当は全面返還が一番好ましいわけです。すぐ全部返してもらうのが一番いいわけですけれども、それができないとするならば、第一次にどこまで、第二次はどこら辺までと、やっぱり少なくともそういう具体的な計画を立てて、積極的にこれはやっていただかないと困る。そういうふうな意味では、私はまず整理縮小に対する政府の原案ですね、この計画をきちっと立案するということを約束していただきたい。
  104. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 先ほど来申し上げましたように、関係省庁が相集まりまして、そのような政府基地縮小の整理統合といいますか、それの原案を作成してまいりまして米軍と交渉はいたします。ただ、相手のあることでございますから、その計画どおりいくかいかぬかは別にいたしまして、強力に米軍と協議をいたしてまいりたいと思います。
  105. 峯山昭範

    峯山昭範君 再度同じことを言いますが、前段の米軍との問題は結構です。相手があることは私もわかっているわけですから、当然。ですから、とにかく政府の基本的な原案というのを早急につくらなきゃいかぬと。そうしてそれに基づいて防衛施設庁なり、外務省が交渉しないといけない、こう思うんです、私は。この点再度確認しておきます。
  106. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 仰せの趣旨はよく理解できますので、政府の方におきまして、返還計画を自主的に県民の要望を組み入れたものをもってつくっていきたいと思います。
  107. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは話を一歩進めます。  そこで、まずこの沖繩の米軍施設、これは全部で幾らあるんですか。
  108. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 沖繩の米軍施設は、四月一日現在で五十四施設、二億六千三百万平方メートルございます。
  109. 峯山昭範

    峯山昭範君 四十七年五月十五日以降、返還された面積は幾らです。
  110. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 全部返還になったものが三十三施設、一部返還が十九施設ございまして、土地面積では千九百九十七万平米ございます。
  111. 峯山昭範

    峯山昭範君 現在の沖繩に占める総面積の何%が返還になったんですか。
  112. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) ちょっと計算がすぐにしづらいんですが、現在ございます沖繩返還にならずに米軍が使っている施設が全体の一一・七二%でございます。それで返還になったのは従来あったものの約八%でございますから、返還になったもの全部に対する比率が一%に満たないのじゃないかと思います。
  113. 峯山昭範

    峯山昭範君 実際問題として、返還された面積、沖繩県の私の手元にある資料によりますと千七百三十九万五千平米、これは返還後です。昭和四十七年五月十五日以降返還された面積が千七百三十九万五千平米なんです。もちろんいまあなたの方のおっしゃった資料とは日にちの食い違いがありますから、多少の違いはありますけれども、いずれにしても県の方の資料でしましても六%、あなたがいま説明した資料によりましても八%、これはやはり全体の面積のぐあいからいきましてもこれは大変な問題です。  それじゃ、もう一ついきますが、日本全国で米軍軍用施設というのは幾らあるんですか。
  114. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 本土全体で米軍施設が七十七施設、約二億三千四百万平方メートルございます。
  115. 峯山昭範

    峯山昭範君 いま本土全体で二億三千四百万と言いましたね。そうですね、本土全体で。それで沖繩が二億六千三百万、これは一体どういうことですか、これ。米のいわゆる軍用施設だけで日本全国、沖繩も入れて全部で幾らですか、これ。
  116. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 日本国全体で百三十一施設、合計約四億九千七百万平方メートルございます。そのうち沖繩先ほど来申し述べておるように五十四施設、二億六千三百万平方メートルあるということになっております。
  117. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは一体、あの狭い沖繩にどうしてこんなにたくさんの基地を押しつけなければならないんですか。私は午前中の論議で安保条約や、条約の問題、憲法の権利の問題もやりましたけれども、再度蒸し返しはいたしませんが、要するに安保を適用するというところだけが本土並みで、それ以外のこの負担の問題、これはやはりこの問題を解決しない限りどうしようもないんじゃないですか。やはり私は感覚的に見ても、どこから見てもやっぱりこれはいまから五年前の状況がほとんど変わっていない。これはやはり私は政府姿勢としても非常に私はいかぬと思う。やっぱりこの施設は、少なくとも余りにも多過ぎる面積、これは外務大臣、この実情というのは、日本の政府姿勢が要するに沖繩に全部しわ併せされていると、こういうような面では少なくとも私は、アメリカに対してももっと率直に物を言うべきじゃないか。そしてわが福田内閣の政府としては、こんなにたくさんの基地を向こうに任せるわけにはいかないと、これは少なくとも早急に整理縮小しなきゃならないという基本的な考え方、そこに立ってやっぱりアメリカと交渉すべきだと、私こういうように思うのですけれども、この点あわせて御答弁願います。
  118. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいま御議論ございました、米軍の施設が沖繩県に大変過重して存在するという点につきましては、これはもうお説のとおりでございます。また、私どももその点につきましては、アメリカ側に対しましても、この返還以来、整理統合につきまして要望をいたしておるところでございます。この具体的な問題といたしましては、この委員会の席で逐次実現の計画を促進をいたしておりますけれども、なお残された問題につきまして努力をいたしておるところでございます。  また、今後の整理縮小計画につきまして、先ほど来御議論いただいたわけでございまして、これからの対米折衝におきまして、いま申されましたような沖繩県だけに過重をされているというような実情につきまして、極力この面につきまして改善されていきますように努力を図りたいと、こう思っております。
  119. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は大臣、この返還後ちょうど五年たちました。この五年間のいわゆる反省というものがなければいけない。政府の、いわゆる昭和四十七年の、先ほど申し上げました新全総の計画の中でも、大臣はまあいらっしゃいませんでしたからちょっと申し上げますが、その中でも、やっぱりこの基地の整理縮小というのは政府の方針になっております。われわれも、少なくとも、五年前のあの沖繩問題を国会で議論したときにも、この広大な基地がもう少し縮小される、少なくとももう半分以下になってしまう、本土並みというからにはいまのこの十分の一以下の基地になってしまうんじゃないか。そうでなければ、沖繩の発展は考えられないと、そこまでわれわれは考えていたわけです。ところが、実際問題、この五年間、それは外務省も一生懸命やっていただいたと思います。しかしながら、結果としては、パーセントで言えば五%、六%というような、先ほど施設庁長官の方の説明によりましても、最大限に言いましても八%しか返ってきていない、この実情です。これはやっぱり、これから交渉する場合でも、これまでの五年間がこうであった、いままでも一生懸命やってきたけれども、これからも一生懸命やっていくということは、これまでやってきたのをずっと継続してやってもらったんじゃ、この過去の五年間の成果しか今後上がらないわけです。それじゃまずいからね、やはり。いままでの反省はこうだった、だめだと、もうこれからこうしないといけないという基本的な、強烈な私は姿勢がないと、これは相手のあることだと先ほど答弁ございましたけれども、相手があるからこそ、やっぱり福田内閣、がっちりしてもらわないとこれは交渉はできない、弱腰になってしまう。で、そこの点は、やっぱりかちっと腹を決めて、先ほど私が申し上げましたように、返還要求する場合でも、その返還政府としての基本的な計画をばっちり立てて、沖繩県民のためにはこれだけはどうしても必要なんだという、計画を立てると先ほど総務長官が約束していらっしゃるわけですから、それに基づいてがっちり交渉していただきたい、このことを要望しておきますが、その点についての答弁を願いたい。
  120. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 今後の整理統合計画、縮小計画につきまして、総務長官沖繩開発庁並びに防衛施設庁の方とも十分連絡をとりながら、いま御趣旨のような線に沿いまして努力をする所存でございます。
  121. 峯山昭範

    峯山昭範君 とにかく、もうその点は真剣に取り組んでいただきたいと思います。  さらに、これは施設庁の方へもう一回お伺いしますが、返還された土地返還された土地が、これは先ほど説明によりますと、五千七百四十四万平米ですか、そのうち、実際に返還ができたのは千十万平米ということですね。これは実際問題返還することは決まっても、なぜその完璧な利用、完璧な返却、これができないんですか。
  122. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) いまのお尋ねは、返還された土地の利用が、実効が上がらないというお尋ねだと理解するのでございますが、これは米軍が使っておった返還地を、返還いたしましても、まず第一の難点は、今回も問題になっておりますように、地籍が不明確なためにその所有者が、自分土地現地のどこであるかということを確認して、これを利用することができないという点、あるいはまた、その返った場合に、広大な返還地の中の自分土地を利用するためには、これに伴ういろんな道路、あるいは水道、電気といったような、利用ができるようなそういう施設がございません。そういった、あるいはまた農耕地に使おうと思っても滑走路の石を起こして、そして客土をして農耕地に適するようにするといったような多くの支障がございます。長い間、軍用地として使われてきた実態をどうして使用目的に合うように直していくかという点がございます。こういう点が隘路となって、跡地の利用がなかなか進まないというのが実情かと思っておりますので、私ども、跡地利用に資するために沖繩開発庁と相談いたしまして、沖繩返還返還になった土地についての地籍の明確化、これはわれわれが責任を持って地主方々と協力してやるということになっております。  それから、それをさらに積極的に、土地改良をやったり、区画整理をやったりすることにつきましては、役所の所管として直接の権限がございませんので、関係省庁によく連絡をして、そして前進方をお願いするという立場で努力しておりますが、最初に申し上げたように、いかにも隘路が非常に多いものですから、たくさんの難問題が所在するものですから、遅々として跡地利用が進まないという実情でございます。
  123. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、私は現実の問題として、返還された土地というのはもう本当にわずかですね。そのわずかの土地、実際に利用することができ、そして実際問題として実効が上がっている土地、これはどのくらいあるんですか。そして、いまあなたが説明された面積ですね、説明されたのはどの程度の面積になるんですか、返還されたその軍用地の中で。
  124. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 返還後の利用についての資料、まことに申しわけないんですが、私の方では持っておりません。
  125. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはどこが持っているの。返還後のその土地の中身、これは施設庁が持っているわけじゃないの。
  126. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) まことに役所的な申しようで恐縮でございますが、施設庁としては、返還いたすまでと、それから先ほど申し上げたように、沖繩返還返還になったところの地籍を明確にして、そして復元のための補償料などをお払いするというところまでが私どもの責任でございますが、それから後は、どうでもいいというのじゃなくて、先ほど申し上げたように、関係のお役所に連絡をして、なるたけ跡地が利用できるように努力をするという責任は感じておりますが、実際問題としていまお尋ねの資料はございません。
  127. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一回お伺いしますがね、沖繩復帰返還された面積は幾らあるんですか。
  128. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほどお答えしましたように、千九百九十八万平米でございます。
  129. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは米軍から日本側に返還された土地ですね。
  130. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) そのとおりでございます。
  131. 峯山昭範

    峯山昭範君 千九百九十八万平米のうち、持ち主にきちっと返せた土地は幾らあるんですか。
  132. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) このうち、自衛隊施設に引き継いだものが百八十五万平米ございます。そのほかの差し引きの土地千八百十二万平米が地主所有者にお返ししたということになります。
  133. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、返還が決定して、そして、いまだに地主皆さんに返せない土地は幾らあるんですか。
  134. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) ただいま申し上げました千八百十二万平米については、地主皆さんにお返ししたということに法的になっておるわけです。
  135. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、千八百十二万というのは、地籍も明確になって地主皆さんに返した土地でしょう。そうですね。
  136. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 地籍の明確、不明確という問題は別でございまして、地主皆さんから地籍の不明確なところは不明確なまま書類上お借りしておるわけですから、復帰までいろんな書面がございまして、それをもとにして契約してお借りしておる。ただ、これが現実に合わない、その他書類に書いてあるものを基礎にしてお借りしておりますが、現場へ行くと現場のどこからどこまでだということが現地に即してわからないので、そういう意味では、所有者が返ってきても使えないというのが実態でございます。
  137. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですから、それじゃ千八百十二万平米の中で地籍が明確になっている分は幾ら、明確になってない分は幾ら、これはどうです。
  138. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 十五区域約三百八十万平方メートルでございます。
  139. 峯山昭範

    峯山昭範君 三百八十万平米が明確になっておって、あと残りの大体千四百五十万平米はまだ地籍がはっきりしないわけですか。
  140. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) そのとおりでございまして、あとについては現在明確化を実施中でございます。
  141. 峯山昭範

    峯山昭範君 その地籍を明確化する責任はどこにあるんですか。
  142. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 役所同士の話で、先ほど申し上げたように沖繩復帰後の返還になった土地については防衛施設庁責任においてやるということになっております。
  143. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、私は実はもう持ち時間が非常に少ないのでこれ以上余り詳しくやれませんが、まず、法案の中身と絡んで、いまの問題で、これは総務長官にお伺いしておきますが、地籍を明確化するという問題について一番非協力的なのは沖繩開発庁であると、沖繩開発庁の姿勢が大きな問題であるということで、実は私の手元にいろんな資料が来ています。きょうはその問題については余りやりませんけれども、これは沖繩開発庁が本気になって取り組んでいただかないといけない。われわれはこの問題について社公共三党の案を出しているわけですけれども、現実の問題として、今度の問題はその主管庁が防衛施設庁と開発庁と二つに分かれている。分かれておりますが、実際に私の手元に沖繩県庁でいただいた資料がここにあります。この資料によりましても、いま施設庁長官が言うように、復帰後返されたいわゆる軍用地、これは防衛施設庁区域ははっきりするんだと、それ以外のところは開発庁がやるんだと、こういうふうになっていますね。ところが実際問題、たとえば私の手元にありますこの資料によりましても、これは具志川市の天願後原というところの例がここに出ております。現実にこう出ておりまして、このいわゆる軍用地であると帳面上ではなっておるところが実際は軍用地ではない、軍用地でないと思っておるところが実際は軍用地の中に入っている、そういうふうなのがもういっぱい、この図面の上で見てもこんなに入り乱れているのかというぐらい入り組んでいる、こういう実情にあるわけですよ。たとえば、一般の土地は開発庁がやると言うていますけれども、現実に一般の土地で登記されているその土地軍用地のど真ん中にあると、現実にそういうのがあるわけですよ、具体的に事例が出ているわけです。こんなもう、私は、これはお役所のことですから、開発庁と防衛施設庁と、これはおまえのところだ、わしのところだとまたやり合って、現実には何にも解決しないということになります。われわれはそういうことがあるから、やっぱりお役所は一本にしぼるべきだと、こう主張してきたわけです。この点はどうですか。私は今後の法案を実施する面において非常に大きな問題になると思いますので、この点は今後どういうふうにされるのか、一遍ちょっと答弁いただいておきたい。
  144. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 新法案の方では、基地内は防衛施設庁基地の外は沖繩開発庁、こういうぐあいになっております。県の試案におきましても、また社公共の三党提案におきましても、これは全部沖繩開発庁でやったらどうだ、一本化したらどうだ、こういうふうな御提案がございました。これにつきましていろいろと検討を加えてみましたけれども、基地の中はやはり日米安保条約、基地協定その他によって、なかなか外部の人間では入れません。それからまた、過去五年間防衛施設庁がずっと努力されてこられておって、人的関係ももうできております。そういうことを勘案してみますと、やはり基地内は防衛施設庁基地外は沖繩開発庁がやるのが合理的ではないか、その方が実効が上がるというふうな結論をもちまして、いまのように二つにまた分けた次第でございます。  なお、緊密な連絡を防衛施設庁沖繩開発庁がとりながら今後ともやっていくことはお約束をいたす次第であります。
  145. 峯山昭範

    峯山昭範君 さらにその点はまああれとして、もう一点はこの十三条の勧告の問題です。これは先般から、本当は私は、提案者の木野さんにずいぶんこちらの方から質問がございましたけれども、木野さんは結構なんです。木野さんじゃなくて、いわゆる政府側が、この問題について、十三条のこれだけで解決すると思っていらっしゃるのかどうか、われわれとしては勧告だけでは足りないんじゃないか、勧告を聞かなかったら一体どうなるのかと、現実にこの集団和解方式というのが非常に解決しない大きな問題になっていますね。そういうような意味から考えてみましても、この点はこれだけでいいと考えていらっしゃるのか、私はやはり問題があると思っているわけですけれども、この点についてはどうなんですか。
  146. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) この勧告を開発庁長官の行政裁定にしたらどうかという御意見もございました。しかし、これはなかなか民事体系となじめないということをもって勧告ということに言葉を置きかえていただいたわけでございますが、この勧告の前に、審議会をつくりまして、地元の有識者、関係者、これを集めて審議会をつくり、その審議会の議を経て、あるいは関係町村との協議の上で、その上でこの勧告をするということでございますので、決して独裁的に、独断的に、基地外は沖繩開発庁、基地内は防衛施設庁、これが線引きのような勧告をするわけではございませんので、これはある程度の効力がある勧告である、かように考えております。  これでどうしても解決つかなければどうするんだと、こういうことでございますが、これはまあ訴訟という手段にならざるを得ないかと思いますが、そこまでいかないうちにこの勧告によって結末をつけたい、かように考えております。
  147. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の時間もうございませんので、かためてあと二点お伺いします。  第一点は、まず審議会の問題です。この審議会の問題についても、われわれが出したときには、その審議会のメンバーについても、こういう人を選ぶということで明確になっていました。今度は全部総理府令にゆだねているわけですけれども、これらのところはやはり公平にきちっとやってもらわないと困るわけですね、そういう点もひとつ検討してもらいたい。  それからもう一点、これははっきりしてもらいたいんですが、防衛庁長官並びに総務長官、各大臣ですね、きょうは国土庁長官関係ないかもしれませんが、これは最後に一遍聞いておきたい問題ですが、今度の問題の一番の問題は、修正案の中では附則六項の問題、これはわれわれも大きな問題があると、もう附則六項だけ削除してもらいたいと、こう考えているわけですけれども、これはいま五年を十年に改めるということですけれども、さらに延長するなんということはないんでしょうね。これはやはり、さらに延長するなんということになるとまた大問題になる。そういうことを含めて、さらに延長するということはないということをこの席上でお約束をいただきたい。
  148. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 第一点の総理府令で定める審議会の件でございますが、この人選につきましては公平にやるつもりでおります。  第二点の附則の問題でございますが、この五カ年の間に全力を挙げて地籍を明確化し、県民の御要望にこたえるつもりでございます。
  149. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 過去五年間の実績等につきましては、非常な私ども反省をいたしております。したがいまして、これを五年を十年に修正をさしていただくわけでございまするが、私はまず過去の五年の反省に立ちまして、この法律国会において可決願えましたならば、まず具体的に、これから五年間ぜひ約束をたがえないひとつ実施計画をつくってこれに立ち向かいたい。一年、二年やりまして、その時点で再度またひとつ省みて、どこに問題があるかというようなことで、この五年後には再度こういうような皆さん方に御迷惑をかけるような事態のないように最大の努力をする決意でおるわけでございます。
  150. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 地籍調査につきましては、御案内のように沖繩県で扱っているのが私の所管でございますが、現に五十一年度までに百八十二平方キロメートルの地籍の調査を実施しておるわけでございまして、今後も防衛施設庁あるいは開発庁の結果をやはり国土調査法にのっとって確認してまいりたいと考えております。
  151. 峯山昭範

    峯山昭範君 再延長しないなんて、この法案がどうなるかわからないときにこんなことを言うのはちょっとおかしいのですけれども、この点については、いずれにしても二度とこういうようなことが起きないようにしていただきたい。そういうふうに要望しておきます。  以上です。
  152. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほど峯山先生からお尋ねの結果がわかりましたので、一言お答えしてよろしゅうございますか。——  県の要望は、昨日十一時三十五分ごろに県の件外部長ほか三名の方がおいでになって文書でお出しになっておられるそうです。そして、県有地を確認したいということで、牧港住宅地区ほか四ヵ所の米軍施設を挙げておられます。そこで、那覇施設局では、きょう十時に牧港住宅地区の中を調査できるようにいたして実行いたしました。それから、二時には那覇空軍・海軍補助施設を調査する予定で、もうやっておるかもしれませんが、そういうことになっております。  それから、同じく那覇市の方も、これも文書があるそうでございますが、牧港住宅地区を見たいということで、これは昨日現地を調査して終了しております。
  153. 内藤功

    内藤功君 ことしの五月の十五日午前零時をもって、この暫定使用法の二条の期限が切れた。そして、四条に基づいて米軍の基地や自衛隊の基地などを返還するという、そういう義務が明確になったわけです。このことは、十五日以来の当委員会の論戦、さらに五月の十五日に出されました政府のいわゆる統一見解、この統一見解というのは、当日ここにおられた数名の方がおつくりになったというもので、統一見解と言うにふさわしいかどうかは問題があるが、当日出された見解、これでも、十五日以降においては第二条による国の使用権原はなくて、そうして四条の返還義務があるということを明確にうたってある。問題はその次であります。いま政府側の御議論をずっと聞いておりまするというと、いまは五月十五日零時以降は国は使用権原はないと。しかし、この統一見解の第三項ですね、こう書いてある。「現に議題となっている法律案が成立し施行されれば、国は、暫定使用法による使用権原を取得するに至る。」、いま論議されているこの法案が成立施行されれば、国が使用権原を取得するに至る、こういうので、しかし一項の方で、使用権原は五月の十五日零時になくなったということを明確に認めながら、一方において、いまの法案、特に附則第六項ですね、五年を十年に延長するという附則第六項というものが、これが通れば、その時点で今度は使用権原を取得する。このつながりですよ、問題は。この説明ですよ、これが果たして合理的なものであるのか、国民を納得させるものであるのか、国民の基本的人権の尊重というものから見てどうなのか、憲法から見てどうなのか、また、国会の議案審査権がありますが、議案審査権の場合の対象になる審査すべき議題の問題としてどうなのか、私は重大な疑問点があるというので十五日の質問におきましてこれを提起をしておいた。願わくばこれに対する合理的な説明を聞かしてほしい。そうでないと、国会審議すべからざる案件を審議をして、千載汚辱を残すことになる。私はここまで申し上げたわけなんです。  当日時間がないので、きょう補充ということに相なったわけですが、当日は、「国は、暫定使用法による使用権原を取得するに至る。」、なぜこの法案が通れば——形の上では近い将来に通るかもしれません、通るであろうと一般に予想されている。それがきょうとかあしたとか言われているが、それが通れば取得できるのか、消滅した権原が再び取得されることになるのか、その説明です。  この前の法制局長官説明では、国会がお決めになることだからと、すべて国会に任せておる。国会が決めたんだから取得するんだ。それだけでは済まぬ問題があるんですね。私は、二つの大きな疑問点がある。一つは、一体こういう権原というものが、期間の経過とかによって消滅した場合に、それではいつになっても、何年たっても、何カ月たっても、こういうような延長するという、そういう法案が出れば、何カ月たっても、何日たってもあるいは何年たっても、今度は前の法案施行期日からさかのぼってずっと継続しているということになるのか、これは論理の手品だということを申し上げたんです。もう一つは、その内容であります。特に憲法との関係です。  私は、まず最初にお伺いしたいのは、今回は五月の十五日零時から失効になった、権原が消滅をした。しからば、この法案が数日後に通った場合、この法案が数カ月後に通った場合、この法案が数年後に通った場合、いろんな場合が考えられます。この法案だけ特別扱いというわけにいかないんですよ。この法案だけは特別扱いというわけにはいかない。この法案が、一たん消滅した使用権原が、その後時日を経て取得するに至ると書く以上は、どういうような基準、万人に納得せしめ得る、公平にして明確な基準のある、そういう論拠でやったのか、たまたまこの法案を何とか通したくして、この法案に関する限りもう理由も何もないがこれは権原が復活するのだというのか、そこらあたりに非常に重大な疑点があると思うんです。これは私だけではなくて、非常に多くの議員各位からも疑問点が公式、非公式に表明されているし、国会のこの法案の論議は、まずこの疑点を解明すると、ころから入らなければ相ならぬと私は思うがゆえに、まず第一問、この点を法制局長官にお伺いしたいと思います。
  154. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) ただいま議題となっておりまするこの法案は、政府側が提出しました法案とはもうすっかり構想が変わっておるわけなんで、私ははなはだ説明しにくいといいますか、そういう立場に果たしてあるかどうか自分でもちょっと疑わしいわけなんですが、御質問でございましたので、こういう形の附則六項についての私なりの解釈、考えを申し述べることにいたします。  この附則六項は、いま読んで字のごとく、現行法の、つまり暫定使用法の第二条中「五年」とあるのを「十年」に改めるという文句でございますが、これが五年の経過前にこの新法が通れば、これはまず問題ないわけなんですね、全然問題がない。法制上の観点からは何ら問題がない。問題はやはりここで十四日が経過いたしまして多少ブランクの期間に突っ込んでしまったと、入ってしまったと、そこでその時点において、果たしてこういう附則六項のような議案が可決なり否決なり、つまり国会の議決の対象になるのかという法制上の問題であろうと思うんです。で、それにつきましては、実はこの前から繰り返し申しておりますが、いわゆる限時法という観念がございまして、法律自身が、その附則でこの法律施行後五年を経過すれば効力を失うということをみずから規定しているいわゆる限時法、この限時法につきましては、五年の経過によって法律自身がなくなってしまいますので、それで、たとえばその限時法の一部を改正する法律案を国会で御審議中にその五年が経過したと、つまり、限時法が失効してしまったという場合には、それはもう議案の対象がなくなると、自然消滅ということになるんだろうと思うんですが、この暫定使用法は、ただいま申しましたような限時法ではございませんで、これは法律自身としては別に時間を限って失効するという形はとっておりません。問題はその中身において、つまり第二条の規定によって、国が使用する権原を取得する、その権原の期間が五年であると、こう書いているだけでございまして、これは再々引き合いに出しますけれども、かつて副検事の任命資格の特例に関する法律という、ちょうどこの暫定使用法と非常に酷似した、よく似通った構造をとっておった法律がございまして、その任命資格の特例に関する法律の中身は、これもこの前から繰り返して申しておりますけれども、つまり一年に限って、法務大臣だったか法務総裁でありましたか、とにかく任命権者は副検事を自由選考によって任命することができると、そういう任命権限を書いておったわけでございますが、その一年という期間が延長されまして二年になって、それは無事一年の経過直前に延ばしておりますから法制的に問題がなかった。ところが、その延長された二年の期間が経過して後に、三カ月ばかり経過した後にさらにその副検事の任命資格の特例に関する法律という改正案を国会に出しまして、その点についての御論議を経た上で、総員起立可決ということがあった、そういう事実は確かにございました。その法律は、一体それじゃ、ただいまの内藤先生の御議論から言えば、やはり議案とすべからざるものを議案にして可決したということになってしまうわけなんでございますが、私たちはそうは存じておらないわけでございまして、期間が経過しても、限時法じゃなくて、まあいわば臨時法といいますか、中身において臨時的な措置をとっているだけであって、法律そのものはやはり厳密な意味の限時法ではない。したがって、それは期間が経過した後においても改正の対象になるという考えでございます。
  155. 内藤功

    内藤功君 いまの中で幾つかの問題点が、私が聞かないことも含めて大分出ましたがね、私の一番聞きたかったことに答えていないんです。そこで、順序として私の一番聞きたいことに答えていただきたい。  そうすると、あなたのいまの論法でいきますと、本法案は十五日を徒過して数日後に成立施行をされる可能性がいまある、こういう法案なんです。しかし、たとえば衆議院でまだ提案説明、いわゆるお経読みしかやってないような段階で期間が満了したという場合、そうしてその後また参議院に送られて、参議院でも何カ月か審議をして、そうしてまたそこで継続審議になって次の国会にいって可決をされたというような場合もありますね。あなたの論法でいきますと、期間を経過しても、二年でも三年でも何年後であっても、延長の案が可決されれば、五年を十年という案が可決されれば、その論法をずっと押していきますと、ブランクと言いましたね、このいわゆるブランク、私は違法使用期間と言っておりましたが、この違法使用期間がいかに長くても、また延長ができてしまう、こういう結果になります。そうすると、沖繩県民の場合、この場合沖繩県民及び県民であった人、沖繩土地所有者の人は、数カ月にかたり、あるいは数年にわたり、全き完全な円満な状態での土地所有権を取得した者が、明け渡し請求権を取得した者が、それに基づいて明け渡し請求をし、あるいは明け渡しができ、家が建ち、畑を耕し、そこを使っていた者が、数年後にその法律の延長改正によって、今度は一挙にして、そのせっかく完全に獲得し、完全に機能を回復した所有権、明け渡し請求権が否定されてしまうという結果にあなたの議論、つまり政府統一見解の議論はなるんですよ。なることになります、いまの説明では。そうなるじゃありませんか。一日か二日の場合ならいいだろう、四日の場合ならいいだろうという議論ですか、それとも。しかし、いまのあなたの説明ではそういう限定はないから、何年でも何カ月でも後になってその延長が可決されれば、その間の消滅していた国の権原はまた復活し、そうしてせっかく取得され、完全に行使されていた所有権は今度は否定されてしまう、こういう結果になってしまうんですね。私は統一見解の最大の欠陥、最大の論理的な疑問点、法制的な難点はここにあるがゆえに、前回から、これは大問題になりますよ、将来法廷闘争や裁判がこれによってかえって多くなる。きょうは法務省も来ておられますが、そういう法廷闘争の種をたくさんまくような法案国会はつくるべきではない、そういう形のをつくるべきではないということを申し上げておったんです。私のいまの質問のポイントですね。これはおわかりと思いますから、後でまだあなたのいま言ったことには別に質問しますから、その点にしぼって答えてください。
  156. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) ただいま、例として衆議院でいわゆる提案理由の説明、お経読みですか、提案理由の説明をやっておったその時点で五年を経過して、それから衆議院審議を重ねて可決され、参議院に送付されて、また参議院で慎重審議をなさって成立をしたという場合はどうですかということをまず最初におっしゃいましたが、先ほど私が例に出しました副検事の任命資格の特例に関する法律の一部改正は、期間が経過してしまってから後に政府が提案したくらいでありまして、そういうものでさえも、そういうものでさえも国会ではちゃんと議案としてお取り扱いになって可決成立したということがありますので、先ほどの例は、どうも過去の先例に比べればまだ問題が少ない方だろうと思います。  それから、何年たってもとおっしゃいますが、私は法制上の問題として申し上げておるんでございまして、法制上の問題として申し上げておりますのであって、つまり、法制的に議案になじむかなじまぬかという論点でございますから、だからこれは法制的にはなじむんだと。そういう形の、つまり抽象的に言いますと、期間を限ってある事項を定めている条文を、その期間の経過後にその期間を延長するという改正ができるかという問題に帰するわけなんで、それはいろいろ先例を調べますと幾つもそういう例があると。それで、ですから法制的にはそれは何年たってもできるはずなんです。ただ、事の当否は別ですよ、事の当否は。ですから、余りそれは五年も六年も十年もたってから前の寝ている子を起こすというようなことは、それは余りほめた話じゃないから、国会としてはそういう立法の方法じゃなくて、別に新規立法を出されるという方がベターだろうと思います。しかし、法制的にはそれだって絶対不可能とは私たちは考えておりません。それで現に、の中身はやや違いますけれども、森林組合合併助成法というのが昭和三十八年の法律であるわけなんですが、これは四十二年の十二月三十一日までに合併の計画を出しなさいという条文がありまして、それから実はこの合併促進の話が始まってくる。その一番根本になる最初の計画提出期限が四十二年十二月三十一日までと、こうなっておったわけなんです。ところがその後、昭和四十九年の五月一日の法律の三十九号でこの期間を改正しているんです、その法律を使って。これは新規立法やってもいいんだろうと思うんですよ、こういう場合には。しかし、それでも新規立法の形をとらないで、もとの三十八年の法律をそのまま使って、まあいわば寝ている子を起こしたんだろうと思うんです。内藤先生はこの前死んだ子を生かすんだとおっしゃいましたが、そうじゃなくて、私たちは寝ている子を起こすとか、あるいは油が切れてとまっている車に油をつぎ込んでまた走らせるというような例の方に近いような感じを持っております。
  157. 内藤功

    内藤功君 あなたの言わんとする意図はわかりました。恐ろしい見解です、一言で言うと。法制的には何ら限界がないと、こうおっしゃった。だから私どもは重大だと言うんです。法制的にはというのは、法制、法律制度の最高は憲法なんですね。つまり法制的に限界がないということは、あなた方政府の法的見解は憲法の観点から見ても限界がない。つまり、たとえば沖繩県のこの県民の方々の権利が、五月の十五日零時で完全な権利が発生をした、権利が完全なものになったと。逆に番うと、国の使用権原が五月の十五日の午前零時で消滅をしたと。そうすると、そのときまだ国会にかかっていなくてもいいんだと、こう言うんですね、あなたの議論は。このときに、本件はいま国会にかかって、金丸さんなんという方が辞表を出すとか出さぬとかというような問題が起きるくらい、五月十四日十二時という期限は非常に重視して審議がされたけれども、もうあなたの見解で言うと、そのときに提案なんかされていなくてもいいと、本法案が提案なんかされてないでもいい。この十四日は切れちゃった。沖繩県民の人はみんな、ああこれで完全なる所有権が回復をしたといってみんな本当に喜んで、これで完全に所有権の回復があったと、いわゆる未契約地主の人が。そう思っているときに、三月ぐらいして、今度は突如としてこういうような法案が出てきて、あの五年というやつは今度は十年にするんだという改正案が三月後に出されてきても、それはもうそれが可決されれば、可決されるまで三月の間、どんなふうに沖繩の県民の人が、自分の権利があると思っていようがいまいがにかかわらず、もうその権利は全部もとどおりに消滅されてしまうと。まさに死んだ子を生き返らせる法律案じゃありませんか、国の権原から見れば死んだ子を生き返らせる法律案。呪文ですよ。逆に人民の側から見れば、県民の側から見れば、五月十五日午前零時に弧々の声を上げたかわいい赤ちゃんですね、新生児が、何カ月か、何日かたった後に、今度は後から成立した法律によって絞め殺される。わずか四日間の生命、あるいはわずか三カ月間の生命。今度はそのせっかく生まれた生命を絞め殺す、言葉は余り適当でないかもしれませんが、そういうことになるんですよ、あなたの見解は。これは非常に重大な見解だと。私は黙って聞いておりましたが、この法制上の見解というのは、まさにこの五年間経過した、そしてそのときに発生をした沖繩県民土地に対する権利というものを圧殺する役割りを私は果たすことになると思うんです。  もう一遍お伺いしますが、この一点だけにしぼりますよ。この権利というものを、国の使用権原というもの、これは五月十四日以前に国会に提案されていなくても、その後に提案された場合であっても、延長という規定によってこの解決をすることができる、使用権原を取得させることができる。逆に言うと、沖繩県民の完全なる所有権を今度は奪うことができる、こういう結果になってもあなたはいいんですか。法制上はそれで少しも矛盾を感じないんでしょうか。私は最大の疑問点はここにある。それならそれで、はっきり政府と私どもの見解をここで議事録に載っけておいて、国民にどっちが正しいかを判断をしてもらうしかないんです。焦点、切り口というものをはっきりさせておくために聞いておきたいんです。どうなんですか。
  158. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 私が前から重ね重ね申しておりますのは、事の当否は別だと言うんですよ。事の当否は別なんであって、本件について申しますと、附則六、項が衆議院で修正可決された時点においては五月十四日まであったと。それが、参議院で御審議中に十五日になってしまったから、その一事をもって、それだけの一事をもって議案の対象でなくなったんじゃないかという御疑問を盛んにおっしゃいますから、それはいままでの先例の上から見ても、法制的にはいままでの先例に照らしても、その期間を審議中に徒過したという一事をもって議案の対象とならないということにしなければいけないということはありませんということを申し上げているんです。
  159. 内藤功

    内藤功君 よくわからぬ。あなたの見解でいきますとさらにこういうことになるんですね、事の当否は後で大臣方に伺いますよ。しかし、あなた法制局長官のその見解が、とんでもない見解になる、そういうような見解ではこれは法制局長官として果たして信頼して内閣の憲法の番人として置いておけるかどうか、私は疑わざるを得ない。あなたの見解によりますと、さっき同僚議員質問に対して、大臣の方から、五年後は絶対にしないようにすると、五年後はもう延長しないようにするという御答弁もあったようにいま聞いておりますが、今度はまた五年たったと、そうすると、五年たって今度は五月十四日ですね、五年後の昭和五十七年の五月の十四日の十二時、このときまでに法案の成立はできなかった、しかし、その後、今度は五月十五日午前零時を過ぎた後に法案が成立をしたという場合でもこれはできる。さらに、そればかりじゃない。五年後の五月十五日を過ぎて、今度は法案がその段階で国会に提案された、こういう段階でもどんどんできる。こういう見解を認めたらどうなりますか、これはもう五年という期間が全然意味なくなっちゃうんです、これは。五年という期間が意味がなくなっちゃう。これはもう五年ということを言っていますけれども、実際上あなたの出した見解によって永久の基地使用ということだってこれは可能です、五年、五年とやっていくことによって。そういうようなことに陥る見解だということです。御認識なさらないですか。
  160. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) どうも、純粋の法制論と立法政策論とを少し混同していらっしゃるんじゃないかと思うんです。先ほどから、五年で今後はもう延ばすことはしないよということをおっしゃっておりましたが、それはまさしくそういう政策をここで確約されたんだろうと思うんです。だから、それは政策論なんですね、立法政策論なんです。だから、純粋に法律的にはそれは改正できないわけはないんです。改正できないわけはないんです。それは内藤さんも法律論としてはおわかりになるんだろうと思うんです。法律は絶対改正しないと書いておいても改正されるわけなんですから、それは不磨の大典だって改正されたわけなんですから。だから純粋の法律論と政策論とは別なんです。
  161. 内藤功

    内藤功君 それではもっと法律論らしくやります。  どうですか、まず真田法制局長官に伺いたいんですが、昭和五十二年の五月十五日の零時に国の使用権原は消滅をしたと、これは政府側はよく言われるわけですよね、国の権原のことしか頭にないように、まあそうではないと思うけれども。国というのは、国民があっての国であります。国の使用権原は消滅をした。しかし、この使用権原というのは、国民の、人民の所有権の上に使用権原があるわけなんです。国民の所有権というものはどういうものか、これは土地使用収益処分できる権能ですね、そういう権能である。で、国の使用権原が消滅すれば、そのもとになっている人民の所有権、つまり完全に使用収益処分し得る権能は、逆に今度は完全なものにして、学問上は円満なる状態と書いてある本がありますが、完全な状態でこれがあらわれてくる。昭和五十二年五月十五日午前零時というのは、まさに歴史的に重大な瞬間であって、それは沖繩の人民のいままで抑えられていた土地所有権が、未契約地主方々についてですけれども、完全に機能を発揮したその時間であるわけです。で、私はいままで国の使用権原という面からあなたに聞いていたから、あなたはその段階ではある程度言葉の上でごまかして、そうして何となくうまい答えをしているように、そういうふうに聞こえる答弁ができたかもしれないが、今度は国民の、人民の権利の側から見ると、完全な所有権が五月の十五日の午前零時に出てきた、発生してきた、これが今度はどうなりますか。もし数日後、数カ月後の成立施行した法律で今度はこれは否定されてきます。否定されてきますよ。この第三項というのは、論理的には、新しいいま議題となっている法案が成立施行されれば、国の使用権原は取得するに至るというのは、逆に読みますと、新しいこの法案が成立施行したときには、沖繩の未契約地主と言われる方々の完全なる所有権は、またもとの状態になってしまう。逆に言いますと、明け渡し請求権、原状回復請求権は消滅するに至るわけなんです。消滅するに至るわけです。つまり、国の使用権によってもうがんじがらめに使用ができない状態にまた戻されてしまうわけです。これが許されるかと言うんです。後で立法することによって、一たん発生をした完全な所有権が、一片の法律でその所有者の同意もなしに、五月十五日に発生した——私は今度は生きるという問題からいきましょう。新しい新生児の生命のような、そういう完全な所有権が、数日後にできた法律で圧殺される、こういうことになるんじゃないですか。こういう結果をもたらす法律案じゃないんですか、法律案の成立施行というのは。そうして、これは果たして国民の財産権を奪い制限するのに、こういう事後の方法、一たん発生した国恥の財産に関する権利を事後の立法で、しかも法の正当な手続、妥当な手順を踏まないで制限する、剥奪する、こういうことが許されるかどうか。まさにこれこそ法制上の問題であると思うがゆえに、私は重大な疑問を呈しているわけなんです。国の使用権原という点からいくといろいろと弁解されますが、しかし、国民の権利という面から見ると、ぐうっと問題の本質があなたもわかってくると思うんです。あなたも法律の専門家でありますから、政府の側からだけじゃなくて、人民の側、国民の側から権利を見るという見方はおできになると思うんですね。この点はどうでしょう。
  162. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) どうも私の言っていることとかみ合わないんですよ、先生のおっしゃることが。私はただいまおっしゃったこともよくわかるんです。それは国の方の権利が戻れば国民の所有権がそれだけ引っ込むというわけですね。それはちょうど一種の制限物権みたいなものと考えてみればいいわけですから、そういう話は全くよくわかるんですよ。で、私がここで御説明申し上げておりますのは、たとえば五月十五日に円満な完全な権利になったと。それを後で新立法で、また第二暫定使用法をつくることだって論理的には可能なんですね、論理的に可能なんです。立法政策を言っているわけじゃございませんよ、法律という法制上の問題を言っているわけですから、事後に新立法、つまり第二暫定使用法をつくって、そして気の毒だけれどもまた基地使用権を国に渡してくれという法律をつくることはできますね。そういうことを、新立法の形でもできるし、それからこの附則六項のような形でも、これが先ほど来申しておりますいわゆる時限法じゃないから、附則六項のような形でもそういうことはできるではないかと。だから、期間が過ぎたからといって、もうそのいまの後の方の手段は国会の議案としてはなじまないんだというふうにはならないんであって、新立法をつくってもいいし、こういう形で、そういう同じ効果を出すということもできるというわけなんです。それを言っているわけです。
  163. 内藤功

    内藤功君 それではこれは提案者にお聞きしたいですね、提案者の木野さんにお聞きしたい。国と人民の財産権の関係です。人民の財産権、特に土地の権利ですね、土地の所有権にしても土地使用権にしても、土地というものは非常に大事なものである。これは国民一人一人が、ここを耕し、ここに家を建て、そして、それからいろんな価値を生むことができる。だから土地の所有権というのは非常に大事なものであります。軍事基地にしてごらんなさい。土地はペンペングサが生えて、コンクリートが一帯ずっと張られて、そこから価値は生まないんです。適切に使われれば別だけれども、三・三平方メートルの土地沖繩土地、これが沖繩県民の手にあればこそそこに作物が成長し、そこに豊かな国民の生活があるわけです。ところが、この同じ三・三平方メートルの土地が、嘉手納基地、那覇基地という中に囲い込まれちゃった場合は、これはもう芝生になっちゃったり、あるいは荒れ返った土地になってしまう。ですから、一坪の土地でもって血で血を洗う争いが起きるのです。そういう大事なものです。そういう国民の財産、中でも土地というものを国家が取得するという場合にはどういう方法がありますか、どういう手順でいくのが一番いいですか、これは法律論じゃないんです。法律論は法制局長官とやっています。政治家としての議論です。どういうふうにするのが民主主義のいまの国、憲法のある民主主義の国、自由と民主主義が守られている国であればどういうふうな順番でいきますか。これは細かい法律論でなくていいです。政治家としての木野さんはどう考えるか。ついでに受田先生にもお聞きしたい、どういうふうにいきますか、これは。
  164. 木野晴夫

    衆議院議員(木野晴夫君) ただいまの御質問でございますが、私は、法制局長官内藤先生法律論をやっておられましたので、法律論じゃないかと聞いておりましたところ、一つ土地をどのようにするのが一番いいのかと、政治的にどういうことがいいのかという話、またその手続につきまして、順序はどうでもいいから、とにかくどう考えるかというふうな話でございます。それで、その所有権が何たるものであるか、いかに利用するのがどうかという問題は別にいたしまして、論点になっております附則六項について私たちの考え方を、先生質問とはちょっと外れるかもしれませんが申し上げたいと思います。
  165. 内藤功

    内藤功君 委員長、ちょっと私の質問に答えさしてください。それは私の質問に入ってないですよ。ですから、あなたは、国家が人民の財産権を取得するにはどういう手順でいったらいいのかという考え方を聞いているんです。
  166. 木野晴夫

    衆議院議員(木野晴夫君) 委員長、私いま答えておりますから続けさしていただきたいと思います。  それで、衆議院の段階におきましては、審議と協議を重ねましていたしました。ただいま議論出ております問題は、参議院の段階になってからの問題でございますので、繰り返し申し上げますが、当院において御審議願いたい、このように考えておる次第でございます。  それから、内藤先生法制局長官の話出ましたのは、法的見解、これの第三の「成立し施行されれば、」云々と、この点についての議論でございます。そういった点は非常に法律的な問題でもありますし、私からいまここでお答えするのはどうかと思う次第でございます。そこで先生は、私に対しまして、法律論さておきまして、一体所有権があると、それを国として使うときにはどのように使うのがいいのかという問題でございますが、御承知のとおり憲法の規定ございますから、私は憲法二十九条、この規定の精神にのっとり、憲法全体の精神にのっとって取り扱うのが政治家としての考え方であると、このように思います。
  167. 内藤功

    内藤功君 受田先生、何かありますか。
  168. 受田新吉

    衆議院議員(受田新吉君) 内藤先生の御発言はごく常識的な見解として同感と。法律論というよりもそういう問題でございますから、木野理事がわれわれの提案者の三人を代表して答弁をしていただくように三者の間では合意しておりまするし、同時に、木野理事にわれわれの総意を代表して御質問をお受けしていただくような三者間では決定をしております。そこで、いままで私も、木野理事が提案者を代表している以上、複数の提案者が出て答弁を申し上げるよりも、木野理事一本で答弁していただくという趣旨で、今日まで木野理事に全権を委任して答弁に立ってもらっております。  ただ、いまの問題、個人の見解はどうかという、こういうような問題、それについてはいま木野理事から答弁をしてもらったわけですが、素直な立場で見れば、所有権の移転というものは双方の合意による契約というものが成立して進められるものであって、憲法第二十九条の財産権の尊重という精神はそういう意味で行われてしかるべきで、強権の発動というものは公共の福祉という場合に限るというたてまえを私は考えております。
  169. 内藤功

    内藤功君 いま念のために聞いてみたのですが、まずこの土地を取得するには合意、契約でいかなくちゃいかぬ。これがもう大原則なんです。そして手順を踏んでいかなくちゃならぬ。手順を踏まないで財産をとるのはこれは盗人であります。これは許されない。手順を踏まなくちゃいけない。ところが、この附則第六項に基づいて五年を十年にすればどうなりますか。五月の十五日の午前零時に発生をした完全な所有権というものは、これはその土地所有者の合意なしに、またしかるべき手順を踏むことなしに、数日後、あるいは数カ月後の法律の可決と成立と施行によって、今度は一瞬にして否定されてしまうことになる。これはもう明確なことなんです。私はこれはまさに手順を踏まない権利の剥奪だと、こう見なければならぬと思うのですよ。副検事の場合と違うのはここなんです。副検事の場合は、そのブランクの三カ月間の間、副検事というものが特別の方法で任命されることはない、それだけなんです。その三カ月間の間、副検事がある検察庁法に定める方法以外の方法で任命されることはない。その間に人民の権利の侵害は何にもないのです、権利の侵害は。これはどうですか。いわゆるブランクの間に発生した人民の権利というのは後で奪われてしまうのですね、これは。しかも、何らの手順を踏むことなく奪われてしまう。例が違うのです、根本的に。  私は、そこで聞きたいのですが、法制局長官、この本土の場合はどうなっていますか、本土の場合。沖繩県の場合はこの五月十五日、これが切れれば人民の権利が復活している。人民の権利は完全な権利ができておる。その後法律施行によってまたそれが消されてしまう。日本の本土の場合は土地はどういうふうにとられますか。こんなふうに後から法律がつくられて、それで一方的に合意もしない地主が取り上げられると、土地の所有権を制限されるということがありますか。軍事基地——アメリカ軍の基地、自衛隊の基地の場合にそんなことがありますか。どういう手順を踏んでとられていきますか。根本的に違うじゃありませんか。
  170. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 本土の場合には、もう御承知だろうと思いますけれども、土地収用法によって使用権を取得する、あるいはいわゆる土地等の使用等に関する特別措置法によって使用権を取得する、そういう法制になっております。
  171. 内藤功

    内藤功君 沖繩の場合はどうか。本土の場合は全部、いま言われた法律土地収用法で自衛隊の用に供する土地はとれない、私どもはそう思います。また現実にもやっておりません。しかし、いま言ったような法律でちゃんとどの土地をとるのか、どういう理由でとるのか、事前にいろいろな意見を聞く、聴聞もする、そうして事後には不服申し立ての手続がある。最終的には司法裁判所に訴えられる。こういういろいろな保障があって、法律の定めるいろいろな手順があって、そうして財産権というのが取得されていくのです。しかるにこの沖繩はどうですか、これは問答無用ですよ。いままでのこの暫定使用法もそうだ。いわんや暫定使用法というものは五年の期限を限って、その期間を徒過して完全な県民の所有権が復活した、ここにあらわれてくる。ところが、その後から一片の法律でもってこれが否定されていく、こういう法律なんです。  私はちょっとここで防衛庁長官に伺いたい、法制局長官に聞く前に。防衛庁長官、あなたは防衛庁の最高責任者であって、そうして国の防衛ということを常に強調しておられる立場であります。しかし、国の防衛ということは、国民の理解と協力というものなしにやれないということもあなたは言っているのです。防衛庁の土地、あるいは米軍基地、こういうものを取得する場合に、このように手順を踏まないやり方、五月の十五日に一たん発生した県民の権利をもう一遍今度は否定するのに、数日後に成立した、施行した法律があれば、もうそれで四日間の短い生命であったけれども、これはもうもとどおりになってしまう、もとどおりに圧殺されてしまうということですね。こういうような法律のあり方、たてまえということは、防衛庁の土地のとり方、取得の仕方としてよいとお考えでありますか、この方法で。こういうようなやり方を内容とするやり方がいいと、こういう法案でもやむを得ない、防衛のためだから、国民は、沖繩の県民は、本土はちょっと違うけれども、沖繩の県民はそいつはがまんすべきなんだというふうに、そこまでお考えになっておるのか、あるいはそうではないのか、そこのお考え方をお聞きしたいと思うんです。
  172. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 国民の人権というものを尊重して、いま申されましたように、国民の理解と協力を得ることが防衛任務を完遂する私は大前提だと考えております。したがいまして、本土であろうと沖繩であろうと、私には全くそういう差別的な気持ちはございません。したがいまして、何とか、できますればひとつ皆さん方の合意を得て契約をさしていただいて、ぜひ必要な土地でございまするので、ひとつ協力を願いたいということで今日まで努力をしてまいりまして、大体まあ九九%近くまで契約を結ばしていただいたのでございます。ところが、そのときたまたまいまのような事態になりましたわけでございまして、私といたしましては、何とかこの事態は避けたいという、そうした願望で最大の努力をしてまいりましたが、この事態になって、われわれとしては未契約方々に対しては法的には返さねばならないという事態に逢着をいたしておるのが現況でございますけれども、何とかこれは、まず返すにいたしましても、実際上契約をしていただきました九九%の方々、一部の方々との間の地籍も明確ではございません。したがって、いまのところではこの未契約方々に対しましてもぜひ御相談の上使用さしていただきたいという考え方はちっとも変わっておりませんが、そこで、私といたしましては、現実問題として、何とか一日も早く国会においてこの事情を勘案願って審議を終了さしていただきたい、そうして可決願えますれば、決して、しかしそれは理不尽に私どもがこれを占有するとか、あるいは使用権を振り回すとかいうような考えは毛頭ございません。やはり改めて未契約の方方に対しましても、積極的に理解と協力を得たいという姿勢で進めてまいりたいという現在心境でおるわけでございます。
  173. 内藤功

    内藤功君 もう契約をしたい契約をしたいと言っても、一方的に、契約をしたくない契約をしたくないという気持ちはかなり深いですよ、これは。複雑なものです。あの第二次大戦、沖繩は、本土決戦の時期を延ばすために、あそこに強力な優勢な米軍を引きつけておくための一つの戦場になったわけです。そういう役割りを果たされたわけですね。そうしてその犠牲になったでしょう。米軍に殺されただけじゃないんです。そこに駐とんしておった日本の兵隊にごうから追い出されたり、集団自決を強要されたり、スパイ嫌疑で惨殺されたりという人がいっぱいいるわけです。いまでも沖繩へ行ってごらんなさい、白骨死体がまだ残っているところだってあるんです。私は余りこういうことはこの論議の席上言いたくない、そういう心ですね。そうして、戦後は銃剣で土地を追い立てられたんでしょう。そうしてキャンプに入れられた。その間に米軍が全部囲いをつくって土地をつくった。その間にもう弾拾いをやるというような生活をした人だっていっぱいいるわけです。弾拾いで食っていた。なるべくアメリカ軍の爆弾が近くに落ちてくるように願っていて弾拾いやったという人だってあるんです。こういう話は切りがないです。こういう心ですね。もう絶対に土地を渡すもんか、近親の命を奪われた、自分の自由、青春を奪われた、財産を奪われた、せめて土地はあの中にあるんだから返してもらいたいというのは、これはもう切実な気持ちですよ。普通の土地の争いだってね、一坪の争いでもう血を血で洗う争いがあるんですから。いわんや自分責任ではない、政府責任で奪われた土地を返してもらいたいという気持ちは、これはもう切実なものです。本土以上のものが私はあると思います。  そこで、こういうような人と契約をしたいと。しかし、この四百何十人という方は今日まで契約なさらないんですから、これはもうしっかりした、堅固な拒絶の意思を持っている人だと。だとすれば、この五月十四日終わった時点土地はお返しをして、その部分はお返しをして、そうしてお返しをした上で契約するのがあたりまえ。そうじゃない、土地をもう管理という名前でとっておく、恐らく法案が成立施行されたならば、今度は管理じゃなくてもとどおりだということで確保をしておく。その上で、自分でとっておいてさあ契約をしろと。これは間違っていると思う。法のたてまえ、法のあり方というものは、こういう場合には、同意をしない方には、五年間というのは暫定期間なんですから、これを返して、そうしてその上で手順を踏んでいくか、あるいはもうその土地をあきらめる。この前私が言いましたように、百里の飛行場の中には民有地があって、そのとき誘導路をその民有地を避けてくの字型に行ったことがあるんですね。これくらい財産権の尊重は大事なものなんです。  私は重ねて法制局長官に聞きますが、これこそまさに、この五月十五日の零時に発生した完全な所有権を事後立法によって正当な法の手順を経ることなく奪い去る、そういう法律じゃないかと私は思うんです。デュー・プロセス・オブ・ローですね、憲法の三十一条、法の定める正当な手続違反、まさにこれだと思うんです。私はこれはさらにアメリカの修正憲法五条にも違反する。アメリカ修正憲法五条、十四条一節という条項には同じ条項があるんです。正当な法の手続によらなければ、その生命、自由または財産を奪われないと、人権の最低の原則でありますよ。まさにこれこそがこの事後立法の典型的なもの、事後権利剥奪立法の典型的なものだと、私は思うんです。  私はそういう点で、この立法は国会がこれは認むべからざる法律だと。五年前は暫定法だということで通した。しかし、この五年間の間に法律が通らなかった。私は、それをさらに延長させる附則六項はこういう問題を持った法律だと思うんです。この点について政府の憲法の番人である法制局長官の見解は、この前結論は聞いたが、この三十一条デュー・プロセス・オブ・ローと、この問題についてあなたがどういう理解をしておるか、もしこれを三十一条は単なる刑事訴訟法上の手続だけを決めたものだというような形式的な判断では私はいかぬと思いますよ。どういうふうにお考えになるか、これがデュー・プロセス・オブ・ローというものの原則に当たると考えるのかどうか。また、そういう問題を離れて法の良識というのがあるでしょう。手順を踏んで財産を取得すること。手順を踏まないで取得すること、手順を踏まないで取得すればこれは盗罪であります、強盗罪。これは許されないことです。どういうふうにお考えになるか、この点の見解を法制局長官にまず伺いたいと思います。
  174. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 幾つか論点が含まれておったと思いますが、まず、事後立法によって国が使用権を取得するというのはおかしいではないか、けしからぬではないかというのが御質問の中にございましたが、これは事後立法だとは私は思わないんでありまして、先ほども申しましたように、いまから新しく新規立法をつくって、第二暫定使用法をつくって使用権を国にしばらく五年間提供していただくと。政策論は別ですよ、政策論じゃございませんで、法律論としてそういうこともできるわけなんで、それをこういう形でやってもいいということをまあ再三申し上げておりまして、決して事後立法だという性格のものとは考えておりません。  それから、デュー・プロセスの問題でございますが、これは日本の憲法三十一条に書いてあるわけでございまして、これは規定のしぶりといい、あるいは規定の場所からいって、第一義的には、これはやはり刑事手続の保障をしたものであるというのが通説なんですが、もちろん刑事手続でないからといって、そういう法律による正当な手続の保障と無縁というふうに言うべきものではないんだということは、これまた通説と申してよろしいんだろうと思います。これは御存じだろうと思いますけれども、憲法三十五条についてやはりそういう刑事手続には限らないよという最高裁判所の大法廷の判例もございますし、われわれ政府も、従来から行政処分であってもやはりこの三十一条の精神は尊重しなければいかぬというふうに考えております。
  175. 内藤功

    内藤功君 それで終わりですか。  そうすると、この三十一条は、刑事手続に限らないと、行政手続も含むんだということになります。これがアメリカの修正憲法の解釈でもずっと行われておるし、わが国の考え方、判例や学説の考え方もそうだと。そうなると、今度はどうですか、五月の十五日に完全な所有権が発生をしたと、一方において国の使用権原が消滅をしたと、それをあなた事後立法じゃないというが、実質的にはまさに事後立法だと思うんですね。この数日後の国会で成立施行された新しい法律があるからといって、その法律ができたというこのことをもって、今度は五月の十五日午前零時から発生したこの新しい権利の生命というものを、これをもう一遍奪い去る、これはできないと思うんです。やっぱりその場合には手順を踏んで、たとえば新しい、憲法に一字一句やっぱり違わないような、憲法の体系に沿った新しい立法措置を国会で諮ってやると、たとえばですね、そういう方法で手順を改めていかなくちゃいけない。いままでずっとやってきた法律は五月の十四日でもうすでにその存在意味、その生命を失ってきたと、そうして、新しく新規まき直しで沖繩県民の利益を十分に保障し得る形の立法をつくっていくというならともかく——私は必ずしもそれをやれと言っているわけじゃないですよ。ないですが、それならともかく、いまの法律が五月十四日でもって期限が切れたと、そうして、この数日間の間生命を持っていたその財産権というのを、後で成立した立法で、しかも手順も踏まないで、明確な基準も決めないで、この間に発生した財産権を否定していく、これは許されないことだと私はさっきから言っておるのであります。これが三十一条違反だということも私は言っているわけなんです。  この点、私は防衛施設庁長官、あなたは施設の方の責任者であります。物の道理はよくわきまえていらっしゃると思う。単なる法律解釈論は私は聞かない。軍用地などの取得、公用地などの取得のあり方、ありようというものについて、根本的にこれは人民の権利無視、特に沖繩県民差別という批判は私は免れないと思う。法律の言葉での答えは私は法制局長官に聞いていますから要りません。考え方としてこれでいいんですか、非難の受けどころのないようなものなんですか、私はまず施設庁長官に聞きたいと思うんです。
  176. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 事後立法であるかないかということについての御意見がまた出ましたので、私としてももう一言釈明する機会を与えていただきたいと思うんです。  つまり、私は先ほども申しましたように、このブランク期間といいますか、十五日後にまた新しい第二立法をつくってもいいと、それをこういう附則六項という形でそういうことをやってもいいと、立法技術といたしまして。そこで、そういうおくれて、ある期間を置いて第二立法ができた、あるいは附則第六項が成立したと、その場合でも、そのブランク期間中に権原がなかったと、国の使用権原がなかったと、つまり地主の方の所有権が満足な形であったという事実は、これはもう消しようがないわけなんです。消しようがないんです。だから、第二暫定使用法をつくろうと、あるいは附則第六項をつくろうと、おくれてつくった場合には、そのときから実は権利が、国の使用権が取得されるわけであって、決して遡及——遡及といいますか、事後立法をしたという実態ではないと思うんです。問題は、そのおくれてつくられた法律が、それが成立してから後にそのブランク期間の法的な評価をどうするかという解釈問題が残るということなんです。ですから、いわゆるその事後立法によって他人の土地を取り上げたんだというような感じではないわけなんです。
  177. 内藤功

    内藤功君 施設庁長官 どうですか。
  178. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 私どもに意見をお尋ねでございますが、私実務を担当いたしておりまして、まずいろいろなケースがございますが、先ほど防衛庁長官がお答えになったように、まず所有者方々の御納得を得てこの種の問題は進めるのが一番の上策だというふうに思っております。しかしながら、なかなかいろんな事情、いろんなケース、千差万別の実態があるのが現実の姿でございますので、簡単に御了解を得られる場合もございますし、なかなか困難な場合もありますが、まずそれが一番の方法である。あと、それから先どうしても御納得がいただけない場合に一体どうなるのかという問題であろうかと思うんですが、私はおよそ憲法のもとに、そして憲法のもとに定められた法律に従って、その範囲内でわれわれが仕事をやっていくのが行政執行機関としての責任であると、先ほど来いろいろ法制局長官から専門的なお答えがあり、あるいはまた当国会で御審議なさっておるのでございますが、われわれ行政機関としては、憲法のもと、法のもとで仕事をすると、その場合にまず御納得を得て仕事をしていくのが上策でございますが、どうしてもやむを得ぬ場合には法で定められた措置をとっていくということ、これはまあできれば避けたいことだと思うんですが、やむを得ない場合はそういうことであろうかというふうに思っております。
  179. 内藤功

    内藤功君 これはまあやむを得ない、よくないことだがやむを得ないでは済まないんです。  法制局長官、さっきの私の質問ですね、憲法三十一条のデュー・プロセス・オブ・ロー、そして、あなたそれは行政手続にももちろん適用されるという答弁をなされた。で、その観点から見て、このように一たん発生をした財産権、所有権というものを、こういう形で事後において、そしてしかも、適正な手続を経ないで——事後という点の答弁をあなたしたけれども、適正な手続を経ないで、そして否定し去る結果、これは憲法三十一条に違反するんじゃないかと、私はさっきそう質問したはずなんだが、これに対する答弁がないです。これどうですか。
  180. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 憲法三十一条の精神は、これは行政処分についても尊重しなきゃならぬということはそのとおり私も思っております。ただ、法律による手続の保障、つまり、これは正当な手続でなきゃいかぬというわけなんですが、どの程度をもって正当であり妥当であるとするかは、これは一義的には決まらぬことなんで、それの処分の中身なり、事態なり、客観情勢なり、いろいろなことによってそこで保障されるべき手続の丁重さには差があってしかるべきものだろうと思います。
  181. 内藤功

    内藤功君 ところが、このいま問題になっている法案が成立施行されて、そして五月十五日以降発生した県民の財産権はどうなるかというと、いまあなたが言った所定の手続を経て、そしてこれが否定されるというんじゃなくて、この法律の成立と施行ですね、いま議題になっている法律の成立と施行という事実だけで、もう一遍この権利の剥奪、制限というのはやられてしまうわけですよ。手続が適正かどうかという議論じゃなくて、手続がないんだね、これ。手続がないんだよ。そういうものは、あなたの論法からいけば、当然法で定める正当な手続を踏んでいないということにならざるを得ないと私は思うんです。どうでしょう。
  182. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 実はその点が五年前の暫定措置法が国会で御審議になったときにまさしく大問題であったわけなんです。そこで、当時やはり憲法三十一条との関係が論ぜられまして、そこで沖繩における地籍、土地位置境界が不明確である、どなたがどの土地の正当な所有者であるかということが残念ながらわからないというような事態をも踏まえまして、そこでこの暫定措置法にある告示と、それから通知、これをもっていまの手続を満たしているというふうに考えるという答弁をいたしまして、それで成立したという経過がございます。
  183. 内藤功

    内藤功君 そうすると、今度五月の十五日に完全な権利を取得した沖繩地主の方に対して、この法律が成立施行された場合には、今度はどういう手続がとられるんですか。これは提案者か、あるいは防衛施設庁長官
  184. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 二条一項ただし書きの「五年をこえない範囲内において」というのが「十年」に改まって、そしてそれに伴う諸般の手続が行われなければならないのでございますから、この告示並びに通知、それは五年が十年に改まりましたということを行う、修正するかっこうになります。
  185. 内藤功

    内藤功君 いまのお話のように、手続というのは手続の名に値するかどうか、本来。五年が十年に改まって、あなたの権利はもう五年制限されますよ、またもとどおりですよということを通知または告示されるだけだと、こういうことなんですね。これは手続がないことなんです。あっても、通知される、おまえの権利はもとに戻っちゃったんだよ。もとに戻ったというのは、せっかく発生した権利がまた消滅したんです、明け渡す責任がなくなったんですよという通知をもらう、告示をもらうというだけなんです。それでまた権利が奪われていく。私はもうこの論争は、もうすでにこれ以上聞く必要はないと思うんです。正当な手続踏んでないんですよ。正当な手続を踏んでいない。憲法三十一条違反であることは明らかです。法制局長官の口からは、政府行為法律が憲法違反だということを言いにくいことは私は気持ちとしてはわかりますよ。わかりますが、論理としてはもう明らかだと私は思うんですね。  もう一つ私は聞いておきたい。憲法十四条問題、さっき提起したが、まだきちっと私も答えを聞いておりません。この本土土地のとり方はどうか。本土において基地のとり方は、なるべく契約をして、契約ができない人はとれない。そして特別の措置法でもっていろんな手続を踏んで、それにはいろんな不服申し立てや弁明などの機会も与えて、そして最後は裁判所の審査権というものの対象にしてやっておるわけですね。これでもいろんな問題が起き、訴訟が起きていますよ。しかしそういうやり方をしている。本土並みとさっきから言葉があるが、この土地のとり方では本土並みではないんですね。これは私は沖繩県民であるがゆえに、あるいはかつて沖繩県民であったがゆえにする私は差別にほかならないと思う。こういうことがいま許されてはならない。憲法が適用されている世の中で、何々県民であるから、何々区民であるからというゆえの私は権利の差別は許されないと思うのです。法のもとの平等ですね。これはもう憲法を引き出すまでもなくあたりまえなんです。この点については法制局長官どう考えているのか。しかも、この五月十五日以降権利を取得した人が、再び一片の通知でもってあるいは公告でもって権利を奪われていくというこの事態は、法のもとの平等に反する、これを沖繩県民であるがゆえの差別と言わずして何かと私は言いたいんです。この点についての法制局長官、あなたの御見解を承りたい。さらにこの点について防衛庁長官はどういうふうにこれは政治家としてお考えなのかという点をあわせてお伺いしたいと思います。
  186. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 憲法第十四条の問題でございますが、十四条を読んでみますと、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、」差別されてはならない、こう書いてあるわけでございまして、この差別を禁止されている理由としては、いま申しましたように人種とか信条とか、そういうことが列挙してございますけれども、もちろんこれは限定じゃなくて、そのほかの理由を理由とする差別もいけないことは当然なんですが、しかし、それにいたしましても、これはやはりその十四条の基礎にあるのは、人格が平等であると、人の尊厳に着目しての話でございまして、そういうすべての人の人格が平等であるということ、そういう思想から出ているわけでございますので、まず本件について申しますと、それは沖繩県人であるからということじゃなくて、これは沖繩県の中にある、区域内にある土地所有者であると、そういう土地先ほど申しましたように地籍が不明確であって、本来的な収用法の手続に乗りがたいというような特別の事情があってそういう特別の法律ができているわけでございますので、いわゆるここで言う理由のない差別には当たらないというふうに考えます。
  187. 内藤功

    内藤功君 これは重大な解釈だと思いますね。これはまさに沖繩県民であるがゆえの——それから私はもう一つつけ加えて、あなたがそういう答弁するだろうと思ってさっき言っておいたのだ。沖繩県民であるがゆえの、あるいはかって沖繩県民であったがゆえの差別じゃないですか。かつて沖繩県民であり、沖繩県土地を持っておったと、いまはそれは本土にいらっしゃるかもしれない、あるいは海外にいらっしゃるかもしれないが、土地を所有しておられる、それがゆえの差別であります、これは。土地がどこにあるか、土地を差別しているんじゃありませんよ。土地の差別なんていうのは聞いたことがない。人間の差別です。つまり土地を所有しておる人が、たまたま沖繩県に生まれ、あるいは沖繩県に育ち、沖繩県に住み、そこで大事な財産を取得をした。そうしてその人が沖繩県民であり、沖繩県民であったがゆえの差別であります。問題のすりかえですね。で、いま言った人種、信条、性別、社会的身分、門地、これに限られないということはあなたも認めた。それに限られない。そのいずれにも確かに当たらない。しかし、そのほかでも、人間の生まれつきによって、人間の先天的なものによって、あなたは人格と言われた。これは結構だと思います、一般論として。人格によって差別をする。人格というのはその人の生まれ、その人の育ち、それからその人の人間としての存在というものを理由に差別をすることなんだ。まさにこれなんです。沖繩県民であるがゆえの差別、これを軽く見てはいけない。結局そういうことになるんです、これは。ですから、あなたのは詭弁です。土地沖繩基地の中にあるがゆえの差別とかなんとか言われました。私はそれは理解できません。県民であるがゆえの差別ですよ。いままでもそういう答弁があったことを私は過去の議事録で読んでおりますが、あなたの前任者のころはそんなことを言ったが、いまもうこの国会じゃそれは通用しない。間違った見解はどんどん、法的見解は変えなくちゃいけないと思うのです。そういうのが通用しますか。そういうことを公言していいですか。これは人格の平等とか人間の平等というのを本当に考えていただくと、これはあなたが事務的にじゃなくてね、あなたが人間としてよく考えていただくと、こういう答弁は出ないはすだ。率直にやっぱり不平等は不平等と認めなきゃならぬと私は思うんです。どうでしょう。
  188. 真田秀夫

    政府委員真田秀夫君) 憲法第十四条が非常に大事な規定であることは、私は決して人後に落ちないつもりでございますが、この法案はどこを見ましても、沖繩県人であるからとか、かつて沖繩県に住んでおったからとか、そういう要件は一つも書いてないんです。まさしく沖繩県区域内にある土地所有者に対してこういう手続で国に使用権を提供していただくということを書いているだけでございまして、沖繩県と全く関係のない、たとえば私は沖繩県土地を持っておりませんけれども、仮に沖繩県に私が土地を買って持っておって、しかし沖繩に住んでおったこともありません。しかし、やはりこの要件に該当すれば、私の土地だってこの手続で、この法律でやはり国に使用権を提供させられるということにはなるわけでございまして、決して沖繩県人ということでねらい撃ちをして、沖繩県民あるいは沖繩県民であった人あるいは沖繩県に住んでおった人ということに着目しての差別とは思われないので、十四条には触れない。
  189. 内藤功

    内藤功君 条文に書いてあるかないかということでこの差別を見るんじゃないんです。条文に沖繩県人であるがゆえに差別をするなんということを書くわけがないんです、あなたのような法制局がいるんだから。そういう条文から一見して見えるような違憲の条文というのはつくらない、そのために法制局というのがあるんでしょう、まあこれは失礼な言い方かもしれないが。そうなんですよ。ですから、違憲かどうか、これが本当に憲法に違反しているかどうかということは、その条文を、眼光紙背に徹すると言ったら言い過ぎですが、その条文の意味するもの、それから条文の結果するもの、条文が運用し、歩き出したらどういうふうになるかということも含めて考えなくちゃいかぬのです。いわんや立法者はそうですよ。解釈論でいけば最高裁判所なんかは、あるいはそれでいいかもしれない、条文に書いてないから。しかし、最高裁判所の憲法への臨み方と、これから法律をつくる前のわれわれ立法府あるいは行政府というものの憲法に対する臨み方はおのずから違うと思うんです。こういうことになりはしないか、この法律がこう歩き出したらこうなりはしないか、深い深い、広い広い洞察をしなきゃならぬと思うのです。あなたのは、いわば最高裁判所と言いましょう、地方裁判所じゃお気の毒でありますから。最高裁判所の考え方で言うと一番形式的な考え方なんです。あなたはかつて裁判所にもおられたと思うから、そこらあたりはよくおわかりと思うが、法をつくる前に憲法論はよくやらなくちゃいけないんだね、法をつくるときに。つくってからの憲法論は狭くなるんだ。ここでの憲法論は、この法律ができたらどう動くであろうか、こう動くであろうか、ああ動くであろうかということをよく考えなくちゃいけない。だから私は、あなたが条文に書いてありませんからということをまず言われたことは非常におかしいと思うんですよ。私はもうこれは明確な十四条違反だと思う。  その証拠に、受田先生もいらっしゃいますが、いまからちょうど五年前に衆議院沖繩のこの法案が出されましたときに、民社党さんは非常に明確に言っておられるんです、不平等だと、違反だと。民社党は本会議でこういうふうにおっしゃっている。この公用地の暫定使用法案については「審議を通じてその違憲性が明らかにされ、まさに史上類例のない悪法としての内容が究明された」ところである。「今回の法案では、」本土の「約十倍の五カ年に延長されている」、暫定期間が。また、「本土法では認められていない自衛隊基地についてまで強制使用の対象を拡大」している。「これとは全く異質の軍用地とを抱き合わせるという形で、本土土地関係法の体系を混乱におとしいれるもので」あって、断じて許されないところである。これは「やがて本土法の改悪、変質にまで及ぶおそれがきわめて大きい」こと。この法律案は、どこから見ても「悪法の典型」であって、「きわめて違憲性の高いもので」あって容認できない。「本土並みということばそのものさえ空洞化せしめるものである」、「本土並みとは似ても似つかぬしろものである」、大変長く引用させていただきましたが、これは昭和四十六年の沖繩国会での民社党の代表の討論であります。  こういうふうに、いま三党修正案の提案者の一人として受田先生も来ておられます。今度はわれわれと逆の立場に立ちましたが、当時民社党はこういうように言っておられた。このぐらい明確なんですね、まあ民社党がおっしゃっているからと私は言いませんが、これだけ広い違憲論が出ているんですよ。私は、ここで違憲論を大分やりましたが、今度の法案について民社党さんに、受田先生にお伺いしたい。これは受田先生でないと、ちょっと木野先生には質問できませんからね。  三党の御提案、自民党、新自由クラブ、民社党でございますね。そういたしまして、受田先生の方の党は四十六年にこういうお考えであった。自民党と新自由クラブは——当時新自由クラブはないけれども、当時の自民党は憲法違反とは言ってなかったと思うのです。木野さん、そうでしょう、言ってなかった。憲法違反と言っておられた民社党さんと、それから憲法違反と言ってない自由民主党及びそれから出られた新自由クラブさん、三党が今度は、この五年を、これが違憲だというのじゃなくて、公用地暫定取得が違憲だというのじゃなくて、これを延ばす方に一緒になられたというのは——これは憲法論の立場ですよ、決してあなたの方の党を誹謗したり非難する意味質問するんじゃないですから。法案の違憲論の立場で言うんです。違憲だといったら、この五年の間に違憲の実体が変わったんでございましょうか、受田先生。私は実体は変わらぬと思うのです。私は憲法論としてお聞きしたいです、まず。どうしてこう変わってきたのか、自民党さんと共同提案をしているということがどうも私は理解できない。その辺ですね、お考えが変わったのか、変わらないのか、変わったとすればどうしてなのか、あるいは変わってないのに一緒にやっておられるとすればどういうわけなのか、これはひとつ筋として、政治家の議論でいいですから、さらに憲法の見方という議論でもいいですから、ひとつお答えをお願いしたいと思います。言葉の失礼の段は許してくださいよ、そういう点ですから。
  190. 受田新吉

    衆議院議員(受田新吉君) お尋ねの点ですが、まさしく、いわゆる暫定使用法が制定された当時は、わが党はこれに反対をしました。  ただ、いま違憲論の問題でございますが、われわれの党といたしましては、当時の事情沖繩軍用地、これは基地内、基地外を含めましてわれわれの強い要求は、アメリカが使っている土地、また自衛隊が使っている土地、そういうものについて地籍不明確のままにこれを使用せしめるということは適当でない、許されない。したがって、まず地籍を、位置境界をきわめて明確にして、しかる後にこれを使用せしめるという順序を踏むべきであるというたてまえをとりました。したがって、当時としては、わが党の、特に沖繩特別委員会におきましても門司亮議員から地籍明確化法案を提出すべきであるという強い要求をしておったんですが、その部分が入れられないで暫定使用法だけを通すということについてのわれわれの強い反対を表明したわけです。  ただ、いま指摘されました違憲であるということでございますが、今日、われわれの党は明確に安保条約を肯定して、その中における自衛隊の存在意義も認めておると、同時に、例の安保条約第六条による施設及び区域の提供並びにいわゆる地位協定というものも現行協定を認めておる。こういう立場からするならば、現時点におきましては当時と事情を異にいたしまして、われわれの強い要求の地籍明確化を十分お互いの各党の皆さんもお寄りいただき、現地の視察の結果に基づいて話し合いをして、できるだけいい地籍明確化法を用意しようというてお互いができるだけの合意に努めました。努めた結果、われわれの主張もほとんどこれが今度の地籍明確化法案に織り込まれました。織り込まれた以上は、暫定使用法で五年間の間になおできるだけ、さっき申し上げた合意による契約、それによって所有権が移転する、あるいは地籍が明確化すると、こういう形のものがお互いの話し合いででき上がるということになるならば、五年間の期限を、まだ未契約の地にも、十分できるだけ契約による合意をもたらして、しかる後にこれを沖繩軍用地の、例の駐留軍の用地の特措法その他の法律による手続等が最終的には考えられるけれども、そういう方向へいくべきであると。まず地籍明確化によって、しかる後に他の法的措置をとるということ、これは当然しかるべきであるという立場をとりました。したがって、五年間の間に、なお取り残された少数の方々、いまお話を承っても非常に強烈な要望をしておられる、自分の所有権を確保しようとされる皆さんのお気持ちはわかりますが、大多数の方はすでに合意による契約が成立している時点で、残された方方にもこの五年間の期限をさらに五年——まあ五年たたなくて済めばなおいいことですが、この間にできるだけ話し合い、いわゆる集団和解方式というものを前提にして片づけていただいたならばという意味で、これを一緒にひっくるめて、できるだけ短期間に、まあ五年という目標を置きましたけれども、それが四年になって、あるいは三年になればなお結構なことでございまして、基地の永久使用という立場でなくて、その暫定措置法をできるだけ、五年延長を短くすればなおいいという期待を持ちながらこれに賛成したわけです。  ただ、御指摘の違憲という問題でございますが、われわれの党といたしましては、外交政策におきまして、いまの安保条約を肯定する立場に立ちました。これはおわかりのとおり、当時といまと党の体制が変わってきました。そういう意味で、したがってこの問題につきましては、現時点において当然この暫定使用の延長は違憲ではないという立場をとっております。そういう意味で、今回これを附則第六に織り込むことを肯定し、三党共同修正案として全面修正に乗り出したわけです。そういう意味でございます。
  191. 内藤功

    内藤功君 もう一問だけ受田先生にお伺いしたい。  いまのお答え、それなりに私は理由が理解できたように思うんですが、ただ、違憲論でございますね、違憲論と申しますのは、お互いやはり憲法に対する考え方は、単なる法律ではございませんで、基本的な政治理念というものが憲法解釈には多分に入ってくるということがあると思うんです。しかし、同時にまた、憲法は固定したものでございますから、われわれが憲法解釈を変えるというのはよほどやはり重大なことであり、国民にも責任を持たなきゃならぬことだと私は思っているわけでございます。  そこでお伺いしたいんですが、そうすると受田先生は、第一点としましては、今回のこの地籍の改正ですね、地籍法の改正というものがあったので、あのときは違憲論であったが今度は違憲性がなくなったと、こういう理解でよろしいか。  それから第二点目は、安保条約との関係において、あのころは受田先生の党は安保条約というものを否定をしておった、安保反対であった、したがって、その立場から違憲論であったが、今回は安保条約を肯定する方向に党のお考えが変わったので、今度は違憲論をとらなくなったと、こういうふうに、単純化しましたが、理解をしてよろしいかどうか。これは簡単で結構でございますからお答えを願いたいと思います。
  192. 受田新吉

    衆議院議員(受田新吉君) われわれの見解は、いま申し上げた、現時点における私の申し上げた点で御理解願える——かつては違憲であったが、いまは合憲になったかというお尋ねでございます。これは、私たちの党の立場といたしましては、現実に政治をやっていく上において、この安保条約を段階的解消、駐留なき安保と、こういうような形をとってくることは、政党の現実政策を織り込む上においては当然起こる問題でございます。いつまでも旧套墨守して、十年一日のごとくかつての論議を今日もまだ蒸し返すような考えは持っておりません。そういう意味で、かつては軍人恩給に猛烈に反対した方々が、今日は軍人恩給を含む恩給法の賛成に回っておられると、こういうような政治の時の流れは明らかにあるわけでございまして、そういう点におきまして、政治の現実を踏まえまして、現に存在する沖繩基地、できればこれを早く縮小して地主に返していただくように、基地の縮小などはわが党特に強烈に提唱しているわけでございますが、現在存在する安保条約、法律よりも優先する条約という立場に立ちましたならば、当時われわれは反対という立場をとりましたけれども、これについて現時点で、お互い政権がだんだん近づいてくると皆さんも思っておられる人もあろうと思いますが、政治情勢が変わってきた時点においては、現実の国際情勢、それらを踏まえまして、現時点ではこの問題に、自衛隊の合憲性も含めた立場に立ちまして、この暫定使用法の延長を認めた次第でございます。
  193. 内藤功

    内藤功君 非常に率直な御意見で理解はできたんですが、ただ私は非常に遺憾に思いますのは、この憲法論というものは、普通の政治論と少し違って、憲法に対する見方というのは、さっき恩給とかなんとか言われましたが、私はよく理解ができませんで聞き流しましたが、この憲法論というのが五年の間で変わったということは、さっきおっしゃった地籍についての政府の修正案ができたと、それからしてこの安保条約についての政策が変わったというだけで、この憲法の解釈が変わるものであろうかと、私はいささか疑問に思いながら聞いておりましたが、それはまあお考えでありますからそのとおり承っておきます。  最後に、先生にもう一つ伺いますが、木野先生も隣におられますが、自民党と民社党の間に——受田先生と木野先生と申し上げたらいいか、このお二人の御提案者の間に、安保条約なり憲法なり、あるいは自衛隊の基地なり、あるいは憲法の何といいますか、財産権なり、そういう考え方につきまして意見の不一致があったならば、共同修正案というのは出されなかったと思うんですが、それらの点について——私はもう前々から三人呼んでくれと言っているのはそれなんです——そういう基本的な憲法解釈の点について、御意見の不一致はなかったのでございましょうか。
  194. 受田新吉

    衆議院議員(受田新吉君) そういう憲法論というような論議よりも、われわれの……
  195. 内藤功

    内藤功君 いや、なかったかどうかで結構です。
  196. 受田新吉

    衆議院議員(受田新吉君) そういう論議はしておりません。しておらないけれども、われわれが合憲性を認めてこの修正に応じたところで御理解を願いたいと思います。
  197. 内藤功

    内藤功君 それでは、まあ提案者に対してはこの程度で先へ進みたいと思うんです。  私は、もう一遍議論を戻しますが、この沖繩県民の方の土地というのは、最初第二次大戦でアメリカ軍の猛烈なる攻撃、それから、日本軍からもごうを追い出され、非戦闘員として非常に攻撃をされ、権利を侵害された。それから、戦後の占領による土地の取り上げ、それから布告とか布令とかという名前による取り上げというものを経て、ようやく五年前に五年間暫定期間つくられてきた。そうして、この五年間が終わったところで、そうしてようやく三十年たって四日間、四日目の全き権利の日をけさ迎えたんだが、いままさに、あるいはきょうじゅうにこれが奪われようとしているという歴史的な段階だと思うんです。これは、いまは皆さん方は何とか法案を通したいばっかりの一心だから、そんな歴史だということは知らないかもしれないが、これは後で歴史の中で大事な日になると思うんです。こういうときに、私どもは、防衛とか安保条約を強調なさるけれども、安保条約や防衛の義務と言う前に、やっぱり個人の人権ですね、財産権というものは、手順を踏んで、そうして成約していかなければならぬ。これはもう国家の基礎だと思うんですよ。国家の基礎というのは、一人一人の個人の人権が大事にされ、生活が大事にされることが基礎なんです。その配慮がないと、こういうふうに断ぜざるを得ない。私は、言葉は少し厳しいかもしれませんが申し上げたい。これは、沖繩県民は銃剣でもって土地を奪われたんです。みんな知っていることなんです。銃剣で土地を奪われた。後から出た布告とか布令とか法律とかいうのは、それは全部その銃剣を合法化していったものなんです。いま出ている法案もそうです。いま出ている法案は、形は法案であります。形は法案ですが、率直に言いまして、これは銃剣が変わった法案であります。沖繩県民に突きつけられた銃剣と同じ性格の役割りのものが、いまこの法案の名前において出されてきていると、私はそう感じるんです。沖繩県民に向けられた銃剣と同じようにやられてきているんだな。すでに何回かやられた質疑打ち切り、どうしてきのうのあの質疑打ち切りは、あの時点でやらなきゃいけなかったんだろうか。私は一言言わせてもらいたい。きのうは社会党二時間、公明党二時間、共産党二時間、決まっておったんです。社会党二時間終わったところで、そちらの方で手が挙がりましてそしてとめられたんです。日程が決まっているのに途中でとめられた。その前もそうでありました。そういうことが行われている。私は非常に遺憾だと思う。銃剣とは問答無用の代名詞であります。問答をなるべく打ち切って、そして質疑を早く打ち切って早く通してしまおうというのは、これはその点においては銃剣と共通だと言われてもいたし方ないと思うんです。  私は最後に申し上げておきたい。これは訴訟が非常にふえると思うんです。民事局長おられますか。——というのは、五月十五日に、一方は権利が発生した、人民の側、原告側はもう権利が発生してずっと進んでいる、こういう理論になりましょうね。それから一方国の側は、いや一たん消滅した使用権原がまた取得されたと、この論争ですよ。こういう延長をやれば必ず真っ二つに議論は分かれるわけです。道理も分かれますし、法律論も分かれるわけです。私は、こういう憲法違反かどうかの論争は、これはしようがない、これは。自衛隊が憲法違反かの論争は、これはどんな法律をつくっても自衛隊をやめない限りは続くでしょう。これはやむを得ないかもしれない。しかし、憲法違反かどうかの前に、自衛隊が違憲かどうか、安保条約が違憲かどうかの前に、期間満了で権利が消滅したのか、その後取得したのか、こういうような論争を起こすような、そういう種をまく法案になりはしないか。この点非常に議論が沸騰するだけじゃなくて、訴訟がふえやしないかと私は思うんですよ。まあ訴訟がふえるかどうかの答えを民事局長にしろというのは私は無理なことは知っていますよ。無理なことは知っていますが、やっぱり法律の専門家の局長でありますから、法律紛争を多く起こすネタをつくるような法律と、ぴしゃっと法律論争がおさまる法律というのは、法律を見ると大体わかるんですね。これはどういう種類の法律かというと、これはやはり非常に紛争を起こす法律じゃないかという心配を私も思うわけなんですよ。非常にそういう心配があるんです。法務省の御管轄は、私は聞くことはそのくらいしかないんですけれども、どう思われますか。それから大臣もついでにこの点について御所感があったら伺いたいです。私は非常に法律論争がふえていいとは思わないんです。もっと大事な裁判があるんですから。しかし、ふえるです、これは。引きませんよ、これは。もう徹底的にやることになる。違憲判決が出るかもしれません。最高裁でひっくり返るなんということもあるかもしれません。しかも深刻な争いなんですね、違憲か合憲かなんという論争の前に、土地自分のものになったものが、どうして四日後に奪われたのかという、私はあえて四日後と言いますが、奪われたかという、こういう論争になります。そして、国会はこの問題を片づけないで、裁判所——この間の斎藤さんの話じゃないけれども、裁判所に任せて、そして国会は幕を引いちゃった、倉皇のうちに幕を引いたということが議事録に残る。非常に残念なことだと思う。  いろいろ申し上げましたが、民事局長、どういうふうにこの法案審議及びこの法案をごらんになってお思いになりますか。
  198. 香川保一

    政府委員(香川保一君) この法案が成立いたしました場合に、十五日午前零時以降切れまして、成立で使用権が新たに、新たにと申しますか、使用できることになる。その間の使用権が継続しておったことになるのか、あるいは一たん空白になって新たに使用権が生まれたかということは、この法案ができました場合の解釈問題として確かに残ると思うのであります。で、こういった使用とか賃貸というふうな継続的な契約関係あるいは法律関係につきまして、たとえば適切な例かどうかあれでございますけれども、借地法あたりでは、御承知のとおり六条で、一たん借地権が消滅いたしましてそして賃借人が、継続使用しておるというときには、遅滞なく異議を述べなければそのままの形で継続するというふうな立法例があるわけであります。しかも、遅滞なく異議を述べるそのときには、みずから使用する必要があるというふうなことが正当理由になっておるわけであります。異議を述べたけれどもその正当理由があるかないか争いがあるというふうなことで訴訟になりまして、一年、二年とかかることもあるわけでございます。そのときに正当理由がなかったというふうなことになりますと、結局のところ、一たんは消滅した借地権が同じ法律関係を継続して続けるというふうに事後的に評価されることになるわけでございます。そういった例がございますし、民法にもそういった形の推定の六百十九条の更新の規定があるわけでございますが、それらは結局、継続的なそういう法律関係、契約関係というものが、どのように解釈すれば、あるいは立法的に処置すれば一番合理的かと、当事者の利害の調整を図りながら合理的な解決が得られるかという観点からできておるものだろうと思います。そういう意味から申しますと、この法案が成立をしました場合に、一体その使用権が継続してずっと続いておったのか、あるいは空白状態が一たん生じてまた復活したのかというふうなところは、やはり現実の問題といたしましてどちらの解釈をとった方が地主にとって有利か不利かというふうなことも含めまして、いずれが合理的かということで決まることでございまして、ただいまどちらの解釈をとった方が合理的かということは私断言するまだ自信がございませんけれども、その辺のところは解釈問題として残る。したがって、おっしゃるように、その点をめぐって争いになるということは、これは当然あり縛ることだろうと、かように考えるわけでございます。
  199. 内藤功

    内藤功君 それで民事局長、私はどうしてこの法案で紛争が多くなるかといいますと、あれをやったからなんだよ、附則六、項で五年を十年にすることを十四日の十二時を過ぎてやったからなんですよ。これをやらなければ、あなたのいま言った借地法六条だとか民法に比べればよっぽどこの法律の方がはっきりしていたわけだ。そうでしょう。そうですね。うなずいていらっしゃる。そうなんです。延長をしなければ、つまり五月の十五日を過ぎて可決したものだから、可決しようとするものだから複雑になってくるわけです。五月の十五日を過ぎればもう権利はなくなっちゃうと、ここまでなんですね。で、使用権者が異議を申し述べれば、正当な理由があれば続くことができる、こういう条文がないだけに、借地法六条よりもっとはっきりした法律だったんです、もとは。ところが、そのはっきりした法律が、延長するということになったものですから、さらに複雑な、裁判所にお世話にならなければならないケースをよけいにふやしたと、こう思うんですが、これは一般論でいいですよ。法律家の一般論としてそう思うでしょう。
  200. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 五年の期間の満了前にこの法案が成立いたしておりますれば、もうこれは法律的には非常に明快でございまして、それが経過してから仮に成立するといたしますと、先ほどのような解釈問題が残ることは必至でございますので、その点やはり期間前に、同じ成立するものであれば期間前に成立した方がよかったということは、これは……
  201. 内藤功

    内藤功君 よかったなんというのはあなたが言わなくていい。そんなことは言わなくてもいい。だから、よけい複雑になったんですね。そうでございますと言いなさいよ。
  202. 香川保一

    政府委員(香川保一君) 複雑になったことは確かでございます。
  203. 内藤功

    内藤功君 外務大臣お急ぎのようですからお伺いしたい。  この五月の十五日の零時から国の使用権原が消滅をしたわけであります。自衛隊の方は、自衛隊の基地の中に地主さん及びその弁護士ですか、という人たちを中に入れた。中に入れて、自分土地がどこでどうなっているかということを見せるという手続を一応とった。米軍基地ですね、米軍基地は、われわれが報道で知る範囲でありますが、なかなか厳しい条件をつけて、自衛隊よりはもっと厳しくなっておるようです。この概況はどうなっておりますか。たとえば嘉手納基地の中にある、いわゆる未契約地主の方に対して、どういうふうな対応をしたか、その概況をひとつ説明してほしいということです。
  204. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 外務大臣がお答えになると思うんですが、現場を見て私の方でその事実関係を承知しておりますので、まずお答えさしていただきたいと思うんですが、米軍基地については、嘉手納基地土地所有者の方が、地主が三名、それから弁護士さんが二名、そのほかの方が二十名、それから、そのほか報道関係の方も御希望があるようでございますが、自分土地がどういう状況であるか見たいという御希望があったのでございます。そこで、那覇防衛施設局においては、この米軍基地については、申し上げるまでもなく米軍の管理下にございますので、米軍と折衝して、自衛隊も那覇施設局でやったんでございますが、自衛隊の方は日本側ですが、米軍は米側に対してその調整をやった結果、米側において、地主さんと、それからその関係の弁護士の方に限って立ち入りしていただくと、それから、その基地に入るゲートも第二ゲートから入っていただきたいと、米側ではそういう条件を付してまいりましたので、われわれとしては、地主さんと弁護士さんに第二ゲートから入っていただくように手配を整えておりましたが、どうしても関係者の方々がその他大ぜいお入りになりたい、それからゲートも第二ゲートではなくて第四ゲートからお入りになりたいといった御希望がございまして、その米側の条件と地主さん方の御希望との調整がうまくつかないということで、立ち入りが実現できずにおるという実情でございます。
  205. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 米軍に対しまして、この十五日午前零時までに、私どもはこの暫定措置法の延長ができますことを心から期待をしておったわけでございます。私どもの関係といたしましては、アメリカ大使館に対しまして、逐次この国会の方の情勢の連絡をとっておったわけでございますが、いよいよ零時を過ぎるということになりましたので、現地におきまして無用の混乱が起こることは、大変これは後にまたむずかしい問題が起こりますので、私どもの方といたしましては、現地の防衛施設局の方と、現地の米軍の方と連絡を密にして、施設局の方と相談をして対処していただきたいということでございまして、いまそのために施設庁の方から御返事があったところでございます。  そういうわけで、どのような対処をするかということは、私どもといたしまして、アメリカ大使館の方と打ち合わせをして臨んだということではございませんが、無用の混乱を起こさないように、施設局の方とよく連絡をとってもらいたいと、このようなことで対処をしてまいったところでございます。  結果につきまして、今日までの経過につきまして、私どもも関心は持っておりますけれども、基地の態様によりまして、それぞれ現地の方で対処をしてまいったので、地主の方が土地をごらんになりたいという場合におきましても、それぞれの基地におきまして、やはりその基地の、あるいは危険の度合いでありますとか、それぞれに対処していろいろ対処されたと思いますので、一律の対処の仕方ではなかったように私どもとしては聞いておるところでございます。
  206. 内藤功

    内藤功君 私は、大臣の時間の関係があるというので、まず大臣にちょっとこれを示したい。嘉手納飛行場の図面ですが、これは嘉手納の空軍基地の平面図です。これは施設庁がおつくりになったものですね。この図面で、何といいますか、黄色——草色といいますか、これで、こう書いてあるのが未契約地主土地なんです、土地なんですよね。これだけあるわけですよ。これね、返すようにアメリカへ交渉してくださいよ。これ、ぜひ。
  207. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いまのは御質問ですか。
  208. 内藤功

    内藤功君 じゃ、ここで質問します。  そういう嘉手納基地の図面に書いてある未契約地主土地、これはもう施設庁じゃ答えができないと思うんです。外務大臣に言うしかないから来てもらったんだけれども、ぼくはもうそれだけやってもらいたいです。いま日ソ交渉はだんだんと進んでおるが、今度は沖繩ですよ。今度はということはないけれども、重点ですよ。沖繩は施政権は紙の上で返ってきたけれども、実際土地が返ってこなきゃ返還されたことにならぬです。これは日本人のみんな同じ心なんです。それを代表しているのはあなたなんだから、外務大臣ね、この日ソ交渉というものが大詰めに来ていますから、今度はみんな日本人の目は五月十五日を期してそっちへいきますよ。ですから、それを返してもらうように交渉してもらいたい。どうでしょうか。手順はいろいろあると思うんですが、その御決意を聞きたい。
  209. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 沖繩におきます米軍の基地が、沖繩県におきましても、先ほど来一一%に達するというようなお話もございました。非常にウエートが高いということは、これは私どももよく認識をしておりますし、それが沖繩住民の負担になっているということも事実でございます。私どもといたしましては、沖繩県全体のこの軍用地の比重を何とか縮小の方向に持っていけますように、これは五年前の返還のときから努力をしてきたところでございますが、この特定の施設のどこをどうしろというようなことにつきましては、これはなお防衛施設庁とも十分連絡をとりまして、これは政府全体といたしましてこの対処する案を検討いたしまして、私ども外務省といたしましては、その政府全体の方針のとおりに努力をさしていただきたい、こう思っております。的な、どこの施設をどうということにつきまして、この席でお約束することは適当でないと思いますので、政府内部で検討をさせていただきたいと思います。
  210. 内藤功

    内藤功君 鳩山外務大臣お願いしたいのは、人権外交をやってもらいたい、人権外交。カーターのとは違いますよ、カーターさんのとは違う。いま指摘してある幾つかのこの土地ですね、色の塗ってある土地。これは五月十五日以降沖繩県民の所有になったわけです。日本国民の所有になった。ところが、数日後に国会で可決をされて、それがまた四日間の命で取り上げられちゃった。さっき私はあなたのいないときに言ったんだけれども、五月十五日の午前零時に所有権が完全に回復したものが、四日間でまた制限されちゃった、こういう状況なんです。で、法律的に大きな疑問があると。  で、アメリカへ行ったときに、アメリカ人は憲法を尊重しますか。アメリカ局長、アメリカの政治家はアメリカの憲法を重視していますか、そういう風習がありますか。日本の政治家と比べてどうですか。
  211. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) アメリカ国民は、日本国民同様憲法を尊重しておると思います。
  212. 内藤功

    内藤功君 このとおりですよね。日本国民同様尊重しているんだから、アメリカ憲法修正五条、知っておられますね。アメリカ憲法修正五条、知っておられますか。
  213. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 存じております。
  214. 内藤功

    内藤功君 それはどういうものですか、存じておるだけじゃ……。
  215. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 人権の自由一般について規定しております。
  216. 内藤功

    内藤功君 この中には、日本の憲法三十一条と同じように、人民の生命、自由、財産は法の定める正当な手続がなきゃ奪えないと書いてあるんですよ。これが有名な修正五条だから、これをもとに、カーターでもだれでも相手にして、アメリカの憲法はこう書いてある、ところが日本では修正憲法五条に反するようなやり方で取り上げられておる、一たん取得したものをまた取り上げられて地主は困っている、法律的にはいろいろ議論あるだろうけれども、こういう問題があるだろう、人権外交言うアメリカだから、これやってくれと言ってあなたやってもらいたいです。やっぱりいろんなこと考えて、相手をくどかなくちゃだめですよ、腹据えて。これは決意を聞きたいんですよ。内部的に相談してって、中で相談してどうこうという答えはぼくは外務大臣からはいただけない。もっと勇気の出るような答えをもらいたい。どうですか、そういうことも言いながら、アメリカ人の憲法を使ってふところに飛び込まなければだめですよ。どうですか、やれますか。
  217. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまのお話はどうも少し私には理解しがたい点があったのでございます。と申しますのは、アメリカの立場からすれば、これはアメリカ政府は日本政府と協定を結んでおるのである、これは土地所有者から日本政府が正当なる手続に従って取得をして、そして米軍に提供をすべきである、その責任は日本政府が負っておるのだという関係にございますので、それはどう考えましてもこれは日本政府自身責任であります。したがいまして、いまの人権問題としてアメリカと折衝するというのは、私はどうもちょっと納得しかねたのでございます。せっかくのお言葉でございますけれども、これはやはり日本政府内部で努力をいたして解決をしなきゃならない問題であるというふうに考えております。
  218. 内藤功

    内藤功君 確かに日本政府の中の問題である。同時にアメリカとの関係——アメリカとの関係というのがきのうあたりから出てきているものだから、私はこれを聞いたわけなんです。やっぱりちょっと失望したね、これは、答弁がですね。  そこで、私は時間が来ましたから、この法案審議が進んでおりますけれども、この修正案附則第六項というものを、何とかして、もう質疑はあと喜屋武先生が終わったらば終わりにして、本会議へ持ち込んでというような情勢のように私は感じるわけなんです。私はそれを何とかもうちょっと延ばして議論するように、岩間先生と一緒に言ってきたんだが、どうも大勢はわが党が少数であってなかなか通ることもむずかしくなってきている。しかし、私は最後に申し上げておきたいんですが、この附則六項が通って五年を十年に延長しても、さっき言ったように、やっぱり死んだ子は生き返りません。一たん消滅した国の使用権原は生まれません。逆に一たん生じた所有権が圧殺されるという危険がある。しかし、私は権利の面ではこの附則六項の可決というものによっても国の使用権原を一切復活することにならないと思うんです。これはちょうど呪文のようなものですね。いま出ている附則六項は呪文、のろいの文句ですな。ここに死者がいる、死者に対して呪文を唱えると、呪文を唱えれば生き返るか、生き返らない。この法律附則六項は呪文である。呪文は幾ら唱えても死者は生き返らない。大変言葉は穏当を欠くかもしれませんが、率直に私の感じを申し上げたんです。法律論としてもそうだと私は確信しておるのであります。  以上をもって私の質問を終わります。
  219. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) この際、内閣委員外の議員の発言についてお諮りいたします。  喜屋武眞榮君から、本案に対する質疑のため発言を求められております。これを許可することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、喜屋武眞榮君に発言を許します。喜屋武君。
  221. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) ただいま委員長のおっしゃるとおりに私は内閣委員ではございません。でも、この提案されておる法の内容からして、これはもう国民の立場からも重大なことでありますが、特に直接沖繩県民につながる重大な内容を持っておるがゆえに、県民の生命、人権、財産を守っていく立場からも、必死になってこの推移を見きわめながら自分も発言を求めたいと、こういう立場から申し入れたわけでありますが、幸いに先日の理事会の皆さん、そしてただいままた委員皆さんの全員一致の御賛同を得まして敬意を表します。ただ残念なことは、私が申し入れた時間を与えられなかったことは大変遺憾に思っております。それで、私はこの法案審議される初日から、ずっと一貫してそれの推移を見守りながらただいままで待ち望んでおったわけであります。  その推移をまず前置きに申し上げますと、この法案は憲法の立場からもいろいろ問題があろう。同時に、政府側の御答弁の中からもどうも納得のいかない面が受け取れる。さらにこの委員会自体の審議のあり方からも異常である。こういった状態の中で進められてきておるのであります。そこから生まれる結論は、異常は異常を生み、納得のいかないまま進められる中からすっきりした結論が生まれるはずはない、こう思って、いまそのような心境で立っておる次第でありますが、ところで法理論の立場からもいろいろ、あるいはその他の面からもいろいろな角度から述べられたのでありますが、私は沖繩の現状と結びつけて問題を触れていきたいと、こう思うんです。そこで、ちょうど復帰満五年、そして六年目の四日を迎えるわけですが、このあたりで県民の側から、一体沖繩にとって復帰とは何だったのか、このことをまず考えてみたいと思います。  それは、申し上げるまでもなく、平和で人権と民主主義が保障された憲法体制のもとに入ることでありました。ところが、この五カ年の推移を、そしていまこの現実を見詰めた場合に、果たしてこの願いに、この目標に置かれておるかどうかということに大きな疑問でおります。私は、沖繩の抱えておるもろもろの問題、これは戦前の歴史もさることながら、戦後の歴史の中から一貫して言えることは、沖繩の悲劇はすべて国益、国策という名のもとに犠牲と差別を強いられてきたんだ、こうずばり言いたいのであります。その悲劇は、あのサンフランシスコ講和条約、ここから出発いたします。単独講和か全面講和か、そして単独講和の名のもとに沖繩県民は人質にされてわが国は主権を回復した、そして時移って安保条約、安保条約の名のもとにこれまた沖繩県民の生命、財産、人権がじゅうりんされてきた、そして時は流れて沖繩返還沖繩返還で県民の当然の要求として求めておる請求権、これを国が独断でアメリカに放棄した、そして一貫して沖繩に対する政府姿勢は、復帰前は沖繩県民の生命、財産、人権にかかわるもろもろの問題をひっ提げて、国に訴えるそのはね返る言葉は、施政権がアメリカにあるので、行政権の介入になるのでということですべてそらしてきました。復帰後は何と言ったか、沖繩県民の生命、財産、人権にかかわるもろもろの要求、安保と地位協定があるのでやむを得ません、提供せざるを得ない義務があります、こういうわけです。  そこで、私は実はきょうは福田総理もぜひ来てもらいたい、総理の名においてそのことをどう受けとめておられるかを聞きたかったんですが、どうしてもこちらにお見えになれない用件があられると、こういうことでありますので、まあ沖繩の窓口は開発庁長官ということになりますが、どなたか答えていただきたい、私のいままでのことに対する、ひとつそれを政府としてどう受けとめておられるか。
  222. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 喜屋武議員がおっしゃいますように、あの戦争下における悲惨な状態、それから終戦後における二十七年間の米軍施政下における状態、そして四十七年に復帰された。で、その復帰に際して沖繩県民方々の期待も大きかったことと存じます。で、復帰五年、いまのような状況にあるわけでございますが、この復帰に際しまして日本の全国民は沖繩県民方々に与えたもろもろの御不幸、またさっき先生はしわ寄せということをおっしゃいましたけれども、そういうことに対して大きな負担と、そしてこれを何とかしなきゃならぬ、お返ししなきゃならぬという気持ちは強く持っておったことと信じます。しかしながら、昭和四十八年の暮れにああいうふうな石油ショックというものが起き、世界の経済は混乱し、もちろん日本もその中に巻き込まれてああいうふうな混乱に陥ったわけでございます。そして経済的には高度経済成長は安定経済成長にならざるを得ない、そういうさなか不況という、そういうことが沖繩県にも影響を及ぼしたことも事実でございます。しかし、その間におきまして五年間、政府といたしましてはできるだけのことをしなきゃならぬということで、空港につきましても、あるいは港につきましても、道路につきましても、あるいは学校につきましてもできるだけのことはやってきた。ただ、ここで問題になっております地籍の明確化ということにつきましては、四十七年の復帰時におきまして非常にまだ不明確な点がたくさん残っておりまして、この四十七年、四十八年でこれを調査いたしまして、四十九年にはいろいろと今後のための計画を練りまして五十年から実際に着手した。五十年、五十一年にわたりまして防衛庁は基地内を、沖繩開発庁は基地外をということで当たってまいりまして、この明確化も漸次詰めております。先ほど申されましたところの請求権の放棄につきましても、いま話し合いが徐々に煮詰まっていっておるところだと私は思います。特に漁業の問題につきましてはほぼ煮詰まりつつあることだと思います。  そういうことで、非常に不幸な状態から復帰されまして、われわれといたしましてもできるだけのことをしなければならぬという中に、日本全体が世界不況の中に巻き込まれたわけでございまして、開発の振興十カ年計画も前半の五カ年間は思うに任せぬといいますか、実際の効果もある部門では上がっておりますけれども、ある部門では上がっていないという点もございました。それらを踏まえまして、今後沖繩県民方々に対して、確かに基地の点において五三%という米軍の基地があの狭い沖繩県の中にあるわけでございますし、そういう意味も十分に腹に置きながら、今後沖繩県民方々に対して、政府といたしましては責任を持って対処していきたい、かように考えておる次第であります。
  223. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 私が特に念を押しておかなければいけないことは、かつて沖繩復帰に、復帰国会と申しますと四十六年の十一月九日の参議院の予算委員会において、当時の、いまは亡くなりました佐藤総理、そして現福田総理は外務大臣でございました。そのお二人に対して、復帰後における最も大事な問題は、あの膨大な基地をどのように整理縮小して、その計画のもとに進めていくかという、このことを私は尋ねましたら、当時の佐藤総理はこう答えておられます。全文は読まないことにいたしまして、「今後ともこの問題について、積極的に取り組んで、真に沖繩県昂のしあわせになるように、基地の縮小整理、これと取り組まなければならぬ、かように私は思っております。申し上げるまでもない」云々と、こう明確にその当時の佐藤総理が答えておられます。私はそれを信じておりました。五カ年という歳月が流れておりますが、そのことが具体的にどのように進めてこられたか、現時点でそれをまずお聞きしたい。
  224. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 沖繩における米軍基地返還の実績をお尋ねでございますが、これはまず最初に、返還の何といいますか、仕組みというか、話し合いのやり方を申し上げますと、米軍の現地レベルで話してもとても話が進まないということを基本に置きまして、この日本における在日米軍の一番のトップのレベルと申しますか、大使館にあっては大使、それからまた在日司令官などがお入りになり、それから日本側では外務大臣防衛庁長官がお入りになったそういう協議会がございます。安保協議会と申しておりますが、そういう場で基本を決めて、そうしてその基本によってわれわれ行政担当の者が実現していくという仕組みで基地の整理縮小ということを沖繩復帰後の時点でやっていこう、もちろんそういう仕組みができるまでも若干返還がございましたが、これは全体的な姿を描き出しての返還というよりか、やや個々の個別的なものでございましたので、そういう全体の姿を描き出しての話し合いというものが過去において行われました。その結果、十四回、十五回、十六回、先生御案内だと思うんですが、の日米協議会が行われ、どういう返還をこれからやっていこうかという全体の姿を描いて進んできたわけでございますが、その全体は、先ほどもお答えしたところでございますが、今日まで、十四回から十六回までの間に、五十四施設について面積約五千七百四十四万平方メートルのものを移設を条件にして返還する。あるいは、物によっては無条件に返還しようという全体の姿を描き出して、それを私ども防衛施設庁の手で、米軍との話し合いの線に従って今度は現地レベルでどういう返還をしていくかということを実行してきたわけでございます。その結果、今日まで二十二施設、約千十万平方メートルのものがすでに返還になっておりますが、これは全体が五千七百四十四万平方メートルですからまだわずかでございまして、残ったものを今後何とか実現していきたいという努力をしておるわけでございますが、ただ、こういう実現をいろいろやってまいりまして私ども痛感いたしますのは、やはり、よく地元の方々の、所有者方々の御意向を参酌しながら、取り入れながら実現をしていくということがどうしても必要だと、それからまた、先ほどもほかの委員から御指摘がありましたが、この米軍と日本側との話だけではなくて、沖繩県におけるいろんな今後の開発計画、そういうものを踏まえてやっていく必要があるということを実行の段階においてつくづく考えるわけでございまして、たとえば、返還になりましても、そういう計画がなかったり、あるいは地元民の本当の御要望の線に沿ってなかったりしますと、跡地の利用がうまく進まないと、地籍の問題は別といたしまして、そういった地籍問題が根本にございますけれども、それ以外に地元の御要望に沿っておるということがどうしても根底になければならぬということを痛感しておりますので、今後、先ほど先生指摘があったんですが、沖繩県の将来の姿を踏まえてどういうぐあいにこの返還問題を進めていくかと、もっと現地に即して、地元の御要望に即してやっていきたいというふうに考えております。     —————————————
  225. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。     —————————————
  226. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 時間がありますれば詳しい説明を求めますが、簡潔に言ってください。長い説明で、そして面積もおっしゃったけれども、ずばり言えばこれだけのことです。結局五ヵ年間に返還されたのは六%ですよ、六%。何か面積で言うと非常に広いように受け取れますけれども、わずか六%。それじゃ、その間に基地労働者が幾ら解雇されておりますか。それも数は、要りません、パーセントでいいです。数は結構です。
  227. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 復帰時点で約二万人でございましたが、その後一万一千人余解雇されております。そういう実情でございます。
  228. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 復帰後五カ年間、当時の基地のわずか六%、しかもそれは地主の要求する要望に従って解放したのではなく、細切れ解放、使い物にならない、地籍も明確にしていない、こういう形で一方的に返されておるんですよ。それに対して基地労働者は七〇%解雇されておるんですよ。この事実を何と見ますか。基地労働者を一方的に解雇して、そして返してほしいという土地はわずか六%、しかも細切れ、使い物にならない、こういう形で全くあちらぺ−スで、返されたものもそういう形で返されている。政府の主体的な計画によって、本当に県民の、沖繩の平和で明るい、豊かな沖繩県づくりのその土台になるような解放の要求が、日本政府姿勢にあったかどうかというと、ないと私ははっきり言いたい。  そこで、外務省にお伺いしたいんですが、沖繩問題といえば、すべてこれは外務省とアメリカとの問題になります。だから沖繩現地では、一体外務省はどこの省かと、日本政府も一体どこの政府かという、そういった不信感さえもあるわけですけれども、外務省はこれから基地返還に対してどのような姿勢でやっていくつもりですか。その説明は要りません。その姿勢だけをおっしゃっていただきたい。
  229. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 外務省といたしましては、沖繩県における米軍基地の密度が高いということは十分認識しておりまして、これが県民の生活にいろいろなかかわり合いを持っておるということも深く承知しております。そういうことを踏まえまして、この県民の御要望については、十分お聞きしましてアメリカ側と従来からも折衝してまいったわけでございます。先ほど防衛施設庁長官からもお話がありましたように、過去三回の日米安保協議委員会におきまして、米軍基地の整理統合計画を了承したわけでございますが、その際の重点は常に沖繩であったわけでございます。ただ、実際の返還を実施するに当たっては、先ほど防衛施設庁長官からもお話がありましたように、県民の具体的な御意向を承ることや、あるいは移設先の問題や、あるいは移設に伴う経費その他の問題がありまして、その進捗状況は必ずしもわれわれの予期したほどではないということは事実でございます。この点につきましては、今後とも防衛施設庁と御協力して、さらにこの基地の整理統合計画の実施に努力してまいりたいと存じます。
  230. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) いままでのような姿勢では、沖繩県民の生命、財産、人権の抑圧はますます加わるばかりである、そういうことを強く申し上げて、その気でひとつ姿勢を取り直してがんばってもらわぬといけないと思います。大臣にしっかりそう言ってください。  それじゃ、大蔵大臣は御無理をして来ていただいてもらっておりますので、それを先にいたしたいと思います。それは、前のこの委員会での社会党の大塚委員質問との関連、例の読谷飛行場の返還の問題で、法務大臣、大蔵大臣の御答弁がありましたので、それに関連して申し上げたいと思います。  この前のこの質疑の中で、読谷飛行場の返還の場合、売買書類一切滅失しておると、ところが、宮古、八重山に相当証拠類が残っておる、それをもとにしてという御答弁がありました。これはもう私はどうかと思う。宮古、八重山と同じ当時条件にあった、たとえば西原とか、あるいは糸満飛行場とか、那覇飛行場とか、いろいろ同じ条件の飛行場があるんです。当時私もその飛行場整備に面接参加した体験を持っております。ところが、当時の航空関係者に証言を求めたと言っておられた。私その中で、あの証言は政府立場を、読谷飛行場が国有地にいま登録されておるわけですから、それを守るための証言ではないかということをあのとき感じたんです。ということは、後ろ向きで、読谷村昂の要望にこたえていこうという前向きの姿勢ではなくて、どうすれば国有地を守っていくかという、こういう立場からの証言を求めておられるんじゃないかと思いましたのは、あの当時の最高責任者、陸軍の神元中佐、生き証人ですよ。国会自分が証言をしてもよいとはっきり言っております。契約なしに用地取得した、こういうことを当時の最高責任者が言っておりますよ。なぜこの方の証言は必要としなかったのか、それをお聞きしたい。
  231. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) いまの御質問に対しましては、お説のとおり先般この委員会におきまして大塚委員にお答え申し上げたところでございますけれども、しかしながら、この問題の重要性にかんがみまして、先般大蔵省の担当課長を現地に派遣いたしまして、さらに必要な調査の打ち合わせを現地で行うとともに、今後の調査の指示を与えてまいったところでございます。その指示によりまして現在現地で調査を進めております。その結果を参考にした上で、どのような措置をとるか、これを検討してまいりたいと、かように考えております。
  232. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 衆議院で福田総理がこの問題について答弁しておられる。あれからもう二カ月たっていますが、そのような長い間これが結論が出ないというところに私は政府姿勢を疑うんです。早く結論を出していただきたい。  それで申し上げておきますが、あの国有地になる前の所有権確認作業の時点で、西原ほかのところは所有権確認されておりますね。その時点における読谷飛行場の状況はどうであったか御存じでしょうね。
  233. 吉岡孝行

    政府委員(吉岡孝行君) ただいまおっしゃいました所有権認定作業が行われた当時の読谷飛行場の現況、いろいろお話は伺っておりますが、復帰前のことでありますが、実際に現地を視察しているということではございません。
  234. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 私が村当局に、村長、それからこれの返還組織がありますが、その方々とも会った話、それから、資料によりますと、ちょうど確認当時そこは金網が張りめぐらされてアメリカの物資集積所になって、そして米兵が周辺に立ってそこに一歩も入れない。だから確認どころじゃない。そういう状態のままで、復帰時点でそれが国有地にすりかえられたといういきさつがありますよ。ほかではたまたま確認ができる状態にあったんです。ところが読谷飛行場では立ち入りができなかった。そういった偶然性で一方では所有を認められておる、一方では国有地になっておる、こういういきさつもありますので、これは私から重ねて申し上げておきます。それもよく十分検討の資料にしていただきたい。  さらに、この飛行場は読谷村長を先頭にして解放組織ができておりますが、ここは村の平和、文化の建設の目玉としてちゃんと開発構想がなされておる。だから、日本政府に訴えたってもらちが明かぬから、山内村長はカーター大統領に直訴しておりますよ。このことを御存じですか。御存じであるならば、これをどう受けとめておられるか伺いたいと思います。
  235. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) その事実についてはただいまのところお聞きをしておりませんけれども、事の重大性ということについては十分私どもも考えております。で、いま鋭意、そういったいまおっしゃったようなその他のこともあわせて向こうで調査をさせておる、こういうことでございます。
  236. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 一刻も早く結論を出していただいて、あの夢と希望を持っておる読谷村のすばらしい開発を一刻も早くひとつ実現さしてもらうように。  それから、この前の法務大臣のお言葉で、これは法的に争うというよりも、それ以前の問題として話し合いで解決すべきものと自分は思う、こういうお言葉がありましたが、ごもっともだと思うんです。そういった、これは法的に持ち出したって、公簿も公図も全然ありませんから、裁判でもこれは裁判のしようもないと私は思うんです。ですから、法務大臣この前述べられたように、話し合いによって早くこの事実を確認されて解決していただきたいと、こう思うんですがどうですか。
  237. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私は、先般の大塚委員質問に対して、ただいまお話のありましたようにお答えしたのは、戦争という非常に不幸な状態から発生して、しかもそれがアメリカによって占領され、それからまた日本に復帰するという事態になったが、しかし、それが軍用地として使われることになり、そうしてその地籍はだれに属するかというようなことが明確にされないで、一応いまの段階においてはこれは国有地であるというふうに指定されておるということでありますけれども。しかし、その根拠というものが何であったか、いろいろ伺っておりますというと、やはり何らかの住民の方に対して温情のある措置を私はとるべきものであると考えまして、これはひとつ国もそういう意味では余りかたくなな姿勢でなく、十分いろいろの事情は調べねばいけません。そのときにも申し上げたんですが、いま大蔵省は調査をしておるというから、そういうこともよく踏まえ、それからまた、住民の方々やあるいは村長さんその他おられた人が残っておいでになれば、そういう人の言うこともよく聞いて、そうして純然たる法律手続で問題を解決するというよりは、やはり何か話し合いをする、そうして国もある程度、場合によってはマイナスの面が起きることもやむを得ない。そういうような気持ちをもって問題の処理に当たるべきではないか、こういう感じを抱きましたので、実は率直にそのことを申し上げたわけでございます。しかし、いずれにしてもこの調査というものは大事なことでございます。だれがどう言っているとかこう言っているとか、あるいはどうなっているかというようなこと、その他いろんな問題があります。それからまた、聞いてみますと、所有者の全部の坪数を合わせるというと何か一倍半くらいになってふえてきてしまっておる。こういうものをどう処理したらいいか、真実は一つであるということになれば、これは一倍でちょうどでなければならないのが一倍半になっているというようなところ、こういう問題をどう処理していくかというようなことなりますというと、やはり所有権を主張されるお方にも何か考えていただかにゃならぬ場合があり得るんじゃないか、私はそう思うようなわけでありまして、お互いにやはり真実を求めつつ、しかも、そういう被害を受けた人たちに対して、やはり温かい気持ちで処理をすることでなければ沖繩の問題は解決しないんじゃないか、こう私は思います。
  238. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 一日も早くひとつ具体化するように要望しておきます。  それから、米軍の戦車道の問題に関連して防衛施設庁に聞きますが、さきの質疑でも、私、水源地の汚染ですね、汚染の問題を警告いたしましたけれども、おとといのテレビニュースによりますと、沖繩は雨が降っておりますが、この梅雨のために、あの戦車道に関連して七つのダムがある、その七つのうち六つは簡易水道に関係している。一つは灌漑用水ですが、すでに汚濁して、しかも重大な問題は、宜野座地区の水道全面ストップ、戦車道から赤土流出、それで朝食準備もできない状態にある。こういうことで、この事実を確認しておられるか、おられるならばどういう処置をとっておられるのか、それをまずお聞きしたい。
  239. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 戦車道建設の問題につきましては、この戦車道を建設することによって、まず第一にいま先生がお尋ねの住民の大切な水源地を汚濁するおそれがあるということ、また現に汚濁が生じておるということ、これは非常に重大視いたしております。それからもう一つは、樹木を伐採して自然環境を不必要に破壊しておるという点についても、私ども大変これを重要視しております。  そこで、私どもは、まずこのことを三月二十五日、名護市からの御連絡でそういう実情を知って承知いたしたわけでございまして、雨季を控えてこの水源地汚濁の状況が一層ひどくなることを大変憂慮いたしまして、米軍にまずこの予防措置と申しますか、直ちにそういう水源地を汚濁するおそれのある土砂を除去する、そうして被害防止の工事をやるようにということを強く要望しまして、米軍自体の手で現在鋭意これをやっております。それと同時に、当庁としましても、米側の措置とは別個に、何を申しましても大切な飲料水のもとになる水源でございますから、とりあえず急速ろ過機の設置などを考えまして、そうした実害の生じないようにということで、地元村当局の方方とも十分協議して、すでに実施に移しております。もう少し詳しく申し述べますと、松田、潟原両地区の浄化施設の設置は今週中にぜひ工事を終わりたいということでやっております。それから、宜野座地区についても、これは今月中に設置が終わるという予定でやっております。それから、許田地区については浄化施設の設置よりも戦車道の影響を受けない水源地から取水して、そうして送水管を敷設して給水するということが適切であるという現地の判断でございまして、これは申しおくれましたが、早速東京からも人をやり、あるいは日米両方からも現地に人が行って幾たびも実情を調査し、それに基づいて一番適切だという措置を考えた結果でございますが、送水管を別個に、別個の水源から取水することにしようということで措置をしております。それから、米軍のダムに対する被害防止工事は、先ほどちょっと申し述べましたが、これも松田第二ダム周辺の汚濁防止の措置を優先してやろう、土砂を取り除くあるいは土どめをやるということを実施しております。それから明治山地区についても、排水用の道路の下を横断する暗渠、そういうものを敷設することによって現地の適切な対策がとれるということで措置しておるところでございます。
  240. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) このことも、ひとつ被害者の不満を一刻も早くなくするようにこたえていただかなければいけない、こう思うのです。それでこのような、私がいままで申し上げたこと、尋ねたことは、すべて政府の提案しておられるこの法案にみんな結びつくことなんですね、だから、私はそれを先に言ったんです。  次に、提案者を中心に尋ねたいのですけれども、この政府案は、私結論を先に申し上げますと、非常に実効性の乏しいものである、こう思うんです。法的に素人でありますけれども、素人が目を通しましても、いわゆる沖繩県民の側に立ってこれを見た場合に、非常に不安、不満な点があり、不明な点がいっぱいある。しかも、大事なことが抜けておる。こういうことを痛切に感ずるわけですが、そこで、この前の審議で開発庁長官は、いままでは地籍を測定するにもよりどころがなかったと、この法案ができれば非常にやりやすくなると、こういったことを述べておられ、また、立案者も非常に自信満々胸を張って提案しておられたわけですが、その中で県知事に対する委任事項がうたわれておる。そのことと結びつけて、いわゆる案の構想は一応華やかに見せて、実際の実行する段になるというと県側に仕事の量も責任も転嫁していく、こういうことが予想される、いままでの経験からしましても。そういうことが絶対にあってはいけない。これはあくまでも国の責任においてすべて処理するべきものである。その点いかがですか、立案者と、それから開発庁長官にお伺いします。
  241. 木野晴夫

    衆議院議員(木野晴夫君) ただいま先生の御指摘の点についてお答え申し上げます。  従来は県がやっておりまして、そうして県のやっております仕事につきまして、開発庁が——国が予算的措置を講じておったということでございまして、今回は国が行う、実施機関は国であるということで国の責任を明確にしたわけでございます。したがいまして、国は県に仕事を委任いたしますが、従来県でやっておりまして、国が予算的措置を講じて見ておったというだけではなしに、国の責任で五年間に計画を立ててやるということになっておりますので、この点はしっかりすると思います。私たち現地に参りまして、県の担当者の話を聞いたのでございますが、一生懸命やっておられまして、そうして、これは県が一生懸命やっておるが、国がもっとやらなきゃならぬのじゃないかということで、考えましてつくりましたのが今回の案でございまして、先生の御指摘の点のないようにする、そういった気持ちでつくっております。
  242. 亀谷禮次

    政府委員(亀谷禮次君) ただいま提案者の木野議員から御説明がございましたように、この新法案によりまして、沖繩開発庁長官も実施機関の長として所管の事務を行うわけでございますが、端的に申し上げまして、この中で沖繩県の知事に委任をする事務の内容につきましては、沖繩開発庁長官と県知事との間で具体的に協議をしてこれから取り組まなければならないと予定されるわけでございますが、さしあたっては、沖繩開発庁長官の権限に属する事務のうち、この法案の第二条一項にございます位置境界不明地域の指定、それから第三条にございますいわゆる五カ年計画の作成、第四条の規定によりますところの協議、さらには十三条に規定してありますいわゆる勧告及び審議会の準備、さらには十七条の規定によります確認した後の認証申請、さらには十九条、二十条及び二十一条、二十二条等に列記してございますいわゆる明確化を促進するための諸措置等々につきましては、これは当然開発庁直接の所管の事務として取り計らうことになろうかと存じております。  なお、委任をいたしますに当たりましては、当然でございますが、予算の範囲内におきましてこの事務の執行に要する経費は必要な手当てをする考えでございます。
  243. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) まあ予算の範囲内でとおっしゃるが、そう言うと非常に後向きに聞こえるんですね。予算は幾らかかっても、その裏づけをするためにやると、こういうことでなければいかないことだと思うんですが、この点、予算の枠内でということは非常に消極的に聞こえますが、枠を外してでも裏づけていくと、こういう前向きの姿勢はありませんか。
  244. 亀谷禮次

    政府委員(亀谷禮次君) この法律によりますと、国の事務ということでございますので、ただいま申し上げましたいわゆる委任にかかる諸経費につきましては、その必要な経費について所要の措置を政府は講ずる所存でございます。
  245. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) この法案が通る通らぬの問題はまだ未定でありますが、一応案は案として疑義の点は確認しておかなければいけない、こう思う。それで、このようにたくさん問題点を一応拾い上げてあるわけなんですが、この全部について申し上げる時間もありませんが、その一つに所管の二元性、先ほど質問がありましたが、いわゆる開発庁と防衛施設庁との二元性ですね、これは何としても一元化すべきである、開発庁の窓口にしぼるべきだ。これは現地要求もそうですが、まあ一長一短、皆さん皆さん立場から主張しておられますが、私はどうしても一元化していくことが結果的にはスムーズにいくと、たとえば駐留軍用地防衛施設庁長官だと、それから位置境界不明地は沖繩開発庁長官だと、こういうことになっておりますが、その土地の連続性、あるいは調査成果を法的に評価していくという一律性、この上からも所管を統一して調査しない限り、調査地域の競合あるいは空白が生じた場合にその責任の所在は一体だれが負うかという、このことが不明確なんですよ、これが一つ。そうして、地籍というものは、これは人間で言えば戸籍に等しいものである、また地籍の確定は基地提供とは次元を異にするものであると、まあこういうことからどうしても開発庁に一元化すべきである、こう思うんですが、どうですか。
  246. 木野晴夫

    衆議院議員(木野晴夫君) 提出者としましては、責任主体を明確にするということがまず第一点でございました。そこで、ただいま先生のおっしゃいました開発庁に一本にしたらどうかという御意見でございます。提案者の案は、基地の中は防衛施設庁長官基地の外は開発庁長官といたしておりますが、これは基地の中に自由に入れないというふうな実情も勘案いたしましてそのようにしたのでございまして、この点が、考え方は先生の方がすっきりしているかもしれませんが、実情に即しますと私らのこの案が最も適切であると思うわけでございます。  そこで、ただいま御指摘のとおり、基地の中と外とが接しているときに、基地の中が決まっても、基地の外が後で変わってきましたときにまたもう一遍やり直しせないかぬじゃないかというふうな問題もございますし、また、基地の中と外との線が字をまたがっておる場合に、そこでむしろ字単位にして、基地の中だけではなしに、同一字の場合には基地の外までやっていったらいいじゃないかというふうな点もございますので、この点は四条で実施機関の長がお互いに協議して円滑にしなければならぬと言っておりますので、その点で両者の協調というものによりましてカバーできるんじゃないかと、このように考えている次第でございます。
  247. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) いまの問題ですね、これは受益者の立場、受ける立場からの意見ですがね、どうしても現地要望をしっかり検討してもらわぬといかぬと、こういう意見を強く申し上げておきます。  次には、法定賃借権の問題です。特に沖繩土地の実情というのは、不明確な土地の中でも、地籍を確定した結果よその土地にいま住まいがある、確定した結果がですね。そういった矛盾が特に多いんですよ、沖繩の場合には。そういう場合に、集団和解集団和解といいますけれども、自分がいまおる土地がよそのものであった場合に、これの確認は集団和解ではどうしてもいかない。そこで、例の小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置に関する法律、この中には明確に法定賃借権のことがうたわれておるのに、なぜこの法案にはそれがうたわれていないかということなんです。その理由は何ですか。
  248. 木野晴夫

    衆議院議員(木野晴夫君) 地籍問題を検討いたしました場合に、問題のむずかしいのは基地の外でございます。いま先生おっしゃいました法定賃借権をどのように考えるかという問題の起こってまいりますのは基地の外の場合でございます。その極端な一番むずかしい例といたしまして与那原村の場合でございますが、これはもう先生御承知でございますから私は申し上げませんが、ああいったケースを解決していきます場合に、面積が違うじゃないか、面積が同じでも場所が違うじゃないかという問題ございます。しかもその上に他人が建物を建てておるというような場合に、法定賃借権に乗るような考え方を導入しなければ解決ならぬのじゃないかということで、御指摘の点だと思うわけでございます。私たち提案者は、現在集団和解方式を進めておりまして、これは相当実りつつあると、こう思っております。その段階におきまして、この法定賃借権、そういった点まで取り入れてやることはどうであろうかというこということで、最後はそういった問題も考えなきゃいけませんが、現段階におきましてはこの提出案がベストであると、このように考えていたしましたわけで、この点につきましては、担当官庁は開発庁になると思いますが、そういった点で十分に検討していただいて、問題の煮詰まりと作業の進捗とを見て、今後の問題じゃなかろうかと思います。
  249. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) これも私はどうしても納得のいかない点でありますので、十分この点も御留意いただきたい。  この公用地暫定使用法は、先般来、ただいま論じております法的に空白ができた、その論争がいろいろあるわけですね。だから、これは今後の問題といたしまして、そのことによっていわゆる非契約土地所有者は、未契約者は、三百五十余名の者がいままでのあらゆる弾圧やあるいは脅迫や、あるいは懐柔、いろいろな手段にも屈せずこうしてがんばっておる。その人々が晴れて三十四年ぶりに自分土地が返ってくる、こういった喜びと同時に仮処分申請をしておる。このことをどのように受けとめておられるかということなんですね。法治国家として法の空白ということは、これはあってはいけないことは当然であります。しかし、この問題に関する限り法が空白になったことを喜ぶ。これは一部ではありません。県議会でも、県当局も、そして沖繩の県民、その問題に関して法の空白することを喜んでおるというこの事実を何と受けとめられるか。どうですか、防衛施設庁長官
  250. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 基地の関係の仕事に携わっておる者といたしまして、こういう事態が出てきた、空白期間ができたということはまことに私遺憾なことと思っております。特に本委員会において、この空白の法的な問題などについて大変突っ込んだ御議論がございまして、私どもこの期間の取り扱いについて、今後、いま先生が御指摘のようにこれを喜んでおられる地元の方々のお気持ち、そういう立場に立ってどういうぐあいにやったらよいか、まだ具体的な、ここでお答え申し上げる措置を考えておりませんけれども、十分誠意ある対処をしてまいりたいというふうに思っております。
  251. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 沖繩では、県民全体が土地に非常に執着を持っていることはおわかりと思うんですが、こういうことがあります。これは沖繩の先祖代々の教訓ですが、激動の時代には金を持つよりは物を持て、物を持つよりは土地を残せ、土地こそ至上の宝であるという教訓があります。この心境を理解されないというと、沖繩土地問題は法的にどうだこうだというこんな圧力や権力では、これは処置できません。このことを強くひとつ受けとめていただいて、県民のこの切なる要求にこたえてもらわなければいけない、こう思うんです。  で、時間が参りましたので最後に私は結びを申し上げたい。いろいろ申し上げましたが、結論は沖繩県民の生命、財産、人権にかかわる新しい犠牲と差別を強いる何ものでもない、こう私は断言いたします。ですから、文化国家をもって任ずる国際的にも私は恥じない日本国であってもらいたい。そして世界に誇る平和憲法を持っておる、その憲法を遵守していく立場からも、また後世の歴史に汚点を残さないためにも、ましてや沖繩県民が差別と犠牲をこれ以上強いられないためにも、私はこの公用地法を復活させるということは断じて賛成できません。また地籍は一刻も早く明確にしなければいけませんが、いまのような状態ではまだ幾らでも疑義がある、問題がある、不安でならない。こういう立場からも、これはもっともっと慎重審議をして、納得のいくまで解明すべき余地がある。こういうことを強く申し入れまして、時間が参りましたので質問を終わります。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行、動議。(「賛成」、「反対」と呼ぶ者あり)私は、さらに慎重審議を尽くすということの動議を提出したいと思います。  その理由は、第一に、この法案は実に重大な法案であること、アメリカの銃剣によって土地を強奪され、さらにこれを延長する憲法違反の希代の類のない悪法であること、そうしてそのために沖繩県民の生活権利が奪われた、こういう法案でございます。  第二に、これはすでに消滅した軍用地使用権を附則六条によって復活させるというまことに類のない、国会、立法府の非常に疑義のある形でやられる、こういう法案です。  この二点から考えまして、われわれはこの法案をもっともっと慎重審議をすべきである。  私はいま五年前のことを考えている。五年前の沖繩国会で、実は自民党の単独強行によってこの法案は採決されました。あのとき、もっともっと審議し、もっともっと徹底的にこの正体が明らかになっておったなら、事態は今日十分変わっておったと思う。ところが、先ほどからの審議でも明らかなように、実際返還された米軍の基地はわずか六%、そういう体制の中で、また同じことを繰り返すということは絶対にこれは許されないことだと思うのであります。したがいまして、その中で私は次のような提案をいたしたい。これはしばしばわれわれが委員会で要求してきたところでありますが、現地調査、また関連委員会との連合審査、公聴会あるいは参考人、特に憲法学者、行政法学者の意見を聴取し、そうしてさらに慎重審議を私は重ねるべきである、このような動議を提案いたします。当然これはわれわれとして明らかにすべきだと思いますので、これを諮っていただきたい。
  253. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  254. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。  ただいまの岩間君の動議を議題とし、採決を行います。  本動議に賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  255. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 少数と認めます。よって、岩間君提出の動議は否決されました。  これにて補充質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  256. 野田哲

    ○野田哲君 私は、日本社会党を代表して、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、本日までの衆議院審議の経過並びに当参議院内閣委員会審議の経過を顧みて、きわめて不正常な審議が行われ、多くの問題点が何ら解明されていないという点であります。  この法案審議に当たっては、その重要性にかんがみ、沖繩県現地の実態調査、公聴会、憲法学者や関係自治体の意見聴取などを含めて慎重な審議が行われる必要があることを痛感しております。国民の憲法に保障された財産権を、今後さらに長期にわたって侵害する内容を持ち、かつ沖繩県の社会、経済、地方自治に大きな影響を及ぼす本法案審議に当たって、法学者や現地関係者の意見を聞くこともなく、現地の実情に接することもなく本法案審議が終了することは、本法案審議の付託を受けた当内閣委員会委員の一人として、どうしても納得をすることができません。  第二の理由は、本法案の内容が、憲法に保障された国民の財産権を不当に侵害し、また、法のもとに平等であるべき沖繩県民に対して、不当な不平等を強要するなど、憲法上重要な疑義を持っている点であります。  第三の理由は、この法案は、附則第六項において、すでに期限切れとなった沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律に基づく使用期限をさらに五年延長しようとしている点であります。本年五月十四日二十四時をもってその期限が終了し、法律的には所有者返還された土地が、後日再びその使用期限を延長して強制使用するということが、法制手続上許されるものかどうか、重大な疑義を持つものであり、その点は審議の中でも解明がなされておりません。  第四の理由は、この法案は、表面では沖繩県民多年の願望である地籍の明確化を装いながら、実質的には基地の永久化をねらう内容を持っていることであります。沖繩県全域にまたがる広大な基地を一日も早く解消して、土地所有者に返し、その効果的、生産的な利用を図ることが、沖繩に真の平和をもたらし、県民生活の向上を図るために欠くことのできない前提条件であります。沖繩県全域に存在するアメリカの基地は、アメリカの極東戦略のキーストーン——かなめ石と言われています。このような状態がいつまでも存続をすることは、日本の平和にとっても、沖繩県民の生活にとっても許すことのできない姿であります。  以上、反対の理由を述べて討論を終わります。
  257. 上田稔

    ○上田稔君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に賛成の意を表明するものであります。  御承知のごとく、沖繩県では、さきの太平洋戦争により、土地の公簿、公図が、すべて滅失するとともに、戦災と米軍の基地建設による土地の形質変更が著しく、いわゆる境界不明地域が多く存在しているのであります。このような特殊事情のため、関係住民の社会的、経済的活動はもちろん、国の事務遂行上も著しい支障を生じている現状にあるのであります。  現在、国は行政措置により、防衛施設庁及び沖繩開発庁、沖繩県が、これら境界不明地域の地籍確定作業を行っているのでありますが、証拠資料の不足等からなかなか進展していない状況にあることから、本法案のごとく、国が推進援助措置を講ずる立法措置がぜひ必要とされているのであります。  さらに、沖繩県において、駐留軍または自衛隊の用に供している土地について、その所有者契約の合意ができないものについては、公用地等暫定使用法により暫定使用しておりますが、それも五月十四日をもって期限が切れているのであります。  わが国が駐留軍に施設区域を提供するという安保条約上の義務を遵守し、現在、不幸にして生じている国の土地使用における権原の法的空白期間は、できるだけ短くするためにも、地籍が明確化するまでとりあえず五年間、公用地等暫定使用法を延長することは、まことにやむを得ない措置と思うのであります。  以上、賛成の理由を述べて討論を終わります。
  258. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に対し、反対の討論を行うものであります。  反対の理由の第一は、政府姿勢についてであります。  政府は、沖繩国会におけるこの法案審議過程において、五年という暫定期間をさらに延長することはあり得ないことを再三明らかにしてまいりました。しかるに政府は、みずからの怠慢をいたずらに糊塗し、理不尽にも地籍明確化を装い、公用地暫定使用法をさらに五年間延長しようというのであります。  元来、沖繩公用地暫定使用法は、沖繩県民に犠牲と差別を強要し、戦争につながる軍事基地を永久固定化するものであり、これをさらに五年間延長しようとする政治姿勢に対して、私は激しい憤りを覚えるとともに、断じて許すことができないのであります。  反対の理由の第二は、基地内外の地籍確定を実施するに当たり、主務所管を防衛施設庁長官と、沖繩開発庁長官との二元化を図っている点であります。なぜならば、土地の連続性や調査結果の法的評価の一律性を図るためには、統一して調査しない限り、調査地域の競合や空白が生じるおそれがあり、その責任の所在も不明確になるからであります。  反対の理由の第三は、この法律の目的において、沖繩住民の地籍明確化による土地所有者の権利の回復、土地の高度利用を図る必要性については、何ら具体性がないことであります。つまり、地籍確定について最終的な調整がつかない場合、主務大臣に勧告権限を付与しているが、単なる勧告では法的効果がなく、実効性に乏しく、沖繩の実態に即応した地籍明確化の真の解決にはなり得ないからであります。この点、三党共同提案による地籍明確化法案を除いて、抜本的解決を図り得ないことを強く主張するものであります。  第四に、補償規定が不十分な点であります。法案の第二十二条で公共施設整備について、また二十三条で駐留軍用地に限って原状回復及び損失補償の財政措置を講じておりますが、民有地のつぶれ地補償、残地補償についての規定がないのは真に沖繩県民の心をつかんでいるとは言えないのであります。  第五に、地籍の明確化を促進するためには、補償、権利の調整が必要であるにもかかわらず、民有地において、土地または建物の買い取りのための資金の融通、土地の交換等のあっせんにすべてをゆだね、補償及び権利の調整には何ら具体的方途を示していないことは、ふくそうした沖繩の地籍明確化の最終的な解決にはなり得ないのであります。  第六に、憲法違反の疑いがあるということであります。沖繩土地は、一たん米国からすべての土地返還され、少なくとも土地所有者等との間では新たな条件につき協議がなされ、合意があって初めて米駐留軍及び自衛隊の公用地としての使用関係に入るべきところを、いわゆる地籍明確化法案の修正案によって、再度五年間という期間の継続使用を容認するという特別立法措置をとっているのであります。この修正案は、その目的が、まず憲法第九条の平和条項の趣旨に反する疑いを有する軍事基地に供する点であります。また、その強制的使用を認める暫定期間が、さらに五年という長期にわたる差別的立法措置を強行しようとしていることは、第十四条の法のもとの平等の権利を踏みにじるものと言わざるを得ません。また、私有財産に対する権利が著しく制約され、権利者に何ら不服、異議申し立てなどの手続がないことからして、第二十九条の財産権の侵害、第三十一条の法的手続の保障の否定、さらに第三十二条の裁判を受ける権利の否定、第九十五条の国民投票の権利の否定につながっているのであります。  以上が、わが党のただいま議題となっております沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に反対する理由であります。  以上をもちまして私の討論を終わります。
  259. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案に対し賛成の討論を行います。  われわれは、沖繩復帰時より一貫して戦争によって深い傷跡を残した沖繩にとって、地籍の明確化こそ重要な政治的課題の一つであり、そのための特別措置法の制定が必要であることを主張し続けてまいりました。にもかかわらず、政府はこれに応ぜず、行政措置で五年内に対処すると確約しながら多くの位置境界不明地域を残して今日を迎えました。これは明らかに政府の怠慢であり、その責任を強く指摘するものであります。  われわれは衆議院段階で、政府原案に対し調査対象地を基地内外とすること、国は五年を目途とした責任ある作業計画を策定すること、調査主体は防衛施設庁とともに沖繩開発庁を加え、両者の協力により強力な施策を行うこと、行政裁定のための勧告の規定を設けること、勧告の際の諮問機関として審議会を置くこと、公共施設用地整備の財政措置、土地交換等のあっせん、融資、原状回復措置等を織り込むことを要求しました。これらの要求は生かされ、政府案は全面的に修正されました。  本法案の成立を境として、政府はこれまでの怠慢を深く心に刻み、本腰を入れ、精力を傾けて地籍明確化に取り組むことを要求します。しかしながら、地籍明確化の作業は五年を要するという現実から、公用地の暫定使用はそのうらはらの関係にあるものと認識し、附則六項による延長はやむを得ないものと考えます。私は、われわれの主張にかかわらず、法の空白期間を生じたことに対し、心から遺憾の意を表したいと存じます。  いま沖繩県母の多くが真に求めているものは、原則論やたてまえ論ではなく、現実的対応策の確立であると信じます。このため、強力な対米交渉により、基地の縮小を図り、基地の中の沖繩と言われる県民の重圧を軽減すること、その基地縮小と並行して基地依存経済からの脱皮を図るため、総合的沖繩県開発計画を立て、これを強力に推進することを強く要求し、私の討論を終わります。
  260. 河田賢治

    河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、本法案に対して、怒りを込め反対の討論を行うものであります。  私は、まず初めに、政府と自民、民社両党が、多数の暴挙で本法案の成立を強行したとしても、本法案附則第六項は、未来永劫無効であることを宣言するものであります。なぜならば、現行の公用地暫定使用法第二条による米軍、自衛隊基地の強制使用期間は五月十四日で満了し、これによって政府基地使用の法的権原が消滅したからであり、衆議院先例もあるように、使用期間満了後の使用期間の延長は法理上不可能であり、強制使用期間をカ年延長することを内容とする本法案附則第六項は、期間満了と同時に消滅したからであります。  そもそも、アジア最大の侵略基地沖繩基地は、米軍がポツダム宣言やヘーグ陸戦協定などに違反する不法、不当な全面占領のもとで、銃剣で沖繩県民を追い立てて、家を焼き払い、ブルドーザーで田畑を初め、先祖代々の霊が眠る墓までも掘り返して構築したものであります。これを五年前、施政権返還時点で、銃剣、ブルドーザーにかわって再び強奪したのがこの暫定使用法であります。この暫定使用法は、米軍による土地強奪の蛮行を免罪するとともに、戦時中の国家総動員法でさえなし得なかった権力による問答無用の土地強奪を合法化する世にもまれな悪法であり、憲法第二十九条、国民の財産権保障規定、憲法第三十一条、適法手続条項、憲法第十四条、法の前の平等の原則に違反し、立法手続においても、憲法第九十五条、地方自治特別法の住民投票の規定などに違反する憲法じゅうりん法であります。  この悪法による軍用地の強制使用期間を、暫定使用期間満了後、法理、先例に反して延長することとした本法案附則第六項を多数の暴挙で立法化することは、沖繩県民本土の平和民主勢力に対する重大な挑戦であるというだけでなく、憲法を遵守すべき国権の最高機関たる国会が、白昼公然と憲法をじゅうりんするという類例のない最大の暴挙であり、絶対に容認することができないものであります。  本法案の違憲性、反動性が露呈することをおそれた政府・自民党は、わが党などの慎重審議のための具体的提案を無視し、職権開会、審議打ち切りを繰り返し、採決を強行しようとしています。かかる政府・自民党の暴挙は、議会制民主主義を破壊するファッショ的暴挙であり、断じて許すことができません。  また、自民、民社、新自由クラブ三党が、土地強奪期間の延長と引きかえに出してきた位置境界明確化措置なるものは、明確化事業の対象を基地外にまで広げるなどの手直しをしているとはいえ、集団和解方式の美名のもとに、事業実施上の責任地主個々人に転嫁し、協議、確認が調わない場合の実効ある措置を講じていないなど、国の責任をあいまいにしており、基本的に県民要求を実現できないものであります。  政府・自民党が、民社党や新自由クラブの協力を得ながら、あくまでも沖繩県民土地を引き続き軍用地として強制使用しようとするのは、まさに安保条約の義務履行のためには、国民の基本的人権を保障した憲法の諸規定や、議会制民主主義の原則をじゅうりんしてはばからないという反国民的な日米安保条約優先の立場を如実に示すものであり、沖繩基地を中軸に、米日韓軍事一体化路線を維持するためであることは明らかであります。それは、日本とアジアの平和と安全を脅かし、国民をその意に反してアメリカの侵略的なアジア戦略に一層深く巻き込む危険な反動の道であると言わなければなりません。歴史の審判は、政府・自民党と、これに協力加担した民社、新自由クラブのこの暴挙を必ず断罪するでありましょう。  最後に私は、本法案附則第六項が、多数の暴挙で立法化されたとしても、未来永劫無効であり、政府は、現行の公用地暫定使用法第四条の規定に基づいて直ちに返還手続に着手すべき義務を負うものであることを強く主張するとともに、核も基地もない、平和で豊かな沖繩を実現するため、安保条約廃棄、基地全面撤去を目指して闘い抜く決意を表明して討論を終わります。
  261. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  262. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会      —————・—————