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1977-05-14 第80回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十四日(土曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員の異動  五月十四日     辞任         補欠選任      望月 邦夫君     上條 勝久君      戸塚 進也君     中村 太郎君      吉田  実君     遠藤  要君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増原 恵吉君     理 事                 上田  稔君                 岡田  広君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 中村 太郎君                 中山 太郎君                 林  ゆう君                 望月 邦夫君                 吉田  実君                 大塚  喬君                 小山 一平君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    衆議院議員        内閣委員長代理  木野 晴夫君    国務大臣        法 務 大 臣  福田  一君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        自 治 大 臣  小川 平二君        国 務 大 臣        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第二        部長       味村  治君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁長官官房        長        亘理  彰君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛施設庁長官  斎藤 一郎君        防衛施設庁次長  安斉 正邦君        防衛施設庁総務        部長       銅崎 富司君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        防衛施設庁労務        部長       古賀 速雄君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 禮次君        沖繩開発庁振興        局長       井上 幸夫君        国土庁土地局長  松本 作衛君        法務省民事局長  香川 保一君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        大蔵省理財局次        長        吉岡 孝行君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        自治省行政局行        政課長      鹿児島重治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措  置法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 大塚喬

    大塚喬君 きのうは地籍に関する諸問題について若干の質問をいたしたところでありますが、きょうは提案されております法案全般に関して、防衛庁長官、それから自治大臣官房長官、これらの方に質問を行いたいと存じます。自治大臣には後ほどどうしてもお尋ねしたいことがありますので、至急に出席をいただきますよう委員長としてお計らいをお願いいたします。  で、沖繩県基地の問題、これはこの法案名称にありますように、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案と、こういう法案名称であります。この法案名称自体に、本日の質問はきわめて重大な、差別的な内容を含んでおる、これらの問題に関してぜひひとつ明快な御答弁をいただきたいと存じます。  沖繩県民は、本土復帰の際に、反戦・平和と県民権利と財産を守る立場から、県を初め各市町村、すべての自治体を挙げて本土並み復帰を強く要望してきたところでございます。今回のこの法案内容は、それらの切々たる県民の願いをじゅうりんする、こういう内容を含んでおる。以下、これらの問題について具体的に項目を挙げて質問を続行いたしたいと思います。  一つの問題は、復帰後現在でまる五年になろうとしておるわけであります。きのう申し上げましたように沖繩地籍は不明であり、この混乱はきわめて深刻であります。その影響するところははかり知れない、そういうものがあるわけでありますが、復帰に際して政府は、沖繩におけるこのような地籍不明の問題を早急に解決すべく特別の措置を講ずる責任があったはずであります。一体復帰後この地籍明確化のために現在までの五年間、具体的にどういう措置をとってこの県民の要望にこたえてきたのか、この点に関して詳細にお答えをいただきたいと思います。
  4. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 昨日も一部関連で御質問お答えしたかと存じますが、ただいま御質問の四十七年に沖繩復帰いたしましてから今日まで、沖繩のいわゆる地籍明確化解決の問題に関しましてとってまいりました措置につきまして御報告を申し上げたいと思います。  先生も御指摘のように、沖繩復帰時点におきまして、それまで琉球政府土地調査庁において、いわゆる不明土地解決に努力をしていただいてきておったわけでございますが、復帰後、四十七年の国会においても、当時の山中開発庁長官に対しまして国会においてしばしば御論議があったところでございます。すなわち、これらの不明地域解決沖繩県民のいわゆる私人間における権利の紛争の大きな問題になっておること、及びこの不明確地解決がありませんと、将来にわたって沖繩土地利用計画策定推進上非常に問題があるということ、こういった問題に関連をいたしまして、復帰時点におきまして、昨日も御答弁したかと思いますけれども、これらの不明地域解決の基本的な方法につきまして、種々関係省庁及び沖繩県論議をいたしたわけであります。  先生も御案内のように、本土におきましては、国土の基本的な調査は、いわゆる国土調査法によりまして現在の国土庁が担当をしておるわけでございます。この国土調査は、沖繩におきましても、戦後、日本政府の援助もありまして、ただいま申し上げました当時の琉球政府土地調査庁において、沖繩本島のみならず全島嶼にわたってこの調査を行ってきたところでございます。しかしながら、このいわゆる不明確な境界地域調査につきましては、基本的に私人間のいわゆる境界の確定が定まっていない、こういうこともございまして、国土庁のいわゆる国土調査にはよりがたいと、こういうことに相なったわけであります。  そこで、ただいま申し上げましたように、これらの問題を解決するためにどういうふうな手段をとればいいかと、こういうことになりまして、私ども開発庁及び国土庁、それから、基地の中の不明地域が相当あるということでございますので防衛施設庁並びに復帰後の沖繩県等々と種々御相談をいたしました結果、とりあえず、昨日も申し上げましたように、四十七年の復帰時点では、まだいわゆる不明地域が相当あるということは論議はされましたけれども琉球政府におきましても、どの程度地域にどの程度面積であるかという調査が行われていないままに本土復帰したという経緯になっておったわけであります。そこで、県当局とも相談をいたしました結果、これらの地域沖繩本島を中心にどの程度面積としてあるか、どの市町村にまたがっておるかという調査をすることが緊急であろうと、こういうことになりまして、これらのいわゆる防衛施設区域の内外を問わず、一斉にこの概況調査に入ったわけであります。その結果、四十七及び四十八年の調査の結果におきまして、昨日も触れましたように、境界不明の地域というものが、いわゆる軍用地防衛施設区域の中におきまして百二十一平方キロ、基地外、いわゆる復帰前に返還された民地を含めました基地外が約二十平方キロと、こういうことが判明をいたしたわけであります。  これらの土地を、しからば今後早急に明確化を行うためにはどういうふうにすればいいかと、こういうことに相なりまして、四十九及び五十年にわたりまして、先ほど申し上げましたような防衛開発庁、法務、国土庁及び沖繩県等で数次にわたる協議検討の結果、軍用地につきましてはいわゆる防衛施設庁、非軍用地につきましては開発庁と県が協力をしてこれの対策に当たると、こういう結論を関係省庁及び県で得たわけであります。  そこで、この不明確地明確化作業国土調査法に準じた形で行うこととし、その結果は国土調査によるところの認証を得ると、こういう方式をとるのが妥当であろう、こういうことに相なりました。それからあとの問題でございますが、開発庁及び県の所管でございますところの民地につきましては、県と御相談をいたしまして、調査実施要領を定め、これによりまして五十年から本格的な調査に入ったわけであります。この調査の第一着手地点といたしまして、先生も御案内のように西原村から始めたわけであります。さらに、五十一年には読谷村及び沖繩市で現在実施中でございます。  なお、これに並行いたしまして、法制上の検討種々関係方面及び県当局ともいたしてまいりましたけれども、その間、われわれといたしましてはいろいろな検討の結果、法制上の問題につきましては私権にわたる大きな問題も介在するということもございまして、これらの地域をいわゆる集団和解によってやるという原則のもとにまず着手をし、それの成果を見る中でこれらの所要措置についてどういうふうな可能性ないし立法措置が形式的にも実際的にもとり得るかという問題を次の段階において検討しようと、こういうことで、現在までにいま申し上げましたように、いわゆる西原村につきましてはほぼ地籍明確化作業が終了をしておりまして、そのうちの一部については内閣総理大臣の告示のためのいわゆる認証手続まで終えておる、こういう段階でございます。
  5. 大塚喬

    大塚喬君 いま、五年間にどういう地籍明確化するために政府責任ある作業を行ってきたかということを質問したわけですが、言葉は延々と答弁をいただいたけれども、実質的には一、二の地区に手をつけたと、こういうだけで、五年間この地籍明確化のために国がとってきた行為というのはほとんど無に等しい、こういう現状であろうと思います。で、沖繩における地籍明確化必要性は、もう復帰前よりだれもがこの必要性を強く痛感をしておったところであります。国の責任で速やかにこの実施がなされなければならない、こういうはずであります。  ところで、私が問題にしたいことは、現在まで国が無責任に放置をしてきたという問題と、この法案内容の中で、一体地籍が明確になってこない、ならない、こういう場合に引き続きその土地については米軍または自衛隊軍用地として使用できる、こういう内容を含んでおるということ、これが一点。  さらに、この地籍明確化する作業が完了しない、こういう場合に、この関係土地が無期限に収用される。一体、こういう土地所有権者に対しての私権の侵害、これが今度は強制的に引き続き使用される、こういうことになるわけでありますが、これらをチェックする法律的な根拠がこの法案の中には一切明らかにされておらないわけであります。五年間を目途にするという、そういう内容で、そういうことを防止するために、一体この当事者はそのことについどういう具体的な——ともかく五年間で明確化できなかった、それはもう仕方ないんだ、永久的にそのまま使用するんだ、そういうことの歯どめをかける、そういう内容のものが当然この法律案制定の際には必要になってくるのではないかと、こう考えるわけでありますが、一体それをチェックする法的な根拠をどういうふうにお考えになっておるのか、明確にお答えいただきたい。
  6. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) ただいま御質問法案は、政府原案についてのことか、修正になった法案のことかについて……
  7. 大塚喬

    大塚喬君 両方について。
  8. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 政府原案につきましては私からお答え申し上げたいと思いますが、政府原案におきましては、この基地の中の土地については、外にも同じような土地がございますが、基地の中においては、特に米軍等が使っておったということで、地籍の明確になっておらない土地が大変たくさんございますので、これを明らかにすることによって所有者方々の経済的な活動にも便宜を与えますし、それから、返還になった後に、この位置境界が明らかでないために跡地利用がなかなか進まないということもございます。そういうこととあわせまして、現行法による暫定使用ということが期限切れになる際に、土地位置境界が明確になっていないことに起因する政府立場から申しましても、位置境界をぜひ明確にする必要があるということで、これは提案理由説明防衛庁長官からお話がございましたが、そういう考え方で、基地の中における土地位置境界を明確にすることによっていろんな基本的な問題が解決するということを前提としまして、それまでの間、基地としてどうしても必要な土地については内閣総理大臣認定手続、各方面の意見を聞きまして、そして内閣総理大臣認定を得まして土地使用しようというのが政府原案考え方でございます。  この内閣総理大臣認定に当たりましては、努めて権利者保護ということを念頭に置いておりますが、ただいま申し述べたように、土地位置境界が明らかになっていないという特殊な事態にかんがみまして、できるだけの権利保護考えてやると、そういう特殊事情に適合したやり方でやろうというのが政府原案の第三章に規定されておるところでございます。  もう一つ質問の、その内閣総理大臣認定のもとに土地使用することについて期限がないではないかということでございますが、これは御指摘のとおり明文で期限がございませんけれども、その趣旨は、位置境界明確化が進めば、仮に二年なり三年なりでできれば、そのときにもう第三章による特例使用ができなくなる。そういう、できるだけ早く作業をやって、そしてなるたけ早くこの使用特例適用がなくなるようにという第三章の細かい規定がございますので、そういった意味合いにおいて特に期限を付していないということが政府原案趣旨でございます。
  9. 大塚喬

    大塚喬君 暫定的に使用するということでいままで五年過ぎている。これから先また五年間個人の私権を侵害して、この法律土地強制収用に踏み切る、継続する、こういう内容を含んでおるわけであります。で、そういう場合に、仮にここで全員の賛同を得て法案を成立するということにしても、そこで解決のつかなかったそういう問題は、五年間に全部、そういう土地の問題を解決するんだと、こういう保証をされない限り、それらの不明確な土地については、米駐留軍あるいは自衛隊にその後も永久的に使用される、強制収用されたまま継続される、こういうことになるのではないか。だとすれば、この法案審議の際には、五年間という暫定の期間をこれから先延長すると、こういうことについては、それ以降は絶対そういうことはありませんと、こういうことに対する歯どめ、法的な、期限をそれ以上延ばさないというチェックする規定が必要ではないかと、私はこういう主張を申し上げてこれに対する見解を求めておるわけであります。私の質問に対してひとつ明快にお答えをいただきたいと思います。
  10. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 先ほどもお答え申しましたように、先生の御質問政府原案に対するものでございますれば、政府原案では五年間ということをうたっておりませんので、内閣総理大臣認定して、そして位置境界が明らかになるまでの間と、それに期限がないのでございまして、無期限であるということがはなはだ不都合であるという御指摘でありますれば、位置境界が明確になり次第というのが政府原案趣旨であるということをお答え申したわけでございます。  それから、衆議院全面修正の上可決されました案につきましては、これは木野先生その他の先生から御提案になったので、その御趣旨は私から御説明する筋合いではないと思うのでございますが、これは五年間の延長ということが修正案の附則に記されておりまして、先生が御指摘のように無期限ではございません。五年間現行法を延長するというお考えのようでございます。
  11. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁で、この法案内容、これは修正案提案者がおいでいただかないものですから大変遺憾でありますが、後ほどまた取り上げることにいたしまして、次に沖繩県土地所有者についてのみ、この法案にありますように、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法、こういう法案名称、この審議をいたしております法案、これが沖繩県土地所有者についてのみ特別の立法措置が図られるわけでありますね。もしこの法案制定されれば、沖繩県駐留軍用地、その区域内に所在をする土地所有者、これは本土土地所有者と明らかに区別をされる、差別をされる、こういう法律内容を持つわけであります。本土土地所有者については、沖繩と違って土地境界が明確になっておるわけでありますが、沖繩の場合には土地境界、区画が明確でないと、こういう理由だけで強制収用認められる、そういう法案内容であります。その適用の結果、本土内の土地所有者沖繩県土地所有者、これは明らかに異なった法のもとに置かれることになるわけでありますが、このような差別沖繩県民に強制する、こういう根拠は、一体、この法案制定され、あるいは修正をされて提案をされるお二方に、どういうお考えでそういう差別沖繩県民に強制するのか、そこのところを明確にお答えをいただきたいと思います。
  12. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 政府原案を提出いたしました立場からお答え申しますと、先生お尋ねの点は、沖繩県における位置境界が不明確であるという土地特殊性に応じた措置でございまして、沖繩県の人を別に差別をするというような法律でございません。そういう趣旨ではございませんので、沖繩県に存在する位置境界が不明確である土地に着眼して、したがってその土地所有者本土にお住みでございましょうが、あるいは国外にお住みでございましょうが、これは何ら所有者に対する、そういう意味の、所有者を見ての考え方ではございません。沖繩県に存在する非常に他にはない珍しい特殊事情でございますが、土地特殊性に着目したものであって、そういう意味においては憲法に規定するいろんな規定に抵触するものではないという考え方でやっております。
  13. 大塚喬

    大塚喬君 あなたもずいぶん断定的なお答えをされるので敬服をいたしますが、この法案名称どおり沖繩県民だけは別な法律適用を受ける、沖繩県民だけがそういう不利益な取り扱いを同じ日本国民でありながら甘んじて受けなければならない、こういうことを強制される一体法的な根拠は、あなたは何に基づいてそういう答弁をされるわけですか、その法的な根拠を明らかにしてください。
  14. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 繰り返しのお答えになるのでございますが、沖繩にございます土地を持っておる人が、たとえ大阪に住んでおっても、あるいは、たとえでございますが、私が沖繩基地の中に土地を持っておっても同じ扱いを受けるわけでございまして、そういう意味で、沖繩に存在する土地に関してのいろんな規定でございますから、沖繩県民を特にどうしようという規定ではないという考え方でおるということをお答え申し上げておるわけでございます。
  15. 大塚喬

    大塚喬君 あなたは大変うまい言い逃れをされようとしておるわけですが、仮にあなたのおっしゃるような理屈でいっても、この法案沖繩土地所有者に対して差別立法であるということをお認めになりませんか、いかがです。
  16. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 重ねてのお尋ねでございますが、そういうふうには私ども考えておらないのでございまして、沖繩に存在する土地に由来するいろんな規定であるというふうに思っております。
  17. 大塚喬

    大塚喬君 あなたの答弁は言い逃れですよ、それは。沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法、こういうことでしょう。沖繩土地所有者だけが日本の全国民の中で別個の法律制定を受けて、差別的なそういう待遇を受ける、異なった法律適用を受ける、こういうことじゃないですか。差別立法だという、こういうことをお認めになりませんか。
  18. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先生指摘の点についてお答えを申し上げたいと思いまするが、沖繩が今日まで受けてまいりました歴史的ないろいろな厳しい条件下に置かれておった、そうして終戦後、やはり一番問題でございましたのが、自分の所有する土地地籍が明確でなかった、そういうような点から、沖繩方々の心を心として考えての先生の御発言であると思うのでございます。その点につきまして、私どもも十分そういう点につきましては配慮せなければならぬ点だと思うのでございまするが、御承知のように、いま御指摘地籍を明確にせなければならぬという現地の実態、そうして私ども防衛を担当いたします者といたしまして、国の防衛、そしてアメリカとの安全関係条約上の義務というような点で、本当にやむを得ざる処置を沖繩——過重な負担と思っております。思っておりまするが、そういう立場でひとつ沖繩県特別立法お願いをして、そうして地元の問題でございまする地籍は明確にいたします、しかし、ぜひまたお願いをいたしたいのは、国防上の見地からひとつ基地のまた使用もさしていただけませんか、そういうような特別立法である点につきましては、私ども差別をしようというような——差別感というようなものは、何か非常に私は、いままでの言葉の概念上申しわけないようなことだと思うのでございまするから、特に特別の措置をさしていただこうという特別立法お願いをいたしておる、そういうことであるわけでございまして、この点ひとつ御理解を賜りたいと思うのでございます。
  19. 大塚喬

    大塚喬君 いまのお答えは、土地沖繩では不明確だと、それから防衛上特別の事情があると、日米安保条約事情もあると、こういうことで特別立法をせざるを得ないんだと、こういうことで、沖繩県だけが特別の法の適用下に置かれると、こういうことをいま長官はお認めになったわけですね。私は、長官言葉を飾って答弁をされたわけですけれども、それは差別立法ではないですかと、こう聞いておるんですが、まあここで長官がどうお答えになりますか、ちょっと私もいま長官の内意を推測いたしておるわけですが、実質的には差別立法ではございませんか。
  20. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 差別立法という言葉自体が、非常な私は問題意識を持つものでございまして、しかし沖繩方々の気持ち、心情、そして先生指摘される点は私も十分理解はできるわけでございまするけれども差別ということよりも、特別な扱いをさしていただきたいという点から、沖繩の県内の地域について特別立法お願いを申し上げておる、まあそういうことで御理解を賜りたいと思うのでございます。
  21. 大塚喬

    大塚喬君 まあ長官は繰り返し特別の立法だと、こうおっしゃるわけですが、特別という言葉で仮に私が理解、納得をいたしたにしても、この問題は憲法第十四条の問題に私は重大な抵触をする、そういう疑念を消すことができません。  まあこの問題はまた改めてこの機会でなくて取り上げることにいたしまして、次に、防衛庁長官お尋ねをするわけですが、さらに防衛施設庁関係にもお答えをいただきたいと思います。  自衛隊用地に関する土地の収用法の適用について、この法案によりますと「駐留軍用地等」と、こう規定をされておりますが、その中身には、母屋を貸してひさしの中に自衛隊が入っておることは法文の内容から明らかであります。で、この法律によりますと、位置境界が明らかになった土地については土地収用法の適用または米軍特別措置法適用が予定をされる、まあこういう内容を持つものであるわけですが、自衛隊の用地、この用地を土地収用法によって収用しまたは使用することは、同法の明文、その法の中の文章に明らかなように、あるいは立法経過を通じてこれは重大な疑問を私は持っておるわけであります。と申しますことは、一つ土地収用法、これは土地を収用しまたは使用することができる公共の利益となる事業、これを制限列挙をいたしておるわけであります。その法の第三条に規定をされておるわけであります。で、右の公共事業には、自衛隊の用に供する施設は含まれていないばかりか、旧土地収用法、これが昭和二十六年に全面改正された際、旧法にあった「國防其ノ他軍事ニ關スル事業」、これは第二条の一号、これが公共事業から削除をされたという立法経過があります。当時の政府は、昭和二十六年でありますが、この審議に当たって、右削除の理由として、国防その他の軍事に関する事業を公共事業とすることは、新憲法のもとでは妥当ではない、こういう説明をいたしておるわけであります。これは昭和二十六年の五月二十一日、参議院の建設委員会における澁江政政府委員説明の中に明らかになっております。また、その後においても、軍事施設は公共の範囲に入れることは適当ではないとの政府側の見解に立った答弁が、昭和三十九年五月二十二日、衆議院の建設委員会における河野建設大臣の答弁の中にも明記をされております。これらの点からして、自衛隊用地についてこの法案土地の収用法の適用を予定しておる、こういうことは、これは重大問題であります。この点に関して防衛庁長官はどう見解をお持ちでございますか、明らかにしていただきたい。
  22. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御指摘の旧土地収用法が新しい収用法に変わった際の削除事項、それから、いま公共用地に対しまする建設大臣の特別立法に対する見解等の経過につきましては、ひとつ斎藤長官から説明をいたさせます。
  23. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) いまお尋ねの二、三点でございますが、まず、自衛隊用地には土地収用法の適用がないのではないかと、二十六年の土地収用法がつくられたときの経過からして……
  24. 大塚喬

    大塚喬君 削除をしたんですよ、わざわざ。
  25. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) これはただいまからお答え申し上げるわけですが、戦後新たに土地収用法がつくられましたときに、前の土地収用法に定めていた「國防共ノ他軍事ニ關スル事業」という文言を削除したという経緯は御指摘のとおりございますが、これは自衛隊を除外するために削除したのではなくって、新憲法のもとで再び昔の軍隊が生まれるということは考えられなかったという考え方でございます。自衛隊ができる前の昭和二十六年に土地収用法がつくられておりまして、その後自衛隊ができたのでございますけれども自衛隊は御承知のように、わが国の独立と平和を守り国の安全を保つことを任務としており、事務のうちでも国家の存立にかかわる大切な仕事である、そう思っておるのでございますが、これは土地収用法第三条三十一号に定めてございます「国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する」という文書がございますが、そういう施設に当たる、該当すると。したがって、自衛隊が使う必要のある土地の中に契約に応じてもらえない地主さんがおいでのときは、この土地土地収用法の適用があるというふうに考えておるわけでございます。  それから、昭和三十九年に、当時政府で軍施設を公共の範囲に入れることは適当ではないという答弁国会でしておるのかどうか、こういう御質問でございますが、この昭和三十九年の建設大臣の答弁というのは、土地収用法とは別の法律のことでございまして、公共用地の取得に関する特別法、これは公共の利害に特に重大な関係があって、しかも緊急に施行する必要がある事業のために、土地収用法よりももっと早く土地使用することができる方法を定めたものでございますが、この公共用地の取得に関する特別措置法の対象に自衛隊施設を入れないということをお答えになったものでございまして、土地収用法についての御議論ではなかったというふうに承知いたしております。
  26. 大塚喬

    大塚喬君 あなたの答弁は巧妙にまやかして、私の質問お答えいただけない。しかも、あなたの答弁の中には重大な問題の提起をあなた自身がなさっておられます。自衛隊の用地に土地収用法の適用、これはあなたのおっしゃることで言えば日本全土、沖繩県だけでなくて全部適用されると、こういうことをあなたはいま説明をされたわけですね、いかがですか。
  27. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 法の適用解釈の問題でございますので、この法律適用のあるところすべてについてお答え申しました。
  28. 大塚喬

    大塚喬君 私は沖繩の問題について、自衛隊土地収用法の適用が拡大をされると、こういう懸念から質問をいたしたわけですが、あなたは私の質問に対して、自衛隊の用地に関しては全国至るところ法的に土地収用法の適用が可能であると、これは政府の統一見解ですか、防衛庁長官お答えをいただきます。
  29. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) この点につきましては、実は沖繩復帰後からも国会において何回も問題の指摘がなされました。政府の統一的な見解としていま斎藤長官お答えをいたしましたような見解をとらしていただいてまいっておるところでございます。これは、まだ見えておられませんが、法制長官がやがておいでになると思いまするので、その際にも御確認を願うことも可能であろうと思うのでございます。統一見解としてそうした見解をとらしていただいておるところでございます。
  30. 大塚喬

    大塚喬君 至急に法制長官出席を求めたいと思います。  時間がありますので、次に住民投票の問題について自治大臣お尋ねをいたします。  憲法第九十五条には「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」という定めが厳然として明らかにされております。で、この憲法第九十五条の意のあるところは、差別特別立法制定に当たって、当該立法につき利害関係を有する地域住民の意思を尊重しようとする新憲法の精神、これであろうとも思うわけです。憲法第九十五条の住民投票の実施は、地方公共団体の組織、権限、運営についての特別立法に限らず、地方公共団体を構成する地域住民について、他の地域あるいは他の地域住民と異なる取り扱いを定める特別立法制定される場合に要請されるわけである、こう解釈すべきであろうと思います。先ほど防衛庁長官沖繩に関する特別立法である、こういうことのお答えをいただいたわけですが、どうしてこの法律制定する際に住民投票を実施なさらないのですか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 憲法九十五条につきましては、従来解釈上いろいろな議論があったと承知いたしておりますが、今日の通説におきましては、地方公共団体の組織あるいは権能に制約を加えるような、そのような特別法についてのみ住民投票が必要である、これが今日の通説となっておるわけでございます。したがいまして、この通説からまいりますれば住民投票を必要としないということになるわけでございまするが、しかし、事は憲法の解釈の問題でございまして、きわめて重要でありまするから、法制長官の見解にまつべきものだ、かように考えております。
  32. 大塚喬

    大塚喬君 この法案ですが、沖繩県に所在する特定の土地について、本土と異なった特別の強制使用認めることになる法律案であります。沖繩土地所有者に対する不利益な差別扱いを行う特別の立法であります。で、憲法第九十五条の内容から照らして、これは当然この九十五条の住民投票に付されなければならない、私はこういう立場を堅持し、そのことを強く主張するものでございますが、法制長官、どうですか、まだでしょうか。——  それでは、私がもう一度申し上げます。ひとつ法制長官答弁をいただきたいと思って御出席を願いました。  私が質問をいたしました趣旨は、この沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案、この法案がいま審議をされておるところでありますが、この法案内容は、沖繩県に存在する特定の土地について、本土とは異なった特別の強制使用認めておる内容である。さらに沖繩土地所有者に対する不利益な差別扱いを行う特別の立法である、そういう法案審議をいたしておるわけでありますが、このことは三原防衛庁長官からも、特別の立法措置であると、こういうお答えをいただいて、私はいまの質問をいたしておるところですが、憲法第九十五条の法意に従って考えれば、当然同条に定めておる住民投票が行われるべきではないか、行われて後にこの法案制定がなさるべきではないか、こういう、質問をいたしたところであります。
  33. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。  憲法第九十五条に言ういわゆる地方特別法に該当するのではないかという御質問のようでございますけれども、従来政府お答えしております線で申し上げますと、まず、ある法律が九十五条に該当するかどうかということを最終的に決定する権限は、その法律案審議された後議の議院の議長がお決めになるというふうに、地方自治法の二百六十一条だったですか、規定を読みますとそういうふうに書いてございますので、実は国会の方でお決めになるというのがたてまえなんです。  ただ、私の方に対して、それはそうであってもおまえの方はどう思うのかというふうな御質問であるとすれば、それは私の方の意見は申し上げます。申し上げますが、その九十五条に対する私たちの方の解釈は、従来からこの九十五条は憲法の「地方自治」という章の中に書いてあることからも明らかなように、これは特定の地方公共団体の組織なり権限なり、それにじかに適用される特別の立法、そういうふうに考えておりますので、今回の法案のように、なるほど特別な取り扱いを受ける土地沖繩県区域内にありますけれども、しかし、それはそこの土地について特例を書くだけであって、沖繩県という地方公共団体そのものの組織なり権限なりにじかに触れるというものではないのじゃないかと、そういう意味合いにおきまして、九十五条の特別法とは言えないというふうに実は考えておる次第でございます。
  34. 大塚喬

    大塚喬君 法制長官ともあろう方がずいぶんねじ曲げたお答えをいただくと、私はそういうふうに感じたわけですが、この法案、これは憲法第九十五条に基づく住民投票、これはこの法案のどういう解釈をしても住民投票で沖繩県民の意思を問う、そういう内容を持つものであると私はかたく信じておるところでございます。  で、憲法の中で地方自治に関する規定の中にこういう定めがあるということから、地方自治体の意思、そこに基づくという趣旨がございましたが、自治大臣お尋ねをいたしますが、沖繩県当局並びに沖繩県議会で、住民投票に付することを要請することが正式に国に出されておるのではありませんか、この事実関係について自治大臣からお答えをいただきたいと思います。
  35. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) そのような要請は出されておりません。
  36. 大塚喬

    大塚喬君 絶対にございませんか、食言ではありませんか。
  37. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 自治省に関する限り、そのような事実を承知いたしておりません。
  38. 大塚喬

    大塚喬君 防衛庁長官、あなたのところにはこういう要請が出ておりませんか。
  39. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 承知をいたしておりません。参っておりません。
  40. 大塚喬

    大塚喬君 それぞれこの席は一応お逃げになったようでありますが、これらの事実関係はひとつ調べれば明確になることですから、後刻この問題に関連して、重ねて、質問権利を保留して次に進みたいと思います。  この憲法第九十五条の適用、これに基づく住民投票が行われた先例、自治大臣からいままでのこの住民投票の先例をひとつ具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  41. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) お答え申し上げます。  私どもが承知いたしております地方自治特別法の住民投票といたしましては、一番初めに、広島市の広島平和記念都市建設法についての住民投票が昭和二十四年七月七日に行われております。以下、昭和二十六年七月十八日に、軽井沢町の軽井沢国際親善文化観光都市建設法によります住民投票が行われますまでの間、おおよそ約二十件ほどの住民投票が行われたというぐあいに承知いたしております。
  42. 大塚喬

    大塚喬君 広島の先例のお話があって、その他に約二十件ほどあると、こういうことでございましたが、これらの法律制定に際してとられた住民投票は、いずれもその地方公共団体に不利益を与えるものではなくて、むしろ都市建設、主として都市建設に当たって国が各種の財政援助を与えるという、そういう利益立法ではございませんか。利益立法以外に、不利益を与える、こういう立法の制定に関してとられた住民投票の例があるならば、その例を具体的に明示してほしい。
  43. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 先ほどお答えしましたような、広島でございますとか、あるいは軽井沢の国際都市でございますとか、従来住民投票が行われました立法につきましては、御指摘のとおり、一般的に当該地域に何らかの利益を与えるという形の法案であったと、かように記憶いたしております。
  44. 大塚喬

    大塚喬君 法制長官、いままで二十件も住民投票の例があったわけですね。で、今度の沖繩に関する立法、これはいままでとってきた住民投票、国が財政援助をして利益を付与する、そういう立法、そういう場合であっても全部住民投票をやって、特殊の地域に関する適用法律は必ず住民投票を、憲法第九十五条の適用を受けてきたわけであります。この沖繩の立法が法制長官は利益立法である、利益を付与する立法である、こういうふうにお考えになりますか、いかがですか。
  45. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 憲法九十五条の地方特別法に当たるかどうかということは、これはその法律が、つまり特定の地方公共団体に適用されるかどうかによって決まるものでございまして、それが利益を与えるか、不利益を与えるか、そこの住民に対して、ということによって決まるものではない。今度の法律は、なるほど先ほども申しましたように、地域的には沖繩県区域内というふうには限定はございますけれども、その法律の記述そのものは、これは沖繩県という地方公共団体に適用されるという内容のものではございませんので、それで九十五条の特別法には当たらないだろうというふうに考える次第でございます。
  46. 大塚喬

    大塚喬君 同質の質問自治大臣に行います。その後ろの方で、こちらの質問が大臣が聞き取れないような、そういう態度はやめてください。  大臣、いま申し上げましたように、いままで二十幾つかの住民投票の先例は、いずれも地域公共団体、地域住民に利益を与える、国の財政援助を伴う、そういう利益立法である。これと対比をして、沖繩のこのたびの特別立法は、明らかに地方公共団体並びに地域住民に対して不利益を、少なくとも権利の制限を行う、そういう立法措置であることは明白であります。このような場合に、この住民投票、これは自治大臣として、地方自治法を最も適切に施行し、その遂行に当たらなければならないはずの自治大臣として、この住民投票についてどうお考えになっておりますか。少なくとも沖繩県当局、それから各市町村、これは基地の撤去を求めて、平和で財産の完全な保全を願って、戦後三十数年努力をされてきた、苦心をされてきた、こういう実情の中で、この住民投票の実施について、自治大臣としてはどうお考えになっておりますかお答えをいただきたいと思います。
  47. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 先ほど、ただいまの通説においては地方公共団体の組織権限に制約が加えられざる限り、住民投票の必要なしということになっておるようでございますということを申し上げたわけでございますが、通説の立場から申しますれば、広島、長崎等においては住民投票をする必要がなかったと、まあこういうことになるものと理解をいたしております。ただ、繰り返して申しますが、問題は憲法解釈の問題でありまするから、これは法制長官の見解をまって判断すべきものだと考えております。
  48. 大塚喬

    大塚喬君 私は、繰り返し、このように特定の地域の住民に、そして地方公共団体に不利益を与える、こういう立法措置を図る場合には、必ず住民投票によって住民の意思を尊重する、そのことが立憲国家における、新憲法下における日本の地方自治のあり方だと、こう主張し、この実施を強く要求をするものであります。  それから、最後に一つ沖繩のこの基地の問題、これは新韓国条項、こういう内容等から推移を考えてみても、米韓日のいわゆる共同の使用、この三国軍隊の共同に使用される、そういう内容のものをいま私ども審議をしておると、こう考えるわけであります。本年一月にコープダイヤモンド作戦、こういうものが行われて、さらにこの四月にも日米韓の三軍の連合演習が行われたわけであります。そこに参加した部隊は、韓国の群山に基地を置く米第五空軍傘下の第三一四航空師団、それから鳥山基地から飛来をしたF4戦闘機、これらが沖繩基地に飛来をした。こういう事実を、私は四月に沖繩の現地調査の際に事実としてそのことを米軍責任者から話を聞いたわけであります。韓国の空軍が、あるいは海軍が、この沖繩基地に秘密に出入をしておる、そういう事実について確かめたところが、適当な言葉の回答がありませんでした。この事実関係、この沖繩米軍基地あるいは自衛隊基地、これが国連軍という名前のもとに沖繩基地の自由使用、こういう事実はございませんでしょうか。
  49. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいま先生のおっしゃいました中で、四月に日本と米国と韓国の軍隊が共同演習をやったというお話がございましたが、これは全くございません。  それから、本年の一月及び二月にコープダイヤモンドという訓練をやったことはございますが、これはたびたび大臣の方からも委員会その他で御説明申し上げておりますように、目標機として米軍の飛行機に協力をしてもらったということでございまして、これは在韓米軍の撤退問題が始まってから行われたものではございませんで、従来もしばしばやっていることでございます。さらに、昨日大臣からも御説明いたしましたように、第五空軍というのは隷下の部隊を沖繩にも、また韓国にも持っているわけでございます。したがいまして、この間でときどき移動しているということは事実としてあるわけでございますが、これは決して秘密というようなものでもなく、在日米軍が持っております機能の中に、これは日本防衛のために駐留しているわけでございますが、安保条約にもございますように、また極東の平和に寄与するために駐留している面もあるわけでございますので、そういった移動というものはあるのは間違いないわけでございます。
  50. 大塚喬

    大塚喬君 私はこの法案審議に、十分自分の意をここで明らかにして審議を尽くすことができなかったことを大変私自身残念に思っておるわけでございますが、この法案内容は、明らかに日米韓の一体化戦略の中枢拠点、沖繩米軍自衛隊基地、そしてその基地が朝鮮半島に立ちはだかる前進核攻撃拠点として、その総仕上げのためにこの法案が提出をされ審議をされる、こういうことに対して、大きな怒りを持って、そしてこの法案は、日本国民の悲願である平和、こういうことに大きな障害をもたらす、そういう内容法案である、このことの表明を強く申し上げて、一応私の本日の質問は終了させていただきます。
  51. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  52. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、沖繩県区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  53. 矢田部理

    ○矢田部理君 まず外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、沖繩の公用地暫定使用法が、本日の経過を待って期限切れとなることは明らかとなりました。つきましては、外務省としても、対米関係を考慮して、アメリカに現在の状況、今後の見通し等について外務大臣から話をしたと伝えられておりますが、どんな話をされたのでしょうか。
  54. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私からは直接お伝えはしてございませんけれども、担当のアメリカ局長から当地の大使館に対しまして審議の状況を連絡をとっておるところでございます。まだ、私どもといたしまして、この法案期限内に成立していただけるのではないかということを心の中で祈っておるところでございます。
  55. 矢田部理

    ○矢田部理君 その祈りがかなえられないということが明らかになっておる段階で、どんな経過説明をしたのですか。
  56. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 昨日までのところ、本日の御審議をいただけるものということでこの状況を当方から連絡をとっております。しかし、なかなか情勢が厳しいということも当然先方にも伝えてあるところでございます。
  57. 矢田部理

    ○矢田部理君 十五日の午前零時を期して、沖繩に駐留する米軍基地使用、これは一言で言えば不法占拠という状態を招くことになるわけでありますが、これについてどういうふうに説明をされ、どう取り扱っていくつもりなのか、対米関係の上での考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 十五日の午前零時におきましてこの法案が成立いたしません場合には、日本政府といたしまして、この土地使用につきまして、契約に応じていただけない地主の方の土地につきまして政府が非常に困った立場に立つわけであります。アメリカ政府には、日本政府責任を持って基地を提供する義務を負っておるものでございますから、その責任はもっぱら日本政府立場になるわけでありまして、したがいまして、その責任米軍ではなくして日本政府の側にある、当然のことでありますがそのように考えておるところでございまして、政府といたしまして、この権原に空白が生じないように最善の努力をしておるということを申し上げておるところでございます。
  59. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、望月邦夫君が委員を辞任され、その補欠として上條勝久君が選任されました。
  60. 矢田部理

    ○矢田部理君 日本政府にその責任があるということはわかりました。どういう責任があり、その責任をどうとろうとしているのかを伺いたいと思います。
  61. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 日本政府といたしましては、法的な根拠、この法的な根拠を何とか継続していただきたいと、そのために最善の努力をしておるということを申し述べているのでございまして、これ以上の方法はちょっと考えられないところでございます。
  62. 矢田部理

    ○矢田部理君 沖繩で再び三たびこのような重大な問題が発生するゆえんは一体何であったのか、そのことを政府は厳しく反省をしてみる必要があるんではないでしょうか。太平洋戦争の末期に日本の軍隊があそこを強奪的に土地を取り上げていった、その後に米軍が占領をした。この米軍沖繩住民に対する土地をさらに拡大した収奪は、ヘ−グの陸戦法規に照らしても違法だというぐらいそのやり方はひどいものであります。その後、アメリカの異民族支配のもとで沖繩の住民は非常に苦しんできた。布告とか布令体制のもとで、これもきわめて、国際法的に見ても日本の憲法の上から見ても違法、不当な行為がずっと行われてきた。沖繩返還協定が五年前に締結をされました。その違法、不当な状況を今日まで継続をしてきた、その核になったのは米軍基地、あそこに依然として広大な土地米軍に占有させ、アジアの前進基地として、最大の軍事拠点としてあそこに基地を置いているからにほかならないと思う。その点について政府当局や外務当局が基本的に反省をしておるのかどうか、どうながめているのか、そのことがいま問われているんではないでしょうか。外務大臣の見解を求めたいと思います。
  63. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 沖繩におきまして米軍使用している基地が非常に広範にわたっておる、そのこと自体からも沖繩県民に大変な負担がかかっているということは、私どもも十分認識をしておるところでございまして、沖繩におきます米軍基地の整理と申しますか、その計画につきましては最善の努力をしてきたところでございまして、今後ともその方向で努力を続ける所存でございます。現在におきましても、まだ現地の住民感情というものに戦争後のいろんなしこりが残っておることも十分存じておるところでございます。したがいまして、なるべく現地の住民の方々に御理解を願いながら、そしてなるべくこの基地が返還できるものは返還できるように今後とも最善の努力を続けてまいりたい、こう思っております。  ただ、しかしながら、今回、政府の提供する義務がありますのにその法律的な根拠を欠くということは、大変これは、条約をとにかく結んでおるのでございますから、この条約を果たす義務は、これは日本政府にあるというので、私どもといたしましてこの法案が一日も早く成立さしていただきますことを心からお願いを申し上げる所存でございます。
  64. 矢田部理

    ○矢田部理君 沖繩の問題は、特に最近基地との関係で申し上げますならば、カーター政権下の在韓米軍の撤退に伴って基地機能がより一段と強化されようとしています。とりわけ海兵隊の基地として、あるいは自衛隊との共同訓練の基地としていろんな問題が出てきていることは御承知のとおりであります。在韓米軍の撤退を沖繩が受けざらになるのではないかという心配も非常に強く沖繩の人たちは持っているし、その中で、韓国にあると言われているアメリカの核兵器が沖繩に持ち込まれる危険性も高まっている、現にそのような動きがあるというようなことについて外務省はどう考えるのか。そしてまた、今後基地を縮小していくという方向を外務省がいまお話しになりましたけれども、その基地の縮小なり基地の住民に対する返還なりの見通し、具体的な計画はどうなっているのか、その辺も含めてお話をいただきたいと思います。
  65. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 韓国の米軍、特に地上軍の撤退の問題に関しまして沖繩基地が負担が加重されるのではないか、また核兵器が韓国から移されるのではないかというようなお尋ねがたびたびあったわけでございます。三月に福田総理大臣のお供をいたしましてワシントンに参りましたときにも、バンス国務長官にお目にかかって、そして日本としてはこのような議論が現にあるということを申し上げ、そのようなことは絶対にないはずであるということを確かめてまいったわけでございます。御承知のとおり、アメリカの核兵器に関する取り扱いといたしまして、核がどういうふうに動くとか、どこにあるとかないとかいうことは、表面から言わないということが先方の態度のようでございます。しかし、沖繩に関する限り、返還のときにいわゆる核抜きの返還ということを条件にしてそれを実現されたわけであり、しかもその後の核の持ち込みは重要なる装備の変更であるということで事前協議の対象になっておるということで、そのような事前協議は一切政府は受けておらないわけでありますから、したがいまして、その帰結といたしまして、現在沖繩に核兵器があるということは絶対ない、このように私ども考えておるということを申し述べて、先方もそのとおりだということを申しましたので、核兵器が沖繩にないということは私は確かであると、このように考えるところでございます。  なお、基地の問題につきまして、アメリカ局長から御説明を聞いていただきたいと思います。
  66. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 政府といたしましては、沖繩県におきまして、本土に比較して米軍施設区域の密度がきわめて高いということについては非常に深刻に認識しておりまして、この点は、現地の要望とか、沖繩県におきます開発計画の推進、あるいは民生安定の確保等の関連をも踏まえまして、また、安保条約の目的達成との調和も図りながら、沖繩県における米軍施設区域の整理統合の推進には努力してまいった次第でございます。その結果、御承知のとおり第十四回、第十五回及び第十六回の日米安保協議委員会におきまして、沖繩にあります米軍施設区域の整理統合計画が了承されました次第でございますが、これを実行いたしますには、地元関係者との調整とか、あるいはその移設先であるとか、あるいは移設に必要な技術的な検討とか、さらに一番大事な問題として移設に要する経費等の問題もございまして、この三回の安保協議委員会において了承された計画が、まだ全部実施されていない次第でございます。この点はわれわれとしても遺憾に思っておりまして、さらにそういう米側との折衝あるいは地元の皆さんとのお話し合いを進めて、また、予算的裏づけについては、今後とも防衛施設庁、その他関係官庁とも連絡をとりまして、整理統合計画ができるだけ促進されるように今後努力してまいりたいと思っております。いろいろなそういう問題があることは事実でございますが、外務省としては今後とも整理統合を進めていくという方針には変わりはございません。
  67. 矢田部理

    ○矢田部理君 五年前の沖繩国会の際にも同じような答弁が基本的には出されたわけであります。その後五年間の沖繩の状況を見ておりますと、全く基地を中心とする状況は変わっていない。のみならずベトナム戦争の終結によって、むしろそこ  の部隊が沖繩に戻ってくる、再び朝鮮の米軍沖繩に移駐をする、さらには全体の基地機能が強化をし、そこへ自衛隊まで強制配置をされ、共同と分担がより一層進められている。そういう意味では、以前にも増して基地問題は事態は深刻になっている、状況は拡大をしているというのが私は率直に言って今日の状況だと思うんです。その意味では、公用地暫定使用法をただ五年間延ばす、こんなことで問題の解決があろうはずはありません。何としても、基地問題を一刻も早く、対米関係の上でも国内政治の上でもきちっとやっぱり解決をしていく、その意味では安保条約や安保体制そのものを基本的にやっぱり考え直していくということが沖繩問題解決の出発点であり、基本だと私は思うわけであります。その点外務省としても十分留意をして、これからの施策の推進に当たっていただきたいと思うし、とりわけ基地の縮小、基地の撤去、このことに最大の努力を傾けてほしいということを強く要望して、外務省に対する質問は一応終わりにしておきます。  木野理事にお尋ねをしたいと思いますが、木野理事が出された修正案、これで沖繩地籍問題は解決すると責任を持って述べられますか。
  68. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 御承知のとおり地籍問題は非常に複雑なむずかしい問題でございます。しかしながら、ぜひとも解決しなければ沖繩の民生の安定、経済の安定その他に資せないと思いますので、私たちは今回の案を出したのでございます。それで、従来からの方式その他はまた申し上げますが、私たちのいたしましたのは、基地の内外を問わず行うということと、それから、基地の外は沖繩開発庁長官、準地の中は防衛施設庁長官ということにいたしました。それから五年を目途にやるということにいたしました。これで私たちは、趣旨説明で申し上げましたが、地籍明確化作業はおおむね五年間に完了する見通しであると、こう申しておるわけでございます。五年間でおおむね完了できる見通しであるということでございます。
  69. 矢田部理

    ○矢田部理君 きょう私は少なくとも数時間、できれば十時間ぐらいの質問を、きょうというか、本委員会に求めているわけでありますが、さしあたりきょうの時間は限られておりますので、かいつまんで、あなたが修正をされた法の中身について具体的に質問をしていきたいと考えています。  これは、従来沖繩開発庁がとってきた集団和解方式を基本にしているように思われます。政府にはそれを援助し最終的には勧告するという権限しか持たされていない。和解というのは御承知のように強制力があります。強制力のない和解方式、これでどうして解決ができるか。政府責任を明確にし、合理的な方法で民主的な手続も十分に踏んだ上で最終的には政府責任で決着をつける、こういうことが基本に備わらなければ沖繩地籍問題は解決をしない。和解方式というのは、一人でも反対をすれば、一人でも異議を述べれば全部がだめになる。このところをどうするのか、まず伺っておきたい。
  70. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 現在まで政府が進めてきております方式は、いわゆる集団和解方式でございます。集団和解方式の問題点といたしますと、ただいま先生が御指摘になりましたとおり、一人の人でも反対あった場合にはそれができないという点でございます。集団和解方式で鋭意努力いたしておりますが、実はそういったケースで頭をぶっつけておる問題があるのは事実でございます。そこでこの問題につきまして、政府が出なければ、行政決定をしなければ解決しないという御意見もございます。実は社会党、公明党、共産党三党案といいますものは政府決定を行うというのでございます。それとともに、実はきょう午前中の委員会で社会党の先生から質問出ましたときに、飛行場の問題でございますが、そのときに政府決定とは一体何事だというふうなことで、この私権の決定が非常にむずかしいのでございます。もとより三党案につきましても、直ちにすぐに行政決定するという案ではございません。いろいろその間に相談をし合って、審議会を経て大多数の意見が合った上で最後にということでございます。そういうことで、行政決定の必要ありという意見が出されておるのはこれまた事実でございます。私もこの問題いろいろ考えたんでございますが、実は集団和解方式を鋭意進めてきておりまして相当実りつつあると、このように私思うわけでございます。もとより、先ほど申しましたとおり集団和解方式はいけない、にっちもさっちもいかないという問題もあるかと思いますが、集団方式は着実に進んできておる、あと一歩推し進めたらと、こう思いますし、県の担当者もそういった意見も伺えるわけでございます。それで私たちは行政裁定をとらずに、直ちに行政裁定をやるという考え方はまだ検討の余地があるということで行政勧告をしたのでございます。行政勧告は、決定がないんだから問題の解決にならぬと言ってしまえばそうでございましょうけれども、従来よりも相当、数段進歩いたしておりますし、特に行政勧告いたします場合に、先生も御承知のとおり航空写真その他資料が出てまいっております。そういったのも添えて、そうして審議会の議を経てやれば相当実効は上がるんじゃないか、このように思うわけでございます。
  71. 矢田部理

    ○矢田部理君 これは地籍が明確になっているところでも境界争いとか、土地争いというのは絶えないというのが現実なんですね、裁判所の訴訟事件等見まして。だから、集団和解方式で一定の程度は進むでしょう。現に沖繩県の努力によってそれなりに前進している地区があることは事実であります。しかし、そこでできないときにどうするかがいま問われているんじゃないでしょうか。現に、たとえば後で幾つかの実例を申し上げますけれども、そのときに政府責任解決をしなさい。私は直ちに政府が権力を発動しろなどということを言っているつもりはありません。決定権を発動するに当たっては、いろんな民主的な手続、一人一人の財産権、基本的な権利の問題でありますから、それは慎重な手続や、それぞれの意向を十分に反映させるような仕組みがなければならぬことは当然であります。しかしながら、本当にこの問題を政府責任において解決をするということであるなら、和解方式はもともと任意のものであります。勧告にも強制力がありません。そこでは片がつかない。その結果、時間がたってしまえば、古くから土地境界を知っておった古老の人たちや、土地の状況を知っている人たちはもうかなり老齢化しているわけですね。だから、ますますその当時の状況がわからなくなってしまうというのが今日の状況なんです。五年間で見通しをつけると言っても、五年だって私は遅過ぎると思う。その五年たったときに、結局片がつきませんでしたと、こういう説明を私は聞きたくないんであります。その点で、少なくとも修正案提案する以上、責任を持って解決できると言えるのかどうか。少なくとも制度的には解決の方法はないと、盛られていないということが一番この点の問題点だと思うんですが、それは結局和解と勧告に従わなければどうにもならぬという法案でしょう。それはお認めになるわけですね。
  72. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 先生の御意見も、この地籍明確化は早急に解決しなきゃいけないということでございます。私たちも、地籍問題は早急に解決しなきゃならぬということでございます。私は、先ほど申し上げましたとおり、五年間目途にこの案ならいけるということで出しておるのでございます。  そこで問題は、先生の御意見だと、この問題は最後に政府が決めなきゃ決まらないんじゃないかと、政府の意見ないしは勧告といっても、強制力ないものでございますから、それだけではだめじゃないかという御意見でございます。そこで問題は、法制的な問題と、また実際の問題とがあるわけでございます。私は、実際的な問題といたしまして現在集団和解の方式をやっておる。そして、県の当事者に聞きますと、この方式で鋭意結実しつつあると。そして、さらにわれわれの案でまいりますと、何年でできるんだと言いますと、航空写真その他出てまいりまして、ただいま先生のおっしゃいました古老の意見を聞く、その他航空写真その他出てまいりまして、それをもとにしまして物証を尋ねますとそれが出てくるというふうなことで、現在の方式でいきますと、基地内では五年でできるという話でございます。それから、沖繩民地の場合には、地籍が非常に少ないのでございますが、非常にこれは問題がむずかしいのでございます。それも五年目途に解決できましょうと、できますと、こういうことでございますので、私は集団和解方式が興りつつあるときに行政決定の方式、もとより先生のおっしゃいましたとおりいますぐやれというのではないかと思いますが、それをいまここでやりますよりもう少しこの集団和解方式、そして行政勧告の線でまいるのがいいんではないかと、こういうふうに仕事の面として決めたわけでございます。  それから行政決定の場合の問題点といいますのは、政府が決定するというのが最後の線でございます。ところが法制局その他に当たってまいりますと、わが国の民法体系といいますか、私権体系では、この境界線の問題といいますのは、これは両利害者の、利害者同士の争いという形で考えておる。したがいまして、その争いがある限りにおいて登記できない。またそれとともに最高裁判所への提訴の道をふさぐわけにいかない、したがって、行政決定を出したからといいましても問題がありますのと、またいわゆる地籍明確化に直ちに解決にはならないということでございます。そこでこの三党案を出されました方々の御意見聞いてみますると、自分たちもこれをいますぐやれと言っているわけじゃないんだと、その前に審議会とか、そういった方式を決め、三分の二以上の人がやったときにやるんだと、軽々にやろうということを考えておらない、それとともにできるとあるんだから、何もこれをやっていけというわけじゃないということでございますが、御承知のとおり、できるといいますのは、権限を書いたできるでありまして、書くからにはやはり誠心誠意これに努めるということでございますので、やはり行政決定は時期が早いと、また問題もあるということで行政勧告にいたしたわけでございます。  以上、その実務の点、仕事のぐあいと、それから理論的な問題と、この二面から私たちはいまのところ最大限できますのは、そうして一番適当であるのはこの行政勧告の線である、そうしてこれをば計画的に進めることによりまして、そしてまた補償その他の点につきまして考えることによりまして、そうしてまた基地の内外をやることによりまして、五年間目途にできると、このように判断したのでございます。
  73. 矢田部理

    ○矢田部理君 私も沖繩の現地に何度か調査に行きました。防衛施設庁は航空写真を中心にして若干の作業を進めている状況も視察をいたしました。航空写真なんていうのは一つの資料なんでありまして、沖繩土地の現状は、戦争や戦後の軍事基地の収奪によって大きく変わってしまった。細部に至ってまであそこでやるというやり方は実は大変問題なんであります。またあなたは県のことを出しました。政府がやらなかったために県が大変な努力をして今日まで地籍調査を進めてきた。その壁が、政府のような手法では限界に来ていると、沖繩の人たちの努力にもかかわらず、非常にもうむずかしくなってきている、何とか政府責任でこれを決定するような特別立法をつくってもらえないか、これが沖繩県の声ですよ。県庁自身がまたその推進役になったわけでしょう。県が、集団和解方式は実りつつあるからそれでもう大丈夫だなどと言っているかのような説明をしておりますが、それは全くでたらめですよ。私たちは、社会党を中心にして各党でつくった案は、われわれが頭で考えた案ではなく、沖繩の県と十分に密接な連絡をとりながら、沖繩県民の意向を的確に反映させながら立法作業を実は進めてきたわけであります。あなたの言うことは当を得ていない。その意味で、集団和解方式、話し合いで進めるというのはわれわれも反対はしません。事柄の第一段であるし、非常に重要なところでもあります。しかし同時に、構成的にこの問題を考えていく場合、政府責任でこの問題を最終的に決着をつけていく場合に、すぐ発動しろなどと言っているわけではありませんけれども、その責任を最終的に明確にすることが、まさに立法の一番のポイントでなけりゃならぬというのが私たちの考え方なんであります。それを外したこの案、基地内だけじゃ都合悪いから、抵抗が大きいから、基地の外にまでこの法案を拡大をしたと。それは一つの前進かもしれません。基本的にはこれでは解決にならぬ。  そこで、具体的に伺っていきたいと思います。この法案では、土地境界明確化に関して協議及び確認が得られない場合の措置が講じられておりませんが、その場合にはどういうふうにされるつもりですか。
  74. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) ただいまのお答えをいたします前に、先生のおっしゃいました点につきまして私からさきの説明が不十分な点がございましたので申し上げます。  私たち県の意見を聞いたと申しましたが、県の意見は、集団和解方式で進めてきたが、この問題解決のためにはやはり行政決定をしてもらわなきゃ困るということでございまして、それをもとにされまして三党案ができていると、この意味でございます。私たちいま申しましたのは、県としてと言うよりも、沖繩県に参りましていろいろな方々から聞きまして、集団和解方式が実りつつある、こういうことで御理解願いたいと思います。正確に申しますと、先生のおっしゃったとおり、三党案は県の何をもととしてやっておられます。そのことは十分わかって、先生の申されたとおりでございます。  それからもう一つは、私たちの案が、基地の中だけでは都合悪いから基地の外もやってしまえと、こういうことで、もしお考えでございましたらこれは大きな間違いでございます。実は、この地籍の問題は、これは沖繩の民生の向上、経済安定その他根本をなすものだということで、私趣旨説明を申し上げましたとおり、軍用地の問題はもとよりのことでございますが、その他一般の日常生活にも非常に支障を来しておりますのでぜひとも解決したいと、こういうことで考えておりますので、その点は先生理解願っておると思いますが、ただいまお話ございましたので、私から一言申し上げる次第でございます。  それから、ただいまお話しの集団和解をやっておるが、最後、とどのつまり話し合いに応じないのがあるじゃないか、そのときにはどうするんだといいますと、行政勧告でございます。
  75. 矢田部理

    ○矢田部理君 これははっきりさせておきたいのですが、私が聞いたのは、土地明確化に関して協議及び確認が得られない場合ですよ。最終段階の勧告を言っているのじゃないですよ。いろいろな手続、手順があるわけですね、この規定によっても。この前段の段階で、そこも勧告しちゃうんですか。
  76. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 行政官庁が、確認もできない、判断もできないというときには勧告すらもできないわけでございます。
  77. 矢田部理

    ○矢田部理君 だから、境界の確認ができない、あるいは協議が得られないという場合には勧告のしようもないということになるのではありませんか。
  78. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) その先生のおっしゃいます、確認できない、それから協議調わないという場合でございますが、県当局ないしはその他の官庁の実施機関の長の方で確固たる資料があり、そうして、審議会の意見を聞きまして、これは勧告すべきだという段階では勧告に乗り切っていいわけでございますが、御承知のとおり十三条という条文は、本人から勧告の申し出があったときということでございますので、その点はただいま先生のおっしゃったとおり、本人たちから、争うておって、そうして決まらない決まらないと言っておる、そうして勧告の申し出がないと、このときには勧告のしようがないわけでございます。
  79. 矢田部理

    ○矢田部理君 そのとおりですね。  それから、地主の人たちが地籍を確定するに当たって、政府としてはどういう援助をすることになるのでしょうか。非常にこの修正案はその点が不十分である、具体的でない、弱いという印象が強いわけでありますが、その点どうお考えになっていますか。
  80. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 先生のおっしゃいましたとおり、この地籍明確化につきまして、強い線を出せば政府決定でございます。それから、弱い線を出しますと当事者閥に任しておけと、意見も言わないということでございます。私たちは、従来は一番弱い線であったということでございますが、実際問題としましては、県当局その他が努力されておりますので、相当実効を上げておったと思うのでございますが、線としましては一番弱い線であったわけでございます。この審議の途中におきまして意見を述べるというのが出てまいりました。しかし、それじゃだめだということで勧告というのにしたわけでございます。しかしながら、先生のおっしゃった点からいきますと、不十分であると、ないしは弱いということは言えると思います。
  81. 矢田部理

    ○矢田部理君 先ほどの質問、私は、最終段階で勧告か決定かという問題を申し上げたんです。最終段階に至らない、つまり当事者の協議等を主体とするに当たっても、なかなかこの土地の人たちだけではまとまりにくい状況があるわけですね。それに対して、政府が、境界調査するに当たって、あるいは地籍を確定するに当たって、どう積極的な援助をしていくのか。単なる資料を交付して援助措置を講ずるという程度では、地元の人たちに対する助成援助が足りないんではないか。係官を配置するとか、専門家の委嘱を政府責任で頼むとか、さらには費用の負担をするとか、もうちょっと具体的に、明確にしていかなければこの問題は進まないのではないか。その点の政府責任地籍を確定するに当たっての調査段階でもきわめて不十分、弱いというのが私の意見でありますが、その点どうお考えになりますか。
  82. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 先生の論点よくわかりましたが、ただいま話を初めにしておりました、最終段階で行政裁定いかんという問題、これはこれといたしまして、その他、初めからずっと段階があるが、その各段階段階において政府の援助指導、そういったのはどうかという点でございます。私たちは、従来のやり方を見てまいりますと、県がやっておったような次第でございまして、沖繩開発庁はそれに対して裏づけをしておったということかと思います。その間に、県と開発庁関係ございますが、いわゆる法律的にこういった関係だということはなかったと思うわけでございますが、今度の修正案によりまして、実施機関の長は基地の外でありますと沖繩開発庁長官とはっきり書きまして、そうして県に対しまして委任をするということにいたしてございます。したがいまして、これから後は県と開発庁一体となりましてそうしてやってまいるのでございまして、私も、この法案の大きな仕組みその他はなにいたしましたが、あと、それじゃどういうことになってやっていくのかというような点は開発庁なりにお聞き願ったらと思うわけでございますが、従来は、先生指摘されましたとおり県でやっておりました。それに対しまして、開発庁が、政府が裏づけをしておったということでございますが、これから後はこの法によりまして相当びっしりした仕事ができると思う次第でございます。また、資料その他どうするんだということは、これは、そういったことでございますから、当然のこととしてやらすべきである、このように思っております。
  83. 矢田部理

    ○矢田部理君 開発庁長官とか、施設庁長官実施主体になるということは、法文上の規定からありますが、その実施主体が具体的に調査を進めるに当たって、実際にやるのは地主の人たちですね、これを積極的に援助をしていく、実施主体の問題だけではなくて責任を持ってその調整を進める、財政的にも技術的にも。実際私も現地に行ってみますと、もう大変な、土地を掘り起こして、もとの境界ぐいがないかどうか、この辺に小川があったはずだけれども小川がどうなっているだろうか、こういう土木工事まがいのことを、大変方々で掘り起こしたりしてやらざるを得ない状況なんですよ。それについて具体的な裏づけ措置、専門家の配置、あるいはまたその積極的に係官を常駐させると、財政援助だと、援助じゃなくてこれは国の責任で全額やるべきだと思いますけれども、そういうことのやっぱり規定がないと、単に実施主体の長はこの人に決まったんだからということだけでは不十分ではないか、また実際に進まないのではないか、その点でも国の責任を明確にすべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  84. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) この地籍明確化の問題は、今度修正案できましたが、非常に早急の間に取りまとめたわけでございます。早急の間といいましても、そのかわりみっちりと勉強いたしておりますが、急な間にとったわけでございます。したがいまして、当初基本法でいこうと思ったのでございます。私は基本をつくるだけでも、五年間にやるんだということだけでも進歩じゃないかと思ったんでございますが、この際実施法的なものをつくれということになりまして、そのときの私たちの考え方実施的なものを取り入れるということでございまして、実は三党案から非常に具体的な実施につきましての方策が出ておるわけでございます。また民社党、新自由クラブの方からもいろいろ意見出ておりまして、そういったのを取り入れてやるということになりまして、ただいま先生のおっしゃいました点、これは三党案にも相当詳しく書いてございます。先ほど申しました行政裁定の点は、これは取り入れることをやめたのでございますが、その他の点につきましてはできるだけ取り入れるという考え方で私は法案考えました。その場合に先生のおっしゃいました、実施機関の長はこれだと決めても、その資料その他についてはもっとやるべきじゃないかということがございまして、三党案にはその点書いてございます。私はほぼそのままの形でこれを取り入れまして、先生のおっしゃいました点は十一条と申しますか、十一条に「協議に対する援助」ということで、実施機関の長は資料の提供、その所属の職員の派遣その他円滑に行われるために必要な援助を行わなきゃならぬと書いたのでございます。この辺の関係の条文は一連してすべてそうでございますので、そのように御理解願いたい。先生の御指摘の点はまさに必要であり、それは織り込んだような考え方でおるわけでございます。
  85. 矢田部理

    ○矢田部理君 そういう規定があることはわかるんですよ。ただこの規定は、資料等を交付して単なる援助措置を講ずるというだけにとどまっておって、私が申し上げたいのは、政府責任調査をするんだと、つまりどう決めるかじゃないですよ。決める前提として、単なる援助だけではなくて、調査そのものも最終的には政府責任でやるんだと、こういうことまでしなければ実際には進まぬのではないかというのが私の意見なんです。
  86. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) それがまさに「実施機関の長は、」ということでございます。
  87. 矢田部理

    ○矢田部理君 それはやっぱり主体の問題と調査責任の問題とを少し混同され過ぎているわけですが、その点が一つ問題となっています。それから、いまあなたが実施機関の長について触れられましたので、そのことについても敷衍しておきたいと思うのであります。  沖繩開発庁長官が実施主体になることはわかります。また、そのことが政府責任を最終的にとる意味でも重要だと思いますが、土地問題などには全くなじみのない防衛施設庁長官がこれまた一方の実施主体になっている。すでに航空写真などで中では幾らか作業をやっているようでありますが、これは土地問題、地籍問題を解決するに当たってはとんでもない話なんですよ。こういうやり方にも一つ大変問題がある。その点で私たちは沖繩開発庁長官を中心とする政府責任、このことにすべきだという意見を強く持っているわけであります。なぜ防衛施設庁長官などという人に、防衛施設については専門家かもしれませんが、地籍についてはど素人ですよ。個人の問題ではなく親しまない官庁ですよ。こういうところに一方を預けてしまった。この辺は大変沖繩の人たちも不信に思っているわけですよ、けしからぬと思っているわけですよ。その点について一言だけで結構ですから。
  88. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) ただいま先生のおっしゃいました点も私たちの大いに議論、研究したところでございます。沖繩開発庁長官一本でいいんじゃないかというのも一つの御意見でございます。三党案は沖繩開発庁長官一本でということでございます。政府原案によりますと基地内だけやることになっておりまして、防衛施設庁長官がやることになっております。この政府原案に対しましては、先ほど申しました基地内だけでやるというようなことは、これは話にならぬと私も考えますので、全部をやると。その場合にどうするかということでございますが、私たちは、基地の中は防衛施設庁長官基地の外は沖繩開発庁長官がやるのが一番実情に即し適当である、このように考えたのでございます。
  89. 矢田部理

    ○矢田部理君 いまの説明で納得はできませんが、そこでまた問題になってきますのは、たとえば三条で実施機関の長が計画を作成することになっておりますね。この計画作成に当たって、土地利用との関係から言えば沖繩の県内、関係市町村と十分に協議をして計画を詰めるというのが筋だと私は思うわけでありますが、どうしてこの政府機関だけの協議で、あるいはまた計画策定だけで進めようとしているのか、地元の意向は一体どうするのか。この点を制度的に裏づけしなかったのは法の欠落だとも思えるわけですが、その点いかがでしょうか。
  90. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 先ほど申しましたとおり、実施機関の、長は、沖繩県に、また支分部局に委任いたします。そういった関係でこれは従来よりもびしっとした線ができたということは言えると思います。それから、いまの地籍明確化のための処置に関する計画を立てなければならないというこの条項でございますが、私たちまず考えましたのは、五年間区切って五年でやれということをまず書きたいということがまず頭にございました。十年かかるというようなことではいかぬので、五年を目途にやれと、そうして、従来県がやっておりました作業につきまして、人員、予算その他もつけてやるようにしてやろうということで書いたのがその条文でございます。いま先生は、そのことはもう当然といたしまして、そういった計画をつくるときに関係市町村なり関係者の協力が要るんじゃないかと、その点が抜けておるということでございますが、私たちこの条文をつくりますときに、さっき申しました開発局と県との関係は委任ということでございますから、この間は委任に対する権限の付与と、委任に応ずる義務ということでそれはございます。それから、関係市町村の協力ということでございますから、それでこれをばカバーできると思います。それから審議会の構成その他は、そういった方々を入れるか何かいたしまして、その意見を聞いて、これは十三条でございますが、十三条の場合にはそういうことでやっていきたいと思っておりますが、先生指摘のこの場合にも協力するということを書けば一番いいんだと思いますが、四項に、「沖繩県及び関係市町村は、」「明確化のための措置について協力しなければならない。」と、こういう条文がございますので、それで協力を求め、また協力してもらうと、こういうことでいきたいと思います。各条項でそれぞれ協力してやっていくという気持ちはなにしておりまして、必要なところは書いてございますが、ただいま先生のおっしゃった点は、四項にありますこの文言で読もうと思っておるわけでございます。
  91. 矢田部理

    ○矢田部理君 ずいぶん無理な説明じゃありませんか。一項は計画を定める規定ですよ。その定めた規定に従って措置が出てくるわけです。その措置段階関係市町村の協力を求める、協力義務を規定する、こういう関係なんで、私が申し上げているのは、計画の段階で県なり市町村なり、関係者なりの意向をやっぱり十分反映させなければならぬ、その規定が置いてないではないか。これは国土庁関係するわけです。防衛施設庁などという全くこの土地地籍確定にはなじまない官庁を実施主体にして、逆に専門的に地籍調査などをやらなければならぬ国土庁を外していく、このやり方もおかしいと思います。当然のことながら、これは法務省や国土庁や、そういう意味での関係機関を入れるべきだし、それ以上にやっぱり地元の意向を反映させて、そして計画をつくっていく、立案段階から参画をさせていくというのが筋だと思います。その点もう一回、どうするかということを伺いたいのと、それから、国土庁も全然参加していないわけです。これについて国土庁の見解と、あわせて伺いたいと思います。(「議員提案のあれに政府委員が後ろから耳打ちするというのはどういうわけかね」と呼ぶ者あり)
  92. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) いま耳打ちされたといいますのは、この件ではございませんからひとつ御了承願いたいと思います。法案は私がっくりましたので、私から耳打ちすることはありましても耳打ちされることはございませんので、その点はひとつしかと御理解願いたいと思います。  それから、問題点は、先ほど申しました基地の内外を開発庁でやるべきじゃないかと、これが一つ考え方でございます。それに対しまして、基地の中を防衛施設庁長官基地の外を開発庁長官とした、そこはどうかという点でございます。  私のお答えは実情に即しそれが適当であるというお答えをいたしたとおりでございますが、その点で御理解賜ったと思っているのでございますが、その点でございますが、防衛施設の中は、開発庁の人が行ってそこへ入るということは自由にできないわけでございます。それは施設庁の方がいいのじゃないか。また、現在集団和解を整えておりますので、これに当たっておりますのは防衛施設庁の職員でございますから、それがいいのじゃないかと、こういうことでございまして、先生の御指摘から言われますと、開発庁一本が少なくとも理論的に正しい、ないしは考え方としてその方がすっきりするということかと思いますし、むしろ問題を出すならば国土庁じゃないかという御意見だと思います。私は、この点につきましては、実情に即しこのようにしたということを申し上げた次第でございます。  それから、計画についても関係市町村の協力が要るんじゃないかと、一項にそれを書くべきじゃないかと。私いま四項に書いてあると言いましたが、四項は計画の後の問題のときであって、一項に抜けているじゃないかという御指摘でございます。そこで、私のお答えとしましては、条文をちょっと忘れましたが、関係市町村は、委任しそして協力すると、こういうのが頭にあるのでございますが、そのことでひとつ御理解願いたいと、こう思います。
  93. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 沖繩県における復帰後の地籍調査につきましては、御案内のように国土調査促進特別措置法によって沖繩県実施をしておるのが現状でございます。そこで、昭和五十年度末までに百六十七平方キロメートルの地籍調査実施しております。本年度は十四平方キロメートルを実施中なのでございます。そこで、問題の駐留軍の接収等の土地についてでございますけれども、これは国土調査法の運用のみでは調査実施が期待できないという点から、と申し上げますのは、接収地なので、現地確認が非常に困難であるというような点もございますので、防衛施設庁あるいは沖繩開発庁が、地主間の境界確認の協議に対して全額国庫負担の援護措置を講じまして地籍調査実施しておるわけでございまして、これを踏まえて今回、今後これを新しい法によって制度化しようとしているのでございますので、これらの成果を国土調査法において同法の成果と同じような形で扱ってまいりたい、こういうように考えておりますので、そういう点は御理解いただきたいと思うのでございます。
  94. 矢田部理

    ○矢田部理君 何度答弁を聞いても不正確なので困るのでありますが……
  95. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 委員長、ちょっと面積について、五十一年度末までに百八十二平方キロメートルでございますので、訂正さしていただきます。
  96. 矢田部理

    ○矢田部理君 いま木野理事が言われたのは、措置について協力をしなければならない、関係市町村がですね。これは協力義務を規定したのであって、私が申し上げているのは、計画策定の段階から県や市町村の意見をやっぱり十分に聞いて、そして計画をつくっていく、こういうことにするのが本筋じゃないですかと。協力義務を書くのじゃなくて、意見を聞かなければ計画はつくれないと、あるいは計画をつくるに当たって意見を聞く義務がむしろ国側にあると、こういうふうにすべきではないかということで、さょきの説明では賄い切れないということになるわけですし、それから同時に、沖繩県には委任するのだからいいんだ。これも沖繩県は反対なんですよ。沖繩開発庁沖繩事務局があるのだから、そこの責任でやるべきであって、何もかも県に押しつけてくるというやり方はだめだと、こういう意向すら実は持っているわけです。まして、防衛施設庁の委任事務などということになれば、これは従来の経過に徴してみても非常に問題がある。だから、委任をする規定があるのだから、計画の段階では参加させるという規定を置かなくても大丈夫なんだという説明も実は問題がある。どうですか。
  97. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) ただいま矢田部先生から、各条項にどうかという点での話でございますが、私たちは、やるからには実施機関の長が関係の支分部局、県当局関係市町村と連絡とってやるべしと、またそのことを期待しておるわけでございます。ところで、先生の御指摘は、計画つくるというこの条項の一項に書いてないから、その点どうだということでございます。条文にその点を載せておりませんので、協力するんだということを。またそうやることを願っておるわけでございますが、それをさらに担保する意味からこの条項に書くべきじゃないか、またはっきりとすべきじゃないかという御意見につきましては、書いてございませんのでそのとおりでございます。  それから、私たちは、実施機関の長はそれぞれなにいたしますときに、これは民有地につきましては開発局が非常に人数が少ないのでございます。そうして現在は県がやっておるわけでございます。それで、開発庁関係は県に委任すると、こういうことでございまして、防衛施設庁の仕事を県にやれというのではございません。防衛施設庁の方は、那覇の防衛施設局がございますので、それにやらせるということでございます。  それから、両者互いに協力しなければいけないということは、これは当然でございまして、御承知のとおり一つの字を決めて、それで地籍明確化を図っていくわけでございます。その場合に、基地の外と中と言いましたときに、昔の字が基地の外にまたがっているという場合があるわけでございます。その場合に、字の中の基地の中だけの分を確定するということでは確定できませんので、基地の外でありましても同一宇であるときには、これを周辺地域としまして、開発庁とよく相談いたしましてやるということになっております。また、御承知のとおり開発庁所管の民有地と、それからまた、防衛施設庁関係地籍不明地とが接点でありますときに、片一方が決まったからといって片一方がずれてまいりますとまたやり直しでございますので、両者協調、相談はしなきゃならないわけであります。したがいまして、県と開発庁と、それから施設庁と、この三者はお互いに相談してやっていくということが、これは理の当然として出てまいるわけでございます。
  98. 矢田部理

    ○矢田部理君 この問題、議論すればまたたくさんあるわけでありますが、とりあえずきょうは二時間の枠で問題点だけさわっていくという程度で、深めること、確定することは次回に譲りたいと思いますが、今度は八条にいきますと、関係所有者からの代表者を選ぶという規定があるわけですね。ところが、これはやっぱり所有者団体なり地主団体の組織化を法制的にきちっとしておかないと、所有者並びに員数の確定が非常にやりにくい、場合によっては大変非民主的になるという危険があるわけだし、そうだとすればその規定が実は欠落をしている。加えて、この規定によっても過半数の合意によって関係所有者のうちから代表者を選ぶとなっておるわけですが、過半数の合憲がない場合の措置規定がない。こんな場合どうするのです。動かなくなってしまうじゃありませんか。
  99. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 過半数の同意があったときには政府もこれを取り上げようということでございます。過半数の同意がないときにはまだもう少し問題があるということでございます。
  100. 矢田部理

    ○矢田部理君 だからその辺が問題なんですよ。土地所有者の会の法制化もない。どういうふうにして土地所有者確定するのか。戦争で亡くなった方もある、全国に散っている人もいる、相続問題も二代にも三代にもわたっている人もいる、いろいろ実は複雑多岐にわたるわけですね、所有者関係は。加えて賃借権の問題などを考えていきますと、賃借権の機能は非常に強化されてきているわけですね、法制上、全体的に見れば、その賃借人などは全然こういう関係には参画できない。いずれにしても、そういう組織化のための法的裏づけがない。加えて、この過半数を得られなければ、結局五年たってもお手上げだ。随所にこの法案には不備欠陥——実際に転がしていく、実施をしていく場合には問題が山積をしているというのがこの法案じゃないでしょうか。
  101. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) ただいま八条に絡んでの御質問でございますが、先生のおっしゃられるところ、まあ問題点としてはそのとおりでございます。実は、先ほど私最初に申し上げましたとおり、この実施規定につきましてはできるだけ取り入れよう、しかもその考え方は三党案出ておりますので、同じとるならば三党案中心にとろうということで、三党案中心にとったのでございまして、三党案の何条でございますか、同じ条項があるわけでございます。まあ先生提案者になっているかどうか、ちょっと私もわかりませんのでございますが、非常にお詳しゅうございますから、恐らくこのときにはいろいろ議論あったと思うんでございますが、まさにそういった点、不備と言われれれば不備がございます。ただ、私としまして、早急にまとめるのに三党案できるだけ織り込もうという趣旨から取り入れたのでございまして、その点ひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
  102. 矢田部理

    ○矢田部理君 こんな点を一つ一つ拾っていきますと、これは十時間ぐらい議論しても足りないぐらい実はいろいろあるわけなんです。沖繩の人たちが、あなたが修正された法案を見て、これは県の実務家の人たちも含めて、この法案で実際にどうやって地籍確定作業をやっていくんだろうか、全く自信が持てない、実務をやっていく場合には一つ一つが壁にぶつかる、壁にぶつかったときの規定が欠けている、これじゃとてもじゃないが進められませんという現場の声も実はあるぐらい、手続規定、それからそうでなかった場合にどうするのかという規定がないのがこの法案の非常に大きな特徴なんですね。言いかえれば欠陥法案です。  もう一つ二つやってみましょうか。たとえば土地の入り込みといいますか、土地というのは真四角に区切られておりませんで非常に出入りがあり得るわけであります。そういう入り込みがある場合に、旧公図というのがあるのです。これは非常に問題なんですが、それと今度の法案で仮にできるとすれば新公図、この間が重複または抵触して、新公図の方は決まったがそこに入り込んでいる旧公図の関係がずっと続いておる場合に、権利関係が錯綜をしてどういう措置になるのか、これまた行政を進める上においては非常に複雑な問題が実は出てくる。行政だけじゃありません、本人が混乱してしまうというようなことも想定をされるのですが、この辺の始末はどうつけるつもりでしょうか、この法律では。
  103. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) まさに地籍問題のむずかしい点を御指摘になっておるわけでございますが、そういった非常にむずかしい問題を踏まえましてそれを解決していきたいと、こういうことでつくった法案でございます。まあ申し上げたいことは、私この法案の提出者でございますが、私なり、提出者でありますところの受田議員なり、それから中川秀直、三君で出したのでございますが、ただいま御指摘の、先生の方から、こういった点が抜けておるじゃないかといえばまさにそのとおりでございます。しかしながら、この法をもちまして欠陥法案だといってきめつけられてしまいますと、実は私どもそのまま聞いておくわけにいきませんので、そういったいろいろな欠点もあると思いますが、野党三党案中心にできるだけ取り入れました。そういったことで言ってまいりますと、三党案もまさに同じ点があるわけでございまして、三党にしましても、またわが党にしましても、その他民社党、新自由クラブの党にしましても、それぞれむずかしい問題をよかれかしということでここまでつくったのでございますから、その点だけひとつ申し上げておきたいと思うわけでございます。  それから、先生の御指摘のございました公簿、公図がないわけでございます。しかしながら、その後駐留軍が参りまして、琉球政府だと思いますが、一応割り当てておるわけでございます。それは短冊形に切りまして、恐らく坪数中心に切ったと思うのでございますが、そういった割り当てがございます。それをまあ一つの公図といたしますとそれがございます。しかしながら、それは、面積その他はそれでいいとしましても、問題もありましょうけれどもいいとしましても、それでは、返還になった場合にその人たちに渡しますと、それが道路であったりまたは川であったりするわけでございまして、場所も違いましょうから、それをもって新しい公図でということでまいりませんので、現在地籍明確化でやっておるわけでございます。そこで、そのもとの公簿と、そうしていまの今度つくろうとする公簿との間に差があるじゃないか、その権利義務関係をどうするんだということでございますが、これは私も法律専門家でございませんので、法務省その他に聞き、また先ほど先生おっしゃいました国土庁その他がそういった関係でございますので、また、自治省、県の系列、そういったところでいろいろ御検討していただかなきゃいかぬということでございます。だから、したがいまして、そういったむずかしい問題があるがどうだと言われますと、その問題はこの法案では触れておらないということになるのじゃなかろうかと思います。まさに、こういった点が抜けておるじゃないかと、御指摘のとおりだと思います。
  104. 矢田部理

    ○矢田部理君 法律でありますから、話し合いとか和解で解決する場合は法は入らなくていいわけですよ。だから立法に当たっては、こじれた場合、うまくいかなかった場合にどういう手当てをしていくのか、どういう措置が残されるのか、そのことを中心にやっぱり法というのは規定しなきゃならぬ。いい状態はこれはもう自主的におのずと進むということでありますから、その点でさらにつけ加えていきますと、これはもう全条文がそうなんで、時間の関係できょうは全部は出せませんけれども、たとえば、さっきちょっと触れましたように、賃借権者の地位が、所有者の会議、地主会議にも参画できないし、実際はここを使っておるんだけれども、いままで地主だと思っていた人が今度は別の地主になってしまったと、地籍確定の結果。その場合、賃借権者はいろいろな投資もしているわけでしょう、だから賃借権者としての権利もあるわけですよ。それを一気に追い立てられたり動かされたりということになりますれば、もう地籍がないままに一応秩序ができ上がっているのが大きくやっぱり破壊をされる。そこで、われわれはどうするかということをずいぶん頭を痛めたものです。そこで、一気に秩序を破壊するようなことはしない、その賃借権者の立場保護するという見地から、相当期間の法定賃借権みたいなものを設定をしていく必要があるのではないか。その猶予期間なり法定期間なりを置いて、そうして今度全体の権利関係の調整に入る、そういう苦心の策などは、さっき三党案を盾に使ったり攻撃の材料に使ったりいろいろされておりますようですが、ここにはないわけですよ。都市部には賃借人が非常に多いわけです、土地にしろ、建物にせよ。これを一体どうするつもりですか。
  105. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) ただいま先生の御指摘の点は、私たちも現地に参りまして、非常にこれはむずかしい問題であると、このように思った点の一つでございます。内地でございましたならば、賃借権といいました場合も、権利金を払うとか、ないしは条文を取り交わしてのやつでございますから、いかに複雑でありましょうともたどっていけるわけでございますが、沖繩の場合には、米軍がその村落の人はその地に帰れということで、そうして順番に割り当てた、そこへ早く帰りまして家を建てた場合の賃借権はどうかということで、先生のおっしゃいました、その場合に法定賃借権というふうなものを考えてやっていくというふうなものもあるわけかと思いますが、非常にむずかしい問題ございまして、実は施設庁の中よりも、いわゆる民地の場合に非常に問題があるわけでございます。一例を挙げますと与那原村のような場合がそうでございますが、非常にむずかしい問題がございまして、そういった点についてこの修正案は触れていないじゃないかというと触れてございません。それから三党案はどうだといいますと、三党案は、政府決定をいたしましてそうしてこれを片づけていく。その場合に、もろもろのそういったような問題が出てまいりますが、それにつきましては条項を設けてございます。私先ほど、三党案のなにはというのがございましたが、確かに三党案ではそういった点に触れたのはございますが、そのことは私らの修正案では触れてございません。非常にむずかしい問題があるということで、そういった問題は後に残したということでございます。
  106. 矢田部理

    ○矢田部理君 むずかしいから後に残したんじゃ五年内で解決するということにならぬのじゃないですか。山ほどあるんですよ。たとえば、二十条に若干調整規定的なものが置かれています。つまり、所有者以外の者が建物その他の工作物を当該土地に設置をしている場合には、所有者から当該土地の買い取りを申し出ることができるというようなことを含む調整規定があるわけですがね。これは買い取りを申し出されても、お金の関係が必ず伴うわけですから、特に都市の中心街などというのは相当のやっぱり土地価格になるわけです。建物も同様だと。単純にはいかないわけですね。なるほどこの最後には、必要な資金の融資またはあっせんに努めなきゃならぬという融資の裏づけを一つしていることは理解ができますが、これは融資を受けたって返済の問題があるわけですから、融資すれば片がつくというものでもない。そこで、当該地主やその他が買い取るということだけではなくて、国自身が、そういう紛争、係争の問題がある場合には、地主のほかに国にも買い取り請求権が行使でき、国の責任でそこは解決をしていくというようなことも含めて考慮をする必要があったのではないか。そうでないと、これは融資のあっせん程度では実際はこの地籍の確定が逆に混乱を生む、こういう事態も実は想定をされるわけであります。この辺どうお考えでしょうか。
  107. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 先生の御指摘になりました点につきましては、私たちの修正案二十一条に書いてございます。  それから、先生の御意見で、これだけでは不十分で、国で買い取るというのを書いたらどうかという御意見でございます。私たちもこの法案論議につきまして相当勉強したのでございますが、実はいろいろむずかしい問題がございまして、私としましては、現在の段階ではこの修正案、これぐらいしか織り込めなかったということで御理解願いたいと思います。
  108. 矢田部理

    ○矢田部理君 理解するわけにはいかない説明になっているわけでありますが、国土庁長官が退席されるようですから、ちょっと最後に一言だけ長官に伺っておきたいんですが、まあ国土調査をずっとやっておられるその主務官庁なんです。したがって、今後、いま私が申し上げたように、率直に言うといろんな問題が法案自体の中からすらもう出てきている。こんな法案世の中に出していいんだろうかと、国会として責任持てるんだろうか、重大な疑問を私は持っているんですよ。同時に、沖繩地籍調査は、現に県がずっとやってきたし、国土庁も全国の関係から言えばかかわらざるを得ないわけであります。その点については、積極的な協力、知恵や財力や人も含めてやっていく考えに立っているかどうか、そこだけちょっと伺って、国土庁長官きょう結構です。
  109. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 国土調査法によりますと、沖繩も原則的には当然この法に該当するわけでございますから、当然にやらなければならない仕事でございますけれども、先ほど申し上げましたように、国土調査法の運用のみでは、軍用地等についての土地はこの実施が期待できませんので、その結果を踏まえて私たちは国土調査法と同じような扱いをしようとしておるのでございますので、そういう点については、今後も積極的にこの地籍調査に当たっては協力をいたしたいと考えております。
  110. 矢田部理

    ○矢田部理君 引き続き木野理事に質問を続けたいと思いますが、この法案は民有地の立ち入り規定はあるんですね。ところが米軍基地等に対する立ち入りの規定がないわけです。これはまあだれが見てもわかりますように、米軍基地なり、軍用地民地は全部どこかでつながっているわけですよ。そこで、従来も問題になってきたわけでありますが、わしの土地軍用地内にあるんだろうか、外にあるんだろうかということで、どっちからもはじき飛ばされるような事例もなしとしないわけです、境界問題でありますから。軍用地には一切立入禁止だと、調査もできない、これでは実は本当の地籍確定作業はやっぱりこれまた進まないという壁があるわけです。その意味では、二本立てにしたのがもともと問題なんであります。やっぱりこの民有地を仕切るという、開発庁についてもあるいは協力する自治体等についても、これは軍用地内の調査のための立ち入りは少なくとも認めるべきだ。そうでなければ、これまた動きがとれない事態が生じてきますよ。また、現にいままでの作業の中でもあったわけであります。この点どうしますか。
  111. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 地籍明確化作業調査、そういったのは、関係者が立ち入りしまして、そこで作業を行うというのが本来の形でございます。ところで、基地内には自由にそういった出入りができませんのでこの条項では抜けておるわけでございます。先生の御指摘になったとおりでございます。そうしてまた、その点を根本にさかのぼって言えば二つに分けたところにあるんだと、一本でやるべきではないかと、これまた御意見でございます。私たちは、基地内には沖繩開発庁の職員が入っていけない、また利害関係者が入っていけない、地籍確定のために入っていけない、こういった現状を踏まえまして、二つにいたしまして、防衛施設庁の職員が基地内でこの作業をすると、そうしてまとまったところでそれの確認をするということにしたのでございまして、先生のおっしゃいます作業としましては本来不十分じゃないかという点はそのとおりだと思います。
  112. 矢田部理

    ○矢田部理君 木野理事にさらに三時間ぐらい実は質問したい各条項の問題点があるわけでありますが、私はきょう三時十五分までだそうでありますから、この点の質問は留保させていただきます。  いま私が幾つか指摘しておったことからも明らかなように、もう実施段階でいろんな壁にすぐさまぶつかってしまう法案自身の不備欠陥が多いわけです。しかも、あなたがいま幾つかの点については答弁をされましたけれども提案者ではあっても政府ではないわけであります。政府は、こういう法案を受け取って、実施についてどういうふうに考えるのか、いままでの論議をどういうふうに踏まえるのか、この点総理府総務長官沖繩開発庁長官に伺っておきたいと思います。
  113. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 政府は、新法が制定されたことにより地籍明確化作業はより一層進むものだというふうに思います。と申し上げることは、おおむね五年を目途に国が必要な措置を講じて実施することが法的に明確化されておることが一つでざいます。それからまた、地方公共団体の協力義務が明確に定められておるということもその一つでございます。それからまた、土地所有者は全員協議によって位置境界を確認するように努力しなければならないということも、これもまた明確化されておりますから、協力が得られるということもその一つでございます。  それから、新しいこの法律の中において、開発庁長官は、基地の外の民有地、境界不明の民有地につきましては審議会の議を経て勧告することができる、こういうことになっておりますから、これによってもその促進方が図られる、まあかように思います。それから、返還地の土地の区画整理事業または土地の改良事業、これも推進ができるということもその促進の一つになると思いますし、一定の公共施設の用に供される土地の取得についての財政措置もとれるということになっておりますから、これも促進の一つになると思います。  以上のようなことがこの法律に決められておりますから、やはり明確化作業の促進には相なろうというふうに思っております。
  114. 矢田部理

    ○矢田部理君 木野理事との間で一時間余にわたってやりとりをしておる。木野理事自身も、ここは不十分だ、十分まだ検討していなかったということを何点かにわたって認められたわけです。これは、沖繩の実際にこの仕事を進める現場の人たちにとってみますと、至るところでこれは壁にぶつかって大変なことになるという大きな不信、心配があるわけです。さっき欠陥法案だと酷評したわけでありますけれども、そんな論議を踏まえてどうやるのかと、こう言うのです。ただ型どおりの五年めどに進むと思いますということでは私の論議が下敷きになっていない答弁じゃないでしょうか。
  115. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) いままでは立法化という、立法の根拠がなかったわけでありますら。今回は、こういうふうなはっきりとした、明確になっておるわけでございますので、これらの法律をもとにして行えるというふうなこともございます。とにもかくも、こういうふうなことが新しく立法化されたということは、やはり推進力の大きな要素であろう、かように考えております。  先生も御存じのように、集団和解方式というものをいままで進めておったわけでありますが、この集団和解方式にしましてもなかなか限界がございまして、最後になりますと一部の人々の反対によってなかなか結論が得られないということになるのでありますけれども、今回はそういう点は審議会を経て勧告ができるというふうにもなっておりますし、いろいろとこの法律によって進め得るというふうに考えております。
  116. 矢田部理

    ○矢田部理君 どうも木野理事と私との論議を踏まえておられない。抽象的な頭で抽象的な答えしかしないわけですが、じゃ一点だけあなたに聞いてみましょうか。たとえば十九条で返還地の利用についての規定が実は置かれているわけです。これは土地区画整理法なり、土地改良法を使うということになっているわけですが、従前、軍用地が一部返還になっても野ざらしになっている。昔あった小川もなければ、もちろん畑やたんぼの原形もない、広大な砂漠、草原みたいなものが広がっていく、どうにも返されても利用ができないという問題が一つあるわけですよ。沖繩経済の絶対的な問題の一つでもあるわけです。そこで、土地区画整理法なり、土地改良法の手法を導入することは私も結構だと思います。しかし、土地区画整理法なり土地改良法というのは、基本的にはその所有者負担、利用者負担で賦課金方式でやっていくわけでしょう。勝手にこの戦中戦後土地を強奪しておいて、もとあったあぜ道も畑も家も全部壊して焼き払った部分もあるわけです。今度は原っぱみたいなところを返して、後はあんた方の負担でやりなさいよということでは、これは土地利用は進まない。これについて一体、その手法を導入することはいいけれども政府として財政的な裏づけなり計画の積極的な推進のためにやっぱりどうやっていくのか。これはこの法案が通ると通るまいと、政府としてやっぱり考えてもらわなきゃならぬ重要な問題点の一つでもあるわけです。その点どうですか。
  117. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 従来沖繩におきましては、特別措置において区画整理の場合には九割の補助をいたしております。残りの自己食掛につきましても、融資のあっせんだとか、そういうことに努めておりますので、区両整理事業をやろうとされる方々に対しては、従来どおりそれ以上の処置を講ずることができる、かように考えておりますので、いまのような御懸念は今後ともないと思います。
  118. 野田哲

    ○野田哲君 関連。  ただいまの矢田部君の提案者である木野理事に対する質問をずっと聞いており、また提案者である木野理事の答弁を伺って、これから審議を進めていく上について、これは非常に重要な問題が出ておると思う。幾つかの点で、矢田部君の方からこういう点が不備ではないか、こういう点が明確でないんではないか、こういう質問に対して、木野理事は、私ども不規則発言で欠陥法案だと言ったら、まあ欠陥という言葉は否定されましたけれども、多くの点で抜けている、不備なところがあるのは御指摘のとおりだと、こういうふうに肯定をされたわけです。抜けているところ、不備のあるところがあると。抜けておるところや不備があるところ、これを指摘され提案者が肯定をされたということになると、これは法案審議の上でこれをそのまま黙って私ども見過ごして審議を進めていくわけにいかないと思うんです。提案者提案だけだけれども、これが制定をされると、この後政府の方で、沖繩開発庁、それから県に委託されれば沖繩県、これを指導監督をする自治省、それから防衛施設庁、これが実施をしていく機関になるわけです。所有権問題では法務省が重大な関係を持つことになるわけです。  そこで、いまそれぞれ指摘をされた抜けているところ、不十分なところ、こういう点が法案にあるということを提案者が肯定されたことに対して、関係それぞれの大臣はどういう見解をお持ちなのか、それを伺った上で、一体この提案者が抜けているところ、こういう点が肯定をされたままのこの状態で審議していいものかどうか、私は、これは委員長の方で、理事会で今後の扱いを協議さしてもらいたい。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)こういうふうに思う。
  119. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 私から説明の不十分な点もあったと思うんでございますが、実は、矢田部先生が欠陥法案だと、こう言われましたので、これは不規則発言——矢田部先生の中にもあったと思うんでございますが、ただいま不規則発言で欠陥ということでございましたが、矢田部先生言葉にもあったと私は思うんでございます。(「それは事実」と呼ぶ者あり)したがいまして、欠陥法案だと、こうなりますと、いかにも欠陥法案だと、こういうようないわゆる欠陥という言葉が受ける印象がございますので、私はそれを否定するために申し上げたのでございまして、そのときに私の方が一番いいんだとなってまいりますと、これまたいろいろ御議論もございましょうし、矢田部先生の申されました、この計画の中に入れるべきじゃないかということがございました。私は、全体の条文で読めると思うんでございます。読めると思うんでございますが、そういった一点なりその他の点、これを申して寄ったんでございまして、不備があると、たくさんあってこうでというのでございませんので、その点ひとつ御了承願いたい。説明の不十分な点もあったと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  120. 野田哲

    ○野田哲君 不備なところって、法律に不備なところがあるということはいまもあなたはお認めになったわけです。何回か矢田部君の指摘に対して、御指摘のとおり抜けたところがあります、そのとおりですということを答えられたわけです。私はメモしています。いま不備なところがある、こう言われた。抜けておるところや不備なところがあるということを提案者がみずから認められたこの法律は個人の所有権にかかわる重要な問題なんです。これをそのまま私どもが見逃して審議を進めるわけにはいかないと思うんです。一応政府側の各四大臣の見解——不備なものがあってもあなた方いいんですか。この見解を承った上で、これは取り扱いについて委員長に判断をいただきたいと思います。
  121. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 不備な点につきましては、私言葉としてただいま御説明申し上げましたが、抜けておる点があるということでございますが、抜けている点はございます。それはたとえば、ただいま申しました一条に書いたらどうかという先生の御意見から見ますと抜けてございます。しかしながら、抜けておるという点、それは私は、条文としましてはこれでいいんだと、こういうことでございます。(「さっき言ったのと違うじゃないか」と呼ぶ者あり)
  122. 野田哲

    ○野田哲君 これはちょっと協議さしてもらわぬといかぬ。(「いやいや、委員会の進行に関する発言が出てきているんだから計らってもらわなきゃ困る」と呼ぶ者あり)先ほどの答弁では、抜けているところが、指摘されたとおりあると、不備なところもあると、こう答えられた。一応聞いてくださいよ、大臣に。抜けたところがある法律をどうやって政府機関としては取り扱うのか、聞いてください。
  123. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまの野田君の質問に対して関係政府当局、大虚から順次御答弁を願います。
  124. 福田一

    国務大臣(福田一君) いろいろ真摯な質問応答がございましたが、ただいま抜けておる点があるではないかと、それを提案者は肯定しているんじゃないかと、こういうお話であります。そこで、それについて政府側のとにかく意見をそれぞれが言えと、答えよというお話でございますが、これはちょっと、この法案自体について、非常に詳しく責任を持ってやっておられるのは総務長官であろうかと思いますけれども、これはやっぱりわれわれとしては、提案者並びにこちら側でよく一遍相談をさせてもらわぬと、一人一人が別々のことを言ったんではこれはどうも困ったことになるわけでありまして、もしどうしてもそういうことを言えとおっしゃるのならば、ちょっと時間をかしていただかなければお答えはできない。(「委員長、そのように計らってもらいたい、休憩なら休憩」と呼ぶ者あり)
  125. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは十分間休憩をいたします。    午後三時十分休憩      —————・—————    午後三時三十分開会
  126. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
  127. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 沖繩におきます民地の方の実施官庁の沖繩開発庁長官としての御答弁を申し上げます。  従来までは、実情に即した行政措置と予算措置によって行っておりましたところが、今回はこういうことで法律によって明確化されたわけでございますので、それぞれの土地明確化を促進することは大いに利するものでございますから、この法案は、われわれといたしましては非常に歓迎するところでございます。専門家の矢田部先生が見られますといろんな問題があろうかとも思いますけれども、これは衆議院におきまして、社会、公明、共産、三党の御提案をいただきましたものに対しまして、これを基礎としてつくったものでございます。そのような経過もございまして、われわれといたしましてはこの法案を尊重して、今後の土地明確化のために大いに促進をいたそう、かように考えております。
  128. 野田哲

    ○野田哲君 それは代表ですか。
  129. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいま沖繩開発庁長官から代表的な御意見として意見を言っていただきましたが、基地の内部におきましては、防衛施設庁長官地籍明確化責任者になっておるわけでございますので、私からも申し上げさしていただきたいと思うのでございます。  大綱的には、いま藤田長官がお述べになったとおりでございます。衆議院段階におきまして、社会、公明、共産の原案、それから民社、そして新自由クラブの御意見等を踏まえながら審議が進められてまいったことも承知をいたしておりまするし、そして最終的におまとめをいただきましたものでございまして、私どもといたしましても、そうした修正の努力、成果については高く評価をいたしております。特に、地元の最も重要な問題でございまする地籍整備の問題につきましては、この法案を中心にして積極的に私は実施ができるということも期待をいたすところでございますので、りっぱな法案を御決定を願ってという受けとめ方でおる次第でございます。
  130. 野田哲

    ○野田哲君 ほかはいいんですか。
  131. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 質疑応答を承っておりまして、自治省として意見を申し上げるべき点は、計画策定の段階で地方公共団体にもこれに参画せしめるべきであるのにかかわらず、この規定を欠いておるではないかという御意見についてではなかろうかと存じますが、これにつきましては、この三条の4に「土地位置境界明確化のための措置について協力しなければならない。」、計画策定というのは、この措置の一環として行われるわけでございまするから、そのように理解することによって、当然そのように解釈すべきだと思っておりますが、御趣旨は達成できるのではなかろうか、このように考えております。
  132. 野田哲

    ○野田哲君 法務大臣はいいんですか。いま三大臣が答えられたわけですけれども、これは私の聞いたことに対する答えになっていないですよ。木野理事に対する矢田部君の質問、いろいろなされた中で、提案者である木野理事が何回かにわたって、法律的に不備の点、欠落したところがあるんじゃないかという立場に立った矢田部君の質問に対して、御指摘のとおり抜けているところが幾つかありますということを、何回か答弁の中で答えられているわけです。提案者の方で抜けているところがあるということをお認めになった法案を私ども審議しているわけです。これが制定をされると、この法律に基づいて仕事をしていく開発庁長官なりあるいは施設庁を担当する防衛庁長官が、いまの答えを聞くと、沖繩開発庁長官は地籍確定のために結構なことでございますと、こういう意味発言、あるいは防衛庁長官も藤田長官の答えられたのと同様ですと、こう言っておられる。提案者が抜けているところがあると、こう言う法案に対して、一体関係政府の機関としてはどうされるんですか、こういう質問ですよ。これに対して結構だということになれば、抜けたところがあってもいいということなんですか、これはどうなんですか。
  133. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 各大臣がお答え願います前に私からちょっと申し上げますが、私が抜けているところがあるということを申しましたのは、一例を挙げますと、計画をつくるときに、関係市町村のところを一項に書いてないじゃないかということでございまして、私は四項なり、その他全文を通じての話を申し上げたのでございますが、一項に抜けておるじゃないかという点からいきますと抜けておるということを申し上げたわけでございます。それから、区画整理の組合をつくった場合に、半数以上の同意を得たときどうだと書いてあるが、半数以下のときはどうだということがございまして、半数以下の分は抜けて書いてないじゃないかというような御指摘がございましたが、全体を通じまして非常に細かい各条項にわたっての問題でございまして、先生の御指摘のうちには、こう書いた方がいいんじゃないかとか、こうした方がいいんじゃないかとか、この点どうだとかということでございまして、私たちといたしましては、現段階においてできるだけのことをした、こういう考えでございます。それから、抜けてあるところがあるんだと申しましたのは、たとえば、欠陥法律だと言われましたので、そのとき私がなるほど抜けている点もあるがと申しましたので、欠陥法律だということを言われましたので特に申し上げたようなことでございます。矢田部先生の議論が非常に細かいと申しますか、非常に法律的な何でございますので、そういった何から言いますとということでございます。
  134. 秦豊

    ○秦豊君 進行についての関連発言。  ちょっと申し上げておきたいのですが、これは委員長に特にわきまえていただきたいことは、先ほどから野田委員と、いまから私が申し上げようとすることは、この参議院内閣委員会の進行、運営に関する発言であるから、当然自明のこと、わが同僚の矢田部委員質問時間には全く抵触しない別次元の発言であることはぜひわきまえていただきたい。その前提で発言をいたします。  いま矢田部委員質問に対して、野田理事の方から政府側の見解を求めたいと。つまり、いわゆる俗に言って欠陥法律案云々の応酬をめぐる問題提起がある。先ほどから私も横で伺っておると、必ずしも政府側の各閣僚の答弁は、そのピントを鋭く射ているものとはとても認められない。しかし、それは政府側と野田理事の応酬であるが、私が新たに提起したいのは、いやしくもこの法案は、木野晴夫理事を先頭にして、民社党、さらに新自由クラブ、三党の共同提案になっている。つまり、国会次元の問題である。したがって、政府と野田理事の応酬、さらには木野理事と矢田部委員との応酬という次元以外に、国会としてこの問題をどう計らうべきなのか。たとえば逐条審議的にいって、まだ矢田部君の言ったことなどはまだまだ逐条審議的に量をはかれば三分の一にも満たない。ある閣僚はこれを、細々と——あなただ、木野さんか、小さくてとか、細かいとか言ったが、論議を精密にすることは当然の原則ではないか。したがって、逐条審議的にいってもまだ量的にも三分の一にも満たない段階で、早くもさまざまな条項についての欠陥が露呈されつつある。つまり、国会審議にたえないような粗雑な内容になっていると、この段階でもすでにそう認定せざるを得ない。そのような法案をおくめんもなく提案をしている。こういうことになる。私の断定、認定はそうなんだ。したがって、このようなものについて今後どう扱うか。しかも、政府側はいわゆる日切れと称し、あるいは現地における混乱が派生されると、惹起される、流血の惨事が予想される、そのように過剰な公安情報をわれわれに振りまきながら、しゃにむにこの十四日、きょうじゅうに、何とかしたい、何とかしたいと狂奔をしてきた。それが実態。ところが、委員会が始まって何時間にもならないこの段階で、早くも露呈されているこのいわゆる粗雑な内容、これは決して黙過できない。看過できない。したがって、緊急提案をするけれども委員長委員長におかれてはこの審議、この段階で一応もう一度休憩を宣していただいて、われわれ参議院の、法案を受けているわれわれ各党としては、この扱いをどうすべきかについて緊急理事会ないし理事懇談会に切りかえていただいて、この扱い方、今後の扱い方、これを至急協議したいということを提起したいし、その間は当然のこと本委員会は休憩という措置に取り計らっていただきたい。これが提案です。
  135. 上田稔

    ○上田稔君 委員長、ただいまの秦理事からの提案がありますが、この審議は続行をして、続行しながら理事懇を開いて検討をするようにしていただきたい。(「これは委員長を含めての理事会でなきゃだめですよ」「並行審議は反対、休憩にしていただきたい。提起をしたようにしていただきたい。」と呼ぶ者あり)
  136. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  137. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。  木野理事から発言を求められておりますので、これを許します。木野晴夫君。
  138. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 矢田部先生質問の間で私が答えましたときに、この法律には不備の点があるということを申しまして、それが論議を呼んでいるわけでございますが、私が申し上げましたのは、たとえば、一つ先生の、計画つくるときに関係市町村の協議を求めてやるべきじゃないかと、私はそれを四条で読んだんでございますが、先生の方は計画つくる段階で、だから一項に書くべきじゃないかということがございまして、その「措置」ということには計画も入っていると思うんでございますが、私法律そう詳しくないものでございますから、全体通じて、委任と、それから協力ということが流れておるのでということを申しました。そのときに、条文で織り込むべきじゃないかということで、そういった点から言いますと抜けておりますと、正確に申しますとそういうことでございます。  それからまた、話出ました、その一例として挙げられました組合、団体をつくります場合に過半数の合意があったらどうだと、ところが過半数の合意がないときはどうするんだと、こういう話でございます。私は過半数の合意がないときは、これはまだ調査中だと思うんでございますが、先生は過半数の合意のないときもその条文書くべきじゃないかということでございまして、そういった点は一つございました。  その他でございますが、私としましては、現段階で全力を尽くしてつくった法案でございます。先生の目から見られますと、この点が抜けている、あの点が抜けているということはあるんじゃないかということで申し上げたのでございます。ことに、欠陥法案だということで話出ましたので、それだけは、私ちょっと申しましたときに、いまの不備な点もありますがということを申し上げましたので、矢田部先生、どうかひとつ私の真意も御理解願いたいと思います。
  139. 上田稔

    ○上田稔君 ただいま木野議員から、いままでの発言を訂正をされました。そして、欠陥ではないということでございますが、その点についての疑義をこれから理事懇においてただしていきたい。(「理事会にしてもらいたい」「訂正されてないよ、いまも不備なところがあると申し上げたと言ってるんだから」「理事懇じゃだめですよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)議事録をとってからその判断をしてください。(「休憩してくださいよ」「いまの答弁でも不備なところがありますと言われたんだ」と呼ぶ者あり)
  140. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) いまの話でも不備な点があると言いますが、その片言とらえて言っていただくのは困るんでございまして、私の申し上げましたのは、欠陥法案であるということを言われましたので、私は決して欠陥法案じゃないということを申し上げまして、そのときに私の方も多少遠慮して言ったらいいということで、まくら言葉として多少不備な点もありましょうがと、欠陥法案じゃございませんということを申し上げたのでございます。(「納得できないな」「理事懇でひとつお願いします」「法案に不備がある」「片言隻句じゃないよ、あなたとの応酬の全部を通じてわれわれは言っているんだから、片言隻句をとらえて言っているわけじゃないよ、そう言われても迷惑」と呼ぶ者あり)
  141. 木野晴夫

    衆議院議員木野晴夫君) 全部をとらえてということでございましたら、私は、それはございません、この法案、ございません。(「そのとおり」「とんでもない、とにかく委員長、諮っていただけませんか。」「いや、だからどうするか休憩した上で」「ここでこういうふうに不規則発言でやってもしょうがないよ、きちっとこう改めて理事会でやろうじゃないですか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  142. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  143. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記起こして。  十分間休憩をいたします。    午後三崎五十二分休憩      —————・—————    午後四時三十九分開会
  144. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、戸塚進也君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。     —————————————
  145. 秦豊

    ○秦豊君 委員会の進行について発言をしたいと思います。  先ほど休憩前の応酬については、矢田部委員木野理事に対する恐らく二時間弱にわたる質疑応答の中から派生した問題であります。したがって、この一つ一つの論点についてコンファームして、議事録から再確認をして、突き合わせて、さらに精密な論議を深めるというには余りにも彼の持ち時間は制約されており、恐らく十数分を切っていると思われます。したがって、その部分についてはそっくり留保して、次回の委員会でさらに精密な論議を交わすというふうな処置を願うと同時に、これは政府側にとっては決して人ごとではなくて、この法律案の一字、案という字がとれれば、法律として執行される瞬間から、たとえば藤田長官なり、あるいは福田さんなり、あるいは三原さんなり、斎藤さんなり、小川さんなりにかかわっていく、しかも一人一人の沖繩県民権利義務に関する重要な法律です。そうなるわけです。したがって、木野理事に対して質問をして解明をされない部分、それを行政官庁の長としてはどのように受けとめているか。たとえば、この法律は、なるほどこういう部分について解釈上疑念があるかもしれないが、それは法務省としてはこうです、自治省としてはこう考えます、足りない部分はこれは政令に依拠します等相当の答弁があってしかるべきだと思いますけれども、とてもそれをやっている時間はないし、いわんや、今朝来の理肝会ないし理事懇談会においては、本来このきょうの質疑は民社党まで及ぶという了解のもとに行われていますので、私たちも余り質問時間を独占することははばかられます。したがって、その私の申し上げた部分については——すべて六時まで、その部分については留保して次回の委員会に持ち越しをさしていただき、矢田部委員の残り質問時間を、再開されれば満たしていく。しかも、きょうの理事会、理事懇の合意は、午後六時に質疑を終わるということに一応なっていますので、その点も考え合わせ、矢田部委員の残り時間だけを満たすというふうな進行にさしていただければいかがかと思われます。六時まで質疑を続けるというのがわれわれの合意です。で、残余の問題についてはまた改めて話し合う。そういうことが合憲ですから、お取り計らいを願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  146. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) じゃ確認をいたしておきます、残り時間。じゃ矢田部君。
  147. 矢田部理

    ○矢田部理君 それでは、残り時間も少なくなりましたので、木野理事等に対する質疑は大きく留保いたしまして、話題を変えたいと思います。  本日いっぱいで沖繩公用地の断定使用に関する法律期限切れになります。その段階から米軍等軍用地使用は法的根拠を失う。言うならば不法占拠になる。不法占拠という状態を私たちは政府に許すわけにはいかぬ、当然のことながら返還手続をとるべきだと思う。この点について、防衛庁、長官あるいは施設庁長官等はどう考えておられるか。加えて、返還に至るまでの補償あるいは具体的な経済的な損失についてどう賄おうとしているのか、この点をまず伺いたい。
  148. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) ただいまお尋ねのように、公用地暫定使用法による土地使用は五月十四日、今日の三十四時までになっておりますが、これらの土地は、わが国の防衛上及び条約上の義務を履行するために不可欠な土地でございます。また、当該土地使用権を国に付与するという法案がただいま審議されておるので、これらの土地の継続使用をぜひお願いしたいというふうに思っております。この場合におきまして、国は土地所有者に対してしかるべき補償を行うことはもちろんでございますし、土地所有者理解を得るように最善の努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  149. 矢田部理

    ○矢田部理君 お願いをしたいとか、理解を得たいなんという話ではないわけです。返還義務が生ずるのです。加えて、きょうは法律論をいろんな角度からやりたかったわけでありますが、時間が制約されておりますので問題だけ提起しておきます。  一たんきょうの段階で切れた以上、後になって、ただいま提案されているような附則でそれを復活させることは法律的にできない。これは過般の理事会でも問題がありましたように、そういう先例も衆議院であった。したがって、この法案はそれ自体が無意味になるはずであります。その点について防衛庁あるいは内閣法制局長官が来ておりますから、法制長官に明快な説明をいただきたいし、このまま引き続き使用したり、後になってから復活させるようなことは断じて許せない、そういうふうに私は思いますので見解を求めたいと思います。
  150. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。  公用地暫定使用法による国の使用権原は本日の午後十二時までということになっておりまして、まだ切れておるわけではございませんので、これから申し上げることはすべて仮定の上に立ってのお答えだというふうにまず御了解願いたいと思います。  それで、仮に、ただいま議題となっております法律案がきょうじゅうに成立しないであすになってしまったと、つまり、五年が経過してしまってから後に、じゃその五年という期間を十年に改めるということが法律的に不可能ではないかという御質問趣旨だろうと思いますが、この点につきましては、私たちの方では必ずしもそうは思っておりません。先例があるというふうにおっしゃいますので、その先例について調べてみましたところが、それは衆議院における先例のようでございまして、衆議院先例集、昭和三十八年版の百八十三ページのところに、実は第二十三特別国会におけるそういう取り扱いが実はあったということが書いてございます。それは警察法の一部を改正する法律案のことでございまして、それは当時、昭和二十九年に、それまでの市町村警察を都道府県警察に変更したと、その際に附則におきまして、一年間は五大市においては市警察を残すという附則がありまして、その一年というのが三十年の六月三十日までと、こうなっておったわけでございますが、当時この附則を改正して、五大市については一年間と限らず当分の間市警察を持つようにしようという改正案をお出しになりました。ところが、その法案が地方行政委員会において審議中に一年間の期限が到来しまして、そこで衆議院におかれましては、その警察法の一部を改正する法律案は自然消滅になったというお取り扱いをなさったように、ここに記録に残っております。  この法案におけるいわゆる先例等に照らして、そして今度の、いま問題になっております暫定使用法の使用期間五年が経過した後に、つまりあした以後に、まあ仮定の話でございますが、あした以後にその五年を十年に改めるという衆議院送付案の附則の第六項、これが議案として消滅してしまうんじゃないかという御趣旨の御質問であろうかと思いますが、この点は、これまた調べてみましたところが、当時この五大市の市警察につきましては、この一年の期間の来る前である五月の三十日に政令の七十九号というのが出ておりまして、そしてこの七十九号、市警察の廃止に伴う経過措置に関する政令という題名の政令でございますが、この政令がすでに五月三十日に公布されておりまして、七月一日から施行するという政令でございますが、その中身といたしまして、七月一日に五大市の警察職員は府県の警察職員となるとか、あるいは五大市の警察用財産は府県の警察用の財産に譲渡するというような処置が定められておりまして、つまり一年たったその七月一日途端に五大市の警察はすでに解体されておったという関係が裏にございまして、そういう関係を踏まえて、衆議院においては、したがってこの警察法の一部を改正する法律案はもはや審議の対象とするに値しないというようなお取り扱いをなさったんであろうというふうに推測するわけでございます。  ところで、いまの問題は、ある期間を定める法律規定について、その期間が経過した後にその期間をさらに延ばすということが一体議案として成り立つのかどうか、議案として成り立つものであるかどうかということに帰するわけなんですが、理論上はそれは私たちは議案として十分成り立つと、期間経過後でもそれを後で延ばすことは十分成り立つ。それは、しかも先例がございまして、やや長くなりますけれども、実は昭和二十二年に、法務省の所管の法律で、副検事の任命資格の特例に関する法律というのがございました。これは一年内に限って副検事の任命について……
  151. 矢田部理

    ○矢田部理君 簡単にしてください、時間がないから。
  152. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 簡単にやります。  一年に限って特別の任用ができるという規定がございまして、この一年間が翌々年延期されまして二年になって、そしてその二年目の期間が実は昭和二十四年の十二月十六日に満期になったわけですが、その期間が経過した後の昭和二十五年の一月三十一日に、これをさらに三年延期するという法律案を参議院に提出いたしました。それで、参議院に提出いたしまして法務委員会に付託されて、そこで、いまの期間経過後に延ばすというのはおかしいではないかというような御議論もございましたが、しかし、政府委員の方で、それは法律自身は限時法ではないんだと、法律自身は当然失効するというのではなくて、その法律の中身において任用の特例期間を書いているだけであるから、これは十分改正の対象になるというふうに御説明いたしまして、その御説明を御了承いただきまして、全会一致で御可決いただいたという先例がございます。  そういうことでございますので、私たちといたしましては、五年の期間が仮に経過したからといって、現在の衆議院送付案の附則の第六項が議案として落っこってしまうというふうには考えないと、そういう解釈でおります。もちろん、これは議案のお取り扱いのことでございますから、私から申すよりもやはりこれは参議院でお決め願うべきものであるし、参議院の法制局の御意見などもお聞きいただきたいと思います。
  153. 矢田部理

    ○矢田部理君 時間がないので私の法律論を展開し、これは非常に重大な問題でありますから、あなたの論拠に徹底的にやっぱり反論したいと思うわけでありますが、一点だけ伺っておきます。  あしたの午前零時から、少なくとも契約をしていない地主に対しては占有の根拠を失いますね。条約上どうあろうと、国内法が欠落をするわけだ。その占有は、法的根拠を失うことは間違いありませんね。結論だけでいいです、法制局。
  154. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 暫定使用法による国の使用の権原はなくなります。
  155. 矢田部理

    ○矢田部理君 きわめて不法占拠という重大な事態になってきたわけでありますから、直ちにこれは返還の措置をとるべきだということを私は強く主張しておきたいと思います。  それからもう一点だけ質問をして私は終わりたいと思いますが、防衛庁あるいは施設庁であります。五年間の暫定使用期間を、きわめて違法不当なやり方で法案をつくってやってきた。しかも、その五年間何をやってきたかというと、土地を提供しない地主に対して物すごい攻撃と切り崩しをやってきた。一つの例を申し上げたいと思います。  ここに防衛施設庁の訪問予定者表があります。あるいはまた、訪問予定結果についていろいろな記載が逐一ございますが、この項目を読んでみますと思想調査まで行っている。あそこの息子は極左でどうにもならないという回答まで記録に載せている。こんなことが許されていいのかどうか。それだけではありません。土地を提供しない地主に対しては物すごい圧力をあらゆる人たち花動員してやっぱりかけてきているわけです。その一つの事例だけを簡単に紹介しておきたいと思いますが、那覇軍用地等地主会というのがあります。その会長をやっている平良勇太郎という男は、いいですか、ここだけ読んでみますが、「貴方一人の依怙地な反対行動が他の多くの契約地主の利益を阻害し種々の悪影響を及ぼすことになれば貴方に対し其の損害補償を求めることは当然であり、亦貴方も其の責任を果たす道義的社会的義務があることを自覚すべきと考えます。」、脅迫じゃありませんか。これは土地を提供した地主が私的にやったということではありません。この所属する団体は国が予算をつけているんです。たしか昨年から数百万の予算をつけて援助をしている団体なんです。防衛施設庁がみずから切り崩しをやる、こういう人たちまで使って。私は、この人たちと防衛施設庁が那覇市内でその密談をし、打ち合わせの会合を開いた場所や日時まで知っております。こういうことが許されていいのかどうか。そういう中で、暫定使用法がさらに十年間に延長されていいのかどうか。もともとこの暫定使用法だって沖繩の投票にもかけていない。占領下の強奪体制を事実上合法化するようなきわめて違憲無効の法律である。この法律をめぐっていま違憲訴訟まで行われているわけであります。その点についてはどう考えているのか、そういうめちゃくちゃな切り崩しについて、防衛庁当局は知っているのかどうか、大臣及び施設庁長官答弁を求めて、私の質問をとりあえずきょうの分は終わります。
  156. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 公用地概定使用法は、沖繩復帰時点で契約に応じていただけない方々土地使用することを主なる目的としてできた法律でございまして、先生を御案内のように、一条の二項には、この法律適用でいつまでもやらないで、なるたけ契約努力をして、民事の契約に切りかえて、そして所有者方々土地を使わせていただくようにという訓示の規定がございまして、私ども五年前に沖繩復帰した時点で約三千人ばかりの米契約の方々がおられたわけでございますが、五年後の今日まで、できれば全員の御了解を持て、そして土地基地として使えるようにいたさなければならないというかたい覚悟のもとに、この法律に従って契約努力をしてまいったわけでございまして、その結果だんだんと契約していただく方がふえまして、ただいまの時点では三百数十件の方が米契約でおられるという状況でございます。  そこで、この間において、契約努力をする過程において、いろいろと職員が努力してまいったわけでございますが、先生がただいまお尋ねのような違法にわたるようなことがあってはならないのでございまして、限界をわきまえてやるということは、一方において公務員として当然必要なことでございますので、その辺のところを十分に留点しながらやってまいったわけでございますが、とにかくこのむずかしい問題の解決の過程において、いろいろと反省すべき点があったかもしれないということは考えておりますけれども、職員が熱意の余り批判を受けるようなことがあってはならないという私どもの指導のもとにやってまいったということを御了解いただきたいと思います。
  157. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ただいまの御指摘の点について斎藤長官からお答えをいたしたのでございますが、私からもお答えを申し上げたいと思うのでございます。  御承知のように、防衛を拠出し、しかもアメリカとの安全保障条約の義務履行ということで、基地使用につきましては防衛上欠くことのできない条件でございます。したがいまして、その土地をお借りをするについては、いまも斎藤長官が申し上げましたように、ぜひひとつ契約をせよということで、職員は二万八千の地主の方々に対して、今日まで、いま三百数十名と申しておるようでございまするが、とにかく四百名を下るところまで努力をいたしてまいっておるのでございます。それは、あくまでもやはり民主的な立場で、しかも基地を提供していただいておる沖繩の歴史的ないろいろな厳しい条件下で耐え忍んでこられた方々に対するそうした心情を受けとめながら、ひとつ交渉を続けていけということで努力をさしておるわけでございまするが、いま御指摘のような、非常に厳しいお願いを申し上げておるということでございます。私どもも、そういう点につきましては十分反省をして今後に備えてまいらねばならぬ、そういう考え方でおるわけでございます。  なお、私どもが権力的にやることは絶対にしてはならぬという、そうした立場をとってまいり、沖繩の歴史的な条件というようなものを踏まえて私どもが仕事をやらしていただかなければならぬという基本的な姿勢につきましては、今後とも貫いてまいりたい、そう考えておるわけでございます。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は、初めに法制長官お尋ねいたします。  ただいま矢田部議員からも質問がございました部分ですが、純法律的に見まして、現在議題になっておりますこの公用地法案が、きょうで期限切れになりますけれども、この法律のどの部分がその効力を失うのか、具体的に説明お願いしたいと思います。
  159. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 公用地暫定使用法そのものは、これは効力を失うというものではないと考えております。公用地暫定使用法によって国が使用する権原がなくなるというふうにお考えいただきたいと思うわけです。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお尋ねしましたのは、いま議題になっております特別措置法案に対する修正案ですが、この法律でいきますとどの部分になりますか。
  161. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) ただいまここで御議論になっていらっしゃいます衆議院からの送付案、この送付案のうちの問題にされておるのは附則の第六項、一番最後でございますが、附則六項が、これがあした以降になると議案として消滅してしまうのではないかという御議論が一部の方にある。しかし、私は先ほど申しましたように、それは議案の対象として消滅してしまうというようなものではないというふうに私は考えておりますが、一部の方にそういう御議論があるということでございます。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私がお伺いしましたのは、純法律的に、あなたの政治的な意見を交えずにお答え願いたいと思うのです。  衆議院の先例集、先ほどもいろいろと述べられましたけれども、一七六に「法律が効力を失ったため、これを改正する法律案が消滅する。」「期限の定めのある法律がその期限の経過により効力を失ったため、これを改正する法律案が消滅したことがある。」、そしてあと例示されておりますね。したがいまして、この法律のただいま問題になっております附則の第六項が効力を失って消滅をしてしまうと、こういうことになるわけじゃありませんか。
  163. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) ただいまお読みになりました「法律が効力を失ったため、これを改正する法律案が消滅する。」「期限の定めのある法律がその期限の経過により効力を失ったため、これを改正する法律案が消滅したことがある。」と、まさしく響いてございますが、これは法律自体がいわゆる限時法である、施行日から五年を経過した日に効力を失う、普通そういうふうな形になっておりますが、そういう法律の場合のことでございまして、先ほど来お話しになっております公用地断定使用法はそれとは形が違うのであって、法律自身が五年で効力を失うとは書いてないんで、法律は普通の恒久立法のような形をとっておって、ただその法律によって国が取得して沖繩における土地使用する権原の期間が五年と定められていると、中身において。そういう関係でございますので、先ほど来申しましたように法律自身がなくなってしまうというものではないと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ちょっと私もあれですが、この法律の附則の第六項が効力を失って消滅をしてしまうと、こういうことなんでしょう。
  165. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 衆議院送付案の附則の第六項が、きょうを経過した、つまり明日以後においては議案として対象からなくなってしまうのじゃないかという意見が一部にあるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、しかし、私は先ほど来るる御説明いたしましたように、そういうものではないんであって、やはり改正法律の対象になるというわけでございます。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 一部にあるというお話でございますが、私は長官の御意見というものが非常に政治的に述べられているのじゃないか、そういうふうに思うわけです。純粋に法律的に考えてどうなるかということを再度お伺いしたいと思うのです。
  167. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 私はもっぱら法律的に物事を考えて御説明をしているつもりでございますが、そのために、先ほども例に出しましたように、副検事の任命資格の特例に関する法律というのがございまして、これはいま申し上げましたように、法律自身が限時法の形をとっているんじゃなくて、中身において特例の方法による任命をやってよろしいという期間、それが一年と限られておったと、それを二年に直したと。その二年に直した後の期間がはるかに経過——はるかでもございませんが、経過した後にさらにそれを三年に延長するという改正案を出して、そして参議院で全会一致でお通し願ったという先例もございますということを申し上げたつもりでございます。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私はちょっと納得できませんので、また再度いろいろと詰めていきたいと思います。  時間もありませんので次へまいりますが、それでは次に、総務長官お尋ねいたしますけれども沖繩の返還に伴いまして暫定措置としてきょうで期限が切れます問題ですね、地籍の問題、これは大きな問題でございますが、そのほかに何かございますか。
  169. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 私どもの所管という意味で御質問であろうかと理解をさせていただきますならば、私どもの承知しておりますのでは、先般、衆参両院を通過させていただきました復帰特別措置法の問題がございましたけれども、この案件は、すでに御案内のように、必要なものにつきましてはおおむね五年ということで国会の御承認をいただきまして暫定法の延長が図られたと理解をしております。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 外務省どうですか。
  171. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 法律の問題ではございませんが、外務省が関係しております問題といたしまして、沖繩返還協定の第八条で認められておりましたボイス・オブ・アメリカの、復帰後五年の時間の経過とともにその運営が本日限りをもって終了することになります。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私のところに、VOAの沖繩中継局で働く日本人の会の方からの陳情がございましたが、ただいま御答弁のとおりきょうで終了するわけですね、特定運用期間がきょうで終了するわけですが、そこで働いております七十四人の正規の従業員と、四十一名の契約従業員の解雇はいよいよ迫ってきているわけです。この問題につきましては、第七十六回の衆議院沖繩及び北方問題に関する特別委員会においてこのことも議題になりました。そのときに出席された山崎政府委員答弁されておるわけでございますけれども、やはり、ここにある陳情書によりますといろんな懸案事項がございます。特に駐留軍関係者等の離職者並みの退職手当またはこれと同等の補償がされるようにという要望もございました。これが一番大きいわけでございますけれども、そういった問題についていままでいろいろと国会論議されてきましたけれども、その経緯と現状について話していただきたいと思います。
  173. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 外務省といたしましては、ボイス・オフ・アメリカ——VOAの沖繩中継局の日本人職員の待遇の問題については、非常に関心を持っておりまして取り組んでまいったわけでございます。従来その一つの問題として、雇用保険の加入の問題があったわけでございますが、この点に関しましては、労働省の御協力を得ながら米国政府と鋭意折衝を重ねました結果、アメリカ側としても、その国内制度に例外を設けるべく特別な配慮を行いまして、昭和五十一年四月一日にさかのぼって同日本人職員が雇用保険の適用を受けるための諸手続を、昨年十月二十一日までに完了した次第でございます。しかしながら、お話にあります退職金の問題に関しましては、アメリカともいろいろ話し合ったわけでございますが、これらの日本人職員は米国政府の雇用する現地職員であり、アメリカの制度におきましてはその雇用関係は世界一律に扱われる必要があるということもありまして、この雇用保険の適用以外には例外的措置はとり得ないということを申しておりまして、アメリカといろいろ折衝を重ねたわけでございますが、既定の退職手当以外に追加的な措置を求めるということは遺憾ながらできなかったわけでございます。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま問題になっております退職手当の問題でございますけれども、外務省でもすでに御調査されておると思いますけれども、VOA方式によった場合には退職手当は平均どのぐらいになるのか、あるいは駐留軍関係の勤務の方々の退職手当の平均というのはどのぐらいになるのか、その点ちょっと答弁していただきたいと思います。
  175. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) ただいま、直接の所管ではございませんが、政府部内の答弁をする省庁と申しまして私が申し上げるのはいかがかと思いますが、私どもが漏れ聞いておりますところでは、現実にVOAで勤務をしておられた方の退職の規定と、駐留軍労務者の方の退職の場合の規定——MLCだと理解しておりますが、この場合の比較で、御要望されている方からの要望の資料として承っている限りでは、これは平均と申し上げてよいかどうかわかりませんが、同一の年限で試算した場合に、駐留軍労務者の方の場合は約七百万円程度、このVOA勤務の方の退職給与の規定にいきますと約四百五、六十万円程度、こういう数字に相なるという、要請の資料としての数字を承ったことがあります。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいま御答弁いただきました平均ですね、年数によってもいろいろ違ってくる、一人一人また違うと思いますけれども、それだけでも約二百五十七万円の差があるわけですね。  外務省にお伺いしますけれども、VOAが廃止されていく、きょう暫定運用期間が切れるその理由というのをお伺いいたします。
  177. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) このVOAの放送に関しましては、沖繩返還当時いろいろな御議論があったわけでございます。政府といたしましては、その放送内容については常時注意いたしておりまして、特に問題はなかったわけでございますが、私の承知しております限りでは、電波法上もこういう外国政府の放送には問題があるということで折衝をいろいろ重ねました結果、五年に限って認める、それ以後は、やめるかよそへ移ってもらうということになりまして、先ほど私が申しましたように、沖繩返還協定第八条の規定によってその放送を五年でやめることに先方は同意した次第でございます。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、アメリカ国務省側としましては、この返還は向こうからの希望じゃなくて、日本側から要望したわけですね。その点どうですか。
  179. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) この点は確かにアメリカ側としてはVOAの放送の継続を希望したわけでございますが、日本政府からの要望も考慮に入れ、先方としても五年で運営を打ち切ることにした次第でございます。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、ここに働いてみえる方々というのは、まあいままでも各種委員会でも論議されてまいりましたけれども、自分の都合じゃなくて、やはり国の都合によって退職させられるということになるんじゃないですか。したがいまして、これらの方々の処遇につきましては、国の責任でこれは対処していかなきゃならない問題ではないかと思うんです。ですから、いまこれらの方々が、要望されておりますような、駐留軍関係に勤めてみえた方々の退職金と、やはり二百五十万というと大きな差がございますね。こういった差については国が責任を持ってやはりこれは補償をしていくべきじゃないか、こう思うわけです。その点いかがでしょう。
  181. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) このVOAの運営が五年で終了することになったということは、一つの国の政策として決めた結果であるということはそのとおりでございます。ただ、その従業員の方々の待遇は、いずれにいたしましても、米国政府と御本人の方々との契約によるものでございまして、その点に関しては従来アメリカ側もそういう立場で臨んできております。ただ、われわれとしましては、やはり同じ米国政府に直接、間接にせよ雇われておるという意味で、駐留軍に雇われている方々立場も比較考量することがあるとは思いますが、これは最終的には外務省としては判断の困難な問題でございまして、この点は政府方面で御検討をいただきたいと思う次第でございます。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだっての決算委員会におきまして、同僚の峯山委員から外務大臣にその点の対処を要望してあるのですが、その後どのような運びになっておりますか。
  183. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 先日五月十一日の参議院決算委員会におきまして、峯山委員からこの点に関していろいろな御質疑があったことは承知いたしております。その際に、大臣からも、外務省としてはやるべきことはやったわけであるということを御説明されたわけではございますが、峯山委員から、その委員会に出席しているただ一人の国務大臣としてどう考えるか、その点について政府全体として考えてもらいたいというお話がございまして、外務大臣といたしましては、そういう御指摘もございましたので、その後十三日の際に、外務大臣が沖繩開発庁長官とその点についてお話をされたというふうに承知しております。
  184. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 経過その他に関しましては、いまの外務省のアメリカ局長の申し上げたとおりでございます。外務大臣から話もございまして、確かにVOAの職員の方が一般駐留軍の方の退職金と五割ぐらい違う、お気の毒ではないかということもよくわかりますので、外務省とは協議をいたしまして、ほかに大蔵省その他もございますので、関係省庁と協議をして何とか措置を講じたい、かように思っております。申し上げますのは、特別見舞い金というふうなものを四十七年に出した前例もございます。ちょうど返還時の当時でありまして、そういうことも頭のすみに置きながら何らかの措置を講じたい、かように考えております。
  185. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ただいま総務長官からお話がありましたけれども、やはりこの問題も人数的には少ないかもしれませんが、やはり沖繩返還という、国の責任でもってこれは処理していかなければならない問題であると、私たちはこう思いますし、どうか速やかにこの問題の解決を図っていただきたいと思います。もう早い人は六月ごろから離職を始めてくると思います。来年の三月ごろまでにはほとんど全員の方が職場を去られるということになると思いますので、早急に関係省庁詰め合っていただいて、結論を出して、また報告をしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  186. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) おっしゃる趣旨はよくわかりますので、なるたけ早く結論を出すように努力をいたします。
  187. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、かつて西村防衛庁長官は、昭和四十六年十一月の十七日でございますけれども、この法律案、すなわち暫定使用法のことでこのように答弁をされているわけですね。「暫定期間を設けて、そして使用権を立てさせていただいてその間にお話し合いを進め、あるいはどうしてもお話し合いがつかない場合はその他の措置によってやっていく、一定の期間の暫定経過措置、こういうふうに考えていただきたいのであります。したがいまして、この法律案を将来改正して、さらに延長するなんという考えは全然ございません。」、こういう答弁をされているわけです。これは政府国民に対して、あるいは沖繩県民に対してされた公約であると、私はこう思うのですが、どうしてこれを破るんですか、その点ちょっと。
  188. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 沖繩返還時において、この暫定法制定の際に、西村長官が御指摘のような発言をされたことはそのとおりと思うのでございます。したがいまして、政府におきましては、防衛の任務の遂行、そうしてアメリカとの安全保障条約の義務の履行等の立場から、新しく土地所有者方々とも話し合いをしながら何とか努力をしてまいったところでございます。ところが、現在に至りましてそうした努力の成果が生まれてまいっておらないことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、私ども防衛を担当する者といたしましては、防衛の任務を遂行するということとアメリカとの安保条約に対しまする義務の履行をせなければならないという立場を踏まえながら、しかも沖繩県民方々地籍明確化という切なる経済上、社会上のそうした要望にもこたえねばならぬという実態も把握してまいっておるのでございます。そこで、私どもといたしましては、まずは沖繩方々のそうした要望にこたえつつ、ぜひひとつ国防の立場から、またアメリカとの条約の義務履行から今回のような新しい法の提案をさしてもらったのでございます。現状やむを得ざる処置をしてそうした措置に出た次第でございます。
  189. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは防衛庁上長官、当時の防衛庁長官だけでなくて、いろんな点で政府方々発言があるわけですね。たとえばここにもありますけれども、その当時の防衛施設庁長官ですが、公用地等暫定使用法というのは沖繩復帰という大きな事業の中においてやむを得ずとられた一つの歯どめ的な法律なので、この暫定使用というのは本来の手続ではないと、本来の手続は土地等の使用等の特別措置法なり、あるいは土地収用法によって土地の収用使用をするということである、したがって五年経過後にさらに暫定使用という特別な異例な措置を継続するということは適当でないと、こういうふうにはっきり言っておりますね。この五年間、それではどのような努力をされてきたのか、その点ちょっと。
  190. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 基地の中に多くの位置境界の不明の土地があることは予測されたのでございますが、どういう実態であるかということは、復帰時点まで全く日本政府が関与をしておらなかったので具体的な内容は承知しなかったわけでございます。そこで、沖繩が返還されまして、当地に関係して私どもがこの基地の仕事に関係を持つようになりましてから、まずこの基地内の土地の実態の把握に努めるという努力を始めたわけでございまして、そのためには、この地籍の混乱状況を、すべて詳細に基礎的な調査をするという努力をまずやったわけでございまして、その基礎的な調査を四十七年復帰後やりまして、その結果、実態がおいおいわかってきたことを踏まえて、この地籍調査の測量そのほか活動に要する経費を予算化しまして、四十九年度以降、たとえば航空測量の実施をする、あるいは現況の図面をつくり上げる、そしてまた戦前の航空写真を入手して、これと対比してなるたけ戦前の状況を図面化して復元の措置をしていくといったようなことを行いまして、さらに、これらの資料を所有者の方の提供に供して、所有者の御意見を聞いて本格的な調査を次々と進めてまいるということをやりまして、復帰のときから五十一年度までに五十三施設について、総額十九億円ばかりの経費を使って、いま申し上げた航空測量、現況図の作成、地図の編さん、復元の測量などをやってまいったわけであります。その結果、ただいまのところ沖繩における米市施設の八十四施設のうち、その中の六十施設について、面積は約二億六千百万平方メートルでございますが、そういうものについて、五十一年度は五施設の復元測量を実施するまでの段階に至っており、ます。さらに、その間において返還された土地がございまして、この土地についても昭和五十二年一月一日現在二十九施設、面積千二百四十万平方メートルございますが、この中の十二施設、面積約二百四十万平方メートルについて大体の処理が完了しております。そういったことでもって、地籍明確化について、施設庁としては精いっぱいの努力を進めてまいったところでございますけれども、御案内のようになかなか困難なむずかしい仕事でございますので、御期待いただいたほどの進行状況ではないのでございますが、逐次進めてまいっておる実情でございます。
  191. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 沖繩開発庁どうですか。
  192. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) しばしばこの委員会でもお答えをさせていただいておりますが、復帰時点におきまして、琉球政府土地調査庁が戦後の地籍の、不明地域についていろいろと御努力をいただいてきたわけでございますけれども、いわゆる米軍施設区域以外の復帰前の民地と言われるところにつきましては、その市町村における面積あるいは個所数等、復帰時点で不明だったわけでございますが、復帰時点後、防衛施設庁あるいは児と御相談の上で、四十七及び四十八の二年度にわたりまして調査いたしました結果、民地につきましては十五市町村面積で約二十平方キロの境界不明地域のあることが判明をいたしたわけでございます。この地域につきまして、県とも相談の上で、集団和解の方式をとりつつ、所要の経費は国費をもって賄うことにいたしまして、県に実際の事務をお願いをいたしまして今日に来ているわけでございますが、十五市町村の約六十ブロックのうち、現在西原村初め、沖繩市及び読谷村等数市村につきまして、現実に和解の成果を見つつあるというのが現状でございます。
  193. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではお伺いしますけれども、未契約地主の状況について御答弁願いたいと思います。
  194. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 米契約地主の現状を申し上げますと、まず復帰時点、四十七年五月の時点におきましては約三千件、正確に申しますと二千九百四十一件の未契約の方がございました。契約いただいた方が三万八千人ばかりございまして、そのうちの上一千九百四十一人の方が——公有地もございますので件と申し上げた方が正確かと思いますが、二千九百四十一件の未契約がございました。それがその後、この公用地暫定使用法の一条二項の精神にのっとって、いつまでも暫定使用法の適用ではいけないんだ、なるたけ御了解をいただいて契約に切りかえなさいという法の精神に従いまして、大変な努力をして逐次減ってまいりました。それからまた、一部返還に伴ってそういう方々がなくなったところもございますが、その努力した結果、きょうまでの見込みでございますが、施設の数で言うと二十五施設、面積では二千万平方メートル、件数にしますと三百五十七件の土地が米契約のまま残るのではないか、いまもっぱらまだ努力をしておりますので、見込みで申し上げますがそういう状況でございます。
  195. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 冒頭申し上げましたように、私どもが県と所管をいたしておりますのは、復帰時点までにすでに返還になっておるいわゆる民地を対象としてやっておりますので、そういった事案は対象になっておらないと理解しております。
  196. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 やはり復帰前からこの地籍明確化ということは大きな問題であったわけですね。それがこのようにおくれているということは、やはり政府は怠慢だったという以外には私はないと思います。  そこでお尋ねするわけですけれども、こういう明確化の問題につきましては、復帰時点において戦後処理の一環として十分な予算措置を伴う特別立法を講じて、関係の地主の方との協議を経ながら最終的には国の責任でその地籍の確定を行っていく、こういうやはり方法をとることが国としての責任であったはずですが、その点について御答弁願います。
  197. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 関連でしばしば御答弁もさせていただいたかと思うのでございますが、先ほども申し上げましたように、戦後の地籍の不明確な問題は大臣からも御答弁申し上げておることでございますが、個人の方にとりましても、私権の紛争にまたがることでございますから、非常に日常の経済生活に大きな影響があることは論をまたないところでございます。かたがた、沖繩の開発を進める上におきましても、土地の総合的な利用計画を策定し、これを推進する上で非常に大きなネックになっておることも政府として十分に認識をしておるところでございます。琉球政府におかれましても、復帰土地調査庁という特別の機構、職員を、配しまして、この不明確地の円満な解決に努力されてきたわけでございますが、復帰時点で、依然としてこの問題が解決を見ないままに残されたものでございます。  そこで、私どもが当時この問題を解決するためにいろいろと関係方面とも協議を重ねたのでございますが、先生も御案内のように、この調査は、現在国土庁で所管しておりますところの国土調査法に基づく国土調査というものが基本的にあるわけでございます。ちなみに、復帰前におきましても、日本政府の援助資金を投じまして琉球政府におかれては、いま申し上げました土地調査庁において一般的な国土調査をやっていただいておったわけでございますが、復帰後、この特殊な事案につきましてどのように速やかに解決を図るかということになりまして、国土庁防衛施設庁あるいは法務省、さらには沖繩県関係当局と御相談をいたしました結果、これらの事案が、先生も御案内のように、きわめて権利関係がふくそうしており、なかなか解決がむずかしい事案であるということに相なりまして、国土庁国土調査そのものではなかなかこの作業が進まないであろう、こういうことに相なったわけでございます。  その後いろいろ調べてみますと、県御当局でも、復帰時点におきましては、いわゆる紛争が解決をしない未解決地域の全体の概況調査が行われていなかった、こういうことが判明をいたしました。そこで、今後この問題を行政的にクリアーする上においても、まず基本的に沖繩本島を中心にどの地区にどの程度の紛争解決を必要とする地域があるかという概況調査から入らなければならない、こういうことが四十七年にわかったわけでございます。そこで私どもは、政府の予算を通じまして、防衛施設庁等にも協力をいただきまして、二年にわたりましてこの概況調査をやりました結果、先ほども答弁をしたかと思いますが、いわゆるこの紛争未解決地域といいますものが、防衛施設区域の中におきまして約百二十一平方キロ、私どもが現在担当させていただいておりますいわゆる民地復帰前返還地を含めました民地が約二十平方キロある、しかも、それが民地について言いますならば十五市町村にまたがっておるということが判明をしたわけでございます。  その後、この判明をしました地域につきましてさらに関係省庁及び県と協議をいたしました結果、防衛施設区域内につきましては、当然しばしば地主の方との御接触もありますし、なお復元補償等いろいろ複雑な問題もありますので、現地の防衛施設局を持っておられる防衛施設庁が担当されることが行政上も最も合理的であろう、こういうことで、関係機関との御協議、了解のもとに、当該区域については防衛施設庁作業を行う、残余の民地につきましては琉球政府時代の土地調査庁という非常に練達の士のおられます、引き継ぎました県の土地調査事務局において、私ども開発庁が所要の予算を講ずることとともに援助、協力をするということで、県がこれをお引き受けいただくということになりまして、引き続きこれらの地域につきましての作業を行ったわけでございまして、現在、報告を申し上げましたように、この十五市町村のうち三市町村につきまして、現在集団和解の方法で相当程度の合意を見ております。もちろん数から言いますと、お感じといたしまして、十五市町村のうちわずか三市町村程度ではないか、こういう御批判もあろうかと思うのでございますが、冒頭申し上げましたように、何分復帰時点において全体の概況調査が行われていなかったと、こういうことから、これまで調査を前提に進めてきたわけでございまして、私どもとしては非常にむずかしい問題も残るかと思いますけれども、ほぼ今後の作業としては相当程度順調に進捗すると、こういうふうに考えております。
  198. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま御答弁の中に、今後の作業については順調に進捗をしていくというお話がございましたけれども、この修正案であと五年間延長するわけですけれども、この五年間で沖繩県民の皆様方が要望してみえる地籍の確定ということは本当にできるんですか、どうでしょうか、その点。
  199. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 新しく制定されましたこの法案の中に勧告ということもございますし、また法律的に明確化されている点が多々ございますので、五年でわれわれはやり切りたいと、かように思っております。
  200. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま五年でやり切りたいというお言葉がございましたが、五年たってまた修正案を出して延長するということは絶対にありませんね。
  201. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 私が申し上げているのは民間地域のことでございますから、二十平方キロがその民間の境界が不明確な地域でございますので、この民間地域については五年間でやり遂げたいと、かように申し上げている次第でございます。
  202. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 施設庁いかがですか。
  203. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 施設庁の所管します部分については、沖繩返還以来、先ほど御説明しましたように、大変まだ目に見えないんですが、基礎的な努力をやってまいっておりまして、実質的にはかなり進捗しております。そこで、私は現地で実際に仕事に携わっておる者に幾度も詳細に実情を聞くのでありますが、なかなか困難な仕事でございまして、むずかしい案件もあるかと思うんですが、五年の期間内に必ず達成したいと、また達成する自信があるということを現地では申しております。
  204. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この公用地暫定使用法は、きょうじゅうに成立がむずかしくなりますと法的な空白が生ずるわけですけれども、ちょっとお尋ねしたいんですが、米軍基地として使用されている土地及び自衛隊として使用されている土地、何カ所ぐらいあるか、その御答弁願います。
  205. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) 昭和五十二年四月一日現在でございますが、駐留軍施設は沖繩に五十四施設、面積は二百六十三平方キロメートルございます。それから自衛隊は二十九施設、面積は約三平方キロメートル、合わせまして八十三施設、約二百六十六平方キロメートルございます。
  206. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 きょう成立がむずかしくなりますと、沖繩米軍基地用地あるいは自衛隊基地用地ですね、これの強制使用根拠が失われるわけですけれども、いわゆる未契約地主の方々ですね、これの土地を一時的にこれは不法占拠をすることになると思うんですが、その点いかがですか。   〔委員長退席、理事上田稔君着席〕
  207. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) いまお尋ねのように、本日の二十四時になりますと、画定使用法で国が使用しておる土地は、その後の使用について所有者が同意をするものが出てくれば別でございますが、そういうものを除きますと、御指摘のように国はその使用権原を失うことになります。しかし、先般十一日、衆議院において修正可決された法案がございまして、現に当院で御審議中でございますが、その法律がもし通れば、この法律によって権原がまた国に付与されるという状況でございます。  一方、現在国が使用しております土地は、米軍については条約上の義務を履行するために、また自衛隊についても国の安全を保持する防衛活動のために、国がどうしてもその使用をすることを必要とする土地でございますので、私どもとしては、何とかしてこの法律が御審議を経て可決されることを強く希望しておる次第でございますけれども、さしあたってあすの未明から、午前零時から国が使用権原の明文を失うことになるわけです。このような事態でございますので、大変困難な状況に入るわけでございますが、これが直ちに違法なのか、不法なのかという点についても、いろいろ御議論がございますけれども米軍については米軍が必要としておりますし、自衛隊についても、先ほど申し述べたように防衛活動のために必要なのでございまして、この地主に対しては、暫定的に使用することを何とか御理解いただいて、もちろんその間の損失を補償するというようなことを地主に対して行うとともに、地主さんが所有権の行使のためにどうしても所要のことについてはよく話し合って、措置をしてまいりたいというふうに考えております。     —————————————
  208. 上田稔

    ○理事(上田稔君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、吉田実君が委員を辞任され、その補欠として遠藤要君が選任されました。     —————————————
  209. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではお尋ねしますけれども、もし沖繩のその地主の皆さんの中で、基地の中に自分の土地があると。まあ沖繩方々のお話を聞きますと非常にお気の毒な方々もお見えになるわけですね。一生懸命働いて沖繩の郷里に土地を買われたけれども、終戦後沖繩へ帰ってみたらその土地はもう跡形もなくなっている。そして自分の土地はと思うと、全部それはもうフェンスでさえぎられてはるかかなた、どこにあるか形もとどめていないということで、自分の土地がそこにあるとわかっていても入ることができない。そういう方々が、このときに百分の土地へ立ち入ってみたい、こう思われるのも私人情じゃないかと思うんです。そういう申し出があった場合には、米軍基地の場合はどうされますか。
  210. 斎藤一郎

    政府委員斎藤一郎君) いまお尋ねのような点はごもっともだと私どもも予想しております。特に土地を持っておられる方の、たとえば墓地の跡があるとか、そういうような場合もあり得るのでございまして、何とか十五日以降の時点において、所有者のそういう御希望に対しては、正当な御希望ではございますし、またこれを使う側から言いましても、なるたけそういう御希望を入れると、入れて差し上げるということが必要だというふうに基本的に思っております。  そこで、自衛隊の場合と米軍の場合やや違いまして、自衛隊の場合は、そういう御希望を直ちに自衛隊において受け入れまして、要するに自衛隊の任務の遂行に支障とならないような状況下で、何とか所有者の御希望を入れるように話し合って実施していきたい。そのためには、一つ基地にどういう方がおいででいらっしゃるか、その人の大体予測される土地はどういうところかといったような資料をよく隊の方にも渡しておきまして、そしてトラブルがないように現地における那覇の防衛施設局が十分措置をしてやってまいりたい。  お尋ね米軍の場合でございますが、これは御承知のように、条約によって米軍日本政府が提供しておって、その結果米軍が施設の管理権を持っておるものでございますから、私の方で米軍に指図をしてこうしろああしろと言える立場にないのでございますが、米軍についてもこの事態を十分に理解してもらって、また従来、たとえば黙認耕作地の措置など、あるいは先ほど来申し述べた地籍明確化の測量の場合など、米軍は柔軟に理解を示してくれますので、そういう今回の立ち入りの場合も、米軍に十分連絡をした上で、その調整は私ども防衛施設庁系統の者が責任を持って調整をやって、そして土地所有者の御希望をかなえていくという努力をしたいと思いますが、原則として管理権が米側にあるものですから、自衛隊の場合とは違った様子になるかというふうには思っております。
  211. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間がなくなりましたので、もう一問だけちょっとお尋ねいたしますが、丸山事務次官を本部長とする沖繩基地対策本部というのが設置されておるようですが、これについて説明をしていただきたいと思います。
  212. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) けさほどの一部新聞に報道が出ておりましたが、木十四日終わりまして、十五日になりました場合の事態をいろいろと想定いたしまして、諸般の事情に対処する組織というものをつくる必要があるであろうということで、一応準備はしております。
  213. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私の質問は六時までということで、あとわずかですけれども、ちょっとこれだけの時間では質問し切れませんもので、次回の委員会に保留さしていただきます。
  214. 上田稔

    ○理事(上田稔君) まだ、理事懇談会におきまして決定しておりませんので、もうしばらく続行を願います。続行を願います。(「散会だ、六時だものあと二分しかない、散会」と呼ぶ者あり)を続行願います。  〔理事上田稔君退席、委員長着席〕
  215. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 太田君どうぞ続いて発祥をお願いいたします。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうの質問は、委員長、本日の委員会は六時に終了するということになっているわけでしょう。きょうの委員会は、とにかく初めの理事会の決定で六時になったら終了するという約束をしているわけですから、質問者は、要するにまだ自分の質問あるわけですけれども、あと二、三分ですしね、新しい質問に入りますと中途半端になりますし、やはりこの程度で終わっていただいた方が私はいいと思うのですが。(「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
  217. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 続行をお願いいたします。(「理事会で決定しているのを何ですか」「理事会の決定を無視するのか」「続行続行」「休憩になさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  ちょっと速記をとめて。  〔午後五時五十九分速記中止〕  〔午後六時十五分速記開始〕
  218. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後六時十六分休憩  〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————