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1977-03-22 第80回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十二日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      世耕 政隆君     福井  勇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         増原 恵吉君     理 事                 上田  稔君                 岡田  広君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 林  ゆう君                 福井  勇君                 八木 一郎君                 山本茂一郎君                 大塚  喬君                 太田 淳夫君                 岩間 正男君                 河田 賢治君    国務大臣        運 輸 大 臣  田村  元君        国 務 大 臣        (内閣官房長官        事務代理)        (総理府総務長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       西村 英一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        行政管理庁長官        官房審議官    加地 夏雄君        行政管理庁長官        官房会計課長   林  伸樹君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        行政管理庁行政        監察局長     川島 鉄男君        防衛庁参事官   水間  明君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        亘理  彰君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        防衛施設庁長官  斎藤 一郎君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        外務省アジア局        北東アジア課長  遠藤 哲也君        外務省アメリカ        局安全保障課長  佐藤 行雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (今期国会における本委員会関係内閣提出予定  法律案に関する件)  (昭和五十二年度総理府本予算に関する件)  (昭和五十二年度における行政機構及び定員改  正並びに行政運営改善に対する行政管理庁の  基本方針に関する件) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○国の防衛に関する調査  (昭和五十二年度防衛庁関係予算に関する件)  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査議題といたします。  まず、今期国会における本委員会関係内閣提出予定法律案について説明を聴取いたします。藤田内閣官房長官事務代理
  3. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) 今国会内閣提出予定法律案は、三月二十二日現在総件数七十七件であり、うち予算関係法律案は四十件でございます。このうちすでに国会に提出されておりますものは六十一件であり、うち予算関係法律案は四十件全部提出済みとなっております。  なお、現在国会に提出されていない法律案については、できる限り早期に提出するよう努力中でございます。  これら内閣提出予定法律案のうち、当内閣委員会付託され、または付託が予想されます法律案は十三件、そのうち予算関係法律案は八件となることと思いますが、これらの法律案の件名及び要旨等はお手元の資料のとおりでございます。  なお、委員会への付託は当院において決定される問題でございますので、若干の変更もあろうかと存じます。以上でございます。
  4. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、昭和五十二年度総理府本予算について、総理府総務長官から説明を聴取いたします。藤田総理府総務長官
  5. 藤田正明

    国務大臣藤田正明君) 昭和五十二年度総理府本府の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  昭和五十二年度総理府本府の歳出予算要求額は、一兆九百六十九億八千三百二十五万円でありまして、これを前年度歳出予算額九千三百五十一億九千六百十一万七千円に比較いたしますと、千六百十七億八千七百十三万三千円の増額となっております。  以下、その主たるものにつきまして、予定経費要求書の順に従って申し上げます。  交通安全対策に必要な経費三億八千七十九万二千円、広報及び世論調査に必要な経費百三億四百四十九万円、褒賞品製造に必要な経費四億三千七百二万六千円、恩給支給に必要な経費一兆六百五十二億五千九百六十七万六千円、統計調査に必要な経費三十四億二千九百七万五千円、青少年対策本部に必要な経費二十億七千十八万六千円、北方対策本部に必要な経費三億五千八百五十二万円、日本学術会議に必要な経費七億六百五十六万二千円等であります。  次に、その概要を御説明いたします。  交通安全対策に必要な経費は、交通安全基本計画実施その他交通安全対策の効果的な推進を図るための経費でありまして、前年度に比較して一億二千六百三十六万五千円の増額となっております。  広報及び世論調査に必要な経費は、広報世論調査実施等に必要な経費でありまして、前年度に比較して九億八千九百九十二万六千円の増額となっております。  褒賞品製造に必要な経費は、叙勲及び褒賞の授与に必要な経費でありまして、在庫調整のため前年度に比較して一億七千七百二十六万四千円の減額となっております。  恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて、文官、旧軍人、その遺族等に対して恩給支給し、また国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員及びその遺族に対して互助年金等支給するための経費であります。昭和五十二年度においては、恩給年額改定等恩給改善措置を講じることとしており、前年度に比較して千五百九十六億一千七百八十万円の増額となっております。  統計調査に必要な経費は、就業構造基本調査全国物価統計調査及び各種経常統計調査に必要な経費でありまして、前年度に比較して七億九千百八十四万二千円の増額となっております。  青少年対策本部に必要な経費は、第二回世界青年意識調査青少年非行防止特別活動少年補導センター運営費補助青少年健全育成推進事業青年国際交流青少年指導者養成等事業及び国民健康体力増強等のための経費でありまして、前年度に比較して一億六千六百五十万四千円の増・額となっております。  北方対策本部に必要な経費は、同本部一般事務処理費及び北方領土問題対策協会に対する補助に必要な経費でありまして、前年度に比較して三千七百十二万六千円の増額となっております。  日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項審議、内外の研究連絡調査国際共同事業協力に関する業務推進、第十一期会員選挙等のための経費でありまして、前年度に比較して一億三千二百四万二千円の増額となっております。  以上をもちまして、昭和五十二年度総理府本府の歳出予算要求額説明を終わります。     —————————————
  6. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、昭和五十二年度における行政機構及び定員改正並びに行政運営改善に関する行政管理庁基本方針について、行政管理庁長官から説明を聴取いたします。西村行政管理庁長官
  7. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 第八十回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、行政組織及び行政運営改善に関する諸問題につきまして、御説明申し上げます。  現在、わが国は、厳しい財政事情のもとにおいて、物価の安定と景気の着実な回復に努めつつ、充実した国民生活実現を図らなければならないというきわめて困難な課題に直面しております。  このような情勢のもとにおきましては、行政は、その簡素合理化運営効率化を図って国民信頼に十分こたえていくことが必要であります。  このような観点から、行政管理庁業務運営について申し述べますと、第一に、昭和五十二年度の行政機構等要求につきましては、現下の厳しい情勢にかんがみ、行政機構膨張抑制見地から、一部付属機関等を除き、部局、特殊法人新設は、すべてこれを認めないことといたしました。また、既存の特殊法人につきましても、昭和五十年十二月三十一日閣議了解が行われた十八法人のうち、二法人を廃止することといたしております。  次に、国家公務員定員につきましては、昨年八月策定された計画により、定員削減を行うとともに、新規行政需要につきましても、真に必要とされる最小限度の増員にとどめることといたしました。  今後とも、機構等膨張抑制方針を堅持しつつ、新しい時代に即して行政の見直しを進め、その整理合理化を図ることにより、積極的に行政改革推進してまいる所存であります。  なお、特殊法人の廃止、付属機関新設等につきましては、この国会関係法律案の御審議を願うことといたしております。  第二に、行政監察につきましては、国民生活に密接に関連する行政施策改善、行財政の合理化推進に重点を置いて監察調査実施する必要があります。  このような観点から、昭和五十二年度におきましては、生活環境整備国民の健康の保持、消費者の保護及び補助金事務簡素合理化等について行政監察実施してまいりたいと考えております。  また、各地域において発生している行政上の問題や行政相談事案につきましては、当庁の全国組織を十分に活用して、国民立場に立って積極的にその改善、解決に努めてまいる所存であります。  以上、所管行政につきまして御説明をいたしましたが、今後におきましても行政組織及び行政運営改善につきましては、行政監理委員会意見等を尊重し、また、民意の反映にも留意してこれを強力に推進し、国民信頼にこたえ得る行政実現を目指して最善の努力を傾けてまいる所存であります。  委員各位におかれましても、一層の御理解と御支援をいただきますようお願いする次第であります。     —————————————
  8. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。田村運輸大臣
  9. 田村元

    国務大臣田村元君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正の第一は、気象庁付属機関として、東京都清瀬市に気象衛星センター設置することであります。  世界気象機関では、気象等の予報の精度を高めるため世界気象監視計画を定め、五つの静止気象衛星等により地球の全域にわたり気象等観測を進めることを計画し、わが国もこれに参加して本年七月には静止気象衛星を打ち上げることを予定しております。このたび設置しようといたします気象衛星センターは、この静止気象衛星の打ち上げに伴い、気象衛星による気象等観測及び気象通信に関する業務を行わせるものであります。  改正の第二は、気象衛星センター設置に伴い、気象庁付属機関として現在置かれている気象通信所を廃止し、その業務気象衛星センターに所掌させることであります。  改正の第三は、運輸省地方支分部局である東京航空交通管制部の位置を東京都東久留米市から埼玉所沢市に変更することであります。  運輸省におきましては、航空交通管制近代化のため全国的な航空路監視レーダー網管制情報処理システム整備を行ってまいりましたが、この一環とじて、東京航空交通管制部に大型の電子計算機を初め多数の新鋭の機器を導入することといたしました。これらの整備を行うためには、現在の庁舎では狭隘でありますので、埼玉所沢市に移転することといたした次第であります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  10. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  11. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。     —————————————
  12. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、国の防衛に関する調査議題といたします。  昭和五十二年度防衛庁関係予算について、防衛庁長官から説明を聴取いたします。三原防衛庁長官
  13. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 昭和五十二年度防衛庁予算について、その概要を御説明いたします。  以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁予算概要説明を終わります。
  14. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 秦豊

    秦豊君 本論に入る前にちょっと。  三原長官とは初めての質疑であります。その意味も込めて、FXについて確認をしておきたいことが一つ二つあります。  まず、F15というのは、一体内定なのか決定なのか、いまどういう段階なんですか。
  16. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 内定でございます。
  17. 秦豊

    秦豊君 FXですね、たとえば機種決定、これを最終的に取り上げて決定をする権能を持っている場は、防衛庁ではもちろんありませんね。
  18. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) さようでございます。最終的には国防会議の議を経て決定を見ることになると思います。
  19. 秦豊

    秦豊君 そのとおりだと私も思います。  それならば江口装備局長、一月十三日、多分午後であると思いますが、防衛本庁のあなたの部屋かあるいはその周辺で、F14、15、16、つまり業者をお招きになった事実はありますか。
  20. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) ございます。
  21. 秦豊

    秦豊君 どういう触れ合いがあったんですか、お話。どういうことがあったんですか。
  22. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これはすでに御承知のように、昨年以来、いわゆる機種選定ということをいろいろやってまいりました。その過程におきまして、御指摘の三社、グラマン、それからマクダネル・ダグラス、ゼネラル・ダイナミックスという三社の方々に、いろいろ向こうのお話も伺っておりますし、具体的には価格等提案をいただいておるわけでございます。そういうことで、いわゆる協力関係をいただいておりますので、まあ年度末、特に五十二年度予算の計上を当初考えておりました関係上、いろいろこの間お話し合いを続けてまいりましたが、十二月の初頭に当庁といたしまして——十二月の九日でございますけれども、一応長官のただいまのお話のように内定をいたしましたので、そういった経緯を先方にも話しておく、こちらといたしましてはそういう義務と申しますか、そういうことをやる義理があると思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、これまでやっておりましたいろんな経過の報告、結果の報告ということで、先方の在日の代表の人々を呼びまして、防衛庁といたしましてはいまお話しのようにマクダネル・ダグラス社F15というものに内定をしておるということを申し上げた次第でございます。
  23. 秦豊

    秦豊君 そろそろお答えになって結構ですけれども内定という言葉はあなたが使われていないでしょう。あなたはF15決定したという日本語をお使いなったはずだが記憶にありませんか。
  24. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは言葉の使い方の問題でございまして、日本語内定というのを英語でどういうふうに訳するかということで、まあ非常に私ども苦慮いたしました。適当な訳がございませんので、防衛庁としての意向はこういうことでございますということを伝えました。ただし、その質疑過程がございまして、その後、これでまあ日本政府としての決定でございますかという質問がございまして、これに対しましては、私の方はそういうことにはなっておりませんと、まだ国防会議議等も経ておりませんと、したがってこれは防衛庁としての意向を決めたものである、こういうふうに御説明しております。
  25. 秦豊

    秦豊君 江口さん、あなたは全部口頭でなすったんですか、紙切れをお出しになりましたか、お手渡しになりましたか。
  26. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 一応口頭ということをたてまえにしております。ただ、その口頭で言うことが必ずしも三社同じように伝えなければなりませんので、通訳の便を兼ねまして一応紙片をお渡しいたしております。
  27. 秦豊

    秦豊君 それは防衛庁の正式な用せんですか。そうして、いまお手元にあれば見せていただきたいが、それにはどんなことを書いたんですか一体。まさか紙の裏側を使ったわけじゃないでしょうな。
  28. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは一応内部決裁を済ませまして、防衛庁用せんを使いまして先方にお渡しいたしております。
  29. 秦豊

    秦豊君 じゃ裏側を使ったというふうなサル知恵的な便法はとらず、正式な用せんをとり、内部決裁を終わった申し渡し書というか、文書をお出しになったわけですね。読んでください、その内容を。
  30. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは正式の用せんでございます。繰り返して申します。  で、これは先ほども申しましたように、私の方の申し方は、一応口頭連絡ということになっておりますが、先ほど申しましたように通訳の人がおりますので、そういう人の便宜ということで、通訳の正確を期する意味において三社同じようなものを渡しておる、こういう性格のものでございます。  で、一応読みますと、「航空自衛隊次期戦闘機機種選定作業に当たり、貴社から賜りました御協力に対し、衷心から御礼申し上げます。FX計画につきましては、一二月二一日の国防会議において本件を討議した結果、一二月五日の総選挙に引き続く新内閣の発足、五二年度予算編成作業等を控えてFX計画を十分審議する時間的余裕がないので五二年度からの着手を見送り、五三年度から着手することをめど関係省庁で鋭意検討を進めていくことになりました。当庁としては、すでに一二月九日に機種F115と決定しておりますので、」——「当庁としては」でございます。「決定しておりますので、これをふまえ、五三年度から着手するため関係省庁調整を進めていく考えであります。」、こういう文書でございます。
  31. 秦豊

    秦豊君 まあ作文をつくるのはお手の物だから突っ込みにくいように書いてある。そういう配慮だけは満ち満ちていると思うんだが、要は江口さん、この国防会議でせっかく一年延期をした基本的な理由というのは、F15についてのつまり決定がいかにも粗漏である。私は前国会でも前々国会でも追及をしておるけれども、少なくとも国民レベルFXの導入について十分な合意と納得がいっていない。これが現実です。だからこそ、一年延期をされたならば、なおさらフランク立場に立ち返って14、15、16、その他X機種を含めて、慎重に、それこそ一点の疑念なきように選定作業を進めるのが妥当でしょう。至当でしょう。ところが、あなたはいま読んだ文書はさりげなく書いておるが、言ってみれば、実質は当庁としてはF15決定したんだから、14、16御苦労さん、今後のアプローチは無用ですというふうに、いわばだめ押しをした、そういう会見内容じゃなかったんですか、どうなんです。
  32. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) この点につきましては、先ほども申し上げましたように、まあるる各三社とも協力を得ておるわけでございます。そういう意味で、冒頭に書きましたように、まあ協力を感謝するということが主たるねらいでございます。それと同時に、私どもが五十二年度考えておりましたことが結局五十二年度予算に取り上げるということができなかったと、そこで問題といたしまして五十三年度に国防会議等で新機種決定をしていただくということをめどに進めておると、こういうことの実態を申し上げた次第でございます。
  33. 秦豊

    秦豊君 そんな答弁じゃとてもとても納得できませんな。つまり、いまは要するに空幕のユニホームを中心にし先頭にして、ぼくの表現によれば「初めにF15ありき」というふうな、演澤法ではなくて帰納法ですべて選定作業が急ピッチで進んできた。ところが思わぬ伏兵が政変とかいろいろあって、やむを得ず一年延期をした。とりあえず低い姿勢でいこうとした。ところがあなたのなすっていることは一装備局長権限を越えていますよ。一年延期したんでしょう、国防会議決定。失礼だが防衛庁ランクより高い、総合的な見地日脚高の意思。一年延期をしたというその決定を生かす趣旨は、私が先ほどから申し上げているように、もう本当に慎重に、本当に日本防空事情、体制に合った機種選定を目指して、もう一度、二度、頭をクールにして考え直すのがむしろ基本的な取り組みじゃありませんか。それをあなたは一装備局長権限を越えて、業者を呼んで——業者を呼ぶのはあなたの権限だ、それば否定しない。ところが、もう15に決定した、決定したからもう結構だ、あとの二つはお引き取り願うと、そういう日本語は使わなかったにせよ実態はそうじゃありませんか。そのことは国防会議決定をあなた自身が踏みにじるものだ。つまり装備局長権限を越えておると私は思うが、あなたの見解をまず聞いて、後に三原長官にも聞いておきたい。
  34. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) この点につきましては、一装備局長と申すよりも、先ほど申しましたように一応内部決裁をいただいております。御了解をいただいて対外的な配慮ということでいたしたわけでございます。  それから、先ほども申し上げましたように、防衛庁としてはF15ということを十二月九日に意向を固めておるわけでございますけれども、後ほどのいわゆる質疑と申しますか、業者間との質疑のときには、まだ国防会議の議を経ておりません、これは当然国防会議の議を経るものでございます、したがって政府決定ではございませんということは申し上げております。そういう意味におきまして、いわゆる防衛庁がいままでやってまいりました選定過程説明及び将来に対する状況の説明と申しますか、。それから防衛庁の一応十二月九日現在の意向というものをお示しした、こういうことでございます。
  35. 秦豊

    秦豊君 江口さん、あなたのおっしゃりようを詰めて言うと、決定ではありませんと。防衛庁としては決定です、政府としてはまだ高いランクがありますと、英語表現に困ったらしいけれども。ところが、実際あなたのやったことは、14さん、16さん、もう結構ですよということをあなたは申したのじゃないですか。そうでしょう。だから、私の言葉はあなた方によればかちんとくるかもしれないが、F15、既成事実をもうしゃにむに推し進めようとする一つの表現、あらわれ、積み重ね、こういうふうに私には思えてならない。あなたが業者を呼んでなすったその措置もそう思う。重ねて聞いておきたい。
  36. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) ここにございます決定と申しておることの対外的な意味でございますが、いま申し上げましたように、私どもとしては、先ほど長官のおっしゃいましたように内定というふうに考えております。この内定ということにはいろいろあるわけでございますが、いわゆる俗に言う内定でございますが、ただ、これは先ほど申しましたように、英訳いたしますのに非常に困りますので、私どもとしては一応決定という言葉を使った方がわかりやすいだろうということで使いました。  それから、これの効果と申しますか、じゃこの後でどういうアクションをとろうかということでございますが、防衛庁といたしましては、こういう意向を固めました上で、その後概算要求を目指して各省との折衝を進めていくという一つのプロセスとして十二月九日にこういう措置をとったわけでございます。したがいまして、まだこの段階においては概算要求ということの決定にもまだなっておらないということでございまして、各省折衝等をこれから踏まえていきます場合の防衛庁意向を固めた、こういう趣旨でございます。
  37. 秦豊

    秦豊君 あなた、十二月の話をぼくは聞いているのじゃありません。一月十三日午後の話を聞いている。ポイントをすりかえちゃいけません。業者を呼んで言ったあなたの日本語、渡したメモ、この内容について私は言っている。つまり、15ということにしゃにむに決めようとするあなた方の焦りがここにもあらわれているというのが私の受け取り方なんだ。だから、15を守り通して一年首すくめて待っていれば15に決まるよというふうなものだ、つまり。あなた方の焦りがここに反映されているというのがぼくの指摘なんですよ。十二月の話をくどくど言ったって答弁になりませんよ。要するにこれからは、あなた方は14のメーカー、16のメーカーのアプローチ、情報、資料の提供は一切受けないということですね、言いかえれば。違いますか。
  38. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) われわれといたしましては、こういうことで、当時十二月九日の後で概算要求に入っていくわけでございますが、そういうことで十二月九日ということは決めたということを申し上げたわけでございます。いわゆる事実として申し上げたわけでございます。  それで、こういうことをやることにつきましては、いわゆる各社からどういうことになっておるんだということの照会と申しますか、打診がございました。ですから、そういう意味である程度従来の経緯というものはわれわれとして申し上げなければならないという、何と申しますか義務を感ずると申しますか、そういうことで行った次第でございます。
  39. 秦豊

    秦豊君 局長、もっとシャープに簡潔にポイントに答えてくださいよ。今後、14、16のメーカー  からのアプローチは一切受けないのか受けるのかと聞いたら、くどくどくどくど、答弁になってい  ない。もう一回。
  40. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは私の方から申し上げましたのは、先ほど申しましたように、まだ防衛庁はこうなっておると。しからばほかのたとえば14、16はどうかと、われわれとしてはアプローチできるかというお話でございましたので、それは一向差し支えございません、どんどんアプローチしていただきたいと思いますと、それから情報  の提供等もどうぞなさってくださいということは申しております。
  41. 秦豊

    秦豊君 三原長官に伺いたいんですけれども、いま江口さんとはなまず問答みたいなものでして、あれが限界だと思いますからもう聞きません。ただ長官に念を押しておきたいのは、一年延期というのは最高意思です、日本政府としての。防衛庁はその下部機構です。そうであれば、一年延期という意味合いを十分に生かして、今後は15と言ってしゃにむに馬車馬のように既成事実を積み重ねるのじゃなくて、もって広い立場、もっとクールな立場、これに立って、むしろ坂田前長官言葉をかりれば、一点の疑念なく国民合意を固めてと言っているあの路線を三原長官も踏襲されるんでしょうから、特に重大な正面装備であるFXの導入などについては、まさにその立場がぼくは原点だと思う。三原長官は、一年延期されているというこの決定を尊重し、十分に、15でしゃにむに突き進まない、より広い視野を留保するというお立場なんですか、それとも、やはり聞いたところでは15が一番いいと、何が何でもF15というお立場なのか、ちょっと確認をしておきたいんですが。
  42. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、私自身、昨年の十二月の庁内の内定についてはこれを引き継いでおるわけでございます。そして、その十二月の末の国防会議においていまのお話のように一年間、一つの期間がそこにできたわけでございます。私はなぜ設けられたかという立場というものは明確にしなければならぬと思いまするし、なおまた、大きなプロジェクトでございまするし、これ自体、まずは政府関係省庁全体の了解を受けますとともに、国民自体からもやはりこれを理解と協力を願える処置もやらなければならぬという、そうしたいまから先の作業も残っておるわけでございます。防衛庁が数年間かかって調査、検討して内定したという事実は事実として長官として受けとめてまいらなければなりませんけれども、これを最終的に国防会議にかけて御決定を願うまでの私のやるべき処置としては、いま先生からの御指摘のように、十分やはり高い次元に立ちながら、国民全体の理解と協力を受ける努力をもって初めて国防会議にかけてまいる、最終決定を願う。そういう私といたしましてもクールな気持ちで、内定内定として踏まえてまいりまするが、処置としてはそういう幅広く処理をしてまいりたいという所存でございます。
  43. 秦豊

    秦豊君 その幅広いクールな御見地の中には、当然、凝集した表現をすれば、F15にはしゃにむに集約はしないというお立場と理解していいですね。
  44. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま申し上げましたように、庁内の内定、いままでの検討成果というようなものは踏まえざるを得ないと思いまするけれども、しかし、これをすべてこの線から一歩も出ないぞというような立場はとらないつもりでおります。もう少し幅広く内部調査、検討を進めてまいるという考え方を持っておるわけでございます。
  45. 秦豊

    秦豊君 ならば、いま長官の言われた庁内の討議、選定経過は尊重するが、その選定経過にもし重大な粗漏があり、欠陥があり、事実誤認があったということが確証され、裏づけられた場合には、非常に率直な方針転換もあり得る、非常に幅のある、タイトなものじゃなくてかなり流動的なものだと。それがいま私この時点では防衛庁長官のとるべき当然の態度だと思うんですけれども、そういうふうに重ねて確認してよろしいですね。
  46. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) その点は恬淡な気持ちで対処してまいるつもりでおります。しかし、あくまでも長い間の庁内の苦労ということにつきましては、これはやはりこの立場というものは踏み誤ってはならないと思いまするし、しかし、いま諸般のいろいろな情勢がございますので、そういうものを十分加味しながら最終的な、いま言われたように非常な誤算がございますれば、当然そういう処置に出ざるを得ないかなという配慮もいたしておるわけでございます。
  47. 秦豊

    秦豊君 決して三原長官と討論する場合に言葉じりをとらえるようなけちなことはしない。しないけれども、おっしゃった庁内の苦労には、見当外れの苦労もあればビンぼけの苦労もある、壮大な徒労もある。だから苦労の量だけを評価されてはいけない。苦労の質と方向が問題だと申し上げておきたい。  で、本論に入りたいと思います。  きょうはあれですか、朝早くから会見が何かあって、クラブの方、早出されたようですが、何か資料をお出しになって、委員会にも配られたこの一枚の、これの御説明があったんでございすまか、どうなんですか。
  48. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) きょう閣議後の定例の会見がございまして、先週末にこの情報を米国防省から得ましたものでございますから、これにつきましてクラブに資料を差し上げて説明をいたしました。
  49. 秦豊

    秦豊君 これはあれですか、「三月二二日 防衛庁」と書いてあるんですが、アメリカ国防省、ペンタゴンというけれどもどのランク——これはあれですか、この資料はどこからどういうルートで入ったんですか。
  50. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) このF15につきましては、現在外務省を通じましてブラウン長官の正式の議事録その他の必要な資料をお願いしてございますその回答ではございませんで、ブラウン長官の二月二十四日の発言がありました直後に、私どもの方から在米のアタッシェに口頭で依頼したり、あるいはMDAOを通じて、その実態を知りたいということで連絡をとっておりました。それに対しましてMDAOの方から、米空軍省の方からこういうことを言ってきたという連絡をもらったものでございまして、その中には、いわゆるハイエストレベルといいますか、国防総省の中の非常に高いランクの人の承諾を得てこういう情報をお伝えしますということが書いてございました。
  51. 秦豊

    秦豊君 そうですか。それでは、まだ正式な議事録は手元に到着していないということをあなたは委員会の公式な答弁で確言するんですね。いいですか、それで。
  52. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 公式の議事録は届いておりません。
  53. 秦豊

    秦豊君 あなた方は、公式、非公式の使い分けが非常に上手でいらっしゃるから。では非公式な議事録はおありですか。
  54. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはその委員会に入っておりました業者がつくりました速記録というのがございます。これはアタッシェの方から送ってまいっております。
  55. 秦豊

    秦豊君 それほど慎重な答弁の方が含みがあっていいですね、余りぼきっと答弁なさらない方がいいような気がしますよ、この問題は。  それでは具体的に伺いますけれども、去る二月二十二日のアメリカ議会防衛専門小委員会、それから二日置きまして二月二十四日の上院軍事委員会、この二回にわたりまして、ブラウン国防長官が、マクダネル・ダグラス社F15について、特に火器管制装置iFCS、それから空対空ミサイルには欠陥があり、それを完全にするためには五年以上を要する。五年以上。それから、計画経費が値上がりを続けていて、一九七六年十二月三十一日現在では、前四半期よりもさらに一機当たりにして七十万ドルの値上がりになった。七十万ドル値上がり。そのため国防総省としては、来年度のF15の購入機数を百八機から七十八機に減らし、その埋め合わせのために別にF16の購入機数をふやす計画であると、このように説明をした模様です。さっき伊藤防衛局長がおっしゃった、何か業者のダイジェストですか、これにはそういうことは含まれているんですか。
  56. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私が読みました限りでは、いま申されましたFCSの問題、これは完成するのに五年かかるというようなことは書いてございます。ただ値段のことにつきましては改めて資料を出すということで、そこのところは空白になっているようでございます。  それからもう一点、F15を削減してそれに見合うF16というのは、いわゆるハイ・ロー・ミックスの組み合わせを勉強したいというような形で証言しているというふうに記憶いたしております。
  57. 秦豊

    秦豊君 伊藤防衛局長ね、これは非常に不正確なダイジェストではございませんか、失礼ですけれども。スタッフの苦労は買いますけれども、これは防衛庁という下に透かし刷りでMDAOとある以上、MDAOの後ろに空軍省があってメーカーの顔がずっと連なって見えるじゃありませんか。日本F15を売り込みたい側の資料を、いかにも御大層に鬼の首取ったみたいに、もうきわめつきですべての仕様に満足しているというふうな日本語を記者クラブに振りまいて何かすり抜けようという、そのあなた方のかいさばき、魂胆がどうも気に食わない。もっと正確なものを堂々と記者クラブに出し国民の皆さんに出し、そしてその代弁をして審議をしている内閣委員会に正面からどさっと資料を出す。これでもかこれでもかといって、ぼくたちがその資料の正確さや重みに押しつぶされればシャッポを脱ぎますよ。そうじゃなくて、こんなMDAO、メーカーの顔がちらちらするようなものをダイジェストで出して、そして恐れ入ったかと言われても簡単に引き下がるわけにはいかない。そういう視点からこれから質問をします、具体的に。
  58. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) したがいまして、私もきょう御説明いたしましたときに、正式の国防省の見解という形ではなくて、私どもがいままで得られた情報でありますということを前提にこれを御説明いたしております。しかしながら、ここに書かれておりますようなこと、たとえば、これは一月十八日にラムズフェェルド長官が国防報告の中に書いてございますが、米空軍のF15戦闘機計画は順調に進んでいて、主要な性能基準はすでに達成されておる、F15は当初意図した任務を完全に果たす能力を持っているということをラムズフェルドの国防報告に書いてございます。したがいまして、これにつきましても、これだから絶対こうなんだというような形ではなくて、私どもがいま得ております情報はこういうものでございますと、なお外務省を通じて正式にお願いしている回答というものにはまだ接しておりませんということを前提といたしまして御説明申し上げた次第でございます。
  59. 秦豊

    秦豊君 それはまだ時間がちょっとありますからおいおいやっていきましょう。  私は一応の資料を踏まえて物を言います。あなた方はまだ議事録をお持ちでない。何かすれ違いですね。だけれども、それはだんだんはっきりするからいいじゃありませんか。いやしくもしかし、MDAOではなくて、カーター政権下の新任国防長官が二回も議会の権威ある場で証言をしている。答弁をしているわけですね。がから、事実誤認とか錯誤とかじゃなくて、非常に私はこの証言が重いと思うんです。私自身の調査では、ブラウン長官が重大な欠陥が幾つも指摘されるということを言っていますので、私はその立場に立ってあなた方に聞きます。だから、メーカーとか空軍省だけじゃないものをやはり突きつけられているわけだから、先ほど長官の答弁に返れば、クールに謙虚にという一助にしていただきたい。  ブラウン長官の議会での二度にわたる証言の山では、あなた方がここに書いているような全部オーケーだというトーンじゃないんです。たとえば、F15の空対空ミサイルの欠陥問題というのは次のように五項目にもわたる非常に基本的なメカニズム自体が悪いと書いてあるんですよ。  一つには、AIM7Fスパローミサイルを、前方のランチャーの方から発射をするときにはマッハ一・一から一・三のスピードでは、ミサイルを発射した直後から回転現象を起こす。スピンという現象が起こって、そのためにオートパイロット、自動操縦装置が作動しない。完全にしないわけじゃないが正常には作動しなくなる。これが一つ、ブラウン氏はそれを言っています。  それから二番目には、いまのは前の方のランチャーから撃った場合ですが、今度は後ろの方のランチャーから発射をするときには、そのときの飛行機の速度、それからGロード、負荷ですね、この程度によっては、内側のパイロンに取りつけた増槽、燃料タンク、これにミサイルがぶつかると。ぶつかるのではないかじゃなくて、ぶつかるというふうに断定的に表現してあります。  それから三番目には、F15のAPG63、レーダー火器管制装置、この誘導方式で誘導をいたしますと、当初期待をした射程距離の誘導ができないで、能力としては不十分である。それからこれに関連しまして、この機器の名前はAPG63と言いますけれども、APG63というのは、ルックダウン、それから、これは私もまだ技術的に細部はわかりませんか、高パルス繰り返し周波数——ハイ・ローのハイを書いて、アルファベットのPRFという略語を振ってありますけれども、ハイPRF、高パルス繰り返し周波数、これでやるものだから、肝心の撃ち落としたい目標以外のにせのエコーを拾ってしまうので、いざ攻撃をしようとする目標の識別が大変にむずかしいと。これは役に立ちませんね、もしこれが事実であるば役に立ちません。ぶっ放してもむだになる。  最後の指摘としては、今度は飛行機の下向きで次第に遠ざかっていく目標をとらえる場合に、つまりルックダウン・テールオンだと言っていますけれども、このルックダウンの場合には非常に捕捉距離が小さいと。  こういう指摘を具体的に五項目にわたって展開をして、結論として、以上述べた重大な欠陥のため、アメリカ空軍はF15の火器管制装置について一部のソフトウエアを変更すると同時に、RQL計画、こういう名の、能力増大のための改修を行う予定であると。このRQLというのは、原文によるとレーダー・クイック・ルックと書いてありますけれども、レーダー・クィック・ルック、頭文字を取ってRQLだと言っていますが、の予定であるし、さらにスパローミサイルも、伊藤さんの出されたここにもちょっとありますけれども、モノバルスシーカーをつけ加えるように検討をしていると、こういうふうに私どもは調べており、以上私が申し上げた重大な欠陥を改善するためにこのRQLとミサイル改善計画を完了させるためにはどうしても五年かかるというのがブラウン証言の骨なんですよ。私は少なくともそう理解をしておって、記者クラブに、また当委員会にもせっかくお出しいただいたこの内容とは、重大な点で基本的に食い違っているんです。これをやっぱりはっきりさしたいと思うんです。
  60. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいまの御説明が、ブラウン証言の中にそれがあるというお話でございますけれども、実は私どもの方で入手いたしましたブラウン証言の中には、そういう具体的な内容というのは載っておりません。しかしながら、いまお話しになりました幾つかの問題につきましては、小松調査団が参りましたときに、過去の技術試験等におきましてF15が遭遇いたしましたいろいろの問題点の中に幾つか入っておりますので、その点について御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、飛行機というものは、新しく開発をし実用実験をする過程におきましては、いわゆる改善事項というものが幾つかございます。そういうものの中に含まれているものでございまして、調査団が行きました昨年の五月から六月にかけましての時点におきまして、その問題はすべて解決しているというのが当時の報告にあったわけでございます。たとえば、いま御指摘になりましたスパローの、前方から発射したときスパローが揺れて、いわゆる指定されたコースを飛び得なかったという問題がございます。で、これは通常の、音速を超えた場合におきましての非常にハイスピードの場合には問題がなかったようでございます。しかしながら、音速を突破した直後、これは非常に大きな壁に当たるわけでございますが、そのときに機体が揺れる。したがいまして、そのときに指定されたコースを外れるということがあったので、これに対しましては自動操縦装置のいわゆるリアクションタイムを調整するというようなことによりましてこの問題は解決しておると。で、その後さらに発射の試験をいたしましたデータなどももらってきているわけでございます。  それから、後方のパイロンからの発射でございますが、これは通常の場合、後方のパイロンから発射するようなときにはチップタンクというのは落としているというのが例でございます。しかし、その問題につきましては、その後ある程度の運用制限というものをやったようでございますけれども、それは大きな運用制限ではなくて、現在何ら問題なく実射をし訓練をしているという報告を受けているわけでございます。  なお、APG63の問題でルックダウン能力の問題でございますが、これは実際に私ども調査団が乗っておりまして、実はこのルックダヴン能力というものに一番すぐれた驚きを持って彼らは帰ってきております。現在のファントムなどに比べまして、かなりの高度から五十メートル程度の高度で飛んでいる飛行機を識別することができたということで、これは調査団の報告によりますときわめて優秀であったというようなことでございます。  なお、テールオンの問題、それからRQLの問題のために、一部のソフトウエアを改善しなければ使えないというお話でございますが、実はこれにつきまして私詳しい調査をいたしておりませんので、あるいは装備局長の方から御説明できるかと思いますけれども、いずれにいたしましても幾つかの改善事項があったというのは事実でございます。しかしながら、この五年間かかるというのは、この資料にも書いてございますように、現在持っております技術と違って新しい技術、モノパルスシーカーというのだそうでございますが、これはミサイルの目標位置感知方式でございまして、これは全く新しい技術のものでございまして、これができれば非常によくなるだろうということは当然でございますけれども、これはひとりF15という問題ではなくて、この新技術が採用されれば画期的によくなるというものであって、これは五年たちますと完成するだろうという見通しは調査に行った際にも聞いてきているようでございます。  以上、簡単でございますが御報告いたしますが、なお、テールオンの問題等につきましては装備局長の方から御説明させていただきます。
  61. 秦豊

    秦豊君 その前に。  それじゃこうしましょうか、委員会審議の時間は物理的な制約がありますから、私も手元にある議事録のコピーを防衛庁側に出す。そのかわり防衛庁側も、単にこれでなくてMDAOでもいいから、空幕と内局にはちょっとした分厚いのがあるでしょう、ありますね。それの何ページ目かに、ルックダウン能力に関連しまして次のような記述があるかどうかだけ資料として相互に交換したいと思う。ルックダウン能力のところにデフィシェンシーという言葉があるんですね。DEFICIENCY、デフイシェンシー。これはだれがどう読んでも不足とか欠陥というふうに訳さないと意味が通りませんね。ブラウン長官の証言の中に、ルックダウン能力については、パーフェクトリーと書いてないんですよ。逆なんですね、デフィシェンシーという言葉を使っているんですね。だから、これはたった一語に食らいついて鬼の首というふうな粗漏はいたしませんけれども、少なくともあなた方はルックダウン能力に驚嘆をした、ところがアメリカのペンタゴンの総帥はまさに欠陥があると言っているんだから、この点はやっぱりはっきりしていただかないとね。そうでしょう。だから、これはここでしこしこやっていても時間ばかりたちますからね、私もコピーを出す、あなた方もその点を探し出して答弁をしてもらいたい。これが一つ。  それから関連をしますけれども、このMDAO経由のこれですね、いろんな質疑応答の場合、インタビューもそうだけれども、インタビューの質問の仕方によって答弁が決まってくるんでね、これは防衛庁がどんな照会をしたのか、あちら側、ワシントンに。その全文がほしい。どんな個条にわたり、どんな表現をしたのか、それがわからないと答えだけもらっても何かよく納得ができないし、さらに、これは装備局長の守備範囲ですが、照会の範囲の中には当然価格があったんでしょうね、これには一言もないんだけれども。だからそれは照会した全文をもらわないと今後の委員会審議の参考にもならぬ、こう思います。それは要請しておきます。
  62. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生が大変分厚い報告があるとおっしゃっていますけれども、返事が参りましたのはこの程度でございます。で、どういう照会状を出したかというのは、実はブラウン証言が新聞に載りましたときに、とりあえずこういうことということで、恐らく価格とか、そういったFCSの問題なんかは実際に言っているのかどうか、私のところから出たわけじゃございませんで空幕の方で電話でアタッシェの方にも頼み、MDAOの方にも頼んだというようなことでございますので、文書として残っているかどうか私も定かではございませんが、調べまして御報告申し上げます。
  63. 秦豊

    秦豊君 あなた方の手持ちの資料にはデフィシェンシーという英語が見当たらず、われわれの資料の中にばあると、そういうことですか。それも含めて調べますか。
  64. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 向こうからMDAOを通じて来ました中にデフィシェンシーという言葉はございます。アーリー・イン・デベロップメント、開発の初期においてという言葉がつきましてデフィシェソシーという言葉はございます。
  65. 秦豊

    秦豊君 英文和訳しているわけじゃないから、いろいろな読み方があると思いますね。都合のいいところだけを抜き取ろうというのと、全部トータルでとらえようという態度と、大事なのは後者の態度です。私はやはりこれはブラウン長官の証言全体の中には、F15のいろんな実用テストの中で出された欠陥は、それはあらゆる制式機が試験機から制式機になるときに経る当然のプロセスであるが、特にF15については基本的なミサイルのメカニズムとレーダー性能に重大な欠陥があると。これは後から触れる値段にどんどんかかってくるから言っているんです。だから全体を見てしっかり答弁をしてもらいたい。  それから、ちょっと先に進めますけれども、いま私が前段で申し上げたような問題というのは、一実はアメリカでも、一応去年の七月に第一期を終わった継続実用試験、それから評価——これでもあなたの言うアーリーな時期ですよ——で指摘されまして、対策費が予算になっているんですね。こういう対策費も、アメリカとしては年末に予算要求をされた新単価に一部含まれているとも聞いているんですけれども、それは誤報なんでしょうか。  それからもう一つ、私が申し上げたRQL計画のための、つまり改善計画のためのコスト、経費ですね、これはすでに日本側に提示されているであろう、後から聞くけれどもF15の機体価格、これには織り込み済みであるのかどうか、その点も改めて聞いておきます。
  66. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) この価格の問題につきましてはブラウンが国会でいろんなことを言っておられます。それから、その前のラムズフェルドのときにも、すでに全体の計画が十二億ドル程度上がるというようなことも言っておられます。  まず、最初の国防白書で言っております十二億ドルというところには、たとえば増槽タンクの取りつけ計画でありますとか、その他いろいろな技術的な改修の問題も入っておるわけでございます。そういうようなところの内容のものにつきましては、私ども価格選定をやります際に先方といろいろ話し合いをいたしておりまして、相当程度それは織り込んでおる所存でございます。  それから、先ほど先生の御指摘になりましたいわゆるRQL、この中身につきましてどういう中身になっておるかということは、まだ残念ながら私どもしっかり入手しておりませんけれども先方からの答え、情報によりますと、このRQLの経費というものは、一応私どもに提示されました先方の、コストフィギュアという言葉を使っておりますけれども、その中には含まれておるというふうに言っております。
  67. 秦豊

    秦豊君 入っているんですね。
  68. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) はい、入っておると言っています。
  69. 秦豊

    秦豊君 わかりました。  西廣さんのところでまとめた防衛アンテナですね、この問題で具体的に指摘したいと思いますが、防衛アンテナー月号の、FXの経緯と今後の方針ですね、これの二十二ページをちょっと御披見願いたいと思いますが、これを見ると、きょうのMDAOのデータと全く符節が合っていまして、もう機上レーダーの性能は非常に安定している、特にルックダウン能力は、というようなことがずっと自画自賛して書いてありまして、あとはレーダーとスパローミサイルとの組み合わせによってシュートダウン能力がともにすぐれており等々とほめちぎっているわけなんだけれども、私はやはり、いま私が指摘した二、三のポイントだけについてもこの記述は過大であるという認識を捨てることができません。で、小松調査団のリポート、これはもちろん皆さん身内だから、すべて信用したいというお気持ちはわかるんだけれども、やはりアメリカ議会で私が申し上げているような重大な指摘がある以上、はるかその前に書かれたであろうこの防衛アンテナによる取りまとめの表現、これはやっぱりまだまだ不十分であると私は思います。それで、防衛局長に、これはお答えを願いたいんだけれども、あなた方がこの防衛アンテナで言うがごとく、F15は非常にすばらしくて、あらゆる意味で、ミサイルもレーダーも、また現状で十分であり、安定しているともしおっしゃりたいのであれば、RQL計画とかミサイルの改善は必要ないわけですよね、そうでしょう。不十分だからアメリカ側は改善しようとしている。あなた方は、防衛アンテナではこのままでもいいんだというお立場じゃありませんか、そうお思いになりませんか。
  70. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたけれども、私はブラウン長官の証言の中に、いま先生がおっしゃったようなことがあるとは、私どもの得た速記録ではないわけでございます。で、あるいは昨年の十月に先生から御指摘いただきました軍事委員会の内部資料といたしましてアセスメントペーパーというのに、あるいはあるのかなという気がいたしますけれども、実はこれにつきましては、先生から御質問いただきました直後に、アセスメントペーパーについて私ども入手したいと思ってあらゆる努力をいたしました。しかし、空軍省は、これについて全く知らないと言っておりましたし、また議会の方に当たりましたときにも、あるともないとも言えない、あってもこれは出せないということで、私どもはついに入手できなかったわけでございます。で、もしその中に書かれているとするならば、それは昨年の初めごろ出されたものと思いますので、調査団が参りましたのは五月から七月でございます、したがいまして、そういった点は改善事項としてめどはついておったというふうに私どもは判断をしているわけでございます。
  71. 秦豊

    秦豊君 さっきは、江口さんはRQL計画によるコストのアップは日本側の値段には入っているというお答えでした。それでは、値段に関連しまして、値段がどうなっているかはまとめて後で伺いたいが、価格に関連する要素として、これはPEP二〇〇〇プランと書いてあるんですけれども、PEP二〇〇〇、つまりプロダクション・イーグル・パッケージと。PEP二〇〇〇計画というプランがアメリカ空軍の中にあるようだが、その点は御存じですか。
  72. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは俗称PEP二〇〇〇と言っておりまして、この改善F15の内部燃料搭載量を二千ポンド増加させ、最大離陸重量を六万八千ポンドに増大させまして、コンフォーマルタンクをとりつけることによって戦闘能力を高めるというようなことの中身というふうに了解しております。この経費が約一億五千五百万ドル程度というふうに先方から連絡を受けておるわけでございます。
  73. 秦豊

    秦豊君 そうすると、RQLプランのコストもプラスアルファ、それから、PEP二〇〇〇で機内燃料搭載量を二千ポンドふやすとF正の航続力とか、滞空能力が大幅に高まる。しかし、その値段のツケもこちらに回ってくる。F15は次第に上昇を続けるわけですね、価格の点では高くなるわけですね、端的に言ってそうでしょう。
  74. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) このPEP二〇〇〇というのは、全体といたしまして、F15の性能改善に要する経費というのが約二億ドル程度というふうに言われておりますが、その中の一つに入っております。この性能改善の二億ドルというものは、実はラムズフェルドが国防白書を出されましたときに十二億ドルの、さっき申しましたような全体の計画生産価格の上昇があると。結果におきましては、七八会計年度におきます七百二十九機の調達の計画総価格と申しますか、それは約百六億ドルになると言っておりますが、その中の上昇分の十二億ドルでございます。十二億ドルの中にこの性能改善というものが入っておる、それが二億ドルであるというふうに連絡を受けております。その二億ドルの中にPEPが入っておるということでございます。いささかちょっと込み入って申しまして恐縮です。そういうことでございまして、この十二億ドル相当程度のものは私どもの方でほほカバーしておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  75. 秦豊

    秦豊君 込み入っていていいんですけどね、正確であればいいんです。アメリカ側の要求は、予算が一億九千万ドル、将来までのすべてのF15改善プランを入れると十二億ドルを必要とするだろうというのがブラウン発言です。そうすると、PEP二〇〇〇による性能アップ、航続、足を延ばすということについてのコスト、これもでは日本へ通告済みであり、あなたが一月以来しばしば接触をしているかもしれないMDAOを通ずるリポートにも、この値段もでは織り込み済みですね。これは確認だけ。
  76. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 簡単に申しますと、構造部分、増槽タンク等を取りつけますためにはいろんな内部の、機体自体いろいろ改造を必要とするわけでございます。その構造改善費と申しますか、そういったものは入っておるというふうに理解しております。ただ、外側につけるタンクとか、そういうものは入っておらない、むしろそういうふうにお考えいただいた方がよろしいかと思います。
  77. 秦豊

    秦豊君 それじゃ江口さん、これは去年の十月以来この委員会でぼやけっ放しのことなんですが、私の申し上げたRQLプラン、いま言ったPEP二〇〇〇プラン、あなたの答弁を素直にとると全部織り込みになっている、カバーしなきゃならぬ。となりますと、いまこの時期で言えるF15日本への引き渡し価格というのは、これを昭和五十三年と仮にして一体幾らになるんですか。
  78. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 単座型輸入機、これはFMSで二機導入いたします。これが現在の完成機のあり姿でございますが、その値段を私どもの方としては五十六億円、これの取得年度は五十四年度でございますというふうに計算しております。
  79. 秦豊

    秦豊君 十月の私の質問に対する答弁では四十五億円程度と、こうなっておりまして、いま五十四億とおっしゃったのですか、五十六億……
  80. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 五十六億円でございます。入手の時期が五十四年度というふうに申し上げたわけでございます。
  81. 秦豊

    秦豊君 そうすると、人件費とか材料費の高騰分とか、いわゆるインフレチャージですね、これを年率で七、八%ないし九%未満とはじいた場合に、日本に導入される時期が仮に五十四年とすんなりいったとした場合のアップ率もその中に含まれているわけですか、それともそれは含まれていないわけですか。
  82. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは昨年の暮れに国防省に対しまして、これはFMSでございますので、いわゆるPアンドB方式というのがございますが、これによりまして向こうへ照会をしております。その照会に対しまして先方から回答してきたものでございまして、この中には、これは五十四年度取得ということを前提としておりますので、そういったいろいろな上昇分、つまりコストとか人件費とか、そういうもの、あるいは物価値上がり等は加味されておるというふうに解釈しております。
  83. 秦豊

    秦豊君 防衛アンテナに再び返りますけれども、これから日本が導入するF15には、全部RQLも終わっている、PEP二〇〇〇も終わっている、こうなりますね、そうでないと役に立たないのだから。そうしますと、PEP二〇〇〇を適用すると、江口さんおっしゃったように六万八千ポンド、トンに直すと三十トンと八百四十五キログラムになるわけですね。そうするとこの防衛アンテナの二十二ページの記述関係と違ってくるわけです。F104Jが二十六トン、それよりか四トンと五百キログラムも重くなるわけですね。つまり、あなた方が重過ぎる重過ぎると言って、それも難点の一つであると攻撃を加えてこられたF14Aが三十二トンなんですね、実際には三十二トンと六百六十キログラム、細かくて恐縮ですけれども。そうなると、PEP二〇〇〇を終わったF15は三十トンと八百四十五キログラムとなると、だれがどう考えてみても重さが近づいたなという印象を否めませんね、そうじゃありませんか。その点の確認だけまずしておきましょうか。
  84. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 機外に一万ポンドをつけますと三十トンということになります。
  85. 秦豊

    秦豊君 そうしますと、14も15もほとんど近づいてくる、こういうことに事実関係としてはなります。防衛アンテナという雑誌をお持ちですか。
  86. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) はい、増し刷りしたのを持っております。
  87. 秦豊

    秦豊君 雑誌のページ数では二十一ページをごらん願いたいのですが、それにはF14が「その重量が重いため、滑走路を厚くするなどの施設整備を要する」、こういう表現があります。真ん中は少し飛ばしてありますが。そうするとF15も結局同じ目に遭うわけですね、条件としては同じになると理解してよろしいですか。
  88. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 内部燃料を二千ポンドふやしましてもふえるわけではございませんが、増槽をつけますとそういうことになります。しかし、通常の訓練その他におきまして常に増槽をつけるかどうかという問題が別にあるわけでございまして、この常時三十三トンあるのと、いわゆるその増槽をつけたときに三十トンになるのとでは、この滑走路の使い方というものはやや違ってくるわけでございます。したがいまして、私どもは現在の二十五センチの厚さをこのために厚くするということは必要ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  89. 秦豊

    秦豊君 それは税金が安上がりで大変結構な意見だと思いますが、しかし、多少のうそがまじっているんじゃありませんか。全回にファントム、F4EJを導入したときに、じゃ百里とか小松とか築城の滑走路は補強しなかったんですか。
  90. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ファントムのときにはかさ上げをいたしております。現在築城に配備するために築城のかさ上げ工事を行っている状況でございます。
  91. 秦豊

    秦豊君 防衛局長ね、あなたは防衛局長ですから、有事即応、一朝事あるときの最高責任者のお一人でいらっしゃる。それがさっきの御答弁伺っていると、いや、なるほど重くなりますと、PEPやれば。だけど、ふだん訓練や何かのときには増タンつけなくても、一朝有事の際には増タンつけますよ。運用の常識でしょう。一朝有事に備えないで訓練だけを想定して滑走路の厚みは変えなくていい、こんな答弁では素人もだまされませんよ、そんな答弁では。
  92. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは重い飛行機が離着陸できないというものはございませんで、常時そういう重さでやっておるのにはどの程度の厚さが必要であるかということの判断があるわけでございます。したがいまして、有事の際に必要なその増槽をつけて飛び立つということには何ら支障がないというふうに聞いております。
  93. 秦豊

    秦豊君 では、仮に昭和五十四年から何か著しく強大になった、補強されたF15がでんと導入されても、日本中の配備予定基地のどの滑走路も補修しなくともいい、一円の税金も追加しなくていいと、こう言われるわけですね。
  94. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはファントムを配備しております基地についてはかさ上げというのは必要ございません。しかし、この配備する場所によりまして、現在86あるいはF1あるいはF104J、こういうものを配備しておりますところはかさ上げ工事が必要になると思います。
  95. 秦豊

    秦豊君 じゃ関連して伺いますが、それではあれですか、今度F15を導入というようなときには、もういろんなことをあなた方総合的に練るんだから、そうすると配備予定基地なんというのもすでにリストアップして検討していると見ていいんだが、どことどこの基地を想定しての話なんですか、これ。厚くするとか、厚くしない、そのままでいいというのは、どういうことなんですか。
  96. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは現時点ではどこということはまだ決めておりませんけれども、かさ上げをしないところに配備するかどうかということになりますと、これはその配備を決定する時点におきましてかさ上げの必要が起きる飛行場もないとは断定できないと思います。
  97. 秦豊

    秦豊君 あなた方のこの防衛アンテナが非常に駆け足で書いたらしくて緻密でないと思われますのは、F14の場合には三十二トンで重い、滑走路のかさ上げ、補修と、つまりFMが不適当であるという理由づけの一つに引用していらっしゃる。踏まえていらっしゃる。ところがいま聞いているF15は、たかだか二トン弱しか違わないのにこの方はもう全然問題ないと言い逃れようとする。何か合理的でない。とにかくF15を守り抜くためにもうあなた方わきをかたくして一生懸命だという印象が強まってしょうがないんですよ。そう思いませんか。
  98. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私どもはその重さだけで判断をしたわけではございませんで、いろんな角度から、飛行性能、あるいはいわゆる要撃の効果、そういった観点から検討をいたしております。その中にそういうのも一つの要素としてあるということでございまして、このためにF14がだめだというような判断をしたわけではないわけでございます。
  99. 秦豊

    秦豊君 それは十分にわかっております。私も理由づけの一つと申し上げたはずです。  防衛アンテナにもう一遍返ってみたいと思いますが、二十一ページに所要経費と防空効果というのが説明してありますね。ここでは、各候補機の単価を一体幾らと見積もったんでしょう。これは正直に、余りつくらないで答弁してもらいたいんですよ。かなり疑問がある数字だと思いますので正確にお願いしたい、各候補機。
  100. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) いま手元に、ちょっと数字はすぐ見つかりませんけれども、一応私どもの発表いたしました百二十三機ベースの数字で申しますと、百二十三機ベースを調達いたします際に、いわゆるその一次契約分二十九機、先頭二十九機というのでF15につきましては七十二億という数字を申し上げております。それで、それに関連いたしまして14、16の価格でございますが、私どもの方といたしましては、そのベースで申しますとF14が大体ほぼこれと同じ価格で、ございます。
  101. 秦豊

    秦豊君 幾らですか。
  102. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 大体七十一億前後でございます。それからF16でございますが、その約七割というふうに——失礼いたしました。F14が七十三億でございます。それからF16が五十一億でございます。大体その程度の価格で見積もっておるわけでございます。
  103. 秦豊

    秦豊君 そうしますと、さっきRQLはわかった、PEP二〇〇〇もわかった、その分の積算がまだ不十分じゃないかと思いますが、MDAO等を経て日本側に伝わっている一番新しいF15の値段は、いま当委員会質疑されたようなことを含めて最新の値段というのがさつきの五十四億を出ていないんですか。一番新しい数字を言ってください。
  104. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これはまだ、最新のその15の値段というものはアメリカにおいてもまだわからないのではないかと思います。したがいまして、私どもの方で入手しておりますこの五十六億と申します数字は、去年の十二月のころの数字でございます。それには、先ほど申しましたようないろいろなファクターは、全部ということは私ども必ずしも自信がございませんけれども、相当程度織り込んでおると考えております。それから最近のアメリカ側との折衝等におきましてはまだそこまでの詰めをいたしておりません。というのは、先ほど申しましたように、向こうの価格自体がまだ非常に流動的でございます。たとえば、機数を百八機を七十八機に落とすというようなことで、先ほど先生七十万ドルというような数字をちょっとおっしゃったように思いますが、先方のたとえばキャノン議員の数字、引用いたしました数字は百二十万ドルというような数字を言っております。一機当たりの上昇率でございます。
  105. 秦豊

    秦豊君 七十万ドルと言っていませんね。
  106. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) それじゃ私の聞き違いでございます。一応百二十万ドルというようなことが先方で言われております。これについてはまだ上院の軍事委員会などのやりとりにおきまして、国防省がさらにその数字を出すということでございまして、その百二十万ドルという援用された数字について、向こうの方でブラウン長官がその数字であるというようなこともはっきり言っておられません。したがいまして、現在アメリカの数字がどうなるかということは、私どもの方としてはいまのところまだちょっとよくわからないということでございます。
  107. 秦豊

    秦豊君 これからも恐らくアメリカでは、私たちが知らない範囲の改善を含めてやはり制式機になるまでに、制式というより本番、本物になるまでにまだまだいろんな手直しが行われるかもしれない。したがって、このF15のようにいま指摘しただけでも二つの項目をとらえた値上がりが予見され、それは織り込んでいると言うが、恐らくそれは五十四億で安く踏み過ぎであると、私はそう思いますよ。もっと緻密な積算をやはりやって、もちろん中間的な価格であることは承知しているが、やはり納税者の皆さんの感覚は、ウナギ登りじゃないかと、平たく言えば、こう思います。委員会で聞くたびにぼんぼんつり上がってくる。そんなことを簡単におっしゃるけれども、一機で五億円違っても百機で五百億ですからね、そんなに容易な話ではないと思います。したがって、そういう国会の外からながめている方々の感覚を尊重して、その都度われわれも聞きますけれども、緻密な積算の成果をその都度中間的に委員会にもたらしてもらいたいと、こう思います。  それから、防衛庁長官に伺っておきたいのですが、いままでの論議で、たとえまだ不十分にせよ、F15については御本家のアメリカにおいてさえまだまだ重要な改善が行われると、こういう趨勢です。ところが、お聞き取りのようにPEP二〇〇〇というふうなプラン、改修プランは、これはぜひとも必須のものとしてつけ加わってくるわけなんですけれども、そうなると日本自体の防空という見地、条件からいたしますと、明らかに私ははみ出していると思う。過剰性能だと私は思う。つまり、必要もない航続力、あなた方にしてみれば必要にして十分というふうな言葉が返ってくるかもしれないが、侵攻攻撃能力のような、アクチブな余りにも突出をした能力を裏づけるための改修が、あるいはRQLでありPEP二〇〇〇プランであると私は思っている。そのためにまたぞろ納税者の皆さんがよけいな負担をしょう。強大無比な戦闘機を買わされる。ツケが回ってくる。したがって、こういうF15のような戦闘機、あなた方によれば一九八〇年代の精強なまことに妥当な正面装備だというふうなおっしゃり方をするだろうけれども、私はやはりこの戦闘機は、日本の防空条件からすれば明らかに過大な戦闘機であるという印象を私は持っている。いままでのところだけについて、三原長官はどういう見解を改めてお述べになりますか。
  108. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私の勉強不足もあろうと思いまするけれども、今日までの私の考え方としては、次期戦闘機、104Jの減勢に伴います補充、そしていま言われましたように、八〇年中期以降におきまする諸外国の航空機の発達の状態等を見て、専守防衛立場をとりますわが国におきましても、F15というのは私どもは最適な航空機である、戦闘機である、要撃機であるという立場を私自身は受けとめてまいったわけでございます。いろいろお話を聞いてまいります間において、私自身も先ほど申し上げましたように、性能あるいは戦闘能力あるいは安全度、価格、またいま言われまするように八〇年代中期以降専守防衛日本にとってどうなんだ、少し攻撃性が強過ぎて他国に脅威を与えるようなものに受けとめられないかというような御意見等も踏まえての意見がいまあったわけでございまするが、現在のところ、いま私自身が、いままでの考え方を見直すまでの心境にはなっておりません。しかしながら、いまの貴重な御意見等も踏まえまして、十分私自身も勉強をし、八〇年中期以降のわが国の専守防衛立場をとる要撃機としてどうなんだということも、私自身も検討を加えることには恬淡な気持ちで当たってまいりたい、そういう気持ちでおるわけでございます。特にいま価格問題等もいろいろ明確でない点もあります。しかし、ブラウン長官の発言自身にも私もまだ十分自分で納得し得る心境にもなっておりませんので、アメリカの審議の経過なり、あるいは確実な情報をキャッチいたしました上で、勉強を再度さしていただこうといういま心境でおるわけでございます。
  109. 秦豊

    秦豊君 当初、委員会の冒頭では、非常にクールに、柔軟に、幅広くと、いまは、まあ基本的な点についてまで考え直す心境ではないが、しかし意見は十分にくみ上げたいと、こういうお答えであったんですが、三原長官に伺いたいのは、まあきょうは細部にわたる詰めをまだいたしておりません。私の方の議事録と、伊藤防衛局長ないし江口装備局長等々からのデータの突き合わせもあります。で、きょうは時間がそろそろ近づいておりますので、これ以上の細部の詰めは一応はばかります。はばかりますけれども、やはりこの防衛アンテナという、あなた方の労作ではあっても、「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針について」という記述だけを見ても、やはりまだまだ矛盾とか、記述自体の前後の矛盾とか、あるいは強引さが目立つように思います。それについては改めて次回の委員会等を含めて問題を提起したいと思います。しかし、長官でなければお答えできない質問をだから最後にしておきたいと思うんですけれども、あなた方が小松チームをお出しになってからだけでも、たとえばF16Aが新たに飛んでいるし、それからF15が申し上げたようにさまざまな改善が加えられつつある。完了はしていない。そうなりますと、せっかく国防会議で一年間延期というやや慎重な配慮が、やむを得なかったにしてもなされた以上、やはりここで一年間延期という重みを防衛庁長官としては受けとめて、まあきょうの質疑あるいは衆議院でもあったようだけれども、いろんな疑念が完全に晴らされてはいない、これは御存じのとおりです。私の質問もその一つにすぎない。これからもどんどん出てくると思う。そこで、時期の問題は別として、やはり三原防衛庁長官らしくひとつ大きな器量で、大ガバナビティーで、この際謙虚に、空幕と内局、F15ですよ15ですよとはやり立つ手綱を引き締めて、もう一回改めて権威ある公正なメンバーによるFX調査団というものをこの際送り出すべきではないか。時期は問いません。私は少なくともそう思うし、そのことが、やはりこれからこの国会論議などを契機としてまだまだわだかまってくるであろう有権者の皆さんの、納税者の皆さんの感覚、疑念にこたえるゆえんであると私は少なくとも思っているんですよ。まだまだこの程度のリポートでは少ないと思っているんです。だから、改めて防衛庁長官三原さんの判断において新たにFX調査団をお出しになる、そういう配慮と存念がないかどうか、ぜひとも伺っておきたい。
  110. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) このことは衆議院においても同じような御指摘がございました。私自身、いま内局、それから幕の方とも全般的にひとつ十分な研究、詰めをしてくれということを、もう一ヵ月ぐらい前から申し渡しをしておるわけでございます。諸般の情勢も、新しい情勢も生まれてまいりましたし、その結論的な研究の成果を踏まえて、いま先生から御指摘がございました特にこういう時局でございまするし、一点の国民の疑惑も受けない始末をして結論を出すべきだと思いまするし、先生のいま新しい御提案、再度調査団を編成をしてアメリカに調査に派遣する考えはないかということでございまするが、そのことをも十分承知をした上で検討さしていただきたいと思っております。
  111. 秦豊

    秦豊君 それを含めてぜひ検討願いたいが、では時期の問題は別として、もう少し積み重ねれば、再調査はあり得るというふうな理解で間違いではありませんか。
  112. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま申し上げましたように、十分庁内のまず詰めをいたしまして、全体の総合的な判断の上に立って、いま言われましたように再検討をするかどうかというようなことを、その際に決定をいたしたいと考えておる段階でございます。
  113. 秦豊

    秦豊君 恐らく、国会審議の進展につれまして防衛庁内の空気もかなり変わってくるでしょう。特に、やはり内局の一部にやや慎重に似た論議があり、ユニホームは割り切っている、こういう時点で、やはりF15に固執をするお考えはないことはきょうの答弁でわかりましたけれども、やはり再調査が必要になる時期は必ず来る。一年間そのためにあるんです。ぜひとも、私は強くそのことを長官に要望しておきたいと思います。これについての答弁は要りません。先ほどのお気持ちで結構です。  最後に、若干の時間がありますのでちょっと伺っておきたいんですけれども、これは防衛局長に伺いたいんですが、アメリカ空軍、特に空軍、この方針というのは、日本の周辺諸国には軽戦闘機を持たせると、仮に私のそんたくですよ。それから日本にはF15を装備させると。こういうふうな考え方というのは、NATOにおける配置とよく似ているんですね。NATOの場合には前線の四カ国、これにはF16を採用さして、そしてイギリスと西ドイツが例の共同開発のMRCA、そしてアメリカがF15を持ち込んで分厚くすると、こういう多重多層の配備をしている。だから、防衛F16でやって攻撃はF15とMRCAで担当をすると。そうすると、こういう方式と非常に似ているんですよね。NATOと北東アジアが違うだけだとぼくは思うんです、その思想において。だから、日本FX構想というのは、日本に内在する、必然という言葉をぼくは使うんだけれども、ぎりぎり日本から芽生えて、日本から発生して、もうこれを満たさなければ日本の防空が全うできないという急迫不正な、差し迫った要請じゃなくて、初めにいま言ったようなNATO式なアメリカ側の要請があった、アメリカの戦略思想と全くワンセットの相互補完の兵備思想ではないかと私は思えてならないんだが、その点についてはどうですか。
  114. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がお話しになりました中で私どもの認識とやや違う点は、NATO諸国が、防空の面はF16にやらせて、そして攻撃面を15、Mでやらせるという思想のもとにアメリカがレコメンドしたというようなお話でございますけれども、オランダの国防省がF16を採用するに当たって出しました声明の中の一つのポイントは、ヨーロッパにおける防空作戦といいますか、その中で非常に重視しているのは攻撃能力である、その点が、F16というのは安くて、軽戦闘機でありながら攻撃能力というのはきわめて高い、これが採用の一つの方針であるというふうに述べております。したがいまして、私どもの理解といたしましては、ヨーロッパにおきますいわゆる防空の対戦闘機戦闘というのは、あそこに配備されますアメリカのF15が主としてこれを担い、いわゆる低空で攻撃するというような形、それをF16というものがやるのではないかというような考えを持っております。  で、日本におきます場合の防空作戦というのは、御承知のように要撃戦闘というのが主でございます。したがいまして、いわゆる対地攻撃といいますか、船で参ります場合の攻撃というものは、御承知のようにF1という、FST2を改造いたしましたF1によりましてこれをやらせようと思っております。そうなってまいりますと、自衛隊自身といたしましても要撃性能のすぐれたものというのが一つのポイントでございます。したがいまして、F104Jを採用しました当時から、ファントム、そして正というふうにまあ選定の基準を設けて選んでまいったわけでございますけれども、その都度、非常に日本にとってはぜいたくな飛行機ではないかという御議論もございました。しかし、現実に防空作戦というのは、平時におきましては領空侵犯任務についておりますので、やはりかなりの性能を持ったものをもって領空侵犯に対処しなければならないという任務もございます。そういう意味で、過去二十年間それぞれいい戦闘機を持ってきたと思いますが、一九八〇年代後半の軍事技術の面から見ますならば、やはりいい戦闘機を持ちたい、これはユーザーである航空自衛隊は当然でございますし、私ども防衛構想からいたしましても、やはり十分空中で要撃戦に対応できる能力のものを持たせたいということでございまして、アメリカがこれをレコメンドするから採用するというようなことではないわけでございます。
  115. 秦豊

    秦豊君 長官に重ねて伺っておきたいんですが、いままでの当委員会における防衛論議の中ではこういう壁があるんです。つまり、たとえばユニホームがやったORですね、選定に至るまでのいろんな作業、これは委員会が追及すると、いやそれは対象国をと、仮想敵国という言葉は皆さんお使いにならぬようだから、たとえばモスクワを刺激するというふうな配慮からもう全然出さない。だから、ユニホームの持っている情報量が絶えず一〇〇であって、内局はやや下押しをし、その内局のどの辺のランクかに防衛庁長官が絶えず位置してきた。ところが、当局閣委員会というのはそれよりかばるか下押しした情報量しか与えられず、後はもう機種や何でもすべてあなた方の決めたことが真っすぐに国防会議をまかり通る、こういう状態が幾久しく続いてきたんです。  私たちは、やっぱりそれはもちろん各党の足並みも必要でしょうけれども、せっかく新長官ですから、ときどきはやはりユニホームが当委員会のしかるべき場に出てくる、あるいはそのORをした緻密な作業のデータが、たとえば秘密会形式というふうなことで形式を整えた場合にはそこで報告がされるというふうなことによって、防衛に対して持っている、野党おしなべてとは言えないけれども、われわれが少なくとも持っている疑念にある程度答えるとか、つまり、もっと防衛に関する情報を委員会に公開する、提示するというふうな基本的なお考えはあるかないかだけ伺っておきたい。
  116. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私といたしましては、これはやはり衆議院の予算委員会でも率直にお答えを申し上げましたが、いままでの、外部から見られると防衛庁セクト的な運営をいたしておるという御非難もあるわけでございます。そういうものを一歩踏み出しまして、野党の防衛に対するプロジェクトチームの方々あたりには、率直にひとついろいろな防衛の基本的な問題等についても話し合いをさしていただけるような運営のやり方を進めてまいりたい。そういう意味での、先般楢崎——衆議院において御発言がございました、そうした特別委員会設置というようなものはどうだと言われましたから、その点につきましては、われわれとしては従来、いままで国会の場で論議をされておりまする法案、予算審議をしていただけるような特別委員会なり、常任委員会ということも考えてまいりましたけれども、新しい御提案でございまするので、そういう過去のそうした経過はわかっておりまするが、広く防衛問題を与野党話し合えるような場をぜひつくっていただきたい、そういう意味での特別委員会もひとつできますれば国会において考えていただきたい、そこまで率直に申し上げたところでございまするから、いまの御提案につきましては、できるだけひとつそういう幅広く防衛問題を国会の場においても論議願えるような一つの運営を考えていただくことができればと、いうこと自体、長官としてもお願いをいたしたいという心境でおるわけでございます。
  117. 秦豊

    秦豊君 これで時間になると思いますが、特別委員会はもちろん各党間の足並み、これが当然前提でしょうから、そう思います。  それから、われわれは言っておきますけれども、あなた方のお出しになる沖繩法案、これはあくまで力強く阻む。しかし、防衛論議は余りにも過少であるという立場に立っていますから、機会あるごとに、たとえば在韓米軍、日米防衛協力問題、FX、PXL等々の問題については当委員会を活用したい、こういう取り組みをしていきたいと思います。  質問を終わります。
  118. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本件に関する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  119. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として福井勇君が選任されました。     —————————————
  120. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 休憩前に引き続き国の防衛に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは質問さしていただきますが、カーター米新政権の対韓政策の基本というものが、在韓米軍撤退にあることは明らかになりましたけれども、その上に立ちまして、現在総理は訪米されておりますけれども、在韓米軍の撤退というものがアジアの安定ということに重大なかかわり合いがあるかと思いますが、防衛庁としての見解をお伺いしたいと思います。
  122. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  カーター政権の在韓米軍削減の問題につきましては、防衛庁といたしましては、一九七〇年におきまするニクソン・ドクトリン政策の延長であろうと受けとめておるわけでございます。新政権が発足をして特に新しい政策を掲げられたという受けとめ方ではなくて、いま申し上げましたようなニクソン・ドクトリンの一貫した路線の上に立つものではないかという受けとめ方をいたしております。  そこで、今回の在韓米軍の削減に対しましても、在韓米軍が持っておりまする朝鮮半島の安定と平和、なお極東国際情勢の安定と平和という、そうした任務のもとに存在するものだと思っております。私ども自身、朝鮮半島の安定と平和は心からなる希求をいたすところでございまして、したがって、そうした朝鮮半島の安定と平和が、厳しい北と韓国との対峙の中にはございまするけれども、保持されておりまする安定と平和というような状態は、ぜひひとつ今後とも持続することを願望いたしておる立場でございます。そういう状態が急変をしない、動揺しない態勢の中で行われることを期待をするものでございます。まだはっきりカーター政権によります削減の時期なり、あるいは規模あるいはこれに代替策というものがあるとすれば、そういうものも明確になっておらない時期でございまするが、きわめて重要な問題だと受けとめて、注視しながらその推移を見守っておるというのが現在の状態でございます。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 カーター新大統領の選挙戦のさなかから、私この問題について質問をしたことがあるわけですが、いまいろいろと願望、期待ということでお話がありましたけれども、やっぱり国防をつかさどる防衛庁として、戦略上から考えてもいろんなやはりそこに観点が出てくるんじゃないかと思うんです。そういった意味防衛庁としての見解、それを明確にお聞きしたい、こう質問しているわけです。もう一度お願いします。
  124. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、先ほども申し上げましたように、朝鮮半島におきまする安定と平和の状態、これ自体はまたアジア全体にも影響するわけでございます。わが国にとりましても大きな一つの関心事であるわけでございまするから、しかし、まあ現在時点におきましては具体的な態様が明確にならぬものでございまするから、きわめて厳しい注視の中でその推移を見守っておるというのが防衛庁の現在の態度でございます。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、それではやはり防衛庁としての責任というものを果たせないんじゃないかと思うんですね。この問題はいま始まったことじゃなくて、まああなたのおっしゃるとおり一九七〇年のニクソン・ドクトリンからの延長であるという見方からするならば、もっともっとこれは討議もされ、そして検討もされてしかるべきじゃないかと思うんです。あれ以来もう何年もたっているわけですし、この問題が論議されたのもいま初めてではございませんし、ですから、外務省等の意見としてはそういうことが許せるかもしれませんけれども、やはり日本防衛というものを考えてみえる防衛庁としては、余りにもそれでは責任なさ過ぎるんじゃないかと思うんです。具体的な態様というのが明確にされていないと言うけれども、やはりそこにはモンデールさんが来たり何かしでその中である程度の打ち出しはされているんじゃないかと、こう思うわけですけれども、その点再度責任ある答弁をお願いしたいと思います。
  126. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御説はごもっともだと思いまするが、しかし問題は、先ほども申し上げましたように、朝鮮半島におきまする平和と安全ということが、これは私どもも願望いたしますとともに、アメリカにおける在韓米軍においてもそういう使命の立場から十分考えて対処しておるものと思うわけでございます。私どもといたしましては、そうした、いますぐ、きょうあすという事態とも受けとめられませんので、また防衛は外交、政治、経済、全体の中での私はバランスの問題だとも考えまするので、防衛問題だけを抽出してという立場から論ずるわけにもいきませんし、したがって、そういう点で大きな注視をしてその推移を見ておるわけでございます。いた具体的にどうだというようなことを申し上げる立場にはないと思っておるのでございます。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、先ほどの答弁の中に、まあこの問題は、私アジアにおける安定、アジアの安定について重大な影響力があるんじゃないかと質問しましたが、長官からもアジア全体に影響すると、こういうまあ答弁ございましたけれども、そうしますと、やはりアメリカの立場、これは国際政治を指導していくアメリカの立場ですが、米軍はやはりアジア・太平洋地域に存在をしている、まあ米軍のそのプレゼンスを維持していくということがアジアの繁栄にとって不可欠であるのかどうか、このようにちょっとお聞きしたいと思うのですが、そのように認識されていますか。
  128. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そのように認識をいたしております。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、やはり防衛庁立場でいろいろ判断をされておると思いますけれども、その場合に、韓国に米軍が存在していることが、朝鮮半島はおろか、あるいはアジアの安定にも必要だと、こういうことは崩すことのできないことではないか、さらに日本の安全にとってもこれは必要なんだ、このように思いますが、その点いかがですか。
  130. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども申し上げましたように、朝鮮半島の安全なりアジアの安全ということは、在韓米軍という軍隊だけの存在ということでなくて、各般の政治、経済、文化、外交、全般的な私はバランスの問題、整合の問題だと思って受けとめておるわけでございます。そういう立場におきましても、しかし、軍事面の在韓米軍が持っておりまする任務というのはそれなりにやはり受けとめてまいっておるところでございます。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 過日の予算委員会でも、米軍の撤退という問題は、まあ総理は、政治、経済、軍事、総合バランスというようなお言葉で答弁されておりましたが、そういうバランスを損なわなければいいと、こういうような総理の答弁もありましたが、軍事的に見た場合に、そういうバランス論だけで撤退の賛否を決めていいのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思うのですが。
  132. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 総理の御発言にございましたように、総合的な判断に立って総理は申されたと思いまするし、したがって、カーター政権の方針として、全体のバランスの中に立ち、朝鮮半島なり極東の安全と平和ということをねらいながら、現在の時点において在韓米軍の削減が可能かどうかというような判断をされるものではないかということを思うわけでございまするけれども先ほども申しまするように、態様が明確でございませんし、いまその実態がどうだというようなことを述べることができないのでございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まあ福田総理は、そういうバランスさえ崩さなければと、こう言われているわけですけれどもね、先ほど御質問しましたように。それで長官は、あなたは防衛庁長官として、バランスさえ崩さなければ撤退ということに賛成するのかどうか、その点ちょっとお聞きしたいと思いさす。
  134. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 韓国と、あるいは米国との関係でございまするし、私が防衛庁長官として賛成するとか反対するとかいうようなことを言うことは差し控えてまいりたいと思っておりさす。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは先に進みますけれども、韓国側は、米軍の撤退に伴いまして作戦指揮権を国連軍から韓国側に委譲してほしいと、このように言っているわけでございますけれども、そういった事実に関連して、防衛庁また外務省でどのように把握されているか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  136. 遠藤哲也

    説明員(遠藤哲也君) 在韓米軍の撤退と、それから作戦指揮権委譲の問題につきましては、私どものいま知り得ておりますところでは、韓国側でそういう問題は検討されているとは思いますけれども、まだ具体的な問題としてはっきりした形で問題が検討されているということは承知しておりません。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁いかがですか。
  138. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 軍事常識的に見まして、地上軍が全くいなくなった場合に、この作戦指揮の問題というのが現在のような形でそのままいくのか、あるいは変わるのか、問題があるということは認識いたしておりますけれども、具体的にどういう話し合いがあるのか、あるいは米側がどういう考えを持っているのか、そこら辺についてはまだ情報を持っていないわけでございます。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 基本的なことをちょっとお伺いしますけれども、韓国にある国連軍が韓国軍の作曲指揮権を持ったという、そういう法的な流れについて説明していただきたい。
  140. 遠藤哲也

    説明員(遠藤哲也君) ちょっと歴史的なことになるわけでございますけれども、御説明さしていただきます。  まず、一九五〇年の七月十五日でございますが、これは朝鮮動乱の直後でございますが、李承晩大統領と、そのときのマッカーサー国連軍司令官との間で交換書簡がございまして、その交換書簡によりまして、朝鮮またはその付近において敵対行為の状態が継続している間、韓国軍の指揮権は国連軍司令官にゆだねられることになったわけでございます。それが一九五〇年の時点でございますが、その後一九六一年五月十六日韓国におきまして軍事クーデーターが起こりましたときに、一部の韓国軍の部隊が国連軍の指揮下を離れて独自の行動をとったわけでございます。で、このことにつきまして、国連軍当局と韓国軍の間にその善後処置につきまして協議が行われました結果、同年の五月二十六日在韓国連軍司令官と韓国国家再建最高会議との間の共同声明が発せられまして、共産主義侵略から韓国を防衛するための全韓国軍の揮権は国連軍司令官に復帰したということが再確認されたわけでございます。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛庁にお聞きしますけれども、この米軍撤退に伴って指揮権が韓国側に委譲されるようなことになるとしますと、軍事的な機能というのは大きく変化すると思うんですが、その点どのようにお考えでしょうか。
  142. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 軍事的に変化するといいますと、どういう御質問内容か私もつまびらかにしませんけれども、現在、国連軍司令官が有事に際しては韓国軍を指揮下に入れるというのは変わってくるわけでございますが、どういう形になるのかもちょっとわかりませんので、いまは御説明申し上げる材料を持っておりません。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 新聞の報道によりますと、具体的に韓国側ではそういった検討、対応策に追われている、五月には米韓安保協議会にこれを提出したい。このようなことが報道されているわけですけれども、この指揮権の委譲という問題はまだ具体的には防衛庁としてはつかんでいないというお話でございましたけれども、この指揮権をアメリカ軍が手放すことはなかなかむずかしい問題ではないかと私自身も思いますけれども、この指揮権を手放すということは、むしろアメリカが不安を感じているんじゃないかと、こういうように思うわけですが、その点はどうでしょうか。
  144. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) カーター大統領になりましてから申しておりますのは、地上軍の削減あるいは撤退というようなことが言われているわけでございますけれども、在韓米軍の中で航空部隊というのは残るわけでございます。現に一九七一年に一個師団が引き揚げたことがございますが、そのときには一個スコードロンのファントムの部隊を増派いたしております。したがいまして、在韓米軍が全然いなくなるわけではございませんので、その辺がどういうふうになるのかは私どもわからないという点でございます。
  145. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃこういった問題がいま提起されているとなりますと、いろいろなバランスということを考えた場合には、先ほどのバランス論、総合的バランス論というようなお話がありましたけれども、こういう指揮権の委譲ということもその中には含まれて考えられてくるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  146. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それが具体的に入るのかどうかというのはまだ具体的にわかっておりませんけれども先ほど申し上げましたように、一九七一年の際には、この航空部隊の増派と、それから韓国軍の近代化、これに対する援助というような形で、バランスをとってきたというふうに私どもは考えているわけでございます。  で、バランスがとれるか破れるかという問題でございますけれども、在韓米軍の問題といたしましては、現時点におきましては二つの側面があると思います。一つは、いわゆる防衛力としてのバランス論というものがあろうかと思います。で、これは現にいままで大きな紛争が発生しておりませんから、バランスがとれておったというふうに考えられると思います。それからもう一つは、ベトナム後の極東におきまして大軍が対峙している一つの緊張状態のある場所でございます。したがいまして、アメリカが条約を結んでいる国に対するコミットメントというような問題もあろうかと思います。そういった意味で総合的にバランスがとれているというふうに判断しているわけでございます。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは、防衛庁としては軍事的な問題として十分に検討も今後されていく問題だと思いますけれども、まあアメリカが指揮権を譲渡するのに若干難色を示している理由としては、そういう万一の場合に韓国が独自の防衛政策をとってくるということをおそれを抱いている、こういうような説もあるわけです。米軍の撤退には、当然南北のバランスというお話もありますが、北側の侵攻ということも考えられる。しかしもう一方の見方としては、南側がそういった撤退に伴っての政情のいろいろな問題で、北に対してちょっかいを出すということが考えられるんじゃないかという、そういう説もあるんですが、その点についての見方はいかがですか。
  148. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私どもは、報道といたしましてそういうものも読んだことがございますが、それに対しましては、やはり韓国というのは友邦でございます。そしてまた対峙している中における防衛構想というのを持っていると思いますので、それについての防衛庁の判断というのは特にないわけでございます。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私たちが考えましたのは、アメリカ軍の作戦というものは、やはり大きなグローバルな考え方、見方でもっていろいろ作戦を立てていくでしょうし、しかし韓国という一国になりますと、やはりいろんな面でローカルと言えばローカルですが、狭い見方しかできない。そういう中で、われわれもまあ他国のことですからとやかくは申しませんけれども、いろいろなそういった問題がやはり考えられると思います。そこで、先ほどからの総合バランスということを考えますと、軍事的なバランスを考えるとそういった面も加味して考えてみえるんじゃないか。そうして、それによってこの米軍が撤退をすることが賛成なのか反対なのか、そういうことも検討されていくんじゃないか、一つの材料になるのじゃないか、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
  150. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) まあそういうものが、判断ということではないわけでございますけれども先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、やはり朝鮮半島の平和というものはわが国の安全にとりまして深いかかわり合いを持っているわけでございますから、その平和が維持されるような形で今後続いていってほしいということは軍事的な面からも言えることであろうというふうに考えております。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官いかがですか。
  152. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま局長が申し上げたとおりでございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、この問題はまた後日に譲りますが、次にお伺いしますけれども、過日の衆議院の予算委員会におきまして、米空軍と航空自衛隊との共同演習の問題が質問されました。その中で、米空軍と航空自衛隊と共同演習しているんじゃないかという質問に対しまして、長官は、航空自衛隊と米空軍と共同訓練は実施していない、こちらから依頼したのであり、向こうは協力してくれたので共同訓練ではない、こういう答弁をされておりますが、その点いかがですか。
  154. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えいたしますが、いわゆる日米の共同訓練というのでございますが、共同訓練というのは、自衛隊と在日米軍との関係で、一つの訓練目標を両者で設定をいたしまして、両者のそうした戦術、技術面の向上を目的として、訓練を両者でやる場合には共同訓練ということを私どもは考えておるわけでございます。しかし、今日までやっております自衛隊の関係におきます空の訓練は、一方的に私の方で実は訓練目標を立てまして、目的を立てて、たとえば要撃訓練の場合、スクランブルを組むというような場合には、こういう目的で訓練をいたしたいと思うが、ひとつぜひそれの目標機になってほしい、そういう要請をしてやっておりまして、米国の技術向上というような立場に立っていないものですから、一方的にこちらから技術向上のための訓練をいたしておるというととろで、実は合同訓練あるいは共同訓練という体をなしておりませんということで、衆議院においても御回答申し上げたわけでございます。そういうことで、共同訓練というのは、いま申し上げまするように、両者が同一目標を立てて一緒に技術向上のための訓練をするということで、そういうものを共同訓練とわれわれは意識いたしておるわけでございます。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま長官お話の中で、日本側から依頼をして、米軍側がそれを受託して、まあ何時、何時ということでそういうクェーカーを飛ばすということですね。そういうことになると、これは私たち考えても合同演習ということになるんじゃないかと思うんです。事実アメリカは共同演習だと、こう言っているわけですけれども寸その点どうですか。
  156. 水間明

    政府委員(水間明君) ただいま長官からお話がございましたように、同じ訓練内容につきまして、双方が技量を向上させる訓練を共同訓練と申しております。先日新聞で報道されました事例は、米軍機は真っすぐ目標機として飛んでくれるだけでございまして、わが方の訓練として行ったのに対する米軍のいわば協力でございます。そういう意味で共同訓練というのは当たらないというふうに考えております。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、クェーカーだけで、目標だけで飛んでもらったわけですけれども、それなら何も米軍機じゃなくてもできるわけじゃないですか、米軍機でなくたって。
  158. 水間明

    政府委員(水間明君) 先生のおっしゃるとおりでございます。で、航空自衛隊自身、自分の飛行機を目標機として飛ばして訓練することもございます。ただ、量的に少のうございますので、機種の問題もございますが、米軍の協力を得ることもあるということでございます。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、クェーカーなら在日米軍機でなくてもいいわけですね。たとえば、韓国から飛ばしてきた、その航空機をクェーカーにすることもできるわけですか、その点いかがですか。
  160. 水間明

    政府委員(水間明君) 可能でございます。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、先日の場合は韓国から飛来してきた飛行機ですか。
  162. 水間明

    政府委員(水間明君) 韓国から飛んできたということは承知しておりません。ただ、そうでないかどうか、ちょっと私には断定できませんが。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ちょっと手元に資料がありませんが、いろんな情報筋によりますと、当日在韓米軍機がフェーカーとして飛来してきた、それに対して在日米空軍と自衛隊がスクランブルをかけた、こういうふうに報道されておりますけれども、その点いかがですか、確認されておりませんか。
  164. 水間明

    政府委員(水間明君) 先ほどから申し上げておりますように、目標を提供してもらうというだけの目的でございますので、特にどこから飛んできたということは航空自衛隊としては承知していないわけでございます。新聞でそういう報道がなされておりましたが、その確認もしておりません。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これは琉球新報ですけれども、ちょっと読みますと、「二月七日午前七時半ごろ、韓国の烏山基地、群山基地を相前後して発進した在韓米第三一四師団のF4Eファントム戦闘機四機、F4Dファントム戦闘機八機、計十二機は、途中、KC−135機の空中給油を受けた後、北緯三十度の日本の防空識別圏を突破、沖繩上空に侵入してきた。これに対し、嘉手納基地のF4Cファントムがまず飛び立って、沖繩北西の鳥島訓練空域にあらかじめ設定されたAエリアで〃空中格闘〃その直後、那覇基地のF104J戦闘機四個飛行編隊(十二機)が緊急発進、うち三個飛行編隊はAエリアに向かい、在韓米空軍機を迎撃した。一方、北部訓練空域に設定されたBエリアでも嘉手納基地のF4Dファントム十六機、海兵隊AV8ハリヤー垂直離着陸戦闘機二機、F4Jファントム二機が入り乱れて、射爆や格闘訓練を実施しており、その中に航空自衛隊F104J  一個編隊も入っていって、迎撃訓練を実施した。同時刻に沖繩周辺の上空で米軍、自衛隊機約五十機が入り乱れて、〃空中戦闘〃状態に入っていたことになる。」と、こういうふうに報道されているわけですが、詳しくこう書いてありますが、その点どうですか。
  166. 水間明

    政府委員(水間明君) ただいま先生がお読みになりました報道の一部は事実に基づいて書かれているかもしれませんが、入り乱れて訓練を行ったというような叙述は全く事実に反するわけでございまして、航空自衛隊は米軍の目標機に対して独自に要撃訓練を行ったというだけでございます。あとの機数について、あるいはどこから出発してきたかというようなことについては全く承知しておりません。米軍機がですね。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、予算委員会でも問題になった点ですので、この点確認をしましたか、米軍に対して。要請、お願いしたばかりじゃなくて、こういうようなことで予算委員会等で質疑に出たけれども事実はどうだと、確認しましたか。
  168. 水間明

    政府委員(水間明君) 予算委員会では特にそのことについての問題はなかったわけでございまして、確認しておりません。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 あなた、いま一部事実があるとおっしゃったけれど、どれが事実なんですか。入り乱れてということは、これは間違いだというような話がありましたけれども
  170. 水間明

    政府委員(水間明君) 二月七日に沖繩西方の空域と九州の西方の空域で、米軍機に対してわが航空自衛隊が要撃訓練を行ったということでございます。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではお願いをしたいんですが、この戦闘のフェーカーとして来た飛行機は、事実韓国から来たのか、あるいは沖繩の米軍機であったのか、そこで確認をしていただけますか。
  172. 水間明

    政府委員(水間明君) 確認できるかどうかということでございますが、恐らく米軍は、いままでもそうでございますが、どこから飛来してきたかということはわが方には明らかにしておりませんので、ちょっと無理だと私は思います。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この練習でこのような報道もされておりますが、私たち国民としましても、やはり米軍の撤退という問題に関連をしてこのような仮想訓練を行ったんじゃないかという心配がするわけです。今後もこの問題が拡大されていくんじゃないかと思うわけです、こういうような演習が。その点で、やはり計画を一方的に自衛隊が組んで米軍にお願いをしたと、それに対して飛んでくれたんだというだけでは済まされない問題があるんじゃないかと思うんですね。事実丸山前防衛局長は、かつての予算委員会におきましても在韓米軍機とは一切紳習はしないと、このようにはっきり答弁をしておりますし、その点やはり防衛庁としてもしっかりと確認をしていただきたいと思うんです。
  174. 水間明

    政府委員(水間明君) いま先生の御指摘の訓練はずっと以前からも続けてやっております訓練でございまして、特段に二月七日の訓練は新しいものではございません。それから、在韓米軍機ということを特に意識して行動しているわけではございませんで、米軍という、日米安全保障条約で日本防衛する際の共同防衛協力の主体である米軍機を、便宜上目標としてこちらの要撃訓練のサポートをしてもらう、それだけのことでございます。特別変わった、先生がおっしゃいましたように朝鮮半島からの削減ということとは全く関係がないものとして理解しております。
  175. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 どうも納得できないんですけれども、そうすると、新聞に報道されている事実は、これは間違いだというわけですね。在韓米軍機と書いてあるのは間違いだということですね。
  176. 水間明

    政府委員(水間明君) 先ほど来私が申し上げておりますのは、在韓米軍機かどうかという点だけでございます。在韓米軍機であるかどうかについてはわが方としてはその確認する意思もないし、また、米軍の方でもそれを明らかにしないということだけでございまして、あと向こうのその新聞記事で在韓米軍の削減に絡んで共同訓練を強化しておるという報道は全く誤りでございます。
  177. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、三原長官は同じく予算委員会で、航空自衛隊も海上自衛隊と同様に近く米軍と合同訓練を計画していると、こういう発言をしていますが、それは事実ですか。
  178. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) どうもはっきり聞き取れなかったんですが、そういう共同訓練を計画しておるというようなことは申し上げたことはございません。海上自衛隊についてでございます。
  179. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 海上自衛隊はいま共同訓練をやっているんでしょう。
  180. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ええやっております。どうも質問がはっきりしませんで、海上自衛隊につきましては、今日まで話し合いをいたしまして共同訓練をいたしております。
  181. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいまの先生の御質問のとき、私も政府委員としておりましたので、いきさつについて御説明申し上げますと、大臣が御答弁なさいましたのは、現在海上自衛隊は共同訓練をやっておりますと、それから、陸上自衛隊と航空自衛隊は現在やっておりませんと、そういうお答えであったわけでございます。それに対しまして委員の先生から、じゃ陸上自衛隊と航空自衛隊はずっとやらないんだなという御発言がございまして、まず陸上自衛隊についてはないでしょうけれども航空自衛隊については全然ないということはないと思いますと、そういうお答えであったと記憶いたしております。
  182. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 防衛局長から耳打ちをされて変更されたというふうに聞いておりますけれども航空自衛隊については、いま教育訓練だとさつきからずっとおっしゃっておりましたけれども、やはり今後、米軍が韓国からどういう形になるか、地上軍が撤退した後のバランスをとる問題、先ほどは韓国軍の近代化と、あるいは米空軍の増強ということでお話ありましたけれども、米空軍が増強されるか、それはどうかわかりませんけれども、まあ米空軍の増強ということも今後はそれほど拡大されないんじゃないかと思うんですね。そうなりますと、やはり沖繩における空軍であるとか、あるいは自衛隊の空軍の力というものがもっと強化されてくるんじゃないか、そこでますますこういった教育訓練という名前をすりかえた共同訓練がされてくるんじゃないかと思うんですね、私たちは。そういう心配をしているわけです。その点いかがですか。
  183. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 具体的な過去の経緯、それから今後の問題について事務的な点を御説明申し上げまして、後から大臣の御答弁をいただきたいと思いますけれども、実は御承知のように、いま在韓米軍との関係で云々というのは、これは全くございません。といいますのは、わが航空自衛隊日本の防空任務につくものでございます。そしてまた、御承知のようにいわゆる要撃戦闘というのがわが航空自衛隊の任務でございまして、攻撃面というのはやはり日米安保体制によって米側に依存するというのが従来からのたてまえでございます。わが航空自衛隊が、まだ要撃任務といいますか、対領空侵犯措置、その任務も果たせない時代、すなわち昭和三十年代の初期におきましては本土にもたくさんの米軍機がおりまして、平時には領空侵犯任務、そしてまた有事の際には要撃任務にもつくような体制であったわけでございます。それが昭和四十年になりましてから、本土におきます米国の航空部隊というのはいなくなりました。それからは領空侵犯につきましては航空自衛隊が任務についておりますし、また有事の際の防空面というものは航空自衛隊が果たしていくことになろうと思います。しかしながら、何といいましても防空作戦の中で必要な攻撃面というものは米軍に依存しなければならないわけでございますから、現在の日米防衛協力委員会におきましても、そういう平時の訓練を含めまして今後検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  184. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官どうですか。
  185. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えします。  防衛局長が申し上げたとおりでございます。特別つけ加えるところはございません。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ三原防衛庁長官に二、三の基本問題についてまず質問をしたいと思います。  第一に、坂田前長官は、今後の防衛方針として基盤的防衛力構想なるものを打ち出されました。三原長官はこれを継承されてやられるのかどうか、この点まずお伺いしたい。
  187. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 結論的に申し上げますれば、基盤的防衛力を継承してやる考えでございます。と申し上げまするのは、昨年基盤的防衛力を決定なさいましたときの内外の情勢、あるいは防衛整備の現在の防衛庁としての方針等も変わった事情もございませんので、坂田長官のときに設定をされました基盤的防衛方針を継承してやってまいる所存でございます。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま日米首脳会談が開かれております真っ最中ですね。この中で一つの大きな問題は、これは在韓米軍の撤退問題である、これは言うまでもないことであります。けさほどのニュースでも、カーター大統領は福田総理との会見で、韓国防衛の義務は果たしながらも地上軍の撤退は既定方針どおりに行うんだということを言明されているようです。こうした情勢の中で、基盤的防衛力構想なるものが、これは影響を受けるだろうと思うんです。何せこれは二年前の構想で、去年たしか七月ですか、はっきりまとめるということでしたが、ところがその後の情勢の変化があるわけですから、どうしても影響を受けざるを得ない、こう考えられるわけでありますが、そうすると、先ほどの御答弁のとおり既定の方針をあくまでも守ってやっていくんだというようなことにはならない、そういう事態も起こり得るんじゃないか、この点どういうふうにお考えになるか。
  189. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) きょうテレビ放送などやっておりましたので私も聞かせていただいておりましたが、朝鮮半島の安全と平和、これは壊さない態勢のもとにということでございます。したがいまして、私どもといたしましては、また極東全体の安全と平和というようなことも十分考えたながら在韓米軍の削減が行われるものと思いますので、したがって、先ほども申し上げましたように、現在の国際情勢、あるいは日本におきまする防衛上、その整備、運用、維持等について、その指針となっておりまする防衛計画大綱にこれが触れてまいって、これを変更するというような事態であると受けとめておらないわけでございます。したがって、韓国におきまする在韓米軍が削減をされるという事態の推移につきましては、十分注意をいたして見守っておるわけでございまするけれども、当面してわが国防衛計画を変更するということは考えておらないのでございます。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま首脳会談が進行中ですね。結論はまだ出ていない。しかし、アメリカ側の主張は非常にこれははっきりしている。既定方針をあくまでやっていく、無論朝鮮における防衛の義務は負う、負いながらもやっていく、こういうことでこれは言っているわけです。これに対して防衛庁方針は、かつてこのような方針が発表されますというと防衛庁は挙げてこれに反対したわけですね。そうでしょう、いままで。そういう意向を述べましたね、反対の意向を。そうして結局は、バランスを崩してはまずい、それから撤退は非常にそういう点では大きな影響を与える、したがって朝鮮の平和、安全のため、あるいはひいてはアジアの平和、安全、いわゆる朝鮮条項の線ですね、これは意向を述べられた。現にそういう申し入れもされているわけでしょう。そうすると、ここのところは非常に一つの食い違いが出てくるわけですよね。こういう食い違いが、一応間もなく決定を見るわけでありますが、そういう事態の中では基盤的防衛力の構想というやつは、これは非常に影響を受けざるを得ない、そういう結果がくるかもしれない、そういう事態に対してどういうふうにお考えになるかというのを聞いているわけです。
  191. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、防衛庁の態度なり方針として、在韓米軍の削減について反対の意思表示とか賛成の意思表示をしたことはございません。ただ、先ほど来申し上げておりまするように、朝鮮半島におきまする安全と平和、これは私どもの希求する願望でございます。したがって、なおまた極東のアジアの平和、安全も同様でございます。そういうようなことを念願をいたしておりまする防衛庁といたしましては、そうした安全と平和を乱すような態勢にならないようにひとつ進めていただきたいということは申し上げておるわけでございます。決して、撤退自体が、先ほども申し上げましたように、一九七〇年以来のニクソン・ドクトリン以来の私はアメリカの政策だと思いまするので、そういう一線上にあるものだと踏まえておりまするから、そういう点について反対とか賛成とかいうようなことを申し上げているわけでは、ございません。しかし、朝鮮半島のあくまでも安全と平和の維持ということを願望し、それが乱れるようなことがあってはということで、この推移についてはきわめて重大な関心を持ってその推移を見守っております。しかし、実際上まだ具体的に削減の態様等も明確でございません今日にあるわけでございまするから、先ほどお話があったようなことで、いますぐ基盤的防衛力に基づきます防衛計画大綱などを見直すとか、考え直すとかいうようなことまで考える段階にないということでおるわけでございます。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの言われたニクソンのドクトリンの延長だというのは、これはきょうはここで詳論しません。しかし、これは非常に問題がある点ですね。さらにまた、朝鮮半島の平和と安全、あるいはひいては極東の日本を含めての平和と安全というのは、これはまさに韓国条項、さらに新韓国条項の線ですね、こういう線とは大分違うでしょう。その点をやはり明確にする必要がある。だからその点は、いまはあなたたちの防衛庁としての一応見解を述べたんだと、反対賛成の意見は述べない。しかし、間接的にはそういうことにこれはなっているんです。しかも防衛庁としてはどうかしらぬが、制服関係なんかではこれに対して非常に強烈な反対意見をいままで述べているわけでしょう。だから、そういう点でいまの説明ですね、これだけではまかり通れない。ことにニクソン・.ドクトリンの延長だというふうなことではこれはやはりずいぶん違う、ここのところは違ってくる。物の把握の仕方が非常にここは認識としては違ってくる。  さらに、今度の決意はいかに強いものかというと、去る三月六日の新聞報道によりますと、大統領の政策決定機関である国家安全保障会議が、在韓米軍の撤退方針、こういうものを作成してこれを発表しているわけですね。それをつづめて言うと、地上米軍を二年から五年の間に撤退させる、さらに、防衛公約と紛争発生の抑止力は相変わらず継続する、こういう二点が非常に重要な柱になっているわけです。つまり、この国家安全保障会議の撤退方針というのは、これは直接戦争に巻き込まれる危険のあるこの地上軍はこれを撤去する、そうして空軍、海軍は反対にこれを強化する、それによってあくまで防衛の義務を負うと、こういうようなふうにつづめて考えることができるんです。この結果は、当然わが国防衛体制に大きな影響を与えざるを得ないと思うんです。したがって、こういうような点についての見解というものは明らかにされておく必要がある。まあ情勢を見れば、とにかくまだ結論は出ない、しかしもう一両日に出る、出てからだと、こういうことを言われるんでありましょう。慎重にこれは考えておられるんでありましょうけれども、しかし、これはそんなに簡単にいく問題じゃない。そうして、もう既定方針をあくまで貫くんだと、こういうふうにカーター大統領は述べているんですね。そういうものについて、あなたのそういう事態が起こった事態でどういうふうに対処するかという決意を伺っているわけなんです。
  193. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 何回も繰り返してお答えをするようでございますが、きのうの会談のニュース、情報を承ってまいりましても、現在の朝鮮半島における安全と平和を乱すようなことはやりませんと、なお具体的に、削減については日本及び韓国と十分話し合いの上でということでございます。そういうような情勢でございまするので、日本防衛計画大綱なり基盤的防衛力を見直すというような、私は現在の情勢はそういう情勢にはないと受けとめておるわけでございます。しかし、朝鮮半島の安全と平和というようなことは、わが国にとりましてもきわめて重要なことでございまするので、その推移につきましては、先ほど申しまするように十分関心を持ってこれを見守っておるという事態でございまして、いまそれ自体が急激に防衛計画まで見直さねばならぬというような私は状態だとは見ていないのでございます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 空軍、海軍が強化されるという事態が、いまの情勢の中で非常にこれは起こり得る。そして、しかもこれは日本とのそういう共同体制が一方で強化される、そういうことを織り込んで基盤的防衛力構想というやつはもうできている。だから、そういう点では相当そういう条件を織り込んでおるものだというふうにこれは見ることができると思う。現にここに、昨年七月九日ですか、当委員会で発表したんですが、坂田防衛庁長官の日米安保協力委員会についての説明があります。これによると、この協力委員会の主要な議題としては、「自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するためにとるべき措置についての指針」、つまり共同対処方針ですね、これを検討する。さらにまた、「在日米軍の施設・区域の安定的使用の問題」、この二つが非常に大きな柱になっているわけだ。現にこれは説明しているわけですな。あれからすでにもう一年近くなる。そうすると、このような日米共同の作戦体制については、その後何回も会を重ねたと思うから、その作業は進んでおるだろうし協議も進んでおるだろうと思うわけです。いままで何回すでに小委員会、重ねられましたか、そうしてこの議題というものは一体何回取り上げられて、具体的にどこまで進んでいるか、その点について明らかにしてほしい。
  195. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 日米防衛協力委員会は、先ほど先生が読まれましたように、有事におきます日米共同対処要領というものを勉強するための会でございます。で、昨年の八月から現在まで三回これを開いておりまして、このガイドラインを出すに当たってのいろいろな問題点について話し合いました。最初のときには、まずこの防衛協力委員会というものの性格づけといいますか、そういうものを議論いたしまして、これはあくまで研究機関であって、その結果を日米安保協議委員会の方に報告し、それぞれの政府の責任において必要な措置をとる会であって、この防衛協力委員会でいろいろなことを決定する機関ではないというようなことをお互いに認識し合いました。そしてこの運営の方法といたしましては、大体二カ月に一回ぐらいのベースで仕事を進めてまいりたいというようなことが第一回で決まったわけでございます。  第二回の際には、これから研究をやるに当たっての前提事項というのをお互いに確認し合いました。この前提事項といいますのは、それぞれの国の法律、あるいは日本の場合には憲法の制約下にあります自衛隊の行動、そういったものを前提一してお互いに研究を続けていこうというような前提条件について話し合ったわけでございます。たとえば、事前協議の問題というのは、別に外交ルートを通じてやるのだからこの防衛協力委員会においてはやらないというようなことを含めまして合意したわけでございます。  そして第三回のときには、その前提事項を踏まえまして、これからどういう内容について議論し合うかというようなことを話し合いまして、いわゆる安保条約第五条の発動によります共同防衛対処の際にどういう形で整合のとれた対処ができろかというようなことを研究しようということで、そのためには、必要な小委員会といいますか部会といいますか、そういったものを設けてそれぞれ検討させましょうというようなことで合意を見ているわけでございます。  で、いままさにそういった具体的な、たとえば指揮機能の調整の問題あるいは後方支援の問題そういったものについてそれぞれ具体的に研究を始める部会というものを設置するのを今度の会でやりたいと思っておったわけでございます。で、これを実は二月中にも開きたいと思っておったわけでございますが、いろいろ双方の都合がございましていまだに延びておりますが、なるべく早い機会に四回目を開きまして、それぞれの部会におきまして必要な具体的事項を勉強してまいりたいというのが現在の状況でございます。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体まあ戦時の研究が、ことに五条発動時のそういう事態がないということから、この協力委員会というものはつくられた。そういう一つの大きな、何といいますか、必要によってつくられているわけでしょう。だから、ここで研究協議だと、こう言いますけれども、その結果は非常に実戦と深い関係が出てくるわけです。ないからつくったんです。ないからというのでこれをつくったんです。だからそれを満たすための体制を研究協議をやるわけでしょう。その研究協議がすでに三回行われた。そうして真っ向から掲げた一つの目標というやつは、非常に、いまの説明だけではその中身は具体的でないわけです。非常に不十分です。しかし、少なくともこれはそういうことを踏まえてやっているわけですね。だから、私はこれはもっと本当は突っ込んだ話もいましたいけれども、きょうはこれが主題でありませんから。しかし、こういう問題と、いまの在韓米軍の撤退問題というものは、これは無関係ではあり得ないわけです。さらに、これが非常にやはり前面に押し出される、そういう情勢の中にある。そういう点から、私はやはりこの基盤的防衛力というような構想の中に、実際はこのような小委員会を通じての日米共同作戦体制というものが非常に強化されつつある、こういう事態を一連の構想としてこれは考えざるを得ないと思うんですがね。だから、あなたたちいまこの問題について、韓国条項の立場に立って一応見解を出しておられます。しかし一方ではこれに対応するそういう研究が進んでいるだろうと思うんです。まあこれは具体的にはいろいろな問題を挙げて明確にそのうちしたいと思います。ここでいま、まだ時期でありませんから。いずれ結論が出てくる。予算委員会の場もありますし、この内閣委員会の場で、もっとこれは具体的な問題を挙げてお聞きをしたいと思っておるわけです。大体そういう点で、一応総括的な点はお聞きをしまして次に移りたいと思います。  三沢基地についてお聞きしたいんです。三沢の米軍基地ですが、これが日本政府から提供されたその時期、それからこの基地の規模、それから用途。まずそれだけお聞きしましょう。
  197. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答え申し上げます。  三沢飛行場は昭和二十年十月一、日接収開始いたしまして、正式に行政協定に基づく、いわゆる施設・区域として提供したのが二十七年の七月でございます。  それから、目的はもちろん米軍の空軍関係飛行場として提供したわけでございますが、現状は空軍が管理をし、実際の使用部隊は、P3を管理する部隊が使用しておるということでございます。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま、もっと言ったでしょう。規模はどのぐらいあるか。
  199. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 失礼いたしました。全体の面積は、飛行場としては千六百十万七千平方メートルでございます。そのうち米軍に提供をしております施設・区域は千六百一万八千平方メートルでございます。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃお聞きしますが、これは本土の中での米空軍としたら一番大きいですね。横田幾ら、岩国幾ら、両方合わしてもこれは三沢よりもはるかに小さいですね。これ、言ってください。横田幾ら。
  201. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 横田飛行場は、全体の面積が七百十三万六千平方メーターでございます。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから岩国も。
  203. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 岩国飛行場は五百五十九万八千平方メートルでございます。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、横田や岩国の方が広いというように国民は印象しているかもしらぬが、この二つを合わせても三沢の三分の二しかない。膨大なんです。日本の国じゅうで、嘉手納に次ぐこれは大きな面積を持っている、これははっきりしていると思うんですね。  次にお聞きしたいんですが、米軍の配備部隊、それから機種、それから兵員の数、こういうものはずっと変わったと思うんです。全体言えないだろうけれども、朝鮮戦争あるいはベトナム戦争、こういうもので非常に役割りを果たしているわけですから、そういうものを含めての概略ですね、これを述べてもらいたい。
  205. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) まず、飛行機の数でございますが、昭和三十年ごろは百二十機程度の飛行機がおりました。これは空軍と、それから一部海軍でございますが、その後だんだん変わってまいりまして、空軍から海軍の管理下に入るというようなこともございまして、現在では、その後空軍の飛行機なんかがいなくなりましてP3が七機籍を置いているようでございます。そのほかに、あそこにおります部隊といたしましては、飛行機のほかに、いわゆる保全関係の部隊がございまして、これが約千七百人おるわけでございます。そして、このP3C関係の第七艦隊麾下の海軍関係が千三百人程度おるというのが現状でございます。人員にいたしますと、四十五年ごろは約四千五百人おったものが、現時点におきましては三千百人程度に減少いたしているようでございます。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはP3Cはちょっと違うでしょう。七機ですか、九機ではないですか。
  207. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 失礼しました。九機でございます。間違いました。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから四十五年というのは、これはベトナム戦の激しい時代ですな、四千五百人というのは。朝鮮戦争の時代はどうです。
  209. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 朝鮮戦争時代の数字というのは、いま私資料として持っておりませんので、よくわかりません。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは時間の関係から、もう少し三沢の変遷について知りたい。というのは、一つの基地をわれわれは歴史的に概観していくことは、同時に、日本防衛政策の変遷を知ることになる。そういう意味から非常に重要ですからね、ちょっとお願いしたら四年分しか出してこないのですね。これじゃ足らぬから、もう少し時間かけていいですから、この次、予算で質問するにはまだ一週間ぐらいありますから、その間で結構ですけれども、この三沢が提供されてからでいいです。その前の朝鮮戦争のときを入れて、そのあたりはどういうふうに変遷して、米軍の何部隊が来たのか。これはその種類が明らかになって、それからどういう飛行機が配備されたのか。それから軍隊は何人だったのか。そういう問題についてちょっとわかるようにぜひ資料を出してほしい。いいですね、その点は。
  211. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) わかるかどうか、できるだけ努力をいたしまして、私どものわかる範囲でこれは調べたいと思います。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官、もう少しやっぱり基地の戸籍を明らかにしなければいけませんよ。何やつているのですか。ただ提供して、全然向こうの使うままにしておくなどということは、これは許されないと思うのですね。いままでのこのやり方というのは、全然これは米軍任せです。だから大変なことが起こっている。基地そのものについては、もっと責任を持った政府としての見解を出すべきだ。これは何といっても施設庁なり長官がそういう立場に立って明確にされる必要があると思うのですが、ようございますな、この点。
  213. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 三沢の基地についてのことでございましたが、全般的にもう少し変遷等について実態の把握をとってまいります。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいずれ岩国や横田や厚木、こういうところもお願いすることになるわけですけれども、全貌が明らかでないのでね、実際日本国民はわかっていないところです。暗黒の部分になっているところがたくさんあるわけです。こういうことでは防衛論議などと言っても実際は論議にならぬわけですからね。そういう点で特に重ねてお願いしておきたいと思うんです。  そこで、P3Cについてお聞きしたいんですが、この機数はいま申しましたように九機。この関係の兵員は千三百ですか。
  215. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは海軍関係でございますので、このP3C九機に関係しております海軍の兵員は約千三百人というふうに承知いたしております。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在どんな訓練をやっておるんです。
  217. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは訓練の内容は具体的には知りませんけれども、P3Cでございますから哨戒任務を持ってこの第七艦隊の行動範囲の中を哨戒していると考えております。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 合同委員会関係来ておりますか。——日米合同委員会報告を求めていないかね。こういう問題について少なくとももう少し知っていないと、いままでのような国会ほおかぶりでまかり通ったらこれは大変なことになる。ところが日米合同委員会は、基地は提供しています、米軍に任しているんだ、こういうような答弁でいままでまかり通ってきたんです。こんなことでは全然これは防衛論議にならぬですからね。だから、したがってどんな訓練やっているのかぐらい——これはあれを見ればわかるんだな、フライトプランがあるんだ。フライトプランずっと見れば大体見当つくわけです。フライトプラン持っていないのか、米軍の。報告はないのか。
  219. 佐藤行雄

    説明員(佐藤行雄君) お答えいたします。  合同委員会におきましては、基地の提供の目的に照らして提供は行われておりますけれども、先生御指摘のような点について逐一報告は受けておりません。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 これから論議を進めますが、安保そのものについてはわれわれはずっと継続的に反対してきた。それにしても、この安保の運営の仕方についてもこれは意見を述べざるを得ないわけです。これは中身にはほとんど入っていないんですな。それで全部提供したのでございますからということで、実際は地位協定なんかで、後でこれは質問しますけれども、ルーズにやられておる。これでは全くひさしを貸して母屋を取られたようなかっこうになって主権がどこにあるかわからない、そういうところが日本にいまだ沖繩を初め大変あるということですよ。こういう点について、どうもいままでのやり方はまずいと思う。対等、平等だなんと言っているが対等、平等ですか。全然貸した基地についてこの中身はわからない、何やつているかわからない、全部向こうに任している、向こう任せだ、こんなことで一体日本防衛を論ずることができますか。こういう態度ではだめなんだ、外務省の態度を変えなきゃならぬ。防衛施設庁なんかも単に基地やるだけじゃないんですから。これについてある程度報告を受ける、そういう権能を持っている。防衛庁長官は当然そのようなことを要求すべきだというふうに思うわけです。そして安定的な基地の使用ということを言っているんですよ。何が安定的な基地の使用です。勝手なことをやっておいて、そして国民信頼、これに対して、国民感情だって悪化さしておいて安定的な使用もないものです。だから小委員会の課題だって、その点なんかはもう平等にやってくれ、もう少し平等にやってくれ、こういう要求をすべきだ。ところが全然だめなんだな。合同委員会関係からアメリカ局長から全然だめなんだな。そしてアメリカと相談しなければ資料は出せません。協定みたいなこんなものさえ出せない。これは根本から変えなきゃならぬ。特にこれは三原防衛庁長官はその点について政治的な立場から検討される、そういう資格を持っていられる方だと思いますから、この点について検討してください。  そこでお聞きしますが、どうですか、P3Cが九機なんだね。これで一体アメリカの対潜戦略、これは賄えますかどうなんですか。これはいままで沖繩から岩国に来て、岩国から今度は三沢に入ったわけですね、弾つきと言われるやつが九機いるわけです。しかしどうですか、これでどういうことになる、アメリカの対潜戦略は。
  221. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) アメリカの対潜作戦というものをすべていま先生がおっしゃるように私どもつまびらかにいたしておりませんけれども、第七艦隊を西太平洋に置いておりまして、そしてP3C九機が現在三沢にあるわけでございます。それによりまして、いわゆる西太平洋におきましてわが国防衛あるいは極東に寄与する作戦というものを実施しているというふうに判断いたしております。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 対ソ戦略の強化については最近のアメリカの国防白書の中で口をきわめてやっているでしょう。たとえば七六年のシュレジンジャーの白書があります。ここで対潜戦略に一まあこれは対ソ戦略なんだが、これに力を入れなきゃならぬ、そういうことを言って、三つのバリアの問題は昨年の七月私は当委員会で具体的な問題としてこれを提唱して論議をしたはずです。そういう中で九機のP3Cで賄えますか、対ソ戦略の最もいわば拠点でしょう、これは。日本海を抱いてそうしてソビエトに対しておる。そういう態勢の中で九機のP3Cでこれは賄えぬことは明らかだと思う。どうなんですか、ここのところ。
  223. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先生は、米側のいわゆる戦略戦術というものについての御判断があろうかと思いますが、米軍は第七艦隊麾下のP3C九機をもっていわゆる対潜作戦というものを実施いたしているというふうに判断をいたしております。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、ロッキード問題の正体というのは全然これは暗黒になってしまっておる。そしてもう全部これを関係はないものと言っている。こんなことは、当委員会防衛論議をやらないからそういうことが起こってきたのじゃないかと思う。結局、潜水艦の戦略、戦艦、原潜から見たって、とにかくソビエトの潜水艦作戦には対抗できないですよ。機数、艦艇の数から言ったって三分の一ぐらいだ。そういう態勢の中でいろいろこれは協力を求めてきている。そういう中で、児玉の問題から起こった五十機のP3Cの問題というのがある。そうして、あれと同時にどうですか、アメリカのいまの国防長官のブラウンの発言を聞いてもはっきりしている。シュレジンジャーの発言、ラムズフェルド、歴代の国防長官やそれから統合参謀本部議長、この軍部のペンタゴンの人たちは対ソ戦略というものを一つの最も中心の目玉に置いているでしょう。そういう中で、結局五十機、そうして百機と、結局は百機のP3Cをどうしても日本に持たせる。そうすると、アメリカの対潜戦略というのは非常にやはりいろいろな点で穴がある、その穴を日本国民の血税によって埋めるというのは、とりもなおさずこれはロッキード問題の本命じゃないですか。こんなことはもう全く政府はほおかぶりをしている。そういう中で、しかし国民は大変な疑惑で、依然としてこの疑惑は解けていないのだ。ここのところは非常に私は重大だと思う。そこで、いま先ほど申しましたようなカーター政権によるところの地上軍の撤退、そうして海軍、空軍の強化、日米共同作戦体制一いうものは、どうしてもこれは打ち出されてくる。そういう態勢の中におけるこのP3Cの問題というやつを明確にしなきゃならぬ。ここのところに日本防衛方針というものがこういう立場から検討されなきゃならぬ。そういう点でこれはぜひ三原長官にお聞きをしたいのでありますけれども、どうなんですか、こういう形で、アメリカの対潜戦略の大穴を埋めるもいうようなかっこうで日本のこのP3Cを初め、さらにまた実際はこの前私が当委員会で明らかにしたのは固定聴音機の問題です。日本海の三海峡における固定聴音機、これが実際は自衛隊がちゃんと担わされている。たとえば津軽海峡では白神、それから竜飛、こういうところにははっきり部隊がいて、地上局まで持たれている。そうしてそこで得た情報というのは、刻々これは米軍に通報されておる。こういうことも明らかになっておる、この前の国会で。そうして一方では、足の長い航空機が必要だ。いわば呼び水のようなかっこうで三沢に九機のP3Cが来ている。こんなことでしかし完成するわけはない、大穴があいておる。この大穴を日本国民の血税の負担によって賄うというのが、とりもなおさずロッキードの、いわば一口で大づかみに言った性格なんだ。こういう点について、一体長官はどういうようなお考えを持っておられるか、この際、この三沢のP3Cの問題を問題にするそういう中でお聞きをしたいと思う。
  225. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、私は、アメリカは日本を含めアジアの安全と平和のために、広域なそうした防衛体制に取り組んでおると思うのでございます。わが日本におきまする海上自衛隊のP3Cの問題は、私はあくまでも周辺海に囲まれておりまする日本の海上防衛立場から、独自の立場でP3Cについて、次期対活機について計画を進めておるわけでございます。特別アメリカと関係があって云々するという立場はとっておりません。あくまでも日本独自の立場で、防衛体制を専守防衛立場から整備をいたしたいというところで取り組んでおるわけでございます。
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも板につきませんよ、長官、そういう答弁されたって。一方で日米安保小委員会が、いままでの欠陥を埋めるというかっこうで日米共同作戦体制、その指揮、方針、そういうようなものをこれは研究検討しようと、こう言っているんですよ。そういう中で、いま、言うまでも一なくアメリカが重点的に埋めているのは、これは空軍と海軍。海軍といったって、言うまでもなくこれは対潜戦略ですよ。そうでしょう。歴代の国防長官、統合参謀議長が何を言ってきたかというのをここで引っ張り出してみたらすぐわかるわけだ。そうしてあのロッキード問題が起こったその前後のなにを調べてみればね。これはいずれ詳しくもう一遍やりますよ。これは防衛論争の中でなけりゃこの正体は明らかにならぬ。日本の最大の暗黒なんだ。いまだにこれは明らかにされぬ。そうして、もう何といいますか、幕が引かれようとしている。こんなことは許されぬ。そういう中でのいわば誘い水だ、九機のこのP3Cというのは。そういう形を持ったんですよ、この三沢というところは。現在そういう一つのやっぱり任務があるわけです。そのことは、あそこを最近自衛隊が共用していますな。その自衛隊の共用の姿をここで説明してください。
  227. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 自衛隊の配備の状況を御説明いたします前に、いま先生がおっしゃったことの中でもう少し御説明させていただきたい点がございますが、仮にわが国にとりまして、潜水艦というものが脅威でなければ先生がいまおっしゃったようなことが言われるかもしれませんけれどもわが国のように島国におきまして、現時点におきまする潜水艦の脅威というものは、これはやはり一番大きな脅威と考えているわけでございます。したがいまして、海上自衛隊が対潜作戦、というものを前提にいたしまして、そしてその能力を上げる努力をいたしておりますのは、何もアメリカのためではなくて、わが国防衛上必要だからであるわけでございまして、いまP3C九機が三沢にいる、これが呼び水だとおっしゃいますが、沖繩にもP3Bの一個スコードロンがあるわけでございますから、第七艦隊は第七艦隊の作戦目的を果たすためにそれぞれP3を持っているというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。  なお、三沢に現在あります航空隊は、F86Fの部隊がございます、八一航空隊。この航空自衛隊の部隊がございまして、あそこで領空侵犯措置に任じております。なお、三年前から私どもがお願いいたしておりますのは、現在小牧にあります第三航空団の飛行隊を、二個スコードロンでございますが、これを三沢に持っていきたいということで法律の改正をお願いしているわけでございます。  そのほかにございますのは、北部航空方面隊の司令部、それから北部航空警戒管制団というのがございます。これはレーダーサイトを隷下に持っている部隊でございます。それからさらに、施設隊等があるわけでございまして、人員にいたしまして、全体で約一千九百人が三沢の基地に配備されておるわけでございます。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつからこれは共用をするようになりましたか。
  229. 高島正一

    政府委員(高島正一君) いま防衛局長から御説明があった各施設別に申し上げますと、まず防空管制施設は昭和三十五年七月一日でございます。高層気象観測施設は昭和三十九年一月一日、バッジ関連施設は四十二年四月一日、航空管制業務施設は四十六年六月二十四日、八一航空隊及び臨時移動警戒隊施設は昭和四十六年十二月一日、電子交換局等局舎用地は四十八年一月一日、航空保安管制用建設用地として昭和五十年十一月二十四日それぞれ共用を開始しております。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、共同使用部分の面積は。
  231. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 防空管制施設は千六百六十五平米でございます。それから高層気象観測施設は百四十七平方メートルでございます。それからバッジ関連施設は五万四千四百三十平方メートルでございます。それから電話交換所用地として千六百五十平米、航空管制業務施設として千二百八十八平米、それから第八一航空隊及び臨時移動警戒隊施設用地といたしまして四百六十八万二千百九十八平方メートル、電子交換局舎用地として五百二十五平方メートル、航空保安管制用建設用地として三千四百十六平方メートルでございます。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 運輸省はいつから共用されましたか。
  233. 松本操

    政府委員(松本操君) 運輸省といたしましては、昭和五十年の五月十日から東亜国内がここを共同使用いたしまして定期便を運航しますとともに、その他の各社の訓練飛行、審査飛行等のための共同使用を開始しております。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 三沢に自衛隊のただいま北部航空方面隊の司令部がある。さらにまた航空管制団、これが置かれて、ADDC、ADCCがここにある。これは私は二回もいままでこの一年間の間に視察をしました。これは非常にやはり北方のいわば心臓部だ、北方の空のこれは心臓部になっている。これにいま所属するそういうものを見ますと、全部これは東北の北の方、それから津軽海峡を含め北海道の全部の空というやつが一つの管轄区域になっているわけでしょう。これに所属するのでは、千歳の第二航空団、第三高射群、それから北部航空施設隊その他ですね。最近は八雲のあそこのナイキ部隊までこれの管轄になっている。これはやっぱり全体の戦略的な立場から見れば非常に重大だ。そこを依然として、三沢は米軍があそこの基地を全部握っている、こういう形になっているわけですね。この点で私はやはり三沢の基地の性格というものは非常に重大なものを持っていると考えるわけです。だからこれがどういうふうに今後新しい日米関係の間で展開されていくかということが一つの問題になっているわけだと思う。  その問題はそれぐらいにしまして、次にお聞きしたいのは、基地を共同使用する場合に、日米の間に合意書が取り交わされていると思うんです。この合意書はどういうことになっているか。これは単に基地だけの問題で、そんなにめんどうなことはないだろうと思うんで、先ほど申しましたように防衛論議の中では出しやすい資料なんですね。この資料をぜひ出してほしいと思うんですが、この点いかがでしょう。
  235. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答えいたします。  合同委員会の合意内容につきましては、先生御承知のように、これは部外に発表しないことになっております。したがいまして、合同委員会の合意内容そのものは提出いたしかねるところでございますが、一般的に申しましてどのような内容かということになりますと、使用の条件、目的、それから使用期間等が示されているというふうに御理解いただきたいと思います。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 その中身がわかるようでしたら簡単に言ってください。私は、先ほど言ったような意味で、資料は、こんな基地の簡単な資料でしょう。これをもったいぶって、米軍との関係がございますからと言ってほっかぶりをやってきたのがいままでの国会の論議なんです。これじゃいかぬと言っているんです。だからこれは長官に検討してもらうことにして、これくらいの資料をもったいぶって暗箱の中に投げておくのは間違いですよ、これは。だからこれは出してほしいんだが、いまこの場では出せないというのなら、この内容について特にお聞きしたいのは、この使用許可の条件として日本側から分担金の支払いを求めていられるんでしょう。それはちゃんと協定の中にありますか。
  237. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 合同委員会の合意内容といたしましては、先生御指摘の費用の分担については、それぞれ現地協定において、現地レベルにおいて協定を結ぶというふうに合意されておるわけでございます。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま三沢やっているんだから、現地からこんなの資料としてとればわけないんですよ。ところがいままで出さなかったんだが、これはぜひ出すように努力してもらいたい。そこで現地の協定、あなたたちみんな手元に持っておるわけでしょう。だからどうです。いまの分担金どうなんですか、その支払い。端的にやってください。時間がだんだんたちますから。
  239. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) ただいまも施設部長から御答弁申し上げましたように、合同委員会において共同使用が合意された後、細部に関しては現地の取り決めにゆだねられております。三沢に関しましても、御指摘のような経費分担の問題も含めまして、細部につきましては、現地における米軍と、自衛隊の場合には航空自衛隊の現地責任者との間における現地協定というものがございます。その内容は、細部に関しまして共同使用の区域の範囲だとか、それを自衛隊と米軍とでどういうふうにして利用区分を分けるかとか、あるいは火災予防だとか、そういった消防問題に関するところの責任の所在だとか、あるいは航空管制業務に関しては……
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 限定して私は聞いているんだ。いま分担金どうなっているかと聞いている。
  241. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) そういった項目と合わせまして、一つの項目として、経費の分担に関しましてはそれぞれの使用の割合に応じてどういうふうに分けるかという方法も協定の中に盛り込まれております。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体報告を受けているんでしょう。現地でやったって、その経理の内容報告を受けているんですか。受けていなければどこで一体——人会計検査院で検査してもらう現地だけでやるだけですか。本庁はどうなんです。受けているのか、受けてないのか。
  243. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 協定の内容につきましては、本省において受けております。しかし、細部に関しましては、その年度年度の予算の執行に関しまして、現地における負担行為担当官の執行に任せております。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、これ現地から求めてください。私が必要とするからこれは現地から出してもらいたい。  そこで、どうですか。いまどれだけ分担したかということは一応わかっているでしょう、大づかみには。どうですか。
  245. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) あらかじめ御要望がありました経費分担に関する資料につきまして、作業上大変混乱を来しまして提出ができなかった理由は、三沢に関しまして、自衛隊が専用しております部分と共同使用しております部分と両方含めまして、電気、水道等に関しましてメーターが一つでございますので、その中で共同使用に関する部分に関しまして、たとえば滑走路の使用とか、管制の分担とか、そういったものにつきまして内部を仕分けする作業が大変困難であったわけでございます。一応そういった作業の仕分けは、多少時間をかけますればできるものと思います。
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、だれが聞いても納得できないですよ。そんなの明細になっていなければならないわけでしょう。聞かれてから、これは仕分けができなかったとか。つまりどんぶり勘定をやっているんですか。そういうことをいま語っていますよ。しかも共用部分だけについて聞いているんです、私は。共用部分について。しかし、あなたたちの出したのでは五十年には一千四十万円、つまり米軍にかつて提供しておる基地、その基地を借りて今度はこっちが使っておる、そのために一千四十万円のこれは負担をしておる。そのほかに、さらに消火液代も払えなどということで、これは百七十万円も出しておる。そうすると、一年間に一千二百万円ぐらいの金を出しておるわけだね。この法的根拠は、これはいままではっきりしていると思いますか、念のため。共用部分1つまり二4(a)の場合です。二4(a)の場合はどうです、地位協定で。
  247. 佐藤行雄

    説明員(佐藤行雄君) 基地の共同使用につきましての経費分担の法的根拠というお尋ねでございますけれども、先生御承知のように、地位協定上、共同使用の際の費用分担をどうすべきかということまでは地位協定には書いてございません。それで、地位協定二条4項(a)に基づいてアメリカ側に提供しております基地を日本側が使用する場合には、その共同使用の目的に即しまして、合理的な範囲内で経費の分担を行うことは差し支えないと考えられます。で、それをいかに分担するかにつきましては、先ほど来答弁ございましたように、現地の当事者間で取り決めをいたします。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは取り決めの条項がないというんですか、共用の場合。二4(a)の場合、費用負担についてのなにはないんですか。これは運輸省の場合、共用やりましたね。そしていままで負担したというこの負担の内容について、ちょっと松本さんからお聞きしたい。
  249. 松本操

    政府委員(松本操君) 先ほどお答え申し上げましたように、三沢基地に対しまして民航機を乗り入れたのは五十年の五月でございましたが、これに先立って四十九年の暮れに日米合同委員会で合意を見ました。その合意の中において、必要な経費については持ち合うのをどうするかということを決めるんだと、こういうことが書いてございます。そのどういうふうに持ち合うかという細かな点につきましては、先ほど防衛施設庁の方からお答えがありましたように、その下の細目協定で決めてあるわけでございまして、その細目協定で決めた内容は、私どもの理解といたしましては、着陸料であるとかなんとか、そういったようなものでは全くない。米軍が、米軍基地として提供されました施設を米軍の目的のために使う、このためには米軍が当然その費用を全部持つのはあたりすえである。ところがそこに民間機が入ってまいりまして、民間機と申しますのは、これはDCgfございます。大きい飛行機でございます。したがいまして、それだけまあよけい傷むこともあろう、で、たとえて申しますならば、光熱水道のようなものもお互い自分の使った分は払うというのがあたりまえじゃないのか、こういうふうな感じから、維持費についてある一定の率で分けようじゃないか、その率をどうするかということになりまして、いろいろ議論がございましたが、着陸回数でおおむね分けてしまおう。これは向こうの飛行機は重い、こっちの飛行機は重い、いろいろございますけれども、回数だけで分けようではないかということで、大体回数比で一二、三%になっておろうかと思いますが、それが先ほど先生ちょっとおっしゃいました一千何百万、こういうのが五十年度分として私どもが払った金である、こういうことでございます。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官お聞きしますがね、結局こういうわけですか、まあ基地は提供はすると、しかしその後の維持運営費、これは米軍が当然持つものだと、そこのところがらこちらが借りるからその分については、たとえば滑走路の損料だとか、それから点灯料だとか、いろいろあると思います。そういうようなものについては、適当にこれは話し合って負担させる、こういう立場に立っているんですか、そこはどうなんですか明確にしてください。
  251. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) ただいまのとおりでございます。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、いわばこの地位協定の二条4項(a)というやつですね、これは日本側が米軍から逆に借りて使用しているんで、そのときの規定をこれは決めているんだ、その場合日本側が分担金を出すというのはこれは不当じゃないか。といいますのは、日本側は米軍に基地を提供するためにもう莫大な金を出しているわけでしょう。たとえば民間への借地料、この支払い、それから三沢の場合なんかは、これは民間から借りている土地が全体の十八分の一ぐらいしかない、計算したところ。あとのもう大部分、九〇%というのはこれは国有地なんです。この国有地を仮に民間への支払いということでこの借地料を払うとするというと、まあ二億を超えているんですか、これの経理もあるだろうと思うが、こういうものを明らかにしてください。それから、米軍が移動する場合のリロケーション費用というようなものもこれは出している。この総額については、これは経理があるんでしょう。どうです。施設庁にありましょう。一年間にどれぐらいこれは基地提供のために使っているか、簡単でいいですよ。総額でいい。時間ないから。
  253. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 三沢飛行場に、現在手持ちの資料といたしまして、周辺対策事業の資料でお答えいたしますと、昭和三十七年から五十一年度まで七十四億程度を基地対策経費としてお支払いをしております。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 年間は。年間でやったらどれぐらいですか。
  255. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 借料といたしましては、五十年度借料が九千六百万程度でございます。それから基地対策経費は、これは大体四年ですから年間十五、六億程度というふうに御理解いただきたいと存じます。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 これもちょっと時間ないから後でもう少し明細なやつを出してもらいたい。非常にこれは、日本の基地の安定使用などということが課題になっているんだが、この安定使用の条件というやつが一体どうなるかというのは、これは国民生活が非常に今日窮迫している中で、この基地提供のための血税というのは大きな問題になってくるわけです。そういう問題も含めまして私はの点を明らかにしなければならぬ。そのような膨大なものを出していて、そうして米軍にこれは使わしている。米軍はそこのところを維持管理しているわけだ。彼らはその維持管理費を幾分出している。しかし日本側がこれを使うという場合にはこれに対してまた負担料を取る。だから、結局はひさしを貸して母屋を取られているんです。そうでしょう。日本の基地を提供してやっている、そして莫大な費用負担をやっている。それにもかかわらず、ここのところを日本が使うという場合にはまたそれに対して負担をしておる。こういうことは、これは一体国民感情に合うかどうかという問題が今日やっぱり改めて私は出されていると思う。どうなんですか、長官どう思います。
  257. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、根本的に考え方を異にいたしておるかもしれません。米軍が、日本の平和と安全のために日本とともに共同の責任を持ってくれておるという立場を私どもとっておるわけでございます。そういう立場から見てまいりまするので、いま岩間先生の御指摘の点につきましてはそうした矛盾を感じていないわけでございます。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのことを私問題にしているのじゃなくて、日本国民が莫大な金を出して、そうして向こうに使わしている。今度はそれを借りてまた使うという逆使用の場合にまた負担を要求される。二重払いのようなかっこうになっていることがいいかどうか、国民感情に正しいかどうか。何もこれは立場の違いじゃないでしょう。だれが考えたってわかることだ。そのことを聞いているんですよね。私はそういう点で、これはやはりこの地位協定などというものは非常にやはり何といいますかな、不平等な立場に立っているんですね。そしていま言ったように、日本を守ってもらっているのだから仕方がございません、当然でございます。こんなことをやっている現実。まあ後でこれはもっとお伺いをしますが、私はそういう点から、当然このような費用は取らなくてもいいんじゃないかと思いますが、いかかです。——これは長官だな。これはやっぱり答弁は長官、政治的な答弁でないとこれは困るな。それとも取らなくちゃならない根拠がありますか。
  259. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 政治的な御答弁と申しますか、先ほどどもの方の長官から答弁がありましたように、基本的な考え方の問題であると思います。あくまで日米安保条約に基づき、地位協定に基づいて提供している米軍の施設を、米軍がもっぱら使う状態の中で、地位協定二条4項(a)に基づきまして支障のない範囲において日本側に使わすことができるという立場をとった場合に、その立場に立って日本側が使う場合に、日本側の使用に伴って生ずるところの経費に関して日本側が分担するというのは当然でなかろうかと思います。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 もうそう言うなら二4(b)の場合どうです、二4(b)の場合。二4(a)の場合はいま問題になったわけだ。これは安保がある限り仕方がないのだというのがいま結局あなた方の結論であると。だから私は安保をなくせと言うんだ。安保があるうちはこれは仕方がない、地位協定と安保がある。こういうふうにもう大きな前提を決められている。だったら二4(b)の場合はどうです。たとえば福岡の板付空港は現在運輸省管轄の飛行場です。そうですね。米軍は二4で一定の期間に限ってこれは共同使用している。二4(b)という規定に該当するものだ。米軍は当然日本側にこういうことだったら負担支出をしなければならないはずです。ところが、これは運輸省に対してこのような金を米軍は出しておりますか、使用するに当たって。
  261. 松本操

    政府委員(松本操君) 御指摘ございました福岡空港につきましては、全体の着陸回数が年間二万七、八千回でございますが、これに対して米軍の使用量は一日一機足らず、二百ないし三百、こういう程度でございます。したがいまして、先ほど私のお答えの中で申し上げました光熱水道料のごときものは、メーターを分けて互いにその使用分を払っておりますけれども、滑走路の痛みその他の点につきましては、二万七、八千回に対して二百とか三百とか、こういう程度のことでございますので、特にここで、一回降りてこれだけ痛んだからこれだけ払えと言うこともあるまいというような判断から、逆に徴収するというふうなことはいたしておりません。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからどうもそこのところはっきりしないんですよね。一回や二回と言うけれども、そうじゃないでしょう。この米軍の発着数というやつは、相当なこれは数になっているだろうと思うんです。しかしどうなんです。どうもたてまえとして私は筋通らないと思うんですね、いまのようなのは。回数が少ないからこれはまけておるんだと、こういうことでは、これは筋が通らないと思うんですね。どうなんです。それば電気料とかその他の水道とかそういうものは支払っている例は、これはよく聞きます。しかし問題は、いまのランウエーの場合、ランウエーをどう使うかというこういう問題で、三沢の場合は、これは聞くところによるというと発着回数によって比例配分しておる。そうして損料について当然それを負担するんだというかっこうで、実はそれが大部分になっておると、こういうふうに聞いております。そうすると、米軍の場合は何ですか、この地位協定の適用はもう構わないのですか、ケース・バイ・ケースかどうなんです。これでいいんですか。
  263. 松本操

    政府委員(松本操君) ただいま数字をやや丸めて申し上げましたので、御理解しにくかったかと思いますが、昭和五十年におきまして福岡空港の離着回数、離陸回数が二万七千回でございます。それに対して米軍が三百三十、昭和五十一年につきましては目下集計中でございますが、恐らく二万七、八千回という範囲を出ていないと思います。それに対して米軍が二百二十二回でございますから、もはやすでに一日一回も来ていない、こういう程度でございますので、したがいまして先ほどお答え申し上げましたように、この場合には一%あるかなしかと、こういう数字になってまいります。経費の中の一%分を取ると、こういうふうなことをしなくても、それほどの傷みもないし、まあこの程度のことならば使わしておいてもいいのではないか、この程度のことでございますが、三沢の場合には、先ほど外務省からも御答弁ございましたように、やはり回数比でいきますと十何%かになるわけでございますので、それだけ上乗せしてわが方が使っておるというふうなことからケース・バイ・ケースの一つの判断として、三沢の場合にはこういったような経費を一部こちらも分け合って払うと、こういうことになっておるように理解しております。
  264. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 岩間君、時間が大分経過しておりますので、締めくくりを願います。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんなケース・バイ・ケースじゃやっぱり私はまずいんじゃないかと思うんですね。そこはやっぱり明確にする必要があるんじゃないか。  ところで、板付空港は四十七年の三月までは二4(a)だったんでしょう。運輸省も三沢のケースと同様に共同使用している。そうですね。そのとき運輸省は、三沢の現在のように負担金をこれは払っていましたか、いませんか。
  266. 松本操

    政府委員(松本操君) 議論といたしましては払うべきであると、払うとすればどうするかというふうな議論はいたしましたが、結論的にはその合意を見るに至ります前に空港が返還になりましたので、実質的には払っておりません。
  267. 岩間正男

    ○岩間正男君 板付では払わなかった。三沢では、これはもう年間に一千二百万ぐらいのお金を払っておる。回数の問題あるだろうけれども、回数の問題なんかでこれはそこのところあいまいにしちゃならぬ問題です。経理の問題から言ったってそんなこと許されぬ。これは私はおかしいんじゃないかと思うんですね。この点についてやはり明確にする必要があるんじゃないか。ということは、とにかくこの安保によって地位協定があり、地位協定によっていろいろな基地提供のそのような管理の姿が明らかにされているわけですね。そういう中で非常にあいまいだ。運輸省も違う。それからこれは自衛隊もこれについてやっぱり明確な姿とか態度を持っていられないというんじゃまずいと思う。だからどうですか、これは運輸省と相談して明確にしたらどうか。
  268. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 新しい御意見が出てまいりましたので、御意見を受けとめまして、運輸省と相談をして処理いたしたいと思います。
  269. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつごろまでに。
  270. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) まあ、そう長いあれもありませんでしょうが、安保協議委員会との関係もありましょうし、できるだけ早目に処理いたしたいと思います。
  271. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり事は中、大、小いろいろありましょう。ケース・バイ・ケースもありましょう。しかし筋の通らないあいまいなやり方で、そうして経理がなされておって、それがそのまま通っておったんではやはり日本立場というのは明確にならぬのですよね。われわれは安保についてもはっきりした意思表示をこれはしておる。しかし、この現実的な運用についてやっぱり明確にしないと、日本の主権が疑われるような問題がそれに絡まっておるから、これじゃまずいと思うんですよ。無論これは地位協定そのものなんかについても、いまの安定的使用というようなことが打ち出されている中では、いまのような問題なんかは、これはどっちも取らないとするのか、そういうことはもう明確にしなけりゃ実際は安定的使用などというのはかけ言葉にすぎない、うたい文句だけ。現実はどうかというと非常に混乱している。ここで明快に答弁ができない、統一された見解が発表できないようなかっこうで運用されていることは、これは絶対に望ましくないんです。それから当委員会としてもこれは黙っていられない問題です。  最後にもう一つお聞きしたいんですが、三沢の基地内に現在ゴルフ場があるはずですね。この規模と、それから位置はどこにあるんですか、まただれがこれを使用しているんです。その使用状況はどうか、これをお聞きしたい。
  272. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答え申し上げます。  御指摘のゴルフ場の面積は約五十五万平方メートルでございます。一番基地の北部地区に位置してございます。また、このゴルフ場は米軍人等の福祉、士気の維持に必要な福利厚生施設として現在使用されておるわけでございますが、その利用状況を申し上げますと、年間約三万六千名が使用しております。これは管理形態といたしましては、米軍の歳出外資金によって管理されておるところでございます。
  273. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも先ほど言いました、もう十五億というような莫大な金で提供されている基地であることには間違いない、その管理運営はいざ知らずね。そうしてしかもこのようなゴルフ場がある。もったいない話だと思うんです。なぜ私は特にそういうことを言うかというと、現在三沢には東亜航空のDC9が乗り入れている。私もこれはもう十何回も乗っています。で、そのターミナル、飛行場を出て、しかも混雑した夕方なんか通るというとあすこの十文字のところでしばらく待たされる、信号のため。そういうところで二十分もかかってね、普通でも十五分ぐらいかかってバスに揺られて、そうして町の一角にある古ぼけた建物、これがターミナル、この面積は二千平方メートル足らずですよ。非常に狭いところなんです。だから、まあよく私は朝方帰ってきて車で送ってもらう、それで飛行機に乗ろうとする、さて送った人とお茶を飲もうとしても車とめておくところさえもないというようなことが起こっています。それができないでおる。それでもう車も動かさなきゃならぬと、こういうかっこうになっているんですね。全国の飛行場でこんなところありますか。こんなターミナルのところないと思うんだな。全然これは話にならぬわけです。これは三沢だけです。そうして、一方にはこれは千六百平方メートルのここの米軍飛行場、ここでは五十五万のいま申しましたゴルフ場がある。まさにこれは先ほども申しましたがひさしを貸して母屋を取られた感じなんだ。国民感情はこれを許すかどうか。私は、莫大な基地の一角を割いても乗客本位のターミナルを建設すべきではないかと考える。もっとも、この夏あすなろ国体というのがあって、それを目指して県や自治体は近傍の民有地をつぶしてターミナル建設の計画をいま進めているように聞いております。しかし、これは元来どうもおかしいんじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この点について防衛庁長官は、このようだ問題についてこれはどういうふうにお考えになろか。また、地元民の要求もあることですが、こう  いう問題にどう対応されるお考えを持っていらっしゃるか、これをお聞きしたい。
  274. 斎藤一郎

    政府委員(斎藤一郎君) 米軍に提供しております施設については、先ほどお話がございましたように、日米安保協定の必要に基づいて提供しておるのでございますけれども、また一面において、  いろんな経済事情の変化あるいは人口密度の変化、そういうものがございまして、基地の所在するところの地元の要望、あるいは社会的な必要性そういうものが出てまいります。そういう場合には、地元の要請、あるいはまた地元におけるいるんな開発計画、そういうものを踏まえまして、一方においては日米安保条約上の任務の遂行ということを考慮に置きながら、地元の御要望にこたえるというやり方をやっておりまして、いまお話しの三沢基地の民航の利用も、昨年の五月からやっておりますが、これはやはりいま申し上げたような観点から、民航が離発着できるようにということにしたわけでございまして、ターミナルの問題についても、地元の御要望を踏まえながら、米側と調整していくという基本的な考えを持っております。
  275. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 岩間君、結末をつけてください。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 ゴルフ場の問題を話しました。そうして一方で、いま本当にこれは国民要求と非常に背馳している問題なんですね。こういう問題をどう解決するかということが非常にいま問われておる問題です。私はこういう点から、あんな膨大な基地が、とにかく本土の中で最大の基地、横田と岩国を合わしても、これに羽田を合わしてももっとこれは広いようなところが取られて、そうしてこれは実際は次の大戦を待っているのかもしれない。一遍放すというとなかなかこれは米軍が使用するのに困るから、そこで何とかこのまま持っている、こういう形になっているのかもしれない。さらにまた戦略の一番中心地、拠点として、それは米海軍あるいは米空軍のためにのっぴきならない、そういうものからそうされているのかもしらぬ。しかし、これはなかなかそういうわけにはいかない。国民の理解なしに基地の安定的使用などと言っても話にならぬ。これはいまのゴルフの問題は刺激をしますよ。どうですか、いま米軍基地で、沖繩を含めてゴルフ場があるところ、これは何カ所ありますか、これを明確にやはり出してもらいたい。それで先ほど申しましたように、面積が幾ら、そうしてここのところの維持管理はどうなっているのか、だれが使っているのか、どれだけ利用されているのか、これを明確にしてもらおうじゃないですか。そういう問題をたな上げにしておいて、そうしてこれは福祉厚生施設でございます。これで通りますか。通らないんだ、絶対通らない。そういう点から、これは出してもらえますな。いま言えるなら言ってください。
  277. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 現在ゴルフ場として提供しておる施設は、三沢、多摩弾薬庫、厚木海軍飛行場、キャンプ座間、岩国飛行場、それから沖繩に参りまして、奥間レストセンター、キャンプ瑞慶覧、伊波城観光ホテル、普天間飛行場、嘉手納飛行場、那覇空軍・海軍補助施設。  以上でございます。
  278. 岩間正男

    ○岩間正男君 それ、面積わかりますか。
  279. 高島正一

    政府委員(高島正一君) わかります。
  280. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ資料で出してもらえますか。
  281. 高島正一

    政府委員(高島正一君) いまお答えはできますけれども、改めて資料で提出いたします。
  282. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————