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政府委員(
野津聖君) ただいま御指摘ございました問題としましては、やはり現在の
水俣病という病像の状態というのは非常に判断困難になっておりまして、現在の各県の審査会、特に
熊本の審査会におきましては保留のケースが多い。その保留のケースに対します
処理としてという御
質問というふうに理解いたしまして、私
ども現在までとっております
考え方あるいは
方法につきまして若干述べてみたいと思うわけでございます。
御案内のとおり、現在の
患者さんの
認定のためには高度の学識と豊富な経験とを踏まえました形で審査いただいているわけでございます。ただ現在の状況のように、八十件の審査に対しまして約二十件しか答申できないというふうな
実態につきましては、やはり現在の医学の進歩あるいは現在
申請しておられます
申請者の
方々の病像の多彩というふうな問題があるわけでございまして、御案内のとおり、現在三県一市の審査会の
先生方を中心としまして、一昨年来、相当な回数にわたりまして御議論をいただいてきているところでございますが、先般、
熊本県知事あるいは
熊本県の議会に対しまして、
環境庁の
考え方ということで申し上げた中に、
水俣病の判断条件をより明確化するということを前提といたしまして、これにつきましては六月末を目途に明確化したいということで、現在
作業、あるいは
先生方との
調整をとっているところではございます。これによりまして、
熊本県の
認定審査会におきます
認定業務というものが、従来まで、八十件のうちの六十件までが保留というケースが、保留のケースが非常に少なくなってくるのではないかということを私
どもは期待しておるところであるわけでございます。
また、そのような流れの中でも、さらにむずかしいような問題が出てくるということも、現在の
申請者の
方々の病像の多彩というものを前提といたしますと、非常にあるのではないかということも考えておるわけでございまして、これが先ほど申し上げたような形で判断条件が明らかになったにいたしましても、やはり県の
認定審査会で判断が困難な事例が生じてくるということにつきましては、何らかの対応の
方法があるんではないかというふうに
検討をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
また、特に、国に
一つの
認定審査会を設置するということにつきましてでございますけれ
ども、現在の
補償法、あるいは御案内のとおりの過去の
救済法というふうなものにおきましては、国に、県の段階で
認定が非常に困難な事例についての上級の審査会をつくるということにつきましては、現在の法制上では非常にむずかしい面があるわけでございます。また、たとえできたにいたしましても、国の
認定、あるいは県の
認定というふうな二通りの
認定があること自身も若干問題があるのではないかと思っております。
それからまた、これらの
専門家でございますけれ
ども、現在、
熊本、それから新潟、
鹿児島の三県におきまして、
検診、あるいは
認定業務に当たっておられる方というのは、まさにこの三カ所にあるわけでございまして、冒頭に申し上げましたような高度の学識と豊富な経験ということを踏まえますと、やはり同じような
先生方の御判断にまたざるを得ないというふうな問題も内蔵しておるわけでございます。いずれにいたしましても、私
どもは、第一段階といたしましては、この六月末を目途といたしております判断条件というもののより明確化ということを第一段階として進めてまいりたいと考えておるわけでございます。