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1977-04-20 第80回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  四月九日     辞任         補欠選任      遠藤  要君     中村 太郎君      山中 郁子君     野坂 参三君  四月十一日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     遠藤  要君      野口 忠夫君     片岡 勝治君  四月十二日     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     桑名 義治君      田渕 哲也君     三治 重信君  四月十三日     辞任         補欠選任      三治 重信君     田渕 哲也君      下村  泰君     喜屋武眞榮君  四月十四日     辞任         補欠選任      片岡 勝治君     野口 忠夫君      桑名 義治君     峯山 昭範君      田渕 哲也君     三治 重信君  四月十五日     辞任         補欠選任      上林繁次郎君     矢原 秀男君      野坂 参三君     小笠原貞子君      三治 重信君     田渕 哲也君  四月十六日     辞任         補欠選任      堀内 俊夫君     石本  茂君      喜屋武眞榮君     下村  泰君  四月十九日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     鶴園 哲夫君      下村  泰君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木  力君     理 事                 遠藤  要君                 望月 邦夫君                 大塚  喬君                 峯山 昭範君                 塚田 大願君     委 員                 河本嘉久蔵君                 永野 嚴雄君                 藤川 一秋君                 案納  勝君                 小山 一平君                 鶴園 哲夫君                 野口 忠夫君                 矢原 秀男君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  長谷川四郎君    政府委員        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        国土庁土地局土        地利用調整課長  谷野  陽君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        大蔵大臣官房企        画官       十枝 壯伍君        資源エネルギー        庁長官官房鉱業        課長       福原 元一君        会計検査院事務        総局第三局長   小沼 敬八君        会計検査院事務        総局第五局長   東島 駿治君        日本国有鉄道施        設局長      鈴木 秀昭君    参考人        住宅金融公庫総        裁        淺村  廉君        日本住宅公団副        総裁       上林 英男君        日本住宅公団理        事       江里口富久也君        日本道路公団総        裁        前田 光嘉君        日本道路公団理        事        吉田 泰夫君        日本道路公団理        事        吉田 喜市君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和四十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十八  年度政府関係機関決算書(第七十五回国会内閣  提出) ○昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十五回国会内閣提出) ○昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十五回国会内閣提出)     —————————————   〔理事大塚喬委員長席に着く〕
  2. 大塚喬

    理事大塚喬君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月九日、山中郁子君が委員辞任され、その補欠として野坂参三君が、また、四月十五日、上林繁次郎君及び野坂参三君が委員辞任され、その補欠として矢原秀男君及び小笠原貞子君が、また、四月十六日、堀内俊夫君が委員辞任され、その補欠として石本茂君が、また、昨十九日、下村泰君及び竹田現照君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君及び鶴園哲夫君がそれぞれ委員選任されました。     —————————————
  3. 大塚喬

    理事大塚喬君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大塚喬

    理事大塚喬君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事遠藤要君及び峯山昭範君を指名いたします。     —————————————
  5. 大塚喬

    理事大塚喬君) 次に、昭和四十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省と、それに関係する住宅金融公庫決算について審査を行います。  この際、お諮りをいたします。  理事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大塚喬

    理事大塚喬君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 大塚喬

    理事大塚喬君) 質疑通告のない淺村住宅金融公庫総裁は退席しても結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 私は、きょう建設業における下請取引適正化といいますか、下請保護、こういう問題を主としてお伺いをいたしたいと思いますけれども、まずその先に、実は、きょう審査対象でない法務省国鉄の方においでいただいておりますので、先にそちらの方をお伺いして、お帰りいただいて、それから本論に入らしてもらおう、こう思います。そういうふうに進行さしてもらいます。  まず、法務省の方に最初にお伺いいたしますけれども、これは道路公団東北自動車道で起こった事件でありますが、東京に本社を持っておる日本プレコン基礎工事株式会社、この会社社長が、元請業者である鹿島建設工事担当者不正工事があったと言って恐喝したという事件がありました。警察当局捜査をいたしましたし、送検になり、起訴になったというふうに聞いておりますけれども、その起訴になりましたかどうか、起訴になったとすれば、起訴状要旨はどういう点にあるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  9. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの事件につきましては、本年の二月二十四日、警察から事件送致を受けまして、つまり三月十五日、和歌山地裁におきまして公判請求をしております。  罪名は恐喝罪ということでございまして、その起訴事実の概要を申し上げますが、被告人は、ただいま御指摘のような日本プレコン基礎工事株式会社経営者でございますが、元請会社鹿島建設が行いました東北自動車道矢幅工事に関しまして、鹿島建設現場作業員等余分材料を横流しをしたというような因縁をつけまして、鹿島建設矢幅出張所工務主任である前田某という人をおどかしまして、合計七百万円をおどし取った、こういう事件公判請求しておるわけでございまして、ただいま事件和歌山地裁において公判審理中、かように相なっております。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 そういう事件はわかりましたけれども、もう一つこの中に問題がありますのは、その被疑者脅迫をするために使った理由です。その起訴状要旨によりましても、現場作業員余分材料を売却をしていたこと等の不正があったと。この余分材料を売却しておった事件については、当局としては全然関係はしていませんか、しておりますか、その辺の調査基礎の段階ではなさいましたか、なさっていませんか。
  11. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) この事件は、先ほど申し上げましたように警察からの送致事件でございますので、警察が当面第一捜査機関ということに相なるわけで、警察当局におきまして事件送致するに際してこの点の必要な調査捜査も行いましたが、犯罪の容疑を認めるような事実は発見するに至らなかったというふうな報告検察当局は受けているということでございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 この後、法務省の方は結構でございます。大変御迷惑をおかけいたしました。
  13. 大塚喬

    理事大塚喬君) 退席願って結構です。御苦労さまでした。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、道路公団の方おいでですか。——道路公団はいまの事件概要については御存じですか。
  15. 吉田喜市

    参考人吉田喜市君) ただいまお話のありましたことについて御説明をいたします。  東北自動車道の盛岡県下における矢幅工事は、昭和四十九年の十月に鹿島建設と大本組の共同企業体と三十四億六千八百万で請負契約をした工事でございまして、この工事は五十二年の二月、ことしの二年に竣工いたしております。御指摘恐喝事件は、その工事のうち鹿島建設施工いたしております施工分に含まれております橋梁下部工事のくい基礎工事について発生したものでございます。  このくい基礎工事は、鹿島建設が丸五基礎工業株式会社にくいの施工下請させております。くい工事と申しますか、ベノトと申しますコンクリートの現場打ちぐいと、さらに鋼管ぐいと二つの種類がございますが、それを合わせまして丸五基礎工業にくいの施工として下請をさせている。そのうち鋼管ぐいの打ち込みを丸五基礎工業がいまお話のありました日本プレコン基礎工事株式会社施工させたわけでございまして、この工事は五十年の二月から施工いたしまして、七月に完了いたしております。  この恐喝事件は、この鋼管ぐいの打ち込み工事に関しまして、いまお話がありました日本プレコン社長三富某が、工事手抜きがあったとして、その工事現場主任である鹿島建設社員当人及びその家族を約一年にわたり脅迫し、多額の金を恐喝した、こういうものでございます。この件に関しまして、当公団といたしましてもその事件が表になりましてから、その重大さにかんがみ、工事実施の事実をさらに私たちなりに調べてみたわけでございます。  お話のありましたように、現場に搬入した鋼管ぐいの延長、それから打ち込みをして打ち込み残が出てまいります。その打ち込み残の鋼管くいの延長、それから鋼管くいを打ちどめする際の打ちどめの記録、それから現場監督状況、こういうものにつきまして慎重に調査をいたしました。その結果、工事手抜きはなかった、こういうことを確信いたしておる次第でございます。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 きょう私は、工事手抜きがあったかなかったかということが余り中心の問題ではありませんけれども、しかし、私どもの耳に入ってくることは、確かに最初設計当時と、施工してみたときの文書によると、岩盤の形が、形といいますか岩盤それ自体性質が違っておった、したがって、多少設計当時よりは深さは浅くしてもよかったんだ、そのことはこの監督責任者も認めた、そのことを種にして脅迫をしたということのように聞いております。  まあそのことは別といたしまして、私、公団当局に伺いたいのは、こういう事件が起こったということなんですけれども、この孫請になる日本プレコン会社倒産をした。倒産をして和歌山に逃げて、そこで何とかという会社を、ジュークボックスリース株式会社ですか、何かそれを設立をして、その資金が足りなくなって脅迫をした。一千万円を要求をしたけれども、結局その鹿島建設監督責任者の方がある旅館で話し合いをして七百万円を渡した、こういう事件のようです。  私の方でいま実はこれの問題にしたいことは、問題にしたいというのは、この責任がどうこうという立場の問題ではなしに、将来の建設関係あり方の問題として問題にしたいという意味なんですけれども道路公団なら道路公団工事を請け負わせる場合に、その下請なり孫請なりのこの末端の責任体制というのを事前にどの程度までチェックしてやっていくのかどうかですね。少なくともこの日本プレコン基礎工事会社社長、私から見ると、公共事業を請け負わせるのにはどうも適切な業者とは言えないような気がいたします。そういう人が孫請で当然仕事をやっている。そういう現状がもしあっちにもこっちにもあるとすると、これは大変なことだと思う。そういう意味で、道路公団が今日いろいろ道路建設に当たっているわけですが、その請負関係の下までの関係で、公団としてはどこまでどう事前にチェックをしておるのか、あるいは工事中の監督といいますか、そういう手当てはどこまでいっているのか、それをまずお伺いしたい、こう思います。
  17. 吉田泰夫

    参考人吉田泰夫君) 道路公団では、全国にわたって相当大規模な工事を発注しておりますので、御指摘のような点については非常に基本的に重要なことだと認識しております。  現在道路公団では、下請関係につきましては、元請から直接下請するいわば第一次下請人とでも申しますか、そういうものにつきましては、建設業法にもあるとおり、一括下請はさせないとか、あるいは主体的部分、たとえば道路工事で言えばいま申したような橋梁下部工基礎くい工事等を含みますが、こういった主体的部分を含む工事につきましては、総請負額の二割以上の金額の場合、あるいはそういった主体的部分を含まない場合でも、総金額の七割以上に金額だけで達する場合、こういった場合には、たとえ下請でありましても、発注者である道路公団の承認を要するということにしております。また、それに至らない比較的軽易な場合には、下請人を元請において選定した場合に、発注者通知するということにいたしております。ただ、ただいま御指摘がありました下請をさらに下請するいわば孫請以下につきましては、現在のところ、発注者としては直接承諾なり通知を受けるという関与をいたしておりませんで、すべて元請人において十分把握した上でやってもらいたいという趣旨のもとに施工しているのが実態でございます。  もともと請負工事は、元請業者の全体的な統率及び指導監督資金的な能力を見まして発注しておりまして、請負契約の性格上、やたらにその実施細目に立ち入るのもいかがかということから、直接の下請に対してのみ発注者通知を受け、あるいは場合によっては承諾にかけているという実情でございます。  以上、お答え申し上げます。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 大体やっていらっしゃることはわかりました。  ただ、一つだけ私の方から申し上げておきますのは、これから後建設省皆さんと、建設業あり方というか、その問題にだんだん入ってまいりたいと思いますけれども、この事件が与えた影響というのは、私は、地元の人間としては、ちょっといまの国の工事というものに大分不安があるといいますか、そういうような印象を与えたということは、ひとつ頭に入れておいていただきたいと思うんです。  というのは、不正工事がなかった、鹿島建設といえば、これはもう本当の大企業でもあり、そういう建設会社が、これは会社個人かということもはっきりしておりませんで、いまのところは個人が払ったということになっております。七百万円という金を、不正工事をやったからといって、おどかされればぽいと出すということは、われわれの方から見れば何かあるに違いない、どこかで手抜きがあったに違いないというふうに見える。ああいうりっぱな会社が、そんなことにおどかされて、七百万とか一千万とかぽんぽんと出すということ自体がおかしい。一応そういう目で見る見方というものは、この現場中心にしまして県民の中にはそういう見方がある。そのこと自体は、不正があったかどうかということよりも、国の機関としてのこういう工事をやっている当局としては、やはり頭に入れておくべきことだ。  したがって、いま、元請から次の下請のところまでは報告を受けておるけれども孫請のところにはこれはもう元請業者に任してあると。任したところとその孫の間にそういう関係が生じるという、そういうすき間があるということは、どうも私はそういうふうに言いたいわけなんです。これがいまの何々法に違反したとかどうかという意味で申し上げているわけじゃございませんけれども、その点をひとつ、私もそんな気持ちで御質問申し上げたということを御理解いただいて、道路公団の方の御質問はこれでおしまいにいたしますから、どうぞお引き取りを……。
  19. 大塚喬

    理事大塚喬君) 道路公団関係理事の御両名は退席願って結構でございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 その次に、国鉄担当の方にもおいでいただいておりますので、これもまた御多忙な時間でございますから、最初国鉄の方の方に御質問を申し上げておきたい。  まず最初に、私がお伺いしたいのは、実は私が前もって国鉄連絡室に参りまして、東北新幹線工事が始まってから五年以上になりますけれども岩手県の管内だけでも死者がすでに十二人出ている。したがって、この十二人の死者が出た事故を起こした工事について、元請業者下請業者あるいはその事故の直接の業者がどこかということと、事故に対する処理をどこがどういう形にしたのかということを調査の上資料をちょうだいいたしたい、そうお願いを申し上げた。そのお願いを申し上げましたところが、出てまいりましたのは、土曜日でありますけれども、「東北新幹線工事に伴う労災事故に関して事故死亡)のあった元請会社下請会社」というので、会社の名前をずらっと並べただけの資料をちょうだいいたしました。国鉄皆さんはおわかりいただけるかもしれませんけれども、私はこれを見ても、この会社とこの会社の組み合わせでどういう事故なのか、どう見てもわからぬ。  それからもう一つは、「死亡者に対するその後の措置」ということでも、「殉職者に対する補償は、その方々請負業者雇用関係にあるため、補償はすべて請負業者の方で行っており、当局補償したことは今のところありません。当局としては、殉職者遺族に対してそのときどき誠意をもって弔意を表し、業者に対しては社会常識的に円満な解決をするよう指導してきたところであります。」、まことにりっぱなお答えをいただきました。  後の方はりっぱでありますけれども最初の方の、私が頼んだのに、これが資料になると思ったのかどうかですね。私は実はきょう、この資料の作成の責任者においでいただきたいというふうにお願いしてあったのですけれども、まずそれから御答弁をいただきたい。
  21. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 新幹線関連工事で多くの犠牲者を出してまことに申しわけなく思っておりますが、先生提出いたしました資料が、先生の御意思になかなか沿えなかったことを残念に思っております。私ども国鉄といたしましては、あくまで元請を対象といいますか、相手としておりまして、その犠牲になられた方々のいろいろな経費等は、その会社会社によりまして、元請と下請との間に長いそれぞれの会社の、何と申しますか、つながり、かかわり合いがありまして、どちらがどのように負担した、あるいは半分折半したというようなことがなかなかわかりにくいものでございますので、こうしたどちらが負担したかということが明記していなかったのでございますが、これはなかなかわかりにくいものでございまして、私どもはこうした元請を責任と一応考えているので、このような資料提出させていただいたわけでございます。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 余りくどいことを申し上げませんが、そうすると、新幹線工事死亡事故が起こった、そうすると国鉄当局は、これは発注者ですが、発注者としては、元請業者責任があるのでわしは知らぬ、その死亡事故が起こったことにどういう処理をしたのかは知らない、いまの御答弁はそういう御答弁ですね。
  23. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) たとえば、いわゆる設計上あるいはいろいろな手配上明らかに国鉄側責任があると明らかになりましたものについては、もちろん国鉄としては十分な責任を果たすつもりで従来もやってまいったわけでございます。しかし、工事中の純然たる請負業仕事の中でのそういたしましたものにつきましては、私どもはいわゆる元請業者労災安全のいろいろな指導をいたしておるわけでございます。国鉄性質上、特に列車が走っておりますし、旅客等の問題もございますので、こうしたものにつきましては、私どもとしては非常にいろいろなきめ細かい指導をしているわけでございますし、また、そうしたものの安全に関します経費等は、十分元請の積算の中に組み込んでおるわけでございます。  それから、一たん事故が起きますと、いわゆる労災という意味ばかしでなく、列車関係いたします事故が起こり得る可能性がございますので、こうした問題については、会社側に対して定期的な指導、それから私ども自身その会社側の職員の指導、それからフォアマンの指導、こういうようなものを義務づけてございまして、国鉄設計をした工事が十分認識されるようないろいろな諸施策をとっているわけでございます。  ただし、実際起きましたものの経費の負担等々につきましては、私どもは元請を指導しているわけでございまして、下請まではなかなかどうするというようなことは直接関与しておらないのが実態でございます。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 余り細かな御説明はいただかなくてもいいんです。  私が伺いたいのは、国鉄発注者だから国鉄補償せよといま言っているわけじゃないのです。言っているわけじゃないが、発注者である国鉄当局がきめ細かな指導をしており——いまの御答弁だとまことにごりっぱです。ところが、四月の七日に死亡事故一つ起こっております。その次には福島県で四月の十一日に、これは死亡じゃありませんけれども負傷事故が起こっている。三月のいつですか、岩手県では一関でまた事故が起こっている。こんなに事故が頻発している。そのきめ細やかな指導の結果、このようになぜ頻繁に事故が起こるのかと私は言いたいのです。もちろん、国鉄にミスがあって事故が起こったと私は言っているわけじゃない。言っているわけではないが、少なくともせめて発注者である国鉄当局が、新幹線工事死亡事故が起こったら、たとえば請負業者責任を持たしているなら、それから詳細なてんまつ報告を受けるぐらいの気持ちがあっていいじゃないのかということを私は言っている。そういうてんまつ報告を受けているなら私の質問には答えられるはずだ。どうなんですか。
  25. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 一件一件発生いたしました事故のその原因とか内容とか、そういうものについては……
  26. 鈴木力

    鈴木力君 時間がありませんから、そんなよけいなことを言わぬでもよろしい。私が言っているのは、事故が起こった後のてんまつ報告を受けているのか、受けていないのかということを聞いている。
  27. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 一件一件については受けております。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 それならどうして私のところに、どういうてんまつになったかという質問に対しては、資料としては出せないのですか。
  29. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 原因その他細かい資料につきましては、再提出させていただきます。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 私が言っているのは、原因のことじゃない。死亡者に対してどういう処置をしたかということを言っている。
  31. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 個人個人死亡者に対しまして、わかりました範囲のものにつきましては資料提出させていただきます。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました範囲というと、わからない範囲もあるということですか。
  33. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) その元請と下請とでどのような、いわゆる補償の金を配分したかというようなことがなかなかあるいは把握できにくい問題だと感じております。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 私がさきに伺ったのは、そういう少なくとも死亡事故というようなものを国鉄が本当に重要視しておれば、これはてんまつ報告は厳重にさせるべきだ。わかった範囲はとか、わからない範囲はというようなことで、つまり私は、どうもいまの御答弁から受ける印象は、人間の死亡事故なんということを国鉄は余り重要視していないというふうにさえ聞こえてならないんです。本当にてんまつ報告を受けているなら、いまのような御答弁にはならないはずなんです。もう一度お答えいただきたい。
  35. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) この問題の資料の内容につきましては、さらに十分検討いたしまして提出いたしますが、いわゆる私が申し上げておりますのは、なかなか経費の分担等についてはあるいはすぐ出てこないという感じはしておりますということを申し上げておるわけでございまして、今後とも一層、工事に伴う安全につきましては指導してまいるつもりでございます。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 それではどうこう言ってもしようがありませんから、いままでの私が前に指摘をしました事故のあったことについては、今月の二十六日までにきちっと調査の上に資料として私にお出しをいただきたい、よろしゅうございますか。
  37. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 提出いたします。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 これで、あと御質問は申し上げませんけれども、私は強く御要望を申し上げておきたいのは、やはり発注者としての、これは発注者であるから国鉄補償せよとか、そういうことを私、いま言っているんじゃありませんよ、何遍も言いますけれども請負関係の契約のところにそれぞれの責任の分担範囲というのはありますから、それはそれでやらせるとしても、それをやるところのことだけはきっちりと見ておく。事故があった場合には本当にこれは詳細なてんまつ報告を厳重に受けて、そして本当のきめ細やかな指導というものはぜひお願いしたい。ここできめ細やかな指導をしておりますとか、厳重に言っておりますとかという御答弁は何遍もいただく。いただいた日のその翌日あたりまた事故が起こるというようなことでは、これは私はそう簡単に国鉄ごりっぱだとは申し上げられないので、したがって、これは強い御要望として申し上げておきます。今後こういう事件がもし不幸にしてまたあった場合には、先手を打ってでも報告がなければ国鉄の方から御要求をなさってでも詳細はつかみ、そして事故の未然防止に本当に当局自体が熱意を示すべきだ、こういう強い御要望を申し上げて、国鉄当局への御質問はこれでおしまいにしておきます。よろしいですか。
  39. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 今後とも十分安全に対しましては努力してまいるつもりでございます。
  40. 大塚喬

    理事大塚喬君) ただいまの資料提出についてはどうですか。
  41. 鈴木秀昭

    説明員鈴木秀昭君) 提出いたします。
  42. 大塚喬

    理事大塚喬君) 国鉄関係者の方は退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 実はいま、建設省の直接の担当でない例を申し上げて御質問申し上げたわけでありますけれども、私がいま二つの事件最初にお伺いしたのは、やはりこういう意見が出るということに建設省としての建設業あり方、特に公的機関公共事業といいましょうか、そういう公的機関の事業のあり方、これを中心にして建設業界の実態を改善をしていくというところからいまのさまざまな建設業関係の問題解決をしていくべきことではなかろうか、そういうような気持ちがあったものですから、直接の建設省の管轄外のことを、これは管轄外の方にはいつまでもいてもらっても御迷惑をかけると思って、最初に例示として御質問申し上げたんです。そういう立場からこれから少しお伺いをしてまいりたい、こう思うのですが、まずそれより先に、いまの建設業関係のうちで私が一番最初に申し上げましたように、下請関係あるいは再下請といいますか、俗に言う孫請、曽孫請というようなそういう請負関係、そういう中での中小の下請業者保護という立場から少し伺ってまいりたい、こう思うわけです。  まず最初に伺いたいのは、最近中小の建設業者の倒産が非常に多く目立っております。これは中小企業庁でもいろいろ調査をしておりますようですけれども、中小企業倒産のうちで際立って目立つのは建設業界が非常に多い、こういうふうに思いますけれども、できるだけ簡単にその倒産の状況なんかについてもし御説明いただければ、これは実は前もってお伺いすると言っていなかったので、資料の準備がなければ傾向だけで結構でございます。特に数字を並べてというほど詳しくなくて結構です。
  44. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりましたように、建設業倒産件数というのは全産業の倒産の四分の一を占めているわけでございます。これはやはり基本には、他の産業に比べて建設業というのは非常に経営基盤が弱いということに起因しているかと思います。したがいまして、不景気という段階にはもろにかぶるという事態があろうかと思います。ことに、建設業というのは現在四十万業者ぐらいおるわけでございますけれども、いわゆる一億以下の中小建設業者というのが、四十万業者のうちの九九・四%を占めておるという状況でございまして、この建設業倒産件数、これは五十一年の倒産件数も四千二百八十件ございますけれども、そのうちで中小建設業者の倒産というのが四千二百七十一件、これはもうほとんど九九・七%を中小業者が占めているわけでございます。ことに五千万円以下という中小建設業者の倒産が非常に多いわけでございます。  この倒産の理由をいろいろ調べてみますと、倒産の種類といたしましては、放漫経営とか景気変動による販売不振とか、経営計画の失敗とか、そういうものがあるわけでございますが、ことに最近はやはり、受注が減っているという不況型の倒産が非常に多いように思うわけでございます。この建設業が他産業に比べて非常に経営基盤が貧弱であることが一つと、その建設業の中でもことに一億以下の中小建設業者のウエートが非常に大きい。しかもこれは全く受注産業といいますか、計画生産ができない。発注があって、それを受けるという受注産業の特殊性もあってなかなかむずかしい問題でございまして、私どもは、この問題に対しましては現在中央建設業審議会でいろいろ勉強いただいておりますけれども、何はともあれ中小建設業者の体質を強化するということが先決かと思って、いろいろ勉強している段階でございます。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 体質強化の必要があるということは、私もまことにそうだと思います。ただ、いま御答弁をいただきましたいろいろとその倒産の原因、放漫経営、これは言うまでもないことでありますけれども、売掛金回収難による倒産というのが非常にふえているというじゃありませんか。これは建設省の構造基本調査報告ですか、これを拝見をしてもそういうふうにも見えておりますけれども、これはいかがでしょうか。
  46. 大富宏

    政府委員(大富宏君) いま建設業倒産の理由を若干申し上げたわけでございますが、これが当初、放漫経営による倒産というのが五十年段階では四〇%ぐらいでありましたけれども、この部分が最近は減ってまいりまして、お述べになりました景気変動によるところの販売不振というものが、率がだんだん多くなってきている。これは五十年が二四・二%であったものが、五十一年度にまいりますとこれが二七%。それから経営計画の失敗という部分も多くなっておりますが、いわゆる倒産のパターンというものが、だんだんと放漫経営というよりは不況型の倒産というのが非常に多くなり、その中の一つの要因といたしまして、いま先生のお述べになりましたような、この元請と下請関係でどうも支払い関係がスムーズにいかない。この辺の事情は、最近の苦情処理件数の中でも賃金不払い事件が非常に多くなってきておるというようなところからも例証されようかと思います。そういったデータを持っております。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 そこに実は私は、いろいろとこの中小企業建設業者に問題があると思いますけれども、そのうちの一つに、やはり元請、下請のいまの業界のあり方では、業界のあり方と言うと余り適正な表現じゃないかもしれませんが、慣習的にいままでいろいろと仕組みができ上がっておると思います。この仕組みの中で、たとえば業界不振というところに来ますと、いつでも倒産に流れていく、倒産という現象が大きくふくれ上がっていくというこの仕組みには何か欠陥がありはしないか、改善の要がある、ここに手を入れないといまのような現象は改善できないのではないか、もし景気というものが波があるというと、波の上のときには中小も非常にいいけれども、一たん波が下がれば中小がばたばた倒れる。これはやっぱり私は、景気に責任を転嫁すべきではなくて、この業界の今日までの仕組みの中に、責任をそこに追及をしながらメスを入れていくべきではないか、こういうふうに思うんですけれども、そういう点についての建設省としての御見解はいかがですか。
  48. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設業、いろいろ先ほどから申し上げましたように、体質改善をする必要があるということを申し上げたわけでございますが、建設業のもろもろの問題の中で、諸悪の根源は重層下請であるということがよく言われるわけでございます。建設業というのはあらゆる種類の工事を組み合わせてやるわけでございますから、どうしても下請という現象を絶滅するわけにはまいらないわけでございますけれども、不必要な重層下請、これが非常に問題でございまして、これが悪くとればあらゆる問題が下請にすべてにしわ寄せされる。第一次元請から第一次下請、さらに孫請、下になればなるほどその問題がしわ寄せされてくる。そういう観点から建設業法も二十四年につくりまして以来、逐次改正は行っておりますけれども、もっぱら改正の主たる原因は、そういった下請保護という立場からいろいろな改正を行っております。  ことに、四十六年の法律改正では、そういった元請人の下請に対する監督義務というような問題を非常に追求して書いてございますが、特に建設業を一般建設業と特定建設業に分けまして、特定建設業という範疇で、一千万円以上の下請を出す業者は一般建設業以上にその許可の要件を加重いたしまして、一般建設業下請人に対して十分な指導監督をする責任があるというぐあいな決め方をしたわけでございます。  さらに、もう一つ問題になりますのは、先生お述べになりましたように、建設業では下請関係というのは無視できない、これを絶滅するわけにはまいらないわけでございますけれども、元請と下請関係を明確にしていくということが必要だということで、中央建設業審議会の勧告で、現在使われております標準下請契約約款というのは昭和二十五年にできておりますけれども、この辺をもう少し明確にしていくということで、中央建設業審議会でこれは数年にわたって非常に勉強していただきまして、近くこの勧告が出されることになっております。  その場合に、従来使っておりました標準下請約款のどこをいじるかと申しますと、やはり契約内容、元請と下請関係の契約内容を明確にしていくということが一つ。それから元請と下請関係の対等性を確保していく。それから元請と下請責任範囲を明確にしていく。こういう観点から洗い直しいたしまして、請負代金の関係等を書面主義で明確にしていくというような仕組みをもって、これが近く勧告されましたら、これを発注者はもとより民間も公共関係も、すべてこれをなるべく使うようにひとつ極力普及させるような努力をいたしまして、元請、下請関係の不明朗な契約関係を明確にしていきたいというぐあいに考えております。
  49. 鈴木力

    鈴木力君 だんだんにいまの御答弁を具体的にお伺いをしてまいりたいと思いますけれども、やはり昭和四十六年に建設業法を、少なくともいま私が申し上げたような視点で改正をなさった。しかし、皮肉なことに、倒産の状況は昭和四十六年から一年ごとに大きくなっていっている、こういうことでありますから、あの建設業法、四十六年に改正をしたから問題は解決の方向に行っているということには事実はならないわけであります。したがって、いま勧告間近にある下請約款ですか、そちらの方の作業ということも非常に重大な段階に来ているということは私もそのとおりだと思います。ただ、そのうちに、それを待っておれないような状態がいまあるのではないか。  これは、法律的な欠陥ということになりますと時間がかかる問題になりましょうけれども、行政指導という面からの補完ということも、相当いま強力な行政指導も必要なのではないかということも考えられますので、まず、若干具体的にお伺いいたしたいのは、いまの請負関係の点では何か非常にむずかしい形式があるんだそうです、数式があるんだそうです。よくわからないんですが、まず元請から下請に、それから下請から再下請にと、こう流れていきます、その中間の経費といいましょうか、これの基準はどういうことになっているんですか。俗に言う、言葉はきわめて不正確なんですけれども、世間ではよくピンはねという言葉を使っておる。そのピンはねという言葉は私は正確な用語じゃないと思うんですが、そこに該当する部分は、どれだけは取ってもいいんだというその基準は、何をもとにしてそれを計算をするのか、どういうふうになっているんですか。
  50. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 元請、下請孫請という必要に応じて流れてまいるわけでございますが、発注者から元請に対する請負代金がそういう下請孫請と流れる段階でどのように工事費が配分されておるのか、その辺は、下請実態というのは非常に工事の種類、規模によりまして千差万別でございまして、なかなかこれを掌握することが困難でございます。  ただ、私どもが毎年行っておりますところの経常利益の勉強の結果によりますと、規模別に比較いたしまして、資本金が十億円以上の大手企業の経常利益率というのが三・八%でございますが、この一千万円以上から五千万円未満の中小企業者の場合の経常利益率が三・二%というぐあいになっておりまして、この場合の一千万円から五千万円未満の中小企業といえども、元請になるような場合の利益率も含んでおりますから、必ずしも下請段階だけの利益率とは限りませんけれども、まあ大手と中小と、こう比べた場合の経常利益率がさして変わりないという調査結果になってございまして、お尋ねになりました、下請に出す場合の発注標準みたいなものは掌握いたしておりません。
  51. 鈴木力

    鈴木力君 私は、やっぱりこれは非常にむずかしいと思いますが、たとえば多少私も関係者に直接アンケートみたいな、アンケートと言うと大げさですけれども、お伺いもするんですけれども、どうもこれは企業の秘密でなかなか教えてはもらえない。しかし、常識的にもし世間で言っているように、たとえば高速道路でも新幹線でも何でもよろしいですけれども、そういう工事の元請業者から下請に行く場合に、一〇%は低い方で、二〇%ぐらいはそこで差し引きされる。それから、その下請からまた孫請に行くときに、一〇%ないし二〇%ぐらいそこでまた差し引きをされる。それで工事が成り立つということになれば、どうも原価計算というのはおかしくなるんじゃないかという、これはまことに素人らしい勘ぐりがそこに出てくるわけです。そういう素人の勘ぐりがまかり通るような状態の中にいま建設業界が実際に動いているとすると、これはやっぱり責任担当省である建設省がメスを入れた一つの基準といいますか、非常にむずかしいことではあるけれども、何かそういうルールをつくった、もっと明朗なものに建設業界を切りかえるということに手を出すべき必要があるのではないか、こういうふうに思うんですけれども、こういう点についてはいかがなんですか。
  52. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりましたように、なかなか元請から下請孫請に流れる段階の工事代金の掌握というのは非常に調査がしにくい事情がございます。しかし、確かに言われますように、巷間いろいろ話があることもわれわれも耳にしないではないわけでございますが、その場合に、発注単価というのは労務費にいたしましても建設資材にいたしましても、時の正常価格で発注いたしておるわけでございます。そして正常価格で発注しておるにもかかわらず、ピンはねによってやられるとしますと、そういうピンはねによってでき上がった完成品が、発注者が期待するだけの適正な工事施工が確保されているかどうか、その辺が問題でございまして、発注者が期待いたしたとおりの工事がそこにでき上がっているということでございますと、その間のピンはねが一体どういうことなのかという、まあそうなりますと、労務費にしわ寄せがいっているとか、建設資材の買い付けにしわ寄せがいっているとかという問題があろうかと思います。確かに、ことに公共事業の場合は税金でもって施行するものでございますから、それが不当にどこかでおかしくなっている、適正な工事が確保されてないということであれば大問題でございます。十分私どももその辺は慎重を期したいと思っております。
  53. 鈴木力

    鈴木力君 これは適正な工事が行われていないという前提で議論するのは、どうも私は余り正しくないと思いますから、少なくともいまの国の事業ということに限定をして言いますと、もし適正でないことがあるとすれば、これは本当のまれにある事故的なものだ、こう思いますから、そういう前提ではなしに、私がいま言っているのは、これも素人の勘ぐりですけれども、やっぱり下まできちっと設計どおり完全な工事が行われている、行われているが、その単価が、途中で差し引いた分が、経費として何%とかというような形で金がなくなって、それで発注者が期待どおりの工事がそこでできるということになりますと、いまの請負の関係を整理をすれば、もっと安く工事ができるはずだという議論がもう一つ議論として成り立つような気がするということなんです。そういう議論としてもし成り立つとすれば、その議論も一本の柱に入れて、この関係にはメスを入れる必要がある。  私は、後でまた若干具体的にお伺いしますけれども、たとえば、少なくとも元請なら元請という業者は相当の責任を背負っているわけでありますから、先ほどの国鉄の例じゃありませんけれども、直接責任は元請が持っておる。そうすると、その責任を完全に執行するためには、それなりの経費というものが必ず私はあるだろうと思うのです。素人がただ機械的に、コンクリートが幾らだとか何とかいう原価計算だけではならない経費というものは当然それはもうあるだろう。だからそれならそれで、そういう経費というものが、どういうものがどれだけ、今日までの実績の中からそういう数式はもうそろそろ出てもいいのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、いかがでしょう。
  54. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 建設省発注の工事について申し上げてみたいと思いますが、先ほど計画局長からも話がございましたように、建設産業、建設工事といいますのは組み立て産業的な性格を有しますので、専門的な業者下請にある程度使うということはやむを得ないのではないかというふうに考えておりますが、建設省といたしましては、これが重層下請になりますといろんな弊害が伴いますので、建設省工事を発注するに当たりましては、現場説明等におきまして、不必要な重層下請にならないように厳重に元請業者に対して監督すべしということで発注をいたしておるわけでございます。なお、この趣旨は毎年ずっと予算の執行に当たりまして、事務次官通達をもちまして建設省の地方支分部局、また、建設省所管事業を執行いたします各機関に対しまして通達をいたしておるところでございます。  そこで、先ほど積算のお話が出たわけでございますけれども、発注をいたします場合には、材料費、労務費、及び機械費を積み上げ計算いたしまして、それに管理経費等の間接費を加えて算定しておるわけでございます。その場合の材料費、労務費と申しますのは、その工事全体について使用されます全材料費、全労務費でございます。その労務費につきましては、下請工事が発生をいたしまして、下請が使うこととなる労務費も当然積算の対象になっておるわけでございます。そこで、下請材料を使用し労務者を使用する場合に、それに必要な労務費、材料費は当然計上されておるわけでございますが、問題は、先生が先ほど御指摘になりました、不必要にピンはねが行われて、その積算がもう少し安く済むのではないかというような点の御指摘であろうかと思います。  その点につきましては、建設省工事の中にも下請に出しますものと、下請を使うものとに分けられるわけでございますけれども下請を当然使用予定されるようなものにつきましては、適正な下請関係基礎にいたしました標準的な経費を一応間接経費の中に積算をいたしておるわけでございます。そういうことで、下請につきまして不当にその利益を侵害することにはならないというような措置をとっておるところでございます。
  55. 鈴木力

    鈴木力君 私がいまメスを入れるべきだということを申し上げておりますのは、確かに建設業法を読んでみても、不当に利益を侵害してはならない、それから原価を割るような発注をしてはならないとか、さまざまな規定があるわけです。しかし、現実にはそういうことがそのとおり行われているのかというと、私はどうもその点が疑問なんです。だからさっき申し上げたように、これは建設業法を改正しても、それだけではどうにもならない問題を建設業界の間で持っている。そこのところにもう一度目をつけてメスを入れてみる必要がある、こういう趣旨で申し上げているわけであります。でありますから、いま具体的にどうするという御答弁をしつこくしろと言っても、無理な注文を実は私が承知で申し上げていることなんです。  早い話、私は岩手県であります。岩手県の建設労働者の労務賃金というのが、たとえば東京なりこういう首都圏の労務賃金と比べると非常に安い。下請なり孫請段階で働いておる労働者の賃金がなぜ安くなってくるのかということも、たとえばその請負している下請が、岩手県あたりの業者孫請が多いんですけれども、その孫請に聞きますというと、具体的なことは言いません。とてもじゃないが、最初の発注の単価とだんだんに下がってくるので、どうしてもこれ以上労務賃金を払うと会社がもたない、本当に過半数はそういう答えが返ってくるわけです。そして、労働者もまたその事情を知っているから、どうせピンはねされているのもこっちもさという、そんなような言葉がずっと通用しているわけです。だから、開き直って、ここにあるという資料はなかなか出てこない。しかし、通達を出しても解決をしない問題がここにある。  これは、ずいぶん長い間の慣習から出てきている問題があるだろうと思いますから、そう簡単なものじゃないけれども、私は、やっぱりこういう点については今度の建設工事標準下請約款、契約約款ですか、こういうところのものと建設業関係からのきちっとした基準、基準といいますか、基準と言えれば一番いいと思うんです。そういうようなものをつくりながら厳格に守っていくもう一つの追跡調査というような方向も一本入れるべきではないのか。何か法律をつくったから、あるいは通達を出したから、それから新しい約款のひな形をつくったからいいはずだと言っているのでは、これは改善はされないだろう、そういうふうに考えられます。  同じようなことが代金決済のやり方にもある。正直言いまして、いま地方の小さな下請なんかやっていらっしゃる経営者に聞きますというと、一番泣かされているのは手形だ。それから、特にこれは感じでありますが、私は科学的な調査をするほどの機関もあれもありませんから、感じと言った方が正確でありますけれども建設土木事業なら土木事業に納品をする。たとえば橋の橋脚をつくっている鉄工業でありますとか、そういう業者に対する手形の日数が非常に長い。  それから建設業法でも、建設省でも指導しておられるはずだけれども、現金のシェアは、少なくとも労務費に相当する部分は現金で支払うべきである、こうなっているはずであるけれども、私が会った業者の中には、いま労務費分をほとんど現金でもらっていますと答える業者は、まず一〇%内外、これは全部の統計調査じゃありませんから、そこに固執するわけじゃありません。多くは現金が非常に少ない、そこでその資金のやりくりが非常に困るのです。それがさっき私が言った倒産につながってくる。したがって、こういうことに対する厳重なといいますか、やはり厳重な慣行というものをつくりあげる必要がある。いま伺ってみますと、極端な例を申し上げますと、これは極端な例でありますが、百八十日なんていう手形がもう出回っておる。百五十日もらえればまずほっとするというような、そういう話がはね返ってくるわけなんです。こういう決済の現状なんかについては、建設省としては御調査なさっているのですか。
  56. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 五十一年の調査建設業の構造基本調査というもので四千二百十八社の会社について調べたことがございます。その内容によりますと、現金支払い期間というのは、これは元請業者とそれから下請業者両方を調べたわけでございますが、その言い分がそれぞれ違うのでございます。元請業者からの回答によりますと、現金支払い期間というのは三十日未満が七九・三%、下請業者から聞いたところによりますと、三十日未満は五一・三%、それから三十日から四十日というのが三四・四%。それから手形の期間でございますけれども、元請業者調査によりますと、三カ月未満が三四%、三カ月から五カ月というのが六〇%、それから下請業者の回答によりますと、三カ月未満が一七・四%、三カ月ないし五カ月というのが六七・一%、そういう状況でございます。
  57. 鈴木力

    鈴木力君 そこで私は、まず緊急にこれは建設省として手を打たなければいけないのは、長けりゃ長くても、それがいやならおまえのところには請負に出さないというのが、さっきの不況型の倒産につながるのがその辺でありますから、そうすると泣き寝入りをしてやりくりをしているという例があるわけなんです。ただ、どうしても不思議でならないのは、たとえば国の工事の場合ですと、恐らく国は手形で払ったということはないはずであります。しかも元請に対しては前渡金が出ている。それが下請から孫請に行きますと手形に変わってくるというこの過程が、これは黙って見ておっていいのかどうかということが一つあるわけです。少なくともそういう国からの元請が受けておるそのルールは、下請孫請まではきっちりと持っていくべきだ。何かの特定の事情でそれが手形に変わる場合には、手形の利子補給というのはやはり元請が責任を持つべきだ。手形が長くなった場合の割引料といいますか、結局利子、この利子補給というのは本当は元請の方が持つべきだ。あるいは元請、下請、手形に変えるところの発注者が持たなければならない。しかしそれも、そういう指導もなされているというふうに聞いておりますけれども、それは事実上は余り実行されていない例の方が多い。私はそういうふうにいま見ます。したがって、今度約款をつくるというときには、必ずそういうことについてはもちろん条件には入れるべきだと思いますし、それから通達ということよりも、むしろもっと積極的な指導というものがいまのこの時点でなされないと、この建設業界の倒産につながっていくという傾向は私は是正ができないような気がいたします。こういう点についてもひとつ伺っておきたい、こう思うんです。
  58. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりました点は一々ごもっともでございまして、建設業法にも、そういった元請がその地位を利用して下請へしわ寄せすることのないように、いろいろな条項を立てておるわけでございますが、こういう法律制度を改めるということだけで私ども満足しているわけじゃございません。ただ、こういう法律制度の違反の事態が出てきますと、建設業法上の監督処分ができるということが一つメリットとしてあるわけでございますが、この法律制度を改正するのみならず、私どもは常々この行政指導でそういうこともひとつ厳しく指導通達も出しております。最近では、昨年の十一月三十日に計画局長名で出しておりますが、お述べになりました、元請人には前払いが行っているにもかかわらず、下請人には現金が行っていないというような問題はひとつもう極力ないように、しかも一番重要なのは、学務費の占める割合が高いものの支払いというものは、できる限り現金払いにしなさいということも指導通達で出しております。  それから、その辺を今度標準下請約款ではひとつ明確にしていきたいと思いますけれども、問題は、いかにりっぱなものができましても、それを使わないと何にもならないということでございますので、中央建設業審議会から新しい標準下請契約約款が勧告されました場合には、これを発注者において極力使うように、ことに公共事業についてはこれを使うようなこともやっていきたい。また、元請が下請人との関係で非常な法律違反の事態、あるいは行政指導通達違反のような事態が出てくるという場合には、発注者において指名を考えるというような措置、その他によってもう極力法の趣旨なり行政指導通達の実行というものを確保してまいるように努めたいと考えております。
  59. 鈴木力

    鈴木力君 これはぜひひとつそうお願いしたいわけです。いろいろ私も素人だからよくわからないんですけれども、法律を読んでみると、そんなことがないはずだということが現実に行われておる。あるいは他面、請負契約と元請人として禁止されている一括下請を実際はやらせておったと、そういう指摘が、多分昭和四十九年の会計検査院の指摘にもあったはずです。しかし、その後聞いてみましても、どうもこれがきっちりと直ってはいない、まだそういう例が若干あるというふうにも聞いておる。でありますから、指摘をしても、法律をつくって書いてもなかなかそれが直っていかないという体質を建設業者、業界自体が持っている。そういうふうにも思いますので、これはもう通達を出したからということで私は救われないような気もするので、もう一度これは念を押しておきますけれども、もっと積極的な下請業保護という立場からも、いまのような代金決済なんかにつきましても強力な指導が必要になってくるというふうに考えられるわけです。  それから、その次の問題でありますけれども、どうしてもこの中小企業者が非常に多い。先ほどの御答弁もちょうだいいたしましたように、特に零細と言ってもいいような建設業者も非常に多いわけでありますから、それを体質を強化しなければならないというさっきの局長のお答えはそのとおりだと思うんです。と同時に、私はこの不況型倒産という一つの原因の中に、従来中小がやっておった部分に対する大手の直接の侵入といいますか、そういう形のものが相当にいま出てきているのではないか。これは私は、まだ余り具体的なところには参りませんけれども、話にはちょいちょいそういう話が聞こえてまいります。  たとえば、また自分の郷里の話をいたしますけれども、私の県の岩手県ですと、国のたとえば新幹線なりあるいは高速道路なり、これの元請としてA級にランクされている業者一つもないはずでありますから、そうすると、実際に働いておるというのはずっとこう下の方にあるわけですが、だんだんにその下請孫請の部分がもう一つ上のランクで実際にやるようになってきて、下の業者仕事が非常に狭くなってきている、こういうような傾向にあるというふうにも伺っておるわけであります。  そこで一つ伺いたいのは、公共工事のこの標準発注契約についてA、B、C、D、Eというランクがございますね。このランクがありますけれども、そのランクのうちで一つだけ上に行ってもよければ一つだけ下に行ってもいいというふうな組織になっているというふうに伺っておるんです。ところが仮に、このA、B、C、D、Eという一般土木工事及び建築工事で申し上げますと、BがAのものを請負したという例ですね。一つ上のランクを請負したという例が今日までにありますか。
  60. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生がお示しのA、B、C、D、Eという発注標準のランクづけの問題でございます。これは各発注者ごとに定めておりますが、建設省といたしましては、一般土木につきましては三億円以上をAとし、一千万円以下をEとする、そういうかっこうでやっておるわけでございますが、建設省といたしましては、この発注標準の遵守ということを中小建設業対策の一つの柱といたしておりまして、先生お示しのような下位の工事を上位のものがとるという例は、いま私は実例として聞いておりません。中小業者につきましては、優良な場合におきましては、二階級上位の格づけの工事をすることができるように各発注者指導をいたしておりますが、いま先生のお示しのような例は私ちょっと知っておりません。
  61. 鈴木力

    鈴木力君 それはひとつ御調査をいただいた方がいいと思います。私が聞いているところでは、一ランク上と一ランク下まではその範囲で認めるんだということになっているけれども、一ランク上の請負をしたという例はほとんど皆無だ、むしろ上の、一ランク上の業者が一ランク下の業者の請負をしているという例の方が非常に多いというように聞いておる。もしいまの官房長のお答えのように、ないということであれば、これは御調査をいただきたい。そして、いまのような不況型というときに中小が困っている時期だけに、私はやっぱり下が上に少し行けるような指導こそ大事であって、上が下に行くというのはやらせないという方向の指導をしないと、この不況型を克服して中小の業者が伸びていけないのではないか、あるいは保っていけないのではないかとさえ見るんですけれども、こういう点について、まあなければ御調査をいただきたい、こう思いますが……。
  62. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いまちょうど先生質問のときに資料がございませんでしたが、各ランクにつきまして、その上位または下位の工事を請け負ったパーセントが何%であるかということについては調査をいたしておりますので、後刻その資料をお手元にお出しいたしたいと考えております。
  63. 鈴木力

    鈴木力君 同時に御調査の上、やはりさっき申し上げましたように、将来の状況によってはまた変わることがあるかもしれませんけれども、いま中小が倒産への道で非常に険しい時期だけに、私は上のものが下のランクに請負に行くというところは慎しませるような、そういう行政指導ということがいま重要な時期であるとこう思いますので、私の考え方に間違いがなければそういう方向でひとつ御指導をいただくべきではないか、こう思い、御要望を申し上げておきたいと思います。  余りもう時間もありませんから、もう少しの問題についてお伺いをいたしたいのですが、これからのことは大臣にちょっとお伺いをいたしたいんです。  多分に問題が私はいろいろあるような気がいたしますけれども、たとえばさっき国鉄当局から東北新幹線の事故についてお伺いをいたしました。これは大臣お聞き及びのとおりであります。少なくともさっきも申し上げましたけれども岩手県だけでここ四、五年で死亡事故が十二件ある。しかも、ことしになってから三月の末から四月にかけても事故が連発をしている。これはもうどこにミスがあったかとか、これはそういう角度からもちろんそれぞれが検討なさることでありますが、私は、国鉄発注者である工事にしても、あるいは道路公団発注者になっている工事にしても、少なくとも元請は政府が認可をした業者でありますから——でしょう、多分。そうすると、その基準にのっとって、あるいは県の知事の認可の業者がその下請をやっているかもしれません。でありますけれども、災害の責任というものからこういうものについては、やっぱり政府がもう少し統一したもののやり方をする必要があるのではないか。  つまり、国鉄当局は、死亡事故が起こってもその流れの末までは調査をなさっていないような印象をさっきは受けたんでありますけれども、どこが補償すべきかということも、これももうきっちりしていなければならないことだし、そういう保安というものに対する責任体制というものは、これはもう発注者のいかんにかかわらず、建設省がもっと積極的な何かの一つの道をつくり出す必要があるのではないか、こういうふうにも考えますが、まずこの点について、先ほど私は少し言葉も、余り上品でない言葉を使ったかもしれませんけれども国鉄の御当局ともやりとりをしたわけです。ああいう問題に対する大臣のまず御所見を伺いましてから、それからもう少し具体的に伺いたい、こう思うんです。
  64. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 先ほどの国鉄への御質問でございますけれども、私はまさにあのとおりでなければならぬと考えております。少なくとも国鉄が直接工事を渡すときに、元請に一切をゆだねてあるんだと言いながらも、事故のあったその原因、措置、このくらいのものは把握しておかなければならぬだろうと私は思います。私のうちの方はどうなっているかわかりませんけれども、それは当然なる義務だというふうに感じております。きょうはお話を承っていて、決算委員会には最もふさわしい御意見であるというふうに私は伺っておるのであります。もっともこれなくしては決算委員会というものの使命が達せられないんじゃないかというふうに私は考えております。したがって、私の方がどうなっているかわかりませんけれども、十分これは帰って今後の措置をしていきたいというふうに考えております。  したがって、いろいろ先ほどから伺いました中におきましても、重層下請の件、手形支払いの件、ただ私はこの中に、私も本職じゃございませんのでわかりませんが、建設省直接のものと地方自治体の発注があるわけでございまして、建設省の方は私は、手形の百五十日だ、二百日だなんというのは恐らくないんじゃないかなというような感じもするんです。この点は調べてみなければわかりませんけれども、地方自治体が現在非常な苦境に入っておりますから、もしやするとそういう点はあるんじゃないかなというような点に考えがあったわけでございます。したがって、これらの点は帰りましたら局長さんあたりからもっと十分によく承っておいて、その点を明瞭にしておかなければいけない、こういうふうに考えております。  それから、何しろお話もたくさんありましたので、長くなりまして申しわけないんですけれども、四十七年まではあの景気の上昇期だったものですから、雨後のタケノコのように建設業建設業というので次から次に看板が掲げられていっておって、四十二万何ぼあるそうでございます。そういう弱体なというか、ような下請建設業という看板をかけた人があるものですから、これらの体質改善というお話が先ほどありましたけれども、本当に体質改善という点には一応見直さなきゃならぬだろう、ただ申請ができたからそれで許可していくというだけのことではならぬのじゃないんだろうか、請負を行うんなら請負を行うだけの資格というものをもっと厳重に調査する必要があるというふうにも一方私は考えておるのでございます。  いずれにいたしましても、先ほどからのお話は承りまして参考にもなりましたし、十分帰りまして職員によくお話を申し上げておくつもりでございます。
  65. 鈴木力

    鈴木力君 私がいま大臣に申し上げたのは、したがって、国の工事というのは発注者がそれぞれ違います。同じ公共事業と言っても、確かに地方自治体、県の事業もあり、国の補助事業で県の事業もあり、あるいは市町村の事業もある、それぞれの発注者がこう違うわけでありますから、いきなり建設省が全部を掌握をするということは非常にむずかしい。むずかしいけれども、基本はやっぱりこの建設業法が基本であるし、それから建設業法に基づく先ほどの約款なら約款というものが出てきて、それが一つの一本の流れになってこの業界全部が改善をされ、体質も強化をされていくような、そういう行政にもう少し集約をする必要があるということを私は申し上げたわけです。  私があえてこのことを大臣に直接申し上げたのは、いままでにもちょいちょい実はある省に、あなたのところのこれはと言うと、これはうちの省の担当じゃありません、どこそこですと、それでもう責任がなくなっていくような、そういうことであってはならないということを私は常日ごろ感じておったものですから、特に今度の国鉄の新幹線の事故事件に関しまして、これは建設業そのものの体質改善というところの重要な一つの問題であると思って、直接大臣にもこれは力を入れてもらわなければならない問題だと、こう思うわけです。  それから、もう一つの点を私はお伺いしたい。お伺いしたいといいますか、お願いをしたいのは、さっきのこの体質改善ということがございました。しかし、この体質改善ということを考えてみましても、私はよくつまびらかに調べているわけじゃありませんけれども、たとえば私の岩手県の業者を見ますと、これも統計じゃありません。統計ではありませんが、岩手県内の業者の、県で言えばAにランクをされているその業者は、恐らく年商まだ百億には至らない、七、八十億ぐらいのところであると思いますが、その第一位の次にランクをされるのは、三十億にならないような業者が第二位なんです。非常にこの第一位と第二位の間が格差が大きいんです。そうしてその下にずっとこう中小零細がすそ野に広がっているわけなんです。私は、そういうのはそういうふうに今日の実績でそうなってきているんだろうから、だれがいいとか悪いとかと言うわけにはいかないけれども、もう少しこの業界の一つの何といいますか、共同化といいますか、少なくとも一位と二位、三位、四位が余り違わないような、なだらかな線で並ぶような方向に行政指導といいますか、その体質改善の方向に、共同化という方向にひとつ考えてみる必要があるのではなかろうか。これはもちろん政府が一つの枠をはめてどことどことがどうしろと言うわけにはいかないしするものだけれども、業界自体が、自分が意欲的にそこに取り組まなければならないとは思いますけれども、そういう形になってきますと、さっきの大手と下請、あるいは孫請という形の中が、もう少し地方の業界が効果のある業績に立ち向かっていく力が出てくるのではないか。余りランクが、ランクというか、格差が大き過ぎるやつがばらばらに存在しているというところにも非常に体質の弱さがある。そういう面をどうすれば力をつけられるかということは、私もなかなか名案がありませんけれども、これは業界に対する御指導だと思いますけれども、そういうような視点からの指導ということもいま考えられていい時代に来ているんではないか。いずれにいたしましても、思いつきみたいなことを申し上げました。  これで質問を終わりますけれども、特に私は大臣にお願い申し上げたいのは、先ほどの倒産の原因から言いましても不況型、あるいは金融の行き詰まり、あるいは代金の回収不能、こういう形のところに非常に来ておる、そういう時期だけに、中小業者の保護という立場からの緊急な施策ということがいま要請をされているときである。特に、公共事業を政府が景気回復の一つの大きな柱として施策を進めていらっしゃるわけでありますから、これは公共事業それ自体に景気回復の施策を進められるということには賛成なんですけれども、それが地方の中小零細の業者に本当に手が回るような公共事業あり方でない。まず、大手がそこにおって、だんだんにピンはね、ピンはねという言葉はどうも余り適正ではないのですが、通称そういう形のものがあり、あるいは代金決済は手形がだんだんだんだん延びていく、現金が少なくなって、下の方がただ資金繰りに飛び回っているだけということでは、私は公共事業も現状のままでは景気回復には、非常にマイナスになるとは言いませんけれども、いまのような公共事業で景気回復という一つの施策を執行なさいます場合に、即効性がないだろう。  いま、あちこち思いつきみたいな問題点、私の所見として申し上げましたけれども、そういう中小を保護する立場からの業界の改善ということが合わさっていかないとこの施策は生きてこないだろう、そういう意味でいまいろいろと申し上げたわけでありまして、大臣も御理解いただきまして緊急な一つの施策としてお取り上げの上、善処していただきたいと申し上げます。
  66. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 本年は特に意を用いたことは、中小で請負の資格のない方、こういうような方はなるべく企業体をつくらせて、そして団体によってそれを分けて請け負わさせるというようなことをこちらからも通達を出しておりまして、それらによって中小企業全体の面に、その享受が受けられないような方々に対して幾らかでも分配することができるだろう、こういうような考え方を持って発注には注意をさせたところでございまして、そういうような点とあわせましておっしゃったような企業体全体を見て見直しをしながら、今後の発注に際しては特に注意をして、先ほどからの御意見等を加えて申しつけていきたいと考えております。
  67. 大塚喬

    理事大塚喬君) 午後一時から再開することとし、暫時休憩をいたします。    午前十一時三十五分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  68. 鈴木力

    委員長鈴木力君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  69. 矢原秀男

    矢原秀男君 宅建業法について質問する前に、きのう、きょうと報道されております住宅ローンの引き下げ関係について少しだけ質疑を交わしていきたいと思います。  四月十九日、きのうでございますけれども、公定歩合の再引き下げ、そしてまたきょうは住宅ローンの引き下げ、こういう問題が、福田総理の発言が報道されているわけです。きょう大蔵省の方にも来ていただいたんですが、私も十二日の予算委員会で、大蔵大臣と日銀の副総裁にこの問題お伺いしましたら、いまから見ますとまあしゃあしゃあというのか、そんなことは全然ありませんいうふうなことで、これは非常に複雑な社会情勢の中で、人をだましてでも抜き打ちにやらにゃいかぬのかなという、そういう私は感覚を感じたわけでございます。大蔵大臣の場合は政治家でございますけれども、日銀の副総裁といえばエリート中のエリート、紳士の中の紳士、そういうふうな人でも平気でやっている、こういうことが大蔵省を中心として——あなたに言うのは申しわけないんですけれども、本当に平気で横行しているのか。これでは世の中うまくいかぬなという一面も私は感じているわけです。また一面では、大変な事情があるからそういうことだろうかとは思うんですが……。  そういう中で大蔵省にお伺いいたしたいのは、きょうの報道によりますと、住宅ローンの取り扱いが注目されておりますが、一つは、新規の住宅ローンだけではなく、借りている現在までの住宅ローンの金利も引き下げる方向であると総理が言われておるわけでございますが、住宅ローン利用の実態数というものがどういうふうに把握されておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  70. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) お答えいたします。  五十一年十二月末の計数でございますけれども、全国銀行と相互銀行の住宅ローンの件数は二百五十一万件ということになっております。そのほかに、住宅金融専門会社というのがあるわけですけれども、ここの住宅金融専門会社での貸付件数は十六万件ということになっていまして、それを合わせますと二百六十七万件。そのほかに各種の金融機関の貸し出しがあるわけでございますが、いまの数字、全国銀行と相互銀行並びに住宅金融専門会社ということでありますと、そういう数字になるわけであります。
  71. 矢原秀男

    矢原秀男君 非常に多くの国民の方々の中で該当者の方があるわけでございますが、まず総理の見解が、民間の金融機関の住宅ローンの金利は、契約時の金利がずっと適用されると理解しているけれども、家計の負担軽減という観点から、今回の公定歩合引き下げに伴っては、すでに契約されている分の金利も下げる方向で前向きに検討したい、こういうふうに引き下げの積極的な姿勢を示されております。また、こういう状態を考えておりますと、それを受けて大蔵省も十九日に民間の金融機関に対し、すでに契約の住宅ローンの金利についても引き下げるように働きかける方針を固めた、こういうふうな報道もされているわけでございますが、住宅ローンの利下げが五月中に、報道されておりますように実現する公算があるのかどうか、そうして、新規住宅とすでに契約をしているこの住宅ローンですね、そういうふうな点、あわせて大蔵省としての見解をお伺いしたいと思います。
  72. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) 民間の住宅ローンの金利につきましては、私どもは従来から、定期預金金利と長期プライムレートとが変わったときは、それを一つの基準にいたしまして考えていきたいというふうにずっとしてきたわけでありますけれども、今回定期預金金利の引き下げがすでに決まっております。今後長期金利の方がどう動くかというのが、実はまだ必ずしもはっきりしてない段階でございますけれども、いろいろの動きから見まして、やがて公定歩合の引き下げが預金金利さらには長期金利の動きにも影響してくるだろう。そういうことになりますと、住宅ローン金利というのも一種の長期金利でございますので、今後の長期金利の動きいかんによっては、引き下げを検討せざるを得ぬという状況にあると考えております。
  73. 矢原秀男

    矢原秀男君 五月であるか六月であるか、そういうめどはどうでございますか。
  74. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) 実は住宅ローン金利につきましては、従来は一般の長期金利が固まりましてその後でということが多かったわけであります。ただ、住宅ローン金利がどうなるかということにつきましては、国民の皆様も非常に関心の深いところでございますので、並行しつついろいろな検討が行われることになろうと思いますが、現在のところ何月ということにつきましては、長期金利の方の動きそのものがはっきりしてない段階でございますので、この場で確たるお答えはちょっといたしかねる次第でございます。
  75. 矢原秀男

    矢原秀男君 大蔵省が試算をされているというふうに報道されているんです。たとえば現行が年利九%であるけれども、〇・三六%下げた場合とそれから〇・四八%下げの場合、こういうふうな大蔵省の試算というものがありますが、これは実際に試算をされているのかということになりますと、どちらの利下げのパーセンテージになるのかという問題も出てくるわけですね。これは出どころはどうなっているんですか。
  76. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) 大蔵省の試算というのにつきましては、私ども実ははっきり承知しておりません。現在のところ具体的な試算をする段階には至っておりません。
  77. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、いま私が申し上げた〇・三六、〇・四八、これの下げの場合の想定というのは大蔵省では現段階ではされていない、こういうことですね。
  78. 十枝壯伍

    説明員(十枝壯伍君) 一部の新聞に出ております数字のことかと存じますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、現在長期金利一般の方がどうなるかという問題、それとの関連が非常にございますので、いまはそれがどのくらい動くというのがわからない段階で、〇・三六とかそういうような具体的な数字を出して試算をしているという段階にはまだ至っておりません。
  79. 矢原秀男

    矢原秀男君 大臣、たしかきょうの何新聞でしたか、住宅関係というので建設大臣の発言等も出ていたと思うんです。まあ大蔵省の所轄と思いますけれども、やはり住宅ということになればこれは建設でございますので、大臣として総理と一緒でこの際利下げをするということはもう当然だと思うんですが、今後のこれらの方向に対して大臣としてめど、方途がございましたら現段階で述べていただきたいと思います。
  80. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 実はまだ大蔵省も本当は御存じないんだ、よくわからないんだと思うんです。この話は昨日の閣僚会議におきまして私が出したことでありまして、昨日の八時半からの会議がありまして、その際公定歩合の引き下げの話がありました。公定歩合の引き下げと同時に一般預貯金の引き下げを行うということがありました。私は、公定歩合の引き下げに対しては何も申し上げる必要はない、一般の大衆預金の金利を引き下げるということになるならば、これはローンの引き下げということは当然になさなきゃならぬはずじゃないかという話を出したんです。そうしたところが、大蔵省のお答えは、金利が高くなったとき、たとえば八分五厘にも、九分かな、何かずっと高くなったときもかねて約束したときのその契約のとおり、既契約のとおりにやっておったんであって、金利が下がったからすぐ引き下げろというのは御無理でしょう、上がったときはそのままに置いて、下がるときになったらすぐ下げろというのは少し不合理じゃありませんかというのが大蔵省のお話でございました。しかし私は、そうじゃない、上がったとき上げなかったからそのままで置けということは無理じゃないかと。  とにかく私は、この問題と別にしまして、ローン全体の問題じゃなくて、住宅金融専門会社というのがあるんです。その金利は余り高過ぎやしないか、この金利を引き下げるべきだというのが、私がきのう朝出した問題なんです。そこで、住宅金融専門会社というものが現在のような一一・二%とか四%とかやっているじゃないか、こんなような高値でいいのか、それはいただけないということでこの引き下げをやれということを私が出して質問をしたんですけれども、大蔵省はやるとは言わないんです。総理やなにかも聞いておりましたけれども、総理も別にやるともやらぬとも言っておらなかったんです。私もとにかく住宅を預かる身でございますから、大衆が幾らかでも安くなることをやってもらわなきゃなりませんから、そこで話を出したんだけれども、実際の幾ら下げてどうするということはまだ何にも決まっていないんです。大蔵省も——先ほどあなたが大蔵省とか日本銀行にお聞きになったとき、抜き打ちじゃないかと言うけれども、それは抜き打ちではない、きのう私が抜き打ちにやったところなんでして、私がやったものだから新聞にこんなに大きく書いたんだと思うんです。ですから、まだそこで私の考え方としては、いずれにしても住宅ローンというものは当然改定さるべきものではないか、やってもらいたいという要求を強く出してまいりました。  そこで、大蔵大臣もおりまして、次官もおりましたから、まあとにかく、いずれにしてもこれは住宅金融専門会社だけは考えなければいかぬだろうというふうな話を強くやってきて、それではひとつお聞きはしておきます、すぐやるということにはなかなかいかないかしれないけれども、十分指導に当たってみたいと思います、こういうようなお答えでございました。それじゃひとつ早急にやってもらいたい、あわせて、一般大衆の預貯金の金利が下がるときはそれとあわせてやってくれという要求を私がしてきたわけでありまして、大蔵省は抜き打ちで、まだ大蔵省にわからないというのが本当だと私は思うんです。  以上、そういうことなんです。私としては、申し上げたように何としてもこの住宅ローンの問題、それから住宅金融専門会社、この問題の引き下げはどうしてもあわせてやっていただきたいという要求を強く出している、こういうことでございます。
  81. 矢原秀男

    矢原秀男君 どうもありがとうございました。建設大臣、適切な手を打たれていることについては心から敬意を表したいと思います。今後ともがんばってください。よろしくお願いします。  じゃ次に移ります。  宅地建物の取引に関して若干の質問を申し上げたいと思います。  質問に当たりまして、なぜいまから追って述べますような問題が生じたかを考えながら思い起こしますのは、昭和四十七年に時の総理大臣でございました田中角榮氏の列島改造論も大きく私、原因していると思うわけです。日本全国が土地の投機熱にうなされて土地の買いあさりに走ったわけでございますが、今回いまここで提起する問題も、この当時の土地投機の弊害のあらわれの一つであります。土地を抱えた業者が、考えようによればやむにやまれず考え出した商法でありまして、その責任の根源は国の施策の誤りであったのではないかと私もまず申し上げなくてはならない、こういうことになるわけでございますが、こういう観点の中で質問に移りたいと思います。  いまから数社の宅建業者の商号を申し上げ、その内容について伺いますが、お断わりするまでもなく、宅建業者全体の方々質問に該当するものではございません。私も友人の方が多くおりますし、むしろ良識のある宅建業者方々が、一人の非常識な業者が出ることによって非常に御迷惑をこうむっていらっしゃる、そういう良識ある業者の弁護も兼ねてきょうはお伺いをするわけでございます。  次に挙げる業者の免許証の交付先及び現在の資格状況でありますが、一つは関西ハウジング、二番目に西日本興産、三番目に一誠商事、四番目に富国開発、五番目に富国地所でありますが、これはどのようになっておりましょうか。
  82. 大富宏

    政府委員(大富宏君) まず第一番目に、関西ハウジングは大阪府知事の免許業者でございまして、五十年七月から五十三年七月までの免許期間を持っております。それから西日本興産は、これも大阪府知事の免許の宅建業者でございまして、免許期間は五十年の十一月から五十三年の十一月まででございます。第三番目に、一誠商事は東京都知事の免許業者でございまして、免許期間は五十年の二月から五十三年の二月まででございます。第四番目の富国開発は、大阪府知事の免許業者であったわけでございますが、五十一年の八月に失効をいたしております。現在無免許でございます。最後に、富国地所につきましては、兵庫県知事の免許業者でございまして、四十九年八月から五十二年の八月までの免許期間になっております。
  83. 矢原秀男

    矢原秀男君 それらの各社で行った、あるいは現在も進行中の土地分譲の状況について、業者別の分譲物件名、面積、区画数、販売時期、契約者数、単価、販売形態、開発許可等の手続状況及び紛争等が起きておればその内容を伺いたいと思います。
  84. 大富宏

    政府委員(大富宏君) ただいま御指摘になりました問題につきましては、私どもまだすべてについて詳細にデータを把握いたしておりません。現在私どもが知り得た段階で御説明申し上げたいと思います。  第一番目の関西ハウジングでございますが、これは分譲状況といたしましては、兵庫県の三田市の山林につきまして七千平方メートル、三十区画の分譲をやりまして、西日本興産物件の販売代理店としてこの分譲業務に当たっております。  西日本興産は、むしろ地場業者でございまして、先ほど申し上げました関西ハウジングに物件の販売を依頼しているわけでございます。  一誠商事につきましては、これは仲介専門の業者でございまして、これの事業内容については詳細掌握いたしておりません。  富国開発につきましては、免許有効期間中に三田市の三期あるいはマロンガーデン社、今田、加西の分譲、これは富国地所と共同で行った分譲事業でございます。それからハイランドグリーン枝幸、それから釧路等で分譲を行っておったわけでございます。  富国地所は、富国開発と共同でいま申しあげました三田三期、マロンガーデン社、今田、加西につきまして共同事業を行っておって、そのほかに篠山ハイランド、大沼ハイランドの分譲も行っておるものでございます。
  85. 矢原秀男

    矢原秀男君 以上の業者のうち、警察より捜査、捜索及び起訴されたものがあれば、その容疑内容を御報告していただきたいと思います。
  86. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 関西ハウジングにつきましては、ただいま申し上げました分譲物件につきまして誇大広告がございまして、社長が尼崎東署に任意出頭を命ぜられて、現在取り調べが行われておるわけでございます。  それから、一誠商事につきましては、山内、沼沢という両名に対しまして、自分の免許権、免許名義をいわば名義貸しという事実がございまして、この名義貸しの容疑で現在兵庫県警に捜査を受けている。この山内、沼沢というのは、したがいまして、実際は宅建業法の免許を持っていない者でございますので、無免許ということで現在逮捕をされております。  それから、富国開発につきましては、分譲物件が国土利用計画法によるところの届け出範囲の規模であったにもかかわらず、国土法に基づく届け出をやっていないという違反事実がございまして、社長が現在起訴になっております。  富国地所につきましても同様でございます。
  87. 矢原秀男

    矢原秀男君 これは新聞に、大臣ちょっと遠くからですけれども、字はわかりませんが、とにかくこのぐらい大きく出ているんです。これの見出しには、緑の住宅地と山林を売ると、山林を緑の住宅地と銘打ってはでなパンフを使い、約四千人の方が被害を受けて、金額で三百億円の被害である、そういうふうにして大きな事件が起きているわけなんです。  いま申し上げたこういうでっかいあれは富国開発の方なんです。それから小さい方は、先ほど申し上げた業者の中で、水道が完備されていると言って地下の中にパイプだけを埋めている、お客さんが行ってみたら、パイプだけ埋めておって水道の完備も何もないという、そういうふうな非常に残念な問題等があるんです。富国開発の、兵庫県や北海道というふうないろんなところにわたって四千人近くの方、三百億円の被害というものがある。すぐ家が建てられる、投資には最適というはでな宣伝文句で、大阪や神戸の不動産会社がこういうふうにして北海道初め兵庫や三重の両県にある原野や山林を売り出して、四十八年から三年間で被害者は阪神を中心に約四千人、総額三百億円にも達することがこの四月二日までの被害者の追跡調査でわかったわけでございます。  こういうふうな中で以後質問を続けてまいりたいと思うんですが、やはりこういう悪質な不動産業者の商法というものを、免許というものが出てくるわけですから、行政指導がどうなっているのかなという問題点と非常に絡んだ大きな問題が出てくるわけでございます。たとえば、そのうちの富国地所の土地分譲の状況を見ますと、三田三期分譲では、約十八万ヘクタールの土地が約四百三十区画ですでに青田売りされておるわけです。買い主との念書によりまして、四十九年の十一月末日までに宅地造成を行うとの内容、これは現在なお履行されていないわけです。また、聞くところによると、今後宅造を完了するには二年間の期間と二億五千万円の費用がかかるそうですと、だから宅造完了まで行政機関指導を続けることができるのかどうか、被害者の方々もこういう点を感じているわけでございますが、これについて当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  88. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 富国開発株式会社につきましては、ただいま申し上げましたように、五十一年の八月まで大阪府知事の免許権を持っておったわけでございますが、現時点におきましてはもうすでに宅建業者の資格を失っているわけでございます。したがいまして、宅建業法上の行政措置というわけにはまいらないわけでございますが、ただ、この免許権を失っております富国開発と共同で兵庫県下で宅地分譲を行っておりました富国地所、これは先ほど申し上げましたようにことしの八月まで免許権を持っているわけでございます。これは免許権者でありますところの兵庫県、免許を付与した県でございます兵庫県が県内外の物件につきまして宅地建物取引業法に基づいて現在調査中でございます。北海道、三重県の別荘地とか植林地の物件取引につきましては、北海道、三重県から調査結果の通報があり次第宅建業法違反の範囲、内容、程度等を確定いたしまして、それぞれの監督処分を行うことになろうかと思います。  ただ、いま御指摘になりましたこの富国地所なり富国開発なりの事業者によってそれぞれの別荘地、まだ工事完成前でございますけれども、こういうのを購入した者が四百五十名あるわけでございますけれども、こういう工事遅延による被害を防止するために、現在富国地所等に対しまして、できる限り早く工事の再開をしてくれ、工事を続行して契約どおりにひとつ引き渡しをせいという指導をやっておるわけでございますが、ことしの二月以来、被害者と業者間のあっせん調停をもうすでに八回ぐらい行っておりますが、工事方法等につきまして被害者の同意を得られ次第、業者工事の着工をするというぐあいになっているというように聞いております。
  89. 矢原秀男

    矢原秀男君 この、富国開発とか地所は、バックにたとえば系列の大会社があるとか、それとも単独の業者なのか、もし単独であれば、もう赤字でパンクしているのかどうか、そういうふうな点がまた心配になるんですけれども、そういう点どういうふうに把握されていらっしゃいますか。
  90. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 背景資本があるというようなことは聞いておりません。
  91. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ、いまあなたが言われました、これは被害者の方と話し合いをするといっても、もうパンクしているような状態であれば、いよいよ解決のめどというものもなかなかこれはつきにくいなと思うんですけれども、そういう点、いま一歩深く答弁いただきたいと思います。
  92. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私どもが兵庫県から聞いている段階では、確かに富国開発につきましてはもうすでに免許は失効いたしておるわけでございますが、共同分譲業者でありますところの富国地所の方では、工事の着工を早期にやりたいという意向があるやに聞いております。
  93. 矢原秀男

    矢原秀男君 では、別の角度から伺います。  公正取引委員会に伺いたいんですけれども、宅建業者が行った取引物件のうち、誇大広告もしくは不公正な取引の数が、昭和四十八年度からでどの程度あるのか、御報告いただきたいと思います。
  94. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) お答えいたします。  私どもは不当表示あるいは不当景品、これは独禁法の立場から言いまして消費者の適正なる商品選択を誤らせるという観点から取り締まっております。特に不動産がどうこうというつもりでおりませんので、たまたま先生が御指摘ありました四十八年からのもの、ちょっときょう用意してございませんけれども、ただ、不動産につきましては、これは被害金額がきわめて大きい。もし普通のサラリーマンであれば、一回これにひっかかりますと、恐らくもうその人は一生建てられないんじゃないかという観点から、きわめて重点を置いております。  たとえば、不当景品不当表示法が制定されましたのは昭和三十七年でございますけれども、これは実はまだ地方事務所並びに都道府県から数字が上がっておりませんので昨年末までになりますけれども、排除命令をかけました不当表示関係のやつが三百四十一件になっております。そのうち不動産関係は百五十件。不動産につきましては、私どもとしましては被害者の金額が大きいという意味から、かなり重点を置いて不当景品及び不当表示法の運用を行っておるつもりでございます。
  95. 矢原秀男

    矢原秀男君 確かに被害者の金額が大きいです。そういうふうなことで、今後ともこういう面には非常に留意をしていただきたいと思います。  建設省に伺いますけれども、こういう不公正な取引を行った業者に対して、どの程度の処分を行ったのかというのが一点と、またこれ、建設大臣に御所見を伺いたいんですけれども、なぜこのような違反業者が出てくるのか、こういう点をどういうふうに判断されていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  96. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 第一点のお尋ねでございますが、四十八年度以降各年度における宅建業法違反事件でございますが、処分の件数は、四十八年度が、免許取り消し、業務停止、指示、合わせまして三百三十九件でございます。それから四十九年度は合計で六百十一件、五十年度は四百八十四件の処分事例でございます。  それぞれ宅地建物取引業法では、その違反の内容につきまして、指示、業務停止、免許取り消しというぐあいに重さのランクがあるわけでございますが、指示をする場合というのは、取引の関係者に損害を与えたとき、それから取引の公正を害する行為をしたとき、それから他の法令に違反し、宅建業者として不適当と認められるとき、それから業務の全部または一部の停止を命ずること。この場合は、宅建業法で、いまちょっと申し上げましたように、名義貸しの禁止違反があったときとか、あるいは誇大広告をやったとかということであり、それから重要事項の説明をやってなかったというような場合でございます。そのほか、先ほど申し上げましたところの第一段階の監督処分でございます指示に従わなかったとき、それから、そのほか宅建業法に関しまして不正または著しく不当な行為をしたとき、こういうことでございます。  最後に、免許を取り消すという場合でございますが、これは非常に重罪になるわけでございますが、免許申請の欠格要件に該当するに至ったときとか、免許取り消し後三年を経過しない者、あるいは禁錮または罰金の刑に処せられ三年を経過しない者、免許申請前三年以内に宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした者、それから、宅建業に関しまして不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合、不正手段により免許を受けたとき、業務停止の要件に該当し、情状が非常に重いときとか、こういう場合でございます。
  97. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) お答え申し上げます。  どうもやっぱり土地ということになりますと、お互いたくさんの方々がいろいろ望んでいる。それにつけ込んだ問題だと思うんですけれども、土地が持ちたい、そして家を建てたいという、そういう希望はどなたもみんな持っている。その持っている希望につけ込んできた、そしてうっかりそれに調べないで乗っていったということが大きな原因だろうと思うんでございます。したがって、今後もそういう問題がなるべく起こらないようにと、先日もいろいろわれわれが話し合ったんでございますけれども、どうやって抑えるかと言ってみても、何といっても人間生まれ出てきてすぐ一番何をというと、おれはやっぱりいまや自分の土地を持ちたい、自分の家を建てたいという最大の希望を持っておるものですから、どうもやすやすだまされやすいところがあるんです。ですから、なおさらにこれをもっと注意してもらうように何とか徹底できないかなというようなこともあるので、この問題ばかりでなく、他にもいろいろ文句が出てくるのがあるものですから、何とかそういうことにひとつ徹底する方法はないかというようなことで、なるべく今後そういう面に注意を与えるような、宣伝ではないけれども、ことをひとつ発表しようじゃないかというような話もしておるんでございますけれども、どうもなかなか絶えないので困っておるんです。  何しろ、業界は業界で非常に宣伝のうまさというか、上手と言おうか、ほめるのもおかしい話ですけれども、まんまと乗るようなことを載せてくるものですから、どうも乗りやすいんで、何とかこれを防止する方法はないかというので、かなり頭はいろいろひねってみているんです。それをこうやったらいいんじゃないかという案がなかなか出てきませんが、いずれにしても、十分こういう点についてわれわれがいま考えておるところでございまして、その徹底を期してまいるようにいたしたいと存じております。
  98. 矢原秀男

    矢原秀男君 公取の方へ伺いますが、不動産関係の御報告受けましたように、非常に全体から見て数が多い。こういういう場合の誇大広告について違反事例の探知というのか、相当の数が上がっていますけれども、どのようにされていらっしゃるのか、後学のためにもお伺いしたいと思います。
  99. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) お答えいたします。  私どもは、御案内のように、あくまでも公正な取引の確保あるいは消費者利益の保護という観点から取り締まっておるわけでございまして、土地について、あるいは建物取引について特にどうこうという、土地だけにつきましての方針というのはございません。一般的な誇大広告、不当表示につきましては、こう取り締まりたいという方針でございますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、さらに先生も御指摘がありましたように、土地につきましては、先ほども大臣からもお話ございましたように、非常にむずかしいいろいろな問題がございます。したがいまして、土地につきましては、実はこれは土地だけではないんですけれども、全部でございますけれども、非常に違反件数が多い。これはカルテルとか私的独占という見地と違いまして、違反件数がかなり多い。したがいまして、われわれとしてはこれを非常に少ない人数で取り締まるというのはかなりむずかしいことでございますので、一つの方法としまして、不当景品、不当表示につきましては公正取引協議会というものをつくりまして、そこでできる限り自主的なチェックをしていただきたい。  こういうことを考えましたのは、私どもが途端に思いついたわけではございませんで、アメリカにおきまして商慣行会議というのがございます。これは一九一〇年ごろからすでに行われておりまして、できる限りお互いに、相手がやらないならおれもやらない、相手が不当な広告するならおれもせざるを得ないということ、これはお互いに自主的にチェックできる問題がかなり多いと思いますので、私どもとしましては不当表示、不当景品につきましてはできる限り公正競争規約をつくっていただきまして、業界で自主的にチェックしていただくというのがまず基本的な考え方でございます。そうして協会で処理できないもの、協議会で処理できないもの、あるいは余りにもひどい、これは公益の立場から取り締まるべきだというものは私どもで取り締まるという形でやっております。  ちなみに件数を申し上げますけど、先ほども申し上げましたように、私どもが取り締まっておりまして排除命令という形で出しましたのは不当景品不当表示防止法成立以来百五十件でございますけれども、不動産に関する公正取引協議会というものがございまして、これの報告によりますと五十年度におきまして、これは正確な数字わかりませんけれども、推定で約五百件、五十一年度におきましては五百二十件、これは決して十分ではないと思います。先生もよく御承知のように、毎日見る新聞広告には三行案内広告等いろんなのが出ておりますけれども、これも怪しいものがかなり多いというのが残念ながら現実でございます。だから、それを一々取り締まるというのはかなりむずかしい問題ございますけれども、公正取引協議会におきまして、五十一年度におきまして、推定でございますけれども、約五百二十件という一応警告その他の訂正をさせる措置をとっております。
  100. 矢原秀男

    矢原秀男君 公取に伺いますけれども、五十年六月、全国一斉調査の一環として北海道地域における不動産取引に関する立入調査があったそうでございますが、この際、先ほどお話の出た富国開発、富国地所についての誇大広告はどのようになっていたのか、こういう点お伺いしたいと思います。
  101. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) まことに申しわけないんですけど、調査漏れでございまして、そのときはやっておりません。
  102. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま基本的な考え方として、一つは公正な取引、二番目には消費者保護の立場から誇大広告、不当表示等について対処したい、こういうふうにございましたので了とするわけでございます。  ここで通産省に伺いますが、富国開発と富国地所が北海道で行ったハイランドグリーンを分譲した枝幸、釧路では、地下を掘ったら金、銀、銅が出るかもしれないと、地下資源会員権という権利書まがいのものをつけて販売をした。ところがその試掘権設定許可を、札幌通産局長名の許可証を添えて契約を行っていたそうでありますけれども、この許可の手順とその後の経過、どういうふうになっているか、お伺いしたいと思います。
  103. 福原元一

    説明員(福原元一君) 富国開発の北海道釧路における鉱業権の出願につきましては、昭和五十年の七月三十日に出願がございまして、五十一年の一月十三日付で札幌通産局長がこれを認可してございます。鉱業法によりますと、認可の通知がございました日から三十日以内に登録免許税を納付しなければならないということになっていますが、富国開発はその後登録免許税を一カ月以内に納付いたしませんので、昭和五十一年二月十六日をもって本件は失効しているということになっております。
  104. 矢原秀男

    矢原秀男君 もう少し進めてまいりますが、さらに通産省に伺いますけれども、通産局長の許可が添えられていたことが購入者にはある意味の安心感を与えた結果になっているそうでございます。そこで、これら利権と結びつきやすい試掘権許可を出す場合に、こういう悪質の不動産業者になるわけですけれども、特別の検査をするのかしないのかという場合、また、そういう許可証を出した後悪用されているという場合に、行政の立場から責任があるのかないのか、そうして富国開発についてどのように対処するのか、こういうふうな問題点が出るわけですけれども、通産省では通産局長の許可証を添えているわけですから、全然これに知らないわけにはいかぬでしょうから、何か手を打たれたのか。
  105. 福原元一

    説明員(福原元一君) 鉱業権を設定いたします場合に、その許可に当たりましては、鉱業法に基づきましてその鉱物の掘採が農業あるいは林業等ほかの産業に害を与えないか、あるいは温泉、公園、文化財等の保護に反しないかというふうなことをチェックいたしまして、そしてさらに、地元の都道府県と協議の上にその出願の許可の是非を決定するということになっております。  御指摘のような件につきまして、そういう広告についてはまことに遺憾なことではございますが、鉱業法で出願の許可をいたします場合に、その出願の段階で、出願者の経歴をもって不許可にするということは非常にむずかしいところでございまして、その許可の後先生指摘のようなことがございましたら、これはまさに非常に遺憾なことでございますので、不当表示、不当広告等の疑いがありますれば、これは公取あたりに連絡いたしまして、しかるべき処置をとっていただくように指導するつもりでございます。
  106. 矢原秀男

    矢原秀男君 地下を掘ったら金や銀や銅が出る、一般は皆疑います。ところが、地下資源の会員券まで出している。そうして通産局長の許可証まで添えているとは、素人はやっぱりこれは大概の者だったら乗ってきます。そういう意味では、私はもう本当にこれは通産大臣にきょう来てもらって、ざる法ならざる法というふうな、それで法改正もしてもらわないかぬ。こういうふうに国民を、本当に大きな被害者を巻き込んでいく、被害者が出るというふうなことになれば、これはもう建設省ではなしに通産省の大問題になると思うんです。  建設大臣、質疑を通産としているんですけれども、こんな地下を掘ったら金や銀や銅が出るかもしれない、地下資源の会員券出している、しかも御丁寧に試掘権設定の、試し掘り権のここに問題があると思うんですけれども、設定許可というものが札幌通産局長名の許可証まで添えている、これはもう一般の方は全部だまされます。これは通産省の管轄になるんですけれども、大臣として聞かれておられまして、ここらに網をかぶせていくというのか何か打つ手がないのか。大臣いかがでございますか。
  107. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) どうも少しよその方の話で、私が答弁はできませんけれども、なかなかこの鉱業法というものが、ずっともうかねて昔につくられた鉱業法だと思うんです。その後なかなか是正ができていないんではないかというようにも考えますけれども、いずれにしても、おっしゃるように局長名でもって認可が出たということになれば人は信頼するということは、これはもう当然だと思います。ですから、この面は、通産省も来ているので、厳重にそういうことのないようにやってもらうよりしようがないな、これは。
  108. 矢原秀男

    矢原秀男君 鉱業法は完璧ですか。こういうふうな事件が起きたときに、通産省で鉱業法について改正をするのか、検討をするのか、そういうふうな問題、公取やなんか相談なかったですか、こういう問題については。
  109. 長谷川古

    政府委員長谷川古君) もちろん、あるいは鉱業法が独禁法に関係する場合には御相談があったかと思いますけれども、私ら存じておりません。
  110. 矢原秀男

    矢原秀男君 通産省としてはどうなんですか、もう一回鉱業法に目を通していくとか、そういうような点については。
  111. 福原元一

    説明員(福原元一君) 鉱業法によりまして認可いたします場合には、先ほど申し上げましたような要件をチェックいたしまして認可いたしますわけでございますが、本件のような問題になりますと、まさにこれは不公正取引の範疇に属するかと思いまして、通産省といたしましてはこれを取り締まるという権限は全くないわけでございます。  それから、先ほど申し上げました通産局長の認可証でございますが、一カ月以内に登録免許税を納めますと登録されまして、そこで番号が入るわけでございますが、今回配られました許可証にはその番号が入っておりませんで、これは認可はされておるわけでございますが、まだ正式に発効してないということで、素人の方にはその辺非常にむずかしいかと思いますが、厳密にはここの番号も確認していただきたかったというふうなことは言えるかと思います。
  112. 矢原秀男

    矢原秀男君 こういう質疑を通しておりましても、まじめな国民の方々が悪質な業者にかかればもう手玉にかかるというふうな、そういう恐しい状態が出てきているわけです。この点については建設省としてもしっかり今後対処していただきたいと思います。  国土庁にお尋ねをいたしますけれども、国土法二十三条に、土地に関する権利移転等の届け出について、市街化区域二千平米以上、その他の都市計画区域五千平米以上、その他の地域一万平米以上の売買について届け出義務があるわけです。今回のような問題が起きてからその違反がわかるようでは仕方がないと思うんですけれども、国土庁としてはこういうふうな違反者についてどう対処されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  113. 谷野陽

    説明員(谷野陽君) お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、国土法の二十三条によりまして、一定面積以上の一団の土地につきましては届け出義務があるわけでございます。  国土法は、できまして二年余になるわけでございますが、法施行当初におきましては、法律の条文を十分御承知がないというようなケース、たとえば山林の取引について、国土法の届け出が必要があるかどうかということが十分認識されていないというような実態もあったわけでございまして、主として国土法の規定を知っていたらと、啓蒙的なPRというようなことを中心に考えてきたわけでございますけれども、国土法も施行後二年を経過をいたしまして、もう次第にその実態が浸透いたしております。こういう条件の中で無届け取引を看過をいたしますことは、法の適正な執行にも影響を生ずるおそれがある、こういうことでございますので、国土庁といたしましては、各県に対しまして不動産登記等の報告書等も参考にいたしまして、いろんな情報把握を通じましてその事実の把握に努めるように指導しているところでございます。  そういう情報収集を通じまして無届け取引が発見されました場合には、その内容を調査をいたしまして、無届け取引の後に第三者に所有権が移転してしまっておるとか、あるいは先ほど御質問がございましたようなことで、解約をされてしまいますといろいろな問題が生ずるというような特殊の事情があります場合には、その実態に即した措置をする。それ以外のものにつきましては、原則といたしまして契約の解除、正規の届け出をさせるというような是正措置を講ずるように指導しておるわけでございます。  この二十三条の規定につきましては罰則がついておりまして、国土庁といたしましては業者に対します一般的な監督権はないわけでございまして、これは建設省の方にお願いをしなければいけないわけでございますが、罰則がついておりますので、解除の指導に従わない場合、あるいは再三にわたります違反行為があった場合には、罰則の適用につきまして、告発等所要の手続をとるというようなことにつきましても都道府県を指導しているわけでございます。
  114. 矢原秀男

    矢原秀男君 今回取り上げたものの中にも山林を果樹園として分譲しているものがあり、セールスの際には口頭で、宅地の用にも供することができる等の話をして契約をとっている、こういうふうなこともあるわけですけれども、いずれにしても、宅建業法の網にかかる宅地とされるものについて一定の判断基準を売買契約、販売価格、山林の宅地性等、こういう個々の要素ごとにやはりチェックをしていかなくちゃいけないというふうな問題点も出るわけなんですね。こういう点どうですか。
  115. 大富宏

    政府委員(大富宏君) この宅地建物取引業法で言うところの宅地というのは一定の限界がございまして、御指摘になりました富国地所、富国開発に絡む九件の物件の中で、富国地所と富国開発が共同でやりましたところのマロンガーデン社というのは、これは兵庫県の区域でございますが、ここで行いました一ヘクタールの栗園分譲を目的とするものは、私どもの考え方では、これは宅建業法の適用がないというぐあいに考えております。  それからもう一つ、これもマロンガーデン今田というところで行っておりますところの四ヘクタールの栗園分譲、これも宅建業法の適用にはなじまないというぐあいに思っております。  それから、北海道の大沼ハイランド、ハイランドグリーン枝幸、ハイランドグリーン釧路、ここで富国地所と富国開発が共同で行いました林地の分譲でございますが、これも都市計画区域外でございまして、現状、有志のかっこうで販売されております。これも宅建業法の適用がないんじゃないかというぐあいに考えておりまして、宅地建物取引業法上言うところの宅地というものは、非常にある程度法律の適用につきましては一つの枠があるわけでございますが、ただ、これに携わる業者というのが宅建業法で言うところの宅建業者であるということから、やはり誇大広告なりあるいは一般の購入者を惑わすような誘引行為というようなものは、これはもう厳に慎まなければならないと考えておるわけでございます。ただ、売買された物件が宅建業法上対象になる物件かどうかということをやっぱり見きわめなければならないという気はいたしております。
  116. 矢原秀男

    矢原秀男君 宅建業者の免許の交付手続の件ですけれども、交付した件数のうち、大臣と都道府県知事との別々の数は大体どういうような数字になっておりますか。
  117. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 宅建業法上免許は大臣免許と知事免許になっておるわけでございますが、大臣免許業者は五十年度段階で千六百三十二件、それから知事免許業者が総数で八万六千六百三十件、合わせまして八万八千二百六十二件となっておりおす。
  118. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま申し上げたようないろんな問題点が出るわけですけれども建設省としては苦情とかいろいろの行政指導とか、実際にはどの部門で本当に担当されるのかお伺いします。
  119. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 宅地建物取引業法の目的というのは、宅地建物の取引の公正を確保する、そして購入者の利益を保護するというのがこの宅建業法の目的でございます。したがって、そういう観点から宅地建物取引業者につきましては、この業務処理の原則というのはあくまでも信義を旨といたしまして誠実にその業務を行わなければならないという原則があるわけでございまして、宅建業者が知事免許であれ大臣免許であれ、そういう免許業者である以上は宅建業法が目的とする趣旨を十分厳守、遵守いたしまして営業することは当然でございます。ただ、個々の業者にそういうことを強く指導すると同時に、宅建業界には業界関係団体が十一団体ございますが、この業界の関係団体、それからさらに現実に宅建業者に、現地の調査をしたり具体の苦情について相談にあずかったりという都道府県が非常に有効な力を持っているわけでございまして、こういった各都道府県を通じまして、機会あるごとにこの業者に対して厳重な指導を要請しているところでございます。  ただ、建設省といたしましても、ずいぶん最近はこういう紛争事件が多うございまして、直接本省等に苦情が持ち込まれる場合が多いわけでございます。これらもすぐ直ちに事情も聞きまして、関係する業界団体あるいは関係の知事、都道府県に連絡いたしまして実情を調査させる、極力ひとつ購入者が余り実損をこうむらないように、また、実損がある場合にはそれの救済に力をいたしているところでございます。  それでもう一つ、先ほど公取からもお話ございましたように、建設省におきましても不動産売買が行われやすい秋に建設省主催で都道府県なり公正取引委員会警察庁なりと協力をいたしまして全国一斉にこの調査実施いたしまして、違反事実というものがありました場合には必要に応じてそれぞれ注意を喚起するなり、悪質なものについては告発するなりということもやっております。そういうことで、これは建設省の場合は秋やっておりますけれども、春には先ほど述べましたように公正取引委員会の方で行われておりますが、まあお互いに連絡をしつつ、善意の購入者が迷惑を受けないように、迷惑を受けた場合には早急にその是正措置をとるなりということで力をいたしている次第でございます。
  120. 矢原秀男

    矢原秀男君 免許証交付に関して大事なことは、交付後の営業の実態をつかむことだと思います。たとえば、いままでに建設省からいただいた資料にも種々な通達を出しておられるわけですけれども、行政指導をされておられますけれども、やはり実態がつかめないからその指導が行き届かない面もあるかと思います。  そこで、現在の事業所、営業所等の所在地によって免許証を交付する方法よりも、営業範囲による免許あるいは営業許可を交付するように改めたらどうかというふうな法改正の意見というのも一部ではあるわけなんですけれども、これらについては御見解いかがでございますか。
  121. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 現在の宅建業法に基づく免許体系というのは、御承知のとおり、営業活動というものが一都道府県内に契約権限がございます事務所を設けている場合には知事免許、それから二都道府県以上に契約締結権限がある事務所を設けて営業する場合には大臣免許、こういうことになっておりますけれども、たとえ知事免許であっても営業活動というものは、たとえば兵庫県知事の免許業者であっても、いま再三話題になりましたように北海道でいろいろ売買をやるということも事実でございまして、それに対しましていま御指摘のような意見もあろうかと思います。  ただ、免許の体系につきましては、そういうぐあいに知事免許、大臣免許の体系をとっているわけでございますけれども、免許を受けた宅建業者に対する監督権の行使につきましては物件所在地主義というのをとっておりまして、たとえば、兵庫県知事の免許を受けた業者が北海道で宅建業法違反の問題を起こしたという場合には、免許権を与えた者は兵庫県知事であっても、事件の発生した北海道知事が、建設大臣免許業者であってもあるいは兵庫県免許の業者であっても、宅建業法上の監督処分を行うことができることになっているわけでございます。ただ、一番重い監督処分でございます免許取り消しという場合には、やはり免許を与えた大臣なりあるいは兵庫県知事なりというところに事件発生の知事の方から通報いたしまして、そこの当該それぞれ免許を交付した処分官庁が処分をするという体系になっておりますので、この辺をうまく運用いたしますれば、御指摘のような問題も解消されるかと思っております。
  122. 矢原秀男

    矢原秀男君 最後にお願いしたいんでございますが、いずれにしても、国民の大多数の方がやはり家を求めてそうして安住をしたいというのはすべての願いでございます。そういう中で、宅建業界や不動産業界のまじめな方々が一生懸命国民のそういう願いに寄与されていらっしゃるところへ、こういう一つか二つの間違った業者が出てくることによって、業界の中にも迷惑をかけたり、いろんなことで非常に大変な状態にございますけれども、今後建設省としても、国民の方々の中でやっと自分の願いというものが実った、そういうふうな場合に、ただいま申し上げたような、局長の許可権が信頼すべきものかどうかわかりませんけれども、ちらちらさせるとか、そうして知事免許を受けている知事の名前が出てくる、大臣免許が出ている、大臣の名前が出てくる、もう消費者の方々というのは、求める方はそれだけで安心をしていく、こういうふうなところに盲点があったんだろうとも思います。どうか、こういう問題が数多く起きないように建設省としても対処していただいて、今後ともいろいろと手を打っていただきたいと思います。要望にかえます。よろしくお願いします。  終わります。
  123. 塚田大願

    ○塚田大願君 最初に、高速自動車道路の問題についてお伺いしたいと思うんです。  まず大臣にお聞きします。高速道路建設の場合、これに伴う環境保全の問題というのがいままでずいぶんありました。したがって、建設省がこういう事業をおやりになる場合に、環境アセスメントをしっかりしておくということが非常に大切なことだと思うんです。そこで、政府としても四十七年の六月、「各種公共事業に係る環境保全対策について」という閣議了解をされておりますが、これが果たして今日きちっと守られているのかどうか。その点をまず大臣にお聞きしたいと思います。
  124. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 細部にわたる問題でございますので、私からちょっとお答えさしていただきます。  御指摘になりましたように、建設省所管の公共事業を進めるに当たりまして問題になりますところの環境の保全、この重要性につきましては私ども十分認識しているつもりでございます。御指摘のように、四十七年六月の閣議で、それぞれの所管大臣が責任を持って環境アセスメントを行うようにという閣議了解があったわけでございますが、建設省といたしましても、四十六年ごろから今日まで環境アセスメントを千二百件行っております。これを行いつつ、やはり道路なり河川なりといういろいろな種類の公共事業がございますもんですから、これの統一的な指針を確立する必要がございまして、四十九年度に、大臣の諮問機関建設省の技術開発会議というのを持っておりますが、そこで学識経験者等から成る委員会を設置いたしまして、環境影響アセスメントの手法の開発研究を続けまして、昭和五十一年度につきましては、手法の確立に資するために、道路あるいはダムというところでケーススタディーを実施するようになっております。  ただいまちょっと申し上げました四十六年から行っております千二百件の中には、御指摘になりました道路関係については六百五十件ぐらいアセスメントをやっておりまして、その中で検討いたしました項目といたしましては、騒音、振動、大気汚染、日照、電波障害とかいうような十七項目につきまして調査をやった次第でございます。こういった調査実態を踏まえて、先ほど申し上げましたような、今後統一的に道路なり河川なりというものについてのアセスメントのやり方、手法というものを確立しようということで努力している次第でございます。
  125. 塚田大願

    ○塚田大願君 高速道路については——千二百件のアセスメント調査をおやりになった、こういうことなんですが、それでその表もいただきましたが、道路の場合には地質調査というのがゼロになっておるんです。果たしてこれで本当にアセスメントを実施したということになるのかどうか。これはどういうことでしょうか。
  126. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  道路をつくる場合にいろんな環境関係調査をやるわけでございますが、その中に先生指摘の地質調査の問題も、環境アセスメントという視点とは別に、道路をつくる場合には何をおいても、地盤の上にああいう構造物をつくるわけでございますので、調査段階に調査のきわめて主要な項目として常に取り上げて、十分な事前のボーリングとかあるいは試験盛り土とかそういうようなことをやりまして、道路の構造物の乗る地質の状況というものは十分把握して設計していくというのが通例の手法でございますので、その段階で十分調査をするということでやっております。
  127. 塚田大願

    ○塚田大願君 道路をつくるんだから当然地盤の調査はおやりになるでしょう、ボーリングであるとかその他はですね。しかし、それが果たして環境アセスメントを実施したことになるのかどうか。どうもそういう環境アセスメントという点から見ますと、大変、そういう地質調査というのは本当の地質調査ということにならないんではないかという疑問が私にはあるわけです。  具体的にお聞きしますが、北陸自動車道です。ここでは果たしてこういうアセスメントが行われたのかどうか、これをお聞きしたいと思うんですが、道路公団来ておられますか。——ひとつお答え願いたいと思います。
  128. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) ただいま道路局長からお話ございましたように、道路をつくる場合にその道路の置かれる場所、特に軟弱地盤等につきましては、構造物として最も重要な点についての調査をいたすのは当然でございまして、北陸自動車道につきましても、あの地帯は特に軟弱地盤でございましたので、地質の地盤の状況等についてわれわれといたしましてはできる限りの調査、ボーリングあるいはサウンディングあるいはその他の所要の調査実施をして設計をしたわけでございます。
  129. 塚田大願

    ○塚田大願君 その工事実施するための地質調査はもちろんおやりになったろうと思うんです。これは常識としてわかりますね。たんぼの中に道路をつくるのに、地盤がどうなっているかということを知らないで道路をつくるわけにはいかぬでしょう。しかしながら、この北陸自動車道の場合には、とにかくそういう軟弱の地盤のところに大量の土盛りをする、そういう土地改造をおやりになるわけでありますから、そこから起きる影響というもの、つまりアセスメントであります。これがどういうものであるかということをあらかじめおやりになったのかどうかということをお聞きしているんですが、どうですか。
  130. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 最近言われておりますアセスメントという概念に当たるかどうかはちょっと明確でございませんけれどもお話のとおり、地盤の悪いところに構造物をつくりますと、その影響が道路自体及びその周辺に影響があることは当然でございまして、われわれは地盤調査をし、あるいは設計をする場合には、そういう点も配慮をしながら調査をいたしたわけでございます。
  131. 塚田大願

    ○塚田大願君 配慮しながら調査をやっておる、こういうことなんですが、具体的に一つ問題を出しましょう。  私は、このケースの場合にはほとんどやってなかったと言っていいんじゃないかと思うんです。それを具体的に述べますが、たとえば北陸自動車道路、北陸線を全部ずっと走っていきまして新潟に入ります。今日ではかなり土木工事は終わりまして、いま舗装工事が行われているという段階であります。私も行ってみましたけれども、膨大な大きな道路ですね。この北陸自動車道が西蒲原の黒埼町を南北に分断して走っているわけでありますけれども、ここにも大変被害がたくさん起きてきているんです。黒埼町、この西蒲原という、西蒲原だけではありません、蒲原全体がそうでありますけれども、昔からもっかりといいまして、もっかりというのは底なし沼のことを言うんですけれども、もっかり地帯と言われるほど泥質の地域です。いまはそんなことはありませんけれども、昔はお百姓が田植えをするときには、ほとんどこの胸ぐらいまでつかってやっておったものです、私は子供の時分よく覚えていますから。大変な町なんです。いまはもう排水等ができまして、土地改良が行われましてコンバインも走っておりますけれども、大変な湿原地帯なんです。そのかわりに米もよくできる、こういうプラス面もあるんですけれども、大変な泥質地帯なんです。そこの町です。  そこがいまどういう状態になっておるかと言いますと、この地域はもう水田地帯でありますから南北に用排水路が網の目のように走っております。聞きますと、延長で四百キロか五百キロの距離になるそうでありますが、そのぐらい網の目のように用排水路が走っているところ、こういうところであります。したがって排水ポンプも五百三十、このくらいついている。それがなければ機能しない土地なんですけれども、それほど代表的な泥質軟弱地盤であります。そこに土盛りをして道路ができたわけでありますから、そこでいろいろひずみが出てきました。  たとえば、高速道路が町を分断して走っているわけでありますから、生活道路が無数に高速道路の下をくぐっているわけです。これをコンクリート製の箱でトンネルの通路ができておるんですが、これをボックスと申します。このコンクリート製のボックスが現在ではどんどん沈んでいる。少なくともはっきりしたのが六カ所あるんです。私も現場を見て参りました。もう雨が降りますとそこが水たまりになって通ることもできない、こういう状態です。このボックスの高さ、クリアランスと申しますか、これが大体四十五センチも沈んでいるところがあるわけであります。そういうのを含めて六カ所ぐらいまでもどんどん沈み続けている、こういうことなんです。こういう状態で、道路公団はどんなふうに対応なさったのか、その点をお聞きしたいと思うんです。
  132. 吉田喜市

    参考人吉田喜市君) ただいま先生から御指摘のございました北陸縦貫自動車道は、四十四年の四月に建設大臣から私たちは施行命令をいただきまして着手した道路でございます。施行命令をいただきまして、その地域の社会条件あるいは人文的な問題、自然条件、こういうものを十分調査をいたしまして四十五年の十一月に路線発表をいたしております。  この路線発表をいたしましたころから特にこの地域については、ただいま先生からお話のありました日本でも有数な大規模な軟弱地盤でございます。したがいまして、この地域に道路を通すにはいかにすべきであるかということで、土質調査を丹念に行ったわけでございます。それには、土質調査を行って、たとえばいまお話の黒埼地域におきましては、ボーリングあるいは貫入試験あるいはサウンディングというものを百十五カ所ばかり行っております。その結果、工法を決めたわけでございます。設計を決めたわけでございますが、同時に、この地域におきましてもやはり盛り土あるいは構造物をつくることによりまして、周辺のたんぼに及ぼす影響、これがどうなるのであるかというような事前調査も行ったわけでございます。  そういうことで、一応ボックスカルバートと申しましょうか、いま先生お話のあったボックスカルバートには事前に盛り土荷重を載荷する、こういうふうな方法をとりまして、まず圧密沈下をさす。その上で土を取り除いてボックスカルバートを入れる。こういうような工法をとって、また工事中におきましても、土を盛るなりそれぞれの地盤の滑りがどうなっているかというようなことを観測しながら行ってまいったわけでございますが、ただいま御指摘のありましたように、実はこの間で約三十五カ所のボックスカルバートに若干の問題が生じております。そのうち黒埼町の四カ所につきましては、地元の方々設計協議をし、水路等のかさ上げをして手直しが完了いたしておりますが、なお、まだ黒埼町の六カ所、あるいは西川町の二カ所、それから潟東村の二十六カ所、それからあるいは巻町にも一部ございますが、こういう個所につきましては、それぞれ水路に対してとりあえず応急な処置をいたして水を通るようにいたしておりますし、残るものにつきましても、関係者の方々といま復旧についての協議中でございます。  そのほか、お話のありましたようにあそこに料金所がございますが、料金所の周辺の田面につきましても若干の変状を来しております。そこにつきましては、耕作土と申しましょうか、要するに肥沃土を入れまして不陸整正を現在行っております。それで、いずれにいたしましても、そのほかにもそういうふうな個所があるという個所については現在測量をし、実情を確かめております。これは近くやはり田植えも始まりますから、それまでにはひとつ地元の方々と対策協議をし復旧をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、農業用の施設についても若干の変形がございましたが、これらの個々の全地域の農地を管理していらっしゃる西蒲原の土地改良区に改良工事お願いいたしまして、これはほぼ完了しておる段階だと、かようなことでございます。大変私たち、事前に周辺のことを含めて十分調査をし、設計をしたわけでございますが、何分複雑な地盤状況でございまして、若干予測に反しまして沈下が起きたというのが実態でございまして、地元の方々と鋭意その復旧についての話をしている最中でございます。かようなところでございます。
  133. 塚田大願

    ○塚田大願君 事前調査もやった、また工法もいろいろ工夫してやった、こういうお話ですが、しかし、現実には先ほど申しましたようなボックスがどんどん沈下する、道路道路の役を果たさない、町は全面的に生活機能すら損なわれる、こういうような状態が今日出てきているわけです。ですから私は、調査をやったやったとおっしゃるけれども、やはり調査が非常に不十分だったということをまず認めなければならないんじゃないか。こういうほかにも軟弱地盤なんかではそういう例もあるんじゃないかと私は思うんですが、そういう地域には特別の地盤調査をやるべきだ、こう思いますが、どうでしょうか。
  134. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) ただいま御説明申し上げましたように、被害の起こらないように十分留意しながら工事をいたしましたが、何分複雑な地質あるいは土質等でございまして、こういう結果ができましたことは、はなはだ残念に思っております。全国におきましても、われわれは最新の技術を使いまして、できる限りの調査をいたしまして道路工事やっておりますけれども、やはり土の性質というのは非常に、あらかじめ測定しがたい要素が多数あるようでございまして、ほかのところでも地盤が沈下いたしまして、道路が沈下をし、道路自体はもちろん、周辺にも影響を及ぼしているところがございます。そういう点につきましては、早速地元の方々と相談をしながら復旧をし、御不便をかけないようにいたしておりますし、今後の工事等につきましては、この経験を生かし、さらにまた、新しい工法を研究いたしましてできる限りの措置をし、軟弱地盤地帯におきましても問題の起こらないような工法をぜひ発見したいと思って現在努力し、最善の努力をする覚悟でございます。
  135. 塚田大願

    ○塚田大願君 総裁がそういうふうに反省し約束をされたんですから、余りそれ以上追及いたしませんけれども、とにかくああいう地盤というのは地元の人間ならよくわかるんです。私どもその土地に生まれましたからよくわかるんです。いわゆるもう昔からそういうひどい地帯なんですから、これはいわば常識と言ってもいいぐらいなんです。ですから、複雑な地盤だ、だからわからなかったというんではなくて、やはりそういうところは私は、地元の意見など聞けばおのずからその程度のことならばわかったはずだ、こう思うわけでありまして、そういう点でぜひひとつこれから慎重にお願いしたいと思うんです。  先ほどボックスの話をいたしましたけれども、そのほかに、たとえばああいう地盤ですと膨大な土盛りをして大きな道路がつくられるんで、地盤が斜めに引っ張られまして、周辺の農地が道路に引っ張られまして斜めに傾斜していくんですね。こういう傾向も出ているんです。あるいは用排水路が傾くとかね。あるいは全くこれは想像していなかったんですが、逆にかなり離れた地域で農地の一部が隆起してくる、そういう状態が生まれているわけです。ですから、普通土盛りによる影響というのは、道路から五メートル幅ということが一般には常識であるようであります。ですから、あの道路の場合でも両側に五メートルの側道がついております。ところが、道路から三十メートルぐらい離れたところでもそういった被害が起きているというのが今回の場合の状態であります。ですから、この点について先ほども答弁ありましたが、西蒲原土地改良組合に対して、公団がことしの米作に対して五千三百万円でありますか、補償しているということを聞いておりますけれども、この数字は間違いございませんか。
  136. 吉田喜市

    参考人吉田喜市君) ただいま西蒲原区へ用地補償補償と申しますよりは、先ほど申し上げました農業施設の改善をするということで六千五百万円で改良工事を委託いたしております。
  137. 塚田大願

    ○塚田大願君 それはわかりました。  それから、路面からの排水が、広い大きな道路ですから、そこへ雨が降りゃ大変な雨量がかかるわけであります。その排水が毎秒最高十五トンと聞いているんです。毎秒十五トンですよ。これが従来の用排水路に流れ込んでいく、これじゃとてもいままでの用排水路では能力は不足するのはわかり切ったことでありますが、こういう点なんかも調査がほとんど行われてなかったんです。ですから、公団が今度のこの土地改良組合に対してもその調査費用として四百九十八万でありますか、約五百万円支払ったと聞いておるんですが、これも間違いございませんか。
  138. 吉田喜市

    参考人吉田喜市君) 調査費は間違いございません。
  139. 塚田大願

    ○塚田大願君 それで、とにかく地元の人に言わせますと、これからも一体どういう被害が出るんだろうということを心配しております。その補償だけでも恐らく数億円になるんじゃないか、こう言っておるんです。大体こんな軟弱な地盤にこんなでっかい道路をつくるなんというのはばかげていると言っているぐらいです。まあいままで生じたこの被害の補償は当然のことだと思いますが、十分これからの住民や農民の方々の声を聞いていただきまして、それに対応していただきたいと思うんです。  最後に、ここに一つの黒埼町長からの陳情書があるんです。陳情書といいますか、道路公団に対する陳情です。要望です。これを見ますと、これは私、町長からも直接聞いたんですが、先ほどもちょっとお話が出ましたが、もう一番ひどいボックスは二カ所取りかえてもらいたい、それから改善してもらいたいというのが四カ所、この要望が出ている。そして、これが改善されない間は舗装工事やめてくれ、こういう申し入れが出ております。これについては公団御存じだと思うんですが、これに対してはどういうふうに対応なさろうとしておるんですか。
  140. 吉田喜市

    参考人吉田喜市君) いま先生お話しの、ボックスカルバートが若干下がりまして取りつけ道路の間に坂路が出てまいりました。したがいまして、雨が降りますと水がたまる。これはポンプアップして外に排水をいたしたい、ついては、そうするには一体現在の水路にどれくらいの排水が可能であるかどうかということで、先ほども話のありましたような調査を委託をいたしております。この方法で解決をしたいと思いますし、また、ただいまお話しの道路につきましては一部県道あるいは町道がございまして、これは特に県の公安委員会の御指導で一方交通にしろというような個所もございましたが、こういう個所につきましては、現在県道は八メーター幅員でありますから対面交通にして、それから横に管理用の水路がございますから、ここをあるいは学童の通学路に使えないだろうか、またあるいは使うような方向で検討する、こういうふうなもろもろのことを町当局、地元の方々と協議をいたしておる、かような姿でございます。
  141. 塚田大願

    ○塚田大願君 地元へ行っていただけば一番よくわかると思うんですが、とにかく生活道路ですからね。町が真ん中に切られているんですから、あの大きな道路ができて。いわば生活道路がそういうふうに詰まってしまったんではこれはどうにもならないですね。ですからまことに深刻なことでして、ひとつぜひこの要望を聞いてやってもらいたい、こういうふうに考えるわけです。  そこで、建設大臣にお聞きしますけれども、この閣議了解までつくっておやりになったアセスメントがいまお聞きのように十分にやられていない、これがこういうふうな結果になって出ているわけなんで、大臣は道路公団監督する責任がおありなんですが、これをどういうふうにおやりになるつもりか、所信をお伺いしたいと思うんです。
  142. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 大臣お答えの前にちょっと。  先ほど来公団から御説明申し上げましたようなことで地質工学的な対策をいろいろ講じたわけでございますが、何分こういった土の問題は、わが国は、相当技術的な水準としては戦後土木の進歩の中で土質工学の進歩というのは非常に大きな分野で、世界的にも評価されているわけでございます。非常に複雑な地質を抱えているだけにいろんな経験を経てかなりな水準に達しておるわけでございますが、まだその力が至らないために所々にそういう事態が起きるというのは、まだわれわれの技術力の不足ということで深く反省しているわけでございますが、今後こういう土質工学の技術のレベルアップに努力してまいりたいということと、また、これはアセスメントというよりもむしろ地質に対する技術的な問題が主だと思いますが、十分技術の進歩を図りますとともに、こういう事態が起きたことに対して後の処理、手直し等につきましては、道路公団等と協議しながら十分な対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  143. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 道路をつくること、あるいはまた高層ビルをつくること、地質ということが一番の大切な基礎でございますんで、その基礎に対する試験、調査が足らなかったという点については公団の方といたしましてもいま申し上げたとおり十分反省もし、ただ、今後に対しての工事を行うというようなお話をしているとおりでありまして、環境評価というような点から少し離れた点でございますので、こういう点については今後さらに一層気をつけて、そしてこういうことのないような措置を講ずるように、私の方からもよく命じておきたいと考えております。
  144. 塚田大願

    ○塚田大願君 会計検査院来ておりますか。——会計検査院にお尋ねいたしますが、こういう状態で被害が起きておる、将来数億円の補償をしなければならないというふうな状態に来ているわけです。一つは、いまも論議しましたが、事前調査が十分やられてなかったということが一つ。それからもう一つは、やっぱり私は手抜き工事も大いにあるんではないかという感じがするんです。いま言ったように一カ所ならわかるんですよ。六カ所も七カ所ももうそれ以上いろいろ問題がある、こういうことになりますといろいろ疑惑を持たざるを得ない。こういうことになりますので、ひとつ会計検査院においてもこういうことに対してはどういう検査をおやりになるつもりか、お伺いしておきたいと思うんです。
  145. 小沼敬八

    説明員(小沼敬八君) ただいまお話を聞いていまして感じた点なんですが、黒埼地区というのはかなり広範囲にわたって軟弱地盤が介在している、こういうふうに思います。したがいまして、これについてはまず調査の段階から相当シビアな調査をしなくちゃならぬということは申すまでもないことなんですが、土木工事がもともと実証的、経験的な上に積み上がった分野であるということを踏まえますと、実際にあらわれた現象から直ちに検査院の立場で当不当ということは言い切れない面があると思います。  本件の場合も、三十メーターも離れたところに隆起部分があるというようなことでもございますので、これはやはり当局におかれて十分原因の探求に実地に調査していただいて、その内容をきわめていただくということがまず大事だと思いますが、当地方がたまたま稲作地帯であって、農業従事者から見れば用水、排水、これはこの代かき水の取り入れの時期から見れば用水路使用上のピークの時点かと思います。したがいまして、そういう点などについてのやはり同じ工法の採用についても、なるべく早く対応工法がとれるような検討が望ましいと考えております。  たまたま私どもが、いまの時期に関係公団の新潟地方建設局の方へ実地検査に参っておりますので、この問題につきましてはいろいろな工法があるとは思いますが、やはり実情をよく見せてもらいまして、そして調査といいましても、非常に厳格な調査をやったがために国費をよけいに支出をするということもあり得ますので、その辺は当事者も非常に苦しい立場かとは思いますけれども、やはり実情を見た上で妥当な処置を打たれているかどうか。また、建設でありますが、回りの農業水路その他についてもいつも関心を持ってそれに対応するような工事を進めていただいているかどうか。その辺も踏まえてよく調査してみたいと思いますし、内々お話も承っておりますので、現在行っている者に、大事な点をひとつ見落とさないように調べてくるようにということは指示してございます。そのようなことで、検査院といたしましても、将来にわたる損害額も実際はその時点に立ってみませんとわからないことが多々ございますので、実際の支出内容を見た上で原因を探求し、対策を早急に立てていただくという方向で見守ってまいりたいと存じております。
  146. 塚田大願

    ○塚田大願君 ひとつ会計検査院にもよろしくお願いをいたします。  最後にもう一つ問題があるんです。これはいまの黒埼町、高速道路が走っております、いま問題になりました。ところが、百メートルぐらい離れて上越新幹線が通るんです。この新幹線とこの自動車道路にはさまれた地域があるんですね。百メートルぐらいしか離れてない、木場という地域ですが、この木場の地域で、とにかく百メートルぐらいしか離れていないところがサンドイッチになってしまったんです。ここには民家が十三戸あります。駐在所が一カ所、鎮守様が一つ、こういう地域であります。ところが、この地域がいま申しましたように高速道路と新幹線にサンドイッチになった、たった百メートルぐらいしか離れてない。これは本当に道路や新幹線ができ上がったら、公害その他で想像を絶するような事態が起きると思うんです。  そこで、この地域の方々が何とか土地をひとつもう買い上げてくれ、とてもここには住んでいられないということで、いろいろ運動をなすっておられるんですが、これは法的にこういうことができるのかどうか、これは問題があろうかと思うんです。しかし、原因はなぜそんな百メートルぐらいしか離れない地域、そして民家があるというところを選んだのかどうか、ここにも一つ問題があると思うんです。  要するに、公団公団、鉄建は鉄建、自分の都合のいいようなところでコースを引いた、線を引いた、その結果こういう状態が生まれてしまったわけです。これは住民生活というものを全く無視した線引きの結果こういう事態が起きておるんでありまして、法的にはどういうことがあるか、よく私はわかりませんけれども、買い上げることができないとすれば何らかの措置を講ずるべきだと思うんです。建設省としてはどんなふうにお考えか、お聞きしたいと思うんです。
  147. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘の木場地区でございますが、確かに新幹線と高速道路が接近いたしまして、その間に十三戸ですか、の民家がはさまれたというようなことで、従来静穏な環境の中に住んでおられた方々だけに、将来にわたって騒音問題で危惧されるのはごもっともなことだと思うわけでございます。ただ、道路公団におきましてはそういった関係で、将来交通量を想定した場合に、道路からどのくらいな騒音が予測されるかというような予測調査をやっております。  これは、現在の高速道路と家屋の立地関係、それから一定の交通量に達した場合を仮定いたしましていろいろはかってみますと、大体遮音壁がない場合、夜間の例で言いますと五十六ホンぐらい想定されるところが、これを三メートルの遮音壁をやりますと大体四十八ホンに落ちるというような予測を立てておりまして、こういった構造上何らかの対応をすることによりまして環境基準を満足することができるということでございます。したがいまして、現在全国的に高速道路の沿道でいろいろ問題が起きておりますが、高速道路建設とあわせて進められております環境対策の全国的な平均といいますか、実態にかんがみまして、この地域につきましても遮音壁の設置あるいは植樹等の対策、そういった対策を講ずることによって、住民の方々に御理解と御協力を得ていくというようなやり方ができるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  148. 塚田大願

    ○塚田大願君 たとえば防音だけだったら、従来の方法で二重窓にしたり何かするだけでも、そういうことも考えられますけれども、とにかく高速道路と新幹線にはさまれてたった百メートルぐらいの地域だとすれば、その他振動から排気ガスからいろいろな想像できないようなものが生まれてくるのじゃないかと思うんですね。そうだとすると、そこで国民が暮らしていけるというふうな環境では恐らくないんじゃないかと私は想像するんですけれども、それだけに何とか住民の方々の要望にこたえるような、そういうことをひとつぜひ研究し、考えていただきたい。紋切り型のお役人仕事で、音がひどかったらこうやれ、二重窓にすればいいじゃないかとか何とかというふうなことでは、私はやっぱり済まないと思うんです。そのために環境アセスメントということが今日大変やかましく論ぜられて、法律もできようというところなんですから、その辺はひとつ積極的に対応していただきたい、こう思うわけです。  それで、時間もどんどん進みますので、道路公団はこれで終わります。お引き取り願っていいと思いますが、次に、住宅公団の問題でお聞きいたします。  住宅公団の問題は、今度の国会の予算委員会におきましてもずいぶん各党からいろいろ問題が出されました。公団も大変御苦労なすっていらっしゃることはよくわかるわけでありますが、私がきょうここでお聞きしたいのは空き家の問題ではありません、欠陥団地の方であります。欠陥マンションとか何かが最近非常に問題になっております。民間の不動産業者はそれなりに対応策を考えておりますけれども、やはり住宅公団の住戸の場合につきましてもいろいろ心配の声が上がっております。これは何といっても住宅公団がかつて昭和四十七年でありますか、バルコニー落下事件というふうなものを起こしまして、国会でも問題になりました。それ以来公団としてもいろいろ調査もし、対策も講ぜられてきたと思うんですけれども、その対応、つまり補修工事実施状況がどんなふうになっているか、それをお聞きしたいと思います。
  149. 上林英男

    参考人上林英男君) 昭和四十七年の四月に、御指摘のような湖北台団地におきましてバルコニーの折損事故が発生をいたしました。これはきわめて遺憾なことであると考えておりますが、こういうようなことが二度と起こりませんように、そういうことが起こりました直後、直ちに、当時持っておりました住宅すべてにつきましてバルコニー等の構造の総点検をいたしました。この総点検の結果、補修を要するバルコニーは賃貸住宅におきまして六十二団地、千二百四十五戸でございますし、分譲住宅におきましては二十七団地、千三百四十戸でございました。その結果、いま申しましたものにつきまして至急、直ちに補修を開始いたしました。  賃貸住宅につきましては、昭和四十九年度までにすべてを完了をいたしました。また、分譲住宅につきましては、譲り受け人等の意向を尊重いたしまして、その補修方法を決定いたしまして工事に着手してまいっておりますが、現在までに二十三団地、千八十二戸の補修が完了をいたしております。また、補修未着手の分譲住宅団地につきましては、管理組合等と補修方法につきまして交渉を継続中でございまして、公団といたしましては、さらに誠意をもって協議を進め、問題の早期解決を図る所存でございます。
  150. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしますと、賃貸、分譲合わせてどれぐらいの金額の負担になりましたか。
  151. 上林英男

    参考人上林英男君) ただいま申し上げました補修に要しました費用は三億九千万円でございます。
  152. 塚田大願

    ○塚田大願君 約四億円ということでありますね。まあこれだけの欠陥が見つかって、とにかく補修をおやりになった、これはこれとして結構だと思うんですが、一体こういう欠陥がなぜ生まれたのか。一覧表もいただきましたが、ずいぶんあるんですね。団地の数からいってもいまおっしゃったようなことでありますし、住戸にしても大変な数でありますが、なぜこういう欠陥が起きたのか、この辺の原因についてはどんなふうにお考えですか。
  153. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) 欠陥には、設計上の欠陥と施工上の欠陥とございますけれども、本件についてはバルコニーという構造上の問題でございまして、設計上これは鉄筋コンクリート造でございまして、このバルコニーに鉄筋が挿入されておって、十分設計上耐え得る設計になっております。これがどうして折損され、また、調査した結果合計約二千六百戸の補修を要するものが出たかと申しますと、その鉄筋が中心よりスラブの厚さ、これは賃貸住宅では根元が十五センチございます、バルコニーの厚さでございますが、それの中心より上に鉄筋を張るように設計されておりまして、そういう構造でこれが安全を保つようになっております。この鉄筋が調査した結果下場に、中心より下にございました。そういう施工上のミスがこの事故につながった、そのように判断しております。
  154. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしましたら、施工上のミスであったとすれば、施工業者責任を持たなければならない理屈だと思うんですが、なぜ公団がその工事費を負担しなければならないんですか。
  155. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) 賃貸住宅と分譲住宅と分けてお話しいたしますが、まず賃貸住宅は契約上これは工事契約でございますが、重大な瑕疵は十年保証、要するに業者がやるという契約になっております。十年を過ぎました業者といいますか、件数が五件ございました。また、業者倒産した、保証人も倒産したというものが合わせて五件ございまして、四団地二十五戸ございます。これは契約上、そういうことで補修の責任業者側にないものでございますから、これに約六百万、公団の費用をもって直ちに補修を完了しております。  分譲住宅でございますが、分譲住宅は、かなり入居者とその補修方法についていろいろ先ほども総裁から申しましたけれども、誠意をもって交渉いたしました。しかし、補修を要する個所だけでなくて、その補修方法によっては外観が多少変わる。たとえば補強の柱を立てるとかそういうようなことがございまして、一棟全体のデザインを統一してほしいというような要望も非常に強くございました。やはりこの問題は安全が大事でございまして、可能な限り早く安全にするということをモットーといたしておりました関係上、入居者のたっての希望を入れまして、その補修を要していないベランダも直すということにいたしたわけでございます。ですから、瑕疵でないバルコニーもその別の要素でもって補修をする、補修というか、工事をやるということでございましたので、業者とそこは協議をいたしまして、それぞれある割合で負担をいたしまして、そして工事を早急に完遂したわけでございます。その費用が、分譲住宅では先ほども申しましたように三億四千万程度あるわけでございます。
  156. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃ分譲の方はとにかくとしまして、いま賃貸の方で倒産したケースが五件ある、その業者や保証人がと言うんですけれども倒産したというのは直接公団から元請した業者倒産したんですか、それとも実際に工事をした下請の、あるいは孫請業者倒産をしたというんですか、どっちなんでしょう。
  157. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) 元請の業者倒産いたしました。  委員長、訂正をいたしたいんですが、よろしいでしょうか。
  158. 鈴木力

    委員長鈴木力君) はい、どうぞ。
  159. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) 先ほど倒産の場合は約六百万円と申しました。それはそれでよろしいんでございますが、十年経過をいたしました瑕疵、要するに、もう業者に契約上責任がないというものが約四千二百万ございます。これを言うのを忘れておりましたので、つけ加えさせていただきます。
  160. 塚田大願

    ○塚田大願君 その契約の期間が切れたのは、契約で明記した期間が切れているのですから、これはしようがないんだが、ちょっとわからないのは、請負業者も保証人も倒産した——元請というからには相当の業者だと思うんですが、そういうのが倒産をしてしまったということになりますと、一体、じゃその公団なんかはそういう業者を指定あるいは登録ですか、する場合に、どういう基準でやっているのかという不安が出てきますね。  先ほどもちょっと論議になりましたけれども、この事業を元請から下請孫請と、その間にピンはねが行われて手抜きが行われるというのが一般常識になっておりますから、今度のこういう欠陥工事の場合でもそういうところから生まれたんじゃないのか、そうして、それが結局下請孫請がやったんだから、その業者が倒れたから、元請は私は知りませんと言って公団におっつけてくる、こういうケースはございませんか。
  161. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) そういう下請倒産して元請がそういうことの履行をやらなかったという件は一件もございません。
  162. 塚田大願

    ○塚田大願君 とにかく時間が来ましたので、この問題は追ってもう少しその契約の、公団からそういう下請やなんかに仕事が回る、そしてそれがさらにピンはねされてどんどん下へいって、その間に工事にいろいろ不正や手抜きがある、こういう問題が当然考えられますので、私はこれはこれとしてこれからもいろいろ調べていってみたいと思うんです。まあこういう状態で公団監督責任というものがそれなりにされていると思うんですが、建設省も、とにかく四億円の金がこの補修のために使われている、こういう状態でありますから、こういうことがもうないように、やはり厳重に監督していただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  163. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) この欠陥バルコニーが出ました際に、この対応策につきましては、公団皆さんにも本省までお出かけをいただきまして、十分に中身等につきましても数回の検討を加えて、実際の報告もいただいております。今後におきましてもこういうことがないように十分指導監督してまいりたいと考えておる次第でございます。
  164. 塚田大願

    ○塚田大願君 最後の質問でありますが、最近、国鉄の遊休地を公団が購入する、そういう計画が進んでおるというふうに新聞などには出ておりますし、また、建設大臣もどっかのテレビ番組で、じゃんじゃん買ったらいいじゃないかというようなことを言われた由に聞き及んでおりますけれども、これは建設省としても、相当積極的に公団国鉄の遊休地を買っていくという方針でいらっしゃるんですか。
  165. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 国鉄の遊休地があってそれが住宅建設に適しているとか、あるいはまた、公団の方の利用にも可能があるというようなところがあるとするならば、遊休地であるならば売ってもらった方が結構だというようなお話は申し上げておきました。
  166. 塚田大願

    ○塚田大願君 安く買って安く住宅が建てば、これはもう結構なことなんです。決してこれに文句をつけているつもりではないんですが、新聞などでは、公団側の交渉当事者として上林総裁の名前が出ておりますが、ひとつ、副総裁おいでになったらその辺の経過をお話し願いたいと思うんです。
  167. 上林英男

    参考人上林英男君) 新聞に出ておりますお話につきまして経過を申し上げますと、ただいま建設大臣からお話ございましたように、国鉄の遊休地があって、その遊休地と申しますか、利用の効率化を図る必要があるというような話は、私どもも新聞その他を通じまして承知をいたしておりましたわけでございます。したがいまして、国鉄の高木総裁に、そういう話があるならば私の方も住宅不足の著しい地域におきまして、通勤の便利のいいようなところに皆さんに喜んで入っていただけるような住宅が建設できれば非常にいいことなので、お互いに努力をしようじゃありませんかというような話をいたしたことがございます。その結果、そういうような担当を、そこに書いてあります山口理事が新しく担当なさるということで、じゃ二人で相談してみろという話がありまして、二人で相談をいたしたこともございます。  その結果、国鉄の土地は駅から非常に近く、高いところも多いのでなかなか採算に合わないかもしれないけれども、とにかく、できるところからやってみようじゃないかというような話がございまして、とりあえずは、国鉄の宿舎が非常に老朽をいたしております。そういうような場所、しかも初めは余り高くないところ、こういうことで、たとえば札幌とか仙台とか新潟とか、そういうようなところに老朽の宿舎もあるということもございまして、そこの土地を公団用地に売却をしていただき、そこに住宅を建てまして、これは方法論はいろいろございます。たとえば土地代に相当する住宅を国鉄にも差し上げ、残りのものにつきましては、一般の勤労大衆に私どもから供給をするというような方法も考えられないかというような話がございまして、つい最近でございますが、具体的な場所の提示がございまして、ただいま検討いたしているところでございます。
  168. 塚田大願

    ○塚田大願君 もう時間が来ましたので私は質問を終わりますが、とにかく公団としては、予算委員会でも問題になりましたけれども、遠い、高い、狭い、こういうことでずいぶん批判が集中しております。せひそういう安い家なんかあれば、これは確かに結構なことなんですから、大いにひとつ住民の福祉のためにがんばっていただきたい、これを要望して質問を終わります。
  169. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 私の方から江里口理事に関連して一つだけお伺いしたいんですが、先ほどの御答弁の中に、バルコニーが落ちたその原因に、鉄筋が上にあるべきものが下にあった、しかし、十年間契約を持ったから工事者の責任は追及しないという意味の御答弁があったんだけれども、そうすると、設計と工法が違っても十年間の契約を持てば責任は追及しないという契約をしておったんですか。
  170. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) そういう契約になっております。重大な瑕疵は十年間ということになっております。
  171. 鈴木力

    委員長鈴木力君) そうすると、工事の途中の監督というのは、設計と工法との関連はどうなっているんですか。
  172. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) もちろん住宅公団現場設計どおりするべく監督者がついております。しかし、一人で百戸から百五十戸ぐらいの相当大規模な広範囲を監督しておるものでございますので、一般的にはコンクリートを打っているところ、それから鉄筋を組んでいるところ、いろいろ作業をやっておりますので、ピックアップして重点的に重点監督ということでやってございますので、鉄筋を組んで終わった場合に検査をいたしまして、十分鉄筋が所定の位置にあるということを確認して次の監督の段階に移るわけです。確認したものでございますので、その後コンクリートを打ちますときに、最近——最近といいましてももう相当前からでございますが、ポンプ工法という、コンクリートをポンプで相当の圧力で流すという工法が採用され出したころの事故でございまして、その勢いで鉄筋を乗せております下にスペーサーといいまして、コンクリートのブロックを置いてそれで鉄筋が保持されるように、そういう施工をやっておったわけですが、そういう勢いでそのブロックが工事中に外れるというようなことが起きたのではなかろうか。  これは実際に、そのコンクリートの中のそういうブロックがすっと動いたというようなことを見たわけではございませんけれども、結果的にそういうことでない限りは鉄筋が下に沈まないわけでございますので、そういうことで監督不十分だったと言われればそれまででございます。けれども、一般的にはそういう鉄筋の架構が終わったときに検査をいたしまして、打つときにはあっちでもこっちでも打っておるわけでございますから、そういう事故が見抜けなかった。そういう事故が起きる工法であったということを見抜けなかったことは非常に残念に思いますけれども、そういう状況にあったということは事実でございます。そういうことで事故が起きたわけでございます。
  173. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 私の伺いたいのは、くどくて申しわけありませんが、設計と結果が違っておった工事をやっておってそしてバルコニーが落ちた、しかし、十年間を持つという契約があったから、業者責任の追及はしなかったというふうに伺ったものですから、そういう契約にあったかどうかということをいま確かめてみただけです。
  174. 江里口富久也

    参考人江里口富久也君) 先ほど一番最初に申し上げたとおり、契約書はそういう契約になっております。——実際に契約書の写しを持ってきておりますので……。
  175. 鈴木力

    委員長鈴木力君) わかりました。  それでは、契約がいいか悪いかという問題が将来残るだろうと思いますけれども
  176. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、初めに建設大臣に建設行政の立場からひとつお尋ねしておきたいと思います。  憲法二十五条を引用するまでもなく、国民が健康で文化的な生活を営むという立場から、建設省の役割りというのが、使命というのが非常に私は重大であると思っております。その立場を踏まえて、建設行政の現状をどのようにとらえておられるか、それをまずお聞きしたいと思います。
  177. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 国民が文化的な生活を営むということは、これは当然なことでありまして、喜屋武さんのおっしゃるとおりであります。したがって、われわれの立場といたしましては、文化的の中には幅は広うございますけれども、どれを指しても私たちのいま携わっておる仕事は、たとえば道路にいたしましても、あるいは水道にいたしましても、あるいは下水道にいたしましても、すべてが文化的な生活という中に取り入れられているだろうと思うのであります。こういう点についての生活上よりよい、住みよい生活ができるように仕組んでいく、これが私たちのなさなければならない立場にあるというふうに考えております。
  178. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そういう立場から現状をどのように理解しておるか、把握しておられるかということが私の最も聞きたいことなんです。
  179. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) そういう立場から考えまして、先ほどからもいろいろ御論議があったように、住宅の面というものも、在来の住宅というのを現代的な要求、現代の国民の要求するような住宅に建てかえていくとか、狭かったものを幅を広げていくとか、あるいは道路という面にも、それにマッチした道路をつけていくとか、さらに公園等においてもそういうような文化生活にマッチするような公園をつくっていくとか、あるいは水道も、昭和六十年には水道の水が不足するだろうというような予想もされておりますが、これらに対しましてもその対策を整えるとか、あるいは下水道というようなものにつきましても、国民全体が下水道を利用するような方向づけをしていかなきゃならぬ、そういうようなことについて、いまもっぱら方向づけをしておるところであります。
  180. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そういったビジョンからしますと、現状は余りにもかけ離れておる。国は、あるいは建設省は、そういう立場からもっともっと金をかけなければいかぬじゃないか。たとえば、いまわが国はGNPは自由主義陣営で二位だ、ところが国民所得は十四位である。ここにも問題があるわけです。  ところが、建設省責任であるお立場からの社会資本の充実という面から拾いますと、道路舗装率が二五・一%です。日本との類似国、先進国と比較しましても、イギリスがすでに一〇〇%、詳しくは九九・七%ですね。詳しくは時間がありませんから申し上げませんが、こういう状況であります。まさにこうありたいという願いにまだ五分の一しか達成しておらない。下水道にしましても二一%、これもまだ五分の一程度。それから公園、一人当たりの面積からしましても、実に三・二平米、西ドイツなんか二十四・七平米ですね。まさに八分の一である。それから住宅の保有状況からしましても、日本は五八・二%、半分ちょっと上回っただけである。  こういう国際的にはGNPが二位だというふうに言われますけれども、国民の生活を見た場合には、まさに言葉は過ぎるかもしれませんが、野蛮な生活に甘んじておる、甘んじさせられておるというこの現実を私は指摘いたしたいんです。その目標に向かって建設省は、国民の健康な文化的な生活を保持する、向上するためにもっともっと金をかけなければいけないということが、私の強く指摘いたしたいことなんです。このことにつきましても掘り下げていきたいんですが、時間がありませんから、これを前置きにいたしまして、次に、沖繩県の問題に触れたいと思います。  沖繩県は、いろいろの犠牲を強いられてきた特殊な立場に置かれておることはいまさら申し上げるまでもありませんが、他県に比べて道路整備が非常に立ちおくれておる、取り残されておる。そこで、この道路の整備を促進するという面からも、また、交通安全施設の整備を充実するという面からも、あるいは交通安全教育の普及徹底をさせなければいけないという面からも、これだけとらえても早急に、早急にですよ、交通環境を改善する必要があると思う。ところが、かてて加えて、来年の七月末に交通方法が変更せざるを得ない、こういう立場に立たされておる。こういった特殊事情からも、さらに必要であることはいまさら申し上げるまでもありません。そこで建設省は、こういった現実を、実情を踏まえた沖繩のこの整備を、実情をどう打開していくか、この見解をまず大臣にお伺いしたい。
  181. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 細かい点については局長から答弁をいたさせます。  社会資本の充実、もちろんそのとおりであって、国内全体にかけなければならぬということはそのとおりでございます。GNPから言ってもそのとおりだと思う。しかしながら、何といっても現在の財政という上から言って、なかなか建設省だけの分野でもってこれを利用するというわけにもまいりませんし、国全体の上に立って、わずか三十年間に、廃土と化したところから産声を上げて、やっと今日までになってきたわけでありますから、社会資本の充実を図れという、まことにごもっとも、結構なんでありますけれども、懸命には努力をしておるんですけれども、なかなかそこまで行っておらないということは御指摘のとおりだと思います。したがっていま、沖繩の問題につきましては局長から答弁をいたさせますが、来年はいよいよ道路の五カ年計画を新たに立てまして、そして道路網というか、幹線道路をもう一歩前進させたいというような考え方で来年度の予算を組むつもりでおるのでございます。  以下は局長から答弁いたさせます。
  182. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) それでは、補足的に説明さしていただきます。  先生指摘のように、沖繩の道路整備の現状を数字的に見てみますと、確かに市町村道以上の道路延長は四千五百キロばかりあるわけでございますが、その全体で見ますと、改良済みが三八・二%、舗装済みが四七・四%ということで、内地の市町村道以上の改良済み二九・二、舗装済み三六・八に比べますとややいい数字にはなっております。しかし、県道以上の姿で見ますと、千二百キロばかりのうちの改良済みが六一・八%、舗装済みが六六・九%ということでございまして、内地の改良済み六四・四、舗装済み七八・二という数字に対してかなりなおくれが見られるわけでございまして、県道以上の幹線的な道路の整備がやはり明らかにおくれているという実態でございます。一方また、人口一人当たりの舗装道路延長ということで沖繩を見ますと一・八メートル、全国が三メートル。それから自動車一台当たりにしましても、舗装延長が沖繩が七・四に対して全国が十二メートルあるということで、道路網自身が全国に比べますとややまばらというような姿で、しかも、幹線道路については整備率の上でかなりのおくれが見られるという実態でございます。  そういうようなことで、このおくれを今後早急に取り戻すということになるわけでございますが、今後の沖繩の道路整備につきましては、狭隘な道路の拡幅、それから舗装整備がおくれておりますので、それを重点に行うというようなこと、あるいは都心内の道路網の整備というようなことを重点に考えながら、先ほど大臣からお話がございましたように、第八次の整備五カ年計画が改定の時期でございますので、その中で逐次内地の水準に引き上げることを目標として努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間がありませんので先を急ぎますが、ただいまの御答弁の中で、舗装率だけで沖繩の道路を他県に比較するわけにはいかないという特殊事情があることは御存じと思いますが、沖繩の舗装率がいいということは、これは戦後における軍用道路がそのまま国道に切りかえられた。だから、私があえて整備ということを強く申し上げたのはそこに意味がある。人間の安全に完全に通れる、いわゆる国道の条件にマッチした国道でなく、軍用道路を、ただ路面を舗装したのを復帰後国道に切りかえただけである。そういう点で整備が非常におくれておる。それから幅員の問題でありましても、例のあの一号線が五十八号線に切りかわっただけである。同じ幅員で四車線からすぐ六車線に切りかえられた、こういうことなんです。最初から国道の条件を備えてつくった道じゃなくして、軍用道路としてあるのを国道に切りかえただけであるということなんです。そこをひとつ指摘しておきたいと思います。  次に、沖繩県の交通事情の点です。ただいま申し上げたのは道路変更と関連づけてのことを申し上げたわけですが、特に抜本的な解決という面から、交通事情は、総合的な交通体系の整備をしていく、こういう立場からまた沖繩の道路問題を検討しなければいけない、こう思うわけなんです。そういった立場から、いわゆる交通事情の抜本的な改善、こういう点からどういう計画を持っておられるか、そのことをちょっとお尋ねしたい。
  184. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほど申し上げましたように、第八次の五カ年計画の中で沖繩の幹線道路網の整備を重点的に取り上げていくわけでございますが、幹線道路の整備、これは大体国道以下の道路につきましては、網的に内地より若干粗いというような問題もございます。先ほどのような方針で重点的に幹線道路網の整備率を上げていくというような構えでいるわけでございますが、そのほかに、沖繩がああいう非常に細長い地形でございます。その中に一本縦貫的に自動車道を通すということは、沖繩の交通体系を抜本的に改善する一番大きな手段だというふうに考えておるわけでございます。そういう考え方から、海洋博関連事業としてすでに御承知の沖繩縦貫自動車道の北部区間の開通を見たわけでございますが、交通量等をいろいろ考えてみますと、これは海洋博時点ではかなりな交通量があったわけでございますが、供用開始後若干交通量が落ちたこともありまして、現状では、供用開始後、五十一年度までにかなりな利子補給をやっております。合計で二カ年間に三十七億ぐらいの利子補給をやって、しかもなお、収支の実績としましては二十三億の赤字が出ているというようなことで、若干、りっぱな道路ができた割りには交通量が十分でないというような事情もございます。  これは北部区間というような特殊な事情もございます。いま南部区間についていろいろ取りざたされておるわけでございますが、南部区間につきましてもそういう事情がございまして、北部区間とつながった時点での交通量等についていろいろ検討いたしておりますが、採算性についてはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。しかし、南部区間のルートについてもいろいろと現在比較線を検討いたしておるわけでございまして、沖繩の民生、それから産業振興にとりましてこの道路自身は重要な役割りを持つものでございますので、沖繩総合振興政策の一環として幹線道路を位置づける必要がある。ただ、採算性は非常によろしくないというようなことで、今後、開発庁、沖繩県等と協議して、慎重に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 具体的に問題を提示いたしますが、いま県民要求として、特に県の立場からも非常に前向きに政府に訴えておる、あるいは訴えようとしておる、もう訴えたんじゃないかと思いますが、例の北部縦貫道路から南部に延ばすという南部延長の問題、それから那覇を中心とするモノレールの問題、それから、これはまあ建設省とは関係ありませんが、鉄道敷設の問題、鉄道誘致の問題、この三つの問題が最もいま関心の深い交通事情を解消する、現在及び将来に向けて私が抜本的なと申し上げたのはそれです。その三つの問題があるわけですが、関係する二つについてどのように考えておられるか、お聞きしたい。
  186. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 縦貫道関係の考え方につきましては、ただいま申し上げましたとおりでございます。そのほかに、御指摘のようにモノレール計画——那覇市周辺の非常な混雑を解消する手段としてのモノレール計画、また、それから鉄道の計画もあるわけでございますが、これらはやはり総合的に見てすべての交通機関を同時に必要とするわけでもございませんので、どっちに重点を置いて整備をしていくか、そういう問題も含めて今後調査していく必要があると思います。  われわれの関連いたしますこの縦貫道につきましては、そういう視点からいま三本ぐらいのルートを引いておりますが、たとえば一番南のルートをとりますと、これは鉄道にかわる考え方で引かれる縦貫道というようなことにもなりますし、一番北のルートがございますが、そういうようなものは鉄道と並行的に総合的に考えられるルートというような視点もあろうかと思います。そういうことで、いろいろ総合的に幹線交通網を、どういう形のものをどういう位置に入れていくかということをやはり検討する必要があろうと思いますので、われわれの縦貫道の調査の途中段階で関係機関ともいろいろ協議しながら、総合的な方向を見定めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 中村清

    政府委員中村清君) モノレールの関係についてお答えを申し上げますが、ただいま御指摘がございましたように、実はモノレールにつきましては、地元の方で非常に御熱心でございまして、たしか私の記憶ですと、昭和四十四年ごろから那覇市が単独で調査を始めました。その後建設省の方でも調査費の補助を出し、あるいは沖繩開発庁の方でも調査費を計上されまして、これは建設省の方に移しかえになりますが、そういった各種の調査費によりまして、路線の計画をどうするか、あるいは経営の中身を一体どうやるかというふうなことで現在まで調査を進められておりますが、五十二年度につきましても、引き続いて沖繩開発庁の予算の沖繩特定開発事業推進調査費というのがございますが、その調査費で調査を進める、そういう所存でございます。
  188. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣、ひとついまのこの高速南部延長道路の問題、それからモノレールにいたしましても、ぜひひとつ地元の要望にこたえていただいて早急に実現さしていただきたい、こういう要望を強く申し上げたいのですが、いかがでしょう。
  189. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) 幹線道路は当然なさなければならない問題でございますから、早急にこの問題の解決はつけていきたいと考えております。したがって、さらにモノレールの件につきましても、二、三日前もお話を承りながらどの路線をとったらばいいんだろうというような点についてもいろいろ議論をしたところでございます。いずれにしても、沖繩という県を本当に内地より以上にもわれわれはしていかなきゃならぬという責任がある、この責任だけはわれわれはわれわれ国民として果たさなきゃならぬ問題だと考えております。したがって、この道路の問題、モノレールの問題等々につきましては、十分これにおこたえできるような方途を考えていきたい、こう考えております。
  190. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま大臣のお答え、沖繩に対する責任を感じておられるということを私もまともに受けとめまして、その責任をさらに感じていただきたい、こういう願いを込めて、具体的な問題になりますが、もう時間も差し迫りましたけれども、ぜひひとつ、最も関心を持っておる交通変更の問題に関連してお尋ねしたい。  これはもういまからさかのぼれば三十二年前に、いわゆる敗戦の結果沖繩が強いられた、そして強いられたこの交通法が県民になじんで定着しておる。その定着したのをもとにして沖繩の経済発展あるいは社会の構造もいろんな面でそれが定着しておる。それが来年の七月に根本から変えなければいけないという、これはまことに重大な問題であります。それで、もし県民の側から、それぞれの立場がありますから、バス会社もあり、タクシーもあり、あるいは自動車練習所、あるいは商売、教育界、各分野から、これならば安心していけると納得するものでなければ——経済的負担の問題、内容の指導、理解の問題、あるいは米軍とのかかわりの問題、すべて了解をして、これならば安心だ、ここまでいかなければわれわれは承知しない、こういうふうにだんだんいろんな問題が浮き彫りにされまして、もしこれにはっきり政府が答えてくれぬなればわれわれはそれを簡単には受けない、たとえ来年の七月末と決めてあっても、それをわれわれはのむわけにはいかない、こういう空気が現状であります。  ところで、幸いに去る四月十三日の予算委員会の第一分科会における——思い出してください。沖繩県交通区分変更についての建設省の私の質問に対するお答え、これは各省ありましたので、非常にそのときの御答弁がきわめて簡単でありましたので、その簡単であった中身をきょう私はお聞きをしたいんであります。  こういうふうに御答弁になっております。交通区分変更についての建設省担当部分の御答弁として、道路関係の施設で、一つ、交差点の改良の問題、二つ、バス停車帯の移設の問題、三つ、道路標識の変更の問題、四つ、防護さくの移設等、右の諸点について五十一年度で調査をし、調査を終わり、どういった事業を行うべきか整理をする、これに基づいて五十二年度において二十六億六千四百万円によって、交通方法の変更を安全かつ円滑に行うように進めてまいりたい、こういう御答弁をこの前の第一分科会でいただいたんであります。  それで、ひとつお尋ねしたいことは、一つ、交差点の改良について。もうすでに調査は済まれたはずであります、済んでおると明言しておられますから。それで、調査の結果どこどこであるのか、いつ着工なさるのであるか、いつまでに完了する予定であるのか、この三つの立場、これが交差点の改良について。次に、バス停車帯の移設についてもそのとおり。次に、道路標識の変更についてもそのとおり。防護さくの移設についても。この四つの返事をこの前いただいておりますので、それは調査の結果どこどこであったのか、いつ着工されるのか、いつまでに完了されるのか、これをきちっと私、答弁をいただきたいんです。
  191. 長谷川四郎

    ○国務大臣(長谷川四郎君) お約束を申し上げましたとおり、来年の七月——予算が通過をいたしましたので、ただいまお話しの二十六億六千万円を全額を投資いたします。国で持ちます。したがって、交差点の改良、バス停あるいは道路標識、防護さくの移設、交通方法の変更に伴ってこれらを実行していく考えであります。  いつ完了するか、その点、道路局長から。
  192. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 若干細かく御説明いたしますと、五十一年度中に御指摘のように沖繩県に委託しまして、交通変更に伴う施設の改良、改善、変更の必要な個所を、五十二年度でやるべきものを細かく工種別に拾い上げておるわけでございますが、ちょうど五十一年度の調査が終わった段階で、現在いろいろ検討中のものもございます。しかし、大筋で申し上げますと、一部今後変更がございますが、五十二年度でやります交差点改良の個所数は九十一カ所実は予定いたしております。約十億円の金がかかります。それからバス停車帯につきましては、これも九十一カ所でございまして、これは四億三千万円ぐらいの金がかかるのではないかと思います。防護さくにつきましては、百二十二キロで七億、それから道路標識は三千五百十一本、三億、こういったものが主なものでございまして、合計では二十六億六千万というような事業費でございます。  具体的な仕事の進め方につきましては、今後いろいろ順序等詳細に検討いたしましてやっていくわけでございますが、おおよその事業量はそういうところでございまして、いずれも来年度、五十三年度の半ばに間に合うような形で仕事を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  193. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 四の防護さくの点はいかがですか。
  194. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 防護さくは百二十二キロでございまして、一応七億を予定いたしております。
  195. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間が参りましたのでこれでおしまいにいたしたいと思いますが、私が明確なお答えをいただきたいとあえて食い下がっておりますのは、特に建設省の分野の道路工事の面から、その通行区分の変更に伴う、結局百八十度変わるわけですから、それに伴う整備を、受けざらをそんなに簡単に、時が来ればぱぱっと物をただ置きかえるだけの問題ならそれで間に合いますけれども、毎日県民が生活している、その路面のそれを根本的に変えるということは、これは決して生やさしいものではありません。そういうことで、いま予算の配分もできましたことはこの前の質問から前進でありますが、さらにそれをどこの、どこどこという部所の決定までは当然きょうお答えなさるものと期待しておったわけですが、これからだということであります。ぜひひとつ具体的に部所はここここだ、そうしていつから着工するんだ、いつまでに完了するんだと、それを早くめどをつけて県民を納得さしていただきたい、関係者を安心さしていただきたい、これを強く要望いたします。
  196. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように、交通方向の変更はなかなか簡単に割り切れない問題でございまして、非常に慎重にやるべき問題だと思います。先ほど五十二年度の事業量についてお話ししたわけでございますが、御指摘のように、量だけの問題ではございませんで、この仕事をどういう順序でどういうふうに進めていくかということが非常に重要な問題でございます。十分今後仕事の進め方については、現在検討を進めておりますが、慎重にやってまいりたいというふうに考えております。
  197. 大塚喬

    大塚喬君 いま喜屋武委員の発言に関連して、実は本年度、私は二回沖繩に現地調査に行って、特にいまから数日前はアメリカの基地内を三日間にわたって視察をしてまいりました。弾薬庫だけでも四つあって、その一つの弾薬庫の中に舗装道路網が百五十六マイル程度ずつある。そのほかに嘉手納基地内、あるいはキャンプハンセン、そのほか米軍用施設がたくさんあって、いずれもアメリカの交通法規が適用されて米軍が縦横に走り回っておるところを、私は三日間調査を重ねてきたところでございます。  いまも喜屋武委員からお話しありましたように、この沖繩の交通法規の変更ということは米軍の十分な協力、理解を得られない限りこれはもう大混乱、大惨事を引き起こす。たとえば一般の民間の道路がそういう場合には日本と同じようになって、軍用基地内がアメリカの適用だということになれば、これは大事故につながることは必須の条件。こういうことを現地の皆さん方から聞かされてまいりましたものですから、そこらのところを十分御理解をいただいて、これらの問題について誤りのないような措置をひとつぜひ私からも要望いたしたいと思います。現地の事情を知った上で私もそういうお願いを重ねて申し上げる次第でございます。
  198. 鈴木力

    委員長鈴木力君) 他に御発言もないようですから、建設省と、それに関係する住宅金融公庫決算につきましてはこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————