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説明員(牛尾
藤治君)
先生御
指摘の
日豪の砂糖長期
協定の件でございます。
この
協定が
締結されましたのが
昭和四十九年の十二月でございます。当時の砂糖の事情は、
先生よく御記憶と存じますが、国際糖価がきわめて高騰しておりました。また、国際的にも砂糖の需給がかなり逼迫しておりまして、
わが国内におきましても砂糖の価格が上がってまいるとともに、
国内でもっと砂糖を
供給すべきじゃないかという議論がかなりあったわけでございます。また、こういう事情は砂糖だけではございませんで、ほかの小麦とか大豆、いろんな農産物についても同様の事情がございましたので、農林省といたしましても重要な農産物の輸入の長期安定化というのをいろいろ指導しておったわけでございます。
先生ただいまおっしゃいましたように、この
協定が結ばれました当時は、国際糖価と
協定によります固定された価格とが逆に国際糖価の半分ぐらいの値段ということであったわけでございますが、その後、約二年強の間に国際糖価が約六分の一に暴落いたしまして、現在では国際糖価に比べ、
豪州糖の長契固定価格が約倍近い割り高の価格となっております。一方、
国内の砂糖の需要もやや減退しております
関係上、
先生お話しのように、精糖業界、非常な苦境に立っておるわけでございます。
そこで、精糖業界といたしましては、
豪州側に対しまして長契価格の改定を要請いたしまして、本年の二月初めから民間ベースで
交渉が開始されておるところでございます。現在のところは、四月の二十七日でございましたか、
豪州側から価格引き下げの
一つの案が提示されておりますが、その内容は価格、契約期間の延長その他のいろんな条件、きわめて厳しいものがございまして、業界は五月の六日でございましたか、この提案は受け入れられないという回答をいたしましたところでございます。農林省といたしましても、契約改定
交渉が始まりましてからかなりの時日がかかっておりますし、また、その間
豪州側がかなり
日本の実情を調査したにもかかわらず、かなり厳しい案が出たことにつきましてはやや納得しがたいという意向もございますけれ
ども、
本件はやはり民間のコマーシャルな問題でもございます。ただいま業界におきましては、よりリーズナブルな対案を
豪州側に提示すべく検討中でございます。
農林省の立場といたしまして、これは民間の問題ではございますけれ
ども、精糖業界のきわめて急迫した事情、それから
日本と
豪州の長い目で見た砂糖の安定的な取引、さらには砂糖以外を含みます
日豪農産物全体の友好的な安定的な取引、こういう見地から
豪州側に対する民間
交渉を、立場上側面から支援をいたしております。
なお、現在の窮迫しました精糖業界に対する役所側の指導でございますが、ただいま申し上げました民間
交渉の側面支援の点が
一つ。
それから第二点としましては、現在、糖価安定法で
国内産糖と輸入糖の価格をプールする意味で価格調整を行っておりますが、その価格調整金につきまして
豪州糖から一部を免除いたしておるという援助がございます。
さらに、やはり精糖業界の安定のためには
国内砂糖の価格安定が何よりも大事でございますので、糖価安定法に基づきます農林
大臣の指示カルテルを発動して価格の安定に努めておるところでございますが、やはりその指示カルテルというやや短期的な対策のほかに、長期の問題といたしまして精糖業界のやや過当競争的な体質を改善する必要があると考えております。現在、業界でも体質改善策につきまして真剣な検討が行われておりますが、この検討がまとまりました上で、
政府としても業界の体質改善、構造改善にできる限りの支援をしていく、こういうことで臨んでまいりたいと考えておるところでございます。