○国務大臣(
鳩山威一郎君) 農産物は
各国ともやはりある
意味では国の、何といいますか、安全といいますか、そういったものと
関連をしてくるということもありますし、また農業者の立場を安定さしたいという、
各国ともそういう願いを持っておりますので、農産物を完全に自由化をすべきであるというような議論は、
世界各国ともなかなかそういうことの実現はむずかしいと思っておると思います。
日本においても同様でございまして、
日本の国内の農政の立場というものは、特に
自給率を高めたいという
考え方も強く持っておるところでございますので、農産物を全部自由化すべきであるというようなことは
政府としてはとうてい
考えられないところだろうと思います。それは確かだろうと思います。個別の問題になりますとやはり問題が生じてまいりますので、特に先般の牛肉問題のような点になりますと、国内の生産者の立場あるいは消費者の立場、それぞれの立場があるわけでございます。将来のたん白資源と申しますか、こういったものから、
日本として牛肉の絶対量が足りない、国内で完全
自給が足りないということになりますと、やはり安定的な輸入を確保したい。しかしこれが、たまたま国内の生産の状態が非常にこれ、牛肉には生産
期間がかかるものですから、ちょうど出回りが、供給が若干ふえてきたようなときには輸入の方を抑えたいと、こういうことになりますし、供給者の側から立てば安定的な供給、まあ輸出国の立場から見れば安定的な輸出を
考えてほしいと、こういうことになりますので、これはやはり両者の調整を図らなければならないという問題があろうと思います。その他、主要な
食糧につきましての問題と食料
関係の加工品みたいなものにつきましては、やはりある程度自由化と申しますか、そういった精神も必要ではないかと思っておりますが、これにつきましてもやはりいろいろな制度上の問題がございましてむずかしい問題になっておるわけでございますが、今後とも国内生産者の立場と消費者の立場、これらを
考えて、やはり個別に解決を図るしかないんではないかというふうに
考えておる次第でございます。
なお、私どもオーストラリアの牛肉の問題を
考えましたときにも、やはり
日本人はオーストラリアの人と比べると十分の一しか牛肉を食べてないということが言えるわけですね。特に私ども学校給食等、子供さんには安い牛肉を入れて供給ができないものかということも
考えて、今度は学校給食用の枠をふやしてもらったりして、農林省との間に
お話し合いをつけたようなことでございまして、なぜ十分の一しか
日本人は牛肉を食べないかということになれば、やはり
日本では牛肉の値段が非常に高い、恐らく物によっては十倍の値段をしておるということであります。そういうこともやはりいろいろ勘案しながら解決を図っていくべきであろうというふうに
考えております。