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1977-03-15 第80回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十五日(火曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査代理 住  栄作君       栗原 祐幸君    田中 正巳君       坪川 信三君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    佐野 憲治君       只松 祐治君    楢崎弥之助君       福岡 義登君    横路 孝弘君       飯田 忠雄君    中川 嘉美君       古川 雅司君    兼務 北川 石松君 兼務 中村  直君    兼務 小川 仁一君 兼務 土井たか子君    兼務 野坂 浩賢君 兼務 宮地 正介君    兼務 小宮 武喜君 兼務 中井  洽君    兼務 荒木  宏君 兼務 川合  武君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君         気象庁長官   有住 直介君         気象庁次長   岩田 弘文君  分科員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   八島 幸彦君         環境庁企画調整         局環境審査室長 大塩 敏樹君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 三橋 壮吉君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         自治省財政局公         営企業第一課長 金子 憲五君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君     ————————————— 分科員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     只松 祐治君   坂口  力君     飯田 忠雄君 同日  辞任         補欠選任   只松 祐治君     佐藤 敬治君   飯田 忠雄君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     横路 孝弘君   林  孝矩君     古川 雅司君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     村山 富市君   古川 雅司君     小川新一郎君 同日  辞任         補欠選任   村山 富市君     福岡 義登君   小川新一郎君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     小川 省吾君   渡部 一郎君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     水田  稔君   中川 嘉美君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     佐野 憲治君 同日  第一分科員野坂浩賢君、宮地正介君、川合武君、  第二分科員北川石松君、中村直君、中井洽君、  第三分科員小川仁一君、第四分科員土井たかこ  君、第五分科員小宮武喜君及び荒木宏君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算運輸省所管  昭和五十二年度特別会計予算運輸省所管  昭和五十二年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 住栄作

    ○住主査代理 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  主査所用のため、主査の指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和五十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係について質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行協力を賜りますようお願い申し上げます。なお、政府当局におかれましては、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。中村直君。
  3. 中村直

    中村(直)分科員 私は、鉄道の問題、特に新幹線鉄道建設促進観点から、大臣初め関係各位に御質問を申し上げたいと思います。もっとも新幹線建設促進につきましては、大臣初め関係各位の従来の大変な御努力、そしてまた国会の先輩の諸先生方の御努力、そしてまた各地に結成されております建設促進期成同盟会等の皆々様の御努力によりまして今日の段階を迎えておりますことにつきましては、十分理解をしておるものでございますし、また衷心から敬意を表しておる次第でございます。ただ私はこの際問題をしぼりまして、主として東北新幹線建設促進の問題につきまして、いささか御質問を申し上げたいと思っております。  まず第一番には、東北新幹線建設につきましての政府の基本的な物の考え方というものを冒頭に承っておきたいと思います。先般の本会議におきまして、竹入公明党委員長の御質問の中でこの新幹線に触れた部分があり、それに対する福田総理の御答弁がございました。その部分をちょっと抜粋してみますと、竹入委員長景気浮揚とその関連する幾つかの問題について質問いたしておりますが、その中で、「次に、公共事業は、先進諸国に比べて貧弱なわが国の社会資本を増加させ、緊急に景気回復推進力たらしめようとする限り、次の条件が必要であります。その第一は、住宅、下水道、地方道、河川、教育、医療、福祉施設など、国民生活関連の深い事業を優先させなければなりません。」と申されております。  また引き続き農業問題に言及されまして、その質問の中で、「また、昨年の冷害に対する救済措置救農土木事業など、本年度も引き続き対策を実施すべきであります。あわせて御答弁を願いたい。」と申し上げております。  これに対しまして福田総理は、「公共事業について、国民生活関連事業を優先すべしというお考えは全く同感でありまして」と答弁され、さらに「また、救農土木事業を大いに実施せよというお話でございますが、去年は、とにかく東北でああいう冷害があった、また各地で災害があった、そういうようなことも考えまして、公共事業を五十二年度におきましても大いにやりまするけれども、その中においてそういう救農土木的配慮をいたしておるのであります。御批判もありまするけれども、東北新幹線、あれなんかを継続事業として推進しておるのもさような救農土木的な配慮があるということを御了知おき願いたいのであります。」と答弁されておるわけであります。  つまり、救農土木的な意味におきましても継続的に東北新幹線のような工事はやらなければならぬというふうにお答えをいただいておるわけではありますけれども、私が基本的な姿勢を承りたいと申したことは、全国新幹線鉄道整備法というのがありまして、この整備法整備目的は、「高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網整備を図り、もって国民経済発展国民生活領域の拡大に資することを目的とする。」、こういうふうにうたっておるわけでございます。これは昭和四十五年五月の法律なわけでございますが、こういう高い観点に立って促進されなければならないという基本的なお考えであるのか、救農土木的な意味においてやらなければならぬというふうな、比較的消極的な考え方東北新幹線あるいはこの新幹線問題が今日の時点においては扱われておるのであるか、その辺のことは地域関係住民あるいは新幹線鉄道促進に当たってきた関係者にとりましては基本的に重大な問題だというふうに考えるわけでございますので、この部分につきましては田村運輸大臣から一言承りたいと思います。
  4. 田村元

    田村国務大臣 申すまでもなく、他の新幹線も同様でございますが、東北新幹線は、国土の均衡ある発展を図るための基礎施設ということで、単なる景気浮揚対策救農土木事業というようなことではありません。それが救農土木事業としての効果を大きく果たしてくれることは当然でございましょうけれども、われわれはその意味におきましては非常に格調高い考え方を持っておるわけでございます。東北線がああいう状態でございまして、その輸送隘路の打開のためにも、また東北方々の切なる願いとも言うべき御心情に接しましても、早期に完成させる必要がございます。現在、昭和五十五年度を目途にしてその工事を急いでおる次第でございます。  ただ、御承知のように大宮以南の問題がございます。昨日もある委員お答えをしたのでありますが、先般も美濃部さんにお目にかかって、もちろん雑談程度の話ではありましたけれども、大宮以南についても何か妥協案というか知恵がありそうなものだ、こういうようなお話もございまして、われわれとしては大宮以南につきましても関係各位の御協力を得るべく一生懸命に御説明も申し上げたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、東北新幹線につきましてはわれわれ一生懸命に取り組んでおるということを御理解賜りたいと思います。
  5. 中村直

    中村(直)分科員 前向きの御答弁で大変ありがとうございます。天気予報じゃございませんが、西高東低という言葉がございます。東北あるいは上信越あるいは北海道地方方々は、東北新幹線あるいは上信越新幹線のおくれというものはまた従来のそうしたイメージにつながるのではないかということで非常に心配をいたしておるわけでございますが、大臣答弁で大変明るい希望を与えていただいたことに感謝を申し上げる次第でございます。  まずもって国土の均衡ある発展を図る、そして特に北海道東北等におきましては今後の日本食糧供給基地としての大きな役割りを果たさなければならない、かように考えておる。また、そういうふうな使命感に燃えていろいろ建設に励んでおるわけでございますが、その均衡発展を図るためのバックボーンでありますところの高速交通体系というものの確立は私は一日もおろそかにせられない問題ではないかというふうな観点に立っておるわけでございます。  ただいまも御説明がございましたが、東北新幹線工事計画がかなり大幅に修正されるような感じがいたすわけでございます。つまり、当初の計画によりますと、完成年度昭和五十一年度です。そしてその工事予算を一兆五千九百三十億というふうに策定されておったわけでございます。これは昭和四十五年の十月ごろに決定され、四十六年から工事が着工されておると私は承知をしておるわけでございますが、今日の時点考えますと東京盛岡間の工事はただいまのところ四二%、そして六千六百九十二億円という工程になっておるようでございます。私の関係岩手県下の分につきましては、進度は少しばかりよくて五九・七%、そして千三百十一億というふうなことになっておるわけでございますが、このように延び延びになっております大きな理由は何であるのか。  ちなみに、この間におきまして、岡山は四十七年の五月ですか、そして博多は四十九年の五月ですか、すでに開業しておるという状況もございまするが、東北新幹線あるいは上越等もこういうような大幅のおくれを見ておる主な理由は何であるのか、それを一言御説明を賜りたいと思います。
  6. 住田正二

    住田政府委員 東北新幹線は、いまお話がございましたように、昭和五十一年度末、したがって今月末ということになりますが、完成目標にやってきたわけでございます。大幅におくれております原因はいろいろあると思いますが、たとえば総需要抑制工事費が抑えられる、あるいは工事費が著しく高騰したとかいう理由がございますが、一番大きな理由は、やはり何といいましても大宮以南から東京に至る間につきまして地元との間で話し合いがつかないということが最大の理由でございまして、そのために工事に着手できないということでおくれているわけでございます。
  7. 中村直

    中村(直)分科員 総需要抑制用地問題の未解決というふうな理由のようでございますが、それに対しましてはいろいろ御苦心を払っておられることも後ほど承りたいと思います。  それで、今度の改定計画によりますと、工事完成予定年度を五十五年と押さえ、そして変更計画は二兆六百九十億というふうになるのではないかというふうに承っておるわけでございまするが、そういたしますると、新しい変更計画に対しましては現在の工事実績工程というものは、東京盛岡間は三二・三%、まさにまだ三分の一に達しておらないというふうな状況になるわけでございます。岩手県下の分につきましても最初申し上げました五九・七%は四八・四%になるわけでございます。したがいまして、今後の残工事の量が半分をはるかに上回っておるということになるわけでございまするが、私はその工程の中で測量あるいは用地買収あるいは工事等につきまして、内容を少しく承りたいと存じます。  まず、測量の問題でございますが、五十一年末現在におきまして、この東北新幹線の全体計画におきましては九三%の進捗率だというふうに承っております。岩手、宮城、福島、茨城につきましては完了でありますし、栃木におきましてもほぼ完了と申してもいいというふうな実績になっておると聞いておりますが、埼玉東京においてこのおくれが見られるということのようでございますが、その後、この問題の解決の方向に何か明るい曙光が見出されておるのかどうか。埼玉よりも東京都の方の測量工程がずっと遅いように見受けられますが、それらの事情はいかがお見通しであるか承りたいと思います。
  8. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま先生がおっしゃられるとおり、東京都と埼玉県の測量進捗率が非常にまだ低うございます。このうち低いのはほとんど東京から大宮の間でございます。  ただいま東京につきましては、大部分国鉄線路敷を通るわけでございますけれども、線路敷以外にはずれてまいりますのが、東京都内でも北区の区内が一番いわゆる民地を通っていくという予定になっております。そこで、北区で非常に大きな反対がございましたが、私ども全力を挙げまして北区の区長、いわゆる理事者側及び北区の区議会側両方にいろいろお願いを申し上げまして、理事者及び区議会側北区内を七カ所に分けて国鉄のルートその他の条件についての説明会を開いてやろうということで、この二月から三月にかけまして区議会が中心になって七カ所に分かれた説明会をただいまやっていただいております。  説明会ができるということは、おおよそ条件的に了解をされてきたというふうに私は理解しておりますけれども、説明会をやっております段階で非常に大きな反対もございます。この説明会が間もなく終わると思いますので、その辺をいろいろ意見を聞かせていただいた後具体的に個々にお話し合いをしまして、一刻も早く東京都内予定路線について協議に入りたいというふうに考えております。
  9. 中村直

    中村(直)分科員 次に、用地買収の問題でございますが、同じ五十一年の年末におきまして、全体といたしまして八八%の進捗率というふうに承っております。これも測量と傾向的にはほぼ同じなわけでございますが、測量を困難にしている理由は、用地買収を困難にしている理由に全く相通ずるものであろうかというふうに存じますが、その辺の御事情はいかがなものですか。
  10. 高橋浩二

    高橋説明員 先生のおっしゃるとおり、全く同じ考え方で同じことでございます。
  11. 中村直

    中村(直)分科員 次に、工事状況でございますが、総延長東京盛岡間四百九十六キロのうち、昭和五十一年末現在におきまして契約済み延長は約二百八十五・八キロメートル、五八%というふうに承っております。なお、構造物的に見ますると、駅部高架橋につきましては十四駅が予定されており、二十七キロのうち、十一駅、そうして八・一キロメートル、つまり三〇%がもう契約済みである。そしてまた、トンネルは百十三カ所、約百十三キロメートルのうち、蔵王は五十一年の十月に貫通した、一関は四十九年の二月に貫通した、福島は五十年の七月に貫通した、那須は五十年の八月に貫通した等、九十七カ所の百八・五キロメートル、九六%ができ上がっておるというふうな工程のように承っております。つまり、トンネルとかあるいは高架橋とかそういう構造物につきましては、わりあいにいい進捗状況を示しておるのではないかというふうに考えるわけでございます。そしてまた路盤、橋梁等の約三百五十六キロメートルのうち、第一、第二北上川につきましては、すでに竣工したというような状況でこれも進捗率は四八%であるというというふうに承っておるわけでございますが、この工事の中で主に大きく残っておるものはどういうものであり、今後工事進捗する意味におきまして困難を伴う種類のものは何であるのか、そういうものを承りたいと思います。
  12. 高橋浩二

    高橋説明員 私のいま手元にございますのは、五十二年の二月末日現在の進捗表を実は手元に持っておりまして、ただいま先生がおっしゃいました全体の進捗については若干数字が違いますけれども、ほぼ先生の言われた進捗をいたしております。そこで一番工事をやります場合に工程を支配いたしますのは、長大なトンネルあるいは長大な橋梁これが主に全体の工程を支配するということで早く着手いたしまして、これはいま先生の申されたとおり相当進捗をいたしております。これからの工程の問題は、車両基地等が非常に大きな工事量でございますので仙台の車両基地の新設あるいは盛岡駅等は貨物駅を一部移転いたした後高架橋完成させるというような在来線とも絡みのある工事、これらが比較的工期の長くかかるものでございますけれども、これも従来の進めた経験から申し上げまして、五十五年度中には技術的には完成できるというふうに私の方は確信を持っております。したがって、これから全体の工程を支配するのは東京大宮間の用地買収を早く進めて、それを一刻も早く仕上げるということかと思います。ただ、東京から大宮間につきましては、長いトンネルとかあるいは長大な橋梁というのが非常に少のうございますので、それほど技術的には長期を要するものではないというふうに私の方は判断をいたしております。
  13. 中村直

    中村(直)分科員 問題点大宮以南用地の取得に絡んでいる、集約しますとそういうことになるようでございますが、それにつきましては、公害振動騒音等理由にする住民の不安というものが大きな理由ではないか、その他いろいろの絡んだ事情もあろうと思います。それは交通難をどのように緩和していただけるかとかあるいは補償あるいは価格等においても今後詰められなければならない問題もあるいはあるかもしれませんが、大筋はそうした住民公害に対する懸念というものではないかというふうに存じますが、それにつきましては、国鉄といたしましてはかなりに新しい技術、工法等を導入いたしまして、その住民の不安を解消する努力が当然払われておるものと推量するわけでございますが、その辺のことにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  14. 高橋浩二

    高橋説明員 私ども東海道新幹線あるいは山陽新幹線経験にかんがみまして、どの程度構造物をつくればどれだけの騒音あるいは振動等が出るかということが比較的経験的にわかってまいりました。それらの経験をもとにいたしまして、騒音等についてはいろいろ防音壁等をつくりあるいは高架橋全体をもう少しがっちりしたものをつくりまして、騒音とともに振動も防いでいくというようなことで対処をするのを第一義的に考えております。しかし、それらにもいろいろ限度がございますので、それらにあわせまして周辺のいわゆる道路等あるいはその他の環境対策というものも進めるべく、これは個々場所場所によって違いますので、それらの地域地域において十分協議を申し上げてそれらの万全の対策を講じたいというふうに考えております。
  15. 中村直

    中村(直)分科員 いろいろ御配慮があるようでございますが、私が聞いておる二、三の事例によりましても、たとえば鉄げた騒音対策といたしましては、現在の東海道新幹線に比べまして東北新幹線の場合にはかなり工法上の改良計画があられるように思うわけでございます。つまり床盤改良するとかあるいは防音壁を思い切って高くするというふうな措置等考えられておるようでございます。つまり、東海道新幹線における防音壁は一メートルというふうに聞いておりますが、東北新幹線におきましてはこれが二メートル八十になる、画期的な高さであろうというふうに存じますし、それから床盤の方におきましてもいろいろ防音対策等が思い切って採用されておるように見受けられるわけでございます。したがいまして、都市におけるところの他の騒音源に比べましてこの新幹線が発するであろう騒音というものが必ずしも過大なものではないという技術的な研究があるいは採用されておるというふうにも承りますが、それらのことにつきまして誠意を持って地域関係者話し合いを進め、円滑な問題解決を図ってもらいたい、かように存ずるわけでございますが、この技術的な改良というものが騒音値にいたしましてたとえば八十ホンとかあるいは七十ホンというふうな限界内におさまる技術的な見通しがあるのか、その辺のことにつきましても承りたいと思います。
  16. 高橋浩二

    高橋説明員 従来一番騒音等で大きく騒音が出てまいりましたのは鉄げたを使ったところの橋梁で一番大きな音が出てまいりました。まずこれは東北新幹線においては都内では鉄げたは使わないという大原則に立ちましていま先生もおっしゃいましたようにコンクリートを主体にやっております。なおかつ防音壁等もいま先生の申されたとおり高さも高くするということで、一応従来の経験から申し上げますと、環境基準で求められております。とりあえず開業時に八十ホンという目標値を示されておりますけれども、これは完全に守ることができ、なおかつ私の方はそれ以下に開業時でもしたいということでいろいろ努力をいたしておりますし、またそれに伴う実験等も一年後ぐらいにはして、あわせて構造物でできるだけ音が小さくなるように、また振動が小さくなるようにというように配慮いたしておる次第でございます。
  17. 中村直

    中村(直)分科員 東北関係住民におきましては、五十一年のものが五十五年になるという非常に大幅な計画改定が予想されておるということにつきまして非常なショックを受けております。こういうような状況におきましては、われわれは農業を主産業とする地域でございますので、食糧供給基地ということで食糧生産体制というものの確立を図ってまいりたいと意欲を持っておるわけでございますが、諸情勢は必ずしもそれに味方しないというふうなことで非常に大きなショックを受けておるわけでございます。つまり言いかえますと、五十五年という計画も果たして達成されるのであるかということにいささか不安を感じておる次第でございますが、きょうの質疑によりまして、大臣の高い立場からの、また積極的な意欲をお示しの御答弁をいただきまして、非常に私ども関係地域の者は喜びにたえない次第でございます。ここでこいねがわくは、この騒音対策その他、住民対策につきまして、あるいは交通難のその地域地域には事情もあろうと思いますが、それらにつきましても親身になって御相談いただきますとともに、どうか東北北海道地域民のそうした気持ちというものも十分おくみ取りいただきまして、要するにこの狭い国土で心を合わせて均衡ある日本の住みよい国土建設されることにおいて、南の地域も北の地域も本当に心からなる提携をして、この問題の円満解決を図っていきたい、私どもはかように考えておるわけでございますが、国鉄関係御当局におきましても親身になってそういう問題の処理に当たって一日も早い円満な解決を図ってもらいたい、これを御要望申し上げまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  18. 住栄作

    ○住主査代理 これにて中村直君の質疑は終了いたしました。  次に、北川石松君。
  19. 北川石松

    北川分科員 去る二月二十五日の運輸委員会におきまして五項目を提示して政府、また当局の見解をお聞き申し上げたのでありますが、関西新空港については田村運輸大臣の非常に高邁な積極、前向きの御答弁をちょうだいし、感謝いたしております。  国鉄片町線の問題につきましては高木総裁の答弁を聞かしていただいたのでありますが、いまだ満足する形を得ないのであります。これについて国鉄当局は、四十四年の九月に建運協定という形で結ばれたところの新たなる事態に対する高速鉄道と道路の高架ということがうたわれておるが、どういうお考えを持っておられるのか、お聞きを申し上げるものであります。
  20. 高橋浩二

    高橋説明員 建運協定というのは、現在あります都市内の鉄道が幾つかの踏み切りと交差している場合に、鉄道の方を高架にいたしまして、道路との立体交差をする場合のその費用の負担についてということで、運輸省と建設省の間でその費用の負担についての協定が建運協定でございます。これはあくまでも都市計画事業として行われるものでございまして、現在あります鉄道が町を分断している、したがって、それを都市開発事業の一環として高架にしようという発議がございますと、国鉄側は協議をいたしまして、国鉄もそれに応分の負担をいたしまして在来線を高架にしていくということでございます。したがいまして、全国にそういう個所がたくさんございますけれども、個々の問題について建設省なり地元なりと御協議を申し上げて、ただいま全国で相当数の鉄道を高架化する事業を実施いたしております。
  21. 北川石松

    北川分科員 いま国鉄当局の御答弁建設省、道路側と軌動車側の話の答弁であったと思うのですが、非常に複雑化してきたところの社会情勢の中で、特に自動車あるいは人、いろいろのものが危険と停滞を来しておる、これではいかないということで建設省と運輸省当局の中で、国鉄に限らずですよ、これは私鉄もまた立体交差をしなくてはならない、そういう必要性を生じたためにこういう協定が結ばれて、立体化の実現を促進するための政府当局と地方自治体当局と、そして住民の声がこういう形になったと私は思うのであります。その点について、この間の質問に対する答弁では、片町線の特にふくそうを呈しておる四条畷駅付近に対する国鉄当局の前向きの姿勢としてどういうお考えを持っておられるか、再度お聞きいたします。
  22. 高橋浩二

    高橋説明員 片町線につきましては、先生も御承知のように、四十七年から複線化の工事を進めております。その複線化の工事を進める過程におきまして、地元の各市から、ここの部分については高架にしてほしい、この部分については在来線と併設でよろしいのじゃないかというようないろいろのいきさつがございます。したがいまして、片町線の複線化につきましても、三、四カ所については複線化と同時に、部分的な高架化を進めておるというのが実情でございます。私の方も、都市側からそういう御要望がございましたら高架化について御協力をし、また国鉄の方も、将来の安全を考えますと、当然高架化される方が国鉄の輸送から見ても安全であるという観点から御協議に応じて、従来多くの高架化事業を進めておるというのが実情でございます。
  23. 北川石松

    北川分科員 当局の答弁は非常に、一つの形の上の報告のように私は聞こえるのでありまして、特に四条畷駅というものは、歴史をたどりますならば、これは伊藤総理が開設後四条畷神社に参拝された、そういう由緒ある駅であることも事実でありまして、開通当時の交野郡というのは全人口二万七千人ぐらいです。それがいま百十万人に人口がふえておる。また、有名なお染久松の屋形船というのが寝屋川を上下いたしまして、これが大阪市内に至るところの交通の一つの便を地域住民に与えておった。片町線とそういう船便によるところの交通であった。それが明治時代である。  ところが、昭和になりまして、いまや終戦後も三十年以上を過ぎておる。当時の人口から見ましても大変な人口の増加である。また、私はきょう質問するために、四条畷の当該の道路の交通量を調べさせたのです。いま一方通行をしておりますから、この立体交差を要望するところの道路で東行きが二時間で約三百十九台であります。人間が東行きと西行きとまぜますと三千人ほど通過しておる。詳しく言いますならば、東行きの人間が千三百四十二人、西行きが千二百六十七人の人が通っておる。車は一方通行でありますから三百十九台。しかも楠公墓前においては千二百六十台、こういう自動車がふくそうを来しておる、私は国鉄当局のおっしゃるのはもっともだと思うのですね。これは建設省の道路側、地方自治体と十分話をした上で工事にかかる、私はこういうお考えがあるだろうと思います。しかし、新しい時代が来て、新しい時代のために対処しなくてはならぬというのが政治であろうと思います。しかも橋上駅として実施されておるわけです。しかし、これがいまストップされておるわけです。なぜストップされておるか、御答弁を願いたいと思います。
  24. 高橋浩二

    高橋説明員 ストップされているかどうか、私もいまちょっとはっきり存じませんけれども、先生からここの区間については橋上化でなくて高架にしたらどうかというようなお話があるやに、これは前からそういう御要望で、それであるいは一時的なストップをしておるのかもしれませんけれども、私の方はすでに橋上本屋の基礎及び一部鉄骨を建てた状況になっているというふうに私は伺っておりますので、それがストップの状態であるかどうか、ちょっといま私、はっきりしておりません。
  25. 北川石松

    北川分科員 工事の現状は、ストップされておるのは事実であります。これは非常に文学的な表情を持つと言うとおかしいのでありますが、いまその工事をされておるところから文化財が出てきております。しかも人骨が出てきておる。こういうことを当局も御存じになっていただきたい。それは、祖先の霊がみずからの骨をさらしてもなお、いま橋上駅で平面交差をされては子々孫々に対していかないんじゃないかというところの一つの形のあらわれでストップをし、そして反省を促し、大きな見地からここに一つの観点を求めて、この際この人口の増加とふくそうする地域の高架を要望しているんじゃないかというように私は考える。いま一つは、こういう大きなところの工事をやりますためには、私たちの子々孫々がこの負債をみんなかぶっていくのではないか。いろいろなことがやられております。新幹線は全部高架で日本全国に走ろうとしておる。しかし、このときの負担を云々するよりも、やろうとしたことを国鉄当局は堂々とやっていっておる。ローカル線であるから、地方自治体の負担あるいはいろいろな負担のためにやれないという形じゃなしに、この際私は、こういう新しい事態を考えていただいて、新しい見解を示していただきたいとこいねがうものであります。  一月十二日に、大阪府代議士会が原田会長を先頭にいたしまして、田村運輸大臣に片町線、また地下鉄もつけてほしい、新しいこういう人口増加のところに対処するためにお願いしたいということを陳情したのを、いま記憶いたしております。こういう新しい事態を考えますときに、大臣としての御指導また御所見を賜りたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  26. 住田正二

    住田政府委員 鉄道と道路の立体化の問題につきましては、従来の経緯は先ほど来高橋常務がいろいろ御説明申し上げているところでございます。  いま、新しい観点から見直したらどうかという御指摘でございますけれども、鉄道と道路の立体交差ということになりますと、やはりこれは都市計画の問題ではないかというふうに理解をいたしているわけでございます。したがいまして、鉄道の側が主体性をとって立体化をするということにはなかなかならないのではないか。新幹線のように、すでに道路のあるところに鉄道が新しく出ていってつくるという場合には、高架でやるということも当然あり得るわけでございますけれども、現在あります鉄道を道路の事情から上げたい、あるいは都市計画の立場から上げたいというような場合には、やはり都市計画の方でいろいろ計画をつくられ、国鉄の方に協議をする、あるいは私鉄の方に協議をするというのがたてまえではないか、さように考えておるわけでございます。
  27. 北川石松

    北川分科員 私は大臣の御所見をお伺いしたのでありますが、あなたが新幹線を持ってこられて、新幹線は道路の上を走っておるのだ、すでに高架になった道路の上を新幹線が走っておる、こういうようなお考えを私は聞いたように思います。なるほど新幹線は道路の上を全部高架にしてしまって、その上を新幹線が走っておることは事実であります。しかし、その高架にする、立体交差にするところの諸経費というもの、予算というもの、その膨大な負担というものは、やはり日本国民全体が負わなければならない問題である。これは一鉄道局がなにする問題じゃなくて、国民全部の税金の中から生まれてくる予算であると私は考えます。  そういうことを、時間がないのにこの問題で長らくとるとあとの質問ができないので、恐縮でありますが、大臣にお願いをしながらお伺いいたしたいのは、こういう新しい事態である。しかも戦後三十一年を経過しました。政治も非常に形が変わってきておる。たとえば議会に修正権があるというようなことを言われる方がおられる。しかし私は、議会に予算の修正権はないと思っている。これは、提案者である政府に修正権はあると思う。そういう見解を持っております。議会は要望し、それを政府が受け入れるものである、そして新しい事態に対処していく、そういう考えを持っております。議会が全部修正権を持って、何もかも修正し、審議権を行使し議決権を行使してといったような議会じゃないと思うのです。そういう点におきまして、議会が民意を代表して行政者たる政府にお願いする。三十年前の終戦当時の日本といまは変わってきた日本です。しかも特に大阪の繁雑なる七区の情勢というものは、選挙区においても新しく生まれた七区でございまして、そのような新しい事態というものは非常にいろいろの要素を今後政府に要求せざるを得ないのであります。その一つの形が、いま申しております四条畷駅付近の高架の問題であります。そしてこれは、該四条畷市長も大東市長も高架にしてほしい、こう言っておるのです。それでいま百億あるいは二百億の金を必要とするにしても、私たちの子孫が、ああいいことをしておいてくれたな、この負債は喜んで払おうじゃないかというところの政治の形をとっていただきたい、私はこのように思うものでございます。どうか大臣の御所見をお伺いいたします。
  28. 田村元

    田村国務大臣 実はほかならぬ北川君の話でありますから、私はよろしゅうございますという答弁をしたいのでありますけれども、問題は都市計画というものと不即不離の問題でございます。特に大都市におきましては、都市政策というものの基本は何と言っても区画整理、街路等を含んだ、あるいは再開発を含んだ都市計画であろう。そう考えますと、単に一つの高架という問題だけをとらえること自体がいささか無理がある。やはりそのかいわいをどのように都市計画をするか。それともう一つは、地方自治の独立ということが非常に強く叫ばれておる。戦前とは違います。でありますから、私は、北川君がお地元のことでございますからいま一つ関係市長等とよく御相談なすって、ここでこのような都市計画をやるのだという大きな計画をお立てになって、その都市計画に基づいてこのような高架化が必要であると、やはり都市計画事業者が申請をするということでないと、率直に言って国鉄も取り上げにくいのじゃないか、そういう感じがするのです。でありますから、どうぞひとつ都市計画事業者つまり市長さんたちと十分御相談いただいて、そしてその一環として要請をお出しいただく、そのときには私からも御助言申し上げましょう。
  29. 北川石松

    北川分科員 いま大臣は、都市計画の変更と、そして大阪府、該自治体の市長からそのような要望があったときに助言を申し上げようという御所見を聞かしていただいて、ここでひとつお願いをし、国鉄当局にもその点をよく含んでいただきたいのは、四条畷市、大東市、大阪府、これが高架にしてほしいという形をとってまいりました場合には、国鉄当局はこれに応ずる考えがございましょうか。簡単で結構です。
  30. 高橋浩二

    高橋説明員 高架にしてほしいというだけでは高架にはなりませんので、高架にしてほしいということについて御要望がございましたら、私の方はそれに対する調査、どういう構造になるかということについて十分なる検討をした結果、府それからいまの四条畷市、大東市の方々とその設計についてよく協議を申し上げて、そしてその都市計画事業が決定いたしますならば、私の方もそれに対して御協議を申し上げて決めるということになろうかと思います。
  31. 北川石松

    北川分科員 もちろんいまの国鉄計画は前都市計画決立の上に立った事業であります。ただし、私の言っておるのは、四条畷駅のいまの工事もとまっておる。しかも文化財をもってしてとめておる。新しい計画を望むことが政治でなくてはならない。政治は進歩でなくてはならない。十年前に決定されたことがいまだに行われてない。私が府会当時から国鉄に対して指摘していることは、きのうでも言っておる。だから、たとえ一年前に決定されたことでも、いまの時代において新しいことが子々孫々のために百年の大計の政治だということであれば、そういう考えの上に立って、新しい計画の上の実施をするときに本省並びに該当局者はそういう形でいってほしい。やってくれるかどうかということを私は質問したのです。そのことだけを、一言でよろしいから言ってください。
  32. 高橋浩二

    高橋説明員 そういう御要望があれば協議をいたしたいということでございます。
  33. 北川石松

    北川分科員 時間がないので、次に移ります。  老朽車の問題については、新しいのを回してくれるように望んでおきましょう。これ以上言うことないと思う。わかりましたね。大阪周辺の国鉄の老朽車の運行は、新しいのを運行さすように早い時期にお願いをしたい、こういうふうに申し上げておきたい。  次に、地下鉄二号線でございますが、これは守口駅を終点にして、高槻まで行く計画があるのであります。寝屋川、枚方、高槻という旧国道一号線というのが二十二メートルの幅員を持っているのであります。この下を通していただきたい。ということは、先ほど触れましたように、人口が非常に増加してきておる。ちなみに、いま道路を通過するところの自動車数を調べましたところ、高速道路で九十一万二千三百七台の自動車が一カ月間に通っておる。一日に二万七千八百八十四台、これは高速に入るだけの自動車であります。それ以外に府道、国道を通るところの自動車にいたしましては、大日交差点で、東行き西行きで、特に西行きで五万三千七百五十六台通っておる。そのほかに門真、何々と全部合わせますと、膨大な、九十一万二千三百七台という自動車が通っておる。これが一人乗ったまま自動車に排気ガスをブーブー吹かして、この道路の交通量というのは繁雑をきわめておる。通勤者が一台の自動車に乗って通うのであります。また、京阪電車の乗降客というものは、非常に今日過密の中で乗せ切れない。こういう状態を考えましたときに、地下鉄二号線を私は七区の淀川左岸沿いに高槻に持っていっていただきたい、こういう考えを持っておるのですが、大臣、いかがでございましょうか、御所見を伺いたい。
  34. 住田正二

    住田政府委員 いま御指摘の二号線の延長の問題でございますが、これにつきましては、都市交通審議会の答申が出ております。御承知のように、すでに守口−大日間までは工事の免許をいたしております。大日以降のルートをどういうふうにとるかということは、事業主体である大阪市の問題でございまして、大阪市の方でこの高槻周辺の輸送需要はどうであるかというようなこと、あるいはこの建設に伴って経営にどのような影響を与えるかというようなことを勘案してみて計画を出してくると思います。その段階で慎重に検討いたしたいと思います。
  35. 北川石松

    北川分科員 この問題は、もちろん運輸省がいろいろと御指導を願わなければいかぬと思うのです。運輸大臣の御指導を得なければいかぬと思っておりますが、地方自治体が一番大きな影響を受けるので、自治省はどういうお考えを持っておられるか、お聞きしたいのです。
  36. 金子憲五

    ○金子説明員 道路の渋滞と地下鉄の整備との関連でございますが、地下鉄の整備が路面の渋滞緩和に非常に大きな貢献を果たす、それによって大都市の交通事情を緩和するというようなことがございますので、私ども計画的に地下鉄の整備につきましては資金の配分をやって、早期に輸送の効果を上げていくということでやってきております。
  37. 北川石松

    北川分科員 人口百十万。そして京阪は乗せ切れないのです。乗せ切れない形を呈しておることは事実でありまして、そういう点で、地下鉄はいま守口でとまって、どうしようかという審議会の御意向もあると思うのですが、どうしても寝屋川、枚方、高槻へ持っていっていただきたい。交通の繁雑、また京阪を利用されるところの住民というものは容易じゃないのでありまして、大変荷物のようにけつをけられ、足をけられて電車の中に乗っておる、これが現状でありますよ。そういうことでありますので、地下鉄をどうしても私は寝屋川、枚方、高槻へ持っていっていただきたい、こういう要望をいたしておるのであります。これに対して当局の適切な御指導をお願いするものでございますが、御所見を聞かしていただきたい。
  38. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、大日以遠のルートをどういうふうにとるかということについては、事業主体は大阪市でございますけれども、これは大阪市の範囲を超えて出ていくわけでございますので、府とかあるいは関係市町村と十分話し合いをして、住民の利便という面からルートをお決めになるのではないかと思いますが、その上で申請が出てくるようでございますので、その際十分に検討さしていただきたいと考えております。
  39. 北川石松

    北川分科員 京阪の乗客は、六十五万四百三十一人乗っております。こういう状態ですので、どうしてもここに高速軌道車の必要性が生じておると思います。よろしく今後ともこの点についての当局の御指導をお願いしたい、こういうふうにお願いいたしておきす。  次に、昭和四十一年の二月に千歳空港を飛び立った全日空機が東京湾で墜落した事故は、もう古いことになっておって、皆さんがいま考えてもどうかなと思われると思います。しかしこの問題は、当時私は大阪府会議員でありましたが、何に起因したかというと、機長のミスであるという最終段階になっておることにはなはだ遺憾の意を表明したいと思います。いま、乗っ取り事件のためにこれに対処するところの空港のチェックは厳しゅうございます。しかしながら、あの繁雑の中で、これは全日空一つではなしに、全日空、日航、東亜、いろいろのものが空を飛ぶための対処が十分なされておるかどうか。当時の墜落は何に原因したと当局者は思っておられますか、お聞きいたします。
  40. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十一年の事故の結果につきましては、当時調べて世間に公表されたわけでありますけれども、それによりますと、最終的な墜落原因というものは究極的には不明であるということになっております。いろいろ、いま先生御指摘のように、飛行機を急に下げ過ぎたのではないかというふうなことも言われておりましたけれども、最終的な原因は、証拠物件がほとんど残っていないというような状況から、現在のところ不明ということになっております。
  41. 北川石松

    北川分科員 不明であるというままで放置されて、その後対処しておられない。私が外国へいろいろな形で視察に参りましたときには、本人と本人が持っておる携行物に対する重量のチェックをしておる。当時あれは雪まつりであり、非常にたくさんのものを着込んで行ったものが、なお向こうでたくさん着込み、たくさんのみやげ物を持って、超満員の形で、超満員の重量を全日空機は持ったままで千歳空港をジェットを全開にして私は上昇したと思う。そして、羽田空港近くなってエンジンをとめざるを得ない。とめざるを得ないときにその重量オーバーというものが墜落の原因であると私はみずから支持いたしております。  こういう点について、その後これを生かそうとしない。いま全日空だけじゃなしに航空の墜落その他の事故がないからよいが、この間は酒で酔っぱらってアメリカであったのですが、そういう重大な問題が今日航空の間で忘れ去られようとしておる。ハイジャックのみの対処はされておるが、重量問題については全く何もなされておらないのが、このごろ私が空港を歩んでみて見るところであります。あのときは、私は、恐らく機長は東京湾に差しかかり、羽田空港を目前にして、しまった、積んでおるところのみんなの携行物を全部ほうってしまいたいなという心境になったんじゃないかというところの考えを持つものであります。私は、これは一機長のミスでなくて、当時の全日空の千歳空港におけるところの重量のチェックがなかったということであると指摘したいのであります。今後このような問題がないために、私は、これをどのように生かされ、どのように処置され、遺家族に対してどのようにされておるかということをお聞き申し上げたい。  しかし、時間がありません、持ち時間が終了しましたと来た。これはまた委員会において質問をし、若狭全日空社長を初め航空担当者の責任ある答弁と、今後の見解、またこれに対処するところの所見をお伺いすることにして終わります。  ありがとうございました。
  42. 住栄作

    ○住主査代理 これにて北川石松君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  43. 土井たか子

    ○土井分科員 私、本日、大阪国際空港にエアバスの導入を考えていらっしゃる運輸省の姿勢と、その内容に対して少しお尋ねをしたいと思います。  先日、三日の日に環境庁からの十三項目にわたる申し入れに対しての回答を環境庁に出された。その二日後に、環境庁からこの回答に対して、よろしかろうという同意が出た。こういう経過があることはもうすでに御承知のとおりなんですが、あの回答の内容を見ますと、五十三年に向けてジェット機を二百回に削減をして、その中でエアバスを百回にしたい、こういう一つの目安が出ております。五十八年になりますと、エアバスを百八十回にしたいという目安も出されております。  そこでお尋ねしたいのですが、このジェット機二百回のうちにエアバスを百回というこの目安は、かつて環境庁から出されましたあの環境基準に即応して考えていくと、こういうふうな発着回数ということでなければならないというふうな御認識でお出しになったわけでございますか、いかがですか。
  44. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 仰せのとおりでございます。
  45. 土井たか子

    ○土井分科員 そういたしますと、先日公害対策並びに環境保全特別委員会で私は質問を申し上げた節にもこれは確認をいただいておりますが、五十年の十二月二日に運輸省から出されました「大阪国際空港騒音訴訟の上告にあたっての運輸省見解」というのに「予定表」がございまして、これは五十年に出されておりますから、その中身では五十一年の「一月一〇日からジェット機の発着回数を二一〇回とし、うちエアバスの発着回数を、おおむね四〇回とする。その後六ケ月以内にジェット機の発着回数を二〇〇回とする。」という予定がちゃんと組まれております。これはもちろん取り消しますということをおっしゃった。白紙撤回ということになると思うのです。  それ以前にございます。ひいては四十九年の三月二十三日にすでに運輸省が出されておりました三段階によるジェット機の発着回数を減便していくというあの構想ももちろん白紙撤回であり、取り消しでありますね。いかがでありますか。
  46. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 初めに御指摘いただきましたその上告関連のときの予定表は、今日私どもは取り消しておりますけれども、その二番目にお話のございました、四十九年時点に当時の運輸省で決めて発表いたしましたいわゆる三段階減便方式というものは、私ども、今日でもなおそれを目安にして事を行いたいと考えておるわけでございます。
  47. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、この中で、今回、五十三年ぐらいにはジェット機を二百回にしてエアバスを百回にするということと、この四十九年三月二十三日にお出しになった「発着回数の制限について」というのは、内容からすると少し矛盾する点が出てきやしませんか。いかがですか。
  48. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもの考えでは内容的に矛盾をしてないつもりでございます。
  49. 土井たか子

    ○土井分科員 ここに言うところの「低騒音大型機を導入」すると書いてある低騒音大型機というのは、今回問題にされているこのエアバスなのですか、どうなんですか。
  50. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 さようでございます。
  51. 土井たか子

    ○土井分科員 ここにあります「同空港に地元の理解を得て低騒音大型機を導入した時点に、(1)はよる四一〇回を三九〇回、うちジェット機二四〇回を二二〇回とする。」というふうに書いてございますこの項目から言うと、三段階に分けた(2)の部分ですね、この問題は今回の構想からするとどういう位置づけになるわけですか。
  52. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私、御質問の趣旨が十分よく理解できないのでありますけれども、四十九年の三月から四月に移る時点で当時大型機が就航しなかったわけでありますから、総発着回数四百十回、うちジェットが二百四十回というところまで減便をする、それまでは二百六十回ジェットが飛んでおりましたのを二百四十回に下げるということにいたしまして、その後、大型機が就航すれば二百二十回、さらに山陽新幹線が開通すれば二百回、こういうふうにしたわけでありますが、大型機就航よりも山陽新幹線が先に開通いたしましたので、私どもは、現在の時点に正確に対応する目標がないわけでありますが、当時の趣旨を勘案いたしまして、現在二百四十回を切る回数を一応の限界と考えて仕事をしておるところでございます。
  53. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、この三月二十三日の三段階の発着回数制限構想からすれば、いま私が申し上げた質問の趣旨がよくわからないと局長はおっしゃりながら、御答弁をされましたけれども、この発着制限枠の強化の三段階の(2)の部分の、低騒音大型機を導入した、つまりエアバスを導入した時点では、四百十回を三百九十回、そのうちジェット機を二百四十回にして、それをさらに二百二十回というふうにずっと削減をしていくというところを飛び越えて、もうすでに山陽新幹線が開通してしまっているので、この大型機を導入した節には、ジェット機二百二十回を二百回とするというところに一足飛びにこの構想が行った形で、五十三年度の問題は考えられている、こう考えてもいいわけでありますか。
  54. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在時点ではそういうふうに考えざるを得ないと私どもは思っておるわけでございます。
  55. 土井たか子

    ○土井分科員 それはわかりました。  そこで、環境庁から例の環境基準というのはいつ出されましたでしょうか。
  56. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 四十八年十二月二十六日だったと思います。
  57. 土井たか子

    ○土井分科員 四十八年の十二月二十六日に出されて以後、その環境基準を守って五年後はこうなる、十年を経過して、可及的速やかにこうなるということがはっきり明示されているわけですから、それを守ることのために今回エアバスを導入して、五十三年にはジェット機二百回のうちの百回をこのエアバスにするという構想をお出しになったわけでしょう。それが一番最初に私が質問で確認をしたところです。ならば、この五十年十二月の二日に出された、ジェット機の二百十回中にエアバスを四十回にして、その後六カ月以内にジェット機の発着回数を二百回にしていくというこの構想なんですが、これからすれば、どうもWECPNLから考えまして、環境庁が指示している環境基準に合致せんがために考えられた便数削減ということからすれば、ちょっと考えられない削減の方法だと思うのですね。いわば行き当たりばったりにエアバス導入のために、一つにはここにこういうふうな構想というものが、あの控訴審判決が大阪高裁で出て直後の五十年の十二月の二日に運輸省から出されたのじゃないか。このエアバスさえ乗り入れさせてもらえばそれでよいのだというふうな気配がこの辺は見えてならないのです。WECPNLを認識なすっている。そうして五十三年にはこうしなければならないという構想があって、この五十年の十二月二日の予定表はお出しになったのではない、こう申し上げたいと思うのですが、この点確認してよろしゅうございますね。
  58. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私、当時の事情はいまつまびらかにいたしませんけれども、当時といたしましても、やはり昭和五十三年の中間目標、五十八年の最終目標というものは当然あったわけでございますし、それと大阪空港を発着する旅客の輸送需要、それらとの関連で可能な方法として、上告の際の計画表をつくったのだろうと思います。
  59. 土井たか子

    ○土井分科員 いずれにしろ、環境庁の環境基準を念頭に置いて、そのためにいかに騒音を抑えるか、いかに排ガス規制をやるかということを目標にした減便対策では、あの五十年の十二月に出された予定表はなかった、このように私は考えたいと思うのです。それは先日白紙撤回する、取り消すというふうにおっしゃっていますから、それは再度追い打ちをかけるようなことは、私はここではいたしませんが、しかし、そういう認識は過去に運輸省のこのエアバス導入に対してあったということは非常に大事な問題でありますから、私としては、この点を抑えておきたいと思う意味でいま申し上げました。  さて、百便のうちに、これは今回いただきました、運輸省から出されました、環境影響評価資料による、導入される機種並びに便数というものを見てまいりますと、国際線も入っております。国際線に使用される機種となると、恐らくはエアバス、ジャンボと言えば747LRであろうと思いますが、いかがですか。
  60. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 仰せのとおりだと思います。
  61. 土井たか子

    ○土井分科員 運輸省から今回環境庁に出されました、いわゆる十三項目についての回答の中身ですね、国際線にはボーイング747を使用するとまでは書いてあるけれども、SRもLRも書いてないわけです。いま確認したところではLRだということが確認されておりますが、ならば、LRについてのいまの騒音の問題、排ガスの問題についての資料が、今回の十三項目についてのお答えのどこかにございますか。
  62. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 SRは日本航空が日本の国内線で使っております特殊な機材でございまして、一般的に国際線がLRであることは御存じのとおりでございます。この両者を比べますと、最大離陸重量が約百トン違いまして、LRが三百五十トン、SRが二百五十トンであります。この百トンの差は、主としてLRというのは国際線で足が長いわけでございますので、最大に長距離を飛ぶときの燃料を満載すれば三百五十トンになるということでございます。  そこで、大阪空港に実際に離着陸する国際線というものの需要を路線別に考えてみますと、あそこからそれほど遠い、つまり三百五十トンという最大離陸重量まで燃料を満タンにして飛ばなければならないような路線はいま考えられてないというところから、SRとLRは特に区別をせずに計算したわけでございます。私どもの聞いているところでは、最大航続距離が四千六百キロメートルというところを超えますと、LRとSRの最大離陸重量が変わってまいりますけれども、その手前の長さではその両者は変わらない。したがってLR、SR特に区別せずに算をして間違いはないというふうに考えておるわけでございます。
  63. 土井たか子

    ○土井分科員 大体騒音の問題にしても排ガスの問題にしても、測定をする場合には最大値や最高値を一つは認識の中において取り組まなければ公害対策とは言わないのです。今回のは、発生源対策としてこれ以外に方法はないという、いわば清水の舞台から飛びおりるような気持ちで、エアバスの導入をどうにかしなければ、大阪空港に対しての公害対策というものはできません、こういうことを運輸省は言われて取り組んでいらっしゃるわけでしょう。そうしますと、いまLRについても最大離陸重量というのを考えていったら、百トンSRと違うけれども、それだけの重量でもって飛ぶという場合は、恐らくは、長距離の場合にはあるけれども、大阪から飛ぶ飛行機にはないだろうなんというふうな御説明では納得できない。やはりLRを使用した場合に、最大離陸重量がどういうことであるかということによって、排ガスの問題だって燃料の量によってこれだけ重量が違ってきているわけですからね、したがって排ガスの量が違ってくるのは素人にもわかります。したがって、この点の資料というものは必要だと私は思いますよ。この点の資料というのが全く欠如しているというのはどういうことかと私は言いたい。  それからさらに、いまおっしゃった離陸滑走路長、つまりどれだけ滑走路の長さが要るかという問題、これはもう御答弁のとおりで、SRの場合は二千十メートルだけれども、LRの場合には三千二百八十メートル要ります。ところがこれも騒音測定という問題を考えてまいりますと、非常に重要なキーポイントになる。なぜかというと、御存じのとおりに、これを測定するICAOの方式によって測定すると、ちゃんとこっちの資料に書いてあるわけですが、これは専門家である局長が何よりも御存じのとおりで、離陸滑走開始地点から始まって測定をして、六・五キロのところで測定をするということになっているわけでしょう。そうすると、離陸滑走路長ということから考えると、離陸地点というのはSRとLRと違うというのも、これは素人判断でもできるわけであります。滑走開始地点から離陸開始地点に至るまでの長さがSRとLRとでは違うということなんですよ、離陸滑走路長がこれだけ違うということは。したがいまして、離陸地点が違うということは、はかる地点はSRもLRも同じなんです。同じところからはかるわけですね、滑走開始地点ではかるわけですから。六・五キロメートルのところでこの騒音をはかる場合の測定地点に行ってみると、高度はSRとLRとではまた違うじゃないかというのは、これは素人判断でもできるわけですよ。高度が違えば騒音も違うのです。騒音の拡散の中身も違ってくるのです。こういうことについて、何ら資料が出ていないというのはどういうことですか。
  64. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これも先ほど御説明申し上げましたように、大阪空港から飛び立つ国際線の次の着陸地点までの距離は、四千六百キロメートル未満であるというふうに考えられますので、四千六百キロメートルまで達しないようなものであるならばSR、LRにつきまして区別する必要はない。     〔住主査代理退席、佐野(憲)主査代理着席〕 といいますのは、四千六百キロメートルを超えない場合には最大離陸重量に大きな差がないということでございますので、私どもは燃料を積んだ状態における離陸重量、それの計算ですべて騒音測定関係の計算をしたわけでございますが、そういった前提での計算ではLRとSRの区別をする必要はない、そういうふうに考えております。
  65. 土井たか子

    ○土井分科員 これは言い出したら時間の方が足りなくなってくるのですが、乗り入れの権利を持っているこの外国の航空会社の国際線を見ていった場合に、いまおっしゃったような距離よりもオーバーする地点にあるところにまで行く場合も、これは考えられるわけでしょう。少なくとも実際問題としてLRというこの飛行機を乗り入れた場合、大阪空港の周辺では騒音はどうだ、排ガスはどうだということに対して、これは資料を出さないでよいという理由はどこにもないですよ。ここに環境庁の大気保全局長に御出席をいただいたのは、保全局長にお尋ねをしたいのですが、排ガスの問題についても騒音の問題についてもいわば平均値というのがありますけれども、しかし、何といってもこの周辺の住民方々からすれば、この平均値でもって騒音というものを認識なすっているんじゃないので、日々受けるあの大変な苦しみの中身は、騒音についても排ガスについても最高値というものを常に問題にされているわけです。そうじゃありませんか。したがいまして、騒音でも最高の場合はこうだ、排ガスでも最高値はこういうぐあいになるという数値の方が、実は公害対策と取り組む場合には大事な問題だろう、このように私たちいままで認識をしてきております。今回のエアバスの導入についても、最高値についてどういうことになるかということをやはり排ガスや騒音の面について知らされることが、何よりも私たちにとっては大事な一つの——ああそれならば騒音はこうなるのだ、排ガスの問題についてもこうなるんだという目安になると思うのですが、保全局長、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  66. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまおっしゃったような問題が私どももあると思いますので、そこでWECPNLだけでなく音圧レベルでの最大、最低、それから平均という数字も出したわけでございます。またもう一つは、大気の方につきましては一時間値としての数字を環境庁の関係参考資料の方に出しておりますが、その基礎にはやはり鼻血の調査のときに調べたものもございますし推計もございます。そういうことで、一時間値の推計ということはかなりの程度にできるというぐあいに考えておりますが、ピークがどの程度に出るかということにつきましては、鼻血のレベルのときのピークの調査ということの中でおよその見当はつくということでございます。しかし、その点はやはりテストにまたなければならない点が非常に多いのではないかというぐあいに考えております。
  67. 土井たか子

    ○土井分科員 それはテストのときには実測値を問題になさるわけで、いま出ている資料は実測値じゃないのですよね。あくまでこれは予定値であり計算値であります。したがって、計算値ということからすれば、大阪空港に乗り入れるということが予定されている機種は、言うまでもなく将来に乗り入れられるであろうという機種についても、やはりこの節予定値であり計算値の中にははっきり出しておいていただかないと、これは十分な資料というわけにはいかないだろうと思うのです。どこをどうひっくり返してもボーイング747とだけ標識は書いてございまして、SRでもLRでもない。一体、これはどっちを指して言うのだろう、まことに不確かなものであります。SRの場合にはこうだ、LRの場合にはこうだというふうに、ここの運輸省がお出しになっている「エアバス導入の環境影響評価資料」の十四ページにもある上昇タイプの分類表においてもお書きくださらぬと、この騒音や排ガスの問題については、なおかつ厳密にこれは予測をすることができないであろう、このように考えます。この資料についてそういうふうに補足をなさるというふうなことが必要かと私は思いますが、局長いかがですか。
  68. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもはここ数年間の需要予測をした限りでは、LRを満タンにして飛ぶということはあり得ないと考えておりますので、先ごろの計算をやり直すという必要はないと思います。ただ、将来現実問題といたしましてLRが満タンで飛ぶようなことが起こって、そのことがWECPNLに影響を及ぼすというふうなおそれがある場合には、当然評価をしテストもいたしまして導入すべきだと考えております。
  69. 土井たか子

    ○土井分科員 そうすると、当面は五十三年のこの減便構想に対して747LRというのは一切問題にしないというふうに考えてよろしゅうございますね。
  70. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在のわれわれが予想しておりまする輸送需要に関する限りそういうことでございます。
  71. 土井たか子

    ○土井分科員 ところが、いま非常に微妙な答弁をなされた。将来需要が伸びて747LRの方が満席、満タンになるような場合が起これば、その時点でまた予定値を考え、計算値を考え、そして測定をする必要があるだろう、こういう御答弁なんですが、そういう状況が果たして大阪空港に起こるのかどうかですね。これはいまの状況のままで進みますと、私もその可能性やその危険性なきにしもあらずと実は考えている、非常に困った話だと思っている一人なんでありますが、それというのも、このところ大阪空港に東京から飛び立たれる場合、飛行機はどれもこれもみんな満席であります。需要が非常に伸びている。この需要が伸びているというのはどういうところに原因があるかというと、これはもうすでに運輸省の方からいままでいろいろな資料がこれについては出ているわけでありますが、やはり国鉄運賃との比較なんですよ。航空機の運賃の方が割安になっていきますと国鉄を利用しないで、同じ幹線でございましても東京−大阪間を航空機を利用する、こういうかっこうになるわけです。  運輸省がもうすでに出していらっしゃる六十年国内旅行旅客輸送需要というのがありますが、これで大阪空港の場合を見てまいりますと、国鉄の運賃よりも航空機運賃が二〇%低い場合には四千万人、四〇%航空機の方が国鉄よりも運賃が低い場合には、これはちょっと大きいですよ、一億一千万人という数字が出ていますね。これはすでに運輸省から出された資料であります。  ところが、いま運賃一つについて見ますと、東京−大阪間、これは国鉄新幹線のグリーン車について言えば、一万四千三百円かかります。航空機を利用しますと一万四百円、騒音料込みでもはるかに安い。約四割方安いわけです。同じく幹線ですが大阪−博多間、これを例の国鉄新幹線を利用いたしますと一万六千八百円かかるのですが、飛行機だと一万三百円、騒音料を含めたとしてもこれまた大変安い。約六割方安いのですね。こういう状況であればあるほど、これの需要は増す一方なんです。     〔佐野(憲)主査代理退席、住主査代理着席〕 料金の適正化と言われますけれども、片や国鉄というのは私は公共交通機関だと思っている。ところが航空機の場合は、これは選択交通機関じゃないかと思っている。国鉄の場合には、運輸大臣考えになってこれは生活直結交通機関と言えますね。どうしてもなくてはならない交通機関でしょう。飛行機の場合にはこれは選択交通機関ですよ。いわばあの電気事業法にいうところの、十八条で需要に対して必ず供給をしなければならないという義務がございますが、ああいう公共性は航空機の場合にはございません。したがいまして、そういう点から言いますと、いまのような運賃体系である限りは需要は増す一方です。むしろ需要を増さんがためにこういうことになっているのじゃないかといわぬばかりのこれは料金ですよ。大阪空港なんかの場合を例にとりますと、お客がふえれば、またふやしていけばあそこに対しての公害対策なんというのはどれだけがんばったってとれようはずはないのです。減便ができませんもの。また減便する言うたらものすごく大型化して座席の数をふやすわけですよ。これは今回の資料だけでも、単純計算、私、これもやってみました。いまの現用機では五十年の十一月ダイヤの問題、満席になったとして二万三千六百七十六席ある。今度はジェット機を二百回のうちエアバス百回乗り入れるというこのタイムテーブルからすると、何と三万三千九百九席になるんです。全部満席になると。これだけ座席数がふえるわけですよ。今回このエアバスを導入するのはジェット機を二百回にしてそのうち百回だと言われる数字をとったって、現用の飛行機が飛んでいるのに比べますと座席数はそれだけふえる。それだけ需要を増しますということなんです。需要をふやしていく限りは大阪国際空港の付近住民方々の悩みというのはふえる一方でありまして、減ることがない。この点を抜本的に何とかしなければならないと思うのですが、運輸大臣はどういうふうにこの問題をお考えになりますか。
  72. 田村元

    田村国務大臣 非常に大きな観点からの御質問でありますから、私から具体的にお答え申し上げるのには大変幅の広い御質問であります。  私は国鉄運賃一つ例にとりまして申し上げれば、いま土井さんおっしゃるとおりだと思うのです。これはもうそのとおりだと思います。でありますから、仮に今度法定制緩和をお願いしてうまく行ったとしても、それはもう当然おのずから限界がある。運賃を大きく上げることよりある意味においては適時、適切に運賃が値上げされるということにむしろ私自身は重点を置いた考え方を持っておるわけでございますが、だからといってグリーン車等につきましては、これはむしろ運賃値上げなんということと切り離して考える必要があるんじゃないかというふうに考えております。ただ問題は、私も大きな悩みがありまして、航空会社が決算で黒字を出しておるというような状態で果たして値上げが妥当かどうか、まだ申請は出ておりませんけれども妥当かどうかというような問題もございますから、国鉄運賃を基礎にして航空運賃を計算するということはこれは絶対避けなければならない、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、国鉄の競争力をより強化するための方策ということは真剣に考えなければならないだろう、こう考えております。
  73. 土井たか子

    ○土井分科員 ちょっと御答弁の趣旨が、私の質問の仕方が悪かったのかどうか、はずれているのです。つまりきょう私が質問申し上げているのは、大阪国際空港に対しての公害対策として今回エアバスの乗り入れを考えるという運輸省の姿勢でありますから、そうおっしゃるんですから、したがって、そういう点から言うと、本来公害対策というのはやはり需要を減らしていくということを大阪国際空港に対してはしないと公害対策の抜本的な取り組みにならないのじゃないか、そういう意味で、いまのようなあり方のままではこれは抜本的に公害対策をやるということになりませんよということを私は申し上げているわけです。そういう意味でひとつ質問をお聞きいただいての御答弁をぜひお願いします。
  74. 田村元

    田村国務大臣 どうも失礼しました。実は新幹線との比較論がちょっと出たものだからそちらの方に重点を置いて聞いてしまいました。  まあ二百回まで思い切って減らすということも、いまおっしゃったような御趣旨に沿ったものでありましょうが、私はいずれにいたしましても、それを必要以上に減らすということよりも、むしろ無理をしてふやさないということにやっぱり重点を置いた方がいいんじゃなかろうか。環境庁からの御意見承りましても、一方立てれば一方立たずということがございますが、とにもかくにも若干の公害問題よりは騒音公害、大気公害、エアポリューションの問題よりも騒音をまず抑えることにメリットを感じるからということでございますが、いずれにいたしましても、いまの御質問の御趣旨十分体しまして私は航空局長に無理のないことを十分に指導したいと思っております。
  75. 土井たか子

    ○土井分科員 これで質問終わりますが、無理のないことを指導していただくということ、これは大事かもしれませんが、大阪国際空港はそもそも無理が重なりまして今日のような状態になったんです。もうすでに国を相手取ってのあの訴訟をやむにやまれず起こさざるを得なかったという周辺の激甚地区の方々、それからそのために組まれた自治体組織の十一市協、それからさらに調停を申請されている方々のグループ、これがだんだんふえていっているわけですが、そういう状況からしますと、全世界でこんな空港はないと思うのですよ。この空港対策に頭を悩まされてきた運輸省とされては、ずいぶん公害対策の点で立ちおくれがあった空港対策だったということが、いままでの経緯からすると言えると思います。現時点でエアバスの乗り入れは後に引けないというお気持ちかもしれませんが、そうであるならば、もう一層その地域事情について運輸大臣みずからが認識をしていただかないとこれは困ります。机の上の数字と実際値は大分違いますよ。それから頭の中で考えていることとそこに住んでいる住民方々の本意は違います。ひとつ足を運んででもこの問題についてじかに自分自身としては大阪空港周辺というのはどんなことなんだ、これは確かめなければならないなというふうなお気持ちになっていただきたいと思うのですが、大阪空港の方にそういう意味を持って出かけていって、そして大臣みずからがどういう事情であるかということをひとつ調査をぜひやってみていただきたい、このように私は思います。いかがです。
  76. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、実は私どもの政務次官が全くの地元でございますので、私は今日まで政務次官にいろいろお願いをしておりまして、しかし私自身足を運んでお願いも申し上げ、また調査もする、当然のことだと思います。私は今日の状態ではこれはもう毎日国会でくぎづけになっておって動くに動けないものですから。私の実は家内の兄貴も空港のすぐそばに住んでいるんです。でありますから、私自身足を運ぶことにやぶさかではございません。
  77. 土井たか子

    ○土井分科員 これで終わりますが、テストフライトが一つの段階になっておりますね。それ以前にひとつぜひ足を運ばれますようにお願いします。
  78. 住栄作

    ○住主査代理 これにて土井たか子君の質疑は終了しました。  次に、小宮武喜君。
  79. 小宮武喜

    小宮分科員 私がいまさら申し上げるまでもなく、わが国の造船産業は、石油ショック以降戦後最大の構造的不況に見舞われておるわけですが、この不況が今後とも長期にわたって続くことが考えられますけれども、この問題で、非常に今後造船産業にとってはやはり雇用問題が一番大きな問題でありまして、そういう立場から造船産業に従事する人たちは今後造船産業はどうなるであろうかということを非常に心配しておられますので、そういう立場から、いまから質問をいたしたいと思います。  それにつきまして、この造船産業の不況というのが大体いつごろまで続くと運輸省当局は考えられておるのか、その点、ひとつまずお伺いしたいと思います。
  80. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 最近の造船不況がいつごろまで続くかということでございますが、これにつきましては、今回の不況が四十八年の石油ショックをを契機として出てまいって、それを直接受けまして海運界における過剰船腹があるということで発生をしております。したがいまして、この船舶の需給バランスがいつごろ回復されるかということにかかってくるかと思います。この点につきまして、昨年の海運造船合理化審議会で答申をいただいておりますが、少なくとも、昭和五十五年におきます日本の建造量というものを考えますと、昭和四十九年で約千八百万トン程度ございましたので、それの三分の一の六百五十万トン、それからこれに対応して操業度が昭和四十九年比で六五%程度と予測をしております。したがいまして、現状からいたしますれば昭和六十年ぐらいまではこういった状況で推移してまいると考えております。ただ、その後におきましても、従来のような大量の需要は期待できないという予測をされております。この点につきましては、OECDでの見通しも一致しておりますので、私どもは、最近の状況の推移を慎重に見てまいりますが、こういった予測の上に立って対策考えていきたい、こう考えております。
  81. 小宮武喜

    小宮分科員 海造審の答申でも、昭和五十五年度において昭和四十九年度を一〇〇とした場合に六五%ぐらいに落ち込むであろうということが言われておりますけれども、昭和五十五年ごろは六五%どころじゃなくて、恐らく五〇%ぐらいに落ち込むのではないかということはわれわれがいろいろな推測をしても考えられるわけですが、いま言われたように、この不況がずっと続いていくけれども、大体造船産業に働いておられる人たちは、やはり不況といってもずっと谷もあれば山もあるわけですから、不況がこういうふうになった場合には、この期間がたとえば何年くらいかかるかというふうにいまの質問はしたわけですが、造船の不況の一番谷底というのはどれぐらいになるのか、いつごろになるのか。従業員にしてもあるいは関連企業の人にしても、いつごろが一番谷底か、そうするとお互いがそれまで何とかがんばっておればその後は何か上向いていけば何とかなるんじゃないかという、これは甘い期待かもしれませんけれども、やはりそういった意味で、大体いつごろが一番谷になるだろうかというのが働いておられる人たちは一番関心の的なんです。そういうような意味で、谷底というのは大体いつごろと思いますか。
  82. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 こういった予測の問題については、非常にむずかしいことでございますが、私どもとしては、今回の造船不況をもたらした船舶の過剰がかなりの量であるということを考えますと、従来のような景気の山、谷でなくて少し時間がかかる。したがいまして、海造審の答申におきましても、五十五年ごろまでは続くのではないか、五十五年を過ぎました五年間というのは、その前に比べて若干量的にふえるということでございますので、目下のところは五十五年の時期に明るくなるかどうかにつきましては、これは慎重に受注なりあるいは世界の受注の状況を見ながら対応してまいる必要があるんじゃないかと考えております。
  83. 小宮武喜

    小宮分科員 これはだれだって、正確に大体いつだとかいつごろまで不況は続くのだというような予測は非常に困難だと思います。しかしながら、われわれの立場から見れば、やはり少なくとも運輸省当局あたりがどう見ておるかというのが一つの大きな支えにもなるわけですから、そういうような意味質問しておるわけですが、そういう造船不況に対して、運輸省としてどういう対策をとられておるのか、またいままでどういう対策をとってこられたのか、また今後どういう対策を立てようとしておられるのか、その点、いかがですか。
  84. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 私どもとしましては、今回の造船不況が従来に比べてかなり期間がかかるということを考えまして、いろいろ検討し、対策を立てておるわけですが、まず第一には、先ほど先生も御指摘ありました海造審の答申、これは学識経験者、それから造船界、あるいは私ども、あるいは労働界におきましてもコンセンサスになっておりますので、言うならば、六百五十万トンあるいは六五%操業度については若干問題がありますが、この程度の推移で済めば、企業がお互いに過当競争をしないで自主的に操業短縮をする、そこである一定の操業度の中で過当競争をしないように、それから船価が競争によって極端に下がらないようにしていくことによって、みんなが耐えられる限度で身をかがめて操業短縮をやるというのが第一点かと考えております。その意味で、昨年の十一月に運輸大臣から各事業者に対する勧告をしたわけでございまして、それが第一点でございます。  ただ、これだけでは問題でございますので、この操業度を支えるための金融とか雇用の対策が要るかと思います。そこで、五十二年度及び五十三年度の操業勧告を受けまして、少なくとも五十二年度につきましては、政府予算原案におきまして、その工事量が確保できるような、それに必要な船舶向けの輸銀資金を二千四百五十億ほどお願いをしております。それがまず基本的な操業度確保のための金融のてこ入れでございます。  それからもう一つは、中小企業なりあるいは中小の関連事業者あるいは中小下請業者が事業転換を積極的に図るということをサポートするために、まず第一に造船の下請業が行います船舶の解体業につきまして、技術改善費を約一億四千万ほどお願いをしております。これはささやかではございますが、中小企業が自力で転換をしようということでございますので、私どもとしても積極的に応援をしていきたいと考えております。その他の中小造船業あるいは造船関連業の需要確保のために調査、指導等を行いたいと考えております。  それからもう一つは、事業転換とかあるいは操業短縮等のほかに、今後の造船業の需要開拓という意味で、新しい、船の修理、たとえば国内のLNG船でございますとか、あるいは維持費の比較的低廉な経済性の高い船の建造促進のための技術調査費等をお願いをしております。  それでもなおかつ雇用対策が必要になってくることも予想されますので、新しく労働省にお願いをいたしまして、雇用対策法によります職業転換給付金制度を適用していただく予定になっております。  以上がいままでの考えております対策でございます。
  85. 小宮武喜

    小宮分科員 LNG船だとか船体の解体業についてはまた後で質問いたしますけれども、ちょうど二月の八日と九日、OECDの各国といわゆる造船問題について話し合いをされましたね。その中で、いわゆる船価の引き上げの問題、あるいは均等配分の受注問題、そういうような問題、いろいろ話し合われているわけです。しかしながら、この問題についても、われわれとしてもいろいろ意見もあるわけですけれども、この場合、特定国からの受注の規制の問題とかこういうような一連の今回のEC諸国との話し合いで約束されたことは、日本の造船産業にどのような影響を及ぼすのか。プラスになるのかマイナスになるのか、その点、運輸省の判断はいかがですか。
  86. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 ことしの初めから行っておりましたEC及びOECDでの話し合いでございますが、基本的には多国間の特定産業でございます造船の問題でございますので、OECDの中に主要造船国を網羅した作業部会が設けられております。したがいまして、私どもとしては、ここの場が基本的に一番重要な場と考えております。あとECとの問題は、昨年の秋以降、EC諸国に対するたとえば特定国に対する輸出の集中とかの問題が起こりまして、先方から話し合いをしたいということでもございましたので、OECDの場と並行して、必要があれば話し合いに応ずるという形で応じたわけでございます。  ただいま先生御指摘の、今回の一連の話し合い日本の立場はどうであるかということでございます。この点につきましては、世界の造船不況の中におきまして、日本が責任を持つのは、世界におきます日本役割りあるいは日本の立場ということが中心でございまして、もちろんヨーロッパ諸国なりECとの協調も大事でございますが、日本の世界における立場というのが私どもの基本でございます。したがいまして、日本としましても、世界全体の需要が減っていきますさなかで五割ということについては問題がございます。したがいまして、世界におきまして従来のシェアを拡大しないという基本的な考え方は今回も貫けたと思います。  ただ、その中でEC諸国が一対一の受注配分とかいうことを言い出してまいります不安は、最近のEC諸国がほとんどといいますか、かなり受注が減少しておる、あるいはほとんどとれない国があるというようなことで、先行きどうなるかという不安があるわけでございます。そこで、両方の船価の格差をお互いに是正しようではないか。そのために、日本としましては船価の若干の引き上げをする。これはわが国造船業としましても当然操業度が下がってまいりますので、何らかの意味でコストを補うための船価の引き上げあるいは中小関連工業に対するコストについての配慮ということで、日本の立場から見ても適策であるし、あるいは相手との船価格差の是正ということでも適策であると考えまして、基本的には船価の引き上げをする。ただ、これは従来のシェアを超えるようなことがないようにというのは基本的に持っております。  それから第二番目に申しましたのは、言うなれば、特定の困難な国につきまして集中豪雨的な輸出はしないということでございますが、これは両方の産業界の各社がそれぞれ見ておりまして、お互いの連帯感によりまして相手国の立場もわかるというようなことがはっきりしてきましたら、それを前提としまして集中豪雨的な輸出を自粛するということでございます。  それから、こういった二つの対応策で基本的にはできるわけでございますが、ただ、それでもなおかつわが国の建造のシェアが拡大するおそれがあります場合には、現在実施しようとしております操業度の調整措置の強化についても検討いたします。こういうことでございます。この問題は、二月の会合に先立ちまして、たとえばフランスのカバイエ大臣が来られて運輸大臣お話しになったときも、両方主張の言い合いだけをしていたのでは前進がないので、何とか合理的な解決のために双方努力すべきであるという基本線によりまして出したものでございます。この点はEC側もあるいはOECDの各国も評価をいたしまして、これによってEC側あるいはOECDの各国が一方的な対抗措置を講ずるという事態は回避されたと考えております。
  87. 小宮武喜

    小宮分科員 御承知のように、わが国の造船業界というのは、昭和三十四年ごろのいわゆる貿易の自由化に備えて国際競争力をつけるために盛んに合理化、あるいは生産性向上の問題、設備の近代化、あるいは企業の再編成の問題、こういうふうなことを一生懸命やって努力した結果が、船価の問題にしても国際競争力をつけるまでに至ったわけです。ところが外国の方は、私も八、九年前に欧州の造船界を見て回ったことがあるわけですけれども、日本と比べてそういった設備近代化の問題については、何らというところまではいかぬでも、かなり合理化を怠っておったわけです。そういうところで船価の格差が出るのはあたりまえの話であって、その意味では、運輸省も初めはわれわれと同じような考え方をしておったようですけれども、今度の問題は、そういうふうな意味ではEC諸国あたりの横車だ、こういうふうにも考えますけれども、しかしながら、この問題が造船問題以外のいろいろな問題にも波及してくる心配もあるので、そういう立場から運輸省がここで約束されたということは、それはそれなりに理解をします。しかしながら、ただEC諸国とわが国だけがこういうふうな話し合いをしても、台湾だとか韓国だとかあるいはブラジル、こういう第三国はだんだんのし上がってきておるわけです。そういう意味で、いまのシェアの問題にしたって、五〇、五〇の均等配分をしようと言ってみたって、従来はやはり日本も五〇%ぐらいで、むしろ欧州諸国も四〇%、第三国一〇%、だから向こうの減った分は第三国の方のシェアがふえていっておるということもあるわけですから、そういう意味で、われわれもいろいろな問題を考えながら取り組んでおるわけですが、われわれが言いたいのは、いわゆるシェアの問題だけを考えるけれども、それでは現実に手持ち工事量はどうなっておるのだ、特にEC諸国あたりの手持ち工事量は幾らなのか、また、わが国のいまの造船業界の手持ち工事量は幾らなのか、その点いかがでしょうか。
  88. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 先生御指摘のことがございまして、たとえば昨年末現在の手持ち工事量を見ますと、英国は二百八十万トンぐらいでございます。それからフランスが三百万トン、西独は二百四十万トン、日本は千五百三十万トンということでございまして、先生の御指摘は、要するにそれぞれの生産量に比して日本側がつらいではないかということでございます。その限りにおきましては、英国、フランス等は二年以上でございますので、西独、日本が一年ちょっとということで御指摘のとおりでございます。ただ、昨年の新規受注だけを見ますと、英国は三十六万トン、フランスが十一万トン、西独が二十七万トン、日本はキャンセルはありましたが、かなりの量をとっておるということで、要するにヨーロッパ側の心配は、力がなくて新規受注がとれないので、これから先どうなるだろうかという不安が、彼らの一番大きな問題としているところだろうと思います。
  89. 小宮武喜

    小宮分科員 日本が昨年の上期、下期に受注が集中したというのは、何も新規受注だけでなくて、いままでの既存の契約船のキャンセルの見返りとしての分も含まれておるわけですから、向こうのEC諸国が批判をするのは必ずしも当たっておらない、こういうふうに考えますが、まだいろいろ質問がいっぱいあるので、この問題は、ちょっと時間がございませんから先に進みますけれども、いずれ運輸委員会あたりでまたゆっくりやりたいと思います。  もう一つ、そういうただ消極的な対策だけではなくて、やはり今後いかにしたら仕事量をふやしていくかということを考えた場合に、特にわれわれが着目しておるのはいわゆるLNG船の問題ですが、これは今度の予算を見ましても、調査費として一億六千二百三十万円が計上されておるわけですが、世界じゅうですでに二十七隻も就航しておるけれども、その中に日本籍あるいは日本で建造されたLNG船は一隻もないわけですね。その原因は日本の造船界にも確かにあります。しかしながら、それを言ってみても仕方がないんで、やはり今後少しでも造船界の仕事量をふやしていくということを考えた場合、このLNG船の今後の需要見通しについてはどのように考えておられるのかお聞きします。
  90. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 五十一年度と五十二年度とLNG船の調査をやっておるわけでございます。今後の見通しでございますが、たまたまいま仕事をやっているさなかでございますのが一点と、もう一つ、現在エネルギー全般の見通しが変わるあるいは変わろうかという時期でございまして、今後どのくらい日本にクリーンエネルギーでありますLNGが要るかということにかかってくるわけでございますが、現在たまたまエネルギー需要の見直しの時期でもございますので、数字をもってお答えはできませんが、ただ先生御指摘のように、現在三十三隻世界で就航しておりますが、その中に日本の船はない、あるいは日本でつくった船はないということで、私ども今後LNGが全体のエネルギーの中での重要な役割りを占めるということを考えまして、現在の調査を早く終えて、その上に立って海運局とも相談をしながらLNG船が国内で建造できるような体制に向かって努力したい、こう考えております。
  91. 小宮武喜

    小宮分科員 時間がないのでいろいろやりとりができませんので、先へ進ませてもらいます。  特に、今度の政府の五十二年度の予算案を拝見しましても、下請企業対策としていわゆる船舶解体業の助成として一億四千六百二十五万円が計上されているわけですけれども、この船舶解体事業考えてみますと、ただ造船不況対策ということだけではなくて、エネルギー源の大部分を海外に依存しておるという立場から見た場合に、わが国にとっても省資源、資源リサイクル対策としても解体業を積極的に推進すべきではないか、こういうふうに思います。しかし、今回の予算を見ても、まあ確かに運輸省は非常に努力をしていただいたので感謝をしておるのですが、残念ながら、当初の解体事業を百二十万トンやろう、あるいはそのための資金も百六十一億用意しようということが、大蔵省の厚い壁に阻まれて、結果的には五組合、それで一組合あて一万五千トンクラスの船の三杯の解体ということで、われわれも非常に期待外れをしたわけでございますが、そういう立場で、この解体事業というのは、今後造船界が不況になればなるほど新規受注が案外見込まれないという場合に、この問題は、ただ下請対策事業としてだけではなくて、本工も含めてこの問題に本当に取り組むべきだ、私はそう考えるのです。そういう意味から、市場に出てくる解体舶だけでも毎年一千万トンとかあるいは一千二百万トン出てくるという問題もありますので、この問題については、今回は予算が大体組まれておるわけですからやむを得ないとしても、今後五十三年度以降の予算編成に当たっては、少し大臣も力を入れてもらって、やはり問題は大蔵省ですから、大蔵省あたりでひとつ積極的に取り組んでもらってこの解体助成事業というのをどんどん進めなければならないというふうに考えるのです。そういう考え方を積極的に進めるべきであると考えますが、大臣も私の意見に恐らく反対はないだろうと思いますが、その決意についてひとつお答え願いたい。
  92. 田村元

    田村国務大臣 本年は初年度でございますから、いろいろと様子を見ようということもあったと思います。私はこの解体事業というのに非常に関心を持っておりまして、たとえばこの際思い切って海上保安庁の古い船も渡したらどうだ、それから自衛隊にもお願いをしよう、そういうふうにこの問題では私は躍起になっておるのです。こういう席で私事にわたることを申し上げて恐縮ですが、実は私は戦時中香焼におりました。川南造船所で働き、あなたの地元の長崎造船大学の前身を私は出ておるのです。それだけに造船問題については人ごとでないわけです。さような次第でございますから、一生懸命にこの問題と取り組みたい。  大蔵省を大いに叱咤勉励しろというお話です。大いに叱咤勉励いたします。問題は、いかに助成といったって、一般会計から金を持ってきたって特別会計から持ってきたってたかは知れていると思うのですね。やはり金融という面をうんと重視しなければならぬ、そのようにも思います。いずれにいたしましても、造船業界の不況、とりわけ子会社といいますか、下請関連企業の苦しみというものははだに感じておりますので、私なりに大いなる努力をいたしたい、このように考えております。
  93. 小宮武喜

    小宮分科員 大臣がそういう関係のある方であればなおさら心強いわけですが、御承知のように造船産業は、いままでは造船、自動車、鉄鋼というのは輸出産業の花形でありまして、外貨獲得に大いに貢献して日本の経済を支えてきた実績はだれもが否定できないわけです。だから、そういう立場に立った場合に、造船産業不況という今日の事態においては、国も造船産業の育成問題、あるいはそこに働く従業員の雇用の安定の問題、あるいは救済措置については、積極的に取り組んでもらいたい。  最後に、時間が来たようですから、私がただ一言言いたいのは、今回はたとえば一組合三隻となっておりますね。しかし、これで通年雇用ができるのかどうかということです。一隻百人かかるか百二十人かかるか別として、通年雇用が三隻でできるかどうかの問題です。せっかくやるなら、一杯解体が終わった、次にまた切れたということでは困るので、少なくとも通年雇用ができるように解体事業量の枠を拡大する、はっきり言えば、三隻というのを五杯にするか六杯にするか、その点は計算してどうなるか知りませんが。もう一つは五組合と言うけれども、これはなるほど協業組合をつくって受けざらをつくる、それに対して親会社が保証をするという問題もあるので、その意味での採算性の問題もあろうし、そういう意味で親企業の方もある程度逡巡しておるという問題もありますから、運輸省の方はいろいろ指導されて、できるだけそういった下請企業あたりのこういうような問題を解決するように、親企業あたりにも行政指導してもらうと同時に、やはりそれに対する助成の問題、あるいは五組合ということに限定せずに、やはり受けざらが整ったところは、たとえば年度内であってもこれを六組合にふやそうという場合もあろうし、七組合にふやしてもらいたいときもあろうし、そういうようなものをただ五組合、それも三隻というふうに固定せずに、あくまでそこに働く人たちの雇用、通年雇用をしていくために、実際は三杯で足らぬ場合は四杯、あるいは四杯でなければ五杯とか、そういうこともやはり弾力性を持って取り組んでもらいたい。いずれにしても、運輸省が頼りだから、そういうような意味では、国内の国が所有しておるそういった船を安く払い下げるとか、いろいろな問題についても格段の御協力また御努力をお願いしたい、こういうふうに考えますので、ひとつこれは局長さんから答弁していただいて、最後の締めくくりを大臣から御答弁を願います。
  94. 謝敷宗登

    ○謝敷政府委員 今回五十二年度予算原案でお願いしておりますのは技術改善のための助成費でございます。  それで、先生おっしゃる通年の問題につきましては、金融としては商工中金から三隻に限らないで出していただくという話をいま進めております。  そういうことで、私どもとしましても、親企業の協力を指導しながら、何とか下請事業者がこの新しい分野で定着できるように努力をしていきたいと思います。
  95. 田村元

    田村国務大臣 世間でよく俗に言われておりますお役所仕事、そういうことのないように、いま造船問題は追い詰められておりますから、大いに私からも声を大にして、部下に対しあるいは関係筋に対して、指導あるいは御協力をお願いするというふうにいたしたいと思います。
  96. 小宮武喜

    小宮分科員 これで終わります。
  97. 住栄作

    ○住主査代理 これにて小宮武喜君の質疑は終了しました。  次に、飯田忠雄君。
  98. 飯田忠雄

    飯田分科員 私は陸上、航空両面にわたりましての安全対策関連してお伺いいたしたいと思います。  まず、細かいことからお尋ねいたしますが、警察庁の所掌に交通の取り締まりというのがございます。道路交通法によりますと、適性検査の規定がございますが、この適性検査というのは取り締まりの中に入るのでしょうか、入らないのでしょうか、まずこの点をひとつお聞きいたします。  それから次に、運輸省設置法によりますと、自動車事故対策センター法というのがございますが、この自動車事故対策センターの監督は運輸省の所管ということになっておりますが、その法律の中に適性診断に関する規定がございます。それで、道路交通法に言う適性検査と自動車事故対策センター法に言う適性診断というものはどう違うのか、あるいは同じものなのか、この点。  それから次に、この取り締まり機関が検査をやるということがもしあるとすると、それはどういうところから出てくるのか、こういう問題。これについてお伺いします。所掌のお方で結構でございます。
  99. 八島幸彦

    ○八島説明員 お答え申し上げます。  現在道交法では、精神病者その他特定の病気、てんかん等の病気をお持ちの方は運転免許を受けられないことになっております。したがいまして、免許試験のときにそういう者であることがはっきりしておりますれば、当然免許試験に合格しないというわけでございますが、ただ、運転免許を受けた後にも先生御指摘のような精神病が発病するというようなこともございます。また、一方道交法では、そういう病気にかかった疑いがある人につきましては、公安委員会が臨時に適性検査を行うことができる、こういうことになっております。したがいまして、その適性検査の結果そういう病気がはっきりしますれば、必要的に免許を取り消す、こういうふうになっております。
  100. 中村四郎

    中村(四)政府委員 自動車事故対策センターにつきましては運輸省の方で監督いたしておりまして、自動車事故対策センターにおきまして行っておるところの適性診断は、心理学的あるいは医学的方法によって運転者の特性を把握いたします。そういたしまして、安全運行の確保のための助言、指導を行っていくということが仕事に相なっておるわけでございまして、運転免許の資格付与とは関係ございませんで、運転免許を取得した者が運転に従事する場合に、ただいま申し上げましたような趣旨で助言、指導を行っていくというのが任務に相なっております。
  101. 飯田忠雄

    飯田分科員 適性検査それから適性診断、その違いはどういうものかということをお伺いしたわけです。その内容です。実際にやること、言葉じゃなくて、やる内容です。
  102. 中村四郎

    中村(四)政府委員 自動車事故対策センターの方でやっております適性診断といたしましては、現在は診断内容といたしましては、ペーパーテスト、処置判断測定器、速度見越し反応測定器などの機器を用いまして一般診断を行っております。  一般診断は四つの項目に分かれておりますが、さらに個別診断というのがございまして、脳波テスト等の個別診断をあわせて行っておりまして……
  103. 飯田忠雄

    飯田分科員 ちょっと私の質問の趣旨がおわかりになってないようですが、つまり道路交通法に言う適性検査の内容と自動車事故対策センター法に言う適性診断の内容とどう違うのかという問題です。
  104. 八島幸彦

    ○八島説明員 道交法上の適性検査でございますが、現在適性検査の中身としましては、先ほど来先生のおっしゃいますような精神病の問題がございますが、そのほかにも視力だとか聴力あるいは運動能力その他の身体的な適性についてそれぞれ検査を行うこととされております。
  105. 飯田忠雄

    飯田分科員 行政組織法の第二条によりますと、行政官庁は所掌事務を明確に分けていなければならぬとなっております。いまお話を承っておりますと、適性検査と適性診断の内容がどうも区別がつかないように思います。この問題をいまここで議論しておりますと、時間がありませんので、これは御研究願いたいと思います。  それで次に移りますが、臨時適性検査による免許欠格者、それから免許試験のときにおける欠格者、これはどういうふうなものが該当条件になっておりますか。
  106. 八島幸彦

    ○八島説明員 免許試験で通常適性関係におきまして不合格になる人は、視力とか聴力とかそういうことを含めますと相当数に上るのでございますが、御指摘の精神病あるいはてんかんその他のアルコール等の中毒者等に限って申し上げますと、五十一年中には試験のときにそういう人が発見されまして不合格となった者が三十人でございます。そのほかに、免許を受けた人について臨時適性検査を行いまして、この種の該当者として免許を取り消しました者が昨年一年間に三百八十九名います。
  107. 飯田忠雄

    飯田分科員 免許を与えるときには余り欠格者が発見されておらないようですね。途中で臨時検査をやったら発見される。道路交通法の規定によりますと、欠格者には免許を与えてはいかぬ、こうなっていまね。ところが、実際には欠格者にどんどん免許が与えられておる、途中で一部の人が発見されておるという状況です。こういうようなやり方で、現在の交通事故、ことにいままで発生しております精神病者とかてんかん病者とかあるいは精神薄弱者その他の事故は相当ございますが、こういうものが防げるかどうかという問題です。この点どうでしょう。
  108. 八島幸彦

    ○八島説明員 御指摘のとおり、精神病者等が車を運転しますことは大変危険でございまして、これは他人に危害を加えるということだけではございませんで、運転をされる方御自身の危険も十分考えられるわけでございます。したがいまして、こういう方々を免許時にできるだけ発見いたしまして排除するのがたてまえでございますが、先ほど私が申し上げましたその三十名でございますけれども、受験をします人であらかじめ自分がそういう免許を受ける資格がないというふうに御理解いただいている方等は試験を受けに来ないことも考えられますし、そうは申しましても確実にすべて発見、排除ができているかということでは、いま先生御指摘のとおりの実態にあると思います。  ただ御理解いただきたいと思いますことは、現在受験者は年間大体六百万から七、八百万ぐらいおりますが、こういうすべてに免許欠格についての診断を確認できる程度に検査をやるということになりますと、大変な時間がかかるようでございまして、実際上は、そういうことで試験場等で警察職員が接触しました場合に、何らかの疑いがあるという人を適性検査をしまして排除している、こういうのが実態でございます。したがいまして、そういうことから必ずしも十分ではございませんけれども、私どもで最善の努力をした結果が試験時の三十名、こういう数字になっておるわけでございます。
  109. 飯田忠雄

    飯田分科員 どうもお話を承っておりますと、おざなりな御答弁のような気がしてしようがないのです。現実にいろいろな事故が発生しておるし、先般のバンザイ事件なんというものもございます。そうした異常な人たちが野放しになっておるということ自体がこれは問題で、要は人命尊重という精神につながるかどうかという問題だと思います。時間がないとか金がかかるといったようなことはもう言いわけにならない。とにかく免許証を与えるときにもっと的確に欠格者を排除する対策がとられませんと、これは大変なことだと思います。これを今日まで放置しておかれた原因は、所掌事項が明確でないからか、あるいは金がないからか、一体どっちなんでしょうか。
  110. 八島幸彦

    ○八島説明員 先ほど私申し上げましたことが正確でございませんでしたが、受験者を正確に、ことに精神病等は多分に人権にもかかわる問題でございますので、慎重に診断する必要がございます。そして間違いなくそういう病気にかかっているというその確認をする程度に診断をするということになりますと、かなりの時間が必要であることは事実でございます。したがいまして、すべての方にそういう診断をやることは実際問題としてはなかなか困難な面があるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  111. 飯田忠雄

    飯田分科員 時間がありませんので次に移ります。  交通医学研究財団の永富公太郎という人がおられます。この人が、昭和四十七年以来最近までの間に二万四千名の自動車運転従事者を対象として脳波の集団検診をした。その結果〇・四%が運転に特に危険な疾患者である、こういうふうに報告しております。二万四千人のうち九十六人ぐらい何だというふうにお考えになるかもしれませんが、この九十六人が大変な凶器になるわけです。現に、こうした脳波の検査によって事前に発見できる方法があるということが証明されておりますのに、こういうものをなぜ採用なさらないのか。臨時適性検査ばかりではなしに、免許時における検査も、特に自動車業を行う運転手には少なくともこういう検査をやることが必要じゃないでしょうか、この点どうでしょうか。
  112. 八島幸彦

    ○八島説明員 先生御指摘の永富先生の研究開発されたそういうものがあるということも私ども承知してございます。そういうことで、いろいろ採用できるものがございますれば、私どもとしてもそういうものを取り入れることはやぶさかではございません。  ただ、その問題に限って申しますと、まだ医学界の中でも完全に意見が合致していないやにも承っておりますし、それからその検査方法についても、やや大量に検診をやるについてはなおもう少し改善を図らなければ、実際採用できるかどうか問題があるようにも承っているのが現状でございます。
  113. 飯田忠雄

    飯田分科員 これは研究をしてからゆっくりだとか、あるいはほかの方法を考えるといったような問題ではなくて、現にこうした方法で欠格者が発見できるということが事実なんですから、そのことを率直に取り上げて実施するということがどうしてできないのかとは思います。予算の点でできないということであれば、こうした人命に関する問題については予算の面でも慎重に考慮されなければならぬと思います。いままでのような投げやりな、あるいはその場限りの態度は改めていただかなければならぬ、こう思います。この点、きょうは国家公安委員長がおいでにならぬのでやむを得ませんが、どうかひとつ御考慮願います。  時間の関係で、次に航空関係の問題に入りたいと思います。  先般の一月十三日のアンカレジ空港における日本航空のJA八〇五四機の事故につきまして、航空局長から各航空会社あての通達がなされております。この後始末はどうなっているのでしょうか、御説明願います。
  114. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在、航空法の規定によりまして、航空機の乗員は乗務前に飲酒をすることを厳禁されておりますのに、先日事故を起こしました機長の遺体を解剖したところ、多量のアルコール分が検出されたという事実が判明いたしたものですから、この墜落事故の終局的な原因が何であるかということの分析を待たずに、私どもは、飲酒をしたということだけをとらえまして、直ちに航空会社に対して、ただいま先生御指摘のような各種の注意をしたわけでございます。これによりまして、わが国の定期航空三社は直ちに対応いたしまして、各社で持っております運航規程の改正をいたしました。たとえばアルコール飲料につきましては、従来乗務前十二時間としておりましたのを、十二時間よりもっと前でもそのことが乗務に支障を与えるおそれがある場合には飲んじゃいかぬというふうにするとか、あるいはアルコールを検知する器械を要所要所に備えることにするとか、さらには運航管理者の責任を強化いたしまして、機長あるいは機長を含む乗務員の乗務前の健康あるいは心身の状況をチェックする体制をつくるというふうなことをただいま実施を始めたわけでございます。
  115. 飯田忠雄

    飯田分科員 先般の事故におきまして外人パイロットがクローズアップされております。いままでわが国に起きました新聞をにぎわすような大きな事件では、多くの場合外人パイロットが関与しておりますが、この外人パイロットに関する現状はどうなっておるでしょうか。また、こうした外人に対してどの程度の指導、監督がなされておりますか、お伺いします。
  116. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 従来起こりました重大事故と外人乗務員との関係については、私ども必ずしも相当因果関係があるとは考えておりませんけれども、日本の戦後の航空発祥以来、外人機長に頼らなければならなかったという時代もございます。しかしながら、その後わが国の乗員養成体制も充実してまいりまして、なるべく早く外人機長を日本人機長にかえなきゃならないということになってまいっております。現在、日本航空の機長の全部の数は五百四十人ほどでございますが、そのうち外人機長が百十八名いるわけでございます。これらにつきましては、できるだけ早く日本人機長に切りかえるということにしておりますけれども、御承知のように日本航空はDC8から一足飛びにB747というジャンボに飛んだものですから、DC8の機長の経験だけではすぐジャンボの機長になれないということもありまして、その養成に手間取っておりますが、鋭意努力をいたしまして、当初では五十九年度ごろまでかかるという予定でございましたのを、私どもは少なくとも二年は縮めるということを指導いたしまして、現在日本航空におきましても、鋭意その努力をしている最中でございます。
  117. 飯田忠雄

    飯田分科員 現在の航空乗組員の養成機関として航空大学校というのがあることを存じております。それからまた、運輸省の設置法によりますと海員学校の規定もございますが、こうした学校は、前後の規定の関係から見まして、運輸省の職員の研修機関ではないように思います。ところで、文部省所管の学校としないで運輸省の付属機関としたその理由はどこにございましょうか。
  118. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 航空大学校につきましては、航空機の運航ということに関するきわめて専門的な学科と技能を教授するという点を主眼にいたしたものでございますから、一般教養とそういった専門学科とをあわせ教育するという文部省の一般の学校教育法による学校とは違った色彩のものとして、運輸省の付属機関といたしまして設置しておるわけでございます。
  119. 飯田忠雄

    飯田分科員 そうしますと、そこで教育をしておる内容は、これは一般の人を対象ではなくて何か運輸省に関係のある人を教育する、こういう意味ですか。
  120. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 わが国の軍事でないいわゆる民間航空の乗員を養成するための養成機関でございます。
  121. 飯田忠雄

    飯田分科員 民間の航空要員といいますと、たとえばお医者さんの養成ならば医者の学校がございます。その他いろいろの特殊のものでも皆文部省系の学校なんですが、ことに商船大学なんというのは運輸省から文部省に変わりました。そういうような観点からいきますと、運輸省の付属機関としてこの航空大学校が置かれた意味がほかにあるんじゃないでしょうか。たとえば航空乗員を何とかして確保したいという考え方からではないかどうか、どうです。この点は。
  122. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 それはお説のとおりでございます。これは一つは、航空機の乗員というきわめて専門的な技能を有する者について、戦前から逓信省に養成所があったことを私ども聞いておりますけれども、そういったこともありますが、少なくとも現在の航空大学校が運輸省に付属されて設置されております理由は、先生お示しのように、やはり航空機の乗員を早急に養成する必要があるということに基づいて設置されたことが非常に強い色彩を持っておると思います。
  123. 飯田忠雄

    飯田分科員 航空大学校における最近の卒業生の売れ行きが非常に悪いということが新聞に載っていました。ことに、せっかくここで教育した人が民間の全然関係のないところへ就職しているということなんですが、そうなりますと、航空大学校を運輸省の付属機関として設けたその趣旨に反する結果を生じておると思われますが、この点どうですか。
  124. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現象的には御指摘のとおりでございます。これは率直に申し上げますと、昭和四十五、六年ごろまでのわが国におけるいわゆる高度経済成長政策のもとで、当然航空機の乗員の不足がはなはだしくなるということがございまして、当時は、日本の航空の発展を阻害する要因は飛行場ではなくてむしろ航空要員であるというふうな時代でございました。そういった要請にこたえまして航空大学校の拡充をしてまいったわけでございますけれども、その後、石油ショックを中心にいたしまして、国際的、国内的に航空輸送需要が停滞をしております。そういった中で、先生もお示しのように、航空大学校の卒業生の中で希望どおり定期航空会社に就職できる人が非常に少なくなっております。これは大変残念なことでございまして、私たちも航空各社を督励いたしまして、何とかこれを採るように要請していますけれども、現在すでに各社に余剰人員を抱えている現状で、なかなか限界もございますので、定期航空三社以外のいわゆる主要事業社なんかにもあっせんをいたしまして、さらに、これは航空と直接関係がありませんけれども、電子機器等を扱う会社でありますれば航空大学校で修得した科目が役立つであろうというふうなことから、そういったものの就職努力もいたしておりますが、しかし、パイロットになるために入ってきた卒業生のかなりの部分が航空と全く関係ないところに行かざるを得ないということは大変残念なことでございます。ただ、それでは航空大学校をなくしてしまっていいか、こう考えますと、現在の要員の過剰状況というものは五十四年ぐらいから解消し始める、そして昭和六十年時点ぐらいになりますと、かなりの不足が予想されるという計算もありますので、私どもはここ二、三年若干募集人員を減らしまして、現在忍んでいるわけでございます。
  125. 飯田忠雄

    飯田分科員 せっかく航空大学校をおつくりになって運輸省の付属機関ともなったのですから、もう少し考えられて、何とか航空要員を確保する道がないかという問題ですが、私は予備員制度をつくったらどうかということを考えます。海員には予備員制度がございます。航空にはないようでございますね。予備員制度をつくりまして、予備員をプールしまして、そこで遊ばせておくのじゃなくて訓練をやる。航空の技術というものは遊んでおったのではだめになると思いますので、訓練をやりながら要員を確保していく、これは大した人数じゃありませんので。こういう点についてお考えはないかどうかお伺いします。これは航空局長並びに運輸大臣にもお伺いいたしたい。
  126. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 予備員制度は、海員にはありまして航空にはないわけでございますけれども、それはいわゆる船員法で規定されているああいった予備員制度がないということでございまして、実質的には、たとえば現在各社に訓練生という形で予備員のような形で滞留しているパイロットの卵がいるわけでございまして、乗れる飛行機が出てき次第いつでも使える、乗務できるような形で訓練をしながら雇用している。これが五百人ほどいるわけでございますので、実質的には予備員制度のようなものになっているかと考えております。
  127. 飯田忠雄

    飯田分科員 ちょっと運輸大臣にお尋ねする前に、運輸大臣にはもっと大きな立場からお答え願いたいと思いまして、ちょっと口をはさんだわけです。予備員制度の問題を私が申し上げましたのは、こういうことを根本的に考えていかれる心があるかどうかということをお尋ねしたわけです。  それから運輸大臣、航空の安全、保安体制、こういうものにつきまして、大変重要な問題でありますので、ぜひ運輸大臣の基本的なお考えを承りたいと思います。
  128. 田村元

    田村国務大臣 予備員制度につきましては、私まだ余りその面で知識を持っておりませんので、航空局長はああいう答弁をいたしましたが、私なりに一遍検討してみたい、このように思います。  それから航空安全の問題でございますが、これは何と言ってもたくさんの人命に関する問題でございますから、厳しい上にも厳しくしていいのじゃないか。実は先般、私が言い出しっぺなんでありますが、アンカレジの事故があったときに、朝田社長に私が直ちに申しましたことは、自動車でも飲酒検査を道でしょっちゅうやられるのに、航空会社が乗機直前のチェックができない、チェックをしない、おかしいじゃありませんか、どういう方法がいいかは別問題として、たとえて言えば、風船をふくらます方法だってあるわけで、そのくらいのことはなさったっていいじゃありませんかと申しました。それを受けて航空局長から厳しい通達が行ったわけであります。ところが、私も新聞を読んだ程度の知識でございますけれども、操縦士の組合か何かがあって、人権に関することであると言って、えらいおしかりを受けたようでございます。私自身はまだおしかりを受けておりませんが、だからといって、人権といってもいろいろな人権があるわけでございますが、私はちょっとした人権より人命の方が大切だと思うのです。特にジャンボがもし一機落ちたらどうなるかということなんです。人間一個の命が地球全体よりも重いとまで言われておる今日の時代に、航空問題については何をおいても安全対策というものをまず最重点に考えるべきである、私はこのように考えておりますので、これからも航空安全につきましては、一部の方々から仮に批判を受けても、多くの人命を守るためにがんばりたい、このように考えております。
  129. 飯田忠雄

    飯田分科員 どうもありがとうございました。
  130. 住栄作

    ○住主査代理 これにて飯田忠雄君の質疑は終了いたしました。  この際、午後二時三十分まで休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  131. 住栄作

    ○住主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。只松祐治君。
  132. 只松祐治

    ○只松分科員 高度経済がいろいろなひずみを引き起こして、現在後遺症を残しておりますが、そういうものの一つにいわゆる過疎と過密という問題があります。東京都の周辺のような大都市周辺では過密状態が起こり、私の住んでおる埼玉県などというのは典型的な過密状況を起こしておる。過密と言えば、当然にそこに交通問題が生じてくるわけでございます。ところが、交通問題というのは、それに対応してそんなに大きな進捗の跡がなかなか見られません。ひとつ大都市近郊における、特に埼玉を中心とした交通問題について現状を御説明いただきたい。
  133. 住田正二

    住田政府委員 大都市交通の主体というのは高速鉄道とバスの二つがあろうかと思います。四十七年の都市交通審議会の答申にも、今後高速鉄道とバスの組み合わせで大都市交通網を整備すべきであるということを指摘いたしているわけでございます。それを受けまして、運輸省といたしましても高速鉄道あるいは私鉄の複々線化等の工事を進めておりますし、またバス網も、それとの関連におきましてバス網の整備について努力をいたしてきているところでございます。
  134. 只松祐治

    ○只松分科員 きわめて抽象的なお答えです。端的には、これは埼玉東北、京浜東北その他、後でデータを示しますが、乗ってみれば一番わかるのです。人間だから押し合いへし合いしてがまんして乗っておりますが、犬やネコか豚なら、これはもうキャンキャン、ギャーギャー、ブーブー言って大げんかを起こしたり、死傷、人間じゃないから者じゃないけれども、死傷の方がいっぱい出ていると思うのです。乗ってみればわかりますよ。大変な状況です。そういう中で、神奈川など南の方はわりと交通網が、整備されたとまで言ってはなんですが、できておりますが、埼玉を初め北の方に向けては交通網が立ちおくれていることは事実なんです。かつて埼玉県は二百万ないし二百五十万程度であった。現在は五百万を突破いたしております。二百五十万前後のときから今日に至る間にどの程度国鉄あるいは私鉄、そういうものが拡充整備されたか、具体的にお答えをいただきたい。
  135. 住田正二

    住田政府委員 いま手元に具体的な数字は持っておりませんが、国鉄といたしましても、大都市交通につきまして五方面作戦ということで国鉄の輸送力を強化いたしております。  埼玉県の問題につきましては、一つは、いま国鉄の方から御提案をいたしておりますのは、新幹線と一緒に通勤新線をつくったらどうかということを御提案して、埼玉県の方といろいろお話をいたしている状況でございます。そのほか、東上線につきましてもあるいは西武線につきましても、埼玉県内の輸送量は、輸送力から見まして埼玉県内部の方を強化する必要はございませんけれども、埼玉県の方から東京都に入ってまいりますとかなり輸送力が逼迫いたしておりますので、複複線化あるいは地下鉄との相互乗り入れ、そういう工事を現在進めております。
  136. 只松祐治

    ○只松分科員 そのくらいのことは聞かぬでも私は知っているのですよ。データを教えますがね。具体的に、二百万なり二百五十万の人口のときからどこの線をこういうふうに新設をした、ここはこうこうこういうふうに複々線にした、したがって、たとえば現在百万人ともいわれておる東京通勤着、これはこういうふうに緩和をいたしております。あるいは今後こういうふうな展望がありますからこういうふうに順次御迷惑をかけなくいたします。こういうのがあなたの答弁だよ。あなたが言っているようなことは聞かなくたって百も承知です。そんなものは答弁にならない。
  137. 住田正二

    住田政府委員 いま申し上げたとおりでございます。具体的にどこの線ができたというところまでは至っておりませんけれども、通勤新線の建設であるとかあるいは現在工事を進めております西武線の複々線化あるいは東上線の複々線化、これらの工事は現在やっているわけでございまして、いろいろ問題があって十分進捗はいたしておりませんけれども、いま地元の反対等をいろいろ調整しながら現在工事を進めておるという現状でございます。
  138. 只松祐治

    ○只松分科員 たとえばちょっと問題をそらして、道路というのは高度経済の波及効果が大きいということで大宮バイパス、鳩ヶ谷バイパス——環八はまだできておりませんが、ある程度北に向かってもできつつあるわけですね。それができつつあることは言えるわけです。しかし、いわゆる軌道というのは土地を買収して通勤着を運ぶだけですから、そういう産業への波及効果が余りない、こういうことで新線というものはほとんどないわけです。たまたまあなたが口を滑らした新幹線に並設する通勤線というのは、私は新幹線埼玉側の対策委員長だから、じゃそのことだけ論戦したって幾らだってやりますよ。いいですか。しかし、きょうはそういう全般のことや新幹線について質問しようと思っておらないし、論戦しようと思っておらないので、ただいわゆる通勤線を中心とした問題について御意見を伺い、私の方の意見を述べていこう、こういうふうに思っておるわけなんです。だから、主としてその通勤線に対して国鉄当局がどういう熱意を持っておるか。現在までやってきたか。今後具体的にどういうふうにやっていくか。こういうことを少し具体的にお答えになったらどうです。
  139. 住田正二

    住田政府委員 御承知のように、国鉄の京浜東北線一本しかないわけで、したがって東北線、上越線から来た列車がそこで一本になってしまうということで非常に間隔が短くなる。そういう意味でもう一本通勤専用の線が要るということで、通勤新線を現在計画いたしているわけでございます。  国鉄の輸送力面からの問題の解決策としては、いま申し上げましたような大宮以南の輸送力を強化する以外に方法はないという現状でございます。このほか埼玉県の方には東武線が行っております。あるいは西武線の池袋線あるいは新宿線というものが埼玉県の中に入っています。埼玉県の中での輸送量というのはまだ余裕があると思いますけれども、しかし東京都内に入ってまいりますと輸送力が逼迫いたします。そういう面から、先ほど来申し上げておりますように西武線の複々線化あるいは東上線の複々線化、それと地下鉄との相互乗り入れというものを計画して工事を進めているわけでございます。
  140. 只松祐治

    ○只松分科員 ちょっと聞きますが、埼玉県内は輸送に余力がある、そう言ったのですか。間違いないですか。
  141. 住田正二

    住田政府委員 いま申し上げましたのは、東上線であるとかあるいは西武線で埼玉県内を走っている区間があるわけでございますが、そういう面には余力があるというように見ております。
  142. 只松祐治

    ○只松分科員 見せてもいいけれども、あなたはそんなことを言っているが、十年前の昭和四十一年、東北線は一時間当たり一万五百六十人、いまが一万四千八百五十人。輸送力は、実際上輸送しているのが四十一年で二万二千五百五十六人、いまは三万五千二百人、いわゆる倍数にして二・三七倍です。これで輸送余力があるのですか。高崎線が二・四〇倍、京浜東北線は一・八六倍。しかもどの程度電車が走っているかというと、京浜東北線で二・七二分に一本走っているのです。これで余力があるというのですか。これで余力があるとすれば、まだ私は言いませんが、私は近郊都市の問題を質問すると通告してあるのだから、今度は私鉄の方はどのくらいの輸送力があって、何分に一本走っているか言ってごらんなさい。
  143. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、国鉄については上越線と東北線が一本になりますから輸送余力がない。そういうことで、新しい通勤新線が要るのじゃないかということを考えておるわけでございます。  先ほど申し上げました余力があるというのは、東武東上線の場合あるいは西武池袋線の場合を申し上げているわけでございまして、たとえば東武線で一番混んでおります埼玉県の区間は、これは東上線の支線の越生線という線がありますが、そこで一番混んでおりますのは一本松−坂戸間の混雑率で一三七%程度でございます。また、西武池袋線の場合に一番混んでおりますのは狭山ケ丘−小手指の間でございますが、これが一六〇%、それから西武新暦線では入曽−新所沢間の一三九%ということで、まだ電車を増発する余裕があるというように見ているわけでございます。
  144. 只松祐治

    ○只松分科員 あなたの方はどこでどういうように調べたのか。埼玉県で調べたのでは全然違う。伊勢崎線では乗車効率が二〇一、東上線では二二〇、西武池袋線では二二二、新宿線では二一五、あなたが言っているのと県で調べたのとは全然違いますよ。一〇〇近く違いますよ。それはすいているところを調べれば、田舎の方の乗っていないところ、始発あたり見ればすいているのはあたりまえだ。しかし、一番混んでいるところはどこかというと、混んでいるところはこういう効率が出ているのです。これは県の調査だから、県だってインチキはしておりませんよ。どうしてこんなに大きな違いがあるのですか。
  145. 住田正二

    住田政府委員 いま私が申し上げましたのは、埼玉県内部における一番混んでいるところの混雑率を申し上げたわけです。いま先生からお話のありましたのは、東京都内に入った路線全般の混雑率の数字ではないかと思います。そういう点から言いまして、先ほど申し上げましたように東京の方の根元の区間が混んでいるということで、そういう路線について複々線化をやり、あるいは新たに地下鉄とドッキングをして相互乗り入れをやるということで、そういう区間の混雑率の低下を図っているわけでございます。埼玉県の中では、まだ電車を増発する余裕があるというように見ているわけでございます。
  146. 只松祐治

    ○只松分科員 埼玉県の人は東京に来ているわけですよ。この中にもそういう人は相当おいでになると思う。埼玉から勤めている人は、途中で下車する人は少ないのですよ。埼玉県の人は、いまほとんどが東京に来ている。これが八十万とも百万ともあるいは百二十万とも言われているけれども、自動車で行っている人やらいてなかなか全部調査はできないわけです。しかし電車に乗ってみればわかるように、途中でおりる人はないわけです。あるいは赤羽駅で多少乗りかえる人があるけれども、全部が東京に通勤で来ているわけですよ。ですから途中のすいているところを調べるのと、東京の近くに来て——東京に来るのだったら、東京の近くのものを調べるのはあたりまえじゃないですか。途中のすいているところを調べておいてそれですいているなんて、あなたそんなことを言っているのでは行政の指導能力がないよ。目的地まで来るのにそれがどの程度混んでいるかということが、事務当局なり何なりの問題だろう。あなた、そんなでたらめな答弁しなさんな。どうも初めからあなたの答弁は抽象的であったり、私は運輸関係は初めてだけれども、そんな答弁で終始しているのですか。大蔵委員会あたりでは、そんなごまかしと言っては何だけれども、結論の出ない答弁なんというものは認められやしないよ。東京に来るのだから、東京に来るときの乗車効率が幾らかということが基本になるのはあたりまえじゃないですか。
  147. 住田正二

    住田政府委員 先ほど埼玉県の内部の鉄道交通事情ということで埼玉県内部の方を申し上げたわけであります。もちろん東京の中に入ってまいりますと非常に混んでおりまして、混雑率が二〇〇%を超えている区間がかなりあるわけでございます。そういう点につきましては、先ほど申し上げましたように車両をふやしておりますし、また複複線化を実施したり、あるいは地下鉄の乗り入れをやって混雑率を下げるという努力をいたしておるわけでございます。
  148. 只松祐治

    ○只松分科員 大臣、いまお聞きのとおり、私がいま読みましたようにほとんどが二〇〇%を超しているのですね。乗る人にとっては大変なことですよ、一遍ごらんになるとあれですけれども。押し合いへし合いといいますか、とにかく一〇〇のところを二〇〇以上、二二〇、二三〇乗っているわけですから。人口は減る傾向にあるかといいますと、自然増と人工増と、どちらも年々ふえる傾向にあることも確実。どうしても新線をつくることが必要になってくる。いま触れられた通勤線を伴う新幹線の問題があるわけですけれども、これは埼玉県から別個の県当局案も出ております。これはきょう私が論議する問題ではないわけです。一般的な通勤問題ですが、特に埼玉をずっと地域的に見まして一番どこに問題があるかと言えば、地下鉄七号線が想定されておる川口から鳩ケ谷あるいは東浦和は陸の孤島と言われているのですね。バスが多少通っておるけれども、バスがなくなったときには全然交通機関がなくなってくる。こういう地域であって膨大な人口が住んでおるわけです。七号線はいろいろな問題で都内においてもまだ許可になっておりません。なぜなっておらないかという一つの原因は車庫の用地が赤羽のところで多少紛糾をいたしておることにあるわけですが、知事なり関係市町村においても車庫の問題等は埼玉に持ってきても自分たちは努力する、協力する、こういうことも言っておるわけなんです。これは私が行って確かめてきておるわけです。したがって、いま述べられた若干の線の都内近郊の複々線化の問題とともに、地下鉄七号線を早急にしていくという問題がこの地域における交通緩和——この京浜東北線と向こうの伊勢崎線との相当広範な距離、軌道が全然ないわけです。それについて運輸省当局はどういうお考えをお持ちであり、どういう指導をされるか、大臣からお聞きしたいと思う。
  149. 田村元

    田村国務大臣 現在地下鉄七号線については営団から目黒−桐ケ丘間の免許申請が出されておりますが、いまおっしゃったような事情住民反対運動等でらちのあかない状況下にあります。そこで、いま只松君おっしゃった東浦和と東京区内の交通、いまお話を承っておって、しかもここに地図を持っておるわけですが、地図を見てもなるほど只松君がそのように言われることも無理もないことだという感じで拝見をいたしておる次第であります。七号線は今日めどが立っていない、らちのあかない状態にあるということはともかくとして、場合によったらこれを東浦和まで持っていくことは将来を考えればそれだけの大きな意義もあるのかなという感じで地図を実は見ておるわけであります。この問題につきましてはいまおっしゃって、いますぐ私がここで一〇〇%オーケーと言うわけにもまいりますまいけれども、私なりに十分検討をして、でき得る限り浦和付近に住んでおられる方々あるいは川口の付近に住んでおられる方々の利便に供すことができればと、このようにいま考えた次第であります。いずれにいたしましても、この点については私なりにきわめて真剣に検討をいたす所存であります。
  150. 只松祐治

    ○只松分科員 それで一番問題になるのは、この場合に赤羽地域の操車場の問題なんです。反対がある。したがって操車場を、営団にそういう希望があるならば埼玉側としても十分協力する、こういうふうに市長や知事が言っておるわけです。これが協力されれば、あそこへ持ってきて地下を少し通せば、この問題は解決できるし、七号線の一番ネックになっている本問題が解決できる、こういうことになると思うのです。したがって、赤羽の地元の強い抵抗があるとするならば、埼玉側に、川一つ掘ればいいわけですから、その協力があるならばできるだけ早く持ってくる、こういう御意思はございますか。
  151. 田村元

    田村国務大臣 とにかく大都会、とりわけ東京とか大阪とかいうところで新線を建設するということになれば地元住民協力を得ることが、私のようないないかと違って絶対的な必要条件でありますから、仮に延伸するとして、埼玉県等でその周辺の住民大衆の理解を求める御努力をいただくならば、これは真剣に考えなければならぬ問題であろう、このように考えます。いずれにいたしましても、住民のコンセンサスを得るための御努力を、きょうからという意味ではありませんが、これがある程度煮詰まったとした場合に、その時点からひとつ只松君も先頭に立たれてそういうコンセンサスを得るための御努力をぜひ願いたい。いずれにしてもまだ決まったわけじゃありませんからここで大みえを切るわけにもいきませんけれども、いずれ改めてまたその時期が来たら御相談申し上げたいと思います。
  152. 只松祐治

    ○只松分科員 その時期でございますけれども、いま五十三年度までは大体地下鉄その他の許認可といいますか、一応終わっているわけですね。そうすると、五十四年度以降ということに具体的にはなるかと思うのですけれども、帝都高速度営団の首脳部にも、電話ですが私も聞いた。こういう状態の中でどうだと言ったら、いや埼玉の方でもそういうふうに操車場その他とにかく御協力をいただけるあるはいろいろな意味で推進をしていただけるというならば、私たちもできるだけ早く七号線の着工をしたい、こういうふうに首脳部としての意向を漏らしております。したがって、ただじんぜん日を待つのではなくて一つのめどをつけて、目黒側から先にしてこっちへ持ってきますと大変遅くなりますから、少なくとも操車場はこちら側からしていくと今度は早い時期に着工ができる、こういうことにもなると思います。したがって私としては、そういう協力体制も整えますから、ぜひ赤羽、埼玉の方から着工をするという一つのめどを置いた、七号線を幻の七号線ではなくて、具体的に日の目を見る七号線として運輸当局、国鉄当局でもひとつ御鞭撻といいますか、あるいは指導といいますか、高速営団に対して行っていただきたいと考えておりますが、いかがですか。
  153. 田村元

    田村国務大臣 実はまだこの問題、営団と全然話し合っていないので、あるいは営団が私の答弁で後で驚くかもしれません。しかし、こういう問題は、そのときに英断をしなければならぬ場合もあるわけでありますから、まずどこからやるか、いつやるか、そういうことはまたそのときの相談ということにしなければしようがない。ただ言えることは、こういうものをやるときにはできるところから早くやるということは絶対条件でしょうから、そこいらでまた改めて御相談を申し上げたいと思いますが、まだこれはやると決めたわけではありませんので、いまここでの質疑応答の形だけのことですから、これから真剣に現実に考えていかなければならぬ、そういうつもりで取り組みますが、只松君の方もその暁にはまた御協力を願いたいと思います。
  154. 只松祐治

    ○只松分科員 それでは、ひとつぜひいまの趣旨を体しまして、事務当局も、先ほど私は若干聞きましたけれども、認識の甘さが大分あるようでありますから、近郊都市の通勤のむしろ異常さといいますか、あるいは殺人的といいますか、そういう状況というものを十分認識をしていただきたい。私がもし運輸委員会におるならば、いまみたいな答弁をしておるのだったら、早速委員会をして調査に行く、こういうことを私はすぐ提案をいたしますけれども、運輸委員ではなく、きょうの分科会における質問ですから、認識を改めていただきたいということが一つ。それからぜひひとつ大臣の方にもさらに強い御指導をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  155. 住栄作

    ○住主査代理 これにて只松祐治君の質疑は終了しました。  次に、佐藤敬治
  156. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、気象庁の例の気象通報所の廃止問題についてお伺いをいたします。  気象庁の第四次の定員削減計画によりますと、昭和五十二年から五十五年までの間に、気象庁の五十一年度末の定員六千二百八人のうち百七十三人を削減する、こういう計画のようでありますが、このうち五十二年度に四十四人を減らす、しかもそのうちの三十六人がこの気象通報所を廃止することによって実現する、こういうような計画だそうであります。これによって通報所は事実上全廃される。こういうことになるようでありますが、そのとおりでありますか。
  157. 有住直介

    ○有住政府委員 そういうことでございますが、実は気象庁は御承知のとおりに技術官庁でございまして、気象学を背景といたしまして、科学の進歩に応じました施設を整備したり、それから新しい技術に適応した要員の配置、そういうものに努めまして、予報制度をよくしていこうということでやっております。
  158. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 一挙に通報所を全廃する、このことは非常に大きな全国的なセンセーションを巻き起こしております。もちろん通報所の職員を一挙に全廃するということになりますと、非常に大きなショックを受けるのはもちろんでありますが、そのことだけではなくて、全国的に大きなセンセーションを巻き起こしている、こういうふうに思われます。  住民の生活に非常に密接な関係のある末端の通報所が一挙に全廃される、こういうことは、これはいろいろな科学的な理由があるにしろ、一番弱いところに人員整理の合理化のしわ寄せが出てきたのではないか、こういうふうな印象を強く受けておるわけです。実際にこの通報所ができるとき、私も秋田の鷹巣という隣の町の市長をやっておりまして、私のところでも誘致しようという動きがずいぶんありましたけれども、この特異な性質は特に鷹巣の方が強いのじゃないかということで、こっちで身を引いて譲った経緯もあります。自治体から協力を受けたところは、今度の予算を見ますと、土地を原形に復帰する、こういうような予算を置いておるようでありますけれども、実際問題として自分の都合のいいときだけ——設置するときは住民の利益になるようなことを盛んに言って期待を寄せて協力させて、今度は不必要だからといって勝手に全廃する、こういうことでは非常に住民の不信感が高まる。何か余りにも虫がよ過ぎるような気がいたしますが、どうです。
  159. 有住直介

    ○有住政府委員 これはいま急にということではございませんで、かなり前から、技術の進歩などに応じまして逐次減少してまいってきたわけでございますが、どうしてこの通報所を減らすようになりましたかということは、技術の進歩によりまして、いままで通報所の目的として置いておりました仕事が、人がいなくてもできるようになりましたので、これを逐次廃止してまいりまして、残りました個所につきまして、今年の四月一日からやりたいというふうに考えたわけでございます。  それから、設置のときに大変地元にもお世話になったじゃないかということでございますが、その当時といたしまして確かにお世話になったところもあると思っておりますが、やはり時代の進歩とともに技術が進みまして、情勢が変わってまいりましたので、切にその昔のことを感謝するとともに、ひとえに私どもの希望も申し上げておるわけでございますが、ぜひ御理解いただきたいということでお願いしているわけでございます。
  160. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 今度の通報所の廃止問題、これは由来してくるところは、政府の人員削減、合理化、これに反対するところの気象庁の職員の労働組合、この運動として起きたものですけれども、しかしこれは単なる労働問題ではなくなって、地域住民の生活に非常に大きな影響を及ぼす問題である、こういうふうに地域では受け取っておるわけです。だからすでに廃止反対を議会で議決をしたり、陳情したりしてきているところが十一県、二十八市、五十五町村という、非常に広範囲の陳情運動、反対運動が行われているわけです。地元団体がほとんど全部、ジャーナリズムも論調がほとんど全部これに反対をしている。これほど多くの県や市町村または国民的な世論になって大きく広がっているこの廃止反対の声というものを、国民の上に立って政治を行う政府としてはむげに無視できない、私はこういうふうに考えますけれども、いかがですか。
  161. 有住直介

    ○有住政府委員 地元の方々の御要望、陳情というのは確かに承っておりまして、その都度話を承り、こちらからもお話しいたしましたり、また地元には当庁の者が、あるいは地台長、管区台長という者が伺いましてよく御説明申し上げているわけでございますが、技術的に申しますと、私どもはこれで間違いなく地元に御迷惑をかけない。と申しますのは、私どもが本当に考えておりますことは、集中豪雨なり台風なりにおきまして、警報なり注意報なりを間違えたり出しおくれたりということになりますと、本当に人命、財産に影響いたします。これにつきましては、私どもは、あるいはレーダーを完備し地域気象観測網を整備いたしましたり、あるいは衛星の受画に努力いたしまして、あらゆる技術の粋を尽くして、現在としては考えられるだけの手を打ちながら警報その他を改善しているわけでございますが、そういうことで地元に対しても、やはり予報、それから警報等につきましては、いま以上のいいものを差し上げましてお役に立ちたいということで努力しているわけでございます。それにつきましては、従来は役立っていたといたしましても、やはり新しい技術に伴いまして新しい時代とともに無人化できることにつきましては合理化をいたしまして、そして新しい技術の方で人の要するところに本当に人員の有効的な利用ということを考えまして私どもも努力しているわけでございまして、その点を地元の方にも御説明しておりまして、私どもといたしましては、技術的にはかなり御理解を得つつあるのではないかというふうに思っているわけですけれども、残念ながらまだ必ずしも御了承を得ていないところがございますので、私どもとしてはこれからも一層努力していきたい、そういうふうに思っておるわけでございます。
  162. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 あなた方は、いま聞いておりますと、一生懸命理解を願うようにやっていると言うけれども、まずほとんど全部の地元の声というものが廃止について反対だ。特に、どうも聞けば聞くほど反対せざるを得ない、こういうふうに地元の人たちが感じておるようです。そういう意味からは、どうもあなた方の、地元の理解に対する説得の力が足りないのかもしれませんけれども、とにかく機械万能ということについて非常に大きな不信感を持っておるような気がします。というのは、これはやはりあなた方のあれにもあると思います。たとえばここの人員整理、全廃してしまう、この決定は五十一年十二月十六日に決定されておる。そして五十二年三月三十一日で全廃する。わずか三カ月半ぐらいしかない。こういう短い期間に全廃するというような、事前にどういうことがあったか知りませんけれども、決定して三カ月半で全部廃止してしまうというのは、一つの行政のあれとしては、経過措置も何にもない、まことにむちゃくちゃな乱暴な話だというふうに思うのです。少なくともここに経過措置があって、そしてその間に地元の住民を説得するなりという努力が必要だ。余りにも官僚的、余りにも天下り的に三カ月半で全部廃止するということになれば、説得じゃなくて、逆に非常に大きな不信感が起きてくると私は思いますが、いかがですか。
  163. 有住直介

    ○有住政府委員 今年度につきまして三カ月というお話でございますけれども、実は、この通報所は全部廃止する方向であるということはもう数年前から私どもが考えておりまして、また御説明もしていたところなのでございます。
  164. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 一つ一つには説明したかもしれないけれども、数年前からそれほど大きく説得して地元が納得しているならば、こういう問題が出てこないと思うのです。私は、自然に対応すべき気象観測のこの仕事が、気象の必要から廃止ということに出たのではなくて、人員整理の要求によって通報所を無謀にも全廃する、こういう現象だというふうに思われてならない。こういうことになれば、科学に奉仕するところの気象観測という仕事が全く行政によって動かされているという、気象庁としては姿勢が根本から間違っておるのではないか、こういうふうに私は考えます。  それからこれもひとつお伺いしたいのですけれども、いまのは通報所の問題でしたが、しかし気象庁にはまだいろいろな問題がありますね。測候所の問題で、指定地区の測候所であるとか、普通測候所であるとか、特区測候所であるとか、無特区であるとかいろいろあります。こういうものに対してもいろいろ聞いてみますと、どうも予報権を奪ったり、観測回数を少なくしたり、あるいは夜間は閉鎖をするというような考えでおって、だんだんこういうものをなくしてしまって、そうして地方気象台なり、あるいは中央にこれを全部オンラインにしたり、そういうことでもって集中してしまうのではないかというふうな危惧も持たれるわけですが、そういう考えはございませんか。
  165. 有住直介

    ○有住政府委員 先ほどもお話ししましたけれども、気象庁といたしましては、予報、警報、注意報、そういうものの適切な発表、それから精度の向上ということのためにいかにあるのが一番いいかということを検討しているわけでございます。そういうことから、今回の通報所の無人化ということも数年前から計画されたわけでございまして、もちろんその削減が云々ということも無関係ということではございませんけれども、しかしそのためにむやみやたらにやるということではございませんで、考どもといたしましては、やはり技術の進歩のために対応する措置として合理化なりそういうものを行っているわけでございます。  それから測候所等についてのお話がございましたが、実は測候所で予報を出していたのを地方気象台のみで出すことにしたわけでございます。そのことは、測候所、地方気象台、そういうところで二重に仕事をするということは非効率的でありますし、また予報の精度向上につながらないというところから、地方気象台でするようにしたわけでございます。御承知のように地方気象台におきましては、いまのアメダスの資料あるいはレーダーの資料なり衛星の資料なりが全部集約されておりまして、予報はそういうものをつかまえまして、大気というのは御承知のように県の境とかあるいは国の境ということなく動いておりますが、それらをシノブティックに、立体的に、放送の資料を使い、レーダーの資料を使い、あるいは衛星の写真を使い、立体的に解析をし、そうして予報をする。そこで初めて精度は上がるわけでございまして、そのための経過としてやったようなわけでございます。今回でも、通報所の無人化ということで大変御心配をいただいているようでございますけれども、地方気象台の予報というものは格段によくなりつつありまして、その地方気象台の予報を御利用いただくことによりまして非常によくなるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  166. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 現在はいわゆる異常気象の時代だ、こういうふうに言われて、異常気象が非常に問題になっております。専門家にいろいろ意見がありますけれども、いずれにしても、現在は気候変化の激しい年が続く、いわば長期の気象変化のサイクルを迎えた、こういう点では大体一致しておるようでありますけれども、この異常気象というものが非常に問題になって、従来の観測が余り役に立たないような突然の集中豪雨、豪雪、あるいは局部的な異常現象、こういうものが非常に多くなって、そのために地方、地方で非常に大きな被害をこうむっておるのは御承知のとおりであります。したがって、科学を駆使して大きく網を張る、このことは非常にいいことだし、ぜひそうやらなければいけない。衛星も上げなければいけないし、いろいろなことをやらなければいけないけれども、しかし、それと同時に、いまあなたはいみじくも、県やそういうものにとらわれない、空気の流れは日本じゅうをオーバーしている、カバーしている、こう言うのですが、私もそうだと思うのです。大きく網を張ると同時に、一県一気象台、そういうふうな考え方にとらわれないで、もっともっと細かい異常気象、特異な異常気象、これをいち早くキャッチするということが私は必要だと思うのです。行政区分によって一県一気象台、こういうようなのとは別に、自然現象相手の気象観測はその特性によく対応するような形でやっていかなければいけない、こういうふうに考えます。この通報所は一体いつできたか。昭和二十八年八十二カ所つくりましたね。それはこういうふうな局部的ないろいろな観測点だとかこういうものがないので、足りないので、こういうふうな二十八年の被害をこうむったというのでつくったわけです。これは私はつくったあれは非常にいいと思います。そこで、これをもし廃止するということになるとどういうことになるか、こういうことで私は計算してみました。この根本は、現在の気象庁の観測の施設におきましては、太平洋側に対しては非常にいろいろな施設があって精密にやっておるようでありますが、日本海側、北側の方に対しては精度が非常に落ちる、施設が薄い、こういうふうな感じを常々持っておったわけです。そこで、私はこの問題を契機にして施設の問題をいろいろ計算してみました。たとえばこの測候所あるいは通報所、こういうものを計算しますと、一番大きな問題は数の多くある測候所の分布であります。これは島を全部除いて北海道、本州、四国、九州というふうにやって、日本海側と太平洋側を分類して測候所の数を調べてみました。そうしましたら、測候所は太平洋側が五十五、日本海側は分水嶺を中心にして調べてみますと二十六しかありません。逆に気象通報所、これはどうなっていますかというと、日本海側が十五あるのです。そして太平洋側が六つしかない。明らかに通報所が設置されたときの個所というものは、測候所が足りないためにそれを補うためにこの通報所というものをつくっている。これを通報所と測候所と合わせて太平洋側と日本海側を比較してみますと、初めて日本海側が四十一カ所、太平洋側が六十一カ所、六対四になるのです。これが通報所が全部つぶされてしまいますと、その観測施設というものは七対三の割合で圧倒的に太平洋側が多いのです。だから太平洋の方は比較的台風などがつかみやすくていいけれども、日本海側の方は全然観測の体制がなっていません。秋田にレーダーがあります。秋田からシベリアまで六百キロ。ところが、秋田のレーダーは三百キロしか届かない。それに対して何らの対策も講じられていない。今度は定点観測船なんかやるようですけれども何もあれしていない。しかも、今度の日本海側の豪雪というものは、シベリアから冷たい風が吹いてきてふろ場みたいな日本海のあれを持ってきて日本海側に雪を落としていくんだ。これが非常に大きな問題になっているので、豪雪を防ぐためにはこの問題が、日本海をどうして観測していくかということが非常に大きな問題であります。だから、この例を見てもわかるように、七対三という絶対劣勢なこの日本海側の通報所をつぶすのではなくて、むしろ測候所に格上げをしてもっと精密な観測をすべきだ、私はこういうふうに思うのです。それをいきなり全廃してしまう。こういうことはまさに太平洋側重視、日本海側軽視という気象庁の姿勢だと私は考えざるを得ない。どうですか。
  167. 有住直介

    ○有住政府委員 実はその測候所の分布に関しましてはいろいろ歴史的ないきさつがございまして、県でおつくりになったものあるいは自治体でおつくりになったものあるいは軍関係でできたものなどがございまして、それらが昭和十四年のころでございますけれども、気象庁に委託ということで始まったようなことで、歴史的に複雑ないろいろな要素を含んでおるわけでございますが、この観測網を細かくすべきだということはまさに先生のおっしゃるとおりでございまして、近代の科学が発達した段階で、私どもが数年来着手しておりますのは、平均でございますけれども、雨につきましては十七キロごと、それから気温、風、日照、そういうものにつきましては二十一キロごとに観測点を置きまして全国をカバーしようという計画で進めておるわけです。それが実は地域気象観測網計画でございまして、これによりまして主要な地上観測につきましては全国をカバーする。そして、その観測点と観測点の間、そこが問題になることに関しては、雨につきましては気象レーダーでそれを全部科学的にカバーする。そしてさらに大規模な予想ということでは、数値予報等を電子計算機を使いまして数日先までの予報図をつくる。そしてさらに衛星等の写真によりまして現状を正確にとらえる。こういう考え方で進めておるわけでございます。ですから、昔の、昔といいますか、以前に測候所の展開計画というものはありましたし、現在でも測候所はその個所その個所なりの、たとえば高層気象の観測とかレーダーの観測とか、そういう重要観測を担当してやっておるわけでございますけれども、そのカバーするという意味ではまさにこの地域気象観測網で細かくカバーし、大きくは衛星等でカバーするということで現状を把握し、予想を的確に出していこうというわけでございます。  それから日本海に関しまして一言申し上げたいと思いますが、この日本海の観測等には気象衛星の写真等が非常にリアルに私どもに教えてくれまして、季節風が吹きますときには、日本海を吹いてきた季節風が山稜に当たりまして日本海側で雪を降らせ太平洋側に抜けていく模様というものは、本当に手にとるような細かさでわかるわけでございますが、それにしても、日本海の雪に対する役割りというのは確かに重要でございますので、私どもはこの日本海には特に海洋気象ブイロボットというものを設置することを考えて、そしてこの観測によりましてさらに予報の精度を上げたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  168. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 問題は今回の廃止の問題です。いまの観測点の問題ですが、これで気象庁が頼りにしておるのはアメダスだ、こう言っておるのですね。アメダスがあるから大丈夫だ、まずこれに尽きる。ところが、このアメダスに対してこの豪雪地帯の人たちは非常に不信感を抱いている。ここのところが私は問題だと思うのです。これを地元に納得させないでいきなり全廃するということは、私はやはりいけないと思う。この間のテレビでやっておりました。長岡の市長がいみじくも言っていましたが、東京でそんなことを考えたってだめだと言っておる。確かに衛星から見たりいろいろなことをすれば全体はわかるかもしれない。しかし、局部、局部で非常に異常な天候異変が起きているということもまた事実なんです。それに対する対策がこの点では講じられていないと私は思う。さらにこれによって、私は秋田県だから秋田県のことをよく知っているから言うわけなんですけれども、非常に面積が広い。海岸部にある秋田市と北の鷹巣と南の横手では百キロずつ違うのです。しかも秋田は海岸部、ほかは山のど真ん中なんです。これが二つ廃止されることによって、いつも起きているところの異常気象、たとえば鷹巣でありますと大変な被害をこうむっている。冷害の前には大水害、今度は大豪雪。今度の夏はまたどうなるだろうかという非常に恐々たる心境でいるときに、いままで頼りにしていた通報所をなくするということは住民が気持ちを逆なでにされたようなことになります。また、秋田の点から見ましても、同じような面積で福島に地方気象台がある。小名浜に測候所がある。また会津若松に測候所がある。同じような面積でここには三つあるのです。ところが、秋田県になりますと両方廃止されて、秋田市たった一つしかなくなってしまう。同じような面積で、しかも同じような山の中で異常気象がしょっちゅう起きている所でなぜこういうふうに不平等にならなければいけないのか。これがいいならば、秋田県でも鷹巣と横手というものは測候所にしてもっと精密なあれをすべきだ。毎年、毎年異常天候のために大被害を受けているのです。私はそういう意味から、少なくともいま残されておるこの通報所、これに対してはもう一遍考えて、残して、廃止するのではなくて、逆にでき得べくんば通報所、測候所としてもっと精密な、もっと地元と密着した行動をしてもらいたい、こういうふうに思います。  時間がなくなりましたので、大臣に一つお伺いします。  測候所というのは、気象庁というのは運輸省の所管になっていますね。だから飛行機であるとか船であるとかそういうものは一生懸命やっておるようだが、どうも気象庁の農業気象だとかこういうものに対するサービスが足りないのではないか、こんなような気がします。できれば単に船だとかそういうことではなくて、もっと直接農業に役に立つように翻訳して農民にサービスする、こういうふうなところまで測候所なり通報所なりというものを充実してもらいたい、そういうふうに思うのです。せっかくつくって地元に非常に大きな頼りにされているものをなくするのではなくて、必要で合理化しなければいけないところはそれで仕方がないと思います。しかし、これは非常に地元にいまや密接しているのです。だからぜひひとつそういうことを考えていただけるように、時間がありませんので最後に大臣の御所見をお伺いいたします。
  169. 田村元

    田村国務大臣 いまおっしゃいましたように、とにかく可能な限り気象庁というものはもちろん農民、大衆のみならず、国民全体に奉仕しなければなりません。これは申すまでもないところでございます。  私、着任してからまだ日がたっておりませんが、各局、庁の説明を聞きましたが、気象庁の説明が一番私にとって難解であります。これは非常に高度な科学というものが絡むわけでございましょうが、いまおっしゃった通報所の問題等につきましても、いろいろと事情を聞いて、長官のみならず技術陣からもいろいろと聞いたわけでありますが、いま長官がお答えしたようなことでございます。しかし、それはそれとして、冒頭申し上げたように、気象庁あるいは測候所等が十分の、十分どころか十二分と言ってもいいかもしれませんが、お務めをすることは全く当然のことであると思います。
  170. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 時間が非常に足りないので意を尽くさなかったわけでありますけれども、少なくとも全廃する、そして地元が納得しない、こうなれば、強引に決めたとおりにみなやってしまうということじゃなくて、やはりもう少し経過措置をもって地元を納得させた上でやる、こういう態度が必要だと私は思いますので、そのことを一言つけ加えまして終わります。
  171. 住栄作

    ○住主査代理 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  172. 横路孝弘

    横路分科員 航空大学校の問題について若干お尋ねしたいのですが、私のところにも二十回生ですか、五十一年度卒業の人たちから手紙などいただきまして、卒業したけれども就職がないということでありますけれども、最近の航空大学校卒業生の就職状況というのは、現在の時点でどういうことになっていますか。
  173. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 昭和五十年度におきましては、卒業生百十二名のうち、航空関係では日本航空二十八名、全日空二十名、東亜国内航空三名、南西航空二名、航空機使用事業十七名、官庁十名、他の職種三十二名、こうなっておるわけでありますが、五十一年度はまだ十一月卒業生までしかわかっておりませんが、これでは卒業生七十人のうち日本航空が七人、全日空、東亜国内航空それぞれゼロ、南西航空二名、使用事業七名、官庁六名、その他となっておりまして、航空会社への就職が非常に悪い、悪いというか、採り方が悪いという点が私ども大変心を痛めておるところでございます。
  174. 横路孝弘

    横路分科員 問題は、現状を踏まえて今後の航空大学校の位置づけだろうと思うのでありますけれども、いろいろ調べてみましたら、運輸省の例の「航空政策の基本方針」、これが昭和四十五年にいろいろと問題になりましたが、この基本方針の中で航空大学校の位置づけというものがなされているわけです。この中におけるいわば位置づけですね。乗員の「養成体制の基本方針」というのがありまして、この中で、「国は今後とも航空大学校を通じて自ら他の模範となるような基礎教育を実践」するのだということは、いわば基礎教育の自主体制というようなことで、基本方向として出されているわけですけれども、この四十五年のいわゆる航空大学校についての基礎的な位置づけというものは、現在も変わりはないわけでしょう。いかがなんですか。
  175. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 基本的には変わっておりません。
  176. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、どうして今回のような、卒業したけれども就職できないということになったかと言うと、基本的には需給の見通しを完全に誤ったということも一つだろうと思います。特にその中で自社養成との調整を皆さんの方でどういうふうにお考えになっておられたのか。昭和四十四年から四十五年までの間の千五百十二名、自社養成が九百六十八名、防衛庁委託が三百名、割愛が二百四十四名という時期にちょうど航空大学校の定員が百三十五名にふえたのですかね。昭和四十六年からふえていますね。これと重なり合って今日のような事態になったのではないか。つまりこの辺のところの皆さんの方の見通し——これは後で第三次空整との関係でお尋ねいたしますけれども、一つは基本的に需給見通しを誤ったという点と、それから自社養成との調整がうまくいっていないということではないかと思うのでありますけれども、その辺のところはいかがですか。
  177. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 当時は見込まれる輸送需要対して要員の数が絶対的に猛烈に不足するという判断のもとに、航空大学校の養成規模の拡大を図ったわけでございます。学生定員百三十五名という規模に拡大したのが四十六年以後でありますけれども、このときは航空大学校の仕組みと申しますか施設それから航空大学校の教官あるいは予算その他の規模から考えて、国として目いっぱい養成できるマキシマムとして百三十五名というのを決めたわけでございまして、したがって航空会社の方でそれを上回る需要がある場合には、それは自社養成、そういった中の一環として、さらに足らなければ自衛隊からの割愛というふうなことでございまして、私どもは計画的には一応航空大学校の分についてまず決めて、その余のことは各社でそれぞれ手当てするというふうなことの考え方であったかと思います。
  178. 横路孝弘

    横路分科員 各社でそれぞれと言ったって、みんな、特に日本航空なんかの場合には一応毎年度業務計画みたいなものを運輸省の中に出して、皆さんの方で検討されるわけでしょう。そうすると、そういう中で一体国としてやっている航空大学校の養成と各航空会社がやっている養成とがどうなのか。航空の需要の予測、これが間違ったのだから、それは仕方がないと言えば仕方がないのでありますけれども、その辺のところの調整が必要になってくるのじゃないですか。これは今後の問題としてもいま自社養成をやめているでしょう。去年は自社養成の採用がなかったわけですね。ところが第三次空整でいくと、いずれ今年度末あたりから、また自社養成を開始しなければならぬということを皆さんの方で方針として出しているわけでしょう。そうすると、そこら辺のところをしっかりとどこでどういうぐあいに調整するのかということを決めておかなかったら、要するにエアラインの方の都合で、ちょっと景気が悪いから採用するのをやめたとか、景気がいいから今度は採用するのだというようなことをやられたのでは、これはきちんと皆さんの方でこういうことがあって将来はこうやっていくのだということで募集をされて、国のお金を投じて養成したけれども全く意味がなくて、飛行機じゃなくて地上で勤めておるなんというのでは全くナンセンスなわけでありまして、だからその辺のところの調整みたいなものはきちんとやらないといけないのじゃないですか。これを見ていますと、入ってやっていた本人たちにしてみますと、二年八カ月ですか養成を受けて、いずれはパイロットになれると思ってやったところが、こんな事態になって全然どこも採用してくれない。いまの話だと全日空ゼロとか東亜国内ゼロなんということで、それで済まされるかという問題ですね。国としてやはり責任があるのじゃないですか。
  179. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これはお返しすべき言葉がないほど私ども大変責任を痛感いたしております。そこで今後どうするかということでございますけれども、現在は航空会社自体が採用をストップしておりますので、私どもの方もいかんともしがたいわけでございますけれども、これから航空会社の方がパイロット要員を採用できるようになった場合には、まず優先的に航空大学校の卒業生を採るということで強力に指導していくべきである、またそれをいたすつもりでございます。
  180. 横路孝弘

    横路分科員 従来各エアラインの方では新卒しか採ったことがないのです。受けられないでどこにも行き場のない人には皆さんの方は何と言うわけですか。いずれ将来景気が回復して少し需要の増があるまで家で待っていなさいと言うのですか。それともどこかほかに転職しろということを勧めるのか。それとも運輸省の方で責任を持って、航空管制とかそのほかのところを希望する人があればそっちの方は責任を持つと言うのか。やはり物の言いようがあるのじゃないですか。その辺のところはどうでしょうか。
  181. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 特に今年度につきましては定期各社の採用状況が大変よくないものですから、私どもは保安大学校等に入れて管制官にする人もありますけれども、それ以外、これは航空大学校当局と協力いたしまして、たとえば航空関係でなくても、電子関係の仕事をしている会社などでは航空大学校の卒業生の素養が役立つということも聞いておりますので、そういったところにできるだけ採ってもらうようにいま働きかけをいたしております。しかし、もちろんそういったことで全部あっせんが済むわけでございませんので、それでもなお残った方々は、大変申しわけないのでありますけれども、一応郷里に帰って、そちらの方のベースで就職を探していただく。私どもはその場合にももちろんできるだけお手伝いするつもりでございますけれども、ここ当面のところは全くいい知恵がなくて大変困っておるということでございます。  将来でございますけれども、なおパイロットになる夢を捨てず、そしてまた航空大学校で教育された資質が衰えていないいわゆる過年度卒業生につきましては、将来需要の増が出た場合にはできる限り採用できるような働きかけをすべきだと思っております。
  182. 横路孝弘

    横路分科員 パイロットという仕事は適性、不適性がありますから、入った人が皆パイロットと言ったってそれはなかなか無理でしょう。しかし、そういう資質がありながら、しかもなおかつ希望していながら、国のこういう機関を信じて入学をして二年八カ月一生懸命やって、国もお金を使って、しかしあとは仕方がないからそれぞれのくにへ帰ってそちらの方で就職を探せというのもきわめて無責任な話じゃないかと思うのです。  その話はもう一度最後にすることにして、航空会社の方、エアラインの方は将来どういう乗員の養成計画を持っているのか。それぞれどのくらいずつ新しい採用が考え得るのかというようなことは、皆さんはもちろん点検されているだろうと思うのでありますけれども、日本航空には八名採用された、あとの全日空と東亜はしていないというあたり、日本航空だと国の方もかなり物が言えてあとは民間だからちょっと言えないから採用されてないんだということになると問題なわけですよ。それぞれたとえば、今後の需要が一つありますけれども、座席数の増加だとか乗員の訓練計画、養成計画というものは持っているわけでしょう。その中に押し込むことは全くできないのですか。私はそうは思いませんけれども。日本航空や東亜国内や全日空がどういう養成計画を持っているかそれぞれ当たっているのでしょう。絶対に押し込むことができないのかどうか。
  183. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは大変遺憾なことなんでございますけれども、今日の時点ではそれぞれの会社が余剰人員を抱えている現状から、この段階で押し込むことは不可能であるわけでございます。日本航空八名というのは、これも先生いまお話しございましたけれども、私ども政府出資をしている会社でございますので、事情は全く変わらないのですが、無理をきかせた、いいか悪いか知りませんが、とにかく無理をきかせて採ってもらたところもあるわけでありますが、事情はやはり日本航空といえどもいま直ちにはなかなか採用できない事情がございます。それで各社とも現在、将来に向かってのパイロットの充足計画をしかと立て得る段階にないわけでございまして、景気の動向その他を見きわめた上で、いずれこれは長期的に私どもも立てなければいけませんし、また各会社にも立てさせまして、それらを検討いたしまして、それらの中でこの航空大学校の養成規模との関連で航空大学校の卒業生の就職についても確保していきたい、こう考えているわけでございます。
  184. 横路孝弘

    横路分科員 皆さんの方が立てられた第三次空整の乗員の需給予測というのがございますね。これは座席増で言うと毎年何%増くらいで計画されているのですか。
  185. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども第三次空整のときに国内航空関係、国際航空関係両方を合わせて輸送人員をはじいたわけでありますけれども、たしか輸送人員で九%程度の増を見たと思います。しかしながら、機材が大型化してまいりますので、必要な要員の伸び率は恐らく数%落ちまして六%程度になるのじゃないかと思うわけでございます。
  186. 横路孝弘

    横路分科員 六%くらいって、大体いま航空会社がやっているのがそれくらいの座席増で考えておるわけでしょう。そうすると、このあれを見ますと、いまは確かに、昨年の八月一日現在、全体で五百九十三人ですか余剰人員となっている。これは六十年まで見通した場合どうなるかというと、需給の見通しから言うと五十五年の段階で余剰というような状況ではなくなって、むしろ足りなくなるという情勢になってくるんだ。したがって、養成には二年八カ月ですか、普通三年かかるとして考えれば、五十二年、ことしからもう養成しなければならぬ、こういうことでしょう、皆さんの計画では。こういう計画のもとに、また航空大学校の方のいまのような状況から、本来もうちょっと人が減らされるところが、こういうことだからというので、去年あたり減らされたけれども、百八名ということになっているわけですね。これはどうなんですか、確信を持って言える数字ですか。
  187. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 第三次空整の需要予測を要員に引き直してきたときに、私どもそれをさらに各社の養成計画あるいは航空大学校卒業生の就職ということにまで具体的に関連づけて議論するにはいささかまだ、第三次空整の需要予測からはじいた数字では若干不安がございます。ただ、先生いまも御指摘ございましたように、五十四年度ごろから現在の航空各社の乗員の余っているのがだんだん不足ぎみになってきて、五十五年度、六十年度に至ってずっと不足になってくる、こういうふうな計算はございます。そこで私ども現在百八名という学生定員を決めておりますけれども、私の考え方ではこれをふやすことは考えるべきじゃないと思います。むしろ将来見込みが弱ければ百八名を若干割り込む、たとえば百名前後にするとかいうふうな形で推移する方がいいのではないだろうか。そして仮に将来需要が出てまいりましてこれを上回るパイロットが必要になった場合には、エアライン各社がみずからの力で養成すべきでありまして、私どもの方はもうこりましたから、これはそうなったからといって、とてもこれをふやすことはしない方がいいと思っております。
  188. 横路孝弘

    横路分科員 いきなりふやせということを言っているわけじゃなくて、もうちょっといまのやつを中身のあるようにやってもらいたいわけです。たとえばジェットの訓練なんかだって航空大学校でやればいいじゃないですか。もうちょっと内容を充実すればいいわけですよ。つまり五十五年から乗員が不足するんだ、したがって、そのためには自社養成の開始をことしの末からやらなければならぬというわけでしょう。そうすると、また各航空会社でやるわけですね。やるならば、その辺のところを、いま就職できないでいる航空大学の卒業生と何とかうまくかみ合わすことができないのですかということを私は言いたいわけです。それはどうなんですか。
  189. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 各社は自社養成の計画を——まだ今日この段階で確定的につかんでおりませんけれども、仮にそれが確実に養成計画があるものならば、当然航空大学校の卒業生を優先的にそちらの方に振り向けるように私ども強く要請をしなければならないと考えております。
  190. 横路孝弘

    横路分科員 エアラインの方で計画があるかないかでなくて、皆さんの方の乗員需給見通しをもとにして議論をすれば、皆さんの方の需給見通しの中では、乗員の問題については自社養成を開始する必要があるというふうに第三次空整の中でなっているんじゃないですか。だから、それならば、皆さんの方はそういう必要性を感じているわけでしょう。経済というものは生き物ですから、どうなっていくかわからないけれども、とりあえず、ともかく皆さんの方でいろいろ検討された数字から言うと、六十年の段階ではものすごい大幅な乗員不足ということになるわけですね。五十五年から足りなくなる。したがって、その養成は三年間ないし四年かかるんだから、もうことしから始めなければいかぬ、そういうことでしょう。しかも、その養成は航空大学のいまの定員と、それでも足りなくて、各企業に対して自社養成をやってもらわなければならぬというのが運輸省の方の一つの物の考え方なんでしょう。そうすると、その考え方があるならば、それに従ってこの航空大学の卒業生をしかるべく押し込むことができるのではないか。日本航空だけ言うことを聞いたけれども、ほかは言うことを聞かぬというのは、ちょっとどういうことなのかよくわかりませんけれども、その辺のところをもう少し何かの知恵があるんじゃないですか。
  191. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 第三次空整をベースにはじきました数字はお手元にありますもののとおりでございまして、私どもの手元で一応そういう数字を持っておりますけれども、やはりこれを各年度、各年度に引きおろしまして考えていく場合には、もう一つ厳しい検討をする必要があるかと思います。  社会資本でございますと先行投資ということも考えられますけれども、人間の場合にはそういったことをやって結局就職できなければその方にダメージが及ぶわけでございますので、そこは慎重に検討いたしまして、もしも具体的にそういった見込みが立つようなことになれば、まず何よりも航空大学校の卒業生をもって充当するということにいたしたいと思っていますが、いま直ちにどうするかということになりますと、私どもまだ航空会社の要員需給計画について、第三次空整をもとにしてはじいた数字に、必ずしもその具体的な現実性というのは今日各年度ごとの感じとしてはまだ自信がございませんので、もう少しそこを検証した上で対処いたしたいと思っております。
  192. 横路孝弘

    横路分科員 しかし、これはもう閣議で了解というか、昨年の十月くらいですか、第三次空整そのものは十月でしたね。だから、その見通しというのは、見通しですから現実と違ってくるのはやむを得ないとして、一応見通しを立てた段階で、もう余り自信がないようなことをおっしゃられても困るのです。その辺のところは、安全という問題があって、要員の養成というのは時間のかかることですから、結局は飛行機だって安全というのは人間によって保たれているわけですから、そういう養成というのは時間をかけてゆっくりやっていくということが必要になってくるわけですよ。だから、その辺のところをエアラインの方の都合で、これことし足りない、それまた次が余っているというようなことで、航空大学校の方がどうしようかというんで右往左往するような政策では困るんで、その辺はきちんとしてもらいたいということ。  それから、大臣、ともかくパイロットになるんだといって、若い人が張り切って入って、二年八カ月訓練を受けたあげくが、もうだめだからあなたくにに帰りなさいという、国の機関としてこれで済まされるかという問題が一つありますね。だから、その辺のところはできるだけエアラインに就職するのがいいわけですけれども、自社養成を開始しなければならぬというその運輸省の考え方もあるようですから、運輸省としてもうちょっとこれらの卒業生については責任を持ってもらう。細かいことは言いませんから、それをひとつ大臣の方から明確にしていただきたい。
  193. 田村元

    田村国務大臣 実は先日来航空大学校の問題で私も考える時間を持ったわけでありますが、私は、いま横路君おっしゃるとおりだと思うのです。若い青年を、しかもこういう非常に専門的な学校へ入れて、そして就職がうまくいかぬよ、世の中変わったよでぽいをされては将来大変気の毒な目に遭わせることになる。それは国家的な損失でもあるとともに政府の大責任ということになるわけです。私は、昭和五十四年度ごろからだんだんに足りなくなって、六十年ごろになると千数百人足りなくなるだろうという見通しでありますが、いま航空局長、もっと具体的に検討します。余り自信もないけれどもという言い方をしておりますけれども、これは早急に調査をさせます。  といいますのは、航空会社、エアラインとの話し合いをもっと大胆にした方がよいとぼくは思うのです。特に、航空会社というのはとんでもない迷惑を運輸省にかけたことも多いのですから、日本航空のみならず、全日空だってそういうことで運輸省が少し無理を言ったからといって言うことを聞かなかったら罰が当たると私は思うのですよ。でありますから、そういう点で航空局長に早速作業に入らせます。いわゆるエアラインに対して、義務づけるわけにもいかぬかもしれませんが、半ばそのような感覚で採用するというような方途を講じるように、それから、場合によったら就職できなくて田舎へ帰っておるというような生徒というか青年たちの中からも呼び戻しが可能な限りできるように、社会的環境がうまくいくようになりましたらそういうことも検討させてみたいと思います。
  194. 横路孝弘

    横路分科員 最近行政指導は危ないですからね。  冗談はともかく、しっかりした見通しを立てるということがすべての前提じゃないかと思うのです。  そこで、次の問題なんですが、関連するのですが、日本航空のいわゆる外国人運航乗務員の問題なんです。  これは何かIASCOという会社から採用しているようですけれども、このIASCOという会社と日本航空というのは非常に密接な関係があるようですね。ここの会社の社長が何か日本航空のアシスタント・ツー本部長という、木部長の補佐役みたいな形になっているそうですけれども、この日本航空とIASCOの関係はどういう関係になっているのですか。
  195. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 IASCOと日本航空との間の会社の組織あるいは持ち株関係とか、そういったことの関係につきましては、私、必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、ここの主たる日本航空との関係は、要するに日本航空に対しまして外人パイロットを供給している機関でございます。日本航空とIASCOとの間で役務提供契約というものを結んでおります。それによりまして、私の持っておる資料では、日本航空にパイロット百十八名、航空機関士八名、航空士一名、そういったものを供給いたしております。これは通常二年契約でございまして、日本航空とIASCOの役務提供契約によって一括して供給されるわけでございます。そしてこのパイロットはIASCOとの雇用契約に立っております。したがって、JALは役務提供契約に従ってIASCOに金を払う、そうしますと、IASCOが雇用契約に従って個々のパイロットに給料を払う、こういうふうな仕組みになっていると私は聞いております。
  196. 横路孝弘

    横路分科員 これはちょっと詳しいことはわからないので聞くのですけれども、IASCOというのは労働大臣の認可か何か受けているのですか。
  197. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは日本国内での労務供給につきましては、当然職業安定法に基づく許可を受けていると思います。
  198. 横路孝弘

    横路分科員 それは受けているのは間違いないですか。受けているかどうか。
  199. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 外国法人でございますので、その点、私も自信ございませんが、私は、外国法人といえども、日本の国内で労務供給を行われる場合には職業安定法の適用があると思いますけれども、ただ、労働省の所管でございますので、職業安定法の規定の適用を受けるべきかべからざるかについてはちょっと自信がありませんが、もし受けるべきものであれば当然受けているはずであると思います。
  200. 横路孝弘

    横路分科員 それどうも調べてみて、受けているかどうかよくわからないのですね。それで、職安法の四十四条のやはり違反の疑いもあるので、ちょっといままでのところで、外国の法人でもありますし、日本の方には全然登録が一切ないのですよ。そうすると、日本国内で登録ないところで労働大臣がこれ認可しているかどうかというのは、労働省の方にちょっと調べてもらっているのですがわからないので、皆さんの方もひとつ調べてもらって、もしそれが受けてないとすると、これは職安法の四十四条の違反の疑いが日本航空の側にもあるわけですね。労働者供給事業、認可を受けないでやる場合に違反になりますから、それを受けた方も違反になるわけです。その辺のところはひとつ調べてみてください。  それで、外人パイロットについては、この間のアンカレジの事故で、大臣の方で少し減らしていくということをおっしゃられたようですけれども、減らしていくということで指導されるというお話だったけれども、日本航空の方の乗員計画、いろんなシュミレーション持っていますけれども、どうもそれを見ると解消の方向へ向けて余り進まぬですね。そして、人がいないからかというと、そうじゃなくて、副操縦士はもういま必要数に比べますと大変余っているわけですよ。そして、この副操縦士の中に幾らでもある意味で言うと機長になり得る資格を持っている人というのはたくさんおるわけです。百八十名前後いるのではないかと日本航空の場合言われているわけですね。そうすると、これはただ漠然と減らすのじゃなくて、もうちょっと具体的にどういう——この前の予算委員会ですか、御質問があって、指導するということのようでしたけれども、どういうように指導されていくのか。いつまでにこれを解消するのか、その辺のところの考え方を。
  201. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 日本航空は、機長になりたくてなれないような方々がたくさん余っていることは事実でございます。これをすぐに機長にすれば外人機長要らなくなるわけでございますけれども、残念なことにDC8というクラスの飛行機から一遍にジャンボに飛ぶことが資格の面でできないわけでございます。日本航空はそのこともあってDC10の導入も図ったわけでありますけれども、DC10の数も少のうございます。そこでいますぐにDC8の機長を一遍にジャンボの機長にできないということもございます。  ただ、私どもは当初日本航空では五十九年度ぐらいには外人機長を全部日本人機長にリプレースすると言っておりましたのを、今回の事故を契機にこれをもっと早くやるようにという話をいたしました。現在これを約二年短縮するという目標計画を詰めております。詰めた計画はまだ私どもの手元に届いておりませんけれども、これもなるべく早くこの計画を出させまして、私ども検討いたしまして、私たちの手元でもこのためには協力する必要がございまして、機長の資格を取るためにいろいろな慣熟の訓練をします。その訓練の場所の提供とかあるいはその時間、見方、その他について私ども手元でもこのことを協力して進める必要もございますので、これらのことを含めましてできるだけ早く外人機長から日本人機長にリプレースメントを終わりたいと思っております。当面私どもは五十七年度ぐらいというところをめどにするべきであろうかと思います。
  202. 横路孝弘

    横路分科員 大臣、外人機長をなくせば、つまり航空大学の卒業生の採用の問題なんかも、それは計画ですから一遍に済むというわけにはいかないでしょうけれども、そういうような少し総合的な考え方をしていただいて航空大学校の方の問題と、外人パイロットというのは高い給料を取ってしかもIASCOの方に大分お金払って、そこでピンはねされておるということで、前に外人パイロットストライキなんかやったこともあったようなこともございますので、先ほどお約束いただいた点だけひとつしっかりやっていただくということで、先ほどの職安法の点は後で御報告していただくことにして終わります。
  203. 住栄作

    ○住主査代理 これにて横路孝弘君の質疑は終了しました。  次に、古川雅司君。
  204. 古川雅司

    古川(雅)分科員 最近の新聞報道によりますと、新幹線のレールや橋梁、そういう施設が建設当初に予想しなかった過密ダイヤによりまして非常に疲労をしている、そのために耐用年数が半減しているのじゃないか。したがって、最近レールのひび割れ、それから車体のトラブルが頻発をしているわけでございますけれども、現在のレール交換あるいは若返りのための工事、こういった対策では間に合わないのではないか。一つ間違えばこれは大惨事になりかねないわけであります。私はそう思いますし、また新聞の報道もそのように指摘をしているわけでございますが、ひとつ乗客の不安の解消のためにも現状と対策についてお示しをいただきたいと思います。
  205. 高橋浩二

    高橋説明員 列車の安全に直接影響いたしますのは、レールが一番重要でございます。レールにつきましては、当初の予定ではおよそ二十年以上は通過トン数の関係で大丈夫だろうというふうに予想をいたしておりましたけれども、先生おっしゃいますように予想以上の列車本数で、輸送量は予想以上によけいになっておりますので、したがいまして、それより早く全体のレールを交換しなければいかぬということで、当初東海道新幹線東京−大阪間につきましては三十九年から使用いたしておりますけれども、昭和五十六年度までに全部レールを交換してしまおうという計画でただいま進めております。  なお、鉄のけた等については、先般新聞にもございましたように一部、部分的に亀裂が発生しているというふうに出ておりますが、これは主たる主げたでございませんで、主たるけたとけたとを結ぶところの設計上の問題点もありまして一部亀裂が発生しておりますが、これは発生のたびに手当てをいたしております。なおかつ検査を厳重にいたしておりますので、この点については特に心配はいたしておりません。  ただ全体のけたの寿命は、確かに通過のトン数が多くなり、なおかつ列車回数が多くなりますと、鉄げた等は大体五十年ないし六十年ぐらいは大丈夫だというふうにして設計いたしましたけれども、その全体の寿命は、恐らく三割ないしは四割早目に寿命が来るのではないかというふうに考えております。
  206. 古川雅司

    古川(雅)分科員 一部の指摘によりますと、すべての施設を交換するのが不可能であるとすれば、いわゆる別ルートの新線の建設考えられるというようなことが伝わっておりますけれども、そういう話が伝わりますとますます現状の新幹線に対して乗客の不安というのは高まるわけでございまして、そこまでお考えになっておるのかどうか。
  207. 高橋浩二

    高橋説明員 そこまでは実は考えておりませんで、ただいま申し上げました鉄げた等を交換する場合、これは通常の技術では二日ないし三日かからないと鉄げたの交換ができないというので、二日も三日も新幹線を将来とめるということになりますと問題だな。ただいま私の方はそういう鉄げたをどうやって短時間に交換ができるか。個々にその場所によって、付近に民家等がなければこれは簡単に交換できますけれども、民地がありますと交換に少し手間取るというようなことがありますので、それらを別の機械を使ってもっと早く交換できないかということは検討いたしております。そういうことで、直接別の新幹線ということには関係いたしませんけれども、ただいま東海道新幹線等については、いままでは非常に予想以上に伸びてまいりました。そういうことで、近い将来もっとこれが伸びるならば別の新幹線考えなくちゃならぬということは言えるように部内で検討しているというのが実情でございます。
  208. 古川雅司

    古川(雅)分科員 とにかく新聞報道が指摘するように、最近レールのひび割れ等が余りにも件数的にも多いわけでございまして、そこにいわゆる大惨事を引き起こしかねないという大きな不安があるわけでございます。この点再確認をいたしますけれども、大惨事につながるような危険性というのはないわけでありますか。
  209. 高橋浩二

    高橋説明員 レールに関しては私の方は絶対にないという自信を持って管理をいたしております。
  210. 古川雅司

    古川(雅)分科員 次に、運輸大臣にお伺いをいたしますが、鉄道沿線の環境保全の問題で国鉄はいま非常に難問を抱えているわけでございます。特に防音、振動対策、その費用につきましては、もうこれは膨大にかかるわけでございまして、運輸省の立てておられる計画によると、昭和五十三年の七月を達成目標として、防音については一万八千戸、その移転費が約千三百億円、これは振動対策費は含んでいないわけでございますね。しかも、防音につきましては、環境基準に言う七十ホンというところまではまだ達していないわけでございます。いずれにいたしましても、財源難を理由に沿線の住民の不満をそのまま放置して全く解消が望めないというのでは、これは余りにも大きな問題であると思います。  従来、金の問題というよりもむしろ公共性を非常に強調してこられまして、沿線住民の環境権と申しますか、福祉については非常に後手に回っていたわけでございます。国鉄当局に言わせると、金がない、財源がないということが真っ先に出てくるわけでございますが、国鉄にできないことは国が助成をしても達成をしていくべきではないかというのが国民の偽らざる気持ちでありますし、この点について大臣どうお考えになっているか、まずお示しをいただきたいと思います。
  211. 田村元

    田村国務大臣 私、いまたまたま数字を持ち合わせておりませんが、これはもう国鉄のみならず航空問題でも、環境対策というものは何をおいてもやらなければならない問題である。でございますから、国鉄側と十分打ち合わせをいたしまして今日まで進んでまいったものと思いますけれども、住民からいろいろと苦情もあるというお話であります。事実あるわけでありますけれども、これは私、国鉄問題については事務当局同士も結構ですけれども、こういう問題も含めまして総裁と話をしておるのですが、いまはごらんのとおりで、朝から晩まで国会に縛りつけられまして実際の作業ができないわけです。でありますから、国会の方が一段落つきましたら一度腹打ち割って二人でさしで相談しようじゃないですかということを話し合いをしておるわけでございますが、その一環といいますか、非常に重要な問題としていろいろとまた相談をしていきたい、こう考えております。
  212. 古川雅司

    古川(雅)分科員 ですから国鉄の財政だけにゆだねないで、国がこれに積極的な助成をしても沿線住民の環境の保全には一つの結論を出すというふうに御相談をなさるわけですか。その方向ですか。
  213. 田村元

    田村国務大臣 いろいろとこういう環境問題も含めてといいますか、含めてというとわき役になりますが、環境問題なんかは非常に重要な問題でございますから大きなテーマになります。そういう問題を含めて総裁と一度ゆっくり時間をかけて、もちろん一日では済みますまい、時間をかけて相談をいたしましょう、こういうことにいたしておる次第でございます。
  214. 古川雅司

    古川(雅)分科員 では、以下いささか断片的にわたりまして恐縮でございますが、具体的な事例についてその対策をお伺いしてまいりたいと思います。  最初は山陽新幹線、それから山陽本線、在来線の方でございますが、その騒音振動、それから日照権、いろいろ問題がございますけれども、まず最初に日照権の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これは広島県の福山駅の場合でございますが、沿線の西町あるいは本庄地区、三好町といった沿線の住民は、非常に悪評高い山陽新幹線、山陽本線の二重高架、ここにかかわりますいわゆる日照を奪われた上に騒音振動に悩まされている。これは三重公害でございます。そこで、中央用地対策連絡協議会におきまして「公共施設の設置に起因する日陰により生ずる損害等に係る費用負担に関する申し合わせ」というのが五十一年の三月に行われております。この費用負担の要件によりますと、「社会生活上受忍すべき範囲を超える損害等が生ずると認められる場合においては、当該損害等をてん補するために必要な最小限度の費用を負担する」となっているわけでございます。この福山駅の二重高架によりまして、特に日照権につきましては、住民の方は非常に深刻な被害をこうむっておるわけでございますけれども、当然国鉄におきましても、この場所につきましては、日陰による日照権の侵害による損害にかかわる費用負担の対策として具体的な実施策を出すべきである、この対策に乗り出すべきであるというふうに考えるわけでございますが、この点いかがでございますか。
  215. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方、ちょっとこの対策がおくれておりますけれども、先ほど先生の申された中央用地対策連絡協議会の申し合わせに従いまして、基本的な要件を備えている方々に対しては日照の補償をいたしたいということでただいま私の方も内部的に詰めております。この四月から具体的に関係方々と御協議を申し上げたいというふうに考えております。
  216. 古川雅司

    古川(雅)分科員 四月から具体的に協議に入るという御答弁でございますけれども、実際問題として、いつからどのような形で費用負担をされていくのか。できればその地域、どこが対象になるのか、具体的に御説明を願いたいと思います。
  217. 高橋浩二

    高橋説明員 いま先生、福山のことについて申されました。福山駅付近は山陽新幹線建設いたします当時、福山市並びに広島県と御相談申し上げ、在来線はもともと地平にございましたものを同時に二階にし、その上に新幹線を三階につくるということで都市側と協議が成り立ちまして新幹線建設できました。その結果、高さが通常よりも非常に高いということで、その近くの方々に日照の阻害という面で御迷惑をかけていることは事実でございます。これは工事中からその地元の方方といろいろ御協議を申し上げていたところでございまして、いま建設省等との申し合わせでは工事完了してから一年以内の方々ということになっておりますけれども、従前からそういういきさつで御協議を申し上げておりますので、この高架橋自体は国鉄だけでなくて地元の市、県と共同でつくったものでございますので、私の方は県並びに市とよく御相談を申し上げて、費用の負担等も四月からお打ち合わせをして、そして一応日照阻害の要件に合う方々と御協議を申し上げたいというふうに考えております。
  218. 古川雅司

    古川(雅)分科員 四月から協議に入るということなんですけれども、当然協議の結論を得るめど、いつごろまでにはということは腹案としてお持ちだと思いますけれども、またその点は住民が非常に大きく期待もしているところでございまして、その時期的なめどあるいは内容についてもう少し具体的にお示しいただければ御説明願いたいと思います。
  219. 高橋浩二

    高橋説明員 この日照の問題は、個々の家によりまして間取りだとかあるいは部屋の数あるいは阻害時間、いろいろございますので、それらをまず個々の件について調べまして御相談を申し上げる。その際に、補償の助成ということで相互に了解ができましたら決着するということになろうかと思いますので、いつまでに完了するかということよりも、私の方は四月になりましたら早々にまず県と市と相談をいたしまして、そして御相談に上がりたいというふうに考えております。
  220. 古川雅司

    古川(雅)分科員 ただいま申し上げましたのは日照権の問題でございますが、振動それから騒音の方にもいろいろ問題が残っておるわけでございまして、「新幹線鉄道騒音振動障害防止対策処理要綱」というのがこれまた五十一年七月に出ているわけでございます。この要綱にあります対象の建物は、八十ホンを超す住宅、七十ホンを超す病院、学校等となっているわけでございます。振動規制法によれば、工場振動の基準値は、住宅地で昼間六十から六十五デシベル、夜間で五十五から六十デシベルに規制をされているわけであります。そこで、特に福山のようにこうした二重高架橋のところでは、新幹線騒音もさることながら、在来線のフラットによる騒音振動障害が非常に高くて六十デシベルを超すところもかなりある。したがいまして、この新幹線騒音振動だけではなくて在来線の騒音振動障害も含めた防止対策が求められてくるわけでございます。この点はいかがでございましょう。
  221. 高橋浩二

    高橋説明員 在来線につきましては、私の方も基準を持っておりません。この福山につきましては、従前からある騒音振動等の記録は持っておりますので、私の方は高架化した際に従前よりも悪くならないようにということでいろいろ騒音振動対策を実施したつもりでございます。その後、いま先生おっしゃいましたように、タイヤフラット等によって、ある車両については少し高い振動騒音が出るものもあるかと思います。これは、私の方は直ちにタイヤフラットはある時期ごとに削りまして、できるだけそういう音源が出ないように、また一方、レールの方につきましても、波状摩耗等で同じような現象が出ることがございます。それらについては随時修繕をいたしまして、従来以上の騒音振動にならないように注意をいたしまして、そういう面で対策考えていきたいと考えております。
  222. 古川雅司

    古川(雅)分科員 在来線の方は、そうやって依然として具体的な対策は出てきていないわけでございます。非常にまだ騒音被害、振動被害は続いていく、そういう不安が残らざるを得ません。ただ、さきに挙げた新幹線振動騒音につきましては、要綱に基づいて障害防止対策予定を立てていらっしゃると思いますけれども、できれば五十二年、五十三年度ぐらいを対象としてどのくらいの件数を考えていらっしゃるか、お示しをいただきたいと思います。
  223. 高橋浩二

    高橋説明員 広島県で申し上げますと、騒音振動が私の方の当面の基準から外れているといいますか、それ以上の場合を与えているものが広島県内に約百八十戸ほど、学校、病院等を含めまして約百八十戸ぐらいを一応私の方は予想をいたしております。戸数から見ますと百八十戸程度でございますので、これは個々に御相談申し上げてもそう大きな量でございませんので、この予定の二年間内にぜひ協議を成立させまして対策を講じたいと考えております。
  224. 古川雅司

    古川(雅)分科員 沿線の環境保全の問題につきましては一応それでおきまして、次に二間ほどお伺いをいたしておきたいと思います。  山陽本線の在来線の三原駅の高架化についてでございますけれども、御承知のとおり、三原市は広島県の沿岸部の陸上交通が瀬戸内海海上交通の要衝として発展してきているわけでございます。国鉄山陽本線と呉線が市域を南北に分断しておりまして都市機能を著しく低下させているわけでございますけれども、山陽新幹線の三原駅の開設に伴いまして交通事情も非常に変わってきております。また、駅前の市街地の再開発もこれから進められるところでございます。地元三原市といたしましては高架化事業について非常に大きな期待を持っているわけでございますけれども、国鉄当局としてはどのように考えていらっしゃるか。  なおかつ、関連をいたしまして、この山陽本線、呉線の高架化に伴いまして、三原駅の市街地以西の、在来線が南に湾曲をした部分がございますが、この短絡も地元で非常に強く求めているところでございます。この高架化の事業とあわせて、その点の具体的な計画をお考えであるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  225. 高橋浩二

    高橋説明員 三原駅の高架化につきましては、五十一年度、一応広島県、都市側が調査費を計上いたしまして、ただいま私の方が委託を受けまして、測量調査の概略設計をただいまやっております。その結果を見ませんと、どういう設計になりますかあるいはルートがどうなるということは、ただいま実ははっきりいたしません。その辺の設計が決まりました段階で、私の方も、高架化の範囲だとかルートを一応私の方の心づもりとして決めたい。その際、最終的に決定されますのは、これは都市計画事業でございますので、都市側がお決めになる。その際に私の方は、私の方の御意見を申し上げて、両者協議して一応高架化については設計を決めたい。設計が決まった後どうするかについては、その設計を見た後、私の方で処置を考えたいというふうにただいまのところは考えております。
  226. 古川雅司

    古川(雅)分科員 どんどん進めまして恐縮でありますが、最後に、新幹線の尾道と東広島の停車駅の設置についてお伺いをいたしたいと思います。  地元十万市民のこれは熱望でありますし、また尾道市民だけではなくて周辺の市町村からもかなりそういう要望の声が上がっているわけでございまして、従来新幹線の尾道停車につきましては、さまざまな憶測やあるいはまた予想が伝わっておりまして、その見通しについてはまことに定かでございません。尾道市は、商業のみならず工業の集積も非常に最近著しくなっておりますし、また本州−四国の連絡道の建設も今回因島大橋の着工によりまして交通事情も一変をしてきているわけでございます。  新幹線の停車駅設置の、これは建設時における基本的な考え方につきましては、資料をちょうだいいたしました。一つには各地域の現状と将来の開発動向であるとか、第二に新幹線の高速性能を十分発揮できる諸条件、三番目に在来線、道路等との有機的連けい、四番目に異常時におけるダイヤの混乱を早急に回復できること、五番目に地形、地質、線路条件等による前後のルートとの関係、六番目に騒音振動等による公害の影響、こういうことを当局としてはお挙げになっているわけでございます。  こういう基本的な六項目の考え方があるにもかかわらず、地元では盛んに、尾道停車駅の実現は間近いとか、あるいは極端な例になりますと何年先にというようなことが伝わっているわけでございまして、この点につきまして、ひとつはっきりした御答弁を願いたいと思いますのは、いかなる条件が整えば新幹線の尾道駅停車というのは実現をするのか、またその時期的な見通しはどう判断をすればいいか。そしてまた、その条件として、たとえば地元において駅建設用地の確保をするとか、こういう要件がそろえば停車駅の設置は実現できるのだというような、ひとつ要件をお示しいただきたいと思うのでございます。  私いま尾道を重点的に申し上げましたけれども、関連して東広島につきましても、いわゆる広島大学の統合移転等を契機といたしまして賀茂学園都市の建設構想等もございます。こういうところから新幹線停車というような要望も出てきているわけでございますので、いまお伺いいたしました点について、ひとつ御見解をお示しいただきたいと思います。
  227. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 われわれ輸送サービスを考えていく際に、新幹線と在来線とを総合してサービスを考えていくということをやっておりまして、新幹線の場合には、主要拠点間のお客さんをできるだけ早く運ぶという考え方でございまして、その間は在来線で補っていくということで、両々相まってサービスをするということでございますので、新幹線の場合にはそういったスピードというものが要件になっております。そこで、先ほどの基準によりましてできました駅というものでやっておるわけでございますが、駅をまた一つ、二つつくっていきますと、一回とまって発車するということでスピードもある程度ロスタイムが出てきますので、全体に及ぼす影響もあるわけでございます。  そこで、山陽新幹線の場合には、五十年の三月に開業いたしまして現在まで約二年ぐらいたっておるのですが、建設当時から現在に至りますまでに非常に長い時間がたって、客観情勢が激変したということもございませんので、現在のところ、私どもといたしましては新駅の設置について計画を持っておりません。先ほど、どういう基準でというふうにおっしゃいましたけれども、将来かなり大きな変化があって新駅の問題が出てくるとしますれば、その時点におけるもろもろの条件の判断によろうかと思いますが、現在のところは、そういうわけで計画を持っておらないわけでございます。
  228. 古川雅司

    古川(雅)分科員 私は、先ほど国鉄当局のお示しになった新幹線停車駅の建設費の基本的な考え方を読み上げまして、少なくともいまの尾道、東広島については、こういう条件からしても非常に困難であるということをあえて私の方から申し上げたわけでございます。いま、そういう停車駅の設置については計画を持っていないという御答弁もはっきりあったわけでございます。それでもなおかつ地元では、何年先には実現するとか、必ずとめてみせるんだとかいうのが非常に横行している。この点に対して私は非常に大きな疑問を持って、何か一つの条件がここで整えば、それによって停車は実現するんだということをお示しいただきたかったわけでございます。その点についてもう一度はっきりお答えをいただきたいと思います。  最後に、大臣にお伺いをいたしておきますが、いろいろ申し上げましたけれども、数々の困難な要素が当然であると私は思います。しかし、以上挙げたようないろいろな現実もひとつ直視していただきまして、環境の保全あるいはこうした住民の期待にこたえて努力をし、また実現してこそ、新幹線を初め国鉄線の公共性が沿線住民に容認をされるのではないかというふうに考えるわけでございますし、そのように申し上げても過言ではないと思うのであります。その点、ひとつ大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほどもお答えいたしましたように、新幹線開業しましてから現在まだ日も浅いものですから、条件として、開業当初から特に変わったというふうには考えておりませんので、現在のところは、新駅の設置については計画を持っておりません。
  230. 田村元

    田村国務大臣 御承知のように、なおこれから新幹線をつくろうということであります。すでに整備五線といいまして、五本の新幹線がいつ現実に日の目を見るかというような状況下にもございます。これから新幹線をつくろうというときに際しまして、従来の新幹線が沿線住民にいろいろと御迷惑をかけておるということであれば、私はりっぱな新幹線はできないと思うのです。でありますから、そういう点では、これからつくる新幹線の沿線の住民に御安心をいただくためにも、現在の新幹線をりっぱなものにしておかなければならぬ。環境その他すべて、これは当然のことでございます。  ところが、いまも駅の問題のお話がありましたが、実は私のところに、尾道、東広島のみならず、まだ全然つくっていない新幹線の駅までずいぶん要望がございます。私もつけてあげたいし、さりとて一つの駅をつくればおよそ十分間おくれてくる、そうすれば新幹線の価値が失われてくるというような技術上の問題もございまして、大変苦しい思いをしておるわけでございますが、それはそれといたしまして、いずれにいたしましても沿線住民の声に謙虚に耳を傾けて、万全の努力をいたす決意でございます。
  231. 古川雅司

    古川(雅)分科員 終わります。
  232. 住栄作

    ○住主査代理 これにて古川雅司君の質疑は終了しました。  次に、福岡義登君。
  233. 福岡義登

    福岡分科員 まず、運輸省にお伺いしたいのですが、法人タクシーの増車問題であります。具体的な例を出して見解をお聞きしたいのですが、広島県の福山市という市がございますが、三十万ちょっとの市であります。現在法人数が十五社、車両数は五百五十八両であります。ところが、この五年間に新免三社三十両、増車が百五十一両、これらを行いました結果、申し上げましたように五百五十八両になったわけであります。このように五年間に百五十一両の増車をお認めになるということは、道路運送法の基準に基づいて、需給の関係あるいは経済事情などを見て判断されるわけですから、これはそれでいいと思うのであります。  きょうここでお尋ねしたいと思っておりますのは、各社法人間の増車の配分問題であります。どういう増車の内訳になっておるかといいますと、十五社の内訳でありますが、百両以上の両数を持っておるのが二社であります。この二社に対しまして、さっき申し上げました百五十一両のうち六十九両の増車が認められておるわけであります。全体の四五・六%を占めておるわけであります。それから、三十五両から五十両まで、五十両と百両の間はないわけであります。三十五両から五十両の法人が四社でございまして、この五年間に三十五両の増車が認められておるわけであります。全体の二三・一%になります。その次は、十両から二十六両までの法人が六社ございます。これが五年間に三十六両増車をしておるわけであります。全体の二三・八%になります。十両未満の社が三社ございまして、合計増車両数は十一両でありまして、全体の七・二%でございます。  こういうように増車の内訳がなっておるのでありますが、百両以上をここで上といたします。三十五ないし五十を中といたします。上、中、下で悪いのですが、それ以下を下といたしますと、上の方は全体の四五・六%、中の方が二三・一%、下の方が三一%、こうなっておるわけであります。  そこで問題は、会社を経営していく場合に、適正規模といいましょうか、最低の規模というものがあると思うのであります。それが幾らであるかというのは、その地域によっても違うでしょうし、いろいろな条件があるでしょうから、一概には言えないと思います。一概には言えないと思うのでありますが、最低の規模が必要であるということは言えると思います。たとえば、十両の車を持って経営する場合でもあるいは二十両持って経営する場合でも、法人ですから社長というか代表者はどうしても要ります。そういう者は除外するといたしましても、五両以上になりますと、運行管理者を配置しなければならない。あるいは整備管理者を配置しなければならない。申し上げました福山市の場合はほとんどが無線営業です。そうすると、無線を設備しますとその設備費もかかるし、無線要員も必要であります。十両の場合も二十両の場合も三十両の場合も、固定経費としてはほとんど変わらないと思うのですね。そういう意味から判断をいたしますと、やはり最低の規模というものを考えていかなければ経営が安定をしないだろうということは常識的に言えるわけです。そこで、道路運送法にもそういう趣旨の規定がされておる。第二章の第六条第一項第三号に「当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」、つまり認可をする場合に五つの基準がありまして、その第三にいま申し上げましたことがある。あとは需給とか経営能力とかいろいろあります。この六条第一項第三号の規定の趣旨というものはいろいろなものがあると思うのですが、その中に、会社の経営を安定的に、つまり事業を適切に遂行する計画があるかどうか。この規定の中に含まれている一つのあれは、一定の経営規模というものも私はあると思うのですね。  そこで私は、でき得ることならば、新免を出すときに一定の規模、たとえば福山市の場合には大体三十両前後が適正規模ではないかと関係者の間では言っておるわけです。もしそうだとすれば、新免のときに三十両くらいの免許をしてやって、それから増車を幾らかずつ認めてやっていくということが理想的であると思います。しかし、新免の場合は経験もないわけでありますから、いきなり三十両を認めてもらってもなかなかうまく経営できないかもしれない。そこで、試験期間といいましょうか訓練期間といいましょうか、福山市の新免は最初大体十両ということになっている。これはそういう配慮から私はある程度やむを得ぬと思うのであります。最初から三十両などを免許していくと、かえってそれがあだになる場合もあると思いますから、でき得ることならば、理想論から言えば最低の経営規模である三十両なら三十両を新免していくということがいいと思うのですが、それが申し上げましたような理由で不可能だとすれば、現実にやっておられる十両から出発をしていく、これはやむを得ないことだと思います。問題は、その後なのです。先ほど言いましたように、過去五年間の増車実績の内訳を見てみると、三十両以下の中、下の方が増車が非常に少ない。そこで私は、新免を出してから二年が適当であるか、あるいは二年半が適当であるか、三年が適当であるかということは、正確にどんぴしゃりは言えないかもしれませんが、一定の期間内には適正規模の両数にしてやるという配慮をするべきだ、こう思うのですが、実際はそうなってない。私はそう考えるのですが、いかがでしょうか。運輸省の見解を聞かしていただきたい。
  234. 中村四郎

    中村(四)政府委員 ただいま先生の申された点につきましては、私どもの方の考え方も基本的には大体同じ線に沿っておると思うのでございます。御指摘のように、福山地区を例にとりますと、各陸運局で地区ごとに最低規模というものを決めて、公示して新規免許をいたしておるわけでございます。その点につきましては、おっしゃったように十両ということになっておるわけでございます。これは需給関係から見まして最初十両で出発していくということでありまして、しからばその後の増車はどうなっておるか、こういうお尋ねでございますが、タクシーの増車問題につきましては、事業区域を同じくしておりますところの、需給状況が第一に考えられることだろうと思います。そこの需給状況から見て増車ができる、輸送力の増加ができるという場合におきまして、やはり当該企業の管理体制、運営の状況、それから各企業の車両規模、運転者の確保の見通し、資金計画あるいは車庫とかいろいろな要素があるわけでございます。そこで、私どもの方といたしましては、御指摘の最低規模で出発した企業の場合に、これを増車で輸送力をあるいは規模を増加させていくというときには、方向としては先生のおっしゃった方向でございますが、逐次伸ばしていく。たとえば十両のところを一挙にそれの相当のパーセンテージに当たる車両数に伸ばすというのにつきましては、やはり着実に伸ばしていく方が妥当じゃないか。と申しますのは、新規免許を受けましてから一定期間の経営の実績なりそういうものを見まして、経営基盤を強化しながら、おっしゃったような方向の規模まで増加させていくという考えで私どももおるわけでございます。
  235. 福岡義登

    福岡分科員 お話と実態は違うのですね。個々の法人名は挙げませんけれども、たとえば昭和四十八年の六月に十両の新免を出している。二社あります。その後四十九年がなくて、五十年は増車が三十九両あったのです。ところが、四十八年に出た新免には、おおむね二年経過しておるのですが、増車ゼロだ。五十一年の八月に二十八両あったのですが、その中で二両ずつで四両です。ですから四十八年から三年目に二両増車が認められた、こうなっている。この二社とも最初から十両でやる事業計画じゃないですから、三両なり四両なり五両の計画を持っているわけですから、車庫の敷地なんかも整備しておるし、資金の面も、ある程度増資の計画その他も陸運局に出しておるわけです。個々条件は申し上げませんが、私どもが話を聞いて判断をする限り、二両というのは余り少ないじゃないか。せめて三両なり五両なり——一年も経験積んで事業実績を見れば、増車ができるかどうかということは私は判断できると思うのです。時間がありませんから細かいことは省略をいたしますが、実際には福山の個々実績を見て判断する限り、あなたもお認めになったような、私が述べたような方針で処理されてない。  そこで一つ心配があるのですが、増車申請をするときに、タクシー協会があるでしょう、その協会の了解を得てこられましたかということを窓口が言う。これはおかしいじゃないか。それはそうなんですけれども、一応協会の方と相談していらっしゃい、なかなか増車申請を受け付けない。同時に、全体の増車両数というのは、お話があったようにその地域における需給関係その他を判断してやるわけですから、それはそれでいいのですが、その増車両数が決まって配分のときに、協会がどうも相当の、介入と言えばちょっと言い過ぎかもしれませんが、発言権を持っておるように思います。どうもその辺、協会と言いましても役員構成がいろいろございます。いい役員構成のところもあるでしょうし、問題の役員構成のところもあるでしょうが、一般的に言って、協会が、別の相当悪い言葉で極論すれば、陸運局なり運輸事務所なりと癒着しておるのじゃないか。だから、協会の役員の内諾を得ないと増車申請そのものも受けつけてくれない。ていよく断る。そういう事実があるやに聞きますけれども、実態がうまくいっておるならそういうことはないと否定できますが、この福山市の例でいく限りうまく行っていないのですね。三年もたって二両しか増車を認めない。そのときに、こう見ますと、四十六年にはA社、百六十一台現在持っておるところなんですが、十両行っている。四十九年には十三両、四十八年に七両、五十年に十一両、こう行っているわけですよ。そのときどきの一番多い年は四十八年ですが、五十二両増車を認めておるわけです。そういう実績の中で見る限り、どうも中小というか零細業者というか、そういうものに対する育成の措置がなされてないのじゃないか。これはぜひ方針、筋道をお認めになるならば、今後そういうようにやっていただきたいし、間違っても協会などが増車申請に介入をしたり——全体の増車両数をどうするかというときには協会がある程度意見を述べても当然だと思うのですね。法人間の増車両数まで協会が采配を振るうというか発言権を持つということは余り好ましい状態ではないと思うのです。いかがですか。
  236. 中村四郎

    中村(四)政府委員 協会云々のお話、私承りまして、実は驚いたようなわけでございます。われわれといたしましては、行政権の行使に当たってそのような事実はないと信じておりますし、またそうあってはならぬ、こういうふうに思っております。もし御指摘のような事実があるようなことであれば、大変なことですので、実態を調査いたしまして是正するようにいたします。  それから、需給関係から見て一定地域におきますところの増車ということが可能な場合に、小規模事業者の経営上有利な規模までの増車につきましては、実績を踏まえつつ着実に育成していく考え方で今後も望みたいと思っております。
  237. 福岡義登

    福岡分科員 大体趣旨はわかりましたので、ぜひそういうように実施していただきたい。でき得れば大体画一的には言えないと思うのですが、原則的には新免を出して三年なら三年ぐらいの間には、三十が適正規模だとすれば、あるいは二十五であるかもしれませんが、一定の規模までには認めてやるという計画性を持っていただきたい。その場合に、百両以上持っておるところなんか経営が安定しておるのですから、そういうところはちょっと遠慮してもらって、十両のところを五両にするとか、ちょっとがまんしていただいて、中小規模の方に回していただく、そういう意味では特別な配慮をしていただきたいということを強く要望いたしまして、このお話は終わりたいと思います。  それから、国鉄にお願いかたがたお伺いをしたいのでありますが、いわゆる三江線の問題、五十年の八月に全線開通をしていただいたのでありますが、今日なお直通列車が運転されてない。これはいろんな事情があると思うのですが、当初われわれがお伺いしておりましたのは、昭和五十一年の夏ごろには直通運転ができるのじゃないかというお話を仄聞しておりました。ところが、今日なおそれが実現できていない。いろいろとお伺いしたところによりますと、相当おくれるんではないか、こういうお話なんです。沿線各地関係者は非常に早い直通運転を熱望しておるわけです。早くやっていただきたいと思うのですが、その時期はいつごろになるか、お伺いしたい。
  238. 高木文雄

    ○高木説明員 三江線の直通問題は、先生よく御存じのとおり、かねてからの懸案でございました。私どももこれを早く実現をいたしたいということで、所要の設備あるいは自動信号化、またCTC化というようなことについて工事をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。そうして、これはただいまお触れになりましたように、でき得るならば本年度中にでもというぐらいの感じでかつてはおったわけでございますが、最近いろいろ事情を私も聞いてみまして、意外なことに、そのとおり進んでないということで、私自身もまことに残念だ、申しわけないと思っておる次第でございます。  これはいろいろな事情が重なっておるようでございまして、いずれにしましても、関係の利用者の方々に御迷惑をかけておることでもあり、われわれとしても、せっかくつないだわけでございますから、一緒に運転をしないと能率が悪いわけでございますので、気持ちとしては一日も早くいたしたいと思っておりますが、御存じのように、他の地区との仕事のやりくりとか、いろいろなことが重なりましておくれておる次第でございまして、何とか一日も早くいたしたいと思っておりますが、ここでいつと申し上げましても、どうもいままで、お約束すると、そのとおりできないじゃないか、こういうことになりますものですから、いまここでいつまでに確実にいたしますということは、ちょっと申し上げるのを差し控えさせていただきますが、とにかく気持ちとしてはなるべく早くやりたいという気持ちでおることは事実でございまして、また予算がないとかというような事情でなくて、別の事情でおくれておりますので、これは鋭意督励をしてまいるということをお約束いたしたいと思います。
  239. 福岡義登

    福岡分科員 できるだけ早くやっていただきたいということをお願いをして次に移りますが、問題は、直通運転を開始する時期の営業内容であります。何本の列車を運転していただけるのか。あるいは急行なり快速をぜひやってもらいたい。この三江線は大きな赤字を抱えておる路線であります。私どもも時に触れてこの事業を聞かしていただいておるのですが、赤字線であるがゆえに直通運転を開始する際に営業内容に手心を加えないようにしていただきたい。赤字線問題が大きな国鉄財政再建の課題であることはわれわれもよく承知しております。それは全体的な問題あるいは制度的に解決をしていかなければならぬ問題だと思いますので、それはそのときの検討に加えていただくことにして、直通運転開始の時期には、一般的な見地からぜひ考えていただきたい。現在いろいろ運転をやっていただいておるのでありますが、でき得ればこの三次−江津間は六往復ぐらいの運転は確保していただきたい。できればまた、広島から三次−江津の急行なり快速というものを、これは長年の関係者の要望でございまして、ぜひそういう方向に努力をしていただきたい。この点についての御見解を伺いまして、終わりたいと思います。
  240. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 三江線は本当にかなり赤字路線であることは確かなんですが、一日も早く直通運転をやりたいという気持ちには変わりはございません。直通運転をしたときに、先生いま六本くらいというふうにおっしゃいましたけれども、現在まだ検討中でございまして、どういう列車をどれくらいということは申し上げられませんが、快速運転とかそういったことも含めまして検討中でございますので、ただいまの先生の御意見も参考にさしていただきまして、これから検討していきたいと思います。
  241. 福岡義登

    福岡分科員 終わります。
  242. 住栄作

    ○住主査代理 これにて福岡義登君の質疑は終了しました。  次に、小川省吾君。
  243. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、奄美大島に関連をする二つの問題についてお尋ねをいたしたいと思っております。  南の国の奄美とは、実は縁もゆかりもない選挙区の議員の素朴な質問でございますので、運輸省もぜひ誠意を持って率直な、前向きな御答弁をお願いしたいと存じます。  まず大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、日本国民である以上、いかなるところに住居を有しようとも、どこの県民であろうとも、法のもとには平等であり、行政の光は公平に享受できなければならぬことは当然であろうと思いますが、いかがでございますか。
  244. 田村元

    田村国務大臣 申すまでもないところでございます。
  245. 小川省吾

    小川(省)分科員 しかし、いま大きな不平等があると思うのです。南の果て沖繩は、日本国の一つの県でございます。しかし沖繩は、国鉄の恩恵を受けていないわけであります。こういう不公平や不平等な話があってよいはすはないと思うのでございます。  いま、内陸交通の面は別といたしまして、海の話に限ってお伺いをいたしてまいりたいと思っております。  現在、国鉄の定期船というか連絡船というのは日本国内で、私は、青函連絡船ですか、青森と函館の間を走っているのは承知しておりますが、何本ぐらい、どういう状態で走っているのでしょうか。
  246. 住田正二

    住田政府委員 連絡船として大きいのは、いまお話しございました青函と宇野−高松。そのほかに宮島航路、仁堀航路と二航路ございます。したがいまして、全部で四つでございます。
  247. 小川省吾

    小川(省)分科員 全部で四つだそうでありますが、その連絡船というか定期船が走るようになった理由といいましょうか、原因はどういうところにあるわけですか。
  248. 住田正二

    住田政府委員 青函連絡船と宇高連絡船につきましては、鉄道鉄道とをつなげるという意味の連絡船だと思います。あとの二つは歴史的な、沿革的な話で、当時ほかに民間の方で船による輸送をやる会社がなかったということで、国鉄の駅と宮島を結ぶとか、そういうことでやったわけです。あとの二つについては鉄道鉄道の連絡という意味がございます。
  249. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、鹿児島から沖繩の那覇まで、当然のことですが、途中に奄美があるわけですから、魁美を経由をして定期航路を開設させろという主張で質問しているわけですが、従来この航路の開設の要求か要望があったと思うのですけれども、その辺はどうだったのか。それで、どう取り組まれた経緯があるのか、まずもってお伺いしたいと思います。
  250. 住田正二

    住田政府委員 いま先生お話しのように、鹿児島から奄美を経由して沖繩まで国鉄が定期航路を開設してはどうかというお話はたびたび伺っておるわけです。先ほどもお話しいたしましたように、国鉄の連絡船というのは、鉄道鉄道とを連絡するとか、あるいはほかにおやりになる方がいないのでやむを得ず国鉄が引き受けるという場合でございまして、この鹿児島から奄美を経由して沖繩に行く経路につきましては、民間の会社があるわけでございます。民間の会社だけでも毎日一便程度のものは維持されておるわけでございますので、民間の会社に加えて国鉄がやるという、そういうような意味合いで国鉄にやらせなければならぬという理由はないということで実現いたしていないわけでございます。
  251. 小川省吾

    小川(省)分科員 運輸省は何らかの機会に、鹿児島から沖繩までは海上国道だということも主張したことがあるようでございますが、実現をしなかった理由が、民間がやっておったからということらしいですけれども、民間海運が航路を開いた理由は、国鉄が取り組まなかったから結局そういう民間航路を開いた、こういうことだろうと思うのです。いま奄美、沖繩の物価高がときどき問題になりますけれども、私は、国鉄が定期船航路を開かなかったことにも一つの理由があるのではないかと思うのであります。  そうすると、民間航路があるから国鉄は定期航路を開設しなかった、こういうことでございますか。
  252. 住田正二

    住田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、国鉄がどうしてもやらなければいけない路線というのは、他にやる方がおらないという場合に限定さるべきではないか。民間がやっておられるところに国鉄が乗り出してきて競争しながら海運事業を営むというのは、例外といいますか、本来あり得ない姿、やり方ではないかと思います。
  253. 小川省吾

    小川(省)分科員 私は、いまおっしゃるような理由だとするならば、行政としては十分な措置ではないというふうに思っております。いずれにしても、先ほども大臣が言われたように、ひとしく国民が法のもと、行政のもと、平等な恩恵を受けるとするならば、民間が航路を開設しておっても国がやるのが当然であろうと思うのです。一つの県が南の果てにあるわけでありますから。そういう意味でも当面、困難というか、開設をするような状況にはないということですか。
  254. 住田正二

    住田政府委員 先ほども申し上げておりますように、現在国鉄をして鹿児島−奄美−沖繩の航路事業を営ませるということは、現在の段階では考えておりません。
  255. 小川省吾

    小川(省)分科員 運輸省は、いろいろないわゆる離島の航路について航路補助を出しているようであります。いまそういう定期路線が開設できないということであるのならば、那覇から鹿児島なりの航路に対して当然航路補助をしていくべきではないか、こういうふうに思っているわけですが、現状ではどうなっておりますか。
  256. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 ただいま鉄監局長が御説明申し上げましたように、鹿児島と那覇の間にはたくさんの民間の定期船会社が定期航路を営んでおります。あるいはそのほかに東京から那覇、大阪神戸から那覇、博多から那覇、それぞれの航路についても複数の定期船会社が就航しておりますが、それらの航路につきましては、先生のおっしゃいました離島航路補助は出されておりません。
  257. 小川省吾

    小川(省)分科員 なぜ出されていないのですか。
  258. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 ただいまの離島航路補助の基本的な考え方から御説明申し上げなければならないかと思いますけれども、現在、離島航路整備法に基づきまして政府が補助金を交付しております離島航路は、その航路がなければその離島の人人の足が確保できないといったような、唯一の生活航路というようなものにつきまして、その維持改善を図るためというのが航路補助制度の趣旨であるというふうに考えております。  ただいま御説明申し上げましたように、沖繩と本土の間を結んでおります航路につきましては、それぞれの港、まあ一番端的に申しまして、鹿児島と那覇というのが一番この場合に例に挙げられると思いますけれども、この航路につきましても、ただいまのところ三つの会社が旅客定期航路事業を営んでおり、それ以外にも貨物を運ぶ船が往来しておる。唯一の事業者があって、それが島民のためにその欠くべからざるものになっておるというかっこうではないわけでございます。先ほど申し上げました航路補助制度のたてまえというものから申しまして、ただいまのような状態が続きます限りこの補助金の交付ということにはすぐには残念ながらつながらないと思います。
  259. 小川省吾

    小川(省)分科員 ただいまの御説明で、いわゆる唯一の生活の足であるということに対して航路補助が出されているというのは、私は行政の筋としてはよくわかります。いまもお話しのように、競合しているような路線であると補助は出ていないようですね。しかし、そういう路線にしても私は決して非常なドル箱路線ではないというように思っておりますし、そういう点では恐らく競合をしている会社にしてもそれぞれロスを抱えているのではないかと思うのですね。そういう面で、運輸省は行政指導の面では卓越をしているわけでありますから、そういう競合路線を指導されて唯一にしてむしろ航路補助を出していった方が、会社のためにももちろんなりますけれども、島民の物価安定といいますか、物価を上げないという意味においてもそういう方がプラスだというふうに私は思っておりますが、そういうふうなお考えはございませんか。
  260. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 ただいまの鹿児島と那覇の航路を例にとりまして御説明申し上げますと、ただいまこの航路を運航しております会社は、なるほどそのうちのものは会社更生法による申し立てを行っておるとか、会社自身としては経営上非常にむずかしい状態になっておる会社も中には含まれておるわけでございます。ただ、現在この航路を運航しておりますそれぞれの会社のこれまでの歴史なり投資、運航の態度なり、そういったようなものを考えてみますと、それぞれの会社はこの航路につきましていわば自由なる判断としてここに定期航路を開いてここで企業を行うということが、もちろん島民の方の利益にもつながるわけでございますけれども、企業採算として成り立つというような判断のもとにこの航路を始めたように理解されます。ただいま申し上げましたように、ただいまたまたま会社の経理がむずかしい状態になっておるということにつきましては、沖繩の海洋博という行事が前にあり、またそういうものを目がけてそれぞれの会社がより大型のより豪華な船というものをつくって、それをただいまそのまま運航させておるという事実がございます。したがいまして、この航路について今後とるべき姿、形というものについて申すならば、ただいま先生御指摘になりましたような企業の統合といったようなところにすぐ進むのではなくて、現在海洋博後の本土と沖繩の間のお客さんの動き、貨物の動きというものの状況に合わせたような、いま見れば過大となったような船を何がしかのかっこうでもっとコストの安い船に置きかえるというような努力に、今後の方向は向くべきではなかろうかと考えております。三つの会社がたとえば統合といったようなことにいたしますにつきましては、現在その会社を運営しております人々の考え方というものも参考にいたさなければなりませんし、私どもの判断ではただいまのところそういうふうな意図というものはあるようには思えませんし、かつただいまの状態のまま仮に統合が実現いたしたといたしましても、その会社の経理、運航採算というものはほとんど改善の見込みはないというふうに考えられます。
  261. 小川省吾

    小川(省)分科員 御説明を承りました。しかし、いずれにしても一社は会社更生法の適用を受けているようでありますし、非常にロスでもありますし、さらにまた奄美や沖繩の物価高の一因がこんなところにも私はあると思っていますので、ぜひ情勢を見ながらひとつ行政指導にも当たっていただきたいというふうに要望いたしておきたいと思います。  次に、地方空港の整備の問題についてお尋ねをいたしてまいりたいと思うのです。  奄美空港は何年何月ごろにジェット機の就航が可能になりますか。
  262. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 現在奄美空港につきましては旅客需要が年々ふえておりますので、ジェット機を着陸させるための整備が必要であると考えております。ただ、現在の空港をそのまま拡張いたしますことは、地形的その他の理由で困難な面がございます。これは鹿児島県がこの空港の管理者でございますので、鹿児島県の考え方では、新たに東側の海岸に新空港を整備するということで適地の調査及び地元民との話し合いを進めているところでございます。今日まだ具体的にどういうふうにしようというお話が県から参りませんけれども、仮に新空港の位置が決まりそして工事に入ったとした場合に、海上空港でございますので埋め立て工事等にかなり時間を要します。私どもの推測では、着工後五年は少なくともかかるのであろう、こういうふうに思っております。
  263. 小川省吾

    小川(省)分科員 運輸省は年次計画で地方空港の整備事業を進めているようですが、第三次五カ年計画はどんなふうに進行しているのでしょうか。
  264. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 第三次空港整備五カ年計画は、五十一年度から五十五年度まで総額九千二百億円の事業費で現在進行中でございます。そのうち地方空港の分が千七百五十億円でございますが、土地の取得などについて若干難航している点もございますが、私どもはこれを鋭意消化してまいるつもりで努力をいたしておるところでございます。
  265. 小川省吾

    小川(省)分科員 あの計画を拝見をいたしますと、奄美空港よりも徳之島空港の方が早く完成をするようになっているわけですね。それはそれなりに結構なんですが、いま土地の問題が出ました。申し上げるまでもなく御承知だと思いますが、奄美諸島では奄美空港がメインの空港になっているわけですね。そこから離島への空路が分かれているわけであります。当然奄美空港の整備を先に急がなければならないというふうに思っているわけであります。特にYS11が製造中止になったというようなことがありますから、当然そうなるというふうに思っています。運輸省から出してある資料を拝見しても、奄美空港の乗降人員は第二種空港の中では最高で他を圧しているわけですね。こういうところこそ最優先をさせて整備をしていかなければならないはずだと思いますけれども、土地の問題はわかりましたが、運輸省のお考えはどうですか。
  266. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは先生お話のとおりでございまして、奄美空港はこの地域の中心になる空港であると考えます。したがいまして、優先順位としては徳之島空港よりももっと早く完成してしかるべき空港でございますが、残念ながら、先ほど申し上げましたような地理的な条件その他によりましておくれているわけでございますが、私どもは現在鹿児島県との間で一日も早くこの計画ができるごとを願っております。計画ができ次第第三次五カ年計画中でもこれに着手をするつもりでございます。
  267. 小川省吾

    小川(省)分科員 お答えを聞いて安心をしたわけですが、そうすると、地元の方で土地の問題の話がつくならば、この第三次五カ年計画中でも優先をして奄美空港の整備に入る、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  268. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 これは埋め立て空港でございますので、用地買収等のことはございませんが、やはり地元の方との話し合いが要ります。そういったことが鹿児島県当局との間で話がつきますれば、五カ年計画中でもできるだけ早く着工をいたしたいと思います。
  269. 小川省吾

    小川(省)分科員 大臣、お聞きいただきたいのでありますが、先ほど来の討論の中で、離島といいますか、国の中心から離れているところというのは、道路にしても、空港にしてもそうなんですが、ややもすれば整備がおくれがちでございます。そういう点は特に行政の面で意を用いていただかぬと、なかなか国民が平等に行政の光を受けるということはできないわけです。そういう点で大臣もぜひいまの局長答弁のような形で対処をしていただきたい。運輸省の行政全般についてですけれども、ぜひそういう点を配慮をしていただきたいことをお願いして私の質問を終わります。
  270. 田村元

    田村国務大臣 実は私は元来島が好きでございまして、離島をあちらこちらよく回ります。特に沖繩、奄美はしばしば行っておるわけであります。率直なことを申し上げて、確かに離島振興対策等も充実され、何かとよくなってはおりますけれども、問題によっては気の毒な面がまだたくさんございます。でございますので、たとえば仮に沖繩一つ例にとりましても、国鉄がない県は沖繩だけであります。いろいろとそういう点ではお気の毒な面もございます。私は、離島の自然のよさを残しながら、しかも離島が宿命的な悩みとして抱いておる格差、これを是正するために全力を挙げたいと常日ごろから考えておりますが、いま貴重な御意見を承りまして、なおも私の考え方を推進するために努力を強めたいと考えておる次第でございます。
  271. 小川省吾

    小川(省)分科員 いまの大臣の御発言を聞いて大変安堵をいたしました。ぜひひとつそういうあれで今後とも対処していただきたいことを要望して終わります。ありがとうございました。
  272. 住栄作

    ○住主査代理 これにて小川省吾君の質疑は終わりました。  次に、中井洽君。
  273. 中井洽

    中井分科員 新幹線と関西線あるいは中央新幹線のことにつきまして少々お尋ねをいたしたいと思います。  ことしはずいぶん雪で新幹線がおくれる、あるいは運休になることが多かったように思うわけでございますが、これの被害あるいは運休本数等が、ことしの冬の間だけで結構でございます。おわかりでございましたら、ちょっとお教えを願いたいと思います。——わからなかったら後でも結構です。
  274. 住田正二

    住田政府委員 国鉄がいま参りますから……。
  275. 中井洽

    中井分科員 それでは先に運輸省に聞きましょうか。  私の選挙区の三重県というところは、大変地盤沈下等が多いわけでございます。苦しんでいるわけでございますが、この地盤沈下対策の一環として四日市市の富州原水門というものが計画され、いま予算の獲得ということでお願いをしているようでございます。本年度の予算あるいはその工事進捗ぐあいについて、おわかりでございましたらお教えを願いたいと同時に、非常にこの地盤沈下対策問題というものがおくれているわけであります。そういった意味での御配慮というものをお願いしたいと思うのですが、その点についてお尋ねをいたします。
  276. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先生御指摘の四日市港の富州原地区でございますけれども、御指摘のように地盤沈下が相当進行いたしまして、防潮護岸が相当天端が低くなってございます。それで船舶等の利用により、天端が低くなったからといってかさ上げするというわけにもまいりません。そういうような事情から、水路の入り口、いわゆる港口部のところに水門を設置いたしまして、あわせて排水施設を建設いたしまして高潮に対処する、こういうようなことを考えておりまして、水門につきましては五十年度に、また排水施設につきましては五十一年度に着手いたしまして、いずれも早期完成を目途に鋭意整備促進中でございます。  それで、私どもの考えといたしましては、何とかこれらの工事を急いで進めまして、水門それから排水施設を含めまして、五十五年度にはおおむね完成させたい、こういう心組みでございます。現在のところ五十二年度事業につきましては、これから予算が決まりましてから配算するように考えておる次第でございます。
  277. 中井洽

    中井分科員 御存じのようにこの地帯は伊勢湾台風以来今日までに一メートル数十センチに及ぶ地盤沈下地帯であります。雨が降る、あるいは台風が来る、そこへ高潮が重なると言えば、その地帯一帯が常に浸水地帯になっておるというような状態であります。その一環として行われている工事でございます。今後ともの御配慮というものをかたくお願い申し上げたいと思います。  国鉄の方が見えたようでございます。新幹線、関西線の問題に移りたいと思います。  大臣にお尋ねをいたしますが、国鉄新幹線網の中でいろいろと御計画はおありのようでありますが、調査線となっております中央新幹線の現在の調査のぐあい、あるいはこれからの見通し、こういったものについて端的にお尋ねをしたいと思います。
  278. 田村元

    田村国務大臣 その前に技術的なことを……。
  279. 高橋浩二

    高橋説明員 中央新幹線につきましては、ただいま東京から名古屋の間につきまして、この間は地形も非常に急峻でございますし、地質も複雑であるということで、もしつくるとすればこの区間が非常な難工事になるのじゃないかということで、この区間だけの調査命令を受けて、私の方でただいま調査をいたしておるところでございます。したがいまして、それに必要な航空写真とか、場所によりましてはポーリング等の地質調査をただいまいたしております。
  280. 田村元

    田村国務大臣 東海道新幹線そのものを見てみますと、昭和三十九年十月に開業以来、着実に輸送需要が増加し続けております。今後の見通しとしてはわが国経済の動向とかあるいは国鉄運賃の改定の影響等不確定要素はたくさんありますけれども、それだけに的確な予測が困難ではありますけれども、昭和六十年以降遠くない時期に輸送力の限界に達するものと予想されます。当然第二東海道新幹線とでもいいますか、中央新幹線のことを真剣に考えなければならぬということになるわけであります。その建設時期につきましては、先ほどの技術的な事情もあります。また国の経済、財政事情、それからこれから策定される予定の三全総、いろいろな関連があります。また国鉄の再建という関係もあります。でありますから、いま直ちにいつからどのようにということは明言はできませんけれども、これは真剣に考えなければならぬ。下手をしておるとおくれるということも予想されますから、その点で真剣に考えていきたい、こう思っております。
  281. 中井洽

    中井分科員 先ほど雪による新幹線の被害ということについてお尋ねいたしましたのも、中央新幹線が走ればそういった点というものは解消されていく、あるいはここ数年たびたび新幹線が一日あるいは半日ストップして総点検を行っている。こういうことを考えると、いまの新幹線で増大する輸送力をさばいていくのに無理があるのじゃないかと私どもは考えているわけであります。そういった点、いまの大臣の御発言でよく理解はできるわけであります。ぜひとも急いで計画線あるいは繰り上げをいただくようにお願いをしたいと考えておるわけであります。また赤字問題も出てまいりましたけれども、各地にある新幹線計画の中で、この中央新幹線だけは、開始をしていただければ直ちに採算がとれるのじゃないか、私はこのように考えております。そういった点を含めて御理解をいただきたいと思います。  新幹線のことはそれくらいにいたします。この新幹線網が、端的に言いますと私どもの選挙区であります三重県を通ります。この新幹線を先にやっていただくということでございます。私どもも関西線のことについて触れるあれはないわけであります。まだまだ先のことのように思うわけであります。したがって、いま走っております関西線の複線化についてお聞きいたしたいと思います。  関西本線という汽車は日本鉄道網の中でずいぶん早くつくられ、しかも大阪、奈良、名古屋という大都市を結ぶ幹線であるにもかかわらず遅々として複線化計画が進まない。大阪−奈良間はすでに複線が実行されております。また四日市−名古屋間につきましても計画され、いま取り組まれているようでございます。亀山までの電化が決まったということでありますが、数十年間に遅々として進まないというのが現状であります。こういう点、地域住民が非常に複線を望んでいるわけであります。この見通しについて大臣の率直な御見解をお聞きしたいと思います。
  282. 田村元

    田村国務大臣 三重県の中井君が三重県の私にお尋ねになるのでいささか面映ゆいところもあります。しかし、中井君と私とは選挙区も違いますし政党も違いますから、あえて私からお答えしても差しさわりはないと思いますのでお答えを申し上げたいと思います。  関西本線名古屋−湊町間のうち木津−湊町間四十八・二キロメートルにつきましては三十六年三月までに複線化を完了しております。名古屋−四日市間三十七・二キロメートルにつきましては四十四年十二月運輸大臣が認可をしまして、隘路区間から逐次着工し、現在二駅間八・四キロメートルが完成、一駅間四・二キロメートルを工事中であります。他に、防災関連工事として橋梁新設工事を施工中であります。また八田駅付近につきましては高架化の計画があります。その実施時期に合わせて複線化に着工することとし、他の区間につきましては今後の輸送需要の動向を見ながら着工の時期を決めたいと思っております。  四日市−木津間約九十キロメートルございますが、これにつきましては今後の輸送需要の動向、沿線の開発状況等を勘案して複線化の検討を進めることにしております。いずれにいたしましても名古屋と大阪を結ぶ、言うなれば大都市近郊線とも言うべき幹線鉄道でありますから、そういう事情を十分に踏まえながら、真剣に検討していくことにいたしたい、このように考えております。
  283. 中井洽

    中井分科員 大臣の大変御丁寧な答弁であったわけでありますけれども、この委員会あるいは運輸委員会でも常々この問題が歴代諸先輩において取り上げられてきたわけでありますが、一向進まない。またいま大臣の御答弁にありましたように、名古屋−大阪という六大都市を結ぶ本線でありながら複線化されない、こういったことで私どもは非常に不審に思っているわけであります。国鉄の財政自体が赤字、また関西線も赤字だということは承知をいたしております。しかし複線化をすることによって利益も出てくる路線もあると考えているわけであります。この関西線については複線さえしていただければ必ず利益は上がってくる、私どもはこのように考えているわけであります。そういった意味でまだまだ関西線の複線化がおくれるということであるならば、この際思い切って、大臣どうですか、複線を前提に私鉄の方に売却をされるというようなことも含めて御検討をいただくというわけにはいきませんでしょうか。
  284. 田村元

    田村国務大臣 大変ユニークな考え方であります。ただ地方ローカル線でありましたらわりあいに話は楽かもしれませんが、何といっても本線と名のつく大動脈でありますから、こういう問題については真剣に考えなければならぬと思いますが、私鉄が仮にこれを経営するとすれば、恐らく国鉄がやっておるよりももっともうけるだろうし、あるいは沿線の開発ももっとどんどんやるだろう、いわゆるデベロップメントも進むだろうと思います。私も県民としてはそれを望まぬわけでもありませんけれども、運輸大臣という立場であれば、簡単によろしゅうございますというわけにもいかない私の立場をひとつおくみとりいただきたい。ただ、私は非常にユニークな発想だと思う。そういう点、これから真剣に関西本線だけではなくあるいは検討しなければならぬ問題かもしれません。一度私なりに考えてみたいと思います。
  285. 中井洽

    中井分科員 大臣、ありがとうございました。  国鉄総裁、売ってしまえなどという大変失礼なあれをいたしましたけれども、ひとつぜひそういった発想の転換を兼ねてこの路線についてお考えをいただきたい。また、田村さんが同じ選挙区だと言われたわけでありますが、私と同じ選挙区の参議院議員の斎藤昇さんという方も運輸大臣をなされました。歴代運輸大臣二人も出られて一向に複線にならぬということでは、自民党は何でもできるという話がだんだん神話化してまいります。ひとつその点も考えてお願い申し上げたいと思います。  大変冗漫な話になりましたけれども、関西線の複線化はなかなか行われにくいということであるならば、この大阪−奈良−名古屋間を最短距離で走る路線について、もう少し便利よく走っていただきたいというのが私どもの実感でございます。たとえば奈良から名古屋へ急行「かすが」が一日四号走っているわけであります。逆に名古屋から奈良へ「かすが」が一号、二号、三号で終わる、こういうことになっております。これはどういうことなのか、ちょっとわかりかねるのですが、どなたか御答弁をいただけますでしょうか。
  286. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 急行が片方が四本で片方が三本だということ、私もつまびらかにこの間の事情はわかりませんが、列車の運用とかそれから時間帯ということで、線区によりましてはそういうふうなことがあるわけでございます。
  287. 中井洽

    中井分科員 とにかく先ほどの大臣お話にもありましたけれども、本線という路線でありながら、しかも六大都市間を結ぶ最短距離の交通網でありながら、一日急行が七本ということでは利用する者もしなくなる、こういった状態でございます。ぜひその点をお含みおきを願いたいと思います。  またそれと同時に、単線であるがために接続あるいはあちこちで急行を待ち合わすということで非常に時間がかかるわけであります。しかも調べましたら、この七本の急行、奈良−名古屋間の所要時間が最大かかるもので二時間四十六分、一番早い汽車で二時間二十三分。非常にばらつきがあるわけであります。この間、亀山駅で紀勢線と接続が行われている。この接続に対する所要時間も十三分かかったり六分かかったりしている、こういうことであります。この紀勢線は大臣田村さんの選挙区を通っているわけであります。いずれにしても単線であります。単線同士を接続さすのに十数分も待たすというようなダイヤを組まなければいいんだ。亀山駅でしか会わないわけでありますから、亀山駅で会うようなダイヤをお組みになれば時間が短縮されていくと私は考えるわけでありますが、こういった点について御見解を伺いたいと思います。
  288. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 拓植あるいは亀山で関西本線と草津線あるいは紀勢線と接続をしておりますが、さっきお話がありましたように両方とも単線でございますので、それの接続を考えますと、たとえば草津線から拓植で関西線の奈良方面、あるいは関西線の方から草津線の草津方というふうにやりますと二つです。そういうような組み合わせをやりますと、拓植ないしは亀山という二カ所でも大体十ぐらいの組み合わせになるわけであります。単線と単線同士でありますので、急行と普通列車の待ち合わせもさることながら、そこの接続になりますと、確かにそういった不便がございますが、これは単線と単線ということであらゆる組み合わせをやるということがなかなか困難であるというようなこともございます。そこで、いろいろかねてからも要望がたくさんございますので、時刻改正とかそういう機会を利用して、これからも極力勉強していきたいというふうに考えております。
  289. 中井洽

    中井分科員 その時刻改正で運用なさる場合に、いま走っております急行の中で、最短時間で行っております二時間二十三分より多くならないようなダイヤ改正をぜひお願いを申し上げたいと思います。  先ほど私鉄へ売ってしまえとか大変御無礼な話をしたわけでありますが、実は私どものこの地域では、だんだん関西線が不便になっていく。しかも、この関西線と並行して、四十五キロほど遠いわけでありますが、同じく名古屋−大阪間を走っている私鉄がある。この私鉄と競争をしないように、あるいはこの私鉄に遠慮をして関西線をだんだん不便にしていくんじゃないか、あるいは複線化しないんじゃないか、こういった感情すら、議論すら行われているわけであります。そういった意味で、私は思い切って私鉄に売ってしまえというようなことを申し上げたわけであります。  先ほども申し上げたと思うのでありますが、複線にしてまた赤字がひどくなるというようなことでございましたら私どももあえて御要求をするということは差し控えたいと思うわけでありますが、複線にすることによって十分私鉄を凌駕できるような形、あるいは経営的に十分やっていけるような路線であると確信をいたしております。そういった点を踏まえて、複線化についてもう一度国鉄総裁の方から御返答をいただきたいと思います。
  290. 高木文雄

    ○高木説明員 一般的に申しまして、複線化がなかなか進まないということで全国的にいろいろと御迷惑をかけておる状態でございます。それは、複線化いたします場合の建設コストがやはりかなりのものになるということが一つの理由になっておるわけでございます。  ただ、しばしば御要望がございますのは、関西地区の通勤電車をもう少し整備したらどうか、とかく関東といいますか首都圏に目を奪われて仕事をしているんではないかという御指摘があるわけでございます。それにつきましては、関東の方もかなりの見通しがついてまいっておりますので、関西地区についてどう考えたらよろしいかということを私どもとして真剣に考えなければならない事態になっております。また、住宅その他開発も大変進んでおりまして、関西各地区で大分さま変わりな様相になってきておりますから、関西地区の通勤を頭に置き、また都市間連絡を頭に置いた姿をこれから描いていかなければならないというふうに考えておるわけでございまして、いま大臣も言われました、大変ユニークな御提案もあったわけでございますが、私どもは私どもなりに現在の関西の各線、大阪、京都、名古屋を中心とする各線のあり方についてこれから検討を深めてまいりたいと思います。この都市問題というのはある意味におきましては交通問題であろうかと思いますので、そういう意味において、なかなか窮屈な事情でございますけれども、それはそれとして考えていきたいというふうに思っております。
  291. 中井洽

    中井分科員 時間がございませんので御要望だけ重ねて申し上げて質問を終わりたいと思います。  この関西線沿いに名阪国道という国道が、半分は一般国道、半分は有料道路で走っているわけであります。これが完成いたしましたときには、千日工事と言いまして、一遍に千日間で道路をつくり上げたということがございます。その後、名古屋へ向かっていま路線が延びているわけであります。これが名古屋まで行きますと、名古屋−奈良間は完全に自動車の方が早く走ります。いまでも一般国道を走りますと関西線よりか早いじゃないかというのが一般の人たちの声であります。そういった意味で都市交通網といいますか、都市と都市を結ぶ交通体系という中でもぜひ鉄道がおくれることがないように鋭意御努力をいただきたいと考えているわけでございます。  最後に、大変細かいことでございますが、先ほど、何せ初めての質問みたいなものでございますから、あっちこっち飛びまして、サービスの中で「かすが4号」というのが奈良から名古屋までしか走っていずに、名古屋から奈良へは走っていないという話を申し上げました。この点については、ぜひもう一本急行をふやすという方向でお考えをいただくと同時に、この奈良から名古屋に走っております「かすが4号」におきまして、通勤客が定期で乗れる、急行券さえ買えば乗れる、こういうことであります。ところが、この区間が奈良−亀山間に限られているようでございます。この通勤客が定期で急行に乗れるという制度をひとつ全線にわたってお認めをいただきたいと思いますが、どうでございますか。
  292. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 定期券による急行の利用につきましては、昭和四十七年から始めておりまして、現在約二百本ぐらい出ておるわけであります。確かに大都市付近は非常に問題がございますけれども、地区によりましては急行がかなりすいておる、あるいは列車の間隔が非常にあるというようなこともありますので、現在見直して、もう少しそういう列車をつくったらどうであるかということも検討しておりますので、いま先生の御意見も勘案させていただきながらこれから検討を続けていきたいと思っております。
  293. 中井洽

    中井分科員 では、ありがとうございました。
  294. 住栄作

    ○住主査代理 これにて中井洽君の質疑は終了しました。  次に、荒木宏君。
  295. 荒木宏

    荒木分科員 大阪国際空港のエアバス導入問題についてお尋ねいたしたいと思います。  すでに本院でも質疑が重ねられてまいりました。従来の運輸省の答弁は、地元の理解を得て導入したい、こういうふうに伺っておったのでありますけれども、その地元の理解を得てという趣旨として、行政区域にはいろいろあるわけですが、大阪府、兵庫県、これらの府県の意向、府県知事の要望を尊重して事に処したいというふうな点について、お約束をいただけるかどうか。まず政治姿勢を伺うという意味で、大臣から御見解を伺いたいと思います。
  296. 田村元

    田村国務大臣 大阪府知事がよこされました電報を拝見いたしますと、その内容は、エアバス乗り入れに関してはテストフライトの実施も含めて、地元の納得が前提であるということでございました。運輸省といたしましては、テストフライトは、あくまでもさきの十三項目の回答資料を実地に検証して、その結果も公表して、地元の理解を一層深める措置の一環であると考えております。本格導入につきましては、そのテスト結果を十分検討しながら、どうするかということを判断すべきもの、このように考えておる次第でございます。
  297. 荒木宏

    荒木分科員 私が伺いましたのは、御承知のように大阪府議会では四十九年に決議が行われました。それを受けて知事も行動しておるわけでありますが、この知事の意向、要望を大臣が尊重される御意向があるかどうか、これを伺ったわけであります。
  298. 田村元

    田村国務大臣 知事の電報は、エアバスの乗り入れに関し、三月七日、石井政務次官に対して、テストフライトも含め、地元の納得が前提である旨申し入れしたところでありますが、ここに重ねて申し入れます。こういうことでございますけれども、もちろん地方公共団体の責任者の知事さんの意向はこの問題のみならず尊重しなければならぬことは申すまでもありません。ただ運輸省としては、先ほど申し上げましたように、テストフライトをまずやらせていただきたい、その結果を踏まえてどうするかを判断したい、このように考えておりますので、どうかひとつテストフライトをさせていただくことだけはお願いをいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  299. 荒木宏

    荒木分科員 そういう意味では知事の要望と大臣の御答弁の間に少し一致しないものがあるように私は聞き取りましたが、要は地元の理解、納得が一つ肝要なことであろうと思います。そういう意味で、私は物事の納得といいますか、理解といいますか、いろいろありますけれども、お互いの信頼関係でありますから、一つは約束したことは守る、決めたことは誠実に実行する。これは納得、理解、了解、いろいろな言い方がありますけれども、事を進める上での非常に大切なことであろうかと思うのです。  そういう意味合いから申しまして、地元関係の一つであります調停の申請団、こことの間にはすでに五十年の十月、十一月、調停条項が成立をいたしました。国を当事者として調停ができたわけであります。この調停条項の実施に運輸省の方は誠実に当たってこられたというふうにお考えになっているかどうか、これはひとつ局長の方からお答えいただきたいと思います。
  300. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは調停条項につきましては誠意をもって対応をいたしておりまして、特に国の施策として出ておることにつきましては、たとえば五十二年度予算におきましても、私どもはほぼすべてこれを誠意をもって対処したつもりでございます。
  301. 荒木宏

    荒木分科員 今度のあの大型機ということにつきましては、当然安全問題が一つの大きな問題となると思いますが、この安全対策について、たとえば大阪空港はいま安全対策要員が二十六名、これは現在どういう勤務形態になっておりますか。
  302. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 六名ずつ四班に分けまして勤務させております。
  303. 荒木宏

    荒木分科員 それで化学車を初めとする全車出動ができますか。
  304. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 六名の人間は、大型車をまず優先出動の方に使いまして、残りの車の出動のためには緊急呼集をかけるという体制をとっているわけでございます。
  305. 荒木宏

    荒木分科員 報告を聞いたところによりますと、車だけで十台以上ということになっている。いま六人一班とおっしゃいましたが、この班編成はほかの空港でも同じですか。たとえば羽田でも一班は六人ですか。
  306. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 羽田は自動車の台数も若干多いわけでございますので三班編成十一名でございます。
  307. 荒木宏

    荒木分科員 自動車の台数が多くて班の数が多いというならわかりますよ。しかし班の人数が大体半分ぐらいでしょう。これは即応態勢としていかがなものでありましょうか。それが一つ。  それから機動的な連絡をとるとなりますと無線連絡。緊急な場合であり、しかも現場のことでありますから、そういう点が要請されると思うのですが、給水車、救難車、レッカー車は、大阪空港には無線設備はありますか。
  308. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 管制塔を通じまして車との間に無線連絡設備はございます。
  309. 荒木宏

    荒木分科員 私が本日確認したところによりますと、現地の空港事務所にはいま私が指摘した分については無線設備がない、こう言っているのです。東京の羽田空港では車両に連絡はとれる。  大臣に伺いますが、調停条項の精神はどんなふうになっておるでしょう。いまの人数が、一つの班で五人ですか、六人ですか、三直四交代で、車はとても全部は動かせない。半分ぐらいしか動かない。調停条項に盛られた精神に照らして、政治姿勢としてどのように御判断になりますか。事実関係はもう伺ったんだから、ひとつ政治的な御判断を伺いたい。
  310. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 調停条項の「安全対策」というところにるる書いてございますが、私どもはこれを誠意をもって対応していくつもりでございます。それから人数の点につきましては、もちろんもう少したくさん人数がいた方がいいにこしたことございませんけれども、大阪の場合には場内に宿舎等もある人が多くて、緊急呼集体制に応ずることも比較的東京に比べれば可能であるというふうなこともございます。しかしながら、安全消防体制の充実を図ることはこれは図り過ぎて悪いことはないわけでありまして、今後とも要員の充実には格段の努力をいたしたいと思っております。
  311. 田村元

    田村国務大臣 安全対策につきましては、運輸省自身が従来から最大限の努力を払っておるところでございますけれども、当然いま局長が申しましたように念の上にも念を入れてこれに対処すべきもの、このように考えております。
  312. 荒木宏

    荒木分科員 私が伺っておるのは、言葉ではなくて実態なんです。言葉ではなくて実際にやられたことであります。一つの班の編成が約半分だ。需要が多ければ班の数がふえるというのはこれは当然でありますけれども、ロットが半分以下というのはこれは一体どういうわけなんでしょう。自動車の台数が倍になれば組は倍になりますよ。一組の人数が半分だというのはこれはどういうことですか。大臣、これは政治的にどう判断されますか。
  313. 田村元

    田村国務大臣 実は私もそこまでの玄人ではありませんから判断に困りますが……
  314. 荒木宏

    荒木分科員 やはり改善の必要があるんじゃないですか。
  315. 田村元

    田村国務大臣 もし仮にその数の差というものが、現実に差があるのならば、もちろん改善の必要はあろうかと思います。ただ、私は冒頭に申し上げたように余りそういうことは玄人じゃございませんから一度詳しく聞いてみたいと思います。
  316. 荒木宏

    荒木分科員 すでに地元の調停申請団の皆さんの中では、こういった事実についての指摘意見も強く出ており、安全対策については大型機の導入ということになりますと、一概には言えませんけれども、事故発生の規模の拡大、つまり結びついていく可能性が大きいわけですね。さればこそ、初めての問題ならいざ知らず、いろいろな手続を経て、しかも国の委員会が関与して、よろしい、わかりました、確かにやりましょう、ある意味では裁判手続に類するような確かなお約束になっているんですね。その中では、国の側は、つまり大臣の方は「消防救難体制の整備に一層努めること。」、従来不十分であったという点あるいはほかに比べて問題がありと思われる部分については努力義務をうたわれております。そうだとしますと、これがきのうきょうなら別ですが、一年有半の間、しかも問題が非常にシビアでホットであるにかかわらずそのままになっているということは、これは大臣、早急に、先ほども御答弁いただきましたけれども、点検をいただいて改善をする点ははっきりしていただくということが必要なんじゃないですか。いかがですか。
  317. 田村元

    田村国務大臣 この調停はやはりいまおっしゃるような裁判の結果と同じような効力を持つもの、これは守らなければなりません。早速厳しく点検をいたします。いたして私なりにこれはおかしいという判断を持った場合には、もちろん改革を命ずることにやぶさかでございません。
  318. 荒木宏

    荒木分科員 かなりはっきりしたお考えを聞かしていただきましたので関連して申し上げますが、神津地区というところにガソリンタンクがあります。大型機の導入ということになりますと、所要のガソリンの量も勢いふえてくるわけですが、そのガソリンタンクの危険防止について防護壁をつくってほしい。これはそばにおる人にとりますと大変な問題でありまして、このこともかねて意見が出ておるわけでありますが、ところが防護壁の作成着工が一向に出てこない。しかも、その提起しておられる方は、これは調停申請団のグループが幾つかありますけれども、一つのグループの代表の立場であります。かなり広範囲な意見を代弁されていると見ていいと思うのですね。ですからこの点も、先ほど人の問題を申し上げました。設備の点も、いま一つの例示を申し上げたんですが、やはり同様にこうした機会に大臣が直接点検をされて、必要な施設を要望にこたえて進められてしかるべしと思うのですが、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  319. 田村元

    田村国務大臣 先ほど私が厳しく点検をいたしますと申しましたのは、単にこれ一つとかあるいはこれ二つとかという問題じゃありません。大阪空港に関するもろもろの問題、安全上の問題、これを一遍厳しく点検をしてみたい、こう思っております。
  320. 荒木宏

    荒木分科員 調停条項は十一項目にわたっておりまして、ずいぶん範囲も広うございますし、時間も限られておりますから一々取り上げることはできませんけれども、しかしいま安全上の問題で一、二指摘をいたしましたけれども、それ以外の条項についても現状が調停条項の趣旨、精神に照らして決して十分とは言えないという声がまたきわめて強く寄せられております。  たとえば共同利用施設の建設というのがあります。これは調停条項で申しますと八項目に当たりますけれども、すでに関係者の中から、地域も特定をし、そして建設の数も相互に突き合わせて二十八カ所ということになっておるんですが、これがまた一年有半の間にできたのがわずか一カ所という報告を受けておるんです。もちろん金と物を伴うことでありますから、私はその速度や処理状況についてはいろんな事情もあろうかと思うのです。しかし当初出ておりましたたくさんの中から、国も一緒になって協議会をつくってすり合わせをして二十八というところへ落ちついて一年半たって一つというのは、これは余りにも少ないのではないか、こういうふうに思うのですがね。住民はそう思っておると私どもは聞いておるんです。大臣、どうお考えになりますか。
  321. 田村元

    田村国務大臣 共用利用施設の整備につきましては関係市町村が第一義的な促進主体となって国がこれに対して助成をする、こういうことになっておるわけでございますけれども、調停団といいますか、いわゆる調停団との関連ある予算も含めまして五十二年度予算は満額確保されているので、かなり促進をされるものと考えておるという報告を受けております。しかし先ほど申し上げましたように、先ほど安全対策を申し上げたわけでありますが、いずれにしても調停というきわめて公式の問題でございますから、こういう問題一切含めて一遍調停そのものを再点検をする必要があると思います。ただ、あらかじめちょっとお断りをしておかなければならぬことは、私いま物理的に作業する時間がないわけです。朝から晩までこの委員会でございましてね。これからまた参議院ということもございます。でありますので、若干の時間をいただかなければならぬかと思いますが、一度厳しくすべてにおいて総点検をしてみたい、こう思います。
  322. 荒木宏

    荒木分科員 いま第一義的に自治体という話があったのですが、幾つかの共同施設の希望地の中に、たとえば春日丘、こういう地域があります。これなどは地主さんが現にこの場所を使っていただきたい、こういうふうにみずから提案をされているというのです。それから大鹿という地域ではもうすでに鉄筋の共同施設がありまして、そこに防音設備を施せばいい。ですから、普通の工事の仕様から申しますと、地主さんの方の積極的な提案もある、あるいは施設そのものがすでにある、そして言うまでもなく地域自治体の方ではみずからの住民の要望ですからそうしたことについて熱意を持っておるのですけれども、残念ながら一年半の間に二十八の予定地のうち一つしかない。これは大臣が、先ほどおっしゃいましたように大変御多忙で、直接調停条項を点検される機会がなかったということもあるいは一つの原因かもしれぬと私想像するのですけれども、安全対策だけでなくてそのほかの項目にわたっても総点検というお話がありました。ぜひやっていただきたいのですが、むしろ現地の側から見ますと障害は国の側に主たる面がある、いま申し上げたような幾つかの事情でそういった住民感情がやはり根強いものがある。さればこそ先ほど私が申し上げましたように住民の理解といいますか納得といいますか、これを得ることが前提だという大阪府知事の要望になり、しかもそのことが同時にテストフライトも含めてやはり決めた約束は守る、時間的あるいは予算上のもろもろの問題がありましょう、ただ私は、そうした中で大臣が総点検、こういうふうにおっしゃったのですが、そうした決意とそれが緒についたというしるしと申しますか兆しと申しますか、現実に目の前にそうしたことがあらわれるということが信頼回復、実際に事を進める上で非常に重要なことではないか。実務上の問題はもとよりですが、特に政治的に見た場合にはこのことは避けては通れない問題ではなかろうかと思うのです。大臣も政治経歴はずいぶん豊富でいらっしゃるわけですから、そのことはよく御理解いただけると思うのです。そこで私は、もちろん時間的な問題、言われておりますタイムリミットの問題、その他もろもろの問題はあろうかと思うのですが、この際大臣がそうした政治的な御判断からひとつ思い切って直接点検をし、そしてその中で何がしかの地元住民の理解を得るような努力を進められる、そしてテストフライトも含めて、知事も言っておりますようにそうした中で信頼関係を回復し行政を進めていかれるということが必要ではなかろうかと思うのですが、多少突き詰めた質問になりましたですけれども、大臣の政治的な御判断、御決意を伺いたいと思います。
  323. 田村元

    田村国務大臣 いま政治が直面いたしております問題、これは政治が国民の信頼を回復することだ、私はそのように厳しくみずからも受けとめております。でありますから、信頼感を失うということは恐ろしいことなんだ、その意味では失いたくありません。でありますから、先ほどから申し上げましたように、厳しい総点検をする決意であります。ただ、率直なことを言って、役人に、おい、点検しておけよということでは問題にならぬとぼくは思うのですよ。でありますから、私は、荒木さんこれはもう十分御承知のところ、私が閣僚になってすぐに予算編成に直面し、そうしてその後は予算委員会で朝から晩までというような状況でございます。日曜日もほとんど返上というような状況でございます。それだけに作業がおくれましたこと申しわけありませんが、一種の不可抗力ということでお許しを願いたいのであります。これからも若干の時間がかかると思いますけれども、その点も御理解いただきたいと思います。  ただ、この際私が申し上げておきたいことは、テストフライトというものは、やはりテストの結果を検討する意味でも必要であろう、このように自分では信じ切っております。それからいま一つ、私が大変悲しい思いをしておりますことは、飛行機の国民、地域住民に対してかける迷惑、これは第一は騒音だろうと思うのです。ところがその騒音ということが何か論議から外れておるような感じがするのであります。エアバスを入れるということは、運輸省が航空会社の営利行為に加担しておるのでは絶対にございません。騒音をいかにしてなくすかということでございます。環境庁の回答も、若干のエアポリューションよりは騒音防止の方がよりメリットが感ぜられる、見られるということを言っておるわけでございます。でございますので、あれだけやかましく言われた騒音というものをじんぜん日を費やして放置することに対して私は非常な抵抗を感じております。こういうことも荒木さん、ひとつぜひ御理解を賜りたいと思うのであります。いずれにいたしましても、私は地域住民の信頼を失わないように最善の努力を尽くす決意でございます。
  324. 荒木宏

    荒木分科員 大臣のお考えはそれなりによく伺ったわけでありますが、確かにテストフライトは科学的な調査あるいは準備としての一つの側面を持っておるという意見もございましょう。しかし同時に、一連の行政措置の一環として行われるという側面もある。それが必ずしもいま大臣がおっしゃったようには現地で受けとめられていないあるいは受けとめられていると言い切れないゆえんのものは、先ほど来私が申し上げてきたようなところも大いに関係があるわけです。ですからこの際、大臣がおっしゃるそのお気持ちが現地によく伝わるような具体的な措置を、総点検は総点検で一つあります。しかし同時に、テストフライトに先立ってそうした気持ちが通ずるような、決意が通るような、そして信頼が回復されるような具体的な措置を検討されることもまた必要なのではないかというように思いますが、一言。
  325. 田村元

    田村国務大臣 荒木さんのおっしゃること、よくわかります。当然のことでございます。  それから、この国会の場で速記録に残るように、荒木さんの質問を通じて私が地域住民方々に申し上げておきたいことが一つあります。テストフライトの結果著しい悪影響が出ましたならば、私は職権でこれをとめるつもりでございます。エアバス導入をとめるつもりでございます。それだけの決意を持っておりますので、とにかくテストフライトの結果を見たい、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  326. 荒木宏

    荒木分科員 最後に、関連しまして一言、新空港の方の問題を局長に伺って質問を終わりたいと思いますが、環境調査の全体計画が発表されました。これから個別計画がつくられると思いますが、これが大阪府等関係の府県はもとより、市町村あるいは住民団体にも示されて、そしてそれらから出てくる意見を十分くまれる用意があるかどうか、そしてその時期はいつごろか、これが一点であります。  もう一点は、環境整備計画、これはこれからのことでありますが、いろいろな疑問、意見の中で、一体環境整備計画を国の側でどういう機構でやっていくのか。また、調査にはもちろん費用がかかりますが、それは一体どういうところでどういう方法で費用が捻出され予算化されるのか。実際にそういったことが明らかにならなければ環境整備といっても話としてだけしか聞けないという声もまた少なくないわけです。先ほど来、現空港の信頼問題ということについていろいろお尋ねしたわけですが、新空港のいまの二点について答弁を伺って質問を終わりにしたいと思います。
  327. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 まず、前段の御質問につきましては、先日私どもは関西新空港の調査のアウトラインについて発表したわけでございますが、あれに基づきまして、個々にどういう調査をするのかという点についてはまだ未定でございますので、十分関係府県を通じまして地元の方の意見も伺った上で計画を立てていきたいと思っております。  それから、環境整備を含む地域整備計画でございますが、これは大変たくさんの省にまたがります。そこで、この種のものは、政府でこなす手段といたしましては、国土庁にありますところの調査調整費という仕組みがございまして、私どもは、関係各省からそれぞれの所管に応じての関西空港の周辺の地域整備のための調査の費用を国土庁に全部積み上げまして、国土庁の予算をもって調査を行う、そして、その結果によりましてそれぞれの省がまた予算をとって建設に入るという手順になるかと思いますが、何はともあれまず地域整備計画をつくることが先でございますので、これについては国土庁が中心になりまして総合的な調査をするという段取りになると思います。このことは、本当は五十一年度からと思いましたけれども、なかなか時間的に間に合いませんでしたが、現在各省の間の折衝を詰めておりまして、五十二年度のできるだけ早い機会にこれを始めたいということで鋭意いま詰めている次第でございます。
  328. 住栄作

    ○住主査代理 これにて荒木宏君の質疑は終了しました。  次に、中川嘉美君。
  329. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 私は、まず東北、上越新幹線の上野駅設置に関連をして質問を行いたいと思います。  昭和五十一年、すなわち昨年ですが、八月七日付の台東区案による「東北・上越新幹線上野駅誘致に関する意見書」というのがありますが、これに対して当時の運輸大臣あるいはまた国鉄総裁はどのような回答を示されたか、この点をまず御答弁をいただきたいと思います。
  330. 田村元

    田村国務大臣 昨年八月九日、台東区長さんの内山さんたちが当時の木村運輸大臣を訪れて東北新幹線の上野駅設置についての御陳情がございました。木村大臣は、技術上の問題を含めて検討しなければ何とも言えない、検討にしばらく時間をかしてほしい、東京都内の駅の問題であるので都知事と話し合うことが必要であると答えた、このような報告を引き継ぎのときに受けております。
  331. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 運輸大臣は、石田前運輸相がこの台東区の内山榮一区長らに次のように述べられたことについて御存じかどうか、ちょっといま伺いたいと思いますが、上野駅を始発にして東北、上越新幹線の早期開業を実現したい、上野駅設置の方向ですでに高木国鉄総裁に指示してある、東北、上越新幹線の早期開業東北の人にとってはもちろん国家的要請でもある、上野地下駅は大工事であり工事に長期間を要するので再度運輸省事務当局と国鉄に対して重ねて指示したい、このように語られたわけでありますが、この前運輸大臣の回答に対して、国鉄側と運輸省事務当局は、その後いかにその前進をした対処をしておられるか、この点について伺いたいと思います。
  332. 高木文雄

    ○高木説明員 私はっきり記憶がございますが、当時、石田大臣が、区長その他の方がお見えになったということで、そのときに、いまお話がございますように、自分も東北の出身であるし、上野というのには大変なじみがあるので、ひとつ考えてみる価値がある問題だなというふうに答えておいたぞということを、私のところに電話で御連絡がありましたことは事実でございます。  しかし私は、その場で、それはまことに困りますよ、私の方は運輸省に御相談をして、そして路線を決めておるわけでございまして、それでは上野は駅をつくることになっておりません、また山の下を通るというようなことになっておるわけでございますので、いかにお話がございましても、そうはまいりませんぞというふうにその場でお答えをいたしたわけでございますが、いや、とにかく自分はきょうそういう話があったから、いろいろ考えてみる必要があるなという感じで話したから、話したという事実だけを承知しておけと、こういうお話でございました。  その後のことにつきましては、非常に熱心に繰り返し繰り返し上野の区長を中心とした方々あるいは東京の都会の方々が熱心に見えておりまして、私どもも何回もお目にかかってはおります。しかし問題は、いまの上野区長が提案しておられますラインというのは非常にむずかしいラインでございまして、ある時期におきまして検討をするにしましても、全然——非常にご熱心でございますから、検討をするにしましても、いろいろ調査をしてみないといけないということで、一応調査をしてみるかという時期もございましたわけですが、上野の区長のお話にかかわりませず、調査が事実上できない、反対住民の方も大ぜいおられまして、うちの職員が調査をすることが物理的にもできないという状態になっておりますので、現時点では検討をいたすにもいたしようがないということで、したがって私どもとしては、いまのところはなはだ戸惑っておるという実態でございます。
  333. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いま上野区長ということで何回か御答弁がございましたが、台東区の内山区長でございますね。
  334. 高木文雄

    ○高木説明員 失礼いたしました。訂正いたします。台東区の内山区長でございます。
  335. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いろいろその間の経過をお答えいただいたわけですが、むろんこの反対住民に対しては個々に説得を行わなければならない、納得のいく解決が図られなければならない、このように思いますし、また現在台東区長も、この反対住民の中に仮住まいで、個別に住民方々を説得するために大変な努力をしておられるわけですが、新幹線上野駅をどのような必要性から設置しなければならないか、また、設置した場合にどういうメリットがあるかといったことを考えたときに、まず第一点として、上野駅は明治十六年開設以来東京の北の玄関となってきたということ、第二点は、鉄道輸送網の重要な拠点の一つとして歴史的な背景があるということ、第三点は、一日六十万人を超える乗降客があるということ。第四点が、わが国有数の芸術、文化、産業の町台東区であるというようなこと。第五点は、沿線住民の賛成と協力が大多数であるということ。第六点は、東京駅の過密緩和が図られるであろうということ。そのほかたくさんありますが、一点集中主義を排した防災に強い都市づくりに通じていくのではないだろうか。また大都市住民の生命の安全が確保できるのではないか。いろいろそういったメリットもあるわけでございます。しかも現状では、住民の賛成が根岸五百世帯のうち九四%の合意となっているわけで、台東区民のみならず上野駅誘致案に関する国民の期待の声というものは、日増しに高まっているわけでございます。この際、路線のルートはともかくとして上野駅がぜひ必要である、このように私は思うわけですけれども、ただいま述べてきた観点から運輸大臣のひとつ前向きの答弁をお聞かせいただければ、このように思います。
  336. 田村元

    田村国務大臣 いま中川さんがおっしゃった上野駅の意義、これは私はそのとおりだと思います。  それから前大臣がどういう場でおっしゃったのか、私もよく存じませんけれども、いま国鉄総裁の答弁によれば、前大臣がおっしゃったことこれまた事実のようでありますから、前大臣が言われたことは私をある程度束縛することも当然であります。ところが、問題としては、北区とか神田地区というところにとりわけ問題がございます。でございますので、私どもとしては東京都知事と話し合うということは、これはもう避けて通ることのできない問題でございます。でありますから、先般も美濃部さんとまさに雑談程度ではございましたが、新幹線問題もお話しを申し上げました。これから美濃部さんとちょこちょこお目にかかりましょうということにお約束をしたわけでありますが、まず東京都知事との話し合いを進め、東京都知事の協力を求めていかなければなりませんので、いま知事と話し合う以前に私からここで即断のお返事を申し上げることは、これはもう政治姿勢として避けなければならないことだと思います。ただ、だからといって冒頭申し上げたように、中川さんがおっしゃった上野駅の意義というものについては、私自身も高く評価をいたしております。
  337. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 美濃部都知事のお話も出たようでございますが、美濃部さんも東北、上越新幹線の駅が都内に一つしかないというのは困るんだということの申し入れをされたように私は聞いておりますし、それから運輸省当局の今日までの努力によって北区の反対に対する緩和が実現、また大宮の強硬な反対環境対策についての話し合い、緩和がなされたとも聞いているわけで、一歩、一歩このように緩和の方向に向かっているんではないかと思います。こういったことから、台東区案実現は決して不可能ではないというふうに私は思うわけですが、さらに国鉄、運輸当局の努力によって、無事速やかに上野駅設置の実現がなされるように願ってやまないわけであります。  いま美濃部さんの話も出しました。あるいはまた、こういった北区あるいは大宮等のいままでの強硬な反対に対しての緩和ということを含めて、可能性というものをここに盛り込んで、ひとつ大臣の決意のほど、もう一度ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  338. 田村元

    田村国務大臣 とにかく新幹線はつくらなければならぬ問題でございます。まずそれが大先決でございます。  そこで私は、先ほど来申し上げましたように、東京都知事がどなたであろうと東京都知事は東京都民の代表でございますからお話し合いをしなければならぬ、御協力もお願いしなければならぬ、そういうことを申し上げたわけでございますが、中川さんの先ほど来の御意見といいますか、あるいは台東区の意見といいますか、それを私は評価するにやぶさかではない。ただ、いま上野駅を必ずつくりますよとか、つくる方向でございますよとか、そのような答弁を私がいま申し上げる段階ではない。これはもう政治、行政の手順の問題でございますから、ひとつその点は御理解を願いたいとお願いを申し上げる次第であります。
  339. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 今度は予算のことで一言伺っておきたいと思いますが、こういった先ほど来のもろもろの必要性というものがあるわけですけれども、これら新幹線の予算は前年度に比べてどのくらいの上昇を示したのか、ひとつ前年度と比べた数字を教えていただきたいと思います。
  340. 住田正二

    住田政府委員 まず東北新幹線でございますが、五十一年度予算が二千億円に対しまして五十二年度が二千六百億円、三〇%増でございます。また上越新幹線につきましては、五十一年度が千三百億円、本年度が千六百五十億円で三百五十億円の増加になっております。
  341. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 いま数字をお答えいただいたわけですが、国鉄側が要求した予算はほとんど通らないで削られているのじゃないかということですね。すなわち、東北については三千百億の要求に対して五百億円も削られている。上越については二千百億の要求に対して四百五十億が削られている。計算はびたっと合いますけれども、いまこのこと自体を私は余り云々するつもりはありませんが、あくまでも沿線住民あるいはまた上野駅周辺の住民方々に対するメリットというものを勘案したときに、運輸省が大蔵省に対して予算の問題について今後どのように対処をされようとしているか、これをお伺いいたします。
  342. 住田正二

    住田政府委員 東北新幹線につきましては、先ほど来話が出ておりますように、大宮以南各地区でなお反対が強いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後の工事がどのように進捗するか、あるいは国鉄の財政状況はどうであるか、そういうことを勘案しながらできるだけ早く完成に持っていくということで予算要求を今後やりたい、さように考えているわけでございます。
  343. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 新幹線について、時間もありませんのできょうのところはこの程度にいたしますが、先ほどの運輸大臣の御答弁もわからないわけではない。ただ、石田前運輸大臣の述べられたこととの間に何となく食い違いがあるような感じがするわけで、そうなると今度はまた前石田運輸相の発言というものがどこかに吹っ飛んでしまったような気がしてならないわけですね。そういった意味で、やはりああいう発言に対して住民というものは非常に信頼感を抱くといいますか期待感を抱くというか、そういうものが現実にあるわけで、先ほど来申し上げている必要性あるいはメリットといったことをさらに十分勘案していただいて、この上野駅設置という方向を今後ともひとつ真剣に考えていただきたいということを強力に要望をいたしておきたいと思います。これに対して一言……。
  344. 田村元

    田村国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、前大臣の発言は後任の大臣を束縛することは当然であります。また、先ほど来中川さんがおっしゃったことに対して、私は深い理解も示しておるわけであります。ただ、くどいようでございますが、政治、行政には手順というものがございます。相手のあることでもあります。しかも、非常に強い反対もないと言えばうそになります。でありますから、そういう点で民主政治のルールだけは守らなければならぬ、こういう気持ちから私はお話を申し上げたわけでございますから、どうぞその点は御理解をいただきたい。同時に、新幹線はここまで来たのでございますから、とにかく早く完成させなければなりません。でありますから、これからももちろん一方においては東京都あるいは地域住民あるいは埼玉方々に対して根気強くお願いを申し上げるとともに、大蔵省に対しても強く要請をしていきたいと考えております。
  345. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 次に地下鉄の路線延伸の問題について一、二伺いたいと思います。  現在地下鉄八号線の完成が都市交通審議会の意思に反して一向に実現の目安がたっていないというのが実情でございます。昭和五十二年度の予算では営団の方で約十六億円を投入しているわけですが、国と都の補助は大ざっぱに見て六年間の分割で合計八億円、このように言われております。これはただし有楽町からやっと明石町までの実現計画である、こういうことなんですが、八号線の延伸については地元の住民の代表の方々とは再三関係当局に陳情を重ねてまいりましたし、五区協の人たちの要望も非常に強いものがあるわけでありますが、特に都バスにしか頼れない月島とか晴海地区の住民方々の通勤あるいは通学の足を確保するためにも、月島線延伸の早期実現を住民方々ともどもに私は願ってきたわけですけれども、今後の具体的見通しは一体どんなものか、この点を伺っておきたいと思います。
  346. 住田正二

    住田政府委員 営団の八号線でございますが、いまお話がございましたように明石町までの延伸の工事をやっておりまして、大体五十四年度くらいに完成する見通しでございます。さらにその後江東地区の方へ延伸するという計画があるわけでございますが、私どものところにはまだ営団の方から具体的な計画が上がってきておらないわけでございます。営団といたしましては、恐らく江東地区、亀有あるいは海浜ニュータウンの方の輸送状況、輸送需要あるいは今後の建設によります営団の財政に対する影響というようなものを勘案していま検討いたしておるのではないかと思いますが、現段階ではまだ具体的な計画は聞いていないわけでございます。
  347. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 この具体的な計画を聞いておられないということですが、今後の進展状況等についてもぜひともお知らせを願いたいし、また関連の資料等がありましたならばぜひひとつ御提出をいただきたいと思います。この点はいかがですか。
  348. 住田正二

    住田政府委員 御承知のように現在営団はかなりいろいろな路線の工事をやっておりまして、そういう関係で新しい路線の計画の具体化がおくれているのではないかと思いますが、いずれもし計画が出てまいりましたらいろいろ御相談申し上げたいと思います。
  349. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 先ほど質問で御要望しましたとおり、月島線の延伸の早期実現ということも十分含んで、これからも御尽力をいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  さらに、今度は地下鉄三号線について伺いますが、浅草−三ノ輪間の延長、特に千束方面にこれから駅を設置していかないと、あそこは都バス路線が廃止される、こういう計画等も進められているわけで、住民は大変な不自由な思いをすることになるわけでございます。この延長が実現するならば浅草の再開発とかあるいは千束方面の発展のためにも大きな役割りを果たすのではないかと思いますが、このことについても今後の見通し等があればひとつぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  350. 住田正二

    住田政府委員 先ほどの八号線の場合にはある程度の構想は聞いておりますが、この三号線の延長につきましてはまだ営団の方からほとんど話を伺っていない状況であります。私どもの感じでは営団の方でまだ全然検討していないのではないかという感じでございます。
  351. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 このことに関連して最後に伺っておきたいのですが、計画等の進捗状況もあると思いますが、国の補助率が非常に低率である、その上これを六年間に分割をして補助金を出している、こういうことです。昭和四十七年に補助率六六%、こういった数字になってからすでに四、五年もたっているわけですけれども、せめて実質補助率を七〇%に改めるべきじゃないだろうか、このように思いますが、この点に関する御見解を最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  352. 住田正二

    住田政府委員 地下鉄に対する現在の補助制度が十分ではないのじゃないかという御指摘は昨年来いろいろ伺っているわけでございます。ただ私どもの立場といいますのは、運輸事業を監督する立場から見ますと、現在の助成制度でも大体健全経営が維持できるのじゃないかという感じを持っているわけであります。ただ公営企業、特によく例に出されます東京都の例をとりますと、経営が非常に悪いという例もございますけれども、交通需要の面から見まして現在の補助制度をいま直ちに変えなければいかぬという情勢ではないと思います。ただ、今後つくります地下鉄の建設費は相当高額なものにだんだんなっております。そういう場合の金利、償却の圧迫も考えられますので、五十二年度関係省、建設省とか自治省といろいろ話し合いをいたしまして、財源問題を中心に今後の助成制度のあり方について検討を進めたい、さように考えているわけでございます。
  353. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 最後に、実質補助率を七〇%にまで改める必要性、これは当然これからも出てこようかと思いますが、そういう必要性に対して当然近い将来の検討課題というふうに思われるかどうか、この点を伺います。
  354. 住田正二

    住田政府委員 ただいま申し上げましたように、この問題は非常に重要な問題でございますので、五十二年度に自治省、建設省等関係各省との間で今後の助成のあり方について検討することになっておりますので、私たちといたしましても問題点は十分認識しているつもりでございます。
  355. 中川嘉美

    中川(嘉)分科員 終わります。
  356. 住栄作

    ○住主査代理 これにて中川嘉美君の質疑は終了しました。  次に、川合武君。
  357. 川合武

    川合分科員 国鉄総裁にお伺いいたしたいと思います。  五十二年度の通勤輸送力増強のための予算と五十二年度新幹線計画の予算と、それぞれお示しをいただきたいと思います。
  358. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 五十二年度の予算でございます。  まず通勤関係を申し上げますと、東京、大阪付近におきます通勤通学対策費として、地上設備に七百六十億円、それから車両に二百三十二億円、合わせまして九百九十二億円を計上をいたしております。それから、新幹線の予算につきましては、東北新幹線関係で二千六百億円、それからその他の整備新幹線に五十億円という金額が計上されております。
  359. 川合武

    川合分科員 現在の通勤混雑の状況を思いましたときに、通勤輸送力を増強するために在来線を強化して——新幹線計画はこれはむろん大事でございましょうけれどもこの際は後回しにして、通勤輸送力の増強にエネルギーを傾けるべきじゃないか。こういうふうに思うのでございますが、いかがでございますか。
  360. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもも通勤対策については相当力を入れておるつもりでございます。もう十年以上前から東京につきましてはいわゆる五方面作戦ということで、中央線につきましても総武線につきましても、また湘南サイドにつきましても一斉に手をつけたわけでございます。それがどうも残念ながらうまく進行しておりませんのは、やはり用地問題その他でとんざをいたしておるわけでございまして、必ずしも予算が少ないからうまくいかないということではないのでございます。よく御存じのような例の貨物別線の問題というようなことで、意外なところで非常に強く反対を受けまして動きがとれないというようなところで苦慮をいたしておるわけでございまして、私どもも何とか関係住民方々の御理解を得て通勤対策を所期のとおりに進めていきたいという熱意を持っておるつもりでございます。
  361. 川合武

    川合分科員 申し上げるまでもございませんが、現在の通勤の混雑は肉体が疲れ切るだけにとどまらない、精神もいらいらしてくる。いまの通勤混雑の状況では、社会公共を思うというような気持ちが薄らがざるを得ないのじゃないか、残念ですが。こんなふうにも感ずるわけですが、たとえば京浜地帯を具体例にとってお伺いしたいと思いますが、藤沢駅、大船駅、横浜駅、戸塚駅、保土ケ谷駅、それぞれの各駅の乗降客の数をお示しいただきたいと思います。
  362. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 お答え申し上げます。  乗降人員は、藤沢駅が一日平均で十二万八千人でございます。それから大船駅が十三万三千人、戸塚駅が十三万七千人、保土ケ谷駅が六万人、横浜駅が五十八万九千人でございます。
  363. 川合武

    川合分科員 いま示されました数字によりますと、戸塚駅の乗降客の数は大船、藤沢よりも多いんでございますね。
  364. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 大船より四千人ほど多く、藤沢よりも九千人ばかり多くなっております。
  365. 川合武

    川合分科員 湘南電車のとまってないのは戸塚駅、保土ヶ谷駅、こういうわけですが、先ほどから申し上げる通勤輸送力の増強のとりあえずの方策としてこの戸塚駅、保土ケ谷駅に湘南電車を停車させるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがお考えですか。
  366. 高木文雄

    ○高木説明員 これは、全体として湘南、それから横須賀のラインのパイプが細いわけでございます。それで、何とか横須賀線と湘南とを分離をいたしたいということで苦慮をいたしておることは御承知だろうと思います。もともとパイプが細いものでございますから、仮に湘南電車を保土ケ谷なり戸塚なりにとめるということをいたしますと、とめるためにやはり一時間なら一時間に走ります車両数が減ってまいりますから、遅くなりますから、かえって輸送力が全体としては落ちるという結果になりますので、現状では保土ケ谷、戸塚に列車をとめるということはかえってむしろ混雑がふえる。問題は全体のパイプを太くすることに問題があるわけでございます。むしろ何とかして早くこの分離をできるようにひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございまして、そこをもし現状のままで途中とまる駅をふやしますと、逆に一時間内に走る列車本数が減ってしまいますから、かえって混雑がふえるという関係にございますので、現状のようにもう完全にこれ以上一本もふやすことはできないほど走っておりますから、そういう状態からいたしました場合には、根っこのパイプをふやすことをやる以外に方法がないのではないかというのが私どものいまの判断でございます。
  367. 川合武

    川合分科員 根っこのパイプをふやすことが必要だ、それはそのとおりだと思いますが、いま総裁は一本もふふせない、こう言われましたけれども、何とか一本や二本は——一本や二本じゃ足りないかもしれませんが、いま横須賀線が通っておる、湘南電車があすこは素通りしている。湘南電車を全部とめるわけにはいかないにしても、そのうちの湘南電車の何本かはとめるというようなことは、国鉄のダイヤ編成の知恵でできないものでしょうか。何か可能なような気がいたしますが、御努力の余地はないものでしょうか、伺います。
  368. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 現在、湘南、横須賀両線は一個列車十五両編成で走っております。十五両編成で走ります場合、われわれもダイヤに非常に創意工夫をこらしてやっておるわけですが、三分ヘッド、一時間に二十本というのが限界でございまして、現在最混雑時には一時間に二十本入っておるということで、ちょっとこれ以上ダイヤをふやすということはむずかしいと思います。  そこで、先生さっきおっしゃいました全部とめられなくても一部はとめられるんじゃないかというお話ですが、現在横須賀線は戸塚、保土ケ谷にとまっておりますが、湘南電車はとまっておらないのを、ある電車はとめてある電車はとめないというふうにいたしますと、案内上の問題がございまして、お客様の方としても、必ず平常ダイヤで来るとは限りませんので、ちょっと乱れても、乗ろうと思った電車がとまらなかったとかいうことでホーム上の混雑の問題もございますので、やはり根本的な解決策に頼る方が案内上もよろしいんじゃないかと考えておるわけであります。
  369. 川合武

    川合分科員 そうしますと、東海道線の混雑対策、いまお話の出ました根本的な解決といいますか、輸送力増強対策としてどういう計画をお持ちなのか、改めて伺いたいと思います。
  370. 高橋浩二

    高橋説明員 先生も御承知かと思いますけれども、ただいま東海道線には横須賀線と湘南電車が同じ線路を走っております。いま申し上げましたように、朝のラッシュ帯に一時間に二十本、限度いっぱいいっぱい走らせておるわけでございます。そこで、先ほど総裁が申し上げましたように、根元のパイプを太くするということで、東京から大船の間にもう一本線路をただいま建設中でございます。  これは正確に申し上げますと、ただいまの東海道線と必ずしも並行しておりませんで、一部、貨物別線というような名称になっておりますけれども、別線をいまつくっておりまして、それができ上がりますと、貨物列車の方をそちらに回しまして、東海道線と並行に走っております。ただいま貨物線に使っている線に旅客列車を走らせる。そういう構想でもう七、八年前から工事を進めておるわけでございます。これはただいま一部土地が買収できないためにまだ完成いたしておりませんけれども、それもただいま神奈川県の土地収用委員会等にかかっておりますので、それが解決いたしますれば間もなく二つの線ができるわけであります。そういたしますと、東京−大船間の列車本数は飛躍的に増強できるという事態になります。そうなりますと、湘南電車と横須賀線を分離いたしまして、おのおの朝のラッシュ時間帯に列車本数を逐次増していきたいという計画でございます。
  371. 川合武

    川合分科員 貨物別線をつくって、それによって、そちらが言われるパイプを太くしてというのはわかりましたが、横浜駅はむろん乗降客も多いので、いまの私の例に出している戸塚、保土ケ谷より先ほどの数字でもはるかに多いわけです。それはそれとして、横浜駅も横須賀線と湘南電車が同じに走ってきているということは、同じように思うのです。あれは、横浜駅では乗降客が多いから苦心をされているのでしょうが、いまの点から言うと、どういうことで横須賀線と湘南電車が停車可能なんでしょうか。
  372. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 横浜駅の着発線は上り線に対してホームの両面を使って着発をしております。そこで、一本列車が入りまして、出る前にこちらの列車が入ってもいいということで、そういう意味での緩和策を構じておるものですから、そこへ湘南電車も横須賀電車も両方とまって東京の方に進んでいくということにできるわけです。
  373. 川合武

    川合分科員 そうしますと、貨物別線をつくる、これはもうぜひその点に御努力をいただきたい。それと並行して、いまの戸塚の駅でも、駅を改造して、そして湘南電車をとめる、こういうことは可能じゃございませんか。
  374. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま貨物別線を建設中でございます。これが完成いたしますと、将来の姿としては横須賀線と湘南電車をどちらもとめようと考えればとめられるような構造を考えております。ただいまのところは、その別線ができないものですから、したがって、手塚には湘南電車がとまらないというダイヤで運転をいたしております。
  375. 川合武

    川合分科員 くどくなりますけれども、貨物別線をつくることは努力する。それで、戸塚駅が改造になったことで、貨物別線の問題が済んだわけじゃないので、それ自体としてやらなければならないこと、それはわかりますが、それと貨物別線のことと並行して、もっと言えば貨物別線ができたときにはどうせ戸塚駅を改造しなければならない、こういうことになるのではないですか。
  376. 高橋浩二

    高橋説明員 当然配線も変わりますし、ホームの位置も変わりますので、そういう手順でただいま戸塚駅等については工事を進めておるところでございます。
  377. 川合武

    川合分科員 くどく聞きまして恐縮でございますけれども、どうせ駅を改造するときが来る、こういうことであるならば、貨物別線をつくる努力にブレーキがかかってはいけないけれども、それはそれとしてブレーキがかかってはいけないけれども、しかし、並行してといいますか、いまの段階でも戸塚駅を改造して、そうして若干でも——若干ということはダイヤの編成上できないことかもしれませんが、通勤客のために、いまの段階でもどうせ改造しなければならないのならば、いまのうちに改造に着手して、そうして並行してやられる。こういうことは可能だし、あり得るし、またひとつ通勤輸送力の増強のために奮発していただけないものでしょうか。
  378. 高橋浩二

    高橋説明員 ちょっと図面がなくて口で説明するのは非常にむずかしいのですけれども、近い将来に貨物別線ができる設計ですべての工事を進めております。したがって、いまは一部だけができているというかっこうで、現在では戸塚の駅の中に確かにホームができて、しかもそこに線路が二本ずつあるので、駅でごらんになりますと、何だとめられるじゃないかというふうに感じられますけれども、その前後が少し先の方でつながっておりません。したがって、それをつなげる工事がこの貨物別線の建設と同時に行われていくということになるわけでございます。したがって、貨物別線ができませんと前後がつながっていかないということが一つ。それからただいま先生のおっしゃいますように、ただいまとにかく早くそれをやって、とりあえずでも列車増発ができないか、あるいは停車ができないかとおっしゃいますけれども、ただいまのところは東京から戸塚の間はパイプが一本しかないということで、朝のラッシュ時間帯に二十本以上の電車は入れられないわけであります。そこで一駅でも二駅でも停車をよけいいたしますと、それだけ時間がよけいかかるので、東京なら東京に到着する輸送力といいますか、全体を運ぶお客さんの数がそれだけ減ってくるので、停車をいたしますと輸送力が減ってしまうということでますます混雑をするという状況になりますので、どうしてもパイプを二本にいたしまして、そうしていまの一時間二十本というのを二十二本にする、二十六本にするというふうに徐々に上げていく段階で、途中停車の問題を考えていかなければならないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  379. 川合武

    川合分科員 何遍も聞きますけれども、横浜駅のところでは両面にホームがあるから、その地理にもよるのでしょうけれども、ですからあそこではさばけるというのですが、戸塚駅そのものには用地はあるのでございましょう。
  380. 高橋浩二

    高橋説明員 ございます。
  381. 川合武

    川合分科員 それならば駅を多少改造して、一歩前進といいますか、何か方法というものがあり得ると思いますけれども……。
  382. 高木文雄

    ○高木説明員 どうも説明の仕方がまずいものですから御理解いただけないかもしれませんが、線路がありまして、この線路をふやさないといたしますと、その間に駅をつくればつくるほど輸送力が落ちるわけでございます。つまりこの間をたとえば一時間なら一時間で走る、ところが駅を一つなり二つなりをふやしますと、これが一時間十分なり何なりかかりますから、いままでよりもお客さんを運ぶ量が減ってしまうわけでございます。したがいまして、お客さんを運ぶ量が減るということは、ますますいまよりも全体としては込むということになるわけでございます。いまあそこはいっぱいいっぱいで困っているわけですから、これ以上一時間に走る列車の本数が減って、お客さんがますます込んだのでは何もならぬということで、そこでいまのところは、駅をふやすことは全体の輸送力を落とすことになりますから得策でないというのが全体としての考え方でございます。ですからこれが多少余裕があるのでございましたら、たとえば東京から藤沢にいらっしゃったり、大船にいらっしゃる方が、いままでよりも少し時間がかかるということだけで済みますけれども、いまのところは完全にいっぱい入っておりますから、これ以上駅をつくりますと、輸送力そのものが落ちますから、それでは混雑がふえるということになりますので、ますます押すな押すなということになるわけでございまして、輸送力が落ちるということをまず御理解をいただきたい。  ですからたとえば戸塚、保土ケ谷に駅を仮につくりまして、どこかほかで駅をやめればそれは戻ってくるかもしれません。しかしなるべく速く走るということによってよけい輸送力があるわけでございます。同じ距離で、一本のレールでございましても、車が速く走ればよけい運べるわけですから、そういうことでいっぱいいっぱいやるよりいま仕方がない。たとえば最近の東京の通勤対策の中で、中央線のような場合には、各駅停車のほかに快速というものを走らせておりますが、快速は非常に速く走りますから輸送力がたくさんあるということでございます。その辺のことがございますので、基本といたしましてはしばしばそういう御要請を受けておりますが、どうもあそこまで込んでしまいますと、これ以上あの地区全体の方方の、保土ケ谷の方、戸塚の方の利益、不便ということは別にいたしまして、さらにこの大船から先の湘南電車、鎌倉の方の方とか藤沢とか平塚の方とかいうことを考えますと、どうもいま暫定的にもせよあそこへ駅をつくるということは輸送力を細らすという意味においてどうも得策ではないのではないかというのが私どもの考え方でございます。  これはしかしいろいろかねがねからも御議論もございますし、いま繰り返しの御質問でもございますので、なお私どもいろいろ考えてはみます。別線をつくると言いましても、いまの収用法の問題でなかなか事が進行しないで終わっておる時代でございますから、いつまでもこういう事態を続けていくわけにまいりませんで、いろいろ研究はいたしてみますけれども、基本は早く走るということが同じ線路でもよけい運べるということでございますために、いまのように考えておる次第でございます。
  383. 川合武

    川合分科員 お話意味合いはよくわかりましたし、また時間もたちましたので、いまの問題はこれくらいにして、次の問題に移りたいと思いますが、繰り返しますようですがさっきお聞きしましたように、戸塚の乗降客は多い。これは最近ふえた、こういうこともございますでしょう。しかし多い。ですから何かそこに、またそうかといっていままで停車していた駅の乗降客の方にそれをやめて迷惑をかけるというわけには無論いかないと思いますが、ひとつ総裁初めとして国鉄当局の今後の前向きの御研究、御検討をお願い申し上げます。  次に、いま快速電車というお話が、これは中央線でございます。たとえとして総裁から出ましたけれども、根岸線というのがございますですね。あの根岸線に快速電車を走らせる。これまた京浜地帯の通勤線としての大きな重要な線になっているわけですが、根岸線に快速電車を走らすべきだ、こういうふうに思いますけれども、そのお考えを伺いたいと思います。
  384. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 根岸線と申しますのは、横浜から磯子を通りまして大船の間、大体二十キロというふうに考えておりますが、その間に快速を、現在は快速はございませんが、それに快速を加えて走らせてはどうかという御質問だと思いますが、根岸線の場合にはいま申しましたように大体全長が二十キロぐらいでございまして、その間に数駅の快速停車駅をつくって追い越しをやる、それでトータル時間を早めるというふうにいたしまして、何分距離が短いものですから、その間に時間短縮の効果が余り実は出ないのではないかという気はいたしますが、それにいたしましても追い越し設備が一つ現在ございません。それから、根岸線あたりの方は横浜にも行かれますが、東京方面にも来られる方が多いわけでございます。二十キロ全線通してお乗りになる方よりはどちらかといいますと大船にお出になる、あるいは横浜にお出になるということで、それから湘南電車なり横須賀線、東海道線を利用して行かれる方が多いわけでございまして、いまのところ線内ではそれほど需要があるとは考えておりませんが、横浜から東京までの間は京浜東北線と現在東海道線ということでこれは快速と緩行のような機能を果たしておるということで、他の総武線なり中央線なり常磐線あたりと同じように快速線と緩行線でのサービスができておるというようにわれわれは考えております。
  385. 川合武

    川合分科員 いまお話ありました大船から磯子駅ですね。あの間が非常に本数が少ないというように話を聞くのですが、あれはもっとふやせないものか、お伺いいたします。
  386. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 磯子−大船間は、磯子から横浜あたりに対しまして少し列車本数が少ないことは確かでございます。しかし、いまのところ一日で全体として八十五往復ばかり電車が走っております。それから、ラッシュで一時間に七本ということで、そうしますと八分ないし九分に一本ということです。ここ二、三年の間にかなりラッシュのお客さんがふえておることは事実でございますので、今後輸送力増強の際にその辺を勘案しながら検討をしてまいりたいと思います。
  387. 川合武

    川合分科員 時間が迫ったようでございますから最後に、これは通勤輸送力の増強の問題と別の問題でございますが、国鉄の線路の上に屋根と申しますか、素人くさく言えば屋根を設けて、そこであるいは自動車道路、住宅、あるいは緑地公園とか、こういういわゆる都市施設をつくるというようなことは、これは技術的に不可能なのか、また可能であるのか。さらに国鉄としてそういう考えはあるのかないのか、ひとつ伺いたいと思います。
  388. 高木文雄

    ○高木説明員 非常に都市で地価の高いところを平面だけを利用している、上空を利用してないということは、土地の利用という面から見ますと非常に非効率だということが言えると思うわけでございます。そこで、何とかその上をいろいろな形で利用したらどうだという御意見が前々から寄せられておりましたが、最近私どももこういう経営状態でございますので、資産を何とか活用する方法はないかということをいま考えておるところでございまして、民間の有識者の方々の御知恵を拝借をしてそういう議論をしていただいております。  ただ、一つ申せますことは、国鉄工事が、単価が通常考えられます場合よりも非常に高くつく場合が多いわけでございます。更地のところへ何か建物を建てるということでございますと、極論しますと二十四時間工事をやることができる。夜間騒音の問題とかなんとかありますけれども、まあまあやりようによっては二十四時間やることができるわけでございますが、鉄道の場合には、走っている間は安全の問題というのがございますために、レールの上何かつくろうといたしましても、車が走っている間はほとんど工事ができないという現状でございます。  そこで、たとえば通勤電車が走っているような場合には、夜の一時ごろから朝の四時半か五時まではあいておる。したがって、その期間だけが工事をするのに非常に都合がよろしいということになるわけでございますが、そうしますと、実際終電車が行った後工事の段取りをして、そうして始発が出るまでの間といいますと二時間とか二時間半しか時間がないということになりますので、その間において工事をするということになりますと、労務者の方にはやはりちゃんと八時間分なり何なりを払わなければならぬということになるもんですから、ちょっと常識で考えられないくらいの工事費の単価がかかるという問題がございまして、それらにつきましても何かもう少し工法を工夫するなり何か工夫の方法はないかということをいろいろ、私は技術のことはわかりませんので、私自身も部内では言ってみればそういう素人論を展開しているわけでございますが、技術専門家の方の意見を聞きますとなかなかやはりそこはむずかしいようでございまして、したがいまして、何かそこをよほど有効利用を図るとしましても、何といいますかうまく収入を上げる道といいますか、よほど効率的に使える方法であればよろしいわけでございますが、どうもなかなかいい案が出てきてないという状況でございます。しかし、いま必ずしも全くあきらめてしまっているわけではないわけでありまして、何かいま御指摘がありましたような工夫をする余地はないかということを今後も検討はしてまいりたい。私自身も工夫をしてほしいということを部内で言っておるところでございます。
  389. 川合武

    川合分科員 大都市の土地の有効利用の点から言いましても、また国鉄が収入を上げます意味から言っても、この問題について、優秀な技術陣を持っておる国鉄でもありますので、この問題について積極的に研究を遂げられまして実現ができますことを要望いたします。私の質問を終わります。
  390. 住栄作

    ○住主査代理 これにて川合武君の質疑は終了しました。  次に、小川仁一君。
  391. 小川仁一

    小川(仁)分科員 地方空港問題、特に花巻空港問題について大臣の所見を伺いたいと思います。  まず、盛岡の場合、新幹線五十五年開通予定で二時間半の予定になっておりますが、同じ地区に花巻空港ができるわけであります。これも大体時間を計算してみますと、二時間半ぐらいかかるわけです。こういった空港と新幹線の競合といった交通政策の中で、運輸省としてはどちらを政策的な重点にしておられるかということをお伺いしたいのです。
  392. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  新幹線のできますことも私ども承知いたしておりますけれども、新幹線と航空機とではやはり時間差があると考えております。新幹線は二時間半の計画でございますが、飛行機の場合にはジェット機で約五十分、前後の関係を入れましても新幹線に比べるとかなり早い交通機関になることが期待されておりますので、それぞれ輸送需要の質が違うので両方あってしかるべきものではないかというふうに考えております。
  393. 小川仁一

    小川(仁)分科員 飛行機が飛んでいるところは確かに五十分ぐらいですけれどもね。盛岡から花巻まで国道は一時間かかります。三十分前に飛行場に着かなければならない。羽田に着いてこっちに、こうなりますと、国会と仮に一番乗客の多い盛岡を比較いたしますと、飛行機の方がずっと時間がかかるわけでございます。こういう現象は新幹線が西に行ったときに起きて、そのためには便数とか旅客数が減っているはずでございまして、この資料はお願いをいたしましたけれどもまだ私の方に届いていないのですが、どういう状況になっておりますか。特に大阪を中心にした地方空港との便数の減と旅客の減をちょっとお示し願いたいと思います。
  394. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 大阪と福岡を結ぶ線について申し上げますと、山陽新幹線の開通によりまして需要が減ってまいりました。そこで開通前に日本航空が一日十便、全日空が七便、合計十七便ございましたのを、開通後十三便に減らしました。
  395. 小川仁一

    小川(仁)分科員 ローカルの場合……。
  396. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ローカルの場合、たとえば大阪−宇部につきましては、開通後便数を三便ございましたのを一便に減らしまして、現在は休止をしておるということでございます。
  397. 小川仁一

    小川(仁)分科員 広島は。
  398. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 それから広島でございますが、開通前九便を三便にいたしました。  以上のような状況でございますけれども、実は昨年の秋に国鉄の運賃改定がございまして新幹線と航空機との競争関係が逆転いたしましたことの影響だと思いますけれども、昨年の暮れから、従来減りぎみでありましたものが逆にふえてまいりまして、現在ではいま申し上げました路線それぞれにつきましてかなり航空の需要がふえつつある現状でございます。
  399. 小川仁一

    小川(仁)分科員 それは国鉄の運賃が航空代より高くなったから幾らかふえたのでありまして、いずれ航空の運賃は上がるでしょう。現実的には、このように地方の短い区間のローカル線とそれから都市を中心に結んだ空港というのは現実に旅客も減っているし、便数も減らさざるを得ないという状態の中でどうして花巻空港に九便、五十七万人もの旅客を運ぶというような事業計画を許可になったか、その根拠を実は聞きたいわけなんです。便数を拡大した分とそれから現在四万人しか一年間に利用していない花巻空港の旅客数が五十七万人にもふえるといった条件、これを簡単に説明していただきたい。
  400. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 将来の花巻空港の需要でございますが、乗降客数が五十五年度で二十四万人、六十年度で五十七万人という数字でございます。これは新幹線盛岡までの開通ということを前提にいたしまして昭和六十年時点というものを各種の経済指標から予測いたしましてそして計算いたしました結果、新幹線需要は恐らくこの十倍以上のものだと思いますが、それと並行いたしまして航空の需要もあるというふうにはじいたわけでございます。現在花巻空港の需要が大変少ないわけでございますけれども、これは主として羽田空港が現在これ以上の増便ができない状況になっておりますので乗りたいお客さんも乗れないという状況があるためでございまして、これが将来成田空港の方に国際線が移りまして羽田空港に余裕ができますと飛躍的にふえることが期待される、というふうに私どもは考えたわけでございます。
  401. 小川仁一

    小川(仁)分科員 現在一日二十人ぐらいの乗降客しかないのですよ。乗りたい人があっても乗れないという状態ではなくて絶対数が少ないんです。各種の資料とおっしゃいましたけれども、岩手県の場合非常に大きな県でございまして、南の一関その他は仙台空港を利用するわけです。北の二戸市と久慈市は三沢の飛行場が近いわけであります。したがって中央部しか使えない。新幹線の場合は秋田とのつながりがありますが、秋田には空港がありますから空港の利用がない。しかも岩手の経済力、さらには高度成長がとまった時代に、現在四万人しかいない乗客が何で十倍以上も乗るという経済指標というもの、これはここで説明をされますと大変長くなると思いますから、いずれ後で提出をしていただきたい。きちんと数字を含めて、岩手の経済力、岩手県の航空利用、たとえば県内の航空機を利用し得る世帯数、人数、その人たちがどう利用するかということをきっちり含めた資料の提出を求めたいと思います。主査よろしく。
  402. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 先ほどの数字をはじきました根拠については御説明申し上げたいと思います。
  403. 小川仁一

    小川(仁)分科員 続いてお伺いいたしますが、まだこの千二百メーター級の地方空港が四十以上もあるわけですね。これに対して、今後の航空政策の中でYS11の問題を含めて考えますと、二つの方向しかない。一つは空港を拡大する、滑走路を伸ばす。一つは短滑走で離陸できる飛行機を開発する。この二つの方向しかないと思う。運輸省としてはどちらの方向を中心にこれからの政策をおやりになってまいりますか。これは大臣ぜひひとつ。
  404. 田村元

    田村国務大臣 短滑走の飛行機はSTOLでございますね。ところが、YS11というのがもうすでに生産打ち切りということで、その後継機といってもなかなか、STOL、何種類も開発が急がれておるようでございますけれども、そう簡単にこれが市場化されるということもなさそうでございます。でありますから、今日の時点では、少なくともある程度の将来まではやはり一般の飛行機を使うような方途を講じていかなければ仕方がないという感じでございます。
  405. 小川仁一

    小川(仁)分科員 STOLの開発についてすでに科学技術庁の方の予算がついて、政府の方針としてその方向を志向している、こう考えてよろしゅうございますか。
  406. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  短距離で離着陸できる飛行機というのはいろいろな意味で大変私ども欲しいわけでございまして、科学技術庁の関係で毎年調査費を入れて研究していることは事実でございます。ただ、私たちもそれが早くできるのを期待したいのでありますが、いままで私どもが聞いている限りでは、昭和六十年を過ぎないとこれができ上がらないということでございますので、いまこれに期待しましてYS11以後のことを考えることはできないということでございますので、私どもはYS11以後の飛行機というのは、在来のジェット機以外に現在、恐らく将来とも当分あり得ないというふうに考え計画をしているわけでございます。
  407. 小川仁一

    小川(仁)分科員 日本の国というのは小さい国ですから、地方の四十もある空港を中型のジェットや何かを使って路線をつくり出そうということは非常に大変なことだと思うのです。現実に花巻の空港等では、滑走路の拡大をめぐって争いが起こっているわけであります。これは花巻だけの問題ではなくて、将来の地方空港の中で必ず起こってくる問題だとすれば、重点を空港の拡大ではなくて、現在の科学技術庁を中心にしたSTOLの開発、こういうものに向けていくのが正しい政治の路線だ、こう考えますが、この点もう一度念を押すようですが、御答弁願いたいと思います。
  408. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 このことは私どもも航空機を使う方の立場といたしまして期待したいと思っておりますが、残念ながらSTOLジェットという新しい方式の飛行機ができ上がりますのが六十年以降になるということでございますので、現在はそれを期待した計画をつくることが現実論としては不可能だということでございます。     〔住主査代理退席、佐野(憲)主査代理着席〕
  409. 小川仁一

    小川(仁)分科員 現実に山形空港では全日空がすでに千五百メーターで、これはボーイング737型を運航しているわけです。こういった千五百メーター級の滑走路によって飛行機の運航ができている。  それからもう一つ、これは二月の二十四日の新聞に載っておりましたが、花巻空港を飛んでおります東亜国内航空が、YS11の後継機調査委員会というのを設けて、こういうことを言っている。空港の整備を待っていたのでは今後三十年もかかるので短距離の低騒音の飛行機を選ぶ、すでに民間会社はそういう方向で進んでいる、こういう状態のときに何で滑走路を拡大しなければならないのか。そこに飛行機を入れている航空会社がそういう言い方をしているわけであります。しかも、その対象の飛行機としては三機、明確に名前を出して、ダグラスのDC9−22型、それからエアクラフトのBAC111型、それからフォッカー社のF28型、こういった三つの型を対象にして、これでもって国内の、たとえば青森空港のような拡大が不可能な空港にはこれを利用する、とはっきり記者会見で言っているわけです。民間会社がそういう短距離滑走の飛行機を使うときに、新しく大きな飛行場を地域反対を押し切ってまでつくっていかなければならないという理由は何ですか。
  410. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 東亜国内航空の会社の中でYS後継機の選定委員会をつくったということも聞いておりますけれども、現在YSにかわるようなプロペラ機の手ごろな飛行機はないわけでございますので、当然東亜国内航空で選定する飛行機もジェット機であろうと思います。ただそれは、在来ジェット機に比べてあるいは多少滑走距離の短いものもあるかもしれませんけれども、それらが現実に路線に投入され得る時期というふうなものを考えますと、これはまだかなり不安定な要素があるのではないかというふうに思います。したがいまして、私どもは、一応ジェット機に対しては二千メーター空港ということを安全という見地から実は考えていたわけでございます。そこで、先ほどもちょっとお話が出ました山形空港でございますが、これも、私どもは将来ともこれでいいのだということでやったわけでは決してございません。山形空港はすでに二千メーターにする計画を持っているわけでありますけれども、二千メーターが完成するまでの間、しばらくの間千五百メーターでジェット機B737を入れるということがございました。ただ、それはきわめて特殊な事情でありますので、短期の措置ということで認めました。そして、その場合もただ単純に認めたのではございませんで、特殊な条件をいろいろつけたわけでございます。たとえば離着陸重量が重くなりますと滑走路が短いといけませんので、離着陸重量を制限するためにお客さんの数をあらかじめ制限をしてそれ以上乗せてはいけないということにするとか、あるいは冬の雪の降っているときには除雪を完全にやって滑走路が黒く見える状態にならなければ飛べないとか、そういうふうな運航上のさまざまな制約をつけましてやむを得ず認めた措置でございますが、しかし、これもいずれは二千メーター化ということで計画が決まっておるわけでございます。やはり航空機の滑走路は長いに越したことはございません。何よりも航空機の安全ということを考えますと長い方がいい。そして、ジェット機に対しては二千メーターというのが一応国際的にも標準でございますので、花巻につきましても、将来ジェット化をするということになりますので、二千メーター化をやることが長い目で見ると結局いいのではないかということで二千メーター化を計画したわけでございます。
  411. 小川仁一

    小川(仁)分科員 私はここに「東亜国内航空の事業報告書」のプリントを持っておるのです。コピーをとったものですが、これによりますと、東亜国内航空はすでに短距離滑走路のテストその他を行っておりまして、「YS11後継機候補比較」という参考の表がありますが、これによりますと、さっき言った三機種とも「千二百メーターの滑走路で冬期運航可能」、こういう形を「離着陸性能」として書いておりますし、さらに「YS11路線への適合性」というのでは「全路線満席運航可能」、こういう試験の結果を出しているわけであります。民間会社がすでにこういう短距離の研究をいたしております。こういう状況の中で、なぜ、県民が大騒ぎをし、地元の人が非常に反対をしておりますそういう飛行場を、権力でもって無理無理拡大しなければならないかということに対して非常に疑問を持つわけであります。飛行機自体滑走路の長いにこしたことはありませんけれども、そういう反対している人を権力や機動隊でもって押しつぶしてまで拡大しなければならないという理由は存在しない。しかも、さっきの新幹線の問題があって、将来増便する可能性などというのはほとんどない、こういう状況の中で、これをやられる真意というのをもう一度ただしたいと思います。ひとつ簡単にお答え願いたい。
  412. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは、私どもの計算いたしました将来の輸送需要に備える、そしてまた現在使いものになる、これは経営採算も含めまして使いものになるしかるべきジェット機というのは当面見当たらないということを考えますと、やはり二千メーター化ということをすることが、将来の岩手空港の発展考えるならばそれがベターであると考えました。何よりも、これは第三種空港でございまして、岩手県が設置、管理する空港でございますので、岩手県知事の御意向を十分確かめましたところ、県もそういった意向であるということを確かめましたので、私どもはそういった計画に沿って予算を計上しているわけでございます。
  413. 小川仁一

    小川(仁)分科員 短距離の飛行機が開発されて——ここに大臣にお見せした資料はどこまで信憑性があるかと言われれば、私も直接テストに立ち合ったわけではありませんけれども、こういうものが出ている時代に、短距離の飛行機が開発されないとあなたはおっしゃるけれども、もう会社はやっているのですよ。そして地元の岩手県に行って何と言っているかというと、莇という専務が、二千メーターの滑走路ができるまでの間つなぎとして千二百メーターで飛べるような飛行機を飛ばすんだと明確に言っているわけであります。ですから、東亜国内航空の方はすでにその試験をしているのに、あなたは二千メートルとがんばるというのはどういうことなんです。  同時に、この飛行場は、地元の岩手日報等に対してはどういう形で出ているかというと、「不幸な事態」、不幸な事態というのは反対農民や反対グループと機動隊とのぶつかり合い、そこの中には血が流れるかもしれないという状態を回避するために、地元紙がこういう「計画手直し 買収中止を」「滑走路、南側にずらす」「現用地で二千メートル確保 強制収用の必要なし」と言って、収拾案の骨子さえ出している。県民はもうこれ以上不幸な事態を望んでいないわけでございますから、ぜひこれは、計画について新聞が世論構成をしている状態の中で再検討をお願いできないか。再検討すべきではないか。こういう時期に来ていると思うので、その点について明確なお答えをいただきたいと思います。
  414. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私ども航空会社のテストをした結果につきましては正式に聞いておりません。これは、私どもの手元で十分評価してみませんと、それが本当にお客様を乗せて安全に航行できるかどうかということについてはいまここでは自信がないとしか申し上げられないわけでございますが、そういった事態でございますので、私どもは、やはり将来のことを考えまして、この際二千メートル化ということの工事の着工をするということしかないのではないか。  この花巻空港の問題につきましては、地元の地権者の方々と空港管理者との間にいろいろ争いがございました。必ずしも周辺の方々が一致して歓迎している空港でないということも承知いたしておりますけれども、その辺を全部含めた、やはり総合的な県の御判断として、この空港を原案どおりつくりたいという意思でございますので、私どもも一応それに従って計画を進めているわけでございます。
  415. 小川仁一

    小川(仁)分科員 これは二千メートルの滑走路ですか。二千五百メートルの滑走路ですか。事業計画書を御提示いただかなければ、私が認識しているのと、あなたが認識しているのと、違いますので、御説明願うと同時に、県から出した計画書を御提示願いたいと思います。
  416. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私どもは二千メートル空港にするというふうに理解いたしております。(小川(仁)分科員計画書は」と呼ぶ)県の計画書も同じでございます。
  417. 小川仁一

    小川(仁)分科員 これを御提出願えますか。私に見せていただけますか。
  418. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 申請書そのものは、いろんな関係からちょっと御勘弁いただきたいのでございますけれども、いまの、問題になさっておりますところの要点につきましては全部おわかりになるような資料をお出しいたします。
  419. 小川仁一

    小川(仁)分科員 全部わかるような資料ということは、そのものではなくても、そのものに記載されているものすべてというふうな意味でございますか。
  420. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 二千メートル化という工事計画が理解できるための必要な資料ということでございます。その部分を全部コピーをとってお渡しいたします。
  421. 小川仁一

    小川(仁)分科員 県から出した事業計画の申請書というのはいまこちらにあるわけなので、これを見てみないと、たとえば具体的に地元の新聞等が収拾骨子案までつけて、そして県内の不幸な事態を防ぎ、一方航空行政は支障ないようにという収拾案を出している段階で、私はそれに対して具体的なものを言えませんので、ぜひそれを御提示願いたい。これは議員に見せていけないものなんですか。
  422. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 必要な図面その他、この空港拡張計画を御判断いただくのに必要な資料は全部コピーをとってお届けいたします。
  423. 小川仁一

    小川(仁)分科員 改めてその資料のほかに申請書を要求しておきます。後で参上いたしますから、ぜひお願いしたい。  そして、もう時間がございませんので、最後に申し上げますけれども、これは大臣ぜひお考え願いたいが、まだ四十一も地方空港、千二百メートル滑走路を持っていますね。秋田とかその他みたいに移転をしてつくっているところもあるけれども、宮崎のように住民反対で移転もできないで、拡張もできないでいるところもある。本当に日本の航空路を開発しようとするならば、それを全部二千メートルに局長が言うように拡大するなんということは、これは百年河清を待ちますね。ほとんど不可能に近いだろうと思う。そういう状態の中では、思い切って、短距離の滑走路によるSTOLを含む飛行機の開発と、そしてそれによる航空路の新設をしないというと、花巻だけではなしに各地域に血を流すような状態が出てくる。こういうことをぜひ御認識の上、地方空港全体の問題について改めてひとつ真剣になって考えていただきたいし、花巻の場合は、御承知のように、現在機動隊とにらみ合っております。この計画が出ましたのは昭和四十六年。四十六年、四十七年、四十八年と予算をつけたけれども、反対のために不執行になった。福田内閣になったら途端に、成田空港も花巻空港も強行策をとり始めた。福田さんというのは、ロッキードとは違うけれども、何か空港と関係があるだろうかと、そういう印象さえ岩手県民が持っています。こういう強行姿勢というものは一体何なのか、岩手県民は非常に疑問に感じております。岩手県は経済力の低い県であります。そして先ほど五十七万人の乗客があるといっても、岩手県の県民は一人もこれを信用する者がない。じゃ何と言っているかというと、これを小佐野空港と言っているのです。この空港ができ上がる以前に、岩手県の交通網は国際興業によって乗っ取られました。花巻温泉も乗っ取られました。そして、その次の課題として、この空港の拡張計画が出された。その以前に、知事、小佐野、自民党の重要な位置を占める代議士の方、副知事を含めて会談が行われて、その後に出てきた。そして宣伝は、花巻温泉に観光客を持ってくるためには大きな飛行機が必要だ、こういう地元への利益誘導を含めておるわけでございまして、こういう形で地元の人間がこの中にも一連の黒い霧があるような印象を持って受けとめていますだけに、基本的な政策——さらには地元の新聞が妥協案を出している。こういう県民の、ごらんをいただければありがたいと思いますが、世論の状態。こういう中から再度花巻空港の計画の再検討をお願いを申し上げたい。これが最後の私からの質問でございます。
  424. 田村元

    田村国務大臣 花巻空港に関しましては、総理から私は話を全然聞いておりません。もっとも、まあそういうことを言っては大変失礼かもしれませんが、地方空港まで総理が言うはずはありません。でありますから、私自身も花巻空港について改めての指示をしたことはありません。従来の引き続きということの作業であろうと思います。  先ほどから貴重な資料を見せていただいたわけでありますが、たまたま航空局が二月二十七日付の岩手日報のコピーを持っておりましたので、いまあなたの御質問の最中に、ちょっと失礼だったけれども読みました。やはりこれを読みますと、どうもSTOLというのがまだなかなかむずかしいんだなという感じでございます。「花巻空港の現滑走路と同じ千二百メートルで発着可能な機種として、同社では▽オランダ、西ドイツ合弁のフォッカー社のF28▽英国BAC社のBAC111の改良機(475D)▽米国ダグラス社のDC9−22の三つを挙げている。このうち実用機として飛んでいるのはF28だけ。一番機は一九六九年に飛び、現在、欧州だけでなく、アフリカの空路で活躍している。座席数は七十九と、YS11より若干多いだけ。千二百メートル滑走路でOKIをキャッチフレーズに昨年秋に日本へ売り込みに上陸、高松、福江(長崎)でデモンストレーションフライトを行い、千二百メートル滑走路で離着陸してみせた。しかし、燃料、乗客とも〃満杯〃にして飛んだわけでなく、東亜国内でも「軽くすると千二百メートルで飛ぶことは飛ぶ。しかし、実際に満席の客を乗せ、定期便に使えるかとなるとまだまだ検討の余地が残っている」と言っている。」。それからその他のものは、BACはまだ飛んでいない、それからDC9−22はまだ実用化されていない。こういうようなことでございまして、何とはなしにちょっと心もとない感じでございますが、いずれにいたしましてもSTOLの開発は私どもも非常に願うところでございます。そうすれば悶着の起こるような飛行場の拡張なんというものはしなくて済むのですから、特に地方空港ではそれができますから本当にありがたいことでございますけれども、どうもいまの新聞記事だけでございますから何とも言えませんが、なかなか時間がかかりそうな感じでございます。前任者以来予算をつけて今日に至ったこと、おっしゃるとおりでありますが、いずれにいたしましてもとにかく地元の意見をよく聞くようにということを私は申しておりますけれども、岩手県当局、これは特に公選知事でございますから、何と言っても地元代表と言っていいわけでございましょう。その岩手県当局の意見は十分に聞きなさいということを申しておる次第でございますが、空港というものは、それがよしんば成田であろうとどこであろうと、急ぐ中にも当然慎重さを必要とするということだけは言えるわけでございます。十分気をつけながら、今後の航空行政を進めていきたいと考えております。
  425. 小川仁一

    小川(仁)分科員 十分気をつけながらという言葉じりをつかまえるわけではございませんけれども、その配慮を非常に大事にしながらひとつ行政をお進め願いたいと思います。どうもありがとうございました。
  426. 佐野憲治

    佐野(憲)主査代理 これにて小川仁一君の質疑は終わりました。  次に、宮地正介君。     〔佐野(憲)主査代理退席、住主査代理着席〕
  427. 宮地正介

    宮地分科員 私は、本日は首都圏における人口急増地域の問題と交通輸送体系の問題について、関係当局に伺いたいと思います。  何と言っても石油ショック以来、高度経済成長の時代が終わりまして低経済成長の時代に入った今日、この首都圏における交通輸送体系の整備をやるに当たって一番大事なのは、財源問題であろうと思います。国土庁もその点については、昭和五十一年十一月の「首都圏基本計画」の中におきまして、「今後予想される経済成長の鈍化は、従来の経済の高度成長期に比較して、社会資本整備に当たって厳しい状況をもたらすこととなろう。」と、すでにその判断に立っております。また運輸省にいたしましても、運輸経済研究センターの昭和四十七年三月一日、東京圏高速鉄道網整備計画、答申第十五号を基本にして、その計画を策定されております。そういう中において、私はこの新しい経済環境の中で、そして新しい首都圏における人口急増の問題、この中における輸送力の強化拡充という問題は、今後大変厳しい状況下にある。  これに対して運輸大臣に、その具体的推進に当たってどういうふうに新たな環境に即応していく考えか、まずお伺いしたいと思います。
  428. 住田正二

    住田政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、高度成長時代から安定成長時代に移りまして、いろいろな問題に遭遇いたしておるわけでございます。現在できておりますもろもろの交通計画というのは大は新幹線から大都市交通その他地方のAB線まで大体高度成長を前提につくっているわけでございまして、こういう点については根本的な見直しが必要であろうかと思いますけれども、一方これまで交通施設の整備の面でおくれている地域もあるわけでありまして、そういう地域需要等を勘案しながら従来の計画を進めるに当たりまして最も効率的なやり方をとっていくということでやっていきたいと思っております。
  429. 宮地正介

    宮地分科員 特に運輸省の答申が四十七年時点でされております。ところが、もう五年たっております。現実に人口の変化というのは、私は具体的に埼玉県の例を挙げてお話ししたいのですが、埼玉県は本年三月一日、五百万の人口になりました。大変な急増地域でございます。特にその中においても埼玉県の西部地域、いまから十年前、昭和四十年と比較いたしますと大変なものであります。主なところを挙げましても、川越市は十二万から二十三万、所沢市は八万九千から何と二十万、また上福岡三万四千から五万八千、富士見市に至っては二万三千から七万二千、狭山市に至っては四万から十一万、入間市は五万一千から八万八千、大変な急増でございます。それに伴いまして、乗降客はたとえば四十年と五十年と比較いたしましても東武東上線の鶴瀬駅などは三百二十万の乗客に対して何と九百七十万、上福岡は七百二十万に対して一千三百万、川越は五百万に対して一千万、坂戸に至っては二百七十万が三百六十万、あるいは同じ放射線上にあります西武池袋線の所沢などは三百三十万から五百三十万、あるいは狭山ケ丘というところは百十四万から四百万にふえております。こういうように考えもつかない人口の爆発的急増でございます。ところが、いまだに東武東上線と西武池袋線はそのままの状態であるわけであります。ダイヤの改正あるいは駅の拡張、車両の増結をふやす、関係当局はいろいろ御苦労されているのを存じ上げております。しかし、抜本的な輸送改革をやらない限り、この人口急増に伴う通勤通学の地獄のような状況解決しないと思います。私も上福岡という駅から毎朝通勤で国会に来ており、大変なものであります。そういう点で、現在具体的に地下鉄八号線と地下鉄十三号線の導入の問題が計画され推進されております。昭和五十六年には地下鉄十三号線が東武東上線の志木に入ってくる、あるいは地下鉄八号線が——これは残念ながらまだ所沢には入る計画は発表されておりません。この計画はちょうど運輸省のお立てになった昭和四十七年の時点であります。五年前であります。私は、この計画を現状に即して見直すためには、この地下鉄十三号線は少なくとも埼玉西部の中心である川越市まで導入、延長すべきである、あるいは地下鉄八号線については所沢市まで導入、延長すべきである、このように考えているわけであります。今後の見通し並びに現在の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  430. 住田正二

    住田政府委員 いま御指摘いただいた地下鉄に関連する線は東武東上線と西武池袋線であろうかと思います。埼玉県内の東武東上線あるいは西武池袋線の旅客の状況を見ますと、まだ列車の間隔からいって増発の余地があるのじゃないかというように見ているわけでございます。したがいまして、いま乗り入れを予定いたしております地下鉄を川越まで持っていくとかあるいは直ちに所沢までくっつけることはまだ早いのじゃないかと思います。ただ、都心の方に入ってまいりますと非常に込んでおりますので、いま計画いたしておりますこれらの線の複々線化あるいは地下鉄の乗り入れはできるだけ早く完成さしたいと考えておりますが、残念ながら一部地元の方でいろいろ反対もございまして、そういう関係で進んでない点もございますけれども、できるだけ早くそういう問題を解決して混雑緩和に資したい、そういうふうに考えているわけでございます。
  431. 宮地正介

    宮地分科員 非常に抽象的な答弁では困るのでありまして、具体的に地下鉄十三号線が五十六年十月に和光まで導入になる、その際そこまでは複線化で来ますが、そのあと川越までは東武鉄道、営団地下鉄が相互乗り入れで入る、このように聞いておりますが、間違いありませんか。
  432. 住田正二

    住田政府委員 地下鉄が入りますと、地下鉄と東武線が相互乗り入れすることになっております。具体的にどこの駅まで入るかまだ決まってないようでございますけれども、できるだけ遠くまで入れて旅客の便宜を図りたい、そういう方向で指導いたしたいと思います。
  433. 宮地正介

    宮地分科員 大変に残念ですが、局長さんの勉強不足かと思うのです。課長さんに私が伺ったところによりますと、複々線化が和光市に入るときには川越市まで相互乗り入れが同時に行われる。地下鉄八号線についても、石神井公園まで複々線が決定されれば同時に所沢市まで相互乗り入れで入る、このように聞いておりますが、局長は伺ってないということですか。
  434. 住田正二

    住田政府委員 大変失礼いたしました。関係者間の話し合いで池袋または小手指まで入れるという話し合いが進められていると聞いております。
  435. 宮地正介

    宮地分科員 十三号線。
  436. 住田正二

    住田政府委員 川越発で池袋経由都心に行くというのと、小手指から池袋経由で都心に行くというのと二つの線が考えられます。
  437. 宮地正介

    宮地分科員 ちょっと局長さんの頭の中を整理してもらいたい。十三号線というのは東武東上線でずっと上がってきまして、志木から和光に入ってくるわけです。そこで複線化は終わって、和光から川越あるいは川越市までは相互乗り入れ。八号線というのは所沢なんです。ちょっとその点、課長さんと打ち合せをして明快に答弁いただきたいと思います。
  438. 住田正二

    住田政府委員 東武東上線の方は川越から、志木から以降は複々線になりまして、そこから十三号線に入って池袋を経由して都心に行くということになっています。それから西武池袋線の方は、小手指から所沢を通って石神井公園から向原を通って、さらに池袋を経由して都心に入るということになっております。
  439. 宮地正介

    宮地分科員 その時期について。
  440. 住田正二

    住田政府委員 西武池袋線の方は五十八年の完成予定になっております。それから東上線の方は五十六年十月が完成予定になっております。
  441. 宮地正介

    宮地分科員 では再確認しますが、五十六年の十月には、地下鉄十三号線は和光市までは複々線で入り、その時点において川越市まで現在の路線を使って営団地下鉄と東武東上線が相互乗り入れをする。地下鉄八号線については五十八年度中に石神井公園まで複線化になり、と同時に小手指まで現在の路線を使って相互乗り入れをするということでございますか。
  442. 住田正二

    住田政府委員 計画どおりいけばそういうことになっております。ただ、先ほど申し上げましたように一部沿線住民の方で反対がありまして、工事が若干おくれぎみでございますので、その場合にはおくれる。工事が順調に進めばいま先生のおっしゃったとおりになると思います。
  443. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、何とか計画でいけば、都心から放射線状にいま二本の線が、遅くとも五十八年には西武が一応入る。問題は、今度はその放射線上を横につなぐ輸送体系が明確にならなければ、またそれがつくられなければ本来の輸送力の増強あるいは拡充にならないわけです。  そこで私は国鉄に伺いたいと思います。現在埼玉県の西部地域から県南あるいは県北を結ぶ横のラインとしてある国鉄、まず八高線であります。八王子から高崎へ行っています。もう一つは高麗川から大宮に行っている線であります。この建設計画、すなわちいわゆる複線電化の問題であります。現在は単線運転、ディーゼルカーであります。これについて伺いたいと思います。
  444. 高橋浩二

    高橋説明員 国鉄では、放射状の複線化あるいは複々線化等の通勤対策をこれまで進めてきたところでございますが、いま先生のおっしゃいますそれをつなぐ八高線の一部及び川越線については、ただいまのところはまだ複線化する計画はございません。今後の旅客輸送の増をよく検討しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  445. 宮地正介

    宮地分科員 現在のところ複線電化をやる考えはございませんと強調することに私は大変不満であります。国鉄がそんな考え方では困る。現在は単線運転、そしてディーゼルカー。ところが、先ほどお話ししましたように、たとえば国鉄の川越線の高麗川というところは、これは日高町というところであります。この日高町においては人口が何と一万七千から三万四千に倍にふえている。その沿線の川越に来ますと、十二万から二十三万、大変な需要の増大になっているわけです。ところが、現在は余りにも不便ですから、はっきり言えばお客様は使いたくても使えない。ですから、現状は恐らく赤字路線でしょう。乗降客の輸送量を見たって、皆さんの報告からよっても、皆さんの期待に沿ったような報告になっておらぬ。しかし、その需要の調査を綿密にやるなら、私は、複線電化をすればむしろ経営効率は上がると考えております。そういう点、真剣に調査をした実態があるのかどうか、伺いたいと思います。
  446. 高橋浩二

    高橋説明員 私どもは首都圏、あるいは近畿圏にしましても、その近くの通勤圏内の線についてはどういう人口の増になりつつあるか、あるいはそれに伴いまして私の方の輸送量はどういうふうにふえているかということについては絶えず調査をいたしております。これまでも川越線等については、私の方の輸送力増強と申しますのは、とりあえず車両の編成長を大きくして、そしてお客さんを運ぶということから始まりまして、それである一定の長さになりましてそれ以上運べないという見通しの場合に複線化というような手順を経て複線化をしてまいっておるわけでございます。しかし、単線でございますとなかなか行き違いその他いろいろ通勤に時間がかかるという非常に不便な点がございます。そういう点も十分私の方は今後検討いたしまして、これからの人口増と輸送力の関係を、先ほど申し上げたようによく検討したいということでございます。
  447. 宮地正介

    宮地分科員 そこで問題は、いわゆる国会でも通過している石油パイプライン法というのがあります。横浜から八高線を伝わって国鉄川越線に沿ってパイプラインが敷設され、いわゆるパイプラインの関東に対する配置を効率よくする、こういう目的計画をされておる。いま一部の国民の中には、このパイプラインの計画住民運動の反対で挫折しておる、その引きかえに国鉄の複線電化というものが考えられているのじゃないか、そこには何か裏で取引があるのかないのか、大変疑問に思っている国民が埼玉西部地域には多くおります。ここで明快に石油パイプライン計画国鉄の複線電化とは関係ないのか関係あるのか、まずこの点について国鉄当局、またこれは運輸省の所管でありますので重大なる責任ある問題でありますので、大臣にもお答えいただきたいと思います。
  448. 高橋浩二

    高橋説明員 パイプラインの計画とこの複線電化の計画とは私の方は別個の計画というふうに考えております。ただいま先生がおっしゃいますようにパイプラインの方の工事進捗がおくれておることは事実でございますけれども、この複線電化の問題とは別個の計画というふうに考えております。したがいまして、パイプラインがおくれているから複線電化の計画をおくらしているのじゃないかということについては、特に関係がないというふうに私の方は考えております。
  449. 田村元

    田村国務大臣 いま国鉄から答弁がありましたとおりの報告を私も受けております。
  450. 宮地正介

    宮地分科員 もう一つのネックとしてやはり国民が疑問に思っておりますのは、いわゆる大宮から上野あるいは現在の新幹線計画あるいは通勤列車の計画、それとこの川越線複線化が絡み合っているのではないか。たとえば大宮の駅の拡張の問題です。複線電化をすれば当然乗降客がふえる。しかし大宮駅の構内が現在のままでは複線電化をしたら大変であるということで、逆に新幹線問題あるいは通勤列車の問題、こういう問題が解決しなければ複線電化についても川越線について積極的に取り組むことができないのではないか、こういう国民の声もあるわけでありますが、関係あるのかないのか。
  451. 高橋浩二

    高橋説明員 大宮の駅でハードの面では全く関係がいということはございません。しかし、いま複線電化の計画がおくれているということの直接の関係はございません。ただ、川越線にどんどん通勤客がふえてまいりますと、大宮から東京に向かっての線がただいまのところ細いということで、そういう意味では非常に戸惑っておりますけれども、直接、そういう大宮の駅の新幹線絡みの改良があるから川越線の複線化がおくれているのだということではございません。
  452. 宮地正介

    宮地分科員 大宮の駅構内の問題とは関係ないということですね。
  453. 高橋浩二

    高橋説明員 ハードの面では関係してまいりますけれども、それだから複線電化をおくらしているのだということとの関係はないというふうに申し上げております。
  454. 宮地正介

    宮地分科員 再確認しますけれども、川越複線化の、あるいは電化の問題は、あくまでも人口の需要状況、乗降客の状況、これによって、純粋な調査によってこの基本的な問題に取り組んで、そして本当にその需給バランスなり人口のそういう急増地域としての国民が困っているということならできるだけ早い将来に複線電化をする考えがある、こういうことかどうか確認したいと思います。
  455. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま朝のラッシュ時間帯に走らしております私の方の編成両数が五両で通勤時間帯の輸送をいたしております。川越線自体にはホーム等の関係で七両まで入れることは可能でございます。したがいまして、そういう意味の輸送力という面から言いますと、まだそういう面の輸送力は余力を持っておりますけれども、ただ、時間の間隔その他が非常にうまく入らないという点等もありますので、これからの輸送の伸びその他をよく検討いたしまして複線化の問題は進めてまいりたいというふうに考えております。
  456. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、運輸省に私は確認をしたいと思うのです。  「輸送力増強のための工事計画」というのを皆さん方から私は資料として五十二年三月八日付でいただきました。その中で東上線、これについては主要工事計画の三つを挙げております。特にその第二項目に、東松山−森林公園二・七キロは昭和五十三年三月完成予定、第三項目に、停車場の新設として、みずほ台、五十二年九月完成予定。さらに西武鉄道については、池袋線、高架による複々線化の工事、練馬−石神井公園四・五キロ、五十八年九月完成予定。第二項目として、東飯能−天覧山信号所まで一・一キロ、五十四年三月完成予定。さらに西武新宿線については、本川越−南大塚間二・五キロ、五十四年三月完成予定。また、先ほどの地下鉄の八号、十三号についての御努力。こういう資料を私はいただいたわけでございます。  このような工事計画について積極的に取り組んで、この計画にできるだけおくれないように努力する決意があるか、また、この計画はそのとおりであるのかどうか、その確認をいただきたいと思います。
  457. 住田正二

    住田政府委員 いま御指摘の計画はその方向で完成するように関係者を指導いたしたいと思っております。ただ、先ほども申し上げましたように、こういう鉄道建設工事にはどうしても地元の方の一部に反対があるわけでございまして、そういう問題の解決についてはむしろ私の方から、ぜひ解決について御協力いただきたいとお願いを申し上げたいわけでございますが、そういう問題さえなければ予定どおりいくことになっております。
  458. 宮地正介

    宮地分科員 地元の反対というのは特に練馬の問題を言っているのではないかと思います。埼玉県西部地域においては、いまお話しした問題については大部分がもろ手を挙げて歓迎をしております。その辺の事情についても、東京都、埼玉県、この辺についてもよく御理解をいただきたいと思うのであります。  いま、もろもろの問題について埼玉西部地域を一つの実例として具体的にお伺いをしたわけであります。こういうような計画、また現在の御努力には私たちも敬意を表しております。しかし、こういうものが絵にかいたもちに終わってはならないと思いますし、国民の期待にこたえるためには、何といっても国土庁の基本計画、大蔵省の財源対策、具体的に現場を預かる運輸省、この三位一体の連携がなくしてはできないと私は思います。そういう意味合いにおきまして、最後に、国土庁、また大蔵省、国鉄、そして大臣の所信を伺いたいと思うのであります。
  459. 三橋壮吉

    ○三橋説明員 先生御指摘のように、私どもでも首都圏基本計画というものをつくりまして計画的な首都圏の整備ということを進めておるわけでございます。  その内容といたしましては、片方におきまして人口の東京都心への集中を極力抑制しつつ、分散を図る。と同時に、御指摘のような通勤施設の整備につきましても推進を図ることといたしております。これが推進につきましては、関係省庁とも協力いたしまして今後とも努力してまいりたいと思っております。
  460. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  先生冒頭におっしゃいましたように、過去の高度成長の時代が終わりまして、これから低成長の時代がずっと続くのではないか。その結果、御承知のように国の財政は五十五年度まではどうしても赤字公債が出ていかなければならないのではなかろうかというような状況でございますし、また同時に地方団体、埼玉県におきましても同様かと思いますが、財政状況非常に窮乏しているわけであります。そういう前提のもとではございますけれども、また同時に、予算のことにつきましては、先のことについては、単年度年度で勝負していく性格のものでございますので、はっきりとお約束できる性質のものではございませんけれども、今後御指摘の点等につきまして運輸省及び関係各省とよく連絡をとりながら取り組んでまいりたいと思います。
  461. 高橋浩二

    高橋説明員 国鉄といたしましても、大都市の通勤についてはこれまでもその増強について努力をしてまいりました。来年度の五十二年度の予算案の中には、そういう大都市通勤対策の助成等もいただけるようになってまいりました。それらとあわせて、よく運輸省の御指導をいただいて増強に努力をいたしたいと考えております。
  462. 田村元

    田村国務大臣 三人の諸君から答弁があったとおりでありますが、私は、運輸省が取り組む交通政策の一つの大きな柱、従来、何年も前には余り言われなかったことですけれども、これから取り組む一番大きな柱の一つは、大都市圏交通だと思うのですよ。でありますから、五十二年度から御承知のような通勤、通学等の対策も講じておるわけでありますが、とにかく省を挙げ、時には国鉄のしりをひっぱたき、時には大蔵省に対して、いやなことですけれどもけんか腰の予算要求、そういうふうにして、とにかく未来を見通しての万遺憾なきを期して進みたい、このように考えております。
  463. 宮地正介

    宮地分科員 いま、関係当局の決意と抱負を伺いました。どうか、新しい経済環境、また新しい都市計画計画変化というものがいま起きているわけであります。そういうような対応した、そして国民本位の国民のための首都圏における輸送力の強化、拡充の皆さんの今後の努力に期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  464. 住栄作

    ○住主査代理 これにて宮地正介君の質疑は終了しました。  次に、野坂浩賢君。
  465. 野坂浩賢

    野坂分科員 最後でありますから、ごく簡単にお尋ねをして、できるだけ早く切り上げたい、こう思っております。  私は、鳥取県の境港市竹内の工業団地埋め立てに関する問題についてまず伺いたいと思うのであります。  大臣もあるいは御承知かどうかわかりませんので、一応の概略を御説明をいたしますと、この工業団地の埋め立て面積は百二十八万六千平米、これが計画であります。埋め立て工事の費用は、建設費が百二十八億四千万円、ほとんど借入金でございまして、利率は八・五%、据え置きは二年、償還は五年、こういうことになっておるわけであります。この埋め立ては、それぞれ企業に販売をするという計画が出されております。この計画につきましては、昭和四十七年の八月に港湾審議会に提出をいたしまして、了承を求め、昭和五十年の一月二十八日に告示の縦覧を行おうとしたのでありますが、異議の申し立ての提出なり告示のミスがございまして、取り下げられました。また、五十年の二月の二十二日に再告示をされて縦覧に入ったわけでありますが、これも三月の十三日に異議の申し立て書が提出をされまして、その間、三月の十八日に県の企業局が突然申請を取り下げた。一年たちまして、五十一年の一月三十日に出願をし、二月の五日に告示をした、こういう経過を持っておるのであります。  私がお伺いを申し上げたいのは、昨年のたしか十月ごろに運輸省の方に申請をしたと承知いたしておりますが、今日までどのように調査をされ、審査をされ、どの程度進んでおるものなのか、そして問題点があれば明らかにしていただきたい。
  466. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 この埋め立てにつきましては、ただいま先生の御説明のありましたような経過をたどったものでございますが、一方、その間におきましていろいろと反対方々の御意見の開陳や何かもございました。そういうようなものでありますだけに、私どもといたしましては慎重の上に慎重を期しまして、認可申請の出ております書類につきましてしさいに検討を進めておる次第でございます。  認可申請が出てまいりましたのは昨年の九月の二十八日付でございましたけれども、私どもの方で受理いたしましたのが十月一日でございます。それで、それ以後慎重に審査を続けてまいったわけでございますが、現在の段階ではまだ認可し得るというところまでの判断には至っておりませんので、まだそういう意味合いから、環境保全上の観点からする環境庁長官の意見を求める段階には至っておりません。しかし、なお現在までの審査におきまして認可し得ないと判断する根拠も見出せない段階でございますので、私どもといたしましては、この上とも現在なおチェックを要する点につきまして説明を徴し、資料を整えながら鋭意審査を続けている状況でございます。
  467. 野坂浩賢

    野坂分科員 お話はよくわかりました。公有水面埋立法の第二条に、いま港湾局長からお話がありましたように、申請をする手続の問題と、図書なりあるいは願書の内容が書いてございますね。その中で、私どもが問題にしておりますのは、たとえば縦覧図書の中で、十分住民の皆さんに納得をしてもらわなければならぬ。平面図なんか書きますと、一般の農家の皆さんや漁民の皆さんが多いところですから、なかなかわかりにくい。しかし、写真をつければ一目瞭然、ああここだというふうに住民の方はよくわかるのです。縦覧の場合そういうものがなかったのですね。あるいは資金計画書は出しても出さなくてもいいというような議論がありますが、私企業なら当局がよく言われるようなことが言い得ると思うのですが、これは公共のものですから、やはり起債なりあるいは税金なりを投入するわけですから、それは明らかにしてもいいじゃないか、こういうふうに思っているのですよ。  それから、特に公害問題がやかましい時代でございますから、緑地計画図というものを出さなければならぬことになっております。これは工場立地に関する準則の第二条に「緑地の面積の敷地面積に対する割合は、百分の二十以上の割合とする。」、こういうふうに書いてあります。それから解説には「開発地域内には、保存緑地を含め十分な緑地等の確保を図ることが重要である。このような観点から、当面の目安として、開発地域内において、おおむね三〇%以上の緑被地の確保を図るよう指導することが望ましい。」、こういうふうに運輸省の方から出されておりますね。いま私が申し上げましたように、百二十八万六千平米のところに緑地面積はたしか十八万二千平米ということでありますが、そうするとこういう準則なりあなた方の指導指針、これよりもはるかに下回っておる、こういうふうに思われるわけであります。特に公害規制なり、海水汚染という問題が多発しておる時代でありますし、住民が非常に心配をしておるわけでありますから、やはり決められたとおりの方向でこういうものを、審査中であるということでありますが、チェックをされたのかどうか。これについては私が言ったことについてはどうお考えか、伺いたいと思います。
  468. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 まず第一の縦覧された書類の中の写真の点でございますが、私どもこの埋立法で予定しております縦覧制度というのは、埋め立ての内容を広く一般に公開しまして、利害関係者の意見を掘り起こしまして、それらの意見を免許行政に反映させるということによって利害関係者の利益を保護しようとする制度でございます。したがいまして、縦覧に供せられる書類は、利害関係の範囲におきまして埋め立ての内容を知るに足るものでなければならないわけでございますが、またそれが満たされていれば十分ではないかというふうに考えている次第でございます。  それで、写真の点でございますが、先生の御指摘のように図面よりも写真の方がよくわかるということでございますが、この埋立法上の写真というのは、埋め立て着手以前の状況を記録にとどめておくというような意味合いの性格を持っておりまして、この埋め立ての問題に利害関係を持っておられる方々というのは、むしろ写真よりも、現地の状況を実際にごらんになっておられるという意味合いでございまして、必ずしも写真がなければならないというふうには私ども考えておらないわけでございます。  また、埋め立てに関する工事に要する費用の問題でございますが、埋立法の中でこの費用の問題に触れておりますのは、この埋め立て事業を実施する者の資力、信用といいますか、確実にその埋め立てがなされる、埋め立てを実行する実力があるかどうか、それを確認する意味合いにおいて、その資金の調達方法を明らかにする書類をとっておるという次第でございます。そういうようなことからしまして、利害関係者の権益を保護するという観点から行われるこの縦覧という制度におきましては、必ずしもこれをつけなければならないというふうには理解しておらない次第でございます。  それから土地利用の問題でございますが、先生の御指摘のように、工場立地の際にそれぞれの工場敷地の中に二〇%の緑地を確保するということが一般的に求められているわけでございます。それで、いまの計画の中にございます緑地といいますのは、その工場敷地の中にとっている、個々の工場の中で用意しなければならない緑地というもの以外の、要するにこの地域のパブリックといいますか、そういうような緑地の面積が計上されている次第でございますので、そういうようなことを私どももよく丹念に調べて、条件を満たしているかどうかということを見ている状況でございます。
  469. 野坂浩賢

    野坂分科員 法律というのは最高のもので、これ以上のものを出してはいかぬということではなしに、この埋立法の場合はできるだけ住民の皆さんに理解をしていただき、あるいは協力をしてもらう、あるいは反対があればそれを是正をしていく。国民のための政策を遂行されるのが皆さん方でありますから、だからこれは最低のものだと思っておるのです。それ以上のことをして罰則を受けるというようなことがあれば、福田さんといえどもかわってもらわなければなりませんね。だから、これはそうではないのだ、しなくても別段法的には触れないのだ、こういうことがあると思うのですが、できるだけのことはやはりしてやるという親切があって行政府というものの姿勢というものが問われるのだと私は思う。だから、あなたがおっしゃったように二万三千もの反対署名が出てくる。自然を守るというようなそういう声も強まってくるというのが今日の現況であります。そのほかにあるいは飲み水の問題がございます。矢板を入れますと水が切れますから、そういう点についても十分配慮をしていただかなければなりませんし、この前の国会で、衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会は、この竹内の工業埋め立て団地についていわゆる反対の請願がございました。これについて再検討の要がある、こういう決議をして本会議もこれを了承しております。それらに対する評価と考え方。  もう一点は、さかのぼってまいりますと、何といいましても、昭和四十七年八月ごろの物の考え方ですから、ちょうど田中内閣がこれから狂乱物価を押し上げようとするそういう胎動のある時期で、土地さえあれば何でもやれるというそういう認識の当時であります。  当時の状況からまいりますと、埋め立ての売却予定というのは、大体一平米当たり一万六千百五十円というのが四十九年の末の計算なんですね。しかし、二、三年前の話でありますから、もっと上がっておると思いますね。下がることは絶対ない。自民党政権続く限り上がる、こういうのが実態であります。上がっておるということで、坪当たり七万円なら七万円としても、地元産業、たとえば都会からなかなか誘致はしない、地元の公害企業等を出すという話でありますが、食料品の加工業が二十三で、一企業の平均面積というのは一万二千二百六十平米になっておるんですね。輸送用機械器具製造業は六企業で二万五千百二十五平米、あるいは金属機械は十一企業で一万七百平米、一企業がそれだけの面積をとるということになっておる。中小零細企業の域をなかなか脱しませんから、当時の状況と今日の状況ではずいぶん違っておりますし、利息も、もとの建設予定の百二十八億というものがもっと上がっておるということになりますと、埋めたわ、売れないわというような時期が来るんではないかということを経済効果論として心配をしております。それらについての配慮というものは、これは別に法律に港湾局は関係ありませんから、おれたちはこの範囲だけだというかっこうで審査を進め、あとの経済的な問題については何らそれは示唆も指導もしないというものだろうかどうかということですね。  衆議院の問題、いまの問題を考え合わせて再検討の要がありと判断をした衆議院の決議というものはどのように理解をされておりますのでしょうか。
  470. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 衆議院のいわゆる埋め立て中止に関する請願、これは私どもの方も承知いたしておりますし、運輸省の方に送付されましたことにつきまして処理案というものも出しておる状況でございますが、いま先生の御指摘のように再検討すべきじゃないかという点につきましては、私ども、確かに御指摘のように、境港の港湾計画は四十七年の七月に港湾審議会で決められたものでございますが、この計画というのは五十一年三月に策定されました第三次鳥取県の総合開発計画、これは目標年次を昭和五十五年としておるものでございますが、この中でも竹内地区の計画が明確に位置づけられておりまして、それから請願の出ました後におきましても、実は中海地区新産業都市建設計画の改定に当たりまして、昭和五十一年の十一月に中海地区新産業都市協議会におきまして承認された新産業都市建設計画があるわけでございますが、その中においてもやはりこの竹内地区の開発が必要な事業として認められておるというような状況でございまして、一般の社会的な情勢というのは高度成長時代から安定成長時代に変わってまいりましたけれども、あの地域の開発のためにはこの竹内地区の開発がどうしても必要であるというふうに位置づけられていると承知しておる次第でございます。  それから、非常に心配であると言って御指摘のございました土地の処分の問題でございますが、これにつきましても、たしか私、かつて先生からいろいろと御指摘をいただきましたとき、先生は、あの地域はまだ空き地はたくさんあるよというようなことを仰せられておられましたけれども、その後、私の方で調べましたところでは、境港の外港、昭和地区の埋め立て地につきましては、確かにあいているように見えるのでございますけれども、確認したところでは大部分がすでに処分されておりまして、逐次利用開始されることになるというふうに聞いております。それで、既存の埋め立て地には土地利用が予定済みであり、なお境港市及びその周辺地域はいわゆる住工混在の状況でございます関係上、市民の生活環境は悪化していく一方なので、それを解決するためにもどうしてもこの埋め立て地が必要なのであるということで出願されているということが判明いたしました。  それで、果たしてこれが本当に処分できるのであろうかどうかという点でございますが、この見込みにつきましても、県の方からよく確かめてみましたが、現在のところ出願人である鳥取県知事及び免許権者である境港管理組合管理者の説明によりますと、境港市及びその周辺地区の住工混在の解消が必要であるという事実から見まして、いま考えております出願時の予定価格でございますが、一平方メートル一万数千円というようなことで考えておるようでございます。これはまあちょっと時期がずれたりして若干上がっていると思いますけれども、これは十分処分できるという確信を持っているというふうに聞いております。
  471. 野坂浩賢

    野坂分科員 もうあと五分ぐらいしかないものですからあと余り聞けませんけれども、国会の決議なり十分配慮していただきまして、一遍見ていただければ一番いいと思うのですけれども、港湾局に参りますと、書類の審査だと言っておられますけれども、現地を見た方が早わかりしますから、よく御検討をいただかなければならぬ、こういうふうに思います。  環境庁もおいでいただいておりますが、「環境目標を照らしたアセスメントの結論と問題点」というようなものが出ておりますが、これには「地域住民にとって、自然と風土は、命と暮らしを支えてきた根源であり、生活や文化などあらゆる面から、何ものにも変えがたいものである。私たちは全く無公害の企業がくるとしても、原則として海をなくすことそのものが、人間の生活をおびやかすものだと考える。埋め立てそのものが、まず第一に環境を永遠に破壊してしまう。」、ずっといろいろたくさん書いてありますけれども、そういうことがアセスメントとして出されておりますが、いまお聞きいただいておりますように非常に重大な問題であります。特にあそこは国立公園大山、隠岐の一直線上にあるところでございまして、弓浜半島と呼んでおりますが、天ノ橋立を大きくしたような半島であります。白砂青松といえば、こういう場所でそういうPRをしてもなりませんが、非常に景観のいいところであります。また海も非常にきれいでありますが、埋め立てをすればどうなるかというそういう点については、従来環境庁に参りました際にも、現地で見る、住民の声も聞く、そして判断をする、こういうふうに政務次官なり担当課長でしたか、お話をいただいておるわけでありますが、運輸省から協議があった際には、私がいま申し上げましたように、実地踏査なりあるいは住民の声を聞いて最終的な環境庁の態度を決める、こういうふうにしてもらえるものであろうというふうに地方住民考えておりますが、そのように考えてよろしゅうございますか。
  472. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 環境庁に陳情に来られます際に、政務次官並びに私どもが先生のおっしゃられたことを申したことは事実でございます。ただいま運輸省の方で審査中でございますので、環境庁の判断を述べるわけにはまいりませんけれども、問題と今後取り組むとすれば、そういう方向で取り組むという考え方でございます。
  473. 野坂浩賢

    野坂分科員 ありがとうございました。  あと三分しかありませんので、中村自動車局長なり大臣にもおいでいただいておりますので、この際にお尋ねをしておきますが、一回だけ聞きますから。  きのうも自治省との話し合いの中でいろいろ述べたわけでありますが、いま前者の質問を聞いておりまして、最後に運輸大臣が、これからの交通問題は大都市圏だということでありましたが、私たちは過疎地域におりまして、これから発展をするよりも自動車をどう守るか、住民の足をどう守るかというところに焦点があるわけです。だからこれからの問題は、大都市圏のこともございましょうが、過疎に悩む、あるいは住民の足そのものを、文明、文化が発達するにつれてむしろ不便になっておるという地方住民のことも運輸大臣の頭の中に入れておいてもらわなければならぬわけでありますが、特に四十七年あるいは四十九年から過疎バス対策要綱を設置していただきまして、それぞれ補助金をいただくことになっております。しかしこういう補助金では、過疎であるがゆえに営業費の三分の一や四分の一では、路線を切って運行を廃止する、路線を廃止するというところがわが県にはたくさん見られるという状況になってまいりました。いろいろと自動車局長以下関係の皆さんにお世話になっておりますけれども、足だけは守ってもらわなければならぬ。そのためにはいわゆる私企業といえども公共事業だ、こう言ってわれわれは会社に強く要請をしておりますけれども、これはまた株式会社としては限度がありますから、この比率といいますか、補助率という問題でありますが、将来というか、再来年度は上げてもらう。補助率の引き上げをやらなければ、とてももたぬというふうに思いますし、あるいは甲乙丙とか、なるべくわかりやすい国会にということを総理以下各大臣はおっしゃいますが、できるだけわかりやすく補助金もやってもらいたい。いろいろ説明を聞かなければわかりにくいということがありますので、やはり一本化を図っていく必要があろうと思います。時間が来ましたので、中村局長の御答弁を省略して、大臣の御見解を聞いて終わりたい、こう思います。
  474. 田村元

    田村国務大臣 まず最初に、誤解があるといけませんから申し上げておきますが、これからの運輸行政は大都市交通だというふうに申したのではありません。これからの運輸行政の一つの大きな柱、それが大都市圏交通である、こう申したのであって、私は三重県の南部ですが、私の方も過疎地域を持っておりますので、そういうことを言われると、ちょっと困るのですが、まあ地方バス路線につきましては、おっしゃる御趣旨はよくわかります。実は、私も学校を出て、若き日にバス会社に勤めておりましたので、よくわかります。まあ補助体系というものはわかりやすいにこしたことはありません。補助体系のみならず、行政というものはわかりやすいにこしたことはありません。でありますから、おっしゃる御趣旨のほどよくわかりますが、いずれにいたしましても、もう局長から御答弁させる時間の余裕もございませんから、一言だけお答え申し上げれば、そういう問題について十分に検討いたしたい、こう考えております。
  475. 野坂浩賢

    野坂分科員 前向きで検討し、善処していただきますようにお願いをして、質問を終わります。
  476. 住栄作

    ○住主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了しました。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和五十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係について質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事終了することができましたことを厚くお礼申し上げます。  これにて第六分科会を散会いたします。     午後九時三分散会