運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-03-14 第80回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十四日(月曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 始関 伊平君       住  栄作君    坪川 信三君       佐野 憲治君    新盛 辰雄君       馬場  昇君    山田 芳治君       沖本 泰幸君    坂口  力君       竹内 勝彦君    玉城 栄一君    兼務 足立 篤郎君 兼務 関谷 勝嗣君    兼務 小川 国彦君 兼務 佐野  進君    兼務 沢田  広君 兼務 森井 忠良君    兼務 渡部 行雄君 兼務 神田  厚君    兼務 中野 寛成君 兼務 柴田 睦夫君    兼務 依田  実君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸大臣官房会         計課長     西村 英一君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省船員局長 横田不二夫君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局次         長       松本  操君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         行政管理庁行政         監察局監察官  田代 文俊君         環境庁水質保全         局水質管理課長 林   亨君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         国税庁直税部審         理課長     掃部  實君         建設省計画局総         務課長     福田多嘉夫君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     玉木  勉君         建設省道路局路         政課長     海谷 基治君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     尾関 雅則君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  丸居 幹一君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君     ————————————— 分科員の異動 三月十四日  辞任        補欠選任   佐野 憲治君    山田 芳治君   坂口  力君    武田 一夫君 同日  辞任        補欠選任   山田 芳治君    川崎 寛治君   武田 一夫君    玉城 栄一君 同日  辞任        補欠選任   川崎 寛治君    馬場  昇君   玉城 栄一君    沖本 泰幸君 同日  辞任        補欠選任   馬場  昇君    新盛 辰雄君   沖本 泰幸君    竹内 勝彦君 同日  辞任        補欠選任   新盛 辰雄君    佐野 憲治君   竹内 勝彦君    鳥居 一雄君 同日  辞任        補欠選任   鳥居 一雄君    坂口  力君 同日  第一分科員佐野進君、第二分科員小川国彦君、  森井忠良君、第三分科員関谷勝嗣君沢田広君、  依田実君、第四分科員足立篤郎君、渡部行雄君、  第五分科員神田厚君、中野寛成君及び柴田睦夫  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算運輸省所管  昭和五十二年度特別会計予算運輸省所管  昭和五十二年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和五十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係について説明を聴取いたします。田村運輸大臣
  3. 田村元

    田村国務大臣 昭和五十二年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は十七億九千六百四十万二千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分七百五十七億六千三百十三万六千円を含み、一兆四百七十五億三千六百二十二万七千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で一五・一%の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆一千九百七十五億九千六百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千三百二十五億三千六百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額二百二十九億一千六百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額一千百九十億九千二百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和五十二年度財政投融資計画中には、当省関係の公社・公団分として一兆二千六百八十八億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、まず第一に、日本国有鉄道再建対策を推進することといたしておりますが、この点につきましては、後ほど国鉄予算の御説明をいたします際にあわせて御説明させていただきたいと存じます。第二に、新海洋秩序に対応して警備救難公害監視等体制充実させるため、海上保安庁の巡視船艇航空機等整備を強力に推進することといたしております。  第三に、交通基盤施設等整備につきましては、港湾、海岸及び空港に関する各五カ年計画を推進するとともに、東北、上越両新幹線を初めとする鉄道整備については重点的に進めることといたしております。  第四に、安全防災対策といたしましては、地震、火山対策集中豪雨対策海上防災対策被害者救済対策等充実を図ることとしており、環境保全対策につきましては、騒音防止対策海上公害対策等を推進することといたしております。  第五に、経営改善に努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。  第六に、世界的な不況に直面している造船業対策として、輸出船に必要な財政投融資を確保するとともに、中小造船業造船下請業造船関連工業対策に努力してまいります。  また、失業に悩む船員雇用安定対策充実も図ってまいりたいと考えております。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  国鉄再建については、昭和五十年末に閣議了解された再建対策要綱に基づく諸施策を推進することにより、その達成を図ることといたしておりますが、諸般の情勢にかんがみ、本年一月にその一部の修正を行っております。  この要点は、国鉄財政再建するため、おおむね昭和五十四年度を目標年度として国鉄の収支の均衡の回復を図り、以後経営健全性の確立を図ることとし、運賃決定方式暫定的弾力化と所要の運賃改定を行うとともに、国鉄自身赤字要因の除去のための経営努力を促し、あわせて国の行財政上の援助を行おうとするものであります。  これに基づき、昭和五十二年度においては、物価対策等に配慮しつつ、国鉄財政再建の軌道を逆行することのないよう国鉄運賃について名日一九%の必要最小限度改定を予定するとともに、国は、一般会計総額四千四百五十七億円を計上し、国鉄の過去債務対策工事費補助地方交通対策の拡充を図るほか、新たに大都市交通対策について財政上の援助を行うことといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十二年度運輸省予算説明及び昭和五十二年度日本国有鉄道予算説明によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和五十二年度の運輸省関係予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 始関伊平

    始関主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 始関伊平

    始関主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。足立篤郎君。
  6. 足立篤郎

    足立分科員 簡潔明瞭に質問をしますから、お答えの方も、責任を持って明確にお答えをいただきたいと思います。  運輸省に伺いたいことは三点ばかりありますが、まず、船外機輸出検査についてお伺いをいたします。  私の選挙区は、実は浜松市が中心でございまして、オートバイ船外機等、いわゆるツーサイクルエンジンの世界のメッカと言われておるわけでありまして、大メーカーがそろっております。それで、この輸出検査について、前から実は苦情を聞いておったのであります。私も門外漢でありますが、一生懸命で内容を勉強してみますと、ここまで輸出の数量がふえ、しかも小型船外機については、世界一流の水準に達しておるという状況でございますし、こういう状況のもとにおいては、船外機輸出検査はもはや不要ではないかというふうに、私は実は研究の結果、認定をしているわけであります。これは所管船舶局と思いますが、船舶局長の御所見といいますか、お考えをまず聞いておきたいと思います。
  7. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 ただいま先生から御指摘のありました船外機につきましては、輸出検査法によりまして輸出検査対象としております。  確かに、先生おっしゃるように、大多数の小型船外機メーカーは優秀なメーカーでございます。ただ、船外機の需要が景気によって左右されまして、たとえば海外から新規に引き合いがありますと、特に小さい小型エンジンにつきましては新規参入するところもありまして、必ずしも技術が優秀でないところも入ってまいります。したがいまして、その意味では、品質の劣る製品輸出されることもあり得るかと現状では考えております。その意味で、現在直ちに船外機輸出検査を取りやめるということについては適当ではない、こういうふうに考えております。
  8. 足立篤郎

    足立分科員 これはいかにも役人答弁で、実態に目をつぶっていると私は思っているのです。恐らく九九%以上世界的な、自己の信用を最も重んずる大メーカー製品であることは疑う余地はありません。時たま雑多な中小企業製品が入るかもしれませんが、しかも台数がふえておりますから、台数を多く輸出するメーカーにとってはこれは輸出妨害になっているわけでして、そういった面も考えてやらなければ親切な行政とは言えないと思います。このことについては、すでに行政管理庁もこれを指摘して、行政監理委員会ですか、ここで検討をするといううわさも聞いておりますが、行政管理庁の御所見もこの機会に伺っておきたいと思います。
  9. 田代文俊

    田代説明員 先生の御指摘の件につきましては、行政管理庁といたしましても、現在行政監理委員会におきまして、行政事務簡素合理化あるいは民間能力活用等を観点といたしまして、目下輸出検査についての検討をお願いしているところでございます。  船外機につきましては、御指摘のとおり近年輸出量が急増してまいりまして、それに伴いまして輸出検査業務増加してまいりましたので、それに対処するために、検査合理化につきまして十分審議していただくよう予定しているところでございます。
  10. 足立篤郎

    足立分科員 いまの問題について船舶局長も、自動車オートバイがすでに輸出検査を省略といいますか、免除されておるという事情については御承知と思います。私も実は法制的にどうなっておるかと思いまして、衆議院法制局を煩わして逐一調べてもらったのですが、それで事情がよくわかりましたけれども、これは自動車オートバイについては型式検査とかいうので、事前工場等にも立ち入って設備その他万端お調べになって、認定を受ければ、そこの製品でその型式にはまったものは輸出検査が免除されるという仕組みになっておるそうです。  なお、船舶局の方の意見としては、いま局長がちょっと答えたように、雑多なものが時折出るということだから、いま全面的にこの検査を廃止することはできないと仮にするならば、いまどんどん急増している輸出状況から考えまして、オートバイなどでやっているようなやり方はとれないものかどうか。何か政令改正が必要だという話も聞きましたけれども、その辺の事情を御説明いただけませんか。
  11. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 先生おっしゃいました型式承認制度でございますが、これは実は船舶安全法にも型式承認制度がございます。ただ、船舶安全法によります型式承認制度は、量産される製品につきまして設計とか構造とか性能について承認を受けまして、実際に船につけるときには、検定という業務をもう一つ確認のためにかけておるわけでございます。ただ、御指摘のように、かなりメーカー量産メーカーでございまして、またかなり数も増大しておりますので、輸出検査業務量増加という点から、安全法によります型式承認制度関係も含めて、具体的に検査合理化について検討をしてみたいと考えております。
  12. 足立篤郎

    足立分科員 役所の決まり文句検討というと、二年かかるのか三年かかるのかわけがわからぬのです。これははっきりしていただけませんか。ことし五十二年度中くらいにははっきり見通しをつけますというような約束をしてくれれば、私もここで一応矛をおさめますが、そうでなければ、これは徹底的に追及しなければならぬと思っているわけで、これくらい役所が恩を着せて職員を抱え込んで、これは行政管理庁も問題にしているようだけれども、どんどんふえてきて、これは定員をふやさなければやれませんよ。定員をふやさずにやると言ったら、迷惑するのはメーカーあるいは輸出業者ばかりで、輸出貿易妨害になっているわけです。こういう点は、やはり局長ともなれば大所高所から判断してもらって、私はすぐに職員の首を切れとは言いません。だけれども、いま申し上げているように、事前型式検査等によって信用の置けるものはフリーパスにするということは、やってできないはずはないわけです。やってできないなら、自動車オートバイはなぜできているのです。だから、これは必ずやりますという御返事をいただかなければ、検討というような、もうとても見当もつかないような話では、私は納得できません。お答え願います。
  13. 謝敷宗登

    謝敷政府委員 型式承認制度の適用をいたしまして検査合理化をする。合理化と言いますのは、要するに、一品一品検査でなくて、最初に型式承認を得たメーカーについて、輸出検査について一つは簡略化するということが考えられます。それからもう一つ先生が御指摘輸出検査品目令を改正して、それを除くという二つの方法が考えられると思いますが、その二つについて、前者については少なくとも早急に検討いたします。それから後者についても、できるかできないか検討させていただきたい、こう思っております。
  14. 足立篤郎

    足立分科員 私がさっき申し上げた衆議院法制局でいろいろ調べてもらったときに、法制局から見解のような短い文章が私のところに届いていますが、次のように書かれています。船外機は、「輸出検査対象品目として指定されているが、たとえばオートバイと対比してみた場合、オートバイは、その製品型式指定又は認定を受けたものであり、かつ、その指定又は認定の際に行われる製造工場施設についての審査が厳重であって製品自主検査体制が十分に確立されており、また、メーカーの数も固定化しているので、粗悪品のでるおそれが少ないと認められて指定されていない。」これを受けまして、「しかし、船舶安全法に基づき船外機型式承認を受け、かつ、小型船舶機構検定に合格した製品又は当該型式承認に係る船外機製造工事能力につき運輸大臣認定を受けた者が製造した製品については、オートバイと同様に粗悪品のでるおそれが少ないと思われるので、検査対象品目からはずすことは一応考えられるであろう。」と書いてあります。ただ、気に食わぬのは、最後に運輸省の立場を考えたのでしょう、「いずれにしても、船外機検査体制の見直しについては、業界の現状輸出動向等を勘案して、なお、十分な検討が必要であろう。」と、これまた法制局役人だものだから、検討という言葉を使っていて私は気に食わぬのですけれども、しかし、書いてあることはまさに的を射ているというふうに思います。これは、きょうは運輸大臣に御答弁いただかぬでもいいが、この書類を運輸大臣に提出しておきます。  それでは、ともかくこの問題の不合理な点についてはずいぶんお気づきだと思うし、行政管理庁あたりでも問題にしているようでありますから、当然私のいまの希望を入れて善処してくれるものと思いまして、一応この辺でこの問題は打ち切ります。次に、厄介な問題は、小型船舶操縦士免許に基づく航行区域の問題と、それから船舶安全法に基づいて小型船舶について決められる航行区域の問題がもう三年前から食い違っていまして、とかくの議論を巻き起こしておったのであります。これを調整するために、船舶局船員局の間でこの間にずいぶん議論を重ねてこられたようだが、それで調整がついたということで、昨年十一月に両局長通達が相次いで出されたわけであります。五十一年十一月十八日に船員局長通達五百十六号、それから十一月二十四日になって船舶局長通達六百二十二号が出されたわけであります。  それで、実は私はもう二十数年自分で釣り舟を操って悠々と釣りを楽しんできたマニアでございますので、実地のことはよく知っておるのであります。いままでも、この分科会あるいは交通安全対策特別委員会等で、この小型船舶免許のことについて何回も意見を言ったことがありますが、運輸省の方でも私の意見を聞き入れてくれて、たとえば河川、湖沼の限定免許制度なんという相当無理なことも実地に合わせて聞き入れてくださった。この点私も感謝をしているわけであります。  今度の通達を見ますと、私、長年これに関係してきて実地はわかっているのですが、幾ら読んでもどうもよくわからないのです。しかも船員局長が出した通達は、船舶局長が出した通達よりも、時間的に言って一週間ばかり早いですね。それが後から出てくる船舶局長通達を受けている部分もありまして、正直言って、これはいきなり見ますと、精神分裂症じゃないかと思うような通達でございます。たとえばこういうことも書いてありますね。「従来限定沿海小型船航行区域免許との関係について必ずしも十分理解されていない向きも見受けられるので」というのは、私から言わせれば、まさにしゃあしゃあとしているという感じなんです。こんなものは理解されるわけがない、もともと食い違っているのですから、しかもその前は通達も何もなかった。たまたま一週間後に出る船舶局長通達と両方突き合わせてみると多少わかるのですが、いかにも無理だということがよくわかるわけでありまして、支離滅裂だという感じを受けるわけであります。  それで大騒ぎになってしまいまして、船員局長の方では、この通達関係機関に全部通達をして、そして暫定的な軽減処置等もとっておるので、もし文句があるんなら軽減処置についての申請が出てくるはずだ、こういう御見解のようであるけれども、出てくるわけはないのです。仲に入った人たちは、体裁が悪くて下へおろせないのですよ、実は。もしこれをおろせば運輸省詐欺行為をやったことになってしまう。いま小型四級の免許を取った人間は十万人以上おりますが、仲に入った人は、こういう制度が新しくできたんだからぜひ免許を取れというんで半ば強制的に慫慂しまして、相当金もかかる、時間もかかる、厄介な試験講習等も受けさして取ったわけです。ですから、船外機やボートのメーカーあたりが仲へ入って人を集めて、そしてそれぞれの機関免許を取らした。ところが、そのときに、たとえば小型四級免許でございますと、平水区域とそれから陸岸から五海里、丙区域というものが免許上認められておるのです。それが、今度の両方の通達を合わせて読むと、丙区域を航行できるのは長さ五メートル未満の船であるというふうに結論的になってしまうのです。それ以上の船に乗ろうとする者は二級を取れ。二級を取るためには、調べてみましたが、十七、八万円の金がかかるし、二十日間くらいどこかへこもって講習を受けなければならない。しかもその講習機関は関東に一カ所しかない。収容定員は二十名しかない。十万人の人間が二級の試験を受けかえるといったら莫大な金がかかる。金がかかるだけではない、大変な暇がかかる。しかも収容能力もない。試験をいきなり受けたって通るわけがない。ということで、できないことを無理やりにやれというのが今度の十一月の通達なんですよ。  私は、この通達について両局長意見を聞く前に官房長意見を聞きたい。もともとイスカのはしと食い違った法律改正を平気でやって、三年もほったらかしておいて、問題が多いからといってまた何か調整をとったというので、今度の通達を出したのですけれども、法律改正をやるときに、少なくとも法律政令省令くらいまではきちっと歩調を合わせてもらって、平仄を合わしてもらって、同じ運輸省の中の局の問題ですから、こうした国民権利義務を縛るような重大な問題について、食い違ったままで知らぬ顔をしているということで、知らぬのは国民が悪いと言わんばかりの今度の通達で、私は頭にきたのです。こういう点、官房もしっかりしてもらって、福田さんの言い分じゃないけれども、やはり協調と連帯で、少々の言い分があってもきちっと合わしてもらうということが、まず大前提に必要じゃないかと思うのです。  もう一つは、各局長通達とは一体どういうものかということを官房長に聞いておきたい。私の常識では、通達というのは、法律政令省令などで非常に誤解を受けやすい点、またそれについてそれぞれ主管官庁の有権的な解釈というか、きちっとしておくべき点を老婆心ながら関係機関に全部知らせるというのが通達の本質だと思うのです。前にもそうでしたけれども、今度出た船舶局長通達を見ても、沿海区域の中の限定沿海というものは法的根拠がどうなっているか、私よく知らぬで、私の無知から生ずる質問だったら、船舶局長から改めてもらいたいが、限定沿海というのは、陸岸から二十海里以内の沿海の中にまた一つコンパスで半円を描いたような、二時間で往復できる区域限定沿海とするということが、しかも注で出ているのです、通達の中の注で、こうした一つ免許基準になるようなことが。そう言うと、恐らく船舶局長は、いや、これは免許基準でも制度でも何でもない、検査心得だから、検査官がその船の状況安全性復原性等から考えて、またその近在の海の状況から考えて、こういう認定をする一つ基準にせよというにすぎないとおっしゃると思う。おっしゃると思うが、検査官は、局長通達を金科玉条のごとく守りますからね、実際は、これは新しい一つ制度になるわけです。局長がどれほど偉いか知らぬが、通達でここまで言えるものかどうか、ちょっと思い上がっているんじゃないかというふうに思うので、これは官房長見解通達の性格について、原則的な点を教えていただきたい。さっき申し上げた、イスカのはしと食い違って三年ほったらかされたこの問題と、いまの通達についての見解をひとつ簡潔にお答え願いたい。
  15. 山上孝史

    ○山上政府委員 ただいま先生指摘の、四級の小型船舶操縦士に関する船舶職員法と船舶安全法との調整問題につきましては、御指摘の昨年の二つ通達だけでは、必ずしも適切ではないと私は存じます。  そこで、今般も重ねて御指摘がありましたので、鋭意両局間の調整に努めました結果、二つ法律とも、先生御承知のとおり、航行の安全を確保するという目的に立っておりますが、この航行の安全の確保、これを阻害しない範囲内におきまして、行政事務の簡素化に留意しながら、この際、思い切った措置で問題の解決を図ることにいたしました。この具体的な内容につきましては、後刻船員局長の方からお答えさせていただくのが適当かと思います。  それからもう一つ先生指摘の、通達とはどんなものであるかということにつきましては、先生のいま御発言のとおりだと思います。現在の法律政令省令等、法令で定められた範囲内において具体的に措置するということだけでありますので、それ以上のことは当然できないわけでございます。  以上でございます。
  16. 足立篤郎

    足立分科員 ちょっと官房長、あなた問題をはぐらかしちゃって——三年前のことを聞いているのです。あれは大エラーであったということをあなた認めれば引っ込みます。未調整のまま両方が出して、船舶局船舶局言い分がある、船員局船員局言い分があるというのでは、われわれまともに免許を受けた人間はえらい迷惑するわけです。——時間がかかるならいいですよ。そりゃあ言い逃れはあるでしょう。ぼくもわかりますよ。わかりますが、確かに食い違っている。船員局の方が船舶職員法を受けて五海里という丙区域というものをにわかに設定したわけだ。われわれはそれを信じて試験を受けて免許を取ったわけですよ。ところが、ふたをあけてみると、今度は船の方の航行区域に縛られて、いわゆる形式航行主義と言うんだそうだが、これは実態に合わないですね。私は、これを現実航行主義にしてもらって、免許免許で、五トン未満の船と法律に書いてあるんだから、五トン未満の船ならどんな大きさの船であってもその限られた丙区域までは航行ができるんだ。ただし、今度は船舶安全の立場から、その船の大きさもあるし、それから復原力とかいろいろなデータがあると思いますが、そういう観点から、この船は平水区域でなければいかぬとか、五海里まではいいがそれ以上はいかぬとか、さっき言った限定沿海だとかあるいは沿海だとか近海だとかいうふうに認定を受ける、それは当然だと思うのですね。それは尊重しなければならぬ。ですから、免許と船の航行区域の制限とを切り離して考えてもらって、乗る人間はそれを承知して乗るんですから、だから、四級の免許丙区域しか行けない免許しか持ってない人間がちょっと大きな船へ乗ったからといって、その乗ること自体は差し支えないんだが、それで丙区域を越えて出れば違反であるということにすれば一番わかりやすいわけですよ、常識的に。それを、今度出た通達というのは、両方とも余分なことをやっているんですよ。どんな経過かよくわかりませんが、船舶局の方の通達は、五海里以上出てはいけないというのに五メートル以内とやってしまった。前の通達は両方とも無制限だったですよ、沿海は。その方がよっぽどすっきりしているわけです。ただ、そこに限定沿海というものがあったわけだから、この半円形のやつが。それで紛らわしくなったんだ。船舶局の方もこの際一歩譲ってもらって、この丙区域を認めるということにすれば何てことはなくなるわけです。すっきり割り切れるわけです。  官房長が、せっかく私が質問したのに両局長にかわって答えてしまったし、これは調整をとって無理のないようにしますという答えだけ両局長からいただければ、私はこの問題を打ち切ります。
  17. 横田不二夫

    ○横田政府委員 お答えいたします。  先生指摘の点まことにもっともでございまして、従来船舶安全法でとっております堪航性を前提とした区域、それに船舶職員法上の航行しようとする区域を合わせようとしたために起こった問題でございます。  この点につきましては、御指摘ごもっともでございますので、今度変えまして、五トン未満の小型船の場合には、別に検査を受けるとか、あるいは検査証書の航行区域を変えるとか、そういう煩瑣な手続を経ないで、船体に簡単なマークをつけていただく、丙区域を航行する船であるということがわかるマークをつけていただく、こういうことによって措置をいたしたいと考えております。
  18. 足立篤郎

    足立分科員 時間がなくなってしまいましたので、まことに恐縮ですが、私はマークをつけることも実は反対です。意味ないですよ、これは。ちゃんと船には船体検査証が常に持ち込まれているわけで、もし違反の疑いがあれば検査証を見ればわかるわけだ。その検査証には、船舶局の方でやる検査に基づいて、きちっとその船の性能に基づいて航行区域指定されているんだから、その航行区域を逸脱しているかどうかということはわかるわけです。マークをつければ、それ以上の上級の免許を持った人間はその船自体が能力を持っていれば出れるわけですから、そこに矛盾があるということももう一遍考えてくださいよ。  それから、時間がないから申し上げますが、私は前から言っているんですが、こうした小型船舶でごたごたした問題が起こってくる根本は何かと言いますと、レジャーで高速モーターボートが出現してきて、われわれいままで釣りを楽しんでおった善良なるというと語弊があるけれども、これは実際迷惑しているわけですよ。そして、あっちこっちで事故を起こして、マスコミがこれを報道すると、運輸省はほうっておけないというので、次から次へやかましい法律を改正したり何かしてがんじがらめにしてきたんだが、そこで根本的に間違っている点は、全く無害の、しかもきわめて安全ないわゆる和船ですね。櫓かい船と一般には言っているんだが、この和船とモーターボートを十把一からげに規制しようとするところに根本の間違いがある。和船というのは、形状、船の能力等からしましてスピードは絶対出ません。危険も全くない。だから、浜名湖あたりで私どもは釣りをしているのですが、ノリをやっている業者やカキを養殖している業者は、まるで自分がげたを履くように気楽に運航しているわけですよ。そこヘスピードのあるモーターボートが出現して矢のように走ってくる。私どもは、本当に被害を受けているわけですね。そのモーターボートを取り締まるための規定と、和船を取り締まる規定と一緒にやったから……。和船なんかいままで無免許で、免許なんか要らなかった。ちょうどだとえて申し上げると、これは自転車とオートバイを同じ免許制度で規制しようとするのと全く同じなんです。かつては自転車に小さなエンジンをつけて、坂に来るとエンジンだけじゃ上がりませんから自分でこぎながら、取り外し自由というものがあったのですが、それがいまのバイク、軽自転車というんですか、変わったわけですね。それをちょうど一緒にして規制しようとするから非常に無理があって、迷惑をこうむるのはわれわれ和船で釣りを楽しむ者ばかりなんです。  船舶の検査も、これは定期検査だ、臨時検査だ、何だかんだ言って、そのたびに金を取られて、そして検査をやるといったって、そんなに大ぜいの検査官がおって、こっちまで来てくれるわけじゃない。どこかに集結させられてひどい目を見ましてね。全く検査の必要はないのです、和船は。  省令でしたか、第二条の二項だかに書いてありますね、七人未満の定員の櫓かい船は検査は必要ないというが、私がいま持っているのは長さ五・五メートルで定員三人の認定を受けているのですが、これは検査を受けなければならぬ。つまり船外機をつけるという理由なんですけれども、これはひとつ船舶局長、考えてください。私はいまここで即答を求めるのは無理だと思うが、さっき言った輸出検査と同じように、メーカーはしっかりしているのですから、しかもいまは全部プラスチックで地球とともに腐らないという品質なんです。ですから、どこかにぶつけるかどうかしない限り危険はない。ぶつければ自分が危険だから乗りはしません。そういうわけですから、これはやはりメーカー、工場の型式検査等によって、最初に蔵出しのときに検査を受ければ、ユーザーの手に渡ってから検査は要らぬ。モーターボートはどんどんやってください、これは非常に高速で走りますし、危険も伴いますから。私は、和船についてはあの規定を準用してもらって、船外機をつけるからという理由で——われわれは櫓かいでやる場合も多いのですから、船外機ばかりじゃないです。  だから、そういう点も考えて、実地に合ったような検査のやり方も考えていただきたいという注文をつけて、時間がなくなりましたから、これで質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  19. 始関伊平

    始関主査 これにて足立篤郎君の質疑は終了しました。  次に、関谷勝嗣君
  20. 関谷勝嗣

    関谷分科員 私は、いま国民が一番関心を持っていることにつきまして、大臣初め関係各位に質問させていただきたいと思うわけでございます。  まず最初に、国鉄再建の問題でございます。これはいままでに本当に大ぜいの方が検討もされましたし、いろいろな諮問機関も通して検討をしてきたわけですけれども、閣議了解事項にもございましたように、もう五十四年あたりが限度ではなかろうか、それまでに確固たるものを築き上げなければもうどうしようもないようなところまで来るのではなかろうかと思っておるわけでございます。  それで、いままで言われました国鉄再建案といいますのは、第一に運賃の値上げ、そうして二番目に国の助成、三番目に国鉄合理化というのが三本の柱になっておるわけでございますけれども、時間もございませんので、この中の三番の国鉄合理化の問題で質問をさしていただきたいと思うわけでございます。  その中で第一に赤字ローカル線の問題でございますけれども、国鉄は一応大きな赤字のところはもうやめたい、廃止したいというのが本来の気持ちだろうと思うわけでございますけれども、公共性を考えて、住民のための足の確保ということで、なかなか思い切ったその処理ができてないと思うわけでございます。そして、この間の中間答申を見ましても、地方公共団体が赤字を負担すべきではなかろうかというようなことも出ておりますけれども、地方においても財源難で容易ではないというようなことでございまして、この赤字ローカル線に対して今後どういう姿勢で臨んでいこうとしておるのか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。
  21. 高木文雄

    ○高木説明員 ローカル線の問題というのはかなり長い問題でございまして、国鉄の経理、経営の立場から申しますと、ただいまお触れになりましたように、余りにも採算に乗りませんものにつきましては、国鉄サイドから言えば路線を撤去させていただきたい、そしてバスその他の方法を改めてそこに整備するというかっこうでいきたいということになろうかと思います。そういう角度で今日までかなり長い期間これに対処してまいったのでございますが、そのことはしかし、いまもお触れになりましたように、地方の立場といいますか、住民からの見方といたしましては、余りにもいわば国鉄エゴイズムだ、自分たちがいかに鉄道に依存をしておるかということを知らないものだという御批判が集まるわけでございます。過去におきまして、一時二千六百キロ、八十三線区というようなものが一応の検討対象になりましたけれども、いろいろの努力、検討の結果、ごくわずかそれが実現したにとどまったのも、その辺の物の考え方に大きなギャップがあったからだと思っております。  そこで、先般の運輸政策審議会からの御答申といいますか、中間報告にあらわれておりますように、これからは大変問題でございますので、いまのままではいけないと思いますけれども、さりとて直ちに撤去ということに結びつけて物を考えるというのはいかがかというふうに思います。と同時に、国の立場なり国鉄の立場なりというものもおくみ取りいただかなければなりませんけれども、それにも増して住民の立場といいますか、住民側からの希望、要望というようなものが那辺にありやということを十分くみ取るというか、討議をいたしました上で物を解決していくべきではないか。したがいまして、今日の段階で私が申し上げますことは、具体的にどういう方法でこれを解決するかという解決の中身よりは、むしろ進め方として、篤と地域の方々とお話し合いをして、そして求められているものは何であるかということを伺いながら、同時にまた、国鉄財政なり経営の立場についても御理解をいただきながら進めていくという進め方にいままでとは違う工夫をこらしてみたらどうか、その結果どうするかということについては、その路線ごとに、地域ごとにいろいろな結論が出てまいりましょうし、いま余りここで固定的に考えない方がよろしいのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても非常に御要望の強い問題であり、国鉄の方の財政といいますか、経営の立場から言えば、このまま放置し得ない問題でございますので、その両方の共通の答えを見出すことは大変むずかしいことだとは思いますが、放置できませんから、これから答えを発見いたすべく努力をしてまいりたいと思っております。
  22. 関谷勝嗣

    関谷分科員 大臣にお尋ねしたいんですけれども、いまの総裁のお答えのように、非常に矛盾があると思うわけですね。いわゆる盾と矛の関係のように、国民の足、公共性ということを考えるとなかなか処理ができないし、そしてまた中間報告で言っておりますように、地元の人と話し合って地方の役所も入れて結論を出すようにと言いましても、これは実際そんなことはできない。そうなりますと、思い切ってローカル線だけは経理も別にするとか、あるいはもうまる抱えに、ローカル線は頭から割り切って、こういうふうに赤字なんだからこれはもう国ですべて処理をするというような形を出してこなければ、ああいう審議会で幾らかっこういい答申をしてもどうせできないんですね。ですから、そういう思い切ったことができないものだろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  23. 田村元

    田村国務大臣 運政審の中間報告というのがとにかく出ました。御承知と思いますが、四つの方法。これから運政審の本格的な答申というものも出てくるわけでありますから、それを踏まえて検討をしなければならぬのじゃないか。ただ、いま総裁が言いましたとおりでありますが、行政が考えております以上に、政治というものは、赤字要因の探求、これの是正ということと公共性というものとの板ばさみになります。ですから、これは非常に慎重を必要としますが、いずれにしても運政審の答申を待ちたい、こういうふうに考えております。
  24. 関谷勝嗣

    関谷分科員 そんなことで、ぜひ早くそういう問題に対して処理をしていただきたいと思うわけでございます。  そして、合理化の二番目の問題といたしまして貨物の問題があるわけでございますけれども、シェアも一三%あたりに落ち込んでしまっているというのは、たび重なるストの問題で荷主から信用を落としてしまったということであろうと思うわけでございますが、国鉄の貨物に対する信用度を取り返す努力というのは、国鉄サイドにおいてどういうような努力をしているか、そのことをお聞きしたいと思うわけです。
  25. 高木文雄

    ○高木説明員 他の輸送手段との比較におきまして、国鉄によります貨物輸送のメリットは、比較的長距離なところを、しかも大量な品物を運ぶのに適しておるというふうに一般的に言われておるわけでございます。しかし、いずれの場合にも、いつ着くかということについて見通しがつかない限りにおいては、お客様からきらわれることになるのは明らかでございまして、ある場合には自然災害によりまして予定どおり列車が動かない。非常に異例、特例でございましたが、スト権ストのような事例に見られましたように、きわめて人為的な事情によって動かないというようなことがたび重なりまして、結果として、かなり他の輸送手段への移行が行われたわけでございます。  したがいまして、二つの面で、私どもは今後必死に取り組んでいかなければならない。一つは、本来、法的に許されてないわけではございますが、事実問題として残念ながら行われておりますストというような場合に、後遺症を非常に多く残すような形は本来の姿から非常に外れることになるわけでございますので、お客さんを後々まで失うことのあるような結果を引き起こすということについて強く職員といいますか、関係者の反省を求めているところでございまして、その面におきましては、大変顕著によくなってきたということは言えないわけでございますけれども、最近一年間はいささか改善の方向に向いているかと思っております。  ところが、最近の事態として非常に残念に思っておりますのは、異常な気象とは申せ、雪の被害によりまして、主として青函連絡船を中心といたしまして北海道と本州との間の運航が不正確になりました。これはまた最近いろいろな意味国鉄離れの原因をなしておるわけでございます。  こうした自然災害ではありますけれども、しかしなお私どもの努力によって少しでも被害を小さくすることができないとは言えないものでございますので、この種の自然災害についても、将来同じようなことを繰り返しませんように、被害を食いとめるべく日ごろからの努力の積み重ねをしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、あらゆる種類の原因によります貨物の不安定輸送につきましては、いままでもやっておったこととは思いますが、私も最近一年間かなりウエートを置いてきておるわけでございます。  何分全国長いレールでございますので、あちこちにいろいろな障害がございますので、そう目に見えて急によくなるというわけにはいかないかもしれませんけれども、一方、トラックへの移行あるいは内航海運への移行というものがかなり急速に進む危険がございますので、それに対応する策を早くとっていきたいということで、いま御指摘の点は、私もウエートを置いて考えておる次第でございます。
  26. 関谷勝嗣

    関谷分科員 そうしますと、現在のシェアをとにかくも守る努力をするというのか、それとも今後国鉄の貨物をもっと力強く広げていこうとする姿勢なのか、私はいまはとにかく守るのがやっとなのではなかろうかと思っておるわけでございますが、その点、今後どういう姿勢で臨むのか。
  27. 高木文雄

    ○高木説明員 現在のもろもろの輸送計画は、大体昭和四十八年ごろ、これは国鉄の貨物輸送におきまして最も輸送量の多かった時代でございますが、四十八年ごろの輸送に適合するような形でのダイヤの編成その他が行われております。しかし、その後、日本の経済が調子が変わってまいりましたことと、それから道路なり港湾なりの整備が進んでまいりましたことから、現在最盛期に比べて七割ぐらいに荷物が減っておるわけでございます。それでは採算的にも何ともなりませんものですから、現段階ではとりあえず現在の荷物量に対応する程度に一度事業規模を縮小することを大至急やりたいと思っております。  そのことは漸次貨物輸送から私どもが撤退をしていくということを意味するものではなくて、やはり適合貨物については積極的に取り組むつもりでございますけれども、一応まず一遍は縮む、その上で伸びる余地を見つけてさらに伸びていくという考えでございまして、しかし、まず第一段階においては縮まざるを得ないというふうに考えております。
  28. 関谷勝嗣

    関谷分科員 貨物のことはそれで終わりたいと思うわけでございますが、合理化のもう一つの問題として、新幹線の建設の問題があると思うのです。  これは多額の建設費を投入してつくっておるわけでございますけれども、新幹線をつくることをやりますと、それに反比例しまして在来線はますます赤字になってくるわけです。ですから、何か倒産寸前の会社がまた新しく投資をするような、これまた国鉄にいろいろ多い矛盾な点があると思うのですけれども、そういう関係は、運輸省の姿勢として、また国鉄の考え方としてどういうふうに今後進めていこうとしているのか。確かに速い列車で目的地へ行きたいというのは国民の希望でもあるわけでございますけれども、そうなりますと、ますます在来線は赤字がふえてくるというようなことで、そのことをお尋ねいたしたいと思います。  それからもう一つは、現在建設中の東北、上越の二線ができる場合、一体どういう収支の予測をしてやっておるのか。それに並行して、今度在来線がまだどれだけ赤字がふえてくるか——それを超えて建設しているのだろうと思うのですけれども、そういう予測はどういうふうにしているのかということをお聞きしたいと思います。
  29. 高木文雄

    ○高木説明員 東海道、山陽新幹線の体験によりますと、この新幹線と在来の東海道線、山陽線を総合いたしますと、全体としては、いわば償っておるというか引き合っておる、そういう形になっております。これは太平洋ベルト地帯でございますし、人口も多く、輸送量も多い地帯でございますから、ごくあたりまえのことだと言えるだろうと思います。  さて次に、東北、上越新幹線が現在建設中でございますが、それがどうなるかということでございますけれども、発足の当時には十分そこらは検討の上で、現在の盛岡まで、あるいは新潟までの新しい路線については、在来線も含めて決して国鉄収支を圧迫することにはならないという前提でスタートされたわけでございます。その後、ごく最近に至りまして、やや日本の経済状態が変わってきております。いわば安定成長の時代に入ってきておりますから、当時の見込みと比べてどうだろうかということが懸念されるわけでございますが、最初、建設前に見通されました状態と極度に前提が変わってきて、総合的に見てうまくいかないということになった、大変事情が変わったというふうには思っておらないわけでございまして、大変事情が流動的でございますので、必ずしも詰めた計算はいたしておりませんが、盛岡まであるいは新潟までであれば国鉄経営全体にとって大きな圧迫になるようなことにはならぬのではなかろうかと思っております。  その上に、現在全国の中で一番収容力が小さいためにお客様に迷惑をおかけしているのが大宮—高崎間と大宮−宇都宮間でございまして、これは東海道新幹線が発足いたします前に最も込んでおりました東海道線の浜松付近の混雑状況とちょうど匹敵するような状態でございまして、簡単な言葉で申しますとパンク寸前になっております。したがいまして、そういう東京周辺の通勤を中心とする輸送力増強の観点から言いましても、速やかに上越、東北新幹線の建設が進められまして、長距離列車をそちらに移して、東京周辺における通勤対策をも追求していかなければならないという状況になっておるわけでございます。  ただ、さらに新幹線の中で現在調査なり整備線になっておる地域につきましては、これは現在の東海道、山陽はもちろん上越、東北と比べましても非常に人口密度の低い地域でございますので、数年前に将来計画として挙げられた事態とは非常に様相が変わってきておりますところから、よほど慎重に新しい経済情勢を前提としてお考えいただかなければならぬのではなかろうかと、詰めた計算はいたしておりませんけれども、そういう感じを持っておるわけでございます。
  30. 関谷勝嗣

    関谷分科員 そういう両方の在来線と新幹線のバランスをじっくりと考えて、今後とも建設ということを考えていただきたいと思います。  それともう一つ総裁にお尋ねしたいのですけれども、総裁の答弁が長いので、私の持ってきたのを全部質問しておると、今度の解散までかかるような時間をとられますので、ひとつ簡単にお願いしたいと思います。  最近、よく輸入人事とか輸血人事とか言われておるのですけれども、あれを見ますと私は非常に腹が立つ、と言うとおかしいのですが、私も非常に国鉄が好きなんですけれども、国鉄は百五年の歴史があって、大ぜいの職員がおる。ああいう輸血までしなくても、国鉄職員の中に幾らでも優秀な職員がおるはずです。そういうような人を掘り出す方に努力をしていただいて、また、ああいう六人、七人を輸入人事しただけで国鉄が立ち直るようでしたら、もうとっくに立ち直っておるのでして、あんなことをしたって仕方がない。それよりは、いままで国鉄のために一生懸命働いてきた職員を引っ張り上げてやるという努力をしていただきたいのですけれども、その点はどういう意図でもってああいうことをやっているのか、それをお尋ねしたい。
  31. 高木文雄

    ○高木説明員 私も、まだ一年でございますけれども、国鉄職員は、もちろんきわめて優秀であるということで非常に力強く思っておるわけでございます。ただ、どの世界においても言えるかと思いますが、一定の範囲の世界だけで仕事をいたしておりますと、どうしても経験が偏るわけでございますので、やはりこういう新しい事態といいますか、非常事態になりました場合には、広く他の経験をお持ちの方に助けていただくといいますか、応援をしていただくといいますか、そういう必要があろうかと思うわけでございます。そのことは決して、昔からおりました、一生懸命がんばってきました諸君が無能力だということを意味するわけではないわけでありまして、国鉄の中で長く仕事をしますということは、別の意味から言いますと、どうしても他の世界における経験が不十分だということを意味するわけでございまして、そういう新しい、知らない経験を注入するということが必要であろうと思いますし、また逆に私どもの職員によそのフィールドで仕事をする機会を与えていただいて、そこでまた勉強するというようなことも必要であろうかと思っておるわけでございます。お論しの点は十分心得て、変な空気が国鉄内部に起こりませんように注意をしながら、しかし、知識、経験の交流を進めてまいりたいということについては、御理解を得たいと思う次第でございます。
  32. 関谷勝嗣

    関谷分科員 時間がありませんので、国鉄のことはまた次の機会にさしてもらいたいと思います。  日米航空協定の問題に入りたいと思うのです。  今月からまたその協議が始まるわけでございますけれども、この不平等の是正ということは、これは何年も前から言われておることで、その都度、日本の運輸省は努力をしておるわけでございますけれども、いままでは世界一周の航路をとりたいとか、あるいは以遠権を獲得したいとかという問題で、その取得の問題を成果として持って帰るという傾向があったわけでございますが、戦後三十年、もうその時点ではなくして、今後は全般の不平等の是正をやらなければならないところまで来ておると思います。収支を調べてみましても、アメリカの方が倍近くの収益を得ておりますし、発着の地点にいたしましても、アメリカが十九地点ほどある、日本が七地点しかないというようなこと。そしてまた以遠権の問題にいたしましても、アメリカはどこまででも行くことができるけれども、日本の場合はサンフランシスコからニューヨークへ行って、今度ヨーロッパへ行くというようなことで、非常に不平等なところがあるわけでございますけれども、今回は一体どういうところに重きを置いて、またどういう姿勢で臨もうとしているのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  33. 田村元

    田村国務大臣 この二十三日から第二回が始まるわけです。  私どもは、日米の航空権益については明らかに不平等がある、それも著しい不平等がある、このように認識をいたしておりますが、米側としては、いままではなかなかそれを全面的に肯定しておりません。  そこで、実はこの二十三日からの今度の場合は、非常に事務的な会談になるかもしれませんけれども、航空局の山地審議官を派遣いたします。五月になりますと、沖繩返還五年目ということになりまして、第三回が行われることになります。  わが方としては、いまおっしゃったような以遠権の問題、乗り入れ地点の問題、秩序ある輸送力の規制の問題、そういう問題についてきわめて強い姿勢で米側に対処したい、このように考えております。
  34. 関谷勝嗣

    関谷分科員 いろいろお尋ねしたいのですけれども、時間がありませんので、次に成田空港のことをちょっとお伺いいたしたいと思うのです。  いま国民が関心を持っておるのは、本当に、国鉄再建の問題と、この成田空港が開港する、開港すると言われましてからもう何年もたっておることですね。ことしの十一月末などということを聞いておりましたら、また新聞で見ますと、来春には何とかオープンするのではなかろうかというようなことになっておるわけでございますが、ぜひこれを早く開港していただきたいのですけれども、そのあたりは、現状はどういうふうになっておるのでしょうか。
  35. 田村元

    田村国務大臣 いま一番大きな問題としては、石油の暫定輸送の問題、それから俗称妨害鉄塔の問題ということになっております。アクセスやいろいろな問題をどんどんいま詰めておりますが、私の今日の自信とまで言い切れるかどうか別として、描いております構想として十一月には開港できる、このように実は見通しを立てておるわけであります。いずれにいたしましても、これは可能な限り全力を挙げて急ぎたい、このように考えております。
  36. 関谷勝嗣

    関谷分科員 それでは、時間がないので、最後の一つの問題でお伺いいたしたいと思うのですが、海員学校のことであります。  波方にあるのは、外航の部員を養成するということでつくったわけでございますが、外航がいま非常に不況であるということで、現状ではもう外航には乗れない。それで内航に卒業生が乗っておるわけでございます。現在は、中学校の卒業で一年間の教育をするというようなことでございますが、船の機械も非常に複雑になりましたし、そしてまた、ほかの分野でも使うことができるように高校卒にして、それから一年間で教育を行っていくというように、あらゆることに対応できる教育を受けさすように変えていってはどうだろうかというふうに考えてあれしておるのですけれども、それはどんなものでしょうか。
  37. 横田不二夫

    ○横田政府委員 ただいま御指摘の波方の海員学校は、内航の職員になるべき人を一年で教育しておるわけであります。先生のおっしゃいますとおり、だんだん船舶も近代化してまいりますし、技術革新の世の中でございますので、いまのままではぐあいが悪い。確かにおっしゃるとおり、高等科に変えていくべきであろうかと思います。地元の方でもそういう要望が強うございますので、その方向で検討すべく、近く海上安全船員教育審議会に諮問をいたしまして、その答申を待って措置をいたしたいと考えております。
  38. 関谷勝嗣

    関谷分科員 よろしくお願いします。  終わります。
  39. 始関伊平

    始関主査 これにて関谷勝嗣君質疑は終了しました。  次に、佐野進君。
  40. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、大都市交通、特に都営都市交通事業を中心にして質問をしてみたいと思います。  まず大臣に、原則的な面について質問をいたしたいと思います。今日の路面交通あるいは地下鉄交通あるいは高架交通等を含めて、大都市における交通事情は、運営面においても、財政面においても、あるいは交通事情そのものについても、きわめて厳しい状況にあるわけであります。しかしてこの問題は一刻も猶予することのできない、国民生活に重要な関係のある問題でありますが、これら交通行政の中において原則的に幾つかの点が解決のための指針として討議され、あるいは検討され続けておるわけでありまするけれども、私は、まず第一に、大臣にお聞きしておきたいことは、大都市における交通行政の中で、大衆輸送機関と一般輸送、たとえばモータリゼーションによるところの路面交通の渋滞、こういう問題に対してどう判断され、対処されるのか。世界の先進諸国と言われるところにおける大都市交通行政の実態を踏まえながら、大臣のこの面についての見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
  41. 田村元

    田村国務大臣 実は大都市交通につきましては、運輸省は最も頭を悩まし、今日まで努力をしてまいりました。これはもう佐野さんよく御承知のところであります。ところが、大都市というのは、道路を一つつくるにしてもなかなか大変な問題がございますので、どうしても公共交通機関というものを充実さしていかなければなりません。特に大都市の場合、限られた空間でありますし、いろいろな問題もございます。でありますから、そういう意味で、今日まで、特に民鉄線の場合におきましてまでも鉄建公団等にやらせるとか、いろいろな問題をやってきたわけでありますが、とりわけ地下鉄とかあるいはバスとかというものをこれから十分に発達せしめなきやならぬわけであります。バスの場合も、レーンの問題とかあるいはその他いろいろな問題点はございますが、今日まで運輸省としては可能な限りの努力をしてまいりましたが、率直に言ってこれからより以上の努力を傾注しなきゃならぬ、このように考えております。
  42. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間がありませんので、質問も要点をもって質問いたしますので、ひとつ簡略に要点をもってお答えをいただきたいと思います。  第二番目の問題は、そうは言いましても、解決のために努力をするとだれもが言うわけでございますが、さて具体的な問題になりますると、その置かれている状況下において、財政上あるいはそれぞれの地理的な条件等々幾多のネックが発生するわけであります。したがって、そのために解決の時日が遷延せられ、問題の処理がおくれてしまうということが幾つもあるわけでございまするが、それらの問題についてこれから質問をしてみたいと思います。  まず、原則的に、それぞれの事業を行う事業体の力のみをもってしてはもはや解決でき得ない、政府ないし地方公共団体の協力なくしては、それぞれの問題の解決がなし得ないことは大臣よく御承知のとおりであります。今日の経済情勢のもと、その度合いがますます大きくなろうとしておるわけでございますが、こういう点について政府は積極的に対応していくという御決意ありやなしや、この際、原則的な問題でございますのでお聞きしておきたいと思います。
  43. 田村元

    田村国務大臣 大いなる決意をもって臨んでおります。
  44. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで私は具体的な問題に入ってまいりたいと思うのでありますが、今日、大都市交通対策の中で最も重要な問題は、交通渋滞の解決、特に通勤を含む国民、都民それぞれの人たちに対して安全、確実、しかも効果的な輸送を実現すること、交通の渋滞を解消し、交通公害をなくすることにあると思うわけであります。したがって、その面からいたしますならば、路面交通機関充実はもちろん、それに対応する地下交通機関充実が最も緊急の要件になってきておるわけであります。そういうような情勢の中で、政府は今日、いわゆる景気浮揚のために公共事業の拡大をうたい、公共事業の拡大こそ今日の景気浮揚における最大の条件であると、福田総理及び政府当局者は口をそろえて言っておるにもかかわらず、その公共事業の中に最も大きなウエートを占める高速鉄道の建設を初めとする交通機関の建設については、特に大都市交通機関に対してはきわめてスローな取り組みしかしていない。五十二年度予算の内容を見ても、そのとおりの状況であろうと思います。他の予算の伸びに比べて、それらの予算の伸びがきわめて少ないというところにもその原因を見ることができるわけであります。一体何がゆえに地下鉄を初めとする都市の交通機関に対して、財政的な裏づけをもってこれに対応し、政府の重要な柱である景気浮揚のための公共事業の拡大ということに相反してまでこれらの事業に対してはきわめて冷淡な取り扱いしかしていないのか、その点についてひとつ簡略にお答えをいただきたい。
  45. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、運輸省といたしましては、地下鉄の整備には相当の努力をいたしているつもりでございます。いま、地下鉄の事業費が少ないではないかという御指摘がございましたけれども、過去五年間、昭和四十八年から五十二年まででございますが、事業費で八六%伸びておりますし、また補助金の方も、この五年間に二・七倍という非常に大きな伸びになっております。毎年百億円のオダーで地下鉄に対する助成がふえている現状でございますので、私どもといたしましては、地下鉄整備については最大の努力を払っているというつもりでいるわけでございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまここで数字を挙げて議論をする時間的な余裕がないのは残念でございまして、いずれ何らかの機会を持って議論をしてみたいと思うわけでありますが、私どもの判断からいたしますれば、政府の掲げる公共事業を中心にして景気浮揚を図るという観点から比較して、さらに下水道事業に対しての建設当局の力の入れ方に比較いたしまするときわめて少ない。運輸当局は、この面については冷淡ではないかという印象を免れないということでございますので、この点、さらに一層努力をしていただきたいと思います。  特に、私はこの建設計画のおくれについては、今日の財政的な伸びということに比較して、諸経費の増大あるいは建設費の増大というような形からするならば、いま局長が御説明なされた面から見ても、その点については具体的に指摘することはできるわけでありまするが、その点をいまここて議論している時間的余裕がございませんので、省略するとして、大臣に一つお聞きしておきたいことは、また鉄監局長にもお聞きしておきたいことでございますが、その面から地下鉄建設の速度がきわめて鈍化している。補助はもちろんですが、要するに財政的な措置のおくれと相関連して、地下鉄建設の速度がきわめて鈍化している。ということが、ひいては地下鉄建設というものに対する計画の見直しが行われているのではないか、こういうような危惧すら地方住民には持たれておるわけであります。既存の計画、都市交通審議会のいわゆる答申第十五号に基づくところの整備計画はこの方針どおり行うつもりであるか、これは鉄監局長にお聞きしたい。  そして同時にこの計画の中で、特に大都市の中で地下鉄建設のおくれておる八号線あるいは十号線あるいはまた十一号線、さらにはまた一号線の延伸等々、幾つかの問題点があるわけでございまするが、これらの計画はそのとおり実施するお考えであるのかどうか。特に八号線の亀有から東陽町に至る縦の線の建設は、地方住民、地域の区を含めて激しい強力な運動が遂行されているにもかかわらず、いまだ着工の気配すら見えないという状況の中において、建設費が伸びていますといういまの局長の御答弁にはうなずけない点等もございますので、これらの点については、大都市の交通事情打開のためにこの計画の見直しはしないという決意と、同時に、これら着工に対しては早急に配慮するという御答弁をひとつ大臣からいただきたいし、具体的な問題について局長からお答えをいただきたいと思います。
  47. 住田正二

    ○住田政府委員 都市交通審議会でいろいろな線についての答申が出ているわけでございます。私どもといたしましては、それに基づいて積極的な努力はいたしているつもりでございますけれども、何分地下鉄の建設につきましては、大変な金がかかるわけでございます。したがいまして、現在の地下鉄の経営から言いますと、当該地域の将来の需要がどうであるか、あるいは将来財政にどういうような影響を与えるかというようなことを勘案しながら決定していくということにならざるを得ないと思うわけでございます。  いま御指摘のございました地下鉄八号線につきましては、御承知のようにすでに銀座一丁目——明石町の工事それから池袋以西の工事をやっております。いまお話しの、亀有−明石町の問題でございますが、この点については、現在営団の方でいろいろ検討いたしております。先ほど申し上げましたような、将来の需要動向あるいは地下鉄の将来の経営に対する影響というようなものを勘案しながら現在検討中でございまして、私どもといたしましては、この申請を待って処理いたしたいと考えております。  また、東京都がやっております十号線あるいは十二号線の問題でございますけれども、御承知のように、都営交通の財政が危機に瀕しておりまして、私どもが承知いたしておりますところでは、東京都の方では計画は持っているようでございますけれども、具体的な実行というところまで考えてないように聞いておる次第でございます。  そのほか、都営一号線の延長計画についても、東京都の方から特に私どもは話は聞いておりません。
  48. 田村元

    田村国務大臣 私、いつも思うのでありますが、道路の場合は、まさに特定財源というすばらしいものを持っておる。ところが交通機関に関しましてはそのようなものがないというところにやはり大きな問題もあろうかと思います。こういう点は将来われわれも、一運輸省でない、政治の問題として真剣に考えなければならぬ問題じゃなかろうか、このように考えます。実はいま東陽町の問題も出ましたが、私は母の実家が深川でございます。でありますので、どちらかと言えば、半分は東京っ子のような立場であります。それだけに大都会というものをわりあいに熟知しておる一員であるつもりであります。先般も美濃部さんにお目にかかっていろいろとお話し合いをしたのでありますけれども、私は今日まで二十年余りの代議士生活を通じて、都市政策と取り組んでまいりました。私は着任してまだ日が浅いわけでありますし、しかもそのほとんどが予算委員会等で縛られて、実際に実務ができなかったという面もありますけれども、大都市問題については佐野さんと同じような気持ちで、全力を挙げてこれに取り組んでいきたい、そしてよき道を残していきたい、このように決意をいたしておる次第であります。
  49. 佐野進

    佐野(進)分科員 いま大臣の力強い御答弁をいただいたわけでありますが、私もこの問題は、単に社会党だとか、自民党だとかいうそれぞれの党派を超えた取り組みをしなければならぬ問題でありますし、自民党の中にも、これらの問題について積極的に対応される委員会等をおつくりになって努力されておりますし、政府もその努力をしていることを私は否定するものではないわけであります。したがいまして、今後この原則的な問題については、さらに一層の御努力をお願いしたいと思います。  さて、次に、公営交通事業の置かれている立場、いまお話のございましたような原則的な立場に立ちまして、これはきわめて深刻なものがありまして、この危機打開は今日の最大の課題となっておるわけであります。  そこで私はお尋ねをいたしたいわけでありますけれども、これは鉄監局長自動車局長にお尋ねをしたいと思うわけでございます。  まず第一に、公営交通事業と国営鉄道事業、さらに私鉄事業とそれぞれ交通事業は存在するわけでありますけれども、それぞれ同じような内容を持ち、住民に対してサービスを提供しておるわけでございますが、それぞれの状況の中における事業主体の持つ立場は、本質的にと言っていいほど異なる場合もあるわけであります。たとえば私鉄と公営事業あるいは国鉄等々ありまするけれども、私がここで申し上げたいことは、その問題を深めて論議することではなくして、いわゆる地方における公営交通事業というものが最も不利な条件の中に置かれているのではないかという気がいたしてならないわけであります。たとえば五十二年度予算の中におきましても、国鉄に対する五十二年度予算の助成項目をここにそれぞれ持っておるわけでございます。これに対応する公営交通、いま鉄監局長は相当やりましたとは言いまするけれども、その資料も持っておりますが、どう比較しましても、国鉄と公営交通とでは、それぞれの地方公共団体経営主体であるという形等もございましようけれども、その差が非常に大きい。しかしその持つ役割りはそう変わりがない。したがって公営交通が国鉄と同じような赤字の状況の中でその再建について苦慮いたし続けてきておるわけでございます。もはや第二次再建も破産に瀕し、第三次再建に入らなければならぬ状況の中において、少なくとも国鉄と比較して遜色のない対策を立てる必要があるのではないかと判断するわけでございまするが、この点についてどのような御判断を持っておられるか、ひとつお答えをいただきたい。
  50. 住田正二

    ○住田政府委員 私の局では国鉄と公営と私鉄と三つの鉄道について所管をいたしているわけでございますが、確かに、御指摘のように、それぞれ違った内容と言いますか、財政状況を示しているわけでございます。一番ひどいのが東京都に代表される公営の例でございます。いま申し上げました三つの鉄道につきましていろいろ検討しているわけでございますが、やはり私鉄が一番経営成績がいいという現状でございます。これはやはり労働生産性から見まして、公営と国営と私営では相当な差があるということが大きな理由ではないかというふうに見ているわけでございます。私どもの立場は交通事業として見ているわけでございまして、地方公共団体の抱えている公営事業の再建ということになりますと、これは自治省の問題ではないかと思います。  いま国鉄と地下鉄の補助制度について相当の差があるのではないかという御指摘でございますけれども、国鉄に対する助成といたしまして、今回新しく大都市については建設費の三割を助成するということにいたしたわけでございます。これに対しまして現在地下鉄に対してとっております助成制度というのは、車両費等を含めまして、国と地方公共団体で五割を、実質的に約五割程度、五割以上になると思いますけれども、助成するということでございまして、決して国鉄よりも公営の方が悪いという現状ではないと考えているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、地下鉄の建設は、先ほど御指摘ございましたように、非常に金がかさんできております。現在のままの助成制度でいいのかどうかということについては、問題もわれわれ意識をいたしておりますので、自治省、建設省等と今後相談していきたい。先ほど大臣からお話がございましたように、やはり財源問題が一つの問題でございますので、そういうものを含めまして、各省と十分協力しながら検討を進めたい、さように考えておるわけでございます。
  51. 佐野進

    佐野(進)分科員 自動車局長には後で聞くといたしまして、関連がございますので、鉄監局長に引き続き質問をしてみたいと思います。  いま国鉄と公営交通との差はないというような御答弁でございますが、実質的には、私どもはまだ差があると思います。しかしこれは地方公営交通と国営鉄道ということでございますし、これはそれぞれの立場の認識の相違もございましょうから、余り深くは追及いたしません。いずれも、そのような形の中で公平に対処されるように要望をしておきたいと思います。  さてそこで、そういうような形の中で見てまいりましても、いまお話しのように五〇・四九%ですか、いわゆる建設費総体に見合う補助ではなくして、一定の削減をした条件の中でそれに対する二分の一の補助をしておる、こういう国の態度でございます。いま局長の御答弁にもありましたとおり、私どもは、この情勢からいたしますならば、補助額は総建設費に対する七〇%にする以外にないではないか。これはもう一般の常識化している。自治省もこの要求を出された。ところが、運輸省ないしは大蔵省はこれに反対し、ついに大臣折衝においてこれが成立しなかった。いわゆる旧方式と新方式の差額五十億円は五十二年度予算においては没になった。そういう経過になっておると私どもは聞いておるわけでございますが、今日のこういう情勢の中でその程度の予算化についてはなし得たのではないか。おとといも大蔵大臣にその点は質問いたしましたけれども、今後の情勢を見ながらこれらについては見直していく、こういうような答弁をいただいておるわけでございまするが、運輸当局としては、自治省要求のこの五十億円の問題についてどう対応されようとするのか、前向きな御答弁をいただきたいと思います。
  52. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、運輸省は交通事業としての地下鉄事業を見ているわけでございまして、それに対しまして、自治省の方は地方公共団体財政という面から公営事業の問題を取り上げているという立場の差があるわけでございまして、運輸省といたしまして、自治省がそういう公営企業の再建という面からの助成を厚くしたいということについて、私どもがとやかく反対したというような経緯は全くございません。ただ、先ほど申し上げましたように、それでは現在の助成制度でいいのかどうかということについては確かに問題があるということで、今後関係省と十分話し合いをしていくということにいたしているわけでございます。
  53. 佐野進

    佐野(進)分科員 いまの御答弁で尽きるわけでございますが、これは後ほど大臣からお答えしていただけば結構だと思うのでございまするが、もはや今日の地下鉄建設の状況は道路行政と相対応するような形になっている。したがって、建設当局も今年度の予算編成に対して、先ほど大臣のお答えの中にもありましたように、地下鉄建設も道路建設と同じような形の中において対応していこうではないか、こういうようなお考え等もあるようでございますので、これは最後に大臣からお聞きしたいと思いますが、運輸当局もひとつ積極的に御対応していただきたいと思います。  そこで、自動車局長にお尋ねしたいと思うのでございまするが、公営交通事業の中における路面交通、いわゆるバス事業は、今日きわめて深刻な状況にあることは御承知のとおりであります。したがって、運輸当局としても、これに対して鋭意御努力をなさっておられることは認めるに私どもはやぶさかではございません。しかし、今日の路面交通の渋滞は、大都市交通行政、いわゆる建設と違った現在の交通行政をどう打開するかという行政とも関連するわけでございますが、何としてもそれぞれの国民の足を守るという意味においては、この状況の中で公営交通が成立していくための積極的な指導育成が行われなければならない、このように考えるわけでございます。  そういう面からいたしますると、五十二年度予算の中においてそれぞれ措置されておることについて、私はこれを認めるわけでございまするけれども、さらに積極的に対応していかなければならぬのは、なぜ赤字が出るかという条件の中に、いわゆる行政路線、さらには開発費負担の問題、当然赤字になる。私の選挙区にもそういうのがありまして、木場というところがあって、その木場に新木場というのをつくったけれども、全然お客がいないにかかわらずバスは走らせなければならない。当然赤字が出る。そういうものは公営交通としては当然負担しなければならぬ、やっていかなければならぬという状況の中で赤字が累増していく、こういう情勢等もあるわけでございまするが、さらにバスの購入費が不足しているというようなこと等々、数えれば数限りないわけでございます。これらについて、公営交通事業の中における路面交通事業に対して今後積極的な補助育成を必要とする状況にあると思うのでございまするが、行政あるいはその他の面におけるところの対応、それについて決意を、簡略でよろしゅうございますが、お聞かせをいただきたい。
  54. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいま先生指摘のように、大都市のバス事業の状況というのは、なかなかむずかしい状況にまいっております。しかし、都市、特に大都市におけるバス路線につきまして、過疎地域なり地方ローカル輸送の場合と違いまして、やはり路線網の再編成と申しますか、有機的な組み合わせを行いまして、また運行サービスを改善したり、あるいは走りやすさのための環境の改善と申しますか、そういった利用しやすさを、バスレーンの拡充とかいろいろの施策を通じてやっていかなくてはならぬわけであります。そういうことによりまして、利用者を確保して、全体的な路線網の維持ということを目指していくわけであります。  先生いろいろお話しくださいましたように、そういった意味合いで、自治省においても、公営交通事業の経営健全化のために、利子補給なり車両購入とかという面を通じて助成を行っておるわけであります。私どもの方といたしましても、団地バス等につきましての助成等を行っておるわけでありますが、そういったものを通じまして、いろいろ困難にめぐり会ってきておる大都市のバス輸送につきまして、これらの経営を維持していくという意味合いにおきまして、われわれといたしましても、これのできる限りの手助けと申しますか、そういうことを今後とも考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  55. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、最後に大臣に一括ひとつ質問をいたしまして、お答えをいただき、質問を終わりたいと思うわけでございまするが、私は、まず第一に、いままでの質問を通じて大臣も御理解していただいたと思うのでございまするけれども、今日の大都市交通行政の中におけるところの最優先事項は、やはり大衆交通輸送機関を最重要視して、秩序ある交通体系をつくり上げていくことではないか、こう考えるわけであります。この根本が忘れられれば、路面交通はますます渋滞する中において、都市の機能が発揮されず、快適なる国民生活が行われないと判断いたしまするが、その点についての大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  さらに、交通状況が悪化する状態の中で、あるいは経済情勢が悪化する情勢の中で、今日それぞれの交通関係機関はきわめて苦しい経営を余儀なくされているわけでございまするが、この経営に必要な合理化は当然のことといたしましても、合理化に対応する企業努力を認める形の中で、積極的に指導助成をしていくべきではないかと考えるわけでございまするが、この点についても、大臣にその御見解を承りたいと思います。  さらに、先ほど来申し上げておりますとおり、その中においても、地下鉄建設というものは今日重要な課題となっており、それぞれの都市において最重要課題として積極的に取り上げられ、これは党派を超えてそれに対する支援が行われておるわけであります。そういう面において、この地下鉄建設に対して、既存の計画はもちろん、積極的にそれぞれの計画に対してこれと取り組み、推進していく、その努力を運輸省当局としては行っていただきたいと思うわけでございますが、この点についての御見解をいただきたいと思います。  さらに、先ほど来申し上げておりますとおり、いわゆる建設あるいは運営に対しては、当然重大なる財政負担がかかるわけでございまして、それぞれ経営主体の力のみをもってしてはなかなか行い得ない現状でございます。そこで、今日、政府財政もきわめて厳しいわけでございますので、その厳しい情勢に対応いたしまして、いろいろな考えがあるわけでございますが、建設当局等においても、道路整備特別会計のうちその一部を地下鉄建設等に回すべきではないかという見解がいまや常識化されつつあるというように伺っておるわけでございますが、運輸当局も、この面について積極的な御努力をしていただきたいと思うわけでございますが、その点についていかにお考えなされるか、この点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  56. 田村元

    田村国務大臣 まず第一に、大都市の大衆交通機関の秩序ある交通体系、私そのとおりだと思います。均衡ある国土の開発という大きな問題はあります。これはやらなければならぬ。ところが、同時に、大都市におけるもろもろの都市政策というものは、これは当然強力に進めなければなりませんし、また、いまわれわれがやっておかなければ、われわれの子孫によき町を残すことはできません。でありますから、その意味で、秩序ある交通体系というものについて、真剣に取り組まなければならぬということは当然のことであろうと思います。また、私自身取り組みます。  それから、経営が大変苦しい、そこで合理化も必要であろうけれども、それに対応する助成を必要とする、これについてどうかというお尋ねでありますが、もちろん交通機関というものは当然のこととして独立採算制でございましょうけれども、しかし、本来、交通機関、つまり企業、それが公営も含めて負担の外にある、そういうものについては、国の手厚い保護が必要なことは申すまでもありません。でありますから、そういう面で今後も十分に検討をしていかなければならぬし、それは急がれなければならぬ、このように考えております。  それから、地下鉄の積極的な計画、これは私ども、運輸大臣としては一般論としてそのとおりだと思います。ただ問題は、東京都にしろ、名古屋市にしろ大阪市にしろ、いろいろとそれをやっております地方公共団体あるいは営団等、そういう経営者の意見も十分聞いて、われわれこれに対応しなければなりませんが、むしろ運輸省が積極的に慫慂していくという姿勢もまた必要であろうかと思います。  それから、特に道路の特定財源を見直したらどうかというお尋ねでございます。先ほど私、若干抽象的でございましたけれども、ちょっと触れたわけでございますが、私は、建設行政というものを今日批判する立場にはありません。しかしながら、私は過去において建設問題、特に道路等を担当いたしてまいりました。社会情勢、経済情勢が大きく激変した今日において、特定財源という問題については一建設省だ、一運輸省だという立場でなしに、あるいは一自民党だ、一社会党だ、あるいは一何党だというような立場でなしに、政治の問題としてこれを判断し、決断し、そうして行政を引きずっていかなければならぬ、あるいはそういう時期が来ておるのじゃなかろうか、そういう感じもいたします。ただ、特定財源というのは、たとえば揮発油税一つを例にとりましても、これは自動車というものが基本になっておりますから、その自動車から取る揮発油税というものがどのような形で、どのような意義づけで、あるいは将来これをどのようなものに与えるか、これは理論的にも現実的にもなかなかむずかしい問題を含んでおりますから、十分検討していかなければならないと思います。しかし、一般論として申せば、佐野さんのいまおっしゃったことは一つの大きな見識であろう、私はこのように考えておる次第でございます。
  57. 佐野進

    佐野(進)分科員 終わります。
  58. 始関伊平

    始関主査 これにて佐野進君の質疑は終了しました。  次に、玉城栄一君。
  59. 玉城栄一

    玉城分科員 現在国鉄は莫大な赤字を抱えており、そのあり方あるいは再建計画等につきまして多くの論議が交わされておるわけです。それはそれといたしまして、国鉄は、私が申し上げるまでもなく、全額国の出資による国有鉄道であります。したがいまして、その国鉄の利用については、全国民ひとしく、また平等に国鉄を利用する、あるいはその恩恵を受ける権利があると私は思いますし、また、当然政府はそういう利用が国民のすみずみにまでなされるようにしていく責任と義務もあろうと思います。  四十七都道府県の中で沖繩県は国鉄の利用が全くできない状態に置かれておりますことは、大臣もよく御存じのとおりであります。したがいまして、私は四十七都道府県の中で沖繩県が国有鉄道を利用でき得ない状態にあるということについて、国鉄所管される運輸大臣といたしましてどのようにお考えになりますか、まず最初にお考えをお伺いいたします。
  60. 田村元

    田村国務大臣 実は先般、ある交通雑誌を読んでおりましたら、国鉄が全然通っていない都道府県はどこであるかというメンタルテストが出ておりました。私が家族に聞きましたところ、みな知らない。まさにそれが沖繩県であります。でありますから、その意味では本当に胸痛む思いでありました。沖繩県の場合は、本当に戦前から戦中、戦後全くわれわれ日本国民の代表のような苦しい思いをされました。そういう点から考えれば、国の施策がまだ十分に及んでいないことに対しては、まことに申しわけない気持ちもいたします。  いま沖繩県では、交通体系はいかにあるべきかという調査が行われておるやに漏れ承っておりますが、そういう点を横にらみをしながら、慎重に沖繩県の交通問題について国鉄をも含めて検討をしたいなという感じで今日おる次第でございます。
  61. 玉城栄一

    玉城分科員 私は、別に沖繩に新幹線など持ってこい、導入しよう、そういうとんでもないことを主張するつもりは全くありません。御存じのとおり、県内の交通機関は当然バス、タクシーあるいはマイカーまたは徒歩、こういう状態であるわけです。特にタクシーの利用度といいますのは、もちろん国鉄がありませんために相当行われておるわけです。そういうことからいたしまして、一般の市民生活の中に占める交通費の割合というものは、私はまだ細かく計算はしておりませんけれども、少なくとも国鉄という交通機関が県内にあった場合と、現在のようなほとんどタクシーを利用せざるを得ない、あるいはまた、バスもそうでありますけれども、いろいろな面でそういう交通費に占める市民生活の負担というものはきわめて大きいものがあるわけであります。国鉄は民間企業ではないわけでありまして、そういう立場からいたしますときに、国民としてひとしく国鉄の利用ができるような施策を講じていくということは当然政府の責任であると私は思います。  したがいまして、先ほど大臣の御答弁の中で、交通体系の調査をしておられるということでありますけれども、沖繩が本土復帰いたしましてもう五年、調査という段階ではなくして、もちろんその結果によりまして結論はいろいろと出てこようと思いますけれども、大臣として、私が先ほどから申し上げておりますように、現在の四十七都道府県の中で沖繩県は国鉄が利用できないという状態をどう認識し、またどういう方向を今後考えておられるのか、その点を重ねてお伺いいたします。
  62. 田村元

    田村国務大臣 理論的に申せば、国鉄がよいのかあるいは私鉄がよいのかあるいはモノレールのようなものがよいのか、いずれにしても料金の安い、安直に乗れる大量輸送機関ということになるのでありましょうが、県民感情というものから言えばやはり国鉄をお求めになる、そういう気持ちも私には痛いほどわかるような気がいたすのであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、交通体系というものを沖繩県でいまお調べのようでございますが、もちろんそれは何年もかかるわけでもございますまいと思いますから、そういう点で沖繩県民の希求する方向を見定めて、沖繩県民が喜んでいただけるような、あるいは納得していただけるような方途を講じるべきではなかろうか、このように考えております。
  63. 玉城栄一

    玉城分科員 いまの件につきましては大臣もきわめてよく御認識のとおり、沖繩の県民は非常に重大な関心を持ってこの問題については見守っておるわけでございまして、ぜひ早急に前向きで何らかの施策を施していただきたい、このように強く御要望を申し上げるものでございます。  次に、そういう状態で、沖繩の場合は本土−沖繩間を行き来する場合、その交通手段といいますのは船舶そしてまた航空機、この二つであります。特に現在におきましては、飛行機の利用度といいますのはきわめて大きいわけでございます。そういうことで、本土−沖繩間の飛行機賃の料金の算定につきまして、いろいろな計算の仕方があるようでございますけれども、私なりに、これは私は素人で間違っているかどうか知りませんけれども、たとえば東京−ハワイあるいは東京−台湾、香港あるいはグアムと比べますときに、本土−沖繩間の航空運賃が割り高になっていやしないかということがよく言われておるわけであります。そこで私、けさ航空会社にその飛行機賃をちょっと伺ったわけでありますけれども、たとえば台湾の場合四万九千二百円、これは千三百四マイル、香港が七万七千三百円、グアム、ハワイありますけれども、東京−沖繩間が九百六十五マイルで片道三万円、これを一マイルで計算いたしますと一マイル三十一円ですか、台湾の場合が一マイル三十八円というような、これは素人計算でありますので専門家のどなたかの御計算ではまたいろいろなやり方があろうかと思いますけれども、何か高くなっているような感じがするわけであります。  したがいまして、現在、特に御存じのとおり、あの海洋博が終わりまして本土から沖繩に来る観光客というものは相当激減いたしておるわけでございます。御存じのとおり、沖繩の経済の一つの支柱をなすのは観光産業であります。したがいまして、その沖繩の観光産業の振興という立場、先ほど最初に私が申し上げました国鉄が利用できないという観点、そして本土−沖繩間がほとんど飛行機を利用せざるを得ないといういろいろな観点からしましたときに、本土−沖繩間の航空運賃のいわゆる逓減というものは県民世論になっておるわけであります。したがいまして、その点につきまして大臣の基本的なお考えをお伺いいたします。
  64. 田村元

    田村国務大臣 実は私、航空運賃につきましては全くずぶの素人でございまして、いま正確にお答えを申し上げることができない状態でございますが、沖繩までたしか片道三万円、往復で五万四千円くらいだったと思いますが、ちょっと東京に来られるというのもなかなか大変なことだというように実は拝聴をいたしておるわけであります。  航空運賃につきましては、いろいろと計算方式がございまして、それは北海道だ、どこだということに波及する問題でもございましょうから、ここで大変ぬるま湯につかったような御返事で恐縮でありますが、私、この問題につきましては、一度航空会社、特に日本航空、全日空が入っておるわけでありますが、その意見も聞いたりいたしまして、この問題を一度検討する時間の余裕をお与え願いたいと思います。
  65. 玉城栄一

    玉城分科員 最近、本土−沖繩間の団体旅行につきまして航空運賃の割引を運輸省として検討しておられるということを、私ちょっと地元紙で拝見をいたしたわけでございますけれども、その件についてお伺いをいたします。
  66. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  本土−沖繩間の運賃がなかなか割り安にならないということで、沖繩県から非常に強い御要望がございました。基本運賃につきましては、いろいろむずかしい問題もございますので、いま大臣お答え申し上げましたとおり、検討させていただきますけれども、さしあたり何とかできないかということで、いま先生お尋ねのような、団体の総括割引運賃という制度につきまして、国内線ではいままで初めてでございますが、二十五人の団体を組んだ場合には往復で二五%引きにする、そういう線で航空各社を行政指導いたしまして、すでに申請が出てきておりますので、今月中にはこれを認可することができるという段取りになっております。
  67. 玉城栄一

    玉城分科員 ただいまの航空運賃に関連してでありますけれども、大臣も先ほど話されましたように、片道三万円が往復五日間であります場合には五万四千二百円ということで割引がなされているわけです。その往復割引制度について、現在の制度を前進した形での御検討の用意はありますかどうか、お伺いいたします。
  68. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 ただいま私どもの手元で審査しております案件は、先ほど申し上げましたように、往復で二十五名以上の場合に二五%引きにするわけでございますが、最低旅行日数二泊三日ということから適用しようと思っております。  なお、二十五人というのが本当の一色の団体にならなくても二十五人にまとまればいいということでございますので、たとえば家族で旅行をなさる場合でも、二十五人まとまるように航空会社の方にお申し込みになれば、事実上その適用を受けられるというふうなことになっております。これだけではまだまだ先生は御不満だと思いますけれども、現在に比べて一歩前進をさせたもの、こう思っております。
  69. 玉城栄一

    玉城分科員 来年の七月に沖繩は、現在の右側交通が左側に交通区分が変更されることは御存じのとおりでございます。この問題につきましては、沖繩の場合は、戦後三十年いわゆる右側通行ということで、本能的にそういう交通になれ切っているわけです。したがいまして、来年の七月にこれを根本的に左側に切りかえるということで、政府とされましてもいろいろな準備をしておられるようでありますけれども、この問題でバスにしましても、タクシーにしましても、マイカーにしましても、この交通区分が変更されることによりましていろいろな構造上の変化を来さなくてはならないわけであります。したがいまして、そういう点について運輸省とされましてどのように御検討しておられるのか、お伺いをいたします。
  70. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 沖繩県の交通方法の変更対策といたしましては、当省としては、まず営業用バスの代替、改造、そのための対策、それから自動車の前照灯のつけかえをいたさなければなりませんので、それらに対する対策等を実施することを考えておるわけであります。このために、実施までの間、これらの対策に要する経費について、所要の補助あるいは財政融資を行うということを考えておる次第でございます。  五十二度予算案におきましては、営業用バス車両の代替対策として、補助金十二億九千七百九十三万円、国庫債務負担行為四十一億八千六百九十九万円、財政融資十二億円、さらに前照灯のつけかえ関係対策といたしまして、補助金七億三千百三万円を計上しているところでございます。
  71. 玉城栄一

    玉城分科員 タクシー関係については、どのような対策をとっておられますか、お伺いします。
  72. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 タクシー関係につきましては、どういうふうな方法が一番いいかということで、今後さらに慎重に検討いたしてまいる所存でございます。
  73. 玉城栄一

    玉城分科員 約四千九百台のタクシーが県内で走っておる。この交通区分変更は来年の七月に行われます。今後慎重に検討されるということは、どういうふうに今後このタクシー関係については検討なされるのか。私も昨日沖繩から来ましたけれども、現地の方では非常に不安が高まっております。こういう状態で、果たして沖繩の交通区分変更ができるのか。バス会社にしてもしかりであります。タクシー業者にしてもしかりであります。同時にまた、約三十万台のマイカーについてもどのように措置をされるのかということについて、日がたつに従って地元では非常に不安が高まっておるわけであります。そういう中で、先ほど申し上げましたタクシーの約四千九百台につきまして、どのように具体的に御検討をしていかれるのか、その点をお伺いいたします。
  74. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 バスにつきまして、五十二年度予算から措置をいたすようにいたしましたのは、バス車両の購入なり中古車のあっせん等につきまして、前もって準備していかなければならぬという事情から出てまいったわけでありまして、五十三年の七月末目途の交通方法変更に当たってタクシーをどうするかというのは、これから地元の方々との話を踏まえまして検討してまいっても間に合わないことはなかろうと考えておる次第でございます。
  75. 玉城栄一

    玉城分科員 私がいままでお伺いした範囲では、運輸省、沖繩開発庁あるいは文部省、警察庁等の各関係省庁の連合のような形で沖繩の交通区分が変更される、こういう状態で、実はこの問題の基本的なことについてどの省にお伺いしていいのか、沖繩開発庁に伺いますと、予算関係は、自分らの方でも扱うけれども、実際は運輸省あるいは建設省にも関係してくるんだということで、はっきりしたお答えが得られない場合があるわけです。そういうことで、この交通区分変更というのは——これは三十年間、現実の生活の中で本当になれ切った方法であります。それを一挙に来年の七月に全く逆に変えていこうとするわけであります。相当慎重な御配慮がなくては重大な問題を来すと考えます。たとえばスウェーデンの場合は、この交通区分変更に対して約四年の日時をかけてその対策を練って実施をしたということも聞いておるわけでございます。  そういう点からいたしまして、現地の方ではこは無理だ、時期が少し尚早じゃないかというような声すら現在出ておるわけでありまして、特に沖繩の場合、交通事故が非常に多いのであります。交通三悪にいたしましても、沖繩の場合、他府県に比べますときに約二倍、あるいは幼児、小学生、中学生の事故発生件数は、全国平均の一〇・五%に対して沖繩は三〇・三%と、交通事故の発生も他県に比べたときに非常に多いわけです。  そういう中で、一挙に来年の七月に交通区分が変更されていくということになりますと、一番心配されますことは、事故の問題であります。そういう中で、運輸省とされましては、営業関係のバスあるいはタクシー、車関係だということをおっしゃるわけでありますけれども、現地の方では、いろいろな問題につきまして要望申し上げるときに、現地に、政府としての対策の窓口を一本にしてもらいたいという要望も非常に強く出ておるわけです。そういうようなこともまだなされていないような状態でありまして、私自身本当に来年の七月にこれができるのかどうか非常に不安を感じ、現在交通事故の多い状態の中でこれがまた事故多発の原因になったときに、その責任は一体どういうことになるのかということが心配になるわけでありまして、運輸省とされましても、この問題はぜひ真剣に取り組んでいただきたい、これを強く要望申し上げる次第でございます。  次に、港湾関係についてでありますけれども、御存じのとおり沖繩の場合離島県でありまして、港湾の占める比重というものはきわめて重要なものがあるわけであります。現在、那覇港それから泊港という状態で、それが窓口で県内の経済あるいはいろいろなものがそこを通路としてなされているわけでありますけれども、最近中城湾の流通港の建設の問題が出ておるわけでありまして、この中城湾の流通港建設につきましては、御存じのとおり沖繩が現在深刻な経済不況、あるいは失業、あるいは基地の問題等々を抱えておる中で、今後の沖繩の自立経済のきわめて重要なポイントになる、私自身このように考えておるわけであります。したがいまして、現地の方におきましても、中城湾の流通港建設ということは今後沖繩が発展していくために、あるいは沖繩−本土間、あるいは東南アジア間、あるいは将来の問題として中国、その中継的な立場から考えましても、きわめて有利な条件に位置しておるのではないかと思います。したがいまして、中城湾の流通港の建設の問題につきまして、所管運輸省とされましてどのように検討をしておられるのか、お伺いをいたします。
  76. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  沖繩の本島におきましての重要港湾一つといたしまして金武中城港というのがございまして、そのうちの中城湾のことでございますが、先生指摘のように、沖繩の現在の玄関口の最大のものとしては那覇港でございますが、沖繩の振興開発計画におきまして、沖繩本島の「中南部圏において、貨物の輸送需要の増大に即応して、那覇港の整備を考慮のうえ、流通港の新設を検討する。」ということがうたわれておりまして、これを背景といたしまして、中城湾の問題が非常に注目を浴びているわけでございます。沖繩県及び地元市の要望もございまして、また中城湾の整備が沖繩県の産業振興、特に沖繩県の中南部の均衡ある発展を図るための重要なプロジェクトであるという観点に立ちまして、昭和四十七年度から計画策定のための基礎調査を国と県とで実施中でございます。しかしながら、なお現時点においては、成案を得るまでに至っておりませんで、成案を得るためには、経済、社会、環境などの諸条件につきまして、この上調査を続ける必要があると考えております。  そういうことで、今後とも沖繩開発庁及び港湾管理者でありますところの沖繩県と十分に連絡をとりながら引き続き検討を進めてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  77. 玉城栄一

    玉城分科員 最後に、航空の問題にまたちょっと戻りますけれども、離島県であります沖繩の場合は、沖繩本島から先島、宮古あるいは八重山という大きな離島がまた延びておるわけであります。ほとんどが航空利用、飛行機利用という状態でございます。そのジェット化の問題が最近地元でも強く要請が出ておるわけでありますけれども、この宮古、八重山のジェット化の問題につきまして、どのように運輸省として検討しておられるのか、お伺いをいたします。
  78. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 宮古空港につきましては、今年度の予算に実施設計調査費二千万円を計上するように案をお出ししてございます。それによりまして千五百メートル化の工事を進めまして、私どものもくろみでは五十三年度いっぱいにはこれができ上がる、早ければ年内にでき上がるかもしれません。そういたしますと、南西航空のB737、いま購入しようとして発注済みの機材でございますが、これが就航できるようになると思います。  石垣につきましては、現地で環境問題等につきましてなお若干問題が残っておりますので、沖繩県におきまして検討していただきまして、その辺が片がつきますれば宮古と同じように検討していきたいと考えております。
  79. 玉城栄一

    玉城分科員 この件につきましては、宮古、八重山はできるだけ同時にこの計画が進んでいくようにぜひ御配慮をお願いしたいわけであります。といいますのは、一方の先島は早くできて、一方は遅くできるということは非常に困る。計画の都合等もいろいろおありだとは思いますけれども、ぜひ同時実現ができるような御努力を強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  80. 始関伊平

    始関主査 これにて玉城栄一君の質疑は終了しました。  次に、森井忠良君。
  81. 森井忠良

    森井分科員 私は瀬戸内海の埋め立てに関する問題につきまして、これから御質問申し上げたいと思います。  御案内のとおり、瀬戸内海環境保全臨時措置法は、昨年の十一月で時限立法としての期限が切れるところでございましたけれども、政府が後継ぎをつくらなければならないという義務を怠りましたために、結局、現在瀬戸内海環境保全法は二年間延長されて生きておるわけでございます。  申し上げるまでもなく、この法律は、瀬戸内海をあの昭和三十年代後半からの高度経済成長政策によります汚染からそれ以前のもとのきれいな海に戻すという趣旨の法律でありまして、瀬戸内海は、日本だけでなくて世界に誇るべき景観の地であり、また欠かすことのできない漁業資源の宝庫であるという位置づけをいたしまして、議員立法としてはきわめて画期的なものでございます。にもかかわりませず、次から次へと、瀬戸内海をもとのきれいな海に戻すという動きと逆行する埋め立て、あるいはまた油そのほかの汚染物質を流すという動きがずっと続いてまいりまして、きわめて憂慮にたえないところでございます。  きょう問題にいたします広島県の広島湾の中のさらに内海になります海田湾、昔は非常にきれいな海であったわけでありますが、事もあろうにこの海田湾を、名前は広島県の流通センターという形になっていますし、また太田川東部流域下水道という形になっておりますけれども、一皮むきますと、それぞれの営利企業が、あるいは土地の取得の目的で、あるいは露骨な営利の目的で埋め立てを計画をしているわけでありまして、きわめて遺憾にたえないところであります。法に従いまして、広島県は形式的なアセスメントと、もちろん埋め立て計画を添えまして運輸省に現在申請をいたしておるわけであります。  そこで、まず最初にお聞きしたいわけでありますが、運輸省としては、百八十万平方メートルに及ぶ大規模埋め立てでありますが、これを現在どのように審査をなさっておられるのか、まず経過からお伺いしたいと思います。
  82. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、公有水面の埋め立てにつきましては、公有水面埋立法に基づいて所定の手続が踏まれなければならないわけでございますが、現在のところ、広島県の方からいまの流通センターのところとそれから浄化センターのところ、この二つの地区につきまして免許したいということで認可申請の書類が出てきてございます。  それで、港湾局の事務当局といたしましては、この埋立法に基づいての出願内容及び手続につきまして慎重に審査いたしまして、免許の可否の判断を行うこととなるわけでございますが、東部流通業務団地につきましては、ほぼ審査の終了段階に来ておりまして、現在までの審査状況では認可しないという結論には至っておりません。なお引き続き、出願内容につきまして慎重に審査の上、早急に免許の可否を判断することといたしたいと考えておる次第でございます。  今後、本件事案につきまして認可し得ると判断した場合におきましては、瀬戸内海環境保全臨時措置法の規定もございまして、環境保全上の観点よりする環境庁長官の意見を求めた上で処理をするということになろうかと思います。  また、浄化センターにつきましても、現在までの段階、同様の状況にございます。
  83. 森井忠良

    森井分科員 そうすると、まだ審査は完了していないわけですね。見通しについては、どうですか。
  84. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 ただいまお答え申しましたように、一応これまでのところ手続的な面におきましては問題はないという判断でございまして、内容につきましてこれまでもいろいろと意見を述べられた方々が、その後陳情等で反対の意見を表明して、幾つか御指摘になった点もございます。それらにつきまして免許権者である広島県の方にいろいろと照会をしたり確認をいたして、ほぼそれも終わった段階で、それで正式に最終の決裁のための手続を進めたいというような段階に到達しております。
  85. 森井忠良

    森井分科員 運輸省としては、ほぼ審査は終わりに近づいている、こういう御発表でありますが、御存じのとおり、いま環境庁においてアセスメント法を今国会に出そうとして苦労しておられるわけです。特に運輸省やあるいは通産省の反対が強くて依然としてまだアセスメント法は国会に提出されておりませんが、瀬戸内海法にいたしましても、公有水面埋立法にいたしましても、これから提出されるであろうアセスメント法にいたしましても、住民の意見を大幅に取り入れる、これは画期的な改正だと言ってもいいと思うのでありますが、そういう方向に動いていることは事実であります。  御案内のとおり、私は広島の出身でありますが、私の見る限り、あの数千世帯の、影響が出てまいります住民の皆さん方と、とても広島県は十分な話し合いをしているとは思えない。このことをまず指摘をしておきたい。アセスメントにいたしましても、形式的にはなるほど法に基づいて縦覧をいたしましたけれども、もう三週間の期限を首を長くして待っておりまして、期限が参りましたという形でありまして、住民が説明を求めても一切説明をしない、こういう状態であります。したがって、私がいま申し上げましたように、世の中変わっておるわけでありますから、もっと住民の意見を聞く機会を持たさなければ、またそのことが運輸省として判断の重要な材料となると思うが、この点お伺いしておきたいと思います。
  86. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先生の御指摘の住民の意見免許庁である広島県が十分聞いていないということでございますが、これまでにも再三そういうような陳情に見えた方のお話もございまして、その都度私どもといたしましては、そういうことはとても信じられないことでございますので、県の当局に対しまして、やはりこれは影響を受ける方々のいろいろ立場立場もあろうと思いますので、その主張することをよく素直に聞いて、それで適切な判断を下して、またその関係者の本当に理解と協力を得てこのことを進めなければ、やはり犠牲者をつくるようなことになってはいけないのではないかということを再三指摘してございます。  それで、その都度県の方にも申しまして、私の聞く限りにおきましては、やはり県の方にも、反対意見を持っておられる方が参りまして、いろいろと意見を言い、それに対して、県もよく説明をしているというふうに聞いております。先般も、ごく最近も、県はさっぱり聞いてくれないという話がございまして、私から県の担当の土木部長に電話でもってその話をよく聞くように申し入れしようということをお答えしまして、その後県の方に、こういうことを言っておられる、あなた方の話ではよく説明していると言うけれども、どうも説明は不十分だと聞いている、折り返し県の方に説明を求めに行くと思うが、そのときには誠意をもって聞いてやってほしいということを電話でもって要請しておいた次第でございます。  このようにいたしまして、私どもといたしましては、やはり関係者の意見を十分、これは正当な意見に対しましては正当にやはり評価しなければならないというふうに考えておりまして、実は環境影響評価の問題につきましても、私ども、先生の御指摘では反対しておるというような御指摘でございましたが、反対しておるということではなしに、やはり現実に行政が正しく運営できるように環境庁のお考えにも御協力申し上げるというようなことで臨んでおる次第でございます。
  87. 森井忠良

    森井分科員 時間が足りませんから、住民との話し合いについては、具体的に申し上げますと、たとえばアセスメントの内容について対話集会が確かに一回行われました。これは具体的にアセスメントの中身については一回であります。住民の方からまとめて二十項目ばかりの質問を準備をしておりましたけれども、わずか数点までいかない間にもう県の方が答弁に詰まって、そのままさたやみになっているという経過がございます。いまあなたの話だと、先般の陳情を受けて、再度広島県に住民と話し合えという指示を電話でもいただいたそうでありますから、これを確認をいたしまして、県が必ず運輸省の指導に従うことを私は期待をしておきたいと思うわけであります。  ところで、大臣にお伺いするわけでありますが、今回の第八十国会の予算委員会の総括質問のトップバッターに立ちました私どもの石橋書記長が、具体的に海面の埋め立ても含む開発について質問をいたしておるわけでございます。その場合に、たとえば三全総はまだできていない。そうかといって、新全総はもう時代おくれ。それから、工業再配置促進法という法律がございますけれども、これも具体的にはほとんど再配置がなされていない。もちろん長期的な計画もない。現在まだ審議会で審議中というふうな状態で、これも停滞をしております。そういった点を石橋書記長が具体的に問題提起をいたしまして、少なくともそういった三全総という総合的な計画ができるまでは埋め立てや開発は見合わしたらどうか。これにもう一つつけ加えられておりまして、環境影響評価法ができて三全総ができてということになるわけでありますが、そういったものができた上でこれから開発をするのならしなさいという意味指摘をいたしましたのに対しまして、これはことしの二月七日でありますが、福田総理はこういう答弁をしておられますね。「環境のみならず総合計画との」、ここで言う「総合計画」というのは三全総のことを指すわけでありますが、「総合計画との調整が済むまでは開発をするな、こういうお話でありますが、これもごもっともな話でありまして、いかなる開発計画も、全体計画との調整をとった上で着手する、こういうことにいたします。」これはいま私、議事録を読み上げたわけでありますが、どうも運輸省の審査の作業の状態を見ておりますと、非常に走り過ぎて、まさに石橋書記長が指摘をした、場当たり的な、この分だけでも解決をしたいというふうな意図に見えてなりません。大臣は、この福田総理の発言を受けまして、いま申し上げました三全総やあるいは環境影響評価法等ができた後で、初めて運輸省がこの問題についての態度をお出しになるべきではないかというふうに考えますが、そういった三全総との考え方についてお伺いをしたいと思うのです。
  88. 田村元

    田村国務大臣 一般論としては、私、仰せのとおりだと思うのです。私どもとしては、三全総が早くできてくれることを願うわけでありますが、これは私個人の推測でありますけれども、経済状況が非常な激変をした。そして、いまようやく安定をしてきたとはいえども、なお後遺症が残っておる、こういうときに長期計画を策定するということのよしあしという問題はございましょう。これは私もよくわかるような気がいたします。でありますから、なるべく早い機会に、ノーマルな状態になったときに作業を進めてもらいたいし、早く発表してもらいたい、これは当然のことでございます。  そこで問題は、三全総ができるまで、あるいは環境アセスメント法案ができるまでは埋め立て等は抑えた方がよいというのは、私は一般論としては賛成でございます。いま実は私は、このパンフレットを、おまえ退屈だろうからこれを見ておけといって渡されたわけでありますが、これをながめまして、おっしゃることはよくわかります。ただ、私ども、埋め立てそのものは関係ありますが、直接の所管じゃありませんが、太田川流域下水道、東部浄化センター、こういうものは、私はそういう中にはあるいは入らぬのじゃないかというような感じがするんです。と申しますのは、下水道はナショナルミニマムなんです。急がなければならぬ。ところが、その土地を確保するのはこれからだんだんと並み大抵でなくなる。しかも、いろいろと反対も起こる。下水道はどんどんやれという強い与野党挙げての声でありますが、いざ処理場をつくるその場所になると、なかなか地元の厄介な問題が起こります。  それで、この太田川流域下水道といいますのは、少なくとも用地確保は三次処理に適合できるような用地確保をしよう、こういう計画のようでございます。三次処理は、御承知のように、閉鎖水域における非常に高度な処理をして、簡単に言えばアユがすむようなきれいな水に処理をしよう、こういうことでございますから、これは非常に結構なことである。  でありますから、言うなれば、ケース・バイ・ケースの問題もあろうかと思います。ナショナルミニマムあるいはシビルミニマムと言われるような問題については、やはり運輸省は大きな国民的な見地からこれに協力をしなければならぬ、これは当然のことであろうと存ずるのでありますけれども、しかし一般論としては、私は福田総理が申されたことは当然のことであろう、このように考えております。
  89. 森井忠良

    森井分科員 大臣、気持ちはわかりますけれども、私は、問題がすりかわっていると思うのですよ。  もともとこれは、最初五十四企業団が三井不動産という不動産会社に頼みまして共同埋め立てをしようじゃないかということから始まったわけなんです。その前に十三企業団というのがありまして、造船あるいは自動車といった関連企業の工場なり倉庫なりそういったものをつくるというところから始まりました。名前は流通センターとついていますが、五十四社の共同埋め立てなんです。だから、あなたに見せたそのパンフレットは県がこしらえたものですから、きれいな名前がついていますが、一つ一つの企業が三井不動産と契約をして、工事も三井不動産がやるわけです。県がやるんじゃないんです。だから、まずこの計画が先に走りまして、もともといまあなたが申されました太田川東部流域浄化センターにつきましては、出願はうんとおくれているわけです。これは住民が問題にして、埋め立てが先で浄化センターが後というのはおかしいじゃないかというようなこともありまして、後から浄化センターというものが計画を早めて出願をされたという経過がございます。その点はとくと含んでおいていただきたいと思うのです。  そこで、そういう話が出ましたから、浄化センターについて大臣がおっしゃることと現実との違いを申し上げてみたいと思うわけです。  まず、建設省にお聞きするわけでありますが、この浄化センターは、処理をいたしました場合に、一体いまネックと言われております窒素や燐はどの程度除くことができるんですか。
  90. 玉木勉

    ○玉木説明員 お答えいたします。  東部浄化センターで現在考えております処理方式は、標準活性汚泥法でございます。しかし、窒素、燐等につきましては、現在環境基準が決まっておりません。したがって、環境庁の方で現在環境基準の設定の準備が進められておるところでございます。したがって、その環境基準の設定に対応いたしまして、現在三次処理方式として考えられております凝集沈でんとか砂ろ過とか、そういった三次処理の方式が考えられておりますが、それらに見合った用地を確保をしておるところでございます。
  91. 森井忠良

    森井分科員 活性汚泥法ですか、もう一度念を押します。
  92. 玉木勉

    ○玉木説明員 ただいまの処理方式は活性汚泥法でございます。
  93. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、余剰汚泥が当然出ますね。それはどういうふうに処理をするのですか。
  94. 玉木勉

    ○玉木説明員 汚泥の最終的な処分は焼却処分を考えております。
  95. 森井忠良

    森井分科員 そこがきわめて問題だと私は思うのですよ。なぜなら、いまあなたははっきりしませんでしたけれども、これは生活排水だけじゃないでしょう。産業排水も一緒に処理をするのですよ、大臣。これは大変な問題になるのです。御承知のとおり、活性汚泥法というものは、バクテリアの力をかりて有機物を処理するわけですね。そういう形になっていますから、生活排水だけですと、同種の有機物ということで処理が速い。しかし、産業排水も一緒にやりますと、どうしたって異質の水が入ってくるわけです。工場の水というのは終始水質が一定じゃありません。濃度とか含有分とかそれぞれ違うわけですから、したがってバクテリアは非常に弱るという危険がある。この点については、建設省はどのように考えていますか。
  96. 玉木勉

    ○玉木説明員 産業排水の取り扱いでございますが、基本的には、下水道の区域内の産業排水については、下水道に受け入れる方針にいたしております。ただし、先ほど先生指摘のように、下水道の処理方式としては、生物処理を主体といたします活性汚泥法でございますので、この処理方法によって除去することが困難な重金属等の物質につきましては、各工場等の発生源で除去いたしまして、除去をした後下水道に受け入れることにいたしております。
  97. 田村元

    田村国務大臣 ちょっと所管は違いますが、私からちょっと申し上げます。  実は活性汚泥法で処理をするわけでありますが、現在も除害施設と申しまして、工場から直接汚水が出る、その重金属等の毒物については、これを工場自体で処理をする。つまり下水管にこれを流し込まないという方途が講じられておりますけれども、これは将来、しかも近い将来、厳しい規制をしようということに考えられておるわけでありまして、言うなれば、除害施設については、企業そのものについても厳しい罰則規定、それも相当厳しい罰則規定をも設けようということが今日論議されております。これは実現する予定であります。でありますから、その意味におきましては、この太田川流域下水道の処理場が将来完璧にでき上がりますそのころまでには、明るい見通しを持っておるというふうに御理解いただいてよかろうかと思います。  と申しますのは、私は過去二十年、党で下水道専門に担当してまいりましたので、運輸大臣答弁としてはまことにおかしいのでありますけれども、つい二月ほど前まで私が手がけてまいりました問題でありますので、私どもで考えておりましたことを若干ちょっと課長に補足して——課長の補足というのもまた妙な話でありますが、私から御説明を申し上げておいた方がよかろうかと思います。
  98. 森井忠良

    森井分科員 重大な話でありますが、それは何法をいつ変えるのですか。
  99. 田村元

    田村国務大臣 何法をいつ変えるといいますよりも、当然下水道法を初めとしていじくらなければならぬと思います。もちろん、私がいま申し上げましたのは、遠い将来ではなくて、相当近い将来これを考えなければならぬということで議論が相当進められておりますが、今日そのような立法技術まで検討されておる問題ではありません。大きな一つの目標としてこれを考えておる、こういう段階でございます。
  100. 森井忠良

    森井分科員 冗談じゃないですよ。運輸大臣、それはわかりますよ。しかし、いま審査の段階でそれが間に合うか間に合わないかということになると、あなただっていつまでも大臣をやられるとは限らないではないですか。ですから、あなたのような立場で今回の埋め立てを審査をされたら、私は問題だと思う。  先ほどの答弁でもそうなんですけれども、問題はたくさんあるのですよ。たとえば、そういうふうに産業排水も含まった汚泥を乾かして焼却するという話でしょう。東京でも問題になっているではないですか。それでいわゆる重金属汚染が出ている。この点は、アセスメントには全く入っていない。したがって、私はやはり当面どうするかということを議論をしてもらいたい。  それから窒素、燐についても答弁がないわけですけれども、広島県は、大体五割から七割ぐらい三次処理をやって窒素や燐をなくすという。しかし、瀬戸内海法の基本計画、いま瀬戸内海環境保全審議会の答申がようやく出たわけですけれども、これからもっともっと研究しなければどうにもならないという形で答申が出ているではないですか。したがって、窒素、燐は——今度浄化センターができれば、広域流域下水道ができれば、なるほど川そのものはきれいになるでしょう、水量が少なくなって問題はありますけれども。しかし、まとまって窒素や燐というのは、この狭い海田湾へ流れて出るわけでしょう。したがって、そういった点から考えたら、私はせっかくですけれども大臣の説には従いかねる。したがって、いま私が申し上げました点も含めて、埋め立てについては運輸省ですから運輸省、そして建設省も再度その点について検討していただけるかどうか、まずこの点をお伺いしておきたい。
  101. 田村元

    田村国務大臣 実は私、結論的にまず申し上げますと、冒頭申し上げたように、この問題は土地カンがありません。でありますから、いまあなたから渡されたパンフレットを見たという程度のことでございます。  ただ問題は、石橋書記長がこういう質問をして総理がこういう答弁をしたということについての感想を求められましたから、私は一般論として申し上げた、こういうわけでありまして、この湾の問題につきまして私が具体的にお答えをしたわけでありませんから、私は単に下水道の処理場の問題についてのお話をしたわけでございますから、この問題で私がこう言ったからといって、太田川流域下水道だけを早くやるのだというふうにお受け取りいただいては困るのです。私は、まさに一般論として申し上げた。でありますから、当然この問題については、ある意味においては、埋め立てというのは私も存じませんけれども、一蓮托生かもしれません。そういう場合には、当然問題になります。下水道だからといって、それだけを優先できるかどうか、これは大きな問題になると思います。でございますので、どうぞ誤解のないように、一般論として申し上げた。福田総理の答弁についての見解を求められましたということで、私は一般論を申し上げた、こういうわけでございます。
  102. 玉木勉

    ○玉木説明員 ただいま下水道のことについて大臣からお話がございましたが、実は下水道法の改正につきましては五十一年の五月二十五日に行いまして、下水道に排除する重金属等の物質につきましては、水質汚濁防止法並みに直罰規定あるいは事前チェックの規定を設けたわけでございます。したがって、これによりまして下水処理場における適正な放流水の水質を確保できると考えております。  なお、汚泥の処分の問題につきましては、焼却に当たりましていろいろな公害防止施設を設置いたしまして、公害の出ないように考えておる次第でございます。
  103. 森井忠良

    森井分科員 最後に。  時間が来たようですからやめますけれども、大臣の一番最後のアクセントのついたところを期待したいと私は思うわけです。浄化センターについては、大臣、大分御専門のようでございましたけれども、企業の埋め立てについては一般論が、あなたの答弁でまだかなり生きているという理解を私はいたしました。そうですね。——そこで、事務当局は作業を進めておりますけれども、より慎重に行っていただきたい。  それから、問題点として挙げられますのは、申請をした企業がもうすでに会社更生法を適用されたり、きわめて営業実績の悪い、とても設備投資、埋め立てをするような企業でないというところがありましたり、それば過去の経過では環境アセスメントについて住民が改ざんをした——私もそう思っているわけですが、改ざんをした部分がかなりあるわけでございます。したがって、この点についても、現在で判断するんだという言い方もあるかもしれませんが、もとの基礎資料というのをしっかり確かめていただきたい。環境庁は、少なくともアセスメント法が通るまでは基本的なアセスメントの方策がないわけであります。したがって、法が通った上でこの問題が仮に審査をされるとなれば、そのとき審査の方針が決まるというように理解をいたしておりますので、厳正な立場でやっていただきたい。  以上、言いっ放しになりましたけれども、私の強い要望を申し上げまして、残りました問題につきましては、また運輸委員会なり関係の委員会でお邪魔をしたいと思います。  ありがとうございました。
  104. 始関伊平

    始関主査 これにて森井忠良君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  105. 始関伊平

    始関主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  渡部行雄君の質疑に入るのでありますが、本日は同君の質疑に対し、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君、理事丸居幹一君、理事角坂仁忠君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  質疑を続行いたします。渡部行雄君。
  106. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず最初に、新東京国際空港公団にお伺いいたします。  去る二月十五日の予算委員会で、わが党の阿部昭吾議員の質問の中にもありましたように、着工以来十年もかかっていまだに見通しがつけられないのは、すなわち土地収用法の取り扱いが間違っていたのではないかという趣旨のことが述べられておりましたが、その点についてどう反省をしているかという問題と、なぜ土地収用法の区域から航空保安施設設置予定地、通称アプローチエリアの部分を除外したのか、その理由について御説明を願います。
  107. 大塚茂

    ○大塚参考人 アプローチエリアの事業認定を受けなかった理由は、一つは、航空法におきましても、また土地収用法におきましても、飛行場と航空保安施設用地とは別の事業として規定されておるということが一つと、それでも事業認定を受けたらよかったじゃないかということが言われますけれども、当時飛行場につきましては、団結小屋ができたり、あるいは一坪運動というようなものがございまして、これは任意買収ではとうてい取得できないという見通しがありましたので、事業認定を受けたわけでございますが、アプローチエリアにつきましては、そうした事情がなかったので、できるだけ任意買収でやろう、それが最も望ましい姿勢であるということで、事業認定を受けなかった次第でございます。  しかし、今日、結果的に見まして、受けた方がよかったかどうかという点については、いろいろ議論があると思いますが、あるいは受けた方が早かったかもしらぬというような感じもいたします。
  108. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、土地収用法の適用に当たって、建設省が空港公団に注意をしたと言われておりますが、その注意というのは一体どのような内容のものか、また今日まで十年もたって、いまだその見通しがつかなかったという事実を見まして、これについては、最初の事業認定のときにその見通しと判断が甘かったのではないか、この二点について、これは建設省にお伺いいたします。
  109. 福田多嘉夫

    福田説明員 成田空港の場合、航空保安施設は、国際空港としての機能を十全に発揮するためには必要不可欠の施設であります。事業認定申請当時、これを収用区域に含めるべきかどうかについて大分議論あるいはやりとりがあったようでございますが、結局空港公団の方で任意に土地を取得する、また取得できるということで事業認定の申請を提出され、建設省もこれについて事業認定をしたというふうに聞いております。  なお、現在大分用地買収が残っておりますが、公団の方でも鋭意努力をされているようでございます。  なお、土地収用法上は航空保安施設を飛行場と別に事業認定できることになっております。  以上でございます。
  110. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 その注意をしたという内容はどういうものですか。
  111. 福田多嘉夫

    福田説明員 実は、注意の点につきまして若干調査をしたわけでございますが、何分担当者等もかわっておりまして、確たる証言を得られなかった次第でございます。
  112. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、阿部議員の建設省が注意をしたと言うのは、いまになってはわからない、こういうことですか。
  113. 福田多嘉夫

    福田説明員 はい、さようでございます。
  114. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 今度は公団にお伺いしますが、当初は土地を買収するに当たって千葉県を介在させてやっておったのを、今度は空港公団自身で直接付近の土地を買い上げて、それを代替地と申しますか、そういう一つの趣旨で、その土地と今度は被買収者との間に売買をさせておる、こういう方式に変えられたその理由について御説明を願います。
  115. 大塚茂

    ○大塚参考人 仰せのとおり、最初は県の御協力を得まして、県の方で土地を準備していただきまして、それをいわゆる代替地ということで土地を提供された方々にお譲りするというようなやり方をとっておりましたが、県の準備された土地では満足されないといいますか、近くのいい土地が分配済みになりまして、だんだん遠くなったりというようなことから必ずしも用地を提供された方々が県の土地では満足をされないで、こういう土地が欲しいというような御希望もありましたので、私どもとしては、土地提供者の御意思を尊重して、なるべくその御希望に沿うように土地をあっせんをしたいということから、最近に至りまして公団で土地を買うというのではないんですが、移転請求権を取得しまして、そして当事者間で直接所有権の移転をしていただくというような方法をとるようになった次第でございます。
  116. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 念のためにお伺いしておきますが、アプローチエリア内に土地を持つ岩山部落の十二戸の農地を十アール当たり平均二百四十万円で公団が買収し、これらの農民に社台ファームなど、正確に言うと吉田善哉氏などの代替地を公団は十アール当たり百六十一万円で売り渡しているというのは本当ですか、どうですか。
  117. 大塚茂

    ○大塚参考人 おっしゃられたような、簡単に申しますと、そういうことでございます。要するに、土地の提供は土地収用法によりまして事業認定を受けました時点の値段に縛られておりますので、それを買い上げることは、もう土地収用法に従って買い上げる、そして別にいわゆる代替地と称しておりますが、これは昭和四十一年七月四日の閣議決定に基づきまして、営農の意思のある者についてはその営農が継続できるように配慮するという閣議決定に基づきまして、営農の意思のある方々には農地をあっせんしておるということでございます。
  118. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでは、その被買収農民に売り渡す土地の価値は十アール当たり百六十一万円とみなされますか、どうですか。
  119. 大塚茂

    ○大塚参考人 実際に公団が買収します値段は、買収と言いますとちょっとおかしいのですが、公団が払います金はそれより高いわけでございますが、土地の提供者にお渡しするときの値段は、土地収用法によりまして……
  120. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 いや、その土地が百六十一万円の価値とみなしておるのかどうか、それともあなたが支払ったという十アール当たり一千百万というその価値で見るかと聞いているのです。
  121. 大塚茂

    ○大塚参考人 実際私どもが払った時価の値打ちがあるというふうに考えております。
  122. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、そうすると、実際払った価格は一千百万で、そうしてそれを百六十一万で売ったから土地収用法には反しない、こういうふうな御趣旨でございます。しかしこの点については、後でまた改めて建設省関係見解を聞きながらお伺いします。  そこで、このときに、条件派と言われた農家が初め十四戸あった。それが十二戸になった。その二戸が契約をしないという理由について簡単に御説明願います。
  123. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 お答えいたします。  最初十四戸と団体交渉をやったわけでございますが、順に行きまして、十二戸だけがアプローチエリアの買収に応じましたが、残る二戸については、まだその他の社台以外の代替地につきまして条件が煮詰まりませんので、お二人の方はまだ契約をいたしておりません、こういう状況でございます。
  124. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでは、この間公団が私に交付した土地売買契約書というのは、あの内容に間違いありませんか。
  125. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 十二人の方の土地売買契約書は、そのとおりでございます。
  126. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この契約書が間違いないものとすれば、これは大変なことをやっていると私は思うわけでございます。  その第一点としては、まず公団が買うことのできない土地を買う契約をして、しかも十アール当たり約一千百八十万円でこれを買い、したがって、また売り渡すことのできない農民に対しては十アール当たり約百六十一万円で売り渡すという、こういうことは一体法律上許されるのかどうか、この点がまず一つであります。  それから第二点としましては、以上のようなことは現行法でどうしてもできない。そこで、その法の網を何とかくぐって、そうして所期の目的を達成したい、そういう苦肉の策から、手続上は代替地所有者と被買収農民との間に直接売買行為があったごとくに事実を偽って農地法第三条もしくは第五条の手続をした。こうなると、まさにこれは役所に対する手続書類と実態とが全然合っていないわけです。しかもこれはすでに実行行為としてなされた。そこで私は思うのですが、そういうことは刑法第百五十七条第一項の公正証書等不実記載の問題に抵触はしないかどうか、この点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  127. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 先ほど総裁からお答えいたしましたように、現在公団は農地を取得できないことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、債権確保で農地を所有できる農民にその土地を売る売り主——売り主と申しますか、代替地を提供いただきました人とが共同で農地法の申請手続をする。そういう売り主は、農民のために完全な所有権の移転手続を完了してから明け渡す、こういう意味の契約になっておりますので、この契約の公団の位置といたしましては、所有権の移転を請求する位置ということを取得した、こういうふうに解釈いたしております。
  128. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでは、私に交付したこの土地売買契約書というのはうそだったということにはなりませんか。この契約書の中には、「売渡人鈴木三郎を甲とし、買受人新東京国際空港公団契約担当役総裁」こうなっておるのですよ。決してここには請求権の地位などということはかかっていないわけです。
  129. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 いま御指摘の一条はそうなっておりますが、次の三条、五条、六条等々によりまして、この契約書全般といたしまして、そういう所有権の移転請求ができる地位を確保している、こういうふうに私ども解釈をいたしております。
  130. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そういう詭弁は弄しない方がいいと思います。第三条には仮登記の手続を承諾することとなっているだけですよ。しかも、第四条ではこの代金の支払いが定められている。まあここで時間がありませんから、詳しくは言うあれがありませんけれども、売買当事者は甲と乙でこれが契約され、捺印されておるわけです。そうしてその契約の内容は、移転登記をする相手というのは甲と丙、いわゆる被買収農民になっておる。これは全く、いまの請求権移転そのものも、本来農地に対してはできないわけでしょう。資格がないでしょう。資格のない者がなぜそういう地位を確保することができるでしょうか。根本に違法の行為が基礎になっておって、その上にどういう請求権が成り立つというのですか。
  131. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 いまの二条、三条、四条の関連でございますが、私どもこの五条、六条、七条というものにつきまして、売買契約書につきまして、御指摘のとおり、公団が農地を取得できない、そのとおりでございますが、その現制度の中におきまして所有権移転登記のいわゆる権利を確保するという甲と乙との契約書でございまして、最終的にはいわゆる農地を所有できる農民にこの農地法の手続を完了した上で引き渡す、こういうふうに解釈いたしております。
  132. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それでは、なぜ公団が十アール当たり一千百万からの金を支払わなければならないのですか。本当に売買契約が甲と丙との間になされるならば、丙が甲に対して支払うべきものであって、公団が支払った金はくれたというのですか。何ですか、その金は。
  133. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 移転請求ができる権利の代償として支払った、いわゆる一つの権利として金を払った、こういうように解釈いたします。
  134. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、公団はただその移転請求の権利を留保するための代金として支払った、こういうことですか。
  135. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 そのとおりでございます。
  136. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、公団は、その金についての税金問題はどう考えておりますか。
  137. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 公団が公団そのものの税金問題……(渡部(行)分科員「いや、いや、そのもらった方に税金がかかるでしょうが。そういう問題は契約の中でどういう話し合いしているかということですよ」と呼ぶ)契約書の中には、税金問題はうたってございませんが、いわゆるその請求権云云は、代金をもらった売り主の方と申しますかその方は、その収入金額によりまして課税されたというふうに聞いております。
  138. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、改めて質問しますが、この契約書は売買契約書ではないですね。
  139. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 表向きは土地売買契約書になっておりますが、内容は、請求権移転の権利を保有する契約というふうに考えております。
  140. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 請求権移転の権利とはどういうことですか。請求権保全の権利と移転の権利はまるきり本質的に違いますよ。
  141. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 所有権を公団の指定する者に移転することを請求する権利、こういう意味でございます。
  142. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは法律問題でございまして、ここで決着がつくとは思いませんが、しかし、仮にこういうことが許されたとして、事業認定によって価格が凍結されたために、苦し紛れに十アール当たり百六十一万円で被買収農民にお渡しした。そして、事業認定による凍結価格は、あくまでも当時の土地の価値を金額であらわしたものにすぎない。したがって、現在、物価修正をして十アール当たり二百五十万円でその価値を認定しておる。そうなると、その価値に対して支払いをするのが土地収用法上の価格凍結の意義ではないかと思うのですよ。ところが、現実には一千百万円の価値で支払われておる。いわば同じ鉱石だからダイヤモンドも石も目方で交換するというようなばかげたことをやったのが今度の空港公団のやり方じゃないでしょうか。こんなことが許されていったら、土地収用法上の価格凍結という精神は、どうして守ることができますか。これは建設省にお伺いいたします。
  143. 福田多嘉夫

    福田説明員 成田空港の場合、飛行場部分につきましては、事業認定されておりますので、御存じのように、土地収用法の価格固定がなされます。  それから航空保安施設につきましては、事業認定されておりませんので、価格固定の原則が働きません。そういうことで、公団ではアンバランスが生ずることを懸念いたしまして、統一的な単価を定めて用地買収に当たっているというふうに聞いております。  なお、代替地につきましては、事業認定対象とされておりませんので、価格固定の原則は働きません。
  144. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、このアプローチエリアの分は事業認定から除外されておる、したがって、そこは価格凍結の範囲外である。だとすれば、なぜ空港公団はそれに見合うような措置をとってきたのか。そこに非常な無理が生じたのではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  145. 大塚茂

    ○大塚参考人 公団といたしましては、飛行場内部は土地収用法の適用を受けておりますので価格を縛られておりますが、隣接するアプローチエリアの方は拘束を受けないということで、ただ、扱い方が非常に不公平になるということを恐れまして、場内と同じ扱い方をして公平を期しておるわけでございます。ただ、その場合に、先ほどもちょっと申し上げましたが、土地収用法による買収といいますか、これはあくまで収用法によって固定された値段で買収をしております。  それから、代替地を提供するといいますか、正確に言いますと、あっせんをするということでございますが、これの方は、先ほど申し上げました四十一年七月の閣議決定、営農の意思を有する者については営農が継続できるように援助せよという閣議決定がございますので、その閣議決定に従って、営農の意思のある方々には農地をあっせんをして援助をしておる、こういうことでございます。
  146. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうも、話がさっぱり整理がつかないのですよ。先ほどは、所有権移転請求権の保全をやったんだ、その前は、売買をして買い上げたんだ、こう言っておる。今度はあっせんだ。そうすると、吉田氏その他に払ったお金というのは、あっせん料なのか、くれたものか。売買代金でないとすると、一体どういう金なんでしょうか。そしてこういう金が現実に授受されたとすれば、これに対して大蔵省ではどういう税金をかけるのか。贈与税でいくのか、それともどういう立場で税金をかけていくのか、これらの点についてひとつお伺いをいたします。
  147. 掃部實

    ○掃部説明員 お答えいたします。  国税庁といたしましては、本件事案につきまして、契約書その他の詳しいデータを収集するに至っておりません……(渡部(行)分科員「もうちょっとはっきり言ってください」と呼ぶ)本件事案につきましては、契約書その他の詳しいデータを収集しておりません。したがいまして、本件について明確にお答えすることが不可能かと思いますが、一般的には、農民が収用等によりまして農地を売却し、その対価として現金のほかに他の農地を取得するということがあれば、譲渡所得として課税の特例も認められるわけでございます。しかし、いわゆる協力金という形で農地が取得されるということであれば、一時所得として所得税の課税が行われるということになるわけであります。  いずれにいたしましても、詳しい調査をした上で、いま議題になっておるような収用等の対価のために支払いがあったのかどうかというようなことを念査いたしまして、いまお話し申し上げたような線に沿って適正に課税処理をしたい、こういうふうに考えております。
  148. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 調査がないからと言う。私は、一つの具体的な例をもって一般論を論じたのであって、たとえば私どもがこの赤坂の土地を三十坪百万円で買ったとすれば、そんな安い価格で買えるはずはないからというので、税務署が査定した価格の差については贈与税が来る、そうでしょう。そういうやり方をして、いま公団がやっておるような事実が書類上明らかになっておる。しかも今度は、被買収農民にはその一千百万円もする土地をわずか百六十一万円で売ったとなれば、その差額については、明らかにこれは贈与税が課せられるはずなんですが、その点はどうなんですか。
  149. 掃部實

    ○掃部説明員 贈与税は、個人対個人の贈与関係につきまして贈与税が課税になるということでございまして、法人から贈与が行われるということになれば、所得税法の規定によりまして一時所得課税が行われる、こういうことになるわけでございます。  本件のいま先生がおっしゃっておる事案につきまして考えてみまするに、それが法人から贈与が行われたのか、あるいは個人から贈与が行われたのかということについて詳しい調査をしないと、贈与税が課税になるのか、あるいはまた一時所得として課税されるのかということがはっきりしないわけでございますので、その点御了承のほどを願いたいと思います。
  150. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間が参りましたようですから、最後にお伺いいたします。  非常に問題が明確を欠いておりますので……。私の先ほど説明したのは、吉田善哉氏からその被買収農民個人に渡るように登記手続はなされなければならないし、また農地法三条の手続もなされているわけです。そういう点に対して、個人の場合と法人の場合と、それはもちろんそのとおりですが、明らかに個人の場合を指して私は言っているのですから、その点は一体どうなのかということなんです。  最後に、これは運輸大臣にお伺いいたしますが、この間、東京都から、羽田空港の移転拡張の問題について申請がなされたやに聞いております。しかも、この移転拡張というのは、現在の羽田空港の約五倍に及ぶと言われておりますが、そういう場合に、将来は結局国際線もそこに引き入れられるのではないか。そうすると、成田空港の役割りというものはもうなくなってしまう。なくなると言わないまでも、半減してしまうだろう。しかも今日、成田空港の問題は、都心との交通問題が非常に大きな問題になって、この解決についても全く見通しがない。あるいは油の輸送の問題についても見通しが立たない。しかも、いつ開港するか、それすらもわからないという状態の中で、東京都の申請したこの羽田空港の移転拡張の問題について、関連してどういうこれからの航空政策をとろうとされておりますか、その点についてお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。
  151. 掃部實

    ○掃部説明員 お答えします。  先ほど先生がいろいろ公団側と議論なさっていたことを踏まえますと、公団から代替地として贈与したのか、あるいは地主から直接売買契約が行われたのか、その辺のところをよく調べてみませんと、贈与税課税をやるのか、所得税課税をやるのか、あるいは収用等のときの対価としてそれが収受されているのかどうかという点がはっきりしませんので、明確なお答えを避けたわけでございます。事実関係を……(渡部(行)分科員「それでは後でその調査結果を私に報告しますね」と呼ぶ)はい。完全に売買契約が成立し、実行される段階ということになりますと、私の方も調査いたしますので、その段階でお答えできると思います。
  152. 田村元

    田村国務大臣 東京都から申請は全然ありません。ただ、先般、美濃部さんが私に会いたいということで、それじゃ喜んでお目にかかりましょう、こういうことで運輸大臣室に来られたわけです。そのときに、二、三の問題が出ました。羽田空港の問題、調布の飛行場の問題、それから東京都の地下鉄やバスの運賃値上げの問題、まあそういう問題が出ました。新幹線の問題も、雑談程度ではありましたが、話をいたしました。  どういうところから五倍というのが出たのか、ちょっと見当もつかないのですけれども、とてものことじゃありませんが、五倍はおろか三倍でも、二倍でもむずかしいようなことで、あのときに話し合いましたのは、田村さん、どうですか、いまの羽田の飛行場、あれを地元と相談をして有意義に使いたいが、ひとつ羽田を沖合いへ持っていってくれませんかということでありました。それならば大いに御協力願えるような雰囲気の話でございます。でありますから、それは結構でございましょう、それで地元住民がお喜びいただけるものなら非常に結構なことでございましょう、こういう話はいたしました。  現在羽田は、年間大体十七万回程度の離発着があります。それで率直なことを言って、航空局は同じ沖合いへ出るのならなるべく大きくしたいという願望はございましょうけれども、ところがこれは簡単に大きくならぬのですよ。船の航路とひっかかりまして、そう簡単なものじゃありません。でありますから、十七万回程度が、すぐにはうんと減るでしょう、国際線を持っていくのですから。将来ふえたとしても、たかだか二十万回から二十四、五万回というところまででございますが、とてものことじゃないが、二十数万回なんというものは、これはまた地元の問題もございましょうし、困難な面もあろうかと思います。でありますから、美濃部さんとそういうような問題について、とにかく沖合いへ移転するということは合意しようじゃありませんか、その他のことについては、事務方でよく話し合いをしようじゃありませんか、こういうような話をいたしました。  第一、三倍も五倍もというような大きな飛行場を沖合いへつくるということに美濃部さんが賛成されるでしょうか。賛成されるはずないですよ。そんなことは、こちらも百も承知しておるつもりであります。でありますから、そんな五倍も三倍もということはどこから出たのか私も見当もつきませんけれども、荒唐無稽の数字でございます。
  153. 始関伊平

    始関主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了しました。  次に、神田厚君。     〔主査退席、住主査代理着席〕
  154. 神田厚

    神田分科員 私は、主に国鉄再建問題に関しまして御質問を申し上げたいと思うのでありますが、まず最初に、政府は閣議の了解事項といたしまして五十年十二月三十一日に日本国有鉄道再建対策要綱、こういうものをつくりました。さらに五十二年一月二十日に日本国有鉄道再建対策について、こういうふうな二つの閣議の了解事項を持っておりまして、国鉄再建についてのいろいろな提言をしているわけでありますけれども、何といいましても問題になっておりますのは、やはり国鉄責任のある経営体制が確立されなければならない、その国鉄再建して、その役割りを果たしていくための基本は、まず第一に、「国鉄自身が、安易な経営に陥ることのないよう厳しい姿勢のもとに国民に対して責任ある経営体制を確立することである。」こう述べております。そしてこのためには、一番大事なことは、まず労使関係を速やかに正常化することが第一である、こういうふうに言ってあるわけでありますけれども、その中で、責任のある業務遂行体制と厳正な職場規律の確立、さらには組織及び人事制度全般にわたる抜本的改革をうたっているわけであります。  そこで、私は御質問を申し上げたいのでありますけれども、先日、国鉄国鉄の解雇者を再雇用して、すでに職場復帰をしていると伝えられている問題がございます。私どもは、違法ストライキに対する国民の厳しい批判とその怒りの中で、このような状況がどういう形で出てきたのか、これが果たして厳正な職場規律の確立に資するものであるのかどうか、責任のある業務遂行体制をやっていけるのかどうか、こういう問題につきまして、まず運輸大臣国鉄総裁に御見解をお伺いしたいと思うのであります。
  155. 高木文雄

    ○高木説明員 御指摘のように、国鉄再建は、何と申しましても、労使が一体となって、これに取り組むという気概をもって臨むことが必要なことでございます。私も、再度の閣議了解で示され、あるいはその他いろんな機会に御指摘を受けております点でございますし、私自身もそのように考えておりますので、厳しい姿勢で臨んでまいりたいと思います。  それと、ただいまお尋ねありました過去において長年紛争がありました問題について和解をし、一部再雇用をいたしたということとは、私は矛盾をいたしていないというふうに考えております。この問題は、いろいろ事件ごとに多少のニュアンスの相違がございますけれども、何分長いものは十年以上前の事件でございまして、しかも訴訟を受けて処分者側の方から私どもを訴えられて十年以上経過しているわけでございますが、裁判所におきますお取り扱いを見ましても事実上審理が全く進行しないという状態でありましたわけですし、数年前から非常に御熱心に裁判長から和解勧告があったというような事情からいたしましても、なかなか裁判になじみにくい案件であるということがあるわけでございます。この問題が今後の私どもの業務運営に悪い影響を与えることがないかどうかにつきましても慎重に考えました末で、たっての裁判所の和解勧告でございますので、それに応ずることにいたした次第でございます。
  156. 神田厚

    神田分科員 運輸大臣は、この問題につきまして御感想なり御所見なりございましたら、ひとつお伺いしたいのでございます。
  157. 田村元

    田村国務大臣 実は私も新聞で読んだ程度でありまして、率直なことを言うとまだ報告を受けてないのです。でありますから、いまどうもコメントのしようがないのですが、あの新聞を読んだ感想では、これはよかれあしかれ大分国会の議論にはなるなという感じでは読みましたけれども、それに対してまだ私自身の見解はまとめておりませんし、報告も受けておりません。
  158. 神田厚

    神田分科員 分科会でございますので、いずれ本委員会において、私ども特別委員会を設置いたしまして検討し、党の明確な見解を示しながらこの問題は深く追及していきたいと思っているのでありますが、ただいま総裁が申されましたいわゆる矛盾をしてない、こういう問題につきましては、私はこのまま納得するわけにはまいりません。  さらに、公労法の施行以来五十年まで何百人、約六百人とか言われておりますけれども、そういう人たちが解雇あるいは免職者としておる。こういうふうな中には裁判係争中の者がたくさんあるわけでありますけれども、これらについて、これから以降もこういうふうな形でいわゆる解雇者を再雇用していくような方向をとるのかどうか。これは非常に大事な問題だというふうに思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  159. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろな形の係争があるわけでございます。公労法の問題もございますし、単純な暴行事件という問題もございますし、それから解雇の形もいろいろな形のものがあるわけでございます。またその背景となりました事件の発生の理由というものも、いろいろ違うわけでございます。したがいまして、それぞれの案件ごとに処理をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  したがって、事が裁判所にお願いいたしておることでございますので、裁判所の御判断、裁判所の訴訟進行についての御見解というようなものが具体的処理についてもやはり重要な意味を持つものと思います。もちろん、このことが全体として国鉄労使間の姿勢の問題にかかわるところが決して軽くないわけでございますので、裁判所からのいろいろな御見解がございましても、私どもとしても軽々に応じられない場合もあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、事が裁判所で争われております事件でありますだけに、やはり一つ一つの事件ごとに法律専門家の意見を聞きながら、また私どもの経営の立場もそこに反映しながら処理をいたしてまいりたいと思うわけでございまして、今後、どう処理するということをここで申し上げるというような一般的見解というものを持っておるわけではないということを御了承願いたいと思います。
  160. 神田厚

    神田分科員 これは大変大事な問題でございまして、これがこういうような形ですべて解雇者が再雇用の方向に進んでいくということになりますと、いわゆる違法ストライキに対します問題、さらにストライキ権付与の問題など非常に大きな問題に発展していく問題であります。私は、この問題につきましては、党の特別委員会の結論を待ちまして、本委員会におきまして私どもの委員の方からさらに詳しい追及をしていくわけでございますけれども、いわゆる再雇用の枠を拡大するような形で問題は解決されないと考えているわけでございます。そういうふうな意見を述べて、この問題は後へ譲りたいと考えております。  続きまして第二点は、地方交通線の対策についてでございます。  いわゆる国鉄再建計画の中で一つの柱になっておりますのがこの地方交通線、さらにローカル線の赤字対策、こういうものが非常に大きな問題になっておるわけでございますけれども、この問題につきまして国鉄は新たに対策室をつくった、こういうように聞いておりますけれども、この新たに設けました地方交通線対策室の目的なり性格なり、さらにはどういう方針でどういうことをなさるのか、こういう点について御質問申し上げたいと思います。
  161. 高木文雄

    ○高木説明員 過日運輸省の運輸政策審議会の中に設けられております国鉄地方交通線問題小委員会からとりあえずの御意見ということで中間報告が提言されております。いずれ本年中には最終的な御意見が示されるものと思われますが、私どもといたしましては、その御意見を出していただきます前に、私どもとしての考え方もある程度実務担当者の立場でまとめておく必要もございます。そこで、数千億円に及びます赤字があるわけでございますから、その経営改善策につきましてとりあえずどうすべきか、さらに長期的にどうすべきかという具体的な案の策定をいたさなければならぬと思っておりますし、ただいまの中間報告の中に地方交通線対策協議会というようなことで問題の取り運びをしてはどうかという御提案がございますので、その行き方が現実的であるかどうかということも検討しなければならない。また今後地方公共団体にいろいろ御相談をすることになろうかと思いますが、私どもの地方の鉄道管理局と地方公共団体との連絡協議ということについて緊密な連携を持ちたいと思っておるわけでございます。いま申し上げましたような三つの問題点、具体的な案の策定、地方協議会の問題、地方と私どもとの間の連携、こういったことをどこかでまとめてやることにしたいということで対策室を設けることにいたしたわけでございます。
  162. 神田厚

    神田分科員 この地方交通線対策室の問題でありますけれども、私はこの問題につきましては、西欧先進国などでも鉄道問題などにつきまして経営に非常に苦心をしている、こういう中で地方交通線などにつきましては、政府の方の助成が非常に進んでいるというふうに聞いているわけであります。  そういう意味で、今度の予算におきましてもある程度地方赤字ローカル線交付金、貸付金などがふやされているわけでありますけれども、これらをもう少し前向きに考えていただきまして、この地方交通線対策の問題につきましては、弾力的に、ただ単に廃止の方向に考えていくということではなくて、地方協議会をつくりましたりあるいは公共団体との話をすると言いましても、何と言いましても一番の問題は政府がどういう指導をするか、どういう助成をしていくかということに中心が移っていくのであろうというふうに思います。そういう点につきまして、ひとつこれから先、地方のローカル赤字線についての交付金、政府の助成、こういうものを強めていく意向があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  163. 田村元

    田村国務大臣 まあ結論的に申せば答申を待つということになるわけでありますが、中間報告が求めておるといいますか、われわれに指示いたしましたあの四つの内容を見ましても、要するに住民の選択ということを非常に強く打ち出しております。廃止するものはしたらいい、あるいは道路等に乗りかえるものならそれもよい、あるいはすぐそばの道路をもっと完璧なものにすることによって廃止することも一つの方法であろう、あるいは残すなら残すとして、またその残し方というものもあろう、こういうことでございますから、答申がいつのことやらわからないというのなれば大急ぎでわれわれは対策を講じなければなりませんけれども、もう目前にこの秋ごろまでには出ようかということでございますし、それからまた同時に、御承知のように、国鉄は本年度中に再建案というものをつくるというので、いま受験生のように一生懸命に勉強しておるところでございますから、答申を待って、いまおっしゃったようなことを具体化するというか、考え方を具体的に考えていく、検討するということじゃないでしょうか。
  164. 神田厚

    神田分科員 時間の関係で余り細かいところまでできませんで残念でございますが、ひとつ答申を見まして私どもまたこの問題取り上げさせていただきたいというふうに考えております。  これも全体的な問題の中で論議をされなければならない問題でございますが、運賃の改定が昨年五〇%と大幅になされまして、さらにまたことしの九月に一九%の運賃の改定をする、こういうような情勢にあるようでありますけれども、この五〇%値上げ後の旅客それから貨物の取り扱いが非常に減少している、こういうふうに聞いているわけでありますが、この辺の状況はどうでございますか。
  165. 高木文雄

    ○高木説明員 現在と申しますか、ここ最近の事情では、収入面で大体旅客、貨物を通じまして二五%ないし三〇%くらいの対前年収入増加という状態でございます。御存じのように、国会で御審議いただきますときには、大体名目で五〇%、実収で三七%くらいの増収を見込んでおりますという御説明を申しておったわけでございますから、それに比べまして非常に成績が悪いといいますか、お客さんの乗り方が少ないわけでございます。ただ、これは私どもだけではございませんで、一般に他の交通機関も沈滞ぎみでございますし、それから一月の二十日ころから正味約一カ月くらい、大変お客様方あるいは荷主さんに御迷惑をかけましたが、雪害によりまして列車が正常に運転ができないという状態が続きました。近来まれに見るような運休を出したわけでございますので、その二つの面から言いまして、収入が減っておりますのもやむを得ないといいますか、そういう事情によるものもあるわけでございます。もちろん、運賃の上げ方が少し急激であったことによって、いわゆる国鉄離れ現象が起こっておることもまた否定できないかと思いますけれども、それらの要素がどういうふうに重なっていまの状態になっているかはまだ明確でございませんので、もうしばらく推移を見てみたいというふうに思っております。
  166. 神田厚

    神田分科員 お話しのように、大変憂慮すべき状態であるというように私ども考えるわけでありますけれども、これをさらにまた九月に一九%値上げする、そういうことになりますと、ますます国鉄離れ、そういう傾向が起こってくるのではないだろうか。雪害というのは季節的な問題で、一つの現象でございます。あるいは貨物の問題にしましても、これはいわゆる年末のストライキがあった後の多少ふえた部分がありますから、そういうものを差し引いて考えますと、ますます国鉄離れをしてくるというふうな感じがしてならないわけで、私はこの際、この一九%の値上げ案というものを考え直していただいて、さらに、実際に見聞しているところでありますけれども、グリーン車などは本当に乗る人がいないような、空気を運んでいるようなのがたくさんある、こういう状況も踏まえまして、こういうことにつきましてお考えを変える気持ちはないかどうか、ひとつ御質問申し上げたいのでございます。
  167. 田村元

    田村国務大臣 一九%の値上げと申しますのは、名目値上げでございますが、いずれにしても人件費、物件費等のギャップだけはそれで埋めておきたいということでございます。  いまお話しのあった国鉄離れというのは、確かにもうすでに大きく起こりつつありますし、将来のことを思えばやはりよほど慎重に構えなければならぬと思います。お説のように、グリーン車なんかは、場合によったら再検討しなければならぬのじゃないかというような感じもいたしますが、いずれにいたしましても、国鉄自身がこの昭和五十二年度という年は、恐らく国鉄始まって以来百年の歴史でおよそこれだけの意欲を持って改革と取り組んだことは初めてであろう。従来は運賃値上げばかりに頼っておったわけです。今度は総合的な大改革をやろう、こういうことでございますので、どうぞひとつ一九%の問題につきましても、あるいは法定制緩和の問題につきましても、あるいは投資対象範囲の拡大の問題につきましても、国鉄の苦慮いたしております現状にもかんがみまして、温かい御理解を賜りたい、お願いを申し上げる次第でございます。
  168. 神田厚

    神田分科員 温かい理解といいますか、国鉄が非常に大変な状況であること、十分認識しているわけでありますけれども、これから先の旅客、貨物の問題の推移をよく見て、そしてこの問題につきましても、値上げだけの問題ではなくて、政府は相当今度助成しておりますけれども、やはり助成の方向も考えながらひとつやっていただきたい、こういうふうに考えておりまして、いま大臣が申されました非常に大改革をやっている国鉄の中で、次に遊休資産の運用の問題につきまして御質問を申し上げるわけであります。  いわゆる公団やその他に土地を売却するあるいは貸与する、こういうふうな形であるようであります。私どもも地方におりまして、地方の公共団体から、大きい貨物ターミナルをつくったところでは、この貨物ターミナルをつくること自体につきましては、私どもいろいろ問題はございますけれども、その中には貨物の積みおろし、荷物の積みおろしに使われないような広い土地が遊んでおる、こういうものにつきまして、これを何とか通勤者の自転車置き場などに貸してもらえないか、こういうような要望をよく聞くのでありますけれども、こういうことにつきまして遊休資産の運用、これをたとえば公共団体に譲渡したり貸与したり、あるいはこれを売却したりするような意向があるのかどうか、また、具体的にそういうふうな事例がございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  169. 高木文雄

    ○高木説明員 従来から遊休資産をもう少し活用したらどうだというお申し出はたくさんございます。一般論でなしに具体的にもございます。ただ、従来、ややもすれば、国鉄というところは非常に巨大な組織であるということが一般的な通念でございましたから、たとえば自転車置き場に貸してくれないかというようなお話の場合にも、国鉄は巨大な組織なんだからサービスとして無償もしくは非常に安い値段で貸してくれたらどうだというお話が、どちらかというと、多いわけでございます。  私どももお客さんに対するサービスといいますか、お客さんにレールに乗っていただく都合から言いまして、自転車置き場を整備するということにお力添えをいたすことについてやぶさかではございませんけれども、しかし、今日までとは違いまして、私どもの財政経営の状態が非常に窮迫してまいりましたので、いわば甘いといいますか、いい顔をしてお貸しをするというわけにもなかなかいかなくなっておるわけでございます。そういう点は、各地域の方々に私どもの経理、経営状態の非常に悪化していることも御理解願いました上で、一番有効な方法を御相談の上で見つけていくということにいたしたいと思います。  いずれにしましても、空き地のまま放置しておくというのは非常にまずいわけでございますので、これを何とか有効に、いろいろな意味で有効に活用する方向にいままでとは違って積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  170. 神田厚

    神田分科員 前向きな形で、ひとつ地方公共団体から要望がございました場合には、できる限りの範囲内におきまして、そういうふうな要望を入れていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  さらに、安全性の問題でございますが、両毛線の事故、上越線の事故、このところ事故が多発しております。これは単に国鉄側だけの問題の指摘だけで終わるわけでございませんけれども、いわゆる安全確保のための工事費といいますか、そういうものをもう少し増額する、あるいは安全確保のためのパトロール、いわゆる合理化などによりまして減りましたそういうものをカバーするような意味で、安全対策についてもう少し力を入れるお気持ちがあるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思っております。
  171. 尾関雅則

    ○尾関説明員 お答えいたします。  安全はわれわれの最も大事な輸送の前提条件でございますので、今後とも十分力を入れてまいりたいと思っております。  御指摘の踏切事故でございますが、踏切事故の防止につきましては、自動車ブームの盛んでありました約十数年前に非常にたくさんふえまして、頭を痛めておりましたけれども、その後鋭意対策を進めてまいりまして、昭和四十六年度から踏切事故防止総合対策ということで、関係各省の方と御一緒に力を入れてまいりました結果、踏切の事故件数は、自動車台数の急増にもかかわりませず漸次減ってきております。  今後の対策といたしましては、自動車の大型化、道路整備の進展等に伴って自動車のスピードアップにより踏切事故の規模が漸次大きくなってまいります関係上、関係機関の御協力を得まして、都市における高架化、高架鉄道にすること、それから主要道路の立体交差、これが本命の対策でございますけれども、それを進めさしていただきますと同時に、踏切の整理統合と申しまして、近くにあります踏切を一つにまとめる、あるいは自動車は通らないで人だけにするというような規制を行っていただきまして、どうしても自動車が通って立体交差にもできないというようなところは遮断機つきの踏切にするということで、力を入れてまいりたいと思っております。
  172. 神田厚

    神田分科員 その踏切の整理統合などの問題につきましては、いろいろ問題があると思うのであります。小さい農道なんかたくさんありますと、それを一つの大きい踏切にされてしまいますといろいろ問題がありますから、そういうふうなことはいろいろ配慮されながらなさっていただくことでありますけれども、安全性は非常に大事な問題でございますので、ひとつ鋭意そういう安全性確保のために御努力を願いたいというふうに思っております。  最後に、大変恐縮でありますが、ローカルな問題で御質問を申し上げたいと思うのであります。  私はいわゆる国鉄再建一つのポイントはサービス問題であるというふうに考えているわけであります。このサービスの問題で、いわゆる国鉄ダイヤの組みかえなどにつきまして、たとえば五〇%値上げする段階ならその段階で、国鉄ダイヤなどにつきましてもきちんとした徹底的な洗い直しをして、利用者の利用のしやすいようなダイヤ編成をすべきであるというふうに考えているのであります。たとえば国鉄真岡線、私のよく利用するところでございますけれども、このダイヤなどは非常にでたらめなダイヤでありまして、午前中に集中しておりまして、下館発が午前七時三十八分、その次は午後は二時三十一分までない。さらに、非常におかしいダイヤなどもありまして、上野発十二時四十四分なんという電車に乗っていきますと、小山に着くのが十四時八分でありまして、それが今度は真岡線・水戸線に接続しますのが十四時八分なのであります。同じ時間に着いて同じ時間に出ていく。これは番線が違いますので、橋を渡って向こうへ行く。スムーズに接続ができないためにそこで六十五分も待たなければならない。わずか二分か三分の工夫でございますね。こういうふうなことが図られてない。それから、いろいろあるんです。水戸線の方から言いますと、下館が六時五分あるいは七時三十八分、それから先は、勝田の方から来ると二時三十一分までないのであります。この使いづらいダイヤをそのままにしておいて地方線が赤字であるというような、そういうふうなことを放置しておくということは大変問題でありますから、この辺のところを利用者が利用のしやすいようなダイヤ編成を、本当に大変な事業でございましょうが、この際もう一回大改正をお願いしたい。これは一つの地方線を取り上げてみましたけれども、全国的にこういう問題はたくさんあると思うのであります。ひとつそういう面で真岡線などにつきましても、もう少し使いやすいダイヤをつくっていただきたい。午前中は早目に集中して午後も遅い方に集中している、通勤だけにしか使えないようなダイヤをつくっていたのでは、いつまでたってもこの国鉄ローカル線の赤字解消というものはできないのじゃないか、私はこういうふうに考えているわけであります。さらには、急行の停車駅の問題や特急の停車の問題、いろいろのサービス問題につきましてひとつ御配慮をお願いいたしたいというふうに考えております。
  173. 高木文雄

    ○高木説明員 ダイヤの問題は、ただいまもちょっとお触れになりましたように、非常に技術的な問題でございます。しかし、その間を何とか工夫して、少しでもサービス向上に努めるということは、絶えず心がけるべきことであろうかと思います。御指摘の点につきまして私つまびらかでございませんが、なお今後の研究課題として勉強を続けてまいりたい、何とか工夫をこらさねばいかぬというふうな印象をいま受けた次第でございます。研究いたしてみたいと思います。
  174. 神田厚

    神田分科員 ひとつ前向きによろしくお願いをいたします。どうもありがとうございました。
  175. 住栄作

    ○住主査代理 これにて神田厚君の質疑は終了いたしました。  次に、沖本泰幸君。
  176. 沖本泰幸

    沖本分科員 分科会でございますから、細かい部門に入ることを御了承いただきたいんですが、私は、衆議院に出さしていただいてからほぼ十年近い間、大阪の外環状線についてずっと言い続けてきているわけです。ところが、いまだに実現についての目鼻がついてない。最初は万博のときに外環状線は実現できるということで、第三期長期計画の中に入っておったわけですが、赤字ということが問題になってきてそれがつぶれてしまいまして、その後国鉄財政問題がひっかかってきて延び延びになっているということでございます。磯崎総裁当時に、首都圏の総武線ができれば外環状線に手をつけるということだったわけですけれども、高井田と蛇草の間を高架工事をやったわけでそれなり。地元関係の各市では、国鉄債約九億を当時から買って、いまだにずっと持っておるわけです。地方財政が赤字になっている、こういうときに九億の金を動かした場合に大きな効果が上がるということになるわけですけれども、各市とも外環状線が実現することに希望を託しながらじっとこらえておるということにもなっている。東京に次いで大阪のいまの環状線は、ほとんどもういっぱいになってきているということでもありますし、また各私鉄が都心部へ地下で乗り入れて、通勤時都心でだんごになるわけですね。それでよけい複雑になってきている。それを横につなぐ意味からも外環状線はどうしても必要であるということになるわけです。とてもできないというなら、それはそれなりにこれはもうやらないんだということをはっきりするなりしていただければ、別な方法が考えられると思うわけです。そういうことにつきまして二月十九日の新聞に読者の声が出ているわけです。それをちょっとお読みしてみます。  関西の国鉄をなぜ冷遇する?   この四月に国鉄阪和、片町両線のオンボロ電車がやっと新型車両に置き替わるという。しかしながら、その新型車両は首都圏で使い古されたセコハン車であって、けっして新車ではないのだ。   では新車を作らないのかというと、そうではない。予算でばちゃんと阪和、片町線用に新車百数十両が組まれており、近く落成するが、その新車は首都圏の国電各線に投入し、ねん出された中古車を阪和、片町両線に持ってくるのだという。   なぜ関西の国鉄をこうまで冷遇するのか。特に関西は私鉄が発達し、各社とも性能、設備、乗り心地の良い車両を走らせており、これではますます私鉄との差が開くではないか。このことは今回に限らずすべての面にいえることで、例えば首都圏の国鉄は盲腸線を除きほぼ全域に渡って電化され、外環状線も出来た。なのに関西の国鉄たるや、通勤線でもある福知山、山陰両線の複線電化すら遅々として進まず、外環状線(城東貨物線)も複線用地は確保済みなのに、一向に着工しようとしない。   国鉄は全国均一運賃なのだから、もっと公平に設備投資すべきだ。こういう声が新聞に出ているわけです。はからずもこれを読んで、私、同感だということなんです。  また同時に、和歌山の方でも同じ問題で言ってきているわけです。「紀勢本線から新幹線に直結する乗入れ線建設要望書」というのが和歌山県と和歌山県輸送力強化促進委員会というところから来ております。この中で、時間が限られておりますから中身だけを短く申し上げますと、   紀勢本線の整備及び改善並びに、新幹線(新大阪駅)への直結ルートを設定することによって、近畿圏はいうまでもなく、中京・関東圏との産業・経済・観光ルートの確立を図ることが地域格差の是正、国土の均衡ある発展のために必須の要件であると考えます。  こういう考え方を述べているわけです。  この前にも紀勢西線、和歌山から阪和線の車両が悪くて、南海と同じ方向へ走りながら南海の方が早い、国鉄がおくれるということで、車両が古いことで問題になったことがあるわけです。それを改めるという答えが出ておったわけですけれども、新聞のこういうところを読みますと、同じようなことがまだ残ってずっとあるということにもなってまいります。ですから、この混雑する通勤客を緩和したり、あるいは新大阪に短時間にずっと周辺から人を集めるという点においても、どうしてもこれは必要だということになっていき、大阪府の試算によってもこの外環状線は採算が合わぬことはないという試算を出してきているわけです。  当時の磯崎総裁は、わかっているのだ、だから総武線が終わるまで待ってくれというお話だったわけです。藤井総裁のときにもそのことを申し上げたわけなんですけれども、随時代々の総裁に問題を提起してはおかわりになって、これは永久に同じことを言い続けなければならないのかということも考えなければならない。どうしてもだめなら打ち切っていただく、やるならいつやる、やらないなら九億の国鉄債を返してやっていただきたい。そうすれば、赤字のピンチにある地方財政は助かるわけです。  応分の負担をしていただければというのが藤井総裁なり磯崎総裁のお話だったわけです。地元の市長さんは応分のことも考えないことはないけれども、青写真をきちっと見せてもらえなければどうしようもないということなんですね。財政もいま逼迫しているわけですから、外環状線沿線に関連する各市がそれだけのことをこれからできるかどうかということは、これから考えなければならない問題ですけれども、こういう問題点について一応お伺いしてみたいと思います。
  177. 高木文雄

    ○高木説明員 歴代の総裁がお答え申し上げておりますように、大阪外環状線の計画は、時期が大変おくれておりますけれども、やはりどうしても大阪におきます都市通勤対策として進めていかなければならない問題であると考えております。  ただ、後で詳しく御説明いたしますように、いろいろな事情がございますのと、それから、先ほど来前の総裁が申したということでお触れになりました、東京の方の通勤対策が一段落する時期がこれまた遷延をしておるというような事情があり、さらに全体として経営財政が非常に困難だというような事情があって、どうも思うに任せぬ事態でずるずると時間が経過し、その結果、地元の方々に御迷惑をおかけしておるということを大変恐縮に思っております。しかし、やや長い目で見まして、これはどうしても計画どおり進めなければならないものというふうな立場でおるわけでございます。  まず、そのうまく進んでおりません中の技術的な問題につきまして二、三、担当常務から説明をいたさせたいと思います。
  178. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま総裁からお答え申し上げましたように、また先生からたびたび御指摘を受けておりますが、私の方も数年前からこの調査を進めてまいっております。  まず最初に、利用債の問題を先生おっしゃいましたけれども、数年前に利用債を持っていただきました。これは約十億でございますが、これで当時大阪市と吹田市内の区画整理事業と私の方の予定しております大阪外環状線と関係する部分についての用地を早目に買っておかなくちゃならぬということで、利用債を持っていただきまして、とりあえずその部分の土地の手当てを済ませたところでございます。しかし、大阪外環状線全体を複線にして旅客列車を走らせるということになりますと、まだまだこれの五倍ないし六倍の用地買収が必要かと思います。用地については現在そういう状況でございます。  また、用地買収をいたしますにしましても、まず設計を決めて、そして地元の市あるいは府と両方御協議を申し上げなくちゃならぬということで、五十年二月に私どもが一応の計画案をもちまして、市並びに府にお示しをいたしました。いたしましたところ、在来からあります城東貨物線は土を盛った線路でございますが、新しくつくるからには土を取り除いて新しい線と一緒に高架にしたらどうか、あるいは、この道路については立体化したらどうかといういろいろの御注文が出てまいりました。ただいまその点について関係市並びに府と御協議を申し上げておるというのが今日の実情でございます。
  179. 沖本泰幸

    沖本分科員 ちょっと話が違うんですがね。最初から城東貨物線は土を盛ってあるので、そのために風通しが悪く、交通渋滞が起こって皆困るわけです。そして大阪市内と周辺の市とに格差が起こってきて都市計画ができないので、それで高架のスラブ化にしてくださいということが条件で計画が始まったはずなんです。これは先刻御承知で、私としたらどうしていまさらという気がいたします。話がもとへ戻ったようなお話です。時間がありませんからどんどん進めますけれども、それはちょっと話が違うわけです。  それから、まだ車両の問題に対してお答えがありませんけれども、伺ってみると、そのことは事実なんだということで、予算では新しい車両で取っているけれども、まだまだ悪い地域があって、そこの方へ分配してだんだんにぐるぐる回しているのだということになるわけで、それでは予算の取り方なり何なり仕組みが全然違うわけで、こんなことをやっていたら普通の会社なんかでは通らないはずです、目的と予算を取った面と全然違うわけですからね。なぜそんなことをなさるのかということでもあり、そういう点はまさに地元の人たちか冷遇されていると言われても仕方がないわけです。  ですから、いまの話が違うという点と、車両の点と、それから紀勢本線の問題、同じような計画の上にのせられるのか、のせられないのか、こういう要望をお聞きになっているのか、検討なさっているのか、その点と、それから、阪和線が以前に、車両が悪くて南海電車と同じ通勤電車をやって国鉄の方が遅いということで問題になって、車両をかえるという話が出たわけですけれども、それとあわせてお答えいただきたいと思います。
  180. 高橋浩二

    高橋説明員 いまの高架化の問題について、最初に私からお答え申し上げたいと思います。  ただいま城東貨物線が平面で走っているところを高架にする、これは当然都市計画事業といたしまして、そして国鉄並びに都市側と両方持ち合って進めていくという基本に立って、いま城東貨物線についても高井田高架橋付近といいますか、一部、そういう工事は両者でもって高架化をいたしております。先ほど私が申し上げましたのは、それはそういう方式でやってまいります。  それから、新しくそれに張りつけて複線化する場合、その新しく複線化いたします線路を高架にすることについては、新しく線をつくる側の国鉄がその費用を持って複線化するということで計画を進めております。その点はひとつ、先ほど申し上げたことを補足させていただきたいと思います。
  181. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 車両についてお答え申し上げます。  阪和線あるいは片町線の車両は御指摘のように、かなり古い車両が走っております。そこで、国鉄といたしましては、昭和五十一年度、本年度の計画といたしまして、阪和線と片町線については、車の入ってくる時期にもよりますが、現在の計画では全部新型車に取りかえるということに計画をしております。  これで大阪の方は全部新型車になるわけですが、先ほど御指摘のありました、工事計画では新車が入ってくることになっておるのに入らないではないかというお話でございますが、これは工事計画の出し方が、従来とも必ずしも大阪にということではなくて、全国的に最終の必要なところで計画を立てたものに対して新車をやるという考え方でこういう計画書が組まれておりますものですから、従来のやり方でやったわけですが、その中で大部分は、東京の京浜東北線あるいは山手線の信号方式がATSというのからATCにかわりまして、そうして地上がそういう工事ができますと、車両が全部その型にかわりませんと地上側は動きません。そこで第一義的には、東京の京浜東北線、山手線あたりに新車を入れまして、その後で、いままで走っておりました車を大阪に持っていってということは確かでございます。ただ、全部ではございませんので、今回の計画でも一部は大阪地区に新車が入ることになっておりまして、たとえば大阪環状線に新車を入れて、そこから出た車が片町線にいくということになっております。
  182. 高木文雄

    ○高木説明員 先ほどから御指摘の車両の問題でございますが、これは確かに、予算の使い方といいますか、あるいは予算をどこへ使うかということについて一般にお示しをするお示しの仕方といいますか、そこらがどうもわかりにくくなっておりまして、何か新車が新しく投入されるというふうに新聞報道その他で読んだところ、実は他の地区から古い車が回ってきたという非難が全国各地から起こってきているのでございます。これは技術的に大変いろいろ工夫をして、効率のいい方法で車両とそれから地上設備とリンクしながら、一番能率よく、そして前の車を修繕してまた回すというようなことをしないで使えるようにということでやっておるようでございますけれども、そのことを対外的に御説明する御説明の仕方がはなはだ拙劣であるという感じを私も持っておりますので、御指摘の点について、何か夢を大いに持っていただいて後で実は違ったというようなことになりませんように、今後気をつけてまいりたいと思っております。それだけつけ加えさせていただきます。
  183. 沖本泰幸

    沖本分科員 同じ体格の兄弟がいて、二番目、三番目が、ことしはおまえに新しい服をつくってやるから、こういうふうに言われて喜んでいたら、兄貴の方が新しい服を着ている、弟にはさっぱり当たらぬ、そして兄貴の使い古したお古を弟がまたもらう、これでは弟の方はがまんできぬ。そういう素朴な考えでいけば、そういうことが当たるわけです。ですから、そういう誤解を招かないようにしていただきたい。それは確かに首都圏を大事にしなければならない面もあるでしょうけれども、何もかも首都圏全体がいいものをちゃんとそろえている、そういうことになれば、地方は冷遇されているということになっていくわけですからね。そうすれば、東京の人も関西や九州の人も運賃は同じように払いながら、なぜこれだけわれわれの方ががまんしなければいけないのかという議論になってくるわけですね。その点はやはりよく考えていただかなければならないと思います。  まあ阪和線あたりも、もともと阪和線は国鉄が買い取ったわけですからね。買い取ったそのままの古い車両が徐々に順番になって行っているわけですから、当然阪和線は車両が古い。ぼくらの目から見ても確かに古いです。ですから、それはやはり考えていただかなければならないし、先ほどの新聞にも出ておりましたように、私鉄がどんどん乗り入れてき、そして膨大な経費を使って地下を掘って、地下へみな乗り入れてきているわけですね。それだけ車両も新しく、快適な車両にみなかえているわけですね。ところが、旧態依然として、これはお客が少ないわけですけれども、とてもじゃないけれども、昔の木造の、明治時代の車みたいなものを見ることがしょっちゅうあるわけです。ですから、それではやはり時代感覚が合わなくなっていく、そういうことになりますから、その点は十分検討していただかなければならないわけです。和歌山からも、こういうふうな紀勢本線を直結してもらいたいという要望も出ているわけですからね。  だから、そういう点からも、城東貨物線のむずかしく言えば電化、高架、それから複線、客車にしてほしい——国鉄にとってみればずいぶんぜいたくな要望かもわかりませんけれども、五年ほど前から、交通が渋滞するところに限って、立体交差計画を立てて費用を国が九割まで見ていくということで、たとえば阪和線の美章園から大和川までの間は高架にするということも実現してきているわけです、まだ工事に入っていませんけれども。そういう実態の中にのせていけば、できないことはないと思うわけです。確かに城東貨物線が走っているのを余り見たことがないという人が多いのです。それに、線が横たわっておって、土手であって、そのために土手のあっち側とこっち側とで全然町の様子が違うということが大きな問題になっているわけですから、そういうことも中心に考えていただいて、計画を明らかにしていただかなければなりませんし、おいおいそういう点で考えていっているんだというお答えですけれども、いつごろには日の目を見ます、あるいはこの程度のところまで行っている、だからどれくらいしんぼうしてくださいということが何かで示されると別なんですけれども、お伺いするたびに、まあまあということでお茶濁しみたいになって、毎年繰り返さなければならないということになるわけですから、これではどうかと思います。それで、利用債を買ってもらって城東貨物線の用地に充てたということで、金を使ってあるんだということですから、なおさら廃止してその土地を売るわけにいかないわけでしょう。そういうことですから、その点を実現の方向に向かってもう少し具体的に青写真を示していただかなければならないと思いますけれども、その点いかがですか。
  184. 高橋浩二

    高橋説明員 私の方が財政の問題で非常に窮屈であるということは事実でございますけれども、だからといってこの問題をなおざりにする気はございません。通勤関係を主とするものについては、私ども一生懸命実は技術的な検討をいたしております。  具体的には、先ほどちょっと申し上げましたけれども、五十年の二月、ほぼ二年前になりますが、二年前から関係府並びに市と協議を申し上げております。その協議の内容についてほぼ見通しが立ちますれば、私の方も最終的な設計をいたしまして大臣の承認をいただきたいというふうに考えております。
  185. 沖本泰幸

    沖本分科員 総武線のときも、総武線より大阪の外環状線の方が緊急性が強かったんだということなんです。緊急性が強かったけれども、何とか早くしてもらいたいために、総武線についてとやかくはたの方から注文をつけまいということが地元の配慮だったわけです。磯崎総裁からも、それを持ち出すとあなたの方なかなかできなくなりますよという脅迫も受けたわけなんです。そういう事実もあるわけです。ですから、総武線もまだだというけれども、あと残すところわずかで、ほとんどでき上がったのも同然なんですから、そろそろやはり大阪の外環状線に目を向けていただく。国鉄が赤字で再建が大変な問題でパンクするかもわからぬという問題とこの問題とは別だということになるのです。それで、どうしてもだめだというのなら、地元の府なりあるいは各関係市に私鉄並みのことに切りかえるかどうかという相談を持ちかけられてもいいはずだと私は考えるわけです。そういう点についてもう少し固まったものをはっきりしていただかなければ、たくさんの利用者に対して申しわけないということになるわけですから、その点、紀勢本線も含めて総裁、いかがですか。
  186. 高木文雄

    ○高木説明員 実はこの種の問題は、大阪だけでなくて、各地域で予定の計画が進まずに難渋している案件がいろいろあるわけでございます。その事情は、実は私どもだけが財政的に窮乏しているのでなくて、各都道府県、市町村も大変財政が窮乏状態になってまいりましたものですから、両方が金を出し合ってつくるというものについて、大阪地区に限らず全国的に、どうも前に考えておりましたほどには事柄が進まない。決してお互いに責任をなすり合っておるわけではないのでございますが、しかし、どっちも貧乏人同士が相談しているというようなかっこうになってまいりましたものですから、各地域とも弱っておるわけでございます。おっしゃるとおり、何とか時期を明示いたしませんことには関係者に御迷惑をかけることはわかるのでございますけれども、さりとて私どもだけが建設資金を出して事を進めていく関係にはございませんものですから、やはり大阪府なり関係市町村なりと鋭意御相談を積極的に進めていく、それによってそれぞれの財政事情を勘案しながら目安をお示しをするという以外に、いまのところお答えのしようがない状態にあるわけでございます。  一般的に、関東地区の通勤対策はまだ若干残っておりますけれども、ほぼめどがついてまいりました。それがある程度めどがつきますのと並行しながら、先ほどお触れになりました紀勢線の問題を含めて、関西地区の通勤対策を取り上げていかなければならない時期に来ているわけでございますが、それが財政といいますか、経済全体の伸びが落ちてきたということとの関連で、前の総裁あるいは前々の総裁が恐らく胸の中に置いておられたであろう時期よりは少しずれぎみになってきておるわけでございまして、怠けておるというよりは、全体としての経済情勢の変化によるところも大きいという事情をひとつ御賢察願いまして、私どもも一生懸命進めてまいりますので、むしろ関係各方面へのお呼びかけをお願いいたしたいというような気持ちでございます。
  187. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間が来ましたからもう終わらなきゃならないのですけれども、経済が行き詰まってきて成長がとまっているということですが、これはどんどん伸びているときの話だったわけです。それを成長がとまったからといってとめてもらったら困るわけなんで、この点だけしっかり——それで地元に金が落ちれば地元だって経費ができてくるわけですから、その点十分お考えいただいてのせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  188. 住栄作

    ○住主査代理 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。  次に、山田芳治君。
  189. 山田芳治

    山田(芳)分科員 いま沖本さんが、国鉄が関西に非常に不親切だ、差別があるというお話をしましたが、近畿の中でも南はまだいいわけでして、北は非常に悪い。——いまお手元に資料を差し上げました。大臣の三重の方の紀勢西線、東線、私はくにが和歌山ですからよく知っておりますが、昔はまだ和歌山線の方がよかったのですが、最近は紀勢西線、紀勢東線の方がよくなってきた、そういう感じですね。ところが、お手元にお配りをしましたように、近畿北部に至っては非常に悪い。特に私どもは山陰線の複線電化ということを党派を挙げ、地域住民とともに、また地方自治体とともに、ここ数年来屡次の要請、陳情を行っていることはもう御存じのとおりであります。  そこで、ちょっとここに、複線をしたりあるいは電化をしているところの近畿及び田沢湖線等の輸送力の比較表を持ってきました。  この資料は、五十一年の春季交通量調査によっておるわけでありまして、私どもの党にも国鉄出身の議員もおりますので、そこらあたりからこれは集めたので、恐らく間違いない数字だと思いますが、山陰線に比較して、輸送量で福知山線は六一・〇六、それから先ほどから話が出ております紀勢線は、山陰線に比べると輸送量で六三四、草津線は四〇・四、桜井線は三四・四、田沢湖線に至っては八・九ということであります。したがって、数字的に言えば、山陰線は輸送力、総輸送量等々を含めて、これはもう当然複線電化に着手をしていかなければならない線である。しかも、昔から本線等はいろいろありますけれども、大きな本線としてみれば東海道本線、東北、山陽、山陰、こう言われておるわけでありますが、その山陰本線が全然複線電化してないわけであります。ただ、京都駅から二条間だけは複線含みの高架になったという形になっているだけでございます。したがって、この山陰本線を複線電化してほしいというきわめて強い要請があるし、また数字的にも当然であります。陸路の国道九号線のごときは、二車線でありますから連日渋滞をきわめておるという状態であるわけであります。  ここでお伺いをしたいのは、今回新たに二百五億二千万のいわゆる大都市交通施設整備費というのが新規事業として運輸省から国鉄へ補助助成が決まったわけでありますから、山陰線の場合においては、一つには通勤の問題があります。もう一つには何と言っても山陰本線本来の任務としての複線電化の必要というものが、いわゆる山陰地方と表日本をつなぐ大きな使命があるわけであります。当面とにかくこの二百五億を使って、いわゆる大都市交通施設整備するという形の中で来年度からぜひひとつ何らかの処置をしていかなければならないというふうに考えるし、二百五億二千万のいわゆる通勤対策、きわめて有意義な助成だと私どもも考えておりますが、山陰本線の整備についての将来の計画と、来年度は一体どういうような措置をされるかという点について、まず一点お伺いをしたい。
  190. 高橋浩二

    高橋説明員 山陰線につきましては、通勤関係の区間と申しますのが、とりあえず京都−園部間ですが、この通勤区間はラッシュの時間帯に非常に混雑しております。この通勤区間につきましては、昨年あるいは一昨年から航空写真等を撮りまして私の方は調査を進めてきたところでございます。なお引き続き五十二年度ももう少し細かい調査を進めたいというふうに考えておりますが、ただいまのところ、いつどういうふうに工事を進めるかということについては、もう少し調査を待って、なおかつこれからの輸送等の伸びを見まして、他の線区等の関係、いろいろ見まして、どういうふうに進めるかを決めてまいりたいというふうに考えております。
  191. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それでは、住田鉄監局長にお伺いをしたいのですが、例の二百五億は通勤対策であり、大都市交通対策である。山陰本線は、御承知のように、都市交通審議会においても早急に複線電化すべきだという答申もなされておる。三大都市圏にこの二百五億が使われるわけでありますが、東京については、先ほどの答弁を伺っておりますと、ほぼめどがついた、こういう形でありますから、次に来るのは関西大阪圏であろうと思います。これをひとつ山陰本線の複線電化の部分を対象として国鉄に助成していくというお考えはいかがなものでしょうか。
  192. 住田正二

    ○住田政府委員 今度の予算でお願いいたしております大都市交通助成の対象に、ただいま先生からお話のございました山陰線の複線電化、通勤ですからそう長い距離にはならないと思いますが、京都−園部間の複線電化の工事が対象になるということは間違いございません。ただ、実際に国鉄としてどういう順序でどの線を複線電化していくかということは、国鉄の方で、いろいろ御判断の上で私の方に工事実施計画承認を求めてくるわけでございまして、先ほど高橋務理事からお話がありましたように、まだ調査の段階であると私ども聞いておりますし、また技術的にも相当問題があるようにも聞いております。したがって、来年からすぐ着工するというような時期ではないと思いますが、将来国鉄の方で、こういうものを取り上げたいというときには当然大都市交通施設助成の対象になるというふうに御理解いただいて結構でございます。
  193. 山田芳治

    山田(芳)分科員 それでは、国鉄にちょっとお伺いしたいのですが、来年度は引き続いて、いま住田局長のおっしゃるように、保津峡のあたりというのは技術的にも非常に困難であるということはわかっているわけでありますが、来年度実質調査をぜひやってほしいということであろうと思うのですが、一体その点については、運輸省といずれ相談されたりするわけでしょうけれども、いまどの程度進んでおるのか、どの程度の額で実質調査というものが可能であるか、来年度はどうかという点についてひとつお伺いしたい。
  194. 高橋浩二

    高橋説明員 これまでいたしましたのは、非常に粗い航空写真から図面等をつくりましてやっております。五十二年度につきましては、それをもう少し細かく、区間ごとに技術的な問題がないかどうか、場合によりましては、特にむずかしいそういうトンネル等については、必要があるというふうに感ぜられましたら地質調査等をするということで、ただいま検討いたしておる。  幾ら使うかということは、全体の調査費の枠の中でいろいろその配分を決めて進めていきたいというふうに考えております。
  195. 山田芳治

    山田(芳)分科員 いつごろになったら、その作業はできますか。
  196. 高橋浩二

    高橋説明員 非常に簡単な部分は比較的短期間でできますし、それから地質調査等になりますと少し時間がかかると思いますので、いつごろになるというよりも、年度末には、来年度どのくらいの調査をするかという見当をつけまして、そして来年度、そういう複雑な地質調査等ですと時間がかかるということでございますので、何カ月でできるということよりも、そういう内容によってどの程度までの調査ができるかという見きわめをしたいというふうに考えております。
  197. 山田芳治

    山田(芳)分科員 その見きわめはいつごろになるか、伺いたい。
  198. 高橋浩二

    高橋説明員 年度末で私の方の各線の調査をどういうふうにするかということを内部でいろいろ検討いたしますので、年度末にはどういう調査をするかということは決めたいというふうに考えております。
  199. 山田芳治

    山田(芳)分科員 そうすると、あと十五日くらいで年度末ですから、今月末にはわかる、こういうわけですね。
  200. 高橋浩二

    高橋説明員 どういう調査をするかということは決めたいというふうに考えております。
  201. 山田芳治

    山田(芳)分科員 そうすると、それはどういう調査ということになれば、金額その他もこの年度末にはおのずからはっきりする、こういうことで理解してよろしいですか。
  202. 高橋浩二

    高橋説明員 調査費でございますので、一件一件幾らということまで決めなくても、私の方で必要に応じて調査を進めながら、あとどういうものを追加するかということがございますので、そうぴしゃっと工事のように幾らというふうには決まらなくても、おおむねどういう調査をするかということは決めてまいりたいと思っております。
  203. 山田芳治

    山田(芳)分科員 そうすると、五十二年度の調査等でおおむね次の見通しが立つくらいの調査という考え方に立ってよろしいですか。
  204. 高橋浩二

    高橋説明員 おおむねそのように考えております。
  205. 山田芳治

    山田(芳)分科員 山陰線の複線電化については、個別的に、各党全員また運輸省国鉄へいろいろ要請活動をいたしたいと思いますから、それに譲ります。  引き続いて、先ほど話がありました片町線ですね。これは長尾まで複線電化が行われているのですが、これは大阪側だけなんです。実は京都に、隣の駅に田辺という駅があるのですが、田辺と長尾間は猛烈なる宅地開発が行われる可能性があります。京都府の住宅供給公社で非常な開発が行われている。だからせめて田辺まで一駅間だけ複線電化をして延ばしてくれないだろうかというのが団地の人たちの強い要請で、私も何遍か大阪鉄道管理局長に地域住民の人や町長等と要請をしているのですが、長尾までで打ち切らんと田辺までもう一駅延ばすことが通勤の問題として非常に必要である。というのは、夜おそく田辺に帰る人が長尾まで来ると、長尾までは複線で行くのでスムーズに行くけれども、一駅が単線であって、しかもそれを待つのに一時間も待たなければ連絡用の電車が来ない、こういうことになっているわけでありますが、片町線をもう一駅だけ複線電化を延長することによって非常な通勤の効率と乗客が確保できるというふうに考えられるわけでありますが、この点について国鉄当局の御意見はいかがでしょうか。
  206. 高橋浩二

    高橋説明員 片町線の複線化を計画いたしましたのはもう四、五年前からでございます。実体の工事はいろいろの都合でおくれて、まだ完成までには数年を要するというのがただいま今日の状況でございます。当時は一応長尾で旅客輸送が段落ちするという考え方でそういうふうに計画いたしましたけれども、いま先生のおっしゃるように、その後の住宅の開発その他が長尾の先の方にも延びているということもまた事実かと思います。それやこれやをいろいろ調べまして、どこまで複線化したらいいのかということは、そういう都市の進展、住宅の開発等をにらみまして、私の方も調査をして考えてまいりたいというふうには考えております。
  207. 山田芳治

    山田(芳)分科員 複線電化が田辺の駅まで一遍に来られないとするならば、片町線で田辺と長尾の間が一番長いのですから、その中間に、住宅地のそばに臨時に朝晩にでも停車ができる臨時駅でもせめて一つ置いてほしいという要請が地元にある。これはここで新しく申し上げているのではなくて、鉄道監督局長には何遍も言うておるのですが、技術的に若干問題があるということで検討する、検討するということであるわけですけれども、せめて臨時の停車駅、朝晩だけピーク時にとまるということで、住宅地の住民がどれだけ便利な思いをするかということになっておりますので、ここで答弁は要りませんから、それを私もまた監督局並びに国鉄へいろいろと要請をしてまいりたいと思いますから、含んでおいていただきたいというふうに思います。  それから、あわせて奈良線の複線化をぜひやってほしいというのが地元の要求であります。木津川の右岸には私鉄が走っておりません。京都と奈良の間の奈良線というのは単線でございます。これは先ほどから申し上げましたように、山陰線の複線電化もあるし、せめて田辺までの複線電化の延長もありますから、すぐにどうしろとは申しませんけれども、奈良線についてもひとつ考えてほしいということは、先ほど申し上げましたように、近畿の南部はわりにいいのですけれども、京都を含めた北部の方は、南部に比べて国鉄はわりに手厚い措置をとってないのではないだろうかというふうに、ひがみかもしれませんが、われわれは考えるので、そういう点を含めて検討しておいてほしいと思います。国鉄には以上で終わりますから、どうぞ結構でございます。  次は、今度のいわゆる過疎バスの助成の問題についてお伺いしたいと思います。  地方バス運行対策の問題でありますが、生活路線維持費補助金並びに平均乗車密度五人未満の路線に対する維持費補助金等は前年に比べて一億二千万ばかり増額をされているわけでありますが、この措置は非常に結構だと思うのです。問題は、私は地方行政におるわけでありまして都市交通のことについて担当をさしていただいておりますが、都市交通では過去債務については再建債という形で全部たな上げをして、それに対する利子補給をして、また元利の補給には地方交付税で六〇%程度のものをめんどうを見ているわけですね。要するに民間のバス、特に中小バスで過疎地域を走るところは赤字になるのがあたりまえであります。五人未満の路線に対する助成を出していただいているということも、とても採算が合わないが住民の足を守るために必要だ、こういうわけですから、そういう意味では五人未満の対策ということは非常に評価していいと思うので、われわれも非常にありがたいことだと思っております。  しかし、問題は過去の累積債務があるわけです。その累積債務の利子が非常に経営を圧迫している。利子が孫利子を生み、その孫利子がまた孫孫利子、曽孫利子を生むという形になって困っているわけです。ですから、都市交通ではとにかく一定の時期における過去の累積赤字はぽんとたな上げをする、将来に向かって採算がとれるという形にしていけば、これは将来に対する再建計画の中で採算がとれれば、それは利益なんかとても出やせぬけれども、とにかく路線が回っていく。ところが、確かに将来に向かって五人未満のものあるいは生活路線維持費補助金、それは結構です。非常にありがたいことだと思うけれども、問題は過去からの債務があるわけです。これが行われたのはここ二年か三年前ですね。だから、それの前の債務というものが累積をしている。だから、これを一時たな上げして、それに対する利子補給という形がどうしても必要だ。今回新たに——いままでは経常経費と収入との差を補助するという形を地方公共団体とともにとっていただいて、来年度は伺ったところによると、そういう過去のものの利子分等も含めて助成をしていくというお話でありますが、ここで問題になるのは、やはり一時たな上げをぜひさせてやれないだろうか。都市交通にできることがどうして民間バスにできないのだろうか。もちろん大企業の大きなバス会社ならば付帯事業その他によって、その他の営業外の収入があるかもしれないけれども、いわゆる過疎地域を走るバスにそんな付帯事業なんかありようはずもないわけですから、過去債務は一時たな上げをするということについて、それのあっせんなり、あるいはそれの利子補給なりというような再建計画というか、そういうものが考えられないのであろうかということが一点と、それから今回の五十二億六千七百万円の生活路線維持費補助金が、新たなる項目がふえたというお話でありますが、それの考え方についてお話をお伺いしたいと思います。
  208. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 全般的に見ますと、乗り合いバス事業の経営状態というのは四十九年度が一番危機的状態にございまして、これを底としまして、五十年度、五十一年度の状態を見ますと、回復の状態になってきまして、四十八年度程度の状況になっておるわけであります。しかし、先生おっしゃるように、地方バスの中で依然として経営状態が悪くて、累積欠損を抱えておるというのが見受けられるわけであります。  こういう状況をどうやって是正していくかということになりますと、やはり何といっても積極的な経営改善努力というのが第一だろうと思います。また、適正な運賃を実施していく、それから先ほど先生も触れられた地方バス補助制度による補助金というのをあわせて考えていかなければならないというふうに基本的には思っておるわけであります。今回の五十二年度予算案におきまして、生活路線維持費補助金五十二億六千七百万円という中で、中身の充実という点で、一つは従来営業収支の差に対する補助対象経費として考えておったというものを、経常収支の差、営業外収支も含めて考えていこう、こういう考え方になっておるわけであります。  累積欠損について、都市交通、特に公営と同じように民間についてもどうかというお尋ねがあったわけでありますが、私どもの方としては、累積欠損にもいろいろ中身があると思うわけであります。その経営状態から今後を見通した場合に、それが回復できないものであるかどうか、地方バスの助成をやる場合に、経営改善計画というものを前提にして助成を行っていくわけでございまして、そういった中で、累積欠損問題につきましてもいろいろな事情から発生しておると思いますが、その状況を個別的にいろいろ検討をしていって、どうするかという問題の結論を出していかなければならぬ、かように考えております。
  209. 山田芳治

    山田(芳)分科員 おっしゃったように、合理化計画、運賃の適正化という問題は当然考えなければならないと思いますが、これには、一つの認可事項でもあり、いろいろの手続も必要です。だから、それは目いっぱいやるとしても、過去の債務が非常に経営を圧迫をしている。はっきり言うと、それの利子に追われているということですね。ですから、いろいろあります、あるでしょうけれども、少なくともそれは運輸省でよくごらんになって、ひとつこれだけはたな上げをして何らかの措置をしていけば、利子補給なり何なりしておけば、将来に向かってペイをし、少しでも元金は返していけるというような仕組みをぜひひとつ考えて——私は全部に言っているのじゃないですよ。過疎の路線等におけるところの問題を申し上げておるわけだから、そこから収益を生んできてそれで返せるという状況ではなくて、そういう過疎バスのようなところで、過去の累積欠損というものの利子が非常に経営を圧迫しておるのではないか、こういう場合に、運輸省の示す合理化計画なり健全化計画、そういうものに乗れば、金融の問題を含めて少しめんどうを見てやるというようなところまでいかないと、なかなか経営が苦しい。都市交通は、私は自分で担当しておりますけれども、そういう意味では若干親方日の丸だというようなところがないではない。そう言うと自治省にしかられるかもしれないけれども、私も自治省の出身者ですからお許しをいただくとして、率直に言って、バランスの上からやはり手厚いと思うのです。今度、市町村の代替バスの方は新規に運行費までお認めになられて、市町村に運行費を補助される新規事業が認められたということですね。それはそれで結構なことだと思いますが、いま言ったような民間の中小バスで、しかも過疎路線を非常に抱えておるというところは、過去債務に非常に困っている。そういうところで金融の見通しその他がきちっとつけば、それなりにまた合理化計画なり再建計画を含めて組合の諸君とも話をしながら、将来に向かってどうして足を守っていくかということのめどが立つという段階で、もう少し手厚い——都市交通と同じではないとおっしゃるかもしれませんけれども、市町村のバスには運行費まで援助されるという新しい事業まで考えられてくる段階ですから、そういう民間バスには金融措置を含めて、利子補給等を含めてひとつ新しいことを考えてやれないものだろうか、都市交通との間における過疎バスについてのバランスというものは考えられないかということについて、もう一遍お答えをいただきたい。
  210. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 市町村の代替バスの補助につきましては、先生がおっしゃったように、従来の車両購入費補助に加えて運行費までめんどうを見るように考えておるじゃないかというお話でございますが、民間の生活路線維持費の場合もそういった経常経費の赤に対して補助対象としてとらえていくというので、そこの間にそうバランスがとれてないことはないわけであります。  それで、先ほども申し上げましたように、累積欠損の問題につきましては、われわれとしてはぜひ内容を調査分析してみたいと思っております。それから、先生も言われたように、全体じゃないのだ、過疎路線にかかわるものだ、こういうようなお話もございますので、そういった点をふるい分け等をいたしまして内容の分析をやってみたい、かように考えております。
  211. 山田芳治

    山田(芳)分科員 また個別的に相談に行きますから、親切に指導なり手厚い措置をしていただくということを要請して、私の質問を終わります。
  212. 住栄作

    ○住主査代理 これにて山田芳治君の質疑は終了しました。  この際、申し上げます。  小川国彦君及び柴田睦夫君の質疑に対し、参考人として本日、新東京国際空港公団総裁大塚茂君、理事丸居幹一君、理事角坂仁忠君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  質疑を続行いたします。小川国彦君。
  213. 小川国彦

    小川(国)分科員 成田空港の問題に関連しまして、田村運輸大臣予算委員会空港公団の違法な業務について質問をいたしました。その中では、御承知のように、五年四カ月にわたって空港公団が業務方法書について大臣認可を受けずに違法な業務を遂行してきた。この点については、公団総裁からも、その手続を行わなかったことについては、手続を欠いたことは事実である、こういうことを申されたわけでございます。各種公団がございますけれども、五年四カ月も業務方法書の認可を受けずに業務をやってきた、少なくともこういう公団は他にないわけでございます。  しかも、公団法を見ますと、公団法の罰則という規定の中に「第三十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。」それから、第四十二条でございますが、「次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員は、三万円以下の過料に処する。」「この法律により運輸大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。」こういうふうに、業務方法書を作成するということに対して厳しく公団の役員の任務を定めておるわけです。ところが、現実には五年四カ月、違法業務、無認可業務が行われてきた。その間には代執行のような、個人の人権を侵害するような非常に重大な不法行為まで行われてきておる。  これは監督責任を持つ大臣としても、当然空港公団に対しての監督指導の責任もあると思いますし、それから公団法を守っていくという立場もあると思いますが、その点についてどういう法的、行政的な措置をおとりになったか、その点をまずお伺いしたい。
  214. 田村元

    田村国務大臣 仰せのとおりだと思います。  そこで、まず結論から申し上げますと、確かに違法行為を行った事実があります。私は、この前小川さんから御質問があって、あの節私、余り詳しく存じなかったものですから、その後調べました。そうしますと、昭和四十六年十月一日に公団総裁から始末書の提出があって、十一月二十七日には航空局長から公団総裁に対し厳重注意を行っておる、すでに処置済みである、こういうことでございました。  そこで、業務方法書でございますが、業務方法書は、確かにこれは作成し、認可を受けなければならないものでございます。ただ私、これを調べまして、一面においてきわめて腹立たしく感じ、一面においてこれが土地収用法の事業認定その他に大きな影響がなければよいがと憂慮をいたしたのでありましたが、詳しく法的に調べてみますと、これは公団法第二十条に定められている公団の業務を適確に遂行していくというためのものであって、換言すれば、運輸大臣が公団の業務を監督するために必要とされたものであるということであります。公団が業務方法書の認可を受けなかったことは、監督の秩序に違反したものでありますから、まことにけしからぬ話でありますが、ただ業務方法書の認可の有無というものは、公団と第三者との間の法律関係に直接影響を及ぼすものではないということが法律の趣旨であるということであります。
  215. 小川国彦

    小川(国)分科員 いま初めて四十六年十月一日に始末書を提出して云々ということを伺ったわけですが、昭和四十六年十月一日は、業務方法書の申請を出された日なんですね。その出された日にもう始末書までついている。こういうことは、みずから五年四カ月にわたって違法業務をやってきた、こういう事実を認められたわけで、しかも地域の住民に対しては、土地収用法による事業認定の申請を事業の施行者として行っているのですね。そして、農民の土地を緊急性があるからといってこれも法のもとに執行しておるわけです。立ち退き、取り壊し、そういうことをやっているわけです。そういう公団が、単なる一片の始末書を提出しただけで、五年四カ月この法に定められたことを行わず、しかもこういう認可を受けなくてやった場合には法の罰則規定まであるわけです。  そうすると、大臣、国のあらゆる法律、公団法といえどもその中の一つなんですよ、その法違反を犯したことに対して、始末書一片の提出でこれを済ますということになったら、これは法治国家でもなければ民主主義国家でもないわけですよ。違法を犯しても始末書一つ出せば済むということになってしまいましたら、法は行われないことになると思うのですね、あらゆる法が。この点については、大臣、やはり公団法という法に基づいて定められた責任というものは始末書一片で私は片づけられない問題だと思うのですね。その点については、もう一度大臣の所信を伺いたい。
  216. 田村元

    田村国務大臣 その当時どのようないきさつで始末書あるいは厳重注意ということの処分をしたか、それは私にはわかりません。わかりませんが、いかに運輸大臣の監督上の問題に対する違反である、公団と第三者との間にその効力を及ぼすものではないと言いながらも、恐らくそのときに私が大臣であったならば、もっと厳しい処分をしたであろうと思います。
  217. 小川国彦

    小川(国)分科員 その点については、大臣がかわってしまえばもう処分の方針が変わってしまうということでは、これは困るわけで、やはり大臣がかわろうがかわるまいが、法律というのは常に守らなければならないというたてまえがあると思う。こういうことで済むならば、一般の人たちが違反を犯しても、警察に始末書を出して厳重注意で済むならば、法律は要らないと思うのですよ。だから、この点に対する運輸省当局のあり方というものは、これは全体としてやはり厳しく反省する必要があると私は思う。そうじゃなければ、一体この法はだれが守るのかということになるわけですよ。  まだ私、これは時効成立していないと思いますが、これの告発があった場合、どういうふうにこれを処置されますか。
  218. 田村元

    田村国務大臣 国会の一事不再議ほど厳しいものではないかもしれませんが、いずれにしても、私の前任者が処分をされたことである。でありますから、同じ人間が同じ事案についての違反をしたということについて、前任者がその処分をされた場合に、いま私が改めてそれをほじくり返すことのよしあしということを考えればいささか慎重にならざるを得ませんが、仮に告発でもあればそのときに考えなければならぬ問題で、いまから告発を予想してお答えを申し上げることは少し妥当でないかと存じます。
  219. 小川国彦

    小川(国)分科員 法違反が告発をされなければ処分をされないということは大変残念なことでございますが、この点については質問を留保いたしまして、さらに次の問題に話を進めてまいりたいと思います。  次に、先日の委員会で、銚子のボルタックの設置の問題について、運輸省が現地に配布した文書と現在のこのボルタックに対する取り組み方が非常に異なってきている、こういう実態があることを私は指摘いたしましたが、この点について改めて銚子市長に対してその後了解は得られたのかどうか、この一点をちょっとお伺いしたいとい思います。
  220. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 この件のいきさつにつきましては、先日の予算委員会のときに私どもの次長から御説明をしたとおりでございますが、私ども、そういったことでございますので、何とか早く銚子の市長さんに対して事情を御説明し、御納得を得たいと思っておりますが、今日までのところまだ正式なアプローチをしておりません。できるだけ早くいたしたいと思っております。
  221. 小川国彦

    小川(国)分科員 「利根川上空から銚子市上空を飛行コースにしようとすることは、市民の市に対する信頼を裏切ることにもなり、市もかかる不信行為は到底容認することができないので、当初の確約どおり、銚子市上空を飛行コースに設定しないことを強く陳情します。昭和五十二年一月二十八日 運輸大臣田村元殿 銚子市長嶋田隆」こういう陳情書が大臣あてに出されているわけでございますが、銚子の市長も、市民に対してこれは背信行為になるということで絶対に容認できない。銚子市議会も同様の決議をしております。  これについて、大臣としては、運輸省当局が銚子上空を通らないという約束のもとにボルタックを設置して、その後において上空を通るということは、これは運輸省の威信にかかわる不信行為になるのではないか、こういうように考えますので、この飛行コースを設定したということを撤回する、こういうことを運輸大臣の立場から明言をされて、そうした銚子の市長が、これは自民党の市長さんですが、政府に一杯食わされた、こういうようなことを言っている状況というものを解消するためにも、上空は通らない、こういうことを私は明言さるべきじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  222. 田村元

    田村国務大臣 最初は、羽田の飛行場からのコースをとろうとしたようであります。それが、いろいろな諸制約が加わりまして、なかなかやっかいなことになってきた。諸制約と申しますのは、離着陸のための飛行を除く千葉県内の飛行高度は六千フィート以上とするということとか、あるいは利根川−九十九里浜間は直進上昇、直進進入とするということ、あるいは鹿島コンビナート上空の飛行への反対が出た、人家密集地区の上空はできる限り飛ばないでもらいたいという要望が出たということとか、いろいろな諸制約が加わりました。  でありますので、運輸省といたしましては、なおも誠意をもって根気強く銚子の市長さん等にお願いを申し上げ、御理解を得るように努力をする、こういう気持ちで今日おります。
  223. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣、幾ら誠意をもって話をするといいましても、成田空港に関連する仕事の進め方というのは、いま言ったように、法律違反を犯しても、これは始末書を出せば厳重注意で済む。銚子市に対しても、これは「広報ちょうし」の市政便りですが、この中の「無線航行援助施設が完成 航空機の航行安全を確保」という、この広報の原稿は運輸省役人が書いたものだそうです。銚子上空を通らないということを運輸省役人が書いたものを銚子十万市民に配布しているわけですよ。上空を通らないという約束で、ここに写真まで写っているボルタックをつくらせて、そして、なおかつ本年の一月末においても、銚子市長として市民に裏切りになるから絶対容認できないというものを、それをいかに誠意をもって説得しようと言っても、こういう二枚舌といいますか、二重手形といいますか、こういう不信行為を犯して、それを納得してもらおうというようなことは、やはり上級官庁ともいうべき運輸省がやるべきことではないと思うのですね。まさにだまし討ちですよ。大臣言われるように、九十九里から出入りする飛行機に位置を知らせるためにボルタックをつくるんだからつくらしてくれと言って、つくってしまったら、今度は、その上を飛ばしてもらう施設だから上を飛ばしてくれというのは、これはまさにだまし討ちですよ。これは撤回するのが——まさに行政の中央官庁としても、運輸省としても、たとえ十万市民に対してもそういうだまし討ち的なことを私は容認しろというのは無理ではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、この点、大臣としてもう一度再検討し、良識に基づいて考え直すお考えはないかどうかですね。
  224. 田村元

    田村国務大臣 これだけの大きな工事でありますし、何さま飛行機がたくさん飛ぶという問題でありますから、これを進めることはなかなかむずかしいことです。まさに一方を立てれば一方立たずということが残ります。でありますから、私どもとしては、いや上級官庁の威信がどうだ、面目がどうだ、そういうような権威的な考え方を捨てて、とにかく一生懸命にお願いを申し上げる、そのようにしてとにかくお願い申し上げなさい、場合によったら私も手をつこう、こういうように実は申しておる次第でございます。
  225. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣、私は威信のことを言っているのじゃないのですよ。少なくともだましてはいけないということを言っているわけですよ。運輸省ともあろう役所が、通らないからつくらしてくれと言って、つくってしまってから通らしてくれというのは、これはだますことですよ。人間として一番恥ずかしいことですよ。そういうことを、役所がだましてやっていいかどうかということです。だましたということですよ、これは。あれこれしたということじゃないですよ。成田空港をつくった時点から、飛行コースは、羽田へ出入りする空路と百里の自衛隊基地へ出入りする空路のその空域の間にあって、どこを飛ばなければならないかということは、運輸省の航空局長さんもおいでですけれども、ベテランの航空の専門家が、どこを通らなければならないかというのは、その空域の間に設定するとしたら、おのずからわかっているはずですよ。そういうわかっていることを、通らないなどと言ってつくって、そして、できてしまったら上を通してくれ、こういうだますということが大臣、いいとお思いになりますか。
  226. 田村元

    田村国務大臣 だますということは、まずそれを実行に着手するときの時点でだますことを前提とするのをだますというのです。この場合はだますのではないのです。事志と違って、本当に困り果てておるというのが真相のようでございます。でありますから、だますということは悪意の話なんです。そうじゃなくて、いま言ったように、諸制約が加わって、そこで非常に困り果てて、ただひたすらに哀訴懇願を申し上げておるというのが今日の現状でございます。
  227. 小川国彦

    小川(国)分科員 何遍も繰り返しますが、大臣、こういう地元に配る文書を運輸省でみずからつくっているのです、通らないという文書を。そういうわずか五年か十年の間に、やることがそんなにネコの目のようにぐるぐる変わる役所であって、どうして住民に、安心して空港をつくることに協力をしてくれ、理解してくれと言ったって理解できますか。こういうだまし討ちのようなことをやって、住民が理解できると思いますか。公団法の先ほどの問題だって同様なことですよ。そういう点では、大臣が何遍繰り返して答弁されても、だましたことはやはりだましたことだと私は思うのです。だから、その点については、銚子市が納得しない限りこの問題については改めて考え直すべきではないか、私はこういうふうに、これは強くもう一度主張しておきます。  その次に、この問題に関連して、飛行コースの問題をいまだに明らかにしてないわけです。これに対しては、テスト飛行をやってくれという地元の要望もありますが、これもまだ実現をしてない。この問題については、騒音鉄塔があるからと言いますけれども、平穏な日に飛べば——騒音鉄塔が立っているのは滑走路の一方の側に立っているわけで、風向きによってはもう一方の側から出入りするわけですから、当然テスト飛行もやればできるわけです。運輸大臣は、関西新空港についていろいろな情報や事実を住民にどんどん知らせると言っているわけですが、この飛行コースの問題も十一年たっておりまして、いまだにこの住民に知らせようとしてないわけです。直進上昇、直進降下というならば、内陸に向かって直進上昇した飛行機はどこで旋回するのか、どこへ抜けるのか、いま大臣の答弁で、はしなくもボルタックは変更する意思はないということを言っているわけです。結局ボルタックはその上空を通るということになりますと、おのずから飛行コースは成田空港から内陸に上がっていって、どこかで旋回して銚子の上空を通らなければならないということになると思うのです。そうすると、飛行コースは素人の私どもが考えてもそこにラインが引かれることは想像されるのですよ。そういうきわめて平易にわかる事実を、なぜいまの段階でも住民に知らせることができないのか。どこの地域ならば高度は何メートル、騒音の影響度はどのくらい、どういう対策をします、こういうようなことを当然空港をつくる側として、これは運輸大臣もただ飛行場をつくるだけのことを考えている大臣とは私は思いません。やはり環境問題についても、地域住民の生活に与える諸影響についても十分お考えになっているはずだと思うのです。  そういう点から言うならば、すでに明らかになっている——運輸省内部では当然明らかになっていると私は思いますが、その飛行コース、テスト飛行、なぜそういうことをやって、住民の前にそういう影響を明らかにするということができないのか。隠していけばいい、だましてやってしまえばいい、こういう考え方ではなくて、やはり民主主義の政治の根本は知らせるということが一番大事ですから、飛行コースについても速やかに住民に知らせるという考え方を持つべきだと思うのですが、その点はどういうふうに大臣はお考えになりますか。
  228. 田村元

    田村国務大臣 率直に言って、飛行コースの問題は、私自身が事務当局から報告を受けておりません。あるいは私にわざとしゃべらないのじゃないかということになるかもしれませんが、事実私は報告を受けておりません。私が報告を受けておりますことは、ICAOの取り決め、それからIATAの要望によって、少なくとも開港三カ月前には公表を行わなければならぬ、そのために今日いろいろと調査をしたり努力をしておるところでございます。こういう報告を私は受けておる。私自身が飛行コースはまだ知りません。
  229. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは重大な問題ですね。成田空港の飛行コースという、もう自民党なり政府の考え方で言えば年内開港と言っているのに、その飛行コースをすら運輸大臣に知らしめてないというところにいまの航空局の重大な問題があると私は思います。  航空局長はそのコースを御存じですか。
  230. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 私もまだ聞いておりません。実は管制技術の大変高度に専門的な問題でございますので、現在局内の管制の専門家が集まって鋭意詰めている最中でございまして、まだ若干の詰めを残しておりますので、その詰めを行った上で、私、説明を聞きまして、そうして対外的にすべきものはするという段取りになると思います。なるべく早くやりたいということで、努力をいたしておりますけれども、現在のところはまだ担当官の詰めが終わってないという現状でございます。
  231. 小川国彦

    小川(国)分科員 大変にあきれた話で、運輸大臣も航空局長も、十一月開港と言っている飛行場の飛行機の飛行コースも知らない。そういう無定見さがいままでのいろんな問題を引き起こしてきている。また、裏返して言えば、航空局長もボルタックの問題については理解してもらいたいと言っているのです。ボルタックを理解してもらうためには、飛行コースが決まっていなければ、ボルタックを理解してもらうことは必要がないじゃないですか、航空局長どう思いますか。
  232. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 仰せのとおりでございます。  そこで、飛行コースを最終的にきちんと決めまして、それとの関連でボルタックの点も地元と十分お話し合いをしなければならない、こう思っております。
  233. 小川国彦

    小川(国)分科員 そういう問題については、これは運輸大臣、私は、ひた隠しに隠しているという以外に、常識的に考えてみて、日本の官庁の秘密主義といいますか、そういうものがこういう事態を引き起こしているのだと思いますので、威信を繰り返しては恐縮ですが、やはり大臣の威信にかけて、そういう飛行コースの問題についてはひとつ明確にしていただきたい。少なくとも三カ月ということではなくて、速やかな時点でこれを明らかにする、そういうことをひとつ努力するということでも結構でございますから、大臣からひとつ御答弁願いたいと思います。
  234. 田村元

    田村国務大臣 もし仮に飛行コースが決まっておって、私に故意に隠しておるとするならば、その役人は処分します。これは私は許すことはできません。私自身に対して、飛行コースはまだ決まってないという報告であります。  しかし、それはそれとして、小川さんいまおっしゃったこと、お気持ちとしてよくわかります。いまおっしゃったように努力をいたしましょう。
  235. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、羽田の拡張の問題について触れてみたいのですが、成田空港の決定時に、当時友納知事が佐藤総理に対して、成田空港を建設するに当たっては、羽田を同時に拡張してもらいたい。これは成田だけに過重な負担をしょわされるということが地域社会に与える影響からそういう要望をしたわけです。しかし、運輸省はその後さっぱり羽田拡張に対してどういう取り組みをするかということは明確になっていない。  御承知のように、沖合いには、東京都のごみ焼却場として、現在の広さ四百二十ヘクタールですか、いまの羽田空港の沖合いに四百七十ヘクタールの埋立地がある。ところが、また最近は、その先の海上空港という案まで出ている。羽田が過密だと皆さんがお言いになっていらっしゃるのですが、十一年間の成田空港の推移を見てみますと、運輸省はさっぱりこの沖合い移転の問題、沖合い拡張の問題をどうするのかという明確な態度がないわけですね。いろいろな資料を見ますと、東京都は同規模移転でなければ絶対だめだ。大田区もそう言っているようです。しかし、運輸省は、国土庁に対する審議会の申し立てでは拡張だという考え方を持っておられるようなんです。そういう考えを持っておりながら、具体的な対策というものは、運輸省の方針としては、放置してきているのではないか、こういうふうに受け取れるのですが、その点はどういうふうに羽田の問題をお考えになりますか。
  236. 田村元

    田村国務大臣 過去において放置をしてきたのかどうか、私は経緯を存じませんが、つい先ごろ美濃部知事が私のところへいらしたのです。そして、羽田の問題、それから調布の飛行場の問題、あるいは運賃値上げの問題、雑談程度でありますが、新幹線の問題等出ました。  そのときに、従来率直なことを言って、国と東京都との間に羽田問題では意見の一致は見られなかった。美濃部さんから、田村さん、どうですか、この際いまの羽田空港を地元と相談をして有益に使いたいと思うが、沖合いへ移転してくれませんか、こういう話が出ました。私は美濃部さんに対して、よくわかりました、そうしようじゃありませんか、こう言って実は決断を下してお答えをいたしました。  ただ、いま小川さん、拡張ということをおっしゃいますけれども、これはさっきもあなたがおっしゃったように、大田区の問題等もございます。そう簡単に大きな拡張ができるわけでもありませんし、また船の航路の問題があります。航路の問題がありますから、沖合いへ大きく突き出すということは不可能です。でありますから、運輸省としては、現在十七万回程度の年間の離着陸が行われておるわけでありますが、欲を言えば二十四、五万回、大体二十万回程度になろうかと思いますが、その程度のことで、一度お互いに事務当局同士で話し合いましょうよ、同じ話し合うなら急ごうじゃありませんか、こういう実は美濃部さんとまことに友好裏の話し合いをいたしました。  従来の経緯のことは私はよく存じませんし、また前任者のことについて触れたくもありませんけれども、私が運輸大臣に就任してからは、そういう懸案問題について、特に運輸省のメンツとかセクト主義とか、あるいはつけ込むような欲望とか、そういうものはすべて捨てて話し合おう、結論を出そう、こういう姿勢で今日臨んで、美濃部さんとの合意に達したわけであります。
  237. 小川国彦

    小川(国)分科員 この問題については、もう時間になりましたので、皆さん方の首都圏基本計画に出された原案では拡張という考え方を出しておりますし、それから都の考え方は同規模移転でなければならない、そうして政府の最終決定は、運輸省の示している原案と同じ、こういうことでございますので、大臣としてはこの問題のめどはいつごろまでに結論を出すというお考えを持っていらっしゃるのか、それを伺って終わりたいと思います。
  238. 田村元

    田村国務大臣 実は、いつごろまでと言われると、相手のあることなので困りますけれども、美濃部さんと別れ際に、またちょこちょこお目にかかりましょう、こういうことで別れました。美濃部さんも、ときどき来ますよ、こういうことでございました。でありますから、事務当局を督促して、率直に言って、東京都にも大きな事務局があるわけでございますから、督促をして話し合いをさせ、できる限りの、それは俗に言う可及的速やかという意味でなしに、本当の意味ででき得る限り早く結論を出すように、私自身も督促をするつもりでありますし、また美濃部さん自身もそのようなお気持ちのように見受けられました。  ただ、私と美濃部さんだけの話でこれは決まる問題じゃないので、地元の大田区という問題がございます。でありますから、三者が協議できるような場をこれからどんどんと持とうじゃないか、こういうことにいたしております。
  239. 小川国彦

    小川(国)分科員 終わります。
  240. 住栄作

    ○住主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  241. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 最初に、成田空港の問題に関連してお尋ねしたいと思います。  福田内閣は、成田空港の年内開港、ことし開港ということを言っているわけですが、成田空港の設置が閣議決定されて、今日ではもう十年半を経過しております。国の投資だけで二千億円、地方公共団体その他民間も入れると全体で六千億円の投資が長い間活用されず、国家財政の大きなむだ遣いになっております。さらに、地元の千葉県、現地の成田市、芝山町、こうしたところでは、先行投資のために地方財政の危機をいま一層ひどいものにしているわけです。運輸省の方では、鉄塔と燃料輸送問題の見通しがついたので開港できるということを言っておりますけれども、実際の問題としては、地元が当面している諸問題を解決していくことが開港に至る基本であるというように私は考えております。  そこで、政府は早期開港ということを言う中で計画しておりました新幹線のめどが立たないので、開港後の交通対策といたしましては、道路に六割、鉄道に四割、鉄道はこれは在来線を使うわけですが、こうなりますと国鉄の成田駅が中心になってまいります。成田駅の混雑がそこで当然に予想されるわけで、これに対して成田市では、成田駅を橋上駅化して駅前をターミナル化する、こういう解決策を考えているのですが、運輸省はこの成田市の考え方に対してどう対応するつもりであるか、まずお伺いしたいと思います。
  242. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  成田の駅の橋上化は非常に急がなければならない問題でございまして、現在この工事をするためにかかるお金をどういうふうにして分担し合うかという、国鉄と国側、成田市を含む県側との間で分担の仕方の検討をしておりますが、ごく近い期間のうちにこの詰めをいたしまして、早急に着工いたしたいと思っております。
  243. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 わかりましたが、この国鉄の駅を橋上化する場合、いまの制度のもとでは一切地元の負担ということに一般的にはなるわけです。成田駅について見ますと、十三億三千万円が成田市の負担になる。空港関連で一般予算を超える五十億の先行投資を成田市はすでにしているわけで、こういう市ではとても負担できる額ではない。そこで、空港公団法の第二十条の第一項の各号、これを正しく運用していけば、開港する上において当然必要となる成田駅の整備費用、これは公団が負担できるというように考えられるのですけれども、成田市の負担分を公団が全部持つ、これが私は当然だと思うのですけれども、公団の考え方をお伺いしたいと思います。
  244. 大塚茂

    ○大塚参考人 公団といたしましても、空港に参ります方々があの駅を当然利用することになりますし、それが原因となって橋上駅化を図るということになりますので、地元とよく相談をしまして応分の負担をいたしたいというふうに考えております。
  245. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 結局、空港ができることによってやらなければならない問題である。そういう意味で、応分の負担がどういうことになるのか。  私はこれは市の負担、いままで市に負担させる筋合いのもの、これをやはり公団が全部負担するような、そういう方向で考えなければならないということを指摘しておきたいと思います。  次に、騒音の問題ですが、運輸省は昨年の一月に騒音区域の告示をいたしました。これはA滑走路に関する騒音区域であるわけです。この騒音区域は、現在の羽田の国際線の実績であります一日百五十二便を基準にしております。しかし、運輸省の需要予測の方、これを見てみますと、発着回数は年々増加するというような予測が立っております。現在のA滑走路に関する騒音区域について、今後修正変更の必要が生じる可能性があると思うのです。こういう事態になった場合において、運輸省指定区域について実際に対応できるよう自治体との協議が当然必要ですけれども、そうしたものを踏まえて修正するということが約束できるかどうか、お伺いします。
  246. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 開港後の発着回数をよく調べまして、それに適応した修正をする用意はございます。
  247. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 周辺市町村の問題として見てみますと、一つは芝山町ですけれども、ここは全町がほとんど騒音地区になる、こういう状況にあるわけで、そういう中で町自体が、いまこの町の存立といいますか、さらに町の振興開発、こうした問題について将来に向かって大変な危惧が持たれているわけです。その解決のために芝山町は国に対して十一項目の要望を出しておりますけれども、その中で鉄道がない町として、またこの空港ができて空港の裏側の町になる、そういう心配のある町として、芝山町では鉄道を延伸してほしいという要望が非常に強いわけですけれども、運輸省のこれに対する考え方をお伺いしたいと思います。
  248. 住田正二

    ○住田政府委員 京成電鉄の空港線の延長の問題でございますけれども、昔、空港線をつくるというときに、将来九十九里浜の方へ延ばしたいというような構想は聞いております。しかし、最近、京成電鉄からあの空港線を延長したいというような具体的な話はまだ一切聞いておりません。
  249. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 京成電鉄の計画があればという問題のようですけれども、京成側の方は、いま資金の手当てができないということを言っているわけです。一方、芝山町の方は、現在の事態から見て、結局空港ができるとかえって町がさびれてしまう。そのために、現在、芝山町には鉄道もないわけですけれども、そういう中で京成あるいは国鉄、こうした鉄道が延ばされるということを要望しているわけで、単に京成に依存するということではなくて、進んで地元問題の解決として国が鉄道計画を立てる、こういうことでなければならないと思うのですけれども、それについて聞いているわけです。
  250. 住田正二

    ○住田政府委員 やはり鉄道の建設ということになりますと、建設主体がどのような計画を持つかということが先決の問題ではないかと思います。先ほど申し上げましたように、以前の構想として、将来延ばしたいというような話は聞いておりますけれども、最近の話として京成電鉄が具体的にどうこうしたいという話はまだ聞いていないわけであります。
  251. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 京成電鉄に任せないで国が進んで責任を持つ、こういう態度をとってもらいたいということを言っておきたいと思います。  次に、騒音工事の問題でありますけれども、この騒音指定区域内での民家の防音工事については、それぞれ人の住み方があるわけですから、それぞれの実態に合わせる必要があるわけです。  昭和四十九年の二月に航空機騒音防止法の改正が行われて、民家の防音にも空調設備などがつけられることになったわけですけれども、その前に昭和四十六年ごろから千葉県が実施してきた工事ではこれらのものはつけられていないわけで、法律改正の前後では防音工事の問題について差異ができてきているわけです。この差異が生じた部分については公団が実施すべきであるというように私は考えております。  そしてまた、民家の防音工事だけでなくて学校の防音工事について言いますと、たとえば三里塚小学校なんか先駆けて防音工事をしておりますけれども、テスト飛行をやったわけじゃないので、三十五ホン下がるということを言っても、実際に当たって教育上の支障が生じる場合があるかもしれない。そういう場合は、これはまたやり直すなりあるいは補強するなりという問題が出てくると思うのです。いま申し上げましたように、民間防音工事の差異を解消する問題、また学校防音工事について、将来を踏まえてこの補正をしていく、そういう考え方があるかどうか、お伺いします。
  252. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 お答えします。  空調問題は、御指摘のように五十年度から空調を入れました助成ができることになりましたが、それまでは県の方にお願いしまして、四十六年度から四十九年度までは確かにやっておりません。これはやはり全く不公平になるわけでございますので、いろいろな問題がございますが、これは公団におきまして実施いたしますように、前向きで検討いたしております。  それから第二点の学校の防音工事でございますが、御指摘のように、実際飛行機を飛ばしておりませんのでいわゆる三十五デシベルの低下の問題でありますが、これはあらゆる技術をもちまして万々間違いないと私どもは確信いたしておりますので、実際飛行機が飛びまして、いわゆる防音効果がなくて教育に支障があるということは万々ないと思っておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  253. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 万々ないと考えてやらなければならないし、またそうあってほしいのですけれども、地元の不安というものはそこにあるわけで、それに対してはもう万々ないと思っていたことがあったという場合には、ちゃんとやはり対策をとるということでなければならないと思うのです。  それから、成田市では学校防音に関する起債あるいは県の振興基金に対する元利償還が三億四百五十六万円ということになっております。このうち国が見るのは一億二千七百五十六万円ということになるわけですけれども、実は学校防音については、昭和四十六年の二月の十九日に当時の今井総裁と成田市長の間で、公団は成田市の財政に実質的に負担のないように協力し、迷惑にならないようにする、こういう覚書を出しているわけですが、そういう意味でも公団の責任で全額を負担するというのが筋だと思うのですけれども、これに対してのお考えをお伺いします。
  254. 角坂仁忠

    ○角坂参考人 学校防音工事に対しましては、いわゆる騒防法によりまして補助金が決まっております。いま御指摘のように、実質的に御負担をかけないようにするということがあったようでございます。このために非常に困難したわけでございますが、公団といたしましては、周辺市町村にそういう騒音等々に要します費用といたしまして、国際空港の周辺対策交付金というものの制度ができておりますので、これによりましてこの実現に当たりましてこの交付が認められまして、この枠の中で実質的な財政負担の軽減が図られるというふうに考えております。そのように御承知おき願いたいと思います。
  255. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 実質的に地元がこのために負担を、犠牲的な負担をこうむっていた問題を解決するという態度を貫いていかなければならないし、そうしたことをやらなければ本当の開港の基本的な条件が整わないというように考えるわけです。  空港関係はこの程度にいたしまして、質問の第二番目として、自賠責保険の未経過分の扱い方についてお尋ねしたいと思います。  自動車の購入に当たって、下取り車の自賠責保険料の未経過分は、当然ユーザーに返すべき性質のものであるわけです。ところがディーラーの方はこれをユーザーに返さないで、ディーラーが取ってしまうという事例があって、日本自動車ユーザーユニオンに聞いてみますと、その被害者は数千、数万に及ぶのではないか、こういうことであるわけです。私も、ただいま資料として配付していただいておりますこの中に書いてあります事例を聞いているんですが、その中から幾つかの事例を挙げますと、三重トヨペットの場合、一木さんというユーザーに対して、税金は返すが自賠責は会社の方針で返さないことになっている、こう言って保険証を持っていって、保険残存期間の七カ月分を取っていったということです。さらに東京トヨペットの亀戸営業所では、西口さんというユーザーから同じような手口で二万四千九百三十円を取っていった。さらにトヨタカローラ博多本社でも、同じような手口で井福さんというユーザーから保険残存期間十八カ月分を取っている。日産プリンスの文京営業所では、高橋さんというユーザーに対して、税金は返すが自賠責は返さない、これは他人が使うから、こう言っていわばごまかしているわけです。高橋さんが査定価格を見せてほしいと言うと、秘密だから見せられない、こう言って保険残存期間の二十カ月分をだまし取っている。さらに尼崎の日産では、矢島さんというユーザーから、自賠責は戸籍みたいなもので車について回るから返せないんだ、こうごまかして保険残存期間の十九カ月分をだまし取っているわけです。  こうした事例が、この資料に書いておきましたように、名古屋トヨタオート中部北営業所、京都トヨタ、トヨタ神奈川関内営業所、トヨタ神奈川横浜営業所、トヨタ東京オート文京、京都日産プリンス御池営業所、日産チェリー港北、日産プリンス三輪営業所、武蔵野日産プリンス、横浜日産モーター旭区、長野サニー、横浜日産モーター戸塚、日産チェリー摂津営業所、千代田三菱荒川、三菱コルト文京、こうした販売店で起こっているわけです。販売店の数ですでに二十を超えているわけですから、被害を受けているユーザーは、数百は超えているというように考えられます。全国的な実態を綿密に調査すれば、被害者の総数は数千から数万にも達するだろう、こう言われますし、さらにこれを五年前、十年前、そこまでさかのぼって調査をすれば、その規模は数十万件、金額にすると数十億円に達するのではないか、このように思われるわけです。  幾つかの事例を挙げておりますけれども、こういう事実を運輸省はいままでつかんでおられるのか、こういう問題に対してどのような指導をしているのか、お伺いしたいと思います。
  256. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 残存保険料の取り扱いにつきましては従来から下取り車の下取り価格に含めているのが商慣習だというふうに聞いておるわけです。しかしながら、五十年ごろにもこういった事例が出てまいりましたので、自動車販売協会連合会を通じまして、昨年から、下取り車の下取り価格に含めるとしましてもその額はユーザーに明示すべきであるという態度を運輸省としてはとっております。ユーザーからの新車の注文書あるいは下取り車の受領証に記載されておりますところの下取り車価格には、自賠責保険の未経過期間に対応する返戻保険料が含まれている、その金額を記載する注文書等の様式等も確認いたしておりまして、それで徹底を図っておるわけでありますが、いま先生お示しになったような事例がなおあるということであれば、今後われわれといたしましても、さらに販売業界の指導について強い態度で臨んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
  257. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 それでは運輸省の指導体制の問題ですけれども、この車の流通問題を担当する専任の担当官、これは本省に何人おられるわけですか。
  258. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 これを本省で担当しておりますのは、自動車局の整備部の管理課でございますが、そこで流通専門に担当しておる者は、ほかの仕事との兼務等含めまして三人程度でございます。
  259. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 その指導の体制から、聞いてみましても三人ということでありますし、それから指導の実態の問題ですけれども、いままでの指導の実態を聞いてみますと、果たして指導の名に値するかどうかというような疑問を持つわけです。  確かに運輸省通達を出されておりますけれども、この通達を受けた自販連の方は、事実上各支部に通達を出すだけであって、実効ある指導が行われていないというのが現状だと思うのです。この点につきまして、自販連の企画部長に来てもらって尋ねましたところ、この指導の趣旨が末端まで徹底していないので、これは特別な対策をとらない限り再発の防止ができないのだ、こういうような説明がありました。指導を受けている側が指導の趣旨が徹底しない、こう言っているのですから、まさに本当の指導になっていない、このことがはっきりしているんだと思うのです。  こういう事例の再発を防止するために、すべての販売店について実態調査を実施しなければならないと思うのです。その実施した結果をはっきりさせる、公表する、そういうことによって、自動車を買う人が下取り車を出す場合に自分たちの権利というものをはっきり認識することができると思うわけです。また、調査して未払い分があった、あるいは商慣習というような名目で実際上取ってしまっていた、それは業者が自発的に返すように指導しなければならないというように考えております。  そういう意味で、運輸省としては、いま言いましたように、販売店の実際の状況を進んで調査する、そういう考えがあるかどうか、また未経過分について業者が返すような指導をちゃんとする考え方があるかどうか、あるいはそれでも間違いを起こす悪質な販売業者については、再発を全国的に防止するという観点から名前を公表することも必要だと思うのですけれども、そういう考え方があるかどうか。指導全般の問題について大臣から御答弁を願いたいと思います。
  260. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 私どもといたしましては、商取引ではありますけれども、やはりユーザー保護と申しますか、そういう観点から、先ほど申し上げましたように、下取り車をする場合の新車注文書にわざわざ記載欄を設けてそこへ書くということにいたしておるわけであります。したがって、これは何といっても、末端の現場のディーラーの販売員、セールスマンの教育に問題があるだろう、こういうふうに考えております。  そこで、私どもとしては、従来にも増してそういった現場、第一線のセールスマンのお客さんに接する接し方、これについて徹底を図りたいと思っております。また、そういった点についてマニュアルのようなものをつくらせまして、そしてそれをお客さんとの間の交渉に使う。それからまた、定期的に訓練の上で講習会等をやりまして、そういったトラブルをなくしていきたい、かように考えております。仮にそういうことで調査の必要がさらに出てきて、そして調査した結果、返すべき事例に当たっておるというようなものにつきましては、返させるような措置を講じてまいりたい、かように思っております。
  261. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来局長が御答弁申し上げましたことで大体尽きるわけでありますが、私としても厳しく指導いたさせます。
  262. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 いまの局長の御答弁に関連して申し上げますと、この返戻保険料、なるほど明細の中に書き込まなければならないようになっている。それにもかかわらずこういう事態が起きている。新聞などでも紛争の記事が出ていたと思うのです。そういうことになっているけれども、実際にそういうことが行われている。それからセールスマンの教育、これはもちろん結構なことですけれども、やはりこの明細に書き込まなければたらないのにそういう事態が起きるということになるのは、これはやはり販売店レベルの問題であるわけですから、先ほど大臣も消費者保護という立場から考えてみても厳しく取り締まる、厳しくやりたいということでありますから、これは私が調査しているところによりますと、本当に運輸省が調査に乗り出さなければ解決し得ない、いままでのようなやり方では解決できないような問題であるというように考えますので、特にこの点、腹をくくった指導が必要であるということを申し上げて、終わりたいと思います。
  263. 住栄作

    ○住主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  264. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 私は、まず地下鉄建設の問題についてお伺いしたいと思います。  全国の地下鉄の建設状況はどうなっておりますか。今後の予定も含めて、概略で結構でございます。お答えいただきたいと思います。
  265. 住田正二

    ○住田政府委員 現在工事中の地下鉄は、近く開業の路線を含めまして七業者十一路線、約九十キロメートルということになっています。一昨日でございますか、神戸の方ででき上がりましたので、その分は引いております。  本年度の地下鉄に対する助成金は、開業中のものを含めまして、五十二年度で四百八十億円になっております。  今後地下鉄の建設、整備をどういう方向で進めていくかという問題でございますけれども、地下鉄は都市交通の中で最も重要な役割を果たしているわけでございますが、一方、現在建設費も非常に高騰いたしておりますし、必要な輸送需要を勘案しながら建設を進めていきませんと事業体に相当大きな影響を与えることになると思いますので、今後は採算性も十分考慮して慎重に整備計画を進めていきたい、さように考えているわけでございます。
  266. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その中の京都市の地下鉄の建設状況計画と進行状況を含めてですが、これは詳しく説明をいただきたいと思います。
  267. 住田正二

    ○住田政府委員 京都市の地下鉄の建設状況でございますが、京都市の地下鉄は昭和四十七年十月に北山−竹田間十二キロにつきまして免許をいたしておりまして、昭和四十九年十一月から着工いたしております。工事は現在北大路−京都駅間五・七キロについて行っておりまして、五十五年度完成ということを目標にいたしております。現在工事をやっております以外の北山−北大路間、これは一・三キロでございます。また京都−竹田間五・〇キロにつきましては、京都市が地元といろいろ折衝をいたしているようでございますが、用地買収が難航いたしておるようでございます。京都市から聞いたところによりますと、本年末までに用地買収等についての見通しをつけたい、いろいろな問題を解決したい、できれば昭和五十七年度までに完成をいたしたいということを言っております。
  268. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま北大路−京都駅間五・七キロと申しましたが、私の手元にある資料では六・九キロになっておりますが、その辺間違いじゃございませんか。
  269. 住田正二

    ○住田政府委員 大変失礼いたしました。御指摘のように、六・九キロでございます。
  270. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 了解しました。  それでは、京都市の地下鉄の補助金交付の実態を建設開始の時点から説明をいただきたいと思います。
  271. 住田正二

    ○住田政府委員 地下鉄に対する建設助成のあり方につきましては、すでに御承知だと思いますので、省略いたしますが、四十八年から五十一年度までで約十二億円が交付されております。  内訳も申し上げますと、昭和四十八年度が二千万、四十九年度が一億二千万、五十年度が三億一千七百万、五十一年度が七億二千三百万、計約十二億でございます。これと同額が京都市から交付されておるということになっております。
  272. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そうしますと、総建設費はどれぐらいで、それに対する補助金額、この率はどういうような割合になっておりますか。
  273. 住田正二

    ○住田政府委員 京都市の建設計画によりますと、総建設費は千二百四十二億円ということになっております。  それに対しまして、国と地方公共団体が交付いたします助成金は、五百四十四億という予定でございます。
  274. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いまの回答をいただきましたのでいきますと五百四十四億、総建設費が千二百四十二億、これに対する割合でいきますと四三・八%という状態になります。  こういう状態では、地方公共団体財政を大変圧迫しておると考えられるし、地方財政の危機と言われている折でもあり、この補助金に対して改善する考え方はないか、まず大臣にお聞きしたいと思います。
  275. 田村元

    田村国務大臣 地下鉄は、他の一般鉄道の場合と同様に、本来運賃収入等で大体賄っていくという交通事業ということが言えるわけでありますが、しかしながら建設には多額の費用を要するという特殊性がございます。それから、国と地方公共団体が、そういう事情を勘案して、折半でそれぞれの一般会計から補助を行っているところでございます。  現状におきましては、補助率の改定を行わなければ直ちに経営が困難となるような、そういう状況であるかどうか、必ずしもそういう状況までは至っていないのではないかと思われますが、昭和五十二年度におきましては、補助制度の変更は、そういうことから、行うことは予定いたしておりません。  しかしながら、地下鉄経営を今後どのように健全に維持していくかにつきましては、御指摘の財源確保対策を初めとして、投資対象の問題とか経営合理化問題あるいは運賃問題などを検討して、総合的な対策を図っていく必要がございますから、運輸省としては、関係省庁と協力しながら、昭和五十二年度において地下鉄経営の改善につきましていろいろな角度から調査をする、こういうことにいたしております。
  276. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま大臣は、地方公共団体に対するものに、それほどの圧迫、そう大変なものであるというように感じていないような面が受け取られますが、この京都の時点を考えてみても、当初の計画から非常に大幅におくれております。また、そういった面も、これはもう各地方公共団体が、この経済の圧迫の上で非常に大変である、こういった面をぜひ大臣に御認識をいただきたいと思いますし、同時に、この補助率、国と地方を合わせて六六%は、いま四十七年からと言われておりますが、それ以前はどういう状況になっていましたか。以前の簡単なもので結構でございます。
  277. 住田正二

    ○住田政府委員 現在の交付方式は、いま御指摘ございましたように、建設費のうちの間接費等を引きました残りにつきまして六六%を国と地方公共団体が持つということでございますが、それ以前の方式は、いま申し上げました六六%が五〇%ということであり、また、現在の助成方式は六年間に分けてやるということになっておりましたが、それ以前は八年間に分けて交付するという制度であったわけでございます。
  278. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この交付という面で、私の調査では、昭和四十二年から四十四年、この三年間で交付率はアップしておりますし、その以後、四十五年から四十六年、この時点で、ここでは二年間で、さらにアップしている。四十七年以降は、いま大臣も言われたように、こういうようにアップというものは考えられておりません。ずっと六六%できておりますけれども、その理由は何でしょうか。
  279. 住田正二

    ○住田政府委員 地下鉄事業を経営いたしておりますのは、東京の場合には営団地下鉄、その他は大体公共団体のいわゆる公営事業として行われているわけでございますが、私ども運輸省の立場からこの問題を見る場合には、やはり交通事業として健全に経営できるかどうかという立場で物を見るわけでございます。それに対しまして自治省等の立場から言いますと、地方公共団体財政問題との関連で地下鉄のあり方を検討するということで立場は違っているわけでございますが、私どもが見ております地下鉄経営事業といいますのは、営団をとってみましても、また札幌、大阪等をとってみましても、大体健全経営でやっていけるのじゃないかというような判断をいたしているわけでございます。ただ、現在はそうでございますけれども、それではこのままで将来十分やっていけるかどうかということになりますと、若干問題がないわけではない。特に建設費も高騰いたしておりますので、そういう財源問題を含めて、今後いろいろ検討をしていきたいということで、先ほど大臣がお答え申し上げたわけでございます。
  280. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その面で、財源の面で前向きな点はよくわかるわけでありますが、具体的に補助率を今後どうするつもりか、アップする考え方はないか、あるいはどのような調査研究によってその財源を確保していくか、こういった面をもうちょっと具体的にお話し願いたいと思います。
  281. 住田正二

    ○住田政府委員 具体的に現在の補助制度を変えるかどうかにつきましては、これから各省と十分に話し合いをいたしませんと結論が出ないと思います。  ただ、きょう現在の段階で申し上げますと、現在の補助方式でも、営団地下鉄の場合には大体健全経営が維持できる。もちろん、いま運賃値上げの申請が出ておりますし、また何年か先に経費の高騰に見合う運賃値上げをやるという前提ではありますけれども、現在の補助制度で十分やっていけるというように考えているわけでございます。また、大阪市についても、あるいは札幌市につきましても、大体健全経営が維持できるのではないかというように見ております。  問題は、今後新しくどんどん地下鉄を建設していくということになりますと、建設費も高騰いたしておりますので、そういう建設費の高騰あるいは将来における人件費、物件費の高騰というものが地下鉄の経営事情にどういうような影響を与えるかということを十分検討をしてみないと結論が出ない話でございまして、そういう点を本年度五十二年度一年かけていろいろ検討いたしたい、さように考えておるわけでございます。
  282. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま大半の地下鉄が健全経営になっている、こういうように見ておりますけれども、私は、京都でこの地下鉄問題等に関していろいろと話し合っておる中から、いまお話し申し上げましたように、四〇%強というような補助率で地方公共団体に対する圧迫というものは非常に大きいものがございます。したがって、いま申し上げましたように、関係各省とよく連携をとって、いいものがあればと、こういうように考えておられるようですが、ここで建設省にお伺いしたいと思います。  建設省では道路整備特別会計の中から都市交通対策としてモノレールに補助金を出しているが、どこにどれだけの額を出しておるか、概略で結構でございますから、お願いします。
  283. 海谷基治

    ○海谷説明員 お答えいたします。  建設省としましては、先生御承知のように、モノレールの建設につきまして、モノレールにおきます支柱であるとかあるいはけたといった下部構造の部分につきまして、これを道路と一体のものだというふうに考えまして、これを道路管理者が建設をするというような形での助成政策をとっておるわけでございます。  具体的な金でございますけれども、たとえば北九州市のモノレールにつきましては、五十一年度におきましては二億一千万円、それから五十二年度におきましては二億五千二百万円ということで計上させていただいております。
  284. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その考えでいきますと、モノレールは道路の上を走るという意味から補助金を出しておる。私がここで考えますのは、地下鉄の果たす役割りも、道路の混雑を解消させるという意味でいきますと、モノレールと同じ考え方で、モノレールは上を走り地下鉄はその道路の下にもぐる、こういった解釈ができると思います。そういう意味から、地下鉄面についても、この道路特会の補助金を出していくというような考え方はないか、この点をお願いしたいと思います。
  285. 海谷基治

    ○海谷説明員 先生いまおっしゃいましたように、確かに都市交通の面におきます機能的な面から言いますと、モノレールも地下鉄も道路にかわるというような機能を持っているというような面では、同じような面があるということは言えるというふうに考えております。  ただ、モノレールにつきましては、先ほど申し上げましたように、これが利用いたしますいわゆる下部構造の部分の支柱、けたといったものにつきましては、道路と一体的な構造を持っているわけです。したがいまして、これらを築造する場合には、多くの場合に下の道路の拡幅と改築といったような、そういう道路と一体の工事を伴って行う場合が非常に多いわけでございます。また、将来の安全面あるいは管理面からしましても、上と下とを一体として見て管理していくということが望ましいわけでございますので、そういう面から総合的に考えまして道路サイドでこれを建設、管理していく、こういうようなことをやっておるわけでございます。  ところが地下鉄につきましては、先ほどから御議論がありますように、モノレールよりも古い交通体系でございますし、もうすでにそれなりの補助制度が確立されておるわけでございますので、そういう意味から、私どもとしましては現在モノレールにだけ道路サイドからの助成ということをやっておるというふうに御了承いただきたいと思っております。
  286. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この道路特会の年度繰越額、これはどのくらいありますか。四十八年度からで結構でございますから説明してください。
  287. 海谷基治

    ○海谷説明員 ただいま資料を持ち合わせませんので、後日調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  288. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その面で年度繰越額がかなりのものがあるように伺っておりますし、またいま話がありましたように、道路の混雑を解消していくという面でいくと、これは道路の上を行くか下を行くかどちらかの問題であって、利用者の側からいきますとこれはどちらでもいいわけです。したがって、ぜひこれは地下鉄に対しても補助金が出せるような措置を要望したいと私どもは思っております。モノレールに出しながら地下鉄には出さないというのは、これはちょっと考えても不自然ではないかというように考えます。  この道路特会の面は、いろいろ関係各省との折衝等があると思います。したがって、いろいろと今後の勉強になると思いますが、もしもそういうような面があれば、前向きで検討できるかどうか、まず運輸省見解をお伺いしたいと思います。
  289. 田村元

    田村国務大臣 私は、道路特会の金を使うという、しかもモノレールに使っておるような形で地下鉄に使うという、そういう局限した考え方よりも、むしろ道路輸送によって、つまり道路の上を自動車が走ることによっていろいろと影響を受ける、あるいは関連のあるそういうすべての交通機関等についての特定財源をどうするかということを考える時期がやがて来るのではなかろうか、そんな感じがするのです。いまモノレールのように地下鉄もどうだというお話なんですけれども、ちょっと考えものなんです。ということは、モノレールの方が地下鉄よりも補助率がうんと低いのです。でございますから、道路特定財源から、つまり道路特会から地下鉄に補助金を渡すことに割り切ったときに地方公共団体が果たしてプラスになるかどうかという妙な問題がございます。  私自身は、これは個人的見解にすぎませんけれども、冒頭申しましたように、まず自動車によって影響を受ける機関の特定財源をどうするか。それから、ただ、だからといって自動車がどのような影響を与えるかという揮発油税やその他これの定義づけがなかなか厄介なものでございまして、私、党でこの問題と専門的に取り組んだことがございますが、非常にむずかしい問題がございます。先ほど来局長が申しましたように、関係省庁とよく相談をする、これはいまから始めてもいいのではないか、こういう感じでございます。
  290. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 大臣の言われていることわかるのですが、この問題はいままでの地下鉄に対する運輸省としてとってきた措置としての補助率になお上乗せをして道路特会から、こういう一つの提案であってこれが決してベストであるというような考え方で言っておるのではございません。いま関係者の答弁では、よく勉強し今後研究して財源を確保していきたい、こういうふうに言われておるから、私はそういった面を考慮の対象にしてはどうか、こういう面で言っておるわけでございますので、ぜひひとつ前向きに運輸省並びに建設省の今後の誠意ある対策をお願いしたいと思います。この件はこれで結構でございます。  もう少し時間がありますので、山陰本線の複線電化促進についてお伺いします。現在までの取り組み状況を御説明いただきたいと思います。
  291. 高橋浩二

    高橋説明員 山陰本線につきましては、京都付近の複線電化については、ただいま何も実施をいたしておりません。  ただ、先般来京都−二条間につきましては高架化をするということで、都市計画事業の一環として高架化をいたしました。その際に、京都−二条については複線化ができる構造で高架化を実施いたしたというのがきょう現在の実態でございます。ただ、京都−園部間につきましては、昨年以来航空写真等を撮りまして、将来複線化するためにはどういう状況になるかという調査を進めているというのが今日の状況でございます。
  292. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 その調査を進めている段階で、五十二年度の調査計画はどうなっていますか。わかる範囲で……。
  293. 高橋浩二

    高橋説明員 来年度も引き続きましてもう少し詳しい図面をつくる、あるいは場合によりましては地質調査を進めるということを計画しておりますが、まだ具体的にどうするということはきょう現在では決まっておりません。一応来年度の予算が決まりました段階で、どういうことをするかと  いうことを決めてまいりたいと考えております。
  294. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いまの京都−園部間の住民は当初より非常にふえておりますし、特に亀岡方面の新興住宅というものは大変なものがございます。行ってみればわかると思いますけれども、いまあそこの道路が満杯で、マイカーで通勤しておる人たちはもうどうしようもないというような事態になり、また路線バスも出ておりますけれども、これもすごいおくれで停滞しております。そこへきて、この山陰本線が単線であり、なお複線電化というものが非常におくれておる、こういう面から、ぜひ地域住民の要望は早急にこの面をお願いしたい、このように考えております。関西にはいろいろ重要な線がございますが、関西における着工順位から見てどの辺にいくか、めどがわかりましたらぜひここで御回答願いたいと思います。
  295. 高橋浩二

    高橋説明員 関西では、ただいま片町線とそれから福知山線の一部を複線化をいたしております。それからまた紀勢線は、都市通勤とは直接関係はございませんけれども、複線化を一部進めているというのがただいまの状況でございます。  それでいま先生のおっしゃいます京都−園部間の複線化については、順位と申しますのは、通勤関係だけで決まる問題ではございませんで、通勤以外に都市間の輸送という問題もございますし、それからこれからどういうふうに団地が形成されてお客さんがふえていくかという問題等もございまして、いま順番が何番目だということば決まっていませんけれども、相当住宅団地等がふえてまいりました。ただこの京都−園部につきましては、昭和四十年が一番お客さんが多いときでございました。それで四十年以降四十五、六年まではむしろお客さんの数、特に通勤者の数が減ってまいりました。四十五、六年からまたふえまして、ただいまのところは四十年にまた戻ってまいりました。住宅団地等がいま非常に急速に建ちつつあるというふうに私どもも了知をいたしておりますので、その辺を踏まえまして、これからの輸送量をよく見きわめて、複線化の時期等については私の方で検討いたしまして、運輸大臣の方へ申請する時期もそう遠くはないのじゃないかという判断をいたしております。
  296. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 いま四十年度以降の面で一時減った、このように言われましたが、実はこの山陰本線が非常に遅いんですね。通勤に間に合わないというような事態で、もう待ち時間が多くて、したがって、かえってマイカーで行った方が、あるいは路線バスで行った方が速いという時点があったのです。ところが、私がいま説明したように、その後またどんどんふえてきて、かえって今度はマイカーでは遅くなってしまう。それならば、山陰線自体は遅いけれども、しかしマイカーで停滞するよりも少しはましだ、こういう考え方からまたふえてきている、こういう時点ですから、決して利用者が減っているものではないことを御認識いただき、ぜひ通勤通学のための交通網整備の見地から一刻も早く住民の要望にこたえていただきたい点を要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  297. 住栄作

    ○住主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終わりました。  次に、依田実君。
  298. 依田実

    依田分科員 きょうは主に東北新幹線、そしてまた、これは私鉄の分野でありますけれども、東上線の地下化計画、この二つについて御質問をしたい、こういうふうに思っておるのです。  まず運輸大臣、せっかくいらしておりますものですから、東北新幹線、これの進捗状況、そしてまたいろいろ住民との対話が行われておるわけでありますけれども、それを踏まえての見通し、そういうものについて、概略運輸大臣の方から御説明をいただきたいと思います。
  299. 高橋浩二

    高橋説明員 まず私から進捗状況について申し上げたいと思いますけれども、東北新幹線、東京から盛岡まで約五百キロの延長でございます。そのうち用地買収は、面積にいたしまして八割ないし九割。それから工事をいたしておりますのは、延長にいたしまして約六割の区間がただいま工事中である。それから工事費の方につきましては、この五十一年度末で全体の予定の工事費の約三分の一が進捗いたすというのがただいまの進捗状況でございます。
  300. 田村元

    田村国務大臣 東北新幹線は現在とりあえず東京−盛岡間ということでありますが、工事実施計画を四十六年の十月に認可して十一月の末に工事に着手したわけであります。ところが、御承知のように、相当進んではまいりましたが、大宮以南という問題がなかなか厄介な問題として残っておるわけでございます。  私どもとしては、とにかく国土の均衡ある発展、これを図るための幹線輸送網でございますし、それから東北地方の方々のお気持ちを察すると、本当に急いであげたい、そういうことから、五十五年度を目途に一生懸命にやっておるということでございますが、大宮以南の問題がなかなか、本当のところは厄介なことでございますが、先般も東京都知事と会いまして、知事からも、田村さん、何かいい妥協点があるはずなんで、それをひとつ真剣に考えられたらどうですか、こういうことでありましたから、私も、知事さんひとつ相談に乗ってくださいよ、こういうことをお願いしたわけであります。何と申しましても運輸省が抱えております大プロジェクトでございますから、これは一生懸命にやって、一日も早く完成をさせたい、そのためには、地元住民の御理解を得るための努力を懸命にやりたい、このように考えております。
  301. 依田実

    依田分科員 大臣のお話、よくわかりました。われわれもあすこに住んでおるのでありますけれども、東北の皆さんにこの新幹線をぜひ早く通したい、この御意見、私も同感でございます。日本の経済のためにもそれがいいのじゃないか、こう思うのであります。ずいぶん地元の反対が強かったのでございますけれども、国鉄と地元、そしてまた北区の理事者側、いろいろお話をなさいまして、最近はだんだん住民の皆さんも理解を示しているようでございますけれども、何回か国鉄と理事者側、そしてまた住民の方と対話が行われて、そしてまた文書が交換されておるわけでございます。一番最新の国鉄と住民側、これの対話の結果というのはいまどうなっておりますでしょうか。
  302. 高橋浩二

    高橋説明員 東京都内は北区だけではございませんけれども、いま先生の御質問は、主として北区の問題だと思いますので、北区につきましては、北区の議会があっせんの形をとっていただきまして、北区を七カ所に分けまして、国鉄から——国鉄というよりも北区議会が説明を行うということで、すでに三カ所については説明を終わっております。私どもの伺っておるところでは、三月中に七カ所全体の説明会を北区が開くことになっておる。私の方は、北区並びに区議会に対しまして、十分、北区における新幹線のルートだとかあるいはどういう環境対策をするかというような問題についてずっと説明をいたしておりまして、それを受けた結果、ただいま申し上げたように、七地区に分けて説明会を開いていただいております。中にはまだ非常に強い反対もあるやに聞いておりますけれども、全体の空気は、だんだん一応理解をされつつあるというふうに伺っております。
  303. 依田実

    依田分科員 大体われわれもその話は承っておりまして、赤羽−田端間、見通しはだんだん明るくなっているんじゃないか、こういうふうに思うのです。また浮間の方も通勤新線の併設、それに伴う駅の設置、こういう国鉄側のいろいろ条件が出ることによって、住民の皆さんも前に比べると前向きの姿勢で国鉄と話し合っていらっしゃるんじゃないかと思うのであります。われわれは思うに、一番難点は赤羽にあります星美学園、また赤羽台、要するに、この国鉄計画によりますと、地下へ入れていくところでありますけれども、学校という特殊な事情があります。それもカソリック系の学校でございます。そういうようなことからこの地区が一番むずかしいんじゃないか、こういうふうに思っておるのであります。学校側はもう少し地下を深く入れてくれないか、こういうような御要望も国鉄の方へ出されているんじゃないかと思うのでありますけれども、この見通しについてはいかがでしょう。要するに、地下に深くするというような、そういう計画は可能なんでしょうか。
  304. 高橋浩二

    高橋説明員 星美学園付近の地区とまだ具体的なお話し合いができない状況でございます。先ほど申し上げた区議会が主宰していただく説明会が終わりました後、私どもとじかにお話し合いする機会が一日も早く来ることを私の方は望んでおるという状況でございます。  そこで、いまの先生のお話は赤羽台、いまの星美学園付近は少し高台になっておりますために、私の方のルートはちょうどその高台の下を通る地下ルートになるというところでございます。ただ、もっと深くできないかということについては、私の方もいろいろ検討いたしておりますけれども、赤羽駅付近のルートの高さが、一応あの辺の高架化の関係で高さが決まってまいります。そうしますと、そこからすぐ近くでございますので、そこの高さからできるだけ深くもぐる、最大ぎりぎりのところまでもぐる設計を考えておりますけれども、それには限度がございますので、赤羽台のところの深さは、ただいま考えている以上にはもう深くならないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  305. 依田実

    依田分科員 そうすると、あくまで現在の計画で、あとは星美学園並びに赤羽台の皆様方と最後まで話し合いで進める、こういうことでございますか。
  306. 高橋浩二

    高橋説明員 そのようにさせていただきたいというふうに考えております。
  307. 依田実

    依田分科員 この話し合いはいま全然行われていないわけでございますけれども、何かお互いに話し合いの機会を持ちたいということで国鉄の方から話の糸口はつけておるわけですか。
  308. 高橋浩二

    高橋説明員 一年ほど前にはいろいろな方を通じましてお話し合いを持ちたいというふうに考えて、そのころごく一部でございますが、接触はございました。しかし、周りの方々が非常な反対をしているさなかでございましたので、なかなか具体的なお話し合いに至る段階に至らずに今日に至っております。先ほど申し上げたように、区議会等の御説明が終わって、その状況を見てごあっせんをいただければ、私どもの方は非常に幸せだというふうに考えております。
  309. 依田実

    依田分科員 この東北新幹線の計画、そしてまたそれの実施につれまして赤羽駅というものが立体化される、こういうふうに聞いておるわけでありますけれども、当初は、現在走っております赤羽線を高架にし、それから順次いま走っておる既設の路線を高架にする、こういう御計画と聞いておりますけれども、この赤羽駅周辺の高架、その順序でございますね。そして、最終的にはいつ赤羽駅が全部高架になるのか、その辺の見通しをちょっとお話ししていただきたいと思います。
  310. 高橋浩二

    高橋説明員 ただいま私の方で具体的に計画してございますのは、赤羽線のホーム付近、これは将来新幹線との絡みも考えた設計をいま考えておりますので、赤羽線は比較的早い時期に高架化されることになると思います。あと赤羽駅には、京浜東北線は高架のような構造になっておりますけれども、それ以外の線は全部地平でございますので、それらを高架にするためには、これは私どもだけの力でなくて、都市計画事業として高架化、いわゆる東京都が高架化事業を起こしていただいて、それに私どもの方が一緒に御協力申し上げるというかっこうになろうかと思います。聞くところによりますと、東京都の方は、五十二年度の予算要求の中で、ここの赤羽駅全体の高架化事業を進めるための調査費を御要求になっておるというふうに伺っておりますので、私ども、速やかにその調査費が認められて、御一緒に赤羽駅全体を高架にしていきたいなというふうに考えております。  私どもの技術的なことだけで申し上げますと、いわゆる線を一線ずつ切りかえて仕事をしていくという、そういう技術的な面だけで考えますと、全体を高架にするには六、七年くらいの期間が要るのではないかというふうに見当をつけております。
  311. 依田実

    依田分科員 東京都が調査費を、三千万と聞いておるのですけれども、要求されておるわけであります。しかしながら、御承知のように、赤羽駅というのは、私もあそこをよく通りますけれども、本当にあかずの踏切というか、あかないとわかっているものですから、そこでは待たない。ですから、逆を言えば、すいておる。こういうふうなところでございます。いま六、七年というお話を承りましたのでございますけれども、そうなりますと、それまでは、いまの交通状態といいますか、東西交通というのは、そのままに残るわけでございます。  これはいまおっしゃったように、東京都の関係になるわけで、非常にむずかしいのでありますけれども、御承知のように、北区というのは、国鉄と長い間、共存共栄になっておるわけであります。北区の真ん中をずっと国鉄が縦断しておる。そういう意味で、国鉄に御厄介になっていると言えば御厄介になっておるし、また町の繁栄が国鉄で中断されていると言えば中断されておる、こういうことでございます。私なんか客観的に見て、それだけ縁が深いのでございますから、そのわりには、いままで町の繁栄に対する国鉄側の御尽力が少し足りなかったのじゃないか、こういうような気がするわけであります。特に、赤羽の東西交通につきましては、もう長い間、何十年にわたりましての住民の方の御要望になっておるわけであります。東京都の関係はあると思いますけれども、国鉄のいろんな用地があそこにある。六、七年先までという、もっと延びるかもしれませんけれども、応急的にその間国鉄側の用地を使うような方法でこの東西交通、特に自道車道を地下へもぐらす、こういうような計画ができるような場所がないかどうか、ひとつわれわれはそれをぜひお願いをしたい、こう思っております。具体的には一、二、たとえば星美学園の下の八幡様の下あたりから東側に抜けさす国鉄用地、日通関係の用地があるわけでありますが、何かそういういい方法が便宜的にないかどうか。
  312. 高橋浩二

    高橋説明員 従来は、駅のすぐ近くで跨線橋は一、二カ所あると思いますけれども、いま先生おっしゃいますのは、東西の自動車交通ということになりますと、私どもそこまで実は検討したことがございません。道路はやはり道路管理者の方で検討していただくというのが原則になっております。ただ、そういう御検討をいただいて、私の方の用地あるいは線路下をうまく使って、早くできる方法等を道路管理者の方でいろいろ検討されるならば、私の方もいろいろ御協力を申し上げることについては当然のことかと思います。  ただ、従来、通常の都市内の立体交差をする場合に、むしろ線路の方を上げた方が全体の工期としては早いというのが最近の通例でございまして、道路を一つ立体的につくるにいたしましても、やはり前後の用地が全部あるというわけにまいりませんで、どうしても一部民地を使ってやらなくちゃならぬということで、新しく民地買収ということになりますと非常に期間がかかるのは通例でございますので、その点あわせて検討させていただきたいと思います。
  313. 依田実

    依田分科員 国鉄と住民とのいろんな関係一つで、ぜひこの際できたらということでお願いをいたしたいのでありますけれども、田端、ここはいま大きい操車場になっておるわけでございますけれども、御承知のように、田端の駅前は非常に道が細い。自動車、バス、そういうもので非常に混雑する。あそこはがけからそして下の田端新町の中間にあるわけでございますけれども、これはできたらということでぜひひとつ御検討いただきたいのでありますが、ここへまた今度新幹線の列車がいろいろ操車場的に入ってくる。そういう上にたとえば人工土地みたいなものをつくっていただいてバスのターミナルにするとか、それから、あの辺は公園とかそういうものに非常に恵まれない。ですから、その上を公園にしていただくとか、つまり国鉄が長い間北区にいろいろ御厄介になっている、そういう意味から言いましても、できるだけ国鉄用地を多角的に利用していただいて、住民の要求するいろいろな施設などについてこれを入れていただくような、そういうような方法が検討されていただければ、こういうふうに思うのであります。
  314. 高橋浩二

    高橋説明員 山手線にいたしましても、田端付近は掘り割りになっておりましたり、いろいろ立体的に線路が現在できております。恐らく先生のおっしゃるのは、そういうものの上をもう少し立体的に使ったり、あるいは田端の操車場の上にもう少し立体的な公園をつくるとかということについて検討せいということかと思いますけれども、私の方の土地自体は、できるだけ資産を活用するという面から、立体的に使っていきたいということは大いにやりたいと思いますけれども、ただ、それが公共施設のために、私の方がお金を出してつくるというふうにはただいま考えておりません。全国そういうところは至るところあると思いますけれども、やはり公園なら公園を管理する方、道路なら道路を管理する方々にお金を出していただいて、私の方の土地の上空をうまくそういう公共施設等に使うということについては御協力はできるかと思いますけれども、お金を出してまでということはちょっと考えておりませんし、また、ただいまの国鉄財政状況からではむずかしいのではないかと思います。  いずれにいたしましても、そういう問題は所々方々でございますので、ケース・バイ・ケースに応じて、そこの場所でできるだけ公共的なことで喜ばれて、なおかつ国鉄自体といたましても、財政的にうまくいくというようなことを考えていきたい。またいくべきかなというふうに考えております。
  315. 依田実

    依田分科員 時間の関係で話題を変えさせていただきます。  いま東京都内のターミナル駅へ入る私鉄、逐次高架とか地下化で立体化されてきておるわけであります。池袋に入っております東上線、御承知のように、最近は輸送量を大変増強しなければならぬ、そういう状態に追い込まれてきておる。また途中平面交差のために踏切があかない、そういうようなことでその地区の一般の方の経済活動にずいぶん御不便をかけておるわけであります。  聞くところによりますと、もう東上線は地下化計画があると聞いておりますけれども、何年にそれが実現するのか。いまの計画現状についてお伺いをしたいと思います。
  316. 住田正二

    ○住田政府委員 私ども運輸省といたしましても、鉄道と道路の立体化ということは都市交通の安全あるいは円滑化という面からぜひ推進したいというように考えているわけでございますが、いま御指摘のございましたのは、東上線の大山駅前後の地下化の問題ではないかと思います。この問題の前提といたしまして、東京都の都市計画道路補助二十六号線というのがございまして、先生御承知と思いますが、この道路の建設計画がおくれているわけでございます。大山駅付近の地下化とこの補助二十六号線の建設が密接な関係がございますので、その方の問題を解決しませんと東武東上線の地下化というものは進まないのではないか。私どもといたしましても、この地下化によりまして九カ所の踏切が廃止されるということになりますので、ぜひ推進いたしたいと思っておりますが、前提になります東京都の事業が進まないといいますか、いま中断しているようなかっこうでございますので、私どもも東武鉄道を指導いたしまして、東京都とよく話をするようにさせたいと考えております。
  317. 依田実

    依田分科員 この補助二十六号の問題につきましては、東京都から金が出て実施に移るんじゃないか、約十年くらい前にそういう話が一回出たわけでありますけれども、その後住民の一部の反対によりましていま中断しておる、こういうことでございますけれども、この東上線の大山近辺までの地下化の事業をやる費用と、それから東京都がそのときに補助二十六号の問題で分担する費用、これは幾らと幾らくらいになっておりますか。
  318. 住田正二

    ○住田政府委員 細かい数字はちょっと記憶いたしておりませんが、地下化をやります東武鉄道といたしましては、やはり二十六号線の立体化ということを前提にその経費、何と言いますか補助金といいますか、東京都の負担分を前提にいろいろ計画いたしておりますので、やはりこれが解決しませんと東武鉄道だけで工事を始めるということは非常に困難ではないかと思います。
  319. 依田実

    依田分科員 この前、大山の近辺の踏切の閉鎖の問題がありました。東武鉄道と住民との間に文書が交換され、それによりますと、東武鉄道のこの補助二十六号を踏まえて地下化について東京都へ対して積極的に働きかける、こういう文書が交換されておるわけでありますけれども、この辺について東武鉄道側はこれからどういう働きかけを都の方にするのでしょうか。
  320. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましても、ぜひこの地下化といいますか立体化が促進されることを期待いたしているわけでございますが、何分にも東武鉄道だけで解決できない。東京都の方で中断している道路を促進するなりあるいは立体化を前提に経費負担をしていただくか、いずれにいたしましても、東京都の方が決めていただかぬことにはこの問題は進まないと思いますので、東武鉄道から東京都の方へよく折衝させたい、そのように指導いたしたいと思っております。
  321. 依田実

    依田分科員 すでに補助二十六号のところは、東上線を渡った先の方まで少し人家がなくなっておる。そういう意味では、補助二十六号はそのまま平面で、別にそれを高架に上げるわけじゃございませんから、そういう意味では、われわれ常識的に考えても、そう東武鉄道の地下化に対してこの補助二十六号の問題がネックになるとは思わないのでありますけれども、その辺いかがでしょうか。
  322. 住田正二

    ○住田政府委員 私ども聞いております話では、補助二十六号線の立体化を前提に、立体化に要する費用の一部をもって地下化に充てるというように聞いておりますので、やはり立体化の問題が解決いたしませんと、東武鉄道だけの力で手をつけるというのは非常にむずかしいのではないかと思います。
  323. 依田実

    依田分科員 この補助二十六号というのは、いまも非常に地元の一部で反対が強くて、なかなか実現しない。見通しはそう明るくないのであります。そうしますと、それができないうちは東武の地下化ができないということになりますと、この東武の地下化も非常に先行き暗い、こういうことになるので、われわれとしては非常に残念なことでございます。  東武鉄道は何とかして都の方へ働きかけたい、こういうお考えで文書まで地元へ出しておるわけでございますけれども、ひとつこの地下化計画についてはぜひ——東京都の問題だと言えばそれまでなんでございますけれども、われわれとしてはなるべく早くこれを実現するのが経済の上からいってもいいんじゃないだろうか。そうしませんと、東上線はこれからますます近郊住宅がふえまして輸送力を増強しなければならない、もう限度いっぱいに来ているのじゃないか。これを地下へ入れない限りは、もうこれ以上輸送力の増強ができない、こういうところに来ているのじゃないか、こういうように思いますので、ぜひこれの早期実現をお願いをいたしたいというふうに思うのであります。  大体私の質問、もう時間も参りましたので、この辺でやめさせていただきます。
  324. 住栄作

    ○住主査代理 これにて依田実君の質疑は終わりました。  次に、馬場昇君。
  325. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 水俣湾のヘドロ処理事業についてお尋ねいたします。  まず、運輸大臣にヘドロ除去事業の基本姿勢といいますか、取り組む態度についてお尋ねをしておきたいと思います。  この事業は、悲惨な水俣病が起きたあの水俣湾のヘドロを除去する事業ですから、もう絶対に二次公害を起こしてはならない、これが至上命令であるわけでございます。絶対に起こしてはならないと私は思いますが、現在の最高の技術をもってしても絶対に安全とは私は言えないのじゃないか、こう思うわけでございます。そういうことですので、慎重の上にも慎重の態度で取り組むべきである、こういうぐあいに思いますが、もし二次汚染でも出たらこれ大変なことでございまして、いまの被害の十倍とか二十倍とかあるいは百倍とかということさえも予想されるわけでございますし、地元の患者さんを初め地元の人、また公害の原点水俣と言われておるわけでございますので、世界から注目されている事業なわけでございます。  そういうことでございますが、特に地元では運輸省所管の省だというようなことで、何か港湾整備事業というのが重点になってしまうのじゃないか、こういうような不安さえ持っている人が多いわけでございます。こういう状況の中で、いずれ近く着工になると思いますので、この機会にヘドロ処理事業に取り組む大臣の基本姿勢というのをお伺いしておきたいと思います。
  326. 田村元

    田村国務大臣 水俣港の汚泥処理事業につきましては、工法決定に際して二次公害を発生させないように十分な検討が行われておることは御承知のとおりでございます。工事着手後におきましても二次公害を発生させないために、熊本県に対しましては十分な工事の環境監視を行うよう指導いたしますとともに、第四港湾建設局、私どもの工事をする建設局でございますが、ここに対しまして慎重な施工を行うことを指示する所存でございます。いずれにいたしましても、水俣という特殊の地域でございます。私は三重県でございます。四日市を持っております。その心情よくわかります。それだけに、十分の上にも十分の対処をいたしますように厳しく指示をし、私自身しばしばその報告を求める決意でございます。
  327. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 幸い大臣が四日市出身だということで、慎重の上にも慎重を期するという御答弁をいただきましたので、よろしく御指導願いたいと思うのです  そこで、これは事務当局で結構でございます。港湾局で結構ですが、ヘドロ処理事業はいつ着工の見通しなのか、そして完工は大体いつに予定をしておるのか、その中身のことはいいですから、着工と完工の見通しについてお伺いいたします。
  328. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 この処理事業につきましては、除去した汚泥を水俣湾の奥部の公有水面に埋め立て処分する、こういう計画であります関係上、事業実施に先立ちまして、除去汚泥の処分場所となる公有水面に関しての公有水面埋立法に基づく埋め立て免許を取得する必要があるわけでございます。それで、この埋め立て免許の手続に関しましては、昨年五十一年の七月二十九日に事業主体でありますところの熊本県から免許権者に出願されておりまして、免許権者におきましても告示、縦覧等のいわゆる公有水面埋立法に基づくところの所定の手続を経まして、五十一年の十月二十六日付で当省に対しまして認可申請してまいりました。  それで、現在私どものところにおきまして、この認可申請に関しまして慎重に審査中でございますが、先生指摘のように、これはもう早くから、早くきれいにしてくれという地元の強い要請がございまして、こういうような要請も踏まえまして、一方いま御指摘のように、二次公害が起こるようなことがあってはなりませんので、そういう点からしまして慎重に審査中でございますが、私どもの方で認可し得ると判断できました段階におきましては、埋立法の四十七条の第二項の規定によりまして、環境保全上の観点よりする環境庁長官の意見を求めた上で認可し、早く着工できるように配慮したいと考えておる次第でございます。  それから、御指摘のように、着工するということだけでは事は解決いたしませんで、早くこれをきれいな水俣の海に戻さなければなりません。それで、こういう点からしまして竣工の時期も急がれるわけでございますが、一方においては、何分にも非常に不安がられている水銀を含んだ汚泥の始末でございますので、やはり施工そのものには慎重を期さなければならない面もございます。そして実験工事等もいたしながらまた慎重に施工するということのために、私ども現在のところの見込みといたしましては、なお数年工事期間を要すると考える次第でございます。
  329. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 まさに言われたとおりで、早くやらなければならないし、慎重にやらなければならないという問題でございますが、いまの答弁では、着工が本年度になるのかということさえもはっきりしなかったのです。数年というのは二、三年も数年でしょうし、五、六年もあるいは九年も数年でしょうが、そういう点もう少し——予算関係なんかもあると思うのですから、それは変更になるかもしれませんね、慎重にやらなければならぬから。しかし、現在のところの計画の見通しをもう少し明らかにしていただきたいと思うのです。  もう一つは、いま申されました、環境庁長官の意見を求めなければならない、これは具体的にまだやっておられないのか。やられる場合には、たとえばどういうぐあいにして、私もよく法律知りませんけれども、計画案を見せて、それに対して環境庁から文書で回答をとるのか、それとも口頭でそれに対して意見を聞くのか、そのことについてさらに具体的にお聞かせ願いたいと思うのです。  それからもう一つは、すでに報ずるところによりますと、この二月の十五日ころからこの護岸堤工事実施設計のためのボーリングの検査を始めるんだというようなことが伝えられておるんです。これは二月十五日から三月の二十五日ころまでやるんだ、こう伝えられているんですけれども、これはボーリングですから、やはり攪拌すると思うのですね。これに対して水質とか魚介の検査というのはどうやっておられるのか、このボーリング実験について。  具体的にその三点についてお答えください。中身は大体知っておりますから、イエス、ノーぐらいの程度で簡単に、時間ありませんから。
  330. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 まず第一点の、この年度内にできるかどうかという点でございますが、いまのこの時点で申し上げますと、環境庁に意見を求めてその回答が来て認可というのは、年度内にはちょっと時間的にゆとりがないんではないかという感じがいたします。  それから、数年と申しましたのですが、主要な除去の部分の仕事は、私どもの予定といたしましては、まあ五十八年ごろまでに何とかしたいという心組みでおります。しかし、これは一つには、いま言いました慎重なという点との兼ね合いがございますので、私どもとしてはそれを目途に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  それからボーリングの工事の問題につきましては、現在の段階では私どもまだそのように着工というところまで聞いておりません。ただ、先ほどの環境監視の問題や何かも絡むものでございますので、その水質についての事前調査は今年度中に実施するというふうに承知しております。
  331. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 答弁漏れで、環境庁には文書でやるのかということは後で答えてください。  それから、いま御答弁ございましたが、水質検査は私も知っておりまして、二月十日から三月三十一日まで事前のことしのものはやる予定だそうですが、そのほかに二月十五日から三月二十五日までに護岸堤工事実施計画のためのボーリングをやると聞いているんです。これは御存じないようですから、調べて、こんなのはそういうぐあいになし崩しにやっちゃったら、これこそ被害が拡大するということになりますから、これはぜひ慎重にやるように指導していただきたいと思います。  まあ基本的には、大臣にもお聞きしましたように、何も私はここで急げと言っているわけじゃない。急がなければならないけれども慎重にということが先だものですから、そういう意味で慎重にやっていただきたいと思うのです。  そこで、慎重の上にも慎重にということで先ほどもちょっと出ましたけれども、実験工事について基本的な考え方を大臣にお聞きしたいんです。私も素人ですけれども、普通慎重にと考えた場合には、大体小規模で実験工事をやって、そうしてその実験工事を——私はこれでも何年か必要じゃないかと思うのですよ。小規模な実験工事をやって、そうして魚や水をずっと調べて、これは大丈夫だというようなことをまず確認して、その次にまた中規模ぐらいの実験工事をやって、そしてこれまた魚とか水とかこれは大丈夫だ、そういう小規模実験、中規模実験、その上に本格的な計画案をつくる、このくらい慎重にやるべきじゃないかというぐあいに私は思うのですけれども、これはそういう態度について長官にひとつお聞きしたいのです。  それから次に、この工事をする場合には、やはり世界的に注目されているような工事でもございますので、先ほど言ったように、二次公害を起こしてはならないわけですから、この工事の計画案というのは私たち知っております。熊本県から地元にも説明をされておるのです。ところが、世界的な工事ですから、いろいろ工法も初めてのこともあると思うのですが、そういう工法というのはきちんと公表して、世間に明示して世間の批判を仰ぐ、先生とかあるいは科学者とかの批判も仰ぎ、そうして国民の批判を受けて、そして決定をする、工事方法なんかについてもそういうような手順をとる必要があるんじゃなかろうか、こういうぐあいに思います。これは小さいことは局長でも結構ですけれども、それが第二点です。  三番目には、技術検討委員会というのが熊本県、運輸省、環境庁その他でできておるのですけれども、この技術検討委員会あるいは計画委員会というものが内容を公表してくれ、教えてくれと言っても教えないのです。こういう資料というのは、公表して住民に納得させ、批判も仰ぐという公開の原則というのが大切ではなかろうか、こういうぐあいに思うわけでございます。  大臣に基本的なことだけをお尋ねしたいのですけれども、私はこの事業というのは、ああいう悲惨な状況のところを見ているわけですから、日本人あるいは世界の人類が初めて経験したような悲惨なものですから、これを公開する場合には、人間を大手術するような形で、きちんと検査検査を加えて、よしこれで手術ができるんだ、手術するときにはまた別状がないようにとものすごく慎重な態度で手術する、そういうような態度というのがぜひ必要だというようなことを思うのですけれども、少しくどいようでございますけれども、いま言いました幾つかの例を挙げながら基本的に大臣のお考えを聞いて、具体的には局長からでも結構です。
  332. 田村元

    田村国務大臣 これはまさに世界に冠たる仕事になろうかと思います。私は港湾局長等によく申すのでありますが、急ぎなさい、しかし焦ってはいかぬ。言うなれば、少し道の悪いところを割れ物を持ってフルスピードで走るようなものである、割っちゃいかぬ。だから、そういう意味で十分に慎重の上にも慎重ということで、なおかつ急がなきゃいかぬ。それは地元の方々のお気持ちを察するときに当然われわれがとらなければならぬ態度だということを常日ごろから申しておるところでございます。いまいろいろとテストの問題その他手続上のこともお尋ねがございましたが、これは私、科学者でございませんから、局長から御答弁させますが、さような基本的な姿勢に立っておりますので、どうぞひとつ馬場さんにおかれても何かとお知恵もお授けを願いたい、御協力もお願いしたいと思います。
  333. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 先ほどは大変失礼いたしました。答弁漏れのところをまず御報告いたします。  環境庁に対して意見を求めるにつきましては、これは文書をもって意見を求めることになっております。  それから、先ほどのボーリングの点でございますが、これは護岸の個所のボーリングということになりますと、事実問題といたしまして、この護岸というのは、埋め立ての護岸ということになるわけでございます。ことにこういう問題のところでございますから、やはり環境監視の問題とかいろいろ必要になろうと思います。多分先生のお耳に入っておりますのは、年度内に着工という当初の施工計画を立てておりました関係上、年度内着工ができる、要するに認可され、免許がされるということの前提で組まれていたときのスケジュールではないかと思います。先ほど御報告申し上げましたように、いまのところ、まだそこまで至っておりませんので、ボーリングというのはそれ以降になろうと、私、理解しておる次第でございます。  それから、実験工事につきましては、しゅんせつとそれから余水処理について行うことにしておるわけでございます。すなわち、仮締め切りとそれから緑鼻地区の埋め立て護岸が完成した時点でしゅんせつの実験を行いまして、あわせて余水処理についても実験を行うこととしているわけでございます。それで、仮締め切りや護岸等の工種につましては、二次公害の可能性が小さいわけでございますので、特に実験工事ということは考えておりませんが、しかし、これらの工種につきましても、着工初期におきましてやはり万が一ということが懸念されますので、通常の施工速度よりも慎重に工事をやりながら、その状況を見ながら安全を確認しつつ進めていくというような慎重な方法をとりたいと考えておる次第でございます。  それから、工法について公開するべきではないかということが御指摘ございましたが、実は私どもの行います土木工事と申しますかこういう工事は、残念ながら学問的に、理論的に完全に解明されて、その上でもって実施するというところまでは至りがたいものでございます。と申しますのは、現地、現地の状況が非常に異っておりますので、大体この工法でいけるであろうというその時点での知見を集約しまして、この工法なら多分大丈夫であるということで進めながら……(馬場(昇)分科員「時間がないから、公開するのかしないのかというところで結構ですから」と呼ぶ)はい。そういうようなやり方で、非常に憶病に改善しながら進めるというやり方をとらざるを得ない。そういうことからしまして、ごく大まかなといいますか、こういうような方法でという程度の意味合いでの工法ということでございますればこれは公表できますが、具体的に細部にわたってどうだというところまでは、やりながら改善していきますので、そういう事前に公表するというところまではいきがたいと考えている次第でございます。  それから、技術委員会、計画委員会の資料の公表ということでございます。これにつきましては、やはりこの委員会におきまして、それぞれの専門の立場の方々の意見のやりとりがあるわけでございまして、それで、その中には、分野がそれぞれ違うものですから、討論の初期においては、お互いに専門分野以外のところに対しては誤解やなんかもございます。そういうようなことをいろいろと議論を繰り返していって、そうして最終的に答申という形に集約していった。そういう意味合いからいたしまして、最終の集約されたエッセンスの形で答申だけが公表されているというふうに私は理解しておる次第でございます。
  334. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 非常に時間がございませんですから、端的にお答え願いたいのです。  その会議も公開でやった方がいいと思いますけれども、少なくとも議事録の公開とかあるいは工法の公開とか私は言ったのですけれども、それに対していま非常に消極的なお答えで、これでは心配がつのってしょうがありません。だから、一言だけお聞きしておきたいのですけれども、たとえば環境庁その他からの文書の回答、これは見せてくれ、教えてくれと言ったら見せるのか、それから工法について質問が出たら見せるのか、あるいは技術検討委員会の決定について質問があったら答えるのか、住民から質問があった分について答えるかどうか、そういうことについてお聞きしておきたいと思います。
  335. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 仮定の入っていることで非常にお答えしにくいわけでございますが、私どもといたしましては、この工事を秘密裏に行うという意識はも頭ございません。そういう意味合いから、やはり関係の方々の理解と協力を得るために、必要な事項につきましては、できるだけ御質問お答えしてまいる所存でございます。
  336. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 慎重にやらなければなりませんし、大変な事業ですから、やはり国民のあるいは住民の納得というのは必要でございます。さっき大臣は、割れ物を持ってでこぼこの道を歩くように慎重にやると言われましたが、非常に結構ですけれども、私の例が、たとえば人体を手術する人間にかかわる問題ですから、割れ物よりも人体と言われた方がいいんじゃないかと思いますから、そういう気持ちでやっていただきたいと思うのです。  次に、時間もございませんが、監視委員会についてお尋ねしたいと思うのですけれども、この監視委員会というのが、技術検討委員会といって検討した人たちが監視委員になっている。自分でつくったものを自分で監視する。それも必要でしょうけれども、その人がつくったものがいいか悪いかという監視は、第三者というたぐいの人をたくさん含めた方がいいんじゃないか。こういう意味で、監視委員会に第三者、特に患者さんあるいは地元の人、たくさん含めるべきだ、私はこう思います。ところが、この監視計画を見てみましたところが、大切な、台風のときにどうするのか、洪水のときにどうするのかというようなのが抜けております。この辺は大問題じゃなかろうかと私は思うのですけれども、これについてもお聞きしたい。  それからもう一つは、この監視委員会というのは、事業計画とか工法に対して、中止とか変更を求めるだけの独立した権限を持っているのか、あるいは計画とか工法の上位に立って存在するのかどうか、こういう点について、監視委員会のメンバーとかあるいは権限、台風時についてのことがないということについて、簡単に答弁してください。
  337. 大久保喜市

    ○大久保政府委員 まず、監視委員会のメンバーの点でございますけれども、先ほど技術委員会のメンバーがそのままという御指摘でございましたが、私ども県の方から伺っておるところによりますと、知事の諮問機関として水質、魚類等の監視結果を審議することとしまして、このメンバーは学識経験者、行政機関の代表者、それから県議会の代表者、住民の代表者から選定することにしている、そういうように伺っております。それで、この監視委員会の先生が常に現地に出張って見ているということではございませんで、その監視委員会が示した方法によって監視した結果をチェックして判断をする、こういうことでございます。  それで、いまの台風時ということですが、こういう非常に危険な状態のときに、その台風のさなかで監視するということは、これは残念ながら物理的に非常に困難性を伴うと思いますが、私どもといたしましては、二次公害を防ぐ意味合いにおきまして、環境監視の作業につきましては、できるだけ最善の方法をとるべく努力してまいりたいと考えております。  それから、中止等を命ぜられるかどうかということでございますが、私ども、先ほど来お答え申し上げておりました趣旨からいたしまして、当然、危険が起こると予想されるようなときには、中止の命令を待つまでもなく、施工実施者といたしまして、第四港湾建設局におきましてみずからこれを控えるように指導してまいりたいと考えております。
  338. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 大臣にお聞きしたいのですけれども、これは大臣の権限であるかどうかは知りませんけれども、工事の責任者になられるわけでございますが、たとえば、現在漁獲禁止は自主規制をやっているのですよ。自主規制をやっていますけれども、その中でやはり漁獲しておるのです。それをまた販売しておるという事実も実はあるのです。水銀を非常にまたばらまいているというようなことがございますけれども、当然、この工事を始めたら、あの不知火海全域というのは漁獲の禁止をした方がいいのではないか。それがもう絶対慎重の上にも慎重を期する行為であろうと思います。漁獲禁止というのは、これは水産庁関係かもしれませんけれども、これを環境庁あるいは運輸省、そういうところで話し合いをしていただいて、漁獲禁止をやるべきだという点と、今度は、どういうところでも、不知火海全域で工事が始まったら、必ずこれについては、まあ向こうの言葉で言いますと、まぜくると危ないと言っている。必ずそこの魚価は暴落すると思うのです。こういうものの補償ですね、漁獲禁止並びに魚価暴落の補償、こういうものをぜひ関係大臣等とお話しになって検討していただきたいということを大臣に申し上げ、御見解を聞いておきたいと思うのです。  それから、環境庁にお聞きいたしたいと思うのですけれども、これは二五ppm以上をやるわけで、結局それで安全かということですけれども、水俣は干満の差が非常に高いのです。ところが、徳山は、これは低いのですけれども、一五ppmでやっておる。干満の差が高いとよけい流れることはあたりまえだから、もう少し低い基準ですべきじゃないかと思うのです。  それからまた、その計算の仕方とか、その二五ppmはヘドロだけでやったのか、土砂を含んでやったのかと、分母がどうだったのだという問題もございます。二五ppmの検査の仕方が、二百メートル四点にとってその平均を出したということも聞いておるのですが、そのとり方と、それから、これで安全かというようなことでございます。  それから、二五ppmが来たら、二四ppmになったらヘドロを取らないのか。ヘドロは全部取るのかあるいは二四以下に下がったら取らないのか、それをお答えいただきたいと思います。
  339. 田村元

    田村国務大臣 まず、さっきの冒頭の話ですが、心臓の手術と言った方が適切かもしれませんね。  そこで、いまの漁獲禁止の問題でございますけれども、これは、おっしゃるとおり、私に何の権限もありません。まあ技術屋さんは大丈夫だと申しておりますけれども、環境庁、それから当然農林省ということでございましょうが、特に熊本県、鹿児島県等の知事さんがこの問題はやはり真剣にお考えになるべきことだと思います。  私どもに聞かれますと、これはひとつ馬場さん御理解願いたいのですが、私なら私に聞かれたときに、うちの技術陣は何ともないと言っていますよ、としか私の立場としては言いようがないわけです。けれども、さようなことでございますので、なおも私からそれは申しておきましょう。  ただ問題は、余り私が大仰にこれを騒ぎ立てますと、この前、サバを何匹食ったらだめだとかといって、出たでしょう。そうしたら今度は魚は暴落するわで、大騒ぎが起こりました。ああいうパニック状態になったら大変なことでございますから、そこらも踏まえて、漁民大衆に精神的動揺を与えない範囲内で、一遍そのことは私から伝達をいたしておきます。
  340. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  先生質問の二五ppmという基準、ヘドロの除去基準についてでございますが、ただいま、先生もよく御存じのように、水俣湾におきまして二五ppm以上のヘドロを除去する、十分に安全だと考えております。  なお、徳山湾との比較のお話がございました。徳山湾と水俣湾とは、確かに潮位差は水俣湾の方が大きゅうございます。ただ、そのほかに、現在の海域におきます水銀を含みますヘドロの除去の計算には、ヘドロからの溶出の率、それからそのほかに全体としての安全率というものがかかっておりまして、それぞれ水俣湾と徳山湾とは違いますので、掛け算いたしましたその結果におきまして、水俣湾におきましては二五ppm以上を除去すべし、徳山湾におきましては一五ppm以上を除去すべしという計算が出てまいりましたので、これに従ってやっておるところでございます。  それから、二五ppm以上のヘドロを除去するということがございますが、ただいまの計画におきましては、ほぼ水俣湾全域に近い地域を調査に行きまして、二百メートルメッシュに切りまして、その四点平均で二五ppm以上あるところを除去することになっております。その量は百五十万立米でございますが、なお深さ関係の方につきましては、実際の除去におきまして測定をしつつ、二五ppm以上のところを除去するということで考えております。
  341. 馬場昇

    馬場(昇)分科員 終わります。
  342. 住栄作

    ○住主査代理 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  343. 沢田広

    沢田分科員 遅くなって委員長、関係者、大臣、御苦労さまでございます。社会党の沢田ですが、引き続いて質問をさせていただきます。  第一に、大臣にお伺いをいたしますが、日本国有鉄道の累積赤字はきわめて重要な段階を迎えているわけでありますが、国鉄の事業及びその付帯事業の経営、あるいは自動車運送その他一切の事業を経営するということが日本国有鉄道法では示されているわけであります。いまの状態では、足に鎖をはめ手に手錠をはめさせて、おまえは働きが悪いし、動きが悪いぞとしかっているようなものなのでありまして、もっと自由に企業性を生かして動かしていくということを何か自民党では抑えている、こういうふうに聞き及んでいるのですが、これは大臣から、自民党の政策を担当する者としてお答えをいただきたいと思うのであります。
  344. 田村元

    田村国務大臣 結論から申しますと、党の方でそれを抑えるというような事実はございません。  実は、国鉄再建といいますが、結局詰まるところ、労使の正常化を図って国鉄自身が徹底した経営改善を行う、これがもう不可欠であろうと思います。今日まで国鉄自身が、率直に言って、ぼやきにぼやき抜いてきた運賃の問題、あるいはいまお話のあったような問題を私どもとして改善をする、その上で五十二年度中に国鉄自身で赤字の原因を探求し、すばらしい再建案をつくりなさい、こういうことなんですが、ただ問題は、国鉄自身がいろいろな商売に手を出すとしましても、これまた武士の商法でまた大赤字を出すのではないかという、これは高木さんを前に置いて言うのも言いづらいのですけれども、率直なことを言って、そういうような心配もございます。  そういうことでございますので、それと結局同じことにはなりますけれども、国鉄の投資対象範囲を拡大して、関連事業収入がうんと入るようにして差し上げたい、そうすれば国鉄もうんとがんばるだろう、また持っておる土地もそれで遊休土地はうんと活用できるだろう、こういうことでございまして、別に国鉄が商売することについて、党の方から反対があったとか野党の方から反対があったとかという、政党サイドの発言はございませんでした。
  345. 沢田広

    沢田分科員 それでは、国鉄自身で自主的にその企業の拡大、いわゆる営業の範囲内で自主的に行うことは許されるものである、こういうことに理解してよろしいわけですね。
  346. 田村元

    田村国務大臣 許される範囲内で国鉄業務を行うことは、当然のことでございます。
  347. 沢田広

    沢田分科員 この「国鉄現状」という中に、これはミコウ線と読むのですか、私も初めて読むような線でありますが、この線は収入が二百六十二万、かかる経費が一億ですね。これはどうやったって採算の合う線ではないですね。こういう線を認めていく以上、その赤字分はだれが背負っていくのが大臣としては正しいと思われますか。
  348. 田村元

    田村国務大臣 地方ローカル線のいわゆる俗に言う赤字路線、地方赤字線につきましては、運政審において御審議をいただいて先般中間報告が出されて、四つの方法というものが提示され、結局一言にして言えば、その地方、地方で協議会のようなものをつくって、その路線をどうするかということをお決めなさい、こういうことでございますが、この秋には答申が出ると思いますから、それを踏まえてわれわれは対策を講じなければならぬと思います。もちろん地方ローカル線に、いわゆる本来国鉄がなすべき業務なりサービス以上の負担をかけるという点について、これを国鉄に全部しょわせることは過酷であると思います。
  349. 沢田広

    沢田分科員 切望いたしますが、ちょっとたくさん用意いたしておりますから、回答は簡単にしていただきたいと思うのです。  政令二百一号は、当時の瞬間的な労働運動の断面で決定をされたものでありますし、私も当時の当事者でありますが、不当な措置であったと思うのでありますけれども、大臣はどのような見解を持っておりますか。——それは後で考えておいてください。  次にいきます。国鉄の賃金関係でちょっとお伺いをいたしますが、大体一般的に年齢で評価をしますと、東京で年齢掛ける六千円、三十歳で十八万円、これが相場です。中の位の給料で年齢に五千円、三十歳で十五万円、少ない方で大体四千五百円、三十歳で十三万五千円、こういうふうに大体評価をいたしているのが世間の常識であります。国鉄はどの程度に該当するかというと、大体四千円ちょっと欠けます。ですから、三十歳で十一万ちょっとくらいであります。これは間違っていたらひとつ総裁やその他の関係者からお答えをいただきたいのでありますが、こういう水準は正しいと思われますか。
  350. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の賃金が高いかどうかということを比較する一つ基準といたしまして、私鉄の賃金があるわけでございます。私鉄と国鉄と比べまして、職種がいろいろ違いますので、ある職種については国鉄の方が高い、ある職種については私鉄の方が高いということで区々にはなっておりますが、大ざっぱに言って、国鉄と私鉄とを比較した場合に、大体同じような標準ではないかというように考えております。
  351. 沢田広

    沢田分科員 では、ラスパイレス方式ではどのような位置づけだと考えておられますか。
  352. 住田正二

    ○住田政府委員 ラスパイレス方式をとった場合、国鉄は高年の方が多いわけでございますから若干の修正が必要であると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、非常に大ざっぱな話でございますが、私鉄と国鉄とを比較して、大体同じような標準であるというように考えていいのではないかと思います。
  353. 沢田広

    沢田分科員 私は、何も私鉄とだけ比較をしろと言っているのではなくて、一般民間給与との比較の上に立って公共事業というものは存在をするというふうに受けとめているのですが、公営企業法というのはそういうものだと思うのです。私鉄とだけの比較のものではない。私鉄と比較することも一つでしょう。しかし、公営企業というものは民間給与との比較、そういう時点でとらえるのが至当ではないかと思うのですが、いかがですか。
  354. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の給料は、御承知のように、従来公労委の仲裁裁定によって決まってきているわけでございます。公労委が仲裁裁定をする場合には、当然民間の給与を頭に入れて裁定を出すわけでございますので、民間給与より国鉄の給与がかけ離れて低いということにはならないと思います。ただ、私の所管いたしております公営、私営、国鉄という三つの鉄道事業の賃金を見てみますと、公営が一番高い額になっておりますけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、国鉄と私鉄の間にはそれほどの差がない、大体同じであると思います。
  355. 沢田広

    沢田分科員 答弁にはなっていないですが、いずれ改めてまた議論することにいたしましょう。  続いて、これは国鉄総裁の方に伺うのですが、いま大臣は、国鉄も自主性を持って自由にといいますか、相当広範な企業精神を発揮して探求心を持ってやることは可能だ、こういうふうに答えたわけです。たとえばワンケースの貨物列車というようなものを各局で考えて、ワンケースが一千万になるか二千万になるか、そこまでは私も知りませんけれども、ある管理局ではワンケースの貨物列車を編成する、そういうものの荷受け機関を設定するというようなことも一つのたたき台ということにもなるのではないかと思うのです。これは一例ですが、そういうようなものを考えながら、貨物の合理化なんということをやらないで、もっと恒常的な再建方策を考える余地はないかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  356. 高木文雄

    ○高木説明員 貨物につきましては、非常にいろいろな問題がございます。過去においてもそうでございましたが、今日においても、これをどういうふうに解決をしていったらいいかということについては、一律的に答えを出すことはむずかしいと思っております。きわめて多角的な角度から検討を加える必要があると思っております。その際、営業的精神をもう少し豊かに持ってやるということは、その幾つかの方法の中できわめて重要なことだと考えます。したがいまして、ただいま御明示になりました案がいいか悪いかということは別にいたしまして、貨物全体として、より一層営業的精神を豊かにして臨まなければならないと考えております。
  357. 沢田広

    沢田分科員 首相は事あるごとに資源有限の時代と言っております。わが国の輸入の中で八兆円近いものが石油であります。そういう条件を考えてみたときに、これからはますます——西ドイツあたりでももう石炭政策に切りかえておる、こういうような方向も出ているくらいでありますから、当然そういう貨物輸送にさらに重点を入れて考えていかなければならぬ、長期的展望に立たなければならぬ、こういうふうにも思うのでありまして、いまのような姿勢でなくてもっと積極的に、貨物を重点的に配慮するということが必要なのではないかと思うのですが、もう一回その点をお伺いをいたしたいと思います。  さらに加えて、もう一つの案を私は申し上げるのですが、たとえばSLがもうなくなります。SLをどこか東京近辺へ日曜日でも通す。いまの子供たちにとってみればSLはあこがれの的であります。そういうものを一本通すことによって相当旅客収入を向上させることも考えられるのじゃないか。亡くなった方もおられますけれども、そういう点は別として、生きたSLを最後まで通させていくということもこれからの営業収入政策として必要な分野じゃないかと思うのですが、その点もお考えをお伺いいたします。
  358. 高木文雄

    ○高木説明員 貨物については、おっしゃるとおり、鉄道によって大量の荷物を運ぶことはいろいろな面で非常にメリットがございます。したがいまして、貨物輸送を撤退するというような考え方は持っておりません。そのメリットを生かして今後ともやっていくようにしたいと思います。  ただ、これはいささか中、長期的な考え方でございまして、やや短期的に物を考えますと、現状は大変ロスが出ております。そのロスをまず切り捨てるという必要があるわけでございまして、一番最盛期とほとんど違わないような形でいま運営が行われておりますので、これを新しい情勢に合わしてむだをなくすということがまず必要であろうかと思っております。その上で長い目で見て、有効性のある面を伸ばしてまいりたいと思います。  SLの問題につきましては、これは今日から見ますと、大変コストがかかりますので、営業的に見た場合にうまく引き合うかどうかということをいまいろいろ検討さしております。しかし、SLを、このまま全く姿を消してしまう、静態保存だけで終わりにしてしまうというのも残念でございますし、うまくやれば、あるいは営業的にも成立し得る場合もあり得るかと思いますので、いまあれやこれや検討さしております。一つの御提案として私どもも承って、まじめにこれと取り組んでみたいと思います。
  359. 沢田広

    沢田分科員 続いて、通勤緩和の問題についてお伺いをいたします。  これは私が下手な図面でかいたのでありますが、東京を中心として千葉方面あるいは日光、高崎、宇都宮、八王子から小田原あるいは横須賀、この間の通勤状態を考えてみましたとき、黒字線は高崎線一本であります。しかも、これの間隔は現在七分間隔。ところが、小田原、横浜関係は二分から五分間隔、八王子関係は二分から三分間隔、千葉方面は四分間隔。徳川時代からのものかもわかりませんが、北に厳しい、こういう状況は今日いまなお消えていないのでありますが、これらの通勤状況の緩和についてどのように考えておられるのか、その点お伺いをいたしたいと思います。
  360. 高木文雄

    ○高木説明員 御存じのように、十年くらい前からいわゆる五方面作戦ということで、通勤対策の増強を図ってまいったわけでございますが、いまなお解決いたしておりませんのは、東海道の横浜と大船の間が大変込んでおります。それから、東北線の大宮以北、それから高崎線の同じく大宮以北が詰んでおるわけでございまして、中でも高崎線、東北線は非常な混雑を来しております。これは何とか対策を立てなければならないのでございますけれども、根本的にはやはり東北新幹線、上越新幹線ができ上がりませんと根本改革ができないということで苦慮いたしております。  なお、それまでのつなぎにつきましてもいろいろ考えておりますが、どうもいまのところまだ、ことしからこういたします、来年からこういたしますという名案が浮かんでこないということで、御迷惑をかけておるという現状でございます。
  361. 沢田広

    沢田分科員 簡単な例として宇都宮−大宮間の七分間隔の間に三分半の折り返し運転、あるいは高崎−大宮間の七分間隔の間の折り返し運転、ほかの路線から見れば、二分から五分でありますから不可能ではないと思うのでありますが、その点の考え方。  同時に、車内禁煙区間の延長について、これをもっと延長をする意思はないかどうか。現在は、大宮くらいまでの距離の範囲内でありますが、非常に混雑した中でたばこをぷかぷか吹かされることは非常に公共の迷惑にもなるわけでありますから、相当な距離に、六十キロなり百キロ圏内に延ばす必要性があると思いますが、いかがでしょうか。
  362. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 最初の、高崎線と東北本線から大宮に来た列車の折り返しの問題でございますが、実はこの問題について、まだ深く検討をいたしておりませんが、七分の間にもう一本入ってそれを折り返せるのじゃないかという御意見につきましては、これからもう少し検討はしてみたいと思います。  ただ、幾つか考えられますのは、東北本線から大宮に入りまして大宮で折り返すというのは、大宮の駅の設備上、ちょっと無理じゃないかと思います。と申しますのは、着発線で折り返しすることができませんので、これは一回引き揚げなければいかぬということで、大宮から上野方に対して引き揚げるということになりますと、現在の線路容量からしてちょっと無理だろう。高崎の方はホーム折り返しができるのじゃないかということで検討はいたしてみますが、ただ、これにつきまして、実は七分と七分の間で仮に三分半のところで入りますと、ホームでお客さんを一回全部おろしまして、それからもとに戻すということになるわけですが、その辺のホームの通勤時間帯の客扱い上、非常に混雑しないかどうか、あるいはダイヤが乱れたときにどうかとか、いろいろわれわれ実務上の問題もありますので、もう少し勉強させていただきたいと思います。
  363. 沢田広

    沢田分科員 違った問題に入りますが、公務員の退職の場合に関連をいたしまして、国鉄関係の退職金に三%の切り捨てを行いました、標準賃金ということで。それは今回も逐次改善をされまして、公務員はいわゆる最終年度の賃金ということになったわけでありますから、それによって三%の切り捨ては復元をされるべきだと思うのでありますが、その点の見解はどのように考えておられるか、お伺いをいたします。わからないといけませんから、次の質問に入っている間にまた考えてください。  次に、国鉄の共済の状況はいまや危急存亡の時期に到達をいたしているわけでありまして、これは国鉄だけではありません、各省、運輸省も含めてでありますが、短期共済については、全般的に危機に直面をいたしております。それで、健保の問題も法案が提案される寸前にありますけれども、いわゆる千分の四十というような程度に個人負担を抑えていく、こういう意思はないかどうか、その点、お伺いをいたしたいと思います。
  364. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまの三%のことにつきましては、大変不勉強で申しわけございません。きょうはちょっと答弁を保留させていただきたいと思います。  それから、共済の問題につきましては、国鉄は人員構成の関係もありまして、長期、短期とも非常に苦しい状態になっております。共済のたてまえから申しましたならば、やはり漸次雇い主、それから従業員双方の負担を若干ずつでも直していかないと、共済経理がもたないという状態でございます。いつどうするかということは別にしまして、長期的に見た場合に、非常に経理が詰まってきておる状態でございます。  しかし、他の類似といいますか、似たような機関との関係からいいまして、かなり負担率が高くなってきておりますので、その辺をどう調整するかという問題は差し迫った問題になっておりますが、私どもの手元でいま研究中でございますので、しばらくお待ちいただきたい。一方において共済経理をぴちっとしながら、同時に負担を急増させない方法というのはなかなかむずかしいわけでございまして、いま苦慮いたしておる最中でございます。
  365. 沢田広

    沢田分科員 時間の関係で急ぎますけれども、大臣、これは単に国鉄だけの問題ではないのであります。三公社五現業、地方公務員、全国家公務員すべてを含めて短期共済、年齢構成の問題もありますけれども、長期共済を含めて非常に危機に直面をしているわけであります。いわゆる共済というものだけを単純に考えて、フィフティー・フィフティーに何でも伸ばしていけばいいんだという時代ではもうなくなってきた。いわゆる年齢層もふえてきた、そして定年もふえてきた、そういう一つの背景もあったし、高度成長というものもあったし、いろいろな背景によってこれは再検討されなければならない。いわゆる健保関係においては、当然千分の四十で国庫から幾らか補助をされてきている、こういう状況もありますから、社会保障の一部としてやはり位置づけるという考え方があるかどうか、その点だけお答えをいただきたいと思います。
  366. 田村元

    田村国務大臣 いま直ちに私一人の見解お答えするというような問題でなくて、非常に大きい問題でございます。よく勉強したいと思います。
  367. 沢田広

    沢田分科員 後に残したものが多いのでありますが、次に、警察関係もおいでになっていただいておりますので、総合交通体系についてここでお聞きをいたしたいと思います。  現在の東京都内の交通渋滞あるいは埼玉県、千葉県、神奈川あるいは京浜等の交通渋滞はもうどうしようもないという状態、その極に達していると思われます。特に私たち埼玉県は、縦貫する道路ばかりでありますから、その被害を大きく受けているわけでありますが、そういう形で総合交通体系をつくるのには急がば回れ、一言に言えばこういうことだと思うのです。  そこで、幾つかの問題を挙げるのでありますが、一斉の車庫証明の再検査を行う意思はあるかどうか。車庫証明なんというものはそのときだけのものであります。でありますから、後になってはどこに行っちゃっているかわからぬ。言うならば、自動車屋さんが車庫証明になっちゃって、五十台しか置けないところへ恐らく千台くらい車が置かれている証明書になっているんだと思うのであります。そういうような形で車庫証明の再検査をやって、車庫証明のない者についての自動車の乗車を禁止する、そういうぐらいの決意を、これはどこかに犠牲を負わせなければならないものだと思うのであります。  あるいはこの間、私の部屋へ訪問してきた人は、これは常識的に考えてみて精神異常者であります。私がどう考えても、精神異常者であります。時間がありませんから詳しい内容は言いません。しかし、ハイヤーの運転手をしている、タクシーの運転をしている、そういう人が私のところに訪問に来まして、ほかのことで来たのですが、どう考えても、これは異常者なんです。そういうような形で、免許の許可に当たって、昔のような五百円出して何でもやみくもにお医者さんをもうけさせるような、ああいう診断書で免許を出すのじゃなくて、合理的な適性検査というものがあるんではないかということが一つあります。  それから、トラックのいわゆる都内なりあるいは近県なりへの進入の時間制限というようなものも考えてみなければならないものではないか。それから、日中からラッシュアワー当時における一切の駐停車を禁止するということも、ラッシュアワー時においては必要ではなかろうか。あるいはメーン道路における右折、左折のいわゆる徹底的な禁止。国道というのは県と県を結ぶものである、県道は町と町を結ぶものである。こういう一つの大原則に立って、新幹線と普通電車とそれから貨物列車を一緒に走らせるような形じゃなくて、やはり一つの路線というものを整備する、こういうことも必要だと思うのです。  以上の点について申し上げましたが、時間がなくなりそうですから、以上の点についてひとつお答えをまず第一回目に伺いたいと思います。
  368. 福島静雄

    ○福島説明員 まず、自動車の保管場所証明の御質問につきましてお答え申し上げたいと思います。  自動車の新規登録後における保管場所の確認は、変更登録あるいは移転登録をするものについて、自動車の使用の本拠の位置の変更を伴う場合に確認を行っているわけでございます。  御質問のように、これらの自動車の登録の際とは別に、特定の時期に一斉に再度の確認をするということは、現在、制度的には行っていないわけでございます。ただ、車庫証明の際の現地調査によりまして、保管場所の確認を厳格に行っているということ、適用地域を拡大いたしまして、保管場所法の適用を免れる行為を封じてきているということ、さらに駐車禁止の規制を拡大いたし、取り締まりを強化していく、こういった措置によりまして、全体として保管場所の確保がなければ、自動車の使用が困難となるというような環境づくりに努めているところでございます。  特定の時期に一斉に再度の確認をするという制度をとることにつきましては、法律改正が必要でございますけれども、現在、年間の証明の取り扱い件数七百万件以上に及んでいるわけでございますが、今後行政負担と効果との関係、さらには保管場所の確保されてない自動車を運行の用に供させないようにするためにはどうすればよいか、そういった点についてなお検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。運輸省とも十分協議いたしまして、検討いたしたいと思います。
  369. 沢田広

    沢田分科員 私の提案したことは、一つのこれはたたき台でありまして、これがすべてオールマイティーだとは思っておりません。しかし、いずれにしても、この渋滞を解決していく、メスを入れなければならない時期に来ている、こういう立場に立って真剣に検討してほしい。そういう願いを込めて、私はいろいろなものを申し上げたわけでありますから、これは運輸大臣を初めひとつ御検討願いたいと思います。  最後に、四メートル道路についてちょっとお伺いします。これは建設委員会で私が質問をいたしたわけでありますけれども、現在の四メートル道路の効果というものは、現在の消防車でも二メートル五十が限界であります。運輸省は、そういうふうに規定をしておるわけです。ところが、建設省の方では、四メートル道路というものを設定をするわけです。その四メートル道路を設定して、電柱をその中に立てる。これは四メートルの効果を示さない。その中に二メートル五十の消防車が入ってくる。これは一方通行にせざるを得ないでしょう。そうしたならば、ついに建設委員会でも一方通行にします、こう言っていました。しかし、一方通行にする権限はあなたの方にしかない。この点、どのようにあなたの方では受けとめておられるか、お伺いをいたします。
  370. 福島静雄

    ○福島説明員 幅員の狭い道路について、できるだけ一方交通規制を実施してまいるというのは、都市における交通規制の一つの大きな柱でございまして、警察庁といたしましても、こういった幅員の狭い道路につきまして、基本的には、できるだけ一方通行を実施するよう都道府県の警察を指導しておるわけでございます。  ただ、すべての狭い道路につきまして一律に実施するということにつきましては、困難な事情もございます。地域の交通実態、自然環境等に応じまして、地域住民の方々の理解、協力を得ながら、実施してまいることにいたします。
  371. 沢田広

    沢田分科員 もう時間がないから。  消防車が通れないで、できるだけという言葉がありますか。消防車が通れないという状態で、できるだけという答弁がありますか。ちょっとそれだけ言ってください。
  372. 福島静雄

    ○福島説明員 緊急車が通行する際には、交通規制をかけまして一方通行の道路を通行できるという方法はあるわけでございますが、すべての道路につきましては、困難な面がございますが、御趣旨に沿いまして、積極的に一方通行の規制を実施してまいりたいというふうに考えております。
  373. 沢田広

    沢田分科員 残された問題はたくさんありますけれども、あとの人も待っておりますから、心残りは多分に残しまして、ひとつ後でまた機会を改めてやることにしまして、終わりたいと思います。
  374. 住栄作

    ○住主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了しました。  次に、新盛辰雄君。
  375. 新盛辰雄

    新盛分科員 まず冒頭に、この八日に起こりました上越線の脱線転覆事故、この問題について、その概況については省略をいたします。     〔住主査代理退席、佐野(憲)主査代理着席〕 すでにあらゆる手段あるいは手だても加えられ、なされているわけですが、前代未聞の遭遇事故だというふうにとられておられるわけですけれども、もしこれが間違って大惨事ということになったらどうだったろうか。もうすでに死者が一名出ましたし、重傷者三名、約百余名を超えるような死傷事故ということになったわけです。この原因は不可抗力だったというようないろんな言われ方がございますが、落石による事故、これは国鉄が沿線を持っている以上、そこに防災措置その他いろいろとなされているわけですけれども、まず大臣にお伺いしたいのは、これは天災なのか人災なのか、この点について、石が落ちてきたからこれは全く予期せざることだったのだ、それだけで片づけてよいものかどうか、それをお聞かせいただきます。
  376. 高木文雄

    ○高木説明員 ちょっと私の方から……。  私ども、輸送の仕事をいたしております者の立場から申しますと、安全ということがまず何よりも大切なことでございます。特に大量輸送という役目でございますから、何をおいても安全ということを第一に考えなければいけないわけでございまして、その立場から申しますと、天災あるいは不可抗力ということは、われわれの立場からはいかなる場合にも口にすべきものでないというふうに考えております。その意味で、今回の場合にもこれが天災である、あるいは不可抗力である、よってもって防ぎ得ないものであったというふうには考えていないわけでございます。
  377. 新盛辰雄

    新盛分科員 いまここで明確にお答えができないということなんですが、防災の面から予知できることと予知できないこと、これはいままでの国鉄でおとりになっているいろいろ恥な防護措置もあるわけですけれども、そのことについて、これは四百立米、三十トンの石が落ちて結局列車に刺衝した、こういうことになっているわけですけれども、その防護対策として、いままでおとりになっている国鉄のこれらに対する対策、こうしたことについて、いま沿線の各設備あるいは路線の面においても、構造物的な問題もいろいろありますが、非常に老朽化しているのじゃないか、これは落石の面でも言えることなんですが、その防護壁あるいは防護措置、そうしたことでいまお立てになっている国鉄の対策は何なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  378. 高木文雄

    ○高木説明員 落石対策としては、防護壁をつくりますことと、それからレールの上に覆いをかけますことと、それから警報装置をつくりますこと、そういったことを中心に毎年進めております。ただ、余りにも延長が長いわけでございますので、率直に申しまして、全国至るところ非常に安全であるということは言えないわけでございまして、それをどういう手順でどういうふうに進めていくかということになりますと、投資をいたします場合に、特定の個所に集中的にお金を使いますと、どうしても他の地区に及ばないということになりますし、幅広くやりますと、今回のようにもう少し高く立てておけばよかったじゃないかということになるわけで、その選択は非常にむずかしいところでございますが、やはりそこは、事故が起こります確率と言いますか、その可能性ということを頭に置きながら、なるべく能率のいい方法を選ばざるを得ないということでございます。  私どもの細かい数字はいま覚えておりませんが、持っております数字では、過去十年くらい前と今日と比べますと、落石は大分減っておるわけでございまして、いままでやってまいりました仕事が効果がなかったということではございませんので、それなりの効果は上がっていると思いますが、しかしそれは完全なものと言うにはまだ大分間があるという状態でございます。
  379. 新盛辰雄

    新盛分科員 必要な危険個所の防護措置の面で、のり面の防護法だとか、落石どめのさくをつくって、H鋼のつくりによって金網を張るとか、あるいは斜面の強化を図るとか、あるいは崩壊の防止で、落石どめの擁壁をつくるとか、落石覆いをつくるとか、いろいろ方法はあるでしょうが、幹線系で六百六十四カ所、地方交通線で千六十六カ所、合わせて千七百三十カ所、この危険個所に対して、財投から金を出して国鉄にはおよそ工事経費を含めて援助しているのだからということなんですけれども、いまここに至っては、工事経費の見直しをすべきじゃないか、災害対策特別委員会の方でも議論がされているだろうと思いますが、この災害復旧として国が助成をする、その立場をやらなければならないし、あるいは四国の土讃線のように、国がやる、あるいは県がやる、地方自治体がやるというようないわゆる三者相まってこうした面の路線の見直し、あるいは工事の面でもやっていくという、そういうお考えはないですか、これは大臣に聞きます。
  380. 田村元

    田村国務大臣 先般、事故の報告に国鉄総裁が私のところへ来られました。そのときに、総裁と鉄道監督局長に、私はいまおっしゃったようなことで検討を指示いたしておきました。
  381. 新盛辰雄

    新盛分科員 いま検討されるということなんですけれども、運輸省として国鉄に監督をしていろいろ指示をされる、あるいはこういう事故が起こったら、そんなことするな、もっと職員も引き締めてがんばれというようなことでいろいろ指摘はされるのですけれども、ところが現実ついてこなければいけないのです。それは何かと言えば、金なんですね。そういう面における、今次の事故を契機として、いま全国で千七百カ所というふうな、こういう状況でありますから、いま現在、この問題について当面どういう手だてをされようとしているのか、それをお聞かせいただきたい。
  382. 住田正二

    ○住田政府委員 来年度予算で申し上げますと、国鉄の工事費は新幹線を含めて八千三百億円ということになっております。この中でわれわれとしては、安全対策を最重点に置いておりまして、もちろん細かい計画国鉄でつくるわけでございますけれども、安全を最重点にして査定といいますか、あるいは大蔵省要求しておるということでございまして、私どもの方で安全面について予算を削るというようなことはいたしておりません。
  383. 新盛辰雄

    新盛分科員 それで、いままでのこういう長い間やってきたペースですね、これでいま現実こういう事故防止ができるかということなんですけれども、これは施工能力関係もありますし、工事要員の確保も必要になってくるでしょう。そういうことに対して、果たして国鉄だけで防ぎ得るのか。建設省や農林省、そういうような関係とも十分連携をとってこうした面についての事故防止をしなければいけないのじゃないか、そう思うのですが、どうですか。
  384. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。運輸省は、国鉄のやり方に対して時に指示し、時にこれを訂正せしめる、いい意味において。また、助成の問題を真剣に考える。これは当然のことであります。また、農林省も山腹砂防等を十分にやっていただかなければならない。特に危険個所のところはなおさらそうです。  でありますから、私は今度のこの事件を契機にしたというわけではありませんけれども、実は私の県でも昔、加太というところで川の中へやはり同じような事故で汽車が突っ込んでたくさんの死者を出したことがある。でありますから、こういう問題について私は部下である鉄道監督局長並びに当面最高責任者である高木総裁にそういう点を厳しく先般も指示いたしましたが、きょうはここに主計局もおりますから、特にこの問題は主計官にも十分に聞かすつもりで私はお答えをしておるわけでありますが、何かとまた御協力をお願いいたします。
  385. 新盛辰雄

    新盛分科員 これからの対策の問題で、例の構造物の経過年数、いわゆる橋梁だとかトンネルだとかいろいろございますが、その経過年数が平均してもうすでに四十年ぐらい経過しているわけですね。もう本当に老朽化している。これはやはり改良し、あるいは補強しなければならないと思うのです。そうした面で、いま少し現実の防災投資の面で、工事経費の面で見ますと、四十九年から五十年災害を含めて、橋梁の取りかえとか河川改修、トンネルの改築とか路線変更だとか土工設備、こうしたことについて積極的にひとつお取り組みをいただきたいと思うのです。  次に、これはぜひ運輸大臣にお聞きしたいのですが、国鉄再建対策に対してその基本理念として、政府が昨年の十二月三十一日、また本年は一月の二十日、閣議了解として、国鉄の役割りについて、責任ある経営体制の確立を図る上で、わが国の総合交通体係の中における都市間旅客輸送あるいは大都市圏の旅客輸送及び中長距離の大量貨物輸送あるいはそれに対する果たすべき役割りを、これは独立採算制を指向した上でいわゆる自立経営でなければならない、そういうふうに先ほどの御答弁にもあったわけですが、今日の国鉄現状は、公共性と企業性の面に非常に複雑な絡みがあるといいますか、若干その責任ある経営体制の確立がいまできなくなってきているのじゃないか、その面では独占性が薄れている。かつて運輸大臣答弁しておられるわけですが、そういう中でこの国鉄の赤字解消の問題で前回の国会でもずいぶんと御努力をいただいたわけでありますが、いまここに至って国鉄だけがすべての責任を負わなければならないのか。経営の努力、労使の協調、そういうことを訴えておられますけれども、現実そのことがいま可能なのか。言うならば政策の問題としてあるのですが、これは総括的な意味で簡単にひとつ運輸大臣お答えいただきたい。
  386. 田村元

    田村国務大臣 国鉄再建、これは先ほどから申し上げておったのでありますが、先般来申し上げておるわけでありますが、まず基本的な問題としては労使の協調、いわゆる労使関係の正常化をもって国鉄自身経営意欲をたくましくすることであろうと思います。  それに加うるに、適時適切に運賃値上げができるようにしてあげるとか、あるいは関連事業収入が得られるように投資対象範囲の拡大をしてあげるとかという支えもしてあげなければなりません。同時にまた、御承知のように、累積赤字のたな上げを可能な限りしてあげた。これからもまたしてあげなければならぬ面もあるかもしれません。  そのようにしてわれわれは、さあ国鉄さんどうぞりっぱな案をおつくりください、この年度内にりっぱな案をおつくりください、こう言って、高木さんいま一生懸命になっておられるわけです。しかし、それだけではいけない。国鉄が提供すべきサービスを超える部分の負担に関しては、これは国が助成するのは当然でございます。そのようないろいろな要素が相まって国鉄再建ができる、私はこのように考えております。
  387. 新盛辰雄

    新盛分科員 その国鉄の赤字を、五十年度末に三兆一千八億の累積赤字を、国庫助成によって二兆五千億だけを固定資産再評価積立金の取り崩しなどによってたな上げ処置を講じられたわけですけれども、もうすでに五〇・四%の大幅運賃引き上げをして以来、国鉄離れが非常に目立っている。空気を運んでいる。現実にニッパチという問題がありますけれども、こうした状況の中で実収を三七%見込んでおられたのですけれども、その予測も外れまして、恐らく二〇%ないしはちょっと強というところじゃないかと思うのです。そういう状況にありますだけに、決算どきにすでに赤字が六百億、五十一年度の収入見込みは四千九百四十億だという。そうして、運賃値上げの若干おくれたことやら雪害やらあるいは事故、その他いろいろな面で乗車効率の減ったことももちろんでしょうが、七千八百十五億の赤字になる。     〔佐野(憲)主査代理退席、住主査代理着席〕 そういう面を見込んでいきますと、五十二年度はすでに赤字がずっと積み重なりまして、法定主義の緩和問題がいま出ておりますけれども、さらにこれ一九%仮に上がったとしても、恐らくこの金にしても手九百億です。そうすると、結局累積欠損金はもうすでに今日現在一兆円を超えておるんじゃないか、私の計算で言えば。このことについてはどう思いますか。
  388. 田村元

    田村国務大臣 五十一年度でまた新しく赤字が出てくる。それに対して五十二年度予算でその何がしか、約三分の一になりますか、それを一種のたな上げといいますか、利子補給ということでカバーをする、こういうことでありますが、一九%値上げといいましても、今度は一律全部賃率を一九%値上げするというようなことより、むしろコクのある値上げをした方がよい。ですから、いまおっしゃるように、とにかく国鉄離れもひどいのですから、国鉄の競争力の絶対強いところはコクのある値上げをすべきであろうし、また国鉄の競争力の弱いところについてはそれなりの配慮をしていく、そういうような姿で名目一九%の値上げをしていく、これが一番いいんじゃないかと思います。
  389. 新盛辰雄

    新盛分科員 コクのあるというのは実のあるということなんでしょうが、単なる国鉄経営努力だけではもうどうにもならない。政府が閣議了解でその考え方を示されているわけですがね。それを一歩踏み出して、そして国鉄財政の健全化を図る、その決意ですよ。それで国鉄の過去債務は政府の公的な助成を強化する以外にないじゃないか、さらには全額国の責任で処理するという財政措置、これについてはいまコクのあるというお話がありましたが、一歩踏み込んで今後どうするのかということについてお考えをお聞かせいただきたい。
  390. 田村元

    田村国務大臣 先ほど申し上げたようなことを基礎にして、国鉄昭和五十二年度内に再建案をつくろうというわけです。まずそれを私どもは見てみなければならぬ。本来そういう再建案をつくる作業は国鉄自身がやるべきもの、私どもがそれを拝見しなければならぬ。しかし、いずれにいたしましても、一般会計からの助成をするとしてもその一般会計の金自体が国民の税金であります。これをわれわれは深刻に受けとめなければならぬ。でありますから、そういうことを踏まえていい案をおつくりなさい、こういうことを指示しておるところでございます。
  391. 新盛辰雄

    新盛分科員 次に、国鉄法第六条改正が今回提起されようとしておるのですが、国鉄業務範囲、投資事業範囲の拡大ということになっているわけですね。このことによって国鉄資産活用あるいは関連事業を強化してという先ほども御答弁があったわけですが、おそらく施設または土地の高度の利用、土地利用の面あるいはショッピングあるいは住宅、ホテルなど、そうした面について少し踏み出してやっていこうというお考えのようなんです。  そのことに対して、観光開発だとかあるいは鉄道利用によっての業務委託などいろいろあるでしょうが、いますでに運賃値上げの後に国鉄に資産活用委員会というのが設けられているようです。そしてまた最近は、関連事業本部というのは事業局の上にあるのか並列的にあるのか知りませんが、きょうあたりの新聞では土地開発局を新設するんだ、人材も新しい血を入れるということで非常に発想はいいように見受けられるんですが、この機能は一体何なのか、何を本当に——多角的な経営ということで求めておられるわけですが、増収を図るという意味でそういう面をおとりになっているのか。これが国鉄という独占的な、いわゆる度は低くなったけれども公共性と企業性、この面の区分け、この点についてはどうお考えですか。
  392. 田村元

    田村国務大臣 国鉄は、私鉄と基本的に違ったところがあります。それは全国の国鉄の輸送網を持っておるということ、公共性が強いということです。でありますから、私鉄のようにデベロッパーまでやれということは不可能でございます。  同時に、私は誤解のないようにあらかじめ申し上げておきますが、国鉄自身に商売をしろとは申しておりません。それはやはり逸脱した面も出てくるだろうし、国鉄自体が商売したってどうせ武家の商法でまた赤字をつくるぐらいが関の山だというところもございましょう。そこで国鉄が、投資対象範囲の拡大、それをしてあげれば、遊休地もうんと利用できるだろう。要らない土地は売るということもいいでしょうし、うんと利用できる。ですから、国鉄がホテルを経営したり、ボウリング場をやったり、そんなんじゃありません。投資範囲の拡大をする、こういうことでございますから、それなりに私は増収はすばらしいものになるだろうと思っております。
  393. 新盛辰雄

    新盛分科員 もう時間がないので、具体的な問題がまだありますが、また別の機会に譲ります。  すでに新聞や報道機関等でも発表されていることですが、運賃問題は別におきましても、法定主義の問題、またこれ議論のあるところですが、この料金の問題ですね。これは随時運輸大臣の認可によって決められているわけです。ところが、国鉄の各種料金がもうすでに御承知のように相当な値上がりを見せて、特急などに乗るお客さんも余りいない。これは長距離利用者が有利になるような運賃の遠距離逓減率を高める。私は鹿児島だから安くしてもらわなければいけないんです。だけれども、東京−博多間の新幹線グリーン料金が二万三千円、飛行機が二万八百円。これは飛行機の方が安いんです。こういうことですから結局空気を運ぶことになるんじゃないか。特急料金あるいは急行券あるいはグリーン券、こういうようなことについて、さきに労使の間の申し入れ事項になっているようですが、三〇%引き下げなさい、この提案がなされているようですが、運輸大臣として、所轄大臣としてどうお考えですか。
  394. 田村元

    田村国務大臣 まだグリーン料金についてはこれという結論を得たわけではありません。ありませんが、私個人の見解から申せば、私は見直していいんじゃなかろうかという感じがいたします。と同時に、やはりグリーン車に一般の庶民が安直に乗れるようにしてあげた方がいいんじゃないでしょうか、私そんな感じもするのです。ですから、これは見直すことを私は勧めたいと思います。
  395. 新盛辰雄

    新盛分科員 ぜひそれは努力をしていただきたいと思います。  それで、法定主義の緩和の問題がありますけれども、これは私に言わせれば、将来の国鉄を展望すればアリ地獄に落ち込んでいくようなものだ。時限的なものと物価変動によってということになっていますけれども、この点については利用大衆の皆さんの意見を十分聞く。運賃、料金制度については、これは国会で決めるその前に十分な審議会も設けてやって、そしてコンセンサスを得る、これはどうお考えですか。
  396. 田村元

    田村国務大臣 運賃の値上げのことですね。制度のことじゃないですね。
  397. 新盛辰雄

    新盛分科員 はい。
  398. 田村元

    田村国務大臣 それは国鉄もしかるべき諮問機関を持とうとしておりますし、運輸審議会でこれを御審議願うことになりますが、私はいまここで具体的なことまで考えておるわけではありませんが、何とか運審あたりでダブルチェックのいい方法がないだろうかということをひそかに考えておる。またいい知恵があったらお教え願いたいのですが、何かいい方法があるはずだ、そんな感じがいたしております。何といっても、運賃値上げということは庶民にとって大変大きな問題でございますから、その点は十分意を用いたいと考えております。
  399. 新盛辰雄

    新盛分科員 最後に、九州新幹線の建設についてお伺いしたいんですけれども、御承知のように、三十九年開業以来新幹線は十一億人の旅客を運んでいる。黒字である。それが岡山から博多まで線路が延びて二年たちます。この博多開業後新幹線の利用者は飛躍的に伸びています。現在一日平均の乗客は約四十三万人、旅客収入も全国鉄の旅客収入の四〇%を占めているぐらいです。この日本の動脈と言われる、いわゆる経済の面でもすべての問題にかかわっているこの日本縦貫の新幹線、いま東北線あるいは上越、この方面には着工してやっておられます。ところが、博多から熊本を通って鹿児島まで、これは地域開発を進展させるということですべてはもうよく知っています。だから、これをいつから着工するのですか、このことをよく聞かれるわけです。すでに福田総理は、これは三全総の中で考えましょう、その中で織り込んでやろうということなんですが、運輸大臣として、いまの交通の実態から見て、新幹線の騒音公害その他いろいろございますが、建設上のいろいろな問題もありますけれども、こういう地域性の問題についてどうお考えになっているか、これは大臣のひとつざっくばらんなところをお聞かせいただきたいと思う。
  400. 田村元

    田村国務大臣 御承知のように、新幹線については意見がいろいろございます。とにかく、これはもう政党政派を超えた個人の見解があります。これ以上新幹線をつくるなという意見も強うございます。しかし私は、やはり日本縦断の新幹線はなるべく急いでつくった方がよいという考え方を持っております。それは先般もいみじくも美濃部さんが私と会ったときに言いましたが、東北地方の方々の御心情を思えば、東北新幹線も捨ててもおけませんねと言っておられましたが、まさにそのとおりでございます。  九州新幹線につきましては、いま国鉄で工事実施計画を策定するための調査を行っております。御承知のところでございます。今後の建設の進め方につきましては、国の経済、財政事情はいまおっしゃった三全総との関連、それから路線の採算性等、それから国鉄再建との関連性とかいろいろなことで、大分あらゆる角度から検討されておるようでございますけれども、時に政治は行政をリードしなければならぬこともございます。そういう意味で、私はこの問題については真剣に検討をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  401. 新盛辰雄

    新盛分科員 いままで幾つかこの問題について取り上げられているわけですけれども、それは積極的に、そして非常に意欲を持ってやりたいということなんですけれども、現実の路線の問題についてもいろいろありましょうけれども、この新幹線が鹿児島まで延びるということがいかに旅客の、また輸送の面においても、あるいは貨物のことはまだそのほかの問題でございますけれども、当面着工が大体いつになるのか。鹿児島を起点にしてこれから東京まで結ぶあるいは青森へ結ぶというその縦貫性の重要性ですね、そのことにかんがみて、いつから実行されようと予定をされるのか。三全総ですべてはそれは網羅しなければ、そうはいかぬ。やはり行政の面の立場よりわれわれがここで、国会の場におけるその優位性ということに対して、大臣としてはどうお考えですか。
  402. 田村元

    田村国務大臣 何が何でも三全総に縛られなければならぬという理屈もないかもしれません。ただ、いま何年何月に着工するんだとお尋ねいただいても、ちょっとまだお答えをするだけの材料がないわけでございますけれども、私なりにこの問題とは真剣に取り組みたい、こう考えておりますので、どうぞ意のあるところをおくみ取りをいただきたい、大変妙な答弁で恐縮でございますが、具体的な数字はいまどうかと思います。
  403. 新盛辰雄

    新盛分科員 最後に、妙な答弁じゃないのですけれども、大臣が積極的にこのことに取り組んでいきたい、大臣にいま就任しておられる間に、少なくともあの地域の開発性から見て、やはり鹿児島県の皆さんも熊本県の皆さんも本当によかったと言われるぐらいにひとつ積極的にやっていただきたいと思います。  要望して、終わります。
  404. 田村元

    田村国務大臣 そこで、つけ込むようで恐縮でございますが、私も自民党の中を一生懸命まとめるようにいたしますから、ひとつ新盛さんも、新幹線のことでコンセンサスが得られますようによろしく御協力をお願いいたします。
  405. 住栄作

    ○住主査代理 これにて新盛辰雄君の質疑は終了しました。  次に、中野寛成君。
  406. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私は、このたび大阪国際空港へ乗り入れを計画しておられますエアバスの問題につきまして、先般公害等の特別委員会でもお尋ねをしたところでございますけれども、時間のために若干質問し残した問題もございますし、同時にまた、特に環境庁長官を中心にしての質疑でございましたので、いま改めて若干の重要な問題について運輸大臣を中心にお尋ねをしたいと思います。  大阪国際空港のエアバス乗り入れに関連をいたしまして、去る三月三日に、十三項目にわたる環境庁からの質問に対して運輸省からの答えがあったわけであります。それに基づいて、五日に環境庁から、これまでエアバスの乗り入れについては、ストップがかかっておったけれども、その枠を外すという回答があったわけでございますが、それに基づいて、いま地元では大変大きな騒ぎとなっております。少なくとも運輸省からの御返事によれば、エアバス導入は、騒音に対しては大変大きくそれを削減することにつながるのだ、ただ難点は、いわゆる排気ガスの中のNOxがふえることが難点だ、こういう報告になっているわけであります。しかしながら、いま地元の皆さんはこのような運輸省説明に対してなかなか耳をかそうとしない、むしろ、それをまた説明を聞いたとしてもますます不信感が強くなっている、そういう実態があります。これらについて、音源対策と周辺整備等についてお尋ねをしたいのですが、まず、その音源対策としてのエアバスの導入、それに関連をいたしまして、現実にはいわゆる排気ガスの中のNOxだけは若干ふえるけれども、大したことはないのだという御説明がございます。そのことについてまずお尋ねをしたいと思います。  先日いただきましたこういう「大阪国際空港エアバス導入に関する申入れ事項(いわゆる「十三項目」)回答の要旨」というのがございます。その中の四ページを拝見いたしますと、「エアバス百回の場合には、現状でもNOx濃度が低く、空港に近い伊丹市の測定局においては、航空機のNOxの寄与率は一・一九〜二・二三%程度にすぎず、現状でもNOx濃度が高い豊中市、大阪市、尼崎市等の測定局では僅かに〇・〇二〜〇・七五%の寄与率にしかならないことが推定されます。」こういう御説明がございます。  次に、いまその地域で一番問題になっている地域は、勝部というところと走井というところでございます。そのページの次の部分を見ますと、「空港に近い勝部地区で航空機によるNOxの年間平均濃度は〇・〇〇三一八ppm、走井の空港直近で人家のない地区でも〇・〇〇五四三ppmとなっています。」こう書いてあります。先ほどの説明のところは寄与率で、そしてここではppmで書いてあります。そして〇・〇〇とつくわけであります。これを読むと、何かいかにも被害が少ない、排気ガスの濃度が低い、こういう印象を、一見しますと受けるわけであります。しかしながら、すでに運輸省が依頼をされたかっこうで船舶振興会等の出資で航空公害防止協会というのができております。そこで常に検査をしていただいておるその中で、この「参考資料(N。2)」というのが環境庁大気保全局から出ておりますが、それを拝見いたしますと、年平均値、この計算の根拠になっております昭和四十九年で〇・〇四四ppmが空港測定点の汚染度になっております。それを基礎にいたしまして、たとえば豊中市で〇・〇二ないし〇・七五%で、その影響はわずかと書いてありますが、いま申し上げました数字をそのまま当てはめて計算いたしますと、勝部地区では〇・〇〇三一八割る〇・〇四四掛ける一〇〇、そのパーセンテージでいきますと七・二%。そして走井地区では、その計算でいきますと一二・三%。数字のけたが全然違うわけであります。  どうしてこのような数値になったのであろうか、意図的であるとは思いたくないのでありますが、こういう計算をいたしますと、地元の皆さんはますます、また運輸省にはかられたかという印象を現実に持っているわけです。大変残念なことだと私は思います。行政が信頼をされて、初めてその行政はますます進んでいくと思うのです。今日まで、田村運輸大臣になる前から、この周辺の事業につきまして進捗率が悪い、約束したことが果たされない、いろいろな諸問題で運輸省は地元から大変信頼を失っているというのが現状なんでございまして、田村運輸大臣のもとでそのような心配を、不信感を払拭されて、本当に冷静な話し合いができるという状態にまず持っていかれることがこの問題を解決する根本になると思うのでありまして、この数値等についてもお聞きしたいと思いますし、同時に、その数値の中で、大変詳しい資料も出していただいておりまして、その計算となった根拠値、こういう地図でその測定結果の数値もいただいております。  この滑走路隣接の勝部地区で、これはppbで出しておりますが、一〇・一四、これはこちらの説明の中には入っていないわけであります。それを空港敷地境界での〇・〇一〇一四ppmですか、これを計算いたしますと二三・一%の寄与率になってくるわけでございまして、このような数字を一つ一つ見るにつけても、この資料が一般市民の皆さんが見て本当に納得できるものだろうか。まず市民の皆さんに見せるものじゃなくて環境庁に見せて環境庁がわかればいいんだということかもしれませんけれども、どうしてもこういう数値の中で私どもは今日までの行為を見ておりますので不信感がつのる、住民の皆さんと一緒に心配だという気持ちになってくるわけであります。そういう素朴な住民感情というものの上に立ってお尋ねをしたいと思いますが、ひとつお答えをお願いしたいと思います。
  407. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  まず第一の先生の最初お示しになりました資料は、普通の方にわかりやすく読んでいただこう、こういう趣旨で一部を書き直したものでございます。したがいまして、私どもここ一週間ずっと連日のように説明会を開いておりますが、それに当たりまして、もとになりました詳しい資料も同時にお見せしてお話をしております。したがいまして、抜粋の過程である程度言葉が足らなくなってしまうというふうな点があったことは私どもも認めますが、先生おっしゃるように、意図的な措置を講じたということでは毛頭ございませんので、まずその点を最初に御了承願いたいと思います。  次に、御指摘ございました数字のいろいろな違いでございますが、この数字、〇・〇〇〇と零が幾つもくっついておりますが、大きな資料の方に打ち込んであります数字はppbで書いてございます。御案内のように、零が三つつきますと当然ppbになるわけですけれども、ppbという単位は、一般の人には非常になじみがないものですから、それでなじみの深いppmというので解説書の方を書いたというにすぎませんので、零をたくさん並べて、いかにも小さな数字に見せようとしたという意図では毛頭ございません。  第三番目に、御比較いただきました地点の公害防止協会が測定しておりますところは、先生よく御案内の、防音壁の内側でございます。したがいまして、全く空港の中でございますので、この地点と外側との間の対比というのは、これはどれだけ技術的に意味があるであろうかということを、専門家の意見等も聞き、あるいはまた、さらに細かな地形についてのシミュレーションというものができるかどうかということにつきましても、専門家の意見を聞いたわけでございますが、一応計算をしてできないことはないだろう、しかしあそこにはへいもございますし、防音堤もございますし、こういうふうなところでの拡散計算を非常に局部的にやっても、そう正確に合うものではない。しかもppbのオーダーで勘定する、こういうことになりますと、まずもって数字の信頼度とのが非常にわかりにくいものになるのではないだろうか。環境庁がお決めになっております現在の値が一時間値の日平均値、こういうことでございますので、シミュレーション計算もいま非常に確度が高いと言われておりますその数字を使った、こういう次第でございまして、これもまたことさらに比較数字を出さなかったということではないのでございます。  勝部における、ここに書いてございます何%という数字と、いま先生がおっしゃいました数字が合わないではないか。これは、確かに、拾った点が違いますので、これはおのずから合わないわけでございまして、私どもは、空港の外側で各関係市なり府なりが測定点を設けまして、年間を通じて測定をしておりますところのデータの方を分母にしまして、それに増分をシミュレーション計算したものを乗せてパーセントを出した。勝部のところにおきましては、私どもの公害防止協会にやらしております測定というのは、空港の中へ入ってしまいますものですから、したがって、ここら辺のところは、非常に数字の精度として扱いにくい問題がございます。そういう意味で、これを避けて、生の数字をそのまま出してある、こういうふうに御理解いただければ非常に幸いでございます。
  408. 中野寛成

    中野(寛)分科員 防音壁があるということでありますが、一時的に防音壁また防音堤、そういうものが、直射音、直接ぶつかるものについては、ある程度の効果があるかもしれません。ただ、排気ガスにつきましては、距離が本当に隣接している地域でありますから、空港の外、中といいましても、空港の外と中を仕切るものは何があるのか、何もないわけです。実際金網があるぐらいのものでしょう。また、防音堤がある、防音壁がある、しかしそれはもう本当にわずかの時間で、その内部と外の空気の濃度、排気ガスの濃度というのはほとんど変わらないようになるのじゃないですか。その中で滞留するのでしょう。そういう状態を考えますと、この豊中市における影響度は、大きい方を見ても〇・七五%と、先ほどの勝部地区の七・二%、走井地区での一二・三%、余りにもけたが違い過ぎると思うのであります。たとえば伊丹で一・一九、伊丹の方がいかにもその寄与率が高いような印象を受けますが、むしろもともとその地域は汚染度が低いところなのではありませんか。もともとの汚染度が高いところは、寄与率をそれに掛けますと、それはきわめて低い数字が出てくるということになるのではないでしょうか。そういう意味において、何かここに割り切れなさというものを当然私ども持つわけでございまして、そういう面について私どもは十分納得をさせていただけるような御説明をいただきたいわけであります。
  409. 松本操

    ○松本(操)政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、ベースが高いところとベースの低いところを比較いたしますと、それはベースの高いところの方が、寄与率という形では低くなってまいります。これは分母が大きいからとか小さいからとかということでございますので、おっしゃるとおりでございます。  ただ、この寄与率というものを算出いたしましたのは、先ほども御説明を申し上げましたように、任意に都合のいい点を選んだということではございませんので、その地点で市なりあるいは府の公害センターなり、そういったところが長期間にわたってデータをとっておるそのデータをベースにいたします。その上に拡散計算上出てきた数字の上乗せ分がどうなるか、こういうことをはじいたということでございますので、この寄与率すべては細かに位置を全部とりまして、厚い方の資料の中には一覧表にして入っておるわけでございます。それを冒頭申し上げましたように、普通の市民の方が読んだときにわかりやすいように、あるいはプレス等に説明したときにわかりやすいようにという意図で書き直しました場合に、いま伺いますと、多少私どもの舌足らずと申しますか、説明の仕方が下手だったと申しますか、そういうふうな点で非常な誤解を招いたのであるとすれば、私どもの意図したところとはなはだしく違った結果になったわけでございまして、大変遺憾に存じますが、毛頭そういう趣旨で書いたのではないのでございます。もとのデータは、全部厚い方のいわゆる十三項目の資料の中にことごとくさらけ出してあるという点も御勘案いただきたいと思います。
  410. 中野寛成

    中野(寛)分科員 一部分をわかりやすいように抜き出した、その中でこういう書き方をしたということですけれども、それならばこそむしろそういう誤解を招くようなことのない数値というものを挙げるべきであり、またそういう部分についてこそ説明というものはもう少し詳しくあってよかったのではないだろうかと思うわけでございまして、その測定点につきましても、まだ私ども、その距離からいたしましても、あの現状から想定をいたしましても、何とも割り切れなさをなお残しております。しかし、これは今後の問題として残させていただきたいと思いますが、むしろ同時に、私より以上にその点については、一般住民の方、あの地元の住民の方々にこそなお一層納得のいく話をしてやっていただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。  同時に、この問題につきましては、エアバス導入をするということになりますときに、いろいろな計算がなされています。エアバスが百便になった場合、二百便になった場合。この場合に、大型機を乗り入れることについての、先日も申し上げましたけれども、あの大きなやつが住民の皆さん方の頭の上を通るわけですから、その圧迫感というか威圧感というのは非常にひどいわけであります。そういうものは、こういう計算の中には入れられておりません。そして同時に、そういう大きなものを乗り入れる、音が若干小さいという御説明であるが、しかし大気汚染は大きそうだ。そうすると、その大気汚染を少なくとも現状よりも悪くしないようにするために、エアバス導入を前提としていかなる方法があるかと考えれば、もともとずうたいの大きい飛行機でございますから、運ぶ人数がたくさんになるわけでございますから、便数を減らすことは当然できるはずでございます。これ以上需要をふやすことをよもやお考えになっておられないと私ども思うのです。その問題については、むしろ新空港の問題として取り上げなければいけないと思うのでございますけれども、このような観点で、年間平均もしくは一時間平均等の排気ガスの排出量の計算等もいろいろ数値となってあらわれておりますけれども、そういうものを少なくとも現在よりも以下にとどめるためには、どうしても便数を削減するという以外にないのではないか。大きな飛行機を入れるのですから、お客さんの数が同じならば便数はぐっと削減することができるはずなんです。そのことについては、十分お約束いただけますでしょうか。
  411. 田村元

    田村国務大臣 大型機を入れるのでございますから、当然便数を減らすことになります。現在二百四十便程度だと記憶しておりますが、それをおおむね二百便程度までこの一年ぐらいで減らしたい、こう考えております。
  412. 中野寛成

    中野(寛)分科員 なお、二百便ということでございますけれども、二百便ということは、エアバスのそのずうたいの大きいのが、その着陸する回数だけ数えたって百回おりてくるわけですね。二百便というのは、片道百便ということですか。
  413. 田村元

    田村国務大臣 二百便のうち、エアバスが約百便というように聞いております。
  414. 中野寛成

    中野(寛)分科員 その便数の削減につきましては、百、二百という数字が出ておりますけれども、住民の皆さんにとって朝七時から夜九時まで、ときどき違反してそれよりも遅く飛ぶ飛行機もございますけれども、本当にその短時間の間でそれだけの回数飛ぶわけです。運輸大臣もたしか行ったことがおありだと思いますけれども、地域住民の皆さんというのは本当に大変な被害を受けている。まさに健康被害というのは訴訟等が行われているわけですから、実態は運輸省の皆さんも十分含んでおられると思うのです。皆様方にその実態をなお一層含んでいただいて、格段の御努力をお願いしたいわけであります。  橋本環境庁大気保全局長もお見えでございますし、この前現地に行かれてのいろんな話し合いを聞きました。現地では、この大気汚染の関係でにおいが大変だというようなことで吐き出す、そうういうことからつわりがひどくなって流産された方がいらっしゃる、鼻血が出る、そういうケースも出ております。  本当にいろんな被害が出ている実態もお考えをいただいて、騒音だけではなく、排気ガスもどのガスにいたしましても、すべてが現状より小さくなる、そこまで回数を減らすという前提というものをおつくりになりませんと、やはり地元住民としては安心できないし、納得できないということがあると思うわけでございまして、その便数につきましても、どうか早急に、より一層減らすことをお考えをいただきたいわけであります。そして、そのかわりになるものはどうしたって新空港の話になってくるでございましょう。総合的な運輸行政というものをぜひお考えをいただきたいわけであります。  次に、整備機構の問題であります。これからの環境基準に伴っての目標として、あそこの移転を要する世帯は何世帯ございますか。
  415. 松本操

    ○松本(操)政府委員 正確な数字はちょっといま資料を見ないとわかりませんが、私は一万一千戸というふうに記憶しております。ただし、これは五十三年目標値を念頭に置いた場合、かつ発生源対策をもあわせて行った場合、こういう前提で私どもが試算をした数字でございます。
  416. 中野寛成

    中野(寛)分科員 最近数年の移転の実績は、いかがでございますか。  それから、移転を要する世帯が約一万一千世帯ということでございますけれども、私の調べではその七割が借地借家だと存じております。そういたしますと、その借地借家の皆さんについては、代替の家が必要ということになってまいります。土地を持っておられる方は、かわりの土地が必要だということになってまいります。そのような移転する内容について、もし土地を持っている人が移転をするとすれば、あの近隣土地によってどれくらいの費用の差がありますか。現在の土地の平均値段と、そして隣接地区の土地の平均値段の差を御存じでしょうか。
  417. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず、前段の移転補償を要する件数は、予算ベースでございますが、第三次五カ年計画内において私どもが考えておりますのが二千戸でございます。そのうち、予算ベースで五十一年度までに終了いたしたものが約九百戸でございます。四五%程度を終了した、こういうふうに考えております。  それから次の御質問の、現在の移転補償において買い上げる値段と、それから実際に移転のために新しく土地を買わねばならない価格の差という御指摘でございますが、これはその家なりどこにお移りになるかということによっていろいろと違ってまいりますので、一概に申し上げるのは非常に粗っぽ過ぎて多少問題があろうがと思いますが、非常に大ざっぱな数字で申し上げますと五百万円程度の差がある、こういうふうに聞いております。
  418. 中野寛成

    中野(寛)分科員 一件についてですね。——五百万円と言われましたけれども、これを比較しやすいように坪単価で言いましょう。私が聞いております範囲では坪単価大体二十八万円程度でお買い上げになっておられるのではないでしょうか。そしてその隣接地区、たとえばあの地域ですと、豊中市内で平均をいたしますと坪単価大体四十万円になっております。騒音がない、航空機公害がなければ四十万円で売り買いができる土地だと言いかえることもできると思います。その差額を埋める方法がございますか。
  419. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いま先生おっしゃった数字はおおむねその程度の数字ではないか、記憶でございますので、正確にはお答えいたしかねますが、およそその程度のことであろうかと思いますが、そこに空港があり飛行機が飛ぶようになったので値下がりをして、下がっていったのだということでは必ずしもないようでございまして、やはり地価自身は、地価がかつて非常に上がったときに上がったことは上がっておるようでございます。したがって、空港がなければ、あるいはもっと高い土地になったかもしれません。それはしかし仮定の問題でよくわからないとしか申し上げられない。  そこでその差を埋める方法があるかないかということに実務上の問題としてなってまいるかと思いますが、いま私どもが非常に腐心をしておりますのは、土地の評価及び——これは土地だけじゃございません、家屋が一緒に移転するわけでございますから、家屋の評価といったような総合的な評価において可能な限り移転を希望される側が移転しやすいような額をはじき出す、これはもちろん一定の枠を踏み越えることはできませんが、そういう努力をする。それから、機構の方といたしましては、なるべく安い造成地をつくりまして安い単価でこちらに移っていただけませんかと言って代替地を提供することができるように努力する、そういう形をいまもっぱら努めておるわけでございますが、そのほかに長期、低利の融資といったような通常行われます方法についてもあれこれと現実に配慮もし、また一部は実施に移されておるはずでございます。
  420. 中野寛成

    中野(寛)分科員 しかしそのような差、いま申し上げましたような隣接地区で四十万円もする、現実には二十八万でしか買ってもらえない。  整備機構でどういう土地をお買いになっているか御存じでしょうか。生駒山の中までお買いになっている部分があります。移転のために使うと言ったって全く実際に使いようがないところもお買いになっているのではないでしょうか。それがなぜそうなったかそれなりに憶測はできますけれども、むしろそれは予算をそのまま使ってしまうということのためにだとするならば、私はこれはゆゆしい問題だと思います。  本当に移転できるような土地を何としてでも用意をして移っていただく。移らないとがんばっている人ばかりだったら私はそうは言いません。希望は持ちながら、これだけの差があって、それだけの金が要るのに、それの用意はできません、移るに移れない人たちをどうして救済するのかというのが行政なんではないでしょうか。私は、そういうことをむしろお訴えしたいし、現状の形式論だけでは、どんなに運輸省の皆様方が気持ちの上で努力されようとも解決しない問題じゃないか。現実に立ち退きをする方は三百万、五百万、もっと負担する状態がある。そして土地の値段が三千万円以上になれば税金がかかるのでしょう。そういうきわめて冷酷な現実を直視して対策を考えなければいけないのではないかと思うわけです。  同時に、七千世帯が借地借家人でございます。この方々はかわりの土地を御用意いただいたってそこへ行かしてもらうわけじゃないと思います。  共同住宅の方式をお考えになっておられます。時間がありませんから申し上げますが、その共同住宅のために、たとえば府営住宅や市営住宅ほどの融資がありませんから、整備機構でされておられます長期計画試算、それによりますと、無利子融資三〇%としても月額七万一千三百五円、このくらいの家賃になると聞いておりますが、そうでございましょうか。
  421. 松本操

    ○松本(操)政府委員 いまおっしゃいましたような形での資金構成でいきますと、家賃がかなり高くなることはやむを得ないわけでございます。  そこで資金のコストをなるべく下げること、あるいは傾斜家賃制度を導入するというふうな点について努力と工夫をいままでしてまいっておるわけでございますが、現在お住まいになっておりますところの家賃が近辺と比較しましても非常に低い、こういうふうなこともございまして、機構の相当の努力にもかかわらず、まだすべての借家人の方に御満足いただけるところまでには至っておりませんが、しかしその方向で鋭意努力している状態でございます。
  422. 中野寛成

    中野(寛)分科員 時間が参りましたから、締めくくりたいと思います。  土地を持っている人がどこかにかわろうと思っても、そういう状態でかわれない。家を借りて住んでいる人がかわろうにもそういう状態でかわれない、そしてうるさい音にしんぼうをさせられる、その人たちは健康を日に日に害していく、こういう状態が繰り返されているわけであります。私自身も、運輸省がいままで全く努力しなかったとは申しません。しかしそういう制度上の問題が大きく横たわって、せっかくの皆様方の御努力が残念ながら十分効果を上げ得ないという状態になっている。私は、これだけはどうしても大臣に立ち上がっていただかざるを得ません。大蔵省なり自治省なり建設省なりと御協力をいただいて、文字どおり、この空港問題は音源対策として、いろいろの技術的な方法があるでしょう、しかし、空港周辺を整備して、そして少なくとも音の被害を受けない地域に住んでいただくようにするということを考えるならば、これこそ住宅問題であります。  そういたしますと、運輸省と建設省はちょうど同じ建物にお入りでございます。いろいろうわさは聞いておりますけれども、まさか建運の仲と言われるくらい仲が悪いわけでもないと思いますから、ぜひ御協力をいただいて、むしろ整備機構の中に建設省的な、住宅問題的な感覚で取り組む人、そういう方々にこういう問題は参加をしていただく。また、何といったって地元と話ができる窓口は市町村です。いま自治体になかなか金がありませんで、財政不如意、そういう中で具体的に住宅を建てる政策も何もできない。そこで用地担当のベテランの職員人たちは仕事なしで暇をもてあましていると言ってはおかしいですけれども、そういう状態だってなきにしもあらず、そういういろいろな現状の中で、そういう時間の余裕のある人たちにできるだけ参加をしていただく。そういう人たちには手弁当というわけにいきませんから、整備機構で出向という形で十分補償もしていただかなければいけないかもしれませんが、地元の自治体もそれで助かる。そしてまた地元の住民も助かる。運輸省も安心して飛行機が飛ばせるという状態になるのではないか。そういう幅広い感覚でこれらの諸問題について取り組んでいただく。関西新空港の問題もございます。あれだって東京近辺の飛行場だったら政府は挙げて取り組む。しかし大阪だったら、国際空港といえども、それは一つのローカル空港的な感覚で運輸省のみがいま担当しているのではありませんか。そういう感覚で現在の日本の運輸行政が行われているとしたら、その被害を受ける住民はたまったものではないと思うのでございまして、基本的な航空行政ということも踏まえ、またこれが住宅問題であるという一面が非常に強いんだということも踏まえていただいて、大臣に格段の御努力をお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  423. 田村元

    田村国務大臣 私はまだ運輸大臣という仕事を三カ月といたしておりません。ところがそのわずか短期間に私の仕事の恐らく七割、八割は飛行場でございました。成田、関西新空港それから大阪空港、そういうことで飛行場に関しては、とにもかくにもいろいろな問題点を知ることができました。私は、中野さん御存じかどうか知りませんが、三重県でございますから、私も関西人でございます。大阪空港を使うことの非常に多い男でございます。私の家内の兄は実は医者でございますが飛行場のすぐ近くに住んでおります。大阪空港のすぐそばに住んでおります。そういうことで、あの付近のことに関しましては、わりあいによく知っておるつもりでございます。いまいろいろと中野さんから建設的な御意見を承りました。私は、いまの御意見を受けとめまして、いろいろと検討をいたしたい、それも官僚がよく使ういわゆる検討という意味ではなしに、私自身一生懸命に勉強もし、検討もしてみたい、こう考えております。  御承知と思いますが、もう時間が来ましたからあれでありますが、今度関西新空港をつくるに際しましても、これができ上がった時点で、大阪空港の廃止をも含めて大阪空港の問題を検討することにもなっておる、御承知のとおりだと思います。さような次第でありますが、しかし、だからといって、私は関西新空港ができ上がって、仮に大阪空港、伊丹空港が廃止されるとしたところで、その前日までは私は環境対策はすべきだと思うのです。これは当然のことだと思うのです。でありますから、その意味で、私は、私自身が親身になったつもりでこれからいろいろと検討をいたしたい、きょうはこういう私のお答えをしておきますが、どうぞ私の意のあるところをお受けとめいただきたい。よろしくお願いいたします。
  424. 中野寛成

    中野(寛)分科員 時間が来ましたので、最後に一つ。  当面しているエアバスの問題でございますが、いま大変皆さん御努力をいただいて、地元との折衝もやっていただいております。具体的な対策もとられるでしょうが、あくまでも隣接市町村、十一市協という協議会がございますけれども、少なくともその中で隣接する豊中、川西、伊丹、こういう市町村が、そのエアバスのテストフライトをやるにいたしましても、そのテストについて、測定に協力いたしましょうというくらいの了解が得られるまでテストフライトはやらない。少なくともそういう市町村に対して最善の説得工作をやって、そういう了解工作を前提とするということを最後にお約束をいただけないでございましょうか。
  425. 田村元

    田村国務大臣 とにもかくにも、十分に理解を得る努力をいたしたいと思います。ただ、中野さん、一つ御理解いただきたいことは、テストフライトというものは、やはりしてみた方がいいんじゃないでしょうか。私はそう思うのです。テストフライトをしてみて、その上で、たとえばエアバス問題は大気公害だけではありません、先般の環境庁の見解からいっても、大気公害というものと騒音というものとの比較をしてみれば、騒音軽減の方にむしろ重きを置いた方が住民のためになるのではないかというような意味のことも言われておる。でありますから、どうぞひとつテストフライトだけはやらしていただきたい。その上でいろいろとまた判断をする必要があるかもしれません。私は、そういう点で中野さんの御理解ある御協力をぜひお願いを申し上げたいと思います。
  426. 中野寛成

    中野(寛)分科員 私が協力をしても始まらないのですよ。私が測定に立ち会うわけでもないのです。あくまでもそういうことを前線に立ってやるのは、運輸省の担当の方々もそうでございましょうが、地元の市町村が矢面に立つわけですよ。現実に毎日接しているわけです。少なくともそこの了解を得られるまでは、やはり大臣として政治的な御判断も含めて最後まで説得を続けるのだ、その上でなんだというその態度、いまの地元の不安というものは大変なものなんですから、そういうものを踏まえて、大臣に政治的な意味も含めての御判断をぜひお願いをしたいと思うわけでございます。  終わります。
  427. 住栄作

    ○住主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了しました。  次回は、明十五日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管の審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時五分散会