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1977-03-14 第80回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十四日(月曜日)     午前十時一分開議  出席分科員    主査 稻村左近四郎君       大坪健一郎君    堀之内久男君       宮崎 茂一君    板川 正吾君       太田 一夫君    川本 敏美君       鈴木  強君    藤田 高敏君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       吉浦 忠治君    西田 八郎君       吉田 之久君    東中 光雄君       不破 哲三君    兼務 岩垂寿喜男君 兼務 田畑政一郎君    兼務 馬場猪太郎君 兼務 鳥居 一雄君    兼務 永原  稔君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  平井 啓一君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         中小企業庁計画         部長      児玉 清隆君         建設大臣官房長 栗屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  分科員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    垂木 祐三君         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         防衛施設庁施設         部施設取得第一         課長      大内 雄二君         国土庁長官官房         審議官     占部 英雄君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     伊藤 謙一君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松村 義弘君         自治省行政局行         政課長     鹿児島重治君         自治省財政局調         整室長     小林  実君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     前田 光嘉君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     伊藤 直行君     ————————————— 分科員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   松澤 雄藏君     大坪健一郎君   阿部 昭吾君     大原  亨君   藤田 高敏君     川本 敏美君   岡本 富夫君     薮仲 義彦君   河村  勝君     西田 八郎君   不破 哲三君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   大坪健一郎君     堀之内久男君   大原  亨君     阿部 昭吾君   川本 敏美君     太田 一夫君   薮仲 義彦君     伏木 和雄君   西田 八郎君     神田  厚君   柴田 睦夫君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   堀之内久男君     玉沢徳一郎君   太田 一夫君     板川 正吾君   伏木 和雄君     吉浦 忠治君   神田  厚君     吉田 之久君   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     松澤 雄藏君   板川 正吾君     鈴木  強君   吉浦 忠治君     岡本 富夫君   吉田 之久君     山本悌二郎君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     藤田 高敏君   山本悌二郎君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     河村  勝君 同日  第一分科員永原稔君、第三分科員田畑政一郎君、  第四分科員岩垂寿喜男君、馬場猪太郎君及び第  六分科員鳥居一雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算建設省所管  昭和五十二年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算及び昭和五十二年度特別会計予算建設省所管について質疑を行います。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大坪健一郎君。
  3. 大坪健一郎

    大坪分科員 昭和五十二年度の公共事業関係の費用が、ある意味では非常に潤沢に予算案に組み込まれておりまして、大変結構なことだと存じておりますが、予算審議の過程で景気回復の特効薬のように議論をされておりましたのですが、この適切な配分が特に考えられなくてはならないと考えるわけでございます。特にわが国地域的に非常に条件が異なっておりまして、特に農業を主とする地域につきましては、インフラストラクチュアの投資がまだ不十分だ、これからなお相当量公共土木工事が必要だというふうに考えられるわけでございます。特に水資源確保でございますとか、これは農林省関係になりますが、基盤整備等に非常な重点が移らなくてはならないのではないか。  そこで、きょうは、特に沖積層が非常に多いところで、水の問題と関連しまして地盤沈下が起こっております地域、九州の有明海沿岸佐賀平野などの地盤沈下問題に関連して、若干の御質疑を申し上げたいと思うわけでございます。  佐賀県の場合、あるいはこれに関連した県の場合には、有明海干満の差が非常に激しいということと、それから満潮時の海面の水準が平野の大部分を覆うというような状態にございますので、梅雨の時期でございますとか台風の時期には、雨が少しよけいに降りますと水がたまるという、非常に困った状態が絶えないわけでございます。その地盤沈下原因には、石炭鉱害の問題でございますとか、あるいは農業における水のくみ上げ等の問題が関係しておると言われておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういった関係で言えば、水源転換がこの平野全体について非常に必要であるというふうに考えられるわけでございます。  この水源転換の問題になりますと、建設省の御所管農林省の御所管とがぶつかり合う、あるいは調整が非常に必要だというような事態も出てまいるわけでございますので、この水源転換に関して、基本的に国がどういう考え方で臨むべきかという点について、建設大臣の御所見を伺いたいと存ずるわけでございます。
  4. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 水の問題は、おっしゃるとおり、佐賀県ばかりではなく、全国的あるいは全世界の問題になってまいりまして、特に御指摘農業問題今後の農業を行う上に立って、いかに水が大きな役割りをするかということは当然であります。でありますから、農業用水あるいは工業用水、したがって一般が使う水の問題という面を十分考慮に入れまして、毎日毎日ふえていく人口に対する水不足のないような計画が立てられなければならない、こういうようなことで、この点については、治水利水の見地から十分考えてやっておるわけでございます。御指摘農業用水というような問題については、農林省と十分打ち合わせた上に立って、水利に間違いのないような、今後の生産におくれをとらないような政策を施していく考え方であります。  細かい点については局長から御説明を申し上げます。
  5. 栂野康行

    栂野政府委員 佐賀平野におきます水の転換の問題、特に地盤沈下に絡みました地下水等転換の問題、これにつきまして現在総合的に検討している最中でございます。  それで、佐賀平野白石平野などについて言いますと、一つは筑後川からの導水路の問題。それから嘉瀬川ダムをつくりまして水資源開発を行う。それからもう一つは、六角川河口ぜきといいますか、防潮水門といいますか、そういうものをつくりまして、いわゆる不特定の水、安定した水を供給する、そういうふうな総合的な施策を講じまして、いわゆる水に対処してまいりたいというふうに考えます。
  6. 大坪健一郎

    大坪分科員 いま嘉瀬川ダムお話がございましたが、伺うところによりますと、これは昭和四十八年ごろにすでにある程度計画ができておったようでございますが、その計画規模、それから計画進捗状況等について、お聞かせをいただきたいと存じます。何か計画が停滞をいたしておるような感じがいたしますけれども、その辺どうなっておりましょうか。
  7. 栂野康行

    栂野政府委員 まず嘉瀬川ダム目的でございます。これは洪水調節というのが一つございます。それともう一つ利水関係でございまして、その中の一つとしまして、嘉瀬川沿岸既得用水補給というふうな、流水の正常な維持といいますか、不特定補給、それが一点でございます。それからもう一つ利水としましては、嘉瀬川沿岸白石平野というふうな農地に対する新たな灌漑用水補給、それともう一つは、佐賀市及び周辺都市への都市用水補給というものが嘉瀬川ダム目的でございまして、白石平野への水の補給というのはまた地下水代替水にもなりまして、地盤沈下対策にも寄与するという次第でございます。  それで、これの規模でございますけれども、総貯水容量としましては約六千五百万トンを考えてございます。そして利水の内訳としましては、灌漑用水として二万町歩以上、都市用水としましては一トン何がしかの水を確保いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それで、先ほど先生おっしゃいましたように、昭和四十八年から実施計画調査に着手したわけでございますけれども、なかなか現在進まないということでございます。これらにつきましては、地元の佐賀県富士町の了承がなかなか得られないということで、現在ダム地点あるいは貯水池の予定地内の現地調査というのができていない状況でございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、嘉瀬川ダムというものは、いわゆる治水利水両面におきまして、早急に建設を進めなければいけないということでございまして、現在、佐賀当局としましても、五十一年、昨年の十二月、佐賀総務部に新しく企画室を設けまして、積極的に嘉瀬川ダムに取り組んでいくというふうな段取りになってございます。建設省といたしましても、今後とも県と一体となりまして事業の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  8. 大坪健一郎

    大坪分科員 ダムをつくるということは、そのつくられる地域住民の方には大変な問題になると存じますので、将来は補償等の問題についても相当いろいろ問題が起こってくると思うわけでございます。この点については、特に大臣お願いをいたしたいわけでございますが、地盤沈下地域全体の水の問題に非常に大きな影響を及ぼす計画でございますので、どうぞその指導よろしきを得て、一刻も早くこの地域全体の水資源確保に御尽力をいただきたいと存ずるわけでございます。  このことに関係いたしまして、いまお話が出ておりました有明海北岸の全体の地盤沈下関連しての問題でございます。いま局長お話がございましたように、嘉瀬川ダムからの給水と、それから六角川牛津川のぶつかりました地点での河口ぜきがつくられておりますが、これも建設省の御努力完成を見ておりますけれども、しかし白石平野は、水が出てくると、干満の差が非常に激しいだけに、満潮時には水がはけないという問題がございまして、六角川牛津川の河川改修の細かいいろいろな問題、ポンプアップ施設進捗の問題でありますとか、そういったことが特に重要な問題になってくる。特に六角川牛津川の北側、つまり有明海に対しまして上流地帯地盤沈下地域、雨が降ると必ず湛水をいたしまして、非常に住民が民生上苦労をいたしておる地域がございますが、こういう六角川牛津川に注ぐ小河川樋門あるいはポンプアップ計画等進捗について、建設省のお考えをお聞きいたしたいわけでございます。
  9. 栂野康行

    栂野政府委員 六角川水系内水排除は、先生おっしゃいますように、非常に低い土地でございまして、内水被害が毎年起きておるということで、その対策が急がれておる次第でございます。それにつきましては、現在、一つは六角川河口ぜき関連内水排除対策、もう一つは、六角川そのもの河川改修による内水排除計画の二つで進めておる次第でございます。  まず、六角川河口ぜき関連内水、これは主として下流部に相当するわけでございますが、対策としましては、現在、沿岸に六ヵ所の排水機場建設することといたしておることでございます。そのうち、すでに三ヵ所が概成しておりまして、残っております三ヵ所でございますけれども、これらにつきましては、できるだけその完成を急ぎたい。できれば昭和五十四年度ごろまでには仕上げたいというふうに考えてございます。  一方、河川で行います内水排除でございますが、これにつきましては、河川改修単独のものと、それからあの辺では鉱害、いわゆる鉱山による地盤沈下でございますが、鉱害対策、そういうものと一体となってやる内水排除対策とかいうものは、現在、総合的に検討してございまして、十ヵ所以上程度のものをいろいろ調査研究をやっておる次第でございます。  そのうち、第五次五ヵ年計画におきましては、すべて含めまして一ヵ所程度、その他できるだけ早急に進めていきたい。また予算的には相当内水排除対策にも見ていきたいというふうに考えてございます。
  10. 大坪健一郎

    大坪分科員 六角川改修関連で、河口ぜきができまして、河口ぜきを農期には締め切りまして湛水をする。そこでいわば湛水湖ができるわけでございますが、そこから水を農業地帯に引くというようなことになっておるようでございますが、水位の設定をどのようにされておるのか。あそこは地域として大変地盤沈下のひどいところでございまして、万が一その湛水期に大量の降雨がございますと、先ほど申しました水はけの問題との兼ね合いで、白石平野中心部に水がたまったまま大きな農業被害をもたらすということになりかねないわけでございます。昨年の十七号台風のときにも、あの地区で一週間以上本がたまりまして、そのために結果的に二割の減収を見ておるということもございます。六角川河口きの水位をどういうふうに設定されておるのか。それからその水がたまりましたときに、この水を取水するわけでございますが、取水と排水との関係をどういうふうに考えておられるのか。  それからもう一つ、六角川牛津川がぶつかっておるわけでございますが、牛津川の改修にやや不備な点があるために、湛水をする計画はできておるけれども、現実湛水ができずに湛水時期が相当おくれておるというようなことが言われておりますけれども、この点はいかようになっておりますか。
  11. 栂野康行

    栂野政府委員 六角川河口きの湛水でございますけれども、いわゆる平時におきます湛水というのはTP二十センチというふうに決めております。この高さを決めた根拠でありますけれども、あの辺の内陸部地盤の高さはもちろん低うございますので、内陸部よりも低く湛水を決めてございます。洪水時におきましては、高潮との関連におきまして水門を閉める関係もございますので、水位が上がっていくというふうになってございます。そういう場合には、先ほど申し上げました内水排除ポンプというものによってできるだけ内水被害を減少していくように持っていきたいというふうに考えます。
  12. 大坪健一郎

    大坪分科員 六角川の話ばかりで恐縮でございますが、これが白石平野の水問題と非常に深い関係がございますので、なお追加して一つお伺いしたいのです。  六角川上流武雄市と北方という町がございますけれども、ここら辺で、炭鉱の鉱害等も兼ね合いまして、局地的な地盤沈下があちこちにございます。ところが、六角川堤防が非常に高くなっておりまして、雨季に流水がはけないということで、局地的な湛水地帯上流地帯に大分ございますけれども、これは小規模ポンプアップをすれば解決をするような問題だと思いますが、この点について、来年度予算でどのようなお取り計らいができることになっておるのでございましょうか。
  13. 栂野康行

    栂野政府委員 内水関係でいきますと、地区的に申し上げますと、鳴瀬とかあるいは高橋とか沖永とか、そういう地域が、先生おっしゃいました武雄周辺内水地域に当たるわけでございます。ところが、この付近の堤防といいますのは、ほとんど無堤でございます。それで六角川からあふれるということで、内水外水が渾然一体となって被害を生じておるというふうに現在考えられるわけでございます。したがいまして、ここにおきます治水計画といいますか、改修の仕方としましては、まずいわゆる無堤地域への外水を防ぎたい、そして次に内水排除に取りかかりたいという段取り考えてございます。
  14. 大坪健一郎

    大坪分科員 これは御注文申し上げたいのですけれども、実際上は六角川に注ぐ小河川が先に水を運んできまして、それが流水原因になっておるようでございます。したがって、内水外水関係外水を先に防ぐというお話でございましたけれども、小河川から出てくる溢水を早く外にはくということが相当重要な問題ではないかと思いますので、せっかく大量の予算のついた時期でもございますから、その点を御検討いただきたいと存ずる次第であります。  それで次に、白石平野水源転換計画が進んでおるわけでございますけれども、水資源確保の方の計画と同時に、白石平野を流れております三つの、比較的その地域では大きな河川中小河川でございましょうが、只江川という川が真ん中に流れております。これが干拓堤防に続いておるわけでございます。その他に福富川、廻里江川という河川がございます。これらの河川改修状況がうまくいきませんと、実は白石平野全体の排水の問題というのがうまく解決をしない。只江川には、現在地盤沈下対策河川事業といたしまして樋門建設計画が進んでおるようでございますけれども、廻里江川あるいは福富川には、そのような御計画がまだできておりません。福富川では局部改良事業が行われ、廻里江川では高潮対策が行われておりますけれども、いずれにしても年間数千万円という経費の程度でございます。白石平野全体の水はけの問題から考えますと、この三つ河川河川改修と、特に排水能力というものの検討が非常に急務であろうかと考えるわけでございますけれども、只江川だけの樋門では、満潮時の逆流をどうやって防いでいくのかという問題が出てくると思うわけでございます。この辺について、ひとつ本年度の予算実行計画とも絡めて、御見解を承りたいと存じます。
  15. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいますように、いわゆる白石平野におきまして、主な川としまして、只江川福富川、廻里江川というのが走っておるわけでございます。それで、有明高潮関連しまして、いわゆる洪水期には水門を締めて、これらの川の水が、降った雨が平野の内部にたまるというふうなかっこうになるわけでございます。現在、只江川に非常に重点を置いてやっております。それは、先ほど先生おっしゃいましたように、河口水門がございまして、改築しまして、これからポンプをつくっていく。いわゆる内水排除といいますか、水門を締めたときの治水対策の万全を期すということで、ポンプにかかっていくということで、現在、只江川重点を置いて仕事をやっておるという次第でございます。  それから廻里江川につきましては、同じように、現在、高潮堤防上流につきましては小規模河川ということで、鋭意工事をやっておるわけでございます。それにつきましても、水門は現在あるわけでございますけれども、やはりポンプというものが将来必要になってくるわけでございます。これは先生がおっしゃるとおりでございまして、このポンプにつきましては、できるだけ早期に用地買収に着工したい。早い年に、来年じゃちょっと無理かと思いますけれども、できるだけ早く用地買収に取りかかりたい。そうしまして、廻里江川内水排除対策の万全を期したいというふうに考えております。  福富川につきましては、現在、局改によりまして、築堤、掘削その他、自然排水能力をできるだけ早くふやすということに重点を置いて、工事をやっておるわけでございます。将来やはりポンプなどが必要になってまいりますので、そういうポンプ規模をどうすればいいかということ、それにつきましても、現在、調査検討中でございます。
  16. 大坪健一郎

    大坪分科員 最後に大臣お願いを申し上げて、御見解をいただきたいと思いますけれども、有明海は、御承知のように、干満の差が日本一大きなところでございます。満潮時には水位が、実はこの佐賀平野有明白石平野の三分の二くらいまで覆うという状態で、現在非常に大きな堤防でいわば干拓地が水を防いでおるということでございますが、ことしの予算で、実は農林省建設省の大変な御努力で、海岸保全については国営の事業に御採択をいただくということになる向きでございますけれども、堤防自体が非常に実は老朽化いたしております。建設省所管堤防農林省所管堤防とが隣接をいたしておりまして、いわば隣接堤防について非常に老朽化が進んでおる。昨年の十七号台風の直撃を受けましたときにも、風向きが実は西から非常に激しく吹きましたのでよかったわけでございますが、南から真っ当に吹いたら堤防がどうなったかわからぬという、地元民の非常な不安がございます。約五千町歩農地があるわけでございますけれども、一たん堤防崩壊というようなことになりますと、数万の農民が水につかるという大変な非惨な事態が出てくる。それからあわてて予算幾ら災害復旧でつぎ込みましても、これはどうにもならないわけでございますから、予防的な措置として十分にひとつ御考慮をいただきまして、お考えをいただきたいと思うのです。現在、計画は非常にいい計画ができておるようでございますが、現実につきます予算状態を見ておりますと、まず百年はかかるだろうという、ある意味で言えば大変スローなテンポでございますけれども、これは大変広い地域であり、かつ佐賀県だけに関連しておるように見えますけれども、有明海北岸全体の問題でもございますので、ぜひひとつ重々御考慮をいただきたいと考えるわけでございます。  御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  17. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 承るとこの地帯は非常な地盤軟弱地帯だそうでございまして、堤防を構築するのにもなかなか困難が伴うという、他に見られない情勢であるというような話も承っております。したがいまして、いまお話しのような白石平野は、わが国においてもなくてはならない農業地帯でございますので、農林省と合わせまして、われわれの方はできる限りの努力を努めてまいりたい。御期待に沿いたいと考えております。
  18. 大坪健一郎

    大坪分科員 どうもありがとうございました。終わります。
  19. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて大坪健一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、不破哲三君。
  20. 不破哲三

    不破分科員 私は、きょう、大都市における震災対策の問題について建設大臣に伺いたいと思うのですが、いろいろな災害対策の中でも地震対策ですね。これは、関東地方、それから駿河湾地方、あるいはそのほかの地方で、いろいろ具体的に問題になっておりますが、それが一たん起きた場合の被害規模、それから人命の損失、こういう点からいってもほかの災害に比べても非常に絶大なものがある。そういう点で、特別にこの問題に対する国の負うべき責任というのは、非常に大きいと思うのですね。  ところが、実際の施策を見ると、いままでの災害対策は、どちらかといいますと、災害対策基本法にしても、伊勢湾の台風の後を受けて風水害問題が具体的にはかなり中心になっているということで、震災対策に対する国の備えといいますか、特に震災をいまの可能な技術や科学や財政の知恵を尽くして予防するという面での国の対策は、財政の面でも、それから立法措置の面でも、非常におくれているというように考えるのですが、まず、その全般的な震災対策の問題について、大臣所見を伺いたいと思うのです。     〔主査退席、宮崎主査代理着席〕
  21. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お説のとおりだと言いたいくらい、まだそこまで進んでおらないと思うのでございまして、しかし、防災拠点の整備、あるいは主として再開発事業の手法、こういうような問題を用いまして、公園事業、道路事業、かつ溝渠の建設、こういう面については、これらの目的に沿うために、総合的に十分検討を加えて、本年度は特にそれらに向かって処してみたいというような考え方を進めているところでございます。
  22. 不破哲三

    不破分科員 具体的に伺いますと、たとえば予算を見て、ことしの震災対策予算というのは、総額のうちで大体どれぐらい占めていますか、実際の施策としては。
  23. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  一例を江東防災拠点の整備事業にとってみますと、防災拠点の合計で三十五億九千百万というのを出しておりまして、そのうち、道路整備特別会計で出しますのが十七億一千五百万、それから一般会計で出すものが十八億七千六百万、計三十五億九千百万ということになっております。
  24. 不破哲三

    不破分科員 その予算自体が、私は問題の大きさからいうと、非常にけた違いだという印象を持つわけですね。たとえば、以前、伊勢湾で台風が起きたときに、五千名の人間が命を失って、それで五千億の損害があった。それの災害復旧に使った金が二千五百億で、そのうち八五%、二千億円以上の国費を投じて災害復旧をやった、こういう記録がありますね。ところが、いま江東の例が出ましたけれども、もし東京が震災に見舞われて、そうしてその被害が及んだ場合には、万一その防災策が講じられないでそういう事態が起きた場合には、伊勢湾台風被害をはるかに上回るものが起きることは明瞭なんで、それをどうやって予防するかというのがいまの急務だと思うのです。  それに対して、たとえばいまの三十五億という震災対策予算は、江東一つと言うけれども、実際に国が使っている震災対策予算の大部分なんですね。いまその程度予算を投じている程度で、一体、具体的にこの大震災に対して、災害対策基本法第三条で「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」この国の義務から言って、果たして義務を果たしている状態かどうか、そこのところをまず伺いたいと思うのです。
  25. 中村清

    ○中村(清)政府委員 防災対策事業は非常に多額の経費、予算が必要であることは、いま御指摘のとおりでございます。地震対策につきましては、いろいろな長期計画をつくっておりまして、できるだけ計画的に整備を進めるということをやっておりますが、一例として東京江東防災の話がただいま出ましたけれども、江東防災につきましては、一応われわれとしましては、現在のところは予定どおり事業が進んでおるのではないか。当初からいろいろ予定をしておりますので、予定どおり事業進捗しておるのではないかというふうに考えております。
  26. 不破哲三

    不破分科員 予定どおりという認識を政府側がお持ちであるとすれば、これは大変驚くべきことだと思うのです。日本で震災のことが問題になる場合に、一番の人口稠密であるという点から言っても、それから首都であるという点から言っても、第二の関東大震災の再現に対してどれだけ防衛策が講じられるかというのが一つの中心問題だと思うのですが、大臣に伺いたいのですが、いま政府が、東京と協力して進めている東京における防災事業は、どういう危険を前提にして進めているのか。  つまり、具体的に言うと、地震周期説がありますけれども、いつごろから危険期に入る、それに備えて進めているのか。それは大臣御存じでしょうね。
  27. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまの防災で基礎をどこに置くかということですが、御承知のように、関東大震災というあれだけの大きな震災を体験しておりまして、あれよりもう一段と大きなものが来たときにはどうするのだというような考え方を基礎に置きまして、そして防災の方へ重点を少し置かなければならぬという——いつ予測しているのかということになると、それはわれわれも、いつ地震が来るだろうということに対しては知るところではございませんけれども、大体来るであろうというものに対処する段階でございますから、それに対してのいろいろな防災事業を行っておる、こういうことでございます。
  28. 中村清

    ○中村(清)政府委員 ちょっと補足をしてお答え申し上げますが、先ほど江東防災のお話を予定どおりと申し上げましたが、御存じのように、江東防災につきましては、自髪でございますとか、あるいは亀戸、大島、小松川、あるいは木場といろいろな地区がございますが、ちょっと言葉が足りませんでしたが、予定どおりというのは、白髪東地区については予定どおり進んでおる。あとのところについては、計画中の段階のところもございますので、そういうところについては、それだけ仕事がおくれておるということでございます。
  29. 不破哲三

    不破分科員 大臣に重ねて申し上げたいのですけれども、いつ来るかというのは、いまの科学の力からいっても正確に予測はできない。しかし、数十年という一定の周期で地震が関東地方に起こっているというのは経験的事実だし、それを根拠づけるいろいろなデータといいますか、学説もあるわけです。それ自体が実は建設省や政府が進めている東京での防災事業の基礎に取り入れられている。たとえば、昭和四十五年に、消防審議会が自治省の消防庁に対して、東京での震災が起こる危険を想定して一定の発表をして、都民を非常に驚かせましたけれども、そのときの想定は、六十九年周期説を採用して、一九七八年から危険期に入るということを想定しているわけです。それから昭和四十六年に、これは特に東京江東地方の防災事業に関して、建設省が江東防災総合委員会という委員会に答申を求めて、そしてこの答申が出て、そして採用されている。これがあなた方がやられている防災事業の基礎になっていると思うのですけれども、それも昭和五十三年、一九七八年から大地震発生の危険期に入る、これを前提にしていますべての事業が進められているはずなんです。七八年といいますと来年なんですよ。その危険期に入る前の年に立っている。その時点で、昭和四十五年の答申の際にも、これが起きたらどうなるか。関東大震災のとき十四万の人が死んだけれども、それをはるかに上回る人間が死ぬだろうという予測を、政府が諮問した審議会自体が立てている。しかも、あえて言えば、そのときの予測が北海道の大火などの経験が入ってなかったので、石油ストーブでの火災の発生率なんかを過小に見積もっていた。実際にはあのとき以上だということが、あの後明らかになっているわけです。  そういう事態を、いまの政府が答申を求めたその分野での第一線の知恵を全部動員して、大体、来年から危険期に入るだろうということを想定して仕事を進めているのに、現状はどうかというと、とてもそれにふさわしい——仮にその危険期が発動したらどうなるか、肌が寒くなるような状態がある。ここの問題がある。ただ、この分野はなかなか仕事が進みませんということで済まないのです。非常にドラスチックな状況震災対策があるんじゃないかというようにわれわれは考えるわけですけれども、先ほど危険期の認識と言ったのはその点なんですが、その点で大臣の現状についての正確な認識を求めたいと、まず第一に思うわけです。
  30. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 防災に対する整備対策として、各省からの意見を統一して、そしてその実施に当たっていこうじゃないか、こういうことで協議会ができていることも御承知のとおりでございます。建設省だけの問題ではございませんので、各省にまたがる問題がこの中にたくさんあります。そういう点について協議会の一致した意見を見て、その方向づけによって、建設省建設省としての分野に対して万全を期していく、こういうふうなやり方をしておるところでございます。
  31. 中村清

    ○中村(清)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、確かに江東防災総合委員会の答申では、一応大地震周期説によりますと周期六十九年ということで、昭和五十三年から地震発生の危険期に入るということは御指摘のとおりであります。  そこで、現実の仕事がどの程度進んでいるかというお話になるかと思いますが、白髪東地区、現在、仕事をどんどん進めておりますけれども、一応白髪東地区の計画としましては、昭和五十三年そのものではございませんが、五十五年度までに、避難広場でございますとか、あるいは防災センター、あるいは居住棟、これを概成をさせまして、地区全体の完成は五十八年というふうに考えておる次第でございます。
  32. 不破哲三

    不破分科員 先ほど言いましたこの答申、これは建設省が承認されて、そしていま政府の理念的といいますか、たてまえの上では答申が基礎になっていると思うのですね。これは昭和四十六年に十カ年計画でこれを完成する必要があるという結論を出しているわけですね。その十カ年計画というのが四十六年から勘定しますと、昭和五十六年に終わるわけですよ、そのめどは。いま言われた防災拠点で言えば、江東地区の対象になる地域には七十万の人間が住んでいる。震災があったときに体を保護する、つまり財産はともかくとして、命だけでも助かるという避難すべき場所がないというので、六カ所の拠点広場を設けて、そして十年以内には七十万人の人間がともかく命だけは助かる、そういう広場とルートをつくろうというのがこの計画だったと思うのですね。これ自体、私どもが発表を聞いたときに、五十三年から危険期に入ると言いながら、五十六年に完成というのは非常にテンポが遅いじゃないかというように思ったのです。ところが、いま言われたように、この七十万人を収容すべき六つの避難広場の必要を政府自身も認めていながら、実際には白髪東の拠点しか手がついていない。それも、予定された八万人全部が収容できるような広場が拠点として完成するのはとりあえず昭和五十五年。この答申で言う十年間ぎりぎりですね。拠点として完成するのは昭和五十八年だ。そしてそのほかの五つの広場については、いま言われたようにまだめどが全然ついていない。これは、あなた後で訂正されたけれども、順調に進んでいるどころか、非常に具体的な形で、事態の危険性と政府の施策と、その間のギャップが広がってきている。  それで、そこの問題を成り行きに任して、おくれて六つ完成するのは、八万人入れる三十ヘクタールの広場が完成するのに、実は東京都が手がけ始めてからでは十年かかるわけですね。そうすると全部完成するのにどれくらいかかるか。このテンポで行ったら、六十九年周期のもう一つ次の周期が終わるまでとても間に合いそうもないという心配まで、住民の中で生まれているわけですけれども、この現状をだれも、政府の側も、このままでいいとは思っていないと思うのだが、どこに問題点があって、何を解決すれば、余りにもスローテンポな問題を取り除いて、震災の危険に備えられるような方向へ切りかえれるのか。それで政府の側で、そういう点では、いまのやり方でもう全部やむを得ないと考えているのか。解決、改善すべき、あるいは切りかえるべき問題点があると考えているのか。いま政府側で検討している問題点を率直に聞きたいと思うのですね。このままではまさに計画倒れ。十年計画が終わっても、十年のめどが終わっても、ほとんど手がつかぬという状態になると思うのですが……。
  33. 中村清

    ○中村(清)政府委員 この答申でも、一応十年以内に完成ということを目標にしておりますので、私どもは、できるだけその目標に従って、目標を実現できるようにということでいままでいろいろ努力をしてきたわけでございますが、現実の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、事業は白髪東地区だけしか済んでいない。あとの地区につきましては、たとえば亀戸大橋、小松川、これは一応市街地再開発事業に関する都市計画決定は済んでおりますが、事業計画の決定は済んでいない。あるいは白髪西地区につきましては、再開発事業に関する都市計画もまだ決まっていない。これはいろいろ経緯がございまして、こういった大規模計画になりますと、相当地元との調整が必要であるというふうなこともございます。  それからいま一つは、御指摘がございましたように、相当多額の予算が要る。したがいまして、各年各年の与えられた予算の中で、われわれは最大限の努力をしていきたいというふうに考えております。十年という目標が実現できるかどうかは今後の努力にかかりますが、できるだけこの答申の趣旨に従って最大限の努力を重ねていきたいというふうに考えております。
  34. 不破哲三

    不破分科員 その努力の問題ですけれども、白髪の問題でも、なぜおくれているかということを、政府として、やはり日本の震災対策の一番具体的な問題ですから、研究してみると、どこに問題の不備があるのかということがはっきりすると思うのです。というのは、たとえばここに一番の問題があると思うのですが、日本の災害対策立法では、災害が起きると、災害復旧予算というのは国からも大幅な補助が出るようになっているわけですね。ですから、さっき言ったように、政府が、これは気に入って出すとか、気に入らないで出さぬとかということじゃなしに、伊勢湾台風みたいな被害が起きれば、これは法体系として二千億を超えるような予算が出る仕掛けになっている。ところが、いまの災害対策基本法やその他の立法では、東京都のような大都市を震災に備えて改造するために、実際には災害が起きたときの被害考えれば、前もって投下しておけば、人命の上から言っても、国の財産を守る上から言っても、これははるかに有効な予算の使い方なんだが、そういうものには予算を大幅に使える仕組みになっていない。そこのところが私は一番の問題だと思うのです。だから、これから政府の側で、いまの枠内で大いに努力してもらいたいし、大いに問題点も言いたいと思うのですが、その前に、そういう支出ができるような、そういう点でいまの日本の災害対策関係法を、大震災の十分な備えが、それこそ基本法で言っている、国の組織と機能のすべてを挙げて備えられるような、そういうことになるような、その点で災害法体系そのものの改定という問題に取り組むことを政府は検討するつもりはないか。これはもちろん建設省だけのことではないのですが、そういう防災事業を進めるとなると、主役は建設省ですからね。この主役の立場から言って、ここに問題があるということは大胆に提起すべきなんで、そのことを私はまず第一に問題にしたいと思うのです。  たとえば具体的に言いますと、白髪の東をいろいろ調べてみると、あの拠点を完成するに必要な財源が千三百二十八億あるわけですね。その千三百二十八億の中で、震災対策として国が支出することになっているお金は五十八億しかない。あと、いま言われた市街地再開発とか、いろいろな関係予算は出るけれども、しかしこれは一般の話であって、震災に備える防災のために支出する金はわずかの五十八億しかない。私はここに非常に問題があると思うのです。  それで、たとえばあそこで大きな住宅をつくる。この住宅をつくる場合には、いま聞いてみますと、震度七に備えられるだけの高層住宅を建てる。これは大体普通の予算の二倍を投下する。計上していますね。それに対して、震度七に備えるだけの住宅をつくるという防災事業、これに対して国が必要な補助を出す仕掛けになっていない。わずかに、特殊な基礎工事とドレンチャーという設備についてだけ、国の補助が出るという仕掛けになっている。私は、ここのところを抜本的に考えて、そうして震災予防事業に国が大幅に財政支出ができるような、そういう展開を行わないと、それこそ、百年河清を待つじゃない、十年地震を待つようなことになって、大いに努力しましたが、地震が来たときには、努力の結果足りませんでしたと、それこそ内閣が幾つつぶれても足りないような、そういう事態になるわけですね。その点について、いま政府の側としては、推進の主役に当たっている建設省として、どう考えているか。担当の方や大臣の、それこそ率直かつ真剣な見解を伺いたいと思うのです。
  35. 中村清

    ○中村(清)政府委員 ちょっと数字的なお話を先にお答えを申し上げます。  白髪東地区の事業には千三百二十八億ということでございますが、国の方で災害関係としてお金を出すのは、ただいま御指摘があった数字よりちょっと多いようでございます。道路整備特別会計から約五十六億でございますとか、あるいは一般会計からも出ております。  それから、御存じのように、あそこは再開発事業だけではなくて、公園事業とかそういったものも含めまして、やっております。したがいまして、当然そちらの方からのお金も出てまいる。あるいは住宅をつくるわけでございますから、住宅局の方からも住宅系統のお金も出ているということで、ただいま御指摘の数字よりも相当多い数字が、ここには出ておるように私どもは理解しております。
  36. 不破哲三

    不破分科員 これは、国が出しているのは二百五十三億ですよ。ただ、その二百五十三億のうち、いま言われた公園とか、一般の再開発の中でやられる道路の問題とか、それから再開発事業の補助とかというものは、これは防災であろうがなかろうが、そういう再開発がやられれば出るお金ですね。ところが、その再開発の枠を超えて、あそこでは防災の住宅を建設し防災の拠点をつくり、いざというときには、そこでかなり長期にわたって避難した人たちが生活できるような、それだけの施設をつくる。だから、一般に再開発して住宅をつくるというよりは、はるかに大きな事業規模になる。ところがその防災用のプラスの部分ですね。プラスアルファといっても、これはちょっと、一割予算がふえるとか二割予算がふえるというものじゃなしに、住宅建設が取っている二倍の予算がかかるわけですから、それに対して一般の再開発並みの予算しか出ていない。つまり、防災事業として、災害対策として国の予算が働くのは、さっき私が言った五十八億だけなんですよ。こういう状態で、これが実は一番あそこの事業が進まない原因になっているわけですね。  たとえば、そういうことであれは、一番問題になるのは、先ほど政府側が言われた、そこの住民の権利変換で地元の調整の問題がある。防災事業で住宅建てれば、非常に高い住宅になるわけですから、それを従来の再開発のように等価交換でやれば、いままで具体的に聞いてみると、坪四十五万から五十万ぐらいのところから坪百五十万のところへ移らなければいけない。そうすると、等価でいったら三分の一になってしまうわけですから、とても調整がむずかしい。これがおくれの主要な原因になるわけですね。ですから、そういう点では、いまの防災に対しては、政府が答申を認めてこの計画を承認しても、それに対する防災事業としての予算が大幅に出せる仕組みになっていない。すべては一般の再開発事業の枠の中でやられている。これで果たして、戦争以外には何十万という人命が問題になる災害はないわけですけれども、その大災害に対して国が備えている準備としていいのかどうか。この根本が問われているわけで、その点は、このままで努力をすれば何とか十年以内にそういう体制ができるとは考えていないと思うのですけれども。
  37. 中村清

    ○中村(清)政府委員 ちょっとお言葉を返すようでございますけれども、たとえば公園事業、これは確かに、都市のレクリエーションでございますとか、いろいろ緑の需要が多いものですから、それに対する対応といった意味合いはございますけれども、大都市の中に公園をつくるということは、これは都市防災上非常に重要なことと私どもは受けとめまして、したがいまして、公園をどういう場所に配置をするかということは、当然災害とかそういったものを考えて配置をしておるわけです。これは街路につきましても同様でございまして、都市にああいうオープンスペースができるということは、いざという場合に火事を遮断するというふうなオープンスペースを確保するという意味合いでの効果が非常に多いということで、私どもとしましては、公園なりあるいは街路の事業でこちらの方のお手伝いをするといった数字も、当然防災という観点から考えてしかるべき数字であろうというふうに考えております。  そこで、いまお話がございました統一的な道路をつくるかどうかというお話でございますが、いままでのような各種の事業を組み合わせていけば、私どもは事業完成できるのではないかというふうに考えております。
  38. 不破哲三

    不破分科員 それがやはり、政府側のそういう担当者の認識を基礎にして政府なり大臣なりが事態の推移を見ているとすると、これは大変恐ろしいことになると思うのですね。十年計画で、現実にはこの十年を超えた十二年後に拠点のわずか一つですね。六つのうちの一つだけれども、比較的小さい方の拠点が一つ完成するだけだ。あとは全然めどがついていない。そういう状態で、その根本にいま言った財政問題がある。公園とか道路とか、そういうものを防災の上で考えなければいけないし、この防災拠点をつくり上げる上で、道路とか公園とかいうものが、そういう役割り考えて設計されることは、私たちは重々承知しているわけです。その事業をやるのに、災害が起きれば特別に国からお金が出るが、起きないときにはなかなか出る仕掛けになっていないから、担当の側としては工夫して、再開発の問題だとか公園の整備費だとか、いろいろなものを組み合わせて、あなたが言うばらばら組み合わせ方式で何とか国からできるだけのお金を出そうとするのだが、実際には、いま言ったように、たとえばふだんの二倍の予算のかかる住宅建設に対して、じゃどういう補助が来るかというと、さっき言った特殊基礎工事とドレンチャーしか補助の対象にならぬ。そうすると、どうしてもそこには、普通の住宅よりも二倍高いものが生まれてしまうわけですね。だから、その二倍高い住宅に、防災の理由から住民を移そうと思うと、これが抵抗とか摩擦とか矛盾が多くなるのはあたりまえなんで、白髪で十何年かかった。そうすると、次の拠点づくりに一体どうなるか、見通しがなかなか立たなくなるのはあたりまえなんです。そういうのがいま来年から危険期に入ると言われている現時点でのこの事業進捗状況ですね。  それを、そういう事態にちゃんと目を向けないで、この枠の中で努力すれば何とかなるのではないかというように本気で考えられているとしたら、私は大変なことだと思うので、ここで大臣にぜひ真剣な検討を求めたいのですが、日本の国土や都市の建設事業の中でも、いざ大震災に備えてどれだけのことができているかというのは、まさに国民の安全に対する政府の値打ちが問われる最大のものだ。ブカレストの地震を見ても、やはりどれだけ都市が耐震構造を備えているかによって被害程度が違うとはっきり証明されているわけですから、その絶体絶命の任務に照らして、いまの災害立法や財政支出に不備な問題点があるかないかということを、ここでぜひ率直に検討してもらいたい。これが一つですね。  二番目には、現行のいろいろなものの組み合わせしかできない、災害対策としては余り限られたことしか対象にできない現行の法の枠内でも、やはり工夫すれば、いま言ったそのこと以上に補助の対象を拡大するとかいうことは可能になるわけで、そういうことで拠点の建設を早めるとか住民との関係を緩和するとかいうことは、少しでも工夫と努力の余地はあるはずなんですね。  そういう点で第一は、繰り返しますと、現在、一番問題になっていた関東の震災対策が、建設省が承認した答申の十年という期限、危険期は来年に迫るという時点でここまでしか進捗していないという状態を率直に考えて、問題点の検討をやられるかどうか。それから補助の枠の拡大など、現行法体系の中でも可能な措置を工夫されるかどうか。それについて見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  39. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 本年度、五十二年度の河川の五カ年計画で見るごとく、防災というものを中心にひとつ考えていかなければならぬということで、膨大な予算をわれわれ通してもらおうということでいまお願い申し上げているところでございまして、地震対策にしても同じことでありまして、これに対して、おっしゃるような施策を講じようとしても、なかなか自治体との交渉もありますし、したがって住民が、そういう地帯には、普通地帯よりもさらに住宅が密接しているというような点等々もございます。しかし、それだからそれをおくらせるという意味ではございませんけれども、そういうような方々にも納得をしてもらいつつ行っていかなければならないのが現在のわが国の立場でもあるというようにも考えます。命令でここからここまでは防災に使うのだから引っ越ししろと言えばやれるようなシステムにもなっておりませんし、ですから、こういうような点を納得してもらいながらその目的を達していかなければならない。  たとえば江東地区において、いま木場を公園化しようというようなこともその一環でありますし、ただ金が足らぬじゃないかとおっしゃれば、それはそのとおりかもしれませんけれども、申し上げたように、建設省だけの問題でなくて、いろいろな関連のあるところの総合した金というものが集まって、初めてその目的を達するようにできておるわけであります。  しかし、何と言っても防災という点については、われわれにかけられた一番大きな問題でございますので、一層の努力を傾けて、この防災という点について万全を期していきたいというように考えて進んでおることだけは認めていただくことができるだろう、こういうふうに考えます。
  40. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて不破哲三君の質疑は終了いたしました。  次に、岩垂寿喜男君。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は、昨年の都市公園法の改正以後、国会で都市公園の問題というものが取り上げられていないということを承りましたので、新年度予算とのかかわりを中心にして、この問題に集中して質問をいたしたいと思います。  最初にお尋ねをしたいのは、一第二次都市公園等整備五ヵ年計画進捗状況昭和五十二年度の都市公園関係予算の概要についで、御説明を願いたいと思います。
  42. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  五十一年度を初年度にいたします第二次の都市公園整備計画でございますが、総額が一兆六千五百億であることは御承知のとおりでございます。そこで、昭和五十二年度の公園関係事業予算でございますが、公共事業関係で千六十九億、これは国費にいたしますと四百七十七億ということになります。このうち、都市公園の整備につきましては、事業費千三十一億、国費が四百四十億でございます。それから国が設置いたします都市公園の維持管理につきましては、事業費が十六億、同じく国費も十六億でございます。なお、古都及び緑地保全事業でございますが、事業費が二十一億、国費が十四億を予定しております。五十二年度末における進捗率は約二五%というふうになるかと思っております。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま御説明をいただいた計画に、関連して関東周辺計画というのはどんなふうになっているか、ちょっとこの際お尋ねをしておきたいと思います。
  44. 中村清

    ○中村(清)政府委員 関東周辺というお話でございますが、国営公園としましては、現在すでにあるものは明治百年記念事業として武蔵丘陵森林公園、これがすでに供用を開始しておりまして、現在まだ一部について整備を進行中でございますが……
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 途中ですが、その前に、昨年改正された都市公園法による国の設置する都市公園の整備計画全体についてお伺いをして、その後、関東についてお伺いをしたいと思います。
  46. 中村清

    ○中村(清)政府委員 昨年改正の都市公園法のお話でございますが、まず、国の設置いたします都市公園の整備につきましては、二つの種類がございます。一つは、一の都府県の区域を超えるような広域の見地から設ける公園、それから、いま一つのグループといたしましては、国家的な記念事業として、これはたとえば明治百年記念公園でございますが、国家的な記念事業として、あるいはわが国固有の文化資産の保存、活用を図るために閣議決定を経まして設ける公園の二種類がございます。  そこで、現在の整備状況でございますが、まず第一のグループの広域的見地から設置いたします都市公園といたしましては、大阪の淀川河川公園、これはすでに一部供用中でございます。それから九州福岡県の海の中道海浜公園、これが整備中でございます。それからいま一つのグループでございますが、国家的記念事業として設置いたします都市公園といたしましては、国営武蔵丘陵森林公園、これは供用中であることは御存じのとおりでございますが、あと、国営飛鳥歴史公園、これは一部供用中でございます。それから国営沖繩海洋博覧会記念公園、これも供用中でございます。その三公園につきましてなお追加整備を行っておりますが、五十一年度も、これらにつきまして、引き続き整備を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから長期的な整備計画でございますが、長期的な整備計画といたしましては、まず、広域的見地から設置いたします公園、これは大体、法律なり政令によりまして、二百キロを誘致距離にいたしまして、全国的に配置するというふうに考えております。ただ、当分の間の特例といたしまして、全国九ブロック、これは私ども地方建設局のブロックというふうに考えておりますが、それと北海道開発局、そういたしますと地方建設局が八、それから北海道が一ということで九ブロックになりますが、九ブロックの都道府県の区域ごとにまず一カ所、ここを整備しようということに考えております。それから国家的な記念事業として設置いたします都市公園につきましては、これは必要の都度閣議の決定を経て整備するということになっております。  なお、第二次の都市公園等整備五カ年計画の期間内におきましては、前の方のグループの広域的見地から設置する都市公園、これを追加整備するといたしましても、あとたかだか一ないし二カ所ではなかろうか。まず現在手をつけておるものを優先的に整備を進めていくということでございます。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 そのイの方の「一の都府県の区域を超えるような広域の見地から設置する」ものというのは、利用が広域的にという意味でしょうか。県境が重なるケースの場合でしょうか。
  48. 中村清

    ○中村(清)政府委員 利用が広域にわたるという意味合いでございます。  それから、先ほど東京周辺計画がどうなっているか、お答えが漏れましたのでお答え申し上げますが、東京周辺におきましては、現在、明治百年記念事業として設置をいたしました国営武蔵丘陵森林公園、これがすでに供用中でございまして、現在追加整備中でございます。  それから今後の計画といたしましては、広域的見地から設置する公園につきましては、五ヵ年計画の枠の中で調査を行いまして、その結果を待って整備に着手するということになろうかと思います。それから、ロの国家的な記念事業として設置をいたします都市公園につきましては、これは昨年のたしか十一月の五日でございましたか、閣議で総務長官から、天皇陛下御在位五十年記念事業の一環として都市公園を設置すべき旨の御発言がございまして、五十二年度ではこの調査を進めるということにいたしております。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 国家的な記念事業というのは、いまは天皇在位五十周年ということなんですけれども、「わが国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るため」ということになるとすれば、必ずしもこの五カ年計画の中で、在位五十周年の昭和記念公園だけではなしに、そういう広い見地から検討したときに、それがふさわしいものであるとすれば、閣議決定を経て加えていく可能性というものはあるのかどうか、その辺を承っておきたいと思います。
  50. 中村清

    ○中村(清)政府委員 理論上はそういう可能性はあるわけでございます。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 理論上はそうだけれども、実際問題としてそういう可能性について検討をしていくという用意を、建設省は心構えとしてお持ちかどうか、承っておきたいと思います。
  52. 中村清

    ○中村(清)政府委員 とりあえずは御在位五十年記念公園ということで東京の周辺に適地を選びまして、そこで事業を進めていこうという前提に立ちまして、来年度調査をしたいというふうに考えております。
  53. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 これは、その文章の中に盛られているように、「文化的資産の保存及び活用を図るため」という目的を果たす必要のある個所がたくさんあると思いますので、建設省は、この五カ年計画の遂行の過程の中で、ぜひ御配慮願っておきたい、このように要望を申し上げておきたいと思います。  それから、広域的見地から設置する公園を九ブロックに一つずつということなんですが、これは調査が終わった段階でこの計画の中で仕事を具体的に進めていくということを予定しておりますか。
  54. 中村清

    ○中村(清)政府委員 もちろん相当大規模な公園をつくるわけでございますから、仕事に着手する前に調査をいたしまして、ここは適地であるというふうな結論を得た段階で具体的に工事に入っていく、こういうことだと思います。
  55. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま国の設置する都市公園について概要を承ったわけでありますが、新年度予算で調査費が計上されておりますけれども、その調査費の使い方についてこの際お尋ねをしておきたいと思います。
  56. 中村清

    ○中村(清)政府委員 昭和五十二年度におきましては、国が設置いたします都市公園の中で特に陛下御在位五十年記念公園の事業調査費が計上されております。そこで、この調査におきましては、陛下御在位五十年記念公園の記念事業の一環として、都市に設けます都市公園につきまして、位置の選定でございますとか、あるいは整備の基本方針、あるいは基本計画、それから基本設計等々、事業化に必要な調査を行っていきたいと思っております。
  57. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いまの二百キロ圏ということで整備をしようとしますと、全国でどのくらいの公園が予想されているのですか。
  58. 中村清

    ○中村(清)政府委員 二百キロ圏でいくと約九カ所でございます。
  59. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 いま調査費のお話がございましたけれども、その調査費を使って調査する場合に逗子、葉山、この地域にも国営公園の適地があると思うのですけれども、これらの地域というのは調査の対象にお考えになっていらっしゃるかどうか、その辺をお尋ねをしておきたいと思います。
  60. 中村清

    ○中村(清)政府委員 逗子、葉山というお尋ねがあったわけでございますが、御指摘の個所につきましても、調査の対象に含まれるというふうに考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 仄聞するところによると、昭和記念公園については、逗子、葉山地区、それから立川、多摩地区、さらには水戸射爆場という三カ所が要望の中心だそうですけれども、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
  62. 中村清

    ○中村(清)政府委員 私どもそういうふうに理解をしております。
  63. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 五十二年度予算で調査するのは、立川、多摩地区、そして逗子、葉山地区を中心にして調査をなさるというふうに理解をしてよろしいかどうか、その辺お答えをいただきたいと思います。
  64. 中村清

    ○中村(清)政府委員 そのように考えております。多摩、立川それから逗子、葉山、こういったところを主として調査をしたいというふうに考えております。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 伝えられるところによると、立川については、利用に対する幾つかの競合した希望があるように承っておりますけれども、これらをどのようにして今後調整なさっていくおつもりか。もしお答えができればで結構ですが、いろいろな問題があろうかと思いますけれども、この際お教えを願っておきたいと思います。
  66. 中村清

    ○中村(清)政府委員 私どもが直接伺いましたのは、たとえば東大あたりの移転の問題につきまして、東大の御当局からお話など聞きました。立川に理工系を持っていきたいというようなお話を承りました。そのほか、私どもが御在位五十年の記念公園を多摩、立川あたりにつくりたいということも考えておりますし、あるいはまた東京都あたりでは、あそこをどういうふうに使いたいという独自の計画がおありのようでございます。地元におきましても、いろいろな計画がおありのようでございます。最終的にはそういう計画を調整いたしませんと、いまの希望を全部集めると、立川基地ではとても入り切れないというふうなことになっておるようでございまして、関係の省庁等と御相談をしながら進めなければいかぬと思っておりますが、一つの方法といたしましては、たとえば国土庁あたりが、大都市圏整備という観点からどういうふうにお考えになるかといった問題もございましょうし、あるいは大蔵省あたりが、国有財産を所管される立場で、国有財産の返還地の三分割というふうなお話もございますから、そういった問題等々を全部総合的に調整をして関係省庁で話を進めなければいけないだろうというふうに考えております。
  67. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 その希望地の中には、自衛隊の東部方面本部ですか、そういうようなものも、希望としては建設省のところへ届けられてはいるのですか。
  68. 中村清

    ○中村(清)政府委員 私どもは自衛隊から伺っておりませんが、新聞なんかでは、何かそういうお話があるというふうな記事を読んだ記憶がございます。
  69. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 日本住宅公団についても、建設省には、計画、希望というものは、まだ直接届いていないわけですね。
  70. 中村清

    ○中村(清)政府委員 建設省の中に、立川基地の跡地をどういうふうに利用するかという懇談会がございまして、その辺では、住宅問題をどうするかということで議論されているというふうに聞いております。
  71. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私はいま超党派の自然保護議員連盟の事務局長という仕事をやっておりまして、常々思っていることなんですけれども、多摩丘陵の自然、あるいは三浦半島の緑、こういうものを今後やはり国家的な立場で残していく、こういう仕事にぜひ取り組んでいただきたい。できれば国有地を中心にして国営公園を設置してほしいということを要望をいたしてまいりました。率直に申し上げて、在位五十周年記念というのはちょっとひっかかるわけですけれども、しかし、建設省が今度発表なすった都市公園整備計画というものは、時宜を得たものだと私は考えるわけでございます。そういう立場から考えてみて、地元からいろいろな要望が出ていると思うのです。その要望は、もう御存じのとおりなんですけれども、それを生かすために、そしていま私が申し上げたような、日本の自然を、かけがえのない緑を残していくために、たとえば逗子や葉山や横浜、まあ鎌倉も一部入るわけでございますが、ここに国有地が約三百ヘクタールございます。それらを中心にして、いま申し上げた広域利用の見地から設置する国の都市公園、この設置に関連をする調査の対象に新年度予算の中でぜひ加えていただきたい、このように要望をしたいと思いますが、その点について建設省の、これはできれば大臣の御答弁を煩わしたいと思います。
  72. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 建設省といたしましては、いまあなたのお言葉に出るような、つまり緑豊かな国土を形成して住民の健康保持という点、これには重点を置かなければならぬ、同時に、都市生活というものの安全性の向上をあわせて行わなければならぬ、こういうような点を踏まえましても、私は、ただいまの御指摘のようなところも十分調査をさせてもらって、そして今後に処していきたい、こういうふうに考えております。
  73. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 もう一度お尋ねしますが、逗子、葉山、横浜、鎌倉地区の国有地三百ヘクタールを中心にして、広域の利用の見地から設置する国の都市公園の調査対象に加える、有力な候補地として考えるというふうにとってようございますか。
  74. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、私はと言うとなんでございますけれども、いずれにしても、対象としてこの地区は最も適地のようにも考えられますが、私の考えだけというわけにはまいりませんが、いずれにしても十分調査を進めさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 私は防災の見地から都市公園の整備というものを急がなければならぬ、このように思うわけですけれども、実際に防災対策として自治体がそれぞれ公園の整備をするというそのときに、率直なところ、ここではちょっと質問がなじまないわけですけれども、三分割、有償というような、事実上地元が利用できない、そういう形で大蔵省が基地跡地の利用について制限を加えている、あるいは事実上利用ができないようになってしまう、こういう状態というのはまことに問題だと私は思うのです。そういう意味で私は、おとといですか、大蔵大臣とやりとりをしたのですけれども、そういうことのないように柔軟に対応していくというお答えをいただいたのです。価格の面では、つまり貸し付け、譲渡条件については、たとえば小学校の場合に、二分の一が有償、しかも時価で、半分が無償貸与、こういう形になっているわけです。同じように公園でも、こういう利用ができないような形に価格の面で抑えられてしまっている。こういうことは私は非常に重大な問題だと思うし、いまの防災の見地から見て都市公園をふやしていくという方向とも逆行すると思いますので、これは建設大臣、恐らく御関心をお持ちだろうと思うのですが、閣内でいろいろ意見を調整しなければならぬと思うのですけれども、建設省の立場からも、ぜひひとつこういう三分割有償利用方式——三分割の方は地元の意見をよく聞いてやります。こう実は答えてくれたわけですが、有償というところにひっかかっちゃって、事実上これはどうにもならぬケースが多いわけであります。したがって建設省としても、地元の意見あるいはそういう要望を出している自治体の気持ちというものを、ぜひごしんしゃくいただいて、閣議などの席上で、できるだけ地元に有利な、そして既得権ともいうべき地元の利用というものについて配慮をしてほしい、そして御努力願いたいと思うのです。これはちょっと立場が違いますが、ぜひひとつ御答弁を煩わしたいと思います。
  76. 中村清

    ○中村(清)政府委員 事務的な御答弁を先に申し上げたいと思いますが、三分割とおっしゃいますのは、国と地元、それからあとは保留地をつくるという、こういう計画であろうかと思いますが、本来、国有財産の管理をなさっておられる大蔵省の方からお答えなさるのが本筋であろうかと思います。私がお答えするのは、あるいは場違いかもしれませんが、まず公園を整備するという観点から、私どもとしましては、返還跡地の運用につきましては、弾力的に大蔵省に運用をお願いしたいというふうに考えておりますが、一方考えますと、大蔵省には大蔵省のお立場もいろいろあるようでございまして、できるだけ御希望に沿うように努力はいたしたいというふうに考えております。
  77. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げたように、私たちの考え方もあなたの考え方も、そう変わっておらないだろうと思います。その点を十分考慮に入れて今後の問題に処していくようにいたします。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 最後に一言。いまの問題というのは、この際ですから建設大臣にぜひ聞いておいてほしいと思うのは、軍に接収されました。まさに二束三文です。その後、戦争が終わったから返ってくるだろうと待っていました。ところが今度はアメリカ軍に接収されたわけであります。接収される過程の中ではいろいろな事件が、忌まわしいことも含めて起こっています。つまりその周辺住民というのは非常に被害を受けた。つまり被害者の立場なんであります。ですから、軍が接収し米軍が接収した土地の持っている履歴書というものは、その地域住民にしてみれば、何とかひとつ地元の人たちが有利に使えるように、学校や福祉施設や公園やということを望んでいるわけであります。だとすれば、それを最大限生かしてやるような道筋を、これは政府としてぜひ御考慮を願いたい。そしていま大臣の答弁をいただきました。  そのときにどうしても問題になるのは、やはり金のことなんです。学校が特に人口急増地帯で非常にたくさん必要だ、公園のスペースが足りない、こういう条件のときに、何としても地元がたえられるような財政負担、そういうものとして基地跡地の返還を望んでいるわけであります。  そういう点で、住民の要求あるいは自治体が出している要求と大蔵省との方針が、デッドロックに乗り上げておりますので、それらについて、ぜひ建設大臣としても、調整といいましょうか、土俵にのせて、やはり話し合って円満な解決を図っていくような方向で御努力を願いたい、このことを私から特に大臣お願いをしておきたいと思います。
  79. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、お説はごもっともだろうと思います。したがって、地元優先と申し上げましょうか、そういう点においてすべてこういう問題は取りかからなければならない、私は政府の一員としてはそのように考えております。あなたのお気持ちは十分お伝え申し上げる考えであります。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂分科員 ありがとうございました。
  81. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。  次に、西田八郎君。
  82. 西田八郎

    西田(八)分科員 四十七年に制定されました琵琶湖総合開発特別措置法のことについて、お伺いをいたしたいと思います。  制定の当時は高度経済成長下にあって、近畿圏全体の水資源確保ということから、琵琶湖の総合開発は利水に非常に重点を置かれて計画が立てられてきたと思うのです。しかし、その後、四十八年のオイルショック以来、経済成長は急に高成長から低成長に変わりました。いまや安定成長を目指す時期ではあるわけなんですが、その四十七年当時といまの情勢とは、非常に変化をしてきておると思うのです。したがって、利水を中心として考えられた当時の滋賀県知事の開発計画というものと、いま水質保全というものを重点にし、自然環境保全というものを考慮に入れながら琵琶湖総合開発を図っていこうとするならば、かなりな計画変更をしなければならない。すなわち琵琶湖総合開発の見直しをしなければならぬ時期に来ておると思うのです。そういう意味で、知事も変わりましたし、県政の中も大分変わってきておるわけでありますが、いま滋賀県で琵琶湖の総合開発について見直しをしようという県民の声も非常に高まってきております。また県自体も、見直しをしたい、そういう意向に立っておるわけでありますが、これに対して国土庁としてどうお考えになっておるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  83. 占部英雄

    ○占部説明員 ただいま先生からお尋ねがございました琵琶湖総合開発事業計画の問題でございますが、御質問ございませんでしたが、現在の進捗状況を一言申し上げますと、四十七年度以降の十カ年の事業につきまして、五十一年度末で進捗率四〇%に達するであろう、こういう予定で推進を図っておるところでございます。  ただいま、経済の安定成長への移行に伴って、この十カ年の総合開発計画の見直しについて県でもいろいろ検討しているが、国土庁としてどういう考えであるかという御質問でございましたが、現在の計画におきましても、保全事業、それから自然環境の保全というふうなものにつきましては、すでにかなりの事業が織り込まれておりまして、概要を申し上げますと、現計画では総合開発事業が保全事業治水事業利水事業という項目から成っておりまして、保全事業といたしましては、水質の保全対策として下水道事業及び屎尿処理施設整備等を行うこと。また自然環境の保全のためには公園の整備等を行うこと。それから観光、レクリエーション、利用の増進を図るというふうなことがございますが、治水事業につきましては、琵琶湖周辺地域洪水から守るだめの湖岸堤及び内水排除施設の新築、河川改修事業ダム事業、砂防事業等が予定されております。また、関連の治山事業等も当然含まれておるわけでございます。  さらに利水事業につきましては、先生すでに御案内でございますけれども、水道整備、工業用水道の整備、土地改良事業、水産業の振興、それから大きいものとして淀川下流地域の水供給に必要な水資源開発事業、これらを行うことになっておりますが、ただいまお話しございましたように、現行の計画に対して滋賀県は、昭和五十一年度当初から、この計画について総点検と言っておりますが、見直しといいますか、実情を調査いたしております。  その結果、保全事業のうち水質保全につきましては、すでに計画にあるところでございますけれども、下水道、屎尿処理施設の整備を一層促進するということと、若干の新規の事業として、たとえば家畜ふん尿処理施設等をさらに促進を図りたいというふうなことを言っております。  また、自然環境の保全につきましては、たとえばレクリエーションについては従来は観光誘致というふうなことを重視しておりましたけれども、自然環境保全の観点をより一層重視するというふうな考えを強調しておりまして、たとえば湖岸道路につきましては、その幅員をある程度縮小しても、別に自転車道等の整備が時代にふさわしいというふうな考えを持っております。滋賀県といたしましては、このような点検の結果を取り入れながら琵琶湖総合開発事業を積極的に推進いたしたい、こういうふうに考えております。  国土庁といたしましては、滋賀県の意向を取り入れながら、これらの点検結果を事業の推進に役立てるようにいたしたいということで、関係省庁とも連絡協議会を持ちまして、協議をいたしておるところでございます。その点検の結果をどう生かすかということにつきましては、関係省庁との協議を通じまして、必要に応じまして所要の措置を考えたい、こういうことでございます。
  84. 西田八郎

    西田(八)分科員 若干数字が違うようですが、四〇%と言われましたけれども、進捗度は三八%ぐらいではないですか。
  85. 占部英雄

    ○占部説明員 五十一年度当初予算では三八%になる予定でございましたが、補正を加えまして、補正分が入りますと四〇%になります。
  86. 西田八郎

    西田(八)分科員 その数字はそう大したことはないわけですが、ただし四〇%か三八%いわゆる進捗しておっても、それはほとんど治水関係、いわゆる河川改修であるとかあるいは土地改良であるとかいうのが進んでおるのですが、肝心の琵琶湖の水質保全の重要な決め手と言われておる下水道整備については、大津市が琵琶湖総合開発が始まる前から公共用下水に取り組んでおりますが、他の六市についてはほとんどまだ手がついていないというのが現状ですし、流域下水道については、南部流域下水道の本管埋設が目下進められておるところで、最終処理場の矢橋の人工島もまだ着工するに至っていないというような実情にあると思うのですが、そうしたことから、県は何としてもやはり水質保全に重点を置きたい。そこに見直し計画を立てておると聞いております。したがって、これに対して国土庁等においては、時期尚早という考え方があるように承っておるのです。いま聞くのと若干違いがあるように思うのですが、国土庁としては、計画の見直しについては、やはり必要欠くべからざる条件が生まれてきた、そういう判断に立ってこれと取り組む姿勢であるのかどうか。そして大体その見直しについては、いつごろ県との間に合意を得て計画変更の決定をされるのか、その辺のところをわかっておれば聞かしていただきたい、こう思います。
  87. 占部英雄

    ○占部説明員 計画の総点検結果でございますが、環境保全の事業につきましては、現在、先ほどちょっと申し上げましたように、かなりの事業計画には盛られておりますので、要はその計画事業の推進を図ることが第一に重要であろう、こういうふうに考えております。  それからなお、現在の計画でも不十分であるという面につきましても、実行の段階である程度の弾力的な運用で実効が確保できるという面もございますので、ただいま関係省庁とその点を協議し、前向きに進めようということでいたしております。  なお、十カ年の計画そのものを改定を要するのかどうかという点につきましては、ただいま十カ年の計画のちょうど半ばに差しかかっておる段階でございますが、なお関係省庁とも協議して、これは県の方でも、どうしてもいま直ちにというふうにおっしゃっているのかどうか、はっきりしない点がございますので、その辺も含めまして、今後の検討課題にさせていただきたい、こう考えます。
  88. 西田八郎

    西田(八)分科員 それじゃ確認をしますが、県でもどうしてもということではない、したがって、目下関係省庁と協議中だ、こういうことですね。しかし県の方は、もうすでに環境アセスメント等を終わって、従来やらなかった事前調査やその他を大体終わらして、昨年の九月にそうした結論を出しておると聞いておるし、関係省庁にも見直しについて決定を急いでほしいという態度のように聞いておるわけです。したがって、それが事実とするなら、県の方がそういう姿勢に変われば、国土庁としては、計画変更の決定について前向きでできるだけ早い時期に決定したい、こういう答弁であると解していいのですか。
  89. 占部英雄

    ○占部説明員 ただいま、県としていろいろな調査をおやりになった結果を私たちは伺っておりますが、これは県だけに任しておくべき問題ではございませんで、国としても十分に今後この計画の推進と適合性について検討してまいりたいというふうに考えております。ただ、県の意向、それに国がすべて従うというわけにはまいらないだろうというふうに考えております。
  90. 西田八郎

    西田(八)分科員 それは国は国の立場というものがあるでしょうし、総合的な水資源確保という立場からこの問題に取り組んでおられるのでありますけれども、しかし少なくとも琵琶湖の水を飲んで生きている人が一千万人おるわけですね。滋賀県民は百万ですから、ちょうど十倍の人が滋賀県の水の恩恵に浴している。そういう総合計画を立てられる中で、そのために県民が犠牲になるというようなことがあってはならないわけですね。したがって、琵琶湖の所在する滋賀県が重点になった総合計画というものが進められるべきではないか。特別措置法そのものにも、滋賀県知事が計画を策定し、そして内閣総理大臣の決定をいただくということになっておるわけですね。そこにはもちろん、国土庁、建設省、さらには自治省等との合意も取りつけていかなければならぬわけですが、そういう状況から考えれば、地域住民といいますか、琵琶湖の所在する滋賀県民の意向というものが非常に強く取り入れられてしかるべきではないかと思うのであります。したがって、いろいろと問題はあるでしょうけれども、国土庁としては、できるだけ県の意向を聞いた上で行っていく、その線に沿って特別に国の計画している利水計画に——全然話にならぬというなら別ですけれども、そうでない限りは、やはり大幅に取り入れるべきではないかというふうに思うのですが、そういう点で、県の見直し計画というものができるだけ早く国土庁でも採用され決定されることを、ひとつ望んでおきたいと私は思うのです。  ついでですが、大臣がおられるので、建設省も全然関係ないわけではないので、関係省庁の大臣の一人としてこのことに関して御努力をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  91. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま国土庁の方からの御返事でございますが、その意見が出ましたならば、長官とも十分御相談申し上げて、御期待に沿えるように進めたいと考えております。
  92. 西田八郎

    西田(八)分科員 次に、これは予算委員会のときにも建設大臣お願いしたことですが、いまお話がありましたように、保全計画、特に水質保全というのが重要な問題の一つなんですね。ところが、御承知のように、各自治体が現在財政硬直化の中で、これだけの大幅な下水道事業を進めるのは大変なんです。この特別措置法が制定されました当時は、他の公共下水道を推進する都市よりは若干優遇されておったのですね。そして補助金が高かった。ところがその後改正をされて、同率になってしまったわけですね。それでは特別措置をした意味がないと私は思うのですよ。やはり他が上がれば、それと正比例して、同率でとは言いませんけれども、多少は差がついていいのではないか。法律には四分の三以内という言葉が使われておるのですが、ぎりぎり四分の三ということなら、七五%負担するということになるわけですけれども、そうした負担のアップについて特別に配慮してもらえないかどうか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  93. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと経緯をうまく説明できないのですが、一例を公共下水道にとってみますと、現在、率が変わりましたが、琵琶湖総合開発特別措置法ができた当時の下水道法本来の補助率は実は十分の四だった。ところが、琵琶湖総合開発特別措置法ができまして、四十七年度からの事業については、公共下水道は十分の五・五というふうに数字が上がりました。したがいまして、その限りでは十分の一・五琵琶湖総合開発特別措置法の方が有利であるというふうになったのですが、一方、下水道法の本来の十分の四という原則が片方でずっと続いておった。その下水道法の補助率全体につきまして、いま御指摘がございましたように、琵琶湖だけじゃなくて全国的に、あるいは公共用水域の水質保全なり、あるいは都市下水なり、都市の生活安定を図るといった意味合いから、現行の下水道事業の補助率を引き上げるべきではないか。事業費も相当ふえて公共団体の負担も大変であるということからそういう動きが出てまいりまして、それで実は四十九年度から、これは公共下水道を例にとりますと、いままで十分の四だったのですが、それが十分の六、ただし終末処理場につきましては三分の二というふうに上がった。したがいまして、琵琶湖総合開発特別措置法でいままで十分の五・五ということであったのですが、下水道法本来の率が上がったものですから、特別のメリットがない、こういうお話だろうと思います。いま申し上げましたのは公共下水道のお話なんです。流域下水道につきましては、現在の下水道法の補助率が、終末処理場は四分の三、それから流域下水道の管渠の方が三分の二ということになっておりまして、琵琶湖総合開発特別措置法の特例が埋没してしまう、あるいは同率である、こういうようなお話で、それを引き上げられないかという御指摘だろうと思うのですけれども、実はこの種の補助率といった問題は、事、下水道だけではございません。つまり、琵琶湖の例でいきますと、河川であるとか、砂防であるとか、いろいろな事業を同時にやっておるわけです。そういったほかの方の——河川でございますと、特例で五十五年三月三十一日まで四分の三というふうになっております。そういったほかの特例との並びを考えますと、下水道についてだけいまの補助率をさらに引き上げるということはちょっとむずかしいのじゃないか。一応私どもとしては、バランスがとれているのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  94. 西田八郎

    西田(八)分科員 それでは特別措置をした意味がない。だから、その点は十分検討を加えて、琵琶湖といったって、これは滋賀県だけのものじゃないのですね。もう水資源開発公団でもお認めであるように、また国土庁でもお認めであるように、これは近畿圏の水なんです。その近畿圏に水を流すために、渇水期、増水期に県民がいろいろと被害をこうむっておるわけなんです。したがって、そういうことのないようにというのが今度の総合開発でないかというふうに私は思うのです。そうすれば、やはり特別の措置があってもいいのじゃないかというふうに思うわけですが、そういうかたいことをおっしゃらずに、ひとつ十分御考慮をいただきたい。これは要請をしておきます。  次に、国道百六十一号線西大津バイパスの問題について、ちょっと聞いておきたいのですが、道路局長おられますか。これが非常に難航をいたしておるわけですが、これは私はもう事務レベルでの折衝では無理じゃないかという気がいたすわけです。しかも滋賀県は五十六年に国体を控えて、このバイパスの建設は非常に急を要しておるわけなんですが、そうしたときに、このバイパスがまだもめておるということは、非常なネックになっておる、障害になっておると思うのです。したがって、もうぼつぼつ政治的折衝の段階に来ておるのじゃないかと思うのですが、局長どうお考えになりますか。
  95. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の件は、西大津バイパスの三井寺の通過の問題だと思いますが、西大津バイパスは御承知のように、百六十一号が大津市内を通っております混雑区間をバイパスするために、三井寺の裏を通すということで計画された道路でございます。三井寺区間以外は大体順調に工事が進んでおりまして、これは五十六年の国体までには間に合うようなぺースで進んでおるわけですが、三井寺につきましては、御指摘のように、比較線が何本かあって、現計画について、大体千三百メートルくらいのトンネルでございますが、これは境内の西の北の方をかすめる形で、支障ないだろうということで計画したものでございますが、三井寺としましては、四十三年ごろから四十七年にかけて建設されました例の国鉄の湖西線が、長等山トンネル工事でほぼ境内の中心を通っているような関係から、これに起因する渇水現象、水切れがございまして、地下水の枯渇から樹木の枯死というような問題がいろいろ出てきておりまして、こういう問題が再び起こるのではないか。さらに、境内を通るということは宗教の尊厳性が破壊されるということで、三井寺当局より、境内の中に入ることは一切困るというようなことで強い要望があるわけでございます。  私どもの引いた線は、境内の一部をかすめるにはかすめますが、国鉄湖西線のああいう経験にかんがみまして、そういう支障のないように地質調査も十分やって、これで問題が起きないという形で自信を持って引いた線でございまして、この線でぜひ通してくれということで再三折衝をしておるわけでございます。地元においては、この計画線についての支持も大分あるようでございます。  しかし、先生おっしゃるように、国体という一つの目標がございまして、従来そういうぺースでこの事業考えてきたわけでございますので、なるべくこれに合わせて完成するように最後の折衝の時期に差しかかっておるわけでございます。現時点では近畿地方建設局長がみずから鋭意折衝中でございます。それから先ごろは貫主さんがお見えになりまして、私ども、それから事務次官ともお会いになりまして、いろいろお話し合いをした経緯もございます。最後の追い込みでございますので、ひとつ、市当局、それから滋賀県当局とも十分協議しながら、早く解決するように折衝を進めてまいりたいというふうに考えております。
  96. 西田八郎

    西田(八)分科員 これは、そうした科学的というか、物理的な問題もさることながら、今度はやはり手順に問題があったように思うんですね。反対される長吏さんですか、名前が出て悪いのですけれども、やはりああした仏門におられる人ですから、胸襟を開いて話をすれば、私は絶対わからぬ人ではないと思う。したがって、手順の誤った点、もう少し礼を尽くして話をすれば、これは解決するような気がするのです。いま知事や市長が一生懸命になってやっておられますが、知事や市長が出るということは、もう一つの政治折衝に入っていると仮定していいんじゃないか。したがって、国の方でもそれ相応の人に足を運んでもらえば解決つくというように思うのですが、どうかそういう点でなお一層の努力をしてもらいたいということを特に強く要望をしておきたいと思います。  次に、国道一号線のことについてですが、京滋バイパスがこれまた非常にもめておるわけです。したがって、計画変更ができないとするなら、この点について、どの程度住民の意思を尊重して、環境を破壊しないように、建設省で持っておる最大の技法と科学を駆使して住民にこたえられるだけの用意があるのかどうか。そういう点を明らかにしてもらえば、地域住民もある程度安心するのではないかと思うのですが、その点についてどの程度考えておられるか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  97. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 京滋バイパスの問題でございますが、これは現在のルートを決めるまでにいろいろ比較線を検討いたしまして、バイパスの機能、それから大津市内への取りつけ、それから有料道路としての採算性も含めまして、現ルートが最も適当じゃないかというふうに私ども考えておるわけでございますが、このルートであれだけの幹線を通すについては、やはり十分環境対策が必要だと思います。  私どもの京滋バイパスの環境対策としましては、環境基準を目標としまして十分な対策考えておるわけでございますが、一応の対策としては、遮音築堤を中心にした思い切った環境対策を取り入れたいと考えておるわけでございます。場合によっては、一部地上ボックス構造というようなことで、従来余り使われていないような相当金のかかる構造をも取り入れておるわけでございまして、これらの実施に当たりましては、地元住民に対して十分説明いたしまして、関係機関とも協議をして事業を進めていくように考えております。
  98. 西田八郎

    西田(八)分科員 もう時間が参りましたので、一言建設大臣お願いをして終わりたいと思いますが、いまお聞きのとおり、いろいろバイパスをつくったり工事をする場合に、どうも地元との十分なコンセンサスが図られていないことが多いように思うのです。したがって、今後そういうことをやられる場合には、予定線を発表すればすぐにそこから反対運動が起こったりする面もありますけれども、やはり住民との折衝というものをできるだけ親切に、きめ細かに図られるように、特に私はお願いをしておきたいと思うのです。いろいろ住民エゴがあったり何だとという批判もありますけれども、住民にしてみれば大変なんです。やはり大きく環境が変わるわけですから。したがって、そういう点で納得せしめるだけの説明を事前にもっと行われるように特に要望しておきたいと思いますし、また大臣の意向をお伺いして終わりたいと思います。
  99. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私もそのとおりだと考えております。そういう点に欠陥があったということは認めざるを得ず、したがって、今後は一層地元住民との連絡を密にしまして、そして御協力を賜るように進めてまいりたいと考えております。
  100. 西田八郎

    西田(八)分科員 終わります。
  101. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて西田君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  102. 薮仲義彦

    薮仲分科員 私は、治山治水という観点から、一級河川におけるダム等を含んだ諸問題にしぼってお伺いをいたします。  通産省に二点ほどお伺いしたいのですが、洪水時における発電ダムの操作の問題で、いろいろ地元との誤解あるいは問題もございますので、この際伺っておきたいのですが、発電ダム洪水時において洪水調整の義務があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  103. 伊藤謙一

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  発電用のダム洪水調節の義務があるかという御質問でございますが、発電用のダムは、河川の水を貯留いたしまして、これを発電の用に供するものでございます。洪水調節を行うものではございません。
  104. 薮仲義彦

    薮仲分科員 もう一点、確認しておきますけれども、河川法の四十四条に、従前の機能を損なわないということが規定されてございますが、これは第一義的には洪水調節の責任あるいは義務はない。ただし、建設省ダムの操作規程どおりやれば、結果的にある程度洪水調整をやった、こういう結果からそういうことが行われたということでしかないのか。それとも、やはり発電ダムも、こういう時期ですから多少は——多少というよりも、洪水については応援しましょうというお考えがあるのかどうか。洪水時について洪水調整ができる機能のあるダムは、少なくとも、そういうような操作規程ないしは洪水調整に、何らか寄与できるような対応の仕方をしましょうというお考えがあるのかどうか。その辺ちょっと伺いたいのです。
  105. 伊藤謙一

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問でございますけれども、発電用のダムにつきましても、河川の従前の機能を変化させるというものにつきましては、ダム操作規程を設けまして、これは建設大臣の承認を受けておるわけでございますけれども、従前の河川の貯水機能を復帰させるといいますか、そういった意味での義務づけがございまして、これはダム操作規程によって決められておるわけでございます。  それから、先生のいまのもう一つの御質問の点でございますけれども、たまたま洪水が来ましたときに、ダム水位が低下しておりまして、洪水調節の機能を結果として果たすような場合もございますけれども、これはたまたまそういう状況になっておったということでございまして、私どもの方は、そのダム操作規程の許す範囲内において発電の効用を十分に発揮させるような運用をいたしておるものでございます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲分科員 次に、建設大臣に確認しておきたいのでございますが、一級河川はいわゆる国の直轄部分と県に管理を委任した区間とございますけれども、一級河川内にある発電ダム利水あるいは河川の工作物等がございますが、その管理責任は、河川法の第九条によりますと「一級河川の管理は、建設大臣が行なう。」とうたわれております。そこで確認でございますが、県の管理区間、これは第一義的には知事であろうかと思いますけれども、やはり一級河川である以上、最終的には建設大臣にその責任があると思うのでございますが、その辺の御見解を承りたいのです。
  107. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
  108. 薮仲義彦

    薮仲分科員 では次に、大井川の上流建設する予定になっております長島ダムについて、ごく簡単に伺いたいと思います。  長島ダムの本年度の事業計画、それから最終の完成目標年度、それから予算総額——特にここで私が要望しておきたいことは、この長島ダム建設に伴って約三十八戸の方が水没を余儀なくされておりますが、大分解決の方向に向かっておりますけれども、この方々の今後の生活設計の問題について十分な配慮がなされていると思うのでございますが、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  109. 栂野康行

    栂野政府委員 長島ダムでございますけれども、これは昭和四十七年度に実施計画調査に着手しておるわけでございます。それで、昭和五十二年度、来年度、新年度でございますけれども、建設事業として実施するというふうに現在予定しておるわけでございます。近く特定目的ダム法に基づきます基本計画は作成したい。昭和五十二年度には、新年度でございますけれども、ダム地点、貯水池予定地、水没地内の地質調査、補償調査を主体に実施してまいりたいというように考えておるわけでございます。  次に、先生お尋ねの完成工期並びに水没者の移転を必要とする時期その他でございますけれども、これらにつきましては、ダム地点、それから貯水池予定地内のいろいろな調査の進捗状況、それに基本計画策定の時期、さらに関係者の意向との関連がございますので、現在、いつ完成し、水没者の移転する時期はいつであるかということは、必ずしもはっきりしておりません。しかしながら、第五次治水事業五カ年計画策定におきましては、昭和六十年度にダム完成したいということを目途としまして、事業の円滑な進捗を図るよういろいろ配慮しておる次第でございます。  それから、水没者に対する配慮といいますか、基本的な物の考え方、生活再建措置につきましては、われわれとしましては、水没者の身になって、水没者の意向というものを十分調査し、勘案し、そして関係機関とも十分協議して万全の措置をとってまいりたいと考えます。
  110. 薮仲義彦

    薮仲分科員 特に私が要望しておきたいのは、水没なさる方は長年住みなれたところを離れなければならない、生活の設計が変わるということでございますから、どうかその点の十分な御配慮を重ねてお願いする次第でございます。  それから、予算の総額についてちょっと答弁漏れがございますが、この次の答弁のときに答えてください。  同じように、やはり大井川水系の桑山地区で、ダムの影響で約十九戸の方が水没の事態に陥っております。この解決には、県並びに地元の関係者がやっておりますけれども、建設省がやはり責任を持って当たっていただきたい。特にこの十九戸の方——この川根地区は茶業をほとんどの方がやっておりますが、このお茶というものは苗木で植えても、成園になって摘採の時期まで約七年間はかかります。こういうことでまるまる生活設計が変わるわけでございますから、この桑山の水没の方に対しても建設省が、長島ダムの水没者の方と同じように、責任を持って温かい解決をしていただきたい、このように要望しておきます。
  111. 栂野康行

    栂野政府委員 中部電力の笹間川ダム貯水池の末端付近にございますところの、先生のおっしゃる部落の防災対策でございますが、この問題の恒久的な解決策をどうすればいいかということを検討するために笹間川ダム土砂対策協議会というのが設けられた次第でございます。この協議会のメンバーとしましては、いわゆる建設省の中部地方建設局、それから静岡県の関係各課、それと地元の町長さん、あるいは桑山の区長さん、それに中部電力というようにいろいろ入りまして、総合的に十分現在検討を加えておる次第でございます。それで、すでに地元に対しまして、集団移転候補地の提案というものも現在行われておる次第でございます。  建設省としましても、長島ダムと同じように、やはり、この問題につきましても早期に解決するよう、ダム施設者と一緒になってそういう指導もしてまいりたいと考えます。
  112. 薮仲義彦

    薮仲分科員 よろしくお願いいたします。  大臣、この写真をちょっとごらんください。——いま大臣にお渡しした写真が大井川の現状です。中川根地帯、それから島田市の周辺の写真を私はこの間現地へ行って撮ってきたんです。それが現在の大井川の状態でございますが、大臣も御存じのように、東海道五十三次の中で、大井川は川会所があって、越すに越されぬ大井川と言って、水の豊富なのが大井川で、日本じゅうの人が知っているわけです。ところが現在は水が一滴もない。昔はいかだも流れ、帆かけ船も上流まで行った大井川が、いまはこのように一滴もない砂漠同然の姿です。  昔から政治の要諦は治山治水にあるということは、政治の場にある者はひとしく心得ておるものでございますけれども、私は、大臣河川局長も、この写真をごらんになって私以上に心を痛めていらっしゃるのではないかと思うのでございますが、最も河川を大切にする建設大臣から、もちろん河川局長もそうでありましょうけれども、その写真をごらんになった感想を一言言ってください。川を大事にする、利水治水かということも含めて、大臣の感想を一言お願いします。
  113. 栂野康行

    栂野政府委員 その前に一言。先生のおっしゃいます大井川の中流は、本当に水のない死に川的な様相を現在呈しておるわけでございます。したがいまして、建設省としましては、水をどういうふうにして生み出すか、そして地域住民の方々にいわゆる憩いの場、あるいは自然の川としての安らぎをどういうふうにして求めていただくかということは、やはり利水と同じように大事だというふうに考えます。したがいまして、今後ともそういう問題につきましても、鋭意対処してまいりたいというふうに考えております。
  114. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 写真を見せていただいて、私には直接すぐ判断は出ませんけれども、大いに原因があるだろうと思う。御承知のように、大井川に流れてくるまでの支川が、その支川のまたその上流の山岳地帯というものが相当開発されたというか、そういうようなものも影響があり、それから終戦後の三十年もたった今日でございますけれども、なかなかもとどおりに木が植え込まれていっていない点にもあるだろうと思います。要するに雨量を蓄えておくだけの力がなくなってきたゆえんも、この原因一つであろうとも考えます。したがって、水のない川ということになるとその意義も失うことでございますから、十分調査を進めて対処していかなければならぬ問題だと考えます。
  115. 薮仲義彦

    薮仲分科員 よろしくお願いします。  ただ、この上流には長島ダム建設予定になっております。それなりの降雨量もございます。ただ、この水がなくなった理由が、やはり時代の要求もあろうかと思いますけれども、河川管理のあり方が利水重点であって、治水ということが置き忘れられていたんじゃないかという点でございますので、きょうはそこはとやかく言いませんから、どうかこの大井川をかわいがっていただきたい。そのことだけは申し上げておきます。  と同時に、大臣、そこがそのように水が流れておりませんので、海岸線に参りますと大きな問題が出ております。やはり海岸浸食ということでございますが、海岸というものは、河川にそれなりの水の流量があり、流積の土砂があって保存されているわけでございますが、そのように水が流れない、あるいは洪水時だけ流れる。エネルギーは洪水時にあるのですが、通常の水がございませんので、海岸の流出土砂が少ないので、西駿河湾一帯は非常な海岸浸食に襲われております。これは地元で非常に深刻な受けとめ方をしておりますので、私が具体的に申し上げますから、この写真をちょっとごらんになってください。  これは現在の西駿河湾一帯の海岸浸食の写真でございます。特に、この関係町村は、焼津に始まって大井川、吉田、相良、榛原等の町村でございますけれども、私は特に二、三ひどいところを申し上げておきます。  大井川町の地域になりますが、藤守の地先の海岸、吉田町の、その建設省がテトラポットを置いたところが、食い込んでおりますのは吉田町の住吉です。それから川尻海岸、これはテトラポットの間がどんどん浸食しておりますし、また、相良の片浜海岸、須々木の海岸と、海岸線の住民の方がすべて西駿河湾防潮堤工事の促進というお願い建設省にしておりますが、このように非常に川が荒れておって、海岸線も荒れております。やはり大事な河川であり海岸でございますので、この辺の改修をどうか早期に進めていただきたい、それをお願いするわけでございますが、いかがでしょう。
  116. 栂野康行

    栂野政府委員 先生のおっしゃいました大井川町あるいは吉田町、その周辺一帯の海岸は、昭和三十九年度から直轄海岸事業としまして、堤防高潮堤でございます。根固めあるいは突堤の新設を実施しておる次第でございます。そして大井川町の区域でも、高潮堤防がすでに二千六百メートル完成しておりまして、突堤は十六という次第でございます。吉田町の区域では、堤防が二千四百メートル、突堤七基を完成しておりまして、現在、高潮対策とあわせまして、いま先生がおっしゃいました汀線後退といいますか、浸食対策というものを鋭意進めておるわけでございます。  それで、ただいま地名の出ました大井川町藤守でございますけれども、この地区におきましても、今後とも引き続き堤防あるいは突堤の新設を進めてまいりたいと考えております。  また、吉田町の川尻地区につきましても、その根固め等の補強でございますけれども、これは沈下の実態、状況に応じまして、非常に緊急を要するという個所から対処していくというふうに考えてございます。  また、吉田町の住吉工区の突堤と突堤の間がちょっと浸食するという問題でございますけれども、その間につきましては、波の浸入、それから汀線の後退を防止するためのブロックを現在敷設しておるわけでございます。今後ともその間につきましても、そういうブロックを敷設することを実施していきたいというふうに考えてございます。  それから相良町の片浜海岸でございますけれども、最近汀線の後退が非常に著しいということでございますので、昭和四十九年度から補助事業として着手しておるわけでございます。そうしまして堤防の補強、消波工の新設を実施しておりまして、今後ともその促進を図ってまいりたいというふうに考えます。
  117. 薮仲義彦

    薮仲分科員 どうかその辺のところをよろしくお願いいたします。  次に、長島ダム洪水調整について、二、三確認をしておきたいと思います。  まず、この長島ダムができるということによって、私がいただいております建設省の「大井川長島ダム建設事業計画書」からちょっとお伺いしますけれども、大井川河川改修そのものが、昭和三十三年から神座地点においては計画高水流量を六千トンとして改修計画を策定して事業を行いました。それが終わりまして、今度は神座地点の基本高水流量を一万一千五百トンとし、このうち二千トンを上流ダム群で調整して、神座地点では九千五百トンの工事実施基本計画昭和四十九年三月に策定され、改修工事を行っておりますと、こうなっております。  そこで、最初に確認をしておきたいのは基本高水流量の件でございます。基準地点の神座地点で九千五百トン、正確には九千五百立方メートル・パーセコンドということになりますが、それから正確には六千立方メートル・パーセコンドとなります。その場合、塩郷地点において九千五百の場合はどの程度、六千——簡単に言えば六千トンになりますが、六千の場合はどの程度になるか、その数量をちょっと確認しておきたいのです。どのくらいになりますか。
  118. 栂野康行

    栂野政府委員 塩郷地点で、神座が九千五百トン及び六千トンのときにどういう流量になるかという御質問でございますけれども、それにつきまして、正確にはいますぐお答えできませんけれども、概数としましては、大体、塩郷付近でも、九千五百トンに対するものが七千八百トン、それから六千トンに対するものが四千百トンで、これは流域比といいますか、流域の大きさの比率から推定した数字でございます。
  119. 薮仲義彦

    薮仲分科員 では、概数で七千八百と四千百と理解しておいてよろしゅうございますね。
  120. 栂野康行

    栂野政府委員 はい。
  121. 薮仲義彦

    薮仲分科員 それから、私はこの計画書を読んで、一つはっきりしておきたい点がございます。  この長島ダム洪水調節、これが地元では非常に大事な点なんです。何が大事かと言うと、利水もありますけれども、やはり、洪水調節が地元にとって真剣な問題ですので確認しておきますが、先ほど申し上げましたように、基準地点神座で一万一千五百立方メートル・パーセコンドで、この文章をそのとおり読みますと、「計画高水流量は上流ダム群により、このうちの二千立方メートル・パーセコンドを調節して計画高水流量九千五百立方メートル・パーセコンドとする」となっております。いわゆる上流ダム群により二千立方メートル・パーセコンドを調節するとなっておりますが、その下の段に、いわゆる長島ダム計画調節量は、「ダム地点における計画高水流量は、六千六百立方メートル・パーセコンドであって、このうち千六百立方メートル・バーセコンドを調節する」となっています。そこで四百トンのこぼれがあるのです。  この計画を読んだ限りでは、四百トンを一体どこで調節するのかわからない。先ほど通産省にも確認しておいたのですが、なぜかといいますと、いま、ダム群の中で、発電ダムで調節できるのは井川、畑薙第一くらいです。これは建設省のとおりやれば相当量できますが、いまおっしゃられたように通産省は責任がないとなりますと、この計画にプラス上流ダム群をつくらなければ、これは四百トンの落ちこぼれがある。四百トンといいますと、やはり、数千万立方の中級以上のダムを一カ所か二カ所長島ダムのほかにつくらなければ、この計画そのものは進まないのじゃないかと思うのでございますが、その点ちょっと確認しておきます。いかがでしょう。
  122. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいましたように、二千トン調節するには、長島ダムのほかにやはりダムが必要でございます。そういう上流ダム群につきましては、現在、予備調査ということで昭和四十七年より調査しておりまして、その位置、規模などについて調査中でございます。
  123. 薮仲義彦

    薮仲分科員 そうしますと、この長島ダムと同じような規模、あるいはそれより小さいかもしれませんけれども、もう二、三カ所大井川河川につくるということと理解してよろしいのですね。
  124. 栂野康行

    栂野政府委員 二、三カ所になりますか、このほかに一、二になりますか、それは十分今後調査していろいろやっていきたいと思います。
  125. 薮仲義彦

    薮仲分科員 問題がたくさんあるのですが、先ほど高水流量はちょっとお伺いしましたが、いまの河道整備が終わっている六千トンで、塩郷四千百トンということでございますか——大臣、ちょっとこれも見てください。その写真はかつての六号台風のときの浸水状況ですが、そのときの塩郷地点は四千トンでそのように浸水しております。いまお話しのように、建設省の基準地点六千トンの計画で塩郷地点を見ますと四千百トンです。四千トンですでに浸水しております。この点は時間がありませんので突っ込みませんけれども、この中川根の高郷地区は、建設省は直轄部分は六千トンで計画しても、県の委任部分の河道整備というのは非常に遅れておって、とても大変な状態にあるということを御理解いただきたい。  と同時に、この計画でいきますと、長島ダム洪水時には五千トンの一定放流を行うことになっております。五千トンを長島ダムでやったら、塩郷ではそれに数倍する六千トン、七千トンになります。そうすると、塩郷地区は水没する危険がありますので、直轄部分のみならず、先ほど冒頭に確認しておきましたように、一級河川の県の委任区間についても、どうか大臣の責任において河道整備をお願いしたいということを、まず第一点要望しておきます。  それから、それに伴って特にいま地元で要望になっておりますのは、直轄部分においても要望が十九ヵ所ほど出ております。先ほど来の基準地点という問題点の神座地区も、新しい築堤と旧堤の間がつながっておりません。これはまた後で写真をお見せしますけれども、このように築堤がつながっておりません。ごらんのように旧堤と新堤との間が離れておりますので、これから洪水シーズンを迎えて、地元では早くこの築堤をつなげてくれという要望がございます。いろいろな用地の買収あるいは建設という予算絡みのことがあろうかと思いますが、やはりこの築堤は早急につなげていただきたい。これが第二点。  それから、また、島田で一番地位の高いと言われるのは横井地区でございますが、これは建設省の方には中部地建から要望が出ていないと思いますが、地元では、水が出たときにもしも高いところが崩れますと島田市が非常に危険な状態になりますので、この辺の御配慮もいただきたいという要望が出ております。  特に、河川の問題で具体的に言いますと、大井川が河口へ出るところで急に左に蛇行しております。それで、現在建設省は、西島地区は予算をつけてやっておりますが、その先の飯淵地区は、ここは昔から地元の方が区長さん初め部落じゅうが出て築堤を築いたところでございます。この飯淵地区の改修もぜひともお願いしたいと思います。  それから、もう一点は、天竜川、一級河川でございますが、船明ダムの問題がございます。この水利権の問題について天竜市との間に現在いろいろ問題があるやに聞いておりますが、この水利権の問題も早急に解決していただきたい。特に、この船用ダム湛水するかしないかということで、地元が非常に不安に思っておりますのは、先ほどの中川根と同じでございます。天竜市の大臣地区、北鹿島地区が、いつもダム洪水調整によって水没しております。この辺の改修を責任を持ってやっていただきたい。こういう点でございます。  最後に、長良川が決壊して半年たっておりますけれども、その後の改修状況はどうか。また洪水シーズンを迎えますけれども、全国の河川の見直しはお図りになったか。また長良川は洪水期を迎えても大丈夫かどうか。その辺のところを伺って質問を終わりたいと思います。
  126. 栂野康行

    栂野政府委員 まず、高郷地区のいわゆる水害対策の問題でございますが、まず、ダムができますと、いわゆる洪水調節ということで、いままでと同じ洪水が来た場合には、ダムができることによって被害が非常に軽減するということは水系全部で言えるわけでございます。しかしながら、高郷地区のように、ダムの築設によって被害は軽減されるけれども、それでもなお下流地先の安全度が低いという地点対策でございまして、これをどうするかということでございますが、高郷地区につきましては、現在静岡県知事が管理しておるところでございますけれども、現在静岡県の方で県単独事業ということで鋭意その補強をやっておるわけでございます。それで、抜本的な改修計画とかいうものにつきましては、現在県で検討中でございますけれども、その結論を待ちまして、いろいろ検討を加えていきたいというふうに考えます。  それから、大井川で数多い地点対策の問題でございますが、先生のおっしゃいました神座地先の築堤が一番緊急を要する問題でございまして、建設省としましても、この工事の促進に重点を置いておる次第でございます。  そのほか、飯淵、横井という地点でございますけれども、このほか地元からいろいろ要望個所も上がっておるわけでございます。こういう地域につきましては、緊急度が高い個所から、それを補強したり、あるいは維持修繕を行ったり、対策考慮していきたいというふう員考えております。  それから、長良川の問題でございますけれども、去年非常に大きな被害があったわけでございます。一カ所破堤し、そしてそのほか百カ所以上堤防が半分ぐらい崩れて、非常に危険な状態にあったわけでございます。そういうふうな災害を受けた個所につきましては、本堤の決壊個所につきましては、すでに五十一年の九月から応急復旧工事に着手しておるわけでございます。本復旧につきましては、すでに昨年の十月九日から着工しておりまして、ことしの二月末に一応の完了を見ておる次第でございます。  そのほか、のり崩れ、あるいは堤防が半分崩れたという災害個所につきましては、昭和五十二年度をもって完成していきたいというふうに考えます。  堤防の点検の問題は、いろいろ現在やっておりますけれども、堤防点検の結果は一応本年度中にまとめまして、それを今後の河川管理あるいは維持補修その他に活用してまいりたい。そうしまして、いわゆる直轄河川堤防洪水対策に善処していきたいというふうに考えます。  以上でございます。
  127. 薮仲義彦

    薮仲分科員 船明ダムについて。
  128. 栂野康行

    栂野政府委員 船明ダムの水利権、いわゆる天竜市の上水道の水利権でございますけれども、これは実情を十分調査しまして、問題がないように河川管理者として処置してまいりたいというふうに考えます。
  129. 薮仲義彦

    薮仲分科員 護岸の問題はいかがでしょう。
  130. 栂野康行

    栂野政府委員 船用ダム関連します下流部の護岸対策でございますけれども、今後検討してまいりたいというふうに考えます。
  131. 薮仲義彦

    薮仲分科員 検討じゃなくて、早急にやらないと解決しませんので、よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  132. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて薮仲君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場猪太郎君。
  133. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 現在の福田内閣の第一の使命は景気回復策だと言われておりますし、そしてその景気浮揚に当たって、昨年の暮れに七項目の刺激策をお出しになった。その中にも住宅問題が含まれております。そしてまた、さきの予算委員会の総括質問の中でも出たことですが、公団の建設状態は、五十一年度末に一万二千戸の空き家が出ておるような状態で、さらには、今年度、五十二年の三月末では一万六千戸にも達するだろうと言われるような状態が続いております。  そうすると、公共投資によって景気刺激をされるということで相当な力を入れていらっしゃるこの住宅対策についても、建てることは建ててもこういうふうなひずみが出てくるというような結果も出ておりますが、公団、あるいは地方の公営住宅、あるいは公庫融資といったものを全部含めて、住宅建設というものは、実際に考えていらっしゃるようにスムーズにいくのかどうか、大臣からお答えいただきたいと思います。
  134. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 住宅政策というものを、特に公団につきましてはこの際一応見直そうではないかというような話がまとまりまして、いま省内に、事務次官を長といたしまして、また各局長が加わり、さらに一般からこういう点についての十分の知識のある方をお選びいただいて、今後の公団をどういうふうに進めていくかというようなあり方についてせっかく協議をしているところでございます。  御指摘のように、なぜ家が余るかということですが、現在では、世帯数と住宅とを合わせてみると、世帯数よりも住宅の方が多い現状も御承知のとおりだと思うのであります。それで、なぜこのように公団住宅というものが、公営住宅というものが空きができるかということは、やはり現実に沿わなくなってきたところに、原因があるだろうと思う。したがって、現実に沿わなくなったというのは、間数が少なくて狭いということが第一の条件に挙げられてきている。このごろはそれに加えて遠くなったというようなこともある。こういう面がありますので、こういう面をやはり現実に沿ったやり方をするのには、いままで二DKであったものを改造していったらどちかというようなことで、二DKの二つを一つにするとか、あるいは三つを二つにするとかいうような施策を加えまして、そして住みよい住宅に直していこうと、こういうふうなやり方をいま進めておるところでございます。  さらに、今後の住宅というものは、やはり三DK以下ではいけないのだというようなことで、三DKあるいは三LDKというようなことに変えていこうじゃないかというふうに、住宅は数でばかり事を解決をつけるということでなく、住みよい、現実に合った、賃貸を受ける方々の輿望におこたえできるような住宅に改造していこうではないかということで、いませっかくその方向づけをしているところでございます。
  135. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 いま大臣のお答えになったのは、遠くて狭くて高くてのうちの、遠くてと狭くてだけのお答えだったわけですが、高いということも、またずいぶんと阻害しておると思うのです。  公団の方は、せんだっても質問がありましたから省略をいたしたいと思いますが、皆さんの方の三次の五カ年計画では、公団が三十一万戸、公営住宅については四十九万五千戸ということになっておりますが、この四十九万五千戸の建設状況、そして今後の見通しについて、局長からお答えいただきたいと思います。
  136. 山岡一男

    ○山岡政府委員 第三期住宅建設五カ年計画の中の公営住宅と申します欄の中には、改良住宅というものも入っておりますので、純粋の県営、市町村営の公営住宅は、四十五万戸を一応予定いたしております。改良住宅と申しますのは、不良住宅地区をクリアランスいたしまして、賃貸住宅をつくって供給するという仕事でございます。後の方で申し上げました改良住宅の方は、先生御案内のとおり、非常にむずかしい仕事でございまして、大体予定どおりつくりたいとは思っておりますけれども、現地の実情で若干おくれることがありはしないかという予想ができます。  ただ、四十五万戸の公営住宅の方は、先生おっしゃいますとおり、最近大都市を中心になかなか建たないという事情がございます。その事情を少し申し上げてみますと、第二期の五カ年計画状況を振り返ってみたわけでございますけれども、第二期の住宅建設五カ年計画におきましては、予定の一〇〇%以上やった県が二十五道県ございます。その他もほとんどが九〇%から一〇〇%に近い達成を見たわけでございますが、特に大きいところで予定どおり建たなかったというところがございます。  例を挙げて申しますと、東京都が三四・四%、神奈川が四四・九%、埼玉が五一・二%、大阪府が五九・六%、千葉県が七三・一%、この五つが代表的な特におくれを見たところでございます。したがいまして、こういうところにつきましては、現在もなお、若干回復しつつはございますけれども、その傾向が見えるわけでございます。したがいまして、そういうところにつきましては、隘路打開の方策を強力に行うということによりまして、できる限り予定どおりの達成を見たいというふうに努力したいと考えておる次第でございます。
  137. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 持ち家に対する志向がだんだん高まっているとはいえ、大都市周辺では、公営住宅に対する要望度、需要というものが依然として非常に高いわけですが、いま局長からお答えいただきましたように、肝心の大都市周辺がなかなか建たない。過疎府県、地方府県においては必要がないとは言いませんけれども、第二種住宅あたりにおきましては、数回の抽せんをやらなければ満たないというようなこともたびたび聞いております。  やはり、いま言われた埼玉とか、千葉とか、東京とか、あるいは神奈川、愛知、兵庫、大阪、北九州、福岡周辺といった大都市周辺こそ公営住宅に対する要望度、需要度というものは非常に高い。その中でどうして建ちにくいのか。先ほど大臣にお答えいただいた、遠くてという対策と狭くてという対策と、さらに高くてという対策のそれぞれについて、いまどういうふうな対策をお進めになっておるのか。
  138. 山岡一男

    ○山岡政府委員 大都市地域を中心にいたしまして、特に公害住宅の建設がおくれでおるという原因はいろいろございますけれども、私どもは、まず第一は、関連公共公益施設の整備等に関する地元公共団体との調整がなかなか難航するという点が一点でございます。それから、周辺市街地の居住環境の整備、保全に関する周辺住民の皆さんとの調整が難航するということが第二点でございます。それから、特に大都市におきましては低層の木造公営住宅がございますが、そういうものにつきましては建てかえを進めるということで、たとえば東京でございますと約七万戸ございまして、一軒当たり五十坪の土地を持っております。そうしますと、三百五十万坪の都有地が現にあるわけでございますが、そういうものの建てかえを進めようという場合に、入居者の皆さんの払い下げを希望されるのが多うございまして、それとの交渉の難航がございます。それから用地の取得難があります。依然として適地に適切な——先生がおっしゃいますように、近くに用地がなかなか獲得できないという問題がございます。それから最後に、最近におきます地方財政の事情が非常に悪化をしておる。公営住宅につきましては、ただいま申し上げました諸点が主な理由であろうかと思います。  そのような状況に対処いたしまして、たとえば関連公共公益施設整備のための公営住宅にも建てかえ制度というものを五十年からつくってまいっておりますが、その範囲を拡大するという措置を五十二年度でも講ずることにいたしております。  それから、公営住宅建設一体的な周辺市街地の整備施策の推進が必要であるということでございまして、現在までに住宅地区更新事業という制度を行ってまいっておりますが、ようやくそういうものが五十二年度あたりから、東京都におきましても数地区において軌道に乗るということでございます。  それから、建てかえ事業促進のためには、従来もいろいろな手を尽くしてまいりましたけれども、たとえば仮設住宅をつくりまして、一たん入ってまた出る、また新しく移るというようなところが要るわけでございますが、それに対しても、従来補助の対象にいたしておりませんでしたが、そういうものも五十二年度から取り上げるというふうにいたしております。  それから、さらに、用地難に対しましては、国公有地の活用等につきまして、関係方面に十分御協力をお願い申しております。  それから、何をおきましても工事費及び用地費の適正単価の計上ということが、地方財政上の問題でございますので、それに努めますとともに、特に昭和五十二年度からは、従来は起債が八五%ということでございましたけれども、九五%に引き上げていただくことになりました。いままでは補助裏の起債が八五%でございますから、残りの一五%分を地方財源で準備しなければならなかったが、それが今度は五%でいいということになるわけでございます。したがいまして、そういうことから見まして、今後の伸び等に期待できるとわれわれは考えております。  それから、一番最初に先生がおっしゃいました、第二種公営住宅を募集してもなかなか埋まらないというお話がございましたが、その原因の大きな一つは、収入基準を従来のまま据え置いたということでございまして、それにつきましては、昨年暮れに改正をいたしまして、四月一日から新しい収入基準を適用するということにいたしておりますので、そういうこともなくなるだろうというふうに考えておる次第でございます。
  139. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 いま、関連公共企業に対する補助だとか、あるいは五項目ほどそれぞれ述べられました。しかし、実際にはもうすでに五十年度からそれはやっていらっしゃるのだけれども、なかなか進まない。現に、先ほど局長がおっしゃったけれども、第二期では、埼玉県あたりは一万五百戸に対して五千戸しかやっておらないのが、今度第三期の計画を見ますと、当初の計画自体が五千戸で、五十二年度の予算は千戸くらい組んでおる。千葉あたりなんかでも、第三期は五千戸の計画に対して六百ぐらいしかないというふうに、軒並みに非常に低下をしております。  いろいろてこ入れはなさっているかもわかりませんけれども、第三期計画の見通しも非常にむずかしいのではないかと思う。大阪府の場合を考えてみても、当初五年計画で一万五千戸という計画ですが、いまの議会にかかっておりますのは、大体一万戸に修正しなければならないというような状態も続いております。一万戸ということになると、年に二千戸これ自体もなかなか達成しかねるのが現状ではないかと思うのですが、先ほど言われたような施策だけで、果たしてこの計画がうまくいくのかどうか。
  140. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私は、一番効く政策は、五十二年度から始めます地方債の充当引き上げということであろうかと思っております。それから、現在までに関連公共施設の建てかえ事業につきまして、確かに五十年度から制度を開いておりましたけれども、三大都市圏の一部に限っておりました。それを全国にも広げるというような措置もとっております。  それから、さらに、住環境の整備につきまして、地元との調整のために、従来も集会室、幼児遊園等については補助をしてまいっておりましたけれども、特に五十二年度におきましては、さらに助成の強化を図りたいということで、地域関連施設の整備ということで、その周辺の皆さんもともに使っていただくというような集会室、幼児遊園等につきましても、特例加算の対象とするというような道を開きまして、これは、地方公共団体で現地第一線で本気でその仕事を進めております建築課長諸君の御意見を十分反映させまして、そういう武器を与えてくれればわれわれが当分いろいろな意味で仕事が進められるというようなことを反映いたしまして、そのような制度を開いたわけでございます。今後に期待をしていただきたいと思っております。
  141. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 期待はしたいのですが、実際には、さっきは抜かしましたが、一番ひどいのは、神奈川県あたりは、第三次は五千戸、毎年千戸ずつだけれども、五十一年度の実績は大体三百くらい、三割しか達成できないというようなこともあります。計画自体五十二年度でさえもせいぜい六割という状態も続いております。しかしいまの制度だけで、それで果たしていけるのでしょうか。そしていま言われた、非常に重点を置かれておる関連公共事業に対して、どの程度いまかかっておるのか。直接の公営住宅以外にどの程度の費用がかかっておるのかということについて、ひとつお知りになっている限りのことを教えていただきたいと思います。
  142. 山岡一男

    ○山岡政府委員 大体、公営住宅は地元市町村を中心につくるものでございますので、他の事業よりはいろいろな意味で市町村が相当めんどうを見ておりますけれども、なおかつ、一戸当たりにいたしますと六十万程度はそういうものがかかっておるというふうに思っております。
  143. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 全体建建費のどれくらいの割合でかかっておるか。たとえば一戸当たり一千万なら一千万かかるとしますと、それに対して、わかりやすく言えば、それのうちの三〇%から二〇%という表現でひとつ教えていただきたいと思います。
  144. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在、上物だけですと約五百万、下物も含めて約八百九十万ぐらいだろうと思います。それに対して、実際問題といたしましていろいろな関連公共事業がございますけれども、いろいろなものにつきましては、先ほど申し上げたように、市町村単位の仕事が相当あるものですから、そういうものは、公営住宅に関してはほかの事業よりはある程度進んでおりますが、そういうものに対して六十万ないし七十万程度のものはあるだろうと推測いたしておるわけでございます。
  145. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 果たして、その程度関連公共投融資の補助制度で、いま言われるように、今後に期待できるというようなことができるでしょうか。大阪府の場合、最近、一戸大体千七百万か千八百万くらい、土地と上物全部入れてかかっております。それに対して、現在では三〇%ぐらい、いわゆる関連施設の保育所であるとか、道路であるとか、水施設であるとか、そういったものがかかっておる。さらに、来年、再来年あたりは、関連公共投資が五〇%に達するだろうという見通しをつけております。  こういうことになれば、仕事をやればやるだけ、自治体は借金がそれだけふえていくという形になるわけなのですが、画期的なと言われるけれども、果たしてどの程度までそれが期待できるのか。見通しはまことに暗いと言わなければならぬと思います。期待だけでは済まない問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 山岡一男

    ○山岡政府委員 おっしゃいますとおり、関連公共公益施設に対します応援といた、しましては、現在、公営住宅に関してやっておりますのは二つございまして、一つは、たとえば府県営住宅を市町村で建てるという場合に、府県営住宅で地元のいろいろな学校等につきまして立てかえ施行をする、将来において地元市町村から還付してもらう、そういう場合に、県が行うそういうふうな負担に対しまして、国が半分補助するという制度でございます。来年は事業費で七十五億ばかり準備いたしております。それ以外には、やはり地元の市町村がそういうふうな関連公共公益施設につきまして仕事をなさるという場合に、一〇〇%の起債をお認めする。それから、普通の資金運用部資金の原資程度のところまでは、利子補給を全額するというような制度が現在あるわけでございます。  ただ、これだけで十分かと申しますと、先生おっしゃいますとおり、なかなか不十分な点がございます。しかし、先ほど申し上げましたように、公営住宅等がいままで分担いたしておりますいろいろなものの中で、集会室、幼児遊園等の本当に地元に密着したようなものにつきまして、従来は別途負担をしておったわけでございます。そういうものは、今後、補助の対象と申しますか、特殊加算の対象等にしてまいりますので、そういう意味から言いますと、相当地元はやりやすくなる。  それから、一番大きな問題は、先ほど申し上げました、本当の地元の税金で負担をする補助裏が、九五%に起債が上がることによりまして、当面は相当楽になるというようなことが今後の促進の一つのキーポイントになるのではないかと思っておる次第でございます。
  147. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 いま局長が言われたとおり、それぞれ施策がある程度あったとしても、では今度は、高くてという方面の対策について、何かお考えでしょうか。
  148. 山岡一男

    ○山岡政府委員 実は高くてと申します対策につきましては、公営も公団も公社もそうでございますけれども、公的住宅の家賃の償還につきましては、現在個別の原価主義というものをとっております。したがいまして、公営住宅も、かかりました原価につきまして、土地代は地代相当額ということで六%取っておりますけれども、それ以外のものにつきましても、六%のコストで七十年で償却をする。耐火造につきましては七十年、簡耐は四十五年、木造二十年というふうに決めておりますけれども、それぞれの六%のコストで原価を償却するというふうなシステムをとっております。したがいまして、近くに寄せて大きくして、それから新しい工法を加味して相当値を下げるといたしましても、物価が若干上がりますと、今後購求する住宅につきましては、そういうものの単価は高くならざるを得ないというのが実情でございます。  したがいまして、そういうものを本気で安くするには、二つしか方法はないわけでございまして、一つは国民の皆さんの税金をたくさん投入していただく、いわゆる補助率アップということでございます。しかし、公営住宅につきましては、これは国と地方公共団体が力を合わせてやっていくというふうに目的に書いてございまして、本当を申しますと、地方公共団体はいわゆる補助金と起債ということを大体認められております。しかもその後の自己財源につきましても家賃で償却をするというたてまえをとっておりますので、地方公共団体はいまのところ余り負担をなさっていないというのが、公営住宅の本質になっております。しかし、さはさりながら、そういうふうな原価主義ということがある限りは、お入りになる方につきましては、やはり家賃は上がらざるを得ない。  そこで、もう一つの方法といたしましては、個別原価主義の家賃を廃止するということでございます。そのために、個別原価主義の家賃を廃止するにはどうしたらいいのか。いろいろ問題がございますけれども、その場合に、たとえばイギリス等におきましては、すべてがプール家賃ということでやっております。それからヨーロッパの数カ国では、応能家賃方式というのを導入いたしまして、家賃補助政策をとっております。しかし、いずれも必ずしも完璧に成功しているというものではございません。  したがいまして、そういうものも踏まえまして、建設大臣の方から、私どもにございます住宅宅地審議会に、今後の家賃はいかにあるべきかという諮問を先年していただいておりまして、現在、どういうふうに家賃を政策家賃として改めるかということにつきまして、鋭意勉強いたしておる最中でございます。なるべく早い機会にその御答申も得まして、新しい家賃政策を適用してまいりたいと検討に努めておるところでございます。
  149. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 いま言われた住宅宅地審議会は、もうすでに五十年の八月に答申案を出していらっしゃいますね。いわゆる遠くて狭くて高いことに対する批判も出ておりますね。そしてまた関連公共投資も提案をいたしております。そしてこの提案が出るということは、少なくても二、三年前からそういう傾向は十分わかっておったはずでありますし、現地においてはもう四十五、六年ごろからそういう批判がある。いまの公営住宅のあり方については、公団も、公社も、あるいは府県営、市町村営も含めてですが、非常な疑問が持たれておったと思います。にもかかわらず同じようなベースで、おととしからこういう提案がなされても、同じようにいわゆる戦後の住宅不足のときの戸数主義の五カ年計画が依然として続いておるというのは、どういうことなんでしょうか。
  150. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、終戦直後から第二期五カ年計画の半ばごろまでだと思いますが、確かに、質の向上もさることながら、量の供給に重点を置くべきではないかという政策態度をとられたのは事実であろうと私は思っております。しかしそれには、いろいろな原因がございます。  一つは、終戦直後、世帯の数に比べまして四百二十万戸ばかり住宅の戸数が絶対不足をしておりまして、そういうものに対する対応が一つでございます。それから、最近はやや鈍化してまいりましたけれども、いわゆる世帯の分離ということが相当進みました。終戦直後は四・九人ということでございましたけれども、四十八年の統計では三・四人というところまで下がっております。特に東京のごときはもう三人を切っております。そういうふうに新世帯がどんどんふえた。  それからもう一点は、やはり昭和二十二年、三年、四年ごろにベビーブームというのがございました。大体三百万近い赤ん坊が生まれております。それがだんだん大きくなられまして、第二期の半ばごろまでの間に、平年度では七十万組くらいの結婚が、百十何万組という結婚が行われております。そういうものに対して新世帯用の住宅の供給も必要であったと思います。  それから一番大きい原因は、大都市へ人口と企業が集中したということだと思います。大体、三十五年から五十年までの間に、国全体で千七百万人口がふえておりますけれども、そのうちの千五百万人は三大都市圏に集中いたしております。集中いたしました企業は家を持ってくるわけではございません。したがいまして、そういうもののためにやはり住宅の供給が必要であった。  したがいまして、確かに、先ほど大臣がおっしゃいましたように、二DKを三戸よりも三DK二戸というふうな政策態度を当時からとればよかったのですけれども、現実には三DK二戸よりは二DK三戸という政策態度をとったことは事実でございます。しかし、そういうふうな第工期の途中からの住宅事情の様変わり等が出てまいりました。特に、四十八年の住宅統計調査では、先ほど大臣から御説明がありましたとおり、全都道府県においてそういうふうな住宅の戸数が世帯を上回るという状態になりました。それらを踏まえまして、第二期の中ごろからは相当大きく政策態度を変換してまいっておる。したがいまして、現在では、量の供給もさることながら質の向上に重点を置かざるを得ないというのが政策態度でございまして、相当変えてまいっておりますけれども、たとえば公団の例なんかを申しますと、その古い残滓がいまごろちょうど出てくる端境期であるというように思っております。  その後、規模につきましても、その他につきましても、鋭意検討を加えておりますので、将来については、こういうふうなことを繰り返さないようにしたいと考えておるわけでございます。
  151. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 いま言われた以外にいろいろな弊害を出しておるということも御存じだと思うのです。確かに公的な住宅が、四十年代前半ぐらいまでについては、その目的どおりにある程度役割りを果たしてきたことも事実ですが、結果的に見れば、またいろいろな弊害の出ていることも事実だと思います。たとえば一種と二種との差がある。そしてまた公社があり公団がある。そういうことによって、地域で学校で子供あたりが差別感を持つようになった。一種の住宅だとか公社の住宅だとか、そういうふうなことも出ておることは事実です。それからまた、四十年代ごろから大規模な団地が非常にたくさんふえてまいりました。結果的にはまたそれが土地の値上がりの引き金を引く。そういうような結果を招いていることも事実だったと思います。  最近では、市街化調整区域等、本来開発が好ましくないと言われるところまで、土地の値上がりをめぐって、公団や公社あたり公的な団体までが相当量の買い占めをしている。公団では、千六百ヘクタールの買い占めをして非常に金利を圧迫しているということも、せんだっての委員会で明らかになっておると思いますが、そういうようなことも起こっておる。あるいはまた、自治体に対する学校、水、ごみといったようないろいろなもののしわ寄せがあり、そしてそれが財政に及ぼす影響があり、それからまた極端なのは、大阪も今度少しは改正になりましたけれども、八百円の家賃のすぐそばに三万円の住宅が建つというような、そういう極端な例も至るところに出てきておると思います。さらにまた、いま大阪あたりで計画しているのは、去年もことしも二千戸。三百五十万の世帯、そして公営住宅だけで約十二万しかいままでに建っておりませんけれども、たった二千戸のために、ほかの世帯の人たちにはそれが当たらないというような不公平も生まれてきているのではないかといったような、いろいろな批判が出ているわけですが、こういった戸数主義を生んだりいろいろな批判を生むということは、三十年たって住宅政策も大幅に変わらなければならない。したがって、公営住宅法の改正をやるとか、あるいは戸数主義を生み出すもとになった住宅建設計画法を全く改めて、新しい発想のもとで立法措置を講ずるとか、そういったお考えをお持ちになるかどうか。  さらにはまた、さっき言いました公社、公団、あるいは府県営、市町村営、あるいは厚生年金、雇用促進事業団といったように、非常にたくさんの分野で住宅問題が取り扱われておりますが、これを一元的にまとめて考えで、できれば住宅省までつくる、住宅庁をつくるというような、そういう構想をお持ちになることができないかどうか。  これは建設大臣と、あわせて後で局長からお答えをいただきたいと思います。
  152. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先に事務的な答弁をさせていただきたいと思います。  先生がいまおっしゃいましたような、いろいろな問題は確かにあると思います。そのために、それに対応しますいろいろな策につきましても、毎年予算要求等を通じましてその実現を期したいと考えておる問題が相当入っております。しかしながら、住宅建設計画法に基づいて第一期から第三期まで計画を策定してまいりましたが、いまさしあたって改正を要するような点は余りないと私は思っております。  ただ、先生がおっしゃいましたような、そういう全体を含むような問題につきまして住宅基本法を設けろという声が、衆参両院の建設委員会、それから住宅宅地審議会等で問題になっております。しかしながら、それにつきましては、残された一番大きな問題である家賃のあり方についての基本の方針を定めないうちに、そういうものを決めるのは時期尚早だという意見もまたございまして、そういうものを考えあわせながら基本法の検討をしてまいりたいと思っております。基本法の中の一環といたしまして、住宅建設計画法を住宅供給法に改めろというふうな御提案もいただいておりますので、恐らく、そういう時期に十分検討する機会はあろうかと思っております。  それから、各事業の各種省政策の一本化という点でございますけれども、確かに、全体の五カ年計画の中では、各省政策もその他の公的住宅ということで一本にいたしております。  それから、実行上の問題といたしましては、いずれも建設大臣が御協議をいただくというスタイルでありまして、いろいろなものの内容についての整合性を図るようにいたしております。  それから、特にことしから始まる財形等におきましては、初めから住宅金融公庫の方へ債券発行権を与えるというふうな一歩を踏み出しておりますけれども、それらも将来のそういう基本法的な検討の中で検討されることだろうと思っております。  事務的に最初その辺を御答弁させていただきます。
  153. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 おっしゃることはよくわかるのですけれども、なかなか理想どおりにはいかぬというような状態ですが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、省内にもそういうような協議会をつくって進めておりますので、一応五十二年度に手をかけるだけかけてみて、以後それにも欠陥があるとするならば、新たに構想を立て直さなければならぬ、こういうふうに考えております。
  154. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)分科員 終わります。
  155. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて馬場君の質疑は終了しました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  156. 稻村佐近四郎

    稻村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。川本敏美君。
  157. 川本敏美

    川本分科員 私は、水資源問題に関連をいたしまして、建設省水源地域対策特別措置法のいわゆる指定ダムとして建設しようといたしております。紀ノ川上流、大滝ダム建設の問題に関連して若干お聞きをしたいと思うわけであります。  私が申し上げるまでもなく、建設大臣初め皆さんすでに御承知のように、日本の将来のエネルギーの中で水資源は大切な資源でありますし、いわゆる新全総というものが水の需給計画を中心に計画されたことも御承知のとおりであります。ところが、この間から福田総理が言っておられますように、いわゆる資源有限時代、あるいはオイルショック以来のいわゆる経済成長のスローダウン、そういうような中で、昭和六十年を見通した水資源というものの需要も若干スローダウンしてきておるわけでございますけれども、お聞きいたしますと、近畿地方における将来の水需給について、現在建設省あたりでいろいろまとめていただいておるわけでありますけれども、五十年現在で大体百億トンの水が近畿で要り、それが現在要っている。それが六十年には大体百四十億トンぐらいになって、将来新しい水資源というものを開発していかなければならぬ。現在予想されているのは、大体二十数億トンの河川用水を六十年には準備できるけれども、なお数億トンの不足がある、こういうふうにお聞きをいたしておるわけですけれども、その点について間違いはございませんか。
  158. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいますように、近畿地方の昭和五十年現在の総需要量、これは約百億トンでございまして、昭和六十年に必要になる、新規に河川に依存する量でございますが、これは約三十億トンと予想されているわけでございます。そのうち、先生おっしゃいますように、開発できる供給可能量というのは大体二十数億トンということでございます。
  159. 川本敏美

    川本分科員 そこでお聞きしたいのですけれども、近畿における将来の水資源というものは、いわゆる琵琶湖開発というものによって一つの大きな開発の余地が残っているわけですけれども、その他はすべていわゆる河川の開発による以外にないと思うわけです。特に近畿地方をながめてみました場合に、将来、近畿の水を支える水資源はどこで開発できるかということを考えてみますと、年間降雨量が六千ミリを超えると言われるいわゆる大台ヶ原、大峰山系、新宮川の上流と紀ノ川の上流のいわゆる奈良県内の山岳地帯、この地域において近畿の新しい将来の水資源確保する以外にないと思われるわけです。  そこで、お聞きをいたしますと、現在、先ほど申し上げました紀ノ川上流建設省の大滝ダム以外にも、あるいは新宮川上流で、奈良県では天ノ川と呼んでおりますけれども、そこの広瀬ダムとか、あるいは川上村で、大滝上流でさらに二の又ダムとか、いろいろダム計画を持っておられるようです。  そこで私は、大滝ダム関連してお聞きをいたしたいと思うのですが、新宮川の上流では、御承知のように、電源開発株式会社が、十津川水系あるいは北山川水系それぞれにおいて、いわゆる池原ダムとか、坂本ダムとか、七色ダムとか、あるいは十津川水系においては猿谷ダムから風屋ダム、二津野ダム、たくさんのダムを築造したわけです。そのダムの影響を受けて、最近、和歌山県議会で議決をされておるわけですけれども、新宮川の川の濁りが、従来であれば年間九十日ぐらいの濁りであったのが、最近では年間二百日を超える川の水の濁りで、そのために、新宮川の河口から沖合いに数十キロメートルにわたって、いわゆる海水が汚濁して漁業もできない。そこで一つは、いわゆる有名な瀞八丁の観光を含めて河川の汚濁による補償の問題、さらに漁業補償の問題等の要求が、和歌山からいま出されておるわけですけれども、あわせて和歌山県は、こういう川の水が長い間濁るというのは、ダム上流の治山治水、いわゆる山腹砂防とか、あるいは治水堰堤、治山堰堤、こういう砂防工事が完全になされていないところ心その原因があるのではないかということで、漁業補償なんかとあわせて、ダム上流の治山治水を完璧にやってもらいたいという要求が出てきておることは、皆さん御承知のとおりだと思うのです。  そこで私は、これから建設されようとする大滝ダムにつきましても、この問題に関連して申し上げたいわけです。大滝ダムにつきましても、いま建設工事が着々と進行しつつあるわけですけれども、この集水面積の中には、御承知のように中央構造線が通っておるわけです。いわゆる地殻が非常に悪いわけです。その地域ダムをつくるわけですから、自然崩壊現象等も非常に多発するおそれがある。現に崩壊地として名古屋大学の教授が指摘しておるところがあるわけです。  そういう状況から考えますと、このダム建設関連して、集水面積の山岳部の治山治水事業を徹底的にやっておいてもらわない限り、将来、下流の和歌山県から再び新宮川と同じような要求が出てくる可能性があると私は思うわけですが、その点について建設省はどのように考えておられるのか、ひとつお聞きしたい。
  160. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいますように、河川上流部のダムによる水の濁りでございますが、これに対しまして、いわゆる治山砂防事業をやるということが一つの方法であろうかと思います。治山砂防事業というのは地元保護の立場にも立っております。そうしまして、非常に大きな目的一つとしましては、濁りにも有効であるというふうに考えます。
  161. 川本敏美

    川本分科員 そこでお聞きをいたしたいのですけれども、いわゆる水源地域対策特別措置法というのがございます。これは昭和四十八年十月十七日に公布、施行されたものですけれども、その第二条による指定ダムとして大滝ダムはすでに指定を受けておるわけですけれども、その第十二条ですか、いわゆるこの指定ダムについては、都道府県知事が水源地域整備計画なるものをつくって、そして建設大臣の承認を得て、水源地域公共事業でやれないといいますか、公共事業の上にさらに国が補助を上積みをして、そしてその整備計画をできやすくしようという措置法でございますけれども、その水源地域対策特別措置法の適用によってこの大滝ダム周辺の諸問題を解決しようというような姿勢で建設省はおられるのではないかと私は推測するわけですが、その点については、どのように考えておられますか。
  162. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 ただいま御指摘水源地域の整備計画の問題でございますが、第十二条によりまして、それらの整備事業を行います場合の地方公共団体の負担につきまして、他の受益する公共団体等がその裏負担について肩がわりをするというような内容でございまして、それにつきましては、第二項によりますと、それらの事業関係行政機関の長はそれについてあっせんをするというようなことが定めてございます。これらは、関係当事者が受けます利益その他の諸般の事情を勘案いたしまして、関係当事者間の負担の公平を図るということを旨といたしておりまして、当事者間の協議が円満に進むことを期待しておるわけでございますが、これらが順調に進まない場合には、私どもといたしましても、関係行政機関と連絡を密にいたしまして、十分に対処するようにしてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、それらの受益の度合いといいますものが各ダムごとに非常に異なっておりまして、私どもといたしましては、具体的事例に即しまして個別に解決してまいりたいと思っております。  具体的な実施例を申し上げますと、栃木県の川治ダムにおきましては、すでにこの法律を適用いたしまして、千葉県と栃木県間におきまして協議を結び、円満に現在川治ダム事業が進行している例もございます。
  163. 川本敏美

    川本分科員 そこで、さらにお聞きいたしたいと思うのですが、水特法の第十二条では「整備事業がその区域内において実施される地方公共団体で当該事業に係る経費の全部又は一部を負担するものは、政令で定めるところにより、次に掲げる者と協議し、その協議によりその負担する経費の一部をこれに負担させることができる。」この表現というものは非常にあいまいでございまして、一部を負担させることができるということで、負担するものが特定されていないし、さらに、その負担の割合等についても、政令の第九条を見ましても、ただいま御答弁がございましたように、「関係当事者が受ける利益その他の諸般の事情を勘案して、関係当事者の負担の衡平を図ること」を目的とするということで、いわゆる負担の公平ということについては触れられておるわけですけれども、その負担の割合、あるいは関係当事者がだれであるのか、こういうことが明確にされていないわけです。大滝ダムの場合は、そうすると関係当事者はだれなのか、そして「負担の衡平」というのはどういうことを指すのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  164. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 関係当事者でございますが、整備事業はいろいろな種類がございますが、それらの事業の実施の管理者が片方の当事者でございますし、それから受益の部分につきましては、それを受益する県あるいは市町村等がございますが、具体的に大滝ダムの例によりますならば、和歌山県あるいは和歌山市がそれに該当するのではないかと思います。
  165. 川本敏美

    川本分科員 先ほどお話がございましたが、水特法ですでにこの適用をされて行われておる、川治ダムですかでそういう例があるようでございますが、いつも私は申し上げるのですけれども、関東と関西とでいわゆる水利権といいますか、そういうものに対する慣行がもう全然違うということは御承知のとおりだと思うのです。いわゆる中部以東といいますか、関東地方へ参りますと比較的上流の水利権が強くて下流の方が弱い。ところが、近畿から以西へ参りますと、下流の方が強い慣行水利権を持っておる。そういうことのために、紀ノ川の場合でも、常に水利権の問題をめぐって、上流である奈良県と下流の和歌山県との間に、意見の衝突が絶えないところでありますけれども、いまおっしゃったように、奈良県とか和歌山県、和歌山市等がその当事者である。ところが、その間の公平を図っていくということが水特法なりその政令で書かれておるわけですけれども、水源地域対策特別措置法の精神は、ダムができて水没をするそこの地元の村、大滝ダムの場合で言いますと川上村ですけれども、川上村という地方公共団体に全然負担をかけない——関係当事者の中で受益者として川上村も一部負担をしなければならないということは、私どもはどうも理解に苦しむところでございますが、その点については、建設省では、地元の犠牲になる地方公共団体まで受益者とは考えておられないと私は思うわけです。  そこで、いま奈良県でこの水特法による整備計画というものを地元の川上村といろいろ相談をしながらまとめ上げているようですけれども、お聞きをいたしますと、国道を除く道路関係で五億二千二百万、あるいは水没する学校の建てかえとか、それに伴う統合校舎とかで、小学校、中学校で二十七億八千九百万、屎尿処理施設が五億九千万、簡易水道が二億五千六百万、林道が九億五百万、治山が二億六千二百万、治水が一億一千六百万、保育所が七千八百万、ごみ処理施設が一億一千万、消防施設が一億六百万、農道が一億七千八百万、それ以外にさらに産業施設とかコミュニケーションセンターとか、あるいは有線放送施設、こういうものが九億六千八百万、合わせますと、大滝ダムの水特法関連事業と目されるものが現在六十八億八千万ほど見込まれているわけです。そうなりますと、非常に簡単な計算で申しわけないのですが、それの二割を受益者なり地元が負担をするというごとになりますと、大体十五、六億の負担になろうかと思うわけです。小さな村で十五、六億の負担をするということになると、これはもう村がつぶれてしまいます。  そういう実情から考えると、この水特法で六十八億というものをやろうとしておるけれども、本来この中には、先ほど私が指摘をしましたように、治山とか治水とか、あるいは道路とか義務教育施設とか、当然建設費の中で賄わなければならないもの、また、いままでは賄ってこなかったけれども、将来のことを考えると建設費で賄うのが当然だと思われる部分も含まれているやに思うわけですが、その点について建設省はどのように考えられますか、お聞きをいたしたいと思うわけです。
  166. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいましたように、いろいろの事業がございますわけでございます。それで、多目的ダム建設費の範囲というものは、特定目的ダム法第七条関係の法令で明定されておりまして、それに基づいて現在やっておる次第でございます。
  167. 川本敏美

    川本分科員 特定目的ダム法の第七条についても、細かい規定というものはないと思うわけです。まあ規則等でお持ちかと思いますけれども、そういうものの中で微妙なものがたくさんあると思うわけです。いま申し上げた、いわゆるダムに直接関連しておるような治山工事治水工事までを水特法でやるのか、あるいは建設事業としてやるのか、こういうことについては、当然かなりの部分を建設事業で見なければいけないんじゃないかと私は思うわけですけれども、その点については、どのようにお考えですか。
  168. 栂野康行

    栂野政府委員 特定目的ダム法の第七条に基づいて、特定目的ダム法施行令第八条に、そういうふうな建設の対象になる項目を規定しておるわけでございます。それによりますと、いわゆる建設に要する費用の範囲というものは、一つは、「多目的ダム及び多目的ダム関連施設で多目的ダム建設目的である各用途のすべてに供されるものの設置のため直接必要な本工事費、附帯工事費、用地費、補償費、事務取扱費、実施計画調査費及び災害復旧費並びに附属諸費並びに借入金の利息とする。」というふうにうたわれておる次第でございます。
  169. 川本敏美

    川本分科員 なかなか抽象的な御答弁で、具体的にはお答えいただきにぐいのかもわかりませんけれども、将来紀ノ川でも、建設後、下流から河水の濁水による補償とか、あるいは治山治水の要求が新宮川と同じように出てくると思います。そうなると、新宮川のように、電源開発でダムができてからもう十年以上もたった段階になってこのような問題が出てまいりますと、治山工事治水工事をやる場合に、その地元負担相当額が全部地元の県やあるいは町村の負担になるようでは、これは納得できない。少なくともいわゆる地元負担相当額は電源開発株式会社に再度負担していただく以外にないのではなかろうかと私は考えておるわけです。そうしてやはり徹底的な治山治水工事をやる必要があると思うわけです。将来予想されます大滝ダムにつきましても、そういう面において完全な治山治水工事をやって、濁水が下流にまで余り影響を及ぼさないように、ひとつせっかく御努力を賜りますように要望申し上げておきたいと思います。  そこで、もう一つ下流の問題について私はお聞きいたしたいわけです。  すでに御承知だと思いますけれども、大滝ダム建設地点から十二キロほどの下流に吉野町南大野というところがあるわけです。ここは、葛紙と言いまして、古い伝統産業の手すきの和紙をすいておる地域でありますが、この地域は、山からわき出る水が全くないために、何千年という長い間この下の吉野川の水をくみ上げて、飲料水にし、さらには手すきの和紙をすいて今日に至っておるわけです。この和紙は世界的に有名でして、現在ローマ法王庁に毎年納められているというほど有名な和紙であります。この和紙の産業、あるいは最近は、吉野の杉割りばしの産地としても有名でございます。ここに住んでおられる人たちは、昔は手で水をくみ上げて飲料水に供し、雑用水に供しておったわけですけれども、現在は川の沿岸ポンプを据えてくみ上げて、三戸とか五戸とかいうグループで、それを飲料水なり和紙製造、杉割りばし製造の雑用水として使用しておるわけです。この方々が、大滝ダムの対岸道路とかダムサイト付近のいろいろな工事が始まりまして以来、川の水が濁って、飲料水としても飲めないし、手すきの和紙にも影響が出てきておるので、何とかしてもらいたいという要求をすでに建設省にも持ち込んでおると思うのです。この問題について、地元の奈良県でも吉野町でも非常に頭を痛めておるわけです。  私はこの際ひとつ建設省お願いをしたいわけです。私はかねてから、吉野町の町長さんにも、いままで非常にきれいな水であったけれども、時代の変遷で最近はだんだんと汚れてきておる、そういうような状況から見ても、この際、一挙に川の水を飲料水として使うことはやめて、簡易水道の施設をした方がいいのではないかということを御提案申し上げておるわけです。大滝ダム建設で、建設後の和歌山の新宮川の状況から見ましたときに、濁水が一年のうち二百日以上も流れる、こういうような状態になると非常に影響が大きいと思いますので、これに対してやはり何分の措置を考えてもらわなければいかぬと思うわけですけれども、これについて建設省はてのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  170. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がおっしゃいます南大野の地点は、大滝ダムをつくる本川、それから高見川の合流点の下にあるわけでございます。それで、現時点におきましては、大滝ダムにおきましては、ダムサイト左岸の工事用道路というものをほんのわずかやっておる段階でございまして、現段階におきましてはこの影響は少ないというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、現在、私たちとしましては、ダムサイト下流で濁度の調査測定を行っておるわけでございますが、これにつきましても、今後とも調査を継続してその実態を把握していきたいというふうに考えます。
  171. 川本敏美

    川本分科員 この前、私は大滝ダム建設事務所へもおじゃまをしていろいろお話し合いをしたわけですけれども、その当時、所長さんは、最初は、いまおっしゃったように、高見川との合流点で見ても、高見川の水が濁っておって川上の本流の方が全然濁っていないときもありますというようなお話だった。それは、夕立が高見川上流だけで降って川上で降らなかったときは、そういうこともあると思うのです。しかし私は、現時点の中で、大雨が降って川の水かさがふえると、高見川の水は三日ほどできれいになるけれども、本流の方は後一週間も十日も濁りがとれないというのは、いわゆるダム建設工事によるズリを川に落としてあるために、そういう状態が起こっておると思うわけです。だから、これは自然現象でございますと言ってあくまでもほおかむりすることはできないのじゃなかろうかと思うわけです。そういう意味から考えましても、飲料水であり、あるいは特に伝統産業でございますので、そういうものを守っていくという立場から考えました場合に、いわゆる濁水の状況を調査していただいたら結構ですけれども、大滝ダム建設事業の中でやはりこれも一つの大きな問題点であるということを御理解をいただいて、ひとつ前向きに善処するというお約束をいただきたいと思うわけですが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  172. 栂野康行

    栂野政府委員 現在も濁度の調査をやっておるわけでございますけれども、今後も調査を続けまして、因果関係等十分実態を把握しまして、そしてその実態に応じまして対処していきたいというふうに考えます。
  173. 川本敏美

    川本分科員 その濁度の調査というのはいつから始められたわけですか。
  174. 栂野康行

    栂野政府委員 四十九年の十二月から調査を開始しております。
  175. 川本敏美

    川本分科員 いままでの濁度の調査の結果ではどういう状態でございますか。念のためにお聞きしたいと思います。
  176. 栂野康行

    栂野政府委員 濁度調査で測定していきますと、いわゆるダム下流地点におきましては、晴天の日は一PPM程度でございまして、雨が降ったとき、あるいはその直後につきましても、六〇ないし七OPPMほど濁っております。高見川の調査もありますけれども、これは……。
  177. 川本敏美

    川本分科員 地元の町の人たちは、ここ二年ほど前から、雨の日も晴天の日も、あるいは雨の降った後も、川の水を採取をして、奈良県の衛生研究所で濁度を初めとするいろいろな調査をしていただいておる。そのデータも持っておるわけです。因果関係についておっしゃいましたけれども、大昔から雨が降っても三日たてばきれいになるという川であったのが、最近は一週間も十日もきれいにならない。これはもう大滝ダム建設関連する問題だと言う以外にないと思いますので、因果関係について私はやはり明確だと思うわけです。  そういうようなことから考えました場合に、この問題を、建設省が大滝ダム建設関連する下流対策の中の一つのポイントとしてやはり考えていただかない限り、大きく問題がくすぶり続ける、あるいは大きな問題となってくるおそれがあると思うのです。その点について、もう一度、前向きで善処する意味の明確な回答をひとついただきたいと思うわけです。
  178. 栂野康行

    栂野政府委員 この問題は、先生おっしゃいますように、地元にとりましても非常に大きな問題でございます。建設省としましても、この問題は大きな問題として十分注視していきたいと思います。
  179. 川本敏美

    川本分科員 以上で終わります。
  180. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて川本君の質疑は終了いたしました。  次に、田畑政一郎君。
  181. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私は、主として雪害問題についてお伺いいたしたいと思います。  御案内のとおり、ことしは何年かぶりに訪れました豪雪の年でございました。と同時に、最近は寒冷化が進んでおるということもございまして、これから先を考えてみましても、ことしあるいはことしに準ずるような、そういう雪害問題が生ずることが多いのではないかと思うわけでございます。そういった意味で、この雪害に対していかに対処するか、あるいはまた、これに対してどのような措置を政府としてとられるのかといった問題は、大変重要になっておると思うわけでございます。  そこで、まず最初に、いわゆる建設省所管と申しますか、特に道路関係についての雪害状況について承りたい、かように思います。
  182. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  今冬の異常豪雪によりまして、各地で大きな雪害を受けたわけでございますが、道路関係では、幹線道路を中心とした交通確保は、一部一時的に若干渋滞ないしはストップしたところがございますが、全国的に見ますと、幹線道路の交通は、今冬の豪雪においてもほほ確保されてきたわけでございます。  ただ、除雪費について当初予定額よりもかなり大幅にふえました関係から、直轄事業、それから補助事業合わせまして二十数億の追加配分をいたしましたし、また市町村道の除雪費がかなり増高した関係で、従来特別交付税で見ていた分が、それだけではとても賄い切れないというふうな状況もありましたので、これは別途特別の臨時の措置といたしまして、予算補助で約二十億ばかりの市町村に対する除雪費の臨時の補助を実施しております。そういうような状況で除雪費の増高はございましたが、交通確保という面でいきますと、一応全国的に支障のない姿で確保されたわけでございます。  被害ということで、今後まだ融雪期の被害がいろいろ予想されるわけでございますが、これにつきましては、今後十分な体制をしいて雪害の防除、交通安全の確保に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  183. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いま一応報告があったわけでございますが、多少具体的にお伺いをいたしたいと思うのでございます。  まず、融雪後の道路補修の問題でございますが、御案内のとおり、除雪は緊急を要するということからいたしまして、除雪車を繰り出す、あるいは一般の車につきましてもチェーンを巻く等の処置を講じまして、道路が非常に傷んでおると思います。いまお話がございましたのは主として除雪に要した費用でございますが、いわば除雪後の補修がどうなるのかということが、雪が解け始めますとその翌日から重要な問題になってまいると思うわけでございます。これに対しまして一体どのようなお考え方をもって臨まれるのか。その点、雪害地帯は非常に心配をしておると思いますので、それに対して明快な方針をお伺いいたしたい、かように思います。
  184. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、こういった豪雪の後では、路面の損傷が非常にはなはだしいわけでございます。これは今後雪が解けた後いろいろその被害程度を細かに調査いたしまして、比較的簡単な維持工事で直せるものにつきましては、これは道路管理者がそれぞれの責任においてやるということでございますので、県道であれば県、それから市町村道であれば市町村、国道の直轄区間は国がそれぞれ維持補修をやるわけでございます。     〔主査退席、藤田(高)主査代理着席〕 ただ、維持修繕というようなことでは間に合わないような大きな被害があって、オーバレイであるとか、あるいは打ちかえとかということをやらなければならぬようなものにつきましては、額で言いますと補常二千万円以上の金額になるわけでございますが、こういうようなものにつきましては、被害の実態に即してそれぞれ補修事業として国の補助事業で取り上げることができることになっておりますので、これを位の高い順に採択してやっていくということになろうかと思います。また、全般として補修費が非常に大きくなりますれば、年度途中で改築事業からの振りかえというような措置も講ぜられるわけでございますので、融雪期以後の路面の実態に即して対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  185. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは大臣にひとつお伺いしたいと思うのでございますが、いま申しましたように、直ちに道路補修という問題が出てきているわけでございます。そこで、私のおります福井県で見ますと、平年度でございますと約一億五千万円くらいの補修費で済みますところが、本年度の場合は異常な豪雪でございましたので、四億円の費用を要する、こういう数字が出ておるわけでございます。そういうふうに考えてみますと、今日の県あるいは市町村財政におきましては、ただでさえ除雪費に莫大な金額を要しましたところ、今度は補修においてさらに大きな負担を課さなければならない。すでにいろいろな問題につきまして表日本と雪害地帯の公平の問題が出ておるわけでございますが、こういった点を勘案いたしましても、こうした融雪後の道路補修というものにつきましては、従来の補助率を上回ってそれをカバーするような積極的な政府の施策がなければならないというふうに考えるわけでございますが、この点につきまして、建設大臣としてはいかようなお考えで進まれるのか、御答弁を賜りたいと思います。
  186. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 除雪に対しましても、御承知のように、最初の予算から見ますと数倍、二十何億というような大きなものを援助しておるのでございます。したがって、今度は融雪した後の道路の問題につきましては、また新たな問題でありますけれども、どの程度に破損しているものであるか、実態をもう少し見きわめた上でないと、それをどうするか——おたくの方だけならいいのですが、たくさんの地区でございますので、十分その点を踏まえないと、新たな予算づけというようなものができないので、もう少し調査をしてみた結果にしていただきたい。ここで幾らにいたしますということははっきり申し上げられないと思うのです。
  187. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 それでは大臣、除雪対策費と同様に前向きに検討する、こういう意味に解釈してよろしゅうございますか。
  188. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 でき得る限りそのようにしていきたいという考え方はいまのところ持っております。まだそれがどうだという決定をしておりませんので、十分調査をさせて考慮いたしたいと思います。
  189. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは調査するとかせぬとかということじゃないのです。これだけ雪が降って除雪車を動かせば道路が傷むということは子供でもわかることでございまして、問題は、その事後処置につきまして、前向きの政府としての措置というものを私どもお願いをしたいというふうに思うわけでございまして、この点ひとつもう一度答弁をいただきたいと思います。  それといま一つお伺いいたしたいのは、道路の維持費でございます。今度調べてみますと、非常にたくさんの雪が降りました関係上、いままでは国庫補助の対象にはなりませんでしたけれども、たとえて言うと、道路標識でございますとか、あるいはガードレールでございますとか、それに類するものは全国的にたくさん立っておるわけでございますが、それが今度の豪雪によって甚大な被害を受けているわけです。一つ一つ見ると余り金がかからぬように見えるのでございますが、これを全部取り上げて旧に復しようとしますと莫大な金がかかる。もちろん私は担当者でございませんからわかりませんが、私ども福井県だけでも、これだけで二億円のいわゆる維持復旧費がかかるだろう、こう言っておるのでありまして、全国的には数十億に上っておるのじゃないかと私は思います。  ところが、こういうものは挙げて国の対象から外されておりまして、県、市町村の自主財源によって賄う、こういうことになっておるわけでございますが、これもなかなかばかにならぬ問題でございまして、ぜひひとつこういった問題についても国が積極的にやる、もしこれをやらなければ、道路を通る自動車が方向を見失ったりスピードを誤ったりするわけでございまして、ゆるがせにできない問題になっているわけですね。だから、これについても国がある程度めんどうを見るというような処置は、特にことしのような異常豪雪のときには講ずべきではないかというふうに思うわけでございまして、この点お伺いしたいと思います。
  190. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生指摘のように、道路の維持管理の仕事は非常に重要だと思います。まして、道路交通の安全を確保するという意味から、場合によっては人命にもかかわる問題でもあるわけであります。これからますます維持管理の仕事は重要なものになってきますし、道路事業費の中で占めるシェアも高まっていくと思います。特に豪雪地域では、いま言われたように、雪の関係で暖かい地方よりはそういう意味での支出がかなり多いわけでございます。まして今冬のような豪雪だと急にそういう支出がふえるというような事情もあろうかと思います。  しかし、道路の維持管理につきましては、道路法でも一応道路管理者がみずからの責任においてやるというたてまえになっておりまして、このたてまえは今後も貫かれると思いますが、ただ、その管理者が責任を持ってやるにしても、責任を持てるだけの金がなければならないわけでございます。これにつきましては、道路の財源の、地方財源と中央の財源とのバランスの問題もあろうかと思います。維持管理できるだけの十分な財源が地方にあれば、わざわざ補助をしなくてもできるわけでございます。この辺の財源の問題につきましては、現在の道路の維持管理の体制の中で、また将来の維持管理のあり方の中でいろいろバランス上の問題があろうかと思いますが、これは現在、第八次道路整備五カ年計画を五十三年度からスタートさせるべくいろいろ検討しておりますので、その中で財源のあり方等も十分検討いたしまして、そういうものが賄えるような財源は、中央と地方でどういう比率であるべきかということを検討をやった上で、やはり管理の姿勢としましては、それぞれの管理者がみずからの責任においてやるという分担は、今後ともそのまま続けられてしかるべきじゃないかと考えております。
  191. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いろいろお話がございましたが、要約して言えば、将来の問題としては多少分担問題を考えていきたい、こういうことでございますね。しかし、今度の豪雪については何もお答えがなかったわけでございますが、今後のこともあると思いますが、私は、何よりも本年度の異常豪雪に関する問題について、緊急の問題としてここにお伺いをいたしておるわけでございます。おわかりと思いますが、四カ月間も雪に閉ざされて、しかも異常な豪雪でございますから、標識等あるいはガードレールが相当傷んでくるのはもう当然でございます。直さぬでおけば、いまおっしゃったように人命にかかわる問題だ。だから道路維持管理者としては当然直さなければならない。それは金がかかるのです。しかし表日本ではこれは金がかからないということですね。そういうアンバランスが出てくるわけです。これは大臣いかがでしょう。これに対して、政府は多少前向きの緊急措置といいますか、手心を加えた行政上の措置を講ずるのは、私は当然じゃないかと思うのです。これをほおかぶりで通っておったのでは、政府は何のためにあるのかと言われても仕方がないと思うのでございまして、ぜひひとつ大臣の前向き、積極的な御発言をお願いしたいと思います。
  192. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 地方の負担が負担にたえかねるような事態になっておるかどうかという点を、もう少し調べてみないと、おたての福井だけがというわけにはいかないのでございまして、広範にわたっておるものですから、その点を十分調査いたしまして、その上に立って前向きの善処をいたしましょう。
  193. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 私は福井、福井と申し上げておりますが、一番近い例ですから福井を申し上げておるので、決して福井県だけのことを申し上げておるのじゃありません。新潟もそれから富山も同じでございます。これは前向きに被害状況を調査していただきまして、政府としても善処していただくように、いまおっしゃったように前向きで取り組んでいただきたいということをお願いいたしたいと思うのであります。  次に、これも決して福井県だけの問題ではございません。国道八号線の問題についてお伺いしたいと思うのであります。  御案内のとおり、国道八号線は新潟、富山、石川、福井四県の京阪神並びに名古屋方面に通ずるところの、いわゆる、のど口と申しましょうか、通り口になるわけです。しかも日本海を通ずる路線としてはこれ一本しかない。ところが、この国道八号線は、福井県の武生——敦賀間約四十キロにおいて毎年ストップするのです。特にことしは寒さも強かったせいでございましょうか、片側通行あるいは両方ともストップという事態が生じました。特に昨年の十一月末から一月に降り続いた雪の中では、約数千台の車が福井県内においてストップする、二月においては土砂崩れがあってストップする、同じく雪害のためにストップするというようなことで、しばしば事故が続いておるわけです。実際のところ、一号線、二号線というような指定国道の中で、これほど大量の被害を受けておるのは、国道八号線が一番右ではないかと私は思うのです。これに対して、道路の維持管理に当たっておるところの建設省は、一体何をしておられるのかというような強い批判が、あそこを通っておるところの運転者並びに県民の中からも強いわけでございます。  そこで、私といたしましては、この問題に対して、前向き、しかも抜本的な対策を講じていただきたい、こう思うわけでございます。そうして考えてみますと、われわれがいろいろ研究いたしました結果といたしましては、国道八号線が異常事態に立ち至りましたところの建設省側の指導体制の不足、そういうことがやはり何としても言われるのじゃないかというふうに思うわけでございます。そしてあそこの道路は、御案内のとおり、一たん武生を離れまして敦賀に至りますまでの四十キロ間は、もうとまったら横へ逃げるところがないわけです。びっしりとまったきりなんですよ。横道に入るというわけにはいかない。一方は海だし、一方は山ですから。だからそこでびっしり何日でもとまるわけなんです。  ところで、そういう道路に対しまして、なぜとまるのかといいますると、一つは、この道路の状況に対する情報というのが非常におそいのじゃないかというふうなことが言われるわけでございます。たとえば建設省はこの中間地点に大良の派出所というのを持っているわけでございますが、雪の状態がどうかということを聞きましても、どうもはっきりしない。それからまた、敦賀の方ではストップをしているのに、武生の方ではどんどん発進するものでありますから、途中で全部詰まってしまうというようなことがございまして、この情報の的確な伝達といいますか、そういうものがいわゆる自動車関係者に対してなされておらないのじゃないかということが考えられるわけでございまして、これをやはり積極的にやっていただかなければならぬと思うのであります。  それからまた、とまりますと、先般のストップの際には、四日も五日もストップいたしました。病人が出る、そしてガソリンが不足する。しかも自動車の中には、一定の温度を確保しておかないと中に、積んでいる食料品が腐ってしまうというようなものもあるのですが、そういうものもガソリンがないというような深刻な状態になるわけでございまするけれども、そういった状態にあるということを、それぞれの会社なり、あるいはそれぞれの運送業者の出張所に対して連絡をして、ガソリンを持ってきてくれという連絡をしようにも、あの道路には一体公衆電話は何本あるのですか。あれだけの海岸線で、しかもどこにも寄るところがないところに、やはり一定の公衆電話を設けて、そういうふうになった場合には連絡ができるというような体制をとっておかなければならぬのではないかと思うわけであります。  そのほか、二つ目には交通規制の問題がある。大体、あんな雪の期間にチェーンを巻かないような自動車をどんどん通すのでは、これは困るのです。また、過積みの自動車をどんどん通すのでは困るわけなんですね。これは建設省がやはり指導権を握っていただいて、いろいろな官庁と連絡をして緊急措置を講じてもらうくらいのことがなければならないのじゃないか、私はこう思うのです。さらにやはり判断を迅速にやってもらわなければならない。きょうは通れないというようなときには、一時規制をするくらいのことはしていただかなければならないですね。そして除雪車を通してから通すというようなことをしなければならない。そういうことについてやはり十分でない点があるのじゃないかと思いますので、この国道八号線に対しては、二度と再びこういうことの起こらないような積極的な対策を講じていただきたい。あなたの方で考えていらっしゃることをひとつお伺いしたい、こう思います。
  194. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道八号線が今回の豪雪で再びちょいちょいとまった実態は御指摘のとおりでございますし、これらの原因等につきましても、先生の御指摘になった、まさにそのとおりだと思います。いろいろ原因があるわけですが、そのうち最も大きなのは、やはりチェーンを装着しないまま突っ込んでいって、いきなりの豪雪、どか雪で路側に突っ込んで横になったり、あるいは材木車みたいな大きなものがチェーンを装着しないタイヤで滑って横になったりして、そういうものを排除するのに非常に手間がかかった。その間に、情報不足から次々に車が走ってきて、交通渋滞を解消するのになかなか手間がかかったというような実態がその大部分ではないかと思います。こういった豪雪時のいろいろな経験を積み重ねて、逐次国道については雪に強い国道に育て上げていく姿勢でわれわれおるわけでございますので、御指摘のような点につきましては、十分現場で実態に即した調査をやりまして、改善してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それにいたしましても、道路自身が、線形あるいは幅員の点で、ああいう豪雪地域の道路としては不十分な点もかなりありますので、あわせて改築工事も、現在、部分的に、拡幅工事、あるいは区間の局改とか、いろいろやっておりますが、こういうような工事も鋭意やって、構造的にも雪に強いものにしていくように考えてまいりたい。あわせて情報板等の整備も現在やってはおりますが、まだまだ不足だと思いますので、強化してまいりたいというふうに考えております。
  195. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これに関連いたしまして、いま自動車高速道路が建設されておるわけであります。これの見通しはいかがでございますか。
  196. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、この区間につきましては、北陸自動車道の建設を急いでおるわけでございますが、北陸自動車道は現在富山から福井まででき上がっておりますが、現在、福井−敦賀間のトンネル工事その他を鋭意進めておりまして、五十二年度中にはこの間の供用が図れる予定になっております。また、敦賀から長浜の間でございますが、これは五十四年度に供用の予定で鋭意工事を進めておる段階でございます。
  197. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 これは五十二年度中ということになっているわけですね。ところで、五十二年度中ということになれば来年の三月三十一日でございますが……。
  198. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 五十二年度中でございますが、いま鋭意工事を進めておりますので、五十二年の暮れぐらいまでには供用できる予定でございます。
  199. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 そうすると、来年の雪に対しては、一応この自動車道路が使えるというふうに判断してよろしゅうございますか。
  200. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 十分役に立つと思います。
  201. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 もしこの自動車道路ができますと、当然でございますが、いまでも五、六千台の車が通っておりまして、まだたくさん自動車が通ることになる可能性もあるわけでございます。したがいまして、この北陸自動車道路の完成を何としても急いでいただくということも当然でございますが、国道八号線、この点も、いまおっしゃったように、いわゆる改修に努めていただきまして、どちらがバイパスになるか知りませんけれども、両方合わせて輸送体制を確保するということに全力を挙げていただきたいと思います。在来は、大体金が入るところは除雪されるけれども、余り金の入らないところは後回しになるというようなことのないように、ひとつ八号線も、来年の冬も積極的に直していただきましてやっていただくということを要望いたしておきたいと思うわけでございます。よろしゅうございますか。
  202. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 北陸自動車道ができることによりまして、いまの八号線の交通量はかなり緩和される予定でございますが、国道八号線につきましても、今後ますます雪に強い道路を目指しまして、改築事業等整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  203. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いま一つ道路問題についてお伺いしたいのでありますが、この石川県、福井県関係では、八号線以外に百五十八号線というのがございまして、これはことしの冬は相当利用されました。ただ問題は、ここは非常に雪が多くてとまる率が多い。しかも冬になりますと一車線しかあかないという関係がございまして、非常に困難を生ずるわけであります。  この路線にとって一番重要なところはどこかといいますと、岐阜・福井県境の油坂峠というところに隧道がございまして、その隧道は一車線の隧道でございまして、もうずいぶん古い隧道でございます。したがって、近時ふえてまいりました交通量にはたえがたいものになっております。これについて、ぜひこれを相当な幅に広げていただきまして、近代的な道路としていただくためには、どうしても油坂トンネルの改修問題というのが出ているわけでございますけれども、これは建設省一体どうなっていますか。
  204. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の油坂峠でございますが、昔から非常に重要なルートで、交通量も多いわけでございます。これの改修計画はつとに要望されておったわけでございますが、現在調査を実施中でございまして、まだ調査が完了するまでには若干時間がかかると思いますが、調査が済み次第、この事業化については検討してまいりたいというふうに考えております。
  205. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 百五十八号線には馬返隧道、影路隧道というのがございまして、これは四億ほどかけて改修していただいた。途中を改修していただいたのですが、肝心の県境のルートが未改修になっているのでは、これは仏つくって魂入れずというようなものでございますから、引き続いてこれの改修お願いしておきたいと思います。  以上をもって終わります。
  206. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 これにて田畑君の質疑は終了いたしました。  次に、伏木和雄君。
  207. 伏木和雄

    伏木分科員 大臣、毎日御苦労さまでございます。  来年度予算の審議につきましては、政府も従来にない前進した姿勢がやや出てきたという点では、私ども評価をしているわけでございます。それは先般来、御承知のように、私どもが要求しました減税に対して、完全とは言えないまでも、非常に協調ムードが出てきた。私は、予算審議というものは本来こうあらねばならない、このように考えておりましたが、こうした政治状況下に政府の姿勢が変わりつつあるということは、非常に結構なことであると思います。そうした中にありまして、ことさら人柄のいい長谷川大臣のことですから、国民の声は十分受け入れていただけると私どもも期待しまして、しばらくぶりに分科会に出てきたわけでございます。ひとつよろしく御答弁のほどをお願いしたいと思います。  すでに政府から提出されております法案の、第五次治水対策五カ年計画につきまして、若干お伺いしてまいりたいと思います。  昨年の十七号台風の際にあれだけの被害を起こしました。その後、関係当局におきましては、この治水対策に全力を投入しなければならない。また、その反省から、次の第五次治水対策においては、少なくとも八兆円はどうしても必要だという積極的な姿勢があったことを私どもは承知しております。しかし、今回提案されましたところの第五次治水対策によりますと、この八兆円が七兆六千三百億、このように後退している。しかもその中には、五千八百億の予備費が入っておってそういうこと。計画上八兆円は必要だという当時の積極姿勢が、このような経済状況下にあるということを私は理解はいたします。しかし、そうした経済状況下にあっても、政府みずからが、この経済状況克服のためには何としても公共投資による景気浮揚ということを、一枚看板のようにして今国会に臨んでいるわけでございます。私どもも、確かに公共事業というものは景気浮揚に効果があるということは十分理解しながらも、なおかつ減税によってさらにそれを促進するということで減税を要望したわけでございます。しかし政府の方は、野党にあのような強い姿勢で出られたからやむなく修正ということで、景気刺激については、公共投資によってこれをやり遂げていくんだという姿勢は、いまだに変わっていないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、経済状況は確かに厳しい中にありながらも、私は、景気浮揚は公共事業によってという政府みずからの姿勢、それから昨年、十七号台風後の八兆円の予算を組まなければならないといった関係当局の積極的な姿勢からあわせてみても、この第五次五カ年計画というものは後退をしたのではないか、こう考えざるを得ないわけでございますが、その辺について大臣所見をお伺いしたいと思います。
  208. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 第五次治水事業五カ年計画が、八兆円の要求が七兆六千三百億になったから後退したのではないかというようなお話でございますけれども、昭和五十年代前期経済計画における公共投資の配分との整合を図りつつ、最近における災害の状況等を考慮いたしまして治水施設の強化を図っていく、こういうふうに決めたものであります。また、この投資規模は、現行五カ年計画の投資規模四兆五百億ということから見ると、大体約二倍に相当するものだと思うのでございまして、この完遂に当たっては、特に治水施設の整備を相当程度推進されると考えておりますし、特に本年度からは、予防、防災というような点に重点を置いて、再びあの事態が起こらないように五カ年の計画をもって進んでいこう。まだまだそれでは足らない点もたくさんあります。けれども、まず防災というところに重点を置きたい、こういうような考え方を持って進んでいるのでございます。  したがって、事業の実施に当たっては、災害の実態、用水不足の実情等十分勘案いたしまして、緊急を要する事業については、重点的かつ効率的に執行をしていく考え方であります。したがって、治水施設の整備を推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  209. 伏木和雄

    伏木分科員 ただいま大臣から、経済効果を見ながら前回の第四次計画から大幅に増加というお話でございますか、第四次——大臣もただいま答弁にありましたように、四兆五百億という予算のもとに執行をされたわけでございます。この第四次計画中の五年間、四十七年から五十一年に至るまでの災害を見てみますと、四兆五百億の予算をかけて改修をやっているにもかかわらず、二兆八千四百八十五億円という災害を出しているわけでございます。こういうことですと、結局、経済効率から見ますと、災害の発生によって、もうちょっと力を入れればよかったというものが、その力不足のために災害となって大きなマイナスになってしまうということになりますと、経済効果から見て果たして、当初八兆円という規模にしなければならないと言っておったものを後退させてしまったのか、この辺の災害との関係から見たところの経済効率というものを見まして、当初決めた、少なくとも八兆円でやらなければならないと言ったものを、こうした公共事業に力を入れる予算を組むのだというときに、どうしてこう減らさなければならないか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
  210. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 八兆円というのは、政府が決めたわけではないのでありまして、大体これだけのものを必要であるという概算から言うと、必要性を問うたものでありまして、その要求額が八兆円であった、こういうことであります。思うようにいけば問題ないのですけれども、大体七兆六千三百億というと、ややそれに達するものだというふうにも考えます。不足であったということは間違いございませんけれども、八兆円に対してはわずかな不足はございますけれども一これに対して、七兆六千三百億において八兆円分の仕事だけはしていかなければならぬというような決意を持って進んでおります。
  211. 伏木和雄

    伏木分科員 決意はごりっぱなんですが、やはり先立つものは何とかということがございまして、私はやはり、予算を明確にしていく、きちんと組んでいくということが決意のあらわれではないかと思いますが、ここでいつまでも議論していてもしようがありません。  そこで、お伺いしたいことは、こうした経済下から見まして、この河川の五カ年計画、地方の負担ということも相当問題になってくると思います。御承知のように、もう地方は赤字財政。私どもの住んでいる神奈川県などは、比較的財政の豊かなところでありながら、非常に苦しい状況下にあります。この第五次五カ年計画においては、地方と国の負担率はどのぐらいになっているのでしょうか。
  212. 栂野康行

    栂野政府委員 手元に正確な資料がありませんので、お答えしかねますが、いわゆる一級河川の直轄におきましては、三分の二というのが国の負担でございます。それで、県がやっております中小河川、これは平均的に二分の一ですから、五対五というふうな関係でございます。そのほか局部改良とか小規模とか小さな事業になってきますと、三分の一を国が補助するという関係でございまして、ならして言いますと、はっきり言えませんけれども、いわゆる零細県のいろいろな補助率のアップもございますので、三分の二弱が国の負担じゃなかろうか。詳しい数字は持ち合わせておりませんので、その程度でございます。
  213. 伏木和雄

    伏木分科員 中小の県、市の管理河川においては若干の負担は当然のことと思いますが、私はどうも腑に落ちないのは、国の直轄河川にどうして三分の一も地方に負担をさせなければならないのか。こうした姿勢は、今回一遍にとは申しませんけれども、徐々に改めていく。直轄河川くらいは全額国費でやる方向に改めていく必要があるのではないか、このように考えますが、そういう方向は検討されておるでしょうか。
  214. 栂野康行

    栂野政府委員 先ほど三分の一と申し上げましたけれども、そのうち大規模工事といいまして、大型の工事を集中して投資せぬといかぬという場合には、地方の財政を軽減する意味におきまして、特例としまして四分の三を国が補助するというふうに、内部におきまして、できるだけ地方の負担を軽減するという方向で現在進んでおるわけでございます。
  215. 伏木和雄

    伏木分科員 五十一年度の実績を見ましても、国庫で二兆円に対しまして地方で六千七百億という直轄河川の負担があるわけですね。こうしたものが今後の地方財政に圧力になって、そうして事業がおくれていくというようなことがないかどうか。この第四次計画によれば、大体九〇何%、一〇〇%近く実施しておりますけれども、第五次ではこういうネックが出てくることはないか。仮にそういうようなものが出てきた場合は、この負担率を若干でも是正するお考えがあるかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  216. 栂野康行

    栂野政府委員 この負担率の問題は非常にむずかしい問題でございまして、国と地方の負担の割合がいかにあるべきかという方向が問題でなかろうかと思います。それで、国の財政の中におきましていろいろ、たとえば福祉の問題、あるいはこういうふうな治水みたいに公共的な人命財産を守る問題、あるいは農業とあるわけでございます。それで、限られた国の財政の中において、いわゆる重要な直轄河川を伸ばしていくにはどうすればいいかといった場合に、国の財政と地方の負担と合わせまして、できるだけ多くの事業費をもって治水の万全を期していきたいというふうに考える次第でございます。
  217. 伏木和雄

    伏木分科員 時間がありませんので、先に進めさせていただきます。  地方団体がこうした財政に非常に苦慮しているということの中に、一つ私は、直轄河川の中でも鶴見川の例を挙げてみたいと思います。なぜこれを取り上げるかと言えば、建設当局も御承知のように、鶴見川と言えば日本で一番悪い川じゃないかと思います。最悪最低の河川と言ってもいいのではないかと思います。したがってそうした問題を例にとってお伺いしたいと思いますが、御承知のように鶴見川と言えば、都市化の急激な変化によって、その川の負担というものが年々増大している。これは一つには、政府の経済改策が高度経済成長にあって、都市集中型ということから、特に首都圏におきましては、急激な人口増を余儀なくされている。こういった従来の政府の経済政策のあおりを受けた地方が、こういう河川にまで非常な負担をしなければならない。  この鶴見川の流域を見ますと、昭和三十三年には既成市街地が一〇%でありましたものが、昭和四十五年には五〇%となっておる。こういう急激な変化によってその河川はいつも危険に瀕している。昨年の十七号台風におきましても相当の被害を出しているわけでございますが、鶴見川だけが川じゃないとまた大臣言われるかもしれませんが、こうした最悪の河川に対して特段の配慮というものが私は必要ではないかと思います。したがって、こういう特殊な河川に対してお考えがあったら伺っておきたいと思います。
  218. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 十七号台風の体験からいきましても、また鶴見川がいかに重要な位置を占めているかという点から考えましても、お説のとおり、思い切ったやはり施設を行わなければならぬ、体制を整えなければならぬということは、私たちもよく心得ておりまして、したがって本年度は、昨年のようなことのないように十分その点は考慮をしていきたい、こういうふうに考えております。
  219. 伏木和雄

    伏木分科員 もう少し具体的に。と申し上げますのは、ただいま申し上げましたように、市街化率一〇%の昭和三十三年には大体五百立米の水が流れたわけでございます。したがって、それから五五%開発された現段階においては、九百五十立米の水が流れるようにしなければならない、こういう状況にあるわけでございます。ところが、これに対する毎年の予算を見てまいりますと、果たしてこの川はいつになったらよくなるだろうか。十年かかっても二十年かかってもこの予算ではできないのではないか。ところが、流域の開発はとどまるところを知らずに、さらに開発が進められているような状況でございます。したがって、もう一刻も猶予ならない河川状態にあることは当局も御存じであると思いますが、そうした中にありまして、昨年度は十八億というような予算でございます。大体九百五十立米流すためには四百億の投資が必要、こう言われておるようでございますが、それに対して昨年十八億ぐらいの予算しかつかない。来年度予算、五カ年計画の初年度に当たるわけでございますが、いままでの姿勢を一挙に改めて従来の倍額ぐらいの予算をつけて、そうして初年度から積極的な姿勢を出していこうというお考えがあるかどうか、承っておきたいと思います。
  220. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほど申し上げたとおり、最もわれわれも重要視している河川でございます。金額が幾らかということは、ただいまここで、予算が通ってみなければ申し上げる段階ではございませんが、予算が通り次第、思い切った処置を講じていきたいと言うより、いまのところは申し上げようがないと思います。
  221. 伏木和雄

    伏木分科員 初年度の予算については、ひとつ大臣積極的な姿勢をいまここでお約束いただいたわけでございますから、なるほどあそこで答えただけのものが出たなということを期待しております。  ただいま、来年度予算のことについては承知いたしましたが、それでは、現状の九百五十立米を流す状況に安心して地域住民が生活を営むことができるようになるには、一体いつごろまでにこれが完了するのか。少なくともこの九百五十立米、いつごろまでに完了するのかをお伺いしたい。
  222. 栂野康行

    栂野政府委員 まず鶴見川の五カ年計画考え方を申し上げたいと思います。  いわゆる今度つくります五カ年におきましては、まず、激特事業とか、そういうふうに非常に災害を受けた川を一緒に重点を置いてやっておるわけであります。鶴見川は、去年の災害におきまして、あふれたりいろいろありまして、これも非常に重点を置いて、われわれとしましては、この鶴見川の五ヵ年を現在鋭意検討中でございます。  それで、先生おっしゃいました、いわゆる一秒間九百五十立方メートルの洪水でございますが、いつできるかという問題でございますが、建設省としましては、九百五十トン流すことを緊急計画として現在取り上げておる段階でございます。それで、現在作業中でございまして、必ずしも正確ではございませんけれども、いわゆる五カ年計画の一、二年後には、これは九百五十トン通したいというふうに考えております。しかしながら、やはり下流でいろいろ用地問題のむずかしい点もございます。その辺は地元の皆さん方にも協力を得まして、一体となって鶴見川を早く安全にいたしたいというふうに考えます。
  223. 伏木和雄

    伏木分科員 この九百五十立米が計画後一、二年ということでございますが、ということは、五カ年計画ですから、昭和五十六年が最終年度になるわけです。その一、二年後ということですか。何とかこれ今度の第五次を目標にできないものでしょうか。
  224. 栂野康行

    栂野政府委員 その辺、いろいろ先生のおっしゃる重要性から見まして、私たちとしましても、できればそういうふうに持っていきたかったわけでございます。しかし、実際の施行におきまして、施行の方法でいろいろ工夫しまして、実体的にできるだけ早く九百五十立方メートルを安全に流すという方向に持っていきたいと思います。
  225. 伏木和雄

    伏木分科員 それでは、現状の九百五十については、大体めどがわかりました。  もう一つ大きな問題がございます。これは先ほど御答弁にもありましたように、上流がどんどん開発されておりまして、市街化率八〇%というようなことは、現在の計画に載っているわけでございます。そうしますと、これは千四百立米の水がここへ流れ込むということになれば、もういかにこの河川をかさ上げしてみて底を掘ってみても、どうすることもできない状況にあるわけです。とすると、この上流の開発を抑えてしまうか、それとも、現在計画されているような、港北ニュータウンとか、あるいは東急ニュータウンというものを、このまま施行するならば、遊水地か放水路、分水路、こういうものを早急に設定していかないと、これは九百五十立米が完成した、第五次が終わった段階ですぐ問題になることだと思います。ですから、こうした先の展望に立ってどちらかに決めていかなければならない。決められないとすれば、流域の開発を抑えなければならない。こういう問題があるわけでございます。いまのところ上流の開発を抑えるような意図はないようでございますが、とすれば、そうした特別の措置ということを要望されるわけです。この点について将来にわたっての御見解を承りたいと思います。
  226. 栂野康行

    栂野政府委員 現在、上流におきまして、港北ニュータウンとかその他大規模開発が行われておるわけでございます。それに対する治水に対する影響の除去につきましては、公団などを指導いたしまして、防災調節池とかその他で対応しておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、将来千四百五十トンになる。そうすると、五百トンを放水路で抜くか、あるいは洪水調節池でやるか、その辺のめどを早くつけなければならぬ次第でございます。それで、いわゆる五ヵ年の最終年度あたりには、すでにその辺の方針をはっきりいたして準備を進めなければいけないというふうに私たちは思っておる次第でございます。  それで、遊水地にするか、放水路にするか、その辺の検討でございますけれども、これにつきましては、いわゆるどちらが安くつくか、あるいは技術的の困難性の問題、あるいは社会的な問題、と同時に、将来の姿とかそういうものを比較検討の上決定する必要がありまして、いろいろ問題が多くてむずかしい項目が多いわけでございます。しかしながら、流域の開発状況、そういうものにかんがみまして、現在鋭意作業を進めておりますが、今後できるだけ早い時期に結論を得て地元の皆さん方に早くお示しして、そして協力を得て、その将来の五百トンの対策に向かっていきたいというふうに考えます。
  227. 伏木和雄

    伏木分科員 最後にお伺いしておきますが、建設省なかなかいい顔をしなかったそうですが、宅地開発要綱というのがございますね。こういうことを河川にもどんどん適用する。たとえば港北ニュータウンなどは公団が主導で開発を進めているわけでございますが、公団がきょう来てないのでちょっとむずかしい問題であるかもしれませんけれども、監督官庁として、こうした河川の開発の際の負担、河川改修に対する負担、公団等にもその負担をさせるというようなお考えを持てないものだろうか。そうすることによって、地方団体の負担を少しでも軽減するというような道を開くことができないかどうか。こればぜひ私は今後建設省において考えていっていただきたい。地方負担を軽減するために、開発していくところの公団等が、その下流の河川に対する何らかの手当てをしていくということなどの検討も、あわせてしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  228. 栂野康行

    栂野政府委員 現在、公団がつくる大規模団地の場合におきましては、いわゆる下の河川改修完成する間におきまして、いわゆる洪水調整池を公団側でつくる。そして将来河川管理をすれば、それがまた団地になっていくとか、そういうふうにいろいろ指導してやっておる次第でございます。  総合的な負担をすべきかどうかという問題、これまた、土地の単価とかいろいろ総合的な問題がございますので、十分勉強したいと思います。
  229. 伏木和雄

    伏木分科員 以上です。
  230. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 これにて伏木君の質疑は終了いたしました。  太田一夫君。
  231. 太田一夫

    太田分科員 私は最初に建設省住宅関係計画関係についてお尋ねをいたします。  いまちょっと前の伏木さんからも話が出ておりましたから、ついでに住宅関係のお尋ねを先にいたしますが、この大規模住宅の開発ということが非常に各地において波紋を投げておりまして、一番問題は地方負担が非常に多うございます。それで、地方負担ということになれば自治省の関係ですから、自治省の小林さんに先にお答えをしておいていただきたい。  これは、住宅公団等が数千戸というような大規模な宅地開発、住宅建設事業を行った場合、その当該地方自治体、すなわち市町村の財政負担というのが非常に大きいのでありまして、現在五省協定というのがありますが、それではとうてい背負い切れないというほど過大であり、ひどいものがあると思うのです。何もないところに、たとえば山林を開こうが、田畑をつぶそうが、そこに道路をつくらなければならない。水道、河川等の公共施設を完備しなければならない。それから学校、幼稚園、保育所等の公益施設も、これは住民生活に不可欠のものでありますので、これも完備しなければならない。そうすると、それには相当莫大な投資を必要とする。現在、五省間のいろいろな話し合いによって、その地方自治体に対する負担の緩和策としては立てかえ制度があるわけです。立てかえというのはあくまでも立えかえでありますから、これはいただいたものじゃない。何年か据え置きがあるかしらないけれども、やっぱりこれは年賦において払っていかなければなりません。利子がつくということから、それが市町村の財政を非常に大きく圧迫しておるわけです。  一つの例でありますが、瀬戸という陶器の町に菱野という団地が、昭和四十一年ごろから工事にかかりまして、そろそろ完成する。三万人近い人が入って、七千戸ほどの戸数ができて、規模百七十三ヘクタールと言われておりますが、小学校を三つつくった、中学校を一つつくった。保育所を三つ、幼稚園を三つ、こうつくりましたね。小学校は八億二千万円ほどかかって、市の持ち出しが三億二千万円。中学校は一校つくりまして二億八千万円でつくりましたが、市の持ち出しが一億一千万円。保育所は三つつくって一億九千万円。この中の市の持ち出しが七千万円と言われておるわけです。さらに道路の問題がありまして、住宅の中というのは一〇〇%舗装されてきちっとできておりますが、従来の周辺の旧市街と申しますか、在来の市街のところとのつなぎがうまくできない。だから非常にバランスがとれない。周辺は狭い道、舗装されない道がたくさんあるのに中だけりっぱになるというような、バランスの崩れた状態が出ておる。だから市としては、その周辺の道路も完備しなければならない。火事のことを考えれば、消防自動車でなくてはしご自動車も買わなければならない。それから、ごみもたくさん出ますから、その七千戸程度でも収集車は五台、十五人ぐらいはどうしても増員しなければならぬというようなことから、ここの例から見ましても、公債費の重圧が非常に大きゅうございまして、五十一年度末の累積赤字七億八千万円有余ということが見積もられておるわけです。こういうことで、現在、各地の実例というのは、住宅団地ができるということは即地方自治体の財政を圧迫するという結果になっておる。そういうわけであります。  したがいまして、私は自治省にお尋ねしたいのは、以上の実情から自治省としては、この五省協定の関係者でありますから、そういう立場において、この現実、地方自治体の財政の負担増という実情をどう受けとめておられるか。  それからまた、地方自治体がいま希望しておりますのは、いまの五省協定でなくて、立てかえ払いだけじゃなくて、現行の補助制度でなくて、財政措置はさらに強化し拡大してもらって国の負担をふやし、場合によっては起債の利子の負担等も考えてもらえるというような新しい制度をつくったり改正したりしてほしいという声が強いのでありますが、こういうことについてどう思っていらっしゃるか、これは自治省からひとつお答えをいただきたい。
  232. 小林実

    ○小林説明員 大規模の宅地開発に伴いまして、地元の地方団体が非常に財政負担の面で大きな影響を受けていることは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、住宅公団等によりまして立てかえがなされますし、また一部負担もなされておるわけでございますが、年々改善をしてきていただいておるところでございます。私どもといたしましては、そのほかの措置として、たとえば五十二年度におきましても、人口急増地域に適用いたします義務教育施設の補助金でございますけれども、この適用市町村の条件を緩和するというような措置が図られております。また、私ども独自の措置といたしましては、従来、学校用地の取得については一部縁故資金が入っておりましたけれども、全額政府資金をもって充当をする、こういうような措置を講じまして、地方債の利子負担の軽減という面からも配慮してきておるところでございます。
  233. 太田一夫

    太田分科員 そこで、建設省にお尋ねをいたしますが、三好という小さな町があります。瀬戸は市ですが、三好なんという小さな町において、七千八百戸、三百七十ヘクタール、住宅公団による建設計画が進んでおりますが、ここに、概算によるというと町費持ち出し百六十億なんて言われておりますが、こういうようなぐあいで、いまの五省協定の立てかえ払い制度、あるいは無利子だとかあるいは何十年賦だとかいうことについては、それなりの意義はありますけれども、それが実情に合っておるとは言いがたい点があるわけですね。だから、現在の制度が地方自治体に対してどのような影響を及ぼしておるだろうかということと。それから、いま私が自治省にお尋ねいたしましたが、政府資金を多く充当するというようなところから、利子の負担という消極的なことがありましたが、さらに私は、財政措置の拡大、これは補助率の引き上げ、交付金制度というようなものの創設ないしは利子負担制度の制度化というようなことが考えられるべきだと思う。これについて総括的な御意見をひとついただきたいと思います。
  234. 大富宏

    ○大富政府委員 ただいま自治省の方からお答えいたしましたとおり、こういう大規模宅地開発をしますと、それに伴って必要な道路、河川、上下水道という公共施設はもとより、義務教育施設とか、あるいは保育所、幼稚園、あるいは消防施設、こういう公益施設は、本来それぞれの管理者が負担すべきものだと思いますけれども、こういう施設が宅地開発に伴って一時に多量に出てくる。したがって、地方財政の逼迫しておる状況においては、なかなかこれに応じ切れないという問題がございますので、御指摘にございましたように、四十二年に五省協定をつくりまして、少なくとも補助金が流れてくるまでは施行者において立てかえるという制度がスタートいたしたわけです。しかし、それにいたしましても、お述べになりましたとおり、なかなかむずかしい問題がございますので、逐年対象施設を拡大し、しかも据え置き期間を含めて償還期間を延ばすとか、あるいはその間の利子を減らしていくというようなことを実現してまいったわけです。立てかえ施行制度も、いま御指摘になりました三好につきましても、住宅公団が土地区画整理事業でこれをやるということで現在八十三ヘクタールぐらいもう買収済みでございますけれども、ここなんかも、大変いろいろな公共、公益施設の負担がかかってくるという問題がございますので、まだこれは事業計画策定中でございますけれども、確定いたしましたら、地元市町村と十分協議させていただいて、こういう関連公共公益施設の負担というものが地方財政の圧迫にならないように、しかもそういった団地開発が円滑に行えるように、私ども地元と十分相談させていただきたいと思っております。  現在、私どもの考えておりますのでは、三好で計画しておる宅地の規模から申し上げまして、小中学校校舎等につきましては、据え置き期間三年を含む二十五年償還、この間は六分五里の金利になると思います。その他の施設につきましては二十年償還。それから、ここは児童急増市町村に該当いたしておりますので、小学校建設につきましては、国庫補助率の引き上げというようなこともできるかと思います。具体的には、実際に事業計画が固まりましてから十分に御相談させていただきたいと思います。
  235. 太田一夫

    太田分科員 いまちょっと、前の質問者と私の質問と一緒のような問題があるけれども、伏木さんは河川でしたね。  大臣、あなたから一言おっしゃっていただきたいことは、公団にあんまり負担させることによって入居者の家賃が上がるということは、私の方としては好まぬことですから、市町村は余り負担しないが公団が負担するというのも転嫁でございますから、余りよろしくない。ひとつ前向きで、利子の負担軽減、償還期間の延長、据え置き期間等、積極的な対策を講じてほしいと思うのですが、ようございますか。
  236. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 公団法を何とか考え直す必要があるのではないかというような見地から、現在、建設省の中に次官を長といたしまして協議会をつくりまして、また学識経験者等をこの中へ加えて、どうやって今後のそういう問題の解決をつけていけばよろしいかということで、もっぱら精力的にいまこの問題と取り組んでおるところでございます。したがって、いまも御指摘のこのような点につきましては、三好町というような点につきましては、道路とか、あるいはそれに関連する等々のものについては、でき得る限り、こちらの方で、国の方で負担をするように仕向けておるところでございまして、いまそれらと十分協議をしておりますから、大体それらに間に合うだろうと考えております。
  237. 太田一夫

    太田分科員 住宅問題はそれで終わります。  あとは国道一号線問題に入りますが、国道一号線というのは不思議なことに、東三河、西三河という愛知県内において、バイパスが全然ありません。したがいまして、四車線の工事はほぼ完成をいたしましたが、大変な交通のネックになっております。とりわけ岡崎の東名インターチェンジから名四国道に通ずる間というのは一号線、現道は昼夜を分かたず大型貨物自動車等が通過交通量となって、大波のごとくに移動しておるわけです。そこで、その沿道住民対策協議会を確立いたしまして、これは自動車公害対策と言っておりますが、いろいろ当局にその解消対策を求めておる。国一自動車公害対策協議会というのができております。これが非常に厳しい注文を出しておるというような実情については、建設省としては御了承でありましょうか。もし御了承とするならば、どのような対策を用意していらっしゃいますか。
  238. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道一号線の、特に岡崎市内の実態は、先生指摘のように、交通量が、四車線の道路を大型車も含めて一日約三万六、七千台ということで、夜間、沿道に相当大きな被害を及ぼしておるというような状況でございまして、これに対する対策をいろいろ迫られておるわけでございますが、御指摘のように、国道一号線の対策専門委員会というのができておりまして、これは岡崎市長を座長といたしまして、中部地建あるいは名古屋の陸運局、愛知県、愛知県警、岡崎市役所というようなところが参画していろいろ対策を立てて、その辺の動きについては中間的に私どもも承知しておるわけでございます。     〔藤田(高)主査代理退席、宮崎主査代理着席〕  これに対する対策としてどういうことが考えられるかということでございますが、われわれとしては、ああいった一号線のあの区間に非常にバイパスが——ほかの区間はかなり、静岡県下等、大規模バイパスの整備が進められている一方、あの地域にはまだバイパス計画が、実は大きな形での名豊バイパスというのがありますが、この整備がおくれておりまして、直接役に立つバイパスの建設がまだ進んでいないというような状況でございます。  これにつきましては、何といいましても岡崎——刈谷線、主要地方道でございますが、これの整備がこの交通を緩和する一番大きな決め手になるということで、この整備を急がなければならぬと考えております。当面の対策としては、交通規制を十分にやるということが非常に大きな効果を現にあらわしておるようでございまして、と申しますのは、従来、岡崎市内で調査しました五十年十二月の夜間交通の実態では、七十四ホンぐらいの騒音があったわけでございますが、その後、四十キロで交通規制をいたしまして、信号現示も系統式に改めたところが、六十五ホンから七十ホンに下がっておるというような実態もございます。  そういうことで、交通規制をかなり強化することは、当面の対策としては非常に有効であろうかと思いますが、抜本策としてできるだけこの岡崎——刈谷線の整備を急ぎたいと考えておりますし、また沿道環境整備事業というような形で、五十二年度以降、いろいろ沿道周辺の土地利用の転換を図るための施策を打ち出しておりますので、こういうものも加味して沿道対策をやっていく必要があろうということで、国道一号線の対策専門委員会におきましても、こういうことを含めて十分検討していただいて、その結果については私ども前向きに取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
  239. 太田一夫

    太田分科員 それで、いまの地方道、県道にバイパスかなんかの役割りを背負わせようということは一つの方法でしょう、そういうことを考えていらっしゃるとするならば。現在はそれはすぐには使えないわけですね。五十二年か五十三年度じゅうにそれが使えるように、活用できるようになるのか。それとももう少し先なのか。どういう大ざっぱな計画によってそれを活用されようとしていらっしゃるか。その内容をちょっとお示しいただきたい。
  240. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 岡崎−刈谷線は現在整備を急いでおりますが、御指摘のように、かなり時間がかかるような状況でございまして、この岡崎−刈谷線は、御承知のように、岡崎インターチェンジから西に安城市、刈谷市を連ねて国道の知立バイパスにつなげて豊明市までつなぐというような形で、将来このバイパス機能を発揮するように整備を進めておるわけでございますが、この整備に当たっては、各所でまだ用地買収その他で手間取っておくれているところがございまして、早いところは五十四年につながるところもございますし、最終的に全部がつながるのはやはり五十七年になろうかと思います。
  241. 太田一夫

    太田分科員 そういたしますと、現在は二車線の岡崎−刈谷線ですが、これは二車線のままでやるのでありますか。それとも、これも鉄橋の増築を含めまして、さらに車線をふやすということでございますか。
  242. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 ただいま申し上げました五十七年までにつなぐ構想は、当面二車線でつなぐようなことを一応考えておりますが、知立バイパス等については、その時点であるいは四車線に拡幅するような計画にすることも可能だと思いますし、全線を通して言えば二車線ということでございます。
  243. 太田一夫

    太田分科員 二車線では私はそうたくさん回らぬと思いますが、御計画ということで承っておきます。  それから、先ほど沿道環境整備道路の指定というようなことをやって、何か沿道の整備をやろうとおっしゃるのですが、移転の場合、そこにおるのは耐えられないから移転するという人は、空港整備の特会がやっておりますように、その移転取り壊し、それから移転、そういうような金を国が九九%出しておりますね。そういうような制度が考えられておるのか。それはどうでしょう、移転の問題は。
  244. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 実は道路の環境対策としては、従来、道路敷の中だけの構造の改善等を中心にしてやってきたわけでございますが、五十一年度から、御指摘のように、専用道路を中心にしました環境対策ということで、防音助成工事、これにつきましては、一応住宅の移転もできるような形になっております。しかし、問題のこの個所は、専用道路でございませんので、この対策ではできませんで、五十二年度からは、新たに一般道路にも及ぶ対策といたしまして、沿道の土地利用の転換を図るためにいろいろな施策をやっておりまして、一つは、これは五十二年度からやる予定にしておるわけでございますが、沿道の特に騒音の激しい幹線道路の周辺で、一定区間を沿道環境整備道路に指定しまして、その一定区間につきまして沿道環境整備計画を地方自治体がつくる。その計画に沿って、道路に沿って緩衝性建築物をつくるような場合に、その建築物の一定部分の建築に要する資金の一部を交付したりすることを考えておりますが、それ以外に、御指摘のような、沿道の住宅が引っ越したいというような場合には、その環境整備計画に沿って、跡地を駐車場にするとかガソリンスタンドにするとかいうような計画がある場合には、その除却の際の除却費の一部を交付するということで、空港の考え方とほぼ同じ考え方で、除却費の一部を負担することができるように考えております。また、土地区画整理事業でやるような場合には、そこに道路側から環境施設帯を整備する。それに充当する用地、それに見合う用地を先買いする、一応その先買いの費用について全部または一部交付することにしておりますが、これについては、その用地にひっかかる土地等については、移転跡地を買い取るということができるわけであります。この買い取りにつきましても、適正な価格で買い取るということで、空港の環境対策とほぼ見合う形で跡地の買い取りもできるようになっておるわけでございます。
  245. 太田一夫

    太田分科員 時間がありませんから、これは局長、それから大臣に要望申し上げておきます。  空港の周辺整備は、なかなか至れり尽くせりだと私は思います。国道も、あれだけ通過車両、大型車両がどんどん通るのをそのまま見逃していて、何年も先までまた解決策がつかぬというようなことでは困りますから、ひとつ民家の移転補償等については十分な配慮をしてほしいと思います。  最後に警察にお尋ねをいたしますが、時間がありませんから一問だけにいたします。  交通局が「昭和五十二年中における交通警察の運営」というのをお出しになりましたが、そこには「都市総合交通規制の推進」というのがあって、通過車両についての規制というものが、大型貨物自動車の通行禁止なんという、通行禁止というような思い切った手も今後打つというようなことがありますが、この国道一号線岡崎インターから名神国道の間において、必要がある場合はこの手もお使いになりますかどうか。現在蒲原か由比の辺では、そういう夜間通行禁止の制度があるように聞いておりますが、そこまで徹底した対策をおとりになる用意があるかどうか、お尋ねいたします。
  246. 垂木祐三

    ○福島説明員 国道一号線の岡崎市内の夜間の自動車交通に伴う騒音問題につきましては、地元住民の方々からいろいろ御要望が出ているところでございまして、地元の愛知県警察におきましても、従来、四十キロの速度規制、信号の系統化等の措置によりまして、相当の騒音の低減を図ってきたところでございます。しかしながら、なおまだかなりの騒音があるという状況でございまして、今後とも対策が必要であるというふうに考えておるところでございます。  問題は、夜間の大型車の通行にあるわけでございますが、何分国道一号線という幹線道路でございまして、他に迂回路がある場合には、そちらの道路に迂回させるというようなことで通行禁止が可能であろうと存じますけれども、現状では直近に適切な迂回路がございませんので、愛知県警察におきましても、現在のところ大型車の通行を禁止するというところまでは考えていない、こういう実情でございます。  ただ、できるだけ大型車の通行の減量を図りたいという観点から、ここの道路を通ります大型車の通行実態、特に行き先地等について調査をいたしますとともに、行政指導によりまして業界に働きかけをいたしまして、できるだけ夜間の時間帯を避けて大型車を通行してもらうというふうな措置について現在努力しておる、こういう状況にあるところでございます。
  247. 太田一夫

    太田分科員 静岡県管内でやっているのは、バイパスがあるから、やれるということですね。そういうことであるならば、先ほどの刈谷−岡崎線という県道を迂回路として設定したときには、通行禁止というような規制が深夜においてできるかどうか。
  248. 垂木祐三

    ○福島説明員 他に適切な迂回路が整備された場合には、御指摘のような措置も可能であると存じます。道路整備の計画も十分に検討、御相談させていただきまして、今後引き続き検討いたしたい、かように存じます。
  249. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  250. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて太田君の質疑は終了いたしました。  次に、板川正吾君。
  251. 板川正吾

    板川分科員 建設業協同組合の育成について質問をいたしたいと思います。  私の質問を結論的に申し上げますと、中小企業の振興という立場に立って、建設業協同組合の育成という問題について、建設省、自治省、中小企業庁は、どのような措置をとっておるのかを伺いたいと思うのであります。  まず第一に中小企業庁に伺いますが、官公需の中小企業の受注確保に関する法律が制定をされて、すでに十年になりますが、本法の運用が今日までどのように行われてきたか、伺いたいと思います。
  252. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 先生御存じのように、官公需法が昭和四十一年に制定になりました。以下、法律に基づきますところの中小企業者の受注機会の確保ということにつきまして、年を追いまして、政府及び地方公共団体も、これに準ずるということで受注確保の体制整備に進んでまいったわけでございます。  昨年五十一年度の例で申し上げますと、五十一年七月二十日に閣議決定をいたしておりまして、御存じのように契約の促進に関する閣議決定ということで出してございます。かたがた受注の体制整備ということでございまして、個々の中小企業者で弱い単位で受注を受けるということが非常にむずかしい場合がございますので、官公需組合と略称いたしておりますけれども、官公需を受けるための組合づくりというものに力をいたしております。したがいまして、その認定等を通じまして、できるだけ、国の機関及び地方の機関も、こういった組合を尊重していただくようにということで、各省庁にお願いをしておるところでございます。
  253. 板川正吾

    板川分科員 では自治省に伺いますが、官公需法の第七条に「地方公共団体は、国の施策に準じて、」「施策を講ずるように努めなければならない。」こういう規定がございますね。この規定を自治省としては、どのように解釈をして地方自治体に助言、指導されているのか、この点を伺いたいのです。
  254. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 お答え申し上げます。  官公需法の第七条に基づきます地方公共団体の措置につきましては、ただいまも御答弁ございましたように、それぞれの主務省におきまして地方団体を御指導いただいておるわけでございますが、自治省といたしましても、具体的には国に準じましてこの七条の措置がとられているものと期待いたしております。
  255. 板川正吾

    板川分科員 もう一点伺いますが、県や市町村で単独事業を行うに当たって、官公需法が規定しておるような基準に準じて条例なり規定を定めておる県なり市町村なりというのはあるのですか。
  256. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 地方公共団体の事業につきましては、単独事業も含めまして官公需法の措置がとられるというぐあいに理解をいたしておりますので、一般の財務会計制度と同様に、この官公需法の措置につきましては、条例は制定されていないものと考えております。
  257. 板川正吾

    板川分科員 条例は制定されてないけれども、当然この官公需法の精神というものは準用されている、そしてそれは主務官庁である建設省が指導されている、こういうふうに理解していいですか。
  258. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 御指摘のとおりでございます。
  259. 板川正吾

    板川分科員 建設省に伺いますが、建設省は、地方自治体の公共事業の発注について、どのように指導されているのか、この点伺います。
  260. 栗屋敏信

    ○粟屋政府委員 建設省といたしましては、毎年予算が成立をいたしました際に、事業の執行方針を地方建設局長、地方公共団体の長、都道府県知事に示達をいたしております。その中におきまして、中小企業の受注機会の確保のために、分割発注でございますとか、発注標準の厳守でございますとか、協同組合の活用、あるいはジョイントベンチャーの活用等について指導方針を示しておるところでございます。  なお、市町村に対しましては直接指導をいたしておりませんが、都道府県知事にあて通知をいたしまして、都道府県知事から市町村へもこの趣旨を徹底させるようにお願いをいたしておるところでございます。
  261. 板川正吾

    板川分科員 そうしますと、地方自治体に対する具体的な指導の責任というのはどこにあるわけですか。いま自治省では、主務官庁である建設省が、たとえば未端の地方自治体の指導についても責任を負う、指導される、こういうようなお話ですが、地方自治体における公共事業の発注などについては、これはどこが指導されるのか。建設省は知事にお願いするだけですか。
  262. 栗屋敏信

    ○粟屋政府委員 建設省所管事項の事業の執行方針の問題として、先ほど申し上げましたような点を都道府県知事に指導をしておるところでございます。ただ、個々の市町村につきましては、直接申し上げるのは余りにも多数でございますので、都道府県知事を通じまして指導いたしておるところでございます。そういうふうに、いま申し上げました受注機会の確保のための指導方針につきましては徹底を図っておるところでございますが、個々の発注の問題になりますと、また各地方団体独自のお考えもございますので、その点は尊重してまいっておるということでございます。
  263. 板川正吾

    板川分科員 建設大臣に伺いますが、建設省は、公共事業の発注について、官公需法の法律の趣旨に基づいて、毎年閣議決定がされておりますね。その閣議決定後、通達や指示をそれぞれ出先の機関に通達をし要請をしている。その中で、中小企業や協同組合に受注の機会をできるだけ与えなさいとして、次のような原則で運営されていると思うのです。これは「官公需契約の手引き」という中小企業庁で毎年出す資料の中にも、そのことがうたわれておりますから、その中から拾ってみますと、発注標準を守って、中小工事をみだりに大企業に発注してはいけない、あるいはなるべく分割発注をして中小企業者に受注の機会を与えなさい、随契制度を活用すること、あるいは地元業者を活用すること、特に協同組合については、これを育成し、できるだけその活用を図ること、こういう趣旨で通達なり指導されておる、こう思うのでありますが、この方針、もちろん間違いないと思いますが、大臣に確認しておきたい。
  264. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 特に本年は景気浮揚策という重点から考えまして、一つの仕事をなるべく分割をして、余り小さくてできない——とにかくいずれにしても、四十何万という建設業者がおることでございますので、余り細かいところまでというわけにはいかないけれども、なるべくいまおっしゃったように地方の業者を活用する。その際、仕事が少し大きいと、なかなか手がつけられないという点もあるだろうから、それを分割発注をしていくようにしなければいけない。そうしてまた、それでも届かない点があるとするならば、いまおっしゃる協同組合をつくる、企業体をつくって、それにお任せするようにして分割発注してやったらどうかというような点に本年は特に注意をしながら、重点をそれに置いていろいろ通知を申し上げてあるところでございます。  まだ五十二年度の予算が通ってはおりませんけれども、地方建設局を通じまして、これらの点も申しつけてありますし、県の方にも各部長あてにいろいろな通知を申し上げてあるところでございます。
  265. 板川正吾

    板川分科員 例年そういう措置をとっておって、ことしは特に景気浮揚の対策上、公共事業というものに非常な期待をしている福田内閣としては、公共事業の発注についてはできるだけ分割発注をして、景気浮揚が末端に行き届くように配慮をするというお話でありますが、この趣旨が実はなかなか末端に徹底されない向きがあるのです。  そこで、ちょっと自治省に伺いますが、いま建設大臣も確認しましたように、中小企業の受注の確保をするために、建設関係では私、五つの点を申し上げたのですが、こういう原則でやっておるという趣旨は、自治省、もちろん反対する理由は全くない、この趣旨は尊重されるべきだと思いますが、いかがですか。
  266. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 十分に尊重すべきだと考えております。
  267. 板川正吾

    板川分科員 この趣旨が末端に周知徹底されてない恨みがある。それは建設省、国の方では、地方自治体が発注する場合の個々について干渉がましいことはできない。しかし、この精神を運用して中小企業協同組合等を育成していくということは、国の方針に自治省も大いに協力すべきだと私は思っておりますが、末端に周知徹底されないという恨みがある。  その点で、ちょっと具体的に申し上げてみたいと思うのですが、埼玉県のある市のことでありますが、市内の建設業者が協同組合を結成した。知事の認可を受けて市内の工事について県の土木事務所に指名願いを出した。協同組合ができました、これこれのメンバーですから、同じ市内に仕事がある場合には、ひとつ指名してくださいという願いを出した。ところが、実績がないからといって門前払いを食っている。協同組合のメンバーは三十二企業ですが、その中には、大手の出張所、業者もおりますし、その地区としては十分実績を持っている業者も参加しているんですね。  ところが、協同組合としては実績がない、だから指名参加願いを出しても門前払いだ、どうもこの措置は理解できないんですね。協同組合の調査をしてみたら、その工事を担当する能力がない。技術的な能力、信用上の能力、資金的な能力もあるでしょうが、そういう能力がないから拒否するというなら、これはわかるんですね。しかし、実績がないから——実績がないと言ったって、新しくできたのですから実績はないんですね。実績がないから拒否するというのは、中小企業者に個々に発注するのはなかなか大変ですから、中小企業者がまとまった場合には、なるべく多く発注して協同組合を育成していこう、こういう政府の方針、国の方針をどうも理解してない感じがするんです。  そこで、このような場合には、特例を認めて実績を評価してもいいのじゃないだろうか。国の場合にはありますね。ちょっと建設省から答えてください。
  268. 栗屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生お話ございました建設事業協同組合の受注機会の確保につきましては、「中小企業者に関する国等の契約の方針」の中で、その推進を図ることが決定をされております。建設省におきましても、この趣旨を受けまして、一昨年の十一月に事務次官通達を出しまして、共同受注の意思があり、官公需適格組合の証明を受けた事業協同組合につきましては、資格審査につきまして計算の特例を認めておりまして、御指摘のように、初めて事業協同組合ができました場合、もちろんそれの実績がないわけでございますけれども、構成組合員の事業実績の平均をとりますとか、あるいは安全成績、工事成績等につきましても、構成組合員の中からそれに相当するものを選んで、資格審査をして点数を付加していくという措置をとっております。
  269. 板川正吾

    板川分科員 建設省は、いま言ったような措置をとっておるのですが、自治省では、地方自治体の末端にそういうような扱いを受けておるところがあるのですが、これに対してどういう指導をされておりますか。
  270. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 具体的な事実は必ずしも私ども承知いたしておりませんが、一般論としてお答え申し上げたいと思います。  地方公共団体が契約をいたします場合に、官公需法の精神にのっとってこれを行うということは、先ほど来申し上げておりますとおり、これを十分尊重して行うべきものだ、かように理解しております。ただ、契約をいたします場合、御承知のように、一般競争入札から始まりまして、指名競争入札あるいは随意契約、いろいろな方法がございますけれども、指名競争入札を行います場合には、その指名に参加するものについての資格要件を定めるということを、一般には要綱なりあるいは規則でやっておると思います。したがいまして、その要綱なり規則を定めます場合に、いま建設省から御答弁がございましたような事業協同組合の場合におきましては、個々の成員の実績をしんしゃくして参加要件を決めるということは可能であろうか、かように考えております。
  271. 板川正吾

    板川分科員 そうすると、地方自治体で実績がないからということで指名参加を拒否する、門前払いをくれるという態度は、国や地方自治体の方針にはありませんね。こういう場合には、やはり特例を設けて実績を評価するような指導をされてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  272. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 先ほど来申し上げましたとおり、指名参加要件の決め方の問題ではなかろうかと思います。先ほど建設省から御答弁がございましたような趣旨で御指導いただくことは、私ども大いに期待いたしたいところでございます。
  273. 板川正吾

    板川分科員 建設省、この点はどう思いますか。
  274. 栗屋敏信

    ○粟屋政府委員 ただいま申し上げました事務次官通達で特例措置を講じて、地方建設局、公団等が指導いたしております。  ただ、この問題につきましては、先ほど自治省の方から答弁ございましたように、個々の公共団体の登録あるいは指名審査の要件の問題でございますので、一般的な指導はいたしますが、個々の問題につきましては、やはり各公共団体において御判断なさるべきものではないかというふうに考えております。  趣旨につきましては、所管事業につきましては、そういう趣旨が生かされるように指導いたしたいと思っております。
  275. 板川正吾

    板川分科員 官公需法の精神が末端まで周知徹底されるように、ひとつ建設省も自治省も御努力を願いたいと思うのです。建設省に要求いたしますと、それは自治体の末端のことで、私ども国は干渉できませんと言いますし、自治省の方では、それは主務官庁である建設省の指導によるんだ、こう言って、いま言ったような具体的な問題になると、どうもはっきりした答弁がないようでありますが、この官公需法の精神というのは、自治体自体も尊重される性質のものでありますから、ぜひひとつ末端まで指導していただきたい、こう思います。  次に、中小企業庁ですが、官公需の場合、適格組合の証明という制度がありますね。それで、この適格組合の証明という制度を——中小企業庁が適格組合であるか否かを認めるわけでありますが、これは発注の要件になるんでしょうか。適格組合でなければ官公需が受注できないというのでありますか。この点、発注の要件であるかどうか、念のために伺っておきます。
  276. 児玉清隆

    ○児玉政府委員 いま先生の御指摘のような点での発注条件にはいたしておりません。
  277. 板川正吾

    板川分科員 自治省と建設省に伺いますが、具体的な実態を挙げてみたいと思いますが、埼玉県三郷市で次のような事件がありました。  これは市内の建設協同組合が市との間で随契で三千六百万の工事発注を予約をいたしました。一件三千万円を超えるものは、市の条例によって市議会の承認を求めるということになっておりますので、市当局が市議会にその工事発注を諮りました。で、市議会の建設委員長は協同組合に理解を持っていなかったらしく、正当な反対理由も明らかにしないで、まあ多少感情的な扱いがあったようでありますが、これを否決をした。建設委員会で否決をされたものですから、本会議も建設委員会の決定を慣例に従って了承して否決をした。その結果、一件三千六百万という小さな工事を、市当局はやむを得ず大手業者に発注した。これは小さい工事をみだりに大手業者に発注するなという先ほどの精神にも実は合わないわけでありますが、市としては議会のメンツを立てて大手業者に発注したわけであります。これは目下、民事の損害賠償事件として地裁で係争中であります。  この事件で私どもが感じたことは、官公需法の精神というのが自治体の末端に周知徹底されていないんじゃないだろうか、これが一つであります。  もう一つは、国会議員には、御承知のように憲法五十一条で、議会における表決あるいは発言について議会外で責任を問われない、こういう議員としての免責特権がありますが、自治法にはそれがない。地方議員には憲法五十一条に準ずるような特権がない。一体これはどのような理由に基づいて、たとえば地方自治法に議会外からも責任が問われるようなことになっておるのか。要するに五十一条に準ずる規定が自治法にないのは一体どこに理由があるのか。これは立法上の問題ですが、ひとつ自治省から承っておきたいと思います。
  278. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 御質問、二つの部分があろうかと思いますが、一つは、三郷市で公共下水道の幹線築造工事の契約案を否決したという事件についての見解、いま一つは、地方議会と国会との相違という二つの御質問かと思います。  まず、最初の問題につきましては、私どももまだ必ずしも詳しい内容を存じておるわけではございませんけれども、いまお話がございましたとおり、議会の常任委員会へ付託をいたしましたけれども賛成少数で否決をされたということでございまして、同様に本会議におきましても否決された。詳しい事情はわかりませんが、何か契約の手続に瑕疵があったために否決をしたというぐあいに、私どもは報告を受けておるわけでございます。  確かに、官公需法の精神を尊重いたしまして、そういう協同組合を活用すべきという考え方で仮契約まで結んだものと思いますけれども、市当局の説明によりますと、その否決の理由は、やはりこれは手続上の瑕疵があったために否決をした、このように私どもは聞いておるわけでございます。  それから二番目の問題、大変大きな問題でございまして、国会と地方議会の相違ということでございますが、いまお話がございました憲法五十一条の、発言につきましての免責特権ということは地方議会にはございません。同様に憲法五十条の不逮捕特権につきましても、地方議会にはございません。さらに、法律上の問題ではございませんけれども、たとえば議会の内部の問題につきまして、司法審査権が及ぶかどうかという問題につきましても、地方議会には及ぶという最高裁判所の判決がございます。  そのほか細かい点はございますが、以上申し上げました三つの点が、地方議会と国会との大変大きな相違ではなかろうかというぐあいに理解いたしておりますが、その趣旨としますところは、私ども理解しておりますところでは、やはり国会は国権の最高機関ということでそういう数々の規定があるのに対しまして、地方議会の場合には、地方自立、地方自主という精神から国権を分与された形で自治を行っているというところから、そういう相違があるというぐあいに私ども理解をいたしておるわけでございます。
  279. 板川正吾

    板川分科員 前の手続上の瑕疵については、事情を話せば長くなりますし、この間の議論としては、あえて議論申し上げません。これはやがて裁判所で決着のつくことでありますから……。  ただ私は、地方議員に議会外から責任を問われぬという免責特権がないのは、私流に解釈するならば、そういう規定を必要としない。なぜ必要としないかと言えば、地方議会の場合には、ある意味では多数で物事を決定して、多数なら何でも正しい、こういうふうに思いがちの議員がいる。多数で決定したことが特定の者に重大な影響を及ぼす場合には、議会の外から責任を問われても仕方がない、こういうふうな実情も考慮になって免責特権がないのじゃないかな、こう思います。いずれにしましても、裁判上で決着がつくことですから、多くを申し上げません。  結論として、私がなお要請したいことは、官公需法の精神というのが地方末端に十分徹底していない恨みがあります。ぜひひとつ、建設省も自治省も中小企業庁も、この官公需法の精神を地方末端に運用できるようにさらに一層の努力をしてほしいということを要望いたしまして、終わります。
  280. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて板川君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田之久君。
  281. 吉田之久

    吉田分科員 私は、まず初めに明日香の問題について御質問をしたいと思うわけでございます。ちょっと文章を読ましていただきます。  「明日香村は飛鳥時代の政治・文化の中心であった飛鳥諸京・飛鳥板蓋宮・飛鳥川原宮・飛鳥岡本宮・飛鳥浄御原宮などの置かれたところであります。欽明・天武・持統・文武の天皇陵や石舞台や高松塚などの古墳をはじめ、飛鳥寺川原寺・橘寺・大宮大寺など多くの寺院・史跡や埋蔵文化財がのこされ、また万葉の飛鳥川・雷の丘・南渕山なども、むかしのままの姿で、古代のいぶきを伝えています。」  これは前村長である岸下さんが会長となって組織している「飛鳥古京を守る会」の趣意書の冒頭の文章でございます。このようにして、皆さん御承知のとおり、この飛鳥の遺跡というものを国家の責任において守らなければならないという民間の声、あるいは政府のそうした意思が働きまして、昭和四十五年の六月ごろから全国的に飛鳥保存運動が高まってまいったわけでございます。そして国の飛鳥保存事業の骨子も決定し、今日まで約七十億の国費が投入されて、各種整備事業が進んでいる状態でございますけれども、その一環として、建設省の飛鳥国営公園というものが出張所を置き、さらに石舞台、甘橿の丘、祝戸の三公園の整備のために、きょうまでいろいろと御配慮をいただいてきたわけでございます。しかしながら、たとえば甘橿の丘の公園そのものにいたしましても、まだ全部分が買収されるに至っていないという現状のようであります。  一体この辺の未買収は何が原因であるか、また今後の見通し、対策等について、建設省はどうお考えになっているかということについて、お聞きをいたしたいと思います。
  282. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  甘橿の丘の未買収地の問題でございますが、私どもで調べた範囲内では、現所有者がちょっとお売りになりたがらないというようなお話を承っております。極力売っていただくようにお話を進めておりますが、ここは場所としましては、施設はつくらない、ただ地域として保存するという地区でございますから、公園計画が終わる最終年度までに買収をすればいいであろうということで、最終年度は一応五十五年度を考えておりますが、それまでの時期に買収をするという段階でございます。
  283. 吉田之久

    吉田分科員 所有者が売りたがらないというのは、世間一般のあり得る常識的な傾向であります。しかし、だからといって、いつまでも放置しておくわけにはまいらない。一応の終了年度の目標が五十五年であるということで、まだ若干の期日を残しているといたしましても、やはり村民感情から申しましても、あるいは村の行政から言いましても、なるべく早い時期に所有者の説得を行い了解を求めて、全地域を公園として国が所有すべき時期に、もはや来ているのではないか。  なぜ所有者が売りたがらないか。まあ所有者として本能的に売りたがらない面は別として、やはり売ってもらうためには一層の努力が必要だと思うのです。あるいは価格の点で折り合わない面などがあるのではないか。そういう点できょうまでどのような努力をされてきたか。
  284. 中村清

    ○中村(清)政府委員 具体的な理由は必ずしも明確ではございませんけれども、ただいま御指摘がございました、たとえば単価の問題なんかを考えてみますと、御存じの高松塚の周辺地区、ここはいま買収を進めておりまして、五十二年度に引き続き買収をしたいと思っております。ここは一応市街化区域でございます。いま御指摘がございました甘橿の丘は市街化調整区域ということでございまして、私ども土地を買います際には、当然鑑定評価というものにかけて単価を決めて、その単価で買収するということにしておるわけでございますが、市街化区域あるいは市街化調整区域で差がございますので、当然高松塚におけるような単価は甘橿の丘には期待できない。その辺があるいは一因になっておるのではなかろうかという推測を持っております。
  285. 吉田之久

    吉田分科員 おっしゃるのは一つの理屈でございますけれども、御承知のとおり明日香の実態は、もはや市街化区域とかあるいは市街化調整区域とかいうような分類が、実質的には通用しない特殊な村になってきてしまっているわけでございますね。それが他の地域のように、自由自在にどのような建設もできるという場所ではないはずでございます。また地理的事情から申しましても、高松塚周辺あるいは甘橿の丘あたりは、客観的にはそんなに区別のない、格差のない地域でございます。しかも高松塚の方は、むしろ後から買われたわけでありますし、甘橿の丘の方が先に買収が進められたと思います。したがって時期的な違いもあります。  ですから、甘橿の丘の周辺の人たちで当初に売った人たちは、その時点で、まず納得して妥当な価格だと思って売ったはずでございますけれども、後で高松塚が出てきて、これが時代の脚光を浴びまして、いまおっしゃるような理由もあって、かなり高く買われている。そうすると、売り切らなかった人たちについては、ずいぶん価格が違うではないか、この辺がやはりこじれている一つの理由ではないかというふうに私は思うわけでございます。特に高松塚の場合は、やぶや山を含めて一平米当たり七千六百円で買われている。甘橿の丘の場合には、これが三千五百円ないし三千七百円である。ほぼ半値でありまして、この辺にもなかなか住民の納得のいきがたい条件が発生しているのではないかというふうに思うわけでございます。  時代の推移もありますし、そういういろいろな地域のバランスもありますし、また明日香村という特殊事情もありますが、その辺を十分考慮されて、最後の一層の積極的な努力を払われなければ、国営公園としての体裁を整えることができないのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  286. 中村清

    ○中村(清)政府委員 確かに飛鳥地方は特殊の性格を有しておる地域でございますが、一方さりながら、市街化区域あるいは調整区域というのがちゃんと決まっておるのも事実でございます。私ども、先ほど申し上げましたように、一応単価といたしましては、鑑定評価をして公正なお値段ということで出しておるわけでございまして、未買収地につきまして、できるだけそういう単価で早くお話を進めて、公園事業として早く完成するように今後とも努力を続けていきたいと思います。
  287. 吉田之久

    吉田分科員 現地の人たちのまじめな意見でありますけれども、また素朴な意見ではありますけれども、買収に対する基準的な考え方がなくて、きわめて御都合主義的に進められているのではないか、言うならば収益性を基準にしたり、あるいは利用目的性を基準にしたり、一般経済性を基準にしたりで、公園という大前提が薄らいでいるのではないか。あくまでも保存というからには、そうした前提が徐々にゆがめられているような印象を与えるようでは、住民が納得できないではないかということを述べておりますので、ひとつこの点につきましては、より一層の積極的な御努力と思い切った対策を講じていただきたいと思う次第でございます。  それから、「国営飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区の整備と都市計画街路の用地買収に関する要望について」という要望が明日香村から出されているはずでございます。  「昭和五十一年十月末 閣議決定された 国営飛鳥歴史公園 高松塚周辺地区は近畿地方建設局飛鳥公園出張所で実施されるが、用地買収年度の短縮と、公園北部を横断する都市計画街路(御園・豊浦線)は、村の補助事業となりますので、公園区域内の用地買収時期と同年度に実施できるよう要望します。」  こういう要望が出されているはずでございまして、特に高松塚周辺の街路の用地買収の問題について、どうお考えになっているかお聞きします。
  288. 中村清

    ○中村(清)政府委員 地元の方からいろいろな御要望がございまして、ただいま御指摘がございました道路は、たしか地元の御要望にあったかと思います。  高松塚の買収は、これは大体三年をめどにして買収を進めていきたい。そしていまいろいろ事業の名前が出ましたが、私どもとしては、今後ともできるだけ地元の御要望に沿いながら仕事を進めていきたいと考えております。
  289. 吉田之久

    吉田分科員 次に、「飛鳥周遊歩道の新設及びこれに伴う維持管理費の要望について」も出されております。  「飛鳥周遊歩道は昭和四十五年十二月の閣議決定に基づき、昭和四十六年度より五十年度まで、総事業費二億五千万円で延長約七キロメートルの完成をみましたが、なお十分となり得ず、二路線千六百メートルの新設とこれにかかる維持管理費について、特別な財政措置を講ぜられるよう要望いたします。」  こういう要望書も出されておりますが、御承知でありますか。
  290. 中村清

    ○中村(清)政府委員 存じております。ただ、関係省庁との調整の問題が残っておりますので、今後ともそういう調整を進めてまいりたいというふうに考えております。
  291. 吉田之久

    吉田分科員 いろいろこういう具体的な要望が次々と明日香から出ているわけでございますけれども、やはり一番根本的な問題は、明日香保存対策の特別措置法を早期に制定してもらえないかという動きでございます。これは建設大臣が直接の担当であるかどうか若干問題もありますし、いろいろと各省庁にわたる問題でございますので、その辺は関係者の方々から御答弁いただきたいと思うのでございますけれども、ともかくいろいろな現在の法律を援用して、精いっぱいの明日香を守るための方策は講じられているわけでございますが、いま問題になっておりますように、民有地が次第に国の方に買い上げられていくということは、村の財政そのものが減るわけでありまして、固定資産税等の財源も枯渇してまいります。  また、いろいろ観光事業化するかと思っておりましたけれども、この村は、そういう俗な観光村にすべきでないというのがむしろ保存の趣旨でありまして、そういう点では、予想したような収入の増加も図れない。さらに、さすれば在来どおり農村地帯として生活していかなければならないわけでございますけれども、農村経済としての基盤である田畑が次第に買い上げられていくという点で、非常に苦境に陥っているように思うわけでございます。  それから、私どもが一番心配いたしますのは、この明日香を保存しようではないかという政界の動きの原動力は、何と申しましても橋本登美三郎さんであり、また当時の総理でありました佐藤榮作さんでございました。わざわざ明日香に来られたこともありまして、私どもも同行いたしました。さらには、参議院の奈良県の地方区出身の大森参議院議員もおられましたけれども、この方も亡くなられました。その当時、懸命に明日香を守るために中心になっておりました岸下村長も引退されて、新しく愛水村長に変わっておる。こういうふうにだんだん時代が変わっていくわけでありまして、その当時、本当に積極的に提唱された方々も、だんだんと引き下がっていかれる、あるいは他界されていく。さらに客観的にも日本の経済もかなり当時とは変わってまいりました。  こういう情勢の中で、明日香が予定どおり守られるのであろうかという心配が、村民の中に最近非常に濃厚になってきているように思います。また、現実に非常に経済的にも希望のない状態、まして隣接する他の市や町と比べまして、明日香が大変取り残された状態にある、こういう焦燥感は否めないと思うのであります。  こういうことを考えますと、改めて特別立法化を急がなければならないのではないかと考える一人でございますけれども、その辺のところについて、建設大臣としてはいかがお考えでございますか。
  292. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 後段につきましては局長から細かく御説明申し上げますが、御指摘の甘橿というのが調整区域であるということ。調整区域であるということになりますと、その鑑定評価というものが基準となって、これより安くも高くも売っては相ならぬということが、はっきり出ておることは御承知のとおりでございまして、なかなか同じにというわけにはいかないのじゃないか。ただ、その鑑定評価が幾らに鑑定をして出してくれるか、そこら辺が問題だと思うのですが、いまこの甘橿ばかりではなくて、他にもそういう問題が残されておりますけれども、調整区域であるがゆえに、まことに甘橿というところは気の毒だと私は思います。ですから、その点については、われわれも十分考えなければなりませんし、同情も申し上げますけれども、いずれにしても、法律にそういうぐあいに出ておりますものですから、なかなかそれの域を越えることも困難だろうと思います。ですから、新たなる法案をもってということになれば、これは別個でありますが、あとは局長の方から御説明をいたします。
  293. 中村清

    ○中村(清)政府委員 法案全体の問題になりますと、これは私の方でお答えするのは適当であるかどうか、総理府あるいは内閣審議室の方からお話があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、四十五年十二月に閣議決定になりました保存計画がございます。これに基づきまして、現在までわれわれいろいろ仕事をやってきたわけでございますが、今後とも各省庁と連絡を密にしながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  294. 吉田之久

    吉田分科員 歴史的風土審議会の方、お見えいただいておりますね。
  295. 垂木祐三

    ○垂木説明員 飛鳥保全対策の特別立法のお尋ねがございました。  明日香村、あるいは奈良県から、飛鳥地方における歴史的、文化的遺産、歴史風土、あるいは自然的環境の維持、保全に対する地域住民の積極的協力を得るため、その生活の安定と福祉の増進を図るための特別措置法を定められたい、こういう要望が数年前から出てまいっておることは承知いたしておるわけでございます。  飛鳥地方の文化財保存の重要性につきましては、四十五年十二月に閣議決定もございまして、政府の方としても、重点的に保存、整備を図っておるわけでございます。  この飛鳥保全地区の特別立法の問題につきましては、政府の内部でもいろいろの意見がございまして、現在のいろいろな法制のもとでも、かなりの部分ができるのではなかろうか。あるいは、飛鳥地区以外のいろいろな地域にも、同じような問題が出てくるのではなかろうか。あるいは国や地方の財政上の問題とか、いろいろ検討すべき問題が多々ございまして、現在のところ、法制化までには至っていないわけでございます。  今後、地元の住民の御要望などを承りつつ、関係各省庁と十分協議してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  296. 吉田之久

    吉田分科員 他への波及の問題とか、そういう点は、われわれもわからないわけではありませんけれども、しかし、先ほど来申しましたように、特に奈良県における明日香が特別な制約を受けて、もはやがんじがらめになっておる。村民にとっては、日本全国への波及の問題よりも、隣接する市町村との比較の問題の方がやはり痛切でございまして、そういう点で、現在の法律の範囲内ではとてもわれわれの生活は守り切れないのではないかという心配の念が非常に強いと思います。いま財政上の問題とおっしゃいましたけれども、もし財政上の問題で特別立法ができないというふうなことであるならば、これはまさにゆゆしい問題でありまして、金がなければ明日香が守れないならば、明日香は守らないことに切りかえなければ、これは一貫しない問題でございます。  その辺のところ、これはもちろんわれわれ議員立法として、各党がさらに検討を進め、どうしても守らなければならない要素をどのように立法化して守っていくかという点で積極的な努力をいたしたいと思うのでございますけれども、さらに、歴史的風土審議会の方は、より研究と指導を怠られないように強く要望いたしておきたいと思う次第でございます。  以上で、明日香の問題は終わりますが、こういう明日香など多くの文化財を抱えております奈良県は、そういういろいろな史蹟があるがゆえに、今日まで特に道路の開発等でいろいろ支障を来してまいりました。せっかく二十四号線のバイパスをつくろうと思っても、そこに藤原宮跡があるからというので文化庁からとめられたり、そしていたずらに時間的な経過だけが流れて、いろいろな資材が高騰する、物価が上がる、そしてその間にたくさんの住宅が建ち並んでしまう、もはや手のつけられない状態でございます。  特に国道二十四号線の橿原市内八木の付近は、連日延々長蛇の列でありまして、特にこれから吉野の桜なんかが満開になってまいります。そういうシーズン、あるいはふだんでも日曜、祭日等はどうにもならない状態でありましで、二十四号線の八木の町の真ん中を通るだけで約二、三十分、時間がかかるのが常識であります。普通なら二、三十分で大和平野を通過できるくらいのところでございますから、これはもはや県民生活にとりましても、また外来者にとりましても、大変深刻な問題になっております。  この二十四号線のバイパスの計画もいろいろと立てられておりますけれども、なかなかに実現に至っていない。あるいは奈良県全体をとりましても、国道三百八号線や三百九号線は、せっかく国道に昇格して十数年たちますけれども、全く手がついていないという現状でございます。一体この辺のところを、建設省としてはどうお考えでございますか。
  297. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の橿原バイパスでございますが、これは、橿原市内の御指摘のような交通混雑の実態を解消するために、昭和四十七年度から事業化いたしまして、現在、街路でやっております中和幹線から国道の二十四号に至る約二キロの間を急いで整備すべく事業を促進しておるわけでございます。それができますと、中和幹線から二キロの間の国道二十四号線の改良区間を使いまして、市内をバイパスすることができるわけでございますので、かなり効果があるというふうに期待して、この間の整備を急いでおるわけでございます。  これにつきましては、御承知かと思いますが、一部団地通過方法等について地元との間に協議は重ねておりますが、まだ十分な了解に達していないということもございまして、これはまた地主さんとの意見が必ずしも合わないというようないろいろな条件がありますので、現在、市長を中心にしましてこの話し合いを進めまして、早くこの間を開通したいというふうに考えておるわけでございます。道路の構造等について地元との合意ができれば、五十七年度ごろには開通できるだろうというふうに考えております。  また、御指摘の三百八号、三百九号でございますが、確かに改良率、舗装率で比較いたしますと、大阪府下の整備状況と格差があるようでございます。  三百八号線につきましては、現在、大阪へ入るためには生駒山の下に六キロばかりトンネルを抜かなければいけない問題がございますので、そのトンネルに至るまでの六・八キロくらいの間を、現在鋭意整備を進めておるわけでございます。四十八年度から国庫補助事業として整備しておりまして、今後も引き続きこの間の促進を図ることといたしておりますが、例の生駒山の暗峠でございますが、このトンネル区間につきましては、大阪府、奈良県両者で計画を調整いたしまして、整備計画を作成する予定にいたしております。  それから三百九号線ですが、これは水越峠をはさむ県界から四十五キロばかりの区間を、現時点では重点を置いて整備しておりまして、四十四年度から国庫補助事業として整備を進めておりますが、今後も引き続き促進を図る予定にいたしております。年間の事業費は、この間につきましては、大体三億ないし四億くらいの金が引き続き投入されておるわけでございまして、今後も事情が許す限り重点的に予算づけをしていきたいというふうに考えております。
  298. 吉田之久

    吉田分科員 引き続き促進されるとは思いますけれども、大体そのピッチでまいりますと、たとえば三百九号線で御所あたりまで完全に国道らしきものになるのはいつごろになりますか。あるいは三百八号線で生駒あたりまでバスが国道を走れるというような時代はいつ来るのか。県民感情としては、大阪府下へ一歩入れば完璧な道になっているのに、なぜ奈良県の方はいままでどおり自動車さえろくろく通れない道なのか、これでも国道かという不満が非常に強いわけであります。  一方、いま二十四号線の場合でも、奈良バイパスが最近できまして、それができてから、やはり奈良市内の通過が非常に楽になりました。バイパスのありがたさが、だんだんわかって実感としてとらえられてきただけに、一層その住民の要望が強くなってくると思うわけです。住宅がどんどん建って、その住宅に入っている新しい住民から見れば、そんな道路がつくのは迷惑だという考え方もあります。したがって、地下にするか、あるいはオープンカットにするか、高架にするか、いろいろな方法もあり、市長もずいぶん苦労しているようでありますけれども、よほど積極的な指導を国当局がやってもらわないと、なかなか進展しないような気がするわけでありまして、あわせてその辺をもう一度御答弁いただきたい。
  299. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 ただいまの橿原バイパスにつきましては、御指摘を受けましたような区間について鋭意工事を進めますので、地下案、平面案いろいろありますが、早く合意に達すれば、五十七年には開通できるという見込みでございます。  三百九号線は、これは先ほど言いましたように、改良率で言いますと奈良県内がまだ三一・四%ということで、全体の六十三キロのうちわずかに二十キロしかまだ改良が済んでいないわけでございまして、まだ相当な事業費がかかります。年間四億ということでございますので、いまのところ、ちょっと何年までという目標を立てるほどの段階にはなっておりません。  それからまた三百八号につきましても、いま着工中の六キロばかりの区間だけについて考えてみましても、残事業がまだ百四十億ございます。五十年度から予算をつけておりますが、ようやく五十二年度になって一億ちょっとぐらいの金がつけられるかなという段階でございまして、かなり伸ばしてはおりますけれども、現実予算は残事業に比べますと、ほど遠い状況でございます。これも目標がちょっと立てにくいわけでございますが、現在、第八次の五カ年計画の作業をやっておりまして、次の五カ年の全体目標を決める中で、路線としてのいろいろな位置づけを見直しまして、重要な路線については重点的に整備を進めたいというふうに考えておるわけでございます。現時点で、この三百八号、三百九号の完成目標はいつかということは、ちょっと申し上げられないような状況でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  300. 吉田之久

    吉田分科員 時間がございませんので、これで質問は終わりますが、大臣、お聞き及びのとおりの現状でございますので、さらにひとつ積極的に、重点的に施策を進めてくださいますよう強く要望をいたしておきます。
  301. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。  次に、吉浦忠治君。
  302. 吉浦忠治

    吉浦分科員 東京湾岸道路についてでありますけれども、先ごろ建設大臣は、本年末の成田空港の開港までに完成をさせたいということを述べられました。来年の三月末完成工事を早めたいとの意向を明らかにされておりますが、問題がたくさんあるようでございます。特に地元住民など環境保全の見地から反対をしておりますし、また野鳥の会なども反対をいたしておるようでございますが、その話し合いのめどはついたのかどうか、私は心配をいたしておるものですが、この点について、まず最初に建設大臣から、お願いしたいと思います。
  303. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御質問の東京湾湾岸道路でございますが、御指摘のように、この整備は、京葉道路の現在の交通混雑の状況の緩和、それから東京国際空港関連交通への対応というようなことで、現在、その整備を急ぐべく、鋭意地元への説明、また現実工事の施行の促進等に当たっておるわけでございます。  しかし御指摘のように、中には地元の皆さんに十分御了解を得られないような状況のところが、まだ一部ございます。たとえば習志野地先の若松団地あるいは谷津干がた等に関しては、地元に対しまして実は何回か説明すべく呼びかけはいたしたわけでございますが、なかなか呼びかけに応じてこられないというような事情もございまして、ことしになりましてから、ビラ等で一応、事業の内容をPRしながら着工したという現実がございます。まあ、そういうことはございますが、それ以外のところにつきましては、大体、地元の御了解といいますか、御説明をしながら着工を進めております。  それから谷津干がたの問題につきましても、千葉県の環境部等を通じてアセスメントの結果を提示して、大体御理解をいただきながら整備を進めておるわけでございますが、野鳥を守る会、その他若松団地等の一部については、まだ反対の御意見があるのは事実でございます。今後ともアセスメント結果を十分御説明申し上げまして、御理解をいただいて事業の促進を図りたいというふうに考えておる次第でございます。
  304. 吉浦忠治

    吉浦分科員 今後、これらの問題解決ということが重大な問題でありますけれども、そういうふうに、地元住民なり八種類ぐらいある団体からの工事差しとめの請求等で、非常にむずかしくなっているんじゃないかと思いますが、私は、地域住民の声を十分に反映して問題解決に当たらなければならない、やはり誠意の問題だというふうに思っておりますので、十分な取り組みをしていただきたいと思っております。  続きまして、この東京湾環状道路の一環として東京湾横断道路の計画があります。首都圏での位置づけで地域経済社会への影響などが非常に大事にされておりまして、どのような意味で東京湾横断道路が必要なのか、どういう役割りを果たすべき首都圏での位置づけがなされているのか、そのことについて、まずお尋ねをしたいと思います。
  305. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の東京湾横断道路は、川崎市と木更津市を海上で結ぶ延長十五キロの道路でございますが、東京湾岸道路と一体になりまして、東京湾周辺地域の諸機能をより効果的に発揮させるという大きな目標があるわけでございます。また京浜地方と房総地方を直結しまして、首都圏の機能の分散、再編成並びに房総地方の計画的な開発を可能にするものであるというふうに考えております。このプロジェクトは、首都圏における道路網、東京湾地域の輸送体系の根幹となるものでありまして、過密の弊害に伴う隘路を打開し、長期的に首都圏における望ましい地域社会の形成を積極的に誘導しまして、秩序ある発展に資するものであるというふうに考えております。
  306. 吉浦忠治

    吉浦分科員 建設省昭和四十一年度から調査を開始されたと思います。昭和五十年度までに約二十四億円を投資されておりますが、投入されたお金というものが、どのような調査費に充てられたのかをお尋ねしたいと思います。
  307. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 東京湾横断道路に使った調査費は、御指摘のように全体で二十四億でございます。これは昭和四十一年度から調査を開始いたしまして、五十年度まで約十カ年、調査を続けたわけでございますが、この二十四億の調査費によりまして、交通量の予測といったことを中心にしました経済調査、それからボーリングなどの地質調査、それから橋、沈埋トンネルと非常にユニークな構造の、技術的にもむずかしい仕事でございますので、この関係のいろいろな技術的な調査、設計調査、施工法に関する調査、それから海洋気象調査、船舶航行調査、それからいろいろ土木研究所で大規模な実験をやっておりますが、そういった関係の試験調査、主としてこういった基礎的な調査をこの二十四億の金で実施してまいってきたわけでございます。
  308. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私が心配いたしておりますのは、二十四億円の投資をなさって調査をされた結果が、どのようにこれから発展されるかという点であります。この横断道路による環境上もたらされる影響というものが非常に大きいのではないか。また、当初、話がありましたが、房総半島の自然保護をどう考えていらっしゃるのかという点を、具体的なデータがありましたならばお願いしたいと思います。
  309. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 東京湾横断道路に絡みまして、房総半島の特に南部地域の開発と保全の問題は非常に重要だと思います。特に房総半島への自然保護の視点からの影響というものは十分事前にやっておく必要があろうかと思います。東京湾横断道路は、房総地方を計画的に開発する手段にするということが一つの大きなねらいでございますが、その半面、一方では土地利用の規制、誘導といった必要な諸施策を並行的に進めることが必要だと思います。あわせて房総半島の自然保護について十分配慮する必要があろうかと思います。このために建設省では、四十八年度から東京湾横断道路アセスメント委員会というものを設けまして、これは国土開発技術センターに委託しまして、安芸先生が委員長でやっていただいている委員会でございますが、これによりまして、東京湾の水質及び東京湾周辺地域における自然動植物に関する基礎的な調査を実施してまいってきたところでございます。今後も道路公団で一応調査を引き続きやることになっておりますので、さらに詳細な調査をしていく必要があろうかというふうに考えております。
  310. 吉浦忠治

    吉浦分科員 これにはかなりの問題があろうと私は思います。専門家はあらゆる面を指摘いたしておりますが、その中で、過密の調整のためにぜひ必要という声もあるけれども、交通が便利になれば東京の過密化は促進される一方で、房総半島は激しい開発ラッシュになり、南関東に残された最後の緑の山野も、まる坊主になってしまうのではないかという警告をいたしております。また、いろいろ人工島を東京湾上につくったり、その潮流が変化することによって、汚水のため池化する懸念もあるのではないかというような、あらゆる指摘をされております。  こういう点について、大気汚染や水質汚濁というようなものが警告されている中で、五十一年八月から日本道路公団内に東京湾横断道路建設調査室というのが設けられたわけであります。これは一体何を意味するものか、私は建設大臣からお答えをしていただきたいと思うのです。
  311. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 大臣のお答えの前に、ちょっと事務的な御説明をさせていただきます。  御指摘のように、昭和五十一年度から道路公団で東京湾横断道路調査室を設置して、従来、建設省でやっておりました調査を引き続いて公団でやることにいたしたわけでございますが、これは御指摘のように、東京湾に絡んでは、水質汚濁の問題、房総地方の開発と保全の問題横浜、川崎におきます受け皿としての交通網の整備の問題、それから航行安全の問題、各種の基礎的な調査が一応建設省の段階で進められてきましたが、これを事業化するためには、まださらに十分な調査が必要なわけでございます。特にこの事業は有料道路として実施するということでやっております。したがいまして、五十一年度からは、わが国の有料道路について十分な経験を持ち、しかも技術力を蓄えております日本道路公団において、さらに諸般の調査研究を推進することといたしたわけでございまして、このための組織として調査室を設けたわけでございます。非常に大規模な、しかも技術的にも革命的な内容を含む事業でございますので、十分慎重な調査を引き続きやる必要があるということで、公団に調査を移したわけでございます。
  312. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 この調査は昭和四十一年、十年前からの計画でございまして、環境の点については、先ほど局長から御説明申し上げたように、大分変わってはきておりますけれども、これらは非常に重要な地区であり、これが最も現代に合う道路になるのではないかというような、大きな希望を持ったことも事実でございます。したがって、その後いろいろなアセスメントのような問題も出てきまして、これらに対しましても十分配慮をしながら、先ほど申し上げた海洋気象に関する調査、船舶航行の調査とか、こういうふうな問題をいろいろ考え、これをつくることによって最も経済的効果があるというような観点から出発をしまして、いまなお、その調査を進めて、万全を期して行わなければならぬということで調査を進めている、こういうわけでございます。
  313. 吉浦忠治

    吉浦分科員 くどいようですけれども、これは建設を前提にされるわけでございますね。
  314. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 大規模プロジェクトでございますので、建設に踏み切るためには、これから、いろいろな問題、障害を排除してから建設に踏み切るかどうかを決めなければならぬ問題でございます。その前段として、大きな調査をやらなければならぬものが幾つかあるわけでございます。ですから、建設を前提とした調査というふうには、われわれは解釈してないわけでございまして、一応建設を目標にして、その前に解決しなければならぬ調査を明らかにするという姿勢で取り組んでおるわけでございます。
  315. 吉浦忠治

    吉浦分科員 前提と目標というのは何か私もよくわかりませんけれども、目標も、やはり前提をたてまえとして目標に到達するのじゃないかというふうに思います。この場合に、架橋の結果が東京湾全域にどんな影響を与えるのか、また架橋によるマイナスの効果、そういう面を徹底的に調査をして国民の前に明らかにすることが第一の役割りであると思います。私は、建設省も調査室も、何か物事を秘密裏に進められるような気がしてならない。もう少し国民に知らせるべきところははっきり知らせて、その方向を明示すべきではないかというふうに私は思っております。  それで、五十二年度の予算ではどのような措置をとられるのか、今後の方針についてどうお決めになるのかをちょっとお尋ねをしたい。
  316. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 五十二年度予算といたしましては、日本道路公団に調査費五億を計上いたしておるわけでございまして、この五億によりまして、地域計画、それから経済効果等の経済調査、それから水質、大気等の環境関係の調査、それから沈埋トンネルの設計調査というようなものをやることにいたしております。そのほか船舶航行に関する検討ということが、東京湾内の将来の航行問題の死命を制することになりますので、十分慎重にやらなければいけないという問題がございます。そういう問題も一応この五億の中で並行的にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  317. 吉浦忠治

    吉浦分科員 時間がありませんので、こればかりやっているわけにいきませんが、千葉県側は東京湾横断道路について大変意欲的でありますし、対岸の神奈川県の方は、それに反して余り燃えているような様子は見えないわけでありまして、そういう面の両岸の話し合いというものが、十分今度は調査室の方で前向きの形で進められるように、どちらにしても、もう少し国民に明確にわかるように進めていただきたい、御要望いたしたいと思います。  続きまして、国道百二十七号線の館山バイパスの建設についてお伺いをしたいと思います。  国道百二十七号線バイパスの必要性とその効果などについて、どのように評価し、考えていらっしゃるかを、お話しいただきたいと思います。
  318. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の国道百二十七号の館山バイパスでございますが、これは館山市の人家が密集しております市街中心部を通過しているわけでございます。しかも車道幅員が非常に狭くて、現道は大体六メートルぐらいの幅員しかございません。かつ歩道も設置できていないような状況でございまして、交通渋滞と交通事故の危険にさらされておるのは、先生御承知のとおりでございます。これにかわる路線として館山バイパスを計画したものでございます。
  319. 吉浦忠治

    吉浦分科員 この路線決定については、どのような手順で実施をされたのか、また、これを決められていくところの見通し等について私はお伺いをしたい、こういうように思います。
  320. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 館山バイパスのルートは、館山市の将来の町づくりに重要な役割りを持っておるわけでございますので、館山市と十分協議した上で昭和四十四年に計画決定されておるわけでございます。都市計画街路を基本としてルートを決定したものでございます。このルートは、一部区間で文教地区に接近したり、あるいはまた既存の集落を通過しているというような形にはなっております。しかし、これらの地域における騒音対策としましては、遮音壁の設置あるいは集落の分断するところには横断地下道等の整備を図って、道路構造によっていろいろ対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  321. 吉浦忠治

    吉浦分科員 私もこの調査をいたしたわけでございますが、バイパスの設置基準から見ますと、今後の道路整備に当たっては、建設省が、五十三年度から始まる第八次道路整備五カ年計画の作成の中に、道路はいかにあるべきかというアンケート調査を行われております。それによると、環境アセスメントと住民参加の方式を導入すべきであるとされておりますが、こういう意見が大勢を占めている、こうなっています。したがって、路線決定については十分な住民参加による検討が必要だというふうに私は思いますが、この点についてお尋ねをしたい。
  322. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、住民参加については、今後の道路整備を推進するに当たって、十分考えてまいらなければならぬ問題だと認識しております。  館山バイパスのルート決定につきましても、これはちょっと古い時点で昭和四十四年ごろの話で、いろいろ館山市当局とは十分協議して都市計画決定したものではございますが、その間、住民の御意見というものは館山市を中心にした御意見が主となったかと思います。また最近になりまして昭和五十年十月からは、関係住民の方に計画の内容を改めて説明いたしておりまして、いろいろな構造的な対応等、今後とも引き続き関係住民の御理解を得るように努めてまいりたいというように考えております。
  323. 吉浦忠治

    吉浦分科員 設置基準等を見ますと、もっともなことが書かれておりますけれども、実際に私が国道百二十七号線のバイパスの建設計画を見てまいりましたところが、これは問題点が余りにも大き過ぎるのじゃないかというふうに思います。地元の方々との話し合いが二回ぐらい持たれたと思いますけれども、何ら通告もなくて、ぱっと天から降ってきたような形での会合でありましたので、実はその当該者の方々があわてているわけでございます。そういう点でかなりの問題点があろうかと思いますが、私は時間の関係で二、三その問題点を申し上げたいと思います。  一つは、いま道路局長の方から話がありましたが、この路線には四、五十戸の住宅がひっかかっておりますが、この路線を決められたときと現在の時点では、かなり変更することも可能なような地域がまだ残されているわけです。ですからこういう点を、十分地域住民の方々の御要望等をお聞きしながら、再検討するお考えはないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  324. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 ルートを一たん決めますと、全く改めたルートに振り返えるということは非常にむずかしい問題でございますが、この区域につきましては、都市計画決定で当初十八メートルの幅員で決めておりましたものを、計画の見直しで二十五メートルに改めております。その際に、経過地等につきましても、これは富浦町に近いところでございますが、一部ルートを変えるということで計画いたしておりまして、そういった一部修正は考えておるわけでございます。
  325. 吉浦忠治

    吉浦分科員 一部修正を考えていらっしゃれば、先ほど道路局長がおっしゃった中で、文教地区として非常に問題があるわけであります。地元の北条小学校、北条幼稚園、安房南高等学校、それから館山高等学校がその地域に移転しようとしているわけであります。それから那古小学校。このように、数え上げだけでも大変な文教地区のところが、予定路線となっているわけであります。県の方と連絡をとりながらの、あるいは建設省の方だけでのプランなのか。地元の方から出てきた計画路線なのか。その付近をいつも調整をとらなければ、どんどん後からできる学校も、その道路の近くに持ってこようというふうなことで、非常に問題があるのではないかというふうに思いますので、こういう点について、建設省は十分地元の方々との対話を常に続けていって、御要望等を生かしてもらいたい、こういうふうに思っております。  それから四車線ですか、その車線の方も、当初は二車線から四車線にというふうなお考えもあるようでございますけれども、最初から反対のあるところに四車線というふうなことで示されると、それでなくても抵抗の多いところにかなりの問題が起きますので、十分な話し合いの中から聞き出すような形で進めていただいた方がいいのじゃないか。反対をされている方々も、根本的な反対ではないわけなんです。ですから、さっきから私、申し上げておりますように、地域住民の方々との対話が足りないためにこういう問題が起こってきはしないかというふうに思いますので、これからも積極的に地元の方々の御意見等を聞いていただきたい、こう思います。  時間がございませんのでもう一点。実は鴨川の八岡海岸地先の国道百二十八号線でありますが、この地すべり地帯についてお伺いをいたしたいと思います。  八岡海岸が、消える国道というふうに言われて、非常に危ない地域でございますが、これについて建設省はどういうお考えを持っていらっしゃるか。時間がございませんので、簡単で結構でございます。
  326. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のところは鴨川バイパスのところだと思いますが……(吉浦分科員「いや、鴨川バイパスじゃないのです」と呼ぶ)鴨川市の貝渚でございますが、御指摘の個所は旧道のそばのところでございまして、現在、バイパス、旧道とも千葉県知事が管理しておるわけでございます。当該地区は非常に脆弱な地層の地域でありまして、昭和三十五年、地すべり防止区域に指定されております。地すべり発生個所のうち道路に直接関係する部分については、鋭意災害復旧工事を実施しております。その他の部分は、地すべり防止工事で処理して、鋼管ぐい等を打って処理しているわけでございますが、千葉県は地すべり調査を実施中でございますので、道路の本格的な防災対策については、この地すべり調査の結果、地すべり対策事業と調整を図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  327. 吉浦忠治

    吉浦分科員 時間になりましたけれども、最後に要望だけして終わりたいと思いますが、私、通告をいたしておりましたので、もう少し道路局長地域のことを調べておいていただきたいと思います。私、この地域を数十年歩いておりますけれども、毎日、地元の方たが不安でございます。このバイパスができたからといって、百二十八号線の国道がなくなるならばいいのですけれども、現存する限りは、いつ消えるかわからないような地すべり地帯であります。毎回毎回、災害が起こっておりまして、災害が起こったからそれを災害事業で復旧するという形でなくて、抜本的な恒久対策をしなければならない地域であると、私は常日ごろから心配をしながらここを通っているわけでございますが、建設省においても、県の方の管理ということで簡単な言葉では過ごされない。住宅もございますし、起きてみたら自分の家もまるきり海の中に飛び込んでいたという現状にもなりかねない地域でございますので、抜本的な恒久的対策を要望いたしまして、終わりにさせていただきたいと思います。
  328. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて吉浦君の質疑は終了いたしました。  次に、永原稔君。     〔宮崎主査代理退席、主査着席〕
  329. 永原稔

    永原分科員 私は、いわゆる激特災害について御質問いたします。  激特と言いますと、何か慣習のような言葉になってしまっておりますけれども、もう一度、原点を思い出して激甚災害特別緊急事業ということで考えてみたいと思いますけれども、これは厳しい採択基準がございます。そういう中で、大規模災害を再び繰り返さないように、こういう御配慮から特別に緊急対策事業としてお取り上げになったと思いますが、そういう中で地域住民が、いままでの災害復旧と変わって短期間に改良されるということに対する期待は非常に大きいと思います。五年というのが適当かどうかは別としまして、従来のテンポからすると非常に早まった。このことは有意義な仕事だと思います。  私は静岡ですが、静岡県内には地すべりもございます。また治山、砂防、そういうような点で直さなければならない点が非常にたくさんございますけれども、四十九年の七月七日、いわゆる七夕災害と言われるときに起こったあの災害復旧について、静岡から清水、由比にかけた地域が激特の対象になりまして、砂防やあるいは治山について、非常に御配慮をいただいております。あの地域の抜本的な対策は、これだけでは済まないと思いますし、また新たな計画が必要になろうと思いますけれども、こういうものが地域住民に非常に安心感を与えておる、これは否めない事実でございます。しかし、そのほか河川が、静岡県の場合には一級河川二本、二級河川が四本、激特の対象になりまして、いま着々、仕事を急いでおるところでございますけれども、この中で。いろいろ懸念されるのは、非常に集中的に行うために財政負担が非常に高くなるということでございます。  仕事はやっていただきたい、財源については考えていただきたい、何か全部、国におんぶするようなかっこうで申しわけありませんけれども、しかし現実に、いまの財政状態から見ていきますと、この大規模改修に要する経費、いままでの普通の河川改良と同じような三分の二、二級河川について二分の一という補助率では地方負担が非常に多くなってしまいます。五十一年度、五十二年度につきましては、いま赤字財政の中で特例債が発行されますので、かえって充当率が上がりまして、補助残について九五%ということですから、現実の、ここ一両年の財政負担は軽くなるかもしれません。しかし、これが通常ぺースに戻ったときに普通の河川と同じように二〇%の財源の充当率ということになれば、財政負担が非常に大きくなるわけです。こういう点については、自治省にもお願いしておりますけれども、建設省におかれましても、財源問題に特に御配慮をいただきたい。  それについては、激甚災害ということで特に取り上げられた仕事でございますので、普通の一級河川三分の二、二級河川二分の一という補助率と別の考えをとるべきではないだろうか。激甚であるだけに特別の緊急事業をやらなければならないというお考えで採択された事業でございますので、補助率アップについて、特に一級河川四分の三、二級河川三分の二、こういうような高率補助についてお考えはないかどうか、そういう点、伺いたいと思います。
  330. 栂野康行

    栂野政府委員 先生がいま、おっしゃいましたように、いわゆる激特事業、その性格上、河川でいきますと、おおむね五ヵ年というふうに短期間で集中して工事をやっていくということが、また地元の皆さん方の生活設計あるいは安心感といいますか、そういうものにつながっていくということで、建設省としましても、重点を置いてやっておる次第でございます。  それで、ただいま集中投資が必要である関係上、地方負担に響いてくるのじゃなかろうかということで、補助率アップのお話でございますけれども、これにつきましては、該当府県からもそういうふうな要望もある次第でございます。  しかし、激特制度というものが、昭和五十一年度、本年度でございますけれども、新しく創設されたものでございまして、まだ日も浅く、また、その激特事業の採択河川地域住民の皆さん方から、一年でも早く一刻でも早くこれを仕上げてもらいたい、予定工期内に仕上げてもらいたいというふうな要望が非常に強いわけでございます。したがいまして、再度災害を防止するという観点におきまして、当面は事業進捗重点として持っていきたい。それで、先生御心配のように、現在、地方債の充当率といいますか、それが九五%、地方負担の九五%が起債の充当率でございます。これが平年化した場合につきましては、また財政当局あるいは自治省とも、いろいろ協議してまいりたいと考えます。
  331. 永原稔

    永原分科員 いま十五県四十九河川というように聞いておりますけれども、そういう特定のところだけでございます。しかし、こういうような中で今後、採択基準に合ったような、ああいう大規模災害が起こったときには、やはりこの事業は拡大してまいることになりましょう。そういうことになると思いますけれども、そういうものを特別の緊急対策事業としてお考えになっていらっしゃるならば、これは治水の普通の五カ年計画、これと少し性格が違うのじゃないかと思いますけれども、その点はどうお考えでしょうか。
  332. 栂野康行

    栂野政府委員 先生のおっしゃる気持ちはよくわかります。しかしながら激特事業というのはやはり河川改修の一環でもありまして、五カ年の計画の中に入れまして、現在鋭意進めておるわけでございます。今後とも、一定の要件のもとに、やはり激特事業をできるだけ促進していくという方向で進めていきたいと思います。
  333. 永原稔

    永原分科員 静岡県のことばかり言うのは非常にレベルが低い話ですけれども、静岡県というのは七割近くが山でございます。先ほど申しましたように、由比地区などは国道に山がせり出ておりまして、非常に災害を受けやすい。そういうような地域ですが、駿河という言葉は、読み方によって速い川というような意味なんです。急流河川が非常にあるのは局長御存じのとおりです。そういう中で非常に天井川も多うございます。中小河川の改良を急がなければならない面もある。そういうような意味から、激特事業と、それから中小河川改良というような経費というものが、一つの県に集中するということになりますと、非常に配分にお困りになるのではないだろうか、そういう気がするのですが、そういうのもやはり一本になった治水五カ年計画の中でこなされるとすると、しわ寄せというのが来そうな気がしてなりません。本年度は、承りますと非常に御配慮いただいて、中小河川改良についてもめんどうを見ていただいておるというように、当局から聞いておりますけれども、ぜひ、こういうようなものにしわ寄せがいかないように、激特についても今後とも御配慮いただきたい、こういうようなことを、この点については最後にお願いをしておきます。  それから、その次の点ですが静岡県は、いま申しましたように、急流河川が多いというようなこともございまして、水力発電については非常に進んだ県であったと思います。御承知のように佐久間ダムあるいは井川ダムというようなものが日本経済の発展に果たした役割りは大きい、こういうことでわれわれは胸を張っておりますけれども、現実にその中の一環のダムとして笹間ダムというのが現在川根町にございます。これが四十九年の七夕災害以来、二度にわたる集中豪雨によって、最初予期しなかったようなところに非常にたくさんの堆積土砂を見るようになりました。この堆積土砂によって、その付近の部落が浸水する、そういうような危険性にさらされてきているわけです。  こういうものについて対策協議会などをつくり、現地ではその対策を練っておりますが、しかし、抜本的なものがまだ生まれておりません。ダムのデッドウォーターにいまこの堆積土砂を埋めているというのが現況でございますけれども、こういうものが将来ダムの維特管理に何か影響を与えないだろうか、その点が心配になりますけれども、河川管理者としての建設省の方では、どういうようにお考えでしょうか。
  334. 栂野康行

    栂野政府委員 こういう電気の目的ダムの堆砂の問題でございますが、これにつきましては、建設省としましては、こういう電気のダムだけではなくて、すべてのダムについてもそうでございますけれども、できるだけそういう堆砂を水に入れないで、そういうものはできればいわゆる砂利屋が持っていけば、それが骨材としての活用も大きくなるし、またダムの命も進んでいくということで、そういう指導もやっておるわけでございます。  と同時にまた、抜本的な対策でございますけれども、上流のいわゆる荒廃地域の砂防対策といいますか、そういうふうな荒廃水源地域対策としての砂防事業を積極的に進めていくということもまた考えておるわけでございます。  それから、こういう水資源というものは、わが国にとっては非常に貴重な資源でございまして、またダムサイトというものも貴重な資源でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、ダム堆砂はできるだけ低減して貯水容量を長年にわたって活用していくということがまた必要なわけでございます。そういう意味におきまして、こういうふうにダム堆砂を少なくするということは、新しいダムをつくると同じように非常に効果があるわけでございます。したがいまして、建設省としましては、昭和五十一年度から貯水池流入土砂防止対策ということにおきまして「約二十カ所につきまして砂防ダムをつくっていく、そういう貯水池に入ってくる川のいわゆる流入点付近に、砂防ダムをつくって流入土砂を防ぐというふうな対策も、五十一年度からも始めたような次第でございます。  笹間川ダムにつきましては、中部電力設置のダムでございまして、そういうふうな貯水池流入土砂防止対策としての砂防事業はやってございませんけれども、今後は、いわゆる水源地域における保全対策という観点から、またいろいろ調査検討をしてまいりたいというふうに考えます。
  335. 永原稔

    永原分科員 確かに中電の発電ダムでございますけれども、そこに流入してくる笹間川、これが年間土砂堆積量七、八万トンに及ぶというように聞いておりますけれども、そういうような流入土砂について、砂防ダムなどをつくっていただいて流入を防がなければ、やはりいつまでたってもこの堆積というのは消えませんので、そういうことについてぜひお考えをいただきたい、こう思います。確かに利水事業ではありますけれども、一種の治水役割りも果たしているわけです。そういうような観点からしますと、これに流入する土砂について、やはり全体の河川管理の立場から防ぐというようなお考えをとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  336. 栂野康行

    栂野政府委員 先生のおっしゃる意味、よくわかるわけでございます。それで、こういう電力といいますかのダムにつきましては、その上流水源対策、いわゆる崩壊地対策、あるいは、そこに部落がありますときは地先保護とか、そういう広い意味におきまして、いわゆる荒廃しておれば砂防によりましてそれを防ぐ、その結果、そういう電力ダムにおける貯水池に入る流入土砂も減っていくということになろうかと思います。
  337. 永原稔

    永原分科員 静岡県では、井川ダム建設に伴いまして、あの西山平付近で水没家屋を移転させるために新たな土地造成をし、そこに集団移転を図ったことがございます。ここの桑山部報、十九戸ぐらいしかございませんけれども、現実にそこには人が住んでおりますが、この堆積土砂の影響によって、抜本対策としては集団移転をせざるを得ない、こういうようになってきておりますけれども、こういうようなものがスムーズにいきませんと、いまお考えになっていらっしゃる長島ダム建設、ああいうものにも波及しようかと思います。  ただ、発電所のダムであるから、その影響であるからということだけではなくて、やはりあれだけの大きな河川の管理をなさっている建設省ですので、そこに起こった一つの事故についての対策として、抜本的にこういうものについても細かい配慮が必要ではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、あの集団移転問題について、どのようなお考えをとっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  338. 栂野康行

    栂野政府委員 先生おっしゃいましたように、いわゆる笹間川ダムの堆砂によります。いわゆる桑山地先の集団移転でございますけれども現在、ダム土砂対策協議会というのを設けて、集団移転の候補地の提案が行われておるわけでございます。それで、建設省としまし工も、土砂対策協議会のメンバーに入りまして、今後とも、そういう事例がありましたら、それに対してどうすれば一番いいかという点につきまして、いろいろ指導なり、あるいはまたアドバイスなりしていきたいと思います。
  339. 永原稔

    永原分科員 そういう点について、ぜひ御配慮いただきたいと思いますし、これは地域開発の問題にもつながりますので、ただ建設省だけの問題ではないかもしれません。農林省にも関係したり、いろいろ関係があると思いますが、ぜひ入っておいでになるその対策協議会の中でリードしていただきたいと思います。  それから、問題が非常に細かくなるのですけれども、河川敷利用について、いま子供に非常に喜ばれるような広場がたくさん造成されていて、非常に喜ばしいと思うのです。私も実は田子の浦のヘドロ問題のときに、富士川河川敷に、あのヘドロを埋め立てて都市公園をつくるというようなお仕事を建設省にやっていただいた経験がございます。ああいう中で、でき上がった河川敷は非常に地域住民の方が喜んでおります。いま申し上げるのは富士川河川敷だけではなくて、静岡にも安倍川河川敷などございますが、そういうところで子供広場をつくらしてしていただいて、喜々としてたわむれる子供たちを見るときに、やはり人の子の親とすれば、そういうところに遊ぶ子供たちがどろまみれになっていますけれども、水一つない。そういうような状況で、簡易水道施設のようなものを、ああいう子供広場のようなところに布設するということはお認めいただけるのかいただけないのか、そういう点について伺っておきたいと思います。
  340. 栂野康行

    栂野政府委員 現在、建設省としましては、いわゆる先生おっしゃいましたように、河川敷の広場をできるだけ市民の憩いの場あるいは子供さんの遊ぶ場にいたしたい、そうしてきれいな水とともにいい環境に持っていきたいと念願しておる次第でございます。  その場合に、いま先生おっしゃいましたように、いわゆる簡易水道の問題です。いわゆる広場だけつくっても飲み水がない。そうすれば本当に仏つくって魂入らずということで、その目的の半分も達し得ないのではないかと思う次第でございます。  しかしながら、河川敷の中の工作物というものは、治水上どれだけ支障があるかということから配慮していく必要があろうかと思います。それで、こういう水飲み場などの簡易な工作物につきましては、現在、河川敷占用許可準則というものに基づきまして、高さが地上一メートル以下。これは治水上の観点からそうなるわけでございますけれども、高さが地上一メートル以下とするとか、あるいは可搬式といいますか、ムーバブルな構造とする、そういうことを原則としまして、河川管理上の支障のない限り、できるだけ個々のケースにつきまして、検討しながら許可していきたいというふうに考えております。
  341. 永原稔

    永原分科員 最後に、これはむしろ要望になるのじゃないかと思いますけれども、自治省の方にも実はお願いした件です。  静岡は国道百五十号線というのが走っております。これは知事管理の道路でございますが、局長も御存じのように、景勝地であるだけに、山の中で災害を非常に起こしやすい。八十ミリの降雨が続いたときには道路をストップするというような状況の中で、四十六年の七月には自動車もろとも埋まった青年がございまして、圧死してしまいました。そういう中で、これに対する対策として迂回道路をつくっていただいたりいたしましたけれども、この道路の維持のために大きなトンネルをいま工事中でございます。二千二百メートルを超えるような長大トンネルについて非常に経費がかかります。全国的に見ますと、こういうふうな長大トンネルというのは非常に数は少ないようでございますので、道路法の関係もあり、一般的な助成というのは困難だということは承知しておりますけれども、二十四時間の監視体制を続けなければならない、こういうような長大トンネルになりますと、特別な財政需要が出てくるのは当然のことだろうと思います。こういうものについて、現段階においては特殊なケースですので、特別交付税というようなことで私は自治省に御質問したわけですけれども、これが一般化していった場合に特殊なものでなくなってぐる、そういう事態も予測されるわけです。そういうものについては、地方自治体というものがいま非常に財政的な圧迫を受けている中で難渋する問題になると思いますので、十分頭の中に入れていただいて、将来こういうものに対しても助成などの道を講ずるようなお考えをとっていただきたい、そういうことをお願いいたします。  いろいろあろうと思いますけれども、私、簡単な問題だけ数点並べました。以上、申し上げて私の質問を終わらせていただきます。
  342. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて永原君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木強君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として道路公団総裁前田光嘉君及び同理事伊藤直行君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  鈴木強君。
  343. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 細かい問題で恐縮でございますが、最初に東富士有料道路の問題についてお尋ねいたします。  御承知のように、東名御殿場インターから中央高速道の河口湖インターを結ぶ東富士有料道路の問題は、かねていろいろ御配意をいただいておるのでございます。私、参議院在任中、昭和四十八年十二月の予算委員会、さらに四十九年三月の予算委員会と、二回にわたり、当時の亀岡建設大臣、山中防衛庁長官、それぞれお伺いをいたしておりますが、その後もう三年近くなるのでございますが、さっぱりこの計画進捗をしておらないのでございます。一体どういうふうになっているのか、御説明いただきたいと思うのです。
  344. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘の東富士有料道路でございますが、先生お話しのように、かなり長い期間、凍結状態になっておるわけでございます。この計画予定路線は、富士箱根伊豆国立公園内を通過するために、自然保護について特に留意する必要がありまして、日本道路公団におきましても、東富士周辺の自然環境に関して種々の調査を行いまして、環境保全についてはできる限りの配慮を行う予定で進めてまいったわけでございます。また、自然環境保全の見地から、この道路の建設に対して、一方では反対意見も出ておるようなことも事実でございます。  一方、事業費につきましても、その後かなりたちまして、建設費の高騰によりまして、有料道路としての採算性の面から、事業実施について慎重に再検討を行うことが必要になってまいりました。現在、公団において、環境評価とあわせまして、見直し中の段階でございます。建設省としては、公団の実施しているこれらの検討課題について結論が出ましたら、これを受けて関係機関とも十分協議の上に、その具体的な実施方針を詰めたいというふうに考えておるわけでございます。
  345. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ちょっと驚いたですね、そのお答えは。当時の亀岡建設大臣が、道路公団に調査、設計を進めさせておりまして、目下細部の技術的検討に入っております。まだ、一部に未調整の部分がありますけれどもというわけで、当時私の質問は、建設省としては、標高千百メートルの演習場にかかりますけれども、そごが路線としては一番適当であるという結論を出されておるやに聞いておったのですね。防衛庁としては、当然演習場の中を通るわけですから、そこには砲座もあるし困るのだということを山中防衛庁長官が述べておるわけですね。今日に至ってまだ——今度は自然環境保護というようなことを持ち出して、そしてジグザグコースをとっておって、今日に至るも計画が遅々として進まないのは怠慢じゃないですか。
  346. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生指摘のように、この道路は、私どもとしては非常に重要な道路と考えておりますし、それから現在の計画は、われわれとしては、最善のルートで、最善の方向で一応考えられておるというふうに、現時点で思っておるわけでございます。しかし、片や富士山という日本のシンボルを抱えた重要な保全区域でございます。これとの調整を十分やっていかなければならないことも事実でございます。  われわれはやはりこの事業を推進する立場でいろいろ折衝しておるわけでございますが、関係方面と十分な協議を経た上でやらなければならないということで、現在、先ほど申し上げましたように、環境上の評価とあわせて、採算面の検討、これは一応大体とんとんでいけるような計算になっておりますが、場合によっては、若干の縮小も含めて、現時点でやれる路線を模索している段階でございます。早くこの調整を済ませて実施に移りたいと考えておるわけでございます。
  347. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 ですから後退をしているわけですね。当時、建設省は標高千百メートルのルートをお決めになっておった。だから私は亀岡さんに、この千百メートルのルートについてはおりたのですかと聞いたら、おりていない、問題は防衛庁との関係だから、その点について調整をして、できるだけ早く決めたいというのがその当時の大臣の意見ですよ。あなたのいまの意見では、まるっきり自然環境保全の面を持ち出して、今度は後退をしているじゃないですか。そんなことでは困るのですよ。少なくとも当時の亀岡建設大臣が私に答えている発言、考え方から後退したような意見を三年たって出されたのでは、これは一体何をしているかということになるじゃないですか。もう少しちゃんとしてやっていただきたいですね。大臣、それをどう思いますか。
  348. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま局長からの答弁があったように、所期の目的そのままでいけるならばそのとおりだったと思うのですけれども、アセスメント問題がこのごろは非常に問題化してきておるわけです。その環境整備という点もありますし、また、これに反対をする方々が、そういう問題を基礎にして反対をしてきていることも、否めない事実だと思うのであります。こういう点の調整を十分整えなければ、なかなか今日になってはこの事業をすぐ発足させるという段階にいき得ない、こういうことでございます。
  349. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 抽象論ではいけませんから、当時、演習場内を通過することについては防衛庁が意見がある、したがって協議中だということを答えている。その協議はどうやったのですか。
  350. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 防衛庁との間で、北富士演習地の通過の問題、いろいろ協議を進めてまいっておりまして、これは近く山梨県の方へ大蔵省の方から管理を移すというふうに聞いておりまして、その移す区間の一部に予定されておりますこの道路を通すわけでございますが、これはそういう通すことを条件で移すという話も聞いておりますし、この問題については防衛庁と大体合意に達しているというふうに考えております。
  351. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 防衛庁からもちょっと伺いたい。
  352. 平井啓一

    ○平井政府委員 本件道路の問題につきましては、ただいま御質疑がありましたように、昭和四十八年、四十九年の国会の御質疑の当時、当時の山中防衛庁長官が御答弁申し上げたとおりの姿勢でございまして、ただいまも建設省の方からお話がございましたように、その後、防衛庁の演習場の機能との関係については、鋭意調整を終えまして、あとは用地問題が道路敷の問題としては残っているというふうに承知しております。したがって、防衛庁との間における、当時問題になりました演習場機能との調整の問題については、一応、建設省、公団との間には、調整は終わっているというふうに私どもは承知しております。
  353. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうすると、千百メートルの地点はやめて二百十ヘクタール——先般、民法六百四条で、ああいう経過の中で二百十ヘクタールが県に返ることになりましたね。それがまだふらついているわけですけれども、そうすると、国道百三十八号線の周辺に連檐している二百十ヘクタールのところを通るように路線の変更をしたということですね。
  354. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の二百十ヘクタールですか、それの今度は移しかえになります土地と、演習場として残す土地との境に、大体入るような計画で一応いるわけでございます。
  355. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうなると、私どもが当初考えておった、賛成をしておった路線というのは、一応建設省が負けておりたということですね。  では、その二百十ヘクタールの払い下げを予定している地域に路線をつくろうということになるのだが、この二百十ヘクタールの払い下げが——これは、ここで時間がありませんから、いきさつは申しません。私も参議院に十八年おりまして、いろいろないきさつは知っておりますけれども、そういう中で今日まだその払い下げが行われていない。所属は一体どこになるか。大蔵省に移っているのか、国有財産ですから。どうなっておるのか。その点、大蔵省の方から答えてくれませんか。
  356. 松岡宏

    ○松岡説明員 この約二百十ヘクタールの国有地でございますが、昭和四十八年五月十九日に米軍から返還されまして、本地の利用計画の大綱につきまして、昭和四十八年四月二十六日に、他の大口返還財産と一括して国有財産中央審議会に諮問されているわけでございます。いろいろいきさつがございましたが、最近における地元のコンセンサスが、山梨県へ払い下げるということでまとまりましたので、大蔵省といたしましても、その方向での払い下げの実務を進めておりまして、近く国有財産中央審議会の返還財産処理小委員会におきまして最終的な結論をお出しいただき、その答申に従って処理を進めてまいりたい、こういう考えでございます。
  357. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 二百十ヘクタールの払い下げについては、当然審議会にもおかけになるでございましょうが、問題は、従来の裁判を取り下げ、その代償として恩賜林組合に払い下げるというようなこともありました。ですから、これはそういうものが引っかかっているわけです。先般、県選出の国会議員が仲に入って一つのあっせん案を出しておりますが、それはいろいろトラブルがあるからとりあえずというか、県に払い下げてくれ、そして県が管理する。そうしておきませんと、国有財産を払い下げましたけれども、それがまた他に転売されるとか、いろいろな問題がございまして、忌まわしい事件まで起きているわけでありますから、ひとつそこのところは——何にも条件なしで県に払い下げるという姿勢で大蔵省はおるわけですね。
  358. 松岡宏

    ○松岡説明員 地元のコンセンサスに従いまして、山梨県へ払い下げる、こういう方向で実務上の準備を進めているところでございます。
  359. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうすると、山梨県に払い下げた二百十ヘクタールについては、当然のことながら、将来他に転売するとかというようなことについては、厳にはっきりとした審議会としての意思がつけられて決定をされるようになるのでしょうね。
  360. 松岡宏

    ○松岡説明員 山梨県に払い下げを行います場合は、山梨県が林業整備事業を行うのである、こういう含みで払い下げを行うものでございまして、長期にわたり山梨県にその方向での処理をお願いするわけでございます。  なお、転売とかあるいは一時預かりというような、いろいろなことが取りざたされておりますけれども、この問題につきましては、払い下げの時点においては、特に大蔵省といたしまして何らかの約束をするとかというふうなことは考えておりません。山梨県に林業整備事業を営ませる、こういうつもりでございます。
  361. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 小委員会の方で結論が出るのは、大体いつごろと予定されておりますか。
  362. 松岡宏

    ○松岡説明員 いつということを断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、可及的速やかに進めさせていただきたいと存じます。
  363. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これはひとつ慎重に扱っていただきたいと思います。  それから、山梨県の方では、北富士演習場はぜひひとつ全面的に返還してもらいたい、そして平和的に利用したい。これはわれわれの願いでもありますが、なかなか現実はいろいろな問題がございまして、そう言ってもおれません。  ちょっと私、伺っておきたいのですが、民法六百四条で一遍県に返りました。五カ年契約で県が防衛庁にこの土地を賃貸をしているわけですね。したがって、その期限がこの三月末で切れるのでございますけれども、せんだって、地元の方で佐藤という方が、五十年以降の演習場用地の賃貸借契約については、県を通さずに個人で直接国と行うというような決定をして、横浜の防衛施設局の方に申し出をしているようでございますが、現実に賃貸契約料が途中でピンはねされるというようなことを理由にしているようですけれども、それはどうなっておるのでございますか。こういう問題について、どう処理されるおつもりでございますか。
  364. 大内雄二

    ○大内説明員 お答えいたします。  まず第一点の五カ年間の使用協定の関係でございますが、昭和四十八年四月十一日に、国と山梨県その他関係の市町村等との間に、北富士演習場使用協定を締結しておりますが、これは昭和五十三年四月十日でその期間を満了いたします。当庁はその後も引き続き使用協定の期間を更新いたしたい考えでおりますので、したがいまして、県有地の賃貸借契約につきましても、五十三年四月十日以降も継続していきたい、こういうふうに考えております。  それから、第二点の佐藤さんという方の関係でございますが、今年の三月八日付で、内容証明郵便によりまして、佐藤昌吉さんという方から横浜防衛施設局長あてに文書が参りまして、その内容で、佐藤氏が賃借している土地を演習場として提供することにつきましては、昭和五十二年度は同氏と直接国との間で賃貸借契約を締結したい、こういう申し出が参っておりますことは、私どもも承知いたしております。しかしながら、土地を借りる方法としましては、賃借人の同意を得まして所有者から直接借りる方法と、それからもう一つは、所有者の同意を得まして賃借人から転借する方法、二つあろうかと思いますが、私どもの方としましては、従来から前者の方法によっておりますので、今後の処理方法につきましても、所有者である山梨県の方と協議して決めていきたい、こういうふうに考えております。
  365. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 賃貸料をピンはねしている実態というのはあるのか。
  366. 大内雄二

    ○大内説明員 これは実は契約の相手方である山梨県と私どもの関係で契約を結んでおりまして、したがいまして、賃借料も山梨県の方に直接お支払いしております。その後、山梨県の方がどういうふうにそれを配分しているかにつきましては、実は私どもはその内容を承知しておりませんものですから、どんなふうなぐあいに世間で評判になっているようなピンはねの事実があるか、私どもは承知いたしておらないわけでございます。
  367. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 調査をしてみてください。
  368. 大内雄二

    ○大内説明員 これは私ども、契約の相手方はあくまでも県ということでございますので、県が独自の見解で配分しておるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  369. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 実態がどうなっておるか調査してください。
  370. 大内雄二

    ○大内説明員 私どもは演習場が安定的に使用できればいいわけでございまして、その限りにおいて、そういう使用料がどの程度、どんなふうなぐあいに配分されているかは十分注意はしなくちゃいかぬと思いますが、県に渡った金がどういうふうに使われておるかにつきましては、私どもの方でとやかく言う筋合いのものではないというふうに理解しておるわけでございます。
  371. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それはおかしいじゃないですか。われわれ国民の税金の中から賄われておる金ですよ。それがどう使われているか、現地でピンはねされておるという具体的な事実が出ておるにかかわらず、それは県に払っておるのだから、その後の問題については調べることができないなんていう答弁はないですよ。そんな仕組みになっておるのですか。ちゃんと調査してくださいよ。
  372. 大内雄二

    ○大内説明員 私どもは、具体的な内容は承知いたしておらないわけでございますが、県の方は、県で定めました条例あるいは算定基準等に基づいて配分されている、こういうふうに聞いておるわけでございます。
  373. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 だから、もう一遍それを調査してくださいよ。
  374. 大内雄二

    ○大内説明員 承知いたしました。
  375. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 では次に、中央高速自動車道の問題で若干お伺いいたします。  大変御苦労いただきまして着々と工事は進んでおりますが、どうも当初皆さんが私たちにお約束をしてくださった供用開始の計画から見ますと大変おくれておりまして、その点は諸般の事情がありますからよくわかりますけれども、ひとつ早く工事を促進していただく意味において、以下のことをお尋ねしておきます。  まず、大月−勝沼間につきましては五十二年度供用開始ができるようでございまして、この点はよろしゅうございますが、問題は勝沼と韮崎の間でございまして、この間が一体どうなっておるのか、ひとつ明確に今後の進捗計画について教えていただきたいのです。
  376. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の勝沼−韮崎間でございますが、この区間は昭和四十六年六月に整備計画が決定されまして、現在、道路公団で事業が鋭意進められておるわけでございます。この区間のうち昭和−韮崎間につきましては、五十四年から五十五年完成を予定しております先の小淵沢以北の間とあわせて、同時に完成をさせるべく重点的に整備を進めておるわけでございます。この結果、中央道は、直轄の勝沼バイパス、甲府バイパスを通じて、五十五年には全線として機能が一応発揮される姿になろうかと思います。なお、残る勝沼−昭和間につきましては、当分国道のバイパスを使うことになるわけでございますが、この区間についても、できるだけ早期に開通をさせて、高速道路として一体のものにするというふうにしていきたいという考え方でございます。
  377. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 勝沼と昭和間はやっと用地買収の話がうまくいったようでございますが、必要な買収費は全部五十二年度の予算に組んであるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  378. 伊藤直行

    伊藤参考人 そのように買収費を組んでおります。
  379. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 幾らになりますか。
  380. 伊藤直行

    伊藤参考人 現在、金額の点については……。
  381. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、それは後でいいです。  それから、勝沼−昭和間というのは大分おくれているようですから、ピッチを上げていただきたいと思います。  それで、この間にインターチェンジは幾つできますか。
  382. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 インターチェンジは、一宮インターと追加インターに決めました中道インター、それから昭和。ですから勝沼−昭和間では、結局二つということでございます。
  383. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 その間サービスエリアはどんなになりますか。
  384. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 サービスエリアにつきましては、五十キロに一カ所というのが大体の基準になっておりまして、この間につきましては、手前に中央道の談合坂のサービスエリアがございます。それから先は諏訪湖のところにサービスエリアがございまして、その間百二十キロばかりあるわけでございますが、いろいろサービスエリアとしての機能とか地形的な条件、地理的条件等を勘案しまして、ちょうどその中間ということになりますと双葉町になります。双葉町地内に一応つくるべく町当局と協議している段階でございます。
  385. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それから一宮のインターチェンジの名称のことでございますけれども、あそこがちょうど御坂町と一宮町との境目を通るようになると思うのですが、地元の方では、一宮御坂か、御坂一宮か、どちらでもいいのでございますが、ぜひ両方の町名をつけてほしいという強い願望があるのですけれども、そうしていただけませんでしょうか。
  386. 前田光嘉

    ○前田参考人 インターチェンジの名称につきましては、利用者に最もわかりやすく利用しやすいということから、原則として地名をつけることにいたしております。場所によってはインターチェンジそのものが二つの地域にまたがる場合がございます。そういう場合につきましては、地元県当局の御意向も参酌いたしまして、それぞれ地元の方々の御納得のいくような線で決めておりますが、当該個所につきましてはまだ決めておりません。従来の例及び利用者の最も親しみやすい名前にしたいと考えております。
  387. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それではここで、ひとつぜひ御坂一宮ないしは一宮御坂、こういうふうな名前にしていただくようにお願いしておきます。  それから、時間が参りましたので、多くの質問はできなくなりましたが、もう一つ、大月から富士吉田の間につきましては二車線になっておりますが、これを四車線にしてほしいという意見がございます。中央道西宮線との関連がありますから、予算関係で両方ということはなかなかむずかしいことはわかりますが、何とかこの問題につきましても、一部まだ用地の買収ができないところがあるようでございますが、そういう点を含めまして、整備計画の中でできるだけ早い機会にできるようにひとつお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  388. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 大月−富士吉田間の四車化の問題でございますが、これは交通量からいきますと、昭和五十年度の年平均の日交通量は六千三百台ということでございまして、昭和四十四年に開通した時点に比べると倍の交通量にはなっております。しかしながら、その区間の交通容量としては、一応計算上一万二百台ということになっておりまして、容量的にはまだ余裕があるわけでございまして、当面は容量からの四車化ということは考えておりませんが、交通量の今後の推移と周辺の道路の整備状況等を勘案しまして、いま言った交通容量に達する前までに四車化を図るように、これは整備計画の変更をしなければいけませんので、その時期等を十分検討してまいりたいというふうに考えます。
  389. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、最後に大臣にちょっとお願いしておきたいのですけれども、お聞きのとおり中央道は大分おくれております。当初計画では、五十二年には瑞浪まで全部貫通する、こういう答弁を私は受けているのですけれども、大分おくれております。いろいろなことはわかりますが、積極的に促進するようにひとつぜひ御協力をお願いしたいと思います。  それから最後に、国道五十二号線のバイパス問題でちょっとお尋ねしたいのですが、県の南の方にある南部町、中富町の西島あるいは身延町、増穂町、こういうところは国道が非常に狭うございまして、交通がふくそうする。どうしてもここにバイパスをつくってもらわなければもうどうにもならないところに来ているのでございますけれども、これらの建設計画について御説明をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  390. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 後段の五十二号の件についてお答えいたしたいと思いますが、一般国道五十二号は、山梨県と静岡県を結ぶ重要な路線でございまして、この間に、バイパスの計画が実施中のもの、あるいは構想段階のものといろいろございます。その中で一番進めておりますのは南部バイパスでございまして、これは用地取得を促進中でございまして、五十七年度に供用できるように持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。そのほか西島バイパスというような考え方がございますが、これは現時点ではまだ実施に踏み切れないでおるわけでございます。それから身延バイパスの事業採択についても、いまのところちょっと見通しがつきません。  それから増穂町の現道拡幅につきましては、現在用地取得中でございまして、これも五十七年度を目途に整備を進めたいというふうに考えております。さらに白根町の現道拡幅につきましても、現在調査中の段階でございます。逐次着工に持っていきたいというふうには考えております。  以上、お答えいたします。
  391. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 工事を決定した路線につきましては、努めて早く御期待に沿うように努力をいたしてまいります。
  392. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  393. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。  次に、鳥居一雄君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  鳥居一雄君。
  394. 鳥居一雄

    鳥居分科員 都市モノレールにつきまして、大臣並びに皆さんの御意見を伺いながら進めさせていただきたいと思います。  都市モノレールの整備の促進に関する法律が議員立法でできまして、都市モノレールの計画が進んでいるわけでありますけれども、全国的に見て、いま大体何カ所でどんな進みぐあいになっているか、まず伺いたいと思います。
  395. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。都市モノレールの計画、これは御存じだと思いますが、いろいろあるのでございますけれども、現在実際に仕事をやっておりますのは北九州市だけでございますので、北九州市の事業内容について申し上げたいと思いますが、北九州市のモノレールは小倉線というのが現在仕事をやっております。起点が国鉄の小倉駅でございまして、終点が北九州市の小倉南区の志井という地名のところでございますが、延長が約八・九キロメートル、途中の駅の数が十二でございまして、建設費の総額が三百六十億、うちいわゆるインフラ部分と称されておるのが百四十三億でございます。利用者数は十万六千人を見込んでおります。  現在までの進捗状況でございますが、すでに約五億一千万ほどの事業費を投入いたしまして、測量、それから設計、あるいはけたの製作の準備等をいたしております。  なお、付言いたしますと、昭和五十二年度からは、千葉市におきまして新しくモノレールを始める予定でございます。
  396. 鳥居一雄

    鳥居分科員 都市モノレールとして北九州がまず先鞭をつけて、いろいろ教訓があるだろうと思います。後を追っかけるようにして、現在千葉市のモノレール計画というものが新年度予算の中に出てきております。それで、この千葉市の事業計画進捗状況について、御説明いただきたいと思います。
  397. 中村清

    ○中村(清)政府委員 来年度からの千葉市につきましての事業費でございますけれども、二年間十分調査をやろうじゃないか。その間、経済調査、あるいは環境に対する影響調査、あるいは測量、それから設計、こういったことを二年間検討しようということで現在準備を進めておる段階でございます。
  398. 鳥居一雄

    鳥居分科員 本年度九千万円という事業費が初めて組まれましたけれども、この事業費の内容、目的、どんなことをやるための費用ですか。
  399. 中村清

    ○中村(清)政府委員 ボーリングなりあるいは概略設計といったことを主にして考えております。
  400. 鳥居一雄

    鳥居分科員 この事業費が組まれる前の段階に調査費がずっと組まれて、三年調査が進んでまいりました。この千葉市の場合のパーソントリップ調査の結果はどういう形になっておりますか。その結果モノレールということになったと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  401. 中村清

    ○中村(清)政府委員 御指摘のパーソントリップ調査は四十三年にいたしました。千葉市の全体の交通状況、あるいは周辺の交通の需要、それから道路の整備状況、こういったものを考え合わせますと、いわゆるモノレールという中量の輸送機関が最適であろうということで、来年度から調査を始めるということになったわけでございます。
  402. 鳥居一雄

    鳥居分科員 もうちょっと詳しく欲しいのです。具体的な事例ですから。千葉のモノレール事業で、今年度予算の中の九千万円が目的とする事業調査ということになるわけですけれども、具体的に、どの区間をボーリング調査しよう、どの区間について設計しようというのか、ひとつ説明していただきたいと思います。
  403. 中村清

    ○中村(清)政府委員 まだ現段階では具体的なことは決まっておりませんで、新年度に入りまして千葉県、地元等と十分相談しながら進めていきたいと考えております。
  404. 鳥居一雄

    鳥居分科員 事業費が予算に組まれるということは、計画の中で第一期工事分としてこれをやりたい、それに対して事業費をまず組もう、これが筋だと思うのです。この九千万円が具体的に何を指しているのかということを聞きたいわけです。
  405. 中村清

    ○中村(清)政府委員 いわゆる山手線と称されている部分は全体で十四キロほどございますが、そのうちの約七キロ程度につきまして、先ほど申し上げましたように、ボーリングとかそういった調査を進めたい。具体的にどの個所をやるかということは、先ほど申し上げましたように、現段階では必ずしもはっきりしておりません。
  406. 鳥居一雄

    鳥居分科員 都市局長から通達が出ております。その通達の中に「建設省との事前協議について 都市モノレール専用道の都市計画決定にあたっては、特に慎重に取り扱うこととし、都道府県知事が当該都市計画を決定し又は承認する場合は、大臣認可を要しないものについても、建設省と事前に協議するものとする。」こういう枠が一つあるわけです。都市計画決定ということが、県あるいは市としてその決定をする前の段階で、内々いろいろすでに相談が来ているだろうと思うのです。正式には都市計画の決定という段になって、こういう事前協議ということになるわけですけれども、この事前協議に当たる相談はありましたか。
  407. 中村清

    ○中村(清)政府委員 少し過去の経緯になりますけれども、まず四十九年度からの経緯を申し上げますと、まず四十九年度に、千葉全域の総合交通体系の検討、これは県の方でなすっております。内容としましては、委員会方式で東京大学の新谷先生を委員長としてやっております。それから五十年、五十一年でございますが、モノレール調査委員会による全体計画検討、これは委員長は東京大学の八十島先生ですが、その委員会の検討によりまして、全体計画——全体計画は約四十キロほどあるようですが——の構想が決定されたというふうに理解しております。
  408. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そうすると、その全体計画四十キロの中で第一期工事分として十四キロ、そしてその十四キロの事業のための調査が今年度予算の中での九千万、こうじゃありませんか。
  409. 中村清

    ○中村(清)政府委員 そのとおりでございます。
  410. 鳥居一雄

    鳥居分科員 千葉のモノレールにつきましては、具体的にそういう進みぐあいがあるわけですよね。それでこのモノレール事業については街路課の方でおやりになっているわけですね。そしてこの全体計画、それから第一期工事分としての十四キロについての年度を踏んでの計画、これはどうなっているのですか。事情をお知りになっている課長さんで結構ですから……。
  411. 中村清

    ○中村(清)政府委員 これは、来年度の要求をいたします際に、県の方から当然いろいろな事情について伺っております。具体的な計画は後ほど申し上げると思いますが、いずれにしましても、二年間でそういう点までちゃんと詰めて調査を進めていきたいというふうに考えております。
  412. 鳥居一雄

    鳥居分科員 特殊街路の決定、それからもう一つは都市高速鉄道の決定、この見通しはどうですか。
  413. 中村清

    ○中村(清)政府委員 調査は、御存じのように千葉県でなさるわけでございますが、あと経営をどういうふうにしていくかといった問題は、その調査の中で、どういう事業主体を経営主体にするかということが明確になってくるというふうに理解しております。
  414. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そうすると、全体計画四十キロ、そしてその中の第一期工事分として今年度予算の中で十四キロ、それでこの十四キロは、四十キロの中のどこの部分でもいいから十四キロについてやればいいんだ、そういう性格のものじゃないですね。この地点からこの地点まで決めてボーリング調査をしたい、それから測量にかかりたい、こういう意味じゃないですか。
  415. 中村清

    ○中村(清)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆる山手線というのがございまして、市役所の方から千葉駅を通りまして、それから少し西に行くのでしょうか、それからまた北上いたしまして、最後は東の方に進んでいく、こういった全長約十四キロというものが現在の対象になっております。
  416. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そうすると、いまおっしゃったところは、千城台から都賀を通りまして、県のスポーツセンターを経由して国鉄千葉駅、さらに経由して東幸町に至る十四キロ、そういう意味でおっしゃっていらっしゃることと受けとめていますが、よろしいですね。  それでさらに、その計画、そういう具体性のあるものが予算意味だと私は受けとめているのです。正式にはもちろん都市計画は県が決め市が決めることです。しかし、事前協議という枠があるのです。いきなり都市計画で決定して国がそれを認めるという立場には立てないわけですから、何回か往復はなければならないと思いますし、それではそういう協議はちゃんと行われていますか。
  417. 中村清

    ○中村(清)政府委員 大筋につきましては、大体こういうことでいこうじゃないかということで現在まで来ておりまして、あと、先ほど申し上げましたような、細かい設計とか、あるいはボーリングとか、そういうための費用としては二年間、少なくとも来年は九千万円という予算が計上されているわけでございます。
  418. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そうすると、いまの御説明のとおり、ルートは千城から都賀を通り、スポーツセンターを通って国鉄の千葉駅を通り、東幸町に出る。それで、事情から考えてみて、道路でない部分を新しく道路を切り開いて、そこをモノレールの特殊街路にしていこう、これは常識的には考えられないことですから、いまある道路の拡幅をやっていこう、こういう基本的な考え方でこの線はかかれているわけですね。どうですか。
  419. 中村清

    ○中村(清)政府委員 そもそもが都市モノレールというのは、道路の改築として費用の一部を補助するという構想で進んでおるわけでございますから、道路交通の補助手段というふうなことで仕事はやらせていただいておりますが、大体は、道路の上でございますとか、あるいは新しく区画整理をして土地を生み出した上を走る、こういった構想になろうかと思います。
  420. 鳥居一雄

    鳥居分科員 ところで、地方自治体にお任せになるというたてまえ、それからいまの通達の中で、これは事業費として橋脚の部分まで含めて三分の二の国費が出ていくという立場で、国として主体的に事業そのものを見守っていかなければならないという大事な立場があると思うのです。現在ルートについて県と市の間にいろいろ異論があります。県の方の考え方、市の方の考え方、これは建設省としてどういうふうに調整されますか。
  421. 中村清

    ○中村(清)政府委員 県と市の間では、私どもは現在問題はないというふうに理解をしております。どちらを先に手をつけるかといったような問題がある程度ございますけれども、そういう話も調整をした上でお話がまとまりまして、それで来年度の予算、こういう段取りに運んだというふうに私どもは理解しております。
  422. 鳥居一雄

    鳥居分科員 まとまってこの十四キロメートルというルートになったということは、大変結構なことだと思います。それで、橋脚部分ができ上がりますと、次は鉄道部分になるわけですけれども、運輸省は一体この事業計画に対してどういう立場にありますか。
  423. 松村義弘

    ○松村説明員 モノレールといいますのは、道路法上の道路に建設される場合には軌道法の適用になるのではないかと思います。まだ、それ以外の分につきまして建設されるときには地方鉄道法の適用を受けるのではないかと考えますが、いずれにしましても、運輸省は両方の主務大臣でございます。したがいまして、事業実施、最終的にお客さんを乗せて運ぶまでには、免許または特許を取る必要がございます。運輸省はそういう立場でございます。
  424. 鳥居一雄

    鳥居分科員 そうすると、都市モノレールにおける運輸省の役割りというのは、ほぼでき上がった段階でそれを特許をする、あるいは免許をする、こういう立場ですね。
  425. 松村義弘

    ○松村説明員 地方鉄道法、軌道法と都市計画法との関係かと思いますけれども、法律的に言いますと、その両者の間には関係ございません。しかしながら実際上は、都市計画決定されて橋脚ができた、しかしその上に免許または特許が何もなされないで橋脚が野ざらしになる、これは非常にみっともない話でございます。したがいまして、都市計画決定をされる前までには、なるべく関係者との間のすり合わせが済むことが望ましいと考えております。
  426. 鳥居一雄

    鳥居分科員 これは立体的に進んでいかなければならない作業なわけですよ。モノレールの計画がなされた段階で、運輸省はぜひこれに顔を突っ込まなければならない話であるのに、免許をするかしないかという段になって物事を判断していくという、非常にお役所的な調整不能の傾向が見られて、この点は非常に残念です。これは建設省の都市局の事業でありますから、建設省の呼びかけにこたえて、それぞれの関係機関が協議をする形になるだろうと思います。これはやはり大臣から関係機関に対する働きかけをするということになるのじゃないかと思いますが、この点について大臣いかがでしょうか。
  427. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまのお話を承ると、どうも呼びかけをする段階にまでいっていないように感じられます。
  428. 鳥居一雄

    鳥居分科員 それではさらに伺います。  第一号が、北九州の場合にまだ工事が始まろうとしている段階ですから、いま大変な問題、騒音、あるいは見られてはまずいところのプライバシーが侵害される心配、あるいは立ち退き問題がある。当然拡幅しなければならない。建設省としては一生懸命建設しようということですが、さらにそういう付帯的な問題が解決されない限りデッドロックに乗り上げる。これも先が見えているわけなんですけれども、この点については、どんな配慮でどういうふうにやっていらっしゃいますか。
  429. 中村清

    ○中村(清)政府委員 騒音につきましては、在来の鉄道交通あるいは自動車、こういったものと比較しますと、相当少ないということが確認されております。また、現在のモノレールの騒音レベルよりも、将来技術的には五ホンぐらい下げることが可能であるというふうにも考えられますので、環境基準という点からはまずまず問題はなかろうというふうに思っております。  そこで、御指摘のようなプライバシーという問題でございますが、当然高架構造でございますから、そういった問題が出てまいるわけでございますけれども、線路から特に問題のある駅のところでは、空間的な余裕はできるだけとる。あるいはのぞき防止といいますか、目隠しをするといったことも、将来考えなければいけないというふうに考えております。  それからあとは日照問題あたりが、あるいはそういった問題の一つとして考えられると思いますが、これは御存じのようにけたが非常に狭うございますから、日照という問題からは問題はなかろう。強いて挙げれば、駅舎の辺が日照上いろいろ問題が出てくるというふうに考えられますが、全般的にはそういった影響は非常に少なかろうというふうに考えております。
  430. 鳥居一雄

    鳥居分科員 それからモノレールに対する期待は大変大きなものがあります。間もなく政令指定都市を迎えよう、昭和五十五年には八十万人突破、そういう中で住民の足確保という緊急の課題に抜本的な対策として注目されるわけです。  この四十キロ計画をよく見てみますと、大変大きな団地が置いてきぼりを食うという形の花見川団地、さつきが丘団地、あるいはあやめ台団地、こうしたところの団地の足確保にさらに救済の手を差し伸べなければならないような面がありますが、四十キロはさらに将来伸ばす、あるいは広げる、こんなような余地は残っているわけですね。
  431. 中村清

    ○中村(清)政府委員 さしあたり十四キロの調査でございますから、四十キロのところはとてもいま申し上げる段階ではないかと思いますけれども、いま御指摘がございました、花見川団地あるいはあやめ台団地、さつきが丘団地、こういったところが交通の便から取り残されるのじゃないか、こういった御心配でございますが、私ども、この十四キロのルートが選ばれた背景としましては、交通需要あるいは現実の道路の整備状況でございますとか、こういったものが総合的に考えられて、現在のルートが選ばれたというふうに考えております。したがいまして、バスの運行サービスが必ずしも十分でないところとか、あるいは道路の混雑がひどい、こういったところで事業効果が非常に大きいようなルートとして選ばれたのが現在のルートでございまして、先ほどの御指摘がございました花見川、あやめ台、あるいはさつきが丘の団地の交通をどうするかといった問題につきましては、他の交通機関が利用できるところもございます。地図で見ましても、必ずしもそういうところばかりではなかろう。そういうところもあるかもしれませんが、私どもは、さしあたり十四キロをまず第一期計画として取り上げて、これ  に全力を注いでまいりたいと思っております。
  432. 鳥居一雄

    鳥居分科員 大臣に伺いたいんですが、千葉市は、いま成田新空港の建設に当たって、ちょうどパイプラインのルートを何とかしなければならない。総理大臣からのかけ声もかかりました。それで住民運動の前に挫折をしているんですけれども、今回のこのモノレール促進予算化とパイプラインの埋設と、どうも裏取引があったのじゃないかといううわさが流れております。このうわさが仮に事実であるとすれば、一方の当事者の立場にお立ちになるのですけれども、こういうような事実はいかがですか。
  433. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、それらについては何事も相談を受けたこともございませんし、知る由がございません。
  434. 鳥居一雄

    鳥居分科員 いま三分の二の補助ということで事業が進もうとしておりますけれども、建設省は、橋脚からインフラ外部にさらにもっと積極的に身を乗り出す形になっていいのじゃないかと思うのです。つまり補助を増強していく形で、もっともっと積極的な補助というのが望まれるように思いますけれども、これに対して大蔵省いかがでしょうか。また今後の補助の増強について、ひとつ御意見を伺いたいのです。
  435. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  四十九年度にいろいろと議論をした末に、いまのような補助制度を設けたわけでございます。そのときの考え方は、いろいろな助成の方法があり得るということで検討したわけですが、モノレールのインフラ部分は道路の一部だということで、これを補助対象にするということでやったわけでございます。道路の一部ということで補助をいたしておりますので、それ以外の分について補助を広げるというようなことはきわめて困難だと思います。  それから一般論として申し上げますと、先生の御趣旨は、補助率を上げる、あるいは国費の負担率を上げることによって事業進捗を図ったらどうだ、こういう御趣旨だと思うのですが、御承知のように国の財政体質が非常に厳しくなっております。これからも公共事業のための予算確保するということは、いままでのような高度成長、それに基づいた大幅な自然増収というふうなことが期待できないということを考えますとなかなかむずかしい。その中で事業の推進を図っていかなければならぬ、そういう状況のもとで国の補助率を上げるということは、一定の国の予算を前提としまずと事業費は減るということになります。そういったことも考えますと、われわれとしては、この問題については慎重に臨まなければならない、こういうふうに考えます。
  436. 鳥居一雄

    鳥居分科員 大臣もう一つあわせてお答えいただきたいんですが、利益誘導を図るみたいな立場からくる一部の圧力を排撃するためにも、いま新都市開発協会というのがすでに設立されまして、モノレール計画について、県やあるいは市、または国に対して建議しようとしている動きがあるそうです。一部大企業の利益につながらないような、そういう機関として活動を始めたと言いますけれども、民意を反映させた計画作成ということが非常に大事だと思うのですけれども、大臣のお考えをあわせてお願いしたいと思います。
  437. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 お説のとおり、これは千葉県の新都市開発協会が県知事に認可を得て行うことであります。しかし、民意の反映ということは当然でありまして、その点には十分注意をし、また私の方からも、この点を御注意申し上げておきたいと存じます。
  438. 鳥居一雄

    鳥居分科員 実は公団の方に御質問をお願いしようと思っておりましたが、時間の都合等がございますので、次の機会にお願いしたいと思います。  本日の質問、以上でございます。ありがとうございました。
  439. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて鳥居君の質疑は終了いたしました。  次に、堀之内久男君。
  440. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 私は過去十四年間地方政治をしてまいりましたが、特に最後八年間というものは市長の職務を担当してまいりました。この中でいつも非常に苦しんでまいったのが、常に住民から文句を言われてきたのが都市計画法の線引きの問題であります。  昭和四十三年ですか、新都市計画法が制定されまして、四十四年から線引き作業が開始されたと思っておりますが、この線引きに当たっては、私どもは、この法律から見まして、A農地、B農地、C農地の三種類に分けて農地課税をするのだ、そして将来はC農地も宅地並みに課税をする、こういうことで線引きを行い、また住民の指導もいたしましたので、賛否両論いろいろありましたが、結果的には、今後とも農業に専念する農地というものは市街化区域に入れたくないという形で、線引きの点をある程度縮小されたものもあるわけです。しかし、都市計画法のかなめになります課税というものが——これはその当時の与野党の国会、政府ともに遺憾だったと思いますが、結局、末端の市町村長あるいは農民、住民をだましたことになるわけで、課税をすると言っておったのがいまだに課税されていないわけです。結局、そんなに課税されぬのであったならば、われわれのも市街化区域に入れるべきであったという農民の非常な不満があるわけです。というのは、今日市街化区域と調整区域の格差というのは非常に大きいわけです。これは恐らく全国同じだと思います。したがって、建設省考えられました環境のいい町を線引きによってつくって、そして宅地提供もりっぱに進めていくのだ、こういう考えでりっぱな都市づくりということでやられたと思いますが、実際こうして今日約七年経過いたしまして、果たして計画どおりの宅地供給が円滑になされておるかどうか、お尋ねをいたします。
  441. 中村清

    ○中村(清)政府委員 宅地供給の問題については、後ほど計画局の方からお話があるかと思いますが、線引き後大体数年たっておりまして、現在、線引きの見直しの時期になっておるわけでございます。  大体の傾向を申し上げますと、石油ショック後の経済の落ち込みというものがございまして、公共投資が非常に制約されてきたというような事情がございまして、市街化区域内の公共施設の整備が必ずしも理想どおりには行われていないということを認めざるを得ないのは残念でございますが、事実でございます。  なお、市街化調整区域内の、たとえば既成市街地の周辺等々におきましては、できるだけ優良な宅地を整備するように、各種の手法を通じて現在鋭意努力中でございます。
  442. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 宅地供給が円滑に行われていないとするならば、これをどのような方法を考えておられるか。線引きの見直しもおおむね五年ごとということで言われておるのですが、恐らくほとんど見直しをされておるかどうか。あるいは宮崎県だけなのか。実際七年になろうとするのです。やるときはやんやんやれやれと言って、あなた方は相当厳しく市町村長を督励された。みんないやいやながら渋々これをやられて、そして線引きをしなければ都市計画予算はつけないよという最後のおどしにかかって、渋々みんな提出をいたしたわけでありますが、そういう面の見直しはいつごろやられる予定ですか。
  443. 大富宏

    ○大富政府委員 最初に御指摘ありました、市街化区域の中の宅地の供給は円滑に行われているかという御質問でございますが、市街化区域百二十万ヘクタールと言っているわけでございますが、この中で農地というのは二十五万ヘクタールでございます。いまお話しのように、四十七年当時、宅地並み課税というときには、全国の市街化区域の農地を宅地並み課税するということでいったのでございますけれども、その後、これは宅地並み課税を実施いたしますのは、三大都市圏の市に所在するA、B、C農地。しかもC農地につきましては、宅地並み課税のスケジュールがまだはっきりしない、こういう段階でございまして、現在、宅地並み課税を実施しておりますのは、三大都市圏の百八十二市だけでありまして、九万二千ヘクタールということでございます。この中で、今度第三次の住宅五カ年計画では、六万六千ヘクタールの土地を出さなければいかぬということでございますが、三大都市圏で約半数、三万四千ヘクタールを新規に供給しなければいけない。その中でやはり唯一の大きい宅地化すべき資源とするのは、宅地適地としての農地だと思います。しかし農地の転用面積も、四十七年をピークにいたしまして、年々低下いたしております。ただ、それにいたしましても、まだまだこの三大都市圏の市街化区域の農地は十四万ヘクタールぐらいあるわけです。ただ、これを無計画に宅地化していくということは非常に問題でございますので、私どもといたしましては、市街化区域のこういう宅地適地というものにつきましては、区画整理というような手法を用いて、計画的に出していくというのが一番現実的な方策だろう、こう考えております。
  444. 中村清

    ○中村(清)政府委員 線引きのお話が出ましたのでお答えを申し上げますが、都市計画法の第六条によりますと、知事さんは都市計画区域につきまして、おおむね五年ごとに、その地域の人口規模でございますとか、産業分類別の人口規模、それから土地利用の状況、市街地の面積、それから交通量その他いろいろな要素がございますが、そういったもろもろの要素の現況と将来の見通しについて基礎調査を行うということになっております。そしてこの基礎調査の結果に基づきまして検討いたしまして、市街化区域が過不足はないかどうかといったことを精査いたしまして、必要があれば都市計画区域の変更を行うということにしております。  現状を申し上げますと、現在、全国的に大体の市街化区域の見直し、線引きの見直しが行われておりまして、すでに十三の都市計画区域におきましては完了をしております。  ちなみに、この十三区域の一例を申し上げますと、大垣でございますとか、大阪の泉大津、あるいは岸和田、それから福井、それから新潟県の長岡、あるいは大阪の貝塚、こういったところですでに都市計画決定の告示が終わっております。残余の地域につきましても、おおむね五十二年度中に全部そういう見直しが終わるということで、現在各県で作業を行っております。
  445. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 五十二年度中というのは、今月のことですか。
  446. 中村清

    ○中村(清)政府委員 五十二年度中でございますから、来年の三月ということでございます。
  447. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 各市町村においては、もう昨年から線引きの見直しをしていただけるということで、大変準備をしておるけれども、建設省か、あるいは県か、どちらかわかりませんが、なかなか受付もこの見直しの審査もない、こういうことですが、そういうように全国的に進められておれば、なお一層早急にこれはやっていただきたいと思います。  そこで、この線引きは、先ほども申しますように、最初、農地課税をするのだ、だから、下手にするとあなた方の場合は困りますよということも、十分言ってあるわけです。しかし、その前提の、農地課税をするという一つのこれが崩れたとするならば、線引きはもう一回新たに当然見直ししなければ、非常に住民間の不公平が出てきておるわけです。先ほどもちょっと申しましたように、市街化区域は恐らく宅地供給というのはうまくいっていない。  私がもと市長をしておりました都城市では、恐らく局長も御存じのとおり、九州管内でも区画整理が一番進んでいるところです。しかし、きれいにしたら、いままで一反歩百万か百五十万しかしなかったのが、今度は二千万もするようになった、これはよかったわと言って持ち主が喜んでくれるだけで、結局売らない。いわゆる財産の価値が上がってきたということで、ますます売らない。売ったらまた課税されるから、税金に取られてしまうから、ますます売らない。だから、皆さん方が東京で考えておられるような形での宅地供給というのはなされない。もう現実に、われわれ市役所が市営住宅をつくろうと思っても、あるいは町村が町営住宅をつくろうと思っても用地が買えない。売る農家でも、わずかに百坪とか百五十坪しか売らない。そんなにまとまったところを四反歩も売ったら、税金でがばっと取られるだけだから、これはだれだって売らぬのが当たりまえだと思う。だから、今後の線引きの見直しというものについては、いま少し末端の実態というものを踏まえた中で好意ある配慮をしてほしい。これは私は偽らざる市町村長方の要望だと思う。  一回は、私は議長と建設省の都市計画課に陳情にも参ったことがありますが、最終的には、目の前で陳情書を破って大げんかをして帰ったことがあるわけです。なかなか建設省の幹部の頭というのは古い、かたい。われわれが一たんつくった法律だからこれを絶対やりなさいというような形で、非常にその辺の融通性がないということを、二年前に痛切に私どもは感じた。だから、いま現在恐らくどこでも、町村議長会とかあるいは市町村長会で陳情書が出ておるはずだ。実際にこれはやりにくくて、公営住宅でさえ市町村も困っておる。だから、そういうことを考えますときに、この宅地供給をさらに容易にするためには、やはりある程度市街化区域というものを広げてもらう。そういうような方向でないと、きれいに抹消していけばいくほど、地価の財産価値が自動的に上がっていくだけなんです。そうして何でも植えておけばいい。緑地保全のためのものは何でも課税しないということになってくると、結局ずっと財産の価値として残ってくる。これはよしあしは別といたしましても、本人の自由ですからやむを得ないと思いますが、したがって、ある程度のスプロール化をしない程度には——市町村長は、どこでもここでも家をつくって虫食い状態にすることは絶対考えられない。やはりある程度自分の町をよくしようという大きな理想の中でやっていただいておるわけですから、ぜひ線引きの見直しについては前向きな形で一いずれ農地課税をしないというのであれば、やはり皆さんにある程度そうした恩恵が与えられる、また今後の住宅政策も十分できるような方向で御検討を願いたいと思いますが、都市局長のお考えをもう一回お聞きいたします。
  448. 中村清

    ○中村(清)政府委員 先ほど申し上げましたように、線引きあるいは線引きの見直し、これは、人口の規模でございますとか、あるいは土地利用の状況であるとか、あるいは交通量とか、こういったいろいろな指標の現況と将来の見通しを踏まえて都道府県知事さんが線引きをなさるということでございますので、私どもそういう希望に際しては、遺憾のないようにいたしたいというふうに考えております。
  449. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 局長は知事さんがということになっておりますが、果たして知事の考え一人でできますか。いままでのやつは、建設省ほど末端まで握っておるところはないのですよ。たとえば街路の十二メーターは市町村長が決定できるとなっておるのです。ところが市町村長で決定できませんね。知事と合議しなさいということで、知事は必ず建設省と合議する。一六メーター以上の道路になると知事が決定できる。ただし知事は建設大臣と合議しなさいとなっておる。だから、いずれにしてもみんな建設省が全部上で握っておられるものだから、その線引きでも末端の知事にお任せするんだということであれば、これは容易なんですよ。ところが実際は、そういうような行政が行われておらない。都市局の都市計画課、総務課で、ぴしゃりその線引き一つから、街路一つ指定するのから全部建設省の御意見を聞かなければ指定ができない、こういうことになっております。しかし局長は、知事で決定できるからどうぞということですから、そうであればこれは全くありがたいことで、末端の方では大変喜ぶと思いますが、この点は恐らくそれはできないだろうと思うのですが、この点もう一回お願いをいたします。  それと、先ほど公営住宅問題も話しましたが、いま農村都市でさえ過密過疎が起こっちゃったのです。東京のこの中央部ばかりではないのですよ。私のわずかな十二万の都市でさえ、小中学校を新設しなければならない、あるいは学校によっては教室を二つ三つふやしていかなければならない。ところが、わずかそれをちょっと入った調整区域の小中学校はどうかというと、いまから十五、六年前の半分以下です。一方では学校はがらがらあいておるのに、一方では新しく無理して土地を買って学校をつくっていかなければいかぬという一つの現象も出てきておるわけです。だから、こういう面の配慮というものを考えますときに、さらに公営住宅は調整区域には認めないということになっているのです。ところが国は、調整区域に勝手につくってよろしい。これは国は信用できるが末端の市町村長はできないのだという一つのあらわれじゃないでしょうか。なぜ、国は住宅をどこでもつくってもいいのに、市町村は公営住宅すらつくれないか、これが今日のあれですが、この点に対する見解お願いします。
  450. 大富宏

    ○大富政府委員 市町村は信用がないから開発許可の対象にしているということではございませんで、現在の都市計画法のたてまえでは、開発許可を行うものは知事及び指定市になっているものですから、この開発許可権者と大体同レベル以上の、国とか都道府県とか、指定市あるいは公団、こういうものにつきましては、開発行為の適用除外にしているわけでございます。  ただ、適用除外をいたしておりましても、現実に、国とか都道府県あるいは公団が、調整区域あるいはその他で開発行為をやろうという場合には、やはり都市計画法の趣旨に従いまして、スプロールなり無秩序な開発をしない、やはり法の趣旨は守っていかなければならない、そのように都市計画法の施行通達には現に書いておりますし、また現実に、開発行為の法形式上許可は要らないといいましても、公団が住宅団地を建設するような場合は建設省と協議もいたしますし、それからやはり上水道、下水道、あるいは街路、そういうものについては、それぞれの管理者と相談しなければいかぬわけですから、現実には、国でありあるいは公団であれば、何もチェックなしにどこでも建てられるというものじゃございません。  また市町村におきましても、開発行為の一応適用対象にはなっておりますけれども、庁舎とか研究施設とか、ごみ処理施設とか、あるいは不良住宅街区の事業とか、こういうものにつきましては、開発行為の許可対象になっていないわけでございます。お述べになりましたような、実際に公益性を追求するような市町村施設というものについては、開発行為の許可も要りませんし、実害はないんじゃないか。お述べになりましたように、確かに公営住宅については問題がございますけれども、これもやはり、そういう都市計画法の趣旨を全うするような建て方、あるいは計画というものでございましたら、開発行為の許可をとるにはそう問題はないんじゃないか。法の形式でございますので、市町村は信用が置けないから許可の対象にしているというものではございません。
  451. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 ちょっといま局長お話でわかりませんが、国の場合は官舎はたくさんつくっておりますね。そういう場合は、どんどんどこでも許可されたかわからぬが、われわれ末端市町村はわからなかった。転用が上がってきてわかったのですが、それなら公営住宅の場合は、開発行為で出せばできるのですか。
  452. 大富宏

    ○大富政府委員 先ほど申し上げましたのは、国とか公団、都道府県というものは、開発行為の許可の対象になっておりませんけれども、現実に調整区域で開発行為を行う場合には、都道府県なんかと事前に十分に調整をするように行政指導をやっております。ことに住宅公団等につきましても、建設省にも相談するようにという仕組みになっているということを申し上げたわけでございます。また、しかも現実に、住宅公団が建てて、下水道をつくったり上水道を引っ張ったりというとき、あるいは義務教育施設なんかの関係もあるわけでございますから、当然これは市町村なんかと事前に相談しない限りは開発もできないわけでございます。  それと、いまお述べになりました市営住宅も、形式的には当然開発行為の許可の対象になるわけでございますけれども、市町村が開発主体でもございますので、都市計画法の趣旨にのっとった開発行為の許可申請を都道府県とおやりになる分については、これは市町村だからだめだということにはならないだろうということを申し上げたわけでございます。
  453. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 これははっきり確かめておきますが、それなら県の方に、一つの区域で、調整区域内で四、五反歩の用地が確保できたから、都市計画法の趣旨にのっとった開発行為で公営住宅をつくりますという申請を出せば、できるのですね。
  454. 大富宏

    ○大富政府委員 ちょっと誤解があるとあれでございますが、私が申し上げましたのは、現在、調整区域におきましても、二十ヘクタール以上のものについて特段の許可があれば、調整区域でもできるわけでございますが、いまのような問題で、調整区域で二十ヘクタール以上の市営住宅ということで、計画が、都市計画法に書いてあるように、市街化のおそれがなくて、しかも市街化区域の中では適地が得られないというような問題があれば、支障はないと私は思っております。
  455. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 そこで、いま二十ヘクタールの問題が出ましたが、実際は、調整区域で二十ヘクタールまとめて買えて、そして開発行為を出しなさいといっても、これは実際問題、絶対不可能なんです。  私どもの陳情しておるのは、この前行ったときも、同じ一つの広域都市計画か、あるいは市町村の大きな土地があるならば、この中で、A点で三ヘクタール、あるいはB点で二ヘクタール買えた、C点で五ヘクタール買った、合わせたら二十ヘクタールになる。それを都市計画法の趣旨に沿った開発行為をりっぱにして、そして公営住宅をやると、点々として学校の配置もよくできるわけなんです。いまは公営住宅をやれば、いろいろな住宅はある程度分散をして、非常に学校を考えてやっているわけです。でないと、学校をつくるとなると、なかなか莫大な金を要します。いまはただ住宅を建てればいいじゃ済まないのです。それには幼稚園が要る、保育所が要る、そしてまた学校が要る。そういうものを配慮しないと公営住宅が建てられない。  それが実態なんですけれども、そうした場合に、いま調整区域の開発行為を二十ヘクタールというもの——二十ヘクタールというのは政令てつくっておられるのですから、あなた方だって政令でやられておるんだから、何も二十ヘクタールに限定する必要はないじゃないかど私は思う。この点、大臣、どう思われますか。
  456. 大富宏

    ○大富政府委員 現在の都市計画法では、御案内のとおりに、都市計画区域を市街化区域と調整区域に区分をいたしておるわけですが、その趣旨というのは、無秩序な市街化の拡大を防ぐということと、限られた公共投資でございますから、一応、市街化区域、優先的に計画的に開発すべき市街化区域に公共投資を集中していく、そういう趣旨でこの線引きが行われているわけです。ただ、例外といたしまして、調整区域にも少なくとも二十ヘクタール以上ありますと、都市計画法に書いてある要件を満たせば、調整区域の開発もできるわけです。  二十ヘクタールといいますのは、ヘクタール百人といたしまして二千人ですから、四人家族といたしまして五百戸ちょうど一集落でございます。だから日用品店舗ができたり、あるいは幼稚園が一つできるというような一つのまとまりでございますから、そういうところでしたら公共公益施設一つのまとまりをもってできる。しかも市街化区域に迷惑を及ぼさないでできる。したがって、少なくとも最小二十ヘクタールだという趣旨でございますから、私は二十ヘクタールは少なくとも最小限度の要件だというふうに考えております。
  457. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 局長、それは四十三年、いまから十年前できた法律ですよ。それが現在の経済情勢にマッチできるかどうかということなんです。一たんつくった法律はもう憲法みたいに思われるからなかなか進まない。それだけ末端の市町村長が要請するのであれば、そうかなと思って再検討することも大事ではないですか。現実に二十ヘクタール買えますか。買えないですよ。そういうことが、血の通った国政でない限り、みんなが不信を持ってくるわけです。  私もいままで八年間、末端の市長でしたが、市議会のあるたびに私が悪者になる。おれが悪いのではない、建設大臣が悪いのだ、あっちへ行ったら言えというぐらい言ったのだ。それぐらい苦しいのだ。  これは非常に脱法行為があるのです。たとえば金持ちは農家の次男、三男の名義で農地を一反歩買って、そして転用申請を次男、三男の名義でやるわけです。りっぱな家が建つなと思っていたら、一ときやんだと思うと、実は私は金が続かずに売ることに決めましたと言って、町の金持ちに売るわけです。実際はもともとからその金持ちが金を出してやらせているだけなんです。私の近辺にもそういうのが二、三軒あるのです。こんな大きなりっぱな家ができて、あれがよくそんな金を持っていたなと思っていると、どこかの社長の家なんだ。それは現金があるからできるのです。ところがわれわれのような安サラリーマンはできない。まず土地が宅地化されない。住金から借りる場合には宅地を担保にしなければならない。だから、安いサラリーマンは安い土地が取れずに、金持ちの者が安い土地を取って家をつくっていく。おかしな現象だ。みんな脱法行為だ。われわれも何回か農業委員会でやかましく言うと、いやそれは彼の名前で申請されているのだからどうにもならなぬ、チェックができない。いま現実にそういうのがだんだんとできておるのです。農家の次男、三男とか四男の名義で家をどんどんつくる。  だから、こうした都市計画法は、法律にしてみても脱法されて、結局、市民の不信を買っている。金持ちならばどこでもいいところにできるのだという形になりますから、この際、調整区域の運営については、いまの二十ヘクタール以上でなければならぬとか、そういう考え方ではなくて、もう少し弾力的な運営をなされるように特にお願いをしたい、かように考えますが、もう一回、計画局長のお考えをお聞きしたいと思います。
  458. 大富宏

    ○大富政府委員 いまお話しになりましたのは、三十四条の十号の口の適用の問題だと思いますが、これは本来、農家の次三男対策ということで、市街化のおそれがないという前提で、個別に開発審査会の議を経て判断すべきものになっているわけでございます。それの運用の問題だろうと思います。  いま御指摘になりました点は、確かに二十ヘクタールという基準は、四十四年の法施行以降政令で定められたものでございますけれども、やはり趣旨といたしましては、現在の市街化区域の市街化の状況を見て、いまお述べになりましたように、地方においては、市街化区域あるいは調整区域の線引きが実情にマッチしてないというお話であれば、最初に御質問がございましたように、線引き見直しとして考えるべきものでありまして、やはり市街化区域と市街化調整区域の線引きというものをしている以上は、その趣旨にもとるような調整区域で無秩序な開発行為が行われることは、私は好ましい現象ではないのではないかと思っております。
  459. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 時間がありませんので、最後に要望を申し上げておきますが、いまの計画局長の御趣旨はよくわかるのです。われわれも調整区域を無秩序に開発するとは言っていないのです。しかし、現実に市街化区域内が、あなた方の予定どおり宅地供給もなされない。そうすると、末端の市町村、自治体が公営住宅も建てられない。どえらい値段がするわけですから。今度の新年度予算では、住宅建設が大きな福田内閣の目玉になっておるわけですが、実際にそういうときにこれが行われないという末端の実情がありますから、もう少しそういう面の弾力的な検討お願いしたい、かように言っておるわけであります。  それから道路局長にお尋ねしたいと思いますが、宮崎県の一つの路線を申し上げて大変申しわけございませんけれども、国道工百二十二号というのがあるわけです。日南と都城を結ぶ線ですが、これは県南の唯一の道路です。幸い建設省の御配慮で牛ノ峠線というりっぱなバイパスを建設していただくことになっておるのですが、ところがこれはちょっと当分の間夢の道路です。私はこれを早く予算をつけろとは言いません。毎年五億か六億で、これは三百億かかるそうですから、ちょっと生きておる間に通るかどうかわかりませんが、これはそれでいいと思うが、牛ノ峠線が仮に二十年かかるのだったら、二十年間現道の二百二十二号線は使わなければいかぬわけです。そしてこれは都城−串間線という主要地方道と連結をしていて、いずれにしてもこれは今後とも、将来県道に格下げになっても主要地方道として残る道路です。ところが、格下げになる道路だから特三だということで、道路局では余り予算がつけられないのだということで、ちょびちょび義理的なものをつけている。しかし現実には、これは県南を結ぶ最も重要な道路であることも間違いない。あるいは都城−串間線というのもそうです。わずかずつ予算がついている。みんな県南の者は、常に鹿児島県を渡っていかなければ、都城には来られない。志布志を通って、いわゆる山中道路と言っていますが、あちらを渡って来なければ、都城には来られない。これはわれわれも、県政でも常に言っておるのですが、国がなかなか予算をつけてくれないものだからということで、これでは県南が陸の孤島と言われても仕方がないわけです。  この点、道路というものは、いろいろ予算的にも制約されておりますが、幾らバイパスができるからといっても、この既設の国道並びに主要地方道について、建設省でももう少し——地域住民一つの幹線道路ですから、ほかの支線の県道とか、そういうものとは全然違うわけです。そういう意味で道路局のお考えを一回お聞きしたいと思いますが、なかなかむずかしい時期でありますので、局長さんの御答弁をお願いいたします。
  460. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の問題は、幹線道路ができる場合の現道の処理の問題だと思いますが、確かに牛ノ峠の大規模改良に手をつけてはおりますが、この全通は相当先の話でございまして、その間に周辺一般道路の現況を逐次よくしていくということは、これまた重要な仕事だと思います。それにはかなり予算がかかるわけですが、これを効率的に使うためには、特改、あるいは修繕とか、局部改良とか、あるいは小規模改良とか、そういうものをうまく組み合わせながら現道の交通網の維持に努めていくというのが、やはり道路整備の一面の姿勢だと思いますので、今後とも、現道を有効に使うことについても、大規模バイパスの促進と並行して十分配意してまいりたいと考えております。
  461. 堀之内久男

    ○堀之内分科員 これで質問を終わりますが、有効に使うのではなくて、もう少し前向きに、これは将来とも廃止できる道路ではなく、大きな市と  一方は結んでおり、主要道路として残るのですから、どうかそういうことで今後格段の御配慮をいただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  462. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて堀之内君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  463. 東中光雄

    東中分科員 地代家賃統制令関係についてお伺いしたいのでありますが、現在、地代家賃統制令の適用対象になっている借家あるいは借地は、何件くらいあるのでしょうか。
  464. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現行の地代家賃統制令につきましては、終戦直後の異常な住宅不足に基づく極度の需給の不均衡ということによりまして、地代家賃が急騰することを防止するということで制定されたものでございますが、その後、相当の緩和措置が行われております。その結果といたしまして、現在では統制対象戸数も減少しております。的確な資料が手元にございませんけれども、昭和四十八年度の住宅統計調査の結果から推計をいたしまして、全借家の約一三%に当たります約百五十八万戸程度が対象になっておると思います。なお、統制対象借地は約五十七万戸分程度というふうに推測いたしておるわけでございます。
  465. 東中光雄

    東中分科員 いま地代家賃統制令の目的のことにも触れられたわけでありますけれども、戦前の第一次、第二次、それから戦後二十五年に統制令が出されておるわけでありますが、当初の統制令的な、あるいは統制経済的な考え方と違って、いまは明らかに、これは地代家賃統制令の目的自体にも書いてありますが、「地代及び家賃を統制して、国民生活の安定を図る」ということでありますが、実体的に言えば、弱小借地借家人の居住権を保護するという大きな観点が貫かれておる。いわば社会法というふうに一般に認識されているわけですけれども、建設省ももちろんそういうふうにお考えだと思いますが、いかがでしょうか。
  466. 山岡一男

    ○山岡政府委員 第一次、第二次の家賃統制の後を受けまして、昭和二十一年に制定されたわけですけれども、制定当時の異常な住宅難はかなり緩和をされております。昭和四十三年十月現在ですでに住宅数が世帯数を上回るという事態になりましたし、昭和四十八年の住宅統計調査によりますと、全都道府県におきましてそういう事態が生じております。なお、昭和二十五年七月十日以前に新築に着手された床面積九十九平方メートル以下の住宅及びその敷地等に適用が限られております。したがいまして、一部の借り主の既存の利益の保護を図る結果になっておるのではないか、新旧世代間の均衡を若干失している点があるように思います。それから、統制対象物件の借り主の所得水準が、統制対象外物件の借り主の所得と、ほとんど同じであるというような状態でございますので、低所得者対策としての効果も薄らいでおるのではないかというふうな事情がございまして、われわれといたしましては、現状に余りそぐわない法律になっておるというふうに考えておる次第でございます。
  467. 東中光雄

    東中分科員 そういうことじゃなくて、九十九平米以下に限ったというところから、それまでの一般的な借地借家人の居住権保護ということではなくて、弱小の賃借り人の居住権を保護していくという性格に変わってきたんではないかということを言っておるわけです。その点はどうでしょう。
  468. 山岡一男

    ○山岡政府委員 見方によってはそういう見方もできるかと思います。ただし、先ほど申し上げましたように、当時の低所得者対策ということでございましたけれども、現在、中に住んでいらっしゃる方々の所得等から見ますと、それ以外のところともそう大差がないような実情が多く見られるというような点から、先ほど申し上げましたような意見を申し上げたわけでございます。
  469. 東中光雄

    東中分科員 そういうことを言われると、これはひっかからざるを得ないのですけれども、建設省は狭小の統制令の適用を受ける人たちの借地借家人の所得が上がっておるとか、上がっていないとか、そういう所得調査なんかをやられた上のことですか。ただ漠然と言っておられるのじゃないですか。調査をやられたならやられたで、いつどういう調査をやられて、どういう結果が出ておるのか、ひとつ示していただきたい。
  470. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、住宅統計調査からの推計でございます。
  471. 東中光雄

    東中分科員 それは住宅の統計であって、所得の統計じゃないでしょう。所得の統計をとっているのですか、そういう中で。
  472. 山岡一男

    ○山岡政府委員 住宅統計調査の中には、住宅の客観的な建物の調査のみでなくて、そういうようなものも調査の対象に入れております。
  473. 東中光雄

    東中分科員 借地人あるいは借家人の、いわゆる九十九平米以下のところに住んでいる人たちの所得調査をやったと言われるのですか。それならそのデータを出してください。
  474. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、全体の中で、たとえば九十九平米以下のものはどれくらいあるか。それからそれが昭和三十五年七月一日以前にできたものはどれぐらいあるのか。それからそれらの中に住んでいらっしゃる方の所得はおおむねどの程度かというものを推計してきておるわけでございます。
  475. 東中光雄

    東中分科員 それは、いま言われた、住んでいる人がどれぐらいおるかということなんかの調査推計はわかりますけれども、所得の推計なんというものを建設省はやられるべき性質のものでもないし、また、やれるものでもないと思うのですが、漠然とそういうふうに言われるのは、余り根拠のないことではないか、こう思います。  それで、私がいまここで申し上げたいのは、昭和四十七年の一月一日から施行された告示でありますが、地代家賃統制令の告示によって、地代家賃の統制が統制でなくなっている、非統制分よりも高いような事態が起こってきているということについて、これは統制令を省の告示で換骨奪胎していくものではないか、こう思うものでございます。  それについて、昭和四十七年の六月二日、東京地裁が、これは抗告事件での決定でありますけれども、全く合理的根拠がないということを言って排斥しているのがありますね。  「現在の統制賃料は、その算定の方法として、固定資産税課税標準額に資本利回り率五%を乗じ、これに固定資産税及び都市計画税を加算したものをもって年間賃料とするという積算方式を用いているが、現実の地価の形成には賃料以外の要素が極めて大きく作用しており、地価のうち賃料を資本還元した部分は地価の小部分を占めているに過ぎないので、ここらのところを十分検討せずに安易に積算方式に拠るのは、実情を遊離する危険に陥る。今次の統制賃料の改正により、統制賃料が統制外の賃料を上廻るという奇異な現象を呈するにいたっているが、これは、資本利回り率の大幅引き上げによるのではあるが、五%の利回り率そのものは高率とはいえないので、根本的には固定資産税課税標準額を元本とする考え方に致命的な欠陥があるのではないかと思われる。固定資産税課税標準額を元本とする合理的理由を告示は示しておらず、また、合理的理由も見出し難い。」  こう言って排斥をしていますね。統制令という法律が告示によって曲げられて、統制としての役割りを果たしておらぬ、こういうふうに裁判所が公式に決定を下しておるわけであります。その点についてどう考えておられるかということをお伺いしたい。
  476. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生御案内のとおり、統制令では、その第五条におきまして、統制額が公正でないということになった場合には、大臣は告示で改正できるということになっております。それで、その公正でないという判断の中に、それが妥当であったかどうかという問題があるわけでございますけれども、昭和四十六年の告示改正の当時におきましては、家を貸している方の方々のいろいろな実情等の調査も行ったわけでございますけれども、当時、地代そのものの平米当たり単価等につきまして比較をしてみた上で、なお一般のものにつきましては権利金等が相当加味されているという実情がございました。それで御案内のように、地代家賃統制令では権利金を禁止いたしておりまして、それらの実情も反面加味をしながら検討したものでございます。その後につきましては、お説のとおり、確かに地代の統制額よりも実際の賃料の方が安いというものも出てまいっておりまして、逆に申しますと、統制令の方が実情よりは高いというものも近辺には出ております。そういうものにつきましては、長い目で検討しなければならぬというふうに思うわけでございます。
  477. 東中光雄

    東中分科員 長い目で見るんじゃなくて、つくるとき自体に問題があったのではないか。現に、ここにまた別の裁判例を持ってきているわけでありますが、これは、大阪地裁の昨年、昭和五十一年八月十一日の判決でありまして、その判示理由の中で、「坪当り地代相当額が本件土地に近似する土地について、統制額の六〇パーセントないし七〇パーセントの範囲内で約定されている事例が多数存することが認められる。」ということで、統制額よりも適正といいますか、実際に行われている額の方が三割も四割も安いんだ、逆に言えば、三割も四割も統制額の方が高いんだということで、統制額による地代、家賃の値上げ請求を排除して、それは適正額でないというようにやっているわけですね。こういう案件というのはあっちこっちで起こっているわけであります。  そのほかに、やはり大阪地裁の昭和四十九年八月九日の判決でも、手厳しい批判をやっておるようであります。これによりますと、「右統制額どおり増額されるとすると、一、の建物については」、物件が二つあるわけですが「一、の建物については従前の三倍ないし四倍、二、の建物については一・八倍ないし二倍強となる。」「然し余り急激な増額は賃借人の生活に与える影響が大きいし、土地価格の上昇にそのまま比例して、地代ひいては家賃を増額することは、地価の上昇の度に新な地価相当額の投資をしたと同一に帰する点において、地主には有利になる反面賃借人には酷な結果となる。」ということで、統制額いっぱいの要求を退けている。これでは借地借家人、弱小賃借り人の居住権を保護するというよりは、むしろ逆に貸し家貸し地人の側の値上げを誘発することにさえなっている。法の趣旨から言えば、明らかに統制というようなものじゃなくて、逆に上げていく方を誘発しているわけですから、こういう点は、いずれも裁判所が判決で言っておることでありますので、将来の推移を見てというのじゃなくて、これは検討し直さなければいかぬのじゃないかというように思うのですが、どうでしょう。
  478. 山岡一男

    ○山岡政府委員 判例もいろいろございますが、たとえば家主の統制額を超える家賃の増額請求につきまして、裁判所は、統制額に拘束されずみずから公正妥当な額を決定し得るということで、統制額の約六倍以上の家賃を決定されている判例もあるわけでございます。  それから、われわれはいまの統制額そのものは最高限度であると思っております。したがいまして、現地の実情に即していろいろな裁判が行われてまいっておるわけでございますが、現に昭和四十七年にも、統制令の告示無効確認請求が出ておりまして、請求の趣旨といたしまして、先生のおっしゃいますこの告示の無効であることを確認する、予備的請求として同告示を取り消せという意味の訴訟が被告建設大臣ということで起こっております。それにつきまして現在鋭意応訴中でございまして、被告側の証人調べを終わりまして、原告側の証人調べが行われているのが現状でございます。  しかし、これは借り主側の訴訟でございますが、同時に、借り主ではなくて貸し主の方からも、昭和四十九年にやはり告示の無効確認請求事件の訴えが出ております。一部のもののみに統制を残し貸し主に犠牲を強いているので、統制令は憲法十四条、二十五条、二十九条に違反して無効である、最近の告示については無効であることを確認する、予備的請求として告示を取り消せということで、実は両側から訴えが出ておりまして、両方とも建設大臣が被告でございます。したがいまして、現に訴訟係属中でもございますので、それらの訴訟の行く末も十分に勘案しながら検討すべきことであろうと考えておる次第でございます。
  479. 東中光雄

    東中分科員 それは全然違うんですね。憲法十四条問題なんというのは、信条、性別、国籍、身分、何にも関係ないじゃないですか。借地法自体にしても、借家法自体にしても、居住者の、あるいは借地借家人の権利を、いわゆる民法的な原則から言えば変えてきている。その一環としての地代家賃統制令でありますから、私はそういう議論をいまここでやろうと思うんじゃないのです。四十七年一月一日からの告示によって、先ほどの判決にもありますように、一挙に三倍も四倍も値上げをするというふうな、統制令という同じ法のもとで、告示が変わったからといってそういうふうに極端に変わっていく、そういう性格が問題だということを言っておるわけであります。  それで、いまの局長の答弁でいけば、統制令はあるけれども、統制令に基づいてやってもそれは最高限だから、下の部分でやっていかなきゃ適当にやっていくということになってしまうので、それでは統制令自身を実質上廃止しておるのとほとんど変わらないということになってしまうわけですね。それは告示によって法を変えていくことになる。昭和三十年代に法改正の提案もなされましたけれども、それは廃案になった。法が改正されなかったら告示によって行政当局が変えていくというのは、これは基本的な問題にかかわってくることでありますから、そのことをただしておるわけであります。
  480. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほども申し上げましたけれども、統制額の修正第五条というのがございまして、統制令の第五条に、「建設大臣は、地代の停止統制額又は認可統制額で公正でないと認められるに至つたものについては、その地代の停止統制額又は認可統制額に代るべき額を定めることができる。」ということになっております。そこで、本当に公正でないと認めたかどうかという点がむしろ妥当か不妥当かという論点であろうかと思います。それで、法律上そういうふうな告示によるということは、いろいろな技術的な問題がすぐれているということから告示ということで定めているわけでございまして、われわれも、告示によってやることについては、法律上当然であろうと思っておりますけれども、問題は中身であると考えております。  先ほども申し上げましたように、当時の地代家賃の実情等から逆算してみますと、権利金を含めました地代の統制額との差は一対二十というふうな状況でございました。したがいまして、それらの点も勘案しながら、そういうものを一遍に上げるのは非常に問題がございますので、実情に応じて、公正な額となるべき額のうちで、統制的な意味も含めまして、この程度でよかろうという判断をしたというのが当時の実情であったと思っております。
  481. 東中光雄

    東中分科員 これは大臣にお伺いしておきたいのですが、統制令は勅令でありますけれども、法律として現実に存在しておるわけであります。いま言われた、その統制令の告示で修正することができる権限を持っているということは明白でありますけれども、問題は、統制なんですから、統制というのは、ほっておけば上がっていくのをチェックする、そういう意味であることは明白なんです。ところが、実際に現実にやられている付近の状態と比べても、三割も四割も五割も上になるような統制というものはないということなんです。形容矛盾なんです。統制というのはチェックするということで、借地人、借家人あるいは弱小居住者の居住権を守るという意味でチェックするということであってこそ統制なんです。それが統制という名前でうんと上げることによって、野放しにしてしまった、そういう面があるわけです。これは法を行政によって変えていっている。質的に変わったものになるわけです。その点を私は言っているわけです。法を改正するということなしに、改正案が提案されたけれども、国会で四回にわたって廃案になった、その後ですよ、こういうことをやった。しかも、時の建設大臣は、わしは知らぬのにこんなに大きく上げるとは何事だと言って、後でしかられたということを私は聞いておるわけです。そういう性格のものなので、裁判所が、統制令を適用した方が適用外よりも高いというのは合理的根拠が全くないということを指摘しているのは、まさにそのことを言っているわけでありますから、建設大臣として、法と行政、あるいは告示との関係についても、含めて御見解をお伺いしたいと思います。
  482. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、建設大臣はいま被告となりまして、当該問題について裁判で係争中でございます。したがいまして、直ちにこの場で意見を述べることは御容赦願いたいと思います。
  483. 東中光雄

    東中分科員 裁判は裁判で別に民事訴訟としてやっておるのですから、これは国の行政として、法と行政との関係についてお伺いしているのでありますから、建設大臣としての御所見をぜひお伺いしたいと思います。
  484. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま局長から申し述べたように、きょうは私は答弁を申し上げるわけにいかぬという話を申し上げておいたわけです。したがって、私の答弁がまた誤解されるようなことがあったのでは、裁判上支障を来すことであろう。ですからきょうは、あなたが今日まで長い間やっているのですから、局長が十分納得のいくような御説明を与えてください、こういうふうに申し上げておいた次第でございまして、私の答弁は御遠慮させていただきます。
  485. 東中光雄

    東中分科員 時間がありませんので。ただ、これは事柄の筋から言って、国は単なる訴訟の当事者ではなくて、訴訟の面で言えば単なる当事者でありますけれども、この国会においては、そしてまた行政の責任者としては、法を執行していくという立場から言えば、法を換骨奪胎していくような行政は許されないということを私は強く指摘をしておきたいと思うわけであります。  それと同時に、最高額であるから、それより下のもの、そういうところで、統制額という名前はついておるけれども、それは統制ではなくて、統制の最高額だから、適正なものはもっと下の分があり得るのだということを、局長がいまここで言われておるわけでありますので、それも改めて確認をしておきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  486. 山岡一男

    ○山岡政府委員 ケース・バイ・ケースでそのようになっておるかと存じております。
  487. 東中光雄

    東中分科員 最後に、現在の統制額の改定について、昨年、五十一年の四月に建設省住宅局が文書を出されております。これはもう当然のことでありますけれども、算式は、地代月額は、その土地の昭和四十八年度の固定資産課税標準額掛ける千分の五十、プラスその年度の固定資産税額、プラスその年度の都市計画税掛ける十二分の一、全部その基準が四十八年度の固定資産課税標準額とその年の固定資産税額ということでございますので、課税標準額を見得る立場になければ、これは使えないわけであります。借地人あるいは借家人が課税標準額を閲覧し得る、そういう権限は、建設省としては、それはできるということを前提にこれをつくっておられるのだと思うのですけれども、そうではないのか。その点をはっきりお伺いしておきたいと思います。
  488. 山岡一男

    ○山岡政府委員 当省といたしましては、固定資産税等の負担の実態を知りがたい借地人または借家人から相談を受けました市町村の窓口課が、固定資産税等の担当課と連絡をとりながら統制額の算定に便宜を図るように、指導を依頼しておるところでございます。
  489. 東中光雄

    東中分科員 それは次官の知事あての連絡文書ですかに載っておりますけれども、そうすると、固定資産税等の負担の増加の実態を借地借家人は知り得る立場に置かれていないという見解に立っておられるのですか。
  490. 山岡一男

    ○山岡政府委員 実は御案内のとおり、統制令では貸し主の統制額の届け出義務及び統制額の公開というのを決めております。実際問題といたしまして、そういうものの届け出がございますと、台帳整備をいたしまして、その台帳に従ってそれを閲覧するという制度を、仕組みとしては考えておったわけでございます。  しかし、これは非常に弱い点でございますけれども、その台帳の整備が思うに任せておりません。したがいまして、その点につきましては、行政の不備を言われますとまことにつらいわけでございますけれども、課税標準額が変わる都度、そういうものにつきまして台帳を整備するということになりますと、市町村等の負担も非常に多うございます。それから、その後、一応廃止ということまで考えまして、国会に四回も提案されておるというような事態の中で、台帳整備をいまさらやらせるのは相当なことじゃないかという趣旨もございまして、そういうふうな指導を私どもはいたしておるわけでございます。
  491. 東中光雄

    東中分科員 そうすると、これは借地借家人のいわば居住権を保護するための統制令なんですけれども、その内容、算式を出しておいて、しかもその算式について、権利者側が、保護される側がわからない、知り得る状態に置かれてない、こんな行政というのはあり得ませんよ。そんな矛盾した態度をとっておられるのですか。
  492. 山岡一男

    ○山岡政府委員 統制額の変わるべき額の告示がございましても、貸し主が一方的に値上げをするということではございませんで、実際問題といたしましては、借り主の方とよく御相談するわけでございます。その際に、やはり先ほど先生のおっしゃいました通達のように、固定資産税担当課とよく連絡をとりまして、当該地域における固定資産税とか都市計画税の平均的な負担額の状況だとかその他のものにつきまして、ケース・バイ・ケースの実情の御説明を十分していただく、そういうことによりまして御納得いただくような状況にあろうかと思います。
  493. 東中光雄

    東中分科員 あなた何を言っているのですか。私は制度として言っているのですよ。制度上の保障なしに借地借家人は、自分たちがわからぬ、知り得る状態に置かれないということで基準をつくられた。特に、今日の状態では課税標準額が、非住地と住宅地と狭小住宅地では、ずいぶん違うのですね。公表される内容、所有者が知り得る状態、そういうのは分けないでやってきているという状態でトラブルが現実に起こっておるじゃないですか。しかもこれは統制額を超したら五年以下の懲役という罰則が現に生きているのでしょう。法律はそうなっているのですよ。ところが、それを超しておるか超しておらないかということを、被害者側の、保護される側の方がみずから検討する権限がない。そんなばかな法律というのがありますか。それはもう事実上の行政指導で相談で言いなさい、これはまさに、借地借家人を保護する法律で実は貸し家貸し地人の横暴を許すことになっているじゃないですか。こんな矛盾した法律というのはないですよ。実際に知る保障は——自治体によっては見せていますね。見せているところも起こっています。これは見せなければやっていけないですよ。告示で基準をつくっておいて、その基準を保護される側がわからない。相手方は自由に過大なことを言ってくる場合も現に起こっている。もし過大なことを言えば法律上は犯罪になるのだ。しかもそれを保障する担保が何もない。こんな制度というのはないと思うのです。  これは大臣、非常に大きな矛盾ですよ。百五十万、そして五十万、約二百十万ぐらいの人が、保護の名前において、全くその実態を知らされない状態に置かれている。こういう行政は私はないと思うのです。正していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  494. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、地代家貸統制令で考えておりますシステムは、かわるべき額等を定めました場合には台帳を修正しておる、そして御閲覧に供するというのが、システムとしては法制上の措置でございます。その点につきまして、先ほど申し上げました理由によりまして、台帳の整備ができておるところもあろうかと思いますが、不備なところが非常に多いということで、この法がなかなか守られないということでは、おっしゃいますとおり、やはり借り人につきましては非常に片手落ちになります。したがいまして、そういうふうなものにつきまして、ケース・バイ・ケースで窓口側を通じまして、そういうものが承知できるような措置をとっていただくように担当のところにお願いしておるというのが建設省の立場でございます。
  495. 東中光雄

    東中分科員 時間がございませんので質問を終わりますけれども、それは、あなたの方ではそういうシステムでやろうとしておったのだけれども、そのシステムがやれなかったのだ、こう言っているのですから、それにかわる合理的な体制をとらなければ、当初合理的に計画しておったことがやられていないのですと言ってそのままほうっておいて、ただ特別の相談なんかによって指示する、あるいはサービスをするというふうなことにするとすれば、これは制度の問題を不完備のままで糊塗しているということになってしまうので、かわるべき措置を早急に決めてもらいたい。事は大げさに言えば憲法二十五条の生存権の問題に関連してくる問題でもあります。  きょうは時間がございませんから、このことを強く要望して質問を終わりたいと思います。
  496. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて東中君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十二年度一般会計予算及び特別会計予算建設省所管に関する質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日午前十時より開会し、経済企画庁所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十四分散会