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1977-03-12 第80回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十二日(土曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 稻村左近四郎君       谷川 寛三君    原田昇左右君       宮崎 茂一君    後藤  茂君       新村 勝雄君    田邊  誠君       藤田 高敏君    水田  稔君       山口 鶴男君    渡辺 芳男君       長谷雄幸久君   平石磨作太郎君       青山  丘君    浦井  洋君    兼務 保岡 興治君 兼務 竹内  猛君    兼務 市川 雄一君 兼務 和田 一郎君    兼務 中川 秀直君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁長官官房         会計課長    松本  弘君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁大都市圏         整備局長    国塚 武平君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  分科員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     長谷川 宏君         大蔵省銀行局銀         行課長     猪瀬 節雄君         文部省大学局大         学課長     阿部 充夫君         文部省管理局私         学振興課長   山本 研一君         文部省管理局教         育施設部計画課         長       佐藤  譲君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         水産庁漁港部防         災海岸課長   佐藤 稔夫君         通商産業省立地         公害局保安課長 飛永 善造君         運輸省港湾局計         画課長     小池  力君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 武田  昭君         消防庁防災課長 永井 浤輔君         消防庁地域防災         課長      中川  登君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     伊藤 直行君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         参  考  人         (水資源開発公         団副総裁)   小林 誠一君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    大橋 文雄君         参  考  人         (阪神高速道路         公団理事)   海江田鶴造君         参  考  人         (地域振興整備         公団総裁)   吉國 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   松澤 雄藏君     谷川 寛三君   阿部 昭吾君     渡辺 芳男君   藤田 高敏君     川口 大助君   岡本 富夫君     長谷雄幸久君   河村  勝君     青山  丘君   不破 哲三君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   谷川 寛三君     原田昇左右君   川口 大助君     加藤 万吉君   渡辺 芳男君     後藤  茂君   長谷雄幸久君     宮井 泰良君   青山  丘君     高橋 高望君   小林 政子君     安田 純治君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     松澤 雄藏君   加藤 万吉君     藤田 高敏君   後藤  茂君     山口 鶴男君   宮井 泰良君    平石磨作太郎君   高橋 高望君     河村  勝君   安田 純治君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     田邊  誠君  平石磨作太郎君     岡本 富夫君   浦井  洋君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     佐野  進君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     水田  稔君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     阿部 昭吾君 同日  第一分科員市川雄一君、中川秀直君、第三分科  員竹内猛君、和田一郎君及び第四分科員保岡興  治君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算国土庁及び建設  省所管  昭和五十二年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計予算国土庁及び建設省所管昭和五十二年度特別会計予算建設省所管について説明を聴取いたします。国土庁長官田澤吉郎君。
  3. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 総理府所管のうち国土庁昭和五十二年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は千五百八十九億四千三百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ二百三十二億八千百余万円の増加となっております。  その主要な内容は、第一に第三次全国総合開発計画策定を初めとする国土計画推進、第二に地価の安定、適正な土地利用確保等総合的土地対策推進、第三に長期的な水需給計画策定水資源開発促進等水資源対策推進、第四に良好な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進、第五に地方都市農山漁村整備促進等地方振興推進、第六に地方都市開発整備、工業の再配置及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進、第七に国土を保全し国民の生命及び財産を守るための災害対策推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配布してあります昭和五十二年度国土庁予算概要説明によりまして御了承願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 稻村佐近四郎

  5. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 建設省関係昭和五十二年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入百三十四億四千九百余万円、歳出二兆六千七百二十三億五千七百余万円、国庫債務負担行為三千七百十三億六千二百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出三兆百四十億八千八百余万円、国庫債務負担行為三千八百九十七億一千余万円を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計について、まず道路整備特別会計では、歳入歳出とも一兆四千三百九十二億三百余万円、国庫債務負担行為二千三百七十六億二千百余万円、治水特別会計では、歳入歳出とも六千四百十億一千百余万円、国庫債務負担行為一千二百一億六千四百余万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも三百八十五億四千四百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出七百四億八千百余万円、国庫債務負担行為六百九十六億五千二百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる国土建設施策推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十二年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 稻村佐近四郎

    稻村主査 以上をもちまして、説明は終わりました。     —————————————
  7. 稻村佐近四郎

    稻村主査 質疑に先立ち分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  まず、谷川寛三君の質疑に入るのでありますが、本日は同君の質疑に対し、参考人として水資源開発公団理事大橋文雄君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。谷川寛三君。
  8. 谷川寛三

    谷川分科員 私は、雪害、それから台風水害など、自然災害によります個人被災に対する政府考え方を中心にいたしまして、被災者救済制度治水などの防災対策につきまして、若干伺っておきたいと思います。  実は私は、先月、災害対策特別委員会調査団の一人といたしまして、青森雪害調査に行ってまいりました。田澤長官には申し上げるまでもございませんが、私ども南の方の出身の委員が多かったものでございますから、現状に目をみはったものでございました。除排施設の大変なこともよくわかりました。ある町では、約一千戸ばかりの町でございますが、三分の一の家庭で御主人が出かせぎに行っておられる。後に残った子供さんや御婦人がこの重労働をやっておられる。人手のあるところはそれでもようございますが、病人とかお年寄りばかりのところは大変なことであります。  災害救助法の発動された地区におきましては、御承知のとおり、一世帯当たり三万八千二百円でございますか、補助金が県から出る、その半分を国が補助する、こういうことでございます。この網の目から漏れたところは何の手当てもございませんで、わずかに援護資金、それから世帯更生資金などの貸し付けがある程度でございます。これでは被災者に対しましては何ともなりません。私は、これは何とかしなければならぬじゃないか、こういうことを感じて帰ってまいりました。  これだけの災害襲地帯になりますと、こんなことじゃ済みません。私の高知県は、去年、それから一昨年と大きな災害に襲われまして、本当に県内各地におきまして壊滅的な打撃を受けた部落がたくさん出ております。  一例を申し上げますと、高知市の西隣りに二万二千くらいの人口の町がございます。この町は、一昨年の八月十八日に、一日で五百十八ミリ、特に十六時から十七時の一時間の間に、百五ミリという記録的な豪雨に見舞われまして、勝賀瀬川という川が流れておりますが、その川沿いの集落では、全戸数の三分の一近くが全壊をした。死傷者も五人ばかり出る、こういう大惨事を受けました。特にその中でも長原比という地区におきましては、四十九戸の家屋の中で二十九戸が全壊死傷者も三名出ております。しかも二十九戸のうち十九戸は完全流失という状況であります。この町は五十一年度で十一億ばかりの小さな財政の町でございますが、損害額は実に百六十五億、大変なものでございます。もちろん町当局は直ちに災害復旧に取りかかりましたが、ダメージが余りにも大きくて、ことしもまた出水時期を六カ月後に控えまして、いまだに立ち直れない世帯がたくさんございます。けさも去年の小豆島の災害の跡の状況をNHKで放送しておりましたが、やはりこの部落と同様でございまして、茫然としておられる方々がいまでもたくさんおられるわけですね。  こういう状況を見まして、私も現地をずっと高知災害の際に見回りまして、その後もずっと視察をいたしまして、幾つかの問題を見てまいりましたので、きょうは、そういうもののうち主なものにつきまして、政府対応策をお尋ねしたいと思っております。  第一に申し上げたいことは、いま申し上げましたように、ことしもまた出水時期を半年先に控えまして、いまだに立ち直れない地元民の傷の深さでございます。公共施設復旧の方はめどがつきましたが、個人が受けました深手は一向にいえておりません。個人災害救済制度の論議が災害対策特別委員会で活発に交されるようになりましてから、十五年以上の歳月が流れております。この間に、御承知のとおり災害弔慰金制度などの新制度は打ち出されましたけれども個人生活財の補償につきましては、全く手つかずでございます。もちろん私も、この問題が財政的に、技術的に非常に困難な問題を抱えておるということは、十分承知しておるのでございますが、いま申しましたような状況を見まして、これではいかぬ、どうしてももう一度、この個人救済制度の問題につきまして、政府に取り上げてもらわなければならないということでお尋ねをするわけでございます。政府は、三十五年以来、共済制度など検討されましたが、先ほど申しましたように、技術的に困難だということでさじを投げられたように考えておりますが、しかし、簡単にあきらめていただいては困るのでありまして、失った家屋の再建のための低利融資はもちろん結構でございますけれども、それでもなお再建できない、特に老人家庭母子家庭方々のことを考えますと、これは何とかしてもらわなければいかぬ、こういうふうに私は切実に考えております。この個人災害救済制度の確立の問題は、特に台風襲地帯住民皆さん悲願であるというふうにも言えるのではないでしょうか、かように思います。  そこで、私、政府に申し上げるわけでありますが、これはどうにもならぬ、だめだということであきらめるのではなくて、ひとつ発想の大転換を図っていただきまして、経済社会学者、あるいは科学者学識経験者にお集まりをいただきまして、たとえば個人災害救済制度調査会のようなものをつくっていただきまして、この際もう一度知恵をしぼっていただくというお考えはないでしょうか。この問題に対します国土庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。  それからあわせて、いままでこの制度検討のいろいろな過程があると思いますが、ただいまどういうふうな検討をなさっておられますか。現状と、いま私一つの提案をいたしましたが、今後どういう方向で御検討をされるのか、伺っておきたいと思います。
  9. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 豪雪に対する考え方でございますが、皆さん青森を御視察願いまして、本当に御苦労さまでございました。豪雪対策は、御承知のように、豪雪対策特別措置法にのっとって豪雪に対するいろんな対策を講じてきているわけでございますが、豪雪地帯は、御案内のように年々恒常的に災害に見舞われますものですから、そういう関係で、生活向上に大きな影響を与え、産業の振興に大きな阻害になっていることは事実なんでございます。  またもう一つは、最近の国民欲求と申しましょうか、これが非常に高いのです。さらに生活様式が高まってまいりますというと、それなり雪害の範囲というものは大きくなってまいりますので、社会経済発展に伴うて、それなりにやはり新しい豪雪対策というものを考えてまいらなければならないと思いまして、一層社会経済情勢に即応した対策を今後進めてまいりたいと考えております。今回は市町村道除雪費等を特に措置いたしたような次第でございますので、御了承いただきたいと思います。  さらに、災害襲地帯個人災害の問題でございますが、これは御指摘のように、昭和三十五年以来、この問題が災害対策特別委員会でもいろいろ御議論を願っておりますし、政府としても、この点については十分調査を進めておるわけでございます。今年も、少のうございますが、三百万ほど調査費予算に織り込みまして、調査を進めよう、積極的にこれを進めてまいろうという考えでございます。災害状況は、個人災害がいま一番の大きい問題でございますので、私は、この点については、また夏を迎えることは同時に災害を迎えるような日本でございますので、そういう点では、個人災害に何らかの制度的なものをつくり上げなければ、災害に対する政府態度じゃないのじゃないか、良心的な態度じゃないのじゃないかと思いますので、そういう点については積極的に、個人災害救済制度がどういうような形のものがよろしいかということについて、十分検討してまいりたい。ただいま学者その他の意見も聞いてというようなお話でございますが、そういう点も含めて今後検討してまいりたい。  なお、これまでの調査については、政府委員から答弁させます。
  10. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答え申し上げます。  これまでの調査につきましては、先ほど先生から御指摘いただきました総理府調査をいたしておるわけでございます。去年の災害にかんがみまして、衆参両院におきましても、災害対策特別委員会に小委員会を設けて、ともどもに研究していこうという態勢でございますので、先ほど大臣からお述べいただきましたように、政府としては予算を用意いたす、こういうふうな状況でございます。
  11. 谷川寛三

    谷川分科員 ただいま大臣のお気持ちを伺いましたが、いま紀埜さんからもお話があったように、私どもも、災害対策特別委員会の小委員会で、もう一度ひとつこの問題を洗ってみようという覚悟でおります。非常にむずかしいことはようわかりますが、政府におきましても、格段の御努力をひとつお願いしたいと思っております。本当に茫然自失しているところがまだたくさんございますので、ひとつよくお調べもいただきたいと思っております。  それから、ただいま大臣から、ことしの予算でそういうことについての実態調査予算がついたというお話がございました。これは大変手前みそで恐縮でございますが、私の高知県、これはいま申しましたように、連年の大きな災害に襲われておりますが、ひとつ高知県などもその実態調査の中に入れていただけますでしょうね。よろしくお願いします。
  12. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 十分考えて進めたいと思っております。
  13. 谷川寛三

    谷川分科員 よろしくお願いいたします。  それから、もう一つ伺っておきたいのでありますが、いま申しました伊野町などにおきましては、一連の大被害によります弔慰金見舞い金などの各種の財政負担を強いられております。しかも公共施設だけとりましても九十五億円余りの大被害でございます。国から災害復旧補助金が出ることはもちろんでございますが、町の負担分につきましても、特交は、たとえば去年の五十一年災につきましては、去年の十二月の特交でもう済んだと言っておりますけれども、一年、二年といわないで、災害復旧だけじゃない、防災の面も含めまして特交でひとつ十分見ていただきたい。自治省お見えになっておりますでしょうか。ひとついかがでしょうかね。——それでは結構ですから、防災関係総括調整大臣国土庁長官からいかがでしょう。
  14. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 これは御承知のように、普通交付税からはみ出したものは特交で扱うということに相なっておりますので、全般には特別交付税パーセンテージが低いものですから、そういう点でいろいろ異論があろうと思うのでございますが、今後自治省等ともいろいろ打ち合わぜをしながら、特交災害におけるパーセンテージをできるだけ上げるように努力をいたしたいと考えております。
  15. 谷川寛三

    谷川分科員 それではお願いをしておきます。とにかく一年だけというんじゃなくて、いま申しましたような趣旨でひとつ引き続いてめんどうを見ていただく、よろしくお願いいたします。  それからもう一つは、個別の問題で恐縮ですが、御承知四国四県の開発のかなめ、それから各県の水対策といたしましてつくられました早明浦ダム関係の問題につきまして、伺っておきたいと思います。  いま申しましたような目的でつくられたダムでございますが、異常豪雨とは申しましても、一昨年の五号台風、それから昨年の十七号台風の直撃を受けまして、もろくもいろいろな弱点をさらけ出しておる早明浦ダムでございます。八十年に一度の大洪水を想定してつくられたと言われておりますが、昨年の十七号台風では、計画最大放流量を軽く超えまして、直下の木山町、土佐町という二つの町がございますが、この町を本当にパニック状態に陥れたのでございます。通常の台風の三個分という豪雨であったにせよ、ダム地元民悲願であります治水機能を十分に果たし得なかったと私は考えます。ダムができたから台風が来ても枕を高くして眠れると喜んでおったのもつかの間でございました。長年住みなれた土地を離れまして、先祖の墓に泣く泣く別れを告げて、四国発展治水のためにすべての犠牲を越えて協力をしてくれた地元民の心情を思いますと、私は、何とも割り切れない、やり切れない気持ちがするのでございます。一方、清流吉野川は、台風が去りまして数カ月たちました今日、濁流吉野川になってしまっております。飲み水に不自由しなかった水源県である高知県が、いまやみずからの飲み水にも困るという状態に陥っております。こういうことで住民ダム不信感が非常に高まりまして、ダムに対する誤解も生じておるような現状でございます。  私は、水の問題が非常に重要なときにおきまして、これは今後に非常に大きな問題を投げかけておる、こういうふうに思うのでありまして、この問題に関連いたしまして、幾つか質問をしてまいりたいと思います。  まず第一は、建設大臣に伺いたいのでありますが、早明浦ダムなど多目的ダムのあり方をどうお考えになっておられるか。今度第五次の治水五カ年計画がスタートするわけでありますが、ごの中で多目的ダムをどう位置づけ計画しておられるのか。高知県の洪水にいたしましても、ダムがあったために被害が増幅されたというふうに考えておる地元民がたくさんおるのであります。私はそうは思いません。ダムがなかったらもっとひどい洪水になったと考えるのでありますが、去年の災害に際しましては、洪水調節機能を十分発揮できなかったことは確かでありまして、このことをよくかみしめていただきまして、今後のダム施策をどういうふうに進めていかれるか、承知しておきたいと思います。
  16. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 早明浦ダムは、吉野川総合開発の一環として、昭和四十九年に建設された多目的ダムであることは御承知のとおりでありまして、完成直後相次いだ昭和五十年、五十一年の異常出水に際しましても、下流部洪水被害を軽減して洪水調節効果を上げるとともに、四国地方の水の供給等に寄与している、こういうようなダムは、治水利水両面からきわめて有効な施設考えておるのでございまして、第五次治水事業の五カ年計画に当たりましては、ダム事業をもう一つお話しのように見直していかなければならない。  まさにおっしゃるように、ダムをつくるのには、八十年来どういうような洪水があった、どのような降雨量があったかという十分の調査をした上に立って、これならば大丈夫であるという確信の上に立ったダムでございましたけれども、御承知のように、予想外の降雨量に見舞われたという結果生じた問題でございまして、したがって、第五次治水事業五カ年計画におきましては、治水の投資七兆六千三百億円、うち治水事業の五兆八千百億円、大体平均二一%。さらにダム事業に一兆四千七百一億円、二九%ダムの方へ向けて、ダム事業の施工予定個所というものを約四百カ所にして、そうして開発水量増分年間四十億トン、洪水調節容量の増分が約六・八億立方メーター、こういうような計画にして、さらに計画といいましても、八十年来降雨量というようなもり一増水というものを調べた結果、早明浦ダムのような結果が生じたとするならば、さらに検討を加えるところがあるだろう、こういうようなことでございますので、十分この点を調査をいたしまして、今後はさらに間違いのないような方法をとっていきたい、こういうふうな考え方でいま計画を進めておるところでございます。
  17. 谷川寛三

    谷川分科員 もっと詳しく承りたいのでありますが時間がありませんので、それでは建設省なり公団から、次の点についてお答えをいただきたいと思っております。  早明浦ダムにつきまして、当面の対策を承っておきたいと思います。  またことしも出水時期を数カ月後に控えましたが、この出水期までにどういう対策をおとりになるのかへ承知をしたいと思います。また、この間の早明浦ダムのああいう状況にかんがみましてダムの操作規程の改定につきましても御検討中と承っておりますが、その案の中には最大放流量の増量も含まれておりますか、承りたいと思います。そうして、増量するとしたら、それに見合うところの護岸強化など治水対策は、どういうふうにしていただけるか。さらに、操作規程の改定がなされるとしたら、それに伴う護岸強化は、直轄部分はもとより、県の管理部分につきましても、緊急強化に十分な補助金を出してもらう等、対策につきましては十分やってもらいたいと思います。  以上の点について伺いたい。
  18. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、昨年の災害の当面の対策でございますが、ダムの直下につきましては、家屋移転あるいは護岸の補強、パラペットの造成ということを鋭意進めてまいりたいというふうに考えてございます。また、ダムの水没地域におきます。地すべりに伴う家屋の移転の問題につきましても、早急に対策を進めてまいりたいというふうに考えてございます。  また、先生がお尋ねのダム操作規程の改定の問題でございますけれども昭和五十一年、昨年の異常な台風洪水にかんがみまして、操作規程を改定すると同時に、昭和五十年の台風五号による出水を含めまして、想定される各種洪水に対しても洪水調節効果が上がるというふうな改定をいま検討してございます。計画対象流量がいままでよりも大きくするという点に立ちますと、計画放流量も現在より大きくせざるを得ない、その増大を避けがたいということでございます。しかしながら、先生御心配なさっておりますように、放流量がふえるということに対しましての対策でございますが、それにつきましては、現在、現地調査を含めまして検討を行っております。  先ほど申し上げましたように、ダム直下につきましては、早明浦ダム建設事業、あるいは災害復旧対策事業というもので現在対策をやっておる最中でございます。また、放流に伴う下流の護岸の強化あるいは堤防の強化、これにつきましては、直轄、補助を問わず十分調査して、その対策につきましては促進してまいりたいというふうに考えています。
  19. 谷川寛三

    谷川分科員 応急の対策につきましてはわかりましたが、それでは次に、同ダムの恒久的な治水対策として、私は、導水トンネルの設備が必要ではないかというふうに、素人ではございますが、考えておるのでございますが、建設省ではどういうふうにお考えでございましょう。  それから、もう一つついでに、時間がありませんから、吉野川治水計画につきましても抜本的に再検討してもらいまして、ダムの上流に洪水調節の池をもう一つつくってもらう必要があるんではないかというふうにも考えるのでありますが、こういった問題など、洪水調節効果を充実していただく必要があると思うのでありますが、いかがでしょう。
  20. 栂野康行

    ○栂野政府委員 早明浦ダムの恒久治水対策としましては、長期的に見ますと、吉野川治水整備率といいますか、安全度の向上を図るための一連の検討の中で、河川改修、あるいは上流ダムの新築、あるいは改築などにつきまして、治水上の効果、あるいは経済性、そういうものを利害得失十分検討しまして、方針を決定いたしたいというふうに考えてございます。  先生おっしゃいました導水トンネルの問題でございますけれども、これにつきましても、治水上の効果並びに技術上の可能性につきまして、新年度から検討を進めてまいりたいというふうに考えます。  それから、吉野川治水計画の見直しでございますけれども、やはり、昨年の大洪水、あるいはおととしの大出水等を考えまして、現在鋭意検討中でございます。その内容としましては、いわゆる上流でダムをつくって洪水調節をできないかどうか、あるいはいわゆる河道を改修して洪水流量をふやすことができないか一そういう面を総合的に検討して、できるだけ早急に結論を得たいというふうに考えます。
  21. 谷川寛三

    谷川分科員 時間がありませんのでなんでございますが、先ほど申しましたように、吉野川がいまでも非常に濁っております。水源県が、先ほど申しましたように、自分の飲み水にも不自由をしておるという大変残念な状態にございます。応急措置といたしまして、支流に取水源を求めておりますが、これから農作業が本格化してまいりますと、渇水のおそれも出てまいる。この対策は重要かつ緊急でありますが、どういうふうに解決していただけるのか、伺っておきたいと思います。  それから、濁水の長期化はダムが起因であると私は思うのでありますが、公団も、地元が進めております汗見川を取水源とします水道計画に、協力をしていただく必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。  あわせて御質問をいたしますが、漁業補償につきましては、いつごろから、どういうふうに調査をしていただけるか。  さらに、表面取水を昨年せっかくやっていただきましたが、あれでは不十分だ。その改善につきまして伺っておきたいと思います。
  22. 大橋文雄

    大橋参考人 お答えいたします。  吉野川の濁水に関連いたしまして、本山町の排水路の取水障害についてでございますが、本山町では、左支川の汗見川に新たに水源を求め、従来吉野川本川から取水していた簡易水道の原水をすべて汗見川に依存する計画で、町において簡易水道改良事業を実施されると聞いております。  濁水につきましては、その発生機構及び軽減対策について、関係各機関において吉野川水系濁水調査委員会が組織され、現在調査が行われておりますので、この調査によって明らかにされると思われる吉野川の濁りと早明浦ダムとの相関関係を見きわめた上、本山町の水道施設に与えた損害補償について、可能な限り善処したいと考えております。  次に、漁業被害調査についてでありますが、台風十七号による降雨量は未曾有のものでありました。公団としては、高知県を通じ漁業の実態及び濁水と漁業被害の因果関係について、日本水産資源保護協会に調査を依頼することとしており、現在調査委員会を発足させるため、そのメンバーとして大学の専門家の選定を急いでおるところであります。また、具体的な調査の進め方を打ち合わせるため、今月中に公団から担当者を県に派遣することといたしたいと存じます。  また、早明浦ダムの表面取水設備の操作方法の改善等についてでございますが、洪水後の濁水軽減対策の一環として、吉野川水系濁水調査委員会の専門委員会検討中でありますので、その結果を踏まえて対応してまいりたい所存でございます。
  23. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて谷川寛三君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺芳男君。
  24. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 富士海岸の保全対策についてお伺いします。  御承知のように、駿河湾は非常に深くて、最も深いところ、湾の中央部では二千メートルもありまして、富士海岸から五キロも沖へ行きますと、もう千メートルぐらいの深さになっています。     〔主査退席、藤田(高)主査代理着席〕 こんな地形ですから、歴史的に見ても、この七百年間に十五回も高潮、大津波に襲われて、そのために、死者が何千人とか、あるいは流出家屋が何千戸というような災害をかつて受けてまいりました。今日、国で建設省が直轄事業として海岸保全対策を行っておるところが全国で十カ所ぐらいあると伺っておりますが、この富士海岸が一番やっかいで危険なところだと思っています。  戦後三十四年の伊勢湾台風で一部被災しまして、それから四十一年九月の台風二十六号で死者が十三人も出たというふうなことがありましてから、この海岸保全事業を国が直轄事業として引き受けて、いろいろ堤防のかさ上げあるいは海岸浸食対策を最近になって行っておる状況でありまして、これはまことに結構なことでありますが、しかし沿岸住民は、戦後急速に海岸が浸食をされていることに大変な不安を持っているわけです。昭和二十二年にアメリカ軍が撮影した航空写真の状態から見て、今日では、富士海岸が最大浸食をされて、砂浜が大体百五十メートルくらいずっとなくなっている。少ないところでも七、八十メートルくらいなくなっている。こんな状況になっていますので、これらについて、建設省でも東大の堀川教授を委員長としていろいろと調査検討をされてきたようでありますが、最大の原因は富士川から流出する土砂が非常に減少したためである、こういうふうな結論も聞いております。  そこで私は、かつて議員の在職中に昭和四十四年に建設委員会で取り上げたのですが、静岡県側は二年後に砂利を採取することを禁止するという回答が当時河川局長からありました。四十七年ごろに禁止になったと思うのですね。しかし今日、上流の山梨県側は相変わらず砂利を採取している。静岡県側としては、これ以上余り砂利を採取してもらっては困る、こういうふうな要望をしているように伺っていますが、建設省ではどういう考えでおりますか、その点まず第一点にお伺いします。
  25. 栂野康行

    ○栂野政府委員 現在の砂利採取の許可方針でございますけれども、いわゆる河川改修計画上、川底を掘らないと洪水がうまく流れないというふうな区間についてだけ、一定の条件を付しまして許可をいたしておる次第でございます。それで、河川改修計画上掘削が必要でないという区間につきましては、原則として許可しない方針としている次第でございます。  富士川につきましては、先生御指摘がございましたが、静岡県側では全区間の約十八キロメートル、山梨県側でいきますと本川上流部の約三十キロメートル、それから本川の支川でございます笛吹川の上流の約十五キロメートルの区間は、河川改修計画上川を掘る必要がないということで、砂利採取を現在禁止しておるという状態でございます。その他の区間につきましては、治水上いわゆる緊急に掘削を必要とする区間もございますので、砂利採取を許可しておる次第でございます。  それで、先生がいまお話がございました富士海岸の浸食でございます。これにつきましては、これらの砂利採取というものが直接的な原因というふうには考えてございません。しかし、いわゆる国土保全上、この富士海岸の浸食というものをどうしてもとめていかなければいけないということでございますので、海岸事業としまして積極的に、海岸浸食対策事業、たとえて申し上げますと離岸堤の施工とか、そういうものを促進しておるという状況でございます。
  26. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 現在でも掘川調査委員会では、富士川から流出する土砂が年間二十五万立米ぐらいだと推定をされておるようですね。これでも大分少なくなった。富士川の流れも水が大分少ないということもありますが、いずれにいたしましても、富士川左岸の海岸はこの土砂の流出で大分潤っておるわけでありますが、この左岸が大変浸食が進んでおって、昭和四十一年の台風二十六号のときに、十三メートルの防潮堤を波が越して、人家が流失したり人が死んだりした。こういうふうな経験から四メートルかさ上げして十七メートルにした。これなら大丈夫だという実験の結果でかさ上げした。しかし、富士川左岸の先ほど言いました海岸地域は、極端なところは、その防潮堤まで波打ち際から二十メートルから三十メートルくらい砂浜がなくなってしまった。そうすると、これから万が一あのような台風が来た場合には、防潮堤自体がやられますね。その裏には人家がある。こういうふうな状況でありますから、私は率直に言って、富士川から流出する土砂というのが大分減っているからこの海岸浸食が非常に進んできた、こういうふうに思うのですよ。将来展望として富士川の砂利採取は、すぐあした禁止をするとかなんとかということではなくて、規制をしていかなければならぬというふうに、素人考えだが考えているわけですよ。この点はどういうふうに考えられていますか。
  27. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほども説明しましたように、いわゆる砂利採取を許可しておる区間というものは、洪水を安全に流すため河川改修として掘らぬといけないという区間につきまして許可しておる次第でございます。しかしながら、先生がおっしゃいましたように、やはり砂利採取というものを漸減していきたいという指導方針で現在進めてございます。
  28. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 海岸の浸食についてもう少しお伺いをいたしますが、この富士川左岸から田子の浦港まで大体四キロちょっとですね。それから田子の浦港から昭和第一放水路が四・一キロですか、この駿河湾の一番奥まったところが実は浸食がはなはだしい。それから東の方の沼津の方に行くと、まあ浸食はされたけれども現在はほとんどとまっているじゃないか、こういうふうに言われてますね。やはり一番問題は、地名を言って恐縮でありますが、富士川左岸から三四軒屋、それから新浜、五軒屋、この地域が浸食をされている。これには離岸堤が一番よいという堀川調査委員会での結論のようでございますね。私は現地を見ておりますが、離岸堤もつくられているようでございますけれども、実は、この富士川から流れてくる土砂が、田子の浦港の湾口の西側にある防潮堤に全部吹き寄せられるというか、流れていく、こういうふうな状況です。通っていってしまうのですね。いま言った地名のところが一番浸食をされている。そして湾口の方へと砂が流れて堆積をしていく。だからこの辺は、突堤なり離岸堤なりというものを、現地の状況から見て交互にやるようなやり方がいいのではないかと実は私は考えているわけです。素人ですからなんですが、この点はどうですか。
  29. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず全般的なことをお話しいたしたいと思います。  まず、富士海岸の高潮に対する対策といいますか、津波対策といいますか、それにつきましては、先ほど先生からお話がありましたように、昭和四十二年度から直轄海岸として富士海岸につきまして事業を鋭意やってきたわけでございます。そうしまして、沼津地区を除きましてはほぼ完成したわけでございます。しかしながら、一方、田子の浦の東側地区につきましては、昭和四十六、七年ごろからいわゆる海岸浸食、汀線の後退というものが様相を示し始めたわけでございます。したがいまして高潮対策、堤防だけじゃなくて、いわゆる消波工あるいは離岸堤というようなものの対策事業をあわせて実施してきた次第でございます。  なお、この海岸につきましては、川の勾配が非常に急であるということで、台風による高波の影響も非常に大きいわけでございます。したがいまして、現在の汀線をこれ以上後退させないということで、そのための浸食対策事業をやっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、離岸堤、消波工の新設を引き続き今後も強力に推進していきたいと考えてございます。  それから田子の浦の港の東側の富士市の地区でございます。これにつきましては、いわゆる海岸堤防のかさ上げ補強というのは完成してございます。しかし、特に海岸浸食のひどいいわゆる今井浜地区につきましては、昭和四十九年度から離岸堤に着手してございます四十九年度から始めまして、昭和五十一年までにすでに七基完成してございます。それで現在、汀線は安定したような状況を示しておる状態でございます。今後とも、そういうふうな海岸浸食の実態を十分に踏まえまして、海岸浸食に備えていきたいというふうに考えます。
  30. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 いまお話がございましたが、先ほど申し上げました田子の浦港から西の、富士川の中間から西の方の地域が浸食されて今後も危険性がある、こういうふうに指摘をされていますね。それからいま局長からお話がございました、今井浜を中心にして七つの離岸堤ブロックがつくられておりますが、去年、五十一年度ですね、一基一番東側につくられています。この辺は浸食が非常に激しくなってきたわけです。率直に言って浸食が激しくなってきたのは十数年間だと思うのですよ。これは不安だと地元住民が言っているわけですが、この七基だけではどうにもならぬわけですね。これから昭和放水路に至る約三キロ、二キロ半ぐらいですか、まだあると思いますが、この辺までずっと離岸堤をやるということになりますか。これは現地ではやってくれ、こう言っているのです。
  31. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生がおっしゃいました今井浜からなお東の方、昭和放水路までの間でございますが、やはり現地の実態を見ながら引き続き進めてまいりたいと考えます。  それから、さっきちょっと説明を落としましたけれども、いわゆる田子の浦港から西側の海岸浸食対策でございますが、これにつきましても、現在相当数離岸堤が入っておりますし、今後とも施工を進めてまいりたいと考えます。
  32. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 端的にお伺いしますが、四十二年の国の直轄事業に移管をされてから約七、八年間というのは、四十一年の台風二十六号の苦い経験にかんがみて、ずっと堤防のかさ上げをやってきたわけですな。これにお金をつぎ込んだ。最近、そうはいっても、堤防の方まで海岸がどんどん浸食されてくるというので、いろいろ研究されておるようですね。砂が富士川の方から東へ流れてくる。ですから、今後の中心は、当然突堤なり離岸堤なりというのを専門家の皆さんがつくられると思いますが、今日まで約六十八億ばかり投入をされておると聞いておりますけれども、端的に申し上げて、汀線が削られる方、浸食をされる方に重点を置かれるわけでしょう。そうすると、ここ一、二年来から急速に行われるようになりましたが、ことしの予算も相当つくと思うんですね。つかなければいけませんね。去年は約十一億くらい。しかし、すべてがその離岸堤に使っているというわけじゃございませんね。いろいろ使われている。富士海岸とか、それからまた静岡の方とか、あるいは御前崎の西の方とかいうものを全部含めるから、金が全額投入されているということじゃないと思いますが、どのくらいことしの計画をなされますか。
  33. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず、高潮のための堤防と浸食のための離岸堤と、どちらに重点に置くべきかという問題がまずあろうかと思います。高潮堤防も必ずしも現在十分じゃない。しかも地震による津波、その辺も考えまして、離岸堤と高潮堤を総合的に考えて、実態に応じてやっていきたいというふうに考えるわけでございます。  現在までの金のつぎ込み方でございますけれども、正確な資料が手元にありませんのであれでございますけれども、大体、海岸浸食対策と高潮対策と、半々程度つぎ込んでおるというふうに考えます。
  34. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 まだこれからも予算は配分されると思いますが、最近は金額をふやしていただいている。私が見るところ、一番初め申し上げましたように、全国的に一番ここが危ないところだと見ているんですよ。何しろ駿河湾というのは深いところですから、そのままもろに台風が来れば大変な災害になるということを皆さんの方で御認識されておるからやられておると思うのです。ですから、ひとつ十分な対策検討されて、予算的にも組んでいただきたいと思うのです。  先ほどちょっと触れておきましたが、きょうは運輸省関係皆さんに来ていただいておりませんが、これは一つ要望しておきますけれども、田子の浦港の西側の防潮堤といいますか、この先には小さい灯台があります。これはずっと突き出ているので、西から流れてくる漂砂ですか、砂がそこへたまりますね。片方では砂浜がどんどん削られて浸食をされているという不安感がある。そこの砂を、田子の浦港をつくるときに、何か現地の皆さん協力を得るためにというふうなことがあったようでありますが、ある業者に提供している。これは運輸省の話。ですから私は、いずれ運輸省の港湾局長にはお話をしますが、その砂がたまっていきますね。これを取ってどこかに持っていっている。これは大変ちぐはぐな話で、建設省の現地の工事事務所でも、おかしな話だという話になっています。これは私も運輸省に言いますけれども、これはどうか皆さんよく検討をしていただきたいと思うのです。これは一つ要望をしておきます。  海岸問題はもう御承知をされておりますから、この辺で終わります。  それから、昨年の八・九の集中豪雨で、沼川水系の岸一帯が大変なはんらんをしました。これは四、五時間がたんと大雨が降りまして、約二百七十ミリから三百ミリくらいだと思うのです。それでこの沼川水系が、実は静岡県下でも海岸との落差がないという沼川であることもありますが、一番改修のおくれている河川とこれは言われています。  いろいろ問題がありますからおくれたと思うのですが、さて、それはおきまして、この集中豪雨で二千数百戸が浸水をするとか堤防が切れたとかいろいろなことがございましてから、激特の指定をされました。激特の指定をされたのは、沼川に入っている須津川、赤渕川、沼川の本流、これらが激特の指定をされて、三カ年計画ですか、改修工事が行われることになりました。あそこには六河川入っていますが、滝川とか和田川とか小潤井川、それから田宿川、このうち滝川と和田川というのが災害特別法の助成事業を行われるようになったようであります。  実は田宿川と小潤井川と和田川というのは、合併前の旧吉原町といいますか、繁華街を流れている川です。その中で真ん中の和田川だけは災害の改修事業として行われますが、両方の田宿川と小潤井川というのはやられておりません。これはかつて市なり県なりで相当改修をされているところもあります。全部昔のままじゃありません。ただ、しかし、たとえば田宿川なんというのは、三百メートルぐらい昔のままなんです。ですから、そこをやらなければ幾らやったって水はけにならぬ。昔はそんなことはなかったけれども、上の方の台地が大変な開発になりました関係で、四十ミリも降ればすぐ河川がはんらんをして床下浸水、ちょっと大雨が降れば床上浸水、こういう災害なんですね。  でありますから、結論を申し上げますが、田宿川と小潤井川については現地を調査をしていただいて、そしてこの点は災害の土木の助成事業として同時に行われるようにしていただきたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  35. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生がおっしゃいますように、いわゆる昨年の大水害によりまして沼川、滝川、和田川というのが激特事業として採択されまして、おおむね五カ年で概成させたいという次第でございます。  それで、田宿川につきましては、滝川のまた上流になっておりまして、下流の改修との関連がございます。しかしながら、現在県の方でいわゆるしゅんせつ、川の底を掘るといいますか、という事業を県単独事業でやっております。また、県としましては、この田宿川をどうすべきかというふうに現在調査もやっておる次第でございます。  したがいまして、建設省としましても、先生がおっしゃいましたようにいわゆる無堤地区があるとすれば、これはある程度まで改修する必要がございますので、県の調査結果と相まって、できるだけ補助事業として採択していくよう努力していきたい、積極的に検討していきたいというふうに考えます。  それから、もう一本の小潤井川でございますけれども、これにつきましては、すでに小規模改修ということで鋭意改修をやってございます。今後ともその促進に努めてまいりたいということで、国の補助事業としてやっておる次第でございます。
  36. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 現地を見られたと思いますからよくおわかりだと思いますが、改修をされた地域について全部ということではありませんから、同じ田宿川でも戦前からそのまま全然手がついていない。あるいは小潤井川の地域でもそういうところがありますね。それはそこにもう人家がないところなんです。そこは人家がないから手をつけない。こういう状態ですから、そういうところに手をつけていくと流れはスムーズにいくと思うのですね。ですから、せっかくの御答弁ですから、ぜひひとつそれは検討していただいて、同時にやられてもわずかの距離だと思いますから、これはやっていただきたいと思います。  それから、沼川というのは、静岡県下で三大暴れ川といいますか、危険河川だと通称言われています。昭和第一放水路というのが富士市の東側の柏原にある。それから約三キロくらい東の方の沼津市の方の原というところに第二放水路がある。これは落差がないから、大雨が降りますとどうも排水がうまくいかないというわけで、放水路自体が暗渠になって、砂浜の下をくぐっていって水が出るようになっていますね。ところがふさがる。そういうわけで、水圧で出していこうというようなことで、いま工事をやっておりますが、素人が見ても、あれではなかなか話のような状態にはならぬと、いろいろな経験から判断をしています。  第三放水路もつくらなければならぬだろうかということが話題にもなっている時期でありますが、何しろ工業整備特別指定地域でありますから、これからも人口がふえたり——こういう経済情勢ですから、大きな工場が来るというふうな状況にはありませんが、ともかく大変工場ができたところですから、いずれにいたしましても、排水問題は県でも検討されていると思いますが、十分考えていただきたいと私は思うのです。あるいは現在の状況をもっと能率よくやるか、いろいろな方法があると思うのですね。ともかく水につからなければいいわけですから、その点をもし考えておられるようでしたら、御回答いただきたいと思うのです。
  37. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいましたように、沼川という川は、海岸線に並行して流れておる関係上、非常に緩やかな川でございます。それに、先ほどお話にありました滝川とか赤渕川とか、多くのいろいろな支川が入ってくるということで、この改修計画は非常にむずかしい。また、逆におもしろいというふうに言えるわけでございます。  それで、建設省としましては、この改修、沼川水系をどうすべきかということで、昭和五十一年度から改修計画を立てるための総合的な調査もやっておるわけでございます。その中におきまして、先生がおっしゃいましたような放水路で抜くとか、そういうこともやはり含まれてくると思います。そういう点を総合的にどうすれば一番いいか、どうすればこの地域が水害から救われるかということを、今後ともできるだけ早く検討してまいりたいというふうに考えます。
  38. 渡辺芳男

    渡辺(芳)分科員 それでは、終わります。
  39. 藤田高敏

    藤田主査代理 それでは、これにて渡辺芳男君の質疑は終了いたしました。  後藤茂君。
  40. 後藤茂

    後藤分科員 国土庁長官に御質問を申し上げたいわけでございますけれども、昨年の十七号台風は、御承知のように全国的に大変な災害をもたらしました。それから半年ばかりになるわけでございますけれども、その災害復旧状況を、簡潔にまずお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  41. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 昨年の台風十七号による被害については、先生御案内のとおり、有史以来の大災害であったわけでございまして、これに対する予算措置といたしましては、昨年は、当初予算、それから予備費支出、それに補正予算によって施設復旧に努めてまいりました。  そこで、今年度、五十二年度は、直轄復旧事業は、これは当然二年間で行うのでございますから、フィフティー・フィフティーで進めてまいりますが、特に、昨年の災害に係る公共団体施行の公共土木施設あるいは農地農業用施設等の復旧事業及び災害関連事業については、災害復旧事業を三〇%を三五%に、災害関連事業を二五%を三〇%に、進度を五%高めて災害の早期復旧に努めておるというのが現状でございます。
  42. 後藤茂

    後藤分科員 いま御答弁になられましたように、公共土木事業だとか、あるいは農地農業だとか、あるいはまた災害関連事業等につきまして、大変な努力をされているということは承知をしているわけでございますけれども、そういった緊急対策なり復旧対策等が着実に進められております一方で、これはもう災害のたびに、また、国会のたびにいつも恐らく問題になっていると思うのですけれども個人災害の問題がどうも手が行き届いていないのではないか、このように実は思えてならないわけです。きょうは時間が大変短うございますので、一点だけ、この個人災害の問題につきまして——国会におきましても、それぞれの立場から大変論議を積み重ねておられると思うわけでございますけれども、この個人災害について、その救済の手がないものかどうか、もう一度ぜひお知恵を出していただきたいと思うわけでございます。  そこで、特に今度の十七号台風では兵庫県が大変大きな災害を受けました。とりわけ西播州の地が非常に大きな災害を受けたわけでございます。その中で一番特徴的なこととして、これは政治としてどうしても解決をしていくべき非常にいいと言ったら災害地の方々に失礼ですけれども、その教材が兵庫県の一宮にあったのではないかと私は思うわけです。  この一宮の問題は、もう長官も十分御承知だと思うのですけれども、住居は、全壊をいたしましたのは四十世帯四十六棟、また半壊が一世帯一棟、一部破損が三世帯四棟、さらに非住家では公共の建物が十七棟と、そういう家屋が一瞬のうちに百万立米の土砂の下に落ちてしまったわけです。いま現地ではそれぞれの復旧事業対策に本当に真剣に取り組まれているのですけれども、こういった家屋が一瞬のうちに全壊をして、茶わん一つ持ち出す暇もなかった。しかも、災害地の跡に行って何か掘り起こして、一つでも二つでも家財道具を持ち運び出すというようなことも全くない、実はこういうような状況にあるわけでございまして、この個人災害、とりわけ家屋復旧等につきまして、個人住宅を仮に新しくつくっていくような場合に、いままであるいは現在、一体このような救済対策が講じられているのか、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
  43. 山岡一男

    ○山岡政府委員 災害によりまして滅失いたしました住宅建設する場合に、現行制度を申し上げますと、普通一般個人住宅につきましては、期間を設けて募集をいたしまして、多い場合には抽せんをするということをやっておりますけれども災害による滅失につきましては、通年いつでも受け付けるということで融資をするという制度一つございます。  それから、さらに、一定規模以上の災害の場合、たとえば今回のような場合でございますけれども、全体の災害の中で、一市町村でも当該災害によりまして災害救助法が適用になったというふうな災害の場合には、災害復興住宅貸し付けというのを金融公庫でやっております。これは一般の貸し付けよりも相当優遇いたしまして、貸付限度額を五百四十万円。一般の地域は三百五十万円でございますけれども、五百四十万円まで御融資申し上げる。償還期間は十八年でございますけれども、さらに据え置き期間を三年設けるということにいたしております。  なお、激甚災の指定があったというふうな場合には、一般の利率は五分五厘でございますけれども、据え置き期間中を三分にするというふうなことを行っておるわけでございます。
  44. 後藤茂

    後藤分科員 いま、いつでも受け付ける、あるいはまた、他の地域だと三百五十万円、これを五百四十万円、さらにまた、三年間の据え置きで五分五厘を下げるというようなことがありますけれども、先ほども申し上げたように、きのうまで大変静かなささやかな生活をされておった人が、一瞬のうちに住居もなくなってしまう。そういう方方が新しく住居を建てていく場合と、それから住宅が欲しい、わずかばかりの蓄えを住宅資金として積み立てていく、何がしかの頭金ができたので金融公庫に申し込んで——これはもちろん抽せんではありますけれども、申し込んで借りるという人々と、利率の面においては、五分五厘ということで変わらないということになりますと、これはどうも災害国と言われております日本の——これは単に十七号台風において一宮だけに起こった問題ではなくて、この種の鉄砲水に一瞬のうちに流されたり、あるいは高潮で海へ全部持っていかれたり、そういうことは全国でもうしょっちゅう起こっているわけですね。こういった被災者方々が、個人財産であるということで、それに対して国の政治の手が届かないということは、どうにも私は片手落ちだと思うのです。  現地に行きましても、いま仮設住宅皆さん入っていらっしゃいます。これは冬は大変なんです。あの地域は兵庫県でも大変寒いところですから、しかもプレハブの住宅で生活をいたしておりますと、朝起きますと布団の上から畳の上から露がしっとりと、もうまるで一雨降ったような状況になっている。ですから、仮設はあくまで仮設でございまして、いずれは自分の家を持ちたい。ところが、きのうまで家は実はあったわけですが、それがきょうはない。新しくもう一度つくるというのに対して、住宅金融公庫の一般の人が借りるのと同じような、先ほど局長は若干の優遇措置を申されましたけれども、これはもう全く微々たるものですね。何とかならないのか。いまの御答弁は御答弁としてわかりますけれども、何とか方法を考えられないのかどうか、これはぜひひとつ長官に基本的な考え方としてお聞かせいただきたい。何ともならないんだという御答弁になるのかどうかお聞かせをいただきたい。
  45. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 個人災害の問題でございますが、先生御案内のように、昭和三十五年以来個人災害の問題が災害対策特別委員会でも話題になりまして、災害対策特別委員会でも小委員会を設けて、この問題は積極的に議論を進めているのでございます。ですから政府も、去年の台風十七号がことに個人災害の問題というものを大きく浮かび上がらせたのでございますから、それだけに積極的にこの問題に取り組もうということで、少のうございますが、三百万ほど今回五十二年度予算調査費を盛りまして、調査を進めようという姿勢で積極的に取り組もうとしているのでございます。  そこで、いままでの問題点でございますが、いろいろありますけれども、たとえば個人災害救済制度をつくる場合に、これを強制加入方式を仮にとるとすれば、その公益性が一体どうなのか、公益性があるのかどうかということと。それから任意加入方式で仮にやるとしたら、採算が一体とれるだろうかという問題ですね。そのほか掛金だとか徴収は、法制上、実行上、あるいは採算の面から困難ではないだろうかというような点。あるいはまた、地域的に片寄りますから、共済制度として果たしてなじむのかどうかというような問題等がございまして、先生御案内のように、災害弔慰金でとりあえず個人災害を賄っていこうじゃないかということで、いま一世帯百五十万円、その他の場合七十五万円という弔慰金を支給することが現状なんでございます。  今後、私は、台風十七号のあの体験を得て、何としてでも個人災害に対する救済をしていかなきゃいかぬという積極的な姿勢でこれに当たりたいと考えておるのでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  46. 後藤茂

    後藤分科員 建設大臣にお伺いをしたいのですけれども建設省では補助事業として、がけ地近接危険住宅移転事業ですか、これが行われているようでございます。何か昭和四十七年に設けられたというふうに聞くわけですけれども、大変危険な住宅を移転し除去するための費用、あるいは新しく住居を建設するための資金、それの利子相当額を補助していく、こういう制度がとられているようでございますけれども、そのとおりでございましょうか。
  47. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、がけ地近接危険住宅の移転事業といたしまして、危険住宅の除却、それから危険住宅にかわる住宅建設助成ということで、地方公共団体に対しまして利子補給金の二分の一を補助するという制度をつくっております。
  48. 後藤茂

    後藤分科員 もう一つ国土庁の方にお伺いしたいのですけれども、四十九年に成立をいたしました防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律という大変いい法律ができているようでございますけれども、この法律がこれまでどの程度に適用されたか。ちょっと後で一宮の問題とも関連をして御質問したいと思いますので、ああいう一宮の場合と同じような類似的なものがもしありましたら、お答えをいただきたいと思います。
  49. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘の法律ができましてから、いままで大体十六団体適用がございました。移転戸数が八百七十戸ということでございます。中身は、天草の竜ケ岳みたいに三百二十九戸というような大きな移転もございますが、十四戸とか十二戸とか二十戸とかという細かいものもございました。お示しの一宮では四十戸ぐらいが埋没したということでございます。  大体、実情はいま申し上げたような状況でございます。
  50. 後藤茂

    後藤分科員 いま建設省の方と国土庁の方から、予算補助事業なりあるいは法律に基づく施策なりということをお伺いをいたしました。そこで、もう一度また一宮の問題に返ってみたいと思うのですけれども、あの現地に行かれた方もいらっしゃると思いますが、百万立米の土砂が押し寄せまして、十メートルばかり下に住居が一瞬のうちに埋まってしまった。この土砂を除去いたしましてもう一度住宅を掘り起こしていくということは、大変な金がかかって不可能です。そこで、道路なりあるいは農地なり、あるいはまた第二次、第三次災害が起こらないように、治山治水等の作業がいま急ピッチで進んでおります。当初あの地域の人々に聞きますと、よくよく調べてみると抜け穴的な土地であった、こんなこわいところには住めないのでどこかへ移りたいという気持ちがあったと思うのですけれども、日がたつにつれて、やはり自分たちが住んでおりましたところにもう一度帰りたい。しかしそれは十メートル上になるわけです。  いまの集団移転の法律からいきますと、これは横へといいますか、平面移転になるのかと思います。たとえ一尺であろうと、あるいは百メートルであろうと、その危険地域から横に、しかも集団という一つの枠がございますけれども、移転をする場合には国の助成がある。同じ考え方を新しくその十メートルばかり上に——これは確かにもとの土地ではありますけれども、まさに新しい土地なんです。その新しい土地に移転をしていく場合に、この法律の適用ができないか。また、横への移転の場合に、その角度は一体どうなのか。角度は恐らく余り問題にされていないと思うのです。それが三十度だか五十度だかの傾斜を持ったところということをずっと挙げていきますと、垂直移転というふうに法の解釈ができないか。もし仮に法の解釈ができないとすれば、法をその立場から改正するということができないだろうか。  現地の、特に工事に努力をされておられる方々にお聞きをいたしますと、第二次災害が起こるような、そういうようなずさんな工事はいたしませんと言う。もう絶対という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、絶対に災害が起こらないようにしてみせますと自信を持って、現地の工事をやっておられる方々は言っておられるわけですね。そういたしますと、新しい土地がそこにできるわけですから、したがって、せっかく四十九年に集団移転のこういういい法律ができているわけですから、これを何とか適用することができないものだろうか。しかもこの法律の趣旨を見ますと、「この法律は、豪雨洪水、高潮その他の異常な自然現象による災害が発生した地域」ということがちゃんと書いてあるわけです。おそれのある地域じゃないわけです。どうでございましょうか、この点をひとつ……。
  51. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘の兵庫県の一宮町におきます集中豪雨による災害につきましては、現在、治山治水等にわたりまして、各種の災害復旧事業、あるいはその関連事業というものが実施されておる最中でございますが、地元集落の再建という問題につきましては、防災上の安全性とか、あるいはまた集落整備の基本的な方向というようなことについて、いろいろ地元で御検討されておるようでございまして、まだ結論的なものは聞いていないわけでございます。もちろん、この集落再建に当たりましては、ああいった災害の後でございますから、住民の安全ということが特に考慮されなければならないと思いますし、また、そういった方向で集落再建というものをお考えになるだろうと思うのでございます。  ただいまのお話のように、仮にこの被災地で再建をするんだということになった場合の問題でございますが、御承知のとおり、いまお取り上げいただきました防災集団移転促進事業というものは、被災現地における集落再建では住民の生命財産の安全確保ということを期しがたい場合において、特に財政上の特例措置を設けて長年住みなれたところを出ていってもらうという、そういう意味での集団移転ということでございまして、その促進を図ろうというものでございますから、被災地での災害復旧ができて、あるいはそこの従来持っておった土地は自分の土地であるというかっこうできちんと復旧ができて、そこで集落再建ができるというふうな状況の場合は、この制度を適用するということはやはり困難ではなかろうかという気がするわけでございます。  しからば、いまおっしゃいましたように、移転という場合どれくらいが移転なのか。一尺でも移転であるというようなことになると、そこらは必ずしもこの法律で明確にはされておりませんが、ただいま申し上げた趣旨で、そこを、住みなれたところをいやでも出ていかなければならぬということで、特に厚い財政措置を講じて移転をするということでございますから、ここの一宮の状態がどういうことになるか、また、どういう方針を立てられるか、私はよくわかりませんが、その復申した後は、安全性もあって、かつまた従来の土地はちゃんと自分でもらえるとなりますと、ほかの一般の場合の災害地とどの程度変わるんだろうかというようなことでございまして、なかなかそこの解釈はむずかしいと思います。  ただ、いろいろお話がございましたように、実態としてどういうことをされるかということがまだわからないうちに結論を出すわけにもまいりませんので、よく現地と相談もいたしまして、場合によっては、私どもも係官を現地へ派遣してでも十分相談をして、集落再建というものがスムーズにいくように、その点は私どもとしても努力をしたいというふうに考えております。
  52. 後藤茂

    後藤分科員 局長が現在ある法律を勝手に拡大解釈をして答弁をされるということは——これは大変むずかしい問題だと思うのですけれども、ただ、新しく復旧いたしました土地は、先ほど申しましたように、大変自信を持って、きちっといたします。そんなあやふやな危険なものにはさせませんということを言っておる。そういたしますと、そこは大変安全な、住居に適する土地であるということが仮に確認されたといたしますと、そこにもう一度移り住む場合に、お一人お一人の持っておりましたその土地の垂直十メーター上にそれができるというようなことには恐らくならぬでしょう。道路だって少しは違ってくるでしょうし、あるいは今度どこに住居、土地を構えていくかということは、利害がふくそういたしまして大変だと私は思うのですけれども、ただ、いまの集団移転の法律を適用する場合、あるいはもし適用がむずかしければ、それの改正をして何とかそういう国の助成というものをやってやるということは、一宮の問題だけじゃなしに、先ほどから私は何回も申し上げておりますけれども、全国にあちこちで非常に多く例があるわけですから、こういう人々に対して、単なる見舞い金なりあるいは国民の善意の義援金によってやるということではなくて、国の制度としてこれをぜひ確立していただきたいということを申し上げたいわけであります。  それと関連いたしまして、先ほどの予算補助事業でがけ地近接危険住宅を認定した場合の、その移転の住居費なり、あるいはこの新築資金の利子相当額に対する助成ということですが、これも、危険であるという場合に、移るときにそういう助成があって、そしてこの集団移転法の趣旨に書いてありますように、災害に遭った者がそういう助成を受けられないというのは、制度、法律から見ましても大変片手落ちだと私は思うわけです。こういうがけ地近接危険住宅を持っておる人が移るときには国の助成がある。そして一朝にして本当にすべてをなくしてしまって、歯みがき一つから調えなければならない人々が何ら恩典を受けない。しかも、これだけの災害襲地帯といいますか、災害日本で毎年災害が起こるのにもかかわらず、これはどうも保険なり共済の対象になじまないわけですわね。そういたしますと、もとに返りますけれども個人災害に対する復旧なり助成なりというものは、そういう法律で冷たく扱うのではなくて、もっと大胆にやっていただきたいと思うのです。  国土庁からいただきました資料を見ますと、全壊、流失の年度別資料ですけれども、四十六年災で九百七十四棟、四十七年災で三千七棟、四十八年が四百八十七、四十九年が千三十一、そして五十年が千六百二十五で、五十一年はまだ未確定数字が入っているようですけれども、二千九百というふうになっているわけですが、私は実はもっと多いんじゃないかと思ったのです。もっと多いから、財政的な立場からどうも大変な金がかかるので、そこで見送っているのではないかと実は思っておったのですけれども、この数字を見ますと、私はそんなに大きな数字ではないと思うのです。二十八兆円の国家予算の中で二千九百棟の家屋です。災害によって全壊、流失したこの人々に対して、仮に五百万円の金を無利子融資をいたしましても、総合計で百四十五億くらいですか、これの利子補給を何らかの形で——十八年なり二十年なり、その間無利子ということは、制度的にはなかなかむずかしいんでしょうけれども、何らかの利子補給なり助成なりというものを考えますと、私はそんなに大きな額じゃないと思うのですね。特に、保険なり共済なりという対象になり得るんだというのなら、これはまた別ですけれども、そうではない。  先ほども、小委員会を設けていろいろおやりになっていらっしゃる、調査費も計上したということのようでございますけれども、この点については、額としても、これまた来年、再来年とずっと続く問題ですから、ぜひひとつお願いをしたい。拡大解釈というのですか、法の改正というのですか、あるいは予算補助事業の適用というのですか、この点からぜひお考えをいただきたい。これは単に一宮の問題だけではなしに、これからも起こるであろうし、そして私たち自身が、長官自身が、家がいつ吹っ飛んでしまうかわからないというような、その上に生活しているわけですから、国の制度としてこういう手厚い制度があるんだということをこれからはつくり上げていきたいという、そういう決意を国土庁長官からぜひ前向きにお聞かせをいただきたい。  それから同時に、一宮の方々は、何もただで金をくれということを言っているんじゃなくて、せめて無利子ででも長期割賦払いで払えるような制度でもやってくれないか、そうでなければもうやりきれないという気持ちなんですから、毎回国会で論議をされていることを、同じことを言っているわいというような聞き取り方ではなくて、この問題を、しかもまた一宮の問題ということだけではなくて、ぜひひとつ前向きに考えていただきたいと思うわけでございますが、どうでしょうか。
  53. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 現状はただいま局長から説明させたとおりでございますが、先生のお話のように、この点については非常に重要な問題でございますので、私も前向きに検討して御期待に沿うように努力をいたしたいと考えております。
  54. 後藤茂

    後藤分科員 ありがとうございました。
  55. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 それでは、これにて後藤茂君の質疑は終了いたしました。  山口鶴男君。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 議運、国対の大先輩の長谷川建設大臣や、前の議運の委員長の田澤さんや、また、委員長席には議運の同僚でございました藤田さんと、三人座っておられるわけで、大変なつかしい思いがいたします。  国土庁昭和五十一年四月十六日に閣議決定した、いわゆる利根川、荒川フルプランですね。「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」を決定になりました。建設省もこれには深くかかわっておると思うのですが、これを拝見いたしますと、初めて八ツ場ダムがフルプランに組み込まれたわけですが、三百十二戸に上る水没が予想される、また地元の人たちの八割が結束をして反対をしておられる、こういうような経過もございましたし、さらにまた、あの地域には天然記念物あるいは名勝があるわけでございまして、こういった天然記念物や名勝の保存を図るべきだ、このような世論もございました。そういう関係があるわけでしょうが、他の事業には見られない文句が書いてあるわけですね。「水没関係住民の納得を得るよう努めるものとし、その生活の安定と地域の長期的な発展のための計画の樹立を図るものとする。」と書かれてございます。したがいまして、普通の編入されましたダムについては予定工期が書いてあるわけでございますが、これには予定工期も書いてない。こういうふうになっております。  したがいまして、国土庁の長官にまずお尋ねいたしますが、ここに書かれてございます他のダム事業には見られない文章は、これはあくまでも守っていく決意でございますか。念のためにお伺いをいたします。
  57. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 八ツ場ダムの問題につきましては、ただいま山口先生御指摘のように、三百十一戸の水没があるし、八〇%の地元の反対もあること、あるいはまた天然記念物、名勝等が非常に多いところであるということから、私たちも、この問題については、十分地元の意向を聞いて進めてまいらなければならないと考えておるのが基本的な考え方でございます。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私は、毎年の予算委員会分科会におきまして、この問題を聞いてまいりました。ダム建設関係地域住民の理解と協力がなければできない、そのことを確認いたしますかということを歴代の建設大臣国土庁長官にお尋ねしてきたわけです。思い出すだけでも、保利建設大臣、あるいは西村建設大臣、さらには金丸国土庁長官と、いずれも八ツ場ダム関係地域住民の理解と協力がなくては実現できるものでないということを明確にお答えになっておられます。  そこで、お二人の大臣に重ねてお尋ねしたいと思うのですが、同じ御見解でございますか。明確にお答えをいただきたいと思います。
  59. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 申し上げるまでもなく、八ツ場ダムは、利根川水系の治水、利水の面でその実現が急がれておるということだけはそのとおりでございます。しかし、水没者並びに周辺地域住民の犠牲を強いることは、いままでのようなわけにはまいりません。いままでは計画が立ったからこれでやるんだというようなやり方をしましたけれども、現在ではそうはいかない。したがって、水源地域の特殊な事情を十分に考えなければならないだろうというふうに思っております。  ですから、ただいまのところは、これを強制的に行おうという考え方は持っておりません。また、県と地元住民との十分の協議をいたしまして、その地元の協力が得られた上に立って初めてこれの実現を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  60. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の促進については、ただいま建設大臣からもお話がございましたように、最近の水資源の状況からいって、どうしても急がなければならない計画なんでございますが、だからといって、地元の意見を反映しない開発計画というものは意味がございませんので、私たちは、あくまでも地元の意向を十分承って、この開発計画は進めたいと考えております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 どうも、保利さんや西村さんや金丸さんのお答えから見ると、やや歯切れが悪くなっておりまして、残念に思います。やはり関係地域住民の理解と協力なくてはできないと、明確にお答えになったらいかがですか。
  62. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お話しのとおり、関係者の理解と協力がなければこれは実現できませんので、その点については、前の長官の御発言、態度と変わりはございません。
  63. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 同じでございます。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そこで、国土庁長官にお尋ねしたいと思うのですが、水源地域対策特別措置法ですね。これは八ツ場ダムのためにつくった法律だというようなことを言われておるわけですが、どうもこの法律は不備な点がございます。私は、この法案を審議するときにも、建設委員会に出ましていろいろ議論をしたわけですが、この地域住民方々に対する生活再建のための措置——どうも努力規定みたいなものでございまして、この点に地域住民は非常に不満があるわけであります。  それから、さらにこの法律の第二条によりますと、「指定ダム」というのを政令で指定するということになっております。しかし、第三条の「水源地域の指定等」を見ますと、内閣総理大臣は、都道府県知事の申出に基づき関係行政機関の長に協議して、しかもその上で、あらかじめ関係市町村長の意見を聞いて指定をするということになっておるわけですね。第二条の指定ダムの政令指定は、これは一方的に法律上できることになっている。しかし現実には、第三条の水源地域の指定が動いていかなければ、この法律は何らの効果がないと思うのですね。そのためには、まず都道府県知事が申し出る、あらかじめ関係市町村長の意見を聞く、こうなっておるわけですから、この第三条の体制が全く不可能の中で第二条の指定だけを政令でやっても意味がない、私はかように考えております。そのようなことを前の国土庁長官にも申してまいりました。  そこで、お尋ねしたいと思うのですが、本年の四月ごろ幾つかのダムを第二条に基づいて政令で指定したいということで、国土庁はその事務を進めておられると聞いておるわけでございますが、その中に八ツ場ダムは入れますか、入れませんか。結局、第三条の規定が動かなければ意味がないのですから、都道府県知事のある程度の了解と、そして関係市町村長の意見というものを無視して一方的に二条の指定をやっても意味がない。そういう意味で、第二条による八ツ場ダムの政令指定は急ぐべきでない、かように私は思いますが、その点の御見解を承っておきたいと思います。
  65. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答えいたします。  二条と三条の関係につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、私どもも、ダムの指定につきまして、近く十ダム程度をダムの政令指定を行いたいと思っております。その中にただいま八ツ場ダムが入っておるかどうかということでございますが、先ほど二条と三条の関係で先生から御説明がございましたように、私どもは、ダムの指定に当たりましては、法律上は都道府県知事の了解を得るということが要件とはなっておりませんが、ダム主管省の意見のみならず、地元県の了解を得た上でダムの指定をしたいと思っております。  当八ツ場ダムに関しましては、群馬県知事より、もう当分の間ダムの指定につきましては見合わせてくれという要請がございましたので、今回の政令指定には八ツ場ダムは含んでおりません。
  66. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その点は明確になって結構だと思います。  この際、建設大臣国土庁長官に申し上げておきたいのですが、建設大臣は群馬ですから、事情はもう私が申さなくてもよく知っていると思うのですが、水没住民のほとんどすべてを抱えております吾妻郡長野原町、ここの町長さんは、ダム反対期成同盟の会長だった方が町長さんに当選をしておられるわけですね。そういう事情もあるわけです。何といいましても一番関係するのは長野原町、しかも水没を予定されております関係地域住民。したがいまして、先ほどのお答えでいいわけでありますが、これらの関係地域住民の理解と協力がなくてはダムができないのだという御答弁でございます以上、どうか今後とも第二条の政令指定は急ぐことなく、群馬県知事あるいは長野原町の町長、地域住民の意向というものを十分尊重されて対処していただくように強く要請をいたしておきたいと思います。  さて、そこでお尋ねしたいと思うのですが、この水源地域対策特別措置法ができます以前に、群馬県におきましては幾つものダムが実は建設をされたわけです。下久保ダム、藤原ダム、薗原ダム等でございます。これらのダム建設に当たっては、地域住民の人たちが非常な理解と協力を示してこのダムができたわけです。ところが、ダムはできて、その後その水特法ができたが、そういう恩恵はこれらの地域住民の人たちは受けていない。しかも、これらのダムができました地域は、ダムができましたために過疎化いたしまして、一体何のためにこのダムに対して協力をしたんだろう、非常にばかを見たという感じが関係地域住民に非常に多いわけです。確かに法律ができる以前とできた以降とでは違うことはよくわかります。しかし、お互い国民は平等でなければならぬわけでございまして、率先して理解と協力をした者が余りにもばかを見た、その地域が余りにも過疎化し荒廃したということではならぬと私は思うんですね。  したがいまして、この水特法をさかのぼって適用するなどということができないことはわかっておりますが、問題は、この水特法に書かれてございます関係地域の周辺整備に当たって補助金をかさ上げし、あるいは利水県から負担金を持ってくるという形の中で、その地域の負担をゼロないしは非常に軽減する中で周辺整備を行っていくというこの法律の規定の精神というものは、やはり法律の許す範囲でできる限り措置していくことが必要ではないだろうかというふうに私は思います。この点に対して建設省並びに国土庁の御見解を承っておきたいと思います。
  67. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、いまお述べになったとおりだと思います。したがって、水特法自体そのものも見直さなければならない時期はあるだろうというふうに考えます。さらに、お話にあったように、現在では法律をさかのぼってこれを適用するわけにはいきませんけれどもダム周辺の環境等については、いま努めてこの点には意を用いて行っているつもりであります。特に下久保ダムあたりにつきましては、昨年度でございますけれども、計算によりますと十八億ぐらいかけてその周辺の整備をやったりしておりますというようなことと、さらに五十二年度は、初年度に予算を三千方円でもってダム周辺の環境整備事業をやろうということであります。  したがって、上流のダムを持っている県が損をする、いや、その県よりも住民に将来にまで、これほど水の危機が伝えられている今日、水の将来性を考えるとき、このままの姿でいくべきものではない、必ずやこれは全体的に見直しをし、そしてこの人々、との村、そのダムのある周辺というものにはもっと力を入れなければならぬ。それは、その川下というか、利用者がその負担をするということは当然である。しかし、国でもそれに対する考え方を一にして、これらに対する環境問題やあらゆる施設というものに対して十分な考え方を持つべきだということで、ただいまこれらの問題に処しましていろいろ研究を加えておるところでございます。
  68. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 ただいま建設大臣から述べられましたような諸制度その他の方策とあわせまして、国土庁といたしましては、関係行政機関と十分連絡いたしまして、既設ダム周辺の地域振興のために、他の振興対策をも並行して行えるようにさらに十分努力してまいりたいと思いますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  69. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 ただいまの点はわかりました。すでに協力をいたしました地域が非常に不公平感を持っているということのないように、今後、各種の事業、特に補助金の決定その他におきまして、十分な配慮をしていただくように要請をしておきたいと存じます。  それから、最近、上越線で悲惨な事故がございました。幸いと申しますか、死者が出なかったことはよかったと思うわけでございますが、百数十名の方々が重軽傷を負ったという、あのような事故が起きました。この問題については、国鉄当局の防災事業がきわめて不備であった。土砂どめの壁はありますけれども、そこに鉄筋が入っていなかったとか警報装置がなかったとか、いろいろ欠陥はあります。しかし同時に、あそこは一級河川である利根川の流れておる川岸であり、さらに、あそこには国道十八号線も通っておるわけでございまして、当然、建設省として、私はやはり、あの地域の治山工事というものに不備があったのではないかという感じがいたします。あの地域の治山事業については、建設大臣も、県内のことですから事情はよく御存じだと思いますが、十分ひとつ対処をいただきたい、かように思いますが、いかがですか。
  70. 栂野康行

    ○栂野政府委員 群馬県は非常に地すべりの多い地帯でもございますし、また山が荒れておる状況でございます。したがいまして、従来から建設省としましては治山、砂防事業に重点を置いておるところでございます。  先ほどお話のありました鉄道の上から落ちてきた地域でございますけれども、あれば一応建設省所管外でございまして、鉄道の関係の保安地域になっております。
  71. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 あの地域は鉄道所管の地域であっても、あの周辺が荒れているというところに問題があるわけですから、そういう意味で、広域的な意味での治山工事にやはり意を尽くしてもらいたい、かように思いますが、その意味でいかがかということです。
  72. 栂野康行

    ○栂野政府委員 十分実態を調査いたしまして、そういう点につきましては念を入れて、まず事業促進も図っていきたいと思います。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それから最近、各種の新聞で、観光地を抱えた市町村、財政が非常に大変だというのがございました。建設大臣もあるいは新聞記事でお読みになったと思います。これを見ますと、結局、観光地というのは、従来住んでおります人口以外に、一時的には二倍、三倍あるいは四倍という人口が集中をするわけですね。したがいまして、下水道につきましては、自治省がはじいた温泉都市の基準財政需要額の総額に対して、現実には下水道の経費は五・五六倍もかかっておる、こういう数字を挙げて、観光地を抱えている市町村が、もっと財政的なめんどうを見ろという主張をいたしております。  財政的な面は自治省でありますから、それはそれでお尋ねするといたしまして、建設大臣にお尋ねしたいのは、やはりこういった観光地の特殊性——私の出身地は草津町で、草津温泉、観光地を持っておる町でありますけれども、やはりそこでも、人口九千人ぐらいの町ですけれども、実際の下水道事業というのは、それに数倍する規模の事業をやらなければいかぬわけですね。こういう点は建設省は、こういった人口とは別に、より大きい規模を必要としなければならぬ下水道等の問題については、ひとつ十分な配慮をしていただきたい、かように考えます。その点はいかがでしょうか。
  74. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 昭和五十一年以来、昭和五十二年、いま迎えようとしておりますので、下水道という問題は特に力を入れているところでございます。したがいまして、御指摘の観光地というような地は、たくさんの客が参りますので、その環境衛生、こういうところに重点を置かなければならないことば当然でございます。したがって、観光地のある市町村が非常に苦しんでいることもよくわかりますので、私たちは今後の処置として、観光地、こういう人のたくさん集まるところの需要をなるべく満たしていくような方法をしなければならぬというような考え方、あるいはまた、大都市を中心としたこれらの完備をまず図るとともに、観光地もともに同様に取り扱って今後進んでいくように考えております。  したがって、費用の分担でございますけれども、本年は特にそれらを勘案いたしまして、自治省ともお話を申し上げておりますし、相談もしておりますし、今後さらに、なるべく地元負担がかからないような方法をとって、そして下水道の完備をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間もないようですから最後にお尋ねしたいと思いますが、建設大臣も御存じのように、高崎から軽井沢に通ずる国道十八号線、新潟、長野、群馬、埼玉、東京を結ぶ動脈でございますが、御案内のように、豊岡地域というのが非常に混雑をしているわけですね。まさに国道十八号線最大のネックだと言って差し支えないと思います。従来から、この豊岡地域にバイパスを設けてくれという要請が非常に強かったわけでございますが、用地の問題等でなかなか工事が進んでいなかった点もあるわけでございますが、地元におきましても協力の機運も出てきたわけでございます。この国道十八号線の豊岡バイパス、一体いつごろまでに完成する予定で建設省としては取り組んでおられますか。五十二年度以降の工事の考え方につきまして、ひとつお尋ねをいたします。  それからついでに、あの地域の倉賀野地域は、やはり同じ問題がございまして、高崎道路を同じく建設省で取り組んでおられるわけでございます。こちらは用地については一応解決をいたしまして、工事が、あそこは国鉄の貨物の駅がございまして、その点で非常にむずかしいという点があるようでございますが、これにつきましても、鋭意努力をいただいて早期の完成を実現していただきたいと思うのですが、その完成の見通しについてあわせてお尋ねをいたしたいと存じます。
  76. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 一番問題な豊岡バイパスの件は、私も身をもって感じているところでございます。したがって、やっと長い間かかりまして住民との妥結もつきまして、これを本年度から、かかることにいたしまして、今年度は十分調査をして、そしてかかることにいたしまして、完成は五十七年完成ということに予定は立っておるわけでございます。  もう一つの方は局長から……。
  77. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 豊岡バイパスは大臣からの御答弁のとおりでございますが、高崎バイパス、高崎道路につきましては、これは御指摘のように、現道拡幅区間と倉賀野地先のバイパス区間と両方あるわけでございますが、現道拡幅区間につきましては、御指摘のように、五十二年度に完成する予定でございます。それに引き続きまして、倉賀野地先のバイパス部分の工事を進めるわけでございます。これは五・九キロございまして、この間に上越線の操車場の幅の広いところをまたがなければならぬようなことがございまして、その辺の工期等を考えますと、大体五十六年ぐらいに完成できるようなことになるのではないかというふうに考えております。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これで終わりますが、実情をよく建設大臣御存じなわけですから、ただいま完成予定をお伺いいたしましたが、できるだけ早く完成をいたしまして、あの最大な障害を克服され、住民の期待にこたえていただけますように強く要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  79. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  長谷雄幸久君。
  80. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 私は、大学の立地条件、環境の整備という問題を中心にしまして、関係省庁にお伺いをしたいと思います。  御承知のように、大都市におきましては、大学等、高等教育機関が過度に集中をしまして、その結果、都市環境の面から、及び大学等の研究機関にふさわしい立地条件、環境という面から、問題が顕在化いたしております。そこで、研究機関にふさわしい大学等の環境整備をし、あわせて都市環境整備を有機的に図っていく必要があると考えるわけでございます。  そこで、まず国土庁にお尋ねをしたいわけでございますが、首都圏における大学等の高等教育機関が過度に集中していることによって、大学等の研究機関、そしてまた都市の環境、こうした面にあらわれている弊害に対していかに対処するのか、その基本的なお考えがあれば承りたいと思います。
  81. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先生御案内のように、国土庁の大きな仕事の一つが、国土の均衡ある発展を図って、いかなるところに国民が住まっても幸せだなあという日本列島をつくるということにあるわけでございまして、そのためには、やはり過疎過密の現状を打開してまいらなければなりません。そのために首都圏の整備というものが当然に必要になってくるわけでございます。  そこで、首都圏の整備は、現状はなかなかむずかしいものでございますけれども、筑波研究学園都市というのをまずつくりまして、ここにある程度の学園の研究機関あるいは大学等の移転を図って、首都圏の整備を図ろう。あるいはまた、私立学校その他につきましても、それぞれ首都から遠いところに移転するという計画を促進していただいているというのが現状なのです。中央大学がもう多摩の地域にすでに移転されている。あるいはまた、防衛大学の医学部が所沢の方に完成されているというようなこと。ただいま、また東京大学も、これは理工科系あるいは研究機関等は、本郷ではなかなか思うようにまいらぬから、これもある程度あそこから移転したいという希望も出ておるようでございますが、これらを含めて、今後、大学を含めての教育機関というものを、できるだけ首都圏外に移転することを私たちは希望しつつ、首都圏の整備を図っているのでございます。
  82. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 そこで、特に東京の区部におきましては、大学の過度の集中に対しまして、最近では、私立大学が東京都の区部から他の地域に移転していく傾向が非常に多く見られるわけでございます。中でも東京都下八王子市におきましては、人口が現在約三十三万人、こうした都市であるにもかかわらず、現在、私立大学が既存のものですでに十三校もございます。また近い将来、移転が確実に予想されている三校を加えますと、実に十六校になるわけでございます。大学が十六校になりますと学生数はざっと五万人。この五万人という数は、同じ東京都下の稲城市あるいは武蔵村山市、それぞれの人口に匹敵するほどの数になるわけでございます。また、大学がこれだけできますと、大学の教員や職員、さらにはその家族、そしてまたその関係者等の数を入れますと、相当な数になります。一つの市に大学が十六校もあるということは、ちょっとほかに前例がないのではないかと思うわけでございます。  そこで、解決を要する問題としましては、こうした十六の大学の研究機関としての環境整備を、ぜひとも図っていかなければならない。あわせて八王子市の場合、八王子市の都市機能、これを有機的に関連しながら充実をしていく必要が、ぜひともあるわけでございます。そこで、十六の大学の研究機関としての環境の整備の必要性があるにもかかわらず、現状としては、国はほとんど施策らしいものがないように思われるわけでございます。そのために、八王子の市としても、財政危機のためにほとんど手が出せない。そこでやむなく地元の私立大学が、地方自治体の定めた宅地開発に伴う指導要綱、こうしたものに基づいて、周辺道路の整備、あるいは上下水道の確保、整備、電気設備等に要する公益費を大学側の自己負担において施行しなければならない。現にそうやっているわけでございます。さらにまた、交通路線確保のために多額の先行投資を強いられているのが現状でございます。  そうした点にかんがみて、私は文部省にお伺いしたいわけでございますが、まず、こうした現状を見たときに、大学の設置基準の点でございますが、大学の設置基準について見ますと、大学の存立可能な物的、人的設備、そうしたものがあれば、現在恐らく大学の設置基準にかなっているということで認可をされるのでありましょうが、こうした存立基盤のほかに、大学とその都市との環境整備という問題、こうした環境整備の問題もあわせて設置基準というものを設けているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  83. 山本研一

    ○山本説明員 ただいま先生から御指摘がありましたように、都市の過密化で非常に教育環境が悪化しているために、八王子地区あるいはその周辺に移転、あるいはそちらの方で設置する私立大学が非常にふえております。それで問題は、その設置基準と都市の地域社会との関係でございますけれども、現在、文部省の設置基準は、私学が自主的に建設地を選定して、一定の施設、設備要件を備えれば認可するたてまえになっておりまして、そういう地域社会との関係は、一切考慮するたてまえになっておりません。
  84. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 それでは文部省に重ねて伺いますが、そうした形ではちょっとまずい面があるのではないか。現にそうしたことが、八王子市の場合は十六の私立大学という面から顕著にあるわけでございます。  そこで、国土庁の持っている各省との調整機能、この調整機能というものをフルに生かしてもらって、つまり文部省としては、国土庁が定めた首都圏整備計画、こうしたものをやはりある程度尊重しながら、国土庁意見を聞いていく必要もあるのではないか。そのことが、要するに大学の教育環境の整備とあわせて、その都市の、この場合ですと八王子市の都市機能、これを有機的に整備していくことになるのではないか、こう考えるのですが、文部省の御意見を伺いたいと思います。
  85. 国塚武平

    国塚政府委員 先生お述べになりましたように、八王子市に十六校の新しい立地を見ておりますけれども、中央大学、拓殖大学、日本文化大学、法政大学という新設予定校につきましては、実は都市計画法上の市街化調整区域内における開発許可という形で開発行為がなされておるわけでございます。したがいまして、いま仰せになりましたように、開発行為をいたします大学側が、地元の八王子市と公共施設の管理者たる立場で協議をして、その設置を認めておるという関係に相なるものでございますから、そういったことから、関係施設の費用負担というような問題につきましても、地元と大学側の相談によって行われておる、都市計画法の規定によって行われておるという現状でございます。  しかし、いま先生お述べになりましたような、公共施設の管理者が当然整備しなければならないような歩道でございますとか、具体的に申し上げますと、中央大学の場合で言えば、多摩センター駅から大学に至りますまでの間の野猿街道でございますとか、あるいは多摩動物公園駅から参ります都道の整備でございますとか、これは急いで、そしてかなり交通渋滞もいたしておりますから、通学に支障がないようにするということは当然必要だと私は考えております。東京都とも連絡をいたしましたけれども予算の範囲でできるだけの配慮をしたいというお答えも参っております。  私どもとしましては、必ずしもこの八王子地区の立地が好ましいものだというふうに考えておりませんので、実は先月も八王子市当局と話し合いをいたしまして、先生お述べになりましたように、やはり市当局と大学との間で十分な話し合いがなされて、理解が行われ、共通の場ができるということが一番大事なことだということを市も言っておられました。たとえば学生の居住状況を見ましても、大体七割が通学でございます。それから二割五分が下宿でございます。残りが自宅というようなことでございますので、やはり大学を設置いたします場合には、地元にも潤いがもたらされると申しますか、地域の発展にもつながる。八王子市側は、もともと大学の誘致には熱心なところで、文教都市としての発展を図りたいという希望を持っておりますけれども、いま先生が仰せになりましたように、財政面での問題もございますので、そういった面は、これから地元との話し合いの中で大学側と十分協議されまして、国土庁としましては、そういう地域の実態につきましては私どもも相談にあずかるという立場でございますから、よく話を聞いた上で、私どもができることについてお助けをしていきたい、こういうふうに考えております。
  86. 山本研一

    ○山本説明員 文部省といたしましても、特に郊外地の方へ移転する私立大学に対しましては、現在、政府の出資金あるいは財政投融資資金を主要な財源にいたしまして、日本私学振興財団を通じて融資しております。その融資制度の充実を年々図っておるところでございますけれども、たとえば中央大学あるいは拓殖大学などは、先生御指摘のように、道路の整備ですとか、あるいは下水道の整備というようなことで、公共の応分の負担をいたしております。そういうことで非常に資金を必要といたしておりますので、当該大学の申し込みに応じて、できるだけ希望額に近い融資をいたしておるのが現状でございます。
  87. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 それでは関連して伺います。  いま、お話の中に私学振興財団の話が出ましたが、そこから具体的にどのような形で、との環境整備の面にお金が出されているのか。また、あわせて現行の助成金の制度で、いま私が質問申し上げましたような形の環境整備が方向としては、できることになるのかどうか。また、そのほかに大学周辺の設備をよくするための何か具体的な方策があるのかどうか、それをあわせて伺いたいと思うのです。
  88. 山本研一

    ○山本説明員 お答えいたします。  融資の直接の対象になるのは、校地、校舎あるいは校地内の環境整備というところが融資対象になりますので、直接的には道路整備あるいは下水道整備に寄与することはできないわけですけれども、実際に私立の大学が使用しているお金というものは学生の負担になる関係がございますので、私どもとして、これを融資対象に——できるだけ希望どおりの額を、長期低利の融資を行いまして、学生、生徒の負担をできるだけ分散させる、そういうことを考えておるわけでございます。  それからまた、現在、私立大学に対しては、経常費の補助を昭和四十五年度から創設いたしまして、年々拡充してまいりました。昭和五十二年度の予算案では千六百五億円というかなり大幅な額を確保しておりますけれども、そういう経常費補助金を交付することによりまして、それぞれの私学が特色のある教育、研究を行って地域社会の発展にも貢献していくことを期待しているような次第でございます。
  89. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 ところで、八王子市の場合特にそうでございますが、私立大学の数が十六もあるということから、この私立大学については非常に公共性が高いのではないか、こう考えるわけでございます。たとえば文部省の大臣官房調査統計課、五十一年度の資料がございますが、この調査によりますと、大学の数が四百二十三、そのうち私大が何と三百七もございますね。さらにまた学生数を見てみましても、学生の総数が百七十九万一千七百八十六名、そのうち私立大学が何と百三十六万七千七百六十三名、相当の割合を占めているのが現状でございます。さらにまた学生は、その地元の人というよりか、むしろ全国各地からこの東京あるいは東京都下の八王子市の大学に入学してきているということ。そしてまた、卒業された学生さんたちは、この東京に就職する場合もあれば、地元に帰る場合もある。全国各地に散っていくわけでございます。そうしますと、この私立大学というものは、国立大学と全く同様とは言いませんが、かなり公共性が強いことは否定できないと思うのです。そうしますと、こういう中で、十六も大学があるこの八王子市の場合は、実質面は別にして数だけ言えば、まさに学園都市、こう言えるのではないかと思うのです。  そこで、さっき国土庁長官お話がございましたが、筑波学園都市、これと全く同じだとは私は言いませんが、この学園都市に対して単年度で五億円の助成をしておる事実がありますね。そうしますと、八王子市に私立大学が十六もあるという面から、非常に公共性が強いということから、八王子市並びにこの関係の大学に対して、大学の研究機関としての環境を整備するということ、あわせて都市環境整備、このために国として思い切った助成をぜひとも講ずべきだ、こう私は考えるわけでございますが、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  90. 国塚武平

    国塚政府委員 先生お述べになりましたように、私ども首都圏の整備というようなお立場を預かっている者といたしましても、大学の移転の問題につきましては重要な関心を持っておるものでございます。  そこで、先生がいろいろお述べになりました八王子市に、十六の大学が昭和三十八年から今日に至るまで十数年かかって立地されておるわけでございまして、今日急にできたというものではございませんが、たとえば一万六千人の学生数になると見込まれる中央大学など考えますと、かなりの学生数になるということは御指摘のとおりでございます。そこで、どういう具体的な問題が現地で起こっておるか、私どもはどういうことをすればいいのかということを、先ほど申し上げましたように、八王子市と話し合ったわけでございますが、個別の都市施設整備というような観点に立ちますと、たとえば道路で申し上げますと、多摩地域は従来とも、道路の整備が他の地域と比べまして必ずしも進んでおる地域でもございません。また、高速道路の開通によります自動車交通量の増加とか、あるいは周辺地域の住民の増加による・交通量の増加というような面もうかがわれまして、大学が立地されたことが直ちに道路の整備ということにはつながらないと思いますけれども、個別の機能すべき道路が整備が進まないということについては、その手当てをしなければならない。建設省とも十分連絡をいたしまして、そういう手当てをしていただきたいということを申し上げたい、私はそう思います。  それから、その他の問題は、やはり学校内で処理される問題もございましょうし、あるいは地元が学校当局とお話し合いの上、解決される問題が多いのじゃないか。財政面等の問題につきましては、地方財政の一環としての広い立場から対処されるということが現実的な扱いではないか。先生のおっしゃることは、わからないわけではございませんけれども、ただいまのところは、そういう具体的な場面につきまして調整の任に当たりたい、こういうふうに考えております。
  91. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま局長から一応の状況は御説明させましたけれども、八王子市における私立大学の移転というこの問題は、首都圏の整備という面からいって非常に大きな意義を持つわけでございますので、それだけに国土庁としては調整の役所でございますから、各関係省庁と連絡をとりながら、意義あるいわゆる大学の移伝という位置づけをしてまいりたいと考えますので、将来とも十分誠意をもって調整の任に当たりたいと考えております。
  92. 長谷雄幸久

    ○長谷雄分科員 長官の前向きな御答弁を得られましたのですが、いま私も申し上げましたように、私立大学自体が経営的にもかなり厳しい面がございます。しかも大学の教育環境整備というものは、大学の建物の中というよりも、むしろ外側の方が問題なのでございます。そこまで大学が手を出してやりますと、本来幾ら金があっても足りない私学の経営という問題が、そちらの方に金を食われてしまって、教育の中身を充実する方向に使うべきお金が環境の方に使われてしまっている。これはむしろ教育の行政から見て——教育の行政のあり方というのは、教育をするにふさわしい環境をつくること、そのことがまさに教育行政の柱だと私は思うのです。そうしますと、そういう環境づくりの方に国が余り力を入れてくれてないということで、やむなく地元負担あるいは私立大学の負担というのが現状なわけですね。ですから何としてもこれを解消して、国としては、こうした不十分な教育環境の整備のために助力をするのは当然ではないか、こう思っておるわけでございます。  そこで私は、最後に要望しておきたいことでございますが、教育の重要性というものは私が申し上げるまでもございませんが、この教育の重要性とあわせて、その教育機関が置かれた地方都市、この八王子の場合ですと、十六ある大学の、その大学とともに八王子市の置かれた立場というもの、これに対して国がもっと積極的な施策をしてほしい。特に憲法八十九条は、国は教育のためにお金を出しても口は出さない、これが私は憲法の趣旨だと思うのです。むしろ積極的に助成を進めていくことこそが教育環境の整備、あわせて都市環境整備のためにきわめて望ましいことである、こう思うわけでございますので、その方向でぜひとも対処されるよう切望しまして、質問を終わります。
  93. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 これにて長谷雄幸久君の質疑は終了いたしました。  田邊誠君。
  94. 田邊誠

    田邊分科員 水の問題についてお伺いいたします。  近年、非常に都市化が進み、そしてまた生活様式が変わってまいりましたので、水の需要というのは年々増加の一途をたどっておるわけであります。たとえば家庭にいたしましても、水洗トイレの普及、あるいはまた事業所で使うところの水、洗車、あるいは世帯自身がだんだんと分化をしている、こういうような要因がございますから、この需要は増加こそすれ減ることはない、こういう状態であります。しかし、いわばそれに対するところの水の供給というのは限度があるわけでありまして、福田総理の言うような、いわば資源有限であることは、これはもう事実であります。日本は降水量は多いのですけれども、しかし人口が多いですから、一人当たりの状態を見ますると、全世界の平均の五分の一ぐらいにしか当たらない、こういう状態でありまするから、この水問題は、将来とも重要な実は問題であると同時に、非常に深刻な状態が現出をしていると思うのであります。  この根本的な対策については、いろいろお考えでありましょうけれども、ひとつこの際、両大臣から端的に、水に対するところの対策の基本についてお考えがありましたらば、一言ずつお伺いしておきたいと思います。
  95. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま田邊先生御指摘のように、人口の増加あるいは経済の発展、加えて上下水道の発展等によります生活向上、加えてやはり食糧の自給率の向上というような面からいっても、水の需要というのは非常に高くなってきているのでございます。私たちの計算からまいりましても、一応の私たちの水供給の計画現状を進めてまいった段階でも、昭和六十年で四十億トンから六十億トン不足するだろうということが統計上出てまいるほど、非常に水の需給関係というのは逼迫しておりまして、ですから、食糧、いわゆるエネルギー、水というものは、将来も非常に不足するものの一つになっておるわけでございます。  ですから私たちとしては、まず首都圏では、利根川及び荒川水系における水資源開発基本計画というものをつくりまして、これでまずダム建設等によってその需要を満たしてまいろう。またもう一つは、やはり地下水に依存することが最も経済的な水の供給でございます。しかし、それは同時に地盤沈下という問題も出てきておりますが、やはり地下水による依存度というものも依然として捨てるわけにいかぬ状況でございます。ですが依然としてやはり需要が高いものでございますので、これからは、できるだけ水を節約すること、それから再利用すること、都市の構造全体を水を節約するような形に変えていくというような面で、これらの水の需給関係を調整してまいりたい、こう考えております。
  96. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 国土庁の長官から申し上げたように、私たちも同様な考え方を持って進んでおります。
  97. 田邊誠

    田邊分科員 いま両大臣からお話がありましたように、水需要が高まってまいりまするが、それに対応するには実は大変ないろいろな施策が必要であります。私は、一番最後に時間があれば申し上げたいのですけれども、確かにダムに頼る、あるいはまた地下水に頼る。地下水は一番利便だと言いまするけれども、いまのところ大体五分の、一から四分の一ぐらい地下水に頼っていると言いますけれども、実際には、これはいろんな面におけるところの被害なり障害が起こっているわけですから、これはどちらかというと、地盤沈下等の被害を食いとめるためにも、これから先はかなり節減をしなければならぬ。とすれば、河水、河川の表流水なり、あるいは伏流水なり、こういった面の利用度というのが非常に多くなるという形でありまするが、いまお話のありましたように、現在、四十七年ぐらいの統計を見ましても、生活用水が百億トンを超す、工業用水は百七十億トンを超すという状態でありますが、これが昭和六十年という状態を見まするならば、生活用水は大体その倍になるだろう。工業用水も約七〇%ぐらいのいわば増加になるだろう、こういうことですね。田澤長官は農業の問題を言われましたが、私は農業の問題も、実は政府の見込みは必ずしも適当であると思っておらないのであります。現在の千億トンばかりのやつが千百三十八億トンぐらいのところに六十年はなるというのですけれども、これは私は、いまのお話を受けまして、必ずしも適切であると思っておりませんが、いずれにしてもそういう状態が現出をしております。  それに比べて供給体制というのは、私はそれに追いつかないのではないか、こういうように思っておるのです。全国的に見た場合においても、いまお話しのような水需要というものはどんどんふえてくる。しかし、開発をするところのものは、それに追いつかないという状態であります。特に首都圏を中心とした大都市圏、こういったところの水不足というのは、これはより深刻になってくるわけですが、いまお話の出ました利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画が昨年の四月に閣議決定をされたのであります。いま、それを発表にな。たと思うのでありますけれども、これを見ましても、昭和六十年において毎秒百九十五立方メートルの増加が見込まれておるわけです。この新規需要に対して、利根川水系において毎秒百五十立方メートル、荒川において十立方メートル、合計百六十立方メートルぐらいのいわば供給しかない、こういう状態なんですね。ですから全体的に、これは供給の面における大変な不足が現出されるという状態であります。私は、これをいわばどうやって補うのかということについて、いま長官も言われましたけれども、根本的に都市の構造を変えてやらなければだめじゃないかつ都市がどんどん膨張する、したがってそれに対して水を供給しなければならぬ、こういういわば従来の発想というのは根本的に改めないと、これはイタチごっこに終わると同時に、これから先、開発はなかなか困難になってくる。開発地点自身がどんどんと山の中にいく。技術的にもむずかしい。たとえば、そこに住民がおるとすれば、それに対する生活の手だてがなかなか十分にできない。住民の納得を得ることがむずかしい、こういう状態になってくるわけですから、基本的な発想の転換をしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。特に東京を中心とした首都圏の場合は、これ以上東京を初めとする近県が水が不足だから、それに対してひとつどうするかという考え方だけでは、基本計画だけでは、私はやはり間違いではないかと実は思っておるわけです。  これに対して一つ基本的な考え方というのは、さっき長官が言われました産業の配置、人口の分散等が主でなければなりませんが、そういった面についての計画はありますか。
  98. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘されました三大都市圏、大都市圏でございますが、水需要がますます増大いたしまして逼迫が予想されるというのは御指摘のとおりでございます。  で、私どもといたしましては、これらの都市圏につきまして、水資源開発促進法に基づきまして、それぞれ水系ごとの基本計画を立てまして、その基本計画に基づきまして具体的に水資源開発施設をつくっておるわけでございます。  ただいま御指摘の利根川につきましては、百九十五立方メートルが供給されますように、昭和六十年を目途に計画を立てておりますが、その中では百六十立方メートルの供給施設について具体的に施設名を明らかにしております。しかしなお、その中におきまして三十五立方メートルの供給施設の未決定分がございます。それらにつきましては、現在鋭意調査を進めておりますとともに、そのほかに、霞ケ浦の高度利用とか、あるいは上流ダム群の建設等とともに、下水処理水の再利用あるいは農業用水の合理化等をもって対処してまいりたいと思います。  先ほど、大都市の構造そのものについてもというお話がございましたが、私どもは現在五十二年度末を目途に長期水需給計画策定考えております。この中におきましては、現在、国土庁検討中でございます三全総との整合性を保ちながら、それとの連携を密にいたしまして、五十二年度末に長期水需給計画を立てることとしております。  なお、東京都の水供給の問題でございますが、具体的には、先ほど申し上げました利根川、荒川の水資源開発基本計画との整合性を保って、約八百万トンの水が昭和六十年には供給できるように現在の計画の中に織り込み済みでございます。
  99. 田邊誠

    田邊分科員 いま水資源局長は、あなたの立場で言えばそういうことが言えるのですが、国土庁という、いわば全体の計画を見ながらその調整を図る役所としては、私はただ単に水資源の供給の部面について計画を立てるというだけでは済まないだろうということを言っているのでありまして、いまのお答えはお答えとして、やはり全体的な産業の配置を特に三大都市圏については考えていかなければ、これはもう都市は破滅するということを私は特に警告しておきたいと思っているわけです。  そこで、いま局長からお話のありました利根川と荒川水系におけるところの基本計画によりますと、いまのところ、これが完成をいたしましたのは河口せきと草木ダムでありまして、その他はまだ実は、いま計画中であるか、あるいは事業遂行中であるという状態なのでありますが、さっき恐らく私どもの同僚の山口君から八ツ場についてはお話があった思いますから、私は実は避けたいと思うのですけれども、このいまお示しになりました計画で大体毎秒百六十立方メートルが供給できる。そしてまた、この計画は何カ所かここに書いてございまするけれども、これは、大体事業としては遂行でき、完成を昭和六十年までに見られる、こういう見込みの上にあなた方は立っていらっしゃるわけですか。
  100. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 利根川及び荒川水系の基本計画に示されております毎秒百六十立方メートルに対します施設のうち、現在、建設事業に着手しているものはその半分の十事業がございます。残りの十事業については、水の量といたしましては毎秒五十五立方メートルを供給する施設に該当するわけでございますが、これについては、いまだ未着工でございまして、極力促進をする必要がございます。その中にただいま御指摘の八ツ場ダムも含まれておりまして、八ツ場ダム建設等につきましては、私どもも、鋭意ダム主管省である建設省協力をいたしながら、各関係省に通じます整備計画等の諸施策も加えまして推進することにしておりますが、これらも地元の了解を完全に得て着工せざるを得ないというような状況にございますので、私どもとしては極力残事業推進努力をしたい、こういうことで考えております。
  101. 田邊誠

    田邊分科員 このダム建設は、われわれ水源県に属する者としては、非常に関心があるとともに、非常に心配していることでもあるのです。  この中で奈良俣ダムについては、一体どういう状態でしょうか。いま調査は一体どの段階でありますか。どこから一体着工しようとしておられるわけでしょうか。
  102. 栂野康行

    ○栂野政府委員 奈良俣ダムにつきましては、水資源公団で鋭意調査を進めておったわけでございます。五十二年度から新規着工に入りたいという計画でございます。
  103. 田邊誠

    田邊分科員 そうすると、予備調査の段階はもう終わって、いま具体的な実施調査の段階でございますか。それで、五十二年度は着工についての予算が予定されているわけですか。
  104. 栂野康行

    ○栂野政府委員 五十一年度までが実施計画調査でございまして、五十二年度から実際の工事に着手する予算がつくような段取りにいまなってございます。
  105. 田邊誠

    田邊分科員 この奈良俣はかなり利根川の上流ではありますけれども、地点としては、なかなかむずかしい地点じゃないかと私は思うのですね。ですから、技術的な面においても、いままであなた方が開発されてきた利根川上流のダムから見まして、これは大変なところだろう、こう私は思っておるのです。それに対するところの御準備があるものかどうか。  それからまた、恐らく直接的に生活している人は余り多いとは言えませんけれども、地元に対するところの手当ては十分に講じられて、了解を得られておるものかどうか、その点もお伺いしておきたい。
  106. 栂野康行

    ○栂野政府委員 まず奈良俣ダムのむずかしさでございますけれども、いわゆるダムに対する安全性の問題、これは私たちとしましても絶対の問題でございますので、それに対しては、設計あるいは施工におきまして、十分対処していきたいと思います。  それから、地元の了解問題でございますけれども、あれは水上町が大半でございまして、基本的な了解を得ております。今後ともさらに理解を得ながらやってまいりたいという考えでございます。
  107. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、実は治山治水の全体の面からいって、利根川の問題は私ども毎年問題にしておるわけです。きょうは時間がございませんから申し上げませんけれども、特に首都圏における水需要に対するところの体制から言いますと、従前、利根川への依存度というものは、江戸川を入れて、五十五年度においては八一・九%であるとも言われてきたわけですね。これは今後もっとさらに高くなるのか。あるいはまた、また見直しをして新しく立てるということになるのか。この点は、さっき地下水の問題やらいろいろな問題を含めまして、お考えがあるだろうと思うのでありますが、私の言いたいのは、利根川の開発余力というのは必ずしも多くないのであるということ。流水量から見て約八十億トンと言われておりましたけれども、そのうち開発されたもの、開発中のものを含めて約六十三億トンぐらいじゃないか、開発余力は十七億トンぐらいじゃないかと言われてきたわけでありますが、こういった面から見て、利根川の開発余力というのは必ずしも多くなくなってきている。したがって、いま申し上げた面からいいましても、この首都圏の水需要に対して供給する面が不足しておるわけでありますから、昭和六十年の計画を見ましても毎秒約三十立方メートルぐらい不足しておるわけですから、これらはもっと広域的な立場でもってやられる必要があるのじゃないか。  私、毎年聞いておりますと、時には、いや利根川だけで頼っていくべきだ、もっと大きなダムをつくるべきだという御意見もありましたし、あるいはまた、いや信濃川、富士川等、こういった面まで含めて、これはひとつ考えるべきだという御意見もあったし、実はまちまちなのであります。したがって私は、国土庁もできたことですから、いわば三大都市圏の最大のものであるところの首都圏の水の供給体制というのは、これは利根川を主体としたところの地域に限られていくべきものではない、こういうように考えておるけれども、お考えがありますか。
  108. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、水資源の長期展望に立ちましては、とりあえず、昭和六十年度の目標に対しましては、先ほどの基本計画でおおよその見込みをつけておりますが、それ以後を踏まえまして、やや超長期の展望に立ちまして、首都圏の水はどうあるべきかということにつきましては、国土庁検討しております三全総の中身と整合性を保ちながら、改めて五十二年度末に長期計画を一応六十年度を目途に立てますが、その長期計画の中におきましてはなお、六十五年はどうとか、七十年はどうとか、超長期展望の西暦二〇〇 〇年にはおおよそどういうことになるのかというような見込みも踏まえながら、その中での六十年ないし六十五年を見詰めてまいりたいと思います。その需要予測がはっきりいたしますれば、それに対する具体的な供給計画を立てなければならぬわけでありますが、この供給計画につきましては、御指摘のように利根川の利用率というものはかなり高い。全国一の利用率でありますので、不足分については、他の流域から補う等の措置も含めまして、今後検討いたしてまいりたいと思っております。
  109. 田邊誠

    田邊分科員 ですから私は、利根川の上流地帯というのは、長谷川大臣はもうよく御存じなんでありまするけれども、かなりなダムをつくりまして、洪水調節から言えば、大体あなた方の目標に近づいてきているのではないかと私は思いまするけれども、都市用水のための利用というのは、そう多く望めないのではないかと思っておるのです。これを実は無理して開発しようとしますると、八ツ場のように、自民党の有力な人もこれに対しては反対である、地元の住民も反対であるという形でありまするから、いわば生活の状態というものがかなり都市に偏っている地域というのは、これ以上これはもう開発はできない、こういうふうに実は考えてよろしいのではないかと思うのであります。それで、これは、きょうお聞きをしなくてもいいわけなんですけれども、群馬県ばかりではない、日本におけるところの最大のダムとして言われてまいりました沼田ダムが、昭和六十年までの計画にはのっておらないということは、再三。実はお答えをいただいておるわけですが、この沼田のような幻のダムと言われてまいりました地域、こういったところには、将来とも手をつけるというような考え方ではなくて、さっきから私がくどいように申し上げているような、いわば基本的な対策の発想の転換、基本的な対策をつくる、こういうことでなければ、私はこれから先の日本の低成長に入った時代の国民の生活を守るということにはならないと思っておるわけでありまするけれども、これはどうでしょう、昭和六十年まで沼田ダムをつくらぬということは明確にわかっておるわけですが、これに対してひとつ、長谷川建設大臣は地元の選出でもありまするから、お答えをいただくと同時に、その後においても、そういった考え方は持っておらない、構想はないということを、この際、明確にしておいていただくと大変ありがたいと思うのであります。
  110. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 高邁な御意見でございまして、私たちの考え方は、将来日本国民が一番危機に瀕するものは何だ、私は食糧じゃないと思う。食糧は輸入できるけれども水は輸入ができない。水というものに対しての非常な危機感を私は持っております。したがって、昨年もアルゼンチンにおいて、日本ばかりでなくて全世界を挙げて水の危機を訴えております。アルゼンチンにおいて世界会議が行われ、本年は、私の方からも、水資源からも出発しましたけれども、いまアメリカにおいて世界水会議が開かれておる。  したがって、ダムというもの、上流だけが水の利用をするものではないと思う。下流においても、その水の利用度というものが、これからの問題になっていかなければならぬだろう。たとえば私の方に千代田があるが、利根川の末流とは言わないけれども、中流以下になってきている。そういうような水の利用度というものが、上流のダムによってのみという考え方ではなくなっているだろうと思うのです。したがって、いまお話しの沼田ダム、現在あれだけになっている沼田ダム、水没家屋なんというもので社会的な影響というものが非常に大きい沼田をダムにするなんということは、恐らく将来においても考え得られない問題だと私ははっきりと申し上げられると思うのであります。したがって、沼田ダムというものを建設する意欲というものは、つくるという考え方は全くないと言っても過言ではないし、また、そうすべきであるというふうに私は考えております。答弁が長くなるといけませんから、そういうふうに考えております。
  111. 田邊誠

    田邊分科員 長谷川大臣から明確な御答弁をいただきましたが、いま申し上げたように、水源県だけが犠牲を受けるようなことは、実は水源県のためによろしくないというだけでなくて、いわば日本の全体的な均衡のとれた産業の発展からいっても、これは好ましくないというお話がありました。したがって、ひとつ国土庁におきましても、さっき、あなたがお述べになったような基本的な考え方に立って、都市へ都市へと実は向かっておるところの人口の過密化をどうやって防ぐか、そしてまた現在いわば無限のような形でもって使われているところの水に対して、国民的な立場に立って啓発をして、これの節減を図る、さらに再利用を図る、そういった対策というものを、この際、立てておかないと、やはり日本国民は水は幾ら使っても構わないというような観念が、ややもすればあるんじゃないかと私は思いまするから、いまの長谷川大臣お話とあわせて、ぜひひとつ、この水の需要について国が基本計画をしっかり立てて、将来ともに心配のないような状態というものをつくっていただきたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  112. 藤田高敏

    藤田(高)主査代理 これにて田邊誠君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  113. 稻村佐近四郎

    稻村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  国土庁及び建設省所管について質疑を続行いたします。  保岡興治君。
  114. 保岡興治

    保岡分科員 奄美群島が昭和二十八年十二月に復帰して以来、もう二十数年が経過しておるわけでありますが、その間にあって、政府においては振興事業を実施していただいて、さらに現在、四十九年度から五カ年間、振興開発事業を実施していただいているところであります。また、県や地元市町村、住民の不断の努力によって産業社会開発も進んで、それなりの成果を上げてまいったわけであります。  そこで、五十二年度予算案の編成におきましては、公共事業百二十三億六千万、非公共事業二億一千万、合計百二十五億七千万、概算要求を五億円ほど上回って政府原案を作成していただいたのでありますが、地元を代表して改めて国土庁長官初め関係者の御努力に深く敬意と感謝を申し上げる次第です。  そこで、五十二年度予算案の編成に当たっての国土庁としての基本的な考え方、どういう点に重点を置いたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  115. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 五十二年度の予算原案におきましては、いまお話がございましたように、御支援によりまして、全国ベースよりも非常に高い三九%という公共事業における伸び率を見たわけでございます。その予算案の編成に当たりましては、私どもといたしましては、この特例法の残された二年の間に、できる限り本土との格差を是正して豊かな地域社会をつくるために全力を尽くすというのが基本的な姿勢であったと自分では思っておるわけでございます。  さらに、予算案の内容を見ていただきますとおわかりいただけますように、国土保全、道路を含む生活基盤の関係など、全般的に高い伸びを示しておるわけでございますが、特に奄美群島は外海離島という特殊な事情を持っておるわけでございますので、港湾、漁港、空港といった交通基盤の整備に力点を置いたつもりでございます。  なお、そのほか、公共事業以外でも、奄美群島の特性、そういった点に着目いたしまして、一つには、昔から島民と非常に深いかかわり合いのございます。また島民に非常に大きな害を与えてまいりましたハブ対策を強化するということにいたしたわけでございます。  また、現在の振興開発計画があと二年で終了するということでございますので、新しい時代にふさわしい奄美群島の振興開発の理念と申しますか、方策等について調査検討するための総合調査を実施する、そこらが特徴であるというふうに考えております。
  116. 保岡興治

    保岡分科員 大変一生懸命やっておられるということもわかっておりますし、いまの御答弁でそれも明らかにされたようであります。私自身も、振興開発計画になってから予算が非常に伸びるようになった、昭和四十八年、復帰してちょうど二十年目に当たった年でありますが、この年の奄美の公共事業関係費が三十数億であったという点を考えると、この数年を経て、今日、五十二年度予算が百二十五億余りになっておること、これは大変な御努力であろう、このように思います。  しかしながら、毎年毎年非常に無理をして、特にこの数年来は、総需要抑制という波もかぶりた中での予算措置でありましたから、この予算の伸びというのは大変意義があります。そして関係各省にも大変な御努力をしていただいているわけであります。後に道路や港湾の際にも、具体的に少し申し上げてみたいと思うのでありますが、従来、自治省所管時代の二十年間、大変御努力はいただいておるのでありますけれども制度の欠陥その他があって、国全体の公共事業予算がどんどん急激に伸びていく時期に、特別措置でありながらそれに全然ついていけないような予算に抑えられてしまっていた結果、要するに従来のベースが非常に低かった、それを無理して、今日、関係者が予算の伸びに努力をしてこられているわけであります。  そういった意味で、いま局長お話しの、あと二年一生懸命がんばっていかなければならないわけでありますが、なかなかこの格差が現実に解消してないという点があるわけであります。したがって今後もなお、五十二年度予算の執行に全きを期していただくと同時に、さらに引き続き、ことしは調査費等も認めて、振興開発の問題点などは調査をすることになっているようですから、今後の政策の推進予算措置についてはなお一層力を入れていっていただきたい、このように思います。  そこで、昭和四十九年度から実施されているこの振興開発事業は、五十一年度で四年次に入って、五十三年で終了することになっているわけであります。四年次に入る現在、奄美群島の現状を見ると、先ほども申し上げたとおり、島民の実質的生活水準はなお本土との間に格差が残っておりますし、港湾などは、まだはしけ現象というか、はしけで乗りおりをしなければならない。お年寄りや子供が大変な危険を冒して乗降船しているわけでありますし、貨物などの積みおろしも大変な経費がかかって、離島の住民の生活を圧迫しているわけです。  また道路は、赤木名−瀬戸内線が皆様の御努力によって国道に昇格したわけでありますが、現地を視察された前の金丸国土庁長官あるいは亀岡建設大臣が、実際に見られて、河川敷のようなところだ、林道以下の国道だということを印象として言っておられるのでありますが、まだ整備も相当残っておるわけであります。  そこで、本土並みにするまでにはまだ相当な努力が要る。で、国土庁長官にお伺いしたいのでありますけれども、この五十三年度で打ち切りとなる現行の振興開発特別措置法の延長の問題であります。四十九年の二月に、現行奄美振興開発法について審議をした七十二国会において、私の質問に対して当時の町村自治大臣が、今回の振興開発計画についても、五年間の目標を立ててこれを達成するために全力を挙げるということになるのだけれども、この振興開発計画をこの五年で打ち切ってしまうという考え方ではないのだ、したがって、将来五年を経過した時点で、十分に目的を達し得ない場合においては、その時点でさらに再検討するということは当然である、こうおっしゃっておられますし、またその法案を審議、可決した地方行政委員会でも附帯決議で「計画期間後も諸格差が是正されない場合はさらに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。」という決議をしておるのです。  そういうことから、現在の振興開発計画の進捗状況はどうなっておるのか。打ち切りになる五十三年度でこの計画の目標が達成できるのか。達成できないとすれば、新たな構想のもとに長期計画を講じる必要があると思うか。今後の奄美大島にとっては非常に重大な問題になってくるわけでありますから、大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
  117. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど局長から説明させたように、この振興開発計画は、本土との格差を是正するということにその目的があるわけですから、残された期間、そのために最善を尽くす。さらに、その期限が来た場合に一体どうするのかということでございますが、七十二国会の法改正の際にも附帯決議がなされておりますので、こういう線をも踏まえて、その折改めてまた検討してまいりたいと思いますが、この開発計画の趣旨は十分貫きたい、この基本的な考え方には変わりございませんので、御理解をいただきたい。
  118. 保岡興治

    保岡分科員 あと二年残っているから全力を挙げるという大臣あるいは局長の御決意は、大変結構だと思うのでありますが、実際問題として、果たしてその格差が解消できるかどうか、あるいは基本計画の目標が達成できるかどうかということについては、もうそろそろある程度めどもついてきておる。しかも、延長になるとすれば、切れるその時点で即座にばっと法律ができるわけではありませんから、当然前年ないし前々年度あたりからその準備を進めなければならないということになろうかと思うのです。そういう点で、もうそろそろ国土庁が具体的にその辺の判断をする時期ではないだろうかと思って質問をしているわけでありますが、格差是正の見通しなどからいかがでございますか。局長、お答えをお願いいたします。
  119. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどもお話がございましたように、復帰して以来二十三年、いろいろと努力をしてまいったわけでございますが、本土と比較してまだいろいろな問題があることは否定できないと存じます。たとえば郡民一一人当たりの所得をとってみましても、鹿児島県民一人当たりの八〇%くらいという数字が四十九年度で出ております。全国の国民所得一人当たりに比べましても低いというような、所得の上での格差はやはりあると存じます。また、たまたま御指摘がございましたように、主要定期船の港湾でいわゆるはしけ取り等がまだ残っておる。そういう実態にうかがわれますように、公共施設整備水準もまだ十分ではないと考えられるわけでございます。  私どもとしては、先ほども申し上げましたように、残された二年間でもろもろの格差の是正について十分全力を尽くすつもりでございまして、その意味でも、先ほど申し上げました、五十二年度の予算においてできるだけの伸びを見込めるように努力をいたしたつもりでございます。今後とも努力を続けてまいる覚悟ではございますが、計画終了時点においていろいろな問題点全部が解消するかどうかということについては、これはなかなか容易ではないとも考えられるわけでございます。そういう意味で、そろそろ決断を下すべき時期ではないかということでございますけれども、現段階で直ちに決断を下すことはどうかと存じますので、特例法の期限の延長という問題につきましては、大臣から申し上げましたとおり、計画終了時点において、前回の改正法のときの附帯決議の趣旨を体し、また五十二年度行う予定でございます総合調査の結果を踏まえまして、各方面の意見も聞きながら検討することにいたしたいと思っておるわけでございます。
  120. 保岡興治

    保岡分科員 熱意はよくわかりますけれども、先のことについて余り明確な答弁もできかねるとは思うのでありますが、地元としては、これで打ち切りになるのではないかという懸念も大分持っております。そこで、財政当局とのいろいろな折衝もあるでありましょうし、また党ともいろいろ相談をしてやらなければならないのでしょうが、まずは国土庁がその辺の見通しについてきちっと、ある程度の決意を持ってもうすでに考えておるのだということがないと、抽象的、理論的に、その時点で格差が解消できておらなければ考えますということでは、きょう御質問申し上げておる趣旨にもいささか沿わない、このように思うのでありますが、いかがでございますか。
  121. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げたようなことでございまして、その段階でも、計画終了時点においてもろもろの問題点が一挙に解決するということはなかなか容易ではないだろう、こういうふうには考えておるわけでございます。しかし、法律の延長ということになりますと、これは私ども以外にもいろいろな関係方面がございます。その辺の御意見も十分聞いた上でやるべきことでございますので、別に見通しが全然ないとかどうとかいうことではなくて、法律そのものが国会の御議決も得なければなりませんので、いま申し上げましたように、その時点において十分検討するという程度のお答えしかできない点をお許し願いたいと思うのでございます。
  122. 保岡興治

    保岡分科員 そうすると、附帯決議の、格差是正が解消していなけれど必要な措置は十分講ずるということは、いま大臣もお認めになりましたし、また局長お話では、その時点で格差が解消することは相当困難であるという御認識もあるようでありますから、国土庁としては、五十二年度の振興開発調査費の結果なども、そういう点で正確な対応をするようにという趣旨で組んだ予算だ、ことしの予算執行と相まって、この数年、五十三年に至るまでの間に明確な結論を出すように真剣に認識ないし事を始める、このように理解してよろしゅうございますか。
  123. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、第七十二国会の法改正の際の附帯決議の精神を私たちはよく認識して、ただいま先生の御心配になっている線を——問題は格差是正にあるのでございますから、その実現ができない場合には、私たちは改めてこの計画考えてまいらなければならないと思いますので、そういう点はただいまの時点では明快なお答えはできませんけれども、十分そういう点に対する理解を持っておるということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  124. 保岡興治

    保岡分科員 ありがとうございます。その線でひとつぜひお願い申し上げたいと思います。  そこで、時間もありませんから次に移りまして、五十二年度の道路関係予算について建設省にお伺いしたいと思います。  国道五十八号線の整備が、先ほど申し上げましたように非常におくれておりますが、この予算措置によってどの程度整備される見通しのなのか。また懸案の本茶トンネルは、いずれはトンネルを掘るということで、いま簡易舗装がしてありますが、いろいろ傷んでおりまして台風のたびに大きな災害もあって、大変交通の支障にもなってきつつある。こういう状況にかんがみて、この二点についてお答えを願いたいと思います。
  125. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘の国道五十八号線ですが、これは総延長が九十キロばかりございまして、そのうち七十三・五キロ、大体八〇・九%が舗装済みでございます。未舗装区間が十七キロばかりあるわけでございますが、そのうち十一キロは防じん処理がなされておりまして、全く未舗装という区間は、同島南部の網野子地区の六・三キロを残すだけでございますが、一次改築としましては、当面この網野子工区を重点的に整備して舗装していくという段取りになろうかと思います。五十一年度は事業費三億三千九百万円をもちまして改良舗装を進めてきておりまして、今後も引き続き促進を図ることとしております。しかし、この工区は両側からそれぞれ片押しでやらなければならない事情がございまして、完成は大体五十五年度になるのではないかというふうに見込んでおります。  それからもう一つの本茶トンネル工区でございますが、これは延長が九千五百四十五メーター、事業費にいたしまして六十二億という相当大きな事業になります。昭和五十年度から手をつけておりますが、五十一年度は、事業費三千三百万円をもちまして、測量と実施設計、用地買収等に手をつけた段階でございます。当面はトンネルの取りつけ道路部分に重点を置いて工事を進めていくわけでございますが、完成の時期は、いまのところちょっとはっきりいたしておりません。六十二億というお金がかかりますので、できるだけ早くやりたいとは思いますが、何年度というふうなお約束は、まだちょっとできないような段階でございます。
  126. 保岡興治

    保岡分科員 そのトンネルをいよいよ具体的に掘る段階になりますと、予算が急に伸びてこなければどうにもならないという感じがするわけでありますから、またその点について今後御理解をいただきたいと思いますが、さらに、国道もさることながら、これから枝になって出ております一般地方道ですね、市町村道。奄美大島の道路というのは、これは建設省の方でも、ことしの道路予算獲得では、生活関連のある部分が非常に大きいからということで、一生懸命御努力をいただいた経緯も十分承知をしておりますが、特に奄美大島は隔絶外海離島で、部落が五百くらい点在しておるところになりますと、回り道すれば次の部落に行けるというのではなくて、幹線道路に至るまで部落がずっとじゅずつなぎになっていて、生活にとっては唯一の公共事業という感じのするほど大事な施設なんですね。それが従来整備がおくれておるということで、特に、このような一般地方道、それから市町村道建設についても、恐らく一生懸命努力はされておると思いますが、住民の要望から見ると、まだまだこれから大変だなという印象が強うございます。ことしの予算でも大分努力をしていただいたことも承知しておりますが、なおそういう必要性があるということを十分認識していただいて、今後の道路の予算措置に当たっていただきたい、このように思う次第であります。歴代の大臣が奄美を見てくださっておりますので、建設大臣も一度奄美大島を見ていただいて、道路の実情等についても十分御認識をいただきたい、このように思う次第であります。  それから次に、運輸省にちょっとお伺いしたいと思うのでありますが、港湾の整備についても、ことしは予算がかなり伸びました。しかしながら、五年計画というものの目標から見ると、目標達成に至るまではこれらの予算措置でもなお大変だ、こういう印象が強いのでありますけれども、目標達成に必要な予算と現在の進捗状況について、簡単にお答え願いたいと思います。
  127. 小池力

    ○小池説明員 奄美諸島におきます港湾整備につきましては、昨年十月に閣議決定になりました第五次港湾整備五カ年計画に基づいて港湾整備を進めているところであります。この五カ年計画におきまして、約百七十億円を奄美群島の港湾整備に予定してございますが、昭和五十二年度末の進捗率といたましては三二・八%でございまして、五十一年度をベースにいたしましてこの百七十億円を等伸び率で持っていく。いわゆる計画進捗率と言っておりますけれども、これに対しまして約二・八%上回るという状況でございます。  今後の見通しのお尋ねでございますが、昭和五十三年度以降の港湾整備計画の実施につきましては、財政状況、経済の事情等勘案いたしまして、弾力的に実施するということは当然かと思いまして、現段階では見通すことはむずかしゅうございますけれども、奄美群島振興開発計画の趣旨にのっとりまして、関係省庁とも十分協議しながらできるだけの措置を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  128. 保岡興治

    保岡分科員 特に、はしけの現象がまだ残っております湾の港湾については、本年度予算ですね、それから与論については一部次年度に残るけれども、来年度じゅう、五十三年度中には少なくともはしけ現象だけは解消できるという見通しを伺っていますが、そのとおりでようございますか。
  129. 小池力

    ○小池説明員 湾、与論につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、なお定期船の大型化あるいは現状の定期船就航におきましても、はしけ取りが行われておる現状でございます。五十二年度予算におきましても、この二港につきましては、五千トンあるいは一万トン級の定期船が直接接岸できますよう、その施設を急速に整備しておるところでございます。五十三年度におきましても、はしけ取りを解消するという観点から見ますと、なおかなりの事業費が必要になるというふうに考えられます。しかしながら、先ほどお答えいたしましたとおり、奄美群島振興開発計画の趣旨に照らしましても、特にこのはしけの解消といった安全対策の問題は緊急を要するものでございますので、極力その整備を急ぎまして、五カ年計画の前半におきましては、何とかこのはしけ解消をなし得るよう、関係省庁とも協議をいたしまして、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 保岡興治

    保岡分科員 この港湾予算も、自治省所管時代の予算の伸びをずっと見てみますと、昭和二十九年で一億八千万だったわけですね。それが昭和四十八年、二十カ年経過して五億四千万で、三倍ぐらいにしかなっていないのです。ところが、この間、全国の港湾予算というのは四十三倍に急速に伸びておるわけですね。それだけベースがおくれておったのがことし三十億ですから、五億四千万から三十億何がしかでありますから、この数年相当努力はしていただいておりますが、そのようなベースの二十カ年間の低さということを、先ほど指摘したように、十分考えて今後も努力をしていただきたいと思います。  それから、もう時間もなくなりましたので簡単にお答えをいただきたいのでありますが、奄美の徳之島空港、このジェット化はいつできるかですね。その開港の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  131. 武田昭

    ○武田説明員 徳之島空港の整備昭和五十年度から着手したわけでございますが、工事は非常に順調に進んでおりまして、五十二年度予算の完了時点にはほぼ四〇%程度が完了するのではないかというふうに見込んでおります。したがいまして、今後の見通しにつきましては、特に問題点も何もございませんので、格別速やかにジェット化の整備が完了すると見通しております。五カ年計画の終了時点以前に十分に完了できるのではなかろうかと考えております。
  132. 保岡興治

    保岡分科員 奄美空港のジェット化、これは一時国で用地費などを措置していただいて計画推進しようとしたのですが、その後挫折して今日になっておりますが、この奄美空港のジェット化についてはどういう見通しを持っておられますか。
  133. 武田昭

    ○武田説明員 奄美空港につきましては、現在の空港を拡張することが地形的に問題もございますし、また用地の取得も困難と思われますので、現在のところ、設置管理者でございます鹿児島県におきまして、新たに海岸地帯に新空港を整備するという方向で適地調査を行っておられます。と同時にまた、地元住民方々のコンセンサスを得られるような努力をしていただいておる段階でございまして、いまのところ具体的な整備計画を立てるというところまでは至っておりません。今後、鹿児島県におきまして具体的な計画が立案されました段階で、関係省庁、各方面と十分に御相談をいたしまして、前向きの姿勢で取り組んでまいりたい、かように考えております。
  134. 保岡興治

    保岡分科員 その奄美空港は空港の年次計画に入っておりますか。
  135. 武田昭

    ○武田説明員 第三次空港整備五カ年計画の期間内に着手したい、かように考えております。
  136. 保岡興治

    保岡分科員 それでは、もう時間がなくなりましたので、最後に要望として、奄美群島におけるいわゆる離島物価の問題、それから、それと関連しますが、航路事情の改善の問題です。  オイル・ショック以来、離島航路の整備というので内航路が非常に困難になってきておるのですね。それで、定期船の会社が一ついま更生法の適用を受けるなどして、時代とともに便が前進するのではなくて、減りつつあるような状況に郡民が非常に不安を持っておるという状況ですね。それから、離島であるがゆえに、流通問題、あるいは需給の問題、あるいは船賃の問題、いろいろな問題が重なってきて、所得水準は低いのになお高い物価に苦しめられているという状況があります。これらは県が具体的に進めていく問題ではあろうと思いますけれども国土庁としても、単に各種事業の進捗を図るだけじゃなくて、全体の政策の統合調和の機能を持っているがゆえに、国土庁が各省庁で行う事業を一括要求する立場になっておるわけでありますから、その機能を十分果たしていただいて、これら離島の本当に宿命とも言うべき、しかも国民の権利としては当然要求できる措置がなお未解決になっている点について、今後も責任庁として十分対処していただきたい。最後にこの点について大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  137. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、本土との格差を是正するということが私たちの目標でございますので、経済社会の発展に伴うて奄美群島も、新しい経済社会に対応できるような体制をつくることが私たちの最終の目標でございますので、そういう点に最善の努力を払いたいと考えております。
  138. 保岡興治

    保岡分科員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  139. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて保岡興治君の質疑は終了いたしました。  次に、青山丘君。
  140. 青山丘

    青山分科員 お許しをいただきましたので、順次御見解を伺いながら御回答をいただきたいと思います。     〔主査退席、宮崎主査代理着席〕  御承知かもしれませんが、愛知県の瀬戸市、瀬戸物の町として知られております瀬戸市は、古い歴史と伝統のある町、そういう意味で住民は町に対して誇りを持っているわけでありますが、しかし、私どもの生活環境というものは、きわめて悪い状況にあるわけです。その幾つかの原因があるわけでありますので、順を追ってお尋ねをしながら、御見解をひとつぜひ聞かしていただきたい。  瀬戸市というのは瀬戸物の町でありますから、陶器の原材料であります陶土を発掘しながら、その発掘した土によって陶器をつくり、そして町を栄えさしてきた、そういう環境であります。したがって、周囲はやはり自然に恵まれた環境、まさしく自然発生的に発展してできた町、こういう町であります。面積は百十平方キロ、人口はおよそ十一万五千人の小さな地方都市、こう言っていいと思うのです。ただしかし、市の中心を流れております瀬戸川をはさんでいるわずかな沖積平地、およそ五平方キロぐらいの面積のところに人口の六割、七万人の人が住んでおります。地域全体の四・五%、五%にも満たないところの地域に六〇%の人が、押し合いへし合いして生活しているわけです。  そういう生活環境から生まれてくる幾つかの問題を抱えております。きわめて密集した地域に生活をしている、こういう環境の中で、町全体としては、陶磁器の町でありますから、住、商、工いずれも混在をした町だと言ってもいいと思うのです。こういうきわめて人口密度の高い都市は、恐らく全国的にもたくさんあると思うのです。こういう実情から発生してくる幾つかの問題がありますが、他都市の実情に比べて、私どもはきわめて人口密度の高い町だと思っておりますが、全国的に他の都市と比較して、こういう町に対して建設省はどのような御見解を持っておられるか。日本というのは大体そんな町ばかりですよ、こう言われるのかもしれませんし、こんな町は他都市に比べて珍しい、こうおっしゃるのかもしれません。  まず第一点は、五平方キロのわずかな土地に七万人が住んでいる、こういう人口密度の高い、密集して生活しておるという町が他都市にあるようでしたら、ぜひ聞かしていただきたいと思います。
  141. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 私も瀬戸市に伺ったことがございますが、確かに御指摘のように、人口十一万のうちの六〇%ぐらいの人口が平地に密集して住まっておるわけでございます。いろいろ道路問題その他、非常に特異な条件を持っている都市だというふうに認識しておりますが、同じような条件の都市は、ちょっとそういう観点から調べたことはございませんが、これは探せば全国にもかなりあろうかと思います。日本国土はこういうふうに非常に狭い谷合いに発達した都市が多いわけでございますので、平地面積が少ないことから、やはり特殊な立地条件で住まなければならない条件のところは多々あろうかと思います。具体的にはちょっと申し上げられませんが、かなり数は多いというふうに考えております。
  142. 青山丘

    青山分科員 特に瀬戸の町は、一部の地域が密集地域であり、周辺地域は逆に過疎地域になっております。それは道路事情が悪くて、生活していく条件が悪い。生活に不便を来している。そういう関係で周辺地域にはまだまだ十分開発される土地があるわけです。ところが市街地には、先ほど申し上げた生活の機能と言いましょうか、職場、それから余暇をする場所、レジャーの場所、それから生活をする場所、すべての生活の機能が、その地域、わずかのところに密集しておりますから、生活環境としてはきわめて悪いわけです。宅地が狭くて住宅が小さい、そして交通事情も非常に悪い。そういう悪い面もあると同時に、職住接近といいますか、あの町は自分の家の障子をあけると土間に出て、ついでに鋳込みができる。そして隣のパチンコ屋に、あるいは映画館にというようなことで、非常に便利な面も実はあるわけです。しかし、そういう職住接近も結構ですが、子供たちの将来のことを考えますと、将来に向かっては、やはり生活する場所、それから仕事をする場所、切り離していくべきではないかという考え方が、地元には非常に強くあります。それから余暇の時間を過ごす場所、ぜひひとつ分化をさせていきたい、こういう考え方が実はあるわけです。したがって、ぜひこの中心市街地の都市改造、都市再開発を進めていかなければいけないのではないか。こういう声がこの十年来非常に強く出てきております。  しかし現実には、四・五%の地域に六〇%の人たちが生活しているわけですから、土地に対する需要度が非常に高いわけです。したがって、交通量が多くて道路を拡幅しようと言っても、これはなかなかできないことです。それから、子供たちのために公園をつくろう、あるいは社会福祉施設をつくっていこう、こういう要求があっても、それはもう絵にかいたもちになってきております。そういう問題を抱えながらこの市街地だけを再開発していこうとしても、これはなかなかでき得ないのではないか。そういうところから、実は周辺地域に十分開発する土地があるので、何とか間引きをして、周辺地域に生活の場所を見出すことはできないのか、こういう考え方がやはり出てきて、そこから実は環状道路をひとつ外側にぜひつくってほしい、こういう声が出てきております。もちろん環状道路については、まだほかに幾つか理由があります。  そこでもう一点、先ほどの陶器の町という特殊性から見て、瀬戸の町はそれぞれの仕事が分業化されております。土を掘ってくる仕事、それから製土工場に行ってまず土をつくる会社、それから生地メーカーへその土を売って、生地メーカーがたとえばこういう灰皿でしたら灰皿の形をまずつくって、素焼きをして、そしてその会社が次の加工工場へ売っていく。加工工場がその製品を買って上絵つけをして、薬を塗って製品として卸商店へ売っていく。卸商店から小売商へ。そういう工場、会社がいずれも市内に分散されて、その作業が市内でそれぞれなされてきておるわけです。一つの製品ができるまでにこの市内の道路を行きかいして、トラックに製品が乗って、そして最後に製品として他都市へ売り出されていく。市内の道路をそういう製品が行きかいする関係上、瀬戸市全体が一つの大きな製陶工場、陶器をつくる工場、そういう町になっているわけです。町になっているにもかかわらず、道路事情が非常に悪くて、道路が狭くて、しかもトラックが多く、あるいは乗用車も多く、車の数が非常に多い。道路はもうまさしく飽和状態、車があふれて、しかも数珠つなぎになっているわけです。その道路というのは、工場から工場へ製品が行くわけですから、この町全体から見ると、製陶工場の中のコンベヤーの役割りを果たしておるわけです。ところがこのコンベヤーが、交通渋滞でなかなか進んでいかない、そういう実情なんです。  恐らく、よその都市でも道路というのは大体そういうコンベヤー的な役割りを果たすのだ、こうおっしゃるかもわかりませんが、私はよその都市とはこの町はちょっと違うような気がするのです。そういう意味で、瀬戸市の道路は私はコンベヤーの役割りをしておる、他都市とはちょっと違った役割りを果たしているのだと思うのですけれども、ぜひひとつその辺の御見解をまず伺っておきたいと思います。
  143. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、瀬戸市は陶器を主産業として栄えておる町でございまして、それなりの都市構造を持っておるわけでございますが、現状の、ただいまベルトコンベヤーというようなお話もございましたが、確かに道路は、瀬戸市の市域では、陶器産業ということに着目すれば、ベルトコンベヤー的な役割りを果たしているのではないかと思います。御承知のようにあの市内には、百五十五号、三百八十三号、それから二百四十八号といったような国道、あるいは瀬戸−大府−東海線というような主要地方道、そういうような幹線道路が放射状に入り込んでおりまして、ああいう密集地域で非常に大きな混雑を来しているということこは十分承知しておりまして、やはり道路網のもっと広い視点からの再編成といいますか、整備というようなことも、やはりあの地域の道路事情を解消するためには必要なんじゃないかというふうに認識しております。
  144. 青山丘

    青山分科員 そこで、この道路がコンベヤーの役割りを果たしておりますから、地場産業の立場からしますと、産業の生産性の面から見て、コンベヤーが渋滞したり、あるいはずたずたに切れてなかなか目的地へ着かない、あるいはがたがた道路で製品が途中で破損をしていく、そういう考え方からしますと、非常に生産性が悪い。なかなか生産性が上がらない。実はこの都市の抱えておる事情がその辺に帰着をするのではないかと私どもは受けとめているわけです。  こういう考え方からすると、私どもの瀬戸の町で道路が占める役割りというのは非常に大きいわけです。しかし、一番最初に申し上げたように、土地に対する需要度が高い関係上、市街地において拡幅整備をしていくというのはきわめて困難になってきておるわけです。国道といってもわずか五、六メートルですね。ああいう国道は恐らくよそにもないのじゃないかと思うのです。しかし、それは恐らく建設省の方も努力してくださった、あるいは県の方も努力をしてくださった。私どももそういう努力を認めております。けれども、その地域が持っておる特殊性があったために、なかなか十分な整備ができなかった、そういうふうにも考えております。  そこでもう一つ重要な点があるわけです。ちょうど瀬戸市というのは市街地の真ん中から実は放射状に道路がすべて出ております。南へ、それから東へ二本、それから北へ、西の名古屋へ行く道がやはり二、三本、こういうような形で、全部市の中心地から出ているわけです。市街地に生活している人たちは、そういう意味では、わりあい近くどこへでも出られるということで便利なんですけれども、よそから入ってくる車もたくさんありまして、市街地に用はないけれどもそこをとにかく通過しなければいけない。一度は必ず市街地へ入ってから目的地へ行く、こういう道路事情ですね。したがって、コンベヤーの役割りを果たしておる道路を、何とか通過交通だけでも外へさばけないかという考え方から、この放射状型に出ておる道路、周辺地域を結んでいく環状道路、これをぜひつくっていこう、こういう考え方が地元に出てきました。その点について、瀬戸の地方財政、地方自治体の力では十分な整備ができないということで、県にお願いをして、県道として環状道路がたしか昭和四十七年の三月に県議会を通過して、四十七年の九月十六日、建設省の路線認定をいただきました。こういう姿になってきたということで実は地元民は非常に喜んでおります。  ところが、経済事情がその後若干変わってきまして、その整備がなかなか進まない。県の事情もなかなか許さない。そういうところで、ひとつぜひ国の力を借りていかなければこれの整備促進というのは無理ではないか、そういう考え方で地方議会の特別委員会が設置されまして、県の方にも国の方にもたびたび陳情が繰り返されております。その実情を御存じだと思いますが、その経過についていささか御見解が伺えればありがたいと思うのです。
  145. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生御指摘のように、環状道路という道路の機能は、市街地を通る通過交通を迂回させることによりまして、市内の道路の交通混雑の軽減を図り、かつ交通安全その他沿道の生活環境の改善というようなことを図る上で非常に有効な道路整備の手法であるわけでございます。そういうようなことで全国的に環状道路の計画が進められておるわけでございます。それからまた環状道路は、都市の発展という意味から言いますと、均衡ある都市の発展には非常にこれを積極的に誘導する意味でのメリットがあるわけでございまして、いろいろな効果が期待できるわけです。  ただ、環状道路というのは、相当規模の大きなものになりますし、延長も長くなる、金がかかるというようなことはございます。しかし、御指摘のような瀬戸市の道路網が、従来一点集中型の道路網で、ああいう密集地で非常に大きな混雑を来しておるということから、網的に新たな視点から考えてみる必要があるということで、瀬戸市の環状道路網というものが考えられまして、お話がありましたように、昭和四十七年県道に認定されておるわけでございます。非常に重要な道路であるとは思います。現在、国庫補助事業として採択しておりますのは、街路事業で南部区間をちょっとやっているわけでございますが、相当な金のかかる事業でもございますので、その他の区間の整備につきましては、今後県と十分協議を進めながらクラウドの高いところから逐次手をつけたいというようなことで考えております。
  146. 青山丘

    青山分科員 非常に御理解のある御答弁をいただきましたので、感謝をしております。  この環状道路は実は全長二十キロあります。一年一億予算をつけていただくと二十年かかる、こういう事情になっておりますので、ひとつできるだけ積極的な取り組み方をぜひしていただきたい、こう思います。  実はもう一つ触れさせていただきたいと思いますので、先へ進めさせていただきたいと思います。  名古屋市の周辺には、環状道路が道路地図上には一、二、三と出ておりますが、現実には整備されておらないものもあります。その名古屋市の東部、それから南部に隣接しております四市三町、これを縦貫しておるのが三十八・五キロメートルに及んでおります瀬戸−大府−東海線、主要地方道であります。これの早期の整備を実ばお願いをしてきました。関係市町村が整備促進同盟会というものを結成して、この十数年来陳情を繰り返してお願いをしてきたわけであります。御理解をいただいて努力をしていただきました。その間、大府市においては東海道本線、これの立体交差、豊明市においては名鉄本線の立体交差、第一次改良として三十五キロ、かなりの整備をしていただきました。さらに現在では、瀬戸−大府−東海線の一部が国道百五十五号線でありますが、この百五十五号線の整備、あるいは豊明、日進、長久手町の整備を進めてきていただいております。  ところが最近この社会情勢が非常に著しい変化を来しております。この瀬戸−大府−東海線の沿線の開発が進んできておりまして、第二次の改良をぜひという声が非常に強いわけであります。各市町ともに都市計画決定をしておりまして、公共事業用地として土地の確保に努力してきております。すでに土地区画整理事業や土地改良事業が実施中でありまして、これらの事業の進捗と相まって、公共用地の管理者負担金、あるいは道路事業費の増大、これらが出てきておりまして、早期の支出に実は迫られております。こういう実情からある程度関係者も追い詰められておる状態になってきております。  そういう意味で、過日も、たしか建設大臣はおられなかったのですが、周辺関係市町村から関係者が陳情に上がっております。本路線の整備が各市町村の発展に必ず寄与してまいることは、もう釈迦に説法、申し上げるまでもないかもしれませんが、地域住民の立場からすればあえて言わせていただきたい。そういう意味で、これの整備方の見通しについて、ぜひひつ聞かせていただきたい、こう思います。
  147. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の瀬戸−大府−東海線でございますが、これは名古屋の東南部を環状に結ぶ非常に重要な路線だと思います。現在、全線舗装済みでございますが、改良率は約九〇%というようなことでございまして、現在やっております事業は、未改良区間であります長久手町、日進町、これの改築、それから人家連檐区間のバイパスということで豊明市東郷町のバイパスが行われる。それから瀬戸市内の街路事業と国道との重用区間であります区域のバイパス工事、これらを中心に整備を進めているところでございますが、御指摘のように非常に重要な路線でごごいますし、道路事業はここのところ石油ショック以来ほとんど横ばいの事業費でございますので、全国的にこういった道路事業に追っつかない実情ではございますが、できるだけ重要路線の整備に重点的に力を入れるということでやってまいりたいというふうに考えております。
  148. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。  次に、市川雄一君。
  149. 市川雄一

    市川分科員 私はきょうは、コンビナート地帯の防災対策についてお伺いをしたいと思います。  まず、質問に入る前に、最近ルーマニアにおきまして直下型の地震が石油コンビナート地帯を直撃して、かなり基幹産業に打撃を与え、それが地域の住民にも影響を与えたという報道が行われておりますが、幸いルーマニアにおきましては、コンビナート地区に人口が密集していないために、地域住民に対する影響は少なかったわけでございますが、しかし、わが国におきましては、コンビナート地帯に人口が密集している地域が非常に大きい。こういうことを考えますと、それでなくとも、南関東の直下型地震ということがある学者のグループの意見で発表されたりしておりまして、もしこの人口密集地帯を抱えているわが国のコンビナート地区に地震があった場合、いまの防災対策で済むのかという不安と疑念を持つわけでございますが、過去に、新潟地震による昭和石油タンクの火災など、いろいろコンビナート地区における大きな事故があったわけですが、こうしたコンビナート災害の教訓というものをどういうふうに総括をし、これからの行政に生かそうとしているのかという点について、まず大臣の御所見を賜りたいと思います。
  150. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 御承知のように、地震対策については、国土庁としては、この問題はかねてより真剣に検討してまいっているものでございまして、過日も私は、関係省庁十五省を集めまして、地震対策は万全であるかということについて連絡会議を開いたのでございまして、それぞれ関係省庁においては、その対策について鋭意努力をいたしておる段階でございます。  ただ問題は、東京大震災、あの当時、地震そのものよりも火災による被害というのが非常に大きかったですね。あの当時の震災による死亡者は九万九千人と言われておりますが、そのうち地震による死亡者というのは千人ないし千五百人と言われておりまして、九九%が火災による死亡、あるいはまた災害なのでございますので、地震の予知と、地震発生後の二時間ないし三時間の対策というものが最も必要だと思うのでございます。  ことに、ただいま御指摘の石油コンビナート地域と過密都市との関係というものは、それなりにし非常に大きい問題だと思うのでございます。ルーマニアの場合は、石油コンビナート地域が幸いにして人口の密度の低いところでありたということが報道されておりますが、日本の場合は、御指摘のようにそういう状況にございません。ですから私たちは、首都圏の整備計画の中にもうたわれておりますように、石油コンビナート地域については、特にこういうことをしなければならないという計画法にのっとってそれぞれの対策を講じておるわけでございますが、ただいま明快に、こうでございますから万全でございますという回答を申し上げる段階でございませんけれども、しかし、最善の努力はいたしているということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  151. 市川雄一

    市川分科員 わが国の場合、コンビナート地区が非常に人口密集で、コンビナートで災害が起きた場合には非常に被害が大きいという点は私たちと認識が一致しているわけですが、そこで考えますに、もしこのコンビナート地区に地震等による災害が起きた場合、これを市街地に波及させない、いかにして防ぐかという問題が一番重要な問題だと私は思います。  そういう意味では、すでに防災遮断帯という考え方が出ているわけです。川崎、横浜の臨海地帯におきましては、十数キロに及んでコンビナート地帯があるわけですけれども、そういうことを考えますと、この防災遮断帯の設置という必要性ですが、国土庁並びに通産省あるいは建設省は、防災遮断帯の設置という問題についてどの程度の必要性の御認識を持っておられるのか、この辺についてまずお伺いしたいと思います。
  152. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 すでにこの計画は市と県と各省との連絡済みでございまして、その対策はもうすでに行わなければならない、行うについてはどういう計画でいくか、こういう点について、いまその計画を実現するための計画作成を現に指導中でありまして、早急にこれらの検討を加えた結果、計画実現の必要な措置を行うということでやっておるそうでございます。
  153. 市川雄一

    市川分科員 計画があることはよく承知しておるのですが、どうも進まない。私ども調査によりますと、防災遮断帯の早期実現を望む地元住民の意向というものははっきり出ているわけですね。これは地域住民二千人を対象にしたアンケート調査でございますが、コンビナートの存在を現状でよいとする人は一%、コンビナートに危険性を認める人が九五・四%、大地震時にコンビナート災害の影響ありと思っている人が一〇〇%。これは全員がそう答えているわけです。防災遮断帯の設置を望む人が八〇・三%です。こういうアンケート調査が出ているわけです。  いま大臣から、十分計画を練っているのだというお話を伺ったわけでございますが、その計画というのは、いま端的に言ってどんな段階にあるのですか。簡単で結構ですが、それを伺いたい。
  154. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御存じだと思いますが、建設省が川崎市に委託をいたしまして、防災遮断帯についての調査を、四十七年、四十八年、それから五十年と、中間の四十九年は飛んでおりますが、委託をして調査をしております。そこで、最初の四十七、八年の調査でございますが、これは、災害時に防災遮断帯が一体防災効果を持っておるかという基本的な考え方をモデル的にチェックをするということと、さらに、それを受けまして五十年度の調査は、もう少し実現性のある具体的なものを調べようではないかということで、現実の工場の立地動向でございますとか、あるいは土地利用の問題とか、こういったものを検討して調査が進められたものでございます。  したがいまして、まだ全体としてははっきりしたことになっておりませんが、一応の構想の段階ということで申し上げますと、公園でございますとか、あるいは緑地でございますとか、それから現に下水処理場なんかあるようでございますが、そういうものを取り込むとか、あるいは工場地帯でございますから、耐火性能を有する工場で、しかも危険物を持たない工場とか、こういったものでぐるりと囲むということにすれば非常に効果があるんじゃないかということでございまして、現在、川崎市の方に対しまして、私どもは、実施の具体的な計画といいますか、そういうものを早くつくっていただきくようにということで、先ほど大臣が申し上げましたように指導をしておる最中でございます。
  155. 市川雄一

    市川分科員 川崎市につくってという話なんですが、しかし、これは三年前の試算でも九千億という膨大なお金がかかる大事業なんですね。これは川崎市といったって、川崎市は年間三千億ちょっとの予算しか持っていない市ですから、九千億の予算がかかる仕事を川崎市でつくれと言ったって、これはかなり無理でございます。それは国も、全部市でやれという意味じゃないということはよくわかっておるのですが、問題は、一つは国のレベルがどこまで責任を持つのかということですね。  それから地方自治体としては、横浜も川崎も、自治体行政の全体の中にコンビナート地区防災遮断帯という事業をどういう位置づけをしなければならないかということがあるわけですよ。現実問題これをもしやるとしたら、そこを考えるには、やはりマスタープランがあって、国がここまで責任を持ちますよ、ここからここまではたとえば市でやりなさいとかいうのなら、これは市も計画が立てようがある。大体、お金がどこから出るのかわからない。あるいはこの事業主体はだれが推進していくのか。もちろん自治体がやるにしても、各省にいろいろな法律があってまたがっている。一体だれが調整してまとめていくのか。こういうことがわからない段階でこの計画考えた場合には、安全性と実現可能性と緊急性と、こういういろいろな要素を考えなければならないと思うのですが、どの程度の絵をかいたらいいのかわからないわけですよ。要するに、安全というものを主体に考えればかなり完璧な絵がかけるわけですけれども財政的、事業的な実現可能性というものを考えた場合には、これは絵にかいたもちである。ですから、もうちょっと落とそうじゃないかということになるし、落とすことによって今度は実際の安全性というものが効果が半減してしまう。ですから、どの程度の絵をかくのか、国はどこまで責任を持つのか、こういう責任が国の考え方がはっきりしているならいいのですが、そういう考え方をはっきり示した上で市に計画をつくらせようとしているのですか、どうですか。
  156. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 こういうような大きなものをつくるのでございますから、市の中につくるのですから、国の命令でかってやったようなわけにはいかぬのです。ですから、主体性を持つ地元というものが、ここでこういう面をどうするかという大体の当たりを見て、そしてここはこういけますよ、この部落はこういけますよ、これだけの密集地帯はどうなりますよと、これを大体地元でやっていただかない限りは、国でかつて命令でやったように、こうやるんだといったようなわけには現在いかないことは御承知のとおりでございます。ですから、この点はこうなった、こういう上に立ってそれはこういうふうに地元はやりましょう、これだけのものはここに出しましょうと——地元でこれだけのことをやれと言ったって、地元が十分に負担できるはずはありません。ですから、それに対しては、基礎は幾らか地元がやってくれて、地元の問題を国がやるべきだという御意見だけは受けとれないのですが、この点も十分御理解願いたいと思います。細かい点はいま局長から
  157. 中村清

    ○中村(清)政府委員 いま御指摘がございましたように、相当多額のお金が要るということで、約九千億という話も計画当初の段階では出たようでございますが、先ほど申し上げましたように、相当実現性のある確実な計画にしようということで五十年度の調査が進められた次第でございます。  いま大臣がお答えを申し上げましたように、現在川崎市の方でいろいろ計画を詰めており、具体的な実施計画をつくっておるわけです。その検討の結果を待ちまして、私どもとしては必要な措置を考えていきたいというふうに考えております。
  158. 市川雄一

    市川分科員 建設省の都市局で発表したレポートをいま私は持っているのですけれども、これは建設省から財団法人日本都市センターに委託されたものですね。防災対策についてこういうレポートがあるわけですが、これを拝見しますと、防災遮断帯の事業計画を進めていく上に当たっての一番のネックですが、これはいま本当はお伺いしたいのですが、しかし、これは時間を省略する意味でこちらで申し上げます。  一番のネックは、ここで指摘されているのは、一つ事業手法の問題と、それからもう一点は費用負担の問題で、この二点が最大のネックだということがここで指摘されているわけです。  政府考えでは、事業手法というのは現行法の組み合わせで現段階ではやっていくのだというふうにお考えのようでございますが、しかし、現行法と言っても、公害防止基本法による緑地帯の造成とか、再開発法による建物の集合化、不燃化、公園事業による公園整備、街路事業による街路整備住宅地区改良法による市街地整備、その他関連法令による都市施設整備ということになるわけですから、現実には、こういう現行法というのは、地震という異常災害時に備えて、そういう防災という意識、想定を持ってつくった法律ではないわけですよ。そうなりますと、たとえば同じ公園をつくるにしても、子供が遊ぶという想定でつくった公園と、今度は異常災害時にはそこへ市民が緊急避難するのだという想定でつくった公園とでは、つくり方も変わってくるし、発想も変わってくるわけです。これは当然です。したがってそういう意味で現行法を組み合わせてやっていくとおっしゃっておりますが、やはりこれは現行法の組み合わせというやり方ではかなり困難であるという認識を恐らく持っておられるのじゃないかと思うのです。  そういう意味で、地元の行政側の窓口の一本化をやってもらいたいという強い御意向があるようなんですが、その点、国土庁の長官あるいは建設省ではどう考えておられるのか、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  159. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど建設大臣からも答弁がありましたが、やはり災害の主体はあくまでも市町村でございますので、そういう点では市町村長に、あるいはまた知事にその責任を持っていただいて、それを私たちは全体で援助する、あるいは調整をするというような形で震災対策あるいは災害対策というものはこれまでも立ててまいりましたし、今後もそういうような形で連携をとって災害の防止のために努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  160. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御指摘のように、現行法だけでいこうという考え方ではない。これはもういまおっしゃるとおりなんです。たとえば公園をつくるにしても、なぜ公園を大きい公園にしなければならないかというようなことは、かつては公園というのは遊び場であったけれども、現在は遊び場ではない。それにはどういう施設を、地下をどういうふうに使って、異常事態のときに何名くらいの収容ができるか、医薬品をどうするか、食糧をどう供給するかという、こういうようなことが勘案されたものが現在の公園となっていかなければならない時代に変わってきている。  といって、新しいものだけでいいかというと、そうはいかぬ。やはり、古くからあった公園という、その公園そのものを生かしながら、新しいものをその中に挿入していってりっぱな公園をつくり上げていきたいというのがいまのわれわれの考え方であります。
  161. 市川雄一

    市川分科員 次に、防災遮断帯事業計画のネックのもう一つの面である費用負担の問題ですね。この建設省の発表したレポートでも、現在の自治体の財政では平常時の都市施設整備だけでも手一ぱいである。したがって、地震というような異常災害時に備えて財源を割くということは、地方自治体としては困難な事態であるということを十分建設省も認識されておられると思うのですね。そういうことを言っておられる。  先ほども申し上げましたが、三年前の市側の非公式な推算でも約九千億のお金がかかる。こういうことを考えますと、費用の負担という問題をだれがどういう形でやっていくのかということが、この計画作成にすごく影響するのじゃないかと思うのですね。やはり、費用負担という問題がはっきりしないと計画の立てようがないのじゃないか。一千億かかるのか百億かかるのかということによって、計画の立て方は当然変わってくるわけですから、実際問題、その費用負担というものをどう考えるのか。あるいは、先ほど申し上げた事業手法の問題で、どこが主体で進めていくのかという、こういうことを考えますと、現行法の組み合わせということではなくて、この防災遮断帯事業計画事業を進めていく法的根拠を与え、同時に財政援助の根拠を与えるためにも、たとえばこのレポートの中でも言われておりますが、大都市の地震対策のための特別措置法といったような特別立法の措置をやらないとできないんじゃないかというふうに現実的には思うのですが、その点について建設大臣、お考えはいかがでしょうか。
  162. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 異常事態に対する問題は個々もやっておりますけれども、国全体、関係各省においても、その場合はどうするかというような協議はときどきやっておりますし、別に新しい法案をつくらなければならないというまでは、いま現在は考えておりません。
  163. 市川雄一

    市川分科員 そういう御認識だと、この防災遮断帯というのは、結局やりませんということと同じ意味に私たちには受け取れるわけでございます。  先ほどから何回も申し上げておりますように、消防庁であるとか、国土庁であるとか、建設省であるとか、通産省であるとか、国のお役所の所管もかなり分かれております。たとえば自治体が各省に分かれていることを一つやろうとした場合に、所管の省に話を持っていく、その所管の省が今度は関係省に話を持っていく。そうすると、わからないのでまた自治体の人間を呼ぶ、説明をさせる、そういうことで、自治体の人件費というんですか、それが膨大にかかっているんだという全国市長会や知事会の指摘もあるわけです。あるいは、百万円の助成金をもらうのに人件費に五十万かかって書類代に二十五万もかかったんだというような話も言われているくらいのときでございます。まして、コンビナート地区の人口密集地の防災遮断帯事業を進めていく上において、関係法規がたくさんある。関係省、所管は分かれておる。それをだれが責任を持って具体的に進めていくのか。これは自治体にやれと言ったって、実際問題として、自治体だけではどうにもならない。また、財源の問題をどういう形で法的根拠を持って進めていくのか、これもはっきりしてない。  この点を私はいま御指摘申し上げたわけですが、大臣から何か現行法だけで足りるような御答弁でございましたが、大臣、それでよろしいんですか。
  164. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 あなたのおっしゃるのは、川崎のお話じゃなくて全国のお話ですか。
  165. 市川雄一

    市川分科員 いや、川崎の話です。
  166. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 川崎のお話だとまた別なんです。冒頭に申し上げたように、ただいま川崎というものをどうするかという、その実施計画を立てて、そして各省がいま常に寄って、あなたがおっしゃるように、各省に行かなくても済むように各省が集まってどう実施すべきかということをやって、そしてそれが主体を持つ川崎市を中心とした今後の遮断線をどういうふうに行うか、どういうふうに緑地帯をつくるかというような点について協議をしているところでございます。こういうことです。
  167. 市川雄一

    市川分科員 せっかくの御答弁に水を差すようで恐縮ですが、そういう御趣旨で進めていただいておるということで、大いにまたやっていただきたいと思うのですが、しかし、これは、ではどこの省が責任を持って進めていくのかという、この責任は建設省ははっきりしておられるわけですか。
  168. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 もちろん建設省が主体となって行ってまいります。
  169. 市川雄一

    市川分科員 先ほどから、災害は自治体が責任を持つんだというお話で、趣旨としては原則的にはわかるわけなんですが、しかし、このコンビナートということを考えた場合に、果たしてそういう御認識でいいのかということです。  このコンビナートというのは、川崎や横浜が国に運動して誘致したわけじゃないですよ。かつてはきれいな海岸があったんです。私たちは小学校のときなんかここで泳いだ。それが現実には、この重要港湾整備計画とか、重化学工業育成策とか、高度成長政策とか、国際競争力の強化とか、こういう国の方針からせっかくの海を埋め立て、コンビナート地帯をつくったわけです。これは県や市が誘致したわけじゃないのです。国の政策、国の必要性からつくったものじゃありませんか。ということならば、本来なら、このコンビナートをつくったときに、コンビナートで災害が起きたら住民地区にこれが最大限及ばないように、あるいは地震があった場合にはこういう防災遮断帯というものを同時につくっておこうじゃないかということで、防災対策がコンビナートの建設と同時に行われていなければならないと私は思うわけですね。これが政治だと思うのです。それを、コンビナートだけ国の必要で先につくりました、あと防災計画については自治体で中心になってやりなさい、中心になってやりなさい、これは全くけしからぬとぼくは思うのですが、その点についていかがですか。
  170. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 おっしゃるようなことはわかるような感じもいたしますけれども、自治体の協力がなくて川崎周辺のコンビナートができたものではございません。自治体の方が拒否したものはできるはずがなかったはずです。ですから、それをいま言ってみたところで、いまから三十年、五十年前の話を言ってみても始まらないので、現在をどうするか、現実こうなったんだから現実をどうやらなければならないかという、こういう問題だと思うのです。ですから、現実に立っては、そういうような問題、まさに遮断帯というものをつくらなければならないということでございますので、早急にこの面を——ただ川崎市に、これだけのものを金をかけろと言ったってできるはずもありません。当然国がある程度のものを出さなければできるはずもないし、国は責任を持ってつくるべきであることはもう当然でしょう。  けれども、そこまでに話し合いをしなくて、これも後になって、何だ、そのときにつくって、五十年後になってごらんなさい、また変わるでしょう、そんなものをつくったからどうなったという話も出るかもしれない。ですから、そうでなく、過去にそういうものを残さないように、そうしてどうやって住民の安定を図るかということをいまわれわれ政治を行う者はやらねばならぬ。あなたが五十年前のことをおっしゃるとおり、われわれは五十年先のことも考えてつくらなければならぬということが、われわれ政治を行う者の当然の義務であろうと考えております。
  171. 市川雄一

    市川分科員 いろいろ御議論したいんですが、時間がありませんので……。  形式的にはそれは自治体の同意がなければできなかったと言われればそれまでですけれども、しかし実態としては、もう大臣もよく御存じだと思いますので、あえて反論はいたしませんが、いまのお話を承っておりますと、防災遮断帯の設置というのはかなり先になりそうな感じを受けるわけですが、それで防災遮断帯ができるにせよ何にせよ、コンビナート地区自身の安全化の徹底ということですね。これはやはり絶対必要だというふうに思うわけです。同時に、市街地区における不燃化等の安全対策ももちろん必要でございますが、この災害発生源であるコンビナートの安全対策をしっかりやっていくことが、当面防災遮断帯が先の話であるとすれば、これは緊急課題だと思うのですね。  そういう意味で、ここにもきょう実は写真を持ってきたんですけれども、四十五年の二月二十六日に川崎市のコンビナートにある昭和石油のトッピング火災で約八十キロリットルの油が炎上した写真なんですけれども一、実際こういう災害が現実に起きているわけですね。大した災害はないんだ、ないんだということをおっしゃる向きもあるのですけれども、現実に修理のミスによってこういう災害が起きている。  そこで、数年前からコンビナート防災診断を実施しているというふうに聞いているんですけれども、このコンビナート防災診断は現在どういう進捗状況なのか、いつまとまるのか、いつごろ発表されるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  172. 中川登

    中川説明員 防災診断のことについて申し上げますと、現在、防災診断の方では約半分程度やっております。それから、これについての結論の発表というものは、非常に内容が複雑でむずかしいものですから、これからいろいろ検討してやっていこうと思っております。
  173. 市川雄一

    市川分科員 直下型地震というのは、予告つきで来ればいいんですけれども、これは突然来るわけですね。そういうことを考えますと、数年前からやっている防災診断がいつになるのかわからないということでは、非常に地域住民として心もとないわけでございます。しかも、防災遮断帯は非常に何かぎくしゃくして進んでいない、肝心のコンビナートの安全検査も進んでないということでは、非常に地域住民が不安を強めるわけでございますので、どうかその点、そうしたコンビナート地区の安全化という問題について、一日も早く行政面における対応を強くなさることを御要望申し上げまして、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  174. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて市川雄一君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。
  175. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園都市をめぐる諸問題と常磐高速道路に関する問題について、若干の質問をいたしたいと思います。  筑波研究学園都市に関しては、いろいろな経過をたどってまいりましたが、特に特別立法までつくってこれを促進しようということでいま促進をしておるわけでありますが、そういう促進を進めるという立場に立って幾つかの質問をします。  まず、田澤長官にお尋ねしますが、一月の二十九日に長官は現地を視察されました。そのときに、建設状況を見て、予定通り進行しているのか、何か問題があるのかという点についてお聞きしたい。いままで何度か、長官あるいは建設大臣がかわるたびに、適当なことを言っていつもごまかして引き延ばしをしてきた。今度はそういうことがないと思うけれども、あってはならない。どうですか。
  176. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 筑波学園の現状は、建設は順調に進んでおります。特に研究教育機関の建設は、現在四十二機関のうち二十機関がもうすでにできて業務を開始している現状なんでございます。  私といたしましては、五十四年度の概成を進めるための基本的な予算をことしつくりまして、明年度の予算で大体概成が達成できるように進めてまいりたいと考えております。  全体から見まして、私は順調に進んでおると思いますが、問題は、周辺の市町村と筑波学園そのものとの関連を一体どうするのかということが大きな課題になるのじゃないかと見てまいりました。
  177. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いまの長官の答弁に私もやはり同感です。かなり進んでいることは事実ですが、建物や移転等々に関しては進んでいるけれども、これの内容の充実、それから関連をする九町村との関係、こういうものについてはまだ不十分な点があるので、これは別なところでも主張してまいりましたが、なお一層の努力をしてほしい、こういう点です。  次には、高校をつくってほしいという要求が強くあります。小中学校等々に関してはかなりできてまいりましたが、高校に関してはまだできておらない。そういうところで、周辺にもなるほど高校で定員に達しないところもあるようでありますけれども、交通の事情からいってみても、いろいろな関係から学園都市の内部につくってほしい。これは十月にも質問してまい。ましたが、四校つくるという答弁がありましたけれども、なおこれはいつごろどこにどこが主体でつくるのか、こういうことを含めてひとつ御答弁いただきたい。
  178. 国塚武平

    国塚政府委員 高等学校の件でございますけれども、現在、筑波研究学園都市の高等学校は、県立学校が筑波町、豊里町及び谷田部町に一校ずつあることは御存じのとおりでございますが、今後、研究学園地区を中心に公私立合わせておおむね四校を新設することといたしております。このうち三校分の建設用地につきましては、花室、大角豆、上原の各地域に留保いたしておるわけでございますが、昭和五十四年度を目途に県立一校、私立一校を開校するという方針で、茨城県を中心に検討を進めております。
  179. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは地元の強い要望でもありますから、ぜひ予定どおりに進めてもらいたい、こういうふうに思います。  続いて、交通問題に関してですが、学園内部の交通事情と、それから学園へ入るまでの外部の交通との二つの形があろうと思うのですが、内部の問題に関しては、前々からの要求によって国土庁補助金を出して、そうして内部の循環バスが通過をしておりますけれども、これは最初に発車する時刻と終車の時刻との状態、あるいはまた、新しくできる建物とその交通の関係等々においていろいろ変化があります。この変化について特に地元から強い要望がある。この要望に関して関係省庁が弾力的に応じてもらいたいという要求があります。これが第一。  それから、第二番目の問題は、先般、田澤長官がそこを視察された際に、新宿から筑波まで地下鉄をつくってはどうかという話をされて、地元では大変いろいろと話題を呼んでおる次第でありますが、これは一体夢なのか、夢じゃないのか。こういう点について、これはひとつ答えをもらわないと、長官がかわるたびにいい話をして帰って、後は消えてしまうのでは困る。これはどうなのかということについて、これが二点。
  180. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 実は、筑波学園都市に参りまして、交通の問題が一番大きい問題だなというふうな感じを私は受けたわけです。そこで、地元の方々は、国鉄を利用して何とかしようじゃないかというので、常磐線の複々線化だとか高速化を考えておられるようですが、これは都内の交通体系からいって過密でなかなか思うようにまいらな、と思いますので、私は、むしろ、地下鉄が我孫子まで行っておりますから、これを延ばすこと、筑波学園の外部との交通体系は地下鉄によってやることが望ましいことだとう発言をしてまいったのでございまして、あくまでも私の希望的な意見でございますが、できるだけこれは実現したいなと考えておるのでございますので、その点、御理解いただきたいと思うのでございます。
  181. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう一つ、内部の道路の問題はどうですか。
  182. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 筑波研究学園都市の外の道路と内の道路というお尋ねでございますが、内部の道路は、これは街路でやっておるものが大部分でございまして、道路局所管の関連道路事業といたしましては、残されたものは土浦−野田線及び藤沢−豊里線の整備があるわけでございます。これらについては従来鋭意整備を進めてまいってきておりまして、五十二年度におおむね完成する予定になっております。  街路事業につきましても、学園東大通り線外十路線の整備を進めておる段階でございまして、研究機関の移設が完了する昭和五十四年度までにはおおよそ完成することといたしております。
  183. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 田澤長官の先ほどの御答弁は大変いい答弁だと思うのですが、これはひとつ常磐線の複々線は非常に不可能だということはよくわかっているのです。それを強化するといりても、車両を増結することぐらいしか考えられない。だとすれば地下鉄を入れるか。もう一つ後で建設大臣に質問しますが、学園に直通の道路をつくるか以外にないだろう。こういうふうに思いますから、それはすぐやめないで、これからも続けてがんばってつくるように努力してもらいたいと思う。大臣がやめたら、あれは前の大臣が言ったことだから後の人は知らないということでは困る。そういうことのないようにしてもらいたいと思います。  それから、道路の問題については、でき上がるまでの間においては弾力的な運営ができないかということで、これは地元あるいは関東鉄道との交渉をして、地元の要求に沿えるように弾力的な運用をできるようにしてもらいたい。こういうことを要望しておきます。  続いて建設省にお尋ねをしますが、常磐高速道路の進みぐあいは、大体予定通りに進んでいるのか。私は進んでいないと思うのです。進んでいないとしたら、どこにこの問題があって、それをどのように克服をしまうとされるのか、その点をお尋ねします。
  184. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の常磐自動車道は、三郷千代田間が昭和四十五年六月に整備計画が決定いたしました。その後、四十七年六月には千代田日立間、それから日立−いわき間が四十八年十月にそれぞれ整備計画が決められて、日本道路公団に施行命令が出されておるわけでございます。  現在、三郷−千代田間につきましては測量調査をほぼ終了いたしまして、全線にわたって用地買収中でございます。一部では工事にも手をつけておるという実情でございます。また、千代田−日立間は中心ぐいの設置がほぼ終了いたしておりまして、現在地元と設計協議中の段階でございます。それからさらに、その北の日立−いわき間につきましては、実施計画策定のための調査を実施しておるわけでございます。  このうち、特に、三郷−千代田間につきましては、筑波研究学園都市との関連で非常に重要な区間でございますので、鋭意その促進に努めておるわけでございますが、実情を申し上げますと、流山地区で、環境悪化を理由といたしまして、地元の反対がこれまでかなりございました。この区間がそういう事情で若干おくれておりますが、そのほかはおおむね順調に進捗しておるわけでございます。  なお、流山地区につきましても、昨年十一月には新しい環境を十分考えた構造で地元に提示いたしまして、これによりまして、現在、関係当局協議しながら地域住民の理解と協力を得るようにいたしまして、早くこの区間の実際の工事に手がつけられるような段階に持ち込みたいと考えているわけでございます。
  185. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 その辺のことは承知をしておりますが、東京と三郷の間はどうなるか。まず、ここは問題ですね。
  186. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 三郷−千代田間の状況をもうちょっと詳しくお話し申し上げますと、大体、用地買収が全面的に行われているわけでございますが、用地買収につきましては、埼玉県内が約八五%買収できております。それから千葉県内が約四〇%、茨城県内が約三〇%という進捗率でございまして、千葉県の流山地区が、ただいま申し上げましたように、ちょっとおくれておるわけでございます。今後、流山地区につきましても、環境対策等について十分地元の皆さんと話し合いながら鋭意促進してまいりたいと考えております。
  187. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 茨城県の石岡の若松町、矢向というところがあります。ここでは、いまから数年前に、柏原工業団地の建設によって、農民の土地がかなり——収用法の間際でこれは話し合いをつけたわけでありますが、まあ収用ざれた部面もありますし、買収をされました。またその同じところが今度常磐高速道路によってくい打ちをされた。農家の人たちはこれに対して了承を与えておりませんが、いつの間にかくいを打っていった。なるほど農協が代理をしておりますから、農協の方からそれを承諾したかもしれませんが、農家の立場に立ってみると、工業団地に協力をし、また高速道路で土地を取られる、一体農家はどうしたらいいかということで非常に迷っている。  こういう場合に、地主の了解が最終的に得られなかった場合には、収用法で収用されるのかどうか。この辺はどうですか。
  188. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 高速道路の建設に関しまして収用法は適用できることになっておりますが、ただいま御指摘の矢向地区でございますが、これは現在中心線を設定いたしまして、中心ぐいをすでに打ち終わっておるわけでございまして、石岡市当局並びに地元の方々と設計協議を行っておる段階でございます。協議が調い次第幅ぐいを打ちまして、用地交渉を開始するという段取りになります。その段階で地元の方と十分話し合って、適正な補償によって所要の土地を取得したいというふうに考えておるわけでございます。  現在くいを打って調査しておる関係から、本地区につきましては、他地区と同様に土地収用法第十一条の規定に基づく立ち入りを行っておるわけでございまして、これはあくまでも調査のための立ち入りでございまして、今後、設計協議、幅ぐい、それからいろいろと価格の話し合いと心うようなことで、逐次地元の皆さんの御理解を得ながら円満に土地を取得してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  189. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま聞いているのは、そのくいを打っているのはわかっているのだけれども、、農民が土地が狭くなって困っている。工業団地にも協力し、また高速道路にもやられるということになったら、これは農業はできなくなるのですね。そういう農家をどうするがということで聞いている。くいを打ってしまって、既成事実をつくって、従わなければ収用するというなら、これは強権発動ですよ。そういう農民をどのように考えるかということが大事じゃないですか。建設大臣、どうですか、それは。
  190. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま局長お話し申し上げたように、御理解を得て行うつもりでございますとおっしゃっているのですから、御理解がなければできません。
  191. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 くいを打ってから、そしてこう決めてしまって、それから理解をしろと言っても、もう初めからだめじゃないの。くいを打つ前に話をして、一そして理解を得て、それからやるということでなければ、これは初めから、争い、けんかみたいになってしまう。そして、今度は、聞かなかったら収用法だということでやられたら、それは農民の方はたまったものじゃないですね。そういう考え方じゃないですか。
  192. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生御承知のように、あの地域は非常に広大な農地でございまして、高速道路の線形を入れるためには、どうしても農地に入らざるを得ないような実情もございます。しかしながら、農地等の関係につきましては、従来、圃場整備事業等いろいろ関連させていったり、あるいはできるだけいわゆる端歩田というようなものが生じないようにいろいろ考えながら、少なくとも優良農地についてはなるべく避けるようなことでルートを入れてまいってきておるわけでございますが、そこは高速道路の性格上、都市集落を有効に効率的に結んでいかなければなりませんので、インターチェンジ周辺等ではどうしても平地部におりる。したがってそこにはどうしても広大な農地があるということで、やはり土地の広がりとしても、農地が非常に広く広がっているために、高速道路の線を入れるとどうしてもひっかかってくるところがございますが、これは計画段階ではできるだけ農地どの調整を図りながら入れておるようなことでございまして、そのほか計画線を入れるためには、コントロールポイントとして、集落と、それから川の渡り方等いろいろございますので、農地だけを避けて通すというわけにはなかなかいきません。そういう事情がございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  193. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これは理解ができないから、いずれ農林水産委員会で、時間がないからなお詰めますが、代替地をつくるとか何とか道がおるはずだ、収用しなくても。農業で生活をしようという農民、その農民の方が先にそこに住んでいて、そこに工業団地をつくるために、道路を通すために農地をどんどんつぶしていくというのはおかしいじゃないですか。だから、農業ができるようにするためにはもっといろいろな手だてがある。了解を得てやる。そうしなければ、われわれはこれに対しては、その時点ではなかなか協力ができない、しにくい、きょうはそういうことを言っておきます。  続いて、先ほどの筑波研究学園に対する道路の問題ですが、常磐高速道路は確かにそのわきは通るけれども、学園には直接には入ってこない。そこで地下鉄の話があったけれども、なお道路を直接に筑波の学園に入れるという考え方があるかないか。一部にはそういう話も聞いているけれども、それはうそかどうか。ありますか。
  194. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、研究学園都市のすぐそばまで常磐自動車道がいくわけでございます。そのインターチェンジからのアクセス道路は相当太い道路が学園都市地域に入る計画になっております。その大きなものは、先ほどもちよりと申し上げた中にございますが、たとえば牛久−学園線等があるわけでございまして、そのほか約十本の路線でインターチェンジに結ばれるような道路網が組まれておるわけでございます。
  195. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そうすると、東京からの直接のやつはないと理解してよろしいですね。
  196. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 東京からの直接の大動脈としては、常磐高速道路一本を考えております。
  197. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 霞ケ浦の総合開発についてお尋ねしますが、当初の計画が著しくおくれているというように思います。そのおくれているものをどういうように克服をして、どのような財政によって将来をやろうとしているのか、その問題点についてお尋ねします。
  198. 栂野康行

    ○栂野政府委員 霞ケ浦総合開発計画は、昭和四十三年度から実施計画調査に着手しまして、昭和四十五年度から建設事業としまして水資源公団が工事に着手したという事業でございます。それで、なぜおくれたかと申しますと、事業実施に当たりましては、一つは漁業関係者との調整、それからもう一つは水源地域対策特別措置法にかかわる整備事業との調整にいろいろ手間取ったわけでございます。しかし現在は、主な漁業補償も妥決しまして、順調に事業が進捗しておる次第でございます。  それで、この霞ケ浦総合開発事業治水の面あるいは利水の面の重要性から見まして、今後は、昭和五十八年度を完成を目途に、積極的に事業推進を図っていきたいというふうに考えてございます。第五次治水事業の五カ年計画は、おかげさまで来年度発足するわけでございますけれども、この策定に際しましても、この霞ケ浦事業の円滑な推進について十分配慮していきたいというふうに考えます。
  199. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題についても、なお、細かい問題は農林水産委員会で質問しますが、これは建設省にお尋ねをしますけれども、第三セクターというものの性格、厳密な意味の性格についてお尋ねします。大臣から聞きたい。
  200. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 大臣のお答えの前に、ちょっと関連してお答えしたいと思いますが、第三セクターという最近ここ数年出てきた言葉でございますが、いわゆる道路等の公共事業を実施するに際しまして、公団等はすでに組織としていろいろな形で世の中に出ておりますが、そういうことよりもう一歩民間企業に近づけた形で公共事業推進していくための一つの組織として考えられるものでございまして、道路関係でいろいろ言われております第三セクター構想の一つとしましては、御承知かと思いますが、東京湾横断道路の事業に絡む第三セクター方式での事業実施ということがいろいろ取りざたされております。これについては、現在実施方式を含めましていろいろと研究をいたしておる段階で、まだ日の目を見る見通しがついておりません。そういうような形で、事業実施の一つのやり方としてそういう組織が考えられるかと思います。
  201. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 大臣にお尋ねしたけれども局長からの答弁ですが、これも建設省としてはおかしいじゃないですか。私は五十年に、第三セクターの問題でこの場所でその意味を質問したときに、第一セクターというのがある、それは行政部門だ、第二セクターは民間だ、第三セクターというのは医療、文化、宗教、慈善事業、こういうことに厳密な意味では大体なっているはずなんです。そんなことは知らないはずがない、行政やる者が。いまの話では道路の話しかしない。そういうことでは、大体第三セクターの意味がわかってないじゃないですか。  そこで、その第三セクターができている。これは建設省が指導していると言っている。第三セクターができて、銀行の頭取とか、県の副知事であるとか、出納長であるとか、町村長であるとか、そういう者が集まって金を出し合ってやっていますね。そして公団が引き揚げた後は、そこが大体学園都市の仕事をするという形になっている。  そういうときに、この筑波学園地区にはいま常陽銀行と関東銀行の二つの銀行が入っております。どういうわけでその二つの銀行が許されたのか、ほかの銀行はなぜ相手にしないのか。それは公団の方から推薦があったからという形で話が出ている。しかし公団に聞いてみると、そんなことば覚えがないと言う。これはどこが一体この銀行二つ決めたのか、どういう法律でこれを決めたのか、その辺を大蔵省なり公団からお尋ねします。
  202. 猪瀬節雄

    ○猪瀬説明員 銀行の店舗の新設につきましては、銀行法の第六条によりまして大蔵大臣の認可を要することになっております。これは銀行が国民のお金を預かる、あるいは日本経済の信用秩序の中枢をなしているということ。それと同時に、やはり国民に対しまして必要な金融サービスを提供する必要があるというような、言うなれば、私的企業ではございますけれども、公共性のきわめて強い性格を持っているというところから、認可制度になったものと思う次第でございますが、本件の関東銀行と常陽銀行につきましては、四十八年、四十九年の内示におきましてこの二つを認めた次第でございますが、この二店につきましては、言うなれば、ああいった新興団地と申しますか、そういうところに対しましては、利用者利便のためにできるだけ店舗を認めていくという方針をもってわれわれ臨んでおりまして、四十八年、九年におきましてこの二行から申請があったので、二行ともそのまま認めた次第でございます。
  203. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 時間がありませんから、公団の総裁に来てもらって恐縮ですが、もうこれ以上質問ができないので要望しておきます。特に大蔵省に要望します。  関東銀行と常陽銀行、特に常陽銀行は茨城県における中心銀行です。この二つの銀行があそこに店舗を持った。県内に本店を持つ銀行は、まだほかにも東陽相互銀行があるし茨城相互銀行がある。あるいはまた市中銀行でも、やがてはあの中に入っていくだろう。人口が二十万にもなるようなところに関東銀行と常陽銀行だけが店舗を持って、ほかが入れないはずがない。利用する側からいってみても、これは不便であるし、サービスの方からいっても余りよくない。だからもう少し金融については独占体をつくらないでいく。  それから、第三セクターの問題については、これは建設省、もっと第三セクターについて勉強しなければだめだ。時間がないからやらないけれども、そういうような認識だったら、この問題は別のところで徹底的にやりますよ。この次は資料を整理して、第三セクターの実態と問題点について——慈善事業や宗教や文化の中心にすべき第三セクターが営利を中心にやって、ここにも新聞にも書いてあるけれども、地元優先と言いながら地元が優先できないじゃないですか。地元が入ろうとすれば全部排除されてしまう。金を持っていなければ入れない。そういうようなことをやったら、筑波研究学園都市の当初の目的に反するし、地元優先ということにも反する。こういうことについては十分に注意をしてもらいたいということを要望しながら質問を終わります。
  204. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  205. 水田稔

    水田分科員 私は、本四連絡橋のルートの問題と、関連する二、三の問題について、質問したいと思います。  本四の連絡橋というのは、四十八年の十一月に三ルート同時着工ということで、まさに着工寸前にオイルショックによって着工の延期がされたものです。その後、五十年の八月に関係閣僚会議によって、当面一ルート、それから、それに基づいて地域開発の効果とか工事の難易度等を勘案して、当面、三橋を順次やっていこう、こういうことですでに大三島、大鳴門、そして因島という三つの橋は着工になっておるわけであります。これを決めた当時は、五十年の八月ですから、恐らく三全総も近々決まる、そういう前提で、三全総で当面の一つのルートを決めよう、こういうことだったと思うのです。ところが、それからすでに一年六カ月という歳月が流れて、三全総はいつになるのか、こういうことで、一ルートについてはそれまでお預けのようになっておるわけであります。  ところが実際に、地方自治体、いわゆる関係の県とか市町村というのは、これがいつの時点からどういうぐあいにやられるかということを含めて、その地域の開発の問題であるとか、たとえば岡山で言いますと玉野というところは、いま宇野線なり国道三十号線が通って高松へ行っておる。これがいまのルートがもし決まれば、なくなるわけですから、そういう点では大変な影響を受ける。これをどうするかという問題、あるいは直接ルートの通るところでは、じゃ、そのルートがいつ決まって、いつ工事にかかり、それに対して、いま住民が心配している公害の問題とか環境の問題等について、どういうぐあいにわれわれの意見をくんでくれるのか、それが具体的には何にもないままに今日まで来ておるわけですね。  ですから考えてみますと、一つは成田空港の問題、あるいはいまの大阪空港へのエアバスの乗り入れの問題にしても、なかなか話がこじれてくる出発点というのは、大きい事業にかかるときに、事前の住民とのコンセンサスというものがとられてないところから起こっておる問題が多いと思うのです。そういう点から、これは事情があるかもしれませんけれども、こういうルートに決まるかもしれない地域の府県なりあるいは市町村、さらにはその地域の住民というのがそういう気持ちでおることについて、こういうなかなか決まらないという事態について、建設省はどういうぐあいにお考えになっておるか、まずお伺いしたいと思うのです。
  206. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生御指摘のように、一昨年の八月に決定いたしました本四連絡橋の当面の建設方針でございます。これは一ルートにつき早期完成を図るということと、大鳴戸、大三島、因島大橋、この三橋の建設を図るということで決めていただいたわけでございますが、この方針に従って逐次段階を踏んで、三橋についてはすでに着工いたしておるようなわけでございます。今後、鋭意事業推進を図っていくということになります。  しかし、早期完成を図る一ルールにつきましては、今後できるだけ関係各省と御相談して、その取り扱いについて決めてまいるわけでございますが、現在、国土庁におきまして三全総の策定作業が進められておるわけでございまして、これが若干延びるというような状況でございますので、まだルートを決定するには至ってないわけでございます。  本州四国連絡橋の建設は、関係地域だけでなく西日本地域の均衡ある発展に大きく寄与するものでございまして、関係地域住民の架橋に対する熱望、要望がいろいろあることは十分承知しておりますし、また架橋に関連する沿道の方々の、計画が十分はっきり決まっていないということに対するいらだち等につきましては、十分理解できるわけでございまして、今後、一昨年八月の当面の建設方針に沿って、逐次一ルートの決定等の問題を解決してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 水田稔

    水田分科員 私、さっきも申し上げましたように、五十年八月のこの決定というのは、四十八年のオイルショックで大変な経済の変動ですから、大きな見直しをしなければならぬ、そういう任務が三全総にある。そういう中で、恐らく五十年末くらいまでには、期日は断定しませんけれども、間もなく決まる、そしてその三橋順次凍結を解除していく中で決定できるのじゃないか、そういう気持ちがなかったとは言えないと思うのです。きょう現在の時点で考えた場合、少なくとも日本の経済の将来、三全総の中に組むべき方策として、本土と四国の間の橋が二本とか三本とか、そんなことは全く考えられないことだと思うのです。しかし、ここで言う当面というのは、一本だけは何とか——一本も要らないということは、だれしも考えておらないと思うのです。ですから、三全総はそのとおりすぐ決まるという前提で考えたと思われる、この決定の内容を読みますと。  そうすると、それから一年半たって、なおかつ三全総の中で当面というルートを決める理由はないと思うのです。三全総で最終的なものとして決めるのは、三全総に言う年度の間で日本の全体の経済の中で本四のルートはどうあるべきか、そういうことで最終決着になるべきものだろう。それの前段として当面の一ルートというのは、難易度とか進捗状況とかいろいろあると思うのですが、そういうもので決められないわけはないだろうと思うのです。ですから、三全総とこれを切り離して決めることができないという理由が、何としてもうなづけないわけです。三全総がいつになるかというと、ことしの九月、五十年から順次いっておるわけですから、だんだんいってことしの九月というのが、この間の新聞でも報道されておるけれども、いまの答弁ではさらに延びるかもしれない。そういう中で、さらに切り離して考えられないということは理解できないわけですが、どうしてもそれは切り離すことができないという理由があれば、聞かしてほしいと思うのです。
  208. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御承知のように本四架橋というのは、非常に国の大規模プロジェクトでございます。国の根幹的事業であるというふうに認識しているわけでございます。したがいまして、三全総という国の基本的な国土利用の枠組をつくる計画の中で十分整合がとられたものでなければならぬということは、これは間違いないことだと思います。そういうことで、一昨年の八月の関係閣僚の決定というものは、ああいう形で三全総で一ルートを決めるというふうに言ったわけでございまして、それなりにやはり意味があることである。  これを切り離すかどうかの問題につきましては、まだ現時点では関係各省と協議中でございまして、切り離して決めることが妥当かどうか、あるいは三全総で最終的に決めるというようなことで、何か環境庁等の審議に間に合うような形での方策がないかどうか、その辺をいろいろいま各省間で協議中の段階でございます。まだ切り離さないということを言っているわけじゃございませんので、その理由ということも含めまして、いま検討中の段階でございます。
  209. 水田稔

    水田分科員 それじゃ、こういうぐあいに確認してよろしいですか。三全総と切り離して決めるかどうかをいま協議中である、こういうぐあいに理解してよろしいですか。同じことを大臣に答えていただきたいと思います。
  210. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 最終的に決めるのはやはり三全総になろうかと思います。ですけれども、中間段階でいま何か形をはっきりさせないと環境庁が審議に入れないという事情もございますので、その辺、どういう取り扱いにするのが妥当かということを検討中なわけでございます。
  211. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 水田さんのお気持ちもよくわかるのです。本当に住民が、決めるのなら早く決めてくれという、それもよくわかる。しかし、役所へ来てみると——私は、役所へ来る前は、そんなものは早く一本でもって決めればいいじゃないかという考え方を持っておった。役所へ来てみると、そうはなかなかいかないんだということを自分で体験をしまして、やはり環境庁の方は、なるべく早く決めてもらわないと——決めてからでも環境庁がこれにかかるというのは、これまた容易でない。長く時間がかかるだろうと思うのです。ですから、あなたがおっしゃるように、なるべく早く決めてやらなければならないと思うのです。そこで先日も、話をしながら、おい、三全総早くやれよ、おれの方は困っているぞ、こういう話をしたんですけれども、秋までには何とかするから、まあちょっと待ってくれぬかいという話なんですけれども、実際いま局長も答弁に困るほどの思いをしているんです。実際は交渉はしているんです。三全総を早くやってくれないか、早くやってくれなければ私の方も考えを変えなければならぬとまで言っているわけなんですけれども、ただ、ここで三全総が決まらなければやりますということは、ちょっと言いにくい。言うわけにはまいりませんので、三全総の方をなるべく早く決めてくれと促進をやっているということで、御理解を少しの間賜りたい、こう考えております。
  212. 水田稔

    水田分科員 国土庁おいでになっていますか。  三全総、これは五十年の末ぐらいから五十一年となり、さらに五十二年、ことしの秋と言われるのですが、延びた実績があるわけですからね。本当に作業がどう進んで大体いつの時点くらいまでには出せるのか、その点をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  213. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 お答えいたします。  第三次全国総合開発計画の作業状況でございますけれども、いままで延びてきた理由の主なものを最初に申し上げますと、一つは、五十年の国勢調査によります日本の人口動態というものが、かねて予想していたものと若干違ってきているという実態を、国勢調査の成果を待って再検討したいということが作業上一つございます。それからもう一つは、先ほどから御指摘がございますような、オイルショック後の日本経済の回復の過程をどのように見るか。あるいは赤字公債まで出しております財政というものについて、どのような見通しを持つかということについては、もう少し検討をさせていただきたいということもございます。  そういうようなことが重なりまして作業がおくれてきておりますが、私どもとしては、大臣から予算委員会でも申し上げましたように、ことしの秋には固まるようにということで現在鋭意作業しておりますから、経済事情も経済企画庁の方の経済見通しあるいは経済計画等から関連して、ほぼ見通しがついてくるものと判断しておりますので、ことしの秋にはぜひ決めたいということでございます。
  214. 水田稔

    水田分科員 それじゃ、それ以上詰めても、とにかく大臣局長の答弁以上のことはなかなかいただけないようでありますので、関連する環境問題について、これは実施主体が本四公団ですから、建設省は指導監督という立場でしょう。しかし、いま環境アセスメント法案をまさに出そうというときでありますし、その中に言う大規模開発にも全く該当する仕事であります。それだけに、先ほど来質問しましたように、ルートの正式な最終発表はなかなか出ない、工事も差しとめたまま、そして心配なことはたくさんある。  たとえば、一つの村落、いわゆる住宅がたくさんある村落を突っ切るような形になる。しかもそこは谷合いである。この中をそれ以外には通すところはない、こう言って、ルートの変更は全くしないと、こう言う。それじゃトンネルにしてくれ、こう言うと、それは土質の関係でできませせ。どの程度の調査をしておるのか知りませんけれども、そういう話があったり、たとえば坂出の方を聞いてみますと、トンネルをやると工事中の公害と後の公害の方がむしろ大きいんだというような、それは本当かどうか知りませんけれども、そういう説明がされたり、そういうことが、これから実際にルートが決まり、工事にかかるときに、後々まで尾を引いていくのではないか。それだけに環境問題については、従来以上の真剣な取り組みをしなければならぬ。特に騒音一つとってみましても、あの新幹線の岡山以西の開通について、当時の運輸大臣に約束もらったのですけれども、今日、以西に行ってからはや二年以上たちます。三年くらいになるますかね。それでもまだ約束した基準が、防壁をつけたけれども守れないという問題もあるし、それらかもう一つは、NOxの問題については、人体との関係、気管支に影響ありというようなことが報道はされておるけれども、どの程度かというのは、まだまだ明らかにされていない。そういう不安を住民はたくさん持っておるわけです。  そこで、これは取り組む姿勢の問題なんですが、私は新しい法案に準じた手法といいますか、それだけの手続をぜひ実施主体の公団にはとってもらいたいし、建設省でもそういう立場で臨んでもらいたい、そう思っておりますが、建設省の方でのお考えがあれば、環境問題についての見解を聞きたいと思います。
  215. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 これからの道路建設に当たって環境問題を十分考えなければならぬというのは御指摘のとおりでございますが、建設省では、従来、幹線道路の計画立案あるいは工事の実施等に当たりまして、生活環境や自然環境の破壊など環境保全に重大な支障をもたらすことのないように、いろいろ計画面で配慮してきたところでございます。  また、御指摘の本四架橋に絡む環境アセスメントにつきましては、事業主体であります本州四国連絡橋公団におきまして、生活環境、自然環境に関する影響をできるだけ少なくするように、騒音の問題、あるいは海水汚濁の問題、修景の問題、植栽の問題等、いろいろ調査を行ってまいってきております。また、この調査結果で環境庁に御審査いただいた上で、地域開発橋については、その評価結果をもとに、すでに許可になりまして着工しておるような次第でございます。今後とも環境庁、関係地方公共団体との密接な連絡のもとに、事業の段階に応じまして必要な環境影響評価を実施いたしまして、環境保全上万全の対策を講ずるように本四公団を指導していきたいというふうに考えております。
  216. 水田稔

    水田分科員 私が環境アセスメント法案との関連を申し上げましたのは、これはまだ各省の詰めができておりませんが、その中で一番大事なことは公開の原則と住民参加ということです。それについて、どこまでかということがまだ煮詰まっておらぬようでありますけれども、少なくとも直接住民の利害というものもいろいろあるわけです。同じ地域にしましても、直接買収されるところ、その周辺に残るところ、あるいは利便を受けるところ、その中で——それにしても、この環境アセスメント法案の考え方というものは、住民参加の方法あるいは公開ということについては、条件がつくかつかぬか、これからの論議の問題ですが、少なくともその柱だけは残るだろうと思います。いま本四公団が自分のところで委託してやっておるのは、全くこの考え方を踏みにじっておるわけですね。住民には全く知らしめないというやり方をしているのです。だから、少なくともそういう手法を、この本四連絡橋についての環境問題では、ぜひとる必要がある。そうしなければ、なかなか実際に、周辺はいいにしても直接それにかかわる人、あるいは直接そのルートのすぐ近くの住民というのは、これはわりに人家のあるところを通るものですから、そういう点では納得しないだろうと思うのですね。そのことを御質問申し上げておるので、そういう手法を考えられるのかどうか、もう一遍お答えいただきたいと思います。
  217. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 環境アセスメントにつきましては、その手法とかアセスメント結果の取り扱いというのにつきまして、いろいろまだ熟さない面がございまして、われわれも具体的な大規模プロジェクトに関して試行錯誤的に進めておるような状況でございます。  一方、環境庁で近く環境アセスメントを準備するということで、各省にいろいろ協議をしておる段階で、私どもも中身について承知いたしておりますが、先生御指摘のように、公開というようなことをいろいろ書かれておるわけでございます。この環境アセスメント法の決まり方によりまして、また当然本四の環境評価の取り扱いも縛られるわけだと思います。今後これのいろいろ取り扱い等につきましては、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  218. 水田稔

    水田分科員 環境庁へ聞いてみますと、この本四連絡橋についてのいわゆる資料というのは、正式には何ももらってない。表でなくて事務的にはそういう資料は行っていると思うのですが、環境事前評価にかかる日数、それはどのくらいと建設省の方は大体見当をつけて現在おられるのか、お伺いしたいと思います。
  219. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 これは環境アセスメントの、先ほど申し上げましたように、手法が十分確立してないということで、アセスメントの範囲、それから、そのやり方等によりまして調査の期間も非常にまちまちになろうかと思いますが、本四架橋につきましては、つとに環境問題を重視してまいりまして、事前評価に取り組んできてまいっておりますので、相当な期間をかけております。大体、一般の環境アセスメントをとらえてみますと、短いところで半年、長いので一年ということでございます。本四架橋についても、一年以上の調査を実施してまとめておるわけでございます。
  220. 水田稔

    水田分科員 それでは最後に、これはルートそのものではないのですが、関連して航行の安全の問題を聞いておきたいと思います。  水島で三菱石油の重油の流出事故がありました。一つあのタンクがいっただけで、相当広範囲な被害を受けたわけです。これは五万トン、十万トンのタンカーがここで事故を起こしますと、恐らく瀬戸内海の柄から東というのは、気象の関係で紀伊水道から入りますから、ほとんど全滅するのではないか。そういう心配があるだけに航行の安全というのは、みんな大変心配しておるわけです。  そこで問題は、レーダーのゴーストウェーブの問題が、どういうぐあいに解消できるのか。いつの時点くらいに、たとえば、着工するまでにはまだまだできないけれども、供用までにはできるだろうというようなことでは困るわけで、少なくとも着工時点くらいには、そういう点についての技術的な開発ができておらなければならぬと思います。  それからもう一つは、大型船のかじのききぐあいの問題がまた、南航路ではちょうど変針点になりますから問題でしょうし、それからもう一つ、内航船の小型船は、その橋げたの近くを通ることによって、大分潮の流れが変わってくる、速くなってくる、そういう中での事故の心配というようなものもあるわけです。もっといろいろありますけれども、時間の関係でその一つだけ、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  221. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 本四架橋に絡みます航行安全の問題は非常に重要な問題でございまして、先生御指摘のような二つの問題が当面の大きな課題でございます。  一つはレーダーの虚像の問題でございますが、これは大島大橋で虚像の実例がございまして、そういうことが大きなきっかけで、五十一年度から日本海難防止協会に委託しまして、本四架橋によるレーダー虚像の出現予測、それから虚像対策の研究を行っておるわけでございます。今後は架橋が船舶用レーダーに影響を及ぼし、船舶航行に支障を生ずる場合に十分対処できるよう調査を進めておるわけでございます。鋭意調査を進めておりますが、次の架橋までにというようなお話でございますが、できるだけ調査を進めまして、そういう目標で解明に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから橋脚の船舶航行への影響でございますが、橋脚位置が船舶航行に及ぼす影響につきましては、これも海難防止協会に委託いたしまして、昭和四十九年度以来、継続して橋脚近傍の潮流の変化、橋脚近傍を航行する船の受ける影響等について調査、研究を行ってきております。今後は引き続き研究を進めまして、その結果に基づきまして、航行援助施設、接触防護施設等について、関係者とも十分相談しながら、船舶の安全航行が図られるように対処してまいりたいというふうに考えます。
  222. 水田稔

    水田分科員 終わります。
  223. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、浦井洋君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として阪神高速道路公団理事海江田鶴造君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。浦井洋君。
  224. 浦井洋

    浦井分科員 大臣にひとつよく聞いておっていただこうと思うのですが、御承知だろうとは思うのですけれども、五十一年度より、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団の三つの建設関係の道路公団で、民家などを含んだ防音工事に助成がされるという制度ができたわけです。これは私も前から、こういうことは最低やるべきだということを主張しておりましたし、むしろ遅きに失したくらいで、やることはよいことだというふうに思うわけですが、その実情を見てみますと、かなりいろんな問題を含んでおるように思えて仕方がないわけです。  そこで、建設省と、それから主として阪神高速道路公団の方に私は質問をしたいと思うのですが、まず最初に、この新しい助成事業概要と、それから五十一年度どの辺まで実施されておるのかということについて、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  225. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、防音工事助成は五十一年度から新しい施策として実施したわけでございますが、これは非常に自動車交通騒音が激しい幹線道路で、有料の自動車専用道路につきまして、非常に騒音による障害が著しい住宅について、一定の基準のもとに、外壁、それから窓枠等を防音構造にするために必要な工事費の一部を助成するということでやっておるわけでございまして、防音工事によって自動車騒音の障害の防止が困難な場合には、これと別途、住宅の移転助成あるいは跡地の買い取り等も行えるような措置を講じたわけでございます。現在、阪神道路公団、首都公団を中心に地元といろいろ協議しながら具体的な契約を行いつつある状況でございます。
  226. 浦井洋

    浦井分科員 阪神高速道路公団、五十一年度の実施状況はどうですか。
  227. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 阪神高速道路公団におきましては、五十一年度中に、すでに神戸市におきまして十七戸を三月上旬に契約をいたしておりまして、現在実施中でございますし、引き続き、年度内、あるいは年度を少し越すかもしれませんが、大阪地区並びに兵庫県の西宮地区におきまして、三カ所において実施をする予定でございます。
  228. 浦井洋

    浦井分科員 浅井道路局長の方から、一定の基準のもとに、こういうことなんです。やはり騒音防止ですから、一応ホンということでなにすると、大体何ホンくらいを下げるというふうになっておるわけですか、防音工事によって。
  229. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 とりあえず六十五ホン程度の騒音を目安に、それ以上のものについて逐次改善していくという考え方でございます。
  230. 浦井洋

    浦井分科員 それは目安が六十五ホンで、防音工事をやることによって何ホン下げるかという、それを聞いておる。
  231. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 データによりますと、いろいろ防音工事のやり方にもよると思いますが、窓枠あるいは外壁等を一応しっかりしたものにすることによりまして、六、七ホンの騒音緩和効果があるというふうに考えております。
  232. 浦井洋

    浦井分科員 六、七ホンか十ホンかだろうと思うのですが、それをやはり何か目安を決めて、そこまで下げなければならぬということに、公団の方ではされておるのかどうかということを私は聞いておるわけです。
  233. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 私どもの方では、六十五ホン以上ある道路周辺の住宅におきまして、防音窓枠の二重窓とか、あるいは壁の改造とか、そういう工事をやることによりまして、おおむね二十五ホン程度下がるというデータがございまして、そういうことでやっておるわけでございます。
  234. 浦井洋

    浦井分科員 いや私、聞いているのは、十ホンでも二十五ホンでも下げるのが、国の金を助成をして工事をやるわけですから、やはりきちんとした効果が出なければならぬ。そのきちんとした効果が出るように義務づけられておるのかどうかという点ですな、工事が進んだ後。
  235. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 私の方では現実に、そういうことによって二十五ホン程度下がるということで、そういう工事をやっておりまして、その工事のやり方を、事前にも、また事後にもチェックするということで確認をいたしております。
  236. 浦井洋

    浦井分科員 聞きますとチェックをすると言われるけれども、それは工事が完了したときに、その民家全部をチェックするんでなしに抽出をするんでしょう。だから全部ではないわけでしょう。どうですか。
  237. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 一応、全部チェックすることに考えております。
  238. 浦井洋

    浦井分科員 全部チェックをして何ホン下がったということを確認をするわけですね。
  239. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 一応、私どもの方では、事前に所有者等と話し合いをして、こういう工事をすることによって二十五ホン程度下げられるという見通しがついて工事をするわけでございますから、その工事が計画どおりに行われたかどうかをチェクするわけでございます。
  240. 浦井洋

    浦井分科員 どうもそこがはっきりせぬわけですが、それならもう一つ本源的に公団として、住民が近所の大工さんなり工務店さんなりに頼んで、そこが工事をやるわけなんですが、標準設計みたいなのはきちんとあるわけですか、公団の方に。
  241. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 標準設計というようなものはございません。
  242. 浦井洋

    浦井分科員 ないわけですから、結局は工事をやればよいんだということに私はならざるを得ぬと思う。そうすると、たとえば、二重窓とか、外壁をモルタルにするとか、あるいは冷暖房も入れなければいかぬ、そういうものが破損をした場合、工事が済んでまた日常生活が始まって、たまたま何かの原因で破損をしたような場合には、一体どうするんですか。
  243. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 私どもの方では、助成を終わりますと、それで一応チェックして、それでいいということになりますと、後はその所有者が維持管理をするということになっております。
  244. 浦井洋

    浦井分科員 それともう一つ。破損でなく、これは機械あるいは建物ですから、全体に摩耗してまいります。そして防音効果がずっと下がってきたというような場合、これはもう防音効果が減弱してきたというんですか、その場合も、もう公団は関係ないわけですか。
  245. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 現段階では一応関係ないと考えております。
  246. 浦井洋

    浦井分科員 大臣いま聞かれたと思うのですけれどもね。何百方円かの助成を一戸当たりするわけですから、やはり責任を持った仕事を、国としても監督をしながらやってもらわなければならぬ。それが、いま話お聞きになったとおり、かなり私はずさんだと言わざるを得ないわけなんです。  ところが、そういうような工事をやることについて助成をされることになっておるようなんですが、阪神高速道路公団が、助成を受ける住民の側と工事の始まる前に契約を交わす。その契約書をいただいたんですが、こう書いてある。この第六条に、甲、乙になっておりますけれども、これを当てばめると、建物の所有者は、公団の「助成金の支払い完了と同時に」とあって、具体的なそのの線、道路の名前ですね、その「線の自動車交通騒音により生ずる障害の防止については解決したものとする。」しかもその第六条の見出しは、「障害防止対策の完了」、こういうふうになっておるわけなんです。だから、先ほどから私言っておりますように、具体的に何ホンこの工事によって下げるというような目安みたいなものはあっても、それが義務づけられておらない。標準設計もない。であるのに、一たん助成を受けて工事をすれば、もうその後、その高速自動車道に関する自動車騒音はすべて解決した、文句は言わないという一札をとることになりはせぬかと思う。これはやっぱり私は行き過ぎではないかと思うのですが、もし大臣お答えいただけるようなら答えていただきたいし、どうでしょうか。
  247. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 先生御指摘のように、確かに、いまやっております道路公団、首都公団、阪神公団の契約書の中には、御指摘のような条項が入っているわけでございますが、これはこの制度が、先ほど申し上げましたように、高速自動車国道等の周辺地域におきまして、自動車交通騒音による障害が著しい住宅について防音工事の助成を行うとともに、防音工事によっては自動車交通騒音の障害の防止が困難な場合に、別の措置として住宅移転助成、跡地買い取り等もあわせて行うというようなことでございますが、この防音工事の助成というものは、これによりまして騒音の問題が解決の見込みのある住宅についてやるわけでございまして、見込みのない住宅については、別途のそういう跡地買い取りというようなこともやるわけであります。見込みのある住宅についてやるので、防音効果が十分ありと見て、先ほどの二十五ホンあるいは条件によっては十五ホンというような、十分な減音効果を期待してやるわけでございます。いろいろそれについては、木造家屋については千二百万から三千万にも及ぶ助成をいたしまして、それで一応騒音問題を解決しようということで、住民の方との合意に基づいて行うものでございまして、そういう支出をする以上、やはりこれについて一応の担保が必要だということで、こういった条項がこの合意を表現するという形で書かれてあるものというふうに考えております。
  248. 浦井洋

    浦井分科員 それはちょっと答えにならぬわけです。確かに新幹線の防音工事契約書を見ても、同じ文言が書かれておるわけなんです。しかし新幹線であれば、列車の本数はふえても、いわば有限なんですよ。しかし一たん道路ができる、そうして道路網が整備されると、これはいまからどれだけ交通量がふえるかわからぬ。ある時点を区切って、そういうかっこうでその路線についての騒音に関する一切はすべて完了した、後は文句を言うな、こういうふうになる。これはやはりちょっと言い過ぎではないか。この契約書は、安易に一般のそういう関係の工事の契約書を公団なり首都高速公団なりがそこへ利用したのか、あるいは何か意図があって利用したのか、ようわからぬですけれども、その辺は。道路騒音の防止という点については、これは行き過ぎではないか。  たとえば一つ尋ねますけれども、そうしたらここで、その騒音対策については、すべて完了したんだから、いまは四十三号線で騒音、道路公害の反対の訴訟が起こっておりますけれども、そういう原告団にも加われないのかどうかというような疑問が、住民の中から起こっておるわけなんです。その点なんかについてはどうなんです。そういうことも含めて、ひとつお答えを願いたいと思います。
  249. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 現時点で現状の騒音に対して、こういう一つの解決策を提案して、住民方々との合意の上で一応実施することでございますので、一つの契約書としてこういうものを取り交わしますが、これをもって、すべてどんな条件下でも障害の防止については解決したというふうに認識しているわけではございません。やはり条件が変われば、またその条件下で別途配慮する必要があろうかと思いますが、現状考えた場合に、この防止策によって十分環境基準に合うような効果があるということでございますので、これを一応現状での解決策としてお互いに確認するということでございます。
  250. 浦井洋

    浦井分科員 大臣、現実にこの契約書の文言が現地ではかなりな不安感と不信感を巻き起こしておるわけです。いまも道路局長が、これですべて解決したとは思わない、事情、条件が変われば別途配慮したいということを言われておるわけなので、それであるならば、私はこの際、この文言を変える、一部分手直しをするということも含めて、これはひとつ前向きに検討していただきたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  251. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 これは浦井さん、ものの契約をする場合には一つの対象があるわけですから、その対象のものを契約する場合には、一応はそういうものには限りがあるということは当然のことのように、私はいま聞いていてそういうふうに考えられます。しかし、いま局長が言われたように、それより異常な事態が起こった場合にはその限りにあらずというお話でございますから、それは別途考えるべきものであって、一応の解決策としては何か対象とされるものがなければならない。その問題の解決なのですから、その問題がその場で解決する場合には、その対象があっておかしいというようには感じられないのじゃないでしょうか。私がどうこう言っても、私がただここで判断するだけにおいては、ものの全体がすべてそういうことになっているのではないかな。
  252. 浦井洋

    浦井分科員 道路局長は別途配慮することも考えるということなのですが、公団が実際に住民に接触するところでは、かなり威圧的な、まあ言ったら武器に使われておる文言なのです。だから、そういう点は十分に考えて、公団の方としては、住民に接触する職員に指導するということは言えますね、弾力的に考えるということは。
  253. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 私の方では、住民に対して別に威圧的に言っているように聞いておりませんが、先ほど道路局長も言われましたように、こういう契約につきましては、防音助成をやるという契約でございますから、その契約書には、やはりこういうものがあるのは妥当ではなかろうかと考えております。ただ、関係住民に対する説明あるいは接触の場合には、十分注意するようにいたします。
  254. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、現時点の状況下でのいろいろな契約でございますので、また条件が変われば弾力的に運用していくことにやぶさかではないわけでございますけれども、この取り扱いにつきましては、住民の誤解を招くことのないように公団を指導してまいりたいと考えております。  なお、先ほど申し上げました中で、数字を間違えましたので訂正させていただきますが、今度、助成措置でやります木造家屋の大体の工事費は、一室当たりが百二十万それから最大四室で三百万という数字でございます。
  255. 浦井洋

    浦井分科員 それでは、局長の答弁を尊重いたしまして、次に移りたいと思うのです。  阪神高速道路公団の神戸−西宮線の中で今津インターチェンジは、皆さん承知だろうと思うのですが、日本道路公団と阪神高速公団の路線が入りまじっておりまして、住民の側から見ますと、この管理区分といいますか、どこをどこが負担をするのかということで、防音工事の計画がおくれておるのではないか、むしろこういうインターチェンジこそ早く計画を立ててやってほしいということなのです。もう時間がないから、私、結論を申し上げますけれども、やはり建設省も仲に入って両公団を指導して、きちんと負担区分を決めて、そして計画を立て工事を実施していくということが必要ではないかと思うのですが、ひとつ浅井さんからお答えを願いたいと思います。
  256. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のインターチェンジ周辺におきましては、防音工事助成のほかに遮音壁の設置を現在いろいろやっておりますが、この遮音壁の設置と相まちまして、両公団でやっております助成の仕方等にそごがあってはいけませんので、建設省が十分調整しまして適切に措置するようにしたいと思います。
  257. 浦井洋

    浦井分科員 ひとつおくれないように早くやっていただきたい、このことをお願いしておきます。公団の方もよろしく。  それから六十五ホンが目安である、その場合に、一体、民家に関する騒音がどれくらいあるのかという測定の方法ですが、これは聞くところによりますと夜間の中央値だということで、JIS規定ですか、五秒ごとに百回はかる。五秒ごとに百回ですから五百秒、一軒当たりせいぜい八分から十分ぐらいで済んでしまうわけです。そういうことについて住民の方は、これまた不安に思う一たとえば一日のうちでも騒音の量がかなり上下するではないか。あるいは大きくマクロで言えば、シーズンでこれはまた上下するではないか。だから、その辺をひとつ十分に配慮した、住民に不安を与えないような測定の仕方をやってほしいということについて、一言お答えを願います。
  258. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 いまおっしゃったように、私ども住民並びに関係の市等からよく意見を聞いた上で、現実に住民の不満がないようにやっておりますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  259. 浦井洋

    浦井分科員 その答えは余り納得できないのですけれども、最後の問題があるので……。  それは住民から工事を依頼されてやる業者の問題です。この業者の問題は、実際問題として公団の方は、希望する住民が近所におられる工務店やら大工さんに頼んで、そして公団に助成を申し込むのが原則だと言われておるのですが、阪神間のそばにある大阪空港、伊丹空港の騒音については整備機構があります。そこでやられている方法を見ますと、かなり住民サイドに立った親切丁寧なやり方をやっておるわけです。そこから言わすと、公団のやられるああいう防音工事はかなり大きな混乱を巻き起こすのではないかというような、おか目八目的な見方もあるわけです。  そういう点で、私、提案をしたいのですけれども、その地域に住んでおられる業者、しかも零細業者ですよね、これをやるのは。だから伊丹の周辺機構では、登録業者のBの下以下ぐらいのところから、登録業者に入っておらないような、そういう人をリストアップして、それで、住民の申し込みがあれば、順繰りに工事の請負をやらすというような方法はとっておられるわけなんです。だからこれはかなり合理的なんです。中小零細企業に対して官公需を配分するというような観点からいってもかなり合理的なんで、単に、住民が言ってきたから、住民が大工さんを探して公団に申し込んできて、それから助成をするんだというような手間でなしに、もっと合理的なやり方がとれぬものかなというふうに私は思うので提案するのですが、御意見をひとつ。
  260. 海江田鶴造

    ○海江田参考人 私どもたてまえとして、住民の方が希望する業者で希望する工事をやるようなたてまえをとっておりますが、一応いまお話しのような、住民方々がわれわれの方へ、そういう信頼のおけるような業者を世話してくれというような場合には、関係の県とか市とかいうような自治体ともよく連絡をとった上で、そういう方法で可能な範囲でそういう申し出に沿うよう努力をしたいと考えております。
  261. 浦井洋

    浦井分科員 最後に道路局長に質問が二つあるのですが、全国でこの助成事業の対象戸数というのは一体どれぐらいあるのか、それを何カ年計画ぐらいでやるのかという点。それからもう一つは、一般国道についてこういうことを考えておられるか。私はすべきだと思いますが、その二点についてお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  262. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 前段の御質問はちょっといま数字を調べておりますが、後段の御質問の一般国道につきましては、今回の措置は有料自動車専用道路に限ったということは、自動車専用道路は通過交通が主体で一般からの乗り入れができないということ、それで規制措置も非常に講じにくいということで、住民皆さんの側から言わせますと、非常に被害を一方的に受ける。利用も、インターチェンジについてはできるわけですが、直ちに乗り入れができないというような事情もあることから、まず救うのはやはり専用道路から、しかも特に騒音の著しい六十五ホン程度からやっていって、いろいろ予算事情等も勘案しながら逐次広げていくという姿勢でスタートしたわけでございます。遠い目標としては、先生おっしゃいますように、逐次そういう方向に拡大していくような努力はする必要があろうかと思いますので、われわれも予算の許す限り環境問題は今後十分前向きに取り組んでいきたいというふうに考えているわけでございます。  それから前段の、阪高の神戸−西宮線で一応全体計画を立てておりますが、その数字は大体千五百戸くらいが当面考えられるというふうに……(浦井分科員「何年計画で」と呼ぶ)これはちょっと何年度までにやれるというふうにはあれしておりませんが、事業費としては四十億ぐらいの事業費がかかるのではないかということで、なるべく早く、住民の方との話し合いがついた段階で、逐次実施に移していきたいというふうに考えております。
  263. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて浦井洋君の質疑は終了いたしました。  次に、和田一郎君。
  264. 和田一郎

    和田(一)分科員 私は、具体的に数点にわたってお聞きいたしますので、まず、要点を申し上げて質問したいと思います。  大臣もよく御存じの渡良瀬遊水池の問題なんですけれども、この遊水池をどのようにされるおつもりかということをひとつかいつまんでまず御説明願います。
  265. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 河川局長から答弁いたさせます。
  266. 栂野康行

    ○栂野政府委員 渡良瀬遊水池でございますけれども、現在あれは治水目的といいますか、利根川のいわゆる治水計画におきまして洪水調節をするという基本的な事業でございます。そうしまして、治水事業に使うだけじゃなくて、いわゆる水資源開発もあの池を使って行いたいということで、水資源開発につきましては、昭和五十一年度からもうすでに建設事業に入って、現在その施工を実施中でございます。
  267. 和田一郎

    和田(一)分科員 これは例の足尾鉱毒事件に端を発します遊水池でございますので、これは地元としては、私も大臣のお隣の栃木県でございますから、一番関心を持っているわけでございますけれども、いまおっしゃった貯水池の建設の問題について、二、三ちょっと具体的に質問いたします。  まず最初に、あの中でヨシアシ業者がいまして、特によしずをつくる人たち、これはいわゆる谷中村の当時からの、何といいますか、代償のような形であそこでとらせているという歴史らしいですけれども、この四百五十ヘクタールが貯水池になると、そのところにいままで栽培しておった人たちの権利をどうするか、その点についてひとつ……。
  268. 栂野康行

    ○栂野政府委員 渡良瀬遊水池の中におきましては、ヨシが非常に繁茂しておりまして、現在それを使いまして生計を営んでいる人が多いわけでございます。そういうヨシの採取者に対します対策につきましては、昨年の十二月、渡良瀬遊水池利用組合連合会との間におきまして、いわゆる未採取部分の代替利用の方法につきまして、基本的な考えにつきましても合意に達したわけでございます。  それで、今後の問題としましては、そういう代替利用の区域割りその他の具体的な方法につきましては、これから関係者の間でまた十分協議の上で進めてまいりたいというふうに考えます。
  269. 和田一郎

    和田(一)分科員 その点については、ひとついままでの業者の損にならないようにお願いしたいと思うのです。  それからあと一つ、利用組合との話し合いのときに、水上権といいますか、水がめができると、その水の上の権利というものをぜひひとつ藤岡町にもらいたいという話があったと思うのですけれども、その点についてどうでしょうか。
  270. 栂野康行

    ○栂野政府委員 渡良瀬遊水池の水がめの一般的の利用の問題でございますけれども、それにつきましては、いわゆる治水上の面、あるいは利水上の面、あるいは安全度の面、そういう面からも総合的に研究していきたいと思います。  もちろん先生おっしゃいますように、それを使う場合には、地元を優先していく、地元のためになるようにやっていきたいというふうに考えます。
  271. 和田一郎

    和田(一)分科員 水利権じゃなくて水上権、たとえば水の上に船を浮かべて何とかできるような形、そういうものをできれば藤岡町にやってもらいたいというのが、ヨシ、アシを栽培している人たちの願いです。これは明治三十年ごろですか、あの時分からの問題です。しかも、強制的に取りこわしされた谷中村のその子孫たちがいま入っているわけですから、そういう点、水上権というのがあるかどうか私わかりませんけれども、心情的にそういうものを地元にぴしっと与えてもらいたいというのが地元の願いなんですが、ひとつ大臣の方から……。
  272. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 遊水池の問題は古い歴史がありまして、いろいろの面で苦労した方々もあり、昔は無理やりにああいうこともできたわけでありますから、その権利を得る云々という意味ではなく、その土地の人に水上の権利というか、たとえば、いまおっしゃるような、ボートを浮かべて遊覧に使うとかいうのは、当然土地の人に与えるべきものだと考えております。
  273. 和田一郎

    和田(一)分科員 その方々というのは、自分たちという個人じゃなくて、自分の住んでいる藤岡町にという考えがございまして、利己的じゃなくて、非常に公益的に考えているものですから、大臣のいまのお答えを早速地元の方に知らせますけれども、そういう意味でぜひ藤岡町に与えてもらいたいということを要望しておきます。  それから次に、この貯水池で新たに六メートル掘るということなんですが、そうしますと、付近の地下水が下がるんじゃないか、こういう心配がずいぶんあるわけなんですね。そういう点についてはどうでしょうか。現在でも相当地下水が下がっていることは事実なんですね。現在、渡良瀬遊水池の中で調節池というのですか、囲繞堤をつくっておりますが、そういうことで地下水があちこち下がったという話がありますけれども、今後そういう貯水池をつくった場合、そういう心配があるかどうか、その点についてひとつ。
  274. 栂野康行

    ○栂野政府委員 地下水に対する影響の問題でございますが、これはすでに昭和四十五年から鋭意地下水調査を現在まで続けておるわけでございます。それによりますと、一応影響がないというふうに出ておりますけれども、しかしながら、今後とも地下水調査を継続していきたい。そして万が一この事業によりまして地下水に障害の生ずるおそれがある場合には、速やかにその対策を立てていきたいというふうに考えます。
  275. 和田一郎

    和田(一)分科員 もしそうなった場合、具体的にどのような対策になりますか。
  276. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いわゆる矢板などを打ちまして、地下水がそこで下がらないように地下水脈を切るとか、あるいはそれが仮にできない場合には、地下水が下がったことによる障害にかわる何か対策を立てるとか、いろいろその事態に応じまして検討していきたいというふうに考えております。
  277. 和田一郎

    和田(一)分科員 次にいきます。  先ほど局長がお答えになったと思うのですが、今度は水利権の問題です。  四百五十ヘクタールに水がたまる。その水をどう使うかということで、これはお考えはいろいろあると思いますけれども、やはり何といいましても、栃木県の中の小山市であるとか、野木町であるとか、藤岡町であるとかという、地元に対してものすごくみんな願っているわけですから、そういう点についてのお考えはどうでしょうか。
  278. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この事業によりまして新たに開発される水の配分でございますけれども、水需要の実態というものを十分勘案しまして、関係機関と調整を図って、要望に沿うように配慮していきたいと考えます。
  279. 和田一郎

    和田(一)分科員 でき上がってから水を分けるというのではなくて、こういうものは、おのおのその市町村だとか県が権利金のような形で相当出資するわけですね。そうなっていませんか、この計画は。
  280. 栂野康行

    ○栂野政府委員 水利権の配分の問題でございますけれども、渡良瀬遊水池の水は非常に貴重な水でございまして、また先ほど申し上げましたように、地元の皆さんの要望とか総合的な水需要の問題とかいうものを検討しまして、対処してまいりたいと思います。
  281. 和田一郎

    和田(一)分科員 あいまいなお答えですが、次に行きます。  公害の方は、大丈夫ですか。
  282. 栂野康行

    ○栂野政府委員 公害につきましても調査しておりまして、十分大丈夫というような自信を持っております。
  283. 和田一郎

    和田(一)分科員 どういう点が大丈夫なんですか。これは私もよく研究したのですけれども、渡良瀬川の上から下までずっと川底にいろいろな重金属がたまっているわけです。そして、工事をやったり、また洪水で土砂が流れたりするたびに、川底からむくむくと砂が盛り上がりますね。そういうときに流れてくる、そういう弊害が現在までございまして、じっとしていれば何ともないのですが、今度工事でも川底が相当かき荒らされますから、そういう点での公害に対する対策はどうですか。
  284. 栂野康行

    ○栂野政府委員 工事中の公害でございますけれども、先生おっしゃいますように、池を掘りますと、かき回されるということでございます。そういう場合には、かき回されたものが遊水池から外に出ていかないようにあの中でクローズして、また安定するようにもっていくというふうに、いろいろ考えていきたいと思います。
  285. 和田一郎

    和田(一)分科員 次に行きます。現在でもそうですけれども、今度遊水池の中に囲繞堤ができる。そのたびに渡良瀬川の水脈の首が締められるということです。ですから、水位が上がりますと、川上まで川の水の水位が上がってしまう。これは、渡良瀬川だとか遊水池に注ぐ中小河川が増水して、渡良瀬川の中に入り切れないわけです。逆に逆流していく、こういう現象はいままでもずいぶんあるのですね。その点についてのお考えはどうでしょう、中小河川の逆流問題。
  286. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生がおっしゃいますような心配、あるいはその対策に対しましては、基本的には藤岡地先の渡良瀬川本川、あそこの川底を下げたり、あるいは川幅を広げたりすることによって、まず本川の水位を下げる。それが木川に注ぐ中小河川の改修対策になるというのがまず第一点でございます。  それから、直接的な中小河川のしゅんせつ対策としましては二杉川あるいは旗川が現在流入しておるわけでございますけれども、これらの中小河川の改修につきましても、現在補助事業でその促進を図っておる次第でございまして、今後ともそういう中小河川対策というものは総合的に促進してまいりたいと考えます。
  287. 和田一郎

    和田(一)分科員 御説明がずいぶん抽象的なものですから、私ばいま困っているのですが、たとえば内水排除のためのポンプが現在九つぐらいあるのですが、それは、土地改良組合だとか、水利組合だとか、または県であるとかいうものが持っていて、相当金をかけてやっている。今度また水位が上がったとしますと、それがまたよけいに経費がかかってくるわけですが、こういう点について、できればその経費ぐらいは建設省で持つとか、またはポンプを増強するとか、また現在蓮花川という川があるのですが、最近りっぱな水門をつくってもらったのですけれども、あればやはり増水しますとポンプがなければ入り切れない、そういう心配もあるのです。実はそういうところを具体的に御答弁願いたかったのですけれもも……。
  288. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいましたように、蓮花川につきましてはすでに水門をつくってます逆流を防止したということで、ポンプにつきましては、これは直轄工事としまして、できれば新年度あたりから着手したいと考えます。
  289. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がありませんので大急ぎで行きますけれども、以前に建設省では、渡良瀬遊水池を運動公園的な、レクリエーション的なものにしていきたいという考えが、十年ぐらい前かありましたね。それは現在どうなっていますか。
  290. 栂野康行

    ○栂野政府委員 もう十年ほど前、私があそこの事務所長をしておりましてよく知っておりますけれども、昔からあの広大なる場所を首都圏あるいは地元の人々のレクリエーションの場、憩いの場としたいということで調査をやっておるわけでございます。それで現在におきましても、あそこに三つの池ができるわけでございますけれども、水がめの場所におきましても、まだ広大なる面積が残っております。そういうところにつきましては、池の水の環境とあわせまして、公園あるいはその他の憩いの場としてその特殊性を生かしまして、今後とも考えていきたいと思います。
  291. 和田一郎

    和田(一)分科員 次は別な質問であります。  流域下水道事業ですけれども、相当莫大な経費をかけてこの流域下水道の事業を補助されておりますが、現況について簡単に説明していただきたい。
  292. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  先生御存じのように、現在は、下水道につきましては、五カ年計画をつくりまして工事を進めております。五ヵ年計画は、現在は第四次の計画でございまして、第一次から二次、三次におきまして、現在の五カ年計画の工事総額は七兆五千億ということになっております。五十一年度の進捗率は、五カ年計画全体でいいますと約一〇・六%ということで、五十二年度末の累計進捗率は二三・四%でございます。  そこで、五カ年計画の来年度の下水道の予算でございますが、事業費で申し上げますと、全体で約六千百二十二億ということになっておりまして、そのうち流域下水道が事業費で約千四百十二億ということになっております。
  293. 和田一郎

    和田(一)分科員 現在、五カ年計画が五十一年から五十五年ですよね。それができ上がった、五十五年が終わった段階で、たとえば何%の完成率ということはどうなりますか。
  294. 中村清

    ○中村(清)政府委員 これはいま細かい資料がございませんので、各事業種別ではございませんが、一応下水道全体として考えてみますと、五十一年度の現行の五ヵ年計画がスタートする時点での整備率といいますか、それが二二・八%ということになっておりますが、五カ年計画が終わります五十五年度には、これを四〇%に持っていきたいというふうに考えております。
  295. 和田一郎

    和田(一)分科員 具体的なことでございますけれども、巴波川流域下水道というのがございまして、恐らくことしから初年度だと思うのですけれども、巴波川というのは大体いつごろに完成という予定になっていますか。
  296. 中村清

    ○中村(清)政府委員 巴波川の流域下水道は、実は流域下水道としましては、来年度、五十二年度に新規に採用しようという予定、これはあくまでも予定でございますが、そういう予定でございまして、今後、第四次の五カ年計画が現在進行中でございますので、その計画の中で極力事業推進を図りたいというふうに考えております。
  297. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がありません。次へ行きます。  道路の方でございますが、国道四号線がございます。この国道四号線が、いままで国道死号線と言われたくらいに、ものすごい交通量であった。あちらこちらで改良されております。そして今度東北縦貫道路ができまして、そちらの方に車両が移ってほっと一安心だと思ったのもつかの間、高速道路の料金が上がってしまった。だから四号線の方に車がまた殺到して大変な様相を呈しております。少しも改良されない、こうなってまいりまして、高速道路料金は下げられませんか。
  298. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、高速道路の料金は、たしか一昨年ですか、料金を上げまして、その直後一時交通量は二割方落ちたわけでございますが、その後逐次またもとの増加率で戻ってきているような状況でございます。  高速道路料金につきましては、プール制が施行されましてから、一応かけます建設費を償うということで、三十年を償還旧標にいたしまして、償還計算をした上で一応のキロ当たり料金というものを決めておるわけでございます。これによって、いろいろ各地で待望されております高速道路の建設を進めていこうということでございます。先ほど負担力の問題から、いまの料金は欧米諸国の高速道路に比べてかなり高い水準になっておりますが、これから建設しようとしております。千六百キロの建設をスムーズに進めていくためには、いまの料金を維持していく。あるいは必要に応じて負担力のある範囲で上げていかなければ、高速道路の建設がなかなか達成できないような状況でございますので、いまこの時点で下げるということは、ちょっと考えられません。
  299. 和田一郎

    和田(一)分科員 そういう状態でございますので、いま一番東北方面の動脈としては四号線、やはり何といいましても新四号国道建設にかかっている、そういうことなんです。これは遅々として進まないという状況で、この点についてのお考えはいかがでしょう。
  300. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の国道四号線のバイパスは、宇都宮からずっと現国道の東に計画線が設定されておりまして、かなり大規模なバイパスとして石油ショック前にスタートしたわけでございますが、御承知のように、道路予算がほとんどふえてないというような実情で、実質的にはその当時の約半分くらいのペースに落ち込んでしまっているということから、各地の幹線道路、特に大きなバイパスにつきましては、全国至るところで停滞しておりまして、従来五、六年のペースで終わるような事業が、十年たってもとても終わりそうもないというようなものが各地にあるわけでございます。その中で、この四号線の整備にかなり重点を置いて進めてまいってきておるわけでございますが、実情は非常に滞っております。  御指摘のように、宇都宮周辺の交通混雑を緩和するために、石橋から宇都宮間の整備を重点的に現在促進しているところでありますが、この区間が完了次第、逐次石橋から小山の方に手を伸ばしていくということでやっております。石橋−小山市の間につきましては、用地の未買収の区間もございまして、相当な事業費が必要となりますので、これからかなりな時間がかかることもやはり覚悟しなければならないと思います。しかし、非常に重要な路線だと思いますので、乏しい道路予算の中でできるだけ重点的に配分してまいりたいというように考えております。
  301. 和田一郎

    和田(一)分科員 具体的で恐縮ですけれども、大体予定の道路ができ上がるのはいつごろのお考えでしょうか。
  302. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 栃木県当局としましては、昭和五十五年の国体までに全区間開通というようなことを希望されておるわけでございまして、従来そういう目標も一応頭に置きながら進めてきたわけでございますが、いまの予算ペースでは、全区間の開通を五十五年度までにやるのはちょっと困難というふうに考えております。
  303. 和田一郎

    和田(一)分科員 大臣の選挙区の方から、ずっと栃木県、茨城県に通じておる国道五十号線というのがあるのです。これはやはり北関東の重要な路線でありますが、これがまた途中で寸断されまして大変な交通渋滞を来している。この国道五十号線についてはいかがでございましょうか。
  304. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 国道五十号線のバイパスでございますが、御指摘のようにかなり重点的に整備してまいりまして、従来西の方から佐野を通って岩舟までできておりますが、小山−岩舟間、これがいままだ一部用地の未買収区間もありまして、整備がおくれております。このために現道の交通渋滞が非常に著しいわけでございますが、来年度以降大幅に事業費もふやしまして一用地買収の促進と工事の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  305. 和田一郎

    和田(一)分科員 そうしますと、岩舟から小山の間の未買収地は、五十二年度には一応買う予定であるということですか。
  306. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 岩舟−小山バイパス間は、すでに県営の圃場整備事業区間の用地取得は終わっておるわけでございます。その他の区間についても、できるだけ五十二年度に重点的にやりたいというふうに考えておりますが、完全に終われるかどうか、ちょっとその辺はいま現在張りつけ中でございまして、できるだけがんばりたいということでございます。
  307. 和田一郎

    和田(一)分科員 短い時間でずいぶん聞いて失礼でございますけれども、あと一つ中小河川なんですが、これは一級河川であっても県と国がおのおの分担して管理しているというのがございますね。それは国の方の管理は非常に進んでいるのですけれども、県の管理の方が、特に中小河川の山岳部にあります上流河川が、なかなか直っていない。たとえば災害があった、その部分だけの補修はされるけれども、それ以上にはよくならないという現状なんですね。これについて、どんなものですか、中小河川の県の管理の部分についてのあり方は。
  308. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいますように、中小河川の管理というものが県の区間が大いにおくれておるわけでございます。しかしながら、いわゆる一級河川につきましても、また二級河川につきましても、修繕費というものを新しくつけまして、現在その管理の万全を期していきたいということでおるわけでございます。そしていま先生おっしゃいました上流の中小河川がおくれておるということで、全国的に中小河川が毎年やられておるという実態でございまして、建設省としましても、中小河川の改修の促進ということにつきましては、毎年度の予算におきましても、また来年度から発足の第五次治水事業五カ年計画におきましても、中小河川対策というものはやはり重点を置いてまいりたいというふうに考えております。
  309. 和田一郎

    和田(一)分科員 具体的に聞いて申しわけございませんけれども、旗川という川があるのです。これは利根水系だと思いますが、この川は国の方の管理は非常に進んでおります。ところが上流の方は、ちょっと雨が降ればすごくはんらんする、毎年十ヵ所くらい破壊されるというこの旗川についてどうですか。
  310. 栂野康行

    ○栂野政府委員 旗川につきましては、補助事業と言います県の改修として、現在工事をやっておるわけでございます。そういうふうな実態もございますので、来年度におきましても、がんばってできるだけ伸ばしていきたいということでございます。
  311. 和田一郎

    和田(一)分科員 あと一問。  最近、河川行政といいましても、川の環境整備、たとえばヘドロを上げるとか、それから河川敷内に公園をつくるとかいう形に、河川の行政というのがずいぶん変わりつつある。特にまた公園をつくって市民が川をかわいがる、愛するといいますか、そういうところに非常に重点を置かれておるというふうに聞いておりますが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  312. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいましたように、いわゆる河川の環境をよくするということは、地域の人々にとっても非常に大切なことだと思います。したがいまして、建設省としましては、河川環境の整備としまして、その一つは、いわゆる汚れておる水質をされいにする、たとえばヘドロを掘ったり、あるいはきれいな水を入れたり、と同時にもう一つは、河川の河川敷といいますか、川原といいますか、それを整備いたしまして、自然的な景観、あるいは公園、運動場にしまして市民の憩いの場、こういうものにつきましては、今後とも重点を置いてやってまいりたいというふうに考えます。
  313. 和田一郎

    和田(一)分科員 時間がございません。大臣に質問したかったのですが、また次の機会にやります。  以上で終わります。
  314. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて和田一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中川秀直君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として地域振興整備公団総裁吉國一郎君が御出席になっております。なお、御意見質疑をもって聴取することにいたします。中川秀直君。
  315. 中川秀直

    中川(秀)分科員 私は、五十年度末に建設省国土庁で基本計画を承認いたしましたところの賀茂学園都市開発整備事業について、御質問したいと存じます。  この事業は、広島大学の統合移転を契機に、広島県賀茂台地といわれる地域に新しい学園都市をつくろうという事業でございますが、計画による工期は五十年度から十カ年ということになっております。しかし、現在、県、市の委託を受けまして事業を開始いたしましたところの地域振興整備公団によって、一部の大学キャンパスの用地買収が進められているところでございまして、基本計画を受けた整備計画、あるいはさらにその先の実施計画というものもまだできていないという状況でございます。計画全体がおくれてはいないかどうか地元には心配があるのでございますが、広島大学が移転するところの西条キャンパスの造成、あるいは高屋の新住宅団地等の関連公共事業、こういったものがいつ着手をし、そして大体いつ終了するか。また、このうち五十二年度はどの辺まで進むのか。地域振興整備公団からおおむねの計画をお伺いしたいと存じます。
  316. 吉國一郎

    吉國参考人 まず賀茂学園都市開発整備事業の用地の問題でございますが、この賀茂学園都市開発整備事業のうちの広島大学のキャンパスの用地買収につきましては、昭和五十二年の二月末日までに約八五%の面積の取得を終わりております。残る部分につきましても、広島県及び東広島市の協力を得まして、昭和五十一年度内に完了すべく目下鋭意努力を継続しているところでございますが、一部は昭和五十二年度に持ち越されるものと考えております。  また、西高屋の住宅団地につきましては、現在関係権利者の方々の理解と協力を得ますために、広島県及び東広島市と共同いたしまして、組織的に事業計画等の説明をいたしておる段階でございます。買収交渉に入っておりませんので、若干おくれると思いますが、昭和五十二年度中には用地の取得を完了いたしたいと考えております。  次に工事の問題でございますが、広島大学のキャンパスの工事につきましては、キャンパス整備事業の基本となります整備計画を、広島大学、広島県及び東広島市の協力のもとに作成中でございます。今後は、昭和五十五年の大学移転開始を目途にいたしまして、五十三年度から造成工事等に着手をして、逐次完成部分から引き渡しをいたしまして、大学の側において建築工事が行われる見込みでございます。昭和五十二年度は、これらの工事の前提となります各種の調査設計等、及び一部の準備工事を実施する予定でおります。  なお、広島県及び東広島市におきましても、賀茂学園都市開発整備事業に関連をいたします調査並びに公共事業の施行を予定していると聞いております。
  317. 中川秀直

    中川(秀)分科員 そうすると、整備計画は五十二年度中にはつくるということでございますか。おおむねいつごろの時期でございますか。
  318. 吉國一郎

    吉國参考人 整備計画は五十二年度中に作成を完了する予定でございます。
  319. 中川秀直

    中川(秀)分科員 わかりました。  文部省来ておられますか。広島大学は五十五年に移転して一部開校するという計画でございますが、いま公団の御説明と絡んで、この五十五年開校というものが基本的に計画変更はないかどうか。つまり間に合うかどうか。また、そのめど。一部開校ということですが、どの辺から入っていくのか、お聞かせ願いたいと存じます。
  320. 佐藤譲

    佐藤(譲)説明員 広島大学の移転につきましては、地域振興整備公団の新敷地の造成工事、それに加えまして関連公共事業、こういうものの進行とあわせまして、逐次進めていくということになっております。現在、地域振興整備公団で造成計画を立てておりますし、予定どおりこれらの公共事業が進めば、五十三年には着工いたしたい。五十五年度には、まず最初のものから移転をする、こういう考えでおります。それで、文部省、それから広島大学といたしましては、五十年、五十一年にかけまして、土地利用計画を中心とした基本計画というものを立てております。それから、地域振興整備公団で五十二年度に立てられます土地造成計画、これに合わせまして、配置計画の基本設計、こういうものを進めていくということになっております。  それで、順序でございますが、これは、大学の中で特に施設の狭隘なものとか、あるいは先に出ていった方がいろいろと便利であるとかいうものから、順次六年ないし七年をかけて移っていく、こういう計画を立てております。いまのところ、具体的に申し上げますと、工学部を一番最初、五十五年度に移転したい、こう考えております。
  321. 中川秀直

    中川(秀)分科員 そうしますと、公団の方が五十二年度に整備計画を立て、五十三年度から造成をするということになれば、おおむね一年ぐらいはかかるだろうと思いますが、いまおっしゃった工学部の建物等を実際に建築し始めるという時期は、五十四年からと考えてよろしゅうございますか。
  322. 佐藤譲

    佐藤(譲)説明員 土地造成の範囲、これが問題になると思いますが、工学部の建物につきましては二カ年で整備する、こういう計画を持っております。それで、大体、五十三年度の十月とか、このあたりに着工できれば五十五年には移転できる、こういう考えをいたしております。
  323. 中川秀直

    中川(秀)分科員 吉國総裁に改めてお伺いをいたしますが、五十三年の十月に一部敷地について造成を完了し、文部省に引き渡すことができるかどうか、この際はっきりさせていただきたいと思います。
  324. 吉國一郎

    吉國参考人 先ほど申し上げましたように、五十二年度中には整備計画を決定すべく努力中でございます。したがって、五十二年度中には一部工事が始められて、造成工事が終わった部分から逐次引き渡しをして、片方では造成工事が行われている、他方では造成工事が終わった部分について大学の建物の建築が行われているという、並行的に工事が進められる場面が生じると思いますが、私どもといたしましては、先ほど文部省からお答え申し上げましたように、五十三年の十月にまず第一の部の工事が始められるように努力してまいりたいと思っております。
  325. 中川秀直

    中川(秀)分科員 わかりました。御努力を要望します。  文部省にいま一度お伺いをいたしますが、ただいまのお話でございますと、配置計画は五十二年度中につくるということだそうでございますが、そのキャンパスの施設の数や種類、大まかなものとして現在詰められているものがどのくらいあるのか、概要をお聞かせ願えればお聞かせを願いたいと思います。  それと同時に、新しい広島大学の構想によりますと、地域社会に開かれて、かつまた市民に親しまれ、そうして役に立つ、そういう大学を目指すのだということが一つの目標の中に入れられているのでありますが、具体的にはそれはどういうことを指しているのか、御説明をいただけたらと存じます。
  326. 佐藤譲

    佐藤(譲)説明員 第一の質問に対してお答えいたします。  計画といたしましては、五十年度の調査の際考えられている建物の面積が約二十五万平方メートルでございます。金額にいたしましてやはり五十年度の積算で三百六十億になります。
  327. 阿部充夫

    阿部説明員 御質問の第二点についてお答えいたしますが、大学におきます教育研究の成果を広く社会に開放いたしまして、大学が地域社会と密接な交流を深めていくということは大変に結構なことであると私どもかねがね考えておりまして、そういうことを推進してまいったわけでございますが、広島大学におきましても、これまでも幾つかの公開議座等を開きまして、市民のために開放するというような事業をやってまいったわけでございますが、今回賀茂学園都市に移転統合を推進するに当たりましても、こういった方向をより充実していきたいということが大学全体の改革整備の構想の中での一つの方針として取り上げられておるわけでございまして、具体的には、たとえば大学教育開放センターというようなたぐいのものを設けまして、一般教養あるいは専門教養、それからまたスポーツ教室といったようなたぐいの公開議座の設置でございますとか、あるいは大学院に聴講を希望する者に対するお世話でございますとか、あるいはまた県内の現職教員の現職教育でございますとか、そういったたぐいの地域と大学との関係を深めていく事業をやりていきたいということが考えられております。現在これは構想中の段階でございますので、まだ具体的に固まったものではございませんけれども、大学の方の検討の進みぐあいを見まして、また私どもも相談をしてまいりたい、かように考えております。
  328. 中川秀直

    中川(秀)分科員 わかりました。先に進ませていただきます。  この広大の移転に伴いまして、大学のキャンパスから広島にかけての一般国道二号線西条バイパスというものをつくる計画でございますが、この計画はこれからどのように進んでいくのか。用地買収やあるいは着工や完工のめどをお聞かせ願いたいと存じます。
  329. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の国道二号線西条バイパスでございますが、これは西条町内の交通混雑を解消するために計画されたバイパスでございます。東広島市西条町の御薗宇から八本松町宗吉に至る八・五キロのバイパスでございますが、このうち、束の西条大損地区までの延長三・五キロの区間につきまして、いま工事を昭和四十九年から実施してきておるわけでございます。これは残事業としましては、この三・五キロ区間でまだ四十七億ばかりございます。それからバイパス全体ではまだ百四十億ばかりの事業費がございます。非常に道路の予算が足りない関係で、なかなか進捗が思うように図れない次第でございますが、したがいまして、供用年度の目標も現時点では立っておりませんが、現在関係機関といろいろ事業の調整を図っているところでございまして、特に広大のキャンパスに近い三・五キロの区間につきましては、なるべく早く完成するような方向で努力したいというふうに考えております。
  330. 中川秀直

    中川(秀)分科員 いまの局長の御答弁、ちょっと実態と違うようなのですが、いまおっしゃった三・五キロ、工事は全く始まっておりません。用地買収も全く済んでいないという時点でございまして、計画が相当おくれているようでございますが、一層の御努力をお願いしたいと思います。まだ全くそういうことは進んでいないということをひとつ頭の中に入れていただきたいと思います。  それと同じように、これは道路公団でございますが、山陽自動車道というものがやはりこの学園都市の大方五キロ先ぐらいの山の手を通過するという予定でございますけれども、この地区よりも広島寄りの区間については、路線の発表等も行われて、地権者との話し合いも一部行われておるようでありますが、この学園都市の中心部に関する西条の工区については路線の発表もない、用地の話し合いももちろんないという状況ですが、これについても、今後の見通し、現況というものをお知らせ願いたいと思います。
  331. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 山陽自動車道のことだと思いますが、山陽自動車道につきましては、御指摘のように、昭和四十六年の審議会で基本計画が西条町付近は決められております。現在、整備計画策定の作業をいろいろ建設省でやっておるわけでございます。西の区間は、広島−志和間、これは一応整備計画が出て、道路公団に施行命令が出ておりますので、この区間は路線も発表して、工事が着着進むような段階になっておりますが、この当該区間、西条町周辺につきましては、まだ基本計画の段階でございますので、今後これを整備計画を決めて、それから公団に施行命令を出すという手順を踏まなければなりませんので、この辺の整備計画策定のスケジュールにつきましては、現在立案中の第三次全国総合開発計画の方向を見て検討することになります。そういう次第で、大幅にやはりこの付近の高速道路の建設計画はおくれておるわけでございます。
  332. 中川秀直

    中川(秀)分科員 公共事業全般そうでございますが、できるだけ早く計画策定して、地権者、関係住民と話をするということが何よりもこれから大事ではないか、こう思います。図上でいろいろ御検討なさったものを、いよいよ時期が迫ったからぽんと出して、これでお上がやることだから協力せいということでは、なかなか協力が得られない状況であります。  いま一度お伺いをいたしますが、この二本の高速自動車道、できるだけ早く、路線等も、あるいは用地買収の交渉等も地権者に呼びかけ、そして時間のかかるものはかかるという覚悟の上で進めていただきたいと思いますが、特にいま申し上げた山陽自動車道のことについて、計画がいつごろ発表になるのか、いま一度お伺いしたいと思います。
  333. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 山陽自動車道のこの付近の計画の段階は先ほど御説明したとおりでございまして、まだこれから整備計画をつくって、審議会にかけて整備計画を決めましてから道路公団に施行命令が出されるということで、具体的なルートの設定については、道路公団に施行命令が出てから地元に接触することになります。現在、基本計画の段階でございますので、非常に大ざっぱな、大体この付近というようなルートで一応概算の計画は立てておりますが、これはまだ地元に発表できるような段階でございません。  それじゃ今後いつの時点にそういう計画が示されるかということでございますが、これは一にかかって整備計画をいつ出すかということになるわけでございます。整備計画策定は全国的な問題でございまして、現在、道路公団で抱えております四千八百キロの高速道路にさらに追加する問題でもございまして、これは全国各地で非常に整備計画確定の要望があるわけであります。一方また、高速道路の建設の現実のペースに合わせて考えなければならぬという面もございます。それから、第三次全国総合開発計画という、その策定がこの秋というようなことでございます。その中でもある程度の方向づけがあるわけでございまして、そういうものを踏まえて一応次の整備計画決定の時期が見通せるわけでございまして、現時点では、いつ道路公団に施行命令が出せるか、整備計画が決められるかということはちょっと申し上げかねる段階でございます。
  334. 中川秀直

    中川(秀)分科員 時間がありませんので先へ急ぎます。  実はいまの二本の道路は、現二号線に並行して走る自動車道でございます。人間の体で言うならば、あばら骨は横にできるのでありますが、その現道、西条バイパス、そして山陽自動車道、この三本の自動車道を結ぶ縦線とも言うべき路線が、これから重要になってくるであろうと思われるわけですが、その計画は、県、市において西条駅大学線というものを計画をしておるのであります。ところが、この西条駅大学線についても、いよいよこの大学キッンパスの周辺部については、これは関連公共事業として地域公団においてお立てかえをいただける措置がとられているようでありますが、さらにそこから、かなりそれよりも長い距離になる駅までの路線、あるいは、いずれはこの駅までの路線も山陽自動車道に結ぶということになるのではないかと思われますが、そういった事業は県、市で中心になってやるということになっているわけであります。こういった工事をこれから抱えていく場合に、当然、この地元の財政力が弱いところの市、県では、なかなかこれを負担し切れない事態が予想されるわけであります。  そこで、ひとつ財源のことについて二点ばかりお伺いをしたいのでありますが、まず第一に、キャンパス周辺の整備事業、関連公共事業の財源、公団において立てかえ制度が講ぜられておりますけれども、この立てかえの条件が、地域公団の場合は十年据え置き、十五年償還ということになっております。他の宅地開発公団あるいは住宅公団に比べますと、償還時期が五年ばかり短いということになっております。地元では、この地域公団の立てかえ条件も、ぜひ宅開公団、住宅公団並みに十年据え置き二十年償還という条件にしてもらいたい、こういうことが大変強い要望として出ているのでありますが、これについて建設省は御努力をいただけないものかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  335. 中村清

    ○中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  賀茂学園都市の建設は、ただいま御指摘がございましたように、地元の御要請に基づきまして、いわば地元の公共団体がおやりになる総合的な町づくりを地域公団がお手伝いを申し上げる、こういうかっこうで進んでおるわけでございます。  そこで、その実施に当たりましては、ただいま御指摘がございましたように、道路でございますとか、河川であるとか、あるいは幼稚園であるとか、保育所であるとか、いろいろな関連公共施設ができるわけでございますが、公団が立てかえをするという制度が現在ございまして、条件はただいま御指摘があったとおりでございます。他の公団がやっております立てかえの条件等に比べて不利ではないか、こういうお話がございますが、こういう制度は、そのときどきの、まあ歴史的経緯のようなものもございますし、私は、これは推測でございますが、地域公団の場合は、特に地元の御要請に基づいて入っていくという事情もあるいは加味されているのかと思いますが、いずれにいたしましても、地元の公共団体の財政負担を軽減するという意味合いで立てかえ制度が設けられたわけでございます。  さらに、立てかえ以外に公団が整備費の一部負担をして、本来ならば地元が負担すべき分を一部負担する、こういう制度にもなっておりますので、公共団体の負担の軽減にはできるだけ努力をするということになっております。  御指摘がございました他公団並みにできるかといった問題でございますが、これは、公共団体の財政状況その他を慎重に検討しないと、いまここでにわかにどうしますということは、ちょっとお答え申し上げかねる次第でございます。
  336. 中川秀直

    中川(秀)分科員 時間がありませんので、最後のところだけ簡潔にお答えを願いたいのでありますが、地元の財政事情を見てといっても、いま見たってわかるのでして、何もこれは東広島市賀茂学園都市だけのケースじゃありません。全国でこれから公団がおつくりになろうとする新しい地方都市事業において、こうした問題は常に出てくるのでありまして、まだこの制度そのものが、本年度、五十二年度の予算を見ても、わずかな金額でいよいよこれから発動されるわけですが、将来もう一両年したら大変な需要が出てくるわけでして、建設省においてはぜひいまのうちから早目に御検討願って、ひとつ宅開公団並みの条件にしていただけるように、これは一つの御要望として申し上げておきます。  それから、同じように、その他の関連公共事業、公団が立てかえしていただけない部分、これは普通の補助事業もあるし、あるいは単県事業もございましょうし、単市事業もあるかもしれませんが、特に、その補助事業について大変な事業が、公団だけでやっていただけるところはごく一部でございまして、相当あるのであります。そういうものについて予算の特別な枠というものをひとつお考えいただけないかどうか、これをあわせて御答弁願いたい。結論だけで結構です。
  337. 中村清

    ○中村(清)政府委員 いわゆる関連公共施設について別枠を設けることができないかというお話でございますが、別枠をつくりますと、えてして事業全体の弾力性が失われるというふうな観点から、現在は特に別枠を設けておりません。  ただ、事業の執行に当たりましては、そういう関係の仕事について、国庫補助の方で優先的にこれを採択していくというふうなことで現実の御要請に対処していくように考えております。
  338. 中川秀直

    中川(秀)分科員 わかりました。ぜひ優先的に御採択願いたいと存じます。  それから、時間がいよいよありませんので簡単にお答えを願いたいと思いますが、この学園都市をつくります賀茂台地というのは、大変水のないところでございまして、下流町村では、上流部で水がとられてしまうのではないか、あるいは都市用水に回される分で農業用水が汚れるのではないかと心配している。現実に三永の水源地というのがありますが、かなりの汚濁を示しております。こういうことで、下水道の施設を相当大規模に展開をしなければいけない。公共下水道を黒瀬川という海に向けての川に敷設をしなければいけない。賀茂台地の取水について大変な心配が出ているのでありますが、いま県においていろいろな調査をしているのですけれども、この調査の結果が出たら、直ちにこの黒瀬川の流域下水道計画というのは御採択願いたいと思いますが、この点について結論だけお答え願いたい。
  339. 中村清

    ○中村(清)政府委員 県の方で現在いろいろ調査をしておられますので、調査の結果を待ちまして、流域下水道の整備を進めるかどうかを検討していきたいと考えております。
  340. 中川秀直

    中川(秀)分科員 いよいよ最後の二間ばかりにしぼらせて御質問させていただきたいと思いますが、こういった地方都市づくりというものは、ともかくやはりふるさとの人たちの参加でつくっていかなければ、本当のものにならないと思います。そういう意味で、業者の選定等もなるべく地元優先で取り組んでいただきたいと思いますが、そうなると当然いろいろな工事について工区を細かく分けていかなければならないと思われますが、公団、この点、御努力願えるかどうか、結論だけお聞かせ願いたいと思います。
  341. 吉國一郎

    吉國参考人 公団が工事を発注いたします場合に、地元の中小の建設業者等の活用を図ることについては、常に配慮してまいっておりまして、いろいろな方法をとって、いわば地元の利益が守られるように現に努力をいたしておりますが、今後もそういうことで配慮をしてまいりたいと思っております。
  342. 中川秀直

    中川(秀)分科員 最後に一問。  地元からは、将来この賀茂研究学園都市が完成の境には、ちょうど三原−広島間の新幹線が二十数分所要時間がある。こだま型の駅が大体十五分間隔ぐらいで通っておる状況で、ぜひこの学園都市の地域内に新幹線の駅を、こだま型で結構でございますから設けてもらえないかということで、県市挙げて陳情しているようでありますが、これはどのようなことになるか、国鉄の御見解を伺って私の質問を終えたいと思います。
  343. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 お答えいたします。  いま東広島に新幹線の新駅を設置してはどうかというお話でございますが、結論的に申しますと、なかなかむずかしかろうかと思うわけでございます。  先生御存じのように、新幹線をつくります際には、在来線の輸送力に対して輸送需要がどんどんふえてきまして、在来線だけじゃ賄えません、そこで新しい線路をつくるわけでございますが、その際に新幹線に対しては、主要拠点のお客様の流動を見まして、われわれは優等旅客と申しておりますが、そういった主要拠点間を短時間で結ぶお客様が相当ありますものですから、それを抜き出して、現在の在来線のローカルのサービスとあわせて一本でサービスを提供しようという形をとっております。したがいまして、現在ある新幹線は、到達時間ということもかなり問題でございますので、全体の到達時間が余り延びるということは好ましくないということで、そういう意味で必要最小限の駅を設けておるわけでございます。  これからどうするかということですが、五十五年というお話もありましたが、停車駅をつくりますとどうしても全体にハレーションが及ぶということもございますし、かたがた山陽の場合は、五十年の三月に開業いたしまして、まだ二年しか経過しておりません。そこで、当初予定していろいろ考えておりましたことと、それほどパターンとして大きな乖離がございませんものですから、したがって、当分いまのままで予定どおり行きたいというふうに考えておるわけでございます。
  344. 中川秀直

    中川(秀)分科員 いずれは御検討いただけますか。
  345. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 将来非常に激変をするとか何かでございましたら、数字を見て改めて検討するというようなことはやりますけれども、まあ、いまのところは現状の実態でよろしいかと考えております。
  346. 中川秀直

    中川(秀)分科員 ありがとうございました。
  347. 宮崎茂一

    ○宮崎主査代理 これにて中川秀直君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として日本道路公団理事吉田喜市君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  新村勝雄君。     〔宮崎主査代理退席、主査着席〕
  348. 新村勝雄

    新村分科員 私は、常磐自動車道の建設についてお伺いをいたしたいと思うのです。  常磐自動車道は、御承知のように、三郷市から東北福島県に至る幹線自動車道路でありますけれども、この道路は、江戸川を越えて直ちに流山、柏市に入るわけでありますが、この地域は、御承知のように急速な都市化をしておる地域でありまして、流山市は人口九万でありますが、年間の人口増加が七、八千、次の柏市は人口二十一万でさらに大きいところでありますが、この地域を通過をするに当たって、重大な深刻な環境破壊が行われる心配があるわけであります。  これについて、地元の自治体あるいは住民が大変心配をしておるわけでありますが、この状況について、当局はどういうふうな認識をされておるか、最近の状況を把握されておるかについてお伺いしたいと思います。
  349. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 常磐道の点につきましては、この道路の重要性から、鋭意その促進に努力しておるわけでございますが、御指摘のように、環境問題が非常に大きな問題になってきておりますし、高速道路の建設につきましては、私ども最近は思い切った環境対策をいろいろ講じてきておるところでございます。  御指摘の常磐道全体につきましては、茨城県下、それから埼玉県、千葉県と、最近はかなり順調に進捗しておるわけでございますが、ただ、流山地区、柏地区の辺では、ああいった住宅の密集地で、しかも非常にりっぱな住宅のあるところでございまして、なかなか環境対策に苦慮いたしておりますと同時に、地元ではいろいろな環境面での不安から反対の意向が非常に強いわけでございまして、これにつきましては、昨年の十一月に公団としてできるだけ思い切った環境対策を取り込んだ案で地元に提示いたしまして、これで御理解いただくように住民方々の説得に当たっている段階でございます。  これにつきましては、道路公団も、従来の環境対策の中では第一級の対策ということで、相当自信を持って地元に当たっておるわけでございますが、これでもいろいろ反対の向きもございますが、今後十分御納得いただけるように繰り返し説明して、解決に努力したいというふうに考えておるわけでございます。
  350. 吉田喜市

    ○吉田参考人 常磐道の現状につきましては、ただいま道路局長からお話があったわけでして、特に、いま先生から御指摘のありました流山あるいは柏と申しましょうか、千葉県内のことについて、いま少し御説明したいと思います。  それで、この地区につきましては、四十五年六月に公団は施行命令をいただきまして、約一年半ばかり後の四十六年の十二月に路線発表をいたした個所でございます。そこで、路線発表とともに、いまお話しのように、流山あるいは柏の一部においては、住居地域を通過いたしますために、路線を変更しろというふうな陳情もかつてはございましたが、この間の事情につきましては、一応お話をいたしました結果、それは結構だ、ついては道路構造を地下道またはそれに類する構造にしろというふうな要求をわれわれは受けておるわけでございます。その結果、切り土方式と申しましょうか、掘り割り方式というものを一応お示ししたわけでございますが、それではまだまだ不十分だ、あくまで要求は地下道方式、いわゆるトンネルだというふうなお話がありまして、その結果、昨年の十一月、住居の密集地につきましては、半地下構造と申しましょうか、要するに同じカットした構造の中で、その中央に連続した隔壁を設けていく、それから路肩部及び中央分離帯の上にひさし形の遮音壁を設ける、こういうふうな新しい半地下構造とというものをお示ししたわけでございます。なお、同時に、その道路の両側に幅二十メートルの環境施設帯を設ける、その環境施設帯の外側にさらに側道を設けて住居地域に接する、こういうふうなことを御提示いたしたわけであります。  これで私たちは十分環境基準が守られるのじゃなかろうかというふうに思いますし、また、大変手前勝手で申しわけございませんが、環境対策として十分評価していただけるのじゃなかろうかというふうな自負をもりて提示をしたわけでございます。しかし、まだ一部の方には御理解を得られていないというのが現状でございまして、この方方については、これから市の御当局あるいは住民方々と誠意をもって話し合いをして御理解を賜り、かつまた御協力を得るように努めてまいりたい、かように考えております。
  351. 新村勝雄

    新村分科員 この問題については、地元住民だけではなくて、地元自治体も大変に心配をしているわけですね。それで、御承知だと思いますが、五十一年の七月一日に、流山市長と出先の所長とが協定を結びまして、完全なる了解がなければ仕事を強行しない、少なくとも物理的な力を用いるようなことは絶対にしないという協定を結んでおるわけですね。ところが、遺憾ながら、ことし、五十二年一月十一日、十二日にわたりまして、現地においては大変残念な事態が起こったわけです。  というのは、この二日間にわたって、公団当局は、公団職員、それからガードマン、それから測量の請負会社ですか、この三者が地元に立ち入りをいたしまして、住民との間にかなりのトラブルがあった。そしてその状況は、テレビ等にも報道されたとおり、大変残念な結果になったわけでして、公団あるいはガードマンが地元の住民を強行的に排除して測量をしたわけですね。その中で、むち打ち症が一名、それから打撲症が三十名という住民の負傷者を出したという事態があるわけです。  これは、公団当局のいままでのいろいろな配慮が全く水泡に帰した。しかも、住民ではなくて、住民を代表する自治体の長が出先と協定を結んだ、その協定を破ったという結果になっておるわけだと思うのですが、この事態についてどうお考えであるか。
  352. 吉田喜市

    ○吉田参考人 ただいま先生からお話がありましたように、昨年の七月に流山市長と私たちの出先である柏の工事事務所長との間で、主として地権者の生活設計及び財産保全に対することを趣旨といたした協定書を確かに結んだわけでございます。それには、いまお話がありましたように、住宅地域の地域測量には協議をするというふうな一項目が入っておるわけでありまして、私たちは、市の御当局を通じまして、数次にわたり協議をいたしたわけでございます。  一方、その協議が完全にまとまらない間に、今度は地権者の方々から、ともかく、先ほど申しましたように、路線発表をいたしましたのは四十六年の十二月でございますので、約五ヵ年の年月が過ぎて、一体地権者であるわれわれはどうしてくれるのだ——これは路線敷の中に貴重な用地を提供していただける方々だと思いますが、ともかく現状のままでは生活設計が立たない、早く用地境界を示して土地を買収してもらいたいと非常に強い要望が出たわけでございます。したがいまして、この要望に基づきまして、市の御当局とも数回にわたり話をし、先ほどお話ししました道路の構造問題は別に切り離して、地権者の方々財産保全に必要な測量と申しましょうか、現地作業を行う必要がある、これはひとつ行わしていただきたいという旨で市の御当局に相談をいたしました。その結果、大体の了承が得られた、了解が得られたということで、いまお話しのように、ことしの一月に地積測量を実施したわけでございます。  いまお話のありましたように、一部の報道では負傷者が出たというふうなことを報道されましたが、私たちが調べましたところ、あるいは柏警察の調べでは、負傷者は出ていない。また、いま先生がおっしゃった負傷の被害届も警察の方には出ていないというふうな話でございますし、また公団側にも負傷者は出ておりません。したがいまして、いまおっしゃいましたような、負傷者が出たというふうな事実はないのではないかというふうに私は考えておるわけでございまして、御理解を賜りたいと思います。  また、ではしからばなぜガードマンを使ったかというふうなお話一つあったわけでございますが、これは一部の住民方々が測量を実力で阻止するということを表明をされておりましたので、まず、測量をした場合に住民方々との間のトラブルが起きてはまずい、やはりお互いの安全を守ろうということで一部ガードマンを入れた、かような次第でございます。
  353. 新村勝雄

    新村分科員 この地権者の問題については、これはまた別個の立場がございまして、この主張あるいは権限については尊重しなければならないと思います。しかし、この際はこれは別個の問題でありまして、反対住民というか、環境破壊という問題に対してどう対処をするか、どう解決をするかという問題にあくまで焦点をしぼっていただきたいわけであります。  それから、五十二年一月の調査については、これは市の方では了解をしていないと言うのですよ。実際にしていないのですね。そこらについても、かなり問題があるのではないかと思う。  また、いま負傷者はないと言われましたけれども、確かに流血の惨事にまでは至っておりませんけれども、打撲、うっ血の跡の歴然とした打撲症のある人が三十人ぐらい出たということは、これは事実であります。  そして、公団のおとりになった方法ですけれども、ガードマンとかあるいは請負業者は、これは全くの私人でありますから、物理的な力を及ぼすということ、実力をふるうということは全く不穏当だと思うのですけれども、それらについての根拠なり手続なり、これらについてもひとつはっきりお示しをいただきたいわけであります。少なくとも物理的な力を発揮できるのは、警察官であるとか、自衛隊であるとか、法によって保証された者以外には、これは力をふるうことはできないはずでありますから、その点どうお考えになりますか。
  354. 吉田喜市

    ○吉田参考人 ただいまお話がありましたように、暴力をふるったということはなかったのじゃないかと私は思います。ただ、あそこで測量をいたしましたテープと申しましょうか、測量のテープを引っ張るとか、あるいは測量ぐいを引き抜くというふうな行為があったように私は聞いておりますが、これは当方の測量器具初めテープを守るために、取られるのを守るためにそれを守ったというふうに私は伺っておるわけでございます。  いまのお話のようなものは、あるいはテープの取り合い、引っ張り合いをするとか、綱引きをしたような場合に手に擦過傷ができたということが、あるいは生じたのではないかというふうに私はいま考えておるわけでございます。
  355. 新村勝雄

    新村分科員 それに、市に対して了解を得ずにやったということは、これは事実だと思います。そしてその測量調査の対象には市有地も入っているんですね。この市有地に対しても公団は無断で侵入をしたという事実があるわけですね。この点について伺いましょう。
  356. 吉田喜市

    ○吉田参考人 市の御了解を得たというのは、たしか十二月の二十一日か二日ごろじゃなかろうかというふうに思いますが、ここでたしか市の議会の特別委員会があったのではないかと思います。その席上で市の御了解を得た、かように私は聞いておりますし、また事実そういうふうに確認をいたしております。  それからもう一つ、市有地の問題でございますが、これは公道上、道路上でございます。市有地と申しましたが、公道上に確かにくいを打ちました。これは要するに官民の境界の見通しをよくするために必要であって打ったわけでございますが、それは後日官民の境界の方に移設いたしております。これは市の方々の立ち会いのもとでやりました。確かに、おっしゃるように、打った時点においては、市の了解なくして市の公道上に、道路の上に打ったことは事実でございますが、後ほどそれは撤去いたして官民の境界に移した、かようなことになっておるわけでございます。
  357. 新村勝雄

    新村分科員 いまおっしゃるように、市有地に対しても、これはいわば了解なしに侵入をしておるわけですよ。それから、その一帯の地域に入るということについても、これは市に対して一方的な通告はあったかもしれませんけれども、市は了解はしていないはずであります。ですから、一方的に五十一年七月十日ですかに流山市長と出先の長とで締結をしたこの協定に違反をして公団は実力行使に出たという事実、これはもう動かしがたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  358. 吉田喜市

    ○吉田参考人 先ほど御説明いたしましたように、市有地と称するのは公道上でございます。市道でございます。道路上でございまして、確かにその道路を管理していらっしゃる方は市長さんであろう、かように思います。したがって、道路上を自由に通行をし、かつ、たまたま官民の見通しぐいが必要なために、その公道上にくいを打った。これは道路管理者に黙ってくいを打ったということは事実でございまして、まことに申しわけないということで後ほど撤去した、かような姿でございます。  それで、先ほどの冒頭の七月一日の協定違反じゃないかというお話ですが、これは要するにそこでの協議ということも問題になろうかと思いますが、これは決して抜き打ちにやったわけではございませんで、それまで数回にわたりやはり話し合いをしているが、完全合意には達しなかったということは確かにあったと思います。  そこで、一方地権者の方々から非常に強い要望があって、どうしてわれわれの生活を守ってくれるのだというふうなことで、市の関係方々と協議というか、相談をしたと言った方がいいと思いますが、相談をした結果、やむを得ぬだろうということで了解を得た。それの了解はたしか十二月の二十二日だったと思いますが、この特別委員会においても、市の議会においても了承を得て、市の御当局もわかった、了解を得た、かような姿になっておるのが現実の姿であろうかと思います。
  359. 新村勝雄

    新村分科員 流山市議会の公式の意思表示、決議があるわけですけれども、前文がありまして、前を略しますが、「加えて、昭和五十一年七月一日流山市長と柏工事事務所長との間に結ばれている協定を一方的に「昭和五十二年度用地買収を行うにあたり、これ以上延伸を許さない事態に至った」として、これを破棄して測量を強行したことは、既に柏工事事務所長に抗議いたしたところであるが、これは本市並びに本議会を全く無視したものであり誠に遺憾である」と、こういう議会の決議をしておるわけですよ。これらに対してはどういうお考えですか。
  360. 吉田喜市

    ○吉田参考人 先ほど申し上げましたように、私たちは、決して一方的に何も相談なしにやったわけではないと思います。それは、先ほど申しましたように、数回にわたりいろいろお話し合いをしたわけで、そこで完全合意には達しませんでしたが、まあ仕方がない、いいのではなかろうかというふうな了解を得て仕事を行ったわけであります。たしかその決議は、ことしの一月になってからだったかと思います。一月になってから市の議会でそういうふうな決議をなさったやに私は伺っております。  その決議の趣旨をどう考えるかということですが、ただ強いて申しますと、私たち一つ遺憾に思っておりますことは、たしか一月の十二日に市の特別委員会がやはり行われておりますが、その特別委員会は、前日に午前中で終わりということで、だからしたがって十一日は測量をし、十二日の午前中の測量はやめてくれ、それは結構でございますということで、十二日の午前中は測量をやめました。午後測量を行ったわけでございます。ただ、強いて言いますと、その際、その特別委員会が午前中で終わらなくて、若干午後に延びておったようでございます。委員会の開催中にその辺の確認をとらないままに、委員会が終わったかどうかという確認をとらないままに前日の予定どおり行動したということについては、非常に深く反省をしております。今後は、われわれ仕事を進めていく上におきまして、市の御当局、あるいは市の議会の方々と緊密な連絡をとってまいりたい。そういう意味で、若干の意思の疎通を欠いたという点については、非常に深く反省をしておるわけでございます。
  361. 新村勝雄

    新村分科員 反省をするとおっしゃるわけですから、それについては了解をいたしまして、今後は絶対にそういうことがないようにひとつお願いをしたいわけであります。  それから、道路の設計の問題が中心の問題になるわけですけれども、いま公団で地元に提示をされております設計については、いろいろ御苦心の跡は確かにわかるわけであります。地元でもそれは認めておりますけれども、もうこれが最終案である、これ以上は絶対にどうにもならないというようなことで、一方的に強行しようというきわめて強い御決意があるようですけれども、これについてはどうですか。
  362. 吉田喜市

    ○吉田参考人 私たちが昨年の十一月に示しました半地下構造につきましては、私たちは環境対策としては非常に皆さんに評価していただけるのではないかというふうな自負をしておるわけでございます。これは全区域にわたるわけではなくて、やはり住居の密集地域にこの構造をセットしたい、それ以外の個所については切り土をして遮音壁を立てる、こういうような構造にいたしたいというふうに考えているわけでございます。  そこで、現在私たちが考えておりますことは、流山あるいは柏の両市の住居密集地帯を対象にしますと、延長は千四百メートルぐらいになるのじゃなかろうかというふうなことを考えております。しかし、この両地域につきましては、やはり住居地域でございますから、交差する道路と申しましょうか、下を通りますから、上を道路が通るわけでございますが、この交差する道路がかなり数多くございます。したがいまして、細部については、この交差道路等をどういうふうに処理をしていくか、どういうふうにするかということで、両市の御当局とこれから設計協議で詳細を決めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  363. 新村勝雄

    新村分科員 そうしますと、現在提示をされております設計内容は、地元と協議の上でさらに改善のできる点は改善をする、あるいは設計変更等も協議の過程では十分あり得る、そういうふうに理解してよろしいわけですね。
  364. 吉田喜市

    ○吉田参考人 もしそういうことでしたら、私が大変言葉足らずだったというふうに思うわけでございまして、横断構造といいましょうか、断面構造といいましょうか、私たちはこれはかなり勉強し、これはやはり最良じゃないかというふうに考えております。強いて申しますと延長の問題じゃないかというふうに思います。  私は、いま現在考えていますのは、両市の住居地域の密集地域というものが約千四百メートルばかりですが、ここをこの対象に考えていきたいというふうに考えておるわけです。ただ、その密集地域の中にそれぞれ道路なりいろいろなものがあるわけですから、若干のでこぼこは出てくるかもわかりませんが、千四百メートル程度という意味で、ぴしゃり何メートル、何メートルと、いうことを言っているわけではなくて、その辺の最後の詰めについては、これから両市及び関係方々と協議をして決めていきたい、かように申し上げたわけでございます。
  365. 新村勝雄

    新村分科員 了解しました。結論として、あれが公団としては最終案、最良の案とお考えでしょうけれども、地元の住民との交渉という立場からすれば、絶対に動かせないものではない。それは交渉の過程の中で地元の意向も十分くむ、可能な限り改善もするし設計変更もやっていく、そういうことに了承いたします。
  366. 吉田喜市

    ○吉田参考人 再度申し上げますが、構造と申しましょうか、これはいまさっき申しましたが、言いますと五メートルないし十メートル掘り下げていく。下は床幅が約三十メートルちょっとございましょうか。それから上の方の真ん中に隔壁をずっと設けまして、両サイドにそれぞれひさし型の遮音壁を入れる。真ん中の分離帯の上にも遮音壁を入れる。それで、その両サイドに約二十メートルの環境施設帯を設ける。こういうふうな構造で、その構造については、最終と申しましょうか、私たちのいまの中では一番いいんじゃないかと思っています。ただ、強いて言いますと、細部については、たとえば内部の壁面に一体どういうふうな吸音板を張るかというような問題についてはまだこれからの問題だと思いますが、大体の姿というものは、あれが一番いいんじゃないかというふうに私は考えておるわけです。中の吸音板をどう張りつけるか、どういうふうにするかということは、これは今後の設計の問題であろうというふうに考えております。それから延長方向については、さっき申し上げましたように、私たちは千四百メートルというふうなことを頭に置いて、それは対象地域を見るとやはり千四百ぐらいじゃないかというのがわれわれの考え方でございます。しかし、これにつきましては、いまの横断の交差する道路とかいろいろなことで、若干そこにでこぼこが出てきてもやむを得なかろうという程度のことであります。だから、大幅に変えるという意味ではございません。また、これからそういうような範囲内での設計協議を行っていきたい、かように考えております。
  367. 新村勝雄

    新村分科員 私の申し上げているのは、延長とか設計の技術的な問題ではなくて、原則なんですよ。地元の住民と合意の上でやるという原則を確認していただけるかどうかということなんですよ。先ほどの流山市議会の議決の続きになりますけれども、「よって、ここに更に構造についての再検討を要求するとともに、構造については、流山市並びに本市議会との合意に達しない限り、設計協議に応じないことはもとより、あらゆる対策、手段を講じることをここに表明し、併せて、協定については、いかなる場合においても遵守することを要求するものである」という決議をしておるわけです。  それで、時間がございませんので最後に大臣にお伺いをいたしますが、地方自治体が住民の代表としてこういうような決意を表明されておるわけです。これはこの問題だけに限らず、公共事業についてすべて通ずることだと思いますけれども、国の一方的な強行手段によらずに、できる限り地元の住民あるいは自治体と合意の上で仕事をすることが今後の公共事業の原則でなければいけないと思うのですよ。ですから、そういう点で、その原則に立って、この問題についても完全に地元と了解の上で仕事をなさるというふうに御指導をなさるかどうか、お伺いします。
  368. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いろいろお二人のお話を承りまして、どちらを聞いてもごもっとものように感じられますし、また、御要望につきましては、現在の地権者の問題と地元公共団体という問題について、これらの方々の十分の御意見を尊重しながら、この問題の解決に当たらせるように努めてまいりたいと存じます。
  369. 新村勝雄

    新村分科員 時間がありませんから最後にお願いいたします。  そういうことで、地権者をも含めて、自治体というのは住民運動だけを代表しているわけじゃないのですから、すべての全住民を代表してこういう意思表示をされているわけですから、この意思表示を最大限に尊重されて、地元の了解のもとに工事を進められますように特にお願いをいたします。
  370. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、平石磨作太郎君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に対し、参考人として、水資源開発公団副総裁小林誠一君及び日本道路公団理事伊藤直行君が御出席になっております。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。  平石磨作太郎君。
  371. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 高知県の早明浦ダムの異常放流、五十年と五十一年の台風五号、さらに昨年の十七号という異常な洪水のために、最高放流が二千トンだというのをはるかに突破して、毎秒三千五百トン放流するというような異常な事態のために、直下の土佐町、本山町といったところに甚大な被害が出たわけです。したがって、地元のこういった町村では、もうダムはいやだ、ここにはもう住めないというような事態になって、水資源の方も大変だったと思うのですが、また今年も雨季を迎えておるわけです。  そういう事態に立ち至って、水資源としてはどういうような対策をいままでしてこられたか、さらに、これからどのように対処していこうとするのか、お伺いをしたいと思います。
  372. 小林誠一

    小林参考人 お尋ねでございますが、この台風十七号の、これまで例のないような非常な放量がございましたための出水でございますが、その状況にかんがみまして、先ほどお話がございましたように、ダムの直下から吉田橋までの区間でございますが、そこに約十八戸人家がございます。また、今回の洪水調節のためにダム操作を行ったわけでございますが、それによりまして貯水池の水位が変動いたしました等によりまして、地すべり等が起こるというような現象も出てまいったわけです。そういうことで、ダム周辺で住宅が危険に瀕しておりますし、ダム直下の地域とその両方の地域につきまして、その住宅を移転していただきたいということで、すでに地元の町村間に、そこにおられます皆様方の了承を得て、現在、その土地及び家屋につきまして調査を実施いたしておるところでございます。  それで、実は五十二年度予算にもこれについてを願いをいたしておるわけでございまして、できるだけ早く移転を完了いたしまして、皆様方が御心配のないようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、今回の十七号程度の出水に対しまして、その安全度を高めますためには、現在ダム直下に副ダムがあるわけでございますが、その副ダムの下流にさらに減勢工の改良工事が必要となります。  現在、公団におきましては、水理模型実験を含めまして、鋭意その方法について検討をいたしておりますが、これも同じく、その結果に基づきまして五十二年度予算でこれを実施いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  373. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いまあらかたお聞きしたわけですが、減勢工をつくって水の勢力を一応減殺していくのだということは非常にいいことだと思うのですが、この減勢工を五十二年度に行うということですが、いつごろまでに完了するか、このことをひとつ。
  374. 小林誠一

    小林参考人 この減勢工の工事でございますが、われわれといたしましては、新年度で予算が成立いたしますれば早急に着工をいたしたい、そして本年内に完成をさせたいというふうに考えておるわけでございます。  とりあえずこの夏の出水期までに、先ほど申しました減勢工のために、副ダム下流の河床を掘削いたします。そういう掘削を行いまして、全体的な効果はまだ発揮しないのでありますが、一部減勢の効果を発揮いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  375. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 ひとつ早くやっていただきたいということと、それからこの両護岸、あそこに中学校もありますが、そういう形で水浸しになると、あそこにはたくさんの子供もおるというようなことで、護岸整備については早くやらないと、もう雨季を迎えたということがありますので、減勢工についても、それが間に合わないうちにまた大洪水ということになりますと、大変なことになりますので、これはひとつ早くやってもらいたいが、もしそういったことが間に合わず、また再びそういった事態に立ち至ったときにはどういうようにするか、このこともあらかじめ聞いておきたいと思います。
  376. 栂野康行

    ○栂野政府委員 ダム直下の護岸工事でございますけれども災害を受けまして、現在、災害復旧工事で鋭意やっておる次第でございます。  完成の目標でございますけれども、ことしの出水期前に完成をさせたいということで、現在スピードアップしているわけでございます。
  377. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 昨年私はあの被害地へ行ってみましたが、いままでは飛び飛びに護岸整備ができておったわけですが、そういうことのないように、全面護岸ができるようにひとつお願いをしておきたいと思うのです。  それから、時間がありませんので速くいきますけれども、この移転をせねばならぬというようなことでいま御答弁がありましたが、あそこにはいろいろ製材所もございますし、また、職業その他、そこから移転をしたら生活を営むためにいろいろ不便で、ある、はもう生活自体が成り立たぬといったような者もおるわけです。そういう者のいわゆる営業補償といいますか、その仕事ができるようなことをも配慮しての移転を行ってくれるかどうか。このこともひとつあわせて、移転についてお聞きいたしておきたい。  それから、ダムの湛水地域の上流の方にも地すべりが出て、これは土佐町の下小南川という部落ですが、ここも大きな地割れが出ておる。ここにも移転をせねばどうにもならぬといったような被災者がおるわけですが、これらをも含めて計画の中に入っておるのか。  それから、そういったところは主に農家ですから、遠くのところへ行ったときに、仕事の面あるいは転職の面、あるいは移転に伴うところの経費の問題、こういったものも全部水資源の方で責任を持ってやるのかどうか、ここをひとつお聞きしておきたい。
  378. 小林誠一

    小林参考人 その問題でございますが、実は、家屋移転につきましては、その土地家屋を移転する費用を補償するものでございます。  先ほどお話がございました移転者の大部分の方は、地元でいま町の方にお願いをいたしまして、移転先を考えていていただいているわけでございます。したがいまして、いまのようなことで恐らく家屋を移転するだけでいいのだろうと思います。私どもはまだ、これについて生業補償とか、そういう点についてはいままで考えていないわけでございます。それからまた、先ほど申されました下小南川の件につきましても、その対象としていまお話をいたしておるわけでございます。ダムの上流地域につきまして、先ほど申しましたように地すべりのおそれのある家屋を対象に、現在、調査を進めているものでございます。
  379. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 家屋の移転のみだというお話ですが、家屋の移転だけということなら、これは簡単ですけれども、やはり生活というものがかかってきます。だから水資源の方と地元のそういった被災者との話し合いの中で、ただそれだけだということでは、なかなか応じてくれないと思うので、そういった意味で、そのものずばり補償せよということは言わなくとも、町あるいは県、そういったものと連携をとって、被災者に無理がいかないように、実質的に補償ができるような形で移転作業を進めてほしい、こう思うわけで、これは要望しておきます。  それから被害に伴うて吉野川が非常に濁水になっておる。その関係で、あの本山町の給水人口ざっと五、六千でしょうか、こういった簡易水道が濁水のために汚れてしまった。だから、いま仕方なしに樫ノ川というところへ暫定的に取水地を持っていって、やっているわけです。ただ、この樫ノ川というのは、その上流にたくさんのたんぼがあって、もう耕作の時期が来た、農薬を投入するというようなことで、これを仕方がないから汗見川というところへ取水地を移して、恒久的な簡易水道としてという計画で本山町は現在行っておるわけですが、水資源の方との折衝の中でも十分に話が煮詰まらぬというようなところから、もう見切り発車で、総工費大体一億六千三百万という事業費ですが、五十二年度の予算に三千何がしか一応予算を取って、もう見切り発車をしておる。そういう事態に立ち至っておるのですが、この件について国庫補助もついた、あと残りのものは起債でもってやらなければならぬ。ところが、この起債について水資源の方で償還の補償をしてほしい、こういうことでお話し合いがあっておると思うのですが、この点どうですか。
  380. 小林誠一

    小林参考人 十七号台風の濁水のために、それが相当長い間続きましたことによりまして、本山町の簡易水道でございますが、それに取水の障害が生じましたために、本山町では、先ほどお話がございますように、左支川の汗見川から新たに水源を求めて、従来吉野川の本川から取水しておりました簡易水道の原水をすべて汗見川に依存するという計画で、水道の改良事業というものが実施されておるということは存じております。  公団といたしましては、現在、四国地建の方が中心になっておやりいただいております吉野川水系の濁水調査委員会があるわけでございますが、それの調査によって明らかにされると思われますので、吉野川の濁りと早明浦ダムとの相関関係というものを見きわめました上で、本山町の水道施設に与えました損害の補償についてできる限り善処したい、こういうことで現在木山町と折衝をいたしておるわけでございます。
  381. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 いまの答弁の中に出てまいりました吉野川の水流の委員会、そういう委員会調査をせねばわからない。もう現実に被害が出ておるのです。そうしていま申し上げたような状態で見切り発車もしておる。この委員会の結論を得て、それらのことについてということですが、この委員会というのは、いつ、をめどにしてやっておるのか。これが長いことかかるということになると、大変迷惑なことになってくるのですが、その点の見通しを伺いたい。
  382. 栂野康行

    ○栂野政府委員 吉野川水系濁水調査委員会でございますけれども、現在、専門の学識経験者に委嘱しておりまして、いわゆる濁水機構の解明に当たっておるわけでございます。それで、昭和五十三年度を目途にしまして、濁水の軽減のための具体的施策というものを提案したいと思っております。  なお、昭和五十二年中には、台風十七号以降、吉野川で濁水が継続しておるわけでございますけれども、その濁り問題につきまして早明浦ダムがどの程度関与しているか、そういうことも明らかにしたい。と同時に、いわゆる現有施設の効率的な運用方法につきまして中間報告を出す予定にしております。
  383. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 そういった手続を踏んでということも役所の機構上わからぬことはありませんけれども、それで長引くと困る。だから、そのことを早く促進をさせていただいて、早く手を打ってもらいたい。これはひとつ厳に肝に銘じてやっていただきたいと思うわけです。  それから、この濁水の関係で、濁水排除、これはもちろんそういった原因究明がなされねばならぬと思うのですが、それに伴ってやはり吉野川の漁業補償の問題が出ておると思うのですが、これについてはどういうことになるか。私が聞いておるなにでは、大体一億五、六千万の数字が出ておるようですが、これはどうするか。
  384. 小林誠一

    小林参考人 この早明浦ダム建設と、それからその管理運営に伴う漁業被害というものにつきましては、その建設当時、すでに関係漁業協同組合等に濁水被害を含めて補償済みということに相なっておるわけでございます。  しかしながら、今回の台風十七号による降雨量でございますか、これは、われわれ予測しなかった未曽有のものでございますので、濁水に伴う被害状況につきまして、高知県御当局に調査を依頼しておりまして、高知県の方でもその調査をやろうということでございます。したがいまして、その結果を待ちまして関係機関とも十分対策を協議してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  385. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 漁業補償の用意があるのですか、ないのですか。
  386. 小林誠一

    小林参考人 まだ調査は今後やるわけでございますから、調査の結果によりましていろいろ御相談をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  387. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 調査待ち、調査待ちという形で、いわゆる逃げられるというようなことがあっては困るので、もちろん調査は必要ですけれども、早くそれをしてもらって、漁業補償についても、調査の結果が出れば、これはひとつ補償していく、こういうことでいいんですね。そう理解していいですね。
  388. 小林誠一

    小林参考人 まだ、いまこれから調査をいたすわけでございますので、その調査の結果、濁水が原因で、先ほどもございましたように、それが早明浦ダムと大きな関係がある、したがって損害を及ぼしたということが明らかになりますれば、これは当然そういうことになろうかと思います。
  389. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 了解しました。  さっき、ちょっと十分なことにならなかったのですが、簡易水道の問題ですが、これはいま漁業補償であったように、これも調査が終われば——大体この点ははっきり被害が出ておるのですから。水が飲めないという状態が出ておる。しかも、濁ったことはあのダムに関連があるかどうかがいま問題点になっておるのですけれども、これも早く出していただいて、その結論が出れば、これはもうやるということですね。そう理解をしていいですか。
  390. 小林誠一

    小林参考人 この件につきましては、当然その程度に応じまして、公団としては損害補償を行う方向でやりたいというふうに考えておる次第でございます。
  391. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 この委員会の主宰はどこですか。
  392. 小林誠一

    小林参考人 これは四国地建でございます。四国地建の局長が会長になっておられまして、関係都道府県の部長さん方、それから学識経験者を含めまして、いま鋭意調査中と聞き及んでおります。
  393. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 その結論が出た場合は、それはその調査で出たのだ、水資源は水資源で、また別に調査を云々ということにはならぬですか。どうです。その結論が出たら、もうそれに従うということになるわけですね。
  394. 小林誠一

    小林参考人 この委員会は、いまのように、補償関係そのものをされるのじゃなくて、目的としましては、濁水対策をどうするかという根本問題をおやりになるというふうに聞いておりますが、その間に当然、濁水が出ました、どういうことで出て、その早明浦ダムの濁水がどういうふうな影響を及ぼしておるかという資料も出てくると思いますので、その資料をいただきまして、むしろ、これを補償すべきかどうかということについては、委員会で結論を出されるということではないというふうに聞いております。
  395. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 妙におかしくなったのですが、この濁水がダムに原因があるかどうかということをと私は思っておったのですが、いまの御答弁では、濁水対策をどうするかということもあるように聞いたのですがね。ただ、そういったさっきの答弁から言うと、ちょっと、ずれるのですが、やはり原因があって被害が出たというところをも、この審議の対象に入るわけですね。対策だけでなしに、ダムのことだけ考えてやりよるのでなしに、そういった関連の、被害を及ぼした濁水はダムが原因で濁水になったかどうかというところの因果関係をも調査しておるのじゃないですか。そうですね。
  396. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この吉野川の濁水調査委員会でございますけれども、これは先ほど御説明しましたように、濁水の機構の解明をまず行うということでございます。それで中間報告といたしまして、いわゆる濁水の、濁りの継続につきまして早明浦ダムがどの程度関与しているかという中間報告は、五十二年度に出したいということでございます。  それで、補償の方につきましては、これはまた別途に、いわゆる水公団の方で調査をするというふうに聞いております。
  397. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 まあ時間がありませんから、とにかく、それがそういった機関で濁水の原因がダムにあるんだという結論が出たら——出たらと言うたら、もう被害が出ておるのですから、とにかく、そういった状態被害については補償する、やるんだ、こういうことでひとつやってほしいということを申し上げておきます。  それから次に、将来の問題として、新たにまたこの間、県並びに五カ町村がコンサルタントにお願いをして、今後の異常放流についてコンサルタントの結論が出た、このことを御存じだと思うのですが、これは建設省になるのか水資源になるのかわかりませんけれども、異常な事態に対処するためにはあのダムではどうにもならぬ、だから導水バイパスを出して初期放流をというようなことが出ておるのですが、これについてはどう考えておるか、ひとつ御答弁願いたい。
  398. 栂野康行

    ○栂野政府委員 早明浦ダムの恒久対策でございますけれども、これは必然的に、ああいう大洪水を受けました吉野川治水計画見直しといいますか、安全度の向上とつながってくるわけでございます。それで現在、吉野川治水計画の見直しというものの検討の中におきまして、いわゆる河川の改修で、どうすればいいか、あるいは上流にまたダムをつくったらいいかとか、そういうことを総合的に利害得失を比較検討しておる次第でございます。  それで、ただいま先生おっしゃいました導水バイパスの問題でございますが、これにつきましては、治水上の効果並びに技術上の可能性などにつきまして、新年度より調査してまいりたいというふうに考えます。
  399. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 それでは次に問題を変えて、四国横断自動車道についてお聞きをしたいのですが、四十八年の十月に施行命令をいただいて鋭意道路公団の方で調査を進めていただいておるわけですが、現在の進捗状況をお知らせいただきたい。
  400. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 四十八年に施行命令をいただきまして、五十年の十月に調査事務所を設置いたしました。鋭意それから調査を早めておるわけでございます。  御承知のように、当該大豊−南国間は非常にむずかしい地質のところを通っておりまして、地すべり等で交通がときどき寸断されるというような場所でございますので、関係市町村また県の当局等から非常に熾烈な要望がございます。われわれの方としても、建設省の強い指導のもとに、できるだけ早く施行計画を出しまして、実施計画を出して、認可を得次第、仕事に着手する体制を整えておるわけであります。
  401. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 時期的にはいつになりますか。
  402. 伊藤直行

    ○伊藤参考人 今後、地元の皆様方の御理解、御協力を得て、大体、遅くとも今年秋まで、五十二年の秋までには建設省に実施計画を持ち込みたい、そういうふうに考えております。
  403. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 今度は建設省にお聞きしますが、建設省は、その実施計画のなにが済んで、いわゆる着工命令というところへすぐやっていただけるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  404. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 公団からのお答えのように、この秋、実施計画が持ち込まれるわけでございますので、実施計画が提出されましたら、なるべく早く内容をチェックいたしまして認可して、路線発表、それから中心線の設置というような段階に持ち込みたいというふうに考えております。
  405. 平石磨作太郎

    ○平石分科員 以上で終わります。
  406. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて平石磨作太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、原田昇左右君。
  407. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 私は、まず東海駿河湾地震についてお伺いしたいと思います。  あすあっても不思議はないという学者の説があるわけでございますが、これについて、どういうように考えておられるか。
  408. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 先生御指摘のとおり、東海地震につきましては石橋先生の御意見がございまして、静岡県でも急速、知事直轄のもとに地震対策班を設けるなどいたしまして、被害想定、それから防災会議を活用して地域防災計画検討をなされておるようでございます。十分接触を持ってやりたいと思います。  なお、政府の方では、来年度。予算措置をしていただきまして、東海地域の方もまじっていただいて、関係各省と検討できるようにしていただいたらいいのじゃないか、そういう案も持っておりますので、よろしくお願いいたします。
  409. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 可能性があるということでございますと、いつ、どこで、どのくらいのものが起こるかという想定があると思うのですが、それについてはどうですか。
  410. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 いまやっていただいておりますのが、石橋先生が地震の可能性があるという言い方をなさったそうでございますが、政府といたしましては、国土地理院で主宰いたしております地震予知連、萩原先生のもとで検討していただいたのですが、当分はそういうふうな事態はないという一応の見解をまとめていただいております。
  411. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 ただ大まかな、もちろん当分はないということであっても、もし起こった場合、大変なことになりますので、大体どのくらいの規模のものが、どういう形で起こるかということについては、予知の問題としていろいろ御検討なさっておられると思いますが、予知の推進について、どういうような体制で、どういうように考えておられるか。
  412. 園山重道

    ○園山政府委員 この東海地方の地震の問題初め地震に対しましては、予知ということができますれば非常に災害の軽減に役に立つということでございますので、政府といたしましては、約十年ぐらい前から地震の研究が行われておるわけでございますけれども、現在、東海地方のこの地震の問題が非常に議論されまして、昨年の国会でも大変な御議論がされまして、政府としましては、昨年十月に内閣に科学技術庁長官を本部長といたします地震予知推進本部というものを設置いたしまして、関係各省庁協力いたしまして、この地震の予知の推進を図っているところでございます。
  413. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 その予知の推進において、地震の予知のいろいろな手を打っておられると思いますが、大まかに、どんな手を打っておられるか、簡単にお願いしたい。
  414. 園山重道

    ○園山政府委員 御承知のように、地震予知に有効な手段といたしましては、基本的には国土のひずみをはかります測地測量でございます。それから実際に起きております地震の観測、それから最近、特に地震が起きます前には地殻がひずむということが言われておりますので、気象庁におかれて、ひずみ計を特に東海地方等に埋めておりまして、これは二十四時間観測が行われております。そのほか、いろいろ地下水の異常が起こる、ラドンの濃度がふえるとか、あるいは地震波速度が地震の前に変化するというようなことが指摘されておりますので、関係各省庁並びに大学、それぞれ得意な分野で観測をいたしているわけでございます。
  415. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 いまのようないろいろな観測を総合して、じゃ地震が起きそうだという場合に警報を出す必要があると思うのですが、これは非常に社会的な影響が大きいのですけれども、この警報の公表という問題、どういう時点で、どういう判定をするか、その体制はどういうように考えるか。
  416. 園山重道

    ○園山政府委員 ただいま地震の警報というお話でございますけれども、残念ながら、地震予知というのはまだ、いつ、どこで、どの程度の地震が起こるかということを定量的につかむことができない状態にございます。非常に学問的段階にまだございます。これを警報、予報といった、ある種の類型化されたもので出すということはまだむずかしい、このように私ども伺っております。  したがいまして、今回、東海地方の地震の問題が出まして、昨年十二月に測地学審議会、これは文部省にございますが、関係大臣に建議ができる、建議をする審議会でございますけれども、ここが特に東海地方につきましての建議を出されまして、その中で、データを集め、そしてこれを判定する組織をつくるべきであるという建議がされております。内閣の地震予知推進本部といたしましては、この建議を受けまして、この判定組織を発足させるべくただいま準備中でございますけれども、現在、地震の情報を集めて、地震学者の方方、あるいは専門の他の方々意見交換をして情報を発表するのは、国土地理院に地震予知連絡会というのがございます。これは従来、三カ月に一遍程度、データを持ち寄りまして情報交換、判断をしておったわけでございますけれども、東海地方のように、場合によっては、気象庁が連続観測いたしておりますひずみ計で直前のデータがとれるかもしれないというときに緊急に対応するために、この地震予知連絡会の下部機構といたしまして判定組織をつくっていただくということを検討しておるところでございまして、いずれなるべく近い機会に地震予知推進本部の方から正式にお願いをいたしまして、数名のトップクラスの学者方々を中心とする判定組織というものができるように準備をしているところでございます。
  417. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 いまお伺いしますと、判定組織についても目下検討中のようでございますが、何分、大変な社会的な影響をもたらすことでもございますし、予知の引き続いての一層の推進と判定機関の整備というものを、ぜひ要望しておく次第でございます。  ところで、地震が起こったとき、どういう対策を立てるかということがやはり準備されていなければならないと思いますが、いま政府として、どういう対策考えておられるか。起こった場合の応急措置というか救助措置、そういった防災対策というものについてお伺いをしたい。
  418. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 防災対策、この防災に当たっていただきますのは、御存じいただいておりますとおり、災害対策基本法の規定などによりまして、地方公共団体が対処するという形でございます。しかし、非常に地震というものが広域にわたることが予想されますので、政府といたしましても、どういう形でそれを、バックアップしていくかということを、いろいろ検討すべき課題があるのじゃないかというので、中央防災会議に各省から相成ります大都市地震対策連絡会議というものをこしらえまして、それぞれ問題別に六つの分科会をこしらえて、ただいまいろいろ研究しておるという段階でございます。
  419. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 どうも研究しておるという程度では、はなはだ心もとないのですが、私は具体的にお伺いしますから、ひとつお答え願いたいのですが、この間の北イタリアの地震についても、国防軍が出て人心が非常に安定したということもございます。日本の場合、自衛隊の活動がぜひとも必要だと思うのですが、これについて防衛庁はどういうようにお考えになっておられますか。
  420. 長谷川宏

    長谷川説明員 御説明いたします。  いわゆる東海地震の発生につきましては、先ほどからお話がありますように、地震予知連絡会の発表では、これまでの観測結果からは切迫した徴候はないということではございますが、災害対処を任務の一つといたしております自衛隊としましては、いつでもこれに対処できるように体制を整えているわけであります。ただ、このために、たとえば静岡県を災害派遣担任区域といたします第一師団、陸上自衛隊の場合には中心となりますが、各種救援対策を適切、迅速に実施するための計画をつくるべく、現在、過去に発生いたしました地震の調査とか現地の地誌等の調査を実施しまして、静岡県当局等と連絡調整を行っております。第一師団といたしましては、基礎的調査を踏まえまして、各種の救援対策を具体的にこれから詰めていこうという研究をやっておる最中であります。  しかしながら、これは第一師団だけではできない場面も考えられますので、たとえば東部方面隊、それから中部方面隊、こういう別々の方面区にわたる場合にもなるかと思われますが、そういうことも含めまして、陸上自衛隊のレベルでさらに中央においていわば研究しなければならないと考えております。そしてそれは一種の全般的な対処という問題になりますので、現在、陸上幕僚監部におきまして研究をしておる最中であります。海上自衛隊や航空自衛隊も、たとえば人員とか物資の緊急輸送、そういう方面で海上機動輸送ないしはヘリコプターによる輸送、そういうふうな面からの協力もしなければいけないと考えておりまして、それぞれが研究をしておる最中であります。  東海地震に関しては、大体そういう段階なんでありますけれども、四十六年以来、防衛庁といたしましては、関東南部震災計画というようなものをつくっておりまして、これを基本的には応用するという観点で現在の研究を整備しておるということでございます。  ちなみに、その関東南部地震計画によりますと、自衛隊としては大体約六万人を出せるということでございます。五日以上の期間にわたってでございますけれども。初動はたとえば一万名ぐらいというふうなことから始まるわけですけれども、最終的には約六万名ぐらいを出せる。あるいは車両で申しますと九千両ぐらい。それからヘリコプターや固定翼機、連絡機等を合わせますと、百数十機というもので対処しようという計画を、すでにもうつくり上げておりますので、これを東海の場面で、それは被害の地域にもよりますし、規模やら性質にもよりますが、これを応用していくという方向で現在研究しておる。その際の特色になりますのは、繰り返しますが、先ほどの海上輸送とかヘリ空輸がかなり重点になるというふうな考えでおるわけでございます。  以上でございます。
  421. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 いまお話しのように、五日間で六万人ぐらいのことを考えておられる。おおむね妥当な数字だと思いますが、東海地震が起こった場合も、関東南部に対する自衛隊の出動という計画を具体的に適用できるように、ぜひとも体制整備を図っていただきたいと思います。一刻も早くお願いしたいと思います。  それから救急医療についてお伺いします。救急医療について、どういうようにお考えになっていますか。
  422. 水田努

    水田説明員 救急医療の問題でございますが、救急医療につきましては、地方の段階で地方防災計画をお立ていただいているわけでございますが、ここで、公的病院を軸にしながら民間機関の応援も得まして救護体制を組むように、積極的に国の方は地方に指導をいたしておるところでございますけれども、先ほど先生御指摘がありましたように、イタリアあるいは昨年の南米の例から見ますと、実際に大規模の地震が起きました場合に、こういう救護隊員ができる範囲というのは応急の措置でございまして、手術その他の施設は全部壊滅状態になりますので、私どもは、やはり先生がおっしゃられましたように、空輸力を持っておりますところの自衛隊、警察、それから消防庁の御協力を今後得ながら、被害を受けた以外の基幹病院に積極的に運ぶ。実際問題としては、各国の大きな地震の例を見ますと、現地で対応できるのは応急の程度でございますので、そういう体制の整備関係省と今後よく御相談を進めながら万全を期していかなければならぬ、このように考えております。
  423. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 血液については、どういうように考えておられますか。
  424. 水田努

    水田説明員 血液につきましては、現在、基幹的な血液センターというのが四カ所ございます。これは東京、北海道、大阪、福岡、ここに基幹的な血液センターがございまして、ここを中心にしまして、大体五日分を恒常的に備蓄して持っておりまして、そのほか各県に血液センターがございますが、いままでの国内の災害の例から見ますと、自衛隊の御協力を得まして空輸で運ぶということで対処しておりますので、大体五日分の保存量を持っておりますので応急の措置には対応できる、このように考えております。
  425. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 五日分というのは、何に対する五日分ですか。
  426. 水田努

    水田説明員 この五日分を計算しました根拠というのは、過去の実績から見て、年間で大体一日当たり一万本弱の所要量が必要でございまして、現在約五万本を常時持っておりますので、それを集中的に放出しましても、緊急の場合、相当程度の大きな地震があっても、空輸力だけ確保できれば大体対応できるんじゃないか、このように考えております。
  427. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 いまのお話でございますけれども、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、もう少し突っ込んで対策考えていただかないと、はなはだ頼りないような感じがいたしますので、御検討のほどをお願いしたいと思います。  次に、消火活動に一番必要なのはやはり水でございまして、この水が、普通の貯水槽ですと地震のときはだめになってしまうということでございます。耐震性の貯水槽について、消防庁は五十二年度予算で非常に意欲的にがんばっていただいた点は大いに評価した、と思いますが、なお、どうも実情を聞いてみますと、四十トンの貯水槽に対して——四十トンのものが、小さい都市あるいは町、村については一番需要が多いわけですが、これがいまの消防庁の単価ですと、とても実際のでき上がり金額にはおぼつかないという問題があるようでございます。私の調べでは一個三百万円かかるのに、予算単価で百五十万円しか見ていない、こういうようなことで負担の問題で非常に困っているようでございますが、これに対して、どういうようにお考えになりますか。
  428. 永井浤輔

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、震災時におきます災害というのは火災が非常に振幅をするということで、私ども、まず火災対策といたしまして、出火防止、初期消火、延焼拡大防止あるいは避難の安全性の確保といったようなものに対策を重点的に進めておりまして、ただいま御指摘のありました耐震性貯水槽、可搬式動力ポンプということの整備を促進している次第でございます。  で、東海地域の地震発生の可能性があるということで、今年度から静岡県のこういった地域を補助対象地域として私ども今後進めてまいりたい、かように考えておるわけでございますが、いま申しました耐震性貯水槽であるところの百トン貯水槽につきましては、この補助単価の範囲内でできておるのが現状でございます。  ただ、お話にございました四十トン貯水槽、これは耐震性のものとしての補助を現在いたしておりませんで、いわゆる消防施設整備の普通の貯水槽の補助として出しておるものですから、全国的な補助実績の単価が、たただいまおっしゃいましたような百五十万程度でございますので、それで一応、単価として使っているわけでございます。ただ、四十トン貯水槽の耐震性をどうすべきかというような問題、それからその標準型式あるいはその単価、これは今回の予算の段階で煮詰まりませんでしたので、今後とも検討しようということで相変わらず今後検討してまいりたい、かように考えております。
  429. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 この点については、実は補助率をもう少しアップしてもらえないかという要望もあるわけでございますけれども、いまの予算の見積もり単価が大分現実と離れているということでもございますし、しかし緊急に整備しなければいかぬということでもありますので、起債、あるいはさらに足りない分を特交でぜひめんどう見ていただくとかということをすることによって、この整備を促進していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  430. 永井浤輔

    ○永井説明員 ただいま裏負担につきましては、九〇%という非常に高率な起債の補助充当率を適用いたしております。ただ特交につきましては、そういった特別な地域でございますので、できるだけ特交をやっております自治省財政当局の方にもお願いしてまいりたい、かように考えております。
  431. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 自治省は来ておりますか。
  432. 稻村佐近四郎

    稻村主査 自治省出席要求しておりません。
  433. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 では、ぜひともこの点の手当てを強く要望する次第でございます。  それから次に、LPGのガスですね。これは静岡県は、九十万世帯のうちLPガス使用世帯というのは六十七万と、非常に率が高いわけです。そこで、地震の起こった場合、一般のガスの場合は、ガス会社が根元で切るということはできますけれども、LPの場合は、どうしても個々のバルブに地震のとき自動的に遮断するというような装置が必要だということで、また、これがいろいろなメ−カーから、耐震装置と称するアイデアで試作品的なものが売られておると聞いておるのですけれども、これについて通産省は、安全基準、果たして確実に作動するものかどうか、これについての検査なり審査をしておりますか。
  434. 飛永善造

    飛永説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、LPガスボンベにつきまして、消費先にありますボンベにつきまして、地震の際にはガス漏れがするとか火災になるとかということで、われわれとしても、その対策に非常に苦慮しておるところでございますが、現実に私どもがとっております状況を申し上げますと、昭和五十年度に、私ども関係の特殊法人でございます高圧ガス保安協会の中に、液化石油ガスの消費者保安センターというものを設けまして、そこに付属研究所を設置いたしました。そうして地震対策だけでなくて、消費家庭におけるプロパンガスの保安の確保ということで種々研究を続けてもらっておりますが、その中の一つの大きなテーマといたしまして地震対策ということを取り上げております。  その内容といたしましては、具体的には、先生御指摘のような、地震の際の耐震遮断装置をどうするかという問題。それから、地震のときなんかに、ボンベが転倒することによってガスが漏れるという心配もございますので、その点について適確な方策をどうしたらいいかということを研究してもらっております。ただ、この耐震遮断装置につきましては、これを実用化する場合にはいろいろ問題がございまして、たとえば、耐震遮断装置の取りつけによってガスの圧力の損失が生じまして、それによって立ち消えが生じるとか、あるいは震度をどれぐらいに設定して遮断したらいいかとか、あるいは一応消えたとしても、ガスをとめましても、その後に二次的にまた漏れるような心配はないかとか、いろいろ問題がございまして、一昨年来いろいろ技術的な研究を進めてもらっております。現在のところ、一応、理論的な詰めはほぼ終わってまいりまして、試作品等につきまして、今後、実際に作動させる等によりまして、問題がないかどうかということを検討する時期に参っております。
  435. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 いま御説明をいろいろ伺ったのだけれども、どうもはっきりした結論を出さないままに、どんどん民間では事態が進行しているということでは非常に心もとないわけです。早急にひとつ安全基準を出していただいて、しっかりした指導をやっていただきたいと要望しておきます。  それから次に、津波対策について伺います。  私は、地震の場合の海岸地域の津波による被害というのは、大変恐ろしいものだと思うのでございますが、目下、津波についての調査というものは余りなされていないわけですね。大体、海岸事業並びに港というのは、いろいろな省にまたがっておりますので、ひとつ一貫した津波調査を、ぜひいま科学技術庁で調整費等を使ってやっていただきたいと思うのですが、これについていかがですか。
  436. 佐藤稔夫

    佐藤(稔)説明員 お答えいたします。  ただいまの問題につきましては、先生のお言葉の中にもありましたように、海岸事業につきましては、農林省におきましては構造改善局並びに水産庁、建設省の河川局、それから運輸省の港湾局、四省庁にまたがって実施をいたしております。たまたま今年度は水産庁が当番になっておりますので、水産庁が幹事庁としてお答えしたいと思いますが、ただいまの御指摘の件につきましては、私どもの方でも、以前より静岡県等と打ち合わしておったわけですが、いま御指摘のように、各省庁にまたがった問題でございますので、先生の御意見を参照させていただきまして、予算等並びに調査の方法等含めて、関係四省庁で協議をして検討してまいりたい、このように考えております。
  437. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 科学技術庁どうですか、調整費をひとつ支出して。
  438. 園山重道

    ○園山政府委員 ただいま、津波が地震の場合に非常に災害をもたらす重要な問題であるという御指摘、まさに私どももそのように認識をいたしておりますけれども、具体的にこの津波に対しまして、私どもに計上されております特別研究促進調整費をもって何らかの調査研究をするという計画は、いまございません。
  439. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 計画はないということでは困るので、ぜひひとつ四省庁と御協議いただいて、津波のシミュレーションなり、あるいはモデルなりで影響の度合い等について研究していただきたい、調査していただきたいと要望しておきます。  それから次に、海岸事業について御質問申し上げたいのですが、特に地震の想定される地域である静岡県の海岸につきましては、特定海岸に指定していただいておるわけですけれども、年々侵食が激しくて、これは地震の津波を待たずしても、台風等が来た場合に、波が海岸から人家に入るということが憂慮されておるわけでございます。  そこで、建設省、農林省にお伺いしたいのですが、建設省の直轄事業をやっておられる大井川町の藤守、それから、特定海岸である相良海岸と片浜海岸について、相当侵食が激しいということで、ぜひとも今回、五十二年度の予算で大幅な手当てをしていただきたいと存じます。  それから、農林省所管の焼津の離岸堤の建設でございますが、これについても、ぜひ促進をしていただきたいと考えるわけでございますが、これらについて、関係当局からひとつ御答弁願います。
  440. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先生おっしゃいました直轄海岸の大井川工区でございますけれども、これにつきましては、昭和三十九年から直轄事業に着手しておりまして、本年度までに堤防は約二千六百メートル、突堤が十六基、すでに完成しておるわけでございます。  いま先生おっしゃいました大井川工区の藤守でございますけれども、これにつきましても、現在工事をやっておりますけれども、引き続き堤防並びに突堤の促進を図ってまいりたいというふうに考えます。  それから相良、片浜海岸でございますけれども、最近、海岸侵食といいますか、汀線の後退が著しくなってきたわけでございます。したがいまして、昭和四十九年度から堤防の補強、それから消波工の新設を実施しておる次第でございます。昭和五十一年度までに、消波工につきましても百九十メートル程度できておるわけでございますが、今後ともその促進を図ってまいりたいというふうに考えます。
  441. 佐藤稔夫

    佐藤(稔)説明員 焼津の漁港の海岸につきましては、御存じのように、堤防等を築きまして、突堤あるいは消波工等をもちまして侵食対策を実施してきたわけですが、どうもそれだけでは十分ではないということで、四十九年度より離岸堤を設けることにいたしまして、現在実施中でございます。御存じのように、浜当日地区と鰯ケ浜地区と二地区に分かれてございますが、当面、浜当目地区につきましては、昭和五十二年度で一応完成させるということを目途としております。引き続きまして、それが終了しました暁には鰯ケ浜地区にも手をつけたい、促進していきたい、こう考えております。
  442. 原田昇左右

    ○原田(昇)分科員 最後に建設大臣にお伺いしたいのです。  このように、国土の保全の意味からも、海津事業というのは非常に重大な問題だと思うのですが、どうも予算で私ども海岸の事業について見ておりますと、年々相当事業費を投入しましても、お金がかかってなかなか完成されないというところに非常に問題があるように見受けます。ぜひとも、地震の防災ということも踏まえまして、こうした地域について相当思い切った予算をひとつ投入していただきますように要望する次第でございますが、建設大臣の所見をひとつお伺いいたします。
  443. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 御承知のように事業費が年々増加してきております。しかし、それに追っつかないほどでもないのですが、ことしあたりは思い切った措置を講じておるつもりでございますけれども、さらに明年度あたりからは、事業費に伴う価格の査定をしていかなければならぬというふうに考えております。
  444. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて原田昇左右君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十二年度一般会計予算国土庁所管に関する質疑は終了いたしました。  次回は、来る十四日午前十時より開会し、建設省所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時十五分散会