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1977-03-15 第80回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十五日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 木野 晴夫君       瓦   力君    瀬戸山三男君       増岡 博之君    上原 康助君       新村 勝雄君    中西 績介君       野坂 浩賢君    近江巳記夫君       松本 忠助君    宮井 泰良君       宮地 正介君    伊藤 公介君       大原 一三君    兼務 加藤 万吉君 兼務 多賀谷真稔君    兼務 村山 富市君 兼務 草野  威君    兼務 玉城 栄一君 兼務 大内 啓伍君    兼務 瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君  出席政府委員         国防会議事務局         長       久保 卓也君         防衛庁参事官  水間  明君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         外務省アメリカ         局外務参事官  浅尾新一郎君         大蔵省主計局主         計官      岩崎  隆君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         建設省都市局公         園緑地課長   三好 勝彦君     ————————————— 分科員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   根本龍太郎君     増岡 博之君   安宅 常彦君     野坂 浩賢君   上原 康助君     中西 績介君   近江巳記夫君     松本 忠助君   大原 一三君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   増岡 博之君     根本龍太郎君   中西 績介君     新村 勝雄君   野坂 浩賢君     安宅 常彦君   松本 忠助君     宮井 泰良君   伊藤 公介君     川合  武君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     上原 康助君   宮井 泰良君     宮地 正介君   川合  武君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   宮地 正介君     近江巳記夫君 同日  第三分科員賀谷真稔君、草野威君、玉城栄一  君、第四分科員大内啓伍君、第五分科員加藤万  吉君、瀬長亀次郎君及び第六分科員村山富市君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算総理府所管(防  衛庁関係)      ————◇—————
  2. 瓦力

    瓦主査代理 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。  昭和五十二年度一般会計予算総理府所管について質疑に入ります。  防衛庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増岡博之君。
  3. 増岡博之

    増岡分科員 きょうは、防衛につきまして、その最後の方法といいますか、いろいろな行動があるわけでありますけれども、最終的には射撃を行わなければならない、侵略してくる敵を倒さなければならないわけでございますので、その点を中心にいたしまして、非常に素朴な質問で恐縮でありますが、いろいろお答えを願いたいと思うわけでございます。  まず最初に、自衛隊出動につきましては、法律によって総理大臣が、国会承認あるいは緊急の場合には事後の承認に基づいて出動を命ずることができることになっておるわけでございます。しかし、われわれの常識からいたしまして、たとえばどこかの国の航空機領空を侵犯する、侵犯するのみならず、退去の意思表示をしても退去しない、さらには、ついに爆弾を投下するという場合があり得るわけでありまして、その瞬間的な際に総理大臣出動命令することは不可能でございます。そういう際に、その敵機に接触を保っておった自衛隊航空機にどのような対処の方法があり得るのか。端的に言いますと、自分判断射撃を開始することができるのかということをお尋ねいたしたいと思います。
  4. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいまの御質問自衛隊出動ということでございますが、例示されました領空侵犯の問題につきましては、自衛隊は、有事においては七十六条によって防衛出動が下令されますし、治安出動も下令されるわけでございますが、平時における唯一の命令による任務といたしましては、領空侵犯に対する措置というのがございます。  これは、御承知のように、航空機侵入領空侵入するものに対しては、これに対する警察行動としての任務自衛隊が負っているわけでございます。まずスクランブルに上がりますときには、いま先生も御指摘になりましたように、いわゆる総隊司令官命令によって飛び上がっていくということになりますと、瞬時を争うことになりますので、通常のスクランブル態勢としては、航空自衛隊は、内訓によって、レーダーサイト指示に従ってスクランブルに上がっていくという態勢をとっているわけでございます。したがいまして、飛行機は、防空識別圏を突破して日本領土に近づいてくる敵、味方識別不能の飛行機が発見されますと、直ちにスクランブルに上がってまいります。そして、さらに領空に向かって飛んでくる場合に警告を発し、機位を失っている飛行機に対しては誘導し、さらに侵入の方向が明らかになった場合には、これを着陸させるというような措置をとるわけでございますが、この間の武器の使用につきましては、いわゆる正当防衛あるいは緊急避難に対処する形で許されているわけでございます。その判断につきましては、国際法で認められている範囲正当防衛という形において、パイロットの判断によって武器を使用することになります。
  5. 増岡博之

    増岡分科員 私はそれが当然なことであると思うわけでありますけれども、そのことが現地第一線指揮官に徹底しておるのかどうか、あるいは一般国民がそのようなことを理解しておるのかどうかということに一抹の不安を覚えるわけでございます。航空というものは大変な技術を要するわけでございまして、私どもそういう経験がありますけれども、現在のような、マッハ以上のスピードを有し、しかも複雑な機構を持っておりますミサイルを発射しなければならぬ、なおかつ地上の管制の指揮下におらなければならない、そういう非常に複雑な条件下で判断を下さなければならないわけでございます。したがって、それだけ第一線指揮官には、非常に単純な形で、シンプルな形で判断基準がなされるような教育をしておかなければならないのではないか。戦闘機に乗っておって、国際情勢国際法その他を考えながら、これが正当防衛であるという判断が下せるものではありませんから、その点は適切によく指導しておいていただきたいと思います。  なお、念のためもう一回お尋ねいたしますけれども、私が先ほど申しましたような事象があらわれました場合には、国際法上全く公に認められた正当防衛判断をしてよろしいわけでございますね。
  6. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 正当防衛緊急避難の場合に武器を使用するということは、内訓で達せられております。その場合に、よくこういう議論が出てまいります。向こうが撃ってこなければこちらが撃てないから、撃つ時期になったら自分の方はやられているのではないかということがよく議論されるわけでございますが、これは、国際法上認められている正当防衛範囲、いわゆるわが国の領土国民に対して危害を加えるような事態に対しては武器を使用することが許されるというふうに解しておるわけでございます。
  7. 増岡博之

    増岡分科員 それに付随しまして弾薬のことでございますけれども、これは航空隊に限ったわけではありませんが、自衛隊が用います弾薬も当然火薬が入っておるわけでありまして、この扱い方につきましても、保存の方法あるいは運搬の方法について、通産省所管火薬類取締法に拘束されておると聞いておるわけでございますが、間違いはございませんか。
  8. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 平時におきましては火薬類取締法範囲でございます。
  9. 増岡博之

    増岡分科員 これは法的には、平時有事と際立って区別がなされなければならないと思いますけれども有事に備えて平時から弾薬を保存しておかなければならないという問題があると思います。特に陸上自衛隊の場合には、駐とん地あるいは予想される必要な場所には弾薬を積んでおかなければならない、こういう問題もすべて、ただいまのようなことで火薬類取締法制約を受けますので、必要な場所に必要な量の弾薬を貯蔵することはなかなかむずかしいということが考えられるわけでございます。現在の日本国民あるいは国会を含めての国防意識のレベルから申しましても、なかなかそういう国防意識が高揚されていないというところから、いろんな制約を受けて、そして不自由な体制で防衛を行わなければならぬということに私は非常に同情いたしておるわけでございます。その弾薬一つを貯蔵するということも、有事のときにそれじゃ持っていけばいいじゃないかということでありますけれども、われわれの国を守るためには、いつから有事でありますという予測が成り立たない場合、突発的な戦争状態ということもあるいは考えておかなければならないということになりますと、やはり平時からその弾薬を適当な場所に適当な量保存しておくということが必要ではないかというふうに思うわけでありますし、またさらには、現地部隊で話を聞きますと、いよいよ敵が上陸してきた、そのときにわが方が発砲して、もし万一日本国民の生命に損害を与えたり財産損害を与えたりした場合には、日本国内法で一体どうなるんだろうかという不安があるわけでございます。したがって、そういう手かせ足かせというものをはめながら、しかも国民総生産対比〇・八%、予算対比六、七%というようなことで予算の枠を仕組み、その中でやっておられるということについては私は非常にお気の毒にも思うし、特に法律の問題につきましては、われわれ自体がもう少し考えて改善をしておかなければならない問題であろうと思います。しかし、この点につきましては、なかなか防衛庁の方からお答えはむずかしかろうと思いますので、お答えいただかなくても結構でありますけれども、その厳しい枠、法的な社会的な枠あるいは予算的な枠の中で、敵があらわれた場合には何としてもそれを倒さなくてはならないということで、この数年、数的な増大よりも質的な改善を図るということで、自衛隊員練度の向上について意を用いておられるということについては敬意を表するところであります。ありますけれども、この練度という中には、われわれ素人から考えますと、まず敵に接触するまでの、陸上であれば兵隊さんを運ぶ、海上であれば護衛艦が敵のところまで近づく、航空機であれば管制塔の指示を得て敵機の付近まで達するという、こういう運ぶ面での練度という問題と、きょう私がお尋ねしようとしております。実際にそれでは敵に接近した場合に、射撃を開始してそれを倒す能力射撃に関する訓練練度という問題と、私の分類の仕方、大変申しわけありませんけれども、この双方があろうかと思うわけであります。もちろん基地から前線に対する補給の問題その他もありましょうけれども、そういう意味合いで、この練度を高めるというもくろみの中でどういうふうな原則でやろうとなされておられるか、差し支えなければお聞かせ願いたいと思います。
  10. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 大変幅広い御質問でございまして、全部御説明申し上げるのには余り時間がないと思いますので、要点だけを御説明申し上げたいと思いますが、練度と戦う場合の意気込みと申しますか、これは二つの面があると思います。戦う際に本当の勇気が出せるかという問題になりますと、これは自衛隊は過去二十数年間実際に武器をとって戦ったことはないわけでございまして、このことはある意味におきましては、士気という形になりますと、日本だけではなくヨーロッパ各国とも、いろいろその問題についてはどういうような形で教育をするかというのが問題になっているようでございます。しかし一方、この技術的な面で十分な練度を与えることができるかどうかという問題でございますが、先生がそれぞれの部隊に参りますと、恐らく各部隊とも、弾が足りない、もう少し訓練弾が充実して演習が行われるようにしてもらいたいという声が部隊からは出てまいると思います。このことは、やはり訓練をして練度を上げるということに生きがいを感じております部隊にとりましては、多ければ多いほど彼らの希望を満たすという形でございますので、当然でございますけれども陸幕が旧陸軍状況あるいは諸外国の状況などから判断いたしまして、一応それぞれの部隊に対する射撃訓練基準というものを設けております。たとえば普通科の小銃につきましては年間一人百七十五発撃たせたいというようなこと、あるいは百五十五ミリのりゅう弾砲の一個大隊については八百発を基準として撃たせたいというようなことで、全部が全部このとおりいっているかどうかということは必ずしも確認いたしておりませんけれども、私どもが把握しております範囲では、それぞれの基準弾数というものは年間撃つように心がけているというふうに承知いたしております。  これが現実練度にはね返ってまいりますのは、それぞれの部隊におきます検閲その他におきましてその練度をチェックする機会がございますが、これによりますと、まず射撃精度等につきましては九〇%程度検閲結果が出ておるようでございますし、特にナイキ、ホークというものは他国に比較する機会があるわけでございまして、毎年アメリカに行って射撃を実施いたしておりますが、その成績というものは、世界各国から集まってくる中で常にトップの成績をおさめているということで、いわゆる技術的な練度というものは一定のものを確保しているというふうに私どもは考えている次第でございます。
  11. 増岡博之

    増岡分科員 きょうは私は冒頭に射撃のことを申し上げたので、ストレート射撃の話に入ってきたわけでありますけれども練度を高めるということをいろいろな会合でお尋ねしますと、射撃ストレートには入ってこない。船を運航させるための燃料がたくさん要りますとかあるいはいろいろな施設が要りますとか、そういうバランス的な模範答案みたいなお答えが多いわけであります。  そこで私、考えますのは、幾ら自衛艦を上手に運航させましても、敵の艦艇と遭遇する、そのときに射撃を開始する。向こうも撃ってくるわけでありますから、射撃練度向こうに劣るということであれば当然撃沈されてしまうわけです。それならば何も敵の近くに行かなくたっていいわけです。むしろ逃げ回っておった方が、そうして時間をかせいで、何か有利な条件で、こちらが有利な立場で戦えるときにやればよろしい。私は逃げるということをそう卑屈に考えなくてもよろしいと思うのですけれども、しかし、できればやはり高い水準射撃向こうを倒していただきたいという気持ちがあるから申し上げているのです。そして射撃というものは、私も軍隊経験がありますけれども、非常に精神的な極限状態のもとで行われる作業であると思うのです。自分の体験で笑い話みたいなことを申し上げて恐縮ですけれども、私が軍隊時代外地に転属になりまして、輸送船に乗りました。ある日、敵の——敵といっても、米軍潜水艦から魚雷が発射されました。これは隣の船の向こうから発射したわけでありまして、隣の船はうまく逃げてしまった。右前から来たわけです。それが航跡が見えておる。そこで、当時の常識といたしまし工は、魚雷が来た方へ向かっていけ。船は水を分けて走るわけでありますから、したがって、その水圧でそれて、舷側すれすれを通って後ろへいってしまうというのが常識である。私は陸軍であったけれども、そのくらいのことは知っております。それで当然船長は右へかじを切れという命令を下したわけです。ところが、かじをとっている人が左へ切ってしまった。それで私は二発ほど魚雷を食らったわけでありますけれども常識として魚雷に向かっていけ、その方が助かるのだということは普段教育をされて、また現に船長は右にかじをとれという命令を下しておっても、魚雷が向かってくればつい逃げたくなるというので、左にかじを切ってしまった。こういう状態のもとで射撃というものは常に行われると思うわけであります。したがって、よほどの訓練がないと、あるいはもう無我夢中で撃ったらば当たっておったというところまでの訓練をしておかなければとても戦えるものではないというふうに私は思うわけでございます。  そこで、いろいろお尋ねしてみますと、これは記録に残す意味で申し上げるわけでありますけれども、軽火器の弾数年間百七十五発、スイスは五百発、米国は六百二十発、大砲の場合を申し上げますと、百五ミリりゅう弾砲日本は百二発、米国は二百六発、戦車砲に至りましては日本は四十一発で、米国が百四十二発、西独でも九十一発、しかもこれは皆さんがおつくりになっている基準であろうと思うのです。訓練計画に基づかれる基準であろうと思う。ところが、予算をつくる際にその費用が取れなければこれ以下であるということがよく現地で言われております。  それから、もとへ戻りますけれども防衛局長がいみじくも言われましたが、戦地に赴く際に、自分が弾を撃てば当たるのだという信念がなくして戦意が出るものではないと思います。また、私の申しましたように、頭から負けるのであれば逃げ回って時間をかせいで米軍が支援してくれるまで待てばよろしいというような考え方も、これもまた戦略戦になるかどうかわかりませんけれども、しかし、日本人が一発も弾を撃たないで米軍が来るまでうまいぐあいに待とうなんということは、これは日本国民として考えるべきことではないし、できるだけ与えられた条件のもとで最大の犠牲を敵に払わせるということが望ましいわけでございますから、そういう意味で、射撃訓練につきましては、これほどの格差がある。しかし、一面から言いますと、米国スイスと比べててみても無用のものかもしれない、米国スイスと戦うわけではないと思いますから。したがって、近隣の国ということを考えて、現在では仮想敵国という言葉が使えないという非常におかしげな世の中になっておりますけれども、そういう国々の訓練度合い日本訓練度合いを考えて、防衛というものはやはり相対的な力関係であろうと思いますから、その点抜かりなくやっていただきたいと思うのです。  そこで、もう一つお尋ねいたしたいのは、そういう射撃訓練に要する弾薬のための予算が削られて、規定数に達しないという場合があるのかないのか。あるいは、さらには有事の場合には弾薬備蓄を相当しておかなければならないと思います。そういうようなことにつきまして皆さんのやっておられるお考えをお聞かせ願えればと思います。時間がございませんので、ごく簡単にお答え願いたいと思います。
  12. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生の御指摘になりました点が私どもも常に反省しているところでございますが、一応基準というものを定めまして、年間訓練射耗量というのは過去大蔵省もお認めいただきまして、訓練は実施しているわけでございます。ただ問題は、備蓄にまで回らなかったというところに私どもは反省しなければならない点があろうかと思います。その意味で、今度の防衛計画の大綱によりまして一応四次防の水準ということで量的な増加ということを抑えまして、そういった意味備蓄なりあるいは先ほど御指摘いただきました弾薬庫の設備なりというものに努力いたしまして、現時点におきます防衛力の層の厚さというものを重視しながら防衛力を整備したいというのが、このたびの基盤的防衛力考え方の背景にあるものでございます。
  13. 増岡博之

    増岡分科員 皆さんの方でも大変に御苦心しておられるし、われわれの側もそれを支援する態度、行動というものをとっていかなくてはならないと思いますけれども、しかし、途中申しましたような、国会を含めて日本じゅう全体が国防意識に燃えていないという現状を考えると、やはりかなりの期間厳しい現実のもとで訓練をなさっておいでにならなければならないと思うわけでございますから、どうかそういう現実も御認識いただきまして、われわれも努力いたしますけれども、その乏しい中でも本当に実戦に役に立つ分野の訓練というものをおろそかになさらないでいただきたいと思います。特に弾薬備蓄という問題につきましては、有事の際、そのときにつくればよろしいじゃないかということでありますけれども生産能力あるいは工場配置、たとえば砲弾をつくる工場が、何カ所か知りませんけれども、そういうものが敵に押さえられた場合には、つくるわけにはまいらない。そういう配置まで考えておかなければならないわけでありましょうが、きょうは時間がございませんので、この程度で終わらせていただきますが、重ねて申し上げますけれども、現在与えられた条件のもとで最大有効な訓練計画をつくっていただきたい。また、特に射撃の面では訓練用弾薬あるいは備蓄用弾薬ということにも十分な御留意をいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  14. 瓦力

  15. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、福岡県の築城基地の問題について、時間の許す限り簡単に質問を申し上げ、特にまた三十分しか時間ございませんので、簡明にお答え願いたいと思います。福岡県の築城基地軍事的防衛機能と位置づけについて御説明を願いたいと思うのです。私は、大陸に向けての基地として最も近いところにあり、仮想敵国を想定してこの基地が強化されていっておるのではないかというように理解をするわけでありますけれども、この点についてお答え願いたいと思います。
  16. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  築城基地は、御承知のように、北九州を中心といたしまして、西部防衛区域防空の任を果たしておるわけでございまするが、現在第八航空団をあそこに配備をいたしておるわけでございまして、それにはF86F戦闘機部隊二個飛行隊を第八航空団は持っているわけでございます。それとともにナイキJ装備を持っておりまする高射部隊一個隊を持ち、その他四隊等がおるわけでございます。御承知のように、そうした配備のもとに西日本の地域におきまする領空侵犯等に対処するとともに日常の訓練活動をいたしておる、そういう任務を持っておるわけでございます。
  17. 中西績介

    中西(績)分科員 いまお答えいただきましたように、F86F二隊を配置しておると言われますけれども、将来的には、F4EJ、いわゆるファントム配備を計画しておるのではないかと思うわけであります。私が防衛庁の方から取り寄せた資料の中では、滑走路改修工事終了以降に、いわゆるかさ上げをした後にこの配置を考えておられるようでありますけれども、その時期的なものはいつごろになるのか明らかにしてほしいと思います。
  18. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、私どもF86F二個飛行隊のうちの一個飛行隊ファントムに代替したいと計画いたしております。そしてそのかさ上げ終了後ということでございますが、いまの工事のテンポで参りまして、はっきりわかりませんけれども、夏以降なるべく早い時期にファントム配備したいと考えておる次第でございます。
  19. 中西績介

    中西(績)分科員 そうしますと、現在ファントム配置されておる百里あるいは千歳、小松に続いて配備されると思うのですけれども、編成内容はどういうようになるのか明らかにしてほしいと思います。
  20. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 86Fの一個飛行隊が二十五機の編成でございます。104以降は一個飛行隊の編成が十八機になっておりますので、今度配備されるファントムも一個飛行隊十八機の定数で配備をすることになります。
  21. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、これとの関連の中で騒音問題についてお聞きをしたいと思いますが、環境庁お見えですか。——「航空機騒音に係る環境基準について」というのが四十八年の十二月二十七日に告示として出されております。その中に公害対策基本法第九条の規定に基づいて第一に環境基準が示され、第二に達成期間が規定されておるわけでありますけれども、これは軍事基地周辺においても同様に適用されるものかどうか、この点について明らかにしてほしいと思います。
  22. 波多秀夫

    ○波多説明員 航空機の騒音に関する環境基準につきましては、自衛隊等の使用する飛行場につきましても同じように適用されるということでございます。
  23. 中西績介

    中西(績)分科員 軍事基地におきましてもこのように適用されるということになりますと、築城の基地におきましても、告示に沿って実測と調査がなされておるのではないかと思うわけです。と申しますのは、七十五国会におきまして答弁の中に、五十年まで二十五ジェット基地調査結果を公表すると言っておりましたけれども、この点についてどのようになっておるのか明らかにしてほしいと思います。
  24. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  築城基地周辺の環境基準に基づく調査は実施しております。しかし、先ほど来御質問のございますように、ファントム配備した後はまた調査をし直さなければならない、現在こういう事情にありますので、地元の意見聴取は現在まだ了しておらない、こういう段階でございます。
  25. 中西績介

    中西(績)分科員 そういたしますと、ファントムについてはこのようなコンターによる線引きがないということでありますが、現在までの分についてはあると思いますので、この点については明らかになっておれば資料なりを提出してほしいと思います。
  26. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  現在まで調査をした分につきましては、資料を提出するように配慮いたします。
  27. 中西績介

    中西(績)分科員 特にその中で現在までの調査の結果、築城の基地というのは飛行場の区分あるいは達成期間の中でどれに該当しておるのか、この点を明らかにし、そしてファントムの再調査についてはいつの時期にこれをやるのか、時期的なものがわかれば明示していただきたいと思います。
  28. 平井啓一

    ○平井政府委員 昭和四十八年の環境庁の告示に従いまして、自衛隊等の飛行場に関しましてもその達成すべき基準の期間とかあるいはそれの前提になります飛行場の区分についても、当然防衛庁におきましても検討しておるところでございます。  ただ、あの環境基準にも示されておりますように、自衛隊等が使用する飛行場につきましては、一般の民間航空の飛行場と態様が違いまして、いろいろと平均的な離着陸の回数とかあるいはたとえば機種の相違だとか周辺の人家の密集度の違いだとか、そういった態様が民間飛行場と趣を異にしておりますので、そういった態様をわれわれの方で十分検討しながら、民間飛行場の区分に準じて改善目標が達成されるように努力しているところでございますが、現在のところ、先ほど防衛施設庁の施設部長からも答弁ございましたように、まず騒音の測定等の作業も必ずしも全部終わっているわけでもございません。そういった状態を踏まえながら、類似の条件にある公共用飛行場の区分に当てはめる点でいろいろと困難な状況にありますが、できるだけ早くそういった民間飛行場の区分に準じた区分を考えながら環境基準の達成に努力していきたい、そういうふうに考えております。
  29. 中西績介

    中西(績)分科員 そういたしますと、現在までもこの区分なりあるいは達成期間についてどうなっておるかということが明らかになっていないということですか。ファントム配備とは別個に、現在までの期間におきましてもそれが明らかにされていないということをいま答弁しているのですか。そこら辺を明らかにしていただきたい。
  30. 平井啓一

    ○平井政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたような自衛隊の飛行場の特殊な態様なり周辺の事情でございます。また、騒音の測定等も二十五の飛行場、対地射爆撃場に関しまして、すべてが完全に終わっていない状況でございますので、飛行場の区分につきましては、防衛庁としてはまだ考えておりません。  ただ、しかしながら、四十八年に示されました環境基準の達成という点に関しましては、たとえば音源対策とかあるいは周辺における防音対策とかいう点につきましては、防衛庁なりあるいは防衛施設庁において努力はしているところでございます。
  31. 中西績介

    中西(績)分科員 この点に関しましては、いろいろな施設等について努力はしてあると言いますけれども、少なくとも飛行場の区分なり、こういう問題を明らかにしていかない限り、目標なりが明らかにならないわけですから、この点は早急にやるべきではないかと思いますので、一定の期間なりをこれから後検討いたしまして示していただきたいと思います。  時間がありませんから、次に入ります。  そこで、ファントム配備について御質問を申し上げたいと思います。昭和五十一年十一月に、地元の築城基地周辺市町村協議会と防衛施設局長との間においていろいろな折衝がなされたようであります。その中におきまして、防衛庁の方から示されております書類によりますと、地元折衝の経過の一番最後のところに、五十一年十一月の第三回の連絡協議会において、当局は、調整交付金並びに周辺対策事業について最終的回答を行い、一市三町側のF4EJファントム配備への協力の約束を取りつけたというように書かれてあります。このように取りつけたと言われますけれども、少なくともこれらの問題に関しましては、住民とのコンセンサスが十分なされることが必要ではないかと思います。特にそれぞれ了解さるべき事項が三点くらいあるのじゃないか、こう考えます。特に騒音対策の問題にいたしましても、あるいは安全対策、周辺の民生対策などについては、住民との関係で十分了解点に達した中からこのことについては協力を取りつけたということが言えるのではないかと思いますけれども、先般の一市三町の市町村議会に向けての請願書を見てみますと、築城基地へのファントム配備に関する請願というのがありますけれども、これを見ますと、そういうものが十分なされてないということが明らかにされて請願がされておるようであります。そういうことを考えてまいりますと、この協力取りつけをやりました際に協定書はでき上がっておるのかどうか、この点を明らかにしてほしいと思います。  なぜ私が特にそのことを申し上げるかと申しますと、この築城より前にファントム配置されました小松基地におきましては、小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書なるものがあるわけです。ところが、三月十日、地域の住民の皆さんが地域周辺の市町村協議会長であった椎田の町長と話をいたしました際に、協議会長は、何もそういう協定書なるものはないということを言っておるようであります。ということになりますと、何を基準にしてこういう協力なるものを取りつけたのか、この点を明らかにしてほしいと思います。
  32. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  いま先生指摘の地域住民の方々との協定書は具体的には締結してございません。御案内のように、一市三町の地方公共団体の長の方々の同意を得まして、あとはお互いに相互信頼でもって今後十分話し合いができる、こういうふうな観点に立って従来進めてまいりました対策を今後も積極的に進めていくということで、私どもは円満にお話し合いができるものというふうに考えておる次第でございます。
  33. 中西績介

    中西(績)分科員 協定書は全くなし、そして相互信頼の上に立って円満に話を進めていくことができるという答弁がいまあったわけであります。ところが、この周辺市町村協議会なるものは三月七日に解散をいたしておるわけであります。ということになりますと、そのような円満に話をしていくといたしますと、だれを対象にしていくのか。しかも、先ほどから指摘をいたしておりますように、この問題については地域住民とのコンセンサスが十分になくてはならぬにもかかわらず、そのような、住民の皆さんについては全くそういう話し合いがなされておるということも知らないという条件の中でありますから、本当にそういうものが相互信頼の上に立ってできるのかどうか、その点どのようにお考えになっているのか。
  34. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  私どもは、築城周辺の周辺対策につきましては、従来まで一市三町並びにその他の周辺の市町村の方々とも十分お話し合いをし、円満に事を運んできたつもりでございます。したがいまして、今後もその精神のもとに、各市町村を通じまして住民の方々とも十分お話し合いができる場をつくりまして、その場を通じましてお話し合いの上、円満解決を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 中西績介

    中西(績)分科員 再度確認をいたしますけれども、もうすでに三月七日に周辺市町村協議会なるものは解散をして、ありません。ですから、いまここに示されております九月二十二日の防衛施設局長の方から示されました協力依頼、それに対応する十一月二十六日に示されました基地周辺の協議会、市町村長あるいは議長の連名による協力することを同意するというこのことに関しても、それを受ける側はもうすでに存在はしないわけですね。ということになりますと、だれを対象にするかということをお聞きした点、先ほど言われておりますように、各個別の市町村あるいは地域の住民と十分話し合いをする中で円満にこれを処していきたいということに了解してよろしいですか。
  36. 高島正一

    ○高島政府委員 そのように承知しております。
  37. 中西績介

    中西(績)分科員 それでは、騒音対策につきまして二、三お聞きしたいと思いますけれども、この騒音対策については幾つもの対策があると思いますけれども、まず一つは音源対策だろうと思います。この音源対策の内容と今後の計画について明らかにしてください。
  38. 平井啓一

    ○平井政府委員 御指摘のとおり、騒音対策につきましては、広く分けまして音源対策と周辺対策といったものが範疇としてはあろうかと思います。  音源対策につきましては、まず築城飛行場におきまして飛行します航空機の飛行時間の規制と申しますか、それを現在も努力しておりますし、今後もそのようにやっていきたいと思っております。  まず、日曜日、祭日におきますところの訓練は、特別な場合を除いては行わないというふうに現在やっておりますて今後も考えております。また、それ以外の日常の飛行訓練につきましても、午後の十時から翌朝の六時まで、いわゆる夜間に関しましては原則として実施をしない、そういうことにしております。それから地上におきますところのエンジンの整備運転につきましては、夜の午後八時から翌朝の六時までの問は原則として実施しない。それから整備運転を行う場合には消音装置、いわゆるサイレンサーというものを用いることにしておりまして、現在築城におきましては86Fのエンジン用サイレンサー、それから機体用サイレンサー、それぞれ一基を使用しております。なお、ファントム飛行隊を当築城基地配備することに伴いまして、ファントム用の消音装置につきまして、現在滑走路かさ上げ工事と並行いたしまして、エンジン用、機体用、それぞれ一基を建設中でございます。音源対策につきましてはそういうふうに考えております。  なお、飛行コース等の飛行経路等につきましても、これは音源対策の範疇にも入る面もございますが、あらかじめ御質問を承っております安全対策の範疇にも入るかと思います。この点については後ほどの御質問に従わせていただきたいと思います。
  39. 中西績介

    中西(績)分科員 いま言われました音源対策については一応わかりましたけれども、ただ問題は、一基ずつこれらを設置することによってできるのかどうかという問題については、また後であれしたいと思います。  ただ問題は、そのほかに防音堤なり防音林なり、本当に地域住民に対するこういう音源対策をやっていくとするならば、なくてはならないと思いますけれども、これらについてはどうなっているかを後で一緒にお答え願いたいと思います。  それから、周辺対策につきましては、当然これは、騒音をもたらすのは国が加害者としてやるわけでありますから、すべてこれは加害者負担というのが原則であろうかと思います。そういう中で、全額補助なりあるいは一部補助ということに一なっておるようでありますけれども、この問題については、少なくとも現在の市町村における地方自治体財政事情等から勘案いたしましても、助成すべきその中身というのは全部をやるべきではないか、そのように考えるわけであります。前の七十五国会、大臣答弁の中にもありますように、住民の納得のいくよう最善の努力をしていきたい、こう言われておるわけでありますから、この点についてはどのようにお考えになっておるのか。もしこれらについての資料がありましたら、資料を提示願いたいと思います。
  40. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  騒音対策につきましては、御案内のように、防衛施設周辺生活環境整備法に基づきまして従来対策事業をやってまいったわけでございますが、御指摘の、加害者負担で一〇〇%補助すべきじゃないかというお話でございますが、この法律のたてまえはそのようなたてまえになっております。ただし、利する限度があった場合はこれは差し引くということになっておりまして一〇〇%補助ということになっておるものと思います。私どもは、従来この法律に基づきまして全力を挙げて対策事業に取り組んでまいったつもりでございますし、今後もまたファントム配備という重大な、重要な問題に逢着しておるわけでございますので、当然地元の方々とも十分お話し合いの上、円満に処理していきたい、このように考えておる次第でございます。
  41. 中西績介

    中西(績)分科員 次に、安全対策についてどのような施策がなされておるかについてお伺いしたいと思うのです。  その際に、この飛行コースについてもやはり同じことが言えると思いますが、当局の方から示されました飛行コース、これもファントム配備された後もこの飛行コースでよろしいのかどうか、この点もあわせてお聞かせ願いたいと思います。そして、先ほどの防音堤なり防音林なり、その他の音源をどのように処置していくのか、追加をしてお答え願いたいと思います。
  42. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 安全対策というのは、私ども飛行機の運用につきまして一番留意しているところでございますが、大きく分けて三つ、築城の場合には実施をいたしておるわけでございます。御承知のように、飛行経路は市街地を避けるようにいたしておりまして、できるだけ海上の方に飛び、また海上の方から入ってくるというような飛行経路をつくっております。これはジェット機はかなり風に対する抵抗が強いので、ある程度の風があってもこの方向をとり得ると考えておるわけでございます。なお、86Fでとっております飛行経路とほぼ同じものをファントムでもとる計画をいたしております。さらに、滑走路におきましてはオーバーランを防止するためのバリアを設置いたしております。さらに、ファントムのために現在やっておりますかさ上げ工事、これもやはり安全対策の一つというふうに考えておるわけでございます。  なお、防音堤その他につきましては平井参事官の方から御説明いたします。
  43. 平井啓一

    ○平井政府委員 防音堤、防煙壁あるいは防音林といったものは、御承知のように、エンジンの始動、ウォームアップあるいは整備運転等に伴いますところの地上騒音を防止するための対策でございます。御承知かと思いますが、小松におきましてこれを初めて実施いたしました。ただ、築城におきましてこの問題をどうするかにつきましては、築城のみならず、全国のまだそういった施設を設置してない飛行場が大部分でございます。  いずれにいたしましても、その地上騒音を効果的に防止することができるかということにつきましては、飛行場の立地条件、周辺の集落等の配置状況、そういった状況に伴いましておのずから趣が異なってくると思います。築城の場合に、こういった地上騒音対策としての防音堤等がどういうふうに効果をもたらすか、ここらの点につきましては、現地の実情あるいは今後地元とのお話し合いの中から一つの結論を導き出していきたいと考えております。
  44. 中西績介

    中西(績)分科員 最後に長官に。  いま三十分間にわたっての質疑の中から明らかになりましたように、この築城基地の問題につきましては、地域における周辺の協議会そのものが、地域の住民がこれを聞かしてほしいということを提示をした、その結果解散をする、こういう結果になってきたわけです。ですから、いままで答弁の中ではきわめて平穏裏に円満に話が進められたかのごとく言われておりますけれども、そのことが提示されるとそれを受けた側は、町村長なりあるいは議長の集まりはすべて解散をして霧散をしてしまうという状況になっているわけです。このことによって示されますように、地域の住民は何も知らずにいままで来ておったということ。そして、そのことによっていまいろいろ問題がまた派生をしておるということ。それを受ける側の首長なりあるいは議会が十分機能し得なくなっておるという状況があるわけでありますから、この点は亀井知事も中に入っていろいろ話をしておるようでございますけれども防衛庁よく御存じだと思いますけれども、こういう点を十分考えあわせまして、自後問題の起こらないように可能な限り努力なりしていただきますことを最後に要望いたしまして、終わります。
  45. 三原朝雄

    三原国務大臣 中西委員、地元の問題でもございますし、いろいろ御心労を煩わしておると思います。私も郷土の築城の問題でございますし、いままでもいろいろお世話になって、防衛問題と取り組んでいただいたのでございますが、劈頭申し上げましたように、築城基地は北九州を中心とする西部区域におきます重要な航空基地でございますので、そういう立場からどうしても市町村のお世話になり、特に住民の方々の御理解のある御協力を賜らなければ維持していくことができませんし、いま御意見のような立場に立ちまして、これから先十分地元と緊密な連絡をとりながら基地の維持について処置してまいりたいと思います。よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  46. 中西績介

    中西(績)分科員 終わります。
  47. 瓦力

  48. 新村勝雄

    新村分科員 私は千葉県柏市にございます米軍基地柏通信所の用地の返還について、その後の経過並びに返還の行われた後における払い下げあるいは跡地の利用等についてお伺いをいたしたいわけでございます。  同用地は、昭和十二年陸軍が飛行場を計画し、十五年に陸軍の飛行場として完成をいたしまして、終戦まで陸軍が使用をいたしておりました。戦後に米軍は一たん同飛行場を接収いたしましたが、二十年十一月引き揚げ者を中心に入植が開始をされ、開拓が行われたわけであります。その後二十七年十二月、日米合同委員会で旧飛行場は米軍の使用が決定をいたしまして、三十年、米軍柏通信所が開設をされました。  そして、その後米軍は、四十八年、関東計画なるものによりまして、同年から三カ年の間に同基地内の米軍施設を縮小するということが決まったようであります。これに従って柏通信所内の施設は縮小され、五十年九月一日に米軍は同基地機能を停止する旨を千葉県に対して通告をいたしたわけです。  そこで、地元では、これに呼応いたしまして、地元の柏市あるいは柏市を中心とする広域行政協議会というものがございますけれども、この協議会が中心になりまして、跡地の利用等について協議を進めてまいったわけであります。  ところが、五十年九月に機能停止の通知がありましたけれども、その後一向に返還の具体的な進捗がないわけでありまして、地元におきましても長らく待望いたしております返還でありますので、どうしたということで、大変に心配をいたしております。地元からは防衛庁あるいは大蔵省に要請を続けておるわけでありますけれども、機能停止後の基地状況がどうなっているのか、その後の米軍との返還の交渉はどうなっているのかについて詳しくひとつ御説明を賜りたいと思います。
  49. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねがございました米軍の柏通信所につきましては、地元にかねがね大変強い返還要望がございますことを承知いたしておりまして、私どももその成り行きについて大変関心を持っておるのでございますが、いままで、通信所としての機能の閉鎖に伴って従業員の解雇の段取りを進めておるようでございますけれども、この通信所そのものを返還するということについて米軍は具体的に何も申しておりませんので、ただいまのところ返還されるという具体的なめどはございません。
  50. 新村勝雄

    新村分科員 聞くところによりますと、機能は停止をされて、従業員、これは日本人でありますけれども、従業員については三月十日を限りに解雇をするという予告がなされておるそうであります。三月十日はすでに経過をいたしておりますけれども、これらについてはどうなっているのか、また、その解雇をされた後における身分について国はどう配慮をされるのか、それから機能停止後その基地がどういうふうな状況になっておるのか等についてお教えをいただきたいと思います。
  51. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 従業員については、二十八名でございますが、五十年の十一月三十日付でこれを解雇するという予告がございました。その後、その予告の線に従いまして段階的に解雇されてきておりますが、現在まだ九名残っております。そのうちの三名は本年の五月十日までに、残る六名は五月三十一日までに解雇するという予定になっております。  私ども、この米軍基地に働く日本人従業員が各地において非常に大量に解雇されますので、この解雇される人の手当、再就職その他については、予算にもしかるべき経費を計上していろいろ努力いたしておるわけでございます。  それから、こういう従業員が全員解雇の予告があったわけでございますから、今後一体この施設がどうなっていくかということについて私どもも大変関心がございますので、予告があった際に直ちに米軍司令部に照会しておるのでございますが、米軍としては、従業員を解雇するということと施設の返環とは別個の問題である、この施設そのものをいかに取り扱うかということについてただいまのところ検討中であるという状況でございます。  先ほど申し述べたように、地元では非常に返還についての強い要望がございますし、私も直接陳情を受けたことがございますので、この施設の返還について地元の要望を踏まえてたびたび折衝しておるのでございますが、ただいまのところまだ見通しがつかないという状況でございます。
  52. 新村勝雄

    新村分科員 五十年に基地機能の停止の通告があったわけでございますけれども、そのときの通告の内容、それからその後全く返還について進捗していないわけでありますけれども、この基地の返還は極東の軍事情勢あるいは在韓米軍の撤退計画などと関連があるのかどうか、その辺の事情をお教えいただきたいと思います。
  53. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほどもお話があり、またただいま御質問がございましたが、基地機能を停止するという通告はございません。従業員を解雇するという予告通告がある、しかも先ほどお答えしたように全員でございますので、当然常識的に基地機能がやまるのだろうという推測は立つのでございますが、正規に基地機能をやめたということは通告を受けておらないわけでございます。  それから、米軍がこの施設をどんなぐあいに利用するかということは、日米安保条的に基づいて米軍日本にまだ相当駐留しておるわけでございまして、その一環として提供された施設米軍がどういうふうに使うかという詳細については私どもまだ承知しておりません。
  54. 新村勝雄

    新村分科員 それでは次に、これは仮定になりますけれども、返還をされた場合の大蔵省の対応についてお伺いをしたいのです。  こういう基地が返還される場合には、接収のときの状態に完全に復元をして戻すということになるわけですか。また、返還に伴って日本側に何らかの費用の負担を生ずるとか、そういう財政負担を生ずるようなことがあるのかどうか、お伺いします。
  55. 松岡宏

    ○松岡説明員 本柏通信所施設でございますが大部分が国有地でございます。したがいまして、返還されました暁には国有地としての一般的な処理方法に従いまして大蔵省として処分してまいる、こういうことでございまして、この跡地についてのいろいろな個別的な経緯、事情もございますけれども、同時に、国有地としての一般的な処理の原則に従って処理してまいりたいと考えております。  それから、返還に当たり、既往の施設を移転するというようなことから何らかの財政負担が生ずるかどうかという問題でございますが、これは米軍の方で返還に当たり何らかの条件を出してくるかどうかということとの関連もございますので、なお今後の問題になろうかと存じます。
  56. 新村勝雄

    新村分科員 基地返還の後の対策といいますか原則でありますけれども、一般的な原則についてお示しをいただきたいと思います。  それから、ここは百八十八万平方メートルくらいあると思いますけれども、これは全部が国有地ではないわけでありまして、国有地にしても大蔵省所管、農林省所管と分かれていると思います。それからまた、中には民有地が一割程度あるわけですけれども、こういう場合に一般のほかの基地と同じように扱われるのかどうか、お伺いします。
  57. 松岡宏

    ○松岡説明員 この基地の面積全体で百八十三万平米ございますが、そのうち大蔵省所管の財産が百五十六万平米で、大部分でございます。その他農林省の所管の財産あるいは民有地等が若干ございます。  大蔵省といたしましては、昨年の六月に国有財産中央審議会から基地跡地の処理の方式につきまして答申を受けておりまして、その答申の内容はいわゆる三分割方式ということでございますが、十万平方メートル以上の米軍基地跡地の処理については面積をおおむね三等分いたしまして、三分の一を地元地方公共団体等に、三分の一を国、政府関係機関等に、そして残りの三分の一を当面留保地として保存する、こういう方針が出ておりますので、この跡地百五十万平米以上ございますので、まさにこの原則に従いまして処理することになろうかと存じております。  その際に、農林省あるいは民有地、そういうものが若干混在しているということから取り扱いに差があるかないかということにつきましては、大蔵省の所管する部分だけでも十分広大な面積でございますので、一般の原則に従って処理してまいりたい、こういう考えでございます。
  58. 新村勝雄

    新村分科員 この中には農林省の所管、これは開拓財産だと思いますけれども、農地法の施行の中途でこういう状況になったと思うのですが、その場合にこの開拓財産、農林省所管の土地の処分についてはどういうお考えですか。
  59. 高島正一

    ○高島政府委員 防衛施設庁といたしましては、施設、区域が返還になった場合には、それぞれもとの所有者に返すというのが原則でございます。国有財産については、ただいま大蔵省の方からお話があったような処理になります。農林省の方には施設庁の方から返還と同時にお返しする、民有地につきましては賃貸借契約に基づいてそれぞれ原状回復をし、原状回復に要する期間の管理費等をお支払いをする、そういうふうな原則に立っておる次第でございます。
  60. 新村勝雄

    新村分科員 そういたしますと、農林省の分は農林省に返還をして農林省の方針に基づいてその後の処理は行われるというふうに考えてよろしいわけですか。
  61. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘のとおりでございます。
  62. 新村勝雄

    新村分科員 それでは大蔵省にお伺いするわけですが、三分割方式で地元が三分の一、国が三分の一、保留が三分の一ということでありますけれども、そういたしますと、この国が分ける三分の一については国の施策をそこで行うということだと思いますけれども、その施策については地元としても重大な関心を持たざるを得ないし、地元としては特にこの地域に利益をもたらすような施設、医療施設であるとかあるいは教育文化施設あるいは公園というようなものの建設を特に望んでおるわけでありまして、これについては、まだ返還の段階ではありませんけれども、地元の広域行政協議会を中心といたしまして、すでに具体的な案を提示申し上げて要請を申し上げておるわけでありますけれども、それらについての、国が三分の一分け前を保有した場合の方針等についてできる限り御説明をいただきたいと思います。
  63. 松岡宏

    ○松岡説明員 言うまでもなく、本跡地の総合的な利用方法を検討するに当たりましては、本跡地を取り囲みます周辺地域一帯の都市計画上のあり方等との整合性を十分配慮いたしまして、最も効率的な利用方法を検討するわけでございまして、三分の一が国だからあるいは三分の一が地元だからということで、その三分の一だけを切り離して勝手に、いわば木に竹を接いだような利用がなされていいものでないことは言うまでもないところでございます。そうなりますと、地元と国とで三分の一ずつ利用するという際にもお互いに十分相談をいたしまして、その相互の関係を最も有機的な関係に深めてまいる、こういうことが必要なわけでございます。国が利用する部分についての中身に関しましても、地元関係者と十分御相談をいたしまして、国の施設ではあるが地元としてはどういうふうな施設を誘致することが好ましいかというふうなこともよくお聞きしながら、関係者全員で円満な解決を図ってまいりたい、こういうつもりでいる次第でございます。
  64. 新村勝雄

    新村分科員 三分の一は地元に払い下げるという御方針でありますが、御承知のように、現在地方財政が大変窮迫をしておりまして、地元に対する払い下げの方法なり値段が最大の関心事でありますけれども、これは無償ということができないかどうか。これは地元におきましても、この土地は長い問農民がそこに居住をいたしておりまして、農地、あるいは農家に生活資材あるいは生産財を提供する山林、そういったものから成っていたわけでありますから、そういう点を考えまして、特に地元に対しての払い下げについては無償払い下げというものができないかどうか、お伺いをいたします。
  65. 松岡宏

    ○松岡説明員 返還財産につきましては、言うまでもなく、この施設以外に首都圏にたくさん散在しているわけでございまして、どの財産につきましても周辺の住民の方々の関心はきわめて高いわけでございます。そういう意味では、その処分に当たりまして一つの基準を設けて公平に扱うということがきわめて重要でございます。また同時に、返還財産が所在しない他の地方公共団体とのバランスも考えますと、これだけの広大な土地を全部無償でということは、いささか問題があるというふうに大蔵省では考えているわけでございまして、昨年六月の国有財産中央審議会の答申に基づきまして、大蔵省としましては処分する場合の価格につきましても統一的な基準を設けたわけでございます。  その内容は、処分する用途に応じまして国有財産法上の優遇措置がいろいろ決められているわけでございますけれども、処分する用途ごとに、半分の面積は時価で買い取っていただきまして、残りの半分の面積につきまして法令上の優遇措置を適用する、こういうことで統一してまいりたいと思っております。  具体的に申しますと、公園として利用する場合あるいは児童生徒急増地域における小中学校の用地として利用する場合、これらの場合におきましては、半分の面積を時価で売り払いまして、残りの半分の面積を無償貸し付けする、こういう取り扱いになるわけでございます。また、高等学校として利用していただく場合、あるいは病院とか公民館、図書館といった施設として利用していただく場合には、四分の三の値段でその利用面積を全部買い取っていただく、こういうことで基準を設けているわけでございます。  こういう形で、およそ返還財産の処理は、どこの跡地についても公平にお願いするというふうに考えているわけでございます。
  66. 新村勝雄

    新村分科員 公平ということは結構でありますけれども、それからまた、他の市町村に対する均衡というようなこともおっしゃいましたが、基地を接収されておる地域はそれだけ——土地というのは人間の生活上基本的な要件でありますから、それがその地域で広大な土地を接収されているということは、その地域の住民が生活の根拠を奪われておるということでありますので、その地域に対しては払い下げの場合でも当然特恵的な措置があってしかるべきだと思います。現在の方針はそうでないということでありますが、将来に向かってそういう特に御努力をいただきたいわけであります。  それから、現在の地方財政は御承知のように大変な困窮に直面をいたしておるわけでありまして、この広大な土地、百八十三万平方メートルですか、その三分の一を自治体が、そのうち割引はありますけれども、買収するということは大変な困難であります。仮に有償で払い下げをする場合の具体的な条件はどうなっているのか、また、そのために特別の起債なり、または特別に条件のいい良質の起債なりを許可していただく道があるのかどうか。
  67. 松岡宏

    ○松岡説明員 跡地を処分する場合の値段につきましては、先ほど申し上げたとおり同一基準で臨むわけでございますが、地方団体等に買い取っていただく部分についての支払い条件につきましては、ここは弾力的に御相談に応じまして、地方自治体とされての財政上の事情にも十分配慮を払ってまいりたいと考えているわけでございます。  すなわち、支払い条件、延納でございますけれども、地方公共団体が買い取っていただく場合には代金の支払いを十年間の延納というところまで弾力的に配慮してまいりたいということでございます。  それから、御質問のございました起債等の関係でございますけれども、これは、たとえば義務教育学校であれば用地の取得につきましてそれなりの補助ということも財政上許されているわけでございますし、また、補助されなかった部分についての起債ということもこれまた制度があるわけでございますから、そういいました一般的な制度を十全に御活用願いまして、地方財政としての、困難な折に何とか現実的な解決を図っていただきたい。そういう点につきまして、われわれ大蔵省としても何分の御相談に応じてまいりたい、こういうことでございます。
  68. 新村勝雄

    新村分科員 施設に対する補助というお話でありますが、現在の土地については補助の制度が確立をしていないはずであります。した、がいまして、そこへ施設をつくる場合でも、施設に対する補助あるいはそれに対する地方負担の起債ということは十分可能だと思いますけれども、土地についてそれが対象になるかどうか、はなはだいまのところでは不安定でありますので、そういった点も十分配慮をいただきたいわけであります。  それからまた、自治省とも御相談をなされて、こういう特別の財政需要、そしてまた、かなりの額になるわけでありますから、一般財源あるいは一般的な起債の割り当て許可方針ではなくて、特別に別枠をつくらなければ非常にむずかしいのではないかと思いますが、そういう点について、ひとつ自治省とも十分御相談をいただいて、支障のないように、そしてまた地元市町村の財政事情に悪影響を及ぼさないような十分の施策をぜひともお願いしたいと思います。  それから、最後にお伺いしたいのですが、返還の時期あるいは使用方法等についてまだ全くペンディングの状態でありますが、ここが将来自衛隊に提供される、自衛隊の使用に転用されるということがあるのかどうか、そういう可能性があるかどうかについてお伺いします。
  69. 平井啓一

    ○平井政府委員 米軍の柏通信所につきましては、ただいまも御指摘ございましたように、また先ほど来の答弁にもありますように、現在の段階において具体的に返還の見通しを得ていない状況でございますので、防衛庁といたしまして、これが返還になった後に防衛庁として跡地を利用することについて具体的には検討いたしておりません。
  70. 新村勝雄

    新村分科員 現地米軍施設の隣に中央航空通信群中央通信隊送信所小隊という通信隊がありますけれども、これは自衛隊の中のどういう位置づけというか、部門であるのか、お伺いします。
  71. 平井啓一

    ○平井政府委員 御指摘米軍柏通信所に隣接します航空自衛隊の柏通信所は、約六万九千平米ほどございますが、これは航空自衛隊の指揮管理に関します送信業務を主として行っている施設でございます。
  72. 新村勝雄

    新村分科員 そうしますと、この自衛隊施設は、基地の返還処分に伴って当然廃止されるというふうに考えてよろしいかどうか。
  73. 平井啓一

    ○平井政府委員 これは米軍の柏通信所に隣接はしておりますが、航空自衛隊独自の送信施設でございますので、米軍の通信施設の返還等とは関連がない機能を持っておるわけでございます。
  74. 新村勝雄

    新村分科員 それでは、最後に長官にお願いをいたします。  以上のような状況で、地元では実は非常な期待を持って返還を待ちわびておるわけであります。しかも、先ほど申し上げましたように、その地域の中には農家もございましたし、それらの農家はここで平和な生活を長い間やっていたわけでありますけれども、旧軍の買収によって一切の生活の基盤を失われた。それからまた、周辺の住民もこの地域を失うことによって相当大きな経済的な打撃を受けているわけであります。それが引き続き戦後米軍の使用ということになりまして、戦争が終わっても、地域の中に大きなブランクの地域ができているというような状況でありますので、一日も早く返還していただけるような交渉をひとつ願いたいということと、返還になりましたら、地元の意向に基づいて、地元の意向を尊重されまして、地元に利益をもたらす施設をお願いしたい。それからまた、払い下げについても特段の御配慮をいただきたいということをお願いいたす次第でございますが、いかがでございましょうか。
  75. 三原朝雄

    三原国務大臣 ただいま先生の柏基地についての御意見をるる拝聴いたしておったのでございますが、いままで柏基地について米軍が返還をするという事態になっていなかったものですから、特にこの基地についてどう対処していくかというような点については、私ども十分な検討をやっておりませんでした。いま地元の御意見等も先生から承りましたが、私どもといたしましても、米軍ともよく折衝をいたしまして検討を進めてまいりたいと思うのでございますが、いまのところでは、現在まで申し上げましたように、返還の予定地になっていなかった基地だものですから、そういう点もございまするので、なお米軍とも折衝をしてみる所存ではございますが、御意見の点も十分踏まえながら対処してまいりたいと思います。
  76. 新村勝雄

    新村分科員 終わります。
  77. 瓦力

  78. 草野威

    草野分科員 私は、米軍基地の返還問題につきまして何点かお伺いいたしたいと思います。  最近、在韓米軍の撤退問題に関連いたしまして、韓国や日本における地上部隊の再編問題が米本国でも論議をされております。在日米軍基地の戦略上の重要性を強調する米軍部の意向を反映して、現地米軍の対応もきわめて厳しいものがあると思われます。当然、横浜市内の米軍基地の場合も、その大半が、米軍の重要拠点基地としての役割りを果たしております横須賀基地と密接な関係を有するものが非常に多いわけでございます。したがって、基地の早期返還という問題につきましては、今後はなかなか容易ならざるものがあるのではないか、このように私どもは心配しているわけでございます。したがって、長官は今後の基地返還という問題につきましてどのような見通しを持っておられるのか、まずその御見解を承りたいと思います。
  79. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 三原長官からお答えがあるかと思いますが、その前に、ただいままでの返還に関する事務的な経過を若干申し上げますと、いま御指摘がございましたように、日本の国内における米軍基地について、設置以来相当時日が経過し、また客観的な諸条件も変わってきましたし、同時にまた、日本の国土の中における非常な都市化あるいは環境の密度が非常に濃くなってきたことから生ずるいろいろな公害の問題というものを勘案して、米軍基地のあり方をそういう観点から見直して、日本に駐留する米軍の機能との調整を図りつつ基地を整理するということが必要であるということで、御案内だと思いますが、過去、日米安保協議会で十四回、十五回、十六回と三度にわたって基地の整理廃合ということをやってまいったわけでございます。  そこで、いまお尋ねの横浜、横須賀周辺の基地についても、海軍施設についてはできるだけこれを横須賀地区に集約して、住宅と不可分のものがいろいろございますので、そういうものを計画的に整理して跡地として利用できるようにしたいということで進めておりますが、計画は計画といたしまして、いずれにしても、膨大な経費の伴うことでございますので、われわれが予期しておるとおりなかなか進まないという遺憾な点がございますが、一応の計画に従って漸次実行しておるという実情でございます。
  80. 三原朝雄

    三原国務大臣 斎藤施設庁長官からお答えをいたしたのでございますが、基地の重要性につきましては先生からも御指摘があっておったのでございまして、基地機能を十全に発揮してもらうという立場も考えてまいらねばならぬわけでございます。しかしながら、こうした周辺の過密状態の中にある基地の問題をどうするかというようなことは常に論議されて、先ほども申し上げましたように、十数回にわたって基地の整理統合ということが考えられてまいりました。特に関東地区におきましては、そうした点を特に推進をしてまいったところでございます。私どももそうした立場、国民の立場に十分立って考えてまいらねばならぬと思うのでございます。問題の起こらない前に対処することが私ども基地に対する業務の姿勢でもあろうと思いまするから、いま横須賀地区につきましては長官が申し上げましたが、全国的にそういう立場で基地問題と取り組んでまいり、紛糾の起こらないように、あるいは地元の意向等も踏まえながらこれから先も積極的に対処してまいりたい、そういう考え方、姿勢で取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  81. 草野威

    草野分科員 私、本日は横浜市内の基地につきまして、具体的にその内容を何点か伺いたいと思います。  ただいまも斎藤長官からもお話ございましたように、横浜市の場合には年々非常に都市が過密化しているわけでございますが、横浜の場合は年々約十万人前後も人口が増加をしておりまして、住宅であるとかまた公園、道路、福祉施設、そういう都市施設の整備を図る上にこの基地の問題は非常な緊急不可欠な問題をはらんでおります。この基地の返還問題につきましては、防衛施設庁に日ごろから大変な御努力をいただいているわけでございますけれども、戦後三十二年経た今日におきましてもいまだに横浜市内には十四カ所、六百三万平米の基地が存在しているわけでございます。また横浜市の場合には、終戦当時、港湾施設の約九〇%、また市街地中心の目抜きのたくさんの建物、そのほか公園や遊園地に至るまで恐らく全国の最大の接収面積に至っでいるわけでございます。こういうものが原因となりまして、横浜市の場合にはその経済発展にどれほど多くの阻害があったかはかり知れないものがあると思いますし、また現在も市民にとりましてこの基地の存在によってどれほど多くの迷惑がかけられているか、私はこれは重大な問題であると思います。したがって、政府は、この基地の問題につきまして早期返還にひとつ今後とも努力をしていただきたいと思います。特にカーター新政権後日米両国政府は、安保条約を基本とする緊密な強力な関係をさらに維持する方向を明確に打ち出しているわけでございます。したがって、基地問題には私どもとしても重大な関心を今後も持たざるを得ないわけでございますが、どうかそういう認識に基づきまして、横浜市内に点在する基地につきまして、今後の返還の見通しにつきまして、防衛施設庁の方からひとつ具体的な内容を御答弁賜りたいと思います。
  82. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまの基地を返還するという問題は、日米安保協定に基づきまして、これを全然撤去してしまって廃止してしまうというわけにはなかなかまいらない面がございますので、私ども廃止できるものは廃止するということを考えておりますが、一方において、移設をする、どっかへ持っていって同じ機能は果たすことをやりながらあいたところを返すというやり方を大体とっております。  そこで、いまお尋ねの横浜市内の関連では、本牧一号地区、二号地区、このところに存在する住宅を主とした施設を横須賀地区に移設するということで具体的な計画を立てまして、逐次実行しておる次第でございます。もう一つ医療センターがございますが、これもしかるべきところに移したいという考えでやっております。その他ごく小部分のものについての計画がございますが、大筋を申し上げるとただいまの三点になろうかと思います。
  83. 草野威

    草野分科員 住宅等につきましてはできるだけ横須賀地区へ集結をする、このような方針であるということでございますが、根岸住宅の場合はどうなっているでしょうか。
  84. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 根岸地区については、一部付帯施設等を移す計画はございますが、住宅地区そのものを返還するという考えはただいまのところございません。
  85. 草野威

    草野分科員 この根岸住宅に関連する問題でございますけれども、付近の地域住民に対しまして非常に大きな迷惑をかけている、こういう問題がございます。これは昨年の十月二十八日に長官に対しまして地元の関係者から申し入れがあったわけでございますが、この根岸住宅に隣接する急傾斜地がございますが、非常な急ながけでございまして、常に崩壊の危険のきわめて高いところでございまして、その付近一帯の住民は日常大変な不安を覚えております。この点につきまして、先日もこのように地元の関係者が申し入れしたわけでございますけれども、横浜の防衛施設局はすでにこれは現地調査をされたのでしょうか。もしされたのなら、その状態につきましてひとつお示しいただきたいと思います。
  86. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまのお尋ねの根岸住宅の周辺のがけの部分のがけ崩れの事案でございますが、いま御指摘のとおり、昨年被害が出たすぐ後、地元の方々、代表の方々がお見えになって陳情を受けたわけでございまして、当時まことに残念でございましたが、私そのところの現場の実情等詳細を知らなかったので、よく実情を調査してということでお答えしたわけでございます。後でよく調べてみますと、このがけの一番上端の部分といいますか、上の部分に根岸地区の施設の一部がございまして、それから急ながけがある。したがって、やはり根岸住宅の関連で非常に危険な面があるというふうに私ども理解いたしまして、早速これの具体策をどうするかということをいろいろ調査して、目下その対策を進めつつあるところでございます。
  87. 草野威

    草野分科員 このがけの部分でございますけれども、根岸住宅に隣接するこのがけ、これは根岸住宅の施設内に入っているがけであるか、またその境界はどのようになっておるのか、調査されていらっしやるでしょうか。
  88. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 根岸住宅の境界は、このがけの上の一番高いところからちょっと下がったところにあるということになっております。したがって、急傾斜地の大部分は防衛施設施設の中には入っていないというふうに理解しておりますが、これはまさに先ほど来御指摘のように、現地に即してよく調査をしてみて、そして施設が御迷惑をかけておる度合いというものを十分に調査してみなければならぬというふうに考えております。そういう意味合いで、防衛施設の関連はあるものだという前提で私ども臨んでおります。
  89. 草野威

    草野分科員 この境界の問題、いま長官の方から非常に御理解のある御答弁をいただいたわけでございますけれども、やはり重要な施設でございますので、戦後三十年間経たにもかかわらず、いまだにその境界がどうもあいまいである、こういうところにも一つの問題点があるのじゃないかと思われます。一私もいろいろと関係者に当たって伺ってみましたけれども、どうもその点がはっきりしない。きょうはここにその図面を持ってきておりますので、もしわかりましたら、ひとつこの図面でその境界等につきましてお示しをいただきたいと思います。
  90. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 これが防衛施設のフェンスというふうに考えておるわけです。それで、この赤い部分がいま御指摘のがけですから、このフェンスは、先ほど申し述べたように、がけの一番上のこの辺のところだけであると思うのですが、もう一遍現地に即してそれでいいかどうかという確認をしませんと……。
  91. 高島正一

    ○高島政府委員 いま神奈川県の治水事務所がこちらの方から調査で押してきているわけです。そして、ここで接点になったときそれがはっきりしてくるのじゃないかということで、いま神奈川県の治水事務所とわが方と協議をしまして、境界確定を急いでいるところでございます。
  92. 草野威

    草野分科員 ただいまお話ございましたけれども、神奈川県の治水事務所といろいろ協議をしてこの境界をはっきりさせる、ぜひとも一日も早くまず境界についてははっきりさせていただきたいと思います。  この根岸住宅の場合には非常に危険な状態だ、まずこのことをぜひとも関係者の方々に御理解をしていただきたい。私も何回か現地に行きましたけれども現地状況は、もう御存じだと思いますけれども、戦後だけでももうすでに十五、六回も落石等がございまして、相当な家屋が倒壊したり、また家畜に損害を与えているようでございます。また子供さんが一人亡くなったという事故も発生しておりますし、これからの雨期を控えまして大雨のとき、また地震のとき——夜もほとんどだれかが必ず交代で、眠らないで見張りをしているとか、また各戸ごとに土どめとか擁壁をつくって、毎日崩れ落ちてくる土砂を防いでそれを運んでいるとか、さらにまた基地の上から子供たちがいろいろなごみだとかびんだとかというものを投げ捨てて、それの処理にも困っているだとか、こういうことを現地の人からいろいろと伺うわけでございますけれども、ともあれ、非常に急ながけでございますので、これをいつまでもこのままの状態で放置しておくということは非常に危険であると私は思いますので、これはぜひとも一日も早く施設庁としましても何らかの安全な対策を立てていただきたい。これは地域住民の切なる願いでございますけれども、こういうことにつきまして長官の方から何かもう少し具体的な方針等がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  93. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま御指摘がございましたように、こういう急傾斜地の崩壊による被害というのは大変恐ろしいものがございますので、御案内だと思いますが、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律という法律ができておりまして、これによって、危険な地域は、当該関係の、この場合は神奈川県知事でございますが、急傾斜地崩壊危険区域というものを設定して、そして措置をするということになっておりまして、お尋ねのところは現に四十九年の十月に指定されております。そして、この指定があった場合には、その指定区域内の土地の所有者、管理者、占有者、そういう人たちが崩壊が生じないようにする。同時にまた、そういう所有者たちがやることが困難だという場合には、府県知事が崩壊防止工事を実施するということが法律に定められておるわけでございます。  そこで、この根岸の場合におきましても、いまそういうたてまえでもって、そういう法の適用を行うつもりで神奈川県の治水事務所が一生懸命所有者の確認をやっておるわけでございまして、先ほど図面で拝見しました施設の区域の外の部分についてだれが一体所有者であるだろうか、あるいはまた施設の区域の境界が先ほどの図面のところでいいかどうかといったような確認作業をやっていただいております。そして、その結果が明らかになったところで、それぞれの応分の措置をする。施設の部分については、何と申しましても国でございますので、国としてやるべきものは当然負担して行うというつもりで、私ども一日も早くこの明確化の作業が進捗するように側面的な協力をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  94. 草野威

    草野分科員 時間がありませんので、次の問題に入りたいと思います。  これは横浜市の戸塚区にある深谷の通信基地の問題でございますが、ここの環境整備の問題といたしまして、現在使ってないアンテナの撤去だとか、それから地形が非常に高低がはなはだしいところがありますけれども、これの平たん工事だとか、こういうことを地元の業者に請け負わせてやってきたわけでございます。ところが、この工事が進むにつれましてその基地内の水路部の水流がいろいろ変わってまいりまして、下流の地域の住民から、これは雨期になると必ず水害の危険がある、こういうことで、この問題につきまして横浜市から五十一年の三月、横浜の防衛施設局にこの問題についての要請が出されまして、現在、その工事の請負業者の残土の処理方法の問題等につきましていろいろ問題がありまして、工事がストップしております。このままでほうっておきますと、この施設の周辺の住民は、雨期に入りますと必ず被害が出てくるということで大変心配しておりますが、何らかの早急な対策を立てていただきたい、このような住民の要望でございますが、この点についてひとつお答えをいただきたい。これが一つでございます。  それからもう一点は、同じ深谷の通信基地の問題でございますけれども、この基地は重要な通信基地という、そういう性格から早期の返還はなかなか困難なところではないかと思います。しかし、この基地には空閑地が非常に多い。全体で七十七万平米もある基地でございますが、かなりの空閑地があって、この空閑地を何とかひとつ区民に利用さしてもらいたい、開放してもらいたい、こういう要望がかなり多く出ておるわけでございます。そのことにつきまして、横浜市内には、現在、公共の総合運動場、こういうような施設もきわめて少ないために、何とかしてひとつ運動公園、こういう形のものを設置してもらいたい、こういう要望が出ておるわけでございます。昨年も、地元の戸塚区の連合町内会、また戸塚区の体育協会、こういうところの代表の方々が在日米海軍の通信本部の司令官に要請書を出したところ、非常に好意的な回答があった、こういうことも承っているわけでございます。  そこで、この空閉地の利用ということにつきまして、ごくわずかの面積、たとえばバレーコート何面か、こういうことであれば、現地の司令官の権限で利用できるということでございますけれども、さらに野球場だとかテニスコートだとか、若干の設備を要する場合には、いろいろな地位協定の絡みで日米合同委員会の協議の対象にしておらなければならない、このような御返事をいただいておるわけでございます。そういうことで、横浜市民にとりまして、何とかただいま申し上げましたようなかなりの規模な運動公園を一日も早くその空閑地を利用して設置してもらいたい、こういう要望がございますが、ただいま申し上げました二点について、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  95. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの深谷の通信所に関連する二つの項目でございますが、実は突然のお尋ねでございますので、いま具体的に、詳細にここでお答えできないのが残念でございますけれども、第一点につきましては、深谷施設周辺のいろいろな障害、御迷惑をかけておる事案については、従来からかなりやったつもりでおりますが、いま御指摘の具体的な事案について、ひとつよく実情を調査いたしまして、御迷惑をかけておることについては善処いたしたいというふうに思っております。  それから、施設の一部を使用するということについて、地元のそういう御要望があって、基地の司令とのやりとりがあるということでございますので、これもただいま具体的な実情を承知いたしませんから、よくその辺のところを、私ども現実にどういう要望があって、どういう場所をどの程度貸せるというふうに司令が言っておるのかどうか、そういうことを具体的に調査した上で措置をいたしたいというふうに思っております。
  96. 草野威

    草野分科員 時間が参ったようでございますので、最後に要望して終わりたいと思います。  一つ、横浜のノースドックの問題でございますけれども、現在ほとんど使われていないような状態でございます。この瑞穂埠頭の場合には、横浜港におきます中枢的な公共埠頭として、その使用は非常に緊急を要するわけでございます。昨年の一年間の例を見ましても、一カ月あたり平均たしか七隻ぐらいというような入港状況でなかったかと思いますけれども、このノースドックにつきましても、一日も早く全面返還に対しまして努力をひとつお願いしたいと思います。  それからあとは、池子弾薬庫、それから上瀬谷通信基地等の問題がございますけれども、やはりこれは生活道路の問題であるとか、それから緊急の避難場所であるとか、自然公園だとか、道路の絡みだとかいろいろございますけれども、特に上瀬谷の場合には、昔の海軍道路、この道路の施設外の部分につきましては、横浜市として整備しておりますけれども施設内の部分、約三・何キロございますけれども、この部分を一日も早く整備をいたしまして、地域の交通環境の改善に当たらなければならない。こういうことで、やはり地元の要望の非常に多いところでございます。また、この上瀬谷の場合には、二百三十八万平米という市内最大の基地を持っておるわけでございまして、広大なこの基地におきまして生活圏を分断している、こういうような状態になっておりますので、この旧海軍道路の整備ということにつきまして一日も早くこの施設内の道路の部分の返還ということについて御努力をいただきたい。そのことを最後にお伺いして終わりにしたいと思います。
  97. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま数多くお尋ねになった中で、まずノースドックでございますが、ノースドックについては、大変地元の要望もございますが、一方米軍のこれに対する全体的な考え方がございますので、ただいまの御要望は承った上で今後これに対処してまいりたいと思っております。  それから、上瀬谷のいわゆる海軍道路と申しますか、基地内の道路でございますが、これは御指摘があったとおり、基地の中を通っている部分があの道路の機能を阻害しておるということで地元の大変な御要望がありますので、私ども米軍と地元の方々の御要望の調整を極力図ってまいりたい。従来から努力してまいっておりますが、なお一層一生懸命やりたいと思っております。
  98. 草野威

    草野分科員 では、終わります。
  99. 瓦力

    瓦主査代理 加藤万吉君。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 相模原市にある米陸軍医療本部、通称医療センターと言っていますが、この課題について質問をしながら善後策について要望したいというふうに思います。  最初に、この米軍施設のわが国への返還について、日米合同委員会でどのような話し合いが行われているか、外務省からお聞きをしたいと思います。
  101. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 ただいま御質問のございました相模原にございますいわゆる陸軍医療センターにつきましては、第十四回の日米安保協議委員会、これが四十八年の一月に開催されましたが、その中で医療センターの移転あるいは整理につきまして、そういうことが可能かどうか、今後とも日米両国政府で協議していこうという両国の意図が留意されたわけでございます。それを受けまして、その後合同委員会の下にございます施設分科委員会というところにおいて、現在米側と防衛施設庁の間で話し合いが進められているというふうに外務省としては了解しております。
  102. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 いまの意向を受けて分科委員会ではどのような本問題に対する話し合いが行われておりますか。その経過を防衛施設庁からお聞きをしたいと思います。
  103. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  陸軍医療センターの移設先につきましては、当初施設庁といたしましては座間に移設するということを原則として米側と交渉を進めておるところでございます。しかし、御案内のように、米側は横浜の海浜住宅一号、二号を横須賀に移設するという問題を非常に重視しておりまして、時間的に非常に経過しておりますけれども、まだ座間に移設するという具体的内容について米側と詰める段階には至らないというふうな状況でございます。
  104. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 そうしますと、移設をする、いわゆるわが国に返還をするような条件のもとに医療センターが今日ある、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  105. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  この医療センターの移設につきましては、御宝内のように、昭和四十八年の一月二十三日の第十四回日米安保協議委員会の合意事項として合意されておりますので、その方針には変わりないというふうに承知しております。
  106. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 先ほど外務省の話では、返還をする可能性があるかどうかを分科委員会で審議をしてもらうというお話でしたが、いま施設庁の話では、合意がされている、こういうことですが、合意がされているということと、経過を見守るということとは大分違うのですが、どちらの言葉の方が正しいのでしょうか。
  107. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 お答えいたします。  日米安全保障協議委員会はあくまでも協議の場でございます。ですから、そこでは日米間が協議するということで、合意はまた別途の場をかりてしなければならない事項でございまして、この件については、先ほど申し上げましたように、移設あるいは整理というその可能性について今後とも一日米両国間で検討していこうという意図が留意されているのが現状でございます。
  108. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 分科委員会ではその経過を踏んまえて日本に返還をするということが合意をされた。こういうように理解してよろしいのでしょうか。
  109. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  先ほどの私の答弁が非常に言葉足らずでございましたが、外務省からお答えがございましたように、日米安保協議委員会では、原則的に合意の方針は固まったのですけれども、その内容は移設の条件が合同委員会において整ったときに返還になる、こういう合意でございますので、その点訂正さしていただきます。
  110. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 現在、医療センターはどのような状況で使用されているのでしょうか。現況でいいです。
  111. 高島正一

    ○高島政府委員 現在、病院として十分に機能できるような使用状態にございます。
  112. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 本医療センターは、皆さん承知のように、ベトナム戦争当時には米軍人の医療、緊急医療といいましょうか、そういう体制に使われたわけですが、今日ではベトナム戦争が終わり、朝鮮における事件その他もございませんから、いわゆる戦場における負傷兵を云々ということはないわけですね。結果的には、国内にいる米軍人、軍属、家族、こういうものの医療センター、診療機関、このようにして存在をしておるというように聞いておりますが、現実にその医療センターにかかっている患者といいましょうか、あるいはかって五百床ありましたベッド数、いまどのくらい現実に使われているのでしょうか。
  113. 高島正一

    ○高島政府委員 先生指摘のように、最盛時には千ベッドを使用しておったというふうに承知しておりますが、現在はそれが少なくとも半数以下の使用状態にあるというふうに承知しております。
  114. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 半数というと五百床ですね。それで、使用する可能な条件というのは五百床あったにしても、現実に使用されているのは在日米軍の軍人ないしは家族、軍属の人、それぞれの診療機関程度にしか使用されていないわけですから、この五百床のうちに現実に使われているもの——使う可能性があるという問題ではなくして、現実に使われているベッド数というのは一体どのくらいなんでしょうか。
  115. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  現在、現実に厳密な意味でどの程度使われているかということは、ただいま手元に資料がございませんので、取り調べの上、御報告さしていただきたいと思います。
  116. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 私の知る範囲では、せいぜい五十から七十ベッドぐらいではないかというように推定がされるわけであります。なお、この問題、米軍基地内の使用状況でありますから、わが国で監督をする、ないしは報告を受けるということがなかなかむずかしい問題でしょうが、米軍基地内の管理、監督の問題については後で一言お尋ねしたいことがございます。  そこで、いま施設庁のお話で、この機関、できるならば座間あるいは横須賀、私の知る範囲では、最近沖繩の桑江にそれぞれ重症と思われる患者を移送している。したがって、相模原の医療センターは事実上米陸軍の医療センター本部としての機能は必要ない。横田の空軍あるいは横須賀の海軍、それぞれに併設をしていけば事足りるのではないか、こういう話を聞いておるわけであります。したがって、先ほどお話に出ましたように、この医療センターそのものはわが国に返還をしても米軍の安保条約ないしは地位協定に基づく機能としてその必要性がおおむねない。したがって分科委員会においては、この医療センターのわが国の具体的な返還という話が進んでいる。お話しになりましたように、座間に行ってはどうかなどという話も現実には出ているように聞いているのですが、いま少しく移転に伴う課題で日米間にどのような話が行われているのでしょうか、お聞きをしたいと思います。  なお、それに伴って、大蔵省の特特会計の中に五十一年度三億二千百万円調査費がのっているわけですが、この三億二千万余のお金は、この返還に伴う調査の過程で使用されたものでしょうか、あるいは今日この予算は、現実には使用せずに繰り越しになっているものでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  117. 高島正一

    ○高島政府委員 相模原医療センターに関しまする米側との交渉内容でございますが、私どもは、先ほど御答弁申し上げましたように、座間基地を移転先地として、米側に対しどのような規模でどのような内容のものを移設したらよいかということを米側に交渉しておるわけでございます。それに対しまして、まだ米側から具体的な返答がないというのが現段階でございまして、先生指摘のような桑江との関連等については、全く承知いたしておりません。  それから第二点の予算関係でございますが、昭和五十一年度には調査設計費として三億円の予算が計上されてございますが、ただいま申し上げましたような事情にございますので、この予算は繰り越されることになろうかというふうに思っております。
  118. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 繰り越されている予算が三億二千百万円、五十二年度の予算で二十六億一千八百万円、いまお話しの限りでは米国側から具体的な返還の条件がない、したがって調査費も現実に使ってない。にもかかわらず、五十二年度で二十六億という、約十倍に近い予算を請求され、計上されたのは一体どういう理由なんでしょうか。
  119. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  この相模原医療センターの移設の問題は、先ほども御答弁申し上げましたように、昭和四十八年の一月二十三日、第十四回日米安保協議委員会で、先ほどのような方針で合意がなされたものでございます。すでに三年余を経過しておるわけでございますので、実施機関である施設庁といたしましては、当然これを急がなければいかぬという方針のもとに米側と鋭意交渉をしている次第でございます。  先ほど御答弁申し上げましたように、昭和五十一年度ではその設計費を組んだわけでございますから、その設計を基礎に施設庁で考えられる予算を、できるだけ早くこの医療センターは移設をし、返還を急ぐというふうな趣旨のもとにわれわれとしては予算を計上しておるところでございます。
  120. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 設計ということになると、当然ある地点があってそこに病院を移動する、それに伴って設計ということが必要になるわけです。座間に移転するかどうかということがまだ米軍から返事がないにもかかわらず、何かの土地のところに何かを設計する、こういうわけでありますから、設計になるべき基礎はどこかにあったはずだ、こういうように私は思います。これは一体どこなんでしょうか。  それからいま一つ、二十六億一千八百万というお金は、単に偶然に出てきた数字ではなくて、何か積算の基礎があったと私は思うのですが、積算の基礎についてお答えいただきたいと思います。
  121. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  施設区域を移設して現施設を返還するというためには、その移設の規模、内容等は当然現有施設がその基礎になるわけでございます。現在相模原に存在する医療センターの規模、内容を移設するというのが原則でございますから、もちろん政府としましては、米側に対してできるだけ金のかからない範囲で移設をしたいという原則に立って交渉を重ねるわけでございます。したがいまして、現在予算に計上してありますのは、あくまで現有の医療センターの規模、内容を勘案して積算しておる次第でございます。
  122. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 この次の答弁のときでいいですから、設計という言葉を使われましたので、設計についてもひとつ御答弁をいただきたいというふうに思います。  現有の施設をどこかに移設をするために必要な財源として二十六億一千八百万というと、現有の施設をそのままある地点に移転をした場合に二十六億一千八百万で済むのでしょうか。それとも、これは五十二年度の予算であって、五十二年度から五十三年度にかけてまた予算が計上される可能性があるのでしょうか。
  123. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいまの二十六億一千八百万円という予算は、あくまで五十二年度の計画の予算でございます。今後の米側との交渉にまたなければいかぬわけでございますが、仮に現有施設を全部移設をしなければならないということになりますと、五十三年度以降さらに八十億程度かかるというふうな考えでおります。
  124. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 これは施設庁長官にお聞きをしますが、いまの調査費から移設費、そしていまのお話ですとまた八十億。二十六億といいますと約四分の一強でありますから、現実にはもう米医療センターは日本に返還をされるのは時間の問題、予算の経過から見る限りそう見られるわけですが、いかがでしょうか。
  125. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来お答えしてきたように、この医療センターについては、米軍も基本的には返還をするという気持ちで臨んでおりますし、私どももぜひこれを返還してもらいたいという姿勢でもってやっておるわけでございまして、そういうことがあればこそ、こうやって予算化する努力もしておるわけでございます。ただ、先ほど御説明したように、予算のたくさんかかることでございますし、一方米側においていろいろ米側の希望を具体的に取りまとめる経過に時間がかかっておって、そういう意味で若干時間がかかるが、いずれは返還の実現を見るようにいたしたいというふうに思っております。
  126. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 長官、いずれはというのはおかしいと思うのですよ。先ほど調査費が三億二千百万、調査段階が一応過ぎたというように常識的には見られるわけですね。そして九倍に近い予算が今度計上されたわけですから、これが移転費、そしてあと、もし八十億を足せば総体で百億になるのでしょうか、それが仮に二十六億ずつの予算にいたしますと、約三年の間には——仮に年度の分割だけは平均に見ておって、三年目には完全に移転が終了するわけですね。そうしますと、めどとしては、いまの日米間の話し合いから見て、もう移転は現実の問題になってきた。問題はそれに伴う諸移転費、あるいはわが国が負担をすべきもの、これを予算化して提示をし、合意を得る、こういうことになるわけですから、いつからというのじゃなくて、現実にはここ一、二年の間に返還をされる可能性というのは十分にあると私は思うのですが、この辺の見通しについて明確に述べていただきたいと思うのです。
  127. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いずれはとお答えしたのは不正確だったのでございますが、先ほど来お答えした経過から見て、五十三年度の予算が計上され、そして全体の移設が終わるということが実現すれば済むわけでございまして、その計画から言えば五十三年度の予算が計上され、工事が実行されれば済むという考え方でございます。
  128. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 五十三年度に返還のめどが一応つき、それに基づいて予算化をされた、こういうように答弁の中からはうかがえます。  御承知でしょうが、このセンターがあるところは、相模原の密集、過密の地帯であります。市民にとっては大変重要な都市計画上の地域でもありますから、その期日を待たずにできる限り早くわが国への返還、同時に地元への返還という形について施設庁の一層のお骨折りをお願いしておきたいというように思います。  御承知のように、この医療センターの中にはかつて第四〇六医療研究部隊が配属をされ、ここでは朝鮮戦争、ベトナム戦争を通して細菌の問題の研究等が行われておりまして、私は、かつて法務委員会で、相模原補給廠に入ってくるベトナム関係の戦車あるいは衣服、あるいは戦傷者の血痕その他がわが国の伝染病との関係その他を含めて問題になるのではないか、したがって米軍のこのような施設に対してのわが国の査察、こういう権能というのはここの場合に存在をするのか、こういう話をお聞きしたことがございます。米軍が軍事活動として展開をしている限りにおいては、安保条約上この基地の中における自由を制限することはできないでしょうが、その結果として起きてくる市民へあるいは国民への波及的問題については、日米合同委員会なりあるいはそのほかの協議機関を通して米軍側にその調査を依頼し、またその変更を求めることができる、このように当時の答弁としてお伺いをしたわけであります。  いまこの医療機関がそういうものを研究し、行っているとは思いませんが、最近アメリカで問題になりました朝鮮の胎児の腎臓輸送の問題、との問題は、新聞では米民間会社に日本の日航機を使って輸送した、こういう話でありますから、その限りでは施設庁との関係はございませんが、かつてベトナムのそういう細菌研究をされておった関係あるいは朝鮮戦争当時この四〇六部隊が果たした機能から言って、たとえばこの胎児の腎臓のようなものが立川なら立川に米軍に空輸されてき、わが国は何らチェックする機能を持たないまま当時の第四〇六部隊に移送される、こういうことというのは、チェック機能がない限り、きわめて不確実でありますけれども、可能性というものは存在をするわけです。この胎児の腎臓移送の問題が五十一年まで六年間といいますから、それまでの問、この相模原の医療センター、第四〇六部隊の医療研究機関というのは大変高度な機能を発揮しておったと思いますが、このようなことについて調査をされ、ないしはそのような報告等を施設庁の側で受けられたことがございますでしょうか。
  129. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねのような点については、現在までいろいろ資料などを手に入れる機会も移設に関連してございますし、私どもそういう立場で、米軍の管理権の中にあるものですが承知する機会がございますが、承知しておる限りではそういうものはございません。  それから、先ほど来お答えした、これから移設しょうという対象の中の一棟一棟こちらが関与して建っておるわけでございますから、そういったような関係のものは見当たってはおりません。
  130. 加藤万吉

    加藤(万)分科員 米軍基地の提供に伴う管理権の問題あるいはその内部の活動に対する監督権の問題、これは、一方における日米安保条約との関係、一方における国民の生存権、ないしは、軍事基地の場合、たとえば、私は前回法務委員会で問題提起をいたしましたが、厚木の騒音訴訟のような場合、わが国が直接そのチェックをする機能を持たないだけに、その基地から起きる国民、市民への波及的な問題については大変私ども心配をしているわけであります。したがって、私はこの問題についてはいまの施設庁長官の答弁をそのまま信頼をいたしますけれども、かつて四〇六部隊の扱った細菌について大変地元で問題になったことは皆さん承知のとおりだと思いますが、そういうことがないように、基地におけるわが国の管理権といいましょうか、あるいは監督する機能といいましょうか、これはぜひ何らかの形で原則をひとつ確立をしていただきたいというように実は思うのです。  この場合に、恐らくそういうことはなかったと私は推定をいたしますけれども、とにかく立川に持ってくる、医療センターにヘリコプターで運ぶ、厚木の基地から飛行機で飛び立ってしまう、この間に実際にチェックする機能というのはどこにも実は存在をしないわけです。たとえば、私が法務委員会で問題にいたしましたが、かつて在韓米軍の家族による死傷事件が相模原でありまして、犯人逮捕が当時はできませんでしたので、在宅のまま取り調べている間に厚木基地から米軍用機で飛び立ってしまい、事実上補償請求ができない、こういう事件があったわけであります。今回の場合、この前法務委員会で私質問いたしましたが、たとえば厚木基地の騒音訴訟について、一体航空管制というものについてわが国がチェックする機能があるのか。滑走路あるいは飛行場その他、日米間共同使用になっていながら、実際には米軍の自由行動、軍事行動という形の中にわが国が何ら手を加えることができない。となれば、それはわが国が基地を提供したのではなくて、もうそこは租借地的な要素というものを非常に持つ。  したがって、今後も起きることでございましょう日本各地における米軍基地の管理運営という問題についてのわが国と米軍問の原則的な方向、方針というものをぜひひとつ確立をしていただきたいというように思うわけであります。でないと、米軍基地内における問題から市民生活、国民生活に発展する課題についてわが国が話を持っていく場所ができてこない、このように思われますので、きょうは防衛庁長官も見えておりますから、ぜひその点をしっかりと留意をしながら、地位協定なりあるいは日米安保条約の運営というものに配慮されることを希望いたしまして、私のきょうの質問を終わります。
  131. 瓦力

    瓦主査代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  132. 瓦力

    瓦主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  133. 野坂浩賢

    野坂分科員 防衛庁長官にお尋ねをいたします。  現在わが国にはミサイル基地のいわゆる高射群は六群というふうに承知をいたしております。今後の防衛計画基本構想は、これを改めるというようなことはないと考えておりますけれども、今後の展望なり方向について、基地高射群についての御見解を聞きたいと思います。
  134. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 自衛隊は、防空ミサイルといたしまして陸上自衛隊がホーク、航空自衛隊ナイキ装備いたしておりますが、航空自衛隊ナイキ部隊は、防衛計画の大綱で定められておりますように、六個群が基盤的防衛力の勢力と定められております。陸上自衛隊のホークは八個群でございます。今後これをふやすという計画はございません。
  135. 野坂浩賢

    野坂分科員 私はなぜ確認をしたかと言いますと、第四次防の際に、たしか中曽根さんが長官のころであったと思うのでありますが、私どもの地元に美保基地というのがございますが、築城と小牧にそれぞれ高射群があるので、中国地区にも必要であるというようなことで検討された、あるいは計画に載っておったというふうに承知をしております。その後、たしか丸山防衛局長のころであったと思うのでありますが、このことが白紙になったということを確認した。それはナイキJについては、いわゆる近代装備といいますか、通俗的な言葉で申し上げると古くなったし、アメリカにおいても研究開発が進められておるので、しばらく白紙にしたというようなお話を聞いたのであります。いま伊藤さんからのお話は、今後はないと断定をされましたが、こういう経過がございますので、それらの点について触れたわけであります。そういう経過を踏まえてナイキ高射群は将来これを拡大されるということは絶対にないというふうに、もう一度責任者である長官から、それらの経過を踏まえてなぜそういうぐあいになったのか、将来そういう構想というものは拡大をすることはないというふうな点についての御見解をお願いしたい、こう思います。
  136. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  先ほど防衛局長から御説明を申し上げましたように、低空域関係の防空用としてのホーク八個高射特科群と、それから高空域の防空用のナイキ六個高射群につきましては、これを防衛計画の大綱の中に組み入れて整備をいたしておるようなわけでございますので、絶対にというようなことは別といたしまして、これから相当期間はこの方針のもとに進んでまいるところでございます。  なお、経過等につきましては、また防衛局長から詳細御説明をさせます。
  137. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生が申されましたように、四次防を検討いたしますときに、私ども防空ミサイルとしてナイキとホークを幾つくらい持てばよいのかということを検討した時期がございます。中曽根長官のときには、御承知のように、予想される脅威に対処するためにはどのような厚さで防空体制をしいておけばよいかという観点から検討したわけでございます。そのときには、ナイキもホークもいずれも十数個群が必要であろうという判断が当時ございました。したがいまして、四次防におきましては六個群を完成してなおかつもう一個群の編成の準備に着手するという形でお決めいただいたわけでございます。その後基盤的防衛力を検討するに当たりまして、十分な厚さではないけれども、一応わが国の全周域にわたってナイキとホークの組み合わせによる防空体制が完成すれば、それが一応基盤的な防衛力としてわれわれが考えている勢力になるだろうという判断をいたしまして、六個群でこれを編成するにとどめることにいたしたわけでございます。  ただ、いま先生がおっしゃいましたように、兵器が悪いからということではなくして、将来また新しい防空兵器体系もできるということも予想いたしましたが、あの時点におきましては、基盤的防衛力の観点から六個群、八個群という形で編成を考えた次第でございます。
  138. 野坂浩賢

    野坂分科員 次に、きょうも沖繩の基地問題が提案をされたわけでありますが、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案というのが出されております。この中で輸送航空団の改編がございますが、輸送航空団の司令部を私どもの地元、美保基地に持っておるわけであります。これで三回目でありますが、三回目で出されておるのであります。  この法案というものはずっと流れ続けてきておるわけですけれども、美保にあります四〇一部隊、これはこの法案が通らなければそのまま美保におるということになりますか。
  139. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 輸送航空団につきましては、運用上の問題から考えまして、司令部を美保に置き、その司令部のもとに三つの輸送航空隊を編成いたしまして、一つを入間、一つを小牧、そして一つを美保という形で編成を改正したいと考えまして改編をお願いしている次第でございますが、同時にまた、自衛隊法におきまして、現在小牧にございます第三航空団の三沢移転というものをお願いしているわけでございます。したがいまして、三沢の移転が不可能になりますと、現在の小牧の航空隊がそのまま残っておりますので、輸送航空隊の一つを小牧に持っていくということはちょっと困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  140. 野坂浩賢

    野坂分科員 この案でまいりますと、いま局長からお話がありましたように、四〇一航空隊は小牧で、美保には四〇三航空隊が残る、こういうことになっておりますが、そのままおることになるということになりますと、人員には全然異動がない、こういうふうに考えていいわけですか。
  141. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現在美保におります定員は約九百三十名でございますが、この四〇一飛行隊を編成できなくて、そして小牧に移動しないということになりますと、現状のまま続くことになると存じます。
  142. 野坂浩賢

    野坂分科員 現在美保基地には輸送航空機としてYSとC46と二機種あるわけでありますが、これは今後ともこのままの機種と体制でいくのか、あるいは変更するとすればいつごろ変更が考えられるのか。
  143. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いままでC46とYSとおったわけでございますが、C46が一応除籍という形になりますので、今年度からYS九機の形で美保で教育をし輸送に当たるわけでございますが、この三つの航空隊になりますと、それぞれC1とYSとの組み合わせということになります。しかしながら、この美保におきます輸送航空隊というのは、通常の輸送業務というよりは輸送航空機のパイロット養成ということが主になりますので、美保におきましてはC1が二機程度、YSが三機程度という形で、入間あるいは小牧のC1約十機、YS二ないし四機というような形とはちょっと違った形の航空隊になると考えております。
  144. 野坂浩賢

    野坂分科員 四〇一航空隊及び教育航空隊がそのままおるということになってくる。C46はだんだん廃棄をする。いまのお話を聞いておりますと、C1が二機でYSが九機だ、こういうふうにお話しでありますが、このC1というのはC46にかわって来るジュット輸送機だと思うのでありますが、大体いつごろを想定しておられるのですか。そして私たちが承知をしておるのは、最終的には四機を配備するのだというふうに防衛庁は考えておるように承っておるわけですけれども、将来ともに二機ですね。
  145. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 C1の配備の機数といたしましては、将来は定数上四機ということをお願いしたいと思っておりますが、当面は、いわゆる来年度法案が通りまして、さしあたっては二機配備ということに計画いたしております。なお、YS九機がそのまま残るということではございませんで、YSが三機程度というふうに計画をしているわけでございます。
  146. 野坂浩賢

    野坂分科員 この法案が通らなければC1は来ないというふうに考えてよろしいのですか。
  147. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、C46というのがリタイアしてしまうわけでございます。したがいまして、C1の飛行機に乗る教育等のために最小限のものはできれば配備させていただきたいというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  148. 野坂浩賢

    野坂分科員 この法律に関係なく五十二年度にC1は配備するんです、そういうことですか。
  149. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 C1の配備法律の成立とは直接関係ございませんで、いま申し上げましたように、C46がダウンをいたしますので、そのかわりとして最小限のC1を持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  150. 野坂浩賢

    野坂分科員 それでは法律に関係なく来るということですね。だから、五十二年度に二機、最終四機、こういうことですが、その最終というのは一体いつですか。
  151. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 五十二年度の早い時期に二機お願いし、五十二年度の終わりに四機になるという計画のようでございます。
  152. 野坂浩賢

    野坂分科員 五十二年度中に四機来るということですね。大体そういう考え方がわかりましたが、従来からこの美保基地にC1輸送ジェット機を配備するに当たって、新滑走路をつくる前から地元にずいぶんとトラブルがあって、五条件の問題とかあるいは移転の問題とか、たくさん問題を持っておるわけでありますが、この条件の中に、五十二年度にあなた方は持ってくるということでございますけれども、これは地元の了解を得なければ配備はしないということになっておるはずであります。地元の了解がなければ持ってこない、配備しないというふうに私どもは考えておりますが、いま防衛局長のお話では、五十二年度の当初そして五十二年度の末には総計四機は配備するのだという御見解でありますが、地元との関係はどのように御理解になり、どのような状況であるか、御答弁いただきたい。
  153. 平井啓一

    ○平井政府委員 美保基地にC1を配備する問題については、ただいまも御指摘ございましたように、長い経緯を踏まえて最近懸案の新しい滑走路を使用開始したということに伴って、従来の経緯等を拝見しながら十分地元と話し合いをして、地元の理解と協力を得ながら配備するという姿勢には変わりございません。なお、現在そういうことで地元と近くC1配備の問題についても十分話し合いをさしていただくということで計画を考えておる次第でございます。
  154. 野坂浩賢

    野坂分科員 ちょっとあいまいなんですがね。地元の了解を得なければ配備しない、こういうふうに考えてよろしいか。
  155. 平井啓一

    ○平井政府委員 先ほど地元との間に五条件という点の御指摘がございましたが、昭和四十七年に鳥取側とお話し合いをさせていただきました五条件の中には、特にC1配備というような表現とか、そういった新しい機種を入れるということについてあらかじめ地元の了解を得るという項目は入ってございません。ただし、そのころに島根県知事とお話し合いをさしていただきました際には、島根側に対しては機種の変更に関しては地元の事前の十分な理解を得るように努力する、そういう一項が入ってございます。いずれにいたしましても、そういう項目があるなしにかかわらず、従来の経緯を踏まえながら地元の理解なり協力を得た上で配備するという姿勢には変わりございません。
  156. 野坂浩賢

    野坂分科員 そう議論をするつもりはありませんがね、参事官。五条件ではそういうC1の乗り入れ配備についてはなかった、ジェット戦闘機というものはあったけれども輸送機はなかったんだ、こういう議論になりますが、その後何回も私ども詰めて、詰めた結果、地元の了解が得られなければ配備をしませんと、こう言ってきたのです。きょうは公式ですから確認をしておるのですけれども、あなたの言葉によると、理解と協力を得ながらということですから、その辺がぼやけておる。だから、了解を得ないままに配備をするということは考えていない、こう言ってもらえば非常にいいのですけれども、そのとおりですか。
  157. 平井啓一

    ○平井政府委員 地元関係者の了解を得て配備するという姿勢で臨みたいと思います。
  158. 野坂浩賢

    野坂分科員 はっきりしましたね。地元というのは、鳥取県は境港市と米子市、それから島根県は従来言ってまいりました八束町、東出雲町、安来市、松江市、この二市二町村、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  159. 平井啓一

    ○平井政府委員 直接的な地元の市町村としては御指摘のとおりでございます。私どもとしては、あわせまして鳥取県、島根県両当局にもよくお話し合いをさせていただきたいと思っております。
  160. 野坂浩賢

    野坂分科員 皆さんがいろいろと努力をされて説得されて、二月の十一日から美保基地の新しい滑走路を使用しております。それに至る間、いま参事官がお話しになったように、五条件の中で進入表面の問題とかあるいは地域住民の民生安定の問題とかいろいろございまして、集団移転のところは三十三ヘクタールとかあるいは保安用地とか、そして市街化区域の移転、こういうところの相当量の土地面積というものが買収されておる。ちょっと委員長にわからぬと思いますけれども、境線がありまして、こちらは坪当たり三万三千円、すぐこっちが、大篠津町の方が七月に四万円になりまして、十月に四万九千円になっております。前に聞きましたときには、買収につきましては、建設省等が示しております買収の基準表がありますが、あのとおりいくというような話だったのですが、防衛庁の場合は非常に弾力的な運用がされるのではないか。言葉では、どうだ、こう言って詰めると、その時期において適切な価格で処理いたします、こういうようなことでありますから、非常に不明確な点がある。法律にはちゃんと基準があって、防衛庁が買うにしても建設省が買うにしても農林省が買うにしても、やはり同じでなければ問題が起きるし、最初出した者は後の方よりもずっと損をするというようなことならばこれから大きな問題になるわけでありますが、それらの点についてはどのようにお考えになっておるのか、お伺いをしたい。
  161. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘の土地の価格でございますが、農地の場合と宅地の場合とやはり違うと思います。特にいま先生の御指摘の点は宅地であろうかと思いますが、宅地の場合は、立地条件それから時点等によりまして、私どもはいわゆる時価主義を厳正にとった上で処置しておりますので、御指摘のような、非常に弾力性があるとかあるいは政治的な加算がなされておるというふうなことはないというふうに考えております。
  162. 野坂浩賢

    野坂分科員 それは基準どおりやるということですね。後で、やるというふうにお答えをいただければ結構です。きちんとしておいてもらいたい。  それから防衛施設周辺の生活環境の整備等関係法令集というのがありますね。「特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村一覧表」というのがこの法律の最後に書いてありますね。ここには美保はありません。しかし、私たちがもらった「激動のアジアと日本の平和」というものに「基地騒音による被害をすくなくするという目的で騒音線引が防衛庁によっておこなわれている。この対象基地は北海道の千歳、島松、青森の三沢、八戸、宮城の松島、……山口の岩国、鳥取の美保、福岡の芦屋」と書いてありまして、ここには鳥取の美保はあるのですが、この「特定防衛施設及び特定防衛施設の関連市町村」のこれとの関連は一体どうなっておるのか。美保はこの中に入っておるのか入っていないのか、その点二つありまして、非常に見解が異なっておるというふうに思いますので、この際はっきりしておいてもらいたい。
  163. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  特定防衛施設関連市町村として指定されます市町村は、先生お持ちのこれの十九ページの第九条の第一号に「ターボジェット発動機を有する航空機の離陸又は着陸が実施される飛行場」こういうふうに規定してございます。したがいまして、今後CIが配備されるという時点には美保は入るということでございます。
  164. 野坂浩賢

    野坂分科員 現在はどうなんですか。
  165. 高島正一

    ○高島政府委員 現在はまだC1が配備されておりませんので、その指定には入っておらないということでございます。
  166. 野坂浩賢

    野坂分科員 わかりました。  時間がありませんからこれでやめなければなりませんが、最後に、大臣でも結構ですし、防衛局長でも結構ですが、一点だけお伺いをしておきます。  基地の拡張とかあるいは基地の整備ということになりますと、日本状況から考えて、賛成とか反対、そういう運動が当然起こり得る、こう思うのです。ことしの二月十一日にこの美保の新滑走路の初めての使用が行われました。午前中そういう式典がございまして美保の司令が主催をいたしました。午後には、この滑走路は大きな問題を投げかけておりますので、反対の皆さん方が集会になった。事前に交渉しておったようでありますが、この民主勢力といいますかそういう方々が司令と話し合いをしたいというときに、私もたまたまその会合に出てみました。それで、この基地の前の何百メートルか向こうで、その道路の上で話をしよう、こういうような話を聞いて実に驚きました。私が中に入って、代表が五人や六人入って話して何が悪いのか、こう言ったのですが、基地司令がいないとかいるとか言って、私はいると思っておったのですが、すぐに連絡をして三人か五人か入ったのです。自衛隊もいろいろな方々とお会いになるわけでありますから、そういう点については、基地の中に何も妨害するものはないわけですから、代表だけなんですから、そういうようなかっこうですべきだということを痛感しました。大臣としては、どういう方々でも、日本の平和をこいねがう方々でありますから、話すべきは話をするということは大切だろうと私は思います。事実、そういう人が中に入って、もしいろいろな問題があったのなら別でありますが、過去何十回かやってそういう問題がなかったのに、今回に限ってそういうような方法をとられた。よく理解を求めるという体制では全くないということを痛感したわけでありますが、いまの問題と今後の問題とでそういう申し入れがあれば、司令なりあるいは責任者が出て十分な話し合いをして意見の交換を行う、こういうことが私は望ましいことである、民主的な国家としてあるいは自衛隊としても当然だというふうに考えておるわけでありますが、大臣からそういう点について明確な御答弁があれば非常に結構だと思います。
  167. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  第一の点、去る二月十一日の行事について、当日いまお話しのことがあったことは、報告を受けましてよく承知をいたしました。適当な処置でなかったということで注意をいたしました。  今後の自衛隊基地と周辺の国民の方々、私は、国民の支援体制、理解のない防衛力というものは実際は成り立たないという考え方のもとに立っておりまするし、今後ともいかなる団体の方であろうとも事前に御連絡を申し上げて、適当なそういう準備をし、処置をして、できるだけ会っていただくようにこちらからもお願いをするくらいで、会うようにやってまいりたい、そう考えておりまするし、機会がありますれば、現地におきましてもそういう処置をいたしたいと考えております。
  168. 野坂浩賢

    野坂分科員 終わります。
  169. 瓦力

  170. 大内啓伍

    大内分科員 軍服を着ますと元帥のような風格を持っておられまする防衛庁長官に、まず新新韓国条項についてお伺いをし、そしてさらに国防会議の改革という問題につきまして防衛庁長官並びに国防会議の事務局長にお伺いをしたいと思っております。     〔瓦主査代理退席、主査着席〕  たしか十二日に三原防衛庁長官は福田総理とお会いになっていると思うのでございますが、そのときに三原防衛庁長官は、朝鮮半島の平和と安全が保たれている現状を崩さぬようにしてほしい、こういう要望をされていると思うのでございます。朝鮮半島を取り巻く情勢について防衛庁長官の認識をお伺いしたいのでございますが、たとえば一九六九年、佐藤・ニクソン会談の事態におきましては、沖繩返還を前にいたしまして、それなりに相当厳しい韓国条項がそこから生まれてまいりまして、あのナショナルプレスクラブにおける佐藤当時の首相の演説並びにそこから先に生まれていた韓国条項の中では、御存じのとおり、韓国の安全は日本自身の安全にとってエッセンシャルである、緊要であるといったような表現がとられたわけでありますが、一九七五年八月六日のあの三木・フォード大統領との間に取り交わされました日米共同新聞発表に際しましては、そこに一つのクッションが置かれまして、幾らか表現がやわらかくなってきた。今度は一応ベトナム戦争も終結をいたしまして、新新韓国条項というものが当然生まれてくると思うのでございますが、その前提として、朝鮮半島を取り巻く情勢は六九年時、七五年時と比べて変化があるどお考えかどうか、防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  171. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  朝鮮半島の情勢につきましては、先生御存じのように、北朝鮮そして韓国、軍隊を対峙させておるというような状態でございます。その中にもある程度の安定が保たれておるという現況でございます。二年前ベトナム問題がありましたときには、北朝鮮の金主席が北京を訪問されるというような事態があったりいたしました。そのときには一つの非常に厳しい朝鮮半島の情勢が出てまいりました。  また一方におきまして、これを取り巻きます中華人民共和国なりソ連との関係でございますが、北朝鮮はこれと友好協力援助条約を結んでおられるのでございます。しかし、この中国、ソ連の二大国とも、いま朝鮮半島で一つの問題が起こることは好まれない。何とか安定が続くようにということを考えておると思うのでございます。  米国におきましても、そうした状態で韓国に対しましては絶えずコメントをして、韓国の外部からの侵略に対してはこれを防いでやるという協力体制をやってまいっておりまするけれども米国自体におきましても、私は朝鮮半島でそうした問題の起こることを好まない状態にあると思うのでございます。  そういう中でございまするが、両者は軍事的には対峙しながらも、また地下水を通しながら、平和的に両国の統一体制を将来に向かっては願望しておられるということも考えておるのでございます。そういう中で、私はいまのところ朝鮮半島の安定と平和が保たれておる、しかし、いま申し上げますように、対峙した厳しい体制もございますという、そういう情勢判断をいたしておるところでございます。したがって、総理に対しましても、そうした朝鮮半島の将来に向かっての平和と安定が保たれておる現状を壊さない、これはただ軍事的な条件ばかりでなく、周辺の国際関係、そうした枠組みの中でそうした安定が保たれておるものでございまするので、そうした立場で韓国におきまする在韓米軍の削減というものは考えられるようにひとつお話しを願いたい、そういう朝鮮半島の認識に立って総理に申し上げました。
  172. 大内啓伍

    大内分科員 そういたしますと、在韓米軍の引き揚げといったような重要な問題が提起されてきたわけでありますが、防衛庁長官といたしましては次のように考えていると理解してよろしいかどうか。すなわち、朝鮮半島のバランスを崩さないように十分配慮しつつ、在韓米軍については段階的に撤退を進めるよう希望する、それが防衛庁長官また日本の立場というふうに理解してよろしゅうございますか。
  173. 三原朝雄

    三原国務大臣 カーター政権の政策と申しますか、これは六九年末なり七〇年のニクソン・ドクトリン以来のアメリカのアジアにおける政策であろうと私は受けとめているわけでございます。いずれの時期かにはそうした削減というものをとられるであろうということも受けとめてまいらざるを得ないと思うのでございます。しかし、あくまでも、ただ単に在韓米軍という立場だけで問題の処置をしていただかないように、その時期あるいは規模あるいは代替策等を踏まえて処置願いたいということでございまして、まだ明確なそうした時期なり規模なり代替策が明示されておらない時期でございますので、いま私自身が、いま先生が言われるように、こうした方法でいきなさいというようなことを明確に申し上げるということも差し控えねばならぬと思うのでございます。そういう立場でいま見ておるわけでございます。
  174. 大内啓伍

    大内分科員 それでは、別の聞き方をいたしますが、韓国の安全は日本の平和と安全にとって緊要である、そういうふうにお考えでしょうか。
  175. 三原朝雄

    三原国務大臣 その立場はそのとおりでございます。
  176. 大内啓伍

    大内分科員 実はその認識というのは、もちろん佐藤・ニクソン会談で行われたのでございますが、この佐藤・ニクソン会談の共同声明の一つの特徴というのは、韓国に緊急事態が起こった場合、在日米軍、これが自動的に発動することを事実上認めたと当時理解されていたのでございます。特にプレスクラブにおける佐藤演説と組み合わせましてそういうふうに理解されておったのでございますが、それが三木・フォード共同新聞発表によりましては、そういう自動発動に歯どめをかけようということから、「朝鮮半島における平和の維持にとり緊要であり」というふうに書きかえられまして、それを一つのクッションとして「朝鮮半島における平和の維持は日本を含む東アジアにおける平和と安全にとり」緊要でありではなくて「必要である」という言葉に書きかえられたのでございますが、いまの防衛庁長官の御答弁でございますと、一九六九年の韓国条項に戻るのでございますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  177. 三原朝雄

    三原国務大臣 自動的なということよりも、わが国の安全の立場から判断をすべきものだと考えております。
  178. 大内啓伍

    大内分科員 三月二十一日、二十二日の首脳会談におきまして、当然韓国条項というものが新しい歴史的な背景をもって述べられると思うのでございます。     〔主査退席、上原主査代理着席〕 そのときに、いま防衛庁長官が言明されたような形の表現になるとすると、これは相当歴史がさかのぼってしまうような感じがいたします。この問題は非常にむずかしい問題ですから、あるいは防衛庁長官もちょっと軽くお答えになったのかもしれないのです。これは非常に文言の使い方はむずかしいところでございます。いま防衛庁長官が確認されたことは、まさに一九六九年の韓国条項そのままのことを、そのとおりでございますとお答えいただいたので、実は今度の福田総理の施政方針演説では、朝鮮半島の平和と安定は、日本を含む束アジアの平和と安定に深いかかわり合いを持っているという表現になっているのでございます。恐らくこの辺が新新韓国条項ではございますまいか。それとも六九年のころの韓国条項を防衛庁長官としては主張されますか。どっちでございましょう。
  179. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  もちろん朝鮮半島の安全ということは、日本との関係ばかりではありません。アジア全体の安全と平和にかかわりのあるものでございますから、福田総理が施政演説で言われたそのままであると思うのでございます。     〔上原主査代理退席、主査着席〕
  180. 大内啓伍

    大内分科員 事実上訂正された形として理解をいたします。  本当は、国防会議の改革の問題を主題としてきょうは伺いたいど思ったのでございますが、この問題に非常に重要だと思いましたので一言お伺いしておきますが、三月十日に外人記者クラブにおきまして、福田首相はこう言っているのでございます。「米地上軍が削減されても日本防衛体制に影響はない」、三原防衛庁長官はこの見解には賛成でございますか。
  181. 三原朝雄

    三原国務大臣 この問題は、先ほど私が申し上げましたように、朝鮮半島の平和と安定が保たれておるという前提の上に立つものだと私は考えております。したがって、それが仮に削減という形で行われましても、日本防衛体制にすぐ関係がある、そういうふうには受けとめておりません。
  182. 大内啓伍

    大内分科員 そういたしますと、たとえば在韓の核部隊あるいは地上軍が段階的に削減されていく、そしてその過程において朝鮮半島の平和が維持されるという状況下にあるならば、日本防衛体制は変更する必要がないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  183. 三原朝雄

    三原国務大臣 そのとおりでございます。
  184. 大内啓伍

    大内分科員 非常に大事なお答えであったと思います。  そこで私は、本論でございます国防会議の改革につきましてお伺いをしたいのでございます。と申しますのは、国防会議の改革については、すでにこれまで閣議決定が行われているのでございます。にもかかわらず、国防会議の改革問題が今日まで具体的に手をつけられないまま放置されてきた。防衛庁は広義ではない狭義の安全保障をつかさどる部門というふうに理解をいたしておりますが、防衛庁長官もそうでございますか。
  185. 三原朝雄

    三原国務大臣 安全保障の問題につきましては、狭い意味でなく、もっと広い立場で考えておるわけでございます。
  186. 大内啓伍

    大内分科員 そうすると、国防会議というのは、防衛庁が考えていることと役割りが違いますか。国防会議というのは、私の理解におきましては、シビリアンコントロールの最高の機関でございます。そして、それは日本にとってきわめて死活的であるエネルギーの問題、食糧の問題、その他の資源の問題、貿易の確保の問題に至るまで、広い範囲において国防問題を考えていく。防衛庁というところは、日本防衛という狭義の安全保障を考えるところじゃないのですか。
  187. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま私はあなたの御質問の趣旨をはっきり受けとめなかったのでございまするけれども防衛庁は安全保障の問題の中での防衛問題をつかさどるところでございます。
  188. 大内啓伍

    大内分科員 そうなのでございます。  そうしますと、国防会議というのが日本の最高の安全保障を考えるところだといたしますと、久保事務局長にお伺いをいたしますが、いま原子力の問題も問題が起こっております。石油の問題も起こりそうです。二百海里、十二海里で漁業の問題も起こってまいります。したがって、日本の安全保障を確保するという問題は、まずそうした経済の安全保障についても、日本がそういうものを安定的に確保する体制をつくらなければなりません。そういう問題を本当に考えているところが国防を考えているところだと思いますが、わが国の安全保障の確保という見地から、石油の備蓄のあり方、あるいは食糧の自給度のあり方、あるいは安定輸入の確保、最近の二百海里、十二海里問題に伴う海上警備体制、これについて国防会議は検討し、議論したことがございますか。
  189. 久保卓也

    ○久保政府委員 私、国防会議事務局に比較的長くおりますが、いまのお答えの前に、性格論を少しお話し申し上げたいと思うのです。  考えてみますると、二つ性格があるように思い出しました。一つは、お話のように、防衛力に対する文民統制、すなわち、政治によるコントロールを行う最高の機関の一つである、国会に並ぶ政府内における最高の機関であるというふうに思います。したがいまして、防衛力に対する政治的コントロールでありますから、防衛庁に関する分野がそこに入ってまいります。ところで、従来の運用の概要を見ておりますると、この分野が大部分でございました。そしてまた、国会における御質疑もあるいは御意見も、どうもその分野に集中しておったような感じがいたします。  ところで、もう一つの機能というのが、いまお話がございましたように、防衛庁は軍事力、防衛力に関する政策を扱っておりますが、もっと広い意味での安全保障に関する政策を扱う縦割りの組織というものが、いまの行政組織では必ずしもはっきりいたしておりません。そこで、少なくとも縦割りの安全保障に関する分野を横からながめるような役所というものが必要であろう。その点を国防会議が担当すべきではなかろうか。ところが、お話がございましたような分野につきましては、実は、国防会議なり国防会議事務局なりが本来やるべき分野でありましょうが、その点が行われてなかったと思います。しかしながら、国防会議というものは、総理なり国防会議の議員の皆様方が、どういうふうに運用するかという政治の御判断でありますし、ごく最近、福田総理からもそういう御指示が出ておりまするので、これからそういう分野にわれわれは手をつけてまいらなければならないと思いますが、どういう範囲で、どの程度、どういう手順でやるかということは、今後国防会議あるいは総理からの御指示を得てやってまいりたいと思っております。
  190. 大内啓伍

    大内分科員 先ほど来モンデール副大統領が各国及び日本に派遣されてまいりましたが、この経緯を見ますと、アメリカの国家安全保障会議、ちょうどいま議論している国防会議でございますね、こういう国家安全保障会議が、そのことの必要性を検討いたしまして、それを決定し、大統領にそれを上申し、そしてそういう外交行動が起こっているのですね。そして広範な安全保障の問題についてそういう行動が起こっている。その出発点は国家安全保障会議なのでございます。ですから、国防会議というのも、いままでの経緯を見ておりますと、防衛庁から何か提案がございますと、それを検討して承認する機関に恐らくとどまっているんじゃないか。ですから、広義の防衛に取り組む機関として、いま御指摘の第二の点については、これまで非常に弱かったのじゃないか。たとえば防衛庁設置法六十二条三項では、国防会議というのは総理に意見も言い得るようになっているのですね。しかし、実際には何か防衛庁の下請機関みたいな、シビリアンコントロールの最高機関が、コントロールしなければならない防衛庁の意向をいろいろ検討したり承認するという機関では、本末転倒していると思うのですね。  ですから、これは防衛庁長官にも十分御検討いただきたいのございますし、また総理大臣にも防衛庁長官からぜひ申し上げていただきたいのですけれども、やはり国防会議というものを名実ともに日本の国家の安全保障全体について審議する機関にするためには、もっと、アメリカの国家安全保障会議そのままを持ってくるわけにまいりませんけれども、そこで果たしているような機能というものを取り入れ、少なくとも総理を補佐する審議機関とすべきだ、私どもはそう思いますが、防衛庁長官はどうでございますか。
  191. 三原朝雄

    三原国務大臣 結論を申し上げますと、全く御意見のとおりと思うわけでございます。実は私、防衛庁長官に就任をいたしまして、第一回の国防会議に出たわけでございますが、その際にも総理から、ちょうど先生が御指摘なさったような立場で今後の国防会議の運営をしていきたいという意思表示がございました。私も全く賛成でございまするし、また防衛庁におきましても、純防衛的な立場で問題を提示いたしますけれども、その際には、なぜそういうことになったかという背景から御説明を申し上げる、そういうものにいたしたい。ただ単に事務的に、かくのごとく主要項目を決めましたというような出し方でなく、そういう主要項目を決定するに至った背景等を申し上げて国防会議に純防衛的な立場から提案をいたします、そういう取り上げ方をしてまいりたいという考え方でおるわけございます。
  192. 大内啓伍

    大内分科員 そういたしますと、たとえば法制的にも、いま国防会議は、防衛庁設置法の中にいろいろなことが書かれておりまして、防衛庁の下請のような位置づけになっております。これは文民統制の最高機関としてふさわしい取り扱いを受けていない。構成に関する法律は別にございますけれども、そういうものを一本にして単独立法にした方が本当の意味での最高のシビリアンコントロールとしての国防会議になると思うのですが、防衛庁長官はどうでございましょう。  同時に、その点について、つまり先ほど私が指摘した、この際国防会議は総理を補佐する審議機関にすべきである、そしてそのための必要な改革を行い、法制的にも整備すべきだと思いますが、防衛庁長官と同時に久保国防会議事務局長の御意見も聞きたいと思うのでございます。
  193. 久保卓也

    ○久保政府委員 私から先に御答弁申し上げます。  国防会議がいかにあるべきかは、総理大臣及び国防会議皆さん方が政治の方針としてお示しいただくわけでして、私が申し上げるのは僭越だと思いますけれども、しかし、事務当局の方からもかくあるべしだという案は持っておるべきだろうと思います。  そういう意味で申し上げまするが、本来、単純なる諮問機関であるよりも、総理の補佐機能として活動するという分野を機能として高めるべきではなかろうかというふうに思っています。そういう意味では、いまでも諮問機関のほかに意見を申し述べることができるわけでありますが、むしろ審議機関としての性格を強めた方が安全保障政策一般を議論するのによろしかろうというふうに考えます。また、現在防衛庁設置法の中に国防会議の根拠法規が入っておりまするが、経緯的に申せば、防衛庁設置法あるいは自衛隊法が国会に出されるときに、国防会議を設置するということが各政党の妥協で決まって、中身が決まらないままに設置法の中にとりあえず取り入れられたというような経緯もありまして、これは本筋ではございません。したがいまして、本来、議員構成法及び設置法の中にあります一条を取り出して単独法にするのが適当ではなかろうかというふうに考えます。その際に、当初から問題になっております議員の組織なんかにつきましてもあわせて検討するということで、こういった問題全般についていずれ内閣総理大臣及び官房長官にも御相談、あるいは御指示を得たいと思っております。
  194. 大内啓伍

    大内分科員 余り時間がありませんので、結論的に申し上げたいと思うのでございますが、実は現在の国防会議はいまのままであってはいけないということはすでに閣議決定においても決定されているのでございます。ことしは例の一兆円減税をめぐりまして政府予算が修正されるという異常な事態が生まれているのでございますが、実は例の四次防の先取りをめぐりまして、防衛関係予算に関する議長あっせんというのが昭和四十七年二月二十五日に出されまして、その結果、先取りするようなやり方はいかぬ、文民統制が崩れているということで予算が修正されまして、しかもその議長あっせんの第四項におきましては「政府は、今回の経緯に鑑み文民統制の実をあげるため適切な措置を講ずる。」ということになりまして、それを受けまして昭和四十七年十月九日に閣議決定が行われて、いまの国防会議の改組案が出ているのでございます。少なくとも、いま防衛庁長官がお約束されましたように、いまの現状ではまずいということになれば、もっとはっきり、この際国防会議日本の安全保障全体を建設的に審議できるような体制に持っていくための改革を提案されるべきだと思うのでございます。これは従来の経緯から言っても政府が確認してきたことでございます。防衛庁長官はそれをなされる意思がございますか。
  195. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  国防会議の組織、運用等について改革する必要をかねてから考えておりまするし、その時期等もやってまいったという受けとめ方もいたしておるわけでございまして、目下この問題につきましては久保事務局長のところにおいて、防衛庁、関係各省とも連絡をしながら原案の作成について取り組んでおられるやに承っておるわけでございます。そうした点を通じて、防衛庁といたしましても審議に参画して努力をいたしたいと思うのでございます。しかし、当面といたしましては、とりあえずは、そういう改革が断行されます前は、運用面からひとつ積極的に取り組んでまいろうということでただいまのところおるところでございます。
  196. 大内啓伍

    大内分科員 時間が参りましたので、終了させていただきます。  どうも大変ありがとうございました。
  197. 木野晴夫

    ○木野主査 次に、松本忠助君。
  198. 松本忠助

    松本(忠)分科員 防衛庁長官にお尋ねを申し上げるわけでございますが、首都の防衛体制についてお尋ねをいたしたいわけでございます。  いまから四年前、昭和四十八年当時と現在、首都の防衛体制に変化があるかないか、あるとすればそれはどういう結果が生じているか、またその原因は何か、それからさらに、今後の首都の防衛体制に変化が予見されるかどうか、予見されるとするならばその影響は深刻なものかあるいは軽微なものか、ここからお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  199. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先生のいま申されました四十八年から現時点まで特に大きな変化はございません。
  200. 松本忠助

    松本(忠)分科員 今後どういう変化がありますか、ありませんか、そのことについてもお答えをいただくようにお願いしたわけです。
  201. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 今後絶対ないかということになりますと、将来のことはいま断定できませんけれども、現在の計画といたしまして、変わるようなことは考えておりません。
  202. 松本忠助

    松本(忠)分科員 防衛局長が言われるそのことはよく理解できます。今後そういったことがあってはならないわけでございますし、まずない方が好ましいわけでございます。影響も深刻なものはないというふうに理解するわけでございます。  そこで、現在東京二十三区内にあるところの陸上自衛隊の駐とん地、これは何カ所くらいあり、そしてまたその所在地と名称、面積、そういったものについてお示しをいただきたいと思うわけでございます。四十八年当時と比べまして変更があるならばその変更もお示しいただきたいし、その理由もお話をいただきたいと思います。
  203. 平井啓一

    ○平井政府委員 現在東京都区内にございますところの陸上自衛隊施設は、駐とん地といたしましては八施設ございます。十条駐とん地、市谷駐とん地、練馬駐とん地、三宿駐とん地、豊島分とん地、用賀駐とん地、芝浦分とん地、以上七カ所以外に朝霞の駐とん地の一部が練馬区に所在しておりまして、約八千平米ほどでございます。以上八カ所でございます。  これらにつきましては、四十八年当時と現在とでは実態的にはほとんど変化はございません。一部三宿におきまして道路用地として一千平米を区に割譲したとか、あるいは豊島分とん地の通信施設の一部を宿舎用地に転じたという程度の変化でございます。
  204. 松本忠助

    松本(忠)分科員 御答弁にありましたように、余り大きな変化はなかったということでございます。  そこで、いまお答えのございました八つの駐とん地それぞれにつきまして必要度の高いもの、どうしてもこれはなければならないもの、こういったものを第一順位といたしまして、必要性の高いものから順位をつけるとするならば、どのような順位がつくものか、また遊休施設とか不要の施設とかいうものがあるのかないのか、すべてこれは絶対必要なものだとおっしゃるのかどうか、この点について私、伺っておきたいわけでございます。要は国民の納める貴重な税金によって賄われているわけでございます。その活用をすることは当然でございますし、むだ遣いがあってはならない、こういう観点からお尋ねをするわけでございます。
  205. 平井啓一

    ○平井政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、都区内に所在しますそれぞれの施設、それぞれの駐とん地またそれぞれの駐とん地に所在しております各自衛隊部隊等はそれぞれおのおのが持っておりますところの機能を果たしておるわけであります。たとえば市谷におきますところの東部方面総監部あるいは十条におきます補給機能、それぞれ機能を果たしておりますので、それぞれがおのがじし果たしております機能の軽重を問うことは大変むずかしゅうございまして、それらの機能がそれぞれ期待される度合いに応じて果たされることによって自衛隊全体の機能が維持されているわけでございます。したがって、施設そのものにも軽重はつけがたいとお答え申し上げるよりほかないと思います。
  206. 松本忠助

    松本(忠)分科員 不急不要のもの、遊休施設とかそういうものは……。
  207. 平井啓一

    ○平井政府委員 なお、先ほど申し上げました陸上自衛隊の八施設にいたしましても、それぞれ効率的な状態で使っておりまして、特に遊休と申し上げるようなものはないと考えております。
  208. 松本忠助

    松本(忠)分科員 確かにいまのお答えも当然だろうと思います。人間の体にたとえましても、市・谷の方面総監部あるいは練馬の師団司令部というようなものは頭脳の働きをするわけでございます。また、豊島の分とん地にある通信施設などというものは、人間の体にたとえれば神経系統ということも言えるわけでございますが、芝浦の分とん地にございます音楽隊、これも士気を鼓舞するという意味から言えば必要があろうと思うわけでございます。しかし、これは人間の体にたとえた場合どこに当たるのか、私もちょっとこれは言いかねるわけでございます。最近は非常に防音の設備などというものもできましたので、あるいは他の基地の中に移して、完全防音設備をいたしましてこれを収容し、そこで練習をするということになれば、一万九千平米もあれば公営住宅も建つわけでございますし、この活用の方法はあろうと思います。しかし、ただとまって音楽隊が演奏するばかりでなくて、歩きながら演奏する場合もあるというようなことになると、やはりある程度の敷地は必要ではなかろうかと思うわけでございますが、いまのお話によりまして、必要度の高いものから順位をつけることは、各自独特の機能を果たしておるから順位はつけがたいと言われるわけでございますし、また、第二問の方の遊休の施設、不要の施設というようなものは、いまのところ、参事官のお話では、効率的に活用しているから全くないと、こうおっしゃるわけですね。  そこで、私はこういう点を踏まえまして次の質問をするわけでございますが、先ほどの八ヵ所の中に、十条駐とん地というものは非常に広大な面積を有しておりまして、しかもその中に赤羽の駐とん地が含まれているわけでございまして、要するに都内でも最高の面積のある場所でございます。  そこで、十条地区、赤羽地区で行われている業務の内容というものをお伺いし、さらに、そこに従事している人員というもの、これは総体で何名か、それぞれの部門別にひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  209. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいま御質問陸上自衛隊の十条駐とん地でございますが、ごく大ざっぱに申しますと、火器、車両及び誘導武器に関します六項目の業務を営んでおります。まず第一点といたしましては、そういった車両等の物品の整備、保管、補給の業務でございます。それから、そういったものに関連いたします部品、工具等の製作をいたしております。それから、不用物品の回収、保管、これはいわゆる俗称MAPと申しますが、主といたしましてMAPに関係する業務を営んでおります。それから、調達、補給、整備に必要な技術資料の作成、保管、それから、主としてホークでございますが、ホーク関係の計器類の検査、較正、さらには電算機業務、こういうようなことをいたしております。  このうち、いま特に御質問のございました赤羽地区でございますが、この中で赤羽地区の扱います業務は、主として装輪、装軌車、いわゆる車両関係でございますが、それの整備、保管、補給をいたします。それから、火器について若干の検査をいたしております。なお、不用物品につきましては、車両本体の保管業務を主として営んでおります。その他テストロード等の仕事で、いわゆる車体検査とかそういうようなことを営んでおります。  ごく大ざっぱに申しますと、以上のような状態でございます。  なお、人員は、昭和五十一年度末で約千五十名でございます。
  210. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そこで伺いますのは、十条駐とん地の方と赤羽駐とん地の方を分けて千五十名というものを区分するとどういうことになりますか。
  211. 江口裕通

    ○江口政府委員 この千五十名のうちの約九十名が赤羽地区に勤務いたしております。
  212. 松本忠助

    松本(忠)分科員 赤羽地区は御承知のように十一万二千平米、十条地区の方が十二万九千平米ということでございまして、広大な敷地にそれぞれいろいろの仕事をしているわけでございますが、いまのお答えでございますと、赤羽の方は車両の整備、保管、修理、そのほかに検査もやっているようでございますが、そこの方に九十名というお話でございます。  それぞれ必要な業務を行っているわけでございますけれども、そこでもう一点お尋ねいたしたいのは、車両の整備というものが一体どれくらいかかるものかということでございます。  何人かかって何日ぐらいでできるものか、キャタピラのついた装軌車の場合、それからゴムタイヤの装輪車の場合、それぞれ違うと思いますけれども、それが何人くらいかかるものか、そして何日くらいでできるものか、お答えをいただきたいと思います。
  213. 江口裕通

    ○江口政府委員 装輪車、装軌車と、ごく大ざっぱに分けるわけでございますが、装輪車は俗称トラック等でございます。トラック等につきましては、過去五年間の一応平均の工数、具体的に申しますとマンアワーでございます。それをはじきますと、約百六十マンアワーということに相なっております。それから装軌車、これは主として戦車、装甲車、自走砲等々の、軌条を有します車両でございますが、それは九百七十三マンアワーということに相なっております。
  214. 松本忠助

    松本(忠)分科員 その装軌車、装輪車は、どれくらいその基地へ来てから修理して出ていくまでの間に在易しているのですか。
  215. 江口裕通

    ○江口政府委員 これも平均でございますが、ただいまの二通りの分類で申しますと、装輪車がおおむね七十一在場日数、それから装軌車が百三十三日数でございます。
  216. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いまお答えがございましたように、装軌車、キャタピラのついた方は百三十三日間在場する。修理は、これが入った日から出ていく日までずっと引き続いて修理をしているというわけじゃないわけでございますけれども、とにかく百三十三日間という在場日数があるわけです。平均してそういう期間あの基地の中にいるわけでございます。百三十三日というと四月半、修理工数が九百七十三マンアワー、こういうお話でございます。これは、われわれがざっと計算しましても、日給五千円の人間がそこにかかるとすると、一両修理するのに四百八十六万五千円かかるという計算をざっとできるわけです。装輪車の方も、この七十一日ということは二カ月と十日そこに停留しているということになります。入ってきてから出ていくまでの間、要するに非常に時間がかかるということでございまして、民間の工場ではとても考えられないように能率が悪いというふうに思うわけでございます。親方日の丸の精神歴然たるものありと私は申し上げるわけでございますが、私も、三月の九日に現地を見せていただきまして、非常に能率が悪いんだなというふうな感じを受けてきたわけでございます。この点について私は改善する必要があるんではなかろうか、親方日の丸なんという精神ではないと思うのでありますけれども、どうもそういう気分が私はありありと見受けられますので、この点についてどう思われるか、ひとつ大臣から伺っておきたいわけでございます。
  217. 江口裕通

    ○江口政府委員 大臣への御質問でございますが、いささか技術的な点にわたる事項がございますので、それを先に申し上げまして、後から大臣に締めくくりをお願いしたいと思っております。  ただいま御指摘のいわゆる在場日数あるいはマンアワー等でございますが、これは確かに最近とみに延びてきております。これは御指摘のとおりでございます。  それは一つには装輪車につきましては、御存じのように、ガソリン車からディーゼル車にかわりまして、いわゆる故障の発生率というものは総体的には減っておりますが、そのかわり一度故障いたしますと、これは相当複雑な仕組みでございますし、それからディーゼル車というものはやはり耐用年数が長うございますので、その先の長い耐用年数ということを考えて、相当念入りな整備と申しますか、それが必要とされるわけでございます。  それから、装軌車につきましても、これは同様な問題がございまして、従来はいわゆるMAP品の、たとえばM4戦車とかいうようなものを使っておりますが、近来国産戦車と申しますか、61戦車あたりがどんどん出てきております。そういうようなことで、いわゆる手がけました期間がまだ経験も浅うございまして、とりあえず、いまの段階では相当程度やはり修理に日数を要しておるというのが現状でございます。  こういったものにつきましては、もちろん習熟いたしますにつれて徐々に改善はいたしていくと思いますし、また、そうしなければならぬと思っておりますが、遺憾ながら実態はそういう状況になっておりまして、整備をいたしますときのマンアワーあるいは在場日数等が非常にふえておる、こういう状況でございます。
  218. 松本忠助

    松本(忠)分科員 時間がありませんから、私、先へ進めますけれども、今度は車両整備の年度別の実績というものを私はお伺いしてみたいわけでございます。お答えをいただきたい。合計でいいですよ、装軌、装輪合わせて。
  219. 江口裕通

    ○江口政府委員 合計で合わせて申し上げますと、一応後送されてくるものにつましては、四十六年度以降でございますが、四十六年度三百九両、四十七年度が四百三十四、四十八年度が二百二十七、四十九年度が百九十、五十年度が百六十六、なお、これは後送と申しましたが、いま合計いたしました数字の中には、MAP用のものが入っておりますので、整備車両といたしましては、四十六年度が二百三、四十七年度が百五十九、四十八年度が百十一、四十九年度が百一、五十年度が百一、かようになっております。
  220. 松本忠助

    松本(忠)分科員 五十年度が百一ですか、そこまで実績が出ているわけでございまして、私はこれらの点を考えてみまして、初期の四十五、六年度から考えますと、やはり現在の五十年度では約四分の一程度に減っているわけですね。特に四十六年当時は二百三でありますが、さかのぼって四十五年になりますと、四百三十六という数字を私はこの前の四十八年の質問のときに把握をいたしております。そういう数字から考えますと、四十五年から五十年までの間に約四分の一に修繕の車両というものが減っているわけでございます。  私、実は四十八年の三月にこの問題を取り上げまして一遍やったことがあるのですが、その当時、装軌車のテストロードの問題に関しましてお答えがございまして、周辺のところからいろいろの苦情が出るので、だんだんそれを少なくしている、その当時も、四十六年度の実績から始まりまして、各年度の実績などもお話を伺いましたけれども、とにかく騒音問題のためにテストをやめたということでございますので、仕事は非常に減っているのじゃなかろうかと私は思っております。  赤羽以外のところでこういった修理をやっているのですか、やっていませんか。赤羽以外には全く東京周辺ではこうした修理はやっていないとおっしゃるわけでしょうか、どうでしょうか。
  221. 江口裕通

    ○江口政府委員 結論から申しますと、まずやっておらないというふうにお考えいただいて結構でございます。やるといたしましても、野整備程度のものでございます。
  222. 松本忠助

    松本(忠)分科員 修繕する車も非常に少ない。それはいろいろ整備が上手であるとか、耐用年数十分に使っているということも言えると思うのでありますけれども、この前の質問のときに後送車の問題がありました。ところが、その後送車の問題にしましても、四十八年に私が質問した当時は、四百五十から五百のこういうものが常時来るというようなお話もあったわけでございます。これは山口(衛)政府委員の答弁でございますが、「四百五十両から五百両というものが常時ここに置かれておりまして、これが実績でございます。」というふうに、数字を挙げて説明されておりますが、その後の状態を見ておりますと、後送車両というものが非常に減っていると思うわけです。これもいろいろ調べてみますと、四十七年当時の二百七十五を最高として、五十年には六十五というふうに、記録から調べると出てくるわけでございます。先ほども赤羽地区の人員が全体で九十名、こういうことでございますが、その中に、この間現地へ行って伺いましたときには、保管にタッチしている人は十名だというお話でございました。  そういう点から考えても、確かに後送車両というものは少なくなったと思うわけでございますけれども、とにかくあの膨大な土地にいまは後送車両というものも非常に少ない状態で、全くあいている状態であるということを私どもは確認をしてきているわけであります。四十八年の三月の質問の中では、四百五十両から五百の修理というものがある、それから、後送されてくる車両があるので、あそこ以外にはもうないのだ、あの赤羽地区以外には全くこういう後送車両を収容する場所がないのだというお話でございました。しかし、現在では、御存じだと思いますけれども、全くあいているわけです。もうほとんどがあいている。しかも場所があいているがゆえでございましょうけれども、他の役所の車までも預かるくらいの余力があるわけで、自衛隊の車ばかりではないわけであります。よその車も、わずかではありますけれども、あるわけでございます。そうしたことを考えてみますと、後送車両もなくなり修繕車両もなくなっているのに、なおかつあそこの場所をどうしても保有しておかなければならないという理由が私は全くないと思うのです。  こういう点を私は申し上げまして、十条地区、さらに赤羽地区というものに対して、遊休の施設、余り活用されていない施設、こういうふうに思うわけでございます。一番最初に防衛局長から効率的な活用をしているというお言葉がございましたけれども、全くこれは当てはまらない言葉ではなかろうか。そのお答えを私は返上申し上げたいと思うわけでございまして、実際行ってみましても、また、常時われわれはあの周辺の団地におります方々に頼んでおいて見てもらっておりますけれども、車の出入りなども全くないわけでず。たまたまこの間参りまして現地を視察いたしますと、テストロードを使って何台かの車が走っておりましたけれども、あれなども全く小細工ではないかと私は思うわけです。実際問題として毎日走っていないのに、あの三月九日、私がお伺いするということを通報しておいたがゆえに、当日は一生懸命テストロードを何台かの車が回っているというような状態にしか見受けられない。これは余りと言えば余りに勘ぐり過ぎていると言うかもしれませんけれども、ふだんの状態を私どもは把握しておりますので、申し上げられるようなわけです。  こういう点を考えますと、私はこの十条地区、赤羽地区というものは本当に自衛隊として必要なんだろうか。特に赤羽地区の場合はその必要性は全くない、こういうふうに私は思うわけでございます。  そこで、結論でございます。もう時間もございませんから、あと大臣にお答えをいただきたいわけでございますが、四十八年の一月十一日に、私どもは、地元の北区議会において決議をいたしましたその決議を持って防衛庁をお訪ねいたしました。その当時、増原長官がいらっしゃいませんでしたので、長官に直接お耳に入れることはできなかったわけでございますが、その後、私はこの問題を四十八年三月七日に分科会で取り上げまして、直接長官にその決議文を申し上げたわけでございます。そのときに、分科会で長官は、具体的にこの問題を検討してみたいというふうに考えている、こういうふうなお答えがございました。その後四十九年の四月十七日にも、地元の住民で結成しますところの「陸上自衛隊十条駐とん地の解放を進める会」というこの会の代表の小沢正敬さん以下四名と私、防衛庁長官にお会いしました。そのときは山中長官でございました。三千五百名の署名簿を持って参りまして、長官、それをごらんになりました。この両地区の解放についてお願いしましたところ、山中長官は、同地区内の施設を整理して地元に便宜を図るように検討を命じている、解放に向かって誠心誠意やらせていただきたい、こういうふうに長官のお答えがあったわけでございます。ところが、その後さっぱり音さたがないままにこうなってきている。現状のとおりでございます。私ども現地を拝見しまして、この両基地というものは本当に遊休の施設ではなかろうか、特に赤羽地区においてはそのことが言えると思うわけでございます。  そこで、この問題に対して三原長官はどうお考えになりますか。増原長官あるいは山中長官の言われたこと、こうしたことについて現長官といたしましてはどのようにお考えになるのかをお伺いして、もう一点だけお伺いして、終わりにしたいと思います。
  223. 三原朝雄

    三原国務大臣 四十八年以来、増原、山中両長官が地元の方々に対してお答えをしたといういまお話を受けました。先生の御質問の中に十条地区、赤羽地区の基地問題についていろいろお尋ねがあるということを承っておりまして、私もその経過等については承ったのでございます。そうした関係者のお話を聴取したのと、それからいま先生の御意見とを拝聴いたしておりまして、いろいろ私自身も、確かに過密地帯における両基地に問題があるなあということを感じたわけでございます。私自身、積極的にこの問題を再調査いたしまして、最終的な決断を下すべきであれば下すことになろうと思いますけれども、積極的にひとつ調査検討をさせていただきたいと思うのでございます。
  224. 松本忠助

    松本(忠)分科員 長官のいまのお話を伺いまして、私も非常に意を強くするものでございます。両地区が都民のために解放されるということについて再調査を積極的にやるということでございますので、私はぜひともこの問題を実現していただきたいということをお願い申し上げておく次第でございます。  なお、もう一点は御要望でございますけれども防衛体制の問題でございます。これは四十七年の八月五日に東京都知事が東京都の防災会議にかけまして、避難場所として決定されております、そしてまた管理者の承認を得たものとして発表されております昭和五十年修正版のいわゆる東京都地域防災計画、これによりますと、十条駐とん地の方は「十条台一丁目」として明記されておりますけれども、十条台一丁目というところには一部民間使用の土地はありますけれども、十条駐とん地が大部分でございます。わざわざ自衛隊十条駐とん地とは記載しなかったことと思うのでありますけれども、一方自衛隊の十条駐とん地赤羽地区の方は「自衛隊赤羽駐とん地」というふうに明記されております。そして、それぞれ避難するところの町会なども指定をされているわけでございますが、両駐とん地とも一朝非常の際には避難者を受け入れてくれるものと思っておりますが、受け入れ体制に万全を期していただきたいという要望でございます。適切な受け入れがなされなかったために人命に損害が出た、このようなことになりますと大変でございますので、そうならないように現地司令、また夜間の宿直の者など、こういう者について十分徹底をしておいていただきたい、こう思うわけでございます。他日、いま三原長官のお話によりましてこの両地区も、キャンプ王子が北区中央公園として生まれ変わりましたように、都民のための公園として解放される、その日が来るまで、非常の際にも何のトラブルもなく避難できるように、このことをお願いを申し上げておく次第でございます。  最後に長官の、そうして非常の際の受け入れ体制を万全にやるというお答えを私は期待申し上げるわけでございます。
  225. 三原朝雄

    三原国務大臣 十条地区が災害、非常時におきましての避難地域としては、防衛庁もその駐とん地を避難場所として設定をいたしております。積極的に協力をいたす所存でございます。
  226. 松本忠助

    松本(忠)分科員 終わります。
  227. 木野晴夫

    ○木野主査 次に、村山富市君。
  228. 村山富市

    村山(富)分科員 私は弾薬庫の問題について防衛庁にお尋ねをしたいと思うのです。  大分県の大分市の敷戸というところに弾薬庫がございます。私が聞いたところによりますると、この弾薬庫昭和三十二年に開設をされ、当時用地が大体六十六万平米あった、その後さらに拡張されまして、現在は百三十二万平米になっておる、ごく最近、この弾薬庫のあります国道十号線の反対側に曲地区というところがありますが、さらにその地区の用地を買収されて拡張された、こういうふうに聞いておりますが、そのとおりで間違いないかどうか。同時に、こうして用地が拡大されたのは、この弾薬庫の安全基準上必要があって拡張されたのか、どういう理由によるのか、その点についてまずお尋ねをしたいと思うのです。
  229. 平井啓一

    ○平井政府委員 御指摘の大分弾薬支処におきまして、昭和四十八年度から昭和五十年度にわたりまして用地の買収を行い、これを保安用地として従来のものにつけ加えていったという経過をたどりましたことは事実でございます。  なお、御指摘のありました大分弾薬支処の面積につきましては、当庁としては百四十三万八千平米と記録しております。  なお、これを買収いたしました目的は、ただいまも御答弁いたしましたように、弾薬庫の保安用地として買収をしたということでございます。
  230. 村山富市

    村山(富)分科員 それはさっき質問しましたように、安全基準との関連というのはどういうふうになっておるわけですか。
  231. 江口裕通

    ○江口政府委員 この弾薬庫にはTNT換算量で約一千トンの弾薬がございまして、三十三棟に入っておりますが、いずれも私どもは安全基準は厳重にチェックして守らせております。  それで、先ほども用地の問題にございましたように、そういうためにも用地を広げるという措置をとっておりまして、そういうことは逆にその点には十分留意をしてやっておるという所存でございます。
  232. 村山富市

    村山(富)分科員 この弾薬庫に常時貯蔵されておる弾薬の量というのはどの程度あるのか、あるいはまた貯蔵されておる弾薬の種類はどんなものがあるのか、御説明願いたいと思うのです。
  233. 江口裕通

    ○江口政府委員 当支処には陸上自衛隊で使用いたしまする弾薬類のうち、ほとんどすべての弾種を保有しております。ただ、ホーク弾は保有しておりません。  常時保有ということになりますと、先ほど申しました数字は、通産省から認可を受けております貯蔵量でございまして、これが約一千トンでございますが、常時保有量といたしましては、この約八〇%というふうにお考えいただきたいと存じます。
  234. 村山富市

    村山(富)分科員 そうすると、これは陸上自衛隊が使うだけのものであって、海上自衛隊航空自衛隊が使われるものはありませんか。
  235. 江口裕通

    ○江口政府委員 もっぱら陸上自衛隊の分でございます。
  236. 村山富市

    村山(富)分科員 もっぱら陸上自衛隊ということは、ほかのものもあるということですか。
  237. 江口裕通

    ○江口政府委員 陸上自衛隊で使います弾薬でございます。
  238. 村山富市

    村山(富)分科員 私が聞いたところによると、いまお話がございましたように、ホーク弾以外はほとんどある。ホーク弾というのは、九州はどこに貯蔵していますか。
  239. 江口裕通

    ○江口政府委員 北に参りまして、福岡県の富野弾薬処でございます。
  240. 村山富市

    村山(富)分科員 恐らくこの弾薬庫の中には貯蔵庫があると思うのですが、その貯蔵庫は大体幾棟くらいあって、それは地上の貯蔵庫なのか、地下の貯蔵庫なのか、どっちですか。
  241. 江口裕通

    ○江口政府委員 火薬庫は三十三棟ございます。うち二十七棟がほとんど地中トンネル式でございます。この覆土厚が二十メートル程度ございます。あとの六棟は地表に一応出ておりますが、谷合いに入っておるわけでございます。
  242. 村山富市

    村山(富)分科員 さっき弾薬の種類もちょっと聞いたのですが、どういう弾薬があるか、その種類についてはわかりませんか。
  243. 江口裕通

    ○江口政府委員 陸上自衛隊で使います弾でございますので、砲の弾あるいは小銃の弾、一応ほとんどの種類をそろえております。この種類の内訳等につきましては、ちょっと公表を差し控えさせていただきたいと思います。
  244. 村山富市

    村山(富)分科員 それは秘密に類するわけですか。
  245. 江口裕通

    ○江口政府委員 一応部外に申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
  246. 村山富市

    村山(富)分科員 あえてお尋ねしませんけれども、ただ先ほど来お話がありましたように、通産省の認可をとっておるのが約一千トンですね。そして、常時置いてあるのが大体その八〇%、そういうお話でしたね。そうですか。
  247. 江口裕通

    ○江口政府委員 通産省から保有の認可を受けておりますのが、TNT換算約千トンでございます。常時保有いたしておりますのは、その約八割ということでございます。
  248. 村山富市

    村山(富)分科員 そうしますと、いま持っておる用地の安全基準というのは、認可をとっておる一千トンに見合った安全基準の用地を持っておるのか、どうなんですか。
  249. 江口裕通

    ○江口政府委員 火薬類、弾薬類についての貯蔵の関係の保安距離の御質問でございますが、この保安距離につきましては火薬類取締法の規制に従っております。具体的にどうかといいますと、個々の火薬庫ごとに、それと民家の接する距離と申しますか、その問の距離が弾薬の保有量に応じて規定されてございまして、たとえば二百メートルとか三百メートルとかいう数字がございますので、その線に沿いまして、それ以上の距離をとるようにいたしておるわけでございます。
  250. 村山富市

    村山(富)分科員 そうしますと、その認可をとっておる一千トンという弾薬を置くために必要な安全基準というものを確保するために、これだけの用地を持っておるのか、まだ余裕があるのか、どっちなんですか。——こういうことなんです。常時一千トンの八〇%くらいあるわけでしょう。これはやはり主として演習用に置いてあるわけでしょう。ですから、訓練用に置いてある。これはたとえば緊急事態が発生したり有事の場合、またさらに量がふえるのじゃないかということが考えられるでしょう。そういう場合の安全基準というのは一体どういう関係になるのか、それをちょっと……。
  251. 江口裕通

    ○江口政府委員 先ほど申しました認可量の一千トンと申しますのは、現時点のキャパシティーにおいての状態を想定いたしまして一応一千トンということで考えておりますので、その八〇%と一千トンとの間には余裕があるわけでございます。そういう意味で申し上げておるわけでございますが、それ以上ということにつきましては、いま私どもの方といたしましては一千トン以内にとどめたいというふうに考えておるわけでございます。
  252. 村山富市

    村山(富)分科員 これは想定ですからなんですけれども、この弾薬庫というのはどういう役割りを果たして、どういう任務を持っておる弾薬庫ですか。
  253. 江口裕通

    ○江口政府委員 任務といたしましては、当支処は陸上自衛隊の九州地区の補給処の弾薬支処でございます。したがいまして、西部方面区内に所在いたします部隊等に対する弾薬類の保管、補給、整備等を行っておるわけでございます。それがこの支処の任務ということになるわけでございます。
  254. 村山富市

    村山(富)分科員 そうしますと、さっき言いましたように、たとえば緊急事態が発生した、あるいは有事——それはどんなことを指すかわかりませんけれども有事の場合、いま常時置かれておる弾薬だけでは恐らく足りぬと思いますね。そうすると、補強されるでしょう。ですから、そういうものも含めて常に備蓄した弾薬があるのか、そういう場合にはまた搬入するのか、そこらの関係はどうなんですか。
  255. 江口裕通

    ○江口政府委員 私どもの方といたしましては、先ほど申しました千トンの認可量以内で運用したいということでございます。具体的に申しますと、先ほど申しました八〇%、約八百トンでございますが、この中の約半分くらいが一応備蓄的なものでございます。
  256. 村山富市

    村山(富)分科員 この弾薬庫から搬入、搬出をされておると思うのですが、その状況はどういうふうになっていますか。たとえば月に何回出すとか、搬入、搬出はどの程度あるのかというのはどういうふうになっていますか。
  257. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは搬出先と搬出いたします運搬手段の二つの点から申し上げたいと思いますが、搬出先といたしましては、主として、搬出される弾薬のうちの最大の量、約八割でございますが、これは日出生台演習場向けに出ております。その他十文字原、大野原等々がございますが、まあ二割程度のものでございます。  それから、車両といたしましては、弾薬の出入、いわゆる出入車両のうちで弾薬車両と申しますのは、この一年間くらいの統計をとってみますと、大体月平均二十両くらいでございます。
  258. 村山富市

    村山(富)分科員 月平均二十両くらいですか。私が聞いたところによると、月大体三十両くらいで、そして平均すると日に一回というふうに聞いていますがね。それは間違いありませんか。  それから、重ねて聞きますが、搬入、搬出に使うトラックは民間のトラックを使っていますか、自衛隊ですか。  もう一つは搬入、搬出先によりますけれども、日出生台とすればどの道路を使って運びますか。
  259. 江口裕通

    ○江口政府委員 先ほどの数字でございますが、私の方で申しましたのは、五十一年の三月から五十二年の二月まで合計二百三十九両でございまして、これを十二で割りますと約二十両という数字になります。その中には、たとえば去年の六月に五十二両というような数字が出ておりますが、そういうふうにならしまして二十両と申し上げました。  それから、車両の種類でございますが、これは搬入をいたします場合は、民間から購入した弾薬でございますので、民間車両ということになるわけでございます。搬出いたします場合は、自衛隊の車両ということになるわけでございます。これはごく大ざっぱに申してのことでございます。  それから道路は、ちょっといま具体的な道路の名称はあれでございますが、その前の国道を使いまして運送をいたしておるわけでございます。
  260. 村山富市

    村山(富)分科員 そうすると、一番心配になるのは、貯蔵時の安全確保あるいは搬入、搬出の場合の安全確保というものが一番心配になると思うのですが、その安全確保についてはどういう対策を講じていますか。
  261. 江口裕通

    ○江口政府委員 まず、御質問の貯蔵時の場合と、それから運搬の場合と二つの御趣旨かと思います。  一般的に申しまして、火薬類取締法の規定というものが一応原則として自衛隊にはかかっておるわけでございます。原則としてと申しますのは、例外的に消費の関係がやや抜けております。適用除外になります。これは射撃をするときは自衛隊独自の方式でいたしますので、事柄の性質上抜けるということになろうかと思います。  それで、まず貯蔵の場合でございますが、これは一応先ほど申しました保安距離あるいは火薬庫の設置等はいずれも火薬類取締法の趣旨にのっとっておりますが、具体的な安全性の問題といたしましては、保安距離の確保はもちろんでございますが、貯蔵庫自体が、先ほど申しましたように、三十三棟のうちの二十七棟が、これはいわゆる地中のトンネル方式でございます。その上層覆土厚というものは大体二十メートルございますので、たとえば最悪の場合、爆発いたしたとしても、上へ突き抜けるということは考えられないわけでございます。  それから、それ以外のものにつきましても、これは各山合いの谷の中に入れておりまして、その方向等も十分検討いたしまして、外部に影響を及ぼさないように考えております。  そういう意味で、われわれといたしましては、貯蔵については万全を期しておるというふうに考えております。  それから、輸送でございますが、輸送は、元来自衛隊弾薬は、一般の火薬類、ダイナマイト等と違いまして、非常に衝撃性にも強いわけでございます。大体、交通事故の場合にかかります衝撃の百倍程度のものが起こりましても、まあ耐え得るように相なっておるわけでございます。しかしながら、一応念には念を入れまして、その運搬をいたします場合には、通常の火薬庫につきましてはダンボール箱または木箱でやっておりますが、全部個々に一発ずつ金属容器に入れておりまして、前後に厳重な見張りをやるというようなことで輸送をいたしておるわけでございます。
  262. 村山富市

    村山(富)分科員 ここに図面がありますけれども、この図面を広げてみますから、長官見てください。——これが弾薬庫です。この周辺には団地がずっとできているわけですよ。いま二万人から二万五千人くらい住んでますね。ですから、言うならば団地に囲まれておるわけですよ。しかも、大分大学がここにできておりまして、言うならば団地の密集地区であるし、同時に文教地区なのですよ。高等学校もできるし、小学校もできる、こういう状況の中です。しかも、この弾薬庫が使われる道路は、さっきお話がありましたように、この国道十号線一本ですよ。これはもうラッシュ時だけでなくて、常時大変な渋滞をしているわけですね、一本ですから。しかも、こちらの方には新産都ができまして大変な交通量なのですね。ですから、平素、日に一回くらいは問題ないかもしれませんが、緊急時の場合、大変混雑するのじゃないかということが一つ。  それから、この団地の状況から見て、やはりここに弾薬庫があるというのは不適地じゃないか。しかも、この交通の緩和を図るために、どこかに新産都につなぐ道路をつくるとすれば、この弾薬庫のある地区に通すのが一番いいのですよ。ですから、いろいろな意味から考えてこの弾薬庫がネックになっている。  これはもう時間もありませんからお尋ねしたいと思うのですが、こういう状況は、こういうところに弾薬庫ができたのじゃなくて、弾薬庫があるところの地区がこういうふうに変形したわけですから、これはいま言ったような意味で、この地域の開発をするために大変一つの障害になっておる。これは将来どこかに場所を変えるような検討をしてもらえるかどうかですね。  これはすでに地元の大分市議会あるいは県議会等でも問題になっておりまして、知事もこういう答弁をされています。「敷戸弾薬庫撤去の問題についてお尋ねがございました。これはまことにごもっともなご意見だと思います。前にもそういうご意見がこの議場でも論ぜられたと思いますが、何といいましてもこれはやっぱり、国と大分市の合意によって実現することでございますが、現在、国の情勢から見て具体的な見通しは立っていない状況のようでございます。しかしながら、敷戸周辺の市街化が進んでまいりまして、また、文教地区としての現状にかんがみまして、今後、大分市と十分協議をして対処いたしてまいりたいと、かように考えております。」こういう答弁もありますが、むしろ地元の市の方はもっと積極的な意見を持っておる。この関係地区に住んでおられる住民も、相当やはりこの問題に対する関心が高くて、そういう意向が表明されておる、こういう状況にあるわけであります。  そこで、これはこれだけの大変広大な用地ですから、どこかに替え地を探すといったってなかなか困難でしょうし、右から左にすぐぽっとできるものじゃないと思うのですが、大臣、いま図面をごらんに入れましたけれども、しかも、そうしたいろいろな地元の情勢もある等々お考えになって、どういうふうにお考えになりますか。
  263. 三原朝雄

    三原国務大臣 いまの大分弾薬庫の問題、これはちょうど私の郷土福岡の方にも山田弾薬庫というのがあるわけでございまするが、そうした状態になります前は、いま先生も御指摘のように、もとは山中であった、適当な地であったということでそこに設置をしたわけでございまするが、こういう過密状態の都市になったり、あるいは大学、団地等が周辺に移転をされるというような結果からそういう事態になってまいったことだと思うのでございまして、私も、北九州の山田弾薬庫あるいは大分の弾薬庫等、全般にそういう問題が各地でございますので、将来の問題として検討に取り組まなければならぬなといういま受けとめ方でございます。
  264. 村山富市

    村山(富)分科員 これはさっきちょっと説明しましたけれども、あの十号線の国道というのは大変な渋滞なんですよ、正直申しまして。ラッシュ時は一寸刻みですよ。ですから、あれだけ団地ができておるけれども、土地を買ってもまだ家を建てられぬという人もあるわけです。なぜ家を建てないかといいますと、それは通勤に大変だからですね。だから、土地は買っているけれども、家は建てない。こういう状況にありますから、いろいろな条件から考えてみて、場所が大変悪いのではないか。特に何か緊急事態があった場合、あるいは有事の場合、これは大変な混乱をすると思いますよ。ですから、さっきもお話し申しましたけれども、いろいろな角度から検討してみて、この地域の開発のためには大きな障害になっているし、同時に大分市の全体の都市計画をするにしても大変大きなネックになっておるということが言えると思いますから、これはいずれ大きな問題になってくると思うのです。そういう問題もございますので、将来——将来と言ったって遠い将来じゃなくて、近い将来大きな問題になると思いますから、十分検討していただいて、もっと積極的に替え地を探していただくなり何かしていただかなければならぬと思うのですが、もう一遍大臣の所見を聞いて、終わりたいと思うのです。
  265. 三原朝雄

    三原国務大臣 いまの御意見、十分拝聴いたしました。しかし、これは相当な予算も必要でございますし、またこうした弾薬庫を他に移転をする適地というようなものを見つけることも非常に困難でございます。これは、私自身が山田弾薬庫の移転等について、九州一円についていろいろ検討をしてみたこともあるわけでございますが、それだけに、いますぐ右から左というようなことをお約束するわけにはいきませんけれども、将来を踏まえて検討を進めてまいりますということだけは申し上げておきたいと思うのでございます。
  266. 村山富市

    村山(富)分科員 終わります。
  267. 木野晴夫

    ○木野主査 次に、瀬長亀次郎君。
  268. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私は、最初に長官に、カーター政権がいま韓国からの撤退の問題あるいは人権外交を打ち出して、いろいろ問題になっておりますが、韓国からの米軍の撤退の問題について、十二日に長官が総理と外務大臣を訪ねて、急激な撤退は困ると言ったようなことが新聞に報ぜられておりますが、いまでもそういった考えをお持ちですか、お伺いしたいと思うのです。
  269. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたしますが、急激な云々は困るというようなことを申し上げたことはございません。朝鮮半島の安全と平和がいま保たれておるわけでございます。また、それ自体は日本の安全にもつながるわけでございますし、アジアの平和と安全にも関係があることでございます。そうした平和と安全の状態を壊さない体制において考えていただくようにということを申し上げたわけでございます。
  270. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 逆に質問いたしますが、きょうの本会議でも外務大臣もそういったお答えでしたが、アメリカ基地を縮小、整理するというのが政府の方針だということでした。大臣も、当然のことながらそういった整理、縮小の方針については賛成だと思うのですが、そう受けとめていいのですか。
  271. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたしますが、在韓米軍の削減という問題は、カーター政権が登場されて新しく出たものではない、ニクソン・ドクトリン以来のアメリカのアジアに対する政策の延長であるという受けとめ方をいたしておりますので、私は、将来において在韓米軍の削減とか撤退とかいうようなことはあり得るものだ、そういう見方には立っておるわけでございます。ただしかし、現在の状態を見て、先ほど申し上げましたように、朝鮮半島の安全、平和という体制を壊さない枠組みなり、そうした準備が必要であろう。しかし、私がいますぐ削減がどうの撤退がどうのということを申し上げる立場にないのは、アメリカ自身が、先生も御承知のように、いつの時期に、どのくらいの規模で、そして代替策をどういうことをやってというような具体的なことを、企図を明確にいたしません先に、韓国問題について私からとやかく申し上げることはできませんということを申し上げておるわけでございます。
  272. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私、そのことを聞いているのじゃなしに、在日米軍基地の整理、縮小ですね、この点をきょう外務大臣も政府の方針として述べていたわけなんです。そこでもちろん、従来から日本政府はアメリカ基地を整理、縮小していくという方針であったので、当然のことながら長官もそうだと思いますが、それであれば逆に、在日米軍を撤退してほしいということを当然言うべきじゃないのか。論理的に言うと、整理、縮小でしょう、そういうふうにだんだん縮小してくると米軍は撤退せざるを得なくなる。むしろ、そういう方向の積極的な意欲があるのかないのか、こういった点を聞いているわけなんです。
  273. 三原朝雄

    三原国務大臣 在日米軍等の合理化の問題は承っておるわけでございます。数年前からやっておるわけでございますし。ただ、在韓米軍の削減をこちらから提案するというようなことは、先ほど申しましたように……(瀬長分科員「在日米軍です」と呼ぶ)在日米軍をこちらから云々するというところまで、現在はそういうことを考えてもおりませんし、こちらから発言をするというようなことを考えてはおりません。
  274. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それでは、基地の整理、縮小というのはたてまえであって、本音はそうではないということになるわけです。大体、整理、縮小すれば縮小されるだけ米軍は撤退せざるを得なくなる、これは当然のことながら、日本国民は安全のためにはそういうふうな論理の推移、いわゆる結論としてそうなるんだ。だが、それは言わないというのは、たてまえは整理、縮小だが、本音は米軍日本から出ていっては困るのだといったようなことに私は理解しておるのですが、そういった理解でいいのかどうかですね、大臣の御答弁をお願いしたいと思うのです。
  275. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 施設の関係の仕事を預かっておりますので、大臣のお答えの前に一言お答えしたいと思うのですが、先生のお尋ねの観点と私ども政府の立場は若干違っておりまして、政府の立場は、日米安保条約を前提としまして、そして日本に駐留する米軍のために施設を提供しておりますが、その施設そのものが、先ほどもお答えがあったように、昨今の日本の国土の人口の稠密化、都市化、そういうことに関連して、だんだんと見直す必要があるということで、古くからあった基地をいまの時点において、いろいろな諸条件が変わった時点において見直して、そうして整理できるものは整理して、幾らかでも、基地の周辺の方々に御迷惑をかけておる点などがあれば、これを縮小しようということでございますが、基本はあくまで日米安保協定というものを堅持して、そうして米軍の機能と周辺の住民の方々、国民の生活の問題、そういうものとの調和をどうして見出そうかということでございまして、全く日米安保協定を拒否して、だんだん縮小して、最後にゼロにしてしまおうという立場ではないので、その辺のところ、御理解いただきたいと思います。
  276. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大体本音とたてまえ、はっきりわかったので、これはこのくらいにして、人権問題に入りたいと思います。  カーター大統領は、御承知のように、アメリカの陸海空軍の総司令官である。ほかの外国の人権問題を云々する前に、自分の統轄しておる米軍の人権がどうなっておるか、人権を尊重しておるかどうかという問題について問題提起して、最後に、よく長官は総理にいろいろ進言されるので、きょう福田総理は訪米する前に各党にあいさつに来られましたが、それとも関連して、在日米軍日本国民に加えた犯罪、これは大変なものなんです。もうそれこそ基本的人権に関係する問題です。二、三日すれば、こっちで全国的な犯罪は集計しますが、沖繩だけとりましても、大臣、これは昭和四十七年五月十五日の復帰の時点から五十一年の九月まで、約五カ年間で、凶悪犯罪、これは御承知のように殺人、強盗、婦女暴行、放火、こういった凶悪犯人が合計して百三十九件、人数にして二百十四人、これは検挙されたものだけです。粗暴犯が三百一件で、検挙されたのが三百五十一人。窃盗、知能犯その他、合計で六百四十八人が検挙されておるわけです。これは五カ年間ですから、一カ年間で二百四十二件起こっております。  そうなりますと、御承知のように、いまカーター大統領を総司令官とする在日米軍日本国民に加えた基本的人権——それは殺人があります、実例はもういろいろありますが、述べるわけにはまいりません。たとえば海兵隊ベンジャミン事件というのがあります。これはベトナムのソンミ事件とまで言われている。鉄砲で撃ち殺して、そして基地内に逃げる。いろいろな事件があります。中学生二人に暴行未遂を加える。そして血だらけにしておる。こういったような米軍犯罪が後を絶ちません。この統計によりますと、毎年悪質化し集団化しております。一件一人のものが一件で二名になったり三名になったり集団化しておる。これは事実なんです。これはきのう沖繩県庁のいわゆる外人事件関係、渉外部基地渉外課、この調査に基づくものなんです。  この点につきまして長官にお伺いしたいのは、福田総理がカーター大統領に会いに行かれる。そのときにこれはよけて通ることはできないわけなんです。韓国の問題ではありません。日本国民に加えられた、アメリカ合衆国軍人がこういった人権を踏みにじっておることについては、これはよけて通れないと思うのです。ですから、特に基地関係を担当しておられる三原長官のこれに対する御意見、さらに総理にそのことを伝えるといったような決意があるかどうか、含めて御答弁をお願いしたいと思うのです。——時間がありませんから、長官が答弁してください。
  277. 三原朝雄

    三原国務大臣 いま在日米軍の人権問題についてお話がございました。この点につきましては、外務省の担当になるものですから、防衛庁長官としてはいまの御意見を承りましたし、十分外務省とも御相談をし、また外務省からも総理と一緒に行かれますので、どういう措置にされるか、とりあえずは外務省とひとつよく相談をしてまいりたいと思うのございます。
  278. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この問題は、長官、新聞でもときどき、というよりは、沖繩現地の新聞はほとんど三日に一遍、四日に一遍は何か外人事件がある。酔っぱらい運転で人を殺す、平気なんですね。こういったことが、現に人権外交を世界に宣言したカーター大統領——しかも大統領はアメリカの陸海空の総司令官なんだ。この総司令官のもとにこの事件が起こっておる。殺人がある、強盗がある、強姦がある、婦女暴行。もう数えれば幾らでも出てぐる。さらに窃盗はもう平気でやる、無銭飲食も平気でやる。といったようなことなんで、この点は外務大臣の所管でもあるでしょう。しかし、基地を提供した。その提供する場合の担当の長官はやはり防衛庁長官なんだ。したがって、この問題は外務省だけではなくて、防衛庁としても大きい関心を払って、日本国民の人権を外国軍隊に荒らされたままにしておくのではなくて、日本民族の本当の尊厳を守る観点から、大臣もその腹になってやってもらわないと困る。それこそカーター外交が人権外交と言われていて、本音はそうじゃない。たてまえは人権外交、本音は殺してもいいというふうなことを現実に——日本現実はそれを指摘する。この点について十分頭に入れてもらって、とりわけ外務省とも相談されてと言いますが、直接にでも福田総理にこういったことがあると、——これは事実なんです。あるので、特に人権問題についてはカーター大統領とぜひ意見を交換して、再びないようにするような方向を打ち出す。再びないような方向というのは、——これは常にアメリカの司令官は、このようなことは再び起こしませんという返事をします。ところが、これはどんどん起こっておる。これは現実である。だから、基地は諸悪の根源であるということを言われているのはそういった点であるので、その点を踏まえて、とりわけいまいい機会であるのは、カーターさん自身が人権外交を打ち出したわけなんですから、その点をはっきり踏まえてぜひ福田総理に直接にでも言ってもらいたい。私はこれを要望したいと思いますが、長官、いかがですか。
  279. 三原朝雄

    三原国務大臣 先生の要望として十分承っておきたいと思います。
  280. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 次に、放棄請求権の問題について、特に防衛施設庁が担当になっておるようでありますが、この点についてお伺いします。  放棄請求権の問題については、防衛施設庁が調査の主体になる、開発庁は協力する、さらにいろいろ関係省庁と協議をして、まとまらない場合には内閣審議室ですか、これが調整をとるということになっておるようでありますが、現実中心的な窓口は防衛施設庁と見ていいのかどうか。そう見ていいならいい、いやそうではありませんならありません、窓口はまだどこということをはっきり言えないならそれでいいのですが、この点をまず……。
  281. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 簡単にお答えしますと、調査だけは施設庁がやりましたが、処理の窓口にはなっておりません。いま窓口をどこにするかを審議室を中心に政府関係機関で協議中のところでございます。
  282. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 例の沖繩国会のときにはっきり防衛施設庁、これは山中長官時代ですが、いろいろ開発庁も協力する、だが予算に関する処理については防衛施設庁であるというふうなことを委員会で証言されておるのですよ。それと予算措置でできないものもあり得るので特別に立法する、これも考えなくてはいかぬということまで言っておる。この委員会は四十六年ですが、いまだにその窓口がどこであるかということもいま審議中だということになると、一体これはどうなるのか。私、きのう県知事にも会い、さらにその渉外関係を持っておる課長にも会いましたが、一番顕著な問題はこれです。窓口をはっきりさせてくださいというのと、それからこの放棄請求権の処理方針、これを決めると言っていたがいまだに処理方針すら決まらないということ。もう一つは、第一次、第二次の調査であなた方が出した報告書だけでも千百五十八億円になっていますね。これ御承知だと思いますが、それに漁業補償を加えると千六百七十二億九千万円余、もうこれだけは第二次の集計で出ております。第三次をいまやりつつあるようであるが、県の意向は第三次の調査の結果は、余りこうお話しするような数字はないだろう。大体これが実態ではないか。  とりわけ一番はっきりしているのは漁業補償だと言っております。漁業補償については、これは大体一〇〇%に近いということを言っておるわけです。ですから、この処理方針というのは一体全体、何月までに決まるのか。やってからもう五カ年以上になるのですよ。それと特に一〇〇%近い調査が行われて、実態として漁業補償、これはもうはっきりしているんですね。この漁業補償は百四十六億七千九百万円、これに漁連が出している五百十四億円、これを加えました漁業補償はすぐ予算化する、またできるはずだということでありますが、この点について御回答をお願いしたいと思います。
  283. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 御指摘がございましたように、請求権の問題は大変重要な問題でありまして、沖繩復帰の際に提起された重要かつ複雑な問題であるのでございます。施設庁としましては、先ほど来お話がございましたように、こうした問題といろんな点で関連がございます。特に漁業補償の問題については、返還後の米軍の活動に関連して漁業補償など扱っておりますので、そういう関連もございまして、私どもとしては私どもなりに十分な理解を持ってこの問題に対しておるわけでございますが、先般予算委員会でも官房長官に請求権問題の御質問があって、政府としても急いで所管を明らかにし、かつ基本的な扱いをどうするかということを検討しておる段階でございまして、施設庁としてはそういった検討の結果、御協力申し上げるべきものは御協力申し上げようということで臨んでおります。     〔主査退席、瓦主査代理着席〕
  284. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 御協力という言葉ですが、御協力じゃなしに、事実は施設庁がやることになっておるのでしょう。だれに協力するんですか。施設庁がまとめて、事実上大蔵に予算折衝するというふうにならなければいけない問題じゃないのですか。協力する、だれに協力し、どういうふうに主張するのか、いわゆる処理方針、これは一体だれが明確にするのか。それから、どこの省庁が担当するのか、窓口はどこか。いま言った漁業補償というのは、ほとんど一〇〇%に実態は近いわけなんです。そういったものから予算化して、だんだん放棄された日本国民の請求権、これに国がこたえていくという基本方針は決まっているわけなんですね。決まらぬのはいまの処理方針が決まらぬ、窓口が決まらぬ。そういったような状況の中で、実際もう請求していい、予算化していいという数字もわかっているが、まだ宙に飛んでいるという実態、これを明らかにしてほしいというんですね。たとえば五十二年度予算、組まれていない。減税問題があって、また修正しなくちゃいかぬ、そういう段階で、いまの漁業補償だけを修正追加していくということも可能であるのか、あるいは可能でないので、五十三年度予算にはぜひこう決まった漁業補償関係だけでも入れるのだという政府の方針が何かなければならぬじゃないですか。全然方針なし。どうですか、長官。
  285. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほど来お答えしておるのですが、施設庁は窓口にはなっておりません。調査をするだけです。あとどこの役所が中心になってやるのがいいか、あるいは幾つかの複数の、たとえば漁業権でありましたら農林水産の関係もございましょうし、施設庁だけが関係の役所であるわけではございませんので、そこのところをよく政府全体として計画的に組織的に取り決めをし、そして必要な措置を講じたいということをいま官房の審議室が中心になって検討しておるということを申し上げておるわけです。
  286. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 時間がありませんので、長官に一言お聞きしたいのですが、放棄請求権の問題は、いま申し上げましたとおり、沖繩県民が占領時代に受けた、当然のことながらアメリカ占領軍がヘーグ陸戦条約に基づいて払わなければいけなかったのを払わぬ、払わないものをいわゆる日米沖繩協定を含む平和条約やその他で請求権を放棄した、その放棄したのを日本がやるということになっておる。ところが、現時点まで、いま施設庁長官から話があったように、どこがやるのか、調査は施設庁がやる、ところが予算請求の主体はどうも施設庁ではない。これは予算請求する段階までいっておるわけなんです、はっきりしておるわけです。その点を長官として至急関係省庁と打ち合わせされて——これは予算化すべきものはもう出ております。漁業補償であれば当然もう五十二年度予算に組まなくてはいかぬところにきておる。そういった点について長官として窓口をどこにする、そうなると処理方針がそこで決まってしまう、決まれば、予算請求すべきものはこういう予算を請求するということまで決まって、一年間ですぐ解決するような金額でもないが、毎年何百億組んで何カ年間には全部支払うという計画が立つわけなんです。その意味で、長官はぜひその点についてはどうしたいという方針があると思いますので、この点明確に答弁してもらいたいと思います。
  287. 三原朝雄

    三原国務大臣 ただいまの問題につきましては、私の方、施設庁の方では調査は今日まで進めてまいったのございますが、この取り扱いについては、内閣官房長官のところの審議室でこれから先の窓口はどこにしようかということを鋭意いま検討しておりますので、事態を遷延せずに積極的にこの問題の処置をいたしますように私からも官房長官に進言をいたします。
  288. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 終わります。
  289. 瓦力

  290. 宮井泰良

    宮井分科員 私はきょうは山口県米軍岩国基地に関する問題に対しまして何点かお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、米軍岩国基地発注の事業の点についてでございます。これは米軍が直接民間業者を選定する問題でございますが、私の方の調査では、岩国市内の業者を通り越しまして広島県の業者が多いわけでございます。もちろん入札とかその点で自由になっておることでございますから、これは大変むずかしい問題であると思いますけれども、そういうことに対して岩国市内の業者の方々は大変不満を持っておられるのでございます。そこに基地がございまして、騒音や、後でジェット機の墜落事故の問題も御質問いたしますが、そういったいろいろなことがございまして、非常に困っておる点もある。そういうことで仕事はよそへとられていく、何とかならないかというような声があるわけでございます。これは米軍のことでございますから、当局としても非常にむずかしいということもあるでしょうが、日米間の話し合いの中においてそういう話ができる場があれば、何らかの手だてができないものだろうかということを申し上げたいわけでございます。  また、それと並行いたしまして、防衛施設庁がやっておられる基地周辺対策事業、これについては地元企業の育成の趣旨でおやりになっていると思いますけれども、その辺の実態と今後の方針をお聞かせいただきたいと思います。
  291. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの、基地が存在しておって周辺の方々にいろいろ御迷惑をかけたり御協力を得たりしておりながら、基地関係の工事があった場合にどこかよそへ行って、基地の関係者には余り関連なしに工事が行われるという問題は、まず、日米間を問わずやはり考えなければならない問題だと私は思っておりまして、先生も分けてお尋ねでございますが、まず日本側の関係では基地周辺対策、あるいは基地の中でも日本側が工事を行う場合もございますが、そういうものについては、施設庁において、その工事の執行に当たってはなるたけ周辺の方々に仕事をやっていただく方向でやるべきであるというふうに考えております。  しかしながら、これまた細かく分けますと、直轄工事の場合は国の仕事でございますから、比較的そういう方針をもとにやりやすい面がございますが、補助事業でございますと、市町村が主体になりますので、契約の主体はあくまで関係市町村であるという場合がございます。そういう場合に、そういった方針を押しつけるわけにもまいりませんが、話し合って十分な御理解、御協力を得てそういうことをやってまいるべきであろうかと思っております。  それから、米軍につきましては、これはもう一つむずかしゅうございまして、とにかく米国の金で米国がやるというものでございます。しかしながら、いま申し述べたように、日本側としてもそういうことを考えておりますし、米軍側としてもやはり基地が存在して、地元のいろいろな御協力を得て運営していかなければならぬということについての十分な認識を持っておりますから、そういった配慮の必要を何かの適当な機会に米側に伝えて、いま御指摘のあったような点についての適切な運営ができればということを考えております。
  292. 宮井泰良

    宮井分科員 それではそのように努力していただくように要望いたします。  次に、防衛施設庁が買収した土地は、基地周辺環境整備法に基づきまして公共のためでありますと貸していくことができる、こういうふうにいろいろな方面に利用していくとなっていると思いますが、現在、岩国市に貸し付けて緑化事業に使っております土地、これは木の苗を植えておる場所でございますが、岩国市旭町三丁目に約三万平方メートルございます。この土地の一部を、用途使用変更を市から防衛施設庁に申請した場合、地元住民の強い要望でございます子供のための遊園地に開放してもらいたい、こういった要望が出ておるわけでございますけれども、この点についてのお考えをお尋ねいたします。
  293. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねの国有地は、周辺生活環境整備法に基づく手続きでもって岩国市にお貸しして、確かに御指摘のとおり、苗木の育成の施設あるいは資材置き場として使っておるわけでございますが、この法律によりますと、いまお尋ねがあった広場と申しますか、子供の遊べる場所に使うということもまだできるようでございますので、岩国市から使用目的変更の申請があって、そしていま申し述べた法律に書いてある項目に該当するものでありますれば、それは使用変更が可能でございます。そしてその目的によって、それが有償になるか無償になるかという検討もいたすことになるわけでございます。
  294. 宮井泰良

    宮井分科員 有償、無償というお話がちょっと出ましたので、いまもう市の方が借り受けておりますので、市の方でその工事とか整地の事業は受け持つ、このようになった場合はどうなりますか、お尋ねいたします。
  295. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねのような状況であれば、無償になるということでございます。
  296. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは次に、先ほども申し上げました昨年十二月十六日に米海兵隊岩国基地から飛び立ちましたAV8Aハリア、これは垂直離着陸ジェット機でございますが、岩国沖に墜落をいたしました。これは新聞報道等で御存じであろうと思います。同海域での最近の墜落事故は、四十九年十月から三度目でございます。当日は漁船もナマコなどの漁をいたしており、また岩国市民はいつ市街地に落ちるかもしれないという強い不安を持っておるわけでございます。また、新聞報道によりますと、この三日に、これは岩国周辺ではございませんが、岩国基地から飛び立ちましたイントルーダーが、フィリピン沖の海上に墜落をいたしております。このように再三にわたりまして墜落事故がございまして、幸いにして民家等には落ちておりませんので大惨事には至っておりませんけれども、相次ぐ事故に住民は大変不安を持っておりますし、漁業者も安心して漁ができない、企業の方々も工場被害に大変おびえております。  このような事故に対しまして、どういう手を打ってこられたか、このことをお尋ねいたします。
  297. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねのハリアの事故は、私どもも大変重要視いたしまして、たまたま海上に落ちたのでございますが、落ちる場所が悪かったら大変重大な結果になるということを考えまして、事故が起きたすぐ翌日でございますが、昨年の十二月十七日に岩国にありますわが施設庁の事務所長を基地に派遣しまして、米側に早期に事故原因をはっきりさす、それから再発防止の措置を講じてほしいということを申し入れております。それからさらに、現地レベルだけではなくて、東京におきましても、本庁において昨年の十二月二十日、在日米軍司令部に対して同じ事故について同じ申し入れをいたしますと同時に、さらに本年の一月十三日になりましてから文書でもって在日米軍司令部に所要の安全措置をとるようにということを申し入れてございます。  米側では、当庁のこうした申し入れの趣旨を考慮して、いま所要の措置を早急にとるということを約束してくれておりますが、目下この事故原因の解明に努力しておるものと考えております。
  298. 宮井泰良

    宮井分科員 いろいろと努力をされたわけですけれども、地元岩国市におきましては、公明党を初め革新団体は、わずか三カ月半の間に二度もハリアが墜落をいたしておりますので、せめてこのハリアだけでも、ただいまの御報告でも、いま墜落事故の原因調査をしておるというお話でございますので、事故原因がはっきりするまでこの訓練を中止してもらいたいと、これは市長を通じまして基地の司令官に直接申し入れたわけでございます。しかし、基地の方は、訓練の中止はしない、このように言明をしておるわけでございまして、地方自治体だけの働きかけでは非常に弱いと思いますので、この問題について、事故の原因がはっきりするまで飛行訓練の中止をハリアに限ってするように申し入れを、いままでもやられたかどうか、また、やられでなければ今後やられる考えがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
  299. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この問題につきましては、ことしの一月十四日に岩国の現地で日米の協議会がございまして、市の当局など関係機関の方々も入っておられますが、そこでいろいろ検討が加えられたのでありますが、米側としては、このハリア機は欠陥機とは考えておらないようでございます。このパイロットが殉職しておりますので、昨年の末に海中から回収した機体を米本国へ持って帰って、そして事故原因を解明しておる、あと数カ月かかるということでございます。  そこで、私どもとしては、この解明が済むまでの間はとにかく厳重な安全措置をやってほしいということを申し入れておりまして、パイロットが飛行に当たってのいろいろな注意事項、そういったものをしっかりと守るように、パイロットの訓練を一層厳重にするということ、それから機体の整備でございますが、これをしっかりやるようにといったようなことを米側に要請し、米側もその点については了解をしておりますが、ただいまのところ、このハリアの飛行を停止してもらうということを考えてはおりません。
  300. 宮井泰良

    宮井分科員 そういった事故が三カ月間に二回も起きているわけでございまして、原因がはっきりするまで飛行中止をしてもらいたい、こういったことについては米軍側も十分考慮してもらうように、これはだれが考えましても、そういう岩国市民の声でございますので、さらに強力に働きかけていただきたい、このように思います。  それから、この岩国基地は海岸線に十数社企業が並びまして、岩国市、大竹市、これはコンビナート群になっているわけでございます。このコンビナート群を旋回する米軍機が後を絶ちませんので、四十六年、四十九年に米軍側に対しまして、工場上空の飛行の中止を要請しておるわけでございます。これは御承知のとおり、石油企業、タンクが並び、一たびこれが墜落いたしますと、それこそ大惨事になることは目に見えておるわけでございまして、今日まで幸いにして付近の離れ島の上でありますとか、あるいは海岸でありますとか、そういったところでありましたので、先ほどからも申し上げておりますように、大惨事にはなっておりませんが、この工場群というのが非常に民家も接近しておるわけでございますから、飛行中止を要請したのですが、これに対して米軍側は、その都度飛行コースの方法を善処する回答はありまして、最近ではその回数がやや減少しておるのは事実でございます。しかし、依然としてこれが続いておりますので、まだこの基地滑走路を空母に見立てて着艦、発進の訓練をやる、こういう、本土におきましても最重要基地になっておりますから、そういうようなことで頻繁な訓練が行われるということもございますが、こういったことに対して厳しい行政指導といいますか、日米間の話し合いの中にそういったことを強く地方自治体もあるいはまた住民も望んでおるわけでございますけれども、これに対して何らかの手を打ってこられたか、この点をお伺いいたします。
  301. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 御指摘のように、岩国飛行場のすぐ北端には大変なコンビナートがございますし、南の方にもやはりいろいろ地上に施設がございます。  そこで、いま御指摘のように、この飛行パターンを十分考えて、離着陸の場合にそうした危険個所を避けて通るということ、これは強く私ども米側に要望しておりまして、北進の場合には離陸するとすぐ右側に旋回して海上部分に出る、工場の上を通らない。南進の場合はすぐ左旋回をしてやはり海上に出るということを強く要望し、米側もこのことを了解しております。ただ、なかなかパイロットに徹底させることが不十分なようで、場合によってはそのとおり厳格に守られておらないことがあるやに聞くのでございますが、この点につきましては、私ども厳格な姿勢でもって米側に繰り返し要望してまいって、そして地元民の不安がこうした飛行コースからだけでも取り除かれることを見守っていきたいというふうに考えておりますので、今後とも一層の努力を続ける覚悟でおります。
  302. 宮井泰良

    宮井分科員 住民の立場からそういった点の強力な要請を希望いたします。  次に、いま申しましたような大変な工場群の上にジェット機が落ちた場合の惨事や、あるいは騒音問題等で大変困っておりますので、せめて墜落の事故でありますとか、騒音の問題を解消するために、岩国基地の沖合い移設という問題が以前から出まして、いま論議を呼んでおるわけでございます。革新団体では、たとえ沖合いに移設されても墜落の心配はなくならないんじゃないか、あるいはまた基地の強化につながるのではないか、あるいはまたそのようなことが現実予算面や技術的な面でできるのかどうか、こういったことが大変いま議論になっておるわけでございまして、そういう点で二、三点お伺いをいたします。  この沖合い移設調査は、五十二年度にも調査費が計上されていると思いますが、この調査は何年で終了するか、この点をお伺いいたします。
  303. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 岩国飛行場のいわゆる沖合い移設でございますが、先ほど来御質問があったようないろいろな問題に対する抜本的な対策として、飛行場全体をもう少し沖合いに出すことができないかという考え方がございまして、これを実施するためにはいろいろな問題がございます。技術的に一体そういうことが可能であるかどうか。あるいはまたそういったことをやった結果、いろいろなところに影響が出てくるんではないか、多角的にこれを検討する必要があるということで、まず沖合い移設についての調査をしようということになってまいったのは御指摘のとおりでございます。  そこで、当庁としては、昭和四十八年から、この沖合い移設が可能であるかどうかということの調査に入ったわけでございまして、四十八年度には約八百万円、四十九年度には一千万円、五十年度には千四百万円、五十一年度には三千七百万円という調査費がつきまして、この間において、たとえば漁業経営がどうなるであろうかという調査、生物資源調査、ボーリングの調査、そのほかだんだんと技術的ないろいろな問題に取り組んで、水理模型の実験調査などをやってまいったわけでございます。今度五十二年度としましては、約四千万円の調査費がついておりまして、これによって適正プランがどういうものであろうか、施工の計画をするとすればどういうことになるだろうかといったような、いわば最終の調査に、五十二年度予算が成立しましたら、入ろうかということで、この沖合い移設の問題についても五十二年度がこれでやや終局的な段階で、あとはどういうぐあいにこれを結論づけるかということではなかろうかというふうに私ども理解しておる次第でございます。
  304. 宮井泰良

    宮井分科員 ただいま金額あるいはまた調査の一部のお話がございましたが、調査費の総額と、調査の具体的な内容、こういった調査というような具体的な内容についてお聞きいたします。
  305. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  沖合い移設のための調査内容でございますが、昭和四十八年度におきましては八百万円をもちまして漁業経営調査、生物資源調査、ボーリング調査、土質調査を行いました。また昭和四十九年度におきましては、約一千万円をもちまして飛行適性調査、深浅測量、土取り予定地地表地質踏査、こういった調査を行いました。次に昭和五十年度におきましては、約一千四百万円をもちまして、騒音調査、海砂供給量調査、水理模型実験基礎調査を実施いたしました。なお、昭和五十一年度におきましては、約三千七百万円をもちまして、水理模型実験調査を行っております。次に昭和五十二年度におきましては、予算の御審議をお願いしておるわけでございますが、予算の要求額としては約四千万円をお願いいたしまして、私どもとしては、まず適正プランの調査、施工計画の調査、跡地利用計画調査、予備調査報告書をこれによって作成するというふうな考えを持っております。したがいまして、総額約一億九百万ということに相なります。
  306. 宮井泰良

    宮井分科員 時間がないようでございますので、二点だけまとめて質問しますから、お答えしていただいて私の質問を終わります。  いまの沖合い移設の問題で、調査終了後移転するか否かの結論はいつごろまでに決めるかということ、また、その決定を下す機関はどこであるか、責任者はだれになるか、この点をお聞きいたします。それともう一点は、ジェット機使用基地周辺の騒音対策、五十二年度としての計画、それから騒音の基準、騒音区域の調査及び線引きはどうなっているか、その進みぐあいが大幅におくれておると言われておるのですが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  307. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  まず、沖合い移設の結論はいつごろ出るか、その決定機関はどこかというお尋ねでございますが、先ほども御説明申し上げましたとおり、昭和五十二年度におきまして行う調査の結論を待ちまして、いままで四十八年度以来調査をしてきた内容を取りまとめまして報告書を作成いたしたいというふうに考えておるわけでございます。この報告書に基づきまして、関係行政機関、それから山口県、岩国市等地元関係等幅広く御意見を聴取いたしまして、今後の方向づけを固めていきたい、このように考えておる次第でございます。  次に、第二点の騒音の基準あるいは線引き等がおくれているのではないかということでございますが、簡単に結論だけ申し上げますと、線引き作業は終わりまして、近く告示を出す段階に至っておるということでございます。それから、騒音の基準、これは大変複雑になりますので、簡単に申し上げますと、WECPNL八十五以上の区域については住宅の防音工事、それからWECPNL九十以上の区域については移転の補償を行う、それから、同じく九十五以上の区域については緑地帯等の整備を実施しておるというところでございます。
  308. 宮井泰良

    宮井分科員 終わります。
  309. 瓦力

  310. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 最近とみに米軍基地返還問題あるいは基地返還後の跡地利用等について関心が高まっているようでございますけれども、東京周辺にも、この米軍基地返還に対する問題あるいはすでに返還になった地域の跡地利用についても非常な要求、具体的な要求等も出ているわけでございますが、私は具体的な問題でお聞きをしていきたいと思うのです。  まず、これはたしか昨年の八月であったと思いますけれども、三木内閣当時にもかなり具体的な計画が進められていたとお聞きをしておるわけでございますが、東京で一番いま人口が急増をし、しかも高層団地としては最大の多摩ニュータウンが建設をされておるわけでございますけれども、ちょうどこの多摩ニュータウンと背中合わせにございます米軍の多摩弾薬庫跡地の問題、これは、新しくすでに多摩ニュータウンにお住まいになっている方々、多摩ニュータウンを取り巻く周辺の地域の方々も、できるだけ早い時期に、ひとつ地域で活用ができる方法をとってほしい、こういう要求が、各市町村長さんを初め、すでに地元の具体的な要求が出ているわけでございますけれども米軍多摩弾薬庫の返還に関しての見通しをまずお聞きをしたいと思うのであります。
  311. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 多摩弾薬庫については、ただいまのところ米軍はこれは施設として維持をしていきたいという見解をとっておるようでございまして、地元そのほか、この施設についての御要望があることは十分承知しておりますので、私どもも内々その辺のところを打診をしておりますが、まだその具体性についてはっきりしたこともございませんので、ただいまのところ返還の見通しは具体的には何も持っておりません。
  312. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 すでにこの問題については関係各省庁に地元からの陳情も昨年以来しているわけでございますけれども米軍側に対して、具体的にこの話し合いをされた経過をちょっとお聞きをしたいと思います。いつどういう形で米軍側に話をしてきたのかという経過をお聞かせいただきたいと思います。
  313. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 この施設につきましては、たとえば天皇の在位五十周年記念の一つの施設にするというお話がございまして、先ほどもちょっと申し上げたのですが、関係の機関等に話し合ってみたのですが、その具体性についてまだはっきりした詰めができておらないようでございますので、私どもとしては、そうした利用の具体性あるいは地元の開発の具体性、そういうものを踏まえまして、米軍に適当なときに返還の交渉をすることを考えておりまして、ただいま具体的にはまだ米軍に返還の要望をしておりません。
  314. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 具体的な要求はいままで一切してないということですね。そういうことでよろしゅうございますか。
  315. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 そのとおりでございます。
  316. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 それでは、昨年の八月、多摩弾薬庫が天皇在位五十年を記念しての昭和公園として最有力になった、こう三木内閣のときにははっきり、もちろんこれはすべてに載っておるわけでありますけれども、具体的な、たとえば立川の基地とのブリッジ等々、具体的なこういう提案が三木内閣当時されていたわけでありますが、その問全くそういう具体的な話し合いがされないまま具体案というものが出てきたわけですか。
  317. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 先ほどもお答えしたように、そういう記念行事に使いたいという話があるということを聞いておりますが、具体的に計画があると承知いたしておりませんので、私どもとしては、具体的な計画を踏まえて交渉を始めたいというふうに考えておるわけでございます。
  318. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 先ほども冒頭にお話し申し上げたとおり、多摩ニュータウンは、ニュータウンの建設そのものにも多少私自身は疑問を持っているわけであります。こういう高層住宅だけで一体東京を初め大都市における住宅建設ということがいいのかという問題はかなりあるわけでありますが、この議論は改めてほかの機会にさしていただくとしまして、東京の、特に多摩地域に関しましては、二十三区から人口が非常に急速に多摩地域に移っている状況でもございます。あわせて、先ほども申し上げましたとおり、周辺を集めて五十万都市というかつてない、全くないところにこの五十万という都市が急激にできるわけでございまして、これに関しては、たとえば何かの突発的な天災があったときにどうするのか、あるいはニュータウンに住む方々はもちろんのこと、東京には周辺にこうした広大な憩いの場所であるとか、あるいは森林公園のようなものが非常に少ないわけでございますので、ぜひひとつ、具体的にかなり近いうちにこの返還に関しての計画をお進めをいただきたい、こう思います。  あわせて、いま見通しについては、これから努力をされるというお話でございますけれども、二十三区を含めて、東京周辺をわれわれ自身が実際に調査をしてみましても、立川基地と多摩弾薬庫を合わせまして約四百ヘクタールくらいあると思うのですけれども、これだけの公園の適地というものはほかに見当たらないという状況でございます。天皇在位五十年記念の昭和公園として、具体的にこの多摩弾薬庫の、あるいは立川の基地を含めて、これ以外にいまお考えになっているのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  319. 三好勝彦

    ○三好説明員 ただいまの多摩、立川地区以外に検討していることがあるかという御指摘でございますが、現在、私どもの方には、多摩、立川地区のほかに、たとえば逗子、葉山とかあるいは他のところからもお話があることは事実でございます。
  320. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 葉山についても候補地ということを私も実はお聞きしているわけでございますが、東京の今日のかなり激しい交通混雑あるいは公害、そして人口過密化等々を考えますと、東京の中にこれくらいの規模の緑地、公園というものが当然必要だと私たちは考えているわけでありますけれども、もし東京の中に昭和公園というような形で御検討をいただくならば、ぜひ、この多摩、立川基地を御検討いただきたい、こう思います。すでにこの候補地は、いまお話しの葉山の問題を含めてあったわけでございますが、両方含めてすでに多少の検討をされていれば、そんなことについてもちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  321. 三好勝彦

    ○三好説明員 御指摘昭和記念公園の基本的な考え方といたしまして、緑の回復と人間性の向上をテーマとして、多摩弾薬庫の跡地を利用する多摩地区あるいは立川基地跡を利用する立川地区の二地区により一つの構想を持っております。その場合、多摩地区は緑と人間の接触、立川地区につきましては文化と人間の接触を目的とし、あわせて両地区とも大震災時の避難、救援活動の場としての利用を図るということにしております。  昭和記念公園の計画につきましては、今後関係各省、あるいはまた実際の問題になりますと、学識経験者等より成ります広範囲の委員会を設置いたしまして、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  322. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 昭和公園の指定については、ことしたしか予算の中で六千万円ほどの調査費がついたと思いますけれども、その調査費の活用の方法、どんなふうにお使いになるのか、お聞きをしたいと思います。
  323. 三好勝彦

    ○三好説明員 昭和記念公園の調査につきましては、昭和五十二年度予算におきまして、新たに天皇陛下御在位五十年記念公園事業調査費として六千万円の事業調査費が計上されております。天皇陛下御在位五十年記念公園につきましては、天皇陛下御在位五十年記念事業の一環といたしまして、都市における生活環境の改善、先ほど申し上げました公害及び都市災害に対する安全性の確保等を図りますために、東京周辺において設置する方針で調査することとしております。なお、調査の具体的内容につきましては、現在検討中ではございますが、位置の選定、整備の基本方針、基本計画、基本設計等、事業化に必要な調査を実施する所存でございます。
  324. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 昭和公園の指定は、ことし中に決まるわけでございますね。あるいは大体何月ごろまでという見通しがあったら、ちょっとお聞かせください。
  325. 三好勝彦

    ○三好説明員 五十二年度中に進めていく考えでございます。
  326. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 もう一つだけお聞きしておきたいのですけれども、建設省から昭和公園という形で要望がありましたときに、大蔵省としてはこれを認めていただける方向にあるのか、そういう意思があるのかどうか、ちょっと確めておきたいと思います。
  327. 松岡宏

    ○松岡説明員 昭和記念公園でございますが、建設省から内々に大蔵省に事務的な話は伺っている段階でございますけれども、ただいま先生からも御指摘がありましたように、多摩弾薬庫と立川基地双方を結んで、こういう構想でありまして、それぞれについて現在きわめて不確定要因が大きいわけでございます。多摩弾薬庫については返還の見通しということも確たるものではございませんし、それから立川基地の方につきましては、先生も十分御承知のように、関係方面から需要が競合いたしておりまして、そうしたたくさんの需要の中でこの建設省の構想が実現し得るのかどうかということについては、なお十分見きわめていかなければならない問題でございます。そういう意味で、大蔵省といたしましては、今後の関係者の話し合いの推移を見守りたい、こういう考えでいる次第でございます。
  328. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 建設省からそういう要望があったときには、これを認める意思がおありですか、どうですか。
  329. 松岡宏

    ○松岡説明員 立川基地の跡地の処理方針ということにつきましては、現在、国土庁におきまして、首都圏整備という観点から大きい方向づけを鋭意検討中でございます。  この土地を管理する立場にございます大蔵省といたしましては、国土庁における検討の推移を見守りながら、国土庁と十分緊密な連携を保ちまして、最終的な立川基地の跡地の利用の方向づけを固めてまいりたいと思っているわけでございまして、その中でいまおっしゃいました建設省の構想が最も妥当なものとしてコンセンサスを得るに至るのかどうかということについては、現在なお断定的なことを申し上げる段階にないわけでございます。
  330. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 多摩弾薬庫の問題についてはいかがでございますか。建設省からそういうコンセンサスがあって、そして東京のニュータウンとあわせてつくることが妥当である、こういうコンセンサスが得られて、そして建設省の方からそういう要望が具体的にあったときに、大蔵省としてはどういう方向でこれに対処されるか。
  331. 松岡宏

    ○松岡説明員 立川基地の利用方向につきまして、関係者間の話し合いが十分進展し、円満な形でこの建設省の構想を実現しよう、こういう運びになりました際には、この土地を管理する立場にあります大蔵省といたしまして、国有財産の審議会の方にそういった方向での御検討を依頼いたしまして、その答申を受けて、その方向で処理することになるわけでありますけれども、同時に、この問題は多摩弾薬庫とも関連いたしておりますので、そちらの方の動きにつきましても、ただいま立川について申し上げたと同じような条件が全部整備されて、両々相まって実現が可能になったときに進めたい、こういう考えでいる次第でございます。
  332. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 何回も繰り返すようでありますけれども、東京にとっては、ニュータウンにお住まいになっている方々だけではなしに、東京に住んでいる方々にとっても、いま本当に毎日の私たちの生活をいやす、そういう生活環境というものが非常に必要とされていると私は思います。特に多摩弾薬庫周辺に関しましては最近とみに人口急増をしている地域でもございますし、隣接をした市町村市民の方々からも、土曜日や日曜日に自分たちの家族ぐるみで時間を過ごせる、そういう場所を非常に要求もされている地域でもございますし、また最近、天災等による大きな災害があったとき、東京周辺においては大変な混乱を来すであろう、こういうことも言われている状況でございますので、ぜひ具体的にこの問題を実現の方向で御検討いただきたい、こういうことをお願いをしておきたいと思います。  基地問題に関連をするわけでありますが、ちょうど多摩弾薬庫と多摩川をはさみまして、調布基地関東村というところでございますけれども、もう長い間多くの皆さんから議論になっているところでもございますけれども、いまさら歴史的な背景を申し上げるまでもなく、かつてほぼ半強制的に地域の皆様方がこの基地利用に提供させられたというような状況もあるわけでありますけれども、特に地方自治体の地方財政が非常な困窮をしている中で、三分割有償払い下げ、しかもほぼ時価でこれを払い下げるということが現実には非常に困難な状況でもございます。したがって、この調布基地等について、つい先日だったと思いますけれども、大蔵大臣もこの基地跡の弾力的な利用をしようというような発言もされているわけでありますけれども、調布基地、これは調布、府中、三鷹と交差をしているわけでありますけれども、この跡地利用についての見通しについてお伺いをしたいと思います。
  333. 松岡宏

    ○松岡説明員 関東村住宅地区の跡地でございますが、ただいま先生からも御指摘がございましたように、いわゆる三分割方式という考え方大蔵省として打ち出しておりまして、この考え方に従いましてこの跡地の処理につき関係者と十分話し合って円満な解決を図りたいと思っているわけでございます。  特にただいま御質問の処分する場合の価格の問題でありますけれども、これにつきましては、米軍基地の跡地が存在しない他の地方公共団体とのバランスということもございますし、また基地跡地が存在する地方団体相互間の公平という観点もございますし、さらにこの跡地が返還されるに至るためには、その上に存在しました米軍施設を別の基地へ移設いたしまして、そのために経費もかかっている、こういう事情もございます。こういったもろもろの事情を勘案いたしまして、処分する場合の値段につきましては半分の面積を時価で買い取っていただきまして、残りの半分の面積について法令上の優遇措置を適用させていただく、こういう統一的な基準を設けたわけでございまして、これがいわゆる三分割方式の中の値段の部分の基準といたしまして現在関係方面とお話し合いを進めているわけでございます。ただいま御質問の関東村住宅地区の跡地につきましてもこういった統一的な基準で今後処理を進めさせていただきたいと思っている次第でございます。
  334. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 払い下げに関する基準が一応設けられているわけでありますけれども、この基準に関しては一律にされるというのではなしに、その地方自治体といいますか、その基地が存在をしている状況を十分に考慮していただいて、多少弾力的にお願いをしたい。そして、その払い下げという形ではなしに、無償貸し付けというような形でぜひお願いしたいというような要求も各地域から出ているようでございますが、しょせんは国の財産でありますので、今日の地方自治体の状況を見て、これをいまの基準のような中でのみ考えることが果たして妥当であるのか、あるいは新しい基準をもう少し考慮していただく方法があるのか、あるいはいま申し上げた無償で貸し付けを地域によってはするという方法が具体的に考えられるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  335. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま申し上げました統一的な基準によりますと、半分の面積につきましては法令上の優遇措置を適用するわけでありますから、公園として利用していただくとか、あるいは児童生徒急増地域における小中学校の用地として利用していただくというふうな場合におきましては、半分の面積について無償貸し付けということでお願いするわけでございまして、その場合、いま残りの半分の面積を時価で買い取っていただく、こういう抱き合わせの関係になっているわけでございます。地方財政なかなか困難な折から時価で買い取る部分の代金の支払いがなかなかむずかしい、こういう面につきましては代金を即金でまとめて払っていただくということにはいたしませんで、必要に応じて延納措置、何年かの年賦払い、こういうことについても弾力的に配慮してまいりたいと考えております。
  336. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 三分割という計画、分割の仕方そのものにも多少の問題があるのではないか、こう思います。つまり、いまでさえ必ずしも広くないこの基地跡を三分割をしてしまうというのではなしに、地方自治体と国とが共同で、たとえば東京にある基地などという問題は、地域における必要性というものは国であろうと地方自治体であろうとかなり共通な問題でございますので、共同でやるというふうな方法が考えられないものかどうか。地方自治体が小さな、そう大きくない基地を三分の一そういう形で細切れにしてしまうということではなしに、国と地方自治体が協力してやっていく、そういうことは考えられないのかどうか。
  337. 松岡宏

    ○松岡説明員 いわゆるこの三分割方式におきまして、おおむね三等分する対象にいたしますのは十万平方メートル以上の跡地でございまして、十万平方メートルより小さい跡地につきましては、これは三分割ということを考えていないわけでございます。すなわち、大きいところであれば、たとえば十万平方メートルちょうどであれば、三等分いたしましてもその一つが三万三千平方メートルは確保されるわけでございまして、この面積であれば、たとえば高等学校であれば一つ十分実現できる、そういう広さでございます。したがいまして、三分割方式と申し上げる場合にも、零細な基地跡地を機械的に三つに分けてしまうということはございません。さらに十万平方メートル以上の跡地について三分割をいたしましたうちの三分の一は、御承知のように、留保地ということで、五年ないし十年後の新たな社会的需要のために弾力的に即応していくためのいわば貯金でございますから、これが当初利用を決定いたしました三分の二の利用内容を、その後の社会経済情勢の変化に即応しながら補完する意味で活用されることになるわけでございまして、そういう意味でも細分し過ぎるという御懸念は必要ないのではないかと思うわけでございます。  ただいま御指摘のありました地方団体と国とで十分相談し合って、何だったら共同の施設をというふうなことも十分検討さしていただきたい御提案だと思いますが、いずれにいたしましても、三分の二の利用につきましては、地元の地方公共団体と国とが十分緊密な話し合いを通じまして、双方納得の上で答えを決めていきたい、こういう考え方でいるわけでございます。
  338. 瓦力

    瓦主査代理 伊藤君、簡明に願います。
  339. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 具体的には、たとえば関東村については関連の府中市では平和の森、太陽の森という基本構想がすでにできておりますし、あるいは調布市におきましては、これも調布の森構想という具体的な計画が進んでいるわけでございます。ぜひ地域の住民の要求を大いにひとつくみ上げていただいて、地方財政困窮の折、地方自治体にただ規定どおり三分割方式だという形だけでなしに、国、都が共同で地域の住民の要求にこたえられるという方法を、積極的にその道を開いていただきたいと思います。  また米軍基地の跡地が、返還をされた後もそのままになっているという状況を、非常に小さな住宅の中に閉じ込められている東京の多くの人々はこれを見ながら、早く何とかできないものかという非常な要求がございますので、こうした跡地利用については積極的にひとつ取り組んでいただきたいし、すでに返還になったもの等につきましては、具体的に地方自治体、国、こう分割をされるのではなしに、地方自治体と国が一体になって東京都民の、あるいはそれぞれの地域住民の要求にこたえてぜひ御計画を進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  340. 瓦力

    瓦主査代理 宮地正介君。
  341. 宮地正介

    宮地分科員 私は、昭和五十年の六月に撤去をされたというOTHの問題について初めに御質問をしたいと思います。  防衛庁長官、この当時、核戦争につながるとまで大変大騒ぎをされた北海道の千歳、埼玉県所沢市、沖繩県の泡瀬にあったOTHは完全に撤去をされたのでございましょうか。
  342. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 OTHの施設については完全に撤去されたというように承知しております。
  343. 宮地正介

    宮地分科員 五十メートルの鉄塔が撤去をされたわけでございます。しかし、同時に、木柱の六本、これが十組所沢市においては新設をされております。同じようなたぐいが、沖繩の泡瀬あるいは千歳に新設をされた事実があるのかどうか。
  344. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 まず所沢でございますが、これは五十年八月十一日に米側から回答がございまして、OTHの施設はすでに停止し、近く残りの鉄塔アンテナ八本を撤去するという回答がございまして、その後当庁で五十年の九月に残っていたアンテナが撤去されたということを確認しております。  それとは別に、当時建設中であった木柱アンテナがございますが、これは一般通信施設のもので、現在も一般通信施設として使用しているものであるというふうに承知しております。  それから千歳と泡瀬については、アンテナが建てられたということを承知しておりません。
  345. 宮地正介

    宮地分科員 その一般通信施設として新設されたその木柱の内容について伺いたいと思います。
  346. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  御指摘の木柱アンテナによります一般通信施設として設置されたものは、施設庁といたしては無線送信用の施設であるというふうに承知しております。
  347. 宮地正介

    宮地分科員 この施設が横田の基地と連動していることは承知しておりますか。
  348. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘のとおり、連動しておるものと承知しております。
  349. 宮地正介

    宮地分科員 どういうふうに連動して運営されているのですか、承知していますか。
  350. 高島正一

    ○高島政府委員 横田から入間を通ってきた通信をこの所沢から送っておるというふうに承知しております。
  351. 宮地正介

    宮地分科員 全くわけのわからないような答弁であります。本日は時間が限られておりますので、別の委員会でまた追及をしたいと思いますが、問題は、防衛庁長官、OTHレーダーが完全に撤去をされた、しかし、このOTHレーダーが発しておった電波障害の区域、イーズメントエリア、これがいまだに解除されないで現存しているのであります。その事実はどうか、まず確認したいと思います。
  352. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  御指摘のイーズメント区域は現在のところ返還にはなっておりません。しかしながら、この返還につきましては、移設を条件といたしまして返還するということが米側との間に話し合いができておりまして、現在その設計及び調査工事を実施中でございます。したがいまして、本年度中には返還のめどが立つものというふうに考えております。
  353. 宮地正介

    宮地分科員 五十年の六月に完全撤去されたと言いながら、現実にはすでに約二年を迎えようとしているわけであります。しかし、その電波障害区域がいまだに解除されておらない。いま返還という言葉を使いました。そのために地元住民がどのようにいま大変な思いをしているか。たとえば小中学校の建設においても、本来四階まで建てられるものが三階までしか建てられない。あるいは現在リハビリテーション施設が建設をされておりますけれども、これとてその設計の制約を受けているわけでございます。完全撤去という以上は、私はOTHのこの機能、それももちろんでありますけれども、それに付随したイーズメントエリアが解除されて初めてOTHのいわゆる完全撤去と言えると私は思うのであります。防衛庁長官、いま本年度中と言っておりましたが、これは本来同時撤去する性格ではなかったかと私は思います。防衛庁長官としてさらに米国側と交渉をして、一日も早く解除する決意があるかどうか、伺いたいと思います。
  354. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 事務的なことの補足をいたしたいと思います。  一般通信施設としてもやはりイーズメントの設定の必要がありますが、それを本年中に返還するということになっております。
  355. 三原朝雄

    三原国務大臣 長官といたしましては、きょう十分お話を聞いたという段階でございます。承ってみますと、ごもっともだと思いますので、早急に先生の言われたような立場に立って米軍と交渉をいたしたいと考えております。
  356. 宮地正介

    宮地分科員 続きまして、時間がありませんので防衛医大の問題について伺いたいと思います。  まず、この防衛医大の目的について明快に答弁いただきたいと思います。
  357. 萩島武夫

    ○萩島政府委員 お答えをいたします。  そもそも発想は、自衛隊の医官が非常に充足が落ちまして、その抜本的な充足対策を図るために設置したものでございますけれども、その防衛医大の特に医官の養成の目標は、防衛医大の医官が将来就職をいたしますそれぞれの部隊では、診療はもちろんでございますけれども、診療以外に、部隊の隊員の健康管理その他衛生対策あるいは環境衛生も含めてすべての仕事を担当するような医官が期待されておりますので、そんなような医者をつくることを内容としては目標にいたしております。
  358. 宮地正介

    宮地分科員 防衛医大の目的につきましては防衛庁設置法の中の第三十三条の二に明確になっております。その第二項の中において「高度の理論及び応用についての知識並びにこれらに関する研究能力を修得させるための教育訓練並びに臨床に関する教育訓練を行なう。」そして所沢市との防衛医大の運営に関する協定の中においても、一般の大学の付属病院と全く同じ扱いをしていきたい、こういう意向でありますが、間違いはないかどうか。
  359. 萩島武夫

    ○萩島政府委員 設立の当初から所沢とは協定を結んでおりまして、いま先生のお話しになりましたように、病院は一般に開放する、かつ、中で特殊なことは、化学あるいは細菌の研究はしない、そういうことも含めまして、将来の研究分野も含めまして、一般の大学が行っておる大学院コースその他の設置も考えております。
  360. 宮地正介

    宮地分科員 ということは、将来、この所沢における防衛医大は、この大学病院というものは、新兵器の研究機関あるいは野戦病院的な、そういう方向に変質は絶対にしないということですか。
  361. 萩島武夫

    ○萩島政府委員 先ほど申しましたように、必要な期待される医官を養成することが目的でございまして、いま先生の言われましたようなことも含めまして、化学あるいは兵器の研究その他特殊な課程を特に教育するつもりはございませんし、当面は医師の国家試験が十分合格できるような一般の医学教育と、それから将来部隊に派遣するために必要なことを行うということで、所沢との契約につきましては重々慎重に遺漏がないように検討してまいりたいと考えております。
  362. 宮地正介

    宮地分科員 防衛庁長官、これは重大な問題ですので、私は防衛庁長官から答弁をいただきたいわけであります。ただいまの答弁において、防医大は将来細菌の研究だとか、いわゆる防衛医学的な、軍事医学的な、そういう方向には変質はしない、現存する一般の大学病院と全く同じ扱いをしていく、こういうふうに回答があったわけでありますが、これは重大な問題であろうと思います。  やはり防衛医大となりますと、名前の中から何か軍事的な研究、そういうものが将来なされるんではないか、これは一般国民の偽らざる心境だと思います。ましてや一般の大学病院よりも高度の理論研究、あるいは医官の優秀な人材をつくるということを言っているわけでありますから、ともすると、将来そのような方向に変質される可能性もなきにしもあらずと思います。三原防衛庁長官、将来のためにもこの防衛医科大学は断じてそのような軍事上の病院に変質化しない、このことのお約束を国民にしていただきたいと思います。
  363. 三原朝雄

    三原国務大臣 防衛医大については、先ほどその設置の目的等について申し上げたとおりでございます。今後におきましても防衛医科大学を、先生指摘の中にもございましたが、軍事医学的な旧軍時代のそうした方向に持っていくようなことは絶対にいたしません。あくまでも設置法に明記いたしておりますように、一般国民の中にございます医科大学、それ以上の医学的な、国民のために医学を勉強してまいります防衛医科大学に育ててまいりたい、そう考えております。
  364. 宮地正介

    宮地分科員 どうかそのような趣旨で貫いていただきたいと思います。  それでは、防医大が本年、昭和五十二年度にオープンになる、こう言われておりますが、その予定について伺いたいと思います。
  365. 萩島武夫

    ○萩島政府委員 お答えをいたします。  ちょうど四月に臨床講義が始まる時期に当たりまして、臨床実習も含めまして病院の建設を急いでおったところでございます。この九月に竣工を予定しておりまして、十二月にはオープンをいたしたいと考えております。全体の病床は八百床ですけれども、今年度は二百床分でオープンいたしたいと考えております。
  366. 宮地正介

    宮地分科員 その建設の進捗状況について、特に教職員の宿舎が大変おくれているように伺っておりますが、そのおくれている原因について伺いたいと思います。
  367. 平井啓一

    ○平井政府委員 病院自体の方の建設は一応順調に進んでおるものと承知しておりますが、御指摘のありました防衛医科大学校の教職員の宿舎に関しまして建設がおくれております。昭和五十年度予算で予定しておりました四十戸につきましては、現在進捗中でございます。五十一年度予算に関します四十戸に関して着工ができない状況になっております。     〔瓦主査代理退席、上原主査代理着席〕  この宿舎の問題に関しましては、防衛医科大学校を含めまして所沢補給廠の一部が返還になりました後、その跡地の利用に関しまして、それを利用します各機関と所沢市との間におきまして、それぞれの利用の度合いに応じまして公共の負担の問題がかねてから問題となっております。特に宿舎に関しましては、宿舎に居住します人たちの子弟の教育に関しまして、所沢市におきまして、特に義務教育関係の施設費を利用者それぞれに応分に負担してくれという問題を提起されまして、この問題が跡地協議会の住宅部会にかけられておりますが、いまだ結論が出ない状態で、防衛庁の宿舎の建設もおくれているという状況でございます。
  368. 宮地正介

    宮地分科員 問題は、このおくれている原因が、防衛庁長官、わかりやすく言いますと、この防医大にお勤めになる教職員の皆さん、そのお子さん、あるいはお隣にあるリハビリテーションあるいは日本住宅公団、いろいろ国の施設がどんどん来られます。そのお子さんが当然小中学校に通わなければならない。ところが、そういう小中学校に通う施設を新たにつくるのは所沢市という地方の自治体であります。  いま御存じのように、所沢基地の第二次返還が決まりました。ところが、例の三分割有償方式で、半分は無償でも半分は有償、時価で買いなさい。土地代だけでも二十億から二十五億かかるわけです。言うなれば、政府機関がつくられて、そこに政府の職員の皆さんが越してこられ、その子息のためにつくる小学校、中学校、それが全部地元の市の負担になる。考えてみれば、こんなばかげた話はありません。私は、せめてこの第二次返還の所沢基地については、大蔵省、これはいままでの人口急増の小中学校の現行の取り扱いをして、無償貸与にしてあたりまえだと思います。でなければ、関係政府機関の防衛庁なり環境庁なりが応分の負担をして地元の市町村に御迷惑をかけない、これが私は良識ある政府の態度ではないかと思うのであります。  まず、大蔵省に、この所沢基地第二次返還地域については、新処理基準としての有償方式を適用するのか、それとも、いままでの人口急増地域の取り扱いとして無償貸与の特例として考える意思があるのかないのか、これを伺いたいと思います。
  369. 松岡宏

    ○松岡説明員 所沢基地の追加返還によりまして新たに設置することが可能になります小中学校、これにつきましては、大蔵省が昨年の六月に国有財産中央審議会からいただきました答申に基づきまして打ち出しております統一処分価格の基準を適用する考えでございます。
  370. 宮地正介

    宮地分科員 そういう頭のかたいことを言っておるからおかしなことになるのである。結局、防医大のオープンに対しても、現実に中身の整わないオープンになってしまうかもしれない。病院をオープンする以上は、お医者さんも充実した人を入れなければいけない。職員の皆さんも充実した人を入れなければならない。地元の所沢市では、大蔵省がそういう三分割有償方式で半分を買いなさいと、政府の方の負担についてもまだ調整がついておらぬ、これじゃ宿舎はつくってもらってもこちらが補償されませんよ。こういう本質に問題がある。こういうような問題は、大臣、最近廃止になったようでありますけれども、あの基地対策閣僚協議会などで、あるいは高度な政治判断で取り扱う考えはないか、伺いたいと思います。
  371. 三原朝雄

    三原国務大臣 基地問題閣僚協議会、いま廃止ということがありましたが、これは決して不必要であるから廃止したということではございません。内閣におきまする協議会は余り数多くございまして、実際には開かれない、開店休業の協議会等があるものでございますから、一応整理をして、必要に応じて機動的にやっていこうということであれはなくしたわけでございます。したがいまして、いまお話しのような所沢市における問題等におきましては、当然大きな政治問題にもなっておりまするし、地方公共団体と中央との問題であり、また周辺の防衛医科大学等の問題もございまするので、私は基地問題の関係閣僚協議会等を開いて対処してまいりたいと思っております。
  372. 宮地正介

    宮地分科員 ぜひそれを私は期待をしたいと思います。事務レベルの段階では、これでは所沢市は踏んだりけったりであります。これは大蔵大臣あるいは総理と協議の上、防衛庁長官がぜひ推進役になって、それが逆に言えば防衛医科大学の早期市民開放にもつながるわけであります。そういう意味で、ぜひ期待をしたいと思いますし、大蔵省もぜひかたくなな態度だけは改めていただきたいと思います。  時間がありませんので、次に、埼玉県の入間基地の防音対策の問題について伺いたいと思います。  基地騒音公害に対する国民の要望というものは日増しに大きな世論となっております。大阪空港の訴訟事件での被害者住民の裁判における勝利などはまさに端的な例であろうと私は思います。そういう意味で、基地周辺の住民の皆さんが安心して国民生活を送ることのできるようにその生活を守るのは、本来の政治、行政当局の責任であろうと私は思います。そういう意味合いにおきまして、まず入間基地の防音対策について防衛庁はどのように積極的に取り組んでおるか、伺いたいと思います。
  373. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  入間基地周辺の防音対策につきましては、防衛施設周辺整備法あるいは現行の防衛施設周辺環境整備法に基づきまして積極的に実施してきたところでございますが、現在、入間基地周辺の騒音コンターの調査を実施しておるところでございます。昭和四十五年度にまず実施を始めまして、当時数機配備されておりましたC1の輸送機の騒音をも含めて調査してまいったわけでございますが、その結果では、狭山市の水野、柏原、入間川、南入曾及び水富地区の一部並びに入間市の下藤沢の一部が住宅の防音工事または移転補償等の対象区域となっておるところでございます。その後C1の輸送機の機数の増加並びにRF86F等の機数の減少に伴う騒音コンターの見直しにつきまして、近くその実施を予定しておるところでございます。
  374. 宮地正介

    宮地分科員 この騒音コンターの見直しはいつごろ行うのですか。
  375. 高島正一

    ○高島政府委員 五十二年度に実施する予定でございます。
  376. 宮地正介

    宮地分科員 これはぜひ早期にお願いをしたいと思います。  このいままでの騒音コンター図を見ますと、これはC1ジェット輸送機が六機配備されているときのコンターであります。皆さん承知だと思います。すでにC1ジェット輸送機は二十機にふえているのであります。当然そのコンターの範囲は拡大されなければなりません。しかしながら、このコンター調査をやる調査の機能、また、民間に委託していると思いますが、調査をする学者の数、これが大変に不十分ではないかと思うのであります。その点、今後防衛庁としてこの実際のずれについてどう穴埋めをしていく考えなのか。
  377. 高島正一

    ○高島政府委員 先生指摘のように、基地の使用の態様が変わってきておりますので、その変化に対応して十分御納得のいただけるような調査を実施する所存でございます。御案内のように、この調査に当たりましては市町村長の意見を聴取いたしまして、その上でいわゆる線引きというものを実施してまいりますので、御指摘の点については十分御納得のいただけるような調査ができるものというふうに私ども考えておる次第でございます。
  378. 宮地正介

    宮地分科員 防衛庁長官に伺いたいと思います。  この入間基地というのは東京都の都心からわずか四十キロ圏のところであります。最近は人口の大変急増しておるまさに市街化のど真ん中に存在しております。それを、日本で初めてつくられたC1ジェット輸送機、これが当初からすべてここの基地配置をされてまいりました。現在小牧、美保などに配置転換が検討されていると言われております。聞くところによれば、五十二年度から十機に減らすということを言われております。まず、この配置転換について事務当局から伺いたいと思います。
  379. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現在C1約二十機が入間の基地にございますが、この輸送航空団の編成につきましていま防衛二法でお願いいたしておりますが、その結果によりまして、三つの輸送航空隊すなわち入間に一個隊、美保に一個隊、小牧に一個隊を置きたいと考えております。入間と小牧がそれぞれ十機、美保が四機という形で将来の配備を計画いたしておる次第でございます。
  380. 宮地正介

    宮地分科員 都心四十キロ圏にある市街地とも言うべきところの基地であります。将来、そういうところに騒音公害の激しいジェット輸送機の配備をどんどんふやすのでなくして、むしろ、日本全国の航空基地をごらんいただきまして、もっともっと騒音公害の少ないそういう基地も入間に比較すればあると思います。そういう効率的といいますか、住民に御迷惑をかけない形の、適正な住民生活を守るという上に立った防衛計画でなくてはならないと私は思います。  長官、そういう意味で今後どうか——いまお話によりますと十機になります。しかし、ここには初めは一機もなかったんであります。それがこの数年の間に二十機にもなってしまった。狭山市の水野という地域では、あるおばあさんがノイローゼになりまして、物干しざおでたたき落としてやりたい、こういう遺書を残して自殺までした例があるんです。私もここに写真を持ってきておりますけれども、それはもう目の前。当初それがコンターの中に入っているのかどうか、私は説明員の方を会館に呼んで聞きました。いただいたこの地図の中には入っておらぬ、後ほど調べた結果ありました、こういういわゆる事務的な、机上論的な、大変失礼でありますけれども、姿勢でありました。私は、そういう点は大いに反省をするとともに、こういう都市化現象の激しい地域には、ぜひ配備を自粛していただきたい、この点について長官、決意のほどをお伺いしたいと思います。
  381. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  防衛の大任を果たさねばならない大きな使命を持っておるわけでございます。また、一面におきましては、いまこうした平和時におきまする市民の皆さん方の御意見、特に密集地帯になってまいりました入間基地周辺の状況等を見てまいりますれば、いろんなそうした御意見もあろうと思うわけでございます。首都防衛という立場から配置等も考えてまいっておるわけでございまするけれども、いまお話しの騒音対策等も十分考慮しながら、将来の航空機の運用、配置について考えてまいりたいと思います。
  382. 宮地正介

    宮地分科員 最後に、少し大蔵省に苦言を呈したいのであります。  大蔵省は先ほどから、基地返還の跡地については三分割有償方式を適用すると、かたくなに言っております。しかし、米軍から日本に返還ざれた大蔵省行政区域のその地域の管理はまことにずさんであると私は思います。最近の朝霞キャンプにおける火災事故は二件起きております。五十二年二月二十七日、三月九日、野火だとかあるいはたばこの吸いがらによって莫大な地域に火災事故を起こしておる。また、入間のジョンソン基地などには草がぼうぼう生え、もう宿舎は見るに見かねる実態であります。見かねて、防衛庁自衛隊の職員が無断で草刈りをやっておる、そういうことも私は聞いております。国民の国有財産を管理する大蔵省が、こんなずさんな管理ではならぬ。そうして、片方では三分割有償方式だ、そういうような姿勢では国民は納得いかぬ、そのずさん管理に対してどう反省しているのか、伺いたいと思います。
  383. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま先生から御指摘のございましたキャンプ朝霞での火事の事故でございますが、先生の御指摘のとおりでございます。大蔵省といたしましては、返還になりました跡地につきまして巡回警備、さくの設置、補修、地上建物の撤去、草刈り及び害虫駆除、こういったもろもろの維持管理に万全を期すべく努力してまいっておりますが、なお足らないところがございます。今後一層の努力を払ってまいりたいと考えております。
  384. 宮地正介

    宮地分科員 終わります。
  385. 上原康助

    上原主査代理 次に、玉城栄一君。
  386. 玉城栄一

    玉城分科員 お伺いします。  カーター・アメリカ新政権の対韓政策の基本は、在韓米軍撤退にあることは明らかであります。したがいまして、在韓米軍撤退ということはわが国の安全保障に重大なかかわり合いがあると思いますけれども、長官のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  387. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  カーター政権の在韓米軍の削減については、先ほども申し上げましたように、ニクソン・ドクトリン以来のアメリカの政策の一環だ、その線上でやっておられることだと思いますので、これは早晩やはりそういう体制が進められるという受けとめ方はいたしておるのでございます。しかし、また反面において、朝鮮半島の平和、安定ということがわが国の平和と安定に大きな関連を持っておりまするし、また、それが大きくはアジアの平和と安定につながっておる事態でございまするので、私といたしましては、今回のカーター政権の在韓米軍の撤退と申しますか、削減につきましては、そうした朝鮮半島なりあるいはアジアの安定、平和を乱さない状況下において進めてもらいたい、そういう立場に立っておるわけでございます。  具体的にどうだということになりますれば、まだ、カーター政権がどの程度の規模のものを削減するのか、撤退するのか、あるいはその時期はいつなのか、あるいは、これは軍事面だけでございませんし、アジアの安定なり朝鮮半島の安定というものは、周辺のそうした平和、安定に対する国際的な枠組みというようなものもお互いが努力をせなければなりませんので、そういう枠組みの準備、体制、処置というようなものはお互いにやらねばなりませんし、期待もいたすわけでございますので、そういう立場でこの問題を受けとめてまいっておるわけでございます。     〔上原主査代理退席、主査着席〕
  388. 玉城栄一

    玉城分科員 いま長官もおっしゃいましたとおり、カーター新政権の在韓米軍撤退と申しますか、削減と申しますか、これはすでに既定の方針であるということであります。したがいまして、在韓米軍の撤退あるいは削減に伴いまして、米国としては韓国への防衛公約あるいは紛争発生への抑止力についてどういうことを考えているのか、その点について長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  389. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたしますが、これは国防省関係なりあるいはモンデール副大統領あたりの御意見等を伺ってまいりましても、アメリカといたしましては、朝鮮半島の在韓米軍の削減、撤退につきましては、あくまでもそうした平和と安全を乱さないという条件のもとになされるものだと思いまするが、具体的にいまはっきりどうだこうだということを承っておりませんし、いまの問題は、外務省の立場におけるそうしたいろいろな御意見を聞いていただくことが適当であろうと思いまするので、私から申し上げることはちょっとお許しを願いたいと思うのでございます。
  390. 玉城栄一

    玉城分科員 たびたび申しわけありませんけれども、非常に大事な問題だと思いますので、重ねてお伺いをしたいわけであります。  在韓米軍の撤退ということは、いわゆる軍事的なバランスの問題がいろいろと出てくることは当然私たち素人としても考えられるわけでありますけれども、その撤退あるいは削減に伴いまして、在韓米空軍の増強ということも当然考えられるわけでありまして、その点につきまして長官としてはどのようにお考えになっておるのでしょうか、お伺いします。
  391. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま大臣から御説明いたしましたように、まだ具体的な削減の計画というのはわかっておりませんけれども先生も御承知のように、一九七一年に一個師団が引き揚げてまいったことがございます。これは当時の副大統領が韓国に参りましてその削減が行われたわけでございますが、そのときにはファントムの一個スコードロンが新たに配備されております。同時に、韓国の近代化計画というものに対して十五億ドルの援助を与えるという約束をしてその削減を実施いたしております。そういうことが過去にありましたけれども、今度の問題につきましては、いま大臣から申し上げましたように、具体的なものはまだわからないところでございます。
  392. 玉城栄一

    玉城分科員 これは具体的にはわからないという御答弁でありますけれども、すでにカーター大統領自身が具体的に在韓米空軍の増強ということはすでに明らかにしておるわけであります。したがいまして、私はわが国の在日米空軍、この増強あるいはその機能の強化、これも当然考えられるわけであります。いわゆる在韓米地上軍の撤退に伴うそのバランスを維持するため、当然空軍の増強、これは在韓米空軍並びに在日米空軍の機能の強化ということはきわめて常識的に考えられるわけでありまして、その点についての長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  393. 三原朝雄

    三原国務大臣 先ほど申し上げましたように、まだアメリカの企図あるいは具体的な規模、あるいは時期、そして代替策というようなものが明確でございません。いろいろいま申されますように、在韓地上軍が撤退すれば空が強化されるのではなかろうか、いろいろな意見は出てまいっておりますけれども、具体的な施策が明確でない時期にわれわれがこれをとやかく言うこともできないわけであるわけでございまして、そういう点について私どもも、朝鮮半島の安全と平和なりアジアの安全と平和に非常に大きな影響を持つものでございますから、厳しい注視をいたしておる、そしてその推移を見ておるわけでございまするが、しかし、きょうあすどうだというような情勢でございませんので、そういう点で大きな関心を寄せて見守っておるというのが現在の状態でございます。
  394. 玉城栄一

    玉城分科員 最初の長官の御答弁の中にもありましたとおり、いわゆるこの在韓米軍の撤退あるいは削減ということは、わが国の防衛という立場からもきわめて重大な関心が寄せられるというようなことでありますけれども、そこで、在日米空軍は韓国の戦略上どのような地位にあるとお考えになっておられますか、お伺いをいたします。
  395. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 御承知のように、在日米空軍司令部は第五空軍でございます。韓国の在韓米軍とそれから在日米軍の実力部隊はこの第五空軍に属しておるわけでございます。
  396. 玉城栄一

    玉城分科員 そういうことではなくして、いわゆる在日米空軍というものは韓国の戦略上どういう地位にあるか、こういうことを伺っておるわけであります。
  397. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 在日米空軍というのは、これは日米安保条約に基づく、日本の安全のために置かれているものでございます。
  398. 玉城栄一

    玉城分科員 そうしますと、在日米空軍というものは、韓国とかかわりはない、こういうことになるわけでございますか、お伺いいたします。
  399. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 極東に配備されております米軍というのは、やはり極東の平和に寄与するものでございます。そしてまた、日米安全保障条約によりまして、日本の安全と同時に極東の平和に寄与するという任務を持っておるわけでございます。したがいまして、全然無関係ということはございませんけれども、やはり日本の安全のために在日米軍というものはあるものでございます。
  400. 玉城栄一

    玉城分科員 いまの御答弁から承りますと、いわゆる在日米空軍というものは日本の安全のため並びに極東そして韓国ともかかわり合いがあると、こういうことで承っておきます。次に、最近沖繩の嘉手納の基地から第十八戦術戦闘航空団戦闘機が韓国に出かけていって飛行訓練を実施しているようであります。これは事実であるかどうか、お伺いをいたします。
  401. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その日付等は私記憶いたしておりませんが、沖繩にある在日米軍飛行機が韓国に行って、ローテーションといいますか、韓国に行ったりあるいは嘉手納に来たりということはあり得ると考えております。
  402. 玉城栄一

    玉城分科員 在沖米空軍第十八戦術戦闘航空団が頻々と韓国に出かけていって戦闘訓練あるいは飛行訓練を行っていることについては、先ほど局長の御答弁にもあったわけであります。また私も、現地沖繩から、こういう航空団に限らずマリンの方も頻々と出かけていっているという事実につきましては承知をしておりますし、またこのことは現地米軍報道部も正式に発表をいたしておるわけであります。  そこで、このように在日米空軍機が日本基地として韓国まで出かけていって飛行訓練を実施する、あるいは演習を実施する、このことにつきましての法的根拠といいますか、これをどのようにお考えになっておられますか、お伺いをいたします。
  403. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いまの御質問の中に、日本基地をベースにして韓国に行って訓練をやっているというようなお話でございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、在韓米軍も在日米軍も第五空軍の隷下にあるわけでございます。したがいまして、在日米軍の五空の隷下の部隊として基地を移動して訓練することはあり得ることだというふうに考えておるわけでございます。
  404. 玉城栄一

    玉城分科員 在日米軍といいますのは、私も余り詳しくはありませんけれども、安保条約の第六条がその根拠になっておると私は思っておるわけですけれども、いまのお話では、第五空軍の指揮下に在日米空軍並びに在韓米空軍はあるので、基地の移動による演習というものは別に差し支えない、こういうことに理解してよろしいでしょうか。
  405. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 在日米軍というのは、常に日本基地に固定していなければならないというふうには私どもは考えていないわけでございます。したがいまして、在日米軍に対しましては基地は提供はしておるわけでございますけれども、その飛行機その他装備品等の運用につきましては、それは安保条約の中で許されることだというふうに理解しているわけでございます。
  406. 玉城栄一

    玉城分科員 このように理解してよろしいでしょうか。いわゆる在日米軍、もちろん空軍も含めてでありますけれども、これが韓国に出かけていって演習をする、あるいは何かの有事の際に戦闘行動に入る、このことにつきましてもこれは構わない、こういうふうに受け取れるわけでありますけれども、それでよろしいでしょうか。
  407. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 その辺のところは正確には外務省がお答えすべきものだと思います。しかし、事前協議というのがございまして、直接戦闘行動に参加するような場合には、当然事前協議の対象になるというふうに理解いたしております。
  408. 玉城栄一

    玉城分科員 それは先ほどの御答弁といまの御答弁とではちょっと矛盾があるわけです。おっしゃることは、在日米空軍は第五空軍の配下の中にあるのだ、指揮下の中にあるのだ、したがって、第五空軍というものは——在韓米軍も第五空軍の中にあるわけですか。あるわけですね。したがって、在日米空軍がその第五空軍の作戦のもとに韓国に出かけていっていろいろと演習行動することについては、これは差し支えない、こういうふうなことになるわけですか。
  409. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 それは隷下部隊だからいいというものではないと思います。日本に駐留している米軍がよその国に出かけていくということは、これは特に差し支えのないことだというふうに理解いたしております。同じ隷下の部隊でございますので、韓国にある基地に行ったり、日本基地に来たりということが多いだろうということは考えられますが、これがフィリピンに行くこともございますし、たとえば岩国にございます海兵隊の航空部隊などはフィリピンとローテーションをやっているようでございまして、何カ月交代かで向こうに行っているというようなことも聞いておるわけでございます。
  410. 玉城栄一

    玉城分科員 私がお伺いしたいのは、在日米空軍がそのように在韓米空軍と演習をしておる、これはお認めになっておられるわけです。これはもし有事の際に、あるいは何らかのそのような事態が起きたときに、日本を、いわゆる在日基地を飛び立つわけですね、この在日米空軍は。それを先ほどの御説明は、事前協議の対象になると、このようなことをちょっとお話があったわけですけれども、そのときに事前協議の対象として、有事の際に在日米空軍が飛び立っていくときに、どのような事前協議の対象で政府としては、防衛庁としてはそれに対応なさるわけですか、お伺いをいたします。
  411. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほど申し上げましたが、直接戦闘行動に参加する場合には事前協議の対象になるわけでございます。しかしながら、韓国で紛争が起きた場合に、単に移動していくという場合には、これは事前協議の対象にはならないわけでございます。さらに、紛争が起きましたときには、韓国にございます空軍は、その作戦指揮に関しましては第五空軍司令官、すなわち日本にあります第五空軍司令官の隷下を離れまして、国連軍の司令官であります在韓米軍司令官の指揮下に入ることになっております。したがいまして、まず韓国におります航空勢力というものは在韓米軍司令官の指揮下に入るということになります。その後、在日米軍部隊におります勢力が移動する場合、これが単なる移動であれば事前協議の対象ではございません……
  412. 玉城栄一

    玉城分科員 委員長、時間がございません。ちょっと待ってください。  私がお伺いしておりますのは、在日米空軍がそのような特殊な事態が生じたときに在日基地から発進をしていくわけです。そのときに、事前協議の対象になる。そのときにどういう判断防衛庁としてはされるのかということを伺っているわけです。
  413. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 繰り返して恐縮でございますけれども、作戦行動に参加する場合は事前協議でございます。そのときの判断というものは、やはりそのときどきの具体的な状況に応じまして、わが国の国益と申しますか、わが国の安全を確保するという観点から自主的に判断されるものと考えておるわけでございます。
  414. 玉城栄一

    玉城分科員 自主的に判断されるということは、イエスということもあればノーということもあるということですか、お伺いします。
  415. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これはやはりわが国の国益に照らしてそのとき政府の判断することであろうというふうに考えております。
  416. 玉城栄一

    玉城分科員 現実に在日米空軍は、先ほども局長もおっしゃいましたとおり、すでに嘉手納基地におきましては韓国に出かけていって演習をし、並びに沖繩周辺におきましても合同演習が行われておるわけです。そういう中で、すでにこれはこの問の予算委員会でも質疑が交わされたわけでありますけれども自衛隊もその演習に、合同ではないという御答弁があったようでありますけれども、実質的に参加をした演習が行われている。これはこちら側の申し出によってそういうことになったという政府のお答えでありますけれども、事実としてはそのような演習行動に参加している、これは明らかであります。  そういう中で、先ほどの局長お答えは、もし韓国あるいはその周辺において有事の際、在日米空軍が飛び立つときにイエスあるいはノーという判断はわが国の自主的な判断によるのだというお話があったわけでありますけれども現実にそのような演習行動というものが行われている中から見ましたときに、それがまた先ほどのお答えの中で当然のような、それは演習行動であるので別に差し支えないんじゃないかというようなことでありますけれども、これはいざそういう特殊な事態が発生したときにはきわめて重大な問題になると思うわけであります。したがいまして、この件につきまして長官のお考えを伺いたいと思います。
  417. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  先般も予算委員会で、月日は失念をいたしましたけれども、沖繩においてわが方の自衛隊機が訓練をいたしておりましたのを、米軍との合同訓練をいたしておるということの御指摘がございました。私の方で調査をしてみますと、そういう合同訓練ではございません。航空部隊におきましては、合同訓練をずっと十年ぐらい前には実施したことがございますけれども、最近はそういう訓練をいたしたことはございません。スクランブル訓練等をいたします場合には、アメリカ第五空軍にお願いをして、スクランブルの要撃訓練をいたしたいと思いますのでひとつ適当な飛行機の提供を願いたいということを要請して、向こうから何月何日そういうような航空機を飛ばすからそれを訓練に利用されたがよかろうという連絡を受けて訓練をいたしておるということでございます。したがいまして、それは合同作戦訓練というようなことではないということだけははっきり再びこれを申し上げるわけでございます。  したがいまして、いま防衛局長が申しましたように、実際上アメリカが作戦行動日本からよそに出るというような事態になりましても、私どもといたしましては、そのときに初めて、われわれはそれを事前協議の対象として、そのときはその状況に応じてイエスもあればノーもあるという態度を決めてまいると申し上げたとおりでございまして、常時そういう訓練をいたしておるというようなことから、そういうときにすぐ合同的な作戦に出るというようなことは全くございませんから、その点はひとつ御安心願いたいと思うのでございます。
  418. 玉城栄一

    玉城分科員 最後に。  私がなぜそのようにいままで回りくどいような形で御質問申し上げてきたかと申しますと、最初の御答弁の中に、いわゆる在日米空軍というものは、韓国の戦略にとってその地位というものはかかわり合いがある、同時に、現在特に在韓米軍の撤退に伴う論議がいろいろと交わされている中で、在日米空軍並びに在韓米空軍合同の演習が行われる、同時にまた自衛隊も、いまの長官のお話では合同ではないということでありますけれども、事実としては参加した形で合同演習が行われているわけであります。したがいまして、そのことから考えますときに、事前協議の対象としてこの問題がとらえられたときには、すでに実質的にこれはイエスというようなことが予告的に行われているんじゃないか、このことを私は非常に心配をするわけでありまして、特に私は沖繩の選出でありますので、この問題には非常に関心も持ち、また心配もしておるわけであります。そういう立場からお伺いをしておるわけであります。  以上でございます。
  419. 木野晴夫

    ○木野主査 次に、多賀谷真稔君。
  420. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 防衛庁長官は、本日の本会議における上原康助議員の質問に対して、「防衛庁長官といたしましても、私自身郷士の町三分の一が基地になり、また隣の町は実弾射撃場を持っておるところでございます。それだけに基地の問題につきましては真剣に受けとめております」こう答弁されておるわけです。北九州の隣接する玄界灘に臨むわれわれの郷土の岡垣町に射爆場が存在しておる、そのこと自体がきわめて危険性を包蔵しておると思います。米軍基地になって以来、その射撃訓練によってすでに二名の死亡者と百数十件の誤射誤爆事故が起こっていることは御承知のとおりであります。  そこで、昭和四十八年に米軍から返還になった際に、住民の熾烈な反対運動がありまして、この防風保安林地域を自衛隊の対地射爆場に使用したいということについていろいろ町内にも議論が沸騰したことは御存じのとおりであります。その後ついに使用の許可がなされて爆撃が続けられておるわけですが、またまた昨年の三月の二十二日、五月の十四日と二度にわたり、航空自衛隊築城基地から発進したF86ジェット戦闘機による機関銃射撃と三ポンド爆弾投下が原因で火災が発生しております。そして述べ二万六千平方メートル、松一万八千本が焼失しておるということであります。  そこで、この使用許可がなされた際に、地元の町長に対して、使用期間は使用開始後五年間とするという覚書が渡されておる。これは大臣も御承知のとおり、大臣みずからが立会人になってあなた自身が署名をされておる。そこで、私どもはこの問題についてこの国会においていろいろ質疑をいたしました。その際に山中防衛庁長官は「五年間に限り使用するということでありますから、五年を経過したら使用しないという方針は変わっておりません。将来も変わりません。」こうおっしゃっておる。櫻内農林大臣は私の質問に対して、「移転先の有無にかかわらず五年後には返還されるべきものと思います。」と明白に答弁をされております。  四十八年から五年といいますと来年、五十三年でありますけれども、一体この方針に変わりがないかどうか。よもや代替地がないからやむを得ずそのまま使用を継続しますということはないと思いますが、その点明確に御答弁を願いたい。
  421. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  五年前取り交わしました覚書につきましては、これを必ず履行していくという方針には変わりございません。したがいまして、五十三年の六月には当該射爆撃場の使用を終了するという考え方のもとに一切の準備を進めておるわけでございます。
  422. 多賀谷真稔

    ○多賀谷分科員 よろしゅうございます。
  423. 木野晴夫

    ○木野主査 次に、上原康助君。
  424. 上原康助

    上原分科員 私の質問の機先をそがれたようなかっこうになっておりますが、お疲れでしょうが、あとしばらくお尋ねをさせていただきたいと思います。  きょうは主に駐留軍の労働問題について確かめておきたい、あるいはお尋ねしたいのですが、その前に、二、三点だけ防衛庁長官の御見解をぜひ承りたいのです。  先ほどから在韓米軍の撤退問題についていろいろ御議論がございました。また、せんだって、国会の論議では余り本当のことらしいものをおっしゃらないのに、在韓米軍撤退に対しての防衛庁の御見解をまとめて、総理の御訪米に際して御意見を申し上げたということも報道されております。  そこで、承っておきたいことは、今回の総理訪米に向けて、在韓米軍の撤退問題あるいは安保条約その他防衛問題について、防衛庁としては口頭で総理に申し入れされたのか文書で申し入れをしておるのかということを明確にしていただきたいということ。それと総理訪米の随行員に防衛関係者も含まれているのかどうか。防衛庁としても、たとえば防衛局長とかあるいは関係者を随行させるような御準備もしているのかどうか。この点明確にしておいていただきたいと思います。
  425. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えをいたします。  第一点は、総理、外務大臣、官房長官、私、四人でございまして、口頭でお話を交わしたところでございます。  それから、今度の総理訪米については、防衛庁から職員を出すという考えはございません。
  426. 上原康助

    上原分科員 この点は後ほどいろいろな論議に発展をしていく可能性があると思うので、この点確かめておきたいと思います。  そこであと一点、防衛局長にこれも確認をしておきたいのですが、きょうの議論を聞いていますと、福岡の築城へのF4ファントム配備の問題ですね。たしか今年八月ごろまでに飛行場の整備を終えて配備をやりたいという御方針を持っておるというような御答弁だったかと思うのですが、沖繩の那覇空軍基地に対してもファントム配備というものが計画をされておった。しかし、四次防の計画問題あるいはFX問題との関係で沖繩配備というものは当初の計画から削除された、削除というか変更したというのが、昨年の春か夏ごろそういう方針が明らかにされたと思うのです。現段階で那覇空港へのファントム配備というのはどうなっているのかということ。それとFXとの関係においてF4が配備されないとなると、新しい機種を那覇空港に配備をする計画を立てているのか。この点もこれからの議論と関係がありますので、この際御見解を承っておきたいと思います。
  427. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 四次防の中でファントムを二十四機追加生産することを決めていただきました。その当時は那覇にあります104にかわるものとして私どもは計画しておったわけでございます。しかしながら、104の除籍に伴いまして新機種を検討しました際に、ファントムをもう少しうまく利用するといいますか、長く使うという意味で、その時点でファントムを那覇に配備する計画を変更いたしまして、104によって将来——将来といいましても、104が完全になくなるのが六十年以降になりますが、その時期まで104でいくという方針を持っているわけでございます。
  428. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、六十年ごろまではファントム配備もない、仮にその間にポスト四次防が逐次整備をされて新しいFXが配備をされても、那覇には現在の104Jで間に合わす、そういう計画だ、お考えだというふうに受けとめてよろしいですね。
  429. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 104が逐次減ってまいるわけでございますが、その計画的な削減ということによりまして、現在那覇におきましては、104を維持していく計画でございます。
  430. 上原康助

    上原分科員 次に、防衛庁長官に、これは少し苦言にもなるのですが、私はかねがね日米安保条約に関連するいろんな取り決めとか、あるいは防衛庁が策定をする計画なり、その他関連資料というものは、できるだけ公開をすべきであるということを要求してまいりました。また、今日防衛問題が非常に与野党間で対決をせざるを得ない、あるいはいろいろと意見の相違があるということも、ある意味では、日米間の諸取り決めというものが一部の政府の官僚あるいは高官たちだけが知っておって、国民に、いわゆる野党にはなかなか明らかにしてもらえないというところからもきていると思うのですね。したがって、もちろん防衛とか外交ということには一定限度の機密なり、取り扱い注意というものがあるということは、常識的に判断はいたしますが、余りにもこれまでのやり方というものは秘密主義をとっている、そのことは改めるべきだということを、かつて山中長官の場合も提起をして、そのことをやるということを明らかにしたのです。しかし、なかなか改まっていないと私たちは受けとめているわけですね。  その点はぜひ今後のいろいろな防衛問題なり安保問題というものを、言われているように、一定のテーブルにのせて十分に理解を深めながら、是は是、非は非とし、また対決すべきところは対決もするというような、国民的課題としていろいろと意見を開陳していくという意味では、秘密主義は私は排すべきだと思うのですね。そういう御方針でやるお考えがあるのかどうか。今後具体的に資料の要求なども提起をしてまいりたいと思うのですが、長官の御見解をこの機会に承っておきたいと思うのです。
  431. 三原朝雄

    三原国務大臣 お答えいたします。  基本的な姿勢としては、いま上原議員の御指摘になるように、重大な外交問題とか防衛問題でぜひ秘密にしなければならないというような問題はやはりあろうかと思いますが、そういうものは別にいたしましても、それ以外に国民に知っていただかなければならぬことは多々あるわけでございます。この前ファントムの問題等を皆さんに公開したりいたしたのも、私は一つの一歩前進したやり方であったと思うのでございますが、そういう点において、できるだけ防衛問題を理解してもらう立場からも、秘密主義はなるべく是正をしてまいりたい、そういう基本的な姿勢でおるわけでございます。  特に、いま国会で御審議を願っております。常任委員会というものは一挙にはむずかしいぞと言われますが、あるいは防衛という言葉が悪ければ安全保障関係の特別委員会でもやって、それは法案と予算は審議しないぞと言われるような意見もあるわけでございますけれども、私どもは、そこまでいかなくても、車座になって防衛問題を与野党ひとつひざ突き合わして意見を交えるというような場にしていただければ、そういう特別委員会でも結構でございます。そこまで実は出てまいっておりますし、特に保革伯仲の現在の体制の中で、私は防衛を担当いたしまして、野党の皆さん方のふところに飛び込みながら防衛問題を一緒に論じさせてもらおうという、そういう考え方なり姿勢でこれから先防衛問題と取り組んでまいろうという考えでございます。
  432. 上原康助

    上原分科員 私がいま申し上げたのは、別に委員会を設置するとかそういう前提で言っているわけではありませんし、それはまたそれなりの御見解として受けとめておきますが、要するに、今後資料要求等があった場合には、努めて防衛庁としては提示をするお考えがあるというふうに受けとめてよろしいですか。
  433. 三原朝雄

    三原国務大臣 努めてそういう姿勢でまいりたいと思って、おります。
  434. 上原康助

    上原分科員 そこで、一、二点資料の件で、これは何も機密でもない、きわめて事務的なことなんですが、私が一月十三日に那覇防衛施設局に要求をして、出先の方では出せないなどと言ってすったもんだしたあげく、本庁にも要請しているのですが、今日時点まだ私の手元に出してないのですね。これは軍用地に関連する資料なんです。ここでくどくど申し上げませんが、もう少しそういうことに対しては機敏にこたえてもらいたい。改めて長官の方から事務局に指示をしていただきたいということ、これが一つ。  もう一つは、これもすでに十日ぐらいになると思うのですが、きょう議論されました地籍法案との関係もありますので、改めて公式の場で要求をしておきますが、那覇空港の那覇空軍海軍補助施設内の国有地の面積についてぜひ明らかにしていただきたい。国有地の面積について、たとえば運輸省分はどのくらいあるのか、自衛隊が使っている分はどのくらいなのか、米軍基地の分はどのくらいなのか、国有地の分を早急に資料として提供してもらいたい。  いまの提示した問題については早速おやりになりますね。
  435. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねの最初の一月十三日というのは、ちょっといまここですぐにわかりかねますので、先生からの御要望のあるものについて、遅くなっておれば、至急整えたいと思います。  それからもう一つの後の方も、いまお話を承ったところで資料にして差し上げたいと思います。
  436. 上原康助

    上原分科員 時間もありませんのでくどくど言いませんが、一月十三日には那覇の方で言ったのです。それで、防衛庁長官、お願いなんですが、たとえば沖繩の場合ですと、距離的にも非常に離れているし、国会だって年じゅう開かれているわけでもないわけですね。閉会だってありますし、休みだってあるわけです。急に資料が欲しいという場合に、地元にいる場合は那覇の出先の機関を活用せざるを得ない場合があるのです。しかし、一切出してもらえない。二、三年前まではそうでなかったのですね。国会対策室を通しなさいとか、あるいは本庁を通しなさいということで、全く応じない。私は非常にけしからぬと思うのですね。こういう点も改めていただきたい。この点はこれ以上は、事務当局はわかっている方もいらっしゃるかと思うので、ぜひ早急にお出しいただきたいと思います。  それともう一つ、これも資料ですが、たしか昭和五十年、五十一年、沖繩のいわゆる施設、区域内の土地の調査、測量実施をやっているはずなんです。四十九年度からやっているかもしれない。四十九年度、五十年度、五十一年度、五十二年度の計画、一覧表、全部改めて提供をしていただきたい。これもこれからの議論と関連いたしますので、以上要求しておきますが、よろしいですね。
  437. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 沖繩の地籍確定の作業は、先生承知のように、四十九年度から予算をとってやっておりますので、いま御要望の資料については資料が出せると思います。
  438. 上原康助

    上原分科員 防衛庁長官、非常におおらかで、私たちの言っていること、要求していることにこたえているかのような印象を与える場合もあるのですが、事務当局はなかなか応じないのですよ、どういうわけか。そこいらから改めないと、とてもじゃないがいい結果は出ませんね、この点は念を押しておきたいと思います。  そこで、最初に申し上げました労働問題についてお尋ねをいたしますが、昨年は駐留軍の労務問題もいろいろ御努力をいただいて、賃金改定というのが年内決着をやったわけですが、ただ年内決着はされたものの懸案事項としていろいろ残っていると思うのです。その懸案事項が現段階で日米間でどういう話し合いがなされているのか、今後の見通し等はどうなっているのか、まず施設庁長官なり関係者から御答弁を賜りたいと思います。
  439. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの米軍基地に働く日本人従業員の給与の問題でございますが、先生十分御承知のように、この過去三年ばかり大変日米交渉が難航しておりまして、給与改定を行う都度米軍からいろいろと給与の引き下げ等に関する要望が出てまいります。そういうものに対する日本側の応答の仕方と関連して解決が大幅におくれたというのが実情でございますが、実は五十年度大変苦労しまして、三月三十一日にようやく改定を見たというところでございますが、五十一年度につきましては、いろいろ要望が出てまいりましたけれども、基本的な問題を解決しないで個々の米側の要望、ことに退職金の取り扱いだとかあるいは格差給の問題等について個別にこれを応答しておるというのでは、どうしてもこの種の問題の抜本的な対策ができないということを私ども考えまして、米側とこの点については少しく基本的に掘り下げてものを考えようということを話し合った結果、五十一年度の改定については、個別の懸案事項を残しておりません。  ただし、私どもの方から言いますると、過去におけるいろんな経緯から、米側がどういうことを要望しておるかということが大体わかってはおりますが、この問題については、基本的にひとつ日米双方で検討をしようということで、昨年七月、日米合同委員会において、この給与問題だけではございません、給与問題を含むいろんな安全の問題も含んで、労務の基本問題を日米双方がぜひ検討しようということで話し合いがつきまして、同時にまた、御案内のように、昨年の十六回日米安保協議会においても、こういう姿勢とものの取り扱いが非常に重要であるということで、そういう基本的な検討についての必要性を日米双方が確認した次第でございます。  そこで、この話し合いに基づいて昨年の七月から日米双方労務の実務担当者の間で、問題の洗い出し、問題の解決のための検討をいろいろやってまいったわけでございます。七月以来二十三回、ほとんど毎週一回やるくらいの精力的なやり方でやった結果、結論には達しませんが、双方の意見の食い違いがどういうところにあるかということが十分に検討されて、十二月二日に日米合同委員会にその結果を報告しておるわけでございます。これは、でき得れば、この二十三回の検討の間に解決策が少しでも見出せればいいと私ども思ったのですが、なかなか厳しい意見の対立でございまして、双方の意見が対立したまま日米合同委員会に報告されております。  そこで、この報告をもとに、引き続きまして日米合同委員会において今後検討していこうということで、近くその検討の第一回の集まりと申しますか、催しが行われる見通しになっておる次第でございます。
  440. 上原康助

    上原分科員 いま少しくお触れになりました昨年七月八日第十六回安保協議委員会で、労務問題も取り上げられた。そこで新しく日米間の政府間交渉を持つということで委員会も設置をされたということですね。  そこで、日米間の話し合いでなかなか意見がまとまらない。まとまらない事項はどういうものなんですか。どういうものがまとまらないのか。もう一つは、まとまらない内容、そこが私がさっき言った懸案事項だということなんですよ。それと日米政府間協議で本年十一月一日までに解決をする、結論を出すということにたしかなっていると思うのですが、今年十一月一日までに結論を出そうとしている事項は一体どういうものなのか。これもこの際、アメリカ局長もいらしていますので、双方から明確にしておいていただきたいと思います。
  441. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 日米間の実務レベルの、私どもジョイントスタディーと申しておりますが、共同検討の中で話に出ましたことは、先ほどもちょっと触れましたが、退職金の問題、それから格差給の問題、そのほかいろいろ過去において議論が出ました。過去において、たとえば七項目など出ておりますが、この項目も時によって内容が変わって取り扱いが変わってまいります。従前から日米間でいろいろ問題になっておったものを双方が議論をしたわけでございますが、これはいわば突っぱねたままの立場になって今日に至っておるわけです。  そこで、これからどういう姿勢で臨んでいくかということでございますが、なかなか細かく議論しますと本当に給与の技術的な問題の迷路に入ってしまうので、私どもとしましては、やはり基地に働く従業員の生活の問題でございますから、これをどうして確保するかということ、同時に従業員が基地において働くことによって基地の安定的な運営が期待できるわけでございますから、そういった日米間における基地の安定的な使用の重要性という立場、そういうものを踏まえまして日米の地位協定で許される範囲内、精いっぱい許される範囲内の解釈、運用を行うと同時に、関係官庁と十分な協力、連絡をしまして、そしてこの従業員の不安定な、ただいま行っておるような改定ごとに大幅なおくれを見て、従業員並びに家族が困ることのないようなやり方をやっていきたい。個々の項目について、どれをどうしようということをいま予定しておりません。
  442. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、改めて念を押すようで恐縮ですが、確認をしておきたいわけですが、四十九年度の給与改定に米側から提起をされ、また五十年度も懸案事項となっておりました米側提案の七項目というものは、完全になくなったと理解していいですね。
  443. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいままで日米間の話し合いの問題として、私どもは七項目についての何らのコミットもしておりませんので、そういう意味では全然ございません。ただ、ああいう問題を提起した米国側の立場とすれば、やはりそこに関心があるだろうとは思います。そういう意味では米側が本当に引っ込め切れるかどうかというようなことは考えられますが、日米間の話し合いで私どもが七項目について何らかのコミットをしたとか、そういうことは全然ございませんから、そういう意味で、一切ひもつきでなしに基本的な問題を検討しょうという立場でございます。
  444. 上原康助

    上原分科員 五十一年の給与改定では、米側からの提起あるいは日米間の懸案事項はないんだ、残されていないんだということでしたが、これも念のために確認をしておきたいのですが、たとえば年間のボーナスを公務員より〇・一カ月分削減をするとか、あるいは基本給の上昇額を公務員の九〇%にするとか、また号俸延長の実施はしないとか、扶養手当増額は配偶者と子供だけに限るとか、そういう米側の新たな給与改悪提案ということもこの五十一年の給与改定においてはなかった、いわゆる日米間の不合意の事項として残っているものはないというお答えだったと思うのですね、先ほどの何もないということは。これもそういうふうに受けとめて結構ですね。
  445. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 五十一年度の給与改定は、先ほど申し述べましたように、基本的な話し合いをしようということを日米間で話し合った後に出てきたものですから、私どもは、米側のどんな要望が出てきても、それは基本的な問題の検討で、個々の項目を扱うのじゃなくて、全体を見直すという姿勢で臨んでおりますので、過程において若干新しい要望が出ましても、米側の要望を全然受け付けないで、そして全く無条件のまま五十一年度の給与改定を実施いたしております。
  446. 上原康助

    上原分科員 そこで、大体皆さんがどういう腹づもりでやっておられるかということは理解もするし、いろいろ言われるので何とかせなければならぬなというお気持ちであると思いますが、残されたのは、残されたというより、最も重要な懸案事項といいますか、対立点、意見の不一致になっているのは、やはり退職手当制度の変更を米側は相変わらずしたいという気持ちを持っていると思うんですね。そして二点目に格差給の凍結ということ、新規採用には適用しない、そういうことを考えていると思うのです。新規というのは最近の事情からしてそう多くはないと思うのですが、現に働いている方々なりあるいは離職を余儀なくされる方々にとって最も重要なことは、退職手当制度の内容を改悪されてはならぬということだと思うんですね。それが一つの柱となっている。いま一つは、総体的には、いわゆる基地労働者という特殊な事情の中で働いてきた方々が、いろいろな経緯を積んで今日まで積み上げてきたところの既得権については失ってはならぬということ、これが私は基本でなければいかぬと思うんですね。  そこで、きょうはぜひ八時に終わりたいということをみんな約束していますので、私も急ぎますが、退職手当の改悪問題あるいは格差給の凍結というようなことに対しては、日本側としては、設置をされている日米合同委員会労務分科委員会においては絶対に応じない、この姿勢だけは政府としてはきちっとしておる、今後アメリカ側からいろいろ提案があっても、いま申し上げた二つの事項と従業員の皆さんの既得権はあくまでも守るという基本方針にはいささかの変更もない、今後もそういう基本姿勢を貫きながら、先ほど申し上げましたように十一月一日までに結論を出す、こういうお立場でおるというふうに理解していいのか、その決意のほどを承っておきたいと思うのです。
  447. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いま御指摘の退職金の問題は、まさに米国側の非常に関心の深いところであろうと私どもも思っておりますが、過去において二十三回積み重ねたジョイントスタディーにおいても、その点については、私どもは米側の主張に対してわれわれの主張を行っておる次第でございまして、これからわれわれとしては、日米合同委員会の場において、基地に働く日本人従業員の給与の問題について、日本国内におけるいろいろな労働慣行その他に照らして、譲ってはならないことは譲らないというかたい姿勢でもって臨みたいと思っております。
  448. 上原康助

    上原分科員 要するに、既得権の剥奪ということには応じないということと、あわせて賃金改定のルールとしては公務員と同率の原則、この基本姿勢を日本側としてはいささかも変更していかない、この点もお約束できますね。
  449. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 国家公務員と同時同率というのが、そもそもこの基本的な問題を検討するに至った発足点でございまして、それができなくて難航しておるのでございます。この点については、私ども同時同率というルールを、長い問の慣行でございますから、守る努力をしたいと思っております。
  450. 上原康助

    上原分科員 ぜひそういう方向で進めていただきたいと思います。  あと一つ、これとは直接は関係ありませんが、例の臭化メチルガスで中毒事件を起こした喜納政秀さんの件なんですが、これももう皆さんの方で取り扱っていると思いますから、たくさんは申し上げません。事故発生日が昭和五十一年の二月十二日ですね。そして東京労災病院に入院をされたのが五十一年の八月二十三日。最近になってようやく保険給付がなされたようですが、非常におくれているんですね。なぜおくれたかというようなことはくどくど聞きませんが、こういうことあってはいけないと思うのですよ。もう少し迅速にこういう問題は対処していただきたいし、同時に、この方の健康の回復については、労務部として特段の御配慮をいただきたい、そのことと、給付についても、もっと迅速に処理していただきたいということでよろしいですね。お答えいただきたいと思います。
  451. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまのお尋ねの喜納さんの事件については、私、事件が発生した当初から大変これはお気の毒なことであり、重大なことであると思って、精力を傾けてその処理に当たっておったつもりでございますが、いま御指摘のように、手続等においておくれたことがあるということでございますので、これは私ども手抜かりがなかったかどうか、もっと早く支払うことができなかったかどうかという反省をやりたいと思っております。今後喜納さんの扱いについてはできるだけのことを私どもやってまいりたい。それは従前からそういう覚悟でおりますので、何とぞ御了承いただきたいと思います。
  452. 上原康助

    上原分科員 これで終えますが、最後に防衛庁長官に、いまこの基地で働いておられる雇用員の幾つかの問題について施設庁長官等の御見解を賜ったのですが、もちろん施設庁としてもそれなりの努力をしておられます。その点は評価をするのにやぶさかでありませんが、しかし、基地の安定使用とかあるいはリロケーション問題については、相当国費というものを注いでいながら、離職者対策の問題にしても、給与改定にしても、既得権さえ剥奪をしていこうということで、年々難航をしてきたわけですね。そうあってはいけないと思うのですよ。特に最近は、指摘するまでもなく、どんどん解雇をされて、わずかに本土、沖繩含めて二万名を割っているという数に減っているわけです。そういう客観的な状況、あるいは現に解雇をされて次の仕事をどうするかという面で、いろんな不安なり悩みなりを抱えている方々ですから、働いている人々の賃金問題なり離職者対策については、防衛庁全体としても、大臣というお立場でももっと意欲を出していただきたい。  そこで、給与改定については、公務員と同時同率の原則、退職手当とかあるいは格差給を凍結していくとかいうことには絶対応じない。そのほかの既得権もあくまでも守ってあげる。これは事務段階でできない場合は、大臣の政治判断なりで決着をつけなければいけない問題もあると思うのです。離職者問題については、予算を含めて今後も従来以上に熱意を持ってやっていただくという大臣の決意をお伺いしておきたいと思うのです。
  453. 三原朝雄

    三原国務大臣 駐留軍労務者問題につきましては、ただいま先生の御意見十分受けとめまして、最善の努力をいたしたいとお約束を申し上げます。
  454. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  455. 木野晴夫

    ○木野主査 これにて防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することに相なりましたことを深く感謝申し上げます。ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時四分散会