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1977-02-24 第80回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年二月二十四日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 坪川 信三君    理事 大村 襄治君 理事 栗原 祐幸君    理事 澁谷 直藏君 理事 田中 正巳君    理事 細田 吉藏君 理事 安宅 常彦君    理事 楢崎弥之助君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    伊東 正義君       稻葉  修君   稻村佐近四郎君       越智 通雄君    奥野 誠亮君       金子 一平君    川崎 秀二君       始関 伊平君    根本龍太郎君       藤井 勝志君    古井 喜實君       松澤 雄藏君    森山 欽司君       阿部 昭吾君    井上 普方君       石野 久男君    上原 康助君       大出  俊君    大原  亨君       小林  進君    佐藤 敬治君       佐野 憲治君    坂本 恭一君       藤田 高敏君    武藤 山治君       大橋 敏雄君    広沢 直樹君       二見 伸明君    河村  勝君       西田 八郎君    寺前  巖君       大原 一三君    田川 誠一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 福田  一君         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         大 蔵 大 臣 坊  秀男君         厚 生 大 臣 渡辺美智雄君         農 林 大 臣 鈴木 善幸君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      園田  直君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      藤田 正明君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      西村 英一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 三原 朝雄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         防衛庁参事官  水間  明君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         法務省刑事局長 安原 美穂君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 岩瀬 義郎君         大蔵省証券局長 安井  誠君         大蔵省銀行局長 後藤 達太君         厚生省年金局長 木暮 保成君         厚生省援護局長 出原 孝夫君         農林大臣官房長 澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         郵政省人事局長 浅尾  宏君  委員外出席者         参  考  人         (国際協力事業         団総裁)    法眼 晋作君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     坂本 恭一君   石野 久男君     佐藤 敬治君   多賀谷真稔君     大原  亨君   浅井 美幸君     大橋 敏雄君   河村  勝君     西田 八郎君   正森 成二君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     多賀谷真稔君   佐藤 敬治君     石野 久男君   坂本 恭一君     阿部 昭吾君   大橋 敏雄君     浅井 美幸君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十二年度一般会計予算  昭和五十二年度特別会計予算  昭和五十二年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 坪川信三

    坪川委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度一般会計予算昭和五十二年度特別会計予算及び昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  これより一般質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤(山)委員 きょうは三つの大きなテーマに分けて一、二関係大臣に御意見を伺いたいと思いますが、最初に、政府の「昭和五十二年度予算編成方針」という一月十一日閣議決定の文書の中に「国家公務員定員については、新たに策定された計画により定員削減を行う」ということが書いてありますね、後段は省略いたしますが。そこで、この新たに策定された計画により定員削減するというのでありますが、どの程度、どういう省庁に、どんな内容削減をするのか、行管庁にまずその計画を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 今回の予算編成につきましてそういうことを決定いたしましたが、昨年の八月に第四次の定員削減決定をなされたのでございます。それは昭和五十二年度から五十五年度の四カ年に定員を三・二%、年平均にして〇・八%削減をするということで定員削減をやったような次第でございます。
  5. 武藤山治

    武藤(山)委員 昭和五十二年度、本年度から五十五年度までに三・二%定員削減する、いま国家公務員関係並びに政府関係機関を入れると公務員の数は二百万ですね。二百万二千四百六十八名おりますね。これを対象にしているのか、それとも一般会計関係の中から三・二%なのか、一体どちらが土台になっておるのですか。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 総員は政府委員をして説明させますが、非現業国家公務員と五現業、これを含んだ定員でございます。
  7. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま御指摘の第四次の定員削減対象になっております職員数でございますが、ただいま大臣からお答えを申し上げましたように、非現業につきましては五十一年度末の定員の五十二万四千八百五人を対象といたしておりまして、その三・二%で一万六千七百六十八人でございます。現業の方は、同じく五十一年度末の定員三十五万九千八百九十四人を対象にいたしておりまして、削減目標三・二%で数といたしまして一万一千五百十八人でございます。
  8. 武藤山治

    武藤(山)委員 一年間に合わせて二万八千人の人員削減をするという案ですね。これは予算で実現をしているのかどうか。それと、いままでの第三次の実績は一体どういう数字になっているのか、計画実績をちょっと明らかにしてください。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 いままでやりましたのが第一次から第三次でございまして、今回が第四次でございますが、その数は政府委員から説明申し上げます。概略は私も知っていますけれども、数字ですから……。
  10. 辻敬一

    辻政府委員 第一の点の三・二%で先ほど数字を申し上げましたのは、四年間の数字でございます。四年間でそれをやるわけでございますので、各年平均にいたしますと〇・八%ということになるわけでございます。  それから従来の定員削減経過を申し上げますと、四十三年度以降数次にわたる計画を立てまして削減をいたしております。  まず第一次でございますが、四十三年度から四十六年度まで、これは四年間で五%を目標といたしまして、目標数はそのとき四万四千九百三十五人でございましたが、実績はその約九七%、四万三千七百十一人ということになっております。それから次が第二次でございますが、これは四十七年度から四十九年度まで三年間でございまして、率といたしまして五%でございました。目標数は四万四千七百五十二人でございますが、実績はその約九六%の四万三千八十八人ということに相なっております。第三次は、当初五十年度から三年計画で三%ということでスタートをいたしたわけでございますが、途中で改定をいたしまして、五十年度と五十一年度二年間で二・四%の目標だったわけでございます。目標数が二万一千三百二十七人でございましたが、実績は若干それを上回りまして二万一千五百二十七人となっているわけでございます。なお第三次計画は五十二年度までの予定でございましたが、五十二年度以降、先ほど申し上げました新しい第四次定員管理計画に切りかえた次第でございます。
  11. 武藤山治

    武藤(山)委員 主計局長、この予算書を見ると、どこを見ても〇・八%に該当する七千人の削減という数字が出てこないのですが、どことどこで七千人の削減になりますか。
  12. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 各省庁別に申し上げますより、いま概略して集めたものがございますのでそれで申し上げますと、国立学校等定員令一条の定員が三千八百八十一人のマイナスでございます。それから定員令第三条五現業等定員削減が四千六百十九人、それから自治法附則八条の定員が百七十五人、その他特別機関人事院等定員マイナス六十五人、そういうようなことで合計いたしますと、削減が八千七百四十人になっております。
  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 五十二年度予算の説明を見ると、五十一年度もそうでありますが、どうも削減内容が偏り過ぎているのではないかという印象を受けますね。たとえば、五十一年度農林省関係が千三百十八名、郵政関係が二千五百五十九名、特に飛び抜けて多いわけであります。五十二年度予算を見ると、やはり農林が八百二十三名、郵政が千七百十九名、これだけの減ですね。農林郵政に特にこの減少が目立っている。これは一体どういう理由なのか、農林大臣さらに郵政大臣、それぞれひとつお答えいただきたいと思うのです。
  14. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 昭和五十二年以降四カ年間の定員管理計画に基づくところの農林省削減目標数でございますが、非現業職員が二千七百三人、このほか国有林野事業関係現業職員千百五十六人を含めまして、全体として三千八百五十九人でございます。  昭和五十二年度以降の毎年度削減は、総削減目標数の四分の一ずつ実施する方針になっておりますが、農林省の実態からこの原則によって削減実施することは困難でございますために、非現業職員につきましては、当面、昭和五十二年度におきましては、削減目標数のおおむね五分の一程度削減を行うことといたしております。  なお、機関別削減実施に当たりましては、各機関ごと行政需要離退職欠員状況等を勘案をしながら、国民サービス支障を来すことのないよう十分配慮してやってまいりたい、このように考えております。
  15. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 五十一年八月の閣議決定による第四次定員削減目標数は、第一条定員では百八人、第三条定員では一万四十七人となっております。これは前年度末の定員基礎として所定の削減率を乗じて算出されたものでございますが、第三次定員削減数が期間を通じて仰せのとおり一万四十七人ということは多いようでございますけれども、これは五十一年度末の定員が三十一万三千九百五十七人と基礎数が多いということでございます。  郵政省といたしましては、この計画実施に当たって、事務の合理化簡素化により対処をいたしておりますけれども、今後とも業務の運営に支障を生じさせないように努力いたしているところでございます。
  16. 武藤山治

    武藤(山)委員 郵政省削減は、予算書によると千七百十四名、これは現業ですね。郵便配達とか郵便貯金、保険、そういう末端で国民に接触を持つ最も先端のサービス業務をやっている諸君ですね。こういう人たちがこう削減をされているということは、国民へのサービスが低下するのではないか、私は、そういう実は感じを持つので質問をしているのでありますが、これは大体定年に達した人を新たに増員をしない、そういう措置なのか。定年に達する者は年々どのくらい現在郵政関係ではおるのでしょうか。これは大体定年に達した人を補充しないという意味数字がこの程度になるのか、その辺はいかがでございますか。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 これは例をとりますと、たとえば辺地等ではいわゆる電話自動化等がございます。そういうときに、いままで電話の交換をやっていた方あるいは電報の仕事をやっていた方を配置転換をする、あるいは電電公社仕事に転出してもらうようなことで、いわゆる首切り等々のようなことではございません。労使間の協定もこれあり、労使が納得がいくような形でやっておるのでありまして、そのようなことはございません。
  18. 武藤山治

    武藤(山)委員 それから行管庁、先ほどのお話では、第四次削減計画で二万八千人を四年間で削減をする。そうすると四年間平均すると、ことし七千人の減ということになるはずですね。この予算書をどう見ても、これは辻さん、その七千人の減というのはどういうところに書かれているのでしょうか。予算書を見ると、一般会計では逆に差し引き勘定二百八十二名の増員ですね。それから特別会計では差し引き千百六十三名の増員ですね。そうすると皆さんの方の行政整理削減というのは、差し引き勘定してではなくて、ただ七千人を削減しました、しかしまた九千人ふえましたと、こういう勘定になるのですか。どうもこの予算書を見る限り絶対数は減ってない、これはどういう計算になっておるのですか。
  19. 西村英一

    西村国務大臣 つまり三・二%、連年で〇八%、この〇・八%というのは平均数字でございまして、絶対に減らせない職種もあるわけでございます。たとえば病院の看護婦等は減らせませんから、やはり仕事によってはその〇・八%の増減があるわけでございます。業務を減らすものは減らす、ふえる需要はふえる、こういうやはり差し引き勘定をしての結果でございます。  数字的には政府委員から説明させます。
  20. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 行管長官から御説明申し上げましたとおりでございまして、減らす定員は減らしまして、そのかわりそれを新規需要に振りかえるという形で、予算書ではその増減差し引きが形として出ているわけでございます。  ちなみに一般会計で申し上げますと、増員が二千五百四十七人、減員が二千二百六十五人、差し引き二百八十二人の増になるという形でございまして、先ほど御指摘がございましたたとえば特別会計郵政でございますと、五十二年度減員を四千二百五十人立てておりますが、郵政事業合理化が大分進んできたというようなことで新規増員の必要が相当出てきているということで、内訳に一々明示してないのでございますが、当座、五十一年度新規増員を七百八十五人しか見なかったのですが、五十二年度は二千五百三十六人を見るというようなことで、五十二年度削減人員との差し引きとしては千七百十四人でございますが、増員減員おのおの需要を見ながら算定しているところでございます。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、この予算編成方針でうたっている内容は、実際にはトータルとしては削減にはなってないのではないか、やはり増減差し引き勘定すると。そういうのが一体定員削減という概念で表現できるのでしょうか。
  22. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 四十三年以降ずっと何%カットということで十万人を超える削減を行ってきているわけですが、これはひとえに、武藤委員承知のとおり、たとえば学校先生とか看護婦さんだとか航空管制官だとか、新規増員が当然あるものをとにかく既定の定員削減行政努力で賄っていこうという実績になっておりまして、そういう意味では確かに五十二年度予算では形としてはふえた形になっておりますが、削減をしなければ相当そのままふえっ放しになってしまうという形であったかと思っております。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 いやそんな行政削減というのはごまかしであって、実際には削減じゃなくて、やはり差し引き勘定しているというだけにすぎない。  これはもう時間がありませんからこれ以上議論しませんが、行管庁、それから官房長官、そういう点、政府予算編成方針にうたうからには、実のある削減でなければ、これは国民へのごまかしになる、差し引き勘定しているだけですからね。いま答弁のように実際にはふえているのですよ。削減になっていないのですね。それじゃやはり経費の減少にはならないのであって、そこらをやらないならここにうたう必要はないんだね。予算編成方針にうたう必要はない。私も首切りはない方がいいですよ、削減がない方がいいですよ。いいけれども、政府方針としてこういう方針の中にはっきりうたうからには実のあるものにしなければ、この編成方針は偽りになる、こう私は感じます。  しかし、時間の関係で進めます。  小宮山郵政大臣がどうしても忙しいようですから、先にちょっと、ついでと言ってはなんでありますが、けさの新聞でも、またきのうの夕刊でも、銀行協会が、公定歩合引き下げをするにはもはや限界である、したがって預金金利引き下げなければ公定歩合引き下げはほとんど不可能である、自由民主党の役員会では、預金金利を下げないで、いじらないで一%程度公定歩合引き下げを断行をさせるべきであるという大変二律背反ですね、全く対立した見解新聞に出ておるわけです。特に、郵便貯金零細預金者を保護せよというのはわれわれ社会党の強い年来の主張であります。ここで長く論ずる時間はありませんが、われわれは法人預金個人預金を分離して、公定歩合に連動するのは法人預金に限るというふうにしたらどうだという提案をしたり、いろいろいままで経過があります。しかし、きょうはそれを質問するのではなくて、郵便貯金というのは普通の銀行預金と性格が違う。普通の銀行は利益を追求するために営業としてやっておる。郵便局零細貯金は全部国家国民のために利用されるという、大蔵省資金運用部に集まる金である。したがってその零細な預金を、銀行と競合するからといって真っ先に郵便貯金金利を下げなければ公定歩合を下げられないのだという理屈は、国家国民的見地に立ったときにはそう簡単に私たちは受け入れるわけにいかない。その任に当たる、衝に当たる新郵政大臣として、零細預金金利引き下げを財界が要求しているようであるが、決意のほど、見通しのほどはいかがでありますか。
  24. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 武藤委員承知のとおり、金融機関利率決定臨時金利調整法という法律大蔵大臣の告示、日銀のガイドラインということで決定される。郵便貯金利率については郵政大臣郵政審議会に諮問して決めるのであります。現在のところ、私は郵便貯金法十二条二項に決めてあります精神を踏まえて、いままで考えておりませんけれども、今後慎重を期してやっていきたいと思っております。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 委員長、ちょっと農林大臣に関連がありますから許してください。
  26. 安宅常彦

    安宅委員 農林大臣にお伺いいたしますが、一昨年の二月、本委員会において私が問題を提起し、林野庁におけるいわゆる常用並びに定期作業員処遇改善について当時原則が確立し、その後五十二年の四月からこの原則にのっとって処遇改善のことをやるということが決定されたわけですが、期日はもう迫っているのですけれども、林野庁全林野労働組合との団体交渉最終段階足踏み状態になっているのが現状だと思います。これは農林大蔵総理府など関係する各省庁においてやはり意見調整がまだ若干おくれぎみのところに原因があるように思われます。  この問題は直営、直用方針など種々問題は残されてはおりますけれども、具体的に処遇改善の問題に関する限りは、年齢制限等国家公務員等退職手当法の有利な適用問題について問題点は集約されつつあるように思います。農林大臣はどういう見解か。そのとおりだと思いますが、そのとおりだとするならば、あなたはただの農林大臣ではなくてすごい力を持っている農林大臣ですから、大農林大臣でしょうから、主計局長相当理解を示している発言を私には内々しているのですが、そういうことを踏まえて、局面打開についてあなたの、これは期日が追っていることですから、責任ある解決のための抱負というのでしょうか、伺いたいと思うのであります。
  27. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま安宅先生からお話がございました本件につきましては、目下労使間で団体交渉も精力的に行われておりますし、また関係省庁間で鋭意協議を進めておるところでございまして、私は早期に問題点解決をいたしまして、可及的速やかにその発足が図られるように最善を尽くす考えでございます。
  28. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで、先ほどの続きですが、行管庁、いまの公務員定員削減計画の中には公団とか事業団公社——公社は入っているようですが、公団事業団は含まれないのですか。
  29. 西村英一

    西村国務大臣 公団ですか。
  30. 武藤山治

    武藤(山)委員 公団事業団
  31. 西村英一

    西村国務大臣 三公社、公庫、公団、そういうのは含まれていませんが、五現業だけは含まれております。
  32. 武藤山治

    武藤(山)委員 私がこの第一項めの質問中心は、これから論じようとするその事業団公団、こういうところの削減方針について行管はもっと目を光らせて削減方針を立てるべきである、これが実はこの質問項目の一番中心点なんであります。  それはたとえば、いま公社公団事業団たくさんありますが、仕事量は余りないのに、予算を見るとわずかの予算なのに、総裁、副総裁はいいとして、理事が十二名もいる、あるいは八名、六名、だれが見ても大体四、五人まではよかろうかな、この規模なら三名ぐらいでよかろうなと思うのに、たくさん理事がおる。そんなに一体理事を必要とするのだろうか。だから今後行管作業を進める上において、やはりこういう公社公団事業団についても当然手を入れて、そういう行政改革対象にすべきではないのか、こう思いますが、行管庁いかがですか。
  33. 西村英一

    西村国務大臣 ごもっともでございます。  そこで最前、これは直接のあれではないですが、政府定員削減をやっておると言うが少しも成績が上がらないじゃないか、こういうお尋ねですが、これは、ことしはやや減員増員新規需要のために接近しておるわけです。しかし、一次からこの四次までの総計をとってみますと、やはり減員が十一万七千一人ですが、それに対して増員が十万三千八百四十四人で、差し引き一万三千百五十七人の減員はやっておるのです。これは一次から四次までで。ことしはたまたま新規需要が多かったものだから減員はしたけれどもやはりその増員の方とやや接近したということでございますから、努力はしておるのですから、それだけは武藤さん認めてくださいよ。  それから、いまの話でございますが、特殊法人については御説のとおりでございます。これについてはやはりそれぞれ役員は法定されております。したがって、法律改正でなければ減員はできませんが、運用の点において、十人以上も役員を持っておるところは欠員補充をしないようにしようじゃないかというのが昨年の閣議了解決定をいたしておるのでございますから、運用の問題で欠員補充はしないという態度をとっております。これは私の方ではなしに、むしろ総理府の方でございます。しかし、その他の職員につきましても、行政にやはり非常に閑繁がございますから、全体の職員についても、私たちは今後御説のとおり気をつけなければならぬと思っておる次第でございます。
  34. 武藤山治

    武藤(山)委員 国際協力事業団というのがございますね。きょう総裁お見えですね。この事業団はどのくらいの予算額でやっているのか、まだこの予算説明書の中にたまたま国際協力事業団がないものですから金額をちょっと調べてこなかったのですが、この事業団は余り大きい事業量はないのじゃないかと思うのでありますが、理事が十二名おりますね。これはあなたの方の総定員何名おって、一年間の事業量はどのくらい事業費はあるのですか。そしてできれば、この理事の月給は皆違うのですか、最低が幾らで最高はどのくらいですか、理事です。総裁、副総裁を除いて、どんな状況ですか。
  35. 法眼晋作

    ○法眼参考人 お答えいたします。  国際協力事業団の予算は、昭和四十九年度は二百二億六千九百万、昭和五十年度は三百三十億三千五百万、五十一年度は三百七十六億五千三百万となっております。  御指摘理事の数でございますけれども、法律上は十二名以内となっております。現員は十一名でございます。さらに、このほかに非常勤がございまして、非常勤理事は六名以内となっておりますけれども、現在は二名でございます。それが実情であります。(武藤(山)委員「給料は」と呼ぶ)給料は、理事は月額六十四万円でございます。(武藤(山)委員「全部同じですか」と呼ぶ)全部同じでございます。(武藤(山)委員「非常勤は」と呼ぶ)ございません。
  36. 武藤山治

    武藤(山)委員 総予算が三百七十六億円で、六十四万円の給与をもらう理事が現在十一名だというのですね。こういうのをほかの公社公団と比較してみて、電電公社などは三百七十六億円の予算と比較したら問題にならぬ大量の事業量と予算額を持っている。その電電公社理事は十名、専売公社もあれだけの事業で十名だ。それと比較すると国際協力事業団の十二名の定員制というのは理事が多過ぎる感じがいたしますね。地域振興整備公団も十二名だ。どうもこういうのを全部調べる暇がなかったのでありますが、この高給をもらって、理事で、また退職するときに膨大な退職金をもらう。行管庁、こういうところを大掃除しないと、現業の末端の、国民に最もサービスするところをどんどん首を切って、こういう大どころを——仕事量そんなにないと思うのですよ。そういうものをもっとメスを入れないと、本当の行政改革にならぬのじゃなかろうか、こういう感じがしてなりません。行管庁長官の政治家としての御見解いかがでございますか。
  37. 西村英一

    西村国務大臣 まあ行政でございまして、行政計画から立案、監督というようなことから、やはり現地の問題もあるわけでございまして、役員とそれから現業に携わる末端の職員、労働者との間のバランスがとれなければならぬと思うのです。それが行政の一番効率的なやり方でございますから。また、この経費の問題もございましょう。どれだけの金を使うかとかいうようなこともあるわけでございまして、やはり役員現業の第一線とがバランスをとる、こういうことが一番行政の能率化でございます。  いま御指摘のこの公団につきましては、昨年の五月の閣議了解に基づきまして役員を二人だけ縮減する、運用の面において縮減するということになっておると思うのでございます。
  38. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうじゃなくて、現状をいま聞いたのじゃなくて、こういうような、どう見ても、常識的に見てやはり多過ぎるなという事業団公団があるのですよ、われわれが見ても。そういうのをもう一回ここで見直して処置をするような姿勢が欲しい。行管はいままでの定員削減対象事業団公団を入れてなかったわけですね、先ほどの答弁で。ですから、これからはそういうものまで含めて内閣としてやはり真剣に取り組む必要がある、こう私は感ずるのであります。  これは実は総理大臣の代理である官房長官見解を聞くのが最も妥当かと思いますが、そういう方向に今後この行政整理というようなものを考える場合には、公団事業団まで含めた見地から徹底的なメスを入れるべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  39. 西村英一

    西村国務大臣 その前にちょっと。昨年のその閣議了解で、いま挙げた公団のみならず、ほかの公団につきましても、一定の数は役員を減すということになっておるわけでございます。しかし、あなたがおっしゃるのは、特殊法人についてそれ以上に、役員を一遍見直したらどうだ、こういうことであろうと思われますから、その点は私も見直しをやっていきたい、かように思う次第でございます。  あとはひとつ官房長官から……。
  40. 園田直

    ○園田国務大臣 数々の御指摘のとおりでありまして、定員削減は必要最小限度、これが基本方針でございますけれども、それもやり方については、機械的にやっておってはいろいろ問題が出てまいりますので、一律にやるのではなくて、減らすところと、それから端末の病院その他非常に国民の要望が強くて不便を感じておるところ、それから国の将来行政需要の消長に応じて必要なところは手を打つということを考慮しながらやらなければならぬと思いますが、それも御指摘のとおりに人員だけではなくて、やはり定員法の中には入っておりませんが、公団特殊法人、こういうものを含めて、行政管理庁長官が答弁されましたとおりに深刻に検討しなければならぬ、こう考えております。
  41. 武藤山治

    武藤(山)委員 定員削減の問題については大体以上でとどめます。総裁、結構です。  次に第二問ですが、私どもが農村を歩くと、兵隊にとられた農家出身者、商人、零細業者、こういう人たちで恩給をもらえない人たちの不満というのは大変大きいものがあります。きょうはその問題について、直接厚生大臣関係ありませんが、少し前段の話を十分ばかり聞いていただいて、そして何かいい知恵はないか、これは総理府総務長官と厚生大臣にともども一緒に考えてもらう、こういう立場から少し質問をしてみたいと思います。  まず最初に、恩給を受けている人たちと恩給を受けていない軍隊歴を持った人、人数をちょっと明らかにしてください。
  42. 出原孝夫

    ○出原政府委員 戦争中の戦災その他によりまして軍歴関係の書類が相当程度焼失をいたしておりますのと、戦後三十年を経ておりますので、正確な数字はなかなかつかみがたいのでございますけれども、概略私どもが推計をいたしますと、年令または一時金を支給されない軍歴の……(武藤(山)委員「一時金なんて聞いてない。恩給をもらっている人ともらってない人、だけでいいのだ」と呼ぶ)恩給をもらっております人は、昭和五十一年の九月の資料でございますけれども、二百四十万程度になっております。それから先ほど申し上げましたことでございますが、逆にもらっておられない方が三百万人前後であろうというように推計をいたしております。
  43. 武藤山治

    武藤(山)委員 恩給をもらっている軍隊経歴者が二百四十万人、恩給をもらっていない人たちがし三百万人おる。恩給をもらってない人の方が多いわけですね。しかも、第一線で弾丸の中をくぐって最も苦労した下級の兵隊、こういう人たち処遇というものがいまの状態で一体公平なんだろうかという、公平の理論から少しこの問題を詰めてみたいのであります。  いま恩給は戦地加算を含めて下士官と兵は十二年、准士官以上は十三年ということになっておるようでありますが、十二年の年限に達しなかった、十二年以下七年までの軍歴者、それから七年から三年までの軍歴者、これはどういう取り扱いをしましたか。
  44. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。  兵でございますと、先生指摘のとおり十二年以上の者が年金恩給でございますが、それ以下の者の処遇でございますが、十一年未満の者をちょっと系列的に申しますと、戦前におきましては下士官で退職した者が、概略申し上げますと三年以上続けて勤務している者に対して一時恩給が出ております。戦後でございますが、御承知のとおり一時、軍人恩給はとだえたわけでございますが、二十八年に復活するに際しまして、新しい出発に当たりましていろいろな問題点があり、いろいろな改革がございましたけれども、一時恩給について申し上げますと、十一年未満でございましても七年以上というかなり長い期間にわたりまして引き続いて軍歴にあった方、これは下士官及び兵を含めてでございますが、そういう方に対して一時恩給を出すということになったわけでございます。  その後の経過、簡単に申し上げますと、その後昭和四十六年に至りまして恩給審議会の答申もございまして、戦前は出していた下士官の三年以上七年未満の者というものに対しまして一時恩給を支給いたしました。さらに昭和五十年に至りまして、これは戦前にもなかった制度でございますが、兵の階級の者に対する一時恩給も、三年以上七年未満というグループについて一時恩給を支給するという措置をとって現在に至っておるわけでございます。
  45. 武藤山治

    武藤(山)委員 一時恩給と言うと聞こえが大変いいのですが、一時恩給はどの程度くれたのですか。
  46. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。  これは戦前から一時恩給というのは……(武藤(山)委員「戦後でいいのだ、戦後の話で」と呼ぶ)はい、そうですか。これは俸給月額とそれから勤務年数ということが基準になりますので、いま御指摘の点につきましては、たとえば下士官の伍長の階級の者で申しますと、三年間勤続された方には一万七千円、四年間の方には二万三千円程度というふうな数字でございます。兵の階級について申しますと、三年の者は一万五千円、四年の者は約二万円という数字でございます。
  47. 武藤山治

    武藤(山)委員 ここで問題は、三年以上七年軍歴のある者のもらえる年金が幾らかというと、一年について五千五十円、一年兵隊に行った者が五千五十円、三年行った者で一万五千円、これを一時恩給と呼んで処遇をしたと、こう言うのです。ほかの者は、十二年以上の者は死ぬまでずっともらえる。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 だから恐らく長生きした人は何百万もらえるかもしらぬ。あるいは大佐、少将なんという人は、一年に百万も百五十万ももらえるかもしれない。だから、これは一時恩給の一年分五千五十円で片づくべき問題ではなくて、やはり国家のために当時は働かされたのですから、当然老後を保障するという体系の中に組み入れるべきではないのか。しかも三年以下の者は何にも保障ないのです。いまのは三年以上の兵隊だ。二年苦労してきた、二年九カ月、二年十一カ月軍隊で苦労した人は何にもないのだ。総務長官、公平だと思いますか。
  48. 藤田正明

    藤田国務大臣 確かにおっしゃるとおりでございまして、いまの一時恩給にいたしましても、これで救済するとかそういうふうな金額ではとうていないと思うのです。まあいわば苦労に対して国が微意を表するといいますか、そういう程度のものにしかすぎないことは十分承知いたしております。  それからまた、三年以下の兵に対し何にもないではないかという御質問でございますが、この点も研究を要することかと思いますが、しかし、恩給制度というものは長年長期に公務に服した者、そういう人に対して出す、これが恩給制度であろうかと思いますので、やはり短期の人々に対しましては一時恩給といいますか、それからまた非常にごく短い三年以下の方に対しては現在支給してないのは先生承知のとおりでございますが、その点は今後ひとつ研究させていただきたい、かように思います。
  49. 武藤山治

    武藤(山)委員 三年以下の者に対して今後検討したいと言うのでありますが、その検討の仕方、中身が、いろいろやはり工夫すれば私は可能性があると思うのです。きょうは渡辺新厚生大臣に、特に同県人で同期生で大変親しい間柄でありますから、親しみを感じながら、渡辺厚生大臣と総務長官が相談をすればできる、そういう案を私は提言をしてみたいと思います。あなたの勇断を期待しながら、以下少し述べてみたいと思います。  結局、いまは国民皆年金制度になって、何人も、大部分の人は国民年金、厚生年金あるいは公務員関係の共済組合、いずれかに該当をしているわけです。入っているわけであります。しかも総務長官によく考えていただきたいのは、軍歴のある人はたとえ六カ月でも一年でも、公務員の場合は全部年金通算に加算されているわけです。外地へ行ってくれば、一年が四年と計算されて、共済組合の加入の資格条件にちゃんと加算をされておる。ですから、全部これは将来の老後の支給される金額の中にその軍歴というものの計算が含まれ、恩恵が与えられている。にもかかわらず、農家はだめだ、商人はだめだ、そういう人が三百万人おる。これをやはり国民皆年金のいまの時代に適合するようにするには、公務員が取り扱われていると同じように、やはり農家も商人も国民年金や厚生年金でそれぞれ加入年数に加算をしてやってしかるべきじゃないのか。当然その分だけは保険会計に、軍歴のある者の負担部分については国が負担をすべきではないか。私はそういう措置をとれば、六十五歳になって支給をされる国民年金の場合も、ちょうど兵隊で一番苦労した人たちがいま五十三歳から六十歳ぐらいまでの人ですね。ですから、まだ年金を受給されていない人たちですよ。これからでも間に合うわけですね。最も激しい戦闘に参加した年代は、ちょうどいま六十から五十三までぐらいの人たちですね。ぼくらの年代からは大体内地で、もうほとんど船は横須賀から出港できなかった、その年代です。しかし、ぼくらの二級先輩ぐらいからは、みんな弾の中をくぐり、南方でボカ沈をくらって大変苦労をした人たちです。ですから、いま手を打てば間に合うんですね。国民年金が、二十五年加入で二十五年掛金をした人は、全部これは基本は千三百円掛ける年数ですからね、そうすると、仮に軍歴がそれに加算されれば、一年について、ほんのわずかではあるけれども、二十五年加入の場合三万二千五百円が二十八年になれば三万六千四百円、ちょっとここで三、四千円受給金額がふえますね、軍歴をここへちょっと加味してやると。また厚生年金の方の計算をしてみても、厚生年金は六十歳受給でありますが、これが二十年加入した場合と、仮に三年違って二十三、四年積んだ場合では、仮に四年、二十四年と比較すると、これもやはり、給与によって違いますけれども、やはり月五千円ぐらいの開きが出るわけであります、四年間で。  ですから、兵であろうと下士官であろうと、恩給がもらえなかった、恩給法では処理できないけれども、政府全体の立場から考えてこの不公平をなくそうとするならば、国民年金や厚生年金の方でできるはずであります。もちろんその原資は国が負担しなければいけませんよ。当然それは国家公務員やほかがやっておると同じような取り扱いをしなければなりません。私はそういう提言をして、いますぐここで、なるほどそうか、やろうとは言えないかもしれないけれども、総務長官と厚生大臣が本気で、これらの三百万の兵隊経験者で恩給をもらえない人に公平な取り扱いをしてやろうという温情、温かみ、連帯、これがあるならば私は実現可能であると思いますが、まず厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
  50. 渡辺美智雄

    ○渡辺国務大臣 せっかくの武藤さんからの御提案でございますので、あらかじめ質問通告も受けておりましたから、何かうまい答弁ができないかということで実は考えてきたわけでございます。実は私もその該当者の一人でありまして、大体私の年齢前後の人が一番多いわけであります。二年か三年行ってすぐ終戦、そういう人が多いわけなので、いま言ったような趣旨のことも役所で調べさせたわけでございますが、軍人恩給の方は国家補償であって、兵隊や何かの掛金というものは別にやってない。ところが、厚生年金、国民年金というのは掛金制度でやっておる。したがって、厚生年金が昭和十七年にできたんだが、そのときも実は、その前に役所や何かにおって恩給とか何かもらっておった人がやめて会社に入っても通算制度はやらなかった、そういう人との関係を一体どうするんだということで、恩給問題というのは非常に横に広がっていってしまう。そこの歯どめが実際問題としてない。軍人だけはそういうふうな通算が厚生年金と国民年金にできて、そのほかの人ができなくなるのか、そう言われると、なるほどそれもそうだなという気もするわけでございますが、実はきのう、ゆうべその話を聞いたばかりで、よく私もそれ以上突っ込んだ研究をしていないということでございます。したがいまして、保険の本質とまるっきり違うということになってくればこれはできないわけでございますが、そこらのところをもう少し研究をさしてもらいたい、かように思っております。
  51. 武藤山治

    武藤(山)委員 本来、これはいまのシステムの中で厚生大臣に直ちに善処せよということは大変無理があります。これは何といっても総理大臣自身がやはり政治の問題として片づける以外に、一省だけで、いままでのシステムの中で、法律の中で処理しようというのは無理なことなのであります。ただ、そういう考え方としてこういう不公平というものを直すのが政治なんだという姿勢を持たなければならない。そういう意味で、実は渡辺さんにきょうはこの実態を知っていただいて、今後幾らか時間をかけて、それぞれの国民年金や厚生年金ですくい上げる場合にはどこをどうしなければならぬのか、それをまた恩給関係の当事者とどういう点を直さなければならぬのかをせっかくひとつ御努力を願いたい。同期生のよしみで特に強く要望申し上げておきます。それでは何か用事があるようですから、結構でございます。  そこで総務長官、あなたの方の直接の担当の恩給でありますが、いまのような実態を、不公平を解消するという見地に立って何らかの工夫をしなければならないなとお感じになりましたか、それとも恩給法という制度があるので、そんなことを言ったって三年以下の兵隊はしようがないのだ、あるいは一年五千五十円もらった十二年以下の連中は一時金やったんだからしようがないのだ。問題は、私は老後の問題がやはり一番問題だと思うので、総務長官としてこれは特に各省とも、いろいろ関係者と相談をして、前向きに善処するような方向が望ましいと思うのでありますが、総務長官の見解いかがですか。
  52. 藤田正明

    藤田国務大臣 私も先ほどの厚生大臣と同様に二年半ほど軍歴に属したものでありまして、その点はどうにかならぬかなという気持ちは持っておるのでございますが、御承知のとおりに、恩給制度を引き継いだ公務員の共済制度は、これは昭和三十三年でしたか四年でしたか、できております。現在先生が言われましたところの点が切れておるわけでございますが、何とか厚生大臣と今後相談して検討をいたしたい、かように思います。
  53. 武藤山治

    武藤(山)委員 それではひとつ今後十分御検討いただきたいということを期待をして、その質問を終わりたいと思います。総務長官、結構です。  次に、大蔵大臣と税制の問題、公債発行の問題あるいは今後の展望の問題、そういう点をひとつ議論をしてみたいと思います。  最初に、五十二年度予算の税収というものが見込みどおりいかなかった。政府の財政収支試算によると、五十二年の財政規模は、二十八兆四千九百億円と支出の方は去年見込んだわけですね。これは大体一致したわけです。五十二年度と歳出全体の規模はわずか二百四十二億円の誤差しか生じなかった。ところが歳入の方は、税の方は見込み違いがはなはだしくて、二十兆六百億歳入があるだろう、税収があるだろうと見たのが十八兆二千四百億円でありますから、一兆八千二百億円狂ったわけですね。政府の財政収支試算と比較して税収は一兆八千二百億円の減収となった。これは何が原因でこんなに減収額が出たのか。そもそも財政収支試算の計算が弾性値を高く見過ぎたのか、それとも景気が予想以上に停滞をし、中だるみをして、税収が落ち込んだのか、どちらに原因があるのか、これをまず最初に明らかにしてください。
  54. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 ただいまの御質問でございますが、昨年、中期財政収支の試算をお出しいたしましたときに申し上げましたように、財政収支試算の年次割りと申しますのは、五十五年度の姿を予想いたしました後で、各年次に機械的に割り振ったものでございました。その場合の割り振りの基準は、五十二年度は五十一年度に対して一五%GNPが伸びるという想定を置きまして、五十二、五十三は各一五%、五十四、五十五は一二%という想定を置きまして機械的に割り振ったものでございました。その数字が、ただいまおっしゃいましたように専売益金を含む税収としては二十兆という計算が結果的に出てきておったということでございます。歳出の方も同様でございましたが、五十二年度は、ただいまの政府見通しではGNPは一五%ではなくて一三・七%ぐらいと想定されております。それに対して歳出面で、やはり財政事情厳しい中でもある程度公共投資にウエートを置いて適正な規模を確保せざるを得ないではないかという考え方で、GNPの予想が下がったにかかわらず歳出額はふやしていくということをしておることも、これも御承知のとおりでございます。歳入の方はGNPが下がりました結果予想よりは大分少なくなっておる。また中期試算ではある時期に増税をせざるを得ないではないかという姿が予想されておりましたのが、五十二年度では増税ができるような環境でない、一方三千五百億の減税もしたということで、年次割りに比べますと、五十二年度予算におきます専売益金込みの税収はかなり低いところにとまっておるという状況でございます。
  55. 武藤山治

    武藤(山)委員 弾性値は幾らに見たのですか。
  56. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますが、五十五年度国民所得比で一般会計の租税、専売益金を含む金額が四十八から五十平均に対して二%上がるであろう、上がらないと全体がうまく運営できないという想定で三十五兆五千八百が先に出まして、それをGNPにリンクさせたものでございますので、結果的には一・六二の弾性値がないとこの数字にならないという試算であったわけでございます。一・六二で積み上げたというものではございません。
  57. 武藤山治

    武藤(山)委員 まあそれは五十年代前期経済計画が基本になっているから、結果的に計算をしてみると弾性値は一・六二というのですね。これは五十年代前期経済計画があるから、いわゆる主税当局はこれを一切動かすことはできない、これを前提に計算するんだという言い分に仮になったとしたら、これはぼくは大変な狂いを今後も生ずると思いますね。大体弾性値一・六二という数字は、過去の高度経済成長期でしかも最も景気のいい年の弾性値だ、一・六二というのは。不況で税収が落ち込む、六%の低成長経済だという計算でいったら、できるだけ弾性値は低く見るべきであると思うのですね。一・二か一・三ぐらいの弾性値で見ないと大変なことになる。もし一・六二で見る場合は、当然どういう新税が幾らぐらいふえます、どういう税目をこういじりますということがセットされて説明されなければ、単なる机上に書かれた数字に過ぎない、こう私は思います。ですから、弾性値を一・六二に見なければならぬという制約があるためにやむを得ないのか、いわゆる五十年代前期経済計画があるから、主税当局としてはそれに縛られてやむを得ないのか、それはそれとして、五十年代前期経済計画は別にして、主税局の積算で税収はもっと事実に近づいた積算をすべきなのか、私は後段をとりますが、これは大蔵大臣、どっちをとるべきなんですか。
  58. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お答え申します。  五十年代前期経済計画をとにかくも足がかりといたしまして、五十五年には特例公債というものを発行することを要らぬような健全財政の姿を浮かべながらそこに持っていきたい。そのためには武藤さん御指摘のとおり、なお行く手は大変な険しい山道だと覚悟いたしております。それを克服して目的を達成するためには、相当程度の増税はやはり余儀ないことだ、かように考えておりますが、その実現に当たりましては、今日はまだ何税をどうするとかいうようなことは、これは何も決定いたしておりませんけれども、去年の半ばから税制調査会におきまして、所得課税をどうするか、資産課税をどうするか、また消費課税をどうするかといったような、税制全般にわたって検討を続けてもらっております。その検討の……。
  59. 武藤山治

    武藤(山)委員 まだそっちの方まで言ってない。弾性値の話で、それは後に出てくる、全体の話は。弾性値のとり方の問題だけいま聞いているのです。
  60. 坊秀男

    ○坊国務大臣 弾性値はやはりいま主税局長が申し述べたとおり、これをやはり——もっとも弾性値でございますから、そうこの弾性値を自由自在にやっていくというわけにはまいらない。しかし主税局長が言ったように持っていきたい、かように考えております。
  61. 武藤山治

    武藤(山)委員 どうも大臣、主税局長と余り細かいことを論争するのは、予算委員会で余りそぐわないと思うのですが、大臣がいまのような答弁をしているのでは、これは主税局長とやらなければなりませんが、私がいま申し上げたのは、五十年代前期経済計画というものがある限り、それを土台にして昭和五十五年度目標というものに近づけるという、それが絶対的な制約条件になるのか、五十年代前期計画が。それとは全く別に主税当局として現状を踏まえて積算をして、こういう税収を図り、公債はこの程度にしなければならぬという別な角度からつくり得るのか、それを聞いたのですよ。これは縛られるとなればまた縛られるで次の論理が展開していくのでありますが、その五十年代前期経済計画に縛られますか、大臣。もし大臣が無理なら主税局長でいいですよ。主税局長、そこにいなさい。
  62. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 やや繰り返しになりまして恐縮でございますが、昨年お出ししました中期財政収支試算は、あくまでも前期経済計画をベースにいたしまして、それを一般会計に翻訳をしてみて、前期経済計画の政策目標、実質公共投資百兆円、振替支出一〇%弱、なおかつ五十五年度に特例債から脱却するというためには、これぐらいの税収がないとこうならないであろうという試算をしたものでございまして、財政の計画というものとは違うわけでございます。その意味で、税収もその見積もりを積み上げたものじゃなくて、これだけのものがないとこうならないというものを年次で割ったもの、その結果の弾性値が一・六二である。実績的に何が起こるであろうかと申せば、まさしく武藤委員がおっしゃいましたように、過去五年の平均弾性値は一・三九でございますし、過去十年の平均弾性値は一・三五でございます。今後若干成長スピードが鈍るとすれば、それよりむしろ若干低いと考える方が常識的であろう。であるとすれば、この政策目標を達成するという前提に立つ限り、しかも歳出は、これ以上公共投資は下げない、振替支出ももっと縮めない、このとおりいくんだということになる限り、やはり、一・六二と一・四マイナスアルファとの差額は、ある時期に何らかの増税をお願いせざるを得ないではないか、そういう前提で、昨年の六月に税制調査会に御説明をし、審議を開始していただいたわけでございます。
  63. 武藤山治

    武藤(山)委員 主税局長、近くにいなさい。  企画庁長官、五十年代前期経済計画によると、五十三年度の歳出規模は幾らになりますか。
  64. 倉成正

    ○倉成国務大臣 お答えします。  年次別の歳出規模ははじいておりません。
  65. 武藤山治

    武藤(山)委員 はじいてはいないけれども、あの中に書かれておる表の中の伸びのパーセンテージを掛けていくと来年の大体の歳出規模は出てきますね。あの前期計画の中に書かれている支出項目を計算すれば出てきますね、大体財政規模が。出てくるでしょう、ただ、いま計算してないというだけで。それを計算していくと、来年度の財政規模は三十三兆二千七百億円になる、来年度の歳出規模は。そうなると、三十三兆二千七百億の来年度予算の規模にするためには、税収が二十四兆九千四百億円なきやならない。ところが、本年度の税収が十八兆二千四百億でありますから、差額は六兆七千億円足りなくなる、一年間で。ことしと同じ八兆四千八百億の赤字公債を発行すると前提しても、五兆円の増税をしないと来年の歳出規模に追いつかない、そういう数字になりますが、そういう数字になることはお認めになりますか、大臣
  66. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 御指摘のとおり、昨年度財政収支試算で、先ほど主税局長から御説明申し上げましたとおり、断面については一定の機械的な計算でやったわけでございますが、その数字によりますと、御指摘のとおり、来年の予算の規模は一般会計で三十三兆二千七百億になっております。ただ、五十二年度予算がすでに編成されておりまして、この五十二年度予算の姿をもとにはじくとなると、若干狂ってくると思いますが、大数的には、武藤委員の御指摘のようなことになると思います。
  67. 武藤山治

    武藤(山)委員 主計局長、それはごまかしだ。五十二年度の歳出は二十八兆四千九百億で、五百億と違っていないのだよ。だから、歳出の方は一致したのだよ、五十二年度は。歳出は大体この収支計算と大体一致しているのだよ。歳入の方がまるで狂ったわけですよ。だから、来年の歳出はこれより動いても五百億円なんだよ、この計算でいくと。この収支計算でいくと、動いても五百億円しか違わない。問題は税の方にある、税収の方に、歳入の方に。だから、いま五十二年度があたかもうんと狂っているような感覚であなた答えたけれども、狂ってないのだよ。さっき言ったように、四百六十何億しか狂っていないのだよ——二百四十二億だ。
  68. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 武藤委員に一言申し上げておきたいと思いますが、歳出の中でも、たとえば公共投資でございますね、これはたしか当初予定した数字と余り狂っておりません。振替支出も狂っておりません。この二つが若干ふえましてその他が減ったという形で、結果においては歳出はほぼ合っておりますが、ただ、十分御承知のとおり、その他の中には国鉄に対する助成もございますし、交付税もございますし、全体非常に大きな中の変動でたまたま一致しているということで、中身の変動いかんによりましては、五十三年度も、たとえば交付税がどうなっていくかとか、国鉄助成がどうなっていくかとか、食糧管理費がどうなるかとか、そういうようなことで非常に変動要因を秘めているということだけ申し上げておきたいと思います。
  69. 武藤山治

    武藤(山)委員 そう答えなければいかぬのですよ。だから、私が言っているのは、予算規模はたまたま一致したのですよ、五十二年度は。ところが、税収の方がまるで狂っちゃったわけなんです。  そこで、来年はさらに大変で、いまの試算表と一致した予算を組むためには六兆七千億円足りないのですよ。そのときの国債の発行は七兆三千八百億円。本年度より一兆一千億円国債発行額を減らしてなおかつ六兆七千億円足りないのだ。  さて大蔵大臣、どうしたらいいか。どうしたらいいでしょうか。歳出を思い切って切り詰めるか。ぎりぎり切り詰めて幾ら切り詰めできるか。税をふやすとしたら、いま税調に諮っておりますなんてのんびりしたことでは、もう来年間に合わない、早いところ大蔵省の考え方ぐらいぴちっと決めないと。また来年も足りない分は全部国債発行、こういう安易な道へ進む可能性がある。だから、私はいまここでこの議論をしているわけなんです。これは大変なことであります。六兆七千億円をどうやって捻出したらいいのか、まず大臣のその点に関する点だけひとつ御見解を聞かしてください。
  70. 坊秀男

    ○坊国務大臣 御指摘のとおり、来年から始まるわが国の財政というものは、まことに険しいところにある。税金はふやさなければならない、公債は減らさなければならないということでございまして、これをどうするかということが今日与えられた財政の課題でございますけれども、いろいろ数字の絡み合い等につきましては、これは事務当局からお答えさせます。
  71. 武藤山治

    武藤(山)委員 さらに、この状態を続けてまいりますと、もう前期経済計画も狂ったし、それから大蔵省の出した、機械的な計算だからと言えば、国会を乗り切るために収支計算書というのは機械的にただはじいてみたのだ、割り振ってみたのだ、一五%のGNPの伸びに機械的に割り振ったので、そう信憑性はないのだ、国会で出せと言うから、国会を乗り切るために机上の計画を出したのだ、こうも受け取れるね。しかし、国債を八兆四千五百億も八百億も出すというからには、将来の財政計画、何年後に必ずなしますというからには、やはりなせる手だてをきちっと国会に明らかにしなければ、去年も議論したように、借金を会社がする場合に、どうしてなしますかということで、ちゃんと売上見込みから経費から、そして返済能力が幾らある、そういうことをきちっと銀行は計算して、初めて金を貸すのでしょう。国が借金する場合はそんな計画なしに行き当たりばったり、最後は国民が税金で借金を払うのだからというようなことでは、これは困るね。  私はいま計算をしてみた。本年度の国債発行額以後国債を発行しないと仮に仮定して計算してみた、利息の計算がめんどうだから。これは来年また七兆五千億円、八兆円国債を発行した場合はさらに多くなりますが、五十三年度の国債費だけで、償還と利息だけで二兆四千六百億円、利息だけで二兆三千八百億円になりますね、来年は。しかも、赤字国債を発行するようになった昭和五十年から、十年後に返すというのだから、六十年の年代を説明しなければうそになるのだ。五十五年度まででは実態はえぐり出せない。やはり五十年の赤字国債を発行した年に対応して、借りかえをしませんというのだから、国会に出ている書類に借りかえはしませんと書いてあるのですよ、十年後には必ず返すということになっているのだから、だとすれば、収支見込みをわれわれが論争する際には、当然六十年代のことをやはりここで論議しなければいけない。六十年、六十一年、六十二年までの本年度に対応する年代には日本財政はどうなるかということがポイントになる。それをざっと計算してみると、国債発行がもう仮にないとして、昭和六十年度の公債費だけで、いわゆる返す方の国債費だけで五兆九百億円、六十一年度が六兆四千五百億円になる、六十二年度は六兆五千五百億円の負担になるのですよ。その中身は、六十年度に返す方が、償還が二兆七千四百億円、利息が二兆三千五百億円、六十一年度は四兆三千三百億円償還をする、利息は二兆一千二百億円ですね。とにかく六兆四千、六兆五千億円を国債費として食われてしまうのですね。だから、国債を返すために、利息を払うために、国債を発行するという財政になることは間違いない。もちろん、その間にGNPは伸びる。倍になるかもしれない。仮に倍になっても、この負担というのは財政をかなり圧迫するのです。大倉さんはそのころはもう主税局長でなくなって、大蔵次官が終わって、どこかの公団総裁かもしらぬけれども、しかし、やはりそういう将来のことまで主税局長は展望して、単なる五十五年度という目先だけではなくて、これを償還をする時点に日本財政がどうなるのかということをもっと国民の前に明らかにすべきで、もっと政治家にも大臣にも、六十年代前期に日本がどうなるかということを知らしむべきであります。それを知らしめないのは大蔵省の怠慢です。そしてこれは国民がすべてが日本の財政を知って、それに国民一人一人が何を寄与できるか、国から何をもらうかではなくて、国家に何を寄与できるかということをみんなが考えるという体制ができない限り、日本の財政は、これは完全にパンクですね。私はそれを憂える。何か仕事をやろうとしても、六十年代前期はもう仕事ができない。完全に行き詰まる。だから、五十五年度前期計画だけに頼るということは大変危険であるということをまず言いたい。  それから、企画庁長官も深刻に五十年代前期経済計画について、財政とのにらみからももう一回精査して、早急に政治家すべてが認識できる、六十年代前期の大ざっぱな問題でもいいから、もっと危機意識を持つような計画に練り直さない限り、大蔵省も計画がある限りこれは無視できないのですから、そこらについてはぼくは企画庁長官の責任になると思う。そういう作業もあわせて企画庁は検討すべきじゃないかと思いますが、見解はいかがですか。
  72. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま武藤委員から非常に将来の日本の経済の姿、またこの経済と見合った財政の姿についての問題を出していただきました。私も、そう問題意識は、同じような意識を持っておるわけでございます。やはり、これから先の日本の国民生活を充実していくために、本来ならばもっと小さい財政規模でやらなければならないところを、借金政策でこの福祉を充実していく。低成長に入った段階において福祉充実を図っていかなければならない。そういう一つの矛盾が財政に大きな負担をかけておるわけでございます。昭和五十年代の前期経済計画は、そういう意味から申しまして、物価、雇用、公共投資、社会保障ということの目標を掲げまして、この目標を掲げるための手段ということをいろいろ考えておるわけでありまして、その目標を達成するために、財政当局に財政収支の計算をお願いをいたしておるわけでございますけれども、御指摘のようにいろいろな問題があることは私どもも十分心得ておるつもりでございます。  ただ、ここで一つ私ども考えておりますのは、前期経済計画において想定しました六%台の経済成長が、御案内のとおり五十一年度において五・七%程度の成長という非常に不況に見舞われたということもまた若干響いておるわけでございまして、五十二年度が六・七%ということでございますけれども、景気が回復してまいりまして成長が多少伸びてまいりますれば、財政の方も多少改善していくことは見込まれるわけでありますから、余り悲観的にばかり見る必要はないと思うわけですけれども、しかし武藤委員の御指摘されました財政に大きな負担がかかってくる。この負担を一体これからどうやって国民に協力をいただき、そして負担をしていただくかということがこれからの一番大きな問題が一つであると心得ておりますので、大蔵省とも十分御相談しながら財政の面でわれわれの目標が達成できないことのないように努力をいたしてまいりたいと思います。
  73. 武藤山治

    武藤(山)委員 楽観をして後で取り返しがつかなくなったときにどういう責任をとるかという、また政治論の問題もありますが、時間が後七分しかありませんので余り論争できませんが、現在、国債の五十二年度末の累積残は三十一兆七百億円になりますね。大蔵省の試算によれば、五十五年度末で国債累計残が五十一兆四千億円になる。しかし、もうすでにこれは狂ってしまいましたので、いまのペースでいくと主税局が考えている五十五年度末の国債残高はどのくらいになると現在見込んでおりますか。
  74. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほど主計局長が申し上げましたように、五十二年度予算政府案で決まっておりますので、その政府案をベースにいたしまして、五十五年の目標との間が昨年お出ししたものとの間でどう変わってくるかということをただいま鋭意計算中でございます。いずれ資料としてごらんいただけるかと思います。その中で出てまいると思います。
  75. 武藤山治

    武藤(山)委員 主税局長、やはり去年国会に提出したように財政収支試算、これは出さなければ本来予算委員会予算の審議ができないほど重要なファクターなんですよ。なぜ出さぬのですか、大蔵大臣
  76. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いま最後の詰めに入っておりますが、できるだけ速やかにお出しするつもりでございます。
  77. 武藤山治

    武藤(山)委員 最後の詰めに入ってできるだけ早くと申しますが、私が過般十二日にここで総括質問した際にこの試算収支表を出すように、出さなければ審議できなくなる、しかし大蔵省が十七日ごろには出しますから。そこで私は質問を全然しなかったのです。きょうまで黙って待っていた。いまだ出ない。いつ出すのですか。近々って、日を切ってください。
  78. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 いま諸前提、たとえば経済計画との整合性とかいろいろな点を企画庁などと連絡しながら鋭意急いでおります。できるだけ早くということでやってみたいと思いますが、数日中には何とかしたいとは思っておりますが、ちょっといま確定日を御返事できなくて恐縮でございますが、いま鋭意作業中でございます。
  79. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵省の財政収支試算が出ない限り私どもは予算について将来展望というものができない。そういう意味でこの財政収支試算が出るまで私は質問を留保しますよ。委員長、取り計らってください。
  80. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 本件については、承るところでは、ただいまの答弁でごく近いときにこれを検討を終えるということでございますので、いずれ出るものと思います。したがいまして、いまあなたがおっしゃった質疑についてはさらに質疑の機会もあろうと思われますので、ただいまのところこれを保留するという扱いにはしないで、それぞれ別の機会にまた御質問をするということにいたしたらいかがでございますか。
  81. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは、その時間を新たに割り当ててくれますね。もう私はこれから出番の時間は党内では割り当てはないのですけれども、この試算表が出ない限り、まだこの議論は終結しないのですよ。近々というのはいつですか。二日か三日も近々、あすも近々、一年のサイドの話になれば一週間も近々なんだけれども、近々というのは、いつできるのですか。
  82. 吉瀬維哉

    吉瀬政府委員 一週間以内ぐらいにできるだけ早く出したいと思って、努力いたします。
  83. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣、とにかく早急に出してもらわぬと、われわれの審議に支障を来しますので、これはもう本当に早急に、一週間以内といま言いましたけれども、できるだけ詰めて、分科会になってしまってから出されても困るのですよ。やはり一般質問の期間内に出してもらわぬと、党として正式な態度を決めてわれわれは要求したいと思いますよ。早急にこの資料を出すように委員長に要求して、割り当て時間ですから、やめます。
  84. 田中正巳

    ○田中(正)委員長代理 さよう取り計らいます。  これにて武藤君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  85. 上原康助

    ○上原委員 私は、総括質問でも主に防衛問題と在韓米軍の撤退との関係などを取り上げてまいりましたが、きょうはそれとの関連で、在日米軍基地のあり方、縮小計画問題等を含めてさらにお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、ちょっと質問の順序が前後するのですが、せっかく官房長官においでいただきましたので、長官の御日程の都合もあるようですから、前段十分程度官房長官にちょっとお尋ねと御要望を申し上げておきたいと思うのです。  といいますのは、実は総括質問で総理にいろいろお尋ねをしたいと思っておったのですが、なかなか沖繩問題だけに限るわけにもまいりませんし、その時間がありませんでしたので、改めて、福田内閣として、復帰五年を迎えた沖繩の基地問題なり県民生活の問題について、いま少し再検討をしていただいて、もっときめ細かい施策をお取り計らいいただかねばいかないのじゃないかという感じを強く持っているからです。  そこで具体的にお尋ねをしてまいりますが、たとえば、来年の七月から八月にかけて、現在車が右通行であるものを左通行に切りかえていくという準備がいま進められつつあります。このことについては、総理府に交通対策室を設けて、運輸省なり開発庁などとも連携をとってやっておられることについては私も理解をいたしております。しかし、窓口がはっきりしない。開発庁だけで本当にやるのかということになると、いやこれは開発庁の所管じゃありません、運輸省です。運輸省へ行きますと、必ずしもそうでない。自治省との関係もある、警察庁との関係もある、もちろん交通規則の面がありますから。所管窓口がはっきりしないものですから、あっちへ行ったりこっちへ行ったりで、なかなか思うようにはかどらないという面があるということ、そういう例がある。  もう一つ具体的に例を挙げますと、これも後ほどきょうは議論をさしていただきたいのですが、政府が今国会にお出しになっております基地確保新法案、私たちはそういうふうに呼んでいるわけですが、この法案とて、米側に対する提供施設区域については防衛施設庁が担当して防衛庁の所管になっている。だが、非軍用地については、確かに開発庁が窓口になっているとはいうものの、やはり国土庁との関係もあるし法務省との関係もある、こういうことで、窓口はばらばらなんですね。そういう問題点がある。  あるいは放棄請求権の問題等にしても、軍事基地と関係のあるものについては一応防衛施設庁が便宜上やろうということになっているのですが、そのほかの戦後処理の問題等については必ずしも沖繩開発庁ではない。現在の日本の行政の仕組みなり機構上からしますと、なかなかそうぴしゃっと窓口をはっきりさせなさいということは容易でないということは理解はしつつも、戦後二十七年間切り離されておった沖繩の県民生活、制度が本土の制度になじんでいくという過程においては、いま少しそこいらの問題等を再検討していただいて、担当窓口がはっきりしないものは、内閣全体として官房あたりで閣僚連絡会議をお持ちになるとか何らかの方法をおとりにならないと、なかなか県民の要請している問題解決というのはできない状態に置かれていると思うのです。  したがって、そこいらのことについて、ぜひ官房長官が窓口になっていただいて——いま三つの例をたとえばとして挙げましたが、そのほかにもいろいろあります。細かいことは申し上げませんが、ここいらに対して、福田内閣として、本当に復帰五年になろうとしている今日の沖繩の問題について、いま少し県民の生活、あるいは振興開発計画という立場に立った前向きの諸政策というものが私は出てしかるべきだと思うのです。  これに対する長官の御所見なり、私が提起をいたしました問題についてどう対処していかれようとするのか、冒頭大変恐縮ですが、その面からお尋ねをさしていただきたいと思うのです。
  86. 園田直

    ○園田国務大臣 沖繩開発については、沖繩開発庁が中心になって関係各省と連絡をしつつやっておるところでありますけれども、御発言のとおり、医療の問題、福祉の問題、社会環境等、まだまだ不十分な点がありますので、十分これには留意をしていきたいと考えております。  なお、いろんな問題で、たとえば放棄請求権の問題は施設庁と開発庁、内閣官房と三つが重なって分担しているようなかっこう、それから施設の問題は施設庁、開発庁、VOAの問題は外務省、労働省というように、重なって綿密になればよいのでありますけれども、結局責任者が不明確になるような点も確かにございますので、十分検討して、私の方でそれぞれ随時連絡会議等を検討して、遺漏ないようにしたいと考えております。
  87. 上原康助

    ○上原委員 これ以上深くは申し上げませんが、いま御答弁ありましたように、VOAの問題にしましても、これも後ほど外務大臣にお尋ねをさしていただきますが、私も復帰時点からこの問題については関連をしてまいりました。いよいよこの五月十四日で閉鎖になるわけですね。これは沖繩国会から大変議論がありまして、日本の国策として閉鎖をせざるを得ない。そこで働いておった労働者の問題については、残念ながら現在のMLC関係あるいはIHAの制度にそこの従業員についてはなじんでいない。したがって、外務省へ行くと、施設の問題については外務省の管轄だ、じゃ沖繩開発庁でそれをやるかというと、それは私たち関係ありません、失業段階においては労働省の所管で、この雇用保険とかそういうものの処置については努力をいたします、こういう状況なんですね。だから、私はわからぬわけでもありませんが、申し上げました交通区分の問題、放棄請求権の問題、いま長官がおっしゃったVOAの雇用員の処理の問題等については、一々長官がということにはまいりませんでしょうが、縦割りで任すのではなくして、もう少し関係省庁と連絡をとるといいますか、そのイニシアチブを握る行政的な政治的な判断をしなければいけない指導的な役割りは、ひとつ官房長官の方でお骨折りをいただいて、そして内閣調査室において具体的に問題を煮詰めていって、各省庁に指示すべきものはそれぞれやっていく、こういう方途を講じていただかないと、私はなかなか問題は解決できないと思うのですね。その点積極的に御努力をいただけますね。     〔田中(正)委員長代理退席、澁谷委員長代理着席〕
  88. 園田直

    ○園田国務大臣 御発言の趣旨は十分理解できましたし、私もそのように考えますので、御趣旨に従って処置をいたします。
  89. 上原康助

    ○上原委員 これで官房長官、どうもありがとうございました。  そこで、冒頭申し上げましたように、官房長官の御日程の都合でその問題から触れさしていただいたんですが、限られた時間ですので、相当広範な問題をできればお尋ねしたいという準備をしておりますが、まず最初に防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、在韓米軍の撤退問題との関連で、私も幾分お尋ねいたしましたし、また同僚諸先輩の先生方もこの問題には相当時間を割いてお触れになっておられました。しかし一体、外務省なりあるいは防衛庁、政府全体として、この在韓米軍撤退の問題についてどう対応していこうとしておられるのか、必ずしもまだはっきりしていないような感じを持ちます。私が言わんとするところは、結論的に申し上げますと、在韓米軍の撤退というのは、総理がおっしゃったように、たてまえというか、基本的には確かに米韓間の問題であるでしょう。しかし、その与える影響なり軍事的な面からすると、少なくとも、在日米軍基地なりあるいはいま防衛庁が考えているポスト四次防、いわゆる基盤的防衛計画構想とはやはり関連してくるわけですね。連動してくる。それに具体的にどう対応していこうとするのか。もう少し国民の前に考え方というものを明らかにする必要があると私は思うのです。  しかし、われわれの立場から結論的に言うと、これ以上軍事基地の密度というものを高めるといいますか、濃度を濃くしてはいけないということですね。やはり平和外交によって、そういう軍事的なバランスの問題がもし出てくるとするならば、それを積極的に埋めていくということが、私は、日本政府がとるべき外交姿勢でなければいけないと思うのですね。今日までの、たとえばインドシナ戦争にしましても、いろんなアジアとの善隣友好関係にしましても、皆さんのお立場は資本主義体制、自由主義体制を守るということが一つの基底になっておりますから、わからぬわけではないんだが、余りにも社会主義国、共産主義国に対しては、表面上はともかくとして、外交の姿勢としては非常に非友好的だ。それが今日のいろんな問題に対して、日韓の癒着の問題が出てくるし、言われているPXLの問題に対する疑惑や何や、これは根っこは現在の安保体制から波及していると私たちは見ている。したがって、そういうことに対する外交姿勢というものなりがまだ定かでない。そこで、実際問題として、今日までいろいろ議論されてまいりましたが、この在韓米軍の撤退との関係において、ややもすると日米韓間のいわゆる三国による共同防衛体制などというものも検討されているやに私たちは承っております。一体、こういうことも考えておられるのかどうか。本当に米韓間のことというだけで防衛庁としては対処していかれようとするのか。決定されている新防衛計画の大綱なりあるいは方針などにはいささかの変更もこのことによってはあり得ない、そういうふうに防衛庁としてはお考えなのか。この点、外務大臣を含めて、もう一度御所見を賜っておきたいと思うのです。
  90. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 お答え申し上げます。  米軍の韓国からの地上軍の撤退と言われているこの計画というのはまだ決まっておらないというふうに私ども承知をいたしております。そういう段階で、これに対してわが国がどう対処するかということもまだ検討できる段階ではないわけでございます。たびたび福田総理大臣からも御答弁がありましたように、私ども、究極的には朝鮮半島の平和的な統一ということを念願をいたしているわけでございます。そういう目的達成のためにはいろいろな外交努力が必要なことは申すまでもないわけでございまして、そういったことで日本の外交は進めてまいりたい、そう考えているところでございます。したがいまして、いまおっしゃいました、日本が撤退に対してどう対処するかということは、まだこれからの問題で、まずアメリカと韓国との間でどのような話し合いになっていくかということを注意深く見守っている段階でございます。
  91. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 いま先生の、アジアにおける防衛あるいは外交等の基本姿勢、発想についての意見がございました。そういう点を踏まえて、防衛庁として、今回の韓国の問題等において、韓日米というような関係で、そうした防衛的な立場で共同の体制を組むなんというようなことがありはしないかということでございますが、そういうことを考えたことは毛頭ございません。この点ははっきり申し上げることができると思います。  それから在韓米軍の撤退についての問題に触れられて、その問題が現在の日本における防衛体制にいろいろ影響してくるのではないか。具体的には基地の問題等含めてのお尋ねであろうと思うのでございまするが、この点につきましては、いま外務大臣からお話がございましたように、実際的には今回の在韓米軍の撤退についての具体的な態様等がはっきりいたしませんときでございまするから、明確にそれを申し上げることはできませんが、しかし急激な変化があろうという予想はいたしておりません。     〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕 特に、この前モンデールが日本に来られて、福田総理との会談の際にもこれに触れられたことが記者会見で出ておることを承知をいたしておりますが、その際に、仮にそういう一部を撤収することがあっても、その部隊を日本なり太平洋に残すというようなことはしないというようなことを言われた記者会見の記事等がございまするので、私ども自身それほどの大きな変化があろうと思いませんから、現在防衛庁でとってまいっております基本計画大綱などを変更するというようなことは、現在のところ考えておりません。
  92. 上原康助

    ○上原委員 そこで、まだアメリカがどういう方法で撤退をするのか、規模なり日時なりがはっきりしないから、注意深く米韓の交渉経過を見守っておるんだというのが、これまでの政府の御見解なんですね。いまもそういう御答弁をなさっている。しかし、伝えられるところによりますと、在韓米軍撤退は大体三年ないし四年でやるんだということを、ブレジンスキー安全保障会議事務局長はかなり具体的に根回しをしているという報道も一部でなされているわけですね。  こういう面からすると、確かに、日本政府の意向も十分聞いた上で朝鮮半島のいわゆる皆さんが言う安定を推持する、軍事的バランスを崩さない立場でやるということは日米間でも話し合われるでしょうが、タイミングとしては、時期としてはかなりテンポは早いと見なければならないと思うのです。そこいらのことはよくお考えの上で来月の日米交渉にも臨むことだと思うのです。そして、韓国からの撤退問題との関連において、私が申し上げましたように、いままた防衛庁長官も少し御発言がありましたが、韓国から撤退をされる地上軍については、少なくとも日本本土なりあるいは沖繩に移駐をさせない。場合によっては、そういう申し入れなりいろいろあるかもしれない。それに対しては、日本政府としては、私が言いましたように、これ以上軍事色を強めていかないという姿勢はおとりになりますね。
  93. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 先ほど防衛庁長官がお答えになりましたように、モンデール副大統領が見えまして、記者会見の席上で発表されたところによりますと、そのようなことは考えていないという趣旨のことを述べておられます。私どもは、そういうことはないと思っておりますけれども、上原委員のお気持ちもよくわかりますので、そういうことも心にとめながら、これから先の対処は考えるべきだと考えております。
  94. 上原康助

    ○上原委員 余り釈然としないのですが、ぜひその点は御留意しておいていただきたいと思います。  それと、防衛庁長官はいま米日韓のいわゆる共同作戦的なものは毛頭お考えになっていないということは明らかになったのですが、同時にもう一点確かめておきたいことは、昨年の八月でしたか、日米防衛協力委員会が設置をされておりますね。第十六回の安保協議会で前長官の坂田さんとシュレジンジャー会談において決まった。この日米防衛協力委員会というのは、その後どういう運営がなされているのかということ。  また、これも承るところによりますと、緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動ということでいろいろの検討をしておられると聞いております。そこで、その防衛協力委員会のもとにどういう部会が設置をされ、どのようにいま日米間で話し合いが持たれているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  95. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 アメリカ局長から御答弁させていただきます。
  96. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 御承知のとおり、日米防衛協力小委員会は、昨年の七月八日に開催されました第十六回日米安保協議委員会において設立されたわけでございます。その目的は、日米安保条約及びその関連取り決めの目的を効果的に達成すべく、軍事面を含めて日米間の協力のあり方について緊急協議するものでございます。  この日米の防衛協力小委員会は、その後二カ月に一回ぐらいの割合で開かれておりまして、第一回は昨年の八月三十日に開かれたわけでございますが、それを含めまして合計三回開催されております。そして、いままでのところ、この緊急協議を進めるに当たっての前提条件及びその緊急協議の対象事項について合意を見た次第でございます。  いま上原委員から、部会のことも考えられておるかということでございますが、だんだん話が進んでまいりましたので、今後は必要に応じて部会の設置についても考えていきたいと思っております。
  97. 上原康助

    ○上原委員 部会の設置はまだできていないということですか。
  98. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 次回の会合において、その部会の設置の問題についてアメリカ側と話し合いたいと思っております。
  99. 上原康助

    ○上原委員 私は何もそれを早くやりなさいという立場で申し上げているんじゃないですよ。  そこで、外務大臣、なるべく御自分で御答弁いただきたい。あの人はあんまりよくないのです、私は長いおつき合いですがね。しかし、大臣の方はまだあんまり染まっていないですよね。あなたのお人柄がよう出ている。ああいうふうに役人になると、白も黒と言いくるめて余りいいことがありませんので……。  私は、これは外務省の所管だけでないと思うのですが、共同作戦の指針として、いわゆる指揮連絡部会の設置の問題、海空の防衛分担といいますか、の部会、後方支援体制をどうするかというようなこと、あるいはそれとの関連における補給体制の問題、そして通信システムの一元化、標準化といいますか、そういうようなことが部会で話し合われているのじゃないのか。さらに、よく言われておる基地の使用問題、いわゆる皆さんが言っている安定的使用、こういうことについては、かなり突っ込んだお話し合いがなされているんじゃないですか。  そこで私がお尋ねしたいことは、皆さんは、在日米軍基地へのインパクト、いわゆる影響というものはあんまりないのだと言いながらも、実際に制服の皆さんがやっていることは、在韓米軍の撤退というようなこととあわせて、日米の防衛協力という面では私は相当先行していると見ている。それがこの五十二年度予算における通信網の整備の問題とか、あるいは後方支援体制用装備を更新をしていくという意味での相当ボリュームの厚い予算の中身になってきているわけですね。これは本当にそういうことはなされていないのかどうか。  さらにお尋ねしたいことは、日米間の共同での作戦行動というものがない場合には、じゃこの日米防衛協力小委員会において在韓米軍の撤退問題を検討するのか、しないのか。私たちはこういうようなことに対しては、少なくとも、そういうことを想定をしての日米間の具体的な軍事作戦行動の展開をやろうという前提ですべてが進んでいると見ているわけですが、これに対して防衛庁長官の御見解を賜っておきたいと思います。
  100. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 防衛小委員会設置の目的につきましては、かねてから問題でございました日米が外部からの侵略を受けた場合、米軍が日本に支援をするということにはなっておりまするけれども、具体的にどういうことで支援をするのかというような基本的な指針がはっきりしていなかった。考えてみれば実にうかつなことであると思うのでございまするが、そういう点が問題にされて、実は今回のそうした委員会が設置された、私はそう承知をいたしておるのでございます。したがって、そうした日米共同行動の整合をもたらします基本的な指針の問題、それから安保条約等におきまする六条あたりの具体的な基本方針、そういうものを中心にして問題を検討していこうということが委員会設置の目的だと承知いたしておるのでございます。したがって、今度のような具体的な在韓米軍の一部を撤収するというようなことについては、問題をそこにかけるという性質のものではないということを承知をいたしておるのでございます。
  101. 上原康助

    ○上原委員 この日米防衛協力委員会では、では安保条約の六条も含めて検討しているわけですね。
  102. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 先ほど申し上げましたように、防衛協力小委員会は、安保条約の効果的な運用を目指して、日米間の協力のあり方ということを話すわけでございますので、その際に、もちろん自衛隊と米軍との共同対処という問題になりますと、これは五条の問題でございます。ただ、安保条約全体の問題を取り扱うわけでございますから、あわせて六条の問題も対象にはなります。
  103. 上原康助

    ○上原委員 これは、私は前にも内閣委員会で少し議論したことがあるのですよ、五条、六条の問題は。いまいみじくも六条を前提にということでしたが、これも問題ですね。  時間がありませんから少し先に急ぎますが、そうしますと、防衛協力委員会では、在韓米軍撤退ということを特定をして議論をするというお考えはない、そういうことでいいですね。
  104. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 そのとおりでございます。
  105. 上原康助

    ○上原委員 後で問題になる御発言をなさってもわかりませんよ。その点もはっきりいたしましたので、実際にそういう方向で進むかどうか、私たちは注意深く政府の今後のやり方を見守っておきたいと思います。  いま一つ、このことと関連して、最近自衛隊と在沖米軍の合同演習がなされておるわけですね。昨年ももちろん行われたということですが、関係者の話をいろいろ聞いてみますと、朝鮮半島から進攻をしてきたと仮定、いわゆる在韓米軍機を仮想敵機にしてこの訓練が行われている。沖繩の自衛隊那覇基地から発進をして、スクランブルをかけて、合同訓練を行ったということが現地の司令によっても確認をされたと私は聞いております。私がさっき指摘をいたしました日米防衛協力あるいは合同演習、すでにそういう面で制服組は先行していると私たちは見ているわけですね。シビリアンの方は関係ありませんとおっしゃっているのだが、なかなかそうですかというふうにはまいらない事柄が次から次に出ている。これはどういう目的で行われたのか。在韓米軍と一緒に、自衛隊なりそしてまた在沖米軍あるいは在日米軍ですね。岩国なり嘉手納なりそういう面から発進をして、合同で演習をすることは、どういう根拠に基づいてやるのか。この点も今後のいろいろな防衛問題とのかかわりが出てまいりますので、明確にしていただきたいと思います。
  106. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 お尋ねの点は、二月二十一日の琉球新報に出ておった問題でお気づきになっての御意見であろうと思うのでございます。まずこの根基でございますが、これは防衛庁設置法五条の二十一号に基づきまして実施をいたしておる教育訓練でございます。そして、ただいまのところ日米において共同訓練をいたしますのは、海上自衛隊だけがやっておりまして、陸上並びに航空の自衛隊は共同訓練はいたしておりません。  ただ、たまたま沖繩においてなされたのは、航空自衛隊におきましては、訓練のために米軍機に対しまして、これこれの訓練をしたいから支援、協力を頼むということを自衛隊が米空軍に要請をいたしますれば、いつの時点、どこどこの場所においてと航跡等を含めての連絡がある。そういうことの通知を受けますれば、わが方で訓練を実施するというわけでございます。共同訓練の場合には、同じ目的に両者がやるわけでございますけれども、一方的に私の方のそうした訓練でございまするので、向こうから米軍がそうした標的になってくれる、そういうことで、いつの時点にこういう行動をするからその標的機を動かしますということの通知を受けて、わが方がその際に訓練を開始する、そういう仕組みになっているわけでございます。たまたま二月七日の沖繩における行動にいたしましても、そうしたところからやったものだと思うわけでございます。
  107. 上原康助

    ○上原委員 それはたまたまじゃなくて、実に計画的じゃなかったのでしょうかね。そうしますと、何かあたりまえのように御発言、御答弁なさっているのですが、その訓練をした位置、それは領空だったのか、それも明確にしておいていただきたいと思います。  それと、いまの御答弁ですと、共同訓練は今日までは海上自衛隊だけがやってきたんだが、今度航空自衛隊もやるようになりました……(三原国務大臣「いや」と呼ぶ)いや、そういう答弁です。そうしますと、海上がやってきて、今度航空自衛隊がやった。次は陸上自衛隊も共同訓練するのですか。
  108. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 いま私が申し上げましたのは、まず基本的な点を先に申し上げたので誤解を受けたと思いまするけれども、今日、最近におきましては、もうここ十年ぐらいでございますけれども、航空自衛隊、それから陸上自衛隊におきましては共同訓練を実施いたしておりません。今後もやる計画はございません。海上自衛隊だけが共同訓練をいたしておりますということでございます。そういうことでございます。そういう点は御理解願いたいと思う。  それから今回のものがたまたまということでなくて、それは訓練計画に基づいてやるわけでございまして、共同訓練でなくて、こちらから依頼をして目標機がやってくる、これに対して要撃訓練をやるわけでございますから、要撃訓練をする方は私の方でございまして、向こうはそれに対して協力をしてくれるという形でございますから、共同訓練ではございませんので、その点も御理解願いたいと思うのでございます。
  109. 上原康助

    ○上原委員 それもどうも釈然としませんね。今後はやる御計画はないわけですね。それと領空内だったのか、その位置ですね。
  110. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 航空自衛隊の今後の問題については、これからそういうことがあるかもしれませんが、今日までは共同行動をいたしておりませんので、その点申し上げたわけでございます。  今後につきましては、これから先の計画で海上がやりますようなことをやる場合も、訓練として考える場合もあるかもしれません。
  111. 上原康助

    ○上原委員 それはだめですよ、防衛庁長官。いまあなた、防衛局長がそこで耳打ちしたら、また御答弁を変えたのです。今後は計画ないとあなたはっきり御答弁なさったんだ。そんな、答弁をぐるぐる変えてもらったら困る。今後やる計画はないと私は承ったので……。  そこで、この問題とも関連いたしますが、もう一点確かめておきたいことは、これも防衛庁筋の情報として非常に強調されている。私はどうも納得できないのです。  ちょっと質問は前後して恐縮ですが、最近在日米軍、いわゆる沖繩を含めての在日米軍の縮小といいますか、削減計画がなされているんだということが非常に強調されているのですね。そうであれば結構なことです。しかし密度にしても機能にしても性格にしても、私たちは決して減少はしていないと見ているのですね。むしろ集中強化されてきているのが沖繩なり在日米軍の基地の実態だと私は見ているのです、われわれが調査をしている限りにおいては。そのことは後ほどいろいろ具体的な例で示します。しかし一方においては、沖繩の第三海兵師団を含めて、たとえばいま第一師団は御承知のようにカリフォルニア州にある。第二師団がノースカロライナ、第三が沖繩に展開しているわけですね。この第三をむしろ欧州方面、NATOに撤退をきせる計画が国防総省でなされているのじゃないか、こういう情報がしきりに流されているわけですね。そして沖繩の海兵隊も昨年の十月から今年の十月にかけて大体千五百からそれ以上、二千名前後縮小されていくんじゃないかというような見方が一部にあるわけですが、これはそういう方向で本当に進んでいるのかどうか。むしろ、私が得ている情報では、第一航空師団がいま岩国から、戦闘部門だけ残して、補給部門なり、ヘリコプター部隊は昨年の八月でしたか、沖繩のマリンの普天間の方に移駐をさせた。将来岩国のものをもっと減少して沖繩に移駐をするという計画をいまやっているんじゃないかと私は見ている。その証拠に、大々的な兵舎をいま日本政府予算でどんどんつくってあげているわけですね。そういう面からすると、在韓米軍の撤退問題と含めて考えると、どうもこのことについては合点のいかないことだと見ているのですが、念のために、一体今後の在日米軍の見通しはどういうふうになっていくと見ておられるのか。向こう二、三年ないし四、五年の間に沖繩の第三海兵師団が大幅に縮小されると防衛庁なり外務省は見ておられるのか、この問題についてぜひ政府の現段階における御回答を求めておきたいと思うのです。
  112. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 昨年一年間におきます在日米軍の数というのは減っております。これは先生も御承知のように、米軍全体の合理化計画というものを持っておりまして、その一つには陸軍の中間司令部等が削減されたというような問題がございます。それから一方、海兵師団につきましては、いま御指摘のように第三海兵師団があるわけでございますが、これにつきまして合理化計画を検討しているというのが、昨年の十月のネービータイムズに載っておりまして、ワシントンの海兵隊の司令部におきましては合理化計画等、すなわち組織、配置、それから調整の問題等につきまして検討しているということは聞いております。しかし、それがどのような形で現実に行われるかということについては、その内容についてはまだ知っていないわけでございます。ただ、岩国にございます第二海兵航空群の飛行機につきましては、昨年春以降、一年交代制ということで日本以外の基地と交代をしているということは聞いておるわけでございます。  以上、米軍におきます合理化計画の中で将来どういう形になっていくかということについてはまだつまびらかにいたしておりませんけれども、全体の計画の中でワシントンにおいて検討が進められているというふうに承知いたしておるわけでございます。
  113. 上原康助

    ○上原委員 いまのことは外務省も御存じなんですか。
  114. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 ただいま防衛局長から申し上げました点につきましては外務省もいろんな情報で知っておりますが、正式にアメリカ側から米軍の合理化計画はこういうものであるということについて話を聞いたことはございません。
  115. 上原康助

    ○上原委員 そこいらのことは政府内で少し御協議をいただいて——私は、この情報についてはどうも納得のいかない面が多過ぎるんです。もう少し御検討をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  116. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 検討いたします。
  117. 上原康助

    ○上原委員 そこで、私の質問の時間に後ほど何か緊急質問があるようで、時間を少し残してくれという指示ですので困ったんですが、せっかく大蔵大臣もおられるので、実は基地の整理統合問題と例の関東計画なり返還問題を取り上げたいんですが、その前に、もう時間がなければこれは留保しますが……
  118. 坪川信三

    坪川委員長 上原君に申し上げます。  要求されている関係大臣ですが、いま探しておりますので、質問を続行してください。
  119. 上原康助

    ○上原委員 その前に一点。開発庁長官もおいででありますので、これは現段階で余り突っ込んだ御質問はいたしかねますが、いわゆる基地確保法案のことについて、少し政府の基本的な考え方をお尋ねしておきたいと思うのです。  私がまず開発庁長官にお尋ねしたいことは、もうお尋ねするまでもなく、沖繩県の方から、沖繩県における境界不明地域に係る地籍明確化のための土地調査に関する法律(仮称)案の要綱案が昨年の暮れに、確か十月か十一月段階だったと思いますが出されて、その中で特に政府案と関連して言えることは、要するに軍事基地内であろうが、軍用地であろうが、提供施設区域であろうがあるまいが、沖繩全体の境界不明土地、地籍が確定されていないものを対象にやるべきだ、そのことが沖繩の振興開発なり県民生活にとって一番望ましい方法だということが強調されているわけですね。もちろんほかにもいろいろ問題あります。  そこで、これについてはもちろん開発庁長官に対しても防衛庁長官に対しても総理大臣に対しても、沖繩県の方からもう御要望が出されていると思うのです。この案について、具体的にどういうふうに御検討いただいたのか。また、私たちもすでに党独自で、沖繩における位置境界不明地域内の土地の位置境界の明確化に関する特別措置法案というのをつくって、これはたたき台ですが、このタイトル、法案の名称も変わるかもしれませんが、いま各野党の方ともいろいろ協議を進めながら、ぜひ地籍確定ができる方向での法案というものを考えていこうという対策をとっているわけですね。その中で、先ほど官房長官にも少し言いましたが、関発庁長官が窓口になっていただいてやるべきじゃないのか、これを具体的に提起をしているわけです。このことについて、長官としてはどういう御検討をしていただいておるのか、またどうお考えなのか、大変基本的なことですからぜひ明確にしておいていただきたいと思います。
  120. 藤田正明

    藤田国務大臣 上原先生がおっしゃいますように、地籍の不明確な点が明確化されることが沖繩の振興開発にも多分に影響があると思うのですね。ですから、一日も早くこの地籍の明確化を急がなければならぬ、こういう基本的な考えのもとに行っております。  それから、ただいまおっしゃいました沖繩県の方の法律要綱、これは確かにいただきまして検討もいたしました。いたしましたけれども、どうも基本的になじめない点があるわけであります。と申し上げますのは、この前も答弁で申し上げましたけれども、その中の大部分がいま基地用地としてあるわけでございます。百二十平方キロでございますか。これには基地の協定とかいろいろな問題が関連いたしておりますし、そしてまた復元措置ということも絡んでおります。やはりわれわれといたしましては、百四十平方キロでございますか、これをあわせて沖繩開発庁がやるよりも、従来どおり基地は基地なりに防衛施設庁の方で御努力いただき、そしてまた民間の方は従来に引き続き沖繩開発庁の方で努力する。また、その努力のかいも現実に出てきておりますことでございますから、そういう方針のもとに今後一日も早く地籍の明確化には進んでまいろう、かように考えておる次第でございます。  先ほど官房長官からも、各省庁にまたがることでもあるから、これは閣僚の連絡会議など開いて閣内の意見を統一して全力を挙げてやっていきたい、かような御答弁があったように聞きますが、そういう方針でやってまいりたい、かように存じております。
  121. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁では、結局県側の要望にも沿いかねますし、また私たちが考えていることとも非常に大きな——非常に大きなというより根本的に相入れない面を持っているわけですね。ただ、このことはまだ法案が具体的な審議に入っていませんから私は控えますが、開発庁長官にも防衛庁長官にも申し上げておきたいことは、一応五月十四日というタイムリミットもあるわけですね。それもわれわれも理解しないわけでもありません。しかし、沖繩の地籍の問題がなぜこれだけ混乱をし、不明であるかというその遠因、原因というものは、挙げて国の政策によって今日の事態をもたらしていることはだれも否定できないと思うのですね。本来なら私たちが当初から言ってきて、かつての山中長官も、本当ならこれは特別立法が必要なんだということは沖繩国会でも会議録をお読みになれば出てきている。むしろそれを放置した形で今日まで五年の日時を費やしてきているわけですね。ですから、基地の提供をどうするかということはいろいろ意見の相違はあっても、事地籍を確定しなければいけないということについては共通しているのですよ。そうであるならば、いまの開発庁長官の御答弁の内容では私はまとまりっこないと思う。正直申し上げて、防衛庁が出しているこの沖繩県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案の中では、これはあくまでも未契約地主、契約を拒否している皆さんの土地を継続使用するということが根本的なねらい、目的であって、地籍の不明確さを確定をするということは二次的な問題。しかもこれには期限も打たれていない。いろいろ問題が出てくる。こうなりますと、これはなかなか連帯と協調でやっていくわけにはまいりませんね。したがって、そのことを私はお尋ねしたわけです。そこいらもよく含んでいただいて、せっかくわれわれ野党もいろいろ各党と相談をして、ない知恵を出していま案をつくっているわけですから、そのギャップをどう埋めるかという政治的な判断もやりつつ、この問題については政府全体でこれからの審議に臨まれる方がよりベターだと私は思うのですね。もしそういうことでなくして、従来のように力で押しまくるということであるならば決してうまくいかないでしょう、そのことを強く申し上げておきたいのですが、これに対して防衛庁長官、開発庁長官はどうお考えなのか。  もう一つは、現在のようなこの国会情勢なり、いろいろせっぱ詰まっている面からして、伝えられるところによりますと、現在の公用地等暫定措置法を延長するお考えもあるやに聞いております。そういうことも検討されているのかどうか、あわせてお答えを賜っておきたいと思います。
  122. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 防衛庁に関連します点からお答えをいたしますが、先ほど御意見のございました防衛庁の案につきましては、まずは、大変基地がお世話になっておりまするし、基地が沖繩において大きな地積を占めておるということも十分私どもも気にとめながら、何とか地元の方々の御意見あるいは県の御意見等を踏まえて問題の処理をしなければならぬという基本的な立場はその立場に立っておるわけでございます。したがいまして、あの法案にいたしましても、基地内の地籍の整理については、まず優先的に早く実施をしようという姿勢を示しておるわけでございます。そして未契約の方々については、何とかひとつ所有者の権利を保護しながら善処してまいる道はなかろうかということを法案に出しておるわけでございまするから、そういう点であくまでも地籍整理を優先的にやるべきだという、しかし期限が眼前に迫っておるところに私どもの苦労のあるところがあるわけでございまして、その点について私どもは皆さん方の御意見もくみながらこの問題の処理、この法案の処理についてこれから取り組んでまいらねばならぬ、そういう姿勢でおるわけでございます。
  123. 上原康助

    ○上原委員 その姿勢はわからぬわけではありませんが、中身については、また法案が実際に上がった段階でいろいろお尋ねをしたいと思いますが、いまの状況ではもう少し考え方を改めていただかなければ、とてもじゃないがうまくいかないでしょうね。  そこで、大蔵大臣、せっかくお忙しいところ時間をとっていただきましたので、この一点だけをお尋ねをしておきたいのですが、国有地の例の返還問題との関連において、せんだって田川先生からもお尋ねがあったような感じがいたしますが、立川基地の返還問題などが具体化をしてまいりますと、一口に言いまして、大蔵省がいわゆる三分割方式というものをお立てになっている。しかし、これに対して、御承知のように、基地返還跡地利用計画に関する緊急要請書ということで、関係都道県から要請書がいろいろ出ているのは御案内のとおりだと思うのですね。十ヘクタール以上の国有地返還については三分の一、こう分割して地方自治体あるいは国、そして一部は将来計画として残していくのだということをやるというのですが、これは余りにもその軍事基地を抱えておった市町村の立場というものを無視しているのじゃないかという感じが私はするわけですね。挙げて反対しておられる。もちろん、今日、土地の利用というのは国にしてもあるいは市町村にしても、個人にしましても大変な必要性というのがあるわけですから、容易でないことはわかりますが、この計画ではなかなかうまくいかないと思うのですね。ここをもう少し関係都道県なり、市町村の意向も聞いて、改めて返還軍用地の跡地利用計画についてはお立てにならないといかない問題だと私は思うのですね。そのことについて再検討のお考えがあってよいと思いますが、そういう方向で検討されているということも、一部にはそういう意見もあるわけですが、どういうお考えを持っているかということ。  いま一つ、これはあわせて、防衛庁あるいは外務省になるかもしれませんが、多摩弾薬庫の地域のいわゆる弾薬基地ですね。これの返還問題はどうなっているのか。ここも早急にやるべきだと私たちは思うのですね。この二点あわせて御回答をいただきたいと思います。
  124. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お答え申し上げます。  地方公共団体の中には、現在なお三分割方式に対して異論のあるものもございますが、国といたしましては、具体的な跡地ごとの利用計画の検討に関しまして地元地方公共団体と十分話し合いを行えば、意見調整が図られおのずと円満な解決への道が見出せるだろう、こういうふうに考えております。  なお三分割方式は、従来関係各方面からの需要が競合しましてそれで収拾のつかなかった大口返還財産の処理について、関係者が相互に譲り合って現実的な解決を図るための基準でありまして、これによりその処理促進が期待されておるところでございますが、弾力的にやってまいりたい、かように考えております。
  125. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お尋ねのございました多摩のいわゆる弾薬庫の土地については、一部要望があるということを承知しておりまして、いま関係者の間の具体的な要望がまとまるよう話し合いをしておる段階でございます。それで、具体的な返還の話というのはまだ進んでおりません。
  126. 上原康助

    ○上原委員 お二人に重ねて念を押しておきますが、弾力的な対処の仕方を考えるということは、必ずしも三分割方式にこだわらないというふうにも受けとめるわけですが、そういうふうに理解していいかということ。  それと、多摩弾薬庫の開放問題、いわゆる返還問題というのは、一応関係者がまとまれば米側と話すということなのか。わが方から積極的に返還を求める御意思はないのか。その点も明確にしてください。
  127. 坊秀男

    ○坊国務大臣 三分割主義というのは、基本方針を決めたということでございます。その土地の必要等に応じましてできるだけ弾力的にやっていきたい、かように考えております。
  128. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 多摩弾薬庫については、米軍としてはまだ利用したいという意向にあると承知しております。そこで、関係者の意向が先ほど申し上げたように具体化して、具体的なものが官とまったら、それを基盤に対処することを考えていきたいと思っております。
  129. 上原康助

    ○上原委員 そこで時間があれば、統合問題でずいぶんいろいろなことをやっておりますので、沖繩国会からの例のリロケーション問題との関係でお尋ねしたかったのですが、そこまでとてもじゃないが入れそうにありませんので、そのほかの点で念を押しておきたいと思うのですが、先ほど官房長官の方もちょっと触れたのですが、例のVOAの問題なのです。これの閉鎖というのは、五月十四日確定を見ているようですが、そこで働いている従業員の解雇後の対策については何ら方策が出ていないわけですね。そこで、これまでも開発庁なり防衛施設庁はもちろんですが、外務省にもいろいろ御要望申し上げてまいりました。私は、こういうことについてはもう少し前向きの対策があってしかるべきだと思うんですね。改めてお尋ねいたしますが、この件についてはどういうお取り計らいをなさろうとするのかということが一つ。  さらにもう一点は、昨日もお尋ねをしておきましたが、十分間という範囲内で、重ねてお尋ねする機会がありませんでしたので念を押しておきますが、例のNBCセクションというものの存在についてはお認め願った。その関係者も二十二名の要員がいるということもはっきりした。しからば、その二十二名は、核も生物、化学兵器も、皆さんが言ういわゆる防護処置ということで訓練をやっているのか、核兵器のことについてそういう訓練を受けてやっているのか、あるいは生物、化学兵器用の訓練を受けているのか。この点ももう一度今後のこともありますので明確にしていただきたいということ。  さらに、私が弾薬庫の番号を挙げて、そこにヤギが十数匹、少なくとも十匹前後放牧されているということを指摘をいたしました。確かめてみると、それも一週間のうちに大体三日ぐらいはヤギを外に出しているようですね。しかし、三日ないし四日ぐらいは外には出さないようなことをやっている。したがって、これはきわめて問題があると私は見ているわけです。これについては調査をするということでしたが、改めてその調査をしていただいて、どういう目的でそういうふうにしているのか、これを御報告いただけますね。  この三点、もう少し明確にしておいてもらいたいと思います。
  130. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 VOAの沖繩中継局の運営は、ことしの五月十四日の午後十二時をもって停止されるわけでございますが、その日本人の従業員の処遇問題に関しましては、外務省としましても、関係者の満足のいくような形で解決したいということでいろいろ努力いたしております。  私たちとしましてまずやりましたことは、アメリカ政府に対して、わが国の雇用保険制度へ加入するように求めたわけでございます。この点はアメリカ側もいろいろ努力をいたしまして、去年の四月一日にさかのぼりまして、この雇用保険制度に加入するようになったわけでございます。  それ以外の問題に関しましては、残念ながら外務省の権限の問題でございませんので、関係各省にできるだけのことをしていただくようにお願いしておる次第でございます。  二番目のNBCセクションの要員の問題でございますが、昨日も申し上げましたように、これはもちろん核、生物、化学兵器の攻撃に対する防護訓練をやっておるわけでございまして、核兵器のみならず、生物兵器、化学兵器の攻撃があった場合にそれにどう対処するかということをやっているものと思われます。米軍としましては、日本だけではなく、本土でも、あるいは世界の各地にも移動するわけでございますので、そのどこの部隊にもこういう訓練をするユニットがあるというふうに聞いております。  第三点の沖繩にあります弾薬庫のヤギの問題に関しましては、早速米側にいま問い合わせておりますが、まだ回答を得ておりません。
  131. 上原康助

    ○上原委員 楢崎先生の関連があるということで、私これでやめざるを得ませんが、開発庁長官と防衛庁長官にお願いしておきます。  例のVOAの雇用員の問題については、私もまた具体的にいろいろ御相談申し上げますから、政府も前向きに検討していただけますね。いま局長の方からの御答弁がありましたが、重ねてこの点だけお答えをいただいておきたいと思います。
  132. 藤田正明

    藤田国務大臣 前向きに検討ということをおっしゃいましたけれども、これはアメリカの国務省の広報庁と日本人の使用人が労働協約を結んでおることでございますので、第三者としてはなかなか介入のむずかしい点がございます。その点は先生も御承知のとおりだと思うのです。その上において検討させていただきます。
  133. 三原朝雄

    ○三原国務大臣 VOAは直接本庁の関係ではございませんけれども、米との関係等もございますので、十分お話を承りましたので、協力すべき点は協力してまいりたいと思います。
  134. 坪川信三

    坪川委員長 この際、関連質疑の申し出がありますので、持ち時間内においてこれを許します。楢崎弥之助君。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 上原委員質問の持ち時間の範囲内で、いま緊急に起こりました事態について、法務大臣見解をお伺いしたいと思います。  ということは、先刻のロッキード特別委員会における法務大臣の答弁が、当予算委員会においても今後取り上げるであろうロッキード事件の解明のために非常に重要な意味を持つから、緊急に質問をいたしたいわけであります。  要約すれば、ただいまのロッキード特別委員会での与党の鯨岡委員質問内容は、いわゆる灰色高官の問題について、これは裁判がないから身のあかしようがないので、ロッキード特別委員会あるいは国会でその身のあかしを立てる以外にない、したがって、そのためには法務省は資料等で協力をいただけるかという質問でありました。これに対して法務大臣が、秘密を守っていただくということをたてまえとして資料を提出した、結果として公表をされた、それでは責任が持てない、たとえ国会決議があろうと議長裁定があろうと、今後一切資料等の提供はしないと断言をされた点であります。  これは後ほど坂本委員からも具体的に明らかにしていただきますけれども、昨年の二月二十三日、全会一致をもって衆議院は本会議で決議をいたしております。参議院も同日同じ決議をやっている。つまり両院の決議が行われた。両院のこの決議の中で一致しておる点は、「政府においても、右の趣旨を体し、特使の派遣等を含め本問題の解明のため万全の措置を講ずべきである。」、これが中に含まれている。そして、このような決議を受けて衆参の両院議長が裁定を行っている。その六項目のうちの四という項目に、「国会は、ロッキード問題に関し、本件にかかわる政治的道義的責任の有無について調査するものとし、国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」、こういう裁定であります。したがって、問題は、これは単なる質疑者と法務大臣との応酬の問題でなくなった。後で明らかになるように、問題を最終的にどう取り扱うかは立法府の責任において判断し、当時の田中ロッキード特別委員長が公表をし、本人たちの弁明を公開の席で行わせた。だから、これはロッキード特別委員会と法務大臣の対立であると同時に、議長裁定に対して法務大臣は抵抗され、反対をされておるわけですから、これはもう立法府全体と行政府関係に発展しておる。したがって、この問題が明らかにならなければ、本日予定されておる本会議もそのとおり行われるかどうかわからない。そういう点で、私は、この際法務大臣見解をさらに明確にしていただきたいと思います。
  136. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  私は、この議長裁定がございまして、その第四項には、「政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」、こういう条項がございます。  そこで、私が承知いたしておりますのでは、前回、法務省がお決めになったいわゆる灰色高官というのはこういうものだという趣旨を踏まえて、これは秘密会に提出をいたします。なぜ秘密会に提出をするかということは、それは、刑事訴訟法の本来の趣旨は、犯罪の捜査をする場合におきましても、真実の解明と人権の擁護ということが立法の趣旨になっていることはあなたも御承知のとおりだと思うのであります。その人権の擁護の問題がございますからして、そこでこれは出す場合においてはちゃんと秘密会でおやりになって、そして事実がどうであるかということをよく調べて、そしてその調べた上で、これはやはり間違いがないということであれば、恐らく私は法務省の方へ了解とか、こういうことであるから公表する、こういうお話があって発表になるものであると理解をして法務省は出したと言っておるわけであります。ところが、その間の事情は私余りつまびらかにはしておりませんけれども、すぐに委員長の何か、委員長がおやりになったかどうか知りませんが、とにかく公表されたことは事実でございます。  そこで、そういうことになりますと、これは刑事訴訟法というものを、私は法務大臣としては法律に基づいて、そしてその法律を遵守すべき立場にあるわけでございます。そこで私が申し上げましたのは、この両院の議長裁定というのは、これはすぐに法律を変更する権限があるのかどうか、そこのところが一つの問題点ではないでしょうか。議長裁定があれば法律を変えることができるということであれば問題だが、われわれとしては、行政府の長官といたしましては、議院の方でお決めになっても、やはり法律というものが現存している以上はその法律を守るのが私の責任だと考えておりますので、その法律の責任というのはいま申し上げましたようにやはり人権を尊重するということがちゃんと入っておるわけでございますからして、そういう意味で、ここに先例を開いてこういうことで出しますと、それはそういうことが今後起きるかどうか知りませんが、何か事件があったときにすぐに、何か院の決議あるいは委員会の決議というものがあるからこれは当然公表しろ、こういうことになりますと、私は委員会とか院の決議というもの、これは裁定でございますから決議と見ていいと思いますけれども、それと法律との関係がどういうことになるであろうか。私としては、法律で認められた限度においてやるのが私の責任であると考えております。しかし、この裁定がございましたから、法務省といたしましては、これは秘密が保たれる、しかも、ちゃんと審議が行われた上で、それでこれは事実であるとかないとかという形で出るのならばいいけれども、もう名前がすぐに出て、そしてそれに対して反対陳述をしたということで終わりになっているというのでは、本当に秘密を守ってもらうということが行われたのかどうかということが非常に問題になる。  私は出すことについて何も絶対に反対と言うておるのではないのでございます。それは、ちゃんと秘密が保てるということがどういうことか、それから、秘密が保てなかった場合には、人権擁護の問題からいって、院としてどういうような責任をおとりになるのだろうか、ここいらをよく究明をしていただいて、その措置をお決めになった上でないと、私としては出すわけにはいきません、こういうことを申し上げた。だからそれは、申し上げたという理由はそういう意味でございまして、秘密を保てる、またちゃんと院として責任を持って審査をする、そしてそれは秘密会にして絶対にその名前が出ないようにする、こういうことになれば、これはわれわれとしては前にも前例のあることでありますから、出さないとは言いませんけれども、果たしてそういうことができるのかどうかということについて、ちゃんとした、やはり委員会におきまして一つのルールなりあるいは責任なりをちゃんとしていただかない限りは、法律を改正していただかないと、私は、法務大臣としては法律を守らないわけにはまいりません、こういうことを申し上げたわけです。これが私の申し上げた趣旨でございます。
  137. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 いまの大臣お話を伺っておりますと、議長裁定とか国会決議というのが法律違反になっているのじゃないか、そういうふうに聞こえてくるのですが、そんな議論をいまやろうとは思いません。議長裁定の四項、先ほど楢崎委員から読み上げられましたけれども、「事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で」という文言が使われております。この刑事訴訟法の立法趣旨というのは、まさに刑事訴訟法四十七条ただし書きを含んだ、むしろそれを、あのときの経過から言えば、大きく含んだ問題ではないか、そのことによって、この議長裁定によって国会が正常化をされた、私どもはそういうふうに理解をしております。そうなると、いま法務大臣がおっしゃったことは、それとはいささか違うのじゃないかと思いますが、いかがですか。(「総理みずから、問いもしないのに言ったことじゃないか」と呼ぶ者あり)
  138. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いや、ちょっと待ってください。それはいろいろそういうお話も承っております。しかし、今度のロッキード委員会は、議会が解散されて、そしてまた新しくつくられたロッキード委員会でございます。御案内のとおり。議会が……(「そんなことない」と呼ぶ者あり)いやいや。新しい……(発言する者あり)いやいや、それはやはりあんた……(「新しくなれば全部パアになるのか」と発言する者あり)いやいや、まあまあ。それで決まったわけでございます。御案内のように。そこで、その場合にどういう処置をとるかということについては、これは前の問題も十分参考にすることは必要でございます。しかしながら、今度は新しい問題でありますから、私は三木さんがそう言われた場合でも、人権を無視してもいいというようなお考えではなかったと思っておるのであります。これはやはり真実を解明するということと、刑事訴訟法というものは、そしてまた人権を守るということを踏まえながら犯罪人のいわゆる捜査をしなければいけないということが決まっておるのであります。そのいわゆる真実を解明するということと、そうしてまた人権を守るということ、両者を踏まえての考え方であると私は信じております。したがって、そういう意味合いにおきましてやはり人権を守るという立場も十分に考えなければいけない、私はかように考えておるわけでございます。
  139. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 十一月の、前の国会ですね、十一月の二日の時点のことをとらえて法務大臣、いろいろおっしゃっていると私は思うのですが、この十一月二日の秘密会に五名の事実関係を、報告を秘密会の中でやった。それがすぐ公表されてしまったではないかというふうにお考えじゃないかと思うのです。しかし、これはいろいろの経過があって、秘密会でその報告を聞いた、そしてそれを聞いてそれをどうするかは、まさにロッキード特別委員会あるいは国会自体が考えることではないかと私は思うのです。その点について、大臣はどうお考えですか。
  140. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、それが秘密会で行われ、しかも十分に審議を尽くされた上でお出しを願いたい、こういうふうに法務省は条件をつけておったと聞いておるのでございます。ところが、もうすぐに名前を発表して、そしてその人たちを呼んで意見を述べさせたというので、いわゆる審議になっておったかどうか。まず秘密会においてそういうような人たちを呼んで、それは事実かどうかということをいろいろお調べになって、そしてそれは事実であるかどうかということを御発表になるのが私は筋であろうかと思うのでございます。それは行政府と立法府とが相協力しながら、この問題の処理を誤りなきようにしていくというたてまえから言いますと、私は少なくともそういうふうに、また政府に対して、こういうふうに調べたけれどもこういう事実があるからこれは言わざるを得ない、こういうふうにおっしゃって処理をなさったのならば、これはわれわれとしても納得できるのでありますが、これは公表してもらっては困るということがあるのに、実際問題として公表されたということでは、今後人権の擁護ということができない。たとえば今後いろいろの問題があってこういう例ができまして、今後いろいろな問題が起きて事犯が出た場合において、いろいろ取り調べもしなければいかぬというようなときになりますと、それは何を言っても、それはもう国会が方から何か言われれば全部暴露されるんだということになると、守秘義務とかなんとか、妙なことを言ったり、いろんなことを言うたりして……(発言する者あり)いや、これは原則を、この際は法律というものの原則を……(発言する者あり)いや、それはまあ聞いてからにしてくださいよ、私だって一生懸命やっているのですから。こういうことは非常に大事な問題ですから、ちゃんとみんなで納得してやるということが一番いいのだと私は思っているのです。だから私の気持ちは、そういうような場合において、ほかの何かの事件が起きたような場合でもそういうことが出るというようなことになりますと、これは捜査上には非常に困難を来すという検察の立場がございます。それからまた罪でないその人を犯罪人でないのに公表しろ、そんなことをされるはずはないと思いますけれども、たとえば委員会なら委員会でもそういうことが決まると院の考え方をどうするのだ、こういうことになっていく形は一つの突破口を開くということになるということを私は非常におそれておる。いわゆる法務大臣というものは罪人をどんどん捜査するというのも大事な責任の一つであります。同時に、人権を守るということも私は大事な私の任務ではなかろうかと思っておるのでありまして、人権を守るのに一つの支障を来すというか突破口を開くような形では困ると私は考えておる。そこで、しかし院でもっていやそれは絶対に秘密を守ってそういうことは取り調べるけれども、そしてまた取り調べた上で確かにこういう事実が明らかになった、だからこれは公表するよと言って法務省へ持っておいでになって、こういう事実だからわれわれは公表する、こうおっしゃればこれはまたわれわれとしても納得いくのでありますが、そういう手続がなくてただわあっと一遍に出てしまったような姿というもの、私はロッキード問題を究明することについてはもら絶対にやらなければいかぬという考え方でありますけれども、その過程において法律が守られないような形、しかも院と行政府との関係が円滑にいかないような形で行われるということだけは差し控えさせていただきたいというのが私の真意であります。そういうことがちゃんと守られて、今後そういうことが出た場合においてもこれはもう絶対に秘密を守って、だれも入れないでちゃんと検討してそして事実がこのように明らかになった、だからこれは公表するぞ、こういうふうにおっしゃればこれは私はいいと思いますが、何か——のうちに、——というのはおかしいけれどもいろいろ議論のうちで……(「何が——ですか」と呼ぶ者あり)——じゃない、いや待ってください、一言、雑音ということを言い違えた。いろいろな反対意見があったりそういうことがあって、そしてそういうことが表に出るというようなことは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  いまの——という言葉は取り消しますから、ひとつ取り消してください。
  141. 坂本恭一

    坂本(恭)委員 先ほど申し上げたのは、秘密会で法務省から五名の事実関係を聞いた。それに至るまでにはいわゆる灰色高官名の公表でいろいろないきさつがあったことは大臣も御承知だと思うのです。そういう中であの秘密会で報告がされる。そして委員長見解で、秘密会でやられた五名がわかった、それを委員長の権限で弁明を聞く機会を与えることを条件にして公表をしたわけです。これは法務省から何ら言われる筋合いのものではないのじゃないかと私は思うのですがいかがですか。
  142. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 そのときに、五名の名前を出しましたときには、これは秘密会において審議をしていただいて、そして事実が明らかになった場合においてひとつ処理をしていただきたい、こういう条件が付せられておったわけでございますから、その点が不明のままに行われたということでございます。そういうことでは、今後いわゆるこの訴訟法の人権擁護という問題が阻害されるといいますか、何かそれに反するような行為が行われるということは、これは議院としてちゃんとやはり法律国民に守れと言っている以上は、私は議院のだれもがやはり法律を守る立場で処理をするということが必要でないか、かように考えておるわけであります。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員長、締めくくりたいと思います。約束の時間があることも承知しておりますからここで一応締めくくりたいと思います。  ただいまの法務大臣の御見解は、ますますこれは見逃すことのできない問題だと思います。たとえば——のような中で公表されたとか……(「いやそれは取り消した」と呼ぶ者あり)さっきもそういうような発言があったのですよ。つまりあなたは衆議院ロッキード特別委員会に対する重大な侮辱ですよ、それは。時間がないというから午後われわれの持ち時間でまたやります。いいですか。あのときの経過というものはあるのです。何も——の中で特定の人間が故意にこれをばらしたのじゃないですよ。そしてあなたはいま立法府に対する批判をなさいましたね。これはわれわれ立法府を拘束するつもりですか。立法府はもう言うまでもなく国権の最高機関であり国民の代表から構成されている。そしてあの時点において灰色高官を公表しなさいというのは国民の声であった。その声にロッキード特別委員会はこたえたのです。しかも、先ほど坂本委員が言ったとおり、刑訴法の問題だって、ただし書きの問題も含めてわれわれは確認をしておるのです。それでどうしてもいま法務大臣がそのような見解を変更されないならば、ロッキード特別委員会の責任をあなたは追及した、さらに内閣の継続性についてあなたは疑問を出した。前の内閣ではこうであったろうけれども今度はこうだ。(「責任継承の原則だ」と呼ぶ者あり)これもいま声のあったとおり与党の内閣ですから継続性がある。したがって、これは重大な問題ですから、この内閣の責任の継続性の問題については総理大臣。さらに特別委員会経過がある、しかもロッキード特別委員会の責任を追及されましたから、経過というものがあるわけですから、私は当時の田中ロッキード特別委員長を参考人として来てもらう、そしてその経過を明らかにして、私はこの事態の解明を図りたいと思います。したがって、以後の問題については理事会で検討させていただきたい。
  144. 坪川信三

    坪川委員長 先刻の法務大臣が取り消されました発言については、委員長において適当に措置をいたします。  これにて上原君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕