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渡部(一)
委員 次は、外交関係のルールでありますが、私、五つばかり一遍にかためて申し上げたいと思います。ちょっと時間がなくなりぎみでございますので……。
私は、特に条約の審査に関して非常に心配がございますので、ちょっと申し上げたいと思います。
現在、条約の審査に関しましては、毎年毎年条約の審査件数がだんだんだんだん増加する傾向にあります。これは国際的に条約の数というのは多くなる、それに伴う
行政協定の数も多くなる、あるいは
行政的なさまざまな取り決めも非常に多くなると私は思っております。そこで、これらの処理が外務
委員会でだんだん件数が多くなりまして、つっかえてくるようになったわけであります。これが余りつつかえてきますと、今度は外務省はそういう法案を国会へ持ってこない、サインだけしてほっておくということになりかねない。そして今度は出されてくると、十分審査しなければならない審査案件に時間がかけられなくて、もう何もかも一緒になってしまって、審議時間が足らなくなってくるということになってくるわけであります。こういう問題についてはいろいろルールを決めてしなければならないわけでありまして、私は、その
意味で幾つかのポイントを指摘しまして、その問題を早めるための何らかの処理をとりたいと存ずるわけであります。
まず第一に、多数の条約の処理に当たって、少なくともその条約を一々長時間かけて審議するというのではなくて、簡略にでき得るものについては十分に簡略にできるよう、外務
委員会の審議を集中することの必要性を痛感するわけであります。これは外務
委員会の問題でありますが、やはり
政府の方から、それはむしろ外務
委員会に対して強く要望しなければならぬ問題だと思います。
第二は、条約締結に当たりまして、国会ともっとコミュニケーションをよくしなければならないと思います。このコミュニケーションが非常に悪いために、ある日突然何かが起こるということがあるわけです。特に商品協定の審議に当たりまして、暫定適用
制度というのがあるのでありますが、暫定適用が行われて、もう二年も三年も四年も五年もほうり出されておって、そして突然持ってこられる。暫定適用というのですから、すぐ国会の審議を必要とするのに、それをしないでいる。こういう愚かなコミュニケーションの
状況というのがあったわけでありますから、こういうものについては、てきぱき報告する。そしてまた、いまの日中共同声明のように重要な案件については、適宜に報告しながらやっていくということが必要なのではないか。これが第二のポイントです。
第三のポイントとしては、条約の修正権の問題であります。憲法の規定によれば、外交案件を処理することは
政府の一方的な責務でございますが、また条約については、これを事前事後に承認を求めるということが憲法上の規定でありますが、実際的には、条約をイエスかノーかでやれば、ノーと言わなければならぬものが多過ぎてしまう。付帯的にある部分を修正し、ある部分を追加交渉を命じ、ある部分についてはこれについて留保を付するように国会が言うということはでき得ることではないかと私は思います。まさにこれは国会の実質的な条約修正権というべきものを公認し、かつ現在も原子力エネルギーの問題について日米間に交渉が行われた際、フリードマン書簡という追加文書を科学技術特別
委員会の審査中、米側と再交渉の上、提出されたこともありますし、日米安保条約の審議の際、アメリカ側から上院外交
委員会を通過するに当たって条件が付せられ、追加書簡がわざわざ交換書簡として交換されたこともありますから、実質的な条約修正というものは公然とこれを認め、そしてやっていっていいのではないかと思うわけであります。これが第三点であります。
第四点目は、多数の条約を
一案件にしてかためて出すということで、どれぐらい国会が紛糾しているかわからないのであります。たとえば
日韓大陸棚条約のごときはそれでありまして、全然種類の違ったものを、木に竹を接ぐようなものを二つ合わせて
一案件にしてまとめてぽんと出そうとする。それだけでも審議要件を失うわけであります。したがって、条約案件は原則として一条約
一案件とする。それをかためて、多数案件をかためるかどうかは
委員会の判断にゆだねる。これが堂堂たるやり方ではなかろうかと私は思うわけであります。その点を、この際ある
程度の原則として確立していただきたいと希望しているものであります。
また第五点は、
行政協定であります。これは条約ではありませんから憲法上は事前事後の承認が要らないのでありますが、この
行政協定の中には非常に大きな
問題点を含むものがございます。この
行政協定については、あるいは外交的諸取り決めの、事前事後に国会に対する報告を積極的にする、そういう慣行を樹立することが必要ではなかろうかと思うわけであります。
これらは、いま外務
委員会のここ十年間の審議の過程で、ある
程度の了解ができつつあるものもございますし、また、これらの問題については、これからずいぶんと研究をしていかなければならぬこともあるかと思いますが、私は、あえてこの五点を、これまで外務
委員会の長い間の質疑の間から積み上げてきた問題として、この際、この
予算委員会の場所におきまして外務省当局から御説明をいただき、ルールとして固め、外務
委員会の審議をすうっといくようにしていきたい、こう思っておるわけであります。