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海部国務大臣 人間それぞれ個性があり、いろいろな可能性を秘めていらっしゃる存在ですから、それを画一的にするということは方向として正しくございません。
委員のおっしゃるように、この
共通一次
試験の
制度というものがまさに全国で画一の問題になると、そういう型にはまったようなことになっていくのではないかという御心配の御
指摘だろうと思いますが、私
どもはそういうことにならないようにむしろ十分
配慮していかなければならぬと思います。と同時に、ほっておきますと、現在の各
学校が全くばらばらにやっております
入学試験の
制度の中で一体どういう現象が進行してきておるかといいますと、その
入学試験を受けるために、また合格をするために何か非常にそこだけに焦点を置いた
学校生活が送られる。だから、むしろ人生においてもっと経験しなければならぬこと、もっと伸び伸びとしていかなければならないその人の
資質とか能力というものが、
大学の受験勉強のためにかえって萎縮されてしまって、伸びるべき可能性の芽を
制度として摘んでしまっておるから、逆に妙なところの画一化が起こっておるのではないかという心配を私はいたしまして、むしろ
大学の
入学試験というものは、
高等学校で習う
教育課程を誠実に勉強さえしておれば、逆に言えば、
学校で教わること以外のことを塾へ行ったりあるいは
受験術を覚えたり、そんなことに心を使う余裕があったら、
人間としてもっと教養を高め、もっと友情を深め、あるいは
先生との心の触れ合いを求めるというふうに持っていってもらいたい、使ってもらいたいという願いも実はそこには込められておるわけでありまして、この
試験制度をとるから画一的なものに落ち込んでいかないような
配慮と注意は十分に払っていかなければならないと私は
考えております。
なお、私学に関します問題は、これはいま
大学の中で私学に通う生徒の数というのがやはり圧倒的多数であります。七九%と私は記憶いたしておりますが、そういうことになりますと、せっかく
入学試験の
制度を改革をして、誠実な
高等学校の
努力とそれからその人の持っておるいろいろな能力が多方面から選抜の
対象になるんだというような
制度になっていくとするなれば、やはり私立
学校もこれに参加してもらった方が理想であるという気持ちは私はいまでも持っております。ただ、それを今度は
大学の自主性を尊重して、あくまで
大学の自主的な判断ができるように文部省としては条件
整備をしたり協力をしたりしていくのが
教育の場においては
一つの方向だと理解しておりますので、今回は五十四年度から実施しようとされる
国立大学協会、それに参加しようとする公立
大学協会の意向を尊重して、それができるように、まず今年度
入試センターの
設置を
お願いをしておるわけでございまして、方向としてはその方がいいのではないか。そのかわり、それをすることによって
先生御
指摘のような
人間の画一化とかというようなことまでは絶対に起こらないように、これは十分に心を砕いてやっていかなければならぬことだと思っております。