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1977-02-23 第80回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十一年十二月三十日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員長は、次 のとおりである。    委員長 藤尾 正行君    理事 登坂重次郎君 理事 藤波 孝生君    理事 森  喜朗君 理事 渡部 恒三君    理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎  譲君    理事 有島 重武君 理事 曽祢  益君       石川 要三君    石橋 一弥君       稻葉  修君    久保田円次君       小島 静馬君    玉生 孝久君       塚原 俊平君    中村  靖君       長谷川 峻君    水平 豊彦君       小川 仁一君    千葉千代世君       中西 績介君    水田  稔君       湯山  勇君    池田 克也君       鍛冶  清君    伏屋 修治君       中野 寛成君    山原健二郎君       西岡 武夫君 ————————————————————— 昭和五十二年二月二十三日(水曜日)     午後零時三十八分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 登坂重次郎君 理事 藤波 孝生君    理事 森  喜朗君 理事 渡部 恒三君    理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎  譲君    理事 有島 重武君 理事 曽祢  益君       石川 要三君    石橋 一弥君       久保田円次君    小島 静馬君       玉生 孝久君    中村  靖君       長谷川 峻君    水平 豊彦君       小川 仁一君    千葉千代世君       中西 績介君    水田  稔君       池田 克也君    鍛冶  清君       伏屋 修治君    中野 寛成君       西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君  出席政府委員         文部政務次官  唐沢俊二郎君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部大臣官房会         計課長     宮地 貫一君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      大中臣信令君     ————————————— 委員の異動 一月二十日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     田中 六助君 二月九日  辞任         補欠選任   西岡 武夫君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     西岡 武夫君 同月二十一日  辞任         補欠選任   池田 克也君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     池田 克也君     ————————————— 二月十七日  義務教育学校等女子教育職員及び医療施設、  社会福祉施設等看護婦保母等育児休業に  関する法律等の一部を改正する法律案(宮之原  貞光君外二名提出、参法第一号)(予) 同月二日  国立能楽堂早期設立に関する請願外二十件(  坂田道太紹介)(第一四号)  教育条件整備拡充等に関する請願中野寛成  君紹介)(第一五号)  同(井上一成紹介)(第一七号)  同外三件(近江巳記夫紹介)(第八七号)  教育振興に関する請願山原健二郎紹介)  (第二五号)  原理運動による被害子弟救済に関する請願外  十二件(斉藤正男紹介)(第二六号)  同(福岡義登紹介)(第二七号)  同(森井忠良紹介)(第二八号)  同外三件(横山利秋紹介)(第二九号)  同外六件(佐藤敬治紹介)(第九一号)  私学助成に関する請願外二件(安宅常彦君紹  介)(第三〇号)  同(有島重武紹介)(第三一号)  同外二件(楢崎弥之君紹介)(第三二号)  同外十件(川崎寛治紹介)(第九二号)  同(有島重武紹介)(第一三一号)  同(草川昭三紹介)(第一三二号)  同(渋沢利久紹介)(第一三三号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一三四号)  同(長谷雄幸久紹介)(第一三五号)  同(二見伸明紹介)(第一三六号)  同外二件(村山喜一紹介)(第一三七号)  同外二件(渡辺三郎紹介)(第一三八号)  私立大学学費値上げ抑制等に関する請願(有  島重武紹介)(第九〇号)  進学希望者高等学校教育保障に関する請願外  一件(有島重武紹介)(第一三〇号) 同月九日  私学に対する公費助成増額に関する請願(谷  口是巨君紹介)(第一六一号)  同(受田新吉紹介)(第二六七号)  私学助成に関する請願飯田忠雄紹介)(第  一六二号)  同(池田克也紹介)(第一六三号)  同(市川雄一紹介)(第一六四号)  同(長田武士紹介)(第一六五号)  同(坂口力紹介)(第一六六号)  同(竹入義勝君紹介)(第一六七号)  同(武田一夫紹介)(第一六八号)  同(谷口是巨君紹介)(第一六九号)  同(野村光雄紹介)(第一七〇号)  同(宮井泰良紹介)(第一七一号)  同(安藤巖紹介)(第一九七号)  同(荒木宏紹介)(第一九八号)  同外二件(有島重武紹介)(第一九九号)  同(浦井洋紹介)(第二〇〇号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二〇一号)  同(小林政子紹介)(第二〇二号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇三号)  同(瀬崎博義紹介)(第二〇四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二〇五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二〇六号)  同(田中美智子紹介)(第二〇七号)  同(武田一夫紹介)(第二〇八号)  同(谷口是巨君紹介)(第二〇九号)  同(津川武一紹介)(第二一〇号)  同(寺前巖紹介)(第二一一号)  同外二件(馬場昇紹介)(第二一二号)  同(東中光雄紹介)(第二一三号)  同(不破哲三紹介)(第二一四号)  同(伏屋修治紹介)(第二一五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二一六号)  同(古川雅司紹介)(第二一七号)  同(正森成二君紹介)(第二一八号)  同(松本善明紹介)(第二一九号)  同(三谷秀治紹介)(第二二〇号)  同(山原健二郎紹介)(第二二一号)  同(安田純治紹介)(第二二二号)  同(安藤巖紹介)(第二九七号)  同(荒木宏紹介)(第二九八号)  同(浦井洋紹介)(第二九九号)  同(貝沼次郎紹介)(第三〇〇号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第三〇一号)  同(小林政子紹介)(第三〇二号)  同(柴田睦夫紹介)(第三〇三号)  同(瀬崎博義紹介)(第三〇四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第三〇五号)  同(田中美智子紹介)(第三〇六号)  同(津川武一紹介)(第三〇七号)  同(寺前巖紹介)(第三〇八号)  同(東中光雄紹介)(第三〇九号)  同(不破哲三紹介)(第三一〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三一一号)  同(正森成二君紹介)(第三一二号)  同(松本善明紹介)(第三一三号)  同(三谷秀治紹介)(第三一四号)  同(安田純治紹介)(第三一五号)  同(山原健二郎紹介)(第三一六号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願中野寛成君紹介)(第二六六  号)  私学国庫助成に関する請願安藤巖紹介)  (第二七六号)  同(荒木宏紹介)(第二七七号)  同(浦井洋紹介)(第二七八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二七九号)  同(小林政子紹介)(第二八〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第二八一号)  同(瀬崎博義紹介)(第二八二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二八三号)  同(田中美智子紹介)(第二八四号)  同(津川武一紹介)(第二八五号)  同(寺前巖紹介)(第二八六号)  同(東中光雄紹介)(第二八七号)  同(不破哲三紹介)(第二八八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二八九号)  同(正森成二君紹介)(第二九〇号)  同(松本善明紹介)(第二九一号)  同(三谷秀治紹介)(第二九二号)  同(安田純治紹介)(第二九三号)  同(山原健二郎紹介)(第二九四号)  私立大学学費値上げ抑制等に関する請願(池  田克也紹介)(第二九五号)  国立能楽堂早期設立に関する請願奧田敬和  君紹介)(第二九六号) 同月十六日  離島及び定時制高校養護教諭必置等に関する  請願長谷川正三紹介)(第三四七号)  国立能楽堂早期設立に関する請願片岡清一  君紹介)(第三四八号)  私学助成に関する請願外八件(長谷川正三君紹  介)(第三四九号)  同外十件(伊賀定盛紹介)(第三七九号)  同外三件(斉藤正男紹介)(第三八〇号)  同(坂井弘一紹介)(第三八一号)  同外一件(鳥居一雄紹介)(第三八二号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願井上一成紹介)(第四一七  号) 同月二十一日  原理運動による被害子弟救済に関する請願(  稲葉誠一紹介)(第四九五号)  同(清水勇紹介)(第四九六号)  同(下平正一紹介)(第四九七号)  同(田畑政一郎紹介)(第四九八号)  同(楯兼次郎紹介)(第四九九号)  同(中村茂紹介)(第五〇〇号)  同(原茂紹介)(第五〇一号)  同(横山利秋紹介)(第五〇二号)  私学助成に関する請願鈴切康雄紹介)(第  五〇三号)  同(山原健二郎紹介)(第五五六号)  私学に対する公費助成増額に関する請願外一件  (池田克也紹介)(第五五五号)  同(武田一夫紹介)(第五九二号)  同(伏屋修治紹介)(第五九三号)  学校図書館法の一部改正に関する請願斉藤正  男君紹介)(第五九一号)  同(千葉千代世紹介)(第六三五号)  義務教育学校等建設事業費全額国庫負担等  に関する請願近江巳記夫紹介)(第五九四  号)  同(上田卓三紹介)(第六三七号)  国・公・私学学費値上げ反対等に関する請願  (長谷川正三紹介)(第六三四号)  教育条件整備拡充等に関する請願上田卓三  君紹介)(第六三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。  すなわち  文教行政基本施策に関する事項  学校教育に関する事項  社会教育に関する事項  体育に関する事項  学術研究及び宗教に関する事項  国際文化交流に関する事項  文化財保護に関する事項 以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 藤尾正行

    藤尾委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  文教行政基本施策に関し、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。海部文部大臣
  5. 海部俊樹

    海部国務大臣 最初に一言お願いいたしますが、文部大臣を任命されました。微力でありますが全力を挙げて取り組みますので、委員長初め委員皆様方の御指導と御協力を心からお願い申し上げます。  第八十回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信一端を申し述べます。  本年は、戦後、新しい学校制度が発足してから三十年目を迎えます。この間、国民教育に対する熱意と関係者のたゆみない努力によってわが国学校教育は、着実な普及発展を遂げ、今日のわが国経済社会の礎を培ってまいりました。  資源に恵まれないわが国が、今後、幾多の試練を乗り越え、世界諸国との協調のもとに、発展を続け、世界の平和と繁栄に貢献していくためには、教育普及充実刷新に一段と努力を傾注し、未来を切り開く、創造的英知を備え、かつ、国際的視野に富んだ日本人育成を図るとともに、新しい知識見解を開く基礎的科学研究推進が何よりも大切であると確信いたします。  私は、このたび、文部大臣の重責を担うに至りましたが、先人の業績を継承しつつ、広く国民の理解と協力のもとに、この国民的な重要課題である文教刷新充実に渾身の力を傾けてまいる決意であります。  以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。  第一は、初等中等教育改善充実についてであります。  初等中等教育につきましては、心身ともに健全な国民育成を目指して、教育内容改善を図ることが緊要な課題であります。そのため、先般の教育課程審議会の答申を受けて、教育内容を精選し、ゆとりのある、しかも充実した学校生活の中で、知・徳・体の基礎基本を確実に身につけ、人間性豊かな国民育成を図るという基本態度に立って、小・中・高等学校学習指導要領改定を行い、その改善に取り組んでまいります。  もとより、教育基本は人にあります。教職にすぐれた人材を得て、一人一人の教師の情熱に支えられた、はつらつとした教育指導が展開されるよう諸条件整備を図る必要があります。そのため、教職員処遇改善について、昨年、不幸にして実施を見なかった教員給与改善を含め、いわゆる人材確保法に基づく、第三次の給与改善を引き続き進めるとともに、教職員定数についても、所要の改善を図ることといたしております。また、教員指導力向上を図るため、これまでも教員現職教育に意を用いてきたところでありますが、昭和五十二年度からは、特に新規採用教員及び教職経験五年程度の研修を中心に、その一層の充実を期してまいりたいと考えております。  以上のほか、心身障害を持つ児童生徒教育につきましては、昭和五十四年度からの養護学校教育義務制実施を控え、その円滑な移行を確保するための諸準備中心に、障害児の実態に即した特殊教育拡充整備のための諸措置を進めてまいります。また、幼稚園教育普及充実については、希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を引き続き推進してまいります。  次に、児童生徒の健康を保持増進し、体力づくり推進するために、健康診断充実学校歯科保健活動推進など学校保健改善充実を図るとともに、学校における体育活動を一層充実してまいる考えであります。学校給食につきましては、魅力ある給食実施を目指し、食事内容充実向上学校給食用物資需給体制整備を図るとともに、特に米飯給食普及拡大に努め、その振興充実を図ってまいりたいと存じます。  さらに、公立の小・中・高等学校施設整備につきましては、その事業量拡充建築単価改定を行うことといたしておりますが、特に、昭和五十一年度から創設した高等学校建物の新増設費に対する国の補助を大幅に拡充し、高等学校生徒増加に対処するとともに、児童生徒急増市町村における小・中学校用地取得費補助を一層拡充いたしてまいりたいと存じます。  第二は、高等教育整備充実及び学術振興についてであります。  経済社会高度化が進む新しい時代の展開に的確に対処していくためには、国民知的能力を最大限に啓発し、民族の英知を結集していくことが肝要であります。そのため、高等教育につきましては、長期的な展望のもとに、その質的充実と地域的不均衡の是正等に重点を置いて、地方における大学整備充実大学院拡充整備公立及び私立大学に対する助成拡充等推進するとともに、高等教育に対する国民の多様な要請に柔軟にこたえるため、放送大学創設準備推進する等の諸施策を取り進めてまいりたいと存じます。  また、社会的要請の強い医師等養成を図るため、医科大学創設等推進するとともに、歯学部の設置等を進めることとし、また、資質能力のすぐれた教員養成確保が、国民共通の強い期待であることにかんがみ、既設の教員養成大学・学部の拡充整備教員大学院大学創設準備等の諸施策を引き続き推進してまいります。  さらに、大学入試改善につきましては、学歴偏重社会的風潮是正国公私立の各大学充実整備等の諸施策とも相いまって、わが国教育全体の正常な発展を期するために、あらゆる努力を払い、改善の実を上げてまいりたいと存じます。特に、懸案の共通学力検査については、当面、国立大学共通第一次試験を昭和五十四年度入学者選抜から実施できるよう、昭和五十二年度には、大学入試センターを設置するなど、その具体的な諸準備を進めることといたしております。なお、国公私立大学を通じた共通学力検査実現についても、今後、関係者との検討協議を積極的に進めてまいります。  次に、学術振興につきましては、科学研究費拡充するとともに、生物科学総合研究機構創設等学術研究体制整備を図り、独創的、先駆的な研究を守り立ててまいりたいと考えております。特に、わが国のみならず人類発展と生存に大きな期待の寄せられている核融合地震予知等の重要な研究領域については、重点的な配慮を加え、その推進努力してまいりたいと存じます。  第三は、私学振興についてであります。  私立学校は、わが国学校教育普及発展に多大の貢献をいたしてまいりました。このような私立学校役割り重要性にかんがみ、昭和五十二年度におきましても、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、私立大学等に対する経常費補助及び高等学校以下の私立学校に対する経常費助成の一層の拡充を図り、私立学校教育充実向上に資するとともに、育英奨学充実等の諸施策と相まって、学校教育機会均等実現に務めてまいりたいと存じます。  また、昨年発足した専修学校につきましては、国民の多様な教育需要に対応して、その振興発展期待されているところでありますが、当面専修学校の特性に即した適切な振興策整備を図るため必要な調査検討を進めてまいりたいと考えております。  第四は、社会教育及び体育スポーツ振興についてであります。  社会経済の進展に対応し、とりわけ高齢化社会の到来に備え、国民一人一人が常に学習に励み、スポーツ芸術文化に親しみ、生きがいのある健康で文化的な生活を享受できるようにすることが、豊かで活力のある社会建設するために不可欠であります。このために、これからの社会教育は、学校、家庭、社会との連携を図りつつ、国民各層教育への積極的な意欲と活動を高め得るよう多様な形で展開される必要があると存じます。  かかる観点から、自主的な学習活動拠点となる公民館等社会教育施設整備社会教育関係指導者充実等の諸施策を引き続き進めるとともに、新たにPTA地域活動促進成人大学講座開設助成等措置を講じ、生涯教育事業拡充振興を図ってまいりたいと存じます。さらに、年次計画により整備を進めております国立少年自然の家につきましては、昭和五十二年度に、国立那須甲子少年自然の家及び長崎県に建設中の第三番目の国立少年自然の家の事業を開始するとともに、婦人教育振興に資するため、国立婦人教育会館を設置することといたしております。  また、体育スポーツ振興につきましても、新たに地域住民が参加するスポーツクラブ活動促進のための諸事業に対し助成措置を講ずることとしたほか、従来から行ってきた各種スポーツ施設整備指導者養成確保学校体育施設開放等の諸事業拡充と相まって、スポーツによる国民健康増進と明るい地域社会づくり推進してまいりたいと存じます。  第五は、文化振興についてであります。  今日、人々は経済的な発展のみならず、より内面的な心の豊かさを求めております。その意味からも、今後、すべての国民日常生活の中ですぐれた芸術文化に接し、みずからも新しい芸術文化を創造していくような文化環境を醸成するために、積極的に文化行政推進し、文化振興を図ってまいりたいと存じます。  このため、芸術文化振興につきましては、芸術祭充実芸術文化団体育成公立文化施設整備文化活動育成舞台芸術巡回公演充実等中央地方における芸術文化普及振興のための諸事業拡充を図るとともに、特に地域住民みずからが参加する文化活動を活発にするための諸施策を進めてまいりたいと考えております。  一方、文化財保護につきましては、国宝、重要文化財保存事業充実史跡等公有化促進を図るとともに、開発事業の進行に適切に対処するため、埋蔵文化財保護対策充実強化を進め、さらには各地に残る貴重な無形民俗文化財や由緒ある町並みの保存文化財保存技術伝承等新しい課題につきましても、その充実を図ってまいります。  また、わが国文化振興拠点ともなるべき国立文化施設整備につきまして、国立国際美術館の開館、国立歴史民俗博物館国立演芸資料館建設着工、第二国立劇場国立能楽堂国立文楽劇場創設準備を着実に取り進めてまいりたいと存じます。  最後に、教育学術文化国際交流促進について申し述べます。  わが国がこれからの国際社会において、世界諸国との連帯を揺るぎないものとしていくためには、教育学術文化の面においても国際協力促進し、諸国民相互の心の触れ合いを深めていくことが必要であります。そのため、国際協調時代にふさわしい日本人育成に努めるとともに、研究者教育者芸術家等交流促進し、留学生制度整備を図り、国際協同事業に積極的に参加するなど、各種国際協力事業推進してまいります。  なお、先年、東京に本部を開設した国連大学は、地球上の人類共通研究課題世界的な規模で扱う国際機関であり、世界研究教育活動をわれわれの身近なものとして接することは、まことに有意義なことであり、わが国といたしましては、この研究課題に対応して、積極的に協力してまいりたいと存じます。  以上、文教行政の当面する諸問題について所信一端を申し述べましたが、わが国教育学術文化振興のため、文教委員各位の御協力と御支援を得て、微力を尽くして取り組んでまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  6. 藤尾正行

    藤尾委員長 次に、昭和五十二年度文部省所管予算概要につきまして説明を聴取いたします。唐沢文部政務次官
  7. 唐沢俊二郎

    唐沢政府委員 その前に、旧臘二十七日文部政務次官を拝命いたしました。非常にふつつかではありますが、諸先生の意を体して、りっぱな文教行政推進努力いたしたいと存じております。委員長を初め委員の諸先生方の温い御指導をお願い申し上げる次第でございます。  昭和五十二年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は三兆一千四百五億七千八百万円、国立学校特別会計予算額は九千五百八十七億八千七百万円でありまして、その純計額は三兆三千六百五十九億一千九百万円となっております。  この純計額を昭和五十一年度の当初予算額と比較いたしますと、四千五十三億五百万円の増額となり、その増加率は、一三・七%となっております。また、一般会計予算額増加率は、一三・八%であります。  以下、昭和五十二年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育充実に関する経費であります。  まず、教員給与改善につきましては、昭和四十八年度以来、いわゆる人材確保法に基づく計画的改善実施するため、すでに、第一次及び第二次の改善措置を講じてきたところでありますが、昭和五十二年度においては、既定方針に従い、第三次第一回目分措置に連続して第三次第二回目分改善措置を講ずることにより、人材確保法に基づく教員給与改善を完結させるという考え方に立って、それに必要な経費として、二百二十九億円を計上いたしております。  次に、義務教育学校教職員定数につきましては、まず、児童生徒数の増加に伴う教職員定数の増を見込むほか、昭和四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画に係る教職員定数の増、養護学校及び特殊学級の増設に伴う増等を合わせて、一万五千七百六十二人の増員に必要な経費を計上いたしております。  次に、教員現職教育充実につきましては、教員の処遇の改善と相まって資質の向上を図るため、昭和五十二年度においては、新たに、新規採用教員の全員と、教職経験五年の教員全員に対し、実践的な指導力向上を図るための研修を実施することといたしております。また、教員の海外派遣につきましても、引き続き、五千人を派遣し、その視野を広めることを期待いたしております。  幼児教育普及充実につきましては、父兄の経済的な負担を軽減し、幼稚園教育普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助につき、特に生活が困窮している世帯に重点を置いて、その保育料等の減額免除の限度額を引き上げる等、充実を図るとともに、引き続き、幼稚園の増設を計画的に進めることとし、施設整備促進を図ることといたしております。  特殊教育振興につきましては、前年度に引き続き、年次計画による養護学校及び特殊学級の増設を推進することとし、特に、昭和五十四年度からの養護学校教育義務制実施に備えて、政令指定都市に係る養護学校小・中学部の新増設の補助については、都道府県に係る場合と同様に取り扱うこととするとともに、重度・重複障害児のための訪問指導員及び介助職員の増員、特殊教育就学奨励費の拡充等を行うことといたしております。  次に、学校給食整備充実につきましては、米飯給食の導入を一層推進するため、米飯給食関係の施設設備の整備を大幅に拡充することといたしております。  学校保健改善充実につきましては、新たに、心臓・腎臓に係る児童生徒健康診断体制の整備と、小学校児童のう歯予防をねらいとした歯科保健活動推進を図ることといたしております。  公立文教施設整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、事業量の増と補助単価の引き上げを図るとともに、急増指定要件の緩和等の改善を図ることといたしております。  昭和五十一年度から新たに実施いたしました高等学校新増設建物補助につきましては、事業量を大幅に増加し、また児童生徒急増市町村公立小・中学校建設用地取得費補助についても、事業量の拡大を図ることといたしております。  これらの施策に要する補助金として、昭和五十一年度に対して二〇二%増の、三千七十九億円を計上いたしております。  以上のほか、学習指導要領改訂に伴う趣旨徹底、義務教育教科書購入価格の改定、要保護及び準要保護児童生徒援助の強化等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。  第二は、高等教育整備充実に関する経費であります。  まず、高等教育改革の推進につきましては、大学入学者選抜方法の改善を図るため、国立大学共通第一次試験を昭和五十四年度入学者の選抜から実施することを目途に、昭和五十二年度には、大学入試センター(仮称)を設置し、これを中心として、八節人を対象とする試行テストの実施及び具体的な諸準備を進めることといたしております。  また、放送大学については、教材を作成し、放送教育の試行を行う等、その創設準備を進めることといたしております。  このほか、教員大学院大学について、その創設準備等をさらに進めることとし、また、筑波大学について、第三学群を設置し、大学院研究科を増設する等、その整備を進めるとともに、技術科学大学についても、昭和五十三年度の学生受け入れに備えて、所要の整備を進めることといたしております。  国立大学整備充実につきましては、医歯学教育拡充を図るため、福井、山梨、香川における医科大学の創設推進のほか、琉球大学医学部について創設準備を行うこととするとともに、鹿児島大学に歯学部を設置して、昭和五十三年度に学生を受け入れることとし、また、岡山大学及び長崎大学について歯学部の創設準備を行うこととしております。  さらに、群馬大学及び名古屋大学について医療技術短期大学部の設置を図るほか、医科大学等の付属病院についても、新設の医科大学等の付属病院の創設・創設準備とともに、既設付属病院の救急部の新設整備等、その充実を図ることといたしております。  教員養成につきましては、引き続き、小学校教員、幼稚園教員特殊教育教員及び養護教諭を養成する課程等の新設拡充を図るとともに、付属養護学校の新設等、その充実を図ることといたしております。  以上のほか、岩手大学人文社会科学部の設置、広島大学政経学部、富山大学文理学部及び高知大学文理学部の改組等、地方における国立大学中心に学部・学科・課程の整備充実を図って、大学学部及び短期大学部の学生入学定員を総数二千十人増員することとし、また、図書館大学創設準備のほか、信州大学経済学部の創設準備等を行うことといたしております。  次に、大学院拡充整備につきましては、九州芸術工科大学、大分大学及び琉球大学に新たに大学院を設置することとするほか、研究科の新設・改組、専攻の新設・整備等により、七百四十六人の入学定員増を行うことといたしております。  また、国立大学等の教育研究条件整備を図るため、基準的経費の充実施設設備の整備に努めるとともに、必要な分野について教職員の増員を図ることといたしております。  以上の諸施策等に要する国立学校特別会計予算といたしましては、昭和五十一年度の当初予算と比較して一千百二十九億円増の、九千五百八十八億円を計上いたしております。その歳入見積額は、一般会計からの受け入れ七千三百三十四億円、借入金三百九十一億円、自己収入その他一千八百六十三億円であり、歳出予算額は、国立学校運営費八千八十六億円、施設設備費一千三百九十二億円、国債整理基金特別会計への繰り入れ等百十億円となっております。  次に、公立医科大学、看護大学に対する助成を初め、公立大学助成についても、引き続き、充実を図ることといたしております。  育英奨学事業拡充につきましては、まず、日本育英会の学資貸与について、高等学校から大学までのすべての貸与種別にわたって、私立学校の学生・生徒に対する貸与月額を増額するとともに、大学院の学生に係る貸与月額の増額と貸与人員の増員を行うこととする等、その拡充を図り、このために必要な経費として、政府貸付金を四百三十一億円計上し、返還金と合わせて、昭和五十一年度に対し六十二億円増の五百十三億円の資金で、学資貸与を行うことといたしております。  また、私立大学の奨学事業に対する資金援助については、新たに、入学一時金の分納制を実施する場合についても、必要な資金を融資することとする等、その改善を図ることといたしております。  第三は、学術振興に関する経費であります。  まず、重要基礎研究に係る大型プロジェクト研究につきましては、引き続き、核融合、原子力、宇宙科学、加速器、地震予知等に係る研究推進を図ることといたしております。  また、生命科学研究推進を図るため、愛知県岡崎市に生物科学総合研究機構(仮称)を設置することといたしております。  科学研究費につきましては、これが、わが国学術基礎を培い、科学者の独創的、先駆的研究推進するための基本的な研究費であることにかんがみ、すぐれた研究活動育成を図るため、総額二百二十九億円を計上いたしております。  特殊法人日本学術振興会への援助につきましては、従前の事業に対する補助に加えて、新たに、必要な学術情報を提供する体制を確立するための準備調査費を計上いたしております。  第四は、私学助成拡充に関する経費であります。  まず、私立大学等経常費補助につきましては、専任教職員給与費、教員経費及び学生経費を拡充するほか、新たに、厚生補導費に対する補助を行うこととする等、その充実を図り、昭和五十一年度に対して二四・四%増の、一千六百五億円を計上いたしております。  また、私立高等学校等の経常費助成拡充のための都道府県に対する補助につきましては、補助単価を引き上げて大幅な増額を図ることとし、昭和五十一年度に対して六六・七%増の、三百億円を計上いたしております。  日本私学振興財団の貸付事業につきましては、引き続き、政府出資金十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金四百八十五億円を計上し、自己調達資金と合わせて、昭和五十一年度に対して八十八億円増の、六百三十八億円の貸付額を予定いたしております。  次に、私立学校教職員共済組合の補助につきましては、長期給付の改善を図るため、補助の拡大を行うことといたしております。  第五は、社会教育振興に関する経費であります。  まず、社会教育事業助成につきましては、生涯教育事業充実を図るため、国の助成の体制を整備するとともに、成人大学講座PTA地域活動等についても、新たに補助を行うこととし、また、社会教育主事の給与費補助について、員数の増と単価の引き上げを行い、指導者層の充実を図ることといたしております。  公立社会教育施設整備につきましては、特に、公民館の整備について重点的に配慮し、所要の経費を計上いたしております。  次に、国立の社会教育施設整備につきましては、まず、かねてから建設工事を進めてまいりました国立婦人教育会館(仮称)について、昭和五十二年度には、これを文部省の付属機関として設置し、事業を開始する運びといたしております。  また、計画的設置を進めております国立少年自然の家につきましては、長崎県諌早市に国立として第三番目の少年自然の家を設置し、事業を開始することとするほか、計画中の他のものについても、引き続き、所要の施設費、創設調査等の経費を計上いたしております。  第六は、体育スポーツ振興に関する経費であります。  体育スポーツ普及奨励につきましては、まず、体育スポーツ施設整備を進めるため、体育スポーツ施設に係る補助金の単価の引き上げと基準の改定を行うとともに、学校体育施設の開放を一層促進することといたしておりますが、それとともに、昭和五十二度においては、新たに、スポーツクラブ育成事業を行い、地域住民日常生活の中で行われるスポーツ活動を、積極的に促進し、スポーツの日常化と明るい地域社会の形成に資することといたしております。  以上のほか、日本体育協会の補助国民体育大会及び学校体育助成等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。  第七は、芸術文化振興文化財保護充実に関する経費であります。  まず、芸術文化振興につきましては、新たに、文化活動に対する地域住民の積極的参加を促進するため、必要な助成を行うとともに、高等学校文化活動に対する補助を行うこととするほか、移動芸術祭拡充地方文化施設整備等、各般の施策につきましても、引き続き、所要の経費を計上し、地方文化振興、一般国民文化活動促進を図ることといたしております。  また、芸術家の創作活動等の助成についても、新たに、芸術家の国内研修の制度を設けるほか、芸術関係団体補助増額等、所要の経費を計上し、その充実を図ることといたしております。  次に、文化財保護充実につきましては、無形文化財、民俗文化財等の保護に留意し、重要無形文化財保持者に対する特別助成金の増額、重要無形民俗文化財保存団体の助成拡充文化財保存技術の伝承者養成補助拡充を図ることとするほか、地方歴史民俗資料館の整備を進めることといたしております。  また、史跡買い上げ補助増額等、文化財公有化促進するほか、埋蔵文化財調査、建造物修理等の諸施策充実についても、引き続き、所要の経費を計上いたしております。  国立の文化施設整備につきましては、国立国際美術館(仮称)及び東京国立近代美術館工芸館を開館する運びとするとともに、国立歴史民俗博物館(仮称)及び国立演芸資料館(仮称)の建設工事に着手するほか、第二国立劇場(仮称)及び国立能楽堂(仮称)の設立準備をさらに進め、また、新たに、国立文楽劇場(仮称)の設立についても準備調査を行うことといたしております。  第八は、教育学術文化国際協力推進に関する経費であります。  まず、国際交流推進につきましては、研究者教育者芸術家等の人物交流推進するとともに、留学制度の充実を図り、ユネスコ協力事業等の多国間国際協力事業や、文化協定等に基づく二国間協力事業の活発化を図ることとしております。また、国連大学への協力体制を整備し、第十九次南極地域観測を、引き続き、推進することといたしております。  次に、海外子女教育推進につきましては、引き続き、海外子女教育振興財団を助成するほか、帰国子女に対する教育実施のため、新たに、私立高等学校の設立について特別の助成を行うとともに、国立大学の付属高等学校の学級増を図ることといたしております。  以上、昭和五十二年度の文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  8. 藤尾正行

    藤尾委員長 以上で説明は終わりました。  次回は、来る二十五日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十一分散会