○倉成国務大臣 野口委員もお話しのとおり、流通問題というのは非常に複雑な問題で多岐にわたっております。したがいまして、これを一言で流通機構の
改善と申しましても、なかなか多くの問題をはらんでおるわけでございますが、非常に素朴に考えてまいりますと、食品流通については、安くてよい品物を一体どこで買うかということに尽きるかと思います。したがって、百貨店で買ったり、スーパーで買ったり、一般小売商でわれわれは生鮮食料品やその他の食品を買っているわけでありますが、それがどういう形で合理的に行われているかということに尽きるかと思うわけであります。そういう目的のために、一体これからどうしたらよいかというのが食品流通の課題であろうかと思います。また、これが物価問題に非常に大きな影響を及ぼしているという点は、委員の御
認識と全く私
どもも同感でございます。
したがいまして、一般的なことを申し上げますので、あと細部の
具体的な問題につきましては、また農林省その他の当局から
お答えをいたしたいと思いますが、生鮮食料品を中心として考えてまいりまして、
改善、合理化のポイントということになりますと、
一つは、やはり卸売市場の整備ということではないかと思います。これは、たとえば
施設の整備拡充というようなもので、東京で例をとりますと、築地とか神田とか、こういう市場が比較的人口の少ないときにつくられた市場で、だんだん周辺の市場も整備されてまいりましたけれ
ども、やはりもう少し近代化され、合理化され、
機能を果たしていくということは
一つの課題じゃないかと思います。先般、農林大臣と御一緒に築地や神田の市場に参りましたときも、市場の
関係者からもそういう御要望がございました。
それから第二番目は、やはり小売業の近代化という問題で、仕入れ、配送を共同化するという問題だと思いますが、これは一言で申しましても非常にむずかしいことだと思います。しかし、それでも最近、魚や野菜等、小売店で共同で仕入れするということも、先般の市場視察の際に
関係者から伺っております。
それから三番目は、産地直送等の新しい流通経路の問題。スーパーの一部でこういうことを行っているところもございますし、これらの問題をどう位置づけるかという問題があろうかと思います。
第四番目は、産地、消費地における需給調整
施設の整備ということで、生鮮食料品、野菜などに至りますと、これは天候の
関係もありますけれ
ども、一遍にどっと出ると値段が安くなる。そしてまた、少ないときには非常に値か高くなるということで、どうしても価格の乱高下があるわけであります。したがって、こういうのをもう少し何か調整できないだろうか。調整できる品目とできない品目がありますけれ
ども、少し保存のきくものについて調整の方法がないか、あるいは出荷等についてもう少し調整の手段がないだろうかという問題でございまして、生産者の方は市場の
状況を見ながら出荷するわけですけれ
ども、なかなかきちっとした出荷の調整というのはむずかしいというのが現状でございます。
それから五番目には、やはり生鮮食料品の効率的な流通に資する物流の技術の開発促進、たとえばコールドチェーンみたいな物流の技術を開発するという問題。これも、一部分だけ整備されましても、なかなかコールドチェーンうまくいかないわけでございますから、やはり相当総合的なビジョンがなければ、これはかえって混乱するだけだと思いますが、そういうものが中長期的なものとしては大切なことの
一つではないかと思います。
それから第六番目には、消費者対策の充実ということで、やはり消費者に情報を提供するということが非常に大事なことの
一つになるんじゃないか。ちょうど
トイレットペーパーや洗剤という問題で狂乱物価のときに非常な
混雑をいたしましたけれ
ども、これはある面において情報不足ということも大きな原因であったと思いますので、やはり的確な情報を消費者の方に提供する、そういう
機能の充実ということ。
あるいは取引の規格を簡素化するということで、大分規格の簡素化は行われつつありますけれ
ども、まだ非常に規格がいろいろあるという問題。
以上申しましたほかにも、まだ多くの問題があろうかと思いますけれ
ども、こういう問題を総合的に、また各商品の特性に応じながら細かく
実施をしていくということが非常に大切なことではないかと思う次第でございます。
しかし、いま申しましたことは、全く一般的な抽象的な議論を申し上げておりますので、われわれとしても、各品目について全部を一遍にはやれませんけれ
ども、
関係各省と御相談しながら少し掘り下げた勉強をしていきたいと思っておりますので、また野口委員でいろいろお気づきの点があれば、ひとつお教えをいただきたいと思います。