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1977-03-25 第80回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十五日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 西宮  弘君    理事 青木 正久君 理事 加藤 紘一君    理事 砂田 重民君 理事 金子 みつ君    理事 武部  文君 理事 中川 嘉美君       宇野  亨君    関谷 勝嗣君       中西 啓介君    堀内 光雄君       野口 幸一君    馬場猪太郎君       宮地 正介君    三谷 秀治君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       佐倉  尚君         農林省食品流通         局流通企画課長 鴻巣 健治君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     松村 義弘君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 三月二十三日  公共料金値上げ反対等に関する請願外一件(  稲葉誠一紹介)(第一八〇六号)  同外六件(上田卓三紹介)(第一八〇七号) 同月二十四日  公共料金値上げ反対等に関する請願外一件(  佐藤観樹紹介)(第二〇六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 西宮弘

    西宮委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三谷秀治君。
  3. 三谷秀治

    三谷委員 国鉄運賃値上げに伴う利用客の減退に対して、国鉄当局としては、そのうち航空運賃私鉄運賃値上げがあるので客が返ってくるという判断をされておったという報道がなされておりますが、最近私鉄運賃値上げ動きがあるかどうか、これをまずお尋ねしたいと思うんです。
  4. 松村義弘

    松村説明員 お答えいたします。  恐らく先生の御質問なさっております私鉄運賃と申しますのは、中小私鉄の問題ではなくて、大手十四社の運賃かと思います。大手十四社の運賃動きについて申し上げたいと思います。  大手十四社の運賃につきましては、五十年の十二月五日に改定認可いたしました。そのとき運輸省の方から各社の社長に対して、二年間は運賃改定を行わないという強い決意を伝えてございます。したがいまして、大手各社動きは、今日現在まだ二年間の期間を経過しておりませんので、ほとんど動きはございません。
  5. 三谷秀治

    三谷委員 五十年に認可したわけですから、五十一年、五十二年ですから、ことしで二年ですね。ことしの末には値上げをするという動向があるわけですか。
  6. 松村義弘

    松村説明員 私どもとしましては、五十年十二月五日から二年と言いますと、五十二年十二月五日でございます。それ以降の認可につきましては、やはり真剣に検討しなくてはいけないと思いますけれども、何か民鉄協会会長が一、二ヵ月前に記者会見でもって、五十二年中の運賃改定はしないよう努力をするということを記者団に表明しているというニュースが入ってきております。そういうことを勘案しますと、五十二年中は何とか各社努力してやりくりしてくれるんではないかと期待しております。
  7. 三谷秀治

    三谷委員 四十九年、五十年と連続して大幅な値上げが行われました。これに対して国民の批判はきわめて厳しいものがありました。その理由というのは、私鉄各社が膨大な利益隠しを行っておる。準備金積立金引当金など、五十年三月末で二千八百億円に達する。四十五年度値上げから四十九年度までの五年間に大手十四社の税引き利益が千二百億円に達しておる。また私鉄各社が膨大な土地買いを行っておる。販売用土地所有量が二万四千ヘクタールと言っておりますが、五十一年の簿価額でいきますと、六千六百三十七億円に達すると言っております。これを公庫用地にしますと六千戸分、住宅用地にしますと百五十万戸の建設が可能とされております。この実情につきましては、運輸省においても御承知のはずであって、民鉄部では絶対量としては予想を超える土地を買っておる、それに驚いたという発言をされたことが報道されております。その上、海外にまで土地買い観光開発の手を伸ばしておるという事実も明らかになっております。こういう実態の中で値上げが強行されましたから、これに対して利用者が厳しい批判を加えてまいりました。  この値上げ理由というのは、輸送力増強安全サービス向上にあると言われておりますが、これは間違いがありませんか。
  8. 松村義弘

    松村説明員 五十年十二月五日に運賃改定したときの目的を御質問なさっているかと思いますが、輸送力増強、それから——もちろん輸送力増強の前に安全確保、これが最優先順位を持っております。安全確保、続いて輸送力増強、次に輸送サービス向上、こういうことを目標にして運賃改定をしております。
  9. 三谷秀治

    三谷委員 値上げは強行されましたが、果たしてこの安全性確保されてきたのか、あるいは乗客サービス改善されたか、ここのところに大きな問題があるわけです。私鉄企業によります沿線土地造成による混雑の増大と電車増結イタチごっこに終わっておるのではないか、通勤ラッシュ時の混雑率はどのように改善をされましたか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 松村義弘

    松村説明員 大手十四社は、輸送力増強につきまして現在五ヵ年計画実施中でございます。初年度を四十七年にいたしまして五十一年度まで五ヵ年間で輸送力増強をするという計画でございます。われわれはそれを毎年チェックしておりますが、今回の五ヵ年計画発足前、すなわち四十六年度末におきまして大手十四社の最混雑区間を集計して平均しますと、平均混雑率は二〇七%でございました。もちろんこれは平均数字でございますから、線区によりましては二〇〇%を大きく超えているところもございますし、また二〇〇%を割っているところもございます。平均しますと二〇七%でございます。それが年々下がってきておりまして、五十一年度末においては一九九%にまで混雑率は低下させ得る見込みでございます。
  11. 三谷秀治

    三谷委員 私鉄は、沿線住民通勤、通学を初め、社会生活のための住民の足としての公共的性格の高いものであって、利用者に対するサービス改善輸送条件確保などの責務を持つものだと思いますがいかがでしょう。
  12. 松村義弘

    松村説明員 先生のおっしゃるとおりだと思います。
  13. 三谷秀治

    三谷委員 特に五十年十二月の運賃値上げに当たりまして、運輸審議会運賃値上げ根拠として、さっきおっしゃいました輸送力増強旅客サービス向上などを挙げております。運輸省も、六ヵ月ごと経営合理化サービス改善報告を求めてその結果を利用者に知らせる、こう言明してきました。このことはまた五十年十二月五日付の通達にも述べておるところでありますが、これは実施されてまいりました中間的な状況におきまして、どの程度改善が進んでまいりましたか。
  14. 松村義弘

    松村説明員 私鉄各社輸送力増強サービス向上等努力を要請しておりまして、その結果を六ヵ月おきに報告せいというのは先生のおっしゃるとおりでございます。われわれは六ヵ月ごと報告を受けております。最も新しい報告は五十一年の九月に受けております。  それを見てみますと、十四社平均した数字で申し上げますと、自転車置き場の設置、これは五十二年の三月末までに四十四ヵ所設置するという計画を持っていたんですが、すでに六十七ヵ所設置しております。それからホーム屋根、これはホームの一部にしか屋根がなくて、屋根のないところでは雨の際に非常にお客さんが困るということがあって、ホーム屋根を延長してホーム全体を屋根で覆うようにという指導をしたわけでございますが、二十八駅計画しましてすでに三十六実施しております。それからトイレ、これはトイレのない駅があったり、またトイレがあっても水洗になっていないと非常に不便である。こういつた点を考慮しまして指導したのですが、計画は二十八駅改良する、それについては四十二駅実施しております。それから連絡通路、これはプラットホーム、田舎の駅に行きますと線路を横切ってプラットホームの移動をしなくちゃいけない、これは危険なので、その間の連絡橋を整備するようにという指導でございますが、それにつきましては二十四駅計画しまして二十七駅実施しております。そのほか盲人用施設をつくるようにという指導もしておりまして、八十六駅計画しております。これは実施が七十五駅で、実施率八七%、これは目標を達成しておりません。それから身体障害者用施設も同じくなるべく整備するようにという指導をしております。これは十三駅計画しまして、すでに六十六駅実施しております。これは達成率は五〇八%でございます。  そういうふうに私鉄各社から六カ月ごと報告を受けており、われわれはその実施状況を念入りにチェックしております。
  15. 三谷秀治

    三谷委員 その施設改善につきましては後でお尋ねしますが、すし詰めの乗客をそのままにしまして、一部の会社有料座席指定特急運行をふやしてきておるという事実はありませんか。しかもそれによりまして実質的な運賃値上げの効果を上げておるのではないか。特急料金という名目で認可料金の数十%、場合によっては倍にも及ぶ運賃収入を上げておるという事実はありませんか。これは運賃認可制を事実上無効にするものではないか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  16. 松村義弘

    松村説明員 特急料金、それから特急列車のことかと思いますけれども、われわれは特急列車特急料金制度が悪いということは考えておりません。特急特急なりの機能を果たしておりますし、また特急料金制度運賃査定の際に収入等見込みまして、基本運賃低廉化に役立たせております。  先生の、最近特急列車の増発をして事実上の運賃改定を行っているのではないかという御質問かと思いますけれども、いま手元にあります資料ではちょっとその辺つまびらかではございません。ただ、言えますことは、ラッシュ時間帯における特急列車というものは削減する方向で行政指導しております。
  17. 三谷秀治

    三谷委員 いまお答えがありましたけれども特急料金というものは取っている会社もあるし取っていない会社もある。関西私鉄で申しますと、阪急京阪阪神は、特急は出しておりますが料金無料になっている。ところが、やたらに特急本数をふやしまして、それに大変な特急料金を徴収しておる企業が存在しておる。  そこで、問題を具体的に見なければわかりませんが、日本最大私鉄企業と言われます近畿日本鉄道というのがありますが、この実態について少し具体にお尋ねしたいと思う。  近鉄は、御承知のように、大阪奈良、三重、京都、愛知にわたります関西、東海に路線網を持つマンモス私鉄と言われております。この近鉄大阪周辺を初めといたしまして、大都市通勤圏内において通勤時間帯にまで有料座席指定特急を数多く運行しております。ある交通関係誌で見ますと、それにしても物すごい特急密度だ、しかもみんな座席指定有料制というから驚きである、こういう論評を下しておるのであります。この近鉄特急実態について御承知になっておるか。しかもこれだけ特急密度が濃くなってまいりますと、その比率が高くなってまいりますと、これは事実上運賃改定になってくるというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  18. 松村義弘

    松村説明員 近鉄特急運行について御質問がありましたが、近鉄特急、特にラッシュ時間帯にどういう特急運行をしているかということについては運輸省も重大な関心を払っております。それで近鉄にはいろんな線があるのですけれども京都線にはラッシュ一時間に三本の特急、これは特急料金を払う特急でございますが、ラッシュ一時間に三本の特急が入ってきております。それ以外の線、奈良線大阪線、南大阪線名古屋線、この線につきましてはラッシュ一時間に特急の運転はしておりません。これがラッシュ時の運行状況でございます。  それから、ラッシュ時間帯以外のときにどういう特急運行をしているかという御質問も含まれているかと思いますが、いま手元にその辺の資料はございませんが、われわれの方針としましては、やはり一般客利用を不便にするような特急運行は差し控えさせるように、ダイヤ改正の際に指導しております。
  19. 三谷秀治

    三谷委員 指導しているにかかわらず、実態はそうなっていないではないかとお尋ねしているのです。  それで、いま有料特急という言葉をお使いになりましたが、近鉄特急は全部有料なのです。無料特急は一本もありません。全部料金を取っている。しかも、その料金認可制運賃の倍に近いものです。そういう実態にあることを御承知でないわけですか。
  20. 松村義弘

    松村説明員 知っております。
  21. 三谷秀治

    三谷委員 これはそのまま放置しておいていいものですか。
  22. 松村義弘

    松村説明員 特急料金制度といいますのは、やはり運賃原価を算定する際の重要なファクターだとわれわれ考えております。最初に申しましたとおり、特急特急なりの機能を果たしているとわれわれは考えております。また、特急料金を上げることによって基本運賃を下げることができるという機能もございます。したがいまして、われわれとしましては、それぞれの機能を発揮させるように今後も指導してまいりたいと思います。  なお、大阪陸運局の試算によりますと、近鉄の場合に、特急料金が存在することによって基本運賃が一八%低くなっているということもございます。
  23. 三谷秀治

    三谷委員 いまおっしゃいました点は全然具体の事実と違っている。近鉄というのは運賃が最も高い、特急料金も最も高い。しかも、乗客サービスも最も立ちおくれておる。ですから、いまのようなお答えでは納得できるものじゃありません。  また、特急につきまして、原価計算と言っておりますが、特急というのは元来電気使用料が大変安いわけなのです。たとえば近鉄奈良線に瓢箪山という駅がありますが、ここは、最近の宅地造成などによりまして非常に乗降客が多いわけです。ここに準急をとめろ、特急をとめろという住民の要求がありますけれども近鉄はこれを聞こうとしない。なぜ聞かぬかといいますと、そこに車をとめますと、そこから奈良に向かって大変な坂になっておりますから、とめたところからまた起動しますから非常に電気を食うのだ、上りをそこでとめますと坂の惰力で下ってくる分に対して非常に電力を消費するからむずかしい、こう言っている。特急はそういう停車がないものでありますから、原価にしますと各駅停車より安くつくというのが常識になっている。だから、特急原価が高くつくから特急料金が必要なのだという理屈は全く通用しません。  そこで、近鉄は退勤時間帯に数多くの特急を走らせております。後で時間帯をお示しします。しかも、その特急料金普通料金のほぼ倍なのでしょう。どうして倍もの特急料金が必要になってくるのか。関西私鉄で見ますと、阪急阪神京阪特急料金を取っていない。それから南海はごく一部だけです。観光客用として限られた本数だけ特急制度になっている。そうしますと、あの民鉄協会料金値上げの申請は、全部一定の協定に基づいて同率の値上げを要求するわけであって、特急料金を取るところと取らぬところでは料金実態に非常な差が生じてくる。なぜ近鉄だけがそういう状態にあるのか、これが私ども理解ができない点であります。この点についてお尋ねしたい。
  24. 松村義弘

    松村説明員 先生の御認識にいささか誤りがあるのではないかと思いますので、訂正させていただきたいと思います。  まず、近鉄が一番運賃が高いというのは誤解でございます。大手十四社に限っての話にしぼりたいと思いますが、平均キロ当たり賃率普通運賃について全部比較してみますと、一番高いのは阪神でございます。一人キロ当たり八円四十七銭、近鉄は七円九銭でございます。関西私鉄の中ではわりあい低い方でございます。  それから、特急料金制度原価主義に基づいて設定されているという御認識でございますが、これも誤りでございます。基本賃率につきましては原価主義を適用しております。特急料金制度につきましては、提供するサービスの質によって決まっております。特急を設定する際に一番大きなサービス要素は、時間が早く着くということ、時間便益かと思います。二番目は車両がいい、乗り心地その他がいいということ。三番目はおしぼりを提供するというようなサービスがつくことかと思いますけれども、これは本質的な問題ではない。こういうサービス水準に応じて料金が設定されておりまして、原価主義ではございません。
  25. 三谷秀治

    三谷委員 質問の核心について答えてください。いま運賃について、近鉄が非常に安いとおっしゃいましたが、仮に二十五キロまでの運賃を見ますと、阪急が百六十円、阪神が百七十円、近鉄が百八十円になっている。七十五キロまでの運賃で見ますと、南海が四百六十円、阪急が三百十円、近鉄が五百円になっておる。全国私鉄の例で、六十円の運賃乗車距離で見ますと、東急では七キロ乗れるのに、近鉄では三キロしか乗れないという状態になってきておる。また、関西の他の私鉄特急料金を取っていないのに、近鉄だけは全部特急料金を取っておる。しかも、特急の数が最も多いのは近鉄である。こういう事態に対して、いまのようなお答えで納得できますか。これはできやしません。  それからもう一つ、いま乗客サービスの問題をおっしゃいましたから、乗客サービスの問題で申し上げます。  冷房率を見ますと、これは運輸省調査によるものでありますが、五十一年末で阪神が七九・三%、南海が五三・三%、近鉄は三七%なんです。それから、これは五十年十一月の運輸省の発表によるものでありますが、ホーム屋根設備状況は、阪急阪神は一〇〇%ですが、近鉄は九七%ですね。これも決して優秀なものではありません。駅のトイレにしましても、阪神阪急が一〇〇%、近鉄が七九%になっております。両側出口、つまり裏口駅でありますが、これも阪急が八二%、京阪が五三%、近鉄は二二%なんでしょう。自転車置き場にしましても、さっき説明がありましたが、全体のトータルをおっしゃっておりましたけれども阪急が二七%、南海が九%、近鉄は六・五%なんでしょう。ここにも近鉄乗客サービスに対する基本的な姿勢が明確に示されておる。  この種の設備改善は、特に五十年の値上げのときに鉄道監督局長名で要望されたものでありますけれども実態はそういう状態になってきている。しかも踏切の改良について見ましても、安全設備のない第四種踏切というものが阪神は全然ありませんが、京阪は一八%、近鉄は四二%に達している。安全確保乗客サービスという観点から見ましても、最も劣悪であることは明らかなんです。  こういう事態改善理由として運賃値上げをやっている。ところが、実態はこういう状態になってきている。しかも、いま申しましたように、特急本数をやたらにふやしている。金を払わなければ特急に乗れない。一方では金を払わなくたって乗れるのです。ですから、運賃制度というものが、全国一律に認可制によって決定されておるわけでありますが、このような特急をどんどんふやしていきますならば、全国的な、平準的な料金というものが実質的に変わってくる。これに対してはこのまま放置していいとお考えなのかどうか、このことをお尋ねしておる。
  26. 松村義弘

    松村説明員 近鉄につきましていろいろ数字が挙げられましたけれども数字の詳細につきましてはまた後ほどわれわれの方から資料を直接先生に差し上げたいと思いますが、恐らく先生のおっしゃった数字は事実であると思います。  これはどういうところに起因するかと申しますと、先生もよく御承知のとおり、阪神電車というのは大阪と神戸の間を結んでいる電車です。したがって、都市間を結んでいて非常に輸送密度も高い、お客さんもたくさん乗っていらっしゃる。したがって、いろいろな設備投資その他も十分されている。阪急もまた同じであります。京阪も大体同じ性格であります。それらの私鉄に比べまして、近鉄というのは相当広範囲にわたってサービスをしております。都市の近郊におきましては阪神とか阪急とかと似たような性格の線、大都市交通線とわれわれ申しておりますけれども大都市交通線性格を持っておる線もございます。しかしながら、山間僻地に行きますと過疎線国鉄で問題になっております過疎線に当たる線区も持っております。そういったものを一元的に運営しているのが近鉄実態です。したがいまして、各社性格によりましていろいろな安全投資、それを単に数字で見ますと、実態と遊離したようなかっこうになることは否めないと思います。  われわれとしましても、このまま放置するという考え方はございません。もちろん徐々に改善をしていきたいと思っております。しかしながら、すべて投資といいますのは費用がかかります。これはコスト、運賃との見合いですべて考えていかなくてはいけないと思います。われわれはいかに運賃を抑えながら、またいかに乏しい財源を重点的に投資して安全確保輸送力増強輸送サービス向上を行うかということについて指導しております。
  27. 三谷秀治

    三谷委員 いまのお答えも、大変問題を欺瞞する内容になっている。近鉄が非常に広範な路線を持っておることは事実なんだが、乗客が少なくてやっていけないかといいますと、そうじやないでしょう。利益率はどこが一番高いのですか。配当率はどこが一番高いのですか。今日、配当状況を見ますと、近鉄全国最高なんでしょう。九分配当をやっているのです。これは利益一つの裏づけなんでしょう。ですから、いまおっしゃいました南海などは大変低い配当しかやっていない、これは大変業績がよくないようであります。京阪にしましてもほぼ同じ配当であります。阪神などは大変低い。それから阪急は大体近鉄と同程度配当をやっておるわけでありますが、近鉄というのは決して採算がとれなくて業績がよくない会社でないということは、この配当状況を見れはきわめて明確になっておるのであります。  ここで私がちょうだいしました資料によりますと、五十一年三月期におきます配当率を見ますと、近鉄阪急九分なんです。あとは六分なり八分なり七分なりになっている。関西私鉄です。全国的に見ましても九分配当というのはありません。つまり全国最高配当をやっておるということがここで明らかになっておる。だからあなたがおっしゃいますように、路線関係で非常にこれは経営難である、だから料金あるいは特急料金が高いのはやむを得ないという根拠にはなりません。  最近の近鉄状況を見ますと、五十一年三月期におきましては、前年同期と比べまして五〇%の増収になっている。百八億の利益になっている。鉄道部門だけで見ましても前年同期の一〇〇%の増収になっている。これだけの利益を現実に上げているのじゃないか。上げておりながら、特急は全部有料制にしておる。しかもそれはおびただしい数に達しておる。この近鉄特急本数がどの程度あるか、御承知なら御説明願いたい。
  28. 松村義弘

    松村説明員 手元資料を持っておりませんので、後ほど先生に差し上げたいと思います。
  29. 三谷秀治

    三谷委員 このことについてお尋ねしますということはちゃんと昨日申し上げてあるはずだ。特に近鉄についてお尋ねしますということは事前に申し上げてきたはずです。そして特に特急の問題についてお尋ねするということも申し上げてきたはずです。それをいまごろ、委員会になって資料がないとは、一体何事や。
  30. 松村義弘

    松村説明員 私ども先生の秘書の人にお会いしまして、明日の質問はどういうことでございますかということを、きのう質問をとりに参りました。そのとき、秘書の方から伺いましたのは、ラッシュ時間帯における特急運行について質問する、それからもう一つ、南大阪線の九時以降の特急運行についてお伺いする、こういう話を聞いております。したがいまして、それらについての資料手元に持ってまいりましたけれども近鉄全体の特急の問題を提起されるとは思ってもみなかったものですから、その資料は持ってまいりませんでした。
  31. 三谷秀治

    三谷委員 じゃらじゃらしたことを言うんじゃないよ。きのう私も会ったんだ。お越しになったのに、私も申し上げてきたんだ。しかも近鉄の問題をお尋ねすると言えば、それに関する資料は全部そろえてこぬかいな。  近鉄列車の運転本数を見ますと、阿倍野橋−吉野間で見ますと、この間通して走っております電車が五十三本でありますが、特急が十八本なんです。三四%になっている。それから橿原神宮−阿倍野橋間で見ますと、この間を通して走ります電車が六十八本、特急が二十一本です。二九%なんです。京都−西大寺で見ますと、百六十七本走っておりますが、五十二本が特急でっせ。三一%になっている。京都奈良間で見ますと、四十六本でありますが、二十二本が特急ですから、四八%なんです。上本町−名張間にしましても、百三十二本でありますが、四八%の特急率になっている。上本町−大和八木、これは中間ですけれども、この間の通しの電車が百六十五本ですが、六十三本が特急なんです。三八%。大変な率なんでしょう。一方では特急料金無料サービスする。しかも、あなたさっき車両がいいとおっしゃいましたが、冗談じゃありませんで。近鉄の車両がどこがいいんだ。車両がいいのはむしろ京阪あるいは阪神などの方がはるかに優秀な車両を使っている。これは交通関係の専門誌にも出ておりますけれども、テレビカーまで走らせている。しかもそれは無料なんですよ。近鉄のいいのはどこかと言うと、しぼりを出す点だけなんです。そのしぼりが四百円も九百円もするのかね。そういうばかげた話がありますか。これについて速やかに改善処置をとらして、乗客サービスに徹するような指導を強化する必要がある。御意見をお聞きしたい。
  32. 松村義弘

    松村説明員 旅客サービス向上になお一層今後も努めるようにという指導は、強力にいたすつもりております。
  33. 三谷秀治

    三谷委員 そういう正体のわからぬ答弁じゃだめだ。つまり、こういう特急についてどうするかということなんだ。特急本数をこれだけ持っている。三一%も四六%も特急を走らして、その特急料金普通運賃の倍もするならば、事実上これは運賃値上げが行われていることなんだ。それをほったらかしておいていいかということを言っているんだ。それをどうするかと言っているんだ。
  34. 松村義弘

    松村説明員 先ほど来申し上げていることの繰り返しになってまことに恐縮でございますが、特急というものは特急なりの機能を果たしているとわれわれ考えております。それから特急料金というものは、運賃の査定の際の重要なファクターにわれわれ考えておりまして、総コストの中から特急料金を除きまして、したがいまして運賃のコストが下がる。一般基本運賃低廉化に役立つように査定をしております。  もちろん、われわれも特急列車が多くなりまして、それによって一般旅客に対するサービスが低下するということは決していいことであるとは思っておりません。われわれの基本的な方針は、特急特急なりにその機能を生かさせる。そして一般旅客に対するサービスもこれまた努めるという二つの相反するようなことのバランスをいかにとるかということで苦労しているわけでございます。  なお、近鉄運賃は一人キロ普通運賃は七円九銭でございます。もし特急を全廃してしまいますと、ほぼ一八%の運賃改定基本運賃について必要になります。その結果、算術平均だけで非常に恐縮でございますが、八円三十七銭に上がってしまって、国鉄の現行の七円九十銭よりも高くなってしまいます。やはり一八%の一般運賃低廉化に役立っているという機能も無視できない要因かと思っております。
  35. 三谷秀治

    三谷委員 その点についてはさっき触れたでしょうが。特急というものを否定しはしません。特急は否定はしませんけれども、なぜ普通運賃の倍もするような料金を取らなければいけないのか。なぜ他の関西私鉄無料でやっているのか。それを聞いているのです。  それからもう一つは、この特急料金というものを、料金の計算の場合における原価のプールの中に入っているとおっしゃいましたけれども、そしてそれをとれば非常に値が上がるとおっしゃいますけれども、値が上がるというのはどういうわけなんですか。会社がもうからぬから上げなくちゃいかぬというわけですか。会社がもうかっておっても、それは上げなくちゃいけないという意味なんですか。会社がやっていけない場合におきましては、いまおっしゃいました論理が成り立ちますけれども、これだけの利益近鉄は上げておって、それで特急料金を廃止した場合には他の料金を上げなくてはいけないという論理がどこから生まれてくるのですか。全体の会社の経理内容というものは決して行き詰まったものでもなければ、危険なものでもない。それでなぜ特急料金を廃止して、一般料金値上げをする必要があるのですか。
  36. 松村義弘

    松村説明員 まず最初に、他の私鉄有料制特急を走らせている私鉄もございますけれども無料特急を走らせている私鉄もございます。無料特急を走らせているところに比較しまして、近鉄がなぜ有料かというまず第一の質問でございますけれども、やはり料金を取ってもお客さんが乗るということはそれなりの効用があるから乗るのだとわれわれ考えております。ほかの私鉄各社につきましても、取りたい気持ちは恐らくあるのだと思うのですけれども、ダイヤの編成、車両の運行その他を考えますと、お客さんからお金を取るだけの時間便益その他を与えることはできないということから、現行では取れないというのが会社の内情ではないかと考えております。  それから二番目に、鉄道運賃が安くなるという点でございますけれども、われわれは近鉄会社全体の収益、収支採算状況を見て運賃を決めているのではございません。鉄道部門につきまして、鉄道部門だけでもって収支採算をとらせるように運賃を決めております。その際に、特急料金というのは鉄道部門の有力な収入源であると考えております。
  37. 三谷秀治

    三谷委員 鉄道部門近鉄は十分な黒字だということをさっき申し上げたんでしょうが。一番新しい決算、これは昨年の九月期でありますが、これでも鉄道部門だけで七十三億円の利益が上がっているのでしょう。これは有価証券報告書でありますから、そのもの自体が果たして正確かどうか、いろいろな粉飾をしているのはわかっているけれども、それでなお七十三億の利益が上がっているのでしょう。鉄道部門だけでですよ。そういう状態にありながら、なぜ特急料金というものを、それほどべらぼうなものを取らなくちゃならぬのか。あなたの答弁はその説明にはなりませんよ。
  38. 松村義弘

    松村説明員 われわれの方は、大手民鉄につきましては、鉄道部門の経営状態を逐一チェックしております。鉄道部門の収入、それから鉄道部門の支出、そういうものを勘案しまして、最後に収支率というところで総合的に見ておりますが、収支率一〇〇%というのは収入と支出、収入と原価がちょうど見合っている状態でございます。近鉄について申しますと、五十年度の実績では、鉄道部門では収支率は九五・八%でございます。これは四・二%、コストを賄っていない、収入不足であるということでございます。それから五十一年度につきましても、その後のお客の伸びその他をずっと逐一報告を受けておりますが、現在の予想では、五十一年度におきましては、収支率は一〇〇%を一ないし二%を超す程度改善されるものと考えております。したがいまして、先生がおっしゃっております鉄道部門で大幅な黒字と申しますのはどういう数字をもって言っているのかよくわかりませんけれども、われわれの方の計算では、鉄道部門について見ておる限り、近鉄は、五十年度は収入不足、五十一年度はほんの少しの収入超過が出る、そういうふうな認識でございます。
  39. 三谷秀治

    三谷委員 私が言っておりますのは、この有価証券報告書でお尋ねしている。ですから、これについては決して正確な数字を出すものじゃない。必ず適当な修正を加えている。それでも黒字になってきている。  それからもう一つの点から申しますと、鉄道部門だけで計算すること自体が問題なんですよ。たとえば近鉄で言いますと、たとえば東生駒団地だとか、学園前の団地だとか、平城団地だとか、無数の団地をつくって、そこに電車をとめて、そして土地の値をうんとつり上げてかせいでいる。鉄道部門と切り離して兼業部門の収入を見ることはできないんだ。その点から見ますと、鉄道部門だけという計算自体に問題がある。しかし、鉄道部門だけでも十分な採算がとれておる。  それでいまさっきあなたは、金を払っても特急に乗っているから必要があると認める、こう言っているのだ。乗らざるを得ないから乗っているのでしょう。近鉄というのは、御承知のように、阪神京阪などのように競合路線があるわけじゃないのだ。全くこれは独占支配しているわけなのだ。そのためにこれに乗らざるを得ないわけだ。しかも、ダイヤの組み方が特急が非常に多くてその他の電車が少ないために、どうしても特急に乗る。こういう状態が実情なんです。たとえば通勤時における有料座席指定特急運行を見ますと、これは前にも申し上げました南大阪線だけじゃありませんよ。近鉄京都線におきましては八時台にも二十分間隔で特急が出ておるのでしょう。退勤時の五時から八時になりますと、十五分間隔で特急が出ているわけなんだ。全部有料なんだ。名古屋−四日市間におきましても五時から八時台には二十分おきの特急が出ている。上本町−八木間では五時から八時台までで十本の特急が出ているわけだ。こういう状態になってきておる。午前中のラッシュ時を見ましても、七時から九時までの間に四日市から名古屋に向けて四本出ている、西大寺から京都に向けて七本出ている、八木から大阪に向けて四本出ているのでしょう。これでは普通電車運行が減少するのはやむを得ないでしょう。不可欠になってくるじゃないですか。ですから、急行に乗りおくれますと、その次の特急に乗らなければ次の急行まで四十分待たなくちゃいけないというようなところがあるのでしょう。これでは普通電車混雑率が高まるのは当然であります。それを避けるために大変な料金を払って特急に乗るのはあたりまえのことなんだ。  そのようにしてそれに乗らざるを得ない状態をつくっておいて、それでお客さんが乗るからこれは仕方がないのだ、こういうことを言っている。そんなことで、あなた、物価問題の解決ができますか。特急に高い金を払って乗ることを余儀なくされておるわけなんだ。  しかも、特急料金というのは陸運局長認可するのだそうですか、そうなんですか。運賃は運輸大臣が認可する。ところが、特急料金というのは地域の局長認可権を持っていると言いますが、この点はどうでしょうか。  最後の分だけ答えたらあきませんで、初めから全部答えてもらわぬと。
  40. 松村義弘

    松村説明員 では、まず最初に、先生が有価証券報告書で五十一年度上期七十三億五千四百万の利益が出ているという点でございますが、この有価証券報告書に出ております。十三億五千四百万というのはわれわれも報告を受けております。私が申し上げております鉄軌道部門の損益というものは、この有価証券報告書の鉄道部門の損益とはいささか違っております。どこが違うかといいますと、有価証券報告書の鉄道部門の損益というのは営業損益でございます。したがいまして、これには利子の関係が入っておりません。配当関係が入っておりません。したがいまして、利子、配当というものは会社にとってやはり必要不可欠なものでございますので、それを算入した後でないと鉄軌道部門の本当の収支というものはわからないと考えております。私たちはそういう利子それから配当というものを全部入れまして、それで鉄道部門の損益というものを見ております。それによりますと、五十年度の実績は収支率が九五・八%、それから五十一年度はまだ決算は出てないので正確な数字はわかりませんけれども、われわれが逐一報告を受けているところから推定しますと、一〇一ないし二%の収支率になる、そういうふうに考えております。  それから、ラッシュ時間帯において特急運行し過ぎているのではないかという話でございますが、私どもラッシュにつきましては、一時間単位でもってラッシュ一時間の混雑率という考え方をとっております。ラッシュ一時間の混雑率で見ますと、奈良線につきまして一番混雑する区間は河内永和−布施間でございます。これにつきましては、列車を二十五本一時間に投入しまして、混雑率は一九〇%でございます。これは定員の二倍——二〇〇%がちょうど定員の二倍ですので、一九〇というのは二倍弱ということでございますが、そういう状態でございます。一九〇%ですので、この区間には特急を入れておりません。次に大阪線でございますが、俊徳道−布施間が一番込んでおります。これにつきましては、ラッシュ一時間に二十四本の列車を入れております。混雑率は一九〇%、同じく特急を入れておりません。南大阪線、北田辺から河堀口間が一番込みます。これは一時間に二十九本の列車が入っておりまして、混雑率は一八八%、同じく特急はございません。それから名古屋線は米野と名古屋の間が一番込んでおりまして、一時間十八本の列車を入れております。混雑率は一九九、これも特急を入れておりません。問題になりますのは京都線であろうかと思います。京都線につきましては、一時間に二十本の列車を入れております。現在の混雑率は一七六%でございます。それで一般列車だけの混雑率を別にピックアップして集計しますと、十七本入っておりまして、一八六%の混雑率になっております。したがいまして、まださほど込んでおる状態ではないと思いますので、特急の運転がされております。  なお、これにつきましては、今後輸送力増強しないと、旅客の増が見込まれますので、混雑度が激しくなると考えております。それにつきましては、近鉄の方を指導しまして、一般列車の増結をする、もしくは列車本数をもっと一時間に入れるようにするという改善策を検討させております。
  41. 三谷秀治

    三谷委員 核心に触れた答えをしてくれませんか。いまあなたが説明をしました、特急は走らしてない区間というのはあたりまえの話であって、二駅か三駅しかないところをどないして特急を走らすんや。たとえば俊徳道と布施だとか、それからもう一つ小阪と上六を言ったんですか、そんなの駅が、たとえば俊徳道と布施と言えば、間に二つしか駅があらへんがな。そんなところ特急が走らぬのはあたりまえのことじゃないか。そんなごまかしを言うんでなしに、これだけべらぼうな本数特急を走らして、しかも大変な特急料金を取っておる。他の私鉄と比べても、乗客にとっては大変な負担になってきている。それについてこのままほうっておくのかと言っているのだ。改善する必要があるのではないかということを言っているのであって、近鉄沿線住民がなぜそのような不合理な料金制度によって特別な負担を強いられるのか。私鉄全体の問題はありますが、きょうはそれに触れるわけじゃないが、そのことを言っているわけだ。いまあなたの説明を聞きますと、すべてこれは私は首肯するものじゃありません。  それから、さっきの配当の算入だとか支払い利息算入のことをおっしゃいましたけれども、これは確かに存在するでしょう。しかし、それは、要するに配当なんというものは、元来もうかっていないのに計算すること自体が間違いであって、しかも全国最高配当をここに加えてきておる。そういうことをしておっていろいろおっしゃっても、これはなかなか国民は納得するものじゃありません。  あなたの態度を見ておりますと、客観的に事実を聞いてそれに基づいて判断するのでなしに、一貫してこの近鉄を擁護する立場になって物を言っておるじゃないですか。近鉄のことは、私、住んでおるから一番よう知っておるんだ。ところが、いまのように、二つか三つしか駅のないところを特急が走っていないなんてばかな説明をやっているんだ。そんなことに時間をつぶすのでなしに、他の私鉄と比べてきわめて不合理である、これをどのようにして是正するのか、しなくたっていいのか。サービスの問題にしたって、さっき言いましたでしょう。便所にしたって、踏切にしたって、ホームにしたって、全部劣っている。自転車置場にしたって劣っているんだ。しかし、配当は、これは全国一なんだ。そういう状態が放置されていいのかということを言っておるわけだ。そこの基本のことを言いなさい。枝葉末節の問題をあれこれあれこれ言って責任逃れをするのでなしに、間違ったことは間違っておる、よくないことはよくない、正すなら正すという態度をとるのがあなた方の公正な立場じゃないのかな。だから、説明員じゃだめだと言っておるんだ。政府委員出なさいと言っておる。だれかかわりに責任のある答弁ができるというから、承知したんですよ。
  42. 松村義弘

    松村説明員 先生は、たとえば大阪線で俊徳道−布施間の混雑率を私が申し上げたときに、俊徳道と布施の間だけで列車がピストン往復をしているというふうに誤解をなすっているようでございますけれども、これは私の説明が不十分でございました。列車というのは相当遠方から連続して走ってくるものでございます。  それから、基本的にわれわれが特急についてどう考えているかということにつきましては、再三再四申し上げましたとおり、特急には特急機能が存在すると考えております。また特急料金というものも、それは基本運賃の軽減に非常に役立っておるものと思っております。問題は、その特急運行一般客の犠牲において、一般客サービスを削ることによって行われておるという実態があってはいけない。その点につきましては、陸運局でよく現状を見ながらダイヤの改正をしておるところでございます。
  43. 三谷秀治

    三谷委員 この改正したダイヤについて問題を提起しているんじゃないの。たとえば、いまあなたは特急というものが普通車の混雑には影響がないと言うけれどもラッシュ時にまで特急がどんどん走れば、普通車が制限されるのはあたりまえやないか。時間帯としてもこれは問題があるでしょう。そういう点からしまして、近鉄特急は非常に数が多いということだ。全国で最も数が多いでしょう。しかも料金を全部取っているんでしょう。その料金が安くないんでしょう。配当全国最高なんでしょう。サービス全国で最も悪いでしょう。しぼりだけやっておるよ。そういう状態に対して、それをいろいろな口実を設けて弁護するのでなしに、厳密にこれを調査して、事実を調べた上で、私の言っておるのはこれは事実だ、しかし、なおあなたの方が調査できていないというなら、それを調べた上で、是正するなら是正するというのがあたりまえじゃないの。特急特急機能を持っておる、そんなことはだれでも知っておるよ。しかし、その特急の通過列車が多いために、途中の乗客にとりましては、非常に普通車の混雑の原因になってきている。しかもその特急料金が非常に高い。そこのところを問題にしておるわけです。無料で走らせれば問題はないですよ。無料で走らせるにしたって、短距離旅客、通勤通学客に大きな影響が出れば別ですけれども、出ぬ限りは、無料で走らせれば問題はないけれども、高いんでしょう。近鉄特急料金、何ばか知っていますか。
  44. 松村義弘

    松村説明員 特急料金につきましては、たとえば阿倍野橋と橿原神宮間でございますと、普通運賃が二百六十円、それに対して特急料金が二百五十円になる。先生がほぼ二倍になるとおっしゃっているのは、事実であると思います。  それから、私が申しておりますのは、運輸省は決して直さないと言っておるのではなくて、問題は逐次陸運局において把握して、問題があればやはり直さしている、強力に指導していると私は申し上げているつもりでございます。どうも説明不足で、先生の誤解を招いているようで残念でございます。
  45. 三谷秀治

    三谷委員 指導しておってもこういう問題があると言っておるのじゃないか。この問題に対してどうするかと言っておるのだ。それに対して、いままでは陸運局が調べて指導していますということで、答弁になりますか。
  46. 松村義弘

    松村説明員 われわれが近鉄特急について一番問題にしておりますのは二ヵ所でございます。一つは、ラッシュ一時間帯において京都線に三本入っているという事実でございます。これにつきましては陸運局においても事態を重視しまして、近鉄の方からいろいろ事情聴取をしております。その結果、現在これは一時間に二十本運転しているわけでございますが、大体列車のダイヤは一時間に二十四本ぐらいは入るのでございます。したがいまして、列車の増発は可能である。これを一般列車を増発して一般客サービス向上に役立てようということを考えております。これにつきましては、沿線の開発状況その他をにらみ合わせまして逐次やっていくということになっております。  それから、もう一つの問題点と申しますのは、南大阪線でございます。南大阪線の午後九時以降に橿原神宮方面に行く列車のことでございます。これにつきましても、やはり最近夜遅く帰る方がふえておりますので、そういう人たちが特急が出た後非常に長い時間待たないと同じ方向に行く準急、急行は出ないといった事実がわかっており出すので、これにつきましても急行列車の増発をするように考えております。  こういうように陸運局は逐次問題を把握しまして、それで適切な指導をやっておるわけでございます。
  47. 三谷秀治

    三谷委員 いまのおっしゃる点は、確かに一つ改善なんです。阿倍野橋を出る分が急行が非常に早く終わるために、あと急行の最後が出てから特急が二本出る、それに乗らなければ、あとは普通車でなければだめだ、こういう状態がある。これはもちろん改善しなくちゃいけない。  それから、ラッシュ時の運転というのは、京都奈良線だけじゃありません。さっき言ったでしょう。ほかの方にもあるんだ。時間を挙げてさっき本数を言ったでしょう。それが間違っておれば間違っているとおっしゃってください。事実であれば事実であるとして、それはラッシュ時における特急運行でありますから、これについても是正をするならする、そういう態度を明らかにしてほしい。もう時間がありませんが、簡単に答えてください。
  48. 松村義弘

    松村説明員 従来とも問題点の把握に努めておりますが、先生の御指摘もありましたので、今後もなお一層問題点の把握に努めて適切な指導をしてまいりたいと思っております。
  49. 三谷秀治

    三谷委員 相変わらず一般的なことばかり言っておるわい。  そこで、もう時間ですから、最後にお尋ねしますが、私鉄は陸上交通事業調整法に基づきまして独禁法の適用除外となっておりますね。ですから、カルテルを公然と認めておる。事業区域を独占したりすることを保障しておりますが、そのため、近鉄のように競合路線のない私鉄というものは、いま言いましたような非常な横暴をやっている。その横暴といいますのは、特急をむやみにふやして、約倍に近い料金を取っている。事実上これは料金の倍加に値するわけであります。それから、これは公取の関係じゃありませんけれどもサービスが全然劣っている。そういう状態が放置されております。ですから、値上げにしましても、民鉄協会の一括申請によりますから、そういうことをやっておっても、運賃は一括して何%と上がっていくわけだ。それに対して特急料金を次々上げていく。五十一年十二月に二百円を二百五十円に上げている。そういうことまでやってきている。これにつきましては公取委の意見としましては、これを独禁法の適用除外とすることが果たして妥当なものであろうかという疑問を私どもは持たざるを得ぬわけであります。各社のそういう条件が非常に違っておるわけでありますから、それに対して一体どのようにお考えになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  50. 澤田悌

    ○澤田政府委員 御承知のように、独占禁止法二十一条ですか、私鉄につきましては適用除外となっておるわけであります。それについて、運賃の変更等について主務大臣がどういうものについてどういう監督をし、どういう認可をするかという問題になるわけでありますので、現行法といたしましては独占禁止法の守備範囲の外の問題でございますが、立法論といたしましてどうかというお尋ねでございます。これに的確にお答えすることはなかなかむずかしいのでありまして、第一次的には、適用除外になっておるのですから、主務大臣の監督のもとに問題の起こらないように処理していくというのが現状においては最も望ましい、私の私見としてかように考えるわけでございます。
  51. 三谷秀治

    三谷委員 この問題はまた繰り返しますと時間を食いますから置いておきますが……
  52. 松村義弘

    松村説明員 先ほど先生の御質問でちょっと事実と違う点がありますので、御認識を促したいと思います。  私鉄各社運賃認可申請は私鉄各社から運輸大臣になされます。これは民営鉄道協会から一括して来るものでもございません。そういう申請に基づきましてわれわれは各社別に原価を査定しております。したがって、現在は各社別に賃率が違うということをひとつ御了承願いたいと思います。
  53. 三谷秀治

    三谷委員 昨年の五月に革新共同の田中議員が質問主意書を出しましたが、これに対して中部管区行政監察局が調査された、この調査に基づいて問題が出てきて質問主意書になったわけでありますが、行政監察局としましてはいまのような事態につきましてどうお考えなんでしょう。調査されてみますか。
  54. 佐倉尚

    ○佐倉説明員 ただいま先生から御指摘のございました、近鉄を中心にしました種々の実態につきましてただいま承っておったところでございます。一般論としましては、輸送機関が利用者サービス確保に努めることは当然だと考えておりますけれども、個々のケースにつきましては利用者利用の形態等も十分考慮して考えていくべきものだと考えております。  中部管区で行われました監察につきましては、主として安全面をやったのでございますけれども特急の問題についても若干触れております。
  55. 三谷秀治

    三谷委員 近鉄はどうするか、やるかと言っているんだ。
  56. 佐倉尚

    ○佐倉説明員 監察をやるかどうかという御質問でございましょうか。これにつきましては、ただいまいろいろ運輸省の方でも改善を考えているような事項もあるように聞いておりますので、それらの運輸省の対応をまず見守っていきたいと考えております。その後監察の必要があるかどうかについても考えたいと思います。
  57. 三谷秀治

    三谷委員 時間ですから、残念ですけれどもこれで終わらせていただきます。  大臣、大変退屈させましたが、お尋ねしたいと思いましたけれども、ちょうど時間が切れましたので、あしからず、お許し願います。
  58. 西宮弘

    西宮委員長 三谷秀治君の質疑はこれで終わりました。  次に、野口幸一君。
  59. 野口幸一

    ○野口委員 私は、わが国の流通機構の現況と展望について若干質問をしたいと考えます。関係の各位はもちろん私よりも専門家でありますから、質疑はきわめて簡単に申し上げますけれども、御答弁に当たりましては詳細にかつ親切にお教えをいただきたいと思うのであります。  私としましては、物価対策特別委員として今後流通関係問題を中心にひとつ勉強させていただきたいと思っておりますので、この流通問題に関係して起こっている現況の諸問題を解決するに当たりまして、まず基本となるべき問題をひとつお教えをいただいておかないと、間違った基本理念で物事に当たるということになりますと、かえって煩瑣にもなり、私自身にとりましても問題を横にそらしてしまうようなおそれがありますので、ひとつきょうはこの問題の中身を詳しく御説明をいただくということに主眼を置いて御質問を申し上げますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  私が申すまでもないことでありますけれども、また流通問題は非常に複雑でありまして、また一面怪奇とまで言われるものでありますが、産業の消長、ひいては物価の安定などに非常に強い影響力を持っておる課題でございます。これが近代化と申しますか、あるいはまた合理化といいましょうか、いずれにしましても現況を改善していく方向にとられてきておるわけであります。今日の段階にありまして、全般的にその形態と内容はどのような事情にあるか、こういうことについてお尋ねをいたしたいのであります。  流通機構と簡単に申しましても、非常に幅の広いかつ内容的にも複雑でございますから、お答えが非常に散漫になるかもわかりませんけれども、全体的にお答えをひとついただいて、特に食品関係の流通機構について、その現況はどうなっているかということについてお聞かせをいただきたいと存じます。
  60. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 生鮮食料品の流通の問題についてのお尋ねでございますが、生鮮食料品の流通の過程の特色は、基本的にいいますとかなり労働集約的な特質を持っておりまして、労賃なり輸送あるいは資材のコストアップというのが全体の流通コストの引き上げに強く影響するという特質を持っておりますので、私どもとしましては従来から流通の近代化というのを図るために、より安く、よりよく、より安定的に生鮮食料品を供給するという課題をやっておりますけれども、そのほかに、最近ですと、食品の品質の保護とかあるいは消費者情報の充実というような、多面的でかつ幅広い要請にこたえていかなければならないと考えております。最近、そういう形で私どもとしてはやっておりますけれども、一番基本的な考え方といたしまして、生鮮食料品というのは卸売市場を通過するものとか、卸売市場を通過しないで産地から直接に消費地に向かうものもございますが、全体として私ども考えておりますものの中では、卸売市場を通過する生鮮食料品で野菜等につきましては九割くらいあるわけでございます。そこで、そういうものについてはやはり卸売市場の整理ということを考えております。  なお、実態的にちょっと数字を申し上げますと、生鮮食料品は、四十八年の数字でございますが、青果物で一千八百万トンございます。それから水産物で七百五十万トン、それから食肉で二百二十万トンというふうに、膨大な流通の規模になっております。その関係者も、生産者、その団体、流通業者、運輸業者、消費者団体、広範にわたっておりまして、流通関係業者だけでも、流通卸売業者が約二万人おります。それから小売業者が十六万人おります。常時従事者が四十六万人というきわめて多数に及んでおりますので、こういうあたりの流通の効率化、近代化を図るという考えでやっております。
  61. 野口幸一

    ○野口委員 わりあい親切に答えていただいたんですけれども、もう少し大臣からでもお聞きをしたいと思います。流通関係を現在の産業形態の中にあってどのような位置づけをし、さらにまた、将来この問題をどういうふうにといいますか、展望としてどうお考えになっているかということを、ひとつ基本的にまずお伺いいたしておきたいと思います。
  62. 倉成正

    ○倉成国務大臣 野口委員もお話しのとおり、流通問題というのは非常に複雑な問題で多岐にわたっております。したがいまして、これを一言で流通機構の改善と申しましても、なかなか多くの問題をはらんでおるわけでございますが、非常に素朴に考えてまいりますと、食品流通については、安くてよい品物を一体どこで買うかということに尽きるかと思います。したがって、百貨店で買ったり、スーパーで買ったり、一般小売商でわれわれは生鮮食料品やその他の食品を買っているわけでありますが、それがどういう形で合理的に行われているかということに尽きるかと思うわけであります。そういう目的のために、一体これからどうしたらよいかというのが食品流通の課題であろうかと思います。また、これが物価問題に非常に大きな影響を及ぼしているという点は、委員の御認識と全く私どもも同感でございます。  したがいまして、一般的なことを申し上げますので、あと細部の具体的な問題につきましては、また農林省その他の当局からお答えをいたしたいと思いますが、生鮮食料品を中心として考えてまいりまして、改善、合理化のポイントということになりますと、一つは、やはり卸売市場の整備ということではないかと思います。これは、たとえば施設の整備拡充というようなもので、東京で例をとりますと、築地とか神田とか、こういう市場が比較的人口の少ないときにつくられた市場で、だんだん周辺の市場も整備されてまいりましたけれども、やはりもう少し近代化され、合理化され、機能を果たしていくということは一つの課題じゃないかと思います。先般、農林大臣と御一緒に築地や神田の市場に参りましたときも、市場の関係者からもそういう御要望がございました。  それから第二番目は、やはり小売業の近代化という問題で、仕入れ、配送を共同化するという問題だと思いますが、これは一言で申しましても非常にむずかしいことだと思います。しかし、それでも最近、魚や野菜等、小売店で共同で仕入れするということも、先般の市場視察の際に関係者から伺っております。  それから三番目は、産地直送等の新しい流通経路の問題。スーパーの一部でこういうことを行っているところもございますし、これらの問題をどう位置づけるかという問題があろうかと思います。  第四番目は、産地、消費地における需給調整施設の整備ということで、生鮮食料品、野菜などに至りますと、これは天候の関係もありますけれども、一遍にどっと出ると値段が安くなる。そしてまた、少ないときには非常に値か高くなるということで、どうしても価格の乱高下があるわけであります。したがって、こういうのをもう少し何か調整できないだろうか。調整できる品目とできない品目がありますけれども、少し保存のきくものについて調整の方法がないか、あるいは出荷等についてもう少し調整の手段がないだろうかという問題でございまして、生産者の方は市場の状況を見ながら出荷するわけですけれども、なかなかきちっとした出荷の調整というのはむずかしいというのが現状でございます。  それから五番目には、やはり生鮮食料品の効率的な流通に資する物流の技術の開発促進、たとえばコールドチェーンみたいな物流の技術を開発するという問題。これも、一部分だけ整備されましても、なかなかコールドチェーンうまくいかないわけでございますから、やはり相当総合的なビジョンがなければ、これはかえって混乱するだけだと思いますが、そういうものが中長期的なものとしては大切なことの一つではないかと思います。  それから第六番目には、消費者対策の充実ということで、やはり消費者に情報を提供するということが非常に大事なことの一つになるんじゃないか。ちょうどトイレットペーパーや洗剤という問題で狂乱物価のときに非常な混雑をいたしましたけれども、これはある面において情報不足ということも大きな原因であったと思いますので、やはり的確な情報を消費者の方に提供する、そういう機能の充実ということ。  あるいは取引の規格を簡素化するということで、大分規格の簡素化は行われつつありますけれども、まだ非常に規格がいろいろあるという問題。  以上申しましたほかにも、まだ多くの問題があろうかと思いますけれども、こういう問題を総合的に、また各商品の特性に応じながら細かく実施をしていくということが非常に大切なことではないかと思う次第でございます。  しかし、いま申しましたことは、全く一般的な抽象的な議論を申し上げておりますので、われわれとしても、各品目について全部を一遍にはやれませんけれども関係各省と御相談しながら少し掘り下げた勉強をしていきたいと思っておりますので、また野口委員でいろいろお気づきの点があれば、ひとつお教えをいただきたいと思います。
  63. 野口幸一

    ○野口委員 お聞かせをいただきまして気がついたのでありますけれども、たとえば私自身が全くの素人であるということを前置きいたしましたけれども、今日ちょっと流通の状況を端的に見せていただいたといいますか、検討させていただく機会を得たわけでありますけれども、どうも必ずしも順調にかつ良好にいっている、近代化が進んでいるということには思えない。特に、近代化を図るという姿勢あるいはそういう方向は私も結構だと思うのでありますけれども、それがやや場当たり的にといいますか、散漫にといいますか、そういうように行われておりまして、機能全体は全般的に行われれば非常に役立っものであるけれども、たとえば一つのルートの中に三ヵ所なら三ヵ所必要だというものが一ヵ所しかできていない、あるいは手がつけられていないためにその一ヵ所の機能が一〇〇%生かされていないという状況。たとえば先ほど大臣がおっしゃったように、卸売市場の整備ということがございましたけれども、これはただ一ヵ所だけできるとか、あるいは東京なら東京だけできるとか、あるいは東京でも一つだけできるとかいうようなことがありまして、全体にでき上がっていないがためにその機能を一〇〇%発揮させることができない、こういうようなことがあるんじゃないかと思うんです。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  こういうことを考えてみますと、特に食品関係の流通のシステム化と申しましょうか、多くの構成要素を一つの有機的組織体に形成をしていくという、こういう目的を達成させるために、そういう機能を十分につけていこう。ばらばらになっている要素を断片的に処理するんじゃなくて、あくまでも一定のビジョンのもとで規格化して、それを近代化していく方向というものをひとつ経済企画庁あたりで示して、こういう形の中で、どの部分からどの年度においてはどういう形にというような一定のビジョンといいますか、プロセスといいますか、そういうものを明らかに出していただく方がいいんじゃないだろうか。将来について、特に食品流通機構の全般的な近代化について大臣自身がお考えになっている方向というものがあるとすれば、ひとつお聞かせをいただきたい。もしも大臣自身がなんでしたら、関係の方からお答えいただいて結構です。
  64. 倉成正

    ○倉成国務大臣 非常にむずかしい問題でございますので、関係の専門の方からお答えした方がいいと思いますが、小売店などの問題になりますと、やはり雇用の問題、いわゆるなりわいということで、全国非常に多数の方たちが乏しい収入でこれで生活をしているという問題があるわけでございます。したがって、仮にビジョンを描きましても、これを実際実施していくということは非常に社会的な問題をはらんでいるということでむずかしい問題と思いますが、やはり大筋の大きな物流その他の流通の近代化を図っていくということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、恐らく生鮮食料品になりますと農林省の方からお答えした方がいいかと思います。
  65. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 先ほどお答えをいたしましたように、生鮮食料品はかなり膨大な数で、しかも非常に多品種でございまして、それがいわば多くの手を経まして全国縦横に流通をいたしております。ただ、特に生鮮食品の場合は、生産をする農家の場合でも消費をする消費者の側でも、その主体が非常に零細でございまして、しかも多数ございます。しかも生鮮食料品そのものは非常に腐敗しやすいし、規格化がなかなかむずかしいといういろいろな特性がございまして、それを大量にかつ効率的に流通させるというのが私たちの基本的な考え方でございますが、そのためにはいわば卸売市場というものをつくり上げ、あるいはそれを整備して大量の現物を迅速に集めたり、分けたり、あるいは関係業者の間の代金の決済を迅速に行うとか、それに必要な情報の交換をするとかいうような機能が必要であります。  そういう意味で、私ども農林省としても、卸売市場法の中で全国的な卸売市場の整備計画というのを、そういう基本方針をもってつくっておるわけでございます。いまは五十一年度から六十年度までの十年間でございますけれども、第二次の中央卸売市場整備計画というのがございまして、現在は五十年度末で八十市場でございましたが、それを六十年度末までに百一市場に整備しようと考えております。その整備の内容は、一つは新設の開設者が新設をする市場が十三ヵ所、二番目に既設の開設者が新設する市場が二十六ヵ所、その中で新設に伴う統廃合が十八ヵ所ございます。三番目に既設市場の増改築六十六ヵ所というように予定をいたしておりまして、これに要する総事業費として約五千四百億円を予定いたしておるところでございます。
  66. 野口幸一

    ○野口委員 できればもう少しくその内容をお聞かせをいただきたいのですけれども、その新設とかあるいは増改築、統合等の内容の主なるものといいますか、たとえば冷蔵冷凍装置というようなものを拡充強化するとか、そういう主眼点というものを置いておられますかどうか、お聞かせいただきたい。
  67. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 私どもがやっております内容でございますが、もう少し詳しく申し上げますと、要するに、卸売市場の整備の内容と申しますのは、補助を受ける団体はこの市場開設者、つまり地方公共団体、要するに都道府県でございますとか、それから市もございます。東京都なんというようなものでございますが、それに対する補助内容は、基幹施設と関連施設と付属施設というように分かれております。  基幹施設というのは、卸売市場の建物のようなもの、あるいは仲卸の建物、あるいは倉庫とか冷蔵庫というような流通関係業者の扱う商品の保蔵をするところが基幹施設でございます。これに対しては、新設市場の場合には十分の四の補助金を出しております。それから既設市場の場合は三分の一の補助率で補助金を出しております。  それから関連施設でございます。関連施設といいますのは、たとえば競りの機械の設備だとか、あるいは鉄道の引き込み設備だとか、電気通信、給排水設備、搬送設備というようなものでございますが、こういうものは、新設市場で三分の一の補助率でございます。既設の市場で四分の一の補助率でございます。  それから最後に付属施設、つまり管理事務所等の建物とかあるいは加工設備につきましては、新設市場で四分の一の補助率、既設市場で五分の一の補助率というようになっております。  ちなみに、そういう形で中央卸売市場の整備事業に要する経費として、五十一年度で言いますと、百三十五億円の金額を計上いたしました。そのほかに、要するに建設者が地方債の起債ができるように、地方債の起債枠といたしまして四百三十四億、それからそのほかに農林漁業金融公庫からの貸し付けを百三十億、枠として用意いたしておるという形になっております。
  68. 野口幸一

    ○野口委員 非常に膨大なものでありまするから、必ずしも私も全部つかめたとは言い切れませんけれども、およそ主眼としておられるところ、いわば卸売市場の拡充整備という点について一定の理解をいたしました。  そこで、先ほど私が申し上げましたビジョン関係で、これは全く私自身の考えでありますけれども、たとえば卸売市場を拡充されまして、あるいはまたそれに整備を加えていきましても、先ほどもおっしゃったように、生産地と消費地がそれぞれ非常に細分化されている中にありましては、それだけでは必ずしも流通機構がよくなったというわけにはいかないし、流通に要するマージンが安くなったということにもならないだろう。この間もちょっと神田へ参りまして聞いたところによりますと、たとえば冷凍設備ができても、なるほど保存をする期間は長くなる、だから在庫量をある程度持って日々の変動を抑えることができる、前の日の入荷が少なくて五百円で次がたくさん入ったから三十円というようなことがなくなって、ある程度平均化していくことができるだろう、しかしながら、冷凍設備を維持していかなければならないので、そのコストが大分かかるだろう。そうすると、それをどこで持たせていくのか、結局それを商品に当てはめるならば物は安くならない、こういう卸売市場の開設あるいは新設、改善をしてもらっても物価そのものには影響がない。ただ、お客様に、きのうは百円だったものがきょうは三十円、あしたは七十円といった日々の価格の変動を抑えることには役立つだろうというお話がございました。私もそのことにうなずいて帰ったのでありますけれども、そういう点から考えますと、中央卸売市場の整備だけで流通機構の問題が解決するとは思えない。とすると、消費者の立場からいいますと、先ほどもちょっと大臣が触れられましたが、非常に便利だという言葉がまずは消費者の側からあるわけですね。新鮮なものがより安く近くで手に入る、これが消費者から見れば一番ありがたいことなんだけれども、そういうことに対する農林省としての施策はあるのでしょうか、それともお考えになったことがあるのか、あればちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 まず最初の方の問題ですが、卸売市場だけを先ほど申し上げましたけれども、私どもの生鮮食料品の流通近代化関係は卸売市場だけではございません。生産から流通、消費まで体系的に整備をいたそうと考えておりまして、たとえば、私ちょっと試算をいたしましたけれども、農林省の予算の中で生鮮食品の流通近代化関係の予算を拾ってみますと、これはいま国会で御審議いただいております五十二年度予算で言いますと、全体で大体三百二十一億ばかり計上いたしております。その中で、生産者段階と目すべきものが百三十三億でございます。それから卸売段階で百五十六億でございます。三番目に小売段階で九億円でございます。その他大臣のお話しになりましやような物流の効率化のために約四億円でございます。それから五番目に生産者から小売段階まですべての段階にかかる一般的なものといたしまして約十九億円を予定いたしております。なお、ちなみにその三百二十一億円は五十一年度でいいますと二百七十七億円でございますから、そういう形で拡充をいたしております。  二番目の冷蔵関係の御質問については、私どももやはり生鮮食品の品傷みを防止し価格の安定を図りながら安定的な供給を図るという意味で、冷蔵施設の意味というのは非常にあると考えておりまして、農林省でも生鮮食品、青果物から水産物まで含めまして、私たちちょっと概算いたしますと、冷蔵庫等の設備の建設に、コールドチェーン関係の予算、こう呼んでいいと思いますが、そういうコールドチェーン関係の予算として、そういう野菜等の青果物、水産物に至るまで入れましての冷蔵庫等の施設の建設、大体百二十億円ばかりを五十二年度予算の中で計上いたしております。そういうものがいまお尋ねの点の、冷蔵庫のいわば建設費の補助という形になるわけでございます。そうしますと、それだけ建設をする関係流通業者の負担が軽くなって、冷蔵する経費あるいは冷蔵経費の中の一部を国で負担するというような形になりますから、そういう意味で末端でのコールドチェーン化に伴う負担をできるだけ少なくするというような配慮で、国の助成を行っているという形でございます。  最後に、消費者のあたりまでどうかということでございますが、消費者の方の関係でも、やはり小売屋さんの小売段階のいろいろな整理が必要でございますので、特に小売段階ですと、やはり私どもとしては融資が大事だろうと考えております。そこで国民金融公庫から生鮮食料品の小売業の近代化資金の貸し付けというのをお願いいたしておりまして、これが五十二年度の予算で八百二十億円ございます。そのほか小売段階の近代化というような形で、いま申し上げましたように、約九億円の予算を計上いたしております。  中身といたしましては、そういう小売業の近代化のための総合食料品の小売センターをつくるとか、小売屋さんの食料品の配送の共同施設をつくるとか、あるいは経営なり管理なりを合理化するための研修を行うというようなことをいろいろやっておるところでございます。
  70. 野口幸一

    ○野口委員 ありがとうございました。  それで、生産、卸関係それから消費者という部門にわたってそれぞれ大変気を配っていただいていることはよくわかるのでありますけれども、先ほどもちょっと大臣も触れられましたように、小売の場合は、八百屋さんといいますか、そういう零細的な、怒られるかもわかりませんが、そういう小規模な商売人の方が非常に家族従業員等を駆使してやっておられる商売がほとんどであります。そういうところを機構的にも整備拡充していくということについて、これはいろいろと問題が複雑にわたっておりまして、助成の仕方もあるいはまた仮に店舗を改装したりあるいはまた冷凍設備をやっていこうというようなことになりましても、技術的にもなかなかむずかしい問題があろうと思うのです。  いま問題は、スーパーなんかができてまいりまして、このスーパーにおけるところの生鮮食料品、特に野菜なんかの市場占有率がどのくらいあるのだろうということを調べてみますと、そうないんですね。スーパーが出ているわりには、ない。むしろ一般の小売の八百屋さんでお買いになっている部分がわりあいある、こういう統計が出ておりますけれども、そういった立場から考えますと、必ずしも小売センターというようなもの、あるいはまた小売業者を統廃合といいますか、まとめて商売させるというような形の指導というのは余り適切ではないような気もしますが、小売の場合の流通の場における考え方としては、望ましい姿というのは一体どのようなところに考えを持っておられるでしょうか。むずかしい問題でしょうけれども、ひとつお考えがあれば——私も検討しているところなんですけれども、一体どういうぐあいにすればいいんだろうということをちょっとお聞かせいただけないでしょうか。
  71. 倉成正

    ○倉成国務大臣 大変むずかしい問題で、お話しのように、私自身もまだ考えをまとめているわけではございません。ただ、いま日本人の食生活というのがやはり生鮮食料品にかなり重点があるという点から申しますと、近くて便利で新鮮なものという意味で、小売関係の存在意義というのはこれからもまだ当分は続くであろうという感じがいたすわけでございます。したがって、そういう方に金融やあるいはその他の点でできるだけめんどうを見てあげるという対策も非常に重要なことの一つであろうかと思いますし、先ほど申しましたように、一つの店舗だけで買い出しに行くというのはなかなか大変ですから、共同で買い出しに行くとか、そういうことも非常に大事なことの一つじゃないかと思うわけであります。  ただ、これからだんだん加工食品が食生活の中に非常に大きなウエートを占めてくるとか、あるいは野菜の主産地が形成される、果物なんかの銘柄の取引が非常に行われる、また酪農製品などがどんどん出てくるということになりますと、やはりスーパーというのがかなり大きな役割りをこれから持ってくる可能性があるんじゃないかと思います。そういう点どうなるかということは、まだ非常に大きな変革の中心でありますので何とも予断は許しませんけれども、そういうのをにらみながら、先ほど申しましたように、そういう零細で一生懸命家族ぐるみで仕事をしておられる方々の生活を脅かさないようにしながら、どういうふうな形で近代化を図っていくかという非常にむずかしい問題ではないかと思っておりますので、これからさらに勉強をいたしてまいりたいと思っておる次第であります。
  72. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 大臣のお言葉を補いますと、いまの生鮮食料品の小売業の数は、四十九年の商業統計によりますと野菜で四万六千軒、それから果物で二万軒ございます。それから鮮魚で五万七千軒、それから食肉で四万二千軒ございます。合わせまして約十六万五千軒。これが販売金額の中でこれらの品物を扱っているものが五〇%以上占めているのですから、いわば生業としてやっている比較的零細な販売店だろうと思います。私どもとしては、今後もこれらの家族経営を中心としたような販売店の形態というのが、生鮮食料品の流通の小売の段階ではやはり多数を占めるものと考えております。  こういった小売店の近代化をどのようにしていくかということを私たちは考えなければいけないと思っておりますが、その場合に、共同配送、実際にはもうボランタリーチェーンというような形で、共同で仕入れて共同で配送するというのが一部成功している例がわずかながらでも出てきておりますが、そういう共同配送なり、それから小売店相互間の組織化なり、これはたとえばボランタリーチェーンなどがあり得ると思います。それから生鮮産品を総合的に扱う総合店というようなものをやっていくことが必要だと思いますし、そのほかに小売店の経営管理のあり方なり、あるいは販売方法の工夫なり、それから改善というものについて的確な指導をしていくことが必要だと考えております。
  73. 野口幸一

    ○野口委員 親切にお答えをいただいて恐縮ですが、私もそういう点に非常に関心を持っておる一人なんですけれども、聞きますと、最近果物屋さんは何とか跡取りができるのだけれども、八百屋は跡取りがいない。つまり、おやじの代は何とかやってきたけれども、子供はかっこう悪くてあんなものはできないというようなことだとか、いろんな要素がありまして、だんだん八百屋の相続者というのはなくなっていくといいますか、そういうものがないんだということで、悩みをちょっと聞いたことがあるのです。そういった場合に、流通機構の関係もあるわけですけれども、小売業者のレベルにおけるところの対策というのは、いわば卸と同時に非常に大事なことで、心を用いてもらわないといけない問題であろうと思うのです。これはいまいろいろな立場から議論をされていますけれども具体的に非常にしにくいということで、先ほども大臣がおっしゃったように、本当に複雑多岐、奇々怪々というのがあるわけですけれども、それだけに手がつけられていないというのが、まあ言ってしまってはえらい失礼だと思いますけれども、実情じゃないのかとも思うのですね。個々にはちょっと手をつけられている部分もあるかもわかりませんけれども、全体的にはほとんど手をつけられていない。特に生鮮食料品、魚屋さん、八百屋さんという部分が庶民の生活にとって切っても切れない部分であるだけに、これらの拡充整備並びにこれらの、先ほど申しました便利で新しいものが、より安く手近で入る、こういうような機構というものを、こういった複雑になってくればくるほど、この社会にあってどう残していくかということが緊急の課題ではないかと思いますので、あえて私、申し上げますが、いろいろ御検討になっておるようでありますから、私ども素人がいろいろいまここで御提案申し上げるよりもよく御存じだと思いますので、ぜひともお力添えをいただいておきたいと思うのです。お答えは結構でございます。  それで最後に、もう一つその問題で関連をいたしまして、生産段階におけるところの問題でありますけれども、農林省は農産物の生産と需要の長期見通し、地域別生産の分担の指標というのをおつくりになっていらっしゃるわけであります。これをもう少し具体化をしていただいて、さらに品目ごとの生産主体、品目間の代替関係といいますか、需要区分といいますか、それから需要の時期、地域別の出荷計画というガイドラインのようなものを流していくお考えはないだろうか、こういう点ちょっと伺いたい。
  74. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 いまのお答えに入る前に、ちょっと先生のおっしゃいました小売店のことについて、私どもがやっておりますことを簡単に申し上げますと、私どもは小売店の経営の合理化、近代化を図ることはやはり必要だと思っておりまして、社団法人で食料品流通改善協会というのがありますが、そこの行います講習指導事業とかあるいは調査広報事業といったものに助成をいたしておりますし、そのほか、この協会に流通改善相談員というのを置いてありますが、いろいろなコンサルタントをやるとか、あるいは教育事業を行うというようなことをやっております。そのほかに、五十二年度は新しく従来の食料品小売業を中心に、特定の街区ぐるみの商業環境の改善を図ろうということで、いわばモデル的な商業街区の整理計画の樹立をしたり、その整備を行う事業を始めるということもやってみたいと考えております。  二つ目の御質問でございますが、これは私のお答えする範囲を超えておりますが、私のわかる範囲内で申し上げますと、おっしゃるとおり、農林省は、六十年を目標といたします農産物の需給見通しをやっております。これは先生の御指摘のとおりでございます。あの場合には、御承知のとおり、米とか麦とか豆とか茶とか、あるいは牛乳、肉というような各農産物の品目別に、四十七年をベースに六十年の生産と需要の見通しを行っているわけです。その需要見通しを行います場合には、たとえば加工食品のような場合でございますと、最終的に国民が消費する形態のものをまず想定いたしまして、たとえば乳製品で言いますと、バターとかチーズとかという形で幾ら六十年に摂取をするだろうかということを想定いたしまして、それから逆算して、もとになる生乳の数量としてはこのくらいが需要になるだろう、それをどのくらいの程度まで自給するかということで生産を出すというような形で、最終の消費の形態で食料品の需要を一応想定いたしまして、それを農産物という素材に還元いたしまして需要と生産の見通しをやっているという形になっているわけでございます。  それから、もう少しブロック別にとかあるいは物別にブレークダウンをして、時期別にもっと詳細ないわば生産なり需要の情報を出したらどうかというお話でございまして、御指摘の線に沿いまして私どももいろいろ農産物の流通情報の事業をやっております。これは農林省の統計情報部というところで、各市場からその日その日の入荷量あるいはその日その日の価格の形成の状況を全部把握をいたしまして産地の方に送る、それから産地の方からは逆にどのくらい出荷されているかということをやはり農林省の統計情報部に入れてくる、そういうものを生産の方からは消費の方へ、消費の方からは生産の方へと、フィードバックするような情報のシステムをつくっておりまして、そういう形でいろいろ流通の情報を提供しておりますほかに、野菜とかミカンのような場合は、各県の段階あるいは国の段階に出荷協議会というのがありまして、それぞれ年間を通じてどのくらい出荷するか、それからさらに、それを月別に分けるとどのくらいずつ各地域から出荷をするかというような相談をいたしながら、できるだけ供給の安定を図っているわけでございます。
  75. 野口幸一

    ○野口委員 これはきのう打ち合わせの際にもお聞きしたのですが、農林省はそれぞれ専門分野がありまして、私どもが食品と言いましても、食肉は食肉、野菜は野菜というように、それぞれ部門が別なようで、お答えをまとめていただくというのは大変なんだそうですけれども、ひとつ概況という形の中でまとめてお答えをいただきたいと思うのです。  いま段階別に、たとえば生産部門、それから加工、卸、それから消費という部門について、それぞれの流通機能を近代化するという形の中でのいろいろのプランなりあるいはまた今後の計画、現況などをお聞かせいただいたのですけれども、それと別の分野で、たとえば縦の系列といいますか、それぞれの部門だけ、専門だけでこの流通系統を、たとえば食料品だけですが、食料品の中でそういう部門を特に取り上げて別の部門でやっているという形態がございますか。いわゆる中央卸売市場とか、そういう消費者というものを抜きにして、このものだけは、たとえば食肉だけはこういうルートで消費者へ上がっているという、品目別に特別な流通ルートがあるというようなものはございますか。
  76. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 生鮮食料品の場合は、たしか野菜の場合ですと、先ほど言いましたように、九割くらいは中央卸売市場を経由しますが、残り一割の場合は、これは卸売市場を経由しないで出回っているわけでございます。特に魚の場合なんかは、だんだん冷凍なんという形が出てきますと、中央卸売市場を経由しなくてもできる形になってきますが、たとえばいまそういう卸売市場を経由しない生鮮食料品の流通の姿といたしましては、いろいろな事業主体がございますが、たとえばスーパーだとか、あるいは生協だとか、あるいは農協とか、あるいは消費者団体、小売というのが流通の主体になりまして、産地から卸売市場を経由しないで直接にそういう生鮮食料品の荷を引いてまいりまして、そうして自分たちの持っているたとえばセンターでそれを全部仕分けをいたしまして、場合によっては最終的な消費者包装までやりまして、それを自分の傘下の店だとかあるいは支所だとか、そういうところに配送するというような形の新しいパターンが少しずつふえてきているということでございます。
  77. 野口幸一

    ○野口委員 それは私も少しずつふえてきているということを聞いたのですけれども、パーセントにしまして約一〇%程度ですか。仮に全体を一〇〇といたしますと、食料品全体の約一〇%程度ですか。
  78. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 いま生鮮食料品の場合に、全体として、特に青果の場合ですと、九割が卸売市場を通ります。残りの一割が卸売市場を経由しない……(野口委員「それは青果の場合」と呼ぶ)はい。食肉の場合はむしろ卸売市場を通る方が少のうございまして、約二割が卸売市場を経由しまして、残りの八割は卸売市場を経由しない流通という形になっております。
  79. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、本会議関係もありますからちょっとはしょりますが、いま流通機構を通らないでいく部分が食肉だとかは八〇%ある、あるいはまた野菜なんかでも一割程度は抜けていくということなんでありますけれども、この流れというものは、この流通機構を整備あるいは近代化していく上においてどのような考え方でそれを見ておられますか。少しその点をお聞かせ願いたい。
  80. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 卸売市場を経由する生鮮食料品というのは、先ほど申しました卸売市場が、膨大で矛品目を一時に集めまして迅速に集荷し、あるいは荷分けをする、分荷と呼んでおりますが、荷分けをしたり、あるいは代金を決済したり、それからそれに必要な情報を交錯させたりという意味では、非常に重要な、歴史的な意味でも長い伝統を経てつくられた機構でございますので、やはり卸売市場を通過する生鮮食料品の流通というのが今後とも流通の基本になるとは思っておりますが、しかし、いま先生の御指摘のような卸売市場を経由しない流通というのはこれからだんだんふえてくると思います。そういう意味で、私どもとしてはそういう卸売市場を経由しないで、先ほど言いましたような農協なりあるいは生協なりあるいはスーパーなりあるいは小売の団体等がそういう主体になりまして、産地からじかに集めてきまして、それをあるところのセンターならセンターでセントラルパックをしていくというような一つの流通の新しい形というのは、卸売市場を経由する生鮮食料品に対するいわば補完的なものとして位置づけておりまして、そういうものに対して、私どもとしても農協や消費者団体等が行います、前に申しましたような新しい流通経路を通じての流通については、たとえばトラックだとか、それから倉庫とかいうものを助成をいたしましたり、あるいは農協等がそういう店舗をつくる場合にはそれに対する助成をモデル的に行うとか、あるいはスーパーマーケット等が行いますそういう集荷センターのようなもの、配送センターのようなものについては、日本開発銀行から融資をして、そういうセンターをつくるようなことができるように、容易にするように融資のあっせんをいたすというようなことをやっているわけでございます。
  81. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、現況としては、農林省の考え方としては、そういった本来のシステムといいますか、流通のあり方というものを変えて、いま変わった形態といいますか、そういう卸売市場を通さないでいくというような流通機構そのものについても肯定をして、そのものについてもある意味では助成をしていらっしゃるということになれば、そういう部門も認めて、今後両方ともに進めるような機構が望ましいと思っていらっしゃるのですか。その点をちょっと。
  82. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 卸売市場の機能は、先ほども申し上げましたように、たとえばいまですと、たしか私の記憶では、神田市場等に集まる野菜の品種だけでも二百種類程度になっております。非常に膨大で、多種多様の生鮮食品でございます。それを豊富に品ぞろえするという集荷する機能とか、それから需給を現物で突き合わせまして、競りを主体とする取引で迅速かつ公正に価格形成を行う機能だとか、それからそれをまた、品ぞろえの需要に応じて迅速に配分する、小売店等に分荷する分荷機能とか、代金の決済機能とか、信用の付与機能というような、そういう卸売市場の機能というのは、生鮮食料品の扱いにはどうしても必要なものだと思います。ですから、それが基本をなすということは私たちの基本的な前提でございまして、そのための卸売市場整備基本方針に基づく整備計画で先ほどのように助成をしていくというのを一つ基本に考えておりますけれども、いまのような新しい流通経路の芽生えもございますので、それを卸売市場を経由する流通に対する補完的なものと考えまして、それに対する助成もあわせてやっていくというのが私どもの考えなわけです。
  83. 野口幸一

    ○野口委員 それでは、最後に一つだけお尋ねをして終わりたいと思います。  食料品流通に伴うところの包装、それから容器、廃棄物、この場合、特に生鮮食料品の中で魚介類といいますか、魚の関係を中心にお聞きをしたいのですけれども、そういった廃棄物の残りました部分についての処理模様、これは流通の逆ルートで返戻していくのか、再使用といったコースをとっているのか、いろいろこれはあるだろうと思うのですけれども、現在非常にたくさんの、膨大なるものが毎日たまるということを聞いておるわけでありますけれども、東京の築地におけるところの現況、あるいはまた将来このような課題が非常に年々累加をしてまいると思うのでありますけれども、こういった問題について、その対策、現況等をお聞かせいただきたい。
  84. 鴻巣健治

    ○鴻巣説明員 中央卸売市場に入ってまいります生鮮食料品に発泡スチロールを使用した容器を利用しているものが非常にふえております。これは鮮度保持という効果が非常にすぐれておることと、それから軽くて非常に経済的だというようなメリットがあるわけでございますが、そのためでございます。  しかし、その反面、処理につきますと、先生御指摘のようになかなか腐食性がないとかあるいは焼却の処理がむずかしいといったような欠点がございまして、やはり大きな問題になっております。全国的に見ますと、産地に近い市場では、再利用のためにまた産地にバックさせる、つまり還流させていくという場合が多いのでございますが、特に発泡スチロールの処理が問題になっておりますのは大都市の中央卸売市場でございます。これらの卸売市場の一部におきましては、焼却の施設なり、溶かす、溶融と言っておりますが、溶融施設等を実験的に置きまして、運転管理を市場の関係者に行わせているという例もございます。  このような発泡スチロールにつきまして見ますと、東京卸売市場では、先生がごらんになりましたように、発泡スチロールの処理に対しては、従来は発泡スチロールをブルドーザーで粉砕いたしまして、それから埋立地へ廃棄をするというような方法をとってきましたけれども、その後、発泡スチロール容器が非常にふえてまいりまして、五十一年九月から、これにかえまして市場内で焼却をする、これが大体六割くらいは市場内で焼却できる、残り四割くらいが発泡スチロールのいわば再資源化を図るということで、もう一回溶かしてもう一遍固める、溶融固化と呼んでおりますが、溶融固化のための機械を試験的に導入いたしまして、卸売業者あるいは市場関係者が運営するというような方法を併用するような形になっております。  なお、このような発泡スチロールを含めまして廃棄物の処理施設を市場関係者が設置する場合には、現状におきましても卸売市場整備事業の一環としまして、国の助成対象として扱うことができるようにいたしております。
  85. 野口幸一

    ○野口委員 以上で終わります。
  86. 武部文

    ○武部委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十九分散会