○
倉成国務大臣 私
どもも現在の
景気の
状況を決して楽観はいたしておりません。いま
石田委員の
お話のように、いろいろな問題点があると
考えております。
経済企画庁で出しております国民所得の四半期別の
指標がございますが、十−十二月におきましてこれは〇・六%前期に対して増加ということになっておりまして、年率にしますと二・四%
程度の風速ということになるわけでございます。これは
一つは七−九月に
住宅投資が少し落ち込んだというものもございますし、また
公共支出が少し出おくれたという問題がございます。昨年の十一月十二日に七
項目の
景気対策を実施いたしたり、また今回
補正予算を通過さしていただいたというようなこともありまして、年を越してから
住宅投資あるいは
公共支出、特に
地方財政を含めての支出は比較的順調のようでございます。
輸出は、一ころよりは若干低い水準になっておりますけれ
ども、それでもまだ依然として高い水準にあるわけでございます。
消費の方は多少一進一退と申しますか、百貨店の売り上げは必ずしも高いわけでございませんけれ
ども、チェーンストア等の売り上げはかなり高い伸びを示しておるということもございますし、一般の勤労者世帯の収入というのも、また消費支出というのも伸びておりますので、だんだんこれも
回復してくるのではなかろうかと思っております。
それから在庫の方は、意図せざる在庫というのがございまして、多少の積み増しが行われた形跡がございますけれ
ども、だんだん在庫調整の過程に入ってきておるというふうにいま思っておるわけでございます。したがいまして、いま一息パンチが足らないということで、先般の三月十一日に四
項目の
景気対策を発表いたしまして、五十二年度
予算が成立しましたら直ちに前倒しでこの
予算を実施するということで、上半期に七〇%の契約を行うということで、これは
地方財政にも同じような要請をいたしておるわけでございまして、各省庁直ちに
予算の契約、執行ができる準備を整えるようにいたしておる次第でございます。
それから同時に、金融
政策につきましては、
公定歩合の〇・五%の
引き下げ、さらに住宅につきましては、四月中に住宅公庫の
個人住宅分について九万戸の募集をするということで、一月に三万戸を行いましたのと加えて、これは非常に明るい
要素になるのじゃなかろうかと思います。
それから、
民間の
設備投資も冷えておりますけれ
ども、その中で多少期待が持てるのは
電力でございますので、先般
電調審におきまして、
北海道並びに東海の
発電所等につきまして約百六十万キロワット分の施設についての答申をいただいたわけでございます。こういうことと相まちまして
予算成立後の公共事業等が出てまいりますれば、かなり明るい
要素が出てくるのじゃなかろうかというふうに
考えておるわけでございます。
昨年も同じでなかったかという
お話でございますが、ちょうど昨年も同じような
状況にあったわけでございますけれ
ども、昨年は御
承知のとおり、暫定
予算を四十日間組んだということもございますし、またロッキード事件というのが非常に大きく足を引っ張ってまいりまして、
財政が出動する
効果というのが、タイムが非常におくれたということでございます、これが
輸出によって救われたというのが、正直なところ、昨年の実態ではなかったかと思うわけでございますけれ
ども、ことしは幸いにして
予算の成立も早いようでございますし、またそういう昨年の轍を踏まないように私
ども一生懸命がんばっておりますので、これが
一つのきっかけになるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
いまどうしても
企業家も
個人も気迷い、
景気が論理的に動くというよりも
心理的に非常に動いていくという面がございますので、先般の減税等もそういう意味においては
心理的な
効果という面で役立つのではなかろうかと思っておるわけでありますので、少しきっかけがつかめてまいりますと、
景気は上向いてくると思っております。
ただ、一ころの
高度成長時代のような
速度でないものですから、どうしても現在構造的な要因が一緒に起こっておる。
過剰投資、
過剰雇用というようなものを抱えた
業種、
企業というのがあるものですから、どうしてもその部分が非常に
不況感をあおっておるということも事実でございます。したがって、そういうものに対してもきめ細かい
対策を実施していく、そして全般としての
景気の
回復を
考えていくということがこれからの
政策の課題ではなかろうかと
考えておる次第であります。