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1977-05-26 第80回国会 衆議院 農林水産委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月二十六日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    稲垣 実男君       加藤 紘一君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    玉沢徳一郎君       中野 四郎君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       向山 一人君    森   清君       森田 欽二君    岡田 利春君       柴田 健治君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農林大臣臨時代         理       長谷川四郎君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         食糧庁長官  大河原太一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         農林省農林経済         局統計情報部長 白根 健也君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   羽田野忠文君     稲垣 実男君 同日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君     羽田野忠文君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価及び麦価問  題等)  請願    一 外麦輸入削減に関する請願森井忠      良君紹介)(第一二三号)    二 農業機械士制度法制化に関する請願      (羽田野忠文紹介)(第一八九号)    三 同(森田欽二紹介)(第一九〇号)    四 漁業専管水域二百海里対策に関する請      願(二見伸明紹介)(第二五九号)    五 米の政府買い入れ制限撤廃に関する請      願(山田芳治紹介)(第二六〇号)    六 外麦輸入削減に関する請願外四件(      山田芳治紹介)(第二六一号)    七 農林漁業金融公庫盛岡支店の設置に関      する請願椎名悦三郎紹介)(第三      三〇号)    八 第三種漁港整備事業に対する国庫負担      率の引き上げに関する請願椎名悦三      郎君紹介)(第三三一号)    九 漁業関係法令違反に対する罰則強化に      関する請願椎名悦三郎紹介)(第      三三二号)   一〇 韓国産ワカメの輸入中止に関する請願     (椎名悦三郎紹介)(第三三三号)   一一 土地改良事業通年施行に対する奨励      補助金増額に関する請願椎名悦三郎      君紹介)(第三三四号)   一二 非補助農道整備事業に対する融資率改      善に関する請願椎名悦三郎紹介)      (第三三五号)   一三 沿岸沖合い漁業振興に関する請願(      椎名悦三郎紹介)(第三三六号)   一四 北上山系地域農林業開発事業促進に      関する請願椎名悦三郎紹介)(第      三四〇号)   一五 農畜産物輸入拡大中止に関する請願      (椎名悦三郎紹介)(第三五七号)   一六 領海十二海里宣言等に関する請願(椎      名悦三郎紹介)(第三五八号)   一七 昭和五十二年産米事前売り渡し限度数      量適正配分に関する請願芳賀貢君紹      介)(第三五九号)   一八 農業機械士制度法制化に関する請願      (足立篤郎紹介)(第三六〇号)   一九 同(久保田円次紹介)(第三六一      号)   二〇 農業機械士制度法制化に関する請願(      篠田弘作紹介)(第三九九号)   二一 農業機械士制度法制化に関する請願      (中尾栄一紹介)(第五七八号)   二二 卸売市場における野菜保冷施設整備      強化に関する請願唐沢俊二郎君紹      介)(第八〇六号)   二三 同(倉石忠雄紹介)(第八〇七号)   二四 同(中島衛紹介)(第八〇八号)   二五 同(原茂紹介)(第八〇九号)   二六 昭和五十二年産米事前売り渡し限度数      量適正配分に関する請願安井吉典君      紹介)(第八一〇号)   二七 卸売市場における野菜保冷施設整備      強化に関する請願向山一人紹介)      (第八五八号)   二八 同(清水勇紹介)(第九一一号)   二九 同(小川平二紹介)(第九六六号)   三〇 同(小坂善太郎紹介)(第九六七      号)   三一 同(中村茂紹介)(第九六八号)   三二 中国産食肉輸入禁止解除に関する請      願外三件(田口一男紹介)(第九一      〇号)   三三 農業機械士制度法制化に関する請願      (伊東正義紹介)(第九一二号)   三四 同(小坂善太郎紹介)(第九六九      号)   三五 牛肉等輸入抑制措置に関する請願(      山中貞則紹介)(第一〇八〇号)   三六 マツクイムシ防除対策に関する請願      (山中貞則紹介)(第一〇八一号)   三七 漁業振興対策強化に関する請願(山      中貞則紹介)(第一〇八二号)   三八 中国産食肉輸入禁止解除に関する請      願(横山利秋紹介)(第一二二〇      号)   三九 同(石野久男紹介)(第一三三六      号)   四〇 同(竹内猛紹介)(第一三三七号)   四一 同(八百板正紹介)(第一三三八      号)   四二 卸売市場における野菜保冷施設整備      強化に関する請願井出一太郎君紹      介)(第一四一六号)   四三 同(増田甲子七君紹介)(第一五一〇      号)   四四 中国産食肉輸入禁止解除に関する請      願(伊藤茂紹介)(第一四六一号)   四五 同(松沢俊昭紹介)(第一四六二      号)   四六 北海道の昭和五十二年産米事前売り渡      し限度数量適正配分に関する請願(芳      賀貢紹介)(第一六三〇号)   四七 中国産食肉輸入禁止解除に関する請      願外四件(田川誠一紹介)(第一六      七九号)   四八 農業機械士制度法制化に関する請願      (渡辺美智雄紹介)(第一八四三      号)   四九 中国産食肉輸入禁止解除に関する請      願(武部文紹介)(第一八九七号)   五〇 同(中川嘉美紹介)(第一九八二      号)   五一 卸売市場における野菜保冷施設整備      強化に関する請願下平正一紹介)      (第一九八一号)   五二 昭和五十二年度加工原料乳保証価格等      畜産物価格引き上げに関する請願(小      平忠紹介)(第二一六四号)   五三 同外一件(岡田春夫紹介)(第二五      二三号)   五四 酪農経営振興に関する請願津川武      一君紹介)(第二七八二号)   五五 エノキ類生産振興対策に関する請願      (津川武一紹介)(第二七八三号)   五六 長野県のリンゴ生産農家の経営安定に      関する請願津川武一紹介)(第二      七八四号)   五七 蚕糸業振興対策に関する請願津川      武一紹介)(第二七八五号)   五八 昭和五十二年度畜産物価格引き上げ      等に関する請願津川武一紹介)(      第二七八六号)   五九 畜産経営発展のための基本施策確立等      に関する請願椎名悦三郎紹介)(      第二八三九号)   六〇 水陸稲に対する農業共済制度の改正に      関する請願椎名悦三郎紹介)(第      二八四〇号)   六一 二百海里漁業専管水域内の操業実績確      保等に関する請願椎名悦三郎君紹      介)(第二八四一号)   六二 野菜生産安定対策に関する請願(津      川武一紹介)(第三五六〇号)   六三 食糧備蓄法の制定に関する請願湊徹      郎君紹介)(第三六〇六号)   六四 沿岸漁場開発整備に関する請願(湊      徹郎君紹介)(第三六〇七号)   六五 畜産物輸入規制に関する請願湊徹      郎君紹介)(第三六〇八号)   六六 農畜産物価格保障及び安定対策に関      する請願馬場昇紹介)(第三七四      四号)   六七 秋田県仙北平野水利事業等土地改良      事業促進に関する請願津川武一君紹      介)(第四一四一号)   六八 農業経営発展基本施策確立等に関す      る請願中川秀直紹介)(第五八三      一号)   六九 同(内海清紹介)(第六〇四五号)   七〇 同(大原亨紹介)(第六二四六号)   七一 同(中川秀直紹介)(第六二四八      号)   七二 同(中村茂紹介)(第六二四九号)   七三 同(原茂紹介)(第六二五〇号)   七四 養蚕振興に関する請願井出一太郎      君紹介)(第六〇四六号)   七五 同(唐沢俊二郎紹介)(第六〇四七      号)   七六 同(中島衛紹介)(第六〇四八号)   七七 同(増田甲子七君紹介)(第六〇四九      号)   七八 同(向山一人紹介)(第六〇五〇      号)   七九 同(小坂善太郎紹介)(第六二三八      号)   八〇 同(清水勇紹介)(第六二三九号)   八一 同(中村茂紹介)(第六二四〇号)   八二 同(原茂紹介)(第六二四一号)   八三 畜産農家経営安定化に関する請願(      井出一太郎紹介)(第六〇五一      号)   八四 同(唐沢俊二郎紹介)(第六〇五二      号)   八五 同(中島衛紹介)(第六〇五三号)   八六 同(増田甲子七君紹介)(第六〇五四      号)   八七 同(向山一人紹介)(第六〇五五      号)   八八 同(小坂善太郎紹介)(第六二四二      号)   八九 同(清水勇紹介)(第六二四三号)   九〇 同(中村茂紹介)(第六二四四号)   九一 同(原茂紹介)(第六二四五号)   九二 養蚕振興に関する請願倉石忠雄君      紹介)(第六五四一号)   九三 同(下平正一紹介)(第六五四二      号)   九四 畜産農家経営安定化に関する請願(      倉石忠雄紹介)(第六五四三号)   九五 同(下平正一紹介)(第六五四四      号)   九六 農業経営発展基本施策確立等に関す      る請願沢田広紹介)(第六五四五      号)   九七 同(高田富之紹介)(第六五四六      号)   九八 同(福岡義登紹介)(第六五四七      号)   九九 同(松沢俊昭紹介)(第六五四八      号)  一〇〇 同外五件(山本悌二郎紹介)(第六      五四九号)  一〇一 同外四件(板川正吾紹介)(第六八      一五号)  一〇二 同(小川仁一紹介)(第六八一六      号)  一〇三 同(角屋堅次郎紹介)(第六八一七      号)  一〇四 同外二十件(木島喜兵衞紹介)(第      六八一八号)  一〇五 同(北山愛郎紹介)(第六八一九      号)  一〇六 同外二件(沢田広紹介)(第六八二      〇号)  一〇七 同(柴田健治紹介)(第六八二一      号)  一〇八 同(松沢俊昭紹介)(第六八二二      号)  一〇九 同(森井忠良紹介)(第六八二三      号)  一一〇 同(矢山有作紹介)(第六八二四      号)  一一一 同外十二件(米田東吾紹介)(第六      八二五号)  一一二 水産庁釣り人課新設に関する請願(      稲富稜人君紹介)(第六八一二号)  一一三 同(菅波茂紹介)(第六八一三号)  一一四 同(横山利秋紹介)(第六八一四      号)  一一五 農業経営発展基本施策確立等に関す      る請願安島友義紹介)(第七四二      八号)  一一六 同(安宅常彦紹介)(第七四二九      号)  一一七 同(阿部昭吾紹介)(第七四三〇      号)  一一八 同(甘利正紹介)(第七四三一号)  一一九 同(池端清一紹介)(第七四三二      号)  一二〇 同(石野久男紹介)(第七四三三      号)  一二一 同外十三件(稲富稜人君紹介)(第七      四三四号)  一二二 同外七件(受田新吉紹介)(第七四      三五号)  一二三 同(枝村要作紹介)(第七四三六      号)  一二四 同(小川国彦紹介)(第七四三七      号)  一二五 同外六件(大成正雄紹介)(第七四      三八号)  一二六 同外一件(大原亨紹介)(第七四三      九号)  一二七 同(貝沼次郎紹介)(第七四四〇      号)  一二八 同(川口大助紹介)(第七四四一      号)  一二九 同外十二件(川俣健二郎紹介)(第      七四四二号)  一三〇 同(神田厚紹介)(第七四四三号)  一三一 同外九件(菊池福治郎紹介)(第七      四四四号)  一三二 同(久保三郎紹介)(第七四四五      号)  一三三 同(草野威紹介)(第七四四六号)  一三四 同(栗林三郎紹介)(第七四四七      号)  一三五 同外一件(小平忠紹介)(第七四四      八号)  一三六 同外十九件(小林進紹介)(第七四      四九号)  一三七 同(小林正巳紹介)(第七四五〇      号)  一三八 同外二件(古寺宏紹介)(第七四五      一号)  一三九 同(河野洋平紹介)(第七四五二      号)  一四〇 同(佐藤敬治紹介)(第七四五三      号)  一四一 同外四件(佐野憲治紹介)(第七四      五四号)  一四二 同(坂口力紹介)(第七四五五号)  一四三 同外一件(沢田広紹介)(第七四五      六号)  一四四 同(瀬崎博義紹介)(第七四五七      号)  一四五 同外三件(玉置一徳紹介)(第七四      五八号)  一四六 同(田口一男紹介)(第七四五九      号)  一四七 同(田畑政一郎紹介)(第七四六〇      号)  一四八 同外八件(竹内猛紹介)(第七四六      一号)  一四九 同(千葉千代世紹介)(第七四六二      号)  一五〇 同外一件(津川武一紹介)(第七四      六三号)  一五一 同(栂野泰二紹介)(第七四六四      号)  一五二 同(中井洽紹介)(第七四六五号)  一五三 同外六件(西田八郎紹介)(第七四      六六号)  一五四 同外十二件(西宮弘紹介)(第七四      六七号)  一五五 同(野口幸一紹介)(第七四六八      号)  一五六 同(野村光雄紹介)(第七四六九      号)  一五七 同(芳賀貢紹介)(第七四七〇号)  一五八 同外二件(日野市朗紹介)(第七四      七一号)  一五九 同(平林剛紹介)(第七四七二号)  一六〇 同(福岡義登紹介)(第七四七三      号)  一六一 同外十五件(藤田高敏紹介)(第七      四七四号)  一六二 同(二見伸明紹介)(第七四七五      号)  一六三 同(古川喜一紹介)(第七四七六      号)  一六四 同外三件(古川雅司紹介)(第七四      七七号)  一六五 同外八件(美濃政市紹介)(第七四      七八号)  一六六 同外一件(宮井泰良紹介)(第七四      七九号)  一六七 同(水田稔紹介)(第七四八〇号)  一六八 同(宮地正介紹介)(第七四八一      号)  一六九 同(安井吉典紹介)(第七四八二      号)  一七〇 同外十二件(山口敏夫紹介)(第七      四八三号)  一七一 同(山田太郎紹介)(第七四八四      号)  一七二 同外五件(山田耻目君紹介)(第七四      八五号)  一七三 同外一件(山田芳治紹介)(第七四      八六号)  一七四 同外十七件(湯山勇紹介)(第七四      八七号)  一七五 同外二件(渡辺三郎紹介)(第七四      八八号)  一七六 養蚕振興に関する請願小川平二君      紹介)(第七四八九号)  一七七 畜産農家経営安定化に関する請願(      小川平二紹介)(第七四九〇号)  一七八 水産庁釣り人課新設に関する請願(      神田厚紹介)(第七四九一号)  一七九 同(菊池福治郎紹介)(第七四九二      号)  一八〇 同(瀬野栄次郎紹介)(第七四九三      号)  一八一 同(寺前巖紹介)(第七四九四号)  一八二 同(原健三郎紹介)(第七四九五      号)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野四郎君。
  3. 中野四郎

    中野(四)委員 緊急にお聞きを願いたい点がありまして、三十分間の時間をお許しをいただいたわけです。  最近、世界各国から国内にいろいろな物資物品輸入をされますが、その物資物品に潜入して、日本植物に重大な害を加えるような害虫が非常にたくさん潜入してまいります。このことは防疫を管理する農林省としても重大なことでありまするがゆえに、かなり厳しい監視、管理をされておるのでありまするけれども、こういうものが侵入した場合に、早い機会に手当てをいたしませんと、先日来当委員会でずいぶん論議をされましたマツクイムシのような、収支償うことのできない危険な状態が顕現されるおそれがあります。  そこで、きょうは特に最近非常に強力な繁殖力を持ち、しかも日本の稲に重大な害を与えまするところの、俗にイネミズゾウムシと言うておりまするが、ややコクゾウムシに似た害虫でございまするが、これが昨年以来日本に、特に愛知地方に初めて伝来してきまして、そうして水稲にこの害虫イネミズゾウムシが本年もまた発生しまして、成虫は苗代の若芽を食い荒らします。若い葉を食い荒らします。そうして幼虫はもっぱら田植え直後の稲の根を食い荒らして、農民にまことに重大なる被害を与えている現状であります。その被害は、本年は昨年に比例いたしまして倍以上の面積に拡大されまして、愛知地方はただいまがちょうど田植え最盛期に入るときであります。その被害の深刻さに農民は戦々恐々としておるのが現況でございます。この害虫繁殖力活躍力は当地方に限らず、場合によりますれば各方面に蔓延する可能性が十分あるのであります。特にこの虫は空を飛ぶことができる、そうして水の中にもぐることができる、おかで十分に活躍することができる、まさに三軍の勢力を持ったような虫でありまして、恐るべき将来を考えるとき、速やかにこれが排除をしなければならぬ、そのことがきょうの質問の主たる目的であります。  そこで、県は害虫発生の注意報を発しまして、去年からいろいろ農民に対して防除排除を呼びかけておるのですけれども、いろいろな薬を、あれをかけ、こうしなさいという指導はいたすのです。ところが、一向にその成果が上がってきませんで、先ほど申し上げましたように、本年さらに昨年の倍の地域、約一千四百十七ヘクタールという広い範囲に拡大するような様相を示してまいりました。その様相皆さん方にそれぞれ資料を配付しておきましたので御高見を願うことにいたしまして、それから害虫の実態はいまびんの中へ入れましてここに持ってまいりましたので、御一見をいただきますると直ちにおわかりをいただけると思いますので、私はまず当局に対して——害虫発生以来、それはどこから来たかということが明確になっていないのです。伝来の経緯を探求して、徹底した排除を施行するのが当然の責務と考えておりまするが、農林省はいかなる処置をとっておられるかを第一に伺いたい。  そこで、時間がきわめて短うございますから簡潔に、第一番にどこから来たんだ、そうしてどういう性格のものだ、これに対してどういうような措置をとっておるんだ、その効果はどうだ、こういう点について当局からお答えを願いたい。
  4. 堀川春彦

    堀川政府委員 先生お尋ねイネミズゾウムシが発見されましたのは昨年の五月でありまして、六月に農林省の方に報告がございました。私どもは直ちにこの虫につきまして調べてみまして、国内でいままで分布をしておらない新しい虫であるということがわかりました。  そこで、どういう虫であるかということを、まず虫の性格なり何なり調べる必要がございますので、これは外国にこの種の虫の権威者がおりますので、現物を送りまして、イネミズゾウムシというのは日本でつけた名前でございますが、学名も確定をいたしまして、どういう性格の虫であるかということを確定をしたわけでございます。  その後、直ちにこの虫につきまして農業技術研究所指導のもとに愛知県の試験研究機関、それから改良普及所組織防除所組織、こういうものを動員をいたしまして、その虫の分布状況発生の態様、生態、それから薬もいろいろと使ってみまして試験をしてまいったわけでございます。  なお一方、こういう虫は侵入害虫でございますので、どういう経路で入ってまいったかということを考えることが非常に重要でございまして、私どももそれはいろいろと調べたわけでございます。一説には、アメリカにこの種の虫がおりますので、アメリカから家畜の飼料にいたしますところのヘイを輸入をしておりますが、これについて入ったのではないかという疑いも持たれたわけでございますが、目下のところ侵入経路については不明でございます。  なお、この虫によります被害状況でございますが、先生のお話のように、水田に稲を植えますと、植えた直後に付近の畦畔あるいは山林にひそんで越冬しておりました成虫がやってまいりまして、そして出たばかりの若い葉を食害をする。この食害によりまして減収をもたらすという被害が考えられます。  それからもう一つは、成虫が卵を稲の葉に産みつけまして、その卵からかえりました幼虫が根のところを食害をする。それによりましてやはり減収が起こる。この根の方を幼虫食害をいたしますときに、その幼虫の密度が高うございますとやはり食害程度も大きくて、分けつが悪い、それから生育が遅延するということによるかなりの減収というものが見られますが、昨年の結果で総体的に見ますと、減収程度がきわめて顕著だとは  一般的には観察されておりません。  以上のような状況でございます。
  5. 中野四郎

    中野(四)委員 元来、植物防疫法では国外から入ってくる害虫は国が駆除をするということが原則であって、農林省防除の方法がまだ定かにわかっていないというふうに私は聞いております。もしそうでないとあればこれを明確にしていただきたいし、それから県当局指導によりまして農民は必死の防除作業を行ってきたけれども、薬剤の効果が一向あらわれてこないのです。たとえば、現在粉剤ではバイジットなんというのを入れております。これは水の上を流して害虫を駆除しよう、あるいは粒剤でサンサイドなんというものを入れております。粒剤を入れて沈でんした幼虫を駆除しようとしましても、これでもだめなんです。そこで最近は、農家の持っているバイバッサを入れてさらに努力しておりますが、先日、二、三日前ですけれども、私は現地に行きまして、それぞれのたんぼに入ってみましても薬は確かにあります。薬の効能は、そういう場合に虫の出方が幾らか遅いように考えられますけれども、何しろこの虫は夜間活動するという習性がある、昼間は根の方にもぐってしまっておる。ですから、薬の効能ということはよくわかりません。しかも農家は、昨年来この問題が起こって、ことしは四月の早植えのときから今日までの間にすでに葉をやられ、根をやられました。成長する能力をもう持たなくなってきておるのです。こういう点、現地を見てこられた課長もここにおられるのだが、農林省は実質上一体どういうような排除の方法をもってこれを駆除するかという点を伺っておきたいと思います。
  6. 堀川春彦

    堀川政府委員 農林省も技術陣営を動員いたしまして、どういう防除方法が最も効果的であるかということを昨年来県とも手を取り合って研究を進めておるわけでございますが、いろいろの薬による防除を考えておるわけでございますけれども先生お話しのように、これが決め手だという適確な防除方法が、残念ながら現在の段階でまだ確立しておらないという状況でございます。イネミズゾウムシに対しまして一応効果ありと思われる薬剤としては、たとえばPHC粒剤などが考えられるわけでございます。昨年も圃場におきましていろいろの薬を試してやっておるわけでございます。効果はありますけれども、まだこれといって決め手のあるところまで効果が上がっているわけではございません。したがいまして、これは大変残念なことでございますが、昨年に引き続き、私どもといたしましては、県の方にその適確な防除方法の確立のための調査研究につきまして全額助成をしてやるということで進めておるわけでございまして、これを一刻も早く確立をすることが先決であるというふうに考えて、せっかく努力中でございます。
  7. 中野四郎

    中野(四)委員 どうも私は伺っておりますと、農林省はこういうような将来日本の各地に拡大強化されていくような性状を持った害虫に対して、その考え方が非常に甘いじゃないかと思うのです。たとえば、昨年の四月、実際上発見されたのは六月でしたね、四月、五月、六月に発見されて、そして実際上にあなた方の方でもこの虫の性状をある程度まで御存じなんです。これに対していまだに適当なる農薬がない、こういうようなことは私は怠慢のそしりを免れないと思うのですが、一体どうなんですか。
  8. 堀川春彦

    堀川政府委員 これは、効果ありと思われる薬をいろいろと使って試してやっておるわけでございまして、私どもは昨年五月に発生をしたものにつきまして、直ちに愛知県の技術陣営とも協力をいたしましてこの問題に取り組んできておったわけでございますが、既存の薬の中でどの時期にどういうやり方をすればどういう効果があるということを調べておるわけでございますけれども、この時期にこういうやり方でやればいいんだ、ある程度の効果があるということはわかっておるわけでございますけれども、適確な防除方法としてまだ残念ながら確立されておらないということでございまして、その点は引き続き鋭意努力を続けておるわけでございますので、さよう御了承をいただきたいと思います。
  9. 中野四郎

    中野(四)委員 ちょっと私は了承いたしかねるものがあるのですがね。この県の農林部から出ております資料の中に薬剤防除について薬の名前がずっと羅列されておるんです。この中のPHCの方は確かに認定されておる薬剤でありますが、その他のもの、これは一体何ですか。これはどういうふうに理解するんですか。ちょっと私にはわからないが、こういうような認定されてない薬をどんどんこれを使え、あれやれ、こう言っておりますが、こういうようなことはどういう効果があるのですか。
  10. 堀川春彦

    堀川政府委員 農薬取締法上のたてまえからいたしまして、登録をされた農薬でないと使えないということになるものですから、効果がある程度あるというものにつきましては登録を受けつけまして、イネミズゾウムシ用の防除剤ということで登録を受けつけるということにしておるわけでございます。
  11. 中野四郎

    中野(四)委員 いまお話し申し上げたような農薬がことごとく農家の負担でなされておるわけなんです。指導は県の方でなされる。しかし、その費用は全部農民が持たなければならない。しかもその農薬は非常に高いものなんです。これはここで申し上げるまでもないが、やはり記録に載せなければなりませんから、粒剤のサンサイドなんか一袋三キロで大体千四百円、粉剤のバイジットが三キロで五百七十円、それからバイバッサが千九十円でありますが、これを混淆し、指導のとおりに反に三キロぐらいずつ三回ぐらい入れておるんですけれども、こういうような費用というものは実際農民に全部持たされておるわけであります。あるいは町当局も農協もこれを見捨てることができませんから、何分の幾らかを補助はしようとしておるのですが、国の怠慢によってこういう害虫が入ってきたと申し上げても過言ではない。しかも、去年に発生したものが今年に至るまで何も対策が考えられていないのです。そして農民にこのような巨額な金品を支出せしめるままにいたずらに放任しておくということは、どうしても了承できない。一体農林省はこれに対してどういうような態度に出られる考えか、伺っておきたいと思うのです。
  12. 堀川春彦

    堀川政府委員 これはやはり的確に効果のある防除方法、薬剤の種類ばかりでなしに、やり方等もあわせて確定をいたしませんと、ただいたずらに経済的な負担が農家にかかりまして効果が出ないというようなことでは困りますので、一刻も早くその辺の結論を得まして、得た段階におきまして、できるだけ速やかにその防除方法によって害虫を撲滅をする、こういうことに持っていきたいわけでございます。  昨年は一年のことでございまして、いろいろの圃場におきましての実験もあるわけでございますが、条件も違いますし、今年さらに補完をしたいろいろ研究を急速に進めまして、そして一刻も早く撲滅できるような体制に持ってまいりたい。その場合のやり方につきましては、これは私どもも適確なる防除方法が確立され、しかも緊急防除の要件に適合するという場合におきましては、全額国庫で助成をいたしまして実施するという方法があるわけでございますから、その適用方について検討をする、こういう段階になろうというふうに思うわけでございます。
  13. 中野四郎

    中野(四)委員 そこでもう一遍さかのぼるようですが、先ほどの虫の入った経緯ですね。何によって日本へ運ばれ、そして特定の地域ですね、愛知県で言いますと、知多半島の常滑市というところを中心に山間地帯が多いのです。それから現在私らのところの愛知県の西尾市、幸田町というところもやはり小さい山間地帯ですね。そして高いところからだんだん下の方へ拡大してくるのですね。そうしますと、中ではやあ材木が持ってきたとか、やあ飼料の中に入っておる云々というような説もありますが、どうもそういう仮説は納得できないんですね。だからどこから入ってきたということをまず第一に究明、探求して、そして現地におけるところの駆除方法等を考慮に入れてこれをせん滅する、こういうことは当然考えられるべきことだと思うのですが、これはいかがですか。
  14. 堀川春彦

    堀川政府委員 その点は大変大事な問題点でございまして、私どももこの問題が起きました直後からずっと調べておるわけでございますが、一説に言われております乾草の問題につきまして調べてみたわけでございます。これは最近輸入乾草がかなりふえてまいっておるという実態もございまして、今回あるいは昨年発生をいたしました地区におきましても、アメリカから輸入されました乾草等が受け入れられておるという実態がございますので、輸入乾草の全体についていろいろと調べてみたわけでございます。特に愛知県下に、発生地区にもたらされたと考えられる乾草と全く同じ乾草がいつどこの港に着いてどういう経路でどこへ運ばれて使用されたかということも調べています。ところがこの発生地区、愛知県下で二地区ございますが、この地区に導入された物と全く同じ乾草が導入された他の地区、愛知県下にもございますし、他県にも行っております。そういうところでこのイネミズゾウムシ発生をしておるかどうかということを追跡して調べてみたわけでございますが、現在のところ発見されておりません。また、それ以外にアメリカ等から入ってまいります乾草につきまして、これはかなり全国的に広く受け入れられております。全部で輸入港といたしまして十港くらいあるわけでございますが、その十港を経由して各県に入りましたところについて調べましても、目下のところ同種の害虫発生は確認されておりません、というような状況。それからもう一つは、問題の発生地区に入りましたのは、アメリカのオレゴン州で恐らく生産をされたと思われる乾草であろうと思うわけでございますが、これが愛知県の名古屋港を経て入ってきたというふうに考えておるわけでございますけれども このオレゴン州におきましては問題の害虫発生を見ておらない。アメリカでも別の地域には発生が確認をされておりますが、そういうような状況、それからさらに輸入検疫の段階におきまして、私ども輸入される乾草につきまして害虫がついているかいないかということをその後調べをずっと継続してやってまいっております。現在までのところ乾草にこの害虫成虫なりあるいはサナギがくっついて入ってきたというのは発見されておりません。そういうような状況からどうも乾草に疑いが持たれるという説はあるわけでございますが、乾草の経路はいまのところはっきりと犯人だということで確認されておらないわけでございます。しかし、さりとてそうでないという絶対的な証拠もない、あるいはほかの侵入経路で入ってきたかというふうにも考えられます。その点は今後ともむずかしい問題でございますが、私ども輸入検疫機関の能力を動員をいたしまして、こういうものがついたものが何らか入ってくるということがないかどうかというのを調べておるわけでございます。今後もその努力は続けたいと思っております。
  15. 中野四郎

    中野(四)委員 時間がないようですから、もうきわめて簡単に私の方からずっと発言をして、お答えを一緒にいただきたいのであります。  いまはちょうど成虫がだんだん水田侵入して幼虫発生するときですね。この五月の半ばから六月、七月へかけては、イネミズゾウムシを何らかの措置でせん滅するには絶好のチャンスだと思う。しかし田植えの最中でありますから、早場はいけないとかあるいは遅場ならいいという理屈にはならぬようでありまして、大分蔓延の仕方ははなはだしいようであります。そうなっていきますと、いつまでも便々として、研究してみます、一生懸命でいま研究中でありますだけで相済まぬことになるわけなんです。だから、これが対策をば全力を挙げて速やかにやっていただかなければ困ると思うのです。県とももちろん緊密な連絡の上に立っていらっしゃるようですけれども、県の補助金を何か二千四百万円ばかりお出しになったようですが、これも途中でとまっているようですね。もう一年研究してみようというようなことでとまっているようであります。こういうようなことは私は非常にいけないと存じますから、当局は速やかにこの問題について取り組んで、そしてまずどこから伝来してきたかという真相を探求して、そしてどうしたなれば速やかに撲滅できるかということに全力を挙げ、同時にたくさんのいわゆる費用を農民に負担させ、市町村に負担させておるのですから、これに対して農林省当局はそれぞれいわゆる補助なりあるいは助成なりをするというような道を考えていただきたいと思う。  最後に、農林大臣せっかくおいでですし、長谷川農林大臣代理は農地の方は非常に詳しいので、われわれもずいぶん古い仲でもありまするが、現地の農民のいまの切実なる生の声をひとつ聞いておいていただきたい。率直に申し上げます。元来が国が防疫上の手をつかねてわれわれ百姓が苦しんでいるのだから、研究中とか県の指導とかで逃げていないで、百姓は率直に言うておるのです、国が現地へ駆けつけて防除作業をしてくれるのがあたりまえではないか、それもせずにすべての費用を出さぬでおいて農民を苦しめるというようなばかなことはないじゃないかというのが、現在の現地の百姓の真の声であります。したがって、この問題についての農林大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと存じます。
  16. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 これは昨年からのお話だそうでございますけれども、何といっても経路云々というよりもその虫をどう駆除するかということが先決問題だと思います。いま御質問にありました農民の声は声でありますし、また当然そうしなければなりませんので、早急にこの害虫駆除の問題に対しましては手を打つようにいたします。ですから、私はきょう、あしたしかおりませんけれども、大臣が帰りましてもすぐ続行できるように、その手配をさせるようにいたします。
  17. 中野四郎

    中野(四)委員 委員長、一言だけ。  いま非常に重大な時期ですから、とにかく当局堀川局長も責任を持ってこの問題の解決に当たっていただきたいと思う。  それからここにイネミズゾウムシの現物を持参してまいりましたが、私のところへ置くとむしろ害があるおそれがある。農林省側に進呈をいたしますから、これをひとつ検査の対象にして万遺憾なきを期していただきたいと思います。
  18. 堀川春彦

    堀川政府委員 基本姿勢は大臣おっしゃったとおりでございますが、私どもも先ほど来申し上げておりますように、一刻も早く適確なる防除方法の確立の上、その科学的な知見に基づきまして適切な防除を実行いたしまして、農家の方がこの害虫に悩まされることがないようにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  19. 中野四郎

    中野(四)委員 期待をして、私の質問を終わります。
  20. 金子岩三

    金子委員長 稲垣実男君。
  21. 稲垣実男

    稲垣委員 いま私の選挙区の大先輩である中野四郎先生イネミズゾウムシ被害が非常に拡大化されたことを憂えまして緊急防除対策のことにつきまして質問されましたが、私も実は現地をよく視察し、現地の農民の声を身近に聞きました者の一人といたしまして、ぜひ農林省を挙げて真剣な熱意を持って対策を講じてもらいたいということで質問をしたいのでございます。  私は、五月十四日の土曜日でございますが、愛知県家武地区、また額田郡の幸田町の須美地区の農民の人たちより、イネミズゾウムシが物すごい勢いで、去年も大変だったけれども、ことしもまたどえらい調子でふえておる、この調子でいくとことしは虫害で大変なことになってしまう、適確な薬剤もないままに推移しておることはまことに遺憾だし、農民の米づくりに対する生産意欲がなくなっては大変だということで、真剣な陳情を実は受けたわけでございます。そしていまのうちに、とにかく初期的な段階で思い切った絶滅をさせるという対策がなければならない。いわゆる緊急防除対策をしてほしい。しかもそれは農民の負担でやるということになると、もう少しやりたいけれどもお金がかかり過ぎて米の値段に比して農薬代がうんとかかってしまうというようなちゅうちょがあってもいけない。やはり思い切った措置をするには国の全額負担で、しかも初期的な段階で——聞くところによりますと、成虫が山やあるいはあぜ道のところへ出てきまして卵を生みつける。そして幼虫にかえるのがちょうど田植えが終わった後でございますが、その幼虫が根を食ってしまう。そのときが一番被害が大きいし、また薬剤の散布をするときはそのときが一番よく効く、こういうようなことでありますので、いまのこの初期的な段階で国の費用で思い切った防除をしてもらいたい、そうすれば食いとめることができる、こういう現地の切実なる生の声を私受けたのであります。早速現地へ参りまして、たんほの中を長ぐつを履いて見てまいりました。そのときとったものは大分稲が枯れてしまいましたが、これは私が最初に採取したのでございます。実は私きょう質問するということで、きのう現地へそう言いましたら、これまた農民の方から、いま生きておるそのままのを持ってこられました。これは非常に封をよくしておるというのは、この虫自体は雄はいないようです。雌だけで単体で生殖をして繁殖するということでありますから、この一匹がもしそのあたりへ逃げてしまうと大変なことになりますので、私自身もいまこれを持ってくるのにも非常に厳重に管理をして、注意をしているわけでございます。  私がたんぼの中へ入ってまいりましたときにびっくりしましたのは、どの苗を見ても少ないのは一、二匹、多いのは五ないし七匹ついておりまして、この分で計算するとこれはえらい数字になるなと思われてならないのであります。昨年からことしにかけてどんな推移の模様かとお聞きしましたら、昨年発生確認実面積は七百三十ヘクタールである。そして今年知多地方と西三河地方、すなわち知多地方では半田市、常滑市、知多市、阿久比町、美浜町、武豊町、西三河では西尾市、幸田町でありますが、作付予定面積は七千四百十九ヘクタール、現在まで、五月十八日現在で田植えが終わったのが千九百一ヘクタールでございますが、そのうち発生程度別面積でまいりますと非常にはなはだしい。つまり、一株取ってみると必ず一匹おるというのが二百二ヘクタール、五株ぐらいに一匹おるのが、多とするものが三百四十二ヘクタール、中程度という十株に一匹ぐらいおるのが五百四十八ヘクタール、それから百株当たりに一匹という程度のもの、少といいますが、これが三百二十二ヘクタール、合計千四百十ヘクタールでございますから、これを積算しますと田植えの済んだところの発生率が七五%になるのですね。そうしますと、ことしの作付面積をずっと計算すると三千四百ヘクタールに拡大化されるのじゃなかろうか、こういう予想がうかがえるわけであります。去年の七百三十ヘクタールに対して三千四百ヘクタールですから実に五倍という恐ろしい増殖ぶりであります。そういうことを考えてみますと、どうも先ほどの質問並びに答弁を聞いておりますと、まだまだ悠長に研究をしながらということでいいような感じがしておるのですが、とてもそんなわけにはまいらないと思います。  先日、私も農林省に訴えまして、農林省は事の重大さを感じていただいたのか一週間後の五月二十一日現地を調査されたのであります。大変お忙しいところを来ていただいたのでございますけれども、私もたまたま現地で皆さんと会いまして、農民の人たちの真剣な声を聞きながらどうしたらいいかということを現場で感じながら皆さんと一緒に調査をしたのでございます。そのときに農民の悩んでいる姿をごらんになって、現地へ行かれました植物防疫課長さん、また担当の局長さんはどう感じられたか、まずこの点についてお聞かせを願いたいと思うのでございます。
  22. 堀川春彦

    堀川政府委員 先生御指摘のとおり、この新害虫発生を一刻も早く撲滅しなければならないと思っておりまして、過日の私どもの局の植物防疫課長の出張報告も私詳細に報告を受けておりますし、真剣にこの問題に取り組んで、一刻も早く的確な防除方法を確立し、それに基づいて防除してまいりたいと思っておるわけでございます。
  23. 稲垣実男

    稲垣委員 現地へ行かれました課長さんちょっと……。
  24. 本宮義一

    ○本宮説明員 五月二十一日に、農林省の農林水産技術会議の研究管理官及び農業技術研究所のこん虫科長と私同行いたしまして現地を調査してまいりました。  どういう調査結果だったかというお尋ねでございますが、昨年私ども調査しまた報告をしておりました地域よりもことしの発生面積は拡大をしておるということは現地で承知したわけでございます。  それからまた、昨年発生した地域では、昨年よりもことしは発生密度が高まっておるということ、特に発生密度の高い水田は早植え地帯の水田に多かったというようなことを現地で見てまいりました。  そしてまた、いま先生からお話のございましたように、地元の方から有効な農薬の検索、防除方法の確立ということを強く要望をされました。  今回の調査は、現在愛知県の試験場が農業技術研究所指導によってこれの撲滅に対する調査試験を行っているわけでございますが、それを確かめる、その方法について研究所の方々が愛知県の方々と十分お打ち合わせをするというような前提をもって参ったものでございまして、調査が終わりましてから愛知県と打ち合わせを行ったということで帰京したわけでございます。
  25. 稲垣実男

    稲垣委員 調査報告といいますか、現地をごらんになってこれは大変だなという御認識は持たれたと思います。しかしながら、先ほどからの政府の御答弁を聞いておりますと、どうも被害に対する認識が薄いような感じがしてならぬのです。昨年水害によるイモチ病発生のときなどは思い切った政府の施策がございましたし、あるいは沖繩でミカンコミバエが発生をしたということで国を挙げて真剣な緊急防除対策をされたと思いますが、特にこのイネミズゾウムシ日本の国民の主食に関係することなんです。減反政策という誤った政策を行ったために、と言われておりますが、ために非常に農民の生産意欲を阻害しておる、こういうことでございます。そこで、今度のこのイネミズゾウムシはいまのうちに徹底的な防除をしなければならぬ、でなければ大変なことになる。こういう私どもの認識に立ちますと、先ほどの御答弁によりますと何か緊急防除要件に適合すればというようなことでございましたが、率直に申し上げて、それではわれわれ農民の声を聞きました感じで言うとどうしてもしんぼうできないと思うのです。  そこで、せっかく大臣も御出席でございますので、さらにひとつ御認識をいただいて、農民がいままで負担された農薬、あるいはこれからもどしどし防除をして一匹でも逃がしてしまったら大変だというこの真剣な防除に対する熱意に感じられて、何とかひとつ緊急防除要件にこれは適合するのだ、そしてまた全額国の手で行うのだ、こういう気持ちを表明していただきたいのでございます。大臣ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  26. 堀川春彦

    堀川政府委員 大臣が御答弁申し上げます前に、やや技術的な問題にも触れる個所がございますので、私から一言前もって御答弁させていただきたいと思うわけでございます。  私どもこの問題をじんぜん日を送って、ただ調査研究をやっていればよろしいという態度で取り組んでおるわけではございません。一刻も早く的確な防除方法を確立をして、それに基づいて撲滅を図りたい、それによって農家の方の現実にある負担なりあるいは不安を解消すべきであるというふうには思っておるわけでございます。ただ、いまの技術陣営を動員しての結論といたしまして、まだこれという決め手が見つかっていない。ある程度効果のある薬剤があるだろうということはわかっておりますが、この段階でその薬剤を用いて大々的にやるということを緊急防除のやり方としてやるというのはちょっとむずかしい点がございますので、これは確実に防除ができるというものを発見いたしまして、その薬剤はどういう製法で、どういう時期にどういうやり方でやったら効くかということを、完全を期するというわけにはまいりませんが、ある程度見当がついた段階で、これは運用の幅になってまいりますから、そこで決断をするという問題はありましょうが、そういうことで緊急防除の発動を行うというのが筋であろうかということで申し上げたわけでございまして、百点満点をとろうということでずっと延ばしているんだという気持ちは絶対にございません。
  27. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほど中野さんにも御答弁申し上げましたように、必ずすぐ実行いたさせます。ただ、問題が残るだろうという心配をしているのは、いま規制をされている農薬というものでは処置ができない虫ではないんだろうか、そう思います。そうなってくると、後遺症じゃないけれども、後に残留されたものによってドジョウが死んだとか、タニシが死んだとか、田の周りの何が死んだとかいう問題がいろいろ起こるであろう。思い切った防除をやるということになると、そういうことにもなる憂いがあります。でございますから、皆さん方の十分な納得の上に立たないとそれらは行うことができないだろうと思う。米そのものには効果があったけれども、後遺症があってこうだという問題を残されて、それを農林省はと言って、またこれに対するおしかりを受けるようなことがあるとこれは困るんですから、十分適確な農薬を出す。私は、いまの話だけを聞くと、その適確な農薬とは、いま禁止されているようなものを使用しなければ絶滅を期すことは恐らくできないのじゃないだろうか、こういうふうに考えます。でありますから、そういうことをやはり地元の農民、皆様方と十分御相談を申し上げて御了承を得た上でないと、これを実施することはなかなかむずかしい問題が残されてくるだろう、こう思います。しかしながら、何といってもこれが蔓延したということになると大変な事態を生じますから、その点は十分考慮しながら、地元民とのお話の上に立ってこの解決をつけてまいりたい、こう考えます。
  28. 稲垣実男

    稲垣委員 局長、また課長さん、また大臣から御答弁がございまして、適確な農薬がない、しかしながら適確な農薬があればこれに対して国は思い切った政策をするんだという御答弁でございます。  そこで、農薬の登録制の問題でございます。  現地の人に聞きますと、こういう緊急対策ということになりますと、登録をされている薬でないと、やっても残留等があって非常に困る、だからやろうと思ってもやれない、しかしやらざるを得ないんだ。現にいま、いろいろ試行錯誤の中に、あるいは暗中模索の中に農民農民対策はやっております。相当な金が今日まで投ぜられたと思います。聞くところによりますと、そういう登録のされていない薬については補助金を出すのはむずかしいんだと言う。昨年はともかくといたしまして、ことし田植えをして今日の時点まで、その間どんどん薬が投ぜられているわけです。これは、あるいは農林省の方でこの薬についてはよろしいよ、あるいは仮にこういう対策というものが決まってからででもありますけれども、これの後始末を何とかしてやらなければいかぬと思うのです。農民が現にやっている薬について何らかの補助対策はないだろうか。また、これから行う緊急防除対策というものについては、ぜひひとつ緊急防除要件に適合させていただいて、試験の方は、残留と効果ということの両方の並行試験をこれからやっていくというようなことも、試験場などに聞きますとそういうことを言っておりますけれども、早く見つけていただいて、そういうふうな方法を講じていただくようにお願いをいたします。
  29. 堀川春彦

    堀川政府委員 これまでに農家の方がいろいろな自己努力でおやりになっていることは大変お気の毒なお立場に立たされているんだというふうに、私どももきわめて重大な認識を持っておるわけでございます。私が先ほど来申し上げましたのは、法のもとで使用を許される、しかも薬効の確実にある薬を用いて適確なる防除をやるというものに対する予算制度といたしまして十分の十の補助の制度があるので、それを今後において、適確なる防除方法の発見の上に立って、その方法でやる防除について適用方を検討したい、こういうように御答弁を申し上げたわけでございます。大変お気の毒ではございますが、現在のものについてそういう制度になっておりませんので、その点はちょっとむずかしいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  30. 稲垣実男

    稲垣委員 いま御答弁をいただきましたが、いまのお話でありますと、適確な薬でこれならよろしいということになったら十分の十、いわゆる全額国の負担でやるんだ、しかし過去については制度上やむを得ない。ところが、いま田植えの時期なんです。この田植えの時期、ちょうど幼虫が稲の根を食ってしまうこの時期が一番薬剤の効力もあるし、同時に、このときやらなければ被害が一番大きいのです。ですから一刻も猶予ならぬのです。そういう適確な薬が確定できるという見通しは大体いつになるのですか。
  31. 堀川春彦

    堀川政府委員 いま農林省の技術研究所の指導のもとにさっきの試験をやっておるわけでございますので、途中で確定できればよろしゅうございますが、技術的に不明確なまま、あれもやってみる、これもやってみるというようなことを、農家の方に実行計画として広範にやることをお進めするというわけにはまいりませんので、これは私、技術者でもございませんから、いつという見通しはつきませんが、とにかく一刻も早く適確な防除方法を見つけることが先決であるというふうに思っておるわけでございまして、これは科学技術的な筋というものを尊重しながら助成制度をそれに合わしていくということでありませんと、思いつきであれをやってみたらどうか、これをやってみたらどうかと言うわけにはまいらない性格のものでございますので、その問題には鋭意真剣に取り組んでおるところでございますので、御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  32. 稲垣実男

    稲垣委員 どうも科学技術的な問題と言われますと、後の農薬公害という点から考えますとなかなかうなずけない点もないわけではございませんが、私、実はイネミズゾウムシというものがどんなものかということで、日本農林省の各機関とかあらゆるところも訪ねましたし、同時に、アメリカではどのような研究がされておるかというようなことで、カリフォルニア大学の助教授であるグリガリック博士、またランジさんあたりが研究をして、それでどのくらいの被害があるだろうか、こんなような報告をした報告書を手に入れてみたのでございますが、被害の現象これはいろいろな試験方法でやるのですが、その中に「幼虫は根を食べて根部組織のかみ切りをひきおこす。すなわちもしも数が多いと必然的に分けつが少なくなり、株の萎縮の原因となり、問題になるほど、穀物の収量を減少させる。一株当り一頭のイネミズゾウムシの割でケージに入れられた虫の数では三〇%程度の穀物の収量を減少させる。」こういうことが言われているのです。  先ほど私が数値を申し上げました五月十八日の愛知県の発生状況を見ましても、また今後の三千四百ヘクタールに及ぶ発生予想面積等から考えてみると、これはもう下手をすると日本の米の政策そのものがゆゆしき問題になるのではなかろうか。こういう外国等の事例等を見てまいりますと、早く適確に措置をしていただかなければならないと思うわけでございます。  そこで、もう時間があとわずかしかございませんので、しほりまして、最後にひとつ大臣、いま政府側の局長さんやあるいは課長さんの御答弁、また私の質問をお聞きになって、率直に申し上げて、いままでの農民の負担に対する手は何かないか。たとえば、県がある程度指導をして行ったのですから、県に対して試験研究費というような形で何か出す方法はないかということが一つ。過去に農民が今日まで、いまもって一生懸命に暗中模索の中に試験的な方法で農薬による防除をやっておるわけです。だからこの試験的な防除に対して、これは県の指導でやっておるのですから、県に対して何か補助をしてやろう、こういう積極的なお気持ちをひとつ表明していただきたいのです。  それから、先ほどからお話がありましたように、これはミカンコミバエやいもち病のときのように、災害並みあるいは緊急防除対策並みにぜひ要件に合致するようにしていただいて、全額国庫負担で、薬がこれなら適確だというものが決まったら、ぜひそれを一挙に思い切ってやってもらう、そしてこのイネミズゾウムシが本当に日本に一匹もなくなるというぐらいな気持ちで、ひとつ徹底的な防除対策を打ち出していってもらいたい、こういうことをぜひひとつお願いしたいと思いますので、御答弁願います。
  33. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほど中野先生にも御答弁申し上げましたように、県の方の補助という点につきましては、いずれにしてもいまのところそういうふうなことはできないことになっております。しかし、今後早急に徹底して駆除ができるような方途は別途開いて、国の方で責任を持ってその方面の解決をつけてまいりたい、こう考えております。
  34. 稲垣実男

    稲垣委員 大臣から徹底的な防除をやる、こういう御答弁をいただきました。鈴木農林大臣もただいま日ソ漁業交渉をやっておられまして、また長谷川大臣はそのお留守中に職責を果たされてこのように農林大臣としてお働きでございます。ソビエトに行っておられる鈴木農林大臣がお帰りになりましたら、大臣からぜひこの状態をお伝えいただいて、引き継ぎ事項として、対策を必ず真剣にやるんだ、こういう姿勢をひとつお示しいただきたいのでございます。  以上申し上げまして、私の質問を終わりたいと思うわけでございます。
  35. 金子岩三

  36. 美濃政市

    美濃委員 ことしも麦価の決定、引き続き米価の決定という時期になってきたわけですが、米麦価の問題につきまして若干の質問をしたいと思います。  まず第一に、米価審議会の構成につきましていろいろ論議が交わされ、三者の均等比率構成ですか、そういう構成にするという論議がかなり高まってきておるわけですが、この問題がどこまで進展しておるか、政府としてはかなり検討されておるというふうに私どもも聞いておるのですが、それにつきまして御意見を承りたいと思います。
  37. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  米価審議会の委員の構成につきましては、昨年来種々御意見のあるところでございます。われわれとしては、過去の経緯なり米価決定のたてまえから、現在の運営を是として考えておりますが、各般の意見等もございますので、それらのそれぞれについての検討を進めながら、委員の改選時期までに間に合うように結論を出したいということがありのままの姿でございます。
  38. 美濃政市

    美濃委員 これはその検討の結果近く行われるということですか。ことしの米価を審議するまでに構成についても結論を出して、その結論に基づいて委員の選任が行われる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  39. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 美濃委員御案内のとおり、米価審議会の委員は一年でございます。六月二十二日ということでございまして、本年産の麦なり米の政府買い入れ価格等の諮問は、委員の任期が満了して新しい審議会構成ができた後に行うというのが常例でございますので、二十二日の任期というものを頭に置いて米価審議会の委員の任命等について結論を出すべく、来月に入りましたら早々にその具体的な検討を始めるというのが実情でございます。
  40. 美濃政市

    美濃委員 いま申し上げた米審委員の構成がえというのは、一つの大きな政治的問題だと思うのです。いま長官の進めておる一応のスケジュールはわかりましたが、大臣からこの件についての考えを承っておきたいと思います。
  41. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 審議会委員の構成はなかなか議論の多いところでございましたので、かつて私のときに、委員皆さん方の御意見というものを十分尊重いたしましたメンバー構成をやったわけでございますが、したがって、現在の運営という点について云々というものはないと私は思うのですけれども、新たなるシステムをもってやろうということになると、これはまた議論の多いところになるんだと思うのです。かつては国会議員を委員として構成もされていた。しかし、議員ではいけないじゃないかというたくさんの議論がありまして、そして現在のようなあり方が一番よろしいんだという御意見によって現在のようなメンバーがえをした。生産者あるいは消費者代表同数をもって行うとか、いろいろのものがありまして、そして現在のようになったんだと思うのですが、いずれにしても、米価審議会が近いうちに開かれるに当たりまして、メンバー構成の変えられるという点もあるだろうと思うのですけれども、その点は、皆さん方の御意見もいろいろあったことを幾分でも参考になるものなら参考にして構成ができていくであろう、このように考えております。
  42. 美濃政市

    美濃委員 いまここで結論は出せぬと思うのですが、従来、この構成につきましては、恐らく議会側としては、与党の自民党の中でも、構成比率を、やはり三者構成ということのウエートを置くべきであるという意見はかなり出ておると私は思うわけでありまして、議会側の意識はやはり三者構成、いわゆる生産者、消費者、学識経験者、わかりやすく言えばこの三、三、三の比率構成にすべきである、こういう議会側の意見はかなり高まってきておると思うのであります。選任するのは大臣でありますから、いまここでそのようにしますということはちょっと言えぬと思いますけれども、もう大分国会側の意見は高まってきておるわけですから、その三、三、三の均衡構成にするという点について、ことしの改選期にはぜひそれを達成するように要望申し上げておきます。答弁は要りません、そのとおりするという答弁はできぬと思いますので。しかし、議会側の意見が高まっておることは、すでにもう大臣も長官も御存じのことと思いますので、要望を申し上げておきます。  次に、価格につきまして、まあ価格というよりも算式につきまして、価格は大臣が決定するのでありますから、その具体的な価格の表示の前に、現在行われておる麦の算式につきましてお尋ねをし、また意見を申し上げ、政府の考えも承りたいと思いますけれども、まず第一に、麦の全国平均の統計情報部の生産費資料、これはまだ五十一年産麦については集計ができていないということでいまの時点ではわかりませんが、まあしかし五十年産麦で申し上げても大きな差はないわけですから、五十年産の統計情報部の資料は、全国平均の麦十アール当たりの家族労働時間は二十六・五時間、十アール当たりの家族労賃が四千七百九十円、一日当たり千四百六十九円と出されておるわけですね。これはとうしてこういう——麦の問題は、価格決定の前になるといつもこの論議が交わされておるわけですが、パリティだとかそういう算式は別として、もちろん算式から出てくるのですけれども、常識的にいまのこの物価、賃金の中で、麦をつくった農民の一日働いた労賃が千四百六十九円、後から奨励金の問題も出てくると思いますけれども、奨励金は別といたしまして、決定される基本価格で計算した場合、一日当たり千数百円の家族労賃にしかならない。どうしてこういう、もう経済上から言うならば、全く社会常識を逸脱したような行政価格が決定されるかということ、これについても何回も繰り返しておるのですが、ことしも改めてお伺いをしたいと思います。
  43. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 御案内のとおり、四十七年以降の国際需給を契機といたしまして、麦作の振興についての検討、それは生産面及び価格面と両面からの検討の要請なり施策の強化が高まっておるわけでございます。四十九年以来、価格は農業パリティ指数を基準とする価格で決めていくが、生産面への配慮も考慮して、生産奨励金を当初二千円と千八百円、それを二千円に一本にいたしまして、五十一年からは二千三百円というふうにいたしまして、両面から生産の増加を図っておるということでございます。そういう意味では、奨励金等を含めた手取り水準というようなことについては相当な改善が行われ、その結果でございますか、四十八年まで急速に減っておりました麦は下げどまった、やや微増でございますけれども、増加をしておるというのが現在の状況でございますが、さて、それを踏まえまして、価格自体、算定方式自体についても、麦作振興に資するような検討を行うべきであるというような御所論が当委員会等にもございましたが、昨年の政府の麦の買い入れ価格の際の米価審議会等におきましても意見が出まして、米審自身としてもこの算定方式等について麦作振興の見地に立った検討、幅広い議論をいたしたいということで小委員会ができまして、昨年来その検討が行われて、ただいま最終的な段階に議論としては相なっておるというのがありのままの実情でございまして、米価審議会、小委員会等の関係者としては、ならば統一的な見解を得て、これを今年産麦、五十二年産麦についても取り上げたいというような空気で議論を急いでおるというのが状況でございます。
  44. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 麦価の問題は、もう私は議論をしているときではなくて、もっと基本問題から、麦は必要なのか必要でないのかという問題からいくべきであって、日本の国の将来を考え、現在どうなっているんだというような観点に立って判断すべきであり、もうすでに価格云々の議論の時期は去った。したがって、米というものですでに日本農業というものは実験済みなんですから、これをまさに生かした方法をとるべきであるというふうに考えております。わかりにくいだろうと思うけれどもわかっていただけるだろうと思うのです。ただ、このように奨励金だとか云々とかいうものではなくて、米というものはなぜこれだけの生産を高めることができたのだ、つくってくれるなと言ってもなぜつくるんだというその原理を探求すればおわかりだろうと思うのでありまして、したがって、少なくとも国内の農産物を七〇%以上に引き上げようとするならば、当然とらなければならない措置であろうと考えます。したがって、そういう方向づけをしていただけるように、十分に御期待に沿えるような方向をもって今後進んでもらいたいということを、私は鈴木さんが農林大臣になった当時にもそういうことを申し上げてあるわけでありまして、恐らく十分そういう点については、鈴木さんもなさなければならないことだと私には確言をしておりますから、そういうような措置がとられていくのではないだろうか、こういうふうに考えます。私はいまこうやりますああやりますという決定版をお示しするわけにはまいりませんけれども、そのように感じておりますし、なさなければならない問題であると、こう考えます。
  45. 美濃政市

    美濃委員 麦につきましていまの大臣の御見解は、非常に前向きのお話を承ったわけなんです。米に準ずる措置が検討されるべきである、こう解釈してよろしゅうございますか。
  46. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 米に準ずるという意味ではなくて、米ですでに体験をしている国とするなら、農政とするならば、もう見本が出ているんだから、麦価においてもとるべき方途は明らかな一途しかないんだということはなんです。ですから、いま言ったように、奨励金だとか補助金だとかいうものを別個に出してやっても、それは皆さんがいまの計算から出していくと、一時間幾らにしかならぬじゃないか、一日に幾らにしかならぬじゃないか、それは奨励金なんかを計算に入れてないからそういうことになるのであって、すべてそういうものはそのものずばりに持っていきたいというのが私が申し上げたことでございます。ですから、細かいことは余り申し上げられませんけれども、そういうように喜んで再生産ができるような方向を開いていかなければならないんだ、こういうことでございます。
  47. 美濃政市

    美濃委員 大臣の御意見は大体わかりました。そこで、それにするにしても、これは食糧庁長官にお伺いしたいと思うが、大臣もいまお聞きのように考えられておる。したがって、奨励金もそういう意図で出ておるわけですが、奨励金をここで加えても一日当たり労賃が四千六百九十円。たとえば、四千六百九十円という一日当たり労賃で、もう一つ言うならば、十アール当たりが一万五千三百一円でございますから、二十ヘクタール小麦をつくって三百万の所得しか得られない、こういうことになるわけであります。ことしの税法で決めたわが国の課税最低限が二百五万ですね。この二百五万の所得を得るという立場で計算しても、十七ヘクタールないし十八ヘクタールつくらなければ専業としての所得が得られない。小面積だからいいんじゃないかと私は考えぬわけですね。小面積であれば他の賃金所得やその他と合わして考えればいい、日本の農業構造というものは非常に兼業農家も多いわけでありますから。しかし、十アール当たりで計算するときに、専業であればいかなる構造でなければ生計が立たないかということは、やはり私どもは物の見方として考えるわけです。日本のいまの北海道の畑作を考えても、実際問題として全面積麦が作付されるということは、これはないのでありますけれども、しかし、この価格で麦で生計を立てるとしたならばどれだけの構造でやらなければ生計所得が得られないかということは、やはり一つの物の見方になってくるわけです。そういう見方で見ますと、とてもこの値段ではどうもならないし、いわゆる算式というものの中でどこが狂っておるのか。算式を当てはめれば、こういう矛盾したものでなくて、やはり生計を立て得る、いま大臣が言ったようにやはり再生産可能な価格か出る算式でなければならぬと私は思うんですが、これはいかがですか。どこが狂っておると思うかです。
  48. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 いろいろの御所論がございますが、まず、やや事務的な答弁をさせていただきますと、五十年産の生産費を前提といたしまして、一日当たり家族労働報酬なり反当所得というような御所論がございましたが、これは実は麦は、もう先生御案内のとおりで恐縮でございますが、毎年の反収の振れが非常に大きい。特に五十年は作柄として非常によくなかった。したがって、たとえば四十九年の先生お示しの数字を読みますと、一日当たりの家族労働報酬が五千四百七円というように、反収の振れ等もございまして、その年の一日当たり家族労働報酬は五千六百円程度だと思いますけれども、その点非常に、奨励金を加えました労働報酬の改善というものは、四十九年以来行われておるということもまず申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。  さてしからば、麦の算定方式自体の問題について、これは麦作振興にのっとって再検討という点から、現在のパリティ方式を基準とする算定方式が出ておるわけでございますが、パリティ方式自体は物価均衡でございまして、家計及び経営用品の価格の上昇率にパリティをさせて、麦なら麦の購買力を均等に維持するという点で安定的な方法でございますけれども、基準年次等が二十五、六年、それ以降は麦の生産事情その他経済事情が大きく変わっておるという点とか、またパリティにとって固有の問題でございます価格に、それぞれの品目のパリティアップを反映し、またそれぞれの品目のウェートは改正しておりますけれども、経営なり家計における物財量の増加、家計でございますれば、生活水準が上がるので、当然その辺の家計用品の購入量がふえる、それから経営でございますれば、機械化その他によるその投下物財量がふえるというような点について、反映しがたいという技術的な方式としての難点もあるというようなこともございまして、今日生産振興の視点からこれを見直すというようなことに相なっておるというわけでございます。
  49. 美濃政市

    美濃委員 いまの米審の小委員会で検討しておるという、その結論が出た場合に、五十二年産麦価において奨励金を価格に織り込んだ価格体系というのは、実現できる可能性はあるのですか。今年の決定はそこまでいかれますか。
  50. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、麦の価格算定方式は、食管法四条ノ二の二項で、他の政令に委任しておるような価格決定方式と違いまして、何と申しますか、俗に言うがっちり具体的に書き込んでございます。二十五、六年の麦の価格に対して農業パリティ指数を乗じた額を基準として、これを下回らざること、それで経済事情を参酌することということを書いておりますので、その奨励金等の取り込む方式その他の方式が、その当該の食管法の価格条項でございますその範囲として読み切れるかどうかというような問題も、実はわれわれ行政事務当局の立場からするとあるわけでございますが、いずれにいたしましても奨励金を含めた価格水準の実現、その生産振興奨励金を含めた価格水準が、今後の麦作振興にとって最も妥当であるというような御意見も小委員会等にございますので、その御意見と食管法の現行規定との関係というようなものを十分検討させていただいて、前進的な方向に進んでまいるのが筋であるというように考えております。
  51. 美濃政市

    美濃委員 次に、稲作転換には転換奨励金が十アール当たり六千円出ておるわけですが、いわゆる畑作に麦を入れるという形態も最近よく言われてきております。やはり地力対策、麦というのは非常に地力維持には、土地を消耗しない作物と私どもは言っておるわけですが、そういう関係で輪作奨励金というものを設定すべきであるという考えに立っておるわけです。また、要請もしておるわけです。これは、この輪作奨励金ができるだけ早い機会にそういう制度ができて、そして輪作体系が整うというところに畑作の地力維持、いわゆる地力対策というものができていきますし、それから、もちろん地力対策ともう一つは、いま農業が機械化しておりますから、大きなトラクターで土地の表面を固くするという、それから起こる被害というものも出てきておるわけです。麦作を入れることによって土地は柔軟になりますし、麦作の後は土地がやわらかくなりますし、そういういろいろな面からどうしても一定の反別を、やはり畑においても麦作にするという経営方式がとられるべきだと思うのです。輪作奨励金について早期に実現を図られたいと思いますが、これに対するお考えを承りたいと思う。
  52. 堀川春彦

    堀川政府委員 輪作奨励金についての御指摘でございますけれども、私ども畑作の経営はそもそもが特殊な例外を除きますと輪作形態のものではないかというふうに考えておるわけでございます。そこで、輪作がいろいろの作目の組み合わせによりまして総合的な、経営上プラスになるように工夫をこらしてやっていくということがきわめて肝要になるわけでございまして、その中で、適地において適品種の麦を導入して、適切な輪作体系をつくり上げるということが非常に重要だ、地力維持に非常に役に立つという先生の御指摘は、そのとおりだと思うわけでございまして、それが典型的にあらわれておりますのは、私は北海道の小麦作を輪作体系の中に取り込んだ経営ではないかというふうに考えておるわけでございます。全国平均で見ますと、麦作は五十一年までの間、四十八年に対比いたしまして作付面積で九%増くらいでございますが、北海道におきましてはその間一六八%という伸びでございまして、これはまさに北海道の畑作経営の中において小麦作を取り入れた輪作経営が定着している姿を示しているものというふうに考えます。その際に、やはり地力の問題が大きく考えられておる。収益性の問題につきましても、北海道だけで考えますれば、米の一日当たり家族労働報酬に比べまして、きわめて省力的な栽培方法でございますために、労働時間が少のうございますから、したがいまして、米に比べましても非常に高いということも一方においては事情としてあろうかと思います。  そういうことで、輪作の中に適切に麦作が取り入れられるということが望ましいということは確かでございますが、もともと畑作経営は輪作であるというふうな認識に立ちますと、これは特定作目の奨励ということよりも、適切な輪作を奨励するということが適当だということになるわけでございまして、そのためにはいろいろ施策、方法も考えられるわけでございますが、畑作でございますから、この土地に水田のごとく何をつくるということをやるわけではございません。個々の農家によりまして、いろいろの工夫をこらして対応するという、その地域に適したやり方というものはもちろんあるわけでございます。ということになりますので、その中の特定作目につき奨励金を交付するということを地力対策の観点からのみ推奨してやるということは、これはなかなかむずかしい問題があるというふうに思うわけでございます。しかし、全体の輪作体系の合理化、それからその中における需要の伸びてもらいたい作目の適切な導入ということをいかにして図るのかというのが重要な問題でございますので、私どもそういった問題については、今後真剣に検討してまいりたいと思っております。
  53. 美濃政市

    美濃委員 十分検討していただきたいと思います。  次に、ちょっと海外の話をして申しわけないのですが、デンマークでは、飼料用麦として燕麦、向こうに行きますと、翻訳してカラス麦、こう言うのですけれども、燕麦を飼料用麦として、大体飼料反別の二〇%——デンマークは酪農の穀物は全部自給で、購入飼料ではございませんから、自給飼料体系を確立しているのだが、その中の二〇%は燕麦なんです。あそこは北緯五十度ですから、夏の積算温度がなくて、トウモロコシがとれないところですから、結局麦作だけで濃厚飼料の自給体系を整えておる。大麦と燕麦です。そういう観点から見て、これから畜産経営を安定するには、どうしても自給飼料体系というのがやはり原則でなければならないと思います。完全自給できるかできないかは、いろいろ畑面積、そういうところから問題があると思いますけれども。燕麦について、これは共済制度には麦としての位置づけがあって、麦として扱っておるわけです。しかし、もちろんこれは食用麦じゃございませんけれども、政策上えさ用麦としての位置づけがないが、まずえさ用麦として位置づけを考えて、そして麦としてのあらゆる制度の適用を検討して、家畜飼料の自給飼料としての生産を高めるということが一面必要だと思うのですが、この点について、当局のいま進めておる考え方、どういうふうにそれをいま考えておるか、お伺いしたいと思います。
  54. 大場敏彦

    ○大場政府委員 燕麦の取り扱いでございますが、えさ用麦につきましては、いま各種の対策を講じております。青刈りにつきまして、これは燕麦の場合は、北海道ではございません。南九州でありますけれども水田裏、あるいは畑作の場合の反別奨励金というものを交付して対象にしておるわけであります。ただ、おっしゃったのは、実取りの場合だと思うのでありますが、実取りの場合には、元来夏作であって、他の作物と競合するという面が非常に大きな問題だということと、それから大麦等に比べて反収が必ずしも高くない。それからTDN、そういった飼料効率も必ずしも高くない、六割から七割だろう、こう言われておるわけでございます。  そういう意味で難点がありますので、実取りにつきましては、ほかの麦が一俵当たり二千三百円の奨励金を交付しているのに対しまして、燕麦は除外しておる、こういった経緯があるわけであります。しかし、北海道の実態を判断しますときに、先ほどおっしゃいましたように、いろいろ輪作ローテーションの中にも組み込まれておるというようなこともありますし、それから馬だけじゃなしに乳牛等にも給与されているという実態もありますので、これは一概に即答はできないわけであります。財政当局との折衝もありますが、大蔵省との折衝もいろいろ前提にいたしまして、それから道のお話をよく伺って善処したいと思っております。  やり方といたしましては、実取りに対しては、いわゆる一俵当たり幾らという交付の仕方と、それからもう一つは反別奨励金というような交付の仕方があるわけですが、後者の方は農林省とそれから北海道という間で話し合いが済めば比較的スムーズにいく可能性はあるわけでありますから、できるだけ容易な方から片づけてこの問題に対処していきたいというふうに思っております。
  55. 美濃政市

    美濃委員 もう一つ飼料用として燕麦を奨励する中でつけ加えておきたいと思いますが、先ほどちょっとデンマークの話をしましたけれども、デンマークに行きましてデンマークの技術屋に聞きますと、えさ用大麦は十アール当たり収量十俵ぐらいとっておりますね。これについても、価格政策とは違いますけれども、この機会に、麦価とはちょっと離れますけれども日本の畜産がこれだけ振興してきて、日本の農事試験場の中に飼料用作物の試験というものが行われていないというところに私どもは大きな疑問を感じておるわけですね。燕麦というのは質的問題があるわけです。たとえばデンマークでも十俵大麦がとれるわけですから、全量大麦で自給した方が収量そのものはずっとよくなるわけですね。ただし、どうしてもオートミール、いわゆる燕麦を二割混入しなければだめだ、大麦全量では濃度が高過ぎる。ですから、たとえば牛なんかもそうですか、家畜の体調、体質を整える質的なものといえばビートパルプだとか燕麦なんというのは本当に良質な飼料だと私どもは思うのですね。小麦などというのは牛に食わせれば濃度が高過ぎるから、やはりえさ対策の中ではふすまといえども、ふすまというのは非常に小麦が入っておりますから、酪農先進国は小麦という濃度の高いえさは乳牛用のえさとしては全部排除しております。こういう点を考えるときに、やはりいま使用されておる配合飼料というものは、先進国に比較して、牛の体調を整える良質のえさであるかどうかには私は多くの問題を感じておるわけですね。彼らの使用しておるえさから見ればかなり粗悪な、濃度が高ければ脂肪体質になりますから、そのためにいわゆる酪農で一番警戒しなければならぬ不妊体質になる。肥育豚だとかそういうものであれば一定の肉量をつくればいいのですから濃度の高いえさもその割りでないと私は思いますけれども、特に酪農のえさというのは体調を悪くして妊娠しなければこれは大きな凶作なわけですから、そういう点についてやはり燕麦というものを、これだけ酪農が振興した過程ではそういう良質のえさとして、収量もさることながら、質的な面でもっとやはり高く評価して取り入れていくべきだ、このように思うわけですが、この点の私の見解は間違っておるか、やはりそういうふうに将来はあるべきか、御意見を承っておきたいと思います。
  56. 大場敏彦

    ○大場政府委員 濃厚飼料としての価値評価の問題になるわけですが、確かに燕麦は、大麦等に比べまして反収も低いし、それから可消化養分総量というものも必ずしも高くないという点はありますけれども、しかしえさの価値判断そのものはTDNだけで律し得られるわけではもちろんないわけでございまして、いろいろなえさの組み合わせということが必要であることは御指摘のとおりだと思います。それからもう一つ、やはりいま北海道等におきます作付体系の中で、たとえばバレイショだとかあるいは菜豆だとかあるいはビートだとか、そういったものの中にこの燕麦というものを組み込んで連作障害の防止というものをやるということもやはり意味のあることだと私は思っております。そういう意味で、燕麦につきましてはやはりある一定の評価というものはするのが妥当であろう、こういうふうに判断をしております。ですから、先ほどのお尋ねにお答えいたしましたように、北海道ともよく連絡をとって詰めをしてみたいと思っております。
  57. 美濃政市

    美濃委員 次に、特に北海道地域において麦作が、いろいろ今後の政策との絡み合わせもありますけれども、先ほどから申し上げておるようないろいろな理由で、全国で一番広大な畑作地域において一定反別の麦作というものがどうしても必要になってきた、取り入れるべきだという体制が高まってきておりますが、その反面、いろいろ麦作改善あるいは構造改善事業等でカントリーエレベーターの施設やあるいは収穫機械のコンバイン等についての助成策が行われておりますけれども、これはどうしてもいまのところ足らないわけですね。これはいろいろ北海道の道庁を通じて的確に需要を把握してもらって、五十三年度においてはやはり必要量の予算化というものについて関係局は全力を注いでもらいたいと思うわけですが、これをひとつ承っておきたいと思います。
  58. 堀川春彦

    堀川政府委員 麦作の振興のためにこれは全国的に、価格政策は別にいたしましても、生産政策といたしまして所要の条件整備をやる必要があるということでいろいろと、生産振興奨励金もその一つでございますが、そのほかに各種助成策を強化してまいっておるところでございます。五十二年度におきましては、特に新しい予算費目といたしまして、農作業の受委託の積極的推進あるいは営農排水の適正化等のための予算措置あるいはまた小規模の麦作のための条件整備のための土地改良事業の新たな実施というようなことを展開をすることにしておるわけでございます。私ども今後この種の施策の拡充には大いに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  59. 美濃政市

    美濃委員 次に、外国産麦の輸入調整の問題ですけれども、これはどういうふうにしていきますか、一面いまの外貨事情あるいはテレビ等の輸出関連を見ておりますと、そういう関係が起きてきますけれども、しかし一時的なそういう現象で食糧の需給ということは考えるべきでないということはいまさら申し上げるまでもないと思うのです。そこで、そういう一時的な経済事情から需要を上回る農産物が輸入されるということを私どもは警戒しなければならぬし、政策上もそれをやってはならないと思うわけです。当然国内で麦の必要全量がいま直ちに生産できるとは考えません。ですから、不足量についての輸入は、ある程度の量については当然だと私は思うけれども、そこは需給というものを踏まえてやらなければならぬと思うわけです。需要量に見合った輸入というものでなければ、需要量を上回るというようなことはしてはならないことだと思いますが、これはやはり将来とも外麦の輸入との調整、そして国内で生産された麦の需要が安定的に確保されるという政策は堅持されなければならぬと思います。これについてはどういう対応策をお考えになっておるか承っておきたいと思います。
  60. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御所論のとおりだと思います。われわれといたしましても、内外麦を通ずる麦の全体需給計画に基づいて、まず内麦の供給量を定めて、その不足分を外麦を輸入するということで、需給の実態に即した輸入計画を立てて行ってきたつもりでございますし、将来も当然行うべきものであると思うわけでございます。そういう意味で、内麦の供給力の増加と相まって外麦は置き変わっていくべきものかと思うわけでございます。  ちなみに申し上げますと、昭和四十一年から五十年までの外麦の輸入量が実は百六十万トンふえております。その要因は何かといいますと、五〇%はその期間における内麦の生産量の減退でございます。御案内のとおり大幅に内麦の生産が減退した時期でございまして、そのほかに飼料用、加工用の需要の増加とか、あるいは備蓄増強ということから平年ベースよりも大幅に輸入した時期がございます。そのほか人口増等があるというふうなことでございまして、何にも増して外麦との関係は内麦の供給力の増加という点から努めていかなければならないということでございまして、六十年見通し、その他生産振興の麦についての供給力の増加ということもございますので、それについて各般の施策を講じていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  61. 美濃政市

    美濃委員 最後に流通関係について若干質問したいと思います。  第一に、米については輸送費は御存じのような状態で流通が行われております。麦については需要者との契約を促進しておりますけれども、この制度は私は悪いとは考えませんけれども、やはり運賃の関係から過去においても契約が阻害されて、いわゆる麦の販売契約が順調にいかないという面が出てきた。若干の措置はとっておるけれども、いまのところまだ不十分だと思うのです。これについてはまず第一番に、いわゆる生産地から需要地までの運賃、これについていまどのくらいの措置がとられて、これでは不十分ですから、将来これはやはり改善して、もう少し運賃というものを、いわゆる国内産の麦は米と同じように消費地の価格というものが消費地までの距離に関係のない体系をつくるべきだ、こう思うわけです。それについて、いまどのくらいの効果の措置が行われておるか、どのくらいが不十分で、将来これはどうしなければならぬか、その見解を承りたい。
  62. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  原則的なことを申し上げるのは恐縮でございますが、米は直接統制で買い入れなり配給すべて政府が責任を持っておる、したがってその運送については政府運送で処理しておるわけでございますが、麦は自由流通をたてまえとしておるわけでございます。ただ、現実の価格関係で政府に流通量のほとんど全量が参っておる。ただし自由流通がたてまえでございますので、それを前提として実需者と生産地とを結びつけまして、それで流通契約等を結んで商品特性が特に問題になる麦についての実需とその麦の品質との結びつきを行っておる。このために契約生産奨励金等出しておるわけでございます。また、自由流通がたてまえでございますので、何と申しますか、やや理屈を申し上げれば、立地による運賃コストの負担というものは他の農産物と同様な関係に相なるべきであるというのが一応の原則かと思います。しかしながら、御案内のとおり麦作振興が言われまして、特に四十九年からだけをとってみましても、一万ヘクタール以上生産作付面積の増加を示しております。北海道等においては実需地と生産地とが余りに離れておる、道内自体においてもしかりというようなことから、運賃について特別な配慮が必要であろうということで、四十九年以来その措置がとられておるというわけでございます。私どもの持っております数字によりますと、道内の平均については助成率が八割というふうになっております。それから道外の、たとえば東京との関係の助成率を見ますと約九割近くになっておるということでございまして、われわれといたしましては、その自由流通のたてまえの麦についても伸ばすべき主産地における販売が容易になるという点、いわゆる非契約麦の発生を防止いたすというようなことから格段の努力をしておるつもりでございます。
  63. 美濃政市

    美濃委員 この関係は、私どもの感じは八〇%、九〇%まではいっていないように思うのですけれども、まあ長官のお話ですから一応私ども再検討してみますが、やはり運賃だけは一〇〇%見て格差が起きぬような体系を今後ともひとつ検討を願いたい。  もう一つ流通関係で、規格の問題です。日本の食品流通の中で私は常に考えておることなんですが、農産物規格の中で外見というものが非常に重視されておる。これは麦だけでございません。他の農産物においても外見が重視されて、中身がそう傷んでいないのに等級が落ちる。ですから生産した農家はその規格でちょっと外見が悪くなると不良品、下位等級品として扱われて、そしてそれを使う者が非常にもうけておる、こう思うのです。麦についても、わが国は海洋性気候でありますから、空中水分の多いという条件は、これは他の国の麦の生産状況から見ると非常に耕作条件が悪いわけですね。ですから完熟期に入ってくると、夜、露でぬれてしまう。たとえばお隣の中国あたりでは、夜、露なんというのは雨でも降らぬ限り、日本のように朝起きて草原を歩いても足がぬれるなどということは、ほとんどないという現象でしょう。中国だけでないですね、豪州あたりもそうですね。ところが日本はとにかく空中湿度が高い。だから完熟期に入ってくると、夜、露でぬれるものですから、どうしても皮だけが黒くなるわけですね。中は傷んでいないんだが皮がちょっと黒くなる。ちょっと黒くなったらこれは等外だ、こういうのですね。これは余りにも過酷だと私は思うわけです。ですから現行規格の中に、やはり麦の規格をそういう面も格づけの上で緩和をするか、やり方とすれば三つあると思うのです。下位等級を設定するということ、表皮だけが黒くなって中身は傷んでいないというものについて、やはり商品価値は若干低下しておりますから、同じ格づけにして一等で買えというのは無理だと私は思うのですね。ですから等外と言わないで、下位等級を設定するとかという方法が一つあるのですね。それから規格を緩和する。ある程度表皮が黒くなって中身の傷んでないものは、いまの等級の等外としないで、規格外としないでいまの等級の中へ入れるという、いわゆる緩和の措置という問題が一つ。それからもう一つは、等外という名前でも仕方ないから等外上を常設して、それは当然政府買い入れの対象にする。この三つの方法があると思うのです。日本のいわゆる空中湿度から起こってくる表皮だけが少し黒くなって、穂発芽でもなければ皮の中は絶対に変質していない、その皮が少し黒くなっただけで規格外ということは、これはやはり緩和しなければならぬと思うわけです。これはもう検討してもらっておると思うのですが、それだけはひとつことしの買い入れに間に合うようにしてもらいたい。いかがでしょうか。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  わが国の風土、気候に即した内麦の品質、規格については、やはりその実情に即した規格等の検討あるいは災害等級としての等外上麦の設定とか、いろいろ規格に即した御質問かと思うわけでございますが、端的に申し上げますと、やはりこれは単に実需者に迎合するという意味ではなくて、食糧加工用としての品質が確保されるかどうかということで今日の規格は設定しておるわけでございます。したがいまして、内麦等を大変増産いたしまして、外麦になれた日本国内の実需者に対して内麦の需要をつけるという点においては、品質、規格等の配慮についてはその面からの配慮も必要ではないかという点もあるわけでございます。そういう点で、もちろん実情に即した規格の検討というのは私どもの務めでございますので、常日ごろから進めなければならないという点はございますが、いま申し上げましたような視点も、やはり本問題についてはぜひ考慮しなければならないというふうに私どもは思っておるわけでございます。  なお、災害等級としての等外上麦の設定問題につきましては、これは発生の数量も区々でございますし、実は等外上はそのままでは食糧加工用には向かないということが実需者からございまして、他の良質の小麦粉とまぜることによって食糧加工用になるという点もあるわけでございまして、そういう面で実需と生産者の置かれましたいろいろな条件とをどこで調整するかという問題ではないかというふうに考えております。
  65. 美濃政市

    美濃委員 時間になりましたので、以上で本日は終わります。      ————◇—————
  66. 金子岩三

    金子委員長 請願の審査に入ります。  今国会において本委員会に付託になりました請願は、全部で百八十二件であります。  本日の請願日程第一から第一八二までの請願を一括して議題といたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先ほど各党理事間におきましても慎重に検討いたしましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  先ほど理事間において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一、第六、第七、第九、第一二、第一四、第一五、第二二ないし第二五、第二七ないし第三一、第三五、第四二、第四三、第五一、第六〇、第六一、第六三ないし第六五、第六七、第八三ないし第九一、第九四、第九五及び第一七七の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  70. 金子岩三

    金子委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、米の買い入れ制限撤廃等に関する陳情書外一件外二十七件でございます。右御報告いたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  71. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川武一君。
  72. 津川武一

    津川委員 いよいよ米価の季節になりました。そこで、大蔵省は据え置くなどとも言っておりますし、けさの新聞によると、生産者米価五%以下、消費者米価一〇%程度、米の消費が減った、消費者の方には、生産者米価は上げるな、いろいろな議論が出てまいっております。農民もまたいろいろな動きをしなければならなくなりまして、全中は二万円の要求をしておる、近くまた大会もやる、米価審議会も開かれる、政府は政治加算もやるなどということで、毎年同じことを繰り返してまいりました。  そこで、私たち共産党では、いまの日本の農業を日本の経済を支える大事な大事な柱として位置づけて、農業を評価し、援助をしていく、そのために主な農産物に米並みの価格保障をする、きのう申し上げましたように、当面三カ年で五十万ヘクタールの農用地を造成する、やがて土地を国民的に調べて三百万ヘクタールくらい造成していくという方針も出しておりますが、問題は、主な農産物の価格の決め方です。米、麦とも違う、畜産物とも違う、国民も農民もどこに依拠していけばいいのかわからない。そこで大臣、同じことを繰り返さないように、国民のだれもが理解できるようなはっきりした価格体制、これを決めるルールをつくって、そこで自動的に決まっていって、農民が安心して生産ができるようにすべきだと思うのですが、この点で政府にもし見解があったら聞かせていただきます。
  73. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農産物の価格政策につきましては、それぞれの農産物の特性に応じまして——特性といいますのは、需給関係がどういう事情にあるのかとか、あるいは保管がきくとかきかないとか、それぞれの特性に応じまして価格の安定制度の仕組みを変えております。安定帯価格の方式だとかあるいは政府が直接管理をして全量買い上げをするとか不足払いをするとかいうような、それぞれの価格政策の仕組みを決め、またそれに即応した価格算定方式を決めておるわけでございますので、ただいま先生がおっしゃられましたようにすべての農産物に画一的に同一方式というのは、いろいろ問題があるのではないかというように考えております。ただ、今後総合的な食糧の自給率を高めるために生産をふやすべきものが多いわけでございますので、それらの政策を進めます場合には、生産対策なりあるいは構造政策、基盤整備はもちろんでございますが、それらの政策とあわせまして価格政策というのは非常に重要であるということは十分念頭に置いて今後適正な運営に努めていかなければならない、かように考えております。
  74. 津川武一

    津川委員 後でこのことはもう一度論じますが、当面の米麦価のことです。私たちは、米を生産し麦を生産する農民、この農民とこれを買い上げる政府が事前に十分協議する、どうすればお米の問題は解決するか、どこいらが生産費を償うものであるか、これを十分詰めた上で米価審議会に詰めたものをかける、この米価審議会は農民の要求が十分反映されるように民主的に改組する、そして米価審議会は公開にする、そしてあの忌まわしい政治加算なんかが行われないように、国民が決めた米価や麦価を信頼できるように米価審議会が決めたものをそのまま政府が決定する、このようなことを考えているわけであります。  そこで、今度の米麦価の問題で政府は生産者農民農民団体とどのくらい話し合ったのか。今後これから十分話し合うべきだと思います。それを基礎にして米価を決める態度を貫くべきだと思いますが、この点はいかがでございます。
  75. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 申すまでもなく、現在の米価の決定のたてまえは、その性格から言いまして行政価格として政府の責任で決めさせていただいております。ただし、その決める場合に、いまのお話にもございましたように、米の生産、流通、消費等についての専門的な学識経験を有する方だけでなくて、その米価というものの持っております農産物価格における重みとか、あるいは消費者家計あるいは国民経済なり財政全般への影響に対する配慮ということから、それらの専門的な関係の知識を有する方々に委員をお願いして米価審議会を構成いたしまして、これに諮問して最終の決定をしておるというたてまえでございます。そういう意味で、私どもとしては、政府の責任で決めて、米価審議会には諸般の意見を承って、これを参考にいたして決めるというたてまえで進んでおるわけでございますが、御所論のように、その場合、本年度の米価のそれぞれの特殊性とかいろんないわゆる米作農家のお考えとかというようなものについては、例年、物理的な余裕のある限り、われわれとしてはそれぞれの立場のお話を聞いてきておるつもりでございます。たとえば農協団体その他等はスケジュール的にそれぞれの準備を用意なさいまして、私どもの方と大臣以下といろいろお話し合いをするというような機会も例年持っておるわけでございまして、米価決定について諸般の状況というものを的確に把握して決定するための努力はしてまいりたいというように考えております。
  76. 津川武一

    津川委員 政府の責任で米麦価を決めるということは、政府が決めることではない。いろいろな人たちと相談したり、米審に相談したり、いろいろな意見を聞く、これが政府の責任ということになります。  そこで、全中とは毎年協議しているようですが、民主的な農民団体、五団体、六団体ありますが、これともじっくり一度相談してみて、米価を諮問するときの重要な参考にすべきだと思うのですが、この点重ねてお伺いします。
  77. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 昨年の例でも、いまお話しの農民五団体等の方々とわれわれとの間でお目にかかる機会を持ちまして、米価等のそれぞれの考え方とわれわれの考え方という点について種々議論を交えて御意見も拝聴したつもりでございまして、本年におきましてもその機会を見ましてお話の機会を持たれると思っておるわけでございます。
  78. 津川武一

    津川委員 その米価審議会、編成をもっと農民の再生産が償われるような、そういうことを保障する意味において改組すべきだと思います。改組の時期が来ておりますので、そういう意味での農民の団体の人、代表をもっと入れることが必要だと思いますが、いまよりもっと多くするのかしないのか。この点が第一点。  第二点が、米価審議会を公表すべきだ、これが二点。  第三が、米価審議会の答申に政治的な加算を毎年やるので、今度こそ米審には政治的な加算をやらない。したがって責任をもって答申してくれ、その答申に従うべきだと思いますが、この三点、いかがです。
  79. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 米審の委員については当委員会においてもしばしばの機会でその構成のあり方という点についての御意見、御所見等承っておりますが、これは現在の米審の委員構成については昭和二十四年以来の長い経緯がありまして、特に昭和四十年以降の経緯等がございまして、それを踏まえて現在の構成に立ち至っているという点があるわけでございます。そういう経緯と、もう一つは、先ほども申し上げましたが、生産者米価で申しますと、これは稲作農家に所得という点で最も大きな関係があるわけでございますけれども、なお消費者の家計にも大きな影響を持ち、あらゆる物価の中の最重要の個別物価の一つである。そういう点、あるいは管理制度を運営しておるわけでございますので、財政の面との関係もございますし、生産者米価の決まり方いかんというものが国民経済へも影響するところが大きいというようなことから、米の生産、流通、消費という点について専門家をお願いするだけでなくて、広くその他の側面についての学識経験を有している方にもお願いをして、いわば国民的なコンセンサスのもとで決めていただくというような努力をしていくというたてまえで現在の構成に相なっておるわけでございまして、そういう点で、私どもとしては現在の構成なり、また運営の経緯というものはそれぞれの経緯があるわけでございまして、これについてはいろいろな御提案がございますけれども、それはそれとして御意見を承りながらその取り扱い等については慎重に検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、公開問題でございますが、これはたしか昭和三十七年以降非公開にさせていただいておるということでございまして、その直接の契機になった事実その他については私どももよく承知しておりませんけれども、各界の立場の方々がそれぞれできるだけ自由な雰囲気で御議論をしていただき、端的な御意見を出していただくには非公開の方がしかるべきであろうというような経緯がございまして非公開に相なったというふうに承知いたしておりまして、私どもとしては、これを津川委員おっしゃるようにその原則を変えるというようなことは考えておらないわけでございます。(津川委員食糧庁長官、三つ目」と呼ぶ)これは、もちろん大臣からお答えを申し上げる筋かと思いますが、私どもとしては、米審に対して政府部内の慎重な検討の結果を諮問させていただいておるわけでございますが、これは大臣から申し上げるお言葉かもしれませんが、政党内閣というようなことから、政府と内閣との間の事米価という重大な問題についての最終決定について種々な意見交換の結果、米審諮問値とその最終の決定米価が相異なるということがあることを御了承願わなければならないというふうに思っておりまして、われわれといたしましては、諮問をお願いする際は、政府部内の再三にわたる慎重な検討から諮問米価としてお願いしておるということだけは重ねて申し上げたいと思います。
  80. 津川武一

    津川委員 そこで大臣、米価審議会の審議委員に話を聞いてみたら、どうせ政府は政治加算するのだ、何をやったってぼくらおもしろくないと言うのだ。したがって、政治加算というものをやらないということを最初に米価審議会に言う。それならばもう少し真剣になる、そういう形の態度が必要だと思うのです。そこでこの点は、大臣に、米価審議会を開く前に、政治加算をいままでやってきたので、やらないということを言明して、皆さんに一層の御検討を頼むということが必要だと思いますが、この点はいかがです。
  81. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 これはやりたくてやるわけじゃないのだけれども、各党また農民団体からの意見が、また結果に出てくるものですから、その意見等々を参酌をいたしまして、そして政治加算と言えば聞きにくいけれども皆さん方の御意見を十分尊重をして、そうして加算をする、こういうことをやっておるのであって、私はこれは別に、本来ならば本当に審議会が言ったとおりでよろしいか。それでやってくれれば一番いいのです。ところが、なかなかそうはいかない。御承知のように各党からまたごちゃごちゃやってこられますし、各団体からも言われます。そうすると、やはり幾らかこれは仕方がないから、まあまあじゃないか、それで納得してもらおうじゃないか。これはどうもやりたくてやるわけじゃないけれども、やむを得ない方法じゃないかというふうに私は考えます。
  82. 津川武一

    津川委員 そこで、大臣の答弁ではしなくも暴露されたのだ。だからぼくは言うのです。政府が米審に諮問する前に各界各層の要求を聞く、各界各層と話をする。そこで決める。そうでなければ政治が不明瞭になってしまう。あなたの言われた後段のことを、なぜ前にやらないのかという、ここのところに米価決定の基本問題がある。もう一度ひとつ……。
  83. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 それは聞く団体という、つまり中央会にしても、農協にしても、一個一個の団体であって、団体一人一人を代表する者が一つの団体になって、その中の人にいろいろお話を承って、そして本年度は米が幾らだという、ただ食管法に基づいてやっただけだということでは、なかなかそんな簡単なわけにはいかないので、十分その点を参酌をして、そして審議会にかけていくわけで、審議会にもそのとおりに出してあるのですから、だから聞かないというんじゃなくて聞いているということは——しかし、これだけの農民の団体を集めて、いかがでございましょうと言って決まりがつかないんじゃないですか。第一、そのために団体というものがあるのですから。私はそういうふうに考えます。
  84. 津川武一

    津川委員 大臣、政党幾つあると思いますか。農民団体幾つあると思いますか。全中を除くと、民主団体五つか六つですよ。それをやらない。重ねてこの点は大臣に一考を促して、時間もないので次に進んでいきます。  全国方々で自主開田が始まっている。せっかく生産調整したものが、もう一回米に返っている。これは、なぜか。だから、今度は三百万トン余る、三百五十万トン余る、今度は四百万トン余る、また前の四十五年当時の七百五十万トンにいくんじゃないかという議論が出る、これはあたりまえですよ。ほかの農産物に米並みの収入を保証しなければ、ここのところに日本の農業の問題の隘路がある。むだな努力を政府はやっている。むだなお金を生産調整につぎ込んでいる。農民が喜んで自主的に稲作から他のものに速やかに転換するような体制、この基本が米並みに他の農産物の価格を保証するということ、この点が一つ。  時間がないので、もう一つ重ねてお伺いしますが、もう一つには、農民にはいまよりもう少しもうかる米価、消費者にはいまよりもう少し安い米価、こんなものがあろうはずがない、こんなものがあったらこれは大変だと言うかもしらぬけれども、ここのところがいま国政の基本問題だ。米の生産費は、機械、田植え機一年に四日か五日なんだ。十年かかって五十日、五年かかって二十五日なんだ。この機械に莫大な経費を投ずる。この農機具、機械、肥料、農薬、この独占価格、特に硫安は連産品で原価がないと言ってもいい。これが値上げされて高く売られている。ここにメスを加えて、農機具、機械、農薬、肥料、包装、こういうものの価格を抑えていくと、農民はもっともうかって、消費者にはもっと安いお米を届けることができる。この二つの点を答えていただきます。時間がなくなったので、重ねてしまいましたが。
  85. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 前段の価格問題についてお答えをしたいと思います。  昨年、五十一年産米でございますが、転作の目標数量達成率九一%ということで、一〇〇%に至らなかった。ことしは、現在まだ努力中でございまして、数量を把握するところまで至っておりませんが、そのように目標を十分達成されなかったという点につきましては、種々要因があったと思いますけれども、何と申しましても、米は非常につくりやすいとかあるいは作柄が非常に安定しているというようなことのほか、先生が御指摘になりましたような価格関係からする米との収益性において、物によっては上回るものもございますけれども、物によってはそこに及ばないものがあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、来年以降転作目標を達成するためには、生産基盤とかあるいは技術の向上とかあるいは生産組織の育成というようなことをあわせまして、価格の相対価格関係についても適正にするというような方向で努力をしていかなければならない、かような考え方で検討を進めていきたいと思っております。
  86. 堀川春彦

    堀川政府委員 農業資材価格が農業生産あるいはそれに通ずる農業経営に非常に大きな意味を持つということは先生御指摘のとおりでございまして、農業資材の中でも、特に肥料、農薬、農機具、この三つが非常に大きなウエートを占めると存じます。これらにつきましては、石油ショック以降非常に大幅な値上がりがあり、農家にとっては非常に大きな打撃であったわけでございますけれども、最近の価格の足取りを見てまいりますと、大体落ちついた推移を見せておるのではないか。統計的に農家の末端段階での価格では物賃の五十一年度の調査結果がまだ全体としてまとまっておりませんが、各月の速報が出ておりますので、そういうものをながめてみますと、大体いま言ったような総括ができるのではないか、こう思っておるのですが、基本態度といたしまして、私どもは農家の経営なり、あるいは農業生産への影響ということを考えまして、できるだけ安定した価格で安定した足取りでいくことが望ましいというふうに考えております。  特にこれから新肥料年度に入っていくわけでございまして、肥料につきましては、現在肥料価格安定等臨時措置法に基づきます生産者団体とメーカーとの交渉が行われておるわけでございまして、自主的な交渉によって適切な取引建て値というものが立てられることがまず基本であろう。それに対しては農林省といたしましても重大な関心を持ちまして、適切な協定ができるよう指導してまいりたいと思っております。
  87. 津川武一

    津川委員 これで最後の質問にしますが、大臣、肥料の価格を決めるとき、ひとつぜひ貫かなければならない問題は、硫安なんです。化学工場で公害物質として硫酸が出てくる。これはお金をかけて処理して捨てなければならない。有本の技術が進んだので、これに窒素を加えて硫安をつくっている。したがって、ただでくれてやってもいい、その硫安をつくっている工場労働者はそう言っている。そこで、肥料の価格安定のときに連産品の価格体系の中で硫安に特別な検討を加える必要があると思うのです。この点答えていただいて、質問を終わります。
  88. 堀川春彦

    堀川政府委員 その問題につきましても、生産者を代表します農業団体、具体的に言えば全農でございますが、いろいろと御意見があることを私ども十分承知しておるわけでございまして、そういう立場に立っての価格交渉等を行っておるというふうに聞いてもおるわけでございます。いま私どもが出ていきましてどうだこうだというのは、自主的な交渉をやっておる最中でございますから、控えますが、その成り行きにつきましては重大な関心を持って私どもも見守ってまいりたいと思っております。
  89. 津川武一

    津川委員 終わります。
  90. 金子岩三

  91. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 三つほど質問したいと思いますが、大臣の時間もありますので、最初にまず大臣に御質問申し上げたいと思います。  いまも御質問がありましたけれども、米価審議会の構成の問題であります。いろいろな変遷を経ながら今日に至っているという長官の御答弁がございましたが、確かにそのとおりだと思います。しかし、米審が発足した当時におきましては、農民団体の代表、これは大体三分の一くらい米価審議会の委員になっておったわけであります。その後変遷がありまして、いま二十五人の中に四人しか入っておらない、農のつくところの団体の委員が四人しか入っておらない、こういう状態でありますので、したがって、米価審議会の答申にいたしましても、並列答申なんという答申をしなければならない、こういうのが繰り返されて、実は今日に至っているわけなんであります。したがって、私たちといたしましては、本来からしまするならば、買う者と売る者とが団体交渉をやって価格を決めていくというのが当然だと思いますけれども、現在そういう制度になっておりません。したがって、私はいまも大臣が言われましたように、いろいろな団体があるのだ、そういう団体の意見というやつを聞きながら最終的に決めていくのだ、こういうお話でございますが、いろいろな団体がある、農民団体、農業団体がありますから、私たちが要求しておりますのは、二十五人の中の少なくとも三分の一くらいは農民団体や農業団体の代表を入れてやっていったら、もっとスムーズにいくんじゃないか、こんなぐあいに考え、いままで政府に要求してまいっているわけなんでありますが、去年の米価審議会が開かれたとき、当時の安倍農林大臣も、検討してみる必要があるのじゃないか、こういう趣旨の答弁があったわけであります。そういう答弁を踏まえながら、ことしあたり米価審議会の構成を改めてみたらどうか、その点を御質問を申し上げるわけであります。
  92. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 まことに、一方的に見るといい話にもなるかもしれないけれども、また一方から見ると不思議な線にもなっていくんだろうと思う。いずれにしても、生産者団体、消費者団体というものは同数の者を選任していく、それだけではまだ物足りない面がある、社会全般に納得してもらわなければならない価格を決めるのですから、そこで学識経験のある方々にお願いをして、そうして米価の決定をしてもらっておるわけなんです。生産者と消費者、それは相対立することは当然のことだと思う。それを公平に裁いてもらうのが学識経験者という方々でありますから、並列するなんていうことがなくてもいいわけなんですけれども、そこがなかなか意見調整というものが、生産者にすればこの場で少しでもというようなことで、農民からおしかりを受けるようなことがあってはならぬということにもなる、消費者のことになるとまた、消費者からおしかりを受けることのないようにといって努力する、その結果が並列ということにもなるのでしょうけれども、いずれにいたしましても、生産者団体、消費者団体同数を出してもらって、そして公平な立場から、どちらの御意見をとるべきか、両方フィフティー・フィフティーのやつを、どうやって正常化した安定した価格を出すべきかということはこの方々にお願いしてあるわけでございます。何しろむずかしいのです。私も、当時本当にいろいろ意見が出まして、初めて現制度にしてもらったわけなんです。その現制度にしてもらうときもずいぶんいろいろな意見があった。そしていまのような制度にしてもらったわけなんですが、われわれが出ていくと、どうも選挙区へ帰ってぐあいが悪いからという、私自身もそういう考え方がある。それじゃというのでいまのようなシステムにしたわけなんです。ですから、私は、まあ現在のとおりでいいのでないかと、私がつくったからいいのではないかという意味ではなくて、これがその当時の最も妥当の御意見であり、皆さん方の御賛成を得た方法だった、こういうふうに考えておりますが、お話がございましたように、研究をいたしましょうと前大臣がお答えになったとするならば、研究はしてもらった方がいいと思います。
  93. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 ぜひ検討してもらって、私たちが要望しております。農民関係が三、消費者関係が三、そして学識経験関係が三と、三、三、三の比率で構成をやってもらうように御検討いただきたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  次に私はお聞き申し上げたいのは、政府は麦作を振興する御意思というのがあるのかどうか、この点であります。
  94. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたのですけれども振興するとかしないとかという議論をしているときではなくて、現実は、どうして再生産をやって外国からの輸入を防止するかという問題にかかっている問題であって、どうして再生産をしてもらうように持っていくかということだと思うのです。そこまで来ていると思うのです。ですから、つまり、少なくともこれだけの小麦を、他国に拝みます、頼みますと言うよりも、国内生産をいかに高めて民生の安定を図るかというところがわれわれに課せられた義務であり、当然なる方法だと考える。そこで、お米が今日これだけ、つまり、つくらなくもいい、と言っては申しわけないけれども、必要以上に生産されていくというような点等とあわせ考えてみて、これを他の農作物にもこういうような点を用いていくような方法を考えなければならぬ。それは先ほど申し上げたのですけれども、補助金だとか助成金だとかを給付するとかということではなくて、そのものずばりという方法をもってやっていくようにできないのだろうかと、こういうふうに私は考えておりまして、鈴木大臣がお帰りになりましたらば、十分にその点は、なお一層伝えておくつもりでございます。
  95. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 大変結構な御答弁をしてもらって、感謝申し上げるわけなんでありますが、これは去年農林省の方で出されたのですが、「麦の政府買入価格の算定方式の検討について」という中間報告、この本の中には「どれだけの量の国内産麦を確保すべきかということは、一義的には決まらず、需要の動向、それに対する国内産麦及び輸入麦の供給の状況、コスト等を考慮して国民経済的にどれだけの数量を国内で確保することが適当かという見地に立って判断すべきものと考えられてきた。」こういうことを言っているわけなんです。これは何のことだかわかりませんですね。大臣の答弁からするならば、当然要するに外国に麦なんかつくってもらわぬで日本の国の中でつくった方がいいじゃないかと、こういう御答弁なのでありますが、しかし農林省の出したのは、さっぱりわけのわからぬ、生産目標なんてさっぱり立てない、そういう文章をちゃんと検討しておられるわけなんです。それから見通しの問題等につきましても、これも農林省の方で、五十年の五月に閣議決定しましたところの「農産物の需要と生産の長期見通し」の小麦の需要と生産の長期見通しは、四十七年が需要が五百三十七万二千トン、六十年が五百八十九万九千トン、そして生産量というのが四十七年が二十八万四千トン、六十年になると五十五万三千トン、面積の面につきましても、四十七年は十一万四千ヘクタール、六十年になると十七万八千ヘクタール、こんなことになっておりますので、さっぱり増産をやってアメリカから来る小麦なんというものは御免こうむるという大臣の姿勢とは違った農林省の資料が出ているわけなんです。そうすると、一体麦作振興をやるのかどうか、政府はそういう気があるのかどうか疑わしく思われるわけであります。その点大臣は一体どうお考えになりますか。
  96. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 いまお読みになったやつは、ずっと前の方の考え方が出たかどうかわかりませんけれども、私は、農業者自体も考えなければならない問題が残されている、それを指導するわれわれはなお一層の考えを持たなければならぬ。これは、再三言うように、物の生産というものは何が目的で物を生産するのか、それは消費というものが目的で物の生産というものが行われていくのですから、消費者が好まないものをつくって、さあ政府買え、さあ政府が責任を持て、それは私は、生産者も、これを指導する方々も十分考え合わなければならない問題だと思います。したがって、いまのお話のように、麦の再生産が必要か必要でないか、つくるのかつくらないのかということになるならば、当然麦はつくらなければならない重要な食糧であると私は申し上げられると思うのであります。いま人間食糧の要求する全体というものが変わっていっているのですから、もうこれだけの高度経済、現在の経済の実態からいって、これだけの国民生活が維持できる生活になってくれば、もっとでん粉質を食わなくなっていくという事実は見逃すことのできない事実だと思う。どこの国でも、経済がよくなってでん粉質がよけい生産されていったとかあるいはよけい食ったというところは全世界にないはずです。これは人間の生理現象ですから、そういう面はあるけれども、麦というものはこれは何としてもいま日本はまだまだつくらなければならない大きな役割りがある、そして国民の生活の安定をさせなければならぬ、こういうふうに考えている問題で、生産は大いにやってもらわなければならないんだということをはっきりと申し上げられると思います。
  97. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 大臣 でん粉質をとらないような方向で進んでいるということであればあれですが、総体的にはやはり伸びているのですよ。ただ外国からの輸入はよけいだというのですよ。だから、国内の麦というものをもっと増産すべきではないか。その目標というのがいまだに政府は定まっておらない、おらないような状態の中で麦作振興をやりますといっても空念仏に終わってしまうのではないか。この点を御指摘申し上げているわけなんです。
  98. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 トータルから言うと、外国からいままで輸入したでん粉質の量はふえていないのです。ですから、麦そのもののお話でございますので、先ほど申し上げたように、私は外国に依存すべきものではない、国内でこれだけの二毛作地帯を持ち、北海道の大高原を持っている今日、日本が麦の輸入という点はなるべく控えていくような方法をとって、そして再生産をどんどんやってもらうような方途を切り開いていくべきだ、このように考えております。
  99. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 次の質問に移ります。  麦価の価格算定の問題であります。私は、まずお聞きしたいのでありまするが、食糧管理法で麦価の算定方式が決められておりまして、これは米とはまた違うわけなんですね。そこで、要するに算定の方式というのは昭和二十五年と六年の麦価を基準にしてパリティで伸ばしていく、こういう方式になっているわけなんです。しかし、この方式というものが今日現実の麦作を推進するというところの立場に立った場合、適切なものであるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  100. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  麦作振興との関連で、現在の麦価算定方式等についての考え方いかんという御所論でございますが、御案内のとおり、先ほど先生が御指摘ありました農林省の中間報告等で、麦作の今後の考え方いかんということが昨年の米価審議会、生産者麦価の際いろいろ御議論がございまして、やはり麦作振興の観点から麦の算定方式のあり方を米価審議会自体も検討しよう、その検討の成果を得たら政府もこれを取り上げろというように御意見が一致いたしまして、麦価算定小委員会が昨年来しばしば検討を重ねてきて、相当幅広い御議論が行われているわけです。  そういう意味で、一つには生産費をもとにした考え方を、あるいはかつて一時とられたように米価との比率、対米比価の考え方をとったらどうか、あるいはパリティ方式自体についての算定方式については安定性があるけれども、現在の二十五、六年基準、麦の生産事情が全く違った事情を基準としたもので農業パリティ指数で伸ばしていくという方式が適切であるか否かという、実はいろいろ幅広い御論議がございまして、いずれにしてもこの算定方式について改善のところをどこに求めるかという点でただいま議論を賜っておる次第でございまして、できれば本年、五十二年産麦からその方式を取り上げたいということで、種々御意見を賜っておりますので、私どもといたしましては、それらの小委員会の御議論というもののできるだけ早い一致をお願いして具体的な取り扱いをいたしたいというのがその経緯でございます。
  101. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 確かに生産費及び所得補償方式をとる方式もありますし、それから対米価比でいくというところのやり方もあるでしょう。あるいはまた今日のようなやり方もある。しかし今日のような算定の仕方というのを変えるという場合におきましては、法律を改正しなければならない。現在の方式が欠陥があるからといって、法律を改正してまでも、小委員会の方で結論が出れば算定方法を直すという、そういうお気持ちなんですか。
  102. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  法律改正は事食管法の問題でございますので、これはきわめて慎重、多角的な検討を要すると思います。それには相当な時日を要するというふうに思っておりますが、そういう意味で、基本的な法律改正にわたる部門についての論議というものについては、米価審議会小委員会においても、それは一つの相当長期を要する検討課題だということで、さらに具体的に振興に資する算定方式をどう取り上げるかというような実際的な議論と申しますかに御議論が集中しているように承っております。
  103. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 そうすると、算定方式を変えないで、とにかく実情に合う答えの出るような、そういう検討が行われている、こういうふうに確認して差し支えないわけですね。——わかりました。  そこでそういうことになりますと、私はやはりいまの算定方式によってはじき出されるところの答えというのがなぜ安く出るのか、要するに五年に一遍ばかり実際とこの方式によって出したところの答えというものがうまくいっているのかどうかというところの調整というのをおやりになるということを聞いておるわけなんでありますが、これはパリティの品目だとか、そういうものの調整だと私は思っております。しかし、そういう問題を取り上げてやってみたところで、もともと昭和二十五、六年のこの麦価というのは、これも農林省の統計なんでありますけれども、生産費を割った、そういう価格に実はなっているわけなんですね。     〔山崎(平)委員長代理退席、今井委員長代理着席〕 ここに出ておりますけれども、とにかく生産費を割っているのですね。これは私が指摘しなくても農林省の方でお出しになっているんだからわかるわけなんです。それからずっと、最近の政府が決めましたところの価格の推移を見ていきますと、対米価比という面からしましても、二十五年よりは五十年になると大体二割ぐらいに落ちている、こういう結果にもなっているわけなんですね。だから、パリティ計算というものは、価格は伸びるかもしれぬけれども、要するに全体の状態を反映させるというところのものではないと私は思う。しかし、いまここで法律の改正ということは慎重を要する問題だということになれば、ことし麦価を決めるにはこの法律のもとに決めていかなければない、こういうことになると思いますが、そうなると、去年はパリティ方式で計算をして、そのところに生産奨励金六十キロ当たり二千三百円、あるいはまた水田裏作反当五千円、そのほかに契約生産奨励金、これはそれぞれつながっておりますけれども、そういう奨励金をつけて何とか実情に合わせよう、こういうことで操作されたわけなんであります。この二千三百円という生産奨励金というのは、いわゆる一律配分なんですね。みんなに出しているわけなんでありますから、こういうものは奨励金というところの名前でなしに、麦価そのものの中に含めてしかるべきなんじゃないかというふうに考えるわけなんでありまするが、この点は長官どうお考えになっておりますか。
  104. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 重ねて申し上げますように、私どもとしては、単に米価審議会の御論議を待ってというような、何と申しますか、腰を引いている意味ではなくて、現在小委員会においてもろもろの議論をしていただいておりますので、その議論の結果を待って私どもとしては算定方式についての改善という結論を出したいと思うわけでございますが、ただいま松沢委員のおっしゃいました生産振興奨励金、これは非常に一律的な価格的な要素が強いから、一方においては生産振興地区における生産対策という面もあるにしても、手取り水準の確保という意味もあるので、こういうものを含めた麦価の水準のあり方を考えたらどうだというような意見は、米価審議会の小委員会の中でもいろいろな御議論として出ておるということを私ども承知しておるわけでございます。
  105. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それで、もう九日に麦価の米価審議会が開かれるというふうに新聞はたしか報道していると思いますが、その九日になるかいつになるかというそれは、あなたの方でよくおわかりなのでありますが、米の問題の前に麦価が決まっていくということになるわけでありますから、そうなりますならば、小委員会、小委員会というふうにして小委員会に逃げてしまわれては困ります。やはり食糧庁は食糧庁なりに、小委員会で結論を出したからといって、それをうのみにするというわけでもないと私は思うわけなんでありますから、食糧庁なりの見解というやつを出してもらわぬと、これは大変困るわけなんであります。そういう点で、いまの価格的性格のあるというものは、やはり整理して入れていく。あるいはまた麦の家族労働報酬を見ましても、二十五年当時は八十九円ですか、ところが日雇い賃金が百九十九円、こういうぐあいに、半分ぐらいになっているわけなんです。これがずっと引き伸ばされてきているわけなんですね。ですから、そういう点も考えた場合においては、畜産の場合におきましてもことしは方式が変わりましたですね、評価の方法が。それで、日雇い賃金から今度は農村賃金というふうに変わっているわけですね。そういうようなものも加味してやっていかなければならぬとか、いろいろ具体的なものが私はあると思いますが、その辺まだ確たるものはできていないにしても、大体こういうようなものはこういうふうに考えていくのだというような答えぐらいはこの際出してもらいたいと思うわけなんです。
  106. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 まことに申しわけございませんが、米価審議会自身で麦作振興のための麦価算定方式のあり方ということで、小委員会を設けて真剣な議論をしておるわけでございまして、最終の収斂を急いでおるわけでございます。したがいまして、われわれとしてはその意見を踏まえて結論を出すという立場から、小委員会等の中で行われておりますいろいろな考え方について、それぞれ現段階で、これをとりこれをとらぬということについては、差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  なお、先生がおっしゃいました九日という報道は、そのころ小委員会が算定方式の意見をまとめて、これは米審自体が取り上げようという方向なものでございますので、その報告を審議会全体にお示しして米審としてのコンセンサスを得るというような段取りの九日ごろではないかという報道だと思います。本年産麦価自体の米価審議会は、データの収集その他からいきまして、例年どおり二十日過ぎということになろうかと思っております。
  107. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 価格の問題は具体的になかなか出てこないわけなんでありますが、農林省は米の場合においても生産費調査をやっておられるわけなんでありますが、麦の場合はどの程度の農家を対象にして生産費調査をおやりになっているわけですか。
  108. 白根健也

    ○白根説明員 お答えいたします。  麦の生産構造というのが非常に大きく変わりまして、それを反映してわれわれとしてはやっておるわけでございます。ちなみに数字を申し上げますと、四十年度は二百四十七万戸の農家が約四十七万ヘクタールにつきましてやっておりましたのが、五十年の際を見ますと、三十三万の農家が約九万ヘクタールの面積をやっておるということでございますので、農家数、作付規模とも非常に大きく変動しておるわけでございます。したがいまして、その事態というものを当然反映しておるわけでございますけれども調査の方法にもやはり最低限度というものがございますので、いわば抽出率の問題になるかと思います。四十年度、小麦につきましては、千分の〇・六、それが千分の一・〇という抽出率で、現在われわれのやっておりますいろいろな調査を考えてみますと、大体抽出率につきましては米並みというふうにお考えおきいただいて差し支えなかろうかと思います。
  109. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 何戸ですか。
  110. 白根健也

    ○白根説明員 数字は、五十一年度は小麦で百六十五戸でございます。麦全体で約三百でございます。
  111. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 階層別の調査をやっておられますか。
  112. 白根健也

    ○白根説明員 階層別には、抽出方法としまして、御承知のように、畑作麦、田作麦というのがございますが、そういうふうに分けまして、これを階層別に一応配分しながら考えております。したがいまして、従来五十年産につきましては、公表は全国平均と地域別ということで、階層は公表しておりませんけれども、抽出の過程におきましては、当然そういう階層性というものを考慮してやっておるわけでございます。  ちなみに、五十年産の小麦でございますれば、公表しました平均生産費は、五十五アール、五反五畝というのが平均ということでございます。したがいまして、階層を見ます場合には、北海道の場合には相当大規模階層がございますし、地域別にある程度推定はできるかと思います。なお、内部の検討資料としては、当然階層別というものを検討しているわけでございます。
  113. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 米価の場合は、最初は五千戸ぐらいを対象にしてやっておられたわけです。麦の場合は百六十五戸、全体を含めれば三百戸、こういう状態であるわけなんですね。こんな数で全国の麦作農家がどういう状態になっているかを調べること自体大変無理な話なんじゃないですか。しかも階層別ということになれば内部で、全体の中にそういうのを加味しながらやっているなんて、こんなことでやって実態を掌握することは非常に無理じゃないかと私は思うのです。言ってみれば全くでたらめなところに、百六十五戸ぐらいで統計だなんて言ったって話にならぬと思うのです。こういうようなことで麦の価格を検討していくこと自体大変無理な面があると私は思うのです。  そういう点で、時間が参りましたから質問することはできませんけれども、少なくとも農林省が去年発表した中間報告を見ましても、あるいはまた五十年に出しました長期見通しを見ましても、またいまのような統計の問題を聞きましても、本当にやる気があるのかないのか、私は疑わざるを得ないわけであります。ことしも米の需要と供給の関係がまたバランスが崩れてきたということからして、いろいろと米価の問題等につきましても圧迫を加えろという傾向もあるようでありますし、それに伴って麦の問題等につきましてもいろいろ加えられるということになりますれば大変なことになると思います。そういう点で、麦価を算定するに当たりましては、麦作を振興するという立場に立ってできるだけ麦作農民の実態に合うような価格の決定をやっていただきたいことを申し添えまして、質問を終わります。
  114. 今井勇

    ○今井委員長代理 野坂浩賢君。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまの麦の自給率はどの程度であるか、これを昭和二十五年を基準にして順次説明をしていただきたいと思います。
  116. 堀川春彦

    堀川政府委員 現在、これは五十年産麦でございますが、自給率は小麦で四・三%、大・裸麦で一〇・一%、合計いたしまして五・九%でございます。二十五年の数字をちょっと手元に持っておりませんので三十年の数字で申しますと、小麦が四〇・六%、大・裸麦が七二・八%、合計いたしまして五六・〇%でございます。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま局長から昭和三十年を一つの基準にとって御説明をいただいたわけでありますが、現状小麦は四・三%の自給率、大・裸麦は一〇一%だ。三十年は四〇・六と七二・八ですから、自給率が非常に低下をしておるというのが現状であります。  この認識の上に立って、自給率引き上げについていまも同僚の松沢議員からもいろいろとお話がありましたが、自給率を向上させるためにどのように努力をされてきたのか、農林大臣も全力を挙げて自給率向上に向けて努力をする、しておるというお話でございましたが、その経緯と実績を今日の時点の上に立って御説明をいただきたいと思います。
  118. 堀川春彦

    堀川政府委員 麦が連年作付が減りまして四十八年が一番ボトムになったわけでございます。そこで国内で需要のあります麦の生産増強を格段に図らなければならないということで、四十九年度から生産奨励金の交付を初めとして各種施策の充実に努めつつあるところでございます。特に五十年には先生御指摘の農産物の需給見通しの中で麦の自給率を上げるという政策方向を打ち出しておりますので、そういう方向に沿っての施策を強化するということで、今日五十二年度の予算といたしましては、直接麦関係で生産奨励金六十キログラム当たり二千三百円の交付を初め、麦作の集団的な育成を図るためにモデル麦作集団を従来実施しておりましたが、さらに新規に麦作集団育成総合対策事業の補助というものを約三十二億の予算をもって実施をいたす。さらに土地基盤関係におきましても、麦の生産がやりやすくなるようにこれを行うということで、三十三億の区画整理や排水施設の整備等を中心といたします新たな土地改良事業を起こす等々のこと。それから水田裏作の麦の生産を伸ばすことがきわめて重要でございますので、前年度まで十アール当たり五千円の補助金を交付することにしておりましたのを十アール当たり六千円に引き上げて本年は実施をする。その他関連する施策等を入れますと、たとえば稲麦を主体とする合理的作付体系の確立に関する研究を農林水産技術会議において予算化いたしましてこれを実行してまいる。さらには技術普及の系統で、水田等総合利用促進特別営農指導事業というものを特別に設けまして麦作の振興を図る等々のことをやっておるわけでございまして、五十二年度におきましては、前年度に比べて直接関係します麦作関係の予算もかなり大幅に伸ばしておるわけでございます。  そういう施策の充実の方向に沿いまして、麦の作付面積も四十八年度をボトムにして五十一年産においては作付面積で大体四十八年対比で九%増というところまで参っておるわけでございまして、連年大幅に続いてきました作付減の傾向はここでブレーキがかけられたというふうに見ておるわけでございます。  いま言ったような施策の中には、との秋まきつけをいたします麦のための施策が相当額含まれておりますので、こういう予算の執行を通じまして、この秋にまきつけられて来年春生産をされる麦がもっともっとふえますように私ども全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話よくわかりました。  食糧庁の企画課から出されております「麦対策に関する論議と検討の経緯の概要」というのが私たちに示されております。昭和三十三年に自給率が六〇%のころから麦研究会というものが発足をしております。この麦生産対策というのは将来の省力多収栽培方法の確立をやるのだ、麦の育種事業の充実をやるのだ、こういうことが経緯とされておりまして、昭和四十年に米価審議会においても抜本的な麦対策の確立を図れ、こういう答申を受けて四十一年に農林省内に麦対策検討会が持たれ議論されております。そして四十八年には農林省内に事務次官を長とする麦作振興対策推進委員会というものまで設置をされて検討されました。  いまも局長からお話しをいただいて、この間見せていただきました「農業の動向に関する年次報告」、いわゆる農業白書には麦の生産が回復をした、こういうふうに大きく載せてございます。確かに若干ではありますが、昭和五十年の十六万七千七百ヘクタールに対して十六万九千三百ヘクタールになっております。わずかであります。まさに努力に努力を重ねられた結果でありましょうけれども、しかし伸びてはおりますがパーセントにするとわずかに一%。しかし反面、畑作は八万五千百ヘクタールが八万九百ヘクタールになっております。約五千ヘクタールの作付面積が減少されておるというのが今日の現状でございます。特に、内地の畑作については七万七千四百ヘクタールというのが五万五千四百ヘクタールに激減をしておるというのが、あなた方が努力をされた結果として出ております。  特に、地域的に見ましても、北海道、東北、北陸は相当に伸びてはおりますけれども、その他のところは非常に減っておるというのが現状でございますが、これについての問題点と矛盾、どのようにこれに対応するのか。麦作のこれからの作付の面積拡大は、これらの減少しておる畑作問題についてはどのように対処し、なぜこのようになっておるかということを明らかにしていただきたい。
  120. 堀川春彦

    堀川政府委員 御案内のように、麦作の中で畑作の麦と田の裏作の麦と大きく分けてみますと、大体現状は田の方が八万七千ヘクタール弱、それから畑の方が八万ヘクタール強ということで、田裏作の方が少し多いわけでございます。これにつきましては、田裏作の生産奨励を、これは冬季土地利用率が水田におきまして非常に減少して八%台に落ち込んでしまった。そういうことは土地資源の有効利用という面からも好ましくない。麦をつくろうと思えばつくれるという条件にありながらつくらないということは適当でないという考え方から、水田裏作につきまして先ほど申し上げましたような特別の反別奨励金も交付をして奨励をするということをやっておることの結果でもあるというふうにも思います。  一方、畑作麦の減少、これはいろいろ要因があろうと思います。畑作麦は御案内のように一つの畑地におきます作目として導入をするわけでございますから、一つの輪作体系に乗っかった導入ということが考えられますし、また地域によりましてこれはいろいろ他の作物の間作というようなことで、風よけがわりにつくられるというようなものもございます。営農上の持つ意味というのは、それぞれ水田裏の場合とはかなり様相を異にしておる。そこで作物選択の関係等から他の作物で有利なものがあって、それに転換をするということもございましょうし、中にはその畑地一帯が利用が粗放化されて麦もつくられなくなったというようなこともございますと思います。いろいろ複雑な要因がございまして減少してまいってきておるというふうに認識をしておる次第でございます。
  121. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういたしますと、これからの麦作振興については水田裏作を中心にしてこれから引き上げていかなければ、畑作の場合は漸次そのような傾向をたどるであろうという見通しに立って、これからはいわゆる水田裏作振興に向けて麦作については進めていく、こういうことでございますか。
  122. 堀川春彦

    堀川政府委員 水田裏作麦の生産を奨励をいたしまして、できる限りこれを伸ばしたいという基本姿勢に変わりはございません。これは長期にわたってそういう方向で努力すべきだというふうに思っております。  一方、畑作麦につきまして、これは畑作に導入します作物の選択を畑作農家がどうとるかということにもよりますので、その点はいろいろ生産条件なり経営条件、他の作物との関係ということもございましょうし、先ほど来価格問題がいろいろと問題になっておりますが、価格関係につきましては相対価格の問題、あるいは相対的な、土地単位当たりを見ての所得の関係というようなことを考慮しながら行くということになると思いますので、その辺は価格あるいは生産振興施策、あるいは技術の問題それから作目の組み合わせの問題というようなことを総合的に考えて、この畑作の場合には、したがって非常にむずかしい要素がございますが、やっていく必要がある。  しかもこの畑作におきましても、内地畑作と北海道畑作では非常に様相が違います。北海道では畑作小麦が非常に大幅に近年伸びておるわけでございまして、全国平均で四十八年対比作付が九%増の中で、北海道におきましては約七割近い増が見られておる。これは一つには、北海道における小麦の相対収益性の有利性ということも影響しておろうかと思います。また、輪作体系の中で小麦が適切な位置づけが与えられて定着をしておるということのあらわれであるというふうにも思います。そういうことで、地域地域によって多少事情が違うわけでございます。そういう地域の特性を踏まえた生産振興奨励施策ということは今後検討していかなければならぬ問題だと考えております。
  123. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろ議論をしても数字としてはいま局長がお話しになりましたように、五十年と五十一年比べても北海道の畑作は約一千ヘクタールふえておりますね。だから、おっしゃるとおりだと思うのです。それは一体どういうことがあったのかと言えば、先ほど予算の内容の補助金をお話しになりましたが、モデル麦作の集団奨励補助金、こういうものが非常に効いたというふうに私たちも承知をしております。だから、その地域によって変わってはおりますけれども、内地の場合はこれから裏作振興をやるといいましても、非常に零細農が多い。北海道のように一気に省力化をして刈り取りなり非常に労力の時間を少なくするという方法ができない。そういう地域における麦作振興というものは、これからどのようにして進められるのか。いわゆる省力化ということが書いてありますけれども限度がある。私は、私ども地域をながめてみてそう思いますが、その点については零細農の麦作振興、そして全体的に自給率を向上させるための具体的な対策はどのようにお考えになっておりましょうか。
  124. 堀川春彦

    堀川政府委員 基本的な考え方としましては、麦作は全体としてみれば大変省力的な作目になっておるわけでございます。過去二十年間に十アール当たりの労働時間が百時間も減少しておる。ほかにはこういう作物はないわけでございます。しかし、そういう有利な条件が非常に高度に発揮されるためには、相当まとめて大規模につくるということが必要でございます。  そこで、北海道みたいなところではやりやすい条件があるわけでございますけれども、内地の耕地の所有関係が零細であるという畑作農家の中で、やはり大規模な麦作を推進をするということには大変経営的にも技術的にも難点がございます。しかしながら、この難点を何とか克服する必要があるということで今回、先ほどもちょっと触れました緊急麦作集団育成総合対策事業補助というのは、そこで間混作をやっておるような麦ですとこれはむずかしゅうございますが、できるだけまとめてだれかのところに集中をいたしまして麦作をする、その関係を、できるだけ土地利用権の集積というような形でやる、あるいは作業の受委託ということでやる、いろいろな仕組みがございますが、そういうことと、それから他の営農条件の整備ということと相まちまして、したがいまして、ここには農協の指導力なり姿勢というものが大いに影響してくると思うわけでありますが、できるだけまとめてつくるということによって、畑作地帯でも工夫をこらせば有利な大規模経営ということも不可能でないと思っておりまして、この面に今後相当な力を入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
  125. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そう長く議論はできませんが、私が冒頭にお話を申し上げましたように、畑作というのはいま非常に減っておるのですよ。そして裏作というのが伸び始めたんです。この現状をとらえてどのようにわれわれは方向づけをしていくか。畑がふえているのは、北海道だけですよ。だから、内地の裏作をどう集約してやるかということも大事でありますが、自給率向上のためには零細農の裏作についても十分配慮していかなければならないのです。できぬところは捨ててしまうというようなことではなしに、不適作地というものはある程度掌握されているわけですから、そのほかのところは具体的にもっと進めていかなければ麦作というものはできてこない、私はそう思っておるわけですが、いまの皆さん方の意見というのは、歩いて見られておわかりのように、圃場整備状況が悪いということですね。あるいは水田の裏作の場合は根腐れが出てきます。私はこの委員会で何回も申し上げましたけれども、基盤整備事業をやった後、裏作ができぬ、麦の根が腐るということは、水田の用排水の整備ができていないということを端的にあらわしておると思うのであります。そして麦は米に比べて湿害度が特徴的に大きいということです。これらを含めて、用排水の整備事業というのは現在どの程度できておるのか。それが基準になって麦作振興ということにつながると私は考えておりますので、その点について、現状と、来年度あるいは昭和六十年度を見通してどの程度整備はできるのか、明らかにしてもらいたい。
  126. 堀川春彦

    堀川政府委員 水田につきまして考えてみますと、裏作の可能なところへできるだけ麦を入れていきたいということでございます。そこで、私どもの現在持っておりますいろいろな資料をもとにしましての推算によりますと、約八十八万ヘクタールくらいは裏作可能面積であろうかというふうに思っておるわけでございます。これは、一応地下水が七十センチ以下の水田を裏作可能水田というとらえ方で推計したものでございます。ただ私ども、これは非常にマクロに見た物の見方でございまして、個別に見てまいりますと、何もしなくてもそこは必ず麦はつくれるんだということではないというふうに思うわけでございまして、それゆえにこそ、先ほど来御説明申し上げましたように、構造改善局でも、特に水田裏の麦作を導入するための特別の土地改良事業というもの、それは区画整理とか排水施設の整備というふうなものが中心でございますが、新規にそれを実行するということで初めて予算化をしましたし、また、これは局が違いまして、私どもの局でも、先ほど来先生御指摘のように、麦は湿害に弱い、雨に弱いという特性がございます。したがって、圃場の表面水の排除、これを営農排水と言っているわけでございますが、そのための簡易な、土地改良とは言えない程度の、たとえば弾丸暗渠というようなこときものを事業化いたしまして、それをやることによってまず水、湿害を防ごうということも、これも新規の事業として初めて予算化したわけでございます。かようなことを必要な地域にそれぞれ実行していくということで、土地条件の整備を図りつつ麦作の振興を図ってまいりたいと思っているわけでございます。
  127. 野坂浩賢

    ○野坂委員 水田の排水整備というのは、現状では三〇%しかできていないですね。これでは、昭和三十三年からそういうことを検討しながら今日そういうような事情であるということでは、先ほど言ったように本気で取り組んでいない、そういう状況だと私は思います。ぜひこの点についてはさらに速度を上げてやっていただくように要望しておきたいと思いますが、政務次官どうですか。
  128. 羽田孜

    ○羽田政府委員 先ほど大臣からも松沢委員の方にお答えしていましたけれども、また先ほど来先生からも御指摘ございましたように、麦作の奨励、生産性を高めるということはどうしてもやらなければならぬことでございます。ただいま先生から御指摘がございましたことはごもっともなことでございまして、私どももこれからこれについて十分進めるためにひとつ検討してまいりたい、かように存じます。
  129. 野坂浩賢

    ○野坂委員 三十三年以来、麦の育種事業の充実ということが大きな課題として挙げられておりますが、外国の小麦の生産状況は、私どもがいだたいておる資料を読みますと、昭和三十年ごろには十アール当たりの収量が日本は二百十五キロ、四十八年では二百六十キロだが、イギリスでは、当初三百二十四キロのものが四百三十キロに伸びておる。フランスは二百十八キロのものが四百五十四キロだ。西ドイツは二百九十六キロのものが四百二十六キロに伸びておる。ソ連、カナダ、アメリカ等はわが国よりも落ちておりますが、いま挙げたような国々はそれなりに努力をしておる。だから、昭和三十三年以来ちょうど二十年になりますが、日本の農業は技術的には諸外国に劣っていないと思われるのにこのように伸び率がないというのは、農林省の育種事業の充実ということとどのような関係になっていくのか、なぜこのような、状況なのかということはどうでしょう。
  130. 堀川春彦

    堀川政府委員 これは私、承っているところによりますと、農林省といたしましても麦の問題はかなり力を入れて取り上げようという姿勢でございまして、特に新規の予算で、稲、麦一貫をしてうまく適合するような作付体系ができるということに主眼を置いた、育種その他の問題を含めての総合研究を開始したということでございます。そのほか、先生御案内のように、麦は水田裏にやりました場合に水稲との競合ということが起こります。したがいまして、その辺のためには、できるだけ早く収穫のできる麦の品種を考えていくというようなことが一つでございます。それからさらに、湿害に強い麦を探すということで、これは国内の麦の試験ということばかりでなしに、外国にもそういうことに向く遺伝子を持った麦の種があるのではないかということで、中国でございますとかその他の諸外国にも手を伸ばしまして、新しい品種のものを手に入れて、目下、九州農試等で鋭意研究中でございます。こういった技術の裏づけを持った新しい品種の開発が行われて、それが他の施策と相まって適切に導入されるということがきわめて重要であるという認識を持って取り組んでおるわけでございます。
  131. 野坂浩賢

    ○野坂委員 新しい品種の改良というものは、私は素人ですが、相当期間はかかるでしょうけれども、優秀な農林省の職員でありますから、どのぐらいの年月待てばそういう開発ができるでしょうね。百年ですか。
  132. 堀川春彦

    堀川政府委員 これは、私専門家ではございませんので伝え聞きでございますが、一般には最低十年かかるというのが常識のようでございます。しかし本来はそういう息の長い仕事ではございましょうけれども、できるだけその期間を短縮をいたしましてよき成果を短時日の間に上げるように努力をしておるというのが基本的な技術陣営の姿勢であるというふうに承知をしております。
  133. 野坂浩賢

    ○野坂委員 外国でそういうふうに生産を上げておる、品種の改良を行っておるという現実があるわけです。そして昭和三十三年に麦検討会で育種事業の充実強化をやるということが方向として決められておるわけです。二十年たちました。十年間よりも少なくてそういう品種改良をやっておる、こうお話になりましたが、いままでは寝ておったわけですか。
  134. 堀川春彦

    堀川政府委員 これも私、専門家でございませんが、ゴガツワセとかサキガケコムギとか、そういう意味でわせ種の適品種というものも開発されておるというふうに承っておるわけでございまして、研究の成果が上がっていないというふうには見ておらぬわけでございます。
  135. 野坂浩賢

    ○野坂委員 二百十五キロが二百六十キロと統計で出てきておりますから、二十年間で四十五キロ上がった、そういう成果であるというのは農林省の評価として私はりっぱではないと思います。十分検討をいただきまして、もちろん専門家ではないでしょう、しかし局長あるいは食糧庁長官としての姿勢が全体に大きな影響が出てくる。どのように開発を進めなければならぬか、喫緊の問題だ。自給率を向上して外麦を抑えなければならぬという国民的課題のときに、専門家ではないというような逃げ口上では私は納得ができません。これから姿勢を正して早急にこの体制というものを確立をしていただくように要求をしておきますが、政務次官、どうですか。
  136. 羽田孜

    ○羽田政府委員 確かに日本の風土、そういったものを考えましたときに、先生から先ほど挙げられましたヨーロッパの国に比べますと、非常にむずかしい。私も実は各地区を回りましてそのことを知らされるわけでございますけれども、しかし実際に日本でいま大きく麦を消費しておるわけでございますし、そういった点を踏まえまして、それこそいま先生から言われたように姿勢をきちんとしろということでございますけれども、そのつもりでできるだけ高い生産性を上げるための研究を進めるように、しっかりとした姿勢で進んでまいりたいと思います。
  137. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろ御努力をいただいたわけでありますけれども、それでもなかなか、二十年間もかかっていろいろなことをやってきた。しかし畑は下がってきた。水田裏作は伸びてきた。この現状を踏まえて抜本的な対策というのは一体何だ。農家の皆さんはやっぱり麦の価格だ。二百六十キロと言えば大体われわれ四俵と半俵と言いますけれども、四俵と半分だ。これでは合うか合わぬか。麦をつくれば米に影響がある。だから肥料も投入する。十アール当たり二俵分は影響があると言いますね。そうすると、二俵をつくって、奨励金をもらって一万一千五百円程度のものが二万か三万ということになれば、それをやめて出かせぎにいこうという、そういう人間的な気持ちから見れば私はそういうことになりがちだと思うのです。  そこで私は食糧庁長官に聞きたいのでありますが、昭和二十五年を基準にして米の値段と麦の値段というものの対比、それはどうなっておりますか。
  138. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 小麦の対米価比は、二十五年におきましては六四・三%でございます。それが五十一年におきましては、パリティ価格、本来の価格のみだと四三・八でございますが、各種生産奨励金を入れますと六四・四%ということに相なっております。
  139. 野坂浩賢

    ○野坂委員 わかりました。大体昭和二十五年には六四・三だった。いまは奨励金込みで六四・四だ。まあ同じだということになりました。だからせめて、二十五年のころは自給率というものは六〇%近くあったわけですが、だんだん低下してきていまやわずかに四・三%という状況になってきた。だから局長が先ほどお話しになったように、奨励金をいろいろやってきた。たとえば契約生産奨励金とか生産振興奨励金とか裏作奨励金とか、そういうものを込みで六四ということですから、大体二十五年程度に合わせなければならぬと考えられたわけでしょうね。だから言うなればこの奨励金というものはパリティ方式による基本的な麦の値段と解してもよかろう。あなたも六四・四だと言われたときはひときわ声が高かったわけでありますから、それに合わせるというふうに理解していいわけですね。どうですか。
  140. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  生産振興の必要性、これは先ほどるる野坂委員からも御指摘ございましたような生産対策強化という面と価格政策の改善強化という二面があるかと思います。これについては昭和四十九年以来、パリティ麦価と生産奨励金ということで生産増強を図ってきて今日に至っておるというわけでございますが、価格算定方式自身について生産振興の観点からも検討を要するということは、先ほどもるる申し上げたんですが、米価審議会等においてもこれを取り上げるべきだということから、米価審議会においても現在算定方式の検討が行われておるというわけでございます。その場合に、ただいま御指摘のように各種奨励金があるが、それぞれ固有の性格を持っているが、価格的性格の強い、たとえば端的に申し上げますと生産振興奨励金というようなものを含んだ麦価水準の実現というようなことについて、いかなる方式があり得るかというようなことも検討の一つの面になっております。もちろん農産物価格一般について生産費をもとにしろとか、あるいは先生いみじくもただいまの御質問に出ましたが、米価との関係の比率をどうするか、そういう方向から算定は考えられないかとか、いろいろな幅広い議論が行われておりますけれども、そのような今日実現している農家の手取り水準というものは一応の前提として価格を考えるという議論もその重要な部分の一つとなっております。
  141. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まあ基本の麦価格というのは大体四三%、私は四〇・一だと思っておりましたけれども、四三だと言われた。何も込みでそうだという。しかし奨励金というものはなぜつくったかというと、何としてもいま麦の増産が必要である、そのためにはどうするかということでつくられておる。しかし必要でなくなれば取るという、そういう不安感が農民にあるのです。だから飛びつけないのですよ。そういう情勢をちゃんと踏まえてこれは基本麦価の方へ入れてしまう。そのことがやはり政治家じゃないですか。食糧庁長官でとどまりますよ、そんなことでは。だからこれらの問題についてはいろいろ議論はあるけれども、二十五年に六四・三である、いまは六四・四は何かの関係があります、だからこれについてはそのような方向で進めるということが今日の農政の課題の上に非常に重要であると私は考えておりますが、政務次官は政治家としていかにお考えでしょう。
  142. 羽田孜

    ○羽田政府委員 実は先ほど来大臣に対しましても先生と同じような向きの御指摘があったわけでございまして、ともかくそういったものを含めましていま委員会の方で検討しておるわけでございまして、その検討の結果というものを踏まえながら適正な価格をつくってまいりたい、かように存じます。
  143. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林省が諮問案を出すわけですからね。適正な価格を決めたいということでありますが、しかし、前段でいろいろ質疑をいたしましたように、二十年来あらゆる努力をしても今日このように減少してきた、この現実はどう逃げようとも否定ができ得ない。だから増産をするための方向というものは、まず農民の心と気持ちと、そして生産意欲というものを十分踏まえていかなきゃならぬ、私はそう思います。そのための政策であります。  それで、私が聞いておきたいと思いますのは、昭和二十五年といま昭和五十二年、約二十年でありますが、消費者物価というものは二十五年を基準にしてとの程度上っておりますか。——概略で結構です。
  144. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 ただいま調べておりますが、数字のことでございますから正確を期さなければいけませんので、この問題はただいま調べて御報告申し上げたいと思います。
  145. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政府は、不況の克服とか物価をどう抑えなきゃならぬか、こういうようなことがいろいろ議論をされておるさなかでありますが、そういう中で麦のパリティの計算というのは、昭和二十五、六年を基準にして、それを分母として今日パリティ方式で計算をされておるわけですが、二十五、六年の小麦の分母というのは九八・六七ですよ。五十一年度の場合は三八四・七三が分子になっておるわけです。いいですか、四倍に満たないですよ。三・八九倍ですよ。物価というのは十倍も上がっておる。そういう状況の中で、パリティで六千五百七十四円でございますというようなことでは農家の皆さんは納得しませんね。国民の皆さんもそういうことについては納得はできない、こう言っておる。しかも、あなた方は五年ごとにウエートを変えておるわけです。変えておるから、パリティでやあ労働賃金が幾らだ、やあ何が幾らだ、農業資材が幾らだ、肥料は幾らだ、こういうふうにして上がりそうなものはみんなおろして四倍になっておる、こういう実情になっておるのです。消費者物価なり卸売物価なりと比べて、これは高いですか安いですか。どう思いますか。
  146. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 パリティは消費者物価と同じものと認識していいと思います。すなわち、経営用品と家計用品、この基準時に対する上昇率を、約四百弱の購入品目についてそれぞれの万分比のウエートでこれを伸ばしておるということでございますので、ほぼ消費者物価の動きと同様だということでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、先生のお言葉にもございましたが、おおむね五年ごとに基準時のウエートのとり方を変えておりますのは、支出構造とか農家の家計経営の支出構造の変化というものを踏まえての調査でございまして、単にその品目の上がりとか下がりをもとにして品目の取捨を行っておるのではなくて、たとえば一万分の一以下に支出のウエートが落ちたものは落とすとか、その他支出構造の変化を的確に反映するためにパリティを、五年ごとに  ウエート改定を行っておるというのが実情であるということを申し添えさせていただきたいと思い  ます。
  147. 野坂浩賢

    ○野坂委員 このパリティの方式は、家計パリティ、経営パリティの家計パリティでやるわけですね。総合パリティですか。
  148. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 法律にも書いてございますように農業総合パリティ、経営用品及び家計用品のそのパリティでございます。
  149. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、二十五、六年を基準としたパリティ方式というものについて言えば、消費者物価の動向なりそういうものについては、一時はいわゆる麦作振興ということであった、そして下げてはならぬ。しかし現在の時点から見て、このパリティのウエートというものは大幅に変えていかなきゃならぬ。たとえば米価の問題についても、いままでの運搬費等はいわゆる農業の臨時労務費であったけれども、今度は製造業労賃に変えた。自民党のいろいろなあれがあって変わった。そういうふうに高いものをとっていかなければ麦作振興はできません。そういうことを考えていかなければならぬと私は思います。  ただ、時間がもう過ぎておりますからなんですが、先ほど松沢さんが申し上げましたように、本来は、麦でも米でも自分がつくったものでありますから、買っていただくあなたと相対で幾らにしようかというのが普通の形であります。しかし、食糧というこの事態のために米価審議会というものがある。そして、この構成をどうするかということがいま課題になっておりますね。委員の任期は六月二十日だとあなたはおっしゃった。そうですね。それで、いまの国対委員長である安倍さんが農林大臣のときにこう言いました。どう言ったかというと、生産者の代表を来年度は考えます、こう言いました。この間、四月に大河原長官に私がお尋ねをしたら、任期が六月二十日でありますから、その際までに十分に検討して善処したいと思います、こういうお答えをいただいておる。先ほど長谷川農林大臣臨時代理から、まあ右と言えば左も言うし、ごとごとめんどうだというお話が概括的にございましたけれども、言うなれば三分の一、八名、八名、八名という方法というものは何ら矛盾がないし、農家の皆さんも、このような勢力均衡するという姿であるならばある程度やむを得まいという良識をもって、だれが見ても妥当なものであるという考え方で構成員に対する要望を提起をされております。したがって消費者の皆さんも、生産者が八名になったということについては何ら異議がないでありましょう。消費者も八名になったということは何ら異議がないでしょう。学識経験者も、三者同じような数なら文句はない、こう言われるでしょう。ただ問題があるのは、常に米価審議会を隠れみのに使って米価を決定し、抑え、逆ざや解消に狂奔をする政府当局、あなた方だけなんです。だから国民の世論から考えてそのような方向を——あなたは前向きに善処する、検討するというふうにお話しいただいたわけでありますから、そのようなことを踏まえて、今度の米価審議会の構成員というものはかわると考えてよろしいかどうかお尋ねをしたい。大臣で結構であります。大臣でもどっちでもよろしい。
  150. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 いま突然のことだけれども、米価審議会のことでしたら、私はいま急いでそれを変えるほどの感じを持っておらないのです、私にはっきり言わせれば。というのは、あれをつくるとき、ちょうど私のときに大変皆さんにおしかりを受けまして、国会議員が入っちゃいけないとかいろいろな話がありまして、それで初めてこういう方式にやれといっていま現在のものをつくったわけなんでして、あれはちょうど私がつくったのです。ですから、それを踏まえて、それほどの異議はないんだろう、私はこういう考え方をいまでも持っておるのですが、先ほど研究するというお話があったそうですから、十分研究はしてもらった方がいいんじゃないでしょうか。私は現在ではそういうふうに思います。
  151. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これで終わらなければなりませんが、検討してもらったらいいだろうということでございますが、六月の二十日ということになりますとあと三週間ちょっとであります。そういう点については十分踏まえて、もし私が言っておる点について矛盾がある、こういうことがあれば、当面の責任者食糧庁長官から反論があれば伺いたいと思います。
  152. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  経緯については、まさに現在の米価審議会の委員構成についていろいろ御苦心なさいました長谷川農林大臣臨時代理のお言葉のとおりでございます。私どもはそういう経緯を踏まえて、現在の運営についてはそう問題であるとは今日まで思っておりません。ただ、諸般の意見のあることも十分承知しております。したがいまして、それについてはモスクワへ行かれました鈴木大臣も、いろいろな意見を整理してよく研究しておけというようなお話もございますので、われわれとしては六月二十二日の任期に合わせました取り扱いをしなければならない、そういうふうに思っております。
  153. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その割合について変えるというふうな立場を中心にして御検討いただけますか。
  154. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 まさに研究の中心でございまして、これについての結論について予断を持っていただくような答弁は、差し控えさせていただきたいと思います。
  155. 野坂浩賢

    ○野坂委員 空回りの検討ではなしに、農民の声を、消費者の声を十分踏まえて前向きに検討し、われわれの期待にこたえられることを要望して、私の質問を終わります。
  156. 今井勇

    ○今井委員長代理 瀬野栄次郎君。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米価、麦価等につきまして、農林大臣並びに農林省、大蔵省当局に質問をいたします。  米の政府買い入れ価格は農林大臣が決定することになっておることはもう御承知のとおりでありますが、その決定に当たって、当然ながら米を販売する生産者の意見を組み入れて決定していただきたいというのは、わが党のかねてからの主張でございます。ことしも米価シーズンを迎えまして、御承知のように目前に迫った参議院選という絡みもございまして、国会も終盤になりまして重大な時期であるがゆえに、本日は米麦価に対する集中審議を行っておるわけでございますが、この米価審議会を前にぜひとも政府の見解をただし、ことしは農民の期待にこたえる米審のあり方、また米価の決定をしていただきたいという意味で、以下いろいろ御質問申し上げるわけでございます。  そこで、生産者団体の要求する価格並びに政策そのものについては、その代表者と政府が事前に十分協議し、政府はその意見をくみ入れよ、また新しいルールをこの際確立すべきではないか、かように私は訴えておるわけでございます。こういったことについて、政府は従来どおりのやり方でなくて、ことしについては、これだけ各委員からもまた団体からも要請があっておるわけでございますので、生産者団体、消費者団体等と十分事前に話し合いをして、そして適正米価を決定する方向で諮問をされるようにお願いしたいと冒頭申し上げるわけでありますが、改めて大臣なりまた食糧庁長官から御答弁をいただきたいと思います。
  158. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 お説のとおりに前もって十分、たとえばお米が来年度になると四百万トンも余るというような重大な事態もあるのでございますから、それを踏まえて十分協議をいたしまして、どういう方法をとって価格を持っていったらいいかということは、当然団体等の御意見を伺ってその処置に当たるつもりでございます。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひそのような方向で、各団体とも十分協議をして進めていかれるようにお願いしておきます。  そこで、米価審議会のことに私も党を代表して触れるわけでございますが、あえて重複をいとわずお伺いしたいと思うのです。  その前に、農林大臣は学識経験者というのはどういう人を言うのか。先ほどから聞いておりますと、あなたは自分の農林大臣時代に米価審議会の構成その他でいろいろと検討したということをおっしゃいましたが、その点をまず明らかにしていただきたい。
  160. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 学識経験者とは、生産というものもよく知っている方であり、消費面についても御研究をなさっている方であり、その学識のある方を学識経験者と申します。よって、そういうような構成の中に入れて、そして公正な価格が生まれ出るようにお願い申し上げているところでございます。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、学識経験者と学識者という言葉がありますが、これはどう違うのですか。改めてお伺いしておきます。
  162. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 卵と鶏というような話のようなものでございますけれども、学識経験者というものはただいま申し上げたような方であって、学識者とはその道一本にその識見を高めている方々を申し上げるものだと私は信じております。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 学識経験者はまさしく大臣がおっしゃったようにわれわれも理解しておりますけれども、学識者というと経験が抜けるわけですね。いまの米価審議会の二十五名の中に学識経験者は何名おって、それでは学識者は何名おるのですか。どういうふうに理解しておるのですか、お答えください。
  164. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 学識経験者なり学識者というようなことについての定義に即していろいろ審議会の委員の御質問でございますが、米価審議会設置に関する根拠法では、法律上学識経験者ということに相なっております。そのうち、ただいま大臣が申し上げましたように生産、流通、消費というようなことに対するそれぞれの学識経験者、あるいは先ほどからもるる申し上げましたが、米価の性格上、国民経済なりあるいは財政あるいは行政経験者というような者について、米価の決定なりあるいは食管の運営というようなものについて経験のある方々を選んでおるわけでございまして、大きく分類いたしますれば、現在、皆さん方おっしゃるように特に四名の生産者関係の学識経験者、それから消費者関係については婦人団体等の消費関係についての学識経験者が四名、その他、二十三名のうちの十七名が学識経験者という構成に相なっておるわけでございます。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 おととい、五月二十四日でしたか、大河原食糧庁長官と澤邊官房長を衆議院の会議室に呼んでいろいろ懇談し、また見解を求めたわけですが、そのときに私あえて申し上げませんでしたけれども、その後私いろいろ調べてみますと、いまるる答弁がございましたが、伝え聞くところでございますのでその真偽のほどは私もここではっきり申せませんけれども、たとえば全中の藤田会長は、おれは学識者だもんな、経験者じゃない、学識経験者と言うといわゆる実務にもやはり携わっておらなければならぬが、おれは実務はない、学識の方だけだ、こう言っておられます。かと言って何も私は、全中会長藤田委員が米価審議会の委員に適任じゃない、こんなことを言うわけではございません。当然政府で決めることでありますから、全中の藤田会長なんかも適任者として大いに米審で力を発揮していただきたいことは当然でございますけれども、そういう話を伝え聞くわけであります。そしてずっと見てみますと、実際に学識経験者と言えば経験という字がつくのですから、実務に携わって仕事をした経験を持ち、またそういった技術的なものをわかっていただいて、そして審議委員に加わって審議する、こうでなければ、私は、真の米審の目的は達せられないと思うのです。かと言って、いまの委員が全部だめだ、こうは申しませんけれども。  そういった意味から、実は六月二十二日で任期が切れます。六月二十三日から新しい米審委員が決定する。そうなれば政府はその一月前、もうぼつぼつ米審委員の人選または交渉を始めるわけです。現に鹿児島県の前知事及び全農の前会長も勇退しておられますし、御承知のように二名の欠員があるわけでございます。そういった補充を含めて検討の段階になっている、かように思うわけです。農民団体や国会のわれわれが口を酸っぱくして何回となく要請をしておるわけですから、そういったことを十分踏まえて検討し、それにこたえていただきたい。特に保革伯仲の時代を迎えて、この米審がいまからいろいろ論議する米価、麦価決定に大きなウエートを占めていることは当然でありますので、空洞化、形骸化しないためにもぜひともひとつそういうことを踏まえてやってもらいたいということが一つ。  もう一つは、いまの米価審議会の香具を見ますと総体的に年配の方が多いのです。何も年配が悪いとは申しませんけれども、深夜にわたることもあり相当体力が要る、そしてまた厳しい討論の中で米価を決めるわけでございますので、やはり農業に携わっている青壮年の若い、真の経験者を入れて、そしてなるほどと納得するような若返りの米審にしてもらいたい、かように思うわけです。何も私たちは、皆さん方の任命権に対してとやかく言うわけじゃありませんけれども、国会議員として、米審がこれほど問題になっておりますし、これが米麦価決定に大きなウエートを占めているのでありますので、その辺を踏まえて、今回の新しい米審委員の選定に当たっては十分配慮して、農民にこたえ、日本の米麦の生産のために、自給率向上のために努力してもらいたい、かように大臣並びに食糧庁長官に申し上げたいわけです。どうでしょうか。
  166. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 学識経験者また学識体験者、実務に携わっている方とおっしゃいますこと、よくわかります。ですから、それはやはりその実務に携わって十分体験を備えている、みずからが農業をしたからそれが効力を発するというものではない、やはりその学識の上に立って、学識とはそれらを十分に認識をして、体験同様のようなものを携えておる、この人があなたのおっしゃる学識の体験者であり、私たちが言う学識経験者と合うのだろう、こう考えます。おっしゃるような点に十分注意をいたしましてその選定に当たらせていきたいと考えております。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣せっかく答弁いただきまして、十分検討していただくということでございますけれども、私の質問の中で、特に年配が悪いとか年配だからだめだ、こういうことじゃありません。またいまの二十五名の委員が全部経験者じゃないと言うのじゃありません。いろんな人がおっていいわけですが、新しい米審委員を決める段階に当たって、当然のことながら、これほど騒がれ、これほど数年前から問題になって、形骸化とか米審はなくしてしまえとかいろいろなことが言われているときでありますので、ちょうど米審委員が交代する時期になっておりますから、新しい委員で米麦価を決めることになりますので、そういったことを希望要件として、皆さん方に十分それを踏まえて、国民の期待にこたえるように努力を願いたいということでございます。そういったことで御認識をいただきたいが、いまの質問の中で、私は年寄りだけがどうのこうの、だめだと言うわけじゃございませんけれども、青壮年の若い経験した者、またそういった次の世代を担う青年、年は何十代と言うわけじゃありませんが、もっと若返った米審委員の起用というようなことを考えていただくことが本当に農民のために必要じゃないか、こういうふうに希望意見を申し上げるわけですけれども、その辺について大臣どうですか。それを含めて検討するということであろうと思うけれども、言葉が大臣の口から出なかったので、その辺改めて、大事なところでございますので、私だめ押しをしておきたい、かように思います。
  168. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 鈴木大臣がお帰りになりましたらば、あなたのおっしゃるようなことを重点に申し伝えておきたいと存じます。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 よろしくお願いしておきます。  そこで、政府が米価を決定するに当たっては、それを調査審議する米価審議会の委員農林省設置法五十三条の規定によって農林大臣が任命するということは御承知のとおりでありますが、米価審議会の委員はその発足当時の昭和二十四年、二十五年には三分の一が生産者委員であったわけですね。これは長谷川農林大臣臨時代理もよく御存じだと思います。しかも昭和四十二年までは国会議員が四分の一を占めていた経過もあるわけです。そして米価審議会はその公正な審議を期する上からも地域において実際に職業を営んでいる農業者代表を参加させて、生産者委員を大幅にふやすということでわれわれも要求してきたのでございます。私たちもせんだってから再三政府にも申し上げておりますし、午前中からもいろいろ論議されましたが、構成人員については生産者代表八名、消費者代表八名そして中立委員八名に会長、合計二十五名というようないわゆる三・三・三方式をぜひとも検討いただきたい。その辺も十分踏まえて御検討いただきたい、かように思います。大臣、その点も踏まえて鈴木農林大臣が帰りましたならばお伝えいただきたいと思うのですが、どうですか。
  170. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどからお答え申し上げているとおり、おっしゃることは私たちにもよくわかりますから、十分お伝え申し上げておきたいと存じます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 食糧庁長官にさらにお伺いします。  大臣から十分鈴木農林大臣にも伝えておくということでございますが、さらに、昨年の事前協議において安倍農林大臣は、当時、地域の農業者代表を参加させることについて、一考に値する提案である、こういうふうに言明されました。私はその後ずっと経緯を見ておりますと、せんだって五月十二日の質問のときにもちょっと申し上げましたが、この問題については五月十四日に行われた農協米対中央本部と農林省との第一回事前協議の席において鈴木農相から、いろいろな角度から構成を検討せよという指示があって、検討しているという発言があったわけです。これは私は農協米対中央本部から直接伺って認識しております。そこで内村次官も重要検討事項としておりますと述べたようでありますが、そういったことから、構成員の変更その他についても具体的に十分検討しておられると思いますけれども、そういったことを含めて事実もう検討に入っておられますか、いまからですか、その点もあわせてお伺いしておきます。
  172. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 繰り返し申し上げておりますように任期は六月二十二日でございます。したがって、これは具体的人選と表裏する問題でございますので、二十二日の任期を目安に置きましてその結論を出さなければならないという話でございますが、いろいろの御所論がございます。生産農家というふうに受け取られる先ほどの瀬野委員のお話もございますし、あるいは組織の代表というものを必ず入れろ、農民団体、生産者団体その他必ず入れろというような御意見としての三者構成もございまして、いろいろな御意見もございますし、また過去の経緯なり現在の運営から見て現在が適切だというような判断を持たれる意見もございまして、それらをそれぞれの観点から研究いたしましてその具体的な人選の結論を得たいというふうに考えております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に大蔵省にお尋ねします。  政府は、昨年の米価決定時に、昨年を初年度として五ヵ年計画で米の売買逆ざやを完全に解消する方向が鮮明になりました。これについてはもう当委員会で十数回私もいろいろ論議をしてきた経緯がございますが、食管法の空洞化、形骸化への動きと見て、ますますこれが露骨になってきたとわれわれは指摘してきたところでございます。このことは大臣もよく御承知であろうと思いますが、大蔵省は、今年度の米価シーズンを迎えて、昨二十五日、今年度の米麦価に対する基本方針を固めたと一部報道されております。さもあらんとわれわれは思うのですけれども、それによると売買逆ざやの解消を昨年に引き続き図っていくということが明瞭になっております。  まず一つには、生産者米価の引き上げ率を昨年の七・三%以下にできるだけ低く抑える、実際には五%以下とも言われております。二つには、逆に消費者米価は昨年並み、すなわち一〇・二%の二けた引き上げを行う、実際には一〇%程度引き上げるというようなことがいろいろと取りざたされております。三つには、米価審議会には生産者、消費者両米価を同時諮問し、同時決着を目指す等の基本方針を固めた、こういうふうな報道がなされておりますけれども、大蔵省はこういった方針を固めておられるのか、その辺の経緯について大蔵省の見解を承っておきたい。
  174. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答えいたします。  何か新聞報道ということでございますけれども、大蔵省といたしまして本年度の米価につきまして方針を決定したというようなことはございません。しかし、私どもといたしましては、これにつきまして重大な関心を持っておりますので、部内においていろいろ検討をしておるということは事実でございます。  そこで、まず第一に言われました来年度におきます逆ざや解消という方針でございますが、これにつきましては、昨年、いま言われましたとおり、おおむね五年以内を目途といたしまして両米価の売買逆ざやの解消を図るということが基本方針として私ども決まっておるわけでございますが、これにつきまして具体的な数字等については決めておりませんけれども、この方針というものを、現在のような大幅な売買逆ざやがある事態においては、今後とも基本方針としてとっていきたい、こういうふうに考えております。  それから、生産者米価につきましては、現在非常な古米在庫というものを抱えております。これが本年当初二百六十万トンといったものが三百三十万トンになる、さらにまた来年には四百万トンを超えるというような事態でございますので、この点についても、そういう事態をよく考慮した上で検討をしてまいりたい、こういうふうに思います。     〔今井委員長代理退席、菅波委員長代理着席〕  さらに、売り渡し価格につきましても、具体的な数字はまだ検討いたしておりませんけれども、食管の逆ざやが非常に大きい、そして財政負担も大きい、そしてさらにそれが農政の面においても問題があるというようなこともございますので、最初に申し上げました逆ざや解消、段階的な逆ざや解消という方向に従ってやっていきたい、こういうふうに思っております。  さらにまた、両米価の同時諮問というようにいまお話しでございましたけれども、これにつきまして、まだ農林省から具体的な御協議をいただいておりませんけれども、両米価というものを一元的にある程度考慮していくということは今後とも必要であるのではないかということが私どもの基本的な考え方でございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 主計局、三つについて答弁いただきましたが、いまの最後の、両米価について一元的にある程度考慮していく、ちょっと含みのある、ずいぶんこれは重大な発言なんですけれども、一元的に考慮していくというこのことについてはもう少し具体的に見解を述べていただけませんか。
  176. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 お答えいたします。  御存じのように、生産者米価というものは生産費及び物価、経済事情を考慮して定める、消費者米価というものは家計及び物価その他の経済事情を考慮して決める、そしてその考え方は両者とも食管の目的にございますように国民食糧の確保とそれから経済の安定ということから共通の一つの目的として考えられているものでございます。したがいまして、両者が別々というものではなくて、その一つの統一目的の中において両者を関連づけて検討する必要がある。そのために多額な財政負担というものをやってきたときには、この制度自体が非常にうまくいかなくなるだろう。食管の堅持ということを言われますが、食管制度というものを維持していくということは必要である、そのためにはこの制度が健全に運営されていくということが必要であろう、そのためには多額な財政負担があるということは逆に制度の運営の面からも問題があるのではないか、こういうようなことから生産者米価と消費者米価というものにつきまして、よく両者の関連を見て決定すべきではないか。その場合に、先ほど一番最初に申し上げましたような生産者米価と政府の売り渡し価格というところの中に、共通事項といたしまして、経済事情を参酌するという言葉がございます。そこいらのところも十分考慮して検討すべきではないかということでございます。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、大蔵省としては、諮問は農林大臣がやるわけですけれども、当然事前に農林省、大蔵省の協議もあることですから、いまのような、一元的にある程度考慮していくというような発言でございますので、私が先ほど質問しましたように生産者米価と消費者米価を同時決着を目指して同時諮問せよというようなことを大蔵省としては強く農林省に要求する、こういうようなことではないですね。どうなんですか。
  178. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 米価審議会に諮問なさいますのは農林大臣の御権限でございます。私どもは両者を関連づけて検討するということでございまして、それが形式的に同時諮問であるとかそういうようなことにはつながっているわけではございません。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは大蔵省の見解を一応承りまして、農林大臣の方にまた質問を戻しますけれども、いま大蔵省から答弁がありましたように、財政を預かる大蔵省としては、巨額の赤字国債に依存した借金財政を立て直すためにも逆ざやによる構造的赤字を解消しなければならないという判断に立っておる、こう言えるわけです。いま大蔵省の答弁をいろいろ聞いておりまして、大体の考え方の方向はあらあらわかったわけですけれども、今度は、国民の食糧、また農業者の生活を預っている農林省としては、今年度の米価に対する基本方針、こういったものをどう考えているかということを私は大臣にお伺いしたいわけです。  と申しますのは、いまも大蔵省にお伺いしましたように、五カ年間で逆ざや解消の方針をだんだんやっていくということが鮮明になってきておりますけれども、これはあくまでも五カ年で解消するということでいくのか。大蔵省は五カ年をめどとおっしゃいますけれども、過般の農林省の見解によれば、一応のめどであって何も五カ年に限ったことではない、五カ年が八年も十年もなることもあるというような意味の見解を承っているのですけれども、その辺改めて大蔵省の見解と農林省の見解がどういうふうになっているのか、お伺いしておきたい、かように思います。
  180. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 後の方が先になりますけれども、おおむね五カ年計画という計画が立っておるのでございますから、それに応じた方法をとっていくということが当然なことだと考えます。しかしながらそれは、それで決めた、この方針より一歩も譲っては相ならぬという決定ではないだろうとは考えます。国民生活の安定でございますから、そのところに、米価をさらに上げていって国民生活に影響があるかないかというような点は十分参酌しなければならないことだと考えております。したがって、米価の方は、食糧管理法の規定に基づきまして生産費、物価その他の経済事情を参酌して米の再生産を確保することを旨とすると書いてあります。しかもこれは米価審議会の議を経て決定することになっておりますので、申し上げたように、生産費、物価が高くなっていけば高くなっただけのものはこの中に位置づけていくということは当然なことだろうと考えます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらにいま大蔵省主計官から答弁がございました点についてお尋ねしますけれども、大蔵省もいま言っておりましたように、生産者米価の引き上げ率を昨年の七・三%以下にできるだけ低く抑える考えかということを質問しましたら、先ほどのような答弁がありましたね。そのことと、消費者米価は昨年並みの二けたに引き上げるという問題、さらには生産者及び消費者米価の同時諮問、同時決着、このことについて大蔵省の見解をただしたのですけれども、これについて農林省はどういう見解をお持ちであるか。  と申しますのは、国会が終盤国会で実際にどういうふうになるのかわかりませんが、恐らく今日の委員会、明日の委員会でほとんど終わりで、後はどうなるか予測もつかない状態でございます。そうしますと、参議院選の真っただ中に麦価決定、そして参議院選が七月三日とか十日とかいっておりますが、いずれにしても、終わった直後米価決定ということで、委員会でいろいろ審議をするいとまもなくばたばたと決定していくというような段階になるのじゃないか。しかも全国農協の団体は、来る六月七日には日比谷で六千人も集めて米価要求大会を開く、また参議院選後にも再び本大会を開くというようなことで、着々準備を進めておるところでございますが、そういった問題を踏まえて、相当こういった問題が論議される。そうすると、きょうがもう最後のチャンスではないかと実は思っておるわけです。そういったことを目前に控えまして、政府の考えそのものが農民にかなり重大な影響を及ぼすという時期でもございますので、ひとついま大蔵省に答えてもらった三つについて基本的な考え方を、この機会に皆さん方が発表できる最大の範囲で見解を述べていただきたい、かように思います。
  182. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  例年この時期になりますと、米価、麦価の決定について第一段階の時期になりますと、それぞれ報道関係からもろもろの数字を含めた報道がなされることは御承知のとおりでございますが、具体的な方針はわれわれとしてはまだ何にも決めておらないわけでございます。と申しますのは、生産費及び所得補償方式、その場合の一番基礎になる五十一年の生産費はまだ出ておりません。またそれを構成する物財費等の物価の伸び率等も、六月ぎりぎりの時点で出るわけでございます。また評価がえ労賃としての製造業労賃、これについても七月近くになってその数字が得られるというようなことでございまして、事数字に関して何%というようなことについてわれわれとしては何ら議論をしておりませんし、これは一つの推測の報道と断定申し上げるわけでございます。ただ、価格を考える場合に異常な在庫増、過剰な事態という需給事情は、毎年の米価決定の際にもその要素として取り入れているという点については考えざるを得ないという点では、財政当局の先ほどの話とも同じわけでございます。  また、消費者米価につきましては、われわれは単に財政だけではなく食管制度の運営という点から、売り買いについて大幅な逆ざやがあるということについてはいかにも不都合であり、これは先生と御所論を異にいたしますが、食管制度は二重米価制度を前提としているものではないということで、適正に決まった生産者米価を前提としながら、家計なり物価の許す範囲において逆ざやの解消に努めたいというふうに考えております。  なお、昨年のこの基本方針が出ました際の基本的な考え方は、先ほど大臣が申し上げましたけれども、おおむね五年間を目途に段階的に解消を図るということでございまして、本年決まる生産者米価なりあるいはそのときの家計の負担力、物価の状況というものを適切に判断してこの改正をいたしたいというふうに考えております。  なお、先ほども御指摘がございましたこの両米価の諮問の形につきましては、先ほども財政当局の方から申し上げましたように、やはり両米価というものはあくまでも関連があるのだという考え方で諮問をすべきで、何も形式的に同一の審議会で同時に審議をするということについては、また消費者米価から生産者米価を逆算しているのではないかというような、適正な決定についていろいろの議論も招くというような点についても慎重な配慮が必要であろうというふうに考えております。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現在生産者米価は六十キロ当たり一万六千五百七十二円、消費者米価は六十キロ当たり一万三千四百五十一円、そうしますと、売買逆ざやというのが三千百二十一円ということになりますが、いま食糧庁長官からいろいろ答弁がございましたけれども、段階的に解消していくということでございますが、そうしますと、われわれが伝え聞くところによると、現行の売買逆ざやである三千百二十一円の四分の一程度を解消していく、こういうふうなことを伝え聞くのですけれども、おおむねそういうふうなことになるのですか。
  184. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど特にその際の基本的な方針としておおむね五年以内を目途に段階的に解消するということを申し上げたわけでございまして、機械的に年次計画で四分の一ずつというようなことを決めてあるわけではないわけでございまして、その年の生産者米価の決まった水準と、それに基づく逆ざや解消がどの程度消費者家計にとって耐え得るかというような点を見ながら判断するわけでございますが、われわれとしては家計の負担力もあり、生産者米価も適切に決まってその方針に着実に近づくということを期待しておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そのときの条件によって判断するというたてまえでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長谷川大臣にお伺いしますけれども、いろいろ論議してきましたが、ことしの米価についてはかなり厳しいということは報道によってももう相当国民に伝わっておりますし、また機会あるごとにそういったことが政府からもいろいろと耳に入ってくるわけです。また一方、全中でも中央会長の個人的な見解とはしながらも、ことしの米価は昨年の二二・二%アップのいわゆる二万円米価というようなことが一応発表になっておりますけれども、実際の要求米価は六月一日に正式に決定するということになっておりますが、政府の決定米価と農協要求米価が余り開き過ぎるというようなこともあって少し控え目になっておる。異例のことでもあろうかと思っておりますが、われわれも厳しい情勢下であることはよく知っておりますけれども、やはり私は日本の将来ということを考えた場合に、これは各党も強い要請をしておりますように、生産者米価は農家の所得補償と再生産が十分確保され、生産者団体が納得できる価格水準でこれを決めるべきである。そしてバルクライン八〇%、さらには労賃の問題等、まだいろいろデータが詰まっておらぬということでございますが、細かい論議はともかくとして、ひとつ労賃問題も適正労賃を算定をしていただいて農家の意欲が出るように、また再生産が確保できるように、いずれにしても生所方式で十分検討した上で諮問をしていただきたい、こういうふうにお願いしたいわけですけれども、この点についても鈴木農林大臣に篤とひとつ大臣からお伝えいただくようにお願いしたいと思うのですが、大臣いかがですか。
  186. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 もちろん生産者米価の点もお伝え申し上げますし、また反面生産者米価と相伴った——生産者米価が上がれば消費者米価も当然上げなければなりませんので、両々相まっての調和された価格が、適正な価格が生まれるように私からもお話し申し上げておきます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに私は、政府の考えを念を押して聞くわけですけれども、食管については堅持をする、この方向には変わりございませんか。
  188. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  国民食糧を確保して国民経済の安定を図る、そのために主要食糧の需給の調整と価格の調整及び必要な限度の配給の規制を行うという食管制度の根幹でございますが、これを前提といたしまして運営をしていくということは、従来の大臣以下しばしば申し上げているとおりでございまして、この点についての食管制度の根幹を堅持していくという点については、何らその方針を変えるような議論も検討も行われておりませんし、われわれも当面そういうようなものを取り上げるというようなことは考えておりません。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 老婆心ながら申し上げておきますけれども、先ほど大蔵主計官が答弁の中で、食管については堅持という言葉と二番目には維持という言葉を言いまして、私も余りごろをつき合うのはどうかと思ったので遠慮したのですが、二通りの言葉を使いましたので、いま食糧庁長官からは堅持ということをはっきり言われたが、どうかひとつぜひそうあってほしいと思う。そういった意味で、大蔵省折衝に当たっては大蔵省の考え方も堅持というふうにしていただかないと、どうもきょうの答弁では維持という言葉がちらっと出ましたので、何か少し後退しているような感じを受けましたのであえて申し上げます。  そこでさらに申し上げるのですけれども、そのように食管について堅持をされる立場から、五年をもって売買逆ざやの解消をしていくということになりますと、結局これはだれが考えても、まあ五年が六年、七年になるかそれはわからぬにしても、その方向が鮮明になってきたわけです。そうしますと、食糧庁長官や大臣がそのときにおられるかどうかわからぬと思いますけれども、私は食管法の空洞化、形骸化ということは明らかである、かように思うわけです。その点はどういうふうに政府は考えておりますか。
  190. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの瀬野委員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、逆ざやの解消というのは現在の売り値と買い値の逆ざや、いわゆる俗に言われる二重米価になっておるわけでございます。逆の二重米価になっておるわけですが、これの解消でございます。現行食管法では、先ほども財政当局の答弁等にもございましたが、二重米価制を規定しているとはわれわれ考えておりません。生産者米価については生産費、物価その他の経済事情を参酌して決めるということになっておりますし、消費者米価については消費者の家計、物価その他の経済事情ということになっておりますが、いずれも経済事情という点で両者が相関連いたしまして、やはり買い値としての生産者米価と売り値としての消費者米価というものは相関連しておるわけでございまして、全く切り離して別だ、二重米価であるというようなことは、食管法では制度として規定しておるわけではないわけでございます。したがいまして、逆ざや解消自体、これは諸般の情勢を見ながら段階的に進めるわけでございますが、それをもって食管制度の空洞化とかというふうには理解しておらないわけでございます。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府は、米の過剰ということで売買逆ざやの解消その他いろいろ考えて進めておられますけれども、これは政府のやった米生産調整の失敗でもあり、また私は一番の原因は、何と言っても外麦を輸入して安く売るということによって国民の米離れというものを促進した、こういうようにも思うわけでございます。そういったことで、外麦の輸入については極力抑制をしなければならぬと同時に、やはり米に対するいろんなPR等もやっていかなければなりませんが、私はこの過剰問題にからんで備蓄のことで政府の見解をただしたい。  先ほどから米の過剰ということが出るのでちょっと気になっておるのですが、備蓄という問題は、御存じのように穀物の需給逼迫という危機から、世界的な食糧事情を見ましても一時的には脱したように見受けられますけれども、依然として不安定な状態が続いていることは御承知のとおりでございます。そこで政府の予測の発表によると、昭和五十三年度在庫二百万トンを現在において大幅に上回っており、ことしの暮れには四百万トンぐらいになるであろう、こういったことが言われておりますけれども、私は政府の考え方というのが通常在庫持ち越しと備蓄というものをごっちゃにしているのじゃないかというようにいつも理解しておるのですけれども、この機会に見解を明らかに聞いておきたいと思うのです。政府は通常適正在庫というのは百万トンというように言っておるわけですから、この際ぜひ食糧備蓄勘定というものを設定すべきじゃないか。そして通常在庫百万トンのほかにいわゆる備蓄として幾ら、こういうふうにすれば、一口に四百万トン、四百万トンとすぐ言いますけれども、耳ざわりになってならぬわけです。備蓄については、昨年の八月だったと思いますが二百万トンと政府は打ち出しましたね。そうすると、通常適正在庫百万トン、それに備蓄については二百万トンというと、これは三百万トンは当然ということになる。それをごっちゃにするものだから、在庫持ち越しと備蓄分を一緒にするために四百万トンとか三百十万トンということになるわけです。だから、どうしても通常適正在庫というものを、食糧備蓄勘定というものを設定してやるべきだというのが一つと、それからことしは平年作であれば四百万トンくらいになるであろう、こう言いますけれども、三百万トンという備蓄を考えると、一月に六十万トンとして五ヵ月の備蓄ということになりますから、ちょうどいいという数字になってくる、かように思うわけです。昔は災害一吹き百万石とか言っておりましたけれども、最近は災害でそれほどたくさんの被害が出るとは思えませんが、災害があってはならぬけれども、災害があった場合等を考えますと、やはり備蓄については十分やらなければいかぬ。そうすると、いま政府の言っておる数字にほぼ近いものである、かように私は思うわけですけれども、そういったことで、ひとつ在庫持ち越しと備蓄分を明確にする、食糧備蓄勘定を設ける、ごっちゃにしてはいけない。それから、備蓄についての考え方をこの際改めて伺っておきたい。
  192. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生のいろいろな御所見でございますが、従来のわれわれの説明なり考え方が不十分であったために、十分御理解をいただけない面もあるかと思いますので、この考え方全体を申し上げます。  しばしば申し上げておりますとおり、われわれが通常の需給操作をいたす場合においては、毎年米穀年度末に古米を百万トン持ちますれば十分ゆとりのある次の米穀年度の年間需給ができるというわけでございます。これに対しまして、四十七年以来の国際需給の逼迫から、米自体についても在庫造成によってこれに対応しろ、いわゆる備蓄をしろということで、当初は五十万トンでございましたが、さらにプラス百万トン、二百万トンを備蓄する考えで進めてきたわけでございます。二百万トンと申しますのは、過去二十年のわが国における作況指数の最低は昭和四十六年の九三でございますが、そのような不作が二年連続いたしましても十分これに対応できるということで、通常操作の百万トンと、それを超える百万トン、二百万トンの古米持ち越し量を持てば十分操作できるという点が第一点でございます。  もう一つは、備蓄と申し上げましても、石油や鉄と違いましてたな上げ備蓄は困難でございます。回転備蓄と申しまして、古米を新米に置きかえながら、まず古米を配給に回して、またその次の年にできる新米で埋め合わせて常に二百万トンずつ在庫を持っていく、そういう思想でございますので、配給上、消費者に相当古米を食っていただかなければならないという点がございまして、この二百万トン備蓄、現にそれを前提にして行っておるわけでございますが、百七十万トンの古米を去年の十一月から始まる五十二米穀年度でもお願いしておる、これは過去最高の古米充当率でございまして、配給の操作の面から見ましてもこれは限度ではないかというふうに考えておるわけです。  そのようにして、われわれとしては通常操作は特に申し上げれば百万トン、それを超える百万トン、二百万トンあれば、配給操作では相当無理がいきますけれども、不作その他の事態を考えてもゆとりがあるということであるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、昨年十月末には五十年豊作等を反映してすでに二百六十万トンになっておる。そして本年の十月末には三百二十万トンになっておる。そして今年産が平年作でございますれば、来年度は四百万トン前後になるのではないかというような状態であるということでございまして、われわれの考え方と先生の御理解とはその点で食い違っておるということでございます。  なお、備蓄勘定についての考え方という点でございますが、これは食管の在庫操作によって操作していく場合でございますので、別途備蓄勘定等を設ける積極的な意味があるかどうか。要するに二百万トンの在庫を持って、古米を配給に回し、新米に置きかえていくという操作でございますので、計算上は備蓄分幾らという財政負担等を出すことにはやぶさかではございませんが、勘定区分といたしましては、特に備蓄勘定等を設けるという必要の有無については、われわれは現在積極的な考えを持っておらないわけでございます。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 備蓄については、われわれが多年申し上げておりますように、もみ貯蔵による、それにしても低温倉庫が少ない、低温倉庫は計画的に、十年かかっても十五年かかってもつくるべきだ、こう思うわけです。量が多くなるのですから、低温倉庫をつくってもみ貯蔵する、それまでは主な農家に委託して、もみ貯蔵に切りかえていくというようなこともありましょうが、そういったことでいろいろ考えてやってもらいたいと思うけれども、低温倉庫の設置条件はどうなっておりますか。時間も迫ってまいりましたので簡潔にお答えください。
  194. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  現在二百十万トンまで参りました。と申しますのは、低温倉庫については、相当その整備が促進されるような、低温倉庫の割り増し料金というような食管の保管料等の配慮も行っておるわけでございまして、計画的に低温倉庫の増設が行われておるというふうに承知しております。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってきましたので若干はしょって質問をいたしますが、一方、米の消費拡大を図るということですね。学校給食はもちろんですが、もっと米をおいしく食べる方法というようなことのPR、さらには米粉をパン、うどんに入れる、一〇%ないし二〇%混入すれば三十万トンもの米がはける、こういうことが言われておりますように、かなりの量が消費できる、こういったことにもっと力を入れて農林省はPRをすべきじゃないかと思うのです。外麦輸入削減にもつながってくる、かように思うわけです。現に米粉をパン、うどんに入れて商品化されておるわけですが、こういったことに対する力の入れ方が足らぬと思うが、この点についてはどういう見解をお持ちですか。
  196. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  当面の過剰のみならず、今後の食糧政策と申しますか、十分ゆとりのある需給量を持つ米のあらゆる形の消費の拡大という点については、一段と努めなければならないわけでございますが、御指摘のような米粉入りパン等につきましては、各業界等においてもテスト的な販売というようなことも進められておりますし、これらの促進、定着というようなことについてはわれわれとしては積極的に取り上げて、お説のように米の需要の拡大、新しい需要面の開拓という点について努力をしなければならないと思っておりますし、また従来の惰性的な考え方ではなくて、新たに米の需要の拡大の用途先についてどういうものがあり得るかという点については、なおなお努力しなければならないというふうに思っております。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、麦価について若干お尋ねしておきます。  去る五月十二日に麦価について私は当委員会で若干の質問をして、政府の見解をただしてまいったところでありますが、これまた先ほど申しましたように、いよいよ六月の参院選の真っただ中に麦価が決定ということに相なるわけでございます。まず、麦の政府買い入れ価格の算定方式のことでございますけれども、要望を兼ねて申し上げておきますが、問題となっておるのは、現行方式によって決められる麦価が再生産確保を図り得る水準のものとなっていないからであります。このため、政府においても各種の奨励金を交付するなどして、麦の実質手取り水準を引き上げるようにしてきたことは御案内のとおりでございます。しかし、価格本体を現行のままにしておいて各種奨励金を拡大することは本質をぼかすわけですね。米の場合でも同じです。銘柄奨励金を出すというようなことは、基本米価に入れろと言ってもなかなか入れないという問題と同じことでございますが、奨励金は臨時的性格のものであるわけでございますから、価格本体の算定を改めるべきである、価格本体に入れるべきだ、こういったことをせんだっても申し上げてきたのですけれども、これについても十分検討していただきたいと思うが、政府の考えを改めてお伺いしておきたい。
  198. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほども委員会で大臣からも麦作振興の大命題に対して価格算定方式からもこれを積極的に推進しなければならない、その場合に、現在の生産奨励金その他の取り扱いについても積極的な検討が必要だと申し上げたわけでございますが、繰り返すようでございますが、昨年の米価審議会においても算定方式の検討が開始されておりまして、その場合に生産費方式なり対米比価方式と並んで、現在の奨励金水準を加味した手取り水準を念頭に置いた算定についても現在真剣な検討が行われておるわけでございまして、私どもとしては、せっかく米価審議会が検討しておりますので、それらの結論が早急にまとまることを期待いたしまして、可能ならば本年産麦価から具体的な措置をいたしたいと考えております。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今年度産麦価から具体的な措置をしたいということですが、ここで具体的な答えが出ぬにしてもあえて申し上げておきますが、麦価については所得補償による麦生産費を基準価格とするというふうにしてもらいたいわけです。この場合五人以上規模の製造業全国平均賃金による家族労働評価とか企画管理労働評価、実納小作料による自作地の地代の評価が必要であることは言うまでもございません。そこで、農林省調査によると昭和四十九年、五十年の麦生産費を用いて、製造業規模五人以上の全国平均賃金で実納小作料によって昭和五十二年の麦価格を試算してみますと、小麦で一万一千二十円となります。千人未満賃金で計算をすると一万五百五十円の水準になるわけでございますが、現在農業団体で試算をして要求しているのは、昨年の麦価は、六十キロ当たり六千五百七十四円に対して二千三百円の生産振興奨励金がついて八千八百七十四円でございましたが、五十二年度の要求としては一万一千二十円、二四%アップ、これは奨励金を含むということで計算が成り立っております。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 いままでの試算から計算しても当然こういうふうになるわけですけれども、こういった麦価をぜひとも農民のために、自給率を上げるためにも努力をしてもらいたい、かように要望を兼ねて申し上げておきますが、政府としてこの試算はどういうように評価しておられますか、要求に対してどういうふうにお考えであるか、この機会に見解を承っておきたい。
  200. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  米価審議会の麦価算定小委員会においても生産費方式についてはいろいろ議論されておりますが、麦については、これをとるべきという御意見もございますが、非常に難点もあるということでまだ議論が収斂しておりませんし、われわれといたしましても、本年産麦価について生産費方式あるいはただいまお話しのような所得補償方式を加味した方式についてこれを採用する考えはございません。  と申しますのは、生産費方式については余りにも議論のあるところでございますのが一つ。原理論的な問題は別にいたしましても、行政価格の決定としては余りにも議論のあるところでございますし、現行食管法の麦価算定規定から申しましても、それ自身法律改正を要するというような性格の問題もございますので、われわれといたしましては本年産麦について生所方式というような点をとるつもりはないわけでございます。ただ昨年も各種奨励金を含めた水準については一万円麦価、パリティ価格プラス各種奨励金というようなこともいろいろ言われておりまして、生産奨励金の増額等についてはわれわれとしてもそれなりの努力を払ったという点がございますので、先ほど申し上げました米審の委員会の検討の結論をまって本年産麦価の決定をいたしたいと考えております。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、等外上麦についてその買い入れを制度化してくれという強い要請が昨年に引き続き出ております。御承知のように、毎年臨時的にはやっておるわけですね。そこで今後検査を常設的に設置をする、こういうふうにしていただきたいと思うのです。ひとつ麦作振興の上からこれについても十分検討していただきたいと思うが、政府の見解はいかがですか。
  202. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 等外麦のうちの上についての買い入れを制度化しろという議論はしばしば承っているところでございますが、等外上につきましては、御案内のように災害麦でございまして、その年の災害の発生の態様とかあるいはそれが食用に必ずしも適しないというような点を考慮して制度としての常例的な買い入れは行っていないわけでございます。ただ災害が非常に発生し、その他の事情がございますので、特例的に等外上の買い入れを行っておるというふうなことでございまして、これを制度として当然買い入れるということについてはわれわれとしてはむずかしいというふうに考えております。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってきましたので、あと一、二点、畑作の麦についてひとつ農林省も力を入れていただきたいと思いますので、お尋ねをしておきます。  麦の作付面積をずっと見てみますと、漸増傾向を示しておることは事実でありますけれども、一方畑作麦の作付面積は、昭和四十八年度の八万七千百ヘクタールに対して五十一年度は八万九百ヘクタールと六千二百ヘクタール、七・一%減少しております。中でも内地畑作麦は、昭和四十八年度において七万七千四百ヘクタールと全作付面積十五万四千八百ヘクタールの五〇%を占めておりましたけれども、五十一年度、昨年においては五万五千四百ヘクタールと三年間で約二万二千ヘクタールも減少しております。全作付面積に占める比率も三二・七%と極端に低下をしてまいっております。これにはいろいろ原因があるわけですけれども、時間もございませんので、内容は省略するとして、私は、現下の麦の生産振興の観点からも、畑作麦の振興特別施策の新規実施を図っていくことは焦眉の急務じゃないかと思います。昨日も審議して通過しました農用地開発公団の開発でいよいよ干拓地の造成等を今後同公団で行うことになりますと、水田でなくて畑作が重点に置かれ、畜産振興ということになってまいりますが、そういった面で、私は、今後畑作の麦についての振興を大いに力を入れなければならぬ、かように思うのですが、その点はどう対策を講じておられるか、お答えいただきたい。
  204. 堀川春彦

    堀川政府委員 畑作麦の近年における減少につきましては先生の御指摘のとおりかと思うわけでございます。それをカバーをいたしまして水田裏作麦が伸びておるという姿でございますが、今後とも水田裏作麦を、土地の総合的な利用率を上げる、なおそこに裏作として現下増産の叫ばれております麦を積極的に導入して生産振興を図るという基本方針は、これは基本として動かすわけにはまいらぬ。その反面、それでは畑作麦が減っていくのを放置してよいかということになりますと、これも大問題でございます。畑作麦は水田裏に生える麦とはやや形態が違う。これは御案内のように、特殊な場合を除きまして、畑作の場合にはいろいろの作物の輪作でぐるぐる回しをやる場合が通常でございます。その中に、どの作物に次いでどういう作物をつくるか、適作物を回しながらつくっていく、その間におのずからたとえば野菜が有利であるということで、冬の期間に野菜をつくるという農家もございます。これを野菜から麦に強いて変えてしまえということを言うのもいかがかというふうに思うわけでございまして、要は、そういう畑作経営におきます麦作が合理的な輪作体系の中に定着するような形で、しかもこれは土地利用の面、地力の維持の面等からいって好ましい作目の一つであり、かつまた需要の面では国内の生産を伸ばさなければならぬという作目でもございますから、さっき申し上げましたような合理的な輪作体系をいかにして組み立てるかという観点でいろいろの生産対策を講じていくべきものというふうに考えるわけでございまして、ただ、これは相対収益性の問題ももちろんございまするから、先ほど来食糧庁長官からお話のございますような価格のあり方というものは当然畑作麦にも影響のある話でございまして、もちろんそういう観点からの考え方というものも忘れてはならぬと思いますが、そのほか生産施策あるいは合理的な技術指導、経営のあり方の指導ということもあわせ並行して総合的に進めてまいる必要があろうかと考えております。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、大臣に一点お伺いして終わりにしますが、農業再建と国内生産拡大のため、二百海里時代を迎えて、大変食糧の厳しいときを迎えまして、われわれは食糧基本法をつくってこの際十分検討していくべきだ。この制定については各党も異存ないところでございますが、ぜひともひとつこういったことを考える時期に来ていると思うのです。大臣は参議院においでになるそうですか、この問題について最後に大臣の考えを伺って質問を終わりたいと思います。
  206. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 御承知のように、もうすでに農業基本法というものがございますので、新たに基本法を設けてというような考え方は、いま持つ必要はないのじゃないかというように考えております。したがいまして、現在ある農業基本法を十分生かしてこの時代に沿った方向づけをしていくということの方がかえって惑わずに理があるのではないだろうか、こういうふうに考えております。したがって、農業基本法を中心とした今後の繁栄策をさらに進めてまいりたい、こう考えております。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 終わります。
  208. 金子岩三

  209. 神田厚

    神田委員 私は、五十二年度産米麦価の問題につきまして、農林大臣及び農林省の御見解をお尋ねしたいと思うのでありますが、まず最初に、いろいろと本日の委員会の中でも御討議をいただいたかと思うわけでありますけれども、米価審議会のいわゆる構成の問題につきまして、私どもは従来から基本的には、米価審議会の構成につきましては、米価審議会というものを存続させていく以上、いわゆる均衡のとれた三者構成にすべきである、こういうふうな主張をとり続けていたわけでございます。現在は生産者代表が四名、いま欠員になっておりますけれども、こういうふうな状況でございますが、これらにつきまして、いわゆる生産者代表を八名にし、消費者代表もそれと同数にして、さらに中立委員を八名にして、会長を一名つくれ、こういうような意見を言っているわけでありますけれども、その辺につきましてはどういうふうなお考えでございましょうか。
  210. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどからも皆さんにお答え申し上げたとおり、審議会の構成というものは、私は現在の構成を何ら変える必要性というものを認めておらないのです。したがって、船頭多くしてということを申し上げるわけではございませんけれども、生産者団体から四名出ている、消費者団体から四名出ている、また先ほどお話しのように、学識経験者というか、体験者と言ってもいいような方々で構成されておりますので、十分これによって審議を加えることができ得る、こういうふうに考えておるのであります。別にこの方々が政治的にどう動いてどうだというようなこともない。かつてわれわれ国会議員がこの中に入っていたときは、党というものがあって、党の意向によって動かなければならなかったというときもありますけれども、もうそういうことではなくて、本当に米価というものを決めるのにはどういうことがいいか、こういうような検討を十分加えた末に現在の米価審議会の構成が決定をしたわけでございまして、これは私がちょうどその任に当たっているときに決定したもので、私は現在の構成で少しも差し支えがないというふうに言い切ることができるくらいに自信を持っておるものでございます。
  211. 神田厚

    神田委員 どうも従来からの経過を見ておりますと、いわゆる米価審議会の中におきまして生産者の意見が反映されない、このことが一番のいわゆる生産農民の不満となってあらわれているわけであります。したがいまして、私はこの際、均衡のとれた三者構成が無理だということであるならば、さらにいわゆる生産農民を代表する何名かの委員を米審の中に入れまして、もう少し生産者、生産農民の意見が反映されるような米価審議会の構成にしていくべきであるというふうに考えるわけでありますけれども、その点はいかがでございましょう。
  212. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 大事なことでございまして、生産者米価を決定するまで、そこに案を出すまでの間というものは、かなりの方々の御意見を十分聞いておりますし、その上、それを参酌した上に立って審議会にかけるのでございますから、私は、生産者の各位に一人一人全部聞くわけにはいかないけれども、団体の意見は大体この中に入っておるだろうというふうに考えております。
  213. 神田厚

    神田委員 そういう私どもの意見というのはどうも並行線でございまして、なかなか受け入れられないような事情もあるようでございますけれども、私は、これだけ米価に対する不満があるというのは、米審によって非常に要求が通らない、自分たちの要求と非常にかけ離れている、こういうふうなところにいわゆる生産農民の不満があるというふうに考えているわけであります。したがいまして、そういういま申し述べたような要求を私どもは続けていくわけでありますけれども、さらに、米価の決定方式につきまして私はなお当局の改善をお願いしたいというふうに考えているわけであります。従来いろいろ言われておりますけれども、米価決定の方式が、いわゆる米審の諮問案をつくる段階におきまして、米審に諮問案を出すその前の段階に、もう少し生産者の意向やあるいは生産農民の意向、そういうものが十二分に反映されるような形にはならないものか、そういうふうな考え方を持つのでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  214. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 そのような点につきましては、先ほどからお話を十分承っておりまして、特にまた神田さんのお話でございますので、この面は十分研究する必要があるだろう、こういうふうに考えます。いまお話がありましたように、この点は十分研究をする必要があるというふうに考えますので、この点につきましては、大臣がお帰りになりましたならば、十分そういうお話がありましたということを申し伝える考えでございます。
  215. 神田厚

    神田委員 この問題につきましては、諮問案が出てしまってから、今度は一応決定がされて、さらにそれが自民党との、一つの政党との話し合いの中で上積み加算される、そういうふうなことによって米価が決定されていくというのが従来の経緯でありましたが、私どもはそういうふうな形で米価が決定されるということにつきましてはやはり非常に不満を持っているわけであります。米価審議会の答申を受けてから自民党が政治折衝を行って、そして低い案に多少若干の上乗せをして、そしてそれを今度は終わらせる、こういうふうなことが繰り返されるということになりますと、やはり私はどうしても審議会そのもののあり方につきましてもう少しどうにかならないものかというふうな話をせざるを得ないわけでございますが、ただいま大臣の方から諮問案をつくる段階におきまして農業者の代表やある程度の意見を集約することについて検討する、こういうふうな御答弁をいただきましたので、その点につきましては一歩前進ということで、そういうふうな形でお進めをいただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  さて、本題の米価の問題に入りますけれども、私ども民社党は、日本の農業が零細な規模で個別経営が行われている限り、農産物価格は生産費を補償し、農民の生活費部分をも補償する額とすべきである、こういうふうに考えているわけであります。したがって、農家の実態に照らして合理的に計算された農業団体の統一要求米価を支持しまして、その実現を図るために年来やってきておるわけでありますけれども、この点につきまして、ことしの生産者の米価の問題につきましていろいろ言われておりますが、基本的な考え方をひとつお聞かせをいただきたいというふうに思うのであります。
  216. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先ほども大臣が申し上げましたように、本年の米価算定についての具体的な方針は決めておらないわけでございまして、食管法に基づきます生産費なり物価その他の経済事情というものを適切に反映するということを旨としてやっていくんだということを申し上げたわけでございますが、お言葉にございましたように、生産者団体その他の累年の御要求がございますが、それについての同じ生産費及び所得補償方式をとりました場合においても、政府の諮問の前提となります算定とその生産費のバルクなり平均生産費あるいは評価がえ労賃としての製造業労賃の規模とかいろいろな隔たりがあることは事実でございます。われわれといたしましては、米の需要事情なりその他全体の判断をいたしまして現在の方式をとっているつもりでございまして、そういう意味では、われわれとしてはその両者の差というものについては現時点におけるその需給事情なりあるいは物価、賃金をどう適切に反映しているかというような物差しから判断をしていきたいというふうに考えております。
  217. 神田厚

    神田委員 先ほども問題になっておりましたけれども、大蔵省が昨二十五日にいわゆる逆ざや解消を主体といたしまして生産者米価を五%以下にあるいは消費者米価を一〇%程度に決める、こういうふうな方針を固めたという報道があるわけであります。このことにつきましては食糧庁としてはお話を聞いておりますでしょうか。
  218. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 米価につきましては、政府部内で財政当局なり経済、物価その他の関係当局において十分検討して米審に諮問し、決定するわけでございますが、いずれにしても、農林大臣なり農林省の責任で決めるということに相なっておりますが、本年、具体的に本年産の米価の取り扱いについて何ら話し合いもしておりませんし、また、具体的な数字について話し合えるような段階ではないというふうに申し上げたいと思います。
  219. 神田厚

    神田委員 いわゆる大蔵省は大蔵省としてそういうふうな形で、逆ざや解消ということを前面に出しての決め方だろうと思われるわけでありますけれども、それでは食糧庁といたしましては、いわゆるよく言われております五年間において逆ざやを解消するんだ、そういうふうな論議が先ほど来行われておりましたけれども、この点につきましては、この基本的な考え方はいかがでございますか。
  220. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 本問題についてはしばしば御議論を賜っておるところでございますが、基本的には現在の大幅な逆ざや、二三%を超えます大幅な逆ざやは、食糧管理制度の健全な運営という食糧管理の固有の視点から見ましてもあるいは農政上の視点、あるいはこれは財政当局が考えることですが、財政上の視点からもいろいろ問題でございまして、これの条件が許されれば、その条件の正常化に努めるべきだというのが基本的認識でございまして、昨年の政府売り渡し価格、いわゆる消費者米価改定の際に、おおむね五年を目途に段階的に解消いたすという基本方針が定まっておりまして、本年についてもその基本方針にのっとって適正に決められた生産者米価を前提として消費者米価の改定を行う。その場合に逆ざやについての段階的解消をどの程度取り入れていくかということを現在考えているわけでございます。
  221. 神田厚

    神田委員 この問題を突き詰めていきますと、食管法の問題と一緒になってくるわけでございまして、食管法を除いてこの問題は論じられないというふうに私は考えるわけでありますが、そうしますと長官におかれましては、現行の食管法につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  222. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  価格につきましては食管法第一条の目的である国民食糧を確保し、国民経済の安定を図る。そのために主要食糧につきまして価格の調整を行い、また必要があれば需給の調整を行い、配給の統制を行うということから、買い入れについては必要量について売り渡し義務を課しますし、また政府米の売り渡し価格については、消費者の家計の安定その他という本来の食管制度存在の目的にのっとって運営されるわけでございますが、さて、価格関係につきましては、生産者米価については神田委員御案内のとおり、生産費なり物価、賃金というような経済事情を参酌して決められるわけでございますが、消費者米価については家計費とかあるいは物価その他の経済事情を参酌して決められるというわけでございます。いずれにいたしましても、両者は経済事情ということでございまして、その経済事情の中には、売り渡し価格で申し上げれば、買い入れ価格というものも当然コストでございますので入る。またそれに伴う財政の負担がどの程度大きくなっているかというふうなことも入るというようなわけでございまして、同一のものについて両者が全く関連なく決められるというふうには考えないわけでございまして、この点が、食管法には二重米価を当然書いてあるというような御見解もございますけれども、私どもとしては制度の解釈としては一貫してそういうふうには考えておらないわけでございます。
  223. 神田厚

    神田委員 ただいま経済事情を参酌してというふうなお話でございましたが、これは私の解釈で大変あれなんですが、消費者の家計を安定せしめるためのまず経済事情の参酌、こういうふうな解釈をいたしますと、私は長官の考え方ととり方が違うのですけれども、その辺はいかがでございますか。
  224. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 この点につきましては、政府売り渡し価格を定めております食管法の条文は、あくまでもその経済事情の中には、売り値を決める前提である買い入れ価格なりそれに伴う財政負担とかというふうなものが入っているというわけでございまして、全体として家計の安定という大枠の中でそれらの諸要素を考えて決めるということでございまして、政府買い入れ価格と政府売り渡し価格とを全く切り離して決めるというふうには考えておらないわけでございます。
  225. 神田厚

    神田委員 結局、逆ざや解消の問題といいますのは、食管法を堅持するということを前提にしている場合には食管法の中ではできない。これを堅持している関係ではそういうふうな形で逆ざや解消ということを打ち出すことはできないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  先ほどお話がありましたように、食管法の第三条の二項に政府買い入れの問題が出ておりました。これは「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」買い入れをする。さらに第四条の二項には「政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういうことであれば、このことからは逆ざや解消ということは出てこないと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  226. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 法律解釈についていろいろ御議論がございますが、先ほど来の私どもの見解が政府としての一貫した考えであるということでございますが、もう一つ事実について見ますと、昭和三十七、八年までは順ざやでございまして、政府買い入れ価格より売り渡し価格は上回っていたわけでございます。その後四十年代に入りまして政府買い入れ価格が次々に上がりましたが、物価の情勢その他から、当時は高度成長の時期でございまして、可処分所得と申しますか家計の伸びが相当大きかったにもかかわらず、物価の観点からこれを据え置いた、あるいは上げ幅を抑えたということから今日の大幅な逆ざやが出たという一つの歴史的経過的な事実もあるわけでございまして、私といたしましては、少なくとも生所方式等を採用して以来の両米価の決定の歴史を考えましても、二重米価が食管のそのものの本質であるというふうには理解しておらないわけでございます。
  227. 神田厚

    神田委員 時間が限られておりますので、この問題だけで議論をすることはできませんが、昨年来の不況の中で農家経済が非常に苦しい状態になってきている。このこと自体はすでに長官初め農林省皆さん方にも十分おわかりかと思うわけでありますけれども、こういう中でことしの米価の問題につきまして、一部で地域分担を推進したり、産地の格差を導入したりしたい、こういうふうな考え方がある。農業生産の地域分担あるいは農産物価格の問題につきまして産地間の格差を導入するというふうな考え方があるやに聞いておりますけれども、その辺のところはいかがでございますか。
  228. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  具体的な生産者米価等これに関する諸措置はこれからの検討でございますが、われわれといたしましては、最近における米の供給力は十分ございますし、一方消費者は所得の上昇によって食味のいい米、これに対する要求が強い。したがって、良質米の供給を十分にすることによって一面では需給の均衡にも資したいというような配慮等もございまして、昨年から自主流通に乗ります良質米について、良質米奨励金というような措置を講じておるわけでございます。そういう意味では、自主流通に乗るような優良銘柄地帯における稲作生産が推進されるというような点はあるわけでございますが、全体として地域分担に即した米価のあり方というような点については、まだ具体的な検討をしておるわけではありませんし、また、米価のあり方は、それこそ北は北海道から南は鹿児島までそれぞれのところで生産されておりますので、その地域の実情、利害と本来の良質米生産の奨励の推進というようなことについての両者のバランスをどこでとるかというようないろいろむずかしい問題もあるかと思いますが、結論を申し上げますと、なお現段階において特にこれについての具体的な方針を決めておるというわけではございません。
  229. 神田厚

    神田委員 大臣がちょっと時間のかげんでお早目にお出になるということでございますので、大臣に最後に御質問申し上げます。  先ほど来長官の方から御答弁をいただいておりますけれども、まず第一点は、現行の食管制度をどういうふうに考えるか、この問題を御質問を申し上げたいというふうに考えております。
  230. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、食管制度は、別に何ら変更する必要はないというふうに、私に言わせるならば考えます。しかし、いろいろなその後の経緯等もございます。皆さん方からの要求もあるのだそうでございまして、これらについては十分研究をする必要もあるだろう、こういうふうに考えますので、鈴木大臣がお帰りになりましたならば、その旨はお伝え申し上げておきましょう、こうお答え申し上げたわけでございます。
  231. 神田厚

    神田委員 もう一点御質問を申し上げて大臣に対する質問を終わります。  先ほど来御質問申し上げておりました逆ざや解消の問題でございますが、これは食管法とこの逆ざや解消というものの関連性について大臣はどのようにお考えでございますか。
  232. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 私は、食管法というものについて逆ざやというものは初めから認めているものではないのでありまして、要するに生産と消費のいままでのあり方、食糧がなかったときのあり方であってはいけないのであって、そこでどうバランスをとるか、政府が責任を持った調整をどうしてとるかというので食管法というものが誕生をいたしました。その後も食管法には手は入れてはありますけれども、そういうような基礎の上に立って食管法というものができておるのであって、逆ざやがこれほど大きくなったものをそのままにしておくということは、これは国の財政の上に立ってなかなかむずかしい問題が出てきているだろうと思うのです。といって、私たちは、ただ、いま国の財政当局が言われるように、即時これを直さなければならぬと言われましても、一遍に、何年かに、二年や三年の間にこれをもとのとおりにやっていくんだということは少しむずかしいことだろう。生産費というか、生産者というものの立場を十分考え、また消費者というものの立場を考えた上に立ってそのバランスをとっていく。ですから、財政当局はやらなければならぬとおっしゃっておるけれども、われわれ農林省として政治をあずかる上に立っては、この中でいろいろな消費者の立場、生産者の立場を十分考慮した上に立ってのバランスをとっていくようにしなければならないだろう、こういうふうに考えております。
  233. 神田厚

    神田委員 そういうふうに食管法の精神からは考えられなかった、しかし、現実にこの逆ざやの問題、これが出てきているわけですね。そこから生じてきているわけでありますから、この辺のところはどういうふうにお考えでございますか。
  234. 長谷川四郎

    ○長谷川国務大臣 先ほど長官からも申し上げたのですけれども、最初のうちは逆ざやじゃなくて、かえって消費者の方に持ってまいりますと逆な様相があった。同じ逆ざやでも逆な点があった。それがさらにこのごろは逆転しまして大きな逆ざやが出てきている、こういうことでございます。しかし逆ざやを早急にいまここで直すといってやるわけには、消費者というものの経済上の実態の上に立ってなかなかすぐは困難であろうけれども、徐々にこれを訂正していかなければならないということは当然なことだろう、こう思うのでございます。
  235. 神田厚

    神田委員 消費者の手によって逆ざやが解消する、こういうふうな考え方もこれまたこの食管法からは出てこないわけでありまして、食管法というのはそういうふうなことではなくて、もっと生産者及び消費者のいわゆる基本的な考え方について書いてあることでありまして、そこから生じた問題についてもっと政治的な判断で、政治的なものによって解消されるべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、大臣退席なされましたので、次の問題に移りたいと思います。  次は、麦価の問題について御質問させていただきたいと思います。いわゆる五十二年産麦価の問題につきまして御質問をさせていただくわけでありますけれども、五十二年産麦価の問題につきましてはいわゆる農協ではすでに麦価の値段を出しました。この問題につきまして長官は、この農協要求の麦価の価格につきましてどういうふうにお考えでございましょうか。
  236. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 例年のことでございますが、いずれ近いうちに全中等から要求麦価の考え方なり基礎というような点について詳しい御説明を承ることになっておりますので、事の判断についてはわれわれとしても十分勉強させていただいた上で申し上げるのが筋かと思いますけれども、従来のお考え、すなわち生産費所得補償方式という前提の御要求でございますれば、われわれとしては麦について生産費所得補償方式の採用という点についてはもろもろの難点があると考えておりますので、これについての基本的な考え方をおとりするということは困難である。と申しますのは、考え方自体の原理的な議論ともう一つは現行食管法における政府買い入れ価格のパリティ価格を基準とするはっきりした法制上の明文というような点から考えまして、この点については困難な問題があるというふうに承知しております。
  237. 神田厚

    神田委員 麦価の問題はいわゆる食糧自給という問題、さらには自給飼料の問題、こういうものを考えていって突き詰めていきますと、やはり麦価についてはもう少し上げなければならない。しかもその中で一番問題になっておりますのは奨励金の問題でございますけれども、いわゆる奨励金制度をここではもう一回考え直しまして、これを基本麦価の中に入れていかなければならない。ただつくればいい、つくってそして後手入れしないでそのままつくりっ放しにしておくというような状況でありますから、反収が上がらない、その実が上がらないわけでありまして、そういうことから言えば、ここでは買い入れ価格の価格算定の基準の中に生産振興奨励金もすでに織り込んで、そして所得補償方式による価格を決めるべきである、そういうふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  238. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、四十九年まではパリティ価格一本で参りましたが、麦生産振興の要請から生産振興奨励金を交付する、さらに裏作については特別の裏作振興の奨励金を交付するというようなことで生産振興措置を講じてきたわけでありますが、さらに今後の麦作振興の観点から、生産対策強化と相まって価格政策を強化しろ、算定方式を強化しろというような御意見がいろいろ出ているわけであります。現に米価審議会においてもそのための小委員会を設けて検討中でございますが、その場合に、現在パリティ価格プラス生産振興奨励金を含めた水準というものが今後の麦価算定の考え方の上で一つのよりどころになるのではないかというような御意見が米価審議会の中でも出ております。ただ、先ほども申し上げましたように、現在の食糧管理法で麦の算定方式についてはきわめてリジッドに法文上の算定方式が明定されております。ただし、諸般の参酌というような問題もございますので、そういう点で仮にその方式を採用した場合にどう取り組むかというような点については、米価審議会の算定方式についての結論が早急に出ることを私どもは実質期待しておるわけでございまして、その結論を待って結論を出したいというふうに考えておるわけでございます。
  239. 神田厚

    神田委員 時間が参りましたので、最後に御質問申し上げます。  この麦価問題につきましては、やはり輸入の問題と切り離して考えることはできない、さらにはいわゆる麦そのものの品種改良、こういう問題とも切り離しては考えることができない、いろいろな多面的な要素を持っているわけでありますけれども、基本的にはもう少し麦を日本の国で、日本の中でつくらせるということになれば、麦価をもっと引き上げなければならないし、さらには麦の品質改良についてもきちんとした指導をもう少しすべきである、こういうふうに考えると同時に、いわゆる契約生産奨励金の増額の問題の中でビール麦の育成の問題も考えていただきたい、こういうふうなことを最後に御要望しまして、等外の上麦の買い上げの制度化などをお願いいたしまして、御答弁をいただいて御質問を終わりたいというように考えております。
  240. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 簡潔にお答え申し上げますが、ビール麦の取り扱いにつきましては、今後算定方式その他の改善等によって生ずる契約生産奨励金の取り扱いという点については検討を要する問題であるというふうに考えております。  それから等外上麦の買い入れ等については、災害の態様によって政府がこれを例外的に買わしていただいておりますし、また従来の扱いも農家の方々には御迷惑をかけているとは思いませんが、制度として常設するという点については困難な事情があるということを申し上げたいと思います。  それから輸入につきましては、御案内のように、われわれとしては全体の麦の需給量を踏まえて、需要量を想定し、内麦の供給の不足する分を外麦で輸入するという考え方で従来も考えておりましたし、今後は、内麦振興等を阻害するような過剰な輸入というようなことは厳に避けるべきであるというふうに思っております。また品質の改善については、外麦等の今日の消費者の嗜好に適しました二次製品については、外麦の方が商品適性が強いというような問題もございますので、内麦を増産する以上、これで自給力を高める以上、これらの品質改善の指導なり試験研究等については、一層努力すべきであるというふうに考えております。
  241. 神田厚

    神田委員 どうもありがとうございました。
  242. 金子岩三

    金子委員長 次回は、明二十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会