運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-05-19 第80回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十八日(水曜日)委員長指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  農産物価格等に関する小委員       阿部 文男君    今井  勇君       加藤 紘一君    片岡 清一君       佐藤  隆君    菅波  茂君       福島 譲二君    向山 一人君       森田 欽二君    山崎平八郎君       竹内  猛君    馬場  昇君       松沢 俊昭君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    野村 光雄君       稲富 稜人君    津川 武一君       菊池福治郎君  農産物価格等に関する小委員長                 山崎平八郎君 ————————————————————— 昭和五十二年五月十九日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    中野 四郎君       羽田野忠文君    平泉  渉君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       岡田 利春君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省構造改善         局長      森  整治君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁次長   佐々木輝夫君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価調整課長 海野 恒男君         環境庁企画調整         局環境審査室長 大塩 敏樹君         文部省体育局学         校給食課長   古村 澄一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   菊池福治郎君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     菊池福治郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 菅波茂

    菅波委員長代理 これより会議を開きます。  委員長指名により私が委員長の職務を行います。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  日ソ漁業交渉について政府から説明を聴取いたします。佐々木水産庁次長
  3. 佐々木輝夫

    佐々木政府委員 日ソ間の漁業取り決め締結交渉につきまして、本日までの経過の概要を御報告いたします。  去る五月三日、三度目の訪ソをしました鈴木農林大臣イシコフ漁業大臣との間で五月五日以来話し合いが続けられておりますが、去る十七日の会談におきまして基本的な問題についての両者の立場にかなりの歩み寄りがうかがわれましたものの、昨十八日の会談においてソ側から重要な修正提案がございまして、引き続き両大臣間での協議が続けられている状況にございます。  すなわち、去る五月五日の会談において、わが方はソ側に対し、わが国海洋二法の成立を背景とした二つの案を示しました。第一案は、日ソ双方の二百海里水域内操業に関する双務協定を締結すること、第二案は、ソ連二百海里水域内でのわが方の操業に関する協定及び、わが方二百海里水域内でのソ連操業に関する協定を同時に締結することであります。第三案は、従来行われてきましたいわゆる日ソ協定締結交渉を継続し、わが方二百海里水域内でのいわゆるソ日協定は別途交渉することとなるというものでありまして、ソ側が第三案による交渉継続を希望した結果、五月七日以来いわゆる日ソ協定交渉が行われてきたわけであります。  わが方といたしましては、本件交渉に当たっては、純然たる漁業問題として協定を結ぶべきであるとの基本方針を定め、北洋漁業におけるわが国伝統的操業を維持すること及び日ソ平和条約締結交渉におけるわが方の立場影響を与えない形での妥結全力を挙げてまいりました。  このようなわが方の立場はなかなかソ側理解することとならず、交渉は難航をいたしておるわけでございますが、わが方としては、去る十三日、累次のソ側との折衝の結果を踏まえまして、わが方として考えられるぎりぎりの案を提出する一方、十六日には福田総理からブレジネフ書記長及びコスイギン首相に対し親電をもって日ソ友好の大局的な見地から交渉早期妥結を図るよう呼びかけが行われました。  これらの結果、去る十七日の会談におきまして、純然たる漁業問題として本件協定を締結するとの立場交渉早期妥結を図るということにつきまして両大臣間の基本的な合意を見、これらの立場協定中に明記するとの方向専門家会議において案文の詰めが行われたわけでございます。  これらに基づき、昨十八日、第七回の両大臣間会談が行われたのでございますが、冒頭申し上げましたとおり、この会談におきましてソ連側から協定全般性格にかかわる重要な修正提案がございまして、引き続き大臣間での協議が続行されることとなっております。  本件漁業交渉は、現在協議中の協定案文の取りまとめのほかに、今後漁獲割り当ての問題等残されている問題は決して少なくないわけでございますが、妥結へ向けて一層の努力を払いつつあるということをとりあえず御報告いたしたいと思います。     —————————————
  4. 菅波茂

    菅波委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  5. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ただいま御報告ございました日ソ漁業交渉についても質問をいたしたいのですけれども、理事会の申し合わせで来週に集中審議をするということでございますので、そのときに質問をいたしたいと思います。しかし、きょう私が有明海諌早湾干拓工事について質問をするわけでございますけれども、その質問前提となるという意味日ソ漁業交渉について、内容には触れませんで一言質問を申し上げておきたいと思います。  非常に長い困難な交渉をやってきたわけでございますが、この日ソ漁業交渉政府は、特に農林省水産行政として日ソ漁業交渉から今日のところどういう教訓を得ておるのか、何を学んでおるのか、こういう基本姿勢についてまず聞いておきたいと思います。
  6. 羽田孜

    羽田政府委員 基本的な問題についてお答えをしたいと思います。  今回の日ソ漁業交渉は、ソ連によりますところの二百海里漁業水域設定という新しい二百海里体制の枠組みのもとで始まっただけに、かつてなく厳しい交渉となったわけでございます。  政府といたしましては、かかる世界の厳しい現実現実として十分直視しつつも、わが国漁業の中に占める遠洋漁業重要性にかんがみ、漁業外交をさらに積極的に展開するとともに、海外漁業協力を一層推進することによりましてわが国海外漁場を確保することが必要であると考えております。  また、今国会で御審議いただき、また成立を図っていただきましたところの領海法及び漁業水域に関する暫定措置法のもとにわが国周辺水域における漁業面体制整備を図り、外国人漁業につき適切な規制を加えつつ、沿岸漁場計画的整備栽培漁業積極的展開、漁港及び漁村環境整備など沿岸沖合い漁業の一層の振興を図ってまいりたいというふうに考えます。  なお、サバ、イワシなどの多獲性魚消費拡大、また加工技術開発など水産物有効利用を図るなど諸般の施策に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  7. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、この日ソ漁業交渉の中で、これは農林省担当ではないかもしれませんけれども、従来の日本外交についていろいろ反省しなければならぬ点があるんじゃないか。日ソに限って言いますならば、日ソ平和条約締結交渉、こういうものに対して政府は熱意がなかったのじゃないか。さらにミグ問題等につきましての処理の仕方、このやり方がソ連をものすごく刺激したんじゃないかとか、あるいは日本外交の対米一辺倒、こういう外交をやってきた、これが日ソ漁業交渉等にいろいろ影響しているのじゃないか。さらに領海問題、漁業水域問題等についての情勢の分析、こういうもの等について甘さがあったんじゃないか。いろいろ反省しなければならぬ点が多くあると思うのですけれども、農林水産委員会でございますが、ただいま政務次官も申されたわけでございますけれども、私は、この日ソ漁業交渉の中で水産行政として学ばなければならないことは、やはり二百海里時代に対応する日本としての漁業政策というものを根本的に見直しする必要があるんじゃないか、そうして二百海里時代に対応する長期的な計画を立てなければいけないんじゃないか、これが日ソ漁業交渉の中から水産行政が学ばなければならない大きい教訓ではないか、こういうぐあいに思います。いま次官答弁されました内容もこういうことを含んでおるのではないかと思うのです。  そこで、この学ばなければならない最大の教訓の中で一番大きい問題としては、何といっても日本沿岸漁業振興、ここに最重点を置かなければいけない、こういうぐあいに思います。領海漁業水域審議の中で、この委員会鈴木農林大臣は、近海指向型に大転換を図るという姿勢をとらなければならない、その大転換を図るという内容について、大規模計画は五十一年度から開始されております沿岸漁場整備七カ年計画を繰り上げてでも実施しなければならない、それだけではなしに必要とあれば新しい立法をする必要もあろう、こういうことを答弁なさっておるわけでございます。さらに答弁の中で農林大臣は、日本近海に三千万ヘクタールの二百メートルより浅い開発可能な海域があるのだ、その三分の一の一千万ヘクタールを開発すると、今日近海で大体百十万ヘクタールの漁場しか開発していないわけですけれども、それを一千万ヘクタール開発すると日本近海において今日の全漁獲量に匹敵する一千万トンの漁獲が可能になる、こういうこともしたいのだということを答弁されておるわけでございます。さらにこの漁業交渉の中で全漁連のだれかが、ソ連とか米国などの海域での漁業はしょせん農業にたとえて言いますと小作農だ、二百海里時代自作農であるべき日本沿岸漁業を充実すべきだ、こういうことを言っておられるのを聞いたことがあるのですけれども、こういう諸点について、沿岸漁業振興についての決意のほどをここで伺っておきたいと思います。
  8. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま先生からお話がございましたとおり、新しい海洋秩序時代を迎えまして、何といってもみずからの国の周辺漁場整備、また開発が最も緊要なことではないかと思います。そういった意味大臣も今日まで各答弁におきましてその決意のほどを申し上げてきたのではなかろうかと思います。  そこで、沿岸漁場整備開発につきましては、御案内のとおり沿岸漁場整備開発法に基づきまして魚礁設置事業あるいは増養殖場造成事業などを計画的に推進する制度が発足しております。この制度のもとに事業拡大を図っていくことによりまして、新たな海洋秩序のもとでの要請に十分こたえていけるのじゃなかろうかと考えます。なお、本年度予算におきましては七十五億四千万円、対前年比一三七%と他の公共事業伸び率に比較しまして大幅な増額を見ておるところでございまして、来年度以降におきましても、さらに事業の促進を図るために積極的に努めてまいりたい、このように申し上げたいと思います。
  9. 馬場昇

    馬場(昇)委員 どうも沿岸漁業振興という従来のレールの上を突っ走る、少しスピードは増すのだという感じに私は受け取れたのですけれども、少なくとも私が鈴木農林大臣から聞いた委員会答弁は、そうではなしに抜本的に沿岸漁業振興するのだ、特別立法でもつくってそれをやらなければならない時代だ、さらに沿岸だけで、近海だけでいまの全漁獲量の一千万トンぐらいをとれるような体制を抜本的につくり上げたいのだ、こういうような非常に意欲的な姿勢がうかがわれておったのですけれども、いまの次官答弁では、何かいままでのレールの上を走ってちょっとスピードを増すぐらいだという感じにしか聞こえないのですけれども、その辺はどうですか。
  10. 羽田孜

    羽田政府委員 まさに御指摘のとおり、いま歴史的な新しい一つ時代を迎えたわけでございますので、今日までに引かれましたレールをより有効に、こういった時代を踏まえまして積極的にやっていきたいという気持ちで実は御答弁しておるわけでございます。
  11. 馬場昇

    馬場(昇)委員 やはりその全漁連のだれかが言いましたように、よその領海でとるというのは小作農ですからね。自分のところの近海でとる、いわゆる自作農によって自立していくのだという立場漁業政策水産政策を進めていかなければならぬ。大体方向は一致しておりますが、もう少し馬力をかけていただきたいと思うのです。  そこで質問に入りますが、そういう流れの一環として九州有明海、この漁場としての価値について水産庁はどういうぐあいに考えておられるのか。ある学者によりますと、九州有明海については日本一の生産力を持っていると言ってもよろしいのだと言い切る学者もおるわけでございますけれども、この九州有明海漁場としての価値について水産庁の認識を伺っておきたいと思います。
  12. 佐々木輝夫

    佐々木政府委員 有明海日本の内海、内湾の中でも非常に干満の差が大きくて、また干潟生物等を含むいろいろな多種類の生物がすんでおるという非常に特殊な性格を持った、漁場としても重要度の高いところであると考えております。  現状では特にノリ養殖を初めアサリとかハマグリといった貝類、あるいはカレイ類とかボラ、スズキ、それからガザミなどのカニのたぐい、こういったものが相当生産をされておりまして、五十年での生産量は大体八万五千トンぐらい、金額で約四百六十三億円ぐらいというふうに推定をいたしております。  今後とも有明海漁場というのは、こういった日本沿岸漁業の中でも特殊な環境を生かして沿岸漁業の重要な一翼を担う地域であろうというふうに判断しております。
  13. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私も有明海関係のある県の住民として、あの有明海を本当に一大養魚場にという考え方漁業に対してものすごい力を入れますと本当にりっぱな漁場になる、これが二百海里時代の、そして先ほどから御答弁がありました沿岸漁業近海漁業振興する最も重要な地点だ、こういうぐあいに言えると思うのです。  そこで、二百海里時代を迎えて漁場としての価値をさらに高めた大切な有明海について、その諌早湾干拓工事を始めようとしておられるわけです。この有明海諫早湾干拓工事というのは何のための工事か、だれのための事業か、その事業内容はどういうものか、事業主体はどこがやるのか、いつから始めるのか、この有明海諌早湾干拓工事のこういう全貌について簡単でいいですからお示しをいただきたいと思います。
  14. 森整治

    ○森(整)政府委員 いわゆる長崎南部総合開発事業でございますが、御承知のように諌早市ほか八力町村地域にわたりまして、一つは海面の約一万百ヘクタールを複式堤防で締め切りまして農地を約五千四百ヘクタール、それから淡水湖を約三千六百ヘクタールを造成する。あわせまして周辺既耕地の約三千二百ヘクタールの灌漑用水を補給するという計画でございます。  この淡水湖によって開発されました水資源農業用水のほかに長崎県と共同事業実施いたします都市用水の供給をも行うという内容のものでございます。この事業農地造成でございますから、ただいま営農の計画として考えられておりますことは、酪農経営と肥育の経営野菜経営、堆厩肥を野菜にも使う、こういうことで計画が立てられておるわけでございます。一つは、農地造成によりまして地域農業近代化構造改善を図るということと、長崎市など三市六町の水道用水といいますか、水不足を解消いたしまして民生の安定に資しようという内容のものでございます。もちろん干拓でございまして、恐らくわが国最後干拓ではなかろうかというふうに思われる大計画であることは間違いございませんが、相当な長さにわたります、約十キロの潮受け堤防、それから内部の堤防が二十七キロ、排水機場が二カ所、排水路が約八十キロメートル、地区内道路が二百三十キロ、畑灌揚水機場が三カ所というようなことでございます。もちろんこれだけ大規模計画でございますから、実施主体といたしましては農林省直轄事業で行うということを考えておりまして、事業実施に当たりましては、当然実施区域、あるいはこれによって影響を及ぼす区域関係住民関係者の同意を得るということで、今後、法手続を了した上で着工いたしたいというふうに考えている事業でございます。
  15. 馬場昇

    馬場(昇)委員 長崎南部総合開発事業というようなことをおっしゃいましたが、まさに長崎県に関係するような話です。少なくとも有明海というのは佐賀県、福岡県、熊本県、みんな関係するわけでございます。それを長崎県の開発だと言うような物の考え方というのは基本的に間違っておるというぐあいにも思うわけでございますが、私が聞いているところでは、いま干拓というのはやらないというのが農林省方針ではなかったのか。米過剰時代で、そういう農林省考え方じゃなかったかと私は記憶しておるわけでございます。そしてまた、干拓をやりましたところでも、ただいまの話では酪農をやるんだ、野菜をやるんだ、こういうことをおっしゃいましたけれども、米をつくらせろという非常に大きい問題が干拓地帯で起こっていることは御承知のとおりでございます。大切な沿岸漁場をつぶしてこういう干拓をして農地をつくる必要があるのかという点も、非常に疑問を持っておるわけでございます。  さらに、いま、いつから着工するんだというふうなことを聞きましたけれども、それをはっきり言われなかったのですけれども、計画ではいつから着工して何年ぐらいででき上がるんだと、もう少し具体的にお答えいただきたいと思うのです。
  16. 森整治

    ○森(整)政府委員 この事業は現在、全体実施設計段階にございまして、事業内容につきまして、関係市町村を中心に説明会実施し、理解を求めているわけでございます。長崎南部総合開発計画事業につきましては、前半、実施設計をしまして、今年度後半に着工するという一応の予算を計上をいたしておるわけでございますが、もちろんこの干拓に。きましては、非常に膨大な事業でございますし、関係する方々も非常に多数にわたるということで、特に慎重を期したいという考え方でありますが、現在まで、諌早湾の湾内における漁業権の問題、これは全部消滅をするという区域になるわけでございますが、これにつきましては、長崎県ですでに昨年の九月、関係漁民理解を得まして漁業補償の大筋の妥結をしておる、そういう段階予算の編成に入ったわけでございます。そこで残されておるものは、今後、いろいろな工事に伴う補償問題ですとか、それから有明海における漁業に間接的な影響があるであろうそういう問題につきましては、実は委員会が設けられておりまして、その委員会影響に関する調査報告が出るという予定で予算を編成いたしたわけでございます。その委員会環境に関する影響評価というのはその後出されましたけれども、漁業に関する影響評価につきましては、まだ報告が出ておりません。そういう段階でございますので、今後漁業のどういう範囲まで事業におきます影響があるだろうかということについては、現在、影響範囲程度等につきましてはその委員会結論を待っておるわけでございますが、その結果が出ますれば、関係漁民方々理解協力を得るよう努力をしてまいりたい。  そこで、長崎だけというふうには私ども考えておりませんで、やはり佐賀熊本福岡と、有明海に関連いたします三県につきまして漁業への影響等も考えられますので、まだ結論が出ておりませんから確たることは申し上げられませんが、いまの反対を受けておりますところからすれば、当然そういう影響というものを考えてまいるわけでございますが、これにつきましてはその報告が出次第、本事業に対します理解が得られるように御説明もし、反対があればそれについての話もいろいろ承って、その上で着工をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 馬場昇

    馬場(昇)委員 後で具体的に問題点指摘したいのですけれども、いまの話を聞いただけでも、基本的な問題というのはまだほとんど解決をしていない、調査も終わっていない。そういう段階で、先ほどの答弁によりますと、本年度後半に着工したいんだ、こんなでたらめな話はないと思う。  そこで政務次官、先ほどあなたは、新しい二百海里時代沿岸漁業振興全力を挙げてやらなければならない、こういうことをおっしゃったわけでございますか、ここは漁場をつぶすわけです。それで農地をつくる。もちろん酪農振興しなければならないという点は私はわかるのですよ。ところが、現在あるりっぱな、全国的にも有数な漁場をつぶしてそこに酪農振興しなければならないのか。そのマイナスとプラスの兼ね合いですね。酪農はそういうりっぱな漁場をつぶさないでほかのところにやってしかるべきじゃ、ないか、これが日本のすべての農畜産物水産物生産を向上し、食糧自給を高めることになるわけでございますが、この計画一言で言いますと、これは高度経済成長政策遺物だ、私はそう思うのですよ。そうして、こういう安定成長時代食糧危機時代というときにあっては、水産物漁場をつぶしながら酪農をするということをやっちゃいかぬ。酪農は、現在ある漁場なんかつぶさないで別にやるべきじゃないか。これは明らかに高度経済成長政策時代遺物だ。そういう考え方の延長の上にこの工事は立っておると私は思うのですけれども、少なくともこの事業は、沿岸漁業振興するといういま最も重要な二百海里時代政策と反する、阻害をする、こういうぐあいに思うのですが、次官、どうですか。
  18. 羽田孜

    羽田政府委員 この計画は実は昭和二十数年のころから始まって、先ほど来担当からそれぞれ御答弁申し上げてまいりましたような必要性の中で今日まで進められてきた計画であります。しかるに、今日新たな、まさにショッキングともいうべき大きな問題が突如として起こってきたわけでございまして、その辺でどのように調整し、あるいはどのように調和させていくかという新たな問題が起こってきたというふうに考えております。しかし今日までも、これが魚にどんな影響を及ぼすかという点については、いま先化からまだ御不満であるという御指摘もございましたし、また私どもの方でも実はその影響といいますか、そういうものを得ているもので問題のある点もございます。こういった問題も慎重に検討しながら計画を進めてまいりたいというふうに考えておるわけです。
  19. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いまいみじくも言われましたように、これは明らかに高度経済成長政策時代に考えた一つ企画なんですよ。だからいま言われましたように、新しい二百海里時代沿岸漁業をどう振興しなければならないかという新しい緊急な課題が出てきたわけですから、そしてまた高度経済成長政策時代は終わったわけですから、これは当然この時点で再検討すべき課題であろう。いま、どう調和するかということで再検討したいというようなことを言われましたけれども、これは本当に再検討しなければならぬ課題であろうと思うのです。  そこで、具体的な話の前提にもう一つ聞いておきたいのですけれども、開発というものは、何といっても地域住民理解と納得なしには行ってはならないし、行う筋合いのものでもない、こういうぐあいに思うのです。そしてこの諌早湾干拓を考えてみますと、これは有明海全体に大きな影響を与える、そして貴重な海を失う、また自然破壊にもなるということは明らかであるわけでございます。先ほど言われた、この湾内の十二漁協が二百四十六億八千万で漁業権の放棄をしたということは私も知っておるわけでございますけれども、諌早湾を締め切るということは何も湾内十二漁協に関する問題ではない。これは明らかに熊本とか佐賀とか福岡の漁民にも関係するのです。そういう意味で、福岡とか佐賀とか熊本、こういうところの漁民の納得は得ておるのかどうか。熊本県の漁連は佐賀福岡の漁連と連絡をとりながら、やってはいけないという抗議運動を起こそうとしておるのです。また佐賀有明海の漁連会長も、こういうことをされたら海流や腐泥物の堆積で大変なことになる、そういうことは干潟で干拓をした歴史で明らかだということで反対をしておるのです。  端的に聞きますが、熊本佐賀福岡の漁民の賛成は得ておるのかどうか、どういう話をしておるのかということが第一点です。  第二点は、漁民とともに県民全体に影響を与えるわけですから、県民を代表した熊本の県知事、佐賀福岡の県知事は何と言っているのか、もう納得をしておるのか。私が聞いたところによりますと、熊本県知事は、まだ熊本県の漁民の了解も受けていない、そういう漁民の了解を受けられないようなものは工事に着工してもらっては困るとはっきり言っております。そして、干拓による有明海漁業資源、海流への影響、こういう調査も十分実施していない、その資料もまだ私のところには全然来ていない、こういうことも言っております。そして、海域が狭くなるわけですから、こういうことをすると漁業の秩序も混乱をするのだ、現にいまでも長崎の漁民が熊本県の海域を侵犯して、被害を出して非常に困っておるのだ、そういうことがこれをやるとさらに進む、こういうことを熊本県知事ははっきり言っておるわけでございます。  そこで、漁民の了解を得ておるのか、あるいは三県知事の了解を得ておるのか、三県知事はどう言っておるのか。先ほども言われましたのですけれども、この問題は決して長崎県だけの問題ではなしに、広範な地域にはかり知れない影響を及ぼすわけですから、一地域の問題でないわけですから、いま言いました関係漁民並びに県知事との交渉状況、その向こうの考えを明らかにしていただきたいと思うのです。
  20. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、まあ直接ではないにしても、間接的に事業によります漁業への影響もあるだろうということで、有明海に対する影響という問題につきましては、検討の委員会がまだ報告を出しておりませんものですから、漁業に関する影響という漁業編というものの報告が出ておりませんものですから、まだ佐賀福岡熊本の漁民の了解を得ておるという段階ではございません。また、知事さんにもそういう影響報告をもとにいたしまして御説明をし、そこでどういう御意見が出るかというふうに私ども理解をしておりまして、そういうものが出され次第お話し合いをしたいというふうに考えておるわけでございます。結論から申しますと、先生御指摘のように、関係の知事さんが了解をしておるという段階にはまだなっておりません。
  21. 馬場昇

    馬場(昇)委員 ところが予算も十億組んで、先ほど言われたように本年度後半に着工したい、こういう計画が一方的に進んでいるわけです。それから地域住民の了解なんか全然進んでいないわけです。いまあなたは、直接ではなくても間接に影響するというようなことを言われましたけれども、有明海のあの諌早湾を締め切るということは、その三県には間接どころかもう直接影響するわけですよ。間接に影響するという物の考え方が甘い。三県には直接影響するわけです。だから当事者と言っても過言ではないのですよ。そういう問題はありますが、まあ押し問答したってしょうがありませんので念を押しておきますけれども、関係三県の漁民なりあるいは知事なりの了解なしには、納得なしには着工しない、そういうことは言えますか。
  22. 森整治

    ○森(整)政府委員 本件につきましては、関係の漁連の会長も農林省にお見えになりまして、水産庁並びに事業担当の私どもも御懇談を申し上げておりますし、鈴木農林大臣にもお会いになりまして、大臣から、皆さんの理解を得られないで強行着工をすることはいたしませんということは明言をいたしておるわけでございまして、私どももその線に沿って、あくまでも理解と御協力を得られるという段階まで着工はいたさない方針でございます。
  23. 馬場昇

    馬場(昇)委員 住民理解のない開発というのは開発ではないと私は思うわけです。ですからいま言われましたように、関係する県の了解を得なければ着工しないということは当然な姿勢であろうと思いますので、ぜひそのようにやっていただきたいと思うのです。  そこで、地域住民もいろいろ心配しておりますので、この工事の及ぼす具体的な影響についてまだ十分調べていないというふうな話ですけれども、もう二十年以来のことなんですよね。そしてもう二十億円ぐらいこの調査費に金を使ったのじゃないかと私は聞いておるわけでございますけれども、この辺について、現在検討されております段階について具体的に聞きますので答えていただきたいと思うのです。  まず、この工事有明海の自然に及ぼす影響、こういうことについてお聞きしておきたいと思うのです。潮汐とか潮流、こういうものが主になるわけでございますけれども、こういうことを地元の人は言っているのです。諫早湾を初めその沿岸、あの付近の空気は非常においしい、そう言われております。そして有明海の潮流というものは、有明海熊本県側の東沿岸に沿って、ずっと時計の針を逆さまに回すようなかっこうで北上していくのです。そして湾の奥で向きを変えまして、今度は西海岸に沿ってずっと諌早湾に入ってくるわけです。諌早湾の干潟というのは、御承知のとおり三千ヘクタールぐらいございます。その潟の厚さというのは二十メートルくらいあると言われておるわけでありまして、その干潟の浄化作用は非常に大きいわけでございます。だから、諌早湾というのは、有明海全体のいい意味での浄化槽の役目を果たしておる、こういうぐあいに言われておるわけでございます。この有明海の潮流、自然というものに対して浄化槽の役目を果たしております諌早湾を締め切りました場合に、私はものすごく影響があるのじゃないかと思うのですけれども、この点についてはどうですか。
  24. 森整治

    ○森(整)政府委員 この事業によります有明海の海象、漁業に及ぼす影響につきましては、従来からいろいろ検討を重ねてまいりましたけれども、特に学識経験者によります委員会を設けまして、有明海の海象の変化の予測、これと漁業への影響の有無について検討を行っておるわけでございます。そのうち、先ほど漁業への影響というのはまだ報告が出ておらないと申し上げましたけれども、海象に及ぼす影響につきましては委員会報告が出ております。ちなみにこの委員会委員長は塚原九大教授でございまして、すべて大学の先生並びに農林省の水産研究所の部長さんも参加をしておるという委員会でございます。  そこで、まず潮位でございますけれども、大潮時にプラス七センチの影響があるということで、最大潮位が五メートル前後ということでございますから、約一・四%であるという報告になっております。  それから潮流の問題でございますが、大潮、上げ潮時で潮受け堤防がつくられるわけでございますから、その限られた海域で流速が変化する。北側と南側と言っておるのですが、北側の方で最大秒速十五センチ、南側で最大三十センチというふうに変化をする。それから流向、流れの方向が、締め切りのところで東西流が南北流に変わるが、流向の変化は最大堤防からの距離が約六キロということでせいぜい、せいぜいというのはおかしいですが、沖合い六キロまでの海域で潮流の変化があるけれども、有明海中央部ではほとんど変化しないといっておるわけでございます。  あとは、漂砂の現象がどういうふうになるかということでございますが、若干……(馬場(昇)委員質問に答えてください。その辺は後で資料を求めますから。」と呼ぶ)そういうことでございまして、その限りにおいては大きな変化がないというふうな報告と私どもは理解をしておるわけでございます。これはまた見方によりまして、そうでないという御意見があるのかもしれませんけれども、私どもはそういう理解をしておるわけでございます。ことに、漁業に及ぼす影響につきましてはまだ結論を得ていない段階でございます。こういうことでございます。
  25. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これはもう現地の人たちが一番よく知っているのですよ。だから、あなたはいまその影響は余りないような報告をなさいましたけれども、私が指摘しましたのは、諌早湾というのは有明海の浄化槽みたいなかっこうになっておるということはだれでも知っているわけですよ。そこを締め切ってしまったら浄化槽がなくなる、こういうかっこうになるのは常識でわかるわけですよ。だから、押し問答してもしようがありませんけれども、あの河口の調査なんかは行われているじゃないか。私が聞きますと、住民が資料を出してくれと言っても資料が十分出ない、こういうものすごい不満を住民は持っております。これはお願いをしておきますけれども、そういういろいろな調査資料というのは、住民の要求があれば必ず公開をして見せる、こういうことはぜひやっていただきたいと思うのです。これは後でお答えいただきたいと思います。  それからまた、魚についてもまだ調査中だと言われておりますけれども、これは私が申し上げておきますからよく聞いておいていただきたいのですけれども、諌早湾の奥の方が魚のふ化場になっているのですよ。そして、あの諌早湾で幼期を過ごす魚、稚魚というのはいっぱいおるわけですよ。こういうものに影響があることは明らかでございます。有明海の魚というのは、マエツとかチョウセンエツとかアリアケシラウオとかヤマノカミとかハゼグチとかムツゴロウ、デンベイシタビラメとかアリアケヒメシラウオとか、こういうのがいっぱいおるわけですが、こういうものには必ず影響があることは明らかでございます。さらに貝類について言いましても、有明海というのは、先ほども御答弁いただきましたように、もう昔から有数の貝類の産地として知られておるわけでございまして、養殖も現在非常に盛んでございます。タイラギとかアゲマキとかアサリとかハマグリとかサルボウとかあるいはクマサルボウとかハイガイとか、こういうものがいっぱいおって、もうものすごい貝類の産地であるわけでございますが、これに影響があることはまた明らかでございます。さらに、ノリとかカニとか、こういうものに影響することも明らかでございます。まだこれは出ていないと言われましたけれども、これは、先ほど言った日本の中で有数の魚介類の生産有明海がこの工事によってものすごい被害、影響を受けることは、もうだれが見ても明らかであるわけでございます。こういうことを十分調査されまして、この調査の資料というようなものについてはすべて隠さず、秘密にせず住民に公開していただきたい。この公開の問題についてはいかがですか。
  26. 森整治

    ○森(整)政府委員 いままでございます関係資料につきましては、現地におきましてすでにすべて公開をいたしております。それから、先ほども私が申しました調査報告というのは、非常に重要な資料でございますから、その進捗に合わせまして報告書等関係資料が出ますれば、それも今後当然公開をいたしまして、事業理解協力を求めていくというつもりでございます。
  27. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は住民から聞きましたが、いま公開するとおっしゃったから安心したのですけれども、どれだけ尋ねていってもある資料を出さない。それで、住民が非常に不満を持っておりますから、ひとつその点よろしくお願いしたいと思うのです。  次に、環境庁に聞きたいのですけれども、あそこの諫早湾の干潟というところは全国有数の水鳥の渡来地になっておるわけでございます。カモとかシギとかがたくさん渡来してくるわけでございます。そしてまた、全国的にも珍しいところのツクシガモとかあるいはダイシャクシギとか、こういうものが多く渡来して、あそこで越冬する、こういうところでございます。あそこを締め切りましたら、こういう鳥類というのがどうなるのか。これは当然すめなくなってくる。この影響について環境庁はどのような判断をなさっておるのかということが第一点です。  第二点は、御承知のように有明海というのはカドミウム汚染でものすごい問題になったことがございます。それから昭和四十八年、第三水俣病事件であれだけ大混乱を起こしたことは御承知のとおりでございます。ここで十年間工事をするわけでございますから、工事によって、または潮流の変化によって、現在深いところに眠っているそういうカドミウムとかあるいは水銀とかを目覚めさせてここから公害を起こす可能性は十分ある。この辺について検討なさっておるのか、あるいはこのことについて環境庁はどう対処しようとしているのかお聞きしておきたいと思います。  それから環境庁に基本的な問題についてお尋ねしておきたいのですけれども、自然保護憲章に「開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも、自然環境の保全に優先するものではない。」とはっきり書かれております。これをこの諌早湾の埋め立てに守るのかどうかということをきちんと環境庁に聞いておきたいと思います。海というのは決してあいている空間ではないわけですから、人間の生活の母体ですから、そういうことを含めまして、この自然保護憲章を守るのかどうかということを聞いておきたいのです。  それから、これは政務次官に聞きたいのですけれども、地域開発主体は、先ほどから言っておりますように、あくまでも地域住民であります。これは先ほども答弁があったのですけれども、重なるようでございますけれども、地域住民の納得しないような行動は絶対しない、こういう原則を守っていただくかどうか、こういうことでございます。この辺についてまず答弁いただきたいと思います。
  28. 大塩敏樹

    ○大塩説明員 お答えいたします。  諫早湾の干拓計画につきましては、その実施に先立ちまして公有水面埋立法に基づく手続によりまして、所管大臣から環境庁長官の意見を求められることになると存じます。現在その意見照会が行われる段階になっておりませんし、また具体的な環境上の調査内容等についての報告を受けておりませんので、個別、具体的なお答えはいたしかねるわけでございますが、先ほどお話がございましたように、この地域は干潟でございますので、当然鳥類との関係が問題になる。まだ水質に関連いたしますが、底質の中の重金属等についても、一般的にこういった事業実施する場合には調査がなされるのは当然である、そのように考えております。環境庁といたしましては、まだこの問題に対してどのような基本的な考え方をとるのか決めてはおりませんが、一般的に開発環境保全が図られる範囲内で行うべきであるというのが基本的な考え方でございます。先ほどお話がございましたような自然保護憲章等の基本的な考え方に基づきまして具体的な案件として処理していきたいと考えております。
  29. 羽田孜

    羽田政府委員 私に対して御質問のございました点につきましては今後とも関係者並びに関係各県の皆様方の十分な御理解をいただきながら進めてまいりたい。先ごろ関係者に対して大臣が申し上げましたものをよく私どもも重視しながらやってまいりたいと考えます。
  30. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いま環境庁から聞いたのですけれども、これだけ長い期間調査もし、研究もし、問題になっておるのです。反対運動もあるわけです。それに、環境庁が悪いのか、農林省が悪いのか知りませんけれども、少なくともまだ環境庁は、公有水面埋め立ての問題について問い合わせがないから何も行動を起こしていない。これは、環境庁としてはこういう問題があることは御存じですから、自主的、自発的にやるべきじゃなかろうか、こうも思いますし、また農林省としても、こういうことをやるのだから、環境庁と連絡をとりながら、当然事前にそういう調査、研究も環境庁と協力しながらやるべきだ。全くその面について何も行われていないということは怠慢以外の何物でもないと思うのですよ。そういう点についてはぜひ環境庁と、公有水面埋め立ての意見を聞く云々の前に、先ほどから言っておりますような自然あるいは公害、ものすごい影響があるのですから、いま直ちに相談をしながらやっていただきたいということを申し上げておきたいのです。それについても答弁を求めたいと思うのです。  そこで、これは杞憂かもしれませんが、この諌早湾の埋め立ての工事計画を私ずっと調べてみました。これはもう二転三転四転五転していますね。こういうことで、この開発というのは、さっき農地をつくるとおっしゃいましたが、都市用水の確保ということも言われましたが、工業用水の確保、これが大体主じゃないか、こう批判されるような動きもまたあったわけでございます。これが第一義の問題だ。七百ヘクタールぐらいの工業用地をつくりたいんだ、こういうようなことを言う人もおりますし、さらにここを埋め立てたところから土を持ってきて、そこに石油コンビナートをつくるのだ、そういう計画がねらいではないか、こういうようなことを言っておるんもおるわけでございますし、また最近に至っては、「むつ」の問題につきまして、長崎県が「むつ」を受け入れる条件に新幹線がどうの何がどうのと言っておる、その中に、「むつ」を受け入れるかわりにこの諌早湾干拓工事を国が一生懸命やってくれ、こういう取引の材料に使っているのじゃないか、こういう批判さえもあるわけでございます。そういう問題につきましてもいろいろ住民は批判も持っているし、心配も持っているわけでございますので、そういう点についてのはっきりした基本的な姿勢についてお尋ねをしておきたいと思います。
  31. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほどから申し上げましたように、まだ工事の着工に入るという段階とは考えておりませんのでその手続を踏んでいないわけでございますが、御指摘の問題につきましては、県を中心に、当然われわれも参加いたしまして環境アセスメントを実施しながらこの事業に着工していくわけでございますから、そういう問題についての話し合いは当然私どもとしても今後進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、確かにこの事業の経過につきましてはいろいろな紆余曲折を経ておることは事実でございますし、一回公有水面の埋め立ての承認をもらって事業を中止したという経過もあるところでございます。それだけに、われわれも慎重に事を処理していかなければならないというふうに考えております。  あといろいろ触れられました工業用地の問題につきましては、私どもはそうだまされているつもりはないわけでございまして、そういうことは取りやめた、そこで水資源開発と農用地造成をやるんだということで、私どもその限りにおいて納得をしながらいろいろ計画を進めておる、また御協力を得たいということでございますので、その辺よろしく御了承をいただきたいと思います。
  32. 馬場昇

    馬場(昇)委員 もう時間が来ました。この事業は、日本の食糧政策並びに二百海里時代の水産振興、そういうものにとって百害あって一利ないと私は思うのです。だからこれにいまから金をつぎ込むことは国費のむだ遣いだ、だから私はこの際この計画は中止すべきだということを強く主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 菅波茂

    菅波委員長代理 向山一人君。
  34. 向山一人

    向山委員 私は、日本の食糧問題、食糧政策についてこれから農林省にお伺いをいたしたいと思います。  国民の食糧を可及的に国内で間に合わせる、そのために「食糧自給力の向上を図ることを国政の長期不動の基本方針とし、将来にわたり国民食糧の安定的供給を確保」すると鈴木農林大臣は所信表明の中で表明されております。まことに力強い限りであるとともに全く同感でございます。このことは今後の日本の国政の中で一番基本にしていかなければならぬ問題ではなかろうかと考えております。  ところが、現実の問題になりますと、食糧の一番中心である米の問題につきましては、米は需要を土産が上回っているという状況で、どうしても米の生産の上回る分を他の作物に転換しなければならない。また他の作物はもうすべてといっていいほど不足しておって外国の輸入に依存している。こういう米だけが十分で他は全部不足しているというふうな状況が今日の状況でございます。そこで農林省の方では、こういう状況を踏まえて、たしか四十四年当時から米の減産政策、休耕までくるめてやってきて、四十八年からは転作を中心に進めているわけでございますが、これが計画どおりにいっているかどうか、この辺が大変心配でございます。  これからいろいろこのことについてお伺いをしてまいりますけれども、他の作物についての転換の状況、それから他の作物に転換する補助金とすれば麦とか大豆とか飼料作物に補助金を出しているわけですが、そのこと自身がいま考えても妥当な方法なのかどうなのか、まずこの辺についてちょっと所見をお伺いしたいと思います。
  35. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま先生から御質問のございました点につきましてお答えをしたいと思います。  米の需給動向、これをまず申し上げたいと思いますけれども、昨年大変冷害であったわけでございますけれども、生産は三十万トンほど計画より下回っただけでございまして、これに加えまして需要の方は実は大幅に下回っておるということでございます。そういったことの中で、ことしの十月末ごろには昨年の二百六十万トンを大幅に上回りまして三百二十万トンからおよそ三百三十万トンぐらいに達するんじゃなかろうかということでございます。そしてまた明年の十月にはおよそ四百万トンぐらいの持ち越しになるんじゃなかろうかということが懸念されておるわけでございまして、そういったことを考えましたときに、ただいま先生から御指摘がございましたような転作というものをこれから真剣に私どもも考えていかなければならないんじゃないかと考えます。そして転作を推進していくためには、基本的には転作のしやすい条件を整備していくこと、これがどうしても必要であるというふうに考えます。  このため五十二年度におきまして、水田総合利用対策の強化を行うとともに、転作の円滑な推進とその定着化を図るために土地基盤の整備を初め転作作物の栽培などに必要な農業近代化施設の導入など各種助成事業及び営農指導事業実施するほか農業改良資金の貸し付けを行うこととしております。さらに飼料作物、大豆あるいは野菜等転作奨励作物にかかわる生産振興、価格安定対策の実施、試験研究あるいは普及活動の推進、集団的生産組織の育成など各般の施策により転作推進のための条件を総合的に整備しつつあるところでございます。  先ほども申し上げましたように米の過剰基調というものは一層強まっておるわけでございまして、一層転作のしやすい環境というものを整備しなければならぬじゃなかろうか、そして、いま申し上げました中での整備の中で、特に価格の面につきましても、やはり米をつくった方が有利であるという基本的な問題があるわけでございまして、相対的な価格を一体どうしていったらいいのかあるいはいま先生から御指摘がございました奨励金等について今後どのように考えていったらいいのか、私どもも十分検討を加えていきたいというふうに考えております。
  36. 向山一人

    向山委員 五十二年度の予想を農林省の方では五十一年度と同じにとらえて、これは概算でしょうからもちろんやむを得ないかもしれませんが、一応米の年産を千三百万トン、需要を千二百十万トン、そして九十万トンを転作の方へ計画するという、全く五十一年度と同じような形にとらえておりますが、いまお答えがありましたように、五十一年度は非常な不況であったわけでございます。これはもう作柄から見ても九四という大変不況の年であったわけでございまして、その不況の年で、大体いまお答えがありましたように、最はほぼ需要と供給とあんまり差のないような状況にいったわけなんですが、これは天候によって支配されますから、先のことをいろいろえらい細かに言うわけではありませんが、ただ統計で見ると大分お米も生産性が高まってきている。これはまた後ほどいろいろ申し上げますけれども、だから去年と同じようにとらえて九十万トンを転作するということでは妥当ではないのじゃないかという感じがしますが、その点についてお見込みをお話し願いたいと思います。
  37. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま御指摘ございましたように、五十一、五十二年度の米の全体の需給計画を、潜在生産力千三百万トン、それに対しまして需要量が千二百十万トンということで、単年度の余剰が九十万トン、したがってそれを転作と一部通年施行ということで実施をするということで現在やっておるわけでございます。御指摘ございましたように、五十一年度とそれらの潜在生産量なり総需要量なり単年度余剰は全く同じという見通しを立てておるわけでございます。  これが、単年度余剰がやや過小ではないかという点につきましては、確かにそのような見方もなくはないと思いますけれども、潜在生産量につきましては、開田につきましては厳に抑制をしていくということを五十一年度以上に努力をする。さらにまた、消費の拡大につきましても、学校給食に米飯を導入する対策を強化するほか、一般的な米の消費の拡大につきましても、従来以上に拡大努力をするというようなことを前提にいたしまして、前年度どおりというように置いておるわけでございますけれども、先ほど政務次官からもお答えがございましたように、最近の需給動向を見てみますと、結果的に見ますと、昨年の十月末の古米の政府在庫持ち越しが二百六十万トンをやや上回ったところというのが、今年度十月末の古米の持ち越し数量が三百二、三十万トンに及ぶ見込みである、また今年度の作柄が平年作だとすればさらに五十三年の十月末の持ち越し量は四百万トン前後になるおそれがあるというような状況でございますので、結果的には過小ではなかったというように思います。  したがいまして、水田総合利用対策の第三年度でございます五十三年度におきましては、現在の対策を抜本的に見直しまして強化をしてまいりたいということで検討しておるところでございます。
  38. 向山一人

    向山委員 昭和四十六年が大変不作の年でございまして、作柄指数が九三程度でございますが、あとは一〇〇を超しておりまして、五年後の五十一年がまた九四という作柄の不作の年でございまして、ずっと過去の統計を見ると、大体数年に一回ぐらい大変不作の年がある程度ですから、去年の不作の年とことしを同程度に見ると、また余剰米がふえてくるのじゃないかというような心配をいたしております。  冒頭に申し上げましたように、お米が余っておるという状態は実は大変ありがたいわけなんで、これが足りなかったら大変なことです。国民の主食があり余っているなんてことは、当然私は広い目で見て、世界の食糧問題を考えてみても、日本の食糧問題を考えてみても、幸いに主食が余っているのですから、これを何とか調整をとっていくという考え方で行くわけですから、余っていると何か余分なもので因ったというようなことをよく言われますが、主食が余っていて因ったというような感覚でなくて、私どもは、一体この主食というものはどの程度備蓄しておかなければならぬものかとか、いろいろに知恵を働かして考えていかなければならぬわけです。そういう意味において、天候にも大きく支配されますけれども、四十六年度に千七十八万二千トン、これは先ほど申し上げましたように非常に作柄の悪い九三という年、それから五年後の五十一年が九四という作柄の年で千百六十九万九千トンが生産されております。作柄はほぼ似たような状況の中で約一〇%多く生産をされているわけでございますので、これは米づくりが上手になった、上手になったというふうな内容についてまた後でいろいろ触れますけれども、いわゆる米づくりが上手になったから生産性が上がったのだというふうに考えておりますけれども、そこで需給ギャップを九十万トンというふうに押さえたのでは、どうしてもこれは普通の年でいけば相当オーバーする。いまもお答えの中で、どうも三百二十万トンから三百三十万トンぐらい余剰米が出るかもしらぬというふうなお話でございましたが、この辺について、さらにもう一度、どういうふうに考えているか、お答えを願いたいと思います。
  39. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げますが、米の需給についての全体的な見方について、先生御指摘の点があるかと思います。すなわち供給力の問題については、われわれは五十年なり五十一年の全体需給を想定する際におきましては千三百万トン程度と考えましたが、これについては、その反収の見方なりあるいはマイナス要因としての壊廃の見方、あるいは積極要因としての自力開田なり不作付地の稲作復帰というような諸要因についての見方から供給余力についての検討という点はあるかと思います。  それから一方、先年の御指摘の一面といたしまして需要の見方でございますが、これは二年続いて千二百十万トンというふうに見ております。事実、四十八年、四十九年等においては消費の減退が減りどまりまして、減り方が非常に鈍化して、人口増で全体の需要量が千二百万トンを超えるという年もございます。それで、減り方はほぼ過去の四十年当初のごとく年率三%以上減るというのではなくて、一%前後という減り方で行くだろう、人口増もほぼ一%、そういう全体需給としては大体千二百万トン程度であろうということで判断をしておりましたが、五十年の食料需給表におきます全体需給を見ますと、千百九十六万トンという数字が出まして、最近の政府の米の売却その他から見ますと、なお需要が減退を続けておる。それで千百八十万トンないし千百九十万トン程度と見るのがしかるべきではないかというようなことで、需給の関係を総体合わせまして見ておるわけでございます。  それを前提といたしますと、御案内のとおり、昨年は五十年産が大豊作でございまして、その米が需給操作に回りました結果、昨年の十月末では、われわれとしては両三年かかって備蓄のためにも在庫造成するという二百万トンをはるかに超えまして、二百六十万トンでございましたし、また五十二米穀年度に入りましても、一方における需要の減退とそれから五十一年産米の特殊な事情が響いたわけでございます。と申しますのは、五十一年におきましては非常に不作でございましたので、一方ではくず米が相当発生した。このくず米は政府が本来需要として想定しております加工原料用と食い合うわけでございまして、加工原料用につきましてもくず米が置きかわった分が相当ある、二、三十万トンある。それから、不作でございますが、米作農家が手取り確保というような意味で——五十年産は逆に豊作だったので在庫はあった。ところが、五十一年産はとれ高は少ないけれども稲作所得は確保したいというようなことで、在庫放出したようなことが統計数字にも出ております。これが二、三十万トン、そういうことがいろいろございまして、現に政府売却の実態を見ますと、本年の十月末には三百二、三千万トンというふうな数字に相なるとわれわれは判断しておるわけでございます。
  40. 向山一人

    向山委員 よくわかりました。  そこで、生産制限をする、転作の方へ向ける方法として、基本的にはどうしても適地適作という上に立って、余剰分の転作を強力に進めなければいけない。先ほど申し上げましたように、いまのところ一般的に麦と大豆、飼料作物等について補助金を出して転作を進めているわけですが、もっと積極的に適地適作というようなことを考慮に入れて——適地適作というのは、私もいまいろいろ勉強しておるところなんですが、言うのは楽だけれども、非常にむずかしいことなんです。しかし、どうしても適地適作で行って、その地域の転作についてはもっと思い切った優遇措置を講ずるようなことで誘導していかないと、なかなか成果が上がらないのじゃないか。ということは、それほどに米が優位性を持っているということになるわけなんです。そんなことで、思い切った適地適作の上に立った転換政策をとるとともに、いまもお答えがありましたけれども、一方においては消費の拡大、きょうはその問題について文部省からも来ていただいておりますから学校給食の問題についてお尋ねいたしますけれども、両方でうまく計画的に組んで、計画的に事を進める。米自身の問題については、米が余っておるからといって、生産性の向上、たとえば土地改良とか品種改良とか、そういうことにブレーキがかからないように当然進めていかなければなりませんから、これは別個の問題として進めていく。しかし、余剰分についてはいま言うような方法で、他の食糧農産物はうんと不足しておるのですから、そっちの方へ積極的に転換する、これが、恐らくおやりになろうと思っているけれどもなかなかできないでいる問題だろうと思いますが、どうしてもこれを思い切ってやらなければならないが、適地適作という観点に立って、具体的に農林省はどんな御計画、お考えを持っているか。また、どんな程度この関係を進めておられるのか。また、その考え方について賛成できるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  41. 羽田孜

    羽田政府委員 まず基本的な問題についてお答え申し上げたいと思います。  いま御指摘がございましたとおり、確かに米の過剰というこの事態に対処いたしまして、もちろん稲作転換というようなことででき得る限り生産の過剰というものを抑えていかなければならぬと思います。しかし、そうかといって生産性を低めるということではございませんわけでございまして、やはりいろいろな技術開発等も研究等を重ねまして、生産性は高めてもらわなければならぬというふうに思います。  さて、いまお話がございましたように、そういった問題とあわせて適地適作を進めていかなければならないのじゃないだろうかという御指摘でございまして、それは私どもといたしましていわゆる地域分担、この政策を進めていく。先ほど先生からもお話がありました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これらを実効あらしむるためにも、でき得る限り農業土産の立地条件などを考慮いたしまして、地域の特性に応じた具体的施策、これを計画的に進め、地域農業振興を図っていくことが重要である、こういった考え方に基づきまして、地域農業の特色に十分に配慮した各般の政策実施してまいるところでございますけれども、今後ともその推進を十分に図ってまいりたいというふうに考えます。  地域別の農業生産目標を設定することにつきましては、都道府県との調整など、いろいろこれは実はむずかしい問題もあるところでございます。政府といたしましても、都道府県などが地域農業転換を図るに当たって参考となるような指標、この作成に着手しておるところでございまして、さらに検討を進め、本当の意味での適地適作を進めてまいりたいというふうに考えております。
  42. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 政務次官から一般的な地域分担による適地適作の推進という点についてお答えがあったわけですが、具体的に水田の転作を進めます場合にも、当然適地適作、地域分担に即応した適地適作というものを念頭に置いてやらなければ転作そのものが定着をしないということだと思いますので、私どもといたしましては、転作が地域分担に即して行われますような条件を整備をするということが大事であるというように思います。そういう点、条件整備をするという点は、やはり先生も御指摘ございましたように、稲作と他の転作作物との収益性がバランスをするように、価格政策、あるいは生産政策を含めまして条件を整えるということが基本になると思います。  そういう点から、先ほど抜本的な改善を加えたいと申しました中で現在検討しようとしておりますのは、価格のあり方がどうあるべきか、あるいはまた転作奨励金がことし特別加算ということで若干手直しはしておりますけれども、果たして十分かどうかというようなことも含めまして検討していきたいというふうに思っております。
  43. 向山一人

    向山委員 いまのお答えのとおりだと思いますけれども、地域分担をするのに条件を整えなければならぬ、この条件の問題なんですね。これが非常に大事なことで、しかしこれを何とかしないと、一方においては米はだんだん生産性が高まってふえていくわけですから、そして先ほどもお話がありましたように、個人消費というのはだんだん減っているわけですね〇一人当たりの個人消費もだんだん減っているわけですから、そういう中で考えてみると、条件の整備の問題、これをそれだけのお考えを持っておられるのだから、具体的に何か食糧庁長官の試案とかなんとか——米だけについては国民みんなうれしい悲鳴を上げているところなんですから、ほかのものはなくて悲しい悲鳴だけれども、これについてはもうちょっと具体的なお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  44. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 非常にむずかしい問題でございますので、具体的に現在固まった案があるかと言われましても、まだお示しするところまで至っておりませんけれども、やはり要は収益性において転作をしても不利にならないというような条件を整備してやるということでございますので、相対的な価格関係をどのように適正にするかということ。それからそれに関連いたしますけれども、現在の奨励措置、奨励金だけではございませんけれども、それに伴います転作を可能にするような基盤整備だとかあるいは施設の整備ということもやっておりますけれども、そういう点でなお不十分な点があるのではないかというように思いますので、それら生産対策、価格政策それから具体的な転作奨励措置等を含めまして検討しておるところでございます。
  45. 向山一人

    向山委員 農林省の資料によると、水稲の十アール当たりの収量がずっと年次ごとに出ておりますが、作況指数が九四程度の昨年五十一年度でも十アール当たり四百二十七キロとれているわけなんです。一昨年の五十年度は指数も一〇七という指数ですから、四百八十一キロとれているわけですね。そこで、先ほどから触れています生産性の向上の問題については、これは積極的に土地改良事業も行われていますし、あるいは肥料や農薬の品質が向上している問題もありますし、栽培技術の進歩の問題もあるでしょうし、あるいは農業用水の確保の問題等、あるいは品種の改良とか、あるいは米に対しては何といっても農民の意欲も相当強いわけなんで、こういうような問題が集積されて全般として生産性はだんだん高まってきている。そこで、さっき申し上げましたように前の年と同じような一番不作な年と同じような計画でその需要ギャップを見ておくと、また大きく違ってきて、思った以上に古米がふえて、在庫量がふえていくのではないかということを心配するわけでございますが、こうした事業のうち一番米の収量の多い原因は何だと見ておりますか。どういう要素が一番収量増加に役立っているというふうにお考えですか。
  46. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 米の平年反収自体が着実に伸びてきておるわけでございますが、これは戦後からずっとその傾向が続いておるわけでございますが、その要因はいろいろございますけれども、基本的にはやはり用排水事業その他の基盤整備が非常に進んできておるというようなこと、あるいは病害虫の防除対策が非常に改善されまして、それがまた普及をしてきたというようなこと、あるいは施肥技術の改善、さらに品種の改良という問題が大きな寄与をしておると思います。  それからまた、米が他の作物に比べて非常に収益が高いということから非常に意欲が高いという、主体的な面ももちろんあるわけでございます。それらが総合いたしまして御指摘のように反収が着実に伸びているというふうに見ているわけでございます。
  47. 向山一人

    向山委員 冒頭に大臣の所信表明を私申し上げましたのは、これは全く日本のこれからの農政の一番柱であり、むしろ私は国政の一番柱である、こういうふうに信じているし、また考えておりますが、そこで、米が余っているものですから、余るという現実をもって何とかして減らさなければならぬ。減らさなければならぬということを心配すると、いろいろ施策が甘くなる心配があるわけなんです。  そこで、私はこれは本当にはっきり分離して、特にいま官房長から話がありましたように、整備事業とかあるいは水資源の確保をして水を利用するとか、こういう基本的な問題についてはこれから思い切った方法を講じていかなければいけないだろうと思う。こういう点について思い切った方法を講じていかなければならぬけれども、それでは転作を一体どうするかという問題について私案を私の方から申し上げますから、それに対するお答えを願いたいのです。  私は、農業用水の確保をうまくして水を利用すれば畑作も相当高収入が得られる部類だと思うのですね。だから、これはいろいろ地域的に限定しておやりになることも結構でありますが、米作から畑作に転作するのに、その地域の畑作の給水の施設みたようなこととか、そういうことはもっと国が、特に高率補助をして進めていくとか、あるいはまた地区によっては、従来の水田地域を、これはずっとさっきの地域分担でいくと、いろいろ考えてみると、寒いところは寒いところなりにやはり米の方が優越性があるというふうな形がどうしても出るので、この点はなかなかむずかしい問題がありますから、全国を地域的に分割して、県ごとでもいいです、分割して、その半分は米と畑作と輪換というか、一年は畑作をやって翌年はまた米をやる。これは不公平が、恐らく政治上の問題でも出てくるでしょうから、そういうことを地域的に年次計画で、大体千三百万トンとれて千二百十万トンで余るのは九十万トン、こういうことですから、一割足らずですから、それに従来の施策、転作も進めているところなんですから、そういう考え方を取り入れてやっていったらどうか。これはもちろん国民にPRもしたり、やろうと思えばいろいろ方法があるわけですから、そんな方法をもっと積極的に取り入れていかれないものかどうなのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 水田に畑作物をつくります場合、当然基盤整備を必要とする場合が非常に多いわけでございまして、一般的な畑地の場合は、先生がおっしゃったように用水の問題が非常に大事だと思います。水田の場合は用水は比較的確保されている場合が多いと思いますが、むしろ排水を相当やらないと畑作物の生産を上げていくことはできないというような面がございますので、先ほどちょっとお答え申し上げましたけれども、転作の関連指貫の中で基盤整備事業を特別にできるようにいたしておりますけれども、その中でも排水などは重点的にやれるようにしておるわけでございます。  それからもう一つ、田畑輪換のことについて御指摘ございました。私どももまさに先年のおっしゃるとおりに、部落の中で計画的に田畑輪換をやっていくということが米の減反にも役立ちますし、それからまた耕地の地力対策としても非常に望ましいという点がございますので、そのような田畑輪換というようなことを進めながら転作を推進していくことは非常に大事なことだということで、全く同感でございます。  ただ現実問題として、進めておりまして、一部かなり進んでいるところもございますけれども、全般的にいまの線を進めますためには、田畑輪換をやりまして、水田から畑作物に一部を転換をして、あと順次回していくということをやります場合に、畑作物をつくった場合には水稲をつくったよりは不利だというような条件がありますと、せっかく地力対策なり作物全体の複合的な安定を図るという意味では望ましいけれども、なかなか実行できないというような面がございますので、先ほどもお答えしましたような収益性の稲作と転作作物との間のバランスを回復するという前提条件を整えないと、田畑の輪換ということもなかなか進みがたいという点がございますので、その辺も現在検討いたしまして、一層円滑に進むような対策をつくり上げたいと思っております。
  49. 向山一人

    向山委員 いま官房長の方からお答えいただいて、大体そうした考え方には賛成のようでございますが、賛成だとされたら、来年度は県に一カ所ぐらいモデル的にそういう地区を設けて、その地区に対して特別なめんどうを見てあげて、そうしていまの一年交代で米と麦なら麦をつくるというようなことを実施してみたらどうか。ということは、私も農家の出身で、農家の中で育って、子供のころから百姓をやってまいりましたけれども、農家というのは実際にやってみて、結果がわからないと幾ら言ってみてもなかなか飛びつかないわけです。これは長い間の習性というか習慣というか、そういう中で育っていますから、実際やってみないとなかなかできない。私どもは、昔から農機具なんかも共同で買って、二年でも三年でも使うだけ使ってまた新しいのを買いなさい、それの方が経済的にうんといいじゃないかと幾ら言っても、隣よりは自分の方がいいものを買って、余り使わぬけれどもちゃんとしまっておくという点があるのです、だから、そういう点もあるからやってみなければだめだから、もう来年あたりは誘導する意味においてやってみたらどうか。ただ、その際、水田に麦がいいのか何がいいのか、どうもその辺がまだあれだけれども、しかし、食糧問題として考えれば、国民の常食が米飯とハンですから、やはり麦なら麦をつくってみるというようなことでまずやってみて、またそれからいろいろな示唆も得られるだろうし、結果を得たらどうか、こう思うのですが、そんなことについての御所見を承りたいと思います。
  50. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 麦につきましては、東北の一部と北海道等につきましては表作に麦をつくるということが考えられるのでございますが、内地の一般は麦作は裏作の問題として考えていきたいというように思っております。  先生のお尋ねございます。何かモデルになるようなものを各県につくってみてはという点は、私どもも十分検討させていただきたいと思います。
  51. 向山一人

    向山委員 次に、文部省の方へお尋ねをいたしますが、何といっても、米の転作の問題とあわせて大事な問題が消費の拡大の問題だと思います。  そこで、消費の拡大で私どもが一番期待しているのは学校給食の問題。これは、これだけ米がとれて余っているときに輸入したハンをみんな食べているというのは確かに不経済だし、また食糧庁長官の出した「おコメの秘密」というパンフレットを私も読ましてもらいましたが、あれを見ると、東畑四郎さんの巻頭にも食糧庁長官の書いてある内容を見ても悪いところはちっともなくて、いいところばかりなんで、あれくらいいいところばかりのものが国内でたくさんとれて余っているのに、文部省が生徒にもっと積極的に給食はもう全部米にするんだ、米飯にするんだというぐらいのことをどうしてしないかと実は不思議に思っているわけなんです。しかし、最近文部省も非常に積極的に学校に対して米飯給食を推進しているようでございますが、実情についてちょっとお答えを願いたいと思います。
  52. 古村澄一

    ○古村説明員 米飯給食の問題でございますが、五十一年度から米飯給食を正式に制度上の位置づけをいたしまして本格導入を図ったわけでございます。その結果、現在、五十年度と五十一年度との米飯給食の実施状況を比較検討いたしますと、五十年度のときに米飯給食を入れておりました学校が四千六百校でありましたのが、五十一年度には一万四千校余りというふうに大変伸びております。こういったことで私たちも今後米飯給食の推進ということに十分力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  53. 向山一人

    向山委員 そこで、米飯給食をやるのに、私どもの地域にもそういう問題がございますけれども、学校の方が米飯に切りかえるのには給食の方の施設をしなければならぬ、そういうことで、文部省の方へ、給食センターをつくったり、いろいろ施設、建物、設備の関係、こうした要望が出てきたときに、なかなかこれが思うように補助金をつけてもらえない。米飯給食をするには施設の問題がありますので、こういう点について積極的にひとつ予算計上をしてやってもらいたいと思うわけですが、農林省の方でもことしの予算の中に、学校給食用の米飯給食促進対策費というような費用が盛られていて、これは恐らくハンから米飯に切りかえるための補助金だろうと思いますが、文部省の方にも予算計上になっていますけれども、きょう時間がありませんので、えらい長いお答えは必要ありませんが、積極的にこうした学校が全面的に米飯給食をするから施設をするためにひとつ補助金を出してもらいたい、こういう問題については積極的にひとつ予算化してめんどうを見てやってもらいたいと思う。これについてのお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  54. 古村澄一

    ○古村説明員 米飯給食を導入いたします場合に、施設、設備が必要になるということはごもっともなことでございまして、五十一年度、五十二年度予算においてそれぞれ計上いたしましたが、五十一年度予算は大体五億八千万円でございましたが、五十二年度予算におきましては十七億七千万円という予算を計上いたしております。私たちも、米飯給食の推進という点では一つの重点目標ということでやっておりますので、今後ともこの施設、設備の補助金の充足ということについては、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 向山一人

    向山委員 次に、農林省の方へまたお伺いしますけれども、米価の問題については、またこういう時期ですし、米審の問題等がありますから、差しさわりのあるようなことは、別に御答弁を願うつもりで言うわけではありませんけれども、御承知のように本年度の場合、一般産業界においては春闘もほぼ終わって、九%前後の賃金のアップ率に落ちついたわけでございます。それから、政府の経済成長も何とかして六・七%の経済成長で行きたい。物価の上昇も七・七%というふうなことを政府は見込みを立てて、せっかく努力をいたしておる。こういう中でまたことしの米価の決定もしなければなりませんけれども、基本的にこの米価の問題について、方式は生産者の所得補償方式ですか、何かそういうようなことでおやりになるわけですが、基本的にはどんなふうなお考えでおられるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  56. 羽田孜

    羽田政府委員 お答えいたします。  本年の生産者米価につきまして、いま御指摘があったわけでございますけれども、これは従来どおり食糧管理法の規定に基づきまして、生産費並びに物価その他の経済事情をしんしゃくいたしまして、米の再生産を確保することを旨として、米価審議会の議を経まして決定することにいたしております。具体的な方針はまさに御指摘のとおり、いまだ決定しておらないわけでございます。ただ、先ほど来御説明申し上げましたように米の需給事情、その過剰基調が大変著しいところでございまして、このような需給事情を十分考慮しながら適正に定めてまいりたいというふうに考えております。
  57. 向山一人

    向山委員 いまデリケートな時期にありますから、もちろんそういう細かいことをお聞きしょうと思っているわけではありませんが、先ほど来話したように、米の生産量の問題と、またことしの米価の問題とは、これもまた大きな関連があるわけなんですね。全般的の中でお米の値段が幾らでいいというふうなことを私は言うわけじゃありませんけれども、農民の意欲がますます米に集中してくるということになると、またことしは農林省の見込みよりもよけいに米はとれるということにつながってくるわけなんですから、そういうこともいろいろ配慮して、私はいまの時期は、農産物にしろ何にしろ、価格だけで調整をとるという時代じゃないと思うのですよ。もっと本当に抜本的な、基本的な諸施策を講じて、その中で対応していかないと、はち巻きをしては価格だけに依存していくところに、結局長い目で見ると、私は日本農業の危険性がむしろあるのじゃないかというふうに思いますので、この点については少なくとも、なかなかむずかしい問題だししますから、そう思い切ってすぱっと荒療治——荒療治と言ってはおかしいけれども、荒っぽいことをやれという意味ではありませんが、先ほど来から話してきたことはごく一端でございますけれども、そういう考え方の中で農業というものはやはり基盤整備、土地改良等も行い、水資源の確保から、水の利用から、そういう一環的なものをずっと進めていきながら、しかも片方で余剰のものがあるならば、それはひとつ加減していく、しかし米の問題は食管法があっても——私は食管法自身の問題にもいろいろ意見がありますけれども、きょうは時間がないし、また言うと、いろいろ選挙に関係があってもいけないから、食管法については私は余りここでは触れませんけれども、しかしこれは、時代も大分変わりましたが、食管法の精神から言ったって、いわゆる需給の関係については、これは一種の食糧の統制ですからね。だからさっき言ったように、生産面についても食管法の精神から言ったって、いま言うように米と麦を交代で生産させるとか、生産の制限をするとかいうことは、精神からいけば当然できるはずだと思いますが、その辺について、時間がありませんから、ちょっと御所見をお聞かせ願いたいと思います。そういうことをすると食管法に反するのかどうなのか。
  58. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  後段の方からお話申し上げますと、作付自体を規制したり強制するということは食管法ではできません。ただ、需給上必要な数量の買い入れということで、これは食管法の第一条の、国民食糧を確保して、国民経済の安定を図るために、主要食糧を確保し、需給の調整と価格の調整を行い、配給を規制するという目的を達成するに必要な限度でやっておるわけでございまして、今日ただいま、御案内のとおり予約限度制で需給上必要な数量を買い入れているということでございまして、生産面における田畑輪換その他の生産の態様については、特に食管法とは関係ないわけでございます。
  59. 向山一人

    向山委員 時間が参りましたから、以上で終了いたします。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 金子岩三

    ○金子委員長 神田厚君。
  61. 神田厚

    ○神田委員 私は、現在一部で大きな問題になっております小麦粉の不足の問題、いわゆる魚隠しとかあるいはいろんな問題が言われておりますけれども、その中で現在業界あるいは一部の人たちの間で小麦粉が非常に不足している、こういう問題が言われているわけであります。このことにつきまして、いただいた時間の中で御質問を申し上げたいと思うのでありますけれども、まず第一に、農林省は玄麦の割り当て方式というものをとっておられるようでありますけれども、これは一体食糧管理法のどの条項に根拠を持ってこの割り当て方式をとられているのか。このことをお聞かせいただきたいというふうに考えております。
  62. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、麦は輸入、内変を含めまして政府が一元管理をいたしておりまして、これに対しては食管法四条ノ三で随意契約によって製粉メーカーに対して売り渡しておるところでございます。
  63. 神田厚

    ○神田委員 この随意契約によって売り渡しをするということは、これは食糧管理法の第四条ノ三項、この項目によるというふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話しのとおりでございます。
  65. 神田厚

    ○神田委員 私は、このいわゆる玄麦の割り当ての実績に沿った割り当てをするということは、この法律の条項からはできないのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでございますか。
  66. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 実は私どもはそう考えておりません。これは麦製品を消費者に安定的に供給するためには、玄麦について玄麦の政府の売り渡し、これを随契によって実需に応じて売り渡すということで、場合によれば入札方法その他もできるというふうに条文の規定もございますが、私どもといたしましてはこの本条項によって実需に沿った割り当てをいたすということは可能であると考えております。
  67. 神田厚

    ○神田委員 実需に応じたということより、実績に応じて割り当てをしていますね。それは、法律的なことから問題ございませんか。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 これは随意契約という基本原則、会計法の特例規定としての基本原則を定めておるわけでございまして、その売り渡し方自体についてはこれはいろいろございましょう。あるいは実績を主体とするかあるいは能力を主体とするか、その他もろもろの方途が考えられましょうが、そういう方法でやるということで、運用の問題ということで可能であるというふうに思っております。
  69. 神田厚

    ○神田委員 運用の問題で、いわゆる行政の面によっていろいろ運用をするというところに、私は麦の売り渡しの問題が非常に大きな問題を持ってきている、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、現在のようなそういう形をずっと続けていくならば、これはいわゆる食糧管理法そのものを変えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、その辺は長官と考え方が違いますから、また後ほどゆっくりと時間をかけて勉強させてもらいたいと思います。  それで、まず私は小麦粉の問題につきまして御質問申し上げますが、政府が五十一年の一月それから七月に麦類の売り渡し価格を大幅に値上げをしまして、九月には米穀売り渡しをやはり大幅値上げをして、この値上げのたびごとに米麦の一次加工及び二次加工品の便乗値上げの抑制に全力を傾注する、こういうようなことを言っておりまして、これは大臣の談話でも言っております。当時の安倍大臣はどういうふうなことを言っていたかといいますと、玄麦値上げを口実とした便乗値上げが行われないよう、消費者の皆さんの協力を求めるとともに、行政指導を強める、こういうことを言っているわけであります。それでは現実にそういうふうな形で行政指導が強められているのか、こういうことにつきましてこれから数字を挙げて御質問を申し上げたいというふうに思うのであります。  政府が直接影響力を行使し得る米麦の一次加工品の値上げ率は、原価計算を私ども重視して見ても非常に不合理なものがあるわけであります。この小麦粉の場合をとりますと、具体的な数字を指摘いたしますと、政府売り渡しの麦価は五十一年一月に二〇%、七月に一六・四%値上げされました。中小企業庁の中小企業の原価指標、これは五十一年度調査でございますが、これによりますと、製粉企業の直接材料費というのは七二・五%である。残りの二七・五%が製造原価及び販売管理費である、こういうふうに規定されている。したがって、この基準から言いますと、玄麦の二〇%の値上げのときは一四・五%、一六・四%の値上げのときは一一・九%だけ小麦粉を値上げすればよいことになるわけであります。ところが、農林省の行政指導によって決まった小麦粉の値上げ率というのは一月分が二〇%、七月分が一六%、こういうことであったわけであります。このことは原価計算的に見て、一月分に五・五%、七月分に四・一%の便乗値上げが適正値上げ率に加算され、水増しされたというふうに考えますが、その点はいかがでございますか。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生のお持ちになった資料等について詳細検討させていただかなければいけないわけでございますが、私どもの点について申し上げますと、申すまでもなく、たとえば玄麦は一月に二〇%、それから七月に一六・四%上げましたが、その際はそれぞれの小麦粉製品につきまして、加工原料費なりあるいは副産物収入等を見た上で、玄麦の製造経費、コストに占める割合を見て適正な価格を指導するという方針でおるわけでございます。そうして私ども、最終の製品はいかがになっておるかという点につきましては、たとえば七月玄麦一六・四%値上げの際におきましては、最終の小麦粉については当時の百四十五円から百五十九円というような原価計算をいたしまして、それを想定した指導にしておりますし、また二次製品であるハン等につきましては、標準的なパンが当時百円が百五円というようなことにしておりますが、実際の値動きもやはり百五円ないし七円というような推移をしておりまして、われわれとしては、おおむね玄麦価格の引き上げの際に想定した価格で推移しておると考えておるわけでございます。  ただ、先生の御指摘の中で、玄麦代の値上げだけでございますが、やはり一次製品、二次製品の価格が玄麦値上げに伴ってどうなるかという点について検討する場合においては、その時点における製造経費その他の増高というようなものを加味して判断をいたすべきだと思うわけでございます。
  71. 神田厚

    ○神田委員 そういうふうな御答弁では私どもは納得できないわけでありますけれども、これからまたこの問題やっていきますけれども、じゃどうしてこういうふうな問題が起こってきたかといいますと、私どもはこれから問題にしようとしておりますのは、小麦粉そのものもそうでございますけれども、この小麦粉から出されますいわゆる副産物であるふすまの市況、ふすまの問題、この差益の問題をこれから御質問を申し上げたいというふうに考えるわけであります。  ふすまの市況が軟調であって、玄麦の値上げ率に見合ったふすまの値上げは不可能である。そのために玄麦の値上げによってふすま部門に生ずるであろう赤字を補てんする必要があるという形で当時は小麦粉の値上げをしたわけであります。それならば、もしふすまの市況が堅調に転じたらば、その値上げ率に応じて小麦粉を値下げするのが妥当である。これが行政指導というものであろうというふうに考えるのですけれども、国民生活を守る立場に立っている農林省がそのための行政指導を怠っていると私どもは考えるわけであります。この点についてはいかがでございますか。
  72. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 大筋の端的なお話でございますが、お話しのようにわれわれがたとえば昨年七月の玄麦売り渡し価格を改定いたしました際におきましては、最近のふすま価格等を見て副産物収入としておるわけでございます。その後全農の契約単価その他から支配的と見られるふすま価格が上がっていることも確かでございます。ただ、この場合にこの点をどう考えるかという点でございますが、しからば小麦粉をさらに割り安にして消費者に還元しろという考えに立つのが御所論かと思うわけでございますが、われわれとしてはこの点についてなお検討を要するという点がございます。と申しますのは、御案内のように小麦粉は一次製品でございまして、あと二次製品のハン、めんその他の複雑な加工過程を経て価格形成が行われて消費者に届く。したがって、この場合にその小麦粉段階の価格の引き下げというものが消費者に的確に反映し得るかどうかというような問題がございまして、むしろそのような当初予定した以外の利益というものが製造メーカーに発生している。単位当たりの製品について発生しているとすれば、政府の玄麦の売り渡し価格というものについて検討いたしてそういう一般的に社会的にも是認されざるような利益というものが発生した場合にその面でも措置すべきかどうかというような多面的な問題が実はあるわけでございまして、問題の御指摘としてその点を放置するなというようなお話としてわれわれとしてはなお検討いたしたいというように思っております。
  73. 神田厚

    ○神田委員 これは非常に大事な問題です。これから尾を引きます問題ですからひとつよく答えていただきたいと思うのであります。いいですか。  いま私、ふすまの市況の問題を言いましたけれども、これをずっと数字的にお話し申し上げますが、ふすまの市況が玄麦の値上げ以降どういうふうに推移したかというような問題につきましては、農林省の内外混合ふすまの工場渡し価格推移表、これを見るとその値上がり率が非常に著しくなってきている。いま仮に五十一年の、月の工場渡し価格を一〇〇とすると、同年六月が一〇三・五、十二月には一一八、以後現在まで一一八内外の指数で横ばいをしております。これは資料がございますからおわかりだと思います。こういうようなふすまの値上がりによる差益、これを小麦粉の値下げという方式でもって先ほどおっしゃったように消費者たる国民に還元すべき性質のものであるというふうに考えるわけでありますけれども、こうした事実を農林省は見ても一度も小麦粉の値下げのための行政指導を行おうとしてない、私はこの点に非常に重要な問題があるというふうに考えるわけであります。この点はいかがでございますか。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  玄麦の政府売り渡し価格、七月の売り渡し価格を決めました際におきましては、加工原料費等をにらんでその副産物収入であるふすまというものをにらんだわけでありますが、ふすま価格はなるほど上がっておりますが、一方では加工原料費の人件費その他の、春闘以後の人件費の増高等もあるわけでございます。したがいまして、それらの相互を見て、ただ副産物収入だけの増高からそこに利潤が発生して甘くなっておってその分は消費者に還元いたすという点についてはなお慎重な検討が要るのではないかというふうに思うわけでございますし、もう一つは、先ほど申し上げましたように小麦粉の価格指導、仮に非常に不当なと申しますか、放置できないような利益というものが製粉メーカー段階に発生した場合がありましても、それを小麦粉価格の引き下げによってさらに消費者に還元するという場合には、先ほども申し上げましたように二次製品を通して消費者の手に渡るわけでございまして、パンなりその他複雑な加工過程においてその引き下げの利益が吸収されないような措置ができるかどうかというような点も考慮して判断をしなければならないという面があることを申し上げたいと思うわけでございます。
  75. 神田厚

    ○神田委員 いろいろ人件費や何かが上がっているという話が一つあります。しかし中小企業庁のいわゆる原価計算では直接材料費が七二・五%だと言っている。そうしますと、あとの、いわゆるそういうふうな資料が出ていてさらに長官がそういうことをおっしゃるということは、私はちょっとあれかなという感じがするわけでございますけれども、その問題は置いておきまして、結局このふすまの問題につきましてもう少しいわゆる中身の問題について触れていきますと、小麦粉の平均歩どまりというのを現在七五%として玄麦値上げ当時のふすまの標準市価と実際の取引価格の差額を値上がり差益として推定してみると、五十一年二月から新麦価設定期の五十二年七月までの合計がほぼ八十億円。計算によりますと七十億になりますが、七十億から八十億、こういうふうな巨額になるわけであります。これをこの期間に製造された小麦粉約五百万トン、二億袋に割り振りますと、実に一袋当たり四十円強の値下げが可能になるというふうに私どもは考えるわけであります。これは大変な差益でありまして、これだけでわれわれは国民に対して大変割り高な小麦粉製品の購入を余儀なくさせている、こういうふうに考えておりまして、これを農林省が適切な値下げ指導を怠ったために製粉業者に不当利得を得さしめたと言っても過言ではないというふうに考えるわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お答え申し上げます。  先生、一つのデータに基づきましてのただいまお示しの数字だと思います。それ自体また、われわれとしてもそういう視点からの検討もなおいたさなければならないと思いますが、先ほど大づかみに申し上げましたように、副産物としてのふすまの価格の上昇、これは事実でございますが、一方の加工製造経費、相打ちをいたします加工製造経費の上昇という点を見まして、果たしてそこで、先生はこれは過剰な所得と申されましたけれども、そこに生まれておるさやはいかばかりかという点についてはなお慎重に検討をしなければならないというふうに思っております。
  77. 神田厚

    ○神田委員 時間が余りありませんのであれですけれども、いま独占禁止法の改正強化、こういうことが問題になっていまして、管理価格、寡占価格、独占価格、こういうことが問題になっております。原価計算的に見て明らかにわれわれは不当である、こういう不当な価格は疑いもなく管理価格の典型的なものである、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この管理価格というのはいわゆる大企業がその製品に需給関係を無視して常に一定以上の高い利潤を確保するように決めた価格のことでありまして、ふすまの値上がりによって明らかに製粉コストが低下したにもかかわらず小麦粉の値下げが実現しないということは、まずこれは一つには大製粉が値上がり差益を独占しようとしている。それから中小製粉がこれに追従しようとしている、そういうふうに考えるわけであります。もし大製粉が値下げに踏み切ったならばやはり中小製粉もこれらの値下げに踏み切っていくだろう、こういうふうに考えているわけであります。  それで、具体的にそれでは現在上場の製粉会社の今期五十二年度の経常利益率というものを前期のそれと対比してみる。そうすると製粉企業の伸びが、特殊な場合を除外しましても、特殊な場合というのは、その中に余りよくない会社がございまして、それが急速な回復をしました。それを除いても一九〇%に近い異常な伸び率を示したのであります。これはほかの多くの業種と比べましても、いわゆる魚価の値上がりで騒がれました水産加工、それらと同様のいわゆるふすまの値上がり差益も含めまして製粉業界がもうけた、こういうふうにわれわれは考えているわけであります。これは小麦粉関係のパンの伸び率が一一一%、即席めんの伸び率が八三%、製菓の伸び率一〇八%を比べてみても、製粉企業のこのような経常利益の大幅な伸び率、これはふすまの値上がり差益によるものであることは私どもは明白であるというふうに考えるわけでありますが、この点はいかがでございますか。
  78. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 ふすまの値上がり、さらにそれが放置されておるために製粉メーカーに対して膨大な超過利潤が発生しており、そのためにその経常利益率等も非常に高いではないかという御所論でございますが、加工原料費の増高なり副産物価格としてのふすまの値上がりに伴う利益というような点については、なお検討を要し、その関係がどうであったかということを検討しなければならないわけでございますが、付加価値率と申しますか、製品における原材料費の割合が非常に高い製粉メーカーにおきましては、従来もわれわれがその経営の指標として判断いたします売り上げ純利益率は、一%から一・五%前後というのは大体通常の点でございます。これは景気後退に伴って製造業すべて不振でございますので、特に大手製粉メーカーから示される一・五%とか一%というような売り上げ純利益率等が高いように見えますけれども、景気がよかったときあるいは正常期等におきましては、製造業の三ないし四の純利益率に対しまして、製粉メーカーは当時もやはり平均いたしますと一・五前後、そういうような売り上げ純利益率を示しておりまして、果たして先生御所論のように特に異常なものであるかどうかという点については、私どもとしてはこれをなお検討を要して、直ちにしからずというふうにお答え申し上げるわけではございませんけれども、いま私が申し上げたような視点も加味して慎重に検討を要する問題ではないかというふうに考えております。
  79. 神田厚

    ○神田委員 どうも話が平行線でございますけれども、私はもう少し具体的に各製粉企業の経常利益の中で、つまりふすまの値上がり差益によってどのくらい各会社がもうけているかという資料も持っております。これによりますと、日清製粉、これが二十四億四千五百万、日本製粉、これが十六億三千五百万、その他各製粉会社が相当数の利益を得ているわけでありますけれども、特にこの製粉大手である日清、日本製粉、この両社の合計のシェアは現在五八%内外とされている。このふすまの値上げ差益が八十億円の中で、約四十億近いものがこの二つの会社にもたらされているというふうに考えるわけでありますけれども、製粉業界の現状は、長官も御存じのようにやはりいわゆる日本の巨大企業集団がこの製粉業界を牛耳っているといっても過言でないわけでありますけれども、これらに対しまして農林省の行政姿勢というのがまことに奇怪であるというか、指導そのものが弱腰であってなっていない、こういうふうに私は考えるわけであります。この点につきましてはどういうふうにお考えでございますか。
  80. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 お話のとおり麦については間接統制でございますが、実態は、内麦はすべて政府に参りますし、また外麦は一元管理をしております。したがって、玄麦の売り渡しを通じてそれぞれ必要な数量なりあるいは製品価格等についての価格指導を私どもとしてはそれぞれの段階で行っておるというつもりでございまして、私どもとしては、ある特定の巨大企業が価格を操作しあるいは数量を操作するというような点については、従来もそうでございましたし、今後もあり得ない。御指摘のような点があるような萌芽でもございますれば、われわれとしては適切な指導をしてまいるという考えでございます。
  81. 神田厚

    ○神田委員 私が指摘した数字につきまして、もし疑問がありますならばひとつ独自に御調査をいただきたい。私はこれは確信を持ってお話をしている問題でございます。非常に大事な問題でございます。いいですか、差益だけで年間七十億も八十億も製粉業界がもうけているということは、やはり国民経済からいって看過すべきではない、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、経済企画庁がお見えになっておられるかと思うのでありますけれども、経済企画庁では、いわゆる円高ドル安の差益の問題につきまして、あるいは魚の問題につきまして、便乗値上げの追跡につきまして非常に御熱心にやられております。それで、いわゆるこの小麦粉の不足の問題と、それからこのようないわゆる管理価格の中で不当な利益を得ていると思われるような問題につきましては、企画庁といたしましてはどういうふうなお考えでございますか。
  82. 海野恒男

    ○海野説明員 小麦粉の不足の問題につきましては、私どもまだ伺っておりません。と申しますのは、小麦粉を主要な原料といたしますパンとかあるいはうどんとかいったようなものの最近の値段の動きを見てみますと、その動向には何ら変化がないということで、消費者物価の安定を主たる行政目標といたしております私どもといたしましては、その製品価格の動きから判断いたしまして、そういうものがあるということは、もし小麦粉が非常に不足しているような事態であれば当然それに反映されてくるというふうに考えられますので、実際にそういうことがあるということは私としては想像しておりませんが、もしそういうことがあるようなことでありますれば、農林省とも十分協議して対処していきたいと思っております。  それから、管理価格の問題につきましては、私どもも公正取引委員会等と絶えず連携を保ちつつ監視等を続けておるわけでございますけれども、この問題に関する限り、製品価格で見ると影響は出ていないというふうに判断しております。なお、今後ともそういう動きがあるとすれば直ちに公正取引委員会等と十分協議して、不当な独占価格あるいは寡占価格的な行動をとるようなことのないように監視していきたい、そういう考えでおります。
  83. 神田厚

    ○神田委員 パンがなくなったりパンができなくなったりという事態は最悪の事態であります。そういう事態に至る前に、現在こういうふうな問題が起こっている。そして、すでにいわゆる仮需の問題、いまから申し上げますけれども、仮需の問題などからいいまして、小麦粉が非常に不足するような状況というものがあるのです。そういう中で最悪の状況として、やはりパンがつくれなくなってしまう、そういう最悪の事態に至らせない前に、こういう問題が指摘された段階でひとつ御調査をいただきたい、こういうふうにお願いをするわけであります。いまお話を申し上げましたが、たとえば仮需の問題一つにいたしましても、この値上げの前にいわゆる放出された小麦粉を多量に倉庫の中に眠らせておく、そして値上げされてからいわゆる製品化している、製粉化する、こういうことが統計の中ではっきり出ているわけであります。私は、この問題につきましても、時間がありましたらば詳しく御質問申し上げたいのでありますけれども、五十年の十二月、五十一年の一月、それから五十一年の六月、この値上げの前に相当数の仮需がある、こういうふうな問題を含めまして、私はこの問題点農林省の方、食糧庁の方でよく考えていただきたいと考えるわけでありますけれども、その点は、そういう現象が過去にあったかどうかについてはいかがでございますが。
  84. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 いわゆる仮需の問題でございますが、今後需給が非常にタイトになりそうだというようなことから、製粉メーカーが私どもから売り渡しました玄麦を粉にしないで将来の小麦粉製品の値上がりを待ってこれを粉にひくというようなことは、私どもとしては絶対に行わせないように、従来もしておるわけでございます。と申しますのは、われわれが一元的に売っておりますので、工場の在庫なりあるいは製品の在庫というものについてはそれぞれ月別に的確な報告を受けておりまして、したがって、その原材料の在庫の変動なり製品の在庫の変動からその点はあり得ないと思っております。  ただ、先生がお話しになりました数字は、やはり政府の麦の売り渡し価格の改定が伝えられますと、また決まりますと、それを見越して安い小声粉等の需要が来る、したがって、そこで品がすれがあってはならないというようなことで、前渡しをして需給関係にゆとりを持たせるという操作は玄麦の売り渡し価格改定の都度やっております。したがって、その数量がふえるという点については、私どもとしてはいわゆる仮需あるいはメーカーのビヘービアによる仮需ということではないと思っております。
  85. 神田厚

    ○神田委員 それはいわゆる仮需じゃないとおっしゃいますが、現実にはそういうふうなことで材料を保管しておいて上がってから製品化する、こういうことをやっているわけですよ。したがいまして、この問題につきましてもやはりこれからの問題点として提起をしておきたい、こういうふうに考えます。  最後に、ふすまの値上がりにつきまして。  これは、同じ飼料であります米ぬか、これも当然値上がりするというふうなことで、こういうふうな値上がり益を考えていきますと、ほかの飼料の面も考えますとその金額は約百億円を上回るであろうというふうに考えられております。それにもかかわらず農林省は、こうした不当差益について何ら手を打っていない、私どもはこういうふうに考えるわけでありますけれども、最後に政務次官及び食糧庁長官に、私がいま指摘しましたような問題につきまして、早急な行政指導を行う気持ちがあるのかどうか、あるいは必要な値下げを実現して不当な差益を一掃する用意があるのかどうか、お尋ねをいたしまして、御質問を終わりたいと思います。政務次官食糧庁長官からお願いします。
  86. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいま御指摘がございましたものにつきましては、これはまさに法律によって管理されておるものでございます。そういった中で不当な利益を上げておるということは、これは大変なことでございますので、私どもも十分調査をしてみたいというふうに考えます。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原政府委員 神田先生からいろいろ麦なり小麦粉の需給をめぐっての不当差益発生問題等について御指摘を受けましたが、御指摘の計量的な数字等についてもわれわれとしては検討させますし、そのような側面について実態があるかどうかという点については、ただいま政務次官からお答え申し上げたように、なお慎重な調査をいたしまして、その問題に対応するような検討を続けてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  88. 金子岩三

    ○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会