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1977-03-23 第80回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月二十三日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    北川 石松君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    染谷  誠君       玉沢徳一郎君    中野 四郎君       羽田野忠文君    平泉  渉君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    岡田 利春君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       馬場  昇君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       中井  洽君    津川 武一君       菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 小笠原正男君         水産庁次長   佐々木輝夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         水産庁漁港部長 坂井 溢郎君         海上保安庁警備         救難監     山本 了三君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   久野 忠治君     北川 石松君   神田  厚君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     久野 忠治君   中井  洽君     神田  厚君     ————————————— 本日の会議に付した案件  松くい虫防除特別措置法案内閣提出第二六  号)  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第二  七号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の変更について承認を求めるの件(内閣  提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 菅波茂

    菅波委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  松くい虫防除特別措置法案を議題とし、審査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 この法案審査がずっと進みまして、本日の午前中で一応の質疑が終結になると思うのです。そこで、短い時間でございますから、いままでいろいろ御意見のありました点、重複になりますけれども確認をしたいと思いますので、なるべく簡潔にお答えを願いたいと思います。  第一に、この法律を見ますと、もちろん「森林資源として重要な松林を保護する」これは何も私どもこの法律趣旨から見て異議のないところでありますけれども、片や質疑の中で繰り返されておりますように、やはり大量の農薬空中散布するのに、それによって起こる自然環境あるいはその地域内の生活環境に対する保全措置というものが法律に明記されていない。ですから、私どもはやはりこの法律には、第一条の目的あるいは第三条、特に第三条で基本方針を定めて、中にそういうことをうたうことになっておりますけれども、これは基本方針だけでは私どもは不十分だと思います。法律でございますから、環境保全に対して被害が起きないような措置を講ずるということをやはり法律に明記すべきである、こう考えます。     〔菅波委員長代理退席委員長着席〕  それから第二の点は、予算成立から実行するまでの期間がございますから、そういう点を考慮しながらも、公示期間なりあるいは異議申し立て期間を、住民の側に立ってもうちょっと時間を長くする必要があると考えますが、これに対してどうお考えになるか。  それから第三点は、公示をされて異議申し立て地主だけができることになっておるけれども、これでは全く不十分だと思うのです。やはりその特別防除が実施される地域住民も、被害を受けるおそれのある住民も、理由があれば異議の申請ができるというふうに法律をすべきであると思います。  この三点について御意見を承りたいと思います。
  4. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生から、まず環境保全に配慮することを一条の目的にもうたい、それから三条にも、基本方針にはうたうというけれども、ここにも明記したらどうかという御意見がございましたが、私どもこの委員会におきましてもたびたび御説明申し上げましたとおり、森林資源と申しますのは、森林先生御存じのように多目的機能を持っております。したがいまして、これは木材資源としての森林だけではなくて、森林が持っておりますいろいろな機能、そこには環境保全機能もございます、それから保健休養機能もございます、そういう機能も含めて、森林のその機能を今後とも健全に維持するためにこの防除をやるわけでございまして、当然そういう中に含まれておると解釈いたしておりますし、さらには、この防除をやること自身も、こういう環境保全するということは当然でございますので、当然われわれとしては配慮すべき事項であるということで考えておりますし、これを基本方針の中に記載するという考え方を持っておりますので、いまの段階では法案修正してこれを挿入する必要はないのではなかろうかというふうに考えております。  それから五条の問題でございますけれども五条について、不服の申し立てをまず地元住民に、それから期間を長くしろ、こういうお話でございました。  期間を長くする方の問題でございますけれども、これにつきましては、松くい虫の防除をやるべき適期と申しますのは五月の中旬から始まるわけでございます。したがいまして、予算成立が早くても三月いっぱいという一般的なことになりますと、四月の早々から手続を開始いたしますと、その間実際にはもう四十日前後しかございません。したがって、これをやるためには中央審議会も開かなければなりませんし、またそれぞれの県で審議会も開かなければいけない、さらには連絡協議会等も開かなければいけないということになりますと、この期間が余り長いということは実際に実行できなくなるという危険を非常に含んでおります。それと、現行法におきましてもこういう期間になっておりますので、そういう両方の観点から、これも私どもが提案している期間でやっていくのが一番適当であろうというふうに考えております。  それから、最後地元住民からの不服の申し立ての件でございますが、これにつきましても委員会でるる御説明いたしておりますけれども、私どもといたしては、これは当然なことでございますので、従前から連絡協議会等も開いておりますし、また、地元においては、実施する場合にはその実施地域につきましてのいろいろな説明会なりPRもやってきております。そういう観点から、これについては基本方針の中にもこの徹底を図ることをうたうことにいたしておりますので、そういう面から考えまして、これもこの法案修正して入れることは適当ではないのではなかろうかというふうにわれわれは考えております。
  5. 美濃政市

    美濃委員 この三点についてもう一回申し上げておきますが、そういうふうに政府答弁されても、やはり住民法律に明記されてないと不安を持つ、こういう関係が出てきます。日本法律は、裁判になって、裁判所等から違法だという命令があれば直すけれども、いま言ったように責任を軽くするために——本当に責任を持って政府がやるのだったら、そういう点は法律に明記したって害にはならぬのじゃないですか。含まれておる、含まれておると言ってぼかしている。実際に現象が起きた場合に、責任回避ができるような余裕を残して法律をつくっておる、こういう疑いがどうしても起きるわけです。いま言ったように、せっかく法律をつくるのですから、そう長文になるわけじゃないのですから、やるということがはっきりしておるのであれば誤解が起きないように明記したっていいのじゃないですか、どうですか。
  6. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいまも御説明いたしましたけれども、私ども、過去四年間、ヘリコプターによる散布の実験を兼ねた防除をやってまいりました。その間、各県におきましては、こういう新しい技術によって松くい虫による枯損を防除するということに対してきわめて真剣にやってきております。そのために、私ども中央で見ております以上にそれぞれの県では、県議会、町議会等でもいろいろ議論されておりますし、また、地元に対してのPRも非常に徹底してやってきております。そういう点から考えますと、従来からも、それぞれの地方においてもまずそういう考え方でやってきておりますし、また、私が先ほど申し上げましたような方法で、私どもといたしましても、方針その他に盛り込むということを考えておりますので、あえて法文に書かなくてもこれは徹底して十分にやれると考えております。
  7. 美濃政市

    美濃委員 平行線になりますのでこの程度にしておきます。いまここでどうするこうするということは申し上げませんけれども、いまの答弁で私どもが納得できなければ法案修正意見を出し、その上で調整ということになろうかと思います。これ以上ここでどうだどうだと言っても、何回も同じ論議を繰り返しておっても時間の空費でありますので、この程度にいたしておきます。  次に、主として八条関係になりますが、ここでは、「農業、漁業その他の事業被害を及ぼさないように必要な措置を講ずるものとする。」と一応義務づけはしております。通例、私ども、たとえば漁業関係被害等考えると、これは想定ですが、雨が降らなければ、薬を散布しただけで漁業被害は起きぬだろう、しかし、大量の農薬散布するわけでありますから、散布直後に雨が降って、それが養魚場等へ流れ込めば被害が起きないとは言えないわけですね。被害が起きるのではないかという想定が立つわけです。ですから、そういう一々の現象は別といたしまして、措置を講ずることは義務づけしたけれども、ずっと質疑の中でも出ております損害が起きた場合の措置ですね。法律をつくるときにはかなり前向きなことを言うけれども、従来、公益的な事業の中でいろいろ被害が起きても、国家賠償法に基づく賠償とまでは言わなくても、起きた被害に対して政府は迅速に適正に補償するという前向きな姿勢が出てこなかったわけですね。いささかの措置をやっても、いずれも見舞い金という名称で糊塗しておるわけです。国民はそれではがまんできないから、国を相手取って訴訟事項に持ち込んで、裁判で国が負ければ、仕方がない、裁判決定額を支払う。それまでは、前向きの国家賠償あるいは実害に対する適正な補償をしなければならぬという意思はなくて、そこらの行政庁意思というのは、明治時代から大正の初期ごろにかけては、道路なんかつくっても、全部用地を寄付させたのですが、そういう感覚が残っておるのだ。公益のために行った事業で、ある程度被害が出ても、それは公益優先だから、被害を受けたものはがまんせい、多少の見舞い金は出してやる、こういう考え方で貫いておると私は思うわけです。  そこで、こういうことをやるに当たって、そういう考えでなしに、国家賠償法あるいはそれに準じた考えで、長官も繰り返して答弁しておるように、因果関係の把握というのははっきりしておるわけですから、前向きに、迅速に被害額に対して適正な賠償あるいは補償をする。見舞金などという考え方には立たない。この点をはっきりしておかなければならぬと思うのです。どうですか。
  8. 藍原義邦

    藍原政府委員 初めに、雨が降った場合の漁業等に対する被害の問題について簡単に御説明申し上げておきますが、私どもも天候には十分注意いたしまして、大雨が降るような危険な場合には散布しないという方針で対処いたします。しかしながら、まいてからあるいは雨が降ることがあるかもしれません。一般的に、いま、われわれが研究した結果、まきました薬は、大体三時間たちますと松の葉に付着して流出していかないという試験結果が出ております。したがいまして、先生が御心配になったようなことは万々起こらないとわれわれは考えております。  それから、補償の問題でございますけれども補償につきましても、この委員会でるる御説明申し上げましたように、私ども被害が起きないような対策を十分講じるとともに、また万全を期して、この事業に当たるヘリコプター操縦士その他を十分指導監督して対応するつもりでございます。しかしながら、万一、薬剤によるはっきりした被害が起きました場合には、国家賠償法によりまして誠意ある態度で対応いたす心構えでございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 いまの心構えは、この法律のどういう点でそれを明確にしますか。そういう条項は、できれば法律に明記することがいいのであります。そういう条項法律に明記することについてはもっと真剣に考えなければ、いまここで法律に明記したらどうかという意見はちょっと出しかねるけれども法律に明記すれば一番いいのですね、そうすれば政令があるわけですから。いまそれだけの心構えができておれば、もしこの措置によって不測の事態が起きた場合には、その起きた損害に対して直ちに全額補償するということをどこかにきちっと明確にすべきだ。ここの応答で速記録にとどめておるだけでは不十分だと思う。どうですか。
  10. 藍原義邦

    藍原政府委員 因果関係がはっきりするものについては、当然、国家賠償法がございますから、これではっきりできるわけでございます。
  11. 美濃政市

    美濃委員 その明確にする措置は、それはいいんです、その答弁でいいんですが、それを法律に明文化すればいいけれども法律にあらかじめ賠償措置を明文化するというのも日本法律常識の中では余り見受けられぬが、政令かどこかにそれはやはり明文化しておくべきである、こう思うのです。その予定はどうなっておりますか。
  12. 藍原義邦

    藍原政府委員 ただいま申し上げましたように、国家賠償法というのはそういう法律でございますので、それで当然被害があった場合には補償されるということになるわけでございまして、あえてこの法律に書かなくてもそれは国家賠償法で十分対応できるということでございます。
  13. 美濃政市

    美濃委員 どうもいまの答弁では不十分だと思います。それは国家賠償法が適用されればそのとおりだと思うのです。するかしないかが問題でありまして、従来、法律をつくるときにはそう言っても、起きたときにはなかなかそうならないというのが私ども危惧する点でありますから、そこは明確にしておかなければならぬ、私どもはそういうふうに考えるわけですね。国家賠償法が適用されればそれはいいんです。国家賠償法ですからいいんですが、やはり法律をつくるときにはそういうふうな意見を述べておって、実際に法律ができて実行に入った場合、被害が起きても、やはりああでもないこうでもない、いやこれは農薬の害ではないとか、因果関係がはっきりしておるとは言いながらも、どこかの第三者機関かあるいは裁判所因果関係が認定されなければ、天災だとか、いやこの害ではないとか言って逃げるわけですね。そういうことが懸念される、こういうことであります。だからその適用するまでの過程がわれわれには危惧されるわけですね。適用されてしまえばそれは問題はないです、お説のとおりですから。  次に、これは法律事項ではございません、できれば付帯意見等確認したいという事項でありますが、時間の関係で二、三点申し上げますから、お答えをいただきたいと思います。  第一に、中央森林審議会委員に特に林業労働組合等の働く者の代表者を加えるということ。  それから第二は、この松くい虫というのは絶えず反復発生をするおそれがありますね。ですから、今回防除をして一応その効果が出たと仮定いたします。そこで、松をまた植樹する。植樹してもやはり近い年限で反復発生をしてくるのではないかという危惧がどうしても地主に起きると思うのですね。そうするとまた枯れてしまう、こういう状態を反復しますから、これに対して、いわゆる激甚でほとんど枯れてしまった跡地の植樹というものは困難である。それは松以外の木で、たとえば杉のような成長のいい木が植樹できるのであればいいけれども、やはり立地条件は松でなければ——まあ当初も長官が答えておりますけれども、やはり松林のところは主として松でなければ、他の樹種はなじまないところもある、こう言っておりますね。そういうところになると、やはり松でなければならぬということも一面言えますね。そういうことに対する危惧をどういうふうにするか、またその跡地は、言うならば一つ自然災害を受けたわけです。——害虫ですから自然災害とも言えぬでしょうかね。天災ではないけれども、しかし、こういう害虫が出てあれするというのは天災に類するものですね。ですから、跡地に対する高率補助特別制度が必要じゃないか。国有林は問題がございませんけれども、特に民有林に対して高率補助を必要とする、これが第二です。  第三は早期発見防除して絶滅した後、事後反復に対する早期発見であります。それからもっと効果的な、環境破壊が、あるいは松は守られたとしても他のものにできるだけ被害が少ないような方法なり、あるいは松くい虫に対する強い松の樹種の開発、そういうことを進めていかなければならぬ、こう思います。  そういうふうに考えますが、いま申し上げたような点についてどういうふうにこれからの事後措置をお考えになっておるか。いわゆる冷害等であれば、よく恒久対策と言いますが、いわゆる事後恒久対策です。反復しないように、あるいは反復するおそれのあるものに対しては、大切な松でありますから、松の樹種でなければどうしても成長しないようなところについては、他の樹種に転換できるところは別といたしましても、樹種の転換のきかないようなところについては政府特別高率補助を適用するという制度を設けて、そして緑を確保していくということをやらなければならぬと思うのです。そういう事後対策はどうお考えになっておりますか。
  14. 藍原義邦

    藍原政府委員 まず初めに、中央森林審議会等組合代表を入れたらどうだという御意見でございますが、私ども、この事業の性格から申し上げまして、組合代表をお入れするにはちょっとなじまないのではなかろうか。私ども考えておりますのは、各県でもすでに自然環境保全等に対する知識のある方、学識経験者、こういう方が入っておられる審議会もございます。中央においてもそういうことを考えてこの審議会の組織を考えていきたいというふうに考えております。  それから反復発生する危険があるだろうということ、そういうために植樹する場合にどうするのかということでございますが、私どもといたしましては、やはりその林地林地に合った樹木を植えなければなりません。したがいまして、その林地に適した樹木が何であるかということを今後十分見きわめまして適した樹木を植樹するわけでございますけれども、松しか植えられないところはどうするのかというお話でございますが、ただいま被害を受けた跡地に残っております健全な木がございます。そういうものから被害に対して強い松を育種として、早急に育種苗をつくることを育種場でいま検討を進めております。  そういうふうに、この松の被害に強い松を早期に発見するということ、あわせまして、そういう地域につきましては肥料木等を込めまして、松が今後健全に生育するような方途を考えていきたいというふうに考えておりますし、さらにただいま宮島等の結果を見ますと、宮島は五十年までまきまして五十一年度はまいておりません。そういうふうにいまの技術でやりますと、一応私ども考えております程度被害になりますので、反復発生ということはいまの段階では起こり得ないだろうというふうにわれわれは考えておりますが、そういう意味からも、いろいろな面から万全を期して対応してまいりたいと考えております。  それから、その跡地造林等の問題でございますけれども一般人工造林につきましてもこういう被害跡地につきましては補助率を五二%と、一般は四〇%でございますけれども、高めております。さらには特殊林地改良事業というのがございます。これでは七〇%の高率補助にいたしておりますし、また保安林であれば国と県とで全額経費を持ちまして改良することができるようになっています。こういうふうにこれに対しましての国の助成ということも十分考えておりますので、今後もこの線に沿ってやってまいりたいというふうに考えております。
  15. 美濃政市

    美濃委員 私としてはかなり林野庁長官のいままでの答弁が、特に法案事項については不十分だと考えております。最後大臣の所見を承りたい。
  16. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 まず第一に、いままでの審議経過等を踏まえて、法案の一部修正をしたらどうか、こういう御意見でございますが、この点は長官からもるる申し上げましたように、環境保全ということにつきましては、この立法に当たりまして最大の関心を払い、基本方針の中でも明確にこれを打ち出していこうということにいたしておりますし、もう一つはこの五月中旬から六月にかけてマツノマダラカミキリの羽化期になるわけでございますが、その時期を失してはいけない。せっかくこの法案を皆さんに御審議をいただいておるわけでございますから、今年度から機を逸せずにやってまいりたい。そういうような観点等からいたしまして、私はできれば附帯決議等で御趣旨の存するところは明確に出していただきましても、法案は原案のとおり御審議の上御賛成を賜りたい、そして一日も早く成立を期するようにお願いを申し上げたい、このように考えておるわけでございます。  なお、薬剤空中散布に当たりまして、被害等が起こらないように細心の注意と周到な準備をするわけでございますが、万一にも一そういう被害が起きた場合には、散布をしてすぐに被害というものがあれば明確にこれが表へ出てくるわけでございます。因果関係分析等によってはっきりするということでございますので、これは国家賠償法によって誠意をもってこれを処理してまいる、このように対処してまいりたいと考えております。  また被害のありました跡地の回復、復旧の問題につきましては、できるだけの助成並びに金融の措置等で対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  17. 金子岩三

  18. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 松くい虫防除特別措置法案について農林大臣並びに環境庁長官に質問いたします。  去る三月十六日に長時間にわたって質疑を重ねてまいりましたが、いよいよ最終段階になりまして、内容的に大変問題もございますので、限られた時間で全部をお聞きすることはできないと思いますけれども修正点、または附帯決議等踏まえて次のような点、ぜひ総括的に確認をしておきたいという意味で若干の質問を申し上げたいと思います。  まず、環境庁長官が見えましたが、お忙しい時間でございますので、わずかな時間に三点長官にお伺いしたいと思います。  まず第一は、松くい虫防除特別措置法の「目的」のところで、第一条に「この法律は、松くい虫が運ぶ線虫類により松林に異常な被害が発生している状況にかんがみ、」その次に「周囲の自然環境及び生活環境を損なうことなく」ということを挿入して、さらに「森林資源として重要な松林を保護するため、」「必要な」という字句を入れて「特別防除を緊急かつ計画的に推進する措置を講じ、もって国土の保全に資することを目的とする。」こういうふうに「目的」が大事でございますので、たくさんありますけれども、この第一条だけは、本法の提案に当たって環境庁としても林野庁といろいろ協議されただろうと思いますが、環境庁の立場からいえば、この「目的」の中にこういった字句を入れるということが当然じゃないか、かように私は思っているのですけれども環境庁長官のこの点の御意見をまず伺っておきたい、かように思います。
  19. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 この法案防除法の一種の特別法としてでき上がってきたわけでございます。そういう意味で、本体になります法律そのものがそういう趣旨を体してでき上がっているものと心得、ここで改めてそういう字句を挿入しなくてもそういう趣旨というものが生かされるという判断で、先生のおっしゃられました文言をあえてつけ加えなかったわけでございます。もちろん松林の保存も大切でございますけれども、多量な空中散布によりますよけいな副産物としての周囲の環境破壊や、住民に与える悪影響というものは当然阻止され、そういった事態を招かないように十分配慮が行われるべきだと心得ている次第でございます。
  20. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 環境庁長官には失礼な話だけれども、ちょっと不勉強なようで歯切れの悪い答弁でございましたが、一応聞きおくことにいたしておきます。  もう一点、スミチオンが低毒性であるというようなことで、林野庁がしばしば報告、答弁等もあっておりますけれども、スミチオンの安全性について、これは農林省側にも聞くわけですけれども環境庁長官はどういうふうに理解しておられるか。せんだっての質問でもいろいろお伺いしたわけですけれども、改めて環境庁長官としてのとらえ方、どういうふうに認識しておられるか、ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  21. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 虫を殺す農薬でございますので、その限りにおいては有毒性でなければ効果も上がらないわけでございます。しかし他の農薬に比べて残留性が少ない、あるいは有毒性が非常に少ない。しかし仄聞いたしますところ、養蚕でございますとか養蜂あるいは水中動物の甲殻類にはかなりの影響を与えるということがデータの上でもわかっておりますので、こういった養蚕、養蜂あるいは甲殻類といったものにそうした影響を与えないような散布の方法をとる、そういうふうな注意を厳重に払うということを閣議決定の前に五項目の中の一項目として申し入れたわけでございます。そういう意味で、完璧に無毒であるならばこれはまた空中散布をしても意味はないわけでございまして、総体的にながめれば、そういう注意を払えば有害な影響と申しましょうか、避けるべきあしき副産物というものを決してもたらすことがないという判断で同意したわけでございます。
  22. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そこで、環境庁長官、いまおっしゃったことは先だっての質問でも認識してわかっておりますが、しからば、限られた時間でございますから、あなたの認識の度合いを聞くわけですが、もう一点お伺いしますけれども、養蜂ということがございましたが、養蜂は、確かにこのスミチオンをかぶるとミツバチが死ぬということで、もちろん遠くへ隔離していく、その場合は隔離のための費用は出すということになっております。わずかな費用でありますけれども、一千五百万近く組んであります。そこで、ミツバチは広域活動をするのですね。ミツバチは遠くからハチみつを運んでくるわけです。箱は移しても、みつというのは、遠いところに花が、お花畑にしろ、ミカン、カキまたは時期によってはレンゲとか、いろいろありますが、遠いところからとってくる。それまでは抑制できないのです。それにスミチオンの乳液がかかってくる、こうなりますと、結局ハチみつは、そういったミツバチの運んでくるみつ源、ここから持ってきますと、これはスミチオンがかかっておるからみつ源からみつをとらないというふうにはハチは判断つかぬわけですから、そうなってくると、どうしてもそれが運ばれてきて、ハチみつを介して人体に影響してくるというようなことが考えられるわけですが、その辺は環境庁長官としてはどういうふうにお考えでありますか、お答えをいただきたいと思います。
  23. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 かなり専門的な問題でございますので、政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  24. 信澤清

    信澤政府委員 ハチの習性というのは確かにいま先生御指摘のようなことであることは私ども存じております。しかし、農林省でお考え防除のためのいろいろな措置の中で、巣箱を移すというのは、当然巣箱からある範囲にハチが飛んでまいるわけでございますから、そういう範囲内にハチが入らないという形で巣箱を移すことは当然の前提であると、このように私どもは理解しているわけでございます。
  25. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 私の質問に答えなければ……。そんなところはもうわかっているんだ。
  26. 信澤清

    信澤政府委員 もう一つ。仮にスミチオンを摂取しましたハチのハチみつが人体に対してどういう影響があるか、実はこのこと自身についての研究資料等は私存じておりません。しかし、御承知のように有機燐の製剤というのは大変分解性が早うございます。したがって、ハチみつ自身にどれだけ残留するか、また、それを摂取した場合に人体にどういう影響があるか、かなり微量なものではないかというふうに考えるわけでございまして、この点、私の直接の所管ではございませんが、なおよく研究してみないと確たることは申し上げられませんけれども、今日の段階では余り問題がないのではないだろうかと、このように考えております。
  27. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 法律上では問題がないじゃないかとおっしゃるけれども、いまそこまで来たので、もう一度改めて局長に聞きますけれども、要するに五メーターないし十五メーターの範囲で一応まく、気流がひどいと中止することもある、そういうことですね。だけれども、いろいろその日のうちに気流が変わってくる。そうすれば、まく業者はやはり商売という点もあるのですから、監督指導もよくするでしょうけれども、大抵のことは押し切って飛行機を飛ばす、ヘリを飛ばすということになりますと、気流によって相当広範囲に流れる可能性は予期されますことで、そういった場合に、レンゲ畑だとかなたね畑に気流が流れていくと、ハチは無心に遠いところへ飛んでいってみつをあさってくるわけですから、そうした場合にみつ源の、レンゲ畑とかなたね畑だとかミカン畑とか、いろいろあるわけですから、そういったところまでは覆いをするわけにいかない。カバーできない。そうするとそれによって人体にもいま言ったように影響も受けるだろうが、そういった面については環境庁はどういうふうに考えているか。農林省はぜひ通したいものだから一生懸命そんなことをいろいろ言うけれども環境庁としては、国民の健康上からも、またはそういった環境保全の上からも、そういうみつ源等については、これは全部覆いをするわけにいきませんので、どういうふうに理解しておられるか。もう時間がないので、長官も急いでおるから簡単に答えてください、もう一点お聞きしなければならぬから。
  28. 信澤清

    信澤政府委員 私どもは、先生お話しのような気流状態が悪いようなときには散布をやめてもらうということで対処したいと思います。
  29. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 幾ら言っても平行線ですが、あなたが一々ヘリに乗っておって、おっ、気流が悪い、やめろ、ストップというわけにいかないわけですよ。都道府県に任せてあるけれども、それがそんなに言うようにいかないわけです。これはもう論議したってしようがないけれども、ひとつその程度で理解しておく。長官も、そういうところをよく考えてひとつ御検討をいただきたいと思う。  それから、長官、あなたにもう一点だけお伺いしておかないと農林大臣に聞く時間がなくなるので……。  大気汚染について、実は、昭和四十八年六月十九日の会議録を見ますと、三木国務大臣は「木の質が、いろんな工場地帯になって、排気ガス等で弱っていることは事実ですね。まあ人間のからだでも、いろんなばい菌というものはあるでしょう。やっぱり抵抗力が衰えるということは病気になる原因です。そういう点でやはり自然環境の保護といわゆる地域開発というものは重大な関係を持っておるわけですから、これは環境保全ということは単に自然環境保全するということだけではなくて、全体として考えなければならぬ問題をたくさんに持っておると私は思います。」と言っている。三木さんも当時は環境庁長官でございました。環境庁長官がかわったから環境庁の考え方が変わるということはまずないわけですけれども、そのときの林野庁長官である福田林野庁長官は「マツクイムシは最近特に瀬戸内海沿岸一帯に異常に発生しております。その原因につきましては、いま先生御指摘の工場のばい煙に基づくものではないかというような御指摘も、たびたび受けておるわけでございます。特に最近その発生が大きくなりました原因には、一昨年の台風の影響もあってそれで樹勢が非常に弱くなっているところに、そういったものが複合されて出てきたのではなかろうかということも推定されるわけでございます。」と、当時われわれも林野庁長官にはいろいろと質問したわけですが、福田長官は、こういうふうに「複合されて」と言っておりますが、林野庁の見解は一貫して現在の原因については主として松くい虫説が主であるということで固執しておられますけれども、私は三月十六日の冒頭質問で原因説をたくさん挙げて長時間いろいろと論議したわけですが、そうなってみますと、もしマツノマダラカミキリの運ぶマツノザイセンチュウが主要原因であったとして、また数年たって、これは違っておった、ほかであったということになると大変なことになりかねないということにもなりますので特に念を押しておくわけですけれども、こういった答弁を見ましても、当時の環境庁長官、また福田林野庁長官は、大気汚染説が原因の一つであると、こういうふうに明確に述べておられますけれども環境庁長官はこれに対するどういうふうな見解をお持ちであるか、松くい虫の原因の中の大気汚染説について長官から最後に一点明確にお答えをいただきたい。
  30. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 お答えいたします。  私もそのように心得ます。大気汚染そのものが直接松の枯死の原因にならないにしても、松を衰弱させる、そこに線虫が食い込んで、結果として、大気に汚染されていないほかの松よりも早く松を枯死させる非常に強い引き金に、間接的でございますけれどもなっていると、私も心得ます。  個人的なことになりますけれども、私以前住んでおりました家の近くに沢がございまして、そのすぐ下に料金所がございました。大きなトラックがよく通るのでございますけれども、その沢に沿ってずっと排気ガスが上がってくる、その系列の松だけが枯死いたしまして、非常に私関心を持ったことがございますが、体験的に申しましても、すでに環境庁がそろえております知見から見ましても、大気汚染が間接的でございますけれども松の枯死にぬぐいがたい原因であるということは言えると思います。
  31. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 環境庁長官、忙しい中に時間を割いていただいてありがとうございました。以上で結構です。  農林大臣に引き続き時間の範囲でお伺いしてまいります。  本法審議に当たっていろいろ問題点が浮き彫りにされてまいりましたが、わが党も、以上申し上げた点、また先だって三月十六日に質問した内容の疑問点、限られた時間で全部はただすことはできませんけれども、次にお伺いするような点が明確にならないとどうしても本法に対する態度が決定しないという重要な段階になっておりますので、慎重にお答えをいただきたいと思うのです。  大臣にお伺いしたいまず第一点は、この松くい虫の、いまもいろいろとお話ししましたが、構造的な原因、これはまだ明確ではないわけです。マツノマダラカミキリといっても松くい虫は六十種類もおるわけです。せんだってもいろいろここで論議してまいりましたが、そういった意味で、この原因の徹底究明については現在どうしておられるか、今後どういう考えであるか、これはもう徹底的にやらないと、もしマダラカミキリの運びによるマツノザイセンチュウだけでない場合には大変な問題がまた起きてくるわけですから、その点まず簡潔に、明確にお答えをいただきたい。
  32. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 松の枯損につきましてはいろいろの原因があると思います。しかし、国立林業試験場その他の関係機関の研究の結果、また過去四年間実施してまいりましたこのスミチオンによる防除、そういう経過から考えますと、やはり枯死の原因の大きな要因になっておるもの、特に最近の激害の傾向、こういうものはマツノザイセンチュウが一番大きな主因になっておる、こういうぐあいに私は認識をいたしておるわけでございまして、今回この法案を提案をした次第でございます。
  33. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 もう時間がないから簡潔に、その原因究明は今後林業試験場で徹底的に大臣はそれをさせる、また林業試験場も全国の各地の何カ所かでやらせるとか、今後こういうふうに強力に財政を、予算を組んでやっていくとか、もっと具体的なことをちょっと言ってもらわぬと、もう時間がないから、全部質問が済まないと私たちもなかなか態度がはっきりできませんので、簡潔にお答えください。
  34. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 林業試験場等全国にあるわけでございますし、県の段階でもございます。それらの機関を全部動員をいたしますと同時に、民間の権威ある各方面の御意見、試験結果等も聴取いたしまして、今後の究明をさらに徹底してまいる考えでございます。
  35. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 スミチオンの安全性の問題でお伺いします。  スミチオンの研究についてはどうするのかということですが、御存じのようにスミチオンは低毒性とはいいながらも、いわゆる各学者の意見、参考人の意見を聞いてきてもいろいろ意見が分かれております。農林大臣としては、今後スミチオンの安全性について研究を深めていかなければならぬと思うが、これまた簡潔にお答えいただきたい。
  36. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 スミチオンの安全性の問題は、これは非常に大事な問題でございます。いままでも研究をいたしまして、低毒性である、その使用に十分配慮をすればそういう人体その他に影響はないという結果は出ておりますが、スミチオンは、今回の特殊防除だけでなしに、農業関係に広く使われておるものでございますから、今後ともスミチオンの取り扱いにつきましてはさらに研究を深めてまいりたいと考えております。
  37. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さらに、この安全性の問題で、スミチオンは今後慎重に研究を続けていくということでございますが、今回の松くい虫駆除に当たりまして、このスミチオンの空中散布の結果、毎年度空中散布が六月に終われば、それ以後なるべく早い機会に中間報告してもらう、また三年置きには全体的な中間報告を行う等、いろいろこういった中間的な報告を私はぜひやってもらいたいと思うが、これに対してはどういうお考えですか。
  38. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回の法律によりまして、緊急にかつ計画的に、大規模に実施をいたしますわけでございますから、その結果につきましては追跡調査を十分いたします。そして、関係機関にその調査の結果を連絡し、また報告をする、こういうことになりますし、国会からの御要求があれば、その関係機関に通報いたしました調査の結果を国会でも御説明を申し上げることになるわけでございます。
  39. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さらに、スミチオンを空中散布した際に、いわゆる部分的にせよ、因果関係の問題もありますが、その地域においていままで漁業被害も、またいろいろな養蜂あるいは養蚕等の被害がなかったのに、今回の薬剤散布によって明らかにそういった養蜂または養蚕、漁業、これは淡水にも海にも当然影響するわけですが、そういったあらゆるものに一地域であってもその被害が顕著にあらわれた、だれが見ても当然であるということで因果関係がはっきりしておる場合、またその薬剤散布による害であるということがはっきりした場合は、空中散布を、その地域は当然のことですけれども、その周辺を中止をするというようなことにしてもらいたいわけですが、そういうふうにお考えでありますか、その点明確にお答えください。
  40. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 空散を実施いたしまして現実に被害が出るような事態になりますれば、直ちに中止をいたします。
  41. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さらに、御承知のようにせんだって十六日にもいろいろ質問してまいりましたが、昭和五十二年度松くい虫の防除予算の中で危被害防止対策費が一千五百六十万円組んであります。これは養蜂、あるいはまたあらゆる施設、またはエビ、カニ等の養殖漁場に覆いをする、大きい場合は覆いをすることができませんのでこれは中止をする、小さい場合は覆いをするというような、いわばこういった未然防止のための予算で、これはわずかである、少ないということを言いましたが、今回の実施に当たって、従来よりもいわゆる大量な面積に空散をするわけでございますので、かなり被害があっちこっちに出てくる可能性があるわけであります。そういった場合に被害補償ということを十分考えていかなければならぬ。政府考えは大体一貫して因果関係がはっきりすれば国家賠償法でやるというふうに言われておりますけれども、それに対しては、本法によってこの被害補償をするというようなことを明文化するなり、また強力な予算を裏づけてそれに対しては十分見合うだけの補償をするということが大臣としては言い切れるか、どういうような考えであるか、その点も明らかにしてください。
  42. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 今回の特別措置法に基づく防除は国の責任において実施されるものでございます。したがいまして、因果関係が明確になり、被害が発生いたしました場合は国家賠償法によりまして迅速にこれに措置する考えでございます。その財政的な措置予算措置は予備費でもって対処いたしたいと考えております。
  43. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 その被害補償については国家賠償法においてやる、もし不足した場合は予備費でやるということが明確になったわけですね。  そこで、さらにお伺いしますけれども、これは林野庁長官に。五十一年度のいわゆる松くい虫の被害は現時点で、何月現在でも結構ですが、幾らになっているか、五十年までは明確にしているけれども、五十一年度はどういうようにつかんでおられるか、相当量ふえておるのか減っておるのか、その点も審議の対象になりますので、きのう通告しておきましたが、お答えいただきたい。
  44. 藍原義邦

    藍原政府委員 五十一年度の被害につきましては、現在確定はいたしておりませんけれども、現時点で把握しておる段階では百八万立方メートル、面積で四十五万ヘクタールと見込んでおります。
  45. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 去年からずっと見まして、ことし五十一年度、今後の松くい虫のふえる状況は、この状態でいくと、年間を通じてどのくらいになるのか、大体推定としてはどういうふうに思っておられるか、昨年に比して何%ぐらいふえているのか、その点もちょっと明らかにしてください。
  46. 藍原義邦

    藍原政府委員 材積にいたしますと、昨年が百七万でございますから、一万程度のふえでございます。それから、従来の傾向を見ますと、空中散布をやりましてからは、百三万、百一万、百七万、百八万と、大体少しふえておりますけれども横ばいになっております。しかしながら、逆に面積的には、ちょっといま面積の資料を持っておりませんが、少しふえておるという状況でございまして、この防除をやりますれば、私どもは、これは経常的な被害程度のものに五年後にはおさまるというふうに考えております。
  47. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣にお伺いします。  特別防除に当たっては、関係行政機関、関係市町村、森林組合、利害関係者等への周知徹底を図る体制を整備する、こういうようにおっしゃっていますけれども、これは具体的にはどういうふうに周知徹底を図るのですか。期間も迫ってきますけれども、どういうお考えですか、簡潔にお答え下さい。
  48. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 実施計画を決定いたしますれば、直ちに各都道府県の森林審議会、さらに地域住民等を含めた連絡協議会におきまして、その内容を十分御説明申し上げると同時に、特に環境に与える影響等につきまして、人畜その他に被害のない細心の配慮をしてこれを実施するということを十分説明をし、理解と協力を求める所存でございます。
  49. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大臣、もう一点ですが、あなたはそうおっしゃるけれども、これは時間がないので詰められませんが、せんだって、三月十六日に私が質問をいろいろした際にお答えいただいたのですけれども、この「薬剤の安全かつ適正な使用を確保する」、これはもう大変重要な問題です。ヘリの搭乗員の問題からいろいろ申し上げましたが、具体的な運用基準の設定については林野庁長官は三月十六日の答弁では、本法が通った後でこれは十分考えて云々というようなことをおっしゃったけれども、そういうことではわれわれ納得ができないわけですけれども、この具体的な運用基準の設定についてはどういうことを具体的に、そしてどういうふうに考えておるのか、それが明確にならないとわれわれは不安で、本法のいわゆる結論を出すわけにいかない、こういうことでありますが、明確にお答え下さい。
  50. 藍原義邦

    藍原政府委員 その方針の中の項目を簡単に申し上げますと、たとえば使用機種、散布装置、航空従事者の心構え等、それから散布区域、散布資材、散布量、輸送量、散布時期、散布の飛行方法、気象条件、その他散布の従事者の心構え薬剤の取り扱い、散布後の措置等々、いま代表的なものを申し上げましたけれども、こういうようなものを盛り込んだものを運用方針として定める予定にいたしております。
  51. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 まだちょっと漠としたところがあって、全容を細かくつかむことができませんが、時間が参りましたので、最後に要求なりまた資料提出をお願いしてお言ますが、スミチオンの散布についての、カナダからわが国天皇陛下に対する抗議文が出されております。林野庁は御存じだと思いますけれども、これに対して承知しておるかどうか。スミチオンに対する相当な批判を持ったところの抗議文でありますけれども、正式に林野庁はこれに対する反論といいますか、見解を出して、それを当委員会提出願いたい、かように思うのですが、林野庁どうですか。
  52. 藍原義邦

    藍原政府委員 農林省あるいは林野庁には、この質問書は参っておりませんので、私どもとしてはいまのところ対応する考え方はございません。
  53. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 林野庁には正式には来ておらぬと思いますが、われわれの手元にはありますけれども、これは日本国に対するいわゆる抗議文になっているように思いますが、農林大臣は、これは御承知であろうと思いますが、これに対してどういうお考えであるか。もしなければ、私から、手元から差し上げてもよろしいので、それに対する考えを述べてください。
  54. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、農林省には来ておりませんが、そのことは承知をいたしております。スミチオンの低毒性、使用を誤らなければこれは被害はないということは、WHOにおきましてもFAOにおきましても認められておるところであり、また、カナダにおきましても、スミチオンを輸入をしてやはり松林等の防除にこれを使用しておる、こういうことでございまして、私は、あの御意見というものには賛同いたしかねておるところでございます。
  55. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 以上で終わります。
  56. 金子岩三

  57. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、本法案の施行に伴います特に重要と思われます事項に限りまして、数点お尋ねしたいと思うのでございます。何しろ質問の時間が三十分でございますので、余り詳しくお尋ねいたしてまた詳しく御答弁願っておりますと、時間がかかりますので、まず私、要点だけにしぼりまして数点一緒にお尋ねいたしまして、それに対してまたまとめて御答弁を願いたい、かように考えます。  まず私が農林大臣にお尋ねしたいと思いますことは、御承知のとおり、古来よりわが国の海岸の防風林というものは、ほとんど松を植えてあります。何ゆえに松が適当であり、また、この松にかわるべき樹木があるかどうか、この点をまず承りたいと思います。  さらに、次にお尋ねいたしたいと思いますことは、最近松くい虫による異常な被害が発生しておることは御承知のとおりで、この立法もそれによってなされているのでございますが、今日、このような大発生を見るに至ったことに対して、政府は一体どういうように考えていらっしゃるか、この点について政府の見解を承りたいと思うのでございます。  しかもこのような事態になったことは、今日まで政府がとってこられました施策が適切でなかった、こういうことが改めて私は指摘されてもいたし方ないのではないか、かように考えます。このことは、単に松くい虫だけの問題ではなくして、政府が取り来った林業政策全体の貧困に対しても、私は一応問われなければいけない問題ではないか、かように考えます。こういう点から、政府は、ただ松くい虫問題だけに限らず、将来の林業政策全体に対して、厳しい反省をする必要がある、かように考えますが、これに対してはどういう考え方を持っていらっしゃるかということ。  さらにいま一点は、政府はこの法案提出に当たって、いま申しましたように、恐らく私は過去におけるそういう反省の上に立って提案がなされたものである、かように考えます。ところがこの法案は、五十六年度までの五カ年間の時限立法であることからいたしまして、現在、このようにしょうけつをきわめております松くい虫の被害を、五カ年間で終息に至らしめるというような実に大きな使命が負わされておるわけであります。その防除技術や実行体制及びこれを行う予算観点から、果たしてその目的が達成できるという自信がおありであるかどうか、この点に対する政府の決意のほどをまず冒頭にお伺いを申し上げたいと思うのでございます。
  58. 藍原義邦

    藍原政府委員 初めに私の方からお答え申し上げます。  まず、海岸等に松しか植えてないけれども、松が将来とも適当なのかどうかという御質問でございますが、御存じのとおり、海岸は非常に潮風の強いところでございます。従来から日本の本州等の海岸につきましては、クロマツを中心にして海岸防風林、防潮林として植えてまいっておりますけれども、今後ともやはりああいう潮風の強いところには松が最適であろうというふうに考えておりますし、そういう意味からも私ども、この海岸の松等につきまして、重要なものは徹底的に保護し、将来に向かって森林の持ちます公益機能が十分発揮できるような対応をしてまいりたいと考えております。  それから二番目の、大量発生に対します政府の対応が適切ではなかったではないかという御質問でございますが、確かにこのはっきりした原因がなかなかつかめない。それまで伐倒駆除を中心にしてやってまいりましたけれども、御存じのとおり、木材に対する利用面のいろいろな問題松に対する木材の利用という面からその使用が非常に少なくなって、松を伐倒する森林所有者が少なくなったという点、あるいは薪炭等に従来十分使っていました枯れ草等が使われなくなりまして、松林の中にそういう枯れたものが放置されるままになっておった。いろいろこういう原因があって大発生をしたということと同時に、本当の松の被害を与えます原因というものをつかむのに、昭和四十三年から四十六年まで四年かかったということ、こういう点から私どもといたしましては、確かにおくれた面はございますけれども、それを取り返すべく、今回この御審議を願っております法案に基づきます新しい技術で対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、林政の貧困でございますけれども公益機能を持ちます森林につきましては、ただいま森林法に決められます全国森林計画というものを、それぞれの森林機能別に分類いたしまして、その森林機能に合うような施業をしていくという方針で、私ども鋭意努力をしておるわけでございますが、今後とも森林の持ちますいろいろな使命を十分達成できるように努力してまいりたいというふうに考えております。  それから最後の、時限立法であるが、五年でやれる自信があるかということでございますが、これは私ども、四年間の実験経過から考えまして、五年間で十分私ども考えております程度にまで終息し得るという自信を持って対応することにいたしておりまして、十分その自信は持っておる次第でございます。
  59. 稲富稜人

    ○稲富委員 大いに自信があるとおっしゃるので、その点はその程度にいたしておきまして、それでは次の問題に移りたいと思います。  本法による農林大臣が定める基本方針には、特別防除を行うべき松林に関する基準及び防除に関する基本的事項が盛られておるのであります。この基準並びに基本的事項は一体何であるか、この点をひとつ具体的に明らかにしてもらいたいということが一点。  さらに、この法案の骨子は、計画防除と並んで命令にかえて行う特別防除にあるわけでありますが、この特別防除の実施に当たりましては、まず関係の行政機関、関係市町村及び最もこれに関係がある養蚕、養蜂家等こういう利害関係者の代表など、地域の連絡協議会などの実施体制の整備が非常に必要になってくるのではないかと思われます。こういうことに対してはどうお考えになっているか。なお、特別防除の実施に当たって、あるいは地区の説明会等の開催等、一般住民の意向に対する配慮もまた十分行うべきであろうと思いますが、これに対する政府の具体的な計画を承りたい、かように考えております。
  60. 藍原義邦

    藍原政府委員 基本方針に盛るべき松林に関する基準といたしましては、まず第一に、特別防除を実施するに際しまして、「利害関係者等地域住民の理解が得られる見込みがあるもの」でありまして、「その被害程度が終息型の微害を超えていること。」あるいは「その所在地、周辺の土地利用の状況等からみて薬剤の飛散流入による被害発生のおそれがないこと。」あるいは「貴重な動物等の生息地等が含まれていないこと。」こういうものを基準にいたしまして、特別防除を行うべき松林に関する基準とするつもりでおります。  それから、薬剤による防除に関する基本的事項といたしましては、「環境保全に十分留意するものとする。」あるいは「薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業その他の事業被害を及ぼさないよう必要な被害防止措置を講ずるものとする。」この場合にたとえば公衆衛生関係あるいは農蚕畜水産関係あるいは野生鳥獣関係等々につきまして、それぞれ被害防止対策の万全を期することを明記いたします。そして、「特別防除の実施に当たっては、利害関係者等地域住民  への周知徹底を図り、理解を得て行うものとする。」ということをはっきり明記いたしたいというふうに考えております。  さらに、先生おっしゃいました地元住民あるいは地方公共団体等の関連でございますけれども、これらにつきましては、地方公共団体では、それぞれ審議会等を設けまして、そこで実施計画の審議をしていただきますし、また、連絡協議会というものを設けまして、そこで十分関係者の御意見を伺う。さらには実施に当たりましては、実施の市町村等におきまして、実施に対します十分な周知徹底、御理解を図るという努力を今後ともしてまいりますが、これらの問題につきましては、過去四年間の経験の過程におきまして、都道府県ではきわめて真剣にまじめに検討してきてまいっておりまして、県議会あるいは市町村議会等でもいろいろな論議もされてきておられます。そういう意味におきましても、今後ますますこういう点につきましては十分徹底を図り、慎重に、そして地元の方々の御理解と御協力を得て実行してまいりたいというふうに考えております。
  61. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、環境庁長官にお聞きしたいと思ったら、環境庁長官が帰られましたので、環境庁がお見えになっておりますなら、環境庁並びに厚生省に同じことに対してお尋ねいたしますので、おのおのその自分の、厚生省並びに環境庁の分野からの御答弁を願いたいと思うのでございます。  まず、この使用薬剤の安全性について伺いたいと思うのでございます。すなわち、特別防除に使用されるスミチオン乳剤、セビモール水和剤については、その薬剤の濃度、それから単位面積当たりの散布量、それから使用頻度について、人体及び野生鳥獣に与える影響についてどのように判断されておるか、こういうことをまず両方の立場から、両省にお伺いしたい。  さらにまた、これが実施に当たって、国内及び海外において調査研究等というものをやられたのであるかどうか、その点も承りたい。なおまた、今後行なわれる特別防除に対し、両省とも独自に調査をする用意があるかどうか、この点を承りたい。  最後に、もしもこれによって悪い影響が生じた、こういうような判断がされた場合は、いかなる処置をとろうとなさるのであるか。この最後の問題に対しましては、環境庁、厚生省及び林野庁の三者の答弁を求めたいと思うのでございます。
  62. 信澤清

    信澤政府委員 まず安全性の問題でございますが、いわゆるスミチオンは、これは農薬として登録されているものでございます。したがって、その登録に当たりましては、厚生省並びに私どもに対していろいろデータをいただきまして、直接には農林省が御判断なさることでございますが、私ども自身も、その安全性の問題等について参画をいたしたわけでございまして、先ほど来農林大臣お話しのように、使い方さえうまくやれば、少なくとも人畜に対する影響は避けられる。ただし、これは昆虫を殺すわけですから、当面問題になっておりますマツノマダラカミキリ以外の昆虫に対する影響、これは避け得ないところだというふうに考えております。  それから第二番目の国外での問題でございますが、これも先ほど農林大臣から御答弁のように、WHOなりFAOなりですでにこの薬品の安全性について認められておるわけでございますので、国際的にも認知されておる薬剤である、このように考えております。  それから、薬剤散布方法でございますが、これにつきましても、農薬登録の際に使用方法等をチェックいたしておりますから、したがって、その範囲内で今回お使いになるというふうに承知いたしておりますので、問題ないと考えております。  それから、独自の調査をやるかどうかという点でございますが、実は先ほど来お話に出ております基本方針について当然御協議をいただきますわけで、その際、すでに私ども多少の知見は持っておりますが、さらにその知見を補強するための調査をいたしております。たとえば松くい虫の被害の現況を私ども独自で現在調査いたしておりますし、また、貴重な生物等のございます松林については、特別防除をやめていただくわけでございますが、しからばそれにかわる防除方法があるのかどうか、これも専門家の方にお集まりをいただき、調査をいたしております。さらにまた、スミチオンそのものの安全性の問題につきましても、特にコイその他についての知見はあるわけでございますが、海の魚、たとえばマダイ、こういった養殖漁業に対する影響等も、取り急ぎいま補完調査をやっておるわけでございまして、そういう調査は一応やっておるわけでございますが、これも先般連合審査の際大臣から御答弁したと思いますが、環境庁も環境庁なりに独自の調査を必要があればやりたい、このように考えております。  なお、いろいろな問題が起きたときにどうするかという問題でございますが、これは先ほど農林大臣がきわめて明確にその場合にはやめるとおっしゃっておりますので、私どももその考えでやっていただきたいというふうに考えております。
  63. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明申し上げます。  厚生省では、安全性の観点から、食品衛生法に基づきましてこういったものについて規制をしておるわけでございますが、スミチオンでございますが、これは一九七四年に、国際機関でございますFAO、WHOの専門家委員会がございまして、世界各国の動物実験等、安全性に関する試験を総合点検しまして、一日に食べても安全であるとされる量、ADIと呼んでおりますが、体重キログラム当たり〇・〇〇五ミリグラム一日摂取しても問題はない、こういう値を出しておりまして、私どもはこれに基づきまして米など二十一食品についてその残留基準値を設定しておるわけでございます。また、セビモールにつきましては、同様な機関で一九七三年にADIとして〇・〇一ミリグラム、体重一キログラム当たりでございますが、一日に摂取しても問題はない、こういうADIを設定しております。これに基づきまして米など十六食品について私どもはそれぞれの残留値を決めておるわけでございまして、こういうふうに国際機関で合同委員会でこの安全性等について十分評価されておるというので、厚生省といたしましては、このような残留値では人体にとって安全である、こういうふうに考えております。
  64. 藍原義邦

    藍原政府委員 林野庁におきましても、従前から調査をやっておりますけれども、今後は十分調査をいたしまして、また、関係省庁とも連絡をとりながら対応してまいりたいと考えております。
  65. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、環境庁にお尋ねしたいと思いますが、環境庁は、本法案の閣議決定の際に、五項目にわたる申し入れを行われております。この申し入れの趣旨は一体何であったかということ、また、あえてこの申し入れを行うに至った経緯というものをひとつ明らかに承りたいと思うのでございます。  特に、このうちの第二項の貴重な動植物の保存地区等の除外及び第四項の特別防除の影響調査について、林野庁が四十八年以来実施しておる薬剤空中散布による松くい虫防除について、これまで環境庁はどのような調査を実施されておったのであるか、この点もあわせて環境庁に承りたいと思うのでございます。
  66. 信澤清

    信澤政府委員 たしか二月の十四日だと思いますが、この法案の閣議決定前でございますが、私ども大臣のところに、私ども関係審議会、自然環境保全審議会と申しますが、その委員をされております中村さんという方が、野鳥の会の方その他数名の方を伴ってお訪ねになりまして、この法案についていろいろ問題がある、こういう御陳情があったわけでございます。私どもも、もちろんこの法案の御協議はいただいておるわけでございますから、その際にいろいろな御意見を申し上げたわけでございますが、やや重複する点もございますが、たまたまそういう御意見があったわけでございますので、その方々の御心配の点もまことに無理からぬものがございますので、この五項目は、そういった方々の御心配の点を改めて環境庁として農林省にお願いをした、こういう経緯のものでございます。  それから、調査の問題につきましては、過去、農林省でいろいろな御調査をやっておられることは私ども十分承知いたしております。ただし、残念ながら、私ども自身組織的あるいは計画的な調査というものはいたしておりません。ただ、私どもも国立公園等を所管いたしておりますので、その中における松林の保護というのはきわめて大切な問題でございまして、率直に申し上げて飛行機による散布は経験いたしておりませんが、薬剤の手まき、地上散布等は実はやって、それなりの効果は上げておる事実を経験的にも知っておるわけでございます。そういう意味で、組織的な調査はいたしておりませんが、今後、いま林野庁長官お話しのように、林野庁でも御調査されるということでございますので、私どもも私どもなりにさらに調査をいたしたい、そして万全を期したい、このように考えております。
  67. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、環境庁において、結論を申し上げますと、これが閣議決定のときにはこういう五項目にわたる申し入れをされたけれども、先刻からの答弁を聞いておりますと、これを散布する、これを使用する場合に、慎重にやれば従来環境庁が御心配になっておったようなこういうようなことは生じないということがわかった、こういうことなのでございますか。
  68. 信澤清

    信澤政府委員 五項目について改めてお願いをいたしましたのは、先ほど申し上げたような経緯があるわけで、実は法案をつくる段階からいろいろ御相談を受けておるわけでございまして、私どもの心配する点はそれなりに御理解を願い、法律の施行等について御配慮をいただくということでお約束はいただいておったわけでございますが、改めてそういう経緯がございましたのでああいう申し入れをして、さらにこの点についての御理解を深めるようにした、こういうことでございまして、今回の防除措置というものは、私ども総体的に考えまして、これはやり方いかんでございますが、私どもがいま伺っております範囲内でやっていただきます限り、松くい虫対策としては十全のものである、このように考えております。
  69. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後に、農林大臣に結論としてお尋ねいたしたいと思います。  今日、御承知のとおり、松くい虫の被害というものは非常に甚大なものがあります。これに対しての防除対策をやるということは、非常に急を要する問題であるということは御承知のとおりであります。これがこの法律案提出されたゆえんであると思うのでございます。ただ問題は、この散布、この防除によっていろいろな被害を与えはしないか、ここにわれわれは一抹の心配を持っておるわけでございます。ところが、先刻、あるいは環境庁なりあるいは厚生省あたりの意見を聞きますと、これが使用方法あるいは散布方法、こういうものを適切にやればそういう被害はない、こういうことでありますならば、当然この防除に対しては効果的にこれを実施するようにやり、先刻林野庁長官が申されましたような五カ年間のこの時限内において完璧を期したい、こういうようなことでございますから、その点はひとつ自信を持って、しかも、いまお話しのありましたような一般被害を与えないような時期を見計らって、しかも、これが実施に当たっては、地元との連絡を十分とりながらやるということは当然のことではないか、かように考えます。ただし、もしもこれに対して被害を与えた場合には、被害者に対しては十分なる補償考えなくちゃいけない、かように私は考えます。先刻から承っておりますと、もちろんこれは補償はやるのだ、しかし、これは国家賠償法によってやるのだ、こういうことを大臣は御答弁なさっております。私は、国家賠償法によってこれをやるということは、国としては国家賠償法というものがあるからこれによろうという、こういう考え方はあるいは当然かと思うのでございます。しかしながら、国家賠償法によってこれを取り扱うということになると、非常に解決が長引きはしないか、また、これをもって非常に法律的な争いというものが生じはしないか、こういうことも考えられるわけでございます。私は、かえって国家賠償法によるのではなくして、これに対してもしも被害を生じた場合は、これに対する委員会等を設置して、そうして被害の実態を調査して、直ちにこれに対しては速やかなる補償対策をやる、こういうことが適切ではないか、かように考えますが、これに対する大臣考え方を承りたいと思うのでございます。
  70. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 近年における松に対する激害、これは一日も放置できない段階でございます。まさに伝染病的な問題でございまして、緊急かつ計画的に特別防除を実施する必要がある。いままで森林害虫防除法によりまして命令でやっておりましたけれども、そういう事態に対処いたしますために、国が責任を持って計画的にこれを実施してまいる、こういうことでございますので、自然環境保全、特に人畜あるいはその他の産業等に与える影響等につきましては、この空中散布に当たりましては、細心の注意をもってそういう被害等が起こらないように万全の措置を講じてまいりたい、このように考えております。  しかし、そういう周到な準備の上にやりましても、不幸にして被害等が起こりました場合におきましては、この薬剤被害ということは、因果関係はきわめて短期間のうちに分析をし、その結論が出るわけでございますから、私どもは、国の責任でやった事業でございますから、国家賠償法により誠意をもってできるだけ早くこれを解決をする、そういうことで対処してまいりたいと考えております。
  71. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後でございますが、これに対しましてはやはり一日も早く実施することが必要であるし、しかも、これは時期を外しましてはせっかくのこの事業が効果を発生しないことになりますので、その時期を誤らないように、こういう点も十分考慮し、地元との関係等も密にして、そうしてひとつこれが実施に当たっていただき、また、一般に非常に、これがあるいは自然を阻害するのではないか、あるいはほかに悪影響を及ぼすのではないか、こういうような憂慮をされる方々もありますので、そういう点は一切排除するように、こういう点に対してはひとつ特段の周到なる注意と周到なる対策をもってこれが実施に当たられんことを特に私は希望申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  72. 金子岩三

    金子委員長 津川武一君。
  73. 津川武一

    ○津川委員 この委員会質疑を通じて、政府空中散布によって大したことの被害は出てこない、そういう調査もたくさん出してきたようであります。そこで、空中散布によってどんな被害があったかを確実に調べなければならない、この点はどなたも異論ないと思います。そこで、被害があった生態系にどんな変化があったかということを見きわめる第一の条件は、薬剤散布をする前にそこの状態を、昆虫がどうであった、川の魚がどうであった、どんな植物が生えておったかということが明らかになっていなければ、薬剤散布の後、事後調査をしても検討することができないわけです。  そこで、林野庁、政府にお尋ねしたいのは、これからこういうスミチオンなどというものでやるときには、事前に必ずその地域の生態系の調査をやる、これが何よりも欠かすことのできない大前提だと思いますが、そのようにいたしましょうか。
  74. 藍原義邦

    藍原政府委員 薬剤によりまして空中散布をやります場合には、確かに先生のおっしゃるとおり、事前事後の調査が必要でございます。そういう観点から、林野庁といたしましても、五十二年度には新たに薬剤安全確認調査費というものを計上いたしまして、この調査に当たることにいたしております。  調査の項目といたしましては、林木、地表植物の現況、散布後の変化、あるいは野生鳥獣の鳥相、密度、繁殖状況、昆虫類の昆虫相、密度、発育、繁殖状況等々、あるいは土壌動物につきましては種類、生息密度等、それから水生動物につきましては種類、生息密度及び特定動物についての観察等、さらに土壌残留につきましても散布地の土壌の分析あるいは水質検査等々を行いまして、事前事後の調査からその辺の変化あるいは状況等を十分把握し、そして検討してまいるつもりでございます。
  75. 津川武一

    ○津川委員 答弁よくわかりました。ぜひそれが前提だと思うわけであります。  そこで、重ねてお尋ねします。これから特別防除をやるところ、それから特別防除でなく、いままでやってきたと同じように現行法でやるところ、その地域には必ず事前にこの調査をやる、やった結果を地域の人たちに公表する、こういうふうにやる必要があると思いますが、重ねてお尋ねします。
  76. 藍原義邦

    藍原政府委員 私どもこの事業をやるためには、地元の方々の御理解と御協力がなければできないことは十分承知いたしております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、私どもがやりましたものにつきましてはすべて、地元の方々の御理解、御協力を得るためにも、そしてまた、今後松くい虫の防除が徹底し、松くい虫による枯損がなくなるためにも、周知徹底を図るような方途をとってまいりたいというふうに考えております。
  77. 津川武一

    ○津川委員 事前の調査と同時に事後の調査、これも必ずやることだと思います。そこで、事前に調査しておいて、それからどう変化したかという事後の調査になるわけでございますが、この事後の調査もそういうふうな項目でおやりになりますか。
  78. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど申し上げました事前と事後で、両方やることにいたしております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この間、大臣林野庁長官に質問した後、私も心配なものだから、先ほど挙がった中村さん、それから学術会議の福島さん、学者や自然保護団体の方たち、技術者、研究者と懇談してみましたら、非常におもしろい話が出ました。それは現在の林業試験場の研究体制なんです。林野庁長官、事前にもやる、事後にもやる一この気持ちはよくわかる。しかし、気持ちだけでは事が進まない。これを実施する裏づけがなければならない。林業試験場の人に聞いてみましたら、研究体制が不十分なんです。人が足りない、研究費が足りない、研究者はその研究地に行くときのガソリン代もないので自分で負担しておる、調査報告書も自分のいろいろなものを使って報告書を出しておる、そうして今度特別防除空中散布、どんなに体があってもできませんと言うのです。長官は本当にいいことを言ってくれた。事前にやりましょうね。事後調査もやりましょう。この事前事後の調査を保証してくれる研究費調査費、人的体制、その人たちが持っていく研究の足だとか器具、こういうものは大丈夫でございますか。これをやっていくについては、ぼくらは事前事後調査は必要だし、何としても松くい虫は防除したい、こういう立場から、これが一つの非常に大きなポイントになりますが、いかがでございますか。
  80. 藍原義邦

    藍原政府委員 林業試験場の研究者あるいは研究費等々、いま御指摘でございましたが、私どもといたしましてもそういうものにつきましては、今後とも試験、研究に必要な予算につきましては、十分努力してまいりたいというふうに考えておりますが、この調査等につきましては、国の林業試験場だけではなくて、先生ご存じのとおり都道府県にそれぞれございます。従来からもそういうところと協力してやっていただいておりますけれども、今後ともそれぞれの地域の林業試験場等々に一緒に協力していただきまして、国の林業試験場とタイアップしてやってまいるつもりでございまして、いま私が申し上げました事前事後の調査については、十分対応できるような方途を考えて対処してまいりたいというふうに考えております。
  81. 津川武一

    ○津川委員 この間、学者や試験研究者、技術者と相談してみたら、忙しかったら試験後項目でも一決めて、民間に依頼、委託したならわれわれも喜んで参加すると言っているのです。この野にある良識、これもやっぱり参加させた方がいいと思いますが、この点はいかがでございますか。
  82. 藍原義邦

    藍原政府委員 先ほど大臣からもお答えしておられましたけれども、私どもも国の試験場、県の試験場あるいは民間の有識者の方々等、必要に応じまして、十分参加していただいて対応したいというふうに考えております。
  83. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この事前事後の調査なんだけれども、この間林野庁で出したあの青い研究成果書は、どうもいいことばかり書いている。ぐあいの悪いことは調査から外す、ぐあいが悪い結果が出たならばその報告書から外す、こんな心配がある。いわゆる官庁調査という言葉でしたかな、お上の調査、お役所調査、そういう話が出てくるわけです。  そこで、本当にこの体制を確立していてやれるということになってくると、この事前事後の調査に、地域の自然を守る会や地域の学者たち、ときによると一緒に、最終結論は公開してやる、その調査の方法も結果も事後調査も公開する、民主的にやるということが、事を進めていくまたもう一つのかなめになっていますが、この地域の人たちを参加させたり資料公開する、このことはいかがでございますか。
  84. 藍原義邦

    藍原政府委員 過去におきます調査につきましては、先生おっしゃるように県独自でやったものもございますけれども、たとえば愛媛あたりでは愛媛大学に御協力いただいてやっていただいております。そういうふうに、地元のこういう方面についての学識経験者にもいろいろ御協力いただいてやっておりますし、今後ともそういう姿勢でやってまいりたいというふうに考えております。
  85. 津川武一

    ○津川委員 林野庁長官、ずいぶん松くい虫で苦労されているようですね。私の質問に端的に答えていただければいい。愛媛大学に調査を頼んだ、これは官庁の調査になる。そうじゃなくて結果を公開するということなんです。これはだれがやってもいいんだ。公開という立場をとるならば問題は非常によくいく。公開する方が必要であるし、どうですかと聞いているわけなんです。
  86. 藍原義邦

    藍原政府委員 失礼いたしました。そのお答えについては先ほどお答えしたと思っておったんですが、私どもさっき申し上げましたように、地元の方々の御協力なり御理解がなければこれはできないことでございますから、調査結果等につきましても、十分皆様方におわかりになるような方途はとってまいるつもりでございます。
  87. 津川武一

    ○津川委員 そこで農林大臣。事前事後の調査、長官非常に一生懸命答えて、この間少し長官をぼくは追い込み過ぎた感じもあったけれども、この事前事後の民主的な公開的な調査、これを保証しなければ研究陣営も調査陣営もこの松くい虫の仕事が遂行できないので、この保証について大臣方針、決意、保証をとっておかないと先に進められないのです。大臣、いかがですか。
  88. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この特別防除の実施は、環境保全上いろいろ影響も心配される点もあるわけでございますから、事前事後の調査、これを林野庁長官から申し上げたように十分やりまして、そして関係機関はもとより、地域住民の方々にもよく御納得いくように報告をしたい、こう考えております。
  89. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、この事前事後調査の体制の予算を保証してくれますね。
  90. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 この調査のための所要の予算措置は講じておるわけでございまして、足らない場合は、余り大きな額は困難でございますけれども予算の流用等で対処いたしたいと考えております。
  91. 津川武一

    ○津川委員 第二の質問に移ります。  結果を公開せよということともまた関連してくるのですが、私も林野庁から説明を聞いたときに、宮島散布というものは非常にいいものだと思って感心していたんです。ところが皆さんから聞くとめちゃくちゃなんですよ。こう言っているんです。空中散布のデータをオープンにしてくれないものだから、私たちは本当に効くという実験の成果を手に入れてないと言う。どういうふうなかっこうでやって、どう効いたのか、そこのところをオープンにしなければどうにもならない、こういう形なんです。もう一つは、先ほども話したように、資料をどこかにしまっておくんじゃないか、どこか秘密があるんじゃないか、そして効いた効いたと宣伝しているんじゃないか。どんなことなのかと言ったら、きょう私のところに研究者の人たちから資料が届きました。鹿児島県の水産試験場の弟子丸修さんという人です。これを見たらスミチオン〇・〇〇〇五PPm、クルマエビ十匹が二十四時間で一〇〇%死んでいます。こういうのもあわせて一緒にあの緑色の報告書に出してくれたならば、われわれは信用できる。こういうクルマエビの保護に当たっては、われわれもまた協力できる。いきなり大丈夫だ大丈夫だと言われてもどうにもならない。  そこで宮島の駆除に対して全資料を公開して、そういう人たちが林野庁に、ここもあるんじゃないかと言ったものを、あったならば全部公開していただいて、もう一回納得いくならば、そこで話がからっと変わる、こういう体制なんです。せっかくやった駆除が何か惜しいみたいな気がするのですが、ここいらあたりいかがでございますか。
  92. 藍原義邦

    藍原政府委員 従来の調査試験結果につきましても、私どもはこれを秘密にする意思は毛頭ございませんので、これにつきましてはいつでも公開する姿勢で私どもはおります。
  93. 津川武一

    ○津川委員 そこで具体的にひとつ今度の宮島散布などを中心にして、農林水産航空事業合理化検討会があったですね。資料を皆さんお持ちになっていますね。これをこれから公開してくれるかどうかという問題なんです。資料は持っているんです、皆さんのところにありますから。いかがでございますか。
  94. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 その結果につきまして、公開するにやぶさかでございません。
  95. 津川武一

    ○津川委員 この農林水産航空事業合理化検討会の資料を委員会としても取っていただくように、委員長から善処方をひとつお願いします。  そこでもう一つ。その検討会で問題になったのは、ただ心配しておっても、ただ反対しておってもらちが明かない。本当にぼくらも取り組んでみよう、だがいつどこでやるのかわからないというのです。したがって、やるときには必ず決めたときにその地域の人たちに教えておいていただきたい。また守るもの、移すものがあるならば移してもおくし、一緒に見てみたいものは見てみたいし、意見のある者は出してみたい。これが何にも行われないで、朝きょうやるからと言ってやられたところもある、こういうことでは困ると言うのです。この点、その地域でやると決まったならば、いつどのような方法でやるのかということを市町村長だけでなく、地域の人たちに全部教えていく必要があると思いますが、これはいかがでございますか。
  96. 藍原義邦

    藍原政府委員 いま先生おっしゃいましたように、農薬散布いたしますときには、私どもといたしましても、実施をいたします前に、まず実施計画をつくれば事前事後審議会あるいは連絡協議会等で十分検討もやりますし、また実施に当たりましては、地元に徹底してやるために、実施いたします市町村で説明会等を開き、その他いろいろな周知徹底のできる方法等をとりまして、十分徹底してやっていくつもりでおりますし、また従来もそうやってまいったつもりでございますが、今後ともそういう体制で対応してまいりたいというふうに考えております。
  97. 津川武一

    ○津川委員 第四の問題は、特別防除空中散布が脚光を浴びてきた。そうすると、いままで現行法でやってきた、この皆さんのところで言われますと九万町歩もありますか、ここのところがなおざりにされてしまうんじゃないか。今度は空中散布に移してしまって、いままでの体制ががたがた崩れて、ここでまたいろいろな問題が起きるんじゃないかという心配が、端的にまた出たわけであります。したがって、私の質疑の中に出てきたこと、他の委員大臣長官に対していろいろの問題になったことを、この特別防除でない、現行法の、いままでやってきた、これからも続けていく、ここに対しても同じようにやる必要があると思うし、そのつもりでいると思うのですが、これは間違いないですね。心配ないですね。
  98. 藍原義邦

    藍原政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  99. 津川武一

    ○津川委員 最後農林大臣に、被害補償です。前の稲富委員の質問にも国家賠償のことが問題に出ましたが、それはコイを養殖しておって、空中散布でコイがやられた。これに対しては国家賠償もいいでしょう。成り立つでしょう。だが、大事な森林、林野の土壌や昆虫や植物やチョウ類などの生態系が崩れたとき、これは個人にとってはそんなに大きな損失でないかもわからぬけれども、国民全体にとってみれば欠くことのできない大事な大事な損害なんです。これは国家賠償法損害請求できるはずがない。われわれが一番心配するのは生態系の崩れることなんだな。これを、損害が出たときに国家賠償でいくと大臣片づけるのは、片づかない問題なのです。この生態系に必ず何らかの影響が及ぶ、そこで回復できないような被害、影響が及んだときにどうするかという問題なんです。この場合、そういう欠くことのできない場が生態系の中にはある。そういうものを回復するために必要な措置を国がとる、これが国家賠償よりももっとこの問題に対する大きな態度じゃないかと思う。この点で大臣の所信を聞いて私の質問を終わります。
  100. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来申し上げるように、養魚とか養蜂とか、そういうものに対するものは、国の責任特別防除いたしますから、因果関係を明確にして国家賠償で誠意を持って措置をする、こういうことを申し上げました。  生態系の変化なり影響ということも、これはあり得るわけでございますが、いままで四年間の試験的実施と申しますか、四年間の経験からいたしますと、昆虫等の生態系はおおむね三週間から一カ月の間に回復をする、こういうことに私どもは把握をいたしておるわけでございます。また、そのためにほかの森林等に、これは考えられないことなんですが、被害等がありました場合におきましては、これは林野行政の中でその復旧に対する措置を講じていかなければならない、このように考えております。
  101. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  102. 金子岩三

    金子委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  この際、午後零時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後零時三十三分開議
  103. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の両案件を議題とし、審査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  104. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 漁港関係二件についての質問に先立って、農林大臣に二、三の問題について御質問いたしたいと思います。  すでに十五日から日ソ漁業交渉が行われて、その状況はそれぞれ報道関係を通じて知らされておるわけですが、この機会に今日の日ソ漁業交渉の中間的な報告をぜひ大臣からいただきたい、こう思う次第です。
  105. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいま日ソ漁業条約に基づく日ソの合同委員会が十五日から東京におきまして行われております。また一方、ソ連の二百海里設定に伴う暫定取り決めの交渉がモスクワで行われておるわけでございます。そこで、二つに分けまして御報告できる範囲で御報告を申し上げます。これはただいま交渉中で大変デリケートな段階にございますので、その点はお許しをいただきたいと思います。  東京における漁業委員会の交渉におきましては、条約の定めるところによりましてサケ・マスとニシンの交渉が行われておるわけでございます。これは条約の附属書に対象魚種としてサケ・マスとニシンが明記されておりますので、この二つの魚種は東京のシャルクで交渉が行われる、こういうことになっております。  そこで、私どもは、四月一日からぜひいま休漁いたしておりますニシンをまず漁期に間に合うようにということで、ニシンの方を先議するように申し入れをいたしまして、ニシンの資源評価、これを進めてまいったわけでございますが、資源評価につきましては相当程度進んでおります。これから今度はサケ・マスの資源評価の問題に入るわけでございますが、これに関連いたしまして、一部に、これは不規則発言と思うのでありますけれども、二百海里の外と二百海里の中に分けて、二百海里の外の公海上については東京でやる、二百海里の中はモスクワでやる、こういう不規則発言がございました。しかし、これは条約の趣旨からいたしまして筋の通らない議論でございまして、この点日本側もよく主張もし説明をいたしました結果、ニシンとサケ・マスにつきましては現時点におきましては東京ですべて交渉をやる、こういうことに相なっております。いま申し上げたような段階まで来ておるわけでございます。  それからモスクワにおける暫定取り決めの交渉についてでございますが、まだソ連側は原則論を固守いたしまして、漁獲割り当て等の中身のある交渉段階に入っておりません。この原則論と申しますことは、基本協定に類するような条件、方法等を向こうが強く打ち出してきておるわけでございまして、わが方としては、国民の権利を制約する面もございますので、国会の御承認と批准を終えなければできないこと、行政府だけで行政取り決めとしてなし得ることとなし得ないことがあるということで、いまそういう原則論でいろいろ交渉が難航しておるという段階でございます。私どもは、いずれにしても三月三十一日までという暫定取り決めのタイムリミットもあるわけでございますので、できるだけ早くこの問題を打開をいたしまして、そして暫定取り決め所期の目的が達成できるように代表団の諸君も日夜苦労をし努力をいたしておるところでございます。
  106. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 交渉の推移は予想以上に非常に厳しい状況の中で進められておる、こうわれわれも受け取っておるわけです。しかし過般、衆議院の本会議ではこの交渉に関する院の特別決議が行われておることは大臣も御承知のとおりであります。しかも、これはかつての日米繊維交渉以来の衆議院での決議であるという意味から言いますと、きわめて院の決議は重いものと言わざるを得ないと思うのです。あと三十一日までの七日ないし八日間の時間しか残っていないわけですが、福田総理からこれに対して、最善を尽くすという決意のほどが述べられているわけです。しかし、院の決議を受けて、いわゆる国際間の交渉はその担当大臣が前面に立ってその任務を果たすというのが日米繊維交渉の場合でも慣例でありました。もちろん今日国会も開かれておりますけれども、私はそういう意味で、今日の情勢の中で鈴木大臣がみずからやはり再訪ソをする決意が必要ではないか、またそれが本会議決議の趣旨に基づく政府の最善の努力にもなるのではないか、こう率直に言わざるを得ないわけでありますけれども、その点について大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  107. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先般国会で全党挙げて満場一致の力強い御決議をちょうだいをいたしまして、この点まことに、責任を担当している大臣として感謝をいたしておるところでございます。この決議の大きな柱は、伝統的なわが国の漁獲実績を確保すること、それから日本漁船の安全操業を確保するということ、これが大きな柱に相なっておるわけでございます。私どもはこの決議の趣旨を体しまして、ただいま全力を挙げて努力をいたしておるところでございます。  私は、去る二月の二十七日に訪ソし、イシコフ漁業大臣と十分隔意ない意見の交換もいたしました。そして日ソ両国が世界の二大漁業国として、二百海里時代に当たって他の国に実績の尊重を要求する立場にある、したがって日ソ両国の間において相互に実績の大幅な削減を行うというようなことは、他の第三国等に対して実績尊重を求める場合にこれは大きな矛盾になるのではないか。であるから、日ソ両国はこの際実績は相互に大幅に認め合って、そして今後世界に向かって実績尊重を、そして資源の合理的利用を訴えるべきではないかということもるる話をして、総論では同感である、こういうことになるわけでございますが、なかなかソ連も、御承知のようにアメリカ、カナダあるいはノルウェー、EC等々の交渉で相当漁獲量の削減を強いられておるという状況にあるようでありまして、それをソ連二百海里の北西太平洋でできるだけこれを補おう、こういう意図もうかがわれるようでございまして、それだけに今後の交渉というものはきわめて厳しい、このように受けとめておりますが、ただいま院の決議の御趣旨を体して最善を尽くしておるところでございます。  いま岡田先生は、私自身がもう一遍訪ソをして交渉に当たるべきではないかという御発言でございましたけれども、私は、交渉に当たっている諸君も責任を感じて全力を挙げて努力をしておるところでございますので、いま国会の状況、また近く御承知のように麦の価格、さらに畜産物、乳価の価格の決定あるいは蚕糸の基準価格の決定等、重要な農林大臣としての職務もございますので、いまのところ訪ソする考えは持っておりません。
  108. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大臣が言われるように、すべての政治課題が三月末吹きだまりになっているというのが実態でありますから、よくその事情については承知をいたしているわけです。しかし、本会議での院議でありますから、当然そういう場合には各党とも大臣の日程については協力することは間違いのないことでありまして、そういう考え方だけを述べておきたいと思います。  次に、ソ連の二百海里設定に伴って、先般も若干触れましたけれども、韓国漁船が北海道の沖に従来とは違って、これはいつまでどの程度期間操業するかということはかいもく見当がつかない状態ですべての韓国漁船が集中し、操業いたしておるわけです。そしてかつて一億くらいの韓国漁船による被害は最近急速に高まって、実に二億を超えるという状況であります。これらの実態について一体どう把握をされ、どのような指導をされておるのかという点が第一点であります。特に今日の被害の発生の状況について農林省としては把握をされておるのかどうか、また、これらの状況に対応して海上保安庁は一体どういう対応をしておるのか、この点、各漁組、単協からも韓国漁船の操業について、しかるべく措置をとって漁網等に被害を与えないように、あるいはまたソ連の二百海里が三月一日から実施をされたのでありますけれども、韓国とソ連との間には国交はございませんし、話し合いは相当時間がかかるとすれば、相当長期にわたってこの近海での、北海道沖での操業というものは当然予想されるのではないか。そういたしますと、当然、韓国と日本の間には民間の窓口もありますけれども、外交チャンネル等も通じ何らかの形でこれらの問題について話し合いをする必要があるのではないか、こう私は判断せざるを得ないのでありまして、この点農林省及び海上保安庁から御説明を願いたいと思います。
  109. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 韓国漁船の北海道沿岸での操業に伴うトラブルは昭和五十年にもかなり発生したことがございまして、昨年の六月にその被害の未然防止なり、起きました被害の解決策について話し合うために民間ベースで協議会が設けられております。その後韓国漁船による直接的な被害がかなり減少したわけでございますが、いま先生が御指摘のように、ことしの三月に入って特に韓国漁船のまた操業頻度が増しまして、沿岸とのトラブルが相当に発生しております。三月の十五日現在で北海道庁から報告を受けております五十一年度中の韓国漁船による漁具被害の件数は三百八十一件、金額的に約一億をちょっと超えるという規模になっております。これに伴いまして、水産庁でもこれは事態は重大であるということで、直ちに韓国の水産庁に対して被害の防止なり、それから日本の沿岸での操業について日本の沿岸漁業と操業トラブルを起こさないように厳重な注意をしろということを申し入れをいたしました。これに対して韓国側の方の回答もございまして、一応日本での沿岸の十二海里以内、または日本の周辺に沖合いの底びきの禁止区域をずっと設定しておりますけれども、その区域内での操業は強く自粛をさせる。それからまた、昨年六月発足しまして以来はかばかしい進展を見ていない民間での協議を、韓国側の水産庁も指導して早急に促進をさせる。第三点目は、韓国側の方の大型のトロール漁船の相当数を日本の近海以外に転換をさせるように指導する、こういう三つの回答を得まして、私どもとしてはその措置に沿って、今後民間ベースあるいは政府間で話し合いをしながら、その問題の一日も早い解決に努めたい、かように考えております。  それから同時に、海上保安庁それから北海道庁等とも連絡をとりまして、この韓国漁船の操業が非常に急に高まったということに伴って、監視船を派遣いたしまして、水産庁側では大体三隻、道庁で四隻の調査船を太平洋岸及び日本海の方へ配置をいたしておりますけれども、今後の操業に伴うトラブルが起きないように、被害が起きないように十分そういう面からも指導をしてまいりたい、かように考えております。
  110. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁の韓国漁船に対します警備状況について御説明申し上げます。  三月一日以降、韓国の漁船の道南におきます操業が増加いたしております。私ども海上保安庁は、水産庁、道と連絡を密にいたしまして、これに対する警戒を強化いたしました。現在のところ、道南地区には巡視船を常時四隻配備いたしております。襟裳の東二隻、襟裳の西二隻ということで配置いたしておりまして、そのほか航空機による哨戒を行いまして、韓国漁船の主な漁場、これの把握に努めております。その主漁場につきまして巡視船艇を派遣してパトロールを行っておるという状況であります。  私どもの把握いたしておるところによりますと、月の半ばごろからは韓国漁船による被害は激減いたしておる、私どもへの報告はほとんど上がっていないという実情であります。
  111. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 何せ韓国トロール船は、三千トンクラスを含む船団でありますから、いわばこの近海で、わが国ではそのような大型の底びき漁業は認可をされていない地帯でありますし、そういう意味で、北海道の漁民のこれに対する関心、特にこれに対する政府措置というものに対して、いま強い要望がなされておるわけです。そういう意味で、いま報告を受けましたけれども、民間の窓口の交渉も一度より開かれていないということ、その間水産庁からも要請は韓国側に行っているようでありますけれども、やはり具体的にこれらに対して話し合いをするということが必要であるし、そしてまた、これは一時的なものではなくて、このまま推移すれば、長期的に続くわけでありますから、そういう意味で韓国側との話し合いを速やかにぜひ開始していただきたいと思います。特に何か答弁ありますか。
  112. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、韓国の水産庁の方からも、民間ベースの話し合いを促進したいという回答がございましたので、私どもの方も直ちに関係の業界の方を指導いたしまして、早急に向こうと現段階で話すべき事項それから話すべき内容、あるいはいつの時期にやるかということを一応相談をさせまして、いまの見通しでは、今月の三十一日に話し合いを持ちたいということで韓国側の方に申し入れをするということで取り進めております。近々のうちにそういう話し合いの機会がつくれるというふうに思っております。
  113. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんから、本論に入ってまいります。  漁港関係事案の問題について、まず第一問として、漁港審議会がそれぞれ地方に設けられ、中央にも漁港審議会が設けられておるわけです。このメンバーを見ますと、いわば会長は株式会社漁港浅海開発コンサルタントの取締役の社長さんであり、全国漁港協会の顧問であり、そして漁船協会の会長、全国漁業協同組合連合会の会長、あとは日本港湾協会の会長、それと、各地方の漁港協会の会長さんがそれぞれメンバーとしてなられておるわけです。普通審議会の場合は学識経験者、そして港を使う側、そしてまた港を管理する側、やはりこういう三者構成から成ることが、きわめて望ましいというよりも、私は常識的と言えるのだと思うわけです。港湾審議会だけ何か仲間だけが集まってやっているような色彩が非常に強い。専門的な知識を要するということもあるでしょうけれども、私は、やはり審議会の構成としてはこれは問題があるのではないか、こう考えておるわけです。  この点についてどうお考えになるのか、あるいはまた審議会の構成のメンバーについては改善される考え方があるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  114. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 漁港審議会の構成メンバーは九人でございまして、中身の審議の内容が、やはり漁港の整備に伴うかなり専門的な問題を中心にいたしますので、漁港の整備あるいは漁港の修築に関する技術面に明るい方、あるいはその漁港の運営についての専門家、あるいは漁具に関して広範な知識を持っておられる方、こういうようなことで、そういう分野の方々の中から国会の御同意を得て内閣総理大臣が任命をいたしておるわけでございます。  九人のうち、従来から大体四人は中央から、他の五人は全国を大体五地区に分けまして一名ずつ地区別に選んでいくというような方針で選任をいたしております。中央の四人については、大体従来から漁港関係それから漁船の関係漁業一般関係、それから港湾関係、港湾の整備との関連もかなり深いわけでございますので、そういった各分野から一名ずつ専門的な知識を持っておられる方に当たっていただいておるわけでございます。それから地方の五人の選出委員につきましては、できるだけ地方の意見を公平にまんべんなく反映させたいという方針で、原則としては専任、重任ということを避けまして、その時期にブロック内で最も適当な方を地区別に御推薦をいただいて、それを候補者として、国会の御承認をいただいている、かような考え方でございます。
  115. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そういう、いま説明された形でメンバーが選ばれているのだと思うわけです。  ただ、私はやはり地方の場合は、それぞれ地方の特色もあるでしょうから、そこまでは申し上げませんけれども中央の場合にはやはり全国的に問題点を把握をする。たとえば、漁船が大型化するといっても、漁船それ自体にもいろんな問題点がやはりわが国の漁船にはあると思うわけであります。これは時間がありませんから議論はいたしませんけれども、そういう意味では、漁港協会の顧問である、そしてまたそれらの関係する会社の社長であり、水産庁の出身者でありますけれども、そういう人が会長になっていて、いわばブロック別で集まって審議会を構成しているというのは、私はやはり不明朗じゃないかと思うのですよ。やはり三分の一程度は、それぞれ学者もおるわけですから、そういう公益委員といいますか、第三者委員といいますか、そういうメンバーを加えて、そして審議会を運営することがたてまえではないのか。審議会というものは、大体どこの審議会を見てもそういうたてまえではないのか、こう私は言わざるを得ないと思うわけです。ですから、説明されたことは、それはわかっているわけですよ。このままでいいと思っているのか、そういう点についても今後検討するという考えがあるのかどうか、それだけ聞けばいいわけです。
  116. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 いま御指摘の、たとえば漁船関係の方の専門家としては漁船協会の会長であるとか、漁業一般の専門家としては全漁連の会長等にも御参加をいただいておるわけですけれども、先ほど申し上げましたような考え方に沿いまして、今後とも、最も適任な方に委員として活躍していただくように検討していきたいというふうに考えております。
  117. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんからこれ以上は申しませんが、私は、いま私が述べているように、この点について改善すべきである、こういう意見を述べておきたいと思います。  第五次漁港整備計画の総括の問題でありますけれども、これが四カ年で、しかも進捗率は五〇%で今度の新計画に移行せざるを得なかった。いままでの年度計画を見ましても、第五次ほど進捗率の悪い計画はないわけであります。もちろんその間オイルショック等もあり、あるいはまた公共投資の引き締め等もありましたけれども、しかし私は、漁港整備計画自体が他の五カ年計画と違って国会の承認を得る、こういう重みからいって、非常に遺憾だ、こう言わざるを得ないと思うわけです。国会の承認を得るからには計画そのものが権威のあるものでなければならないことは、他の、たとえば土地改良あるいは治山治水と違って重みがあるものだと思うわけです。そういう意味で、この計画の総括についてどう考えておられるのか、特にそのうち第一種から第四種に至る——特定第三種もありますけれども、種別では進捗率はどういうぐあいになっておるのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うわけです。
  118. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 現行の整備計画は、昭和四十八年度から五十二年度までの五カ年間、総事業費四千八百億をもって四百二十港の整備を行う計画でございます。それで、昭和五十二年度までに計画港数の四百二十港の全港に着工いたしておりますが、そのうち、当初の整備目標に沿って完成いたしたものは四港、事業を継続中のものは四百十六港となっております。また、昭和四十八年度から五十一年度までに支出された事業費は約二千三百七十一億円となる見込みで、この事業費についての進捗率はおおむね四九・四%になっております。これを種類別に見ますと、第一種漁港が四八・四%、第二種漁港が四八・二%、第三種漁港が四九・六%、第四種漁港が五一・七%になっております。第一種、第二種漁港の進捗率がここで全体としてやや低目になっておりますのは、新規に着工した漁港が多いという結果でございます。
  119. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第六次漁港整備計画は、昨年いろいろ検討されて、今国会に出されたわけでありますけれども、私はその時点と今日のわが国の漁業を取り巻く情勢というものは非常に大きな変化を伴っておると思うわけであります。したがって、当然これからの漁港整備計画もこれらの情勢に対応しなければなりませんし、また、そういう点からいいますと、ここ数年、わが国の内外の漁業環境というものは物すごく変化をしていることは間違いがないと思うわけです。しかし、それなのに従来五カ年計画が組まれて、これが四カ年で、五十二年度を初年度とする今度は六カ年計画が組まれた。この点、私は逆ではないかという気がするわけですね。むしろ計画を確実に実施をしていくという場合には短い方がいいんではないか。極端に言えば、三年でもいいんではないかという意見もあるわけでありますけれども、それにしても。大体計画は五年以内で組まれて、わが国のたとえば経済計画であっても五カ年計画であるわけです。こういう客観情勢の中で六カ年計画を組まざるを得ないというそのことの考え方について納得ができないのでありますけれども、御説明願いたいと思います。
  120. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 五十二年度予算編成に当たりましてこの点は実は一番苦心をした点でございます。岡田先生御承知のように経済計画で百兆円の投資計画というのがございます。五カ年計画で参りますとどうしても一兆一千億前後、治山事業五カ年計画、これは法律で「五箇年計画」と明記しておる関係もありまして、これが一兆二千億、こういうことになったわけでございます。漁港法では法律で五カ年ということが明記されておりません関係で、そこを弾力的に考えまして、六カ年計画にしたわけでございます。  と申しますことは、一兆一千億の計画では、いま岡田さん御指摘のように新しい情勢に対応して新規の漁港等を取り上げる余地がない、非常に窮屈になりまして継続程度しかやれない、こういう状況でございましたので、六カ年計画といたしまして、そして新しい情勢に対応する新規の漁港等も採択できるように、こういう方針をとったわけでございます。御承知のように第一次漁港整備計画は八カ年計画という時代もあったわけでございまして、私は、今回の六カ年、一兆四千五百億、これは方針としてはいま申し上げたようなことで情勢に対応するための措置であった、こう御了承を賜りたいと思うわけでございます。
  121. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大臣の御説明はわかりますけれども、ただ、情勢がこれから大変な変化をしていくだろうし、経済情勢についても、これからの成長過程についてもいろいろな意見のあるところであります。ただ私は、せっかく第六次六カ年計画を組まれて、これまた三年ぐらいたってまた第七次を組まなければならない、こういう事態になるのではなかろうか、こういう懸念を実は表明いたしておるわけです。そういう点についていま大臣答弁がありましたけれども、要は第五次計画の挽回をどう第六次でしていくか、大臣の決意もいま述べられましたけれども、そういう意味で問題点は非常に多いので、これらに対応するように水産庁当局としても十分受けとめていただきたいということを時間がありませんので申し上げて、次に進みたいと思います。  漁港整備を進める場合、特にそれぞれ国庫負担の補助率が決まっておるわけですが、それぞれの地方自治団体もいま財政上は非常に苦しい困難な状況にあることは御承知のとおりであります。特に、それぞれの地方自治団体の負担の場合には、地方交付税の算出の事業費補正割合というものがあり、また一般公共債の枠の中でこれらが消化されていくという二つの方式があるわけであります。しかし、財政事情によっては公共債の枠の方に傾斜的に依存をする、財政事情がよければある程度算出基準の中にベースに乗る、そのときそのときによって実は違いがあるわけです。このことは、国会承認漁港整備計画から見て、二つの要素というものはやはり一定の基準に基づいて恒常的に消化をされるように配慮が必要ではないか、こういう意見を実は私は持っておるわけであります。そういう意味で、きょうは自治省を呼んでおりませんけれども、水産庁として、この地方自治団体の負担についてこれらの補正割合の引き上げの問題やあるいは公共債の枠との関係について詰められて一定のルールに乗せるというお考えが一体あるのかどうか、従来の方式でやむを得ない、こういうお考えなのか、この機会に明らかにしていただきたいと思うわけです。
  122. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 漁港事業を実施する場合に、国の補助もしくは負担のほかに当然地方公共団体その他が負担すべき費用の支出問題が出てまいります。地方負担の財源といたしましては、従来、各地方公共団体の自主財源のほかに、地方交付税または地方債がこれに充てられております。地方公共団体におきます財源不足の状況、交付税財源である国税の収入状況等に応じまして、若干流動的ではございますが、地方債が地元負担の九五%カバーする措置を現在講じておるところでもあります。また地方公共団体の財政事情に応じて漁港事業の円滑な推進に支障がないように現在のところは処置されていると承知しております。この問題につきましては従来から所管の自治省とも十分連絡をとりながら遺憾のないように努めておりますが、御趣旨の線に沿い、今後も十分配慮してまいりたいと考えております。
  123. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 第五次計画から第六次計画にまたがる、関連する問題として、第二次の海岸事業五カ年計画が五十一年度を初年度として五十五年度まで組まれておるわけであります。もちろんこれは運輸、建設も共管の形になっておりますけれども、総事業費五千八百億円、そのうち漁港に関連する海岸の保全事業は八百五十七億円ということになっておるわけであります。そういう意味で、この進捗率も漁港整備にきわめて重要な問題であろうかと思うのですが、五十一年度は一三・五%の進捗率という数字が出ておるわけであります。そういう意味で、これらとの関連について一体今度の六次計画はどうお考えになったのか、海岸事業関係は五十五年で終わりでありますから、そういう点について一体どういう検討をなされておるのかという問題。並びに特定海岸の追加指定という問題が六次計画の面からいえば考えられなければならないのではないかという感じが私はするのでありますけれども、この点、六次計画の策定に当たってどのように検討されたのか、お伺いしておきたいと思うわけです。
  124. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 第二次海岸事業五カ年計画、これはもちろんわが方の所管は漁港の区域内だけでございますが、漁港の整備を進めていく上におきましては、漁港の基本的な施設のほかに漁港区域内に所在する海岸の整備ということもないがしろにできない問題でございます。計画的には、整備すべき構想を描きまして、この部分については漁港法に基づく漁港の整備計画等で実施する、この部分については漁港海岸について処理するということで、お説のように、いま漁港の整備計画やあるいは海岸計画と形としては別途になっておりますけれども、詰めてみれば同じようにして生まれたところから出てまいった形になっておりまして、現状、実施上そごがないというふうな考え方で進めてまいっております。漁港海岸の第二次五カ年計画事業費はいまお話しございましたように八百五十七億円でございます。五十一年度の実施予定事業費は百二十二億円、五十二年度の事業費はいまのところ百三十八億円、これらを対前年に比較しますと約二〇%の伸び率になり、五カ年計画の進度は約三〇・四%ということになります。したがいまして、現在の予算の伸びが確保されれば計画期間内に十分計画が達成できる見通しであります。今後一層事業を推進いたしますように努力してまいりたいと考えております。  また、特定海岸の問題でございますけれども、特定海岸の指定につきましては、昭和四十一年度に制度が設けられましてから現在までに全国で七十七沿岸のうち十九沿岸についてその指定が行われております。昭和五十二年度は特定海岸の追加を行いませんでしたが、水産庁といたしましては今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
  125. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今度の漁港法の改正は第三種漁港について国の補助率を一〇%上げて六〇%にするということでありますけれども漁港法の本則によれば、第一種、第二種、第三種についてもそれぞれ四〇%、そして構造改善事業に乗って一〇%上乗せをされて一種、二種、三種もかつては五〇%であったわけです。私はこの段階では、一種、二種についても本則の四〇%についてはこれは本則に五〇%とすべきである、同時にこれは改正すべきではないか、そして三種については今回改正のようにこれをまた六割の補助率にするのでありますから、本則もそのように改めるべきではないか、こう考えざるを得ないわけであります。なぜ一体、こういう漁港法を持ちながら、今日の趨勢、今後の推移から見ても、その基本になる補助率は、その実態そのものを取り入れて本則を改正すべきではないか、こう思うのでありますけれども、この点の見解はいかがですか。
  126. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 まず、第三種漁港について今度補助率を引き上げましたのは、これがかなり全国的な規模のもので全国の漁業振興に相当広域に寄与するということと事業規模が大きいという観点から、補助率の一部について、特にその基本的な施設の金のかかる部分について国の負担率を改めたわけでございますけれども、第一種及び第二種の漁港となりますとかなりローカルな漁港になってまいります。その補助率はいま先生御指摘のように本則では百分の四十となっておりますけれども、その附則で沿岸漁業の構造改善に資するものについてはその府県内について百分の五十ということで当分の間の措置が別途規定されておりまして、実態としては全国的に全部の第一種、第二種漁港についてこの百分の五十の補助率が適用されておるのは事実でございます。したがって、本則を改めろというようなお考えも当然出てまいろうかと思うのですが、現状では特別に負担の面で支障がございませんことと、やはり他の公共事業等とのバランスといったことも考慮する必要がございますので、現状では現行のままで推移をして、今後の情勢によってまたそういったことも検討したいというふうに考えております。
  127. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は理解がなかなかすとんと落ちないわけでございまして、後から同僚委員からもこの点集中的に質問があると思いますから、次の質問に移りたいと思います。  漁港の改修事業の問題でありますけれども、これはそれぞれ補助率は修築事業に準じて定められておる。これは漁港法にこれらの事業についての何らの明記がないわけであります。しかも補助率についても、漁港関係事業補助金交付要領、通達ですね、通達でこの補助率が決まっておる。こういう点で、これは昭和三十八年の第三次以降実施されたものでありますけれども、われわれが実際に各自治体歩きますと、事業内容が六億以内とか制限がありますから事業量としてはもちろん小さいわけでありますけれども、最近の漁港整備のおくれから見て、何が一体修築であり、何が改修なのか。もちろん修築の場合にはそれぞれ国会の承認を求めるわけでありますけれども、この点余りにも便宜的過ぎるのではないかという感じがしますし、またここまで大きくなってきた漁港改修事業を判断すれば、当然これは漁港法に根拠を持ち、補助率もきちっと政令等で定められるべきではないか、この点が単なる通達で、第六次計画に当たっても依然としてこのまま従来の形で推移をする、ほおかぶりしていくというのはどうも一本抜けておるのではないか、こういう感じがするのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  128. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 漁港の修築事業はお説のとおり一定規模以上、今回では六億円以上というふうにしてございますが、大規模なものでございまして、全国の漁港の整備を進める上で基幹的なものであります。そういった意味で、やはり国会の承認をいただいて漁港名、整備の大綱が決定されるものだというふうに考えられますが、漁港の改修事業というのはその補足的な性格を持つ事業と理解しておりまして、漁港名、事業内容は事務的に決定される計画に基づくもので、修築事業に比べてやや弾力性を持っておるというふうに私ども考えております。そういう点で、国会の承認をいただくということでなくて、このような制度を設けて広く全国の大小さまざまな漁港がそれぞれの事態に対応できるようにいろいろと内容を盛って実施を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、今後もこのような方式で進めてまいりたいというふうに考えております。
  129. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いまの後段の説明は私も納得ができるのです。やはり弾力的に対応するということはいいのですよ。ただ、制度ですから、これだけの予算規模を持つ制度法律的に、政令的にぴちゃっと位置づけされていないというのは何か一本抜けているのじゃないか、たとえばこの補助率についても全く修築事業と同じ補助率を適用されておるわけですけれども、これが単なる通達で、これだけの予算を組む、六次計画に占めるものをそれだけで事足りるのだという感覚自体が余り弾力し過ぎて、ぴしっと位置づけするところまで弾力的に考え過ぎているのじゃないか、この点をやはり私は整理する必要があるのだ、こう思うのですが、そこはどうですか。
  130. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 先ほど漁港部長から説明しましたように、修築事業に比べまして事業規模その他でやはり補足的な事業という性格が非常に強うございますので、やはり弾力的に運用するという方に重点を置いて現在運用しておりますし、また今後もそういう必要が漁港修築あるいは改修の実態から見て出てまいるのではないかというふうに考えております。
  131. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 後からまた質問があると思うのですが、とにかく事業費もこれは全体計画から見て非常に大変なお金であるわけですね。ですから、私は弾力的に対応するということはいいことだと思うのです。それは納得し理解しておるわけです。ただ、問題はそういう改修事業補助率が、単なる次官通達的な要綱で処理をされている、あるいはまた改修事業——それだけの弾力的に対応する位置づけもやはりこの本則の中に根拠条文というものがあっていいではないか、こういう気がするわけです。今後また法案の改正もあると思うのですけれども、ひとつ十分これらの問題についても検討されて、これが第七次、第八次組んでいっても改修事業というものは当然組まれるわけでありますから、そうであればこれは漁港法の重要なある部分を占めるわけですから、そうすると、漁港法という基本法があり、それに伴って政令があるわけですから、そういう点もやはり整理をされておくことが大事ではないか。この点も、時間がありませんから見解だけを述べておきたいと思います。  最後に、今年度水産庁の予算漁業集落の環境整備について、全国十五カ所モデル地区の選定が行われて、六千百万円でこれから調査をする。この発想は、聞くところによると農村総合整備モデル事業、これらの事業から発想されて、漁村にも集落の環境整備をするのだ、そのために調査をまず行うということは私は非常に結構だと思うわけであります。したがって、これらの点について、今度の計画と関連して基本的な方針をこの機会に明らかにしてもらいたい。同時にまた、漁港整備の推進とこれは関連を持つものであるのが当然だと思うわけであります。そういう点についてはどういう構想を持たれてこれらの調査にかかろうとしているのか、私は、そういう意味ではこれからの新しい漁村づくりというものはまさしく漁港を中核として生活環境の整備を図っていく、あるいはまた多獲性魚種の高次加工をやっていく場合には背後地も必要である、水産加工についても配慮をしなければならない、きめ細やかな政策がこれから要請されると思うわけであります。そういう面からいっても今度新予算でこれらの調査費がついたということは非常に結構だと思うのですが、それだけにやはりこれは従来の発想以上に強力に前進をさせなければならぬ、推進をさせなければならない問題ではないか、こう思いますので、これは大臣から見解を承りたいと思います。
  132. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御承知のように漁村部落はわりあいに交通その他の面からいたしましても非常に不便なところにございます。また地形的にも余り広い背後地のない、山が迫っておるというような地域でございます。私は、漁業の振興、漁村の発展を図りますためには漁港の整備や沿岸漁場の開発整備事業というような、そういう生産基盤の整備とともに生活環境の整備が必要である、そして快適な健康な生活が漁業者諸君にも提供されるということが漁業振興上必要である、こう考えておるわけでございます。そういうような観点から今年度予算におきましてそれを政策の一つの大きな柱として打ち出したわけでございますが、いま申し上げたような観点に立ちまして、この事業は今後とも力を入れてやってまいりたい、このように考えております。
  133. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 終わります。
  134. 金子岩三

    金子委員長 新盛辰雄君。
  135. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の漁港関係法案の重要な改正として第三種漁港の国の費用負担割りを、特定第三種漁港を除いてでございますが、この漁港修築事業のうち、外郭施設及び水域施設にかかわる現行の百分の五十を百分の六十に引き上げる、地元の負担を少なくしようという意図によってこの第六次計画を立てられた、こういう説明があるわけであります。  そこでまず冒頭に、いまもお話がございましたが、われわれがどうしても今日の水産業の発展なり二百海里を問題にしてきている状況の中では、少し発想の転換を図るべき時期に来ているのではないか、いままでの計画が悪いというのではありませんけれども、少なくともその進捗状況の上から見ましても、御説明では今日の特に第五次計画等については少なくとも経済界、いわゆる総需要抑制の面から来る問題もあったし、あるいは計画を立ててもそれが実行段階においては地元負担との関係等もあってなかなか進捗をしていないという理由なども挙げられているわけです。私は、ちなみに第一次漁港整備計画、昭和二十六年第十回の国会で決められた議員立法として、これが二十九年まで四カ年の実績を持っているわけです。当初発足をした時期においてはその進捗状況も、表で示されておりますように、非常に好調であった、しかし現実は、第一次の場合はそうまではありませんでしたが、第二次漁港整備計画そして第三次、第四次、この第三次、第四次のあたりでは少なくとも七八%とかあるいは六六・九%だということで、実績的にきわめて順調であった、しかし第五次の段階に来て、ほとんどの年次計画が変更される、たとえば第三次計画の場合でも八カ年計画が六カ年計画になる、第四次計画でも当初の五カ年計画が四カ年計画になる、そして今回も四年間でもって終息をして、新しく第六次をつくるという現状であります。このことについて、やはり地域で漁港を主体にしてこれからの水産業あるいは漁民生活を高めていくという面においても、ただ単に進捗状況がこうだからと安易に第六次、第七次と移りかえていくということはいいのか。これも大臣の先ほどのお答えもあったのですけれども、現実の問題として、そうした面の計画全体の見直しを図る必要があるんじゃないか。いま全国で全国指定漁港が二千八百二十九港、これは五十二年一月現在でございますが、この法律の中にあります外郭施設あるいは係留施設、水域施設あるいは輸送施設及び漁港施設用地などの整備という面において、現実の問題は、係留施設などについて少しランクが低いというかそういうのもありますけれども、こうした全体の漁港整備に当たっても、一種、二種、三種、そして特定三種、四種とあるわけです。これは後で触れますけれども、総じて全体的に進捗状況がいまのこの状況でよいのか、見直しをする必要があるんじゃないか、計画全般にわたってまずお尋ねしたいと思います。
  136. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 過去の第一次から第五次までの整備計画の進捗状況を見てまいりますと、御指摘のように、第五次の整備計画の進捗率が非常に低位に相なっておりますことはきわめて残念に思っておるわけでございます。しかし、このことは、御承知のように石油ショック以来総需要抑制政策をとらざるを得ず、また公共事業を前年並みということで抑えてきた、このことが非常に大きくこの進捗率に響いておりまして、御指摘のように五〇%程度にとどまったわけでございます。私はそういう特異な経済情勢というようなものがなければ、七〇%なり八〇%に近い進捗率が確保できたと思うわけでございますが、これはやむを得ない、避けて通れない事態であった、このように思っております。  そこで、第五次を四カ年でとどめ、そして第六次に移行した。そして第六次の計画の内容というものはどういう展望の上に立つものであるか、これが一つ問題になるわけでございます。私どもは二百海里時代というものの到来を予想をいたしておったわけでございまして、国連海洋法会議の動向等を見てまいりますと、どうも二百海里時代というものは必至である。こういうようなことから、御承知のように、五十一年度予算編成に当たりましては沿岸漁場開発整備事業を公共事業として実施する、沿岸の漁場を開発整備をし、資源をふやし、さらに進んで栽培漁業等を盛んにしなければならない、こういう政策を打ち出し、そのような予算措置をやったわけでございます。それと平仄を合わせまして、この沿岸・沖合い漁業というものを大きく振興させなければならないという情勢に対応いたしまして、第六次の漁港整備計画を五十二年度から発足をさせたわけでございます。この六次計画の内容に盛りましたものは、いま申し上げたような展望の上に立ちまして沿岸・沖合い漁業の振興、さらに栽培漁業について今後特段の政策努力をやってまいる。そういうようなものを含めまして、大きな漁港もさることながら、中小の漁船等の利用いたします第一種、第二種の漁港等につきましても今後特段の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  137. 新盛辰雄

    ○新盛委員 二百海里時代における海洋構造の変化、そしてこれによって変わる今日の漁業あるいは水産という問題では、当面私どもは新しい海洋秩序の時代を迎えている、そういう位置づけをするのでありますが、その重要な役割りを果たすことのできるこの沿岸漁業の見直し、いまも大臣おっしゃいますように、強力な水産業基盤の確立を図るのだ、そして地元漁業をさらに振興させる必要があるということは同感であります。そのためには第一種漁港及び第二種漁港、第四種漁港、これなどは離島周辺の漁場の開発なども関連をするわけでありますが、こうした面も三種なりあるいは特定三種漁港などと含めて、当然並列化した形の中で計画を爼上に上せる、浮上させる、そういうことでなければならないのではないか。特に今回の場合修築工事、この総事業費は八千八百億、そして第一種の場合でも「その利用範囲が地元漁業を主とするもの」であり、第二種は「その利用範囲が第一種漁港よりも広く、第三種漁港に属しないもの」という規定づけの中ですけれども、こうした面を実施計画の中で少なくともいま採択をされる場合に、全体で四百五十港今度の計画にのっているわけですが、第一種の場合百七港、第二種の場合は百八十三港という御計画であります。経済の推移その他いろいろな事情はありましょうが、今後いわゆる規制を受けるであろう入漁料の問題がどうだとかあるいは制限を受けるんじゃないかという厳しい時代であるだけに、沿岸漁業の振興というのは大事なことになってきた。だからそれだけに一種、二種の漁港開発という一面にはもっと力を入れるべきではないか。その面で負担割合も百分の五十と据え置かれるわけです。それをなぜ同一の基準までに上げていかなければならないか。理由は、地元負担が大変になるだろうから、あるいは県以下市町村の段階になると大変なんだからということになるんでしょうけれども、先ほどの大臣の御説のように、もしそういうところの山の迫った漁港、しかも非常に不便である、輸送施設の設備、道路その他の問題で、これは建設省なり運輸省なりの関係も出てくる。そういうことの相関関係があるからむずかしいんだというだけではなくて、積極的にそうした面を開発しなければ、栽培の問題も原案における漁業振興の問題も大変なことになるのじゃないかということから、もう一回その面を明らかにしていただきたいと思うのです。
  138. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 新盛さんの御指摘のとおり、今後は沿岸・沖合い漁業、栽培漁業の振興に水産行政、漁業行政の施策の重点を置いてまいらなければならないと私も同様に考えておりまして、新規の漁港の採択につきましては、一種、二種等の漁港に重点を向けまして、そういう新しい情勢に対応するように、栽培漁業、沿岸漁業等の振興のために私は特段の配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  139. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 一種、二種の漁港の整備については、当然今後沿岸漁業振興と絡めて整備を推進するわけでございますけれども一般的に一種、二種漁港になりますと、規模の小さいものが多いわけでございまして、単に修築事業の計画の中で取り上げられております港だけでなくて、改修事業あるいは局部改良事業であわせて整備を進めていく必要が実態上ある地点が非常に多うございます。改修事業としてはおおむね八百二十港を予定しておりますけれども、そのうち第一種、第二種の漁港が約八百港になっております。大部分が一種、二種漁港でございます。それから、同一期間内に局部改良事業として実施するということで考えております港の数がおおむね千二百港でございますけれども、これはほとんど全部が第一種ないし第二種の漁港でございまして、これらを合わせますと、第六次の計画期間内に整備されます第一種、第二種の漁港の数全体は約二千三百港というふうに推定されておりまして、現在漁港として指定されておりますもののおよそ八〇ないし九〇%ぐらいを、その地域の特色なり、先ほどの沿岸漁場の整備あるいは栽培漁業の振興、そういった施策と関連させながら今後整備をしていきたい、かように考えております。
  140. 新盛辰雄

    ○新盛委員 その必要性はわかりました。第一種、第二種漁港振興の上からも、この整備のおくれていることに対応して、国庫負担割合を、三種漁港の百分の五十を百分の六十に引き上げたように、百分の六十に引き上げるお気持ちはございませんか。
  141. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 漁港の施設の整備に関連する国の負担割合につきましては、その公益の及ぶ範囲といいますか、どういう範囲にその受益が及ぶかという観点と、その需要の規模がどの程度の規模のもので、そういう直接的な受益者でどの程度まで負担でき、また国として、全体としてどの程度負担するか、こういう観点が公共事業一般のバランスの問題としても、また適正な負担割合を国全体として考えるという上からも必要であると思います。第三種漁港につきましては、その利用範囲が全国的な規模のものということでございまして、単に地元だけでなくて、相当外来船が多うございますし、広域に漁業一般に裨益する。したがって、また地元だけでそれを負担するということも非常に実態上からいってもむずかしい。同時に、事業規模も相当大きな規模になりますので、そういう面からも国の負担の割合を高める必要があるということで、今回基本的な施設について国の負担割合を引き上げることにいたしたわけでございます。  かような観点で整備をいたしますと、一種、二種漁港につきましては、現在の負担割合で、できるだけ地域の実態に合ったきめの細かい、総合的な沿岸漁場整備等と関連した漁港整備を今後進めていくのがやはり現実的ではないかというふうに考えております。
  142. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この変更後の漁港整備計画の中で、今回の漁港整備計画で採択をする漁港ですね。全国指定漁港は二千八百二十九港あるわけですが、これを対象にして選定、採択をされるわけですが、この採択の基準は、この法律によるいろいろな理由はありますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  143. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 第六次漁港整備計画の計画方針といたしましては、新しい海洋秩序の時代に対応した国民の食生活に必要な水産物の安定的供給を図る、それから漁業生産の確保と同時に流通機構の改善や漁港の安全性の確保、なおまた地域社会の基盤強化の観点等から、沿岸漁業及び増養殖漁業振興上重要な漁港、それから沖合い漁業の根拠地として重要な漁港、遠洋漁業の根拠地として重要な漁港、それから第四種漁港のように、漁場の開発または漁船の避難上特に必要な漁港を選定するというこの方針に基づきまして、具体的な漁港の選定に当たりましては、計画目標の達成の上からはなるべく多くの漁港を取り上げる、そういうことが望ましいわけでございますが、事業費、資本の効率的使用並びに事業の重点実施の面から、すべての漁港を実施することは非常にむずかしゅうございますので、計画目的の達成にいわば密接な関連を持つと思われます漁業勢力その他の要素が一定基準以上であるという要件を満たすものであり、かつ施設の不足度合いの高いものを選定する、こういうことで選定を行っております。  また、各港別の計画内容は、それぞれの漁港の施設の現況と将来見通しに応じた必要性を勘案したものとしておりまして、一応整備計画に採択する修築事業は、六億円を超える大規模なものについて整備計画の対象といたしております。
  144. 新盛辰雄

    ○新盛委員 先ほども岡田委員の方から質問があったわけですが、この改修、局改、こういうような区分けの仕方についても、従来修築の方が三億であったのが六億以上、そしてまた改修については三億以下、そしてまた局部改良については三千万以下と第五次ではなっていたのですが、それが倍増していくわけですけれども、現実にこういう取り扱いが妥当であるかどうかということなんです。そのことについて、先ほどのお答えでも明確を欠いているのです。何か便宜的に、地元の負担割合の関係もあってそういうふうに策定されているやに見受けられるのですけれども、この点はどうなんですか。
  145. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 修築事業、改修事業、局部改良事業の区分、このことにつきましては、前回の第五次漁港整備計画では、お説のように、三億円以上が修築事業で実施というふうになっております。今回これを六億円以上というふうにいたしましたことは、五次の整備計画の発足が昭和四十八年でございましたけれども、その当時に比べまして、今回の発足年の昭和五十二年は諸物価が著しく高騰しているという、いわば物価の変動という問題が一つと、それから整備が大分進んでまいりまして、全国的に工事の実施上、非常に水深の深いところだとか、あるいは地盤の非常に悪いところだとか、あるいはまた従来波浪が非常に収斂いたしまして工事の実施しにくいところだとか、いわば非常に事業費のかかる悪条件のところに事業の実施が図られるという現状に逢着する個所が非常に多うございます。これらのことを考え合わせまして、実質的には従前と同じ規模や、あるいは従前と同じ機能を果たし得るような考えのもとに、一応の基準を六億以上ということで修築事業を設け、また同じようにして改修、局部改良事業の基準を直した次第でございます。
  146. 新盛辰雄

    ○新盛委員 法律の三条で、基本施設の中に外郭施設あるいは係留施設、水域施設、そして機能施設以下輸送施設やらあるいは鉄道、軌道、道路、こうした問題を含めてこれを漁港施設の意義として位置づけられているわけです。そうした面から、今回の第三種の漁港指定の中における負担割合が百分の五十が百分の六十、それも外郭施設、水域施設だけですね。係留施設はないわけです。そしてまた、輸送施設及び漁港施設用地等の整備をすることにはなっているのですが、この係留施設の面も、岸壁だとかあるいは係船浮標、係船くい、桟橋、浮桟橋、船揚場等、こうしたことが港においては、特に漁港においては必要欠くべからざるものでありますし、これも率の面で負担割合を上げる必要があるのじゃないかという一面を考えるのですけれども、この辺はどうお考えですか。
  147. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 お説のとおり修築事業に採択されまして全国的な規模の中で漁港の整備を進めていく、その施設の整備に関しまして、それぞれ負担の相違があるということは一応考えられないわけではございませんけれども、投資の規模あるいは投資の効率的な使用、そういう点を一応別な面で考えますと、目下のところ多額の費用を要する外郭施設、それから水域施設、これが事業の規模の中では一番多うございまして、これらの負担割合を引き上げて、予算の重点的な、効率的な使用を図ることもまた重要でないかということも考え、そういった面である程度重点をしぼって実施を進めてまいりたいと考えております。
  148. 新盛辰雄

    ○新盛委員 既定漁港整備計画から引き続き第六次の漁港整備計画で行われるのは三百六十七港ということになっております一内訳は、第一種が七十六港、第二種が百四十三港、第三種が八十港、特定第三種港が十一港、第四種が五十七港なんです。第六次漁港整備計画に新たに追加する漁港が八十三港あって、その内訳は第一種三十一港、第二種四十港、第三種二港、第四種十港というふうになっています。  それで、いま重点的にというお話でありますが、こうした重点的な個所として今度新しく第六次におつけになる採択ですね、それはそれとしても採択されなかった漁港の整備、まあ従来どおり漁港の改修事業として六年間におおむね八百二十港くらいはあるんだというふうに言われております。こうした面について、局部改修事業ども含めて必要な漁港施設の整備を行うということなんですが、将来の見通しとしてどういうようにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
  149. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 修築事業は、いわば漁港の整備計画に基づき実施してまいる事業でございます。そのほかに、弾力的に情勢の変化に応じてある程度補完的な事業を進めていくに必要な漁港として改修事業がございます。それ以下の、いわば局部的に必要な改良を行う場合の事業として局部改良事業がございます。それはそれぞれの漁港の固有の特性を生かしつつ、必要に応じ弾力的に実施を図っていくという現状から考えますと、そのように修築事業だけではなくて、やはり改修事業とか局部改良事業でいろいろと対応してまいりたい、そういうふうに考えております。今後もまたこの必要性は十分出てまいるであろうと思っております。
  150. 新盛辰雄

    ○新盛委員 五十二年度以降六年間に総事業費一兆四千五百億、漁港修築事業が八千八百億、漁港改修事業が三千五百億、漁港の局部改良事業が一千五百億、調整費、これは予備費だろうと思いますが五百億、地方単独の事業等が二百億ということで一兆四千五百億になっているわけですね。それで、先ほども議論がありましたが、この調整の五百億というのはどういう形のことに、どういう場合に活用されるのですか。
  151. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 調整費の問題でございますが、私ども計画を進めていく上におきまして、当初予定した計画どおり諸般の事情が進んでまいるということはもちろん期待しておりますものの、ある場合には情勢の変化がございます。そういったときに、整備計画そのものの変更を行うような情勢の変化ではなくて、部分的に情勢の変化に対応する必要が生じたというような場合に、いわば調整費をもってこれに充当する、そういう意味で調整費が計上されてございます。
  152. 新盛辰雄

    ○新盛委員 少し前に返るのですけれども、この調整費もそうですが、特に第三種漁港における国庫負担の引き上げを行って、この分で地方の負担が軽減をされるということをしきりにおっしゃっておられます。しかし現実の問題は、工期の進捗状況が非常に悪い。悪い中でとりわけ係留施設等については、先ほどの説明によりますと、今後の問題として必要かつ重要な部面を主体にしているので、この面はこれからさらに検討を加えるのだということなんですけれども、特定第三種漁港並びに港湾法における特定重要港湾あるいは避難港、こういうようなところにたくさん設けられているのだから、その面との関連からこれは当然やむを得ないということをおっしゃっているわけですが、今後において検討されることを水産庁としてお考えになっておられるのかどうか、もう一回お聞かせいただきたいと思います。
  153. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 現在の国の負担の割合というのは、先ほど申し上げましたように受益範囲なり事業規模なり、そういったものの全体的なバランスを考慮して一つの体系としてでき上がっておるというふうに理解しております。基本的なそれぞれについての事情の変化があった場合は別問題だと思いますが、現状では、やはりこの体系を前提にして漁港の計画的な整備を進めていく必要があると考えております。
  154. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これからの問題点でございますが、現実に今回の整備計画事業を策定されていっても、いままでの例がそうでありますように、これから先、一兆四千五百億という莫大な六カ年計画が完全に遂行できる予算の確保、そしてこれらに対する万全の措置、そうしたことについて先ほど大臣も見通しの面でおっしゃいましたが、いままでの一次から五次までの経緯にかんがみて、第六次計画の完全なる実施ということについて、その決意はいかがでしょうか。
  155. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 厳しい二百海里時代に対応いたしまして、わが国の漁業を振興し、そして国民のたん白食糧の過半を賄っております漁業の振興、これは食糧政策の面からいたしましてもきわめて重要な政策課題になってきておるわけでございます。したがいまして、沿岸漁場の開発整備事業、沖合い漁業の振興、また新漁場の開発、また漁獲をされましたものを高度に加工し、冷蔵し、また流通に乗せていく、そういうような時代の要請にこたえるためには、どうしても第六次の漁港整備計画一兆四千五百億は計画年次にこれを達成しなければ新しい漁業情勢に対応できない、このように私は考えておりますので、これが遂行につきましては政府として最善を尽くす決意でございます。
  156. 新盛辰雄

    ○新盛委員 先ほども申し上げました地方公共団体等の負担割りを軽減をしていくということについて積極的な御回答もあったわけでありますが、第一種なり第二種についても十分に国庫負担率の是正、百分の六十への引き上げはどうかということについては、これはなかなか問題があるというふうにおっしゃっているわけですけれども、第四種の場合においても離島の関係における振興、これはわが国の二百海里、あるいは十二海里の宣言の問題が出てくる場合においても、沿岸漁業を中心にしたこうした漁港の整備ということについてはもっと積極的なものがなければならないはずだ。しかし、これはいまの第三種漁港の整備強化という面だけに重きが置かれている。そういう面ではどうしてもこれからの漁港整備という面で地域の漁民の皆さんの生活の面から反応として出てくる答えは、もう少し積極的な国の政策が必要なんだ。地方の負担割合が高くなるので地方自治体ではどうにもならないということから、どちらかと言えば余り重きを持たれていない。そういうことではよくないのでして、私は鹿児島県ですが、非常に離島が多い。そしてまた漁港の位置としても、零細漁民の生活の基盤として、しかもこれからの沿岸漁業の面において果たすべき役割りが非常に大きい。そういう面でも第四種漁港の整備という面でもひとつ積極的なお力添えをいただかなければならないわけでありますが、水産庁としてそうした計画についてお聞かせいただきたいと思います。
  157. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 第四種漁港の問題でございますけれども、第四種漁港は、漁港法では離島その他辺阪の地にございまして、漁場の開発もしくは漁船の避難のために必要な漁港ということで、いわゆる避難港、漁場の開発港ということでございます。これらの漁港の性格上いわば補助率が非常に高うございまして、第三種漁港あるいは特定第三種漁港の補助率よりは高くなっております。また、いまお話ございましたけれども、第四種漁港に投資する今回の第六次漁港整備計画の事業費約一千六百億、改修事業では七十六億ぐらいございまして、必ずしも等閑に付してはいない。これもまたいまお説のとおり、沿岸漁業の振興上きわめて重要なものと考えて、これらの整備についても鋭意努力してまいる所存でございます。
  158. 新盛辰雄

    ○新盛委員 わが国の漁業としては、国際的な環境変化等にも対応して、沿岸あるいは沖合い漁業の振興、そうしたことについて、流通の改善だとか、水産加工の問題とか、そうしたものを積極的に取り上げていかなければならないわけです。そのためにも漁業、水産加工、流通、そして輸送施設その他等における整備という関係が一体でなければならないことは、もうこの論議の中でも明らかになってきているわけですね。そうした面で総合的な一体的なものをつくり上げていかなければならないだろう。そのことがいまの漁港整備計画等によって内容的にまだ明らかにされていないわけですけれども、水産庁のお考えを伺いたいと思います。
  159. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 漁港は申し上げるまでもなく漁業の生産の基盤、拠点であるだけでなくて、漁獲物の流通、あるいはその加工、さらにその周辺での漁民の生活の場、そういった非常に総合的な意味合いを持っていることは、おっしゃるとおりでございます。従来から、漁港整備計画の中で直接的には他の事業との関連をうたってはおりませんけれども事業実施の段階におきましては、これらの漁港整備とたとえば構造改善事業によるいろいろな上屋の整備、あるいは水産流通加工センターの諸施設の整備、こういったものをそれぞれ担当部局間で協議をいたしまして、整合性を保ちながら総合的に整備するということで進めてまいっております。また、五十二年度からは新たに十五地区のモデル地域を選びまして、将来漁民の生活環境としての漁港という観点からも総合的な整備を進めていく必要があるということで、調査に着手をすることにしている次第でございます。
  160. 新盛辰雄

    ○新盛委員 先ほど岡田委員の方からもあったわけでありますが、漁業集落の環境整備ということについては、いま非常に必要になってきておりますし、いまも御説明がありましたように、全国十五カ所のモデル地域を選定をして六千一百万円の財源をもって調査を行う積極的なそのあり方については多といたしますが、漁港整事業漁業集落環境の整備事業が一体でなければならないことはもちろんですけれども、選定されたモデル地域における調査、これから波及するいわゆる全国的なそうした集落環境の整備ということに対して、これは第六次計画の中で、調査は当初おやりになりますが、将来年次ごとにこれらの集落の環境整備については予算化をしておやりになる、こういうことなんですか。
  161. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 漁業集落といいますか、漁港を中心にしました漁民の生活環境というものはかなり地域的にも状況が違っておりますし、そこで営んでおります漁業の種類その他によってもまた漁民の生活のありようも、たとえば大型船による乗組員中心の場合とか、沿岸漁村の場合とか、それぞれにかなり地域地域によって違った面がございますので、五十二年度はそういった漁業集落の特性に配慮をして、モデル的に地域を幾つかの類型を選びまして、大体十五地点で、今後の漁業集落環境の整備を行うためには何を重点に、こういう地帯ではどこに焦点を置いて整備するのが最も効率的であるか、必要であるか、こういったようなことを実態的に取りまとめまして、今後のそういった漁業集落の環境整備のための事業内容なり範囲なり、また一体どういう手法でやるか、あるいは助成の体系、事業量、そういったものの見通しを固めまして、これに基づいてできるだけ早く事業の実施の進め方、こういったものを検討したい、そういうふうにいま考えておるわけでございます。  なお、そういった基本的な集落整備への取り組みと別に、五十二年度におきまして構造改善事業との一応連携のもとに、その補完的な事業として別途漁村の生活環境の整備をこれは緊急対策として進めたい。両面でそういった漁村環境の整備に今後大いに力を入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
  162. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いま御説明の緊急整備計画を含めて総合的に一体になったこれからの検討も加え、策定をしていくというお話でございます。  現実、そうした面の整備計画等が、いわゆる予算の仕組みの中において地元の皆さんが期待をする、できることならば二百海里時代を迎えて現実の問題、沿岸漁業者、いわゆる漁民が生活安定をするために必要な基盤整備を図らなければならないということについて、いま説明の中ではこれからの研究課題、検討課題になっているようですけれども、検討してモデル地域を設けておやりになるそのことを一歩踏み出して、現実もう整備しなければならない時間の問題ではないか、もう手おくれにしているのではないかというふうにも考えられるのです。そういう面ではどうお考えなんですか。
  163. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、緊急整備を要する部落につきましては、第二次の構造改善事業の補足整備という形ではございますけれども、五十二年度からでも早速応急の整備ば進めたいという前提で、一方漁村集落の本格的な整備に着手するためには私どもも余り蓄積が従来ございませんで、それぞれの集落の地形あるいは地勢に応じてどういった整備を進めるのが最も合理的であるかについてやはり全国的な調査をやってみた上で、その類型ごとに最も適当な整備の進め方ということを固めた上で将来実施に移していきたい、それもできるだけ早くそういう本格的な実施に入っていきたい、かように考えているわけでございます。
  164. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いままでの漁港整備に当たっての決意のほどなどもよくわかりましたが、第五次漁港計画、現行やってこられた中において、これから第六次漁港整備計画に移り変わっていく段階で、やはり危惧を持つのは、どうしても進捗状況がよろしくない。もうただ計画倒れじゃないか。現実やってきているのだけれども、経済的な変動その他総需要抑制の理由等が第五次ではありましたが、これからの見通しなり、そしてまた二百海里時代を迎えて漁港整備が、第一種、第二種、あるいは第三種、第四種、特定第三種をも含めて総合的な計画が相またなければ、全国の採択をされている漁港整備として充実したものにならないのではないか。この心配は、いま漁民労働者を含めて漁業に携わる多くの人たちが心配しているわけです。だから、そうした各基本施設を含め、そして機能施設を含めて、これからの整備計画の中でもっと積極的なものとすれば、結局地方において現実その進捗度合いを図り得る工事の進展、そして整備計画、それが軌道に乗って、いまの日ソ漁業交渉の中でもいろいろ大臣が心配してやっておられるわけですけれども、近海のサバとかあるいはイワシとかそういうものを身近に近づけるような、そういうものをも含めて沖合い漁業あるいは沿岸漁業あるいは遠洋、そういうもの等の総合的なものを考えていく時代であるから、もっと積極的なそういう進捗の度合いを進められる、完全に計画どおりに乗っていくという監視体制的なもの、あるいは査察的なもの、そういうことについての指導とか、展望とか、あるいはこれからの策定における計画実行のそれを明確にしていくという面も、これは水産庁としてはお考えになっているのでしょうが、どういうようにこれからのそうした展望をもっと積極的におやりになろうとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  165. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 第六次計画の計画年次間に一兆四千五百億の事業量を達成して新しい漁業をめぐる内外の情勢に対処しなければならない、こういう新盛さんの御指摘は、全くそのとおりでございます。いままではどちらかと申しますと海に面した県なりあるいは市町村、漁業団体、漁民が、この基本施設としての漁港の整備ということを熱望し、努力をしてきたのでありますけれども、今日二百海里時代を迎えまして、日本の食糧問題にも重大な影響をもたらす、こういう厳しい情勢下に相なってきておりまして、国民的な世論、また政府全体といたしましても、沿岸漁業、沖合い漁業を中心とした日本漁業の振興を積極的に図らなければならない、こういう大きな国民世論が高まってきておると私は認識をいたしておるのでありまして、そういうことを背景にいたしまして、ぜひともこの要請にこたえるように、一兆四千五百億の第六次計画は計画年次中に達成できますように最善の努力を傾けてまいる決意でございます。
  166. 新盛辰雄

    ○新盛委員 質問を終わります。
  167. 金子岩三

    金子委員長 小川国彦君。
  168. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、今度の漁港法の一部改正に当たりまして、漁港というものを日本の国政として進めております全体の港湾事業、そういうものと対比をしながら、漁港の計画の進め方、そういう根本的な角度から漁港の整備というものを見直していかなければいけないのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、端的に申し上げまして、今度漁港法の改正の中で三種漁港について五〇%から六〇%に、一〇%補助率が引き上げられた。これは長年の漁民や漁協の念願であるし、また十年来の宿願であったということも言われておりまして、そういう点では一つの前進だというふうに考えるわけですが、しかし、私ども、運輸省の進めております港湾整備事業、これと漁港の整備事業というものを見ますと、日本の自民党の政治形態がそのままこういう国政の中に反映しているのではないか、そういうふうに思えるほどいろいろな計画の中において非常に格差が目立つわけです。それは農林省なり水産庁なりはそれなりに努力をされてきたとは思うのですが、日本の国政全体というものが工業優先、農業、漁業を軽視するという形が、ここ数年来の自民党の政治の進め方、行政の進め方の中に顕著にあらわれてきている。その結果、漁港というもの、あるいは漁業というものがだんだんと衰微し、荒廃していった、そういう点を非常に強く感ずるわけでございます。  それでまず最初に、私が運輸省の港湾整備事業というものを調べてみますと、運輸省の港湾整備事業では、まず五カ年計画、六カ年計画の対比でまいりますと、運輸省の港湾整備事業は昭和五十一年から五十五年まで五カ年計画で総事業費は三兆一千億円、そのうち国庫負担は一兆一千百七十六億円、これに対しまして漁港整備六カ年計画、これは先ほど来御指摘のように、ほかは五年でやるところを六年かかるという非常にまだるっこい計画でありますが、これが五十二年から五十七年までで総事業費は一兆四千五百億円、そうして国庫負担は五〇%としてみましても約七千億円、こういうように総事業費の割合を見ても、運輸省の港湾整備事業が三兆一千億、これに対して漁港整備計画は一兆四千五百億と約半分、それから国庫負担も約一兆二千億に対して七千億とこれも半分強というような状況で、これは一概な対比では言えないと思いますけれども、運輸省の港湾整備の五カ年計画と水産庁は六カ年計画でその半分、こういうように言うならば、運輸省のやっている特定重要港湾とか重要港湾というものは、工業化、貿易港、こういう性格のものであり、農林省水産庁のやっているのは漁業振興、こういう立場に立つものでありますけれども日本の国政全体が工業優先、輸出志向型から国内の内政重点に変更していかなければならない、そういうような時期において、この五カ年計画ないし六カ年計画自体が、漁港整備計画は運輸省の港湾整備計画の半分にも満たない、こういう状況は大変残念なことではないかというふうに思うわけなんですが、この点農林大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
  169. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 小川さんも御指摘のように、運輸省港湾と漁港とを一概に比較するわけにはいかない、こうおっしゃっておるわけでございますが、私も、運輸省港湾と漁港を全く同じベースでこれを比較するということには疑問を持っておるわけでございます。運輸省港湾は、過去におきまして、日本の経済の発展の過程におきまして、どうしても原材料あるいはエネルギー等を海外から輸入をして、加工をし、これを製品として輸出をする、そういう日本の経済の発展過程におきまして、どうしても犬型貨物船あるいは客船、タンカー船、そういうようなものを多く収容できるように、係留できるように、また背後地におきましても、相当の物資の蓄積なり荷さばきなりあるいは輸送施設なり、そういうものを必要としたわけでございます。したがって、工事費におきましても、相当深いところまで防波堤等を構築をする、こういうようなことで大きな工事費もそれにかかった、こういうことでございます。しかし今後は、安定成長の時代に入って、運輸省港湾も、私は、特定の貿易港から地方開発の地方港湾、重要港湾等に重点が移されていくであろう、このように見ております。  漁業を対象とする漁港につきましては、この漁港整備ということが発足が非常におくれた。私も議員立法で漁港法というものを制定した当時からこれに携わっておる一人でございますが、あの当時は六億程度の年間の予算から発足をしたわけでございます。今日、先生方の大変な御理解と御尽力によりまして、ここまで漁港整事業というものが発展をしてきた。第六次は一兆四千五百億ということになってきたわけでございます。私はこの整備計画は、決して十分なものとは考えておりません。しかし、二百海里時代という新しい、厳しい状況を踏まえまして、何としても計画年次にこれを達成をして、そしてわが国の漁業の振興と漁業者の生活の安定確保、さらに国民の皆さんに動物性たん白の供給者としてその使命を達成するように、基本施設である漁港の整備につきましては、今後とも最善の努力を傾倒する考えでございます。
  170. 小川国彦

    ○小川(国)委員 きょうは、大蔵省の主計局からもたしかおいでになっていただいておると思いますが、大蔵省の方では、この年次計画というものが、運輸省の港湾計画は五カ年、漁港は六カ年、こういう形になっているわけですが、こういう国政全体の予算というものを大蔵省はごらんになっていると思うのですが、運輸省の予算と対比して、こういう年次計画の食い違い、片方は五年で片方は六年というこの食い違い、それから、予算の投資額も、片方は依然として倍近い予算額を持っている、こういう差についてどういうふうに大蔵省は考えてこれの計画に参画をしてこられているか、その辺をお伺いしたいと思います。
  171. 西垣昭

    ○西垣説明員 お答え申し上げます。  港湾と漁港との比較で、現在の事業費、それから予算額が港湾の方が非常に大きい、漁港への配慮が足りないのじゃないか、こういう御趣旨の御質問だったかと思いますが、公共事業の投資配分につきましては、そのときそのときの時代の要請にこたえながら、しかし全体としてはバランスがとれた投資配分がなされるということが必要だと思います。そういった意味で、港湾五カ年計画につきましても、それから漁港五カ年計画につきましても、昭和五十年代前期経済計画、これは全体は百兆円でございますけれども、それとの整合性をとりながらつくられているものでございまして、その間のバランスはとれているのではないかというふうに思います。  それから、港湾と漁港とのそのときどきの要請の変化ということでございますが、たとえば最近における両事業予算の伸び方をごらんになっていただくとか、あるいはそれぞれの五カ年計画の中の今後の伸率がどんな予定になっているのかということをごらんになっていただきますと、時代の要請にこたえまして漁港へ相当な重点が置かれているということを御理解いただけるのではないかと思います。  それから、計画期間の問題でございますけれども、これは国全体としての五カ年計画との整合性はもちろん必要でございますが、いつから始まっていつ終わる、あるいは計画期間が何年間でやるかということは、それぞれの事業の必要性、行政の進め方の都合とかそういったもので変わることがありましても、そこのところは差しつかえないのではないかというふうに考えられます。
  172. 小川国彦

    ○小川(国)委員 まあ順次質問の中でひとつ問題点を明らかにしていきたいと思いますが、その次に、運輸省の重要港湾あるいは特定重要港湾の整備の場合の補助率というのは、従来から国の負担が非常に高いわけでございます。特定重要港湾などの場合は、水域、外郭施設について十分の五から十分の七・五、それから係留施設についても十分の五から十分の七・五、それから重要港湾の場合で大体十分の五・三五、こういう形で運輸省の重要港湾とか、それから特定重要港湾、これはいずれも日本の石油メーカーとか鉄鋼メーカーとか、そういう大企業がタンカーなり輸送船なり、そういうものが出入りするための港でありますが、そういう港については 従来から五〇%ないし七五%と、こういう非常に高い補助率で この仕事をやってきておる。漁港がたまたま今度五〇%から六〇%に上がった。それでも全国の漁民は喜んでおるわけでありますが、大企業の工業資本から対比してみますと、ようやくにしてそこまできたということで、この補助率自体も、特定重要港湾なり重要港湾から見ますと、これは運輸省の方の港湾の方が はるかに補助率においても恵まれてきておる。しかも、今度一〇%上げられたという第三種漁港の場合でも、従来国の負担が五〇%、これに対して県が四〇%、地元が一〇%、こういうようなことで、第三種漁港の場合には県から地元の市町村、漁協の負担まである。ところが、重要港湾の場合などは、国の負担が五三・五%、港湾管理者、いわばこれは県だと思いますが、県が三八・六%、財政投融資で二・九%、受益者は五・〇%、こういうことで、重要港湾とか特定港湾とかそういうところに隣接した大工業地帯の大企業は、いわば五%の負担で何百億という港湾整備事業というものがどんどん進められていっておる。第三種漁港の場合には、いま申し上げたように、地元の市町村から漁業組合までが含めて一〇%を負担し、そうして今度六〇%に国の負担が上がったからといっても、これが絶無になるという保証はどこにもないわけです。  こういう補助率自体を考えてみても、運輸省が進めている重要港湾、特定重要港湾というものと漁港というものの対比の中では、やはり漁港がまだまだ立ちおくれている。したがって、本当に地元の市町村なり漁協の負担をなくすところまで持っていくのには六〇%でもまだ不足ではないのか、こういうふうに私は考えるわけですが、この補助率の問題について農林省、水産庁はどのようにこれを理解して受けとめておられるか。六〇%で満足だと思っておるのか、それからまた、運輸省の特定重要港湾なり重要港湾との対比の中ではまだまだ不十分である、努力しなければならないということを感じておられるかどうか、その辺をお伺いをしたいと思います。
  173. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 お答えいたします。  運輸省の方の港湾の中でいわば重要港湾、稚内とか八戸とか長崎とか博多とか、これは重要港湾になっておりますが、これに匹敵する漁港は大体三種漁港ではないかというふうに思います。私どもで調査しておりますが、運輸省におきます重要港湾、これは外郭、水域、係留、臨港交通施設とも補助率は十分の五というふうに承っております。しかるところ、今回漁港の第三種漁港につきましては、外郭と水域施設が百分の六十になるということで、いわば漁港の方が優位になるというふうに考えてもよろしいのではないかと思います。  また、第一種、第二種漁港の補助率は、現在百分の五十になっておりますが、これと対比されますいわば運輸省の地方港湾、これは現在十分の四ということになっておりまして、これもまた漁港の方が非常に補助率がいいというふうになります。  なお、特定第三種漁港の補助率、これは外郭、水域につきましては百分の七十、係留施設につきましては百分の六十、輸送施設につきましては百分の五十となっておりまして、これと対比できるいわば特定重要港湾というようなもの、これは外郭、水域のうち一部の施設については、いま先生お話ございましたように十分の九のものがあるが、そのほかについては特定第三種漁港の補助率と同率かまたは低いものとなっており、さらにまた、第四種漁港でございますけれども、これは御承知のとおり、離島その他辺陬の地にございます避難港もしくは漁場の開発港でございますが、これはいわば港湾にとっては避難港と言われておるものでございますが、これと比較いたしますと、外郭、水域が漁港では百分の七十五、係留、輸送につきましては百分の六十となっております。これが運輸省におきます避難港では、外郭、水域施設は百分の七十五、これは第四種漁港と同率でございますが、係留施設、臨港交通施設については、地方港湾の補助率がそのまま適用されるようになっておりまして、十分の四ということで、第四種漁港は避難港よりもいわば全体的に高率になっておる、こういうふうな形でございます。  また、漁港施設用地でございますが、これは機能施設の中にございますが、これについては、港湾の方では現在補助対象になっておりません。  そういう点で私ども鋭意、先生のお説のように、漁港の整備促進と、その内容の充実方について努力を進めてまいっております。
  174. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省のお話を聞いても、漁港部長さんの話を聞いても、大変漁港がうまくいっておるようなお話なんですが、そういうふうに負担割合で漁港の方が優位に立っておる、こういうような見方をされておるわけなんですが、それならば、昭和五十一年度、五十二年度、港湾と漁港予算の対比をしてみますと、港湾整備事業は五十一年は国費で一千六百七億円、五十二年度は国費で一千八百五十一億円予算がついておるわけです。ところが、漁港整事業の方は、五十一年の国費で七百二十九億円、五十二年度の国費で九百十七億円、これも予算のつき方も、港湾整備事業から見ますと漁港は半分しか予算がついてないんですね。先ほど農林大臣予算も非常に比率が上がってきておるというようなことを言っておりますが、これも五カ年計画と同じように予算が半分なんですね。  私ども、港というものを見てみますと、工業港である重要港湾、特定港湾はぱっぱっと事業が進むのですよ。またたく間に港ができ上がっていくのです。ところが、漁港の場合はちんたらちんたら、いつになって防波堤ができるのやら、いつになって掘削が終わるのやら、何か去年行って漁港を工事しているのを見て、ことし行って見たら、何メートル工事が進んだのか全く進捗度がわからないぐらい、漁港の整備というのは素人目で見てもおくれておるわけです。それがこの予算の対比をしてみても倍違うわけですよ。ですから、補助率が上がったといっても、総体の予算が港湾に比して半分しかないのですから、先ほど部長さんは、地方港湾と重要港湾と比較して、それに対比する漁港は三種、二種、一種で、こちらの方が進んでおるのじゃないか、こういうふうに言われておるのですが、予算が半分しかとれなくて、五カ年計画でも半分しか計画が立っていなくて、一方は五年でやるのに片方は六年でやる、こういう状況の中で果たして工業港に漁業港がいつの段階で追いついて肩を並べられるのか。そういう目標というものは、私は当年度の予算を見ても、五カ年計画を見ても、いわば重要港湾、特定港湾といわれる工業港と、それに対して漁港の差は、片方が百メートル走っているときに片方は五十メートルで、五カ年計画でもその速度だったらこれは変わらないわけで、いつまでたっても貿易、輸出優先型の日本の政策、大企業やあるいは商社優先の工業政策と、それから漁業が立ちおくれていっているこの政策のアンバランスというものは一体どこで埋められるのか、非常にその点を疑問に思うのですが、この予算の策定に当たって、水産庁としてはこういう半分しかない予算で、いつになったらそういう重要港湾と肩を並べられるような港がつくれるというふうに考えているのか、その辺の見通しをもう少しはっきり持ってもらいたいと思いますが……。
  175. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 一般港湾と漁港の場合には、やはり規模等の違いもございますので、一概な比較はできないかと思うわけでございますけれども、特に漁港の場合には一種、二種漁港に類するような、規模の小さなものが非常にたくさんあって、それをいずれも整備をしなければいけないという状況がございます。私どもとしては、決して現状で満足しているわけではございませんで、最近の漁業の振興なり、生産基盤としての漁港の重要性ということが、かなり一般にも認識をしていただくことができるようになりまして、近年での予算上の伸び率というのは、一般の港湾等に比べて漁港の方が高率になっているというふうに思いますけれども、やはり過去におけるいろいろな資本投資の蓄積、そういったストックの違いというようなこともあるわけでございますし、われわれとしては、やはり今後の沿岸漁業なり沖合い漁業の展望を前提にいたしまして、必要な生産基盤の整備に一層力を入れていかなければいけない。今回一応御提案を申し上げております第六次の整備計画については、少なくともこの程度のものを計画どおり実施ができるように、私たちとしては最善の努力を尽くす必要がある、かように考えております。
  176. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この問題は、さらに突き詰めていきますと、進捗率の問題にも出てきているわけです。港湾整備計画の進捗率を見ますと、第四次五カ年計画では運輸省の港湾整備事業は八三二%、第三次五カ年計画で見ましても六五%と、非常に高い進捗率を示しているわけなんです。ところが、漁港の方の整備計画の進捗状況は、第三次整備計画が六五%、第四次整備計画が七六・六%、第五次整備計画では五〇・一%と、半分しか進行してないわけです。そういう状況の中でまた次の五カ年計画が始まっていく、こういう状況では、いつまでたっても、進捗率一つ見ても、漁港の整備計画の立ちおくれは、一方が八三%もいっているときに一方は五〇・一%しかいかない、こういう進捗率の停滞の原因というものをどういうふうに把握をしておられるのでしょうか。
  177. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 過去におきまして年次計画を立てまして、それに沿って毎年の予算設定をやっておったわけでございますけれども、やはり計画を進めていく段階で、途中でいろいろな漁業を取り巻く諸情勢が変わって、漁港の基本的な計画そのものを見直しをしなければいけないということに迫られまして、途中で計画を切りかえてまいっておるわけでございます。確かに年次計画ごとに進捗率に差はございますが、三年目くらいで計画を変更した場合、四カ年目ぐらいで計画を変更した場合、さまざまな時代が過去にもございましたけれども、私どもとしては、現在の六次計画の中で想定しております将来の漁港整備の姿というのは、今後の六カ年くらいの漁業を見通して、大体満足すべき状況だというふうに考えておりますので、これの完全な実施と申しますか、進捗率の確保には、今後とも全力を挙げていく必要があるというふうに考えております。
  178. 小川国彦

    ○小川(国)委員 この五カ年計画、六カ年計画を見ましても、それから予算の対比を見ましても、進捗率の対比を見ましても、港湾整備計画に対して漁港の整備計画というものは非常におくれている。これはどこに原因があるか、私どもはこの問題をもっと掘り下げていってみますと、結局漁港整備計画というものが、予算の不足、補助率の不足、そういうことが末端の負担の構造というものを非常に圧迫している。それから水産庁自体あるいはまた大蔵省自体が、末端の地方自治体なり漁業協同組合なり、漁民の負担というものがどうなっているか、その負担の構造というものをきちんと把握をしていないためではないか、こういうふうに私は思うわけなんです。  それで、この負担の構造について、「漁業関係事業費負担割合一覧」というのがあるのですが、この「漁港修築及び改修事業」、こういうものの中で見てまいりますと、まず従来国の負担率が五〇%、これに対して県の負担率は、低いところは二五%から多いところは四〇%というように、県の負担率もまちまち、そこへ持ってまいりまして市町村の負担割合も一〇%から一五%、あるいは二〇%、二五%というようにまちまち、こういうことでございます。  そこで、さらに私の調査したところを見てまいりますと、国が五〇%、県が四〇%持っているところで、地元が一〇%ということでございますが、この地元の一〇%の内訳を調査をしてまいりますと、自治体が六・二五%、これに対して漁業組合が三・七五、あるいは自治体が七%に対して漁業組合が三%、あるいは自治体が六・五%に対して漁業組合が三・五%、このように地元負担という中に、市町村が負担するだけではなくて、末端の漁業組合にこの漁港整備の負担金をかけているわけです。ほかの国の事業というものは、国、県、市町村の負担の割合というものが、学校にしても道路にしてもきわめて負担割合、補助割合というのは明確になっているのですが、この漁港整備の場合には負担割合がまちまちである。しかも末端においては地元の市町村が漁業組合に対して平均三%くらいの負担を求めている。港をつくるのにまで漁民から負担金を取っている、こういう末端の負担の構造があるわけです。こういう負担の中で港づくりが進められているわけですから、これは容易ではないわけであります。こういうことから末端の漁業組合では、港の負担金のお金がなくて農林漁業金融公庫に融資を求めるというところまでいっているわけであります。この末端の負担の構造というものを水産庁はどういうふうに把握して、これを改善していくという考え方を持っておられるか。
  179. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 漁港整備につきまして、一応国の負担額の残額を、原則的には県と市町村が分けて負担しているというのが通常の姿ではあるわけでございますけれども、中に先生御指摘のように市町村負担の一部を受益者である地元漁業協同組合等が負担しているという例もまた少なくないということを、私どもも承知をしております。  ちなみに、過去のそういった負担割合をそのまま今後の六次整備計画に拡大をいたしまして当てはめて、それぞれの負担額を計算してみますと、国の補助残に対して都道府県が大体三千億円余り、市町村が大体一千三百億円ぐらい、そのほかに漁業協同組合等が負担しているのが総額で約百億円くらいになるだろうという割合というふうに試算をいたしております。  しかし、漁港の整備を進めますのに、やはりそれぞれの市町村の財政事情もございますし、漁業者の団体といたしましてもかなり直接的に受益をするものの一員として、できるだけ早く港の整備を完成してほしい、そういったような希望もございまして、今後ともそういう負担の割合については、運用面でのいろいろな具体的な問題点等に応じて対策、対応を考えなければいけないとは思いますけれども、現状ではそういった地元漁業協同組合の負担に対しまして、これは短期にすぐ償却できる性質の経費でもございませんので、別途先ほど御指摘のとおり農林漁業金融公庫を通じて制度融資で長期、低利の資金を融通するということで一応対処をいたしておるわけでございます。ちなみに、貸し付け金利は大体五・五%くらいで償還期限二十年というかなり長期の低利融資ということで、漁業者の方の負担の軽減を図りながら、しかし、漁港の整備の方も地元のそれぞれに要望に応じて、できるところは一日も早く完成をしたいということで、ある程度地元負担ということも先ほど申し上げた程度の割合で容認しながらやっておるわけでございます。
  180. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省の主計官に伺いたいのですが、末端の漁業組合漁港整備のための借り入れは、いま水産庁で約百億と言いましたが、私どもの調査では、農林漁業金融公庫が五十年度末残高で漁業協同組合に漁港資金として貸し出した額は七十八億五千万円の残高に上っているわけです。これは漁港整備の中では非常に苛酷な負担になっている。そうかと言って、これを末端の町村に負担せよと言っても、末端の町村自体がきわめて財政難である。したがって、地方交付税の中では漁港維持管理費というものが交付税の積算の中で認められているそうですけれども、実際はそれすら他の事業に流用されてしまって、結局そのしわ寄せが漁業者、漁業組合の方に来る。漁業組合に負担を求めた結果がこういう借り入れをすることになっている。これは農林漁業金融公庫でこういう数字ですが、あるいは別のところからの借り入れもあるかもしれません。いずれにしましても、漁港に対する補助率というものが一〇%上がったところで、実質的にはこういう末端の市町村から漁業組合に対して過重な負担となっている。漁港の整備というものが市町村でも非常に財政基盤の弱い市町村、あるいは漁協にまで負担が及んでいるという実態をどういうふうに改善していくか、この予算的な措置の面を含めてどういうふうにこの改善策をお考えになるか、ちょっと伺いたいのです。
  181. 西垣昭

    ○西垣説明員 いかにして漁港の整備を進めていくかということでございますが、われわれといたしましても、現在の漁港を含めた日本の社会資本の水準というのはまだまだ十分ではない、したがって、その整備を進めるために、これからも相当な努力が必要であるというふうに考えております。  一般論になって恐縮なんですが、いまの御説は、そのためにも国の負担をもう少し大きくして整備を進めたらどうだ、こういう御趣旨だと思うのですが、そういうことが許されるような状況ならばそれも一つのお考えだと思うのですけれども、現在国の財政が置かれている状況というのは、二年続きまして三〇%近い公債を発行せざるを得ないというような状況でございます。五十二年度について見ますと、八兆四千八百億の公債発行をせざるを得ない。そのうち四兆四千三百億が建設公債ということでございまして、公共事業の財源としましては揮発油税等特定のものを除きますと全部公債に依存しているような状態です。こういう状況のもとで社会資本の整備を進めるためにいかにして公共事業予算を確保していくかというのは、これからも大変にむずかしい問題だと思うのです。そういう苦労をしまして国費を伸ばしたときに補助率を上げるということは、一定の国費を前提としますと事業費の伸びをそれだけ押えるということになりまして、国の立場からいきますと事業を伸ばすのにはむしろマイナスになる、こういうような関係にあります。そういうことでございますので、私どもといたしましては、いまの状況のもとでは社会資本の整備を進めるためにも一般的に補助率を引き上げることはいかがかな、こういうような感じでいるわけでございます。  ただ、そういう姿勢の中でも今回、漁港、ことに第三種漁港につきましては、補助率調整の一環といたしまして地元負担の軽減を図るということで相当努力をしたつもりでございまして、その点につきましては御理解をいただけるのではないか、実はひそかにそう思っていたわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  182. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、水産庁当局なりあるいは水産庁を担当していらっしゃる主計当局が努力をされたということは多として認めているわけです。確かに十年間の悲願であった一〇%引き上げができた、これは一つの前進だと思うのですが、そうした努力とは別に、もっといまの体制そのものというものを考えなければいけないのではないか。ですから、その分野の中の努力がなされても、総体のバランスというものの中で農林漁業の、特に漁業の立ちおくれた状況というものが従来の比率の中に置かれていたら、その中で幾ら努力をしてもこれはおのずから限界がある。その比率の体制そのものを変えていく努力を体制の中にある皆さんもやらなければ、これは変えていくことはできないのではないか、こういうことを指摘しているわけであります。  それからもう一つ。これは水産庁の当局に強く指摘をしておきたいのですが、やはり末端の負担の構造というものを水産庁の当局も恐らく把握されていないのではないか。末端の市町村がどういう負担をし、あるいは漁業組合がその負担する金について融資を求めているという状況までは水産庁で把握しておるようですけれども、それがやはり漁業組合にとって負担となっているという実態は、よほどそれを是正するという決意がなければならないのではないか。と申しますのは、私の調査では、重要港湾の負担金について国と県と市町村がやはり負担をしていますが、受益者負担というものはもうない、こういうところが出てきているわけです。受益者負担がないのですよ。いわゆる大企業の鉄鋼にしても造船にしてもあるいは石油にしても、そういう重要港湾に隣接しているところは一銭も負担金が出ていないのです。そういう中で港湾の整備が行われているものと、漁業組合の末端の方まで負担金を取っている漁港の進め方と、経済力においてはるかな差があるということ。そういう観点からいけば、これは大蔵省の当局も水産庁の当局も、やはり実態というものを見ていただけば、漁業組合にまで負担を求めている漁港と市町村段階までの負担にとどまって一般の私企業から一銭も負担金を取っていない、そういう実態を十分見詰めてこれは改善をしていかなければならないのじゃないか。末端の負担の構造に対して、水産庁はその是正に取り組むお考えがあるかどうか。
  183. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 末端の漁業協同組合漁港整備についてどの程度の負担をしているかということは、私ども事例的にはよく話を承っておりますし、それから先ほどのように、公庫資金の融資状況等を通じて概況を承知しておるつもりではございますけれども、なお今後のいろいろな施策を考える上での参考として十分実態の把握に努めたい、まずかように考えます。  ただ、これをすぐに是正するかどうかという問題につきましては、やはり漁港の場合には漁港として指定されているものだけでも二千八百港くらいにも上りますし、なかなか一つ二つの主要な漁港ということでしぼるわけにもいかないので、局改も含めまして相当数の漁港の整備を地域の実情に応じて同時並行的に進めなければいけないという要請も一方でございます。  こういった事業を進める上での市町村の負担の現実の問題といったことを考えますと、やはり事業をある程度必要な限度で伸ばしていくということを非常に重視しなければいけないという問題もございますので、そこは実態に応じて無理のないように、また漁業協同組合の負担等について、これが恒久的に望ましいものであるとは必ずしも思いませんけれども、現実問題として、過渡的にそういった問題を漁業協同組合が負担し切れない場合に、いまのような公庫融資の枠の確保その他についても一方では措置をしながら長期の問題として考えてまいりたいというふうに考えております。
  184. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大変残念なことであります。一方の大工業のための港では会社から一銭も負担を取らないで港をつくってやれる、しかし漁民には負担金を取らなければ漁港をつくってやれない、端的に言えばそういう実態をきちんととらえて、そういうものをどう改革していくか、そういう構えを水産庁も大蔵省にも強く持っていただきたいと私は思うのです。  それから最後に、漁港の建設計画の問題でございますけれども、漁港が第六次六カ年計画で一兆四千五百億で行われていくわけですが、重点的にどういうふうな漁港をつくっていくのか。いま大変な数の漁港を整備しなければならぬというふうに水産庁ではおっしゃっておられるのですが、たとえば身近な例を申し上げますと、千葉県の銚子港で、第五次計画で九十七億、第六次計画で百四十六億と、こういう投資計画を立てている。ところがその一方で、今度は川一つ隔てた茨城県の波崎港に、第五次計画で五十億、第六次計画でいかほどかわかりませんが、やはり漁港整備計画を立てている。本当にわずか川一つしか隔てないところにこういう漁港整備をやっていく。これは茨城側のかなり実力のある方がこういう予算のつけ方をしたんだということも言われているわけですが、港湾整備計画というものはやはり重点的にきちんと配置されてつくられていかなければいけない。  それからまた、漁港の規模というものも、どういうところにどの程度の規模のものをつくっていく、防波堤の長さはどれくらいとか、岸壁の長さはどれくらい、こういう基準というものが、一つの定型というものがなければならないのではないか。何年度計画で金を幾ら使った——金を幾ら使ったということだけが出てくるんじゃなくて、定型的なものがどう整備されてきたかという一つの型がなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、どうも千葉と茨城の私の身近な漁港のつくり方一つを見ても、川一つ隔てたところに、一方に二百五十億ですか、もう一方も恐らく百億近くなるかと思うのですが、そういうお金のかけ方はどうなのか。しかも茨城県の波崎港の場合には、実績がないために実績をつくろうとして無理をして、いま一生懸命波崎港に水揚げしている。水揚げしたものをトラックで回ってまた銚子へ持ってきて、わざわざ波崎港の水揚げ高を上げるというような努力までやっているというのです。そういうような行政指導のあり方というのは一体どうなのか。ですから、今度の六カ年計画の中でももっと重点的な予算の使い方、効率的な使い方、こういうことを考えていくべきじゃないかと思いますが、その点はどういうふうに……。
  185. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 個々の港の整備の計画をどういうふうにマスタープランを立てて、年々どういうふうに実施していくか、これはいま先生御指摘のようなことを十分考慮しながら、私どもも適正な計画をいままで立ててきたつもりでございますけれども、なお今後も実施の過程の中でそういった点には十分留意しながら検討を進めていきたいというふうに思います。  ただ、一言お断わりを申し上げておきたいのは、やはり漁港の場合には単なる船のつなぎ場という役割りだけではなくて、これは釈迦に説法でございますけれども、水揚げ地であり、その水揚げしたものを処理、流通する一つのセンターであり、またそれを取り巻いているいろいろな加工業との関連あるいは漁民の生活環境との関連、こういったことを地域の実情に応じてそれぞれ考えなければいけないという問題を含んでおりますので、隣接しておるから、一方の漁港だけ整備すればそこですべて用が足りるかといいますと、総合的に見て、どうしても近接しておってもそれぞれの地域の実情に応じた整備をしなければいけないというような面も一面ではございます。そういうことを前提といたしまして、しかしできるだけ効率的に、いまの六次計画の中で重点的なあるいは効率的な整備が行われるように今後とも努力をするつもりでございます。
  186. 小川国彦

    ○小川(国)委員 銚子と波崎の問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  187. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 銚子漁港と波崎漁港は川をはさんで相対峙しております。従来はいずれも河口を利用して、川の中に漁船を停係泊し、また水産物の荷役をしている経過がございますが、御承知のとおり水産業の近代化等に伴って漁船の大型化等もこれあり、いわば川の水深を維持することが技術的に非常に困難になってきているということと、大型化した漁船にとっての航行が非常に危険化しているという問題がございまして、まず非常に需要の高い、また漁船数も多い銚子漁港の面からその整備を始め、一応効率的な成果を得た、その様子を見た上で波崎側の漁港の整備、今回第六次整備計画を主体として整備を進めるという考え方でまいっております。  ただいま次長が御説明申し上げましたように、漁港それぞれには背後の人家あるいはその産業に従事する住民の皆様方それぞれ固有の歴史があり、経過がございまして、それに伴う必要性としての漁港の整備が波崎にあり銚子にある次第でございまして、これらにつきましては、お説を重々検討しながら緩急に応じて漁港の整備を進めてまいりたい、このように考えております。
  188. 小川国彦

    ○小川(国)委員 最後に一点。  農林大臣、いままでの討議をお聞きになっていただいたかと思いますが、運輸省の港湾事業と農林省の漁港事業というものを対比しますと、予算全体の格差、そういうものに比べて末端における工業者と漁民の負担の割合というものが、大きな企業に対しては一銭の負担もなくて港湾整備が進められる。ところが、現実に漁港の場合では末端の漁民、漁協に負担金がかかっていっている。これは水産業に造詣の深い農林大臣においてもやはり残念なことじゃないか、こういうふうに考えるわけで、これは自民党という一つの体制の中にあるにしても、国政の今後のあり方を展望したときには、農林漁業の比重から見まして当然そういうものを是正して、この格差解消に努める、そういう考え方があってしかるべきではないか、こういうふうに考えますが、その辺の大臣の所見を伺いたいと思います。
  189. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 小川先生の漁港の問題、また地元負担の余儀なきに至っております漁民の諸君に対する御理解に対しまして、私も、全く敬意を表すると同時に、長年漁港協会長等をやりまして漁港の整備に努力してまいりました私としても、何とか漁民の負担を軽減しながら漁港整備を一日も早くりっぱなものに仕上げていきたい、特に二百海里時代を迎えまして、漁業とそしてたん白食料の供給者としての漁民に対する国民的な期待が高まっております際でございますので、今後一層漁港整備には農林省としても最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  190. 小川国彦

    ○小川(国)委員 終わります。
  191. 金子岩三

    金子委員長 吉浦忠治君。
  192. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 最初に、私は大臣にお尋ねをいたしますが、御承知のように日ソ漁業交渉の暫定取り決め案が大変厳しい段階を迎えておりまして、大臣も大変苦慮をなさっていると思います。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 こういう膠着状態の現状のときに、しかも期日は今月末と迫ってきておりまして、安定操業の確保という点で大変心配をいたしているわけです。大変むずかしい問題がたくさんございまして、日ソの間の相違点があるわけでございますが、大臣は水産大臣とも言われるほど水産には御造詣も深く、ソ連においても高い評価でございますが、訪ソを再度なさって、この膠着状態を打開なさるお考えはないかどうかを先にお尋ねをしたいと思います。
  193. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 日ソ漁業交渉のことにつきまして、大変御心配いただいておりますことにつきまして、感謝を申し上げるわけであります。     〔今井委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕  いまモスクワにおける交渉におきましは、ソ連側は原則論を強く押し出してきておるわけでございます。端的に申し上げますと、基本協定、基本条約に盛り込むべき原則、これを暫定取り決めの中にも取り入れるようにという要求をいたしておるわけでございます。しかしわが国は、何と言っても国会の御承認を得、批准を了しませんと、国民の権利の制約になるようなことは行政府としてはできないことでございます。私もイシコフ大臣との会談におきまして、暫定取り決めにつきましては行政府としてなし得ることとなし得ないことのあることを、繰り返しこの日本側の事情は明確に説明をいたし、理解を求めてきたところでございます。体制が違います関係もありまして、基本協定、条約のようなものでもソ連側としては直ちに措置ができるようでございますけれども日本におきましては、やはり国会の慎重な御審議を経て御承認を得なければならないという民主的な手続を必要とするということで、ソ連側が要求するようなぐあいに基本条約、基本協定に盛り込むような国民の権利の制約をするというようなことは、行政取り決めではできないことでございます。  そういう原則的な問題でいま交渉が難航をしておるということでございますけれども、岡安水産庁長官も派遣をいたしまして、わが方としても全力を挙げてソ連側の理解と協力を得るようにいま努力を傾けておるところでございます。  私は、農林省所管の諸問題が御承知のように山積をいたしておりまして、繭価の基準価格も決定をしなければなりませんし、あるいは乳価、食肉の安定帯価格も決定をしなければならないこの国会の重要な時期でございまして、なかなか広範な責任をしょっております私としては、再度訪ソをするということができない状況下にございますが、わが方の代表は十分政府の意を体しまして最善の努力を傾けておるところでございます。
  194. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣のお気持ちは私よくわかりますけれども、いま漁民の方々の不安は最高潮でありまして、これをどういうふうに打開するかということが、これは大臣の頭もいっぱいでありましょうし、漁民は生活不安というものにつながって大変先を案じているわけでございます。  きのうの新聞等によりましても、サケ・マスは全面、禁漁区も大幅な拡大をするということで、何かソ連の一方的なような、歯がゆいような、私どもも国会内におりましても、どうにかならぬのかというような、何かに頼らなければならないぐらいのくやしい思いで毎日見詰めておるわけでありまして、その大臣のお気持ちもよくわかりますけれども、漁民のすべての方々のお気持ちを察して、何とかこういう面の打開にもう一つ解決の方法はないものか、再度大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  195. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 これは日ソ交渉に限ったことではございませんが、結局国民世論、また高い立場に立つ交渉国両国間の相互の友好関係、こういうことが問題の解決、処理には一番大きな力をなすものである、このように考えております。日米の漁業交渉におきましては、日米の友好関係の基礎の上に立ちまして御承知のように一一%程度の漁獲量の削減、実績の約九〇%に近い百十九万トンという割当を確保いたしたわけでございます。私は、日ソ関係におきましても、友好関係が続いておりますし、なお日ソ友好のかけ橋になっておりますのは、長年にわたる日本とソ連の北洋における漁業関係、これが日ソ友好の象徴的な問題である、このように考えております。そういうようなことから現在の国民世論等は十分ソ連当局も理解をしておることだと私は思うのであります。そういう観点からも、日ソ友好のために今回の漁業交渉が両国の大局的な立場に立つ相互の利益になりますように、そういう立場でこの問題の処理ができることを心から念願をいたしておるところでございます。  また、私はイシコフ大臣との交渉におきまして強くお話を申し上げたのでございますが、日本も遠洋漁業国である、ソ連もまた世界有数の遠洋漁業国である、この遠洋漁業国である両国は、世界の各沿岸国に対して伝統的な実績を要求していく立場に置かれておる、その両国がお互いに漁獲量の実績を大幅に削減し合うというようなことでは、第三国に対して強力な漁業外交はできないのではないか、そういう観点から、私は日ソの間では歴史的な実績というものはお互いにこれを最高度に尊重し合うということが必要ではないかということを強くお話を申し上げてきたところでございます。現段階では原則論をいろいろ言っておるようでございますけれども、この問題につきましての理解が図られれば日ソ交渉は十分打開できるものだ、またそういう観点に立ってわが方の代表も精力的に日夜を分かたず努力をいたしておるところでございます。
  196. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま大臣の方からお話がありましたけれども大臣がソ連に行かれて話をされてまだ日も浅いうちに、北海道では威嚇射撃をされるような状態も起こっているわけでありまして、最近はちょっとないかと思いますが、やがては、三十一日の期限切れになればどういうことになるかというふうに非常に不安に駆られながら、そういう期日に迫られながらの交渉というものは、これは容易なことではないと私は思います。大臣の頭の中は大変な悩みだろうと私は思いますけれども、何か知らないけれども枠の中にはめて交渉が進められていくようなこと、長い間の伝統と相互の信頼と協調といいますかそういうものの上に立って大臣は非常に苦しい立場のようでありますけれども、私どもとしては何らかソ連に対してだけは遠慮をして話が進められているような気がしてなりません。けれども、刻々と迫るこの情勢を見ますときに、いまのままの状態で長く交渉すればいいということではなかろうと思いますが、いまこちらの代表団の方々も大変心痛の思いで話し合いの糸口を見出していらっしゃるようでありますが、いまの状態では完全な膠着状態で日本が譲る以外に解決の方法はないのじゃないかというような心配をいたしておるわけでございます。一方的に二百海里の方も北方領土四島までもかぶせてこられておりまして、大臣がソ連に行かれて二百海里を日本早期実施の用意があるというふうな発言をされたわけであります。私も気持ちがわかるわけでありますが、そのあたりのお気持ちを大臣から先にちょっとお聞きしたいと思います。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席
  197. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 最初に、暫定取り決めのイシコフさんとの話し合いは、三月三十一日までに暫定取り決めを行う、こういうことにいたしまして、それに見合って三月一日から二百海里専管水域をそのまま実施しておるわけでございますけれども、その間は日本漁船の安全操業を認める、こういうことを取りつけたわけでございます。私が訪ソをいたしましてイシコフ大臣とテーブルに対したのが二月の二十八日でございます。翌日が三月一日、二百海里漁業専管水域実施の日でございます。その際、日本の漁船は、北海道初め、中小漁船等含め二千隻以上の漁船が北洋の二百海里海域の中で操業しておる、この安全操業を確保するということが私の最大の願いであり、そのことに努力をしたわけでありますが、幸いにしてこの三月中の安全操業は確保できたわけでございます。しかし、その数日間というものは、漁業省の関係と沿岸警備隊と申しますか、そういうコーストガード等の組織、その連絡が不十分な点等もあったようでございまして、一時二百海里の域外に退去すべしというような警告を出されたり、また照明弾等を打ち上げるというような威嚇的な行為もあったということでございますが、これもイシコフ大臣に私からその状況を訴えまして、そしてこのことも数日の間で一応平常に戻った、こういう経過に相なっております。  操業海域、二百海里水域の問題でございますが、私は領土問題と今回の漁業交渉ははっきり区別をいたしておるところでございます。領土問題につきましては、ここで重ねて申し上げるまでもなしに、一九七三年、モスクワにおける当時の田中総理とブレジネフ書記長との間の最高首脳会談によりまして、戦後未解決の問題を解決をして、そして平和条約の締結に向かって交渉を今後とも継続をする、こういうことが確認をされ、共同声明ではっきり全世界に宣明されておるところでございます。それを受けまして、両国の外務大臣間で、戦後未解決の問題の中には北方四島も含むものであるということが確認をされておる、こういうことで北方領土の四島に関しましては、日ソ両国の間で今後の息の長い交渉課題としてはっきりしておるところでございます。したがいまして、私はその問題とは切り離して、今後の二百海里時代の北洋漁業の操業の新しい秩序の確立ということで話し合いをしたわけでございます。その間、日本としてはソ連と同じような土俵で交渉する必要がある、こう考えまして、すでに国会等でも明らかにしておりますように領海幅員十二海里、これは今月中に国会に御提案を申し上げて御審議をお願い申し上げる。さらに、漁業専管水域をわが方においても近く設定する方針であるということをイシコフ大臣との会談で明確にいたしたわけでございます。この二百海里専管水域の問題につきましても、五月の国連海洋法会議の動きを見た上でできるだけ早い機会にわが方の二百海里専管水域の法律案も国会に提案をし、御審議をお願い申し上げたい、このように考えておるわけでございます。当然その際におきましては、北方四島沖合いの二百海里はわが方の漁業専管水域の中に線引きされるものと御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  198. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 わが国の二百海里水域内の資源調査ということで私はちょっとお尋ねをいたしたいのですが、これは早いときに十分な資源調査をしなければならぬときが来ているのではないかというふうに考えております。したがいまして、それから出てきたデータに基づく資源管理の新システムを早急に樹立しなければいけないというふうに思いますが、この必要性に対して、私は心配をいたしておりますけれども、どのようにお考えかをお尋ねいたしたいと思います。
  199. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 わが国の周辺のいろいろな資源状態につきましては、従来から特に重要漁種を中心にしまして、国の水産研究所及び都道府県の水産試験場でそれぞれ分担をいたしましてデータを集め、その解析をやっております。しかし、今後将来のことを考えますと、従来の調査データ収集のシステムでは資源評価にかなり時間がかかるというような難点もございますので、外国漁船との操業の調整、あるいは日本周辺での許容漁獲量というようなことをもっと的確にかつきめ細かくつかむためには、いまからそういった資源の調査研究体制を根本的に見直しをして整備をする必要があるというふうに私ども考えております。  具体的には五十二年度から都道府県ごとに、やや規模の小さな漁船について直接全船からいろいろなデータをとることが非常にむずかしゅうございますので、標本漁船を全国で三千隻ぐらい選びまして、そこから定期的に情報を提供してもらう。そのほかに水産庁の持っております調査船それから各都道府県の試験場の調査船、そういった情報を全部集めまして、これを魚種ごとに一定の資源解析のルールに従ってコンピューターを使って即刻いろいろな資源水準について科学計算をやった上で判断ができるような体制を整備したい、かように考えて五十二年度にも必要な予算政府原案の中に措置をいたしておるわけでございます。こういった結果が出てまいりましたならば、それに沿いまして、国及び都道府県を通ずる許可漁業の体制の中で適切な資源管理を行っていかなければいけない。これは従来からもやっておりましたけれども、将来に向かってますますその緊急度が高くなっているというふうに判断をいたしております。
  200. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほど大臣の方から領海十二海里の問題あるいは二百海里の専管水域の問題というふうに話がありまして、今月末に領海十二海里の法案等の提出も示唆されるような話がございました。私は千葉県の選出でありますけれども、操業協定があるにもかかわらず、ソ連の一方的な余りにもくやしい状態が続いておりまして、千葉県の漁民の方々も、それほど影響のない方もありますけれども、特に銚子沖等におけるソ連の船から出されました廃棄物等は想像できないぐらいひどい状態で、調査によりますと、いままでに三回ですか掃海をいたしたわけでございます。四トンのトラックにいたしまして四十五台分のごみが出ておるわけでございまして、しかも空きかんでありますとか残滓でありますとか段ボール等で、全く無秩序の操業をいたしておるわけでありまして、魚礁まで根こそぎとってしまう。また二百海里の問題が出ましてから韓国の船も近くへやってまいりまして、軍艦のような大きな船で根こそぎとってしまうような状態でソ連と韓国に荒らし回られている。一刻も早く手を打たなければ、漁場は永久に返らないくらい荒らされてしまうという現状を目のあたりにしておるわけでありまして、そういう点について地元漁民の方々の声は大臣はもう心の底から知っていらっしゃるわけでありますので、くどいことは私は申しませんけれども、いろいろな問題で北海道の津軽海峡の問題等がもうすでに大臣考え方の一部に述べられておりますので、もしも三海里に線引きがなった場合に漁場では大変な競合が起こるだろう。また網等が引きちぎられるような状態が起こるであろうということで、毎日漁民の方々がもしも三海里になったらどうなるだろう、そのまま現状凍結されたらどうなるだろうという非常な不安が、漁民の方々の生の声としてこちらへ伝わってくるわけでございますが、こういう点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  201. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いま千葉県沖、銚子沖等の外国船による操業の実情、また廃棄物の投棄等による漁場の荒廃、私もよくその状況を承知いたしておりまして、その意味合いからも一日も早く領海幅員十二海里を設定しなければならない、このように考えておるわけでございます。その際いわゆる国際海峡と言われるところにつきましては、その部分は海洋法会議等の動向、特に国際海峡に対するところの海洋法会議の動きというものは各国の意見が一致をしない、その帰趨が非常に予断を許さない状況下にございます。そういうようなことで、わが国はいわゆる国際海峡につきましては一般の領海の水域よりも自由な航行、無害航行よりももっと自由な航行ができるようにという主張を海洋法会議でもいたしておるところでございますので、津軽海峡等のいわゆる国際海峡につきましては、現状変更しない、こういうことにいたして、そういう案をいま検討中でございます。  その際に、いま吉浦さんの御指摘がございましたが、それらのいわゆる国際海峡が残された三海里海域ということで、外国船がその海域に殺到してくるのではないか、こういう危惧があるというお話でございますけれども、しかし漁場としての価値、またその辺の海峡の実情からいたしまして、津軽海峡等におきまして外国船が操業したという実績はございません。今後におきましても、そう大型船が多数やってきてあの狭い海峡で操業するなんということは、漁業の常識からいって考えられないところでございます。しかし理論的にはあり得るわけでございますから、私は領海十二海里とともに漁業専管水域二百海里の設定をいたしまして、あの海域には外国漁船の漁業の禁止区域等を設定するということもいろいろ考えておるところでございまして、外国漁船からの沿岸漁業者の利益の保護ということにつきましては万全を期していきたい、このように考えております。
  202. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 漁港法の整備の点について時間の関係もありますので先に二、三質問させていただいて、公害問題、沿岸漁業の問題等を時間の許す限りお尋ねしたいと思います。  さきの委員の方からも質問がありましたけれども、第六次漁港整備計画の総事業費が一兆四千五百億ということで、前計画から見ますと約二倍にふくれ上がっておりますけれども、この計画で果たして十分なのかどうか、二倍といっても十分な金額かどうか、また計画の達成によって漁港施設に対する漁業者の不満は解消されるのかどうかということを先にお尋ねしたいと思います。
  203. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 今回の六次計画の基礎は、各県からそれぞれ漁業の実態に応じまして港ごとの整備計画を一応素案として提出していただき、それを積み上げてまとめたものでございます。したがって、県段階で若干の調整はあったやに聞いておりますけれども、現地の要望をほとんどそのまま反映させたものでございまして、これから開発を予定されますいろいろな沿岸漁業関係あるいは沖合い関係、それからさらに海外との関連で問題がございましても、やはり日本漁業として重要な遠洋漁業なりそれから僻地のいろいろな避難港的なものまで含めまして、かなり地元漁業者の期待にこたえたものであると考えております。
  204. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私の調査が間違っておるかどうかわかりませんが、漁港の施設に対する漁民の方々の関心からいたしますと、漁港施設が皆無に等しいくらいの状態あるいはそれに近い状態にあると思われている方々が約七〇%もあるわけです。こういう状態では跡を継ぐ後継者もいなくなってしまうのじゃないかという心配もあるわけでありまして、満足であるという方々はごく少ないわけでありまして、果たしていま次長が答弁になったようなことでいいのかどうかという心配を持っておりますが、いかがでございましょう。
  205. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 現状ですべての人が満足しているということではございませんで、漁業の情勢変化に応じて整備しなければいけない港が一方で相当多数あることは事実でございます。しかし、いま御提案をしております六次整備計画が完成いたしますという前提のもとでは、沿岸から沖合い、遠洋漁業者まで含めて今後とも漁業を中心に自分の生業を立てていこうという方々にとっては大体御満足いただける整備になるのではないかと思っておるわけでございます。
  206. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 続きまして、今度の第六次計画によりますと、いままでの第一次から第五次までの間の進捗率を見ましても約半分というふうに思われます。このような状態でありまして、この計画に対する事業の著しい立ちおくれは、計画策定の意義及び国会でこれを承認することの意義から見てはなはだ問題じゃないかと私は思います。こういう点については次長はどういうふうにお考えか。
  207. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 第三次の整備計画あるいは四次の整備計画は、漁業を取り巻くいろんな情勢の変化によりまして一応年度途中で計画を打ち切って次の新しい計画に転換をいたしておりますけれども、それまでの進捗率というのはおおむね当初予定されたものに近い状態になっております。末尾で切りますと七〇%、あるいは六〇%という数字になりますけれども、これは年度途中でございましたのでそういう数字になるわけで、進捗率としてはほぼ満足すべき状況であったと思います。ただ第五次の整備計画につきましては、例の四十八年末以来の石油ショックの影響その他で公共事業一般についての国の投資の姿勢がかなりスローテンポにならざるを得なかったというような情勢を反映いたしまして、漁港の整備につきましても当初の予定どおりいかなかったというのが事実でございます。  しかし、その点だけでございませんで、先ほどの、今後の日本漁業のあり方を考えますと、いままでの計画をそのままただ延長して事業量だけをふやせばいいという情勢ではなくて、新たな観点から沿岸漁業のあり方、沖合い漁業のあり方を踏まえて新しい漁港整備の基本計画が必要だということで、根本的な見直しをした上でいまの六次計画を御提案申し上げているわけでございます。先ほど申し上げたように、この六次計画につきましては、各地でかなり真剣に議論をし、県段階でも、自分の県段階の負担も考慮しながら精いっぱいここまではぜひともやりたいという意欲を集約してまとめたものでございますので、私どもとしてはこの計画が年次内に予定どおりできるように最大限の努力を払わなければいけないというように思っておるわけでございます。
  208. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 第六次漁港整備計画の完全達成ということで進められるわけでありますけれども、進捗状況等の停滞の原因はいま説明もありましたけれども、来年度以降の必要予算の確保について、その決意のほどをちょっと聞かしていただきたい、こう思います。
  209. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、漁業をめぐる内外の情勢はきわめて厳しいものがございます。私どもは強力な漁業外交を展開して今日までの伝統的な漁業実績の確保に努力をいたしますけれども、海外の漁場における四百万トンないし四百五十万トンの漁獲量というものはある程度の削減は否定できないところでございます。そういたしますと、一どうしても沿岸、沖合いの漁場を開発整備をし、資源をふやし、さらに進んで栽培漁業等の振興を図りまして、わが国の魚肉たん白の増産を図る必要があるわけでございます。これはいまや、関係漁民だけでなしに国民的な願望になってきておると私は思うわけでございます。また政府全体としても、農林省だけでなしに大蔵省を含めてこの点は十分理解をいたしておると確信をいたしておるところでございまして、そういうような国民的要請にこたえて、漁業の基本的な施設、基盤であります漁港予算の確保には私ども全力を尽くす考えでございます。
  210. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣は力強い答弁をいたしましたが、私は、漁港が近代的な漁港になりましても、その背後地のいわゆる漁民の集落が整備されなければならないのじゃないか、バランスの点から見ても調和のとれないような、りっぱな漁港だけできても漁民の集落は依然として貧困であるという状態であってはならぬというふうに思っております。そこで漁港整事業漁業集落環境の整備事業とは一体的、総合的に行われなければならないというふうに考えております。したがいまして、その相互協力によって一層の効果が発揮されるわけでありますので、本事業の実施について、基本的な漁港整備と集落の推進について政府考えを聞かしていただきたいと思います。
  211. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 吉浦先生御指摘のとおりでございまして、漁村の振興、漁民生活の安定を図りますためには、どうしてもその生産基盤であります漁港の整備やまた沿岸漁場開発整備事業等の基盤整備事業を推進をすると同時に、その生活の場でありますところの生活環境の整備というものが一体にならなければ真の漁村の振興もまた漁民諸君の生活の向上も図り得ないわけでございます。私は、今後漁業者の後継者の育成確保というような観点からいたしましても、明るい、住みよい、快適な漁村づくりということが非常に大事な問題だ、こう考えておりますので、今回調査費を計上いたしまして、漁村集落生活環境整備事業というものをいまやっておるわけでございますが、この調査を速やかにやりまして、そして今後漁村の生活環境整備に対しましてできるだけの努力をいたす考えでございます。
  212. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 千葉県の状態についてでございますが、私もいろいろ要望を受けたのでございますが、政治の部面に反映をしてくれということで要望がございました。それは未指定漁港の件でございます。指定を受けていない、漁港と言えるかどうか、未指定であれば漁港と言わないかもしれませんが、そういう漁港の状態でございます。  一つの例でありますけれども、外房の方に大原という港がございますが、その近所に大舟谷という、調べてまいりましたが約四、五十戸ばかりの漁村でございます。現在八軒くらいの方々がそれでもまだ漁業に従事しているわけであります。南向きにできておりまして、昔からそういうつくりであったとは思いますけれども、冬の間大波がかかりまして、船の出港もできないという状態で、家族ぐるみで漁業をしている例でありますけれども、船を押すと全身水しぶきでぬれてしまう。そういう状態ではいまどきの方々はもう漁業なんかやめてしまえというふうになってしまうということで、いま八戸くらいが残っておりますが、私そこでいろいろ要望をいただいて、何とか未指定であってもその整備をしていただきたい、せめて冬の間でも安心して出られるような、テトラポットでもいいから、波をよけるようなものを整備をしていただきたいというふうな要望をいただいたわけであります。  そういう未指定漁港という点で私非常に関心を持っておりますけれども、次長、この点についてどういう範囲で、また指定漁港になるにはどういう条件を備えなければならないかちょっとお答え願いたいと思います。
  213. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 次長にかわりまして御説明申し上げます。  漁港の指定は、御承知のとおり漁港法の規定に基づいて行われるわけでございまして、指定を受けたものが初めて漁港となり、いわば整備とか維持管理とか各種行政の対象になるわけでございます。  漁港の指定は、都道府県知事の意見を徴して農林大臣が指定するわけでございますが、実態としては、地方の御要望に基づきまして、地方から申請が上がってまいり、これらを事務的に審査いたしまして、漁港審議会にかけ、審議会の答申を得て農林大臣が指定するという形に相なります。  お話のございました漁港、恐らく小さな、いわば漁港と称せられないような範囲の漁港に属するのじゃないかと思いますが、そのような十隻あるいは十五隻程度の船を拘えて、いわゆる水産業に従事しておられる船だまり的な漁港を持った漁村は全国の浦々に相当まだございまして、それらの漁港全部を指定するということは現実上なかなかまだ困難な状態であります。これらにつきましては、それぞれ利用の実態や施設の整備のぐあいや維持管理の必要性や管理主体の責任、そういうものをいろいろと調査いたしまして、漁港として指定することが適当と認められるものにつきましては、随時指定を進めまして対処してまいりたいと考えております。先生が御指摘の船だまり的な小さな漁港についても、その必要がございますれば、十分な調査を行って検討を進めてまいりたいと考えております。
  214. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ありがとうございました。  私は、きょうぜひお尋ねをしたいと思ってまいりましたのは、時間的な制約もありますけれども、いわゆる漁港に施設してあります公害防止対策についてお尋ねをしたいわけでございます。  廃油処理の施設の利用状況というものに対する対策なりその原因なりというものについてお尋ねをしたいわけでございますが、これは、私は水産庁の方をやり玉に上げるというわけでは決してございませんで、これからの政治というのは地域住民の方々の御協力がなければできないわけであります。漁民の方々にもこういう面に対する十分な御理解を得なければならない。ただ、法案でもって決めさえすればいい、また何でも要望を聞きさえすればいいというのでなくて、私は、政治にはある程度の指導性が必要ではないかというふうに考えているものの一人であります。したがいまして、この漁港公害防止対策についてこれからかなりいろいろやらなければならない問題がたくさんあるのではないかというふうに私は考えております。特に廃油処理施設の利用状況についてつぶさに御報告を願いたいと思います。
  215. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 漁港におきます公害防止施設としては、漁港法に基づく漁港施設である漁港浄化施設、それから廃油処理施設そのほか清掃船等がございます。本来漁港並びに漁場の環境保全するために当然国が助成し、それらの整備を図っているところでございます。  いまお話ございました漁港におきます廃油処理施設につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律によりまして規制の対象となっております漁船は、もちろん規制対象外の漁船も含めて、漁業者みずからが漁場環境を守るべきであるとの観点に立って、また漁業者からの要請もございまして、昭和四十八年度からその整備に着手しておりまして、とりあえず利用範囲が広くて比較的大型船の利用が多い特定第三種漁港と第三種漁港を対象にして整備を進めております。現在までに完成したものは、焼津とか銚子とか全国で十四カ所ございます。これらの廃油処理施設の利用状況は、各施設とも使用開始後まだ期間が短いということで漁業者の皆様方に十分周知されていないうらみがございまして、一部の施設を除いて利用率は必ずしも高くなっておりません。これらは十分今後啓蒙いたしまして、利用しやすいような補助施設の設置や、たとえば集油機械とか集油施設だとか、あるいはドラムかん等の設置をいたしまして、利用率が高まるように努力してまいりたいと思っております。  いまお話ございました漁港におきます廃油処理施設及びその利用状況で個々の漁港名を挙げますと、四十八年度の事業年度では焼津と銚子、四十九年度では八戸、石巻、門川、厚岸、枕崎、香住、それから五十年度では大畑、土土呂、串木野、館浦、那珂湊、それから五十一年度は気仙沼と、こういうふうになっております。よろしゅうございましょうか。
  216. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 いま話がありましたけれども、私の調査によれば、ほとんどこれは施設をつくってそのまま利用されていないという現状でございます。こういう面に啓蒙の点も足りない面もあろうかと思いますが、施設の運営、管理体制の整備、利用状況の把握ということ、そういう事業実施の適正を期すための諸条件というものが十分私は示されていないんじゃないかというふうに思います。また、事業主体に対する指導も的確でないんじゃないか、大臣もいらっしゃるわけでありますけれども、大変な国費を投入して何も使われない公害施設をつくっていたんでは、これはもったいない。もう少し、使用されない原因についてお答えを願いたいと思う。
  217. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 何分廃油処理施設というのは、設置された個所が御承知のとおり特定第三種漁港とか三種漁港とか、いわば利用する漁船が地元漁船ではなくて、少なくとも半分以上がよそから利用する漁船、そういうことで廃油処理施設の設置そのものについてまず当面の理解がないということと、これらについての処理の仕方についての啓蒙、誘導、指導等が至らなかったということがございまして、御指摘の点はございます。  実際は焼津漁港とか銚子漁港とかは四十八年に設置事業として行われまして、使用開始が四十九年の八月に焼津、銚子にいたしましては五十年の四月ということで、事業が二カ年にわたっているものもございまして、最近の実績は焼津は五十年度九千八百二十四キロリットル、五十一年度の処理量は八千九百十一キロリットルというふうに、非常に指導が行き届いてきめの細かい連絡というのをやっておりますところは、それなりの実績を上げております。  これらにつきまして、たとえば五十年度に使用開始しました七港ばかりについてその実績を見ますと、前年度に比べて五十一年度では約三四%の利用の増加があります。これは、御指摘の点もございますし、今後も一段と漁業者に対する啓蒙等を図りまして利用の増大を図り、有効な施設としての整備を今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  218. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私はもったいないということで話を進めているわけでありますので、またその施設もまだ足りないわけでありまして、十分各港ともにその公害対策の施設はつくっていただきたいし、なお一層努力をしていただきたいのは、そういうりっぱな施設をつくりましても、漁民の方々に対するいわゆる意識の喚起を行わなければこれは意味がないと思うのです。大変めんどうくさがるわけでありますので、それがいわゆる沿岸漁業、これから最も私どもが力を入れなければならない沿岸漁業に廃油を捨てていくような状態、少しでも海をきれいにしていこうという立場からこういう施設をつくったわけでありますので、漁民の方々に対する十分な喚起を私は皆さん方の力によってなしていただかなければならないし、私どもも政治家としてこの問題を——やはり漁民の方々にこういう施設ができた以上はこれを利用する、また沿岸を守るために、海をきれいにするためにはぜひともそういうモラルを植えつけていくくらいのものを政府として持っていかなければいけない、私はこういうふうに強く感じている者の一人で特にこの公害施設を取り上げているわけでありまして、公明党がふだんから主張してまいっております公害の問題で、これから特に海を汚さないという点で、こういう施設をつくりながらその啓蒙の不徹底のために利用されてないとなれば、これはゆゆしき問題である、私はこういうふうに思っております。したがいまして、そういう答弁でなくて、漁民の方々に対する理解というものをどうすればいいのかという点にもう一段の、皆さん方が十分な体制をつくっていただいてこのことに処していただきたいと私は思います。時間の関係もありますので、余り細かいことは私は申し上げられませんけれども、このことを要望してこの問題は終わりたいと思っております。  続きまして大衆魚の問題でございます。沿岸漁業がこれから大事になってまいりますし、特にこれからの時代は、いわゆるイワシとかサバのような大衆魚、多獲性魚種と言われておるものの有効利用を積極的に推進しなければならないときが来ているというふうに思っております。この点についてどういうお考えなのか、先にお尋ねをしたいと思います。
  219. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 おっしゃるとおりに、日本の近海でサバがいま年間百万トン、マイワシもかなり最近ふえまして、五十万トンからあるいは百万トン近くまで増大するのではないかと言われていますが、その利用状況を見ますと、半分以上がどうもフィッシュミールあるいは養魚用のえさに回っているというのが現状でございます。  これにはいろいろ二百海里時代に備えて問題点がございますので、資源の有効利用という観点から、こういったサバあるいはマイワシ等の赤身の多獲魚というのを直接もっと人間の食用にみんなが好まれる形で振り向けることができるのではないかということで、私どもの方もいままでいろいろ研究所等を通じて基礎研究はやっておりましたけれども、五十二年度からは少し大規模に民間の企業等も一応チームの中に加えまして、そういった赤身の多獲魚の効率利用ということに焦点を置いてやや大規模な企業化試験をやっていきたい、技術開発に努めたいというふうに考えております。  具体的には、特にサバ等につきましては、これをすり身に利用してかまぼこ原料等の練り製品に向けていくということを一つの目標として考えております。これも技術的には鮮度がよければできる段階に来ておりますので、大量に処理してどういうふうに消費者に喜ばれる安い食品素材としてそれを提供するかというところに問題点がかかっておりますので、ぜひともこれは努めていきたいというふうに考えております。  それから同時に、サバ、イワシ等を直接いろいろ調理をして食用に供するということも、これは御案内のとおり、中年以上の方は非常に好んで食べておる魚でございますし、これも若い人向きにいろいろ油づけであるとか、加工の仕方によっては、魚の姿のままでも十分食ぜんに供し得る魚でございますので、こういったものもテレビ等を通じて、そういう調理方法等も大いに普及していきたい。あるいはこれを学童給食等にも試供品として提供しながら、日本の近海でとれるそうした多獲魚になじんでいっていただくというようなことで消費の開拓に大いに力を入れるつもりでおります。
  220. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 また千葉県の例ばかり申し上げて、自分の出身の千葉の調査ばかりしているようで申しわけありませんが、いまお話がありましたように、えさの方に使用されている度合いが非常に高いわけであります。イワシのごときは六〇%強が餌料に使用されている現状であります。いま次長の方から話がありましたように、一般の消費者の場合に、最近の食べ物というのはかっこうのいいものが大変好まれて、色が悪いとか、見ばえが悪いということで好まれないのですが、そういう面の指導というものが十分なされませんと、勢い、加工いたしましてもなかなかむずかしいのじゃないかという点もあるわけであります。私ども公明党では、いわゆる大衆魚の加工方法といたしまして、総合的な面で、管理の体制あるいは輸送の体制あるいは経費等の体制で水産加工振興法、これは仮称でありますけれども、そういう法案等も作成しながら、こういう問題に取り組むときがもう来ているのではないかというふうに強く関心を持っているわけでございます。近海物の魚としての大衆魚と言われるイワシやサバは鮮魚向きの点におきましても二〇%程度でありますので、これをたん白源として食用に供するような方向に、さっきから私が一貫して申しておりますように、指導性を十分に発揮するときが来ているのではないかと思っております。  時間がございませんので、最後に海上交通安全法についてお尋ねをしたいと思います。  これは、衆参両院で附帯決議が付された法律でございまして、昭和四十七年七月法律第百十五号として公布され、四十八年七月に施行されたものでございます。私も現場に行ってまいりましたが、浦賀水道航路では一日八百隻からの船が通航いたしておるわけであります。ここで危険を冒して操業している漁民の方々に対して十分な保護対策が言われながら、まだ非常にむずかしいことがたくさんあるわけでございます。こういう点について国の責任においてこの早期実施というもの、いわゆる安全にできるような形が何とかならないものか。非常にむずかしい質問でございますけれどもお答えを願いたいと思います。
  221. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 昭和四十七年の海上交通安全法に対する附帯決議の内容につきましては、いま先生からお話のあったとおりの問題を含んでいるわけでございます。その附帯決議の実現には各省庁それぞれ分担して努力をしてまいったわけでございます。東京湾あるいは伊勢湾、瀬戸内海等の関係の特定県には、漁業者のみならず船舶関係者も含んだ漁業操業安全協会というようなものをつくりまして、それぞれの情報の交換であるとか、船舶の安全交通のために必要な現場での情報を流してできるだけ事故を防ごうとか、あるいは万一事故が起きたときに、若干でございますけれども見舞い金を出すとか、いろいろなことを協会を通じて指導し、あるいは対策も若干はとってきたわけでございます。また附帯決議の中のいろいろ原因者不明の油濁の漁業被害に対する救済等も五十年から一応実現しつつあるという段階でございます。ただ、やってまいりまして、非常にむずかしい問題で、今後もなお検討しなければいけないというふうに考えておりますのは、いまお話がありました浦賀水道のような非常に船舶のふくそうしております水道で、いかに注意を払ってもなかなかおちおち安心して漁業をやっていられない、漁業をやめるしかないというふうな状況にだんだん陥っていっている水道もございます。こういった問題について附帯決議の中では、漁業者に対していろいろな補償措置を講ずるというふうなことも言われているわけでございますけれども、水産サイドの話として考えますと、漁業者が一方的に他の船舶の航行等との調整のために漁業を転換するなりやめなければいけない部分を漁業自身の中で救済措置をとるということもなかなか、一方に原因者があるわけで、むずかしい問題でございます。私どもとしては、今後沿岸漁業振興の中で、そういった漁業者がそういう船舶航行と両立するような形の漁業に転換していくときにどういうふうに援助ができるか、こういった問題も含めて、なかなか両立しがたくなっていく水道における漁業一般船舶の航行の問題について、関係の運輸省その他とも十分協議しながら対策を早急に検討してまいりたい、かように考えております。
  222. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 千葉県漁業操業安全対策協議会というものができておりまして、その方々で、自分たちで指導船を出したり、自分たちで無線連絡をやったりというふうなことをいたしておりますので、できれば国において強力な施策の展開、具体的なその実施というものを考えていただきたいというふうなことを要望いたしまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  223. 金子岩三

  224. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、漁港関係の両案件について質問に入ります前に、幸いに農林大臣がおいでになっておりますので、当面の重要問題であります日ソ漁業交渉について若干のお尋ねを農林大臣にいたしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  まずお尋ねいたしたいと思いますことは、モスクワで行われております暫定取り決め交渉についてであります。  先般大臣が訪ソされた際の交換書簡によりますと、暫定取り決めは、たしか三月三十一日までに締結されるとしておられたようであります。四月一日以降のわが国の漁船の安全操業は確保されていないのであります。最近の報道によりますと、暫定取り決めの日本側案とソ連側の案は相当の開きがあるものと見受けられるのであります。余すところ、あともう数日に迫っておりますこの間に暫定取り決めの妥結あるいは魚種別配分等の合意に到達しなければならないのであって、今月中に果たして妥結する見通しがあるのかどうか、また、妥結しない場合は大変な混乱が予想されるのでありますが、暫定取り決めがまとまるまでの間安全操業を確保できるようソ連側に申し入れる考えはないか、こういうことを含めまして、これに対する大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  225. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいまお話しのように、モスクワにおきまして暫定取り決めの交渉が行われておるわけでございますが、まだソ側が原則論に固執いたしまして、事態の進展を見ておりません。わが方としては、ソ連の立場にも立ち、わが方の行政協定として、政府としてなし得ることにつきまして、こういう点はできる、こういう点は基本協定で国会の御承認を得なければ実施できない、そういう点を相互に説明をし、話し合いをいたしておる段階でございますが、いまだにソ側は原則を盾にとりましてまだ話し合いがかみ合っていない段階でございます。しかし、この問題は、何としてもわが方の置かれております立場を理解させながら、ソ側のたてまえというものを損なわないでやっていくということにただいま全力を挙げて交渉をいたしておるところでございます。三月三十一日までに暫定取り決めは行うということがイシコフ大臣と私の約束でございまして、まだ一週間ぐらいあるわけでございますから、精力的に、最善を尽くしてこの約束の期間内に暫定取り決めはぜひ締結にこぎつけたい、合意にこぎつけたい、私はこのように考えております。したがいまして、いまの時点で三月三十一日までにできなかった場合の後のことをどうするかということは申し上げる段階にございません。
  226. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点、了承いたしました。  次に、さらにお尋ね申し上げたいと思いますことは、ただいま行われております東京交渉についてであります。  私は報道を通じて承知しておるわけでございますが、本交渉の経過を見ておりますと、日ソ両国間で本問題についての立場が基本的に異なっておるように思われてなりません。すなわち、日本側は、公海自由の原則を基礎とした現行の日ソ漁業条約により、現在ソ連が二百海里水域を設定している区域のサケ・マス、ニシンを含めて東京交渉の対象としておられるようであります。ところが、これに対しましてソ連側は、二百海里水域を前提とし、ソ連の二百海里水域外のサヶ・マス、ニシンを東京交渉の対象としておるように考えられます。この点について大臣はイシコフ漁業相との先般の会談でどのように合意されておりますのか、この点をこの機会にもしも許しますならばひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  227. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 十五日から東京で日ソ漁業条約に基づくシャルクの会議が持たれておるわけでございます。これはイシコフ漁業大臣との間におきましても、三月中のサケ・マス並びにニシンの漁獲は、交渉前であるから出漁を見合わせるということは約束をいたしております。しかし、条約に基づいて三月十五日から東京において日ソ漁業交渉を行う、その対象はサケ・マスとニシンである、こういうことははっきりいたしておるところでございます。  申し上げるまでもなく、日ソ漁業条約は領海を除く公海上におけるところの附属書に明記されておるサケ・マス並びにニシンの漁獲量、漁業の条件、方法等を科学的な資源の評価の上に立って取り決めをする、こういうことに相なっておるわけでございます。したがいまして、東京交渉におきましては、ソ連の領海、日本の領海を除く公海上、北西太平洋の公海上のサケ・マス並びにニシンの漁獲量その他操業の条件、方法等を取り決める交渉でございまして、二百海里を設定したからといって、二百海里の中のものは交渉の対象外であるという議論は、条約が厳として生きており、機能しております現段階におきましては、間違った議論である、わが方の主張しておるところが、条約の趣旨からいたしまして正しい対応の仕方である、こう確信をいたしておりますし、一時不規則発言等もございましたけれども、議題設定等の交渉におきまして、わが方の主張のように東京交渉がいま進められておる、こういうぐあいに御理解を賜りたいと思います。
  228. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題に対して農林大臣が非常に御苦労なさっておることは、私たちも新聞を通じまして非常に感謝をし、またその御労苦に対しては高くこれを評価しておりますけれども、相手国が相手国だけに、なかなかそこに術策といいますか、明快なところがないことに苦労があるかと思うのでありますけれども、これはわが国の漁業上重大な問題でありますので、今後その点に対しましても大臣のこれに対する御奮闘といいますか、御努力といいますか、こういうことを特にこの機会にお願い申し上げたいと思うのであります。  次に、大臣はわが国の二百海里漁業専管水域の設定について、対ソ交渉の切り札にしたいとか、こういうことも申されておりますと同時に、五月の海洋法会議の終わるのを待ってその結論のいかんにかかわらず、二百海里水域を設定したい、こういうことも言われておるようでございます。私は先日もこの問題についてはちょっと大臣にお尋ねしたのでございますが、大臣のこれらの御発言等を承っておりますと、五月の海洋法会議を待つのでは非常におそいのであって、対ソ交渉を有利に取り運ぶために、わが国においても早急に二百海里漁業専管水域を設定する必要があるのだ、こういうようなお考えがあるのじゃないか、こういうように私はこれを受けとめております。第二次国連海洋法会議で締結された条約で、領海及び接続水域に関する条約というものがあることは御承知のとおりでありまして、これによりますと、日韓、日中間の漁業条約に基づく安定した漁業操業が現在確保されております。これは先日私の質問のときにも大臣はこのことを御答弁なさいました。そうしてこういうことも踏まえて二百海里の水域の宣言をしたい、こういうようなことも申されておったことも私は十分承知いたしておるのでございます。それで近く提出されるいわゆる領海法とあわせて、いわゆる漁業専管水域二百海里の問題は、本国会に提出する、こういうことは大臣が私に御答弁なさったようで、記憶いたしておるのでございますが、これに対してはいかがでございますか。いま一度念を押しまして、これは非常に重大な問題でございますのでお尋ねをいたしたいと思います。
  229. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 わが国の二百海里漁業専管水域の設定の問題は、かねて政府首脳と私話し合いもいたしておったところでございますが、モスクワにおきまして、イシコフ漁業大臣との交渉の過程で、わが方も近く二百海里漁業専管水域を設定する方針であるということを明確に打ち出しまして、それは交換書簡の中に明記されておるところでございます。これは、帰国後におきまして、福田総理、外務大臣その他政府の首脳にも報告をし、閣議にも報告をし、そのことも了承を得ておるところでございます。したがいまして、近く二百海里漁業専管水域をわが国においても設定をするということは、政府の了解事項に相なっておる、このように私は心得ておるわけでございます。その二百海里の専管水域の立法化が必要である、私はこのように考えておりまして、それを立法し、国会の御審議を得なければならぬわけでございますが、その時期は、五月から開かれます国連海洋法会議の動きというものを見たい。もしも、ここで国際的な合意が成立をいたしまして、海洋法というものができればこれは最も望ましいことである、私どもはこう考えておりますが、今度の会期でなお国際的な合意が成立をしないという場合には、わが方としては、諸般の事情からこれ以上先に見送るわけにはまいらない、このように考えておるわけでございます。したがいまして、五月の国連海洋法会議の動きをまず見定めたい。そして、この会期で国際的な合意が成立をせず、海洋法というものができない場合においては、わが方としてはできるだけ早い機会に決断をせざるを得ないと私は考えておるわけでございます。  その際に、もう一つどもが十分配慮しなければならない点は、お話がありましたように、隣接をいたしておりますところの日韓の間、日中の間には現在日韓漁業協定があり、日中漁業協定ができておるわけでありまして、この日韓、日中両協定によりまして、西日本の以西底びき初めまき網漁業その他一本釣り漁業等も、何らのトラブルを起こさないで非常に安定的に漁業が行われておる、漁業秩序が確保されておる、こういうことでございますから、わが方が二百海里漁業専管水域を設定する前に、韓国並びに中国と十分話し合いをいたしまして、そして中国並びに韓国もそれぞれ二百海里を設定しないという場合におきましては、現在両国間の協定が非常にうまくいっておりますので、私は、相互主義でわが方も西日本の海域につきましては二百海里水域の適用は見送った方がよろしいのではないか、そういう腹づもりでこの問題に取り組んでおる次第でございます。
  230. 稲富稜人

    ○稲富委員 その問題は、先般の大臣の御答弁も承っておりまして、私も、日韓、日中の間、こういう問題に対しては非常に安定した状態に置かれているのであって、慎重にしなければいけないのではないかということも含めまして、ただいまの問題もお尋ねしたわけでございまして、大臣の意のあるところも私は十分了承したのでございます。これに対しましては、将来悔いを残さないような善処方をお願い申し上げたい、かように考えております。  次に、きょうの議題であります本論の漁業関係法案につきまして、お尋ねいたします。  まず、国際的な漁業規制の強化に伴いまして、沿岸漁業、沖合い漁業の見通しが非常に強く言われているときであります。このときに当たりまして、第三種漁港についての負担割合の引き上げを内容とする法案審議することができますことは、多年の漁民の要望でありまして、どちらかと申しますと本当に遅きに失した感さえするのであります。これは非常に喜ばしいことでありますが、さらに、今日この機会に私政府に希望を申し上げ、お尋ね申し上げたいと思いますことは、この第三種漁港ばかりでなく、地元負担軽減のために、さらに第一種、第二種漁港について国の補助率を将来引き上げることを検討すべきではないか、かように考えるわけでございますが、これに対する政府の見解を承りたいと思うのでございます。
  231. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 今回の第三種漁港の一部の基本施設についての国の負担率の引き上げの基礎になります考え方は、この第三種漁港というのは、御案内のとおり全国の漁船によって利用される港で、したがって、その受益範囲というものもかなり不特定、広範な範囲にわたるわけでございます。全国のそういう漁業振興に資するというような、地域範囲の大きさと、同時に受益者を逆にまた特定しがたい面が一部にある。それから同時に事業の規模が、第三種漁港になりますと非常に大きくなります。そういった点に着目しまして、整備に要する経費について国が従来より負担率を高めようということになったわけでございます。  第一種漁港及び第二種漁港の補助率につきましては、四十年度に、漁港法の附則によりまして、これらの整備が沿岸漁業の構造改善に資するものについて百分の四十から百分の五十に当分の間引き上げるということで、現状では全国的に何らかの構造改善に資する事業が行われておりますので、漁港の整備を要するところではすべてこの百分の五十の補助率が適用されておるわけでございます。いまこの補助率を手直しするということは、他の公共事業全体の中での、さっきの受益範囲なりあるいは事業の大きさ、そういったバランスから見まして非常に困難があるというふうに考えておりますので、さしあたってはむしろ事業の促進に努めてまいりたいというふうに思っております。将来、そういった事業量あるいは受益範囲、負担能力等にいろいろな事情の変化がありまして、公共事業の中でまたそういった補助率全体の体系が見直されるというような時期には、もちろん私どもとしてもそれに相応した検討をしてまいりたい、かように考えております。
  232. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま御答弁があったのでございますが、私特にこの点で深く感じますのは、御承知のとおり沖繩におきます糸満漁港です。これは第二種漁港として取り扱われておるわけでございますが、これは全く南方漁業の基地というような感が深いわけでございまして、最近糸満漁港に入港する船というものは、わが国の全国の船がここに寄港するということで、南方漁業の基地みたいな様相を呈しておるのであります。これにはもちろん沖繩に対する特別な処置が行われておることも承知しております。しかしながら、これも限度がありますので、将来こういう問題に対しましては、特殊な事情のあるこういうような第二種漁港、こういう問題に対してはやはり検討を十分して対処する必要があるのではないか、こういう意味からも私がただいま申し上げましたことをお尋ねいたしておるわけでございますが、いかがでございますか、これに対しまして御所見を承りたい。
  233. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 沖繩県の糸満漁港につきましては、確かに御指摘のとおり、沖繩県の船だけでなくて、一部本土の方の漁船も逐次利用するような情勢にございます。ただ、まだ十分利用範囲が全国的なというところまではまいっておりませんので、当面私どもとしては、いまの沖繩の復帰後の特殊事情の中で、できるだけ整備を現状のままで進めながら、同時に、将来これが日本の全国的な南方漁業の基地になっていくというような状況を見詰めまして、他県船の利用の状況の増大、そういった事情に即しまして、将来これを第三種漁港に改定をしていくというようなことも検討してまいりたいというふうに考えております。
  234. 稲富稜人

    ○稲富委員 まだこの問題に対してはお尋ねいたしたいことはたくさんありますけれども、時間が迫っておりますので、最後の整備計画についてお尋ねいたします。  整備計画の計画方針によりますと、「漁業と漁港施設の現状とを基礎とし、」としておりますが、第五次計画の進捗率の停滞の結果を踏まえ、政府は現在の漁獲量、漁船勢力等に対し、漁港の現状をどのように考えておられるかということ。さらに、総事業費一兆四千五百億円の第六次計画の達成によって漁港の現状をどのように改善しようと考えておられるのか。さらに、第六次計画の完全達成について大臣はどういうような決意を持ってこれに向かおうとされておるのであるか。こういう点につきまして、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
  235. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 第五次の漁港整備計画が、いろいろ石油ショック以来の経済情勢の変化等で、一応四年目の時点で五〇%程度しか達成できなかったというのは大変残念だと思いますし、それを踏まえまして、日本の現在の漁港そのものでまだまだ今後将来に備えて整備をしなければいけない港がたくさんあるということを痛感いたしております。しかし、第五次の整備計画を立てました時点とは漁業を取り巻く情勢も大きく変わっておりまして、御案内のような国際情勢の二百海里時代という変化に備えて、日本の今後の二百海里周辺の開発ということと関連させながら、沿岸漁業あるいは沖合い漁業の利用する港の整備にもこれから特段の力を入れていく必要が出てきているというふうに考えます。したがいまして、必ずしも進捗率の低いことにこだわるわけではございませんで、そういう客観情勢の変化に応じましてこれからの整備計画の基本的な考え方を見直しをして、対象といたします修築事業の対象港その他も格段にふやしまして、日本の沿岸に必要な、沿岸、沖合いあるいは遠洋漁業、あるいは前進基地なり避難港となる漁港の整備を計画的に進める必要があるというふうに思っております。これに要する経費として、いま御指摘のとおり、六カ年計画で一兆四千五百億という計画を御提案しておるわけでございますけれども、これはそれぞれ末端から積み上げましたものの集積でございまして、それぞれの段階でかなり慎重な検討を経た上でこの大枠を決めたものでございますから、ぜひともわれわれとしてはこの六次計画の全体を計画年次の中で達成できるように、全力をふるって努力をしたいというふうに考えております。
  236. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 稻富先生から、いままでの第五次計画までの進捗率は思うように進んでいないのではないか、新たな一兆四千五百億の第六次計画の達成についての決意いかん、こういう御質問でございますが、厳しい二百海里時代を迎えまして、わが国の漁業の今後の行くべき方向というのは、強力な漁業外交を展開して、伝統的な実績の確保に努力をいたしますけれども、どうしても漁獲量のある程度の削減は避けて通れない。そういたしますと、日本列島周辺の沿岸、沖合いの漁場を開発整備をし、資源をふやし、また栽培漁業等の振興を図って、そして国民に対したん白食糧の確保について御心配をかけないようにしなければならない、こういうことがいまや国民的な一つの大きな世論にまでなってきておると思います。私は、関係漁民はもとより、この国民の皆さんの御期待に沿うためには、まずもって漁業の基本的施設である漁港の整備、これが大事だと考えておりますので、六次計画の計画年度間における達成につきまして全力を尽くす決意でございます。
  237. 稲富稜人

    ○稲富委員 私も、漁港整備の問題につきましては、国際的なこういう状態の中におきまする沿岸漁業並びに沖合い漁業、こういうような点から、漁港整備というものがなおさら非常に重大な使命を帯びてきた。特に私たちこの際考えなければいけないことは、沿岸漁業、沖合い漁業になりますと、非常に漁獲量が多い場合と少ない場合という変動があります。それがためには、やはり漁港に十分なる冷凍装置等を置き、ここで漁民がいわゆる豊漁貧乏にならないような、こういうような対策をやる漁港設備というものが将来ますます必要であり、期待さるべき問題ではないか、かように考えますので、漁港というものがそういうような設備までも完全な設備をする、こういうような漁港の設備方法というものを考えなければいけないのではないかと思いますが、そういうことに対してひとつ大臣の御意見を賜りたい。
  238. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 御指摘のとおりでございまして、漁港の機能を十全に発揮する、また時代の要請にこたえるというためには、漁港の基本施設だけでなしに、機能施設も整備しなければならぬわけでございます。冷凍あるいは冷蔵、加工、輸送の関連施設、そういうものの整備も十分やらなければ漁港としての機能は十分発揮できない、そういうような観点からも、今後機能施設である冷蔵庫等の整備につきましても努力をし直る考えでございます。
  239. 稲富稜人

    ○稲富委員 じゃ、時間がありませんから最後に一問だけお尋ねいたします。  最後にお尋ねいたしますことは、漁業集落環境整備についてお伺いいたします。  御承知のとおり、漁業集落は漁港の片すみといいますか、後ろの方といいますか、狭いところにありまして、その生活環境のいろいろな条件というものは決していいものではございません。ところが、全国にこういう事情を非常に見るのでございます。この点に着目して、政府が本年度から環境整備事業を行うための調査を行うこと、こういうことにされておるということは非常に結構なことでございますが、考え方によっては、けちをつけるわけじゃございませんが、これはもうおそきに過ぎたというような感さえ私たちは考えるわけでございます。それで、私はこの事業が早急に事業化するということを望みたい、かように考えるわけでございます。それがためには、必要な予算を十分確保して効率的に行う必要があると思いますが、これに対する政府の御意見を承りたい。  なお、あわせてこの機会に申し上げたいと思いますのは、漁港整備がおくれている現状にかんがみまして、第六次計画総事業費の先刻申し上げました一兆四千五百億円は漁港整備に投資すべきものであって、新たに事業化しようとするただいま申しました漁業集落の環境整備事業等は別な財源でこれは十分生かしていただく、こういう心構えが必要ではないかと思いますので、これに対する大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
  240. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 漁村並びに漁村部落は、地勢的な関係もございまして比較的交通の不便な辺陬の地と申しますか、背後地も狭い、そういう環境の中に置かれておるわけでございます。また一面におきまして、今後の沿岸漁業の振興、漁村の繁栄を図りますためには、単に漁業面だけの施策では十分いかない、漁業の生産基盤等を整備いたしますと同時に、漁村における生活環境の整備ということと相まって初めて漁民の生活の安定向上、漁業の真の発展ということが期せられるわけでございまして、そういう観点から今回漁村集落生活改善整備事業を起こそうとするものでございまして、これは早急にモデル的にまず調査をし、実施をいたしまして、そして漁港予算とは別途に財政措置を講じまして漁村の環境整備に最善を尽くしたい、このように考えております。
  241. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間が参りましたので、私の質問はこれで終わります。
  242. 金子岩三

    金子委員長 津川武一君。
  243. 津川武一

    ○津川委員 非常にめんどうな二百海里時代に入りまして、私たちは沿岸漁業を育てなければならぬ、こんな立場に立って、この立場から今度の漁港整備を問題にしてみたいと思います。  そこで、漁港整備の状態が現在どうなっているかまず伺わせていただきたい。必要な分を十分満たしているか、そういう点も伺わしていただきたいと思います。
  244. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 もちろん地域によっていろいろ事情の差はございますけれども、やはり年々漁船の装備もよくなり、船型もやや大きくなっている事態も多うございますし、そういった漁業情勢の変化に対応して、現在の漁港施設が十分であるとはとうてい申せないというふうに考えます。  そこで、現在御提案しております第六次の整備計画で、沿岸漁業あるいは沖合い漁業の基地をも含めまして、将来の日本漁業にふさわしい漁港の整備を、抜本的に見直しした上で図りたいというふうに理解をいたしております。
  245. 津川武一

    ○津川委員 去年の秋でしたが、ちょうど風が強くなったとき、私は津軽半島の小泊と下前という漁港に行ってみました。そうしたら、あれは第四種避難港ですが、いっぱい漁船が来る。地元の船が、少し荒れたので帰ってきたけれども入れない。避難してくる漁船も入れない。とうとう下前で一隻、小泊で一隻難破しています。さあ、今度は晴れた。出ていこうにも今度は出ていけない。  こんなふうな状態になっていますが、このことは御存じなのか。たとえば、この下前、小泊などに対する整備計画がどうなっているのか、これが第二の質問です。
  246. 坂井溢郎

    ○坂井説明員 お答えいたします。  小泊漁港も津軽半島の北西部にある第四種漁港で、小泊と下前と二地区に分かれております。おっしゃるとおり、第五次漁港整備計画で鋭意岸壁、泊地及び防波堤の整備を図ってきておりますけれども、現在の施設の状況は必ずしも十分ではなく、係留施設の不足、特に盛漁期には港内がふくそうしておりまして、港内の静穏性の確保、出入港の漁船の安全性についても不足を感ずるうらみがございます。これらの整備につきましては、第六次漁港整備計画でも引き続き泊地の拡大、係船岸の充足等、それぞれ所要の計画を立ててこれが整備促進を図るように考えております。
  247. 津川武一

    ○津川委員 私は、小泊、下前だけそうなのかと思って、実は去年びっくりしてそれを見て帰ってきて、いま六次計画でやるというが、本当に全国どうなんだろうと思って、全国漁港協会に何か教えてくれと言ったら、こんな資料を出してくれました。「第六次漁港整備計画の確立」、これを見ましたら、どうやら皆さんも同じ認識だそうですが、満足できる漁港はほんの一握り。それでA級の満足できる状態の漁港が〇・三%、盛漁期には少々困るが何とかなるというのは三・九%、もうがまんができる限界を超したというのが二七・二%、とうていがまんできない状態が四二・八%、施設が皆無に近い状態二五・八%、がまんできない状態四二・八%、施設が皆無に近い状態二五・八%、二つ合わせて六八・六%、日本の漁港の七割がこんな状態に置かれている。私は、下前、小泊だけと思ったら、この資料でびっくりしたわけです。特に二百海里時代、この沿岸漁業というのが問題になるときなんで、大臣、これを何と見ているか。これに対する六次計画もさることながら、全体の国の整備計画、私たちは沿岸漁業を振興することは国の産業を支える、日本人の栄養を確保する基礎的な産業部分と考えている。ここに必要な援助、投資しなければならぬと思っているわけです。こういう漁港の整備、ここから沿岸漁業の振興、これは国政の基本でなければならぬと思いますが、大臣、この点いかがです。どうしてこの満足できない状態から抜け出すか、この二点を大臣に答えていただきます。
  248. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 いまの漁港に対する意識調査についてでございますが、私も基本的に漁港の整備が立ちおくれておるということは率直に認め、また反省もいたしておるところでございます。  また、一方におきまして漁業の情勢も年々変わっておりますし、漁船も大型化、機械化されてきておるというようなことで、この程度の漁港で対応できるのではないかといって出発したものが、途中で漁業情勢の変化によりましてどうも手狭である、不十分である、実際にやってみると防波堤を波が越えてくるとかいろいろな条件がそこに出てくるわけでございます。そういうようなことから各地とも修築事業をやったり、また改修事業をやったり、局部改良をやったり、手直しをしながら漁港を使っていっているのが現状でございます。したがいまして、意識調査をやってみますと、これで満足だという漁港は恐らく全国でもそうないだろう、このように考えております。基本的には立ちおくれであることが一つ、また漁業の情勢、漁船の大型化等によって、またいろいろの注文が出てきておる、そこから不満も出てきておる、こういう実態であろうかと思っておるわけでございます。  私どもはそういう実態を踏まえまして、六次計画におきまして一兆四千五百億という計画を立てまして、最近における二百海里時代の厳しい漁業情勢に対応して、何としても日本列島周辺の沿岸・沖合い漁業を振興させなければいけない、特に栽培漁業等にも力を入れなければならぬ、こういう新情勢に対応するためには、不十分ではありますけれども、この第六次整備計画を計画年次にぜひとも達成できるようにあらゆる努力を傾けてまいる考えでございます。
  249. 津川武一

    ○津川委員 大臣は第六次計画を計画年次に達成するとおっしゃる。大臣が席を外している間に、下前と小泊の例で、去年風が強かったとき、自港の船が入れない、外から来た船も入れなかった、とうとう下前で一隻、小泊で一隻難破している、出ていくときも出ていけない、こういう情勢なんです。これに対して今度の皆さんの六次計画でどのくらいの整備の予算を組んだかというと、小泊、下前で事業費五十二億円、これで整備するという。いま大臣が言っているとおりだ。いいことだ。本当にやれるかどうかと下前、小泊の漁業協同組合長に聞いてみた。五十二年についた予算が三億九千三百万、何年かかっていまのこの問題が解決するのだろうと言うわけです。(佐々木政府委員「五十一年じゃないですか、まだやっておりません」と呼ぶ)聞いてみたら、計画を見ると、大体予定されているのはそうだと言う。五十二年ですよ、皆さんの方で計画しているのをぼくはさらに繰り返し聞いてみた。こういう状況なので、事業を計画どおりやるとすれば、かなり綿密な計画と決意とが必要になっている。  そこで、いまどうするかということを聞いていたわけですけれども、個々のこういう漁港の整備に対して具体的に地元と相談して、必要な分だけやる、こういう用意はもちろんあると思います。聞けばそうだと言うだろうと思います。この用意があるのかというのが一つ。  これも皆さんの資料ですが、漁港協会に水産庁が相談して出してくれた資料なんですが、自港所属主力船が平均潮位でもはや入港できなくなってしまった。それを、いま大臣も言っているとおり、ここで漁港整備計画で根本的に地元や専門家の意見を聞いて考え直さなければならない、これが漁港整備の地元の具体的なあれです。こういう入港できない漁港は約千四百三十港。軽度のしけでも老練な船頭以外は危険を感じて出入を見合わせる漁港が約千四百八十港あります。この点、地元の人に聞いてみた。もうそういうベテランの船頭はいなくなった、したがって、漁港の整備は、人間のわざでやるような感じでやられては困ると言うのです。  それで、漁港の整備を根本的にそういう二つの立場から考え直さなければならぬ。特に避難港の場合、入る船が入れない、地元の船も入れない、そのために難破する、こう言われているので、今度の整備計画でこういう点を具体的にじみちに考えて進めなければならないと思いますが、今度の整備計画ではこういう点どうでございますか。
  250. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 従来から漁港の整備につきましては、地元の要望はもちろんのこと、県の段階でのいろいろな技術者の意見その他を十分聞き取りまして、われわれの方もまた技術的なアドバイスをしながら、一定の予算の範囲内ではございますけれども、できるだけ効率的に有効な漁港整備を進めるという観点でやってまいりましたけれども、今後、第六次計画の段階でも、もちろんいま御指摘のような点を含めて、個々の港についてどういう手順でどういう整備をすれば最も効果が高いか、それから地元の漁船の操業の安全とか、利用しやすいという観点からどの程度の整備が一番効率がいいか、こういったことをしさいに技術的に検討して進めたい、こういうふうに考えております。
  251. 津川武一

    ○津川委員 これが漁港の一つの本質、もう一つ機能施設。漁港はそれだけでは事が済まない、それで陸上機能施設用地が欲しいが不足して困っている、これが二千二百港。盛漁期に漁港背後への連絡道が込む。滞車が発生してとても困る。これを単なる漁港整備でやるから片づかないというのです。しかも大部分のところは私たちの下前、小泊と同じで、三陸沿岸もそうだが、天然の要害をつくっている。これが先ほど言った小さな船のときはいいが、いまはこうなったために、農林省、水産庁だけのサイドでいいかという問題が出てきているのです。漁港整備については農林省、水産庁だけではだめなんで、こういう場合の機能については建設省が主力になるべきではないか。ここらあたり国政はどうなんだ。これはすぐにぼくに聞かれることです。農林省、水産庁と建設省との漁港整備のときの具体的な計画はどうなんだ。機能施設はむしろ建設省が音頭を取って農林省、水産庁を引っ張るべきではないかと思うわけだが、ここらでひとつ国務大臣として、農林大臣としてどうなんです。
  252. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておるのでありますが、漁村部落というのは比較的辺陬の地にあり、交通も不便である、また背後地も狭い。そういう漁村が全国的に見て非常に多いわけでございます。そういうようなことで、やはり漁港としての機能を果たしてまいりますためには用地の造成ということもあわせてやる必要があるわけでございます。そこで六次計画におきましては、そういう地元の要望等も十分考慮をいたしまして、単に漁港の基本施設だけでなしに今後の機能施設の整備ということもあわせ考えながら漁港の修築計画をつくっておる。これが第一点でございます。  それから漁港と国道あるいは県道、町村道とかを結ばなければ漁獲物の運搬、輸送等もできないわけでございます。そこで漁港整事業の中では漁港関連道というものを取り上げておりまして、町村道なり県道なり国道と漁港をつなぐ、そういう漁港関連道の施記工事も、漁港の一つ事業として整備をいたしておるところでございます。それ以上の、今度は国道を整備せい、県道を整備せいという問題になってまいりますと、これは建設省との関連になるわけでございまして、私どもは漁港関連道の整備を図りながらそれに連結する国道、県道、町村道等の整備と整合性をとるように今後とも連携を密にしてまいりたい、このように考えております。
  253. 津川武一

    ○津川委員 漁港整備で水産庁は少し熱心なところもあるが、どうしても建設省に弱いんじゃないかというのがかなり聞かれる声なので、一層やはり建設省に具体的に問題を提示して漁港整備を進めていくように、私からもお願いして、次に質問を進めていきます。  今度第三種、こういう法案出したのは私も非常によかったと思いますが、一種、二種はいままで同じように育ててきて、どうして特定三種だけやるのか。一種、二種にも整備計画をこのとおりやはり国庫の補助率なんか上げなければならないんじゃないか。これは稲富委員の質問にもあったのですが、私もそのとおりだと思うのだけれども、一種、二種に対して思い切ってやはり、補助率を上げるべきじゃないか、こんなふうに思いますが、この点がいかがでございます。  もう一つ。今度の六次計画に採択予定されておる漁港の種別状況を見ると、第一種は第五次では百十一港、第六次では百七港に減っております。第二種では百五十三から百八十三にふえておる。この沿岸漁業と関連の深い第一種の採択が五次よりも減少している。これは何だろうか。第一種漁港総数二千百三十港のうちわずか五%の百七港が今度の六次計画で採択されておる。一種に対して考え直してくれませんかというのが、私の質問でもあり疑問でもあり端的な要求でもあるわけであります。
  254. 佐々木輝夫

    ○佐々木政府委員 前段の補助率、国の負担率の問題でございますけれども、今回の第三種漁港の基本施設の中の一部の外郭施設等につきましての負担率の引き上げの考え方は、やはり三種漁港というのは全国的な規模で利用されておる。したがって全国的な漁業の振興にも寄与するし、その受益者の範囲が非常に特定しがたい形で広範にわたっておるということと、事業の規模が非常に大きい。この両面を考えて漁港の整備を、特に大規模な広範囲に利用される第三種漁港の整備を促進する必要があるということで、国の負担率の引き上げを行うことになったわけでございます。  こういう観点から見ますと、第一種及び第二種漁港というのはやはりその利用範囲がかなり地域的に限定されますし、逆にまたその規模から言いましてもそう大きな規模のものは少ないということで、現状におきましてその漁港法の附則で昭和四十年度から構造改善に資する事業を実施している都道府県においては、御案内のとおり本則の百分の四十というのを事実上百分の五十に暫定的に適用いたしておりまして、実態といたしましては全国の一種、二種の漁港の全部がこの百分の五十の補助率の適用を受けるということもございまして、公共事業全体の中での事業規模、それからその受益者の広がり、こういったものから見てまあ一応バランスはとれているんではないか、かようにいま考えておるわけでございます。一方で国の負担率を引き上げますと、やはりどうしても総枠の予算規模に限定があります場合には、事業量の方をどうしても削減せざるを得ないことに理論的になるわけでございますけれども、現状からいって第一種、第二種といった沿岸、沖合いの、近海の漁業の基地の整備に対する要望というのは全国的に非常に強うございまして、私どもとしてはいまの補助率を当分前提にしながらでも事業の促進の方に全力を挙げたいというふうに考えているわけでございます。  第一種、第二種漁港の第六次整備計画の数が非常に少ないではないかという御指摘でございますが、これは過去において整備が進みますにつれて一応整備計画の中から、何といいますか卒業して抜かれていくものもあるわけでございます。それと同時に、第一種、第二種漁港につきましては、いわゆる改修事業であるとかあるいは局部改良事業といった形で実施をしてまいるものが非常に多うございまして、これらを合わせますと第一種、第二種漁港の八〇%程度は今度の六次計画の整備の中で整備の対象に考えておる次第でございます。
  255. 津川武一

    ○津川委員 最後に次長、あなたもこの間十四日に青森県の二百海里対策の県民大会に出た。あのときに来ているのは、八戸を除くと一種、二種の漁港の人なんだ。第一種漁港というのは漁港の数からいっても七割五分なんです。非常に地域性の強いものです。この漁港を整備するときもう一つ困るのは、地方自治体の負担なんです。地方自治体、なけなしの金をはたいて漁港整備に一生懸命かかっておる。それで非常に困ってしまっている。ときによると、ないために第一種、二種で整備もあきらめなければならぬところがあります。  そこで、漁港整備するとすれば、このための地方財政も農林省として、水産庁として援助してあげなければならぬ、肩を入れてあげなければならぬ。自治省交渉ももちろんしなければならぬ、大蔵省交渉もしなければならぬというところがまた地元の実態なんです。この点の地方の負担というものに対する手当てについて大臣のひとつ所信を聞いて、私の質問を終わります。
  256. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 地元の財政負担の問題でございますが、これは御承知のように国の五〇%の補助のほかに県並びに町村で負担をする、こういうことになるわけでありますが、その際、起債につきまして九五%まで起債枠を見ておるわけでございまして、今後におきましても起債による地方財政に対するところの裏づけというものは力を入れてやってまいりたい。  それからもう一つ。今回第三種の漁港の国庫負担を六割に一遍に引き上げた。大体第三種の漁港というのは漁港管理者が県になっておるわけでございます。それだけ県の財政負担が軽減をされる、こういうことになります。  私の県の例をとりますとはなはだなんですけれども、岩手県に第三種の漁港が四港ございます。それによる県の財政負担は、今回の措置によって大分軽減をされます。その分を二種、一種の漁港の地元負担の軽減に県が十分配慮をしておる。岩手県の例でございますけれども、そういうぐあいに県が管理をしておる第三種の漁港、今回の措置で負担が軽減される。その軽減された分で第二種、第一種等の漁港の地元負担の軽減等に十分配慮をしておるということで、今回の三種漁港の国庫負担の引き上げは間接的ではございますけれども、県の配慮によりましては一種、二種の漁業にもそれなりの均てんをするものである、こういうぐあいに御理解を願いたい。
  257. 金子岩三

    金子委員長 これにて両案件に対する質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後五時二十分休憩      ————◇—————     午後六時十三分開議
  258. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件、両案件の議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。まず、漁港法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  260. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  261. 金子岩三

    金子委員長 この際、両案件に対し、美濃政市君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されておます。  提出者から趣旨の説明を求めます。美濃政市君。
  262. 美濃政市

    美濃委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの六党を代表して、ただいま議決されました漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議につき、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   我が国水産業は、諸外国における二百海里漁業専管水域の設定等に伴い、重大な転機に直面している。   政府は、かかる情勢を十分に踏え、生産、流通、加工、消費等にわたり各般の水産施策を強力に展開することはもとより、特に水産業の基盤である漁港については、その円滑なる整備拡充を図るため、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。         記  一、いわゆる第五次漁港整備計画の進捗状況と新計画の規模等にかんがみ、新計画の完全実施が達成されるよう次年度以降における必要な予算の確保等に万全を期すること。  二、地方財政が逼迫している現状にかんがみ、漁港整事業に要する費用についての地元負担をさらに軽減するため、国の負担および補助の割合の是正等の措置を引続き検討すること。  三、流通の改善、水産加工の高度化を積極的に進めるため、従来から実施されている沿岸漁業構造改善事業および水産物産地流通加工センター形成事業と一体かつ計画的に漁港の整備を行うこと。  四、漁業集落の環境整備が著しく立ち遅れている実態にかんがみ、漁港の整備と併せて、新たな構想のもとに生活環境施設を総合的に整備するとともに漁港関連道の整備をさらに充実すること。   右決議する。  以上の附帯決議の趣旨につきましては、すでに質疑の過程で十分論議されており、委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)
  263. 金子岩三

    金子委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議につき、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  美濃政市君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  264. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、両案件に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。鈴木農林大臣
  265. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、十分検討の上善処してまいる所存でございます。(拍手)
  266. 金子岩三

    金子委員長 なお、ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  268. 金子岩三

    金子委員長 次回は、明二十四日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十九分散会