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1977-03-03 第80回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月三日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 木野 晴夫君 理事 近藤 鉄雄君    理事 竹中 修一君 理事 塚田  徹君    理事 木原  実君 理事 鈴切 康雄君    理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       関谷 勝嗣君    中馬 辰猪君       塚原 俊平君    藤田 義光君       増田甲子七君    兒玉 末男君       栂野 泰二君    安井 吉典君       新井 彬之君    市川 雄一君       米沢  隆君    柴田 睦夫君       中川 秀直君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      藤田 正明君  出席政府委員         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         行政管理庁行政         監察局長    川島 鉄男君         運輸政務次官  石井  一君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         気象庁長官   有住 直介君         気象庁次長   岩田 弘文君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  關  言行君         気象庁観測部測         候課長     山田 三朗君         自治省税務局府         県税課長    川俣 芳郎君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     井上 普方君   柴田 睦夫君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     上田卓三君 同月三日  辞任         補欠選任   栗林 三郎君     兒玉 末男君   不破 哲三君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     栗林 三郎君     ――――――――――――― 三月一日  旧軍人恩給等改善に関する陳情書外二件  (第一号)  青少年の健全育成に関する陳情書外二件  (第二号)  同和対策事業完全実施に関する陳情書  (第三号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  三九号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三号)      ――――◇―――――
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。藤田総理府総務長官。     —————————————  恩給法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 藤田正明

    藤田国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額増額最低保障額引き上げを行うとともに、戦没者等遺族及び傷病者恩給について大幅な増額を図るほか、旧軍人等加算恩給に対する制限の緩和、長期間勤務した古い退職公務員仮定俸給改善等措置を講じ、恩給受給者に対する処遇の一層の充実を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  これは、昭和五十一年度における公務員給与改善を基礎として、昭和五十二年六月から、恩給年額を約六・七%ないし七%増額しようとするものであります。また、公務関係扶助料最低保障額傷病恩給基本額等については、昭和五十二年六月から七%増額するほか、同年十月から、公務扶助料については年額を七十二万円に引き上げ、あわせて傷病恩給等についても特別の増額を行うことといたしております。  その第二点は、普通恩給等最低保障改善であります。  これは、昭和五十二年六月から、長期在職老齢者普通恩給最低保障額を五十五万円から五十八万円に引き上げる等、普通恩給及び普通扶助料最低保障額引き上げるほか、同年十月から、六十歳以上の者または寡婦加算の対象となる子を有する妻に支給する普通扶助料最低保障額について特段の措置を講じようとするものであります。  その第三点は、短期在職者仮定俸給改善であります。  六十歳以上六十五歳未満短期在職の旧軍人に係る准士官以下の仮定俸給年額及び一般文官恩給仮定俸給年額で二十一号俸未満のものを、それぞれ一号俸引き上げようとするものであります。  その四点は、扶養加給額引き上げであります。  これは、傷病恩給及び公務関係扶助料扶養加給額を、現職公務員扶養手当相当額引き上げようとするものであります。  その第五点は、旧軍人等加算恩給減算率緩和であります。  これは、加算による普通恩給または普通扶助料年額を計算する場合の減算率を、五十五歳以上六十歳未満の者にあっては百五十分の三・五から百五十分の三に、六十歳以上六十五歳未満の者にあっては百五十分の二から百五十分の一・五にそれぞれ緩和しようとするものであります。  その第六点は、一般文官退職年次による仮定俸給改善であります。  これは、長期在職一般文官仮定俸給を、通し号俸六十九号俸以下のものについて、昭和二十二年六月三十日以前の退職者にあっては二号俸、そのうち、退職後三十五年を経過した者にあっては三号俸、同年七月一日から昭和三十二年三月三十一日までの退職者にあっては一号俸、それぞれ引き上げようとするものであります。  その第七点は、普通恩給と併給される傷病年金等減額率緩和であります。  これは、普通恩給と併給される傷病年金及び第二款症以下特例傷病恩給減額率一〇%を五%に緩和するとともに、普通恩給と併給される第七項症の増加恩給及び第一款症の特例傷病恩給年額について、所要の調整を図ろうとするものであります。  その第八点は、傷病者遺族特別年金支給範囲の拡大であります。  傷病者遺族特別年金支給範囲を拡大し、第二款症以下の軽症の特例傷病恩給受給者についても、その遺族年額九万円の傷病者遺族特別年金を支給しようとするものであります。  以上のほか、旧軍人等不具廃疾の子に対する公務関係扶助料支給条件緩和障害年金を併給されている者の普通恩給改善、日本赤十字社の恩給公務員相当救護員抑留期間通算等所要改善を行うことといたしております。  なお、以上の措置のうち、公務員給与改善に伴う恩給年額及び扶養加給額増額並びに普通恩給最低保障額引き上げ昭和五十二年六月から、その他の改善は同年十月から実施することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米沢隆君。
  6. 米沢隆

    米沢委員 本委員会に提案されております運輸省設置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、当面する運輸行政に関する行政改革問題特に運輸省自体姿勢と過去の経緯につきまして、運輸大臣並びに行政管理庁当局の基本的な所信を承りたいと思います。  本日は行政改革全般にわたって質疑を申し上げたいと存じましたが、この問題につきましては改めて長官をお呼びいただく別の機会をおつくりいただくということをお聞きいたしましたので、詳細かつ具体的な問題につきましてはその機会に譲るといたしますが、ただ、今日ほど行政改革の問題が国民的な関心を集めて、衆参両院質問戦を通じて福田総理行政改革に取り組む積極的な姿勢を示されたにもかかわりませず、いま進みつつある八月までの具体案づくり準備作業というものは、それとはうらはらに後退後退を重ねている感を深くいたしますし、同時に行政改革の問題は、行管庁姿勢以上に各省庁自体本気でその気になって取り組むかどうかにかかっていると存じます。そういう意味で、本日は運輸省に関連する行政改革問題の数点に限り、必要に応じては行管庁所信を承りながら御質問し、今後の参考にさせていただきたいと思います。  まず最初に、運輸大臣にお尋ねする前に二点だけ行管庁の見解をお聞かせいただきたいと存じます。  先ほど申しましたように、今国会の質問戦を通じて福田総理は、行政改革必要性については、私たち佐々木質問に対しても、非常に重要な問題であり、資源有限時代に対応する国の構え、国の対応、それは行財政整理という問題に集約されると思うと言うまで大みえを切られましたし、八月までには行政改革具体案をつくる作業に着手し、五十三年度予算に織り込む予定であるとの意気込みを表明されました。また一日の閣議におきましては、行政改革はきわめて重要な問題であり、断じて行わなければならぬと積極的な取り組み姿勢を表明されて、各閣僚も行政改革実現に力を入れるように指示されたとの報道を見ました。  そこでまず第一に、その行政改革作業の第一段として、去る二月二十四日に行財政改革に関する政府、与党のトップ会談が開かれて、今後の基本方針基本構想が論議されたと聞きましたけれども、すでに行管庁当局には指示がおりておりましょうか。その内容についてまず説明をお伺いしたいと思います。
  7. 關言行

    關説明員 先生指摘のとおり、去る二月二十四日には総理それから内閣官房長官行政管理庁長官らによりまして協議が行われまして、その結果、総理から御指示をいただきまして、特殊法人の問題であるとかあるいは審議会など行政機構簡素合理化、それから許認可等行政事務整理合理化の方案について、八月末を目途に成案を得るように御指示を得ております。それを受けまして、行管庁におきましても目下鋭意現在の行政機構等の見直しに着手をいたしておるところでございまして、今後各方面の御意見も承りながら作業を進めるとともに、政府部内においても各省との協議を進めてまいりたいと考えております。
  8. 米沢隆

    米沢委員 その問題につきましては、大体新聞報道内容と同じような感じがしますが、ここでぜひお伺いしたいのは、いまおっしゃいましたその中身というものが、従来まで数多くの答申に出てきたものと違ったものがあるのかどうか、新味がある内容があったのかどうか、その点どうでしょうか。
  9. 關言行

    關説明員 従来各方面から御指摘をいただいております、行政監理委員会意見でございますとか、そういうものも十分尊重いたしながら検討を進めるわけでございますが、そういう意見において指摘されたものに限定をするというふうに、限って考えておるわけではございません。
  10. 米沢隆

    米沢委員 そうおっしゃいますけれでも、中身そのものは従来から指摘されておった問題と全然新味がないという感じがするのです。したがって、積極的に行政改革を進めていこうとする、本気にそういう姿勢がございましたならば、もしその内容が同じであるとしましても、その中にはし残した部分がたくさんあるわけでありまして、そういう意味では今後のやり方とか進め方とか、そういうものについて、もう少し積極性を示す指示が何かあってしかるべきだと思いますが、そういう指示はいかがでしょうか。
  11. 關言行

    關説明員 先生指摘のように、こういう厳しい情勢でございますので、積極的に進めるという点については承っておりますけれども、具体的にどういうふうに作業を進めるかは私どもの方で鋭意検討いたしておるところでございます。
  12. 米沢隆

    米沢委員 ほとんど中身が同じでありますから新鮮味が全然ない、そういう意味では、いままでいろいろ各方面から指摘をされたそういう問題については、その進め方のむずかしさについても当局の方はおわかりいただいておると思いますから、取り組みは大変早いというふうに思ってよろしいのでしょうか。もしスケジュール等がわかりましたら教えていただきたいと思います。
  13. 關言行

    關説明員 ただいまのところ、具体的に何日までに何をやるというような非常に細かい日程を組んでおるわけではございませんけれども総理の御指示でございます八月には成案を得られるようにということで鋭意努力をいたしたいと思っております。
  14. 米沢隆

    米沢委員 そういう意味で全然新味のない、言葉は大変積極的な言葉がたくさんありますけれども、そのあたり大変私たちはがっかりしている一面がございます。  そこで、これは新聞報道を取り上げて申しわけありませんが、去る二十一日の朝日新聞にはそのあたりがもじってありまして「行政改革、早くも重荷? 首相のハッパに踊らず 行管当局手並み拝見構え」こういうタイトルで「福田首相意気込みに対する反応も冷たい。西村長官が「行政改革をやるというのは単に心構えの問題」といえば、行管庁の幹部も「要は首相やる気首相はどこに病根があるかはよく知っているはず」という有り様だ。」というふうに伝えておりますけれども行管庁の態度というものはこういうものでよろしいのでしょうか。本当なのかうそなのか、そのあたりちょっとはっきりしてほしいと思います。
  15. 關言行

    關説明員 御指摘のございましたような新聞記事は私ども拝見をいたしておりますけれども、私どもの心に持っておりますところとは大分違った表現になっておると思います。確かに具体的な問題を、構想なり何なりを申し上げる段階にない今日では、あるいはそういうような見方というのがあり得るのかと思いますけれども、まあ私どもとしては事実に即した報道であるというふうには受けとめておらぬわけでございます。
  16. 米沢隆

    米沢委員 それではそれだけにいたしまして、次は、これも読売の記事でぼくは知ったのですけれども、今度行管庁では、これまでとかく行政改革については行政内部だけで改革案を練ったことに対する反省とともに、広く各層から集まった声を改革促進のてこにしたい、こういう考え方から、今月初めから経団連を皮切りに、学者、政党など各界から改革についての具体的な意見を聞く行政改革対話シリーズを始めるということを読みました。ぼくはなかなかいいことだと思いますし、遅きに失した感じさえするのです。  そこでお尋ねしたいことは、各界からの意見聴取に当たり、いま当局の御計画の中には、どのような方針でどのような団体あるいは個人から聴取されるのか、その範囲とか規模、その内容、またそれをどのように生かされていこうとされておるのか、スケジュール等もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  17. 關言行

    關説明員 具体的にどのような範囲からどのような問題について御意見を承ってまいるかということにつきましては今後の問題でございますけれども先生指摘のような点も踏まえてできるだけ広い範囲から、たとえば言論界とか学界とか産業界とか、そういう国民各層からの御意見を承って私ども検討参考にさせていただきたいというふうに考えております。
  18. 米沢隆

    米沢委員 いまの御答弁の中で国民各層からという、その各層大変心も強くいたしますけれども、特に意見を聞いていただきたいというのは、従来までの複雑な行政機構に振り回されてきた国民の声を聞いてほしいということ、それから補助金行政などに泣かされてきた地方自治団体関係者皆さんの声もぜひ聞いてほしいということ、それから骨身を削る思いでいろいろと企業努力されておる中小零細企業者や農民は、いつも言いますところは、いわゆるお役所仕事に対する反感というものを非常に持っておるのです。そういうものに対する本当の声というものを皆さん説得力のある説明のできるようなかっこうでお聞きいただかないと、こういう改革のいろいろな対話集会なんかにいたしましてももうわかっていることが言われて、そんな議論になっていくんじゃないかと思いますので、そういうところまで手を伸ばして意見を聞いていただく用意があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 關言行

    關説明員 御指摘のような点はごもっともでございまして、私どももできるだけ広い範囲から御意見を承るようにいたしたいと思います。
  20. 米沢隆

    米沢委員 私たちの考えますところ、行政改革問題点については、臨調の答申を初めとして、たび重なる行政監理委員会答申など、すでにその問題点のほとんどは明らかにされておるんではないかと私は思います。にもかかわらず毎年のようにこういう議論がなされなければならぬ理由というものは、役所を初めとして与野党や労組にもあると思いますが、各関連業者などの強い抵抗があってできなかったことによるところが多いと私は思うのです。そういう意味で、この時点においては、改革必要性だとかあるいは改革可能性というものについて意見聴取をされるというよりも、なぜ改革できないのか、いままで改革できなかった障害をどのように除去するのかというそういうものに焦点を置いて当局意見を聴取されることが必要ではないかという感じがするのでありますが、そういう計画になっておりましょうか。
  21. 關言行

    關説明員 御指摘のように、一つ改革をやりますとそれによって影響を受ける国民の層というものは必ずあるわけでございまして、そういうところの御賛同あるいは御理解がいただけませんと改革もなかなか進みにくいということは当然考えられるわけでございますので、私どもといたしましても、そういう改革の推進に障害になるようなことのないように配慮をいたしてまいりたいと思っております。
  22. 米沢隆

    米沢委員 この際、長年にわたって行政改革を担当されてきた当局にぜひお伺いしたいのは、経験上から言いまして行政改革が一向に進まないという一番大きなネックというものをどういうふうに御理解をいただいておるのか、ぼくは率直に聞かせてほしいと思います。
  23. 關言行

    關説明員 行政改革は余り進んでいないではないかというような御叱責をわれわれ受けることがあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、若干手前みそになるかもしれませんが、及ばずながらできるだけの努力をいたしてまいっておる所存でございます。しかしながら、そういう御指摘を受けるということは、私どもといたしましても今後さらに反省して、もっと積極的に進めるという努力をさらに強めなければならないというふうに考えるわけでありますが、行政改革の各種の問題の中には、やはり行政機構なら機構だけの問題にとどまりませんで、その機構が担当いたしております行政事務なり行政制度というようなものの根幹に影響の及ぶような場合もございますし、それだけになかなか問題自体がむずかしいということもあろうかと思います。あるいはまた人員の縮減というような問題になってまいりますと、現に働いておる人たちの身分に影響の及ぶというような問題が含まれる場合もございまして、そういうような点が実行面でのむずかしさを非常に伴っておる。そういうようなことがあるいは思い切った物の考え方から見れば少し進んでおらぬのじゃないかという御指摘につながるのではなかろうかというふうに推測をいたす次第でございます。
  24. 米沢隆

    米沢委員 そこで、この行政改革に対する認識の問題でありますが、ここでもう一度申し上げたいことは、行政改革を大々的に進めていく道は、何と申しましても、行管庁当局の御努力もさることながら、やはり行政機構の長そのものが、また各省庁内部そのものから本気になってやる気があるのかどうか、こういうところにかかっておるという気がするのです。たとえば五十年四月二日に出されました御案内の「今後における行政改革の課題と方針」というパンフレットによりますと、冒頭に「行政改革の必要とその進め方」の項にこう書いてあります。「従来からの行政改革の経過をみると整理すべき部門を各省庁別に具体的に指摘し、その改廃を図っていくという正統的な手法については、その適用に困難性が多く、むしろある程度の成果を挙げ得たとして評価されたのは、政府全体の方針として、各省庁一律の整理方針を取った場合に多かった。」云々、こう書いてあります。このことは、改革というものが内閣自体の強い決意のもとに政府を挙げて取り組む必要があると同時に、いわばいろいろ理屈を聞いていたのでは全然進まないものだ、言葉をかえれば、まじめな内部からの積極的な努力に欠けていたというところに反省する必要があるんじゃないかということを述べられておるというような気がするのです。  そこで、きょうは運輸大臣出席でありますから、各省庁を代表して省庁自体内部努力、そういうものについて運輸大臣いかがなものでしょうか。
  25. 田村元

    田村国務大臣 行政改革というのはいろいろと理屈はありますけれども、結局、これは運輸省という意味ではありませんが、一番抵抗するのは官僚だと私は思うのです。でありますから、行政改革というのは、もちろん理論的な積み重ねというものは必要であります。必要なものまでぶった切る、整理をする、これはよろしくない。けれども、あってなきがごとしと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、整理してよいもの、あるいは世論相当厳しい批判を受けておるもの、そういうものについてはやはり各省庁大臣勇気を持って決断するということ以外に行政改革はできないと私は思うのです。でありますから、大臣悪者になる場合——悪者ということは国民に対してではない、自分の省庁官僚に対して憎まれてもよい、悪者になるぐらいの決意を持って、勇気を持って正しい判断を下したときにこれを実行する、それでなければ簡単に行政改革というのはできるものじゃない、このように考えておりますので、私自身心構えとしては、蛮勇はふるいませんけれども、正しい勇気だけはふるっていきたい、このように考えております。
  26. 米沢隆

    米沢委員 そしてもう一つやはり問題になりますのは、そしてぜひ皆さんに聞いていただきたいことは、やってきたと先ほど行管当局も言われましたが、それなりにやってきたと言われる行政当局と、何もやっていないではないかという世論との間に大変なギャップがあるという問題です。御案内のとおり、従来から行政改革については歴代内閣のほとんどが取り上げてきましたし、それなりの公約をやってきましたけれども国民の側から見て行政改革は全然実を上げてないではないか、こういう議論が一般的な認識ではないか、私はそう思うのです。一方ではやったと言う、一方ではやってないではないか、こういう議論がある。新聞論調なんかもみんなそういう程度ですね。いろいろ答申が出てきたにもかかわらず、全然なっていないという議論がほとんどを占めておるのです。そういう意味で、たとえば、二月九日に民社党の塚本書記長予算委員会においてこの行政改革入り口論にちょっと入りましたけれども、そのとき西村長官自身、やはりやったと連発をされておられる。私は、このような世論行政当局との認識ギャップ、ずれ、これをどう受けとめていただいておるのか、これがやる気を出すためには大事なことだと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  27. 田村元

    田村国務大臣 私自身経験から申せば、私が大臣政務次官でない立場に立ったときには、あれも整理すればいいじゃないか、これも整理すればいいじゃないかという気持ちが非常に強うございました。言うなれば私自身の気持ちが世論的であったかもしれません。しかし、実際に役所に入ってみますと、一〇〇%むだな機構というものはなかなかないのです。やはり調べてみるとそれなり理屈がある。ですから、それに対する決断の問題であろうと思います。率直に言って、行政改革についてやったのかやらないのかというのは、これは主観の問題であろうと思うのであります。でありますから、やはり世論は最大限のものを求めるし、また行政の方は可能な限りという、まあ世論から見れば消極的とも見えるような態度にもなりましょう。でありますけれども、現実に行政改革というものはすばらしい姿でやられたとは言えないかもしれませんが、各省庁見ておりますと、確かに徐々にではあってもやられてはおるというふうには判断してよいのではないか、そういう感じで実はながめております。
  28. 米沢隆

    米沢委員 おっしゃるように、組織それぞれにはできた当時の使命がありましょうから、理屈を言うならばそれはあった方がいいのであって、ない方がいいという組織はそうないはずです。しかしながら、主観的だとおっしゃいますけれども、やはり民間人の立場から見たら、お役所仕事とか、何でこんなむずかしいことをしなければいかぬのだろうか、そういうものがあるのですね。そういうものは中におられますとそんなに関係がないかもしらぬけれども、民間で暮らしている連中にとっては余りにもむだであり、余りにもお役所仕事的であり、そういうものに対する反感というものをもう少し反省してもらわぬと、やったかやらぬかは主観の問題なんて言われたのでは私は本当に進まないのではないかという気がするのです。  それで、皆さんにも言い分がありましょうし、世論はわかっとらぬというふうな、あるいはまた無責任であるというふうにおっしゃるかもしれません。しかしながら、やったやったとおっしゃるけれども、そういうものは民間の仕事をやっていく場合には、食うていくためにはあたりまえのことかもしらぬのですね。だから、あたりまえなことをやっておってやったと言う感覚そのものがわからぬというのがわれわれの感覚ではないか、そう思うのです。だから、大々的にやるということは、いままでやったというのは民間人の感覚からしたらあたりまえのことをやっておるだけのことだ、それは食うためにはそんなことをするのはあたりまえだ、それ以上のことをしてもらわぬとわれわれはどうも納得できないというところに大きな問題があると思うのです。どうお考えでしょうか、行管庁皆さん
  29. 關言行

    關説明員 御指摘のような感じ国民の皆様に与えておるとすれば私ども努力がそれだけ至らない、そういうことになろうかと思いますけれども、気持ちとしては国民皆さんにもやっておるというふうにわかっていただけるように努力をいたしたいと思っております。ただ、御指摘を伺っておりましてちょっと感じたのでありますけれども、たとえば国家公務員の数は多いんじゃなかろうかというような疑念を投げかけられることが私どもあるわけでございますけれども、これは学校とか病院とかではふえておりますけれども、一般の行政事務について見ますと、ここ十年ぐらいで十万人を超える縮減をやっておるわけでございます。これは一つの例として申し上げたわけでございますけれども、これは私どもの感覚が甘いと言われるかもしれませんが、相当な厳しさではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  30. 米沢隆

    米沢委員 そこで運輸大臣総理は五十二年度の予算編成につきまして経費削減のために相当努力をされたとたびたび言われております。そこで、運輸省当局としては五十二年度予算編成の過程で経費削減についてどのような内部努力をされたのか。一つは定員の縮減、定員配置の合理化の問題、二つは特殊法人等の整理合理化の問題、三つ目には補助金等の整理の問題、四つ目には許認可事務の合理化の問題、五つ目には国と地方の行政事務の再配分と機関委任事務の整理の問題、この五点について数字を挙げて説明をいただきたいと思います。
  31. 山上孝史

    ○山上政府委員 お答えいたします。  まず、経費節減の問題でございます。これにつきましては、何といいましても補助金の整理の問題が一番だと思います。これにつきましては、毎年運輸行政につきましても御承知のとおり新規の行政需要というものが旺盛であります。こういう中で既存の補助金の整理合理化に努めてきているつもりでございます。たとえば昭和五十年度以降三カ年をとってみますと、ほぼ横ばいでもって一応おさめてあるということでございます。  なお、もう少し具体的に申し上げますと、五十年度以降整理、廃止いたしました補助金の主なものを申し上げますと、五十年度は沖繩国際海洋博覧会の輸送対策費……(米沢委員「五十二年度の予算についてで結構です」と呼ぶ)五十二年度といたしましては、大都市バス施設整備費補助金、それから船舶整備公団の事務費の補助金、この二つを廃止いたします。  それから、廃止まではいきませんけれども、補助金の減額を行うと予定しておりますのは、五十二年度は地方鉄道軌道整備費の補助金、それから物流施設の整備費の補助金でございます。  それから、そのほかの予算上の経費の節減につきましては、いま申し上げました補助金のほかに定員の削減、これは閣議決定に基づいた方針の具体化でございますが、定員の削減を二百八十五名いたす予定でございます。  そのほか一般の行政経費等につきましても、既定経費を原点に立ち戻って洗い直し、経費の重点化、効率化ということに十分留意いたしまして予算内容を編成したつもりでございます。さらにその結果につきましても節約を行って、そういうことで、いろんな方法を総合いたしまして極力経費の抑制に努めているつもりでございます。  それから、行政改革の問題でありますが、まず特殊法人につきましては、いまも先生いろいろ御指摘がありましたけれども運輸省の専属の特殊法人も幾つかあります。これらの法人につきましても、先ほど来大臣もお答え申し上げましたように、いろいろ存在の理由があってできたものでございますが、このような事情がありますので、これを直ちに整理するということにつきましては、いろいろ問題が多くあります。  しかし、このうち具体的に申し上げますと、五十年十二月に閣議了解がありましたので、これに基づきまして京浜外貿埠頭公団、それから阪神外貿埠頭公団、これにつきましては、建設事業の終了の時点における管理機構のあり方について検討するという御指摘でありますので、それにつきまして具体的に問題点を究明し、いま掘り下げつつあります。  また、同じ閣議了解で、日本鉄道建設公団につきましても御指摘がありました。これは、鉄建公団と国鉄との新幹線鉄道事業に関する建設の分担につきましてわかりにくい点がいろいろあるということでございまして、これにつきましてももっともな指摘でもありますので、いろんな技術能力の問題、あるいは在来線との関連の問題、あるいは資金調達能力の問題等から、この鉄建公団と国鉄との分担につきまして明確な基準というものを求めるように、いま具体的に詰めつつあります。  それから行政機構の問題でございますが、これにつきましては、現在この委員会で御審議願っております設置法の一部改正にありますように、新しい行政需要といたしまして、気象庁の付属機関として気象衛星センターをぜひ設置さしていただきたいということでございますが、これに対応いたしまして、現在気象庁の付属機関としてあります気象通信所、この機能は依然として必要なんでございますけれども、この機構を廃止をいたしまして、それで気象衛星センターにその業務を吸収させるということで、いわばスクラップ・アンド・ビルドということでお願いをしたいというようなことを考えております。  それから、大臣権限の地方への委任の問題であります。これにつきましては、先生すでに御承知かと思いますけれども、たとえば例を道路運送法という自動車行政の基本法について申し上げますと、運輸大臣権限のものはほとんどありません。ほとんど地方の陸運局長あるいは都道府県知事に委任しております。現在本省に残っておりますのは、具体的にはほとんどないと言っても過言ではないと思います。  そのような方向で今後ともできるだけ、やはり交通というものは、全国的視野では政策として見る。具体的な地方交通のあり方につきましては、やはり地域地域の実情に対応したものをきめ細かく地方の出先機関でもって調整していく、あるいは地方自治体との連絡を緊密にして処理したいということで、今後ともそういう方向で検討してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、昨年ロッキード事件を契機といたしまして、運輸省運輸行政総点検本部というものを設けまして、許認可行政の総点検あるいは綱紀粛正問題あるいは許認可の運用の公正の確保の問題等点検してまいりました。その結論が出たものから次から次へと具体化してまいりましたが、今後の問題といたしましても、この総点検本部を活用いたしまして、行政機構整理といいますか合理化、広い意味行政改革の具体化について検討してまいりたいと思います。
  32. 米沢隆

    米沢委員 いま説明をいただきましたけれども、ちょっと後の疑問を言います前に一つだけ、大臣がまだおられるときに聞いておきたいんですが、予算編成される場合、結局各省庁の要求額を決めて、大蔵原案をつくるためにいろいろと折衝されますね。よく経験するんでありますが、たとえば不用額なんかが出ると、結果的には次の実績にならぬからと言って、早く使ってしまえとか、あるいは何とか理由をつけてうまくやろうではないかということで、皆さん努力されたものを、その結果出てきた不用額なんかも次の実績にとっては非常に不利なものになっていくからうまくやれ、こういうのが一般的だと私は聞いているし、そういう経験もあるんです。そういう意味で、皆さんが各省庁で要求される、だから、どうせ削られることを前提にして目いっぱいつくっていった方がいいではないかというところには、合理化努力なんか全然逆に拒否されるような方向の感覚しか出てこないと思うんですね。そのあたり、実態はどうなんでしょうか。ぼくは、そんなのがたくさんあるような気がするんですが、大臣
  33. 田村元

    田村国務大臣 実は、私が就任いたしましたのが十二月の末でございましたから、いきなりぶっつけ本番で予算編成に当たりました。編成というよりも、大蔵省との折衝に当たった。前に私は労働大臣をいたしましたが、労働大臣のときには実は予算編成の経験を持ちませんでした。  そういうことで、いまおっしゃいましたことにつきまして、行政の実務の問題でありますから私はよく存じませんが、いままでの、私二回政務次官をやり二回大臣をやっておるわけですが、経験から言って、本省でそういうことはないんじゃなかろうかという感じはいたします。ただ、出先あるいは地方公共団体等において、あるいはそういうことがあるのかもしれません。このことにつきましてもなんでございましたら、官房長あたりから御説明を申し上げてもよいかと思います。
  34. 山上孝史

    ○山上政府委員 大臣がお答え申し上げたとおりでありまして、たとえば具体的に運輸省について申し上げますと、概算要求のときにはいろいろ予定でありまして、その予定、われわれのもくろみ、これを大蔵省当局が査定をされまして、それで国会で承認を受けるように予算案として提出される、こういうことでございます。したがいまして、そこで成立した予算は、これに余裕があるとかあるいは過剰になるということは通常あり得ないわけでありますが、しかし当時やはり想定できませんような事情の変更ということがございますと、そこに不用額というものが出るのは当然でございます。それを何とか、とにかく予算にある以上使うというようなことは、予算のプラスマイナスの効率的な使用という見地から言いましても、これはとうてい許されることではございません。したがいまして、物によっては、運輸省につきましてもある程度の不用額は毎年計上してあるという実情でございます。
  35. 米沢隆

    米沢委員 それは後の議論に残します。  それから、先ほど御説明いただきました京浜、阪神外貿埠頭公団ですね。もうその目的はほとんど終わっておるはずだと私は思うんですけれども、何でこんな検討というのがいつまでたっても終了しないのか。この二つの公団がいつごろ終わるのか、それから鉄建公団の検討もいつごろ終わるのか、ぜひはっきりしていただきたいと思います。  同時に、いままでは特殊法人についての整理合理化というのが大きな焦点でありましたけれども、これからは本格的にやるためには、やはり認可法人も含めて検討を進めていかなければいかぬと思うんですが、そのあたり検討される、やる気があるのかどうか、大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  36. 田村元

    田村国務大臣 数字に関しまして、私の申し上げることがあるいは間違いがあるかもしれませんから、それはお許しを願いたいと思います。後で訂正をさせたいと思いますが、外貿埠頭公団におきましては仕事が終わるのを待ってということでありますが、あと金額的に言えば、事業費で一千億程度の仕事が残っておるんじゃなかろうかという感じでございます。  しかしながら、私自身、外貿埠頭公団につきましてはある種の構想を描いておるわけでありますが、何さま二月、三月、四月というのは、私は事実上の仕事が何もできません。毎日国会であります。でありますから、この八月ごろまでに何らかの結論を出さなきゃならぬのでありましょうが、相当厳しい態度で臨まにゃいかぬなという感じで、いままだ局長や次官には相談をかけておりませんが、私自身の頭の中である種の構想を描いておるという段階でございます。  それから鉄建公団に関しましては、鉄建公団というのはトンネル技術なんかが非常にすぐれておりまして、国鉄と鉄建公団との仕事の分担ということが焦点になるわけでありますが、鉄建審あたりも十年ぐらい先までの公団の役割りというものを描いておるわけであります。でありますから、これから国鉄と鉄建公団との分担というもののけじめを合理的に技術的にはっきりさせていくことが必要ではなかろうか、そのために両方の話し合いもさせなきゃなりませんが、運輸省のイニシアチブというものを確立していきたい、このように考えておる次第であります。
  37. 米沢隆

    米沢委員 認可法人の検討は今後考えておられるのかどうか、お聞かせいただきたい。
  38. 山上孝史

    ○山上政府委員 五十年十二月の閣議了解に基づく検討といたしましては、先ほど来御指摘があり、お答え申し上げておる二つの外貿埠頭公団の問題と、鉄道建設公団と国鉄との新幹線建設の分担の問題、この二つでございます。いま先生がおっしゃいました認可法人、これも運輸省に幾つかございます。これにつきましても、総点検本部におきまして必要に応じ検討いたしたいと考えております。
  39. 米沢隆

    米沢委員 この問題は細かい議論をしていきますと相当な時間がかかりますので、入り口論だけでやめて後に残しておきたいと思います。  それからもう一つは、補助金の整理合理化の問題であります。  この補助金にもそれぞれついたときの理由があり、またそれをもらう方のいろんな対応の仕方として、必要欠くべからざるものとして受け取っていらっしゃる方もおる。そういう意味では整理合理化というのはそれなりにむずかしいと思うのであります。これはただ単に運輸省自体の責任というよりも、たとえば同じ事業の名目で複数の省庁から補助金が行って、そのかわり地方自治体は振り回されるというのは昔から指摘をされてきた事実でございます。そういう意味ではそのあたりの合理化というものが必要ではないかという議論も再々行われた。たとえば海岸保全施設の整備事業費にしても、一般港湾は運輸省から金をもらい、漁港は水産庁から金をもらい、干拓海岸は農林省から金をもらい、自然海岸については建設省から金をもらう。省庁そのものにはそれなり理由があるかもしらぬけれども、受け取る方にとってはどこからもらってもいいのでありまして、そのかわりに地方自治体自体も大変多くの金を使って、また時間的にも振り回される。そういうものについて、おのれの省庁の問題ではないというよりも、国全体の態率、行政の態率ということを考えて、もう少し積極的に、運輸省自体もはっきりとそのあたりを解消するために議論をしていただきたいという気がするのです。いままで指摘をされましたのはこの海岸保全の整備事業費がありますけれども、その他、一般交通事故相談所と自動車事故対策費の補助金の一本化の問題、これは総理府と運輸省の関係ですね。それから観光行政で文部、厚生、運輸という、閣僚協議会等でうまくやっておるとおっしゃるかもしらぬけれども、実際は振り回されておるのは末端の方です。  そういう意味で、このように兼ね合いのある事業あるいはそういうものに対する各省庁から出ていく補助金の整理、そういうものについて、大臣、どういうようにお考えになって、今後どういう対策を打っていただけるのか、お聞かせ願いたい。
  40. 田村元

    田村国務大臣 補助金につきましては、各省庁で意欲的に整理できるものと、それから政府全体にわたるものとがあると思うのです。でありますから、いまダブっておる問題でございますが、各省庁で意欲的に話し合いができるものはやはり話し合いをした方がよいと思うのでありますが、先ほど御指摘のありました港湾、漁港、海岸等につきましてせっかく例を挙げての御質問でありますから、その問題で私の見解を申し上げますならば、港湾というものと漁港というものとは、見た目にはよく似たものでありますが、その果たす役割りが全然違いますし、そしてこれが、一方においては運輸省港湾局、一方においては農林省漁港部ということになっております。海岸におきましてもさようでありまして、いわゆる港湾区域内にある海岸保全事業については港湾局、漁港区域内にある海岸については漁港部、農地区域内にある海岸については同じく農林省の構造改善局、そのいずれにも属さないものが建設省の河川局、このように分かれております。  これを補助金という点で論ずるよりこの一本化、一体化を図るならば、むしろ大きな行政改革をやる方が適当ではないだろうか、これは私の私見でありますけれども、そうすれば海洋庁でもつくって海関係を全部まとめるというようにでもしなければならぬ。しかし現実には港湾と漁港あるいは各種海岸、これが全部性格が違っております。ただ海岸なんかは、三省四局にまたがっておった今日までの海岸が、全部五カ年計画で統一されたことは非常に大きな前進であったと思いますけれども、そういうむずかしさがある。  でありますから、一省庁がやかましく言って解決できる問題と政府全体で考えなければならぬ問題、いろいろとあると思います。いずれにいたしましても補助金制度というものは洗い直す時期が来ておるということは言えるかと思います。
  41. 米沢隆

    米沢委員 いろいろと御答弁いただきましたけれども、まだ論議を重ねていかなければどうも納得できないものばかりでございます。  いまおっしゃったような問題でも、これも昨年から大変問題になったと思いますが、たとえば川崎市あたりで、運輸省所管の防波堤はできたけれども建設省のものができぬので、その土地の高潮対策としては大変またちぐはぐで、ひょっとしたら被害を逆に大きくするかもしらぬ。そういうものに対して、本来ならば受ける地域の人にとっては、皆さんのやってくれるというものと、実際建設省も運輸省もうまいことやってくれぬ限りどうしようもないというものがあるのですね。そういうものを私はお尋ねしたわけで、それを後で深めていきたいと思います。  それからもう一つ運輸行政総点検本部等を設けられていろいろと御努力いただいておるのは大変結構なことだと思いますが、私は、いまごろそんなことをやらぬといかぬというところに問題があるということを指摘しておきたいと思います。  それから、運輸行政改革計画、これは古い四十三年のものでありますが、ここに皆さんの目的として「許認可制度に競争原理を導入して、競争を通じて公衆の利便の増進と運輸事業の効率的運営を図ることとする。」まあこれは十年前の話でありますけれども、全然末端ではこうなっておりませんね、皆さん。それは後でまた詳しく機会をとらえてやりたいと思いますけれども、結局既存の業者に振り回されて、既存の業者の利益を守るばかりで新規参入を全然許さない、そういうものがたくさんありますね、皆さん。そういう意味では、こういうきれいごとというものが末端ではまだまだ行き届いてないということをぜひ自覚いただいて、今後の御努力をお願い申し上げたいと思います。  予算委員会の関係で、どうぞお立ちください。  それから最後にもう一つお聞かせいただきたいと思うのでありますが、余り時間もありませんので簡単で結構です。  今度医科大学とか歯科大学の新増設で定員が例外処置としてふくらみましたね。それぞれ新しい事業というのは本当に大きな理由があるわけですから、結果的には総定員法のしり抜け措置になっていく可能性があるのではないかという心配があるのです。いまでも定員削減の状況というのは、毎年どんどん減っておりますね。もういまがピークみたいになっておりますね。ことしで逆転して、新しい定員を採ろうというわけですから、これから先どうなるかわからぬのです。そういう意味で総定員法のしり抜けになっていく可能性がありますがゆえに、今後の定員管理のあり方というものをどうお考えになるのか。それからいまクローズアップされております公務員の週休二日の問題、これは大いに定員と関係がありますので、そのあたりも今後どういう取り組みをされていかれるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  42. 關言行

    關説明員 国立大学の中でも無医大県の解消計画等に伴います一部の特定部分の定員を別途総定員法の枠の外に置いて適正な規制を加えていく、そういうようなことをやると、総定員法でせっかく上限を決めておるのに、国家公務員の数がむやみやたらにふえていくというようなことになるのではないかというお尋ねかと思いますが、私どもといたしましては、総定員法の枠の外に置きますものは非常に限定をして考えております。これは御審議をお願いいたします法律案の中でも限定的に列挙をいたしておるような次第でございまして、それ以外のものは、やはり従来と同様の感覚で総定員法の枠内で厳正に規制をいたしてまいりたいというふうに思っておりますので、決してしり抜けになるようなことのないようにいたす所存でございます。  それから公務員の週休二日制につきましては、実は人事院が中心になりまして現在週休二日の試行を行っておる段階でございまして、御指摘のように、仮に週休二日制が実施されるというようなことになりますと当然定員面へのはね返りということを考えなければならぬわけでございますが、片一方では、こういう厳しい財政事情等も踏まえまして、国家公務員の数も極力抑制をせよという御意見も非常に強いわけでございますから、その辺の兼ね合いは試行結果を見た上でまた考えてまいりたいと思っております。
  43. 米沢隆

    米沢委員 それは当面やらぬということですか。
  44. 關言行

    關説明員 やらぬという意味は週休二日制をですか——まことに何か所管にとらわれたような答弁で恐縮でございますが、週休二日制をやるやらないの問題については、ちょっと私どもの方からはお答えいたしかねます。
  45. 米沢隆

    米沢委員 それはまた後にやりましょう。  最後に、話は別になりますが、今度運輸省で、空港周辺の騒音問題解決に資するために四十九年以来懸案でありました立地規制を含めた土地利用計画法案を提出される。運輸省の管轄になると思いますが、特にお聞かせいただきたいことは、この法律というものが空港周辺の騒音対策あるいは居住都市化制限という目的には大変資する問題でありますが、立地規制という観点から見るならば、所有権とか居住権等と抵触する問題が大変あるような気がいたします。したがって、この際検討されております法案の進捗状況についてお尋ねをしたいと思うんです。この法案の要点のみで結構でありますが、内容と、法案作成の進捗状況、いわゆる建設省との兼ね合い、農林省との兼ね合い等々ありましょうから、そのあたり何が問題になっておるのかを明らかにしながら、進捗状況を教えていただきたいと思います。今国会までに法案作成が間に合うのかどうか。
  46. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  この問題は実は昨年のいまごろ、あるいはもっと前からの大変懸案の問題でございまして、実は私権の大変な制限と申しますのは、手っ取り早く言えば、音がうるさくてもそこに住みたいんだよという人を住ませないという法案でございまして、これはわが国の法体系に実はなかった法理念であったものですから、非常に問題がございました。そこで三転四転いたしまして、今日の段階では都市計画の手法によってやろう。都市計画の手法によるならば、合理的な私権の制限ということも従来都市計画考え方の中でとられているわけでありますから、そういった手法でやろうじゃないかということで、いわば振り出しに戻った形でいま立案を始めたわけでございます。  法案の要点は、簡単に申し上げますと、都道府県知事が空港周辺地域の基本計画を定めて運輸大臣、建設大臣の承認をとる。その基本計画に基づきまして都市計画として空港周辺に特別の地域を設ける。この地域の中では住宅の建築は原則として禁止されます。そういうことを伴いますので、したがって住宅の建設ができなくなったことによってその土地の所有者が受ける損失、これを補償をする。これは空港の設置者が補償いたします。さらにその土地の所有者が、そんな土地なら持っていてもしようがないから買ってくれという場合には、空港設置者は買い取り請求に応ずるというふうなこと、あるいは空港設置者は地方公共団体に対しまして空港周辺の騒音対策のために必要な事業を行うための費用の一部を補助するというふうなことをただいま要綱として決めまして建設省と協議に入っております。何分にも都市計画の手法でやることについて建設省が一応了解をしましたのがごく最近のことでございまして、ただいま法案を建設省で詰めているわけでございまして、建設省以外のところとまだ折衝する段階に至っておりません。ただ、一応政府方針としては三月二十日をめどとして国会提出ということを言われておりますので、鋭意努力いたしておりますが、仮に二十日の期限を若干過ぎましても今国会にどうしても出して成立させたいということでいま進めております。
  47. 米沢隆

    米沢委員 もう時間が参りましたのでここで終わりたいと思いますが、きょうは入り口論に終始いたしまして大変申しわけありませんでした。今後またよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  48. 正示啓次郎

    ○正示委員長 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  49. 正示啓次郎

    ○正示委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続行いたします。中川秀直君。
  50. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 運輸大臣にまず、お食事もなさらないで本当に御苦労さまなのですが、大きな問題からお伺いをしたいと思います。  非常にナウな新聞記事が出ているのでありますが、これは昨日の朝日の夕刊でございますけれども「値上げ国鉄サマサマ」で「笑い止まらぬ航空三社」こういう記事が出ております。私は広島でございますけれども、いわゆる国鉄の運賃値上げ、グリーンに乗るよりは航空運賃の方が安いという状況でございますが、そういう、長距離、飛行機の方が安いという状況で、いまや大衆の足は空に向いているというようなこともあって、あるいはまた貨物輸送等にしましても、いまもう民間の貨物はあらかたトラック輸送になり始めてきた。しかし、エネルギー危機が叫ばれる中で、省資源という観点から言うならば、列車貨物輸送の方がわが国の国益にかなうという点もある。今後の交通体系という問題について、わが国のこれからの国益を踏まえ、かつまた現実のこうした動きを踏まえて、本格的に根本的に抜本的にひとつきちっとしたものをこれから出していかないと、当面の赤字対策だなんだということでなくて、十年先、二十年先を見た交通体系というものをいま考えておかないと、私たちの、これからの日本の発展というものは——狭い国ですから、そして非常に人口も多い、また稠密効果も大きいわけでございますので、いよいよいま考えておかなければいけないと思うのでありますが、大臣のその辺に関する御見解をこの際お伺いしておきたいと思います。
  51. 田村元

    田村国務大臣 大変遅くなって申しわけありませんでした。予算委員会で私に対する質問がありましたので、お許しを願いたいと思います。  いま御質問になりました交通体系の問題でありますが、その前に航空運賃の問題で笑いがとまらないという記事のようでありますけれども、航空運賃というのはもちろんまだ値上げ申請もございません。ございませんが、航空運賃というのは、これはどの運賃でも同じでありますけれども、その営業形態、内容、決算の模様等を見なければこれは簡単に決められるものではありません。私はいつも言っておるのでありますが、国鉄の運賃というものを基礎にした算定で航空運賃の値上げということはいたしません。いわんや航空会社の便乗値上げとも言うべき要望に対しては、私はその意味では耳をかさないつもりであります。それだけまずあらかじめ申し上げておきたいと思います。  いまの総合交通体系とも言うべき——そういう意味ですね、言うべきものをずっと先の先まで見通したいいものをつくったらどうか、こういう御質問だと承りましたが、おっしゃるとおりだと思います。そこで、昭和四十六年に運政審の答申がございました。御承知のところであります。それを受けて閣議了解がありました。いわゆる総合交通体系とも言うべきものであります。これは、基本的な問題の解明という点においては、いまなお私は正しいと思っております。けれども、社会環境、経済環境等非常に激変をいたしております。でありますから、あの総合交通体系というものをそのままいまの御時世に、あるいはこれから先将来に当てはめていくことは不可能でございましょうから、この点は修正すべきは修正をしなければならぬ、このように考えております。  いずれにいたしましても、総合交通体系を整備して、そして省エネルギー面からいっても、あるいはお互いの果たす役割りからいっても、置かれておる立場からいっても、あるいは相互の関連性といいますか整合性といいますか、そういう点からいいましても、これを整えていく必要があろう。政治、行政は先見性、予見性というものが最も大切なのでありますから、そういう意味では仰せのとおりだと思います。
  52. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 航空運賃についてはいい御見解を伺ったと思っております。そういう方向で御処理を願いたいと思います。  次に、先ほど来、午前の質疑でも出ていた問題でございますが、運輸省における運輸行政の総点検本部、石田前大臣のときから、運輸行政全般にわたって、特に許認可事務の権限の統廃合、縮小という点について抜本的なものを出せという御指示でこの総点検本部が始まったということでございますが、結果的には何も出なかった。確かに、お歳暮を辞退しようではないかとか、あるいは行政指導の伝達先についてきちっと文書で残そうとかいうようなものは出たように新聞でも読んでいるのでございますが、許認可の問題については、まだこれといったものがないようであります。大臣も御就任早々、また直ちに本格的にやれという御指示を出したやに伺っておりますが、許認可の問題というのは、これは大変運輸省には厳しい言い方になるかもしれませんが、特に出先でいろいろな話を聞くにつけ、運輸省の許認可事務というのは非常に多いし、それからまたその運用がどうも現在ある、既存の人々の方に回ってしまっていて、公正なものというイメージをなかなか与えていない部分もかなりございます。  田村大臣指示なさったその決意と、それから現在の三千件と言われている運輸省の許認可権をどういう方向で統廃合しようとしているのか、あるいは、大体どんなめどで、どんな計画でこれをより身近な、より国民にとって便利な、そして公正なものにしていくか、こういうことについて御見解、また方向を伺いたいと思います。
  53. 田村元

    田村国務大臣 総点検本部が果たした役割りは、私は非常に大きかったと思います。綱紀粛正、あるいは許認可に対して公正な決着をつけるような点、あるいは行政の責任問題、そういう点を通達して、その点では私は、非常に大きな効果をあらわしたと思っております。  ただ問題は、許認可事項の整理という点はいまなお残されております。これはずいぶんあるんです。ちょっと数字を申し上げますと、二千六百四十九件ありましたのを、昭和四十三年当時にずいぶん整理統合いたしました。ところが、それからまた安全公害防止関係なんかの法令の整備ができてきたものでありますから、現在では、さっきおっしゃったとおり、三千件を上回る数に達してまいりました。  そういうことでありまして、特に運輸省に厳し過ぎるかもしれぬがというお話でありましたが、そうじゃない、厳し過ぎていいんです。運輸省は、残念ながらロッキードの舞台になったんです。そうして、他の省庁に比べて許認可を扱う件数が非常に多いんです。ですから、厳し過ぎるほど厳し過ぎてもいいんだと私は思います。でありますので、この許認可事項につきまして、私は、とにかくこの整理を一遍してこい、こう言って指示をいたしました。目下官房長の手元で全部整理をいたしております。ただ、三千件を超えるということ、しかもそれが、ほとんどのものが法律の裏づけがあるということで大変なんでありますけれども、私自身も直接目を通してこの整理をしていきたい、このように考えておる次第でございます。  ただ、なかなかやらぬじゃないかというお気持ちもあろうかと思いますが、午前中も申し上げたように、私は、恐らく一月の末から四月の中ごろ過ぎまでは、毎日朝から晩まで実は委員会でございます。きょうも九人の質問者でございます。でありますので、率直に言ってなかなか実務ができません。でありますので、国会が、特に予算審議が一段落つきましたら、この問題に私は専念して取り組んでみたい、このように考えておる次第でございます。
  54. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 いわゆる臨時行政調査会の答申によりましても、行政事務、許認可というものはできるだけ国民に身近なところでやりなさい、こう出ているのであります。これはもう永遠の理想であります。御検討に当たっては、そうした見地に立って、いまある数を減すだけでなくて、いまある権限の位置についても十分実態に即して再配分をする、ときにはもう地方自治体に委任をするということであってもいい。御検討願いたいということと、それからともすれば、これは出先の陸運局がやっているわけではないのでありますけれども、たとえばその地区のトラック協会とかいろいろな民間団体にオーケーをとってこないとおろせないんだという言い方になって、新規参入をストップしてしまうということがもう常態になっている。この辺についても、国民に決して疑惑を招かないように、公正な競争を確保するという見地で改善を図っていただきたい。これは要望としてお願いを申し上げておきます。  それから、同じような問題でもう一点、運輸省には自動車の整備検査業務というのがございます。これまた臨調答申では、これは地方事務官でございますが、こうした地方事務官は当分の間は現状をすぐ変革はできないから残すけれども、しかしすべてこれを将来にわたっては廃止をする、こういう答申が出ているわけでございますが、それ以来相当の月日がたつ。事務官問題、運輸省の御見解をひとつ伺いたいと思いますが、現状の車検業務というものは、もちろん認可工場それから指定整備工場というふうに分かれておりますけれども、かなりレベルも上がってまいりまして、指定整備工場もだいぶ数がふえてきた。これはどんどん民間に委託すべき業務だと私は思います。そしていろいろ県によって、地域によって、車検の基準が違ったら困るからということで、地方事務官はむしろ運輸省の立場としては国家公務員にした方がいいんだという御見解のようでございますけれども、基準というものはこれは国が定めて、実施をするのは地方公共団体でも、基準を国が定めておけばできるわけでございますから、研修は研修でまたおやりになったらいいでしょう、必ずしもそれは国家公務員でなければならないという根拠はないのではないかと私は考えるものでありますが、その辺について大臣にひとつ御見解を伺って、あとは事務当局から、これから民間委託をどの程度のレベルでやって、どの程度の計画でやっていくのか、大臣からでも結構でございますけれども、お答えを賜りたいと思います。
  55. 田村元

    田村国務大臣 まず、お尋ねの第一点でありますが、いわゆる地方事務官、これは運輸省見てみましても、陸運問題、最近の陸運行政はずいぶん広域行政になっております。でありますから、それなりの存在理由はあるわけでありますが、また現在のような姿の方が速やかに適応できる、適確であるという理由はあります。ありますけれども、しかしこの地方事務官問題については早く決着をつけろということも言われておるわけであります。私は、実は前は労働大臣をしておって、やはりあそこには職安というのがありました。実はその広域行政で、こういうことでという理屈はとにかくとして、あの地方事務官と言われる人々の気持ちを考えますと、おれたちを地方公務員にしてしまうのか、それじゃ一つの県以外にはもうおれたちは行けないのかという、切実なあの人たちの声もございます。そういう点、そういうことを聞くと、ついほだされることもありますけれども、それはそれとして、厚生、労働、運輸の三省がいま自治省といろいろやっておるわけでありますが、この地方事務官問題を解釈するのは三省が一斉にやる以外にないのじゃないか、そんな感じが実はいたすのでありますけれども、他省には他省のそれぞれのお立場、お考えもありますので、運輸省が先走ってどうのこうのということはどうかと思いますけれども、一個の政治家として物を言えば、そういうふうにでもしなければなかなかむずかしいのではないかという感じがいたします。これはいささか運輸大臣としての発言から逸脱した感なきにしもあらずでありますけれども、一個の政治家の気持ちとしてお聞きをいただきたい。  それから民間車検の問題でございますけれども、民間車検というのは非常に営業規模が小そうございますから、これの協業化を図ったり技術の向上を指導したりして、やはり民間車検の果たす役割りというものを明確にしていきたい、このように考えております。  なお、技術的な問題でございますから、詳しいことはまた自動車局長からでもお聞きをいただきたい、このように思います。
  56. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 お答え申し上げます。  指定整備事業制度の拡充につきましては、この制度が生まれました昭和三十七年度以来われわれも力を入れてまいっておりまして、着実な伸びを示してきております。現状におきまして、継続検査、全体量におきまして大体五〇%を超える域に参ってきております。今後を考えますと、自動車数の増加と、これに対しまして安全、公害の規制の強化ということを加えていくわけでございますので、そこで、ただいま大臣も申し上げましたように、指定整備事業制度の今後の伸びにつきましては、どうしても工場数の増加、それから一工場当たりの取り扱い量をふやしていく、それから検査要員を充実さしていく、こういうことになるわけでありまして、何分にも中小企業が多うございますので、これらを中小企業近代化促進法に基づく現在行われております企業集約なり知識集約をさらに進めてまいりたい、そういたしまして、一応将来におきまして七割近くの線まで指定整備率を伸ばしていこう。おおむね六十年を目標に考えておる次第でございまして、そういう方向で着実に伸ばしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大臣おられる間にもう一問だけお伺いをしたいと思いますが、午前中の質疑にありましたように、ともかく簡素な政府国民に身近で便利な行政ということはいままさに日本の行政、政治にとって最も主要な課題になっている、こう認識をするものでありますが、総理の御指示に地方出先機関というものも八月成案に向けて一つの柱としてやりなさい、こういうことが入っておるのでありますが、運輸省には神戸と大阪と同じあの地域に海運局が二つある。このようなことは、当然検討の対象になるのではないかと私は思いますが、大臣いかがでございますか。
  58. 田村元

    田村国務大臣 出先機関につきましては、やはり抜本的に見直す時期がきておるのではないかというふうに思います。神戸と大阪に二つあるから、それがいいか悪いかということよりも、そういう出先機関を今後いかように位置づけていくか、あるいはいかように働かせていくか、そういうところに大きな問題があるのじゃないだろうか、このように思いますので、先ほど許認可事項で申し上げましたように、今度は抜本対策を一度考えてみたい。しかしそれには地元住民の感情というものも当然起こりましょうから、慎重を要することはこれは申すまでもありませんけれども、私自身のいまの判断では、抜本的に一遍見直す必要があるというふうに考えております。
  59. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 行政改革には、何といってももう大臣総理、ともかくそういう勇気の問題でございます。回りの意見あるいは諸団体意見あるいは当該住民の御意見というもの、当然それはいろいろな角度から検討はしなければなりませんが、どこかで踏み切らなければできるはずはない。そういうことでいままでできなかったわけですね。ひとつ勇気を持って、一つの基準がお決まりになったらその基準は変えないで、大なたをふるうぐらいのおつもりで、この許認可に、出先機関の統廃合に、せっかくの総理指示も出ていることでございますので、またやっぱりだめだったということには絶対にならないように御成案をつくっていただきたい、こうお願いをしておきます。  大臣予算委員会があるのでしょう、どうぞ。  それでは次に、最近起こりました東京駅八重洲地下街での青酸チョコレート事件というのがございましたが、あのチョコレートが置かれていた場所はこれは国鉄の用地でございますか。国鉄の方、ちょっと御答弁をお願いします。
  60. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  チョコレートが置かれておりました場所は国鉄の用地外でございまして、実は国鉄の用地と隣接をいたしております地下街、これを管理いたしておりますのが東京八重洲地下街株式会社といいまして、民間会社が管理をいたしております。それの一番海側に当たります常和ビルのところの角にチョコレートが置いてございまして、置いてあります場所は、もう一度申し上げますと国鉄の用地外ということでございます。
  61. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 大変恐ろしい事件でございます。置いてあった物を食べる、あるいは置いてあったコーラを飲むということは、それはまた親の教育の問題、あるいはそんな物に手を出すのはおかしいじゃないかというわけ知りの言い方はあるかもしれませんが、いずれにしても、置いたと思われる犯人は無差別のそういう大量に人が動くところへ置いておいて、だれかが食べるであろうということを計算して置いているわけです。その八重洲地下街株式会社というのは、これは純然たる民間の会社でございますか。
  62. 田口通夫

    ○田口説明員 純然たる民間の会社でございます。
  63. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 国鉄は出資をしていないんですか。
  64. 田口通夫

    ○田口説明員 出資いたしておりません。
  65. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 しかし駅隣接の、ともかく一般の目から見れば駅へ行く通路の一部でございましょうから、大変広いところでございますが、あれだけの何万という乗降客があるところでああした事件が起きたわけで、すんでのところだった。しかも命にかかわる問題でありますから、どうでしょう、新幹線の中へ自分の荷物でない物がありたらこれは届け出てくださいとかよく放送いたしておりますけれども、命ということに関して言えば同じ理屈であります。しかも一般の目から言えば、駅へ乗降するその通り道であります。一つのものとしてつながっているところであります。国鉄におかれても何らかのそうした注意を喚起するような対策というか措置をおとりになっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  66. 田口通夫

    ○田口説明員 恐らく先生のお話といたしましては、たまたま用地外に置いてあったけれども、もしこれがコンコース等に置いてあれば一体国鉄はどういう管理責任を負うのかという御質問だろうと思いますので、その線に沿って御説明申し上げますと、通常の場合、あるいはコカコーラが置いてあった、あるいはチョコレートが置いてあった、しかも持ち主不明であるという場合でございますと、これは遺失物法の規定によりまして遺失物扱いをいたします。しかしながら、これが明らかに毒物混入のものであるということでございますと警察署に連絡をいたしますと同時に、国鉄内部の公安官を動員してこれの処置をいたします。こういう形で、駅長は駅構内の秩序維持というものについては社会的な責任を持っておりますし、また職務上の責任も持っておるわけでございまして、今後の対策としては極力巡回を、通常の駅ですと駅長は大体午前一回、午後一回というふうに必ず巡回をいたしておりますけれども、特に大きな東京駅あるいは出入りの多い上野駅あるいは新宿駅あるいは広島駅というようなところには、お客さんに注意を喚起するような放送をいたしますとか、あるいは掲示をいたしますとかという努力を今後払っていきたいというふうに考えております。
  67. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 よろしくお願いをいたします。  次に、同じように国鉄の問題でございますが、これは運輸委員会に提出をされている法案とも絡むわけでございますけれども、やや内閣委員会にも機構改革等の点で関係がある問題にもなろうかと思いますのでお尋ねをするのであります。  今度の国鉄法改正案にはいわゆる投資条項の拡大ということが入っております。そして今度国鉄では、いわゆる赤字病から自立するための再建三本柱として、この国鉄法改正案にも関係があるのでしょうが、琵琶湖の面積に匹敵をする土地を持っている国鉄のその資産をどういうふうに活用していくかという対策室というかあるいはそういう事業本部というか、そういうものを設けるのだ、あるいは高木総裁は民間から大変そういう能力のある人をどんどん入れられているということも聞くのでありますが、この投資条項の拡大あるいは資産活用委員会、これはどういう方向でやろうとしているのか、具体的に何をしようとしているのか。また、そういうものが本格的な事業として採択をされれば、国鉄はどういう機構で、どういう姿でそれをおやりになろうとするのか、ひとつ、今後の問題ですが、大事な問題ですからお伺いをしておきたいと思います。
  68. 石井一

    ○石井(一)政府委員 私の代行をお許しいただきたいと思います。  非常にむずかしい問題で、将来計画等々でございますから、確実に具体的に納得のいくような案が現在固まっておるわけではございません。ただ、運輸当局におきましても、国鉄関係者と鋭意この問題に関しましては議論を現在重ねておるという現状でございまして、要は投資条項を拡大して六条を改正する、これは運輸委員会において御審議をいただくということになるわけでございます。  そこで、現在われわれが考えておりますのは大体三つの方向があるわけでございますが、その第一は国鉄の業務を委託するという事業、業務委託という範疇に属するものでございますが、これは車両の整備であるとかあるいは情報処理、コンピューター制度というふうなものに関して他の業者あるいは権威に委託をする、こういうことをひとつ広げたいというふうなことを考えております。  それから、第二に考えておりますのは、国鉄の所有する施設あるいは土地の高度利用に関する事業というふうなことでございまして、これは、これまで一部駅前のターミナルだとかビルだとかいうふうなものもこれまでの条項で経営のできるものもございますが、これを拡大いたしまして、複合貨物ターミナルとかビルの管理、少し駅から離れておりましても国鉄の土地で高度に利用できるものであればこういうふうなものを推進していきたい、こういうふうに考えております。  それから第三番目に、現在鋭意討議をいたしておりますのは、鉄道等の利用の促進に資する事業、これは観光だとか開発だとかレジャーセンターだとか、そのことによって国鉄の利用者がもっと多くなるというふうなことでございますが、ここまで拡大するのには多少の時間も要するだろうと思います。それからまた民営圧迫だとか何だとかいうふうな問題もございますから、十分関係各位の意見をそんたくして進めていきたい、基本的にはこのように考えておる次第でございます。
  69. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 そうすると、まだまだもっといろいろなお知恵が出てきていいと思うのですが、いずれにしてもそういった事業というか、資産活用をし、余り民間事業に侵食するようなことをやると、国鉄はたとえば保安林の解除等でも林野庁で特別に特権を与えられているというようなことで不公平じゃないかという民間の声もあるようです。しかしこれは国鉄——公社のよさというものは、国の行政機関そのものとは違うそういったよさがあるので、そういったメリットを生かしていく事業は当然考えられてしかるべきで、もっといろいろなアイデアが出てきてしかるべきだと思いますが、そういう事業を、ではどういう形で、何か事業本部みたいなものはこれから設けるのですか。その点……。
  70. 石井一

    ○石井(一)政府委員 御指摘のとおり、片や非常に赤字経営を重ねており、国民の批判を受けておりますから、場合によってはなりふり構わず新しい経営に着手すべきであるという国民の声もございますし、その反面、われわれがようやく鋭意努力し重ねてきた商権を国権をもって脅かすのか、こういうふうな批判も出てくるわけでございますから、その間われわれも非常に苦慮しておるわけでございますが、現時点においては法制局ともいろいろと協議をいたしました結果、国鉄が直接進出して民営を圧迫するというふうなことはやらない。しかし中川委員の御指摘のように、今後の形態としては、どちらかといいますと、プロジェクトによって全部形が違いますけれども、いわゆる第三セクター方式ということで、地域の御協力なり御参加も得て、国鉄もそれに一枚加わっていく、あるいは国なり自治体も加わっていくというふうな、そういうふうな形式もあろうかと思いますし、それから全面的に民間の業務に委託する、そういうふうな形式もあろうかと思いますし、それから余り御迷惑をかけない、しかも国鉄の経理情勢を非常に改善するのに役に立ち、国鉄の職員の力ででき得るという事業は単独でやるということもあり得るだろうと思いますし、その点はケース・バイ・ケースで国民の御協力を得ながら、愛される国鉄、そういう形で推進していくのが本筋ではなかろうか、そういうふうに考えております。
  71. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。  次に、やはり国鉄の機構の問題になりますが、これは昨年だったと思うのでありますが、国鉄の地方組織が変更になりましたですね。いま国鉄には、関東で言うなら首都圏本部というのがある。東北、名古屋は、これは統括をなさるのは駐在理事室というのですか。しかしその理事さんは本社の常務理事が兼任ということで、実際にはいないわけですね。常時はいない、常駐はしておられない。それから関西、大阪ですが、これは専任の理事さんがいて、理事室がある、こういうことですね。それから九州、北海道、四国は総局という名前になっている。地方でもいろいろ名前が違っておって、かつまた、理事室といっても、いたりいなかったりしている。しかも、北海道総局に至っては、たしか四十六年の八月までは北海道支社という名前であって、それが四つの鉄道管理局を統括する存在としてあったのが、これをやめようということで、札幌鉄道管理局が支社と合体をするかっこうで四局の統括をするということになった、今度は支社とはいかないけれども、その四局の上に今度は総局を、昨年ですか、また設けた。行ったり来たりしているわけですね。  国鉄の機構というものは、たとえば在来線の関係は各地方ごとに管理局があって、新幹線総局というのは東京から博多まで一本、同じ鉄道です。こういうようなこともあったり、とり方によっては、機構の姿としてはどうも混乱しているではないか、行ったり来たりして。あるいは形態も違ったり、あるいは線路によっては横断的な組織と縦割りの組織というぐあいに。そして、そういうことにおいて内部の方の御意見の中にも業務にも若干の影響があるというお話も伺うわけですが、これはどういう経緯でそうなったのか、ひとつ簡単に御説明をしていただきたい。そしてこのままでいいのかということになると、どうもよくないような気がするのでありますが、今後どんなふうな御検討をなさるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  72. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  国鉄の組織、いまいろいろ御指摘をいただきましたように非常にわかりにくい組織になっております。これはいろいろの経緯がございまして、私ども四十三万の職員と全国二万キロの営業キロ、さらに一日二万八千本の列車を動かしております非常に膨大なこの組織を、できるだけ能率的で、かつ責任体制をはっきりさせる、さらに簡素であり、かつ弾力的に運営できる組織はどういう形にすればいいのかという観点から、過去いろいろと改正もしてまいりましたし、今後もそういう点で改正すべき点があろうかと思います。  そこで、過去の経緯を申し上げますと、まず、管理部門は極力簡素であるべきでありますし、これにつきましては、古い話は省略いたしまして、先ほど御指摘のように四十五年八月に、支社制度をとっておりますのを、本社直轄管理局制度という——段階制で申しますと本社、支社、管理局、現場という四段階制を四十五年八月までとっておりましたのを、原則といたしまして本社、管理局、現場という体制に一応した。そのためにかなりの要員削減もいたしました。しかしながら、北海道と九州と四国につきましては、それぞれ鉄道で特に内地よりもおくれております面もございますので、これにつきましては総局制度をとりまして、北海道総局、それから九州総局、四国総局というふうに設置をいたしたわけでございます。  そこで問題は、九州総局は、総局の下に門司鉄道管理局あるいは熊本鉄道管理局というふうに四局ございますし、一方北海道の方は、御指摘のとおり札幌鉄道管理局を取り入れた総局という形のほかに、その下に同列であります青函鉄道管理局、あるいは旭川、釧路というような管理局をも総局が現場を持ちながら見るという形をとったわけでございます。これは一つは北海道の事情がございまして、五百万の人口がどんどんほとんど札幌に集中していく。したがいまして、札幌中心の鉄道をまず整備する必要があるんじゃないかということで、北海道総局と九州総局とは違った形の機能をとったわけでございます。  ところが、今度札幌鉄道管理局がまた生き返ったじゃないかという御指摘でございますが、どういう病弊が起きてきたかということをちょっと申し上げますと、一つは、札幌鉄道管理局の現場まで総局が持っておりますと同時に、隣の局の青函局、釧路、旭川までを管理するということでございますので、管理機能と現場管理機能とが分離いたしまして、どうしても総局が札幌内の現場の管理がある程度おろそかになるというようなことがございましたものでございますので、やはり九州総局的やり方が正しいんではないかということで札幌鉄道管理局を復活いたしまして、北海道総局の機能を九州総局と同じようにいたしたわけでございます。  なお、新幹線については、地域的ではなしに、これは一つの縦割りみたいに、東京から博多まで持っているじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては、私ども、今後どんどん東北新幹線、上越新幹線ができてまいります過程で、いまの組織をそのまま置いておくという考え方はございませんで、逆にやはり地域で一番活力のある鉄道管理局が新幹線をも管理するという体制が望ましいんじゃないか。これを私ども輪切り論と申しておりますが、本社に強力な新幹線を管理する機構を置きまして、そうして各鉄道管理局がそれぞれのテリトリーの中の新幹線を見るという形にできるだけしていきたい。  しかし、現在これをいたしますと、すでにもう十数年たっておりますので、在来線と新幹線の労働条件も違いますし、環境も違いますので、極力労使の間でこういう点を詰めた上で輪切りを進めていきたい。たまたま昭和五十五年度ごろに東北新幹線あるいは上越新幹線が完成、開業ということになるのにつれまして、従来の、在来の新幹線につきましても同時に輪切りの勉強あるいは仕事を詰めるという形で進めていきたいというふうに考えております。
  73. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 わかりました。前段のいまの国鉄の地方組織、少なくとも北海道のように直してしまってからのそういった病弊は、いまの御説明程度なら最初から予想されたことでございまして、行きつ戻りつしないように今後は十分御配慮願いたい、こう思います。  時間がありませんので、最後に、せっかく政務次官も御出席ですから、国鉄の赤字病脱却三本柱、再建三本柱の一つにローカル線の問題が強く挙げられております。  昨年の十二月でございますか、運輸政策審議会から「国鉄ローカル線問題について」という中間報告が出ております。これによると、四つのケースを想定して、地元で、民間も含め、自治体も含めて協議会をつくって、その四つの方向について選択をしてもらおう、こういうことのようでございます。ローカル線については、たしか十年前も八十三本ぐらい廃止をしようということであったのが、地元から相当反発を受けて、実現は十一本ぐらいだったという経過がある。私の選挙区にだってローカル線はあるのでありまして、しかし、そういうことを言うことは確かに勇気の要ることであります。しかし、冒頭大臣にもお伺いしましたように、いまや新しい交通体系をつくらなければいけないというときに、そういった従来からの現状というものを凍結して固定的に考えていくのでは、こうした問題の解決はなかなかないと思います。勇気をもってこの問題は取り組んでいかなければならないと思うのです。ただ、この中間答申をよく読みますと、これをどう扱うかという問題になってくると思う。地元で選択してもらうということですけれども、それじゃ地元といえば、いままでと同じく、ローカル線撤廃反対というのがあたりまえなんです。現行どおりやってくれとこう言われたときに——過去の経過は全部そうであります。言われたときに、それじゃそのままにできるのかということに今度はなってくる。これを運輸省が逃げてしまうということにもなりかねないのでありますが、政務次官、その辺をどうお考えになっているか。どうお扱いになるか。せっかくの三本柱としてなっているので、私もこういうことを言うということは、勇気を持って言っているわけでありますが、ひとつ将来を見通して、御見解を承りたいと思います。
  74. 石井一

    ○石井(一)政府委員 実は、私が運輸政務次官を拝命いたしましたのは昨年の暮れでございましたが、正月早々、この運輸政策審議会に呼び出されまして、中間報告を拝受したわけでございます。私としては、公式の仕事の最初でございましたので、非常によく覚えておりますが、一月十二日に中間答申を受けたわけでございます。  御指摘のとおり、地元で協議会をつくらせ、地元のとるべき案の選択を求める、こういうことでございますが、そこで、十年前と状況が違っておりますことは、まず第一点は、その後ローカル線なり軌道というふうなものが絶対的なものでなく、かなりモータリゼーションが進化し、山村におきましても地域の情勢というふうなものが変わっております。当時であれば、これを残さない限りどうにもならぬという意見も、十年たちまして、ある程度そういう周囲の変化というふうなものもあろうかと思いますので、四案の中には、専用自動車道をつくるとか、あるいはこれを廃止するかわりに、過疎バスなりバスを導入するとかいうふうなことも言っておりますので、こういう形の中で、これまで以上にある程度進むのではないかなというふうにわれわれは期待をいたしております。  それからもう一つは、国鉄の姿勢でございますけれども、再建計画をたびたび出しましても、いろいろの政治的問題等々でこれだけずれ込んでおるわけですが、これ以上ローカル線も何もできない、あるいはそのほかの組織内のいろいろの問題、人員の整理等々、赤字がこのまま解消せぬということでしたら、これは本当に国鉄は最後で、何らかの抜本的措置が要るという、こういうふうな時代的な一つの危機感とでも申しますか、そういうふうなものが、また十年前から見ますと相当変わってきておると私は思っておりますので、要は、中間答申でございますから、ことしの秋をめどに最終答申を得ることになっております。最終答申を得ました段階におきまして、運輸省なり監督官庁としては、その答申を十分そんたくしながら時代の変化というふうなものにも適応して、ひとつ強力にローカル線に対しては施策を打っていきたい。反対だと言われても、特別料金というふうなことも言っておりますから、それならひとつこれだけ出していただきますということの中から何らかのものが出てくるのではないかな、そういう決意でわれわれおりますことを、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  75. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 ともかくいままでやるやると言って、相当の年数がたっているわけですね。なまなかの普通の勇気ではだめなんでありまして、超勇猛心でいかないとだめです。この中間答申にもございますが、A、B、C、D、と四案ありますけれども、これ以外の案というのはないと思いますね。残すとしても、特別運賃、あるいは地方公共団体、自治体にも、助成をしないともう路線として維持できませんよと。こういうことを言うことは政治にとっても行政にとっても本当に勇気の要ることですが、もうないと決まったからは、本当に腰を据えてやる、こういうことをお願いをしたいと思うのです。  国鉄にひとつお伺いしたいと思いますのは、この中間答申報告にもありますけれども、いわゆるローカル線の範囲、これは速やかに検討したいということになっているのですが、おれのところは対象外にしてくれなんという話が必ず出てくるのでありまして、この範囲と、それからこの四案で、この線はA案でいいだろう、この線はB案でいいだろう、この線はC案でいいだろう、この線はD案でいいだろうというようなものを国鉄の内部においてもやはり早急に案として検討する必要があるのじゃないか。もうできているのですか。あるいは、もしできていなければ、それをどういうふうに扱われますか、ひとつその点だけ最後にお伺いをしたいと思います。
  76. 田口通夫

    ○田口説明員 国鉄の内部体制といたしまして、この三月の二日に地方交通線対策室を設置いたしました。すでに中間答申が出ておりますが、ことしの秋に最終答申をいただくことになっております。したがいまして、いま御指摘のように、A、B、C、D案それぞれにつきまして、どの案でいくかを今後早急に詰めまして、最終答申案は実行可能ないいメニューをいただきたいというふうに、御当局と十分連絡をいたしますとともに、すでに地方と、総裁みずから県知事等と折衝いたしておりまして、どういう形のものならば地方が受けられるであろうかという各地方の実情に応じた姿で、できるだけ国鉄としても耕地整理をそれまでにしておきたいという体制を固めましたので、国鉄といたしましても断固たる気持ちで、総裁以下やっていきたいというふうに考えております。
  77. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 振り分けの案なんかできておりますか。
  78. 田口通夫

    ○田口説明員 現在、細かく、この線はどれ、この線はどれということはまだできておりません。
  79. 中川秀直

    ○中川(秀)委員 質問を終わりますが、運輸行政のみならず、これからの行政機構、姿というものは、ともかく簡素に、そして国民に便利に、そして身近なところで行われるというこの原則をやはり貫かなければいけないと思います。イギリスあたりでは各省年次計画で、七年に一遍、各役所機構あるいは公社公団も含めて全部チェックをするシステムになっています。マネージメントレビューというのですか、そういうものを計画的にやっているのでありますが、当委員会もそのぐらいのつもりでやらなければいけないし、また、口幅ったい言い方ですが、努力をしたいと思いますので、行政当局や国鉄当局におかれても、何はともかく一番の大変な問題を抱えているわけですから、それは他の役所以上に、以上というよりも数倍する努力を払わなければいけないと思いますので、きょう御答弁いただいたような方向に基本的には賛成をするものでありますけれども、ひとつそのテンポあるいは努力について本当の勇猛心をふるっていただきたいことを心からお願い申し上げて質問を終わります。
  80. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次に、兒玉末男君。
  81. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸省設置法の一部を改正する関係で、気象庁に関連する若干の問題で御質問いたします。  日本の気象庁業務の範囲はきわめて広範であり、これが国民の生命と財産に関連する災害なり気象条件の変化あるいは日常生活におきましても、その占める位置はきわめて重要であります。今回はこの設置法の改正に関連しまして、年々気象業務に従事する定員が、むしろ今日の国際的な諸要請から判断をしますならば増強をされ、そして強化せらるべきであるにもかかわらず、毎年減少の一途をたどっているのが現状であります。そういう立場から考えますならば、まさに時代逆行の感を深くするわけでございますが、総定員法施行以後、運輸省予算定員の増減についての中で特に気象庁の定員の問題それからこれとの関連におきまして運輸省設置法にかかわる部局の新設、廃止の概要等について、まず運輸省の見解を承りたいと存じます。
  82. 山上孝史

    ○山上政府委員 まず、総定員法施行以来の運輸省の定員の経緯について申し上げます。  いわゆる総定員法が施行されました四十四年以来、運輸省の定員の総数につきましてはもう御承知のように、四十三年度末の総数は三万五千三十九名でありました。これが五十二年度末の定員といたしましては、現在の予算案におきましては三万七千五百八名となっております。そういたしますと、差し引き運輸省全体といたしましては二千四百六十九名の増員になるという姿でございます。これを部局別に見ますと、先生指摘の気象関係あるいは自動車関係、航空関係、海上保安庁関係等、いわゆる現業的な部門における増員が比較的多く行われてきております。これは申すまでもなく、先生も御指摘のように、災害防止のための気象観測体制の整備とか、あるいは自動車の激増に伴う検査登録体制の整備の必要とか、あるいは航空保安体制の充実とか、あるいは海上保安船艇、航空機の増強の必要性というような、新しい運輸省といたしましての行政需要に対応して、必要最小限度の定員は確保されてきたと考えております。政府全体で見ましても、いまの期間中におきます政府全体の定員というのは、御承知のように四千名強の減員であります。その中で、そう多いとは言えないかもしれませんが、運輸省関係の増員の数は、先ほど申し上げました二千四百六十九名ということで、いわゆる増員官庁の中の一つに数えられている次第でございます。  それから機構の問題でございます。これにつきましては、四十三年以降いろいろ新しい行政需要に対応いたしまして新しい行政組織も整備されてまいりました。四十七年に沖繩復帰がありましたが、これに伴うもの、あるいは総合交通政策の推進に伴うもの、あるいは環境公害問題への対応に伴うもの、あるいは交通安全、災害防止対策の推進に伴うもの、これらほとんどが運輸省におきましては現業部門において処理いたしますので、現業部門の充実強化を中心といたしまして機構を整備してまいりました。たとえば総合交通政策の関係につきましては、運輸省は縦割り行政の弊があるという批判をよく受けておりましたが、これに対しまして横割り行政の組織を充実するということで官房に企画部門を充実整備をさせていただいております。それから環境公害問題につきましては、これも官房に安全公害課、それから海上保安庁に海上公害課等、環境公害問題を直接に専門的に取り扱う組織を整備してまいりました。それから交通安全あるいは災害防止の対策に関しましては、やはり航空局に管制保安部とかあるいは航空事故調査委員会等の設置をしてまいりました。それから、いま申し上げましたいろいろな組織づくりと関連がございますが、現業部門として考えますと、気象庁の関係あるいは航空局の関係等、それぞれ直轄、運輸省自体の組織も整備いたしましたが、さらに、新しく発生いたしました行政需要を、運輸省が直接じゃなくて、認可法人というものをつくりまして、それに業務の一部を代行させる、こういうことによりまして行政の簡素化を図ってきたという次第もございます。  五十二年度、本年度につきましても、いま御審議をお願いしております設置法の一部改正では、気象庁に付属機関といたしまして気象衛星センターを設置いたしたい。しかし、それに対応いたしまして現在あります気象通信所、これは業務はあるわけでありますけれども、組織はこれを廃止をいたしまして、新設の気象衛星センターに吸収をさせるというようなことで、スクラップ・アンド・ビルドという方式でお願いをしている次第でございます。いずれにいたしましても、新しい行政需要に対応して新しい組織づくりをいたしましたが、その際には努めて既存の機構整理合理化を行いながらやってきた次第でございます。
  83. 兒玉末男

    兒玉委員 いま官房長の説明を聞いていると、現業部門はむしろ拡大し、非現業部門はその差し引きにおいては比重が高いと言われておりますが、私は少なくとも、いままでいただいている資料なり、研究している範囲では、特に気象部門では観測、予報、通信関係の現業部門はむしろ減っていると見ていいんじゃないかと思っております。しかも総体的に気象庁の定員は、第一次において二百三十七名、第二次で二百六十二名、第三次で百六十三、今回は百七十三の減になっている傾向がありますが、この数字は間違いありませんかどうか、お答え願います。
  84. 岩田弘文

    ○岩田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  私ども気象庁の定員でございますけれども、沖繩を除きまして、途中から沖繩が入ってまいりましたので、沖繩を除いてお答えいたしますと、昭和四十四年度、定員が六千百五十七人でございまして、五十一年には定員が六千五百四十三人でございまして、定員の増が、これはちょっと沖繩を含めた数でございますけれども、九百七十九人、減が六百二十九人。それで沖繩の増要員を差し引きますと、十五名の増員になっております。また五十二年度におきましては、削減が四十四人に対しまして、増が九十人ということになっております。
  85. 兒玉末男

    兒玉委員 再度お伺いしますが、この一次から四次にわたる定員削減の数字の中において、いまの説明はむしろふえている傾向になっておりますが、そのような矛盾は一体どこにあるのか、もう少し私はわかりやすく説明願いたいと思います。
  86. 岩田弘文

    ○岩田(弘)政府委員 年次別にお答えいたします。  昭和四十四年に増員が四十三に対しまして、削減が七十九。四十五年に増員が四十名に対しまして、削減が七十九。それから四十六年が増員が百三名ございまして、減が七十九。それから四十七年に増員、これはここから沖繩が入りますが、三百七十に対しまして、減が八十八。それから四十八年、増員が百四十八に対しまして、減が八十七。それから四十九年度、増が百二十三に対しまして、減が八十七。五十年度が増が六十六に対しまして、減が六十五。それから五十一年が増が七十八に対しまして、減が六十五。五十二年、ただいま予算案に計上されておりますのが、増が九十に対しまして、減が四十四ということになる予定でございます。
  87. 兒玉末男

    兒玉委員 数字の若干の相違点については、後でまたちょっと討論したいと思いますが、そうするならば、沖繩のいわゆる合併に伴うところの問題点、それから国内におけるところの問題点と含めて追って質問いたしますが、特に私は気象行政というものの性格から申し上げまして、その使命とそれから位置づけというものはきわめて重大だと思うし、国民生活への安全、環境保全の観点から見て、現在のこの気象庁全体の要員配置あるいは機構整備というものは十分に万全の状態だと思うのかどうか、この点ひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
  88. 田村元

    田村国務大臣 私、就任以来各局のことをずいぶん勉強したつもりでございますが、気象庁につきましては、非常に科学的な役所でありまして、私自身の判断でなかなか判じ切れないことが多いのであります。  いま御質問の御趣旨でありますが、これが単なる事務官僚であるとするならばおおよその判断もつきましょうけれども、何分にも科学技術との組み合わせでございますので、ひとつ、恐縮でございますが、気象庁の方に答弁をさせますので、お許しをいただきたいと思います。
  89. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  行政需要の動向や何かに対応いたしまして、気象庁といたしましてもいろいろ整備を行ってまいっておりまして、予報精度の向上を図るためには、主任予報官を増員いたしましたり、あるいは大気汚染気象センターを各管区その他地方中枢に設置いたしましたり、また長期予報の精度向上を図るために長期予報課に改正をいたしましたり、また、火山活動の監視ということが国民生活に重要であるところから、火山室を本庁に新設いたしましたり、また、五十二年度、来年度の予算案におきましては、台風等の大規模な現象を把握するための気象衛星センターを、また地震の防災等のためには参事官を新設していただくというようなことを行っておりまして、万全の対策をとるように努力している次第でございます。
  90. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、要員関係についてどうしても私の資料との間に数字の差がありますので、もう一遍私は調べて、これは保留したいと思っております。  次に気象衛星について、今回新たな衛星の打ち上げ施設等が、気象庁の説明でも出ております。これによりますと、この静止衛星というのは、日本が分担することで、アメリカはすでに二回目という説明でありましたが、その意義と、この決定の経過というものはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  91. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  気象関係の国際的機関といたしまして世界気象機構というのがございますが、これは国連の下部機関となっております。そこで、四十二年の第五回の総会におきまして、人工衛星それから電子計算機等の最新の科学技術の成果を駆使しまして、気象業務を改善するということのためにWWWという世界気象監視計画というものを決定いたしまして推進しておりますが、その中で、WMOとそれから国際学術連合会議というものが共同で地球大気開発計画というものを推進しております。この実現のためには、気象衛星を用いまして、全世界的に気象観測網を展開しようというふうになされているわけです。このそもそもは、気象衛星がアメリカで成功いたしました後、この宇宙開発技術を世界の平和利用目的に使う、特に世界の国民の福祉のために使うということで推進されている部面もあるわけでございます。  これに対しまして、昭和四十五年に、このGARP計画におきまして気象衛星観測網を実現するということが要請されまして、アメリカで二個、ヨーロッパで一個、それからアジア地区に対しましては日本以外に打ち上げられる国はない、そこで日本にぜひやってほしいという要請が強くなされたわけでございます。その後ソ連も一基を上げるということになりまして、静止衛星といたしましては五つを赤道上に上げて、そのほかに周極衛星というのを二つ上げまして、全世界をカバーして監視し、そして異常気象その他に備えて全世界の国民の福祉のために役立てようということでございました。  気象庁といたしまして、この要請に対しまして、わが国といたしましても北太平洋の資料の少ないところをカバーでき、台風その他の異常気象を監視できるというところから、この静止気象衛星に対して、気象業務の国際性それからまた国内的な利用面、そういうものを考慮いたしましてGARPに参加、協力していくことが必要であろうということになりまして、日本の宇宙開発委員会にいろいろと御相談申し上げたわけでございます。  御承知のように日本の宇宙開発に関しましては、この宇宙開発委員会計画をお立てになっているわけでございます。これに対しまして、宇宙開発委員会は、昭和四十五年に宇宙開発計画というものをおつくりになりまして、その中で静止気象衛星のシステムデザインを研究するということに一応決定いたしたわけでございます。気象庁におきまして、これに従って研究調査を進めまして、その後、宇宙開発委員会昭和四十八年に宇宙開発計画をおつくりになりまして、その中で静止気象衛星計画を国際協力のため、または国内の利用の目的のために開発を進めることを決定いたしたわけでございます。そういう経過をたどりまして仕事を進めさせていただいたというわけでございます。
  92. 兒玉末男

    兒玉委員 聞くところによりますと、この静止衛星の打ち上げは日本ではできないんですね、長官。アメリカの基地を借りるわけでしょう。まとめて答弁してください。  それから、この静止衛星の寿命というのは限定されているやに聞いております。  それからこれに要する費用ですね。これも年々——もしこれが短期間の寿命とするならば、相当の資金需要というのが拡大されていく。いわゆる気象業務としての価値についてどういうふうに判断するのか。この静止衛星の打ち上げの機構、それから場所。それから日本の国内でこの衛星は製作できるのかどうか。それから最後に言われました大体静止衛星の寿命はどれぐらいなのか。  以上についてお答え願います。
  93. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  この気象衛星の飛ぶ方の俗称、球とか言っておりますが、衛星の方は国内のメーカーがおつくりになるというふうに聞いております。  この衛星の開発と打ち上げに関しましては宇宙開発事業団にお願いしてございまして、地上の施設の整備を気象庁がやっているわけでございますが、この気象庁の地上整備に関しましては、先生のおっしゃるようにかなり多額の費用がかかりまして、約百三十六億余りの施設費をかけておるわけでございます。  それから、いま打ち上げの問題が出ましたが、気象庁のこの静止気象衛星の重さといいますかペイロードは約三百五十グラムでございまして、この宇宙開発計画を考慮いたしておりました当時、昭和四十七年ごろにわが国で開発されておりましたNロケットの持ち上げられる重さが約百五十グラムということで、能力的に——いまのグラムと申しましたのは間違いでございましてキログラムでございます。百五十キログラムと三百五十キログラムでございます。その差が大きいために、しかしながら、この国際的な協力という目標がございましたために、打ち上げに関しましては米国にお願いする、国際協力の一環としてアメリカにお願いするということになったように聞いております。  あと、寿命でございますが、打ち上げに成功いたしまして軌道に乗りますと、その後の姿勢制御のためにガスを積んでおりまして、噴射をしながら姿勢制御の細かい仕事を行わなければならない、その姿勢制御等のガスの使いぐあいというようなことがございまして、明確に何年と言うことはむずかしいのでございますけれども、四年前後は寿命があるというふうに私どもは考えているわけでございます。非常に燃料が上手に使われ、姿勢制御がうまくいって燃料が十分にあった場合には、うまくいけば五年は持つであろうというふうに考えられているわけでございます。
  94. 兒玉末男

    兒玉委員 あとまだ問題がありますので、もう一点だけこの点についてお伺いします。  気象庁に直接関係する分だけで大体百三十億程度という数字でございますが、この衛星並びにこれを打ち上げる費用、それからこれは国産のメーカーがやるというお話でございますが、衛星そのものの製作費、いわゆる地上の気象庁が受ける施設以外の経費は大体概略どの程度とお考えになっているのか、もし御理解であれば御答弁願いたいと思います。
  95. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  衛星本体と打ち上げの費用合わせまして約百三十七億ぐらいというふうに私ども聞いております。正確かどうかちょっとわかりませんですが、そういうふうに私は聞いております。  なおそのほかに、この衛星を完成するための地上施設がそのほかに事業団側としてお使いになっていると思いますが、これについては、いまのところちょっと資料がございませんので、わかりません。
  96. 兒玉末男

    兒玉委員 これから具体的な内容についてお伺いするわけですが、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、気象庁の業務は本来、自然の現象、すなわち気象、水象、地象などを的確にとらえて、大きな現象、中規模現象あるいは小規模現象など国民生活に十分役立ち利用することが、その本来の使命であります。そのためには、気象学の応用なり研究、調査活動を通じ、科学技術力や直接人の目を通じ、または国民参加による業務でなければならない、常時監視する体制が必要である。特に昨年の冷害、今冬の異常寒波、豪雪などは国民生活に大きな影響を与えることは、長官御承知のとおりであります。  そこで、今日このような気象業務の中におきまして、特に異常現象の掌握、予知や予報については、気象庁長官としては万全の体制とお考えになっておるかどうか、この点について見解を承ります。
  97. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  その前に、先ほど不正確でございますが静止衛星の打ち上げ費用は大体百三十七億と記憶しておると申し上げましたが、それが百六十七億の間違いのように思いますので、訂正させていただきます。  それから、いまの御質問の異常気象に関しまして、情報化の進展に伴い、また、社会各方面からの気象情報サービスに対するニーズがきわめて多様化、高度化してまいりまして、頻発する異常気象に対応するために、気象庁といたしましては、府県の予報担当の予報官を増強いたしましたり、レーダーの常時監視体制を整備いたしましたり、アメダスの整備を行うというようなことともに、長期予報の体制の整備を順次行ってまいりまして、十二分とは言えないといたしましても、私どもとしては対応できる、満足すべき状態であろうかと思っております。
  98. 兒玉末男

    兒玉委員 五十二年度の予算の関係で先ほど御説明がありましたが、いわゆる問題の気象通報所の点について、いまのところ、私の得た資料では大体四十四名の削減が提起されておるやに聞いております。この気象通報所の設置の歴史的な経過というのは一体どうなっておるのか。私の聞くところでは、昭和二十八年南九州を中心とする日本列島に大災害が発生しましたが、このころから設けられておる国民生活にきわめて密接な関係を持つ機構と聞いておるわけですが、この経過について、時間がありませんので、説明は簡潔にお願いしたい。
  99. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  昭和二十八年ごろから水害の緊急対策、水利関係業務の充実ということを図ってまいったわけでございます。全国的に自記の雨量計とかその他の観測網を整備するとともに、特に山間部にロボットの雨量計を設置するということによりまして雨量観測網を展開しようとしたわけでございます。このロボット雨量計の雨量が通報所まで無線で参りますので、そのデータを通報所の人が、電話の交換手と同じように、受け取ったものを中継するという仕事等を主たる任務といたしまして、八十二カ所に設置したわけでございます。
  100. 兒玉末男

    兒玉委員 気象庁がこの通報所を設置したことは、いま申し上げたような災害に関連し、あるいは気象条件等に関連しても、地域住民のため、災害予防というような観点からであるとするならば、この通報所の果たしてきている役割りというものはきわめて評価できる施設であり、通常の業務においても、気象業務においては非常に重要な位置づけとして確認していいと思うが、いかがですか。
  101. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  当初そういう目的でつくられまして役に立っておったわけでございますけれども、その後技術が急速に進歩いたしまして、特に通信技術関係は目覚ましいものがございまして、私どもといたしましては、たとえば雨の注意報、警報を迅速に出しまして国民の皆様を災害から守るということのためにはいかにしたらいいかということを多年研究を続けました結果、先生御存じのアメダスと申しております地域気象観測網計画というものを現在整備しつつあるわけでございます。これは雨のデータを、現在日本全国で約千百カ所余りございますが、そこのデータを東京の大型電子計算機で毎正時ごとに十分以内に全部集めまして、それをさらに十分以内に管区気象台あるいは地方気象台の予報官の手元に、数表の形または要求があれが地図の形にいたしまして打ち出すということをいたせるようになったわけでございます。そのために非常に迅速に各地の雨の状態というものがわかるようになりました。  他方、その中にロボットの雨量計も接続することによりまして、気象通報所におきまして人手がかかっておりました中継業務が、電話交換手なしの自動になったと同じような感覚で、途中の人手を煩わせませんで地域気象観測網の中に入って自動的に受信され、送られるというシステムになったわけでございます。と同時に、通報所といたしましてやっておりました地元に対しまして情報をお知らせするという仕事につきましても、地域の防災計画その他で検討されました結果は、地方気象台から県庁あるいは電電あるいは建設省その他に御通知することによって、そのルートを通って確実に配付されるということになりました。また、その通報所における観測にいたしましても、これをアメダスの機械に入れかえることによりまして自動的に迅速に仕事が進められるということになりましたので、私どもといたしましては、当初の設置の目的が通報所がなくても達せられるということの結論に達しまして、無人化をしようということになったわけでございます。
  102. 兒玉末男

    兒玉委員 長官は、通信機の設置あるいはこれの発達でこの通報所の存在価値はなくなった、必要ない、こういうような御指摘でございますが、とするならば、たとえば国鉄の中間における駅を無人にするのと同様に、気象業務なりあるいはいろいろな千変万化する自然条件の対応に、一体その機械は地域住民の声にこたえることができると思うのかどうか。これは私は大変なサービスの低下だと考えます。ことに、国鉄の場合でも駅員がいないために四キロも五キロも離れたところまで荷物を持っていかなければ受け付けをしてもらえない。この通報所の場合におきましても、この廃止に対して過去においてもやはり住民の存置への強い要望があったことを聞いております。そのようなことについて過去において住民サイドにおけるどういうような存置への運動があったかどうか。  それからもう一つは、いま長官の言われましたようなアメダスの設置について、その気象状況の把握は万全であるというふうな御答弁でありますけれども、自分たちが聞きましたところでは、少なくとも雪、霧、霜、あるいはひょう、特に今回の豪雪等は典型的なアメダスの盲点をついた気象条件ではないか、こういうふうに理解するものでございますが、このアメダスのいわゆる機能上のいま申し上げた四点の欠点、あるいは地域住民におけるところのそのような気象上に対応するところの住民との提携というものについては一体どのように理解されているのか、お伺いしたいと思います。
  103. 有住直介

    ○有住政府委員 御説明申し上げます。  気象庁といたしましては、何と申しましても予報、警報、そういうものの精度を上げ、また迅速に適切なものを出したいということで進めておりまして、このためには、このアメダスのシステムというのは非常に有効であるということがいままでの、設置以来の経験によりまして私どもは確信をしているわけでございます。  また、この無人化に対しまして、ただいま地元の方にどうかということがございましたが、私どももう極力地元の方には私どもの真意を御説明申し上げまして御理解を得るべく努力をしておるわけでございますが、陳情もいただいております。それで、陳情においでになる方にも努めて丁寧に御説明申し上げており、また、私どもの方からも出向きまして御説明をいたしておるという次第でございます。  それで、アメダスの機能その他につきまして、もう少し若干詳しく専門の測候課長からちょっと答えさせたいと思いますが、よろしく。
  104. 兒玉末男

    兒玉委員 私が指摘をしましたアメダスの機能そのものは私も前に聞いていますが、申し上げました雪とか霧とか霜、ひょう、このような自然災害に対して対応できないという欠点があるということについてどうお考えになるか。
  105. 山田三朗

    ○山田説明員 それでは具体的にお答えしたいと思います。  いま御指摘のございました雪につきましては、引き続き委託観測で実施いたしますので、従来とは変わりないつもりでおります。  それから霜でございますが、霜の方は、今度のアメダスによりまして気温と風と天気が毎時間連続して細かく入りますので、いままでの通報所のデータによる一日一回の通報よりはきめの細かいサービスができることになろうかと思います。といいますのは、いままでですと九時一回入った通報所と気象官署のデータを主にいたしまして予報するわけですが、その場合の基礎は、当然大きなスケールの天気図等をもとにして、各地点の状況はいまの気象官署や通報所のものでやる。ところが今度の場合は、アメダスでもっと細かいデータが入りますので、たとえば十七時前、退庁時前に予報を県等にお知らせする、その次のステップで次々に入ってくる風、気温、天気の変化に応じてそれがどの程度まで下がるかということがもっと量的に細かく情報としてお伝えできるということで、効用が高くなろうかと思います。  それから霧の問題でございますが、霧は、御承知のように同じ空港の中でも場所によって非常に濃さが違ったりします。したがいまして代表性が必ずしも大きくございませんので、通報所があってもなくても霧の予報という面では別の問題になってこようかと思います。  その他、ひょうもレーダーで雷雲をつかまえて、それを予報することが効用があるので、降った後ではもう対策はなかろうかと思います。そういう意味で、シノブのデータで不安定だから、雷雲ができ、ひょうが降りそうだという予想のもとに、次にはレーダーやいまのアメダスの風の変化等で細かく追って、だからどの地域に何時ごろ起こるという形の予想を煮詰めまして、情報提供した方がいいかと思います。  一応そのくらいにしておきます。
  106. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの気象庁の見解では、アメダスがあればもうどのような気象の千変万化の対応に対しても万全であるというような御説明でありますが、とするならば、地域住民なり——少なくとも測候の歴史は古いわけです。であるとするならば、そこの地域における気象条件、たとえば今回の青森の場合でも、三十五年間ぐらいの歴史を通じても大変な異常豪雪だということが言われておるわけです。であるとするならば、アメダスのもたらすこの機械的な機能にしても、現在まで全国にある気象通報所の、いわゆる人が入っているところの意見というものは全然中央気象台というものは聞いてないのかどうか。その点どうですか。いま気象庁が廃止を予定している個所について、恐らく気象庁の要員を配置することによって、機械の効果をより補完する役割りというものが私はあると思うのですが、その辺の見解いかがでございますか。
  107. 有住直介

    ○有住政府委員 お答え申し上げます。  私どもは、やはり予報あるいは警報の精度を上げ、適時適切なものを出す、そのためにはどういうふうにしたらいいかということを多年研究いたしまして、たとえば農業気象というようなものに関しましては、やはり長期予報の精度を上げなければならない、そのためにどうしたらいいか、そのためには全地球の気象の観測ということがどうしても必要であるわけでございます。そのために衛星による観測とかいうものが進められつつあるわけでございまして、長期の予報が精度を上げることによりまして、農林省その他と御協力をしながら、農作物に対する気象の影響、それからその作物の生育状態に対しましての予報からどういうことを考えたらいいかということをいろいろ御検討いただくために、農業気象協議会というようなものを設置して、県におきましては地方の農業気象協議会というものをつくり、全国的には東京に全国農業気象協議会というものをつくりまして、長期予報その他を利用いたしながら農業その他に役立てていきたい。そのためには一観測点の観測も重要ではございますけれども、それはあくまでも全体のシステムとして動くようにしていきたい、そういう考え方でございます。また、集中豪雨等を的確に押さえるためには、シノブティックな数値予報電算機による数値予報によりまして予想天気図を正確にする。また衛星によりまして全地球的な広範囲の実況をとらえ、さらにスケールの小さなものにつきましては、レーダーによりまして観測点以外のところにおきます雨雲の状態等を平面的にあるいは立体的に連続的にとらえて、それと同時に、観測点におきまして雨量が実際に何ミリあったかということを押さえて、レーダーあるいは衛星の観測、そういうものと有機的に結合いたしまして仕事を進めて的確な予報を出す、そういう方向に技術的に進んでいるわけでございます。これが、私どもは通報所のございます町、あるいはその町は言うに及ばず、ないところの町におきましても、全体の日本国民のために本当に正確な警報、予報を出せる、また出すようにしなければならない、こういうように努力しているわけでございます。
  108. 兒玉末男

    兒玉委員 通報所にかえて、大変気象庁の方は人減らしに御執心のようでございますが、私は少なくとも長い歴史を通して、そうして現在たとえば五十年三月に廃止となりました岩手県の湯田、あるいは長野県の上田、こういう地域等においては、住民の非常に強い廃止反対の要求があったにもかかわらず、現在では市なり町が経費を出してこの通報所の維持を図っているというような具体的な提起がなされております。そうしてまた、現在予定しておる場所においても、多いときは一日百回以上の電話や問い合わせがあるという具体的な数字もここに出ております。この事実を考えます場合に、大臣にもお伺いしますが、やはり気象条件というものはテレビやラジオ、ニュースだけで住民は安心できません。また千変万化する状況において、たとえば去年の、高知市の隣の伊野町における場合等においてもやはりそのようなことが言われているわけです。そういう点等から考えます場合に、いま私の手元にある、たとえば福井県大野気象通報所、新潟県の長岡気象通報所あるいは富山県の礪波気象通報所、こういうところに対しましても、具体的にたとえば福井の大野の場合においては、十二月の二十八日から三十一日、ちょうどこれは雪が深い時期です、一日平均四十回、一月の一日から三十一日までは九百七十回、二月の一日から十五日までは四百六十回、こういうふうに、この通報所に対するところの住民の問い合わせが現在あるわけです。この記録は私は間違いない記録だと思います。そういうふうに、やはり人間と人間の関係、あるいは変化するところの気象状況に単なる機械が——中央で、センターで集める計画でなくして、現地における情勢に対応する住民の不安あるいは変化に対するところの懸念、それらに対するところの説明は、物を言わない機械ではわからない。長官は、全国に配置する機械が万全であり——いままでの拠点の情報だけでは全体の把握ができないことは私も百も承知しているわけです。それでなくして、現在置かれている住民からの非常に強い要望、あるいは今日廃止を予定しているところの通報所に対しましては多くの関係の町村からも強い設置の要望が出されております。私はこのような住民の意思を無視することは時代逆行だと考えます。専門的な点は私たちもよくわからないけれども、このような気象状況に対するところの住民の意思というものは私は無視できないと思うのですが、大臣としてのこれについての見解を承りたい。
  109. 田村元

    田村国務大臣 実は私のところへも要望がございました。そこで、気象庁長官に、この通報所を無人化するということについて、もちろん行政整理の一環であるから趣旨はわからぬではないけれども、地域住民に対して極度の御迷惑をかけることがないのか、その事情等について一遍説明してくれ、こう言って実はいろいろと聞きました。先ほど来お答えしたような内容説明でございました。  私が長官等に特に強く申しつけましたことは、とにかくあるものがなくなる、しかも、たとえどの程度であろうとサービスの低下と受け取られがちであるということも考えれば、地元の方々に対して懇切丁寧に、このような事情で無人化をしなければなりませんということを十分説明して、そしてその理解を得られるように万全の努力をいたしなさい、こういうことを強く言いつけた次第でございます。この通報所の問題のみならずいろいろとこういう問題が出るでありましょうけれども、都合が変わったから廃止するんだという一方的な言動ではなくして、いま申し上げたようなきめの細かい配慮をしなければならぬというふうに指導をいたしてまいる所存でございます。
  110. 兒玉末男

    兒玉委員 私の時間が参りましたが、いずれにしましても気象業務ということはきわめてじみな問題であります。そして、一般的に国民の目に見えない面が大変多いわけです。そういうことでありますから、やはり国民生活においてはきわめて重要な関係があります。  いわゆる昨年暮れからの雪害、あるいは去年の南九州における長雨、集中豪雨、そして九月の十七号台風、これらにおいても、この日本列島において、少なくとも今度の雪だけでも七十名の人が死んでおります。去年のいわゆる台風、長雨によっては二百七十名を超えるとうとい生命が奪われておるわけです。この陰には気象情報等の関係、通報等の関係において多くの生命が救われた具体的例もあるわけです。少なくとも一般国民大衆は、気象条件についてはきわめて素人であり無知であります。そういう点等から、もちろん今回の静止衛星なり、先ほど言われましたようないわゆる情報システムにおいて大方の問題は解決できたにしましても、わずかに今日配置されているところの通報所、一カ所二名とされておりますが、場所においてはまだ、測候所のように機構を拡充してください、こういう要望が出ているわけであります。そうしますならば、わずか四十数名足らずの削減に血道を上げることよりも、まだまだこの気象対策がもたらすその社会的使命といいますか、そして国民の生命財産を守るという崇高な使命から考えますならば、今回のこの総体的な通報所の廃止の問題は、いま一段の慎重な配慮と、そしてこの三月末をもって強行するような方針が見られるのでございますが、これについてわれわれはどうしても理解ができない。そういう立場からこの定員削減、通報所の廃止については、まだまだこれに対応する代替的な対策——むしろ住民の中においては機構の強化ということすらあるわけでありまして、まさに気象庁の考えとは逆行する態勢にあることを十分理解されまして、長官並びに大臣にはこの際再検討を私は強く要望し、最後に長官大臣の見解を改めてお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  111. 田村元

    田村国務大臣 いやしくもサービスの低下を来さないように十分の配慮をするように、先ほども申し上げましたように、厳しく指導をしてまいることを申し上げておきたいと思います。
  112. 兒玉末男

    兒玉委員 では終わります。
  113. 正示啓次郎

    ○正示委員長 次に、市川雄一君。
  114. 市川雄一

    ○市川委員 運輸省設置法の一部を改正する法律案について、一昨日同僚の宮井委員が気象業務につきまして具体的に質疑を交わしましたので、きょうは問題をかえまして生活必需品の安定供給あるいは物価の安定、環境保全、あるいは省エネルギーという立場から、国民的な要請あるいは国家的な要請を受けております物流という問題につきましてお伺いをしたいと思います。  まず具体的な質問に入る前に、運輸行政の中でこの物流という問題がどういう位置づけを与えられているのか、その現状認識について簡単にお考えを承りたいと思います。
  115. 田村元

    田村国務大臣 運輸行政そのものが物流対策と言ってもよいほど、物流という問題は重要な問題でございます。陸運、海運あるいは航空、あるいは鉄道監督局、私の所管しております運輸省はまさに物流対策省と言ってもよいほどのことであろうと思っております。
  116. 市川雄一

    ○市川委員 その中できょう私が特にお伺いしたいことは、トラック輸送の問題についてお聞きしたいわけでございますが、現状、年間約五十億トン近い貨物輸送の量があるわけですが、この中に占めているトラックの割合というものが非常に多いわけですが、この総輸送トン数あるいはトンキロ、こうした単位で見た場合に、自動車、鉄道、内航海運というものの持っている割合というものをどういうふうに握っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  117. 真島健

    ○真島政府委員 お答えをいたします。  ちょっと資料が古うございますが、貨物輸送関係で四十九年の資料でございます。トン数につきましては、先生おっしゃいましたように、合計五十億トン。この中で鉄道が二億トン程度、それから内航海運が五億トン程度でございます。自動車が最も多く四十三億トン。こんなような比率になっております。
  118. 市川雄一

    ○市川委員 時間がありませんので、大体私の方で押さえた数字とほぼ近い数字でございますが、これはトンキロで見ましても、トラックが三四・七%、鉄道が一三・九%、内航海運が五一・三%という数字があるわけですが、トラックがいまのお答えの輸送トン数で見た場合に八六・二%という非常に全体で大きい数字を占めているわけですが、こういうトラック、鉄道、内航海運の輸送分担状況というものはノーマルな状況なのか、アブノーマルな状況と判断しておられるのか、その辺の御判断をお聞きしたいと思います。
  119. 真島健

    ○真島政府委員 ここ十年ぐらいの傾向を見てまいりますと、確かに自動車あるいは内航海運がトン数あるいはトンキロにおいて非常に伸びてきておる、こういうことは事実だと思います。その原因がどこにあったのかということになるわけでございますけれども、高度成長と申しますか、そういうような形の中での産業構造の変化、それによりまして、たとえば臨海工業地帯の発達ということによって、大量で多少スピードは遅くとも安全確実に着くような内航海運が選ばれる、あるいはごく距離の短い範囲、あるいは非常に機動性、速達性を要求されるような貨物の増加というようなことによりまして貨物自動車が利用される、こういうような形がいまのようなこの結果となっておる、このように思っております。
  120. 市川雄一

    ○市川委員 原因を聞いたのではなくて、要するに運輸省当局としては貨物輸送の輸送機関別の分担の比率がいまトラックに非常に偏った状況になっていることについて、望ましいと判断しているのか、それとも望ましくないと判断しているのか、あるいは正常な状況だと判断しているのかどうか、その御判断を明快に伺いたいと思います。
  121. 真島健

    ○真島政府委員 トン数あるいはトンキロの自動車の大きさと申しますか比率が非常に高くなったということでございます。これは偏ったと言えば偏ったとも言えるわけでございますけれども、鉄道を利用するにいたしましても、内航海運を利用するにいたしましても、結局そのターミナルからさらに荷主の戸口、利用者の戸口というようなところまでは自動車がどうしても必要になる。鉄道貨物で運びましても通運という形でやはり端末では自動車が使われる、こういうようなことでございまして、自動車が非常に伸び過ぎておる、これはそういうような分析もさらに加えませんとどの程度どうかということも申せませんが、大ざっぱに申しまして、私どもこの状態は産業構造の変化に伴う輸送需要そのものが変化しておるということによるものでございまして、異常な状態ではない、このように考えております。
  122. 市川雄一

    ○市川委員 その議論はまたすることにしまして、国鉄が現在持っております貨物の輸送能力、これは年間どの程度の貨物を輸送する能力があるのか。また、過去におきまして最高時で何トンの能力を発揮したのか。わかりましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
  123. 真島健

    ○真島政府委員 国鉄の貨物輸送につきましては、トンキロで申しますと戦後最高に伸びましたのが昭和四十五年でございまして、このときに六百二十四億トンキロを運んでおります。そのときのトン数の方は一億九千八百万トンでございました。トン数で申しますと四十二年の二億トン、これが最高でございます。
  124. 市川雄一

    ○市川委員 この高度成長の必然的な結果として貨物量がふえてトラックの需要がふえたんだ、だから決して異常な事態ではないと認識しておるというお話でございましたが、ちょっと古くなりますが、四十七年の「陸運統計要覧」というものを拝見しますと、自動車、国鉄、内航海運のキロ別のシェアが出ているのですが、百キロまでで自動車のシェアが九七・四%、国鉄が一・一%、内航海運が一・五%、百キロ圏から三百キロ圏までで自動車が六三・五%、国鉄が一七・一%、内航海運が一九・四%、三百キロから六百キロまでで自動車が三七・二%、国鉄が一九・三%、内航海運が四三・五%。この六百キロ地点でも国鉄の貨物は自動車に全然追い抜かれておるわけでございます。また、六百キロ以上で比較しましても、自動車が一八・六%、国鉄が一七・六%、内航海運が六三・八%という、こういう資料が私の手元にあるわけでございますが、貨物がふえたから当然自動車がふえたんだという議論は恐らく成り立たないのではないかというふうに思うわけですね。やはり貨物がふえたから自動車がふえたという議論が成り立つためには、同時に国鉄も一緒にふえていなければならないと思うのです。国鉄はふえていないのに自動車がふえているというこの事実は、やはり物流というものの機能が極端にトラック輸送に過重の状態が生まれている、こう私たちは見ておるわけですが、その点いかがですか。
  125. 真島健

    ○真島政府委員 貨物の輸送需要が、最近十年余り非常な伸び方をいたしまして、そのうちで先生の御指摘のように、確かに国鉄の貨物は四十二、三年から五、六年、この辺をピークにしてむしろ減っております。この原因が何であるかということになるかと思いますけれども、やはり基本的には、鉄道の特性と申しますか、鉄道による貨物輸送の特徴は、やはりある程度大量な定形的な輸送貨物についてはそういうものがどうしても選ばれる。ところが、先ほどちょっと申し上げましたような産業構造の変化というようなことによりまして、鉄道に最も適しておる貨物、石炭であるとか、そういうような大量バラ貨物的な物、これが石炭は御承知のとおりエネルギー革命と申しますか、石油への転換ということで、輸送の絶対量が減ってしまったわけでございます。そのほか、セメントその他につきましても、臨海工業地帯への輸送ということになりますと、内航海運がこれを利用するというようなことになりまして、そういう意味で国鉄の貨物が伸び悩んだということではないか、このように私どもは見ております。
  126. 市川雄一

    ○市川委員 どうも議論がかみ合わないのですが、やはりこれからの物流というものを考えていく上において、いまのような御認識で果たしてやっていけるのかという心配を持つわけでございます。国鉄が貨物の赤字でいま苦しんでおりますが、これを減らした最大の原因は、私が考えるのには、やはり速さ、あるいは確実性、あるいは便利さ、こういう点で自動車に負けたのではないかというふうに思うわけです。しかも、いまの数字でもわかりますように、トラック輸送の占めておる割合が、先ほどの機関別シェアで総体で比較しますと、自動車が九一・九%、国鉄が三%、内航海運が五・一%という、こういう実態があるわけでございます。この議論を幾らしても始まりませんので、指摘をしながら、同時に、トラックのますますシェアが広がっていく潜在的要素というものがこの日本の経済構造にあると思うのですね。たとえば生鮮食料品の輸送を見た場合、どうしてもぎりぎりの新鮮な鮮度で産地が争う。ですから鉄道便ではどうにもならない、トラック便を利用する。あるいは化粧品とか、いろいろな家電製品が全国一斉に広告とタイアップして販売をする、その場合に問屋や小売店に品物が確実に届いていないと困る、鉄道ではだめだ、だからトラックだということでトラックがますますふえておる。あるいは問屋や小売店が合理化で在庫をぎりぎりまで減らそうということで荷物を受けたがらない状況があるわけですが、そういうことを考えますと、速さと確実性というものが要求されてくる。その点、トラック輸送が持っている機能というものがマッチするわけですが、あるいは自動車メーカーにしても家電メーカーにしても、ベルトコンベヤーに合わせて部品の着荷時間を指定するとか、こういう状況を考えますと、ますますこれはトラック需要というものが増していくのではないか。それを経済構造の変化に伴って起きてきたものなんだからやむを得ないんだというような認識で、果たしてこれから物流、中でも中小業者の多いトラック行政というものに果たして対処できるかどうかという大変強い不安を私は持っておるわけでございます。  念のために申し上げますと、たとえば生鮮食料品の輸送状況を見ますと、自動車工業会が発表した資料によりますと、四十三年におきましては自動車が五〇%、鉄道が四六・二%、内航海運が三・八%、まあ自動車と鉄道がいわばタイであったわけですが、四十八年になりますとこれが逆転して、自動車が六九・三%、鉄道が三〇%、こういう事態が生まれておるわけです。そういうことを考えますと、社会構造の変化から起きてきたのだという程度のものではなくて、やはりこれはかなりトラックに荷重がかかっておる、またトラックが生活必需品にかなり密着してその機能を果たしているという状況と、また貨物輸送能力という点だけを見れば、国鉄をはるかに上回る公共的な影響力をすでにトラック輸送が持っているということですね。この点についてすでに御承知だと思いますが、こういう事実をお認めになりますかどうですか。大事な問題でございますので、できれば大臣にお聞きしたいと思います。
  127. 田村元

    田村国務大臣 いまのお尋ねに対して的確なお返事になるかどうかわかりませんが、結局、トラックというものが急速に伸びたということは、いま審議官が答弁いたしました経済、社会の構造変化ということも非常に大きな要素だと思います。けれども、いまお話のあったような要素、安全で速やかに行く、いわゆる速達性といいますか、そういう点でトラックというのは人間社会にすでに浸透し切って定着したということもあろうかと思います。  それからもう一つは、たとえば仮に総合交通体系でトラックの果たす役割り、あるいは鉄道の果たす役割り、海運の果たす役割り、その置かれた位置づけ、そういうことをうたい文句にいたしますと、鉄道の方はとにかくおれたちにはこれだけの権利があるのだというような、言うなれば非常におおように構える。ところがトラックなんか、あるいは海運でもそうでございましょうが、もう必死になって営業活動をやるというところにも大きな関係があるのじゃないでしょうか。  それから私、実はいま明けても暮れても国鉄の問題で頭がいっぱいなんでありますが、何とか国鉄の貨物輸送の分野を、いわゆる赤字克服をしたい、貨物をこれ以上にふやしたい、このように考えまして、いろいろな人に聞いてみるのでありますが、荷主というのは極端にやはりストライキをきらうという面もあるようであります。  いま申し上げましたようないろいろな要素というものがありまして、審議官と私と若干答弁に食い違いがあるようにお聞きになるかもしれませんが、私はあながち経済、社会の変動だけではないというふうに思っております。
  128. 市川雄一

    ○市川委員 時間もあれなんであれですが、もちろん社会構造や経済構造の変化がトラックの需要を伸ばしたということを私は否定するわけではありませんが、ただ、その結果起きてきたこの事態、輸送機関の輸送分担状況というものが、やはりそういう社会構造の変化から起きてきたのだからそれは必然的なものであってやむを得ないのだという、後ろ向きな立場でこの事態を見ているのじゃないかというように私は思うのですね。そうじゃなくて、これからの日本の省資源型の物流システムというものを展望した場合に、未来に向かって物を考えた場合に、現状というものを果たして社会構造が変化して当然起きてきたものだからしようがないのだという、そういう姿勢でいいのかという疑問ですね。したがって、未来を展望した場合には、少なくともより望ましい輸送機関別の分担割合というものを考えなければいけないのじゃないかと思うのですね。当然、その中で果たすべきトラックの割合、あるいは鉄道の果たすべき割合、あるいは内航海運が果たさなくてはならない割合、その割合をどの程度にすべきなのかという議論があってしかるべきだと思うのです。これは高度成長で経済構造が変化したのだから当然起きたのだ、だからしようがないのだということではこれは行政にならないわけでございまして、これを将来に向かって問題を解決するという立場では、いまの現状というものをそういう後ろ向きの見方でいいのかということですね。どうでしょうか。
  129. 真島健

    ○真島政府委員 私も先生指摘のとおり、現状このまま、これでこうなってきたからしようがないんだという意味で申し上げたのではないつもりでございます。  そこで、将来どういうふうにするんだということでございます。当面私ども昭和五十年代前期経済計画というものがございまして、これは昨年閣議決定をされまして、政府としてこの線に沿って、私どもで申しますと物流対策なり、旅客交通対策なり、この線に沿って進めるべき性質のものでございます。その中で貨物につきましては、四十九年度比約四割は五十五年までには伸びるだろう、こういうふうな予想が立てられておりまして、こういうものを各輸送機関別にどのように張りつけていったらいいのかということについては、資料も多少ございますけれども、幅がついております。ある一定の幅で、たとえば貨物について申し上げますと、四十九年度五十億トンが七十五から八十億トンぐらいの幅の中に入っていくだろう。そこで貨物輸送の問題、特にトラック輸送の問題につきましては、私ども今後三全総を踏まえながらさらに長期的な展望をする際にも、労働力の問題もございます、あるいは道路整備というものが今後どの程度できるのだろうかという制約もございます、資源エネルギーの問題もございます。そういう意味では、できるだけ省物流と申しますか省輸送と申しますか、むだな輸送をトラックその他、特にトラックだと思いますけれども、そういう輸送を省く、それによって国民が必要とする物資のトラックによる輸送を効率的にする、そういうような考え方でいろいろと施策を考えておりますが、従来ともそういう問題につきましては、たとえば大都市周辺にはトラックターミナルというものを設置いたしまして都市内の物流が効率的に行われるように、あるいは都市内そのものにおきまして、一般の商店その他が脈絡なしに行われておる輸送を一括した共同輸送の形にして、省輸送の実現を図りながら逆に能率を上げていく、昨年はデパートの配達その他につきまして共同宅配というような試みも交えながら、できるだけ輸送を省く、特にトラックによる輸送をむしろ少なくする、それが今後の物流の政策の一つの大きな課題であろう、このように考えて施策を検討しておる段階でございます。
  130. 市川雄一

    ○市川委員 四十九年から見て貨物量が約七十億トンから八十億トンにふえそうだということでございますが、輸送機関別に大体パーセントも持っているんだというお話ですが、もしおわかりになったら自動車と国鉄と内航海運の——運輸省がより望ましいと判断しておられるものなのか、あるいは大体こんなところへ落ちつくだろうといういまの現状肯定の延長で考えておられる数字なのか、その辺がよくわからないのですが、その数字の性格を明らかにした上で、持っておられる自動車あるいは国鉄、内航海運の割合、どんなものを目指しておられるのかお聞きしたいと思うのです。  それからもう一つ、トラックの中で負担を減らすということをおっしゃっておりましたが、実際考えてみて、国鉄の貨物が最高時で二億トン、この二億トンがフルに発揮したとしても、五十億トンから七十億トンにふえていく中では、そんなほかのトラックの割合を減らすようなものではないわけですね。そうなると勢い、これは先ほど申し上げたようなトラック需要をふやすという潜在的な要素を考えますと、このトラックの負担を減らすことを考えておりますとおっしゃっておりますが、何かその可能性がどういう形で展望できるのか、その点もあわせて伺いたいと思うわけでございます。
  131. 真島健

    ○真島政府委員 貨物輸送の五十五年度前期経済計画による見通しの中で、先ほど申し上げましたような形で貨物の伸びがあるんではないかというふうに見込まれておるわけでございますが、この資料には、実は参考資料としてついておるのですが、自動車と海運とそれからその他というような表現で出ておりまして、その他が鉄道、航空とこういう感じかと思いますけれども、それによりますと、やはりその他の部分というのは幅がございますけれども、現状の鉄道、国鉄、航空あるいは民鉄——航空と民鉄はほとんどございませんが、伸びておるというふうにはどうもこの数字からは出てまいりません。やはり自動車は先ほど申し上げましたが、四十九年度実績に対しましてトンキロが千三百億トンキロから二千億トンキロないし二千二百億トンキロぐらいになるだろう。海運が千九百二十四億トンキロが二千七百億トンキロから三千億トンキロ、合計いたしまして、四十九年度実績三千七百五十八億トンキロが五千百から五千六百億トンキロ、この程度に伸びるのではないか、こういう数字になっておるわけでございます。  この展望と申しましても、私どもこの数字、これは幅もございますし、今後のいろいろな経済情勢の変動につれましてこの幅の範囲でいろいろ上下することでございましょう。そういう意味からは、この数字を計算いたしました当時考えておりました傾向というものは大体この程度ではないか、このようなことでございます。
  132. 市川雄一

    ○市川委員 要するに、トラックの割合も減らないし、四十九年度の数字がある程度多少の幅を持っていくにすぎないのではないかというふうにいまお聞きしながら感じたわけでございます。そうなりますと、トラックにかかる比重はますます絶対量はふえていくんだと見て差し支えないんじゃないかといまお思うわけでございます。  それで、トラック輸送業者は、御承知のようにもう九八%が中小零細企業でございます。これはもう時間がありませんので省略しますが、資本金別あるいは保有台数別あるいは従業員の数で見ても、九八%の部分が中小零細企業、そういう中小零細企業の方々の懸命な努力によって、オイルショックがあって以来四十九年で全業者の一割が倒産するという事態を迎えながらも、ともかく需要を伸ばしてきた。一方では国民的な話題を呼びながら、国鉄はいまだに再建のめどもつかないし赤字が解消できない。毎年一兆円に近いお金が一般財源から補給されるというような事態になっておるわけですが、こうしたことを考えますと、やはり将来の問題は将来の問題としても、とにかく現状、中小零細企業が九八%を占めるこのトラック運送業者が、貨物輸送という物流の面におきましてはやはり大半の役割りを果たしているということは否定できないのではないかと思うのです。そういう点で考えまして、やはり中小零細企業ですからいろいろな問題をいま抱えているわけでございます。御承知のように物流の合理化、システム化、あるいは事業の共同化、あるいは省エネルギー型、あるいは大型トラックの乗り入れ禁止、騒音問題から住宅地区の環境改善という問題をいま抱えておるわけです。こういう環境保全という国民的な要請を突きつけられて町の中で商売がしづらくなっている。どこか非住宅地区にターミナルなり何なりを設けて移転していかなければならないという事情も抱えておるし、あるいは需要がふえてくる貨物輸送の状況に対して、合理化、近代化をして対応しなくてはならないということも抱えている。しかもトラック輸送業者のほとんどが中小零細企業である。  こういうことを考えますと、やはりこれはただ単に業界に任しておけばいい問題ではなくて、先ほど大臣がいみじくも運輸省というのは物流省と言ってもいいのだというふうにおっしゃったくらいでございますが、このトラックの問題について、全体の物流の中で貨物輸送の占めている割合をどうするのかという問題も含めましてトラック業者か抱えている問題を——これは業者だけの問題ではなくて、私思うには、やはり物流関連社会資本の充実という見地から行政的にアプローチをしていかなくてはならない問題ではないのかというふうに考えるわけでございます。その点について大臣いかがでしょうか。
  133. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいま先生から物流、特にトラック事業につきまして、われわれが考えているのと同じような御施策の御陳述がいろいろあったわけでございますが、私どもの方といたしましては、やはり物流の近代化の中でトラック事業の近代化、合理化を推進していかなければならない。そのために共同集配送あるいは共同荷物授受施設の設置、物流拠点といたしましての大都市あるいは地方中核都市におきますトラックターミナルの整備、こういったもののほかに、やはり御指摘のようにトラック事業は何と申しましても中小企業が多うございます、そこで中小企業近代化促進法にのっとりまして中小企業の共同化、集約化、こういう方向をぜひ推進していきたいということで、かつて業種指定を受けまして、指定業種ということで整備を図ってまいりましたが、現在構造改善事業を実施いたしておりまして、その成果も計画に沿って進んでおるわけであります。今後の問題といたしましては、中小企業対策としてのトラック事業の育成ということが最大の眼目になりますし、私どもの方としましてもこれに力点を置いて行政を進めたい、かように考えておる次第でございます。
  134. 市川雄一

    ○市川委員 そういうことをお聞きしたのじゃないつもりだったのですが……。要するに中小企業近代化促進法に基づいていろいろなことをやっておられることもよく承知しているつもりです。トラックはますます需要がふえてくる。その中で国鉄も余り機能が増していかない、あるいは内航海運にそう簡単に移せない。そうすると、ふえていく貨物需要に対しては、トラックはどうしてもしわ寄せを受けざるを得ない。しかしその業界は中小零細企業だ。近代化近代化、構造改善構造改善と幾ら言ったって、かけ声だけでそう簡単に進むものではない。たとえば神奈川県の川崎の場合なんかでも、翌朝トラックを出発させるためには前の日、日本鋼管に入って荷物を積む。で、どこかへトラックをとめておかなければならない。それで朝早くエンジンを始動させて出ていく。どうしてもこれは、住宅地区ですと、騒音で住民から苦情が絶えず起きてくる。ですからトラックをどこかへ駐車させる。ターミナルのもう一歩手前の駐車場ですね。駐車場の機能を持ったものさえなかなかつくれない。これをいま、ようやくつくろうとしているわけですが、こんな程度のものだって、総額で大体二十六億円のお金をかけて、いま業者が協同組合をつくってやろうとしているわけです。  そういうことを考えますと、確かにいままで皆さんのやってきた努力を否定するわけではありませんが、もっともっと増大するこの需要に対して、いま持っている輸送機関別の割合、また将来これが変わりそうもないという見通しならば、トラックに対する行政としてどうしていくのかという問題。ただ業者が勝手にやればいいじゃないかという考え方ではなくて、一つの全体像ですね、物流特に貨物輸送の物流に関しての全体像、マスタープラン。大体何年ぐらいでどの程度のところまでは近代化を進めていくのだとか、何年ぐらいでどの程度のところまではやっていくのだ、こういう青写真を運輸省としてしっかりお持ちになっておられるのかどうか、あるいはそういうものを本気で考えておられる行政主体というものが運輸省のどこにあるのかということですね、その辺のことをぜひお伺いしたいと思うわけでございます。
  135. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 先ほど申し上げましたように、御指摘のような中小企業におきましてそういった集配送なりあるいは駐車施設の整備について非常に御苦労しておるという点につきましては、私どもとしてもそういった実感を持っておるわけでありまして、したがって、先ほど申し上げました構造改善事業というもので共同受注なり共同配車、あるいは資材の共同購入ということを推し進めてまいってきておるわけであります。  たとえば集約化につきましても、グループ数としましても現在までに七百近いグループ数で、参加企業数も一万二千ほどの企業を得て実施に移しておるわけであります。また、高度化投資グループといたしまして、一つは集団化事業でございますが、これにつきまして二十二組合、それから共同施設事業に五十六組合参加いたしておりまして、こういった点で政府関係機関からあるいは都道府県からの助成を得て、そういう施策を円滑に推進するよう努力しておるところでございます。
  136. 市川雄一

    ○市川委員 時間が迫ってまいりましたので、では具体的な問題を挙げていまの問題を申し上げたいと思うのです。  運輸事業振興助成交付金というものがいま、五十一年、五十二年の時限措置でございます。で、軽油引取税の三〇%アップ分を、地方税として徴収したものを、トラック業者の構造改善なり何なりに役立てるために還付しようということでこの交付金が措置されたと思うのですが、昨年、運輸省の通達で、各県の交付金を受け取る受けざらを用意しなさい——これはトラック協会という県別の協会があるわけですが、その県別の協会がそのお金を受け取った後、全国トラック協会、全ト協というところにお金を出捐させる。定款変更して出損しなさいということで行政指導なさったようでございますが、この全ト協というのは一体どんな団体で、運輸省とどんな関係があるのか、また運輸省を退官して全ト協に行かれた方は何人ぐらいいらっしゃったのか、こういうことをいま私は聞きたいわけでございます。
  137. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 全日本トラック協会は、全国都道府県のトラック協会団体でございますが、そのトラック協会などを正会員といたしまして、これらの正会員が推薦するところの特別会員、これは貨物自動車運送事業者そのものでございますが、それと少数の個人会員から成っておる民法上の社団法人でございまして、トラック事業者共同の利益を全国的規模で推進していくという、公共の福祉に貢献するのだという団体でございまして、運輸省として個々の事業者を指導いたす場合に、この全日本トラック協会というすべての事業者が参加しておる団体に対していろいろと助言をしたりすることはございます。  それから、運輸省からのOBのお話がございましたが、現在二名と記憶いたしております。
  138. 市川雄一

    ○市川委員 この全ト協と都道府県別のトラック協会との関係は、いわゆる全国の連合組織の関係ではなくて別の法人になっているというふうに私は認識をしているわけです。それで、これはもちろん決して全体的な傾向という意味で申し上げているわけではありませんが、一部には地方税の還付金で戻ってくる交付金をなぜ全国に取るのかという御意見もございますし、東京都では財源がないということで還付金自体がまだ措置されてないようでございますし、あるいは全ト協がいままで県の業界のために何をやってくれたのかという強い御意見もあるわけでございます。そういう中で、運輸省が定款変更の通達までして全ト協に出指させた根拠を伺いたいわけでございますが、全国の都道府県別のトラック協会のリーダー、あるいはイニシアチブを握って指導に当たっていくにふさわしいいままでの実績が本当にあったのかどうか、あるいは実績を評価してそうした位置づけを与えておられるのかどうか、その辺を時間がありませんので簡潔に伺いたいと思います。
  139. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 先ほどの御説明で申し上げたとおりでございますが、全日本トラック協会と地方の各都道府県のトラック協会は、当然人格は別々になっておる次第でございます。そこで、全日本トラック協会と地方トラック協会の関係は、先ほど申し上げましたように、地方トラック協会そのもの団体加入と申しますか、正会員として参加しておるわけでありまして、この両者の関係としましては、そういう地方の意見が全日本トラック協会に反映される組織になっておると考えております。  それから、全国団体への出捐のお話がございましたが、この運輸事業振興交付金によりまして輸送力の増強なり安全運行の確保あるいはサービスの改善という共通の利益を増進していく事業を行います場合には、地方的マターで行われるのにふさわしい事業が大部分でございますが、また、たとえば全国的な規模で行われるような路線トラックの休憩所の問題とか融資等を行う場合の基金事業におきましても、各府県においてはそれぞれのトラック協会の資金量にでこぼこがございまして、こういうものを調整補完する意味合いも必要でございます。そういう意味から、全国団体への出捐を通じて全国的規模で先ほど申し上げました交付金の趣旨に沿う事業を行っていきたい、こういうことで定めたわけでございまして、それらにつきましては全国協会あるいは地方協会相連携して円滑な運営を図ろうとしておるところでございます。
  140. 市川雄一

    ○市川委員 いまのお話にもかなり詰めてお聞きしたいこともあるのですが、ちょっと話を進めます。  この交付金につきまして、事業資金と近代化基金に分けて、事業資金については事業内容を出せ、近代化基金については商工中金に預けなさい、商工中金に預けた利子分を構造改善の利子補給として使いなさい、大体こういう方向にいま話が煮詰まっておるようでございますが、神奈川県の例で申し上げますと、五十一年度分交付金が約三億八千万、全ト協への出捐金が一億一千五百万、神奈川県の手元へ残るのが二億六千八百万。この二億六千八百万を、仮に二億円を基金として商工中金に預けたとしますと、この商工中金に預けた二億円には手をつけちゃいかぬ。しかも一年先でなければ利子がつかない。年利六%で計算しても千二百万。この基金を運営するために、特別会計をつくって人を置かなければならない。人を二人雇えば、年間人件費で約六百万は吹っ飛んでしまう。そうすると、千二百万の利子のうちの六百万は人件費で吹っ飛んで、あと六百万しか利子補給に使えない、こういう実態があるわけでございます。したがって、こういう窮屈な枠をはめないで、もっとトラック業者が伸び伸びと使えるようなやり方はできないのかという意見が強いわけでございます。  先ほども何回も申し上げていますように、トラックの持っている割合が多い、しかもこれからその割合が変わりそうもない、ますますその役割りは重くなっていく、しかも中小零細企業が多い。そのためにわざわざこういう交付金を設けながら、それにこういう窮屈な枠をはめちゃったのでは、これは絶対額が少ないところへもってきて、さらにその金額を細分化し凍結されてしまうわけですから、意図された趣旨が効果としては半減してしまっているのではないかと私は思うわけです。  もちろん、基金として預けることに反対しているわけではありませんが、基金の部分も結構、しかし二億円のうちの一億円ぐらいを構造改善事業に使わしてもらえないのかという意見も事実あるわけです。二億円のうちの一億円を構造改善事業に使う。使うといっても、利子補給として構造改善に使わせてもらいたい。それも利子補給でただばらまくということではなくて、事業協同組合をつくり、陸運局長の承認を受けた構造改善の事業であるという認可のもとにやる事業ですから、地域の物流、社会関連資本として、共有財産として当然残るわけですね。個別の企業に利子補給をして差し上げちゃうというものではないわけです。そういう形のお金の使い方は今後全然検討する余地がないのかどうか、その点をお聞きしたいと思うわけでございます。
  141. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいま御指摘の全体の資金量につきましては、私どもの方といたしましても、事業者各位が伸び伸びとして使えるほどの資金量というのを期待しているわけでありますが、それはなかなかむずかしいわけでございまして、全体量が一定でございます。これを、先生指摘のように、ここで基金になる元金まで全部使用して事業を行うのがいいのか、あるいはその果実を利用して利子補給に充てるのがいいのか。何分制度として、交付金制度は二年間の暫定ということに相なっております。そこで、私どもといたしましては、できる限り基金として元金を温存して、末永くと申しますか、長くこれを回転させていきたいというのが偽らざる気持ちでございます。
  142. 市川雄一

    ○市川委員 大臣予算委員会へ行かれる時間が近づいておりますので、大臣にちょっと申し上げたいのです。  この交付金制度、所管は自治省だと思いますが、いま御答弁にもありましたように、五十一年、五十二年の二年間の時限措置ということで切れるわけでございますが、五十年度で自動車関係諸税の税収額を見た場合に、道路投資総額を上回っているわけですね。五十一年度では約二〇%前後の上回りが予想されている。そういう点では自動車諸税をここで上げるということは、かなり厳しいことになると思うわけでございます。そういう点で考えて、この交付金を二年間の時限措置ではなくて、税率も凍結したままこの制度をぜひ制度化してほしいという声があるわけでございますが、所管は自治省でございますが、運輸省として制度化の方向に働きかけていく御意思があるのかどうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  143. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおり時限立法でございますから、五十二年度が終わるときに新たな税制措置を講じない限り、これはつぶれるわけです。自治省の問題がございますので、私から先走って明確に私の気持ちを申し上げることははばからなければならぬと思いますが、どうぞ、言わぬは言うにいやまさるという心情をひとつお察しいただいてお聞きをいただきたいことは、この交付金制度は私自身いい制度だと思っておりますから、今後近い将来訪れるであろうかもしれない措置に対して期待をいたしておるところであります。
  144. 市川雄一

    ○市川委員 大臣、どうぞ予算委員会へ。  時間も来ておりますので、あと一、二問で終わりたいと思います。  先ほど御答弁いただいたのですが、仮定で申しわけないのですが、二年間の時限措置だから、果実を生む原資を食べてしまうのはまずいんじゃないか、基金としてとっておいた方がいいんじゃないかというお考え、それもわかるのですが、もし制度化という方向を考えれば、その場合にはもっと何か枠をはめた使い方でなく、構造改善、もちろん会館をつくるとかあるいは個別の業者に利子補給するということではなくて、あくまでも地域の全体のトラック輸送、それも騒音とかいろいろな社会的な要求にこたえるための構造改善事業というものに使えるようにしたいとか、するとか、こういう考えがあるのかないのか。その辺いまの時点では言えないかもしれませんが、大体どんなお考えを持っておられるのかお聞きしたいと思います。
  145. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 私どもの方といたしましては、二年間の暫定期間でございますが、この期間にこの交付金の運用のよろしきを得まして、世間に対してもトラック事業の現状なり、それからそういう使命感を持って努力しておるというところをぜひ評価していただいて、その成果をひっ下げて将来の制度へ向かっていくというのが一番いいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、御指摘の構造改善事業等にそういう資金を使うのがいいかどうかという点につきましては、当該地方トラック協会といたしましていろいろなプロジェクトがあると思います。その中で皆さんがどこへ重点志向していくかという、皆さんの討議の中からプロジェクトの選定というものが生まれてくるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  146. 市川雄一

    ○市川委員 時間が参りましたので、最後に、非常に短い時間の中で大ざっぱな議論をしたわけでございますが、その議論の中で、やはり貨物輸送の中に占めるトラック輸送の割合というものが将来にわたって減りそうもない状況がはっきりしていると思うのです。しかも、それが中小零細企業だということを十分御認識をいただいた上で、こうした交付金の扱いや、あるいは自動車諸税の中における営業用と自家用の格差、すでに設けてあるものについては、これは所管が違うと思いますが、自動車重量税と自動車取得税の格差の時限立法、これの制度化という問題、あるいはトラック自動車税についてはまだ営自の格差がないわけですが、三分の一程度の営自の格差を設けてほしいとか、交付金をもっと制度化してもらいたいとか、こうした問題があるわけでございますが、客観的に見て、やはり日本の経済の中で貨物輸送というものが果している公共的な役割り、国鉄がストライキという状況が生まれても、生鮮食料品の輸送においてはそんなに支障が起きなかったというのは、これはやはり負ってトラックの輸送の果した役割りが大きかったんではないかというように思うわけでございます。そうしたことを考えますと、中小零細企業が多いんだという認識、したがって、これをただ法律があるから法律に任してやっておけばいいんだということではなくて、もっと何か、より望ましい物流対策という全体像をおつくりになった上で、それに向かってより大胆に、積極的に運輸省が取り組んでいくという運輸省姿勢を御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これにて運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会