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1977-03-10 第80回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 八百板 正君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 阿部未喜男君 理事 久保  等君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       丹羽喬四郎君    原田昇左右君       廣瀬 正雄君    堀之内久男君       本名  武君    渡辺 秀央君       鈴木  強君    野口 幸一君       古川 喜一君    山花 貞夫君       大野  潔君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    青山  丘君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君  出席政府委員         郵政政務次官  綿貫 民輔君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政省電波監理         局長      石川 晃夫君  委員外出席者         文部省大学局高         等教育計画課長 大崎  仁君         建設省住宅局市         街地建築課長  和田 友一君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      工藤信一良君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     多賀谷真稔君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷真稔君     鈴木  強君 同月八日  辞任         補欠選任   依田  実君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     依田  実君 同月九日  辞任         補欠選任   依田  実君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     依田  実君     ————————————— 三月四日  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 八百板正

    ○八百板委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  3. 志賀節

    志賀委員 昭和二十年の三月九日の夜中から十日の払暁にかけてのいわゆる大空襲は、広島、長崎の原爆被害のありましたことによって影が薄くなっておりますが、これは大惨事でございました。ちょうどきょうが三十三回忌になるわけでございまして、冒頭にそのときの犠牲者に対して冥福を祈りたいと思う次第でございます。  私は、NHK現状並びに今後の問題について質問をいたしたいと存じます。  NHKは、五十三年度におきましては収支相償う予算になっておるわけでございますが、五十四年度以降の経営見通しはどうなっておるか。NHKは、一体何年間今後受信料値上げをしないで済むと確信を持ってお答えできるのか、その点を冒頭に伺いたいと存じます。
  4. 坂本朝一

    坂本参考人 本年度受信料改定をお願いいたします際に、五十三年までの見通しを立てまして、その際、五十四、五十五という、五年間の概略の構想と申しますか、そういうものを立てまして、御承認をいただく手続をとりまして、今日に至っておるわけでございますが、五十三年度までは、御指摘のとおり、先生のおっしゃるように収支相償うという形になっておりますが、五十四、五十五につきましては、現状まだ確実な形での御報告を申し上げる段階でございませんので、この予算が御承認いただけましたら、早速またその次の長期構想を立てたいと考えておる次第でございます。  したがいまして、いまの段階で、何年間受信料改定をしないかというようなことを具体的に数字を挙げて何年と申し上げるあれを持っておりませんけれども、少なくとも聴視者方々に御理解いただき、聴視者方々影響のある受信料でございますので、できるだけ値上げしないという考え方で業務を見直していくべきであろうというふうに考えております。  なお、数字等につきましては、担当専務から補足させていただきたいと思います。
  5. 山本博

    山本参考人 概括的にはいま会長が申し上げたとおりでございますが、三年間、五十一年度、五十二年度、五十三年度までは、数字的には一応収支が償うような見通しを持っております。その見通し過程におきまして、五十一年度にいろいろな事情がございまして、相当な赤字を生み出すという結果になっております。それを吸収をいたしまして、五十二年度の中でさらに一層の努力をし、さらに五十三年度につきましても、私たちは、この問題のよりいい解決を図るために努力をいたす所存でございます。  しかし、何せ五十二年度は、まだこれからでございます。私は、五十一年度の決算におきましてもなお一層の努力をいたしたいと思っておりますが、そういうものを全体引き継ぎまして、五十三年度末にどういう状況になるかというのは、なおNHK側努力というようなものが今後重ねられるべき必要がございますので、最終的に数字がこうだということまで、まだ二年もございますので申し上げかねますけれども、この五十三年度末までは、収支につきましては完全に相償をいたしまして、受信料というものには影響が全くない措置がとれると思います。  五十四年度以降につきましては、いま会長が申し上げましたとおり、五十三年度末まで私たちが最善の努力をいたしますことを前提にいたしまして、五十三年度予算の編成のときまでには、五十四年度というものに対してどういう考え方を持ち、さらに五十五年度ぐらいまでの見通しも立てまして、最終的に御審議の際に審議をしていただく、そういう準備をいたしたいというふうに考えております。
  6. 志賀節

    志賀委員 五十四年度以降に収支バランスの崩れる可能性が十分にあることは、ただいまの御答弁理解したわけでございます。このバランスが崩れた場合に、NHKは、いまも山本専務理事から受信料値上げ云々お話が出たわけでありますが、受信料値上げというものにダイレクトに依存していくのか、それともその他の合理化と申しますか、経費節減あるいは収入増加等を図るということをも含めての合理化、そういう面でこれが解決をなさろうとするのか、あるいはそれらの総合的なものをお考えであるのか、この機会に明らかにしていただきたいと存じます。
  7. 坂本朝一

    坂本参考人 本年度さらには来年度予算の御審議過程におきましても、経営効率化等について幾つかの御指摘もいただいておりますし、まずそういうものをもう一度見直しいたしまして、ダイレクトに受信料改定というようなことで解決しようというふうにはさらさら考えておりませんので、その点は何とかいま先生の御指摘副次収入——副次収入と申しましてもなかなかそう簡単ではございませんけれども、そういうものも含めまして、いま申し上げたようにダイレクトに受信料改定というようなことに結びつかないような努力経営としてはすべきであろうというふうに考えております。
  8. 志賀節

    志賀委員 受信料値上げということをそれまで私どもが果たして深刻に考えていかなくてもよろしいのかどうか、そういう腹づもりを私どもは持っておらなくても、そういう副次収入的なもので全くやっていけると私ども理解をしておってよろしいのかどうか、もう一度御答弁をいただきたい。
  9. 坂本朝一

    坂本参考人 副次収入ということにつきますと、受信料収入が二千億になるものでございますし、副次収入というのは営利を目的とするという段階でございませんので、必ずしもそう簡単なことではないというふうにいま思っておりますけれども、何と申しましてももう一度経営の中身の見直しということを、さらにいろいろ御指摘をいただいた点を詰めまして、そして受信料値上げというようなことにならないように努力するつもりであるというふうに申し上げることで御理解いただきたいと思う次第でございます。
  10. 志賀節

    志賀委員 いろいろ御指摘をいただいたということをさっきから伺うわけでありますが、その御指摘という点が、具体性がないために頭に具体的に浮かばない。そこで、受信料値上げをしなくても済む具体策としてはどういうことがいままで出されて会長のおつむの中にあるのか、お聞かせ願いたい。
  11. 坂本朝一

    坂本参考人 一つの例を申し上げれば、まず何と申しましても滞納の整理、解決、これが受信料制度を守ります負担の公平という点から言って第一前提であろうかと思いますので、その問題が一つ。それから、例の受信料免除の問題でいろいろと御指摘いただいております。そういうものの解決、さらには国際放送等政府交付金の問題等々、幾つか私どもといたしまして努力をさらに重ねなければならないテーマがあろうかと思いますので、そういうものをさらに精力的に努力したいというふうに思う次第でございます。
  12. 志賀節

    志賀委員 ただいまの会長の御答弁に関連してこの機会に承っておきたいのは、第百九十八回経営委員会、これは昭和四十年十一月二十六日に提出された「放送法制に関する要望について」という資料でございますが、この「受信料」という欄の「ア」の中に 「受信料は、答申に述べるとおり、協会維持運営のため、協会徴収権の認められた特殊な負担金と解すべきであり、このような考え方に基づき、協会放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会に対し、受信料を支払わなければならない旨を法律上明らかにする必要がある。」こういう明文化されておる文章があるわけでありますが、こういう法制的なものを考えておられるのかどうか、その点を明らかに承りたい。
  13. 坂本朝一

    坂本参考人 そのときの考え方といたしましては、放送法全体の見直しというようなことの中で、いま先生指摘受信料の取り扱いについての案文があるわけでございますけれども、その後十年たっておる現在で直ちに受信料徴収そのことだけを取り上げて言うということになりますと、私としては必ずしも本旨でございませんので、現在の法律の定めの中で努力をしたいというふうに申し上げたいと思います。
  14. 志賀節

    志賀委員 いろいろといまNHKから受信料値上げがなくてもやれるかのようなお話があるわけでありますが、私は何もそういうお考えで御努力なさることに水をさす気はさらさらございません、大いにそれでやっていただきたい。しかしこれはどうでございましょう、郵政大臣に伺うのでございますが、受信料値上げをしないで済むかどうか、政治的な判断でございますね。それからまた、受信料値上げをしたいと思っても果たして一筋なわでいくかどうか、こういうことでございますね。この辺をどのようにお考えになって、郵政大臣、将来どういうふうにやりたいものだという展望を持っておられるか、その辺を承らしていただきたいと存じます。
  15. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 大変むずかしい御質問でございます。郵政大臣意見を述べることができるのであって、主体性NHK自体にございます。そういうことでございますので、大変申しわけございませんけれどもNHK主体性の中でやっておくべきことである、私はそういうふうに感じております。
  16. 志賀節

    志賀委員 郵政大臣にもう一度伺いますが、受信料値上げに関しましての、いわゆる認めるか認めないかはやはりこの委員会の席で出てくるわけでございますから、その点についてはあくまでもNHK主体性の問題とは離れると思うのでございます。そういう意味から私は質問をさせていただいたわけでございます。そういうことで御理解をいただくとともに、その面での御答弁を賜れば幸いだと思います。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 この委員会で認めるか認めないかは、経営そのもの努力の中にある、しかも経営努力をされてもかつ運営がむずかしいということならば、私は、それはやむを得ない、これは委員会で認めていただく形にならざるを得ないのであろう、そういう意味で申し上げたのであります。
  18. 志賀節

    志賀委員 私は率直に申し上げて、これはいまだ起こらざることを想定して言うわけでありますから、過ちがあればお許しを願いたいのでありますが、受信料値上げのような必要事態が生じた場合に、現在の情勢では、先ほど私は一筋なわではいかないという表現をとりましたが、この問題に対しては世間の雰囲気というものは受信料値上げにくみすることがなかなかないのではないか、非常に困難ではないかという観測をしておるわけであります。それはなぜか。それはNHKが従来の、今日に至るまでの経営姿勢の中で国民の十分の共感、同情を得られなかったからであるという判断に実は私は立っておるわけであります。したがいまして、私はもし、この受信料値上げというものが行われるようにするには、NHKというものはやはりそれだけの、出直し的という言葉がよくここのところ、はやったのでありますが、出直し的な経営に立ち返らなければだめではないか、やはりそういう御助言を郵政大臣からもNHKに大いに賜りたいというのが私の希望でございます。  また私自身、個人的な経験の中で一言、二言申し上げさせていただきたいのは、実は過般、さる県の東京事務所におきまして、政府予算原案づくりの最中に、いわゆる陳情合戦がその県の地元からございました。それをNHK取材をいたしました。その取材過程におきまして、その県当局あるいは県事務所の所長のげきりんに触れるような取材があった。あるいはその県の地元新聞社、テレビ局、放送会社、こういう現場の記者諸君が怒りを燃やしてしまった。たとえば、十五分番組であるやに聞いておりますが、そのフィルムを撮るのに一時間もフィルムを回しておった。われわれ民放であるならば倍くらいのフィルムしか回せないのに、親方日の丸はたまげたものだ、こういうことを言っておる。あるいはまた、その東京事務所におきまして、地元のマスコミの連中が金を出し合って電話を架設しておる。この電話を傍若無人に入ってきては勝手に使って長距離電話などをかけている。そこで最後にはたまりかねて、そういう諸君が、これはわれわれが金を出し合ってつけている電話なんだから、もうこの部屋に入ってこないでくれということまで言われた始末であります。  これは私は一例を申し上げて、これは何も粉飾をしたつもりはございません。事実関係だけを申し上げたつもりであります。  あるいはまた、そういうことがあって、御承知のとおり私は会長にこのことを申し上げた。しかるにその責任者の方からは、私はお手紙をちょうだいしたがいまだに私のとこにおいでにならない。手紙は、私が了解するものだということでもって手紙をよこしただけであって、私は了解しているかしていないか、これは何も言っていない。手紙で了解つくものだというふうな、きわめておえらいさんになっておられる。聞くところによると、関西であれ東北であれ、いわゆる本部長というものは何か知事気どりでおるという話を聞くのでありますが、そういうような実情に触れるにつけても、これはなるほど知事気どりのおえらいさんになっておるのじゃないかという気がしてならない。こういうNHK経営姿勢経営体質、そういうところが私の指摘するところの、もし受信料値上げが行われなければならぬという条件が出てきても、周りがそれを許さぬ、そういう客観条件につながるのじゃないか、私はそういうふうに理解する以外ないわけであります。  あるいはまた、私はこの機会に特に申し上げておきたいのは、私ども同県の大先輩で、厚生事務次官を勤めた太宰博邦という方がおります。この太宰博邦さんは全国社会福祉協議会の副会長でございます。会長灘尾弘吉先生ですが、今度の予算原案が固まった後にNHK取材に応じた。太宰さんがその後私のところにおいでになられまして、非常に困ったことですと言っておられた。どういうことかというと、総体的に今回の福祉予算というのは一〇〇%満足とは義理にも言えないけれども、まあまあのものではないかと自分は思って、そのように言ったところが、全体でしゃべっている中で、自分はこの福祉予算満足ではないと言っているところを特筆大書して、実は言わんとしたこととは全然別のことの放映がなされておるという。一人の人間の朝から晩までの生活の中で、りっぱな社会生活を送っているところを抽出して世に示すか、その人が朝生理的現象を起こしておったり、あるいは夜奥さんとたった二人で愛し合っているところだけを抽出するかでもって、これはエログロになるわけでございましょう。そういう点ではNHKが故意にその報道を曲げておるような印象を私は免れない。少なくとも私自身はその太宰博邦さんからの直接のお話でありました。私はきわめて敬愛している方でありますから、うそ偽りをつく方だとは思わない。そういう点などもきわめて不信の念を私は持たざるを得ないのであります。  この機会に申し上げておきますと、ギボンが「ローマ帝国衰亡史」という大著をあらわしておりますが、このローマ帝国衰亡した大きな原因の一つに数えられているのが、実はあの農地を捨てて都会に集まったいわゆる遊民、この遊民が傭兵になるか、あるいはまた彼らは社会福祉の対象になるかして、結局は寄生虫的なものに成り下がった。自分の持っている財産というのは子供だけだ。子供のことを何かプロレスと言ったそうであります。それがプロレタリウスからプロレタリアートの語源であると私は承知しております。あるいはまた、そういうような人たちが、結局パンサーカスという名前で象徴されるところです。何かサーカス無料で見せてもらえる。それは当時の政治家無料でこのサーカスを振る舞うことによって得票を得るという、どこかの国の政治家観光バスを仕立てて温泉に無料選挙民を招待する姿に以ている。それからパンというのは、だんだんに食事をそういう遊民無料で配給する。そういうことで国民の歓心をそそり立てて、ついにはローマ帝国衰亡に導いていったあの時代というものを私は頭に浮かべざるを得ない。そういうことなんです。そういうことが一方あるから、私は太宰さんのような方がしっかりしたことをおっしゃっているのに、NHKのどういう方々であるかわからぬけれども、何か甘えの構造というか、たかりの構造を助長するような、そういう番組をつくるなどということはもってのほかだと思っている。そういう意味においてNHKの、私がいま申し上げておる批判というのはとりもなおさず国民批判でもあるということであります。一体これはどういうふうにお考えになっておられるか、この点を重ねて承りたいのであります。
  19. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 まず経営の問題についてでございます。  私は大変危惧の念を持っていることは事実であります。二千億に及ぶ収入が、昭和五十三年には相当の赤字が出、五十四年、五十五年には相当出るであろう。しかし、私は、反面、つい最近日本賞という授賞の表彰式に出席させていただきました。衆参両院委員長も出られた。しかし、行かれたときに私は大ぜいの方が迎えに来るのかと思っておりましたけれども、それは大変質素にやられて、また日本賞などというものは大変なりっぱな事業をされている。かつ役員室に通されましたけれども、非常に質素にやられておる。私は、それなりに評価をいたしております。しかし、私考えてみますと、二十二階の高いところ——昔の中国の言葉に、「燕雀顔を変えず、禍いを知らず」という言葉があります。これはお堂の中にはりっぱな仏様がありながら、お堂の上にいるスズメあるいはツバメはそのお堂が炎になるのを知らないという意味である。私は、そういう意味でのいままでやってこられたNHK努力、また国民に対するサービスまた日本民主化に対しての努力というものを非常に評価いたします。  しかし、非常に危機に立っていることは事実であります。私自身も先ほどのNHK日本賞に出席して、自分自身が感じたことは、自分自身燕雀になってはいけない、いわゆるツバメスズメのようなことになってはいけない。脚下を見よ。今後ともそれを通して多くの局長地方局で働いている方々だけではなくて、集配に汗流している人たちと昼の食事もし、いろいろな意見を通して、郵政行政をもっとよくしなければいけないという感に打たれたのであります。私はそれなりNHKがあのような役員室がりっぱでないということを見まして、びっくりいたしました。巷間伝えるような形でない。そういうようなことで今後NHKがえりを正していくだろうということを身をもって感じてまいりました。
  20. 志賀節

    志賀委員 それでは時間が参りましたので、最後一言申し上げたいと存じます。  放送衛星がいよいよ打ち上げられる。これから放送電波が出る。こういうことで今後この放送が果たして各家庭アンテナで受信せられるのか、あるいは特定の局がこれを受信して、いわゆるキーステーションとなって各家庭に送るのか。そういうようなことなどもいまのうちからいろいろと御検討いただいておるかどうか。ということは、もしこれを各家庭が受信するとなれば、従来難視聴地域解消のために立ててきたアンテナというものは遊休施設になりかねない。それをたとえば民間放送に貸与することによって、それの収入を図るというようなことも一つNHKのいわゆる合理化につながるという私の観点から、いわゆる建設的な考え方として申し上げたい。あるいはまた、このごろは非常にラジオ普及が、普及といいますか、売れ方が盛んなようである。したがって、あのラジオ受信料をゼロにしてしまったというのは、一体いまどういうお考えになっておられるか、今後の対策をどうなさるか、その点を最後に承ることとして、一層のNHK経営姿勢厳正化公正化を私は期待して、私の質問を閉じたいと思いますが、一言答弁を願います。
  21. 沢村吉克

    沢村参考人 前半の御質問にお答えいたします。  衛星の開発につきましては、かねてから難視解消をできるだけ効率的に速やかにという御指示もいただいておりますし、私どもといたしましても、いままでの地上のやり方におきましてはとても経済的にもまた時間的にも早期にはできないというような僻地でございますとか、離島でございますとか、そういうものの解消のためには、現在の技術あるいはこれからの技術を見ました場合に衛星によらざるを得まいということから、これに取っ組んでおるわけでございます。したがいまして、衛星につきまして、必ずしも地上と同じようなサービスが、ローカルサービスを含めまして、同じサービスができるとは考えられません。若干の欠点もございますけれども、できるだけ早く僻地にまで電波を届けるという意味からいたしますと、衛星によらざるを得まいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、原則といたしまして、そのねらいといたしましては、個々の家庭で直接受信できることを最終目標にいたしまして、これに取っ組んでいる次第でございます。
  22. 坂本朝一

    坂本参考人 ラジオ受信料につきましては、確かに先生指摘のように、現在ラジオが見直され、ラジオの利用度が高まっているということは事実でございますけれども、法改正によりまして、一応カラー受信料、白黒の受信料の中にラジオ受信料が包含されていて、ラジオだけの世帯についての受信料を取らないということになっておりますので、現状ではなかなかまたそれを改めてラジオを取るということは困難かと思います。そういう意味で、現状に従って処置したいというふうに考えております。
  23. 志賀節

    志賀委員 終わります。
  24. 八百板正

    ○八百板委員長 関連質問を許します。左藤恵君。
  25. 左藤恵

    左藤委員 いまの放送衛星のことに関連いたしまして、私若干関連してお尋ねいたしたいと思いますので、お答えを簡潔にお願いをいたしたいと思います。  過般行われました十二ギガヘルツ帯における放送衛星業務の計画に関する世界無線主管庁会議、これによりまして、わが国が要求いたしておりました放送衛星に対します周波数の割り当て、東経百十度の位置に八チャンネルというものが確保されたということが伝えられているわけでございます。こういったことによりまして、これから放送衛星というものに対して、郵政省にお伺いいたしたいのですが、いま難視聴解消という問題が取り上げられたわけですけれども日本における衛星を通じての放送というものが、いま省として考えられているものは、こういったガードバンドを含めまして十分なチャンネルの確保というものができたと判断されるかどうか、この辺をまず伺いたいと思います。
  26. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問ございました会議でございますが、この先般の会議は、ただいま御指摘のように、十二ギガヘルツ帯におきます放送衛星業務につきましての周波数割り当て計画の作成、それからそれに関連する技術基準及びその監理的規定、こういうものを決める会議であったわけでございます。  わが国としましては、この十二ギガヘルツ帯の放送業務は、衛星放送業務としては非常にいい周波数でございますので、ここで安定した放送業務を行いたいということで八チャンネルの周波数要求をいたしました。この八チャンネルの要求につきましては、会議の成果といたしましては満足されたわけでございます。八チャンネル要求どおり割り当てを得たわけでございますので、われわれといたしましては、この八チャンネルを使いまして放送衛星業務をやっていきたいというふうに考えております。  なお、その八チャンネルを使ってどういう業務をやるかということにつきましては、今後検討を進めるべく、省内にそのような協議会をつくっている次第でございます。
  27. 左藤恵

    左藤委員 NHKは現在まで衛星放送の調査研究ということで予算も立て、今回も二十四億幾らかの技術調査費の中から衛星放送に関しますいろいろな調査研究をやっておられるわけでありますが、いままでの研究、どういうふうな成果があり、そして先ほど志賀委員から質問がございました点の難視聴解消といった問題も含めまして、各家庭でどういったアンテナを持てば受信することができるかというような見通しをお持ちになったかどうか。これから明年の五月ですか、またきく二号のような形で今度アメリカで打ち上げてもらう放送衛星というものを、これを打ち上げた場合のいろんなそういったものに対します準備というものはNHKではどのくらいまで進んでおられるか、この辺についてお伺いしたい。
  28. 沢村吉克

    沢村参考人 お答え申し上げます。  衛星放送に使います場合に一番重要な面は、いま御質問のございました受信機の問題でございます。したがいまして、私どもの研究におきましても衛星本体という研究はもちろんでございますけれども家庭用に使える受信機の開発ということに非常に重点を置いてまいりました。先年、私どもの研究所で開発いたしました新しい方式の受信機というものが世界的にも非常な評価を得ております。現在その一つのサンプルをもちまして、カナダとアメリカで協力してやっておりますCTS衛星の実験に参加をいたしました。受信試験を続けておるわけでございます。日本の明年上がる予定でございます衛星につきましても、同様な受信機をもちまして受信試験をしたい。  さらに、政府で用意をされますメインの送受信所一つだけでは十分な放送実験ができかねますので、移動用の送受信設備でございますとか、あるいは精密な測定をいたしますための専門の受信機でございますとか、先ほど申しました家庭用にも使えるであろう簡易な受信機、そういうようなものを用意いたしまして、政府と御一緒にこの実験の成果を十分に上げられるようにということで準備を進めておる次第でございます。
  29. 左藤恵

    左藤委員 いまそうしたことについて研究を進めていただくということは、いまの主官庁会議で割り当てられた周波数の割り当て計画が七九年の元旦から発効するということもありますので、そういったことで十分それに間に合うような形で研究開発に努力をしていただきたいと思います。  特に、NHKだけではなくてこういった技術の問題につきましては、民間放送あるいは放送大学に使います放送といったものも、私は全国一円の形で難視聴解消というものを含めまして有効に利用するために、いま郵政省としてもそういった用途について委員会をつくって研究開発するというお話でありますけれども、私はそういったこと、これは放送体系全体の問題として考えていただかなければならない法制的な問題もあると思います。  それからもう一つは、ローカル放送といった問題が、この周波数的には八波しかないわけでありまして、そういったものを全部サービスするわけにはいかない。たとえばラジオで現在第二放送に全国一円の番組が組んでおられる、ああいった形のものをこの放送衛星でもってやっていく。そしてやはり地上の放送によって地域的な放送をやるといったそういう放送体系というものも考えなければならないんじゃないか。いままでと同じような形のもので放送をやっていこうとするとそこにまた無理ができてきて、私は急に、こういった問題についてやる十分な準備をしなければ、時間的な余裕を持たなければ本当に国民の皆さんのための放送というものをやっていくことができないのではないか、このように思いますので、そういった意味において将来の放送衛星放送が持つ大きな可能性というもの、そして地上の放送体系との関係というものを十分検討していただきたい。こういつたことについてもし大臣が何かお考えがありましたら……。
  30. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 放送衛星のことはジョン・F・ケネディあたりからの問題で、大変夢多い問題であります。アメリカがインドに放送衛星を使ってバースコントロールというような問題もアタックしたり、あるいはアフリカに放送大学教育を行うという非常に長い歴史のある問題であろう。それが先ごろジュネーブで八チャンネルを得た。これはやはり私、それなりにいままでと同じような物の考え方だけで放送衛星を使うべきでもないし、あるいは巷間伝えるような、キー局だけがそれを使用できるようなために八チャンネルなんだという話もありますけれども、そういうことは全然ございません。これは新しく物を考えていく、その中に、やはり放送大学というものをただ単に放送大学だけだという、いままでのような学校の知識の切り売り的な放送大学であってはいけない。私は、そういう意味でもそれには非常に斬新な二十一世紀へ向かっての哲学が織り込まれ、かつ新しい考え方のもとで放送衛星というものが使われるべきであろうと考えております。
  31. 左藤恵

    左藤委員 終わります。
  32. 八百板正

    ○八百板委員長 稲村利幸君。
  33. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 さきにわが党の志賀さんから、NHK経営姿勢そしていわゆる政治、社会等を扱う姿勢は厳正であるべきだという大変りっぱな意見が開陳されました。私はそれに関連して幾つか挙げてみたいと思いますが、現在世界の放送は、わが国のNHKだけでなく非常な危機に瀕していると思います。フランスでは七つの事業体で経営している。イタリアでは各政党が役員を派遣して経営している。このようなことになったならば本当の自由というものは確立できない。私は、料金の徴収はこれ一生懸命努力すると言いますが、年々歳々不払いがふえ、そして政府の補助にのみ甘えるところが見えておりますが、その辺のところを端的にお聞かせいただきたいと思っております。
  34. 坂本朝一

    坂本参考人 ヨーロッパ先進国の放送界が先生指摘のように非常に揺れ動いているということは事実でございます。われわれといたしましてもそういう動向に無関心ではおられません。しかし、現在日本は御承知のような放送法のもとに放送の自由、表現の自由が確保されて運営されております。それは、何と言っても受信料制度というものの基盤に立って運営されているということにあろうかと思いますので、私といたしましては格段のやはり努力をして、現行の中で滞納、不払いをなくすということに努力を傾注する以外ないのではないかというふうに考えております。
  35. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 現行法に立って努力を傾注すると言いますが、いまの現行法で理想を追いかけることは結構ですが、現に不払いがふえているのです。これを正直、経営者としてあなた労働組合の顔ばかり見て、毅然たる態度で経営というものの責任——たとえば中小企業ならもう倒産しているわけですから、その辺のところを踏まえていかなる努力というものの具体例をちょっと示してもらいたい。端的にお願いします、時間がありませんから。
  36. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 その不払いの原因、その実態、これにはいろいろございます。先般来も申し上げておりますように不在の世帯が非常に多い。これは昼間不在ということでございます。二十四時間いないというわけではございません。だから、いろいろな問題はございますけれども、私どもは夜間あるいは早朝、そういういろいろな——それをやらせるにはいろいろな問題がございますけれども、そういうことをどうしてもやらなければこの問題は解決しないということで強力にそういう不在者対策ということに力を入れております。
  37. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 不在者じゃなく、住民が払う意思がない、こういう家庭が比較的多いわけですが、それに対してどう思いますか。
  38. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 これはNHK放送がけしからぬ、あるいはNHK経営姿勢がけしからぬということで払わないという方がおられることは事実ございます。そういう方には私ども責任者、管理者、そういう者が直接お会いして説得をして御理解をいただくという努力を重ねております。
  39. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 努力努力と言いますが、具体的に本当に経営がイタリアやフランスのようになってからは国民が悲しむと思うのです。私はこの辺で法改正を考える意向はないか、ちょっとその辺を会長いかがでしょう。
  40. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもといたしましては、先生指摘のことも踏まえまして、不払い対策あるいは経営の長期見通しということで部外の有識者等にもお知恵をおかりして基本問題の調査検討会というようなものを発足させて検討していきたいというふうに考えております。
  41. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 私はNHK経営がいま正直最大の問題になっておると思いますが、最近NHK経営陣は組合を気にするということをよく私は耳にいたします。しかし経営というものは、たとえば中小企業の例をとってはあれですが、経営者個人が全責任を持って自分財産をも担保に入れ、あらゆる親族の者の助けを求めてそれでこの苦難を乗り切っておるのに、そういう姿勢、毅然たるものがうかがえない、その辺のところを、私は本当に毅然たる態度でNHK経営に臨むことを念押しをいたしますが、もう一つ会長答弁をお願いいたします。
  42. 坂本朝一

    坂本参考人 私もNHK会長として御指名をいただいた以上、経営に全責任を負うという、先生の御指摘のとおり毅然たる態度で終始したいというふうに考えております。
  43. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 次に番組の編成等に関係のある方に、責任者に伺いたいと思いますが、企画と制作というものの定義をちょっと言ってください。
  44. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  言葉の違いではなく、企画というのはたとえば番組の場合、プランナー、実際につくる人がこういう計画を立てます。そうすると通常枠内の仕事につきましてはそこの監督者であるCP、さらにはもう一つ上の班部長と申しますそれの番組責任者のところで討議をいたしまして、そしてそれが採用になる、そこまでが企画でございます。それから後、今度は採用されたものに従って番組をつくり、さらにでき上がった段階でもう一回チェックをするということに番組制作の体制はなっております。
  45. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 その企画と制作というのは、たとえばそれじゃそれに対しての料金ですね、別々に払うんですか、それに対して。お答えをお願いいたします。
  46. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  いま私が申し上げましたのは局内における職員による番組制作でございまして、そのほかにつきましてはいろいろバラエティーがございまして、たとえばラフな基本的な構想を提供していただき、それに基づき脚本を書いていただき、それに基づき役者を決定し番組をつくるというような場合には、いわゆる企画される方にお払いするということはあり得るわけですが、通常は大体企画は局内の職員が行っております。
  47. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 私は堀理事にお伺いしますが、どうもNHKは独自のものをやっているようですが、民放はどういうことをやっているか、御存じですか。
  48. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  民放は全体に外注が多うございまして、外部に番組を頼むということで外部の人が主として番組制作に至るまで責任を持ち、その採否を決めるということに伺ってはおりますが、もちろん民放の中にも、自分の社で自分の職員による企画を生かして番組をつくる場合も多くあるものと承知いたしております。
  49. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 もう一点。原稿料に対してはNHKはどういうふうに……。
  50. 堀四志男

    ○堀参考人 原稿料につきましては、たとえばテキストの原稿料等は一応一枚幾らということで買い取り制でお願い申し上げております。また脚本あるいは原作でございますが、それはそれ相応のお値段をお払いしてお願い申し上げておる次第でございます。
  51. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 私はいわゆる専門家ではありませんが、どうもNHKの企画制作という点は、民放の方が合理的で何かまさっているような気が正直しているものですから、その辺のところを検討していただく必要があるという感を私は持っておりますが、もう一つお答えをお願いいたします。
  52. 堀四志男

    ○堀参考人 御指摘の点は、民放の場合は外注が多うございます。したがって競争がきわめて熾烈な形で行われ、その結果合理性が貫かれるという一面はあるかと思います。NHKの場合は競争がNHK内にとどまっている危険性がございまして、それが経営者としてやっぱり非常に大きな留意を払うべきところだと思いまして、私たち、その中で何とか競争原理を導入し、制作者の励みにもなり、いいものもつくるように努力したいと思っております。
  53. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 先般NHKで、これは私非常に関心を持っておりましたが、「白昼堂々」というフィルムをつくりましたが、それについてちょっと会長から答弁をお願いいたします。
  54. 坂本朝一

    坂本参考人 「白昼堂々」という原作のある小説をもとにして制作いたしましたのですけれども、原作で取り上げられましたところの住民の方等からのお話がございまして、現在まだ放送に至ってない、こういう状況でございます。
  55. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 いつつくって、かかった費用はどのくらいですか。
  56. 坂本朝一

    坂本参考人 つくりました具体的な日付は堀総局長に任せたいと思いますが、全体といたしましてあれは五本つくってございますので、直接費としては大体二千万の制作費だと思います。
  57. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 堀さん、つけ加えてください。
  58. 堀四志男

    ○堀参考人 制作側の、始まりました時点は定かではございませんが、終了しました時点は二月の初旬、放送開始予定の四、五日前だったと記憶いたしております。
  59. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 そのいまの答弁のように、は非常に関心を持った問題ですから、このことをやらないということは放送法の第一条に触れると思いませんか、会長
  60. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもといたしましては、現在そういう問題についての現地とのお話し合いをまだ続けておるわけでございますけれども、ただ、この問題ではございませんけれども、われわれ自身番組等についてのいろいろな御批判というのは、これはやはり傾聴するものは傾聴するという姿勢が必要かと思います。
  61. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 傾聴する姿勢が必要だと言いますが、現地の意見を聞いてと言うけれども、いまNHK赤字でやっていて、二千数百万という貴重なお金をかけてまだ放送するめども立たない。現地の意見を聞くと言うけれども、いまどの程度の意見を聞いているのですか。
  62. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  御指摘のように大事なお金を使ってつくったものでございますので、何とか現地の方に納得していただいて放送にこぎつけたいという気持ちでお話し合いを続けているわけでございます。
  63. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 現地の方の具体的な氏名、人数等々、やっちゃいけないという人たちをちょっと挙げていただきたい。
  64. 堀四志男

    ○堀参考人 われわれの表面の交渉相手の方は、ちょっと名前は失念いたしましたが、田川郡川崎町の教育委員会責任者だと思います。この人権問題はかなり根が深うございまして、その他の団体とも非公式に接触を続けなければいけない事態でございます。
  65. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 そういう非常にむずかしい問題だけに、国民大多数、多くの方に知っていただき、理解を得る必要があると私は思いますが、会長、その辺のところをどう考えますか。一部の人の意見でそれをとめているというのはどういうものか。
  66. 坂本朝一

    坂本参考人 現在進行中でございますので、そこら辺のところを断定的に申し上げかねるのでございますけれども、やはりわれわれとしてはそういうことの一般的な御理解を深めるための努力は当然払わなければいけない、それは私どもの責任だというふうに思っております。
  67. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 先ほどの氏名や具体的なものについては後で私のところへ知らしていただきたいと思いますが、これは国民が黙っていれば一部のそういう力によってNHKは放映しないとも限らない。私は一刻も早い放映を期待してこの問題は閉じます。  それと、NHKのニュース解説で、先般公共料金を上げれば物価が上がる、こういう解説を私は耳にし、私だけでなく多くの人が、閣議でも話題になりましたが、いまの日本及び世界経済の最大課題はインフレの抑制と物価の抑制、この辺のところですが、その解説についてちょっと触れていただきたい。
  68. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  公共料金値上げに伴う解説は数多くございまして、具体的にどの解説をお指しになるのか、後ほどまた詳しくお伺いもし、お答えもいたしたいと思いますが、私の記憶している範囲では、公共料金の値上げの物価に対する影響率というものはございます。それを中心に解説した番組が二、三あったというふうに思います。
  69. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 そのままで結構です、時間がありませんので。NHKの料金は公共料金ですか。
  70. 堀四志男

    ○堀参考人 われわれは公的負担金と思っておりますが、ある意味で公共料金の中に総括されるという場合も多いというふうに承知いたしております。
  71. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 それと、衆議院の総選挙を前にNHKのニュース番組で、共産党の機関紙の赤旗を国民の方に向けて、推測で灰色高官と流して赤旗をこうやってNHKが出したことについて、感想と意見を求めたいと思います。会長、大変迷惑をしているんですから。
  72. 坂本朝一

    坂本参考人 何か意図的に具体的なそういうふうなことがあったというふうには私は考えませんけれども、申しわけありませんがそのフィルムそのものを見ておりませんので、意図的なことでそういうことがあったとは考えられないというふうに申し上げたいと思います。
  73. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 これは意図的と言わざるを得ない。ということは、総選挙を直前に控えて灰色高官として流された人のどのくらいの苦しみをNHK考えたことがあるかどうか、経営者が余りにも組合におもね過ぎはしないか、その辺のところを私は最初言ったんです。私はもう一度申しますが、放送NHKの中立性というものについてもう一度お答えいただきたいと思います。
  74. 坂本朝一

    坂本参考人 これはもう当然NHKといたしましては不偏不党ということが第一の条件であろうというふうに考えております。
  75. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 その辺のところをこれから厳正にお願いしたいと同時に、まじめに料金を払って、山間部で見えないところが、私の栃木県ですが、この東京の近場でもいっぱいあるんです。ですから、その辺の難視聴地域解消も、これは郵政省の力もかりて速やかに解消していただきたい。最後に大臣の御意見及びNHK責任者答弁に対しての感想をお聞きして、私の質問を終わります。
  76. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 放送法第一条の第二号に、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」と書いてあります。第三号に「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と書いてあります。私は、やはり不偏不党であり、公正かつ正しく放送が行われることを望んでおります。
  77. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員 終わります。
  78. 八百板正

    ○八百板委員長 久保等君。
  79. 久保等

    ○久保(等)委員 私はまず最初に放送大学の問題について、文部省の関係の方、おいでになっていますか。放送大学はかねがね文部省を中心にして関係の間でいろいろと検討が加えられておるようです。すでに昭和四十四年から検討が始められてすでに約八年ばかりたっておりますが、その間、放送大学の基本構想であるとかあるいはその基本計画、こういったものについて逐次成案が得られて発表になっておるようでありますが、当初、この放送大学の構想が打ち出された当時は、例の大学紛争のあった当時でありまして、緊急に放送大学設置といったような空気が非常に強かったようですが、しかし大変な問題である関係で、その後、いろいろ準備を進められておりますが、今日どういう状況に置かれておりますのか、文部省の方からできるだけ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  80. 大崎仁

    ○大崎説明員 お答え申し上げます。  五十年の十二月に、先生指摘のように、調査会の基本計画に関するまとめが出されまして、それを受けまして、五十一年度は、一つは大学設置審議会の基準分科会というところに特別委員会を設けまして、新しい大学でもございますので、大学制度上どう位置づけるかというような検討を鋭意いたしております。  それから、教材の開発等あるいは放送システムの検討等、引き続き検討を進めておりますとともに、新しい試みといたしまして、東北大学、広島大学にお願いをしまして受講生を募集いたしまして実際の学習指導の実験をする。それから私立大学通信教育協会という団体がございますが、そこで実際、私立大学通信教育でラジオ放送を使いまして実際の指導をしていただくといったような実験を積み重ねておるわけでございます。  明年度でございますが、五十二年度につきましては、創設準備室を設けまして、引き続きいま申し上げましたような検討をさらに進めるとともに、実際の教育課程の編成、それから教材の作成といったようなところに着手をいたしまして、問題点をできるだけ早期に詰めて創設準備を促進したいということで現在努力をしておるところでございます。
  81. 久保等

    ○久保(等)委員 特に放送設備等の問題について、今後どういう計画を持っておられるのか。特に特別法人をつくってこの放送大学の運営を図ろうというような構想でおられるようですが、当初はNHKの施設等の活用の問題等も考えられたと思うのですが、別個に独立した放送大学という法人組織をつくってやろうということになってまいりますると、そういった設備等についても、放送大学そのものが単独に施設を持つことになるのだろうと思うのです。そういったことは大変な金もかかる問題でありますし、また大変な期間も必要じゃないかと思うのですが、そこらの計画についてはどんな計画を持っておられるか、お答え願いたい。
  82. 大崎仁

    ○大崎説明員 昭和五十二年度予算要求に当たりましては、特殊法人の放送大学学園というものをまず設立したいということで要求をいたしたわけでございます。その要求の際の考え方といたしましては、とりあえず東京タワーをお借りしまして、そこから電波の届く範囲内でまず第一段階の計画を進めてはどうであろうかということで要求をいたしたわけでございますけれども、特殊法人の設立あるいはその他の事項につきまして予算折衝の過程等で種々議論がございまして、ただいま申し上げましたような形で五十二年度は創設準備を進めるという経緯になっております。
  83. 久保等

    ○久保(等)委員 要員にしても、相当な要員を将来必要とすると思うのですが、そういった要員等の確保の問題についても、これは関係の方面、特に率直に言って放送関係の方面のエキスパートといいますか専門家等も、これは当然必要だろうと思うのです。そういったことについては、当然郵政省あるいはNHK、あるいは民放といったようなところも関係すると思いますが、文部省としては、そういったことについても、どの程度の構想を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  84. 大崎仁

    ○大崎説明員 放送関係につきましては、郵政省を初めNHKその他御専門の向きの御援助、お助けをいただけませんと、私どもとしてはなかなか仕事を取り進めることが困難なわけでございますので、郵政省の御関係の部局とも密接な連携をとりまして、現在、一つ放送システムに関する調査のための会議を開いておるわけでございますが、そこにも郵政省あるいはNHKその他放送の御関係の方々にお加わりをいただきまして、というかむしろそれらの先生方を主体にいたしました会議で、いろいろその放送システムの検討等もしておるわけでございます。ただ、将来どういう形で具体の姿ができるかということにつきましては、創設準備の段階が、いま申し上げましたような段階でもございますので、引き続き関係省庁とも十分相談をしながら進めてまいりたいというふうに存じております。
  85. 久保等

    ○久保(等)委員 郵政省の方へお尋ねしたいと思うのですが、今度、いまお話があったような特殊法人をつくって、放送大学で教育をやってまいる、放送を使って教育をやってまいるということになりますと、現行の放送法の適用との関係において一体どういうことになるのか。もちろんそういう放送局ができることは、立法当時予想もしなかったことでありますし、もちろん放送大学は文部省と郵政省の共管のような関係になるのではないかという感じも私はするわけなんですが、現行放送法からまいりますると、中心になっておりますのは、もちろん、NHK日本放送協会というものを中心にして、若干最後の方に一般放送事業者ということで民間放送のことを考えた現行制度になっておるのですが、これがかねがね問題になっておりまするように、放送法が全く現状に合わない放送法でありあるいは電波法であって、これが根本的な改正をやらなければならぬことも、もうすでに前々から私どもも強く指摘をしておるところです。  ところで、いま言う特殊法人の放送大学ができたときに、一体それは放送法との関係においてはどういうことになるのか。特別立法をしなければならないのではないかという私は感じもするのですが、その法制の面からどういうふうに郵政省はお考えになっていますか。
  86. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  放送大学でございますが、これはただいま先生からの御指摘のように特殊法人というかっこうで行おうという計画が文部省でございます。そのほか、文部省の計画といたしましては、特殊法人として放送局自体が免許を持つとかあるいは中に番組審議会を置こう、こういうような構想は出てきております。したがいまして、われわれといたしましても、こういうかっこうですと、いわゆる一般放送事業者というかっこうでも受けられるかなという感じもいたしますけれども、しかし、もう少し詳細になりますと、あるいはそういう、先生指摘のような、法改正の問題まで入らないといけないかもわかりません。したがいまして、われわれ、文部省と緊密な連絡をとりながらやっておりますので、内容がだんだんはっきりしてくる段階で、もう少し考えていきたい、かように考えておりますので、いまの段階で法改正が必要かどうかという点につきましては、まだしばらく検討させていただきたいと思います。
  87. 久保等

    ○久保(等)委員 文部省の方にお尋ねしたいと思うのですが、その特殊法人なるものは、やはり特別立法をして、その特別立法に基づく法人の組織にするお考えなのかどうなのか。  いずれにいたしましても、私は、将来相当大規模な組織にもなるし、いろいろいま言った電波関係の問題もある、放送関係もあるが、同時に、大学そのものの特殊な、いろいろな施設の面においても、きわめて広範な、人員の面においても非常に規模の大きなものになるのではないか。全く新しい一つの教育手段として、しかも電波を使った放送という形での大学ということになってくると、特別立法を行わなければならない可能性が強いのではないかと思っているのですが、そこらあたりのところは文部省はどんなふうにお考えになっていますか。
  88. 大崎仁

    ○大崎説明員 先生指摘のように、やはり特殊法人を創設するということになりますと、そのための根拠法が必要でございますので、立法措置が必要になろうというふうに存じております。
  89. 久保等

    ○久保(等)委員 ちょっと最後にお尋ねしたいと思うのですが、先ほどお話があったように来年度すなわち五十三年度に、その学園の何か創設準備を始めようという予定だったのが予算の関係等で一年ぐらい延びたようなふうにも受け取れるのですが、実質的に準備室みたいなものを設けて準備される予定、いま文部省としては具体的にスタートするのは一体いつを考えておられますか。
  90. 大崎仁

    ○大崎説明員 創設準備室と申しますものを明年度から設けたいということで、必要な予算措置を今回の予算案には計上しておるわけでございます。これは定員が主でございますので、定員といたしましては、従来措置しております定員も含めまして八名を予定をいたしております。この予算全体といたしましては、放送大学の創設準備ということで約三億の予算が計上されておりまして、創設準備室と私どもとで相談をしながら、そういう創設準備の事業予算の執行に当たってまいりたいというふうに存じておる次第でございます。  なお、これは大学自体の創設準備ということでございますので、特殊法人の問題につきましてはまたさらに引き続きの検討課題ということで、先ほども申し上げましたように関係省庁と十分協議を重ねてまいりたいというふうに存じております。
  91. 久保等

    ○久保(等)委員 いずれにしても大変な構想でスタートするわけですから、十分に関係省庁と御相談になって、いま言った法律制定そのものも含めて考えざるを得ないような大変な特殊法人の創設だと思うのです。したがって、悔いを将来に残すことのないように十分にひとつ連絡協議等を重ねて準備を進めてもらいたいと思います。  放送大学の関係は終わります。  次に、ここ最近特に新聞紙上をにぎわしておりますが、一九八〇年のモスクワにおけるオリンピックの放送権をめぐってのいろいろな動きがあるようでありますが、聞くところによりますと、この三月一日から十日と申しますから本日ですが、本日の間にソビエトの方で放送権についての入札を行うといったようなことも伝えられておるわけなんですか、すでに今日まで——オリンピックはもちろん四年ごとに行われておるわけでありますし、前回のモントリオールのオリンピックの体験等もあるわけでありますが、特に今回放送権の獲得問題をめぐって国内において大変ないろいろ足並みの乱れ等があるようであります。これは対ソ連、要するに外国との関係でありますから、国内的にはNHKといわず民放といわず、とにかく十分に協議をせられて、いわば一本のまとまった姿でこのことについての折衝なりあるいはまた放送権の獲得なりに当たるべきだと思うのですが、いろいろ新聞等で伝えられておるわけなんでありますが、実はこのことについて、きょうもできれば私、民放連の会長に御出席を願いたいと思ったのです。しかし、ちょうど御多用で地方に出ておられるようでありましておいでになれなかったわけでありまして、その点では民放連関係にお尋ねすることはできませんが、NHKがもちろん従来から中心になってオリンピックの放送問題についてもいろいろ役割りを果たしてこられたようでありますから、NHK会長の方から、この問題についての状況をひとつ御説明願いたいと思うのです。
  92. 坂本朝一

    坂本参考人 オリンピックの放送権につきましては、御承知のように回を追うごとに放送権料が上がるというような傾向でございます。それについて、われわれといたしましてはできるだけそういう点についての交渉の一本化というようなことで低額に抑えるという努力をすべきではないかということで、民放連の方々ともお話し合いをしてまいりまして、幸いにモントリオールのオリンピックの場合には、アメリカの放送局が放送権料として二千五百万ドルというような高額な権料でありましたのに、日本の場合は民放さんとお話し合いをしてNHKが窓口になって交渉を一本化し、NHKはABUのメンバーとしてやはりABUと一体になって交渉に当たり、ABUはEBUとまた歩調を合わせて交渉に当たりまして、御承知のようにモントリオールの場合は権料といたしましては百三十万ドル、技術提供料といたしまして五十万ドル、合わせまして百八十万ドルというようなことで、前回のミュンヘンの場合は放送権料が百五万ドルで技術提供料が六十万ドルでございましたので、ミュンヘンからモントリオールという間の上昇はおかげさまで低額に抑えられたというふうに考えておったわけでございます。今回もやはりそういう趣旨でオリンピックの放送権料の交渉に当たりたいということで国内的には御相談をしておったわけでございますけれども、たまたま主催国側から三月一日から十日までの間に交渉するからということで別々の放送事業者に招請状が参りましたので、別個に伺いますといろんな意味で競合というようなことになりますので、今回もモントリオール方式で歩調を合わせてどうだろうかということでお話し合いをしておったわけでございますが、残念ながら一社の御理解を得られませんで一社がモスクワに派遣されるということになりましたので、民放連の中でもこの問題かなり御努力になってお話し合いしたようでございますが、結果的には不調に終わったということでございますので、私と民放連の会長それからTBS、フジテレビの社長と話し合いまして、NHKが代表をモスクワへ派遣するということにいたしまして派遣いたしました。できましたら現地で、先行いたしました民放社とさらにもう一度、この問題を競合というような形でなしに話し合えないかという努力をするように、代表の橋本理事に申し伝えまして出かけさせたのでございますが、詳細はまだ報告が入っておりませんのでわかりませんけれども、今暁午前一時四十分ごろ私のところへの報告では、民放社、具体的にはNETさんでございますけれども、NETさんと組織委員会との間に話し合いの調印がなされたという報告を受けてこの席に出てまいったような次第でございますので、私どもの方の条件は受け入れられなかった、したがってNETさんの方の条件によってモスクワのオリンピック放送権が締結されたということで、具体的な金額がどの程度のことになりましたのか、その点につきましては、残念ながらまだ公表されておりませんので、わかりかねる次第でございます。
  93. 久保等

    ○久保(等)委員 橋本理事がモスクワの方に出かけられてやはり折衝に当たられたと思うのですが、いまお話があった中でよくわからない点は、現地に行かれてNETの代表の方とその橋本理事との間で話し合いはされたんですか、されないのですか。それから同時にNHKは、入札とかいう方法でやったとすれば、その入札には現実に参加できたのかできなかったのか、そういったこともひとつあわせて御説明願いたいと思います。
  94. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  何せ着きましたのが明けておとといでございますので、したがって、きのう一日の行動でほとんど決まったわけで、さっき会長が申しましたように、何とか接触をとるようにということは聞いて行ったのでございますけれども、実際に接触がとれたかどうかについてはまだ情報は得ておりません。  また入札でございますが、入札につきましては、過般来アメリカの一〇%ないし一二%、すなわちアメリカのNBC放送が取りました額が八千万ドル、あるいは一説によると八千五百万ドルと言われておりますが、いずれにいたしましても八千万ドルを超える金額の一〇%以上ということがソ連側の要望として言われておりまして、そして、いわゆる札を入れるという方式をとったかどうかを別にいたしまして、金額の交渉をモスクワオリンピック組織委員会といたしましたことは事実でございます。そしてその間に、やはり同じような、一〇%には届かないではということで、結局NHKが申し述べた値段はそれに及ばなかったものでございますから、ほかに決まったというふうに概略承知いたしております。  なお、詳しく本人からは来る予定でございましたが、まあこういうことを申し上げて何ですが、NHKへ参りまして情報を取って来る予定にしておりましたが、きょう異常な交通渋滞のためこちらへ直行いたしましたので、詳細についてはまだ承知していない次第でございます。
  95. 久保等

    ○久保(等)委員 金額的には相当な高値が予想されると思うのですが、前回のモントリオールにおける放送料は約四億円足らず、三億九千万円であったとお聞きしておりますが、そういう点からまいりますと、少なくとも二けたの数字になる、これは一割といっても二十数億の金額になる。大変な金額だと思うのですね。NETが単独で乗り込んで、単独で放送権を獲得するというやり方そのものは、われわれから見てもまことに不可解です。したがって、非常に残念なんですが、ただNHKの方でも、他の民放三社と十分にお話し合いになって代表の形で行かれたようですけれども、一昨日着いたという程度では、一日から十日までの間にいずれにしても入札その他の方法によって放送権の決定をするという情勢があったとすれば、時期的には何か非常にぎりぎり、十日の間近に向こうに行ったような結果になっておるのですね。もちろん国内においていろいろ話し合いをせられたことも新聞等で報道されておりますから承知をいたしておりますが、そういった点で現地ではほとんど話もできないままにNETが単独に放送権を獲得して、いまお話を聞くと契約の調印まで済ませてしまったということになってまいると、まことにどうも不可解至極にわれわれ思うわけなんですが、その出発そのものが非常におくれたというような感じもするのですが、その点はどうですか。
  96. 坂本朝一

    坂本参考人 私ども当初考えましたのは、ソ連側からの御提案は一日から十日までということでございますけれども、そもそもどの程度の放送規模でやるか、あるいはまたそれにはどの程度の便宜提供があるのか、いろいろなインフォメーションがまだ全く定かでございませんし、そういう段階で、いま三年先のことでもございますから、こちらから出かけていくということについてはまだ多少時期尚早ではないか。したがって、こちら側の事情も言って、先方の期日には伺いにくいからもう少しその点御相談の余地はないだろうかという意味合いで出発を差し控え、なお国内的には民放連の方々と、必ずしもいま決めなければならぬことでもないし、いろんな意味で交渉を一本にしていった方がいいのではないだろうかということで折衝をしておりまして、最終的には三月三日に民放連の中での御相談があるということでございましたので、その結果を待って、もしNHKが代表を派遣するというようなことであれば出かけるようにしたらいいだろうということで差し控えておったわけでございます。
  97. 久保等

    ○久保(等)委員 これは国内で民放内部でもいろいろ話し合いをせられた、それからまたNHKとNETとの間でもお話をされたと思うのですが、民放連の中における話は、もちろん当事者じゃございませんからお伺いいたしませんが、NHKがNETといろいろ話し合いをせられた、その経過の中で、一体、単独でモスクワに出かけていく、そして放送権の交渉を始める理由というものはどういったことが言われておるのですか。折衝に当たった経過から、できれば簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。
  98. 堀四志男

    ○堀参考人 まず、NETとわれわれが直接接触したことはございません。と申しますのは、去年行われましたモントリオールオリンピックを共同で民放連、NHK一体になって日本チームを編成いたしまして取材放送いたしまして、その評価が去年の暮れに非常によかったということで、民放連の報道部会がこれからもこういう方式でいこうやという意味の話し合いができたというふうに伺っておりましたので、したがってNETがそういう態度に出るということはちらちらとは聞いておりましたが、定かに存じません。そして、そのことが民放連の中でもやや出てまいりましたのが、私の承知するところで二月九日でございます。そしてそれがどうもやりそうだとより明確な形で出されたのが二月十六日モスクワ付、十七日に入手いたしましたモスクワのオリンピック組織委員会からの入札への要請のテレックスがきっかけでございました。したがって、それ以後精力的に、民放同士のことでございますし、民放のほかのところともかなり接触いたしましたが、民放連会長も何とかモントリオールオリンピック方式で進みたい、努力するのでしばらく任しておいてくれという意味の話がございまして、その努力を期待していたという次第でございます。
  99. 久保等

    ○久保(等)委員 何かほとんど一方的というか単独にソ連に出かけていって組織委員会と契約をしたという状況になっておるようです。どうも事はやはり外国との問題でありますだけに、日本の国内においてとかくこういったようなことがあることは私はかねがね——この例とはまた全然違いますけれども、とかく日本の商社あたりが外国へ行って品物を売り込む際にも、各社がお互いにしのぎを削って足を引っ張り合って、ダンピングということじゃないでしょうが、とにかくできるだけ安く売り込むというようなことで足並みが乱れておる。それを逆に諸外国の立場から見ると、まことにどうも日本人というのはけしからぬ、だらしがないという話もあり、最近は御承知のように、いろんな問題が欧州方面でも貿易関係で出てまいっておるわけです。今回の場合も、やはり国民がこういったことについては非常に注目しておる問題であるだけに、こういう経過になってまいっておりますことを非常に残念に思います。本来ならば、当事者に出てきてもらってお考え方をお聞きしたいところでありますが、きょうはそういった時間的な関係もあったものですから、当事者に御出席を願うわけにはまいらなかったのですが、しかし、とにかくオリンピックは一九八〇年ということで、二年ばかり先の話ではありますけれども、この問題について、やはりただ単に現状のままではこれはもちろんどうにもならぬ問題であると思うのですが、ひとつ十分に円満に話し合いがなされて、しかも調印までしてしまったといった結果になったのではどうにもならぬかもしれませんが、やはり国益という立場で統一的な歩調をそろえて折衝に当たることがどうしても必要ではないかと思うのです。各社の単なる利益あるいはまた一会社だけのメンツ、そういったようなことで対外的な折衝に当たられる。しかも現実にこれは金を伴う問題でありますから、何らかの形で結局これは国民の上にかぶさってまいる問題であります。しかも、前例がすでにあって前回非常にうまくいったとすれば、当然その前例に乗って問題が処理されてしかるべきだと思うのですが、残念ながらこういうやり方については、私はやはり関係者が厳重に反省をすべきだと思う問題なんです。これはNHKに申し上げてもいたし方のない問題でありますが、いずれにしてもそういう意味合いで、この問題について今後なお十分に注目をしてまいりたいと思っております。  それで、なお今後話し合いをそれぞれの民放連あるいはまた民放連の内部、またNHK、そういった関係者の間で進めるについても、郵政省が何らかそういった話し合いをする環境づくりに十分に側面的な努力を私はやはりすべきじゃないかと思うのです。放送問題でありますから、とかく監督官庁が乗り出してやるというようなことは好ましいことではございませんけれども、しかし、そういう意味合いではなくて、いま言ったような、とにかく国内的にこの問題について円満に話し合いがついて、国民が被害を受けることについてできるだけ経済的な面においても負担が軽くなることを当然考えるべきだと私は思うのですが、ぜひひとつ郵政省もそういう立場で今後努力を願いたいと思うのですが、郵政大臣の御所見を伺いたいと思います。
  100. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 いまの先生のおっしゃるお話、確かにそうだと思います。福田総理の言う協調というのはここだと思います。ぜひそういう方向に行きたい。ただ放送法三条がございます。郵政省としてはこれを乗り越えるわけにいきませんけれども、その環境づくりには努力いたしたいと思っております。
  101. 久保等

    ○久保(等)委員 それではこのオリンピック放送権の問題については今後なお推移を十分に注目をすることにいたしまして、このことについての質問は、直接NHKの明年度予算案に対する問題でもございませんのでこの程度にいたしまして、次に移りたいと思うのです。  沖繩の例のアメリカの手による放送問題、例のVOAあるいは極東放送沖繩放送局、これについてはかねがね当委員会でも、これが沖繩が復帰をいたしましたなお後において存続することについては異論があり、いろいろこのことについてお尋ねをしたこともございます。いわば問題のある放送なんですが、これが例の特別措置法によって、五年間については郵政大臣がこれに免許を与えたものとみなして扱ってまいるということになって今日に至っておると思うのです。これについて本年の早々にこれが廃止の届けが出されたように聞いておるのですが、このことについて現状の御報告を願いたいと思うのです。
  102. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 ただいま御質問の沖繩の民放でございますが、これは米国法人の極東放送でございます。これにつきましては、ただいま先生からお話しございましたように、特別措置法の百三十二条で五年間という期間で続ける予定でおりましたところ、ことしの一月の八日にその会社から、ことしの一月十五日をもって沖繩放送局を廃止するという旨の届けがございました。その後、一月十六日以降はその放送局の英語放送は廃止されております。  なお、VOAにつきましては現在まだ放送中でございます。
  103. 久保等

    ○久保(等)委員 VOA放送は、そうすると今後の見通しはどういう見通しなんですか。
  104. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 VOAにつきましては、沖繩返還協定の八条によって五年間の有効期間があったわけでございますが、これも五月十四日までには中継局の運営を終了する方針であるという旨を米側も言っております。
  105. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは、廃止になった後における波の今後の使用見込み、どういった方面に使われる予定ですか。
  106. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  このVOAの波でございますが、これは一昨年の国際会議において決めましたが、これはVOAがやめますと、その周波数は大阪の毎日放送が使用するということになっております。  なお、極東放送で使っております波もNHKの方で使うということになっております。
  107. 久保等

    ○久保(等)委員 次にお尋ねしたいと思いますことは、例の難視聴問題、これについてはいろいろ技術的な面でもこれが解消について研究調査を進められておるわけですが、例のSHF帯の波を使っての放送問題、電波技術審議会から昨年の十一月に答申が出されておるようでありますが、これによって今後の都市難視、難視聴地域解消が相当図れるのではないかと思われます。もちろんこれについて、今後これを実用化してまいるのにはいろいろな制度的な問題あるいはまた技術的な問題、また利用者の立場から言えば、全然、従来の受信機でそのままこれを見たり聞いたりするというわけにはまいらないと思うのです。したがって、そういった意味でもまた問題があろうかと思うのですが、すでにNHKで実験をやられて約一年、何でも昨年の二月からこの実験放送をやっておられるようでありますが、その実験放送の成果といいますか、今日までの経験に基づく実情等についてもお尋ねしたいと思うのですが、最初に、それではNHKの方からその状況についてお答え願いたいと思うのです。
  108. 沢村吉克

    沢村参考人 先生の御指摘のように、昨年の二月からNHK放送センターの屋上に小さな中継用のSHF放送機を、中継放送機と申しましょうか、置きまして実験をやっております。その結果、概要を申し上げますと、その実験局の対象にいたしました幅六、七百メートルで縦方向の長さにいたしまして四、五キロの範囲、この範囲が使えるであろうというつもりで実験を開始いたしたわけでございますけれども、予想どおりの受信状況でございます。技術的に申しまして周波数の安定度でございますとか、あるいは中継放送所の受信点におきます各電波の変動に対してどれだけ影響を受けずにいい絵が送れるかというような諸般の技術試験の結果もほぼ実用に耐えるということで、電波技術審議会の方に御報告を申し上げた次第でございます。その結果が、電波技術審議会で中間答申と申しましょうか、そういうことになっております。なお、放送の場合に一番問題になります、いま御指摘がございました受信設備の方の開発も、衛星放送で研究を進めてまいりましたその技術がそのままこちらに利用できまして、現在のところ一般家庭用の受信機といたしまして、ほぼ三万円を割る程度の価格で出てくるのではなかろうかというような見通しまで得られておる次第でございます。
  109. 久保等

    ○久保(等)委員 そうなると、その受信機、コンバーターあるいはアンテナ等を受信側の方でつけなければならぬと思うのでありますが、衛星放送そのものも全くそうすると受けられるようになるわけですか。ちょっとその点。
  110. 沢村吉克

    沢村参考人 電波の周波数帯といたしますと、同じSHFの放送バンドでございますけれども衛星に使います方はFM変調でございます。つまり周波数変調でございます。地上で難視解消その他に使いますいま実験いたしておりますのは、現在の地上のテレビジョン放送と同じような振幅変調方式でございまして、そのまま右左同じというわけにはまいりません。  もう一つ衛星から参ります電波は、電波が弱うございます。地上では、それよりもっと強い電波が容易に出せるものですから、受信アンテナにいたしましても、衛星の方は若干大きくしなければならぬ。地上では小さなもので済む。数字的に申しますと、現在地上で考えておりますのは、差し渡し三十センチから四十センチ程度のパラボラ、衛星の方は六、七十センチあるいは場所によっては一メートルから二メートルという大きなものになってまいります。そういう点の差がございますので、すぐ地上のもので衛星が受けられるというわけにはまいらないと思います。
  111. 久保等

    ○久保(等)委員 NHKでは、これは波の運用について、この実用化についての申請をやられるお気持ちでおられるのかどうか。あるいは、いまそうは考えておらないにしても、近い将来、これが実用化についての免許申請を出される予定があるのかないのか、ここらのところもお尋ねしたいのです。
  112. 沢村吉克

    沢村参考人 このSHFの地上放送の方は、都市におきます受信障害、現在共同受信方式しかないものをより効率的にできないかということで開発をいたしておるものでございます。したがいまして、都市の受信障害の責任主体はどこかというようなこともございまして、郵政省の方で鋭意御検討になっていらっしゃることと思います。したがいまして、私の方で率先してすぐにNHKの責任で都市の受信障害を解消しようというような立場にはございません。郵政省の御検討に従いまして、将来それなりの対応をすべきだろうというふうに考えております。
  113. 久保等

    ○久保(等)委員 郵政省の方にお尋ねをしますが、いま言われたように確かにNHKの立場から言えば都市難視聴の問題ですから、原因者が明確にはならないにしても、あることだけは間違いないわけで、そういった立場から積極的に取り組むべき性格のものではあるいはないだろうと思いますが、郵政省ではこの問題を今後どう活用するような、たとえば制度的な面も、郵政省としては免許するという立場から考えても、考えなければならぬ問題であろうと思うのですが、どういうこれに対する対応策を考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
  114. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 このSHF帯の放送でございますが、これにつきましては、先ほどNHKの方からも話がございましたように、これによって難視聴地域あるいは都市の受信障害を受けておるところを救いたいということで技術の開発をしたわけでございます。これは宇宙開発の技術の波及効果というふうに考えていただいてもいいわけでございますが、幸い非常に順調に開発が進みまして、もう技術的な面につきましての答申はいただける段階になったわけでございます。ただ、あと法制的な面がございます。都市の受信障害解消のためにどういう形で解消していくか、これは受信障害解消という面についての法制的な問題として、別途省内でも検討しておりますが、ただ、SHF帯の放送局をやりますと、それぞれがやはり放送局になりまして、それぞれのNHKあるいは民放というものが放送局を持つ、このような形になるわけでございます。したがいまして、現行法上その体制でいけるかどうか、この点については技術基準の問題と法制的な面、こういうものをあわせて現在鋭意作業中でございます。間もなくでき上がると思います。
  115. 久保等

    ○久保(等)委員 そういったSHF帯を放送する場合に、放送側の方から言えば、一放送局どのくらい施設費というものはかかるのですか。それから同時に、これの申請を出す立場は恐らくこの被害者の側で、何か組合でもつくってそういったところが申請をする、申請をするというか、具体的に民放なら民放に要請をする、しかしその経費はその組合なら組合というようなものをつくったところが負担をする、全額持つかどうかは別として、とにかくそういったような形になっていく可能性があると思うのですが、そういうことになると、郵政省の指導というか、そういったことについての周知なり指導、そういったことが必要になってくるだろうと思うのです。  いまお伺いしておりますのは、送信側では一体どの程度の経費のかかるものなんですか。これはNHKの方で実際おやりになって経験がおありですからお尋ねしたいと思うのですが、一局つくるのにどの程度かかるものですか。
  116. 沢村吉克

    沢村参考人 実際に実用機をつくらせましてどの程度になるかというのは、明確にお答えをするのは非常に困難でございますが、放送電力の大きさにもよりますし、相当判定はむずかしいのでございますけれども、せっかくの御質問でございますから、私どもが現在実験に使いますためにつくりました中継放送機、これは民間放送の分も含めまして七波出せるものでございます。これで電力にいたしまして映像が三百ミリワットという程度の非常に小さなものでございますけれども、約二千五百万円前後かかったかと思います。
  117. 久保等

    ○久保(等)委員 地域はどの程度カバー、カバーといいますか、その範囲におさめることができますか、いまの実験をやられた場合を例にして。
  118. 沢村吉克

    沢村参考人 先ほど申し上げましたように、私ども実験をやりました規模、いま申しました規模の中継器で申しまして、一番遠いところで四、五キロまで、それから幅にいたしまして六、七百メートル、つまり電波をビーム状に出しておるものでございますから、特にSHFのような電波はそういうことが非常に容易でございまして、そういうのが現在の実験の成果でございます。  なお申し添えますと、SHFの電波と申しますのは、次第に光に近くなってまいります。したがいまして天候の影響を受けます。雨が降るとかなり減衰をいたします。したがいまして、余り遠方まで十キロも二十キロも、いまのVHFとかUHFの放送局でやっておりますような大規模なものは適しないというふうに考えております。
  119. 久保等

    ○久保(等)委員 こういったせっかく技術開発をやって、新しい波を使って難視聴の解消を図ってまいることは喫緊の重要な問題だと思うのですが、ぜひ郵政省の方で積極的にこの問題に、法制的な面からあるいはまたこういったものに対する申請が出てきた場合に、これに対して申請を許可することができるような準備をできるだけ急いでいただきたいと思います。  それから次に、これまた第三の放送と言われます例の多重放送、これも大変な技術開発によるメリットだと思うのですが、非常に限られた電波で需要に応じ切れない状況からいたしますと、多重放送がやられるというような問題は、画期的な技術開発の成果だと私は思うのです。  ところで、これまた調査研究会議でもって、これに関する報告書が出てまいったようでありますが、これに対して郵政省が、今日どういうふうに検討を加えられておるのか、そのことについての概況をまずお聞きしたいと思うのです。
  120. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この多重放送に関する調査研究会議でございますが、これは昭和四十九年七月に設置いたしました。委員といたしましては学識経験者十一名から構成されたわけでございますが、この十一名の方でいろいろ御検討いただきまして、昨年の十二月に郵政大臣あての報告書を出していただきました。  この報告書の内容でございますが、いろいろな提言がございまして、今後の多重放送の種類とかあるいは法規的な問題、こういうものもいろいろこの中に述べておりますと同時に、いろいろなむずかしい問題点などの指摘も受けております。その中で、たとえば、技術的、法律的に問題の少ないもの、テレビジョンの音声多重とかの補完的な利用、いわゆるステレオ放送とか、あるいは二カ国語放送、こういうようなものは実験的に行ってからだんだん実用化に進めていけばいいではないか、こういうような提言もございます。それ以外のものにつきましては、やはりまだ技術的、法律的に問題点が残っているという指摘を受けております。この点につきましては、電波監理局といたしましては、いろいろ指摘された問題点について内容を検討するために多重放送協議会というものを早速つくりまして、この中で指摘されました問題点についての検討を進めているという段階でございます。
  121. 久保等

    ○久保(等)委員 これは非常に魅力のある放送だろうと私は思うのです。したがって、特に放送関係に携っている側から言えば、ぜひ早急に申請を出して、許可をしてもらいたい、こういうことになってまいると思うのでありますが、それだけにこれは非常にいろいろな利害関係も絡んでまいる問題もあると思うのです。技術的には可能であるとしても、制度的になかなかむずかしいいろいろな問題があると思うのですね。したがって、そういったことを含めて、今後、郵政省としての方針を最終的にまとめ上げるというのには相当な努力が必要だろうと思うのですが、今後のそういった見通しと申しましょうか、その準備を進めてまいる手順と申しますか、そういったことについて若干説明を願いたいと思うのです。
  122. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 先ほどの難視聴も多重も、大変重要な問題であります。新しいSHFのようなものがどのように使えるか、これも先ほど申し上げましたように研究途上でございますし、また、実際に雨が降ったときのその量とかということがございます。それから辺地の難視聴の問題、そういうものをあわせて、いま鋭意私の方ではやっておりますし、多重放送にしても、御承知のとおりアメリカや西ドイツ、フランス等で実験的な音声についての実施をやっておる。私の方は先ほどの協議会というプロジェクトチームをつくりまして、実際的に、制度的にどうしたらいいか、また今後、行政的に監督行政をする場合にはどうするのか。これについては、さきの東京オリンピックのときにはNHKが実験的にやってみました。そういうこともいろいろ考えて、今後行政面での答申を踏まえてどうしたらいいのかというような問題を考えてまいりたいと思っております。実際二、三の放送局から申請が出たやに聞いておりますが、私は見ておりません。そういうようなことで、これはある意味では放送そのものの新しい時代を迎える。オリンピックのときにはテレビがまだ普及いたしておらなかった、そういうようなこと、あるいは英語放送を入れたのでございますけれども、そういう時代とは相当時代が違うということもございます。そういうこともあわせ考え、今後とも慎重に研究をいたしていきたいと思っております。
  123. 久保等

    ○久保(等)委員 確かに現存する波をまたさらに使う問題ですから、そういう点では関係者の間の利害関係という問題が非常に絡んでくる問題だと思いますね。したがって、その点については制度的に十分に、あるいはいま大臣の言われる行政的な立場からあらゆる場合を想定して、とにかく放送電波の秩序といいますか、そういったようなことについての混乱が起きないように配慮してまいらなければならぬと思うのですが、NHKの方ではこの問題について検討がなされておるのですか、どうなんですか。
  124. 沢村吉克

    沢村参考人 技術的な面では、先ほど大臣からお話もございましたように、NHKとしましてはすでにこの方式を利用いたしまして、多国語放送と申しましょうか、日本語のニュースを英語で同時に多重方式で出すとか、あるいはステレオ放送をやったらどういうことになるかというような実験をかってやった経験がございます。そういう意味で一応の経験を持っておるわけでございますけれども、国全体といたしましてのこれの行政的な方向づけというようなものを見守る一方、私どもとしましては、本当に国民が何を要望するのかという社会の動向でございますとか、聴視者の要望でございますとかいうものを勘案いたしながら、NHKとしての使命の達成に万全を期したいということで鋭意検討を進めておる次第でございます。
  125. 久保等

    ○久保(等)委員 NHKではこのことについて何か世論調査みたいなものもおやりになっているのですか。あるいは仮にやっておられないとして、今後こういったことについて——多重放送といっても方法がいろいろあるわけでして、単純なものではないと思うのです。したがって、欲望は多々ますます弁ずで限りないと思うのです。しかし、とにかく差し当たってこういったことはやってもらいたいといったような段階的な要望というものがあるだろうと思うのですが、そういったことも、ただ漠然と考えても実態がなかなか把握できないと思うのです。たとえばいま言うステレオ関係あるいはまた二カ国語放送あるいは静止画等の放送、そういった用途がいろいろ考えられると思うのですが、そういったことについて何か調査をおやりになるのですか、どうですか。
  126. 坂本朝一

    坂本参考人 具体的にそのテーマで世論調査を実施はいたしておりませんけれども、御承知のように、万国博の際その他の機会に多国語放送等をやりまして、かなりの反響と申しますか、そういうものはつかんでおる次第でございます。
  127. 久保等

    ○久保(等)委員 これは国民一般の要望というか需要、そういったようなものを何らかの形で把握をしてまいらなければならないと思うのですね。やたらにただ技術開発をし、しかも多額の経費をお互いにかけることもいかがかと私は思うのでして、そういった点についてはやはり余り背伸びをした形にならぬようにやっていかないといけないと思うのですね。ほんの一部の人たちの希望によって何か新しいものをつくる、そうすれば、だれしもできるだけそういったものにあこがれるといったようなことで、やたらにどんどん拡大をしてまいることも、私は、経済生活の面から見ていささか問題があろうと思うのです。ですから、技術的には大いに研究をし開発をしてもらい、そしてそれが国民生活にそれこそ役立つ、あるいは文化生活の面で役立つということは結構なんですけれども、ただ多ければ多いほどいいんだというものでもないと思うのですね。その反面、いま言ったような同じ電波を使って多元的にこれを使ってまいるということになってまいりますと、その間における利害関係がいろいろ錯綜する、トラブルを起こす、そういう可能性もありますししますので、そういった点については郵政当局で十分にひとつ慎重にお考えを願いたいと思います。それでは、この問題についてはその程度にいたします。  次は、特に災害対策の問題について、私はNHKの方にお尋ねをしたいと思うのですが、余りこういつたことについては逓信委員会等で議論になったこともないように私考えるのですが、やはり最近におけるルーマニアの大地震、こういったようなこと等もあり、また日本の場合にも東海地震が近くあるであろうといったようなことも一部学者の中には言われる。また、関東大震災の周期説からいってとかく言われておるのですが、とにかくしかし、一たん事あるときに最も迅速に最も普遍的に報道が流せる組織というものはこれはもう公共放送としてのNHK、そういう意味で大変重要な責任を災害時における任務としても持っておると思うのです。したがって、その災害対策について機器等における予備機の設置あるいは配置あるいはまた訓練、そういったこと等について一体どういう対策をお持ちになっておるのかお尋ねしたいと思うのです。
  128. 沢村吉克

    沢村参考人 まず非常事態に対処いたしますための設備の配備状況、考え方を概略申し上げます。  災害時に一番大切なのは報道である。しかもラジオであろうかと思います。そしてまた、その災害を受けました地域以外から見ますと、ラジオばかりでなくてテレビで本当の災害状況を目に見たいということもあろうかと思います。そういう意味におきまして、ラジオとテレビの予備設備と申しますか非常用設備については十分配慮いたしておるつもりでございます。  具体的に申しまして、それぞれの電波を出しております放送所におきましては、ラジオ、テレビともに重要なと言いましょうか、本当の末端の小さな局まで完全とは申し上げられませんけれども、基幹となります放送局につきましては、ラジオ、テレビともに予備放送機を備えております。また、電源が切れるということ、停電をするということも配慮いたしまして、そのための自家用の電源設備を配備してございます。  そういうことで、通常の規模の災害におきましては、現用の放送機なり電源が事故を起こしましてもすぐに予備設備をもちまして電波発射が続けられるということでございますが、さらに規模が大きくなりまして予備の方もつぶれたらどうなるんだ、これは心配すれば切りがございませんけれども、その放送所の所在地が大地震に遭いますとそういうことも予想せざるを得ません。そういう意味におきまして、全国にございます地方本部、東京を合わせまして八つの地域のブロックでNHKは管理しているわけでございますけれども、このブロックごとに数台のラジオ並びにテレビの非常用の設備を配備してございますし、また移動できます電源設備も配備してございます。したがいまして、放送所が本当につぶれましても、そういうものを持ち寄りましてできるだけ短期間のうちに最小限の電波の確保ができるという手はずになっている次第でございます。
  129. 久保等

    ○久保(等)委員 それから、これは電電公社の関係になると思うのですけれども、特に放送の中継線の非常災害時における確保ということについてもいろいろ考えておられると思うのです。特にルート変更等によって中継線を確保してまいる、そういった関係についてはどういう、余り細かいことは結構ですけれども、お尋ねしたいと思うのです。
  130. 沢村吉克

    沢村参考人 御承知のように電電公社の方でも非常な配意をしてくださっておりまして、また私の方でも、それを使います側から、たとえばテレビジョンにおきましては総合テレビジョンと教育テレビジョンと二つの回線を借りておるわけでございますけれども、これが右回り、左回りと申しましょうか、たとえば東京から北陸を回りまして、名古屋を通って東海道を回って東京へ帰ってくるという一つのループがございます。その方向に総合テレビジョンを流す。逆回りに教育テレビジョン番組を流す。どこか一カ所切れましても、どちらかの回線を使うことによりまして何とかつながるというような使用上の配意もいたしております。さらに、私ども放送所相互間におきまして、隣接局の放送電波を受信できるようにテレビなりあるいはラジオなりの非常用の中継受信機を配備してございます。それで隣の電波をつかまえることによって放送が継続できる。それができません場合には取材用の無線機を使いますというようなことで、最低限の回線の確保ということにはNHK自身としても配慮いたしておる次第でございます。
  131. 久保等

    ○久保(等)委員 同時に、従業員、職員の災害時における訓練、そういったようなこともおやりになっておりますか。そういった訓練関係をお尋ねしたいと思います。
  132. 堀四志男

    ○堀参考人 いたしております。大体原則的に年二回、その非常災害の訓練をいたしております。  なお、先生先ほど御指摘になりました東海地方につきましては、去る一月十七日、三十一人からなる人間で特別プロジェクトを構成いたしまして、東海にもし不幸にして地震が起こった場合の放送の確保及びこれに対する支援体制、さらにはそれに先立ってあるいはその後における放送のあり方について特別の研究を進めているところでございます。そして、その一環といたしまして、去る二月に、このような地震に対する静岡県の県民の意識調査も行い、それに基づく番組もつくりました。ここでも明らかなように、放送、特にNHKに対する災害時の情報依存度と申しますか期待度と申しますか、非常に強うございましたので、われわれとしても、できるだけ視聴者の期待、国民の期待に沿うように努力したいと思います。
  133. 久保等

    ○久保(等)委員 これはそういう天災時における十分な配慮と、いろいろ施設等の万全の準備をひとつしておいていただきたいと思うのですが、同時に、放送そのものが人為的に、何といいますか、外部からの関係で放送ができなくなるというようなこと、これはわれわれ予想したくないのですけれども、しかし、そういった重要部分については特別な防衛といいますか、施設の完全な守衛といいますか、そういったようなこともやはり十分に配慮しておくべきではないかと思うのです。特に技術的な面で非常に重要な問題については、そういった施設についての十分な保守、と言ってもこれはもう少し積極的な意味の保守なんですが、そういったようなこともお考えおきを願いたいと思います。これはその程度に一言だけ触れておきますが、いずれにいたしましても、NHK放送施設は、災害時においても十分に国民にその情報、しかも特にそういった災害時であればあるほどむしろ正確な情報ということが必要になってくるわけですし、そういう場合には一番効果的な方法はやはりNHKの公共放送であろうと思いますし、そういう点でひとつ一層御留意を願いたいと思います。  災害関係の問題についても以上で終わりまして、私は最後に特に国会決議等の問題について若干、きょうは特に経営委員長にも御出席を願っておりますのでお伺いしたいと思うのですが、実は前回の通常国会で受信料の大幅値上げが行われ、その予算が通って、本年度、五十一年度予算が執行せられてぼつぼつ年度末を迎えておるわけなんですが、この予算の通過に当たって当委員会でも附帯決議をつけました。この附帯決議について私、一、二お尋ねをしたいと思うのです。  この附帯決議のまず一番最初には、例の「放送法の精神にのっとり、言論、表現の自由と不偏不党を確保すること。」という、これは最も重要な問題でございますが、ここで格別指摘をして附帯決議としたわけなんですが、これに対する措置状況について御報告をいただいております。中身はきわめて当然のことでありますが、放送法第一条及び第三条に明らかにせられておる基本理念にのっとって、放送法第四十四条第三項に示された指針に従って、また、放送法規定によって制定した国内番組基準に基づいて、日々の放送の実施を行っておるということで、きわめて抽象的に書かれておるのでありますが、問題は、今日NHKそのものが、先ほどもお話がありましたように、財政的な問題として非常に重要なまた非常に楽観が許されない状態に置かれておると思うのです。それだけにNHKとしての信頼度を具体的に高めてまいるという努力が必要だろうと思うのですが、そういう点からいろいろ、前回通常国会でもあるいはまた先般臨時国会の際にも、新坂本会長が御就任になられてごあいさつ等もこの委員会でお聞きいたしております。しかし問題は、やはりこの委員会での御答弁によってわれわれが納得するのではなくて、また国民一般に御理解を願うのではなくて、事実がNHKの姿勢あるいは基本的な考え方に対する理解を求める道だと思うのです。  そういう点で、残念ながら昨年前会長が退陣をせざるを得ない結果になったことは、私どもも非常に遺憾に思っております。このことについては、もうすでに昨年の国会の委員会でも、また私も当時の小野会長に直接いろいろ具体的な問題等で指摘をして反省を求めたのでありますが、残念ながら、当時の答弁をお聞きいたしますると、胸を張ってきわめて明快に答弁をせられておるのでありますが、私ども考え方とは大分違っておったわけであります。しかし、幾ばくもなくして退陣をせざるを得ない結果になったこと、これはいかに国民一般がNHKに対して大変な関心を持っておるかというよりも、それより以上に大変な大きな期待も寄せておると私は思うのです。  そういう立場で、特にこの決議の内容、言葉はきわめて簡単な決議の内容ではありまするが、この意味するところは中身がきわめて多いわけでありまして、私は、昨年のあの大幅料金値上げを契機にして、しかし、なおかつ財政的には長期にわたって、将来楽観が許されないという状況にありますことを考えますると、この際、会長を初めNHKの従業員の各位がよほど御努力をいただきたいと思うのです。それについて具体的に、例の定款がNHKにもございます。この定款第四十条、どうも意味がよくわからないのですが、これの御説明をまず最初に承りたいと思います。
  134. 坂本朝一

    坂本参考人 定款四十条につきましては、会長が業務の執行の上に必要とあるならば顧問、参与あるいは部外有識者による委員会を設けて、その意見を徴して業務の執行に当たる役に立てられるという意味合いのことを定めたものでございます。
  135. 久保等

    ○久保(等)委員 この四十条は、顧問等の設置ということで、「会長は、業務の執行に関し諮問するため必要と認めるときは、顧問、参与または学識経験を有する者によって組織する委員会を置くことができる。」こうなっておるのですが、この前の委員会の御答弁等をお聞きいたしますると、会長であった者また役員であった者まあ全員顧問に自動的になるようなお話だったのですが、この四十条の趣旨からすると、少なくとも必要と認めたときということになっておるわけでして、必ずしも会長をやっておった方あるいは理事をやっておった方、そういった役員をやっておった方がやめられると自動的に何か顧問あるいは名誉顧問というようなものになるような慣行と申しますか、従来やってきておるやにお聞きするのですが、その点はどうですか。
  136. 坂本朝一

    坂本参考人 顧問の問題につきましては、従来は退任した役員の中から委嘱するということにしておりましたけれども先生指摘のように、そこら辺のところを分明にすべきではないかということで、今回は広く部外の学識経験者からも委嘱できるということにいたしまして、退任した者が自動的になるというようなことではなしに、やはり会長が業務の執行に必要だということの上に立ってお願いするものはお願いするということにしたわけでございます。
  137. 久保等

    ○久保(等)委員 したというのは、いつからしたのですか。
  138. 坂本朝一

    坂本参考人 言葉が足りなくて申しわけありません。来る四月一日以降そういうふうに規約と申しますか内規を改めまして、実施に入りたい、そう考えておるわけでございます。
  139. 久保等

    ○久保(等)委員 同時に、顧問は、定款の四十条によると、先ほど私が読み上げたような中身になっておるのですが、こういった方々に対する報酬といいますか手当、こういったようなことについて、この前の委員会でもいろいろ意見があったわけです。また、われわれも実はあの御答弁を聞いてむしろ非常に意外に思ったのですが、いまさら私が申し上げるまでもなく、この明年度予算審議に当たっても、NHKから出された資料等の中でも、極力経費の節約を図ってまいる、これは当然のことだと思うのですが、そういう点を考えてみますると、極力そういった点については、一般の国民方々NHKをながめたときに、なるほどと言われるような、明るい、要するに明朗な経費の支出、そういったことは当然だと私は思うのですね。それこそ百万言費やして受信料徴収についていろいろ話をするよりも、そういった事実がこれはもう大変なNHKに対する評価につながってくると私は思うのです。したがって、そういう点からいっても、単に顧問になったあるいは名誉顧問になられたということで従来とられておるような措置では、これは率直に言って非常に不信感を招くと私は思うのです。ですから、必要によって顧問あるいは名誉顧問、参与等を設けられるのは、これはもちろん結構ですししますが、いま言ったその報酬と申しますか、そういったことについて、この際やはりきちっとしておく必要があるのではないかというふうに私は考えます。  しかも、従来の運営は、一にかかって会長の一存でもってやれるようなシステムになっているようですが、もしそれほど重要な顧問あるいは名誉顧問を置くとするならば、個々のケースではありますけれども、やはり経営委員会に諮って顧問を置く、しかもそれに対して相当な手当を出す、報酬を出すということであれば、そういった正式の手続をとって、やるべきだと私は思うのです。少なくとも会長単独にそういったことがやれるような運営というものは好ましくないというふうに考えますが、いかがでしょう。
  140. 山本博

    山本参考人 ただいま御指摘がありました点、四月一日から改正をするということにしてございますが、その内容につきまして、報酬の点は、従来は、この前の委員会で御指摘がありましたような内容でございましたが、今後、四月一日以降につきましては、顧問あるいは参与、こういう役につかれた場合も、これは普通、社会的通念から言いまして、日当とか旅費とか、こういういわば最小限必要な経費、こういうものしか見ません。この内容は社会通念、いろいろな委員会とか参与とか顧問とかこういうものがあるものと全く違いません。きわめて簡素な直截なものにいたしました。それから名誉顧問につきましては、これは名称だけでございまして全く処遇上の配慮はいたしません。それから委員会の場合の委員につきましては、これももろもろのいろいろな諮問を受ける委員会がございますが、これにならった内容の配慮、いわば日当というようなことしかいたしておりません。  なお、後段の点につきましては会長がお答えする方が本当かと思いますけれども、定款の性格上、会長自身の責任においてこういうことができるように定款の上ではなっておりますので、今後会長国民考え方というものに背馳しないように良識をもって処理すべきことであって、経営委員会のいわば正式の承認といいますか、議決というようなことには現在なっておりません。事実上の御連絡、そういうことはいたしていかなければならないだろうと思っております。
  141. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘のように、重要な事項は常に経営委員会に御報告しておりますので、今回のことも経営委員会に御報告して、御了解を得てそういうふうに改定した次第でございます。
  142. 久保等

    ○久保(等)委員 経営委員長に私一言お尋ねしたいと思うのですが、経営委員長も昨年来いろいろな重要な問題にぶつかっていろいろ大変な御尽力、御配慮になったと思うのですが、しかし前々から申しておりますように、経営委員会というもの自体が大変重要な任務を持っておりますことは放送法規定せられておるところであります。そういったことでこの前の国会にもおいでを願ったわけなんですが、財政的な面を考えてみますとなかなか楽観を許さない。また五十一年度予算の執行面でも、見通しとしては、当初の予算を編成したときと比べて予想以上に相当な減収が見込まれる状態にあるわけなんですが、先ほど来申し上げますように、何といってもやはり経営委員会は最高の意思決定機関でありますだけに、NHK経営運営について十分にひとつ経営委員会の中でもこの現状等について的確に把握を願って、NHKの過ちない運営にひとつ御尽力を願いたいと思っておるわけなんです。それで私も経営委員長に若干お尋ねしたいと思っておったのですが、時間がございませんのでその点省略したいと思うのですが、委員長に、昨年来の経過にかんがみて今後のNHK経営についてどういう御所感を持っておるか、一言お伺いしたいと思うのです。
  143. 工藤信一良

    ○工藤参考人 先生指摘のように、いまNHKの置かれております立場というものは非常にむずかしいかつ重大な困難に当面しておると思います。したがって、NHKの最高意思決定機関であります経営委員会の責任の重大なることは痛感いたしております。われわれ十三名の委員、微力ではございますが、誠心誠意公共放送としてのNHKのりっぱな発展のために、また世界に比類を見ないわが国のりっぱな放送制度を守っていくために、十分の力を尽くしたいというふうに思っております。  先ほどのお話の顧問その他の制度につきましても、十分報告も受けております。二月に、四月からこれが改まって新制度になるという報告を受けまして、委員会としては了承いたしました。しかし、これは何と申しましてもこの制度が公正妥当に運営されていくということが大事なのでございまして、今後委員会といたしましては十分な関心を持って監督——監督という言葉はいけませんが、十分見守っていきたいと思っております。
  144. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 定款変更の話は初めて聞きます。第十一条第二項には私の権限が書いてあります。私は、顧問にしても、少なくともNHK会長以下全職員は、放送法第一条及び経営委員会委員の資格すべてが基本的条件だと考えております。私は定款の話は一度も聞いておりませんので、いま大変奇異に感じております。
  145. 久保等

    ○久保(等)委員 いま大臣言われますように、日本放送協会定款第八条には「定款の変更は、郵政大臣の認可を受けて行う。」となっていて、当然この定款については大臣の認可事項じゃないかと思うのですね。したがって、これに対して重大な関心をお持ちになることはもちろんのこと、大臣そのものがこれに対していろいろ具体的な御見解を持つことは当然だと思うのですね。私が先ほどちょっと条文の面で申し上げた四十条の問題にしても、非常に不明確というかどうもよくわからないような文章になっていまして、「顧問、参与または学識経験を有する者によって組織する委員会を置く」といったふうな書き方になっているのですが、顧問等の設置は設置として、それから委員会委員会としてやはり設置するようなことも明確に規定をした方がいいのじゃないかという感じがするのです。顧問等と言っているのだけれども、むしろ委員会は全然別個のものですから、そういったことについても何か——したがって、会長の御答弁も、この前の委員会あたりの御答弁を聞きますと、顧問の設置は会長の場合ですと先輩として礼を尽くす意味において設けたんだといったような御答弁があったと思うのですが、この定款四十条は明らかに、業務を執行する上において必要と認めたときに顧問あるいは参与を置くことができるというようになっていると思うのです。したがって、自動的に横滑りで当然会長になったり顧問になったり名誉顧問になったりするということには、定款の上からもなっていないと思うのですね。だから、そこらのところをもう少し運用の面においても適確にしなければならぬし、それからこの条文の表現の仕方も、どうも重点がどこにあるのかわからないような規定になっていると思うのですね。だからこういった定款そのものについても、私はたまたまこの四十条だけを問題にしておるのですが、その他は余り十分に研究しておりません。これがいつつくられた定款か存じませんが、ごく最近では四十八年ということになっておるようですが、いま言ったこともひとつ再検討をお願いしたいと思います。
  146. 坂本朝一

    坂本参考人 私の先ほどの御説明が多少不十分で誤解を招いたらおわびいたしますけれども、定款を改めたというのではございませんで、定款を受けて顧問の内規と申しますかそういうことがございまして、それを申し上げましたので、定款を改めたということではございませんので、ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  147. 久保等

    ○久保(等)委員 私の質問を終わります。
  148. 八百板正

    ○八百板委員長 午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  149. 八百板正

    ○八百板委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮武喜君。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 昭和五十二年度NHK収支予算、事業計画及び資金計画の大臣承認に当たって、特に受信料の不払い解消に効果的な対策を講ずるようにという意見書がつけられておりますが、NHKはこれに対してどのように対策を講ずるのか、またどのような受けとめ方をしておるのか、まずこの問題を初めにお聞きします。
  151. 坂本朝一

    坂本参考人 この点につきましては、やはり受信料制度の根幹をなす部分でございますので、私どもといたしましては御指摘のように非常に具体的に対応しなければいけないというふうに考えております。その具体的対応等につきましては担当の専務からひとつ。
  152. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 放送法によりますと、NHK放送を受信できる受信設備、これを設置した者は契約をしなければならないということが前提にございます。したがいまして、私どもといたしましてはそういう受信設備を設置された方とは一〇〇%契約をしていただくというのがこれは一つのたてまえでございます。そういう、放送法は契約の義務を課しているわけでございますので、契約をされた方は受信料の支払いをしていただかなければならない。したがいまして、契約をしていただいた方からは一〇〇%受信料をいただくというのがこれがもう原則でございます。  しかしなかなかそのようにまいりません。に申し上げまして一〇〇%契約、一〇〇%収納というのは、これはもう現実問題として非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、現在世帯の移動というのが非常に多うございます。全国で平均いたしまして約一二%、人口五十万以上の大都市で見ますと二四、五%、一番多いところでは札幌でございますけれども、二四、五%の人口移動、世帯移動が年間にあるというふうな状況でございます。  世帯の移動がございますと一方で契約が廃止になる。移動先で今度は契約をしていただくということになるわけでございますけれども、この移動世帯をできるだけ早く捕捉するということが私ども一番方を入れている点でございます。しかしなかなか思うようにまいりませんので、住民台帳等をもとにいたしまして、あるいは最近始めたことでございますけれども、東京でございます。試験的に始めたわけでございますけれども、東京のある区の区役所の出張所、それに全部いろいろな住民登録のときに届けを出される、それと一緒にNHKに転入届と申しますか、引っ越してこられた届けを出していただくその用紙を区役所の窓口にもお願いいたしまして、いろいろな手段を講じまして移動世帯をできるだけ早く捕捉するということに力を入れる。  それから契約の取り次ぎの要員、これを強化いたしまして契約を締結していただく。これはまた収納の方にも同じことが言えるわけでございますけれども、昼間行きましてもいらっしゃらない、不在の世帯が非常に多うございます。したがいまして、夜間あるいは早朝、そういう時間帯に訪問をする。そのために私どもの外務職員、それから委託の集金員、そういう者を一緒にいたしまして、合宿と申しておりますが、宿泊をさせまして、ある地域を二泊三日なら二泊三日かけましてシラミつぶしに歩く、そういう合宿調査というものをやらせて、とにかく新しく転入してこられた方あるいは新しく世帯を持たれた方、そういう方をできるだけ早く捕捉をするということによって契約を確保する。  それから契約をしていただいた方から収納をする。これも午前中にも申し上げましたように不在の世帯が非常に多うございます。したがいまして、そういう不在世帯に対する対策というものに一番力を入れております。  それから、支払われない理由といたしまして、飛行場周辺の騒音の問題であるとか、あるいは都市のビル陰の難視、そういうことの理由によって払われない方、そういう方に対しましてはいろいろな難視対策と申しますか、受信障害対策、これはNHKが中に入りまして、原因者との間で話をいたしましてこの解消に当たっていただくというふうなこともいたしております。  それから、NHK経営姿勢なりあるいは番組等に対する御批判、そういうものに対しましては特別の推進グループ、これは管理職で編成いたしておりますけれども、それを差し向けていろいろ話をして理解をしていただく、そういう活動を繰り返してやっておるような次第でございます。
  153. 小宮武喜

    ○小宮委員 いろいろ抽象的に不払いの原因なり内容について説明しておりますけれども、それだけの努力をしておるにもかかわらず受信料の不払いがますますふえていっておるということはどういうことですか。たとえば、あなたのところの資料によっても、四十七年が三十六万件、四十八年が四十七万件、四十九年が五十五万件、五十年度が六十万件。努力をしておるならば受信料の不払いが減少しなければならないにもかかわらず、むしろこういう不払い件数がふえておるということは、言葉をかえれば努力をしていないということも今度は言えるわけです。だからこれはいまから先いろいろな問題について具体的にやります。  それでは、あなたのところの資料では、五十年度までの資料をわれわれはもらっているわけですが、五十一年度の不払い件数が大体何万件か。また五十二年度予算の中でもいろいろ出ておりますけれども、五十二年度は何万件を見込んでおるのか、その点、五十一年度と五十二年度の分についてひとつ説明を願いたい。
  154. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十一年度の上半期、九月末現在で、契約をしておって受信料の支払いの滞っている方、滞納、これが六十五万件でございます。  五十二年度は幾らかということでございますが、(小宮委員予算書に見込んであるじゃないか」と呼ぶ)件数は見込んでおりません。(小宮委員「金を件数に直せばわかるだろう」と呼ぶ)金額は四十一億の欠損償却費を見込んでおります。だけれども、これは、そのときに滞納している滞納者の数とは直接リンクはいたさないわけでございます。
  155. 小宮武喜

    ○小宮委員 ただいまの説明にもありましたように、努力をしておると言っておるけれども、むしろ現実はふえていっておるということがもう明らかなんだ。だから、それだけいろいろな対策を長々と述べられたけれども、実際はその努力一つも実っておらないということは、これで言えるわけですよ、先にいろいろ出しますけれども。  そうしますと、これはNHK受信料値上げの問題とかいろいろ関連いたしますけれども、先にまたやりますが、そういういままでの受信料の不払いの総額は今日まで大体どれぐらいになっておるのか。それは過去のずっと二十年、三十年前のことまでは言いませんから、この十年間ぐらいの不払いの総額はどれだけになっておるのか。
  156. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 十年間ほどの間の受信料の欠損償却額の総額というのは、いまちょっと手元にございませんので、後ほど調べてお答えいたしたいと思います。
  157. 小宮武喜

    ○小宮委員 私が先ほど読み上げた数字というのは、NHKといわゆる受信契約を結びながら受信料を支払っていない人たちなんだ。そのほかに、先ほどから出ましたように、テレビを持ちながら、また受信をしながら契約していない人がかなりおる。これはかなりの数字に達しておると思うのですが、改めて幾らありますか、推定で結構ですから。
  158. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 確かにいま先生おっしゃいましたように、私どもも、世帯の数、これは五年ごとの国勢調査によってもわかりますし、その間は推定の世帯数というのがございます。この世帯の数に対しまして、テレビを所有しておられるというふうに推定いたしておる数、これは一つあるわけでございます。そのテレビを持っておられるという推定世帯数に対しまして、これは五十年度末で見ますと、年度末の契約数、それとの間には約三百二十五万という差がございます。これが年度末の未契約の数。それが常時あるわけでございませんで、その年度末に移動によって契約が廃止になる、それから新しく契約を取り次ぐ、その全体の契約数と契約をしておられない方との差が三百二十五万、これが翌年度のまた契約の対象になっていくわけでございます。これに翌年度新しく世帯のふえる分がございます。これは年々七十四、五万の世帯の増加というものがございます。それを加えてこれを契約の対象にして翌年度の契約の活動をいたすわけでございまして、したがいまして、年度末にある時点を切りますと、五十年度末で約三百二十五万ぐらいの未契約と申しますか、テレビを持っておられると推定しておる数と現実に契約しておられる数との差というのが三百二十五万ぐらいあるということでございます。
  159. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの数字を見られてもこれはかなりの数なんですよ。だからそれはいままでのものをずっと累計するとかなりの数字になると思うし、それが完全に徴収されればまだかなりの受信料が入ってくるわけです。恐らくカラーテレビで七百十円にしても、それが三百万世帯として結局二百十億くらい入るわけです。だからそれを解消するための努力を抽象的じゃなくて具体的にいまどうしておるのか、それを具体的に言ってください。そうしないと、こういうような問題をないがしろにして、ただ経営が苦しくなったからといって受信料の引き上げというような問題に結びつくとしたらこれは大変だ。いまからまだありますからね。やはり経営が苦しければ苦しいほど、たとえば家庭でも同じでしょう、苦しい場合はまず出るを制して入るを図るわけですよ。どこの商売だってきつい場合はまず借金から取るわけですよ。しかしながら法律上非常にむずかしいということであるけれども、受信契約をしなければならないということは放送法ではっきりしてあるわけです。そうすると、そういうような三百二十五万件の未契約の人がおるということに対して、やはり法律に基づいて契約しなければならぬわけですから、それに対してどういう努力をしておるのか、具体的に言ってください。
  160. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 先ほども申し上げましたように、この三百二十五万というのは恒常的にずっと未契約でいるというわけではございません。それで、この年度末のテレビの所有推定世帯数と現実の契約数との差、五十年度末で見ますと三百二十五万、この大部分は翌年度において契約されるということでございます。一方でまた世帯の移動によって契約から落ちていく方がいる。五十一年度末では約三百四十数万のそういう差があるであろうというふうに私どもは見込んでおりますが、ただいま提出いたしております五十二年度で七十万の契約の増加をやろうという計画になっております。この七十万の総数の増加をいたしますのに約三百五十万の契約を新しくするわけでございます。ところが一方で二百八十万ぐらいの契約から落ちていく方がある。それでその差が純増の七十万ということになるわけでございますので、三百二十五万なりあるいは三百四十数万が常にそのままずっと未契約の状態であるというわけではございません。
  161. 小宮武喜

    ○小宮委員 それはわかります。それではその未契約の分の推定見込みと、それから翌年に新たに契約されていくという関係を、この数年間の資料を出してください。——それは資料を出してもらえばいいです。  私たちNHK予算のヒヤリングをする場合も、こういういろいろな受信料不払いの問題あるいは未契約の問題、これらを合算するとかなりの件数に達するわけですよ。そしてこれがさらに年々ふえていっておるという傾向もある。だから、NHKあたりの説明によればこれは全体の二・三%だと言うが、いかにもただ数字だけでわずか二・三%だというような表現を使って説明をされるということについては全く心外ですよ。それは金額的に見れば、NHK予算全体から見れば微々たる問題かもしれぬけれども、何百億という不払いがある、あるいは未契約があるということはやはり問題ですよ。だからそういったことでは、これは負担の公平という立場から見ても、あるいはまじめに納める人が結局ばかを見るというようなことになることはもう明らかですから、そのためにいままでまじめに納めておった人までも、隣近所が払っておらぬならばおれだけ払うのはばからしいじゃないかということで不払い件数がだんだんふえていっておるということは、私が先ほど申し上げましたような数字の中で明らかになっておるわけです。だからそういうような点、NHKとしてはどういう対策をするのか。たとえば移動世帯の数を捕捉するにはどういうことをやっておるのか、あるいは不払いを解消するためにどういう努力をしておるのか。いろいろ努力はされておると思いますけれども、しかしながら、実際われわれが見ると、努力すればだんだん減っていくのがあたりまえなのにそれが逆にふえていっておるのはどういうことかということを私は聞きたいのですよ。しかし、その問題はまだ先でやりますから……。  皆さん方はいつも、いわゆる放送法にそういうふうな罰則規定もないから、払わぬなら払わぬでも処罰する方法もありませんし、説得する以外にありませんと、こう言っておるわけです。しかし、どんどんふえていった場合このままでいいのかどうかという問題についてやはり考えていただかぬと——これは大臣に言っても大臣は、それはNHK努力をしなさいということで心情的な激励をするぐらいが関の山だと思う。具体的な対策は後で申し上げますけれども、このNHKの不払い問題については従来のような考え方で、罰則規定もない、ただ契約するだけで、契約していない人さえおるというのをそのままほっておっていいのかどうかという問題があるわけです。しかし、その問題は私も強制手段に訴えるということはなるべく避けたいと思うのです。  しかしながらこの問題を考えてみると、いま言ったように未契約の人がある。それから契約していても不払いの人たちがおる。それからもう一つ問題になるのはいわゆる受信料免除者の問題です。これもいろいろ資料を拝見してみますとかなりおるんですね。厚生省が五十二万一千、文部省が三十二万五千、労働省が九百、法務省二千。この中には確かに弱者救済という立場から見て、老人クラブだとかあるいは社会福祉施設だとか、そういうふうなところはわれわれも理解しますよ。しかしながら、この内容については、われわれが見て果たして免除に値するかどうかというようなところもあるわけです。いまの免除基準というのは何もはっきりしていないようですが、当初より免除件数もかなりふえてきておる。だからそういうふうな意味NHKはどういう免除基準を持っておるのか、また基準を設けておるのかどうか、その点いかがですか。
  162. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 NHKは受信規約の第十条第一項に受信料の免除の基準というのを決めておりまして、これは郵政大臣の認可を得て、この基準で実施をしているということでございます。そしてそれは、社会福祉関係と教育関係というふうに大きく分けております。額の免除といたしましては、全額免除するものと、半額免除するものがございます。社会福祉的な関係と教育関係、この両方ございますけれども、いずれの場合にも、世帯を対象にしているものと、非世帯、要するに施設を対象にしているものというふうに分けております。その中身はいろいろございますけれども、確かに、いま先生おっしゃいましたように、一番古いものは大正十五年以来実施しているものもあるわけでございます。それからまた最近、昭和四十五年ぐらいに新しく対象にしたというものもございます。したがいまして、そういう古いものから新しいものまで、そのときの社会情勢なり時代の要請、そういうものによって追加されてきたものも確かにあるわけでございますが、一方では、免除の使命と申しますか、それがほぼ達成されたというようなものも中にはあるのではないかということで、私どもも、現在やっておりますこの基準そのものについて全般的に検討もしなければならないというふうに考えております。
  163. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは何か、それらの受信料については各省から受信料をもらうとかいう約束ができたとか、できておるとかいう話を聞きますけれども、各省が仮にこれを払ったとしても国民の税金なんです。だから、本当に真に免除に値する人たちだけを最小限度に見直しをすべきである。だから私は、そういう意味から言えば、ただ各省から受信料相当額をもらうということよりは、それは一般の国民の税金だから、それよりは、やはりそういったものを見直しをやって、本当に免除に値するかどうかをもう一度再検討、見直しをしてもらいたい。この点、いいですね。
  164. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十一年度予算審議のこの前の通常国会、あるいは五十年度予算審議の際に当委員会でつけられました附帯決議というものも一方にございます。そういう附帯決議の趣旨に沿いまして私どもといたしましても、各省に、免除該当分についての国庫補てんということについていろいろお願いもし、御相談もしてまいりました。だからそういう趣旨をやはり一方に踏まえながら、今後、先ほど先生指摘の、この基準についての検討というものも一方であわせてやっていきたいというふうに考えております。
  165. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの受信料の不払いの問題で、ここに滞納者、契約者数の中で不払いの人たちが五十年度末で六十万件、その中に航空騒音による難視聴が五万、受信障害等による難視聴が三万、それから協会事業に対する無理解、これが十一万、常時不在等が四十一万、合計六十万になっておるわけですが、協会事業に対する無理解というのはどういうことですか。
  166. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 協会事業に対する無理解と言いますか、NHK番組がけしからぬ、あるいはNHK経営姿勢がけしからぬというふうなこと、あるいは自分NHK番組は全然見ていないというふうな方、要するにNHKというものは必要としないのだ、だからNHKには受信料を払わないというふうな方、そういうふうに、要するにNHKの使命なりそういうものについて全く御理解をいただけない、そういう理由によって受信料は払わないというふうな方を一応協会の事業に対して御理解いただけない方であるというふうにしておるわけでございます。
  167. 小宮武喜

    ○小宮委員 それも、ますます今後も無理解方々がふえていくのじゃないですか。四十七年が六万、四十八年が八万、四十九年が十万、五十年度が十一万。  またもう一つここに、常時不在等による不払いというのは四十一万件ある。これは六十万件の約七〇%なんですよ。これだけでも解消したら、またかなり違ってくるのじゃないか。  そうするとそこで問題になってくるのは、集金体制がどうなっておるのかという問題です。これらの人たちは共かせぎで昼間おらぬという人たちも多いでしょうね。独身の人もおるでしょう。こういうような人に対して、おれは朝の九時から午後の五時までが勤務時間だから、それ以外は自分は集金をする必要はないのだというような考え方に立っておるかもしれぬけれども、こういう人たちはやはり夜とか日曜日、いるときに行かなければだめでしょう。そういうような集金体制をどうしておるのか。これだって、四十七年が二十四万件、四十八年が三十二万件、四十九年度が三十八万件、五十年が四十一万件、どんどんふえているわけです。そういう体制をどうするのかということを、ただ抽象的ではなくて、具体的にどういう対策を講じます、また講じておりますとか、そういうことを言ってもらわぬと、ただ毎年の予算承認に当たっていつも同じような抽象的な答弁ばかりされては困りますよ。
  168. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 確かに、いま先生おっしゃいましたように、常時不在者の数は年々ふえております。これに対してどういうふうな対策をとっているかということでございますが、確かにいまおっしゃいましたように、不在者と申しましても、四六時中いらっしゃらないというわけではございません。したがいまして、夜間であるとかあるいは休日に訪問させるということ、これが面接できる一番有効な方法でございます。確かに訪問させる側の労働条件の問題もございます。それから訪問される側の問題、夜の十一時、十二時に訪問するということも問題がございます。いろいろそういう問題はございますけれども、早朝、夜間あるいは休日、こういうときに訪問させるということに一番の重点を置いてやっております。その体制でございますけれども、一義的には全国で約四千名おります委託の集金の方が訪問をするわけでございます。受信者の方は、訪問集金とそれから銀行口座の振りかえ、これがあるわけでございます。口座にしていただけますと、昼間いらっしゃらなくたって確実に収納ができる、だから口座をふやすということにまず力を入れる……(小宮委員「そのためにも訪問して会わなければいかぬわけでしょう」と呼ぶ)そうでございます。その口座をふやすというのが一つ。  それから訪問して収納する場合、この四千人の委託の集金の取扱者が訪問するわけでございます。この委託の方がどうしても手に負えないという場合には、全国で約千百名おります外務の職員、これはNHKの職員でございますが、これがそういう滞納受信者について訪問して収納に当たるという二重の体制にいたしております。この千百人の外務の職員の勤務の体制、これを夜の勤務あるいは日曜、祭日、休日の勤務、そういうものを可能な限りやらせるようにいたしまして、それで不在者対策というものに当たっているわけでございます。  それからそういう直接面接をするということ以外に、督促状であるとかあるいは郵便で送っていただく、振替用紙をお送りするとかそういうやり方もやっておりますけれども、何と申しましても直接面接をしてそれで収納をするというのが一番効果があるわけでございますので、それに重点を置いている次第でございます。
  169. 小宮武喜

    ○小宮委員 やはり常時不在という問題は何らかの対策を立てて、たとえば日曜日に行くとかする場合でも、そこに行く集金の人は歩合給でしょうから、その歩合の度合いを高くするとかあるいは代休をとるとか、これはあなた普通の流通産業ではデパートだってみんなやっておるわけだから、そういうことも考えながら、まずこれを解消する方向で、従来のような惰性の考え方だけではこれはふえていくだけですよ。いままでいろいろ言われているけれども、あなたの話を聞いていると、大分努力しておるなと思う。しかし、現状でいろいろ苦情が出たのがありますから、新聞の切り抜きをちょっと関係した分だけ読み上げてみますから、よく聞いてください。知っておるはずだけれども……。  「ほったらかし」ということで、「社宅で受信料を払ってないうちがあります。奥さんに聞くと結婚して社宅に入ったとき、テレビが無かったそうです。それから四年もたつのにNHKの人は一回も来たことがない、といっています。公平じゃないですね。」「本当に集めたいの?」ということで、「引っ越してきて、受信料を払ったら、領収書が前の住人の名前になっていました。次の集金のときも同じ名前なので「これはうちのではありませんよ」というと、集金人は何もいわずにすっと帰ってしまい、その後三、四年現在にいたるまで一度も来ません。「払わない」など一言もいわないのにバカみたいな話です。」わかりますか。それから「督促状」十年近くまじめに受信料を払っていましたが、転居して周囲をみると何年も払っていない家がたくさんあるんです。不公平だと思って、集金の人が来たとき「どうなっているのかNHKに聞いてから、次のときいっしょに払う」というと、それ以後パタリと来なくなりました。一年ほどたって浦和放送局から一万円近い督促状です。お役所仕事ですよ。」それから「何故とりにこない」「看護婦寮に十六年間住んでいましたが、一度も受信料を払いませんでした。こっちが拒否したのではなく、全然集金人がこなかったからです。団地に移って、受信料を払うようになってみると何とも変な気持ちです。何十人もいる寮をほったらかしておいて、値上げというのは納得できません。」まだいっぱいあるわけです。いまNHK答弁されておるように、本当にまじめに不払い契約の問題とかあるいは受信料不払いの問題を皆さん方はやっておる、やっておると言っておるけれども、本当の現場のそういうふうな体制の中では、これはまだ何百枚とありますよ、時間がないから言いませんが、こういう一つ、二つの例をとってみても、こういうふうな状況ですから、これでNHK努力しておるとあなたは言われますか、どうですか。
  170. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 私どももそういうケースがあるということは否定いたしません。それは先生おっしゃいますように、私どもの監督が完全でないという点についてはまことに申しわけなく思っております。私もここで言いわけはいたしません。今後こういうことのないようにさらに十分監督をいたしたい、このように思っております。
  171. 小宮武喜

    ○小宮委員 いままでもそういう答弁を毎年繰り返してきたのだろうと思うけれども、この委員会でそういうようなただその場その場の言い逃れとか、言いわけだけして、実際は何も努力しておらないということは事実あるわけですから、そういうふうな意味では、もっとNHKは真剣にこの問題に取り組まぬと、いま言う受信料不払いの中には、NHKに対して無理解か不理解か、これは意識的に払わぬ人たちもいるでしょうけれども、それ以外にももっと努力すれば、収納できる分はやはりたくさんあるわけです。その努力をやっていただかぬと、私はいまのような状態で皆さん方がきょうの委員会でそういう立場でただ物を答弁してきょう一日終われば何とかなるということだけでは、来年も不払いはずっとふえてきますよ。払う人はばからしくなるのです。そういう面の平等あるいは負担の公平の問題、こういうことから見ても、もっと積極的に取り組んでもらわなければ困りますよ。そうしないと、この問題はまだまだ拡大されていきます。そういうことで、もし皆さん方が、先ほどからちょっと話が出ておりましたように、一年か二年してから、こういう状況でNHK経営赤字でもうどうにもなりません、だから受信料値上げをお願いしますと言ってきたって、こういう人がどんどんふえていっていたらぼくらは許しませんよ。これは国民が納得しませんよ。そうでしょう。だからもっとNHK経営努力をしなさい。その点ではNHKはよく考えておかぬと、投書の中にも出ておるように、そういうふうな人たちがどんどんふえていっておる。そのしわ寄せが受信料値上げにこられたらたまりませんと言っておるわけだから、こういう問題は真剣にNHKは取り組んでもらいたい。そういうことでひとつ会長の決意を聞かせていただきたいと思います。
  172. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘は私にとって全く身のすくむ思いでございます。そういう点をいわゆる口頭禅でなしに、具体的な数字の上であらわさなければならないというのが私の責任だと思っております。ただ、現実はなかなか厳しゅうございますし、全体の世帯数もふえる、そういういろいろの事情もあってなかなかはかばかしくいかないという現実、これは言いわけになりますのでこれ以上申しませんけれども、本当にその点が一番私のいわば身のすくむ思いの一つでございます。
  173. 小宮武喜

    ○小宮委員 それからもう一つ、集金体制の問題でお聞きしますけれども、いま集金のあれは外務職員が千百人、委託が四千人、こういうような話がありましたが、一人のいわゆる守備範囲、これはどれくらいになっておりますか。
  174. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 この四千人の委託の集金の方、このほかに約三千五百の郵便局に集金業務を委託しているところがございます。しかし直接訪問して集金をするというのは、全国この四千人の委託の集金の方でやっていただいている。この四千人の方が、大体大ざっぱに分けまして二千人、二千人ぐらいでございますか、半分は都市周辺、半分は郡部の方の方というふうに分けられると思っております。郡部の方を持っておられる方は兼業でやっておられる方が非常に多うございます。それから都市を持っておられる方はほとんどの方が専業でやっておられる。したがいまして、副業でやっておられる方と専業でやっておられる方が持っておられる受け持ちの数というのは、一番少ないところが五百ぐらいそれから多い方は七千ぐらいというばらつきがございます。しかし全国的に平均いたしますと一人で五千五百ぐらい持ってもらっておるというのが大体の平均でございます。
  175. 小宮武喜

    ○小宮委員 その受け持ちの守備範囲が広過ぎる、多過ぎるということはないですか。たとえば、それは二カ月に一回集金に行くわけでしょう。だから五千とすれば一月に二千五百でいい。それは一日十軒だということですね。そういうところに問題があるのかもしれませんが……。  それからこの集金人の身分と給与の条件はどうなっておりますか。
  176. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十一年度、今年度で申し上げますと、これも四千人の方全部平均した数字でございますけれども、年収が約二百十万。これは毎月の事務費と申しておりますが、これが大体十五万、そのほかに年間の報奨金、これが年間で約三十万でございます。したがいまして、年収で見ますと約二百十万というのが平均でございます。
  177. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは固定給ですか、歩合給も入るのですか。その辺はどうなっているのですか。
  178. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 固定給的な部分と歩合給的な部分と両方が入っております。
  179. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの二百十万というのは両方入っておるわけですか。
  180. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 はい。
  181. 小宮武喜

    ○小宮委員 まだ質問したいことがありますけれども、次の委員会に行かなければいけませんので、これで質問を終わります。
  182. 八百板正

    ○八百板委員長 鳥居一雄君。
  183. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続きましてNHK予算に関しまして質疑を行いたいと思います。  久保委員質問の中にもございましたが、災害時におけるNHKの対応、重複を避けながら伺いたいと思っております。  まず災害基本法の指定公共機関になっておるわけでありますけれども、これまでどんな連絡、協議を行って、NHKの対応としては、その災害の内容を、どんなような対応の種類と、当面する——たちが心配するのは、東海地震かいま懸念されております。そしてマグニチュード七あるいは八という激甚というような事態を考えましたときの対応が十分行われるものであろうかどうか、こういう点心配するものですから、その点につきまして論議をしぼってまいりたいと思います。まずその対応いかがでしょうか。
  184. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  一応われわれの対応として一種、二種、三種という対応の体制を日ごろ持っております。  一種につきましては大体日曜等でも平常勤務に当たる人を動員することが重点でございまして、またその仕事の内容はいろいろな機器の点検とかその他、一言申し上げますと、たとえば告知放送、非常災害の場合のたとえば通常番組の繰り上げ集録、取材体制の点検あるいは予備機の整備、サービスカー等による周知、その他医療施設についての点検等を実施するに必要な人間を整備するというのが一種でございます。  それから三種は非常災害の場合でして、病人を除きまして全職員を可能な限り動員いたしまして公共的な使命を果たすようにするということで、二種はその中間で、各責任者判断によりまして動員を決めるというていのものでございます。  なおお手元にあるいは資料を差し上げてあるかと思いますが、二種におきましては国際放送における災害放送の実施、三種におきましてはさらに大幅な実施等が規定されており、それが実施できるような体制をしているわけでございます。
  185. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一月十七日に発足になったそうでありますけれども、具体的に東海地震に備えてプロジェクトチームが動き出していらっしゃるようですが、この進行状況、あるいは結果が出ておるかどうかと思いますけれども、どんなような答えを出しておりますか。
  186. 堀四志男

    ○堀参考人 まだ完全な結論は出ておりません。中間報告程度でございます。まず最初に集会を開きまして、大体三つの方向にしぼってこの専門委員会が検討を開始するということを決めまして、そしてそれの方向は、放送施設確保の対策、輸送対策と支援対策、それから防炎放送のあり方ということでございまして、この三つが一つ一つ一応の結論を得た段階でもう一回全体的な集会を開き、さらにこのプロジェクトがもうちょっと広範なプロジェクトに拡大する必要があるという段階でさらにその検討を進めるということになりまして、現在その第一次の作業がほぼ終了の段階に入りつつあります。すなわち、三十一名による特別プロジェクトの、いかなる準備をし、今後の体制をどうするかについての結論がもうじき出る予定でございます。  なお、その一つの具体的なあれといたしましては、二月九日から十三日にわたりまして静岡県の住民意識調査をいたしたことは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  187. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これまでの対応というのは、第一種体制、第二種体制、第三種体制。それでこの第三種体制を見てみますと、大型の台風が来て局舎に被害が出た。あるいは地下室が使えなくなってしまって、電源関係、その地下室機能が停止した。あるいは強い地震のために局舎が被害を受けた。こういう対応が三種という、NHKとしては一番ひどいときの対応として準備をされていることなんですけれども、東海地震との間にかなりの隔たりがあるように私思えてならないのです。東海地震を想定したプロジェクトチーム、その前提は最悪の事態を想定して対応を考える。つまり、電力、これは停電、電話、これは途絶、公社の回線、これは切断、こういう事態におけるパニック状態の中でNHKの果たす役割りというのはもう大変なものだろうと私は思うわけです。そういうことで対応をぜひ完璧な——つい最近このプロジェクトチームが活動を開始したということですから、その成果を大いに期待するところですけれども、従来の対応が非常にお粗末だったな、こう思えてならないのです。  それで、いま中波の非常に大電力の放送ということになりますと、問題はアンテナです。いまの川口の送信所、これが直下型の地震を受けた場合、もつかもたないか、この議論があるわけですけれども、民放なんかの対応を考えますと、もうすでに、災害時に現行のアンテナが使えない場合には、四十メートル上がるアンテナの用意ができていて、そしてスイッチによりまして、いまメーンのアンテナが使えなくなった場合には、それがはしごのように上がっていって使えるようになる。NHKではどういう対応をなさっておりますか。
  188. 沢村吉克

    沢村参考人 一般的な設備の非常対応の状況につきましては、先ほど御説明申し上げました。いま具体的な東京の川口の放送所のアンテナが直下型地震で大丈夫かという御質問でございますが、直下型地震の程度にもよりますけれども、万一川口のアンテナが使用不能になった場合に、幸い東京には鳩ケ谷にももう一つ第二放送用の放送所がございます。これが代替するというのが第一義的な対応でございます。さらにこれらがすべてだめになった場合、臨時に仮設をする用意をいたしてございます。簡単に申しまして、現在の放送センターがかなりの高さを持っております。幸いにして高い建物でございます。これからアンテナ線をおろしますと一応非常対策としての仮アンテナができ上るわけでございまして、東京につきましてはそういうことでございます。ほかの各地方におきましても、現用のアンテナが壊れた場合を想定いたしまして、それぞれ臨時の措置ができるような対応はいたしてございます。
  189. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いまの第一放送、これは川口送信所によりますね。それで、それにかわる機能がそれで果たせますか。その点、どうですか。
  190. 沢村吉克

    沢村参考人 鳴ケ谷の第二放送を使いますと、十分第一放送にかわる機能を果たすことができるわけであります。ただし、そこまですっかりつぶれてしまうということになりますと、完全に同じ機能というほどの準備はいたしておりません。百キロワットあるいは三百キロワットの放送機を幾つも予備にストアするというところまではまいりませんので、放送機にいたしましても少なくとも都心部、近県に非常用の送信ができる、つまり十キロワット程度の放送機でありますが、というようなことを考えているわけでありまして、隣接諸県におきましてもFMの放送所がございます。こういうのを動員いたしますことで最低限の情報伝達機能は果たすというふうに考えているわけであります。
  191. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 局内に、いまの川口の送信所が使えなくなった場合のことを考え、災害時に民放がやっておるような方式、これをとるべきではないかという議論があるように聞いておりますけれども、承知していらっしゃいますか。
  192. 沢村吉克

    沢村参考人 かつてはそういう繰り出し式のアンテナを用意したこともございます。現在では先ほど申しましたように、放送センターのあの高さを利用するというのが一番手っ取り早かろうというふうに考えているわけでございまして、さらに今後とも状況の変化に応じましてこれらの対策は検討してまいるべきものだと考えております。
  193. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは起こって、やはりあわてるというわけにいかない性質のものですから、十分な対応をひとつ検討していただきたいと思うのです。それを要望しておきたいと思います。  都市の建築物による受信障害、これは先般来論議されてまいりましたけれどもNHKとしてどんなふうに取り組んでこられたか。また受信障害対策、これはどんな根拠でやっておりますか、まず伺います。
  194. 沢村吉克

    沢村参考人 都市の受信障害につきましては、たびたびこの委員会の席でも御説明申し上げておりますように、これの障害を起こしました原因者というものが必ずあるわけでありまして、原因者の責任で解決をお願いしたいという基本姿勢のもとにやっておるわけでございますが、何と申しましても原因者の方々が電波に関して決して明るい方ではございませんし、私どもの専門的な知識をもちまして、どうすれば障害が解決できるのか、どれが一番経済的、効率的な方法か、あるいはその障害を起こしました原因者も、非常に簡単な一人の場合はいいのですけれども、二つ、三つとなりますと、その影響の度合いというものが大体どんな比率に影響をしておるのだとかいうようなことも含めまして調査をいたします。それで実際に迷惑を受けていらっしゃる被害者という方と原因者との間に立ちまして技術指導をいたしますと同時に、円満にこれが解決されるようなあっせんと申しましょうかアドバイスをしているというのがいままでのやり方でございます。
  195. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 五十二年度末でこの受信障害を受けると見られる推定の世帯数はどのくらいになりますか。
  196. 沢村吉克

    沢村参考人 五十年度末で約四十六万でございまして、毎年のように高層建築物、高層と言えないかもしれませんが、四階以上の建築物が出ますと多少なりとも影響が出てまいります。こういうものが年間どの程度建つだろうということから類推してまいりますと、五十一年度末で約四十九万の被害世帯が出るのではなかろうかというふうに考えております。毎年出ましたものを、いま申しましたような方法で解決を図っておるわけでございまして、解決がその年度中に終わるものもございますれば、あるいは翌年度へ繰り越していく、問題の複雑なものになりますと数年かかってやっと解決するというようなこともございまして、最近数年間の傾向を見ますと、毎年二、三万ずつ解決をされない世帯数が増加していく、迷惑を受けていらっしゃる世帯数がふえていくというような状況にございます。
  197. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 新幹線公害による受信障害、これに対してNHKは施設の改善のために費用を負担していると伺いましたけれども、大体どのくらいの割合負担したのか、伺いたいと思います。
  198. 沢村吉克

    沢村参考人 新幹線の初期の段階におきましてはなかなか国鉄の方とのお話し合いがつきませんで、かなりの額を、かなりなパーセンテージを負担したこともございますが、山陽新幹線、さらには最近の東北新幹線の工事と次第に進んでまいるに従いまして、国鉄の方の御理解もいただきまして、現在では約五%がNHK負担でございます。九五%、ほとんどすべてと言ってもいいかもしれませんが、国鉄の方で御負担をいただくということに相なったわけでございます。
  199. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、NHK負担をするのはどういう根拠で、基準はどういうところに置いているわけですか。現に負担をしたというその実績というのは、大体どのくらいのものを負担しておりますか。
  200. 沢村吉克

    沢村参考人 現在五%でお話し合いをつけた根拠と申しますと、新幹線のような非常に僻地まで含めまして走ります妨害物と申しましょうか、私どもNHKの電波が必ずしも完全な状態で届いてない地域まで含んでいるわけでございまして、本来ならばNHKが改善をしなければならない、絶えず先生方からおしかりを受けます難視聴地域に相当する部分も、若干国鉄さんと共同責任というような部分が含まれるわけでございます。それが本当に何%分かというのは非常にむずかしいのでございますけれども、それを含めまして五%程度はNHK負担してどうかということで国鉄さんと話が進んだものでございます。
  201. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 建設省見えておりますか。引き続き伺いたいと思います。  電波監理局長に伺いますけれども、建設省に対してどんな折衝をこれまでやってきておられますか、それをまず伺っておきたいと思います。
  202. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  この難視聴解消の問題につきまして、特に都市の問題につきまして関係するところとして、国の機関としての建設省は非常に重要な役割りをしているわけでございます。したがいまして、私たちの方で難視聴解消のための調査会をつくりましたときにも建設省の方にその重要なメンバーになっていただきまして、そしていろいろ御検討願ったわけでございます。その面を含んで調査会から報告をいただいたわけでございますが、その報告の中でも、国と申しますか国の中の建設省の役割り、ことに建築関係の役割りというのが相当重要な問題でございますので、この点につきましては現在もまだ建設省といろいろ問題点について折衝あるいは御相談申し上げているという段階でございます。
  203. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 建設省に伺いますけれども、原因者、つまり建物を建てようという側と被害者、この間に紛争が起こった場合に、建築許可あるいは建築確認、こういうのはいま条例で出さないような形になっているのかどうか。私の知るところによりますと、一部条例でそういう抑え方ができるところと、全く野放し状態でありまして、紛争が起こっていることも何もわからない形で、建ってから問題になるというケースがかなりの地域にあるように見受けますけれども、いまどういう行政指導をなさっておりますか。
  204. 和田友一

    ○和田説明員 ただいま先生お話にございますように、市町村あるいは県等におきまして、条例あるいは指導要綱等をもちましてそういうような行政指導をやっておるというところがございます。いまお話ございましたように、建物を建てます場合には、事前に確認申請書というのを出しまして、それで確認を受けて建築に着手するという制度になっておりますけれども、いまの電波のような問題につきまして、確認制度そのものとリンクして、そういう電波の紛争がある、あるいはあるかもしれないという前提でその確認をする、あるいはしないということは、現在の確認を義務づけております建築基準法のたてまえからいいますとできない、こういうかっこうになっております。したがいまして、その確認とは別個に、ただいまお話しのあったような形での行政指導というやり方で対処しているというのが現状でございます。
  205. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 非常に弱いですね、行政指導というのが。これは従わなくてもいい形の内容のものになり、争いになる、そういうことが目に見えているわけですけれども、実態は四十九万世帯からのいわゆる受信障害が推定される事態に立ち至っているわけです。いままでの議論を振り返ってみますと、調査会の答申が出るまで何とも言えないというのが電波監理局の考え方でありまして、ようやくその答申が出たかと思いますと、今度は実態調査に二年かかるということでいま実態調査をやっているわけですけれども、これでは全くの後手後手だと私は思うのです。いま調査調査と言いますけれども、二年間の調査というのは一体どんな規模で何をやろうとしているのか、伺いたいのです。
  206. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  現在やっております調査でございますが、これは二年間にわたってやっておりまして、現在は東京の二十三区を中心とした受信障害の実態調査を行っております。今後東京以外の都市についても、たとえば大阪などについてもやっていこうということでございますが、東京二十三区で大体地点といたしましては三千ポイント選びまして、そして電界強度の測定などを行っております。予算といたしましては、五十一年度に五百九十六万、それから五十二年度は、現在御審議いただいているわけでございますが、四百五十万の予算を計上いたしまして実施しようということでございます。
  207. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは電波監理局が独自でやっている調査ですか。
  208. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 主体は電波監理局でございますが、経験者といたしましてNHK、民放の方にも協力いただいております。
  209. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この調査の実態は、三分の一が民放で調査し、三分の一がNHKが調査し、三分の一郵政でやろうという調査でして、これまで、じゃ民放各社はやってないかと言えば——NHKも百町村を対象にして毎年やっているわけですよ。だから私に言わせれば、調査会そのものが調査してきているわけですから、改めてその後調査費用を取り、二年間にわたってポイントを決めて実態の調査をしなければならないというのは、これはどう考えてもおかしいのです。だからこれはひとつ——もういま実際に正確なやつを調査しようということですから結構です。三千ポイントを設けられたことも結構です。しかし、早い対応をひとつ考えていただきたいと思うのです。四十九万世帯のこの受信障害を解決するためには、これは建設省に物を言う姿勢もどうも弱いように思えてならないのです。いろいろ事情を聞いてみました。いまに始まった話ではありません。深刻さはどんどん広がっております。私はひとつ真っ正面から取り組んで早期解決を要望したいと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  210. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 先ほどからの答弁を聞いておりまして、難視聴がふえている、大変憂慮にたえない事態であります。これについては前にも御答弁申し上げたとおり、これは積極的に郵政省、NHK、民放がやはり共同して前向きに考えておる、ただ単に調査というだけではなくて、やはり実態に移る必要がある。そういう意味でいまいろいろなことを考えておりますので、いましばらくお待ちをいただきたいと私は思っております。
  211. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 なお、NHK予算の中で、この難視聴解消のための調査費、その他事業費は、今年度予算規模を見ますと二億五千万、予算のおよそ〇・一%ということでありますが、特に力を入れて対応を考えていただきたいと思います。  受信料の不払い運動、さきにもこの論議がございました。私は不払いの実態を見詰めてみたときに、これが単に世帯として一軒が取りにこない、こういうケースもあると思うのです。しかし、いま問題にしなければならないのは運動という形になって広がりつつある点です。運動という形でまとまって払わないという意思のあるもの、これにNHKが一体どういう対応をしているのか、私は疑問に思います。どんな実態であるか、まず伺いたいと思います。
  212. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 運動としてある一つの団体を結成して、不払い運動というふうな形で行われているもの、これはそんなに数は多くございません。(鳥居委員幾つあるのですか」と呼ぶ)私どもいま認識しておるもの、大体主なもの三つでございます。一つは、NHK視聴者会議というもの。これは東京の小金井に中心を置いてやっておられるもの。それから全国放送市民センターというものがございます。これも東京でございます。それからテレビを告発する会というものがございます。この三つでございますけれども、後の二つはそんなに活発な動きは最近はございません。  一番最初に申し上げましたNHK視聴者会議、これも、本部と申しますか中心がございます小金井市におきましては、そんなに活発な動きはございません。ただ、全国と申しますか、主として三多摩地区と、それから一部は近畿地方、中部地方、それから北海道、そういうところで、私どもでとらえました数といたしましては約六千五百軒程度の、不払いと申しますか、のシールを有料で頒布をして、それを玄関等に張っておられる、そういうのが大体六千五百ほど私どもで確認をしております。
  213. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この運動は政党の色がありますか。私は、単なる市民運動、色のない運動として受けとめているのですけれども、いかがですか。
  214. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 当初、NHK視聴者会議を結成してやられた方はある政党に所属しておられましたけれども、最近では、そうではないというふうに私どもも承知いたしております。
  215. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、こういう団体との話し合いは進んできているのですか。もう全く度外視して、相手にはならないという行き方ですか。どんなような話し合いをしてきているのですか。
  216. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 私どもも、その地域を担当いたしております営業所の所長あるいはNHKの本部に設けてございます特別推進グループの管理者、そういう者が直接それぞれの団体の幹部の方にお会いをして、いろいろNHKについて御説明をし、御理解をいただくという活動を続けてきております。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、なかなか御理解を得られない、話は進まない、平行線をたどっているというのが現状でございます。
  217. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 失礼ですが、会長は会われたことはございますか。
  218. 坂本朝一

    坂本参考人 私はまだ会った機会がございません。
  219. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私は思うのですけれどもNHKとして誠意のある対応というのをもうちょっと検討されていかがなものでしょうか。かなりの大きな広がりを見せようとしておりますし、もう全く話し合いの余地はないという結論であればまたこれは別だと思うのですけれども、どうも私の感触では、もっともっと話し合い、歩み寄りの余地があるものであるのじゃないか、こう思えてならないのですけれども、どんなものでしょうか。
  220. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 いままでの話し合い等の結果を見ますと、御理解をいただくということは非常にむずかしいというふうに私も考えております。しかし、私ども、これからもやはり話し合いを続ける、その中で理解をしていただくという努力は私自身も続けたいというふうに考えております。
  221. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 少し出演料について伺いたいと思います。  NHKの出演料につきましては、いままでマル秘で、余り公開の場には出たことのないことだろうと思います。基本的にどういう考え方で出演料が決まっているものでしょうか。それから、もしできれば具体的に、どういう場合にどういうお払いの仕方をしているか、事例がございましたら、内容の説明をいただきたいと思うのです。
  222. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  先生も一番最初に申されていましたように、出演料については秘密というのが原則でございます。しかしお尋ねでございますので、やや抽象的ではございますが、NHKの出演料は、大体経験、キャリア等を中心に基本的なランクを定めまして、そこへそれに今度はリハーサル料その他を入れまして全出演料を加算しているわけでございまして、たとえば全くの新人歌手が「歌のグランドショー」等、非常にまれなケースでございますが、出た場合には大体一万八千円から二万円程度、四、五年の方で三万円程度、それからいわゆるベテランといいます方が十万円程度というのが大体のあれでございます。  演劇関係では、新進クラスにつきましては、一出演につき大体二万円、そして十五年ぐらいになりますと四万円、さらに主演級になりますと、拘束の日にちが非常に長うございまして、ほとんど、一週間のうち四、五日はNHKおいでを願うという場合になりますと、特別のケースとして処理をさしていただいているということでございます。  なお、対民放との比較におきましては、たとえば非常な新人の人はほとんど同じか、場合によってはNHKの方が多い。それからベテラン、人気俳優になりますと、場合によってはNHKが民放出演料の——これも民放の方も秘密でございますからわかりませんけれども、大体三〇%ぐらい、非常に低くなっている。また評論家その他のものはややNHKの方が高いというように、情報を収集いたしまして大体そういうふうに承知をいたしております。
  223. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 NHKの出演料で、学者、政治家に対してはどういうふうになっていますか。
  224. 堀四志男

    ○堀参考人 それは非常にむずかしい問題でございますが、学者につきましては、大学教授の場合大体三十分番組で、テレビで一万五千円、助教授クラスで一万二千円ということでございます。  政治家につきましては、できましたら——御経験のある方が多いかと思いますので、ひとつその点御判断願いたいと思います。(「政治家には差があるのですか」と呼ぶ者あり)ほとんどございません。
  225. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 かなり高く払っていらっしゃるんじゃないですか、どうでしょうか。
  226. 堀四志男

    ○堀参考人 さようなことはないと思います。
  227. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 よく巷間うわさに出るのは、NHKの出演料というものは非常に安いということだったものですから、私も、その点についていろいろ部外に出して公開できるのかという、個人的ないわゆるプライバシーの問題があります。ですから、そういうものを侵さない、概してこういうことだということで、いろいろ手元に資料を集め、調べてみました。率直に思うのですけれどもNHK番組の中では国会討論会あるいは長時間の討論というのがあります。ほかに比べて政治家に対するペイというものは高いと率直に思います。私は、出演そのものがやはり政党を代表する立場であり、政党の宣伝になるわけですから、本人ももらおうという気持ちは恐らくないだろうと思いますし——お出になって受け取る方々かきょうはたくさんいらっしゃいますから、また差しさわりがありますけれども、この点についてもうちょっとお考えになっていいんじゃないだろうか。  それから特に歌手のデビューして一年程度、こういう皆さん、もちろん全国ネットワークに出られるということは、プロダクションにしても大変な好条件ということで乗ってくる話ですから、そういう意味では需給のそういう関係からかなり左右されるものではあるとは思いますけれども、その点についての検討というのもやはりもうちょっとなされていいものじゃないだろうかということを率直に実は感じたわけでございます。直接のその責任の部署にいらっしゃるわけですから、専務理事さんその点についてはいかがでしょうか。
  228. 堀四志男

    ○堀参考人 お答えいたします。  今年度かなり大幅な出演料についての見直しをいたしました。その際に、御指摘のようにそれで職業としている方についてはできるだけこれに報いようという立場でやりまして、それから学者の出演等にいたしましても、総合司会者も、出てきてワン・オブ・ゼムでお話を願う方も同じじゃ失礼だということで、そういう意味見直しをいたしまして、したがって、何と申しますか、出演の御苦労に対する報酬の体系がやや世間並みに近づいております。  それからことし、来年度さらに、世間の風潮でもございますし、先生の御指摘もそうかと思いますし、最低出演料のランクのアップと、それから専門的に職業としている方にリハーサル料の引き上げ等によってできるだけ報いたいというふうに思っております。  また、諸先生を含む政治家に対する出演料は、ここしばらく改定の対象からは少し大きな意味は持っていないというふうに言ってよろしゅうございます。
  229. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 結構でございます。  沖繩の受信料についてちょっと伺っておきたいと思います。  まず、沖繩の正確な契約率、収納率、それから全国平均の契約率、収納率、いかがでしょうか。
  230. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 五十一年度、今年度の上半期現在のところでございますが、沖繩の契約率は約七四%でございます。それに対しまして全国の契約率は約八一%でございます。  それから収納率は、沖繩では四八%、全国平均では約九八%でございます。
  231. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私はこの数字について思うのですけれども、沖繩では収納率が四八%と非常に悪いですね。それで契約率の方の点を見てみますと、やや悪い。まあ本土の中にこの程度のものはないということは言えませんけれども。それで収納率が極端に悪い、こういう状況で果たして沖繩本土内、あるいは諸島がありますけれども、そこにおける公平負担というのは、これは公平なものですか。
  232. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 確かに、先生おっしゃいますように契約をいただいている方の中で支払っていただいている方が半分にも満たないということでございますので、その点から申しますると公平ということは私は言えない。非常に不公平になっている。半分以上の方が払っておられないということでございますから、その点はもう何ら否定することはできないというふうに思っております。
  233. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ですから、今度の料金値上げで沖繩に関して言えば、ますます不公平は深まるわけですよね。今後、NHKとしては、どんな努力を具体的に今年度はやっていこうとされていますか。値上げになりますから、払ってない人と払っている人の開きはもっと大きくなるわけですよ、意地の悪い議論ですけれども
  234. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 もうその点は先生おっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましては、目標でございますけれども、一挙に本土並みあるいは全国平均にまでこの一年間で持っていけるということは、これはもう至難のことだと思っておりますが、何とか収納率六〇%ぐらいには持っていきたいというふうに考えております。  それで、その具体的な方法といたしまして、この収納体制を強化するということで、委託の集金の方、これの数をふやすということを一つ考えております。それから内務、外務、これの職員を本土から応援させる。外務につきましては、約九十名を延べ千三百二十人目、これだけ本土から応援をさせる。それから内務につきましては、五十名、延べ三百八十五人目、沖繩へ出張させる、応援させる。  それから、いま御審議いただいているわけでございますけれども、来年度予算を御承認いただきましたら四月から料金を改定するわけでございますので、この料金改定に伴います特別の対策といたしまして、やはり本土から職員の応援、これは二期、要するに四カ月、四月、五月、六月、七月というこの四カ月間、本土から約十七名を四カ月にわたって内務、外務の職員を応援させるというふうにいたしております。そういう計画を立てております。こういうふうに本土から職員を応援させますことによりまして、現地の委託の集金取り扱い者、これは率直に申し上げまして、沖繩で受信料の収納、要するに受信契約をしていただいて受信料をいただくというのが始まりましたのが昭和四十四年、当時の沖繩放送協会というものができたそのときからでございます。したがいまして、委託の集金の方の経験というものも七、八年というところでございまして、本土の場合は二十年、三十年の経験者もおりますけれども、沖繩ではそういうものは過去にございませんでしたので、その経験が少ない、そういうことでやはり質的な違いというものがございます。それから受信者の側でも、いままで放送というものに受信料を支払った経験、そういうものがない。要するに四十四年以来のことでございますので、両方に原因があるわけでございますけれども、こちら側の体制にもそういう弱いところがございます。そういう委託の集金に対する指導、一緒に歩いて指導をするということ。それからやはり直接受信者の方に会って、いろいろお話をしてNHKというものについて理解をしていただく、受信料制度というものについて理解をしていただく、そういう活動を強力に進めたい、そういうふうに考えまして、このように本土からの応援というものを考えております。
  235. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昭和四十三年の四月からの新年度に当たりまして、ラジオ契約、これをそれまで有料であったものを無料にしたわけですね。前田会長の時代でございました。それで、この当時のいきさつ、また、そう決断を下したその背景には、カラー契約の伸び、これが将来の展望のしに立って十分対応ができるだろう、こういう背景のもとにラジオ契約、これが現在のような無料の措置がとられたと私たちは受けとめております。  そして次の新しい段階は、時代の推移からいきましても、白黒の契約についてはなるべく近い将来、ラジオと同様に契約が、現在の乙契約でございましたでしょうか、それを福祉の精神からいきましても、いま時代の移り変わりというのは深刻でございまして、いま白黒テレビがなかなか手に入らないような時代になりつつあるという皮肉な現象も伴うのですが、次の時代、これをぜひやっていただきたいと私は思うのです。  そこで、ちょっと数字を伺っておきたいと思うのですが、この白黒契約による収入、それがどのぐらいのシェアになっておりますでしょうか。
  236. 山本博

    山本参考人 いわゆる普通契約でございますが、これは件数にいたしますと、まだ約一三%ほど全体の中に残っております。それから収入の方にいたしますと約六%を占めるだけでございまして、金額にいたしますと百三十七億円でございます。
  237. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 四十三年四月からラジオ契約が無料になりましたけれども、その直前の四十二年度、このあたりのラジオが占めたところの資料はございますか。
  238. 山本博

    山本参考人 ちょっとお時間をいただけば出てまいります。
  239. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私の手元の資料によりますと、大分似通った状況になりつつあるわけです。どうでしょうか、五十二年度予算、五十三年度予算とございますけれども、近い将来、この白黒契約については同じように移行できるように対応を考えたい、こういうぐあいにはなりませんか。どうでしょうか。
  240. 山本博

    山本参考人 手元に数字がございましたので、申し上げます。  四十二年度の場合におきます甲と乙の受信料、いわばテレビとそれからラジオでございますが、これは御指摘がございましたように、乙の場合は収入金額にしますと約一・一%にしかすぎない状態でございます。  なお、ただいまお話がございました白黒を無料にするという点でございますが、これは、現在すでにNHK全体の体制が、白黒であろうがカラーであろうが、これは内部的にも、それから放送の実態からしましても、それからスタジオその他の内容からいたしましても、これは全くお持ちになっておる受信機の差だけでございまして、NHK側としては全く同じ状況でございまして、理論的には白黒の方の場合もNHKの費用としては同じ費用であるのがたてまえとしてはそう考えざるを得ないという状況でございます。しかし、ラジオとテレビの場合と白黒とカラーの場合とでは性格が違いまして、これを片一方を無料にして片一方を有料にするというやり方が、現実問題として徴収事務その他からいいまして、ラジオの場合のようにしかく簡単にまいるかどうか、いろいろ問題がございますし、それから、ただいま申し上げましたように、なお三百万以上の方が白黒という受信機をお持ちになっておられます。それから、いま申し上げましたように、ラジオの場合は収入が一・一%でございましたが、なお六%という相当な高い比率でございますので、将来問題としては検討いたさなければなりませんけれども、検討する場合は、むしろ廃止というよりは、カラーの料金と白黒の料金ということではなくて、テレビの料金という形で一本化する方が、むしろいろいろな意味でスムーズではなかろうかというふうに考えておりますが、そこの具体的な検討というのはもう少し時間をかけさせていただきたいと思います。
  241. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 会長さん、どうお考えでしょうか。
  242. 坂本朝一

    坂本参考人 いま山本専務から御説明申し上げましたように、現在の協会経営の財政の中で、やはり六%——五十三年度になりましても、受信料収入で百三十七億というのが見込まれるという状況でございますので、これをすぐ先生の御指摘のような時期の中で一本化するというのは、いささかむずかしいのじゃないかと思いますが、将来の問題としては、いま山本専務が御説明したような方向が考えられるのかとも思われます。
  243. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 財政で一点伺いたいと思います。  私の手元に数字がございますが、営業費、契約収納費用ですけれども、これがこの予算の中で見てみますと、ざっと二百六十五億、つまり一三・五%という比率になっております。PRの費用も含め、契約収納のための費用も含めると、大部分が手数料という形の人件費、こう見ているわけですが、それと、いわゆる人件費七百一億、三五・七%、これを見てみますと、人件費そのものは三五・七%とありますけれども、実際には五〇%に近い費用がそれに当たっている。つまり財政の上で非常に内容が悪くなっている、事業をやっていく上において。そういう意味でこの財政の現状、これをどういうふうにお考えですか。
  244. 山本博

    山本参考人 ただいま御指摘がございましたように、広義の人件費まで計算に入れますと五〇%を少し超えます。いまNHK全体の財政というのはどういう状況にあるかと申しますと、大体NHKのよく世に言われましたような膨張あるいは拡大の時期というのはもう過ぎまして、現在の規模あるいは現在の運営のあり方、こういうものをむしろ内容的に、充実をさしていくという時期にかかっておると思います。人件費そのものは確かに五〇%をやや超えるぐらい、広い意味で申し上げますとそのぐらいの比率を占めておりますが、実はNHK全体、たとえば五十二年度予算で見ますと、事業支出が二百億ちょっと前年度に対比いたしまして増加しております。その中で新規に使えます金というものはそのうちのごくわずか、一割未満でございます。それ以外は人的費用、物的費用、いままで設備として投資をいたしました施設の維持、そういうような費用というもの、いわば既定経費的なものがほとんど主要なる部分を占めまして、ほんの増加分の一割前後が新規に向けられる。したがいまして、五十二年度も新規の費用といいますか、そういうものは、御説明をすでにいたしましたように、教育テレビのカラー化の部分とか、それからFMのローカルのステレオ化とかいうごくわずかな部分だけがいわば新規の施設でございまして、そういう意味では確かに、硬直化という表現が妥当かどうかわかりませんけれども、新規に二百億ちょっとふえます予算の中で一割程度が弾力的に使えるという意味での硬直、そういうふうに使えばほとんどが既定経費的な費用に使われておる。いわば現状をマイナスにならないように内容的な、質的な意味の充実を図る現在のNHKの財政状況であり、私はまた、ここしばらくはそれで行くべきであろうというふうに考えております。
  245. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 質疑を終わります。ありがとうございました。
  246. 八百板正

    ○八百板委員長 山花貞夫君。
  247. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、午前中の質疑にも出ました放送大学の問題について、NHKの現在の教育放送現状との関係においてどうとらえるかという問題について伺いたいと思います。  放送大学の問題については、本日も若干の内容について文部省からの説明がありましたけれども、これまでの準備の経過を考えてみると、どう考えても今日の日本放送法の体系を全般的に変更することに通ずるのではないか。特に文部省が構想している放送大学の実現ということを前提考えますと、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、いわばもう一つ小型のNHKをつくる——NHKという言葉はよくないかもしれませんけれども、国営の放送局をつくっていくということになるのではないか。この場合には、今日のNHKと民放という二つの放送系列、ここに第三の国営放送の系列ということができるのではないか、こんな疑問が次々と出てくるわけであります。  この観点について伺いたいと思うわけですけれども、まず初めに協会に対して、今日の各種放送番組の中で、教育番組、教育放送をどのように位置づけておられるのかということについて伺いたいと思います。
  248. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  われわれは、放送体系におきまして、必要情報を提供するニュースを中心とする情報番組、さらに娯楽を提供する芸能番組、そして教育に役立つ教育番組が、NHK番組の三本柱であると考えております。  なお、経費的には間接費を入れまして約一二%がこのために消費されております。
  249. 山花貞夫

    ○山花委員 いまの御答弁からは教育番組、教育放送についてどのように位置づけているのかということについてのお答えがなかったように思います。どの程度重視しているのかというような観点でも伺いたいと思うのですけれども、もう少し質問の方も具体的にさせていただきますと、教育番組、教育放送現状ということで、たとえばどう電波を使い、何時間ぐらい、どういう内容で行っているのかということを、もう少しく具体的にお答えしていただきたいと思います。
  250. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  教育番組総計は、総合、教育、第一、第二、FM、全系統のうち約三十三時間でございまして、費用にいたしまして間接費を含めまして二百五十二億、この種の番組の総経費のうちの、先ほどちょっと間違えましたが、二一%でございます。
  251. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、五十二年度のテレビの番組の時刻表とラジオ番組の時刻表をいただいて拝見したわけでありますけれども、これを拝見いたしますと、今日のNHKの教育番組にどのくらい力を入れているかということについて改めて認識した気がいたしました。テレビの方は、日曜は若干いろいろな時間がはさまっている気もいたしますけれども、月曜から土曜まで連日、朝六時から夜の十二時まで、ラジオの方は、これはほとんど日曜日も含めまして、朝の五時三十分から夜の十二時までびっしりと教育番組が組まれているというようにとらえたわけですけれども、大体放送時間帯と内容についてはそれでよろしいかどうか、伺いたいと思います。
  252. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  大体そのようでございますが、実は教育テレビの中にもかなりの部分いわゆる教養番組もございます。それから報道番組もございます。だから全部が教育というわけではございません。ラジオ第二についてもそうでございまして、大体総計先ほど申し上げましたように一日三十三時間というふうに押さえていただいて結構でございます。
  253. 山花貞夫

    ○山花委員 いま全体で一日三十三時間というお話がありましたけれども、テレビの方は十八時間というように伺っているが、それで間違いありませんか。
  254. 堀四志男

    ○堀参考人 ちょっとその点の資料が不備でございますが、教育テレビジョンは放送時間は一日十八時間でございます。
  255. 山花貞夫

    ○山花委員 そういたしますと、総合放送の方は十七時間三十分であります。教育テレビの方が週平均ということで考えても約三十分多い、それだけ力を注いでおるというように理解してよろしいですか。
  256. 堀四志男

    ○堀参考人 数字的には確かにそのとおりでございますが、教育放送は、教育番組は、番組の性質上、どうしてもリピートをしなければいけないものもございます。たとえば語学を学びたいという方が一日に一回しかないということでは、連続して学習しようという意欲が起こらないということで、ほぼそういう系統的な番組につきましては必ずリピートをいたしております。またそれの時間帯がなるべくそういう学習に都合のいい時間を選んでございますので、したがいまして、どうしても教育テレビの場合は十八時間をこれに充当するということでございまして、総合テレビの場合は種々の関係から現在週平均十七時間半という程度になっているわけで、必ずしも量的なものが重視の度合いというふうにとられますと、では総合が軽視されているのかというあれもございますが、そういう点はございません。それぞれの波の特性を十分に生かした編成の時間というふうに受け取っていただければ幸せでございます。
  257. 山花貞夫

    ○山花委員 先ほどちょっとお触れになりましたけれども、教育番組の制作費の関係、一体どのくらいお金をかけているかということについてですけれども、直接の経費と、それから全体に要する経費とに一応大きく分けることができるのではないかと思いますが、ひとつ分けてお答えいただきたいと思います。
  258. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  教育テレビジョン十八時間の直接経費は約四十八億円でございます。そして、人件費その他の間接経費を入れますと二百三十六億円というふうに概算いたしております。
  259. 山花貞夫

    ○山花委員 われわれは協会の方から五十二年度収支予算事業計画及び事業計画に関する説明資料をいただいているわけですが、この中に番組制作費用について掲載されているわけでありますけれども、こことの関係で何%かということについて、それぞれについてお答えいただきたいと思います。
  260. 堀四志男

    ○堀参考人 教育テレビジョン十八時間分の直接経費は、総額のうち約一四%でございます。四十八億円は一四%に相当いたします。また間接経費を含めました費用二百三十六億円は総額の約二〇%に相当いたします。
  261. 山花貞夫

    ○山花委員 つけ加えて総合、教育、第一、第二、FM全系列中の教育番組についての制作費用、これが全体の番組制作費用のどのくらいに当たるかということについて、分けてお答えいただきたいと思います。
  262. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  五波における教育番組合計三十三時間分の費用は五十三億円でございまして、総額の一六%に相当いたしますし、また間接費を込めた費用は二百五十二億円で総額の二一%に相当すると概算いたしております。
  263. 山花貞夫

    ○山花委員 もう一点だけ伺っておきたいと思うのですけれども、全体の教育放送、教育番組の中で放送大学との関連で問題を考えてみますと、いわゆる高等教育にかかわる部分、これについては一体どんな番組があってどういう比重を置いているのかということについてお答えいただきたいと思います。
  264. 堀四志男

    ○堀参考人 お答え申し上げます。  かつて私たち放送大学の実験番組をつくった際に、一つの基準が大学に、現在行っております通信大学講座でありますが、もう一つは教養特集等でございます。そして、大体新しいわれわれが実験いたしました放送番組の講座は、主として教養特集等に類似したものが多うございまして、したがって、教育特集の現在の番組の費用を申し上げますと、先ほど申し上げましたいわゆる直接費、約六十万円をもって制作いたしております。間接費を入れますと、ちょっと一つ一つではございませんけれども、約五倍というふうに御了解になっていただければいいかと思います。直接費、たとえば出演料とか美術費とかその他が六十万でございまして、これをつくる人間の人件費とか、それからいろんなスタジオの減価償却とかを入れますと、一つ一つ番組について細かい積み上げはしておりませんが、大体たとえば理科番組が直接費が二十三万円が全部入れますと九十四万円というふうに約四倍になりますか、この辺教養特集等も三倍から四倍というふうにお考えくだされば結構だと思います。
  265. 山花貞夫

    ○山花委員 従来から協会の中でこの教育番組一つのパートとして放送市民大学のプラン、要するに大学講座の関係についていろいろ紆余曲折、その構想の変化があったとは思いますけれども、そういう問題があったと思うのですが、現在は大学講座というのを設けているでしょうか。設けているとするならば、どの程度の時間を割いているのでしょうか。また、この大学講座に対して今後どういうように取り組もうとしているのかということについてお答えいただきたいと思います。
  266. 堀四志男

    ○堀参考人 かつて市民大学講座といいますものは、去年の番組改定までございましたが、ことしから市民大学講座にかえてNHK文化シリーズということで一日四十五分間放送いたしております。その他通信制大学生のための通信大学講座は別途ございます。
  267. 山花貞夫

    ○山花委員 五十二年度のテレビの放送番組表を見てみますと、大学講座として午前六時半から七時、月曜から土曜まで、また午後十一時三十分から十二時まで、これも月曜から土曜まで講座が組まれているのではないでしょうか。そうだとすれば、その内容についてどんな講座が組まれているのかお答えいただきたいと思います。
  268. 堀四志男

    ○堀参考人 御指摘のとおりでございまして、これは通信制大学のための講座で、一番最初話の出ました市民大学講座とは別途のものでございます。それでこれはテキストがございまして、そうしてかつては通信制の大学を行っておりました慶応大学とか玉川大学等の先生とのお話し合いの上で、その学校の先生を講師として番組を組みまして、それを受けることによって通信制大学の単位の一助になっていたものでございます。ところが、そうしますと、なかなか通信制の大学講座が内容的に充実がむずかしい。すなわち、学校の出演者が非常に片寄るということでいい講座ができないというので、四、五年前でございますか、通信制大学の協会お話しいたしまして、われわれが比較的自由に先生を選んで自主的に番組がつくれるようにということで変わってまいりました。
  269. 山花貞夫

    ○山花委員 協会の方ではいまの通信講座ということではなく、教養講座の関連かもしれませんけれども、かつて六回にわたってNHK放送市民大学に関するUHF周波割り当てについて要望書を郵政省の方に出していたのではなかったでしょうか。それは今日では引き続き出す予定があるのか、もうそれはあきらめたのかということについてお答えいただきたいと思います。
  270. 堀四志男

    ○堀参考人 かつてはそういう要望書を提出いたしたと記憶いたしておりますが、ここ数年来そのことはございません。
  271. 山花貞夫

    ○山花委員 数年来というのはいつからですか。それからどういう事情からUの割り当てについてはあきらめたのでしょうか。
  272. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘のように、協会としてUHFの使い方の一つとして、さらに大学講座のような形での活用を考えたわけでございますけれども、その後諸般の情勢等考えまして、放送大学等の計画も片一方に出てくるというような客観情勢もございまして、私どもの方は現状の教育テレビにおける教育番組に徹するということにいたしまして、UHFの波をいただいて大学講座を開議するということは中止した次第でございます。
  273. 山花貞夫

    ○山花委員 いま放送大学との関連で協会の方針が変わったという趣旨のお答えがあったわけですけれども放送大学については、これまで基本計画、その後の計画の発表ということでその内容をわれわれも知ることができたわけですけれども協会の方はこの放送大学とNHKの教育番組、教育放送とのかかわりをどういうように現在お考えになっているのでしょうか。将来スタートしていきますと、それがどのようにNHKの教育番組、教育放送が位置づけられるのか、どう構想しているかということについて、これまでの考えがありましたら出していただきたいと思います。
  274. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもは教育テレビの波の中でNHKの自主的な番組編成としての教育番組を今後も編成していくということでございます。したがいまして、その意味におきましては、現在考えられている特殊法人の放送大学が設立され、放送局の免許を受けて、放送部門を運営するということになれば、その意味では直接NHKとのかかわりはないというふうに思うわけでございます。ただ、先方さんがNHKの教育テレビの番組をどういうふうにお考えになるかというふうなことは、将来の問題としてあるいは出てくるかもしれませんけれども現状ではそこにかかわりはないというふうに考えております。
  275. 山花貞夫

    ○山花委員 かかわりがないというその考え方については恐らくそういうことだと思います。私が伺っておりますのは、そういう放送大学がスタートしたそのときに、NHKが、私が先ほど伺ったところでも、大変長い時間、また全体の番組の中の約二一%を割いて今日番組をつくっていらっしゃるということですから、その番組、かかわりないと言っても、一体どういう影響が出てくるのか、今後それを充実させるのか、もうやめてしまうのかというような、放送大学との関係で現状の教育番組、教育放送をどうしようと考えているのか、こういうことをひとつお答えいただきたいと思います。
  276. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもは、やはりNHKの教育番組というものを充実していくというふうに考えておりますので、それがやはり視聴者の御要望に沿うゆえんであろうというふうに考えております。
  277. 堀四志男

    ○堀参考人 ただいまの会長の御答弁のとおりでございますが、要するに放送というものが教育に対して寄与できるということは私たちの喜びでございますし、またそういう意味放送大学という放送一つの基調にした大学ということは、私たち放送事業者にとっても好ましいと思っておりますが、いずれにいたしましても現在の直接影響を受けると思われるものが、生涯教育を除きましては、先ほどから先生指摘の通信大学生を対象にした大学講座は、放送大学の発足と同時にかなりの見直しをせざるを得ないのじゃないかと思っております。しかし、これも通信制大学を持っております大学当局と、そして新たにできる放送大学との関係の調整を基本にして行われるべきものだというふうに考えております。
  278. 山花貞夫

    ○山花委員 いま、見直しというお答えがありましたけれども、単なる見直しということではなくて、放送大学とのかかわり合いでNHKの教育番組、教育放送がどうなっていくかということについては、もっともっと議論すべきこと、あるいは協会の中で対策として考えていることがおありになると思いますけれども、実はその問題についてもう一度伺う前に、少し教育大学の関係でひとつ伺った後で、もう一遍伺いたいと思います。  郵政省の方に伺いたいのですが、先ほどの協会の方の答弁の中でも、協会の方でもUHFを割り当ててもらいたいということを従来かなり運動したのだけれども放送大学との関係でこれは見込み薄になって計画が変わった、こういう御返事があったわけですが、放送大学については一定の準備が進んでおるようですが、電波の関係については、これは教育事業と放送事業とをあわせ行う特別な法人を構想して電波の免許を受ける、こういうことになっておるわけですから、どういう割り当てにするかということについて、すでに相談が進んでいるのでしょうか、あるいはこれまでに決まったところがあるのでしょうか、その点について、もしわかりましたら教えていただきたいと思います。
  279. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 お答えいたします。  その前に、先ほどNHKからの方でUHFの局の話がございましたが、実はこのUHFの局はNHK放送試験局ということで東京と大阪に置いたものでございます。この目的といたしましては、UHF関係の技術の調査といいますか、まずそういう試験内容とそれともう一つが、放送大学の問題、二つを含んでおりました。これは放送大学の実験番組は五十年の三月十三日で終わったわけでございますが、その時点ですでに技術関係の調査が済んでおりましたので、あわせまして廃局になった。五十一年の二月六日に廃局になっております。こういう事情でございます。  それから、ただいま先生から御質問ございました放送大学の電波の面でございますが、この面につきましては、放送大学というものが、やはりNHKが従来行っております教育番組とは異なりまして、やはり文部省で計画しております放送大学では資格をとらせようというのが大きなねらいになっておるわけでございます。その点で番組内容も多分、その放送大学とそれからNHK番組とは目的が違いますので、異なるものとなってくると思いますが、いずれにいたしましても、この放送大学の構想は相当以前から出てきておりまして、われわれといたしましては、放送大学がどういう形で進んでいくかということをいろいろ文部省と検討しました結果、やはり特殊法人という形で放送大学を進めていくというのが適当であろうということになっております。したがいまして、われわれといたしましても、電波を利用してこういうものをやるということで、賛意を表しているわけでございますが、そのためにテレビの波といたしまして一波、それから音声放送用の波として一波確保しておこうということで、この点について具体的な、技術的な割り当てはまだ決まっておりませんが、方向といたしましてはテレビの波一波、それから音声の波一波、これを確保しているわけでございます。
  280. 山花貞夫

    ○山花委員 方向としてはというお話でしたけれども、短波放送とUHFを予定している、こういうことではありませんか。現状のということで結構ですが。
  281. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 四十四年十一月の時点におきまして大体そのような構想が出てまいりましたが、そのときではテレビジョン一系列、ラジオ一系列の周波数を確保するということでございますが、現実の問題として多分、これはまだ確定いたしておりませんが、テレビジョンではUHFの波になるのではなかろうかというふうに考えておりますし、またラジオの方も中波という、現在の放送大学の構想からいきますと、短波、中波というのではむずかしかろうということを考えております。
  282. 山花貞夫

    ○山花委員 さてこの電波の関係ですけれども、「放送大学の基本計画に関する報告」、これを拝見してみますと、「この電波網の整備計画を考え前提として、」 一つには、発表された時点ですけれども、「現在研究開発中の放送衛星の利用の可能性について検討した。衛星による放送は、放送大学の通信方式として望ましいものと考えられるが、その利用の見通しが確定するには、なおかなりの年月を要すると思われる」から一応ここではおく、こういう形になっています。これは五十年十二月十七日の報告書の内容であります。ところが、午前中の質疑の中でも、放送衛星のテレビ電波割り当ての国際会議日本が八チャンネルを獲得した、こういうことから、NHKと並んでの全国ネット放送局の誕生というものが話題となってくる中で、そのうちの一つ放送大学が使用する、こういうことが計画されているのではないか、こんなことが報道されたりしているわけですけれども、五十年十二月の段階ではまだ放送衛星問題がまさに未確定であったわけですけれども、今般実験用静止衛星「きく二号」の打ち上げ成功、そしてそこから来る放送衛星見通しという観点から考えて、その点についてすでに内部的な協議が進んでいるのではないでしょうか。その八つの波のうち、一つ放送大学にということで進んでいるのではないでしょうか。
  283. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 先生から御指摘ございましたようなことが、放送大学に関する報告書の中では、これは五十年十二月でございますが、書かれてございます。先ほどのBSの世界的な会議でございますが、ここで八チャンネルを日本が取れるということも決定したわけでございますが、従来から、この会議とは別に、放送衛星の性能から考えましても、放送衛星を使いますと、やはり一つの周波数で日本全土をカバーできるという非常に有利な点がございます。したがいまして、放送大学のように全国あまねくカバーしての教育放送を行うということになりますと、非常に有効な手段だとは思いますが、ただやはり文部省の方でもそのように今後の利用の見通しが確定するには年月が必要であるので計画には入れてないということで、一応文部省の計画からは落ちております。したがいまして、われわれといたしましては、今後文部省などといろいろ接触いたしまして、文部省の方でこういう衛星を使っての大学をやりたいというような御希望でもございましたら、われわれは今後の放送衛星の周波数の割り当ての計画の中に放送大学も入れて考えるべきであろうというふうには考えてはおりますが、ただ、放送大学自体は、きょうの午前中に文部省からも話がありましたように、やはり現在は地上からの放送でやっていこうという計画で現在進んでおります。したがいまして、この点につきましてさらに文部省と検討を重ねていきたい、かように考えております。
  284. 山花貞夫

    ○山花委員 すでに放送大学が設立されて電波の免許が具体的に問題となっているという日程ではありませんから、いまのお答えのされ方も理解できないではありませんが、しかしこの八つの波の割り当てをもらいますと、一定の年限内にそれを使うということになってくると思います。もし使わなければなぜ八つの波の割り当てを受けたのかということにもなってくると思うのです。そうすると、いまのお話の中でも、文部省の方の計画を立てて、そしてその法人ができ上がったという段階になると、注文が来ればその一本の波は放送大学に割り当てられる可能性が大変強いのだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  285. 石川晃夫

    ○石川(晃)政府委員 あるいは私の御説明がまずくて誤解をお招きしたかとも存じますが、この今回の会議で八つの周波数を日本が獲得した。これはいわゆるわれわれの考え方からいきますと、今後衛星を使っての放送業務、これに対する資源というものの考え方でございます。この間の会議で検討されましたのは、十一・七ギガヘルツから十二・二ギガヘルツまでの五百メガヘルツ、これは第三地域でございますが、この地域に大体こういう電波的な資源がある、そのうちで日本はどのくらいの周波数を必要とするか、こういうようなことからこの会議が始まったわけでございます。したがいまして、われわれいろいろな諸般の状況を考えまして、日本としてはただいま申しました周波数帯で二十四、五のチャンネルがとれるであろう。それを近隣諸国あるいは日本国内事情、こういうものから計算いたしまして、大体八つくらいは日本で使える可能性がある。これは混信とかなんとかがないということでございますが、そういうことから考えまして、日本としては八波を要求したわけでございます。したがいまして、いずれにいたしましても、これはまだその使用の目的ということが決まっての要求ではございません。したがいまして、これからこの波をどういうふうに使っていくか、これは非常に貴重な資源でございますし、今回の協定が十五年間という期間でございますので、その間に全部使い果たしていいものか、あるいはやはり逐次使っていくべきか、この辺が実はまだ検討に至る前の段階でございます。今後そういう問題について検討しながら、一方、NHKなどでも難視聴解消に使いたいとかいら御希望もございます。ですから放送大学の御希望、あるいはNHKの御希望、こういうものを絡み合わせながら今後の計画を立てていきたい、かように考えておる次第でございます。
  286. 山花貞夫

    ○山花委員 時間の関係から質問を先に進めまして、次に文部省の関係で伺いたいと思うのですけれども、午前中の質疑の中で、本年度予算要求の経過、要員確保についての構想等についてお話を伺いました。もう少し私の方もつけ加えて伺っておきたいと思うのですけれども、従来われわれが理解しているところでは、放送大学の構想として五十二年度創設、五十四年度から学生の受け入れ、こういうことになっておったと思います。そして現実に五十二年度の今度の予算要求の中でも、文部省はかなりの予算を要求したけれども、それが認められなかったという経過ではなかったかと思いますが、どのくらい予算要求をして、結論がこうなって、その予算による本年度の事業計画はどうなっているという観点でひとつお答えいただきたいと思います。
  287. 大崎仁

    ○大崎説明員 お答え申し上げます。  五十二年度予算案の要求に当たりましては、ただいまのお言葉のように五十二年の七月に放送大学を設立する設立主体を創設し、五十三年度に大学を開学し、五十四年から学生を受け入れるという一応の計画を前提にいたしまして、五十二年度には特殊法人を設立するための経費、それから設立をいたしまして早速大学開設の諸準備あるいは法人大学の施設の整備に要する経費といったようなものを含めまして、概算約二十億弱のものを要求いたしたわけでございます。  そういうことで要求いたしましたが、結果といたしましては、午前中にも申し上げましたとおり、約三億ということで政府原案には計上されておるわけでございます。  これは、前年度約一億七千万程度でございましたので、額としては一億余りの伸びではございますが、要求に比しますと当初の要求で願っておりました特殊法人の設立が認められなかったということの関係で、金額的にはかなり減ったものということになっておるわけでございます。
  288. 山花貞夫

    ○山花委員 三億の査定ということで、具体的に本年度の計画は何と何と何をどの程度進めることになっているのかということについて、具体的に話してください。
  289. 大崎仁

    ○大崎説明員 三億という経費でもってどのような事業が予定されているかということでございますが、一つは、具体的な教育課程の編成に入りたい。これは基本計画で一応教育課程の例示のようなものがございますけれども、実際にどのような教育課程で教育を実施するかということがまだ具体的に定まっておるわけでございませんで、その教育課程の編成をさせていただきたい。それからその教育課程に基づきまして個々の科目につきましての教材、それから放送番組を作成するに必要な台本的なものといったようなことにつきまして、約二十科目程度はその作成に着手をいたしたいというのが従前になかった新しい要素でございます。  それから、具体に放送番組を作成いたしまして放送教育を行うということにつきましては、これも午前中申し上げましたように、東北大学、広島大学、それから私立大学通信教育協会でそれぞれ本年度から実施をしておるわけでございますが、明年度それをさらに拡充をして実施をいたしたい。内容的には、私立大学通信教育協会の方は大体本年度の線を踏襲するわけでございますが、東北大学と広島大学につきましては、従来テレビでそれぞれ二科目分の放送及びそれに基づく指導を行っておったわけでございますが、それにそれぞれラジオ各二本を追加しまして拡充をして放送教育の施行をしていただくということが第二点でございます。  それから第三点といたしましては、従来とも準備要員の措置があったわけでございますが、新たに室長、副室長の定員措置をいたしまして、創設準備室というものを正式に発足をして、先ほど申し上げましたアカデミックな準備の中心として準備の体制を整えさせていただく。  それから第四点といたしましては、本部の施設の基本的な設計等施設関係の調査、検討、準備に着手をするということを考えておるわけでございます。  その他従来からの調査あるいは開発、その他の検討等は引き続き取り進めていきたい、こういうことでございます。
  290. 山花貞夫

    ○山花委員 いま三億の予算でこの程度をやるということを若干抽象的にお話しになりました。そういうお答えを聞いた上で私が大変疑問に思いますのは、この放送大学については文部省の構想ということでいろいろな論文、資料によって知ることができるが、その構想を見てみますと、大変膨大な人と金と設備を必要とするということではないでしょうか。  全国の高等教育を受けている学生が約二千万、ところが放送大学だけで四十五万から五十万を対象としていこう、こういう壮大な計画のように承っています。あるいは放送大学の人的な配置ということで見てみましても、職員数として専従職員が二千名、非専従の職員が五千五百七十二名、こういう人員を要するということが予定されているようであります。また全国に約二百のテレビやラジオの送信所をつくるあるいは全国に八百七十のビデオセンターを建設する、そして年間の予算、最大時規模においては二百九十億円を要する、あるいは資本的な投資の総額は八百七十億円を要する、こういう構想のように承っているわけですが、そうした構想は、本年度予算はこう使うというような説明を土台として、一体いつごろから学生募集というようなスタートをイメージとして持っておられるのでしょうか。それが可能なのかどうかということが関連するわけですけれども、具体的にいつから学生募集をスタートさせる予定であるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  291. 大崎仁

    ○大崎説明員 先生指摘のように、基本計画においてはただいまのお話のような線で立案をされておるわけでございます。  ただ私どもといたしましては、大学教育という観点から見ましても全く新しい試みでもございますし、お話のように多額の経費を要する計画でもございますので、基本計画に示されたところは当然踏まえて準備を進めるわけでございますが、一歩一歩着実に実現を図っていくということで、短期間のうちに一挙に基本計画が示した線の事業を展開するというところまでは考えていないわけでございます。  なお、今後の計画でございますけれども、五十二年度予算要求に当たりましては、先ほどのお言葉のように五十四年から学生の受け入れということを前提に要求をいたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたようなことになっておりますので、遺憾ながらいまの時点で今後の具体的なスケジュールについてはっきり申し上げられるという段階にはないわけでございます。
  292. 山花貞夫

    ○山花委員 従来の計画ということを念頭に置きますと、今日の準備の段階考えてみた場合に、一体可能性があるかどうかということ自体にかなり疑問を感ぜざるを得ないわけであります。  実は、いろいろこの関係で出ている論文など拝見いたしますと、とにかく文部省の皆さんの構想というものが果てしなく広がっていく、こういう感じを受けます。一番新しいものでは、七七年一月郵政省の広報出版物に西田亀久夫さんがお書きになったものがありますけれども、かなり詳細な内容となっています。そこでは、「日本の社会的背景、教育の普及度、電子技術の水準などからみて、世界でも例のない巨大なプロジェクトに発展する可能性をはらんでいる。」こういう観点で壮大な構想が描かれているわけでありますけれども、実はこの問題について恐らくアメリカの場合、イギリスの場合、西ドイツの場合、外国における制度ということについてそれぞれいろいろな形で参考にされる中から今日の文部省の構想ができ上がっているのではなかろうかと思いますけれども、具体的な問題で言えば、西ドイツの場合などは当初放送大学構想はまさにありましたけれども、いまでは独立した形で放送大学という考え方は完全に放棄されたというようにわれわれ理解されているわけであります。既存の大学教育の中にテレビを取り入れていかに教育的効果を高めるか、こういう点に重点が置かれている、これが西ドイツの現状であると理解します。  一番よく参考にされておりましたイギリスのオープンユニバーシティーの場合には、これは七一年一月から発足して一定の実施段階を経ておるようでありますが、この場合にもわれわれが調べたところでは教育者と番組をつくるプロデューサー合わせて本部だけで八百人、このほかにカウンセラーとかコースチューター、こういう指導員が各地に四千四百三十四人置かれている。放送だけではなくて、大変きめ細かい個別指導が行われている。こういうようにイギリスの場合には進められているというような諸外国の事例から見て、日本の場合にはイギリスの放送大学といいますか、オープンユニバーシティーを一つのモデルとしてということではないかと思いますが、基本計画からスタートいたしまして、五十年の十二月十七日に発表された報告書、こうした構想というものが実現する可能性があるのかどうかを含めて、あるとするならば、文部省は一体どのくらいに構想を置いているんだ、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  293. 大崎仁

    ○大崎説明員 お言葉のように、国際的に見まして一番組織的、体系的にやっておりますのは、イギリスのオープンユニバーシティーでございますが、これも放送の持つ比重が、これは記憶で申し上げるので数字が間違っておりましたらお許しをいただきたいと存じますが、発足当初は放送による指導の占める比重が約一割程度であったものが、最近だんだん増加をしてまいりまして三割程度になってきたというように承知をいたしております。ただわが国というか、私どものいま検討しております放送大学につきましては、放送の比重がさらに大きいものでございますので、それだけに十分慎重に準備を進めながら実施をしなければならないと存じておるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり現在の国公私立の大学の関係者の御協力をいただきまして、わが国の大学における教育研究の成果というものを広く国民の皆様に放送という媒体を通じてお届けをする。また、それを通じまして生涯教育の一環としてあるいは新しい卒業者の新しい就学形態として、さらにはいまの大学教育自体への一つのインパクトとしましても、非常に有意義なものとしてぜひつくり上げていきたいということで努力をいたしておるわけでございます。ただ、お示しのように、基本計画に盛られましたものは、全国的にこうありたいという願望も込めまして、基本計画というものが調査研究会議で練り上げられたものでございますので、その基本計画に書かれておりますとおりのものが短期間に実現するということは率直に申しましてなかなかむずかしかろうと思いますけれども、ともかく現実の課題として何とかスタートし、それを一歩一歩育てていただけるようにお願い申し上げたいと存じておるわけでございます。
  294. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話の中でも従来の計画が一つの願望である、こういう趣旨のお話がございました。実は願望といっても、その内容が、具体的な話を進めてまいりますと、とにかく膨大な人的、物的な設備を要する。経費も大変たくさんかかる。ところが、その経費については、基本的な計画によりますと「放送大学は、放送その他の媒体によってすべての国民に広く筒等教育の機会を開くものであるから、大学創設のための資本的投資及び放送内容の制作とその伝達その他の一般的な経常費は、すべて公費負担とする。また、この大学の研究活動についても、同様とする。」まるごと国の負担で、こういう内容で構想されているはずであります。職員についても、先ほど指摘しましたとおり常任で二千、さらに非常勤ならば五千六百を要する。これだけの大きな施設を国の負担でつくりあげていくということになれば、国立大学を一つつくるということではとても済まない経費の負担を国に強いるということになるのではないでしょうか。単なる願望ということで考えれば、今日のマスメディアを使ってそして教育問題を考えるということの中でさまざまな願望は果てしなく広がると思いますけれども、しかしこの基本計画に盛られているような願望を実現するということについては、私は大変むずかしいのではないかという気がいたします。いまその願望という言葉もお使いになりましたけれども、もう一度文部省に伺いたいと思うのですが、ここの基本計画に掲げられているような約四十五万の生徒を対象にして放送大学が機能していく、こういう構想が実現していく可能性がいまあると考えているのか、もう一遍練り直さなければいけないという考えが出てくる余地はないのか、その点について伺いたいと思います。
  295. 大崎仁

    ○大崎説明員 五十二年度の概算要求の際にとりました私ども考え方を御紹介申し上げますとあるいは御質問の趣旨に沿うのではないかとも存じますので、恐縮でございますが、その際の文章の一部を読み上げさせていただきます。「放送大学の創設については、昭和五十年十二月に、これまでの検討の結果を総合して基本計画がとりまとめられた。放送大学の構想は、わが国として始めての試みであり、かつ、影響するところの大きい重要な事業であるので、基本計画の趣旨を尊重しつつも現実の諸条件を十分に勘案し、創設を進める必要がある。よって、当面、次のとおり第一期の実施計画を策定し、これにより放送大学の創設を図るものとする。」ということで、基本計画に集約されております御関係の皆様方の御意向は十分体しながらも、現実の課題としましてはステップ・バイ・ステップでいくということで概算要求をいたしたわけでございます。その際の第一期計画ということで考えております規模といたしましては、これは一応対象の地域を東京タワーからテレビ、ラジオの電波の到達する範囲というものをまず想定をいたしまして、入学者数が第一期計画完了時約一万七千人、在学者数三万人、職員数五百九人、所要経費としまして資本的経費が累計百五十五億円、経常的経費が四十二億円、それに学生等からの収入を一応十二億円といったような見込みのもとに予算要求をしたわけでございます。もちろん五十三年度以降の要求につきましては、また改めて関係省庁とも御相談をしながら考えてまいりたいと存じておりますが、現実の課題として考えた場合に、一挙に基本計画に盛られたような形がすぐに実現するということは私どもとしても無理であろう。しかし、願望も含まれておると言った点は適切を欠いたとすればおわびを申し上げますが、一つの将来の目標ということで基本計画を踏まえさせていただきました上で、現実の諸条件考えながら一歩、一歩育てていただき、かつ、現実の課題としてまいりたいというのが私ども考え方でございます。
  296. 山花貞夫

    ○山花委員 いまのお話でも、基本計画の一番もとは四十九年三月二十二日に発表されているものだと思います。それを踏まえて、五十年十二月十七日、その準備をされた中で基本計画に対する報告ができ上がりました。いまのお話を伺ってまいりますと、一つの願望、期待というものがこの計画の中には入っておる。したがって、現実的にその計画を修正して、ことしの予算を出した。ところがその予算さえばっさり切られてしまったということになりますと、願望であった、現実的な政策をつくった、それもばっさり切られたということであるとするならば、もうこの基本計画全体についてとても実現の可能性がなくなっている、どうしてもこういうように考えざるを得ないのではないでしょうか。本来この放送大学の構想がスタートしたのは、かつての東大の紛争の後の六九年三月、文部大臣の諮問機関であった社会教育審議会の「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について」、教育委員会あるいは大学が少なくとも一つの教育専門局を持つべきではないか、こういう答申の中から、かつて大学管理法がありましたけれども、いわば紛争なき学園、一つにはこうした考え方を基盤として放送大学の構想というものが進んできたのではないか。そしてそれが時代の変化の中で、その意義、必要性ということについて、かつてと今日では、放送大学に対する世論の関係もありますけれども政府部内の取り組み方もあると思います、ずいぶん変わってきたのではないか。この基本構想自体についてももう根本的に変えるべき世論の背景と閣内の意見とそして現実の困難性というものが出てきているのではないかというように思いますけれども、この点、文部省はどう考えておられるでしょうか。また、この点について大臣の方でどうお考えかということについても伺っておきたいと思います。
  297. 大崎仁

    ○大崎説明員 若干余分のことにわたりまして恐縮でございますが、私ども文部省といたしまして、要するに高等教育の将来をどうするかということで、全般的な検討を高等教育懇談会というところで四十七年以来続けていただきましたもののまとめができておりまして、その趣旨に沿いながら現在高等教育全般の施策を進めておるわけでございます。その基本的な考え方といたしましては、大学に進学する意欲を持つ学生あるいは父兄が年々増加しておるわけでございますけれども、このような御要請をどう受けとめるかということにつきまして、平たく申しますと、当面は、大学は量より質ということで、量的な拡充をある程度抑え目にいたしまして、質の充実を図ってはどうか。ただ、その前提といたしましては、そういう教育の機会を得たいという、高等教育の機会に対する国民の御要請に対しまして、多様な御要請に対処し得る体制を整えるということが基本的に重要ではないか。そういうことで、高等教育というものを多様に柔軟に考えていく。いわゆる通常の短大、大学に進学をするという一本調子のものではなくて、通信教育、放送大学あるいは専修学校といったような形で、多様に、弾力的にこれを受けとめていき、国民の高等教育に対する要請あるいは国家社会の必要性というものを満たしていってはどうかというのが基本的な考えにあるわけでございます。今後筒等教育のあり方を考えます際に、放送大学というものがどうしてもその中で非常に大きい役割りを果たし得るし、また果たすようにしなければならないという考え方を高等教育全体の考え方の中でも持っておりますので、基本計画に盛られました具体的な御提言あるいは対象地域を一挙に全国にするかどうかといったような問題点につきましては、今後またさらに検討する問題が多々あろうかと存じますけれども放送という媒体を大学教育の中に取り入れるということによって、高等教育の機会というものを弾力的、多様なものにしていくということについては、私どもとしてはぜひ実現をしたい。そのためには放送大学というものをぜひ実現させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  298. 山花貞夫

    ○山花委員 大臣のお答えをいただく前にちょっと……。  いまのお話の中にも、文部省の一つの願望、国家有為の人材を、こうした放送媒体を利用して養成していくといった観点から一つ考え方が出ておった気がいたします。しかし、いま最後お話を伺いましても、従来の基本構想にあった、これだけの施設をかけた、これだけの金をかけた放送大学が、では一体なぜ必要なのかということについての説得力あるお話は全くありませんでした。  実は、そうした文部省のお答えを伺いながら、大臣に伺いたいと思うのです。  この基本構想に盛られている放送大学構想というものは、すべて国の負担で大学をつくっていくということであります。先ほどのお答えでは、その点については法人設立というところまでまだ来ておりませんでしたから、今日の放送法体系をどう変えるのかとか、あるいは電波について、八チャンネルのうちの一つをとる、どうかというような問題についてはまだ明確なお答えはいただけませんでしたけれども、もしかしたらそういう必要がなくなるのではないかという気もしないではないわけであります。いわば国営放送ともいうべき、国が全部まる抱えで放送大学というものをつくる必要性という背景が全然違っているのではないかというふうにきょうの話から感じたわけです。そうした文部省のきょうのお答えを踏まえて、大臣、この問題についてどのように現在把握されておるか、対処するおつもりなのかということについてお話しいただきたいと思います。
  299. 小宮山重四郎

    小宮山国務大臣 昭和四十四年の十月に放送大学の検討を始めるという閣議報告があって、その後いろいろないきさつがございます。その四十四年に決める前の、いわゆるアポロ計画等々の影響を受けてこういう構想が生まれてきておるのであります。午前中も申し上げましたけれども、この計画の中では、人工衛星ができることによって発展途上国、特にインド、アフリカ等にやはり教育をやろうではないかというようなことをアメリカ、フランス等々が考えておって、その計画の一つの派生的なものとして放送大学ができたやに私は聞いております。実際、先生のおっしゃるとおり、大変な問題であります。事実、この放送大学を国がまる抱えでやるということは大変な費用が要る。それなりに、われわれもそういうことを踏まえて、ことしも特殊法人化の動きをいたしましたけれども、行政改革等もございまして、それが実現できなかった。それは私は、実を言いますと、やはり恵まれない人たち、社会で一生懸命汗水をたらしている方々放送大学を通して教育の機会を与える一つの大きな機会であろう、そういう意味では、大変賛成であります。そういう構想ができたときには、それはNHKを使うかあるいは別に新しいチャンネルを出してそれを用いるかは別としまして、これは大した重要な問題ではない。これは政府が腹を決めればよろしいことでございます。そういう意味でも、基本構想に盛られている、確かに私もそうあるべきであろうと思う。ただ、私も教育関係を十五年ほどやっておりましたけれども、もう一つ重要な問題はヒューマンリレーションというような問題、それから人格との問題、こういう問題。ただ知識の切り売りということだけではなくて、一つ新しい、いわゆる放送大学をつくるなら、その大きなプロジェクトというものだけの夢ではなくて、現実に勤労者の青年に何を与えられるのだということを真剣に考え、当初は小さくても、それは少なくともスタートすべきだと私は感じております。
  300. 山花貞夫

    ○山花委員 実は最後協会の方に伺っておきたいと思うわけですけれども、きょうも文部省の方を通じて放送大学の構想現状についてある程度現実的な理解を得ることができました。ただ、冒頭、私が放送大学との関連において、今日のNHK放送番組あるいは教養番組、こうした現在のその内容をどの程度重要に考え、そして今後それをどう充実させていこうかということについて伺ったときに、実は放送大学との関係で一体どうなっていくのかということを含めて、どうもその辺の取り組みの姿勢が頼りない気がいたしました。もう一つの観点は、もしいまの文部省の考え方がそのままストレートに進んでいったといたしますと、とにかく専従で二千の職員あるいは五千六百の非専従職員ということになってまいりますと、人的な素材ということを考えれば、NHKか民放の引っこ抜きをやる以外には絶対にできない、これが現実だと思います。そういたしますと、この放送大学問題については協会としてももっともっと関心を払っていく中で、今日のみずからの業務ということを考えていただく、こういう姿勢が大変大事なのではなかろうかと思います。こういう観点から、放送番組についてあるべき姿ということを含めても結構でございますから、どのように今後取り組んでいくのかということについて会長の方から最後にお答えをいただきたいと思います。
  301. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKの教育番組に対する姿勢につきましては、私並びに堀放送局長から御説明申し上げましたように、非常に重視し、その充実に渾身の努力を傾注していきたいというふうに考えております。  なお放送大学とのかかわりにおきましては、現在文部省に設置されておりますいろいろな委員会等に私どもの方から専門家を派遣して、その委員会での御助力を申し上げておるわけで、先生指摘の、開校の暁に人的リソース等において引っこ抜き等のことがあるのではないかということは、これは将来の問題で、にわかにここでどうこう申し上げるわけにはまいりませんけれども放送法の中で許される範囲においての御協力というのはもちろん考えられるかと思いますけれども、当面は、そういうかかわりの中で文部省とかかわりを持っているというのが現実でございまして、NHKといたしましては、NHKの本来の教育番組の充実ということに渾身の努力を傾けたいと思っておる次第でございます。
  302. 山花貞夫

    ○山花委員 きょう、文部省を通じて、放送大学の準備の現状について伺いました。まだまだ議論すべきところがたくさんあると思います。冒頭申し上げましたとおり、放送法の体系、放送法の全体の改正の問題とも絡んで重要な問題があると思いますけれども、一応きょうお話を伺った限りでは、そこまでまだ行き着いていないという気もいたしますので、私の質問、以上で終わらせていただきたいと思います。
  303. 八百板正

    ○八百板委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会