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首藤政府委員 地方債を依然として許可
制度にかかわらしめております一番の
理由は、戦後ただいままでの金融情勢、こういうもとにあっては資金
配分をどうするかということが一番重要な問題であるということが一番大きな
理由でございます。これはもとより公的資金と
民間資金の
配分の問題もございましょうが、一応
地方債
計画ができ上がりました後におきましても、
地方公共団体間の資金
配分をどうやっていくのか、これが非常にむずかしい問題でございます。御
承知のように三千数百、千差万別の
団体でありますので、この中には、幾らでも銀行とつき合いがあって、相当の
程度のところまでは幾らでも借りられる、利率も安く借りられるというところもありますし、幾ら逆立ちをしてみても銀行は鼻にもかけてくれない、農協あたりから借りようとすれば物すごく高い金利を吹っかけられる、こういう
団体もあるわけでありまして、そういう
団体に資金
配分をどうするかということを考えませんと弱肉強食の
事態は容易に生ずるわけでありまして、
貧弱団体はどうにもならない、こういう
事態になります。そこで、資金
配分を
適正化するためには、どうしても、
地方債の許可
配分について一定の配慮をせざるを得ない。これが第一でございます。
それから第二は、
地方団体の
財政運営のあり方等につきましてもやはり留意をしなければならぬ
事態がしばしば生ずるわけでございまして、そういう
理由で許可
制度が続いております。したがいまして、御提案のように公債
比率をたとえば一五%まで限って、そこまではフリーだというのは、
財政運営の面から考えれば
一つの線かと思います。しかしそれであっても、極端な例を申し上げますと、いまのところ二%か三%しかない公債
比率を、ある時期の市長さんだけが一挙に一五%に上げるような
地方債の発行をしてしまうと後が運営がつかなくなる、こういう
事態も――これはまあ極端な例でございます。そんな非常識な
団体もないかと思いますが、それはそれといたしまして、前段に申し上げました資金
配分の問題が非常に大事だ、こういうことでございます。
そこで、御
指摘の許可
制度を取っ払えという
議論の中には、
地方債の許可
制度のあり方そのものが非常に繁雑だ、これが
地方団体の自主性を侵害する、こういう御
指摘もあるわけでありまして、この点は私
どもとしては十分気をつけなければならぬと思います。そのために対応する
対策としていま考えておりますのが
地方債の枠
配分でございまして、
地方債
計画の中で最近非常にまた広げてまいりましたが、一般会計の例で引きますと、
地方債
計画の中のほとんど八割、ここまでの額はいわゆる枠
配分という手法によりまして県ごとに枠を決めまして、枠を配っております。その中でどのような事業をどこの
団体にどう選ぶか、これは地元の実情によく合った県と市町村が相談をしてもらって自主的に決めていただく、その
配分の報告をしてもらえば私
どもはそのとおりに許可の取り扱いをする、こういう扱い方をしておりますのが最近の
地方債の行き方でございます。そのような方向で枠
配分をことしもまたずいぶん広げましたが、なお今後とも検討して、できるだけ簡素化に向かいたい、こう考えております。
それから、ことしの
地方債許可方針の改正点の
一つの大きな特徴は、いわゆる公債
比率によります
地方債の制限を緩和したということでございます。最近
財政状況も悪くなりまして、
地方債に依存する率が高くなりましたので、
公共団体の公債
比率が高まってきております。そればかりではございませんで、人口急増地域等におきましては、学校建設そのほかの新規の
財政需要に伴いましてどうしても
地方債が
増加をいたします。
そこで、いままでのように、
原則的に公債
比率が二〇%を超しますとある
程度の制限を加えるという
事態を単純に適用していくのには
事態が少し変わってきた、このような認識を私
ども持っております。こういった
団体に対します
財政援助の考え方としては、
先生御
案内のように、人口急増地帯等に対しては公債費の一定の額を、償還費を
地方交付税を通じて確保をしていく。つまり、
交付税の
基準財政需要額に償還費を見ていくという手法を取り入れておりますが、今回の
措置は各
団体の公債
比率を
計算するときに、国が
財政補てんをする、
交付税を通じて償還
財源を見る、このような
地方債については公債
比率から除外をする、カウント外にする、そういうことをもって公債
比率を
算定をしていく。こういたしますと、たとえば大都市周辺の人口急増の市町村、こういったところで起債制限をする必要が
現実になくなります。そのような
措置をとることを明示をいたしましたのが、ことしの
地方債許可方針の一番大きな改正点でございます。