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1977-04-05 第80回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月五日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 木村武千代君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       西田  司君    堀之内久男君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       権藤 恒夫君    和田 一郎君       中井  洽君    三谷 秀治君       川合  武君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 国川 建二君         自治政務次官  中山 利生君         自治大臣官房長 近藤 隆之君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省行政局公         務員部長    石見 隆三君         自治省財政局長 首藤  堯君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 長尾 立子君         消防庁消防課長 諏訪部 信君     ――――――――――――― 四月四日  退職教職員年金制度改善等に関する請願(瀬  野栄次郎紹介)(第二四七三号)  行政書士法の一部改正に関する請願久保三郎  君紹介)(第二四八八号)  同(二見伸明紹介)(第二五六四号)  同(久保三郎紹介)(第二五九三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月一日  地方財政確立に関する陳情書外二十四件  (第九八号)  日本道路公団等有料道路に対する固定資産税  課税に関する陳情書外二十四件  (第九九号)  市街化区域内農地固定資産税等適正化に関す  る陳情書(第一〇  〇号)  農業用敷地固定資産税適正化等に関する陳情  書(第一〇一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井洽君。
  3. 中井洽

    中井委員 私どもの郷里の上野市というところも赤字再建団体準用を申し出まして、大変いろいろと御迷惑を自治省におかけしているようでございますが、それに関して、上野市ということではなしに、赤字再建団体ということについて、二、三お尋ねをしたいと思うのです。  現在、赤字再建団体準用をされている地方公共団体というのは数が幾つございますか。
  4. 石原信雄

    石原(信)政府委員 現在の準用団体の数は八団体でございます。
  5. 中井洽

    中井委員 これらの自治体が赤字再建団体になった、その主な原因、共通した原因といったものがあればお教えを願いたいと思います。
  6. 石原信雄

    石原(信)政府委員 現在の準用団体はそれぞれの特殊性によって赤字を生じたという面もありますが、全体をながめまして、そこに共通する原因として指摘できますのは、一つは類似の団体と比較いたしまして職員数が多いということ、それから概して給与水準が高いということ、こういった面で人件費割り高という点が指摘できると思います。それから、第二の傾向といたしましては、財源事情を考慮しないでといいましょうか、ある意味では将来の不確定な財源を期待して過大な施設をつくる、過大な施策を行うといった面が指摘できると思います。それから、これらの要因とある程度は関連を持つわけでありますが、実質的に財源が足りないために、いわゆる債務負担行為というような形で、あるいは開発公社等を使っての実質的な債務累積を重ねるという形で大きな赤字を生じたという団体もございます。概略申しまして、以上三つの点が共通して赤字原因として指摘できるのではないか、このように存じます。
  7. 中井洽

    中井委員 そうしますと、これらの準用団体再建計画自治省が御指導なさるというか、承認をなさっていく中で、基本的にどのような姿勢で再建案というものを指導なすっているのか、そういった点についてお尋ねいたします。
  8. 石原信雄

    石原(信)政府委員 私どもは、不幸にして赤字を生ずるに至った団体がその財政を立て直すための計画を策定いたします場合には、基本的には赤字を発生する原因となりました歳入、歳出両面の構造的な要因、これを改めるという点に重点を置いております。すなわち、経常的な経費についてこれをできるだけ削減、合理化していく、そうすることによって住民サービスに必要な財源を生み出す、別の言葉で申し上げますと、経常収支比率をできるだけ低くするといいましょうか、財政体質を強化するということを主眼に再建計画の策定の指導を行っております。
  9. 中井洽

    中井委員 大変厳しく御指導をいただいているようでありますけれども、そういった財政体質に対する指導以外に、自治省として、再建計画がなった後その地方公共団体に対する特別の援助あるいは補助といったものはどういった点でお考えをいただいているのでしょうか、お尋ねいたします。
  10. 石原信雄

    石原(信)政府委員 再建準用団体に指定されますと、まず第一に、その累積赤字につきまして、政府資金による短期の融資を行って実質的にその赤字をたな上げするようにいたしております。また、このたな上げされた赤字に対する短期資金利子の支払いにつきまして年四%の利子補給特別交付税によって認めております。それから各団体によりましては、再建団体の指定を受けざるを得なくなった理由の中に、各地域特殊性による財政需要等があることが明らかになります場合には、これらについては特別交付税算定等を通じましてできるだけ再建計画が円滑にいくように必要な措置を講じておるところでございます。
  11. 中井洽

    中井委員 これらの赤字再建団体に対するそういった指導あるいは援助、そういったものは昭和二十九年につくられた地方財政再建促進特別措置法、これを準用することによって行われておる、こういったことで理解してよろしいわけでございますか。
  12. 石原信雄

    石原(信)政府委員 そのとおりでございます。
  13. 中井洽

    中井委員 私も前にも申し上げたように初めての委員会でございまして、新人でございますので、経過等がわからないわけでございますが、昭和二十九年のこの法律準用するという形で済まさずに、現在のいわゆる財政難、あるいはこれからもまだまだ財政難が続いて、自治省のいろいろな指導にもかかわらず、こういった赤字再建団体がまだまだ出てくるのではないか、こういう感じもするわけでございます。そういった実態にかんがみて、新しく赤字再建団体に対する法律案実態に即した法律というものをこの際おつくりになる、こういったお考えはございませんか。政務次官、どうでございますか。
  14. 中山利生

    中山政府委員 御承知のように二十九年当時の赤字発生状況は非常にはなはだしいものがあったわけですが、その当時は地方財政制度そのもの欠陥があって、そういう団体がふえたということでございますが、今回は先ほど審議官から御説明申し上げましたように、八団体ということで、これは制度上の欠陥ではなくて財政運営欠陥による赤字団体ということで、準用でこの解消ができるのではないかというふうに考えております。
  15. 中井洽

    中井委員 そうしますと、まあまあいろいろな再建案の中で、先ほど原因の中に職員数あるいは給与、こういったものが他の団体に比べて標準を超えて、あるいは財政規模を超えてルーズにやられておる、こういった面の指導等もやられておるようでありますけれども、特に人件費についてどういった基準で正しておられるのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  16. 石見隆三

    石見政府委員 地方団体職員給与あり方の一般的な考え方としてお答えを申し上げたいと存ずるわけでありますが、御案内のとおり地方公務員給与につきましては、地方公務員法規定によりまして、生計費あるいは国家公務員給与、他の地方公共団体職員給与あるいは民間給与、その他のもろもろ事情を考慮して定めなければならないという規定があるわけであります。  ところで、国におきましては、独立の専門機関でございます人事院におきまして、給与制度全般についての研究を行っておられるわけでありまして、毎年、生計費あるいは国家公務員民間従業者給与の比較の上に立って、国家公務員給与水準についての勧告を行っておられるわけであります。国家公務員につきましては、この人事院勧告によって給与制度というものが確定をいたしておるわけであります。したがいまして、地方公務員給与につきましては、その制度あるいは運用につきまして、国家公務員給与に準じて取り扱っていくということが、前段申し上げましたように、地方公務員給与地方公務員法規定によって、生計費あるいは国家公務員給与等考慮して定めなければならないということについての法律規定措置に、結果的には最も合致するんではないだろうかというふうに考えておるところでありまして、このような法律のたてまえからいたしまして、地方公務員給与制度あるいは運用につきましては、国家公務員に準じていただくことが最も適切、妥当ではないかと考えておるわけであります。  なお、申し上げるまでもないところでありますが、地方公務員国家公務員とは、いずれもともに公共の事務に従事をいたしておりまして、その給与といいますものは、いずれも国民租税負担によって賄われておるという観点から見ましても、地方公務員給与国家公務員に準ずることが、住民理解納得を得られるゆえんではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  17. 中井洽

    中井委員 私どもも、給与のことに関しては、地方公共団体でずいぶん不明朗な給与体系が行われておるという話は耳にしております。実態も、ある程度把握をしているつもりであります。そういった議会あるいは住民にわからない形でのやみ給与、こういったものについては、赤字再建団体であろうとなかろうと、大いに私は、厳しく国民の間から指弾をされるべきだと考えております。しかしそれと同時に、逆にラスパイレス方式というんですか、こういったものを通じて、国家公務員給与に準じるということを理由に、国家公務員より月給が高いというのはおかしいという指導あるいは指摘というものが行われているというのは、私は納得がいかない面があるわけであります。国家公務員給与に準じてといういまお話でございましたけれども、これは、国家公務員月給よりも地方公務員月給が低い、低くなければならないということではないわけですね。念のために御確認をいただきたいと思います。
  18. 石見隆三

    石見政府委員 国家公務員給与よりも地方公務員給与の方が低くなければならないというふうには、私ども、もとより考えておりません。先ほど申し上げましたように、法律のたてまえといたしますところは、地方公務員給与は、給与制度あるいはその運用という面につきましては、国家公務員に準じて取り扱っていただくのが法のたてまえである、あるいはまた、そのことが住民理解納得を得られるゆえんではないかというふうに考えておるわけであります。したがいまして、この場合において準ずるというのは、やはりそれぞれの地方団体規模でございますとか、あるいはまた組織でございますとか地域社会状況等見て、もとより地方公共団体において自主的に決定されるものであるというのは、私ども当然だと存じております。しかしその内容につきましては、前段申し上げておりますように、地方公務員法に定めております給与決定原則、すなわち地方公務員法二十四条に定めるところによって適正な制度がつくられ、適正な運用をされることを期待いたしておるところでございます。
  19. 中井洽

    中井委員 その給与の面でありますけれども、先ほど石原審議官お答えの中に、第一の原因がそういった給与だということでございましたけれども地方公務員給与表、そういったものをずいぶんずさんに運用しているというか、やみ的に出している給与というものは、たとえばどういった例があるのか、ございましたらお知らせをいただきたいと思います。どこの何市ということではなしに、また六短とか三短とか、私どもいろいろな言葉を聞いているわけでありますが、これらの実態をどの程度自治省として——赤字再建団体だけじゃなくて、各地方公共団体実態というものをおつかみになっているのか、お知らせをいただければありがたいと思います。
  20. 石見隆三

    石見政府委員 現在、地方公務員給与水準を押し上げております原因と申しますのは、先生ただいま御指摘ございましたように、もろもろのものがあろうかと思っております。一つは、いわゆる三短、六短というように、通常の場合十二カ月を超える期間良好な成績で勤務した場合に、一号上位に格づけするというのを、十二カ月を待たずに三月を切るとか六カ月を切るとかいう形で、昇給をどんどん早めていくというのが一つあろうかと思います。  もう一つは渡りでございますが、原則として一職一等級というたてまえのもとで、標準職務表にのっとったいわゆる職務給与表との一致ということが通常運用でありますが、たとえば一等級部長と定められておりますところにつきまして、課長あるいは課長補佐クラスさらには主任クラスまで一等級に上げていくというような、適正な標準職務表に基づく昇格をやらずに、いわゆる給与のみを上げていくというやり方、さらには初任給国家公務員に比べて非常に高い、初任給を高くするために、それとの調整上、全員をまた押し上げていくというふうなこと、さらには期末、勤勉手当を支給いたします場合に、いわゆるプラスアルファと称するものがある、こういうものが給与表を高くし、あるいは給与水準を押し上げていくということになっておると思っております。  私ども、このような国に準じない給与制度運用につきましては、これの是正方地方公共団体お願いをしてまいったわけでありまして、昭和五十年、五十一年、両年度を振り返りまして、かなりの地方団体でそれ相応の御努力をしていただきまして、その御努力の跡は私ども非常に評価をいたしておるわけでありますけれども、なお問題が残っておることは事実であります。かなり是正されました団体もございますが、なお依然としてそのような運用上の問題点が非常に残されておるという団体もあるわけであります。私ども引き続きまして、適正な制度運用あるいは制度あり方につきまして、地方公共団体に御指導申し上げたいというふうに考えておるわけであります。
  21. 中井洽

    中井委員 わかりました。この問題については、またわが党の山本議員が次の機会に取り上げてやると思います。ここら辺でやめさせていただきます。  この赤字再建団体のことにつきまして、最後にもう一度次官にお尋ねをしておくわけでございますが、こういった団体いま八団体、今度また準用を申し入れている団体が二団体というふうに聞いているわけでありますが、私はうわさに聞くと、たとえばいまの人件費の問題、地方の首長では抑え切れない、あるいは地方議会ではもう抑え切れない、あるいは財政難、いろいろとやりくりをしておるけれども何ともしようがない、いっそ思い切って用意をして準用を申し入れて自治省の力というか、そういったもので人件費を抑える、あるいは財政の立て直しをした方が早いじゃないかというような話をあちこちの地方公共団体で聞くわけでございます。こういったいまの財政状態あるいは財政難は、私は決して正常なものじゃないと思います。こういったことにかんがみて、赤字再建団体のいわゆる再建についての法案といったものについて、一年、二年がかりで広く討議をして、二十九年の法案をいつまでも準用する、また地方公共団体議会を通じて準用を申し入れさすのだ、こういうことではなしに、自治省が積極的にこういったものを指導していく、あるいは国会がやっていくのだといった意味法案というものをつくっていく、こういったことについてのお考え最後お尋ねをしたいと思います。
  22. 中山利生

    中山政府委員 地方財政運営というのはあくまでも地方自主性に基づいてやらなければならないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、いまの制度準用でもすでに、現に赤字再建団体再建計画にのっとりまして、着々と整理が進捗しているというような実情もございますし、地域のいろいろな特殊性を十分に御協議を申し上げながら、自治省としましてもできるだけの協力をして、そういうことで実績が上がっておりますので、現在のところはそういうことで、十分に地元と御協力をいたしましてこの成果が上がるように努力をしていきたいと思います。
  23. 中井洽

    中井委員 わかりました。赤字再建団体になった地方公共団体に対してできる限り短期間で再建がなるように、最大限の御声援、御援助というものをお願いをいたしまして、赤字再建団体についての項を終わりたいと思います。  もう一つ自治省に、ささいなことでありますがお尋ねをいたします。毎年災害復旧ということで大変なお金が出されているし、補助も出ているわけでございます。その中で一つ考えをいただきたいのでありますけれども、大したあらしじゃなくても、あるいは大きな台風が来ても、その後、後片づけということで、特に海岸清掃というものが地方公共団体にとっては、補助もつきませんし非常にむずかしい問題になっておる。またこの海岸をほっておくわけにもいきません。したがって近所の農漁民が、自分たちの後片づけが済んだら浜へ出て総出で片づける、あるいはあちこちからブルドーザー等をかき集めて清掃をするというようなことをやっているわけであります。こういったことに対して、自治省として、あるいは災害復旧の中の一項にお入れになって税金を出していくというお考えはないものかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  24. 石原信雄

    石原(信)政府委員 災害に関連するいろいろな財政需要につきましては、現在は特別交付税算定に当たりまして、一つは、災害公共被害額基準にいたしましてその一定パーセンテージを計算する、それからもう一つは、災害による倒壊家屋数でありますとか、あるいは田畑の流失面積でありますとか、その他の被害面積、こういった幾つかの指標をとりまして、災害に伴うもろもろ財政需要を見ていくというやり方で必要な財源措置を講じてきております。  私どもこれまでの経験では、この算定方式、特に五十一年度分からは単価等も大幅に引き上げをいたしまして、この算定方式で大方の団体財政需要はほぼカバーできているのではないか、このように考えております。しかし、ただいま御指摘がありました海岸における流木の堆積等の排除、こういった問題が、その規模、その程度によりましてはいまの算定方式でカバーできない事態も考えられます。これらの点につきましては、一般的な算定方式で不十分な点がありますれば、個々ケースにつきまして、個々団体ごと特別交付税算定の際に配慮していく道は残されていると考えております。そういう意味で、これらについてはケースに応じて判断をさせていただきたい、このように考えております。
  25. 中井洽

    中井委員 では自治省関係は終わらしていただきまして、消防庁の方、お見えだと思いますので、勉強不足で申しわけないのですが、二、三お尋ねさせていただきたいと思います。  まず第一に、五十二年三月三十一日で昭和四十九年に改正された消防法の、スプリンクラー等の取りつけの猶予期間が切れたわけでございますけれども、この法がどの程度実施されておるのか、つかんでおられる範囲で結構でございますからお知らせを願いたいと思います。
  26. 林忠雄

    林政府委員 御指摘のとおり四十九年の法律改正によりまして、既設のいろいろな建物につきましても各種の消防施設を取りつける義務づけをした。既設建物でございますのでこれはやはり猶予期間がある。その一部、つまり百貨店雑居ビル地下街、これについてはことしの三月三十一日で期限切れになります。あと二年ほど余裕がありますものが劇場とか旅館とかキャバレー、こういったものでございます。中でも劇場のようなものも、それ自体がほかの用途のものと一緒のビルにある場合は雑居ビルということになりますので、法的に言えば、もうことしの三月三十一日でつけなければならないというものも実はたくさんある。まさに御質問に御指摘いただきましたように、これが法の予定しますように一〇〇%完備するような状況にあるということでないわけでございまして、私たち大変頭を悩ましておるわけでございます。  具体的に幾つか申し上げますと、五十二年の三月三十一日、ことしの三月三十一日までにやらなければならないもの、つまり百貨店雑居ビル地下街でございますけれども、このうちで屋内消火栓設備の方はわりあいと進んでおります。実はこの四月一日現在で全国的な調査をするつもりでございますので、この数字はまだつかんでおりませんけれども、ちょうど一年前の五十一年四月一日現在でもって、屋内消火栓設備の場合は総体として八四%ぐらい、雑居ビルのような場合は九一%と言いますから、まあ大体昨年の四月一日現在でもいいところへ行っておる。その後こちらの方の設備努力は大分進んでいると思いますので、ことしの四月一日現在の調査では大変いい数字が出るというふうに期待しております。  と申しますのは、実はこれらのものは屋内消火栓と同時にスプリンクラーをつけなければいけないということになっている。このスプリンクラーというのが、実はつけることに非常に困難性がある。建物の構造上非常にむずかしいという点もある。それから工事費がよけいかかる。さらにはスプリンクラーをつけるためには営業を休まなければならないわけであります。今日の不況その他と重なりまして、スプリンクラーの方の設備投資意欲というのがどうもわれわれが期待したほど行っていない。したがって、屋内消火栓の方はとにかく整備しましたという、こちらを尽くしたいために、こちらについては相当意欲を燃やしている。スプリンクラーの方は昨年の四月一日現在の数字で、百貨店等は七六・八、まあ七七%ぐらい進んでおります。しかしこれはこの一年間でこの数字がそう大きくは上がらないのではないかと実は心配しております、いま言ったような事情がございますので。それから最もぐあいが悪いのが雑居ビルでございまして、これはスプリンクラーで去年の数字で六〇・六%、十のうち四つはまだつけてない。この雑居ビルが一番スプリンクラーをつける上において困難性がある。いま言った営業を休むということのほかに、持ち主が非常に多かったりしましてその間の負担割合を決めるのがなかなかできないというようなことまで加わって、この方が余り伸びておりません。それで地下街が七六%、合計して六七%、三分の二という数字が去年の四月一日で出ておりますが、これは恐らくことしの四月になってからでも七割を超えるかどうかという、正直なところを申し上げますと、そんな数字じゃないか。これは法的には非常に遺憾な状態でございますし、私たちの方はそれぞれの市町村、府県を通じまして繰り返し指導をしてまいりまして、法定期間を過ぎてしまっても一日も早くということで、さらに指導を続けてまいりたいと思いますが、全体の見通しとしては、屋内消火栓の方は大体いいところへいくだろう、スプリンクラーにはまだまだ努力を要するのではないか、こういうふうに自覚しております。
  27. 中井洽

    中井委員 四月一日からの調査の結果は、わかり次第ぜひ御連絡、お知らせをいただきたいと思いますが、その結果、そのスプリンクラー等が取りつけられていないところに対してはどのように対処なさるおつもりか、お考えを承ります。
  28. 林忠雄

    林政府委員 これは法律的な義務でございますので、法律的な手続としましては、たとえば設置命令とか、あるいは聞かない場合の告発とかいう相当強い規定法律上は入っております。ただ、それらを実際に発動をしてみましても、さっき申し上げたような事情がございますのでなかなか現実的にはむずかしいだろう。そこで、それらは最後の伝家の宝刀として一罰百戒というような形で、非常に悪質のようなものについては考慮するとしまして、ここ当分は従来の指導をさらに強化しまして、とにかく始終行って早くやってくれとお願いする、消防機関を督励いたしまして、従来の指導をさらに強化した指導を続けてまいりたい、こう考えております。
  29. 中井洽

    中井委員 わかりました。大変無理をして実施したところと、悪質に実施をしていないところ、不公平のないようにぜひお取り扱いをいただきたいし、逆に経済的にどうしてもできないというようなところに関する援助補助といったことも十分御配慮をしていただきたい、このように考えておる次第でございます。  次に、広域消防の実情について大まかにお尋ねをいたしたいと思うのですが、消防庁長官として、この広域消防が組合立であるとかいろいろあるわけですが、当初お考えのように順調に運用されているとお思いですか、どうですか。
  30. 林忠雄

    林政府委員 消防庁といたしましては、なるべく従来の非常勤の消防団から常備消防を推進してまいりまして、それで常備消防でカバーできる区域が現在人口的に言えば九五%以上になったわけでございますが、この常備消防をする場合には、やはり現在の市町村の規模から言いまして比較的弱小の町村あたりでは単独でできないということで、必然的に常備消防を推進する過程において広域消防というのを推奨する形になったわけでございます。  現在は、広域消防の構成市町村数が二千十八という数字でございまして、常備化市町村のうちの七七・六%が何らかの意味で広域消防をやっておる。ですから、大きな市あたりは別といたしまして、普通の市町村の場合はむしろ広域消防というか、組合消防というのが常態化した形になっております。これは常備消防を進める上においてやむを得ないといいますか、もっと大きな第二次町村合併でもしない限りはこういう方法しかない。  現在それがうまくいっているかといいますと、設立後まだ日が浅いのでございますけれども、その浅いわりには比較的順調にいっているのではないか、大ざっぱにはそうつかんでおります。ただ実際面には、たとえば人事とか、それから財政面とかでなお一つの町村がぴしゃっとやるようなふうにはいかない、その町村間のいろいろな折衝その他なおごたごたがあって、どうも広域消防は悪いというような話も聞かぬこともないので、そういう点の問題がないとは実は申し上げませんが、これは逐次運営にも慣れ、また指導をやっていけば改善できていくものと考えておりますので、総体で言えばまあまあわりあいと順調にいっているし、今後さらに順調にいくような見込みは十分ある、その指導に気をつけてまいりたい、こう思っております。
  31. 中井洽

    中井委員 私どもも、財政あるいは人事の面でなかなかスムーズにいきにくいという話はよく承っております。十分の御指導協力お願いいたしますが、これが、二千十八という大変な数字でありますけれども、このままいくならば、私は、いつまでたっても市町村のそういったものはなかなかなくならないというふうに思うわけであります。そういったことを考えると、市町村というよりか、県単位という形での消防以前にもお考えがあったようでありますが、そういったことについて消防庁としてはお考えになっておるのかどうか承りたいと思います。
  32. 林忠雄

    林政府委員 消防はもう市町村の仕事だというのがある種の伝統的な考え方でございまして、消防庁もそう考えておったようでございますし、私自身も前から、やはりいろいろな自治事務を振り分ける上において消防というのは、言ってみれば発生的にも部落で火が起こったのを部落民で一緒になって協力して消す、言ってみれば共同体的な最も典型的な仕事だと思いますので、消防自体を市町村から県に移そう、県営消防という考え方は、私は全面的にはとうてい採用できるものではないし、適当でないと考えております。  ただ、普通のわが国の木造の家屋に火がついたのを水をかけて消すという姿のほかに、たとえばコンビナートであるとか、あるいは危険物であるとか、そういう化学消防、水をかけたのでは消えないようないろいろな特殊なむずかしい姿のものが出てまいりまして、まあ地下街、高層ビルというようなこともございます。こういう複雑なものについては、あるいは市町村よりももっと大きな団体、県というものにある程度の機能を考えていかなければいけない時代にはなってきているのではなかろうか。ですから、消防一般については私はあくまでも市町村とし、市町村の規模がなお小さい場合は、広域消防をなるべく順調の線に乗せていくということで今後も指導を続けてまいりたい。ただ、そういった特殊火災その他については、今後県というものの持っている役割りをやはりそこで再評価して、それに適した機能を割り当てる必要があろうか、まあ総体的にはそういうふうに考えております。
  33. 中井洽

    中井委員 そうしますと、消防に関しては組合消防あるいは市町村単独の常備消防というものを充実さしていく、こういうことだと思います。  そうしますと、消防庁でお決めになっているいわゆる消防基準と現実の常備消防との差というものはかなりあるというふうに私どもは承っておるわけでありますけれども、その差の実態というものを把握なさっておられますか、あるいは具体的に消防基準を超える消防を常備しておられるところがあるのか、そういったことについてお尋ねをいたします。
  34. 林忠雄

    林政府委員 これは五十年の四月一日ですから、現在の二年前にやりました調査数字が現在手元にございます。昨年の四月はこれについてはやっておりません。これはまた近々さらに最も新しい時点の数字をとらえたいと思いますけれども、五十年四月一日、現在の二年前の数字を申し上げますと、消防ポンプにつきましては全国おしなべて八〇・五%、八〇%でございます。それで、これは実は非常に熱心なところは一〇〇%を超えておるところもたくさんございますし、あるいは熱心でないと言うと何でございますけれども、比較的おくれておるところが六〇%を割っているというようなところもありまして、幅がございます。確かに幅がございますが、全体としては八〇・五%というのがその後の二年間に、まあ消防ポンプについては国も補助金を出しておりますし、そういったところの数字で推定いたしますと現在は九〇%をちょっと割る程度、八七%ぐらいまでは全国おしなべていっている、こういう数字をつかんでおります。ことしもさらに消防ポンプについての補助金を予算に計上していただいておりますので、古い物の更新もございますけれども、逐次充実していくことによって、この一、二年で全国おしなべて一〇〇%の数字に達するのもそう遠くはあるまい。ただ、御承知のとおりの地方財政状況になりますと、どうしても、起こるか起こらないかわからない火事のためにポンプを買うよりは、子供がふえたので小学校を建てるという方に町村の財政需要の趨勢が向きますので、現在、消防力の充実については地方財政の需要ともあわせて非常に困難な状況には直面しております。  はしご自動車と化学自動車が二年ほど前の数字で五〇%を割っておりまして四八・六、四八・一という数字を示しております。そこで、これは特殊な地域といいますか、まあはしごはそれほど特殊でもございません、化学自動車ともなりますと相当な特殊の地域になりますが、これはその後の整備の数字を加えましても、はしごの方が五五・八、化学の方が五二%、このくらいではないかということでございまして、これに対する整備の努力はまだまだこれからだ。それから救急車の方は、実は二年前でもう九二・七%に達しておりますので、この二年間の予算補助あるいは損保協会からの寄贈その他を合わせますと、現在は全国おしなべて一〇〇%を超えている、こういうふうに推定しております。ただ、いま申し上げましたのは全国おしなべての数字でございまして、熱心なところとそうでないところとの差というのは御指摘のとおり実は大変ございますので、そのおくれているところを進める努力をさらに重点的に続けたいと思っております。
  35. 中井洽

    中井委員 人員についてはどうでございますか。
  36. 林忠雄

    林政府委員 機器についてはいま申し上げたような数字でございますが、これにどれだけの人員を張りつけるかということがいつも問題になるのでございまして、消防力の基準はどれだけの市町村にポンプ何台ということで、これはもうはっきりわかります。ところが一方にポンプ一台については何人ということが書いてございますから、単純にそれを掛け算すれば必要な人員というのは出るわけでございますけれども、たとえば消防ポンプとはしご車あるいはポンプと化学車というのは両方同時に出るということはまずめったに考えられない。当然その間の乗りかえという、いわゆる兼務でございますけれども、必要なときは化学車に乗る人が、普通の火災のときは消防ポンプに乗るということで、兼務を考えるということも当然組織の上においては合理性があると思います。そういうことで大体計算して全国を概観してみますと、交付税の算定方式でもそういうようなことを操作いたしまして、たとえば人口十万の市で、いまのような乗りかえその他を考えまして基準としては百十名くらい必要だ。その場合に、現実に交付税措置としては現在百名をちょっと超えるくらいの措置をしておりまして、それが実態としては九十人をちょっと超えるという程度でございます。ですからいま言ったようなことを勘案しました場合に、人員はいまの整備されている機器につきまして、完全に一〇〇とは申しませんけれども、乗りかえその他を考慮した場合に九割ぐらいは充足しているのではないかというふうに私たちの方は把握しております。
  37. 中井洽

    中井委員 それじゃお尋ねをいたします。  いまのお話でございますが、交付金の算定のときには一〇〇で、現実には九〇、ほかへ使われておるわけですか。
  38. 林忠雄

    林政府委員 あるいはこれは財政当局からお答えいただくことかもしれませんけれども、交付税というのは算定基準上はいろいろな数値を用いますが、それをどう使うかは実は団体自主性に任しておるわけでございます。それにしても、たとえば消防というものに責任を持っております私の方から言わしてもらえれば、交付税で計算したぐらいの人員はぜひ置いてほしい、こう思うわけでございますけれども、実際には市町村の地形とか従来の火災発生率その他から考えれば、何が何でもその基準——基準と申しますと、いま標準団体の十万の市についてこう、こういうだけでございますから、あとほかの団体はそれぞれ補正係数その他がかかりまして、これははっきりと何人というわけにもまいりませんが、全国的に交付税の需要額に計算した消防費ぐらいは使ってほしいと実は思っておるのです。その点については、二年ほど前の決算でいえば、正確な数字は忘れましたが、交付税で四千六百億なら六百億の需要があり、町村によってばらばらはありますけれども、全部ひっくるめてみると大体それに見合う額が使われておりますので、消防に対する意欲も全体としてはわれわれが期待したとおりのところまでいっておる、中には交付税額よりも非常にたくさんつぎ込んでいる団体もあるし、そうでないところもある、こういったところでございます。
  39. 中井洽

    中井委員 交付金よりかたくさん使っているというのは余りないように聞いておるのですが、そこのところはまたひとつ充実といったことでぜひお願いをしたいと思います。  充実の一つとして補助単価の差額がずいぶん多いようにも聞いております。消防車やはしご車といったように全国的に値段のはっきりしているものは、そう補助単価という形で差額はないと思うのでありますが、防火水槽あるいは貯水槽、こういったものについての差額がずいぶん大きいと私どもは聞いておるわけであります。そこの点についての実態把握等なさっておられるかどうか、お尋ねをいたします。
  40. 林忠雄

    林政府委員 実は先生、そこの点については少し私の方は違った認識を持っております。むしろ消防車自体は、もう定価が決まっておるようなものでも実は相当これは地域格差があるらしいので、たとえば昨年のコンビナートのための三点セットというのも、一応三点セットをつくっているのは日本では相当大きな業者が、極端に言えば独占みたいなのが一つなんですが、そことはよく話をつけて、まず実勢価格に合うような補助単価を決めているのですが、現実に地方の方でこれでは買えないという話がありまして、よく調べてみましたら商習慣その他でもって大分地域に格差があるということもわかりました。これについては個別に話をして解決ができたつもりでございますけれども消防車自体もある程度商習慣その他によって地域格差がある。ところが防火水槽の方は、さらにこれよりも非常に大きな地域格差があるようでございます。たとえば東京でつくりますのと他の村、県でつくりますのでは、同じものをつくっても価格に倍近い開きがあるということが実態のようでございます。それは労働力の供給の問題とかそのときの景気にも左右されると思いますが、そこでその地域格差をそれぞれの地域ごとに別々の額を決めるというのも非常に問題もございますので、一応全国ならしている。全国ならした結果は、今年度も昨年に比べて単価を一五%上げておりますし、昨年度はまたさらに一昨年度に比べて三〇%も上げているということで、実は数年前は相当格差があったように聞いておりますが、三〇、三〇、三年続けて三割近く上げ、ことしは一五ほど上げておりますので、去年あるいはことしあたりは、大体ならせばほぼ補助基準額でやれるというところまで到達したと実は半ば自負しておるのでございます。
  41. 中井洽

    中井委員 消防庁長官のお話でありますけれども、私どもの聞いている範囲ではまだまだ単価差があるというふうに承っておる。ひとつぜひ密接な調査の上御努力をいただきたいと思います。  最後に、時間が来ましたので、次官にもう一つだけお尋ねと御要請をして終わりたいと思います。  いまの消防庁長官のお話にもございましたけれども消防とか警察というのは、ふだん出動とか余り働かぬ方が国民にとってはいいことである。そのために、働かぬから設備が悪くてもいい、人数が少なくてもいいということじゃなしに、いざ非常の場合に備えて基準の人員あるいは設備というものは一気に常設をしていく、警察についてもそうでありますが、ちょびちょびと追いついていくということでなくて、この基準まではもう十分大丈夫なんだというところまで高めて、あとは火事が出ないようにする、こういったことが私は国民の安全だというふうに考えるわけであります。そういった意味で、国の財政難、いろいろあるかもしれませんけれども、こういった国民の生命あるいは財産といったものにかかわる、安全に対する国の投資を一気に高める御努力をぜひしていただきたいと考えているわけであります。この点についての次官のお考え最後お尋ねをして質問を終わります。
  42. 中山利生

    中山政府委員 おっしゃるように消防というのは地域住民の安全と非常に密接な関係にありますし、また、こういう施設がむだになることが第一の使命で、第二に有効に使ってもらうというようなことで奇妙な施設であろうと思いますけれども、いま消防庁長官からお話のありましたように、消防力の基準も大部分充足をしてきている、しかし地域によって、地理的な格差といいますか、消防に対する考え方、また火災、災害の発生率というようなものに非常に差異があるというようなところもございますし、また、基準からいいましても極度に落ち込んでいるというようなところもあろうかと思います。そういう点につきましては、先生のおっしゃるように極力強力な整備を図っていくということをやっていきたいと思っております。
  43. 中井洽

    中井委員 ありがとうございました。
  44. 地崎宇三郎

    地崎委員長 三谷秀治君。
  45. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、ごみ処理問題についてお尋ねしたいのです。  これは前回、分科会で主として環境庁に対してお尋ねをしたのですが、きょうは自治省、厚生省を含めましてお尋ねしたいと思うのです。前回の質問を繰り返しますとむだでありますから、前回の質問しました要点を、自治省の方でも御承知を願いたいと思いますので、概略申し上げておきます。  現在、大都市周辺の市町村におきましては、ごみの最終処理場の設置が困難になってきておる。どうにもならないという状態に追い込まれております。たとえば大阪府下で言いますと、最終処分場が持てず、業者委託でごみの残灰などを処分しております自治体が六つあります。それから、現在使用中の最終処理場が利用限度に達しまして、新しい処分場の確保に奔走しております自治体が五つあります。これは事業組合を含めまして五つであります。そこで最終処分場の確保そのものがむずかしいのに加えまして、それを確保しました場合でも、地元の住民の合意が得られずに処分場の設置ができない団体が四つあります。これは御承知のように、吹田、寝屋川、茨木、それから泉佐野田尻組合、四団体です。これは大阪だけじゃありません。埼玉県の大宮におきましても、川口におきましても、処分場の見通しが立っておりません。東京都の二十三区の埋め立て処分場も利用限度に達してきておる。三多摩の立川、三鷹、武蔵野などの九市でつくっております東京都市廃棄物処分場管理組合は、裁判所が使用期限を本年五月までとする命令を出しております。六月以降の見通しが全然立っておりません。  そこで、最終処分場を持たぬ大都市周辺の市町村は業者委託で処分しておる。この業者委託といいますのは、ほとんど不法投棄になっております。ところが今度廃棄物処理法が変わりまして、市町村は業者に処分の場所及び処分の方法を指定しなければいけません。三月十五日からこの法律が発効しております。その場合、処分場を持たぬ市町村は一体どうするのか。処分の場所を指定しなければいけません。処分の方法を指定しなければいけない。ところが市町村が処分場を持っていない、その場合一体どうするのか。このことを前回お尋ねしたのであります。  それからもう一つは、業者委託といいますのが、さっき申しましたように、業者によりましてひそかに処分されておる。大阪の例で言いますと、岡山県、奈良県、京都府、兵庫県の山間部に投棄している。五十四万トンであります。これは有毒残灰であります。したがって、環境行政上きわめて重大な状況になってきている。しかも、そうする以外にごみの処理の手段がないのです。処分場を持っておりませんから、業者に委託する以外に方法がない。業者は私有地に処分すると言っておりますけれども、現地を見てみますと、山の谷合いにトタンを張ったりして、そこに積み込んでおる、そこで汚染されました排水が流出する、こういう事態になっている。  そこで、こういう事態というものが環境上重要な問題であることは言うまでもありませんが、しかし処分場を持つことのできぬ市町村は一体どうするのかという問題なんです。どうせいとおっしゃるか。法律によりますと、捨てる場所を指定しなければいけない。そうしてまた方法も指定しなければいけない。ところが、市町村は指定の場所を持っていない。一体どうすればいいのか。法律の規制をするだけで問題は解決するのか。このことをお尋ねしたのであります。  それからもう一つは、この最終処分場を何とか持とうとしていろいろ努力している団体がある。ところが無理をして処分をしようと、まあ無理ではありませんが、こういう政府の方針に従って処分をしようというので処分地を買った都市がたくさんある。寝屋川、茨木、泉佐野田尻組合、皆そうなんです。ところが、土地を買いましたけれども実現ができない。そこで大変な財政負担をやっている。茨木市におきましては忍頂寺という谷間を買っておりますが、四十八年に三億で買ったものが、いま利息が二億に達している。毎日毎日十万円の利息を払っている。寝屋川におきましても枚方市の穂谷というところを買いました。これは四十八年に五億千三百万円で買ったのですが、利息が一億一千五百万円に達している。毎日十四万円ずつ利息を払っている。吹田市は亀岡市の曽我部に十三億二千六百万円で買ったわけでありますが、もう利息を五億円払っているのです。これは毎日五十万円ずつ利息を払っている。こういう事態を一体どうすればいいのか。今日、赤字で非常に苦しんでいる自治体というものが、こういう状況によりまして毎日毎日五十万もの金利を払っていくという状態ですね、これは一体このままほっておいていいのか。このことをお尋ねしました。  そこで、これに対して私が提案しましたのは、基準をつくるだけではどうにもならない。基準さえ守れば処分場ができるのであれば、これは基準をつくってもらったら結構です。それを守っていきます。しかし、基準を守りましても処分場はできないのです。できる当てがない。その場合、一体どうするのかということをお尋ねしたのです。  それから、これに対して、環境庁、厚生省あるいは国土庁などが、まあ自治省も一緒になってプロジェクトを組んでこの問題に取り組んでもらいたい。そうしなければごみの問題はますます深刻化するばかりだ。こういうことをお尋ねしたのであります。  これが分科会における質問の内容であります。これを前提にしてお尋ねします。  そこで、環境庁長官はこう答えました。早速関係省庁でこの問題について協議をさせる、必要があれば関係閣僚が話し合って早期に問題解決に取り組むんだ、こう答えております。  それ以後における環境庁の処理について、どのようなこの問題についての協議や対策が進んできたのか、これをひとつお尋ねしたい。  それから、元来なら管轄省は厚生省でありますが、厚生省はこういう事態に対してどうするような検討を加えたのか、これをお尋ねしたい。
  46. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答えいたします。  過般の予算分科会におきまして先生の方からお尋ねございまして、これに対しまして、ただいま先生からお話ございましたように、環境庁長官からも答弁があったわけでございます。それでその後の処理いかんというお尋ねでございますが、長官が答弁した点につきましては、その後、廃棄物処理の所管省でございます厚生省と早速連絡をとったわけでございます。  そこで、この面につきましてはまず二つの問題があろうかと思います。一つはやや長期的な問題、もう一つ短期的な問題ということになろうと思いますが、長期的な問題につきましては、都市計画の立案というような際にこの廃棄物の埋立地も織り込んだものにするとかそういうような問題、こういうものにつきましては建設省なり国土庁なりもっと幅広い関係の向きもございますので、そういうところと今後十分検討をしていこうというのが第一点でございます。  それから短期的な当面の問題でございますけれども、これにつきましてはその実態の把握、ただいま先生の方からもいろいろ具体的な事例を挙げてお話がございましたが、こういうような実態の把握につきまして、所管官庁でございます厚生省の方におきましてこれを行いまして、その具体的な対策の問題につきましては、関係省庁の協力が必要であれば、厚生省を中心にして関係省庁間で協議をしていくということで厚生省の方との話し合いもいたした次第でございます。  いずれにいたしましてもこの廃棄物の埋立地問題、これは長官が申し上げましたように、きわめて重大な関心を環境庁としても抱いております。したがいまして、今後とも厚生省を初めといたしまして関係省庁とも密接な連携を保ちながら、この種の問題の解決に努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。以上でございます。
  47. 国川建二

    ○国川政府委員 お答えいたします。  廃棄物の最終処分場の確保問題と申しますのは、廃棄物行政の中でも残されていると申しますか、今後いろんな課題が含まれた問題としまして私どもも十分関心を持って当たらなければいけない問題だと認識しておるわけでございます。特に処分場の確保の問題につきまして先般先生からお話があり、環境庁とも御相談申し上げて、ただいま環境庁の方からも長期的な問題と短期的な問題ということで、私どもは早速東京周辺並びに大阪周辺関係の区を呼びましてその実態調査をいたしたわけでございますが、それらの実情をよく把握するとともに、当面具体的に早急に講じなければならない問題があるとすれば、厚生省として必要があれば関係省にも御協力いただきながら取り組まなければいけない問題だというように思って、ただいまこれの問題に取り組んでいるところでございます。
  48. 三谷秀治

    ○三谷委員 私がこの問題を分科会に続きましてきわめて短時日の間にお尋ねをしておりますのは、新しい法律改正の施行は三月十五日なんでしょう。すでに施行が始まっているのです。もし法律を厳格に施行するとしますと地方自治体は一体どうすればいいのか。処分方法を業者にどのように指定すればいいのか。どのように処分場所を指定すればいいのか。指定の方法がない。法律はせっかくつくりましたけれども、それは施行されましたけれども、これはどうにも手のつけようがない。そういうことを法律規定だけでできるのか。そういう観念的な考え方に問題があるし、そういうものを実際に実効あらしめるためには、いまのような実情を調べて法律をつくる必要がある。これから実態を把握しますとかそういうおよそずさんな説明で、そういう状態の中で法律がつくられてきている。そこのところに私は非常な問題性を見出しておるのであります。しかも、これは調査するとおっしゃいますが、この調査は非常にむずかしいのです。むずかしいのは、このごみ問題は各自治体におきましてタブーになっておるのです。議会で質問しても、理事者はこの問題には触れないでもらいたい、これに触れてもらったら、もう町はごみの山になってしまいます、こう言っているのです。つまり不法な処分をする以外に方法がない。やってきているわけだ。だから議会では正確に答えられない、調査にも実態を述べられない、そういう状態にあるということなんです。これほど深刻な問題がありますか。しかもそれを管轄する官庁がいままで実態の把握をしていないとはどういうわけですか。ごみ問題というのは非常に深刻な問題であって、たまたまごみ処理施設に対する補助金を若干かさ上げされました。それはその重要性を見出してそういう措置をおとりになったんだと思う。しかしごみの処理場の補助金のかさ上げで問題は解決しないのです。焼くことはできるでしょう。しかし有毒残灰をどうするかということですね。これは全然見通しがつかない。これに対していま長期的とか短期的とかおっしゃいましたけれども、そういう緩慢な処置ではだめなんです。  そこで最近、この一カ月余りの間に大阪府を初めとしまして、大阪府下だけでも十二市一事業組合、これがごみ問題に対する決議を相次いで行っております。この要望が政府の方に届いておりますでしょうか。
  49. 国川建二

    ○国川政府委員 昨日、富田林市、八尾市、高槻市、寝屋川市、河内長野市から届いております。
  50. 三谷秀治

    ○三谷委員 その内容についてお尋ねしますが、ごみ焼却場の排ガス洗浄集じん装置の運転経費など、大都市圏の清掃事業で特別に要した経費の全額を地方交付税算定基準に入れてもらいたい、こういう要望が一つあります。これについてはどうお考えでしょうか。これは自治省の管轄になるわけだと思いますが、御見解をお尋ねしたい。
  51. 石原信雄

    石原(信)政府委員 ただいまの件につきましては、以前から大阪周辺の関係団体から御要望がありまして、できれば普通交付税の財政需要額の計算の際に反映できないかというようなお話もあるわけでありますが、問題は、普通交付税の財政需要の計算の際にどのように地域区分をするか、大阪周辺だけの特異な問題なのか、あるいは全国的な問題として、たとえば都市化の程度に応ずる清掃行政費の財政需要の問題なのかというような議論もありまして、一般的な扱いとしましては、清掃費の計算における態容補正係数の算定の際に、都市化の程度に応じて必要な割増し計算をするという対処の仕方をしてきております。  ただ、大阪周辺につきましては、府の条例で特に基準を高めておる。それに対処するために、市町村が清掃施設の運営に当たってよけいな経費がかかっておるという実態にあります。そこで、これらについては基本的には、全国的な制度としての位置づけをしてから財政需要の算入を行うべきであるという議論もあるわけですが、とりあえず、昨年度あるいは一昨年度の大阪の周辺の市町村の特殊財政需要算定の際にそのような事情も考慮して計算をしている。具体的に算定方式を立ててやっておりませんけれども、各市町村ごとの財政需要の判断の際に一つの要素にしているという実情でございます。
  52. 三谷秀治

    ○三谷委員 大阪が厳しい条例をつくっておりますのは、府下のごみ処理が憂慮すべき状態にある、放置しておきますと、大阪府下だけでなしに、他府県に対しても迷惑をかける、そういう状態にありますから、これは環境上重大な問題であるという点もあって厳しい条例などもつくっておるわけでありますが、いまおっしゃいますのを聞きますと、一定の基準がない、制度がないが、握り銭的なものを幾らかつけているという意味お答えでありましたが、これではいけないのであって、それを制度上の問題として交付税に算入してもらいたい、すべきであるという考え方でありますが、これについてはどうでしょう。政務次官、どうですか。
  53. 中山利生

    中山政府委員 いま石原審議官からお答えいたしましたように、自治省の方もいろいろと検討をしているところでございますが、おっしゃったように、ごみ処理の問題またそのごみ処理場から出るいろいろ有毒廃液といいますか廃ガスといいますか、残滓の問題は本当に地方団体にとっても非常に重大な問題でございますので、自治省といたしましても積極的にこれの解消を図っていきたいと考えております。
  54. 三谷秀治

    ○三谷委員 これを解消しますのは、これは自治体がやるわけですけれども、これに対して財政上の十分の配慮をお願いしたい。そのためには、この運転経費などについて基準財政需要に入れてほしいということを言っているわけですが、これは入れる御意思があるわけですか。入れる方向で検討されるわけですか。
  55. 石原信雄

    石原(信)政府委員 清掃施設の運転経費が最近の環境基準の規制の強化に関連して次第に増高してきている、こういう実態については私どもも痛感しております。したがいまして、運転経費の算定内容の充実につきましては、五十二年度においてもできるだけの努力をいたしたつもりでございますが、これからも引き続き内容充実を図っていかなければならない、このように考えております。  ただ、大阪周辺の都市から提起されております問題は、普通の団体、特にあの地域で言いますと、兵庫県の阪神地区の都市と違う基準が大阪府の条例で適用されておる。そのために、たとえば豊中と伊丹、こういったところでありますと、地理的条件、地形的な条件は全く同じでありますけれども、片方は府の条例が適用されるために基準が上乗せになっている、片方は兵庫県にそういう条例がありませんから、一般的な全国的な基準で対処しておる、こういう事情があります。  そこで、特定の自治体の選択による条例基準といいましょうか、そういったものをそのままストレートに交付税の財政需要の計算に反映させるということは、交付税制度の公平性、客観性という意味から一つ議論があるんじゃないか。もしそれが真に必要であるならば、兵庫県についてもあるいは東京周辺についても適用すべきじゃないか。そういう意味で私どもは環境庁に対しては、大阪が現在行っております上乗せ基準が全国的なものなのか、あるいは客観的な地形的な条件あるいは都市的な条件で大阪の地域だけはやはりそうせざるを得ないのか、その辺の基準をきちっとしていただくならば、交付税の財政需要算定においても対処の仕方がある。ただ特定の団体が非常に厳しい基準を独自の判断で採用したがゆえに、交付税の計算上それを反映さしていくということは、  一つの制約がある。そういう意味で、私どもは、全国的にレベルアップを図っていく、全国的に算定内容の充実を図っていくということは当然のことと考えておりますし、その努力をしていかなければいけませんけれども、特定の都道府県だけについて上乗せ基準があるがゆえに割り増し計算をするということは、いまの制度では無理じゃないか。その辺の基準をきちっとつくっていただきたいということを私どもは環境庁にもお願いしているという実情でございます。  いずれにいたしましても、全体としての内容充実は今後とも引き続き図っていかなければならない、このように考えております。
  56. 三谷秀治

    ○三谷委員 それじゃ環境庁にお尋ねしますが、大阪府の条例についてどういう御判断になっていますか。
  57. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 集じんの関係、大気関係での厳しい条例を決めておられる、これについてどうかというお尋ねだと思うのです。実は大気の関係、私、水質保全局長だものですから、ちょっとその辺調べておりませんで、それが大阪独自のものなのか、それとも全国レベルのものなのか、ちょっとここでは申し上げかねますので、大気の方とも連絡をとりまして、後刻申し上げたいと思います。
  58. 三谷秀治

    ○三谷委員 一般論としまして、いまのぐみの実態、ごみが公害に及ぼしておる影響などから考えまして、可能な限りの厳格な制限をするということは必要でありますし、今回の廃棄物法の改正ども、そういう状態に立脚して改正がなされてきたというふうに考えておるわけでありますが、大阪あたりはかなり厳格な条例規定をやっておるということのために、交付税の算入ができないということになってきますと、ルーズなところほどそれじゃ歓迎されるのかという逆論が生まれてくるわけでありますが、これについては環境庁はどうお考えなんです。
  59. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まあ、水質にいたしましても大気にいたしましても、大体一応、一律の基準というのがございます。これは全国的にもそういう線で最低確保してもらいたいという線があるわけでございますが、いずれにいたしましても、環境の問題につきましては、非常にローカル的といいますか地域的な問題がございます。したがいましてその地域の特性に応じた姿で、水であれば水でこれは相当厳しいところをやらなくちゃならぬところがございます。逆にまた、一般の基準で十分だというところもございます。やはりその地域の特性に応じた姿でこれは規制をしていくべきものであろう、こう考えておるわけです。したがいまして、ただいま大気のお話で大阪の条例での基準のお話があるわけでございます。これはやはり大阪という地域、そこでの実情に沿った形では条例をつくられておる、実態に即したものである、こういうふうに思われる。したがいまして、環境庁の一般的な考え方としては、やはり実情に即した形でそういうことをやっておれば、それに見合ったような財政的な面等もお願いをいたしたい、こういうのが考え方でございます。
  60. 三谷秀治

    ○三谷委員 おっしゃる点はもっともな点があります。たとえばこれが東北の山間部だとか、そういう自治体と大阪のような特に汚染のはなはだしい、ごみ問題の深刻なところと同列にいくものでないことは明らかであって、その点は単にごみ問題だけでなしに、人口の集中対策だとか過疎対策とか、それぞれ条件に応じた特殊な対策を自治省もおとりになっている。その点からしますと、大阪などのようにこれほどごみ問題の深刻なところにおきまして、全国水準で見なくちゃいけないから、これを全般として自治省としては取り上げにくいというふうな議論は、これはいただけません。大阪なら大阪の実情に応じた一つの人口過密地域対策的な内容の交付税の措置があってしかるべきだと私は思いますが、その点はどうでしょう。
  61. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先生御案内のように、ただいま市町村の財政需要算定する場合に、人口急増に伴う補正とか市町村の態容による補正とか、こういうことは当然やっておるわけでございます。したがって、東北地方の同様な人口逓増の市と都市的なところの市とはずいぶん財政需要が違います。そういう一般的な補正はもちろんかけておるわけですが、特殊の、いまの大阪府のごみのと、こういうことになりますと、普通交付税になじむかなじまぬかの問題が出てまいります。算入のテクニックの問題で、大阪府の市だけに別の特殊な態容をつくるのかどうかという問題も起こってまいろうと思います。そこで、一般的に、ごみ処理の単位費用を上げていく、それから人口急増態容を上げていく、これは私ども賛成で、そうしてまいりますが、手に負えないところですね、つまり隣の兵庫県と大阪府とひどく違う、ここは特別交付税ででもさしあたり見なければしようがない、そういう事態でありまして、なお検討させていただきたい、こう申し上げておるわけであります。
  62. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、大阪あたりの条件と兵庫県とは違う。兵庫県にしたって、たまたま県がそういう条例をつくっていないというだけのことであって、大阪に隣接した市町村におきましては同じ状況にあるわけです。ですから、ここはやはり市町村の実際の状況が問題であって、府県が条例をつくったかつくっていないかというところに重点を置くのでなしに、市町村における実際のごみ処理の状況基準にして考えてもらうということが最も現実的だし、最も具体的な方法だと私は思っております。その点からしまして、いまの大阪の一府十二市一組合、私はたまたま大阪しか知りませんが、全体を調べる時間がありませんでしたから調査はできておりませんが、この種の問題は、これをいま要望しているかしてないかは別としまして、隠然、公然とそういう要求があることは、これは恐らく間違いない。そうしますと、これを地方交付税の算定基準に入れることは妥当な措置であって、それをぜひ私はお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  63. 首藤堯

    ○首藤政府委員 財政需要算定いたしますのに当然考えられることは、一般的に申し上げますと、大体全国的に一定のレベルが保たれておる、また保たれなければならぬという点については、普通交付税に算入してしかるべきでありますし、また一般的な手法によって算入され得るわけでございます。ところが、一つの特殊な地域、まあやっていることは結構な、いいことだと思いますけれども、そこだけにかかった額を普通交付税の算入の際にどうやって持ち込むか、こういうことになってまいりますと大変テクニカルにも問題があるわけで、そこでこそ特別交付税の登場する分野があり得るわけでございまして、そのような意味で申し上げておるわけであります。現在兵庫県がいたしておりませんレベルのところまでも含めて、大阪が普通交付税でやっているから、その付近全部を普通交付税に入れるということは実際問題としてなかなかむずかしかろう。そういうものの推移に応じて普通交付税そのものは、それはそれでまただんだんレベルアップをしていかなければならぬ。その間は、特殊にかかっているものは実情に応じて特別交付税財政措置をしていく、これが筋でなかろうかということであります。
  64. 三谷秀治

    ○三谷委員 ここのところは議論があるところであって、こういう問題につきましてはより指導的な観点に立って措置をとるべきだというのが私の意見です。しかし、この特別交付税算定というのが非常にあいまいなものであって、災害などが起きればほかは薄まきになってしまうという性質のものですから、そういう年度によって絶えず変動していくというものでなしに、一定の基準的なものを示してやればそういう措置がとってもらえる、だからやれるというふうにしてほしいと思いますが、この点どうですか。
  65. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ごみ処理手法の向上という事態に応じておっしゃるようなことをやっていかなければならぬだろうと思います。したがって、先ほどから申し上げておりますように、そういう需要の算定方法については前向きにいろいろ検討させてもらいたい、こういうことでございます。
  66. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなた方の専用語、前向きに検討だとかいうふうなことをしばしばおっしゃいますが、とにかくやるという立場でこれは措置してもらえるというふうに理解していいですか。
  67. 首藤堯

    ○首藤政府委員 やる方法で方法論を検討させてください、こう言っておるわけです。
  68. 三谷秀治

    ○三谷委員 もう一つ自治省お尋ねしておきます。  さっき申しましたように、大阪府下、ほかは知りませんが、茨木、寝屋川、吹田が、何とかごみ処理場をつくりたい、最終処理場をつくりたいというので、いろいろ努力して土地を購入しました。寝屋川などは三十キロ圏内で四十二カ所の候補地を探しまして、いろいろ地元との関係もあり、搬入道路の問題などもあって、苦労して選考した末にやっとこさ候補地を見出して、これを購入したのです。ところが、地元との話し合いが難航する。吹田市の場合は、御承知のように、亀岡、吹田ごみ戦争と言われていますように、五十五万平米の土地を買いながらこれの実施ができない。茨木においても同様な状態になってきている。それで年々膨大な利子を払ってきている。これはいつまで続くかわかりません。これについては後で環境庁、自治省にもお尋ねしますけれども、もうすでに利子額が合計して三市で八億一千万円、これはまだ十二月の時点ですから、今日においてはもっとふえておる。年々累増しておる。とにかく毎日三市で七十四万円ずつ利子として消えていくわけです。皆さん、これをほっておいていいでしょうか。要するに、善意に基づいて何とか処理場をつくっていきたいというので苦心惨たんして用地を確保したけれども、これが意図に反してうまく進んでいない。  これについて要望として出ましたのは、先行取得しましたごみ焼却場用地と最終処分地等に対する長期低利資金と利子補給お願いしたいということであります。少なくとも年間一割近い金利を払う状態では、地方自治体は本当につぶれてしまいます。そこで、これに対して国としても何分の対策が必要ではないか。せめて低利資金との借りかえをやらせるとか、あるいは利子の補給をしてやるとか、そして、後でお尋ねしますが、この根本的な解決を図っていく、それまでの短期的な措置としてこれは当然考えてもらう必要があると思いますが、いかがでございましょう。
  69. 首藤堯

    ○首藤政府委員 一般的に、人口が急増いたしております都市における事業実施のために必要な地方債の償還が問題であるという事態がありますので、先生御承知のように、学校だとか、ごみ処理関係の施設だとか、こういうものについては、いわゆる交付税措置の際に事業費補正という行き方を採用して、その元利償還分を相当程度基準財政需要に取り込む、こういう間接援助方式をとっておるわけであります。現在はそういう方式をとっておるわけでありまして、直ちにこれをどこまで拡充をしなければならぬかどうか、これは将来の検討問題だろうと思います。それから一般的に土地の買収等やりましたものの、後の処理等の問題がけりがつきませんで、それに対する元利償還等の問題が財政を圧迫をする、こういう事態はあるわけでありますけれども、これは個々地方団体ごとのケース・バイ・ケースで、その実態等をよく拝聴しながら、何らかそれに対応する具体的な援助措置がとれるかとれないか、これはいろいろ財務調査官等を通じましても検討しており、特交、起債、こういうときの配分でいろいろ配慮はさせていただいておるわけでございます。ただルールとして、土地の償還費についてすぐこれを算入する、こういうルールは現在とっておりません。なおこれは検討させてもらいたいと思います。  それから低利資金による借りかえ等の問題は、これはそのほかの資金でもいろいろございますが、現在の事態でこれを最も低利な政府資金に借りかえていくということは、政府資金の枠の問題がございまして、これは実際言うべくしてほとんど不可能に近いほどただいまでは困難な問題だと思います。民間資金同士の間で低利に借りかえができる、こういう事態があるならば、これは借りかえのための地方債の許可、こういう点はいろいろ努力したい、こういうふうに考えております。
  70. 三谷秀治

    ○三谷委員 私が申し上げましたのは、不特定な一般的な用地の先行取得に対してどうしてください、こうしてくださいと言っているのでなしに、いま最も重大な、環境行政上からも公衆衛生上からも重大な関係になっておりますこのごみ処理場、特にこの最終処理場です、これがむずかしいわけなんです。最終処理場の設置ができない。しかもこれをしなければ、有機物、重金属の入ったごみを随所に投棄しているわけです。この実態は、私ども現地を見てまいりましたけれども実に危険なものです。しかもそれをする以外に方法がないわけですから、何とかこれはそういうことがないように最終処理場を確保したいというので、一生懸命に用地を探して、そしていろいろな条件を検討して、できる見通しで購入したところが、あにはからんや反対が起きてきた、こういう特殊な事情に対してはやはりこれは特殊な対策をとってもらう必要がある。そうたくさんの個数じゃないと私は思いますけれども、全国的にどの程度あるか私は知りませんけれども、とにかくいま明らかになっておる点についてはそういう処置をとってほしい。特交ということをよくおっしゃいますけれども、特交というのは不特定なものなんですよ。災害がなければわりに多く配分されてくる。去年のように災害がふえてくると他の部門は削減されてくるというようなもので、きわめて不安定なものであります。そうでなしに、何か安定的な処置をとって、とにかくいま当面しております困難を救済する責任が国にもあると私は思うのです。これは自治省にもお尋ねしておりますけれども、厚生省などもどうですか、少しはそういう観点に立って自治省と協議をする、そして解決に努力するというふうなことをやる責任がありはしませんか。両方にお尋ねしたい。厚生省からちょっとお尋ねします。
  71. 国川建二

    ○国川政府委員 先生御指摘のように、最終処分地の確保という問題が非常にむずかしいのでございます。もちろん最終処分地確保では費用の問題と同時に、その確保されました土地の特に住民の方々の御理解あるいは御協力というものがありませんとなかなかうまくいかないという実態があるわけでございます。したがいまして、このためのいろいろな財政措置の問題でございます。私どもといたしましても十分前向きに考えていきたいと思うております。
  72. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘の廃棄物処理のための土地の取得問題、これは大変莫大な経費を要する問題でありますので、今回の制度改正等にも伴いまして、こういったものの取得が非常に大きな面積が要るといったような場合には、地方団体だけで処理をするということでなくて、これは国費、国庫負担、国庫補助、この制度も導入をする、こういうこととかみ合わせて処置をしていくべきだ。したがいまして、この法律改正に伴います所要の財源措置、これは厚生省も環境庁も本当に腹を据えてじっくり考えてください、こういう申し入れを去年の七月にもしております。そういうものとあわせて私ども考えさせていただきたい。でないと、全部地方団体がかぶることになります。
  73. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはおっしゃるところはよくわかりますから、それは自治省にだけ責任を押しつけているわけじゃない、後で厚生省、環境庁にお尋ねしますけれども、しかし、この借りかえ問題ですね、要するに低利資金、利子補給の問題は、恐らく自治省の方がそういう立場にお立ちにならなければ実現しない問題だろうと思ってお尋ねしたわけですが、これはまた後でそれじゃお尋ねします。  そこで、環境庁、厚生省ですね。自治省が言っておりますように、これは環境行政の観点からしましても放置できない問題であって、財政的にはどうするか、短期的な財政をどうするかという問題、厚生省にしても同じことが言えるわけなんですが、そこでこの要望によりますと、ごみ焼却施設の建設に対する国庫補助を大幅に上げてもらいたい。これは厚生省の関係だと思いますが、これについてはどうお考えでしょうか。ただし、去年お上げになったことは知っておりますから、その説明は要りませんよ。去年トン当たり千七十二万円ですか、改善されました。このことは承知しておりますが、しかし、これでは依然として超過負担が出てきている。昨年の平均実績で見ますと千三百万から千五百万です。そこで、不況のために幾らか業者がダンピングしましたから、もう少し安く上がりました。約千三百万円程度で上がっておりますが、依然としてこれは超過負担が出る。こういう状態では、ごみ処理場——これは最終処分場の問題と違いますよ、ごみ処理の施設の整備が非常にむずかしくなってきております。それから厚生省は去年から補助基本額の計算方式を変えていらっしゃいますね。処理物の基幹的な施設に対してはトン当たり六百三十七万円までは一〇〇%の補助をする。トン当たり六百三十七万なんというものでできますかいな、これ。それからそれ以上は五〇%の補助、限度額が千七十二万、こうなっております。これでは最終処理場までいきませんが、それ以前の問題の解決もできない状態になってきている。これはもっと改善する必要がある。実情に合わせて改善してもらいたい。  それから、問題がこうややこしくなりますから、ごみ処理場の問題を申しますが、ごみ処理場の問題についても、もっと抜本的な補助政策をとる必要がある。いまのままで、市町村に適当にそれをつくれ——それは自治法上によりまして地方、市町村の事務と規定されている。市町村の事務だから市町村にやれと言ったって、できっこありません。これは環境庁長官も認めておるところですが、これに対して環境庁も厚生省ももっと抜本的な対策をとる必要がある。この短期的な抜本対策についてどういうふうな処置をお考えになっておるのか、これもお尋ねしたい。
  74. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 短期的な問題につきましては、先ほども御答弁申し上げたとおりでございますが、ただいま厚生省の方におきましてこの実態の把握をやる、しかもそれにのっとりまして厚生省を中心にその対策を進める。その際に関係省庁の協力が必要であれば、厚生省を中心に協議していくということで厚生省の方と打ち合わせしておるわけでございます。したがいまして、環境庁といたしましても厚生省の方とタイアップいたしまして、廃棄物の埋立地問題というのは非常に重要な問題でございますので、この解決に努力をしてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  75. 国川建二

    ○国川政府委員 処理施設補助の内容につきまして、詳しく申し上げるのは省略させていただきますが、五十一年度におきましてもかなり実質単価アップをいたしたわけでございまして、五十二年度予算案におきましても、平均ベースといたしましては前年度比二〇%引き上げたわけでございます。  それからなお、運用上の問題といたしまして、補助の方式を五十一年度から若干変更いたしております。それは先生も御指摘のございましたように、できるだけ実態に合わせるような形で助成できるような方式にいたしたい。五十一年度もいたしましたが、五十二年度におきましてもさらにそれを実態に合わせて補助できるような仕組みに組み直したいというつもりでございます。そうすることによりまして、いわゆる超過負担と申しますか、というような問題はかなり改善されるものと私どもは一応考えておりますが、今後ともその面につきましてはできるだけ強化していくというつもりで努力いたしてまいりたいと思います。  それからなお、長期的な問題といたしまして、処理施設あるいは最終処分場の確保問題等を通じまして、いわゆる市町村限りの段階ですべてのものを処理するのは非常にむずかしくなっているケースがだんだん出てまいっているのは事実でございます。私どもといたしましても、市町村段階でできない場合には次の段階としまして、第一義的には都道府県の段階でより広域的な仕組みを取り込む、そういう形での物の考え方を従来以上に指導といいますか、そういう面をより強めていきたい、そしてそういう形で対処していきたい、そのように考えておるわけでございます。
  76. 三谷秀治

    ○三谷委員 大ざっぱなお答えでありますが、いずれにしてもこれは思い切った処置をとらなければ、この問題がいま一番のネックになってきております。  そこでお尋ねしたいのですけれども、先ほど実態の把握に努めるとおっしゃいましたが、たとえば東京都の都市廃棄物処分場管理組合の羽村の処分場が、裁判所から使用期限を本年五月までに切られている、六月以降の処理の見通しはないということでありますが、この事態について御調査になりましたか。  それから大阪府下で、先ほど引例しましたけれども、業者委託でやっているのが六団体、それから処分地の確保に奔走している、いま持っておりますけれども、これも限度に達してきて早晩これは満杯になる。これが五団体、走り回っておるという事態がある。それから吹田、寝屋川、茨木等につきましてはさっき申し上げましたが……。これはじんぜん日を送ることのできない状態なんですよ。ほっとけばすぐさま満杯になってしまう。ほっとけば山間部の不法投棄が依然として継続する。それから、ほっとけば、そればかりでなしに、特定の自治体におきましては年々膨大な金利負担を強要されてきておる、こういう状態、まさにこれは破壊的な状態なんです。しかも、これは二年たち、三年たって研究の結果を示すという性質のものじゃないのです。焦眉の急になってきている。これに対して一体迅速にそういう対策をとりつつあるのか、それをまずお尋ねしたい。そうして、この状態を一体どうすればいいのか、自治体はどうすればいいのか、お示し願いたい。  それで、三月十五日から新廃棄物法が施行されまして、地方自治体はごみの処理場の指定を業者にしなければごみの処理ができない。あるいは、その処分の方法も示さなくちゃならない。これも三月十五日になっていますが、いま違法状態が続いている。これは一体どうするのか。つまり違法を前提にして法律をおつくりになっているのか。法律というものはそういう性質のものであってはならぬでしょう。守れないことを前提にする法律の制定なんということはありますかいな。そうしますと、法の施行は一体どうされますか。形の上では施行したけれども、違法はやむを得ない、やっておけということならば、そんな法律をつくる必要はない。むしろ法律の権威が落ちてしまう、違法が慢性化してしまう、普遍化してしまう。そういう権威のないことを政府がおやりになっていいのですか。これについては一体どういうふうなお考えか、お尋ねしたい。
  77. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  実態の把握の点について若干御説明いたします。  いま全国の千九百事業体から、処分地を含めまして廃棄物関連の処理施設状況はどうであるかというふうなことを回答を得ております。個票が全部来ておりまして、いま集計をしておりますが、この後、これについて問題のある地域についてはさらにしぼって詳細な調査をいたしたい。その場合には、委託した場合にその委託者が持っている処分先がどこであるかというふうなこともきちっと調べるということであります。  お尋ねは、東京の羽村の地区でございますけれども、確かに五月いっぱいであそこは裁判所の方から差しとめになるということで、その後の問題について東京都を通じまして調査いたしております。それは確かにそこがいっぱいになるということで現地の組合が、あそこの地域にも若干まだ空地はあるわけですけれども、代替の場所をどこにするかということで大変積極的に探しておられるわけですけれども、その処分先がどこであるかということがただいま表へ出てしまいますと交渉がちょっとしにくくなるということで、もう少し詰まるまで国の方には出したくないということがございます。ただし、これは期限が来ますと大変なことになるわけですから、それまでにきちっと代替の場所を見つけるようにということで東京の場合指導しております。  それから大阪の関係でございますが、もちろんその地域の個別な問題ということで都道府県がまずこれに当たるわけですけれども、これは大変広域的な問題になりますと都道府県だけではどうしようもないということで、そういう場合に国が乗り出したという例は、屎尿処理の投棄の問題、瀬戸内の屎尿を土佐沖あるいは和歌山沖へ持っていった例がありますけれども、こういうときに国がこれについて調整した。あるいは都道府県がいろいろ御指導してもどうしようもないというときに、国が出向いていって、現地のそういった処理場の問題に対していろいろお手伝いしたというふうなことも実はございます。  そういうことで、私どもいま個票が戻っております調査の内容を整理した段階で、大阪の問題につきましては大阪府を通じてさらに期限が来た後どうするのか——知事さんレベルでは、まだ直ちにはこれに介入するのはというふうな御意思もございますけれども、担当部門に対しましては処分対策をどうするのか、腹構えをはっきりしろというふうな態度で私の方のレベルでは指導しております。
  78. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいました中に問題が伏在しているのです。たとえばいまの東京都市組合の羽村の処理場が五月末で使用できなくなってくる。そこで後どうするかというので予定地を探しておる。ところがそれが明らかになると交渉がしにくくなると、こうおっしゃっている。ところがこれを買収した途端にまたこれは交渉がしにくくなってくる、実現しなくなってくる。それが吹田の例であり、寝屋川の例であり、そうしてまた茨木の例なんだ。交渉するまでは隠密にやって、そうして大体できるという見通しで買ったところが、いざ交渉して工事にかかろうとすると、何だ、これはごみ処理場やないか、絶対反対だ、こうなってくる。東京都の場合にも、つまりそういう状態が現実に進行していることがいま説明されました。つまり、内密で交渉しなければ土地が買えない。ところが、それじゃ土地を買った途端にどうなるかといいますと、反対だ、こうなってくる。そこで金利を払って財政負担が深刻になってくる。この事例がずいぶん出てきている。そういう経緯というものをいまはしなくもお示しになった。これは一体こういう形で問題が解決するだろうかということなんです。  そこで、先ほどの要望に返りますけれども、この要望の中ではこういうことが言われている。「広域的な解決を保障する権限と役割を府県に与えること。」こうなっていますね。大阪の場合これで若干役に立ちますが、東京の場合には、現に府県が持っていると思いますけれども、これだけじゃ解決しません。いずれにしても国が関与をして、そして広域的な処置をするということがどうしても必要になってきている。しかも、これはヨーロッパ諸国ではたくさんの例があるわけであって、そうしなければごみ問題は解決しないということがそういう例でも明らかになってきている。これについて行政局長お尋ねしたいのは、このごみ処理問題は市町村の事務であるというその規定をそのままなお今日残置しておいていいのかどうかという問題。それから、環境庁は、この広域的な解決について、一体どのような処置をおとりになろうとしているのか。このことが大阪の各自治体の要望の中にも示されているわけでありますが、これは真剣に考えなければならない問題であって、その場限りのお答えでは解決するものじゃない。抜本的な考え方が必要になってきている。これについてお尋ねしたい。
  79. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま大阪府下の衛星都市を中心にいたしましての実情の御説明を伺ったわけでございまして、確かにごみ処理の問題が都市におきましては大変な問題になっている。しかしながら、一番基本的に考えれば、全国の市町村、府県、国、この三者の三段階の行政事務を担当すべき分野におきまして、どこが本来的にごみの責任分担かという基本的な原則を申せば、やはり市町村であると思います。一番基礎的な地方公共団体の事務といたしましては、市町村が分担すべきものであろう、原則的にはさように存じます。しかしながら、特定の地域におきまして、それでは対処できなくなるという事態がいまの先生の御説でもあったわけで、それに対してどう対処するか。これはたとえば下水にいたしましても、従来は市町村だけというような観念でおりましたのが、流域下水道は府県というようなものがやるようなかっこうに変わっていく。廃棄物にいたしましても、すでに産業廃棄物というものは府県が中心というように法律上も観念されているというように、やはり時とともに変化をするということは認めざるを得ないと思います。その意味におきまして、本日は大阪を中心にしての御議論でございますので、まさにそういう御指摘に値するような事態になりつつあるのじゃないかというような感じは持ちます。  また同時に、先ほど先生もおっしゃいましたように、東京の場合には都である。しかし、都であるからといってそれが直ちに解決するのかということは、また別の問題でございます。その辺のところが、都であれば解決し、市町村では解決しないと一体言えるのか。また実際に、先ほど土地の買収というようなこともいろいろあったわけでございますが、ああいうものでも府県でできるのか。実際はやはり市町村じゃなかろうかというような感じもいたすわけでございまして、あれこれ考えますと、時代とともに事務の分担も変わっていかなければならない。このことは十分承知をしながら、原則はやはり市町村、しかし、そういった特殊な事例、あるいはだんだん特殊でなくなるかもしれませんけれども、そういった時代に対応する考え方というものはやっていく必要があるのじゃないか、かように存じます。
  80. 三谷秀治

    ○三谷委員 最後の方が何か一般的になってしまって、実体不明になってきた。  そこで、いま東京の例、つまり府県の域内における処理についてだけお答えになりましたが、さっき私がお尋ねしましたのは、国の責任、国の介入という問題もヨーロッパにおいては行われておるので、この点も含めて考えなくちゃいけないのではないかということであって、府県の問題だけ言ったんじゃない。府県も市町村よりは広域であるが、府県で解決しなければさらに国が介入をするということもしなければ解決しないではないか。おっしゃいますように、市町村というのは基本的な自治体でありますから、市町村というものが本来こういう住民行政の中心になるべきものであるという点につきましては、私たちはお考えは一緒なんです。しかし、市町村で処置できなくてどうするのかと言うのですよ。その点について検討が必要になってきているのではないか。これは流域下水道よりはもっともっと深刻であり、もっともっと広域性が必要になってきている。そういう点について、行政上も検討し、改善する必要があるのではないか、これをお尋ねしたのです。これはまだ厚生省と環境庁にお尋ねしておりませんが、お答え願いたいと思います。
  81. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 一般廃棄物につきましては、市町村が市町村の事務として処理するというのが基本的な姿だろうと思います。ただ問題は、ただいまいろいろ大阪等を中心にいたしまして具体的な例も御指摘があったわけでございますが、市町村が処理するといいましても、市町村の区域内がほとんど都市化していて捨てる場所がない、よそに買いましても、買ったところが現実に活用できぬというような具体的なお話があるわけでございます。したがいまして、府県等におきましても、基本的には市町村が担当するわけでございますが、これを補完するというようなことで、いろいろ処理公社等もつくって対応している。第三セクター等をつくって対応しているところもあるようでございます。しかし、これもまた大阪なら大阪を考えた際に、大阪府だけでやれるかどうかという問題が一つの課題として確かにあろうかと私は思います。したがいまして、公的関与のあり方という問題につきましては、国といたしましてもその辺は十分詰めていく必要があるだろう。先生から外国の例等もあるようでございますので、そういう面も十分検討いたしまして、土地の事情その他は日本とは大分違うとは思いますけれども、そういう面の制度も参考にしながら、公的関与、特に国がこれにどう対応するかというような点は検討していく必要があろうと思います。この面は所轄省の厚生省とも十分連絡をとりながら、環境庁としても関心を持って対応していきたいと思っております。
  82. 国川建二

    ○国川政府委員 先生おっしゃいました市町村以外の県あるいは国のかかわりの問題でございます。ただいまお話がございましたいわゆる公的な関与を、どのようなものをどういう仕組みで、どういう形で進めることが適切かという問題でございますが、これはまさに時代の変化とともに変わり得る部分もかなりあると思うのでございます。そういう意味で、最終処分場の問題などを含めますと、特にそういう形の問題を今後十分詰めなければいけない問題だと思っております。私ども、関係方面とも十分意見を交換しながら、積極的にこの問題の詰めに取り組んでいきたい、このように考えております。
  83. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間がありませんから終わりますが、最後お尋ねしておきたい。  いまお答えの中で、施行されました法律が守れないのはどうするか。これは実施の延期でもするのか、あるいは遵守できないことを認めるのか、そういう不定見なことが行われていいのかということについて、お答えがなかった。  もう一つは、自治省、厚生省、環境庁にお尋ねしたいが、この問題はさっき指摘しましたように、いろいろな問題がある。ですから、一省では解決しない内容がずいぶんあるので、一緒になってプロジェクトをつくって協議してほしい。環境庁長官はやると言ったんだがまだやっていないようだけれども、改めて厚生省、自治省からこの点についての見解を承っておきたいと思うのです。  もう一つだけお尋ねしておきますが、一般廃棄物の残灰も産業廃棄物と同じように国や府県の援助が得られるようにしてもらいたい、これが自治体の要求になってきておる。これについてもお答えをいただいておきたい。
  84. 国川建二

    ○国川政府委員 先ほど来先生がおっしゃっておりました、特に廃棄物を委託業者に委託した場合の内容について法律上問題はないのかというお話でございますが、私どもの認識している限りにおきましては、当該市町村が業者に委託している場合には、少なくともその内容については当該市町村としては承知しているものと認識しておるわけでございます。  それから第二点の要望の中で一廃の残灰でございますか、この問題につきましていわゆる国や府県の援助という形、産廃と同様にというお話でございますが、内容が実際によくわかりかねるのでございますけれども、たとえばおっしゃる意味が産業廃棄物と同じような扱いで一般廃棄物の残灰をうまくできないのかというお話かといたしますと、これはまさに個別のケースでいろいろ違う面があるのではないかというように思います。いわゆる最終処分場を確保し、あるいは最終処分場を有効に利用するという意味からは、そのようなけじめがなくてできるならば大変いいことだ、私どももそういうぐあいに思います。個別のケースでできる場合とできない場合、あるいはできないとすればどのような問題があるのか、そういう問題について個別の問題として検討いたしてみたいと思います。
  85. 山本悟

    山本(悟)政府委員 各省庁関係あるのでプロジェクトでもつくったらどうだ、それに参加する意思はあるか。主管といたしましてはやはり厚生省でございますので、お呼びかけがあれば自治省としては前向きに参加いたしたいと存じます。
  86. 三谷秀治

    ○三谷委員 厚生省はそれをやる意思はありますか。
  87. 国川建二

    ○国川政府委員 申しわけありません。先ほど御質問ございましたこの問題について一厚生省だけじゃなくて、関係省を含めて十分検討すべきじゃないかというお話でございます。確かに遅きに失するというお話があるかもしれませんが、いわゆる最終処分場で非常に行き詰まっている地域というのは非常に限られた地域のような感じもいたします。全国的に見ますと、かなりの余裕がございます。たとえば東京圏あるいは大阪圏におきましてもかなりの余裕を持っている団体もございますし、非常に行き詰まっている団体もございます。そういう意味で、個別の実情を、実はいまいろいろ実態を調べているということを先ほど申し上げたわけですが、そういう問題をひっくるめて、問題の性質として当然そういう形での検討が必要になってくるのではないかというように思っておりますので、そういうことになればそういたしたいと思います。
  88. 三谷秀治

    ○三谷委員 もっと適切な答えをしたらどうですか。環境庁はそれをやると言ったのだ。厚生省は主管省であって、それを地域はどうとか、地域がどうあろうとも、日本の国内におきましてそういう問題が現実に起きてきておる、非常に深刻になってきておる。しかも日本の人口の十分の一が住んでいる地域におきましてそんな状態になってきているということを見ますと、もっと積極性を持って、イニシアチブを持ってやっていく。自治省も参加すると言っておるし、環境庁長官もやると言っておるのだから、厚生省がやらぬというわけはないでしょう。やるのでしょうが。
  89. 国川建二

    ○国川政府委員 私はやらないというわけではございません。そういう形で……
  90. 三谷秀治

    ○三谷委員 要らぬことは言わぬでいい。それでは終わります。  児童福祉関係、まことに申しわけありません、保育所の超過問題についてお尋ねをする予定でありましたけれども時間が経過しまして。次回に必ずやりますから、よろしくお願いします。
  91. 地崎宇三郎

    地崎委員長 川合武君。
  92. 川合武

    ○川合委員 消防庁お尋ねをいたしたいと思います。  消防力の基準のことでございます。消防力の基準の第四条によりますと、「市街地に配置する消防ポンプ自動車の数及び」云々ということで、別表第二に掲げる云々に定めるとおりとする、こういうことになっておりますが、別表第二で、たとえば市街地の人口分割地域に係る人口が十万というところで、平均風速が四メートル毎秒未満のもの、配置する数が十二あるいは署所の管理する数が七、こういうような数が出ておりますが、この数の根拠をお伺いしたいと思います。数の根拠というと、ちょっとあれかもしれませんが、七とかなんとかいうその数値が出てきた数の根拠をお聞きします。
  93. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 お答え申し上げます。  木造家屋が一軒燃えまして、隣の家に燃え移るまで大体八分ぐらいかかるという実験の結果がございますが、隣の家に燃え移るその八分の間に、どの消防署からも自分の管内のところに行けるように消防署を配置するためには、計算上このような数になっておるというふうに考えております。
  94. 川合武

    ○川合委員 この数、たとえばさっき例に挙げました署所の管理する自動車の数が七つ、こういう数字ですが、この数が最近変わっておりますか。前からこのとおりですか。
  95. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 五十年に改正をいたしております。
  96. 川合武

    ○川合委員 前はどのくらいの数で、その変わったいきさつ、事情を説明していただきたいと思います。
  97. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 前は、現在の数よりも多少ふえて多くなっております。  減りました原因は、各地でかなり常備化が進んでまいりましたし、交通事情もよくなりましたので、それぞれの消防署で、一つの火災が起きましてまた別の火災が起きるといかぬということで、予備等に残しておく台数を少なくていい、そういう傾向になってきましたので、各消防署で持たなければならない数は前よりも減らしたということになっております。
  98. 川合武

    ○川合委員 そうすると、課長の話を聞くと、何かこれは消防力の実施計画といいますか実際の計画としては、お話のように、応援力も強まったとかいうようなことでそのとおりであり、それは結構な望ましいことだと思うのですけれども、この消防力の基準というのは、基本が、課長がいま言われたことと多少違うのじゃないかと私は思うのです。と申しますのは、たとえば常備化も進み、確かに応援力も強くなったけれども、しかしまた、対象が非常に複雑化してむずかしくなってきておる。消防力の基準の一番のもとになっておるところの、さっき課長の言われた八分という中でも、その八分の、それをつくり上げている中の大きな要素は、出動してから火災現場に到着する時間が大きな要素になっているわけですね。交通が渋滞するというようなことは、当然条件も悪くなっておる。消防力がいろいろ強まってきておるということは望ましいし、結構だけれども、しかしまた対象が非常にややこしくなってむずかしくなっているということも、これは木造火災といえども言えると思うのですね。ですから、実際計画消防力の基準とがチャンポンになっていると言うと少し言い過ぎではあるけれども消防力の基準というものは、独立火災にとどめて延焼を防ぐ、もらい火を防ぐ。火元だけはやむを得ないかもしれぬが、もらい火を防ぐために、その単体に対して、一つの火事に対してそれを消すために、どれだけの口数が必要かという一番原形、もとの形のところを押さえて消防力の基準があるのだと思うのですね、まあ申し上げるまでもなく。したがって、応援力が強まった、常備化が進んだからといって、それで消防ポンプの数を減らすというのはどうかとこう思うのですが、そういう感じに対して、ちょっと問いがわかりにくいかもしれませんけれども——課長わかりますね。長官、どんな感じでございましょうか。
  99. 林忠雄

    林政府委員 大先輩を前にして、まだ私も消防庁にそう長くございませんものですから、いまの消防力の基準のもとまで、実は、不勉強ではなはだ申しわけございませんでした。  そもそも消防力の基準というのは、言ってみれば最低限でございまして、少なくともこれだけは装備してほしいという国の一般的基準だと存じます。もちろん、その地域地域によっていろいろ特殊事情がありまして、交通事情その他を考えて、一律この基準によることなく、その地域の創意工夫というか熱心のいかんによっては、この基準以上に整備をしておられるところもありますし、言ってみれば一つの行政指導の目標みたいなものであって、しかも忘れてならないことは、これが最低だということ、これ以上は必要ないという意味のものではございません。  そういう意味で、消防力の基準というのはできるだけ年じゅう見直しをいたしまして、いま御指摘になりました、交通の渋滞などということが起きるようなところももちろんございましょうが、また逆に、広域市町村圏の整備が進みまして、一つの組合消防の中の道路事情というのが、これが舗装しない道から舗装された道にかわりますと、実に能率的には非常に上がる、そういうあらゆる要素を取り入れて始終見直して、少なくとも最低というのをいじるという操作を繰り返していかなければいけないものだと思います。  その場合に、確かに御指摘のように、それが安易に、道路がよくなった、常備消防が進んだからと言って下げるべきものではないという御指摘は、まさにそのとおりだと思います。しかし、そういう要素もまた勘案しつつ年じゅう見直しをしている場合、下げるということについては非常に慎重であるべきだという事情を考慮しながらも、さらに、一般的基準として、もちろん行政の効率性その他もございますし、それらのまとまったデテールを使って計算をして、ここまではよかろうという線が、ある場合には下がるということは、これは一般的基準としてはあり得るのだろう。ただ、それに対する取り組む心構えといたしましては御指摘のとおりでございまして、安易に下げるべきものではないということは、実は長年消防当局も十分承知をしながらこの基準を見直してまいったものだと存じます。  それから、現実には、この最低であるべき基準に対してまだ充足していない。全体的にも十割を割っておりますし、ポンプの数からいっても八割何分というところでございますし、個々の市町村をとれば、まだ最低目標にすら達しないところが非常にたくさんございますので、むしろそちらに対する充実の指導を強くやっていくということが、現在、主体の任務だと存じております。ですから、基準自体の考え方としては、御指摘のようなことを心がけながらも、全体的に見直しを繰り返しているということではなかったかと存ずる次第であります。
  100. 川合武

    ○川合委員 次に、十二条の七の問題で、これは救急車の方ですが、救急車の方に、やはり「人口十五万以下の市町村にあってはおおむね人口五万ごとに一台とし、」云々と書いてありますが、この救急車の台数が「人口五万ごとに一台」、こういうような数字が出てきているその根拠を伺いたいと思います。
  101. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 救急車につきましての消防力の基準は後から追加になったわけでございますが、これは過去におきます出動件数と人口との関係を経験的に考慮いたしまして定めた基準でございます。
  102. 川合武

    ○川合委員 そうすると、統計上こういう数字が出た、こういうことですか。いままでの出動件数を見て、統計的に大体この程度に抑えよう、こういうことですか。
  103. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 さようでございます。
  104. 川合武

    ○川合委員 救急業務が始まりてからもう何年になりますかね、相当年数も経ておるので、出動件数の統計を考慮することは無論当然だろうと思います。しかし、消防力の基準と言っておるからには、かつ、火災につきましては一つの科学的な根拠を持ってやっているわけですから、救急についても、ただ出動件数で割ったと言うと失礼かもしれないけれども、その程度のものじゃなくて、もう少し検討を加えて、科学的根拠のある数字を出してもらうように検討していただきたいと思います。  次に十二条の三、これは石油コンビナートのところですが、石油コンビナートのある市町村の区域内には大型化学消防車を備えなければならないという十二条の三ですね、そこにただし書きがありますが、これは、応援を受けることのできる、たとえば隣の市町村から応援を受けることができる場合は一台も置かなくていい、こういうふうに解釈していいのですか。
  105. 諏訪部信

    ○諏訪部説明員 結果的にはおっしゃるとおりでございます。事業所で、これらの化学消防車とか高所放水車とかあわ原液搬送車等を持つような企業のあるところには、原則としてそれぞれの市町村は持たなければならぬわけでございますが、非常に隣接しているような場合で、他の市町村から応援が受けられるという場合には、その市町村が持っているのと同じような状態でございますので、結果的には持たないでもいいということでございます。
  106. 川合武

    ○川合委員 たとえばその所在の市町村が山間僻地であったとかあるいは島であったとかいうようなことで、特殊の地域の場合はこのただし書きの適用もしかるべきかと私は思うのですけれども、しかし、普通の場合、応援があり得るから一台も持たなくてもいいのだというのは少し消極的過ぎるのじゃないか、こう思うのです。片っ方、コンビナートの事業所には大型化学消防車等を設けることを義務づけているわけですね。自衛消防に義務づけている。私、そのこと自体は当然だと思うのです。当然だと思うのですけれども、事業所に法律で義務づけておるのに、その市町村の消防が一台もなくてもいいというのも少しアンバランスじゃないか、消防としては消極的過ぎるのじゃないか、こう思うのですけれども、長官、どうでしょうか。
  107. 林忠雄

    林政府委員 この規定が制定されたときの細かいいきさつは、実は私少し勉強不足で十分聞いておりませんが、いまこれを御指摘により拝見してみての判断は、おっしゃるように山間僻地とか島とかいうことではもちろんございませんで、コンビナート地帯ができるようなところでございますから、海浜に接して、相当工業的にも発達する、あるいは発達する見込みのあるような地域であろうと存じます。そこには、おっしゃるように企業には社会的責任ということで配置を義務づけまして、当然企業には社会的責任を義務づけておきながら、その地域公共住民の生命、財産に責任を持つ市町村に義務づけないのは、片手落ちとまではおっしゃいませんかもしれませんけれども、適当でないではないかということの御指摘だと思いますけれども、私の方から考えますれば、企業にまで義務づけているようなところで、その地元市町村が持たないだとかいうことは考えられることではない、元来当然に持ってしかるべきものであるという種類のものだろうと思います。  そこで、この法律は比較的新しいのでまだ整備は十分進んでおりませんけれども、一応企業には義務づけ、それから市町村には、消防力の基準にとにかくそういう企業で持つようなところは持ちなさいと書いて、あとは、もちろん財政措置も必要でございますが、これは国でも昨年も三十セットほどセットの補助の枠も取りまして、整備に努めておる次第でございます。  そして、このただし書きの規定は、一般的にはコンビナート地帯のあるところの地元市町村、これは相当大きな力のある市町村でありましょうけれども、中には、町村合併その他も進んでなくて、コンビナートの地域が相当広い範囲にわたっている、その中に非常に弱小な市町村もなおそのまま含まれているという場合に、すぐ隣の大きな市にそれが配置されておるようなところであれば、応援というよりも、災害が出たら当然にそこへ行くようなものをその周辺のものが持っている場合に、小さなところまでも一律に消防力の基準で持たせるようにするというのはいかがかというぐらいの感じで書いたものだと思います。したがって、当然そういう運用をされるべきでございまして、ただし書きの規定があるから私のところは要らないと言ってがんばってみても、具体的には、持っている市町村が相当遠くて、応援を得ようと思えば得られるのかもしらぬけれども、十分も十五分もかかるというようなところでこのただし書きを動かすということは毛頭考えておりませんので、そういう趣旨に御了解いただきたいと思います。  そして、市町村には義務づけなくして、基準に入れて補助枠も取ったのでございますけれども実態運用といたしましては、これは少しよけいなことかもしれませんが、昨年、一昨年来の地方財政の危機その他もございまして、まだ整備が十分でない。具体的には、昨年の補助枠というのが十分消化をし切れないような状態で今日過ごしておりますので、こういう苦しい地方財政の事態でありましても、われわれとしてはそういう事態であるがゆえにさらに力を入れて、少なくともこの基準を地元市町村がこの一、二年の間に全部満たすように、補助枠もいただきますが、それの消化についても努力をしてまいりたい。そして義務づけられた企業が持っているようなところは地元も必ずあるのだという状態を一日も早く実現するように努力してまいるつもりでございます。
  108. 川合武

    ○川合委員 長官のお答えで私了承をいたしましたが、さらにあえてつけ加えさせていただきますと、事故があったというときには無論隣の市町村からの応援あるいは近隣全力を挙げてこれに対処しなければならない。しかし、日ごろの訓練もあるわけでございますね。そのときに、自分の市あるいは町に化学消防車の大型のが一つもなくて、そして練習したこともない、自衛消防の方にはぱりっとしたものがある、消防機関が自衛消防指導しようにも自分のところに大型消防車がなくて教えもできない、相談にも乗れないということではいかがか、こう私思うわけでございます。  消防力の基準の問題につきまして私の感じを申し上げさせていただきますが、たとえば十五条の二というのがございます。これは都道府県のことを書いてあります。しかし、これを読みますと、一つ数字的なものは何にもなくて、ただ、都道府県も一生懸命やれ、こういうわけですね。私はこの十五条の二そのものの意味を否定するものでも無論ございませんし、それからこれを書かれたその気持ちもわかるのですけれども、しかし、私の消防基準に対する考えを申し上げさせていただきますならば、消防力の基準というのは、一番冒頭に課長も言ったように、木造の建築物で市街地の中で火災を発見したというか確知されてから放水するまでの所要時間を平均八分と押さえた。それは研究された結果の非常に科学的根拠に基づくものだろうと思うのですね。それで、平均八分に押さえて、そして火元はやむを得ないけれども、もらい火だけはこれを防ぎとめようという、私は、この消防力の基準というのは、非常に科学的根拠のある一番誇るに足りるものだと思うのです。ですからあくまでも消防力の整備計画とも違うし実施計画とも違う。大きな火事になったときどうこうこうというような問題はそこから出てくる大事なものだけれども、いまこの消防力の基準というのは、あくまでもいろんな現象を捨象といいますか、ある程度大胆に捨て去って、そして一番の原型をそこに書いて、そしてその数値を示して、それからあと整備計画とか実施計画についてはいろいろなものが加わっていく、こういうものではなかろうか。だから、消防力の基準の中に余り訓示的な規定のようなものを入れるのは、消防力の基準のよって来るところの経緯、せっかくの科学的な根拠の経緯を少しく損なうおそれもあり、多少努力をされてはおるけれども、コンビナート火災あるいは救急車というような重要な問題だからといってこれを挿入された——挿入されなければならないけれども、しかし、そこら辺で少し物足りなさを感じざるを得ない。ひとつ今後さらに検討を加えていただきたい、こう思います。  時間も参りましたので、最後にもう一問だけ別の問題をお尋ねして終わりたいと思います。  消防組織法の四条に消防庁の所掌事務が掲げてありますが、これを読みまして、どうもはなはだ物足りない、こう私かねがね思うわけなのです。これを見ますると、災害全般はおろか火災対策についてすら、基本的な研究をするというような項目はなくて、わずかに四条の、所掌事務の一番目に、「消防制度及び消防準則の研究及び立案に関する事項」、消防制度の研究に関する事項、こういう表現を見るだけなんですが、たとえば農林省の設置法を読めば、農林省の任務として、「農林畜水産業の改良発達及び農山漁家の福祉の増進並びに国民食糧の安定的供給を図り、もって国民経済の興隆に寄与することを目的として」云々といういわゆる真っ向からの堂々たる使命を持っておるし、また運輸省の設置法、これは例でございますが、仮に見ますると、「運輸省は、左に掲げる事項に関する国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」として、「水運 陸運港湾 船舶及び鉄道車両その他の陸運機器」というような調子で運輸行政に関しての責任を負うという構えを示しております。科学技術庁設置法にも「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」というように書いてあるわけですが、どうも消防庁の所掌事務を読むとはなはだ物足りないのですが、長官、どうでしょうか。
  109. 林忠雄

    林政府委員 いま私たちが日常、消防に関する仕事に一生懸命取り組んでいるつもりでございますが、この条文の書き方が不足であってやりたいこともやれないというような実感にぶつかったことは、実はございません。もちろん一つの訓示的な規定ないしは非常に高々と理想をうたい上げた規定を組織法なり消防庁の設置法なりに書くということは、それなりにもちろん職員の励みにはなることと存じますが、要はやはり相当運用の問題ではないかと思うのです。それで災害というようなことを一口に言いますと、災害に対してこれを一貫して所掌する役所があったらいいじゃないかという御意見もしばしば伺うところでございますし、いまの御質問も多少そういうところにも関連があると存じますけれども、何せ災害対策というものは、やはりたとえば根本的に火事に強い都市をつくるためには都市自体から改造していかなければいけないとかいうようなことで、国の各省庁合わせますと二十幾つがやはりこれに関連をしてくる。そうすると、先ほど例に示された運輸省のような書き方が仮に災害についてできるかというと、やはりこれはできないわけでございます。ところが実際には災害対策というものはどこかで統一的にやるのが必要である、いざというときにその指揮系統が二十にも三十にもなっておったらとうてい災害対策はできない。そういう場合に私はその最も責任のある、矢面に立つというか、それを統一するものとして都道府県といいますか、小規模であれば市町村ですけれども、わが国のような災害の場合は都道府県という一つの総合行政体がありまして、そこを主体に災害に対する対策をやる、あるいはもちろん消防も含めてでございます。その地方自治体というものはやはり私たち消防庁を含めました自治省というところで常々から指導をし、いろいろやっておる。そういう意味では現在の組織法の規定自体はさびしいということは御指摘のとおりかもしれませんが、われわれのやっております消防その他すべての災害に対する一種の元締め的な役割りというものは、これはもう非常に責任の重いものでもあるし、かつ重要なものでもあると考えておりますので、そういう気持ちで日常の仕事をしております。もちろん何か全般的に国家行政機構を見直すというような機会には、いま御指摘のようなことも含めて主張はいたすつもりでございますけれども、現在の段階でこの規定が不足であってわれわれがやりたいこともやれないという感じは実はございませんし、運用の面で一番重要なところを預からしていただいておるという気持ちで仕事しておりますので、大変好意的な御意見でございます、大変ありがたくいただきますが、それらも今後のそういう機会においての表現の仕方ということで参考にさせていただきたく存じます。
  110. 川合武

    ○川合委員 ただいまの長官のお答えで私も満足をいたします。ただ、念のため申し上げれば、いま消防庁がやっている仕事は、かつてとも違い、現在やっていられる仕事は非常に積極的にやっておられるのだけれども、どうもその所掌事務が余りにも何か弱々しい表現じゃないか。建設省が、仮に建設省ですが、仮にたとえでございますが、都市計画に関する案を持ってきた。それを防災上あるいは火災対策の上からチェックする、こういうような受け身にだけもはやとどまるべきではなくて、本来そういう都市計画考え方、そういうものが白紙のときに、プランのときに防災の要素をその中に取り入れさすべきである。これが現在の防災対策であろうと思いますときに、せっかく日夜奮闘されている消防庁長官以下でございますから、この所掌事務についてもさらに御検討を加えていただきたい。最後政務次官にその点についてのひとつ御奮発をお願いしたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  111. 中山利生

    中山政府委員 先生も長いこと消防に従事されておりまして、消防制度、内容ともどもの発展につきましては御努力をいただいているわけでございますが、消防庁といたしましても、先生のただいまのお話の趣旨に従いまして、これからも国民の、火災を守るということだけでなくて、あらゆる災害から国民の生命、財産を守るという形で努力を続けていきたいと思っております。
  112. 川合武

    ○川合委員 質問を終わります。
  113. 地崎宇三郎

    地崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十七分散会